社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1977/03/10
会議録
○橋本委員長 これより会議を開きます。 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣渡辺美智雄君。 ————————————— 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○渡辺国務大臣 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回これらの支給額を引き上げ、支給範囲を拡大するなど一層の改善を図ることとし、関係の法律を改正しようとするものであります。 以下、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。すなわち、障害年金、遺族年金等の額を恩給法に準じて増額するものであります。このほか、障害年金受給者が死亡した場合にその遺族に支給される遺族年金等の支給範囲を拡大し、また、遺族一時金にかえて、その支給要件に該当する遺族に対し、新たに遺族年金等を支給することとしております。 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。これは、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族年金の増額に準じて引き上げるものであります。 第三は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正であります。すなわち、満州事変において公務上の傷病にかかり、これにより死亡した軍人の遺族に対して新たに特別弔慰金を支給するとともに、特別弔慰金を受けることのできる遺族の範囲を、戦没者等と生計関係のあった三親等内の親族にまで拡大するものであります。 第四は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、昭和五十一年の遺族援護法の改正により遺族年金等を受ける権利を取得した戦没者の妻及び父母等にそれぞれ特別給付金を支給するものであります。 第五は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、特別給付金として交付された国債の償還金について、その支払いの特例を定めるものであります。 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○橋本委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○橋本委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
○津島委員 厚生省関係、特に社会保障制度の全般並びにこのたびの予算において格別に重点施策として選ばれました若干の点について御質問申し上げます。 きょう御出席の厚生大臣は、非常にバイタリティーに富み、筋を通される方だということで、多くの方が、いま曲がり角に立っております社会保障制度について、将来の展望というべきものの基礎をつくっていただけるんではないかと期待しておると思うわけでございますが、そのような意味で、きょうは委員会の最初の質問でございますので、まず制度の現状というようなものをひとつ御質問して将来展望を伺いたい、こういうふうに思うわけでございます。 そこで、長い間日本の政治についてよく言われますのは、社会資本ストックが少ないということと並んで、社会保障制度が非常に欧米各国に比べておくれているということが言われてきたのでございますが、累年の御努力によって逐次改善をされてきていると思うのでございます。そこで、果たしていわゆる西欧諸国に比べて日本の社会保障が一体どのような地位にあるかということを考えてみたいのでございますが、これは政府委員の方で結構でございますが、社会保障のレベルをあらわすためによく引用されます国民所得に対する社会保障給付金のウエートというものを、ちょっと主要国について、まあ私から申し上げてもいいのですが間違えるといけませんので、述べていただきたいのでございます。
○山口説明員 お答え申し上げます。 お尋ねの社会保障給付費の国民所得に対する割合でございますが、主な国といたしまして、西ドイツが一九七一年、昭和四十六年で二一・一%でございます。 〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕 それから、フランス一九二一%、イギリス十六・三%、アメリカ一二・八%、それに対しまして日本は六・〇%、なお、その後日本の場合には伸びておりまして、一番新しい実績の出ております昭和四十九年度では七・九%、かような状況でございます。
○津島委員 ただいまの数字でわかりますとおり、確かに国民所得に対する比率は低いのでありますが、非常に急速な勢いで上がってきておるということは言えるのではないかと思いますが、現在のこの水準をどう理解するかということで、いまの日本の人口動態と無関係に、たとえば老齢年金を中心にする社会保障給付金、給付制度の水準を評価することはできないと思うわけでございます。 その評価の前にもう一つ、この所得保障と並んで問題になっております医療保障の面で、日本の医療保障がどういう水準にあるか、国際的に比べられるような数字があればちょっと御披露いただきたいのですが、たとえば、一人当たりの医療費が、欧米諸国に比べて日本はどんな水準にあるか、ちょっと述べていただきたいのでございます。
○山口説明員 お答え申し上げます。 医療の部門でございますが、まず、マクロの数字といたしまして、医療給付費が国民所得に対してどのくらいの割合であるかという部分を見ますと、西ドイツで先ほどの昭和四十六年、一九七一年でございますが、五・七%、フランスが五・六%、イギリス四・七%、アメリカ三・〇%に対ししまして、日本の場合には四十六年度で三・四%でございますが、四十九年度には四・二%ということでございまして、人口の老齢化の差等を考えますと、現在の段階でほぼ西欧と匹敵をしているという見方ができようかと思います。
○津島委員 ただいまの御説明のとおり、医療保障の面で、少なくとも金額で比べてみますと西欧水準にかなり近いところにきておるという感じがするわけでございます。 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、現状はこういう姿でございますが、日本の社会がどんどん老齢化していく、これはもう従来からあらゆる政府の長期計画で指摘されている日本の社会の基本的な問題でございますが、この人口動態が変わっていくということの関連で、いまの日本の社会保障制度を、所得保障と医療保障と両方含めて、大臣、どのように評価されておるか、ちょっとお伺いしたいのでございます。
○渡辺国務大臣 事務当局から御説明をいたしましたように、社会保障の中でも医療保障は大体欧米並み、こう言っていいのじゃないか。それから、年金等の問題について特に低いということが言われるのでございますが、それは、日本が国民皆年金になってから非常に年数が浅いというようなことでございましたが、それも時間がたつとともにどんどん成熟化の傾向にきておって、これはすでに水準としては、年金水準は欧米並みであります。また、年金の開始の年齢等については、大体欧米では、フランスが六十歳ぐらいでありますが、そのほかは六十五歳ということになっております。ところが、日本では物によっては五十五歳というようなものもあるわけでございまして、そういう制度の違いがございますから一概には比較できませんけれども、まあいいところへきているのじゃないか。ただ年金等についても、これから非常に老人がふえるということになると、それに対する給付というものについて、かなりの財政圧力といいますか、そういうような金が必要になってくる。そういうようなときに、いままで高度経済成長というようなところの中で社会保障費というものもかなりの恩恵を受けてきたと私は思っております。たとえて言えば、昭和四十八年に社会保障費の予算というものが大体二兆円でございました。それが五年たった昭和五十二年には五兆六千億円、したがって、厚生省の予算も大体似たような足取りでありますから、大体同じようなかっこうで二・七倍、五年間に三倍近く予算がふくれ上がったというのはほかには余りないのじゃないかと思う。いままではそういうことで社会保障にかなりの国費をつぎ込んでくることができたけれども、高度経済成長から安定経済成長に変わっていくというような過程で、いままでと同じような伸び率でわれわれとしてはつぎ込んでいきたいと努力はいたしておりますが、しょせんはこれは国全体の財政の問題と密着不可分の関係にございますし、仮にいままでどおりにその給付というものを向上さしていくということになれば、国費で支出するか国民が掛金をふやしていくか、二つに一つしかないわけでございますから、これらについては国民の各層の間のコンセンサスをよく取り入れていかなければならない問題であります。したがって、私といたしましては、年金の問題につきましても医療の問題につきましても、ともかくいままでと同じような手法でやっていくことは現実の問題としてもう頭打ちになって、にっちもさっちもいかなくなるというように考えております。したがって、これについては厚生省の中に年金問題や老人医療問題等に対するそれぞれの懇談会をこしらえて鋭意検討をいたしておるところでございます。皆さん方の意見も重々拝聴いたしまして、真剣に全体の見直しという問題について効率的重点的に一つの柱をつくって考えていく必要がある、かように思っておる次第でございます。
○津島委員 ただいまの御説明でわかりますとおり、いろんな意味で、日本がいま持っております制度自身の実力というものは欧米水準の制度を先取りしている面があるんではないか。そういう意味で、もし厚生省の方で、仮に西欧諸国のように老齢人口がたとえば人口の二〇%近い状態であるならば、いまこの昭和五十一年度あるいは五十二年度で、老齢年金を初めとする所得保障給付金がどのくらいの金額になるか、試算ができればお伺いしたいわけでありますが、それに似たような数字を逆にとってみますと、これからずっと日本の人口が老齢化していって、いまからたとえば三十年先になる、そうすると、これは厚生省の書類の中に書いてあるのですが、厚生年金だけでも優に百兆を超えるということが書いてあるわけでございます。つまり、いま制度が持っておる実力というのは、将来老齢化した場合にそれこそ何百倍という給付をもたらす制度を持っておるわけです。それに対して一体負担の方はどうなっているかと申しますと、そういう制度がもたらす利益の、いまの現在時点における原価を賄うにはとうてい足らない。恐らく半分以下の負担になっているであろう、こういうことが言えるわけでございます。 この点が、先ほど大臣が御指摘になった将来の制度を考える場合の基本的な問題だと思いますので、きょうはほかの問題がございますから、この点、基本的な問題について一つだけ大臣にお伺いしたいと思いますのは、将来の制度がだんだん実力を発揮してくるときを予想して、そのための本当の負担といいますか、国民の相互の連帯意識に支えられた制度の重みの負担をしようという気持ちを国民各層に育てていきませんと、この制度はもっていかないだろう。いわば、いまみんなが考えておる負担の意識を超えた、身分不相応と言ってはあれですけれども、そういう制度をすでに持っておる、抱えておるというのが現状だと思うのでございますが、そういう意味で、本当にその制度の重みを皆で支えよう、あるいは将来の年金のコストをいまからみんなで考えていこうという方向に厚生省としても諸施策を考えていかれるべきではないだろうか。何かその点について示唆に富んだお答えがあればこの際ぜひお伺いしていきたい。そうでないと、どんどんその制度だけはよくしていく、ところがそれを背負う方はどんどんおくれていくということを私は非常に恐れるわけでございます。どうかこの点ちょっと大臣に御答弁いただきまして、なお事務当局からは、いまの制度の実力を何か数字であらわせるものがあるかどうか。なければこの際結構でございますが、ちょっと御答弁いただきたい。
○渡辺国務大臣 いまのような水準を持っておって、それでこれが五年十年たっていきますと、ある程度ベースアップももちろんあるし給付の改定もやっていく。国民年金でも、負担の方もいま一人二千二百円ですか、そういうものが昭和六十年ごろになると、いままでのようなペースでもし改定していくということになると、負担の方も一人八千円ぐらいの負担になるというような試算を内々でされておる。本当にそんなに負担がし切れるのだろうかな。特に国民年金のように、農家なんかが入っておる場合は、財産を持っておりますから、財産を持っておる人は財産を処分すればある程度自分のことはできる。本当に持っていない人は、負担があっても老後の問題についてはぜひともそれは年金を充実していきたいということですから、これは高負担に応じても老後の保障はぜひやってくれという意見が多いと私は思います。しかし、そういうものを一緒にして国民年金というような形を持っておって、本当にこれはそこまで納得してもらえるのかどうか、私も実は心配をしておるわけであります。 ただ問題は、外国と比べますと、負担の割合というようなものについて、租税と社会保険の負担率というものを比べましても、租税の負担率においても日本はともかく六掛けとかあるいは七掛けとかということで低い。それから社会保険の負担率においても、先ほどの企画室長が言ったその統計によると、ドイツは国民所得に対して一七・七%の社会保険の負担をやっておる。フランスが二〇・八、イギリスが九・〇、アメリカ八六、日本は五・六、最近の状態でも七%ぐらいということで、保険負担だけでも外国の半分以下ということも実情であります。したがって、ともかく水準がそういう水準になっておるということになれば、給付の水準の方だけは外国並みで負担の方は外国の半分だというようなことは、いままでのように受給者が少ないから国は金をつぎ込んでめんどうを見てこれたかもしらぬが、だんだん受給者がふえるということになると、まして高度経済成長でなくなって安定成長になると、とてもそれはやっていけない問題ではないか。したがって、ともかく高給付を受けるということになれば高負担ということも避けて通れない。しかし、そういうような国民の合意が得られるのかどうなのか。私はやはり、そういうふうな給付を、高福祉をするならばある程度の負担増というものは避けて通ることができないのじゃないか、もうはっきり割り切った方がいいんじゃないかというような気がするわけであります。
○津島委員 御指摘のとおり、負担に非常に大きな問題があるわけでございますから、一番大切なことは、いま国民が与えられております制度がかなり実力を持ったものだ、いいものだということを、もう少し私どもが国民に理解してもらう努力をすることが負担を求めるための基本であろう、こういう点を御指摘して次の質問に移りたいと思います。所得保障あるいは医療保障と並んで、厚生省の大きな仕事としていろんなサービスをしなければいけないわけでありますが、医療の面でかねがね一番問題がありましたのは、救急患者が病院へ行ってたらい回しされる、一番医療サービスを緊急に受けなければならない人が一体どういう扱いを受けるか心配でならぬということが指摘されてきたわけでございます。この点、五十二年度、来年度の大きな施策の柱として取り上げられて、予算の面で言いますと百億を超える予算をとっていただいた。まさに、事務当局の御努力もさることながら大臣の実力の示すところであると思いますが、この救急医療制度が本当にこれだけの、四倍増の予算をもらってうまく動くのかどうか、その点、私は心配なわけでございます。 そこで最初に、一体いま問題になっている救急患者が今度の新しい制度の中でどこへ持ち込まれて、そして第一次的にどこでケアをしてもらえるのか。それがうまく動くのかどうか。いわゆる初期救急医療体制の整備ということを言われておりますが、その点について若干御説明を事務当局からいただきたいと思います。
