決算委員会 第14号
- 発言数
- 337 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1977/04/13
会議録
○芳賀委員長 これより会議を開きます。 昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、裁判所所管及び法務省所管について審査を行います。 この際、お諮りいたします。 裁判所所管の審査に関し、国会法第七十二条二項の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明する旨の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 それでは、順次概要説明を求めます。 まず、裁判所所管について概要の説明を求めます。寺田最高裁判所事務総長。
○寺田最高裁判所長官代理者 昭和四十九年度の裁判所の決算の概要について説明いたします。 昭和四十九年度裁判所所管の歳出予算額は、九百十四億四千四十一万円でありましたが、この予算決定後、さらに百九十三億八千二百六十八万円余増加し、合計千百八億二千三百九万円余が昭和四十九年度歳出予算の現額であります。 右増加額は、予算補正追加額百七十億五千六百六十三万円余、大蔵省所管から移しかえを受けた金額七億九千三百八十八万円余、昭和四十八年度から繰り越した金額十六億三千七百八十四万円余の増加額と、予算補正修正減少額一億五百六十八万円余であります。 昭和四十九年度裁判所所管の支出済歳出額は、千七十四億九千百九十四万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は、三十三億三千百十五万円余であります。 この差額のうち、翌年度に繰り越した金額は、二十五億四千百五十八万円余でありまして、不用となった金額は、七億八千九百五十六万円余であります。 この不用額の内訳は、裁判所職員の俸給手当等の人件費四億九千百二十四万円余と、その他の経費二億九千八百三十二万円余とであります。 昭和四十九年度裁判所主管の歳入予算額は、六億四千二百万円余でありまして、昭和四十九年度の収納済歳入額は、九億三千百七万円余であります。 この収納済歳入額は、右の歳入予算額に対し、二億八千九百六万円余の増加となっております。 この増加額は、庁舎等敷地の土地区画整理事業による換地清算金の収納があったこと、庁舎改築に伴う旧建物の取り壊し発生材の売り払い代金等の収納があったこと、期間の経過により国庫帰属となった保管金の増加、庁舎敷地等の貸付料の増加及び相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金等の増加が主なものであります。 以上が、昭和四十九年度裁判所の決算の概要であります。 よろしく御審議のほどを、お願いいたします。
○芳賀委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。高橋会計検査院第二局長。
○高橋会計検査院説明員 昭和四十九年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
○芳賀委員長 次に、法務省所管について法務大臣から概要の説明を求めます。福田法務大臣。
○福田(一)国務大臣 昭和四十九年度法務省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。 法務省主管の歳入につきましては、歳入予算額は六百四十四億三千百三十三万円余であります。 これに対しまして、収納済歳入額は五百九十一億七千七百三十一万円余であり、予算額に比べ五——二億五千四百一万円余の減少となっております。 この減少しました主な原因は、罰金及び科料の六十七億九千九百三十九万円余の減少及び刑務所作業収入の十億八千百六十万円余の増加によるものであります。 次に、法務省所管の歳出につきましては、当初予算額は千七百六億八千三百四十六万円余であります。これに予算補正追加額二百八十六億五千九百十九万円、予算補正修正減少額二億七千三十三万円余、前年度からの繰越額三十六億八千五十二万円余、予備費使用額四億四千六百四十八万円余、差し引き三百二十五億千五百八十六万円余が増加されましたので、歳出予算現額は二千三十一億九千九百三十三万円余となっております。 これに対しまして、支出済歳出額は千九百八十二億千七百四万円余であり、その差額は四十九億八千二百二十九万円余となっております。 この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は三十四億三百二十六万円余であり、不用額は十五億七千九百二万円余であります。 支出済歳出額のうち、主なものは、外国人登録事務処理経費七億九百七十六万円余、登記事務等処理経費二十九億六千百五十七万円余、検察事務処理経費十二億二千六百九十八万円余、矯正施設における被収容者の収容、作業等に要する経費百四億八千五百四十二万円余、補導援護経費二十億八百十一万円余、出入国審査及び被退去強制者の収容、送還等に要する経費三億八百二十五万円余、暴力主義的破壊活動団体等の調査に要する経費十四億五千六百八十万円余、施設費七十五億二千三百九十六万円余となっております。 不用額となった主な経費は、人件費、刑務所等被収容者の食糧費、被収容者作業賞与金及び都道府県警察実費弁償金であります。 以上、昭和四十九年度法務省所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。 よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
○芳賀委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。高橋会計検査院第二局長。
○高橋会計検査院説明員 昭和四十九年度法務省の決算につきまして、検査いたしました結果の概要を説明申し上げます。 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の注意により当局において処置を講じたもの一件でございます。 これは、法務省の各法務同等で船舶の所有権の保存登記をする際の登録免許の課税基準が十数年前のままとなっていて、船舶の種類や船価が実情に即応していないものとなっており、ひいては登録免許税額が低額になっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、法務省では五十年五月に、この基準等を実情に即応するよう改定し、八月以降これを適用することとする処置を講じたものであります。 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。 —————————————
○芳賀委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。天野光晴君。
○天野委員 法務大臣に質問するようになると思うのでありますが、実は、第一線の捜査を担当しておる検事の人権侵害問題について質問をしようと思いまして、もとより法務大臣は、その最高責任者ではあるが、検事の出先の最高責任は検事総長である、私たちはそういうふうに理解しております。そういう点で検事総長の出席を求めたのでありますが、検事総長はどうしたのか、特別、国会に出てこなくてもいいというような権利でもあるのかどうかわかりませんが、過去において、証人として二回きり出席したことがないのでというようなことで、出席したくないような話でございました。決して望ましいことじゃないと思うのであります。民主主義のこの時代において、総長みずから出てきて国会の要請にこたえるというのが本筋であると思いますが、出たくないのか出したくないのか、おいでになられないようで、非常に遺憾の意を表しておきます。 そこで、昭和二十二年、敗戦と同時に新しい憲法が生まれました。いわゆる明治憲法の改正憲法であります。この憲法の精神で、国民の権利というものを大幅に認められてきております。いわゆる基本的な人権の尊重であります。この憲法の人権尊重を基本として、捜査の師表である刑事訴訟法が立法されたわけでございますから、憲法の精神をそのまま刑事訴訟法は受けて捜査の指導、捜査に当たることになっております。 そこで、私は人権問題に関する現在の検察官の考え方は、どのようになっておるか。いわゆる昭和二十二年に憲法が改正されたのでありますが、それ以前に拝命した検事は、新しい刑事訴訟法は、直接仕事をしながら勉強していると思いますが、実際問題としては、本当の教育は受けてなかったわけでずが、いまここに終戦後三十年以上たつと、そういう検事は少なくなったと思いますが、いわゆる検察当局として、国民の基本的な人権を尊重するためには、どのような指導を現在されておられるのか、一応お伺いしておきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 ただいま天野委員から御指摘がございましたことでございますが、検事総長の出席の御要求がございました。きょう出てまいりませんが、御案内のように検察庁の関係におきましては、法務大臣が責任を持っておるわけでありまして、検事において非違があるような場合において、これを正すのは法務大臣の責任でございます。 したがって、きょうは私が出席をいたしたのでございますが、ただいま天野委員から、人権擁護の問題についていかなる認識を持っておるかということでございます。特にまた終戦前に任官した者の、いわゆる認識はどのようになっておるかというようなことでございますが、これは事務の方からお答えをいたしますが、私といたしましては、人権問題は非常に大事な、特に刑事訴訟法の精神というものから見まして、人権を尊重するということは最も大事なことであると思うのでございます。 したがいまして、今後も人権尊重という意味合いにおいて、刑訴法の運用、あるいはその他の法律の運用に当たっては、特に関心を持って当たってまいりたい、かように考えますので、御了承を得たいと存ずる次第であります。
○伊藤(榮)政府委員 第一線の検察官の新憲法あるいは新刑訴に対する感覚の問題でございますが、戦前拝命をいたしました検事にいたしましても、現在第一線で活躍しております者は、ほとんど戦争中は軍務に服したりなどいたしておりまして、実務というものは、ほとんど戦後やっておるわけでございます。また、その数も時代の変遷につれまして非常に少のうございます。このようにお答えいたしております私自身が戦後の採用でございまして、そういうわけでございますから、刑訴法の第一条に書いてございます。基本的人権を全うしながら事案の真相を究明し、適正迅速な裁判を得る、こういう刑事訴訟法の大目的というものは、十分身についてやっておるつもりでおるわけでございます。
○天野委員 大変結構な御答弁をいただきまして、すっきりしたような感じでございます。憲法の精神に従って立法された刑事訴訟法、いわゆる国民の人権を尊重しながら捜査を断行する、その間における基本的な人権を十二分に尊重しなければならない、尊重するというたてまえで刑事訴訟法は生まれているわけでありますから、それはそのとおりやるということは当然でございます。そういう点で、人権を尊重しながら捜査をやる、なかなかむずかしいことだと思います。 御承知のように、警察官あるいは検察陣というものの国民から信頼を受ける度合いというものは、一にかかって検挙であります。要するに、苛烈な違反を起こした極悪犯罪を検挙することによって国民の生活が安定していくわけでありますから、そういう点で、国民の信頼を得るためには、どうしても検挙を速やかにやるということが当然でございます。 私も、戦前でありますが、ずいぶん古くなりましたが、警察官のまねごとをする仕事をやったことがございます。やはり刑事警察になれば、犯罪の検挙件数というものが、その当時は物を言いました。いわゆる検挙率のいい者、捜査の技術の優秀な者というのは検挙件数が多いわけですから、そういう者がその道で抜てきされていくという姿を見ておりました。 最近の警察官の検挙件数というものが、いわゆる警察官の栄進その他につながっているかのような話を聞くのでありますが、この点はどうでございましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 確かにお話しのように、戦前の特に警察におきましては、検挙件数というものが、その警察官の将来について相当影響を及ぼしたということを私ども聞いております。 ところで、現在検察におきましては、検挙件数という言葉自体、ほとんど使っておりません。結局、一つの検察庁へ送致されます事件の全体を、その庁に勤めております検察官が、みんなで配分をいたしまして、速やかに捜査をしていくということでございますので、検挙の件数をどうこうという考え方は、検察には現在ないと思う次第でございます。
○天野委員 それでは、ちょっとお伺いしますが、犯罪の検挙をした場合、表彰状とか感謝状のようなものを、いま法務大臣とかあるいは検事総長は出しておりますか。
○伊藤(榮)政府委員 はなはだ心証が薄いといえば薄うございますが、およそ検察官が特定の事件を処理をしたことによりまして、大臣あるいは検事総長から表彰された事例は、私の知る限りございません。
○天野委員 昔は、それはあったわけでございますね。一つの事犯でも検挙して、それが刑が確定した場合においては、表彰状というものを出しておったように私は聞いております。 要するに、新しい憲法下においては、こういう処置を警察はまだやっております。やっておりますが、これをやるということは、決してプラスにはならない。要するに、一件でも多く検挙すると表彰を受けるんだから、悪いやつは表彰を受けないのですから、成績がいいということで、いろいろな点で物になるのではないかということが基本となりまして、犯罪捜査を行っていたという例は、過去において幾らもあります。ですから、それはあってはいけない。 そこで、私は重ねてお願いしますが、人権を尊重しなければならない、その人権を尊重すべき検察官御自身が人権侵害を行ったという事実があった場合においては、どのような手段をいままでやっておられたか、これからどうおやりになりますか。
○伊藤(榮)政府委員 広い意味の人権侵害ということになろうかと思いますが、検察官がうかつな事務処理をいたしまして、勾留すべきでない人を勾留期間が徒過したのに、一日、二日勾留をなお続けたというような事例が、まれにございます。さような場合には、法務大臣から厳格な懲戒処分を受けております。懲戒処分の内容としましては、減俸、戒告その他国家公務員法に定められた種類の懲戒でございます。
○天野委員 これは言い伝えられておることで、私自身その国会の審議に参加したわけではありませんから、よくわかりませんが、刑事訴訟法立法当時の精神といいましょうか、犯罪の検挙に対する精神、疑わしきは罰せず、九十九人の真犯人は逮捕されずとも、一人の無辜をつくるなという精神で、刑事訴訟法はできておるというふうに聞いておるのですが、この点はどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 刑事訴訟法の中の、なかんずく裁判の関係の部分は、いやしくも一人の無実の者も有罪の裁判を受けることのないように、そういう慎重な配慮で刑事手続が規定されておると思います。このような考え方は直接には規定されておりませんが、検察官あるいは司法警察職員の行う捜査においても同様な心構えが必要であろうと思っております。
○天野委員 それは間違いございませんな。
○伊藤(榮)政府委員 間違いないと思います。
○天野委員 去年であったと思いますが、非常に暴言だと思っておるのですが、私の親友ですけれども、そこに額の上がっている稻葉法務大臣が、ロッキード事件の取り調べの最中に、九十九人の真犯人を逮捕しながら、一人も罪をつくらないのだということを新聞談話で発表したことがございます。 これは非常に不都合千万な発言だと、私は自分たちの会合で、これを言ったことがありますが、いま刑事局長の言われるように、新刑事訴訟法の捜査に対する人権尊重という基本的な考え方は、疑わしきは罰せず、いわゆる九十九人の真犯人が逮捕されずとも一人の無実をつくるな、一人の犯罪者をつくらなくてもいいから、無実の罪をつくるなというのが現在の刑事訴訟法の精神であるということの理解の上に立って、仕事をやっておられるということをお聞きしまして、非常にうれしく思います。 そこで大別して、誘導尋問というのがございます。これは文字のとおり。それといわゆる別件逮捕というのがあります。それから、裁判が起きて無罪になった、要するに裁判で無罪になったという、この三つの問題が一番大きな問題じゃないかと、私は、いつも考えておるのでございます。この三つを検事が行わなくなれば、こんないいことはない。いわゆる刑事訴訟法の、要するに、わが国の憲法の精神に沿った国民の人権尊重の捜査をやって、それで、あまつさえ凶悪な犯人を十二分に逮捕して、そういう国民の信頼感を得るということになれば、これ以上の検察官はないと私は思っているのであります。 誘導尋問の問題、別件逮捕の問題、それと後から具体的にお話を申し上げますが、たとえば先日、弘前大学の教授夫人の殺害事件が無罪になった。ことにこれが許すことのできないのは、裁判長の判決によると、証拠をでっち上げしているということを、りっぱに言っておる。それを検察当局は上告しない。こういう問題に対しては、後で具体的にお聞きしますが、その検察官が、人権をじゅうりんしないようにするためには、どうすればいいかということをお考えになったことがありますか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまのお尋ねの中の、取り調べの仕方の問題でございますが、これは私自身、長年現場におりましたとき、自分で拳々服膺しておりましたし、また同僚、後輩にも常に言っておることでございますが、調べ室から一たん外へ出て、何日かあるいは何ヵ月かたって街角でばったり出会ったときに、お互いにあいさつの交わせるような調べをすべきである、またそういう調べでなければ検察官の取り調べというものも意味がないのじゃないか、こういうふうに考えており、かつ同僚、後輩にも常に言っておるところでございます。 それから別件逮捕の問題につきましては、これは仰せのように、非常に人権にかかわる問題でございますので、特に別件逮捕と言われるものが行われましたのは、昭和二十年代から三十年代にかけて警察の行う捜査において、時として見られたわけでございまして、現在さような、いわゆる別件逮捕、本案を追うために、本来ならば逮捕も勾留もしないようなものによってつかまえて、その逮捕、勾留を利用して本案の事件を取り調べるというようなことは、きわめて適当でございませんので、検察としては、折あるごとにそういうことはしないようにお互いに戒め合っておりますし、また警察に対する指導におきましても、特にその辺に留意をいたして、現在警察もその線で鋭意指導を行っておるというのが実情でございます。
○天野委員 それで結構ですが、ただ私の聞いているのは、そうではなくて、そういう誘導尋問をしたり、別件逮捕をしたりしないように、そういう程度の指導きりやっていないのですか。それも具体的に、こういうことをやれば、誘導尋問はなくなるのではないかとか、あるいはこういう強力な指導をすれば、苦し紛れの別件逮捕等はやらないのではないかというような具体的な措置は講じたことはございませんか、こう聞いておるのです。
○伊藤(榮)政府委員 それらの問題を志向するような傾向というものは、検察官になった時点から、若いときから身にたたき込んでおかなければならぬものでございます。 したがいまして、現在たとえば司法修習生から検事に任官いたしますと、一年間大都市におきまして個人教授的に指導官がついて、取り調べのあり方とか、あるいは捜査の展開の仕方、これを手をとり足をとって教えております。そういたしまして、一年たちますと、地方の中小都市に出て自前でやってみる。また二年ないし四年ぐらいたちますと、また大都会へ戻しまして、二年間また同じように手とり足とり指導するということで、先輩検事が個人教授的に、その辺のあるべき取り調べの方法あるいは捜査の展開の方法等を指導して身につけさせる、こういうふうに鋭意努力しております。 こういうことは御承知のとおり、口で言ってみても、なかなかわかるものでございませんので、そういう実地の指導が一番効いているのではないかと思っております。
○天野委員 それでいいと思うのですが、ただ問題は、やはり誘導尋問という問題です。 この間、私、検察官適格審査会で、前の検事総長の布施さんにどうだというふうに話したことがあるんですが、誘導尋問ほど悪いのはないと思うのですよ。検察官がうそを言って、そして容疑者の取り調べをするというふうな行動。供述書を証拠として、要するに裁判に起訴するために検察官みずから、うそを言って取り調べをするということは、すでに憲法で具体的に禁止されていることであります。私は、現在の取り調べの中において、この誘導尋問がなくなれば、恐らく六〇%以上は人権じゅうりんがなくなるのではないかという感じがいたしております。 そこで、私はここで提案したいのですが、これは誘導尋問だけにしぼってお話しします。誘導尋問を行った者、要するに警察官も検察官も同じでありますが、きょうは法務省ですから、検察官でいきますが、そういう検事は断固処断をする。処断をするだけでは、これはとても問題が絶えないと思うのです。ですから、これを未然に防止をする方法がある。そうして、それを犯した場合においては、断固処断をするということになれば、皆無になるのではないか。 そこで、私の提案ですが、これは法務大臣に答弁を願いたいと思うのですが、取り調べ室の中にテープレコーダーを入れておくということをやるべきではないか。いわゆる日本の憲法を守り、その精神にのっとって犯罪の捜査をやる検察官みずからの違法行為を防げるということになれば、これは当然できることではないか。 この間、私、この問題を検察官適格審査会で話をしたところが、弁護士会の会長から発言があって、天野先生、おらの方では五、六年前からやろうと言っているんだが、これは改ざんされるおそれがあるから、だめだよと言った。だれが改ざんするんだと聞いたら、預かっている検察庁が改ざんするから、だめだと言われる。そんなに信頼がないのか、弁護士と検察官では。どうなんだ、私は、このように布施さんに話をしたんですが、私は、改ざんされる心配はない。 要するに、容疑者あるいは弁護士からテープレコーダーを導入することの希望があれば導入する。ただし、そのテープはその三者立ち会いの上で封印をしておく。そして検察側でも、弁護士側でも、被疑者側でも、必要であると思ったときには三者立ち会いの上で開封して、それを聞く。こういう形にすればいいのではないかという発言をしておったのでありますが、私は先ほど来大臣並びに刑事局長の——特に刑事局長について、私の友人に相当の弁護士がおりますが、安原君だとばかり思っておったら、いや安原君は事務次官になって、今度かわったんだよ、今度の刑事局長は、いままでの局長とはちょっと違うよというアドバイスを受けてきております。非常に腹のできた人で、いままでの捜査活動においても非常にりっぱであったし、あなたの質問には差し支えない答弁をされると思うというふうに私聞いてきておりますが、刑事局長みずから、自分の部下どもがそういう犯罪行為、犯罪を取り締まる者が犯罪行為を犯して、この取り調べをするということは許せることではない。 後ほど、那須さんという、殺人事件で無罪になった人の言い分もありますから、その話をしますが、これは検事と書記と被疑者と三人の中で取り調べをやることでありまして、要するに書記は検事と表裏一体であります。それですから、その証言は問題になりませんし、飼われているものですから、これはとやかく言うはずはない。それですから、どうしても検事並びに検察官に誘導尋問をやらせないためには、テープレコーダーを入れれば、これは入れただけで、封印したものを開封する必要はないが、いやおうなしに全部やめるようになると思うのでありますが、この制度を考えてみる御意思はございませんか。
○福田(一)国務大臣 具体的な問題でございますので、一つの考え方とは思いますが、刑事局長から答弁をいたさせます。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま仰せになりました、調べに当たってテープレコーダーを使ってはどうかということは、私ども部内でも常に一つの研究課題になっておるものでございます。 まず実情を申し上げますと、ただいま検察庁でテープレコーダーを使用する場合も時としてございます。それは、将来公判廷におきまして、検察官に対して行った供述が、その任意性あるいは信用性を争われる蓋然性が強いと思われます場合にはテープレコーダーを使用して、そうして将来、供述調書が公判廷で任意性等で争われました場合に、このテープレコーダーでもって、その辺の経緯を明らかにするという措置をとっている場合がございますが、正直に言って、その例は大変数少のうございます。 さて、部内でテープレコーダーの導入についていろいろ議論がございますが、たとえば一つには、恐らく日本じゅうでも数少ないのではないかと思いますが、いま書記とおっしゃいましたが、大の男が、検察事務官が物書きの役をしておるという事務所といいますか、そういうものはだんだん少なくなっているのじゃないか。そこで、もっと効率的に何か口述を録取する方法はないだろうかという観点から、いわゆる速記タイプとか、あるいはテープレコーダーとかいうようなものも、いろいろ考えられるわけでございます。 ところが、今度はマイナスの面といたしましては、検察官による特に被疑者の取り調べ、あるいは重要な参考人の取り調べと申しますのは、確かにおっしゃいますように、誘導をしたり、あるいはおどかしたりすることが禁物でございまして、要するに腹と腹を割って、心と心が触れ合ったところで、いわゆる自供が得られるというのが本当の検察官の取り調べだと思います。そういう心と心が触れ合って、本当に自分のしたこと、悪かったことを検察官の前に吐露するという気持ちになる、そういう場の雰囲気に、テープレコーダーが回っておるということが障害にならないかどうか。これはやってみれば、案外そうでないのかもしれませんが、やはり検察官にとっては一抹の不安がございます。 それからさらに、ただいま、封印をしてほとんど将来は使わないだろうとおっしゃいましたが、確かにそのとおりでございまして、公判廷において調べの内容の任意性あるいは信用性が問題になります事件は、全体のごくわずかでございます。そのために常に膨大な量のテープを回してかけておくということがどうかとか、あるいはテープの技術的な最大の難点としましては、再生に、取り調べに要したと同じ時間を要するというようなことがございまして、なかなか甲論乙論ありまして、まとまらないという状態でございます。 ただ、ただいまおっしゃいましたようなことは、確かに一つの重要な示唆だと思いますので、従来からも検討いたしておりますけれども、なお、私ども事務当局としても検察当局とよく打ち合わせまして、この点の研究、検討を進めてみたいと思っておる次第でございます。
