交通安全対策特別委員会 第7号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/04/14
会議録
○鈴切委員長 これより会議を開きます。 海上衝突予防法案を議題といたします。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青山丘君。
○青山委員 千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約、これは昨年七月十四日西ドイツが批准し、加入しました。それによって、国際条約が発効される要件が満たされてきたわけです。したがって、この国際条約は、本年七月十五日からいよいよ発効することになります。わが国は海運国であり、漁業国であります。にもかかわらず、その対処がおくれてきましたが、ようやく過日の衆議院本会議でこの条約が通過いたしました。 ここに国内法の審議に当たって、私は、建設的に質問を進めてまいります。 まず、海上保安庁並びに外務省、先に外務省に対して質問をさせていただきます。 今回の条約改正の意図するその目的は何でございましょうか。その目的についてお尋ねいたします。
○中村説明員 お答えいたします。 今回の条約改正の意図は、それまでは各国に対するモデル法典として、法規範としてではなく存在したところの海上衝突についての一つの約束事を国際的な条約にいたしまして、関係国がそれをお互いに守ることを相互に義務づけられるような内容のものにしようということが法的側面の最大の眼目でございます。 そのほか、このような海上の交通安全の問題につきましては、日進月歩、種々の新しい技術的発展等がございます。たとえばレーダーの装備であるとか、あるいは通航分離方式とかいう点での進展がございましたので、それらの点についての手直しも行ったのでございます。
○青山委員 国際条約に規定されております「漁ろうに従事している船舶」については、過日海上保安庁から出されております。パンフレットの中に規定されております「操縦性能を制限する網、なわ、トロールその他の漁具で漁ろうをしている船舶をいいます。ただし、操縦性能を制限しない引きなわその他の漁具で漁ろうをしている船舶は除きます。」この趣旨に条約は全く一致するものですか。
○中村説明員 ただいまの点につきまして、私ども外務省といたしましては、条約についての規定ぶりを御答弁いたすべきかと存じます。 条約の規則第三条(b)に言うところの「「漁ろうに従事している船舶」とは、操縦性能を制限する網、なわ、トロールその他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶」をいうわけでございまして、したがって、漁労をしている船舶であっても、その船舶の操縦性能を制限しない方法で就労しているものは含まれないわけでございます。条約の規則三条(d)の後段は、その旨を念のため規定したものでございます。
○青山委員 したがって、このパンフレットの内容については、まさしく同一のものですね。
○中村説明員 政府の関係者の間では、そのように考えて、作業を進めております。
○青山委員 先に全部外務省に尋ねておきます。 条約第九条(b)項、さらには(c)項。この条項は、狭水道において、長さ二十メートル以下の小型船舶または帆船及び漁労に従事している船舶は、その水道等の内側でなければ安全に航行できない他の船舶の通航を妨げてはならないと明確に規定しております。しかし、これは国内法と若干違うのですが、特に狭水道においてこの特別の規定を設けた意図はどういうことでしょうか。
○中村説明員 その点につきましては、この規則の十八条と九条の関係について御説明すれば、御回答になるかと存じます。 十八条と九条との関係は、主に漁労に従事している船舶と動力船との関係について、条約の規定しているところと現行の海上衝突予防法二十六条とが内容的に一致しているかどうかという点についての先生の御疑問かと存じます。 その点につきましては、政府部内では慎重に検討を行ってまいりました。その検討の結果、この条約の十八条では、まず動力船は漁労に従事している船舶等の進路を避けることになっております。他方、第九条では、狭い水道という特殊な事情を考慮して、漁労に従事している船舶は狭い水道等において他の船舶の通航を妨げてはならない、このようにしております。ここにおきまして、狭い水道において他の船舶の通航を妨げるという意味は、狭い水道を閉塞する等、他船の安全通航を阻害することを意味するものでありまして、したがって、通航を妨げてはならないとは他船の進路を避けなければならないことまでを意味するものではないと考えております。 すなわち、狭い水道等におきまして漁労に従事している船舶は、他船の通航を妨げてはならない義務を負っているにすぎず、安全に通航し得る余地がある限り、第十八条の一般原則に従って、動力船が漁労に従事している船舶の進路を避けなければならないことになります。
○青山委員 特にこの第九条において、狭い水道における特別の規定を設けた意図はどういうことですか。
○中村説明員 条約の制定経緯の細かい点まで、私必ずしもつまびらかにしておりませんが、これは各般の交通事情の変更その他によってこのような規定ぶりをすることが国際的にも好ましいと考えられていたんだと存じます。
○青山委員 条約第十八条は「第九条、第十条及び第十三条に別段の定めがある場合を除くほか、」以下の規定によって、操縦性能の劣る船舶の進路を避けなければならない。こういうふうに理解しますと、狭い水道の第九条の特別規定に第十八条の狭水道以外における一般の公海の原則が及ぶというふうに条文では理解できないと思うのですが、そう理解するのが妥当なんですか。
○中村説明員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、条約の制定経緯でどのように規定することが一番わかりやすいかといういろんな議論があったかと承知しております。 私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、この十八条の一般原則が、実は順番では後に出てまいりますけれども、これが一般的な漁労従事船と動力船の関係を言っておりまして、他方、それ以外の点を九条、十条、十三条に書いたというふうに考えております。
○青山委員 条約十八条は、いまの場合第十条、第十三条を入れると混乱するかもしれませんが、たとえば「第九条に別段の定めがある場合を除くほか、」こういうことになっておりますから、この第九条以外の一般公海上における原則ではないかと思うのですが、そういうふうに理解すべきじゃないでしょうか。
○中村説明員 基本的には先生のおっしゃられるとおりかと存じますが、ちょっと自信のない点がございますので、確認の上もう一遍御答弁させていただきたいと存じます。
○青山委員 もう一点聞いておきます。 いろいろ制定されてくる経過もありますし、その審議の途中もあるのですが、結果だけで私は言うものですから、その途中はわかりませんが、しかし、イギリスのコッククラフト教授が解説書を出しておられます。このコッククラフト教授の解説が大体IMCOの正式な解釈だと言われておりますが、その中に、違っていたら教えてください、「表現は旧来のものと著しく変更されておる。漁労船は狭水道では他の船舶の通航を妨げてはならない。」こういうふうに明確に規定している。その辺が国内法との関係で若干差が出てくるのではないか。
○中村説明員 ただいま先生御指摘のコッククラフト教授につきましては、会議に出席した関係者の一人であることは確かでございますけれども、同教授の意見はあくまで一人の学者の意見でございますので、それが本件についての基本的な考えということではございません。 なお、その点につきましては、さらに海上保安庁サイドから追加の御答弁があると存じます。
○馬場説明員 いま先生御指摘の説というものは、確かに重要な変更があるということを解説いたしておりますけれども、しかし、そこで申しておりますことは、実は一九六〇年の二十六条の表現ぶりというものが、「オブストラクトアフェアウエー」、要するに航路筋を閉塞してはいけないということを規定しておる。ところが、今回一九七二年の規定では、「インピード ザ パッセージ」ということで、通航をインピードしてはいけないということに変わってきておる。すなわち、フェアウエーをオブストラクトしてはいけないということであれば、通航船舶があるなしにかかわらず常に閉塞してはいけないということでございますけれども、パッセージをインピードしてはいけないということは、通航船舶があるときは妨害してはならない、閉塞してはならないということで、意味が違ってきておる、こういう解説をしておるわけでございます。
○中村説明員 先ほどの第十八条と、九条、十条、第十三条の別段の定めの点につきまして、もう一度御答弁させていただきます。 先ほど先生御指摘の点につきましては、この九条、十条、十三条及び第十八条の関係は、たとえば狭い水道において、九条(b)の規定にかかわらず帆船が動力船の通航を妨げてしまった場合にまで、当該帆船が十八条の規定によることを主張することはできないという趣旨を明らかにしたものでございます。したがって、狭い水道において、たとえば帆船が動力船の通航を妨げていない限り、当該動力船は十八条(a)(iv)の規定により帆船の進路を避けなければならないということになるわけでございます。
