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80回国会衆議院1977/05/13

建設委員会 第9号

発言数
29
登壇者
7
会派数
3
開催日
1977/05/13

会議録

北側義一公明党

○北側委員長 これより会議を開きます。  建設行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、委員長から一言申し上げます。  既存の特殊建築物等の避難施設の整備に関する法律案につきましては、去る四月八日、本委員会の冒頭におきまして、今日までの建設委員会理事懇談会における審議、検討の経緯等について報告し、その取り扱いについては、政府に対して速やかに対処されるよう要望したのでありますが、四月二十七日に至り政府は建設委員会理事会において、同法律案の提出は、諸般の事情から困難である旨の意思表明がなされました。ついては、本日の委員会において建設大臣から、その理由を聞き、速やかに困難なる事情を排除して提出されますよう、ここに提言いたします。  長谷川建設大臣。

長谷川四郎自由民主党建設大臣

○長谷川国務大臣 政府としては、既存の百貨店、病院、ホテル、旅館、劇場、雑居ビル、地下街等の防災対策の強化を図るために、これまでの国会における審議の際の問題点を踏まえて鋭意、法案の作成に努力をいたしてまいったつもりでございます。  また一方、御承知のように現時点において、すでに先発しておる消防法によるスプリンクラーの設置の義務づけが、猶予期限が到来しているものについても相当程度、未設置の状況が明らかになったようなことでもございますし、このような状況のもとで、政府としては、本法案対象建築物における未設置の状況及びその原因等について究明する必要があるが、そのためには、さらに時日を要する見込みであります。そういうようなことで未設置の理由の詳細については、さらに調査を要するが、企業が赤字または担保切れのために資金の調達が困難であるというようなものもあり、スプリンクラーは防災性の高い施設でもあって、政府が現在考えている改修の技術基準は、スプリンクラーが設置されていることと密接な関係があるのでございまして、これらの事情にかんがみまして、当面スプリンクラーの設置の状況等を見守りながら、引き続き、きめ細かい援助措置等を含む総合的な検討を続け、次の機会に提案することが適当ではないだろうか、こういうような判断をいたしまして、特別措置法案の今国会における提案を見送ることにいたしたのでございますので、ぜひとも御了承賜りたいと存ずる次第でございます。

北側義一公明党

○北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野中英二君。

野中英二自由民主党

○野中委員 本会議がございますので時間の制約がございますから、簡単に御質問申し上げます。  ただいま大臣の方から、既存の建築物の避難施設の整備に関する特別措置法案を今国会に提出をしない理由を述べられたわけでございますが、私は約六点にわたって質問をいたしたいと思います。  その第一点は、今日までの経過措置でございますが、建築基準法の一部改正が行われながら、既存の建築物の避難施設の整備に関する特別措置法案として別個に単独立法を政府が企図いたしました根拠は那辺にあるのか、お伺い申し上げたいと思います。

山岡一男建設省住宅局長

○山岡政府委員 前国会で成立をさせていただきました建築基準法の一部を改正する法律案の中には、防災に関します規定が五点入っておりました。そのうちの四点は成立をさせていただいたわけでございますが、そのうちの遡及適用と申しますか、遡及に関する件のみは各種の御意見がございまして削除されまして今回に至っております。  それで、これを別途、法案にした理由は何かということでございますけれども、建築基準法は、その目的に書いておりますとおり、建築物の敷地、構造、設備、用途等に関する最低の基準を決めるというものでございまして、したがいまして、御議論の中にも代替措置を大いに活用せよというお話がございましたけれども、建築基準法の範囲内で考えます代替措置には、構造、設備にかかわるものという限界がございまして、それ以外の避難機器等の代替措置を認めることにつきましては、改正基準法案の遡及の基準では、むずかしかったという点がございました。  さらに、改正基準法案で考えておりました遡及適用の中では、将来の基準の変更に伴いまして、当該政令の改正のたびに遡及が行えるというふうな、繰り返しの遡及ができるという点が問題ではないかという御指摘がございました。  さらに、援助措置を明確にすべきではないかという御提案がございましたけれども、先ほど申し上げましたように、建築基準法は技術基準と申しますか、技術法規でございますので、余り援助的なものにつきまして明確に記述することが困難であったという点がございます。  さらに、技術上の問題といたしましても、スプリンクラーの効用をさらに重視をいたしまして、技術的基準も必要にして十分な範囲にとどめるべきではないのかというような御提案もございました。  それらの点を全部含めまして、さらに別途の法律で、今回はいわば一回限りの遡及というようなことにいたしまして、避難施設の設置の義務づけとあわせまして必要な援助措置等も含め、中身といたしましては時限的なものでもある点を考慮いたしまして、別途な法案で避難施設の改善に対する法案を作成してみたいと考えた次第でございます。

