社会労働委員会 第14号
- 発言数
- 194 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/04/21
会議録
○橋本委員長 これより会議を開きます。 この際、理事の辞任及び補欠選任についてお諮りいたします。 理事葉梨信行君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 次に、その補欠選任を行いたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本委員長 御異議なしと認め、理事に住栄作君を指名いたします。 ————◇—————
○橋本委員長 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します、金子みつ君。
○金子(み)委員 私は、きょうは時間の関係もございますので、障害年金の問題とそれから婦人に関する年金の問題とにしぼって質問をさせていただきたいと思います。 〔委員長退席、住委員長代理着席〕 まず初めに、障害年金の問題でございます。申し上げるまでもないのですけれども、現在の年金制度というのは、非常に多種多様であって、そしてその中で障害年金に関するものとしては七つ種類があるわけですね。たとえば国民年金に障害年金の拠出制と無拠出制とがあるし、厚生年金にも障害年金があるし、船員保険にもあるし、共済組合にも廃疾年金という名称で障害年金がありますし、労災保険にも障害補償年金があり、恩給法にも増加恩給、傷病年金、それから戦傷病者援護年金の方にも障害年金というのがある。それがそれぞれ組み立て方、仕組まれ方が違っているという問題があると思いますので、そのことを指摘したいと思うのですけれども、大変それぞれに格差があって、不均衡で、不平等だという感じがございます。 その中で常に問題になっておりますのは、障害等級基準の問題なんです。たとえば厚生年金とそれから共済年金の場合には、その年金を支給するについての基準として一級、二級、三級という三段階がありますね。それから三級よりもまだ軽度の人たちの場合には、一段低いと申しますか、障害一時手当金というのが交付されるようになっておりますね。それから労働災害補償保険の方では、これまた段階がたくさんできていて、一級から七級までが災害補償年金、それから八級から十四級までは災害補償一時金というのが出るようになっております。ところが国民年金になりますと、国民年金は一級と二級の二段階しかないのですね。しかも一時手当金もない。国民年金の方が大変に貧しい取り扱いになっているわけです。非常に大きな格差がありますので、この格差の問題を何とかしなければならないのじゃないかというふうに考えます。 たとえば例を挙げてみますと、片手の親指と人さし指のない場合、右でも左でも、そのような障害のある人の場合に例をとってみますと、共済年金と厚生年金では三級の障害年金が出ることになっています、その程度の人の場合。それから労災で言いますと、この人は七級に該当して、七級の障害補償年金がおりるようになっています。ところが、国年になりますと、この程度の者の場合は障害年金はないのですね。全然ありません。それで一時金制度もありませんからゼロです。人さし指と親指とがないというような障害の場合、障害の程度が低いと判定されるのかどうか知りませんけれども、しかし、大体同じ障害の場合に、いま申し上げたように、共済も厚年も労災も全部それぞれ何かの形で年金あるいは手当が支給されておるのに、国年だけは何もないというのは、いかにも不平等で、不均衡で、私は正しいあり方ではないというふうに考えます。国民皆年金ですべての国民は何らかの年金で守られる形になったというたてまえからいきますと、これは非常に不平等で、私は改正しなければならないのじゃないかと思います。 そこで、障害等級基準を改正して国年にも三級をつくるように考えたらどうかという問題、あるいはせめて一時手当金の制度でもつけるように考えて、この不均衡を是正するという考え方にぜひしなければ不平等を解消できないと思うのですけれども、なぜ国年には三級がなかったり、あるいは一時手当金制度がなかったり、このように大変に不均衡な、そして国民年金の被保険者に対しては冷たい取り扱いになっているのかということについて、こういう制度をおつくりになった趣旨、考え方を説明していただきたいと思います。
○木暮政府委員 各保険制度の障害の取り扱いにつきましては、ただいまお話のありましたように、非常に区々になっておるわけでございます。区々になっております理由でございますが、厚生年金におきましては、労働能力の喪失あるいは減退という点に着目をいたしまして障害の制度を立てておるわけでございます。労災につきましては、補償の立場からこの障害の制度を組み立てておるわけでございます。国民年金につきましては、日常生活能力の制限度合いに基づいて廃疾の給付をするという立て方になっておるわけでございます。厚生年金が労働能力の喪失、減退ということを基準とし、国民年金の場合には対象者の特質から申しまして、日常生活能力の制限度合いということに着目をしておりますために、いま申し上げました障害の扱い方が違っておるわけでございます。 それで、厚生年金の場合には一級、二級、三級ということでございますけれども、国民年金の場合には一級、二級という二本立てでございますが、実は厚生年金の三級に該当する障害程度のものも国民年金の二級に取り入れているものもあるということでございまして、そういう立て方の相違からいたしまして基準の立て方が違っておるわけでございます。
○金子(み)委員 国民年金が生活をするということを前提に置いて、それに対しての障害の云々ということでつくったから違いが出たとおっしゃいますけれども、就労することと、それから生活をする場合と、そんなに開きをつける意義があるのでしょうか。
○木暮政府委員 厚生年金の場合には、いわゆる労働者保険でございまして、事業所とか会社等に雇用されておるということでございますので、労働能力の喪失、減退ということが一つの基準になるわけでございます。国民年金の場合には、いろいろな方がおられまして、そういう会社、小さな事業所等に勤めておられる方もおることは事実でございますが、自営業者の方もございますし、また家庭の主婦のような方もおられまして対象が区々でございますが、日常生活能力の制限度合いに着目するということが、制度全般の問題としては適当ではないかということで、いまの立て方をいたしておるわけでございます。
○金子(み)委員 それはわかるのです。立て方はわかりますけれども、その軽重の度合いを厚生年金の方に重く置き、国民年金の方に軽く置いている感じですね、国民生活の方については。ですから、それが私には理解ができない。生活というものを考えた場合、生活は働く場合でも働かない場合でも人間の生きることの基盤ですから、それを軽く押さえたというのは、どういうわけですかということです。
○木暮政府委員 厚生年金の場合には一級、二級、三級で、国民年金は一級、二級だけで三級が欠落しておるというようなふうに見えるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、国民年金の二級の中には厚生年金の三級に当たる障害もかなり取り込んでおるということで、そこら辺のバランスをとっておるわけでございます。
○金子(み)委員 そうだったら、いま私が例に挙げました親指と人さし指のない障害者は入っておりませんね。
○木暮政府委員 入っておりません。
○金子(み)委員 そういうところが非常にいいかげんというのでしょうか、はっきりしていないですね。それだったならば、こういう障害はこっちに入れたけれども、こちらでは二級になるのだというようなことを明らかにしていなければいけないですね。そうして入っているとおっしゃるけれども、それはたまたま入っているのが幾つかあるということであって、必ずしも国年の二級の人と、それから厚年の三級とが同じだということではないと思いますけれども、どうですか。
○木暮政府委員 おっしゃるとおりでございまして、厚生年金の三級該当のうち生活能力にもかなり影響のあるものだけを取り込んでおるということでございます。
○金子(み)委員 取り込まないものがあるということの場合には、それではせめて一時手当金を出すということを考えられたらいかがですか。
○木暮政府委員 ただいまの立て方から申し上げますと、一級、二級に取り込んでないものについては、生活能力に余り大きな影響はないであろう、こういう考え方をしておりますので、年金も差し上げない、一時金もつくってない、こういうことでございます。
○金子(み)委員 そのことは正しいとお考えになりますか、改正すべきだとお考えになりますか。
○木暮政府委員 現在の国民年金の立て方からいって、やむを得ないというふうに考えております。
○金子(み)委員 そのことと関連してきますけれども、いまのお話のように、厚年の三級に入っている場合もある、入ってない場合もある、大変にあいまいで、はっきりした基準がないように聞こえるのですけれども、そういう基準ができているかどうかということも知りたいのですが、そういうことを決めるのは障害認定で決めるわけですか。
○木暮政府委員 この廃疾表に基づきまして障害認定をいたすわけでございます。
○金子(み)委員 そこで、障害認定の問題ですけれども、障害認定をするのには、都道府県の国民年金課におられる障害認定委員ですか、委員というのは医師の委員ですね、お医者さんと思いますが、その人が障害認定基準に照らし合わせて等級を認定するというふうになっているわけですね。ですから、そうやって認定するということはわかります。ところが、その具体的な方法はどうするのかということなんですが、具体的な方法は、提出された診断書の書面審査だというわけですね。数がたくさんあるから書面審査でしなければやり切れないというのかどうか知りませんが、書面審査だということなんですが、私は、書面審査ということに非常に疑義があると思うのです。というのは、診断書を医師が提出するその前段階では、障害者本人が診察を依頼するわけですね。そして医師がそれを診察して診断をつけるのだと思いますけれども、本人がいろいろと愁訴を訴える。それからそれを医師が聞く。聞いて、そして診察して診断をつけるということなんですけれども、そのことは常に必ず正しく行えているかどうかということになると、非常に疑問があると思うのです。というのは、愁訴を訴える方も十分訴え切れないかもしれないし、あるいは訴え過ぎるかもしれないですね。プラスマイナス、両方出てくると思う。それから、それを聞いて診断をつける医師の側にも、事実よりも軽く診断する場合も出てくるだろうし、重く診断する場合も出てくると思うのです。ですから、必ずしも一〇〇%常に正しいということは言い切れないと思うのですけれども、そういうことが前提で診断書がつくられるわけで、そのつくられた診断書、紙切れ一枚を土台にして認定を決めるということは、私は非常に不安定だと思うのですが、その認定方式を改めることをなさったらいいと思うのですが、そのことについてのお考えはいかがですか。
○大和田政府委員 お答えいたします。 現在、障害年金の認定は、いま御質問のように診断書を提出する。診断書の内容につきましては、自覚症状、いわゆる主観的な主訴、これだけではなくて、他覚的な所見とかあるいは諸検査成績とか、そういったものは全部書かせまして、日常生活能力についての総合所見というものもお医者さんに書いていただく。したがいまして、認定に関する必要事項は全部書いていただきまして、それを障害認定審査委員が見ます。したがいまして、認定上必要な事項は全部書いてございますので、それを見て認定をいたします。なおかつ、そこでどうしても、この点についてはなお調べなければ正確な認定ができないというような場合には、実地調査、これは各都道府県におきます実地調査というものを行いまして、そういった診断書の足らざるところを、実際問題として実地に補正していくというようなことをやっております。私は、先生の御心配のようなことはなく、適正な認定ができておるというふうに考えております。
○金子(み)委員 実地調査はどなたがなさるのですか。
○大和田政府委員 県におりますところの障害認定審査委員が原則として行いますけれども、それの補佐といたしまして県の職員が行くというようなこともございます。
○金子(み)委員 障害認定委員ですね、県におられる医師ですが、この方は、こういう特別な人たちを診断するのにふさわしい専門医ですか。
○大和田政府委員 各県で百六十六名の認定医、これはそれぞれの外部、内部、精神といったような人たちを委嘱しておるわけでございます。したがいまして、それぞれの専門医であるというふうに私ども考えております。 なお、その委嘱しております認定医だけで決定できないような場合は、専門医の意見を聞くというようなこともやっております。
○金子(み)委員 数としては、一年に大体一県当たり何人ぐらいを認定しておられますか。
○大和田政府委員 新規裁定が九万八千件ございます、約十万。それに対しまして、ただいまの人数の方々が認定をしておりますので、ちょっといま割っておりませんけれども、そういったような数であります。
○金子(み)委員 いまのは全国でしょう。そうですね。
○大和田政府委員 はい。
○金子(み)委員 私の言うのは、一人の先生が何人ぐらいごらんになるかという意味なんですが……。
○大和田政府委員 これを割れば出てくるわけでございます。
○金子(み)委員 ちょっとだれか計算してください。——計算していただいている間に、時間かもったいないからほかの質問をします。 やはり同じ問題ですけれども、今度は障害福祉年金のことになりますが、障害福祉年金と他の公的年金との併給を制限する問題なんですけれども、これは原則としては支給は停止するということになっているわけですね。それからもう一つは、所得制限がある場合には停止するというのが原則になっているということは承知しているのですけれども、ただここで考えていただきたいことがあるのです。 障害福祉年金というのは、精神的にあるいは身体的に障害がある、健常者よりも障害があって、そして困窮して生活が非常に不自由な人たちにおろされるものだと考えるわけです。ことに一級の人の場合には日常生活が一人ではできない、したがって、他人の介護を必要とするという人たちでございます、そうですよね、一級の障害福祉年金を受け取る人は。そうすると、この人たちは、そういう状態にある人たちでございますから、他の年金を支給されることを理由に障害年金を停止されるというのは、私は正しくないと思うのです。というのは、少なくとも障害年金の中には介護料相当のものが入っているはずですよね。生活費のほかに介護料相当のものが入っているはずだと甲うのです、一人で生活できない人のためにおろされるものですから。それだったら、併給はできないという原則はあるにしても、せめて介護料相当のものだけぐらいは当然のことながら交付すべきじゃないでしょうか。これも落としてしまうということになったら、何のために障害者を助けよう、援護しようということになるのかということが明らかにされなくなる、意味がなくなってしまう。そのことは当然考えるべきだと思いますが、いかがでしょう。
○木暮政府委員 障害福祉年金を受給されておる方の生活実態というものは、非常に大変な場合が多いと思うわけでございますが、福祉年金の制度の立て方が、昭和三十六年に拠出制の国民年金ができましたときに、その拠出制の福祉年金に入っていただけないという方を対象といたしまして、他の公的年金をもらってない方に差し上げるという原則でスタートをいたしておりますので、障害福祉年金につきましても、その原則に従って併給制限をしておるわけでございます。 しかし、そういう原則には立っておりますけれども、実際問題といたしましては、非常に低額な公的年金もあることは事実でございますので、五十二年度では三十三万円を予定しておりますけれども、三十三万円までは併給をするということにいたしておるわけでございます。
○大和田政府委員 先ほどはどうも失礼いたしました。先ほどのお答えをいたします。 障害年金の発生件数が、先ほど申しましたように、昭和五十年度で年間九万八千九百五十九件でございます。それを百六十六名の認定医の数で割りますと五百九十件ということになります。
○金子(み)委員 五百九十件は一年間ですね。そうすると、これをまた十二で割って一カ月に何件ということになると、大体五十件近くということになりますね。そうすると、五十件を一カ月ということですから、一日に二件ぐらいという計算になりますね。 それだったらお尋ねしたいのですけれども、一日二件ぐらいだったら、私は直接審査はできると思うのです。ですから私は、さっきから申し上げているように、書類審査というのは非常に危険なこともあるというふうに考えられますから・間違いなくやっているとおっしゃいますけれども、それもやはり考え方の違いですから、むしろ的確にきちっとできるために、一日二件ぐらいのことだったら、直接この認定委員ですかが診察して認定なさったらどうでしょうか。そういう取り扱いにすることは絶対不可能なんでしょうか。
○大和田政府委員 認定医でございますけれども、これはいつもずっと役所におりまして、書類ばかり見ているというわけにいきませんで、先ほど申しましたような実地調査もございますし、それから、どうしても動けない、したがって、診断してくれという方も実はおられるわけです。重症で動けない、そういったような方の場合には、巡回廃疾認定ということも実は実施しております。その先生方が自動車で巡回をいたしまして、そこで認定をするというようなこともございますので、先ほどの二件は、ずっと座ったままでの計算の二件というようなわけにはいかないということになるわけでございます。