○青山委員 いまのような解釈が正しいというふうに条文上ではどこで規定していますか。
○馬場説明員 条文的にはいわゆるエクセプトクローズというもの、完全にほかの規定を排除するという意味でのエクセプトクローズとは表現ぶりが若干違っておりまして、「アザワイズリクァイア」というようなことで、表現ぶりも一般のエクセプトクローズとは違うと思います。 それからなお、このクローズがこの十八条に必要なのかどうかということにつきましては、採択会議においても相当議論がされております。要る、要らないという説があったわけでございますけれども、そのいずれの立場においても十八条は九条にも働くということを前提といたしました上で、さらにこういうクローズが要るかどうかという議論をしております。 そこで最終的には、英国の主張が採択されまして、このクローズが挿入されたわけでございますけれども、英国の主張は、いま外務省から御説明がありましたように、九条の規定に違反して漁労船等が完全に航路筋を閉塞してしまった、そういう状態の場合においてまでなおかつ十八条によって一般船舶が避けろという義務を課されることは酷である、したがいまして、そういうときにまで義務はかからないということを明らかにする意味でこのクローズが必要である、こういうことに相なったわけでございます。
○青山委員 後でまた触れさせていただきます。 海上保安庁の方にお尋ねしますが、先ほど「漁ろうに従事している船舶」、これがこのパンフレットの内容と同じだという趣旨で外務省にお尋ねしましたが、国内法においては、条約にあるトロール船の問題について触れていません。その辺の御見解をお尋ねします。
○山本説明員 国際規則では、先生御指摘のとおり、「漁ろうに従事している船舶」の定義の中に、「トロールその他の漁具を用いて」という規定で、「トロール」が入っております。しかし、この「トロール」は、定義の前段にあります網、なわ、この漁具と実質的には同じである、したがいまして、この「トロール」という表現はダブっておる、そのように考えますので、整理上国内法ではこれは削除いたしております。別にその他の意図はございません。
○青山委員 トロール船は、「その他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶」に含まれるんだと言っておられるのですね。
○山本説明員 トロールの漁法といいますと、大部分は網であろうと思います。網をなわで引いて操業するというのがトロールの形態であります。
○青山委員 だから、「その他」の中に入るわけですね。
○山本説明員 大部分は「網」に入ると思います。若干は「その他」に入るかもしれません。 いずれにしましても、含めますと、トロールはその表現の中に入っておる、そのように考えております。
○青山委員 国内法における「その他」とはどういう内容のものですか。
○山本説明員 国内法の「定義」にありますとおり、船舶の操縦性能を制限する漁具を用いて漁労しているのが漁労船舶である、このように規定いたしておりますけれども、船舶の操縦性能を制限する漁具というのは、国際規則で例示いたしております網、なわ、トロール、そういったもの以外にいろいろな漁具がございます。したがいまして、同じ漁具でも、場合によってはこの操縦性能を制限するという漁具になる場合もあれば、ならない場合もある、場合によっては海域によっても、そういうのが違いがあるというふうに水産当局は言っております。したがいまして、「その他の漁具」というのは、その場その場で考えないと判定がむずかしいということで、現在水産庁では漁業者とこの漁具等について鋭意検討を進めておるということであります。
○馬場説明員 「その他の漁具」につきましては、いろいろ考えられるかと思いますけれども、国際会議の議場で話題になりましたのは、われわれもその実態はどういうものか把握しておりませんけれども、ソビエトが、サメを捕獲するためのフックネットというようなものがある、そういうものも読めるようにしておくべきであるということで、今回そういう範囲を広げたような表現ぶりになったということでございます。
○青山委員 「その他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶」について、ある程度統一的な見解を持っておらないと、将来問題が起きるのではないかと思うのですね。外国における漁法と国内における漁法と、どうも若干違うかもしれません。けれども、一つの統一的な見解を持っておらないと、問題が起きたときにだけ、一々この条文に当てはまるかどうかを判断するというような受け身的な態度ではいけないのではないかと思うのですが、どうでしょう。
○山本説明員 先生御指摘のとおりであろうと思います。したがいまして、先ほども御返答申し上げましたとおり、現在、最も実態について詳しい水産庁と漁業者において具体案を詰めておるという段階でございまして、具体案が出た場合に、また私どもと関係省庁相寄りまして、統一的な見解を出しておきたい、そのように考えております。
○青山委員 ぜひ統一的な見解を出していただきたいと思います。ちょっと入り口で時間を食ってしまいました。 国際海上衝突予防規則、一九七二年IMCOにおいて制定されましたその趣旨は、「全世界の船員に理解しやすくかつ実践に適するよう平易簡明を旨とする。」こういう宣言がされております。しかし、国内法の新海上衝突予防法案は、理解しにくい、かえって複雑になっているのではないか、そういう面があると思うのです。これが平易簡明になっていると理解しておられるか。
○山本説明員 条約の採択会議におきましては、平易簡明という趣旨でいろいろな条文の条立ての改正等を行っております。そういった改正を行いましたために、一部規定の解釈がむずかしくなっておる、たとえば先ほどの九条と十八条の関係のようなものでございますけれども、運航者が、九条だけを読んで行動する人もおるであろうし、十八条まで読んで正確に規則を解釈してくれる人もおるでしょうし、非常に平易簡明になったように国際規則は見えますけれども、実際運用者としては非常にむずかしい判断を迫られている場合が数カ所あると思います。そういった点につきましては、国内法は、そういったいわゆる誤解を避けるという趣旨から、若干の規定を挿入いたしまして、むしろ平易にわかりやすくしておると、そのように私どもは考えております。国内法案に準拠いたしますと、そういった誤りがなくなってくる、このように私どもは考えております。
○青山委員 項目の配列が現行法と若干違っていますね、したがって、そういう点ではかえって理解しにくくなっているのではないか、漁船にとっても商船にとっても理解しにくい面があるのではないか、そう思うのですが、どうですか。
○山本説明員 先生御指摘のとおり、項目の配列につきまして、何カ条かではその位置を転倒しておるというような個所がございます。しかし、その転倒の趣旨は、これまた操船者がわかりやすいように、たとえば航法のところには航法、その中に違う趣旨の規定が挿入されておる場合にはそれを後の方にする、そういった、見る人がわかりやすいように条文の項立ての変更をいたしております。そういった点につきましても、平易簡明という趣旨は、むしろ国内法においてとらえておると、そのように考えております。
○青山委員 現行法は、旧規則と国内法との間に全く翻訳的に対称されておったのですね。しかし、そういう点で外国船長、それから日本人船長、船員、乗組員、言葉の上での誤解は生じておらない。ある意味ではわかりやすい国際的な表現となっておった。ところが、新法は新条約とかけ離れているように理解されやすいと思うのです。いかがでしょう。
○馬場説明員 先生現在の海上衝突予防法は全く対称的になっておるという御指摘でございましたけれども、実は現行予防法につきましても、一九六〇年規則と詳細に対比いたしますと必ずしもそうはなっておりません。それで、国内法的に見て、むしろ項の整理をした方がいいというようなものについては事実やっております。そういう意味で、現行予防法自体も全く同じようにしているというわけではございませんし、今回もわれわれはできるだけ一九七二年規則に忠実にということは念頭に置きつつも、なお一層適用関係あるいは前後の関係とか、そういうもので論理の展開というものから見て、わかりやすくということに心がけて整理をしたつもりでございます。
○青山委員 海上とはいっても、交通の安全を確保するための法律は、簡潔で明快でなければならないと思うのです。そして、本当に短い時間で、一瞬の間に正確に判断をしなければならない、その判断はだれが判断しても同一の判断をしなければ事故が起きる。国際法を読んで国内に入ってくるわけですから、現行法が完全に国際規則と翻訳的に対称であるということではないにしても、改正法より対称的であった。そういう意味で、法律学者ばかりが船に乗っているわけではないのですから、国際法と国内法において言葉が違ってくることによる混乱はないかということですね、その辺を一番心配するのです。その辺の心配はありませんか。
