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80回国会衆議院1977/05/16

決算委員会 第22号

発言数
164
登壇者
10
会派数
3
開催日
1977/05/16

会議録

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上三件の承諾を求めるの件、及び昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十一年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十一年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上四件の承諾を求めるの件、並びに昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)、及び昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)を一括して議題といたします。  まず、大蔵大臣から各件について趣旨の説明を求めます。坊大蔵大臣。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外六件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十年度一般会計予備費につきましては、その予算額は、二千億円であり、このうち、財政法第三十五条(予備費の管理及び使用)の規定により、昭和五十年四月十八日から同年十二月二十六日までの間において使用を決定いたしました金額は、二百三億八千三十五万円余であり、すでに第七十八回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十一年一月二十日から同年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千五百七十九億七千八百十万円余であります。  その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の十五件、その他の経費として、国民年金国庫負担金の不足を補うために必要な経費等の十九件であります。  次に、昭和五十年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は、二兆六百八十二億百十四万円余であり、このうち、昭和五十年五月二十三日から同年十二月二十六日までの間において使用を決定いたしました金額は、二千八百七十億六千八百七十一万円であり、すでに第七十八回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十一年一月二十三日から同年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千五百七十四億二千四百八十三万円であります。  その内訳は、労働保険特別会計雇用勘定における失業給付金の不足を補うために必要な経費、国民年金特別会計国民年金勘定における国民年金給付費の不足を補うために必要な経費等十一特別会計の十四件であります。  次に、昭和五十年度特別会計予算総則第十一条(歳入歳出予算の弾力条項)の規定により、昭和五十年八月八日から同年十二月十二日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、四十三億六千二百二十六万円余であり、すでに第七十八回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十一年一月二十三日から同年三月三十日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、一千九百十九億四千九百六十八万円余であります。  その内訳は、労働保険特別会計徴収勘定における労働保険料の他勘定への繰り入れに必要な経費の増額、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費の増額等七特別会計の八件であります。  次に、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費につきましては、その当初予算額は、一千五百億円でありましたが、補正予算(第1号)により、百五十億円を修正減少いたしましたので、改予算額は、一千三百五十億円となっております。  このうち、財政法第三十五条(予備費の管理及び使用)の規定により、昭和五十一年十月八日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千二百四十二億九千六十九万円余であります。  その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の十九件、救農土木事業費として、冷害等に伴う土地改良事業等に必要な経費等の十三件であります。  次に、昭和五十一年度一般会計予備費につきましては、その当初予算額は、三千億円でありましたが、補正予算(第1号)により、一千四百五十億円を修正減少いたしましたので、改予算額は、一千五百五十億円となっております。  このうち、財政法第三十五条(予備費の管理及び使用)の規定により、昭和五十一年五月十四日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は、百八十五億四千三百七十七万円余であります。  その内訳は、災害対策費として、災害援護貸付金等に必要な経費等の十六件、その他の経費として、国内産糖製造事業等特別対策に必要な経費等の十二件であります。  次に、昭和五十一年度各特別会計予備費につきましては、その当初予算総額は、二兆三千五百十九億四千百二万円余でありましたが、補正予算(特第1号)により、二百七十三億九千九百六十二万円余を修正減少いたしましたので、改予算総額は、二兆三千二百四十五億四千百三十九万円余となっております。  このうち、昭和五十一年十一月十九日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千七百四十五億九千四百二十一万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米の買い入れに必要な経費等三特別会計の八件であります。  次に、昭和五十一年度特別会計予算総則第十一条(歳入歳出予算の弾力条項)の規定により、昭和五十一年五月二十八日から同年十二月十四日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は、六百九十五億九千六十三万円余であります。  その内訳は、国債整理基金特別会計における短期証券償還に必要な経費の増額等七特別会計の十七件であります。  以上が、昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外六件の事後承諾を求める件の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  次に、昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)外一件の報告に関する件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額は、八百億円であり、このうち、昭和五十年九月十九日の閣議の決定を経て、総額一億七千二百五十九万円余の範囲内で債務を負担する行為をすることとしたものについては、すでに第七十七回国会に御報告したところでありますが、その後昭和五十一年二月二十七日の閣議の決定を経て、総額二百七十九億二千五百八十一万円余の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。  その内訳は、昭和五十年発生河川等災害復旧事業費補助等の五件であります。  次に、昭和五十一年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額は、八百億円であり、このうち、昭和五十一年度発生直轄道路災害復旧費につきまして、昭和五十一年十一月十九日の閣議の決定を経て、総額五億四千三百万円の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。  以上が、昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)外一件の報告に関する件の概要であります。  以上でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。

森下元晴自由民主党

○森下委員 初めに、大蔵大臣に、決算委員会における予備費の取り扱いについての重要性についての御所見を実は伺いたいと思います。  国費の支出は、事前に国会における審議と議決を必要といたします。これは予算委員会でやっておるわけでございますけれども、ただ、やむを得ない予算執行上の運用処置として認められているものが予備費の支出でございます。すなわち、予備費は予見しがたい予算の不足に限定さるべきだと言われております。その予備費の支出について事後に審議されたり承認を求める場所が、この決算委員会でございます。予算の執行経過を審議する決算と、国会において全く審議を経ない単なる行政府の判断のみによって支出されました予備費とは、明らかにその性格が違います。したがって、予備費につきましては、決算委員会における唯一の議決案件でございまして、安易に取り扱うべきでない、このように実は考えておるわけでございます。  この点につきまして、ひとつ大蔵大臣から御所見を、まずお伺いしたいと思います。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 予備費につきましては、ほかの予算の歳出費目とは、御意見のとおり、これは違うものでありまして、予備費は予算編成のときに、予見しがたいような経費について予算に計上いたしまして、いよいよその予備費を使わねばならないといったような事態が生じた場合に、この予備費を使用するというものでございますから、これにつきましては、特に私は決算委員会におきまして慎重に、厳重に審議をいたす、そういう扱いをいたすべきものだ、かように考えております。

森下元晴自由民主党

○森下委員 予備費の額につきましても、その使用内容につきましても、最近特に増大しておりますし、多種多様な費目に分かれておるようでございます。その一つ一つを取り上げることは、なかなか時間的にもできませんし、私は、そのうちで年金の問題について若干取り上げて質問をしたいと思います。  五十年度分で、この年金、予備費から支出しておりますのは、一般会計の予備費として国民年金特別会計への繰り入れが約五百四十億、これが厚生本省になっておりますけれども、いわゆる国民年金国庫負担金の不足を補うために必要な経費として、国民年金特別会計へ約五百四十億の繰り入れが行われております。また、それを受けまして、国民年金勘定の方で約三百三十八億円が給付費として出されておるわけでございますけれども、この数字、また内容等について確認をしたいと思います。係の方で結構でございますから、お答え願いたいと思います。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 お示しのように、五十年度の予備費の使用のうち、厚生省所管国民年金特別会計へ繰り入れたといたして使っておりますのが五百四十億四千八百万余円でございます。それから国民年金特別会計におきまして、給付費の不足に充てるために三百三十八億円余の予備費を使用いたしております。

森下元晴自由民主党

○森下委員 年金関係で予備費を使わなければいけないというほど、その需要が増大しておる、このように実は思います。いろいろ調査をいたしましても、かなりこの年金の増額が見られるわけでございます。五十一年度の、たとえば受給者の数にいたましても、厚生年金で二百五十九万人、それが五十二年度になりますと、二百九十二万人、一二・七%伸びておりますし、それから国民年金の方も、八百四万人が五十二年度には八百七十九万人と九・三%の伸びでございます。それから給付額にいたしましても、厚生年金の方は一兆四千三百十七億、それが五十二年度には一兆九千九百四十八億円と三九・三%ふえておりますし、国民年金の方も一兆四千三百十一億が五十二年度には一兆八千百七十四億円と二七%ふえておる。  こういう予期せざる受給者の数がふえるとか、また、それに伴って給付額がふえるために、予備費の使用に及んでおるのだろうと思いますけれども、私は、このいわゆる年金制度は社会保障、いわゆる福祉政策の最たるものでございまして、官庁や民間の会社にお勤めになった方々、また一般の方々が退職したり、また老後の生活の安定のための、当然のこれは近代国家としての一つの制度であると思いますけれども、これも十分将来の見通しをつけないと、国家財政そのものが破綻するのじゃないだろうか、こういう実は心配もございます。年金制度そのものは否定はいたしませんけれども、十分慎重に取り扱わないと、角をためて牛を殺すようなことになっては大変なことになる。最近新聞等でも、この年金の見直し、特に官民の格差の是正をそろそろ考えなくてはいけない、こういうような記事等も見られるわけでございまして、私もそのとおりだと思います。  そこで、今後の年金給付の増大に伴い、財政負担も急増するわけでございますけれども、どのように対処していくのか、この点につきまして御答弁をお願いいたします。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 ただいまもお話のございましたように、厚生年金、国民年金、いずれも国民の人口の老齢化という現象が一つございます。それからもう一つは、年金の制度の成熟化という事実がございます。  人口の老齢化、それから制度の成熟化、いずれも先ほども森下委員からお話がございましたように、給付対象者の数をふやしてまいるわけでございます。したがいまして、給付の急激な増大が伴ってまいります。五十一年から六十年にかけて十年間だけで約一兆円という年金給付の増大があるわけでございます。したがいまして、これを支えてまいる年金財政につきましても、長期にわたって年金財政を確立していくように、保険料負担にしましても諸般の制度にしましても、検討を常時加えていくことが大きな課題であろうかと思います。  そういう観点で、現在厚生省で年金制度基本構想懇談会というのをおつくりになって、そこで各般の見地から深刻に御検討、御審議をいただいておるというふうに伺っておりますけれども、いずれにいたしましても、一般の財政資金にも限度のあることでありますし、また社会保険という事柄の趣旨からいたしましても、保険料の段階的引き上げということは避けられない状況にあるだろうというふうに思いますし、増大してまいる国庫負担を確保いたしますためにも、われわれとしても特段の努力を傾けてまいる必要があるというふうに考えておりまして、この点は厚生省初め年金所管の当局と常時検討し、意見を交換し合っているところでございます。

森下元晴自由民主党

○森下委員 年金は八つの種類がございます。国民年金を初め公務員の共済保険、船員保険、全部で八種類ございまして、その歴史的な過程や、またその給付金の算定をする基礎等も、かなり格差も違いますし、同じ社会福祉のりっぱな考え方の上に立ちながら格差が出る、不公平が出るということは、はなはだ思わしくない。実は、このように思っておるわけでございます。  例を挙げて申し上げますと、国民年金の受給者は現在三百四十万。それが昭和八十五年になりますと、一千四百万人の受給対象者になるわけでございます。それから厚生年金の方は、現在は二百五十万人が受給対象であるようでございます。これが昭和六十年になりますと六百万、それから七十年には千三百万、昭和八十五年には二千七百万に増加する。いわゆる受給者がそれだけふえるわけでございます。  それから厚生年金の方は、現在年間で一兆三千億ぐらいの給付がございますけれども、これが昭和六十年には七兆四千億になると言われております。これが昭和七十年には二十九兆円。膨大な給付が行われるような計算になっておるわけなんです。  いま、この八つの年金の中で、一番破綻状況に瀕しかけておるのは国鉄の共済であるように実は聞いております。現在国鉄は運賃の値上げを図るとか、またいろいろ合理化いたしまして、あと二、三年後には収支とんとんにしよう、できるだけ赤字も解消していこう、こういうような非常に努力をされる意図が見られますけれども、しかし、経営は運賃値上げとか合理化によってできましても、共済制度の問題が、かなり国鉄の財政の足を引っ張るんじゃなかろうか。  たとえば現在の国鉄の職員は、四十五歳から五十歳までの方が十二万二千名おると推定されておりますけれども、全般の三〇%である。それから五十歳以上の職員の方が九万三千人で全般の二〇%、したがって、四十五歳以上五十五歳までの方が二十一万五千名で、国鉄職員の約半分以上を占めておる。ということは、十年の間に、それだけの方がやめられて、そして年金をおもらいになる、こういうことになるようでございます。だから、今後十年間に定年に達してやめられる方が二十一万五千名、この退職者に給付する共済年金は増大を続けるわけでございまして、毎年毎年大体二万人ぐらいの方が退職されていく。現在は十六万の退職者がおいでになって、この方々が国鉄共済組合より年金を支給されておるわけなんですが、昭和五十五年度には受給者が二十九万人と約倍になるような計算です。そういうことで、いずれは職員一人が一人の退職者を、まあ養うという言葉はおかしいのですが、そういうような結果になって、国鉄の共済保険の破綻が見通されると私は思います。  結論は、現在は五・三五%の掛金でございますけれども、これをどうしても一〇%前後にしなければいけないし、また、こういう高率の掛金が掛けられない場合には、国鉄自身が負担するか、また一般会計の方から、国の財政からこれをてこ入れしなければいけないというような簡単な理屈が、国鉄の共済から出てくるわけでございます。  それから、ほかの共済年金、国民年金も含めて大体似たり寄ったりのような結果が出てくるんじゃないだろうか。  ここに、この年金制度でも、同じ官の中でも高級公務員がおやめになった場合と、そうでない方のおやめになった場合と、給付金のとり方の基準も違いますし、また官と民によって、定年の五十五歳から給付する場合、また民の場合には六十歳から年金が渡されるというような、いろいろなハンディもございまして、こういうことを考えました場合に、早く各種の年金を整理されまして、そしてこの年金制度が社会福祉、社会保障政策として、どの分野からも、いい制度であるというふうに言われるような年金制度の確立を、ぜひしてもらいたい。やはり抜本的な改正が現在必要である、このように実は思っております。そうしなければ、もう年々歳々予備費から、かなり保険給付の支出が出てまいったり、年金制度自身の破綻じゃなしに、いわゆる国家財政にも大きな影響を与えるような感じがいたすわけでございますけれども、この点につきまして、大臣に御所見をお伺いしたいと思うわけでございます。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 年金制度につきましては、森下さんの御指摘のとおりのところに逢着しておる、私はまさに同感でございます。  国民福祉政策の中で、これは一つは、医療保障である保険制度、所得保障である各種の年金制度、この二つが二本柱だと思いますが、その柱のいずれもが大変複雑な仕組みになっておりまして、今日、正直なところ、非常にうまくいっていない。赤字がどんどん出てきたり、いろいろな運用がむずかしかったりするということは、これはだれも否定できない。  そういうことになったことを考えてみますと、これはそれぞれの保険なり、それぞれの年金制度が自然発生的にばらばらと、一緒にスタートを切って出てきたものじゃない。そういうようなことで成り立ち等が非常にばらばらしておったものですから、こういうことになったことだと思いますが、そのために、いろいろな点において格差があったり、手続上の煩瑣なことがあったり、なかったりというようなことでございまして、このままやっておったのでは、おっしゃるとおり、その加入者も困りますし、それから国の財政も、このままでおったのでは、しょっちゅう赤字、赤字、それを補てんするといったようなことでは、本当に国民福祉政策というものは、うまくやれないということでございますので、ひとつこれは、ぜひとも抜本的な改正をしていきたい。  いま一つの例としてお挙げになった国鉄関係の共済組合、おっしゃるとおりでございますが、何もこれは国鉄関係だけのものにあらずして、あらゆる年金制度、これをひとつ全部一遍総括して、そして検討をしていかなければならない。  私は、医療保障についても、そういうふうに考えますが、日本の国における福祉政策、今日の制度というものは、これはどうしても、いまこそ、ひとつ思い切って根本的な改正ということに踏み切っていかなければならない。しかし、これはなかなか容易なことではない。そういったようなことをやるためには、政府が幾らいろいろ考えてみても、政府の力だけでは、なかなか実行を期しがたい、貫徹しがたい、そのときこそ、国会の皆さん方の御協力と御指導、これをぜひともお願いしなければならない、かように考えております。そういう方向でもって私は進んでまいりたい、かように考えます。