○石丸政府委員 救急医療の問題は現在非常に大きな社会問題になっておるわけでございますが、この救急患者をどういうようなシステムでわれわれが今後取り扱っていけばいいかという問題になろうかと思うわけでございます。これはその地方地方の実情に応じましてまた今後いろいろな方策が出てくるとは思っておりますが、五十二年度予算案でわれわれといたしまして現在考えている施策、特にただいま御質問のございました初期救急医療という対策について申し上げますと、従来、この初期救急医療対策につきましては、交通外傷等の外科的な患者に対しましては、いわゆる救急告示医療施設ということでこれに対応してまいったわけでございますが、最近の救急患者の種類を見ておりますと、そういった外科的な患者よりはむしろ小児科系あるいは内科系の患者が多くなっておるわけでございまして、そういう新しい事態に対応いたしましてこの初期救急医療体制を整備する必要があろうかと思うわけでございます。従来、こういった患者さんに対しまして、医師会の協力等を得まして、いわゆる在宅当番医制あるいは休日夜間急患センター、こういったものをつくってまいったわけでございますが、この休日夜間急患センターにつきましては十万以上の都市に対しましてこの設置を図ってまいったところでございまして、本年度末までに約百七十カ所の整備を終わる予定になっておりますが、今後さらにこれを拡充いたしまして、人口五万以上の都市にそういったものを整備してまいりたいと考えております。 さらに、在宅当番医制につきましては、従来からこれは国の助成はなかったわけでございまして、それぞれの地区医師会の協力を得まして在宅当番医制をやってまいったわけでございますが、やはりこの制度を拡充、定着化させるためには、こういった施策に対しまして今後助成を行っていく必要があろうかと思うわけでございまして、そういった各地区医師会に対します助成ということを考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、五十二年度予算以降におきましてそういったシステムを整備するということにわれわれは努力いたしておるところでございますが、システムができましても、それに従事していただきます医療従事者の方たちの協力なくしてはなかなかこのシステムも動かないわけでございまして、そういった点につきましては今後さらに都道府県あるいは市町村、そういった地区住民の保健サービスを担当いたしております部門と、実際に診療を担当いたします医師あるいは看護婦さん等のいろいろな医療従事者、そういったところとの協議の場所等をつくりまして、意思の疎通を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○津島委員 医師会の方の御協力がなければ在宅当番医制度がうまく動かないというお話でありますが、救急患者が担ぎ込まれて、最初にいまのセンターなりあるいは在宅当番医のケアを受けて、それからどうもそれでは処理が済まないという場合などはやはり病院に行く必要があるんだろう、恐らくこれが第二次救急医療体制という問題になるんだろうと思うのですが、病院が一番コストが高くて、いい表現ではありませんけれども、余りいわばうまみがないようなこういう仕事に本当に協力してもらえるかどうかが一番大きい問題だし、もともとベッドがもういま非常に限られておるという状態で、悪い言い方をすると、患者の方は救急車に乗っていかないと入れてもらえないというような非常にゆがんだ形になっておるわけですが、今度の第二次救急医療体制の整備といういろんな御施策の中でこの点が幾らかでも合理化されるのかどうか。また病院の協力が得られる見通しをお持ちなのかどうか、御説明いただきたいと思います。
○石丸政府委員 五十二年度以降の予算におきまして、この救急医療システムを第一次、第二次、第三次救急システムというふうに、三つの段階に分けてわれわれ対策を考えておるところでございます。 それで、現在問題になっております点は、第一次救急医療はただいま申し上げましたような方法でこれに対処してまいりましても、やはり第一次救急医療機関におきまして対応できないようないろんな重篤な患者さんもおられるわけでございまして、特に最近医療事故等の問題に関連いたしましてそういった患者さんの取り扱いが問題になるわけでございまして、やはり第一次医療機関に磁力を得るためには第二次あるいは第三次救急医療機関を整備して、いつでもそういった患者さんを収容してもらうという対応ができていないと第一次医療機関が責任を持ってできない、そういう意見がございます。さらにまた逆の立場に立ちますと、第二次、第三次の救急医療機関を整備いたしましても、やはり非常に軽症な患者さんまでそこへ直接運び込まれると、医療資源として考えた場合に非常に大きなむだがあるのではないか、こういうふうな意見もございまして、やはり第一次第二次が相協力して今後整備されていく必要が計ろうかと思うわけでございます。したがいまして、第二次、第三次医療機関の整備を並行して考えておるところでございます。 特に第二次救急医療施設といたしまして三つの方策をわれわれは現在考えておるところでございます。それぞれの地域の実情に応じましてそのいずれかの方法をおとり願うということを考えております。すなわち、それぞれの病院が毎晩当直をやるということは一つの病院に非常に大きな負担がかかるわけでございます。したがいまして、ある広域医療圏を設定いたしまして、その地域の各病院が当直の日を決めまして、いわゆる輪番制という形でこういった救急患者の第二次体制に取り組んでいただく。それからもう一つの方法は、いわゆる共同利用型病院ということでございまして、この地域の開業医の先生を必要な場合にはその病院に呼んで対応していただく、いわゆる共同利用型の病院の整備。もう一つは、そういった医療機関がなかなかないような地域もまだあるわけでございまして、そういったところでは、A病院は内科の医者B病院は外科の医者というふうに、当直の医者の診療科を協定していただいて、いずれかの病院であらゆる患者さんに対応できる、そういう診療科の協定型。この三つの方式で第二次医療機関の整備を図ってまいりたいと考えておるところでございます。 こういった整備をいたしまして、ただいま先生御指摘のように、救急医療というものは、やはり現在の診療報酬体系では患者さんが来ないと、待機していても患者さんが来ませんと診療報酬が得られない、こういうシステムでございますが、し・かしやはり待機してもらう必要がある。この間のロスに対しまして、われわれといたしましてはやはりそういった待機をしていただくということが必要でございますので、そういった費用について今後助成をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○津島委員 この第一次、第二次、いずれも医師の方々あるいは病院の協力が要るわけでございますが、たとえば第二次の公的病院の協力のために、医院運営費の補助を一地区当たり二千五百万円であるとか、あるいは先ほど御指摘の当直医の協定方式を進めるために二百五十万円の補助基本額を決めておられますが、こういう金額で十分協力が得られるのかどうか、その点、もう一度重ねて御質問したいわけでございます。 さらにそれに加えて、こういうりっぱなシステムをつくられても、実際救急患者ができた、それをどこへどう持っていくか、われわれはわからないわけでございます。救急患者というのは予定して出てくるわけじゃなくて、全部その場の勝負でありますから、これをうまく交通整理する制度をこのたび考えておられるということでございますが、その点がうまく動くのかどうか。非常に軽度の、たとえば足のうおのめが痛くて歩けないというおばあさんが救急車で堂々と病院に入っていったという、これは日本の例ではありませんけれども、私は海外生活をやっているときによく知らされたのでありますが、そういうような救急制度のある意味での間違った活用に対して、うまく交通整理する制度ができるのかどうか、その点ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
○石丸政府委員 救急医療に対します国の助成額が低過ぎるのではないかという御意見でございます。この救急医療に対します各種の助成策は、昭和五十二年度を第一年度といたしまして今後三カ年で整備しようとしておるところでございまして、五十二年度が初年度に当たるわけでございまして、今後またいろいろな問題が出てこようかと思うわけでございます。 ただいま先生御指摘の数字は、これは国の助成額でございまして、救急医療というものを考えてみました場合、地域住民の生活と非常に密着した行政だというふうにわれわれは考えておるところでございます。したがいまして、救急医療体制の整備ということは、今後の問題といたしまして、地方自治体と国とが相協力をしてこういった施策を今後さらに充実さしていく必要があろうかと思うわけでございます。したがいまして、ただいま挙げられました数字はそういった意味で、三分の一の助成という形をとっておるわけでございます。さらに、今後各地方でこういった施策を進めていく場合にまたそれぞれの地方におきましていろいろな新しい方策が出てこようかと思うわけでございます。あるいはそういう施策に今後プラスしていかなければならないような問題もあろうかと思うわけでございまして、そういった問題につきまして今後各自治体におきます意見をわれわれの方もちょうだいいたしまして、さらにこの施策の拡充、特に助成額の増額等には努力してまいりたいと考えております。 さらに、こういったシステムをつくりました場合に、わが国におきましては患者の搬送と医療を担当する部門、これは消防とわれわれ病院の方との関連でございまして、その間の情報の伝達がうまくいきませんといろいろなトラブルのもとになっておるところでございますし、また非常に時間的なロスもあろうかと思うわけでございます。そういった意味におきまして、従来、患者の搬送を担当いたしております消防の方で各消防単位ごとに医療機関からの情報を集めておったわけでございますが、やはり各市町村にございます消防本部の中のみではこの医療機関の情報として不足をするわけでございます。すなわち、よその消防本部の地域に患者を運ばないと対応できないというような事態があるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、情報の広域化ということを今後考えてまいる所存でございます。昭和五十二年度予算におきましても、各消防本部ごとの情報網はこれは消防庁の方にお願いしておるわけでございますが、これを県単位でより広域化してまいる、そういった予算につきまして厚生省の方でさらに努力をいたしまして、この患者搬送の部門と患者を受け入れる医療機関の部門との間の情報を密にいたしまして、時間的なロスあるいは医療資源のむだ遣い、そういったことを極力避けるような方策でまいりたいと考えておるところでございます。
○津島委員 この点について最後に二つ御質問したいのですが、いまの情報の広域化ということも、結局は救急患者を搬送する消防の方の方が仕分けをするということにならざるを得ないのでありますが、果たして高度の医療知識を必要とするそういう情報を各地の救急搬送業務を担当する人たちが担当できるのかどうか、その人材の確保ができるのかどうか、これを一つお伺いしたいのでございます。 それからもう一点は、先ほど言われましたように地域に密着した医療サービスという点がやはり基本である、これはもっともなことでございますが、地域に密着した問題として非常に大きな問題は、前から言われておりますが、僻地医療の問題でございます。特別なケアが必要な患者が僻地で出た場合に非常に困っておられる。また同時に、僻地の地方団体はいずれも財政的に脆弱でございますから、いいサービスをしろと言ってもなかなか思ったようにできないという問題がございますし、またお医者さんは来てくれない。この僻地医療の面で十分な施策がなければ、どんなにいいシステムをつくっていただいてもそれは絵にかいたもちになるわけでございます。そういう意味で、この第二点の将来の僻地医療の充実という点について、できれば大臣から、どのような見通しをお持ちなのかぜひ御答弁をいただきたいし、特に僻地の公的病院、国立病院等は 国立病院は国のあれでございますが、自治体病院はいずれも赤字で困っております。この点について厚生省としてどのような施策をお持ちであるかを御答弁いただきたい。
○渡辺国務大臣 僻地医療の問題は御指摘のとおりで、なかなか医者がいない。青森県などでも日本人の医者が少なくて、台湾からずいぶん医者を呼んでおるということは実際ございます。どうしてもお医者さんは僻地に行くと学問ができなくなるとかどうとかこうとか言ってなかなか行きたがらない。そこで厚生省といたしましては、御承知のとおり県の中に僻地の中核病院というものをこしらえて、日ごろはそこにいるのだけれども、交代なり何なりでそれぞれの診療所に日を決めてそこから派遣をするというようなことを一つやっておるわけでございます。幸いに自動車の発達あるいは道路の舗装化というようなことがかなり徹底をしておりますので、そういう点で僻地の診療所等に対しては対応いたしております。なおまた、将来僻地医療に従事しようとする人に対しては修学資金の貸与事業というような助成等も行っております。 なお、自治体病院等に対していろいろな細かい施策を行っておりますが、補足的に医務局長から答弁させます。
○石丸政府委員 最初に、先ほど御答弁申し上げた点であるいは誤解を与えるような発言をいたしたわけでございまして、ちょっと訂正させていただきたいと思います。 先ほど先生御指摘のいろいろな助成額でございますが、これは基本額でございまして、私、三分の一と申し上げましたが、恐らく各自治体でそのぐらいを足してくれるということを期待してわれわれは三分の一の額というふうに理解をいたしておったわけでございまして、それは義務的にそういった各地方自治体に追加を要求しているわけではございませんので、その点訂正させていただきたいと思います。 それから、救急車で搬送いたします場合に、確かに救急車の中でのいろいろな応急処置の問題、あるいはそこで医療機関を振り分けるというようないろいろな問題があろうかと思います。それについて、やはり搬送に従事いたします職員の教育の問題、これは消防庁の方で担当いただいておるわけでございますが、やはり諸外国の例を見ましても、各救急車に医者を乗っけるというようなことはなかなか言うべくして行われがたいようでございまして、各国とも、たとえばドイツではサニテーター、いわゆる日本で言えばかつての衛生兵といいましょうか、そういった程度の人でございますが、そういった人の教育を行いまして、それが患者搬送車に乗り組んでいる、こういうことになっておりまして、今後の問題といたしまして消防庁の方ともいろいろ連絡をとっておるところでございますが、この搬送のための職員のそういった医学的な知識の教育ということにつきましては、厚生省の方でも今後さらに協力をしてまいりたいと考えております。 それから僻地問題は、ただいま大臣から御答弁申し上げたような状況でございまして、従来から僻地医療対策については数次の五カ年計画をもっていろいろな方策で対応してまいったわけでございますが、やはり一つの方法のみでこれが完全に行われるということはなかなかむずかしいようでございまして、いろいろな方策を組み合わせて初めてこういった僻地医療対策が完成されるというふうに考えておるところでございます。 ただいま行っております施策は、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、やはりそれぞれの広域医療圏を考えまして、その中核病院を整備いたしまして、そこから医者を派遣する。そうすれば医者がその中核病院においていろいろ勉強しながら僻地医療に従事できる、こういうことも考えておるところでございまして、現時点におきましては、僻地中核病院の整備ということにわれわれは努力をいたしているところでございます。
○津島委員 時間が参りましたので、締めくくりの意味で最後に一問だけ、社会福祉問題あるいは社会保障制度の基本について大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、やはり社会保障制度が有効に機能するためには二つのことが大事だと私は思っております。一つは、長期的な計画のもとに基本的な問題を国民に理解してもらうということだと思います。これは先ほどの負担の問題、将来の制度のあり方という問題について一番言えるのではなかろうかと思います。二番目は、社会の中で自然に有効に受け入れられるような制度にするためには、一人一人の市民の連帯意識に支えられたものでなければいけない。またこれが同時に、いい社会福祉を進めていくためにはそれだけのことをみんなでしょうということにつながっていくのだと思います。この二点を頭に置いて、われわれの期待を集めて登場された大臣でございますから、いままでいろいろな問題について基本論、原点に返って考えてこられた大臣として、特に社会保障の問題でどのように将来進めていかれるのか、一言お伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○渡辺国務大臣 自由社会においては、個人の生活の安定と向上というものは自分みずからの力で支えていく、これが私は何と申しましても原則だと思います。しかしながら、事故その他の問題があってそういうことができないという方が必ず自由社会でできるわけですから、そういうような方に対しては、協調と連帯の精神でみんなでひとつ助け合っていくということのために保険制度というものができておるわけであります。したがいまして、今後この社会保障制度というものを続けていくためには、国の力で全部やればそれは一番いいのだけれども、そういうようなことができるのかできないのか、そこが根本問題なんですから、そうなってくると、やはりむだは当然なくしていかなければならぬと私は思います。そうして、真に恵まれない人を本当にみんなで救っていくということがやはり重点になるのではないだろうか。いろいろな問題がございますが、それと同時に、本当の意味での福祉社会をつくるということは、これは銭金だけで福祉社会ができるとは私は思いません。やはり人間が隣近所全部一緒になって共存共栄で生存していく上においては、福祉の心をもってお互いに助け合うところは助け合っていく、そういうようなことも、銭金だけでは埋め合わせ切れないほどの幸せを隣人にもたらすのではないか。したがって、そういうような精神的な面において、また制度その他の充実というような面においても改善を図っていく必要がある。どういうような具体的な手法をとるかについては、先ほど申し上げましたように、いろいろと専門家等の意見も聞き、あるいは負担の問題も考え、今後の日本の経済の歩み、財政事情、そういうようなものを全部一緒に頭に入れて検討すべきものである、かように私は思っております。