野中英二自由民主党

○野中委員 第二点は、昭和四十七年五月の大阪千日前デパートビル、四十八年十一月の熊本大洋デパートの火災等、既存建築物の防災がきわめて重要であります。したがって、さきの改正建築基準法以来、小委員会、理事懇において数次の検討を行ってまいりまして、今国会において、この法案が提出されることを期待してきたわけでございます。しかも、この経過を見ますと、昭和四十九年の一月二十八日、建築審議会の答申に基づいて三月八日閣議決定、三月十一日、第七十二回国会に提出、自来、検討を続けてまいりまして五十一年の十月十九日、参議院において当時の中馬建設大臣は次のごとく答弁いたしております。「私どもとしては、この際修正削除を機にさらに内容に検討を加えまして、建築基準法とは別に既存特殊建築物等の避難施設等の強化のための法律案をまとめまして、次の国会に必ず提案いたしたいと考えております。」かように答弁をいたしておるのでございますが、いかなる理由があって今国会に提出できなかったのか、その理由を重ねて御質問申し上げる次第でございます。

山岡一男建設省住宅局長

○山岡政府委員 前国会におきまして、参議院におきまして前中馬建設大臣がそのように御報告されましたことは、そのとおりでございます。その後、われわれといたしましても、ぜひとも今国会に提案いたしたいということで、理事懇にもいろいろな御説明をしながら鋭意、法案をまとめてまいりました。具体的に申しますと、法案の中身といたしまして大まかな筋道については大方の御了承をいただいたと思っております。ただ防災基準等につきまして、さらに第三者機関のオーソライズを検討せよとか、スプリンクラーの設置との関連をよく考えろというようなことが、いろいろございましたけれども、一応の御了解をいただいたのではないかと実は、われわれも思ったわけでございます。ところが、その時点におきまして、先ほど大臣からも申し上げましたように、先発しておりましたスプリンクラーの設置が非常におくれておったという事実が判明してまいりました。そこで、われわれといたしましては、先国会におきます議論におきましてもスプリンクラーの設置を重視すべきではないかというような御提案もございましたし、すでに相当の時日を経ておりますので、今回の法案のいろいろな技術基準等の検討に当たりましては、スプリンクラーの効用を前提として相当、認めたような内容で検討してまいったことは事実でございます。そのために、いろいろな技術基準につきましても検討を要するという点がございますが、同時に、スプリンクラーが、この猶予期間が参りますにもかかわらず、できなかった、その理由はなぜだろうという点について十分に見きわめませんと、われわれのつくります法案につきましても守られない法案になるおそれがある。そういう点につきまして原因等の究明が、もっと重要でございますけれども、そのために少し時間を要するわけでございます。したがいまして、そういう点につきまして若干の時間をいただいて十分検討した上に、別の機会に提案をさせていただく方が適当であろうと思った次第でございます。

野中英二自由民主党

○野中委員 第三の質問に移ります。  地球よりも重いと言われる人命を災害から守るということは、私どもの緊急かつ重大な任務であり、防災の必要性を否定するものではありません。しかし立法する以上は、法の権威を重んじ、万全を期し、しっかりしたものにしたいというのが私どもの考えでございます。そこで、ただいま大臣の方から申されましたように、このスプリンクラーの設置状況というものが今国会に提出されなかった大きな原因をなしているようでございますけれども、消防庁がおいでになっておりましたら、その設置状況を簡単に御説明願いたいと思います。