○金子(み)委員 いろいろやり方はあると思います。そういうこともあるだろうと思います。ですが、問題は、要するに間違いなく正しく認定ができるということが大切なことなんですから、そのことのためにできるだけ具体的に認定をするという方針で進めていっていただきたい。それだけでやってくださいということではありませんけれども、たまにはそういうこともいたしますというのではなくて、そちらを主体にしたような認定の仕方をすれば、認定漏れがあったとか、あるいはそんなはずはなかったのにと言って不服審査もあるようですけれども、そういうことが起こらないで済むようになるのじゃないかと思いますので、そのことをぜひ実現していただきたいというふうに思うわけです。 そこで、障害の問題をここら辺で終わりたいと思いますが、大臣にお考えを伺いたいし、お願いをしておきたいことがあります。 先ほどからお話ししておりますように、国民年金の取り扱いが大変貧しいわけです。三十六年に国民年金制度ができたときに、そういう趣旨でやりましたからやむを得ませんみたいに御答弁が聞こえたのですが、そのときはそのときであったかもしれませんけれども、今日いろいろな事情で社会環境の変化がありまして、障害者というものは非常にふえてきているということもございます。いろいろな意味合いで障害者に対する国の温かい政治のあり方というものを、やはりこの際示さなければいけないのではないかと考えますから、先ほどの国民年金の二級までしかない問題を三級までふやすとか、あるいはせめて一時手当金制度を設けることであるとか、あるいはただいまの併給を制限する問題とかというものを、もう少し温かい気持ちで見直しをする。三十六年と言えば、ずいぶん古い話ですから、もう一遍見直しをする。大臣のおっしゃる「福祉の心」でこれをもう一遍見直しをして、そして新しい進歩的な制度に切りかえていくというふうなことぐらい、政策としておやりになっていただけないでしょうか、そのお考えを聞かせていただきたい。
○渡辺国務大臣 中には、それは本当にもっともだなと思うような節もございます。しかし、身体障害者全体の行政の中で見直すということが一つの筋道じゃないか。 それからもう一つは、確かに国民年金等につきましては種々雑多の人が入っておるわけです。中には弁護士もあるだろうし、医者もいるだろうし、それから農家の人も魚屋もみんな入っているわけですね。そこで、一家の支柱になるような人がけがをしたという場合、厚生年金で、勤めている人がけがをした場合とどこが違うのか。奥様方の場合は、勤めてなければ、厚生年金は直接は加入してないわけです。しかし、普通の自由業や営業をやっておっても、一家の支柱になる者がけがした場合と扶養家族的な者がけがをした場合と同じでいいのかどうか、私も素朴な疑問を持っているんですよ。ですから、そういうことを含めて一遍検討をしてみたいと思います。少し勉強不足ですから、いまここで私はどうだということは申し上げられませんが、謙虚に受けとめて検討をしてみたい、かように考えております。
○金子(み)委員 よろしくお願いします。 それでは、婦人に関する年金制度の問題で幾つかお尋ねをして、御見解を聞かせていただきたいと思います。 婦人に関する年金制度というのは、大ぜいの方たちからいろいろ問題が出ているということは御承知のとおりだと思いますし、それこそいまの国年が、三十六年のときの立て方がそうだったという御発言があったように、婦人の問題については、年金制度だけではございませんけれども、わが国では取り扱いが大変お粗末になっておると申しますか、また、ここに不平等、格差の問題が出てくるわけです。婦人なるがゆえに、あるいは妻なるがゆえに、女性なるがゆえにということで、これは就業の場合でも起こりますし、あるいは家庭の中でも起こってきます。その他あらゆる日本の制度の中に出てくるのですが、非常に取り扱いが立ちおくれをしている。不平等な対象になっている。 そこで、それを一つずつ改善していく必要があるわけなんですが、きょうは年金制度の問題だけにもちろんしぼるわけでございますが、この年金制度のことを考えただけでも、婦人に対する取り扱いというのは、こんなに幾つも不平等にできていたのかなあと思うぐらい出てくるわけですね。それを一つずつお尋ねしたいのですが、問題が幾つもありますから、しぼることにいたします。 まず、そのうちの一つですけれども、遺族年金の関係なんです。遺族年金の関係では、これは夫と妻という関係ですから、夫か亡くなった場合、妻に遺族年金が支給される場合、それから妻が亡くなった場合に夫に支給される場合と、こういうふうに同じ問題が相互の間にあると思います。配偶者ということになるのだと思いますけれども、話が通常使われておりますから、夫と妻という考え方で話をまず進めてみたいと思うのですけれども、現在は、日本の場合は申し上げるまでもありませんが、夫が支給されるはずである年金額の二分の一ということになっておりますね。この二分の一というのがまた大変に低い数字であって、これをILOの百二十八号条約では、成年男子労働者の賃金の四五%は遺族年金として支給されるべきであるという勧告が出ていることは、御承知のとおりだと思います。この問題については、一昨年昭和五十年にILO百二号条約が一部批准を行われましたときに、婦人の問題として集中審議が行われました。そのときにも議論された問題ですし、その後もいろいろなところで議論されておりますから、詳しく申し上げる必要はないと思うのですが、結論から申し上げれば、余りも低過ぎるという問題なんですね。五〇%では生活ができないじゃないかという問題になってくると思うのです。 ただ、こういう議論があるんですね。いつも政府側からの御議論としては、日本の遺族年金は年齢制限なしにおろしているじゃないか、だから甘いんだぞ、よその国は年齢で区分しているじゃないかということがございます。確かにそういうところもございますね。しかし、外国の場合でも、一〇〇%支給している国以外は条件がついておりますので、いろいろと問題が起こっているわけです。よそがやっているからいいじゃないかというのは大変におかしな論理でして、それは論理として受けとめることはもちろんできません。ですけれども、年齢を限ってないでだれにでも出しているのが甘いということに対しては、逆のことも言えると思うんですね。というのは、日本の場合はそもそも婦人が、一人になりますから働こうとする、仕事をしようという場合に、雇用制限があったり、低賃金であったり、あるいは若年定年制があったりということがありますし、中高年齢の婦人の就労なんというのは全く厳しくてとてもできっこない。あるいはまた、若い時代に働いていても結婚退職というような問題があったり、こういった社会的ないろいろな条件が、外国には見られないような条件が日本にはあるということですね。こういうことも要素として組み込まなければならないし、それから外国にないものでもう一つ日本にある特別なものとしては、家の制度というものがありますね。このしがらみというものがあるわけですが、こういったものを全部要素の中に取り込んで考えれば、年齢を限ってないことが決して甘いというふうには考えられないと思うのです。 ですから、これはやはり二分の一ではとても生活できないということは、だれもが考えていることでありまして、これを引き上げるという問題について、厚生省の特段の努力をお願いしたいわけなのですが、厚生省は五十一年度の予算を組まれたときに、これは七〇%で予算要求をされたことを私は記憶しております。これはやはり前の年の集中審議を受けて、田中厚生大臣だったと思いますが、七〇%で要求されたわけですね。このことは私どもは高く評価していたのです。そしてそれがぜひ実現できるようにということをみんなで願っていたのですが、残念なことには、これはまた五〇%に戻されてしまって、そしてそのかわりに、かわりにかどうか存じませんけれども、寡婦加算というのがつけられた、こういう実態でございますね。 このことは、非常に人をばかにした考えだというふうに私ども婦人たちは怒りを感じているわけなのです。寡婦加算なんてことをするよりも、むしろ基本の年金額を引き上げることの方が正しいというふうに私は考えます。それが筋だと思うんですよ。寡婦加算でごまかしたり、お茶を濁したりというのはおかしいと思う。なぜこういうことになったかという事情を、七〇%要求なさった厚生省と、それから予算を査定なさった大蔵省とで御答弁いただきたいと思うのです。
○木暮政府委員 遺族年金の充実につきましては、私ども今後とも努力をしていかなければならないと思っておりますが、いまお話のございました昭和五十一年度の予算の問題でございますが、私ども、先生のお話のございましたように、高齢の未亡人の場合あるいは子供のある未亡人の場合には、給付率を七割にしたらどうかということを考えておったことは事実でございます。その後、財政当局ともいろいろ協議をいたしました結果、寡婦加算という形をとることで充実を図った次第でございますが、その理由は、先生のお話の中にもございましたけれども、遺族年金のあり方というものが、国際的に見ましてもいろいろ問題がございまして、遺族年金の充実を図るためには、そこら辺も十分吟味をしてみたいということが一つございましたし、また、これも先般、社労の一般質疑で先生からお話のございました、妻の国民年金任意加入の問題でございますが、最近の数字でございますと、サラリーマンの奥さんがすでに六百万国民年金に加入をしておるわけでございます。そういう事実がございますので、国民年金に任意加入された場合の給付水準というものもよく考えてみなければならない、そういう点かございまして、寡婦加算という形で五十一年度の予算を編成いたしたわけでございます。
○窪田説明員 遺族年金の五割の問題は、先生御承知のように、恩給以来の長い沿革のある問題でございます。これを七割にするということになりますと、これは公的年金全体あるいは恩給にも波及する大分大きな問題でございます。また、年金計算全体もやり直さなければならぬ、非常に大きな問題であると考えております。しかし一面、寡婦の方とか子供をお持ちの御婦人、こういう者に対して何か措置をすべきだ、こういう考え方もわかるわけでございまして、五十一年度予算のときは寡婦加算、こういうことでやらしていただいたわけであります。まあ人をばかにしたというお話もございましたが、いまの制度の上に乗っかって、なだらかに配慮をする、こういう仕組みであると考えております。これは、ただいま申しましたように、公的年金全体に波及する問題でございまして、厚生省の御答弁にもありましたように、いま基本的に御検討いただいておりますけれども、しかし私どもは、いま申しました理由から、これは非常にむずかしい問題である、こう考えております。
○金子(み)委員 やさしい問題だとは初めから思っておりません。むずかしいことはわかっているのですけれども、しかし、そういう仕組みだから、そういう制度だから、今日の段階ではやむを得ませんというのは、大変冷たい御答弁だと思うのです。それは、もともと考え方を改めてないからそういうふうに答弁をなさるのだと思うのです。不平等の差別の問題あるいは未亡人になった婦人と子供の問題、そのことを温かい気持ちで考えれば、いまの制度がどうであるか、それを切りかえていくところが政治ではないでしょうか。そういうものがなくて、制度があるからやむを得ませんと言うのだったら、毎年同じことを繰り返すことにすぎないと私は思うのですが、そこら辺の考え方を改めていただかなければならないと考えます。
○木暮政府委員 遺族年金の問題あるいは婦人の年金権の問題につきましては、私どもいま年金の将来構想を基本問題懇談会で御討議いただいておりますけれども、その中の最も重要な柱の一つというふうに考えておりまして、その懇談会の議論をいただきましていい制度をつくりたい、かように考えておるわけでございます。
○金子(み)委員 遺族年金の関係ではもう一つ問題があるんですね。厚生年金や共済年金の遺族年金と国民年金の寡婦年金とは通算しない、これも大変に冷たい取り扱いですね。ですから、これは御答弁要りません。時間がございませんのでよろしいですが、遺族年金については総体的に温かい思いやりが欠けているということは大変残念だと思います。そのことをぜひ考慮の中に入れて、新しくいま調査会でやっていらっしゃる場合には、しりかりと考えていただかなければならないということを強く要望したいと思います。 その問題と関連いたしますが、いま局長がおっしゃった国年への、いま無年金になる人の問題というのに結びついてくるわけですが、現在は無年金になる人というのが何人か出てくるわけですね、いろいろな種類があるわけです。その中で婦人の問題だけを取り上げてみても、婦人の問題としても無年金になる人というのが出てくるわけです。それはいまここで申し上げないでも御存じだと思いますが、離婚した場合の無年金、それからいま一つは、夫が受給者にならないうちに死亡した場合の無年金、こういうのが出てくるわけですね。これをどうやって救うかということについて、もっと温かい考え方で私は進めていっていただきたいと思うのです。 特に夫が年金受給者になる前に死亡した場合のいまの制度は、何ともびっくりするぐらい冷たいですね。未亡人が六十歳から六十四歳の間だけしか支給されないし、しかも時間を決めて十年以上婚姻関係にあったということが一つの理由にならなければならない。本当に困るのは、年齢的にそれから先の話なんですよ。六十五歳以上の人たちが一番困っているんじゃないでし失うか。日本の老人の死亡で自殺率を見ても、六十五歳以上の婦人の自殺率は世界一ですよ。男女合わせた場合は世界三ですけれども、婦人だけは六十五歳以上は世界一ですよ。その理由というのが、ヨーロッパあたりにあるような生きがいがなくなったという精神的な理由で自殺するのではなくて、もっともっと現実的で食べていかれないという理由です。あるいは子供たちにこれ以上迷惑をかけたくないという、大変に悲しい理由で自殺しているわけですね。 そのことを考えれば、こんな情けない、六十四歳までの間の期間を限って支給するというようなことは、即時改める必要があるのじゃないかというふうに考えますが、その点はいかがですか。
○木暮政府委員 国民年金の寡婦年金のことだと存じますが、国民年金は個人加入という立て方をいたしておるわけでございます。夫婦の場合でも、夫も妻もそれぞれ被保険者になっていただき、それぞれ保険料を掛けていただく、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、厚生年金のように夫が死んだ場合に夫の遺族年金で生活をするということではございませんで、妻の方が自分で保険料をかけて、六十五歳から老齢年金の支給を受ける、こういう立て方になっておるわけでございます。 一方、夫が亡くなられた場合に、これは国民年金の場合には個人単位でございますので、掛金をされて何も給付を受けられないで亡くなられた場合には、年金制度の立て方から言えばそれだけのことになるわけでございますけれども、せっかく夫が掛けた保険料が何の給付にも結びつかないであるわけでございますので、奥さんにその保険料を還元するという意味合いで差し上げたらどうかというのが、現在の寡婦年金であるわけでございますが、これは寡婦年金で六十歳から六十四歳まで差し上げまして、六十五歳からは妻が自分で掛けられた自分の老齢年金をもらう、そういうふうにつながっていくような制度になっているわけでございます。
○金子(み)委員 それはわかっているのです。ただ、国民年金も大変低いですよ。受給金額は大変に低い。そういうようなことが、やはり一緒に総合的に考えられなければならないと思うのです。 これは小山進次郎氏の意見として、公年を例にとっていますが、公年の被保険者の妻を国年に任意加入ということを決めましたそのときの考え方が出ているのですけれども、「幸いにも、夫が老齢年金の受給資格を満たしており、その二分の一を遺族年金の形で受給できるとしても、従来の年金制度で支給する老齢年金自体が不十分であるため、日々の生活を維持するに十分なものとはいえません。そこで、国民年金では、夫とは別に他の者によっておかされることのない独立の年金を支給する」云々と書いてある。ですから、これを見ても、夫の低い年金を補充するというような意味合いで国年に入ることができるという考え方をつくったのだ、制度をつくったのだというふうに言っておられます。 ですから、そのことを踏まえて考えてみれば、当然のことなからもっともっと——遺族年金も低いのだし、国民年金も低いんですよ、どちらも低いのです。どちらも低いのだから、併給制限なんかしないで、そういう場合にはちゃんと両方受けられるようにすることであるとか、あるいは先ほど申し上げた、理屈から言えば局長がおっしゃったことかもしれませんけれども、年齢制限をあえてする必要もないじゃないか。年齢的に六十四歳以上の人たちが、この先何年受給する資格を続けられるかということから考えてみても、大した年限じゃないですよ。だから、そういうところは冷たく打ち切らないで、六十歳以上なら六十歳以上ということで、おしまいまで支給するというふうにするとか、何か考えたらいいのじゃないかと思うのです。 やはりそのことを前提に、いま国民年金の話ですから、前提としてみんな国年に入っているという考え方で話が進められていたと思いますけれども、サラリーマンの妻の場合は必ずしも入ってないんですよ。さっきのお話のように六百万くらいしか入っていない。だから、そのことを防ぐためにも、サラリーマンの妻には、いま任意加入になっている国年への加入を強制加入にするべきではないかということが結論として出てくるわけなんです。 だから、これを強制加入にするということについてお考えをぜひ進めていただきたいと考えるのですが、そのことについてのお考えはどうなんでしょうか。これは一つの政策でありますから、大臣いかがお考えでいらっしゃいますでしょうか、聞かせていただけませんか、サラリーマンの妻の問題……。
○渡辺国務大臣 ただいま年金局長からお話をいたしましたとおりだと私は思います。これは国民年金の仕組みそのものの問題ですからね。ですから、一方において厚生年金で七割支給をしろ、片っ方において国民年金の加入は御随意だということになると、これはダブって国庫補助を受けるような話になってきちゃうんですよ。ですから、これはどっちか一方に交通整理しなければならない問題じゃないか、こう思うのです。妻の方に仮に厚生年金を七割支給する、国民年金の方も妻は入っていいということになると、御承知のとおり、国民年金は結果的にいま四割近い補助率になっているんですよね、三分の一のほかにプラスになりますから。そうすると、夫が生きているときとほとんど大差ないくらいの年金額、あるいはそれ以上になるかどうか計算してみなければわかりませんが、そういうような問題点等も出てくるので、いずれにしても、これは年金の基本に関する問題だと私は思います。したがいまして、そういうような点等は、まあ年金の基本的な見直しを一遍やるわけですから、当然そういうときに検討課題になることは間違いない、かように思っておるわけです。