森下元晴自由民主党

○森下委員 最後に所見を述べて、質問を終わりたいと思います。  いまの日本の福祉政策は、低負担、高福祉、これにこしたことはございませんけれども、残念ながら欧米先進国、福祉大国と言われておる国々を見ましても、やはり福祉というものは高福祉、高負担の方向にいっておるわけでございまして、いずれ、わが国も高福祉で、また高負担の、そういう方向をたどらざるを得ない、このように実は思うわけなんです。  いろいろ国家安全保障のためには国防があったり、また外交、また教育問題がございますし、これにもかなり国家経費を投入しなければいけないし、また社会資本充実のためには道路とか、またダムをつくって河川調整をやったり、また港湾をつくるとか、住宅政策をやるとか、こういう社会資本の充実、それと個人の安全保障のために福祉政策があるわけでございまして、大体この三つの柱によって国が守られ、社会が守られ、また個人が守られていく。そこにおのずから均衡がとれないと、個人ばかりで、国の安全保障が講じられないようなことでは、国としての安全が守られない。そういうバランスの上に国家財政、また国の政治はなくてはいけないと思うのです。  その中で、公共事業なんかは、そのときの景気によって多少の伸び縮みはございますけれども、社会福祉関係は、一たん決めた以上は後退を許されないというところに、むずかしさがあるような気がいたします。そういうことで、かなり現在問題になっております年金制度を中心とする社会福祉政策、また社会保障政策について、やはり大蔵省が主導権を持って、勇気を持ってひとつ取り組んで、国家財政が安定するように、そしてまた個人個人の老後の幸せが確保できるように、ひとつお願いをいたしまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 北山愛郎君。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 私は、五十一年度の公共事業の予備費、これを中心にしてお尋ねをしたいのでありますが、五十一年度に、一般の予備費のほかに、一般会計公共事業等の予備費というものを設定したわけであります。ところが、これに対しましてはいろいろと批判があったわけですが、五十二年度には、この一般会計公共事業予備費というのは計上されておりません。ですから私は、大蔵省としては、あるいは政府としては、やはり五十一年度にありました公共事業だけの特別の予備費を計上することは適当でないと、こう考えて五十二年度は計上しなかったと、こう思ってよろしゅうございますか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 予備費のことでございまするから、予算編成当初には、これははっきりと予備費というものに幾らかかるとか——予備費を置かねばならぬことはわかりますけれども、ところが五十一年度と五十二年度とを比べまして、五十一年度は、公共事業は大変いろんなことで相当予見せざるものが要るだろうというふうな考え方が、五十二年度には、そういう考え方が五十一年度に比べてなかったと、こういうわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 ちょっとわからないのですね。五十一年度にしても五十二年度にしても、予見し得ない費用の支出の用意として予備費を置くわけですから、同じことじゃないですか。何か五十一年度と五十二年度、予備費が出るような事由が予見された、五十一年の方はよけい出るだろう、五十二年度はそう出ないだろう、こういうふうに政府がわかるとすれば、これは大変な千里眼みたいなものですが、問題は、要するに一般の予備費と区分して、公共事業等のための予備費というものを五十一年は別に計上したのですね。五十二年は、これを計上しない、やめたわけです。ですから、一体どこにその考え方が違っているのか。  いまのお話ですと、年度内のことを予想ができるような、大蔵大臣は千里眼みたいなことのように聞こえるのですが、どうも納得できませんが、もう一遍お答えを願いたい。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 先ほど大蔵大臣からお答え申し上げたわけでございますが、補足して申し上げますと、五十一年度予算は、五十年度の景気の沈滞時からの回復ということを、予算の非常に中心の課題としておったわけでございますが、それに伴いまして、四十九、五十と横ばいに据え置いた公共事業関係費を、五十年度当初対比で二一・二%増加をした。それによって景気の回復と雇用の安定を図るという予算編成をしたわけでございます。  しかしながら四十九年、五十年の不況というものの影が非常に深うございましたので、したがいまして、景気の回復過程で、なお予見しがたい経済情勢の推移というものが起こることが予想されたわけでございます。そこで予備を増額する、当時三千億だったものを四千五百億にふやしまして、その一部を、そういう経済情勢でございますので、公共事業等の経費に予算の不足を生ずるであろう、そういうことがあり得るであろうということにかんがみまして、使途を公共事業等に限定いたしまして、公共事業等予備費を設けたわけでございます。  五十二年度の予算の場合でございますが、これも最近の経済情勢から、需要創出効果の非常に大きい公共事業費というものに重点を置いて、刻下の景気の回復を図る、国民生活の安定を期するということをやったわけでございます。  それで、五十一年度当初対比で、五十一年度で、すでに二一%伸びましたものを、さらに二一・四%ふやすという形をとりました。それから、前年の五十一年の十一月に、公共事業の施行促進という措置を講じ、また、五十一年度について補正予算を組んでおったわけでございますが、前年の公共事業の施行促進、五十一年度補正予算、五十二年度当初で組まれました二一・四%増の公共事業費というものによって、景気の回復がさらに力強く確実なものとして進み得るだろうというふうに考えましたので、大蔵大臣からもお答えがございましたように、五十二年度につきましては、公共事業等予備費を設けないということにいたしたわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 どうも納得がいかないのですね。五十一年度の場合は景気対策上、公共事業の予備費を特別に置いた、五十二年は、その必要がない。景気がよくなったような話のように聞こえるのですね。  そうじゃないでしょう。五十二年度だって、すでに公共事業費を前半に繰り上げて使おうとしている、後半には不足するんじゃないか、こう言われているのですから、むしろ五十二年度の方が、公共事業の予備費を置かなければならぬような事情が予見されるように思うのですが、いずれにしても、いまのような御説明では納得ができない。むしろ率直に、公共事業として別枠の予備費を置くことに大した意味がないというふうに考えて、五十二年度は計上しなかった、こう考えた方が適切ではないかと思うのです。  同時に、五十年度に公共事業費を二一・三%ですか、ふやした、景気対策としてやった、こう言っておりますが、それは、昨年度の公共事業予備費を計上しない、計算に入れない比較であって、これも、いずれは公共事業に使うんだということで、五十一年度の公共事業予備費として当初予算に計上しているのですから、それを加えた五十一年度に比べますと、ことしは増加率がずっと下がるわけなんですよ。一六・何%くらいにしかならない。ですから、一般会計の伸び率の一七・四%以下に下がってしまうのであって、政府が、ことしの景気対策として、特に公共事業をふやした、ふやしたと言うのは、それは言葉の上のことであって、実質からいえば、むしろ一般会計の伸び率以下であるというふうに見ざるを得ないわけなんです。  いずれにしましても、昨年計上しました一般会計の公共事業予備費という別枠をやめたというのは、大した意味がない、一般の予備費の中でやれることなんですから。そういうふうに受け取らざるを得ないと思うのですが、私のいまの意見に対してお答え願いたい。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 経済全体の動きでございますから、国民経済計算上の政府の財貨サービス購入の中で、政府の固定資本形成というものの持っております力をもって私どもは判断しておったわけでございます。  この国民経済計算上の政府財貨サービス購入と申しますのは、五十一年度で、予算、前年度から繰り越しになっておりますもの、補正予算、予備費の使用見込み等を織り込みまして、五十一年の実力としての政府投資というものの伸び、五十二年度における実力としての政府投資の伸びというものを出しておるわけでございます。  その数字で申し上げますと、中央政府と地方政府、つまり一般会計、私企業会計、それを中央、地方について加えたものでございますが、そういった財政全体の中央、地方政府の合計で、資本支出で申し上げますと、五十一年度は五十年度に対して九・七の伸びでございましたが、五十二年度は一五・六の伸びになっておる。経済を支えて、景気を回復に持ってまいります力としての政府財貨サービス購入という点から判断いたしますと、先ほど北山委員からお話がございました公共事業等予備費を置きませんでも、五十二年度において財政援助手段による着実な景気の回復が期待できるという判断であったわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 問題をはぐらかしちゃいかぬですよ。要するに、去年とことしの公共事業費の伸び率を計算するときには、昨年の公共事業の予備費は計算に置かないでやっていることは事実でしょう。それだから、二一・三%の伸びがある。しかし、実際去年は、当初予算のときに、すでに公共事業の予備費というものはあるのですから、それを加えて比較をしなければならぬと思うのです。それは投資効果率といいますか、そういうことに問題をすりかえてはいけない。いずれにしましても、私は、昨年やった特殊な制度、一般会計における公共事業予備費という別枠というものをやめたというのは、今年、五十二年度は置くだけの積極的な理由がないというふうに理解をいたします。  そこで、この調書を見ますと、五十一年度の公共事業予備費の分ですね、それに対して昨年は冷害とか豪雨とか、あるいは台風という災害が非常に多かったわけなんです。特に、冷害に対する予備費の使用が、わずかに百九億九千九百九十九万円、約百十億ですね。わずかに百十億であるということは、冷害対策としては非常に貧弱あるいは冷淡である、このように私は考えるのです。台風その他の対策というのは、それの十倍以上配分されておるわけです。これはもちろん台風その他の災害のために公共物が被害を受けた、その復旧費として計上されておる。しかし、冷害というのは、公共物は壊れませんから。ただ、農民の所得がそれだけ絶対にマイナスになる。こういう被害でありまして、性格が違うわけですね。  しかし、いまもお話がありましたが、その地域の経済に対する影響というのは、台風よりも、ある意味では深刻なわけなんです。要するに、農家の所得が減ります、購買力が減りますからして、それが波及をして、マイナスがマイナスを生んでいくということで、現在もまだ冷害の後遺症が東北、北海道では残っておるわけなんです。ですから私は、このわずかに百十億といった冷害対策費はどういう計算で考えられたものか、まことに貧弱きわまるものだ、このように考えているのです。どういう考え方で百十億にしたのですか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 五十一年度の冷害によります減収、総収入の減少というものは、農林省の調査によりますと、四千九十三億ということであったかと記憶しておりますが、私ども冷害の対策といたしまして、救農土木事業を起こさなければいけないという必要性を考えまして、農林、建設その他の所管の役所と相談をしたわけでございますが、その際、冷害の救済として救農土木事業の規模を決めます際に、四十六年、四十七年、過去ずっと救農土木を起こした実例があったわけでございますが、農作物の被害の著しい農家、つまり減収割合が非常に高い専業農家及び一種兼業農家の減収額というものを出してまいりまして、その減収額のうち、他の事業に雇用されることが可能である、そういう労賃部分を引きまして、残りの労賃収入というものを事業費で判断いたしますと、二百十五億円という計算に相なったわけでございます。  これは過去ずっと救農土木の際に、被害率が五〇%のものについては、たとえば、たしか六十日だったと思いますが、六十日分の賃金というものを救農土木によって、雇用を創出して付与するという考え方をとっておりました。その考え方に従って算出してまいりますと、農業基盤整備事業、それから道路、漁港、造林、林道等々の各種の事業につきまして、二百十五億円という事業追加が必要になるということに相なりまして、それに従いまして、そのうち、国費百十億円を予備費をもって措置をいたすということにいたしたわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 四千億の損害だということは、大体四千億農家の所得が減ったということなんです。それがどうして二百十億で間に合うというのですか。しかも、二百十億がまるまる農家の手元に行くわけはない。資材費も取られますし、労賃部分というのは、わずかなものです。四千億以上の被害に対して、たった百十億でも済むという計算の基礎をもう少し詳しく聞きたいのですね。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 五〇%以上の被害を受けられました専業農家、それから第一種兼業農家というものの農家戸数を、当時の作報の被害統計等によって各県別に各県から調査の結果、集計いたしてみますと、そのうち、救済を必要とする農家戸数は約六万二千軒というふうに考えられました。その中で、五割以上の被害をこうむったものについては六十日、七割以上の被害をこうむったものについては八十日、九割以上の被害をこうむったものについては百日というものの賃金の補給が必要であるという計算をして、積み上げてまいりますと、二百十六億円と相なるというのが、先ほど申し上げた数字でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 何で五〇%以上の被害農家だけを対象としたのですか。農業共済の方では、御承知のとおり三割足切りなんです。しかし、三割足切りをされた農家も、かつかつに生活をしておるのですから、その三割分というのは、どこかで補てんしなければならぬわけですよ。金をもらわなくても、働くか何かしてですね。しかも、四千億の被害というのは、すでに四千億のうち、相当大部分というのは使っているわけです。  要するに、五十一年の産米とか、あるいは農作物をつくるために借金をしているわけですから、六割とか七割は、もうすでに金を借りているものを代金によって返済をしなければならぬのです。ところが、ある地域においては、その借金の返済にも足らないというところがたくさんあるわけなんです。ですから、何で一体五〇%以上の農家だけを対象にするのかわからない。もう少し詳しいデータを私は別に印刷して出してもらいたいと思うのです。  それから、冷害というものに対しては、私が申し上げるような趣旨を今後においては十分検討してもらいたいと思います。  それは、台風その他でもって公共物、橋なり堤防なりが破壊される、家屋が流失をするということになれば、それに付帯をして、どうしてもそれを復旧しなければならぬ、個人のうちでも。復旧をするいろいろな事業が、そこに自然に興ってくるのです。当然公共施設の復旧のために予算を相当に政府も出すわけですね。  ところが、冷害は黙っておけば、農業共済の補償金以外は出てこない。ですから、絶対のマイナスになって農家の購売力が落ちて、そして購売力が足りなくなれば、今度は物を買わなくなる。したがって、そのマイナスが地方の中小企業、商店なんかにもみんな波及してくる。地域経済全体が地盤沈下をするというのが冷害なんですよ。ですから、その損害のあらわれ方、しかもその地域の経済、冷害農家だけではなしに、その付近に波及するマイナスの効果というのは大きいということ。したがって、その地域において、この際は景気対策とも兼ね合わせて、もっと積極的な姿勢が必要な事態ではないかと思うのです。  そのときに、たった百十億——金がないわけじゃないでしょう。百十億しか、政府が予備費から出さないなんということは、全く冷たい限りだと当時から考えております。百十億というと、カナダがロッキード社から買った対潜哨戒機一台分の値段ですよ。それが東北、北海道の歴史的な冷害に対する政府の予算措置であるということになれば、全くこれは冷害のような冷たさだと言わざるを得ないと思うのです。今後そういう趣旨の角度からの検討を私は要望するのですが、大蔵大臣、どのようにお考えですか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 先ほどお答えが少し足りませんでしたので、補足してお答えさせていただきます。  冷害に対する措置といたしましては、先生からもお話のございました農業共済再保険金の支払い、これは補正予算で六百三十億措置をいたしたわけでございます。そのほかに、天災融資法の発動によります融資額、これが該当十五県で六百億円、それから自作農維持資金の災害枠の設定で三百六十五億円、それから農林公庫の財投追加二百三十億円、そういった各種の措置をいたしまして、それら全般の措置の中で、先ほどもお答え申し上げました、被害率五割以上の農家につきまして、特に雇用を創出するという形での救農土木事業を興すということで、非常に広範な措置の一環として措置をさしていただいたわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 とにかくそのような貧弱な対策であるということのために、現在の不況も絡んで非常に東北、北海道は、その他の地域もそうでありますけれども、特に冷害の影響をいまだに深刻に来しております。  きのう実は私のところへ、郷里の方のある村の農協の理事が来たのですが、その人の話では、ことしは農協から金を借りる農家が非常に多くて、その逆に農協は利子分として、去年に比べて二千万円も収入がふえた。貸し出しがふえて、その利子が二千万円も農協の収入としてふえた、こう言っています。ということは、逆に言えば、農家はそれだけ苦しんでいるということなんです。ですから、もっともっとこういう問題につきましては、本当に地域の実態に沿うた事業費、予算、そういう措置が大蔵省としても考えられるべきではないか、こう思います。  ことに冷害というのは、大きな公共事業を幾つかやるということだけではいけないのです。やはり農村地帯に普遍的にやるということ。ですから、市町村単位の事業でないと合わないのですね。要するに、雇用をふやすような小規模の仕事をたくさんやる。まとまった大きな仕事、大きな道路事業だとか、そういうものをやられたって、そこの付近の人たちはいいかもしれぬけれども、それに外れる地域がたくさんあるわけですから、まんべんなくやる必要がある。ただ事業をやるにしても、できるだけ労賃部分が多いような、小規模な事業を広くやるというふうな配慮が必要だったわけです。いずれにしても、今後は十分この点を配慮してもらいたい、このように考えます。  予備費の使用を見ても、これは一般の予備費でありますけれども、たとえば砂糖が、糖価の値下がりによる事業者の損失をカバーするためには、冷害対策と同じくらいな予備費を使っているのですね。あれほど大きな去年の冷害に対する対策としては、まことに貧弱だ、こう言わざるを得ません。  次に、若干、決算委員会のいままでの討議の中で、財政あるいは会計上問題だと思う点について、お尋ねをいたしたい。  それは、この前大蔵大臣もお話をしましたが、いろんな政府の事業を代行させるような特殊法人というのがたくさんあるわけなんですが、そのうち、公社とか公庫などにつきましては、予算、決算が政府関係機関予算として提出をされているわけですね。ところが、同じように政府が全額を出資して政府の事業を執行させている公団、事業団は、予算、決算を国会に提案しなくてもよろしい、こういうことになっている。どうして区分があるのか、私は物差しがちょっとおかしいじゃないかと思うのです。  いまの三公社と公団、事業団では、その性格上、国の事業を執行させている団体である、あらゆる面から見て、その本質の性格からすれば変わりがないようなものが、一方では予算、決算は国会の承認を受ける、片一方は受けなくてもよろしい、こういう区分をしている、その物差しがどこにあるか、大蔵大臣、どのようにお考えですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 御質問の趣旨は、特殊法人の中でも政府関係機関の公社、公庫のように、その予算を国会に提出をしておるものと、公団、事業団のように、その予算を国会に提出していないものとの区別の基準を一体どこに置いておるのか、その趣旨はどうなんだ、こういう御趣旨のように伺ったのでございます。  もともと公団、事業団等は、国が必要な事業を行おうとする場合に、その業務の性質が企業的経営になじむものであって、これを通常の行政機関に担当せしめては能率的な運営を期待できないことから、特別の法律によって独立の法人を設けて、国が特別の監督を行うとともに、その他の面では、できる限り経営の自主性と弾力性を認めて、能率的経営を行わせようとしておるのでございまして、このような公団、事業団の設立の趣旨から、その予算については、これらの設置法において国会の議決にかかわらしめずに、主務大臣の認可を受けさせることにしておる、こういうようなことでございます。  しかしながら、公団、事業団の事業は公共性を持っておりますので、事業の内容を国民の前に明らかにする必要があり、そのような観点から種々の方法で公団、事業団の事業の内容を国会にお示ししておるところでございます。財政法第二十八条の書類として国会に提出をしている政府出資主要法人の資産、負債、損益その他に関する調書もその一つでありますが、この調書は、政府が出資を行っている法人のうち、出資額の大きいもの、あるいは出資比率の高いもの等につき、その資産、負債、損益等を明らかにしているものでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 いまおっしゃったように、公団、事業団は、いわゆる政府の事業を政府出資で政府の監督を受けてやる。ですけれども公社、公庫だって同じじゃないですか。別な事業団になっているのでしょう。なぜ片一方の公社、公庫は予算、決算を国会に出して、公団、事業団は出さなくてもいいのですか、私は、そこのところを聞いているのです。  なぜかと言えば、公団が十六ですか、事業団と称するものが六十何ぼある。大変な数なんです。しかも全部が全部この財政法二十八条の説明書、参考書類の中に入ってないのです。たとえば政府出資が一〇〇%のものでありましても、日本中央競馬会なんか載ってないでしょう。そのほか載ってないのが、たくさんありますよ。少なくとも政府の事業をやらせている公団、事業団であるならば、全部挙げるのが本当じゃないですか。主要なものだけ参考書類として出しているのは、どういう理由ですか。こういうことでいいですか。  私は、前に予算委員会で、政府の予算参考書というか説明書の中に、特別会計が四十幾つかあるのが全部入っていない、これまた主なものだけしか説明してなかったのですが、けしからぬじゃないかというので、現在の予算の説明書の中には特別会計は全部入るようになったわけです。ところが、いまの公団、事業団は入っているものもあれば、入ってないものもある、主なものだけを挙げて、あとは御想像に任せる。一体そんなことでいいのですか。  しかも、この中には、この前も問題にしましたけれども、石油開発公団であるとか、その資金量にしても、負債額あるいは政府出資の額にしても、膨大なものがあるわけです。住宅公団とか道路公団は、もちろんであります。数兆円の債務を負って、そして事業をやっておるわけですから、これは三公社なんかと、ちっとも遜色がない。なぜこれは公団であって、予算、決算を国会に出さないのか。そういうことをやらないから、住宅公団が、いつの間にやら一万四千戸も空き家が出ているというような、かっこうになっているのじゃないですか。  それから、もう一つは、原子力開発関係の機構のごときは、これは本来独立採算ができるはずのものではないのですね。原子力の研究開発をすれば、他の一方で収入が上がるというような住宅公団みたいなものではない、使いっ放しですよ。それを事業団の形にして、しかも膨大な赤字をそのままほったらかしている。  私、ざっと見たのですが、原子力開発関係は三つ機関があるのです。原子力船開発事業団が例の原子力船「むつ」に百五十二億出していますね。それから原子力研究所が実に二千六百七億、借金が四十九億で政府出資が千五百二十五億、それに欠損が千三十三億も五十一年度のおしまいに出る。ですから二千六百七億。動力炉・核燃料開発事業団が四千三百六十七億、借金が二百六十億、政府出資が二千八百七十四億、欠損が一千二百三十三億ある。事業団と言ったって、何も収入になるような事業団じゃないんじゃないですか。それを事業団の形にして、そして膨大な欠損を出しておる。私、全部の損失を計算してみたところが、五千六百九億あるのです。そんな経理をやっている。そして予算、決算を国会のコントロールも経ないで勝手ほうだいなことをやっている。  こういう公団、事業団の会計経理でいいのかどうか、私は、非常に疑問に思うのです。政府の監督だって適正に行われていませんよ。だから、いまの石油開発公団にしてもそうですが、資産と称せられるものの内容、投資、融資をしているその内容を実際に評価してみたら、相当なマイナスになるのではないかと思うのです。それをそのままにしてある。こういうかっこうでいいでしょうか。  まず第一に、その原子力関係の三機関、これは本来研究開発なんですから、使いっ放しの金なんです。それを事業団で貸借対照表なんかつくって、しかも決算をただほうりっ放しにしている。こういう経理でいいですか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 先ほどの御質問で、公社または公庫について、予算を国会の議決にかかわらしめている、それに対して事業団、公団のたぐいは、特殊法人でありながら、また公共的性質、目的を持っておりながら、予算を国会に提出しないのは、議決を受けないのは、なぜかという趣旨の御質問でございました。  公社は、もともと国が特別会計として国の仕事としてやっておったものを受け持って特殊法人になったわけでございます。したがって、その事業の性格も、たとえば独占に近いもの、その他国民生活に特別に大きい影響を持っているという仕事でございます。その予算を国会に出し、その御議決をいただく、それから予算参照書として損益計算書なり貸借対照表を出すという制度になっております。  公庫につきましては、国民経済に非常に重要な役割りを果たします政策金融機関でございますから、やはり同じ趣旨で予算を国会の議決に付し、それから予算参照書としてPLなり、バランスシートをお出しするということでございます。  その他の特殊法人も公共的目的を持っておることは同じでございますけれども、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、業務の性質が企業的経営になじむ、通常の行政機関に担当させたのでは、制度上の制約から能率的な運営が期しがたいということで、特別の法律によって独立の法人を設けて、主務大臣が特に厳重な監督をいたしまして国家的責任を担保するという趣旨にいたしておるわけでございます。  特別な監督に服せしめるために、予算につきましても認可予算というような制度にいたしておりますが、そのほかの面では、できる限り経営の自主性と弾力性を認めて、能率的な経営を行っていくということが妥当なのではないかと考えて、予算について国会の御議決をいただく範囲を、申し上げましたようなところに、現在限定をいたしておるわけでございます。  なおもう一つ、先ほどの御質問でございますが、主要法人五十法人を選んだ、全体の百十幾つの法人をカバーしていないのは、なぜかということでございますが、現在二十八条書類をもって御提出を申し上げております、国が出資をしておる主要な法人につきましては、四十八年度の予算委員会で種々御議論がございまして、国会の御意向を承りまして、現在、出資百億円以上、または、百億円未満でも、一〇〇%以上の出資法人というもの四十と、それから財投計画の対象になっております国の出資法人というもの八つ、そのほか、諸般の政策上、特に重要であると認められる法人二つ、合計五十を、二十八条書類に掲記して国会に御提出いたしておるということでございます。  それから第三に、ただいま御指摘のございました原子力の研究機関なりについてでございますが、原研、動燃公団、これらにつきましては、先ほど申し上げましたような趣旨で、これは公庫または公社と違いまして、他の公団、事業団と同じような予算についての国会の御議決上の取り扱いということにしておるわけでございます。  これらの法人の活動は、収益を生むのでないじゃないか。仰せのとおりでございますが、これらの法人は、政府からの出資なり、それからまた経常費につきまして、国から受けます補助金というものについては、国会で予算という形で御審議をいただき、御議決を仰いでおるところでございます。その事業内容につきましては、先ほども申しましたように、主務大臣の特別の監督に服せしめておって、経理または事業の明確、厳正ということを期しておるわけでございます。  そこで、これらの事業団、公団の仕事の性格上、本来ならば民間であれば試験研究費繰り延べ資産という形で計上をさるべきものが、損失という形で二十八条書類のバランスシートに挙がって国会の御審議をいただいておるわけでございます。これらの機関の持っております重要な国益ということにかんがみまして、私ども今後とも、予算をもってこれらの機関の事業活動に必要な資金を出すことで、国会の御審議をお願いいたします際にも、十分戒慎して誤りないようにしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 その出資のときに、国会の議決を経ているからいいというものじゃないでしょう。出資というのは、やはり出資なんであって、それがどんなに使われても構わないというわけではない。しかも、その事業団なり公団なりが、外部からまた借金をしている。あるいは債務保証している。石油開発公団のごときは二千数百億ですね。五十二年の末には二千七百四十億も債務保証するというのです。別の法人だから、最終どんなになっても、全然国が責任を負わないというなら、それはどんなことをしてもいいですよ。だけれども、これは広い意味の政府関係機関でしょう。別な法人ではあるけれども、政府関係機関である。いわゆる政府がやるべき仕事を代行してやっておる団体であり、外部から見れば、国の機関だ、やはりその執行している機関だというふうに考えられる。  ですから、それが仮にうんと赤字を出せば、国がしょわなければならないんじゃないですか。しょわなくてもいいのですか。そうなれば、この運営は、その出資をするときに議決をすれば、それでいいというものじゃないのじゃないですか。その団体の会計経理、財政状態全体について国が責任を負っておるとするならば、やはり憲法で規定しておるように、国が債務を負うときには、それは国会の議決が要るという精神ですね。その精神によって、この公団や事業団の予算も決算も、できるだけ国会の承認を受ける、こういうことにすべきではないですか。  それと同時に、原子力開発関係の数千億の赤字はどうするのですか。