林忠雄消防庁長官

○林政府委員 お答えいたします。  スプリンクラーの設置状況でございますが現在、十大都市について手元に調査が完成しております。全国調査は現在、鋭意取りまとめ中でございますが、六月の末ぐらいにまとまると存じます。  それで、この十大都市というのがほとんど代表しておりますので、一応この十大都市の数字を御参考までに申し上げますと、五十二年の三月三十一日現在で、すでに設置をされておりますものが、百貨店、複合用途防火対象物、地下街、三つ合計して、五十一年に五七%であったものが七七・六%になっております。ただ、この七七・六%というのは現在、工事中のものを含めております。工事中のものはこの数カ月以内にはでき上がる、この意味では七七・六%ございまして、内容を申し上げますと、百貨店では八五・四%、複合用途防火対象物では七四・五%、地下街で八二%、合計して七七・六、こういう数字になっております。なお、設置計画を持っているものを含めますと九一%になりますけれども、これはまだ設置計画の段階でございますので、確実に、この数カ月以内にでき上がるのは合計して七七・六%、こういうことになっております。

野中英二自由民主党

○野中委員 ちょっとお伺いしますが、工事中を含めて七七・六%という数字だそうでございますが、おたくの考えは、この工事中のものの中には設計段階のものも含んでいるんじゃないですか。

林忠雄消防庁長官

○林政府委員 これは正真正銘、工事中でございます。

野中英二自由民主党

○野中委員 昭和四十九年の消防法改正以来、スプリンクラーは三年と五年の二段階に分けたわけでございますが、三年、いわゆる五十二年三月三十一日をもって完了しなければならなかった工事が七七・六%、なぜ一〇〇%に到達しなかったか、その理由をお尋ねしたい。

林忠雄消防庁長官

○林政府委員 これは、理由というよりも、主管の役所としては、おわびから申し上げなければいけないかと存じます。この猶予期間に一〇〇%を目標にいたしまして各消防機関を督励いたしまして、指導、勧告、助言を行ってまいったのでございますが、いろいろな事情があって現在こういう数字になっております。これらの事情についても、さらに詳細な調査の必要がございますけれども、現在、推定されますのは、すでに、できている建物にスプリンクラーをつけるための改修が構造上、非常に困難なものもある。たとえば木造の天井であると、天井を全部はがすとか、その他のことが要りまして構造上、困難なものがあるということ。それから改造に要します時期的関係、つまり六カ月間ぐらい時間がかかりますので、その問たとえばビルの営業を停止するというような経済的な問題を含み、さらに複合対象物になりますと、たな子がいっぱいおります。たな子と申しますか、たくさんの所有者が入っておりますので、その間の費用負担割合の調整等がごちゃごちゃして、なかなか決断がつかない。そこに加えまして最近の不況で、これらの企業がそれに投資する金繰りがつかない。こんなことが原因になったと思いますが、消防機関の熱心な指導にもかかわらず現在、八割に達しないということは大変申しわけないことと存じております。  すでに猶予期間も過ぎましたので、今後はできるだけ早く、少なくとも消防法上、義務のあるものは完全に設置されるよう、さらに消防機関を督励してまいりたいと存じております。

野中英二自由民主党

○野中委員 いまスプリンクラーの設置の隘路となったものを四点、述べられたわけでございますが、その最後の一つであります不況によって投資がなかなか困難であった、こういうことでございます。このために制度融資等を含めてスプリンクラーの設置のために、どれだけ融資なされたか、大蔵省からおいでになっておりますから、お尋ねしたいと思います。

西垣昭大蔵省主計局主計官

○西垣説明員 御質問でございますけれども、たまたま私の守備範囲でないものですから、急の御質問で資料等、準備してまいりませんでしたので、ここでは、必要な予算措置それから必要な制度の準備ができているということだけを申し上げさせていただきたいと思います。

野中英二自由民主党

○野中委員 制度ができているということでございますが、制度ができていても運営されなければ何ら価値がございません。できましたら後から資料をちょうだいすることにして、これ以上、深追いしないことにいたします。  さて、スプリンクラーの設置状況が、いま明確になりましたが、これと連動いたしまして当然、避難施設等の技術基準というものが決まってくるわけでございます。そこでスプリンクラーが工事中のものを含めて七七・六%しか完成されていない、着工されていない、こういう現況にあって、技術基準をどういうふうに考えていったらいいんだろうか、そのことについて質問したいと思います。