○山本説明員 先ほども答弁いたしましたが、国際規則は条文の構成をすっかり変更いたしまして、現行法と大きな変化がございます。それで、航法につきましては、特にその航法が問題でございますけれども、「あらゆる視界の状態における船舶の航法」と、それから「互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法」と、「視界が制限されている状態における船舶の航法」、この三つに分けて規定いたしました。 それで、三つに分けて規定いたしました関係上、従来ばらばらに規定されておったのが一ヵ所にまとめられたところもございます。これは十八条でございます。しかし、反面、互いに船舶が視野のうちにある場合と、それから視界が制限状態にある場合、こういったような場合に、その十八条がどういうふうに働くかというのが若干不明確になったところがございます。先生おっしゃるとおり、操船者が見て、その場でいわゆる解釈をし、判断をし、操船をするわけですから、あれを見、これを見というわけにまいりません。したがって、国内法ではそういったことがないように、その条文を見ればすぐわかるように整理をしてあります。こういった点で、先ほども申し上げましたとおり、国内法が非常に操船者に便利になっておるのだということが言えます。また、言葉遣いの問題につきましても、誤解を招くような点はないと私どもは考えております。
○青山委員 国内法にも、狭い水道における航法が特別に規定されてきました。狭水道における特別規定が設けられた意図というものはどういうことでしょうか。先ほど外務省に聞きました。海上保安庁は、狭水道におけるこの特別な規定が設けられてきたその目的、意図はどういうところにあるんでしょう。
○馬場説明員 今回の国際規則で、新たに条文的には狭水道という一条が加わりましたけれども、実質的には新たにつけ加わったというのはむしろ少のうございまして、現行法でもすでに狭水道に関する規定が二十条、二十五条、二十六条というところにございます。これを今回は、国際規則の条文の構成を大幅に整理をし直す、それからできるだけ船員にわかりやすくということで、そういう狭水道の航法関係は、狭水道の航法関係ということで一本に、それからいわゆる操縦性能の異なる船舶の間の航法関係につきましては、これは実は四条、二十条、二十五条、二十六条というようなところでそれぞれ分かれていま規定されておるわけでございますけれども、それを一本化するということで今回整理されております。 なお、そういう意味で狭水道の規定自体はいままでもあったものを整理したわけでございますけれども、その際、そういう狭水道の場における横切りの一定の場合の制限、あるいは追い越しの信号というようなことでのさらにきめの細かい規定も追加して行ったということでございます。
○青山委員 条文、言葉における整理だけですか。
○馬場説明員 いま申し上げましたように、新たに狭水道における航法規制が追加されたものはもちろんございます。ただ、先ほど申しました現行の二十条あるいは二十五条、二十六条で規定をしておりますものにつきましては、いま御指摘のような整理だけでございます。
○青山委員 国際規則における第九条、たとえば(b)項、(c)項、これの主語は「長さ二十メートル未満の船舶又は帆船」、これが「妨げてはならない。」(c)項は、「漁ろうに従事している船舶は、」「他の船舶の通航を妨げてはならない。」と規定されております。ところが、国内法になってきますと、今度は主語が逆になっている。「航行中の動力船は、」「避けなければならない。」、「航行中の船舶は、」「避けなければならない。」そうすると、国際条約に全く記載されておらない条項が本文として載ってきている、そういうふうに理解するのですが、間違っておりますか。
○馬場説明員 先ほども御説明申し上げましたように、現行二十六条というものは漁労船と一般動力船、その他の船舶との航法関係を規定しておるわけでございますけれども、これが操縦性能の有無によって十八条、それから狭水道関係ということで九条ということで、国際規則は分割して規定されることになったわけでございます。ただ、その実質的内容につきましては、先ほど外務省からも御説明ございましたように、現行法二十六条の考え方と全く変わってはいないということでございます。 したがいまして、われわれといたしましては、この法案をまとめるに当たりましては、現行法との継続性を示すと同時に、分けたことによって無用の混乱が生ずることがないようにあえて現行法の規定ぶりをそのまま持ってきたということでございます。
○青山委員 どの船もぶつけてよいとか妨害してよいという権利はないわけです。したがって、狭水道における国際規則の九条の(b)項、(c)項というのは、考えて見ればまさしくあたりまえのことですね。しかし、あえてこの特別の規定が設けられた意図というのは、この条文を理解する上において特別の意図があるというふうに理解されるのです。どうでしょう。
○馬場説明員 実は狭水道におきます漁労船と一般船舶との関係につきましては、古い話で恐縮でございますけれども、明治二十五年法律、この時代からすでに入っております。ただし、明治二十五年法律の場合には、帆船と漁労中の帆船という関係で規定されておりました。そこでこの母体となりましたのが、ちょっと年代を忘れましたけれども、明治二十二、三年だったと思います。一八八九年でございますが、ワシントンで行われました国際会議におきまして、これが初めて採択されたわけでございます。 そのときの本条の規定が入った経過等につきまして説明した文書なんかをわれわれ見ておりますと、ドイツの委員なんかも言っておりますけれども、これはいままでいわゆる船員の常識として行ってきたもの、それを今回新たにこういうことで入れたのだということを言っております。われわれの理解も、確かに妨げてはいけないというようなことは、ある意味ではあたりまえな話だと思います。しかし、特にそういう妨げのおそれのある場所、それが狭い水道だと思います。そういう場所につきましては特に取り上げて、妨げてはいけないのですということをはっきりと法文上にも書き込んでおるというのが、国際規則の思想かと思います。
○青山委員 国内法は、国際規則の趣旨がただし書きで載っております。その国際規則の趣旨が国内法ではただし書きになっているということは、国際規則の趣旨が正確にここに反映されていないのではないか。しかもその表現の仕方が「妨げることができることとするものではない。」英文では、妨げる権利を与えたものではないという表現をしております。交通安全上それはあたりまえのことですが、その条項を国際規則では明確に特別に規定してきた。国内法では、主文は全く違う主語であり、逆の内容になっていて、国際規則の趣旨がただし書きで規定されておる。そこに若干の、理解をする上での混乱を招くのではないかと思うのです。 そういう点で、ただし書きで規定してきた趣旨というものはどういうものか、御説明いただきたいと思います。
○山本説明員 国内法では、国際規則の九条の(c)項の内容をただし書きで規定いたしております。そのとおりでございます。 なぜそういった形をとったかということでございますが、先ほどから説明を若干いたしましたが、九条、いわゆる狭い水道におきます漁労に従事している船舶と一般船舶の航法、狭い水道におきましては、漁労に従事している船舶はその他の船舶の通航を妨げることができることとするものではない。こういうことと、十八条のいわゆる一般原則、これがやはり狭水道でもかかるということであります。かかるか、かからないかという議論は別にしまして、これは条約の採択の論議の中にも、十八条はかかるのだということが前提となって、議論が展開されたということは、先ほどエクセプトクローズのところで説明をいたしたとおりであります。 したがいまして、狭い水道におきましては、一般船舶には、漁労に従事している船舶を避けよ、漁労に従事している船舶には、その他の船舶の通航を妨げてはならないと、おのおのにおのおののいわゆる義務を課した。その義務が二つ重なって、初めて狭い水道で船舶の航行の安全を確保しようというのが国際規則の趣旨であります。 現行法はどうなっているかと申し上げますと、やはりこれまた二十六条におきまして同じ趣旨のことが書いてあります。したがいまして、国際規則の九条の趣旨というのは、十八条を含めて考えなければ正確な解釈にはならないということになります。現在の二十六条の解釈と同じである。狭水道におきます漁労船と一般船舶の航法というのは現行法の二十六条の規定と同じである、こういうことになります。 したがいまして、現行法のいわゆる連続性といいますか、法の安定性といいますか、こういった面から考えますと、やはり現行法と同じような規定ぶりをした方が操船者にはわかりやすいし、間違いがなかろうということで、そういう規定にいたしたものでありまして、ただし書きにしたから漁労船のいわゆる妨げてはならない義務が軽減されるとか、直接書いたからそれが加重されるとか、そういったものではないと考えております。