しかもこれは、赤字として出てきた以外の出資額についても、今後どうなるかわからぬです。戻ってくるような出資じゃないでしょう、この研究の性格からしてですね。原子炉だとか、そういうものをよそに売り飛ばすといったって売れやしないのですよ。ですから、こういう研究開発は、別の特別会計なり何なり、そういう方法でやるのが本当じゃないでしょうか。欠損はそのままにしてある。  それから債務保証にしても、石油開発公団の債務保証は、法律で債務保証ができるとしているから、何ぼ債務保証をやってもいいというわけじゃないでしょう。やはり債務保証の限度をこれまではできるとか、それを議決するのが国会じゃないですか。それが憲法の精神じゃないですか。どうですか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 原子力関係の動燃公団なり、それから原研につきまして、これをたとえば国の特別会計にして、国の職員が事業の運営を行うということは、いかがであろうかという御指摘もございました。これらの機関が仰せのように、事業を営んでまいります際に収益を伴いません関係で、欠損金がその法人の資産に計上されてまいる。これらの公団または事業団が最終的に、そういう欠損を回復し得ない場合どうするかということは、その段階で、また十分考えなければならないことでございますが、これらの公団、事業団が営んでおりますところの事業そのものが、動力炉または核燃料の開発、研究、安全性の確保という重要な仕事であるわけでございます。  そういう仕事にどれだけの国費を投入するかということにつきましては、補助金なり、それから出資金なりということで、予算で国会の御承認、御議決をいただいておるわけであります。そういうもの、及び財政投融資からの借入金でございますれば、財投運用法に従いまして、やはり財投計画として国会に御提出を申し上げておるわけであります。そういう原資の面で、すでにこれらの公団、事業団の運営の骨格というものは、国会の御統制を受けて定まってまいるわけであります。その余は、これらの公団、事業団がいかなる具体的な仕事、またはいかなる具体的な人間によって事柄を運んでまいるかということでございまして、先ほども申し上げましたように企業的性格、と申しますと、やや問題がございますけれども、時々刻刻進歩いたします学問でございますので、それらの知識を備えた十分な資格を持った人たちというものは、それらの骨格となります予算に基づく出資金なり補助金の範囲内で、創意工夫をこらして自主的に仕事をやっていくということの方が、より研究の成果なり原子力安全の成果が達せられるのであろうということから、現在の制度が構成せられておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  石油開発公団について御指摘がございました。石油開発公団が海外探鉱に対して、または海外における石油の採取に必要な資金に係る債務保証ということを行っておるわけでございますが、これらの債務の保証は、認可予算の範囲で定まっております債務保証基金の二十倍という形で公団が行っておるわけでございます。現在までに債務が倒れて、公団がみずから履行するというような事例にまだ接しておりません。  そういう意味で公団の債務保証というものは、非常に厳格に行われておるというふうに私ども思っておりますが、なお所管の役所ともよく連絡をとりまして、債務保証がいやしくも乱にわたることのないようにしてまいりたいというふうに常時注意を怠らないつもりでおります。  なお、公団が債務の弁済を行って、その結果、欠損が起こってまいった場合どうするかということでございますが、それは公団の業務執行上の損失でございますから、公団がその責めを負うことは当然でございまして、先ほども申し上げました保証基金をもって補てんをいたすということに相なろうかというふうに考えます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 公団がと言うけれども、公団が欠損を起こして、どうにもならなくなったときには、国が責任をしょうことになるんでしょう、結果は。そうじゃないんですか。欠損にしても、その債務保証したとか、あるいは出資したとか——そういうものはもう金を出したんだから、その分は仮になくなっても仕方がないということになるかもしれませんが、それ以外に債務保証をやったり、いろいろなことをやって損失を起こした、それは結局においてはどうなるんです。国が負うことになるんじゃないですか。それは公団の問題だ、事業団の問題だと言って知らぬぷりしていいんですか、最終的に。  いま石油開発のことのお話がありましたけれども、いままで赤字になったものはないというけれども、これはすでに会計検査院でも指摘されているとおりですよ。七つの会社が、もう利権を放棄して見込みがなくなっている。だから整理をすれば、それに対する出資なり、あるいは融資というのはパアになるんですよ。整理をしないから、そんなことを言っていられるのだ。厳重な監督でも何でもありゃせぬのですよ。整理をすれば大変な赤字になるんだ。  この委員会でも、前に石油開発公団の関係のことを若干やりましたけれども、何十という会社に出資をしたり融資をしたりして、そしてほとんど成功してないし、もうすでに見込みがないとわかっているような会社で整理をしない、未整理なだけなんですよ。整理をすれば公団がかぶるのですよ。公団がかぶるということは、国がかぶるということなんだ。決して厳重でも何でもありゃせぬですよ。どうですか、大蔵大臣。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 石油公団が債務保証を通じまして、海外における石油の採取なり探鉱というものを促進してまいります趣旨は、そのようにして採取し、または探鉱を行いました結果の石油の資源、いわゆる民族資本によるところの石油の資源の確保ということが国家の目的として重要であるからであるというふうに私どもは考えております。その範囲で石油公団が債務保証を行うということは、現在の法律によって公団に行わしめておる仕事でございますし、その債務の保証が、円滑にその成果を生んでまいるということは、非常に国民経済全体にとって有益なことであろうというふうに考えております。  その過程で、現在までその事例はございませんけれども、債務保証を行ったものが倒れて保証債務をみずから履行する場合に損失が起こるではないか、そこまで知らぬ顔をしておるのかという御趣旨の御質問でございますけれども、それは、このようにリスクの非常に高い仕事でございますから、融資につきましても、保証につきましても、公団がそういうリスクの非常に高い信用というものを供与しておるわけでございます。それが倒れてまいりました場合に、実際に事業を営んでおりますところの採掘探鉱を行いますものとの関係で、公団がどれだけそこからその損失を取り返すかという問題が、また別途あろうと思います。  最終的に、公団にどういう欠損が帰着するかということは、直ちに現在の債務保証残高なり、それから融資または貸し付けの残高をもろては判断はできないというふうに考えておりますけれども、それがどうしても最終的に残った赤字があります場合には、どうするかということにつきましては、その段階で法律をもって、それらの欠損ないし公団の最終的な財産の処理をいたすことになりますので、また改めて国会の御審議をいただかなければならない。そのために政府部内でも十分に検討しなければならない問題であるというふうに承知いたしております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そういう答弁では困るんですね。やっぱり石油開発公団にしても、公団の事業実態をよく見てくださいよ。よく調べてから物を言うべきなんです。その石油自主開発のための公団であるということは、われわれもわかっておりますよ。だけれども、その後の事情が変化して、そして産油国自身が国有化の方針をとったから、だから必ずしも自主開発の成果は見ておらないのですよ、実績は。これだけの数千億の金を使って。むしろ、たくさんの会社に食い物にされたと言った方が正しいでしょう。そういう実態をよく調べて、大蔵省は主計局でも何でもやってもらわぬと、ただ趣旨はそうなっております、ですから、まず厳重に監督しておりますから、うまくいっているでしょう、損失が出たら、法律をつくって国がかぶればよろしい、それでは困るのですよ。  いずれにしましても、私は、この公団と事業団の問題は、もっともっと会計経理、財政運営について、国が最終的に責任を負わなければならぬものだとするならば、もっと制度的な改革が必要だと考えます。公庫については、その会計経理についての特別な法律があるでしょう。公団、事業団についても、それら一般を通ずるような会計経理の原則を決めたらどうですか、法律で。どうですか、大蔵大臣。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 御指摘のような実態をよく調べてまいりたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 もう少しやはり、ただ役人的にうまく答えればいいというんじゃなくて、まずいことはまずいこととして、認めるべきなのは認めて、直すべきものは直す。そうでなかったら仕事は硬直して、いつまでたっても改善されないですよ。われわれも、ただ責めるだけが能じゃないのです。よくしてもらいたいから言っているんですよ。いままでの官庁、官僚というか、お役所の答弁というのは、絶対に役所は間違いない、こういう答弁ですよ。そうじゃなくて、やっぱり問題があるようだ。だから、こういうふうに改善の方法を検討してみようとか、そういう姿勢じゃないじゃないですか。特に大蔵省はそうなんですよ。  私は、このほかの三公社にしろ何にしろ、それは国民生活に直接影響がある。ほかのものだって国の財政に大影響がありますよ。この公団、事業団の予算全体を見ると、数十兆円のものだ。借金だって莫大なものですよ。政府出資だって六兆円か、もっと出しているんですね。これをその目的のように正しく、むだなく運用するということは、これは当然考えなければならぬ。しかし、実態を見るというと、必ずしもそういっていないものがたくさんある。だから、それを改善してもらいたい。こういうところが問題ではないか、こう指摘しているんですから、そのような答弁をしてもらいたいんですね。すべてうまくいきます、こうは言えないでしょう。どうですか、大臣。すべてうまくいっていると思いますか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 とにかく今後実態をよく検討いたしまして、正すべきは正すという方向で参りたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 この決算委員会で、いままでいろんな問題を扱いましたが、たとえば原子力とか石油開発だけじゃなしに、地域振興整備公団にしてもそうですよ。  いま地方の土地開発公社がたくさんの借金を持ち、土地が焦げついて困っていることは御承知のとおりです。民間の企業だけじゃないのですよ。そこへ持ってきて地域振興整備公団がさらに、もうあり余って企業が来ないで困っているような工業団地がたくさんごろごろしておるのに、さらに新しく工業団地を金をかけてつくろうとする、そういうふうな実態をひとつつかまえて、大蔵省はもっともっと金の使い方を正しく効率的にやる——私は、何も私の方のイデオロギーでもって物を言っているのじゃないのですよ、合理的な仕事をやってもらえばいいのです。金を正しく、また同時にむだなく、合理的に、役に立つように使ってもらいたい、こういう角度から物を言っているのですから。  さらに別な機会で、いろいろ申し上げる時期もあろうと思いますが、とにかく公団、事業団、その他にも特殊法人はたくさんあるのです。その他の特殊法人を、十分な事業の監督なり、コントロールができるような制度改革について強く検討を要求いたしまして、私の質問を終わります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 安藤巖君。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 私は、先ほど北山委員の方からもお触れになりましたけれども、公共事業等予備費の問題について、二、三お尋ねしたいと思うのです。  この問題につきましては、予算案の審議のときに相当議論がなされておりますので、私はポイントのところ二、三点お伺いしたいというふうに思います。  五十一年度予算の編成に当たりまして、政府の方は総合予算主義をとるということで補正予算を組まないという御説明をなされて、そしてそのために予備費を、公共事業等予備費というのを一つ設けて、そして増額をしたという趣旨説明がなされたと思うのですけれども、そのために、ただいまの趣旨説明、大蔵大臣から冒頭にいただきましたけれども、後に補正をされておりますが、当初予算では公共事業等予備費と、これまでの普通の予備費合わせて四千五百億円になっております。昭和四十九年度の当初予算案では、予備費は一般会計予算に対して一・五二%ですね。ところが、五十年度が一・四一%、五十一年度は公共事業等予備費というのが加わって一・八五%にふえているわけです。だから、総合予算主義の是非についての議論をするつもりはありませんけれども、これは補正予算をつくって国会の事前の議決でやるべきことを、予備費をたくさん増額しておいて、予備費で賄うという方向に道を開くものじゃないかと思うのです。  そういう点からしますと、これはやはり憲法八十三条の財政処理権限の国会議決主義、この原則に触れるものではないか、この原則を逸脱するものではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 お答え申します。  公共事業等予備費は、五十一年度において、予見しがたい経済情勢の推移に機動的に対応すべき要請が格段に強い事情にあることを考慮して、予備費を増額して、そのうちの一部の使途を公共事業に限定したということは、先ほど来お答え申し上げたとおりでございますが、五十一年度の予備費及び公共事業等予備費の合計額は、おっしゃるとおり四千五百億円で、前年度の予備費三千億円に対しまして千五百億円の増となっております。この合計額は、これもおっしゃるとおり五十一年度予算の一・八五%で、従来どおり一%台となっておるわけです。この金額については、財政法第二十四条の規定に基づきまして歳入歳出予算に計上して、国会の議決を受けたものでありまして、議決権の侵害という問題は生じない、かように考えます。  御質問の趣旨は、公共事業費の追加についてまで予備費使用を行うことは、政府の裁量の余地が大き過ぎるのではないかとの御指摘かと思いますが、予備費を増額計上した事情も考慮して、予備費の一部について使途を制約して国会の議決を求めたものでありますから、使途を特定せずに予備費を増額する場合に比べまして、むしろ国会の予算審議権を一方においては尊重したというふうに御理解を願いたいと思います。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 いまの御答弁は、予算案の審議のときにも、いろいろ出されておった議論そのままの繰り返しだと思うのですけれども、いまの御答弁の中にありましたが、景気対策として、景気の見通しが非常に不透明なので、予備費というものをつくっておいたんだ、そのうち、特に公共事業等予備費ということで一つの枠を設けたんだというような説明もなされておりますけれども、もともと経済見通しの問題は、予算編成に当たっての一番基本的な問題だと思うのですね。だから、これは一つの政府の経済政策の基本的なものだと思うのです。そういう政策的なものを、予見しがたいというようなことで、みんな予備費ということにほうり込んでしまうということになれば、これは問題だと思うのですね。  だから、もし景気の見通しが誤っておったということになれば、そのときこそ補正予算を組んで、そして事前に国会の審議を受けて、承認を受けて執行するというのが、たてまえじゃないかと思うのです。景気の見通しが誤っておったということになれば、何も公共事業だけに限らず、これは福祉の問題につきましても、あるいは文教の問題につきましても出てくるのじゃないかと思います。そうしましたら、福祉等予備費とか、あるいは文教等予備費とかいうようなことで、どんどんそういった予備費が設けられてしまう、これは非常に大きな問題だと思うのですね。そういう点については、いかがでしょうか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 先ほど北山委員の御質問に対してお答え申し上げたことと重複をいたすかもしれませんが、五十一年度で「公共事業等予備費」という項を設けましたのは、五十一年度における経済運営というものが、五十年度、四十九年度の不況からの立ち直りというものを財政面からも支えながら進んでいく、そういうスタンスをとりましたのが一つと、もう一つは、先ほど安藤委員からもお話がございました総合予算主義ということの範囲内で財政の体質の健全化ということを図りながら、景気の回復に寄与する、国民生活の安定に寄与するという目標を持っておったからでございます。  そこで、五十一年度の経済見通しといたしましては、確かに政府支出にいたしましても、民間の消費支出にいたしましても、民間の投資にいたしましても、海外の輸出入にいたしましても、所期の経済見通しを達成できるという考え方のもとに予算を組んだわけでございまして、公共事業費につきましては一般会計で二一・二%という伸びのものを計上したわけでございますが、何分にも深い不況からの立ち直りでございますから、年度の途中に息切れを起こすかもしれない、その場合に財政体質または財源ということを考えまして、一応予備費を四千五百億計上しておる。ただし、その中で通常の財政需要に向かうものは三千億でありますので、残る千五百億は公共事業費等の予算に不足を生じた場合に充てるという制約のもとに、国会の御議決をいただいたわけでございます。  そこで、公共事業等予備費につきまして、これが国会の御審議の権限を侵すものでないということは、先ほど大蔵大臣からお答えを申し上げたとおりでございまして、実際の五十一年度の経済ないし財政の持っておりました特殊性から、こういう制度を設けるに至ったということでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 私がお尋ねしておるのは、いま答弁された中にありますように、息切れをした場合は、見通しが誤っておったということの一つの証左だと思うのですね。だから、そういうときにこそ補正予算を組んで、事前に国会の審議を受けるべきではないかということを申し上げておるわけなんです。  しかし、この点についても、予算案の審議のときに相当議論をなされておりますので、その点について、もう一つだけお尋ねをしたいのですが、先ほどの大蔵大臣からの趣旨説明の中に、公共事業等予備費というのは災害復旧事業、それから救農土木事業に多く使われております、それは承知しておりますが、こういう実態からいたしますと、まさにこれは財政法、それからそのもとの憲法の予見しがたい予算の不足に充てるためにお使いになったというふうに思うわけなんですね。とすれば、公共事業等予備費というものを設けなくてもよかったのではないかということは、少なくとも言えるのじゃないかと思うのです。  だから、そういう点からしても、こういうような公共事業等予備費というものは設ける必要がなかったのではないかというふうに思うのですが、その点いかがですか。これは大蔵大臣からお答えいただきたいと思うのです。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 お答え申します。  五十一年度当初予算に計上した公共事業等予備費千五百億円は、五十一年度において、予見しがたい経済情勢に機動的に対応すべき要請が格段に強い事情にあるとのことを考慮して計上したものではありますが、公共事業等に使途を特定した予備費であって、経済情勢の推移による一般公共事業の追加のみに使用することを予定したものではなくて、予算総則十五条、七条に規定しておるとおり、災害復旧に充てることも予定していたものであります。  五十一年災害による被害は、異例に大きな規模に達しておりまして、その復旧等には緊急に対処する必要がありましたが、公共事業等予備費の使用によりまして、速やかに対処することができたことを考慮すれば、五十一年度に公共事業等予備費を計上した意味は十分あったのではなかろうか、かように考えております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 この議論はやっておると、相当見解の相違ということになりそうですので、ほかに移ります。  次に、調整費、調査費の特別会計への繰り入れの問題についてお尋ねしたいのですが、御承知のように五十一年度の一般会計予算総則十三条には、いろいろございますけれども、表がありまして、「右欄の項に係る予算を使用する場合においては、その実施にあたる各省各庁所管の当該組織にその必要とする予算の移替えをすることができる。」というふうにあります。ところで、第十三条の、これは見やすいように四角い表につくってありますけれども、北海道開発庁の、いま読み上げました右の項の一番最後、北海道特定開発事業推進調査費というのがあります。それから沖繩開発庁、やはり右の項の一番最後に沖繩特定開発事業推進調査費というのがあります。それから、これは国土庁で、やはり最後の国土総合開発事業調整費というのがございます。  ところが、この調整費、調査費というのが、各省各庁の所管の組織に移しかえがなされておらないで、いきなり特別会計へ繰り入れられているわけですね。たとえば国土庁の場合ですと、建設省所管の特別会計へいきなり振り込まれているわけなんです。だから、私が疑問に思いますのは、この移しかえにつきましては、予算総則にうたってありまして、国会の議決を得ておるわけです。ところが、これは別の会計である特別会計への繰り入れになるわけですね。この繰り入れが、国会の議決もなしに行われているのはおかしいのじゃないかというふうに思うのです。これが第一の疑問ですが、これはいかがでしょうか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 たとえばいま御指摘の中で、組織、北海道開発庁、項、北海道特定開発事業推進調査費というのがございます。金額は五十一年度におきまして三億二千万でございましたが、これらの金額の移しかえを実行いたします際に、道路、治水、港湾、事業が特別会計で行われるものにつきましては、特別会計が事業を執行するということで、特別会計への繰り入れという目を立目して繰り入れをしております。  所管、運輸省または所管、建設省というものに一たん移しかえをして、そこで執行いたしますと、仮に先生の仰せのように考えてみた場合でも、運輸省または建設省の港湾なり道路なりという仕事は一般会計で執行しておりませんので、したがって道路、治水、港湾という特別会計へ、それぞれの所管から繰り入れて行うということが必要になってくる。そうなりますと、実際に移しかえをやって、またそれぞれの所管から特別会計へ出すというようなことになりますので、あえてその必要はないという考え方で、組織、北海道開発庁、項、北海道特定開発事業推進調査費から特別会計への繰り入れということを行ったわけでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 それは結果においては、何ら差し支えがないのかもしれません。そして実際問題としては、これは特別会計の方から支出されていくものだということも理解しておりますけれども、当初予算で、ほかの費目については参照書が出されまして、目まで記載されて、それが国会の審議の対象になっているわけなんです。ところが、この調整費については目の記載が全くないわけです。だから、国会の審議、議決の対象に全くなっていないまま、これは一般予算の方からの支出として特別会計の方へ出されている。というのは、やはり国会の審議の対象になっていないまま支出されているという問題、これがどうしても出てくるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 調整費は、先生御案内だと思いますが、国土総合開発事業調整費にいたしましても、国民生活安定特別対策費にいたしましても、当初予算編成時には、事柄の性格上、経費の具体的な配分までは決められない、しかし、そういう目的を持った金でございまして、かつ、必ず年度内に支出の必要が起こるという前提のもとに予算を計上いたすわけでございます。その意味では、予備費と全く性格を異にしておりますが、その調整費を、執行の段階で各調整費の中身の具体的な配分が決まりまして、また執行の責任を持った役所が決まってまいりまして、移しかえをいたしてまいります。  財政法の二十三条で、予算は目的に従って項に区分しという規定がございますが、その区分された目的、項で示された目的というものを変更するわけではございませんので、したがいまして、調整費を移しかえすることによって、格段に予算の御審議の内容を変更することにはならない。むしろ予算が、各省各庁に与えられました予算の執行上の権限に従って行われてまいるために、ぜひ必要な事柄であるというふうに考えておるわけでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 いまも答弁の中で移しかえというふうにおっしゃったのですが、私が問題にしているのは、その移しかえではなくして、一般会計から特別会計へ、これは繰り入れがなされているわけですから、その辺のところを問題にしているのですよ。しかし、ほかにも質問したいことがございますので、これは今後ともきちっとさるべき問題ではないかということを指摘しておきます。  それから、やはり移しかえの問題、特別会計の弾力条項の問題について一、二お尋ねしたいのですけれども、先ほどもお尋ねしました一般会計の予算総則の十三条の移しかえ、それから特別会計の予算総則の十一条、いわゆる弾力条項ですね。これを設けてある法的根拠は、これまでの政府の方のいろいろな御答弁の内容は、これは財政法第二十二条の第六号の「前各号に掲げるものの外、予算の執行に関し必要な事項」ということで、この移しかえ、それから弾力条項というのを設けているのだという説明がなされておるのですが、念のためにお尋ねしますけれども、そういう説明のとおりというふうに伺ってよろしいかどうか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 移しかえ、それから特別会計の弾力条項、いずれも、いま先生のお話のようなことでございます。  法的根拠は、財政法の第二十二条六号によりまして、予算をもって国会の御議決をいただいておるというわけでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 そこで、どうしても私がもう一つその点に関して疑問があるのは、予算の流用あるいは移用ですね。これについては、御承知のように、財政法の二十三条に規定がきちっとあるわけです。ところが、移しかえ及び弾力条項については、ただいま財政法第二十二条の六号が法的根拠だというふうにおっしゃったのですけれども、移用、流用については、財政法三十三条にちゃんと、こういう場合は移用、流用ができるのだというふうに規定があります。ところが、移しかえ、弾力条項については、こういう移用、流用についてのような規定が何もないわけなんです。だから、これは国会で審議する際に、移しかえ、あるいは弾力条項についての基準というのを、一体どこに求めたらいいのかという判断の材料になるようなものが、出てこないのじゃないかという気がするのですね。  移用、流用については、ただし、こういうときにはできるのだという規定がございます。ところが、移しかえについては、そういうような規定がない。だから、そういう点で基準になるような法的な条項、これを設けるべきじゃないか。そして、この点について明確な法的根拠というのを確立すべきではないかというふうに思っておるのですが、この点について何か考えておられることはないでしょうか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 予算の移しかえは、予算執行の各省各庁の職務権限の間の問題でございます。したがいまして、先ほどもお答え申し上げたことでございますが、予算の議決の対象になっております項で定まりました予算の目的を変えておりませんので、その目的の金、当初計上された、たとえば一括計上権を持っておって計上した場合等々が多いわけでございますが、そういう特定の所管または組織に一括計上しておいて、予算の執行に当たって具体的に実施に当たる所管を確定する。それに伴って移しかえが総則の規定でできることになり、または、それが必要であるわけでございます。それも議決の対象になる予算の目的を変更していないというふうに私どもは考えております。  それから弾力条項でございますが、弾力条項の一番典型的なものは、御案内の収入金支弁と言っておりますような、予定した以上の収入があった場合に、その収入の増加と関連して歳出権を付与する必要が出てくるという場合、または、そのほか他動的、客観的な理由、たとえば義務的経費に不足を生じたという場合に、弾力条項をもって措置をいたすというような、その財源が一般会計からの繰り入れであり、または借り入れであるというような、そういう弾力的に対処する必要がある場合に、一定条件のもとに歳出権の追加を認めているわけでございます。  したがいまして、これまた予算の執行の円滑化ということではございますけれども、予算の目的の変更ではないというふうに私どもは考えまして、いずれも特別の法律の根拠というものを必要といたさず、予算執行上の必要な事項として財政法二十二条六号に基づきまして、予算総則をもって国会の御議決をいただくということにいたしておるわけでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 いま答弁なさったような趣旨で運用しておみえになることは、よく理解しておるのですけれども、その二十二条六号の「予算の執行に関し必要な事項」ということでは、余りにも漠然とし過ぎているのではないかという気がするのです。だから、何らかの基準を設けておくのが妥当ではないかというふうに私、疑問に思ったものですから、お尋ねしたのですけれども、今後とも、この問題については私も勉強してまいりたいというふうに思っております。  次に、お尋ねしたいのは、事業費と事業諸費というのがあるわけですけれども、御承知のように、歳出に当たっては目的に従って、先ほどの答弁にもありましたように、項に区分しなければならぬというふうにあるわけですね。  ところで、いろいろ国が行う事業につきまして、歳出予算で事業費と事業諸費というのは、これは目的が違っているものですから、それぞれ項として計上しなければならぬことになっているわけです。ところが、たとえば建設省の場合ですと、項として河川等災害復旧事業費というふうに立ててあって、もう一つ項として河川等災害復旧事業工事諸費というふうに立ててあるわけです。だから、これは原則にきちっと従ったやり方だと思うのですけれども、林野庁の場合を見ますと、項として山林施設災害復旧事業費というのがございますけれども、これは諸費というのが全然掲げてないわけですね。ただ、目の中に国有林野事業特別会計へ繰り入れというのがあるわけです。この国有林野事業特別会計の中でどうなっているかというふうに見てみましたら、治水工事諸費というのが出てくるわけです。