○中山(正)委員長代理 次に、大原亨君。
○大原(亨)委員 きょうは限られた時間ですから、質問は大体三点ぐらいを頭に置いて質問いたしますから、簡潔な御答弁をいただきたいと思います。余り長い答弁がいいとは限らぬわけですから、中身のある答弁をひとつ期待をいたします。 第一は薬害問題で、いまだかつてなかったことですが、大きな問題であるスモンの問題、第二は医療改革についての方向、第三は社会保障に対する基本的な姿勢の問題、この三点にわたりまして、時間内で質問をいたします。 〔中山(正)委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 各論の方から先にまいります。 去る一月に東京地裁でスモンに対する裁判長の和解勧告があったわけであります。質問の前提としまして、和解を求めるグループとそれから判決を要求するグループがあるわけですが、この和解に国やメーカー、医療機関等が対処いたしますと、この法律効果というものは一体どういうふうになるのか。この判決は、まだ地裁段階ですけれども、どこまでいくかということの問題もあるでしょうが、判決グループに対する対応の仕方、矛の法律効果、こういうものについて、法律的な問題でありますが、政府の方から御答弁いただきます。
○上村政府委員 一月十七日に提示されました和解案ないし和解の席に着くかどうかにつきまして国としての方針がまだ決まっておりませんので、その判決との絡みの議論につきましてもまだお答え申し上げかねるという状況でございます。
○大原(亨)委員 ぼくが言っているのは、和解に応じたとするならばその法律効果はどうか、判決との関係はどうか、こういう法律問題につい質問いたしておるのです。
○上村政府委員 和解の場合には、裁判所の勧告によって和解をするわけでございます。したがって、原告と被告との間で和解契約というものが結ばれて、それによって事柄が決着をする。それから判決は、いま御質問の中にもございましたように、判決が出た後の扱いがどうなるかは別といたしまして、判決は判決として原告なり被告が拘束されるということになると思います。
○貞家政府委員 ただいま薬務局から答弁がございましたとおりでございまして、訴訟がどのように進められていくかにつきましては裁判所の今後の審理方針によることでございますので、現在見通しについて申し述べますことはきわめて困難でございますけれども、一般的、抽象的に申し上げますと、ただいま答弁がありましたように、もし一部について和解、一部について判決ということも法律上は不可能ではございません。したがいまして、和解が成立いたしますればその関係当事者の関係におきましては最終的に決着が図られる。また、仮に一部について判決がございました場合には、もちろんこれに対しては上訴も可能でございますけれども、判決が確定いたしました場合はその結果によって当事者が拘束される。法律に申し上げますと以上のようになるわけでございます。
○大原(亨)委員 和解グループと判決グループがあるわけですが、そのカテゴリーの中に入ってないグループもあると思うのですが、その他のグループはどういうふうな法律関係に立つのか。
○貞家政府委員 恐らく大原委員のおっしゃいますのは裁判に関係しない者のことであろうかと存じますけれども、それらの方々に対しましては法律上の効果は何ら及ぶことがないわけでございます。
○大原(亨)委員 その他の人は、和解で合意が成立した問題やあるいは判決によって確定したそういう問題を踏まえながらやはりそれぞれ要求を出していく、こういうことになるだろうと思う。 そこで厚生省、昭和四十六年当時まで非常に拡大をしてまいったスモン病の患者は一体何人であるか。もう一つは、もし和解案を政府、メーカー、医療機関が受諾をして、そしてそれに基づいて賠償の措置をとった場合には、大体どのくらいの被害額を補償することになるのかという点について、念のために第二の問題としてお答えいただきます。
○上村政府委員 患者数につきまして、昭和五十年度の厚生省の特定疾患スモン調査研究班の報告によりますと、約一万一千人であるというふうに言われておるわけでございます。それから、東京地方裁判所において提示されました第一次和解案、これに従うということが決まったわけではございませんけれども、仮にこれの数字を使いますと、第一次の判決対象者が百五十四人でございますから、およそ三十ないし四十億ぐらいになる。その単価で一万一千人を見積もりますと約二千億程度になる、こういうふうに考えます。
○大原(亨)委員 約二千億円程度になるという、その概算は、東京地裁の和解案の中にある基本金額以外の付加的なもの、ずっとありますね、和解案にある、そういうものも含まれておるわけですか。施設を含めて勧告の中にあるわけですけれども、それも含めて計算しておるのですか。
○上村政府委員 一万人につきましては、裁判長が示されました症度、障害の程度が明確にわかりませんので、私が申し上げましたのは、きわめて大ざっぱな話でございますが、第一次判決対象者百五十四人について見てみますと三十億ないし四十億かかるから一人当たり平均二千万円、こういうことで見ますと二千億ぐらいになるという数字でございます。したがいまして、裁判長が示されましたいろいろな恒久的な対策などの経費については、これはどうなるかわかりませんので見積もってはおりません。
○大原(亨)委員 つまり、和解案の三にある「年齢による加算」、四にある「超重症者加算」、第五にある「その他の修正要素」として掲げてあるもの、第七の「治療費、補助用具購入費、リハビリ関係費用および超重症者の介護費用等今後継続的な支出の予想される費用のほか、病院・施設の設置利用を含むいわゆる恒久対策の問題」、こういう問題等は含めて考えていないのかという点です。
○渡辺国務大臣 それは薬務局長が言ったように、百五十四名については重度、重い人、その次の人、軽い人と大体分類できるわけですよ。しかしその他のことは裁判所ではわからないわけです、そのほかのだれがどれくらいの重さであるか、軽さであるかということは。したがってそれはわからないというのが本当なんです。本当なんだけれども、先ほど薬務局長が言ったように、仮に平均的な数字をとるとしてみれば二千万円、そういうものも勘案して。そういうものを勘案しているのですよ、それで二千万円ぐらいだろう。だから大体二千億ぐらいになるのではないかということで、どこまでも大ざっぱな話でございます。
○大原(亨)委員 大臣、無理して答弁せぬでもいいから。わかっている人が答弁すればいい。 二千万円でしたら、一万一千人だから二千二百億円ということですよね。それはともかくとして、これは二千二百億円プラスアルファの莫大な補償をしなければならぬということになることは間違いない。判決がこれを下るとは思わないし、他の裁判所で出てくる和解案もやはりこれを下るということは事実上ない。あれば裁判になるという可能性がある。したがって、和解と判決についての法律効果については話があったとおりですが、その問題は一応差しおきまして、一月の東京地裁の和解案について厚生省側の見解を聞きたいのですが、問題は二つあると思うのです。 その一つは因果関係の問題です。キノホルムとスモン病との因果関係については、この裁判所の和解案の説明はかなり的確な、明快な結論を出しておるというふうに思うけれども、この点については厚生省はどのように被告として理解をしているか。被告としてというよりも、裁判上は被告だけれども、被害者の立場に立って和解案を読む、こういう二重人格の厚生行政の立場があるわけだから、その立場に立って和解案をどのように理解しているか。
○上村政府委員 裁判長の提案されましたことについてはまだ検討中で、早急に結論を出すつもりでございますがそういう段階でございますので、ちょっと回答をいたしかねるわけでございますが、因果関係についてこれまで裁判の過程におきまして国が主張してまいりましたのは、スモン調査研究班の結論に従うということでございます。スモン班の見解というのは、スモンと診断された患者の大多数はキノホルム剤の服用によって神経障害を起こしたものと判断されるというふうに言われておるわけでございます。
○大原(亨)委員 繰り返しませんけれども、和解案の裁判長の文書の中にもその趣旨のことが引用をして、ありますから、これは因果関係は認める、こういうふうに理解をいたします。もちろんメーカーの方でこれに反対しているのも一社ありますけれども、和解案の中身とその理解については大きな差はない。 それから第二の問題は過失責任の問題でありますが、過失責任の問題についてはどのような見解を持っておるか。
○上村政府委員 裁判長が示されました見解は、その点必ずしも明確ではないと思います。
○大原(亨)委員 裁判長の見解の中に、言うなわば安全性の確認義務が国にはある、こういう前提に立って過失責任を議論している。これは明らかにそういうふうになっていると私は思うけれども、どうです。
○貞家政府委員 裁判所の和解案の理由でございますが、もちろんこれは和解の前提として和解案を提案する理由を述べられたわけでございまして、終局判決ではございませんので、その点は必ずしも明確に判決の理由のようには実は述べられていないように私は見るわけでございまして、確かに御指摘のとおり、いろいろ薬務行政としての国の責任というような事項が詳しく述べられているのでございます。しかしながら、これは法律論になるわけでございますけれども、そういった行政的な責任と、この本件につきましては裁判におきましては不法行為責任が問われているわけでございまして、それとの関連、つまり民事法上の責任の前提としての過失というものを果たして認める趣旨であるのかどうかという点につきましては、私の考えでは必ずしもその点は、和解案の理由という事柄の性質上、明確ではないというふうに理解しているわけでございます。
○大原(亨)委員 和解案の最後に、「主として昭和三〇年代の後半から四〇年代の前半にかけて多発したスモンは、その後終息したとはいえ、残された患者の苦悩はとうてい放置されえないところである。スモンの原因がキノホルムであるとするかぎり、この悲惨な疾病はまさしく社会的につくられた病というべきであり、まず第一に解決の責めを負うべきものが製薬会社であるとしても、国もまた、その職責上、かかる空前の被害の収拾解決に全力を傾注するのを当然とすべく、製薬会社と共同して、患者救済の責めに任ずべきものといわなければならない。」これは第一次の勧告であるから、第二次、第三次の和解勧告が出るだろうと思うけれども、こういうように結論をしているわけです。 因果関係が明確であって、そしてこのようなたくさんの一万一千人もの被害者が出ている。そういうことについて、国、メーカー、医療機関、そういうものが、一体どこに責任があるのかということについて明確にならないなどということはあり得ない。そういう見解はあり得ない。そこが和解グループと判決グループの大きな意見の対立点であると私は思っておる。ですから、この問題についてはそれぞれの分野でやるけれども、和解に応ずるべしというグループもかなりいることは事実である。したがって、このことは一つの既成の事実をつくるのであるから、和解と判決の利害得失についても被害者国民は十分正しい認識を持つことが必要であると思うが、しかし、責任がどこにあるかということを、法務省を離れて、厚生省が一定の判断をいまの段階で持たないということは怠慢である、無責任である。法務省は別にして、厚生省は厚生行政の立場からこの問題に、第一次の和解案に対してどのように対応していくのか、そういう厚生省の、政府の見解を明らかにするのはきわめて重要なことである、当然のことである。なお検討中ということは許されないことである、一月以来。ずっと長い間続いてきた、昭和三十年代からずっと苦しんできた被害者のことを考えた場合に、あるいはサリドマイドのときに時の厚生大臣がとった措置を考えた場合に、いまの段階において厚生省がそういう責任の問題について明確にしながら、これからどうするということを含めて和解案に対応する態度を決めるということは私は当然のことではないか、こう思います。これは大臣が答弁するに値する答弁であると私は思いますが、いかがでしょう。
○渡辺国務大臣 御指摘のように、この問題は裁判所でもなかなか法律的にぴしっと言えない問題があるから、だから和解勧告を出しておるものだと私は思うのです。したがって、法律論争として争うということなら簡単なんですよ。それは裁判の決定を受けて、その内容を見て不服だったら控訴すればいい。しかし厚生省としては、法律問題だけではなかなか解決できない問題だからこそいろいろ実は悩んでおるのが事実であります。私どもとしては、やはりこれだけの大きな被害患者がおるという現実、そして長年月このままで争っておられるわけじゃない、そういうことをしておくべきものではないというようにももちろん思っておるわけであります。しかし一方、法律論をまるきり無視したような形で決着をつけようとしても、それには当然これはお金も伴う話でありますから、だれが金を出すのか、国民の税金をもってこれは充てるということでございますから、そこはやはりきちっとした筋道が立って説明がつかなければならぬという問題があるわけでございます。したがって、私どもといたしましては重症の患者を救済しなければならぬと思っておるわけですから、どういうような形が一番いいかということで、法務省だけでは政府見解は出せない、そこで法務省、大蔵省、厚生省、そういうような中で話し合いもし、裁判所の意見も聞きながら、どういうふうに対応していくか、ともかく近々に結論を出さなければならぬ、こういう状態であります。それ以上のことはいまの段階で私からは申し上げることができません。
○大原(亨)委員 これは和解勧告を原告側、被告側にしているわけです。被告の中に政府が入っていることは事実です。それで、裁判所の過失論争についての論争は別にして、和解は受けると表明しているメーカーもあるわけです。ですからその中において、双方で協議すべき問題を含めて、和解に応ずるか応じないかという態度を国が決めることはいまの答弁から言うても当然のことであると私は思うのです。それをいまだに決めていないというのは一体どういうことですか。判決があったならば判決にぴしゃっと従えばよろしい。それで和解案との差があった場合にはどうするかということは、これは政治問題として解決することもできる。しかし、和解と判決についての利害得失については、大臣がいま理解をしておることだけではないと私は思っておるけれども、しかしその和解についてはそれぞれのサイドが意思表明をしておるわけですから、それについては積極的な見解の表明をこれは速やかにすべきである、一月にもうやっておるわけですから。いかがですか。
○渡辺国務大臣 ですから、私が先ほど言ったことに尽きるわけでございますが、それはみんないろいろな関係があるわけですよ。国の責任と言っても、それじゃどういうふうに負担をするのか、薬剤会社はどういうふうな責任があるのか、追って述べるというだけのことであって、それらについてはまだ述べられておらないわけですから。だから法律論からすればいろいろ問題があるのです。あるけれども、これは単に法律論争をするようなことでなくて、政治的、行政的介入と言っては語弊があるかどうかわかりませんが、そういうようなやはり政治の問題を離れることはできない面もあるわけですから、そこでわれわれとしては関係各省と鋭意問題点を詰めておる、どういうふうに臨むかということについて詰めておるということで、それ以上のことはいまのところは申し上げられません、こう言ったんです。
○大原(亨)委員 これは三月の二十二日に東京地裁の裁判があるはずですが、それまでには被告としてあるいは政府側として、厚生省としては政府側をまとめてそれについての態度を表明する、こういうふうに考えてよろしいか。
○渡辺国務大臣 そういう問題も含めて検討いたしております。
○大原(亨)委員 結論はまた後で質問をいたしますが、世界中でスモン病患者はどのくらい発生しているのですか。大体その状況を簡単にひとつ御答弁いただきたい。
○上村政府委員 文献としましては、アルゼンチン、スウェーデン、そういった国にスモン様の患者が症例として報告されておるというふうに聞いておりますけれども、各国で患者数として把握されたものについてはどうも発表されておらない模様でございます。
○大原(亨)委員 各国でスモン病患者として発表されたのがいない。そんなことはないですよ、そんなことは。