○金子(み)委員 時間がなくなりますので先に進みますが、妻の方が夫が受ける年金よりも高くなるのは不都合だみたいなニュアンスにちょっと聞こえたのですが、そんなことは関係ないですよ。どっちが多くたってかまわないと思います。ですから、そういうようなことは、やはり考えの土台に置いていただいては困ると思います。 それから、さっきの遺族年金のところでちょっと触れていたのですけれども、結論が出ていませんでしたのでお尋ねしたいのですが、夫が亡くなって妻が年金を受け取る場合はこれでわかります。ところが、逆に妻が働いていて夫が年金を受け取るという場合が出てくるわけですね、遺族年金を。その場合、まるまる受け取ってないのです。ほとんど返ってこない。奥さんが働いていて亡くなった場合に、夫が遺族年金を受け取れるかと言えば、そういうふうになっていないんですね。夫の場合は六十歳以上でなければならないとか、あるいは障害者でなければならないとかいう条件がついていて、仮に返ってきたとしても大変にわずかしか戻ってこない。非常に不公平じゃないですか。それこそ夫に対する侮辱じゃないですか。妻がせっかく一生懸命働いて年金をもらえるように準備しているのに、その妻が亡くなって、夫が遺族年金をもらおうと思ったら、いや、上げられませんよ、あなたが障害者でなければだめですとか、六十歳を超えてなければだめですという制限をなぜつけるのですか。これは男女不平等の逆不平等ですよ。こんなおかしなことがあるのは、私は本当に不思議だと思う。これも年金のたてまえでこういうことになっておるのだとすれば、年金制度というのは、何とも奇妙なたてまえだと言わざるを得ないと思うのです。 この逆不平等の問題と、もう一つ問題が残るのは、妻が掛けたお金はどこに行ってしまうのですか。妻が働いていて死んだ場合に遺族に行くはずの年金の分。一生懸命働いて掛けてきているわけですね、ところが、それが戻ってくるのがごくわずかということになると、あとの大部分のお金は一体どこに行ってしまうのだろう。これは非常に問題だと思うのですけれども、これはどこに行くのですか。 時間がありませんので、十分なあれができないのですけれども、結局これは吸い上げのかっこうになる。あるいは大蔵省の資金運用部資金に回されるのかもしれません。そういうようなことを考えますとき、私は非常に不明朗だと思う。そこら辺を、やはり今度の年金改善委員会ですかのときに十分やっていただかなければならないと思います。 それともう一つ、小さな問題ですが、厚生年金は男子が六十歳、女子が五十五歳で支給されますね。ところが、国年はどちらも六十五歳ずつです。そうすると、女性の場合は十年の開きが出るんですよ。十年というのは、開きとしては大きいですよ。これは、やはり理屈としておかしいのです、片方が六十の五十五だったならば。国年の場合、男性が六十五歳であったら、やはり女性は六十歳というふうに繰り上げていいのじゃないでしょうか、数字の立て方からいっても。こういう問題もあるわけです。 そこで、もう時間がありませんので、考えの中に入れておいていただきたい、一つ一つ答弁をいただきますと、時間がなくなりますので。 このように非常にまちまちで、しかもアンバランスがあって、不公平で泣く人が出てくるというような立て方は、年金の立て方としては、決して正しい立て方ではないというふうに考えるのです。ですから、私ども考えますのは、いまの年金の調査会で議論をなさったときに、少なくとも被用者の年金と国民年金との二本立てぐらいにすることが考えられなかったかということです。言葉を変えれば、一番よくできていると言われている共済年金、一番有利にできていると言った方がいいかもしれない共済年金、それもしかもたくさんありますからね、それを一本にする。そして厚生年金と統合させて被用者としての年金を一つつくる。それと国民年金。この二本立てにしてすっきりさせた形にするというようなことなんかも、考えの中に入れておいていただきたいと思います。 年金というものは、そもそも個人の生活を保障するものであるとするならば、どこまでも個人単位にすべての年金を考えていくとか、何かその辺をすっきり立て直していただかないと、問題が次々と出てきて非常にやりにくい。やりにくいだけでなく、みんなが非常に迷惑をこうむる。国民に非常に迷惑をかける。しかも複雑怪奇で、なかなか解明ができないから、何となくごまかされているような感じだということを、非常に皆さん一般の方たちがおっしゃるわけです。 ですから、そういうことのないように、明朗な年金制度にしていただけますように大臣にひとつお骨折りを願いたいのですが、御決意を聞かしてください。
○渡辺国務大臣 これは非常に重大な話なんですね。国民皆年金というようなことで、考え方としては、理想的なそれは一つの考え方だと私は思います。思いますが、なかなか厚生省が案をつくって出すというところまでいかないし、これは、もう総論賛成で各論となるとなかなかまとまらないという問題です。これは長い歴史がありますからね。したがって、すぐに一本化するというようなことは、相当時間がたてばどうか知りませんが、当面各共済組合の年金を全部一本にまとめてしまう、そこへ厚生年金も場合によれば入れる、それと国民年金という二本立てまでは、案をつくってスタートするという私は自信はないですね。一つの考え方だけれども、そういう自信はいまのところない。
○金子(み)委員 いますぐやってくださいと申し上げたのじゃないのです。こういうふうにいままでの考え方の発想転換をさせて、そうして思い切って国民の幸せのために年金制度というものがあるべきだということを前提に考えていただけませんかということを申し上げたのです。
○渡辺国務大臣 年金は、御承知のとおり負担の問題と切り離して考えることはできないわけです。ですから、国民の負担、国の財政事情にも限度がございます。そういうふうな合意を得られる中で、極力合理的な効率的なものに変えていく必要がある、不公正の是正も図る必要がある、こういうように思っております。
○金子(み)委員 ありがとうございました。
○住委員長代理 次に、大原亨君。
○大原(亨)委員 厚生大臣、まず第一に、金子委員から質問がありましたいまの問題ですが、これから年金の制度を改革していく際に、やはり厚生年金主導型の年金改革の構想を立てる必要があるであろう。いままでの既得権を無視いたしましては、年金改正は事実上官僚が大体仕事をやるのですから、そのやっておる官僚がいろいろ文句を言うたり、いろいろなへ理屈をつけて反対いたしますから、そこで、厚生年金主導型の年金改正と一元化をやるべきじゃないか、私はこういう考えを持っておるわけですが、いかがでしょう。あなたの御所見はどうですか。
○渡辺国務大臣 官僚主導型の年金ができておる、厚生年金主導型にすべきだ、それでは厚生年金主導型はだれが主導になって旗を振るのか。権力ある国の最高機関の国会が決めれば、それはできることだと思いますよ。
○大原(亨)委員 国会でやった方がいいという話ですが、これも一つの見識です。しかし、制度の整合性というようなものが非常に複雑な問題は、国会では簡単にできません、決議はできますけれども。 そこで、いままでの年金に対する基本的な考え方を変えなければいかぬと私は思っておるのです。というのは、やはり年金の不公平の是正、格差の是正という点について十分考えなければいけない点は、私は二つあると思うのです。 一つは、昭和三十六年以降皆年金になったわけですが、皆年金になりましても、いままで議論があったように、たくさん問題を抱えておるわけです。しかし、皆年金になった以上は、直接にしろ間接にしろ税金を年金財政の中に繰り入れるわけです。あるいは保険料を含めて広い意味においては税金の負担です。そういう面において、やはり年金というものを、格差を是正する方向で改革をする、こういうことをやらなければならぬ。そのときに、どういう考え方で年金を改革していくかという目的意識を持って毎年、毎年の是正をしていかなければならないと私は思うのです。しかし、そういう政治がないというところに私は、いままでの場当たりの福祉の政策の基本的な欠陥が出てきておるというふうに思うのが一つ。 それからもう一つは、低成長下の社会保障あるいは年金の制度はどうあるべきかということを考えなければいかぬ。もう高度成長は来ないわけですから、低成長下の社会保障の中でその中心となるのは、医療に対応いたしましての年金なんです。年金が中心なんです。その年金は、やはり公平なものでなければいかぬ。高度成長時代に部分部分を修正いたしまして、そしてニードに応じてきたような、そういうことではなしに、やはり国民的な立場に立って不平等のない公正なものでなくてはならぬ。これは低成長下の社会保障、特に年金制度のあり方である、そういう目的意識を持って年金を改善するという、そういう能力と意思があるかないかということが、これからの政権担当能力の問題であると私は思っておる。 自由民主党も長期低落の傾向で、一党支配の形はもうなくなる。これは決定的である。そういう中において多党化の現象が出ており、与野党伯仲の時代もその一つの現象であるが、与野党伯仲下において何をなすかということになると、国会でもその中心的な考え方を統一するという意味において議論するわけですけれども、政府にそういう方針がなしに、場当たりのことをやってきたから、医療でも年金でも、全く今日何から手をつけていいかわからぬということになっておるのではないか。 では、年金改革については、だれが一体責任を持ってやるのか、きょうは共済関係も出てきておるわけですが、その点についてお聞かせをいただきたい。 それからもう一つは、ややこし、問題は厚生大臣に聞いてもわからぬが、いまの金子委員の発言にあったように、公共企業体の共済、公務員の共済、この共済を制度的に一元化できないか、できるところから一本にできないか、資金運用その他を含めて一本にできないか、それから厚生年金と共済年金を内容的に一元化して、将来一本化する構想を持つことはできないか、こういった話があった。それと自営業者を中心とする国民年金、こういう問題があった。そういう一つの構想を持ってやるという指導性がなければ、ますます混迷を重ねてきて、お互いに足を引っ張り合って、年金の改革を政府がやらない。 しばしば厚生大臣も発言されておりますか、これは、いろいろなむずかしい問題があってと、こういうことを言っておる。そこで、そういう点についてひとつ、国務大臣でもある厚生大臣の所見をお聞きしたいということです。
○渡辺国務大臣 格差是正の方向とか、それから低成長下における年金、低成長下というものをこれから入れて改革しなければだめですよ。(大原(亨)委員「皆年金化とね」と呼ぶ)皆年金化と、それから公平でなければならぬ、私は、そういうことを頭に入れてやりたいと思っておるわけです。能力があるかどうかは結果の問題だから、私は、自分であると思ったって、結果ができなければないわけだから、これはお答えの限りではございません。 一本化の問題も、先ほど言ったように、それは一つの見識だと私は思うのです。見識だと思うんですけれども、たとえば共済のようにかなり悪くはないです。(大原(亨)委員「よくはない」と呼ぶ)まあまあいい方じゃないか。だから、これを合わせろとすぐ言われても、掛金の問題にすぐぶつかってくるわけです。そんな掛金は、いまのままで補助金で出せというようなことになると、たとえば国鉄だったら二十四万のところで、ともかく整理財源だけで八百八億出しているわけですから、全体としては千三百二十三億出しているわけですね。整理財源だって八百八億要ったら、それじゃ厚生年金でいま何人いるかというと、受給者二百四十万で大体十倍だ、その比率で仮に補助金を持つとしたら、これだけだって八千億円を用立てなければいけない。そうでしょう、八千億円。国鉄と同じように厚生年金でも持つのだ、これは一人四十万円ぐらいです、ということになると、これは理屈はわかるが、現実の問題としては、共済の方を下げてくれるのならいいけれども、それは一遍もらったら、なかなか下げるわけにいかない。 そこで、しかし厚生年金を合わせてしまうということになると、掛金を上げなかったら国が持つという話ですから、それは事実上いまのところは不可能に近い。(「何もならないじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、何もならないと言ったって、実際問題として一遍にはできません。ですから、皆さんからもいろいろ、特に大原さんのようなそういう勉強をなさっている方の意見を十分聞いて、取り入れられるところは現実的に大いに取り入れてやっていこう。最終的には、これは法案の話なんですから、与野党伯仲で、ともかく本当に無理なことはできない状態になっているんですから、だから、いい案が与野党間で話し合いがついて、しかも財政事情等から見てもできるということだったら、私は大いに結構なことで、そういう改善にはもろ手を挙げて賛成ですよ。ですから、大いにそういう議論を出して、各党のコンセンサスをつくってもらいたい、私はそう思っております。
○大原(亨)委員 厚生大臣、金子委員もそうですけれども、われわれもそうですが、一元化と一本化というのは、同じようには解釈していないんですね。一元化というのは、内容的に整備をして不公平のないようにしようという考えですね。一本化というのは、制度を一本化するという考え方です。厚生大臣が例に挙げられました国鉄ですね、この国鉄は——つまり年金制度というものは、広い範囲でやる方が安全性があるわけですよ。公平としての安全性があるわけです。それを国鉄だけでやっておるから、そして過去のいろいろ特殊な経過を全部ここへぶっ込んで、恩給制度や満鉄なんかぶっ込んでやっているから、矛盾が拡大しているわけです、それは整理ができていないから。だから、国鉄はいまのままで行ったら、五年ぐらいでパンクすると思う。それを知ったら、国鉄へ就職する者はおらぬようになるですよ、本当を言ったら。それを知らさずにひた隠しにしておるから、矛盾がいま表面に出てこないだけの話です。 だから、これは年金制度において保険的な分野はわれわれの案だって取り入れているわけですから、そうすると、やはり大きな基盤で合理的な制度をつくっていって、そうして公平に所得の再配分で税金を入れるべき点は入れていく、こういう形にしないと、年金というものは、これから年齢が高い時代に入ってきまして、それに対応することができない。そういう矛盾が出てきておるから、一元化とかあるいは被用者年金の一本化について、可能なところからやるという方針を、原則を決めておいてやっていかないと、矛盾はますます拡大しますよ、こういうことを私は指摘いたしておる。 そこで、そういう一元化とか被用者年金の一本化について、公共企業体を代表して運輸省、公務員を代表いたしまして大蔵省、地方公務員を代表して自治省、それぞれの担当者の所見を私は記録にとどめておきたい。
○杉浦政府委員 公共企業体関係の年金につきましてのただいまの先生の一元化に関する問題でございますが、私ども基本的には、ただいま厚生大臣が申し上げましたようないろいろな問題があるという認識でございます。確かに、一元化の問題につきまして国鉄の例を申し上げましたが、そういう立場だけからでなしに、全体的な考え方としては、一つの理想像であろうというふうに思います。 ただ、それを具体的に現実化しようという場合におきましては、大変なむずかしい問題がある。過去の長い歴史の中で、それぞれの年金の制度が違う事実が厳然としてあるわけでございます。そうした独自の制度というものにつきまして、やはり組合の期待感なりあるいは年金受給者の既得権というようなものもございますので、それぞれ比較的有利な年金制度のものを引き下げるというようなことが非常にむずかしいということになりますと、やはり比較的不利なものを一気に引き上げるというような形になっていかざるを得ないのじゃないかということになるわけでございますが、大臣も申し上げましたような財政上の問題等もございます。 こうした点いろいろ考えますと、なかなか一気に解決を図るというわけにはまいらないというふうに思います。理想像としての御意見は十分承るところでございますが、やはり時間をかけて十分にこれを検討していく必要があるというふうに思っております。
○山崎説明員 私どもの公務員年金につきましても、先ほど来御答弁にもありましたように、基本的には全く同様でございまして、一元化の方向の重要性というものは十分認識しているわけでございます。しかしながら、各制度の差異というものは、沿革的なものあるいは職域の特殊性というようなものも、いろいろその理由の中に含まれているわけでございます。したがいまして、それらの解消のためには慎重な配慮が必要だと思います。したがって、十分時間をかけて検討していかなければならない問題と考えている次第でございます。
○桑名説明員 運輸省や大蔵省から御答弁がありましたように、現在の年金制度が非常に複雑であって、その統合化を図っていく必要性は、私ども十分認識しているわけでございますが、地方公務員の年金制度につきましては、三十七年に共済制度ができます前に非常に複雑な年金制度があったわけでございます。国家公務員と違いまして、数千の地方公共団体がばらばらの年金制度を持っておりました。それを統合して新しい共済年金制度をつくったという歴史と沿革がございまして、国家公務員あるいは公企体の共済組合制度以上に複雑な経過措置を設けて現在の新しい共済制度ができているわけでございます。それを新たに一元化と申しますか、制度化した年金制度にいたします場合に、そういう過去の歴史の複雑な沿革あるいは複雑な既得権、期待権というものを十分配意しながら慎重に考えていかなければならない問題ではなかろうかという感じがいたしております。