○青山委員 先ほど、国際規則と同じ文言を使わなかったのは、さらに正確に意味をあらわすために国内法においてはこういう表現をしたという説明がありました。その意味を理解します。ただ、それはもう理解するのですが、実際、海上交通がふくそう化してくるときに、国際規則で理解をして入ってくる船が、先ほど正確に理解しておればとこうおっしゃったのですが、国内法と全く主語が逆になっている。何か趣旨が違っているのではないかと理解される可能性があるのです。一般船舶と漁労船との関係でその表現が全く逆になっておるので、権利者と義務者との間に理解度が、自分の都合のいいように理解されておったときに、理解度が異なっておって、そして実際、海上交通に本来安全を確保する目的のためのこの法律が、かえって混乱を招くようなことにならないか。権利者と義務者とが逆になっておるのではないか。そう理解されるのですが、どうでしょう。
○山本説明員 狭水道におきます一般船舶と漁労に従事いたしております船舶の航法関係を、先生はただいまの権利者と義務者という表現で御質問がございましたけれども、私ども先ほどちょっと説明しましたが、狭水道におきましては、漁労に従事している船舶には、その他の船舶の通航を妨げてはならないという義務を課し、その他の一般船舶に対しましては、漁労に従事している船を避けなければならないという、おのおの義務を課しております。そういった関係で、権利者と義務者という関係ではなくて、おのおのに義務がかかっておるのですから、そういった誤解は起こらない、そのように考えております。
○青山委員 しかし、実際問題、避けなければならない船と妨げてはならない船があって、妨げてはならないと国際規則で規定してあるのだから、妨げられないように通航できるというふうに理解する船があるわけですね。それは狭水道における規定だ。一般公海上は広いところですから、義務者は漁労に従事する船舶、あるいは操縦性能の劣っている船舶を避けなければならない。ところが狭水道では、それは避けなければならないという規定はないかのように国際規則ではあるから、国内法でその網をかぶせたというふうに理解されるのです。本来その網があったのかどうかという疑問を、ちょっと先ほど外務省に質問したのですが、国内法ではあえてそれを明確にしたという趣旨でしょうか。
○山本説明員 本来十八条が狭水道に一般的にかかるということは、国際規則でも国内法でも同じであります。本来なかったものを追加したのではございません。十八条の原則は、国際規則でもやはり狭水道にかかってくるということであります。この説明は、先ほどのエクセプトクローズの説明とか、審議の過程でというようなことを申し上げましたが、そういうことで御理解いただきたいと思います。
○青山委員 これは第十条六項、七項、国際規則の十条(i)と(j)、全く同様のことですね。法案第十八条で、操縦性能の劣る船舶の進路を比較的まさる船舶が避ける、この規定がされております。さらに、漁労に従事している船舶を操縦性能の劣る船舶に加えている。これは当然のことですね。しかし、国際規則が第九条、第十条において、狭い水道等では航路筋の内側を航行している船舶の通航を漁労船や小型船が妨げてはならないと規定したのは、その水域、狭水道では双方にとって危険が大きい。したがって、身軽な小型船の方で妨げないように注意すべきだという規定じゃないかと理解するのですけれども、どうでしょう。
○馬場説明員 先生のいまの御質問は、漁労船のことをおっしゃっておるわけでございますね。——そういう意味では、狭い水道におきましても、やはり漁労船は操縦性能が非常に困難な船であるということには変わりないと思います。したがいまして、そういう狭水道においても、身軽な小型船ということは言えないかと思います。
○青山委員 時間がなくなりました。先へ進まないといけません。 外国船舶は条約を理解して、わが国領海へ入ってきます。国際規則九条(b)項、(c)項は、小型船舶及び帆船、漁労中の船舶は「妨げてはならない。」「シャル ノット インピード」と規定しています。(b)項、(c)項いずれも。それが、船が大きくなってきて、大型船舶も操縦性能が劣っている、あるいは操縦性能はあっても現実に周囲の環境で岩礁に乗り上げてはいけない、これも操縦性能の劣っているうちに入るわけですね。そういう事故が起きることを想定して、狭水道におけるこの規定、国際規則九条の(b)項と(c)項があえて規定されてきた。したがって、国際規則の中では、十八条の規定の網をかぶっているというふうに理解できない。法解釈上は、理解するのが正しいかもしれませんよ。しかし、一般の人が国際規則を理解するときに、特に外国船の船長、航海士が国際規則を理解してきて、わが国領海に入ってきて、狭水道に入ってきたときには、漁労中の船舶は妨げてはならないと書いてあるから、その規則を理解して、進んでいくことができると理解すれば、大変なことになるのではないか、取り返しがつかない事態が起こるのではないかと心配をするのです。その辺の心配はありませんか。
○山本説明員 国内法案は国際規則を忠実に国内法化ずる、そういう趣旨でただいま申し上げたような表現ぶりにいたしております。しかし、外国船の船員は国際規則を一応見て航行してくるわけでございますけれども、国際規則を正しく理解して入ってまいりますと、国内法と同じような考え方にならなければならないはずであります。そうなる。あるいはそういうふうに当該国あたりは指導しておると、私どもはこのように確信いたしております。したがいまして、御心配はないと考えております。
○青山委員 くどいようですが、国内法と国際規則との間、まさしく国際的にも国内的にも同一だと理解できますか。
○薗村政府委員 いろいろ御議論いただいておるのでございますが、私どもの理解を申し上げますと、国際的な面では、一九六〇年の国際規則と一九七二年の国際条約との間に、狭い水道等における一般の船舶と漁船の間の航法関係というものについては、何も変わりはないということを信じております。また、したがって、一九六〇年の国際規則を国内法化した現行の国内法と、それから一九七二年の条約を国内法化しようとして御審議を現在お願いしている法案との間にも、いま申し上げた点について何にも変わりはございません。 そういう意味で、いろいろな御批判もいただいたのですが、特に国内法は、国内的に一般船舶と漁船の間にもうすでにかなり定着した理解が深まっている点がございますので、それを表現するのに一番いい方法は、現行の二十六条どおりを書けばいいということで、かなり時間もかけ、手続もかけて関係者の御理解を得た上で、こういう法案を用意させてもらったというつもりでございます。したがって、国際法規を守ってくる外国船と、たとえば狭水道で国内法規を守っている漁船との間に混乱が生ずるというようなことはないということを私どもは信じております。
○青山委員 このパンフレットが出ております。十三ページに「漁ろう船等の航法」と書いて、「この規則の規定は、漁ろうに従事している船舶又は帆船が、通航路をこれに沿って航行している船舶の通航を妨げることができることとするものではありません。」「ヌ」として、「小型船等の航法 長さ二十メートル未満の船舶は、通航路をこれに沿って航行している動力船の安全な通航を妨げてはなりません。」国際規則九条(c)項、国内法九条三項に準じて「リ」が書かれておるんじゃないかと思うのです。ところが、国際規則では、いずれも「妨げてはならない。」、「ヌ」の方の表現に近いんですね。それをあえて「リ」で、同じような内容であるにもかかわらず、「妨げることができることとするものではありません。」わざわざ言葉をかえておる。これ同じ趣旨でしょう。これはどういう意図があるのですか。
○馬場説明員 御指摘のように、趣旨に変わりはございません。ただ現行法二十五条の三項で、小型船舶については、「安全通航を妨げてはならない。」と規定しております。それから二十六条は、申すまでもなく漁労船につきましては、「妨げることができることとするものではない。」と書いてございます。現行法のこの表現の違いがございます。それをそのまま使わしていただいたわけでございます。(「読みにくい」と呼ぶ者あり)
○青山委員 そうです。いま読みにくいとおっしゃったが、まさしくそのとおりです。交通安全規則というのは、先ほども申し上げたが、だれも正しく同じ判断をしないと、それこそこちらから行くのも向こうから来るのも横から来るのも同じ判断をしなければ混乱を招く。ところが、国際規則で入ってくる船は、国際規則を理解して入ってくる。確かに六〇年規則の趣旨は生かされているとはいうものの、法律学者が運転しているわけじゃないんですね。したがって、これは言葉の上で簡単であり、平易であり、簡潔明瞭でなければならないにもかかわらず、このようなわかりにくい、これは優秀な人がいつも理解しているばかりとは限らないでしょう。一般平均の人たちがこれで十分理解できるとお思いですか。