○上村政府委員 文献で症例として報告されたものは私ども把握しておりますけれども、それぞれの国が、わが国のスモン患者はこのくらいおるというふうにして発表されたものはございませんというふうにお答え申し上げたわけでございます。
○大原(亨)委員 厚生省は、日本の政府は、患者は一万一千名という把握をしておるわけです。それプラスアルファです。しかし、外国でそういう薬害でスモン病の患者が大体どのくらいいるかということについては、その数字がないことはないですよ。どこでもたくさん出ているじゃないか。なせ言わないのですか。
○上村政府委員 文献の中に症例として報告をされたものは私把握していると申し上げたわけでございます。たとえば米国では文献が一編ございまして、これは一九六六年のものでございますが、一人ある。スウェーデンの場合には文献が四つございまして、これは一九六六年、六八年、七一年のものでございますが、患者が四人おるというふうに報告されておるわけでございます。
○大原(亨)委員 私の理解でも患者は大体十名台ですよ、西ドイツ、フランス、イギリスを含めて。日本だけが一万一千名プラスアルファというふうな、賠償金だけでも最低少なくとも二千二百億円もかかる、それプラスアルファというふうな、こういう事態、深刻な被害、薬害が出ておるのは一体どこに原因があるのか、これを明快にしてもらいたい。
○上村政府委員 現在、スモン発生の原因については、先ほど来申し上げておるように訴訟中でございます。そうしてキノホルムを投薬した医師、それから製造した製薬会社、それから製造承認をした国というものの責任が問われておるわけでございます。したがいまして、原告から被告として訴えられておる者にはそういうものがあるというところで、それに責任が問われておる裁判であるというふうに私理解しておるわけでございます。
○大原(亨)委員 それは三十年代の皆保険が始まった当時、高度成長に入った当時で、四十六年まで集中的に発生しておるわけですが、それは政策を立案する際にとこに原因があるか 法律責任論じゃないですよ、どこに政策上の原因があるかということを明快にしないということはおかしいじゃないか。わかっておっても言えないのですか。それを言ったからといったって裁判上の問題は、これは公然と国の政策を、薬事法を非難しているじゃないですか、和解案には。和解をのむことになれば国の責任があることは当然じゃないか。国の責任を第一次勧告案は集中的に批判をしている。これは第二次、第三次と出てくるだろう。だから、その政策を議論する際に、政策上どこに原因があるのだ、そういうことぐらい言えないことはないだろう。日本だけじゃないか、そういうことは。 つまり、大臣は高負担高福祉の時代だというようなことを言ったけれども、そうじゃないのだ。日本の医療には致命的な欠陥があるのだ。その欠陥を示したものがこのスモンの患者である。そのためにも医療費を使っておる。それを回復するためにも、リハビリテーションを含めて全部のために医療費を使うわけだ。そういうことを含めて大きな政策上の問題になっておる点について、原因がどこにあるかということについて解明できないような、そういう厚生省は無能である。法務省なら別であるけれども。厚生省は存在価値なし。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕 高負担高福祉じゃないですよ。こんな荒廃をした医療のために大きな負担をしているということになる。逆だ。日本だけにあるこの政策上の原因は一体どこにあるか、こういうことを明確にしなさい。少なくとも厚生大臣や厚生省はすべきではないか。法律上の責任を私はいま問わない、一応議論はしたから。
○上村政府委員 昭和三十年代の初めからスモンが起こり、それから四十二年から四十四年にかけて多発しましたときに、この原因を究明するために厚生省といたしまして研究班をつくったわけでございます。その結果、昭和四十五年にキノホルムとスモンとの間に相関関係があるという報告がございまして、四十七年三月には先ほども申し上げましたように研究協議会の総括報告の中で、スモンと診断された患者の大多数というのは、キノホルム剤の服用によって神経障害を起こしたものだと判断されるという結論を得たわけでございます。
○大原(亨)委員 そこで、キノホルムがスモン病の原因となっておるという因果関係については議論した。なぜ日本だけにこのような患者が多発したのか、その原因を厚生省が究明しないなどということはないでしょう。 それではもう一つ聞いてみますが、日本以外の国々でキノホルムを薬剤として許可していない、また逆にキノホルムをいまだに薬剤として使用している、そういう外国の実態はどうですか。
○上村政府委員 私どもの方で承知している限りのことで申し上げますと、現在キノホルムを販売していない国は日本とアメリカと韓国の三カ国でございます。それから処方せんによって入手できるという国がノルウェー、スウェーデン——ノルウェー、スウェーデンの場合は使用範囲が限定されております。それからオーストリア、フィンランド、フランス、西ドイツ等々ございます。それから一番自由な国としましては、処方せんなしで入手できる国があるわけでございますが、それは英国等二十数カ国あるというふうに承知しておるわけでございます。
○大原(亨)委員 日本は販売を中止して、日本薬局方からもカットをしているわけですね。しておるわけですが、外国ではスモン病の患者も少ない。処方せんでというのは、これは医薬分業をやっているということだが、そういう医薬品管理の中で使っている。キノホルムは整腸剤その他非常によく効く薬だというふうに言われている。日本では使わない。外国では使っている、薬害はない。そういうことは一体どういうことか。日本の薬事行政や厚生行政に致命的な欠陥があるんではないか。人命軽視、無責任体制、これは抽象的な言葉で言えばそれに尽きると思うけれども、あるのではないか。そのことについて自己反省がない者が厚生省のこの厚生行政を担当することはできない。そういう者に医療行政を任すことはできぬと私は思うが、いかがですか。
○上村政府委員 私ども、薬務行政上、医薬品の製造承認について責任があるとは考えておらないわけで、そういうふうな主張を裁判でやってきておるわけでございます。いま大原さんお話しになりましたように、諸外国でほとんどなくて日本に非常に多いという点は非常に問題点であるというふうに承知しておるわけでございますが、それがいかなる原因によってそうなったのか、この点が非常にむずかしい点で、まだ究明し切れない事情であると思います。
○大原(亨)委員 日本の医学、薬学というのはそんなに粗末なのか。世界じゅうで一番粗末なのか、いかがですか。
○上村政府委員 日本の医学、薬学というのは、世界の先進国に比べまして劣るものではないというふうに考えております。
○大原(亨)委員 金をかけてたくさん使って、たくさん薬害が出て、そしてその原因もわからぬというような、そういう国が進んでいるのか。厚生省だけが悪いの。厚生大臣だけが悪いの。一年ごとに交代する厚生大臣だけが悪いの。いかがですか。
○渡辺国務大臣 厚生大臣だけ悪いのかどうかわかりませんが、厚生省としても鋭意いろんなことをやってきておるわけです。厚生省、存在価値がないからといって解散するわけにもいかないし……。この問題については、大原先生の言わんとするところ、私も大体わかっているのですよ、、大体そうじゃないかなと。しかし、それを私がここではっきりと言うほどの証拠も持ってないのです。だから私は言えない。そこにスモンの問題の非常にむずかしいところがあるわけです。
○大原(亨)委員 そんな浪花節みたいなことを言ったってわからぬ。つまり、政策を立案する際には、やはり最高の医学、薬学が国民のために恩恵になるようにする、患者の医療や福祉に役立つようにするということが学問の目的でしょう。それがなかったならば、これは薬学や医学の水準が高いなどというようなことは言えぬだろう。もっともそれを操作している行政で実際の制度化している厚生省もお粗末であるということももちろんであるけれども。私の言うのは裁判上の責任論ではないのです。政策上の問題です。まだたくさんあるでしょう。大腿四頭筋短縮症、コフルジル、抗生物質、裁判中のものが幾らでもある。薬害列島日本、難病列島日本、こう言っている。こういうことは行政や科学を通じて名誉なことではないですよ。そこで、被告の座に立っておる、法律問題とは別だと言ったけれども、国はどういう責任があるのか、メーカーはどういう責任があるのか、医療機関の医師、歯科医師や薬剤師はどういう責任があるのか、こういうことを明確にしなければ、八兆円はおろか、来年は十兆円に近づく、その次は十三兆円になるかもしれない、そういう莫大な、二〇%の増大率で増大をしておる医療費、この医療費が真に患者や国民のために役立っているという立証にならぬではないか。長い間裁判で争い、論争になり、一月に和解案が出て、政府の責任を厳しく追及している中において、どういう点を気をつけたならばこういう問題がなくなる、それで貴重な医薬品を患者や国民のために安心して使うことができる、そういうことのためにはどうすべきかということについて方針がないような厚生省はやり直した方がよろしい。そんなものが健康保険の改正案なんか出す資格はない。私はそう思うが、いかがですか。
○上村政府委員 医薬品の副作用による被害というのがいろいろあるということは私ども承知しておりまして、したがいまして、何よりも薬務行政の重点としては医薬品の安全対策というものを取り上げていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、過去のそういった経験をもとにいたしまして、医薬品の副作用情報というのをできる限り早くキャッチし、そして副作用の情報というものを医療機関なりあるいは薬局等の、薬を患者に投与する人に通報する。情報の収集とフィードバックということが何よりも大事ではないかというふうに考えるわけでございます。もちろんその前提といたしまして、新しく承認する医薬品の審査に当たりましては、いろいろなデータを要求して慎重に審査しなければならないということもかねてからとっておる方針でございます。
○大原(亨)委員 私が言っているのは、三者が医薬品を扱っているのですよ。患者には責任がないのです。ないと言うとあれで、たとえば患者の中でどういう薬をくれとか、それからキノホルムをもらいたいとか言った者がおるかもしらぬ。これは日本的な特色ですよ。患者が要求するのは日本的な、前近代的な特色です。逆に言うならば、医療機関とか厚生省がそれほど権威がないということになる。そこで、この政策の当事者は国であり、メーカーであり、医師や歯科医師や薬剤師で一ある。この制度全体をどういうふうに改めていったならばこういうことがなくなるか。こういうことについては、被告の立場を離れて、過失責任の立場を離れて、政策の問題としてこれはまとめて発表できなければ厚生省は存在価値なし、こう言われても仕方がないのではないか。この三つの点について分けて答弁してください。
○上村政府委員 まず、国の薬務行政の立場としましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、医療品の製造承認について厳しく行ってまいるということが一つ。それから市販されておる医薬品を中心に副作用情報をキャッチして、それを伝達していくという副作用対策、あるいは安全対策と申していいかもわかりませんけれども、そういう施策を進めていくことが大事ではないかというように思うわけでございます。それから、医薬品の製造販売に当たるメーカーとしては、およそ医薬品というのは人の健康に密接不可分な商品であるという認識をもって研究開発、それからその製造過程における品質管理等に十分な配慮をしなければならないというふうに思うわけでございます。それから、その医薬品を患者に投与する立場にある人たちというのは、私どもがまとめます医薬品の使用上の注意というものについて十分理解をしていただいて、患者の容体に応じて適切な医療を行うということが必要ではないかというふうに思うわけでございます。行政としてやり得ることというのは、医薬品の製造承認から副作用情報の伝達というところに限られるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
○大原(亨)委員 私は、四、五年前にフランスの薬務局長に会ったことがあるのですが、フランスにおいては、キノホルムは非常に貴重な薬ですからやめておりません、薬務局長がこう言っておった。薬というのには副作用は全部あるのですよ。副作用のない薬がありますか。毒にも薬にもならぬ薬は薬じゃないでしょう。それは水を飲んでも治ったという人がおるし、厚生大臣なんかやったかどうかわからぬが、東南アジアへ軍隊で行って、メリケン粉を腹が痛いと言ったのでのませたら治ったというのがおった。しかし、毒にも薬にもならぬ薬はないわけだから、副作用はあるのだから、副作用のある薬をどのようにコントロールするかという問題が薬の全部である。そういうコントロールができないようなところで薬をどんどん使っていって、総医療費の四〇%前後も薬や注射代というので、大腿四頭筋短縮症まで起こすような、赤ちゃんのおしりやももまで注射をぶすぶす打つ、こういうことが、一体医学や薬学の進歩した国がやることかということだね。そういう認識がなしに日本の医療をこれから立て直すことはできないと私は思っている。そういう観点から厳しくその政策上の問題点を整理しなきゃいかぬ。 それで、それぞれのサイドについてのことを言われたけれども、具体的な問題で私は一つお聞きしておくが、日本の薬剤師は法律上、薬の使用についてはどういう責任を負うておるか。これは局長でなくてもよろしいし、課長でもだれでもいいです。どういう責任を負うているか、条文に即して答弁をしてもらいたい。
○上村政府委員 薬事関係の基本的な法規といたしまして薬事法と薬剤師法というのがあることは、よく御承知のとおりでございます。薬剤師は、薬事法上は医薬品の製造業の管理者になる。薬剤師でなければ管理者になれないわけでございます。それから、販売業の中で、すべての品目が売れる販売業につきまして薬剤師でなければ管理者になれない。つまり、薬事法上は医薬品の製造から販売に至る過程において、その医薬品を管理する責任が負わされておるわけでございます。それから、薬剤師の身分を扱う法規が薬剤師法でございますが、薬剤師法では、薬剤師が医師の処方せんによって調剤をする。処方せんによらなければ調剤はできないというふうな規定になっておるわけでございます。
○大原(亨)委員 もう所定の時間がそうないですから、きょうは第一回で、この続きは次にやるということで、主な問題をやるけれども、国がどういう点を直したらよろしいか、製造メーカーがどういう点を直したらよろしいか、医療機関の医師や歯科医師や薬剤師はどういう点をこれから直したらよろしいか、どういうふうにしたならばそういう薬剤による事故がなくなるか、安心して医療ができるか、こういう点をぴしっと整理をして、これは厚生大臣の見解を、法律論争とは離れてやってもらいたいということが一つ。これは委員長にも要請しておきます。よろしいですね、委員長。——局長、答弁してください。
○上村政府委員 そういうふうに整理をして、次の機会にお答え申し上げるようにしたいというふうに考えております。
○大原(亨)委員 これは三つのサイド、どこにも責任はあるけれども、これは薬の過剰使用とか相乗作用とかというものに関係しておる。その注意を行政はきちっとしていなかったということだし、こういうはなはだしい副作用がたくさん生ずるような、誤れば生ずるようなことについて注意義務を怠っておったというメーカーの責任もあるし、薬自体にも大きな欠陥があるということでしょう。それらを含めてやるわけですが、私はこういう問題では医療機関が責任があると思う。医療機関の問題はこの和解案等では議論しておられようだけれども、医療機関は責任がありますよ、薬剤師もいま言ったような責任が法律上ありますよ。その責任を果たしていないということについては、その当事者の薬剤師は責任をとるべきである。外国だったら大変ですよ。処方せんを書く医者にも責任はありますよ。全部が無責任じゃないか。厚生大臣初め、厚生省初め全部が無責任じゃないかというのがこの問題ではないか。そして日本の医療の欠陥ではないか。私はこれが一つの大きな医療の欠陥であると思うけれども、厚生大臣はどうか。
○渡辺国務大臣 一般論としては、大原先生の肝非常に重要なポイントをついておると思いますしかし、このスモンの次元としては、これは目下裁判中の問題であって、軽々に私からいまいろいろなことを考えておっても言えない問題もございます。一般論としては、私は大原先生の意見は傾聴に値しますし、十分これは尊重をして今後の薬務行政に当たってまいりたいと存じます。