○大原(亨)委員 ぼくもその既得権、期待権は十分考えながらということについては賛成ですが、慎重にとか何かいろいろ言っているけれども、やる意思があるのかないのかということが疑問です。それはどこで調整しているのですかと私は言うのです政府全体どこでやっているのですかと、こう言うのです。どこが中心でそういう方針を出してやっているのか。——これは議論をしておったら時間を食うから、もういいです。 そこで厚生大臣、私が言っているのは、厚生年金主導型と言ったのは、厚生年金をまず引き上げていって共済年金と比較をいたしまして悪くないようにしていくということを基本にして、そして既得権との調整をやっていくという考え方でなければ、実際問題できないだろうと私は思うのです。そういう面では厚生年金の改正についての十分なめどをつけてもらいたい。 国民年金、厚生年金の中で問題は、国民年金は残ったものを全部総ざらいしたようなことになったものですから、いろんな人が入っておるわけです。一番大きな問題は、五人未満の事業所の雇用労働者が国民年金に入っておるということです。腕一本、すね一本の被用者がそこに入っておるということです。自営業者あるいは自由業者との間で共存関係にあるということです。そこで、制度を改正するときに、こっちをやろうと思うと、こっちが問題になる。保険料負担でも何でも皆そうです。そういうことで足を引っ張り合っておるという関係にあるわけです。 私が質問する第二の大きな問題は、五人未満の被用者が現在何人いて——これを国会においてはしばしば決議している。であるにもかかわらず、厚生省の諸君は、国会の意思を無視して、これについては何ら見通しをつけない。こういうことは、これからの低成長下の時代における年金のあり方としては基本的に問題ではないか。一体何人あって、これをどうしようとするのか、そういう点についてはっきりお答えいただきたい。
○木暮政府委員 五人未満の事業所に働いておられる従業員の方々に厚生年金なり健康保険を適用するということは、かなり長い期間大きな課題になっておるわけでございます。現在、五人未満の事業所の数でございますが、百二十八万程度というふうに見ております。従業員の数にしまして三百四十二万人というふうに考えておるわけでございます。 この問題につきましては、先生御承知のように長い間の懸案ではございますけれども、一方五人未満の事業所に勤めておられる方の雇用状態というものが不安定でございまして、なかなか適切な方法が見つからないわけでございます。現在、また庁の方から御説明を申し上げますけれども、任意包括加入制度を積極的に活用いたしまして適用に努めておるわけでございますが、基本問題につきましては、健康保険と並ぶ問題でございますので、社会保険審議会の健康保険問題等懇談会において、大きな課題の一つとして議論をしていただいておるところでございます。
○大和田政府委員 ただいまの年金局長の説明のとおりでありますが、社会保険庁といたしましても、任意包括、これの適用を図るということで、当面強制適用業種の三人から四人、それから非適用業種の五人以上、こういったものを対象にいたしまして、任意加入の適用促進をしておるところでございます。
○大原(亨)委員 任意加入の適用状況はどうですか。
○大和田政府委員 昭和五十年におきまして事業所数が二十万、それから被保険者数百四十六万人を適用いたしております。
○大原(亨)委員 むしろそういう点は労働省関係の方が熱心で、細かに言わないけれども、政府としても五人未満の事業所に対する適用が進んでいるのです。 それから私、これは再調査してもらいたいと思うのだが、五人未満は五百万を超えるというふうに私は見ている。その議論をしてもしょうがないが、いまあなたの方は三百四十二万と言った。しかし、膨大な労働者で一番不安定な立場の人が年金権から除外をされておる。人を雇用する際には、いまの制度ではその半分は保険料を払うわけですから、そのことを含めて、やはり社会的な責任として被用者に対する年金権を公平に保障するような措置をする。これは厚生年金、被用者年金の中に入れる必要がある。その中で所得の再配分という考え方で、保険料や給付についてのどういう措置をとるかということを含めてこの制度を早急にやらなければいかぬ。 そこで、それは大体いつごろを目標にやるのか。いままで何回も決議したけれどもやっていない。これは国会無視もはなはだしいと私は思うのですが、いかがですか。
○木暮政府委員 五人未満の被用者保険適用の問題、これは長年の宿題になっておるわけでございます。結果的には、任意加入制度の促進ということに終わっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、最重点施策として鋭意検討をしてまいってきておるわけでございますけれども、現実には技術的にも非常にむずかしい点かございまして、結論を得ていない状況でございます。 これは先ほど申し上げました健保等懇でも取り上げていただきまして、健保等懇の結論は秋を目標にしておるということでございますが、それに並行いたしまして私どももさらに検討を進めてまいりたいと思っております。
○大原(亨)委員 厚生年金についてですが、厚生年金は四十八年にかなりの改正をいたしました。これは賃金スライドとは違うけれども、物価スライドを入れたわけです。それで、年金水準もやや引き上げたわけですが、そのときに政府が提案いたしました基本方針の中に、平均標準報酬の六割を厚生年金においては確保することを、法律の組み立ての基準とするというふうにあったわけです。このことは実現ができているというふうに理解をしているかどうかをお聞きいたします。
○木暮政府委員 昭和四十八年の改正で、厚生年金の給付水準を、平均標準報酬の六割ということで設定をいたしまして、五十一年度の再計算のときにおきましても、その原則を引き継いだわけでございます。その結果、現実に出ております年金は、そういう水準を達成しておるというふうに考えております。
○大原(亨)委員 平均標準報酬のとり方自体も、過去の賃金の再評価を含めていろいろ問題があると思うのですけれども、六割が確保されておりますか。たとえば現在、厚生年金をもらっている対象者の平均年金額は、最も新しい資料でどれくらいですか。
○木暮政府委員 五十一年九月末現在で七万二千九百五十五円でございます。
○大原(亨)委員 厚生年金の最低保障はあるわけですが、平均との間にかなりたくさんの人がおるわけですが、昭和五十一年の標準報酬の平均額は幾らですか。
○木暮政府委員 厚生年金の給付水準を直近男子の平均標準報酬の六割、こういうふうに設定しておるわけでございますが、その水準の設定の仕方は、いわゆるモデル年金をとっておるわけでございます。昭和五十一年度の改正のときには、二十八年加入の被保険者の場合で六〇%というふうに設定をいたしておるわけでございます。 そのモデル年金の水準でございますけれども、五十二年六月からスライドが予定されておるわけでございますが、そのスライドをした金額と、それから五十二年の六月の男子平均標準報酬の見積もりを見ますと、約六割ということになっておりますので、その水準が守られておるというふうに理解しております。
○大原(亨)委員 モデル年金の場合は、モデル年金としてそういう計算が成り立つと思います。しかし、物価スライドを続けまして、五年以内に賃金との見合いで改正していくという制度がありますね。だから、その経過的な中において、あるいは物価スライドの時期の関係において下がったのが一つあると思う。それからもう一つは、古い制度のとき以来の、賃金が安いときのそれを若干是正いたしましても、その是正の仕方が足りないために、モデル年金での六割保障が下がっている人があると私は思っている。時期的にも、あるいは年をとっている人ほど年金水準が低い、こういう結果といたしまして、ポイント制ではないけれども、現在の平均的な賃金生活から考えて、六割に達していない人がたくさんおるのではないかと思う。 だから、六割を保障するのは、法律に書いて制度的にびしっと保障をして、そこまでは引き上げていくというふうな考え方の側面からも、やはり年金の中においての不公平がないようにすべきではないかということを、私は概括の意見として持っておるわけですが、いかがですか。
○木暮政府委員 先ほど申し上げましたように、六割の水準はモデルでございまして、先生のおっしゃるように、個々の人にとりましては、その六割の近辺でばらつきがあるということは事実だろうと思います。 今後の問題でございますけれども、先生御承知のように、五年以内ごとに再計算をすることにしておるわけでございますが、今後ともその水準が達成できますように設計をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○大原(亨)委員 年金の改正の時期の問題ですけれども、いままでいろいろ無年金の問題や妻の年金権の問題で、ほっておけばほっておくほど——六百万も妻は加入しているわけですから、それは年数がたてば国庫負担が入るという仕組みにはなっていますが、入っていない人が五百万以上あるわけです。地域によって小さな自治体は、妻は任意加入でもほとんど入っておる。大きな都会において人口移動の激しいところは入っていない。厚生省みたいによく知っているところはみんな入っておる。そうでないところは入っていない。これは非常に不公平だ。ずっと続けていったらこれは拡大するわけです。 そういうことを含めて、不公平な制度を是正するという観点で、もう一回総洗いをしてみて、低成長下の年金を考えていく。これは制度の五カ年以内ということでなしに、これを縮めて、来年なら来年、再来年なら再来年、それを目標にいたしまして、この年金の見直しをすべきではないか、こういうように思いますが、いかがでしょう。
○木暮政府委員 年金の問題につきましては、先生のおっしゃるように、非常にいろいろな問題が現在錯綜しておりまして、各制度を横断的に検討しなければならないものもたくさんあるわけでございます。現在、基本構想の懇談会でいろいろ御討議をいただいておるわけでございますが、この懇談会の御意見は、この秋に取りまとめをしていただきたいというふうにお願いをいたしておるわけでございます。その意見をもとにしまして、私どもできるだけ急いで改正を考えたいと思いますけれども、現在の状態では、改正の時期につきましては、はっきりした見通しを申し上げられない状況でございます。
○大原(亨)委員 秋に答申が出るのであるならば、昭和五十三年度に実施はできないにしても、昭和五十三年度の期間をかけて整備をいたしまして、その次の年ぐらいにやるとか、そういうことの目標でやれば、みんなが議論を起こして、年金の制度に参加をして、そして自分たちの年金だということになるのではないか。そしてそれを基準にいたしまして、低成長下の将来の生活設計も立つのではないか。つまり、年金は社会保障の根幹ですよ。それをきちっとしていくことが、生活の安定につながるわけですから、景気対策にもつながるわけですから、私は、その点は一つの大きな目標をここではっきりすべきではないかと思うのですが、大臣いかがでしょう。
○渡辺国務大臣 御趣旨ごもっともだと私は思うのです。しかし、個別的にどこのところをどういうふうに直すということは、みんなひっかかってくるものですから、いろいろ検討しているのですが、改善の必要性が非常に高い、しかも制度の基本に影響するところが案外ない、そういうようなものがある場合は、できるだけ直したいと思っているのです。しかし、全体の問題については、専門家の意見を聞いて、その専門家の中には、別に委員じゃないけれども、皆さん方も入っていると私は思っているのです、国会の応答というものは。そういうものも含めて十分に検討していきたい。 したがって、これはやはり最終的には国会の問題ですから、国会で本当に、先ほど言ったように、財政事情や低成長下の問題や負担の問題等についてコンセンサスができて、それじゃこれでいこうということになれば、私は、別にいままでのいきさつに余りこだわる気持ちはありませんから、ひとつ国会の中でも医療の問題でかなりコンセンサスができつつあるようにもなっていますから、年金についてもそういうことを並行的にお進めいただけた方が仕事が早いのではないか。私も国会議員ですから、大臣だけれども、国会議員は当分やっていますから、私は本当にそう思うのです。ですから両面からこれは検討していきたい、こう思っております。
○大原(亨)委員 大臣をすぐやめてくれと言わぬから……。 妻の年金権で任意加入か強制加入かという問題は、昭和三十六年の制定当時以来大議論をしてきたわけですよ。それを放任しておいたものだから既成の事実ができておるから、もう後退はできないのですよ、年金とか社会保障は。そうしたら妻の強制加入しかないのですよ。そうすると遺族年金との調整があるわけでしょう。ですから、これは後退はできないのですから、後退しないとして強制加入にするならば、不公平を是正するために可能な特例措置等を設けて、これは可能な限りの是正をしていくということを早くやらないと……。これだけ切り離してもできるじゃないかというふうにできるやつは幾つかある、こういうふうに私は思うわけです。 大臣は国会を尊重されて、非常にいい姿勢ですが、それじゃ国会で、昭和五十三年度を目途に国民年金の改正案をつくれ、こういう決議については賛成ですか、反対ですか。国会で決議をしたらやりますか。年金の不公平な面や当面緊急な問題について秋には答申を得るのだから、五十三年度中に案をつくる。いつから実施するかということは可能な限り早くということになるが、それはその次のこともある。そういう決議をすることについて厚生大臣は賛成ですか。
○渡辺国務大臣 それは内容によりますね。
○大原(亨)委員 賛成ですね。
○渡辺国務大臣 内容によって賛成します。
○大原(亨)委員 もう一つは各年金サイドの積立金です。積立金については、議論を省略するために年金の積立方式か賦課方式かという議論はいま一応おきます。いまは積立方式を原則といたしましてこれを修正しているわけです。問題は一番財源がある厚生年金の場合ですが、国民年金についてもそれとの関係で改革しなければならぬという問題があるわけです。そこで、厚生年金を中心にちょっと議論して共済の方へ及びたいと思います。 厚生年金は約十五兆円の積立金の残高があるわけです。積立方式を原則として採用する場合には三つの関係をきちっとしなければならぬ。というのは、第一は昨年度の平均の物価上昇が九・四%。これは春闘でやっておる議論を見ると九・二%というふうな考えがあるのだが、それとの関係が一つあるけれども、これは別に後でやるとして、九・二%。それから積立金の運用の利子が七・五%。それから積立方式を原則とする当然の結果として、自分が保険料を払う、その保険料に幾ら利子がつくかという予定利回りが計算上ある、これが五・五%。五・五%と七・五%と九・二%の利子の実際上と計算上のギャップがある。積立方式を採用する以上は、しかもスタグフレーションで長期のインフレ、不況のトンネルが続くということがかなり予想されるような状況において、そういうひどい目減りがあるような形の積立方式をやるならば、これは高負担低年金になる。積立方式を原則とするならば、これを一致させるような制度をつくらなければ、逆に言うならばこれは年金制度を通じて収奪をすることになるのではないか、私はそう思うのです。ですから、その点についてどういう見解を持っておるか、厚生省と大蔵省はひとつ御答弁をいただきたい。
○木暮政府委員 年金の積立金でございますが、現在資金運用部に預託をいたしておるわけでございます。そういうたてまえにいたしておりますのは、大切な保険料からできております年金の積立金でございますので、何よりも安全確実に運用しなければならないということが一つございます。と同時に、資金の量が非常に膨大でございますので、その運用が国民経済に与える影響も非常に大きいわけでございます。こういうような観点から資金運用部に預けておるわけでございますけれども、現在資金運用部では七・五%の預託利子をつけておるわけでございます。 先ほど先生の言われました五・五%でございますが、これは、私ども保険料の水準を設定いたしますときに平準保険料というものを基礎に考えておるわけでございますが、平準保険料の算定の際に五・五%という率を使って計算をいたしておるわけでございます。その結果がただいま千分の百五十でございまして、それを四割修正いたしまして現実には千分の九十一で保険料を取っておるというようなことでございます。 ただいま資金運用部の預託金利七・五%でございますが、それに対しまして物価の上昇は九・四%というふうに見込まれておりますので、この点に逆ざやがあることは事実でございます。これは年金財政にとって非常に大きな問題でございますけれども、一方また人口の老齢化が今後とも急速に進んでいくということでございますので、保険料の推移がなだらかにいくように、また世代間の負担のバランスがとれますように積立方式を続けていかざるを得ないというふうに考えております。
○大原(亨)委員 そこで、年金という政策の基本にかかわる問題についてはその点をきちっとする。たとえば国の負担等についてもスライドをとるとか、あるいは目減りに対しましては運用利回りの七・五%で昭和八十五年ぐらいまでそれに近い形で計算しなければならぬ。と言う証拠は、年金改正の五年目の節ごとに長期の財政を出しておるが、昭和八十五年の積立金の残高というものは、出す資料ごとにまるで違っておる。それは私はいまは言わない。全く見通しが立たない。九・二%物価が上昇しておって、積立方式は理論的に成立しないわけだ。その差額をとってごらんなさい、そうしたら永遠にゼロに近づくよ。いま積立方式だといって払っている保険料は、個人個人にとってはこれはゼロに近づく、何千兆円という積立金がたまるのだから。だから、積立方式をとるのであるならば、その差については埋めていく努力をしなければいかぬ。 そこでちょっと聞きたいわけですが、公定歩合を一%引き下げる、そのときには七・五%という積立金の運用利子も下げていくのかどうか、大蔵省の方針を聞きたい。
○石川説明員 公定歩合が一%下げられましたことは事実でございますが、それに伴います一般の金利がどのような動きをいたしますか、まだ判然といたしません。新聞ではいろいろなことが伝えられておりますが、民間金融機関の預金金利で申しますと、大蔵大臣から利下げについての発議が行われたという段階でございまして、まだ金利調整審議会等で議論をしている段階で、まだ決定を見ておりません。また、郵便貯金につきましてはいろいろニュースが伝えられておりますけれども、まだ具体的なアクションは何一つ起こされておりません。そのほかの長期金利、けさほどの新聞などにもいろいろございますけれども、かなり流動的な段階でございますので、そういった全体の金利の動きを見ながら運用部預託金についてもどうするか考えていかなければならないと思っておりますが、下げの方向であることは常識的に言って間違いないのではないかと思っております。
