社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 239 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/03/23
会議録
○斉藤(滋)委員長代理 これより会議を開きます。 本日、委員長が所用のため、お見えになりませんので、指名により私が委員長の職務を行います。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 最近、社会的に学歴社会の問題が大分取りざたをされて問題になっておりますが、聞くところによりますと、十八日の閣議で学歴偏重対策のための関係閣僚懇談会が持たれるというようなことが新聞で報道されておりました。この学歴偏重をもたらしておる社会的背景として、いまの雇用のあり方というのが大分問題になっておるのではないか。と申しますのは、たとえばいい大学を出ればいい企業に入れる。そうすると、これは年功序列、終身雇用型ですから、一生幸せが保障される、こういうことが学歴偏重をもたらす社会的背景になっておるのではないかというようなことが言われております。 現状を聞きますと、たとえば大企業が新卒を採用する場合に大学を指定して、そしてその指定校から希望者を募る、こういうことがやはり一つの傾向としてあらわれているのじゃないかというようなことも言われておりますが、こういう実態が学歴社会を生み出す背景となっているというふうに世間的には言われているわけです。こういう現状に対して大臣はどういう認識を持たれておりますか。
○石田国務大臣 いま御質問の中に、学歴社会に対する閣僚懇談会云々というお話しがございましたが、それはまだ決まったことではございません。ただ、閣議の席上、しばしば話題になることは事実でございます。これをもたらした背景というものの一つが、いわゆる終身雇用、年功序列型賃金体系、それから企業が特定の大学を指定して、いわゆる指定校制度というものがある、私も、それは一つの大きな背景だと思います。指定校制度については、実際に今度は現在の大学の実情というものを見ますと、短期大学、高等専門学校を加えますと千五かあるいは千八近くある。そのうちの半分は大体四年制の大学であります。その全部にわたって入社希望を受け付けて試験をするとなりますと、技術的に非常に困難を生ずるわけでありますが、そういう実情もこれは認めざるを得ませんけれども、いわゆる排他的な指定校制度というもの、つまり、せっかく試験を受けることを希望している人までも、ただ単に自分の方で指定した学校以外の卒業生であるという理由だけでこれを排除するというようなやり方は好ましくない。したがって、希望者にはできるだけ受験させるように行政指導をやっていきたいと考えております。 ただ私は、二十年ほど前に初めて労働省をお預かりしましたときに、その当時からどんどん大学がふえていっておりました。この状態で大学がふえていきますと、やがて学歴による失業問題が起こるということを文部省に対して警告したことがございます。どうも最近の状態は、そういう状態に近づきつつあるような感じがいたします。中学校を卒業して就職する人の割合と、やがて大学を卒業してくる人の割合が逆転をいたします。そしてその大学の間に、大学の名前にふさわしい実力をみんな備えてくれれば、それはまたそれで一つですが、学校差が歴然として生じていることもまた事実であります。 それからもう一つは、みんなが就職を希望するのが、いま御指摘のように大きな規模の企業、それからいわゆる管理部門、事務職を希望いたします。ところが一方、大学卒業生に対する求人側の趨勢を見ますと、中小企業、それから販売職、サービス職、こういうものの求人は多いわけであります。これを現在の段階でならせば大体ことしは間に合うと思いますが、大体管理部門というものは、総就業人員の中で平均どの程度を占めるかということを調べてみますと、全企業を通じまして大体二六ないし二七%が管理部門、事務職でいいわけです。そこへわっと押しかけるところに問題があり、学校差に問題があり、それから総量に問題があると私は考えておりまして、そういう点の改善を図って就職機会を確保する努力をしなければならぬ、こう思っている次第であります。
○村山(富)委員 単に就職の門戸を開いて広く差別なく採用する、こういうことも、もちろん入り口としては必要ですけれども、しかし、学歴社会がつくられていくというのは、やはりさっきお話がございましたように、いい大学を出ればいい企業に入れる、しかも、いい大学を出ていい企業に入れば将来が約束される、こういう一つのコースが想定されるわけです。したがって、親は子供の幸せを願う、その気持ちでいっぱいで、やはりできるだけいい学校に入れたいという気持ちでもってやってきていると思われる。そして学歴社会がつくられていく。これはやはり言うならば年功序列、終身雇用型の日本の雇用の関係というのが大きな背景になっている。この終身雇用型というのは、やはり日本的風土の中で歴史的につくられているものです。ですから、一挙にこれをどうこうするなどということは、なかなかむずかしいと思います。しかし、これだけ学歴社会というものが問題になり、小学校、中学校、高校、大学に至るまで、そういうものが大きく教育をゆがめているということが一番問題になっているのですから、したがって、どこからか直さなければいけないということが一番問題になると思うのです。 そこで、特に学歴偏重のいまの風潮を是正さしていく、その一つの背景としてこういうものがあるのだ、したがってこういうものを、若干メスを加えて是正をしていくようなことがなければ、全体的に教育のゆがみというものが直っていかない、こういうことが問題になってくると思いますから、そういうことに対する大臣の見解をこの際聞いておきたいと思います。
○石田国務大臣 そういう実情に対しまして、もう一つやはり反省してもらわなければならぬことは、昔のように大学を出た方が有利だというような、いわゆる終身賃金の状態でなくなってきた。たとえば初任給は、高等学校卒業の上位四分の一と大学卒業者の下位の四分の一とは大体重なってまいりました。それから生涯所得においてもそう違いがなくなってきた。そういう実情を詳細に調査、検討いたしましたパンフレットを作成いたしまして、大学卒業必ずしも有利でない、特にいわゆる学校差があることは何としても避けがたい事実でありますので、そういう事実を、労働省といたしましては、多くの人々に知ってもらって、ただ観念的に大学さえ出ればいいという風潮の是正を図っていく、そして求人構造と求職者の希望との間ができるだけ一致するように指導してまいりたい。 ただ、終身雇用制それから年功序列型賃金というのは、長い伝統と歴史を持ち、しかも不況時において失業の大量発生を防ぐ役割りも果たしておる、これを否定することは無理だと思いますし、それから学校差があるという事実、これもそんなことがないとは言い切れない。厳然としてあるわけです。そうした場合に、雇う方の側から言えば、やはり成績のいい、能力のある者を選んで雇っていこうと考えるのもまた無理がない。それを是正するのには、人がそれぞれの持っておる天分によって自分の人生の道を見出していくという風潮をみんなが持つということが前提であろう。それに対する資料を整理いたしまして、近く発表いたす方針でおります。
○村山(富)委員 いまお話がありましたように、大学でもいろいろ差がありますね。それから個人の能力の差がありますね。したがって、機会が平等、均等に与えられて、その中で共同し合って、そして能力のある者が伸びていくというなら当然の話ですからいいと思うのです。しかし、最近の雇用の実態なんかを見ていますと、たとえば地方の県庁あたりにいたしましても、大学を出た者、これは上級職ですね、それから中級、下級と試験が違う。そして入ったときに初任給が違う。そして大体以前は、大学を出ていなくても課長なんかにはなれておったわけです。しかし、いまは大学を出ていないと課長にはなれない、こういうふうな一つのものができていますね。国においてもそうだと思います。そういうものが自然に学歴偏重社会を誘導していくというような背景になっている。 ですから、冒頭に申し上げましたように、機会が平等、均等に与えられて、そしてチャンスはお互いに平等にある、しかし入ってからは、能力が違うとかあるいはいろいろな違いで差ができてくるというのはやむを得ぬと思います。もう大体既定の型がつくられている、その型の中にどうしてはめていくかということで、親は一生懸命子供の教育に専念していくということになるので、これが教育を大きくゆがめる一つの要因になっているというふうに思うのです。 ですから、そういうものを是正していくためには、何らか一つの考え方がなくてはならぬと私は思うのです。これはテーマは、学歴社会という教育のゆがみをどう是正していくか、そのためには雇用面からどういう一つの検討が必要かということがそこで問題になってくると思いますから、そういうものに対する大臣の見解をもう一遍聞きたいと思います。
○石田国務大臣 雇用の面を規制する、行政指導すると申しましても、企業内部の人事管理体系というものに干渉するわけにはいかない。いま御指摘のような、型にはまった状態というものは決して好ましいものではない。やはり機会は均等に与えられ、そして公正な競争によって人生が歩まれていくということが望ましいことは言うまでもありませんが、もう一つその前に、高等学校、中学の段階において、大学へ行くだけが道ではないのだということを私どもが示すことも必要だろう。そういう役割りを労働省は果たしていきたい。一々の人事管理体系が幾ら望ましくないと申しましても、雇用の中に入って規制する方法はむずかしい。ただ、官庁とかそういう機関において、学歴だけを理由にして人事管理が行われるということは望ましくないので、そういうことは避けてまいりたい、こう考えておる次第であります。
○村山(富)委員 きょうは別に議論をするつもりではなくて、大臣の一応の考え方を聞いておきたいと思って質問したわけですから、この程度にとどめます。 次に、職業訓練機関の問題について若干承りたいと思うのです。職業訓練機関について現状を一応調べてみますと、事業団がやっている総合高等職業訓練校というのがあります。それから県がやっております専修職業訓練校というのがあります。さらに事業所内で認定の職業訓練校がある、こういうことになっておると思うのですが、この職業訓練機関の現状はどういうふうになっているか、ちょっとその現状について説明してもらいたいと思います。
○岩崎政府委員 いま先生おっしゃるとおり、現在の職業訓練法に基づく訓練体系は、一つは雇用促進事業団がつくっております総合高等職業訓練校、それから県がやっております県立の職業訓練校、これは専修職業訓練校と言っておることはそのとおりでございまして、現在事業団立の高等職業訓練校が八十八校ございます。それから都道府県で設立しております専修職業訓練校が三百二十四校でございます。そのうち昭和五十一年度で見ますと、中卒程度の人を訓練の対象といたします専修訓練のみをやっている訓練校が二百一校、それから、これは法律のたてまえで都道府県立のものも高等訓練課程を、労働大臣の認定を得まして併設をすることができることになっておりますが、これを一部やっております訓練校が百二十三校、県営のものは合計で三百二十四校でございます。それから、そのほかに各企業、事業主が単独でやっておりますもの、あるいは中小企業が主体になりますが、共同でやっております職業訓練校、これはいずれも事業内訓練でございますが、この合計が約千二百校でございます。これは都道府県知事の認定を得てやることになっております。そのほかに特別なものとしましては、事業団立の職業訓練の短期大学校が東京の小平に一校、それから訓練大学校が相模原に一校、そのほかに国立で県が運営しております身体障害者を対象とした訓練校が十一校、それに府県で単独に経営しております身体障害者の訓練校が三校、概略そんなことになっております。
○村山(富)委員 職業訓練法に基づいてつくられておる職業訓練機関というのは、大筋としては、事業団がやっている、略称総訓と言いますね、それから地方自治体でやっておる専修訓練校、それに事業所内でやっている認定訓練校、こういうものが柱になると思います。 私、よくわからないのですけれども、聞いてみますと、事業団のやっている総合高等訓練校は、中卒、高卒両方のコースがあるわけです。それから専修訓練校というのは、設立当時は大体中卒が主体ですね。これは修業年限も違いますし、どういうところでこういう総合高等訓練校と専修訓練校との教育課程の違いが必要だったのかということをちょっと聞いておきたい。
○岩崎政府委員 実は、昭和三十三年に職業訓練法でできました体系を、昭和四十四年の法律改正で大きく変えまして、原則として事業団立の総合職業訓練校は高等訓練課程をやる、それから都道府県立のものは専修訓練課程をやる、高等訓練課程と申しますのは、高度の熟練技能労働者たるべき素地たる技能を付与する、それから専修訓練課程の方は、ちょっとレベルが低いのでございますけれども、技能労働者としての素地たるべき技能を付与する、こういうことに一応区分けをしております。そして専修訓練課程におきましては、高等学校卒の人は半年、中卒の人は一年という訓練課程にしておりまして、それから高等訓練課程の方は、中卒の場合には二年、高卒の場合には一年、このような四つの仕分けをしております。 ただ現在の扱いは、事業団がやっております高等訓練課程、これは中卒二年、高卒一年ということでやっておりますが、先ほどちょっと申し上げました県立の場合にも、専修課程のみならず、高等訓練課程をやる訓練校がありますが、これにつきましては、高等学校卒の一年の訓練課程だけを認めている、こういうかっこうに現状はなっております。
○村山(富)委員 どうもよくわからないのは、事業団の方も中卒、高卒両方やるわけでしょう。そして中卒二年、高卒一年ですね。それから地方自治体がやっている専修職業訓練校というのは、中卒を対象に一年課程、これが主体ですね。これは、たとえばこの専修訓練校一年課程を修了して、そして高等に入っていくというような体系があるのならわかるけれども、わずか一年か二年の違いでそういう区別をする必要があったのか。その関連は一体どうなっているのか。そこらは関連があるのですか、ないのですか。
○岩崎政府委員 昭和四十四年に法律を現在のように改定いたしました時点におきましては、中卒で就職する者が約四十数%、それから高卒で就職する者が三十数%、大卒が二〇%を下回るというようなことになっておりましたので、特に中卒の人にそういった基礎的な技能を付与するための課程を県立が受け持ち、それからだんだんに高校進学率が高まるわけでございますから、高等学校を出た者を中心とする高等訓練課程を事業団立の高等訓練校が持つ、こういうことで、昭和四十四年の法律はたてまえをつくったわけですけれども、現在までわずか八年ぐらいのことでございますが、高等学校への進学率が九十数%というようなことになってまいりまして、中卒で就職をしよう、あるいは専修課程に入って技能を身につけようという人の数が相対的に減ってまいっておりますので、県立の場合にも高等学校卒の訓練課程を認めて、それを並行してやることができるようにしたということから、言ってみれば、現状は事業団立の高等訓練校とあるいは県立のそういった高等訓練課程も持っております訓練校との業務分担の区分けが、地域によっては必ずしも十分になされていないという点は、率直に私ども認めなければならぬと思っております。 それから、その専修課程を経た者と高等訓練課程を経た者との一番の差は、高等訓練課程の方は技能労働者たるにふさわしい高度の技能の素地を身につけるということでございますので、例の技能検定という制度がありまして、これが一級、二級に分かれておりますけれども、高等訓練課程を修了した者については、二級の技能検定を受けるための、技能検定は学科と実技とありますが、学科を免除されるという形になっております。
○村山(富)委員 当初この訓練校がつくられたときは、やはり時代的要請があったからだと思うのです。これは一口に言えば、高度成長時代に入って技能労働者が不足する、したがって、中卒の者を対象に半熟練的な技能を身につけさせて、技能労働者の不足を補っていく、こういう意味での資本側の要請にこたえて訓練校というものはつくられたのではないかと思うのです。ところが現実は、なかなかそうはいかなかった。どうしていかなかったかといいますと、高等学校に入る生徒がどんどんふえていって、中卒が少なくなってきた。ですから、中卒だけを対象にしたのでは、もう生徒が集まらぬ、こういう現状になってきたので、これからひとつ高卒も受け入れようじゃないかというので、四十四年に制度を変えて、専修訓練校にも高卒を入れるということになったわけでしょう、経過としては。 そうしますと、受け入れる機関は同じなんですよ。教科も同じ、先生も同じ、それから施設も同じ。当初は、中卒を対象に技能訓練をやろう、養成訓練をやろうということでつくった学校だけれども、そういった情勢の変化があって中卒の生徒がなかなか集まらぬ、そこで、高卒も入れようじゃないかということで高卒も入れる、しかし、入れる器は同じですからね、高卒も中卒も混成して訓練を受ける、けいこを受ける、こういうものになってきたと思うのです。 そこで一番困ったのは、やはりそれは教育課程が違いますから、一方は高卒で一方は中卒ですから、したがって、高卒の者は一遍高等学校で習ったものをまた習う、おもしろくないというようなこともありましょうし、そうかといって高卒を対象にすれば中卒は困るというようなことで、現場の学校の方では大変困った時期があるのじゃないかと思うのですが、そういう現象、そういう具体的な事実に対して、どういう方針で体系的に変えようとしたのか、そこらの考え方をちょっと聞いておきたいと思います。
○岩崎政府委員 先ほど申し上げましたように、先生御指摘の点は確かにございますが、それに対応するやり方として、専修課程の場合、高等学校の者はそれだけ学力を身につけているわけでございますので、そこで専修課程については、高等学校卒は半年のコース、それから中卒については一年のコース、これは高等学校で三年間基礎学科をやっているわけでございますけれども、実際に技能を身につけるということが訓練校の趣旨でございますので、中卒の者は一年、高卒の者は半年という仕分けをして併設をするということが専修訓練課程の場合でございますけれども、それから高等訓練課程につきましては、中卒の場合は二年、それから高卒の場合は一年という、やはり同じような趣旨で区分けをしておるわけでございます。 それから、学科につきましては、両方とも同じ訓練コースを設けているものもありますが、高等学校卒の者にふさわしいような訓練科目を、特に総合高等訓練校においては主体としてとっておりますし、それから訓練指導員につきましても、必要な場合には再訓練をして、高等課程を訓練するにふさわしい能力を付与するというようなことで従来は対応してまいっておるわけでございます。
○石田国務大臣 最初の昭和三十三年の法制といえば、やはり私が労働大臣としてやったものでありますが、いま資本の要請というお言葉がございましたけれども、昭和三十二年という年は、いまと同じように、やはり雇用問題が非常に重要な年でありました。特に農家の二、三男の就職問題というものが非常に重要な年、農家の二、三男の人たちに有利な就職条件を与えるためには、どうしても技能を身につけさせたい、そういう状態でした。昭和三十二年という年は、まだ高度成長というよりは、ようやく日本経済が戦前の水準に戻った時代でありました。技能労働の不足というものがやや顕在化しつつあるというような程度の時代であったことをひとつ御了解いただきたいと思います。
○村山(富)委員 昭和三十二年ころの経済の実態というものを考えた場合に、そういう要請もあったと思いますけれども、しかし、この職業訓練校が本格的に動き出したのは、やはり高度成長と見合ってどうして不足する技能労働者を養成し、確保していくかという要請があったと思うのです。それは紛れもない事実だと思うんですよ。 そこで、どういうふうに変わったかと申しますと、さっきから言いますように、中卒は生徒数が減ってもう生徒がなくなった、そこで高卒を入れる、しかし、それじゃいかぬので、やはりもう少し魅力を与える必要があるというので、中卒で職業訓練校に入った者に何とかして高等学校卒の資格を与えるようにしたいというので、連携教育を考えて、そして定時制やら通信教育やら何かを持ち込んできて、少し魅力を与えるような工夫もしてきておるわけです。そういう変遷をしてきているわけでしょう。だけれども、実態は一つも変わっていないんですよ。実態というのは、機関が変わっていないわけでしょう。さっきから何回も言っていますように、専修訓練校という学校は、たとえば先生もかわらなければ、施設も変わらなければ、機械も変わらなければ、ただ入ってくる生徒が変わってきておるだけで、実態は変わっていないわけですから、相当の混乱が実際はあったと私は思うのです。 そこで、話はちょっと進みますけれども、今度はたとえば能力開発事業で、こういう不況になってきたので中高年層が転職に困るというので、中高年を対象に能力開発をやろうということで訓練をやるというのでしょう。さらに今度の雇用保険法の改正案の中にもありますけれども、在職者が在職中に企業が縮小されたり、あるいは転職をせられたりなにかしている者に対して、成人訓練というのですか、何かをやろう、こういうふうにいろいろ対象が変わってくるわけでしょう。対象が変わってくるけれども、受け入れる訓練機関というのは一つも変わらないわけです。そこで私は、やはり混乱が起こるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどういうふうに考えておりますか。