○天野委員 冒頭に大臣と刑事局長からお話があったように、人権は尊重しなければならない。特に憲法の規定の中にあるものであります。要するに、憲法に違反をして、その他の法律のために検察官みずからが、これをやるということは、針の先で突くほどの問題でも断じて許すわけにはいかないと思うのでございます。それは無理かもしれません。大学を出たばかりのチンピラの検事どもが、少なくとも心と心で触れ合う取り調べをやるなんということを、期待することは結構だが、期待しているところに私は問題があるんじゃないかという感じがします。 それほど心と心が触れ合うような本当の取り調べをやっている検事というものは、恐らく九牛の一毛じゃないか。これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、いままでの見ていること、聞いていることでは、そういう感じを私は覚えているのであります。ことに憲法違反という大きな問題を犯すわけでありますから、それがわれわれ国民ではなくて、取り調べをする検察官みずからが、それを犯すわけでありますから、これは予算がなければ、それでさっき私が申し上げたのですが、テープは弁護士あるいは容疑者側から要求があった場合という言葉を私はつけておりますが、その経費は、その容疑者側で負担すればいいのであります。 私は、この問題は、この質問が終われば法務委員会に席をかえます。そうして法務委員会で、もし検察当局がやらなければ議員立法で、この始末はしたいと考えております。それですから、刑事局長、これは検討する、私には、いつもの国会答弁の検討は効きませんですから、どの程度検討したか、どの程度具体的になったかを逐次報告を求めますから、それはそのつもりでいてほしい。 ことに検事みずからが法律違反を犯すということを未然に防げるということならば、それは検事が、取り調べをした者が、法廷において自白が証拠になるという問題について、不利になるような場合があったときは困るからというので、いまの刑事局の発言では、いままで公判を維持するための、検察側のためのテープレコーダーであるというふうに私は了承しているのでございます。 そうではないのです。両方の安全弁のために、テープレコーダーを用いれば、そのテープレコーダーを開封するというようなことはないであろう、私はそういう予測の上に立ってやっている。それを置いてやったんなら、いやおうなしにテープをあけてみればいいのですから。そうすれば断固たる処断をすればいいわけでありますから。 やはりそこは、そこまでやらなければ、いまの風習は一挙に改まるものではございません。それですから、これはひとつ冗談ではなく真剣に取り組んでやってほしいと思います。これは改ざんされるとか再録するなんという心配はございません。それを入れれば絶対にやりません。それは自分の首が一番恐ろしいのですから、それはやりません。それですから、具体的な証拠を残すようなことを、裁判のための公判が維持できるだけの捜査をやる検察官がやろうとは、私は考えておりません。 それですから、それは使わなくてもいいものであるが、ただし、それをやることによって、その検察官の憲法違反という行為が解消されるという大きな役割りを果たすならば、少しぐらい無理であってもやるべきではないか。そうして、その取り調べの中にも秘密を守らなければならない問題があるとすれば、それは当然封印してしまうのですから、大丈夫ですから、それはひとつ十二分に検討を急いでやってほしいと思います。これはひとつ大臣どうですか。
○福田(一)国務大臣 先ほども申し上げましたが、いま刑事局長からもお答えをいたしておりますが、実際われわれも、あなたが御心配になっているような、そういうことがあるやに聞いたことがあります。したがって、どのようにこの問題を取り扱っていいかということについては、刑事局の方でも慎重に検討すると言っておりますから、御信頼をいただきたいと思います。
○天野委員 それでは、ひとつ具体的な例で刑事局長に細かい問題をお聞きしますが、参考人というものは、どういう含みを持っておりますか。
○伊藤(榮)政府委員 参考人と申しますのは、捜査機関がお話を聞かせていただくすべての人の中から、被疑者を引き去った残りが参考人であると思っております。
○天野委員 そうすると、間接的には関係があるが、直接的には関係がないというふうな者も参考人であるわけですか。
○伊藤(榮)政府委員 参考人の中身は、したがいまして非常に多岐にわたっております。たとえば犯罪の被害者というように犯罪そのものと密着しておる方から、たとえば被疑者の性格、環境等を知って述べていただく方とか、あるいは一般的な犯罪の背景、事情について知識を与えていただく方とか、非常に多岐にわたっておるわけでございます。 ただ、被疑者と違いますところは、要するに本人の容疑事実について調べるわけじゃございませんから、刑事訴訟法の上からいいますと、被疑者ならば供述拒否権を告知をする必要がございますし、参考人の場合は事柄の性質上、そういう必要がないというような違いがございます。
○天野委員 最近の事件でロッキード事件、きょうロッキードの委員会をやっていますが、これは私の主観ですが、あれはマスコミに追いまくられて、検察陣が結末をつけたというような印象を持っているのでありますが、検察の方の最近のやり方は非常に利口で、マスコミを利用して、後から検察陣がついていくという捜査のやり方をやっているようであります。これは捜査のやり方としては、決していい方法ではないと思います。 それですから、参考人の呼び出しを、出てきてもらうようにお願いをしておるその者を、事前に検察陣はマスコミの方に連絡しておいて、参考人がうちを出るとき、要するに、うちの中からマスコミが何十人も押しかけて写真を撮ったりなんかするというような事実があるのですが、こういうことはどうでしょうね。これはマスコミに事前に知らせた、知らせないという問題があります。これはマスコミの方で証人になりますが、こういう問題についての扱い方は、一体人権じゅうりんになるでしょうか、ならないでしょうか。そういうことはやってもいいとお思いでしょうか、どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの問題につきましては、私も少し前まで第一線でやっておりましたが、そのとき痛感した問題でございまして、よその機関のことを申すようになりまして、大変申しわけないのですが、警察で行います、あるいは捜索でありますとか参考人の取り調べについては、とかくどうも事前にマスコミに内報されておるのではないかと思われる場合が何回か目につきまして、私ども、刑事訴訟法の精神からして大変まずいことだと思って見ておりました。 ただ、検察といたしましては、およそ参考人の呼び出しについて、あらかじめマスコミに公にしろ、こっそりにしろ、流すというようなことは一切いたしておりません。私の過去の経験でも、マスコミから後で怒られるぐらい、その辺はまことにきちんとやっておったつもりでございます。
○天野委員 それは当然のことであります。最近のマスコミの活動は非常に熾烈をきわめておりますから、あるいは先に、それをマスコミの方でわかっていて行くという場合もあると思うのです。私の言っているのは、それではないのです。それではなくて、検事みずからが、あすの朝、だれそれの出頭を命じているよというようなことを漏らしたとすれば、それはどうですかと聞いているのです。
○伊藤(榮)政府委員 軽率な振る舞いだと思います。
○天野委員 軽率な振る舞いというのは、どうお考えですか。そういう検事は、やはり処断の対象にはなりませんか。
○伊藤(榮)政府委員 軽率にもそういうことを漏らしたその前後の事情とか、あるいはどういう経緯からそういうことになったのか、その辺を十分把握いたしませんと、なかなか一律には、どういう結果になるべきかということは判断できない問題じゃないかと思っております。
○天野委員 その前後の事情というのは、どういうことがあるのですか。参考人を呼び出しする。来ていただく。それに対して、それをマスコミに事前に発表するということの前後の事情とは、具体的に言って、どんなことがありますか。
○伊藤(榮)政府委員 私にも、どんな場合があり得るか、ちょっとよくわかりませんが、たとえばマスコミの人が、いわゆる夜回りなどに参りまして、もうぼつぼつこういう人を呼ぶころじゃありませんかというような質問をする。それに対して、呼ばないと言えば、うそになる。何も言えないよというようなことからマスコミの方に感得される、感知されるというような場合もございましょうし、あるいはそういうことはあり得べからざることと思いますが、何らかの特定の意図を持って積極的にマスコミに明らかにするという場合もありましょうし、後者の場合でありましたら、これはやはり監督上の問題が生ずるのじゃないかと思います。
○天野委員 端的に説明をしてもらいたいと思うのです。 私の言っているのは、普通のたとえば任意出頭で呼ぶ場合であっても、そうあってはいけないはずですね、そういうことは人権じゅうりんになるわけですから。ことに、参考人である者に対して、マスコミが探知して、そして乗り込んだというなら話がわかるのですが、そうではなくて、検察庁当局から、あしたの朝呼ぶよということがあった場合で、具体的な例を私は言っているのです。 全然あやふやなことを聞いているのじゃないのです。これは当然人権じゅうりんになる行為を行ったと断定して差し支えないという前提条件の上に立って、私は聞いておるのですから、マスコミの方で、いや、返事しなかったから行ったなんということじゃないのです。そうではなくて、検察当局が、みずからそれを事前に漏らしたということがはっきりした場合においては、それは処断の対象になるでありましょう、こう言っているのです。どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 刑事訴訟法には、捜査機関たるもの、関係人の名誉に十分留意を払わなければならぬということが明文で書いてございます。したがいまして、その事柄が、いわゆる人権じゅりんということになるのかどうかはともかくといたしまして、検察官の行為としては好ましくないものとして、監督上の問題になるのではないかと思います。
○天野委員 具体的な問題に入りますが、その前に、もう一つただしておきたいと思うのです。 いわゆる別件逮捕であるということが明確にわかった場合、あるいは裁判の結果、無罪になったという事例のあった場合、いままでは、その責任はどういうふうにとりましたか。とった例がありますか。
○伊藤(榮)政府委員 まず別件逮捕の問題でございますが、別件逮捕という言葉は若干のニュアンスを含んでおる言葉でございますが、私どもの理解しておりますよろしくない別件逮捕というのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、本当のねらいである、いわゆる本案を追及するために、瑣末なことに理由をつけて身柄を拘束するというのが別件逮捕ということだろうと思います。 これにつきましては、私の知る限り、検察においてそういうことが行われたという例はほとんどないと思います。 ただ、警察官の活動としてそれに類したことが行われた場合には、検警の協力関係がございますから、警察当局に厳重にその都度申し入れておるはずでございます。 それから無罪の問題でございますが、一律無罪になりましたからといって、直ちに検察官の責任が生ずるわけではないことは、現在の訴訟構造から見れば当然のことでございます。 問題は、捜査、公訴提起に当たった検察官が、常識的に見て、十分な捜査を尽くして公訴を提起したかどうか、この点が問題でございまして、これまでたとえば国家賠償の例などを見てみますと、中には、検察官が十分な捜査上の注意を払わないで公訴を提起したために無罪になったということで、国家賠償を命ぜられた例も一、二ございます。 したがいまして、終局的に無罪の裁判が出たという場合には、その事件に関与した検察官が具体的にどのような努力をして事件を処理したかということを見た上で処置をするということになろうと思います。 さて、それでは無罪が出たからといって、たとえば懲戒処分をしたことがあるかということになりますと、そういう例はございません。ただ、その後の人事上の問題等には反映されておるように私は見ております。
○天野委員 私の別件逮捕というのは、瑣末な、どんな小さな事件でも、それが事件として処理されれば結構だと思うのですよ。それは一応窃盗で挙げて強盗殺人が出てきたというような場合もありますから、窃盗それ自体が、犯罪が成立すれば私はいいと思うのです。別件で逮捕したが、犯罪が成立しなかった、それが無罪になった、そうしてその後のもので処断をしたというようなことは、これはりっぱに別件逮捕である。これに対しては了承するわけにはいかない。そのぐらいのことが判断できなくて検事が勤まりますか。 たとえば一つの問題を押さえようとした。ところが、これはまだはっきり証拠もつかめない。だから、これはこっちでやろうというようなことで、別の小さな事件で引っ張ってきて、後の問題で始末をする。先の問題は、そのまま無罪になって事件にならなかったというような問題を私は指しておるのでありますが、それは別件逮捕と見るわけにはいきませんか。いまの検察当局の考え方としてはどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘のケースに即して申しますと、当面は隠されたいわゆる本件を掘り出すために、きわめて証拠の薄いもので逮捕、勾留するということになりますと、別件逮捕であろうかと思います。
○天野委員 それはどんなものでもというわけにはいきませんか。逮捕状を執行したときのものが有罪にならなかったという場合、あるいは起訴猶予ということは処分のうちですから、それはいいですが、それが不起訴になった、あるいは全然起訴保留になったというような場合において、その次のものでこれを処断したというようなことになれば、これは別件逮捕になりませんか、どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 およそ捜査というものは、だんだんその捜査を積み重ねていくうちに証拠関係が固まってくるわけでございますから、結果だけから見て、最初の逮捕、勾留事実が、あるいは無罪になったとか、いわゆる俗な言葉で言うと、全く事件にならなかったからといって、別件逮捕であるというわけにはいかないと思いますが、要するに当初さしたる根拠もないのに、本件の事件を掘り出したいばかりに逮捕、勾留したということになれば、その意図が別件逮捕であろうというふうに考えるわけでございます。
○天野委員 最近心配していることなんですが、要するに警察官は検察官の補助的な役割りを果たすものだ、私はそう承知をしておるのでございます。ことに検事という職責は、どんなに長くたって、いまの官僚制度の状態からいって、そんなにその場所に十年も二十年もいるというようなことはないでしょう。非常に短い期間で動いて歩く。その検察みずからが、警察の手を使わないで、土地カンのない検事みずからが捜査を指示して、警察を全然ボイコットしてやるというような事件が最近数多くあります。そのために間違いが出てくる。それはどういう意味かというと、それは私が言わなくたってわかるように、準備捜査といいますか、その前の捜査それ自体がなっていないから、そのものずばりで行ってやりますから間違いができる。それはやってはいけないと私は思うのです。 これはある程度内偵を進め、そして形のついたものでやるべきだ、そうでなければ、やれば何でもできるということになります。そうして、これは事件にならないから、おまえは帰ってよろしいということでは許されるわけにはいかない。ことに強制捜査をやる場合は、マスコミは逮捕されたという事実を大きく書きます。そうしますと、検事の家族はそんなことはないだろうと思うが、検事が逮捕されたって大したことはないと思うが、われわれの家庭の方では、そうではない。小学校に行っている子供たちは、おまえのおやじが逮捕された、刑務所にいるやつだ、おまえのところのじい様は刑務所にいるやつだということになると、学校に行かなくなります。それを何にもなかったからで帰してもらったのでは、これは問題であります。そういう点で私は、この問題をきつく答弁を求めておきます。そんなことでいいものかどうか。与えた影響は全然考慮しなくて、瑣末な事件でこれを強制捜査に踏み切ってやるというようなことが許されるかどうか、その点どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 戦前の検察、警察の関係は、検察が一切の捜査の責任を持ち、司法警察官を指揮して捜査を展開するという、実態はともかくとして法のたてまえでございました。戦後は、現在の刑事訴訟法のもとにおきましては、警察と検察は全く対等の立場の捜査機関であり、相互の関係は協力関係ということになっておるわけでございます。しかしながら、警察といえども検察といえども、追い求めます究極の目標は一つでございますから、なるべくお互いが協力一致して捜査を展開するということが望ましいことは言うまでもないと思うのでございます。 ただ、ときに検察が警察の援助を求めないで独自の捜査を展開する場合がございますが、それは主として被害者の目に見えない犯罪、こういうもの、これはまた言いかえれば知能犯的な犯罪ということにもなろうかと思いますが、そういうものにつきましては、諸般の知識あるいは常識というようなものを基盤として事案の解明ができるという面もございますので、あるいは検察が独自にやった方が手っ取り早くできる、またその方が端緒を得やすく、かつ捜査の完全を期しやすいというケースもあることは御承知のとおりでございまして、さような場合には検察独自の捜査を展開することもございます。 それからまた、たとえば選挙違反事件のような場合になりますと、警察は、選挙粛正の熱意は十分お持ちで、鋭意違反の捜査、検挙に当たられるわけでございますが、何分警察は他の警察目的も持っておられますために、わりあい早期に選挙違反取締本部を解散されるというような事情もございます。そういう場合に、検察がときとして独自の捜査を展開して、違反の摘発をやるということも間々見受けられるところでございます。 そういうことでございますが、その場合に、検察が独自で捜査を展開いたします場合に、もちろん御指摘のように事前の査察、内偵というものが非常に重要なことは申すまでもないわけでございまして、全く事前の内偵調査をすることなく、何らか聞きかじった情報によって、漫然と人を逮捕する等の強制捜査を展開するというようなことは、はなはだしく適当でないことは言うまでもございません。要するに、検察が独自で捜査を展開いたします場合にも、十分確信を持って事件の捜査に着手するということが必要かと存ずる次第でございます。
○天野委員 何かすっきりしないのですな、その答弁を聞いていると。具体的な問題があって、こうきちっとされちゃ困るというような印象のある発言ときり受け取れないのです。 私は、事件の捜査、いわゆる強制捜査というものは非常に重大なものである。それを、検事の独断の考え方によって強制捜査に踏み切って、そして容疑者を逮捕したはいいが、その容疑はなかったというようなものが、差し支えない、それは検事の常道だと刑事局長はお考えですか。
○伊藤(榮)政府委員 検察が独自の捜査を展開する場合には、検察が十分査察、内偵を遂げて、そして確信を持った段階で強制捜査に踏み切るべきであろうと思います。強制捜査というものは、おっしゃいますように、与える影響が非常に大きいものでございますから、十分慎重を期さなければならぬものと思っております。
○天野委員 与える影響が大きい。それだから、私は重ねて聞いておるのでございます。それは事前に内偵も必要、いろいろ必要でもあるが、一たん強制捜査に踏み切った場合、相当の確信がなくては踏み切れないはずだと思います。これは常識でも判断できることでございますから、それが事件にならなかったというようなこと、要するに逮捕状で四十八時間、検事勾留十日間、再勾留十日間、そして事件にならないから、あなたはお帰りなさいだけで帰して、それでいいんですか。それについての責任は、検事みずからとらなくてもいいんですか、どうです。
○伊藤(榮)政府委員 先ほどからも申し上げておりますように、身柄の拘束は非常に大きな影響がございますから、十分慎重を期さなければなりません。しかしながら反面、身柄を拘束したから、何が何でもこれを裁判に持ち込まなければならないというような考えもまた非常に危険でございまして、身柄の拘束をしたからといって必ずクロにきめつけるということは、きわめて適当でございませんので、常に私ども現場におりましたときも考えておりましたが、クロの方向の捜査をいたしますと同時に、シロではないかという捜査を十分に尽くしまして、そして適切妥当な結論を得るようにすべきものであろう、こう思っておったわけでございます。 ただ、全く見込みが違って、無実の人を逮捕、勾留したような結果になった、こういう場合には検察としては十分わびるべきであろうと思います。
○天野委員 だれにわびるのですか。どうも済みませんとわびることで——それはどんな形でわびるのですか。わび方ですね。わびたことがありますか、局長は。恐らくあなたはないでしょう。それはどういうかっこうでわびるのですか、具体的に言ってください。
○伊藤(榮)政府委員 きわめて法律的な形式的なお答えをまずいたしますと、その間の抑留、拘禁に対して補償を差し上げるという物質面が一つございます。それからもう一つは検察官の良心の問題でございまして、たとえば私が当該検事でございますれば、その見込み違いに対して、その被疑者に陳謝をいたしたでありましょう。そのほかに、どういうことがあり得るかわかりませんが、何にもまして、将来に向かって検察が二度とそういうことを犯さないように心を引き締めて、なお一層、仰せになります人権の尊重を考えてやっていくということが一番大事じゃないかと思います。
○天野委員 検察官も人の子、感情の動物であることは間違いありません。これは裁判官も同じでありますが、感情を抜きにして事件に当たらなければならない。そこに少なくとも人間的な感情があったのでは、決して正しい捜査が行われるとは私は思いません。なかなかむずかしいことではあるが、そこまでいかなければいけない。その感情を抑えさせるためには、やった事件の後始末に責任を持たせるということが大事だと私思うのです。人間は飯を食う動物ですから、たとえば間違いをやれば検察官が首になるということになれば、これは間違いをやりません。といって、犯罪の捜査を緩めてはいけない、そこは非常にむずかしいことであると私は冒頭に申し上げておるはずであります。 そういう点で、失態を犯した者は素直に失態と見て、それは始末をするということが検事みずからのためでもあるし、国民のためでもあると私は思うのですが、それについては人事を預かる局長ですから、そこはどうでございますか。
○伊藤(榮)政府委員 御指摘の点は、そのとおりだと思います。
○天野委員 それでは、人権じゅうりんを犯した者は、その実態に即応して、要するに処断をしても、将来人権じゅうりんを行わないようにするんだというふうに、いままでの総合的な答弁を理解して差し支えありませんか。
○伊藤(榮)政府委員 いやしくも検察官に人権じゅうりんの事実があれば、厳正な処断をしなければならぬと思います。
○天野委員 それでは、具体的な問題が四つか五つくらいございますが、それを伺います。 先ほどちょっと話に触れましたが、昭和二十四年八月六日に起きた弘前大学教授夫人の殺人事件で、那須隆という人が逮捕されまして、第一審は無罪、第二審で懲役十五年という判決を受けて、刑期を全部済ませて帰ってきて、そこで真犯人はおれだという者が出た。これは実に大きな問題だと思うのです。 そこで、ことに聞き捨てにならないのは、冒頭にもちょっと申し上げましたが、逮捕するときの状態等は、いろいろ問題がありますが、その事件そのものについて検察側は上告しなかった。上告しなかったということは、その判決をそのまま認めたというふうに了承していいと思うのであります。そうだとすれば、いわゆる証拠がでっち上げだと裁判所は言っておるのでありますが、その点については、その後、何か話し合いがあったと思いますが、仙台の高検の方からでも連絡があったと思いますが、どのような状態に現在なっておりますか、検察側の考え方をただしておきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 那須さんについては非常にお気の毒であり、また司法制度全体として申しわけなかったと思っております。 検察当局としては、仙台高等裁判所のなさいました裁判に対して適法な上告理由も見当たりませんし、確定させることといたしたわけでございますが、その中に一部、御指摘のように血痕の付着の問題だったかと思いますが、工作された疑いがないとは言えないという趣旨の判示があったと思いますが、そういう点も含めて今後の検察といたしましては、なお一層科学的捜査の充実、あるいは警察当局の捜査過程の的確な把握、こういうものを通じまして、二度とこういう間違った起訴、さらにそれが間違って有罪の裁判を受ける、さらに長い間服役されるという事態の起きませんように、自戒をいよいよしていかなければならぬ、こういうふうに思っておるところでございます。
○天野委員 その程度きり言えないだろうと思いますが、私、那須さんのお母さんと那須さんにお会いしました。一時間半ばかり懇談いたしました。いろいろその当時の捜査の状態を聞きました。検事の取り調べに対して、何かいま印象に残っている、思い出したことはないかと私は聞きました。そうしたら、こう言っていました。 沖中という検事だそうです。亡くなったそうです。この検事の取り調べに対して、警察の取り調べの実態を訴えたそうです。暴行されて、もう顔がむくれ上がるほどたたかれて、けられて、どうにも身動きができないほどやられたという話をしたそうであります。そうすると、その検事いわく——これは死んだ人相手だから、どうにもならないが、それをいま、そのままやっていると私は思うのですよ。 証拠はあるか——なるほど、証拠裁判をいまやっているのですから、証拠はあるかと聞いたそうであります。警察に勾留されているうち、相当長い日時が過ぎたものですから、それは全部はれが引けてしまった、だから黒血のたまったのも引けて見えなくなった。証拠もないのに、このやろう何を言うのだ、大体おまえは人殺しだ、どろぼうしたって、そのぐらいのことをやられる、人殺しが何生意気語るんだという発言をしたそうであります。それが何といっても、いまでも頭に残っているということを言っております。 そうですから、私は前に戻りますが、テープレコーダーの必要をここで再び主張するわけであります。そういう取り調べってありますか。証拠はどうだ、証拠もないのに何を語る、このやろう、どろぼうだって、このぐらいのことやられる、人殺しをやって何語るという取り調べを受けたと、しみじみと語っておりました。 警察は、ああいうところだからやむを得ないとしても、せめて最高の教育を受けた検事がそういう発言をするということは、いまでもくやしくて残っていますという発言がありましたが、それについての感想はどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 私といたしましても、その事実の有無を確認するすべがありませんが、もしそういう事実があったとすれば、当該検事は私の先輩に当たる人だろうと思いますが、はなはだ遺憾なことであると思います。私にとっては、ちょっとそういうことを言ったということが信じられないぐらいの気持ちでございます。
○天野委員 そこで、先ほど無実の罪になった、その責任についてはおわびをするという話がありましたが、検察当局では、この那須さんのところにおわびに参りましたか。
○伊藤(榮)政府委員 おわびに参るというようなことはいたしておりません。
○天野委員 これ以上御迷惑をかけたのは、先ほどの話だと、おわびをするという話があったのですが、何らかの形でおわびには行けないのですか。それはどうです。おわびすると言うのは、何でおわびするのです。遺憾であったという新聞談話を発表すれば、それで、おわびになるのですか。その点はどうでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 あるいはお聞き取り方によりましては、はなはだ冷たい言い方になるかもしれませんが、刑事訴訟法のたてまえからして、警察、検察、裁判所、これらが一生懸命努力をして真相の究明をする、その結果、有罪の裁判があり、無罪の裁判があるわけでございます。 裁判所といえども全知全能ではありませんから、場合によって間違った裁判が万に一つもないというわけにはまいりません。それを救うために再審とか非常上告という手続があるわけでございまして、そういう手続上の問題で、再審で無罪になられたりなんかするわけでございまして、検察当局としては、もう少し起訴当時、あるいは公訴の維持の当時、あるいは服役しておられる当時、何らかのきっかけを見つけて、本当の意味の真相を把握できればよかったなという悔いがございまして、また那須さんに対しては大変申しわけないという気持ちは十分ございますけれども、その無罪の裁判が出ます都度、たとえば再審無罪なら裁判所、一般の無罪なら検察官、こういう者が一々出向きましておわびをするというようなことは、いまのところやっておらないわけでございまして、それらはすべて将来へ向かっての反省としまして、国民全体に還元していくということでやらせていただきたいと思っておるわけでございます。
○天野委員 どうもそらぞらしい答弁になってきたようですね。それは、そういうことじゃいけないと思うのです。 いまから三週間ぐらい前の毎日新聞であったと思いますが、いわゆる那須さんのこの事実を踏まえて、ちょっとした記事が載っておりました。アメリカのリンドバーグの子供の誘拐殺人事件を比較に出しまして、この問題を書いてある記事を私は見ました。リンドバーグの子供の誘拐事件は要するに死刑であります。死刑をされたその死刑囚が残した書き置きを見ると、これはその本人がやったのではないということが後でわかったと、その新聞記事は書いておりました。死刑になったのは、おさまりつかないですね。 私は、特に強調したいのは、これは殺人事件だから強調する。殺人放火、要するに死刑という極刑にされる者の扱いについては、実にお粗末千万ではなかったか。これが昭和二十三年の新しい刑事訴訟法ができない前であるならば、そういうやり方をやっておったのだから、やむを得ないと思いますが、あれほど大騒ぎをして平和国家をつくり上げた日本、その日本の国民の権利を守る新しい憲法ができて、その新しい憲法によって捜査官が担当する刑事訴訟法が立法されて、それを行っているにもかかわらず、こういうことが起きた。 この間、私は布施さんにも言ったのです。あなた、一体お見舞いか何かに行ったかいと聞いたら、行っていない。それはちょっと——さっき言ったように、検事も人の子、感情の動物であるはずであります。そういう点では人間として、やはり一言頭を下げてわびるべきだと私は思います。しかし、それはわびる必要はない、これからの検察陣営で、りっぱに法に従って捜査を続けていけば、それで報いが済むのだというような考え方であるように、いま聞いたのでありますが、それでは、とても了承できないのであります。 大臣、留守であったのでありますが、殺人事件で刑期を終えて、要するに青年時代を、ともかくも二十歳代から今日まで約三十年近い間、殺人者として扱われてきたその人が、ようやく無罪になったのでありますから、それに対して私は、先ほどお聞きのように、刑事局長に無罪になったときはどうするのだと聞いたら、おわびをすると言う。おわびをしていない。これ以上のものはないのですから、おわびをしていないというのは、私は気持ちが落ちつかないのでありますが、大臣としてはどうでしょう。ことに、この事件の内容がでっち上げだということであるならば、なおさら了承できない。
○福田(一)国務大臣 私は検事も問題だと思うが、やはり裁判官も問題だと思うのであります。御案内のように、検事というのは犯罪を捜査して究明するというか立証するというか、そういう立場に立っておる。弁護をする者は、それを弁護する立場で被告人を弁護しておるわけであります。それを裁判をするわけですから、非常に重大な過失があった場合には、もちろん検事は当然謝ってしかるべきだと私は思います。しかし同時にまた、裁判官も判断を誤ったということもあり得るのじゃないかと思うので、検事だけということが適当であるかどうか、あるいはそういう場合においては法務といいますか、裁判全体をつかさどっているという意味で、だれか適当な人が、まことに遺憾であったということを表明することも一つの方法かと思いますけれども、重大な過失がその間にあったということであれば、今度は処分というか、これに対して警告を発するとか何らかの措置をとることも必要になるでしょう。 いずれにしても具体的な問題で、私は実はいま御指摘になっておられる事件についての内容を詳しく存じておりませんから、いまここで申し上げることはできませんけれども、やはり両者に反省すべき面があったのではないかという感がいたすわけであります。
○天野委員 大臣、そんな簡単なものじゃないのだ。あなたはお見えになっていなかったからですが、要するに、この事件は再審の結果無罪と決定したわけです。それは検察側が上告しなかったから決定した。上告しなかったということは、判事の論告がそのとおりであるからというふうに了承して差し支えない事件です。そうでしょう。判事の論告に問題があるならば、当然上告をしなければいけないでしょう。証拠になる物が捏造した物だと裁判は言っているのですから、それを了承しておいて、こんな大きな事故はないのじゃありませんか。それに対して、どうして一言でもいいから、遺憾の意を表することができなかったのか。 先ほど私は聞いたのです。無罪であった場合には、それは遺憾の意を表して謝りますと刑事局長は答弁したのですよ、後で速記録を調べたらわかりますけれども。殺人罪ですから、これ以上の事件はないわけです。人の一生をここまで引っ張ってさておいて、いまここでこういう事件になって決着がついた。それはいろいろ言い分はあると思いますよ。三十年も四十年も前の事件ですから、いろいろ言い分はあると思いますが、しかし事件が、こういうように決着がついた以上は、御迷惑をかけたことは間違いないのでありますから——それは警察の責任でもある。当時は自治体警察でありましたから、要するに弘前市の市警の責任でもあったかと思いますが、その取り調べに当たった沖中という検事は非常に評判の悪い検事であった。これは死んだから、しょうがありません。 この間、この那須さんという人とお母さんにお会いしまして、一時間ばかり懇談したのでありますが、いろいろ言っておりました。いまここでそういうことを言ったって泣き言ですから申し上げませんが、これは死刑でなかったからいいのです。死刑だったら取り返しがつかないじゃありませんか。いまも申し上げたのですが、リンドバーグの子供の誘拐事件は死刑になって、後からその死刑因め遺書によって、これは無罪であるということがわかった。死んでしまってからでは、どうにもならないという新聞記事がこの間出ておりましたが、私はそういう点で、この人は幸いにも十五年という刑で早く出られたから、よかったと思っております。 やはり天のなせるわざであろうと思いますが、そういう点で、検察側みずからが一言のごあいさつもないということは、要するにそういう強力なでっち上げをやってもいいという検察最高幹部の考え方であると理解して差し支えありませんか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほどの大臣の御答弁の趣旨は、こういうところにあろうかと思います。那須さんが有罪とされて十五年間も服役されたということの最も直近のきっかけと申しますのは、再審ではなく、その前の裁判の結果でございますので、そういう意味では裁判所にも責任があるのではないか、こういうことをおっしゃったのだろうと思います。 それから私自身は、個人の問題といたしましては、検察官というものは一人一人が、いわば独立的な官庁の形をとりまして、全責任を持って事件を処理いたします。したがいまして、私個人の気持ちを申し上げさせていただきますれば、私は、たとえば第一線で検事をいたしておりまして、私の全責任で処理をした事件について、きわめて相手方に御迷惑をおかけしたという場合には、潔く謝るつもりでおりますが、一体検察組織あるいは司法制度全体の観点から、どう見たらいいか、こう申しますと、一件無罪が出るごとに、たとえば法務大臣が謝罪をされるというようなことまでしなければならないような制度になっておるかどうか、こういうことは一つの問題で、私は、個々の検事の良心の問題に尽きるのではないかというふうな感想を持っております。
○天野委員 それは裁判所の責任もありますよ。しかし裁判所は、検察当局ほど捜査に対する力を持っていないことは事実でしょう。こういう大きな事件を裁判所みずからが、検察当局が捜査して持ってきたものを、また再度調査をするというようなことが、いままでの例でありますか。実地検証というような程度はあるでしょう。しかし裁判官が、りっぱに判決を下せるような正しい捜査を行っておくということが検察陣の使命ではないですか。 これもこの間新聞に出ておったのですが、埼玉県の警察官の出来事ですが、これは検事も同じだと思います。交通違反を送検した。それに対して判事が実地調査を行った。二件ともそれはでたらめのものであったということがわかった。これは言ってみれば、見通しのきくところに大きな建物があって見通しがつかなかった。実地調査で全然でたらめの調書であったとわかり、これは無罪になっております。それは無罪になったからいいようなものだけれども、それを検挙された者の立場に立ったらどうですか。先ほど刑事局長が相手の立場も考えてという言葉もありましたが、それはそのとおり、クロであるかシロであるかという問題は、裁判が決めるのです。要するに、裁判の公判廷に立つまでは、検事と容疑者は対等であります。これはちっとも劣るものではない。どっちが上でも下でもない。 ところが、いま検察当局はそうじゃないじゃありませんか。初めから犯人扱い、罪人扱いしていることは事実であります。それがないと言えますか。裁判所に責任があるという責任転嫁は別にしてくださいよ。それは別ですよ。ただ検察当局として、この問題に対してはどう考えているかと私は聞いているのですから、裁判所の問題は別であります。 それですから、十五年の刑を終えて、そして時効になって真犯人が出てきた。そうして再審の結果、無罪になった。その無罪になった理由は、要するに警察当局が出した証拠がでっち上げであったということでございます。これは警察がその証拠をつくったのだからといって逃げるわけにはいきません。当時は、検事と警察は一体であります。ですから、これは逃げるわけにはいかないと私は思うのであります。警察でつくった証拠を検事がそのまま認めたということになりますから、その検事自体も、これは共同責任であります。 そういう形の上において無罪になったのだから、その無罪になった者に対して、先ほどおわびをしなければいけないと言われておって、これだけはおわびできないとは、一体どういう理由ですか。食言ですか、それは。前言を取り消しますか、刑事局長。どうです。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま仰せになります前言のとおりでございます。すなわち、私自身が第一線の検察官で、そういうような結果を招来せしめたといたしますれば、私の良心は謝りに行かせます。しかし検察の組織として、あるいは司法制度全般として、一々おわびに行くような仕組みにはなっておらないのではないか、こういうことを申し上げておるわけでございまして、検察官の良心の問題であろうと思うわけでございます。
○天野委員 まあ、水かけ論になりそうだから、ここらあたりで切り上げておきます。できることなら、非公式でも結構だから、遺憾の意は表すべきではないかと私は思います。それが人の道ではないか。人間、感情の動物ですから、要するに検察官みずからでなくても結構、個人として、そういうことがあるというところに、取り調べをする、捜査権を持っておる者の公平な捜査ができていくのであって、それが本当の考え方ではないかと私は思います。これ以上は追及いたしません。 それから、殖産住宅の脱税事件というのは、どうなりましたか。
○芳賀委員長 天野君、ちょっと待ってください。 ただいま関連質疑の申し出がありますので、これを許します。丹羽久章君。
○丹羽(久)委員 法務大臣の発言中、何か私どもの聞き取り方によって、どういうふうにそれを受け取っていいかということで、考えをはっきりしておいていただきたいと思うことが一つありますので、関連でお尋ねいたしたいと思います。 先ほど法務大臣は、無罪判決についての答弁中、裁判所側にも問題がある、こういうような御発言があったように私ども聞き取ったわけであります。裁判所側にも問題があるというこの発言の真意はどういうことであるかということを、この際、お尋ねをしておかないと、法務大臣が何か裁判所批判的なことを言われたように受け取っては大変でありますから、この際、真意のほどをひとつはっきりしておいていただきたい、こう思いますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 私が申し上げましたのは、この事件は再審でありますが、しかし原審において有罪であったということでございますね。最初は有罪になった、後で再審の結果、無罪になったというのが今回の事件である。それで、その場合においては、もちろんでっち上げであるということであれば、検察側にも責任がございます。しかし、また裁判というものから見て、裁判官としては自分で正しくやったと思っても、結果において、罪状その他の認定あるいはその他のことについて全然無罪であったとは言えないのではないか、こういう感じが私はしたから、そこで検事のことはもちろんでありますけれども、裁判所も、そういうことをしたということでは、もし謝ることが至当であるというのなら、そういう姿がいいのではないか、こういうことを申し上げたつもりであります。
○丹羽(久)委員 謝罪する、謝罪しないという問題については刑事局長の答弁がございました。私は、これにあえていろいろ申し上げることはございませんが、再審をせられて無罪になったときに、検察庁としては、さらに最高裁に対する上告が残されておったと記憶してもいいと思います。そういう意味から申しますと、先ほどの天野委員の質問は、上告をしなかったということについては、一応検察庁はそれを認めたんだと。先ほど刑事局長の話を聞いても、あらゆる角度からいろいろ調べてみたけれども、上告するということにはしない方がいいだろうという結論になったから、おきましたということになるのですね。 そうすると、これは高等裁判所で決定せられたことであっても、最高裁で決定せられたのと同じことになるわけですね、上告をしない限りは。だから、これですべては終わったということになるわけなんです。だから、シロクロは、この点ではっきりしておるということじゃないでしょうか。 そうすると、一審がどうだとか二審がどうだとか、こういうことは私はあり得ないと思う。二審ですでに決まって、その二審が不服であったら、検察庁は、最高裁というものは絶対決定的なものであると国民は受けとめておるんだから、さらにそこへ上告をせられるのが本当である。けれども、それをせられなかったのですから、これは裁判所がとやかくという考え方をお持ちになるよりも、これはやはり先ほどの刑事局長のお話のように、素直に受けとめておいていただく。一審が間違っておったのじゃないか、検察庁も間違っておったのじゃないかという話よりも、私は、この際、法務大臣は素直に受けとめておいていただいた方がいいと思いますが、御見解はどうですか。
○福田(一)国務大臣 私が申し上げたつもりは、言葉が足りなかったからでございますけれども、一審の判決の場合を言っておるのでありまして、二審で無罪と決まったのを、その二審の判決をとやかく申すことはできないと思います。もし、あなたのおっしゃるとおり、それが有罪であると思えば、検事は控訴すればよろしいのでありますから。しかし、一審は一応有罪とした場合、それは検事よりは責任が軽いということになるかもしれぬが、やはりそういう面で、まあ一審の裁判も、ある程度の責任を感じてもいいんじゃないかと私は思うので、これはどうも、専門家じゃありませんから、あるいは私の考えていることが間違っておるかもしれません。間違っておれば訂正します。
○丹羽(久)委員 法務大臣が専門家でなければ、私自身はもっと専門家でも何でもないのです。ただ、感じたことを率直に申し上げますと、私ども国民として受け取ること、国会議員として受け取ることは、一審でそういうふうに決まり、二審へ持っていったら無罪になったのだ。そこで検察庁が、これをさらに検討せられて、これはまだまだ十分上告する余地があるとなれば、最高裁へ上告せられるのが本当なんですが、そこで検討せられた結果、これは一応そういうふうになるものなりと判定せられて、先ほど刑事局長が言ったように上告を取りやめたのだ、こういうことなら、それですべては終わったのですから、あとの問題は、一審がどうだとかこうだとかいうことは、——私はこう聞いておりまして、皆さんからもそういう声が出たのですが、もし法務大臣のお考えが一審を批判せられるということでは、これはちょっと変なものになると思いましてね。 いまお聞きしたら、法務大臣はそうでない、まあ、これはお互いが間違っていたんだという見解のようでありますが、この際、そういうことを明らかにしておかぬと、法務大臣が裁判所を批判したということになっては、これは大変だと思いましたので、ただその点を申し上げただけであります。どうぞよろしく。
○芳賀委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○芳賀委員長 速記再開します。 委員長から天野委員にお尋ねしますが、ただいま天野委員の希望によって一時速記を中断したのですが、速記中断中の天野委員の御発言は、当然委員会の質疑の中で速記にとどめるべき性格のものであるというふうに考えましたので、速記再開いたしましたから、先ほどの発言については正確な発言をお願いいたします。
○天野委員 先ほどの大臣と丹羽委員のやりとりの中で、一審が有罪、二審が無罪というような印象を受けました。それは、那須さん自体の殺人事件は第一審は無罪です。そうして二審で有罪になったのです。検事控訴によって二審で有罪になっております。そうだと私は承知しておるのであります。そこで、今度無罪になったのは、再審の二回目で無罪になった。一回は出したが、これは却下になった。二回目で無罪になったということですから、その点、間違いないと思いますが、刑事局長どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど来の御質問、大臣の御答弁を拝聴いたしておりまして、若干言葉の使い方で誤解を生ずる面があると思いますので、弘前大学教授夫人殺害事件と言われます事件の那須さんに係る部分の裁判の状況を、日付を追って御説明申し上げます。 事件が発生しましたのが昭和二十四年八月六日でございます。で、この結果、那須さんが起訴されまして、昭和二十六年一月十二日に、青森地裁弘前支部で無罪の判決がございました。これに対して検事控訴がありまして、昭和二十七年五月三十一日、仙台高裁で懲役十五年の有罪判決がございました。次いで、那須さんの方から上告が申し立てられまして、昭和二十八年二月十八日に、上告棄却決定があり、先ほどの仙台高裁の懲役十五年の判決が確定いたしました。確定いたしましたので、那須さんは宮城刑務所等で服役をされまして、昭和三十八年一月四日に、仮釈放で刑務所を出所されたのでございます。 今回の再審事件は、昭和四十六年三月になりまして、別の方が真犯人であるということを告白したことに端を発しまして、同四十六年七月十三日に、那須さんの方から仙台高裁に再審請求が行われました。これは、再審請求は、前に確定した裁判を言い渡したところに対して行うことになっていますから、仙台高裁に対して再審請求がなされました。その結果、仙台高裁では、昭和四十九年十二月十三日に再審請求棄却決定があり、これに対して同月十九日、那須さんの方から異議申し立てという手続が行われ、結局、昭和五十一年七月十三日に、仙台高裁は、考え直しまして、再審開始決定をいたしました。 その再審が始まった結果、本年二月十五日に、殺人の点は無罪、銃砲刀剣所持の点が罰金五千円、こういう判決があって、これに対して検察官は、上告理由がないということで上告をしませんでしたので、この殺人無罪の判決が確定した、こういう経緯でございます。
○芳賀委員長 法務大臣に申しますが、先ほどの法務大臣の発言中、事実と全く相違した点について訂正する意思があれば、発言を許します。——法務大臣。
○福田(一)国務大臣 先ほどの私の発言は、いささか事実を誤認をいたしておりましたので、取り消さしていただきます。速記からその分だけ全部取り消すように、委員長においてお取り計らいを願います。
○天野委員 先ほどちょっとお話ししましたが、殖産住宅の脱税事件、東郷元会長が無罪になったという記事が出ておりますが、この事件はいまどうなっておりますか。
○伊藤(榮)政府委員 起訴当時殖産住宅の社長でありました東郷民安氏に対する所得税法違反事件、これにつきましては、ただいま御指摘のように、本年三月三十一日、無罪の判決がございました。これに対して現在検察当局において控訴の要否を検討いたしておりますので、間もなく結論が出るのではないかと思います。
○天野委員 恐らく控訴するだろうと思いますが、ひとつ間違いないように、これをやっていただきたいと思います。あれほど大騒ぎしたのが無罪になったのでは、やはりちょっと問題でございますから、そういう点、地域社会に及ぼす影響が非常に大きいのでありますから、ひとつ間違いないような処断をしていただきたいと思います。 それから、田中角榮逮捕事件というのをちょっとお聞きしたいと思うのでございますが、これは、逮捕した罪名は外国為替管理法違反だと聞いておりますが、それに間違いありませんか。
○伊藤(榮)政府委員 そのとおりでございます。
○天野委員 外国為替管理法違反というのは、どういう内容のもので、田中角榮がどういう点でこれにひっかかりがあったのでしょう、具体的に。
○伊藤(榮)政府委員 ロッキード社のためにする支払いであることを知りながら国内で金銭を受領した、こういう事実関係が、いわゆる外為法に触れるということで、逮捕、勾留となったわけでございます。
○天野委員 これは私のつたない常識から判断するのですが、外国為替管理法違反、これは勉強してこなくて、まことに申しわけないのですが、外国から物なり金なり不当なものを持ち込んだ、そのものの処断をするためにあるわけですか。これは田中角榮の問題でなくて結構なんです。一般的に、概念からいえば、外国為替管理法違反というのを、要するに素人にわかりやすく説明すれば、どういうことになりますか。
○伊藤(榮)政府委員 外国通貨あるいは通貨にかわるべきものと、それから物の場合とは、扱いを異にしておりまして、外為法が規制しておりますのは、通貨もしくはこれにかわるものでございます。 結局、私も専門家ではございませんが、わが国が世界において置かれております地位からしまして、外貨というものを集中的に政府が管理をしていこう、こういう観点から、政府の管理の手から放れたような外国からの金の流入等を規制をしておる、こういう趣旨だと思っております。一方、物の方につきましては、現在では、関税法という形で、関税法上輸入禁制品とされましたものとか、あるいは税を払うべきものを税を払わないで入れる、こういう場合には関税法の方で規制をされる、こういうことになっておると思います。
○天野委員 いままでの例で、どうですか、たとえば今度ロッキード社から丸紅に金を持ってきた、その金が、田中角榮に渡すために持ってきたということで事件に該当した、いまそういう説明があったわけですが、いままではこうした例がありますか。
○伊藤(榮)政府委員 外国為替管理法違反の起訴事例はわりあいに多うございまして、私自身も相当件数処理したことがございます。
○天野委員 いま裁判でずいぶんやっているようですが、外為法違反というのは、ちっとも新聞には出てこないのですけれども、どんな裁判の内容になっておるのですか。
○伊藤(榮)政府委員 外為法違反で逮捕、勾留しまして、だんだん調べておりますうちに、その金の授受の趣旨がロッキード関係に基づく請託の謝礼である、いわゆる賄賂であるということになりましたので、その当該五億円の金というものは、一面において外為法違反になると同時に、反面において収賄罪の賄賂になるということでありますから、収賄と外為法が不可分一体のものとして現在審理が進められております。
○天野委員 それはそのとおり答弁するだろうと思っておったのです。私は聞いてもいいと思うのですが、田中角榮氏が勾留期間中その犯罪は否定しておったというふうに聞いているのです。これは発表できなければいいのですけれども、できるなら、何も言っていないというような世評なんですが、そういう点はどうでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘のように、個々の被疑者の取り調べ状況については、ひとつ御容赦いただきたいと思います。
○天野委員 それでは、これは話としてお聞きします。 いま言ったとおり、田中角榮氏は何日間勾留されたのか、再勾留もあって、二十二日間は入っていなかったのじゃないかと思うのですが、何も言わないで出てきたというふうに言われております。その間捜査をして、受託収賄罪で起訴したということになるわけですね。外国為替管理法で田中角榮が逮捕されるとは、国民のだれもが思っていなかったと思いますよ。受託収賄だとばかり思っていたと思いますよ。 ここに、私、ちょっと了承できない点があるのです。少なくとも現職国会議員であり、一国の総理大臣を二、三年前までやっておった者、どんなに悪いからといって——法律を犯したのだとすれば、それは当然処断されるべき問題であろうと思いますが、どうして受託収賄で逮捕状を正々堂々と出して逮捕できなかったかということが問題であります。局長は当時、この事件に関係はしておったと思いますが、関係しておりませんか、どうです。
○伊藤(榮)政府委員 私は、ロッキード事件発生の少し前まで東京地方検察庁の次席検事をしておりましたが、ロッキード事件の最中は最高検におりまして、全く事件に関係しておりません。
○天野委員 いま話に聞けば、外為法で逮捕したが、その外国為替管理法違反で持ち込んだ金が、要するに受託収賄になるので、収賄罪でいまやっているというふうに聞いたわけでございます。そのとおりですね。 そこで、二十日間ばかりの短期間で被疑者自体が一言も物を言わないと聞いておる。言わなくても、捜査が進んだのなら、二十日間たったときに、受託収賄で堂々と逮捕すべきではなかったか。少なくとも、形式犯だと言われておるような外為法違反で逮捕したというのは、やはりこの事件が終わってみなければわかりませんが、別件逮捕のきらいが相当あるのではないか。別件逮捕ではないかと言われても、やむを得ないのではないかと思うのですが、この点はどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 外為法違反は、法律自体をごらんいただけばわかりますように、罰則としても懲役三年以下の比較的重い刑が規定されておるわけでして、また金額から言いましても、社会的地位がどういう方であれ、優に起訴すべき価値のある事案であったと思います。そういう意味におきまして、これは別件逮捕と言うには、全く当たらないものであろうというふうに考えております。
○天野委員 国民の受ける印象はそうじゃないのだよ。外為法違反なんていったって、国民は大した犯罪だと思っておりませんよ。それですから、もう少しこれを慎重に扱って、受託収賄と両方併用して、そのときなぜ逮捕できなかったか。田中角榮を勾留中調べ上げて、その事実が出てきたというなら、私は何をか言わんやでございますが、そうではなくて、田中角榮が、周囲で言うように、物は何も言ってないそうだ、事実は皆否認しておると言っておるのであります。その内容は公表できないということですから、これは裁判で、あるいは弁護士からでも聞く以外に方法はないわけでありますが、そういうのであるならば、わずか二週間や三週間待って、その他の捜査の方法で受託収賄がはっきりしたとするならば、なぜそれでやらなかったかと思うのであります。 その点は現在裁判中でもありますから、なかなか具体的な答弁はできないと思いますが、差し支えのない範囲内においてお答え願えれば、大変結構だと思います。
○伊藤(榮)政府委員 何罪で逮捕、勾留すべきであったかという点について、いろいろ御意見があることは承知いたしておりますが、一般に外為法違反というと、まだとかく軽く見られがちでございますが、これは普通の収賄あるいは贈賄と全く同じ程度の刑を持っておるわけでございまして、必ずしもそう軽く考えるべきものではないと思います。 いずれにいたしましても、田中角榮氏の場合には逮捕期間二日間、それから勾留期間二十日、この間に周辺捜査等々も相まちまして、公訴事実を構成し、認定するだけの証拠が集まりましたので、それ以上の身柄拘束を続けないで処理をした、こういうふうに聞いておるわけでございます。
○天野委員 私の言っておるのは、マスコミ関係があれほど大騒ぎしたのは、頭から終わりまで外為法違反なんということは一言も出てこないで、国民の認識も受託収賄一本で来ていると思うのでありますが、いわゆる外為法違反で逮捕状を出したということについては、国民の間にいろいろな声があります。これは定かではありませんが、稻葉君自身も、ちょっとびっくりしたよというような発言をされたと聞いております。 犯罪捜査をやる検察当局のやり方としては、人権問題等もあることでございますから、これは十二分に考慮して、自後のこの種の犯罪については注意されたいと思います。 それから、私の方の県でいま選挙違反が捜査されておりますが、この問題について、二、三の点についてお聞きしておきたいと思います。 まず最初に、処分保留というのは、どういうことですか。
○伊藤(榮)政府委員 マスコミ等にときどき処分保留のまま釈放などという記事が見られますが、検察庁内部あるいは法律上そういう言葉があるわけではございませんで、要するに、普通身柄を拘束された事件につきましては、勾留満期日になりますと、公訴を提起されたりして一応けりがつく、しかしながら、けりがつかないままで身柄が勾留満期になって釈放された、こういう状態を処分保留と俗に言っておるように思います。
○天野委員 犯罪については起訴もしない、起訴猶予でもない、不起訴という名前もつかない、そこで処分保留というのは、何もないということですか。どうです。
○伊藤(榮)政府委員 身柄を在宅にして、なお継続捜査をしておるという形になると思います。いずれにいたしましても、そう長いこと処分保留で置いておくわけにはいきません。しかるべき時期に、しかるべき結末を内部的にもきちんとしなければいかぬと思います。
○天野委員 そうすると、在宅のまま捜査を継続しておる、こういうことですか。
○伊藤(榮)政府委員 そのようにおとりいただいて結構でございます。
○天野委員 では、具体的にお話を申し上げます。 私の第三区齋藤邦吉君というのの選挙違反問題でありますが、藁谷という市会議員が逮捕されて、要するに強制逮捕、四十八時間逮捕状で、あと再勾留十日間、二十二日間で釈放されておりますが、これはまだ処分保留ですから捜査をやっている、こういうことですね。それは、齋藤邦吉の選挙違反の捜査を続行している、こういうふうに理解していいんですね。
○伊藤(榮)政府委員 藁谷勝男という方は、御指摘のように本年一月二十五日に逮捕、引き続き勾留の上、二月十四日に釈放になっておりますが、その後本年三月三十一日に、起訴猶予処分に付しております。
○天野委員 起訴猶予という内容は、どんな内容でした。それは発表できませんか。どういう理由で起訴猶予になったか。
○伊藤(榮)政府委員 詳細、細かいことについては御容赦をいただきたいと思いますが、藁谷氏の関係は、渡邊某という人から齋藤邦吉派の選挙に関して現金を受領したという関係につきまして捜査を遂げて、起訴猶予にいたしております。
○天野委員 それは最終まで齋藤邦吉君の選挙違反に関連して越訴猶予になったんですか。それとも別の方の名でなっているんですか、どっちですか。
○伊藤(榮)政府委員 藁谷氏に関します限り、齋藤邦吉派の選挙違反で起訴猶予になっております。
○天野委員 それでは、渡邊君というのはどういうかっこうで、いま起訴されているかな、何か一つの事件があるはずですが、それはどうなっております。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど申し上げた藁谷氏に現金を供与したとされました渡邊氏につきましては、藁谷氏との関係については起訴猶予扱いで終わっておりますが、その捜査の過程で判明いたしました、昨年九月十九日施行のいわき市議会議員選挙に関して、現金合計三十万円を特定寄付禁止の規定に違反して寄付をしたということで、本年二月十四日に、福島地方裁判所いわき支部に公判請求されております。
○天野委員 起訴猶予処分というのは微罪だと、私承知しているんですが、それは微罪ではないですか。微罪だから起訴猶予になるんですか。私、聞いている範囲では、起訴猶予の内容については、いわゆる扱い方としては微罪だと承知しているんですが、それはどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 起訴猶予と申しますのは、刑事訴訟法にも規定がありますが、検察官の裁量権の範囲内で、事実は認められるけれども、被疑者の境遇、性格あるいは犯罪後の情状等からして、あえて起訴する必要がないと認めた場合に行う処分でございます。 なお、戦前は微罪不起訴というような処分も検察庁にございましたけれども、現在は起訴猶予一本でやっております。
○天野委員 それは微罪ではないのですね、起訴猶予というのは。どうです。
○伊藤(榮)政府委員 もちろんただいま申し上げましたように、微罪不起訴という処分が戦後なくなりましたから、起訴猶予の中には、昔で言うと微罪に当たるもの、たとえばイワシを一匹盗んだというようなものもあるわけでございますが、ただいまのケースは、見ましたところ、微罪とはちょっと言いがたいと思います。
○天野委員 ずいぶん苦しい捜査をやって、それで始末をしたのだ。私は地元ですから、わかるのですが、いわゆる齋藤邦吉選挙違反として検挙した渡邊という者は、結局それは齋藤邦吉関係もあったから起訴猶予にしたのだというような言い分をいま言っておりますが、実際問題として市会議員に対するその事件だけが本物じゃないのでしょうかね。これは私はいろいろなその後の客観的な情勢から判断しまして、そういう扱いをせざるを得なくなって、そうやったんじゃないかと思いますが、起訴猶予ですから、これは裁判に出るわけにもいかないと思うのですが、裁判にもしやられるのなら、正確にこれは裁判で争ってみるという手も私はあると思うのですが、起訴猶予では裁判に出るというわけにもいきませんし、これは適当な後始末をしたのじゃないかという感じがするわけです。 というのは、去年の八月ですから、ちょうどその違反の起きたと称するときから選挙が幾つもあったわけです。要するに知事選挙、市会議員の選挙、そして去年の十二月に行われた衆議院総選挙、こう三つダブったわけです。 これは私の方の地元の新聞の記事、ちょっと読んでみます。「一番最初に捕えられた藁谷勝男いわき市議は拘置期限ギリギリの二十一日間も取り調べ、処分保留のまま釈放。建設業渡辺組会長渡辺毅は逮捕容疑の買収とはまったく別のいわき市議選」の「(特定の寄付の禁止)違反容疑で地裁いわき支部に起訴された。結果的には“好ましくない”とされている「別件逮捕」となんら変わりがないようだ。」こう新聞は書いています。もとより買収容疑で逮捕しておいて、買収容疑はなかったということは、いわゆる事前捜査が行われていなかったということになるのではないか。ことに、この事件は、話によると、地検の検事正が指揮をとって次席検事がみずから出頭して、地元の警察官を利用しなかったという。 先ほど刑事局長の話では、選挙違反事件には地元の警察は、どうも余り本気でないようだから、だめなんだと言われるような答弁をさっきされておりますから、あるいはそういう考え方で、選挙違反については地元の警察官を使わないでやる風習に、いまなっているかのような印象を私受けたのでありますが、そういう観点から、これは別件逮捕に間違いありません。買収容疑で逮捕したのに、なぜあなた、寄付行為で処分しているのか、別件逮捕じゃありませんか。どうです。
○伊藤(榮)政府委員 当初、齋藤邦吉派の選挙違反の買収容疑で逮捕、勾留して調べておりますうちに、渡邊氏の方から今度は、いわき市議会選挙の関係の金の動きについての話があった。したがって、それらを両方調べた結果、齋藤派の方の金については起訴猶予、それから市議選の関係について起訴、こういうことになったわけでございまして、検察官として見れば、市議選の金が調べ中に飛び出してきたのは意外であったかもしれません。 いずれにしましても、市議選をねらって衆議院選挙の容疑でつかまえるということをやったとも思われませんし、私は別件逮捕には当たらないケースだと思います。
○天野委員 そこらあたりにやはり問題が残ると思うのでありますが、この事件のいわゆるニュースソースとでもいいましょうか、どういうかっこうの経路で入っておりますか。これは投書ですか、電話ですか、どっちです。それはできるでしょう、もう事件が決まったのですから。
○伊藤(榮)政府委員 福島地検ないしはそのいわき支部が、どういう端緒でこの捜査に着手したかというようなことは、一般的に申しましても、捜査の発端というようなものを明らかにしますことは、将来における検察に対する協力等の関係もございますし、従来から申し上げ得ないことにしておりますし、今回も御容赦いただきたいと思います。
○天野委員 そういう逃げちゃってはだめだな。将来の捜査になんか、そんなこと影響ありませんよ。それは見解の相違だと言えば相違になるかもしれませんが、それは影響ないと思う。ともかく、ニュースソースが確実な人間から出されたものか、それとも偽名の投書なのか。要するに、たれ込みに違いないのですから、電話で本人の名前を言ったかどうか、あるいは名前を言わないで、たれ込みをしたのかどうかという問題になると思うのでありますが、その点ぐらいまでは、アウトラインは発表できませんか。
○伊藤(榮)政府委員 多少抽象的な表現で恐れ入りますが、相当確実な筋から情報を得て、その情報の確度について相当吟味をいたしまして、その上で捜査に着手したようでございます。
○天野委員 それほど確実な情報だったら、どうして齋藤邦吉の選挙違反が、市会議員の選挙違反にすりかわったのですか。それは一たん帰して、新たに逮捕したらよかったのじゃないですか。それはどうなんですか。逮捕した以上、ただ帰したのではメンツが立たないということで、たたき出して、あぶり出したようなふうに聞こえないですか、その点はどうなんですか。
○伊藤(榮)政府委員 齋藤邦吉派のケースにつきましては、先ほども御説明いたしましたように、証拠がないとか、事実がないということではなく、起訴猶予で終結をしておるわけでございまして、その間に、妙な表現ですが、ひょうたんからこまが出たように、市議選の金が出てきた、その市議選の金の問題につきましても、所定の勾留期間中に調べがついたというので、同時に処理をしておるわけでございます。
○天野委員 まだ言いたいことがあるのですけれども、それは一応その程度にしておきましょう。 もう一件、澁谷直藏君の選挙違反で、秘書の国井君というのが逮捕された。この事件の内容をひとつ教えていただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 澁谷直藏派の選挙違反につきましては、福島地方検察庁白河支部におきまして、捜査を遂げ、買収あるいは被買収等で澁谷直藏代議士秘書国井誠氏外百四十三名を昨年十二月からことしの三月にかけて、福島地裁白河支部などに起訴いたしております。主な事件は、この国井という人が三十数名に対して合計三十六万三千円の現金買収を行った。それから、五名の人に清酒百六本の物品を供与した。それから、五十六名の人に対する総額四万三千四百九十二円の供応事犯、これらのものが公訴提起されております。
○天野委員 その取り調べは、最初警察で扱ったはずだと聞いておりますが、警察で取り調べをした内容より、検事が後に取り調べをして新たなる事実はどれぐらい出ておりますか。それはわかっておりますね。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど御説明しました分の中の十二名に対する十二万円の現金供与が、警察の逮捕の段階で判明しておったことでありまして、そのような事実は検察庁の取り調べで判明した事実のようであります。
○天野委員 もう一度そのほかの事件を言ってください。
○伊藤(榮)政府委員 起訴されている事件は、荒井某外三十七名に対する三十六万三千円の現金買収、それから田崎某外四名に対する清酒百六本の物品供与、田中県外五十五名に対する四万三千四百九十二円の供応事犯、これだけが起訴されております。
○天野委員 その三十八名の、現金で買収したというふうな事件は、要するに警察の取り調べた後に出た事件ですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの三十八名の現金買収の点につきましては、警察で認知したものもあれば、警察から送致後、検察官が認知したものもあり、交互に入りまじっております。
○天野委員 その検察官が認知したというのは、人数がふえたのですか、人数が違ったのですか。それとも金額の内容が違ったのか、どっちです。
○伊藤(榮)政府委員 簡単に申し上げますと、最初に逮捕したときの容疑事実より対象金額が警察段階でもふえ、さらに検察の段階でふえた、こういう状況でございます。
○天野委員 これは本人を参考人として呼んで聞いてもいいのでありますが、私の承知している範囲内では、警察で取り調べを受けた内容から一歩も出ていないというふうに、その容疑者から私直接聞いております。これは事実でないと言えばいいのですが……。 そこで、私のここで追及したいことは、二十二日間勾留しておいて、そうして警察が一応でき上がったものを検事が受け取って、新たに今度再逮捕の形で勾留をした。そうして四十六日間、選挙違反の事件で検事が逮捕しておいた。合計六十八日間逮捕しておいたというところに私は問題が残ると思います。 ことにその取り調べの中において聞き捨てならざる言葉があります。これは、いま京都に行ったミヤモトという検事だそうですか、恐らく本人に聞けば、言った覚えはないと言うでしょう。福島県の県政は乱れ切っている、木村知事の問題がおさまったと思ったら大間違いだ、おまえたちの問題も、そのうちの一環だというような発言をしております。これは政治的に動いている証拠であって、許すわけにはまいりません。 それと、最も許すことのできないのは、取引をしようじゃないか、どういう取引だと聞いたら、おまえより上、だれでも一人を出しなさい、そうすれば、あと雑魚は全部釈放する、全然手をつけないから、一人でいいから出せというような発言をしながら捜査をやった。 そうして四十六日間、それは御自由でしょう、何人でも見るのでしょうから、細かく起訴しながらやっていくのですから、それはいけるでしょう。一挙に起訴してしまえばできるものを、細かく起訴した。これも内容を調べれば一目瞭然わかりますから。要するに警察のうち取り調べをしたものを、一挙に起訴したのではなくて、それを分割して起訴しているという事実も明らかであります。 そうして四十八日間前後も刑務所に入れておいて、そうして二言目には取引をしようじゃないか、おまえの上、だれでもいいから一人出せ、県会議員でもいいし、何でもいい、おまえの上、一人でも出せば、その他の雑魚は皆釈放するが、どうだ、というような発言までしておるという取り調べをやっております。これは許すことはできないと思うのでありますが、そういう点についてはどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 身柄拘束期間が合計六十八日間にわたったことは、御指摘のとおりでございます。しかしながら先ほど申し上げましたように、選挙違反事件としては規模、態様が複雑で、かつ大きい方の事件でございまして、その関係者も大ぜいでございますので、その調べに相当日時を要したということで、なるべく早く捜査を済ませるに越したことはありませんが、けだしやむを得ないものがあったろうと思っておるのでございます。 それから取り調べの検事で、ミヤモト検事というのは当時おりませんから、だれかのお間違いかと思いますが、当該検事がいろいろなことを言ったといって調べたという御指摘でございますが、ちょっと私にはそのような感じがしておらないのでございます。現に、この関係の事件は現在公判になっておりまして、公判廷において取り調べ検事のつくりました調書等につきましても、全く任意性等が争われないで全部同意によって、弁護側、被告人側の同意で取り調べられておりますので、その点からしましても、およそそういう御指摘のような調べはしていないのじゃないかというふうに思っております。
○天野委員 これは水かけ論よな。その本人を呼んで聞けば間違いなく、それを取り調べられたと言うに間違いありません。その取り調べた検事に聞けば、言った覚えはないと言うでしょう。 そこで、私は、さっき言ったテープレコーダーを必要とする、こう言っているのです。いやしくも普通の国民よりも、検事そのものみずからが法律行為を犯すということは許されることではありません。言うなれば、われわれ普通の国民であれば軽罰であれば、検事は法律行為を犯せば、同じものでも重罰であってしかるべきだと思います。というのは、法律をもって国民を処断する基礎づくりをやる立場であるからであります。そういった観点から、言ったことを言わない、脅迫した覚えはない、それは証拠が残っていないから言えることであります。そういう点はどうしても改めなければならない。そういう観点で、私はさっき言ったように、どうしてもテープレコーダーを取り調べ室に入れるということをやれば、それは絶対言ったも言わないもないですよ。言いっこないですから、そうなれば。それが唯一無二のこれを防ぐ道ではないかと思うのです。言った言わないの水かけ論ではどうにもなりません。 ことに常識的に、いいか悪いかは別として、この種の犯罪事件で、これは常識的にお伺いしますが、後援会の総会をやった。会費は百五十円だった。二百人集まろうと思ってやったところが百人きり集まらなかった。その総会の方式は、いわゆるパーティー式でやった。要するに、来るだろうと思っているうちにお客様は百人きり来なかった。そして全部テーブルの上に出ている品物を、はしをつけたから返すわけにはいかないだろう、どれだけ食ったかもわからないだろう。それを余分の分を多く供応したという事実で、御承知のように百人以上を事もあろうに一ヵ所に集めて、そして捜査をやったというようなことは、これはいいことですか。公民館に一ヵ所に集めて、その捜査をやったというようなことは。どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの御指摘のは、起訴されなかった分の供応関係の容疑の事犯のことであろうと思います。ただいま仰せになりましたように、百五十円会費で二百人集まるんだ、したがって、自分は百五十円払って百五十円分の飲み食いをするというつもりで行ったら百人しか来なくて、計算上三百円分飲み食いをしたというような場合に、これを選挙違反だということで検挙するということはなすべきでもありませんし、常識的に見ても、はなはだおかしいと思います。 私どもが報告を受けておりますところでは、似たような話でございますが、百数十人の方が集められた、そのうちの約半分は会費を払って飲食をされた、約半分の方は会費なしで飲食をされた、こういうような容疑がありまして、そうなりますと、会費を払わないで飲食された方については被買収、被供応というような公選法違反が考えられます。そういう関係で調べたようでございますが、結末としては、一人当たりの金額が非常にわずかなものになるというので起訴猶予に全部しておるようでございます。 そのケースの調査の過程で、そこへ行かれた方々を公民館に、一日のうちを三回ぐらいに区切って三グループぐらいに分けて集まっていただいて、検察官あるいは検察官事務取扱検察事務官が十数名で、一日がかりで調べたということがあるようでございます。異例と言えば異例のことでございますが、供応事犯の取り調べの場合に全くないというわけにもまいりません。日を置いてぽつりぽつりと調べることによりまして、いろいろ真相が把握できなくなる場合もございますから、そういう場合には一どきに大ぜいの取り調べ官を投入して調べるということもあるわけでございます。ただいま申し上げます公民館の場合には、広い会議室のようなところで、おいでになった方に待っていていただいて、別の部屋で、それぞれ調べ官が調べたということでございます。 ただ、いずれにいたしましても、検察庁の支部からも遠い場所のようでございまして、そういう措置をとったものと思いますが、結果的には、そのケースが起訴に至っておりませんので、それらの関係者の方々には非常に異例なこととして受けとめられたのではないかと考えて、今後この種大ぜいの被供応者のある供応事犯の取り調べ方法については、なお研究を要するなというふうに思っておるところでございます。
○天野委員 答弁すれば、それでそれだけの問題のようですけれども、受けた印象はとても——一つの村ですからね。少なくとも小さな村で百数十名も一ヵ所に集めて取り調べをやるなんということは、その村の村民に、その他の村民にも与える影響だって、これは大きなものであって、そういうことは私は軽率千万だと思うのです。経費がないならないように大臣の方に要求して捜査費を取って、そして堂々と旅費を払って呼んで、そして捜査をやったらどうですか。いやしくも一ヵ所に百数十人も一緒に集めておいて、そして取り調べをするというような扱い方は本当に了承できないと思います。それも起訴でもできる事件であるというならこれは別、起訴猶予という処分に始末をしたというような問題について、そういう扱いは決していいことではない。そうして、もとより私は悪いことをいたしましたと言えば処分されますから、私は悪いことをいたしたとは言わないでしょう。だからそういう点で、私はとても了解ができないのであります。 時間も来たようだから締めくくりに入りますが、いずれにしろ、人権尊重をやるというたてまえである刑事訴訟法を捜査の基本として捜査をする検察官、その立場において正しく捜査は執行されるべきだ。そしていわゆる人の子であるからといって、感情をむき出しにして、あのやろう、おもしろくないから、あれをやるとか、あるいは、これはこうだからやるとか——ひどいのになると、もう一区では、私もやられたんですから、一区では天野、二区では澁谷、三区では齋藤だから、もう終わりでしょうなどとマスコミが検察当局に聞くと、いやいやまだあいつが残っているというような失礼千万な発言をする検事もいる。これはりっぱな証人があります。そういうことは了承できることではない。いわゆる昔の岡っ引き根性そのもの以外の何物でもないというような状態では、これは良識のある捜査活動はできないと私は思います。 いろいろ申し上げたいが、終わりにいたしますが、いずれにしろ、大臣も十二分に留意されまして、私は具体的な問題を検察官適格審査会に持ち込みまして、この問題をやります。これはひとつお含みを願っておきたいと思います。 最後ですが、大臣も刑事局長も、どうですか、テレビ番組で銭形平次捕物帳なんというのがあるのです。大岡越前守とか遠山左衛門尉とか、いま一週間に二つ番組がありますが、ああいうのを見たことありますか。ああいう小説を読んだことありますか。どうです。大臣も局長もこれは答弁してください。
○福田(一)国務大臣 私は大変愛好をいたしておりまして、ほとんど見ております。
○伊藤(榮)政府委員 私は大臣ほどではありませんが、ときどき見ております。
○天野委員 あの捕物帳から、ちょんまげを取ってみたらどうですか。そう現在の刑事警察あるいは検察庁当局は捜査をやるべきだと書いているんだと私は思うし、これが恐らくテレビ番組では、これ以上ないというほど長く続いておる。長く続いておるということは、国民の大多数の人が、これを歓迎しているということになると思います。その中で銭形平次なら三輪の万七とか、あるいは黒門町の伝七ならば赤っ鼻の何とかというような捕り物屋が出てきますが、こういうことをやっちゃいけないということを、あれは如実に、銭形平次は野村胡堂先生ですが、そういう考え方で書いております。 特に徳川時代までの間は検察と裁判と一緒であります。いわゆる捜査をして処断をするというやり方をやっております。人間は感情の動物ですから、これではいろいろ間違いが起こるというので、検察当局に間違いがあっても裁判で何とかしょうという、要するに二段構えになったのは、民主主義の時代だから、そうなってきたんだ、私はそう理解しているのであります。捜査と判決に一緒に携わっておった奉行の中にも、りっぱな師表を残しておられる方がいることは事実であります。 ことに、国民のためにある検察庁であり、国民のために仕事をする検察庁でございます。そういう点で私は、少なくとも先人が書き残していった、これらの捕物帳をひとつ十二分に理解されて、今後の取り締まりに間違いのないようにしてほしいと思います。どうかひとつ、これは重大な問題でありますから、そういう点で、検察官の人権じゅうりん問題については今後十二分に処置をしてもらいたい。くどいようですが、テープレコーダーの取り入れについては、ひとつ至急検討していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○芳賀委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時二分休憩 ————◇————— 午後一時三十三分開議
○北山委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 委員長所用のため、その指名により私が委員長の職務を行います。 ただいま参考人として三井物産株式会社専務取締役植村一男君の御出席を願っております。 参考人からの意見聴取は委員の質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承願います。 質疑を続行いたします。原茂君。
○原(茂)委員 きょうわざわざ三井物産の植村専務においでいただきましたのは、さきに倒産をし、いま更生開始決定になりました東洋バルヴ株式会社につきまして、倒産前後の模様に対して相当程度の疑惑が流布されています。端的に言いますと、債権詐害行為があった、こういうことに尽きるわけでございますが、これを端的にお伺いいたしますので、当時の模様をありのままにお答えをいただきたいと思います。 その前に法務省に会社更生法について二、三お伺いしておきますが、もちろん東洋バルヴに関係してでございます。 第八部で取り扱ったわけでありますが、この法の第百九十五条によって、裁判所というのは、この種の問題が起きますと、従業員の過半数を代表する者、組合がある場合には労働組合の意見を正式に聴取をするようになっているわけですが、この東バルの保全管理人が指名されました後、労働組合の意見を正式に聴取したかどうか、まずこれを裁判所の方からお伺いしたい。——私の方から法務省に、会社更生法に関連して伺いたいのでというので通知をしてありますから、法務省の方からお答えをいただきたい。細かいことがわからなければ、わからないでいいです。
○香川政府委員 ただいまお尋ねの具体的な事件につきまして、保全管理人が労働組合に意見を聞いたかどうか、私の万ではつまびらかにいたしておりませんので、よく存じません。
○原(茂)委員 それでは、いまの具体的な例じゃなくて、会社更生法の条章に照らして、保全管理人は、労働組合、従業員の代表の意向を聞かなければいけないということになっていますが、これはどうですか。会社更生法に関して法務省から答えるように言ってある。
○香川政府委員 御承知のとおり、保全管理人は会社更生開始の申し立てがございました場合に、開始決定されるまでの間の会社の常務に関する事項につきまして専属的に権限が集中するわけでございまして、その間におきまして、常務に関する関係で関係人の意見を聞く必要があるということであれば聞くことになりましょうけれども、いまお尋ねの、労働組合の意見を常に聞いて、常務に関する事項を遂行しなければならぬというふうには、法律的にはなっていないというふうに考えております。
○原(茂)委員 会社更生法の第何条に、それが書いてある。聴取してもよろしい、しなくてもよろしいということが何かあるのですか。百九十五条というのは、どんなふうに書いてあるのですか。
○香川政府委員 ただいま御指摘の会社更生法の百九十五条の規定は、裁判所の更生手続の開始決定がございまして、その後に更生計画がつくられるわけでございます。その際に、裁判所が労働組合の意見を聞くというふうな規定に相なっておるわけでございまして、お尋ねの開始決定前の保全管理人の関係ではないと存じます。
○原(茂)委員 管財人が開始決定後に百九十五条によって意見を聴取しなければいけないことになってはいるのですね。
○香川政府委員 くどいようでございますけれども、百九十五条の規定による労働組合の意見の聴取は、裁判所がするわけでございます。
○原(茂)委員 管財人が決まってから裁判所がやるのですか。保全管理人が決まった後に裁判所がやるのじゃないのですか。更生開始決定になった後に管財人が決まってから、それから裁判所が百九十五条によって労働組合の意向を聴取するのですか。保全管理人に対しては、規定が何もないのですか。
○香川政府委員 百九十五条の関係は先ほど申し上げたとおりでございまして、つまり保全管理人は、会社の常務に属することしかできないわけでございまして、その限りにおいていろいろ、たとえば労働組合との関係で、あるいは人員整理という問題になってまいりますと、一般的には、これは会社の常務に関することではございませんので、さような意見を聞く場がないと通常は考えられております。
○原(茂)委員 そうしますと、管財人に対しては、いま言ったような規定はあるのだけれども、管理人に対しては、その種の規定はないのだ、こういうふうに解釈していいのですか。
○香川政府委員 保全管理人につきましては、その会社の常務に属する行為が専属的に権限として規定されているわけでございまして、更生計画をつくるという関係は、これは開始決定がございまして後に管財人が選任されて、それからつくられるものでございますので、保全管理人は一切関係ないわけでございます。
○原(茂)委員 そこで、はっきりしたので、次に二つ目をお伺いしたいのですが、管財人は、これから更生計画を作成して提出するわけですね。その更生計画を作成するときには、今度は労働組合、従業員の過半数以上の代表の意見を管財人は聞かなくてもいいのですか、聞くのですか。——いいですか、更生開始が決定になりまして、これから更生計画をつくります。そのつくるときに、何らかの法のもとに、管財人は労働組合の意見を聴取することを義務づけていませんか。通例として聞いているだけです。
○香川政府委員 先ほど申しましたように、法律上は、百九十五条の規定によりまして、裁判所が更生計画について労働組合の意見を聞くという規定があるわけでございます。ただ実際問題といたしまして、管財人がいろいろ更生計画の立案に当たる場合、事実上労働組合の意見を聞いて、その意見を参考にして更生計画の案をつくることは、これは考えられますけれども、法律上、その案を作成する段階で労働組合の意見を聞かなければならぬという規定はございません。
○原(茂)委員 規定がないようなので、これは実例に即して、また高等裁判所所管のときに質問をします。 会社更生法百十二条の二の第一項を見ますと、いわゆる更生債権者、無担保債権者ですが、こういう者に対しては弾力的な運用をするように、許可があれば、それができることが規定してあるのですが、この弾力的な運用というのは、どういうふうに解釈したらいいのでしょうか。たとえば小口債権者、何十万もあるし、何百万もあるし、何千万というのもありますが、こういう者に対する弾力的な運用を許可することができるのですが、この法律によって弾力的な運用の範囲というのは、だれが判断をして、どういう線を常識と考えて運用されて、いままできたのか、この点どうでしょう。 もし実際の運用の機関じゃないから、それはわからないというなら解釈はどうですか。法解釈は、弾力的な運用というのは、どういうことを言っているのか、法律の条文上の常識論としてお答えいただきたい。
○香川政府委員 この百十二条あるいは百十二条の二の規定は、御承知のとおり小口の少額の債権者あるいは下請等の中小企業者の債権につきましては、やはり他の大口の債権者等と区別して、その弁済について配慮しなければならぬ必要性が十分あるわけでございまして、したがって更生計画におきまして、たとえば一律に三割カットするとか、あるいは五割カットするというふうな原則に立ちましても、やはり小口あるいは下請等の業者の、いわば小さい債権者の保護を一方で考えなければなりませんので、そのカット分について特別の配慮をして、一般的には、たとえば三〇%カットする場合でも一〇%にとどめるとか、あるいは全額弁済するような計画を立てるというふうな配慮をしなければならぬ、さようなことを踏まえて、この規定があるわけでございます。 したがって、実際の裁判所の運用におきまして、この規定が相当活用されておりまして、実際の具体例におきまして、いま申しましたような小口あるいは下請企業の債権についてのカットを全然しないとか、あるいは一般的なカットに比較して相当有利な扱いをしておるというふうに承知いたしております。
○原(茂)委員 そうしますと、この弾力的な運用を判断をして、その幅を決定するのは、だれですか。
○香川政府委員 これは裁判所でございます。
○原(茂)委員 いまのお答えによりますと、非常にはっきりした見解が述べられたわけです。小口債権者、下請等に対しては、ゼロから一〇〇%まで裁判所の判断によってあり得る、弾力的運用とはそういうものだ、こういうお答えがあったのですが、間違いありませんね。
○香川政府委員 これらの規定によりますと、弾力的運用と申しますのは、有利に取り扱うという方向での弾力的運用でございますから、ゼロということはないわけでございまして、一般よりも有利に扱うというふうな趣旨でございます。
○原(茂)委員 わかりました。ゼロは言い過ぎで、ゼロがあっては困るのだけれども、とにかく下は二割から上は一〇〇%まであり得る、そういう非常にはっきりした見解が示されて、これはまた後で触れたいと思います。 そこで、きょうおいでいただいた植村さんにお尋ねをいたしますが、私の個人的な考えとしては、今日まで大変大きな問題になりました東バルのあの倒産というものは、三井物産の後ろ盾といいますか、相当な決意で、中心的にこの再生に向かって、いろいろな意味の努力を今日までされましたし、今後に対しても相当の決意が管財人をお出しいただいたことにあらわれておりまして、その意味では敬意も表しますし、私どもの立場からいっても、今後ともそういう方針とその精神を貫いて、何とか従業員のため、社会のためにも、この会社が更生のできるように、ぜひ協力を続けていただきたいものだと、敬意とともに考えているわけです。 その前提でお伺いいたしますが、ただ、十月二十七日から、あの更生が申請されます十一月二十四日、約一ヵ月の間に相当程度がたがたっと、何かとるべきものを事前にとって、そうして、ある時間をかせぐ間に、社長なり会長なりの個人資産その他、名義の書きかえを行わせる、あるいは保証人にさせる、持っている担保はどんどん全部取り上げるというようなことで、三井物産が、もう東バルは会社更生法の手続を開始する以外にない、あるいは破産させる以外にないという前提に立って、火事どろではありませんが、相当程度いろいろなものを取り上げていったというようにうわさをされ、新聞などで書かれ、ある種の団体はそれを相当強く宣伝もしておりますが、聞いてみますと、私も、それに一理ある、なるほどそういうことをやったらしいという感じも一面持っておりますので、そういう点をはっきりとただしたいと考えまして、おいでいただいたわけでありますから、お立場を、ひとつ隠さずに率直にお答えをいただきたいと思うのであります。 それで、第一にお伺いしたいのは、東バルの社長あるいは会長の個人の資産を担保にとるとか、新たに保証をさせるとか、ないしはある種の機械に対してリースを設定するとか、支払いがすでに行われたものを何年分のリースに書きかえるというようなことまでして、リースに改めてみたりというようなこと全体を通じまして、リースは後にしても、十月二十七日以後の三井物産の、個人資産に対する押さえ方や保証のさせ方やいろいろなものを見ますと、何か目的があってやったのだろうという感じは否めない事実として残るわけであります。 それで、二つの問題に限ってお伺いしたいのですが、一つは、東洋バルヴは三井に対して、いままで相当の債務の保証をしてもらっておりますから、あの間際になってから、ばたばたと手続をされたそのすべてが既往の債務に対して使われているのか。あるいは、御存じのように、会長なり岡野社長が足しげく三井物産へ通って、何とかして今後やっていけるように、ひとつ融資を一段とまたお願いしたい、こういうことを何回も頼んでいた、その今後の生きるための融資のいわゆる担保に、あるいは保証に、個人の持っている物を出させる、個人の実印を押させるということにしたのかどうか。いわゆる前向きのものなのか、あるいは後ろ向きのものとして、あのわずかな時間の間にばたばたっと相当量の担保物権をとってみたり、保証をさせたりしたのかどうかを、端的に、後ろ向きなのか前向きなのかを先にお伺いしたい。
○植村参考人 御質問にお答え申し上げます。 非常に疑惑を呼んだような御質問ございましたが、これにつきましては、十月二十五日に岡野社長が来社されまして、昨年から申し上げますと、ことしの三月まで、百億の資金ショートである。それからバランスシートを出されまして、七十三億のマイナスである、ひとつ何とかできないだろうかという相談があったようでございます。 われわれといたしましては、それまでに岡野様あるいはバルヴそのものの信用も十分持っておりましたので、何の疑惑もなく商取引を続けてまいったのですが、ここへまいりまして七十三億のマイナス、それからわずか三、四ヵ月で百億の資金ショートは、ちょっと解せないということはあったわけですが、そのときに社長から当社に——われわれは四十三年以前からも担保物権として個人保証を十分とっておったわけです。そのほかに、七十億に対する見合いとして四十億足らずの不動産担保をとっておった。不足担保約三十億、その当時でまだあったわけです。個人保証に対する実行方はここ七、八年来言い続けてきたわけですが、それに対して実行もありません。それが今度は自主的に岡野さんから、会長、社長の個人の財産を提供するというお話があったわけです。 それで、われわれといたしましては、過去における担保不足と、それから将来への資金援助という二つの意味合いを兼ねて、包括的にこの担保を受け取ったというのが現状でございます。
○原(茂)委員 要するに簡単に言うと、後ろ向きのものだということをお答えになったわけです。しかし、当時の会長なり社長の嘆願は、後ろ向きに対しては、いままで不十分であっても、ある種の担保が入っていた、これからの経営をやっていくのに非常に困るということから、新たに、いままでがんがん言われていたが、出していなかった個人資産も出していい、保証もしましょう、美術品も出します、そのかわり、いまこういう非常に困難な状態にあるのだが、新たな融資をして、いわゆる前向きの援助をしてもらいたいのだというのが、少なくとも東バル側の意向だったと思うのですが、間違いですか。
○植村参考人 いま先生おっしゃいましたが、決して後ろ向きのものでなく、包括的な二つの意味を持っているわけでございます。そのためにわれわれは、百億の融資をするについて三和監査法人を派遣したい、こういうことで、われわれの監査法人を派遣したわけです。その報告を待って常に前向きに進んでいって、長年の取引でございますので、何とか援助したいという気持ちは、その当時もいまも変わりません。したがいまして、三和法人の報告を待っておったような次第でございます。
○原(茂)委員 両方の意味が絡んでいるんだといえばそのとおりで、そうでないとは言えない。どこからというけじめはないのですから、まあ、そういうふうにも理解できます。しかし、せっぱ詰まった会長、社長の意向というのは、間違いなく前向きの、あしたから生きていくための融資を頼むという気持ちでいっぱいだったろうと、私も、あるいは関係者も、よく理解をしているわけですが、三井の側から言うと、前のこともあるから両方に絡むということになるのでしょう。 そこで、もう一つお伺いしますが、十月二十九日にいまの融資の問題、援助の問題で岡野社長がおたくへ頼みに行ったときに、その前から行っているのですが、前からじっこんな前の社長だった北沢会長が、この先行きを見たとき、三井物産の一段と深い援助を欲しいという意味から、それを頼み込もうというので植村専務に再三の面会申し込みをしている。ところが、従来と違って植村専務はなかなか会わない。きょうもおいでになっている池田さんあたりが代理でいろいろと回答をしておる。専務はこう言っている、ああ言っているというので、専務はなかなか会わないというようなことから、やむなく岡野社長が、もう何か万策尽きたような、三井がいままでと違って非常に冷たい態度に変わったような、そんな感じを受けて、もうこれでは会社更生法の手続でもとらざるを得ないというようなことをつい漏らした。その漏らしたのを、そのとき、帰った岡野社長がこう言っていましたということを部下から植村専務あるいはどなたかお聞きになって、それであわてて、その日のうちに電話をかけて、岡野氏が非常に怒られたということを契機にして以来急速に、三和監査法人のこともありますが、いまの個人担保あるいは個人保証というような手続がずんずん進められた。 それまで非常に寛大であった。三和監査法人も、もう二十七日ごろには、その前から監査を受けなければいけない法律の改正がありまして、その期限も迫っておりますから、必要でもあったし、三井としても三和監査法人を差し向けて監査をしたいと考えて、意向は東バルに示されていた。ところが二十七日あたりには、監査法人が行ってみて、東バルの内容が悪い、これはだめだというような結論が出たら大変だから、三和監査法人を派遣する問題は、もうちょっと少し考える。三井の側から言ったことではあるけれども、しかし、もし調べた結果、どうも非常に内容が悪いから、これはもうちょっと救いようがないなどという答えを出されたら困るだろうから、三和監査法人を向けることは、もうちょっと後にするというのが、二十七日の三井の東バルに対する発言だった。 ところが、二十九日に頼みに行った岡野氏が、もうこれはだめだ、万策尽きた。ついにおやじである会長に、植村さんと直接会ってもらいたいと前から頼んでいるのだけれども、今度もまた断られてしまった。三井も大分冷たくなってしまった。これはもういよいよ会社更生法の手続を踏む以外にないというようなことをつい漏らした。それをあなたの部下がお聞きになった。岡野氏が帰った後に、あなたがそれをお聞きになった。直ちに三井物産としての意思表示が東パルに行って、われわれの相談もないのに勝手に会社更生法云々なんてということは、とんでもないことだと言って、おしかりがあった。 繰り返すようですが、そのときから急速にばたばたと、いままで懸案だった個人保証あるいは担保を入れるということが、もういや応なしに、十億融資してやるかわりに、これをやれと言わんばかり、十一億何とかめんどうを見るが、これもやらなければ困るというような調子で、ばたばたやられたということに、いままでの経過はなっているように聞いてもおりますし、宣伝もされています。 何か岡野社長が会社更生法云々と言ってから、急速にいろいろな個人の担保なり保証を全部させた、あるいは担保を入れさせた、美術品も引き上げた——引き上げたというよりは、東神倉庫かどこか知りませんが、自分の方で倉庫を探してやる。最少七百万円ぐらいかかるだろうと思う。おまえの方でその保管料は大変だろうから、それはこっちでめんどうを見てもいいというようなことまで言いながら、とにかく何十億か知りません、価値のあると言われる北沢コレクションが、ついに形としては東バルの方から差し出しますという意思で持ち込まれて、いま東神倉庫かどこかにこれが入っている。おたくで保管料を出しながら保管をしているというようなことが、とにかく岡野社長がもう弱って万策尽きて、会社更生法の手続をとる以外にないかと、ひとり言のように漏らしたことが、これがきっかけになって、後ばたばたとそういうことをやったのだというふうに考えますが、いかがですか。
○植村参考人 ただいまの先生の御質問にお答え申し上げます。担保権につきましては、場所、方法等は、われわれではなしに、向こうから提示されたものでございまして、金額に見合うこれを入れろと言った覚えは毛頭ございません。したがいまして、北沢さんがお持ちのものを、大体われわれ正直に申し上げまして六〇%、あと四〇%はどこかにあるはずです。六〇%しか取っておりません。 なお、その後も、われわれが火事場的なことをやっていないのだということの証拠に、十二月十一日に二十四億の融資をしています。そして再建に最後まで努力すべくやってきたわけです。 二番目に、それ以前に、私に何回も会うというお話でございましたが、私がたまたま出張中で、一回だけ会う機会が、お話がありました。それは一回だけです。それで担当の方は出張だということで断ったのではないかと思います。その後私に対する面会の申し出はございません。最後にお会いしましたのが二十二日午後三時です。このときは、会長と社長がお見えになったわけです。そして当社に対して更生法の適用をせざるを得ないというのを言ってこられましたのが十二月十九日です。それまで当社は聞いていないはずです。 二十二日の午後三時、社長が、わずか二十分ぐらいですが、私に申された発言は、これは私個人として会長に、こうせざるを得ないのだ。毎月、毎月七億から八億のマイナスである、先生御承知のとおり生産量は月十五億ぐらいで半分損です。しかも百億も、七十何億の損失を抱えている。これではいかぬということで、常識上の判断で会社更生法を適用したい。その意味は、大きな目的は、東洋バルヴとして銘柄もいいし、ようやく市場になじまれてきた。特にアメリカ、カナダ、オーストラリア等に製品が輸出されている。これを壊したくない。どんな形でもいいから、自分たちはどうなってもいいから、東洋バルヴの名前だけ残してもらいたい。こういうことで、だれからも言われたわけではない、私が会長を説得してきたのでございます。 そこで初めて、更生法の意思がある。それなら、やむを得ない。しかし、ほかの債権者と一緒になって、できるだけ御期待に沿うべく最善の努力をしたい、こう私は返答したわけでございます。 その後約束を破らず、今日まで十二月から三月まで三十三億の金を出して、人も派遣して、再建に努力中であることは万々御承知のとおりだと思います。 以上でございます。
○原(茂)委員 細かいやりとり、取引の内容に踏み込もうとは思いませんが、いま専務のお話で私が納得のいかないものはずいぶんあります。 たとえば十一月九日には、三井物産から会社、個人分とも不動産をとにかく提出しなさいと言われて、これを出す決意をして、十一月十一日には、かくかくのものをお出しいたしますとリストを出しているとか、あるいはまた美術品などにしても、十一月十二日におたくの藤本課長というのが東バルへ来て、とにかく個人の美術品を全部出してほしいという要請があって、やむなくではありませんが、当然前向きで会社を助けたいと考えるから、十四日には、ではこういうものをお出しいたしますと言って、美術品を運んだというようなことをやったことになっています。そういうようなことが、反論する数々のものが、実は本人である社長あるいは間接に会長の言葉として聞いています。 したがって、実際には立ち会った上で既往を振り返っていろいろ言わなければいけないでしょうが、とにかくそういうことをあげつらっていきますと、たくさんまだまだ反論してもいい、私の一方的ないわゆる材料があるわけですから、いま専務の答弁のありましたように、三井の側には三井の側の、そういった言い分もあるだろうと思いますし、しかし、その点だけでもはっきりすることは、この際ある意味で大事なんであります。それで、そういうことを三井さんは三井さんでおっしやる、確信を持ってそういうことを国会でお答えになったということがはっきりしたわけでありますから、その点は両者の間には平行線であっても、非常に貴重な発言があったことに実は承知するわけであります。 次に、お伺いしたいのは、先ほど言ったリースなんですが、トランスファーマシンというのですか、どんなものかちっともわかりませんが、トランスファーマシンのリースに切りかえた理由と、そうしなければいけない社内事情がおありになったらしいのですが、その社内事情というものもあわせて、なぜあの時期になってリースに切りかえたのか、この点ひとつ伺いたい。
○植村参考人 お答えいたします。 御承知のとおり、われわれが売買契約いたしますときに、まず売り切りの場合、ただし機械でございますので、月賦販売です。所有権はあくまでも三井物産にあるわけです。最初の段階におきまして月賦であれを買っていただく。そのために毎月幾らという月賦料をいただくわけです。リースの場合は、所有権も、あくまでもうちにあるわけですから、これはどっちになりましても同じことなんです。ただ、月賦の場合よりも、リースは少し時間が長くございますので、リース料が安いわけです。月賦の場合は一億幾らでしたか、リースの場合は六千五百万ですか、そういうことで、向こうがぜひそういうぐあいに安い方にしてもらいたいという申し出があって、そうしたのだというぐあいに聞いております。
○原(茂)委員 また専務と行き違うのだけれども、向こうからそういう申し出があった。ところが、東洋パルヴの側から言わせると、三井物産の社内事情から、これはリースに切りかえてもらいたい、こういうのでやったことになっておるのですが、その点、もう一度はっきり。いかがですか、向こうからリースにしてくれと言ってきたのですか。
○植村参考人 向こうからそういう話があったことを証言いたします。
○原(茂)委員 それでは最後にもう一つ……。
○植村参考人 ちょっと先生、書類があるそうでございます。向こうからのリースにしてくれという書類が……。
○原(茂)委員 いままでもみんなそうなんですが、そういう書類も、こういう書類を出してくれ、しかも日にちは幾日にさかのぼって出しなさいと言われて仕方なしに、それをいやと言ったら援助がもらえないだろうというので言いなりに出しましたと、こう言っているのですが、どうですか。
○植村参考人 そういうことは絶対ございません。お答えいたします。
○原(茂)委員 それからもう一つ、十一月の末から十二月十日の間に、東バルから三井物産あてに振り出してあった支払い手形が十五億円、これは同じく十一月十八日に支払いのめどがもう立たない。書きかえを三井物産にお願いした。それで製品十五億円相当分を三井物産が買い取って、そして十五億円の手形を東洋バルヴに返却をするという方法で決まった。十五億円の手形は東バルが更生法を申請後返却されたというのですが、これは事実でしょうか。
○植村参考人 これは細かいものですから、いまちょっと私記憶ございませんが、調べてまた御通知申し上げたいと思います。
○原(茂)委員 これは更生法との関連においても非常に重要な問題を含んでいるので、いま記憶がないからお答えができない方がよかったのかもしれません。これは至急にお調べになって、この点だけは後で私のところへ明瞭な説明をしていただきましょうか。これは更生手続が、いわゆる管財人が決定した後に、この十五億円の手形が返されたことになっていますと、その手続が一体あとどう措置されたかによっては相当な問題になる事項です。これが言い古されていますからね。じゃ、これに対しても明快な説明を後でいただく。 これだけを申し上げても、大体の意向はわかりましたし、いま言ったような行き違いもありますので、私に対するきょうのお答えの中で、先ほど言いましたように、私が一つ一つあげつらっていきますと、みんな違った反論を出せるような材料がいっぱいちまたに充満しているわけです。こういうことが、いま御答弁になりましたように、三井物産としては明快な方針があり、理由があって、そして、いまお答えになったような、びしつとした態度で措置をしてきたのだということを、きょうはお聞きしたのですが、そのことの是非善悪というようなものを含めて、やはり今後の東洋バルヴが再生できるかどうかにどの程度三井物産が援助をするか、あるいは力を貸してやるかというようなことの誠意ある態度が今後示されていく中で、こういった、いままでの問題に対する間接的な正しい回答というものを示していただく以外にはないだろうと思う。 その立場から、今後のことに関して二、三お考えをお聞きしておきたいのですが、何と言っても東洋バルヴ、最近御存じの不二家電機と変則なのかどうか知りませんが、違法ではないそうでありますが、ああいった、ついに上場をした北沢バルブというようなものを控えて、今後また競争をしていくわけでありますが、そういう場合に、この販路についてマーケットをどう確保するかが何と言っても事業にとって一番大事なわけです。現在のような経済の状態から言いまして、バルブ業界全体がそう楽な状態になっていないということを考えますと、幸か不幸か、いままで外国に対する販路というものは、三井物産さんのおかげで東バルは持っていた。この海外に対する販路というものを従来と同じように確保する、あるいはそれ以上に拡大をしていくという意味の三井としての助力、そういう意味の協力があるかないかが、今後更生ができるかできないかに非常にかかっていると思う。この点の今後の方針はどうでしょうか。
○植村参考人 お答えします。 仰せのとおり、本東洋バルヴの再建の帰趨は、あくまでも販売力にあるかと思います。 それにつきまして、私たち現在考えておりますのは、まず三つあるわけなんですが、第一番目には、倒産から今日までの在庫品を、いかにして国内で値崩しをしないで、互いに協調しながら、さばいていくかということでございます。これは逐次軌道に乗っているかと思います。 第二番目に、数ある問屋にあらゆるサポートをいたしまして、従来以上のシェア拡大に努力させ、と同時に、問屋を通じて売っておった製品だけじゃなく、われわれ自体が真剣になって、たとえば、これから出ると予想される海外へのプラント輸出に対するバルブの使用、われわれ系列メーカーたくさんございますから、われわれ陣頭指揮をもってこれの当て込みに最大の販路を求めたい、こういうぐあいに考えております。 第三番目に、海外でございますが、倒産いたしましたときに、アメリカの新聞が、倒産したということで、非常に信用をなくしたわけですが、その後、われわれ向こうの新聞にも、そうじゃないんだということを宣伝費を使って名誉回復に努力いたしました結果、最近ようやくそのうわさもとれまして、レッド・アンド・ホワイトというロサンゼルスの会社は、昨年の倒産後、十二月、十二億の注文をいただき、あるいはカナダから六億、オーストラリアから一億、現在船積み中でございます。 なお、海外の販路拡大につきましては、すでにこの二月、いま管財人に出しました当社山崎取締役を派遣しまして、すでにマーケットリサーチ、将来の見込み等を調査させて、帰ってきたときに管財人にぼくが指名して、出てもらったような次第で、その点は、必ずその製品等から申し上げまして、再建成るものと思っております。その点はひとつ御安心願っていいんではないか、ただ、時間的にかなりの時間がかかる、こういうぐあいに考えております。
○原(茂)委員 それからその次に、一番大きな社会問題になっているのは、何といっても無担保債権者に対する援助の問題ですね、これはもう社会問題ですから。幸いに、破産、倒産、会社がなくなったというのではないのですから、従業員も、いまのような決意をお聞きしたり、前からもそのことを知らされて、相当の希望を持って、いま職場につくことができたわけで、これはいい。 しかし、特に下請等の大した金額でないといって——われわれには大した金額ですが、皆さんには大した金額じゃないと思うのです。これから更生法が適用されて、更生計画ができる。その前にもとるべき手段があるなら、何か手段を講じてもらわなければいけないと思いますし、あるいは更生計画案の中に決められるときも、先ほど冒頭に、おいでになるときに、会社更生法に対する当局の見解を聞きましたが、弾力ある運営という幅は、お聞きのように一〇〇%までの幅があるわけですから、三井さんからお出しになりました管財人に、やはり直接責任を負っていただく三井物産植村専務としては、こういう点の配慮を特段にしていただきまして、これに対する手当てをすることを十分にひとつ考えていただきたいということを・一般論として、これはお願いをしたいわけであります。 特に、担保権者は、もう担保が入っていますから、時間はかかったって全部とにかく一〇〇%、しかし、無担保債権者というものは、相当切り捨て御免で切り捨てられるわけであります。この小口、下請等の債権者に対しては、更生計画案の中にも相当に高い、いわゆる切り捨てがほとんどない状態で、金額別にランクがあっても結構ですから、考えていただくように、大口と小口とは分けていただくようなことを御配慮を願いたいということを、ぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○植村参考人 その問題につきましては、これは管財人の仕事でございますが、きょうそういった御要望があったということは、管財人に早速通知したいと思っております。
○原(茂)委員 原が、こんなことを国会で言っていたよということをただ取り次ぐなら、それは速記録を見ればいいんで、実際のいわゆる後ろ盾になっている三井物産としての意思が、そこに温かく添わなければ、山崎さんに言われたって何もならないのですが、いかがでしょう。
○植村参考人 できるだけそのようなことを織り込んで、石川さんなり山崎君に話したいと思っております。
○原(茂)委員 結構です。 最後に、御存じのように、いわゆる人員整理ではなくて、希望——やっぱり人員整理の一種なんでしょう。希望退職という形で、四百七十名になんなんとする人の退職がすでに実現いたしました。これでやるんだ、バランスはまだ完全にとれていないようですが、しかし、これでやろうということで、全員がいまその気になって職場で取り組んでいるわけであります。 われわれの立場で一番懸念することは、何が何でもこれ以上もう労働者、働く者に犠牲が強いられないようにしたいということは、何をおいてもの念願でございますが、ぜひひとつ今後、山崎、石川管財人等の後ろにある、力を持ってバックアップしていただいている三井物産の力で、もうこれ以上は労働者に犠牲を強いない。いろいろな面で販売だ何だという全体を、経営ですからバランスをとった上でないと、なかなかに人というものは確保あるいは持ち続けられないものですが、そういう点、結果的に労働者に犠牲が強いられないような、これ以上一人でも犠牲になることのないような運営に、本当に心をして今後の会社の更生をやっていただくように協力をひとつしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○植村参考人 われわれもいま先生がおっしゃいましたことは同感でございます。善処したい。特に、こういうことによりまして、なお一層地域社会に貢献することができるならば、非常に有意義であるというように考えております。
○原(茂)委員 これで三井物産の参考人には、お帰り願って結構です。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
○北山委員長代理 参考人に一言御礼を申し上げます。 本日は、御多用中のところ、当委員会の審査に御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 どうぞ御退席ください。 原茂君。
○原(茂)委員 次は、白ろう病に関して全林野が告訴をいたしてまいりましたが、そのことについて端的にお伺いをしたいと思います。 この質問を申し上げることは承知して、どなたか来ていただいていますかどうか、先に……。 法務大臣あるいは伊藤局長がかわって答えるんでしょうが、白ろう病に関しての問題をお伺いすることを聞いていますか、伊藤局長。
○伊藤(榮)政府委員 本日、白ろう病に関して御質問があることを承知して出てまいりました。
○原(茂)委員 これは刑事告訴、告発をしたわけでありますが、その趣旨はおわかりでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 内容は承知しております。
○原(茂)委員 これの中に、特に珍しいといいますか、「共謀」という言葉を使い、そうして共謀に対する告訴もしておりますが、御承知でしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 たくさんの数の告訴、告発が出ておりますが、中身は、林野庁長官が営林局長、営林署長らと共謀して云々というような内容であることも存じております。
○原(茂)委員 それだけわかっていただいていると、それは繰り返す必要はないわけであります。 こういう事実に対して、どういう見解をいまお持ちでございましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘をいただいておりますいわゆる白ろう病事件と申します関係では、先ほどちょっと申し上げましたような、林野庁の管理職の方々が一人あるいは共謀という関係で、森林労働者、林野労働者の方々の数十名に対して、いわゆるチェーンソーの操作による振動障害によって白ろう病の障害を負わせたという障害事件としての告訴、告発がなされておるわけでございまして、最高検察庁で受理をいたしましたケースのほか、全国十四の検察庁におきまして同じような告訴、告発を受理いたしました。 現在、最高検察庁に対してなされました告訴、告発につきましては、第一線の検察庁であります東京地方検察庁に移送いたしました。その他のものは、それぞれの検察庁が地元におきまして、告訴、告発状に基づいて鋭意捜査中でございます。
○原(茂)委員 その鋭意捜査中の捜査は、どんな捜査をしていますか。で、進展の状況はどうでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 具体的な捜査の内容について詳細を申し上げることは、事柄の性質上、差し控えさせていただきますが、やはり告訴、告発事件でありますから、告訴、告発をされた方々から事情を聞く、あるいは告訴、告発の対象になった人からも事情を聞きます。 そういうことをいたしておりますほかに、実はこの告訴、告発は、検察にとっても珍しい内容の告発でございまして、いわゆる職業病の関係の告発でございますので、およそ職業病という場合に事柄の作業の内容と、その障害の結果の因果関係は、一般的にどうなっておるのかとか、あるいはそれらの作業が、たとえば労働協約等に基づいて行われている場合に、それらの関係をどう理解するかという、そういうような刑事上の法律問題が相当たくさんございますので、それらは、ただいま申し上げたたくさんの検察庁が、相互に連絡をとりながら、最高検を中心として現在法律問題の解釈も詰めておる段階でございます。
○原(茂)委員 まだはっきりしないと言えば、それまでですが、起訴の見込みは、いつごろになりそうですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま申し上げますように、実際に障害を負われた方の障害に至ります作業内容をずっと追跡調査をするとか、あるいは法律問題、わが国でも初めてと言っていいくらいの問題でございますので、なるべく速やかに処置をしたいと思っておりますが、今日のところ、検察当局でいつまでに最終結論が出せるという報告は、まだ遺憾ながら受けておりません。なるべく早く処理をすべきものと思っております。
○原(茂)委員 いまのお答えだと、これ以上無理だと思いますが、少なくとも年内には決着がつくようにという一応の目標くらいを置いてやっていただかなければと思いますが、この点どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 年内と申しますと、まだずいぶんございます。そんなゆっくりもしておられないんじゃないかと思いますが、鋭意努力をしたいと思います。
○原(茂)委員 年内というのは、ずいぶん時間があるように思うのですが、この種のことは、その年内がそう時間があったことにならない例が多いんで、いまのお答えで安心しましたが、年内というのはずいぶん時間がある、できるだけ早くやる、そういう御趣旨に受け取りまして、鋭意捜査を進め、少なくとも最短距離でひとつ起訴に持っていくように私からも希望をして、この問題は終わります。 それから次に、司法修習生の問題についてお伺いしたいのですが、御存じのように、この間、初めてでございますが、韓国人の金敬得という、日本読みではそうなるのですが、修習生として採用したように思いますが、間違いありませんか。
○勝見最高裁判所長官代理者 仰せのとおりでございます。
○原(茂)委員 これは、採用するための「司法修習生採用選考要領」の欠格条項の中に「日本国籍を有しない者」とあるのを改めたんですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 昨年度の選考採用公告につきましては、御指摘のとおり、「日本国籍を有しない者」を欠格条項として掲げておったわけでございます。 実は、この欠格条項は、三十二年度の採用公告以来のものでございますが、従来、日本国籍を有しない者で、司法修習生の採用を希望した者につきまして、結果的に日本国籍を全員取得いたしましたので、問題が表面化いたさなかったわけでございますが、このたび金敬得君につきましては、帰化をしないという意思を表明いたしましたので、この問題につきまして、改めて最高裁判所の裁判官会議で慎重に検討していただいた結果、採用ということに相なったわけでございます。 なお、今年度の採用公告につきましては、どのような表現にいたしますか、これもこれから検討させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○原(茂)委員 私がお聞きしたことに端的にお答えを願いたいのです。いまのこともわかりますが、「司法修習生採用選考要領」という中の欠格条項の「日本国籍を有しない者」という条項を外したんですか。要するに、選考要領を変えたんでしょうか。改正したのですか。それはそのまま生きているんだけれども、特別会議でこの人だけを本年度採用に決定したのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 昨年の秋に公告いたしましたものには、先ほど御指摘のとおり、要件として掲げてあるわけでございます。 先ほど申し上げました裁判官会議におきましては、金敬得氏に関して、日本国籍を有しないことを理由としては不採用にしないという御決議をいただいたわけでございます。 将来、先ほど申し上げましたように、この要件をどうするかにつきましては、これから慎重に考えさせていただくという趣旨でございます。
○原(茂)委員 そうすると、この金敬得氏に関してのみ特別に採用を決めたのであって、依然として要領の中の欠格条項は生きている、こういうようになりますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 今回の裁判官会議の結論は、先ほど申し上げたとおりでございます。 生きているかどうかというお尋ねでございますが、これは年度ごとに採用公告をいたしますので、先ほど申し上げましたのは、この次の採用公告にどのような要件を入れるかについては、さらに検討させていただくという趣旨でございます。
○原(茂)委員 いま言った要領というものが三十二年度の公告のときに決まって、富来ずっと年度ごとにこの要領というものを確認をして、年度ごとに生かして、ずっと五十一年度まできたのですか。年度ごとというのは、そういう意味ですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでございます。
○原(茂)委員 そうしますと、いままでは三十二年度に決定したものを、ずっと年度ごとに確認してきた、五十一年度の公告に関して、初めて金敬得氏は採用することに決まったのですから、これからどうなるかわからないのだけれども、またもとへ戻るかもしれない、何か新たな、何か欠格条項を外すとか、あるいは違う欠格条項に入れかえるとか、何かいろいろな、わからないけれども、何かに今度はまた変わることがあり得る、あるいはその前提で、それはもういま全然わからないのだ、こういうように理解していいのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 新しい採用公告につきましては、改めて裁判官会議の御結論をいただくつもりでおりますが、事務当局といたしましては、ただいま御指摘の要件につきましては、何らかの修正が加えられるものというふうには考えております。
○原(茂)委員 当然だと思うのですよね。現在の状況からいって、特に裁判官などという職責につこうとする人、弁護士になろうという人、こういう人が国籍の有無によって左右されるなんということは、ちょっと考えられない。もういまの状況から言うならば、早くその欠格条項をなくさなければいけないというふうに考えます。 外国の例をちょっと聞きたいのですが、たとえばECなんかどうですかね、ヨーロッパ共同体あたりは、こういうものをどういうふうに扱っているか、御存じですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 まず、お答えの前に、先ほど弁護士、裁判官でも国籍を要しないというようにすべきではないかというお話がございましたが、現在、私どもといたしましては、裁判官になるためには、日本国籍は必要であるというふうに考えております。 なお、後段のEC諸国の法制についてのお尋ねでございますが、事裁判官、法曹の養成制度でございますので、私、よく存じませんけれども、EC自体に法曹の養成制度はないのではないかというふうに考えます。 なお、法曹の養成制度につきましては、各国それぞれまちまちでございまして、当然に、わが国の現在とっている制度につき、そのままいわば手本にすると言いますか、参考とするというような制度はございませんけれども、比較的似ている制度といたしましては、西ドイツの制度があろうかと思います。私どもの調べた限りにおきましては、ドイツは御承知のように各邦、ラントに分かれておりまして、ラントごとに法制が違っておりますが、多数のラントは修習生、わが国の修習生に当たるものでございますが、これになるにつきまして、ドイツ国民たることを要しないという制度をとっているようでございます。
○原(茂)委員 養成制度がECに同じようなものがあるかどうか、それを前提に言つたのじゃないのですが、たとえば裁判官、弁護士、こういうものは国籍云々という制限が一切ないというふうに思うのですが、どうでしょう。ECですよ。
○勝見最高裁判所長官代理者 的確に調べておりませんので、あるいは間違っておるかもしれませんが、裁判官になるために国籍を要しないというような制度は、おそらくないのではないかというふうに考えております。ただ、弁護士につきましては、各国法制がまちまちでございます。それから、現在わが国におきましては、弁護士には外国人でもなれるというふうに解されております。
○原(茂)委員 ECの場合には、裁判官でも——御存じのあの共同体というのは、およそわれわれの考えを絶したコントロールを最近やっているわけですよ。したがって、裁判官といえども、国籍を問わないということになっていると私は思いますから、それまた調べてみて、まあ私が違っていたら、また教えていただかなければいけないから、後で調査してもらって、私のところへ、いや、ECといえどもそうです、そうじゃない、裁判官はこうですよというようなことを、ひとつ調べた結果を知らしてくれませんか。
○勝見最高裁判所長官代理者 司法機能として、国家が持っております司法機能に類するものがヨーロッパ共同体にあるかどうかということが、まず問題だろうと思います。純粋に司法の機能を有するような機構がECにあるのかどうか調べさせていただきますが、恐らく先ほど申し上げましたように、われわれ司法と申しますが、純粋な司法機能を有しているものはないのではないかと一応推測しております。 なお、御承知のように、そのほかに国際的な裁判所がございますが、これとても、もちろんある国家における純粋な司法機能でなくて、あくまでもインターナショナルなものでございますので、その間のいわば前提問題として、問題が大分違うのではないかというふうに考えておりますが、御指摘のEC諸国の裁判所制度というものにつきましては、また調べさせていただきたいと思います。(原(茂)委員「返事をもらいたい、教えてもらいたい」と呼ぶ)わかった限りにおきまして、お知らせ申し上げたいと存じます。
○原(茂)委員 それで、いまの答弁に間接にあったのですが、日本でも、いままで外国人で十人司法試験に合格した人があるのですが、その中に無国籍というのが一人入っておりますが、無国籍というのは何ですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 その者は大分前のことでございますので、的確に調べてまいりませんでしたが、台湾で出生した者でありますが、国籍を有していなかった者でございます。
○原(茂)委員 参考までに聞いているのですが、余り簡単に言わないで。 台湾に所属している人だが、国籍を有していなかったというのは、どういう場合なのですかね。こういうところに無国籍人と出てくるのは、どういう場合なのですか。具体的にちょっと教えてください。
○勝見最高裁判所長官代理者 具体的にと言われますと、ちょっと手元に資料がございませんが、台湾に属していると申し上げたのではございませんで、台湾で生まれた者で、いわば国籍を有していなかった者という趣旨でございます。
○原(茂)委員 そうかな、あなた、頭がいいからわかるのだけれど、ぼくはどうも頭が悪いせいか、台湾に生まれた者なのだけれども国籍を有していない者、それが勉強をどこかでして、そうしていよいよ修習生、国が手当を出す、ある意味では日本の公務員の資格を得る。その資格を有するようになるまでの勉強もし、いろいろなごとをやってきたと思うのですが、その無国籍というのは、よくそういうことができたものですね。ぼくには想像ができないんですよ。国籍がない者が、次から次に学校であろうと何であろうと、資格をとっていくことは不可能じゃないかと思うのですが、どういう場合にそういうことがあるのですかね。初めて見たものだから、おやと思っていま聞いておるのですから、親切に教えてくださいよ。あなただけがわかっていても、だめなんだから。
○勝見最高裁判所長官代理者 大変恐縮でございますが、私、国籍法に関して余り詳しくございませんが、理論的には、無国籍の者がおることはあり得ることだと考えております。なお、この方は、日本国籍を取得されまして、修習生になりまして、現在弁護士をやっておられると思います。なお、国籍を取得しなかった、持っていない理由につきましては、ちょっと私どもには資料がないと思います。
○原(茂)委員 資料がないものを無国籍だときめつけたというのも、ずいぶん乱暴な話ですからね。何か資料があったから無国籍だというふうに言っているのじゃないですか。十二人採用いたしました。そのうち十人は台湾か何か知りませんが、どこかでございます。一人は朝鮮でございます。一人は無国籍でございますと言われると、その無国籍というのを、いま言われたように、国籍法をよく知らないけれども、とにかくいまは日本に帰化させたというのですが、その資格をとるまでの間、何も資料がないのに無国籍だときめつけた、これもずいぶん乱暴なやり方じゃないかと思います。何か資料があったから無国籍、こう言ったのだろうと思うのです。何もないのを無国籍だなどと言えるはずがないのだけれども、そんな解釈で通用するのですか、そんな説明で。
○勝見最高裁判所長官代理者 何らの資料がなくして無国籍という認定をしたわけでございませんで、私、先ほど申し上げましたのは、国籍を有しなかった、持っていなかった理由について、何らの資料がないという趣旨でございます。 恐らく、これは想像になりますが、いま問題になりました者につきましては、どこかの国籍を有しているという資料はなくて、むしろ本人から自分は無国籍であるというふうな申告があったというふうに思われます。
○原(茂)委員 こんなつまらないことに時間をかけてもしようがないのだけれども、そうかねえ、本人が自分は実際に日本人だと思っているのだけれども、何かの都合で修習生に採用されようといったときに、無国籍だと本人が申告をした、それをまた法務省は信じましたということになるのですよ、いまの説明だと。そういう経過ですかね。余り古いことで、そんなことを聞かれると思っていないから、調べてないからわからないと言うなら、そういうふうに言ってください。
○勝見最高裁判所長官代理者 この者につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、調べてきたわけではございませんが、本人が国籍を有していないというふうに申している以上、無国籍として取り扱わざるを得なかったというふうに思います。
○原(茂)委員 日本の公務員に採用するのに、日本の国籍を有しない者は欠格であるからというので、いままでずっと採用を拒否してきた。今度に限って、会議において金さんを採用することを決めたというほど厳しいものであるのに、本人の申告が無国籍であったということを前提にして、しかもその人に日本に帰化をしなさい、帰化をしましたから採用した、そういう便法が講じられて、帰化すれば、その直前は無国籍であろうと何であろうと構わないということに解釈できるなどということは、およそおかしいと思うのです。納得できないと思うのです、そういう説明だけでは。 そうじゃなくて、いままでの経過が、もっと何かわれわれが納得するようなものがあるのだと思うけれども、いま調べてないからわからないのだと言うなら、これはしようがないから納得しますよ。後で調べてもらう以外にない。いま答弁がどこまでも行われるように、本人の申告が無国籍であった、だから無国籍だと書いた、しかしその後帰化をしなさい、帰化をしなければ採用しないと言ったら、日本へ帰化をしましたというだけで、その直前の無国籍であることを——いま韓国人であるということだけでも、とにかく日本の国籍を有しないからというので、いけないいけないと言ってきたものが、いいですか、順序として、そういうものがあるにもかかわらず、無国籍である者を採用する気持ちになって、しかも日本に帰化すればよろしいと言う、帰化をしました、したがって採用をしましたと言って、その直前の無国籍であることが平気で通るということは、おかしいじゃないですか。ばかなことがあるかね、一体。
○勝見最高裁判所長官代理者 この者につきましては、もし手元に資料が残っておりますれば十分調べさせていただきますが、この者が結局日本国籍を取得した。この手続は法務省において所管しておられるわけでございますが、無国籍の者が当然に、だれでも日本国籍を取得できるものではないと私も考えますが、この者につきましては、まあ理由があって日本国籍を取得できたというケースだろうと思います。 なお裁判所の方に、この者についての当時の資料が残っておりますれば、調べてまた後刻御報告申し上げたいと存じます。
○原(茂)委員 いまの三十二年の公告で、日本国籍を有しない者は欠格であるというので、司法修習生に採用しないということを厳に守ってきた。にもかかわらず、国籍不明で無国籍だなどという者が、やがて日本に帰化したから採用したという、結果的にはそうなっていても、その前に、日本の国籍を有しない者は採用しないということを厳に守ってずっときたのに、国籍がない、無国籍だという本人の申告があった者を採用する対象にして、日本に帰化したら採用してやろうというので、本人が帰化しました、採用しましたというのは、一つその前における、このことが違法じゃないかということも含めて言っていますから、いいですか、わからないのに、いま四の五の答弁をもらってもしようがないのですから、いまおっしゃったように、後で報告をいただけばけっこうですが、そのときには、いま言った私の疑問に対しても一緒に答えてもらうということをお願いいたしますが、どうですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 できるだけ調べまして御報告に参ります。
○原(茂)委員 あなた方は、何でもできるだけとかなんとか言うのだけれども、そんなことは明瞭なんだから、できるだけじゃない。あなた方の調査をした結果を正確にわれわれに伝えてもらうことが必要なのだ。できるだけなんて、そんなところまで用心深く何かくっつけなくても、いいんだ。あるものしか調べられないのだから、あるものを調べたものをそっくり返事をしてもらい、なお、いま私が言った疑念に対しても答えてもらうようにお願いをしたい。 それからもう一つ、違った問題を今度はお聞きするのですが、この間宇都宮で、佐野署ですかね、前に通告しておきましたけれども、警察がミスで関係ない人を逮捕してしまって、二十四時間だか留置をしておいて、これは覚せい剤か何か知りませんが、それの売人に対して、覚せい剤をおろした人間を写真か何かでいろいろ見てもらったら、多分この人だと言った。よろしいというので、それを全国に指名手配してとっつかまえた。そうして後、実際に人間を引っ張ってきて本人に見せてみたら、いや違っていたということからはっきりして、ついにごめんなさいと言って帰ってもらったという事件があったのを御存じですか。
○伊藤(榮)政府委員 細かいところまでは存じませんが、事の大あらましは承知しております。
○原(茂)委員 いま刑事局長の言った細かいことはわからないが、大あらましは知っているということは、どういうことが細かいことで、どういうことがあらましなんですか。 このことを伺いますということを通知しておいて、それで細かいことはわからない、あらましはわかる。細かいこととは何で、何がわからないんで、あらましとは何だか答えてもらおう。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまおっしゃいました佐野市でございますか、そういう具体的なケースの名前を連絡の不十分かどうか知りませんが、私自身聞いておりませんでした。ただ、新聞で見ておりますので、その程度の知識はあるということでございます。
○原(茂)委員 要するに何を質問するかと言ったときに、こういうことを質問をしますよとわれわれの方から十分に連絡をしたと思うが、その連絡が行っていないということですか。
○伊藤(榮)政府委員 事件の具体的な名前は、どこかの手違いかもしれませんが、私聞いておりませんが、それらの人たちに対してどういう補償とか、そういう方法があり得るかという問題についてお尋ねをいただくのではないかと思いながら出てきております。
○原(茂)委員 あなたの答弁の仕方によっては私の秘書も責任問題が起きますし、皆さんの使いに伝えたことを一々伝えてないとすれば、その責任も起きるし、そういうことの追及もしなければいけないのですよ、むだなく国会審議をやるためには。ですから、軽いような気持ちで、軽い問題、重たい問題というのがあるのかどうか知りませんが、通告してある問題に関しては、よっぽど慎重に答弁してもらわぬと、周りの全員の人が迷惑しますよ。 一応いまのことは、通告してあることを聞いているという前提で聞きます。 これは警官や何かに故意、過失があったわけではないから、国家で賠償云々ということにはならない、訴訟をしても、なかなかむずかしいという事件だろうと思うのですが、そうでなくて、まあまあこの種の賠償をもらおうとしたって、大した金額ではない、わかっているのですが、私がこれで一点聞きたいのは、新聞を見ているなら御存じでしょうが、署長が、この誤って留置された人に、帰るときに自分のポケットマネーを三万円出して、済まなかったというので、しかも署の自動車で遠くの自宅まで送り届けている。自動車で送り届けるのはいいですよ。署長がポケットマネーで三万円払ったというものは、ある意味では、なるほど自分のなけなしの金を払って、国家賠償その他大きな問題になるようなことを防いだとか、あるいは勘違いして、この間違われた人が、そういうむだな時間なり費用なりを使わないようにやったとかいう考え方もできます。 しかし、事が警察の取り調べをやって、二十五時間といえども本人の自由を束縛し、しかも逮捕状を持って自宅から逮捕していったのですから、先ほどの天野さんではありませんが、家族へも非常に大きな迷惑をかけというようなことをやったことに対する申しわけないという気持ちで、もし本人が三万円出したとするなら、私は非常に問題だと思うのです。そのことで、それが終わってしまうようにと期待をしてポケットマネーを三万円署長が出したんなら、これは大問題だと私は思うのですが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 御指摘のとおり、事柄を私的に余り明るみに出ないように処置してしまうということは、適当な方法ではないと思います。 いわゆる誤認による逮捕、勾留の問題、まれに発生するわけでございますが、これは警察段階での誤認逮捕でございましても、私ども法務省の方で大臣訓令として出しております被疑者補償規程というのがございまして、これによりまして定められた額の補償金を、その誤認逮捕された方にお支払いすることになっております。 したがいまして、ただいま御指摘になっておりますケースも、やがて、そう遠い時期じゃないと思いますが、法務大臣の方から補償金を差し上げる手続をとることになると思います。
○原(茂)委員 金額的に言えば、そんな補償をもらったって二、三千円にしかならないのですよ。きっと三万円もらった方が本人は多いでしょう。署長もそんなことは知っていて、正式の補償だと、恐らく五千円か六千円前後で終わるのじゃないですか、一日三千円前後ですから、二十五時間ですから、多く見て、二日に見たって六千何百円で、六千円前後で終わる。それよりは五倍も金額が多い。五倍も多いことを承知の上で署長が出したという心境を考えてみると、私は警察官としてなすべきでないことをやったと思うので、情においては大変忍びないけれども、これに対しては以後の戒めのためにも相当厳重に注意をしておく必要があるのじゃないかというふうに思うのですが、どうですか。
○伊藤(榮)政府委員 私もただいま御指摘のような感想を持つものでございますが、何分警察の方は、検察あるいは法務と切り離れた組織でございますので、念頭に置きまして、折に触れ、警察幹部の者の耳に入れてみたいと思います。
○原(茂)委員 それは、指導監督の任に当たるあなたの方には責任がないという意味ですか。
○伊藤(榮)政府委員 警察官に対する一般的な指揮監督権が検察官にはないわけでございます。具体的な事件の処理について捜査上の指揮をすることはございますけれども、一般的な執務その他につきまして、あるいは執務の姿勢、これにつきましては、それぞれの都道府県本部あるいはその上にあります公安委員会、これが御所管でございますので、そういう意味で先ほどの御答弁を申し上げたわけでございます。
○原(茂)委員 そうすると、その種の問題の最高の責任あるいは指導監督の責めを負う者は、都道府県の公安あるいは自治体の警察、これ以外にはない、こういう意味ですね。
○伊藤(榮)政府委員 その警察署長に対する監督権限を持っておりますのは、一般的に申しますと、都道府県公安委員会でございます。 私どもは、そういうような事柄によって、具体的事件の取り扱いがゆがめられたからとか、そういう具体的な事件に影響が生じてまいりますれば、事件を通じての検察官の権限によって是正を求めるということになろうと思っております。
○原(茂)委員 ついでに聞くんだけれども、あなたの常識で聞くんだけれども、この種のものを国家的な立場でびしっと最高の権限を持った指導をし、あるいは監督をする役所はどこですか。いま国の立場で言うと、どこなんですか。それは国にはないのですか。
○伊藤(榮)政府委員 国の機関としては、最終的に国家公安委員会であろうと思います。
○原(茂)委員 これは大臣に聞きたい。ぼくは知りませんけれども、国家公安委員長は自治大臣ですか。
○福田(一)国務大臣 ただいまのところは兼任をいたしております。
○原(茂)委員 自治大臣の兼任ですね。
○福田(一)国務大臣 自治大臣の兼任です。
○原(茂)委員 わかりました。 これは自治大臣のときに、国家公安委員長を兼務している小川さんに聞くのが一番正しいのでしょうが、このことによって何かがゆがめられたのではないけれども、このことによって何かを隠そうとしたという意図に対しては、非常に関心を持たなければいけない問題だと思うので、私はこの点を指摘したかったので、あと公安を兼務している小川氏に、また決算委員会で注意をするように要求します。 それから、もう一つ同じような事件で、埼玉でも道路交通違反か何かで裁判が行われて、二件とも警察の側が大敗北をしたという事件があるのですが、これも後で、この問題に対して法で争って、ついに勝訴になったわけですが、そういう人の関連も国家公安委員長のいわゆる職責なんだ。この問題に関しても、そういうことが言えますか。教えてもらいたい。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘になりましたケースが、どのケースか私も自信がございませんが、恐らく新聞に報ぜられた事件で、証拠書類に警察官による工作があったということで、無罪になった事件であろうと思うのでございます。そういった点につきましては、国家公安委員会が最終的に責任を厳しく問うという問題だろうと思います。
○原(茂)委員 ありがとうございました。 それで、最後にお伺いしたいのは、ネオ・シーダーというのですか、子供がぷかぷかだばこみたいに薬を吸っているという問題なのですが、厚生省あるいは専売公社からも来ていただいているのですが、厚生省に最初にお伺いします。 これは何の薬なんでしょう。薬務局か何か知らぬが、許可を与えている薬なんだそうですか、ちょうど、たばこと全く同じような箱に入っていて、フィルターがついていて、紙巻きになっていて、そうして遠くから見ると、たばこを吸っているのと、ちっとも変わらない。二十本入り百七十円で、だれでもこれを買える。買ってみると、その箱には、子供には売らないようにしてください、子供はのまないでくださいというようなことが小さい字で書いてある。これを警視庁の少年一課で、これは困るというので、取り締まり法規はないのだが、少なくともメーカーに対して子供はのむなというようなことを、もっとでかい字で書いてもらいたいということを言ったら、承知しました、今後大きな字にいたしますという返事があったそうです。 これは実際に何の薬で許可をして、どんな養分というのか知りませんが、薬分が入っていて、何に効くのですか。
○山田説明員 ネオ・シーダーという販売名のものにつきましては、薬事法に基づきまして、医薬品としての許可を与えたものでございます。これは成分としまして、安息香酸、それから塩化アンモニウムを主成分といたしまして、あと若干の調味料それから香料から成っております。これの主たる適応といたしましては、せき、たんの適応を持っております。
○原(茂)委員 厚生省が許可を与えるときには、いまおっしゃったようにせき、たんに効果があるのだけれども、同時に紙が巻いてあって、火がついて、煙になって、のどに入って、そのことによるせき、たんに逆に悪い影響があるかないかは考えないのですか。そんなこと関係ないのですか。 中に入っている主成分というか、組成しているものが、こういう塩化アンモニウムであり、あるいは安息香酸であり、調味料であり、こういうものでできている。これはせき、たんに効くよということが常識的になれば、それがどんなものに包まれて、火をつけて、どんなに煙を吸っても、そのことのいわゆる反作用、悪い作用があるかないかというのは、全然関係ない。どんな形に、それがいわゆる喫煙されようと飲用されようと、ちっともそのことは考えないというたてまえで検査をして認可を与えているのですか。
○山田説明員 医薬品の許可を与える場合には、その入っております成分、それから、その成分が人体にどういう作用をして、標榜しております適応に効くのかということを、安全性並びに有効性の観点から審査をいたしまして、その上で許可を与えております。
○原(茂)委員 安全性というものを考えるときに、その成分が入っている薬の飲み方、服用の仕方、たとえば量の問題だけ考えても、あるいは時間の問題を考えても、この成分による薬は何時間置きに、一番たくさん飲んだときの上限はどのくらい、一番下のときはこのくらいとかという、一番たくさん飲んで危険だとか危険じゃないということも考えて、量を考え、安全性を考える。それから、その服用の時間も、一時間置きに飲んだら、えらいことになる薬もずいぶんありますよ。したがって、そういうことも考えなければいけない。 それを条件の一つに考えるというのと全く同じように、安全性という点で、紙を巻いて、しかもフィルターをつけて、フィルターというのは御存じのように何でもろ過するのだから、薬分だってろ過してしまう。そんなよけいなものをくっつけて、火をつけて煙にして吸うということ、それが安全であるかという、安全性というのは全然対象にならないのですか。認可をするときの検査の対象にならないのですか。
○山田説明員 ネオ・シーダーにつきましては、認可をする際に、その使い方を定めておりまして、一日に何回くらいのむかというようなことも決めた上で、このもののせき、あるいはたんに対する有効性あるいは安全性というものを認めた上で許可したものでございます。
○原(茂)委員 たばこの形にしてフィルターをつけて、紙を一緒に火をつけて煙にしてのむということも安全性の中に含めて調べたのですか。
○山田説明員 ネオ・シーダーにつきましては、たばこの形で点火をいたしまして、その煙を吸入するという、そういう申請でございまして、それについての許可を与えてございます。
○原(茂)委員 それではお伺いしますが、私は専門家じゃないから、わかりやすく説明願いたいのだが、たばこですら、もちろん葉っぱそのものの成分から来る、われわれ人間に対する有害性が非常にいま問われている。同時に、あの巻いている紙自体が、いわゆる煙になるときに人体にこれも影響があるというので、細かくわれわれにその害を教え込まれつつある。われわれは、たばこをやめなければいけない。やめはしないけれども、やめなければいけないという宣伝を盛んにいま聞いている。いやになるほど聞いている。 そのときに、いま言った紙が燃える、しかもフィルターをつけるということが、せきやたんに効くために、安全という点から言うなら、フィルターのあるということは、その薬の成分が薄められるという意味では不安全とは言わないけれども、なぜ一体その薬の効き目を減らすようなものを必要と認めたのか、周りにある紙が燃えていく、そうして煙になって入ることの人間の害というものを、いまたばこで騒いでいるように、なぜ厚生省は審議しなかったのか。審議したけれども、これは体に非常によろしい、せきやたんに、紙が煙になって入ることはいい、成分である薬がフィルターにかかっていく方が、より効果があると考えたのかどうか、この二点についてお答えいただきたい。
○山田説明員 先ほども申し上げましたように、ネオ・シーダーの有効成分は安息香酸と塩化アンモニウムということになっておりますが、これは本剤の先端に点火をいたすことによりまして、中の有効成分が蒸散しまして、脳粘膜に刺激を与えることによって鎮咳あるいは去疾の効果を発揮するということで、こういう形態になっておるわけでございます。 ただ、ここで申し上げておきたいのですが、医薬品の許可に当たっては、これは本来健康人が使うという前提で許可しておるわけではございませんで、疾病の治療などを目的として医薬品は存在するわけでございますので、そういう意味から言いますと、有効性と安全性の兼ね合いでもって、この種のものは許可をする。健康人、何にも病気のない人が本来使うというものではございません。
○原(茂)委員 いま私が聞いているのは、せきが出たり、たんが出る人が紙を燃やして煙にして吸うことがいいのかどうか調べたかと言うのです。フィルターをつけることが薬の有効性を高めるというふうに、どういう検査をして判断したのか、その二点だけ答えてもらいたいのです。
○山田説明員 本剤をたばこの形態にしたことは、先ほど申し上げましたように、火をつけることによりまして、この有効成分を蒸散させることをねらっておるということをお答え申し上げたわけでございます。
○原(茂)委員 それはわかっているのです。だから、それを燃やすならフィルターをつけたり、紙たばこみたいに紙で巻かなくたって、昔からきせるがあるじゃないですか。いまパイプだってある。そういうものをつけて、これでやりなさいということにしなければ——紙が燃えて人間に害を与える、薬の有効成分をフィルターで薄めるということが同時にわかっていながら許可をしたのは、厚生省の手落ちじゃないですか、どうですか。それ何か答えられますか。フィルターをつけた方がいいのだ、ハイプやきせるでなくて、紙に巻いた方がいいのだという答えがありますか。
○山田説明員 この物の性格から判断いたしますと、本剤の葉っぱとしてヤマアジサイの葉っぱが使われておりますが、要するに、点火する媒体といいますか、燃えやすいものを中に詰めまして、その中に有効成分を含ましておく、葉っぱが燃えると同時に、その熱で有効成分が蒸散してくる、それでのどの炎症部分を刺激しまして、せきなり、たんをとろうというねらいでつくられた製品だと思います。
○原(茂)委員 集めた葉っぱを、アジサイか何か知りませんが、それを燃やして煙にして、のどに刺激を与えて、たんだの、せきだのを防いだり、よくしたりしたいという薬なんだから、吸うならきせるでいいと言うんですよ。なぜそこまで配慮しなかったのか。たばこが、こんなにうるさく言われているときに、紙が燃えて、フィルターまでつけるということを認めるのは、何かおかしいのじゃないですかパイプだって、いまあるじゃないですか、昔で言うきせるがあるじゃないですか、そういうものをつけて、それで点火をして吸えば、紙が燃えて害を及ぼすようなことはない。フィルターがあって、わざわざ成分の効力を薄めるようなことをしないで済む。その配慮が欠けていたから、こんな問題が起きたのではないかと言っているのだが、どうですか。 その点を調べた結果、紙を燃やして吸った方がよろしい、フィルターがあって薄めた方が、かえってたんにも、のどにも効くのだ、こういう判断をしたのですか、その二点を答えてもらいたい。
○山田説明員 いま御指摘のように、ハイプに詰めた場合にどうかとかいうことを、このものの許可は、昭和三十五年でございますけれども、当時やっていたかどうかはよくわかりませんが、しかし薬事法に基づいた医薬品の許可は、製造業者が申請されたものにつきまして、その有効性なり安全性を審査するというたてまえになっておりますので、そういう観点からは、この医薬品は鎮咳、去疾に効果があるという判断のもとに許可されたものと存じております。
○原(茂)委員 昔のことだから、おれは知らないんだという答弁になったわけですけれども、しかし、もっと謙虚に——これはいま実際に困っているのですよ。困っているものをどうするかを考えるのが国の責任なんですよ。警視庁少年一課は何とかしたいと言っているのだけれども、法規の上で手がつかない。どうしたらいいかというので、いま困っているのでしょう。困っているうちにどんどん子供は、女の子まで、小学生から中学生に至るまで、ぼうぼう吸っている。吸っていても、いま取り締まれないのですよ。 そういうものを、ただ昔のことだから、よくわかりませんと言わんばかりに、最後逃げるようなことをしないで、もっと前向きで、いけないものなら、あなたの方で改めて許可のし直しをするとか、審査のし直しをするとかなんとかして、ぴしっとしない限り、これは取り締まりようがないといって、いま警視庁はお手上げになっているのでしょう。そういうものを一体どこで直すかといったら、私の考えでは厚生省で考えてもらう以外にない、そういう判断で、いま質問をしているのです。 これは大問題ですよ。われわれだって子供や孫が、十歳やそこらのに、ぱっぱ吸われたら張っ倒しますよ、本当に。ところが先生も、これはいけないと言っても、薬だよと言って、おまえ知らないのかと先生があざ笑われている。どんどんそういうふうに新聞に出たりして、またいま一段と広がっているというんでしょう。警視庁で何とかするといってもできない。法務省だって、できっこないじゃないですか。これを芽のうちに早くやめるためには、厚生省が何とかしなければだめじゃないですか。あなたでは、答弁できないのかもしれないけれども、これは厚生省がやるべき問題ですよ。その審査、許可をするとき、紙が燃えて体に害があるのは、いま、たばこでさんざん言っている。フィルターをつけて薬効成分を薄めることがいいのか悪いのかということだって、いまなら考えるのが、あたりまえなんです。昔だから、三十五年だからと言われれば、それまでだ。だから、いま何とかしなければいけない、その立場にあるのは厚生省だ、ほかにはないと私は思う。 だから厚生省が、その許可をしたものを、もう一度審査をして、どんなことをしてでも、たばこと同じようだから、過って子供が恵んで吸っているようなものを、絶対にそうではない形に、薬らしいものに改めさせる。たばこの形で売ることは、現実の問題として紙が火になること、フィルターがつくことはいいことじゃないのですから、これはやめさせて何か違った形にして、われわれが吸っている紙たばこと同じような形で、この薬が売られないようにすることを厚生省が考えなかったら、日本の国のどのポジションがこれを考えたらいいか。厚生省以外にないじゃないですか。スモンだって、キノホルムがこんなことになるのなら、もっととつくの昔に考えたはずだ。知らないからやっちゃった。いまになって大騒ぎしている。あらゆる問題が薬によって大騒ぎになっている。同じように、いまこれはまだ芽のようなものですから、このネオ・シーダーに対しては、厚生省が何とかしなければいけないと思う。何とかすることだけは決意をして、ここで答えなさい。
○山田説明員 この問題二つあろうかと思います。一つは、先ほど先生がおっしゃっておられますように、患者が本当に鎮咳、去疾の目的に、このものを使ってしかるべき医薬品なのかどうかという問題と、それからもう一つは、本来患者でない未成年者が使うことがいいのかどうかという問題があろうかと思います。 前者の問題につきましては、厚生省としましては、その時代の科学水準、レベルに沿って、前に許可したものにつきましても、見直しの作業をやるということで現在やっております。 それから後者の問題につきましては、これはまさしく、未成年者の喫煙を助長するような形での使用は好ましくないと考えております。私どもとしても、製造業者に対して、少なくともそのような販売をしないような指導をやってまいりたいと思います。
○原(茂)委員 同じような答弁をしたってだめなんですよ。 たとえば、たばこを未成年者は吸うなとあるでしょう。禁煙法がありますよ。未成年者は吸っちゃいけないんだという禁止法があるんです。未成年者は平気で本当のたばこを吸っていますよ。いま取り締まりようがないんだ。おまえは幾つだと聞くのも、なかなかむずかしいのです。現に、これを未成年者がどんどん吸っているじゃないですか。後者の問題に対して、未成年者が吸わないように云々なんていうことを厚生省が考えたって、現に、たばこが未成年者に吸われている時代に、そんなことをあなたから聞いたって、まともにそんなものが論議できますか。そんなことが一体通ると思いますか。 もっと真剣に子供の将来なりを考えたときに、こういうことがどんどん早く、もう十歳、十二歳で本当のたばこが吸いたくなるような、そういう悪い習慣をつけないためにも、いまこのネオ・シーダーというものを、たばこのかっこうで売ることをやめなければだめですよ。たばこのかっこうにするためには、紙が燃えるんです。フィルターがついているんです。この二つとも安全性というものに広く絡めて考えるならば、これはできるだけ見直しをしますという答えだけでいいんです。第一の問題と、第二の問題など、よけいなことなんです。もっと子供の将来を真剣に考えなさい。あなた自身がどうするということは言ってないのです。検討しますと言うのがあたりまえじゃないですか。もう一遍答えてごらんなさい。
○山田説明員 このネオ・シーダーの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、見直しの方向で検討したいというふうに思います。
○原(茂)委員 それから、専売にきょう来てもらっているのですが、このネオ・シーダーの中に、たばこの表皮、幹の皮が使われているのです。これがあって、たばこの様相を呈するようにうまくやられているんですね。私は、たばこというのは専売でと思っていたが、あれは葉っぱだけが専売というか、うるさいのであって、幹の方は恐らく買い取ってもいないのではないかと思いますが、しかし、これが自由に放置されて、たばこの幹の表皮が自由にこういったものに使われるようなことを防ぐ方法はありませんか。
○松本説明員 たばこにつきましては、葉っぱ、あるいは幹、根、この三者が一体になって、たばこという定義があるわけでございます。それで、先生の御指摘のところは、葉たばこを分離した残幹だというふうに思いますが、それはたばこの部類に入っておりませんで、専売法上は取り締まりの対象になっておらないというのが現状でございます。
○原(茂)委員 そうしますと、たばこの幹の表皮をたばこのような形態に使って、しかも周りが見て、たばこらしいと言っても、これは専売法では、どうしようもないということになりますか。
○松本説明員 いまの専売法では、どうしようもないということでございます。
○原(茂)委員 これで終わりますが、厚生省の立場では気の毒ですが、ひとつ真剣にこの問題に取り組んで、何とかいまのうちに、これが防げるような方法を考えていただきたい。私の考えでは厚生省以外にありません。したがって、大至急に相談をして、適切な見直しをもう一遍やり、そうして幸いに害になる紙が燃える、それから薬効を薄めるフィルターがついているというようなことに籍口をしてでも、何とかひとつこれが厚生省の手によって、たばこらしい形態で、せきだの、たんを治す薬として売り出されないように、ぜひ責任を持って考えて検討するようお願いして、終わります。
○北山委員長代理 林孝矩君。
○林(孝)委員 最初に、民事法務協会について質問いたします。 この財団法人民事法務協会の設立された時期、事業内容、役員数と職員数、この三点についてお伺いします。
○香川政府委員 財団法人民事法務協会は、当初設立しましたときには登記協会と言っておったようでありますが、昭和四十六年の六月に設立されております。そしてその事業は、「寄附行為」によりますと、「本会は、登記、戸籍、供託の制度に関する知識の普及等これらの制度の円滑な運営に寄与することを目的とする。」といたしておりまして、具体的な事業といたしましては「登記、戸籍、供託の制度に関する啓発宣伝」「登記、戸籍、供託の制度に関する図書、印刷物の刊行頒布」「登記制度の運営に関してする謄写等の事業」「登記、戸籍、供託の運営に関与する者の福利厚生に関する事業」「その他前条の目的を達成するために必要な事業」かようになっております。 それから設立者は十四名おりまして、いずれも公証人あるいは公証人をやめられた方でございます。 役員以外の職員は、事務局長外二名だと承知をいたしております。 〔北山委員長代理退席、原(茂)委員長代理着席〕
○林(孝)委員 この協会の職員数は、事務局長以下二名ですか。間違いないですか。
○香川政府委員 先ほど事業で申しました登記所における謄本の作製、コピーに従事しております職員は派遣職員と言っておりますけれども、これが現在百三十五名おります。
○林(孝)委員 そうしますと、事務局長以下百三十五名ということでしょうか。全体の職員数として、私の手元に資料がございますが、百四十三名ということになっております。正確にはどういうふうになっておりますか。
○香川政府委員 理事も職員に入っての数だと思いますが……。
○林(孝)委員 次にお伺いしますのは、この財団法人民事法務協会と東京法務局との契約はどのようになっておるか、お伺いします。
○香川政府委員 この財団法人と東京法務局長の間の契約は、一部の登記所におきまして登記簿謄本を作製するため複写の請け負ってもらう、かようなことを骨子にした契約でございます。
○林(孝)委員 そうしますと、この民事法務協会という財団法人が設立された意図というのは、いわゆる登記簿謄本の複写を行うために、こういう財団法人をつくられた。この財団法人は全国的に見て、いま一部にという御答弁があったわけですが、どの個所に事業を行っておる財団法人でしょうか。
○香川政府委員 一部の登記所、全国的に合計二十九庁あるわけでございますが、その名称を申し上げますと、東京法務局関係は、杉並出張所、田無出張所、中野出張所、練馬出張所、八王子支局、府中出張所。横浜地方法務局は、本局それから川崎支局、横須賀支局、神奈川出張所。浦和地方法務局関係は、本局、川越支局、越谷支局、大宮出張所、川口出張所、志木出張所、草加出張所。千葉法務局関係は、本局、船橋支局、松戸支局、市川出張所、市原出張所。大阪法務局関係は堺支局、枚方出張所、北出張所、中野出張所。名古屋法務局関係は、本局の不動産登記課及び法人登記課、合計二十九庁でございます。
○林(孝)委員 いま発表されました法務局と民事法務協会の契約内容でございますが、随意契約になっておるのかどうかという点、あるいは指名入札という形で契約が行われておるのかどうか、この点についてお伺いします。
○香川政府委員 いずれも随意契約でございます。
○林(孝)委員 各地方法務局が、この財団法人民事法務協会一つにしぼって随意契約をされておる、この随意契約を取り入れておるという法的根拠はどこにありますか。
○香川政府委員 随意契約によっております法的根拠は、一つは、会計法二十九条の三の第四項でございますが、随意契約によった方が有利であるということ、またその行います仕事が先ほど申しましたように、登記簿謄本の作製でございますので、いわば他人の財産関係のプライバシーと申しますか、さようなことが明らかになるような関係がございますので、会計法二十九条の三の五項の「政令で定める場合」の一つとしまして、予決令の九十九条一号「秘密にする必要がある」というふうな、さような趣旨を踏まえて随意契約によってやっておるわけでございます。
○林(孝)委員 それではお伺いしますが、法務省設置法第六条、第十三条の二に「登記に関する事項」とあります。その中に登記業務は明らかに国の業務である、純然たるサービス業務、事実行為ではないという明確な規定があるわけでありますが、この登記に関する事項の一部に当たる業務、すなわち、国の行政法上の行為、法権力行為を財団法人民事法務協会といういわゆる民間人の団体、ここに随意契約という形で契約を結ぶ、請け負わせるということは、これはいま御説明のあった他人の財産関係、プライバシーを守るという意味からしても、私はおかしいと思うのです。他人の財産関係、プライバシーを守る、いわゆる守秘義務ですね。秘密を守るということから考えると、民間の団体にその業務を請け負わせる、こういうことが許されてよいのかどうかということに対して重大な疑問を感ずるわけです。その点に関しての明確なる御答弁をお願いします。
○香川政府委員 登記簿謄本の交付事務、これはまさに登記所の仕事でございますが、国の事務でございますが、国民から謄本の請求を受けまして、そうして登記簿に基づいて謄本を作製して登記官が認証文をつけて、これは原本に間違いない、さような認証文を付しまして交付する。これまでの作業が謄本の交付事務であるわけであります。財団法人民事法務協会に請け負わしてやらしておりますのは、その中の一部である複写機によって複写するという、いわば事実行為と申しますか、そういう機械的な作業、その関係のみを請け負わしておるわけでありまして、請求を受け付けて、そうして最後に認証文をつけて交付するというような関係は全部役所でやっておるわけでございますから、したがって謄抄本交付事務が国の事務であるから、その一部である事実行為である複写作業を民間に請け負わしても、私は違法ではないと思うのであります。 もう一つお尋ねの、登記簿自身は財産関係を明らかにしておるわけでございますが、これは登記簿それ自身が閲覧あるいは謄抄本の交付制度、つまり一般公開の制度をとっておるわけでございますから、それ自身は、だれでも見れるわけでございまして、さような意味合いからは、国の秘密のものということには相ならぬと思うのであります。ただ登記所の職員なり、あるいはいま問題になっておるその民事法務協会の派遣職員が、たまたま複写作業の過程におきまして他人の財産関係というものを知った。それをゆえなく一般に吹聴するというふうなことは、これは一般的にだれでも守らなければならないと申しますか、さような他人のプライバシーを、ゆえなく侵害するというふうなことで慎まなければならないという関係になろうかと思うのでありまして、その点は、先ほど申しました、それぞれの委託契約の中におきまして、さような関係を外に漏らすというふうなことのないように厳重に注意するというふうな条項も入っておりまして、そのことが今日までよく守られておるわけでありまして、さような意味からは特に問題ないのじゃないかというふうに考えております。
○林(孝)委員 いま御説明がありましたけれども、この寄附行為の内容を見ますと、複写作業だけということではございません。「事業」として第五条に「登記、戸籍、供託の制度に関する啓発宣伝」「登記、戸籍、供託の制度に関する図書、印刷物の刊行頒布」「登記制度の運営に関してする謄写等の事業」これは三番目に入っている。四番目に「登記、戸籍、供託の運営に関与する者の福利厚生に関する事業」五番目に「その他前条の目的を達成するために必要な事業」と、非常に幅の広い事業ができることに、この寄附行為の中には明記されているわけですね。 いまの説明を聞いておりますと、ただ複写だけだから大丈夫だ、そして今日まで問題が起こってないから大丈夫だ、こういうことに尽きるのではないかと思うのです。しかし、寄附行為で定められておる事業内容というものは、ただそれだけではなしに、いま指摘しましたように、五項目に分かれてきちっと明記されておる。そういう問題が事実指摘できるわけです。 と同時に、いま説明のありました中に、一つの大きな矛盾を感じますのは、先ほどの会計法の二十九条、ここに定められてある文言から察することは、いわゆる随意契約を排除する方向というものが、この中にある、私はそういうふうに解釈をするわけです。もう一つ、先ほど答弁の中にありました予算決算会計令第九十九条の一号、ここにありますところの「国の行為を秘密にする必要がある」というその内容、そういうときにおいて、どういう契約にすればいいかという判断ですね。 こういう会計法上の規定、それから予算決算会計令第九十九条に見られる規定の内容、こういうものを見ますと、片方において秘密を守らなければならないという規制があり、そして実際この事業の内容を見ると、当然秘密に関する部分を知り得る立場にあって、かつ、それは公務員でもない、公人でもない立場の人、いわゆる民間人がつくっておる財団法人民事法務協会というのがその作業をしておる。それで、今日までよく守られておって、秘密が漏洩してないから大丈夫だ、だから、こういうものが存在してもいい、こういう事業が行われてもいいという結論をお持ちになっての考え方なのか。 それとも厳密に、こういう業務については法務省が定員法で定められております定員の枠の中で、あるいは定員が少ないというならば定員をふやして、あくまでも法務局としての独自の仕事としてやる、そしてまた定員をふやすということが非常に困難な状態、いわゆる求人難とか言われるような、そうした状態であるとしたならば、そういう事業内容を近代化し、合理化するために機械設備等の面において改革を図るとか、そういうような方向でこういう業務をやっていくということが正しいのか。 いまの法務省の行き方というものを伺っておりますと、そういう秘密に関する業務を民間の一つの協会がやっておるけれども、別に問題は起こってないということで甘んじておる、こういうように私は見受けるわけですが、果たしてそういう行き方が適切な行き方なのかどうか。むしろ私は、少なくともいま申し上げました会計法の立法趣旨、また予算決算会計令第九十九条の中身、また「国の行為」というその仕事の範囲の問題、こういうことから考えても、これは法務局の仕事としてやるべきが当然ではないかと私は思うのです。 この点について答弁を願うわけですが、さらにもう一つは、設立された時期の問題であります。冒頭に御答弁願ったように、昭和四十六年に登記協会として発足して、五十年に名称を変更して現在の財団法人民事法務協会という形になっておるわけですが、この時期は過剰流動性の時代を背景にして、いわゆる土地の売買、こうした行為が非常に多く行われ、登記業務も非常にふえた時期だと私は思うのです。その時期に、どうしても法務局で手が足りない、手が回らない、そういうところから、この財団法人民事法務協会をつくって、そこにその作業をさせようではないかということで生まれたものではないか、こういうふうに考えたりもするわけですけれども、前段のことに対する考え方と、後段のいま指摘しましたことに対する考え方をお伺いしたいと思います。
○香川政府委員 前段の随意契約によっております根拠は、厳密な法律論で申しますと、会計法二十九条の三の第四項の「競争に付することが不利と認められる場合」言いかえますならば、予決令の百二条の四の第四号の口の「随意契約によるときは、時価に比べて著しく有利な価格をもつて契約をすることができる見込みがあること。」これに該当すると私は思うのであります。 ただ、先ほど申しました予決令の九十九条の「秘密にする必要があるとき」さような場合に指名競争あるいは随意契約によることができるとしておりますその会計法の趣旨を考えますと、やはり委託を受けた者が、その作業の過程において知り得た他人のプライバシーをみだりに外へ漏らすようなことがあってはならぬわけでございますから、秘密が守られると申しますか、さような観点から随意契約にしてもいい、随意契約にすることによって、相手方にさような秘密を外に漏らすようなことのないような十分な保証をとるということが会計法なり予決令九十九条の趣旨だろうと思うのであります。 さような趣旨を踏まえて、それも含めまして、ぎりぎりの法律上の根拠というのは、やはり会計法二十九条の三の第四項の不利な場合ということに当たるのだと思うのであります。 さような意味で、このような随意契約による謄本作製の委託契約をやっておるわけでございますが、もちろん、いま御指摘のとおり、本来は謄本作製の全部の仕事を国の職員でやるのが筋だろうと思うのでありますけれども、客観的に考えまして、さような国民の需要に対する登記所の職員数が相当不足しておる。しかし、国の財政事情あるいは定員抑制措置の厳しいさなかにおきまして、国民に迷惑をかけないように謄本作製事務を円滑に行うというための職員の手当てが、なかなか客観的には容易でない。 何よりもやはり謄本を請求される国民の側に立ちますと、できるだけ迅速適正な事務が行われるということが最も根本的に考えなければならないことでございますので、さような意味から、弊害のない、あるいは差し支えのない謄本作製事務の一部である、いわば物理的な作業と申しますか、複写作業を民間に委託して行うことによって国民の需要にこたえていこう、かような趣旨で、この委託契約が始まっておるわけであります。 もちろん後段の問題にも関連するわけでありますが、さようなことも踏まえまして、さらにまた登記制度あるいは戸籍、供託制度というのは、やはりなかなか、利用される国民の面から見ますと、もっとPRしなければならぬ、あるいは制度の円滑な運営を図らなければならぬ、さような意味から、差し当たりは、この乙号委託事務を請け負ってもらうということで昭和四十六年に財団法人の登記協会が設立されたという経緯でございます。 ただ、さような意味で、本筋は職員の増員という措置で国民に迷惑をかけないような措置をとるということが根本だと思いますけれども、それは趣旨はそうといたしましても、現実の問題として、そうはいかない。守秘を立てて現実に職員の足りないことから国民に御迷惑をおかけするということは、かえって本末転倒のことだと思うのでありますが、私どもといたしましては、増員の要求を強くいたすと同時に、いま御指摘のいろいろの事務を機械化、能率化することによって増員すべき職員の数をできるだけ減らして、職員の手ですべての仕事が円滑に行われるようにしようということを志向いたしまして、機械化、合理化にも並行的に努めておるわけでございます。 ただ、私どもの努力が足りないせいもございましょうけれども、なお今日の機械化、能率化をもってしては、現在の職員では、やはりしわ寄せが国民の方にいって迷惑をおかけするというふうなことが十分予想されますので、当分の間、一方では増員めその他の措置を図るとともに、過渡的な意味におきまして、かような形態の部外委託というふうなことを続けざるを得ないというふうに考えておるわけであります。この辺の事情はひとつ御賢察願いたいと思います。
○林(孝)委員 言われる趣旨はよくわかりますし、現状というものも理解ができます。ただ、こういう財団法人民事法務協会という組織が設立されて、その設立されたときの状況と、今日非常に変化しているということを先ほど申し上げましたけれども、お伺いしますけれども、たとえば登記件数あるいは謄本、抄本の交付件数、こうした取り扱い業務は、設立された当時から今日まで増加しているか、あるいは鈍化しているか、その辺はどのようになっておりますか。
○香川政府委員 登記所の仕事で、登記簿に権利の移転等を記載する登記申請の事務、これを私ども内部的には甲号事務と申しておりますけれども、これは昭和四十六年、まあそれ以前から漸増を続けてまいりまして、昭和四十八年がピークでございました。それ以来約五%ぐらいずつ減少してきておったのでございますけれども、昭和五十一年度から、ちょっと上向きかけまして、五十二年の予測は、四十八年ほどにはいかぬと思いますけれども、微増を続けていくのではないかというふうに見ております。 他方、ただいま問題になっております謄本、抄本、いわゆる乙号事務と言っておりますが、これは四十六年当時から今日まで非常な勢いで増加の一途をたどっておるわけでございまして、全体的に甲、乙を合わせて登記所の事務量を見ますと、乙号の増加率が相当なものでございますので、やはり四十六年から今日まで相当の率でもって増加し続けておるというふうに考えております。
○林(孝)委員 それから、もう一つ明確にしておきたいのは、たとえば、この契約の第九条で「業務上知り得た秘密を外部にもらし、又は他の目的に利用してはならない。」ということが明記されておるわけでありますが、秘密保持の義務を、この協会に課している、こういうことが公務員法上の守秘義務との関連で問題はないかという点なんですけれども、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○香川政府委員 公務員は御承知のとおり国家公務法の百条で、一般的に職務上知り得た秘密を外部に漏らしてはならぬという規定があるわけでございまして、もちろん登記所の職員も、この規定によって拘束を受けるわけでございます。ただ、その登記簿の記載内容でございますが、これは国の秘密ではもちろんないわけでございます。ただ、国家公務員法の守秘義務との関係から申しますと、登記の申請がなされたり、あるいは登記簿にこういう記載がされたというふうなことを登記所の職員が職務上知り得るわけでございますから、それをゆえなしに、一般的に吹聴するというふうなことは守秘義務違反として、やはり厳重に規制されなければならぬと思うのであります。 ただ、しかし、登記簿というのは、先ほど申しましたように、取引の安全、円滑を図るための制度でございますから、これは一般に公開しておるわけでございまして、何人といえども閲覧したり謄本の請求ができることになっておるわけでございます。さような意味からは、一般的な秘密のものではないということになるわけでございます。 そこで、民事法務協会に委託いたしまして、そこの派遣職員が謄本のコピーの作業をやるという過程におきまして、いわば一般人として守らなければならない、さような作業の過程において知り得た他人のいわばプライバシー的なことを、みだりに外に漏らすようなことがあっては、迷惑する人も出てくるおそれがあるわけでございますので、さような意味で、むしろ慎重を期しまして委託契約におきまして、さようなことのないようにということを契約としてうたっておるわけでございます。したがって、さような契約違反、外にみだりに漏らすというふうなことがありました場合には、契約解除するというふうな制裁規定まで設けておるわけでございまして、幸い先ほど申しましたように、今日までさような不幸な事態は一遍もないということで、契約内容が遵守されているというふうに私どもは考えているわけでございます。
○林(孝)委員 先ほどずっと、全国的に実際業務が行われている地方法務局の件数を挙げられたわけでありますが、現場なんていうのは、実際やっている仕事が複写をしている仕事、まあほかのこともできるようになっていますよ。先ほどからコピーの話をずいぶんされましたから、コピーの話で話しますけれども、それだけが目に触れ、耳に入ることかというと、そうじゃないのですね。一つの建物の中で仕事をしておりますと、見るなと言われても、目に入るものもあれば、聞いちゃならないことが耳に入ってくる場合がありますね。そういう意味で、広く職業を通して知ることがあるわけです。 そういう実際の面の秘密、漏らしてはならないことですね。こういうことがあるという現実の問題があるとしますと、これは私が先ほど主張したような、守秘義務が公務員法百条で認められている公務員がやるべき仕事であって、民間人にさせるべき仕事ではない。今度は逆に民間人がそれをやるということになった場合に、一応これは法的に適切かどうかという議論になると思うのです、その民間人に守秘義務を負わせるということが。ここでは契約上、そういうふうに結んで、そして、もし契約違反があったときは契約を解除するという答弁がいまありましたけれども、民間人に守秘義務を負わせることの是非論は出てくるんじゃないかと思います。 それから、これに類することとして、たとえば国立大学の入試の問題を印刷しておる、問題の内容が当然わかる、これはだれにさせるべきかというような議論が過去にありました。そういうものと同列に考えていいものかどうかというような問題であるとか、それから税務業務に関していえば、法人税法あるいは相続税法、所得税法、こういうことについては、二百四十三条に罰則がございまして、業務に関する守秘義務が明確にされているわけです。ところが、登記法上の業務で、業務内容に関しての守秘義務が果たして明確にされているかどうかということも、私は一つの疑問として感じているわけです。そういう形の業務内容が財団法人民事法務協会に与えられておる。 こういうことを考えていきますと、そうした法的根拠も明確でない、ケースによって明確でないというようなことが起こり得る可能性もあり、先ほど申し上げましたように、あくまでもこういう事業は法務当局において、公務員においてなされるべき仕事であるということが当然じゃないかと思うのです。 先ほど局長の答弁は、実情をよく賢察していただきたいということもありましたし、その方向で取り組んでおられると解釈をしていいのかどうかということになると思うのですけれども、これはやはり所管の責任者である法務大臣に、こうした事業内容というもの、いま現在、先ほど挙げられた地域において——これは全国じゃありません、主要都市になるわけですけれども、民間の財団法人に請負で行われておる、こういう形がどうしても必要だという時期があったことは私もわかるのですけれども、こういう形がこのまま続けられていっていいものかどうか。 また、もっと合理化、近代化、そういうことをやって、あくまでもこうした秘密に触れる作業でありますから、ただコピーをとるだけの作業ではございません。作業内容は秘密が目に触れ、耳に入る作業でありますから、あくまでも法務省の方でそれだけの仕事を十分できるような体制をとっていく、こういう方向が適切であるのかどうか、大臣の本当の考え方をこの際、明確にしておいていただきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 先ほど来のるるの御指摘を通じて問題の所在を知ったわけでございますけれども、本来的に言えば、やはり法務省がやるべきものだと私は思います。ただ、あなたが御指摘になったように、ちょうど土地ブームが起きる前後の時代に、もう間に合わなくて、それから定員問題という一つの状況下において、しかも仕事をどうしてもやらなければいかぬということであったために、いまのような事態が起きておると思いますが、私は、やはりしかるべき時期には法務省の仕事としてやるのが正しい行き方ではないか、こういうふうに考えております。
○林(孝)委員 次に、矯正局長にお伺いいたしますが、千葉県の千葉刑務所において起こった事件を通して、かつて静岡刑務所において金嬉老事件というものが起こりましたが、その状態を思い浮かべたりするわけです。この千葉の刑務所の中で行われた事件の概要というものを、まず御説明願いたいと思います。
○石原(一)政府委員 御質問の御通告によりますと、千葉の事件、二件あるわけでございますが、いずれでございましょうか。
○林(孝)委員 脱走事件であります。
○石原(一)政府委員 千葉の脱走事件は、昨年の四月二十八日と記憶いたしますが、そのうちの犯人が千葉刑務所を出たわけであります。八月の上旬に逮捕されまして、これは神奈川県警管下の川崎警察署で取り調べを受けました。その点につきまして、本人は事実をなかなか言わなかったためと思いますが、大分遅くなったようであります。 この事件は、本年の三月の末に、横浜地検から単純逃走により起訴されまして、現在横浜地方裁判所川崎支部において公判中であります。したがいまして、捜査に関連するべき事項につきましては、これは申し上げることではないと考えますので、私どもが調査した範囲、行政調査の範囲について申し上げたいと思います。 この記事につきまして、昨年十一月の十日に、この脱走した者は、当時建設中であった千葉の刑務所の業者から、たばこをもらい、そのたばこを受刑者に売って金をつくり、その金を看守に贈賄をして略装を借り、逃げたという記事が出たのであります。これに対しまして、千葉刑務所長は、さような事実はないということで反対意見を出しております。 林委員も御承知のとおり、刑務所に業者が入る、特に建築業者が入る場合には、いろいろございますが、受刑者との接触は、まず絶対ないように配慮していることが第一点でございます。 第二点は、受刑者にたばこを売って金を受け取ったというのでございますが、受刑者に金は持たしておりません。もちろん中には不正に金を受け取る者もあるかもしれませんが、本人が言ったところによれば、十万円の金をつくったということでございまして、十万円の金を受刑者が持っているはずはございません。受刑者の金は、すべて刑務所で預かっているわけでございまして、そのような事実もおかしい。 それから三番目は、たばこは何かカートンで買った、相当多量になるようでございますが、受刑者が工場等に出ましたときには、後で監房を捜検いたしますものですから、カートンで手に入ったたばこを房に隠していくというようなこともあり得ないことであります。したがって、この点につきましては、全然事実無根であると私どもは信じております。 そこで、千葉刑務所におきましては、昨年十二月末に千葉刑務所の工場等を徹底的な調査をいたしました。その結果、刑務所の看守の略装というのは緑色でございますが、その緑色の染色が残っている机等が発見され、一方同じ工場で働いていた受刑者等から、ワイシャツをつくっていた、あるいは略装をつくっていたらしいという供述を得たのであります。そこで、すでに検察庁にもこれは連絡がありました事件で、検察官の御指示もあったものだと思いますが、私どもの方でも、本人をして略装を染色させてみたのであります。しかいたしましたところ、それ以前に、われわれの役所の者がやりましたときには、緑色にうまく染まらなかった、しみが出たという点がありましたが、本人にやらせましたところ、全く看守と同じような色のきれができたわけであります。 そういうような点を考えまして、看守が服を貸して脱走させたというような点はないと信じているのであります。しかのみならず、ある看守につきまして、警察当局においては疑問を持ちまして、非常に鋭いお調べがあったようでございますが、その看守自身、この逃げた受刑者が、もしそういうことを言ったのならば、自分としては告訴をしたいというところまで申し出たのであります。私どもは、検察庁で取り調べをやっているのであるから、早まった行為はするなということで抑えているのでございますが、かような点から、確かに看守の略装的なものを着て逃げたということは、まことに遺憾ながら事実ではございますけれども、千葉刑務所の中に不心得な看守がおりまして、本人が逃げるに当たって略装を貸したという事実はないものと、私どもの調査によって信じているところでございます。
○林(孝)委員 刑事局長、この点に関していかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御議論になっております逃走既決囚でございますが、昨年の八月十九日に強盗強姦、強盗致傷事件を起こした犯人を追い求めておりました末、大澤某というのを逮捕したわけでございます。逮捕してみますと、これが昨年四月に、千葉刑務所から逃走した者であるということが判明しましたので、特に事柄の重要性にかんがみまして、検察、警察ともに極力捜査をいたしました。その結果、最初の逮捕事実である強盗強姦等につきまして起訴後もずっと調べておりまして、本年三月三十日、ようやく逃走状況についての心証及び証拠を得まして、単純逃走罪で起訴をいたしております。 その逃走のやり方等につきましては、実は明後日に、順調に参りますと横浜地裁川崎支部の公判で冒頭陳述を検察官がいたすことになっておりますので、詳細は、それまで御容赦願いたいと思いますが、要するに、全面的に本人が真相を話しまして、その結果、ただいま矯正局長が申しておりましたように、まことに不可解と言えば不可解でございますが、刑務所の中で、刑務所の中にあった白布を用いて、これを自分の手で染め上げて、ボンド等を使って看守の略装に酷似するものをつくって、これを着て逃走したということが明らかになっておりまして、それが裏づけに鋭意努めました結果、一〇〇%に近い確度をもって間違いないという認定に至っております。
○林(孝)委員 矯正局長、刑事局長の答弁で明らかになったことは、いままで国民の目には、そういう形ではマスコミを通して報道されておらない、全く新しい事実がいま述べられたわけであります。これから裁判になって、明後日ですか、冒頭陳述でも、それが明らかにされるということなので、その内容に関して私は触れようとはしません。千葉刑務所という建物が悪いとかいいとかいうことではございませんが、千葉刑務所の中で、もう一件服役囚の傷害事件が起こって、それに対して千葉地裁の判決が出ておるわけです。 この判決の内容を見ますと、指摘されている事実関係は事実関係として、それ以外に、刑務所内の環境として、改善されなければならないという意味での指摘が、その判決文の中にあるわけです。こういうことに対しても、また国会を通して国民の前に明らかにしておかなければならない、私、こういうことを感じて、本日取り上げておるわけでありますけれども、矯正局長の立場で、千葉刑務所の服役囚の傷害事件判決に対しての所感、また責任者としての今後の取り組み方、こういう点に対して御答弁を願いたいと思います。
○石原(一)政府委員 御指摘のように、本年三月三十日に判決がございまして、この判決は四月四日に確定いたしました。 その判決を拝見いたしますと、被告人側の方から刑務所の管理体制の、不備によって犯罪に出たので、緊急避難ないし期待可能性がない行為であるという主張がございまして、これに対して詳細判決が述べているわけでございます。これを見ますと、まず本人は、横田という同じ受刑者に対する医療措置が悪いので、管理部長を人質にして是正を図ろうとしたということになっておりますが、この横田さんに対する刑務所の措置につきましては、刑務所側としては努力を払い、被告人の気遣いは杞憂であったと認めております。 次に、医療体制に欠陥があったという指摘に対しましては、法律に違反するところはないし、医療の水準が一般の観念に照らして不当視できるほど低いものではないというふうに言っております。 それから、その他の欠陥につきましては、外形上やや疑いを持たれるような点はあるけれども、被告人の行為を正当視するものではないということを述べておりまして、先ほど申しました被告人側の主張は全面的に排除いたして、求刑三年に対して懲役二年六月という判決を言い渡したのであります。 ただ、この判決によりますと、刑務所におきましては厳格に過ぎる管理は弊害を伴う一方、弛緩した管理は刑執行の本質を損なうので、適正な刑務行政を行うことは容易ではないが、少なくとも行刑に当たる側としては、受刑者の不信、不満等を解消する努力を怠ってはならないというような御指摘もございました。 そこで、刑務所側の措置でございますが、この事件は五十年三月の事件でございまして、公判過程において挙げられた管理上の不備と称せられるものは、すでに以前のことでございます。したがいまして、それらの指摘につきましては、公判当時から是正を図り、また改めるべき点は十分改めているのでございます。 ところで、千葉刑務所は長期の受刑者を収容しているところでございます。長期と申しますのは、八年から無期懲役に至る者でございますが、こうした長期の受刑者を処遇するというのは、きわめてむずかしいのでございます。すなわち、職員と受刑者との信頼関係を中心といたしまして、社会復帰の適応性を付与するということでございます。そのために、先ほどの逃走事故にいたしましても、かようなものにいたしましても、事故の防止に急な余り、常に受刑者に猜疑心を持って当たるということはできないわけでございます。特に信頼関係ということになりますと、外形的におかしいと思われる点が出てくるのでございます。 たとえて申しますと、先ほどの大澤逃亡者の例をとりますと、本人は逃走前に母親のところに六万円の金を送るということで、自分の領置金から六万円の金を出しまして、現金封筒に入れて送ったということになっておりますが、実は母親のところには一万円札に似せた新聞紙六枚が行っただけで、その現金は自分がポケットに入れてしまった、こういう事実がございます。私はその当時、なぜ、そういうことをがっちり見ていなかったのかということを尋ねたところが、中に入っている者が親のところに金を送るというのに、果たして送ったかどうかを疑問を持って見るということは、かえって本人のためによくないのだということを言っております。 それから、このただいまの事件について、公判中におきまして、受刑者につくらした花壇の花を職員が持って帰ったというような主張もあったようでございますが、花をつくって担当の看守さんによくできたでしょう、こう言ったときに、ああ、よくできたよと言うだけでは済まされないので、ああ、これはおれのうちに持って帰ってもいい花だなということは、やはり言わざるを得ません。そうすると、ほかの受刑者は、受刑者につくらした花を自分のうちに持って帰るのじゃないかというような疑いを持つということもございまして、一般の受刑者についても同じでございますが、特に長期の受刑者の処遇につきましては、心と心との触れ合いを通じてやらざるを得ない点があるのでございます。 かような点が、時に行き過ぎますと、いわゆる管理上の不備ということを主張される点もあるのでございまして、きわめてむずかしい点がございます。この点は、林委員すでによく御認識賜っておるところで、感謝申し上げておるところでございますが、私どもといたしましては、そういう点をも考慮いたしまして、刑務所内における受刑者処遇の適正、それとともに所内警備の充実あるいは職員の服務規律の厳正を保つことにつきましては、今後とも十分な指導監督を加えまして、かような不祥事故が再び起こらないように防止策を講じていきたい、かように考えているところでございます。
○林(孝)委員 時間が来ておりますので、最後の質問に移りますが、保護司の方々の問題です。 最初にお伺いいたしますが、保護司の職務について、人選また日常の活動、待遇、こういうものがどうなっておるか、お伺いします。
○常井政府委員 保護司の人選でございますが、各保護観察所単位に保護司選考会、そのメンバーは裁判所長あるいは検事正、保護監察所長、学校長あるいは地方公共団体の長、その他の人によって構成されます保護司選考会がございまして、ここにおきまして適任者が推薦される、あるいは再任が適当だと思われる方について、その推薦がなされるということで、その結果、いまは地方委員会に委嘱しまして保護司の任命を行っております。本来は、法務大臣の名において行う委嘱でございます。それから、この待遇につきましては、予算の面におきましては法務省、所管局は保護局においてて、このめんどうを見ております。 それから保護司は民間の篤志家でございますが、他面、非常勤の国家公務員という形をとっておりますので、この指揮監督は保護観察所長がする、こういうような形になっております。
○林(孝)委員 結論を急いで質問いたしますが、保護司の実費弁償金の歳出予算額、それから支出済み歳出額、不用額、この三つを比較して感ずることを、そのまま質問いたします。 四十九年度、そして五十年度と、この不用額が増加していっているという点、それからもう一点は、「保護司の定員及び現員の推移」というものを見ますと、定員は四十九年、五十年、五十一年、五十二年と全然変わっておりません。しかし、現員の方はどうなっているかというと、四十九年が四万六千七百六十三、五十二年が四万六千百八十一と、次第に保護司の方の数が少なくなってきておる。 実際保護司の方といろいろ話をしておりますと、話をする保護司の方は、非常に年輩の方が多くて、体力的にも、あるいは能力的にも、それだけ対応できるかどうかということについて自信がなくなっていかれる方もあるでしょうし、また今度は保護司の方の対象になる人たちが、現代流に言えば、生きてきた時代が非常に違うので、考え方も全然違って、そういう面で、接触している中で処理し切れないというような感じのものもあったり、いろんな理由があると思うのですけれども、保護司にこの人をと思っても、その人が引き受けなかったり、あるいは現在やっている人が辞退したいという人が出てきたりということで、次第に現員が少なくなっておるということになってくると思うのです。 こういう状態を、保護司の人たちが、また希望を持てるような状態にするために、法務省として具体的に考えておられることがあったら、それは法務大臣からお伺いしたい。特に非常に重要な立場にある方たちですし、待遇の面においても、いまの待遇が、これでいいのかどうかということについても、私は決してこれでいいと思っていない立場でお伺いするわけです。したがいまして、そういう点もお聞きし、またこの不用額のよって起こる原因についてもお伺いして、時間が来ておりますので、私の質問を終わります。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘があったように、保護司が人数においても、だんだん少なくなってきておるということは、実はこれは一つの社会の推移といいますか、社会に奉仕するという観念の欠如といいますか、いま次第にそういうような空気になりつつあることを私は非常に残念なことだと思っておるのでございます。 私は、少しぐらい金をふやしたから、経費をふやしたから、保護司が充足されるというものではないと思うのであって、社会のために奉仕する気持ちを持っておられる人がふえない限りは、この傾向は決してとまらないのじゃないか、そういう意味で、われわれとして大いに考えてみなければならない問題であると思っております。といって、その使命は非常に重要なことであるし、そこに、われわれとしては非常な腐心が存するところでございまして、もし、いいお考えでもあったら伺わせていただければ、まことにありがたいと思っておるわけであります。
○常井政府委員 第一点の保護司の現員が、現在の人数が少ないという点につきましては、ただいま大臣が答弁されたとおりでございますが、私ども、事務レベルにおきましては、市町村、公共団体の機関にお願いをしたり、働きかけたり、あるいは私的な団体にPRをしたり、相努めておりますし、また学校の校長先生なり先生なり、おやめになる方で適任と思われる方がおりますと、そういう方に呼びかけましたり、それから協力団体といたしまして、BBSとか更生保護婦人会とか、御存じのような協力団体がございますので、こういう中から適任者を選ぶ、あるいはこういう団体を通じて選ぶというような努力をいたしておりますが、都市化の波をかぶりまして、人口の過密地帯あるいはマンモス団地というようなところでは、なかなかそういうルートも、昔のような円滑な意思の伝達機関となりませんので、苦労をしておりますが、なお努力を重ねていきたいと思っております。 なお、不用額でございますが、不用額の費目に種々ございますが、たとえば更生保護会の補助金のようなものは、四十九年度の不用額が四百十五万九千百円でございますけれども、五十年度の不用額は百四十万八千七百円でございまして、やや事件が伸びてまいっておりますので、これは御承知のように、人為的に入れようと思っても、できない予算消化でございますので、事件の伸びと、われわれの予測と調和させながら適正な執行をしていきたいと思っております。
○林(孝)委員 終わります。
○原(茂)委員長代理 次回は、明十四日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十五分散会