○大原(亨)委員 厚生大臣、いま大蔵省の資金課長は重要なことを言っておりますよ。私が質問したことは全く馬耳東風で聞き流しておいてああいう答弁をしておる。つまり、七・五%と九・四%の間を補てんするような財政措置をとりなさい。資金を運用しておるのは大蔵省、政府だから、特に年金に関する部門については制度を維持するためにとりなさいという意味の質問を私はしているわけですよ。そして予定利回りを五・五%というのは平準保険料との関係があるだろう、保険料を低く抑えているからそのくらいだ、こういう議論もあるだろう。しかしながら実際に金を出しているのですから、だからその予定利回りも九・四%に近づける、少なくとも運用利回りの七・五%と同じようにしてもいいじゃないか。この意見は大蔵省のだれだったか、理財局長をやっていた岩尾理財局長はそういうことを言ったことがある。あの人はわりあいはっきり物を言う、大蔵官僚としてはやや珍しい人であった。そういうことを言った人がある。そうすると、そこだけでうんと保険料と給付の関係が変わってくるのだ。だから、その逆のことを大蔵省はやろうとしているが、厚生大臣はそれに対して盲従をするのか抵抗をするのか、その点の見解をお聞かせいただきたい。
○渡辺国務大臣 盲従はいたしません。
○大原(亨)委員 共済年金は積立金を労使で運用審議会を設けてやっておるわけですが、厚生年金は資金運用部でごってり取られて、そして大蔵官僚の聖域として他の方からくちばしを入れさせないようにしておる。厚生大臣、そういうことが年金の改革を妨げているのです。そういうシステムが、大蔵官僚の天下りとともに年金制度の改正を妨げておるのです。 私はいま資料を大蔵省からいただきましたが、資金運用審議会、これは民主的な運用ということを何回も本委員会は決議いたしております。資金の民主的な運用を。しかしながら百歩譲って、時間がないから百歩譲っての中での議論をするのですが、資金運用審議会の名簿を見てみますと、秋山龍君・会長、石野信一君、木下和夫君、小林与三次君、五島貞次君、高橋淑郎君、中川順君。被保険者の代表は一人も入っていないのだ。被保険者に給付される目的で出されている金について、被保険者の代表がかなりの数入っていないということはもってのほかである。制度自体が問題であるけれども、年金の積立金は自主的に運営することが第一。しかし現在の制度でも被保険者が発言をすることができないようにしておる。そのことは十分考慮しておりますというような政治家の答弁は繰り返すけれども、やっていない。そういうことはおかしいではないか。大蔵官僚の独善である。少なくとも被保険者の代表、これは最低限、時間がないから最低限のことを言うが、被保険者の代表をきちっと入れて、それが反映できるようにしなければならぬ。積立金は被保険者のものですから、逆ざやの問題、利子の問題、運用利子の問題、物価の問題の関係を言ったけれども、それができてない。その積立金も被保険者の利益のために完全に手続においても内容においても運営されてないということは、いまや低成長下の資金運用としては許すことはできないと考える。これに対しまして厚生省と大蔵省の答弁を求めます。
○木暮政府委員 資金運用部の審議会でございますが、従来役人がたしか十人、学者の先生五人というような組織でやっておったというふうに記憶いたしますけれども、昭和三十六年に国民皆年金を実施するという段階で私どもの方から大蔵省に要請をいたしまして、現在の学識経験者だけ七名による審議会に変えてもらったわけでございます。その七名の中に年金の事情によく精通しておられる方を入れてもらうということをいたしまして、その後ともそういう形で人選が行われておるわけでございます。年金の事情が資金運用審議会に十分反映をするというような措置が一応とれていると考えております。
○石川説明員 資金運用審議会の委員は学識経験者ということで法律に定められておりますが、これは資金運用部資金の非常に量の大きいこと、その資金の性格の公的なこと、いろいろな重大問題を含んでいるところから、安全、確実、有利かつ公共の福祉に沿うように運用しなければならない、そういった趣旨の資金の性格に基づく中立公正な学識経験者というのが法律の趣旨かと存じます。そこで、ただいま厚生省からお答えのありましたように、学識経験者の委員の方々七名にお願いしているところでございまして、その中にそういう範囲で、特に年金関係に詳しい方にお入りをいただいておりますし、また、委員ではございませんけれども、専門委員にはそれぞれ厚生省の関係局長もお入りいただいておりまして、十分そういった問題の声が反映できるように仕組みは考えておるつもりでございます。
○大原(亨)委員 それは雇用保険でも失業保険でも、あらゆる制度には、ILOの基準だってそうです、やはりそういうものには労働者の代表、被保険者の代表を参加させるというのが原則です。これは幾ら学識経験者と言ったところで、厚生省が出していると言ったところで、言いなりになっちゃう。一言だけ意見を言ったらそれで終わりだ。ほかの方でひねられておるから文句は言えない、大蔵官僚に対して。そうでしょうが。あんたら実際そう思うだろうが。だから、そういうことはならぬから、制度的に被保険者の代表をぴしっと入れておく。専門委員じゃないのです、審議会の委員に入れておく、こういうことは当然のことです。各共済その他皆やっているじゃないか、公共の名前において。大蔵官僚の独善だ、それは。その点は私は改善をしてもらいたいということが一つ。 厚生大臣、あと政治的な判断の質問です。これは時間を守りたいと思うのであと一分になりましたが、今度この法律の改正案の中に出ておるのですが、たとえば福祉年金でしたら十月の実施を八月、拠出制国民年金でしたら九月を七月、その他、ここへ出ておりませんが、共済でしたらそれぞれ二カ月、四月から実施されるのもあるわけですが、これは言うなれば一兆円減税問題に伴う国会における修正措置です。実際上実質的には修正措置です。しかし、法律の形態から言うなれば、来年この改正案についてもとへ返すような改正案を出さない限りはこのままが実施されることになる。実施の時期を私どもは一致させるということが主張ですが、しかし、前へ二カ月ほど上げた分は来年度においても、これは法律を改正したわけですからそれに手をつけなかったら来年もそうなるわけですから、これはそのまま来年も実施される、そういう決意であるかどうか、この提案について大臣の判断をお答えいただきたい。
○渡辺国務大臣 ことしの実施については、政府が提案したのではなくて、これは国会の方でそういうふうにお決めになって政府はこれに従ったということですね。ですから政府の立場からすれば、いまの段階で、国会のおきてに従ったんだけれども来年もそのとおりにしますとはなかなか言い切れない立場にございますが、福祉というものは年々だんだん幾らかずつ前に出てきているのも事実でございますので、そういうような実情等も踏まえて適切な方法をとりたい、こう思っております。
○大原(亨)委員 運用審議会へ被保険者の代表を入れることは……。
○渡辺国務大臣 先ほど年金局長が言ったように、国民年金関係の代表と厚生年金の代表が入っているわけですよ。その人たちが大蔵省から簡単にひねられると言うけれども、私はそう簡単にひねられておるとは思ってないのです。ですから、もっと厚生省でもバックアップをして、ひねられないように力をつけてやりたい、こう思っております。 ————◇—————
○住委員長代理 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を許します、古寺宏君。
○古寺委員 最初に、岐阜県の神岡町のスモン病の患者さんの実態について厚生省はどのように把握をしておられるか、お尋ねしたいと思います。
○佐分利政府委員 岐阜県神岡町のスモンの患者さんと容疑者の数は現在五十九名と把握いたしております。そのうち五十七名が神岡鉱山病院担当の患者さんであり、残りの二名は神岡町立病院担当の患者さんでございます。
○古寺委員 私が実際に神岡町に行って調査をしてまいりました時点では六十名ということになっております。その内訳を申し上げますと、生存者三十四名、転出が七名、死亡者が十九名、合計で六十名というふうに調査が町役場でなされております。この事実について、厚生省と県、全く実態の把握が違うわけでございます。この問題については厚生省も現地に係員を派遣して実態を調査するということになっておったのですが、どこへ行ってそういう実態を把握してこられたのか、その点を承りたいと思います。
○佐分利政府委員 厚生省は、本省から係員とかあるいは中央の学者を現地に派遣をするということを申したことはございません。これは先生も御案内のように、最近においては地方の衛生部の実力もついてまいりましたし、また地方自治法上の固有事務とかあるいは地方自治の本旨だとか、そういうふうなこともございますから、すべて、たとえば急性伝染病の発生等についても厚生省は県の衛生部と相談いたしまして、こちらから応援を出そうか、あなたの方でおやりになるかという御相談をしてやっておりますが、最近は皆さん、まず第一次的には県の衛生部だとか保健所がその付近の医療機関の協力を得ておやりになっております。ただ、本件につきましては、あの地区の担当のスモン研究班の専門医の方が名古屋大学の祖父江教授でございますので、そこに厚生省の担当官を派遣したことはございます。
○古寺委員 そうしますと、祖父江先生のところには係員を派遣して、五十七名の内容について先生からいろいろと事情についての御説明をいただいたようでございますが、県なりあるいは保健所に対しては厚生省はどういうような依頼をなさいましたですか、
○佐分利政府委員 厚生省はこの問題が出てまいりましてから直ちに県の衛生部に調査を依頼いたしまして、その後、県の衛生部長も私のところに参っております。また、担当の予防課長も厚生省の担当課長のところに再三参っております。また神岡鉱山病院の院長も私のところに参っております。そのように地元との連絡を密にして調査を実施いたしました。
○古寺委員 それではなぜこの実態が違うわけですか、県の方の報告あるいは病院側の報告、そういうものと現地の実態になぜこういう食い違いが出るのですか。どういうわけなんですか。
○佐分利政府委員 私どもは県の報告を信用せざるを得ない立場にあるのでございますが、全体の患者の数から申しますと、私どもの方は先ほど申し上げましたように五十九名でございます。先生は六十名とおっしゃるわけで、一名の患者の相違があるわけでございます。この方は多分現在清水医院にかかっていらっしゃるYさんという患者さんではないかと思いますが、これはかつて町立病院にかかった患者さんでございますので、町立病院担当の二名の患者さんの中に含まれていると考えております。
○古寺委員 いずれにしましても実態調査というものをきちっとやらなければ、今後のいろいろな対策を考えるについてもこれは非常に支障を来すわけでございますので、やはり患者の実態調査、これは国として、厚生省だけではもちろんできないでしょうから、県なりあるいは保健所なり医師会なり、いろいろなところに協力を求めて実態調査をする必要があるというふうに私は考えております。 と申しますのは、確かにこのスモン協議会、これは学術上の調査はやったと思います。しかし、ではその個々の患者さんについてのいろいろな、氏名なりあるいは人数というものを実際に正確に掌握をしているか、把握をしているかというと、非常にまだ漏れがあるようでございます。こういう点について、厚生省には現在スモン協議会の方で全国調査をした患者さんの氏名なりあるいは正確な人数というものはおわかりでございますか。
○佐分利政府委員 先生もよく御存じのように、四十四年にスモン調査研究協議会というものができまして、まず第一次の全国スモン患者実態調査を四十四年の暮れから五年の初めにかけてやっております。また四十四年の暮れにはキノホルム服用調査、つまり第二次調査をやっております。また四十七年からは、協議会が解散いたしまして現在の特定疾患調査研究班のスモン班というように名前が変わっておりますが、四十七年からいわゆる第三次調査、全国スモン患者実態調査の追跡調査と申しますか、フォローアップ調査というのをやっております。これによって全部の患者さんあるいは容疑者というものが把握されているわけでございますが、その数は一万一千七名でございまして、それらの方々につきましては、患者さんお一人お一人のお名前も全部わかっております。
○古寺委員 そうしますと、その一万一千七名の患者さんについては、各都道府県あるいは市町村あるいは保健所、そういうところでは把握しておりますか。
○佐分利政府委員 たまたま岐阜県の場合には先生御質問のような問題が起こったわけでございますが、私はほかの都道府県は全部把握しておるものと考えております。
○古寺委員 ものと考えるではいけないのでございまして、私が調査をした都道府県におきましてはほとんど把握をしていない県が多いようでございます。これは後ほどあなたの方から各県の公衆衛生課長さんなり担当の部長さんにひとつ照会をして確認をし、その結果を私に報告をしていただきたいと思います。あなた、そういういいかげんな答弁したってだめですよ。 というのは、たとえば昭和四十四年に富山県で洪水の後にこのキノホルムを服用したために大量に患者さんが発生した事件があった。そういうことについて県の方から厚生省にきちっと報告をしたにもかかわらず、その後の対策が十分になされなかった。そのために、ここに確認書という書類がございますけれども、大臣にこれは見ていただきますが、こういうふうに被害が出ておる。しかし、それに対して十分な厚生省の調査あるいは事後の措置というものがとられないためにたくさんの犠牲者が出ているわけです。そういういまのような考え方ではなしに、あくまでも一人一人の患者さんの立場になって、実態を把握し、対策を考えていくという厚生省の姿勢が私は大事ではないかと思うのです。この前の参議院のわが党の太田議員の質問に対して、非常に精度の高い調査をやっているので再調査の必要はないというようなことを厚生省はお答えになっておるようでございますが、いま行われております裁判で、投薬証明をいただけないためにいわゆる非原告になって困っている方もたくさんいらっしゃる。そういう患者さんのこれからの恒久対策を確立していくためにも、やはりこの実態調査ということはどうしても欠かすことのできない問題だ。ですから、この問題について実態調査を、厚生省として各都道府県あるいは医師会、医療機関、いろいろなところを通して御協力願って、一日も早くやっていただきたいというふうに考えておりますので、大臣のお考えを承りたいと思います。
○佐分利政府委員 厚生省がこれまでスモン調査研究協議会、また現在のスモン研究班に委託をして実施いたしました調査は、スモンとキノホルムの関係、あるいは性とか年齢とかその他のいろいろな社会的な要因、そういったものを学問的な立場から調べるために行ったものでございまして、その目的はあの調査で十分達していると思います。 〔住委員長代理退席、委員長着席〕 先生がおっしゃるような、救済のための患者の新たな把握というような問題が別に出てくるのかもしれませんけれども、これはやはり諸般の情勢を見きわめた上で、また調査の計画も十分練り上げた上で先生おっしゃるような関係方面の特別の御協力を得て実施するかどうかというようなものでございますので、私どもとしてはいま直ちに全国の実態調査を再びやるというような必要はないのではないかと思っております。
○古寺委員 これはスモン班の班長である重松先生がおっしゃっていることでございますけれども、大阪が独自に調査したいわゆる患者さんの実態と、それからスモンの研究協議会が把握をしている数字では大体三割ぐらいの差があるわけです。そういう実態にそぐわない数字、いわゆる研究班が、協議会が掌握をした数字というものはあくまでこれは学術的な、いわゆる研究の対象として把握したものであって、患者さんを実際に把握しようとした数字ではないわけです。そういう面から言うならば、正確な数字を厚生省が把握をする、そういうことは、これは厚生省として当然やらなければならない問題だと私は思うのです。なぜそういうふうにいつまでも、やる必要がないとお答えになるのか、どうも私その理由がわからない。その理由をそれでは答弁してください。
○佐分利政府委員 ただいま大阪の例が出てきたわけでございますが、私どもは先般の神岡町の調査の結果からも貴重な経験を得たのでありますが、非常に人口移転が激しいわけで、患者さんがああいった町村から市部、大都市に移っているわけでございます。そのような患者さんの移転が最も大きな原因であると考えております。また、神岡町の場合、私どもは神岡鉱山病院の患者さん並びに容疑者は五十四名と考えておりましたが、先般調査いたしましたところが新たに三名出てきて、病院関係の患者さんが五十七。その内訳を見ますと、一人は三十五年発病の古い患者さんで、お亡くなりになっておりました。一人は高岡市から転入をなさった方でございました。もう一人の方が、かつて調査をやったころにはスモンではあるまいと考えておりましたが、最近もう一度診てみたらスモンであったという患者さんでございました。そういうふうに、先般の調査は学術的な目的の調査でございますが、この種の調査としては私はきわめて精度の高い調査であると考えております。そういう関係から、先ほど申し上げましたように、いま直ちに全国実態調査を実施する必要はないと考えております。
○古寺委員 たとえば協議会の問題にいたしましても、昭和四十二年以前の患者さんは掌握をしておらないわけです。大阪の問題にしても、協議会が調査をした時点と大阪が調査をした時点が五年なり十年の差があればあなたの論理が成り立つ。ですけれども、現実の問題としてそういうことをぼくは申し上げているのじゃないのです。同じ時点に調査をしている、あるいは昭和四十二年以前のものは協議会では調査をしておらない。また各県や町村に聞いてみても実態を掌握していない。それを厚生省が握っているわけは絶対ないのですよ。なぜそういうふうにどこまでも突っ張るのか、ぼくにはよく理由がわからない。患者さんの身になって、薬害によってこういう不幸な立場になっておられる患者さんを何とか救済しよう、その実態を掌握しようという、国にそういう姿勢があるならば、私は当然実態調査というのはやらなければならぬと思う。そういうことをいつまでも繰り返してもしようがないので、こういう問題についてどういうふうにお考えであるか、ひとつ大臣から御答弁をお願いします。
○渡辺国務大臣 ただいま佐分利局長から答弁したとおりでございまして、そのスモン協議会がつかんでおる数字で、厚生省はその程度のものをつかんでいるわけですが、これに対してもどうするかということはまだ決まってないわけです、裁判をやっているわけですから。それが話し合いでまずまとまるかどうか。そういうことが話し合いでまとまれば、これは裁判の人だけの話だけれども、それじゃほかで裁判をやっておる者をどうするのか、キノホルムの投薬証明の関係で裁判をやってない人もあるのですから、そういうのをどうするかという話になってくる。それはやはり後の話じゃないか、こう思っております。