○大原(亨)委員 だからこれからは、それがよく理解できたのだったら、高負担高福祉などというようなことは言わぬ方がいい。こういう、言うなれば欠陥医療です。年金にも欠陥がある。高度成長以来ずっと続いてきたが、年金にも欠陥がある。医療にも欠陥がある。福祉施設にも欠陥がある。欠陥医療ですよ、これは。そういうものを内蔵しながら、高負担高福祉の時代が来ました、医療費だけは国際水準です。国民所得に対する比率は国際水準ですと、いまさっき質疑応答がありましたが、その質疑応答自体は私は認めるけれども、その中身について吟味して、患者や国民の立場に立ってどうかということを考えないような医療というものは、私は高負担高福祉の議論に値しないというふうに理解する。したがって、今後この問題については心して厚生大臣は発言をしてもらいたい。 最後に、最初申し上げた、二十二日が和解についての裁判が開かれるときです。法律上の責任論とは私は別のことをいま政策議論したので、これは法律上の責任論もあるけれども、やはり政府はちゃんといままでのことを踏まえながら、被害者に対する救済措置を一日も早くやる、そして話し合いが十分できるような体制をとる、判決もどんどん進むように協力する、金額やその他についてもいろいろな意見があるわけですから、そのことはその議論といたしまして、そういう基本的な態度について、少なくとも二十二日の裁判までに政府はこの和解に対応する態度を速やかに決めて、そして十分話し合いやコンセンサスを得る措置を誠意をもってとるということが必要であると思うが、その点について最後に厚生大臣の見解を聞きます。
○渡辺国務大臣 そういうことも含めて目下詰めておるわけでございます。ただ、先ほど大原先生からお話がございましたように、薬は本当にみんな毒になるわけです。したがいまして、実際問題からするとどんな薬を飲んでも飲み過ぎれば毒になる。したがって、被害が出たからといって程度の問題もある。非常にむずかしいんです。どこまで広がっていくか。ニコチン患者が出た、たばこをのませなかったらニコチン患者が出なかったはずではないかという議論もある。そういうように非常にむずかしい問題を含んでおるのでなかなか時間がかかっておるんです。ということのために私は申し上げておる。それは二十二日の判決までにきちっとした姿勢を出しなさいという御意見でしょう。ですからそういうことも含めて目下詰めております。これが結論です。
○大原(亨)委員 これは社労委員会では最初の質問ですけれども、厚生大臣ははからずも厚生大臣になったと言ってあいさつをされたけれども、ぼくはやっぱり日本はアメリカやその他イギリスなんかと比べてみて制度上大きな欠陥があると思う。あなたはよくわかってないことを答弁したりするから時間がかかる。自分の感覚や自分の政策の考え方でこうだということは答弁してもよろしい。それははっきり大臣だから責任をとる。しかし、やっぱり福田内閣の内閣のつくり方には欠陥がある。欠陥内閣である、こういうふうに私は思う。農林大臣をやるとか農林大臣はやらぬとか言って、さっさと厚生大臣になられた。一生懸命勉強しておられるのはいいけれども、来年はこの大切な年金や医療について大改革をしょう、制度の見直しをしようというときです。私が質問したのは、一体問題は何だと言って、これを中心に提示してこれから議論を進めていきたい。そうして本当に国会が主導権をとらなければ、国会主導型の政治にならなければ日本の政治はこういう問題を改革できない、こういうふうに私は思っておる。厚生省だけに任したんではできない。そういう意味においてこれからの国会の審議のやり方も変えなければならぬ、こういうふうに思っておりますけれども、そういう感想を一言だけ含めておいて、時間が来ましたので、この時間の範囲を守る、こういうことで私の質問を終わります。
○橋本委員長 次に、渋沢利久君。
○渋沢委員 先ほどどなたかのお話の中で、日本の医療、福祉、社会保障は、まさに世界に冠たる高い水準を制度的に保持しており、 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕 日本人にとっては身分不相応の制度を持っておるという大変ありがたいお説に、大臣もそのとおりだと胸を張っておっしゃっておったのですが、そういうありがたいお話とは別に、大原委員からも指摘がありましたように、現実には日本の厚生行政不在、社会保障制度も医療制度もまさに不在だという国民の告発、こう理解をせざるを得ないような事態がいろいろ起こっておるんだと思います。救急医療もそうです。日本の医療の中で九五%を占めるという民間医師や医療機関のこの日本の医療制度では、もう国民の要求にこたえられなくなってきたという矛盾が、こうして大きな国費を投じて国民の救急医療の要求にこたえなければならぬという事態を生んでおれば、敬老の日に何か申し合わせたようにお年寄りが自殺をするという事態が慣習化するような、ぞっとするような状況が私どもの目の前にあり、渡辺さんが厚生大臣におなりになってからわずかの期間に、たとえば難病患者の自殺や心中事件が頻発するというような事態がこれあり、大原委員からもまさに難病列島だというお話がありましたけれども、先ほどの大臣の所見とは全くうらはらな事態が私どもの前にあるように思うんです。そこで、難病列島と御指摘のありました難病の問題について、私はひとつ大臣の所見を承りたいというふうに思うわけです。 最初に事務的なことですが、国が四十八年以来難病対策を国の施策として取り上げて、医療の補助を政策の柱にしておるわけですけれども、国が補助対象とすべき特別疾病、難病の認定をするのは、だれがどこでどういう機関でやっておられますか。
○佐分利政府委員 厚生大臣の諮問機関でございますが、特定疾患対策懇談会というものが設置されておりまして、そこの御意見を聞いて定めるわけでございますが、そのほかにも国会の御意見、学界の御意見、また各都道府県の知事さんの御意見、こういったものも十分尊重しながら、特定疾患対策懇談会で決めていただいているところでございます。
○渋沢委員 その懇談会というのは、行政的な責任、権限というものを明確に持っている機関でございますか。
○佐分利政府委員 法律に基づかない厚生大臣の私的な諮問機関でございますので、そのような特殊な権能は付与されておりません。
○渋沢委員 特殊じゃない、一般的な権限も責任もないということで、私的な大臣の相談相手のグループだということですね。 ところで、国の難病対策というものに基づいてどういう問題が現場で起こっておるかというと、大臣に聞きたい点なんですが、政府の方針で全国の自治体、難病患者の認定実施主体としての都道府県が政府の指示どおりに、専門家を含む特定疾病のための協議機関を、正式には何と言いますか、特定疾患対策協議会というものをつくって、そして患者が医者の診断書を持って保健所を通してここへ持ってくれば、ここで審査をして認定をして、そしてここで認めたものについては、当然のことながら国の方針に基づいて医療費の自己負担分を公費で補うという処置をとっておるわけですね。ところが、いまの政府のこの補助対象としての疾病の認定というものと、自治体のそういう形で患者の側から正式な手続を経て上がってきて都道府県で難病患者としての認定をするという、この認定との間にちぐはぐ、ずれが出てきていろわけですね。たとえば国がその私的懇談会を通して大臣がお決めになったこの補助対象としての特定疾患、特定疾病について、その範囲内で都道府県がこれを難病認定を行って補助対象にしているということであれば問題がないのですけれども、自治体の方は、実際に医者の診断書を持って難病の申請があり、これは専門家を含む一定の機関で審査をして難病だという認定があれば、これは補助せざるを得ない。補助しているわけです。しかし、国は必ずしも同じ判断に立って補助対象を選んでない。大きなずれがある。 具体的に言いますと、たとえば東京都でいいますと、五十年に難病、特定疾病として二十八疾病を対象にして、現実にはこれを補助しているわけですね。国はこの段階では十五でしょう。五十一年度でいうと都は三十疾病——都会にいろいろ問題が集まっていますから、やはり大都市にはいろいろこういう要求が多いわけです。都が三十疾病をこの五十一年度で認定しておりますが、国は十八、こういうことで現実にずれが起こっているわけですね。結局このずれがこのままいつまでも存在をしているということだとどういうことになるかというと、それでなくても超過負担、超過負担、国が何か言い出して何かやり出せば自治体にとっては超過負担が積み重なる以外の何物でもないという状況の中で、あなたも難病だ、考えなければいけない、対処しなければならぬという、こういう善意の発想でやっていけばやっていくほど実際は都道府県の持ち出しが重なるだけだということで、これじゃ実際は難病だと思っても難病の認定ができないじゃないか、ふやしようがないじゃないかというのが自治体がぶつかっている問題ですね。これはどうお考えですか。
○佐分利政府委員 国の方は、まず医学的にそれが特別な医療費負担の経減を要する疾病であるかどうかという判断をいたします。また第二にその医療費は一体どのぐらいかかるのかというような経済的、社会的な側面の判断をいたします。そのような基本的な原則に立って毎年特定疾患をふやしてまいったわけでございます。ただいまお話のございました東京都の場合は、もともと憲法で認められた地方自治の本旨というのがあるのでございますから、各都道府県がその自治体の疾病構造の特殊性に応じていろいろなことをおやりになるということは結構なことであると思うのでございますけれども、たとえば患者の多いパーキンソン病というようなものを考えました場合に、確かに医学的にはこれは難病でございますけれども、経済的にはそれほど医療費のかかるものではない。また最近はLドーパというような新薬も開発されまして、かなりよく効くようになった。そういうふうないろいろな事情がございます。そういったところを総合勘案しながら国の方は特定疾患をふやしているところでございます。
○渋沢委員 ふやしている、ふやしていると言うのだけれども、毎年一疾病程度、ことしだって何か事前に配付された予算の概要説明を見れば、特定疾患の拡充と大見出しになっているのだけれども、五十二年度では一疾病しかふやさない予定になっているでしょう。自治体は自治体で勝手に判断をしておやりになるので、国は国だと言うんだけれども、しかし、本気に国がこの難病対策に力を入れようというのは、いまの国の難病政策の中では医療費補助が一番の柱でしょう。ほかに何をやっていますか。少なくともその点だけでは、自治体のこの認定とのこんな大きなずれを放置しておるということでは、これは難病対策に対してまじめな姿勢を持っているということにはならぬと私は思います。 この医療費だけを見るということで離病の問題が片づくという問題では実はないのです。ないのですが、それにしてもやはり難病患者の皆さんにとっては、その認定を受けてこの医療費が補助されるかどうかというのは非常に重大なことなんで、しかも難病というのは、私が言うまでもありませんけれども、原因が定かでないということでその治療の方法も確定しない、大変困難な状況にある。しかももうおしなべて長期化する。しかも、原因が定かでないということの中で、この体の苦痛とあわせて、まあ表現のしようもない心の不安という二重の、さらに生活苦、だからほとんど就職放棄というような状態に追い込まれる。重症者は仕事なんかできるわけがないのですから、しかも原因不明の、しかも治療方法の必ずしも確定しないこういう難病に取り組んでおられる立場から言うと、これはどうも国は国、都は都、自治体は自治体ということで、補助対象にするかしないかは、ずれがございますといういまのあなたのような答弁で済まされることではない。そういう事態が続く限り、都道府県ももう財政上これ以上、この目の前の難病を専門家は認定をしてもふやしようがありません、こういう、現実に難病患者の医療費補助を打ち切らざるを得ない、縮小せざるを得ないというような、そういう状況をつくっているわけですよ。だから難病患者の自殺や心中事件がこの一月の間に二件も三件も起きている。厚生大臣はごらんになったかどうか知らぬけれども、感想を聞きたいと思うんだけれども、そういう事態ができておる。この間心中事件を起こした方なんかは、国がちゃんと指定をしていますね、補助をしているんですよ。それでも長い治療の中で、いろいろな不安と生活苦との中で一家心中に追い込まれる、こういう事態があるわけです。まして、いまあなたの言ったような判断で、実際自治体が認定をしているこの難病患者の補助指定というものを認めないというような事態は、これは私は納得ができない。 そこで、時間がないので、これは都道府県が認定をしているが国は外しているという理由を、いま理由はお金と医学的な科学的な診断だと、こうおっしゃるんだから、それを文書で出してください。たとえば国が認めておらぬ中で都道府県が実際に処置をしているものに、いまも話があったと思いますが、パーキンソン病とか難治性の慢性肝炎、難治性の肝硬変ヘパトーム、悪性関節リューマチ、悪性高血圧症、ネフローゼ症候群、ウイリス輪閉塞症、点頭てんかん、リピドージスとか、一かなりの数のあるものも少ないものもありますが、大小にかかわらず、この難病というのはいま言ったような二重、三重の困難と取り組んでいる方々の問題なので、これはいま少しまじめな取り組みをしていただかなければならないと、こう私は考えているわけです。そこでそれはぜひ文書で、一つ一つの病気について、これが国、大臣が補助対象にしがたい医学上の理由を資料として出していただきたいというふうに思うわけです。その点はいいですね。
○佐分利政府委員 御要望のように文書でお答えをさせていただきます。
○渋沢委員 ついでにと言っては恐縮ですが、数日前の新聞にも出ておりましたが、無ガンマグロブリン血症、これは十八歳未満の子供の場合には小児慢性疾患ということで補助対象にしているんだけれども、十八歳以上の者は扱っていないということですね。新聞にも大きく報道されて、これは東京の都民なんですが、全く爆弾を背負ったような思いで毎日暮らしている。いつどうなるかわからないという不安の中で、仕事もおちおちできないから就職も変わらざるを得ない。しかし、働かなければ治療費を捻出することもできないという状況の中で悲痛な訴えがされておりますね。これもあわせて、なぜこんな庶民の痛みがあなた方の認識の中に入ってこないのか、疾病の補助対象にしない理由をひとつ明らかにする責任があるというふうに思うわけです。それもお願いをしておきたいと思います。 私、先ほど言いましたように、ぜひ伺っておきたいのは、治療費がただになったというのですが、厳格に言うと、もちろんこれは老人医療の無料化と同じで、ただじゃないですね。まして長期の治療を要するというこれらの人たちにとっては、差額ベッドの話や介護人の手当ての問題だけ言っても、これは厳格な意味でただじゃないんですよ。特に寝たきりとかあるいは入院とかいうことで、それはそれなりに困難がありますが、それよりもやや軽度な方々で通院を要するのだが、しかし、なかなか一人では通院ができない、お金もかかる、介護人もいないということで、実際は必要な治療をやっていない人たちがいるのです。その人たちのためにこういう制度をあなた方はお考えになっているかどうか。私は、介護手当を出せというような議論はしません、何でも手当を出せば片づくとだけ思っているわけじゃありませんから。しかし、実際に介護者を必要とする通院の必要な難病患者について、自治体が連絡があればいつでもそれらの諸君に介護人、付添人を派遣して、そして病院まで送ってやる、そういう形の——実際にあるのだ、これは深刻な問題なんです。通院しなければならないことはわかっておる、しかも、難病患者というのは、歯医者や目医者のように、そこらへちょっと十メーター歩いたらあるというようなものじゃないわけでしょう。隣の県まで出向いていかなければならぬということなんです。そういう場合に何が起こるかというと、一人で行ける人はいいけれども、介添人を必要とする者は、事実上三度が一度になり、なかなか行かなくなる。交通費もかかるのです。非常に困難がある。しかも、その場合には自分で立てかえ払いをやって、半年後に国が後払いということでしょう。二重、三重の桎梏を受けておるわけですね。ですから、通院を必要としながらできないという実情もある。 こういう者に対して私、一般論で批判をするということだけでなしに、具体的に、しかも必ずしも介護手当というような考え方でなしに介護人を派遣するという制度を、そしてできることならば交通費の実費ぐらいは見ていく。金で計算してごらんなさい、そんなに実はかかるものではない。実際私はこれが本当に血の通った難病対策だと思うのです。それが、どうも難病の指定をした者については医療費を見る、これで難病政策は進んでおるというようなことを胸を張っておっしゃってはいけないのです。先ほど指摘したように、現実には難病の補助指定ですら値切っておるのです。いろいろな理屈をつけて値切っておるのです。金がかかるから出さぬのです。そうでしょう。それが、あなたのおっしゃったように、二つのうちの一つの理由はお金だと言っておる、値切っているんですよ。しかも指定を受けても通院もできないという人すらいるのです。そういうところにやはり行政の手が伸びるということでなければ難病対策とは言えません。これは、こういうことを考えていますか。