だから、林野庁の方としては、項として治水工事諸費というふうに工事諸費を項として掲げるべきであるのをサボって掲げないで、特別会計へいきなりほうり込んで、そちらで工事諸費として使っているという事実が出てきているのですが、これは財政法二十三条の趣旨に反していると思うのですね。だから、これは改めるべきだと思うのですが、いかがですか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 治山治水、そのほか特別会計が事業を営みまして、一般会計はこれに財源の繰り入れをやる。これは事業費でやる場合、それから工事諸費でやる場合がございますけれども、財源繰り入れをやるという場合には、一般会計からの繰り入れは一項をもって処理をいたしております。受け入れた特別会計で事業費と工事諸費に区分をいたしております。特別会計の予算総則の十二条では、国有林野特別会計でございますと、治山勘定の中で各項間移用できるという指定をいたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、特別会計で事業費と工事諸費を区分計上いたすということでございます。  災害の場合に、事業費と工事諸費を区分して、工事諸費だけを特別会計に繰り入れておる。たとえば災害復旧事業とか海岸事業でございますが、これは海岸事業にいたしましても災害復旧事業にいたしましても、事業の本体は一般会計で行うわけでございますから、したがって事務費の経理をほかの特別会計において行う、いわば海岸事業を、たとえば治水特会なり港湾整備特会なりというもので行いますので、したがって、ほかの特会の事業費を食って一般会計の仕事が行われておるという意味で、工事諸費のみを区分して繰り入れている、こういう趣旨でございまして、国有林野の治山勘定のように、事業が特別会計で行われます場合には、事業費と工事諸費を特に区分せず、受け入れた特会において区分しておるということでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 そうしますと、林野庁の場合は、先ほど私が指摘しましたように、事業費は項として掲げておりますけれども、工事諸費の方は項として掲げてないわけなのですけれども、そういう事実はどうしても残ると思うのですね。その点はどうなのですか。私がお伺いしているのはその点なのですけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 特別会計へ一般会計から繰り入れを行います場合には、事業費それから工事諸費の区分をいたさないということは、先ほど申し上げたところでございまして、特別会計の歳出権において事業費と工事諸費を区分して、そこで、その目的に従って分けておるということでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 そうしますと、一般会計で特別会計へ繰り入れる場合は、工事諸費というのは目的が違うのですから、本来、項として立てなければならぬけれども、いまおっしゃったように、特別会計でそういうふうに分ければいいのだから、一般会計の歳出としては、項として立てる必要はない、こういうことでよろしいのですか。建設省の方は、正直にちゃんと工事諸費と事業費を項として立てているわけなんですね。ところが、林野庁の方は、それがやられていないという点が、どうしても残るのですよ。その点だけお尋ねして、私の質問を終わります。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、災害復旧の場合には、事務費だけを特別会計に繰り入れるということでございます。仕事の本体は一般会計で行うわけでございますから、したがって、工事諸費を特別会計に繰り入れる必要が生じてまいる、そのために特に工事諸費の繰り入れという項を立てておるわけでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 どうもよくわからぬのですけれども、とにかく工事諸費というのを項として立てなければならぬという原則を林野庁はやっていない、これははっきりしていると思うのですが、どうですか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 受け入れた特別会計におきましては、これを区分しておるわけでございます。したがいまして、一般会計から繰り入れます場合には、特別会計を指定して繰り入れという項を起こしておりまして、その中で勘定を分かっております場合でも、一本で繰り入れを行っておるという例が多々ございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 もう一点だけ。いま特別会計へ繰り入れという項を起こしてとおっしゃっておるのですが、これは項でなくて目になっているのですよ。私が問題にしているのは、そこのところなんです。項じゃないのです、これは。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 治山事業費の中に、国有林野特別会計へ繰り入れという形で経理をいたしております。仰せのとおりであります。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 そうすると、やはり事業諸費というのは項として立てるべきものを、林野庁は、それをやっていないということでよろしいのですね。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 たとえば建設省でごらんいただきますと、治水事業費として、項、治水事業費、目、治水特会へ繰り入れ、それから道路につきましても、項、道路整備事業費、目、道路整備特会へ繰り入れ、このように仕事の性質に従って項の名称を決めて、中に特会繰り入れという目を起こして、そこを明らかにしております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 いまの御答弁によっても、先ほどから私がお尋ねしている林野庁の工事諸費を項として掲げていない、そういう事実は、先ほど答弁の中にもありましたように、もうはっきりある。しかし、それは特別会計の方で、ちゃんとやっているのだからいいのだというふうに伺っておきます。  以上で終わります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 原茂君。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 最初に、この間先進七カ国首脳会議へ行かれた大蔵大臣にお伺いをしますが、大分御苦労して、かぜを引いて帰ってきて鬼のかくらんをやられたそうで、御苦労さんでした。新聞の報道は見ておりますが、わが国としては結果的に、今後GNPに対して年度別に、どの程度に彼らに対する支出を考えるか、恐らく結論的には、特に未開発国の累積赤字の問題が一番主体だろうと思うのですが、現在の状態を、どのくらい増額していくようにしなければいけないとお考えになったか、まずそれを先に……。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 ロンドン会議に七日、八日出席してまいりまして、体調を壊して国会に御迷惑をかけましたことを、おわび申し上げます。  会議において出ましたことは、とにもかくにも日本がアメリカ、ドイツとともに世界の機関車国といたしまして、世界全体の経済が、いま御案内のとおり非常に悪うございますが、これをどうして立て直していくかということ、そのためには、いずれにいたしましても、いやしくも機関車である国が、みずからの国の経済を立て直していく、これを充実していくということが大事であるということ、いろんな問題が、いま世界に出てきてまいっておりますが、それぞれの国が、みずからの国の景気を立て直して、そうして経済成長を着実にやっていくということ、そうすることによって南北問題等を——いままでは東西問題だったが、南北問題といったような問題を片づけていく。  そのためには、それらの機関車国が、いろんな国際機関がございますが、たとえばIMFとかOECDとか、その他たくさんございますが、そういったような国際機関を媒体といたしまして、それの機能、それの作用というものを重視しまして、これを通じて、あるいはまた通じない場合もありますけれども、要するに石油ショック以来立ち直っていないような発展途上国、ことにまたその中には、大変お気の毒なわけですが、極貧国というもの、そういったようなものもある、そういったような国々に対しまして、応分の援助と申しますか、協力と申しますか、それをやっていくということによって、世界全体における円満なる経済を、一遍にはいきませんけれども、長い目で見て発展させていくというようなことについて、いろいろと合意をいたしてまいりました。  日本は、いま経済成長六・七%を五十二年度においては達成をするという決意はいたしておりますが、しからば、今後何年度にどう、何年度にどうというような数字等につきましては、日本のみならず列国ともに、そういうことには触れてまいっておりませんが、要するに、いろんな点において合意は行われたということを、私は出席した私の、この目で見てまいりましたことを御報告を申し上げます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 そこで、日本とアメリカとの主張は大分違うのですが、わが国が基本方針として持っていったはずの、すでにある、いわゆるIMFその他の機関を通じて対処していくということは貫かれたのか、それが一つ。  もう一つは、いまおっしゃったように、とにかく国内の景気、経済というものを、どんどん刺激を与え、あるいは基本的によくしていかない限り、海外に対するわが国の援助、あるいは西独にしても、アメリカにしても、困難なことは当然なんです。  わが国の現状を見ると、残念ながら、なかなかまだ、大蔵省、日銀が言っているほどに、ぐっと頭がもたがった状態にはなっていない。ということになると、何らか急速に——いまのような、公共事業を中心に、しちりんのけつを、うちわであおるように、ただあおり立てて、なおかつ、いまの状態なんですから、もう少し基本的に違った角度から、わが国の景気、経済をどうしていくかを考えなければいかぬと思うのですが、この点は、新たに何かお考えでありますか。  われわれのもともと主張するのは、やはり国民の購買力というものが旺盛にならない限りだめだ、だから基本的には、減税というものを思い切ってやるという、いままでの主張の一部、一兆円減税のほんのわずかですが、政府みずから、われわれの言うとおりに修正をして減税が実施されました。しかし、焼け石に水ではありませんが、あの程度で、わが国の国民的な購買力が喚起されるという状態にはほど遠いと思う。景気の今後を考えたときに、一体国内の経済、景気というものを刺激するのに何をやろうとお考えになっているか、この二点だけ。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 まず、最初の一点をお答え申します。  世界の経済を引き上げていくというためには、国際的な諸機関がございますが、それの機能なり作用なりというものを重視して、これに対して力を入れていこうという話し合いは合意しております。いま、それならそれだけかという御質問でございましたが、それはほかのことを排除する意味ではなかろうと私は思います。  それから、もう一つ、現在の日本の行き方で、果たして、わが国が世界の機関車の一国として景気を上げて、そうして日本の経済というものを伸ばしていくことが、どうも危ないじゃないか、こういうお話でございますけれども、私は必ずしもそうは思わない。  と申しますことは、昨年末以来の御案内のとおりの諸施策、さらにまた五十二年度の予算というものは、景気伸長ということを第一眼目、目標といたしましてつくった予算、これが国会において野党の皆さんにも御理解を得まして、むろん野党の皆さんの御意見もお聞きいたしまして、そうしてこれをやや早期に成立させていただいた。成立させていただいた予算を、前半期におきまして七三%、前倒しの実施契約を結んでいく。いま着々とこれをやっておりますが、さらにこれに加えまして、この間の前後二回にわたる公定歩合の引き下げから金利の引き下げといったようなこと等をやっておる。  いま、それをじっと——じっとしておるのじゃございません、いろいろな計画を実施いたし、それに基づくいろいろな公共事業費の進捗といったようなものの具体的な方策を実施いたしております。この実施が果たして、どういったような結果をもたらすかということをいま見守っております。  それで、今日その過程におきまして、いろいろなことをやっても、どうもこれはいけないんだ、だめだというふうには、私は考えておりません。だから、このことを福田総理から、その会議にも、日本は苦しい事態のもとに、こういったようなこともやっておるのだ、これを達成することによりまして、今日の日本の国内における需要というものを刺激いたしまして、そしてとにもかくにも、日本の内需を刺激するということによりまして、輸入をふやしてやっていこうというような決意をいたしておる。  そのためには、保護貿易ということの声がちょいちょいと世界において起こっておるけれども、この保護貿易というものに陥っていきますと、世界各国が、いずれも経済縮小ということになってくるということで、ぜひとも自由、開放の貿易ということが何よりも大事であるから、これに各国がともに協調してやってもらいたい、そうあるべきだというような主張をいたしまして、そういったような意見が幸いにして合意せられまして——ある国のごときは、自由貿易をそのままやっていくということにつきましては、相当程度の異議もございましたけれども、結局最後には、この提案に対しまして、どこの国も異議を唱えることがなくなって合意をしたというようなことから、今日この時代におきまして、日本の諸政策が、これだけじゃだめだ、そこで新たに何らかの政策、それは、新たにいい政策を考えて実行するということにつきましては、私はやぶさかではございません。  だが、しかし、今日のこの事態におきまして、何か別の政策をどうする、こういうふうに、いまのところは考えておりませんが、まず、この調子で大いに、鋭意この方針を着々と実施してまいりたい、かように考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 多分十九日になると思いますが、総理を呼んだ総括質問のときには、もう少し突っ込んで、大臣もおいでになった上でお聞きをしますが、前半期に七〇%予算の支出を行う、公共事業をじゃんじゃんあおり立てるということをやっても、現在、政府が公言した物価指数ですら維持が困難だ、七%台は突破することは、ほとんど確実になっている状態なども勘案していきますと、インフレは助長するわ、公共土木はどんどんやったにしても、決していわゆる設備投資等の刺激にはならないで、日本の景気、経済というものが、いまの状態をずっと見守った後に、そのずっと先へ行って見守った結果、悪かったから何かしようというやり方は、どうもいま政治を担当する政権としては、策がなさ過ぎる。  やはりある程度、統計的にも先を見越して、先へ先へ手を打つような勘案がなければいけないだろうという意味で御質問したのですが、大蔵大臣のそういった考え方を一応お聞きしておいて、また後に譲ります。  きょう、北富士の二百十ヘクタールの国有地の払い下げ問題を主にして全部の時間を使いたいと思いますが、これから少し五十年度の予備費あるいは五十一年度の(その1)等に関して、明日これに対するくくりをしなければいけませんので、お伺いしますが、これは大臣でなくて結構ですから、四つの点にわたってお聞きしますから、当局からお答えをいただきたい。  一つは、財政法第二十四条による「予備費として相当と認める金額」について、一つの疑義があるので、これをお伺いしたい。二つ目には、公共事業等の予備費についてお伺いをする。三つ目に、公共事業の定義及びその範囲についてお伺いする。四つ目に、財政法第三十五条による大蔵大臣の「所要の調整」についてお伺いをしたい。したがって、御準備をいただいて、お答えをいただくわけです。  第一の、私がなぜ「予備費として相当と認める金額」についてお伺いしたいかというのは、昭和五十年度一般会計予備費の当初予算額は三千億円、それから補正予算の減額一千億円、使用総額は千七百八十三億五千八百四十六万一千円、使用残額が、したがって二百十六億四千百五十三万九千円となっている。当初予算額に対して、補正減額と使用残額を合計しますと、約四〇%強になる。当初予算額から見るなら、これは不用額になったと同じなのです。  二つ目には、昭和五十一年度の一般会計の予備費も同じなんです。当初予算額は三千億円、補正予算減額が千四百五十億円、使用総額八百三十六億八千百二十五万三千円、したがって使用残額は七百十三億千八百七十四万七千円、これも当初予算に対して、補正減額と使用残額を合計しますと、約七〇%、半分以上になる。  三つ目に、昭和五十一年度の一般会計の公共事業の予備費当初予算額千五百億円、補正予算の減額百五十億円、使用総額千二百六十八億円、使用残額八十二億円、当初予算額に対して、補正予算額と使用残額を合計しますと、約一五%の不用となる計算になるわけです。  このような結果から見ますと、財政法第二十四条によると、「予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」とあるのですが、これは漠然としている。この率からいって、私には一種のつかみ金的なもの、そう思えてならない。  一体大蔵省は毎年予算編成の場合に「相当と認める金額」というのを、どんなふうに算定するのか。予算に計上される、その基準がなければいけないはずなのです。どうもこれが余りしっかりしていないものだから、幅が広過ぎるので、予備費がつかみ金という結果になっているのじゃないかという感じがいたしますので、第一に、この点お答えいただきたい。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 予算は一年と数カ月前につくるわけでございますから、予算を執行してまいります場合に、予算を超過した歳出が必要になってまいる、また予算のほかの支出が必要になってまいるということは避けがたいと思います。  そこで、憲法の八十七条を受けました財政法の二十四条という規定に基づきまして予備費を計上しておりまして、いまもお示しありましたように「予見し難い予算の不足に充てる」という制度が許されておるわけでございます。したがいまして、予備費の性格上、どれだけ予見しがたい予算の不足が生じてまいるかということが見通し得ないわけでございます。そこで蓋然率をもって、これをやっておるわけでございますが、一般会計の規模なり、従来の実績というものを見まして、御案内のような財政事情でございますから、予算編成時には、できるだけ切り詰めた金額で、十分予見しがたい予算の不足をカバーできる金額というものを具体的に、毎年予算策定の際に決めてまいるわけでございます。  蓋然率ないし経験率と申し上げましたその率は、昭和四十年以降五十一年までをとってみますと、おおむね一・五%前後ということでございます。五十年が一・四一%、五十一年が一・八五%であるということは、いま先生も仰せられたことでございますが、大体一般会計の予算規模に対して、そのくらいの金額と、そのくらいの形で計上してまいったわけでございます。  ところが、予算を執行してまいります過程で、補正予算を組みました際、これを補正予算の財源に取る、予備費を減額いたしまして歳出権を付与するということをやっております。そこで、予備費というものは、いわば補正予算の財源を、そこにしまってあるのではないかというお考えかというふうに思います。しかし、補正予算によって予算に超過した金額、または予算外に生じた金額というものを歳出予算に追加していただくために国会の御議決を得るわけでございますから、したがって、そこで明確に把握されましたところの追加的な歳出、または予算外の歳出というものは、予備費をもって賄う必要がなくなってまいるということも当然申せるかと思います。  そういう観点で補正予算を組みます際には、補正予算の編成の時期もございますけれども、それ以後、年度末までに、どれだけ予備費という形で使用しなくて済むかということを考えざるを得ない。そこで補正を組む場合に、予備費を減額いたすということが、いわば理論的に当然ということになってまいります。私どもも補正予算を編成いたします際には、できるだけ追加的な公債の発行ということを避けますために、補正予算の際に、予備費の減額を行っておる。その金額が先ほどお示しのように、五十年度につきましては一千億、五十一年度には千四百五十億、五十一年の公共事業等予備費については百五十億、かようになったわけでございます。  補正予算の編成の時点で、所要見込み額を超える部分というものが、いかほどあるかということも、これまた予見しがたい予算の不足というのを賄うのが予備費の本来の性格でございますから、したがって正確に見通すことは、むずかしいわけでございますけれども、災害復旧費につきましても、国会の予算御審議をいただきますお立場を尊重いたしまして、補正の際には、予備費から外しまして、これを事業費という形で歳出権の追加をお認めいただくという形をとっております。その見合いで公共事業等予備費も減額いたしておる、かような次第でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 だから、それでいいんだというのにしては、合計して五〇ないし七〇%以上が、不用額になると同じような結果になるような予備費の組み方というのは、もっとこれはぐっと幅を縮めるように努力するのが当然だと思うのです。だから、いいんだと思って過ごしていたのでは、予備費ですから困る。これは大臣から、後でもう少し詰めるということを答弁いただかなければ困ると思いますが、このままでいいのだ、一・五だ、一・八五だからいいんだというのでやったにしては、いま言った不用額に相当するものが、五〇なり七〇以上になるということが、そのまま許されて、だからいいんだ、いいんだで進んだのじゃいけない。これを縮めることを考えることが、予備費を正確に算定するたてまえだ、こういうふうに考えますから、したがって、これは後で答弁いただきたい。  二つ目に、公共事業費の予備費について、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費は、当時の大蔵大臣は、当初予算の段階で、公共事業をもっとふやすという議論もあったんだが、今後の経済の推移を見るということで一部を予備費にした、不確定要素の多い経済運営の緩衝地帯として予備費を設けた、こういう答弁が当時大蔵大臣からあったのです。また公共事業等予備費を創設して、予備費全体、四千五百億円ですが、その構成比を一・八五%に高めて、一般会計予算二十四兆二千九百六十億円に対して、景気に機動的に対処しよう、そういう説明もあって、予備費というものは新たにつくられたわけです。  その効果は一体どうだったかというと、私は四千五百億円の予備費をやったからといって、その効果があったとは思わない。具体的にどんな効果があったか、景気がどんなによくなったか、こんなものは、実は大蔵大臣はそう言ったんだけれども、実際には効果を上げていないと私は思うのですが、昭和五十一年度一般会計公共事業費等の予備費使用総額約千二百六十八億円ですね。そのうち、災害復旧事業費及び冷害に伴う河川事業等に使用した額は約千百二十億円です。このような使用の仕方というのは、わざわざ事新しく公共事業等予備費を計上しなくても、災害復旧事業費は従前どおり一般会計予備費に計上すればいいという反省が生まれていると思う。そうしなければいけないと思いますが、この点はどうですか。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 公共事業等予備費を五十一年度予算に計上いたしました趣旨は、先生からお示しもございましたし、先ほど来大臣から御答弁を申し上げておるようなことでございます。  ところで、公共事業等予備費を何に使用いたすかということでございますが、これは五十一年度一般会計予算総則の十五条によりまして、予算総則七条に掲げる、すなわち、財政法四条に言う公共事業費の範囲に限定をいたす。そこで、公共事業費として予算総則でお決めいただいております、それぞれの項だけに限定をしたわけでございます。この項の中には、事業費のほか、いわゆる災害復旧事業費を含んでおります。  ところで年度の経過中に十七号台風、冷害その他非常に大きな規模の災害がまいりましたので、結果といたしましては、公共事業等予備費は、あらかた災害対策に使用したわけでございます。これであれば一般会計の三千億の予備費をもって措置できたではないかという御指摘でございますけれども、災害対策に必要といたしました経費は、補正の追加千四百三十億、この中には農業共済を含んでおりますが、千四百三十三億、一般の予備費が六十億弱、それから公共事業等予備費が救農土木を含めて千二百四十八億でございますから、全体として二千七百億を超える金額を、そこで賄ったわけでございます。  一般の予備費三千億をもってしては、とうてい賄い得なかった、財源的にはそういう事情にございましたし、また公共事業等予備費の中身、使用、この公共事業等予備費の設置の趣旨からいたしましても、これを公共事業として、予算総則でお決めいただいた各項の金額の不足に充てるということでございましたので、災害が起こって、その災害の復旧が緊要である、必要があるということから、これを災害対策に充てたことは、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、非常に効果があったというふうに私どもは考えております。  年度の途中で、景気が非常にぐあいが悪くなってくることが、万一五十一年度の経過中にあったといたしましても、景気対策的に公共事業等予備費を使用するということがあったかどうかという点につきましては、これは仮定の問題でございますし、過ぎ去った年度のことでございますから、何とも申し上げられませんけれども、災害対策に使われました公共投資としても、やはり、いわゆるGNPベースの粗投資と申しますか、グロスの政府投資というものの中には入ってまいるわけでございまして、それなくして、たとえば四条公債を追加して災害対策を行う場合というものに比べれば、公共事業等予備費をもって災害対策の費用を賄ったということの方が、より財政としては、五十一年度に関しましてはよかったのではないかというのが私どもの考え方でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 そんなのは結果論なんですよ。少なくとも予備費を組むときに四千五百億の予備費をやる理由は何だ、こういう景気だから、機動的にいわゆる運用できて景気に寄与したい、それを災害が起きることを予想して、その災害にすぐに復旧のための予算が予備費から出るから——したがって、大蔵大臣が当初言ったような四千五百億円の予備費というものは、景気をよくするために、機動的にこれを運用するのだというのが——災害復旧に使うのだなんというのは予見しているはずがない、結果的にはそうなったんだ。なおさらに、一般会計の予備費の中に、もし、これからも累年統計上ある数字が出てくるなら、その数字の予備費を上げるということでいいんじゃないかという意味ですが、後で一緒に答えてもらいたい。  それから、三つ目に申し上げた公共事業の定義と、いわゆる範囲ですね。昭和五十一年度一般会計予備費使用で、大蔵省所管、公共土木施設等災害復旧事業費の現地査定の立会に必要な経費六千八百三十二万三千円、それから農林省所管、愛知用水施設災害復旧事業に必要な経費四千八百二万六千円、建設省所管、地方道路公社有料道路災害復旧事業に必要な経費一億二千三百九十一万五千円、水資源開発施設等災害復旧事業に必要な経費八千八百六十三万四千円などを使用している。事業内容の現況から見ると、一般会計公共事業等予備費を使用すべきと、私はこういう点からも思うのですが、一体どうでしょうか。いまの論理とあわせていっても、私は、こういう一般会計で賄っていい、こう考えます。  この公共事業等予備費に言う公共事業の定義、その範囲、これが非常に明確ではない。したがって、この際、範囲と、いわゆる定義というものを明確に、ついでにお答えをいただきたい。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 五十一年度一般会計予算総則の第十五条というところで、公共事業等予備費の定義が出ております。「甲号歳入歳出予算に計上した公共事業等予備費は、第七条に掲げる経費以外には使用しないものとする。」その公共事業費の範囲を定めます第七条では、財政法四条三項の規定による公共事業費の範囲は、次のとおりとして、数十項目にわたる項を計上いたしております。これは、それぞれ設けられた項の金額に不足がある場合に、公共事業等予備費を使用するという趣旨で公共事業費が設置されたわけでございまして、したがいまして、公共事業等予備費に言う公共事業の範囲と申しますのは、一般会計予算総則の七条で規定せられている各項に限定されているということでございます。  したがいまして、公共事業的な支出であるから、五十一年度一般会計の予算に計上されていない項、いわば予算外の緊要となった支出を賄う、そういう性質の予備費使用でございますと、この公共事業等予備費をもってしては対処できないという構成になっておったわけでございます。  そこで、いまお示しのありました愛知豊川用水施設災害復旧事業費、これは水資源公団に対する補助金でございます。それから、地方道路公社の有料道路災害復旧事業費、これは各地方道路公社に対する補助金でございます。それから、水資源開発公団の災害復旧事業費、これも水公団に対する交付金でございます。  これらの金額は、その一般会計の予算総則七条に指定しておられますところの各項の外の項でございます。これは災害復旧事業費、たとえば道路災害復旧、河川等災害復旧、そういうものと、おのずから性質を異にしておりまして、先ほども申し上げましたような、各政府関係機関に対する、または地方公共団体の道路公社に対する補助金でございますから、その意味で、災害復旧事業費の項の中には入りきりません。いわば新項を立てる話でございますから、一般会計予算総則をもって定められております公共事業等予備費をもっては対応できなかった。それから、災害の立会に必要な経費四千五百万円についても同じようなことがございまして、したがいまして、これらにつきましては、一般の予備費をもって対処をいたしたということでございまして、これは公共事業等予備費を創設いたしまして、その創設いたしました公共事業等予備費の使途を限定いたしましたことから、当然に生じてまいった事柄でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 最初に申し上げた、いまの現地査定の調査に必要な経費六千八百三十二万三千円なんかが、一体いま説明した範囲のどの法律に入るのかを、それじゃ、これもお答えをいただく。  その次に、財政法第三十五条による大蔵大臣の「所要の調整」というものについて、財政法第三十五条によると、大蔵大臣が各省各庁の長の予備費使用要求を調査して、「これに所要の調整を加えて予備費使用書を作製し、閣議の決定を求めなければならない。」こうあるのですね。昭和五十年、五十一年度一般会計予備費使用総調書、五十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書の中から、それぞれ、どれでもいいですから、項目を選んで予備費使用要求額、予備費の使用決定額、所要の調整を加えた額、具体的にそれを数字を挙げて説明をしてもらいたい。