○古寺委員 裁判は裁判です。患者の救済は患者の救済として、病気の問題は毎日進行していくのですから、患者さんは苦しんでおられるのですから、そういう医療行政は医療行政で進めながら、裁判は裁判としてこれはまた別に進めていけばいい問題なんです。ですから、患者さんを救済しようというそういうお気持ちがあるならば、当然この実態調査というものはやらなければいけないと思う。先ほどの局長さんの答弁を聞いていますと、やはりいまの大臣のような、裁判が終わらないうちは実態調査はやらないのだというような、何かもやもやしたものを私は感ずるのです。そうじゃなくて、医療は医療として、それから裁判は裁判として、切り離して考えるべき問題であって、患者さんのことは一日も放置できないのです。ですから、そういう問題はやはり人間の生命尊重という立場からも実態調査をして、そうして対策を立てていただきたい、こう思うわけです。 それと付随しまして、いま大臣が申されましたが、いわゆる投薬証明がないために原告になれない患者さんが七割以上もいらっしゃるわけです。お医者さんのカルテの保存期間というものは五年になっておりますが、こういうキノホルムを服用させたというような事実があるならば、やはりこのカルテを保存していただく、そしてまた積極的に投薬証明を出していただく、そういうような行政措置というものが私は必要じゃないかと思うのです。もう一遍、実態調査の問題とあわせて、カルテの保存の問題について大臣からひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
○佐分利政府委員 まず技術的な問題について私からお答えいたします。 先ほど先生は、スモン調査研究協議会並びにスモン研究班が行った患者は四十二年以降の患者だというふうにおっしゃいましたけれども、そうではないのでございまして、四十二年以前の患者であっても医療機関にかかったことのある方は調べてございます。ただ、実際にはスモンの患者さんであるけれども医療機関にかからなかったというような方は入ってこないわけでございます。 また、患者さんに対します救済措置でございますけれども、これは先生よく御存じのように、四十七年から医療費の公費負担を始めておりまして、現在でも継続をしているところでございます。試みに申し上げますと、スモンの患者さんも重い方、軽い方ございまして、軽い方では半年とか一年医療を受けると医療の必要がなくなるというような方々もございますから、患者さんの出入りがございますけれども、五十年度は二千四百九十一人の方々に医療費の公費負担をいたしております。こういった難病対策の公費負担のほかに、貧困者の方は生活保護法の適用がございますし、また七十歳以上、寝たきりであれば六十五歳以上の方は老人医療無料化の方の制度を使う方もございましょう。さらに、私どもの制度は健康保険を優先させて自己負担分を公費負担しておりますので、健康保険の被保険者本人の方は対象から外れるわけでございます。 そこで、最後のカルテの問題でございますけれども、まず現に残っているカルテについてはできるだけ残していただくというようなお願いはしているのでございますけれども、もうすでに四十五年のあの事件から七年もたってまいっております。したがって、カルテが残っていないという病院、診療所が多いのではないかと思いますが、その点は、先ほど来御説明しております過去の調査によりまして、私どもがキノホルムを飲んだと考えております患者さんにつきましては調査の個人票が残されております。ですからそういうふうな資料を使って今後の救済措置等の考えを進めていってはどうであろうかと思っております。
○古寺委員 大臣の方からひとつ……。
○渡辺国務大臣 佐分利局長のお答えしたとおりでございます。
○古寺委員 そこで裁判の話になりますが、裁判所としては春までには判決を出す、こういうふうに言ってきたわけでございますが、可部裁判長は一月の十七日に国に対して第一次の勧告を行いました。また去る四月十八日には第二次の和解案を示しているわけでございます。これに対しまして、国といたしましても和解の席に着くという申し入れを行ったということになっておりますが、全く前進していないというふうに考えられるわけでございます。この裁判の窓口は法務省であるというふうに聞いておりますが、法務省は裁判長の方からどういうふうな勧告を受けているか。また法務省としてはいつごろをめどとしてこの和解の席に着き、交渉に入る、そしてまた和解をするようなそういう気持ちを持っておられるのかどうか、そういう点について承りたいと思います。
○上村政府委員 本件は裁判になっておるわけでございまして、その実体的な被告は厚生省、それから国が訴訟を担当します場合に法務省が窓口になって行われるということでございます。そこで、実体的な被告になっております厚生省としましては、和解の席に着きました以上は、その問題がそれによって解決できるように誠意を持って努力をするつもりでございます。
○古寺委員 法務省はどうですか。
○貞家政府委員 御承知のとおり、スモン訴訟の当事者は多数でございまして、さしあたり東京地方裁判所で第一次の裁判の対象とされております中にもいろいろございまして、裁判所の和解の勧告に応ずる態度をとっている者もございますし、あくまで判決を求めるという態度をとっている当事者もいるわけでございます。 こういった中におきまして、国は去る三月十五日に裁判所の和解の勧告に応じて和解の席に着くという態度を表明したわけでございますが、今後、こういった非常に複雑な様相を呈しておりますこの事件におきまして、どのように訴訟が進行していくか、また和解手続が進行してまいるのは裁判所の訴訟指揮と申しますか、審理の方針にもよるわけでございまして、なお流動的な要素が多々ございますので、いま具体的にいつごろどうなるかという見通しを申し上げることは非常に困難であろうかと存じます。 それでは当事者たる国はどうかということになりますが、事態の収拾の解決が速やかになされることが望ましいということは異論のないところでございまして、そのための努力を重ねてまいりたいと思います。いつまでとお約束するわけにはまいりませんけれども、ともかく誠意を持って努力を積み重ねていきたい、かように考えている次第でございます。
○古寺委員 これと関係のあるのは大蔵省でございますが、大蔵省はどういうふうにお考えになっていますか。
○窪田説明員 スモン訴訟につきましては、一方において悲惨な患者の方がたくさんいらっしゃる、このことを常に考慮しなければならないと思いますが、他方、国としてはいま裁判の被告となっております。国としては、法廷では、キノホルムに疑いを持たれたときに直ちに回収をしたという点から民事上の賠償責任はないというふうな主張をしているわけでございます。一方、原告の方にも、和解の席に着くべきだという方、それからあくまで訴訟で責任を明らかにせよという方、いろいろな方がいらっしゃるわけでございます。さらに、今回の和解の案で計算いたしましても非常に巨額な負担になるわけでございますが、国の財政を預かる立場といたしましては、たとえば賠償責任ありとか、そういうはっきりした根拠なしに多額の支出をすることはできません。こういういろいろな点が関係をしてまいりまして非常に複雑な問題でございますので、私どもとしても深い関心を持っておりますが、どうすべきか、非常に苦慮しているところでございます。この問題につきましては厚生省ともいろいろお話をしておりますし、今後も関係の省と十分協議をいたしまして、誠意のある解決を図りたいと考えております。
○古寺委員 この和解が進まないのは、厚生省、大蔵省、法務省、この三省の呼吸がなかなか合わないためだというふうに私は感じているわけでございますが、この三省のうちではどこが一番ネックになっているのでしょうか。この点についてひとつ厚生大臣からお聞きしましょう。
○上村政府委員 被告は国でございまして、各省ではございませんで、各省がお互いに相談をしながら裁判なり和解の席に着いて話を進めるということになるものでございますから、どこがネックだと言われれば全部がネックでございましょうし、どこがネックでないと言われればどこもネックでないということになるのじゃないかと思うわけでございます。
○古寺委員 責任は国だといういまお話がございましたね。それでは厚生省は、このキノホルムの薬害というものに対してはどういうふうに一体責任を感じていらっしゃるのですか。
○上村政府委員 本件は裁判が係属中の事柄でございますので、裁判における主張を申し上げることで答弁をさせていただきたいと思うわけでございます。 スモン訴訟におきます原告側の主張というのは、薬品の安全性を確認するのについて高度の注意義務が国にはある。それから、外国文献の報告等からキノホルムの服用によってスモンが発生することが予見できたというふうな主張がなされておるわけでございます。これに対しまして国としましては、薬事法の立法趣旨等々から考えまして、原則として国には賠償責任がない。それから当時の学問水準に照らしてキノホルム剤の承認については国には過失がない。それから外国文献等から予見することは不可能である等々の理由から、民事上の責任はないと裁判では主張しておるわけでございます。
○古寺委員 私は裁判の主張を聞いているのではないのです。和解のテーブルに着くと言ったことは、キノホルムに対して、国のいわゆる厚生行政を預かる厚生省としては責任を感じているのかどうかということをお聞きしているのです。どうですか。
○上村政府委員 和解の席に着きましたのは、先ほどもお話がございましたけれども、この問題は大きな社会問題である。したがって、裁判所としても和解で解決するのが最もよろしいという強い勧めがございまして、和解の席に着いたわけでございます。先ほど申し上げましたように、そういった立場でこの問題の衝に当たっておるわけでございまして、法律上の責任云々ということが前提になって着いたというものではないわけでございます。
○古寺委員 それではちょっと角度を変えてお聞きしますけれども、厚生省というのはいろいろな薬剤の製造を承認したり販売を許可する場合に、その安全性というものを確認して、国民の健康を守る立場で承認をしたり許可をしているわけでございましょう。どうでございますか。
○上村政府委員 薬品の製造の承認に当たりましては、有効性と安全性というものを考慮して、有用性がある場合に承認をするということにしておるわけでございます。
○古寺委員 しかし、副作用があるとか毒性が強いという場合には、これはもう販売をストップしたりあるいは回収したり、いろいろな行政措置というものはとらざるを得ないでしょう。放置しておきますか。薬は両刃の剣ですから、有効性もあれば副作用もあります。だけれども、有効性よりも副作用の方が大きいというような場合には十分な行政措置というもの、指導というものがなされなければならぬわけです。そうでしょう。どうですか。
○上村政府委員 いまお話しのとおりでございます。
○古寺委員 そうしますと、国のいわゆる薬事行政、そういうものにいろいろな欠陥があるのです。ここは裁判所じゃありませんので裁判長の所見を読み上げることは私はやめますが、過去に、いろいろな理由を裁判長がきちっと述べておられるように、わが国の薬事行政そのものに責任があるわけです。そういうものを厚生省は認めないがゆえにこの裁判が長引いている、そのために患者さんがみんな苦しい立場に立っているわけでございます。まごまごしているとこれは判決がおりるのです。判決がおりますよ。そうなった場合に国は一体どうするつもりなんですか。こういう問題を引き延ばして判決まで待つのかどうか、その点について、これはやはり大臣から聞かなければだめです。国が責任者ですから大臣からひとつ……。
○渡辺国務大臣 私どもも和解の席に着いたのですから、誠意を持って話をまとめたいということでやっておるので、裁判が判決するというのなら何も和解なんかしないで裁判でいつまでも争えばいいのですからね。そういうことを避けて和解の席に着いているので、裁判の判決の出ることは考えておりません。
○古寺委員 そうしますと、和解のテーブルに着いたということは、一応国の責任を認めた上で和解のテーブルに着かれるのか、問題を誠意を持って解決するために和解のテーブルに着かれたのか、どういう立場で和解のテーブルに着かれたのか、もう一遍御答弁願いたいと思います。
○上村政府委員 現在、東京地方裁判所で和解の勧告がございますのは、東京地方裁判所の原告約千七百名の中の百五十数名について行われておるわけでございます。そして、先ほど来話がございましたように、その中で判決を求めると言っておられるグループの方もあるわけでございます。ほかに全国で十九ばかりの地方裁判所でもそれぞれこの問題をめぐりまして訴訟が提起されておる、こういう状況であるわけでございます。そういう状況のもとで、東京地裁の百五十数名の方について裁判長の方から和解の勧めがあってテーブルに着くことにいたしましたのは、誠意を持って解決に当たりたい、こういうふうに考えたからでございます。
○古寺委員 そうしますと、和解するということは、これは責任を認めたのでございますね。どうですか。
○上村政府委員 繰り返しになりまして、はなはだ恐縮でございますが、裁判で主張しておりますように、民事上の責任というものについては争っておるわけでございます。争っておるということを前提にしながら和解の席に着いておるというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
○古寺委員 争っていながら仲よしになろうというテーブルに着くというのはどうもぴんときませんので、大臣は答弁が上手でございますから、ひとつ大臣からわかりやすくそこを答弁してください。
○渡辺国務大臣 ただいま薬務局長が答弁したとおりなんですよ。それは争わないと言っても訴訟派というのはあるのですからね。訴訟派は裁判をどこまでもやると言っておるのですから、それを受けて立たざるを得ないじゃないですか。裁判官が、全部和解でどうですかと言っても、向こうがそれはだめだと言っているのだから、それは裁判があるとかないとかというよりも、訴訟派については裁判を継続せざるを得ない。しかし、裁判はもうやりたくない、和解案を出したということは、裁判官も、ともかくこういうものは裁判で白黒をきちっとつけるといったってなかなか大変な問題だし、と思ったのでしょう。そうでなかったら裁判官は裁判をぱんぱんと出すわけですから、長いことやっても。裁判でほんと出す。そうすれば国が控訴するにきまっているから、そういうことよりも、話し合いでつくことならば話し合いでつけた方がいいと思って裁判所の方が和解案を出したと私は思っている。学問や法律のことは専門家じゃないから余り詳しくは私はわからないのですよ。しかし、厚生大臣としては、現実に長い間争ってきて、キノホルムを服用したということもはっきりわかっておって、厚生省はスモン研究班の結論に従うと言ってきておるのだから。それは理屈を言えば、薬事法上の責任はない、また回収もすぐやったんだからサリドマイドのときとは違うと、それは理屈は幾らでもあるのですよ。理屈があるから長いこと裁判がかかっているんだが、それだけでは身もふたもないではないかというところで、政治的な判断に基づいて、法律を曲げるわけにもいかないし学問を曲げるわけにもいかないが、みんな曲げないところでうまくできないか。わかったようなわからないような話なんだけれども、そこが和解なんだから。だからこちらの言うことも言い、向こうの言うことをうのみにもできないのですよ、それは話し合って、誠意を持ってなるべく話をつけていきたい。いまのところはそれ以上申し上げられない。
○古寺委員 そうしますと、原告の方にも和解を望む人と判決を望む人といらっしゃる。和解を望んでいる方に対しては厚生省は誠意を持って一日も早く和解ができるようにテーブルに着く。それから、最後の判決まで裁判をやっていくという方々とはやはり裁判をせざるを得ないんだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか、大臣。
○渡辺国務大臣 それはもう和解のテーブルに着くという議論をしたとき出ている話なんですよ。私がそう言っても、それじゃともかく裁判をやるという人をどうしておろすのですかという議論が一つあるわけですよ。これは本人の権利ですからおろすわけにいかない。しかし、少なくとも東京地裁にかかっているのは、可部裁判長のもとでは、仮に話し合いがついて和解が成立するということになれば、裁判長自身も極力それは説得をするでしょうというように私は期待をしておる。東京地裁が解決ついたら、それじゃ福岡とか新潟とか、日本国中で十九か二十やっているのだが、そこがみんな右へならえになるのか、こういう議論もあるのですよ。しかしこれは、裁判官独立の原則ですから、人が違えばそれは必ず同じくなるかどうかわかりませんよ。そこは私は保証の限りではないと思うのです。しかしながら、可部裁判長が長い間かかってやってきて、それは一番勉強もしたりいろいろしたでしょう。したがって、そういうようなものについてはやはりほかの裁判官も、右へならえするかどうか知りませんが、非常な参考になるであろうというようにも私どもは思っているのです。しかしこれはテーブルに着いて話し合いをしなければわからぬことですが、ともかくたたき台が一つできたわけだから、それによって話し合いをしていく、こういうことなんですよ。