○薗村政府委員 実はやはりこの狭い海を使います上で、特に狭い水道に利用者がおるときに一番問題になるのは、私どもも平素取り締まりの面からも神経をとがらすのですが、はっきり申し上げまして、漁船と一般商船との関係なんです。それぞれ漁業の生活に結びつき、また一般商船の活動に結びついておるわけですが、そういう面で、いまわかりにくいじゃないかという言葉がございましたが、すでに海上衝突予防法の中で、われわれが今度国際条約に準拠しても全然変わっていないと申し上げておるところの、狭い水道における漁船と一般商船との関係を、実は率直に申し上げまして、お読みいただいてわかりにくい点があるかもしれません。 しかし、利害関係で一番結びついている関係者の間では、すでに定着した概念ということになって、いままで仕上がっているという経緯がございますので、実は長い間と言いましたが、まあ一年八カ月から二年くらい、それからいろいろな審議会にかけて、その関係の方々に集まっていただきました。それで一番誤解のないように理解を得たいというのが端的に申し上げましてこの点であった。そこで一番いい方法はということをみんなで考えて、そのままの表現をとるのがいいんじゃないかということでございます。 英語では、かなり前にはいろいろな言葉を使っていたのが、今度は、「シャル ノット インピード」ということで一本になっておりますが、英語も実は前の六〇年のを調べますと、いろいろな言葉遣いがございました。端的に、簡単にするという方法も国際的にはできたわけですが、国内的にはそういう理解を得るのに一番いい方法は現状どおり、多少わかりにくいかもしれませんが、そういう言葉を使うことであった。しかし、その趣旨は何にも変わっておりません。その表現は多少変わっておるということはございますけれども、趣旨は変わっておりませんので、それで国際的、国内的に混乱を起こすということはございません。
○青山委員 最後に、質問させてください、もう時間が来ておりますが。 国際規則の効力発生が迫ってきております。海上保安庁は、新しい法則の運用上、関係者にこの法を十分理解せしめるためのきめ細かい解説書を出される意図があるか。 もう一つ、発効前に全国の沿岸漁業に従事する船員、国内のローカルな内航に従事する船員に対する新しい法則の理解のための講習会などを、海上保安庁の責任において実施する必要があると思うが、どうでしょう。
○薗村政府委員 基本的なルールでございますので、理解を得るということを今後とも十分続けていきたい。いま御指摘の二つの方法についても、私ども努力をして、できるようにやりたいと思います。
○青山委員 質問を終わります。
○鈴切委員長 次に、井上泉君。
○井上(泉)委員 まず、大臣にお尋ねするわけですが、こうした法律が関係者に十分理解されるような法律の内容である、こう大臣お考えになっておるでしょうか。
○田村国務大臣 法律というものは、なかなかむずかしいものでございますが、十分に熟知していただくための努力を重ねれば、必ず御理解いただける、このように考えております。
○井上(泉)委員 それは、大臣のような頭のいい人だったら理解できるかもしれぬけれども、私は、いまの質問者も言われているように、平均的な日本人ではなかなかこれは理解できぬのじゃないか、こういうように思うのです。法律でも、日本国の基本法の憲法は明快に理解されるのですけれども、それから出てくるいろいろな法律というものは、難解に難解に条文をいじくっておる、そういう傾向が非常に強いし、ことにこの海上衝突予防法案の内容というものは、全く私は理解することができない。それはPRをやるとかなんとか言いますけれども、そうしたことは実際に末端で行えるかどうかということは、私非常に疑問を持つものであります。 大臣が、せっかくいろいろやって理解を得るようなことをすると言っておりまするから、その点はさておきまして、たとえば私は、この条文の中でいろいろ指摘をしたいと思うわけです。 段々の方も論議をされたわけでありますけれども、この一九七二年の国際規則において、現行の海上衝突予防法二十六条を十八条と九条に分けて規定した理由は何であるのか。 さらにはまた、現行海上衝突予防法の二十六条は、一九六〇年の国際規則に対応した国内法として規定されておる。改正案が、一九七二年の国際規則第九条及び十八条とは異なった規定となっているが、その理由はどうか、この点について。
○馬場説明員 七二年規則の制定に当たりましては、条文構成というものに大幅な整理が行われております。 まず、その典型的なものとしまして、この二十六条本文とただし書きが分かれる結果になったということでございますけれども、それは、まず操縦性能の異なる各種船舶間の航法につきましては、六〇年規則では四条、二十条、二十六条というものに分かれてそれぞれ規定されておりました。それが今回は十八条一本に規定されているわけでございます。 それから、狭い水道につきましても、同様に二十条、二十五条、二十六条と分かれて規定していたものが、今回は九条ということで一本に規定されているわけでございます。 これは船員がその部分を見れば、そういう操縦性能の異なる船舶間の航法についてはどうなるかというようなことがすぐわかるようにという配慮もあったかと思います。
○井上(泉)委員 私は、この国際規則の九条と十八条の関係は、一応現行法と変わったような表現に見えるので、船舶運航者が誤ってはいけないという配慮から、現行法と違わないということがわかる表現にして、それで運航者が、この規定の運用を誤ることのないようにしたい、こういうようにいままでの質問の中で言ってきておるわけですけれども、現行法を基準として、条約と異なった規定となったので、かえってむずかしゅうなって、それで両条の航法関係に混乱を生ずるおそれが多分にある、こういうように考えるわけです。 このような状態に対して、九条と十八条との関係が国際規則と改正案と全く同じものであるならば、むしろ改正案を国際規則にのっとった規定として、両者の関係は変わらないことを周知徹底するのが常道ではないか。また国際規則及び改正案が九条、十八条の関係において、現行法と基本的に変わらないならば、改正案を現行法と同じように規定してもよかったのではないか、こう考えるが、どうでしょう。
○馬場説明員 いま申し上げましたように、操縦性能の異なる船というものを一本にまとめた。それから狭い水道における航法の特別のものを一本にまとめたということでございますけれども、結果的には、操縦性能が異なるものが、狭い水道でどう行動をとっていいかということは、十八条と九条、両方を見なければ理解ができないということに、今回の国際規則ではなっておるわけでございます。それをわれわれといたしましては、むしろ九条に両者の関係を持ち込みまして、九条一本を見ればその関係もわかる、それが現行法との継続ということを示す意味でもベターである、こういうことで、今回こういう措置をとったわけでございます。 それからもう一つ、変わらないのならば現行法そのままの構成をとればいいじゃないかという御指摘につきましては、もしそういうかっこうをとるといたしますれば、条文構成自体も国際規則とは違うかっこうにならざるを得ないかとわれわれ考えました。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ条文構成というものは国際規則に忠実に、なおかつ国内法的に利用者の方々が簡明に理解でき、現行法との継続性も示すことができ、無用の混乱を招かないという方法を講じたわけでございます。
○井上(泉)委員 それじゃこの条約の締約国は、九条と十八条の関係を国内法でどのように規定しているのかお伺いしたいわけですが、国際規則と同じ規定にした国、あるいは現行国内法二十六条と同じ規定にした国、またわが国のような表現にした国、それらの国の状態についてお伺いしたいと思います。
○中村説明員 お答えいたします。 御質問のような角度からの調査を十分に行ったわけではございませんけれども、私どもの承知している限りでは、まず第一に、たとえばイギリス、フランス、ノルウェー、ベルギー、デンマーク等の国が、条約と同じ規定をしている旨を述べております。 第二に、現行のわが国国内法第二十六条と同様の国内法を規定した国としては、たとえばカナダがあると承知しております。 最後に、本法案と同じ表現をした国があるか否かについては、つまびらかにいたしておりません。
○井上(泉)委員 この条約を結んだ国がどういうふうに国内法を整備されておるのかということも、やはり私は、この日本の国内法を整備する上において大変参考になる、こう思うわけなので、その点については調査の上、御報告を願いたいと思うわけであります。 そこで今日の状態の中で、漁業者の関係等がずいぶん論議をされたわけですが、水産庁の方では、この法律は漁民のためになる法律であるのか、どう考えておるのか、その点、水産庁の見解を伺いたい。
○工藤説明員 お答えいたします。 今回の七二年条約に基づきます海上衝突予防法の改正案は、実質的内容につきましては、六〇年の規則の場合とそれほどの変化はございません。灯火、形象物等に一部の変更はございますが、私どもとしては、水産業、漁業者関係にそれほど大きな影響があるとは考えておりません。
○井上(泉)委員 「それほど大きな」というのは、どの程度のことになるのですか。ずいぶん漁船側では、いろんな意見が出ておるでしょう。その出ておることに対して、これは問題にならないと、たとえば漁船側から出ている意見の中で、第九条五項のように狭い水道等を他船の運航を妨げないで横切ることは、一日に千数百隻の商船が往復する瀬戸内海などでは、自分の漁場に通うこともままならない状態で、非常に不便と危険を感じておるということを言われておるのですが、こういうことは問題にならぬですか。
○工藤説明員 お答えいたします。 確かに瀬戸内等の狭水道において、沿岸小型漁船と通航する大型商船との関係で、小型漁船の操業が非常に困難であるというような声は、私どもも聞いてございますが、漁業優先あるいは商船の通航優先というような、どちらを優先するかという問題がございますけれども、これはやはり国際条約でございますので、お互いの譲り合いということで、お互いにある程度の不便を忍ばざるを得ないのではないか、こう考えております。
○井上(泉)委員 これは国際条約に基づいて国内法を整備するわけでありますので、やはり国内法の整備の中で、漁業者の権利を守るということは当然考えるべきことであってこれはあなた、水産庁として、そういうふうにこの法案に追従をするような、迎合するような態度というものは、漁民の利益を守る態度とは言えないのですが、そういう態度ですか、水産庁は。 大体最近においては、海上交通の量が非常にふえて、それで海上の交通法規を整備される。整備されるたびに一番犠牲になるのは漁船である、こういうふうに言われておるし、また現実がそうですか、そういうことに対して、やはり国内法を整備をするときに、漁業者の権利を守るために意見具申か何かしたのですか。
○山本説明員 この国際規則の国内法化に当たりましては、二年有余をかけまして、水産庁並びに当面の問題者である漁業関係者の人たち、こういった方と非常に細かい点まで協議し、相談をいたしております。 この国内法は、あくまで国際規則の国内法化でございますので、国内規則の定めております範囲内で、あくまで国内法は規定すべきものであります。したがいまして、たとえば「漁ろうに従事している船舶」の範囲はどうかとか、たとえばいまの場合、狭水道におきまして漁労船が横切る場合はどうかとか、そういった問題につきましても、十分に討議をいたしました。そしてお互いの了解を得て、法案の提出に至った、こういう経過でございます。 よろしくお願いいたします。
○井上(泉)委員 それは了解というのは、国際法の関係も、条約の関係もあるから、漁業者としては、少々は不便であるけれども、こうしてこの改正をやると少々は迷惑を受けるけれども、これはしようがないというあきらめの了解ですか、それとも賛成の了解ですか。水産庁どっちですか。
○薗村政府委員 ちょっと私から口を出して申しわけないのですけれども、井上先生にちょっと聞いていただきたいのです。 この法案を用意するのに、きのうからも、大分遅過ぎたじゃないかというておしかりを受けているのです。事実、七月十五日を控えて、ぎりぎりいっぱいで御審議を煩わすということについては、おわびをしたいと思います。ただ、検討委員会、それから海上安全船員教育審議会、それにかけて、手続と時間とをかけてきましたのは、漁業関係と海運関係の両方から誤解のないように、お互いに守ってもらう基本ルールですから、理解をしてもらうようにということで、今日まで来ました。業界の方にかなり入ってもらって、御相談をして御理解を得るということと同時に、水産庁ともよく相談をしてございます。それで、立ち入って悪いのですが、一言だけ勘弁してもらいたいのですが、きょうお見えになっている方よりも、きのう漁政部長が見えていたのですが、よく連絡をして、いろいろな審議を尽くしてやっていますが、きょうお見えになっていられるのは、直接の御担当の課長さんではないということがございます。これは立ち入って申しわけございません。 そこで、きのうから御説明しておりますように、第三条の「その他の漁具」の範囲については、水産庁とあと詰めるということで残っております。
○井上(泉)委員 そのきょう見えておる方が違うのだから、これの担当でない、こう言われましたが、やはり水産庁の関係になるわけだから、これは同じ了解でも、賛成をした気持ちで了解をするのと、いやいやながら了解するのと、二つあるわけです。その二つある分に対して、喜んで賛成したのならば問題はないけれども、いやいや賛成したならば何かそこに問題があるはずだから、その問題を突き詰めて解決をするようにするのが、私は水産行政としてやるべき姿勢だと思う。だから、国際法の関係もあるから、もうこの程度はしょうがない、これはもうやむを得ずしていやいやながら賛成したのかどうかということを、私はお尋ねしておるわけです。きょうおいでになっておる水産庁の方が、それに対する答弁ができないとするならば、一体そのどっちかということをまた報告を受けたいと思うわけですが、どうでしょう。
○工藤説明員 お答えいたします。 先ほど海上保安庁長官からおっしゃいましたように、私は、直接の担当でございませんでしたので、その辺の事情をつまびらかにしておりませんけれども、私どものかねての解釈からいたしますれば、漁民が、国際条約でございますので、国際的なルールというものについては、喜んで賛成したという感じは恐らくないんではないかと思います。これは、担当の方にまた尋ねてみないとわかりませんけれども、そちらの方から、また先生の方に御報告させるようにいたしたいと思います。
○山本説明員 私ども先ほど申し上げましたとおり、二年有余にわたりまして、水産庁関係あるいは漁民関係あるいは一般の船舶関係者、こういった方々と鋭意国内法について詰めてまいったわけでございます。 正直に申しまして、当初は、漁業者の方は、若干いやいやという感じがあったのでございますが、だんだん協議を重ね、説明をいたしました段階で、法案の趣旨が十分に了解されまして、わかった、あと残っているのは、先ほど長官も申し上げましたとおり、「漁ろうに従事している船舶」の範囲が明確でなく、また具体的になっていないので、これを十分に漁業者サイドに不利にならないようにひとつ考えてくれ、それも国内規則の定める範囲内でいいんだ、こういうことでございました。したがいまして、私ども、この折衝の過程におきましては、漁業者サイドも、いやいやながらではなくて、わかった、賛成するという態度でございました。
○井上(泉)委員 わかったということも、何も喜んでわかったわけじゃなし、いやいやながらわかった、こういうことじゃないですか。これはあなたの解釈で、そうじゃなければ、漁民がいろいろ文句を言うはずはないのですから。 大体、こういう海上関係のいろいろな法律をつくる場合には、必ず漁民が犠牲になってきておる、これはもう私は言えると思うのです。漁民が犠牲になっていないというなら、こうして漁民を保護してある、零細な漁船はこの法律によってこんなに保護しておるのだ、こういう点があれば、その点を、ひとつこの機会に返事をしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
○薗村政府委員 たびたび出てまいりまして失礼なんですけれども、この法律に手をつけましたときに、非常に漁業と海運と両方から誤解がございました。 それで、漁業の方は、狭い水道では、漁船は一般船舶の通航を妨げてはならないという九条。項だけを、実は十八条と切り離して読んで、これは大変だ、どうも瀬戸内海が狭い水道ということになって、漁船の方が商船を妨げることができないというようなことになったら、全部漁業ができないんだという大騒ぎから実は始まった。片や一般船舶の方は、十八条だけを主として読みまして、一般船舶の方が避けなくてはならないところは狭水道以外だというようなことで、狭水道では避けなくてもいいんだというようなことを言いまして、そういう右左の誤解が非常にありまして、——私、いまちょっと言いましたが、私自体はっきりした表現になっていなかったら、後で訂正させていただきたいのですが、そういう右左の誤解があって、それで、そんなことではないんです、国際的には、一九六〇年と一九七二年は何も変わっていないのです、したがって、国内法でこれから用意にかかるのだけれども、それはいまの現行法とは何も変わりないのですよということをわかってもらうのに、端的な言い方をすれば二年近くかかったということでございまして、そこで表現が現行法二十六条どおりということになったといういきさつもひとつ御説明させていただきたいと思います。 そういう経過がありまして、私どもは、狭い海、特に狭水道における漁業と一般船舶との活動が両立するようにということで、そのルールづくりも実際の取り締まりも毎日やっているというのが、海上保安庁の立場でございます。
○井上(泉)委員 そういう気持ちであることは、これは理解されます。それは何も漁師は寄っちょれ、どうでもええということではないことは理解されるわけでありますけれども、私は、いつもこうした海上関係の法律ができるたびに、漁民が一番その犠牲を受けるので、やはりそういうことについての犠牲がないような配慮というものを十分ひとつ念頭に置いていただきたいと思います。 いまもあなたが答弁されたわけですけれども、こういう点でこれだけ漁民の利益が守られておる。いわゆる操業の安全が守られておる。おまえの方は逃げておれば操業の安全が守られておる。そのままいわゆる漁場で安心をして漁労に従事することができるような状態ならばいいけれども、この法律があるから、大きな船が来た、どうも危険だから漁船の方は逃げておれ、そうしたら安全だ、だから漁船の利益を守っておるんだというような解釈の仕方は、これは間違いだと思うわけです。それで、私は、この法律の中には、いろいろと問題点があるし、なかなかこう納得するまでには至らないわけであります。しかし、そのことを条文を挙げて論議をしても、この段階では実際のところ始まらぬと思うわけです。 そこで、やはり今後におけるこの法律のいわば成り行き等を見守る中でも、私は、いまこの国際会議における国際規則改正に関する会議録というもの、これが非常に国内法を整備する上において大事なものだと思うのです。これはひとつ委員長にお願いを申し上げたいのですが、これをひとつ、そう膨大な資料ではないと思うわけですから、一度見せていただくようにしたいと思うので、お取り計らい願いたいと思います。
○鈴切委員長 理事会で御相談申し上げます。
○井上(泉)委員 この海上衝突予防法という法律そのものも、私は、海上における交通安全ということが第一主眼で、目的である、こういうふうに思うわけですが、それには変わりはないでしょう。
○薗村政府委員 いま先生、議事録というお話があったので、その関係をちょっと聞いておりまして、ちょっと聞き落としましたので、申しわけありませんが……。
○井上(泉)委員 この法律も、海上交通の安全を期するために必要な法律であるということには間違いはないでしょうかと、こういうことです。
○薗村政府委員 間違いございません。
○井上(泉)委員 そこで私、いま漁船の関係のことを言ったわけですが、大体、最近、救助を必要とする海難に遭遇した船舶を船種別に見ると、漁船というものが約五割を占めておるわけですが、一体その原因はどこにあるのか。 それで、その点からも、漁船の中には、船舶安全法の第三十二条で規定する当分の間適用されていない二十トン未満の漁船もかなり数あると思うわけですが、こういうようなものについてどう考えておるのか。
○山本説明員 漁船の海難について御説明申し上げます。 昭和五十一年に発生しました漁船の海難の隻数は千二百九十三隻、これは全体の四八・五%に当たります。 この漁船の海難の原因を分析いたしてみますと、船舶の運航上のミスによるものが五百七十三隻、四四%、機関取り扱い不良によるものが二百一隻、一五%、気象、海象などの不可抗力によりますものが二百六十隻、二〇%、船体などの材質、構造不良によりますものが百四十九隻で一一%……
○井上(泉)委員 これは全体の遭難のでしょう。私は漁船のなにを問うたのですよ。漁船がその約五割を占めていると言うが、その原因は何かと、こう問うているのです。それをやると時間が経過するから、私は、大体十二時に終わりたいと思ったけれども、質問があれだから……。
○山本説明員 ただいま申し上げたような原因で、漁船の海難が発生しているわけであります。運航上のミス、機関取り扱い不良、気象、海象の不可抗力とか、こういったことで、要救助海難の約半分ほどが漁船である、こういう結果になっておるのでございます。
○鈴切委員長 工藤漁船課長、何か補足することがあったら……。
○工藤説明員 先生御指摘のとおり、年間の海難事故の約半数近くが漁船で占められておりますが、漁船の在籍数は約四十万隻以上ございますので、発生率といたしましてはそれほど高いとは考えておりません。また、海難事故の原因としては、機関故障であるとか材料が悪いとかいろいろございますが、大部分としては乗組員の人的な要因によるものが多いように考えられます。したがいまして、漁船乗組員の資質向上ということには、私どももなお一層努める必要があると考えております。 ただ、そうは申しながら、海難事故というのは非常に不幸な出来事でございますので、これを減らし、根絶するということが非常に望ましいことであると考えておるのでございます。水産庁といたしましては、私どもの方で建造等の許可の際に、漁船の復原性、それからその他機能等につきましても、厳重にチェックをいたしておりまして、安全の向上ということについては十分努力しているつもりではございますけれども、何分にも小さい船の場合には、やはり船自体の耐航性といいますか、そういうものが非常に少ないので、やはり乗組員の注意というものが一番大事なことではないかと思います。 それから船舶安全法の三十二条の検査対象外になっているではないかというお話でございますが、現在は、昭和四十八年の安全法改正の際に、二十トン未満の小型漁船のうちに百海里以上の遠距離に出る漁船がございますが、その六業種の漁船について、すでに船舶安全法の検査対象として検査されております。なお、その他の漁船につきましても、漁船の操業実態からして検査が必要と思われるものにつきましては、検査対象等を拡大することにつきまして、ただいま運輸省側と協議を行っているところでございます。 ただ、水産庁といたしましては、六年に一回の定期検査、三年に一回の中間検査という画一的な検査だけで、海難が根絶できるというふうには考えておりませんが、検査がそういう海難防止の一助として役に立つという面がございますので、その辺については、むげに検査を拒否するというような考えは持っておりません。 以上でございます。
○井上(泉)委員 私、この約四十万隻の中で、二十トン未満の漁船というものは圧倒的多数だ、こう思うわけですが、こうした二十トン未満の船がどれくらいあって、その中で遭難した船が何隻あるかという調査はできておるでしょうか、できておれば、御報告をいま承りたいと思います。
○謝敷政府委員 お答え申し上げます。 小型船舶の安全につきましては、四十八年の委員会で御審議をいただきまして、ようやく四十九年の九月から検査の実施に当たっております漁船につきましては、先生御指摘のように、二十トン未満の漁船については、先ほど水産庁から答弁がありましたように、六業種についてやってございます。ただ、残りの船につきましても、数におきましては、全体で、先ほど四十一万隻という数字が水産庁からお話がございましたが、私どもといたしましては、このうちの海水動力漁船が三十四万隻ございます。それでこれらにつきまして、現在検査を実施しております六業種の九百隻を除きました三十三万五千隻について、今後当委員会におきます審議の趣旨も踏まえながら、検査対象を拡大するということで、現在水産庁と協議中でございます。 それで、二十トン未満の小型の漁船につきましては、先ほど海上保安庁からのお答えの中で、五十一年度におきましては、全体の漁船が千二百九十三隻の要救助海難でございましたうちの八百八十七隻が二十トン未満でございます。したがいまして、二十トン以上については横ばいないしは若干減少でございますが、二十トン未満についてはややふえておるということでございますので、趣旨に沿いまして、検査対象の拡大について努力をしてまいりたい、こう考えております。
○井上(泉)委員 私は、検査を拡大せよという立場だけで物を言っているのではないのですから、この検査を拡大して、検査料をたくさん取るようなことになると、これは漁師たちも大変な負担になるので、そこでその前に、私は水産庁にお尋ねするわけですが、遊漁船は漁船扱いなのでしょうか、それとも一般の櫓かい船のような扱いなのでしょうか。
○工藤説明員 お答えいたします。 遊漁船は、客船ではございませんが、やはりお客さんを乗せて釣りをするということで、漁船法上の漁船としては扱わないことになってございます。中には、通常はいわゆる漁業に従事いたしまして、日曜、祭日等に遊漁客を乗せるという漁船もございますが、そういう漁船は漁船登録もしながら、かつ遊漁船としての検査を受けているという形になっております。
○井上(泉)委員 それなら遊漁船は、検査関係で言うたら何になるのですか。船舶法で言えば遊漁船は何になるのですか。漁船にもならなければ船舶にもならない、何になるのですか。
○謝敷政府委員 お答えをいたします。 一般船舶の中で、六人以上の人の運送の用に供する船舶ということになると思います。
○井上(泉)委員 すると、六人でない、三人、まあせいぜいで四人くらい、そういうのはどういうことになるのですか。
○謝敷政府委員 ちょっと一部抜かしましたが、六人以上と申しましたのは、無動力船の場合でございまして、動力船の場合には、六人未満といえども一般船舶として取り扱っております。
○井上(泉)委員 それでは六人未満のなにで、たとえば三人、四人乗るので、櫓かい船、それから場合によっては最近のことでありますから、船外機なんかをつけておる場合、そういう場合の船はどういう規格になるのですか。櫓かい船と両方……。
○謝敷政府委員 まず、六人未満の船につきまして、櫓かいだけで運転する場合には検査の対象としておりません。ただ、先生御指摘のような船外機をつけます場合には、動力船として六人未満も検査の対象になっております。
○井上(泉)委員 そこに私は非常に無理があるのじゃないかと思うのです。遊漁船、つまりこれは漁船ではない、それから船舶でもない、そういうような船の場合ですが、いまの船舶検査機構の手数料の関係を見ますと、これを長さで規定をしておるので、ときには櫓かい船で、こいで湖とか河川とかでやる場合に同じような検査手数料を払わなければいかぬ。ところが、そういうふうな場合、その遊漁船を一目見たらその船がどうかわかる、何もないのですから。櫓が一つある。そして船外機を担ぎ込んでいってやればこれが動力船としての作用をする、船外機がなければもう櫓かい船で、検査の対象にならない。そういうような船を一律の検査手数料でくくっておるわけですが、これは非常に無理だと思うわけですが、大臣、どうですか、これは無理と思わぬですか。
○謝敷政府委員 お答え申し上げます。 確かに先生御指摘のように、小さい船の場合の使用の状態がさまざまでございます。おっしゃるように、櫓かいで遊漁あるいは遊覧活動をしていた船が、最近船外機の発達によって動力づきになるわけでございます。そこで、確かにその区分けが非常にむずかしいのですが、櫓かいだけでやっております場合には、私どもとしましても、船の速度あるいは距離等によりまして、六人未満については検査をすることもない、こう考えております。したがいまして、あるときには櫓かいで、あるときには船外機ということになりますと、これは動力漁船といたしまして検査をするということでございます。 先生御指摘のように、一つ見ただけでと、こうおっしゃっておられまして、確かに構造とかそういうものについては熟練した検査員であればそういうことでいいわけですが、持ち込みの船外機なりあるいは復原性なりについては、計算その他もいたします。ただ、確かに船の長さで検査手数料を仕切ってございますが、御指摘のような船でございますと、大体五メートル未満という程度かと思います。そうなりますと、六年に一遍の定期検査が七千二百円、それから中間検査が四千円でございまして、その上の船に比べると確かにかなり安くなっておりますが、御指摘のような点がございますので、今後の改正に当たりましては、実態に即して、より実態に適応したものにすべく検討をしたい、こう考えております。
○井上(泉)委員 日本は海洋国であると同時に、湾も多いし、河川における遊漁といいましても、これは半分は生活の足しになるような仕事、遊漁船といってもそういうために船を持っておるので、そういうふうなことで、この検査手数料がいま船舶局長の言うように、私は非常に不合理な面があると思うわけです。そういう点の資料等を整えて、船舶局の方で検討願うような材料を提供したいと思うので、その点については、大臣もひとつ、これは一般庶民大衆の願いですから、十分配慮してもらいたいと思うわけなので、その点についての大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
○田村国務大臣 御提言の向き、十分配慮していきたいと思います。
○井上(泉)委員 その船は、大臣のような大きな人が乗ったらもう一人しか乗れぬような船ですから、それを検査するとか何千円も取るということは本当に不合理ですよ。 そこで、今度のこの法律を審議するに当たって、前からこの海における交通安全の——陸における交通安全のいろんな団体は、統一された団体はあるわけです。総理府の交通安全対策室は陸だけのようですが、海の方はどうですか、陸だけになっておるのですか。
○室城政府委員 海上の安全関係の行政事務は、ほとんど運輸省専管になっておりますので、私どもの方でやります総合調整というものには、原則的にはなじみにくいものであろうと思います。しかし交通安全基本計画には、陸海空を通じて総合的な政府の交通安全対策というものの基本が盛られておりますので、その線に沿って、私どももなお緊密な連絡調整を図ってまいりたいというふうに考えております。
○井上(泉)委員 総理府の交通安全対策室の方では、海上交通の方は運輸省の所管であるから余りなじまない、こういうように言うわけですが、なじまないものをなじめと言うてもこれはなじまぬかもしれぬですが、そこで、海上交通安全法審議のときから、陸上における交通安全協会と同じように、海上交通安全協会等を全国的につくって、海上交通の安全対策の啓蒙とかあるいは協力体制を図る、この衝突予防法なんかは、これを理解される船員というものは、私はそうないと思うのですよ。海事思想、海上の交通安全思想を普及させるために、陸におけるそういうものと同じように、運輸省の中で総合的に海上交通安全協会とか、仮称ですが、そういう点は、私は今日考える時期ではないかと思うのですが、大臣どうですか。
○田村国務大臣 陸の交通安全協会の場合と海の場合と、ちょっと基本的な趣を異にするところがございます。海の場合はどうしても港単位というようなことになってまいります。 そこで、現在海上交通安全対策の啓蒙、協力のための民間の体制というものにつきましては、日本海難防止協会、それから東京湾海難防止協会等の各団体がございます。こういうところが海難防止講習会の開催とか事故防止のための関係法令等のPR活動とか、安全運航のための自主規制等非常に広範囲にわたって活動をしておるわけでございます。これらの団体の事業活動の強化等について指導育成を図っていけば、これを強化していけば、いま御指摘の目的は十分達し得るのではないか、このように考えておる次第でございます。
○井上(泉)委員 確かに指導が十分であれば目的が達せられるかもしれませんけれども、やはり海難防止協会とか、あるいは笹川良一氏がやっておる船舶振興会もずいぶん宣伝をしておりますよ。そういうふうなことですが、やはり海の交通安全についての、一つの調整というのではなしに、総合的な機関としてそういうのをつくり、港、港で、たとえば高知港なら高知港の海上交通安全協会とかいうようなものをつくる、あるいは神戸港なら神戸港にもつくるというふうに、各機関がばらばらでなしに、そういうふうなものを何か指導を一元化するような体制ができるものではないかと思うわけなので、この点は検討して、また次の機会に私はその御例示をいただきたいと思うのですが、ひとつ検討を要望しておきたいと思います。大臣どうですか。
○田村国務大臣 いまおっしゃった意味は、私にもよくわかります。私自身が三重県の南部で井上さんと全く同じような環境の選挙区でございますからよくわかりますが、海難防止協会なんかのこれからの体制をいろいろと検討していくということが一番当を得ておるんじゃないかなというふうに感じたりもいたしておりますけれども、名前はどうでもいいわけであって、各地区に海難防止のためのそういう機関ができることは非常に結構なことでございます。でありますから、その点十分検討をしていきたい、このように考えます。
○井上(泉)委員 最後に、最近方々で船が沈没をしてとかあるいはタンカーが衝突をして、この間も瀬戸内海でタンカー船がずいぶん油をまいた、こういうようなことで、沈没船が航路障害になったり油濁の原因となっておる。ところが、保険会社がその沈没船の撤去費用やその沈没船による油濁損害の賠償義務を負わないことについてどう考えておるか。これは大蔵省から……。
○萱場説明員 お答え申し上げます。 海上での危険とか事故とかに関しましては、各種の保険があるわけでございますが、いま御指摘の事案について考えますと、保険会社と船主との保険契約を考えてみますと、先生御承知のように、船舶保険というのがございます。 船舶保険と申しますのは、その性質上、保険てん補の目的といいますか限界と申しますのは、やはり船の価額を限度とするというたてまえになっておりまして、海上保険は非常に長い歴史を持っておりますし、また国際的なつながりを持った分野でございまして、国際的にも船舶保険というのはそういったたてまえになっておるということでございます。 その船舶保険では、船骸による障害とかそれから油濁による損害、そういったものをカバーする役目を果たしていないということは、御指摘のとおりでございます。ただ、その分野をカバーする保険といたしましては、船主が相互組合をつくりまして行っております船主責任相互保険というのがございます。それによりまして、そういった危険は担保されるたてまえになっておるということでございます。
○井上(泉)委員 船主がそういうものについて補償する制度がある、こういうふうに言われるわけですけれども、船が沈没してしまった。つまりいわゆる全損になっておる。もう全損になった場合には、たとえば井上丸が沈没した、それで井上丸はもう全損をしてしまったという場合には保険金が払われる。それと、もう船もなくなったのだから損害分は船主じゃなしに、これから出てくる油による汚染だとかあるいは航路障害等で迷惑をかけたというようなことについての最終責任というものは、やはり保険会社が負うようなことでないと、これは保険の意味をなさないじゃないかと思うのです。そうした場合にも、つまり油濁とかあるいは航路障害等を起こして迷惑をかけたことに対して船主が負わなければいかぬか。船主は船がなくなったらもう船主じゃなくなるわけですから、もうその責任はないんじゃないかと思うのですが、どうですか。
○萱場説明員 お答え申し上げます。 いわゆる船舶保険の契約当事者である保険会社と、それから船主なら船主という当事者間の問題につきましては、先ほど御説明したようなことでございますが、先生いま御指摘の事案は、恐らく商法八百三十九条にございます委付の制度にもかかわりのある問題かと思います。厳密に申し上げますと、委付によって生じます法律関係につきまして、詳細な見解は、所管省でございます法務省なり海上保安庁から御説明がある方が適当かとは考えますが、私どもは損害保険を所掌します官庁といたしまして、いま御指摘ございましたような、契約当事者以外の第三者がこうむった損害についてのてん補の対策とか実情につきまして、御指摘のような重要性は十分認識しておりますので、国際的なそういった問題についての損害保険の対応のやり方としてどういうものがあるかとか、それからそういったものをやった場合に商法の解釈とどういう関連があるか、その問題を含めまして積極的に検討させていただきたいと思います。
○井上(泉)委員 質問を終わります。
○鈴切委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十七分散会