高橋元大蔵省主計局次長

○高橋(元)政府委員 財政法三十五条第三項の規定では、いま先生からお話のございましたように、「大蔵大臣は、前項の要求を調査し、これに所要の調整を加えて予備費使用書を作製し、閣議の決定を求めなければならない。」ということに相なっております。その「所要の調整」とは何をするかという御質問でございますが、これは各省各庁の長から提出のございました予備費使用要求書につきまして、理由、金額、積算の基礎というものを明査してまいるということでございます。  もう少し詳しく申しますと、「予見し難い予算の不足」という財政法二十四条の規定に適合した経費であろうかということが第一でございます。それから、そのような経費の支出に緊要性があるか、つまり年度内にそのような経費の追加をやる必要があるかということ。第三に、そのような目的を達するために必要として、要求のあります金額の積算が妥当かどうかということでございます。そのほか形式的な調整ということも、もちろん必要でございますが、さような観点から調整を行っておるわけでございます。  任意に、具体的な調整の過程を明らかにせよという御指示でございますので、申し上げますと、建設省の所管では、たとえば五十年と五十一年度直轄道路災害の復旧事業というものを見てまいりますと、災害復旧は、御案内の費用負担法によりまして原形復旧ということが原則でございますが、必要に応じて改良復旧をやってまいるということでございますから、したがって、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第二条というものに、災害復旧事業の範囲というものが定まっておりまして、要求に係る事業が、そこで言っております災害復旧事業の範囲を越えた改良復旧に当たっていないかどうかということを、まず調べます。六条で少額な災害であるとか、施設の維持管理が非常に怠慢であるために起こった災害であるとか、効果が十分に出てまいらないような投資であるとか、そういうものを適用除外にいたしておりますので、そういう適用除外に該当していないかも、また調査いたします。  そのようにして、建設省の直轄道路災害だけとり出して申し上げますと、五十年度災害では、当初事務的に話がございました金額が十一億四千百万円でございました。これに対して、予備費の使用を閣議で決定いたしました金額は、九億二千三百万円というふうに約二億円、約二割の削減をいたしております。五十一年災害は、公共事業等予備費でございますが、これは持ち出された金額は四十億二千五百万円でございましたが、これに対して予備費の使用を認めました金額は三十一億九千七百万円、ここでも約二割というものが調整の対象になっておりまして、これらは、いずれも主として改良復旧部分というものを、通常の道路事業でやっていけるものではないかという形で、災害復旧から五カ年計画事業の方に回したということが主たる要因でございます。  農林省で申し上げますと、これは大豆なたね交付金を五十一年度予備費で五億二千万円使っておりますけれども、これは基準価格と標準販売価格の差額を、調整販売段階を経由して生産者に交付する大豆なたね交付金法に基づく交付金でございます。したがって、標準販売価格が現実予算で決めました金額よりも下回ってまいるという場合には、交付金の単価がふえていくという形になっております。  実例で申し上げますと、五十一年度の交付金の対象になりましたのは、五十年産大豆と五十一年産なたねでございますけれども、基準価格は大豆につきましては、予算どおり九千六百七十二円、なたねにつきましては、予算を約六百円上回りまして九千八十円というのが基準価格だったわけです。ところが、販売価格が予算で見込んだ金額をかなり下回りまして、したがいまして、交付金の単価が予算では、大豆について二千八百三十七円と見ておりましたのが、実績では四千三百八円であった。なたねにつきましては、予算で二千八百四円と見込んでおりましたのが四千二百三十七円、約五割増になった。そこで交付対象数量は、若干予算で見たよりも減少いたしましたが、全体として五億一千九百六十六万円の予算額が不足する。  その部分は、法律に基づく交付金でございますから、年度内に支出が必要である、緊要性を備えており、かつ「予見し難い予算の不足」に当たる。積算の内容としても、法律で定まっておる基準価格、標準販売価格、販売数量というものから算出をされるものである、そういうことで、これは農林省から法律どおりの積算で提出されまして、そのとおり認めております。したがって、調整額はございません。  しかしながら、このほか各般の予備費使用の項目があるわけでございますが、一々細かく立ち入りまして、ただいま申し上げましたように、三つの観点から調整を行っておるというのが現実でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 「所要の調整」と、その範囲というのを疑義がありますから、もうちょっと次の機会にお伺いします。「所要の調整」というわざわざほかにない言葉を使っているわけですから、その範囲に関する問題というのを、もうちょっと詳しくお聞きしたいと思います。  大臣に答弁を願いたいと思いました第一の不用額に相当する額の多い点に関しては、やはり縮めるという点で検討していただく必要があると思いますが、この点はどうですか、大臣から。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 予算編成に際しまして予備費を一体幾らにするかということ、これは非常に大事なことだと思います。いま御指摘のとおり、その予算を執行した後で予備費がたくさん残るということになりますと、何だ、予算に入れるべきものを予備費ということで計上しておいてというような疑いを残すということも、これは必ずしもないということではない、そういう疑いをされるということもある。ところが、その予備費を、ほんのわずかなところで予備費が足りないというようなことで、足りなければ国会を開かなければならぬ。国会を決して忌避するわけでも、国会を逃れるつもりも毛頭ございませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、わずかなところで国会を開くということは、国としては、これはまた相当な手続やいろいろな関係の生ずることでありまして、何もわれわれは国会を忌避するとか、そういうつもりはなくとも、これまたそういうことになるということで、予備費を一体幾らにするかということを御指摘を受けまして、初めて私は、これはなるほど大変大事なことだ、こういうふうに考えております。  しからば一体幾らか。予算の規模にもよりましょうし、そのときどきの経済情勢にもよりましょうし、何ともこれは数字的に幾らの予備費が適正であるということを申し上げかねますけれども、そこのところを余り大きく残るということはよろしくないし、さりとて足りないということもよろしくないし、これは非常に真剣なる態度でもって予備費には対していかなければならぬということを私は考えております。ただ数字的に、これは三十兆の予算なら幾らとか、あるいは二十五兆の予算なら幾らとかいうことにも踏み切るわけにもまいりませず、非常に慎重に考えてまいらなければならない重大問題だということを、いま考えておる次第でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 予備費に関しては、結論的には縮める方向で予備費の編成に当たるということが、政府の心構えとして当然だという意味で申し上げているのですから、それはまた締めくくりのときに申し上げます。  そこで、北富士の二百十ヘクタールの国有地の払い下げ問題に、これからの時間全部つぶしてお伺いをしてまいります。  この問題は、残念ながら、ただ、ある部分をつかまえていろいろ質問をして、過去と現在と将来にわたって適正な答えが出るかというと、出てこない。そのときそのときを、まあまあある意味ではごまかし、ある意味では事なかれ主義で答弁を済ませるということの積み重ねを、今日までずっとやってきた。いままでの委員会、あるいは質問書等を通じてのいろいろな答弁書、あるいは委員会の記録等を読んでも、結果的には、これじゃだめだというふうに考えます。  したがいまして、ある程度今日までをずっと一貫して、いままで通ってきた道を明瞭にしながら、その間で、この点はどうですかという質問をこれからしてまいります。したがいまして、皆さんにとっては大変もう何回も聞きなれたことを言う場合もあります。新たにおやと思う質問をすることもあると思います。そのつもりで、ひとつお聞きをいただいて、ただ冒頭から具体的な、これはどうだ、これはどうだという質問の形式をとりませんので、私と一緒に、この問題を検討するつもりで、いままでの足取りもずっと申し上げますから、あるいは組合なり、あるいは県なりというものが考えていることに対する批判も加えていきますので、その批判に対して反論がありましたら、その反論もぜひ聞かせていただくようにメモをしていただきながら、ひとつ真剣に御答弁をお願いしたいと思います。  結論的に申し上げますと、とにかく今日までずいぶん長い間、いまだに解決していないどころか、ある意味では深刻な様相を呈して、もうこれ以上にっちもさっちもいかないような状態に、賛成とか反対とかいうようなことの状態が、もうすでに定着するような事態になってきています。  それで、この状態を万が一、国有地払い下げという一点にしぼって考えますと、三年も四年もかかりながら、今日までずっといろいろな問題を論議して、なおかつ、それが解決しないまま、ここで払い下げ等の決定が行われますと、現在なら、何かの期待を持ってじっとがまんしているものが、残念ながら、ある一つの決定を契機にして爆発的に問題が昔に戻るというよりは、もっと熾烈なものになるおそれがある。  政治がある以上は、少なくともそのことが予見され、ある程度わかるというときには、それに対する十分な手当てを行い、十分な審議を行って、そしてもし反対があり、賛成があるなら、その両者ともに納得するまで、やはり十分に話をさせ、われわれも提案をし、十分な検討を加えた上で、これが最終的な解答ではないか、とにかくいつまでもやっていることの不利を考えて、早期にここらで、きれいに問題の解決をしようではないかという解決のためのテーブルに着かせるような仕事も、政治の場にある者の当然の任務です。  今日、予見されるいろいろな事態があるのに、それを放置したままで、大蔵省に決定権があるからというので、国有地のむやみな払い下げ決定などは、断じてすべきでないという立場に立って、これから申し上げてまいります。  私も政党人でございますから、同時にこんなことを反省しています。社会党には社会党の、従来からの決定があり、方針があります。自民党には自民党の、党議決定ではないのですが、一部の人々、グループによる、これに対する考え方と方針がある。これが、ある面では大蔵省にも反映する。山梨県にも反映する。あるいは違う団体にも反映をしている。現在の政界の状態を見ますと、新自由クラブが誕生したように、保守そのものも何か脱自民党、脱既成政党といった状態で非常に大きく動揺をしている。革新、社会党もまたその例外ではありません。見方によっては、近くいわゆる歴史的な政界再編成時代が来るのではないか。なるほどそんな感じがしないでもありません。脱自民党だ脱保守だと言いながら、新しいグループが既成政党から離脱をしていくということが起きていることも事実です。  しかし、このときに、既成の自民党であろうと社会党であろうと、もしいままでの決定なり方針、あるグループの考え方が過ちであるなら、それに大胆な調査、検討を加えて、正しい方向にみずから改革していく、社会党員であろうと、自民党員であろうと、やはり自民党の過ち、あるいは自民党の、いまの体制なり実情に合っていない動きを一部がしているなら、それに対して自己改革を自分みずからやっていく、社会党も全く同じ、私はその決意であります。  そのことを大衆に示すことによって既成の自民党、社会党あるいは公明党、何々党というものに対する大衆の信頼感というものが再び戻ることはあっても、既往にかかずらわって、いままでこのグループがこう言っているんだから、ある人間的なつながりによって、その人間がこういう動きをしたんだからということで、それが本当に現時点において正しいかどうかということの十分な検討もされないまま、その人とのつながり、そのグループの動きに、従来と同じパターンでついていくということを原茂が、あるいは自民党の委員諸君がやるようだったら、ますます政界再編成といいますか、脱政党的な動きを助長していくというふうにすら、私は考えますので、社会党に過ちがあるなら大胆に、私は、その社会党の既往の過ちを正す決意であります。  同時に、自民党の諸君にもお願いをしたいのですが、どんなことがあっても、自分自身で自分の政党の過ちなり、あるいは検討不足があったとするならば、それに謙虚な気持ちで検討を加えていく、そうしていままでが正しかったならば、自分自身の検討によって、その正しい方にくみしていくというような謙虚な態度があって初めて自己改革なり大衆の新たな信頼を、われわれ既成の政党がかちとることができる非常に大事な段階にいま来ていると私は思う。  この二百十ヘクタールの国有地の払い下げ問題に関しては、各既成政党に対する好個の事例であります。これをとらえて、私は私なりに、あるいは自民党の諸君は自民党の諸君なりに、特に決算委員なら決算委員として、国のいまやろうとする方向に対して、今日までの足取りに対して、これで一体いいのかということを決算委員会の権威にかけても、いまこそ検討する好個の事例が、この二百十ヘクタール問題だ、このようにすら考えて、私はきょうは、この点に関してのみお伺いをしてまいります。  冒頭申し上げたように、いままでの足取りというものを一通りはさみながらの質問になりますので、いきなりこの点は、といった質問に入りますから、退屈でしょうが十分にまた新しくお互いに勉強するつもりでお聞きをいただき、真剣に御答弁をちょうだいするように、あらかじめお願いを申し上げておきます。  私は、去る四月の二十七日、当委員会において北富士演習場の国有地二百十ヘクタールの払い下げ問題について質問をいたしましたことだけについて、いま申し上げたように質問をするわけであります。  まず、いわゆる閣議了解なるものが、問題の一番の中心になるのであります。したがいまして、皆様はもうよく知っているはずですが、閣議了解というのは、どんなものであるかというのを、もう一度私から一応申し上げてみたい。  「昭和四十八年三月三十日 政府は、北富士演習場の自衛隊及び米軍による使用について、その正常化をはかり、併せて演習場の使用と周辺地域の発展とを両立させるため、次のとおり措置するものとする。  一 本演習場は米軍から返還を受け、引き続き自衛隊の演習場として使用するとともに、米軍に対しては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条四項(b)の規定に基づき使用を認めるものとする。  二 前記一の措置に伴い、国道一三八号線寄りの国有地約二一〇ヘクタール及び富士山頂寄りの県有地約一、三〇〇ヘクタールは本演習場から除外するものとする。  なお、将来米軍が本演習場を必要としなくなったときは、本演習場内国有地等の地元利用面積の拡大について改めて検討する。  三 本演習場の使用と地元民生の安定とを両立させるため、山梨県及び演習場周辺地方公共団体(富士吉田市、山中湖村、忍野村及び富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合)に対し、次の措置を講ずるものとする。  (一) 周辺整備事業の実施については、この地域の特殊性に立脚した地元の要望を勘案し、積極的に推進するものとし、これに必要な助成措置を行なう。  (二) 前記事業に対する地元負担の軽減をはかる等のため、関係法令の運用の改善等について積極的に検討する。  (三) 林業整備事業を実施するため、国有地約二一〇ヘクタールの払下げを行なう。」  これが問題の払い下げであります。  「附記」としまして、「前記周辺整備事業に対する山梨県案は障害防止対策事業、道路改修事業及び民生安定事業等総額一三〇億円であるが、政府はこれを尊重し、昭和四十八年度から山梨県と協議のうえ、具体的計画を樹立し、予算の範囲内において実行に移すものとする。」  これはもう皆さんもお持ちで御存じだと思いますが、間違いありませんか。

田口正雄防衛施設庁総務部施設調査官

○田口説明員 施設庁の田口でございます。間違いございません。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 さて、この閣議了解に基づきますと、第一の要点は、地元民生の安定であり、地元民生安定に対する効果を検討せずに、安易に、ただ林業整備事業の実施、すなわち、民生安定だ、あるいは富士吉田恩賜林組合への払い下げ、すなわち、民生安定なんだという考え、ただ林業整備計画の適否や、払い下げ価格だけを検討するならば、それは閣議了解に基づく払い下げ問題の処理としては、きわめて当を得ないやり方だ。閣議了解を全くないがしろにしたとも私には思える。北富士演習場返還国有地払い下げ問題の処理は、地元民生安定に対する効果の有無にまで、あるかないかにまでメスを入れて、慎重かつ公正に審議、決定されなければ何にもならない。閣議了解は生きてこない。  したがって、この地元民生安定が第一義的目標であるとの政府見解は、さきに、わが党の神沢参議院議員及び鈴木参議院議員の質問書に対する政府の答弁書に明らかに書いてある。この観点に立って、大蔵当局が目下進めつつある山梨県への払い下げは、私の詳細な調査、検討の結果、一つには、地元民生安定と直結しない。二つに、関係住民の生活の安定、福祉の向上に寄与しない。三つに、閣議了解の意図した目的に反する結果をもたらすもの。こう断ぜざるを得ないのであります。これが、私のいままで調査した結論であります。  かつて防衛施設周辺の整備等に関する法律案が審議されましたときに、当時の防衛庁長官は松野さんでした。次のように述べています。「ずばりいって、安保問題は一応の条約ですから、ある意味においては年限というのがあります。しかし、自衛隊の存在というのは年限はないことですから、したがって、まず自衛隊問題を中心としてこの法律を提案したわけであります。」衆議院の内閣委員会の昭和四十一年、こう答えている。  つまり、米軍の演習場ならいつかは返還という事態もあり得る、だが自衛隊の演習場になれば、演習場地域は半永久的に、長期にわたって使われるので、この期間中、地元関係住民は、同地域の使用から排除されて、長期間にわたって、関係住民の生活安定と福祉向上が阻害され続ける事態になるということを松野長官は言ったのと同じだ。  わかりやすく言いますと、閣議了解が、地元民生安定を特記、地元民生安定というのを特に書いた、いままでに前例がない。その意味は、自衛隊による演習場使用が、たとえ長期にわたっても、地元関係住民の生活安定と福祉向上を現状より、つまり閣議了解のなされた昭和四十八年三月三十日の時点の状態よりも悪くしないことを約束した。その上に二つ目には、現状よりもよくする。しかも、それを長期にわたって保証するということが、地元民生安定を特記した、いわゆるせんじ詰めた二つに分けることのできる要点だと思います。  演習場使用と、地元民生安定を両立させることを意図したそれが、その具体的裏づけとして、巨額の周辺整備事業助成百三十億円、国有地二百十ヘクタールの払い下げを打ち出したものと解していいと思いますが、この点、いかがですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 地元の民生の安定を期してということでございますが、その地元民生の安定を期するために、現在考えておられる山梨県の計画は、この土地において林業を実施することによって自然環境を保全し、地元産業を振興して住民福祉の向上に資することを目的としておりますが、これは地元関係者と、ある程度の話し合いをした上で策定されたものだということを私どもは考えております。  大蔵省といたしましては、山梨県が地元の要望にこたえつつ、地元と一体となって住民の福祉向上に資するよう、この地において林業の経営に当たるということは、地元民生の安定につながるものと考えておるものでございます。さような考え方でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 私の聞いたのは、そんなことを聞いたんじゃない。いままで申し上げたように、地元民生安定というものを、あの閣議了解が特記をした、特に記した。その意味は、ここにあるんじゃないかなということを言っただけで、山梨県が何か事業をやって、それが民生安定になるかどうかは、これから聞きます。一つ一つ聞いてまいります。大臣のそのお答えも当を得ていませんが、後でまたついでにお答えをいただきます。  したがいまして、国有地払い下げ問題の処理に当たっては、第一に、周辺整備事業、さらには借地料、林雑補償費、自衛隊への使用転換後にとられた、いわゆる演習場対策が、地元関係住民の生活安定と福祉向上を将来にわたって保証しているか否かが総合的、全般的に検討をされなければいけないと思います。これから検討します。  第二に、国有地払い下げ措置そのものが、地元関係住民の生活安定と福祉向上を確実に実現するものであるか否かが詳細に検討されなければいけないと思いますから、これから検討をいたします。  第三に、林業整備事業が地元民生安定の具体策として、いま特定されている。間違いなく具体策として、林業整備事業というものは特定されているわけですから、提出された林業整備計画というものが地元民生の安定と福祉向上を図るものかどうかということ、いま大臣は図るのだと言ったのですが、その図るものか否かを、これも詳細に検討をされなければいけないと思いますので、これから逐次検討を一緒にしていただきます。  そこで、まず山梨県への払い下げの根拠条文についてお尋ねしますが、山梨県へいま払い下げようとなさっている、その根拠条文についてお答えをいただきたい。県を対象として払い下げる場合、予算決算及び会計令のどの規定に基づいて払い下げるかを、まず第一にお答え願いたい。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 お答えします。  今回大蔵省が考えております当該二百十ヘクタールの国有地を県に払い下げる、まあ県が、これは林業整備事業を行うために、その用地として払い下げるわけでありますので、予決令の九十九条の第二十一号による「公用」に供するため、必要なものとして払い下げるわけであります。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 では、その二十一号に基づいて県が随意契約によって払い下げを受ける場合、それは二十一号に規定する「公共用、公用又は公益事業の用」のうちの、いまおっしゃった「公用」だという答弁があったわけですが、公用に間違いございませんか。  それから、同法によりますと、必要性と直接性とを要件としていると思いますが、この点についてもお答え願いたい。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、県が林業整備事業を行うために払い下げるわけでありますから、公用のために払い下げるわけで、それを「直接に」その「公共団体又は事業者に」売り払う。これは直接に、そのために公共団体に売り払うという場合に該当するわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 そこで、閣議了解後に実施されました例の百三十億の周辺整備事業を中心とする演習場対策と民生安定のための具体的諸措置ですね、山梨県富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合、これは恩賜林組合と、これから言いますが、地元三市村、地元入会団体別に調べてみようと思うのです。  演習場使用に伴う直接、間接被害に対する措置としては、県に周辺整備事業の助成をした、恩賜林組合に対しても同じです。地元三市村に対しても全く同じ。地元入会団体、これに対しては林雑補償をやっている。しかも、これは演対協会長に一任した者のみに支払われるという形に途中から変更になりました。  二つには、演習場地域が使えないことに対する措置がある。県は貸し地料。これはついでに言いますと、林業経営が可能な貸し地であります。恩賜林組合も同じく貸し地料。地元三市村に対して基地交付金。地元入会団体に対しては何にもしていません。  三つ、これまでの演習場使用がもたらした被害、損失の回復のための措置としては、県は周辺整備事業の助成、関係法令の弾力的運用によるといった、さっきの説明したものですね。そうして恩賜林組合に対しても、同じく周辺整備事業の助成であります。地元三市村に対しても同じである。地元入会団体には何もありません。  ここに挙げられている周辺整備事業の中身は、いずれも道路、河川関係事業が大半であります。その他のものは消防施設、ごみ処理施設、産業会館、公民館、児童体育館、保育所、青少年施設、老人福祉施設というようなものがある。  以上を見てわかるように、これらは地方公共団体の財政安定を図るのが主点になっている。直接関係住民の民生安定に寄与はしていない。間接には、回り回って寄与することはあるでしょう。しかし、周辺整備事業としては、貴重な国費を使っておきながら、公共団体の財政的な安定を図っているというのが実績であります。  本来、真の対象者というのは、あくまで地元関係農民なんです。つまり、地元入会住民なんです。閣議了解の趣旨というのは、これら地方公共団体を通じて地元民の民生安定を図るというはずなんです。いまやった事業が、間接的には、こういった効用がないとは言いません。ここで地元民生安定に対する周辺整備事業の効果度、一体どのくらいの効果があったか、これをひとつ具体的に申し上げてみる。  その根幹として位置づけられるべき関係地元入会住民の民生安定、すなわち、生活安定施策は皆無なんです。ないんです。すべてが地方公共団体の、いわゆる民生安定事業となっているのです。  言うまでもなく、民生安定の根幹、これは住民生活の安定であり、その対策なしに、地方公共団体の民生安定事業だけで、それが代行できるものでは絶対ない。絶対ありません。いま日本じゅう、どこの自治体を見ましても、こういうふうな施設をつくったから民生安定なんだ——非常に長い間演習場にされ、生業のもとを取り上げられ、苦しみ苦しみ抜いて、いまはもう土方だ、それ何だという日雇いの仕事以外には、生活のすべのないような苦しみをしている人間に対して、施設をつくってやりました、児童福祉館をつくりましたということが直接民生安定につながるとお思いになりますか。  私は公平に見て、これは、いわゆる地元民生安定というものにはなっていない。地元民生安定事業は進んだに違いない。しかし、あくまでも補助的なものが地元民生安定事業なんです。住民の生活安定があってこそ、初めていわゆる真の民生安定に寄与するものだと私は信じます。道路や施設がどんなにりっぱになっても、それだけでは演習場で、さんざん痛めつけられてきた関係地元入り会い住民の生活は、少しも安定はしない。  二つ目に、さらに指摘するなら、関係入会地元住民に対しては、演習場の存在によって、この三十年余の間、入会地の利用による豊かな発展が阻害されたために、生産向上、生活安定どころか、農畜経営の縮小、転換、日雇い土方の恒常化という状態にされた、これまでの莫大な損失についてさえ、何らの補償も配慮もされていない。そればかりか、林雑補償ですら、新たに作成された横浜防衛施設局の処理要項、一方的にこれが決まりまして、交渉当事者資格を奪われてしまって、演対協会長にすべてを一任しなければ、その林雑補償費ですら手に入れることができなくなっている。  そこで、お伺いしますが、北富士演習場に関する補償金等のあり方は、調査すればするほど納得しがたいものがあります。  そこで会計検査院においでいただきましたが、お尋ねもしたいし、厳重な調査をお願いをして、また、その調査の結果を、後日お答えをいただきたいと思います。  その第一は、林雑補償費についてであります。防衛施設庁は、当委員会の要求にもかかわらず、個人の秘密に関するからという口実で、林雑補償の個人別明細の提出を拒否しています。いまだに出しておりません。  次に、五月七日の朝日新聞の報道によりますと、富士吉田市の市民十七人が、実損もないのに林雑補償金をもらうわけにはいかないとして、ついこの間、この補償金を横浜防衛施設局に返還をしています。  三つ目に、さらに、これは仄聞ですが、上吉田入会組合長の藤井徳次氏なるものが、演習場に草も、そだも取りに行かないのに、実損があるとして補償申請をするのは良心に背くとして、五十年度の申請を拒否しております。  以上の点から見て、北富士の林雑補償金については、重大な関心を持たざるを得ません。ある意味では、重大な関心を持たざるを得ないときにまいりました。重大な事態が発生をしたと言っても間違いありません。  その第二は、周辺整備事業そのものについてであります。  その一は、特に重大な関心を持たざるを得ないのは、吉田口の登山道沿いの神田堀、まま堀に対する山梨県に対する障害防止工事の助成なんです。この工事について、すでに地元民渡辺孝基氏からも補助金等適正化法の違反ではないか、違反であるというので告発されておりますし、また、私の同僚議員の調査によっても、渡辺氏の言う、いわゆる補助金等適正化法に違反をしているのだという疑いが非常に濃いし、私はそうだと思います。  いま申し上げた諸点について、軍人林同様、検査院の徹底的な調査をしていただきますが、それをやっていただく、やっていただかぬの御返答と、これに対するお考えを検査院としてお答えをいただく。

前田泰男会計検査院事務総局第一局長

○前田会計検査院説明員 私、この前自治省所管の際、二局長並びに防衛施設庁に対しまして御質問がございましたときに一応同席させていただいておりますので、これは二局の所管でございますけれども、一応お答えさせていただきます。  いままで先生がおっしゃった内容から判定いたしまして、やはり会計検査院としては、調査すべきものと私、考えます。したがいまして、帰りましてから、二局の方に伝えさせていただきたい、このように考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 調査の結果を報告させてください。

前田泰男会計検査院事務総局第一局長

○前田会計検査院説明員 そのように伝えます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 以上で明らかなように、百三十億円にも及ぶ巨額の周辺整備事業助成を行いながら、それは、事業助成の根拠とされた肝心の地元関係農民には直接寄与していない。わずかに彼らの福祉向上に間接的に寄与しているにすぎないという結論は、おわかりいただいたと思う。これでは、当然演習場の長期使用に見合った地元関係住民の現在及び将来の生活安定策は、少しも周辺整備事業においては実行されないということが判明いたしました。  とすれば、地元関係住民の生活安定というのは、閣議了解が決めたもう一つの地元安定策たる、いま問題の二百十ヘクタールの国有地払い下げ措置いかんにかかっている。この二百十ヘクタールの国有地の払い下げいかん、その内容によって民生安定が、今度は実現するかどうかがかかっていると言わなければならないのであります。いままでは、直接民生安定に寄与していない。いるならば後でお答えをいただいて結構ですが、いるという証明を願いたい。断じて直接民生安定には寄与していない。とすれば、あと了解事項が決めた二百十ヘクタールの国有地の払い下げを通じて、今度は本当に民生安定に寄与するようにしてやるかどうかが、これから決まる。  ですから、二百十ヘクタールは非常に大事です。私たちと同じ日本人に対して、われわれは残念ながら、ある意味では幸いにもそんな不幸な目に遭いませんでした。彼らは不当に抑圧をされ、不当に自分の生業のもとであるものを、あっちへ行きこっちへ行き、勝手気ままに国の安保条約その他の方針によって左右されたままで、今日四苦八苦生活している気の毒な数多くの私たちの仲間日本人、この人々に対して、いままでの周辺整備事業が、本来的に直接的な民生安定に寄与していないことがおわかりいただけたと思えば、二百十ヘクタールの今度の国有地払い下げを通じてこそ、今度本当に彼らの民生安定に寄与するようにしてやろうと私は考えますが、当然われわれ政治の場にある者のこれは任務だ、このように私は考えております。  この二百十ヘクタールは、五十一年三月ごろまで、去年の三月ごろまでは、三年にわたって恩賜林組合を払い下げ先として、ずっと作業が進められてきたのです。当初から山梨県を払い下げ先としていたのではない。いまは山梨県だ。去年の三月までは、恩賜林組合をずっと払い下げの対象にして作業を進めてきたのですよ。ところが、国有財産中央審議会の審議を残すだけのところへ、日本社会党軍事基地対策特別委員会小委員会の報告が出されて、同組合への払い下げは閣議了解に反すると指摘されるなどのことがありまして、各審議会の了解を得ることが非常に困難になったということも原因して、恩賜林組合への払い下げは取りやめになった。  いま申し上げた社会党の北富士小委員会報告の要旨、これも全部読むのは大変ですから、かいつまんでその要旨を申し上げてみますと、一つは「恩賜林組合の林業整備計画は地元民生安定にならない。」二つ目に「恩賜林組合の返還国有地取得は地元民生安定に直結しない。」三つ目に「恩賜林組合への払下げは、法の禁じている国有財産を政策実現の手段に利用した典型的ケースであり、そのような違法は許されない。」この三つに要約できるのが、いわゆる小委員会の報告であります。恩賜林組合への払い下げが取りやめになった非常に大きな主因の一つになっております、この報告であります。こうした批判が出される中で、閣議了解後三年にわたって進められてきた恩賜林組合への払い下げは、いま申し上げたとおり振り出しに戻った。  その後、山梨県選出国会議員団のあっせんによりまして、山梨県への払い下げの方向で国と県との間で話し合いが進められてまいりました。ここで重要なことは、このあっせん案は事態収拾策であって、県への払い下げが、閣議了解の目的に照らしても適正であるかどうかを決定したものではないという事実であります。その理由は、この払い下げは、県を土地所有者にすること自体を目的にしているものではないのです。県への払い下げを通じて地元関係住民の民生安定を図るためなのであります。したがって、その適否は、あくまでも県への払い下げが地元民生安定になるかどうか、地元関係住民の生活の安定と福祉向上に寄与するかどうかによって判断されなければならないはずであります。  政府は、山上施設庁長官が四十五年七月に、恩賜林組合への払い下げを密約した覚書、これにとらわれているんじゃないかと、いまでも思うのですが、閣議了解の地元民生安定を、ただたてまえと考えて、地元民生安定の検討というのは、たな上げにして、抜きにして、もっぱら県への払い下げのためだけを考えているのが現状だと私は思う。その節がいっぱいあります。県もまた、県への払い下げを受けた後、恩賜林組合に払い下げることのみを考えて、住民の民生安定を第一義に考えている様子は何一つ見受けられません。  以下、具体的にその内容を検討しながら、政府の見解を徐々にお伺いしてまいります。  その一つは、県が作成しました「北富士国有地払下地区、林業整備計画の基本的考え方」の「一、計画の基本方針」に次のように書かれています。「この地区の林業整備については、その払下げの趣旨に即し、土地の現況及び自然的立地条件を考慮し乍ら、森林の有する木材生産等の経済的機能と国土の保全、保健休養及び自然環境の保全形成等の公益的機能とを、総合的かつ効果的に発揮させ、地元民生安定に寄与するよう実施するものとする。」なかなかいいことが書いてあります。  そして「二、計画の大綱」では、この地区を「普通施業林、特殊施業林、保全林、展示林、環境緑化樹園及び特用林に区分し、それぞれの利用区分ごとに十分な効果をあげるよう努力する」として、具体的に「一 木材生産機能の増強(普通施業林の造成)」「二 公益的機能の確保(特殊施業林、保全林の造成)」「三 地元利用施設の整備(展示林、環境緑化樹園及び特用林の造成)」の三点を挙げています。特に「地元利用施設の整備」の項では展示林、環境緑化樹園、特用林を隣接して造成設置し、保全林とも連携させながら森林総合利用地区として「地元の民生安定に寄与するものとする」と書いてあります。  地元民生安定に寄与すると指摘されているものを列挙しますと、「一、展示林関係 地元住民等の保健休養的な利用」「二、環境緑化樹園 地元労働力の積極的雇用」「三、特用林関係 キノコ類の栽培に要する原木の供給と山菜類の採取」ということに、大まかに言うとなっているのであります。  以上が、県の計画の大綱でありますが、以前の恩賜林組合の計画に比べて、地元民生安定への寄与が強調されている点だけが特徴的だと思います。しかし、ここでは、作文上の文字をうのみにしないで、計画の内容に即して検討しながら、お伺いをいたします。  地元民の払い下げ地内での農業経営、林業経営は一体どうこの計画で処理されるか。払い下げ予定地内においては、現在忍草入会組合が檜丸尾地区で林業経営を行い、土丸尾地区では、富士吉田市新屋などの農民が農耕に従事しております。  そこで、まず最初に、これらの事実との関連で県の計画を見てみますと、土丸尾地区の畑は、県の計画によれば、わずかの涙金と引きかえに環境緑化樹園、展示林、特用林にされることになっています。県が「地元の民生安定に寄与することに重点をおいて整備する」とした、これらの施策は、実は驚くなかれ、新屋などの農民が昭和十六年開墾以来、営々三十六年の長きにわたって肥培管理してきた畑をつぶして林がつくられるのであります。よくも平然と地元民生安定に重点を置いたと、これで言えるものだと私はあきれ返っているのであります。  新屋の農民たちは、こう訴えています。県の素案は、さきの吉田恩賜林組合の計画よりも、地元民生安定を考慮しているというが、とんでもない。われわれの耕作地を取り上げる点では、県の素案は、吉田恩賜林組合の計画と全く同じである。われわれが長年汗水たらして、ようやく仕上げた上畑をわれわれから取り上げ、しかも、それを環境緑化樹園や特用林、展示林にかえて何が地元民生安定か。また、現在農業基盤の四割以上を、この土地に依存しているわれわれにとって、涙金が一体何の足しになるか。この耕作地を取り上げられることは、われわれにとって墳墓の地新屋を出ていけという追放宣言にほかならない。われわれの耕作地が演習場内にあったときは、一貫してその使用が許されていたというのに、地元民生安定のために払い下げを決めた閣議了解で、演習場から除外されたら、今度はすべて取り上げられてしまうというようなことは、全く百姓をばかにした不当、不法な措置だ、われわれは絶対に許すことはできない。こう新屋の開墾をする農民諸君は訴えているのであります。  地元民生安定が払い下げの目的であると閣議了解でうたいながら、実際には、この長年にわたる汗の結晶たる耕作地を涙金で平然と取り上げるという、われわれ百姓を足げにしたやり方を、われわれは断じて認めることはできない。われわれにとってかけがえのない、これらの耕作地は、閣議了解の払い下げ目的である地元民生安定の趣旨どおり、開墾永小作権者たるわれわれに払い下げられるべきであると信ずると、彼らは宣言もいたしております。  また、檜丸尾地区での忍草入会組合の林業経営については、県は普通施業林に組み入れ、伐期が来るのを待って立木を買い取る計画であるという。立木を買い取ると言えば、いかにも温情的に聞こえるのですが、民法的にはあたりまえのことなんです。何ら温情的な措置でも何でもない。重大なことは、伐期以降は林業経営ができなくなってしまうことなんです。これでは、忍草の農民たちにとっては生活安定どころか、生活破壊につながるわけであります。  彼らは言っている。われわれは昭和三十一年以来、国の一時使用許可を得て、払い下げ国有地内の檜丸尾に植林し、保護、管理を行って今日まできている。この檜丸尾の林業経営が、払い下げ措置の結果、消滅させられたならば、われわれにとっては生活安定どころか、生活破壊そのものなんだ。林雑補償の割合から見てもわかりますように、当忍草部落は、演習場の設置によって、唯一の入会地すべてを奪われたため、完全に村の成長の芽を摘まれ、現在、全村婦女子に至るまで日雇い土方をしなければ生きていけないという、致命的な破壊を余儀なくされています。したがって、部落発展のせめてもの道は、当該国有地の利用以外にありません。  そこで、村の再建整備のため、当該国有地を採草、放牧地、風水害防災林として利用させてもらいたい、そのための必要な手続をいま準備したり、各方面に訴えているところであります。これが忍草母の会あるいは入会組合全体の意向として強く叫ばれているわけであります。  同じように、払い下げ措置の結果、檜丸尾以外の返還国有地内の、われわれの入会地が利用できないということになれば、われわれはこの面でも新しく得るものは何もない。したがって、国有地払い下げによって地元民の生活をよくするという国の方針は、われわれにおいては、現在使用中の檜丸尾地域、それに続くわが入会地の払い下げという形で具体化さるべきであり、それが理の当然だ。そうでなければ、地元民の生活をよくするはずの国有地払い下げ措置によって、ついに、われわれの生活は悪くさせられてしまうものである。われわれは、閣議了解どおり、われわれの生活が具体的によくなる形で払い下げ措置のとられることを強く要求するものであるという、これも各方面に対する彼らの主張であり、涙を込めた訴えなのであります。  以上で明らかなように、県の計画は、払い下げ予定地内に生業上、生活上、深いかかわりを持つ地元民を全く無視しており、政府答弁書が指摘した、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与する趣旨を忠実に実行するどころか、全くその逆を実行するものとなっているのが、この計画であります。  もっとも、県は、国管法、昭和二十七年法律第百十号、第四条二項によって、彼らの使用または権利は消滅したという見解に立っており、その立場から、彼らの耕作地や植林事業の取り上げを当然だと言っているのでありますが、これに対して新屋開墾永小作権者連盟は、この耕作地は国管法によって創設的に認められた耕作地ではなく、昭和十六年開墾以来、肥培管理してきた開墾永小作権の存する土地であり、国管法の規定する消滅すべき権利には該当しないと主張しているのである。ために裁判もいま行われています。  また、忍草入会組合は、本来入会権に基づく植林事業だが、米軍演習場内では国管法しか適用されないので、法形式的に同法を使用して入会植林を実現したものだと主張してもおります。  しかしながら、いずれの主張が法的に正しいかどうかは、ここで検討する中心問題ではありません。何よりも問題にされなければならないことは、県の計画が、国管法の規定だけを厳守して、地元民の生業上、生活上の基盤を奪いながら、一方、地元民の生活安定を図ろうという閣議了解の根本目的の方はないがしろにしたままで作成されているという事実であります。  国管法で彼らの権利が消滅したとするならば、本来その計画の作成に当たっては、県は、閣議了解の根本目的の立場に立って、彼らの農業経営、林業経営が、いまなお生活上不可欠であるという事実を重視して、それにかわる生活安定策を具備した計画を作成すべきなのである。そうしてこそ山梨県民のための県当局であり、閣議了解の目的どおり計画は作成されたことになると私は思うのですが、遺憾ながら、これから申し上げるように、そのようなものは一かけらも具備されていないのであります。県の計画は、払い下げ予定地に生業上、生活上深いかかわりを持つ地元民に対しては、民生安定どころか民生破壊しかもたらさないといったことは、前述したとおりである。  ここで、県の計画をもう少し具体的に検討をしてみたいと思います。  「北富士国有地払下げ地区林業整備計画収入支出額概算表」というのがある。これによりますと、支出総計は二億二千百八十九万九千円、収入総計は七億三千十一万七千円となっております。したがって、約五億一千万円の黒字であります。これはもう皆さんのお手元にも、この計画は出ているはずです。この五億一千万円の黒字の大部分は、普通施業林、特殊施業林、展示林造成による林業経営の収益に基づくものであるとされています。これらの造成あるいは保育費の合計が、原価ですが、約七千百二十万円かかります。収入合計が約五億二千八百九十二万円、差し引きますと、約四億五千万円の収益ということになります。このほかに環境緑化樹園の収益約六千万円もございますが。  ところで、この黒字収益約四億五千万円という数字には、これはすこぶる疑問を持たなければなりません。だれでも疑問を持つと思います。なぜなら、県林務部の指導で作成されましたさきの恩賜林組合の計画では、支出合計が約六千三百十五万円で、ほぼ同じ費用をかけながら赤字だということが、はっきり一年前には示されている。それがわずか一年後に、同じ県の林務部が作成した県の計画では、一躍四億五千万円の収益が上がるとされているのであります。一年で、こんなに変わって、いまの林業というものを見直すことができるでしょうか。林業経営の現況というものは、そんなにこの一年間で好況に向かって大転換をしたように、どこから調べたって出てこないのであります。そんな事実は全くない。また、山梨県下の恩賜林経営を見ましても、少しも好転してはいないのであります。  昭和五十一年度恩賜県有財産特別会計、これは一般会計からの繰り入れ及び県起債を合わせて計十一億六千六百四十万四千円の赤字になっている。昭和五十二年の予算においても全く同様で、約十一億七千四百万円の起債が行われているのであります。それなのに、なぜこの林業整備計画だけは四億五千万円という収益を一年で、すぱっと上げることができるというのか。一年前には赤字とされた林業経営が、いま一年後に突如として黒字になるというのは、どう考えても、だれでもが納得いく数字ではありません。当然その根拠が示されなければいけないと思いますが、何もこの点に関しては説明をされていない。ただ、リストが出ただけ。なぜ、一体一年で四億五千万、赤字のやつが、いきなり黒字になるのか、説明が何もない。  このように、計画で示された数字には、強い疑問がどうしても生じざるを得ないことは、皆さんも同じだと思う。ここでは一応県の示した数字をもとにして、百歩譲って、もう一歩突っ込んで検討してみようと思いますが、県の計画に示された約五億円の収益は、地元民生安定に一体どう寄与するかを、それではひとつ検討してみたい。それがそのままそっくり地元民に還元されないことは、あたりまえであります。  計画では、県の作成した事業計画を恩賜林組合が実施することになっている。ここは非常に重要なんだ。したがって、この収益は、従来からの管理条例に従って、あるいはそれに準じた取り決めによって、県と組合に配分されることに、まずなります。従来の基準で配分されるとなりますと、よくてその七〇%が恩賜林組合の取り分となる。だが、それもそのまま地元民に配分されないことは、前に申し上げた社会党北富士小委員会の報告が指摘しているとおりであります。つまり、さらにその半分以下のおこぼれ程度が同組合を構成している市や村に配分されるにすぎないのであります。  要するに、県への払い下げでは、百歩を譲って、たとえ林業経営が黒字になっても、それがそのまま地元民生安定のための経済効果には絶対にならない。その大半は県の特別会計の赤字の穴埋めと恩賜林組合の収入増となってしまい、残りのわずかの、ほんのおこぼれにさえ地元民はありつけないのであります。  さらに重大なことは、構成している市や村に配分される、そのわずかのおこぼれさえ、配分される時期はどうでしょう。四十年から五十年後だというのであります。バックがくるのは四、五十年先なのであります。四十年から五十年たたなければ、わずかなおこぼれさえ市や村にこない。したがって、地元民生安定のために、せっかく払い下げられた二百十ヘクタールの土地の効用は、地元民生の安定のためには、現在の子供たちが孫を持つようになるまでは何の効果も上げないということになる。だが一方、演習場はその間ずっと使われているのだ。これでも地元民生安定と演習場使用が両立していると言えるかどうか。  本事業実施に伴う雇用効果その他は一体どうだろうか。特用林の造成整備によってキノコ栽培用の原木供給と山菜類の採取がなされることは間違いない。これは多分行われる。しかし、問題は雇用効果だ。うたっている雇用効果が一体どうなるか。  県が新聞に発表したところによりますと、最初の六年間が平均約三千七百五十人、次の六年間が年平均三千二百四十人、その後は年間二千九百人の雇用効果があるという。だが、その数字にも疑問を持たざるを得ません。さきの恩賜林組合の事業計画と、大して変わらない計画で、しかもその支出面でも大差はないのに、年間雇用人数だけは実に三倍にふくれ上がらせているからであります。  県の発表した計画は、林業経営の収益にしても、年間雇用人数にしても、数字だけは前に申し上げた社会党北富士小委員会の指摘を考慮してか、急に非常にふえているのである。その根拠は、いずれも明確に示されてはいないのであります。  それはともかく、さきの雇用人数を一カ月二十六日稼働するとして、一日当たり雇用人数を計算しますと、最初の六年間は十二人、次の六年間が十・四人、その後が三・三人ということになる。県は六年間で植栽する計画を、恩賜林組合などの要望を入れて三年間に変更したから、この数字もまた変わってくるのは当然ですが、つまり一番仕事の多い最初の六年間でも、本事業実施に伴う雇用効果は、わずか十二人しかないのである。これなら、わざわざ二百十ヘクタールもの国有地を払い下げなくても、他に幾らでも方法はあるのです、こんな効用、効果なら。  ここで、これまで申し上げました検討内容を要約整理してみますと、県の林業整備計画というのは、一つに、林業経営の収益があっても、地元民へは直接配分されないということ。わずかに地元民の住む市や村あてに、上がった収益のほんの一部が四十年から五十年後に配分されるにすぎないということ。国有地二百十ヘクタールの効用は、地元民生安定面では、実に半世紀の長きにわたって全くゼロだということであります。  二つ目に、事業実施に伴う雇用効果は、最初の六年間ですら、わずか十二人が雇われるだけ。  三つ、地元入り会い住民の払い下げ予定地内の農業経営、林業経営は完全に抹殺されて、わずかに特用林地区の一部で山菜採取が許されるだけで、地元入り会い住民の入会地利用は完全に締め出されているということ。  二百十ヘクタールの土地を取得して、特別会計の赤字の穴埋めができる県と、本事業を一手に実施できる恩賜林組合は別にして、地元民の生活安定のためには、まさに何一つ付加されないのである。それどころか、地元民は周辺整備事業の助成の面でも放置された上に、いままた国有地払い下げによって忍草、新屋の農民のごとく、これまで保持してきた生業上、生活上の基盤すら剥奪されてしまうのであります。したがって、このような閣議了解に反した林業整備計画のために国有地を払い下げては、絶対いけないと私は信ずるに至ったのであります。  なお、念のためにつけ加えれば、こうした見解に対して、林業整備事業だから、その効果が四十年、五十年先になるのは当然ではないかという意見があります。地元民生安定に直結させる努力もしないで、ただ作成した閣議了解無視の計画を林業整備事業の長期的性格を口実として正当化しようという、これは全く意味のない反論にすぎません。閣議了解の趣旨を全く無視しておる、あるいは間違って理解をしているものかもしれませんが、繰り返し申し上げましたように、閣議了解の趣旨と目的は、そのようなものでは絶対ない。  そのことは、鈴木参議院議員の質問書に対する政府答弁書を見ても明らかであります。すなわち、鈴木議員が、閣議了解が地元民生安定のための国有地利用の具体策として、林業整備事業を特定したからには、林業整備事業といえども、その方策いかんでは、確実に地元民生安定策となり得ると判断をして決めたはずである。したがって、その閣議了解がなされるに当たって、いわゆる担当閣僚から林業整備事業が地元の民生安定に寄与しますという説明があったはずだが、その説明の要旨を明らかにされたいと質問いたしましたところ、政府は「林業振興、国土保全に資する等により関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与する趣旨であり、その旨説明されている。」と回答をしておるのであります。  つまり、林業振興、国土保全だけでなくて、同時に関係住民の生活の安定と福祉の向上を図ること、これが閣議了解であって、林業整備事業を地元民生安定の具体策として特定した趣旨だと説明がされているのであります。したがって、返還国有地の払い下げを受ける以上、県には、この両者が両立する林業計画を作成する義務と責任があるのであり、政府もまた、その遂行ができるように指導、監視する責務を負うべきものだと思うが、一体どうでしょうか。いままでのくだりで、民生安定に対する閣議了解を実施する責任が、県にはもちろんありますが、国にも、それを指導、監視する義務があると思いますが、大蔵大臣、いかがですか。簡単に……。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 閣議で決めたことは、これは実現させなければならない、こういうふうに考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 大変貴重な答弁ですが、いま言った演習場の安定的な使用、それから民生の安定、これを両立するという施策、何か壁に突き当たったように、それがないような感じが、すぐするのですが、私は、後で申し上げますが、これはありますというふうに実は考えております。ここで、払い下げを受ける県の真意が、果たして恩賜林組合への払い下げにあるのか、地元の民生安定にあるのかを検討してみなければいけない。両立させなければいけないのに、どうも県は、いま申し上げたような理由で両立させるという方途を持っていない。  北富士演習場返還国有地払い下げ問題は、恩賜林組合への直接払い下げが取りやめになった後、事態収拾に乗り出した山梨県選出国会議員のあっせんの結果、今日まで県への払い下げの方向で話し合いが進められてきたことは御承知のとおり。だが、奇妙なことに、県は国との払い下げ交渉に入った当初から国有地払い下げについては積極的希望を持たず、県への払い下げは一時預かりですよと言っておりますし、かつ恩賜林組合への再払い下げを前提にして、県への払い下げを受けることを公式に表明しているのであります。  御存じだと思いますが、たとえば田辺知事は、昨年六月二十三日、県の議会において、県が払い下げを受ける理由について次のように答弁しております。「県といたしましては、国有地を決して欲しているものではありません。また県への払下げに協力を求めているものではありません。私は先日も申し上げましたとおり、林業整備計画が定着いたしますれば、一日も早く地元保護組合」——恩賜林組合「に払下げたいと考えております」また「あつせん案の内容といたしまして、「払下げ先は山梨県とする」とは、保護組合への払下げを前提とした県の一時あずかりと解してよいかとのことでありますが、県の一時あずかりと御理解をいただいてもけっこうでございます。」山梨県の会議録の第三号にあります。  また、昨年七月二十八日、保護組合、すなわち、恩賜林組合などが県に提出した「国有地二百十ヘクタールの払下げに係るあっせん案の運用及び解釈について」照会した中で、あっせん案の「払下げ先は山梨県」とあるのは、恩賜林組合への払い下げを前提とした県の一時預かりと解してよいかという質問に対して、県は一時預かりと理解してよいと回答しております。  さらに昨年十月二十八日の各新聞は、県の林業整備計画に恩賜林組合等が同意したことを報ずる中で、県が地元の要望を入れて、植樹完了期間を六カ年から三カ年に短縮することについて、次のように書いている。「県がこの条件をのんだことにより、これまで「林業整備事業が定着した時点で事情変更の手続を行い、組合に再払い下げをする」と述べてきた、漠然とした再払い下げ時期が「県有化後三年」を一応のめどとすることが明確になった。」これは朝日新聞。「整備期間を三年としたことから、二百十ヘクタール問題の焦点である「保護組合への再払い下げ時期」が昭和五十四年度となる可能性が強くなる一方、植栽完了ごとに順次分割して再払い下げされるケースも考えられてきた。」これは読売新聞。そして県の企画調整局長、当時の望月幸明氏は、次のように言っている。「あくまでも林業整備が定着した時点だが、部分的には三年後の再払い下げはあり得る。」と山梨日日新聞に書かれている。  要するに、恩賜林組合への直接払い下げは取りやめになったが、しかし、実際は、県をトンネルにして、わずか三年後に恩賜林組合に返還国有地を払い下げようと、県ははっきりと意図し、それを言明しているのであります。  また、あっせん案の中にある「県の事情変更の申請」について、同じ日の六月二十三日の県議会において望月局長は「県の事情変更とは、保護組合に払下げることを大蔵省に了解させることかという御質問があったわけでございますが、これはまさに、そのとおりであります。」と答弁をしているのであります。事情変更の時期について、田辺知事も「その時点といたしましては、約二年後の使用協定の更新時、また植栽計画が完了した時点等、幾つかの時点が想定されるわけであります。私といたしましては、それぞれの時点を事情変更の時期と考え、十分な吟味を加え、誤りのない判断をいたしてまいる所存であります。」と答弁している。これは議事録にあります。国有地払い下げの対象から外された恩賜林組合が、県をトンネルにすれば、同じ国有地を公然と取得できる。こんな人をばかにした話がまかり通っていいはずはありません。  この点をただした鈴木議員の質問書に対し、政府は「国としては、いわゆる「一時預り」の考え方により払下げを行うものではない。」と、きっぱりと回答しています。つまり、この政府答弁書によって、一時預かりは明確に否定されたのでありますが、現在でも、そのお考えに変更はございませんか。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 坊大蔵大臣。——大臣が先に答弁して、補足する点があったら、政府委員から答弁してください。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 これは事実の確認ですから……。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 閣議了解事項に基づいて国有地の払い下げをやるわけですから、あなた閣僚じゃないでしょう。発言というのは、委員長の許可を得て初めて発言できるわけです。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 事実の確認問題でございますから、事務当局から発言させます。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 ただいまおっしゃいました、山梨県知事が、県が払い下げを受けるのは一時預かりの意味であるということに対して、国はどう考えるかということに対します国の考え方は、ただいまおっしゃいましたように、昨年、鈴木力議員の質問主意書に対する政府答弁で明らかにされているのと、現在も変わっておりません。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 それでは、また法律的にも、一時預かりのための払い下げというのは違法だと考えますが、もう一度確認しておきます。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、地方公共団体が公用に直接必要なものとして払い下げるわけでありますから、そういう一時払い下げという意味の払い下げはできないわけであります。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 違法だね。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 さようでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 ところが、この政府見解を聞かされました当時の日原政秀という県の企画調整局次長は、「県は初めから政治折衝で恩賜林組合への再払い下げを実現するつもりでいる。」のだと公言して、はばからなかった。これは朝日新聞がはっきり書いている。それ以後、今日まで県は一度といえども、数回にわたる議会答弁などを取り消したことはない。県が払い下げを受けるのは、一時預かりのためでも、恩賜林組合への再払い下げのためでもないし、地元民生安定のために、県みずからが林業整備事業を行うものであるとでも言ってくれればいいのですが、一度も、このことを表明したことはない。一時預かりだと言っておる。大蔵省には了解済みだと言っておる。  明らかに県の真意は、地元民生安定を図るために払い下げを受けるのではなくて、県は、いまなお、法律や規定や内閣の答弁書を無視して、再払い下げのための払い下げを受けると公言しているのだが、つまり、県がトンネルにすぎないことが、いまは周知の事実と化している。大蔵省は、山梨県から再払い下げはしないという確約をとっているのかどうか、まず、これもお答えをいただきたい。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 国有地を払い下げる場合、再払い下げをしないとかいう条件を、そもそも初めから問題にするのがおかしいわけでございまして、当初の事業目的に従って、その払い下げの相手方が、その事業目的に使用するということで払い下げるわけでございますから、特別に、それをトンネルだどうだということを前提にして、国有地の払い下げを、そもそもわれわれは考えていないわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 何のために、いままでぼくがこの説明をしてきたと思う。一般的な答弁なんか求めておるのじゃない。こういう事実がある。積み重ねて公言しているのだ。一時預かりですよと公言しているじゃないですか。議会でもやっておるじゃないか。記録もある。新聞も報道しているという事実を私が言っているのに、もし、いままでとっていないなら、この事態を踏まえて、確約をとるかどうかもあわせて答弁するのが常識じゃありませんか。何もなかったみたいな答弁なんかするなら、何のために、いままで聞いているのだ。もう一遍答弁しなさい。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 ちょっと答弁が言葉足らずで恐縮でしたが、一般的に国有財産を払い下げる場合の契約としまして、当然にいわゆる用途指定というものがなされるわけでございます。それで、払い下げを受けた者が、その用途に使用することが条件になり、したがいまして、他に転売するということも当然禁止されておるわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 もう一度お聞きする。言い方を変えて聞きますが、私がいま説明申し上げたようなことが事実県議会でも答弁をされ、もう周知の事実になっているという現時点をお調べいただいて、もしそうだったとしたときには、この問題に関しては絶対に払い下げをしないという確約を何らかの形でとるべきだと思いますが、いかがですか。大臣、答弁してください。聞いていたら、わかるはずだ。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 国有財産の払い下げは、甲に払い下げたものを、甲があらかじめ乙にこれを譲るとか、あるいは一時預かるとかといったようなことでは、国有財産の払い下げは、先ほどお答え申しましたとおり、さようなことはできないということでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 後で歯どめの問題も具体に質問をしていくことにしておきますが、要するに、再払い下げはしないということを何らかの方法で確約をいまとったにしたって、山梨県は、県への払い下げは一時預かりであり、かつ恩賜林組合への再払い下げを前提にして県への払い下げを受けることを、議会答弁や公式文書で明らかにしているのですから、このような事実の存する限り、法令上の要件を欠くものと解せるから、私は、県への払い下げが可能ということになるためには、再払い下げにならない歯どめとして、次の二つの措置が必要不可欠だ、こう考えますが、大蔵省の見解を二つについて聞きます。  その一つは、本件国有地払い下げ契約は要式契約で行われる。会計法第二十九条の八第二項。それほど厳格なものでありますから、県が払い下げ契約に署名する以前において、用途指定義務の履行の確実性を裏づけるために、公式文書で、地元への回答、すなわち、一時預かりだ、なんだかんだといった、いままでのことを否定し、払い下げを受けるのは、地元民生の安定のために、県みずからが林業整備事業を行うためであって、一時預かりのためでも、恩賜林組合への払い下げを実現するためでもないことを公式に明らかにする、それが一つ。  二つ目に、契約に当たっては、二十年間の用途指定にとどまらず、さらに地方公共団体とはいえ、前述の経過もあるので、買い戻しの特約及び登記、その他解除権の特約等の明記を承諾させること、こう考えますが、いかがですか。この二つは、絶対不可欠だと思う。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 一般論でございますが、物の契約をするときに、この契約をするに当たって、自分は違法なことをあえてやるというようなことは考えていないということは、これは別に契約書に明瞭に書くことではない、当然のことでありまして、そういうことに私は一般的の問題としては理解しますが、その契約に、そういったような違法なことはいたしませんということを書くことは、そういうことを表現することは、その必要はないのじゃないかと思いますが、これは一般的の問題でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 一般論を聞いているのじゃなくて、いま再払い下げをするということを公言している事実があると私は認定して、その上に立って質問をしているのですから、その場合には、歯どめがなければいけないわけですから、そのときの歯どめを、いま言った二つでおやりになるべきだと思いますが、いかがですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 それはもし契約をする——まあ契約になるのでございましょうが、その契約の外できちんと、いまそういう問題が起こっておるのですから、するべきものであって、契約に、それを表現するというのは少しおかしいのじゃないですか。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 大臣の言う契約の外というのは、いまそういう問題が起こっているのですから、そういうときに契約の中に書くのはおかしい、契約の外でやるというのは、どうも私には素人でわからない。もう一度説明してください。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 私も法律には素人でございますけれども、契約書というものではなしに、そこに至るまでに、そういったような、いまこんなことを言うておるけれども、おれは言わないのだとかなんとかという、これは形式論でございますけれども、そういうことではなかろうかと思いますが、私は専門家でございませんから、きちんと申し上げられません。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 大臣の言うそれも一つの方法です。おっしゃるとおりだ。契約に至ってはいけない、その前に、こういった歯どめを何らかの形ですべきだと大臣は考えている、そういう意味ですね。  それなら、いま私が申し上げたことは速記録にございますから、ひとつ実際に契約の行われる前に歯どめが必ず行われることは、契約の外で、その前にやるべきだとお考えの大臣の意思が実現できるように、ひとつ速記録も見ながら、ぜひこれは実行をしていただくようにお願いをしたい。  そこで、さきの鈴木力参議院議員への国の回答書の中で、国は「払下げの相手方が林業を行うことが前提」としている。計画をつくるのは県だが、実施するのは恩賜林組合という形式でも、「払下げの相手方が林業を行う」ということを書いてあれば、県が実際にやらなくて恩賜林組合にやらしても、契約の当事者としての相手方とみなすのかどうか、これはどうでしょう。  いいですか、県はもう恩賜林組合に林業事業をやらせることをちゃんと決めている。ところが、恩賜林組合は相手ではなくて、国は県と契約をする、その県と契約をするときに、恩賜林組合がその仕事をすることがわかっていても、県を相手方にするのだ、その場合でも、払い下げの相手方が林業をすることだと認定をすることになるのですか。それはどうでしょう。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 今回考えております払い下げは、県が事業をやるという前提で払い下げるわけでございますが、そのやり方としましては、造林事業の場合、いろいろ労働力なりその他の条件を勘案じまして、分収造林方式というようなこともございますが、あくまでも造林事業を行っていく主体というものは県である。その手足として、どういう主体を使っていくかというのは、いろいろあろうと思いますが、事業計画を実施していく主体は、あくまで県であるということが前提になっているわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 解釈のしようで、どうにでもとれる答弁がいまあった。私の申し上げていることは、おわかりになったと思いますが、主体は県であって、県がやるのだが、その一部をどうだれにやらせるかは、これはまた別だ。これは後でお答えをいただきますが、県が実際に一部でも直営で仕事をするかどうかは非常な疑問があります。したがって、いまの答弁は、そのことも踏まえて、また後に判断をする材料として考えていただきます。  そこで、ついでに言っておきますが、山梨県というのは日本一の県有林を持っているのですね。森林経営でも山梨県というのは日本一です。やろうと思えば幾らでもできる。ところが、恩賜林組合というのは、実際は恩賜林組合の規定から言っても、恩賜林の保護育成しかできないというのが、この組合の規定にもあるんじゃないかと思うのです。恩賜林組合は、恩賜県有財産を演習場に使用させることにつき、国有地二百十ヘクタールを早急に県に払い下げ、組合林業の再建整備用地として直ちに植林に着手できるよう県において措置されたいということを同意する条件として出している。この払い下げ地というものは、組合の林業再建整備用地ということになるかどうかを先にお答えをいただきましょうか。前に申し上げた本質に返るために、その方を先にひとつお答えをいただきたい。  恩賜林組合は、県に同意する条件として、林業再建整備用地として二百十ヘクタールを使うことを前提に同意しているのです。きょう私が、こんなに長い時間物を言っている中に再建整備という——再建という言葉を出したのは、いま初めてですが、恩賜林組合はそれをはっきり言っております、県に対する条件ですが。これは多分御存じだと思いますが、一体その再建整備のために二百十ヘクタールを払い下げるということに同義語になりますかどうか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 ただいまお答えしましたように、これは、あくまでも県が主体となって林業整備事業を行うという前提で払い下げを考えているわけでございまして、それが、ただいま先生おっしゃいました恩賜林組合との関係でどうなるかということでございますが、仮に分収造林契約の相手方として恩賜林組合が使われたとした場合、それが恩賜林組合の再建整備になるかどうかという御質問なわけですが、その再建整備という意味が、なかなかとりようによって結果論でどうなるかということにもなろうと思いますが、あくまでも今回国有地を払い下げる事業の主体は県でありまして、恩賜林組合は、仮に分収造林契約の相手方になっても、その手足として事業を行っていくというふうに、われわれは考えておるわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 ここに恩賜林組合が県へ出した同意書がある。皆さんのところにだってあるはずだと思うのですが、ありますか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 ちょっと私承知しておりません。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 恩賜県有財産賃貸借同意の件で、恩賜林組合が県にこの払い下げに対する同意書を出している。その同意書の中に、昭和四十八年三月三十日、閣議了解による国有地二百十ヘクタールを早急に県に払い下げ、組合林業再建整備用地として直ちに植林に着手できるよう県において措置されたいこと。この条件で県に合意をし、県はこれをのんで、いわゆるこの組合の再建整備計画用として二百十ヘクタールを再払い下げをするんだということを何回も言明しているのですよ。このことに関して、皆さんがこれをお持ちになっていないというのは、私は信じません。  この再建整備計画というものを出したその理由も、これから申し上げますが、恩賜林組合というのは、どだい現在でも全部では千八百五十ヘクタール持っているのですよ。組合所有山林が約二百三十五ヘクタール、組合部分林が約千五百五十ヘクタール、組合借地林が約六十六ヘクタール、合計千八百五十一ヘクタール持っているのですよ。そこへもって二百十ヘクタールを、まだどうしても欲しいという、その理由は再建整備だと言っている。ある一地区が非常に被弾を受けて荒れていることは間違いないんだ。それを見せては、これを再建整備するからというので、いつでも見せるために、その見本にとっておいて、そしていろんな、補償料を取ったりなにかして、あるいは替え地を欲しいといって、それを取得したりする材料に使っているために、いつでも一定の、いわゆるここは再建整備をしなければいけないから、金もくれ、土地ももらいたいという材料にとってある、通称「恩賜林の墓場」というのがあるのですよ。その再建整備用に二百十ヘクタールの払い下げを求めているのです。県もそれを承知の上で同意を与えているのです。それが現状であります。  一般に事情変更の原則の適用がいつかと言えば、山梨県の議会で、事情変更のときは、いろいろ先ほども言ったように、言っていますが、事情変更というものの原則の適用が承認される場合とは、契約締結の基礎が予見し得ない社会的事情等によって変わってしまって、変更前に締結された契約をそのまま強制することが、法的正義並びに信義に反することになったと認められる場合に限って、それを是正するために適用されるものが事情変更だと思うのですね。  山梨県のように、払い下げ契約を締結する以前において、すでに再払い下げを予定して林業整備計画の定着等を事情変更として国に申請するというような場合は、そもそも事情変更の原則を適用する余地がないと私は思うのです。また、仮に、実際に将来事情変更の原則を適用すべき場合が出てきたとしても、現に予見し、予定しているような再払い下げには、この原則の適用はないと思うが、事情変更に対する許可に対して見解を次にお聞きしたい。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、契約書自体において転売を禁止するわけでございます。そこで、ただいまおっしゃいましたように、ただし、その事情変更等があった場合、大蔵大臣の承認を得れば、それができるという契約内容になるわけでありますが、もちろんその事情変更というのは、契約をした当時と事情が文字どおり変わったということが前提になって、その申請がなされている。そういう事情の変更があって、これはやむを得ないものとして、大蔵大臣が承認するかどうかということでありますから、その契約以後、いかなる事情変更があったかということが、当然その判断の前提になるわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 したがって、私が質問したのにずばり答えてもらいたいんだ。いま予見し、予定されているような事態に対しては、事情変更とは認めない、こうなりますね。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 われわれは先ほど来申し上げておりますように、これは山梨県が直接造林の用に供するということを前提にしてやるわけで、その一時預かりであるとか、トンネルであるとかということを前提にして払い下げるわけではございませんので、いま予見し得るという、われわれはそういうことを考えていないわけでございますので、仮に、いま言われているような、その後の事情は全く同じであるのにもかかわらず、そういうことがあるんだとすれば、それはただいま言いました事情変更の場合に該当しないわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 いままで私が一部言ってきたようなことも含めて、現在予見し、予定し得る事情に関しては、事情変更としては認めない、そういう御答弁ですから、それは結構です。そうしなければいけないと思います。  そこで、県への払い下げが可能で、去年の三月、恩賜林組合への払い下げはだめだ、こうなった根本的な理由というのを、この際、簡潔にひとつ答えてくれませんか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、四十八年に閣議了解がなされて以来、いろいろ払い下げの事務手続を進めてきたわけでございます。それで、昨年の春ごろまでは、恩賜林組合を払い下げの相手方と予定して事務を進めてきたことは事実でございます。  その後、地元に払い下げの相手方をめぐりまして、いろいろな紛争が生じました関係上、先ほど来申し上げておりますように、演習場の存立と地元民生の安定とを両立させるための払い下げという、この払い下げの趣旨から言いまして、そのような事態で恩賜林組合への払い下げを行うことは、閣議了解でうたわれております払い下げの趣旨そのものに反するということもあり、われわれとしては恩賜林組合の払い下げというのを、そこで考え直さざるを得ないということにしたわけでございます。  その後、地元の方で関係者の合意、コンセンサスを得るためのいろいろな努力が重ねられたわけでございます。それで今日に至りまして、県が払い下げを受けるということで地元関係者の間に合意ができたということで、それが民生安定につながると、われわれは判断して、県へ払い下げるという方向で事務を進めておるのが現状でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 いままで申し上げたように、県へ払い下げることが地元民生安定に直結しない。私は確信を持っていま申し上げている。ですから、それは再検討してもらわないと困ります。  しかしながら県の方は、もう何をやっても大蔵省の了解を得ているのだから、再払い下げをするのだ。しかも県が出した計画も、恩賜林組合が出した計画も、現状はほとんど変わっていない。——これも調べてもらいます。——というのに、そのことを承知の上で再払い下げをするとなると、そうでなくても国有地の払い下げをめぐって、いわゆる国民的な疑惑が至るところに起きていて、痛くない腹を探られたり、あるいは関係する者が国民から変な疑いを持たれたりという事態が、いままでずいぶん起きてきました。いままで申し上げたような問題がたくさんあるということを知っていながら、なおかつ、払い下げを強行するようなことがあるとするなら、間違いなく何かどこかにくされ縁があり、どこかに無理があるというようなことが何かの形で、また違った、いやな問題として吹き出してくる心配もあると考え、是正すべきはこの際、是正するという意味で、私は貴重な時間をつぶして、るる申し上げているわけであります。  大蔵当局もただ既往にこだわって、県とのくされ縁があり、約束があり、何があるからというだけで、本当に閣議了解に従った、両立するような、地元民生安定に直結するかどうかということを十分にここで再審議をしないままに払い下げなどという方向で、ただ作業を進めることは、何かそこに疑わしい、あるいは国民的に不信を買うような事態が——どこかに無理があるのじゃないかというふうに感じられることをよく承知の上で、どうか今後の作業を進めていただきたいと私は思うのです。  そこで、くどいようですが、重ねて聞きます。  県は、もうはっきりと、県をトンネルにして恩賜林組合に再払い下げをするのだということを公然と言って、周知の事実になっている現状なんですから、いまの答弁は、それはもうしないというふうにも、解釈のしようによっては、現状のままでは、そんなことはありませんよという答弁にも解釈はできます。しかし何かの調子で、もし直接恩賜林組合の払い下げをやりたいのだけれども、県をトンネルにして、同じように恩賜林組合にこの二百十ヘクタールがいくようにするということが、もし行われたら、私は法令的に重大な疑義があると思うのです。世間の常識からも、これは全く納得しがたいものだと思うのです。  そのことが、あり得ないと思いますが、あったとするなら、大変法律的に疑義も生ずるし、世間の常識からいっても私は絶対に納得しがたいことだと思いますが、もし、それが仮に可能だとすれば、その可能だとする理由が何かおありでしょうか。その仮定の質問には答えられないなら答えられないで結構です。万が一、それでも払い下げが可能だといったときに、その理由としては、こういうことがありますということが言えるなら言っていただきたい。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 原さんの御意見なり、おっしゃることをだんだんとお聞きいたしまして、私は原さんとは長い間おつき合いを願って、原さんはうそを言ったりインチキなことをする人でないということは、万々私も信頼申し上げております。原さんのお言葉というものは、やはり信用しなければならないと私は思っております。ところが片っ方で、山梨県知事が山梨県のことについて、民生の安定に資するということを閣議で、そういうことが決めてあることを知らぬわけがありません。それを知りつつ、なおかつ、それを一時預かりとかそんなことは別といたしまして、山梨県に払い下げを受けたいということを言っておられる現知事の言葉を、それは全然めちゃくちゃな話だと、いま決めてかかるわけには私はまいらない。原さんを御信用申し上げるとともに、山梨県のことについての山梨県知事の言われることも——全然この問題について話はしておりません。おりませんが、これはもう原さんの言うとおりであって、山梨県へ払い下げたら、全然民生の安定にならないのだというふうに、私はここで自分で決めるというわけにもまいりません。だから、これはもちろん原さんのおっしゃることを信用する、山梨県知事の言うことも、これは信用せねばならぬという立場でございます。私のいまの立場といたしましては、これは十分ひとつ検討させていただくということにさせていただきたい、こういうわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 余り長くじゃんじゃん言っているものですから、大臣の方がしびれを切らしてしまって、仲裁的といいますか、結論的といいますか、正直なお考えをお聞きしたので、結構だと思うのです。この問題は、ぜひ両方ともお聞きをいただかなければいけないと思いますが、私も、今後も真剣にこの問題に取り組んでまいりますし、調査もしてまいります。どうか田辺知事の意見も十分に聞いていただきまして、そうして片口聞いて公事を裁かないように、私も納得をさせていただき、田辺君にも納得をしてもらうように、大臣がせっかくいままでお聞きをいただいたのですから、この問題を十分に掘り下げて、本当の民生安定に直結するかどうか、この問題の結論を出すまでに、十分ひとつ私も納得のいくような、田辺知事にも納得のいくようなディスカッスをしながら、将来の結論に向かって作業を進めていただくように、私からもお願いをしておきます。  そこで、結論がそういうふうに出ました以上、ぜひ大臣のお骨折りをいただいて、私も期待をいたしますし、十分にそれまで勉強しておきますから、やっていただきたいと思うのですが、その間に、もう二、三お聞きをしておきたいのと、私の最後の提案らしいものも一つ申し上げてみたいと思うのであります。  それは、恩賜林組合のいわゆる組合規約による、現在やっている以外の植林事業を県から、たとえば二百十ヘクタールの払い下げを受け、あるいは植林事業の委託を受けて、それを行うということ自体が、恩賜林組合としては規約上できないのだというふうに私は思いますが、この点はいかがですか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、当初恩賜林組合を相手にして本国有地を払い下げるという考えで事務を進めてまいりました当時、いろいろ国会でも御議論がありまして、恩賜林組合は地方自治法に基づく一部事務組合でありますので、その行為能力の点につきまして、当時自治省の方から御答弁願っているわけでありますが、恩賜林組合が仮に、そういう新たな植林を行うということも、恩賜林組合の規約上は可能であるというふうに答弁されていると記憶しております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 じゃ、だれが何に基づいて、その答弁をしたか言ってください。大蔵省の見解なのか、だれの見解なのか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 これはただいま申し上げましたように、地方自治法に基づく一部事務組合でである恩賜林組合の行為能力ということでありますから、もちろん自治省が見解を出すべき立場にあるわけでございます。それに基づいて出されました自治省の見解でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 自治省のだれが、その見解を言ったのですか。自治大臣ですか。単に説明員じゃないのですか。それに大蔵省が、ただ便乗しているんじゃないですか。説明員が言っただけじゃないのですか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 その具体的な答弁者がだれであったかというのは、いまちょっと議事録がありませんが、それは自治省の正式な見解として述べられているわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 どこにその記録があります、自治省の正式な見解の記録が。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 手元に議事録がありませんので、その議事録を調べまして、お答えしたいと思います。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 自治省の見解だと言い切れるためには、たとえば自治省のどういう地位の人が答弁したら、自治省の省の見解だということが言えるのですか。たとえば、これは大蔵省の見解でございます、大蔵大臣の見解でございますと言えるときには、大蔵省のどのくらいの、どういう立場にある人以上が答弁したら、そうなるのですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 はなはだむずかしいことでございまして、現在なら、私が申し上げれば、これは大蔵省の見解。ところが、政府委員というものがございますね、国会に対しまして。政府委員に任命せられておる者が御答弁申し上げれば、これはやはり私は大蔵省の見解。説明員というものがございますね、そういったような人たちが答弁をしたり御説明を申し上げたりする場合もございますが、これはまあ私は大体においては、その省の意見だと思いますけれども、やはりこれはそういったような方々の場合には、大蔵省としては、あるいは自治省としては、こういう見解でございますと、こういうことを言っておりますと、これははっきりいたしますね。その他の場合は、単なる説明であったり——説明員でごさいますから。  だから一概に、これはどういうランクの人が言ったから、どうだということを私がここで申し上げるわけにはいかないので、いま申し上げましたとおり、政府委員というような人ならば、これは一応私はその省の意見ということに解釈できる。私の場合は、もう解釈ではございません、ずばり私の申し上げることは大蔵省の見解。時たまに私勉強不足で、そういったような場合には、勉強不足で、これは私個人の考えでございますが、ということをお断りして申し上げることもありますが、それは別といたしまして、大体において私の申し上げたことが大蔵省の見解、こういうふうに御理解願いたいと思います。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 重大な発言ですから、もう一遍お聞きします。きょうの大蔵大臣のいままでずっとやり取りした答弁は、個人の見解じゃございませんね。大蔵大臣としての責任ある答弁ですね。お答えください。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 さように御理解願っていいです。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 自治省のどなたが答弁したか私も知りませんが、これは重大な問題ですから、また後で考えますが、たとえば、一課長がここへ来て説明をした、あるいは答弁をした、委員としての答弁をしたということが、その省を挙げての答弁だということに、ぴしっとこれから割り切れるかどうか、私、非常に重要な問題だと思うのですね。だれがやったかは、いま次長が言ったように調べていただくそうですから、調べていただいて結構です。  そこで、砕いてお伺いしますが、ここに「富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合規約」というのがございます。ゆっくり言いますから、ひとつ局長聞いておいて答弁してください。その第二条に「本組合は明治四十五年、山梨県令第二十二号、山梨県恩賜県有財産管理規則及び同年山梨県令第二十三号、山梨県恩賜県有財産管理規則施行細則を遵守し山梨県恩賜県有財産富士吉田市大字上吉田字剣丸尾、鳥居木前、河原、中島、遊境下間ノ山、鈴原下、儘下、土丸尾、梨ケ原、鷹丸尾、大和ケ原籠坂上、大道、尾笠木、屋ビツ、儘、細尾野、小御岳下、富士山北向に関する左の事務並に本組合の財産に関する事務を共同処弁す。」と書いて、一から七まで、その行う事項が書いてあります。  自治省が判断するような、ほかの事業ができるというのは、一体いまの条文のどこをとらえて大蔵省が自治省におんぶして、そういう答弁ができるのですか。条文によって答えてください。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、ちょっと当時の議事録がいまありませんので、いまお読み上げになりました組合規約のどの文句に該当するからというのを、いまここで申し上げられないわけでありますが、先ほど申し上げましたように結論として、その組合規約上、新たな造林を行う行為能力を持っているというふうに答弁されているわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 恩賜林に対する事業はできても、新たに植林を別に行うということが、この条文でどこから引き出していけるのか。そんなに拡大解釈しちゃったら、これもちょうど山梨県の出店みたいなものでしょう。公共団体の一部事務組合ですよね。これが、この規約に従って拡大解釈を勝手にして、幾らでも植林事業でも何でもできるようなことに解釈したら、ほかのところでも大変なことになりますよ。これは、じゃ宿題にしておきますから、後でいま申し上げたものをごらんいただいて、この条文のどこが、一体新たに山梨県から二百十ヘクタールを受けて植林ができるということに解釈できるのかを、私は素人だから、後で説明をしていただきましょう。そうしなければいけないでしよう。いま持っていないのでは、しようがない。いいですね。  それから、もう一つお聞きしますが、時間の都合と、大臣が結論を言っていただいたので、順を追って言うことをやめますが、三十一年の五月に、関東財務局長が「植林のための檜丸尾の一時使用を忍草区長に許可した。保護組合に許可しない理由は、同組合規約第二条により、恩賜県有財産の保護の目的に必要以外の事務について行為能力がないと判断されたからだ」と、おたくの関東財務局長が、これを明らかにしたのですね。これは一体どういうふうに解釈なさいますか。  これは、私が要求しても、あなた方は、この資料を出さない。出さないのですが、私は持っています。関東財務局長が出したその通知を持っています。あなた方は、どうしてもこれを出さなかった。出しちゃ困るから出さなかった。一体この関東財務局長の声明、言明、通知、これは間違いですか。いつ、どこで、だれが改めたのですか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 ただいまおっしゃいました関東財務局長が出した文書なるもの、財務局の方に問い合わせても、現物を持ち合わせないということで、われわれは内容がわからないわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 これは大蔵大臣に聞きますが、この種の重要な問題に関係のある重要文書を財務局長が出しておきながら、その控えがありません、調べてもわかりませんで、済むのでしょうかね。先ほどの説明員だの何かの説明したのでも、うっかりすると、大蔵省の見解になることもあり得るという大臣の答弁があった。ところが、公式に関東財務局長が関東財務局の用紙によって出されているのに、それが調べてわからないで通りますかね、こんな重要な見解に対して。大変な問題ですね。これじゃ大蔵省がいろいろ何かおっしゃったり、あるいは文書をもらっても信用できませんですね、それが、もうないから、わからないなんて。これじゃ行政当局として困るじゃありませんか。大臣からお答えください。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 決して私は逃げるつもりはございませんけれども、文書保存のそういう内規は、私は詳しくは知らないのですが、三十年でございましょう、文書保存の責任期間は、もう過ぎてしまっておりまして、これがないということにつきましては、どうも文書保存の責任期間が過ぎてしまっているので、これでどうすることも——そう言って私は逃げるつもりじゃございません。ただ、そういうことに相なっておるということを、いま申し上げたいと思います。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 大臣は逃げる気持ちはないでしょうね、恐らく大臣は。大臣以下の諸君は逃げる気持ちで言っている。私が持っているものを、皆さんが調べて手に入らないはずがない。しかも、いろいろな雑誌に引用されています。関東財務局長名で、この見解が出されていることが「北富士演習場の概要」でございますとか、あるいはその他の文書にも至るところに引用されているのですよ。活字に残っている。にもかかわらず二十年、三十年たったから、なくなっちゃったんだ。こういうものがあるのに、あってもなくても、保存期間が切れたら、政府の言明した効力は全部一緒になくなるということになりますか。その点どうでしょうか。  保存期間が過ぎたから、したがって文書はありません、文書がないから——現に文書は写しその他があるのだけれども、関東財務局長名で、かくかくのごとく言われているのだということが方々の雑誌、至るところで引用されているのだが、保存期間が過ぎて原本を保存していません、そうなったら効力も同時に喪失ですかね。大臣、どうですかね、常識論をひとつ。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 これは大変な、私はむずかしい法律論だと思いますよ。そういったような書類というものは、法律とか正規のいろいろな公証で、どうしても必要だというときに、その原本がないということは、提出しろと要求される方にとって、現実の問題としては大変不利なことになるのじゃないですか。しかし、さればといって、それがなくなってしまった、そうすると効果が失われてしまったということではなくて、そこに書かれておることが違っておるんじゃないかとか、あるいは本物じゃないんじゃないか——これは世間的なことを言っているのですよ、いまの具体的なことを申し上げているのじゃない。そういったようなことに疑いを差しはさむから、いや、これは原本がどこにあるんだ、とこういうことになろうと思いますが、私は法律家でも何でもございませんから、ここで原さんに対して、はっきりとしたお答えは、これこそ逃げるわけでも何でもありませんけれども、いまの私に対する御質問に対しまして、これはこうだと言うて、はっきりとお答えできないことが非常に残念に思います。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 立場が変わって、坊大蔵大臣がぼくの立場で質問したら、やはりぼくと同じようなことを言うでしょうね。やはり防衛の気味がありますよ、だれを防衛しているか知りませんが。いまのは一般論でしょう。この問題は一般論で、あいまいであったり、保存期間が過ぎたから、原文がなくなったから、大蔵省の正式見解というものが効力を失ったなどということになったら、大変なことだと思います。そういう答弁ではなかったと思います。それなら大変な問題になるわけですが、ひとつ、この文書なるものを、もっと探してもらう。そうして、探せばあるはずですから、どこかから苦労して探して、もう一度御提出をいただきたい。そうして、この問題と、先ほどの組合の規約に照らして、私の納得する説明を後日していただきたい。よろしゅうございますね。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 その文書を探し出して、原さんのお手元へこれを提出するということのお約束は、私はいたしかねます。ないと言っておるものを探し出して、そして原本を提出するということは、これは探すのは探しますよ。探すのは探しますけけれども、それをお約束はいたしかねます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 いまの一部事務組合の規約に従っての回答はどうですか。いいでしょう、それは。それはできますね。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○吉岡(孝)政府委員 先ほどの恩賜林組合の行為能力に関する自治省の答弁につきましては、それを後ほど調べまして、お届けしたいと思います。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 それでは、いまの関東財務局長名のやつは探してもらう努力はしてもらいます。もうないなんていうようなことを言わないで、探す努力をしてもらう。どうしてもないときには、私のところにありますから、お見せします。いきなりお見せはしない、出さないから。重要なものになると、出してこないから。したがって、どうしてもというときには、私のところに来たら、私は見せてあげます。それをもとにして、これは効力を失ったんだというなら、何の理由で、どういう経過によって効力を失ったかの説明をしていただく。見せればいいんでしょう、あるのですから。それが一つ。じゃあ、そのことは、後のことに約束をしていただきます。  私は、まだ開拓財産の所有権の問題その他を申し上げたいのですが、これは次に譲ります。  そうしてここで、先ほどから申し上げておりますように、何にも両立する案がないのかと言われて、だって、おまえだってないじゃないかと、こう言われては困るので、これはたくさんあるうちの一つの案ですが、最後に、こんなことをやったらできますよと、まだほかにもありますが、大臣に、この問題の解決のために私の考えている案というのを申し上げてみますから、これも十分に参考にしていただいて、問題の今後の検討をしていただきたいと思います。  一つは、林業整備事業が地元民生安定と直結するポイントは、ずばり言って、地元民自身が林業を直接行えるようにすること以外にはない。第三者の行う林業整備事業に、ただ労働力として雇われるだけなら、それは地元にとっては、ないのと同じなんだ。もし労働力だけが一日幾らと欲しいのだったら、幾らでも機会はあるわけです。そうでなくて、この問題の民生安定、この問題の、直接これによって生活をしている農民に対しての民生安定とは、彼らに直接この林業経営を行わせるということが基本であります。  二つ目に、農民にとっての民生安定とは、出かせぎ労働がふえたり、出かせぎ労賃が高くなればいいというものでは決してない。それは土地に生き、土地のもたらす恵みによって生活の安定が図られるという、これが一番大事なんだ。そのために、土地の所有権、あるいは利用権が確立されなければいけない、彼らのために。  そうして三つ目に、第三者が行えば、実に半世紀にわたって、なお、その効果のあらわれない林業整備事業にしても、地元民自身が行えば、自分たちの山林があるという事実によって勤労意欲をそそり、生活向上のために大きな効果を上げることができるんだ。これは恐らく林野庁にお聞きになったら、わかります。よく労働力があるなと思うほど、自分の山だと考えたときには驚くような、朝暗いうちから夜寝ない時間まで使って、本当にうそのようにきれいに整備をしています。これが、雇われた人間がやっている山と比べたら、もう大臣もよくわかると思う。われわれの山もそうだ。大臣の故郷へ行っても同じです。本当に自分の山というものに対する愛着、血を通わせるこの状態をつくり出すことが、何といっても彼らにとっての民生安定になり、植林そのものも実に効果的に行うことができるのであります。これはもう常識ですから。  たとえば東富士のように、返還国有地が直接地元民に払い下げられていました。演習場が存在することのために、窮乏生活を強いられてきた地元入会住民は、払い下げ国有地の上に林業整備事業を中心に、それといわゆる調整した各種事業を営み、それによって、長年にわたって失われた生産と生活を取り戻して、将来にわたって生産向上、生活安定を図りつつあることは、東富士を見ればわかります。  あるいは、たとえ払い下げられないとしても、その土地を利用できるようになれば、そのことによって同じく将来にわたって生産向上、あるいは生活安定を図ることができるのです。いずれの場合にも、周辺整備助成事業によって生産基盤の育成なり、拡大が図られれば、なお結構であります。  ここで、地元民生安定と林業整備が両立する方策を最後に申し上げてみます。  一つは、地元民への直接払い下げです。地元入会集団に払い下げて、集団所有のもとで個人の分割利用を図れば、勤労意欲は増進されます。入会集団の所有権が確定されれば、土地も、育成される木も入会集団の財産であり、入会住民の生産向上、生活安定に大きく役立つことは明白であります。入会住民は、意に反して財産を失うことは絶対にない。入会集団に林業整備能力があることは、現に忍草入会組合が四十ヘクタールの山林を保護管理してきたあの事実を見れば、明白であります。  二つ目に、国有地のまま入会集団などに貸して分割利用させることであります。入会集団の利用権が確定すれば、育成される木は入会集団の財産となり、しかも林業整備の枠内で各種の方策がとれ、民生安定の効果は非常に大きいものがあります。  三つ目の方策は、地元の市や村へ払い下げての分割利用であります。県、恩賜林組合への払い下げと異なり、地元市や村は、地元住民の生活と直結しておりますから、林業整備を住民の民生安定と直結する形で、これが実施できるのであります。  もちろん、以上申し上げたような三つの方策にも各種の難点があることは事実であります。しかし、地元民の生活安定という大目的が貫かれていれば、地元民の積極的協力も得られ、それらの難点は必ず解決できるのであります。われわれの家庭生活でも同じです。周辺整備事業助成が積極的になされなければならないことは言うまでもありません。こうしてこそ、閣議了解の趣旨と目的は十分に生かされるのであります。地元関係住民の犠牲の上に、一方的に演習場使用の安定を図るようなことは、断じてしてはいけません。  やがて来年三月、演習場の更改期も参ります。これがあるために、そのときに判を押さないぞ、こう言われるような、ある方面からのおどしなども、いま大蔵省は受けて、非常に困っているだろうと思う。しかしながら、まだまだ来年三月といえば時間があります。十分に、いま私の提案したようなことをお考えいただく。一部の提案ではございますが、どうか皆さん専門家なんですから、それ以上によく考えてもらって、北富士演習場返還国有地の払い下げ問題は、山梨県への払い下げを白紙還元し、真に地元民生安定を図る方向で再検討されなければいけないと、また重ねて強く強調をいたします。そうしてこそ、演習場使用と地元民生安定は、真に両立するのであり、そうでなければ演習場の安定的使用そのものも保持されないのであります。  かつての北富士演習場を取り巻く騒然たる事態の再現や、成田空港闘争のような血みどろの地獄を、再び国民に見せないことこそが、政治の負うべき責務だと私は思う。いまこそ正しい政治の存在を、われわれの英知を集めて決断し、もって政治への国民的信頼をかち取らなければならない。しかも、この問題は絶好の機会だというふうに冒頭申し上げたように、私は確信しておりますので、どうか十二分な検討、十二分な両者の納得、こういうことを前提にした、しかもゆっくりではなくて、どうぞひとつ真剣な、じみちな検討をしていただくように私の希望を最後に申し上げ、三つの提案も申し上げながら、これも参考にしていただくことを含めて、大臣から最後に、この問題に対する結論的な答弁をいただいて終わりたいと思います。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 おっしゃるとおり、あの山林をつくる、植林をするということについては、これは自分のものであるといったような意識でもってつくるのと、それから、これは人に雇われてつくるのだということとで、ずいぶん熱心さ、したがってその効果が違うということは、私も山国に生まれた人間でございまして、そのお話はよくわかります。  ただ問題は、山梨県のことで、山梨県知事というのは、私は、山梨県民の福祉と山梨県民の生活の安定というものを主張する一番の中心の立場にあるのが、常識的には県知事であるというふうに考えざるを得ない。その県知事の考えが、原さんのお話によれば、全然民生安定とか県民の福祉とかいうこととは乖離しておるのだ、こういうようなお話でございますが、その点が私にもちょっと解しかねる。そこで閣議においては、恐らくは山梨県知事の言われたことをお聞きして、これも知事が県内のことについておっしゃるということについては、一応信頼しなければならぬし、するのがまた筋だと思いますが、そこで私も長年の友人である原さんのおっしゃること、これを信頼するのは当然でございます。  それともう一つ、先ほどの繰り返しになりますけれども、少なくとも県知事が大事な自分の県民であり、自分のかわいい子供であるというその県民の一部の人たちの福祉だとか生活の安定だとかいうものに、まさに逆行することを考えておるのだということにつきましては、ちょっと私は理解いたしかねる。まことに私は岐路に立っておるような立場にあるわけなんですが、これはひとつ検討をさせていただくよりほかに、もう私としては何も前進するわけにはまいらない、こういうことを申し上げておきます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 最後に、いま答弁がありましたことについても、私の見解をもう一度申し上げておきます。  現に、この種の問題が起きていることだけは事実であります。忍草は実測約五十ヘクタールに及ぶ土地を抱えて、県の計画に対して、自分たちはほうり出される、自分たちの生活をよくする何物もない、長い間こう訴えている事実がある。これから熾烈になります。新屋における開墾農民は永小作権を主張して、十六年以来、今日までやってきた。しかも、それはいま山梨県でも、りっぱな上畑に開墾し尽くした。そしていま営々として大根、ジャガイモをつくっておる。これがいきなり植林をされて、畑がいきなり林にされて、その林の木の伐期が来るのが四十年、五十年先、そのときに立木を買ってあげますよ、じゃよろしい、どうぞお使いくださいというようなことにならないのは当然でしょう。  これがまた四十ヘクタールに近いものを抱えて、断固今後正しい判断のもとでの解決を待っている。暴力で暴れようとか、血を流すような紛争をしようなどという考え方は、全然ないということになれば、現に問題があることがわかっている限り、その問題の解決する時期はいつか。私は、いままで何年にもわたって、この国有地払い下げが解決しなかった、実はこの国有地払い下げの機会に、いまこそこの問題に解決のレールを敷いてやることが、大蔵省があり、政治そのものがあり、私たちが存在するゆえんを、大衆に信頼をもって知ってもらうゆえんだと思う。  現に問題があるのに、その問題が今後どんな血みどろの紛争になろうとも、それは知ったことじゃありませんというようなことになってはいけないという、そのたてまえだけは、私もいま大臣の答弁を聞いても同じだと思いますから、どうかひとつ、この払い下げを契機にして、この問題に今度は終止符を打たせるように、やはり解決に向かってレールをぴちっと敷こうという努力をすべきである。  いま払い下げを前に、両者の間に法的にどうのというんじゃなくて、公式にどうじゃなくて、成れば手柄ではありませんが、いまわれわれのこうやって論議しているこの貴重な時代、わかっている問題の紛争を、よりエスカレートさせないために、長い間続いたこの紛争というものに終止符を打つために、誠心誠意努力をしていくということを、どうか大蔵省の高級幹部の諸君にも、大臣にも——大臣の答弁にあるような検討をするという裏には、同じ日本人として、この問題を、もうこれ以上成田に、かつての北富士の演習場問題にさせないというような努力をすることを私も誓いますが、ぜひ皆さんにも考えていただきたいと考える。  私のこの考えについて、最後にもう一度大蔵大臣の決意だけ述べていただいて、ちょうど終わる時間が来ましたので、終わりたいと思います。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 最後にお答え申し上げましても、前にお答えを申し上げたことと同じようになろうと思います。原さんも信用いたしますし、それから知事も信用しなければならない。それから閣議で、おおよその方向が出ておるということも、私といたしましては考えていかなければならない。恐らく県知事は、いろいろ山梨県の事情を本当に私と比べものにならぬほどよく知っておられるんだから、諸般の事情を十分含んだ上の措置だ、かように考えます。  さようなことで何遍お答え申し上げましても、原さんの満足、これでよっしゃ氏というようなお答えは、今日いたしかねる次第でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 要するに、両者の言い分を検討しなければいけない、そういう意味ですね。もう一度お伺いしたい。検討しなければいけないという意味かどうか……。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 お答え申し上げます。  そのとおりでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 これで終わります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 次回は、明十七日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十五分散会

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