○古寺委員 可部裁判長もおっしゃっておるように、和解の問題については、誠心誠意和解のテーブルに着かれて、和解できるものについては一日も早く和解をしていただきたいと思うわけでございます。 これとあわせまして患者の恒久対策、実際投薬証明をいただけない、あるいは大衆配合薬等を多量に飲んだために、医療機関から投薬証明は受けられないがキノホルムによってスモン病になっている方もいらっしゃいます。そういうような方々は現在も確かに医療費の面においてはめんどうを見ていただいているわけでございますが、たとえば足の不自由な方は、介護料とかあるいは差額ベッドの問題ですとか、付添料の問題ですとか、現在健康保険で十分認められておらないはり、きゅうの問題ですとか、専門病院の問題とか、治療法の開発の問題とか、いろいろな恒久対策、これを一日も早く厚生省として考えていただきたいというのが患者さんの願いでもあり、また国民の望みでもございます。こういう面について、厚生大臣は裁判の問題とはまた別に、裁判をしない方もたくさんいるわけですから、そういう方々に対しての恒久対策をどのように考えていらっしゃるか、承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 それは、いまのところ私の方は裁判なんですよ。裁判の和解を話しているわけですから、それの話がつかないうちにキノホルムの投薬証明もとれないという人までどういうふうにめんどうを見るかと言われても、まだそこまでいかないのです。しかしながら、先ほど公衆衛生局長が言ったように、現実に苦しんでいる方については、ある人は障害年金を出している人もあります。ある人はともかく難病として公費負担をしている人もございます。そういうようなことで、スモン患者とわかっていて、困っている方については政府としても現在もできるだけの援助の手は差し伸べておるのです。それから、どうしても生活保護になってしまうという人については生活保護も取り入れて、医療費も無料化、生活の方も援助をしていく、こういうことをやっているわけですから、それはそれで決して何もやってないわけじゃなくて、スモン病にかかっている方についてはその病状の程度に応じて国としては現在も援助しているのですよ。援助してなくないのですよ。援助しているのです。
○古寺委員 どうもかみ合わないのですが、援助をしているのは認めますよ。援助をしているのは認めます。しかしながら、その援助の対象にならない問題がたくさんあるわけです、リハビリの問題にいたしましてもあるいは専門病院の問題にいたしましても。先ほど大臣がおっしゃったように、現在は厚生省の特定疾患スモン調査研究班というものがございます。こういういわゆる研究班の研究をあなたは尊重なさる、こうおっしゃっているわけです。そうしますと、この研究班がそういう恒久対策その他について指摘をしていらっしゃるわけですよ。そういう面を大臣は十二分に尊重をして、貴重な研究なんですから、そういう恒久対策というものをやはり一日も早く厚生省として確立をする必要があると思うのです。これは裁判の問題とは違うのです。
○渡辺国務大臣 それはまず裁判の方から片づかないと片づかないのですよ。あなたの言わんとするところは恐らく、いま裁判していない人でもスモン患者はたくさんいるのだから、それに対するいろいろなことをやれという趣旨だと思うのです。ところが裁判の方で、和解案の中でも裁判官はいろいろなことを言っております。それについてもどういうふうにするか、これから話し合いをしていく段階であるので、まだここが決まらないのにそれより先の、そこからずっと向こうの方の話を持ってこられたって、それはここで答弁できないのですよ。
○橋本委員長 本会議の時間がありますから、締めくくってください。
○古寺委員 そうしますと結論は、裁判が終結をしない間は、患者さんが本当に心から望んでいることも、また現在の苦しみも解消することができないという大臣の結論だと私は思うのです。そういう大臣のお考えからするならば、これは一日も早く裁判を結審に持っていかなければ、終結に持っていかなければ患者さんの救済ばできないということになります。したがって、今後国としても、またその国の中でも実際の当事者である厚生大臣としても、一日も早くこの裁判の決着がついて、そして患者さん一人一人が生きがいを持って生きられるような、そういう行政を進めるように、今後あらゆる困難を排除して努力していただきたいと思いますが、どうですか。
○渡辺国務大臣 そういう決意を持っておるから、いろいろ問題があるのだけれども、和解のテーブルに着きなさいということで着いているのです。
○橋本委員長 この際、休憩いたします。なお、本会議散会後直ちに再開することといたします。 午後零時四十四分休憩 ————◇————— 午後四時五十三分開議
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続けます。浦井洋君。
○浦井委員 生活保護の問題についてお尋ねをしたいと思います。 いまの生活保護の受給状況というのは、世帯数にして大体七十万前後、その人員が百三十万人台、こういうことになっておる。そうすると全人口に対する比率、いわゆる保護率というのは大体一・二%、こうなるわけですね。この一・二%という数字が、ヨーロッパやアメリカのいわゆる先進資本主義国の数字に比べると一体高いのか低いのか、大臣御存じですか、お尋ねをしたい。
○曾根田政府委員 公的扶助の諸外国との比較でございますけれども、公的扶助そのものの仕組みも国によって違いますし、当然、公的扶助というのは他の関連制度がどのように整備されているか、そういうことにも関係がございますので、一概に保護率だけを比較するのは正確ではないわけでございますけれども、お尋ねでございますので、アメリカ、イギリスについて申し上げますと、アメリカは州段階の制度とニクソン政権のときにつくった連邦段階の制度がございますが、アメリカで七・五%、それからイギリス、これは補足給付制度と言っておりますけれども、八・二%でございます。
○浦井委員 イギリスとアメリカの数字、多少制度、仕組みが違うからということでありますが、いずれにいたしましても日本の保護率が現在のところ一・二%前後というのは、かなり低いというふうに言わざるを得ないわけです。これはひとつ大臣にお答え願いたいのですが、こういうふうに保護率が低いということは一体何が原因だと思われますか。
○渡辺国務大臣 突然の御質問で、私よくわかりませんけれども、日本が低いというのは生活程度が高いから低いのかもわからないし、かなりのところまで生活保護で見ているというために向こうは高いのかもわかりませんし、実情はよくわかりませんので事務当局で検討させたいと思っています。
○浦井委員 大臣は御存じないだろうと思うのですが、しかし、どう転んでも、イギリスやアメリカよりも日本の国民生活が富んでおるから保護率が低いんだということにはならないだろうと思う。そうするとやはり、日本の生活保護を含む公的扶助制度といいますか、こういうものがいまの日本の国民の貧困な状態に十分に対応し切れてないからだと思うわけですが、この点は大臣にお答え願うと一番いいのですが、もしあれだったら局長の方でひとつ……。
○曾根田政府委員 生活保護の運用につきましていろいろ御意見があることは承知しておりますけれども、保護率が低いことが、生活保護の運用について行政上何か特別の意図的なことがあるというようなことは全くございませんで、私どもは定められた保護基準の適正な実施ということを心がけております。傾向的には、たとえば昭和四十年代の高度成長期になりますと保護率というのは低下してまいりますし、四十八、九年の不況期になりますと微増といいますか、それからまた県によって保護率に相当のばらつきがございます。産炭地等を抱えているようなところは保護率が高くなっております。私どもは、そういうことからも保護率をもってその保護の実施について云々ということは当たっていないのではないかと考えております。
○浦井委員 それは保護の変遷を言われただけであって、私の問いかけにきちんと答えておられない。私の言いたいのは、日本の公的扶助制度というものがまだまだいまの国民の生活の状態に適応しておらないのではないかということを言いたいわけなんです。もちろん生活保護の保護基準が低いということが最大の問題で、また決定的だろうと思うのですけれども、きょうは大臣も出ておられることですからひとつ聞いていただきたいのです。 現在の保護基準よりも低い収入しかないのになかなか生活保護が受けられない、生活保護の決定に至らない、こういう仕組みがあえて温存されておるといいますか、こういうことが保護率の低さということにもあらわれておるのではないかと思うわけです。たとえば、三つほど例を挙げますけれども、中学校を卒業して、生活が必ずしも富んでおらないということですぐに就職をして働きに行く。そうするとその子供さんの収入も世帯収入の中に算入をされる。あるいはまた、カラーテレビは昭和四十七年からは撤廃されたらしいのですが、たとえばピアノがあると、それを処分しなければ保護決定をしないというやり方であるとか、あるいは国元に年老いた両親を残して東京や大阪に働きに行く。そうすると、国元の両親が生活保護を受けようと思っても東京や大阪におる息子に扶養義務があるというようなことでなかなか両親の生活保護が受けられない。こういうのはやはり原則としては生きておるわけなんでしょう。どうですか。
○曾根田政府委員 いま先生は、生活保護の運用上問題になっておりますいわゆる資産活用の問題、あるいは世帯分離の問題について御指摘があったわけでございますけれども、実は資産活用につきましても、確かに相当以前はいまお話がございましたように、カラーテレビがいいか、あるいは電気冷蔵庫を認めるか、いろいろ問題がございました。その後、国民生活の向上に見合いまして、現在の取り扱いといたしましては、一つは当該地域のその普及度とのバランス、たとえばその地域で相当程度普及しておればもう認めてもいいではないか。それから、その資産を保護世帯の自立のためにむしろそのまま資産活用を認めた方が自立更生に役立つではないか、そういうような観点から最近はかなり弾力的に運用しております。それから世帯分離の問題についていろいろお尋ねがございましたけれども、これにつきましても、最近では、たとえば長期療養者については世帯分離する、あるいは同じ世帯の中で寝たきり老人がおられて介護に非常に手間がかかるような場合は、その当該寝たきり老人について世帯分離を認めるとか、かなり弾力的な運用をしておりまして、率直に言いまして、私ども、現在の生活保護の運用について、これはもう非常にけしからぬというような具体的なおしかりなり御批判を受けることは最近ではほとんどなくなっておるのが実情でございます。
○浦井委員 しかし、先ほど私が言いましたような原則といいますか、資産調査方式といいますか、あるいは扶養義務をできるだけ広くとるとか、こういう原則はやはり生きておるわけでしょう。そういうことですね。
○曾根田政府委員 それはもう生活保護の大原則でございますいわゆる補足性の原理というものがございますから、法律上のたてまえ、基本理念としては明らかにうたわれておりますが、問題は、これを社会の現実に即していかに実態に即した運用を行うかということでございまして、そういう点にわれわれは努力しておるということでございます。
○浦井委員 だから、大臣に申し上げたいのですが、いま局長の言われたような資産調査方式というのが、いまの日本の国民生活の貧困な状態に適応しないような面が多々出てきている。だから所得調査方式に変える、あるいは扶養義務は単位世帯としては夫婦と十五歳未満の子供に限るというような形に、こういう時代であるからこそやはり方向を転換すべきではないかというように私は思うわけなんですが、これは局長の方から。
○曾根田政府委員 核家族化の傾向にかんがみまして、世帯単位の原則をいわば個人単位といいますか、もっと小単位でというお話でございますが、たとえば三人あるいは四人家族がおって、その家にお年寄りがおるという場合に、単にお年寄りがおるというだけでそのお年寄りだけを世帯分離して生活保護を適用するということが、わが国の国情といいますか社会風土から見て適当かと言えば、私はやはりそこは世帯単位でとらえるべきではないか。ただ、そのお年寄りが、先ほど言いましたように寝たきりで非常に手間暇がかかる、特別の生活費もかさむというような場合は現に私どもは世帯分離をやっております。ですから、あえて世帯単位の原則を法律を改正してまでこの際改める必要というものは、私どもは実は感じておらないわけでございます。
○浦井委員 局長はそう言われるだろうと思うのですが、大臣にもう一遍よく聞いておいていただきたいのです。 戦後、われわれは飲まず食わずの中であの敗戦直後の中をがんばってきたわけです。そして高度成長で人口が都市に集中をする。そして核家族化がいま言われたように進行する。今度は不況とインフレだ。当然共かせぎ世帯が、最近の言葉は共働きというのですか、どんどんふえてくる、生活もやはり苦しい。一方では高年齢化社会が予想よりも早く来そうだということになってくると、いまの生活保護を初めとした社会福祉制度というもの、これは見直しをしなければ対応できぬのではないか、こういうふうに私は強く感ずるわけなんです。いま局長言われたわけですけれども、アメリカやイギリス、フランス、イタリア、日本というような、資本主義が高度に発達したような国では必然的に、われわれは新しい貧困と言っておるわけですが、そういうものが生まれてくる。それに対応するのに、いまの生活保護の制度ではこれはちょっと対応し切れぬのではないか、こういうように私は最近強く感じておるわけですが、ひとつ大臣の所見、それとあわせて決断できるなら決断をお聞きしたいと思う。
○渡辺国務大臣 それはいつの時代でも、制度とか法律とか、そういうようなものを見直すことはやぶさかでございません。やぶさかでございませんが、私は、親子の扶養問題なんというのはアメリカやイギリスを日本は何もまねすることはないと思うのです。アメリカはアメリカだし、日本は日本なんで、それはもう全然歴史も違うし、風俗、習慣も違うわけです。日本人みたいに子供をめんどう見る親もいないし、子供が親のために尽くす、そういうところはないのであって、むしろこれは日本の美徳だと私は思っているのです。こういうものは残すべきである。ですから、子供が、自分じゃりっぱに暮らしができるのだけれども親をほっぽり投げてどこかへ行ってしまえば、親は国がめんどう見るだろう、こういうことには絶対さしてはいかぬ。それはやはり、子供に見られるだけの力がある者は当然見るべきが本筋じゃないのか。それが日本人の、少なくとも大多数の、まあ変わった人がいるかもしれませんよ、しかし大多数の人の考え方じゃないだろうか。しかしながら、いま局長が言ったように、出かせぎに行った人も本当に食うことでいっぱいいっぱいである、それから親は病気だ、仕送りだけでやれぬというような場合は、それはケース・バイ・ケースの問題じゃないだろうか。やはり原則は原則として置いて、ケース・バイ・ケースで本当に困った者を国費で。と言ったってこれはしょせんは国民の税金でございますから、ですからそういうようなやり方がいいのじゃないだろうか、こう考えているわけです。
○浦井委員 かなり古色蒼然とした考え方が出て、そのうちに教育勅語を礼賛されるのではないかと危惧しておるわけなんです。まあ、大臣の意見は、それはそれで大臣の意見として聞いておきたいと思うのです。 それでもう一つ、生活保護が受けられるのに適用されておる家庭が少ないという問題の原因に、仕組みがややこしい、内容がそういうボーダーライン層に周知徹底をしておらないというような問題、これは事実あるだろうと思う。だから一つ提案なんですが、たとえばはがき一本で福祉事務所が申請を受け付けるというような簡便なやり方を、内容の周知徹底と同時にもっと具体的な措置をとるべきではないかと思うわけなんですが、この点は局長どうです。
○曾根田政府委員 具体的な御提案があったわけでございますが、現行の手続が、これが唯一絶対のものとも考えておりませんし、できるだけ手続の簡素化は図りたいと思っておりますけれども、いまの具体的なお尋ねについてすぐどうこうということについては、ちょっと検討させていただきたいと思うのです。ただ一般論としましては、この制度は非常に歴史も古い制度でございますし、それから窓口が社会福祉事務所、これは人口十万に一カ所ということで広く設置されておりますし、そのほかに民生委員が、これは全国で十六万人おるわけですけれども、実際には民生委員がそういう方々の相談相手にもなっておりますので、私は、基本的な現在の事務の体制としては整備されていると思っておりますけれども、先ほど言いましたように一応検討させていただきたいと思います。
○浦井委員 その次の問題は、生保でいつも問題になります級地格差の是正といいますか、縮小の問題これは五十一年度までに四級地をなくするのだということだったそうでありますけれども、現実にはまだ全国で約二百五十町村が四級地として残っておる。だから、そうなると一級地と四級地の差は、九%ずつですから二七%。同じように生活に困っておるのに住む場所によって二七%の級差がある、こういうことになるわけで、これはぜひとも早く是正をしていかなければならぬ。さらに、あえてつけ加えるならば、今度四級が三級にずっと上がってきた。そうすると、もともと三級であったところで、人口動態であるとか地域社会の変化によってやはりこれは二級にしなければならぬというようなところもあるはずでありますから、そういう点の是正をやられないはずはないと思うのですが、一体具体的にどういうふうにして、いつごろまでにどういうところまで到達するわけですか。
○曾根田政府委員 四級地を五十一年度までに原則として解消するという田中前大臣の意向がございましたけれども、それに沿いまして、ちょっとおくれましたけれども、御案内のようにこの四月にかなりの数を三級地に格上げいたしまして、現在二百二十二、数の上ではまだ残っておりますが、被保護者の分布で見ますと四級地にとどまるのは大体三%弱でございますから、実態としては四級地はほとんど解消されたと言っていいと思うのです。まだ若干の調査が残っておりますので、これにつきましてはできるだけ三級地への引き上げを今後とも努力したい。ただ、これは完全にゼロというわけにはいかないと思うのです。その地域の実情によってやはり多少の格差があるところはあると思います。しかしできるだけ解消したい。それから、その他の三級地から二級地、あるいは二級地から一級地につきましては、例年幾つかの市町村について格上げを行っておりますので、ことし何月からやるかということはまだ具体的に決めておりませんけれども、本年度もそういう要望の強いところは実情に沿った格づけをいたしたいと考えております。
○浦井委員 その点は前大臣の約束もあるわけですし、できるだけ早くやっていただきたい。 最後に、これも提案になるわけなんですが、たとえば国保の被保険者がかなり重い病気になった、そうして生活保護の医療扶助をもらう、そして入院をするというような場合に、医療費は医療扶助で出るわけですが、例のいま大きな社会問題になっております差額ベッドであるとかあるいは付添料、これが皮肉なことに基準看護病院でかなり問題になっておるようでありますが、そういう自己負担が出てくる、こういうような困難が入院しておる患者さんや家族にとっては出てくるわけなんです。だから、そういう病院側であるとかあるいは本人や家族の要望に従って、末端の自治体では、ケース・バイ・ケースではあろうと思いますけれども、実情に応じて自治体の単費である程度援助というか扶助をしておるというようなケースも開くわけであります。だから、こういう実情も国としてよく考えて、確かにそういう面はいま保険外の負担になるわけですが、こういう保険外の負担についてもこれを救うという意味で、国としてできるならば制度化をしてほしいと私は思いますし、少なくともそこはいろいろな点で運用の上でも柔軟に対処をすべきではないかというふうに私は思うわけなんです。どうですか。
○曾根田政府委員 現実問題としては確かに御指摘のような問題がございますが、私どもとしましては、やはり本来的にこれは社会保険の問題でございますし、指定医療機関の協力を得まして、できるだけそういう所定の保険給付で賄えるようにとにかく医療機関で処遇願いたい。ただし、一つの問題として強く指摘されておりますので、問題意識は持っておるということだけをつけ加えさしていただきます。
○浦井委員 おしまいなんですが、大臣、そういうことで、やはり差額ベッド、付添料の保険外負担の問題、これは医療保険の問題として緊急に解決しなければならぬ大きな問題です。しかし、少なくとも、生活保護を受けて、重い病気になって医療扶助を受けて入院している、こういう人の場合の解決というのはやはり緊急の問題だろうと思うのです、だからそこはひとつ大臣の決断で、その人たちに喜ばれるような思い切った措置をやるということを約束していただけませんか。
○渡辺国務大臣 御趣旨はわからないじゃないのですが、ただ、いま保険で見てないものを生活保護だけは特別に見ろと言われてもなかなかこれは……。保険で見てないものを生活保護で見ろと言われると、生活保護の人だけ優先して見ろというお話になってしまうものですから、やはり保険で見ている基準看護病院に入院をしてもらうとか、そういうようなところに協力をしてもらって、基準病院、基準看護をしているところだったらやはり見るわけでしょう。(浦井委員「いやいや」と呼ぶ)そういう意味でしょう。(浦井委員「付き添いの問題が出てくるわけなんです」と呼ぶ)ですからそれは、保険で現在一般に見てないものを生活保護では見ろと言われてもなかなかそれはむずかしい。しかし、この差額ベッドの問題とか、付き添いの問題とか、いろいろそういう問題については、やはり病気の程度に応じて、これは個室が必要だ、本当に個室でなければ治療ができないというように、本人でなくて医者が判断したものについては、それは生活保護であろうとそうでなかろうと保険で見るという方向に持っていくことの方が望ましい。しかし、それは保険制度全体の問題と絡んでおることですから……(浦井委員「生保の場合にどうするかです」と呼ぶ)ですから、やはり制度の問題と絡むのです。(浦井委員「緊急の問題は……」と呼ぶ)
○橋本委員長 座ったままの質問はいけません。
○渡辺国務大臣 緊急と言われましても、やはり制度がそうなっておりますから、これは制度改正の折に一緒に検討する、そういうことにしたいと思います。 ————◇—————
○橋本委員長 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○橋本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○橋本委員長 この際、戸井田三郎君、村山富市君、大橋敏雄君、和田耕作君、浦井洋君及び工藤晃君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 その趣旨の説明を聴取いたします。戸井田三郎君。
○戸井田委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。 一 公的年金制度については、各制度間の関連と将来にわたる人口の老齢化の動向を勘案しつつ、格差の是正、制度の一元化等その基本的なあり方について、検討を急ぎ、年金制度の抜本的な改善を図ること。 二 遺族年金については、被用者年金加入者の妻の年金のあり方及び加給年金の問題を含め、総合的な見地からその改善に努めること。 三 在職老齢年金制度の支給制限の緩和について、検討すること。 四 各福祉年金について、老後の生活実態、最低生活基準とのバランス等を考慮して、その年金額を更に大幅に引き上げるとともに、その実施時期について検討し、あわせてその所得制限及び他の公的年金との併給制限の改善を図ること。 五 厚生年金、国民年金等のスライド改定実施時期について、更に検討すること。 六 年金受給権に結びつかない者の受給権の確保について早急に検討すること。 七 すべての年金は、非課税とするよう努めること。 八 五人未満事業所の従業員に対する厚生年金の適用の問題について、具体的方策を樹立し、適用の促進に努めること。 九 積立金の管理運用については、被保険者の福祉を最優先とし、被保険者住宅資金の転貸制度の普及になお一層努力するとともに、積立金の民主的運用に努めること。 十 児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当の支給額を一層増額する等支給内容の改善充実を図ること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○橋本委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○橋本委員長 起立総員。よって、本案については戸井田三郎君外五名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺厚生大臣。
○渡辺国務大臣 ただいまは国民年金法等の一部を改正する法律案について、慎重に御審議の結果、御可決いただきましてまことにありがとうございました。 私といたしましても、ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。 —————————————
○橋本委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○橋本委員長 次に、内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び本日付託になりました大原亨君外六名提出の原子爆弾被爆者等援護法案の両案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。 まず、厚生大臣渡辺美智雄君。 ————————————— 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○渡辺国務大臣 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 昭和二十年八月、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により特別手当、健康管理手当、保健手当その他の手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持向上と生活の安定を図ってまいったところであります。 今回、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律について改正を行おうとするものでありますが、その内容について御説明申し上げます。 改正の第一点は、特別手当の改善であります。 特別手当は、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の規定により、原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者に対して支給されるものでありますが、この特別手当の額について、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にある者に支給する特別手当の額を現行の月額二万七千円から三万円に引き上げ、その状態にない者に支給する特別手当の額を現行の月額一万三千五百円から一万五千円に引き上げるものであります。 改正の第二点は、健康管理手当の改善であります。 健康管理手当は、原子爆弾の放射能の影響に関連があると思われる造血機能障害等の特定の障害を伴う疾病にかかっている被爆者で特別手当の支給を受けていないものに対して支給されるものでありますが、この健康管理手当の額を現行の月額一万三千五百円から一万五千円に引き上げるものであります。 改正の第三点は、保健手当の改善であります。 保健手当は、爆心地から二キロメートルの区域内において直接被爆した者で特別手当または健康管理手当の支給を受けていないものに対して支給されるものでありますが、この保健手当の額を現行の月額六千八百円から七千五百円に引き上げるものであります。 今回の改正は、これらの改善を通じて被爆者の福祉を一層増進しようとするものであります。 なお、特別手当、健康管理手当及び保健手当の額の引き上げの実施時期につきましては、法律案中修正を行い、当初予定していた実施時期を二カ月繰り上げることとしております。 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○橋本委員長 次に、提出者森井忠良君。 ————————————— 原子爆弾被爆者等援護法案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○森井議員 私は、ただいま議題になりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、その提案理由の御説明を申し上げます。 昭和二十年八月六日、続いて九日、広島、長崎に投下された人類史上最初の原爆投下は、一瞬にして三十万人余の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。 この原子爆弾による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に破壊、殺傷するものであるだけに、その威力ははかり知れないものであります。 たとえ一命を取りとめた人たちも、この世の出来事とは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷痕と原爆後遺症に苦しみ、病苦、貧困、孤独の三重苦にさいなまれながら、今日までようやく生き続けてきたのであります。 ところが、わが国の戦争犠牲者に対する援護は、軍人、公務員のほか、軍属、準軍属など国との雇用関係または一部特別権力関係にあるものに限定されてきたのであります。しかし、原子爆弾が投下された昭和二十年八月当時の、いわゆる本土決戦一億総抵抗の状況下においては、非戦闘員と戦闘員を区別して処遇し、原子爆弾による被害について国家の補償責任を放棄する根拠がどこにあるのでしょうか。 被爆後三十二年間、生き続けてこられた三十余万人の被爆者と、死没者の遺族の、もうこれ以上待ち切れないという心情を思うにつけ、現行の医療法と特別措置法を乗り越え、国家補償の精神による被爆者援護法をつくることは、われわれの当然の責務と言わなければなりません。 国家補償の原則に立つ援護法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は、国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であります。したがって、たとえサンフランシスコ条約で日本が対米請求権を放棄したものであっても、被爆者の立場からすれば、請求権を放棄した日本国政府に対して国家補償を要求する当然の権利があるからであります。 まして、われわれが、この史上最初の核爆発の熱線と爆風、そして放射能によるはかり知れない人命と健康被害に目をつぶることは、世界唯一の被爆国としての日本が恒久平和を口にする資格なしと言わなければなりません。 第二の理由は、この人類史上未曽有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が日本国政府にあったことは明白であるからであります。 特にサイパン、沖繩陥落後の本土空襲、本土決戦の段階では、旧国家総動員法は言うまでもなく、旧防空法や国民義勇隊による動員体制の強化に見られるように、六十五歳以下の男子、四十五歳以下の女子、すなわち全国民は国家権力によってその任務につくことを強制されていたことは紛れもない事実であります。 この国家の戦争責任については、昨年七月末、広島地方裁判所のいわゆる石田原爆訴訟判決で明記され、政府も控訴しなかったことにより確定判決となっておるのでありまして、もはや論争は終結したと考えられるのであります。 今日の世界平和が、三十万人余の人柱の上にあることからしても、再びこの悲劇を繰り返さないとの決意を、国の責任による援護法制定によって明らかにすることは当然のことと言わなければなりません。 第三の理由は、すでに太平洋戦争を体験している年代も数少なくなり、ややもすれば戦争の悲惨は忘れ去ろうとしている現状であります。原爆が投下され、戦後すでに三十二年を経た今日、被爆者にとってはその心身の傷跡は永久に消えないとしても、その方々にとっては、援護法が制定されることによって初めて戦争が終わるのであります。 恐らく、私たちのこの考え方は、与党議員の中でも心ある方々の共感を呼ぶものと確信をいたしております。 さて、私たちは昭和四十九年以来、全野党が一致してこの法案を国会に提案してまいりました。今回も、新たに結成された新自由クラブの皆さんも含め、全野党一致のものであります。 今回提出されました法案の特徴は、従来の法案より、予算面で大幅に切り詰め、より現実的な、実現可能な内容としていることであります。この点も特に御留意を願います。 私たちは、以上のような観点から、全被爆者とその遺族に対し、放射能被害の特殊性を考慮しつつ、現行の軍属、準軍属に対する援護法に準じて、原爆被爆者援護法を提案することといたしたのであります。 次に、この法律の内容の概要を御説明申し上げます。 第一は、健康管理及び医療の給付であります。 健康管理のため年間に定期二回、随時二回以上の健康診断や成人病検査、精密検査等を行うことといたしております。なお、被爆者の負傷または疾病について、医療の給付は現行法同様の措置をとることにしております。また、治療並びに施術に際しては、放射能後遺症の特殊性を考え、はり、きゅう、マッサージをもあわせて行い得るよう別途指針をつくることにいたしました。 第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。 被爆者の入院、通院、在宅療養を対象として月額三万円の範囲内で医療手当を支給することとし、また、被爆者が安んじて医療を受けることができるよう、月額七万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。 第三は、被爆二世まはは三世に対する措置であります。 被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、さらに、放射能の影響により生ずる疑いがある疾病にかかった者に対して、被爆者とみなし、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。 第四は、被爆者年金の支給であります。 全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて、年額最低十八万円から最高三百八十万円までの範囲内で年金を支給することにいたしました。障害の程度を定めるに当たっては、被爆者が原爆の放射能を受けたことによる疾病の特殊性を特に考慮すべきものとしたのであります。 第五は、被爆者年金等の年金額の自動的改定措置、すなわち賃金自動スライド制を採用いたしました。 第六は、特別給付金の支給であります。 被爆者の遺族に対して六十万円の特別給付金を、五年以内に償還すべき記名国債をもって交付することにいたしたのであります。 第七は、被爆者が死亡した場合は、十万円の葬祭料をその葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。 第八は、被爆者が健康診断や治療のため国鉄を利用する場合には、本人及びその介護者の国鉄運賃は無料とすることにいたしました。 第九は、原爆孤老、病弱者、小頭症等、その他保護、治療を必要とする者のために、国の責任で収容・保護施設を設置すること。被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置、運営の補助をすることにいたしました。 第十は、厚生大臣の諮問機関として原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。 第十一は、沖繩における被爆者に対して、昭和三十二年四月から昭和四十一年六月三十日までの間に原爆に関連する負傷、疾病につき医療を受けた沖繩居住者に対して十万円を限度とする見舞金を支給することにしたのであります。 第十二は、日本に居住する外国人被爆者に対しても本法を適用することにしたのであります。 第十三は、厚生大臣は速やかにこの法律に基づく援護を受けることのできる者の状況について調査しなければならないことにいたしました。 なお、この法律の施行は、昭和五十三年四月一日であります。 以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。 被爆後三十二年を経過し、再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の願いにこたえて、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げます。(拍手)
○橋本委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 次回は、来る二十六日火曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十八分散会 ————◇—————