○佐分利政府委員 先生の御提案の趣旨はわかるのでございますけれども、こういった問題は、現在のわが国の医療保障制度全般にかかわる問題でございますので、難病だけ付添料を出すというようなことは不可能であろうと思います。また御案内のように、非常に減速経済になってまいりまして、財政も非常に厳しゅうございますので、今後の政策の優先順位というのを慎重に決めなければならないと思うのでございますが、そのような考え方をいたしますと、ただいま先生がおっしゃったような介護料、付添人料というようなものよりも、むしろ新しい難病を一つでも二つでも指定するという方に優先順位があるのじゃないかと考えております。
○渋沢委員 ほかにもいろいろあるので難病患者に対してだけ特別なことはできない、よくもおっしゃるものだと思うのです。ほかにもあるようなら、おやりになるのが厚生省の責任じゃないですか。それを放置しておいて、寝たきり老人もある、循環器系統の患者の方が多い、深刻だと言いたいのでしょう。難病だけ取り出して手当てしたら不公平だというのですか。いま難病以外にもたくさん同じような厳しい状況の者があるということは、それはあなた方の責任じゃないか。それをどうするかということの中で物を考えないで、それがあるからここだけ見るのは不公平で考えられませんというのは、これはまことに当を得ない言い方じゃないでしょうか。全体が不十分なら、できないならば、難病からだけでもやる、やれるところからやっていくということで道を開くのが積極的な姿勢というものではないでしょうか。これは物の見方にかなり大きな感度の違いを私はいま感じるわけですけれども、そういうことじゃないでしょうか。いま一度そのお答えを願いたい。 検討の余地もないですか。いまのような、現実に通院が必要だけれども、しかし事実上、通院が不可能だというのです。これは本当にごく限られた部分ですよ。それ以上に、長期入院のために差額ベッドや何かで実際はどうにもならなくて、一家心中や自殺している人たちもいるのだよ。そういうことはともかくとして、いまとりあえず、たとえば通院が必要でなおかつ限られたこれらの人たちのこの問題も、金を出せというのじゃないのです。介護人を派遣しろというのです。金を出せというのじゃなくて人を出せと言っているのです。そういうことを実際にやってもらうように国が処置しろというのです。その程度のことを検討もできないかね。私は、検討を前向きにしてすべきじゃないのか、こう申し上げているのに、それは検討の対象にもならぬというお話でしょうか。
○佐分利政府委員 非常に病気の重い方あるいは身体障害の激しい方の場合には、これは一般的にはお医者さんに往診をしてもらうというのが普通ではないかと思うのでございます。ただ特別な専門医のところにどうしてもときどき行きたいという場合に、付添人とか介添人の問題が起こると思うのでございますけれども、これにつきましては、やはりまず家族の方とか、あるいは外国ではボランティアの方だとか、そういう方がお世話をするというのが普通でありまして、先ほども申し上げましたように、こういった問題は、医療保障制度の恩恵を受けていらっしゃるすべての方にかかわる問題でございますので、難病から手をつける、また、そういったことを始めるということはなかなか困難であろうと思います。たとえば原爆障害者の方もいらっしゃる、あるいは大久野島の毒ガスの障害者の方もいらっしゃる、また先生が先ほどお話しになりました寝たきり老人のような方もいらっしゃるわけでございます。そういったことから非常にむずかしい問題であると考えております。
○渋沢委員 これ以上議論してもしようがないので、大変不満だけれども、改めてこれは指摘することにして、次の問題に移ることにいたします。 先ほど大原委員からも、薬害、医薬品の安全性の問題等について指摘があったわけですけれども、プラスチックのいわば安全性というような問題が、私のこの機会に厚生省の考え方や対応を伺っておきたいことの一つであるわけです。特にそれを伺いますのは、ここ数年来、大変短時日の間にプラスチック製品というものが大量に国民の暮らしの中に入ってきております。特に食器とか食品の包装にこれが大量に使用されるということの中で、例のレトルト食品というのですか、大変安易で、プラスチック製の包装器、器そのものを温めて食するというような利用方法が大変子供たちの人気を集めたりということで、おびただしい量が国民によって消費をされているというような傾向がある中で、それだけにこのプラスチック製品の持っている特異体質というものに対して一定の心配をせざるを得ないわけです。 それで、塩化ビニールの樹脂関係については、前からいろいろ議論もあり、発がん性の問題の提起があり、先般、たしか十二月の末あたりの食品衛生調査会等で一ppm以下ですか、一定の規制をされたというふうに新聞等で伺ったわけですけれども、その他のプラスチック製品の、とりわけ食器、食品等に用いられるプラスチック製品のおびただしい流入、市販状況、こういうものを考えて、この安全性というものについて厚生省はどういう検討をされておるのかということをただしたい。これからこういうことをやりたい、いろいろ問題もある、塩ビの問題もあるし ついこの間もイタリアの世界的に著名な学者もその発がん性を改めて報告しております。これからも非常に話題を呼んでいくことだと思うのですが、これからこうしたいということは一応別にいたしまして、後で聞くことにいたしまして、いままでやってこられたことで、具体的なこの安全性、厚生省が責任を持って指摘できる安全性の検証というものは行っておっただろうか。私は、非常に不十分だと思っておるのですけれども、この点をひとつ最初に伺っておきたい。
○松浦政府委員 現在、これは食品衛生法に基づきまして、食器あるいは容器包装というものに対していろいろ規制をいたしておるわけでございます。それで現在、合成樹脂関係につきましては、容器包装の基準、規格が定められております。細かいことを申し上げますが、これは時代とともに設定してまいりましたもので、合成樹脂関係につきましては、フェノールは検出してはならない、あるいはホルムアルデヒドも検出してはならない。それから重金属をはかりまして、その合成樹脂から浸出する重金属というのは一PPm以下でなければならない、あるいは蒸発残留物が三十ppm以下でなければならない。あるいは過マンガン酸カリウムの消費量をはかりまして、非常に反応しやすい物質がどのくらい溶出するかということを検査いたしまして、それが十PPm以下でたければならない。それからさらに塩ビにつきまして、先ほど先生から御指摘いただきましたように、塩ビモノマーというのは材質の中で一PPm以下でなければならない。合成樹脂に由来いたします毒性のおそれのあるというふうに考えられるものにつきまして、従来から次々とただいま申し上げましたような規格、基準の設定をしておるところでございます。
○渋沢委員 プラスチック製品に実にたくさんの化学薬品が添加をされているわけですね。その添加剤がいろいろある中で、さらにそれが幾つも一つにまた練り合わされてつくられていくということなんですが、その一つ一つの添加剤のすべてにわたってそういう安全性というものが検証されておるのか。これはやられてないと思うのです。大変な数だからなかなかできないということで、厚生省自身がおやりになって、いまあなたが御指摘になった点はその範囲でおやりになったけれども、添加剤のすべてにわたってこの安全性が確かめられているという状態ではないでしょう。第一、いまのプラスチック製品のああいうものをつくっているメーカーが、それぞれ現実にどういう材料、薬品をどの製品にどの程度練り込んでいるか知っていないでしょう。知らせもしないでしょうし、また掌握もしてないでしょう。どうですか。松浦政府委員 ただいま先生御指摘のように、合成樹脂につきましていろいろな物質が使われているということは私ども承知しております。ただ、いまの合成樹脂をつくっておりますメーカー、そのうちで食品関係にかかわるものをつくっておりますところでは、これは世界じゅう、大体先進諸国関係でございますと、皆こういうものは使ってはならぬ、こういうものを使うというようなリストをそれぞれ相互に交換し合いまして、毒性をそれぞれチェックしながらこういうものは使わない、こういうものは使うということで情報を交換し合って、わが国でも大体先進諸国と同じようなリストを持っておって、そしてそれら以外のものは使わないというように自主的に規制しておると、こういうふうに聞いております。
○渋沢委員 そのとおりなんですが、私が聞いていることじゃないのです。あなたの言うのは、先進諸国のどこの国がどの程度実際に使っているかを集めているだけです。千数百種類でしょう。知っていますよ。それはよその国で使っているものを集めてこい、その範囲なら大丈夫だという自主規制じゃないですか、あなたがいみじくもおっしゃるとおり。メーカーの自主規制ですよ。大きくかせいでいくという、その物差しの上で支障のない範囲の規制をやっておるのです。塩ビの一ppmというのも、自主規制に役所が後追いしたのじゃないかという見方もあるけれども、そのことは別にして、つまり私が問うているのは、現実に食べ物を包んでいるプラスチック製品。食べ物と一緒なんだから、毎日人の口に入る、体に入るものですね。それだけに、このプラスチック製品が持っている、それに添加される添加剤、化学薬品の安全性というのは、厚生省の責任で、こういう調査と検査の上で心配のないものだという、あるいはこの製品にはこういう化学薬品が練り込まれているという掌握がされて、そしてそれに対して一つ一つの検証があって初めてこれは安全だと、こういうことが言えるのじゃないのか。そういうことはやられてないでしょうということを尋ねたわけです。まさにそのとおりと答えるかわりに、業者がやっていますとあなたはおっしゃったわけですが、業者が自主規制というのをやっているわけですね。これじゃ安心だというわけにはいかぬじゃないですか。これは非常に重大なことだと思うのです。 現に、東京の中で給食の容器にプラスチック製品が使われていることについていろいろ問題があって、いろいろな実験がされて、東京都の衛生局長なんかは特別の通達を出しているのですが、御存じですか。
○松浦政府委員 存じております。
○渋沢委員 つまり、これは簡単に言いますと「ポリプロピレン製食器に使用されている酸化防止剤については、遺伝毒性等その安全性について疑いの生じてきているもの、あるいは、その安全性が十分確認されていないものがあるなど最近問題になっています。以上のことから、学校給食用ポリプロピレン製食器の使用については、成長期にある学童、生徒に対する食品からの安全確保を図るうえから慎重な配慮が必要であると思われます。」こういう通達をわざわざ衛生局長が東京の学校関係者に去年出しているのです。実際にそこまで問題になっているんですよ、われわれの町場、国民の間では。 このいまの通達にもありますように、いままでもいろいろな指摘があります。現にプラスチック製品から化学薬品が溶出する、練り合わされた物が溶けて出るということが実証されておる。それから国立遺伝学研究所の変異遺伝部長さんは、BHT、これは御存じのとおりにプラスチック製品の花形、主流ですね、ここを無視してプラスチック製品はあり得ないようなこのBHTが、遺伝子の本体であるDNAに障害を起こす疑いが濃い、こういう研究発表をされて問題になっているでしょう。これに対して業界は、疑いが濃いと言っているだけで、そうだと断定したわけではないというようなビラをまいているわけです。また、厚生省の中にはそういうことを言う人もいるのだけれども、しかし、国立の遺伝学研究所の変異遺伝部長が非常に疑いが濃いと重大な研究報告をしていることもある。あるいは三重大の研究者が、プラスチック容器に入れた水を二年間もラットに飲ませて動物実験をやったら、非常にさまざまな腫瘍が発生しているという報告を出している。これは厚生省に対してそういう材料をひっ提げて間接に警告を発しているんですよ。 あるいは、特に重要だと思うのは、こういうプラスチックの添加剤が溶け出しているというだけではなしに、特に熱を加えた場合に、この種類は、われわれ素人の判断でも、あるいは聞いた話でも、すぐに変形をする、八十度から九十度の熱だったらもう耐えられなくてすぐ溶けるような、さわればすぐぺこっとへこむような性質を、全部じゃないけれども持っているわけです。そういうことを通してどういう影響があるだろうかというようなことは全然調査されていない、検査されていないのです。先ほどのように業界、メーカーの、よその国で使っている物なら大丈夫だろうという自主規制と称するその範疇の中でとどめられているわけなんです。いままでそうでしょう。ですから、これは大変恐ろしい、重大な事態だ。しかも、いろいろな化学薬品を複合的に練り込むわけですから、そういうことから熱を加えて、圧力を加えてどういう変化が起きるのか。何の検査も調査も行われておらないで盛んに利用されて毎日われわれの家族の腹の中に影響を与えている。どういう影響があるかということの検証がされていない。しかも先ほど言ったように、専門家は重要な部分について疑念を発表しているわけですね。 大臣、こういう事態は大変重大なことだと思うのです。大臣の所見を伺いたい。——私は大臣がどうお感じになっているか知りたいのです。
○松浦政府委員 先ほど先生に御指摘いただきました東京都の学校給食の容器でございます。これは先生おっしゃいましたBHTの問題でございますが、BHTにつきまして毒性があるというようなことを言っている方もあるやに聞きますが、このBHTというのは、そもそも酸化防止剤でございまして、WHOにおきまして一九七三年に体重一キログラム当たり一日〇・五ミリグラムまで体に入っても構わない、こういうふうな基準が出ております酸化防止剤でございますので、これそのものが〇・五ミリ・パー・キログラムということになりますと、溶出する分量から申しますと、これはもう何千倍、何万倍という量でございまして、そういう意味合いにおきまして、BHTそのものの問題というのは私どもは問題はないのではないかと思います。 なお、そういった溶出ということを含めて、先ほど申しましたように、溶出した結果がこういうふうな範囲内でなければならないということを規定しておるわけでございますし、またさらに、私どもは食品衛生の立場といたしますと、最後にでき上がった物から出てくるということの規制が行われれば、そこにおいて食べる場合の安全性というのが確認できるという考え方でやっておりますので、途中の物までは現在のところいろいろ規制するということはあえて考えておらないわけでございます。
○渋沢委員 最後に食べる状態の中でプラスチック容器が食品にどういう影響を与えるか、熱を与えた場合にどういう溶出性があるか、そういう溶出状況の中でどんな影響があるかということについて検証が行われてないじゃないかということを言っているわけです。あなたは専門家でいらっしゃるから、何かWHの話をすれば素人は引っ込むと思っておっしゃるかどうか知らぬけれども、これですら実は議論があるじゃないですか。何でもここで決めたものなら十年も二十年もいいというものじゃないでしょう。この薬は効く薬だといって開発されたもので人の命が絶たれて裁判をやっているじゃないですか。そうでしょう。一度はいい薬だと思って決めたようなものがみんな人を傷つけているじゃないですか。WHが決めたことはみんな十年も二十年も永久に正義だなんて、そんなこと何で言えるのですか。いいかげんなことを言っちゃいけません。 現に、WHと言うけれども、このBHTの〇・五を決めたときの委員会の議長が、世界的な化学工業会社であるダウ・ケミカルの役員であるというようなことを初めとし、同時に、あの〇・五の判定にすらいま専門家の間で疑義が出ているじゃないですか。あの積算の根拠は間違いがあるという指摘があるじゃないですか。それはあなたは聞いていないか知らぬけれども、現実にはありますよ。プラスチック製品の与える影響なんというのは、微量なもので問題ないといろいろ簡単におっしゃるのだけれども、蓄積性というもの。実際にお互いがあわて出すのは、あるいは十年後、二十年後の問題かもしれない。しかし、やはりこれだけのさまざまな添加剤を用いる。こういう製品について、便利なものほど危険があるという認識に立って、必要な上にも必要な安全性の確保が図られなければならぬ。いままでの薬品に対する厚生省の対応を振り返っただけでも、これはまさに甘い発想で食品衛生の問題が取り組まれているというふうにしか思われない。 現に、この十二月にやった食品衛生調査会の決定やその中でのレトルト食品の扱いなんかは、中にある食品の細菌発生の問題、ばい菌が出ないようにするためには高い熱で温めろ、そういうことだけ決めておるのでしょう。百二十度で四分温めればいいと言う。いま問われているのは、その中にある食品がどうなるかという問題もあるけれども、いま一つは、それを包んでいるプラスチック製品の問題がどうなのかということがあるのに、そのことは全くたなに上げて、塩ビのPPmにすりかえて、そこは全く触れないで決めておるじゃないですか。むしろ百二十度の温度で四分も温めたらプラスチックの中から化学薬品がどういう形で溶出し、どれだけ食品に影響を与えるかということが問題なんだ。 だから、あなたがそうおっしゃるならば、いま市販されているすべての製品について、完全な分析がそういう形で行われているのですか。行われていないでしょう、このおびただしいものが。そうすれば、こういうものを決めるという際に、これは食品と包装を切り離してこういう場合には処理できないのだから、プラスチック製品の、とりわけ食品にかかわるこういうものの安全性というものは、もっと厳しい点検、事前のチェックというものが必要なんじゃないですか。すべては業者の自主規制だなんというような状況の中で何が安全だなどということを言い切れましょうか。これは厳しく指摘をしておい三その辺の判断はひと つあと大臣に伺いたい。こんなことでいいですか。