山岡一男建設省住宅局長

○山岡政府委員 スプリンクラー設備の効果につきましては、消火成功率が九十数%を超えるということが統計上も明らかにされております。今回の特別法案におきましては、さきの消防法改正によりますスプリンクラー設備の設置を前提といたしまして、人命の安全確保を図るために必要な避難施設の設置ということを検討してまいりました。特別法案におきます避難施設の設置につきましては、スプリンクラー設備の大きな効果を基礎といたしておりますけれども、消火不成功の場合や、あるいは結果的には消火に成功しましても、消火するまでの間に発生した煙等により避難を要する状態になる場合があるというようなことから、そのような場合にありましても避難の安全を確保するために施設を補完する必要があるという考え方に基づいて基準を考えてまいりました。  そのために、特別法案におきます避難施設の設置につきましては、スプリンクラー設備の避難に与える効果を可能な限り定量化するというようなことについての検討を加えまして、各種の実験、研究の成果を踏まえ、消防庁等関係機関とも十分協議をいたしまして、たとえば避難計算に具体的に反映させる等を検討してまいったところでございます。  しかし、先ほど先生おっしゃいましたように、こういうふうな状況でございます。さらに、そういうようなものにつきまして、理事懇等でも御指摘がございました第三者機関によりますオーソライズ等につきましても、この期間に十分検討を加え、次の機会には適切な基準として再提出いたしたいと考えておる次第でございます。

野中英二自由民主党

○野中委員 スプリンクラーがありました場合には九分間の避難時間がある、こういう一つの数字が出ているわけでございます。それに基づいて一つの技術基準というものが確立されていくわけでございますが、今日七七・六%という状況下にあって、スプリンクラー未設置の場合あるいは、おくれている今日、避難施設の設置を逆に大いに急がなければならぬと思うのでありますが、それに対するお考えを賜りたいと思うわけであります。

山岡一男建設省住宅局長

○山岡政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、今回の特別法案におきましては、消防法におきますスプリンクラー設備の遡及適用との関連を重視いたしまして、これが当然、適用の状態になることを前提に、いろいろと検討してまいったところでございます。しかし特別法案の技術基準の前提となるスプリンクラー設備の設置状況は必ずしも十分とは言いがたいところが明らかになった点は御指摘のとおりでございます。したがいまして先生おっしゃいますように、スプリンクラーがおくれておれば、さらに防災基準を励行させて遡及することが必要でないかというお考えもあり得ると存じます。しかしながら当面は防災上、最も大きな効果を有するスプリンクラー設備の設置を推進することに重点を置くことの方が肝要であろうとわれわれも思っております。したがいまして、そういうふうなものの設置状況を見ながら、さらに技術基準の中身に、三者機関等におきますオーソライズ等の検討も加えながら検討を続けたいと思っておる次第でございます。

野中英二自由民主党

○野中委員 時間がございませんので最後に要望して終わりたいと思います。  いま、この法案が提出されない。しかしながら天災は忘れたころ、やってくるという古人の言葉があります。そのとおり、いつ災害がやってくるかわからない。しかし、この法案は今国会に提出されなかった。そういうことを考えますと、早急にスプリンクラーとの連動のもとに新しく技術基準を確立していただきまして、早急に、この遡及法案を提出していただきますように要望いたしまして、私の質問を終わります。

北側義一公明党

○北側委員長 中村茂君。

中村茂日本社会党

○中村(茂)委員 ただいま大臣から、いわゆるビル防災法について今国会に提出断念という答弁があったわけでありますけれども、私は、その大臣の答弁について納得できません。  この際、大臣に、まず考えていただきたいと思いますのは、この法律が、なぜ必要になったかという原点に返っていただきたいということです。私が申し上げるまでもなく、この法律は、百人以上の死者を出したというふうに言われております大阪の千日前デパート、熊本の大洋デパート、このような惨事を二度と繰り返してはならないという世論ではなかったかというふうに思うのです。私は、その当時の新聞の切り抜きをここへ持ってまいりました。「デパート最大の惨事 熊本の大洋デパート火災 死者99、負傷は100人」こういう大きな見出しで、この惨事を報道しております。政府も、このような熊本の大洋デパートの火災に対して、政府の代表として、その当時の亀岡建設大臣が視察に行きました。そして、その結果として、基準法の改正を、防災避難施設を中心にして、するべきだ、それから消防庁では消防法を改正してスプリンクラーを直ちに設置するようにすべきだ、こういうことを現地で発表しております。しかも、その視察後、基準法の改正と消防法の改正を同時に行うことは、既存ビルについても両方一緒にやることは経費の面からいって、いいだろう、こういう談話まで発表しているわけであります。したがって、人命にかかわる問題が、このような大火災を通じて国民の世論として出発してきたのだ。このことを、まず原点に返って大臣に理解していただきたい、よく考えていただきたい、こういうふうに思うのです。  そして建築審議会では、そういう状況を受けて、百貨店など既存の特殊建設物については新設の場合と同様な避難施設を義務づけるべきだ、こういう答申を行いました。  こういう状況と答申を受けて、建築基準法と消防法の改正案が四十九年の七十二国会に提出されて、基準法改正部分については本委員会で二年間、審議を続けてきて七十七国会の五十一年五月に、この改正を通しました。しかし、その中で特に改正の最大の柱になっておりました遡及適用の各項について、自民党の提案によって削除することになった。私ども社会党は、この措置について反対したわけでありますけれども、私も、このときに、つくづく思いましたのは、政府の提案に対して与党として常に責任がある、こういうふうに言ってきたわけでありますけれども、自民党の手によって削除されたということは非常に遺憾だというふうに思ったわけであります。一方、同時に出されました消防法の改正、特にスプリンクラーの設置の部分については、地方行政委員会で直ちに審議されて、全会一致で提案されたときの国会で通っている。  ところが今度、経過がずっとありまして、先ほど大臣が御説明になりましたように、同時に出発した消防法の中で発足していたスプリンクラーの設置について、まだ未設置だから、その原因を究明しなければならないということで、また見送りになったということは本末転倒じゃないか。同時にやった方が金もかからないし、いいだろう、こういうことで両法案を同じ国会に出されたわけです。ところが片方の消防法の方は通った。片方の遡及適用の方は削除されて現在に至った。先に通って曲がりなりにも実施してきた方を見て、そこのところがまだ設置されていないから、また見送りだということは全く本末転倒である。法律というものを何でつくるのか。同時に出発したものが、まだできないからといって、また、こちらの方を見送るということは私にとっては理解できません。その点をやはり十分、大臣に理解していただきたいというふうに思うのです。  また経過からしても私は問題があるというふうに思っているのです。なぜかと言えば、この遡及適用を削除したときに本委員会では附帯決議を決めました。短いから読んでみますと「建築基準行政は、人命の安全確保に重大な関係を有することにかんがみ、政府は、特殊建築物等に対し、更に実効のある防災対策を推進するとともに、特に、既存の特殊建築物等の防災避難施設の整備、改善について、すみやかに有効適切な法制を整備する等、人命の安全確保について一層努力すべきである。右決議する。」こういう附帯決議をしているわけであります。参議院においては、先ほど野中委員からも話がありましたとおり、五十一年十月十九日の建設委員会で委員長の質問に対して時の建設大臣から、建築基準法とは別に既存特殊建築物等の避難施設等の強化のための法律案をまとめ、次期国会に必ず提案したいと考えている旨の答弁があったわけであります。次期国会というのは、その間に臨時国会もありましたけれども、本国会だというふうに私は思うのです。そして、この基準法改正が本会議に提案されたときに、委員長から、この削除した遡及適用の部分については小委員会をつくって慎重に検討し、速やかに対処していく、こういう提案が本会議でなされて小委員会をつくってきたわけであります。小委員会で若干、審議されたようでありますけれども、国会は選挙ということがございました。そして本国会になって理事会、理事懇等を通じて審議してきたわけであります。言いかえれば私は、この委員会にも責任があるのではないか、こういうふうに思っております。こういう経過を考えてみた場合に私は、むなしさというものを感じてたまりません。やはりこの際、委員会はもちろん、担当している大臣は、先ほど申し上げましたように、この法律が必要になったという原点に返って、もう一度みんなで考え直してみるべきではないか、こういうふうに私は思うのです。  また、これが見送りになったという新聞記事等をずっと目を通してみますと、一部業者の圧力に屈した、こういうような字が、あらゆる新聞に出てくるわけでありますけれども、私ども法律をつくり、国民の人命を守っていくというような場合に、このようなことはあってはならない、こういうふうに思うのです。こういうことはなかったと思いますけれども、しかし経過から見て、そういうふうに疑わざるを得ないような状況があったのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。  そういう意味で、いろいろ申し上げましたけれども、いろいろ説明されましたが私には納得できません。まだ国会は開かれているわけでありますし、いま断念したということを断念したらどうだろう。改めて本国会に出したらいかがですか。その点について大臣の考え方をお聞きしたいと思います。

長谷川四郎自由民主党建設大臣

○長谷川国務大臣 防災ということが、いかに重要なものであるかということは、よくわかっております。また、そのお説が間違っているとは私は申し上げません。そのとおりだと私は考えております。しかし今回、断念した理由というものは、いろいろな角度から調べてもみましたし、また、その調整をとるべく、かなりの努力をしたつもりでございましたけれども、なかなか、それが実を結ばなかったということは、私としても実に残念だと思っております。したがいまして、次期国会までには懸命に努力をして、なるべく速やかに提出できるようにしていきたいというように考えておる次第でございますので、ぜひ御了承を賜りたいと存じます。

中村茂日本社会党

○中村(茂)委員 大臣の冒頭の説明では、次の機会というふうに言われましたが、いまは次の国会、こういうふうに言われたように私の耳には聞こえたんですけれども、次の機会でも次の国会でも、国会で審議するのですから、そう変わりはないと思います。しかし、次ということは、先ほども申し上げましたように参議院の建設委員会で、委員長の質問に対して、そのときの中馬建設大臣が次の国会に必ず提案すると答えている。大臣答弁というものは、検討するとか、いろいろ解釈が二通りもできるような答弁が多いわけでありますけれども、これほど明確な答弁は私はないと思うのであります。法律案をまとめ次の国会に必ず提案するというのです。それを断念したというのですから、じゃ責任問題はどうなるのですか。同じ大臣ではありませんけれども、その考え方というものは引き継がれるはずであります。そういう意味で責任問題あらゆる問題を考えた場合に、もう一度、断念を断念したらいかがです。

長谷川四郎自由民主党建設大臣

○長谷川国務大臣 先ほど業者の云々というようなお言葉もありましたけれども、そういうようなことだけは絶対にございません。  ただ、この問題、先ほどスプリンクラーの問題も話に出ましたけれども、かなり、いろいろな角度から検討をいたしまして、また与党の党内事情というようなものに対しても、いろいろ私の方からも、お話を申し上げ調整をとったつもりでございましたし、大体、次期国会までには何とか、こぎつけて、ぜひ御審議を賜るようにしていきたいと考えておるのでありまして、中馬前大臣がおっしゃったことは私の責任になるということは当然でございます。しかしながら、提案できなかったということだけは実に残念でございまして、ぜひ御了承を賜りたいと思います。

中村茂日本社会党

○中村(茂)委員 先ほども申し上げましたように、建設省も責任あると思いますけれども、この委員会も、小委員会をつくってやっていこう、附帯決議までして、やってきた。しかし、その結果こういうことになった。また理事会、理事懇等を通じて、いろいろ審議してきた。結果的にはこうなった。そういう意味で、このけじめというものを本委員会で、はっきりさしておかなければ、国民の皆さんに対して申しわけないというふうに私は思うのです。そういう意味で、案文等については十分検討していただきたいと思いますけれども、この問題の対処について、本委員会として特別決議をいたしたらどうだろう、こういうふうに思うわけであります。委員長に御提案申し上げます。

北側義一公明党

○北側委員長 中村君の御提案につきましては、理事会を開いて検討いたしたいと思います。

中村茂日本社会党

○中村(茂)委員 終わります。

北側義一公明党

○北側委員長 次回は、来る二十日金曜日午前十時理事会、午前十一時委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十五分散会

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