公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号
- 発言数
- 9 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1977/02/24
会議録
○島本委員長 これより会議を開きます。 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。 まず、環境庁長官から環境行政に関する所信を聴取することにいたします。石原環境庁長官。
○石原国務大臣 先般、環境庁長官を拝命いたしました石原慎太郎でございます。 第八十回国会における衆議院公害対策並びに環境保全特別委員会の審議に先立ち、就任のごあいさつを申し上げますとともに、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。 環境問題は、国民の健康と生活に密着した重要な政治的課題であります。環境庁長官として、この環境行政に取り組むことに大きな意欲を覚えますとともに、その責任の重大さを痛感する次第であります。 戦後のわが国経済の高度成長は、目覚ましい社会繁栄をもたらしましたが、同時にその所産としてさまざまなひずみを生じさせました。中でも最も大きな問題は、非人間的な公害の発生と無残な自然破壊でありました。 悲惨な公害病患者の発生を目の当たりにしまして、われわれは文明批判としての深刻な反省を迫られているのであります。二度と再びこのような事態を繰り返すまいとの決意のもとに、政府国民一体となって懸命な公害防止努力を継続してまいりましたが、今日、これらの努力は着実にその成果を上げつつあると思います。 他方、さきの石油危機を契機として、戦後のわが国経済の繁栄を築き上げた高度成長時代も終えんを余儀なくされ、いまや人類は、資源有限という厳しい認識に立ち至っております。 限りある資源は、石油のみではありません。澄んだ大気も、清浄な水も、豊かな自然も、すべてかけがえない天与の貴重な資源であります。そして、一たび破壊によって失われた環境は、再び回復することきわめて困難であります。 また、かつての高度成長期とは異なり、限られた中から多額の公害防止費用を捻出していかなくてはならぬことを思うとき、今後は、環境破壊の未然防止を第一義として、長期的総合的視点に立って計画的かつ効率的に環境行政を推進していくことが必要と思います。 このように、現下の環境行政をめぐる諸情勢には厳しいものがありますが、さまざまな国民の声に率直に耳を傾け、新しい協調と連帯を求めながら環境行政を推進してまいりたいと思います。 なお、生活の質的向上を求める国民の声にこたえるため、公害の防止はもとより、日常生活における快適な環境の確保についても今後の大きな課題の一つとして取り上げ、感覚的暴力の排除といった問題も含め、総合的な検討を進めてまいりたいと考えております。 このような基本的認識に立って、国民の理解と協力を求めながら、積極的に環境行政を進めるため全力を尽くす覚悟ですが、当面次の事項を重点として努力していきたいと思います。 第一は、環境影響評価制度の法制化です。 昨今、開発行為等の規模の大型化や急激な技術革新により、公害及び自然環境の破壊が複雑かつ深刻なものとなり、さらに、国民あるいは地域住民の価値観が多様化したため、複雑多様な環境問題のトラブルが生じるに至っております。このような事態に対処するためには、環境影響評価制度の確立を図ることがぜひとも必要であり、そのための法律案を今国会に提出いたすべく、現在鋭意努力しているところです。 第二は、閉鎖性水域における環境保全対策の促進です。 わが国の水質汚濁の現況は、総体としては改善の傾向にあるものの、内湾、内海など閉鎖性水域を中心に依然として汚濁の程度はなお高く、しかも富栄養化現象が進行しております。 このため、閉鎖性水域について、水質汚濁に係る総量規制の早期導入を図るための調査検討を進めるとともに、富栄養化及び赤潮対策の拡充強化に努めることとしております。特に、瀬戸内海については、瀬戸内海環境保全基本計画を早急に策定するとともに、同水域の環境保全に関する新たな立法措置についての調査検討を進めることとしております。 第三は、窒素酸化物対策の総合的推進です。 わが国の大気汚染の現況は、硫黄酸化物については、顕著な改善傾向を示しておりますが、窒素酸化物については、改善の兆しが見られつつも、なお一層の政策努力を要する実態にあります。 このため、固定発生源について、排出規制の強化や総量規制の早期導入を図るための調査検討を行うとともに、ジーゼル車、小型トラック等の排出ガスの規制強化のための検討を進めるなど、窒素酸化物対策の総合的な推進を図ることとしております。 第四は、交通公害対策を初めとする各種公害対策の推進です。 自動車、航空機、新幹線鉄道などに起因する各種の交通公害対策の拡充強化に努めるとともに、土壌汚染の防止対策、地盤沈下対策、騒音・振動対策などの各種公害対策についても、引き続きその充実強化に努めてまいりたいと考えております。 なお、地盤沈下問題については、現行の法規制によっては必ずしも十分に実効が期し得ないことにかんがみ、地盤沈下の防止に関する総合的な法制度の確立につき努力していきたいと考えております。 第五は、環境保健対策の促進です。 環境行政の基本は、公害による健康被害者の発生を未然に防止することであります。しかしながら、不幸にして健康被害を受けられた方々に対しては、その迅速かつ公正な保護に万全を期することが必要であります。このため、今後とも公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。 第六は、環境の保全に関する試験研究の推進であります。 環境行政は、科学的な知見を集積し、その判断の上に立って推進することがぜひとも必要であります。このため、環境問題に関する試験研究の中核となる国立公害研究所について、組織の拡充、研究施設の整備を進めるとともに、関係行政機関の環境保全に関する調査研究の一層の促進に努めることとしております。 第七は、自然環境の保全整備です。 公害の防止と並ぶ環境行政のもう一つの柱は、自然保護の推進と思います。わが国の豊かな自然と美しい国土を保全整備し、これを次の世代に伝えていくことは、環境行政に課せられた大きな使命と思います。豊かで美しい自然こそ子孫に贈る最大の遺産であります。このため、長期的かつ総合的見通しのもとに各種自然保護施策を推進することとし、特に自然環境保全地域や自然公園などすぐれた自然の保全管理に万全を期するとともに、鳥獣保護対策についてもその充実に努めてまいりたいと考えております。 以上、私の所信の一端を申し述べましたが、本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の進展のため、今後とも御支援、御協力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○島本委員長 以上で石原環境庁長官の所信表明は終わりました。 次に、昭和五十二年度環境庁関係予算の説明を求めます。金子官房長。
○金子政府委員 昭和五十二年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。 昭和五十二年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は三百五十五億五千四百九十二万一千円であり、これを前年度の予算額三百四億百四十四万円と比較すると、増加額は五十一億五千三百四十八万一千円であり、その増加率は一七%であります。 次に、予算要求額の主要な項目について御説明いたします。 第一に、公害対策について申し上げます。 まず、大気汚染等防止対策及び水質汚濁防止対策については、各種規制基準の強化を推進するほか、新たに、先般制定されました振動規制法の円滑なる施行を期するために必要な調査を行うこととし、また、窒素酸化物について、総量規制の速やかな導入を図るため、調査検討を行うとともに、水質汚濁についても、主として閉鎖性水域において総量規制の早期導入の検討を進めることとしております。 また、従来に引き続き、自動車公害、新幹線の騒音等、悪臭及び富栄養化についての対策を推進するための調査を行うなど、十四億四千七百七十七万円を計上しております。 このほか、地盤沈下及び廃棄物対策費として九千三十二万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億九千六十七万円をそれぞれ計上するなど、公害規制を拡充する等のための経費として、総額十七億二千八百七十七万円を計上しているところであります。 次に、公害監視設備整備費については、地方公共団体の監視測定体制の整備に必要な経費として十一億三千九百二十七万円を計上しております。 環境保全企画調整等の経費については、環境影響評価制度を確立推進するための経費、基本的な環境情報について総合的な整備を推進するための経費のほか、瀬戸内海の環境保全に関する経費等、これらを合わせて二億九千九百三万円を計上しているところであります。 次に、公害健康被害補償対策費等についてであります。公害健康被害補償法に基づく被害者救済対策を一層充実するほか、水俣病研究センターの設立のための施設整備を促進することとし、これらの経費として百四十七億百八十二万円を計上しております。 公害防止事業団につきましては、造成建設事業の規模を充実するなど、これに伴う事務費等の助成費として三十二億八千四百三十九万円を計上しております。 公害の防止等に関する調査研究の推進のための経費については、科学的な調査及び試験研究を一層推進するため、総額四十一億六千六百十一万円を計上しております。 このうち、国立試験研究機関等の公害防止等試験研究費として二十九億五千八百七十万円を環境庁において一括計上し、各省庁の試験研究機関等における試験研究の総合的推進を図ることとしております。 また、光化学スモッグに関する調査研究費及び公害による健康被害、大気汚染、水質汚濁、自然環境保全等に関する調査研究費として八億七千九百四十万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしているほか、環境保全総合調査研究促進調整費として三億二千八百万円を計上し、関係省庁が所管する各種の環境保全に関連する調査研究の総合的な調整を図ることとしております。 さらに、国立公害研究所に必要な経費として二十六億八千四百二十六万円、公害研修所に必要な経費として一億木百四十七万円を計上しております。 第二に、自然環境の保全整備対策について申し上げます。 まず、自然環境保全対策及び自然公園等の維持管理等経費については、新たに、環境保全上重要な二次植生地域を適切に保全整備するための調査を行うとともに、国立公園主要利用地域における利用の適正化について調査検討するなど、五億七千七百九十三万円を計上しております。 このほか、交付公債による民有地の買い上げ制度につきましては、引き続き、その事業費総額を六十億円と予定し、このために必要な経費として七億八千二百四十七万円を計上しております。 鳥獣保護については、特殊鳥類等の保護事業を充実するほか、従来に引き続き、渡り鳥の保護対策を推進するなど、一億四千三十八万円を計上しているところであります。 さらに、自然公園等の整備を図るため必要な施設整備費として二十四億九千二百五十五万円を計上しております。 なおこのほか、建設省所管予算として、国立公害研究所の施設整備のため二十四億五千七百十一万円、国庫債務負担行為十九億五千百三十六万五千円がそれぞれ計上されております。 以上をもちまして、昭和五十二年度の環境庁関係予算案の御説明を終わります。
○島本委員長 次に、各省庁の昭和五十二年度環境保全経費等について、便宜環境庁から説明を求めます。柳瀬企画調整局長。
○柳瀬政府委員 各省庁の昭和五十二年度環境保全経費等の概要について御説明いたします。 まず、歳出予算について御説明いたします。 昭和五十二年度における環境保全経費の総額は六千二百七十四億円となり、前年度の当初予算に比べ千四百十九億円、二九・二%の増加となっております。 このうち、一般会計分は五千六百三十五億円と前年度の当初予算に比べ千二百八十四億円の増加となっており、各特別会計分は六百三十九億円と前年度の当初予算に比べ百三十五億円の増加となっております。 次に、事項別に予算の主要な項目について御説明申し上げます。 第一に、各種基準等の設定につきましては、総額八億七千八百万円を計上しております。この経費は、環境庁等におきまして環境基準及び排出基準の設定等の推進を図るためのものでありますが、主要なものといたしましては、環境庁におきまして、窒素酸化物対策に必要な経費九千万円、水質汚濁防止対策に必要な経費一億八千百万円、土壌汚染防止及び農薬対策に必要な経費一億九千百万円を計上しております。 第二に、監視取り締まりの強化につきまして一は、総額六十億六千万円を計上しております。 このうち、主要なものといたしましては、まず環境庁におきまして、大気汚染及び水質汚濁の状況を監視測定するため、大気汚染監視等設備整備費九億千八百万円、水質環境基準監視費等四億七千七百万円を計上しております。 また、環境庁、厚生省及び通商産業省におきまして、各種化学物質による環境汚染を防止するため、化学物質審査規制対策費四億千四百万円を、運輸省におきまして、自動車の排出ガス検査体制の整備を図るための経費十七億五千五百万円を、海上公害の監視取り締まり体制の整備を図るための経費三億二千百万円を、警察庁におきまして、各種公害関係事犯の取り締まり強化を図るための経費三億六千三百万円をそれぞれ計上しでおります。 第三に、公害防止事業助成につきましては、総額七十八億二千四百万円を計上しております。 このうち、主要なものといたしましては、まず、環境庁におきまして、公害防止事業団助成等経費三十二億八千四百万円を計上しております。また、農林省におきましては、漁業に係る公害の防止、漁場環境維持保全等のための経費十億二千九百万円、赤潮被害をてん補するための養殖共済における特約の掛金補助に要する経費一億三千三百万円を計上するとともに、畜産公害の防止を図るため、畜産経営環境保全対策事業費十五億七千九百万円を計上しております。さらに、通商産業省におきましては、金属鉱業等に係る鉱害を防止するため、金属鉱業事業団運営費七億八千百万円を計上しております。 第四に、公害防止関係公共事業等の推進につきましては、総額四千九百九十二億千二百万円を計上しております。 このうち、主要なものといたしましては、まず、下水道の整備を促進するため、建設省等におきまして、下水道事業費三千三百六十二億五千百万円を計上し、生活環境の改善、水質環境基準の達成等を推進していくこととしております。 さらに、廃棄物対策といたしまして廃棄物処理施設の整備を促進するため、厚生省、運輸省等におきまして、廃棄物処理施設整備費四百三十億七千万円を、厚生省、建設省におきまして、廃棄物処理新システム整備費補助金五億五千万円をそれぞれ計上しております。 次に、ヘドロ汚染、農用地の土壌汚染等いわゆる蓄積性汚染の問題に対処するため、農林省におきましては、カドミウム等による汚染農用地の客土事業等に要する経費として八億三百万円を、運輸省におきましては、港湾内の汚泥しゅんせつ事業に要する経費として十八億六千八百万円をそれぞれ計上しております。さらに、通商産業省におきましては、休廃止鉱山における鉱害防止事業に要する経費として二十六億千九百万円を、運輸省におきましては、一般海域の清掃事業費として二十七億千二百万円をそれぞれ計上しております。 また、防衛施設周辺及び公共用飛行場周辺における騒音問題に対処するために、学校等の防音工事助成、家屋の移転補償等を行うこととし、防衛施設庁におきまして四百三十六億六千万円を、運輸省におきまして四百九億八千二百万円をそれぞれ計上しております。 このほか、都市における産業公害を防止するための緩衝緑地整備事業費として、建設省におきまして四十億八千六百万円を計上し、また、地盤沈下対策として、農林省におきまして、地盤沈下対策事業費三十四億二千万円、通商産業省におきまして、工業用水道事業費二十九億五千七百万円等をそれぞれ計上しております。 第五に、公害防止調査研究の推進につきましては、総額三百十二億五千八百万円を計上しております。 このうち、主要なものといたしましては、まず、環境庁におきまして、各省庁の試験研究機関等における公害関係の試験研究の総合的推進を図るための経費として二十九億五千九百万円を、国立公害研究所に必要な経費として二十六億八千四百万円を計上しております。 次に、農林省におきましては、農林漁業における環境保全技術に関する総合研究を推進するため、二億七千三百万円の経費を計上するとともに、休廃止鉱山関係地域においてカドミウム吸収抑制土壌改良事業を実施する等土壌保全対策を推進するため、六億九千七百万円を計上しております。 さらに、通商産業省におきましては、産業公害防止技術の開発を促進するため、重要技術研究開発費補助金十四億六千万円を計上するとともに、太陽エネルギー等の無公害な新エネルギーの開発の推進等のため、新エネルギー技術研究開発費四十八億七千万円を計上しているほか、資源再生利用技術等の研究開発を行うため、大型工業技術研究開発事業費として百七億四千百万円を、大規模な工業立地に伴う環境汚染を未然に防止するため、産業公害総合事前調査費として三億六千三百万円をそれぞれ計上しております。 第六に、公害被害者保護対策の充実につきましては、総額百五十四億八千五百万円を計上しております。 このうち、主要なものといたしましては、まず、環境庁におきまして、公害健康被害補償対策のために必要な経費として百四十二億五千九百万円を、水俣病の医学的研究を推進するための施設整備費として四億四千三百万円をそれぞれ計上しております。 このほか、原因者不明の漁場の油濁による被害を救済するための経費として農林省におきまして一億千百万円を計上しております。 第七に、自然保護対策の推進につきましては、総額六百十四億六千三百万円を計上しております。 このうち、主要なものといたしましては、まず、自然公園等の維持管理のため、環境庁におきまして五億四千二百万円を計上しております。 また、都市環境の緑化等を推進するため、建設省等におきまして、都市公園及び国営公園の整備のための公園事業費として四百二十二億三千九百万円を計上しております。 このほか、建設省等におきましては、古都及び都市内緑地の保全のための経費十四億円を、農林省におきましては、都道府県等における緑化推進事業の推進等のための経費四億七千八百万円をそれぞれ計上しております。 次に、自然環境の中で良好なレクリエーション施設を整備するため、環境庁におきましては、自然公園等施設整備費二十四億九千三百万円を、運輸省におきましては、観光、レクリエーション施設整備費二億千八百万円を、農林省におきましては、自然休養林等整備費六億七千六百万円を計上しております。 さらに、開発等に対して自然環境や史跡を保護するため、民有地の買い上げを実施することとし、環境庁におきましては、総額六十億円の交付公債を予定し、これに必要な経費として七億八千二百万円を、また、文部省におきましては、六十三億四千九百万円の経費を計上しております。 このほか、港湾における緑地、遊歩道等を整備するため、運輸省におきましては二十四億五千百万円の経費を、また、海岸の環境整備を図り、その利用の増進に資するため、運輸省、建設省等におきまして十一億九千六百万円の経費を計上しております。 さらに、鳥獣保護対策の充実を図るため、環境庁におきまして一億四千万円を計上しております。 以上に申し上げました事項のほか、主要なものといたしましては、大気汚染地域等における公立小中学校の児童生徒の特別健康診断、移動教室及び学校環境の緑化促進事業を推進するための経費として、文部省におきまして五億三千七百万円を、廃棄物対策の一環として、クリーン・ジャパン運動の展開、廃棄物の再生利用の促進のための経費として、通商産業省におきまして二億九千九百万円をそれぞれ計上しております。 次に、公害防止関係財政投融資の概要について御説明いたします。 昭和五十二年度における公害防止関係財政投融資は、全体として、事業規模または貸付規模において、総額一兆千百六十七億円を予定し、前年度の当初計画に比べて千六百九十三億円の増加となっております。 まず、公害防止事業団におきましては、契約規模において千五百九十億円と前年度に比べて二十億円の増加を図り、中小企業等の公害防止施設の整備等を促進することといたしました。 また、日本開発銀行におきましては、貸付規模において千七百五十億円と前年度に比べ百四十億円の増加を図ることにより、企業の公害防止施設等の設置の円滑化を推進することとしております。 次に、中小企業金融公庫におきましては、貸付規模を五百億円に、国民金融公庫におきましては、貸付規模を七十五億円にそれぞれ拡充することとしております。また、農林漁業金融公庫におきましては、畜産経営環境保全施設に関し三十億円の貸付規模を、金属鉱業事業団におきましては、金属等の鉱山の鉱害防止事業等に関し二十四億円の貸付規模をそれぞれ予定しております。さらに、大阪国際空港周辺整備機構におきまして、航空機騒音対策のため七十六億円を予定しております。 このほか、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設整備等の事業を推進するため、地方債計画において七千七十七億円を予定しております。 最後に、環境保全関係の税制改正措置についてその主要なものについて御説明いたします。 まず、国税関係では、公害防止用設備、無公害化生産設備及び廃棄物再生処理用設備の特別償却制度の適用対象となる設備のうち、適用期限の到来したものにつきましてその期限が延長されたほか、適用対象となる設備の見直しを行うこととなっております。 なお、特別償却率につきましては、公害防止用設備について、従前の二分の一から三分の一に引き下げることとなっています。 また、物品税につきましては、昭和五十三年度の自動車排出ガスに係る基準に適合する乗用自動車の課税標準を減額することとなっているほか、電気自動車の課税標準も減額されることとなっております。 さらに、公害防止事業団から事業協同組合等に譲渡された共同利用建物の土地または工場移転用地を組合員に再譲渡(譲渡後一年以内)する際の登録免許税の軽減措置が二年間延長されることとなっております。 次に、地方税関係では、無公害化生産設備及び廃棄物再生処理用設備に係る固定資産税の軽減措置の対象となる設備を追加するほか、振動防止用設備に係る固定資産税について昭和五十三年度まで三分の一に軽減されることとなっております。 また、特別土地保有税についても、廃棄物の最終処分場及び振動防止用設備の用に供する土地について非課税とすることとなっております。 昭和五十三年度の自動車排出ガスに係る基準に適合する乗用自動車に対する措置として、自動車取得税の税率を引き下げることとなっているほか、自動車税及び軽自動車税の税率を昭和五十一年度税制改正前の税率に据え置くこととなっております。 また、電気自動車に係る自動車取得税についても税率を引き下げることとなっております。 さらに、公害防止事業団から譲り受けた新増設の共同利用建物に係る事業所税を用途非課税とすることとなっております。 以上をもちまして、昭和五十二年度の各省庁の環境保全経費等の説明を終わります。
○島本委員長 以上で予算の説明は終わりました。 次に、公害等調整委員会の公害紛争の処理に関する事務の処理概要について説明を聴取いたします。小澤公害等調整委員会委員長。
○小澤(文)政府委員 ただいまから、公害等調整委員会が昭和五十一年中に行いました公害紛争の処理に関する事務につきまして、御説明申し上げます。 まず初めに、公害等調整委員会が所掌いたしております公害紛争の処理に関する事務について、概略御説明いたします。公害等調整委員会は、公害紛争処理法の定めるところにより、公害に係る被害に関する民事上の紛争についてあっせん、調停、仲裁及び裁定を行うとともに、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について指導等を行うこととなっており、これらの事務の概略は、次のとおりでございます。 第一に、公害等調整委員会が行います公害紛争についてのあっせん、調停及び仲裁は、ともに紛争解決の基礎を当事者の合意に求めるものでございますが、当委員会が管轄する公害紛争は、人の生命、健康に重大な被害を生ずる公害に関する紛争、農作物や魚介類など人の生活に密接な関係を有する動植物またはその生育環境に五億円以上の被害を生ずる公害に関する紛争、新幹線鉄道及び航空機の運行により生ずる騒音に関する紛争並びに被害地、加害地が二つ以上の都道府県の区域にまたがる公害に関する紛争でありまして、いずれも社会的に重大な影響を有し、かつ、広域的な見地から処理することが適当と考えられるものであります。なお、当委員会の管轄に属しない公害紛争につきましては、公害紛争処理法に基づいて全国の都道府県が設けております都道府県公害審査会等が行うあっせん、調停及び仲裁の手続によって処理されております。 第二は、公害紛争についての裁定でございますが、これには、責任裁定と原因裁定の二種類があり、ともに訴訟手続に準じた手続によって紛争を処理することとなっております。このうち、責任裁定は、公害による被害について損害賠償に関する紛争が生じた場合に、被害者からの申請に基づいて、その相手方の損害賠償責任の有無及びその範囲について判断するものであり、原因裁定は、公害紛争における被害と加害行為との間の因果関係について、当事者からの申請に基づいて、その有無を明らかにするものであります。 第三の事務は、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について指導等を行うことであります。住民から申し立てられる公害に関する苦情の数と内容は、その地域の環境問題の指標的な意味を持つものでありますと同時に、また、公害苦情は公害紛争の前段階的な性格を有しているものでありますので、その適切な処理を図ることは、公害紛争の発生の事前防止という面におきまして、きわめて重要な機能を果たすものであります。このような公害苦情の適正な処理の重要性にかんがみ、公害紛争処理法においては、これに当たるべき地方公共団体の責務を明らかにし、公害苦情相談員の制度を定めておりますが、公害等調整委員会は、この地方公共団体が行う公害苦情の処理について指導、助言、協力等をすることとなっております。 次に、当委員会の具体的な事務処理の概要を御説明申し上げます。公害紛争の処理に関し昭和五十一年に当委員会に係属しました事件は、調停事件百十九件、仲裁事件一件、責任裁定事件六件及び原因裁定事件一件の計百二十七件でございます。 その内訳は、不知火海沿岸における水質汚濁による水俣病調停事件九十一件、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業被害調停事件二件、大阪国際空港周辺の騒音による生活環境被害調停事件二十三件、徳山湾西海域における漁業被害調停事件一件、福岡市における水質汚濁による健康被害仲裁事件一件、富山市におけるビル工事に伴う地盤沈下による建築物損傷責任裁定事件二件、東京都新宿区における地下鉄工事に伴う騒音、振動等による営業損害等の責任裁定事件一件、長野県中野市におけるカドミウム汚染による農作物被害等責任裁定事件一件、東京都葛飾区における鍛造工場の操業に伴う騒音、振動による建築物損傷等責任裁定事件一件、島根県における廃油汚染に係る漁業被害責任裁定事件一件、埼玉県北葛飾郡における大気汚染による健康被害等原因裁定事件一件等でございます。このうち、昭和五十一年中に新たに係属した事件は、調停事件六十一件及び責任裁定事件一件の計六十二件でございます。 昭和五十一年中に紛争処理が終結しましたものは四十二件で、その内訳は次のとおりでございます。 調停事件で終結しましたものは三十七件で、不知火海沿岸における水質汚濁による水俣病事件三十四件、徳山湾西海域における水質汚濁による漁業被害事件一件及び後で申し上げます裁定手続から職権で調停に付した事件二件であり、いずれも調停が成立して終結したものでございます。これらのうち水俣病事件は、水俣病と認定された患者に対するチッソ株式会社の損害賠償義務について、患者個々人ごとに会社との間の調停を成立させたものであります。 また、徳山湾西海域における水質汚濁による漁業被害事件は、徳山湾西海域に流入した工場排水により水質が汚濁し、漁業被害をこうむったとする山口県新南陽市の漁業者と同海域沿岸に立地する徳山曹達株式会社外九社との間における補償等をめぐる事件でございましたが、鋭意調停手続を進めた結果、調停が成立し、円満に解決したものであります。 仲裁事件で終結しましたものは、福岡市における水質汚濁による健康被害事件でございまして、本件の処理に当たった仲裁委員会は、申請人の請求に理由がないと判断し、申請を棄却いたしたものであります。 裁定事件で終結しましたものは四件で、長野県中野市におけるカドミウム汚染による農作物被害等責任裁定事件及び埼玉県北葛飾郡における大気汚染による健康被害等原因裁定事件は、いずれも、鋭意審理を進め因果関係についてもある程度の見通しがついた段階で、紛争全体を互譲により円満に解決しようという気運が当事者双方に生じましたので、紛争の早期解決という公害紛争処理法の精神にのっとり、同法第四十二条の二十四の規定により職権で事件を調停に付し、調停案を提示しましたところ、当事者はこれを受諾し、円満に解決したものであります。また、東京都新宿区における地下鉄工事に伴う騒音・振動による営業損害等の責任裁定事件につきましては、地下鉄工事と被害との間の因果関係及び損害額等につき審理を進めた結果、昭和五十一年十一月、損害賠償の支払いを命ずる責任裁定を下したものであります。 なお、東京都葛飾区における鍛造工場の操業に伴う騒音・振動による建築物損傷等責任裁定事件は、公害紛争処理法第四十二条の十二第二項の規定により、不受理としたものであります。 その他、終結を見ていない事件につきましても、目下鋭意手続を進めているところであります。 次に、昭和五十年度の全国の公害苦情の実態について申し上げます。当委員会の調査によれば、その総件数は、約七万六千件となっております。この苦情件数は、昭和四十二年度から昭和四十七年度までは引き続き増加を続けてまいりましたが、昭和四十八年度からは毎年減少し、昭和五十年度においては前年度より三%の減となっております。これを市町村別にみますと、人口十万以上の市で二・九%、その他の市で〇・七%及び町村で八・六%それぞれ減少しております。 昭和五十年度の公害苦情件数を公害の種類別に見ますと、騒音・振動に関する苦情が最も多く三一%を占め、次いで、悪臭二三%、水質汚濁一八%、大気汚染一五%の順であり、これらで全体の八八%を占めております。 以上の結果を踏まえ、当委員会といたしましては、公害苦情相談指導者研修会等の研修を実施し、また、公害苦情処理の参考資料を作成、これを第一線において苦情処理に当たる公害苦情相談員等に提供し、あるいは個別の事案について指導、助言を行う等、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について、鋭意指導等を行っている次第であります。 引き続き、昭和五十二年度の公害等調整委員会の予算案につきまして、その概要を御説明いたします。 昭和五十二年度の総理府所管一般会計歳出予算のうち、公害等調整委員会の予算の総額は三億二十七万九千円でありまして、これを前年度の当初歳出予算額二億九千二百万六千円と比較いたしますと、八百二十七万三千円の増額となっております。その内容は、当委員会に係属する事案の審理及び一般事務処理のための経費四千三百四十九万五千円、公害紛争の処理について都道府県等と連絡協議するための経費五百四十九万一千円、公害の因果関係の解明に要する調査のうち、特に専門的、技術的要素の強いものを外部の研究機関に委託するための経費一千九百二万七千円、公害苦情の実態を調査し、その処理について地方公共団体の職員に対する研修指導等を実施するための経費一千九百六十四万七千円のほか、人件費であります。 以上が昭和五十一年中に公害等調整委員会が行ってまいりました公害紛争の処理に関する事務の概要及び昭和五十二年度の予算案の概要でございます。 なお、公害等調整委員会設置法第十七条に定められております昭和五十一年の所掌事務処理状況の報告書は、会計年度で取りまとめまして、追って所定の手続を経てお手元にお届けいたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○島本委員長 以上で公害等調整委員会の公害紛争の処理に関する事務の処理概要の説明は終わりました。 次回は、来る三月一日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時十七分散会