○渡辺国務大臣 きわめて専門的な御意見でございますので、私は、専門家の意見は尊重いたします。厚生省にも専門家がおりますから、これはよく慎重に取り扱うようにしたいと思っております。
○渋沢委員 専門家の話に従うということでは答弁にならぬ。先ほど大原先輩から薬害について鋭い指摘がありましたけれども、大臣の政治判断の姿勢の問題としてそれではどうしても伺っておきましょう。私は専門家じゃないから専門家の言うとおりだというようなことでは答弁にならぬので、こういうものを扱う政治認識の問題として伺っておきたいのです。 食品にしても医療品にしても同じですけれども、国民の暮らし、健康に不可欠なこういうものに対して、厚生省の対応というのは、問題が起こってからどうこれを救済するとかどう対処するというようなことは政治でも行政でもないわけです。問題が起きたいようにどうするかということ、ここがやはり政治と行政の責任だと思うのです。そういう意味で言うならば、まずすべての医薬品、食品等について同様だけれども、責任ある検査をして、規格、基準をすべて厳格に定めて、そして製品の許可をするということが前提にならなければならないし、疑問が提起された場合には、つくられているものを一たんとめてもその安全性を検証するというような処置がやられていれば問題はなかったはずです。食品についても同様で、そういう仕組みを考えていかないと、今後ますます食品や薬品についておもしろくない事件が頻発をするだろうと私は思うのです。 安全性の確保については、いま局長の言うように、外国で使っている例を材料にして、それで業者が自主的に規制しているのだから、それに頼って大丈夫ですというようなそんな無責任な対応は、これは専門の技術論じゃないですよ。政治家としての大臣の判断としてそんな対応を許しておっていいのでしょうか。事、薬や食品にかかわる問題については、厚生省の責任で、どのような角度から見てもこの安全性については疑いがないと言える精一ぱいの手当てをして、業者にもメーカーにもそれを求める、そうして、もしこの処置を業者が怠るようなら厳罰に処するというくらいのメーカに対する厳しい対応がないといかぬですよ。何を基準にしてこういうものを扱うのか。国民の健康、生命というものをどう守るかということを物差しにするのか。いま大量に市販をされている製薬やあるいはプラスチックメーカーの企業利益の立場、ここを損なわない範囲で行政が行われておる、いままでは私どもそういう感じなんです。 そういうことでは相ならぬので、やはりこの点についての食品、医薬品に対する国の責任、安全な食品や薬品を国民に供給する責任は国にある、こういう原則に立ってそれに必要な制度をつくる。いまできてないのです。こういう大原則が私はなければならぬというふうに思うわけです。大臣の所見を伺いたい。
○渡辺国務大臣 先ほど、WHで決まったから永久にそれが安全だとは言えないではないか、私もそう思います。したがいまして、厚生省においても薬の問題等については再評価というようなことをやって、洗い直しもやっておりますし、それから添加物その他のいまおっしゃったような問題についても、できるだけ事前に発見をして、有害なものは押えていかなければならぬ。そういう点でもう完璧を尽くしてわれわれとしてはやっておるつもりでございますが、さらにいろいろな御意見がございますから、それらにつきましては、専門家の検討に従っていきたい、かように考えております。
○渋沢委員 とにかく安全性については本気でやるとか責任を持つと言っても、今度の予算を見てもわかるのだけれども、ざっと斜めに見ただけでも、医薬品の薬効と副作用の安全性調査、これは五十二年度は一銭もふえていない。医薬品の品質確保のための予算、これも前年度に比べて一銭もふえてたい。そして化学物質の調査、いま指摘したようなことも入ると思うのですが、その製造の規制のための処置の費用、これはむしろ二千九百万の減額だ。医療品等の安全対策の強化、これは千四百万の減額だ。もともとありもしない予算を減らしておるんですよ。それで医療品の開発研究。開発と名がつけばちょっと一千万円ぐらいふえるという式のことで、トータルでいうと大幅な減額ということです。これが医薬品の安全性のための予算措置ですが、減額をして、いまの状況では大量なまさに薬づけ行政の中でさまざまな問題が発生しているし、さらに激増しようというような状況の中でこういう対応じゃありませんか。 私はそういう意味で、食品の問題についてこれ以上議論いたしませんけれども、資料として、厚生省がプラスチック製品に用いられている化学薬品の添加剤についてそれは何と何であるか、どう掌握しているか、種類別にその安全性について、いかなる理由でこれが毒性がない、そしてそれはいかなる手段でそのことを確かめたということを一覧表で出していただきたい。いいですか。
○松浦政府委員 どのようなものが使われておるかというリストはございますが、その安全性をどのような根拠でチェックしておるかというデータはございませんので、リストということでお届けさせていただきたいと思います。
○渋沢委員 そうでしたね。安全性の検証は全然やってないのだからその材料を出せというのが無理だ。添加剤その他の科目が、薬品名が出せるだけだ、こういうことですね。 まあ大臣、情けない答弁をしなければならぬですね。しかし、そういうことなんです。安全性の確かな分析も検証もやられてないから、その内容については出しようがないと言っている。これは肝に銘じてもらわなければいけませんよ。それでいて一方では、不確かなレトルト食品なんかを何の検証もなしにあっためて食べなさいということを衛生調査会で決めて告示をしておるのです。ひどい話じゃありませんか。 私は、先ほど来の大臣のお話しを聞いておって、同じ厚生大臣でもこうも違っていいものだろうかと思って、先ほどの大原委員の答弁等も思い起こしながら聞いておったのですが、大原さんもおっしゃいましたように、医薬品や何かについての園田元厚生大臣が参議院社労委員会で何年か前に言ったことは、なかなかきちんとしたことを言っているのです。彼は、これは薬品を食品に置きかえて言うと大変きちんとしたことを言っているわけでして、こう言っています。「これを契機にして薬というものに対する厚生省の基本的状態をはっきりしたい。薬というものは、理論的なものの上に動物実験、人体実験、臨床実験を経て万間違いのないという場合に初めて許可すべきであって、しかもこの薬が生命を救うための万やむを得ない薬というなら別でありましょうが、厚生省としては非常に責任があると思う。ドイツで三十六年に奇形児が出るというようなことが出たときに、おかしいと思ったら直ちに製造中止を命じ七、販売中止を命じて、その上で実験をすべきであった。こういう問題は、率直に製薬会社とこれを許可し販売させた厚生省、そしてこういう事件の起こった後の処置等についての厚生省の責任を私は痛感をしており、これに対する処置をしなければならないと思います。今後新薬がどんどん出てまいりますから、これ以上の問題がどんどん起きてくると思います。それで、まず第一に明確にしなければならないことは、いままでずいぶん調べてみましたが、正直言って許可した場合、それからその後の措置についてあいまいな責任逃れの言葉を言っておりますが、たとえ訴訟になっておりましょうともおりませんとも、政府と製薬会社がその責任をとって今後の処置をそれぞれやるべきだ、この点をまず明確にいたしておきたいと思うのであります。」こういうのが園田元厚生大臣の表明です。可部さんも、そこをつかまえて政治というものの一貫性を言っていますね。園田さんのこの姿勢なり表現というものと置きかえて私は少しさびしい気がしておるので、厚生大臣、こういう言明についてあなたの所見を聞かしていただきたい。
○渡辺国務大臣 政治の姿勢としては当然だと思います。
○渋沢委員 本当にこういうことでは困るのでありまして、余り大きな期待がかけられそうもないので、この問題でこれ以上の質疑はやめまして先に移ることにいたしますけれども、しかし、事態は先ほど指摘をいたしましたように、いずれ大きな問題にならざるを得ないという状況の中で、いま、たとえば食品関連のプラスチック製品の不安全性というものが放置されている。役所も責任を持って、胸を張って、御心配召さるな、これだけのことをやっていますよと言い切れない、資料も出せない、こういう状況の中にあるということをしかと肝に銘じておいて、これは思い切って抜本的な検証をされないとえらいことになるんじゃないでしょうか。現に自治体では、先ほどの衛生局長の通達じゃないけれども、問題になって、そしてこの自治体の責任のある者がこういう通達を出さなければならないような事態になっているのに、厚生省は、先ほど責任者の答弁でも明らかなように、何もこのことについて責任のあることが行われておらない。業者の自主規制にまつ、この範囲を出ないという状況、しかも、安全対策のための予算は減ることがあってもふえることはないというような、こんな対応の中で、私は事態はこれは非常に深刻だ、そう受けとめていただく必要があるというふうに思います。 こう申し上げて、時間がありませんので、次の問題、簡単に救急医療に関連をした自治体病院の問題、それから保健行政の問題について、ちょっと保健所の問題を最初に簡単に伺います。 改めて言うまでもありませんけれども、医療の問題は、予防と健康管理、治療、リハビリと、この一貫性が医療の体系の中でどう整備されるかということが最も理想的な追求課題だと思うわけです。ところが、大原さんからも御指摘があったかと思うのだけれども、治療中心主義である。お薬中心主義である。リハビリと予防というような部分は非常に軽視されておるということがあると思うのですよ。病気もひどくなっちゃってから、手おくれになってから高い技術水準の医療をぶち込んだって効果はない。役に立たぬ。あるいは非常に効果が薄い。病気にならぬうちにどうするか。病気にならぬためのいわゆる予防行政、これがむしろ医療行政の第一であり、出発点であり、そして帰結点であると思うのですね。早期治療、早期発見、こういうわけだけれども、その以前の病気にならぬための取り組みというのが一体どう行われておるのか、ここだと思うのですよ。これは時間がないのであれですが、残念ながら非常に不十分だと言わざるを得ない。いろいろ今度の予算にもちらほらあれもこれも言いたいようなものがありますが、それも聞きませんよ。現実にこの予防の問題について取り組んでいる第一線の保健所に対して、この全国の保健所が本当に自信を持って自分たちの責任で対応できるような状況になっているか、なってないんじゃないでしょうか、そこを伺いたい。これも文書によれば何か保健所の拡充と言っているんだけれども、新しい予算の中ではふやそうというのは一カ所でしょう。結論だけちょっと。
○佐分利政府委員 本年度の予算も明年度の予算案も新設は一カ所として計上してございますが、必要があれば一カ所には限らないわけでございます。
○渋沢委員 それで、いままでの保健所に対する国の補助内容というのは、あるいは前にも指摘があったかもしらぬのですけれども、たとえば保健所を新しくつくるときに用地費は対象にしてないですね。砂上の楼閣なんだ。あるいはそのほかにも工事事務費とか、門とかへいとか車庫とか、雑工事費なんというのは一切これは補助対象にしてないわけだ。上物についてだけ見ているということなんですね。その上物も全く現実離れをした単価で単価設定をやって、その三分の一補助、こういうことでしょう。 〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕 そこで聞きますけれども、その内容はそのとおりだと思うので、この五十一年度で一平米、上物の建築費の単価を国は幾らで計算しているんですか。
○佐分利政府委員 ただいま資料が手元にございませんので正確ではございませんが、大都市とかあるいは郡部等で格差がございますが、最高で約九万円ぐらい計上していたと思います。
○渋沢委員 八万八千三百円というふうに私の方では計算しているんだが、それで補助率三分の一。これは高い方ですね。いまおっしゃったように九万円足らず。ところが東京などで見ますと、実際に幾らかかっているかというと、平米二十八万は現実にかかっているわけですよ。実際に保健所と言える設備をつくる場合に、いまの東京でこの平米二十八万が決して高過ぎるというような状況のものじゃもちろんありません。ところが国はいまおっしゃったように九万足らず。それの積算で三分の一の補助率と、こういうことですから、実際は保健所も現場では大変なんです。自治体がみんな仕事だけは、あれもやれ、これも大事だとどんどん仕事は保健所に押しつけてきているわけです。だから、予防が大事だ、大事だと、こう言葉の上では言ってみましても、現実には第一線の保健所を全然守っていないわけですよ。国の判断で言えば保健所というのは土地がなくても建つのか。たとえば補助対象に人件費の面で見ても運転手とかボイラーの作業員とかいうものは全然見ていない。管理職手当、初任給手当というようなものも補助対象にしていない、こういう実態ですからね。これを全部自治体がしょい込んでいる。必要ならふやしますなんて言っていますけれども、十万以上の都市にはつくるのだというようなことを言っているけれども、実際に二十万に近い人口のところに保健所ができたって国が認めていないところがあるじゃないですか。必要なら幾らでもつくりますよとあなたは言うけれども、具体的に言いましょうか、二十万近い都市に現にできて、人口急増地域で市街地の再編成があって、幾つもあるじゃないですか、国が幾ら認めると言っても認めてないじゃないですか。みんな自弁で、自前で国の保健行政をやっておるじゃないですか、自治体の負担で。
○佐分利政府委員 確かに御指摘のように、千葉の保健所のように管内人口四十万というようなところもございます。しかし、一方においては管内人口が一万くらいのところも二十三カ所あるわけであります。また、六万、七万という保健所もかなりあるわけでございます。 そこで大都市の場合でございますが、交通も便利でございます。そういったいわゆるアクセシビリティーというものが大都市ではございますので、必ずしも大都市は十万に一カ所置く必要はない。これは国際的な標準であろうと思います。私どもといたしましては、二十五万から三十万くらいに一カ所あれば大都市はよろしいのではないかと考えております。
○渋沢委員 全く話にならぬのですよ。市町村、たとえば東京で言うと東村山が十八万、東久留米が十六万、というのはもっとふえているでしょう、これは一年前くらいの数ですから。そういうところで、これは実際これだけの人間が住んで、しかもどんどんふえているという状況のところで保健所が一つもないということでは対応のしようがないわけです。ほかの地域なんかでも保健所一つで足らぬものですから、保健相談所という形ですね。これはもう全然補助対象になっていない。保健所に準ずる機能があって、そうして実際は必要な人を配置し、まさに国が言ういろいろな予防のための、あるいは防疫のための検査や食品衛生、環境衛生、いろいろ取り組んでいるんですね。これが補助対象になっていないでしょう、具体的に聞きますと。
○佐分利政府委員 確かに三年前までは、いわゆる保健所法に基づいて承認されていない未承認保健所というのが二十二カ所ございました。しかしながら、これは五十年度から未承認保健所の解消計画を進めておりまして、すでにそのうち十二カ所は承認をいたしました。まだ御指摘のように若干残ってはおりますが、これは先ほどの保健所の新設とは別に、未承認保健所の承認という形で年次計画をもって進めているところでございます。
○渋沢委員 ですから全く不十分なんですよ。予防が大事だというようなことを言ったって、実際はそういう構造になっていないわけだ。必要があってできているものについて、それをいいかげんほったらかしてあって、そうもいかないのでぼちぼち認めていこうかというようなことをいまの答弁のようにやっておるので、いまだに残っておるのです。ひどいじゃないですか。これは至急に是正してほしいですよ。補助内容ももっと改めなければいけませんよ。そして新しくつくったものなんかなぜ認めないのですか。新設のものはすぐにも認めるようなことを言ったかと思うと、一皮むいていろいろ聞いていけばいまの話じゃないですか。これはもっと積極的に必要な保健所をふやす。ましていまつくられているものは全部認めるというぐらいの処置をとるべきですよ。これは大臣、いまの話の往復を聞いておっておわかりだと思うけれども、こんなことでは予防の問題について大臣が物をおっしゃる資格は私はないと思うのです。現に存在する保健所すら国は認めることができないなんというようなことであってはならぬのですよ。まだ残っておるのですから。しかも厚生大臣の名において、国民の要望にこたえて作業に当たっておるじゃないですか。これはひとつ大臣からもう少し温かい誠意のある答弁を伺っておきたいのです。