○岩崎政府委員 先ほどおっしゃいました専修訓練から高等訓練課程に変わります経過においては、もちろん高等訓練課程にふさわしい機械設備等を整え、かつ、先ほども申し上げましたが、指導員の資質も、再訓練等によって向上させているという努力は従来もしてまいっておるわけでございまして、先生のおっしゃいます学校の建物そのものは同じかもしれませんが、中身として、設備ないし訓練内容、さらに指導員の資質というようなものの充実向上については努力をしつつやってきておるわけでございます。 今後考えられますことは、現在もうすでにやっておりますが、いまおっしゃいました能力再開発につきましても、これの需要を的確に把握して、それに対応するような訓練科目あるいは訓練のやり方、それから訓練の設備ないし指導員の資質というようなものについては、現在も若干はやっておりますけれども、今後大いに努力をしてやっていかなければならないということは、私どもも痛切に感じております。
○村山(富)委員 今後やっていかなければならぬことは、痛切に感ずるというだけじゃなくて、私は、いままでの過程から考えてみても一なぜいままでの過程を若干お話し申し上げたかと申しますと、これは繰り返しになりますからくどくど申しませんけれども、専修訓練校は中卒を対象に設置された、ところが高校進学率が高まって中卒の生徒が対象が少なくなった、生徒が集まらぬ、それでも高等学校の資格を何とかとれるようなものにしていこうというので連携教育も考えた、だけれども、絶対数が減っていくわけですから、生徒が集まらぬ、そこで高卒を受け入れるということに変わってきたわけですよ。ところが、さっき言いましたように、中卒と高卒を混成して教育をされるというので、それは若干中身の改善や工夫はしたかもしれませんけれども、しかし、これは金が伴いますから、そう簡単にはできないのです。その指導員を変えるわけにいきませんしね。そういうむずかしい問題を抱えながらいままでずっと来ているわけですよ。しかも、その訓練校を取り巻く客観的な情勢、経済変動というものはどんどん変わってくるわけですからね。技術も革新されていく、そういう時代の変化にやはり機敏に対応し切るだけのものが学校にはないわけですよ。そこで学校自体に魅力がなくなる、生徒は集まらなくなる。恐らく全国の専修訓練校で定数に満ちているのは少ないと私は思うのです。ほとんど定数を割っていると思います。言うならば、そういうものがやはり置き去りにされてきている。 そういう状況にあるにもかかわらず、そこにまた今度は中高年が入ってくる。中高年になりますと、これはもう学歴はいろいろです。大学卒業者もおるでしょう。そういう受け入れる対象はどんどん変わってきているわけですよ。ところが、その受け入れる方の受けざらは旧態依然として余り変わらない、こういうところに私は一番大きな問題がこれから出てくるのではないかというように思いますが、そういう点はどういうふうに考えておりますかと聞いているのです。
○岩崎政府委員 時代の変遷の要請に伴いまして、確かに学校自体にも主体的な条件がございますので十分と言えないのかもしれませんけれども、私ども従来のペースでは、全国の訓練校に、従来の訓練科目を、新たな要請に伴って変えていくというような努力は、毎年六十科目くらいについてはやってきております。 ただ、一言御理解をいただきたいのは、やはり産業構造全体の変遷の大きな流れの中におきましても、絶対に基礎的に必要な技能というものは変わらないものがあるわけでございまして、そういった技能職種につきましては軽々に変えるということはできない。ただ、おっしゃいますとおり、現在の高学歴志向、それから技能労働者の希望者というものが減ってまいりますために、技能労働者の絶対的不足というのは、最近の調査におきましても、各産業界から八十万人ぐらいの不足を訴えられておるわけでございますが、それに対応する技能労働者たらんとする新卒の人たちがその一番必要な科目に入ってきてくれないというような問題が一つあることは確かでございます。 それから、中高年の方々の転職ないし再就職のための訓練と申しますと、これは勢いそのときどきの需要に応じ、かつ中高年の方々が基礎的な技能から全部マスターするというようなことが可能でないものもございますので、そのときどきの需要に応じて訓練科目ないし訓練コースというものを編成する努力をしてまいっておるわけでございます。
○村山(富)委員 五十一年六月三日に中央職業訓練審議会から労働大臣に答申されている「職業訓練基本計画」についての答申がありますね、この中に「職業訓練の現状と今後の技能労働力需給の動向」この「職業訓練の現状」の中にこういうことが書かれております。「しかし、職業訓練の現状には解決すべき問題も少なからずあり、特に重要なものとして、次の五つが指摘される。第一に養成訓練については、第一次計画において公共職業訓練における養成訓練のかなりの拡大を目標としたが、増加の期待された高校卒業者の入校がさほどには伸びず、全体として公共職業訓練施設の入校者数が伸び悩んだ。これは、とくに計画期間の前半に、労働力需給のひっぱくが著しかったためもあって、新規学卒者のうち職業訓練校に入らず直接就職したものが増加したこと、公共職業訓練校が訓練内容、訓練科の設定、施設設備等の面で高校卒業者に対する魅力が十分でなかったこと等によるものと考えられる。」さらに第二として「未だ量質ともに不十分にとどまった。その原因は、訓練ニーズの把握の面と、これに応じた訓練科の整備等について十分でなかった点があり、的確な実施体制が確立されていなかったためと考えられる。」これは私がいままで申し上げたことを言っていると思うのです。こういうところに私はやはりいまの職業訓練機関の問題があるのではないかと思う。 実際に実情をいろいろ聞いてみますと、たとえば時代の要請が変わった、入ってくる生徒も変わった、しかし、いままで指導員としておった人をすぐ変えるというわけにはいかぬ、新しい指導員が来るわけじゃないし、いまおる指導員をどうするかという問題も起こってくる。ですから、人の面と財政の面とでもうどうにもならぬ、こういう現状に実際には置かれているのです。 だから、あなた方は中央でいろいろこういう文章をつくって考えてお話があるけれども、しかしそのお話が、それなら実際のその現場における具体的な面においてはどういうふうに効果を上げてきたのかということを検討してみますと、それにはいろいろ問題点があるわけです。 ですから、せっかく雇用保険法なんかをつくつて、給付金まで出していろいろやっていこうという段階ですから、それを効果あらしめるためには、いまの職業訓練機関のあり方というものをもっと検討し直す必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その点はどうですか。
○岩崎政府委員 現状において、従来以上に先生が御指摘のような点があることは私ども十分認識しております。それから訓練計画に書かれておりますものも、まさにそのようなことを指摘し、昨年から五カ年間の私どもに対する努力目標を指示して御答申をいただいておるわけでございますので、これらを踏まえまして、私どもできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
○村山(富)委員 大臣、いままで応答を聞いていましておわかりいただけると思いますが、特に地方自治体がやっている訓練校というものは、やはり財政的にも限界がありますし、それから人の動きについてもいろいろ厳しい条件があります。ですから、時代の変化に対応して機敏に訓練教科を変えていこうとか、あるいは教育のシステムを変えていこうとかいったって、なかなかできにくい要因があるわけですよ。 しかも、さっきからお話し申し上げておりますように、入ってくる対象は中卒から高卒になり、今度は中高年が入ってくる。そしてその訓練のねらう対象も、養成訓練から能力開発からあるいは成人訓練から、多種多様に出てくるわけですよ。そういうものに十分対応し切るだけの訓練機関になっておらないというところに一番問題があるのではないかと私は思うのです。そういう点は今後大臣としてはどういうふうにお考えなのか。 この訓練機関というものが社会的に果たす役割りは本当に大きいという点から考えれば、もう少し労働省が金もつぎ込む、人材も養成する、指導員もつくるというぐらいの心構えでやってもらわないと、形だけできたって内容が伴わなければ何にもならぬわけですから、そういう点についてどういうようにお考えか承ります。
○石田国務大臣 三十三年の法制定以後、一方において高度の経済の成長はありましたけれども、他面においてやはり産業構造の変化というものがあって、職業転換の必要がかなり大きく生じてまいりました。特に石炭産業その他において顕著であったわけです。したがって、そのころから中高年齢層におけるいわゆる転職訓練というものも重点を置いてきたわけでありますが、確かに中卒だけで職業戦線に出るという人はうんと少なくなった。一方、東京都あたりでは一七%ぐらい大学卒業生が訓練校に入ってくるようになりました。それから技術も確かに進歩し、変化してきた。これに対応するために指導員の養成ということは重要であり……(「職業訓練大学」と呼ぶ者あり)あるいは機械その他の施設の充実が必要になった。 そこで、いまお話がありましたように、職業訓練大学校をつくり、あるいは短期大学をつくって指導員の養成に努めてまいりましたし、財政的にも二分の一補助を実施してきたわけであります。しかし世の中の動き、さらにまた、最近著しくなってまいりました経済の安定成長に伴う産業構造の変化、それから、いわゆる職業転換のための訓練の必要性、そういうようなものに対応するような訓練課程の変更あるいはカリキュラムの作成あるいはまた施設、教員等の充実、そういうものを積極的に進めてまいらなければならぬ、いままでどおりの惰性的な継続ではいけない、そういう観点から、時代に対応し得られるような対策を講じたいと思っておる次第でございます。
○村山(富)委員 私は、やはりこれだけ雇用不安が増大して、そしてそれぞれのニードに応じた対応をしていかなければならぬ、しかも、それが社会的、経済的に果たす機能というものは、実際に効果を上げれば大変大きなものがあると思うのです。それが労働省の中でどれくらい訓練機関というものが必要なのか、そしてそのための行政の強化を図っているのかということを考えた場合に、私は、地方のこの機関を見たって、さびしいものがあるんじゃないかと思うのです。こういう時代であればあるだけに、その必要度というのは大変高いわけですから、したがって、それに十分こたえ得るだけの行政面からの強化を図っていくということも大変必要だと思いますから、今後一層の皆さん方の御努力を期待して私の質問を終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 渋沢利久君。
○渋沢委員 ここ数年来の不況状況の中で、いま雇用の問題が労働問題の主要な課題になっておりますように、とりわけ不況状況と言われる中で、企業努力によって困難を乗り切ろうという対応とは別に、比較的安易に被使用者、労働者の側に犠牲を押しつけて困難を乗り切るという傾向も少なくない。雇用あるいは不況克服ということを材料にして弱い国民あるいは労働者の側にいろんなしわ寄せが集まっているということの中で、きょうは特に障害者雇用問題についてだけお尋ねをしたいと思うわけです。 こういう不況状況、雇用の問題が深刻な中で、それでなくても差別を受けざるを得ないいまの社会状況の中で、真っ先に影響を受けるのではないかと思うわけです。昨年障害者の雇用促進法の改正が行われて、これは内容的にはかなり前向きに是正されたというようになって結構なんですけれども、労働省は、こういう一般的な状況の中で、昨年の法改正を踏まえて深刻な障害者雇用というものについてどれだけ積極的な取り組みをしておられるかということをただしたいと思うのです。 そこで、最初に幾つかお尋ねをしておきたいと思うのですが、最近の企業の雇用率達成へ向けての努力やその趨勢をどういうふうにとらえておられるか、最初にその点を伺いたいと思います。
○北川政府委員 身体障害者の方は、われわれの把握ですと大体百二万でございます。そのうち現在就業しておられる方が五十五万いらっしゃいます。したがいまして、残りの約四十五万の方が未就業でございますが、この未就業の方のうちで求職活動をしておられるのが七万三千ということでございます。 なお、健常者の就業率と比べますと、身体障害者の場合が約四五%に対しまして健常者が六五%、いま先生御指摘のように、やはり身体障害者の雇用の促進が進んでおらない、こういう点に着目をいたしまして、昨年十月から身体障害者雇用促進法の改正をいたしまして、雇用率を法定義務化いたしまして、それが達成できない企業については納付金を納めていただく、こういう制度にしたわけでございます。 最近の雇用率達成の状況でございますけれども、一番最近の調査から、五十年の十月十日現在で把握をいたしておりますが、民間と官公庁に分けまして、純粋民間企業につきましては、調査事業所は約四万六千事業所でございますけれども、全体の平均雇用率は一・三六でございます。これは、まだ旧法の当時の雇用率でございますので、旧法が一・三でございますので、平均いたしますと一・三六で平均的に達成をしている。ただ、事業所の中に達成しておらないところと達成しているところとございますので、達成をしておる企業の比率は、純粋民間企業の場合は六七・三%、こういう比率になっております。 ただ、御承知のように今回の法律改正で民間の雇用率を一・五に上げておりますから、いま申し上げましたのは、前の旧法の一・三の場合の達成率でございます。 それで、同じような観点で官公庁の非現業機関の雇用の達成状況でございますけれども……
○渋沢委員 それは後でいいです。 ちょっとデータが古いということもあるし、ちょっと甘いんじゃないかと思うのです。どうして甘いのかということの詰めに議論をする余裕もありませんけれども、いま私が見ております資料の中で言いますと、ある団体がアンケートをとって、特に去年、おととしですか、労働省の方で未達成企業の公表というのをやりましたね、その中で特に東京の企業にしぼって七十五企業を対象にして詳細なアンケート調査を行っており、それに対して回答を寄せているのが十六企業、二一%です。八〇%はノーコメント。内容的に見ますと、十六企業はそれぞれさすがに積極的な努力をしている態様が明らかに細かく出ておりますけれども、後はノーコメントである、こういう状況がある。 後でちょっとお話ししますが、自治体ですらかなりひどい状況ですね。東京なんかも、調べてみますと、ひどい状況です。ですから、これは政府の努力にもかかわらず、実際の企業の中での状況というのははかばかしく進んでいない。よほど思い切った同省の指導を強化していただかぬと、法改正の趣旨が生かされぬのじゃないかという心配を持っているのですけれども、どうでしょう。
○北川政府委員 私がいま申し上げました資料は一昨年の十月一日のでございますから、法制定後の実態については、この六月一日に新法に基づきます雇用状況の報告が出てまいりますので、それで明確になると思います。 ただ、いま先生がおっしゃいましたデータにつきましては、私たちも、新聞報道等で東京都の特定団体の調査した結果を知っておりますが、ただ、民間の任意団体がやりましたものと、私たちの公的機関の一昨年の十月時点の調査が余りに差がありますので、その点私たちもやや疑念を持っておりますが、私たちは、先ほど申しました十月一日について、純民間について言いますと、達成しておる事業所二万四千九百二十九事業所から達成の状況の報告が来ております。未達成につきましても、一万二千百十九と非常に明確な数字で参っておりますので、先生のおっしゃるように、そう不確かな数字ではないと思っております。
○渋沢委員 そこで、お話がありました納付金制度による達成企業に対する補助、助成、これは具体的にはどういう形で実施されるのか、簡潔に。
○北川政府委員 財源といたしましては、未達成事業所で三百人以上の企業から、一人につきまして月三万円の納付金を徴収いたしまして、それを達成事業所に対し、調整金といたしまして、達成率以上雇用の身体障害者一人当たり一万四千円の調整金を支給することにいたしております。なお、三百人以下の中小企業につきまして、達成しておるところには八千円の報奨金を支払う、こう考えております。
○渋沢委員 いろいろな資料によりましても、一つの問題は、雇用率達成といいましても、障害者雇用の中で紛れもなく出ている一つのデータは、非常に短期で、つまり長もちしないという状況があるんですね。これは障害者の側に問題があるというよりは、むしろ実は周りの条件、理解が、せっかく与えられた職場で長く定着させるという状況にない。それから障害の程度にもよりますけれども、一定の施設をしてやらないと、実際にはせっかくある能力が発揮できない。やる側からいうと大変なことなんですけれども、しかし、もし法の趣旨と行政のねらいがまともなものなら、そこまで手を加えていくということがなくて、いまおっしゃった内容だけで、いわば役所はふところを痛めずに納付金を回してこれで障害者の雇用は十分だ、こう胸張っておっしゃるわけにいかない。非常に短期に雇用状況があるということに重大な問題がありはせぬか。そうすると、工場でも役所の自治体の場合でも同様ですけれども、それぞれの障害に見合った一定の施設が必要なわけですが、そういう配慮がないというところに問題があるのじゃないか。そこまで具体的にお考えがあればひとつ聞かしていただきたい。
○北川政府委員 私は、いま納付金に限定をしてお答え申し上げましたが、答弁がやや不十分だったと思います。 先生御指摘のように、身体障害者がその職場に定着するためには、その職場における身体障害者に対する理解度の深化ということ、それからもう一つ、物的にはやはり施設で身体障害者が働きやすい環境づくりをする、この二つが大変大事だと思います。 それで、後の方の施設の改善につきましては、まず施設の融資をいろいろやっておりますが、具体的にいいますと、モデル工場、これは五〇%以上で十人以上を雇用する中小企業に対しまして、限度額一億五千万円で施設の改善、それの利息としましては中小企業の場合は四・六%、大企業の場合は七・五%の利率で貸し付けをやっております。そのほか一般の、モデル工場でない身体障害者を雇用しておる事業所につきましても、雇用促進融資制度を行っておりますし、住宅その他につきましても同様融資の対象にいたしております。それからまた、身体障害者を多数雇用しておられる企業に対しましては、企業に対する資産の減価償却等の税制上の優遇措置をいたしておる等々、施設につきましても働きやすい環境をつくるべくいろいろの助成はいたしておるところでございます。 それからなお、先ほど納付金の使い道で報奨金と調整金だけを申し上げましたけれども、納付金につきましては、やはり施設の助成についても財源に余裕が出れば積極的に行うことを計画いたしております。
○渋沢委員 私は、何もやってないと言っておるわけじゃない。ただ不十分なんですね。さっき指摘したような問題があるし、現に障害者の諸君からも痛切な要求が出ているわけです。だから、あれもやっている、これもやっているとおっしゃる、そのおっしゃる立場はわかるから、やっていないとは言わないけれども、きわめて不十分だと思うのです。 ですから、ぜひそこまでこれはもっと積極的な施策をやってほしいということを申し上げておかなければならぬと思うのですが、さて自治体、政府各省の新たな達成状況はどうなっているか、ちょっと概略お話し願いたい。
○北川政府委員 これも一昨年の十月一日の時点の調査しかございませんけれども、まず非現業機関につきましては一・七二%の雇用率の現状でございます。それから現業機関につきましては一・七%の状況になっております。 これを国と都道府県に分けて申し上げますと、国の場合に非現業機関が一・八七、現業機関が一・七三、都道府県の場合には非現業機関が一・八九、現業機関が一・八〇ということで、マクロ的な平均としましては、当時の身体障害者雇用促進法で定めております法定雇用率を一応達成しておる、こういう状況になっております。
○渋沢委員 まあトータルで言うと、いまのような話になるのだけれども、個々に見るとひどいところもあるわけですね。もちろんそれは理由もあることだと思いますけれども、しかし法の精神からいっても、国や自治体が企業、事業主に対して障害者雇用の責任を果たすように必要な措置を講ずるということになっておるわけですね。そういう立場の国や自治体が、あるいは自治体においてもし不十分なものがあるとすれば、国の指導責任といいますか、協力の責任を含めてこれは問題になるわけです。平均でおっしゃったけれども、各省のアンバランスもあるし、政府自体が責任を果たしておらないという事実については、やはり責任を果たしてもらうようにそこをやってもらうのが労働省の責任だろうと思うのです。これはしかとお願いをしておきたい。これからも委員会でいろいろ質問、発言の機会があろうと思いますが、私は、できれば一分間でも、いまどうですか、そういうことを尋ねるようにしていきたいなと思っているほどなんですが、ぜひそういう努力をしてほしいと思うのです。 自治体の状況については、私の承知している範囲では大変芳しくないのですが、どうしてそういうことになっているというふうに判断しておられますか。
○北川政府委員 国の機関についても、先生おっしゃいますように、マクロの平均とは別に、個別の官庁では未達成の事業所があることは事実でございます。いまの先生のお言葉もありますように、これから労働省としましては、機会あるごとに積極的に国が率先して雇用率を達成するようにということで、関係各省の御協力を得べく努力をいたしたいと思います。 それから、地方自治体につきまして、私の方は五十年の調査はそう個別の市町村についてとっておりませんので、余り明確な御返事ができませんけれども、これも趨勢的に言いますと、都道府県段階と市町村段階を分けますと、マクロ的には市町村段階の方がやや達成率がいいように私ども把握をいたしておりまして、むしろ都道府県段階がやや低い、こういう状況でございます。 ただ、これにつきましては、都道府県の公営事業その他が含まれております部面についての区分けが十分でございませんので、本年の六月一日の調査の際には、その点を明確に区分をいたしまして実態を把握して、これについても適確な指導をいたしたいと思っております。
○渋沢委員 具体的な施策の中で、職業訓練校が障害者の再起にとって非常に重要な位置づけ、役割りを果たしてほしい、こういう願いの中で精薄者の職業訓練校というものがない。そこで、こういうものが考えられるか、これをぜひ欲しいという要求がありますが、何か検討されておりましょうか。
○岩崎政府委員 精神薄弱者の方々についての職業訓練というのは、身体障害者の方々とはまた別に非常にむずかしい問題がいろいろあります。現在訓練をいたしております訓練校といたしましては、愛知県立の春日台の職業訓練校、これが二百人を定員といたしまして精薄者を対象に職業訓練をやっておりますけれども、その中で具体的な成果、それから、そこに出てまいりますいろいろな問題点というようなものを十分検討しながら、私ども訓練科目あるいは訓練のやり方、その他の問題につきまして、いわば先行的に現在検討してその後に対応していきたい、このように現時点で考えております。
○渋沢委員 これはぜひ積極的に検討してほしい。いまの御答弁では、必ずしも障害者の立場から見た職業訓練施設として満足のできる内容ではありません。これはぜひ積極的に検討してほしいということを申し上げておきたいと思うのです。 そこで、いま一つお尋ねしておきたいのは、最低賃金法の八条、適用除外の中にこの身体障害者というものがあるわけですが、これが実は一つの問題だと思っているわけです。 最賃法というのは、すべての働く人たちの最低賃金を保障して、そうして不当な低賃金を押しつけるという構造を、この法律によって歯どめをかけていく、こういう法律の精神からいって、障害者は別だよ、最賃法にとって障害者は関係ないよ、こういう位置づけをされているのは、大変不当ではないだろうかと思うのです。そうしてこの法律条項のために、それでなくても賃金差別を受けがちな、あるいは雇用における不当な差別を受けがちな障害者にとって、現実に超低賃金を押しつけられている、こういう事実がたくさんございます。 これは深刻な事態だと私は思っているわけですが、法律の条項を変えればよくなるというものじゃありませんけれども、しかし障害者雇用ということがこれだけ問題になり、法律もでき、さらにそれを強めていかなければならぬというときに、最低賃金法にこういう条項が存在するということは大変問題だと思っておりますが、いかがでしょう。
○桑原政府委員 御指摘の最賃法の八条に適用除外の制度が設けられております趣旨は、私ども承知しておりますのは、心身障害者の方の雇用の場を著しく狭めてはならないというような趣旨から設けられております。こういう制度は諸外国でも、先進諸国でも見られている制度でございます。 それから私どもは、この運用につきましては、相当厳格に、厳しく運用していこう、こういうふうに考えております。あくまでも心身障害者の残存能力を高めながら労働能力を発揮していただくというのが大前提でございます。中には、レアケースとして、障害の程度が非常に著しくて業務の遂行に非常に支障があるという場合に限って、個別的に都道府県基準局長が個別認可をしていくということで、その運用については厳格に運用するように、こういうふうにいたしております。今後ともこの適用除外につきましては、心身障害者の保護に欠けることがないように、最善の指導をしてまいりたいと考えております。
○渋沢委員 賃金一般について言えば、さまざまな条件に対応した賃金の体系があると思うのだけれども、最低賃金という思想は、雇用という形の中で人間が働く上でこれ以上低い水準はあってはならないという、そういう規範を定めようとするものであるわけでしょう。そういうことの中で、それは確かに現実に障害者ということで一定の賃金の中で格差、差別を受けざるを得ないという状況がありますが、最低賃金というのは、これはやはり障害者を外すという思想に立ってはならぬ。障害者の雇用のためにとおっしゃるけれども、これは通らない理屈じゃないだろうか。そのことによって、画一的に最賃というものを制度化することによって起こる雇用の問題の障害があれば、それは障害者雇用促進法の中でそれを補う、法律的にも実質的にも補っていくというような対応がされてしかるべきであって、最賃法の中にこういう条項があるということは、私は、大変目ざわりであるというだけでなしに、現実にこれが東京で——私は、東京の下町に住んでおりますが、事実を申し上げておきます。 パートで何時間働いた話じゃなくて、ちゃんと雇用されて働いておって、障害者ということが理由で四万円以下の賃金を受けているというような実例が幾つも出て、いまひどいじゃないかということが問題になっていますけれども、ちょっと実情の把握が、皆さんはどうも雲の上で労働行政をいじくっていらっしゃって、本当のことをわかっていらっしゃらないんじゃないでしょうか。障害者雇用のためにこれがあるなんということは、現実は通っていないですよ。どうお考えでしょう。
○桑原政府委員 私ども最低賃金の適用除外をいたします場合は、あくまでも通常の方と違いまして、著しく労働能力が落ちるという場合もやはりケースとしてあるわけでございます。そういう方たちに具体的な最賃を適用した場合に、そういった方が働きたいという場を狭めるということは現実にあろうかと思いますが、私どもは、あくまでも身体障害者であるからといってこの許可をするつもりはございません。あくまでもケース、ケースによって、その方がいろいろな事情で労働能力が非常に低いという場合に限って許可をいたしております。したがって、身体障害者から申しますと、その型の件数は非常に少ない、このように思うのでございます。
○渋沢委員 それは全く事実認識が違うんです。そういう程度の対応であるならば、機会を見て、私も具体的に事実を示してこの点は厳しく再検討を求めたいというふうに思うのです。 最後に、労働大臣にぜひお尋ねをしておきたいと思うのですが、いまの最賃法の条項にも触れる共通の課題ですが、たとえば国家公務員法の七十八条ですね、ここなどにも「その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。」ということがあるわけです。「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」公務員に奉職をして以後、思わざる事故のためにこういう障害が発生するということ、これはもう幾らでもあり得ることですね。実際には、この条項はあるけれども、それが直ちに降任、免職がばっさり、ばっさりやられているというふうに私も申し上げるわけではない。運用の面ではそれは適切な処置がされているであろうと期待をするのだが、しかし現実に、国が国の責任で障害者の雇用を促進しよう、そして企業に一定の雇用率を義務づけようというそういうときに、国家公務員法にかような条項が存在することは、これは大変目ざわりである。こういうようなものはやはり変えていかないと、すべての規範の中でこういう身障者差別の感覚を一てきするということをおやりにならぬと、石田労政のせっかくの存在にこれは傷をつけることになるのではないか。この際、やはり総点検を願う必要があるのではないだろうか。そして時の流れ、好、不況のいかんにかかわらず、この身障者の生活というものを、雇用というものを中心にして労働省はもっと責任を果たす能勢、施策を強化してほしいというときですから、ぜひ大臣にもこういう条項を再検討するということをお考えいただきたい。先ほど来、私も幾つか細かいことで申し上げましたけれども、そういうことに関連をして、ひとつ障害者雇用に対する大臣の強い決意とお考えを最後に求めたいと思います。
○石田国務大臣 これは私ごとをちょっと申し上げるようですが、私は、若いとき精神薄弱児の施設を手伝っておったことがあります。そのころは、みんなそういう人を持っている人は家の中に隠す、表になるべく出すまいとする時代でありました。しかし、その残存能力をただ施設の中へ入れておくということだけではいけないというので、私どもも、やはり仕事を覚えさせる、特に農業がそのころ一番簡単に考えられたものでありますから、そういう指導を手伝っていたことがございます。そういう経験もございますので、ハンディキャップを背負った人たちの雇用確保というものについては、人一倍関心を持っておるつもりでございます。 いま御指摘の最低賃金法第八条の問題ですが、最低賃金制については、いま全体として見直しをやっておる最中で、その中でいまの課題も取り上げられるべきものだと思うのです。ただ、非常にデリケートなことは、こういう条件なら雇用するけれども、それ以上ならばやめておこうと言われる場合がある、そういうこととの兼ね合いを考えなければならぬようにも思います。 それから、国家公務員法の場合は、これは全くないとは言えませんけれども、五十一年度で私が聞いているところによりますと、四件だけあって、それも精神障害が原因だそうであります。やはり公務員という職務から考えて、そういう場合、本人の納得を得ると申しましても、本人が精神障害を生じた場合はなかなかむずかしいのでありますので、これはやはりそういう点も配慮しなければならぬのじゃないか。いわゆる職責を確保するという点を配慮しなければならぬのじゃないかと思います。 ただ、確かに法律の文章を読みますと、私も、ちょっと妙な違和感を感ずることは事実であります。ただ、現実に対する最小限の配慮、保障というものを考えると、やはり国家公務員法の場合は、運用は無論厳格にしなければなりませんけれども、職務の適正な遂行を確保するという点も配慮しなければならぬのじゃないか、こう考えております。
○渋沢委員 国家公務員の問題についても、事実、これはもう公務員としての職責を果たしがたい、その責任を逸脱する行動が存在すれば、何もこんなものを残しておかぬでもそれは対応し得るわけであって、これは差別条項と私には映るわけです。事実、適用する例がほとんどないというなら、いっそのこと、これは大臣が言われたように、ひとつぜひ思い切って変えていくように御検討願いたいと思う。 最賃法の問題についても同様であります。一たん決めたものを変えたくないということがあっていろいろおっしゃるけれども、現実には、最賃法の中ですら障害者はその枠外だ、こういう法律の条項が現実に、それでなくても大きなひずみ、しわ寄せを受けている障害者の雇用の問題に逆に大きな障害になっているという面があるわけですから、これを外すことによって起こる障害者の雇用問題については別途対応するということが筋であって、最賃法の中の、障害者は対象外だ、この発想は問題だということになって、いまも大臣から、いろいろ問題はあるけれども、ぜひ前向きに検討していくという話を承りましたが、ぜひひとつこれは早期に解決をしてほしいということを強く求めて、私の質問を終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋委員 私は、労災法に関連した問題を取り上げたいと思っておりますが、その前に定年延長について若干触れてみたいと思います。 このように長期の不況下で、御承知のとおりに企業は次々と倒産をして失業者もそれにならって続出しているわけでございますが、中でも一番しわ寄せを受けているのが中高年齢者あるいは身体障害者の方々であろう。こうした中高年齢者や身体障害者の雇用、失業問題は、かねてから論議されておりますので、私はこの場では申し上げませんが、特にこの中高年齢者を大きく守っていくためには定年延長が必要ではなかろうか。定年六十歳という言葉はもう早くから叫ばれてきて、かなりその効果も上がりつつあるわけでございますが、まだまだその域にまで達していない。特に中小企業の方は、それでもかなり積極的に六十歳までの延長に取り組んでいるように見えますが、大企業の方は、依然として消極姿勢である。このような不況下になりますと、定年制を盾にとりまして容赦なく退職させてしまう。一たん退職した中高年齢者は再就職がほとんどできない、あるいはその機会が非常に厳しい。これは御承知のとおりでございますが、せめて私は、定年六十歳というのを、ある意味では法律で縛るぐらいの強い姿勢で行政指導をしてもらいたいという気持ちを持っているわけでございますが、これに対する大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○石田国務大臣 現在の五十五歳定年というのは、明治時代にスタートを切った制度でありまして、そのころの日本人の平均寿命は五十歳に達しない、四十四、五歳がせいぜいという時代、そのときにできた五十五歳定年制が、平均寿命が七十をは翻るかに超えている時代に残存していること自体が私はおかしいと思います。雇用政策の基本は、雇用と社会保障とが連係するということであります。 そこで、厚生年金の給付の始まる六十歳をまず第一段階の目標として、六十歳の定年制を目指すべく各種の施策を講じておるわけでありますが、現在の段階では依然として五十五歳定年というのをとっているのが全企業の約半分くらい、それから六十歳の定年にしておるところが三十数%、残りがその間、こういう状態である。できるだけ早く六十歳定年制に近づける。また、いま御指摘のように大企業の場合は依然として二〇%にまだ届いておりません。これは子会社その他へ移す可能性があることも一つの理由だと思います。 そこで、これを法規制することの可否でありますが、一方においては、人事管理体系が縦の線でそういうぐあいにできておりまして、長い間の人事管理体制、それからもう一つは、やはり賃金原資の分配の問題、こういう長い習慣からでき上がっておりますものを順次改めていくという指導をしてまいりませんと、一遍に法改正をしますと、そこで管理体系が非常に混乱をいたします。逆に申しますと、若い人の士気を阻喪するという影響も考えられる。 そこで、実際上定年延長にふさわしいような六十歳定年に現実に対応していけるようにするために、各企業でいろいろな工夫を始めております。たとえば交通公社などでは、自分のところの仕事を中高年齢層でもやれる仕事とそうでないものに分けまして、中高年者でやれる仕事の部門を別会社にしましてやっている。あるいは日立造船あたりでは、単能工を複能工に訓練し直しておる。いろいろな事例を私ども調べてもおりますが、そういう企業者側で社会的責任を感じて中高年齢層の就職問題に努力をしていく、その努力がしやすいような、あるいは努力に対応できるような奨励策を講じてまいりたいと考えておる次第であります。
○大橋委員 いま大臣おっしゃったように、平均寿命も大きく伸びた現在、言うならば五十、六十は実質的には働き盛りだと言われるような労働環境にあろうかと思います。いま大臣がおっしゃったような諸条件があるので、一挙に法で縛ることはまだ無理だろう、しかしながら、六十歳定年ということは時代の要請である、だから労働省としても、それに対応して、積極的にその方向で行政指導をしていくのだ、このような理解をしてよろしいですか。
○石田国務大臣 そのとおりでございまして、中高年齢層の就職、雇用問題というのは、私は、今度労働省へ参りましたのは四度目でありますが、今度の労働政策の基本的な課題の一つと考えて取り組んでおるつもりでございます。
○大橋委員 石田労働大臣は、特に労働行政には実力を持たれている方であることを十分われわれも承知をいたしておりますし、その点大きく期待をいたしておりますので、確かに定年延長については目覚ましい前進があったと言われるような状況をつくり出していただきたいことを強く要望しておきます。 それでは、労災保険法に関係した問題に移りますが、御承知のように、昨年の五月労災法の大改正をいたしたわけでございます。傷病補償年金の新設だとかスライド制の改善、いわゆるボーナス支給金の新設等で年金受給者に対する給付の改善、あるいはまた倒産企業労働者の未払い賃金の立てかえ払い事業の実施、そのほか労働福祉事業の新設など大変な改正を行いまして、全党一致でこれは成立をしたわけですが、きょう言わんとするところは、せっかくこのような改正がなされましても、その運用面においてその法律の趣旨が生かされていなければこれは無意味であるということで、私は、若干の疑問点をお尋ねするわけです。 と申しますのは、改正の主要事項はこの四月から実施されようとしているわけですね。特に問題になるのは傷病補償年金についてでございますが、これは一級から三級に分かれておりまして、当然それに該当するかしないかは症状の調査等が行われるわけでございます。脊損患者だとかじん肺患者のように明確にその症状がはっきりしている方々については、この法改正に対して大変な評価をいただいているわけでございますが、その中間と申しましょうか、頸肩腕症候群あるいは腰痛症、むち打ち症等々の患者の方々からは、従来の長期傷病給付との関係やあるいは解雇制限の関係性など種々疑問、不安が表明されてきたわけです。 したがいまして、前回の審議の際にも、そうした関係者の声を生かして、附帯決議まで付したわけでございます。たとえば政府は「傷病補償年金制度の運用に当たっては、特に頸肩腕症候群、むち打ち症、腰痛症等の職業性疾病患者の療養の実情に即して、適切に行うよう努めること。」と、このように附帯決議まで付したわけでございます。あの五月から今日まで、もう十カ月も経過したわけでございますが、いま申し上げました方々の不安あるいは疑問というものはなお解けていないようでございます。 と申しますのは、その運用面については政令省令事項にかなりゆだねられているということから、そういう疑問が出てきたわけでございますが、申し上げるまでもなく、これら頸肩腕、むち打ち症あるいは腰痛症等の職業病の特異性によりまして長期にわたる療養を余儀なくされているわけでございますが、これら患者の方々に対して、法改正のときに、前進こそすれ後退するようなことは絶対に許されない、こういう立場からわれわれは質疑を繰り返してきたわけです。 そこで、お尋ねしたいことは、これらの職業病患者で長期に療養を要する方々に対してどのような措置を講じようとなさっているのか、明確に答弁を願いたいと思います。
○桑原政府委員 御指摘の頸肩腕症候群あるいは腰痛、むち打ち等の病気で長く療養しておられる方がございますが、私どもは、こういった方々は恐らく近い将来に治癒されるであろう、あるいは療養しながら一部労働や軽労働が可能だという方方が大部分ではないか、ほとんどそうではないか、こういうふうに考えております。したがって私どもは、この附帯決議の趣旨にのっとりまして、こういった方々の療養の実情に即して、先生の御心配がないような方向で、前進あっても後退しないという御趣旨を踏まえてこの問題の処理に当たりたい、こういうふうに思っております。
○大橋委員 頸肩腕症候群、むち打ち症あるいは腰痛症等の方々の実情は、昨年の三月末の調べでは、療養期間が三年を超えて休業補償給付の支給を受けていた方々は、総数で千四百八十六名だと聞いております。そのうちむち打ち症は四百六十二名、頸肩腕症候群二百二十六名、腰痛症八十九名の多きに上っているわけでございますが、そこでお尋ねしたいのは、従来の長期傷病補償給付は、不治の病とも言うべきいわゆる器質障害を対象としたものと私は思っているわけでございますが、今回の傷病補償年金も、器質障害による常態としての労働不能を対象とすべきものと考えるわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
○桑原政府委員 先生の御指摘の器質障害という言葉の定義は、必ずしも私ども十分——そういう言葉は余り使っておりませんが、機能障害とかいろいろございまして、たとえば手足がなくなる方を器質障害ということでございますならば、さらにけい肺患者なんかはやはり機能障害じゃないかというふうに思いますので、私どもは、そういった器質障害、機能障害を含めまして、非常に重症な方を長期傷病給付の対象にしておりますし、今度の新しい年金制度の方もそういう方たちを対象にするという考え方を持っております。
○大橋委員 傷病補償年金の支給要件の一つであります廃疾等級の第三級ですね、これは常に労務に服することができないということをその要件として定められていると思うわけでございますが、頸肩腕症候群、腰痛症、むち打ち症等の患者の方方は障害補償年金の対象となるのかどうか、明確に答えていただきたいと思います。
○桑原政府委員 御指摘の疾病につきましては、私ども、一般的には対象にならないというふうに考えております。幾つか病気をたくさん挙げられましたので、例外的な場合はあるかもしれませんが、私どもは、いまの考えでは、一般的に年金をいただかれるような重症の患者ではないというふうに考えております。
○大橋委員 いま申し上げました患者の皆さんに対しては、そうした一級から三級までの対象にはまず該当しないのだと、こう理解してよろしいですね。——しかしながら、一般的には、ということでございますので、さらにお尋ねしておきたいのですが、たとえば器質障害に限らず、機能障害あるいは療養管理上の制約により労働不能の状態が継続する場合には、こうした年金の対象になるのだ、このような考えですか。
○桑原政府委員 そのとおりでございます。
○大橋委員 それではお尋ねいたしますが、問題は、傷病補償年金と解雇制限との関係があるわけですね。先ほども申し上げましたように、療養期間が三年を超えて休業補償給付の支給を受けている者が千四百八十六名もいるという実情と、それから長期傷病補償給付の受給者の構成を見てまいりますと、総数一万一千七百二十五人、その内容を見ると、じん肺六千三百七十七人、脊損患者三千五百六人、パーセントで八四・九%を占めているわけでございますが、こういう方は当然こうした傷病補償年金の対象者として問題なくわかるわけでございますが、いま申し上げましたように、頸肩腕症候群等の皆さんは、職業病の特異性から、これは疲労という立場からとらえられるような性質の病気でございまして、ある程度長期にわたって療養をすれば治って職場復帰ができるという立場でもあるわけですね。そういう方々が一年半たちますと、そうした症状の調査を受けて補償年金の支給決定になったとしますね、そうしますと、労働基準法の打ち切り補償とみなされて解雇制限が解除されるという心配が実はあるわけです。特に頸肩腕、むち打ち、腰痛症等の患者の方方は、そうした年金の配慮を受けたいというよりも、職場復帰をしたいというのが切実な希望であるわけでございますが、この点についてどのようなお考えであるか、お尋ねをいたします。
○桑原政府委員 御指摘の疾病で療養される方は、先ほど私、申し上げましたように、年金の対象になる方はまずないというふうに理解をいたしております。私どもといたしましては、やはり労災保険の最終の目的は、職場復帰と申しますか、社会復帰ということにあるわけでございますから、できるだけそういったいろいろな援助をしながら、また事業主の指導をしながら、速やかに職場に帰れるように、そういった形にすることが行政としても望ましい、こういうふうに考えております。
○大橋委員 実は、昭和五十一年十月に頸肩腕症候群患者の療養実態の調査がなされまして、それが集会で報告されたわけですが、それによりますと、療養期間一年以上の者は七二・二%、うち療養期間と休業期間の重なる、全休者とみなされる者が一七・一%である。療養期間三年以上の者が三六%、また、全休者と見られるものが一〇・八%というのが発表されておるのでありますが、これを見ますと、二割近くの人が傷病補償年金に移って、一割の人が解雇制限の解除を受けることになるのではないかという疑問が出てくるわけでございますが、いまの御答弁によりますと、まず、こうした関係者はそういうものに入ることはないというような御答弁でございましたが、しかしながら、頸肩腕症候群というような病気は、先ほど申し上げましたように、いわば疲労性の職業病でありまして、相当期間適切な療養と段階的な就労によって職場復帰が可能であるという、要するにそういう状況下にある方々でございますので、これらの患者に年金を支給することは、職場復帰の希望を打ち砕くことにもなるわけでございますので、そこで端的にお尋ねするわけですが、これは大事なことでございますので、労働大臣にも後で結構ですが、御答弁願いたいと思います。 これら頸肩腕症候群、むち打ち症、腰痛症等の患者の方々は、いま言う一級から三級の対象にはならないのかなるのか、もう一度この点を答えていただいて、大臣からもこの点を明確に答えていただきたいと思います。
○石田国務大臣 私は医者ではございませんけれども、頸肩腕症候群とかあるいは腰痛症とかむち打ち症というようなものは、治療を受ければ労働不能にはならない。労災法はできるだけ多くの人人に職場復帰をしてもらうというのがその精神であります。したがって、いわゆる労働不能という認定を下す状態にはならない、私はこう考えます。したがって、年金の対象にならない、したがって、解雇制限の解除にもならない、こう私は判断をいたしております。
○大橋委員 現在の長期傷病補償給付の受給者は、全員傷病補償年金の受給者になるのかどうかということが一つ。また、療養開始後三年以上を経過して休業補償給付を受けている者、これは全員休業補償給付を受けることになるのかどうか。この点を明確にお答えいただきたいと思います。
○桑原政府委員 長期傷病補償給付の趣旨と今度の傷病補償年金の制度の趣旨は、まず全く同じ趣旨だというふうに考えております。したがって、非常に重い症状の方、労働不能の方が長期傷病のほとんどでございますので、年金に切りかわります。ただし、長く休業補償を受けておられる方方がいらっしゃいますが、そういう方たちは、一般的に私どもは治るという前提で長期傷病補償給付をやってなかったわけでございますから、この切りかえのときに治っておる方は別といたしまして、大部分の方がまず休業補償給付として引き続きその補償を受けられる、したがって、年金に移行しないというふうに考えております。
○大橋委員 いまの御答弁によりますと、例外的事例を除いては、一般的な意味合いでは頸肩腕症候群あるいは腰痛症、むち打ち症等の患者は傷病補償年金には移行しない、少なくとも三年の時点では傷病補償年金には該当しないのだ、このような理解をしてよろしいですか。
○桑原政府委員 そのとおりでございます。
○大橋委員 これで明確になりましたのでこの点は安心しましたが、傷病補償年金は一級から三級までに分かれておりまして、何級に該当するかという決定をするための症状の調査は当然行われると思うわけでございますが、患者の方々は、この症状の調査ということで政府当局は労災保険の給付を打ち切るのではないかという不安を実は抱いておられるわけですが、まず、そういうことはないと先ほどの大臣の答弁にもありましたから、安心はしましたものの、もう一度この点についてお尋ねしておきたいと思うのですが、傷病補償年金の症状の調査は、適切な給付を行うためのものであって、治癒の認定の促進や給付の打ち切りの促進を図るものではない、このような理解でよろしいですね。
○桑原政府委員 傷病補償年金は、非常な手厚い制度を今度つくったわけでございます。その手厚い制度にふさわしい重傷の症状があるかどうかということも診なければなりません。そういった意味で、私どもこの症状調査は、あくまでもその症状において適切な給付を差し上げるという前提のためにこの調査をやるわけでございまして、いま御心配のような給付の打ち切りとかいうようなことにこれを乱用するということは全く考えておりません。
○大橋委員 この症状調査は、その目的に従いまして、適正に実施していただきたいということを強く要望しておきます。 次に、傷病補償年金制度の施行に伴いまして、当局として従前どおり頸肩腕症候群、腰痛症、むち打ち症等の患者の社会復帰あるいは職場復帰を促進するための行政努力をすべきであると思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○桑原政府委員 先ほども申し上げましたように、労災にかかられた方々ができるだけ早く治られて社会復帰されるように私どもも行政努力をしなければならないということで、幾つかの通達を出して地方にも十分指導をいたしておるようなわけでございます。特に職能回復の援護について、労災保険施設でいろいろ手当てをするとか、あるいはアフターケアについていろいろな保健指導とか薬剤の給付とかいうことをやりながらできるだけ早く職場復帰ができるように、いままでもやっておりましたけれども、これからも、今度の法改正を契機といたしまして、さらに努力を重ねてまいりたいと思います。
○大橋委員 昭和四十八年のいわゆる第五百九十三号通達によって、いま私が言わんとした内容についての救済措置がとられていることはいるわけでございますが、要するに一職業病患者の職場復帰の促進という内容になっておるわけですけれども、職場復帰のための計画的な、あるいは段階的な就労を拒否する企業がかなり多いということを聞いているわけです。確かに中途半端な人をまた復帰させるよりも、そういう者はむしろ首を切った方が会社のためにはなるという考えかもしれませんが、これは職業病を発生させた企業側に大きな責任があるわけですから、やはり職場復帰が前提であるということの配慮を十分企業側が持つように厳しく指導してもらいたいと思うのですが、もう一度この点について……。
○桑原政府委員 当然、私どもといたしましては、御趣旨のような方向で、こういう方々が、前におられた職場が一番なじみやすいわけでございますから、そういう計画的な就労を通じて職場復帰ができるように一段と努力をいたしたいと思います。
○大橋委員 これから聞くのは、大事な点でございますので、大臣にも答弁を添えていただきたいのですが、長期傷病補償給付や休業補償給付の受給者が本年の四月一日で傷病補償年金に切りかわるわけでございますけれども、休業の場合は八割支給ということであったわけですが、三級の場合を見ますと六七%になっておるわけですね。そうしますと、ボーナスの少ない方やあるいはボーナスを受け取っていない方々は、実際面よりも一三%下回る計算になるわけでございますが、この受給額が低下しないよう、特にその差、一三%を特別支給金で補てんするということにはなっているわけでございますが、その点について果たして現実的にその補償があるのかどうかという問題、また、それは将来にわたってそのような措置を講じられるのかどうか、この点を確認しておきたいと思います。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕
○桑原政府委員 長期傷病補償給付の受給者は、保険給付の六〇%と二〇%特別支給金が出ますので八〇%になります。今回の傷病補償年金は、基本は長期傷病補償給付と違いまして、六〇が八六ないし六七になるということでふえますけれども、その二〇%特別支給金というのが出ません。別に今度の制度改正でボーナス特別支給金等が出ますけれども、御指摘のとおり中小企業等でボーナスが出ない場合もございます。そういった心配があって、従来の八〇%を底支えするということが重要でございますので、今度の四月の省令改正のところで法文上明確に、その八〇%を現在もらっている方についても、切りかえられる方につきましても、それから将来もらわれる方につきましても、そこがはっきりいたしますように明文化をいたしたい、こういうふうに考えております。
○大橋委員 大臣、ここの点が非常に関係者の方は心配しているところなんです。特に先ほど言ったいわゆる症状のボーダーライン層、これは適切な言葉であるかどうか疑問ですけれども、そうした方々が三級に入るのか入らないのかという心配と、それから、こうした傷病補償年金に入った場合に、現実的に言葉の上では下がることはないという話でございますけれども、それが明確に理解できないという患者の方々の心配があったわけですので、この点やはり大臣から一言明確にお答えを願いたいと思います。
○石田国務大臣 これは法施行の際の省令で明確にいたします。八〇%という下限をはっきりと守るように明確にいたします。
○大橋委員 傷病補償年金にスライドがある場合は、それはどういうふうになっていくのですか。
○桑原政府委員 スライドの適用についても、そこは明らかにいたしたつもりでございます。
○大橋委員 この点、非常に大事なところでございますので、関係者が明確に理解できるような内容を具体的に示していただきたいと思います。 最後に、もう時間が来ましたので申し上げますが、今回の法改正やボーナス支給金の新設によりまして、給付内容はかなり改善されると私も評価しているわけでございますが、なお十分とは言えない。附帯決議にもありますように「給付水準についてはスライド制、最低額の引上げ等今後ともその改善に努めるべきである。」こうあるわけでございますが、この点についての御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○桑原政府委員 スライド制につきましては、先生御承知のように二〇%、一〇%刻みを小さくいたしまして、早く連動できるようにいたしたわけでございます。そういうようなことから、一番新しいスライドは、三一%くらいスライドされるように私どもいま計算をいたしております。 それから、最低額の引き上げにつきましては、現在、雇用保険の賃金日額の最低額の引き上げとにらみ合わせながら検討いたしておりますが、できるだけ早い機会にこの引き上げを図りたい、こういうふうに考えております。 なお、葬祭料につきましては、予算措置が講ぜられまして、従来十二万五千円と基礎日額の三十日分の合わせたものでございますが、基本部分の十二万五千円を四月から十五万円にするということで逐次改善を図る予定にいたしております。 なお、基本的な全体の法改正あるいは水準の再検討につきましては、引き続き努力、検討いたしてまいりたいと思います。
○大橋委員 スライドについては四月から三一%ですね。
○桑原政府委員 四月から三一%引き上げになるというふうに計算いたしております。
○大橋委員 雇用保険との絡み合いで最低額はリンクさせていくということですね。それから十二万五千円の基準額は十五万円に引き上げる、これは確認をしておきます。 それではもう一つ、これはこの問題とは離れるわけでございますが、実は三月十五日の一般新聞に「仕事きつく時間外手当なし 銀行のヤミ中間管理職 労働省が待った」こういう見出しで都市銀行から信用組合まで全金融機関に対して、基準局長の名のもとに管理監督者の範囲についての通達が出たと聞いておりますが、これはどういうことなんでしょうか。
○桑原政府委員 都市銀行におきます管理監督者の範囲が、労働基準法の四十一条に定めておる者よりも広いのではないかというお話がいろいろ出てまいってきております。私どもといたしましては、その実態を都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、計二十三行につきまして調査をいたしたわけでございますが、各行それぞればらばらで必ずしも一概に言えませんけれども、全体の感じといたしましては、四十一条の管理監督者の範囲よりも非常に広いという事実確認を私どもはいたしたわけでございます。 そういうことで寄り寄り中で検討いたしまして、考え方といたしましては、本部の課長以上の役職について管理監督の範囲と認める、出先の支店あたりに支店長代理というのが五人も十人もおられるというような実態もございまして、やはり四十一条の趣旨と合いませんので、その辺はきちっとすべきではないかということで、四月の賃金改定を目途にこういった制度の見直しを各銀行にお願いしなければならないということで通達をいたしたわけでございます。この指導基準によっていろいろと検討していただきたいということを、いま申し上げました銀行についてやったわけでございますが、なお、地方銀行とかそういった以外の銀行につきましても、これに準じた扱いをするように関係団体に現在指導をいたしておるようなわけでございます。 そういったことで、私どもとしましては、管理監督者でない方については、やはり時間外労働についてはきちっと時間外労働手当を払うように、こういう指導をあわせてやってまいりたいというふうに考えております。
○大橋委員 私は、この新聞を見まして、これは適切な手が打たれたと評価しているわけでございますが、従来、こうした中間管理職といいますか、中途半端な立場で、時間外手当も出さないでただ働きみたいにさせていた銀行当局のあり方については厳しく監督していただきたいし、大臣からもこの点について一言御答弁いただいて、終わりたいと思います。
○石田国務大臣 昨年の初めごろからそういううわさを耳にいたしまして、労働省といたしまして、いま基準局長がお答えしたような調査を開始いたしました。その結果、いまお答えを申しましたような結果が出ましたので、それに対する措置をとったものであります。これは銀行に出てきた事例でありますけれども、悪用されがちな点が多いので、悪用されないように厳重に監督をしてまいるつもりであります。
○大橋委員 終わります。
○戸井田委員長代理 この際、午後二時まで休憩いたします。 午後零時九分休憩 ————◇————— 午後二時開議
○斉藤(滋)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。草川昭三君。
○草川委員 草川でございます。 私は、国鉄が、公労法違反による解雇、免職者のうち、東京地裁あるいは新潟地裁等でいろいろと裁判があったわけでございますけれども、このほど東京地裁民事第六部で和解勧告を受けたということについてお伺いをしたいと思いますけれども、その時期はいつでございましたか。まずそれからお伺いしたいと思います。
○橘高説明員 三月四日でございます。
○草川委員 これは東京地裁だけですか、それとも新潟地裁の方も同じころに出たわけでございますか。
○橘高説明員 新潟地裁の件はまだ出ておりません。ただ、東京地裁と全く同じ案件でございますので、まあ通常、これも同様な扱いに将来しようということでございます。
○草川委員 この和解は、いわゆるいろいろな和解の方法でも、当事者同士の和解もございますし、それから裁判長が適当な時期を見て双方にあっせんというのですか、申し入れというのですか、勧告をする場合もあると思うのですが、今回の場合はいずれのケースに当てはまるわけでございますか。
○橘高説明員 裁判長からの強い和解勧告がございまして、それに従ったものでございます。
○草川委員 裁判長からの強い勧告があったということをいまお聞きしたわけでございますが、一度、四十九年の七月ごろでございますか、裁判長からそのようなお話があったと私記憶があるのですが、それは間違いございませんか。あるいはまた同じ裁判長でございますか。
○橘高説明員 ご指摘のとおりでございます。
○草川委員 それでは東京地裁関係の、今回和解に応じた事件の件数というのですか、たとえば昭和二十八年の仲裁裁定完全実施闘争だとかという、いろいろな件名があると思うのでございますが、それについて報告をお願い申し上げたいと思います。
○橘高説明員 総括して申しますと六件ございまして、年代順に申し上げます。 昭和二十八年の仲裁裁定完全実施等要求した事件でございます。それから次が、昭和三十一年から三十二年にかけて行われました、俗に言う西宇部闘争あるいは新潟闘争と申しますが、この二件を一括いたしまして、宇部線合理化反対処分撤回闘争事件、これが三十一年から二年でございます。それから昭和三十二年の春闘。それから昭和三十四年の志免売山反対等闘争事件。それから三十五年の安保反対・ダイヤ改正反対闘争事件。それから昭和三十七年の年度末手当闘争事件。その三十七年の前に、三十六年に合理化反対闘争事件がございました。以上七件でございます。
○草川委員 その七件の中で、原告の数は何名になるわけでございますか。
○橘高説明員 百二十名でございます。なお、新潟地裁の分を含めると百二十二名となります。
○草川委員 それは、こういう聞き方をすることが正しいかどうかはちょっと疑問でございますけれども、いまの事件というのはいわゆる国鉄労働組合、国労関係と言われる事件ではないでしょうか。 その次に、いわゆる今日の動力車労働組合ですね、動労関係と言われる件名について御報告をお願いしたい、こういうように思います。
○橘高説明員 いま申し上げましたのは非常に古い事件でございますが、四十年代にかかりまして行われたいろいろな事件についての解雇、免職、これは免職が多うございますが、免職事件につきましては六件ございまして、原告の数は十九人でございます。
○草川委員 こちらの方の事件は、いわゆる国有鉄道法による免職処分、こういう事件になるわけですね。よろしゅうございますか。
○橘高説明員 さようでございます。
○草川委員 そうしますと合わせまして、結局今回再雇用をされました方々は、国労、動労を含めまして現在何名になられたわけでございますか。
○橘高説明員 民事六部関係が八名で、それからいま申しました四十年代の六件につきましては十一名、計十九名でございます。
○草川委員 結局十九名の方々が職場復帰をされた、こういうことになるわけですね。 そこで、今回国鉄当局が地裁の和解に応じられた理由というものを少しお伺いしたいわけです。裁判長の強いお話があったということがございましたけれども、少し具体的に、当局が考えられました、受け入れられた理由というのをお聞かせ願いたいと思います。
○橘高説明員 理由といたしましては、ただいま御指摘になりましたように、四十九年七月ごろから裁判長の和解勧告がございまして、その後も何度かございましたけれども、その間、私どもといたしましては、公労法の解雇というものが基本的に認められない限りなかなかこれに応じられない。組合側といたしましては復職という線で主張いたしておりますが、それに応ずることにつきましては、公労法のたてまえもございますのでそうはまいらぬということで、当方としては裁判長に対してそういう主張をしてまいる。もちろん弁護士を通じてやるわけでございますが、そういうことで時日が経過するうちに解雇は認めようということになってまいりました。そういうことであれば、これはこちら側が一〇〇%というわけにもまいりません。和解でございますので、相手側の再採用——復職ではございませんで、解雇が一度効力が発生いたしまして、中抜きと申しますか、その長い期間にわたって職員の身分を失っているものでございますから、それを再採用するということで和解に応じたのでございます。
○草川委員 その和解に応じた理由の中で、いわゆる当時の証拠資料がもう散逸をしているとか、あるいはまた証人が退職をしたとか、ないし死亡をしているとか、それから過去の前例が一度このようなことがあったという、そういう理由、あるいはまた今後の労使関係ということを考えて和解に応じられたと一部私どもお伺いをしているわけでございますけれども、その点についてはどうでしょう。
○橘高説明員 御指摘の点はいずれもそれぞれその要素の一つとなっております。
○草川委員 過去の前例というのは、一度昭和二十四年、これは非常に古いときの話でございますが、人民電車事件というのがございまして、あるいはまた二十八年に年末闘争がございまして、当時の大和与一さんだとか相沢さん、大田末男さんが解雇されたという事件がありまして、これは三十二年に一度復帰した例があるわけですね。この三十二年に復帰されたのは、大田末男さんが一人だけ復帰をされたという報告があるわけでございますが、その過去の実例はどのようなものでございましょうか。
○橘高説明員 いま御指摘の大田氏の件につきまして、私、耳に聞いたことはございますけれども、当時の実情がどうであったかは、具体的な実情は存じておりません。
○草川委員 実はこれは後の方にも関係すると私思うのですけれども、いま職員局長が過去の前例ということについて余り御記憶がないような御発言でございますが、新聞では、過去にもそういう前例があるから、今回の場合、何かいいとか悪いとかといういろいろな意見があるわけでございますけれども、特段指摘を受けるようなことはないということがございましたので、私は私なりに大田末男さんの三十二年の復帰の例をいま持ち出しているわけですが、職員局長は御記憶ないのですか。
○橘高説明員 いま申しましたように事柄自体は耳に入ったことはありますけれども、どういう事情でどうしたかというそのときの関係その他、いま存じておりません。
○草川委員 これは国鉄の労働組合の運動方針の中にも、大田末男さんが復帰をしたというのが経過報告の中にあるのですね。だから私としては、そういう過去の前例ということに今回当局がかなり力を入れて御説明になっておるものだと思っておったのですが、いまの御発言だと余り大きなウエートは置いてみえないようであります。それはいいです、私、別にそのことがどうのこうのではございませんので。 そこで、再雇用者の選定について、いまおっしゃられましたように十九名の方が再雇用されたというわけですが、これはどういう条件の方々が再雇用の対象になったのか、お聞かせ願いたいと思います。
○橘高説明員 まず、解雇、免職されました当時の組合の役職と申しますか、もちろん中央執行委員長とかあるいは地本の委員長、そういうものであればこれは機関責任としてかなりの問題でございますので、そういうものではなくて、私どもの組合の組織で言えば組合の末端組織と申しますか、支部とか分会等の役員であった者、つまり機関責任といたしましては比較的軽い者で、かつ本人がより今後国鉄で働きたいという意欲のある者で、かつまた、もう定年に近い者であれば困りますので、少なくとも五年以上はまだ国鉄で働けるというような者、その辺を基準に考えたわけでございます。
○草川委員 再雇用後定年まである程度、五年とか十年働ける者というのは一つの条件になっておるわけですか。
○橘高説明員 率直に申して、条件と申しますか基準と申しますか、それを一つの目安にしてやったわけでございまして、条件と申してよろしいかと存じます。
○草川委員 では再雇用者の条件についてでございます。これはまた後ほどお伺いしますが、いわゆるこの和解を中心として将来再雇用がふえていのかどうかという問題にも関連するわけでございますが、いま国鉄内部の規則としては、再雇用の規則というんですか、現存する採用規準というようなものはあるのですか。
○橘高説明員 採用規定は国家公務員法に準じた規定がございまして、免職されて二年を経過しない者は採用してはいけませんよという規定はございます。したがって、反対解釈でございますが、二年経過すれば採用してよろしいという解釈も成り立つわけでございます。
○草川委員 これは労働争議で解雇されたということでございますが、実はたとえば国鉄の場合でも一般の処分を受けた方がいると思うのですね。たとえば事故だとかその他の何か問題があったという場合ですが、一たん処分を受けて再雇用をされたという例はほかにはあるわけでございますか。
○橘高説明員 いまこういう形と申しますか、裁判所の和解勧告等でやったというケースはございませんけれども、現実に、では全くないかどうかという点につきましては、職員の採用権限は管理局長に任せておりまして、いまの採用規定によりまして管理局長がそれぞれ判断してやるわけでございます。しかしながら、一たん免職した者をもう一度再採用するということは原則としてはあり得ない形でございますけれども、汚職とか婦女暴行とか破廉恥的なものはともかくとしまして、そうでない事故を起こして免職された者の中には、その後の本人の生活態度とかあるいはまた事案の内容、いまちょっと申しましたけれども、事故を起こしたときの内容と申しますか、それについて情状酌量すべきような余地が非常に多いとかいうようなことであった場合にはあるいは管理局でやっておるのじゃないか。これはまだ逐一具体的事実を調べておりませんのでわかりませんけれども、あり得るような感じがしております。
○草川委員 いわゆるあり得ると思うというわけですね。末端のことはわからないけれども、そういう対象者がゼロではないだろう、こういう御発言でございますね。 この再雇用された方の職場復帰ということについては、原職というのですか、いま職場もどんどん変わっていますから必ずしも原職ということはむずかしいと思うのですが、一応この十九名の方は当時の職場に復帰ですか。原職復帰でございますか。
○橘高説明員 いろいろなケースがございまして、半々くらいではなかろかと思います。もとの職場に帰った者と、前はたとえば八王子であった者が豊田の基地に行くとか、おおむね半々くらいの感じじゃなかろうかと思います。これにつきましては、その現場機関の模様その他いろいろなことを管理局で総合的に判断して配置先を決めておるわけでございます。
○草川委員 それから、いま国鉄は雇用の年齢の上限というのは二十五歳だと聞いております。それは間違いないですか。
○橘高説明員 これは規則の上でははっきり決めていないと思いますが、採用するときの基準として管理局で決めるわけでございます。
○草川委員 それから、細かいことを聞いて恐縮でございますが、その方々が同じ時期に入社をされた方と労働条件は同じ条件になるわけですか。たとえば勤続なんかも通算されるのかというようなことになるわけですけれども。
○橘高説明員 採用時の給与でございますが、これは給与準則に採用のときの給与というのが決めてございまして、たとえば電車運転士であれば三の基本給の一号とそれぞれ決めてございまして、これを適用いたすわけでございます。各職ごとに決めてある最低俸給というのがございまして、それを適用するわけでございます。そうしますと、何年も中抜きになっておりまして途中在職期間がございません。ないのみならず、その職における最低給与というものを支給いたすことになりますので大変低くなるおそれがあるわけでございますけれども、この点につきましては毎年の賃金の配分、毎年毎年交渉して決めるわけでございますけれども、その中で年齢別の最低保障というものをいたしております。これにひっかかりますので、たとえば四十歳の者は、例で言いますと十万なら、十万以下であればその十万にしてやるよというような規定がございますので、それで救われる面があります。その他で特に大きい問題は退職金でございます。退職金は前の期間は全然合算されません。それから共済組合の退職年金でございますが、これは共済組合法の十五条に、これは公共企業体職員等共済組合法というのが正規の名前でございますが、この共済組合法の十五条におきまして前後の組合員期間を合算するということになっておりますが、もっともこれは合算して年金がつく場合には合算するということでございまして、合算しても二十年にならなければ合算しないという形になって、もちろん合算した部分は退職時のときにすでにもらっておりますのでその分は控除されるということになりますので、合して年金がつく場合は合算される、こういうことでございます。
○草川委員 長々と細かいことを聞いたようでございますが、ひとつ職員局長の腹をお聞かせ願いたいのですが、このような再雇用というのはこれからふえていくわけですか。
○橘高説明員 ふえていくことはない。ということは、原則的には、やはり裁判で争っているのは私どもの職務の正当性を争っているわけでございますので、あくまでもこれは例外的な措置として考えておりますので、今後ともその基本方針には変わりはない。ただ現実問題として、今後こういう強い和解勧告があった場合にどうするかという問題が別にございます。これにつきましては、将来絶対にないんだということにもなりません。その指図は、やはり訴訟事案の内容と申しますか、それから訴訟の経緯と申しますか、それから和解、条件などを慎重に検討しまして、それからさらに、もし仮に和解勧告を受けて再採用いたしますと、それが職場に帰ったときの労使関係への影響あるいは職場秩序の問題等も総合的に考えまして対処をいたしたいと思っております。
○草川委員 いまのお話で、いずれにしても裁判の結果、将来もこのようなことがあり得るということだと思うのですね。あり得る場合に、職場感情なり職場秩序等の問題があるわけでございますが、いずれにしましても国鉄の労使関係の改善というのが最大のねらいでなければ、当然当局も応じないと私は思うのです。それに伴う対応策としては、これから私は大変なものが出てくるような気がしてなりません。その点で今回の和解について、特に石田大臣は前回国鉄というものを責任を持って見られてみえたわけでございますので、大臣からの御見解を賜りたい、こういうように思います。
○石田国務大臣 国鉄の再建というものは、やはりその一つの大きな基礎は労使関係の改善であろう、こう思います。今回の和解勧告、それに応じた国鉄当局の立場を私は論評する立場ではない。これは労使の間で決められるべきことだと思います。しかし、いま申しましたように、国鉄再建の一つの大きな柱は労使関係の改善、そういう意味でこの和解に応じたと思いますが、労使関係の改善に役立つものとするならば国鉄再建の一助となり得る、こう私は考えるわけであります。
○草川委員 大臣はこの和解については、今後の労使関係に非常に役立つものとするならばというお言葉でございますが、それを希望されての御発言だと思います。そこがこれから非常に大切でございますから、私どもその視点に立って問題を進めていきたいと思うわけでございます。 それならばひとつ職員局長にお伺いしたいのでございますけれども、今回の場合、非常に極度の秘密主義があったのではないかという批判があるわけです。国鉄の労使関係を改善するのならば、もっと明るく、公の場でこれがどんどん知らされていくべきではないかと私は思うのですが、非常に極度な秘密主義であったという理由をひとつお聞かせ願いたい。
○橘高説明員 御指摘のことはごもっともでございますけれども、事が和解に関することで、私どもと個人との関係でございますので、これを公表して云々というのにもなじまないのではないか。あるいはまた、これはこういう席で申していいのかどうかちょっと疑問でありますけれども、いろいろとそのほかにも、先ほど申しましたように当方としては職務の正当性を主張して裁判で争っております。それへの影響もないわけではないというようなことから、余り公にしないでやってきたということでございます。
○草川委員 私どもはその内容について立ち入る立場ではございませんが、それは余り明確な御答弁ではございません。 先に進んでいきたいと思いますけれども、当然この和解に当たって当局は労働側といろいろな意味で話し合いがあったと私は思うのです。その一つに、当局側としては、労使関係が今後円満にいくとするならば、スト権ストで約二百億の損害賠償請求を国鉄労働組合なり動力車労働組合になされていると思うのですが、それはいずれ取り下げられることになるわけですか、あるいは全然その意思はないのか、ひとつお答え願いたいと思います。
○橘高説明員 取り下げる意思は全くございません。
○草川委員 取り下げる意思は当局としてはないということを明確にいまおっしゃられるわけでございますね。 ではその次に、国鉄の労働組合が昨年の春からことしにかけて約十一カ月間ストライキをやってないわけですね。これは非常にりっぱなことだと思うのです。いいことだと思うのです。それは組合の内部のことでございますから、われわれは立ち入ってお聞きするつもりはございませんけれども、労使関係が非常に円満になりつつあるということはあり得る事例なのか、あるいはこの和解というものがそれなりに影響しておる事例なのか、局長としての御感想を賜りたいと思います。
○橘高説明員 大変むずかしい御質問でございますが、直接はこの事件の処理が、ただいまも申されましたが、一年近くにわたってストライキが行われてないということに影響があったとは思いません。むしろその前の、スト権スト以後のいろいろな組合内での反省、それからまた全体的に、マル生以降、労使が信頼関係をどうして築き上げるかということを営々としていろいろな形で努力してきたものがようやく実ってきたという感じではなかろうかと思います。
○草川委員 では、いまのお話は、和解の問題ではなくて、直接マル生以後の正常な労使関係の結果がこういう姿になっておる、こういうお話でございますね。労働組合等のことでございますから、私どももこれ以上どうのこうのと言うつもりはございませんし、さらにまた労使関係が円満になれば非常に結構なことでございます。 では、そのいまのお話に多少追い打ちをかけるようでございますが、昨年の七六春闘の処分の問題でございますが、当局は昨年のこの春闘の処分を発令されるわけでございますか。もし発令されるとするならば当然三月の末日までにやられると思うのでございますが、そのお考えを出していただきたいと思います。
○橘高説明員 近々に処分いたす予定であります。
○草川委員 近々処分を出されるという御発言でございますが、その処分の範囲は、従来は解雇者だとかあるいは免職者というのがずいぶん含まれていたわけです。今回はその免職者だとか解雇者は含まれるわけでございますか。
○橘高説明員 処分内容につきましては、この席での発言は差し控えたいと思います。
○草川委員 そうおっしゃれば仕方がないことでございますからあれでございますが、私がひとつここで聞きたいのは、この和解というものを将来の国鉄の労使安定につなげるか、ただ一つの裁判長の和解で終わってしまうのかという、この岐路の問題は、実は私どもも国民の一員として非常に重大な関心を持っておるわけです。そういう意味で、せっかく裁判長が強い和解を当局なり組合に勧められたとするならば、私はそれを中心に乗せて広げていかなければいかぬと思うんですね。だとするならば、少なくともこの処分の内容等については、たとえば今回は解雇者はないとか、その範囲を小さくするとか、そういう方向を当局者は出すべきではないだろうか、私はこう思うのです。またそれに組合側はこたえるがためにいろいろと落ちついたアクションを起こされるのではないだろうかと思うのです。その時期はきょう発表できなければあれでございますが、範囲は前回より小さくなるのか大きくなるのか、御発言を願いたいと思います。
○橘高説明員 処分内容、つまり量刑につきましては従来と同規模で考えております。と申しますのは、御指摘のようにマル生以降、労使の信頼関係を回復するためにいろいろなことをやってまいりましたが、その中でその点についての配慮はすでにかなり行われているということでございますので、それ以下でもそれ以上でもない形で行ってまいりたいと思います。
○草川委員 では、次に行きます。 いまのお話は、特にこの和解勧告が影響しない処分の発令をするということだと思いますけれども、組合の方が一たん解雇を認めたわけですから、これは組合としては大変な譲歩だと私は思うのです。いわゆる質的な面で譲歩したわけですから、それに伴う当局の態度が従来と全然変わらぬということになると、また処分に対する反対の行動は強まるのじゃないかと思うのですね。たとえばの話として、そういう方向が出るとするならば、せっかくの和解の意義がなくなってしまうと思うのですよ。せっかく和解があるならば、大胆な具体的な変化を国民の前に示すことが当局にとって必要だと私は思うのです。そういう精神があるのかないのか、お答え願いたいと思います。
○橘高説明員 御指摘ではございますけれども、私ども、法律が厳然としてある以上、これに従いまして、けじめはけじめとして処分せざるを得ない。しかしそれではという御指摘でございますけれども、そういう中でも労使の信頼関係をじみちにたゆみなく続けていくことが基本でございます。その一環としてこういう問題も取り扱っておるわけでございまして、むしろ御指摘とは逆に、こういうことによって処分をいたしまして、それに対する反対運動は従来よりは穏やかなものになるのではないか、こういうふうに期待をいたしております。
○草川委員 職員局長としては、ある程度の組合の良識を考えられて、たとえば今回三月末に処分を発令しても従来と違った意味で運動が行われるだろう、それを期待すると言われたと思うのですね。それはまあそれで結構だと思います。 そこで、解雇者があるとかないとかという問題も関係することでございますが、実際上は、御存じのとおり在籍専従の五年という期間を過ぎた方方が従来解雇者の対象になった場合もあるわけですね。解雇というものは、使用者側にとっては契約を解除するわけですから、労働者側にとっては最大の処分になるわけです。ところがそれの実際的な効果はもうなくなりつつあるわけですね。そういう点についての処分はごく形式的な処分になっていくと私は思うのですね。その点はどういうお考えですか。
○橘高説明員 正直に申しまして、労働問題に関しましての今日までの解雇、免職者の数は七百三十二名を数えております。御指摘のように、中央では一人も在籍者がいないという現状でございまして、そういう意味で解雇の処分対象者はきわめて少なくなっておりますけれども、やはり地方の委員長あるいは三役クラスにはまだ在籍者がございまして、そういう者についての機関責任は追及せざるを得ないということでございます。
○草川委員 解雇者が七百三十二名にも及ぶということは異常な労使関係なので、いずれにしてもこれを正規のルートに戻して、いわゆる原点に戻して、スト権問題については基本的な解決を急ぐことがこれからの、国鉄に限りませんけれども、日本の特に公労協の労使関係を安定させる最大の原則だと私は思うのです。 特に、裁判所の今回の和解の態度については、私どもも余り詳しくはわかりませんけれども、いずれにいたしましてもスト権付与の意向を反映しなければこのような和解の態度はないと思うのです。職員局長も当然この裁判長とはお会いになり、当事者ですからいろいろとお話はお受けされていると思うのですが、少なくともこの種の案件の事例というのは、先ほども東京地裁の話があれば新潟地裁にも波及するということを言われましたが、私はだんだん拡大をしていくことになると思うのですよ。その基本的な態度ですけれども、いま一般的には、裁判所の態度というのはまずスト権付与の意向が前提にあるのじゃないかと思うのですが、その感想はどうでしょうか。
○橘高説明員 そのように理解いたしておりません。
○草川委員 そのように理解をしてみえぬわけですか。
○橘高説明員 はい。
○草川委員 では、裁判所はそういう関係なく和解をしたというわけですね。職員局長としては当然そういうようにおっしゃられると思うのでありますけれども、一つの今日の労働法の流れだとか社会的な風潮からいきますと、与えるものは与え、条件をつけるものは条件をつけて、速やかにこれをレールに乗せなければ、私はいつまでたってもこの問題の解決はないと思うのです。 そこでこの際、労働大臣にお伺いをしたいわけでございますけれども、現在、公共企業体等関係閣僚協議会というのがございますし、基本問題会議ですか、中山伊知郎先生がやっておみえになります会議もあるわけでございますが、この推移がいまどういう状況になっておるのか。また、伝えられるところによりますと来年の秋だということになっておりますが、これを前倒しに、少し積極的に、早く答えを出していただけるように労働大臣が働きかけをし、根回しをされることがいま非常に必要ではないだろうかと私は思うのです。その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○石田国務大臣 スト、処分、スト、処分という悪循環はなるたけ早くなくさなければならぬと思います。そういう意味において、いま御指摘の問題の処理をできるだけ急いでもらわなければならぬとは思います。現在中山先生を座長にしている会議は、八月一ぱいでいろいろな意見聴取その他を終わりまして、それから関係者の調整その他に入る予定でございます。スタートを切ってからほぼ二年の間に結論を得たい、こういう目標で作業を行っておるわけでございます。ただ、これは御承知のように、労働問題だけではなくて、経営形態の問題、当事者能力の問題、いろいろ絡んでまいります。そこで、労働問題という立場だけではなかなか解決がつかないので、いま中山先生を中心に御検討を願っておるところでありますが、先ほど申しましたように、スト、処分という悪循環を早く断ち切る努力はいたしておるつもりでありますし、これからもやってまいるつもりでおります。
○草川委員 いま一般的な御見解を大臣は述べられたわけでございますが、実は私がいままで触れていなかった問題できわめて重要な問題は、国鉄の労働組合が単一の組合ならば、いまのままの当局なり大臣のお考えでも私はそれでいいと思うのです。しかし、非常に複雑な労働組合関係があるわけでございますし、労働組合間の問題は、一つの組合で非常にいい条件——いい条件という言葉は悪いのでございますけれども、ある程度の和解なら和解という条件があったとしても、他の組合にとってはそれが非常に耐えがたいという問題もあるわけですね。それがゆえに逆の立場からのアクションというものも当然予想されると私は思うのです。そのことについて、一体職員局長としては今後どのような対応策を立てられていくのか、お聞きしたいと思います。
○橘高説明員 この点は御指摘のとおりでございまして、具体的な組合の名前を申し上げませんけれども、この事件が公になりまして以降、この問題をめぐりましてその組合とかなり激しい意見の交換をいたしました。何回か議論した結果到達いたしましたことは、お互いに、この事件の取り扱いについてはこれを今後の労使関係の改善に役立てるように努力しようという覚書を交換しました。なおその他細かい点については今後いろいろ注文がつくと思いますが、そういう細かい点につきましてもわれわれ十分に配慮していく。それから、もちろんこの事案を整理する中におきましても、労働問題としていろいろあった事件でございますから、その被害を受けた人などにつきましては十分に事前に、内々のことでございますが、気持ちを聞いて処置するというようなこともやっております。
○草川委員 いま局長の方からそれなりのお話がございましたが、これはたくさんの数の組合員のみえる職場でございますから、いまのようなことだけでは、この問題がすっきりと解決して将来の労使関係の全体の改善ということになかなか結びつかぬと私は思うのです。これからの問題でずいぶんいろいろな問題が出てくると思うのです。しかも、先ほど私が一番最初にお伺いをしましたように、問題は十九人の復帰の方ではなくて、たくさんの事件があるわけですから、これからもある程度はふえていくわけですよ。また当然そうあっていいと思うのです、結論としては。だとするならば、私が先ほど申し上げましたように、やはり彼らが要求をするところの基本的な問題を早期に解決をする以外に国鉄の再建もあり得ないと私は思いますし、長い労使関係、せっかくここまで、ようやく一つのめどがついたわけですから、それが死んでしまってはならぬと思うのですね。 そういう点で、私はもう一度お願いを申し上げたいのは、これは労働大臣からもぜひ中山会長を初め関係の方々に、せっかく三月段階で和解というものができたわけですから、速やかに、少なくとも年内だとか来年の初めぐらいに結論が前倒しで出るように——何か、私が聞きますと、ただいまのところ各関係のところからヒヤリングをして、どちらかといえば非常に長々といろいろなレクチャーが行われておるというお話でございますが、私は最後の決断だけだと思うので、この和解をめぐって、早くこれを前倒しになるように要望を申し上げておきたいと思うのですが、いま一度ひとつ大臣からのお話をお聞かせ願いたいと思います。
○石田国務大臣 先ほどお答えを申しましたように、まあ、中山先生が鋭意御努力中でございますので、中山先生の御努力に期待をいたしたいと思いますが、気持ちとしてはいまの御発言と同じ気持ちを持っております。お願いをしている以上は余り露骨な催促もできませんけれども、気持ちとしてはできるだけ早く処理をしたい。労働運動全体が近代社会の構成員の一員としての責任を分担しなければならぬという空気、それから使用者側には労働組合をパートナーとして考えるという空気。これは公労協だけでなく、特に民間あたりには非常に出てきておりますし、それから資源の乏しいわが国がこれから生きていくのはどうしたって人の力をまたなければならない。人の力は、個人の能力の開発と、もう一つはやはり組織として、集団としての能力の、そういう力の発揮に期待をする。その後の方を期待するのには、やはりどうしても労使の間の円満な協力関係、善美な労使関係をつくり上げていくことであろうと思いますので、そういうことを踏まえて努力をいたしたいと思います。
○草川委員 時間が来ましたので終わりたいと思いますけれども、いま大臣からも具体的にそのような意向で働きかけをしたいという、非常に前向きな御発言がございましたが、ぜひそれは実現さしていただきたいと思うわけです。 最後になりますが、いま大臣が言われたように、日本の労使関係というものが、これからむずかしくなった日本の経済なり日本の国を支える最大の柱にならざるを得ないと思うのです。そういう意味では、国鉄の労使関係というものはいろいろと問題がなお残っておる。理由はいろいろとあるでしょう。お互いにたくさんあると思うのですが、せっかく裁判長が、個人の一人の裁判長というよりも私は歴史的な事件だと思うのですけれども、せっかくこう言われたような事件があるならば、国鉄の総裁でもあるいはまた労働大臣の立場でも、その立場を問わずして、少なくとも労使一時休戦というのですか——私どもも長い間労働運動をやってきまして、地方で労働委員会等にも参加をしてまいりましたが、このような事件があるとするならば、たとえば小さい一つの企業で同じような相争いが行き詰まった場合があるとするならば、第三者というのでしょうか、いろいろな方々が冷静に一回原点に返って見詰め直してみようじゃないかという、労使の休戦論というと多少また言葉の弊害がございますけれども、いわゆるそういうような働きかけがあっても、私はこれは内政干渉にも何にもならぬと思うのです。もしもそういうことについて要らぬことを言うなという御意見があるならば、それは働きかけの立場の誠意がまだ通じていないのだと思うのです。だから、お互いにせっかく今日の日本をここまで持ちこたえてき、あるいは国鉄という代々の伝統的な一つの組織が国民の足を預かっており、長い間いろいろな意味でのトラブルがあったのですが、たまたまこの一年近く組合側も行動が非常に落ちついてきておる。そして、いま鉄労の話が出ましたけれども、そちらの方も、いろいろと悩みの多い中で、職員局長との間では将来の改善のための一つの問題にしようという話があるとするならば、本当にいま職員局長の言われたとおりなら、私はもうほとんど問題ないと思う。だとするなら、思い切ってここで大臣あたりが真剣に一回、この勝負預かり、と言うと言葉が悪いわけでございますけれども、この機会にひとつ労使が本当に話し合いをしてもらいたいというようなことを言われても私はおかしくはないと思うのですね。最後にそのようなことについてお伺いをしておきたいと思います。
○石田国務大臣 御承知のように、昨年の暮れまで短い間でございましたが、国鉄も私の担当でございました。いまお話しのような精神で、私はできる限り労使の双方との接触にも努めてまいりました。今日、労働大臣という立場になりますと、一部門だけの労使関係というようなものをとりたてて言う立場ではございませんけれども、基本的精神としては、やはり使用者は労働組合をパートナーと考え、それから労働組合は近代社会の構成員の一員として責任を分担する、そういうたてまえを推し進めていくための努力はいまでもしているつもりでございます。これからも無論いたします。
○草川委員 その趣旨でぜひ大臣としても御努力なされることを最後に発言をいたしまして、終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○斉藤(滋)委員長代理 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 まず最初にちょっと大臣にお聞きしたいのですが、二月の初めに国内行動計画が出まして、これは婦人団体などに、本気でやる気がないのじゃないか、非常に抽象的だから、本気で婦人の差別をなくしていくという気が政府にないのではないかということが言われていることは御存じだと思うのですけれども、一応この中には、抽象的ではありますけれども、婦人の差別の問題をなくしていくということは書かれているわけです。本気でやっていただけるというお気持ちがあるのか、ちょっと最初にお聞きしたいと思います。
○石田国務大臣 あれは御承知のような経緯をもってでき上がったものであります。そして本部長は総理大臣でありまして、私どもとしては無論本気でこれを推し進めていく決意でございます。
○田中(美)委員 私は一遍に日本じゅうの差別をいますぐということは申しません。しかし、本気でそれを一つ一つ具体的に直していっていただきたいと思います。 それでまず、昨年の十月に、丸紅の定年制の男女の差別の問題を共産党の沓脱タケ子さんが国会で取り上げましたときに、これは早急に指導するというふうにお答えになっていらっしゃいます。その後、現在この三月三十一日で男女の差というのは五つあるわけです。五十歳にかかるということで定年退職になる方が私の聞いたところでは五名おります。これは丸紅の名古屋に一名、大阪に一名、京都に一名、博多に一名、それから福山にも一名いるというふうに聞いております。これは調べていただきたいと思いますけれども、そちらの方ではこの点についてはどのように御指導していらっしゃるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○森山(眞)政府委員 昨年御指摘をいただきました後、早速指導をいたしまして、その結果、丸紅におきまして労使を構成員といたします委員会を設置いたしまして検討することになっておりまして、ことしの四月一日以降できるだけそれを是正するようにということで、そういう目標を立てまして是正をしているという回答を得ております。御指摘の問題につきましてもその一連のものだと思いますので、労使の間ですでに検討に入っておられることでございますから、そこで十分話し合いをしていただいて、その中でできるだけ円満に解決をしていただきたいと考えております。
○田中(美)委員 そうしますと、四月一日からは定年制が男女が同じになっていくとすれば、三十一日で現在五名の人が首を切られるということになっているのですね。それをあくまでも労使で十分にと言ったって、きょうは一体何日ですか。二十三日ですよ。それは全く労働省としては放置なさるわけですか。労働組合の方がもし何にも動かなかったとしたら、労働省は仕方がないんだというので放置なさるわけですか。首になりますとほかの職場を世話してやるとか、こういうようなことをいま言っているわけですね。事実世話をしているようですけれども、実際には賃金が六〇%ぐらいダウンしてしまうわけです。この年代の人というのは、局長さん、お若いかもしれませんけれども、私の年代なんですね。ということは、戦争中に男性がたくさん戦争で死にまして、やむなく結婚できなかった人がたくさんいるわけです。その中には独身でいる人がいるわけですね。それが年とったお母さんを抱えて五十歳で定年退職になる。そこにはもう切実な生活の問題というのがかかってきているわけですね。そういう者に対して、これを労働省が、組合が何も言わなければ何の指導もできないと言うんだったら労働省は要らぬということになるじゃないですか。そういう点で、これをどうしていただけるかということを聞いているわけですけれども、局長さんにまずお聞きしまして、大臣ちょっと、知らぬ顔をしないで、どうしようかということを考えていてください。
○森山(眞)政府委員 先ほど申し上げましたように、労働組合と使用者とが協議して、いろいろな差別をなくしていこうという努力をしておられるところでございますので、その結論が出ますまでは、私どもといたしましてはできるだけお話し合いを進めていただくということで見守っていきたいと考えておりましたが、いまの具体的な例につきましては、五人というようなお話でございましたが、その問題も含めて組合及び使用者で相談してくださるようにということは私も希望したいと思っております。三十一日と四月一日というとわずか一日の違いのことでございますので、個々の事例につきましても具体的に相談してもらいたいと考えております。
○石田国務大臣 基本的には、労働条件について男女の性による差別というものを認められないし、そういうものをなくしていくのが私どもの役目でございます。それが形式的にどういうふうな実情にあろうとも、目的としてはいま申しました目的に沿って努力するのがわれわれの役目でありますので、私もその具体的な事案というものを承知いたしておりませんでしたけれども、いまの事案もそういう精神で、婦人少年局を通じて労使の活動を促したいと思います。
○田中(美)委員 きょうは二十三日、あと何日もありませんので、大至急大臣はこの問題を解決していただきたいと思います。ただ組合が何も言わなければほっておくというのではなくて、たった一日の差でその人の人生にとっては大変な状態が起きるわけですので、これを大至急、丸紅の方に指導をしていただきたいと思いますが、大臣もう一度、指導していただけますか。
○石田国務大臣 いま婦人少年局長がお答えをいたしましたように、直ちに連絡をとらせます。
○田中(美)委員 次に、女性が女子であるがために社員になれずに、賃金などの労働条件が非常に差別されている問題が山口放送で起きています。山口放送では女子社員が一人もいない。女子は全部嘱託である。これを半年契約でずっとやっている。これが五年も十年も働いているわけですね。そしてこれには何の手当もなくて、男子と比べますと大変な差がついているということが起きているので、昨年の七月十四日に徳山労働基準監督署に申告をしているわけです。これは御存じだと思いますけれども、その申告を受けて、十月の四日に徳山の労働基準監督署長の名前で、山口放送の社長あてに指導票というのを出しております。この指導票というのはこのように書かれています。ちょっと読んでみますが、「貴社における従業員の採用状況をみますと、原則として、男子は社員、女子は嘱託として固定的に採用するものとみられ、そのことが貴社の就業規則による社員、嘱託の賃金形態により男女間の賃金格差となって「男女同一賃金の原則」の趣旨に反するおそれもなしとしません。従って、今後は採用方法の検討等、上記のおそれが生じないよう必要な措置を講ずる必要があります。」こういう命令書を出しているのですね。これに対してその後一体どういうふうになさったのか、お聞きしたいわけです。
○桑原政府委員 御指摘の山口放送の件でございますが、お話しのように、五十一年の十月四日に監督署長名で指導票を出しております。これは先生御承知と思いますけれども、法違反であれば是正勧告書となりますが、いろいろ事情を調べる必要もありますので、指導票という形で相手に提示をいたしております。 それで、私どもがその後照会いたしましたところ、十二月二十日に徳山の監督署の第一課長と山口婦人少年室長が山口放送局に出向きまして、責任者とお会いして、その後どうなっておるかということを照会するとともに、直ちに検討をしてほしい、こういうことを申し上げて、その了解を現在得ております。それでその時点から御検討いただいているように聞いております。
○田中(美)委員 十月四日に指導票が出て、十二月二十日にもう一遍行っているということですね。それで、その後どうなっておりますか。
○桑原政府委員 その後の情勢は私どもつまびらかにしておりませんけれども、会社の方において、これは賃金体系全体にかかわる問題でございますからやはりある程度の時間は必要ではないか、私どもはこういうふうに考えておりますが、前向きに検討するという回答を私どもは得ております。
○田中(美)委員 前向きに検討すると、会社は十二月二十日に言っているわけですね。その後どうしているかということです。 それで——答弁はちょっと待ってください。先ほど、いろいろな事情があって指導票にした、こう言われるんですけれども、どういう事情があってこういう指導票にしたんですか。労働基準法四条違反だというふうにどうして言えなかったわけですか。この指導票は調べてお出しになったわけでしょう。どうしてですか。
○桑原政府委員 まず、雇い入れについて法第四条との関係がどうなるかという問題がございますですね、つまり、社員で雇うか嘱託で雇うかというのは雇い入れの問題でございますので。一般的に四条は「賃金について、」と書いてございます。したがって、賃金体系をずっとたどっていってそれがどうなるかという問題が一つございますので、そこはやはりその後の情勢を見ながらきちっと確認しなければならぬ問題でございます。それから、いま申し上げましたように、私どもといたしましては、そういう男女の賃金体系の問題は会社全体の問題にも絡んでまいりますので、ある程度の時間の猶予が要るんではないかというふうに見守っておるところでございます。
○田中(美)委員 いつまでも見守っていただいては困ると思うんですね。五年も十年も嘱託で働いていて、賃金格差はものすごくなっているわけです、同じに入って同じ仕事をしている人との賃金の格差は。この嘱託というのは、仕事の中身は男性と同じ仕事をしているわけですね。そういうことをしていながら、実際には半分しか身分がないんです、大臣。それで半年で首になるんではなくて、またそこで契約をしてやっているわけですね。いまここに契約書がありますけれども、これには半年ずつ、五十一年四月一日から五十一年九月三十日というふうにして、退職金は支給しないとか、賃金はこれだけというような形で、どうしてこんな安い賃金かということの根拠もなくこれだけという金額が書かれて、こういう契約書を渡して、そしていやならやめなさいと。半年ずつですから、いやならやめなさい、こういうわけです。そうすれば仕方がなくこの契約書にうんと言わざるを得ない。いやだと言えばやめさせられるわけですから。ですから、そういうものは契約とは言えないと思うんですね、相手の弱みを見て言っているわけですから。それで労働基準法の二条でも、契約というのは労働者と使用者が対等な立場で結ばなければならないとあるんですね。これはその二条にだって違反しているじゃないですか、こういう採用の仕方は。 こういうのをいつまでも一ある程度時間がかかると言うが、ある程度の時間というのは一体いつになるのか。本気でやるつもりならば、一体どれくらいの時間があったらできるのかということです。山口放送の職員というのはそれほどたくさんの人数じゃないですよ、何万人なんていう。百何人の事業所ですからね。そんなにいつまでもかかるんですか。申告したのは去年の七月ですよ。いまはもう三月ですからね。それでもまだ見守っていらっしゃるつもりですか。いつまで見守るのか。幾らなんだって、これは男女差別でないとどうして言えるんでしょうか。大臣、これはどうしていただけますか。
○石田国務大臣 基準法の四条は、先ほど基準局長が申しましたように賃金を規定しているもので、採用の形態を規定しているものではありません。しかしながら、それを全部に適用してとなると、他に理由がない限りはやはり性による区別ということになると私は思います。したがって、そういうものの是正をさせるのが私どもの立場でございます。 ただ、いま基準局長がお答えを申しましたように、これに対して会社側としては、速やかに前向きでこちらの勧告に対しまして検討し、改善をすると言っておるわけでありますから、それはむやみやたらと無限に待つなんという考えは毛頭ありません。特にこれは、今度新しい採用がもし行われる——するかしないか知りませんけれども、するとすれば、ちょうど採用の時期にも当たりますので、速やかに検討の結果を報告してもらって、改善に努力をしたいと思います。
○田中(美)委員 いま大臣は区別だとおっしゃいましたけれども、それはお間違いですね。女性差別だということですね。
○石田国務大臣 はい、そうです。私は差別と言ったつもりでおるのですが、つまり、私の言うのは、ずいぶん頭をしぼって考えたなとは思いますが、しかし、それが会社全体の人事管理体系の中に普遍的にかつ継続的に行われておるとするなら、私はそれは性による差別である、こう考えます。
○田中(美)委員 大臣のおっしゃることはそのとおりで、私はそのような観点から見た場合、これは普遍的に、これからの新入社員だけでなくて、現在採用されている婦人が四十年以後全部嘱託で、そして半年ごとで五年、十年という人もいるということは明らかに男女差別であるということを大臣が言われましたので、これをぜひ是正をしていただきたいと思います。 そして、ここの山口放送というのは、私非常におもしろいと思ったのですけれども、調べてみましたら、山口県が大株主なんですよ。県が四万株持っておるのです。徳山市が三万六千株持っておるのですね。それで、ここの社長さんというのは、山口県の元教育長をやっていた人なんですね。野村幸祐という方です。そういう人が社長になっていながらこんなひどいことをやっているということですね。これは組合などの話からすると、よそでもやっているからということを言いますけれども、よそでやっているから自分がいいというものではありませんし、いまおっしゃったようにこれは厳重に指導をしていただきたい。いま速やかにとおっしゃったわけですけれども、この速やかにとか、見守ってますとかいうのは、十年でも物の考えようによっては、二十年から比べれば速やかだしということになりますので、一体いつごろまでにきちっと指導していただけるのですか。何月何日と言わなくてもいいのですけれども、いつごろまでにそれをきちっとしていただけるか。やはり国会ではっきりしていきませんと現場ではなかなかいきませんので、大臣の決断をお願いいたします。
○石田国務大臣 先ほど申しましたように、新規採用をするかしないかは知りませんけれども、常識的にこの四月というのは新規採用の時期であります。それから、徳山の基準監督署のいまお読みになった文書から見ますと、やはりそういう疑わしき事実があったということを認定したからこそそういう処置をとったと思います。したがって、そういう時期を勘案いたしまして速やかに改善をさせたい。その速やかにというのは、五年とか十年とか、そんなふざけたことを考えてはおりません。先ほどから申しましたように、ことし採用するならことしから改善してもらわなければならぬし、いままでの人についても、ことし新規の人を改善するなら当然改善しなければならない。だから、そういうような処置をとらせるために、徳山基準監督署に対して、会社側にもう一度申し入れをさせる。いま局長が見守っていると言うのは、ある程度、何といいますか、人事管理体系というものを直していくというようなものとのつながりもあるだろうから、まあ、きょう言ってあした直せというのも乱暴だろう、こういう意味であります。
○田中(美)委員 わかりました。ぜひそのようにお願いいたします。 もう一つあるのですけれども、名古屋にあります東海テレビというところも同じことをやっているわけです。全く同じことをやっています。東海テレビには嘱託、嘱託補助員というのがあるのです。補助員というのまでつくっているのです。嘱託にもう一つ下の補助員というのをつくっている。男子は採用しますと全部社員です。女子は全部嘱託か嘱託補助員というふうになっています。これは四十一年以降全部そうです。それで、山口放送は半年契約ですが、ここは一年契約になっているんです。この賃金の格差というものを見てみますと、どれくらい賃金が違うかといいますと、一カ月に二十四歳で五万幾らとか、二十六歳で六万円以上の差がつくんですね。一カ月にこんな大きな差がついているわけです。これは年間にしますと、二十五歳で男子と比べて女子がどれだけ少ないかというと百二十三万円少ないわけです。三十歳だと百五十九万円少ない。こういうことを東海テレビではやっているわけです。 ここに新聞が一つあります。ことしの、五十二年二月三日木曜日付の「新聞之新聞」という名前の新聞です。この中に「五十二年度の業界を展望する」というので、「在名新聞・放送首脳座談会」という、連続になっているのがあるのです。この中を見ますと、名古屋にあります中部日本放送の国枝社長と東海テレビの鈴木社長の会話が、ほかにもいろいろな人がいるのですけれども、出ているわけです。ここは短いですからちょっと読んでみます。「鈴木 国枝さん、あんたとこは女子もみんな社員かね。」「国枝 全部社員だ。」「鈴木 ぼくのほうは女子はみんな嘱託だ。」こういうふうに答えているんですね。はっきりと社長が「女子はみんな嘱託だ。」と、こう言っているのです。社長も認めているわけです。こんなひどいことをやっているわけです。 そういう点で、東海テレビはここも人数はそんなに多いところではありません。ここをすぐに調査をして改善するようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 私は言論界出身なものですから、その「新聞之新聞」というものをよく知っております。われわれが若いとき働いていた時代からあるものでございます。いわゆる新聞の業界紙です。そこでその発言が堂々と出されているとすれば、この鈴木さんという人は基準法というものがあることを知っているのか知らないのか、そういうところから調査をしなければならない。無論改善をさせるために直ちに調査をいたします。
○田中(美)委員 ぜひ大至急調査をしまして、その結果を御報告していただけますか。
○石田国務大臣 いたさせます。
○田中(美)委員 私は、その調査をしていただくときに、もちろんそちらの御存じのことですけれども、こういう、おたくの労働省労働基準局編著の「労働基準法」というので「労働法コンメンタール」というのがあります。おたくが解説している。この解説の中に、これは五十八ページにありますが、「女子であることを理由として」というところで、男女差別であるかないかということは実際問題としては非常に困難であるけれども、「その格差について具体的に職務、能率、技能等の差によるものであることが立証されない限り、女子であることを理由として差別待遇したものと推定してしかるべきであろう。」こう書いてあるわけです。ですから、いま大臣は、継続的に普遍的にそういう状態がずっとあるときは差別だというふうに言われたんで、その上に、いや能力だとかやれ何だとかということを会社側はよく言われるわけですが、しかしそのときには会社側が、能力とか技能が低いということを立証することができればいいけれども、できない場合にはそれはやはり差別だというようにおたくの解説でも書いておりますので、釈迦に説法になりますけれども、それをお踏まえの上、そういう点はきっちりと御指導をしていただきたいと思います。
○石田国務大臣 これは、いまの「新聞之新聞」で社長が、うちは女はみんな嘱託だと言っているのは一種の自白みたいなものでありますから、そういう精神で監督いたします。
○田中(美)委員 次に、新聞社とか印刷、そういうところで働いている労働者の健康破壊が非常に進んでいるというふうに聞いています。ある新聞労働者の職場のアンケート調査をしたわけなんです。どういう調査をしたかというと、あなたはいつまで生きられると思いますかという調査項目があるわけです。それに対してどう答えているかというと、いつまで生きられるか自信がない、こう答えている人が三九・二%もいるわけです。それから、定年まではとてももたない、こう答えている人が一〇・八%いるのです。ですから、これを足しますとちょうど五〇%になるのですね。そうすると、定年が五十五歳ですので、五十五歳まで自分は生きられないと思っている人が半分いる。これは非常に主観的なことですけれども、そういう感じを持っている人がいるということです。それであと、定年までは何とか生きられるというのが五%、定年後五年くらいまでは生きられるだろうというのが九・二%。というと、大体六十歳までというのを入れても六四・二%という人がそこまでしか自分は生きられないというふうに健康状態を心配しているわけです。平均寿命まで生きられるんじゃないかと思っている人はわずか六・七%しかいないということは、これはいかに労働者が自分の健康に対して自信を持っていないか、不安かということをこの数字は証明していると私は思うのです。 それから、これはフランスのビスマール教授という方が二万人の調査をしているのですけれども、なぜこうなっているかということは、新聞や印刷労働者には夜間の労働者が非常に多いわけですね。夜間というのは、特に夜の十時から夜中に働くという労働者、こういう人が多いわけです。それでビスマール教授は二万人の交代夜勤の労働者を調査したわけです。その結果、こうした夜中に働く労働者は寿命を十年縮めているという科学的な調査の報告をしていらっしゃるわけですね。ということは、この科学的調査とそれから現場で働いている労働者の自分の実感というのは期せずして一致しているわけですね。こういう状態にあるわけです。 それでお聞きしたいのは、いま日本ではそのように夜中に働いている夜間労働者は何人ぐらいいるのかということを労働省はつかんでいらっしゃるのでしょうか。
○桑原政府委員 必ずしも的確な調査データを持っておりません。ただ、私どもといたしましては、交代制勤務の労働者につきましては深夜業が非常にっきものでございますので、そういった観点で三十人以上の賃金労働時間制度の調査等から推計いたしますと、労働者の約六%程度の方が深夜業をしておられる、こういうふうに確認をしております。
○田中(美)委員 これはおたくの方でやっていらっしゃる賃金労働時間総合調査ですね。これでいきますと大体夜間労働者が六%ぐらいいるのだろうということです。しかし、これは夜間労働者に着目をした調査ではなくて、むしろ交代制がどれぐらいあるかという調査ですね。ですからぴちっとつかんでいないわけですね。
○桑原政府委員 私どもといたしましては、その全体的な統計調査のデータはいま申し上げたものでございます。なお、私どもといたしましては、深夜業の禁止というのは一つの大前提を持っておりますので、監督におきましては必ず重点の項目としてチェックをしていく、こういう考え方で現場においては把握はいたしております。
○田中(美)委員 しかし、こういう状態が出ているのに人数はどれだけいるかということがわからない。その調査をしていないということでは——私はいままでのことを責めようと思いません。しかし、いま現在そういう状態になって、病人が非常にふえている。これは夜勤労働者だけじゃなくて、健康保険が赤字になるというのは非常に病人がふえているということにもあるんだし、国民全体が自分の健康に対し不安を訴えているという状態があるわけですけれども、この夜勤労働者は特にひどい状態になっているわけですから、早急に夜間労働者に着目した調査をしていただきたい。そうしないことには、現場ではチェックしていますといっても、どれだけの予算を組んでどういうふうにしたらいいか、どれぐらいの人たちがひどい状態にいるかということがわからなくては全くこれは非科学的ですので、まずその調査をしていただきたいと思うのですけれども、大臣どうでしょうか。
○石田国務大臣 いまの印刷とか新聞とかの例は、私どもがおりましたときから三十年もたっておりますので現状はちょっとよくわかりませんけれども、新聞という仕事はどうしてもこれは明け方の四時ごろまでは、印刷場で働く人は働かなければならない。私どもの時代は二交代制でやっておりましたが、特に切りかえどきに非常に疲労感を私自身も持った記憶がございます。したがって、深夜業というものが負担になることはよくわかるのですが、そういう点の実態の調査、それから健康管理——まあ大きな新聞はわれわれの時代とは非常に違ってきているように思います。しかしそういう実態の調査をいたさせます。
○田中(美)委員 大臣は新聞労働者のことに詳しいわけですから、ぜひいまおっしゃったように調査をしていただきたいと思うのです。いまここにいろいろ手記なども出ておりますけれども、大臣は詳しいようですので、時間がありませんからそこをちょっと飛ばして……(石田国務大臣「現状には余り詳しくないです、三十年前ですからね」と呼ぶ)その現状はこういうことになっていますね。新聞という公益上やむを得ない仕事というので、ある程度夜勤があることはこれはやむを得ないわけです。しかし、実際には印刷や新聞労働者の中から、ポルノ雑誌だとか裸のポスターだとか、こんなものを、何も私はそれのいい悪いを言っているわけじゃなく、それを何で夜中に刷らなければならないのかという労働者の訴えが私のところに来ているわけです。新聞や何かで、ある程度どうしてもというふうな問題は最小限度あると思うのです。しかし、こんな裸の写真やら裸のものや何かを夜中にやっているわけです。そういうことをなぜやらなければならないのか、こういうふうに言っているわけです。やむを得ない場合でない場合も日本は野放しになっているわけですよ。最近はその裸だとかおかしなものまでも、まあおかしくないにしても、緊急に急がなくてもいいものまでが夜中にやられているということです。 それで、さっきあれしたんですけれども、ある労働者の言葉として、「家庭と共に日曜日を過すとか行楽に出かけるとかがまるっきり出来ない。自分の複雑な勤務を知っているはずの女房も夫婦げんかしようものなら、「どこへも連れてってくれない」と涙を流す。涙を流したいのはこっちの方だ。」こういうことを夫が言っているわけです。それから妻の方は、「近所や友達づき合いで、夫が昼間寝ているときは、なるべく外から出入をさけるようにドア・カーテンなど締め留守に見せかけ、また天気が悪いとき子供が家の中で遊ぶのですが、騒いだり、泣いたりしないよう子供のほしがる物を与え、その場を押えています。暑い夏は、汗びっしょりになって寝ている夫、三時間位しか眠れないのを思うと身体の方を心配します。」というようなことを家族はまた言っているわけです。こういう状態にいま労働者があるということを、ちょっと大臣の頭に入れておいていただきたいと思うのです。 一九七六年、去年の七月、アメリカで国際人間工学会という学会がありました。ここでは、交代制労働の原則というので、適正化の基準という問題を西ドイツの労働生理学者のルーテンフランツという方が報告をしていらっしゃるのですが、この中ではこういうことを言っています。夜勤をしょっちゅうやれば人間の体がなれるのだ、こういうふうに言うけれども、そんなことは絶対あり得ないということを言っているのです。ということは、数週問ずっと夜勤をやっても生体リズムの完全の逆転は起こらない。夜勤なれはしない。それは、一週間に一遍休みもありますから、休みのときはまた狂ってきますし、それから社会生活というのがあるわけですから、夜だけ働いて昼間は完全に寝るということはあり得ないわけですから、どうしても生体リズムの完全逆転はあり得ない、こう言っているわけです。ですから、結局睡眠不足というのが蓄積すればさまざまなリスク、危険が増大していく。病気だとか労災だとか、こういうものが起きてくるのだ。だから、やむを得ずやらなければならない夜勤に対しては週末には休日をふやすとか、それから夜勤の後には二十四時間の自由時間が必要であるというようなことを去年の学会で発表しているわけです。 それから、日本でも中央労働基準審議会の労働時間部会というところで意見が出されています。これは、夜の十時から朝五時までの労働は原則として禁止してほしい。これは禁止されておりませんので、禁止してほしい。十時から朝五時までですよ。そこで働くというのは間違っていると思うのです。それで禁止してほしい。公衆の不便を避けるために必要欠くべからざる業務と、それから生産技術上やむを得ないもの、その他深夜労働を不可避とする業務、こういうものは行政官庁の許可なくしてはやってはならないようにしてほしい、こういう意見が出ているわけです。ですから、裸の写真を刷るのまで夜中にするというような、こういう野放しはやめてほしいということが言われているわけです。深夜労働というのは一日七時間以上はやめてほしい。これを一週間に二回以上はしないでほしいとか、それから一日一労働にして、連続労働というのはやめてほしい。それから深夜勤の後は休養時間を十六時間以上必ずとらせるようにしてほしいというようなことが、この審議会の労働時間部会でも出ているわけです。日本の場合には昼間と夜間の労働者が法的に全く何の区別もないわけです。これでは労働者の健康を守っていくということはできないと思うのです。 ですから調査をして、こういうことを調査はしていただけるわけですけれども、調査するにはある時間がかかりますので、いまどうするかということになるわけですけれども、たとえばいまこういうことが起きています。深夜勤の人ですが、会社に三時に出てくるわけですよ。三時から働きまして、ずっと十二時間働くわけです。そして夜中の三時まで働く。一日二十四時間の中で、午後三時に出てきて夜中の三時まで働くわけです。そうして三時から朝の十時まで会社で仮眠するわけです。それで退社していいわけです。そういうことならばまだやむを得ない仕事の場合は仕方がないわけですけれども、今度は欠勤者があった場合。十時に次のかわりの人が出てきますね。その十時に出てくる人の中に欠勤者がおりますと、その仮眠から覚めた人に、君そこから働いてくれと、また三時まで働かして、そしてその三時までに今度は夕刊を刷るわけです。というのは一日一労働ではないわけです。一日に二労働するということになるわけです。こういうことが行われているわけです。 ですから、深夜労働の数だとか状態とかというものを調査していただくと同時に、こういうことが行われているということはぜひやめさせてほしいわけです。それで、私がいま考えますのは、無理なことを言ってもすぐにはできませんので、せめていま言った、昼の三時に出てきて夜中の三時まで働いて、十時まで仮眠して、それ以後働かせない。そこで働かしてはいけない。これは会社も臨時の措置でやっているのだと思うのです。欠勤の場合にそれをやらせているわけですから、これを大至急やめさせてほしいわけですよ。これだけを至急やめさせるという通達を出していただけませんか。
○石田国務大臣 私も一週間ずつの交代勤務を八年間やってきたのです。八年全部ではありませんけれども、ある一定期間やってきたのです。そうするといまお話しのとおりなのです。工場は私どもが編集したものを印刷するから一時間遅くなりますが、われわれは三時まで、そして十時まで仮眠をして朝方帰るわけです。そしてまたわれわれの場合は六時からでしたけれども、そういうことをしています。その場合に、昼間というのはなかなか眠れないし、人が来るし、一般の社会生活と全く合わないわけですから、疲労が多いことは確かであります。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕 それから、欠勤者が出て、きょう昼間もやってくれよと言われたことも何度かあります。したがって、そういう実情は自分で体験しておりますからよく知っております。ただ、いますぐにやめさせろとおっしゃいましても、法律違反ではないものですからそういう処置を強制的にとるわけにはいきませんけれども、そういう実態の改善について話し合いをいたさせたいと思っております。実は新聞の日曜夕刊の廃止、あれは私の主唱でもってやったものでありますので、そういう事態の改善に努めさせるようにいたしたいと思っております。
○田中(美)委員 そうすると私は、法律違反でないから通達を出してほしい、そういう指導をしていただきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
○石田国務大臣 法律違反と見られないものに対して、しかりつけるような通達は出すわけにはちょっといかないと思います。しかし、われわれの時代とは大変、いろいろな機械も発達してきておりますので事情も非常に違ってきていると思いますので、そういう実態の調査をいたさせまして、そして改善をいたさせたい、こう思っております。
○田中(美)委員 できるだけ早く一日一労働だけは、調査をする前にでもこれをやっていただきたいと思います。 それで、自然のリズムに反する夜間労働者の疲労というのは大きいということを、ことしの三月一日にILOでも専門家が言っています。夜間労働者の家庭は破壊されているということを報告して、非人間的な夜間労働というものをできるだけ少なくするようにというふうにも言っているわけです。それから、もうこれは大臣御存じだと思いますが、三月の四日にフランスにおいては、一日一労働は言うまでもなく、先ほど言いましたいろいろな夜間労働のさまざまな規制措置というものを法律でやったわけです。そういう点で、日本が非常にそれに対しておくれをとるということは恥ずかしいことだと思います。フランスはもうやったわけですからね。ですから、日本もおくればせながら、いま調査してくださるというので、大至急調査をして、できるだけ早くそうした夜間労働に対する規制措置というものをとっていただきたいわけです。 私は今度のフランスの状態を見まして非常に感心したのですけれども、フランスの労働省はこういうことを考えているようです。まず法律的に規制措置をとった以外に、今度は夜勤労働者に特別手当を出すために、いま企業だけ出しているわけですが、国家補償金を出すのを創設しよう。これは検討中のようですけれども、こういうことを考えていますね。お金を出すということです。 それからもう一つは、企業管理者に次のことを義務づけようとしているのです。次のことというのはどういうことかというと、温かい食事を出す、これを義務づけるということですね。指導じゃなくて、管理者に義務づける。それから、夜勤労働に就労させる前に健康診断をして、そしてその後に定期の健康診断をすることを強制することを義務づける。それから、疲労度の立ち入り検査のために現場に医者を入らせる。そして実際にどれだけ疲労があるかという検査を義務づけるということ。それから、防音装置だとか、長いすだとか、電話つきの休養室をつくる。電話つきというのに私は非常に温かさを感ずるわけです。電話つきということは、家族に対しても電話ができるというような措置をとって、人が寝ているときに働く人たちの疎外感をなくすというような配慮、こういうことを企業管理者に義務づけるということをしているわけです。それからもう一つは、国営放送の管理者に、夜働いていますと夜の人気番組を見られないわけです。それで人気番組だけは再放送を昼間にするというようなことを労働省みずから頼んでいるわけなんですね。こういうことをいまやろうと言っているわけです。 ですから、法律でいろいろな規制をつけて禁止するということ、これはやってしまったわけですけれども、まだこういうことをやろうとしているわけです。向こうではきちんと人数も把握していまして、約二百万人の人たちが夜間労働をしている。この人たちはやむを得ない人たちなんだから、この人たちができるだけ夜間労働者の疎外感がなく、非人間的にならないような、こうした措置をとっているということを大臣は知っていていただきたいと思うわけですけれども、日本でもこういうふうな考え方でやっていただきたいというふうに思います。
○石田国務大臣 労働基準法というのができましてからもうずいぶん年月がたちました。三十年たったわけです。いま基準法全体にわたって再検討を研究会を設けてやっているところであります。いまの御指摘の問題は私自身も経験した労働でありますので、調査もさせ対策も講じたい。しかし、いままで何もしていないわけではないのでありまして、産業医を置くことを義務づけたり、あるいは健康診断を頻繁に行わしめるようなことはいたさせております。
○田中(美)委員 よろしくお願いいたします。 質問を終わります。
○戸井田委員長代理 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) 新自由クラブの工藤晃でございます。 この前、三月一日にこの席でいろいろ質疑させていただきました。その主な内容は、不況問題、それから労災保険の問題、それに伴う診療報酬の問題、それから社会的弱者に対する失業対策、このようなお話を質疑させていただいたと思います。その中で、時間的に短くて各論まで入っていけなかった問題点について、きょうは少し詳しく御返事をちょうだいしたい、こう思いまして質問に立ちました。 さて、この間の質問の中で、「不況の荒波が確実に現在押し寄せてまいっておりますが、現在、労働行政は一歩誤れば大きな社会不安の要因になってまいります。ひとつ真剣に勇気を持って実行していただきたいと思いますけれども、特にそのあおりを真っ先に受けるのが社会的弱者の層でございます。それに対してきめの細かい配慮をすることはもちろんでございますので、その前提で答えていただきたいと思いますが、この社会的弱者という身障者あるいは寡婦、このような方々がこういう不況のあおりで失業問題に直面される場合に、特に労働省はまず第一番にそういうところへの配慮が必要だろう、こういうふうに考えております。それで、それに対して具体策がございましたらひとつお聞かせいただきたい」こういう質問に対しまして、北川政府委員から、「身体障害者につきましては、御承知かと思いますが、昨年十月から身体障害者雇用促進法を施行いたしまして、雇用率を一・五%と決めております。したがいまして、それに達しない企業につきましては、月一人当たり三万円の負担金を支払っていただく。それを原資といたしまして、雇用率を達成しておる企業あるいは身体障害者の雇用促進に協力をしております中小企業に、報奨金もしくは調整金というものを支給している」こういうふうに御回答いただいております。 昨年十月からでございますので、まだつくられてからわずかな期間でございますけれども、その中身と申しますか、実際の効果と申しますか、そういう点について、簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
○北川政府委員 身体障害者雇用促進法の施行は、納付金の徴収、調整金、報奨金の配付等は雇用促進事業団とそれから民間の身体障害者雇用促進に大変御理解のある事業主団体、これは身体障害者雇用促進協会というのを前月の二十五日に発足をいたしておりますが、この事業団と協会の二つが協力をいたしまして、身体障害者の雇用促進の必要性、それから今回新たに法律で義務づけられました法律の内容等の普及に当たっております。 いまの先生のお読みいただきました前回の速記録によりますと、私がもうすでに納付金を徴収しておるような表現をいたしておりますが、実は十月から施行でございまして、十月から三月までの納付金を本年の十月一日までに納付することになっておりますので、まだ納付金そのものの徴収及びそれに基づくところの調整金、報奨金の給付ということは行っておりません。
○工藤(晃)委員(新自) そうすると、実際活動というのはまだだというふうな感じを受けるわけでございますが、現在不況でございまして、そういう雇用促進が大変要求されるのは現在じゃなかろうか、こう思うのです。そういう点において、そういう目的のためにつくられたものがことしの十月一日までというふうなお話でございましたが、そういうことでは時期的に大分ずれてしまうんじゃないか、そうすると実際的に効果が上がりにくいんじゃないか、そういうふうに考えますが、その点、いかがでございますか。
○北川政府委員 雇用率の達成をいたさなければならない時点というのは昨年の十月一日、法律施行後直ちにでございます。ただ、それに達しておらない場合の納付金の納入の期限が本年の十月一日ということでございますので、昨年の十月から法定による雇用率を達成する義務は各企業に課せられておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと、実際にそういう雇用促進の実績は上がっているわけでございますか。その点、どうでしょう。
○北川政府委員 先ほど言いましたように、労働省では、安定所、雇用促進事業団、雇用促進協会というところでいろいろの講習あるいはPR、会合等を持ちまして、この法律の制度、趣旨を徹底いたしております。現に昨年の十月には、役所としては珍しく半ページの身体障害者雇用促進の広告等を出しまして、大変注目を集めたところでございます。その結果、ではどういうことでというのがまだ数字では出ておりませんが、具体例で申し上げますと、学生の職業センターと申しまして、大学生の就職あっせんをする専門の機関を東京の飯田橋に設けておりますが、そこで身障者の大学卒につきまして、雇用率の達成しておらない大企業に対して求人、職業紹介のあっせんをいたしましたところ、一般の大学生より以上に非常に求人が殺到いたしまして、健常者の学生をむしろうらやましがらせたというような例もございます。それから、これは工藤先生、新聞等で最近ごらんになっておられるかと思いますが、最近の求人広告で、たとえば三愛、リコー、三菱商事、伊藤忠、IBM等が身体障害者に限定をして求人募集をしておる広告がかなり出ております。ということは、今回の法律の施行によりまして雇用率が法定化したということで、かなり身体障害者の雇用促進について企業のトップレベルから真剣に取り組み始めておる、私たちはそう理解しております。
○工藤(晃)委員(新自) 大変好ましい傾向だと思います。それは特にその法律ができたからそれによって促進されたということもございましょうけれども、社会の中に福祉のあり方あるいは雇用のあり方というものが定着していくきっかけにそれがなっていけば大変結構だと思います。そういうものを含めまして身障者に対する雇用促進法はできました。しかし、これは福祉という立場からの社会的弱者に対するある種の救済的措置を含めておると思うのですが、その点、いかがでございますか。
○北川政府委員 身体障害者の雇用促進というのは、私たちの考えでは、事業主が単に福祉的観点ということでは限界があって、進展を見ないと思っております。むしろ、これからの雇用情勢を考えますと、社会的連帯という考え方とともに、雇用の場として身体障害者の能力を活用するという、積極的な雇用意欲というものをお持ちいただくことがあわせて必要ではないかと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) 私がただいま質問しておりますのは、こういう身障者の方々の障害を何とか社会あるいは国が保障していこうという切なる願いがあるからでございます。それにつきましては、そういう雇用の促進、雇用によって生活が安定していくということも最も必要な条件でございますけれども、小さいときから教育あるいは医療、そういうものも含めて三者の円滑な運営がなされなければ、身障者に対する社会的な義務を果たしていくということはなかなか困難な状態だろうと思います。そういう意味におきまして、これからたとえばそういう三者の協議会あるいは懇談会、企業あるいは雇用していただく側の方々、身障者に対する医療上のいろいろな専門分野の方方、教育者、こういうものを含めてより促進できるような協議会——協議会でなくてもいいのですが、そういう話し合いの場をおつくりいただく御計画はおありになるかどうか、大臣、御返事いただきたいと思います。
○石田国務大臣 審議会とかそういうものでなくてもいいとおっしゃいましたけれども、これは予算委員会等でも現在数が多過ぎるという意見が非常に多い上に、この内閣の方針として行政改革と取り組みたい、その一つの対象として考えておりますので、そういう新設はなるべく避けたいと思いますが、身障者の雇用促進協会、すでにでき上がってスタートを切った、ここの仕事の一つとして、いまおっしゃったような研究活動というようなものも検討してもらいたい、私どもはかねてからこう考えておるわけであります。
○工藤(晃)委員(新自) そういう提案をいたしましたのは、逆に言いまして、そういう保育をしているような教育施設の方々から切なる願いとして、ここを出ていった場合に将来が大変心配なんだ。そういう身障者のお子さんをお抱えになっていらっしゃる御家庭の方々は大変将来の、もし私が死んだら後この子はどうするのだろうという心配が大変大きな悩みになっておられることをよく存じておりますので、少なくともそういう連携がうまくいって、将来は最終的にはそういう生活安定に結びついていくような円滑な運営がなされなければならないという考え方から申し上げたわけでございます。形はどうあろうとそれは一向かまいませんが、やはりそういうものが別々の行動じゃなくて、連帯感を持ってやっていただけるようなシステムがこの社会に必要だろう、こう考えたわけでございますので、その点、そういうふうに御理解いただければありがたいと思います。 それから、それに伴いまして、やはり身障者だけが社会的弱者じゃございませんので、この間も私主張いたしましたけれども、寡婦の問題がございます。寡婦の生活を安定するという立場からいきますと、大変いまの不況状態というのは憂うべき状態じゃないかというふうに考えます。それについても幾つかの御返答をいただておるわけなんですが、その中で、まず子供さんを抱えて働かなくちゃいけないというようなこと、あるいはまた技能を持ってない、そのために大変働く場が狭くなってしまう。あるいはまたそれ以外にも考えますのは、やはり子供を抱えて働く以上は時間的な制約もほかの方に比べてある。そうすると、逆に言いますと、それは企業側にとってはありがたい条件ではないということから、こういう不況になってまいりますとそういう方々への風当たりが非常に強くなってくる。あるいは解雇という問題がなくても、そういう方々がお勤めになっていらっしゃるところはやはり中小企業が多かろうと思いますので、そういうところへ荒波が行って倒産という形で職を失ってしまう、そういう例も多々起きつつあるのではないかというふうな気もいたしますし、またそういうことから新聞紙上によく出る親子心中というような悲惨な例が起きないように、大変憂えるわけでございます。そういうときに、まず、雇用促進も必要でございましょうけれども、そういう方々が失業をしてきたときの具体的な対策というものもぜひお考えいただきたいというのが、この間の私の趣旨でございました。そういう受け入れ体制というものをどのようにしてお考えになっていらっしゃるのか、あるいは具体的にこういう形で受け入れていきたいというふうな策がございましたらここで御披露いただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
○石田国務大臣 寡婦の問題は二つ大きな制約があると思うのです。一つはやはり家庭的な制約、つまり子供の問題ですね。もう一つは職業的経験がない、あわせて技術を持たない。前者に対しては、やはり託児所その他をその企業でつくってもらえるような奨励策をとりたい。それから後者に対しては、やはり訓練をいたしたい。私どもはそういうことでやってまいっておりますが、なお具体的ないまとっております措置につきましては婦人少年局長からお答えさせます。
○森山(眞)政府委員 寡婦の問題につきましては、特にただいま大臣から申し上げましたように、従来経験がない、あるいは技能がない、まずそもそも職業というものについて余り知識がないところに突然その必要を生じたというような事情がございまして、やはりどうしていいかわからない、途方に暮れるというのがまず直面する問題だと思います。 そういう必要にこたえますために、就業に関する相談機能の強化ということをまず考えております。これは従来私どもの方の所管で内職相談センターと称してやっておりました、各県に四十八カ所設けておりましたものでございますが、それを、目的を限定いたしませんで、もっと幅の広いものにいたしまして、そういう母子家庭の母がおいでになった場合に幅の広い相談に応じられるように、あるいはそこで簡単な講習程度のものは受けられて、多少でも収入がふえる方法を講ずることができるようにということを考えたわけでございまして、四十八カ所のうち、にわかに全部というわけにはまいりませんが、試みにまず三カ所やってみようということでいまおるところでございます。 それから、本格的な職業訓練を受けることのできる条件のそろっている人に対しましては職業訓練の機会を提供するわけでございますが、訓練の受講期間中訓練手当が新しく設けられまして、寡婦に対しても中高年あるいは身障の方々と同じように訓練手当が支給されるということに五十二年度からなる予定でございます。 それから、寡婦等雇用奨励金という制度がすでに五十一年度から発足いたしておりまして、これは寡婦を雇い入れました事業主に対しまして、雇い入れた寡婦一人につき一月一万円を一年間支給するという制度でございますが、これも五十二年度から一万一千円に増額するという予定でございます。 そのほか、寡婦につきましてはいろいろなきめの細かい対策が必要であろうと思いますし、また御要望を十分に把握していかなければいけないということで、就業に関する実態調査を、五十二年度において大幅な調査をしたいというふうに考えております。 それで、寡婦問題につきましては、厚生省の所管におきましていろいろな施設や貸付金その他の援助措置が長い間講ぜられてきた歴史がございます。そちらの方の所管の方々ともよく御連絡をとりまして、今後ともきめ細かく進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○工藤(晃)委員(新自) ただいま、寡婦雇用促進法が促進されて、その金額も少し増加されたということでございます。身障者に対しましてはそういう促進法ができたために促進されたという大臣からの御返事がございましたが、そういう寡婦に対しましては雇用促進法ができたために実際に効果が上がったかどうか。その点はいかがでございますか。
○森山(眞)政府委員 寡婦につきましては雇用促進法はまだできておりませんです。これは問題の性質上法律をもって規制する、あるいは強制するという性質のものではないという考え方で、まず実態を把握し、それに応じた具体的な措置を一つ一つ積み上げていくというふうな段階であるというふうに思っております。
○工藤(晃)委員(新自) そうすると、いまのところはまだ調査中ということで解釈してよろしゅうございますか。
○森山(眞)政府委員 はい。調査と、それから個々の措置を積み上げていくという段階でございます。
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと現在の状態には間に合わないということでございますので、ぜひその点はすべからく実態を早く調査していただいて、それに対する対応策を講じていただかなければ間に合わないのじゃないかという感じがいたします。それはその問題として……(石田国務大臣「すでに助成措置はやっているのだろう」と呼ぶ)私がいまお聞きしたのは、助成措置を講じたことによってそういう問題が促進されたかどうかということをお聞きしたわけです。
○森山(眞)政府委員 奨励金の意味でございましょうか。
○工藤(晃)委員(新自) はい。
○石田国務大臣 御質問が初め寡婦等雇用促進法というお言葉をお使いになったので、いまああいう答弁が出たわけであります。現在でもいろいろな助成措置をやっておりますし、給付金等もやっております。そういうものの効果という御質問ですね。
○工藤(晃)委員(新自) はい、そうでございます。
○森山(眞)政府委員 雇用奨励金につきましては、職業安定機関を通しまして雇い入れました事業主に対しまして、先ほど申し上げた金額が一年間支給されるという仕組みでございますが、これによりましてかなりの寡婦の雇用が促進されたというふうに理解いたしております。
○工藤(晃)委員(新自) それじゃひとつぜひこのような調査も一緒にしていただきたいと思います。毎月寡婦の採用された人数、あるいは逆に解雇された人数がございましたらそういうことも一緒に統計的にお調べいただいておけば、どういうふうな状態になるかよく実態がつかめるのじゃないかと思いますので、その点ひとつお願いしておきたいと思います。 それから続きまして大臣に、関連いたしますけれども、この前の質疑の中で指定校制度の問題について触れましたが、その中で石田大臣から、「企業側、事業所側から言えば、従業員の採用というのは慈善事業じゃありませんから、それぞれ過去の長い経験に基づいて、いままで自分の欲する人材を一番たくさん得たところを指定していくということは企業側にはあると思います。」という御答弁がございました。しかし、逆に裏返せば、やはり不況になってきて、企業そのものがあるいは事業所そのものが非常に苦しい立場に立ったときには、企業は慈善事業じゃないから、やはりそういう身障者とか寡婦とかという人たちがまず第一番に失業させられるんじゃないかという心配が逆に出てまいります。その点について大臣は、「産業転換に当たって、寡婦であることを理由に、あるいは身体障害者であることを理由に真っ先に馘首する、そういう非人道的事態は全力を挙げて阻止する決意でございます。」こうおっしゃっているわけです。その全力を挙げて阻止する決意の内容をぜひひとつここで具体的にお知らせいただきたいと思うのです。
○石田国務大臣 全体として企業者側、いわゆる使用者側にもボランティアの精神と申しましょうか、社会的責任の自覚と申しましょうか、そういうもの、が生まれてきていると私は考えておる。それは先ほど安定局長が例に挙げましたように、また最近見られる新聞広告なんかにもうかがわれるわけであります。そこで、そういう社会的弱者から真っ先に処理をする、あるいはそういうことを理由に処分をするというようなことはそういう点からも許されないが、あるいは身体障害者雇用促進法の精神にも反しますし、そういうことが行われないような行政指導がまず大切だろうと思います。ただ、いま基準法を全体として見直しておる段階でございます。そういう中で、社会的弱者であることだけを理由にしたそういう処置の取り扱い等も検討いたしたい、こう思っておる次第であります。
○工藤(晃)委員(新自) ぜひそれを具体的に阻止する方法、手段というものをもっと御検討いただいて、より効果的にしていただきたい、こう思うわけでございますが、私はここで一つ御提案申し上げたいのは、雇用促進、確かに企業側の認識の変革というものが大きくそういうものを左右すると思います。しかし、雇用促進に対して非常に協力されておる企業もあれば、非常に無関心なところもこれは当然出てまいると思うのです。そういう場合に、雇用促進をより有効に、あるいは普遍的にしていただくために、そういう意識を十分持った理解ある企業に対しましては特に表彰していくというふうな積極的な姿勢をぜひ労働省として出していただければ、その効果というものはより相乗されるんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、その点についてはいかがでございますか。
○石田国務大臣 これは身障者とかあるいはいま御指摘のような問題だけでなくて、労働行政全般にわたって功績のあった人、そういう人たちに対する叙勲とかあるいは表彰とかというようなことは全体としてすでにやっております。特に身障者の雇用促進に対する労働大臣名の表彰は毎年やっております。なおこれを拡大してやってまいりたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) ひとつ寡婦の方にもぜひそういうものを波及させていただきたい。それで、できるだけ具体的に、そういう表彰の仕方も総体的にすべてにということでなく、各論で個々にでも結構ですから、ぜひそういうものを促進されますようにお願い申し上げます。 それから最後に、時間が参ったようでございますのでこれはまたこの次になろうかと思いますが、職業病、特に職業の環境の中でいろいろ起きてまいります難病、今後ふえてまいろうと思いますが、そういうことに対して、たとえば、いろいろ企業の中で対策を講じるような指導を当然なさっておると思いますが、そういう指導に対して十分応じないで、そのために結果としてそういうところへ職業病が多発してきた、こういう場合に、それはすべて労災の対象になると思うのですが、そういう企業のいわば不誠実のために起こした労災患者に対しては、企業として何らか別に罰則的な補償というか、あれをより強化するというふうな手段、方法をお考えになっていらっしゃるかどうか。この点についてまた改めて伺いたいと思いますが、大臣、一言……。
○石田国務大臣 実際最近起こっておる事例、あるいは裁判になったり何かした場合の判決等は、企業の側から見ればずいぶん手ひどい打撃を受ける状態になってきておるわけであります。このことがやはりある意味では罰則になっておると思うのです。ただ、因果関係がなかなかつかみにくいのと、もう一つは、原因発生の時期とその結果があらわれる時期との間にかなり時間的経過がある、そういうようなことで職業病対策というものは非常にむずかしい問題であります。私どもといたしましては、その事態を発生した企業の責任は、これはむろん補償等の処置あるいは最近見られる裁判所の判決、こういうようなもので企業の責任は追及しておるわけですが、しかし、われわれの仕事としては、そういう原因自体、つまり危険のあるもの自体の早い発見に努めて、それを早い時期に制御していくということが大切である、こういう観点から、そういう職業病発生の原因になるものの調査、研究、実験、そういうようなものに本年度予算ではかなり大幅な配慮をいたしております。したがって、この予算が成立し、そういう支出が設けられれば、それは完全にとはいきませんけれども、いままでとかなり違った画期的な成果が期待できるんじゃないか、こう思っております。
○工藤(晃)委員(新自) そういう企業努力をされて職業病の発生を防止される企業と、それから野方図に放置されて多発する企業と、そういう差の出ないように、労働省としてはどういう対策を講じればそういうことが善処されていくかということについてより御検討をいただいて、そういうことの差を縮めていただく御努力をいただきたい。 最後に、これは伺ったことでございますけれども、近いうちに労災保険の診療報酬の改定が行われるんじゃないかというふうな話を伺いましたけれども、その点は全然うわさでございますか。
○石田国務大臣 私はまだそういうことの報告は受けておりません。きょうその担当者もいま来ておりませんので、いずれ調査をいたしましてお答えをしたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) これで質問を終わります。
○戸井田委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時九分散会