○佐分利政府委員 まだ残っております未承認保健所も本年度中には大部分を承認いたしたいと考えておりますし、また先ほど御指摘のございましたいわゆるヘルスステーションにつきましては、保健所の支所的な性格を持っておりますものについては支所として承認をすることにいたしております。 このような関係で超過負担の問題、いろいろございますが、昨年は単価差、つまり職員の俸給の格差を是正いたしましたし、また明年度の予算案では、たとえば共済の長期掛金とかあるいは公務災害の掛金とか、こういったものの解消を図ろうとして約九億を計上しているというところでございます。もうすでに保健所も、未承認を承認いたしましてどんどん数がふえまして、八百五十二カ所になってきたわけでございますけれども、このような厳しい財政の状況のもとでございますので、一方においては大都市並びにその周辺で保健所をふやすと同時に、一方においてはすでに管内人口が一万とか二万というような保健所についてはその再編成を考える時期に来ておると考えております。
○渋沢委員 今年度中にはその未認可の分については処置するというふうにおっしゃった。それはもう確実にそうするということですね。いいですね。
○佐分利政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、できるだけということでございます。と申しますのは、保健所といたしましてはいろんな規格、基準がございます。建物、設備の基準は簡単でございますが、職員配置の基準は現在の地方財政ではなかなか厳しい条件かと思います。したがって、規格、基準のかなっているものからできるだけ開所をいたしたいと考えております。
○渋沢委員 とにかくこれもきちっとしてほしいと思うのです。認めていないところを認めたということだけで、問題は少しも解決していないですね。やはり予防というものについてのもっと抜本的な、積極的な国の姿勢というもの、単に保健所をちょっとどうかするということだけでなしに、もっと根源的に、予防への取り組みあるいは健康管理への行政対応というものを責任を持って取り組むという姿勢で新しい厚生大臣はやってほしいと思うのです。そのことについて一言、これは大臣から所信を伺いたい。
○渡辺国務大臣 予防が一番重要なことでございますから、私は予防体制の充実ということについては今後とも特に努力をしてまいりたいと思っております。
○渋沢委員 時間がありませんので、最後に自治体病院の問題について伺いたいわけですけれども、石丸局長の昨年の当委員会での発言をそのままかりて申し上げると、「公的病院なるがゆえにある程度採算を無視して行わざるを得ない医療の部門があるわけでございまして、またその医療を実施するために採算を無視して資本投下を行わざるを得ない」、つまり「公的病院としての公的使命を果たすため採算を無視して行っている医療」云々と、大変適切に表現されておるわけですが、そういう認識の上で自治体病院、とりわけこの問題になっております救急部門の補助の姿勢なんですけれども、余りにも金額が少ない。それぞれ五十二年度では多少のアップをしたということですけれども、Aクラスで四百九十万、Bクラスで二百十万ですか、とにかく大変ひどい。これで医者二人、看護婦二人、非常勤の医者を一人置きなさい、配置しなさいということを一つの目安にして、そうしてこれは夜間休日の救急医療ということで言えば、一日に割ったらどういう助成になりますか。話にならない補助額だろうというふうに思うわけです。特に対象病院の設定を今度ふやしたという話ではあるけれども、しかし千に近い自治体病院の中でこれは一体幾つですか、この補助対象の病院数は。半分くらいですか。
○石丸政府委員 来年度予算におきまして二百七十一カ所を予定いたしております。
○渋沢委員 二百七十一カ所、これはもう問題にならないわけですね。こういうことで対象も非常に値切られておる。これは赤字病院に限る、救急告示病院に限る、こういう枠をはめて補助対象を実はしぼっておる。値切っておる。もともと救急医療不採算制そのままの医療と言われるこの救急医療への補助は、その病院がトータルで赤であるか黒であるかということは関係ないことなんだ。けれども補助対象を赤字病院に限定をしておる。あるいは告示病院——告示病院の制度が崩壊している。あれで役に立つのなら何もいま救急医療で大騒ぎしてこんなに四倍だ五倍だということにならぬでしょうが、いまの医療制度や、この告示病院のあの矛盾、法律のないこと、あるのは例の搬送の消防の法律であるとか、これはくどくど言いませんけれども、多く指摘されたところなんです。法体系もない、責任の体制もない、あの告示病院制度というものがもう破産をしているということが今日の事態であるにもかかわらず、この自治体病院に対する補助対象という部分になるとそれがにわかに生きてきて、赤字病院であるということと告示病院であるということを補助対象の資格要件にしておるということは不当ですよ。こんなものは外すべきであるということを、時間がないので申し上げる。それから補助内容をもっと大幅に高めなければいけませんよ。これも強く求めたい。 それから、自治省が見えているので一言注文をつけてただしておきたいのですけれども、見えていますね。——特に累積赤字の問題です。国はいろいろやっていると言うんだろうけれども、時間がないので言わないのですが、実際自治体の病院経営の中で国が補助している割合なんというのはひどいものですよ。お話にならなないのですよ。そして先ほどの石丸発言を思い起こしてみれば、言っていることとやっていることはこんなに違っていいのかと、こう申し上げる以外にない事実があるわけです。 そういう状況の中で、これは四十九年ですかにやりました不良債のたな上げですね。これはこの間、予算委員会でも多賀谷議員が指摘をしておったんですけれども、やはりここまで来れば、もう三年たっておる、そして新たな累積赤字がもう大変な数に上っているわけでして、これは安易に、こういうものがたまったらたな上げすればいいというような、そういう発想で言うわけでは決してありませんけれども、しかし、問題を抜本的に、自治体病院を含む医療の整備ということについてのきちんとした国の方針や手当てが現状では出てたいのです。先ほど大原さんが指摘したように、日本の医療というのは依然としてあらゆる部門で矛盾が噴出をしつつある。それに対して明快な根源的な対応ができないでいる。こういう状況の中だからこそますます。石丸さんのおっしゃったように、自治体病院が自治体病院なるがゆえの公的使命を果たすために大変大きな赤字を累積しなければならないという事態の中で、四十九年当時行ったような債務たな上げという措置をことしはやはりここでいま一度早くやらざるを得ないところへ来ていると思うわけです。これはいまここでにわかに即答を求めようというものではありませんけれども、ぜひ積極的、前向きに、そして早期にこのことについて英断をもった取り組み、検討を進めてほしい。そのことについての所見を、これは自治省の方から最後に伺っておきたいと思うのです。
○石丸政府委員 自治体病院の特殊診療部門運営費の助成につきましては、特に自治体病院の財政対策として従来実施いたしておるところでございまして、この財政対策といたしましての救急部門への助成はただいま先生御指摘のとおりでございます。そういった点はわれわれも今後さらに努力いたしたいと考えておるところでございまして、従来救急のAランクの病院にのみこの助成を行っておりましたのを、Bランクの病院にまでこれを拡大していくということを考えておるところでございます。 さらに、救急医療の問題につきましては、財政対策とは別にまたわれわれは対策を講じておるところでございまして、従来の赤字対策にさらに加えまして、第二次救急医療機関としましてのいわゆる輪番制あるいは診療科協定型の病院につきまして、救急医療に参加した日数に応じまして救急部門への助成を今後、昭和五十二年以降におきましてこれを実施していきたいと考えておるところでございます。
○田井説明員 累積している赤字につきましては何らかの対策が必要であるというふうに考えておりますが、先ほど御指摘もありましたように、不良債務が増加したからといって四十九年の特例債と同じような形のものを行いまして一時しのぎを繰り返すのはどうかということでもございますので、病院経営の健全化が図られるための抜本的な対策と関連づけながら、予算委員会におきましても財政局長からお答え申し上げているような考え方で積極的に検討してまいりたいと考えております。
○橋本委員長 渋沢君、時間が大分過ぎておりますから……。
○渋沢委員 ええ、これで終わります。いまの答弁では大変物足らないので、いろいろただしたいし、救急医療の問題については特にただしたい点がたくさんありますけれども、時間が委員長からの注意もありますので、きょうはこれで終わります。
○橋本委員長 この際、午後一時四十五分まで休憩いたします。 午後一時十四分休憩 ————◇————— 午後一時五十六分開議
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。金子みつ君。
○金子(み)委員 私は、きょうは、先般大臣から厚生行政に関する一般的な所信の表明がございましたが、それについて幾つか質問をさせていただいて、そしてお考えを聞かせていただきたいというふうに考えている次第でございます。 まず初めに、所信表明要旨の中で大臣のおっしゃっていらっしゃる言葉の中で、私は、これは基本的なものだと思いますので、ちょっとこれだけではわかりませんので御説明を願いたいと思いますのは、「福祉の心を」というのがあるのですが、この「福祉の心」というのは何なのかということを実は伺いたいのです。どういうことでございましょうか。御説明いただけますでしょうか。
○渡辺国務大臣 私は「福祉の心」という言葉を確かに使いました。その物の考え方は、要するに福祉社会というものをつくる場合においては、物質だけで人間の幸福というものはありませんということを表現したかったわけです。福という字は示へんにふくという字であります。示というのは天の恵みでふくは満ちるで、これは幸いです。祉というのも示へんに止ですから、天の恵みがおりてきて、とまるところは地球の上にとまる。したがって、福祉というのは幸いだ、無限なものである、そう私は思うのです。 〔委員長退席、住委員長代理着席〕 そこで、人の幸いというものは、これは物質やお金だけで人の幸いはない。やはり福祉社会をつくるというからには、物質的にも豊かにすることが必要だけれども、温かい心でそういうようなものに接することが大切である、そういう意味で私は申し上げたわけであります。いたわりの心と言ってもいいけれども、やはり幸いを招くような心で隣人に接することが福祉の精神である。文字どおり解釈をしたわけであります。
○金子(み)委員 「福祉の心」に対する大臣のお考え、よくわかりました。そうしますと、大臣のいまおっしゃった国民の幸せを招くような、あるいは温かい思いやりのある考え方が基盤になって、それに計数的なものが加わるとかあるいは制度的なものが加わるとかいうことで行っていくのだというお気持ちかというふうに私は考えたわけですけれども、それでいいわけですね。
○渡辺国務大臣 先ほど言ったように、先生のおっしゃるように御理解いただいて結構だと思います。
○金子(み)委員 そうでございますと、これから先幾つかお尋ねをさせていただきますけれども、厚生省の責任大臣としてお扱いになられる厚生行政は、すべてその心が底に流れているというふうに理解をしていくべきものだと考えるわけなんです。しかし、実際に行政を行っていらっしゃる場合には、ただ精神的な思いやりとか温かい心とか幸せを招く心とかいうことだけでは仕事になりませんわね。ですから、そこに必要な予算も配分しなければならないし、制度もつくらなければならないしということになると思うのです。 そこで、その心を心として厚生行政をお進めになっていらっしゃっているということになりますと、まず一番先に、私がそれではこれはどう理解したらいいかなと思うことが幾つかあるわけなんです。そのうちの一つに、五十二年度予算の配分のことがあるのですけれども、確かに福祉の問題は、数年前に「福祉元年」という標語がありましたように、あのときは福祉、いわゆる社会保障関係の予算は三二% 三〇%台でござしました。それがだんだんと下がってきたのです。二〇%台になり、そしてやがて五十二年度、これから迎える年度については二〇%も割ってしまって一七・四%という数字になってしまった。大体「福祉の心」は先細りになってきたというふうに考えられるのですが、これはどういうふうに御説明いただいたらよろしいですか。
○渡辺国務大臣 「福祉の心」というのは、これは一つの哲学ですからね。その「福祉の心」というものは幸いだとすれば、それは無限のものである。しかし、その心を形であらわせば、有限のものであらわす以外にないのです。お金にしても物にしても、無限の幸いを有限であらわすのですから、そこには満足ということはなかなかないでしょう。ないでしょうけれども、それは心のこもった形であらわす必要がある。 そこで、この予算の問題でございますけれども、先生から、前には三〇%も二〇%も伸びたじゃないか、今回はそんなに伸びていないじゃないか、一八%しか伸びないじゃないか、むしろ後退をしているじゃないかというようなニュアンスが入っているかと私は存じます。しかし、予算というものは有限なものでございます。無限なものでなくて有限なものなんです。ことしの予算というものは、要するに公債の元利償還の問題と地方財政の臨時交付金の問題を差し引きますと、国全体の予算は一三・六%の伸びなんです。その中で厚生省の予算というものは一八%伸びておる。極力重点施策として取り上げた公共事業が一二〇%、それとパラレルにバランスをとらせて、片一方では景気を刺激して景気をよくするということがあるけれども、片一方においては恵まれない人たちに対していたわりの予算をつけなければならぬ、こういうことで、ともかく関係者の皆さんの全面的な御協力によって一八%の予算の伸びを獲得できたというふうに私は考えております。
○金子(み)委員 それでは、具体的な問題でお尋ねをしながら御答弁をいただくことにします。 初めにお尋ねしたいと思っていますことは、年金の関係なんです。大体この順序でいこうと思いますから、まず年金になっているのですが、国民年金の問題、実はこの年金の問題で心配しておりますのは、せっかく大臣の温かい哲学的な考え方がありますのに、年金にかかわり合いのできない人、無年金の人たちが生まれてしまうという問題です。これは私「福祉の心」には非常に反することじゃないかと思うのです。無年金になる問題について、そのうちの一つは、前回の予算委員会のときに、私どもの多賀谷委員が質問をされて、そして大臣の方では考えようとおっしゃった問題がございますね。これは国民年金の年限が足りなくて国民年金に加入できない人の問題でしたね。この問題について、その後どのように御検討くださり、どういう方向でこの人たちを救済しようというふうにお考えを固めていらっしゃるのか、伺わせていただきたいのです。
○渡辺国務大臣 多賀谷先生の御質問というのは、ともかく年金に加入したくとも加入できないような状態の人がある、そういう人を救ってはどうかというお話です。 御承知のとおり、年金は掛金を掛けて、それで年金をいただくという仕組みになっておりますが、掛金を掛けなかったという理由には、年金制度それ自体に絶対反対なんだ、おれは入りたくないのだといって長い間掛金を掛けなかった人もあるかもわからない、それから特殊な事情によって、掛けたかったのだけれども、どうしても掛けることができなかったという人もあるかもしれない、内容がいろいろあろうかと存じます。 ただ年金は、普通の大多数の方は掛金を掛けておるわけですから、掛金を掛けなかった人が、年々きちんきちんと掛けておった人よりも有利な扱いを受けるというようなことになりますと、これは年金制度の崩壊につながる話になってくるわけです。したがって、原則論から申し上げますと、それは年金を掛けていただきますということなんだが、もう時代が過ぎちゃって掛けられない、ですから、そういうことについては内容的にもっと調べてみたい。ただ、昭和四十四年と四十八年に二回にわたって約二百万人ぐらいの未加入者をとったことがあります。しかし、こういうことを定期的にやりますということを私がここで申し上げますと、それじゃ年金なんか掛けないでおいたって、もらえそうなときになってからまとめて払えばいいのじゃないかというようなことになったのでは大変でございますから、原則的には掛けた人しかだめですよ、しかし、本当に困っておる者があるとすれば、それらについては検討いたしますということを言っておるわけであります。
○住委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○住委員長代理 速記を始めて。 この際、休憩いたします。 午後二時七分休憩 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕 ————◇—————