外務委員会 第24号
- 発言数
- 163 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1977/06/05
会議録
○竹内委員長 これより会議を開きます。 北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出かありますので、順次これを許します。寺前巖君。
○寺前委員 先日の本会議におきましても、日ソの漁業交渉を行うに当たって私どもは特に三つの点を指摘いたしました。一つは、領土問題と漁業問題を正しく切り離さなければためである。それからわが国の領海内での操業、これは認めるべではない。それから日ソ漁業条約を尊重し、漁獲量の急減を強いるような措置をさせないように、新しい海洋法の段階といってもその責務はあるぞ、そこを明確にしてもらいたいというのを要望してきたわけです。 先日来の本会議並びに当委員会における質疑を通じて、領海内操業については、この第二条ではまた明確ではないけれども、ソ日協定の段階には明確にそれは入れないようにさせるということのお話でありました。漁獲量については、きのうも参考人の皆さんからいろいろ不満の声か出されておりますし、私もその問題を提起しております。一番大きな問題になって時間をかけておったのは、漁業と領土か正しく切り離されているのかどうか、これは将来にかかわる問題たから非常に重要だということで、これか一番当委員会においても時間かかけられている今日までの問題だというふうに思います。 そこで、私は改めて幾つかの点について確認をしたいと思います。 まず、わが国のいわゆる二百海里法というのはいつから現実の問題として施行されていくのか、すなわち主権的権利の行使を具体化されるのはいつからなのかということをます聞きたいと思います。
○岡安政府委員 二百海里法につきましては、五月二日に成立いたしまして、法律の定めによりまして二カ月以内に施行ということになっております。私ども施行準備を現在いたしております。遅くとも当然七月一日までにはこれを施工いたしたいというふうに考えているわけてございます。
○寺前委員 その施行に当たって、適用除外の対象地域と適用除外の外国船か出てくると思うのです。それはどのように取り扱われることになりますか。
○岡安政府委員 いま先生は適用除外とおっしゃいましたけれども、適用除外には二通りあるわけでございまして、ます漁業水域法によりまして漁業水域を設定しない除外水域というのか三条の規定にございます。これにつきましては政令で規定する見込み事項としてすでに御審議をいただいておるわけでございますか、これはもっぱら韓国、中国との関係を考えまして、日本海の西部海域それから東海、黄海それから東海に隣接いたします太平洋南西部というものを除外する水域にいたしたいということか一点でございます。 もう一つは、十四条の規定ごございまして、この規定によりまして、やはり私どもは中国人及び韓国人につきましては、それそれ本条の規定につきまして検討いたしまして、適用を除外をするということを現在考えておるわけてございます。
○寺前委員 それ以外にはありませんね。もう一度確認をしておきたいと思います。
○岡安政府委員 現在検討しておることを申し上げたわけでございまして、これらにつきましては近く政令の公布の際確定をするわけでございます。
○寺前委員 それ以外にはありませんね。
○岡安政府委員 現在検討中の事項はそういうことでございますか、それは将来やはりいろいろ検討すべき事項はあるかもしれませんけれども、現在はそういう方向で検討いたしておるわけでございます。
○寺前委員 あるとすればどういうことかありますか。
○岡安政府委員 各本条の適用等を除外するような場合には、これは審議の過程におきましても御説明いたしたわけでございますが、やはり相互に適用を除外する運用をしたらどうかというような話し合いが、それ以外にもあるかもしれませんけれども、相手国との間で話し合いが行われる。その場合に、結果的にわが国の漁業水域法におきまして適用除外として運用した方がよろしいという、その方がベターであるという話し合いになりますれば、それぞれ本条の規定によりまして、法律の定める範囲内におきまして運用において調整をすることがあり得るということは理論的に考えられるわけでございますが、現在検討いたしておりますのは、先ほどお答えいたしましたとおり、すでに政令規定見込み事項で御説明いたしました線に沿いまして現在は検討をいたしておるということでございます。
○寺前委員 それでは、相手国との関係でという話ですから、第三条が検討になるのか、第十四条が検討になるのか、いずれが検討の問題として残される可能性を持っているわけですか。大臣から聞きます。
○鈴木国務大臣 漁業水域に関する暫定措置法が五月二日に国会で成立を見たわけでございます。したがいまして、今後わが国のこの暫定措置法の適用海域で外国船の操業を認める協定の交渉をする場合におきましては、まずわが国のこの暫定法を相手側が容認をする、認めるということが大前提でございまして、この前提を認めないで交渉を始めるわけにはまいりません。 なお、その適用除外等の問題につきましては、相手国との交渉によってわが国の国益を害さない、またわが方の領土問題等に対する主張、平和条約交渉等に支障を来さないように、そういう点を勘案をいたしまして相手国と交渉を進めてまいりたいと考えております。
○寺前委員 重ねて聞きます。 第三条の適用の可能性があるのか、第十四条の適用の可能性があるのか。あるとすればいずれか。
○鈴木国務大臣 この暫定措置法におきましては両方の場合があり得るわけでございますけれども、これは高度の政治判断に属する問題でございまして、今後において十分慎重に検討してまいりたいと考えております。
○寺前委員 そうすると、高度の政治判断として、適用除外水域の場合もあり得るし、ソヴィエトを適用の対象として外すという適用の除外もあるということを確認してよろしゅうございますね。
○鈴木国務大臣 暫定措置法の法律の条文上の解釈から言うと理論上あり得るわけでございますが、それはただいま申し上げたように高度の政治判断によって、わが国として自主的に判断すべき問題でございます。
○寺前委員 自主的に判断する問題として第三条もあり得るし、第十四条もあり得る。重ねて確認をしておきたいのです。いいですね。
○鈴木国務大臣 法律のたてまえからいって理論上はあり得る、しかし、いずれをどうするかという問題は高度の政治判断に属する問題でございまして、これから政府として慎重に検討してまいりたい、こう思っております。
○寺前委員 理論上あり得るということをまず一つは確認をしておきまして、後でそれはもう一度検討したいと思います。 ソ日の協定は、いまの国内法の整備との関係でいくならば、いつまでに調印し、国会の承認はいつまでにしなければならないことになるでしょうか。
○鈴木国務大臣 御承知のように七月の一日から暫定措置法も施行されるということでございますから、六月中にぜひともソ日協定は妥結をするように話し合いを進めてまいりたい、こう考えております。
○寺前委員 国会承認は……。
○鈴木国務大臣 国会承認の問題、時期等につきましては、そのソ日協定の内容、どういう形でまとまるか、また国会の御都合等もございましょうから、時期等につきましては今後政府で十分検討したいと考えております。
○寺前委員 想像されるのでは、暫定協定は国会承認事項にならざるを得ないことになると思うのですが、そうならない場合もあり得るのですか。
○鳩山国務大臣 ソ日協定がどのような内容になるか、この協定の内容が漁業水域に関する暫定措置法の範囲内で行政処理としてできる内容のものであるか、それ以外に国会の御承認をいただかなければならないものになるか、これは協定ができてみないとはっきりしたことは申し上げられないと思うのでございます。政治的には大変大事な協定であると思いますので、それらを勘案いたしまして検討中でございます。
○寺前委員 一方では二カ月以内ですから、七月一日にはおそくても国内法としては施行しなければならないことになる。そうですね。そして選挙は七月の中旬に投票ということになっている。そういうことになると、実際国会承認事項としてはこの間に行うことは事実上できないということになるんじゃないでしょうか。そうすると承認事項でないやり方ということも検討をしなければ、相手さんとの関係はまずいことになるんじゃないだろうか、想定される一つはそれがあります。 もう一つは、日ソ協定のときには事前に一カ月間待って話し合いに入ったという経過があるから、こちらの方も一カ月間待った段階から具体化させるということになるということが、第二に考えられる問題としてあるのではないだろうか。 二つの問題を私考えるのですが、それはいかがなものでしょうか。
○鈴木国務大臣 ただいま寺前さんからお話がございましたように、日ソの協定交渉におきましては、三月一日から幹部会令の適用がソ連二百海里の海域ですでに実施されておりまして、私とイシコフ大臣の話し合いによりまして、三月十五日から協定締結交渉を始める、そういうような状態のもとにおいて、三月中は従前とおりの操業をソ連側が認めたわけでございます。私はそのことも十分考慮をいたしておるわけでございますが、いま寺前さんからおっしゃったように、参議院選挙の関係その他いろいろな事情等も勘案をいたしまして、どうしても六月中に協定ができない、あるいは国内手続を了することができないというような場合におきましては、ソ側がわが方の漁船に与えたその一カ月という範囲内において、相互主義というようなこともございますから、そういう点を勘案をしながら対処してまいりたいと考えております。
○寺前委員 よくわからないのですが、要するに、わが国の選挙の関係から見るならば、国会承認事項になるようなことは、七月一日施行とした場合に、それは事実上できないことになる、したがって、国会承認事項でない範囲内で一方で話を進めておいて、国会承認事項になるような暫定協定というのは、もう少し猶予を持った形でやらなければならないという必然性を持っているんじゃないか。私は、ソ日の場合にはそういう経過をたどらざるを得ないと思うのですが、とするならば、さしあたっては暫定的な、従来の延長線上の操業を七月いっぱいなりあるいは八月いっぱいなり、何らかの措置を考えておかなければやむを得ないんではないかと、まずそのことが一つあると思うのです。六月中に話が決まっても、それは国会承認事項になるようなことでは事実上できないということになりませんか。それはどうなんでしょう。
○鈴木国務大臣 イシコフ漁業大臣との間におきましては、六月の十日から十五日までの間ぐらいに、上旬にわが方の草案をソ側に手交をし、ソ側がそれを検討の上で、六月の二十日前後から東京においてソ日協定締結のための交渉を行う、こういう合意がなされております。具体的な日程は今後外交チャンネルを通じまして設定をされるわけでございます。私どもは、この話し合いに基づきまして、協定交渉としてこれを進めてまいるという準備をやっておるわけでございます。 それから、国内手続との関連からどうするかという問題がございます。参議院選挙という問題もございますし、私は、そういうことも考慮はいたすわけでございますけれども、やはりソ連漁船を、この協定によらないで、この七月一日から以後の若干の期間の操業を認めざるを得ない、国内手続の関係でそういう場合におきましても、ソ側がわが方に与えた一カ月の猶予期間というようなものを頭に置いて、その暫定措置と申しますか、そういうこともやむを得ない場合には考えざるを得ないのではないかというのが率直ないまの考えでございます。
○寺前委員 長期協定というのはいつごろまでに調印をし、国会承認事項にしなければならないというふうに考えておられますか。
○鈴木国務大臣 御承知のように、日ソの暫定協定も、またソ日の暫定協定も、一九七七年の十二月三十一日までの間の暫定取り決めでございますから、長期協定は、直ちにこれにつながっていくものでなければならないと、こう考えておりますので、十月いっぱい中にはできるだけ早期に基本協定を結びまして、十一月中には少なくとも国会の御承認を得るようにいたしたいものだ、そういう腹づもりで取り組んでまいる考えでございます。
○寺前委員 それでは、ちょっともとへ戻ってもう一度お聞きをしたいのです。 これも確認になりますが、日ソの暫定協定の第八条「この協定のいかなる規定も、第三次国際連合海洋法会議において検討されている海洋法の諸問題についても、相互の関係における諸問題についても、いずれの政府の立場又は見解を害するものとみなしてはならない。」「海洋法の諸問題についても」というやつはおきます。そうすると、残るのは「相互の関係における諸問題について」これについては合意の議事録というような形で何を「相互の関係における諸問題」という指摘がございませんので、したがって、確認的にもう一度御説明をいただきたいと思うのです。「相互の関係における諸問題について」とはどういうことを指すのか。
○鈴木国務大臣 これは、交渉の、この難航をきわめたその背景に、戦後未解決の問題としての北方領土の問題が絡んでおって、これか難航に難航を重ねて、その両方の主張がなかなかかみ合わない。この問題をどうしても処理しなければこの協定ができないわけでございます。私もイシコフ大臣も、これは純然たる漁業問題として今回の協定はなさるべきであるという基本的な立場で、あらゆる努力をいたしました結果、その基本的な考え方の合意の上に立って第八条を修正いたしまして、わが方から提案をいたしまして、これは純然たる漁業問題に関する協定であって、いままで両国の立場、主張が全く対立しておるこの問題、「相互の関係における諸問題」というその中には、この北方領土の戦後未解決の問題であるこういう問題については、両国の政府の立場、主張というものを何ら害するものではない、こういう立場でようやく迷路を脱し、この問題の処理ができた。そういう経緯からいたしまして「相互の関係における諸問題についても」という中には、この北方領土に対する問題がその重要な問題としてこの表現になった、こういうぐあいに御理解を賜りたいと思います。
○寺前委員 日本の方は、領土の問題は未解決であるということを言っています。ソビエトの方は、解決済みであるということを従来言っております。両方がそれぞれの立場を害さないというふうに第八条はなるわけですか。
○鈴木国務大臣 平たく御解釈を願いたいんですが、これは純然たる漁業に関する協定であって、両国間のそういう意見の一致を見ていない諸問題等については、両国の立場及び見解を害するものではない、こういうぐあいに平たく御理解を願いたいと思います。
○寺前委員 平たく言ったら、領土問題についてそれぞれの見解がある、それぞれの立場がある、それは今後に残された問題である、というふうに解釈してよろしゅうございますか。
○鈴木国務大臣 この見解の最も対立しておる北方四島の領土の問題は、これは平和条約の締結交渉、ハイレベルの政治問題として処理さるべきものである、こういう認識の上にイシコフ大臣とこの条項を設定した次第でございます。
○寺前委員 そうすると、第八条でお互いに相殺をしておったら、現実に残るのは一条から七条と九条ということになると思います。そうすると、一条では、ここにソビエトの政府の見解に基づくところのいわゆる線引きがなされ、そして五条、六条、七条と、主権的権利が明確にされております。 私はその次に聞きたいと思うんです。それではソ日協定の場合に、この一条と五条と六条と七条、これに抵触することをソ日協定の文章の中に書かすことになりますか、書かさないことになりますか。
○鈴木国務大臣 まず前段についてでありますが、八条問題でこれは純然たる漁業問題である、こういうことを明確にいたしております。したがって、この第一条による適用海域というのは漁業に関する適用海域、幹部会令の適用される海域の限界であるということで、これを認めたわけでございます。幹部会令の適用する海域云々ということを認めなければ、日ソ漁業交渉には入れないわけでございます。これは日米の場合においても同様でございます。それから以下、いろいろのそれに伴う手続あるいは方法、条件等をうたっておるわけでございますが、これも日米漁業協定等とおおむね同じような条件に相なっております。 そういうようなことでございますか、ソ日協定におきましてもおおむねこれと裏返しと申しますか、表裏の関係におきまして、そういうわが方の漁業水域内における漁業に関するわが国の管轄権、わが国の規制措置というものは明文化される、そうしなければならない、このように考えております。
○寺前委員 私のお聞きをしたいのは、裏返しの問題、すなわち第一条でそのお魚をとらすところの権利の区域を指定しております。そうすると、日本の場合に、向こうが提起しているお魚をとらすというこの地域に対して抵触する問題を、ソ日協定の場合に書くことを承認しますかしませんかという、見通しの問題についてお聞きをしておるわけです。第一条で北方四島を含めてここをとらす場合にはということで五条、六条、七条が書かれておる、これに抵触する協定を書かすことを向こうは認めるという可能性はありますか。
○鈴木国務大臣 ソ日協定におきますところのこのわが方の漁業水域内におけるいろいろな規制上の諸規定というものは、これは漁業水域全体についてうたうわけでございます。北方四島だけでうたうわけではございません。条約はこの適用海域全体に及ぶ規定に相なるわけでございます。そういうようなことで、当然日ソ協定でうたわれたところのわが方の漁業に対する管轄権の範囲内における規制の規定、こういうものは同じように書かれるということでございます。
○寺前委員 重ねて聞きます。北方四島のところはとらすんだということで、許可証から、それから入漁料の問題とか、拿捕の問題とか、裁判権の問題がここに指摘してあると思うのです。北方四島を含めて書いてある。われわれが、その裏返しのソ日協定の場合に、北方四島のところにおけるこの線引が、まず対象水域としてそこは入っておりますよという、日本の国内法をそこに書かすということになると抵触をしますね。この水域という向こうの問題とわれわれの側の問題とは、その点だけは抵触するところになると思うのです。その抵触をするということが最大の問題になってくると思うのですが、その場合に、抵触したまま残しておく可能性があるのかないのか。そこはどうなんですか。
○鈴木国務大臣 これはこういうぐあいに御理解を願いたいのですが、日ソ協定におきましても、北島四島沖合いだけの海域を限って、そこに許可証の交付を受けるとかあるいは入漁料を払うとか、そういうようなことには相なっておりません。これはいずれ水産庁長官からも詳しく御説明申し上げますけれども、海域を北千島の沖合いを含んだ太平洋沿岸の海域、それから千島列島全体を含んだ西側の海域、その他今度はカムチャッカ沖でありますとかいろいろの海域、そういうものに対するクォータが定められ、また許可証等の交付がなされる、こういうことでございまして、いわゆるこの北方四島沖合いの海域ということで特別な扱いはないわけでございます。と同様に、ソ日協定におきましても、北方四島沖合いについて特別なクォータを定めるとかあるいは許可証をわが方が発給するとか、そういう姿にはならない。そういうことでございますから、先ほど申し上げましたように、ソ日協定におけるわが方の漁業に関する規制の条項その他許可証の問題等につきましても、北方四島だけを限って云々という問題は起こってまいりませんから、そのように御理解を願いたいと思っております。
○寺前委員 同じことを重ねて言っているわけですけれども、向こうが線引きをするのとこちらの線引きの争点になるのは、明らかに北方四島のところが接点になってくるではありませんか。それがまた前提でなければだめだ、こうおっしゃるのですから、したがって、両方が重なり合う点というのはどうしたってそこになるというのは客観的事実でしょう。だから、ここに政治的判断が伴うわけでしょう。私はそのことを言っているのです。 そこで、両方が重なるところについて、ソヴィエトがすでに日ソ協定で線引きをしてしまって、そこで調印したものだから、それから後退をして、ソ日協定の場合には日本側の言い分でわかりましたと言う可能性はあるのか、私はそのことを聞いているのです。それが一つ。もう一度そこを明確に——重なっているところの問題たから私は聞くのです。 日本が前提だと言うんだから、重なります。重なるということになって、ソヴィエトが引っ込む可能性があるのかどうか。ないという場合には、それでは日本側はそこで引けないと言うんだったら、これが前提だと言うんだったらそれはまとまらない、向こうが引かないと言うんだったらまとまらないという可能性が生まれます。まとまらなかったならば、暫定協定は六月中には無理だということになります。七月であっても無理だということになります。そういう暫定協定の行われないときには、漁業の活動はソヴィエトに対してどう取り扱いますか。 この二点についてお聞きをしたいと思うのです。
○鈴木国務大臣 先ほど来るる申し上げておりますように、わが方の国会で御決定をいただいた暫定措置法そのもので適用海域というものは明確になっておるわけでございます。したがって、ソ側がこの暫定措置法を認めるということかソ日協定の交渉の前提である、このことは明確に申し上げたところでございます。私はこの点につきましては、五月五日、五月交渉第一回の会談で、国会で御決定をいただいた領海法並びに暫定措置法をロシア語に翻訳したものも添えまして手交いたしました。こういうことに相なっておる。また、これは国権の最高機関、お国の最高会議幹部会でお決めになったものとその権威は全く同じものであるということで、これを向こう側に手交いたしております。 そういうことを前提としていろいろ話し合ってまいりました関係で、それでは六月中にひとつ交渉をやろう、六月の初めに日本側の草案を示してほしい、六月の下旬には東京で交渉を始めよう、 こういうことでございますので、私は、この交渉はこのイシコフさんとの合意の方向によって妥結を見るものである、このように考えておる次第でございます。
○寺前委員 答弁にならぬじゃないですか。こちらが前提であるということを認めるんだということになれば、線引きというのは明らかに重なるということになるではないか、重なったものを向こうが認める可能性があるのかどうか、それだけのことです。私は簡単にお答えをいただきたい。重なった場合に、認める可能性があるのかないのか。重なるということにあえてなるソ日協定の線引きを、日本の国内法を書いたところの線引きになる協定を認めるのか認めないのか。可能性の問題です。 それで、ソビエトが認めないという場合は、その暫定協定というのはできないということになる。できなければソヴィエトは、日本の国内法かたとえば七月一日から執行されたら、漁は禁止になってしまう。入ってくることかできない。その入らないという事態のままで行くのか、それとも暫定協定としては、本協定の話に移ってしまうんだということになっていくのか、どういうふうにそこの処置をしなければならない論理の発展になるのかということを聞いている。簡単にお答えをいただきたいと思うのです。
○鈴木国務大臣 その点は先ほど来明確に申し上げております。わが方の領海法の成立及び漁業水域に関する法律、これを前提にして向こう側も六月交渉をやろう、こういうことでございますから、少なくともこれを認めないのであれば交渉などということは拒否するはずでございます。でありますから、私は可能性は十分あるということを明確に申し上げておるわけでございます。それから先どうなるかというようなことを予断を持っていまここで論議することは、何らの国益に合致することでも何でもない、私は明確にそのことだけを申し上げておく次第であります。
○寺前委員 私はそういう問題を厳密にしておかなければ——今度の交渉か終わった後でソヴィエト側が出しているところのモスクワ放送を先日外務省からいただきました。これにはこういうふうに書かれています。「きのう、交渉のいちばん最初にソ連側が提案した草案を基礎とする協定文が調印された。この協定文はなんら大きな変更を受けなかった。相互の利益が考慮されていたからである。」云々、こう書いてあって、一番最後に「近い将来、ソ連と日本はソ連沿岸の北西太平洋水域の長期漁業協定について交渉にのぞむことになっているから、このことに触れておく必要があると思う。新しい交渉はもっと時間がかからないことを期待したいものである。」なぜかというのがその中に書かれている。それはなぜかと言うたら、いま言った領土問題は解決済みであるという前提の問題があって、これで一番苦労されたということを大臣自身もおっしゃっている。したがってここで、あそこの第一条で線引きをしたものに重なる結果になる問題を、わが国内法の前提である、それは引くわけにはいかないということでいった場合に、必ず直面する問題としてまた出てくる、私はそう言わざるを得ぬだろうと思うのです。私は引けということを言っているのじゃないのですよ。重なる問題が出てこざるを得ないだろう。そこで、時間がかかるというのはそのことなんだよということを向こうが言うておる。とするならば、私どもはこの問題に対して、適用の問題については政治の高度判断をするにしても、これが前提であるから線引きを認めなさいという態度を貫くというのだったら、暫定協定はできなくったってこの問題は引くわけにはいかぬという態度を貫くというのかどうか、私はここにかかってくると思うのだ。やむを得ない、暫定協定は成り立たないという場合はあり得るという腹構えがあるのかどうか、私はそこを聞きたいから何度も言っている。線引きというのはそういう性格を持っているから長いことかかったのだ。ソ日協定の場合でもこの線引きについては一歩も引くわけにはいかないのだ、受け入れないんだったら暫定協定はできないという場合もあり得るんだ、そういう腹構えなのかどうかという決意を聞いているのです。
○鈴木国務大臣 政府は、国権の最高機関である国会で御決定になった漁業水域に関する暫定措置法の枠内でしか外国と漁業協定を結ぶわけにはまいりません。したがって、わが方の国会でお決めになった暫定措置法、これを認めないというような場合におきましては、これは残念ながら協定は成り立たない、国会の御決定を踏み出して政府が勝手なひとり歩きをするということは許されないことでございますから、その点はきわめて明確でございます。
○寺前委員 それではお聞きをしますが、暫定協定が成り立たないということになった場合に、日ソ漁業協定に影響しますか、どうですか。
○鈴木国務大臣 その点も先ほど来るる申し上げておるわけでございます。わか方で暫定措置法ができた、また領海法もできた、そういうことを五月交渉の冒頭で私はテキストまで渡して通告をして、そしてイシコフさんとの間では六月交渉でひとつソ日協定もやりましょう、こういうことでございますから、ソ連の方のマスコミもいろいろのキャンペーンをやるわけでございますけれども、私は両国の漁業関係の責任者同士で話し合ったこと、建設的な方向、両国の友好関係の将来に向かっての発展の基盤は、何といっても長い歴史と伝統を持つ日ソの漁業関係である、こういうことをお互いに了解して、そのために努力をしているわけでございますから、寺前さんのおっしゃるようにできない場合というようなことをいまからあれこれ論議することは、私は決して適当なことではない、こう考えております。
○寺前委員 できない場合——私はさっきは決意を聞いたのだ。決意を聞いても、それはそういう決意でやる、それではその決意を貫いた場合に、私は具体的に聞いているのです。これは政治論として聞いているのではない、ある意味では政治論かもしれませんが。ソ日の暫定協定というのがつくれなかった場合には、さきに結んだ日ソ漁業協定、それに基づく漁獲量とか漁獲区域、いろいろ決めています。そうすると暫定協定の第二条に相互の関係か指摘してありますね。ですから、私はこの暫定協定を破棄した段階に第二条の策動という問題が向こう側で起こり得るのかどうか、そこのところを聞いているのです。決意だけではいかぬ、その決意には裏づけか要る。そこはどういうことの関係性を生んでいくのか、将来の問題として気になるから聞いているのです。
○宮澤政府委員 第二条におきまして、日本国の国民と漁船が漁獲を行う権利は、ソヴィエトの国民及び漁船か日本の沖合いで操業を継続する権利を維持する、こういうことで認められたわけでございます。したがいまして、ソ連はこの協定をこしらえますに当たりまして、日本の二百海里法その他領海法をよく承知の上でこの協定を結んだわけでございまして、しかもその上に近くソ日協定をやりに来る、こういうことを了解したわけでございます。したがいまして、ただいま鈴木大臣から十分に御説明のありましたように、当然ソ日協定が成立して、したがってこれも十分に有効に働く、このように考えております。
○寺前委員 よくわからぬのだね。ソ日協定が締結できない、したがってソヴィエト側の漁ができない、これ以上だめですよということをわれわれが言った場合には、第二条に基づいて、すでに協定を結んだ日ソ協定の漁獲量や区域の問題まで含めて決めた内容、ここに影響をもたらすということにこれはなっているのか、なっていないのかということを聞いているわけですよ。
○鳩山国務大臣 この第二条の経過並びにこの文意から考えまして、日本がソ連漁船に対して日本の二百海里内に全く入漁をさせないというようなことを日本が仮に言ったといたしました場合には、この二条に反するから、日本の権利、日本のこの協定にあります入漁権というものはこれは認められないような措置を先方がとるかもしれないということはある意味で考えられますけれども、日本は、鈴木農林大臣がいまたびたびおっしゃいますように、これからソ連とソ日協定の交渉に入るというわけでありますから、交渉か若干長引くというようなことが仮にありましたといたしましても、日本がソ連の漁船の入漁を一切認めないというような態度に出ない限り、この協定を根拠といたしまして日本側の入漁権が否定されるというようなことにはなるまい。これは私の判断でございます。
○寺前委員 私それで非常に明快だと思うのです。そういう関連性だろうと思って私はこれを読ましていただいておったわけです。 そこで、もう時間か参りましたが、今度の日ソ漁業協定、あそこで持っているところの一条、五条、六条、七条というこの関係性は、ソ日協定の段階に明らかにこれが再論議をされ、そうして長期協定にまでこれまた問題を波及していく内容だ、今度のこの協定については、そういう意味で、果たして日本の主権的権利が侵されていないかどうか、本当に領土問題はたな上げだと言うけれども、心配なのは、そういう形で次々発展していくということになって、事実上われわれの主権にかかわる問題をここで現認をしてしまうことになるのではないかという心配があるから、先々を読んだ質問をしてみたわけです。そういう意味でやったわけです。 私は最後に、ちょっと次元の違うことになりますが、今度の漁業の協定の中で、漁獲量の問題をめぐって幾つかのところで不満がまだ残る、不満の残る一つの問題にスケトウダラの問題があると思うのです。ことしの漁獲量の決定では、漁期の関係で、一月から五月までを漁期としているスケトウダラというのは、直接深く検討するあれではなかっただろうと思うのです。しかし、基本協定の段階にはスケトウダラの問題というのはいや応なしに大きな位置を占めざるを得ない問題になると私は思うのですが、漁獲量あるいは漁業区域の設定問題をめぐって、スケトウダラの問題については特別に問題を検討してもらうように考えておられるのかどうか、そこのところを御説明いただきたいと思うのです。
○鈴木国務大臣 寺前さん御指摘のように、今回のわが国に与えられた漁獲量、これは私自身非常に不満でございます。業界の諸君も非常な不満を持っておるということも十二分に承知をいたしております。特にスケトウダラの問題につきましては、ソ連の最初の提案が四万九千トンというようなきわめて低いものでございましたか、その後四十五万五千トンの枠内におきまして調整をやって、十万トンまでとにかくふやした。しかしながら、これも沖合い、底びきあるいは北転船の漁船数、従来の実績等から見ますと非常に厳しいものでございます。私は、基本協定の際におきまして、スケトウダラの漁獲量の問題、操業水域の拡張の問題等につきましては、あらゆる努力を傾けてこれが改善を図ってまいりたい、このように考えております。
○寺前委員 お約束の時間が来ましたので、終わりたいと思います。
○竹内委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 今度の日ソ漁業の暫定協定に関して、漁業の問題とあわせてわが国の主権的な権利あるいは北方領土の問題というものが大変重要な問題として改めてクローズアップされてきたわけでありますけれども、私どもはさきの日韓大陸棚協定における共同開発区域とわが国の十二海里との両方がかかるという問題、こういう問題に始まって、領土に対するわが国の考え方というものが非常にあいまいであるという気がしてならないわけでございます。 〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕 そこで、私は、まず改めて北方四島をめぐる領土問題かちお尋ねをしてまいりたいと思います。 政府が返還を要求している北方四島か、一九五二年のサンフランシスコ条約の第二条の(c)項において日本政府が放棄をしたこの千島列島に含まれないという根拠はまず何なのか、お尋ねをしたいと思います。
○宮澤政府委員 桑港条約二条(c)項で放棄いたしました千島列島、この中には日本政府が固有の領土として要求し続けております歯舞群島、色丹島、国後、択捉のいわゆる四島は含まれていない、こういう解釈を政府はしておりますが、その根拠は、歴史的にも、ここで千島列島あるいは桑港条約の英文のテキストでございますが、クリール・アイランズというものの中にはこれら四島が含まれていないという歴史的な文献があるからでございます。そして、その文献は一八五五年及び一八七五年に日本政府が帝政ロシアとの間に結びました日露通好条約及び千島・樺太交換条約、これらが非常に基本的な理論づけになっております。
○伊藤(公)委員 もし千島列島に歯舞、色丹はもちろん、国後、択捉の両島まで含まれない、こういうことであるならば、サンフランシスコ講和会議において日本の政府代表は有効な留保というものを付すべきではなかったのか、こう思いますけれども、いかがでしょう。
○宮澤政府委員 御質問の点につきましては、日本が置かれておりました当時の状況を十分に考慮する必要があると存じますが、御承知のとおり、当時日本は敗戦国から被占領国としての地位にありましたわけでございまして、桑港会議にも平和条約を折衝しに参ったわけではございませんで、その最終案文によって署名するために招請されたものでございます。したがって、その会議におきまして日本の全権は見解を述べることは認められたわけでございますが、条約案文について十分な留保を行うということは認められなかった次第でございます。 したがいまして、そのような状況の中で吉田全権は意見を述べておられまして、日本代表の演説といたしまして、会議の席上「千島列島及び南樺太の地域は日本が侵略によって奪取したものだとのソ連全権の主張は、承服いたしかねます。」それから「日本の本土たる北海道の一部を構成する色丹島及び歯舞諸島も」「ソ連軍に占領されたままであります。」こういうふうに述べておられまして、これが正式に、いわゆるどん欲その他によって放棄さるべきものでないという意味の意見は述べております。
○伊藤(公)委員 それでは、千島列島の範囲についてサンフランシスコ条約の草案を起草をしたアメリカ政府は、この立場を明らかにしているのかどうか。
○宮澤政府委員 桑港条約の起草の主たる責任者でございました米国政府自身、その後そのような見解を明らかにいたしております。すなわち、日ソ国交回復交渉当時の一九五六年九月七日に、米国政府は日本政府に対しまして覚書を寄せまして、米国は歴史上の事実を注意深く検討した結果、択捉、国後両島が、北海道の一部である歯舞、色丹島とともに常に固有の日本領土の一部をなしてきており、正当に日本の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に到達したという見解を明らかにしております。 〔有馬委員長代理退席、鯨岡委員長代理着席〕
○伊藤(公)委員 それでは、アメリカ政府が千島列島には国後、択捉も含まれないという立場をとっているということであれば、アメリカも連合国の一つに含まれているわけですから、ソ連が国後、択捉を今日占領をした、現実に占領をしているというこの事実に対しては、アメリカはソ連に対して抗議をする、あるいは注意をするということが今日まで事実関係としてあったでしょうか。
○宮澤政府委員 一九五四年に北海道上空で米国の飛行機が撃墜された事件がございましたが、その事件に対してアメリカ政府がソ連政府にあてました五七年五月二十三日の書簡の中で、サンフランシスコ平和条約に言う「千島列島」という言葉は、「歯舞諸島、色丹島又はクナシリ、エトロフを含んでもいなければ含む様に意図されもしなかったということを繰り返えし言明する。」旨述べて、ソ連の注意を喚起しております。
○伊藤(公)委員 日本が無条件受諾をしたポツダム宣言は、一九四三年のカイロ宣言の条項は履行せらるべし、こう述べているわけでありますけれども、カイロ宣言においては、日本国が暴力及びどん欲により略取した領域より駆逐されるべし、こうなっているわけでありますけれども、戦前わが国の領土であった南樺太、千島列島、朝鮮、台湾、これらのところはわが国がどん欲により略取した領域だと言えるのかどうか、このカイロ宣言の中に南樺太、千島列島、朝鮮、台湾というものは含まれているのかどうか。
○宮澤政府委員 いまさっき御説明いたしましたように、桑港条約調印当時の状況はあのようなものでございましたので、折衝するないし留保するというようなことはできなかったわけでございますが、吉田全権はそのような状況のもとでも、やはりこのような地域は暴力及びどん欲によって取ったものでない、したがって日本全権としてはこのような事態ははなはだ不本意に思うということは述べておられるわけでございます。
○伊藤(公)委員 現福田内閣におきましても、同様に、この千島列島は日本国が暴力及びどん欲によって略取したものではない、こういう見解でございますね。
○宮澤政府委員 そのような見解でございます。
○伊藤(公)委員 千島列島がどん欲や暴力によって略取をした領域には含まれない、こういうことを改めて現福田内閣でも確認をされたわけでありますけれども、しからばこのサンフランシスコ条約の第二条(c)項において放棄したのは、これはどう論理的に考えてもおかしいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○宮澤政府委員 その点につきましてはすでに御説明いたしたと思いますか、当時の日本が桑港条約に署名する、そういう状態にありましたために、これはやむを得なかったものと考えております。
○伊藤(公)委員 そうしますと、国後、択捉というものはソ連によって占領をされたものだ、こういうことでございますか。
○宮澤政府委員 国後、択捉両島は、歯舞群島、色丹島とともに日本は放棄したものではございませんので、そこにソ連が座り込んでおるのは不法な占拠である、こういう考え方でございます。
○伊藤(公)委員 先ほど申し上げましたけれども、また昨日までの本委員会における参考人の方々の述べられた意見の中にもございましたけれども、領土あるいは主権の及ぶ範囲というものに関しては、これはもういずれの国も大変な執着を持って、それは二十年とか三十年ということではなしに、もっと長い時間をかけても非常に執拗に主権を主張する、こういういままでの歴史から考えてみますと、わが国のこの北方四島に対する考え方あるいは竹島の問題、そして先ほど申し上げた韓国との今度の日韓大陸棚協定の中でも質疑をされてきた問題等々、わが国の領土あるいは領域、また領海というものに関する非常にあいまいな考え方というものを私たちはどうしても指摘をせざるを得ない。北方四島に関しても、強い姿勢で私どもの主張は主張として今後ともすべきだ、こう思います。 北方領土の問題に関して、これはもう参考意見として私はお尋ねをしておきたいのでありますけれども、今日野党の中にも全千島の返還を要求している現実もあるわけでありますけれども、全千島の返還ということに関しては政府はどう考えていらっしゃるでしょうか。
○鳩山国務大臣 政府はサンフランシスコ平和条約を受諾をいたしておるわけでございます。そこで述べられておる「千島列島」という言葉につきまして議論があったことは事実でありまして、ただいま申し上げたように、日本政府といたしましても、またアメリカ政府も、国後、択捉両島が歯舞、色丹両島とともにサンフランシスコ平和条約で放棄したクリール・アイランズの中には含まれない、このような解釈を確定しておるわけでございます。したがいまして、政府といたしまして千島列島全部を日本の本来の領土である、それはサンフランシスコ平和条約の二条(c)項を否定するということになりますので、政府としてはかような見解はとり得ないところでございます。
○伊藤(公)委員 それでは今度の暫定協定についてお尋ねをしたいと思いますけれども、この協定の中で、領土問題に対するわが方の立場を害することなくソ連の線引きを認める、こう言っているわけでありますけれども、これは一体どういう意味なのでしょう。
○鈴木国務大臣 今回の日ソ漁業交渉が、戦後未解決の問題であるこの北方四島の問題が背景にございまして、難航に難航を重ねた困難な交渉であったことは御承知のところでございます。私とイシコフ大臣は幾多の論議を尽くした上で、本協定は純然たる漁業問題として処理さるべきものであるという意見で一致をいたしまして、したがって、この幹部会令の適用を受ける海域の範囲も、これは純然たる漁業に関するところの規制の及ぶ限界である、こういうことで双方で意見の一致を見たわけでございます。これがとかく領土絡みの問題として論議される心配がございますから、改めて協定第八条におきまして、お読みいただきましたように、本協定のいかなる規定も、国際連合における海洋法会議で検討されておる諸問題についても、相互の関係における諸問題についても、いずれの政府の立場及び見解を害するものではない、こういうことを明確に規定をしたわけでございます。つまり、相互の関係についてもというのは、いま申し上げたように領土問題等戦後未解決の問題、こういう問題についてのいずれの政府の立場及び見解を害するものとみなしてはならない、こういうことで明確に相なった次第でございます。 〔鯨岡委員長代理退席、委員長着席〕
○伊藤(公)委員 この条文の第一条に、「ソヴィエト社会主義共和国連邦政府の決定に従って」とございますけれども、この決定とは具体的に何を指すのでしょう。
○鈴木国務大臣 それは幹部会令を受けましてソ連の閣僚会議が適用海域について決定をいたしておるわけでございますが、そのことをうたっておる。これはあくまでイシコフ大臣との合意によりまして、漁業に関するソ連の諸規制が及ぶところの限界である。こういうことでございます。
○伊藤(公)委員 二月二十四日の大臣会議決定は、わが国の根室海峡及び珸瑶瑁海峡をそれぞれ国後海峡及びソヴィエト海峡と呼んでいるわけであります。ソ連の国境と言っているわけでありますけれども、これを認めたにもかかわらずいまだにわが国の領土問題に対する立場は害されないというのはどうも私にはわからない。どういうことでしょう。
○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、ソ連の閣僚会議決定では、現にソ連が占有をし、施政を行っておるということを前提にしてやったものでございます。しかし、わが方はこの領土問題につきましては、北方四島はわが方の国有の領土である、こういう主張、立場というものを歴史的にも正当のものとして主張し続けておりますことは御承知のとおりであり、世界に向かってこのことは明確にわが方の立場というものを宣明しておるわけでございます。したがいまして、今回の幹部会令の適用を受ける海域として、向こうが現に占有をしておるという事実、施政を行っておるということを前提にして引いたものでございまして、あくまでわが方としてはこれは純然たる漁業に関する規制の及ぶ範囲のものである、こういうことで、これはイシコフ大臣とも明確に一致をいたしたところでございます。いま伊藤さんがおっしゃるような問題で誤解があってはいけないということで、第八条において先ほど申し上げたような規定を明らかにいたしまして、漁業問題は漁業問題、領土問題は高度の政治問題としてハイレベルでこれは日ソ平和条約交渉で行わるべきものだ、こういうことでこの協定が成立をした、このことを御理解を願いたいと思います。
○伊藤(公)委員 大臣の言われる漁業の問題は漁業、領土の問題は領土ということは私にもわかるのであります。しかし、いま申し上げたとおり、大臣会議決定ではわが国の根室海峡、珸瑶瑁海峡、それぞれこれは国後海峡及びソヴィエト海峡だと呼んでいる、ソ連はこれを国境だと言っておるわけです。これをわが国で認めているわけですから、一方においてはソ連の国境だといってこれを認めていて、わが国の領土問題に対する立場は害されない——明らかに害されているではないか、こう私は思います。どうなんでしょうか。
○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、あの閣僚会議で設定をしたところの幹部会令の適用される海域、そのラインでございまして、この領土問題に対する国境というような問題は、これは、先ほど来るる申し上げるように、平和条約交渉において戦後未解決の問題としてこの解決交渉が今後も引き続きなされるということでございます。そういうものとかかわってはいけないということで、御承知のように八条でその点をはっきりさせた、両方お読みいただけば明確に相なるわけでございます。 と同時に、もう一つ進んで申し上げますが、国会で五月二日に漁業に関するところの水域、その暫定措置法というものができました。この暫定措置法によってわが国の海域というのははっきり国会でお決めいただいておるわけでございます。したがいまして、ソ日協定におきましては、これを前提とした交渉であり、協定になる、こういうことでございます。
○伊藤(公)委員 ソ連のこの線引きを認めて、その中におけるソ連の主権的な権利を認めたわけでありますけれども、主権的な権利とは具体的に一体どういう内容を指すのでしょうか。
○中島政府委員 先生御承知のように、この主権的権利というのは、そもそもソ連側の二百海里水域設定の根拠になりました昨年十二月十日の幹部会令に出てくる表現でございます。そしてその前にも御答弁申し上げたと思いますが、その内容は、二百海里の水域の水産資源に対して沿岸国がその保存、管理に必要な権限を持つ、その権限を包括的にとらえたものであろうというふうに考えております。 具体的に、主権的権利と称せられるものの本件協定についての内容は何かという御質問でございますが、その点につきましては、具体的には協定の三条以下、実体規定において定められているところの漁業の規制措置というのがその内容でございます。
○伊藤(公)委員 それでは、北方周辺水域のソ連の言う二百海里の中に許可証を持たない日本船が入った場合、ソ連に拿捕されるだろうと思うのでありますけれども、これに対して政府は抗議ができるんですか。
○中島政府委員 この協定におきましては、ただいま申し上げました、ソ連側の二百海里の水域において、資源の管理、保存のためにどういう権限をソ連側が行使するか、具体的にわが方の漁船がそこで入漁する場合に、いかなる入漁の条件に従って操業を行うかということになるわけでございまして、それはソ連側の許可証を取得し、ソ連側の漁獲量その他の規制に従って入漁を行う。ソ連側の規則に違反することがあれば、それはソ連側が取り締まりを行い、そして違反の除去を担保するための手段として、それはソ連側の裁判手続に従って処罰を受けるというのが入漁の条件でございます。その入漁の条件としては、これはそれなりにわが方として認めたものでございます。したがいまして、四島周辺の水域に関しても、ソ連側の規則に違反する操業を行う場合に、ソ連側が取り締まりを行い、その裁判を行うことに対して、わが方としてこれをその限りにおいては認めているわけでございますから、抗議するというような性質のものではなかろう。それがわが方の漁業の操業の安全を期するゆえんであるというふうに考えるわけでございます。 ただその場合に、通常の場合であれば、そのような権限の行使をその水域で認めることが、その根源にありますところの領土に対する領有権を認めたということになり得るので、そうあってはならない、これらの島は、わが国の固有の領土であるというのがわが国の立場でありますから、そのように解されてはならないということで、第八条におきまして留保を行い、わが方の立場は決して害されないということを明白にいたしまして、その有効な留保のもとに、四島周辺におけるところの操業についても、他の水域におけると同じ条件でこれを行うということを取り決めたのがこの協定でございます。
○伊藤(公)委員 それでは、四島周辺の十二海里内において日本の漁船が拿捕された場合、このときにはわが国の政府は抗議はできるわけですか。
○中島政府委員 この取り決めは漁業の専管水域に関する取り決めでございます。したがいまして、ただいま御説明しましたような事態に相なるわけでございますが、領海の中の操業という点について取り決めたものではございません。したがいまして、領土はわが国固有の領土であり、その周辺の領海はわが国の固有の領海であるという立場は、いささかもわが方として変わっていないわけでございます。したがいまして、そのソ連側が領海だと理解しておるところの水域にわが方の漁船が入ったことにより、ソ連側が取り締まりを行うということであれば、わが方としてはこれを認めるわけにはいかないというのがわが方の立場でございます。
○伊藤(公)委員 はっきりと確認をしておきたいのでありますけれども、四島周辺の十二海里内においてわが国の漁船が拿捕されたときには、わが国の政府は抗議ができるのですか、できないのですか。
○中島政府委員 お答え申します。 できるというのがわが方の立場でございます。
○伊藤(公)委員 わが国は、この漁業に関する暫定措置法により、北方四島周辺水域にわが国の二百海里の線引きをすることになりますか。
○鈴木国務大臣 これは国権の最高機関である国会で漁業水域に関する暫定措置法、この法律そのものでわが国の領土沖合い二百海里、具体的に申し上げますと沿岸沖合いから十二海里は領海であり、その外に百八十八海里の漁業水域に関する暫定措置法というものが設定をされることに相なっております。だから、暫定措置法そのもので、当然わが国固有の領土である北方四島沖合いにも、わが国の規制措置の及ぶところの漁業水域というものが現に設定をされておる。したがって、今後交渉が行われる外国とのわが国の二百海里漁業水域内における協定というものは、この漁業水域に関する暫定措置法の適用海域というものを認めるという前提で行われるわけでございまして、これを認めないということでは交渉もわが方は受けるわけにはまいりませんし、協定を結ぶわけにはいかない。もう五月二日、国会で御承認と同時に、このことははっきりいたしておるわけでございます。
○伊藤(公)委員 わが国は二百海里の線引きをするんですか、しないんですか。
○鈴木国務大臣 これはすでにされておるんです。暫定措置法でされておる、こういうことでございます。
○伊藤(公)委員 それでは、この線引きの中において、わが国の管轄権というものは及びますか。
○鈴木国務大臣 この水域全体については、わが方としても漁業に関する管轄権は及ぶ、こういうことでございます。
○伊藤(公)委員 第八条に言う「相互の関係における諸問題」こう言われているわけでありますけれども、これは領土問題以外にも具体的にどのような問題を含んでおるんでしょう。
○宮澤政府委員 一例を申し上げますと、たとえば北方四島に日本人の墓がございますが、そこへ参りますときに、たとえば先方が旅券を要求する。従来は旅券は持たしておりません、証明書で参っておりました。その理由は、これらの領土は外国領土と認めないということで、証明書を持って出しておりましたわけですが、たとえばこのような協定を結びました結果、これがソ連領であるから旅券を出す、こういうような種類のことは今後ともしないという、それか領土問題以外の問題の一例としてございますが、結局多くは領土問題から派生してくる問題と考えております。
○伊藤(公)委員 わが国の海上保安庁の巡視船はソ連の二百海里の中に立ち入りすることができるのかどうなのか。また、海上自衛隊の監視船あるいは艦船というものも立ち入ることができるかどうか、お聞きします。
○中島政府委員 先生がただいまおっしゃられた、海上保安庁の船なり自衛隊の船なりが入るとおっしゃられるときのその目的によるであろうと思われます。御承知のように漁業水域は、その基本的な性格としては依然として公海であるというのがわが方の立場、考え方でございますし、この点については国連の海洋法会議で現在討議の焦点になっている点ではございますが、いずれにしろ新たな国際法が確立するまでは、基本的には公海であるということは変わらないであろうと思われます。そういう意味で、航行の自由というものはそこにあるわけでございます。 ただ問題は、この水域における漁業の現実の規制としては、これはソ連側が行うということを認めたのが第一条でございます。その他の水域と同様に漁業の規制を行うことについては第一条において認めているわけでございますから、そのような規制を担保する手段として、わが方の海上保安庁の船なりが入っていってその規制のための取り締まりを行うということは、この第一条を認めました趣旨からして行い得ないものだろうというふうに思います。
○伊藤(公)委員 ソ連の二百海里内を、たとえば日本の漁船が他の漁場へ向かう場合に自由航行をすることができるのかどうか。またそのソ連の二百海里の中を横切るという場合に、ソ連の許可証であるとかあるいは事前に通報するとかというようなことが必要になってくるのでしょうか。
○中島政府委員 ただいま申し上げましたように、漁業水域は航行に関しては基本的には公海でございますから、航行の自由が確保されているわけでございまして、それは漁船についてもそこを通過していく航行は自由であるはずでございます。
○伊藤(公)委員 私ども知っておきたいわけですけれども、今度の交渉においてソ連が非常に厳しい態度で臨んできた。大臣が大変な御苦労をされて、いろいろな問題にぶつかられただろうと思うのでありますけれども、今度のソ連が非常に厳しい態度をとった理由としてどういうものがあったのでしょうか。
○鈴木国務大臣 厳しい態度をとったということよりも、先ほど来申し上げるように、この背景に戦後未解決の問題として残されております北方四島の領土の問題があったことは、先ほど来申し上げるとおりでございます。 漁業問題として特に予想を越えて厳しかったと私考えておりますのは、漁獲量の問題でございます。この漁獲量の問題につきましては、わが方は歴史的な伝統的な漁獲実績というものを強く主張したわけでございますが、ソ連側は余剰原則というものを強く打ち出してきておる。ソ連も御承知のように、日本と同じように世界の二大遠洋国でございまして、そういうような観点から、アメリカ、カナダあるいはノルウェー、EC等々におきまして大変厳しい漁獲量の削減を強いられておるというようなことから、多数の船団がいま稼働できないでおる。そういうようなこともございまして、北西太平洋のソ連の二百海里内においてこれをカバーしよう、ソ連の現在の漁船勢力をもってすれば大部分これを漁獲することができる、しかし一方において日本の歴史的な伝統的実績があるということで、いろいろ交渉は難航したわけでございますが、結果はやはり沿岸国の余剰原則、自分の国でとって余りがあった場合に初めて実績国に分かち与えてやろう、こういう余剰の原則というものか過去の実績を超えて強力に働いておる。今後はソ連だけでなしにいろいろな沿岸国との交渉におきましても、私どもはこの余剰原則というものが強く出てくるであろうということを銘記しなければならない、こう思いますが、今回の交渉において私が最も痛切に身をもって体験いたしましたのはこの余剰原則であった、そして漁獲量が大幅な削減を見た、このことでございます。
○伊藤(公)委員 余剰原則というものが非常に大きな問題であったということでございますけれども、そうしますと、大臣は今度の暫定協定によって領土問題に関しては一〇〇%満足している、こういう御発言をしているわけでありますが、ソ日協定ができて初めて新しい事態を生むことができるわけでありまして、そうしますと、ソ日協定に関して余剰原則というものはどんなふうになっていくのか。
○鈴木国務大臣 わが国の漁船数、また漁労技術、漁獲能力等々を考えますと、わが国の沖合い二百海里水域内において余剰がないほどとれる、そういう漁獲能力を持っておるわけでございます。しかし、やはりソ連も同様の中からわが方に対して年間を通じまして百万トン余の漁獲割り当てをしてきておる、こういう事情もございます。そういうようなことでございますので、わが方におきましても、この余剰原則ということと実績をお互いにある程度認め合って、そして相互補完の関係、相互主義でやることが適当であろう、このように考えております。 私はここで伊藤さんによく御理解を願っておかなければならない点は、今回大幅な削減を受けましたけれども、とにかく六千隻の漁船がソ連の漁業水域内で稼働ができる、仕事ができる、または百万トン台に乗せた漁獲割り当てを確保しておる、したがってわが方のソ連に与えるクォータあるいは操業の条件等におきましても、そういうことを勘案しながら相互の立場が立つようにということでやってまいりたい。そうでありませんと、余り厳しい条件を強いるということになりますと、もう日本の沖合いに来て操業する魅力はない、経済上、採算上からいっても成り立たないというような過酷な条件を強いました場合においては、お互いにひとつそれでは自分の畑をそれぞれ耕すことにしようではないか、こういうことになりますと、わが国の北洋漁業、これに従事する漁業者並びに関連産業というものは壊滅的な打撃を受けるわけでございます。そういう点を冷静に、また将来の日ソ関係の友好発展ということを大局的に考えながらこれに対処していかなければならないものだ、このように考えております。
○伊藤(公)委員 きわめて近い将来予想される事態について具体的にお尋ねをしたいと思いますけれども、今度のこの協定によって将来一万人にも及ぶこの漁場から締め出される漁民の人たちの離職者に対する具体的な対策をお尋ねをしたいと思うのであります。特に北海道におきましては、漁業とはかかわり合いなくすでに二十九万人もの季節労働者が新しい職を探しているという状況の中で、さらに一万人にも及ぶ者がこの漁場から締め出される、こういう事態になるわけでございますので、大変深刻な問題だと思いますけれども、離職者に対する具体的な対策をお聞きをしたいと思います。
○鈴木国務大臣 ただいま御指摘になりました点は最も政府としても深刻に受けとめておる問題でございます。この場合におきまして、漁業関係におきましても減船等に伴いまして下船のやむなきに至るという方々が相当数に上るわけでございます。その漁民の諸君に対しては、海から陸へ職場を転換する者もあるわけでございますし、海から海へ職場を転換をさせる、こういう両面があるわけでございますが、これらにつきましては雇用対策法あるいは漁業再建整備法、そういうものでできるだけの救済措置を講ずる。また船員保険法の適用の問題もございます。現状では十分でないものもございますが、改善を要する点もございます。またその他、加工業者の分野等におきましても原料魚の削減等によりまして工場の閉鎖、それに伴う離職者の問題もございます。こういう問題につきましては、ただいま労働省、運輸省、農林省等におきまして具体的に検討を進めております。できるだけ落ちこぼれのないように救済の措置を講ずる考えでございます。 なお、これらの問題につきましては、減船、休漁等の漁業に対する救済措置とともに、今月中に閣議で方針を決定をして、そして一日も早くこれらに対する具体的な救済の措置を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○伊藤(公)委員 一万人という数は大変な数でございまして、海から陸へといっても、現実にきのうまで海で生きていこうとしていた人たちにあすから陸に上がって仕事をしろと言ってもなかなか現実にはそういうわけにいかない。大臣が今日までこの漁業協定について大変な御苦労をされてきたわけですから、さらに水産外交といいますか、新しいもっと優良な漁場を早急にひとつほかに求めていく具体的な交渉に入っていく意思をお持ちかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○鈴木国務大臣 伊藤さん御指摘のように、長年漁業に従事してまいりましたところの漁民諸君、またせっかく建造されておるまだ優秀な漁船等がスクラップ化されるというようなことは、これは日本の経済の面からいっても、また社会問題としてもできるだけこれを避けなければいけない、このように考えております。そういうような観点で今後、沿岸国の二百海里に制約を受けない公海上の未開発の漁場の調査、開発、あるいは日本列島周辺の沿岸、沖合い漁業の振興、積極的な資源の増殖あるいは栽培漁業等の推進、そういう面にも力を入れまして、これらの諸君の職場を確保するということに努力をいたしたい。もうすでにそういう問題につきましては、農林省の中に調査班また研究のチームをつくりまして、新しい二百海里時代に対応する漁業政策の洗い直しということにつきまして仕事を始めておるわけでございます。今後、食糧問題としての観点からのイワシ、サバ等の多獲性の魚族をできるだけ食ぜんに供するような保蔵、加工、流通問題の改善と相まちまして、新しい漁業政策の見直し、展開を図ってまいりたい、このように存じております。
○伊藤(公)委員 いろいろな方法があると思うのでありますけれども、たとえばニュージーランドがことし、ここ一カ月ほど前から数回にわたってそういう声明を出してきたわけでありますけれども、牛肉であるとかあるいは乳製品をもっと日本に買ってほしい、こういう要請をしてきた。しかしそれに対しても日本側の、まあ話し合いはしてもなかなかそれに対して新しい具体的な答えが返ってこない、もしこういうような事態であると——ニュージーランドでも二百海里漁業専管水域を宣言する等々の話もあるわけでありますけれども、ニュージーランドに限らず、こういう牛肉であるとか乳製品をわが国が買って、そのかわりにひとつ新しい漁場を新しい地域に求めていく、こういうバーターをするというようなことも現実に大変必要な問題だと私は思いますけれども、大臣はそういう具体的な問題では当面お考えになっていらっしゃらないでしょうか。
○鈴木国務大臣 伊藤さん御指摘のように、ニュージーランドも国会に二百海里水域法と申しますか、法案を提案をしておるとかいうような情報も聞いておるわけでございます。これに関連いたしまして大洋州全体の隣接した国々もそれに連動をするという状況にもあるのではないか。今後この漁業外交、二国間の交渉、これはいろんなむずかしい問題が確かにございます。沿岸国はその二百海里水域内での日本漁船の伝統的実績を認め操業を認めるかわりに、いろんな条件、いろんな注文をつけてくるであろうということも確かに予想されるわけでございます。私どもはその際におきましてはケース・バイ・ケースでこれに対応をせざるを得ない。いま肉や乳製品の問題が出ましたけれども、これは御承知のように一国一国に割り当てをしておるのではございません。グローバルで、肉ならば年間七十五万トンとかいうぐあいにやっておるわけでございます。要はこの枠の中で、そういう輸出国が国際競争力を持って、いい製品を適正な価格でということになりますれば、そのグローバルのクォータの中で多く輸出ができる、日本にも入ってくる、こういう問題もございます。でございますから、私は、各国別に肉等のために二百海里問題と絡めてクォータを設定するなどという考えは全然持っておりません。従来の方針でグローバルな割り当てでやっていく、しかもその際におきましては、最近わが国の畜産業も着実に伸びてきております。食糧の自給ということが大きな国策でございますから、この国内の畜産業等の育成に支障を来さないということが大事な問題でございます。しかし、その他の技術協力でございますとか、経済協力でございますとか、いろんな問題等につきましては、十分ケース・バイ・ケースで関係国との間に協力、協調をしながら漁業外交を有効に展開をしてまいりたい、このように考えております。
○伊藤(公)委員 領海十二海里あるいは漁業専管水域二百海里、そして今度の暫定協定と、海に対する国民の世論が非常に大きくふくれ上がっているわけでありますし、また特にいままで毎年のように繰り返されてきた日ソ漁業交渉というものも、新しい海の秩序の時代を迎えて大きな転換をしなければならない、こういうときに立たされていると思うのであります。漁業に関する漁業基本法というようなものを政府自身がつくって、そして、その場しのぎの形で問題を片づけていくのではなしに、しっかり腰を据えた姿勢を示していかなければならない、こう思うわけでありますけれども、大臣は漁業基本法というものを政府自身が手がけるというお考えをお持ちではないでしょうか。
○鈴木国務大臣 私は先ほど申し上げたように、今後の厳しい二百海里時代に対応するわが国の漁業政策を洗い直して、これに対応する的確な強力な施策をひとつ展開をしたいということを申し上げましたが、制度の問題、法制の整備の問題につきましては、現在御承知のように漁業法あり水産資源保護法あり、いろいろの法律もあるわけでございますが、これもいまの新しい情勢に対応して十分見直しまして法制面の整備も図っていきたい、検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○伊藤(公)委員 北海道や東北に関して非常に漁業の問題で切実な問題が差し迫っているわけでありますけれども、あわせて西日本の海域についても、北海から締め出された韓国漁船を初め、新しいいろんな事態が生まれているわけであります。政府は将来の展望として、日本と中国、日本と南北の朝鮮、こういう国々との間に広がる西日本の海域についてどのような認識をお持ちになっているか、お尋ねをしたいと思います。
○鈴木国務大臣 この問題はこれからの予想される重要な問題でございますので、韓国に対しましても中国に対しましても、外交チャンネルを通じ、また農林省としても接触を密にいたしまして、相互の関係が円滑にいくようにということでいろいろ接触をいたしておるところでございます。基本的には、わが国は漁業水域に関する暫定措置法というものができました。けれども、これを運用するに当たりましては、これらの国とは相互主義でやってまいりたい、そういうような観点から、わが方から二百海里を先んじて設定するというような考えは持っておらないわけでございます。現在の日韓の漁業協定あるいは日中漁業協定、これが非常に有効に円満に何らのトラブルのないように、漁業秩序がこれによって確保されておるということでございますから、いま申し上げたような方針で対応してまいりたいと考えております。
○伊藤(公)委員 質問を終わります。
○竹内委員長 次に、津川武一君。
○津川委員 どうも農林大臣御苦労さまでした。大変な難物を相手にしてがんばっていただいて、私も現地のモスクワで農林大臣に会ったり、またその後農水委その他でお会いして、大臣の苦労というのを身にしみて感じておるわけです。まだソ日暫定協定もあるし本協定もありますので、ますます元気でがんばっていただくようにひとつお願いいたします。 ところで、外務大臣、鈴木さんか非常に苦労されて衝に当たられた、そうして漁獲量がかなり減りまして、これに対して不満足である、満足してない意を表明しているわけであります。この状態を外務大臣としてはどう見ているか、まずそこを聞かしてもらいます。
○鳩山国務大臣 漁獲量につきまして十分な交渉の期間が持てなかったこと、それは大変残念だったと思います。まあ結果がどうなりますか、これはわかりませんけれども、先方が漁獲量の話は協定ができなければやらないという態度を最後まで堅持をしまして、そのために非常に国会の会期末になるというような事態かありまして、十分な折衝をする余裕がなかったように感じます。大変残念に思いますし、先方も漁獲量につきましてもっと早目に内示をしてもらいたいということをわれわれとしては考えたところでございますけれども、協定ができるまではどうしても示さないという態度でありました。協定自体が、第一条、第二条、第八条のようないわば領土問題、あるいは当方から言えば北方四島に絡んだ問題があったがために、それについて大変な時間を要したということ、この解決のために鈴木農林大臣が大変御苦労なさったということ、そういうことのために漁獲量につきましてあるいはしわが寄ったような感じではないかということにつきまして、大変残念に思います。 さらに申し上げれば、鈴木農林大臣が大変苦労された。これはやはり戦後最大の未解決の問題として北方四島問題があったからである。この四島問題の共同宣言が出されましてから二十一年になる。その間、領土問題が今日まで解決を見ない、そういった事態があったということ、これは私どもも骨身にしみておるわけでありまして、したがいまして、私自身といたしまして、なるべく早い機会にこの領土問題につきまして日本の立場を鮮明に先方にもう一度改めて腰を据えて交渉をいたさなければならない、こういうことを痛感いたしておるところでございます。
○津川委員 私たちも、二百海里時代、これは是認しなければならない厳しい情勢に入った、こういう認識をしております。そのために、この厳しい情勢の中で日本の主権を維持して、日本の漁獲量を減らさない、漁民の利益を守る、操業を守るという立場から、これからも数多くの経験もするし、要求もするし、必要であれば話し合いをする、こんな覚悟でおります。この意味から政府をも激励していきたいと思っております。 そこで、外務大臣がいま言ったように、時間がなくて残念であった、必ずしもいい結果に及んでない、これが今度の日ソ暫定協定とすれば、これから行われるソ日協定、また今年中にやる本協定、これは十分時間がありますので、必要な主張もしなければならない、必要な資料も整えなければならぬ、時間もかけてやらなければならないと思いますが、こういう点で外務大臣の決意なり、閣議でそういうことが話し合われているか、まずこの点を続いて答えていただきます。
○鳩山国務大臣 これからソ日協定の問題、またもうすぐ来年以降の長期協定の問題かあるわけでございます。これらの問題、特にソ日協定の場合におきましてやはり北方四島の関係が出てまいるわけであります。それから今後の長期にわたる問題は、まことに大事な問題でございます。これらにつきまして、農林大臣、農林省当局と一体になりまして努力をいたしたいと思います。これらの具体的な方針等につきまして、まだ閣議等で方針を決めるということはございませんけれども、日ソ、ソ日の問題は、これはもういわば同じ問題でございます。したがいまして、特にソ日協定の問題となります適用水域の問題につきましては、日ソのときからの検討事項でございますので、その線を堅持してまいる、こういう方針でおるわけでございます。
○津川委員 そこで農林大臣、私もたばこのむからじっくり話し合いましょう。 いま私、外務大臣に、二百海里時代に入って巌しい情勢になった、私たちもこの状態には正しく対処しなければならぬ、そこで政府に向かって、要求もするし、提言もするし、話し合いもする、政府のやることを激励する場合もたくさん出てくる、こういうことを申したわけです。 そこでいま外務大臣は、日ソ暫定協定をつくるときに、漁獲量を決めるときに時間がなかった、はしょられた、それで残念であった、こういうことだったわけで、私は重ねて、それならばソ日の暫定協定、本協定、この場合には時間があるので、いまから十分に国民とともに問題解決に当たるように要求したわけです。 そこで、御苦労してきた農林大臣に、少し疑い深いまた質問をして確認しておきたいことが一つあるのです。 それは、十二海里領海でソ連に操業させないということ、私もさせてはいけないと思うし、農林大臣も重ねてこのことは言明しております。四月十四日、あのモスクワの日本大使館で大臣の苦労を聞いたときに、大臣は、この点ではどんなことがあっても日本の領海内でソ連に操業させてはいけないし、イシコフ氏も原則的にはこれに賛成している、認めている、こう言われて私は安心したわけ。ソ連から帰ってきて四月十九日の議事録を見たら、またモスクワでわれわれに話したと同じことを言っている。大臣の決意のほどかよくわかった。五月十二日のあの交渉でイシコフ氏が、十二海里内でとらせなければ決裂させるとまでおどかしてきたときにも、よく持ちこたえて主張した。だが、鈴木大臣の話を四月十六日に聞いて、十八日にイシコフ氏に会ってみた。あなたからの報告だと、イシコフ氏は引っ込めたと言っている。何とイシコフ氏はしつこいんだな、引っ込めてない。そこのところで正直なところ心配になるわけ。今度の本協定の中でも、二条でやはりとりようによっては心配な個所が出てくるわけですね。二条ではこうなっている。日本国の地先沖合いにおけるソ連の伝統的操業を継続する権利を維持するとの相互利益の原則に立って、そして八条で、見解と立場を拘束するものではないと言っている。ソ連のいままで、日本の領海十二海里でとりたい、とらせろ、とらせるんじゃないか、十二海里以外では投資しても採算成り立たない、かなり執拗な主張であります。 この間、朝日新聞見ましたら、朝日新聞でもこのイシコフ氏との会談をやっている。それを見たらイシコフ氏かはっきり言っている。これはあなたを激励する一つの大事な材料だ。私たちもあれはよかったと思っている。だが、あなたとイシコフ氏の間の話がどこかの議事録に残っているのか、ここのところが心配なんです。私たち向こうで聞くと、これは他国のことに干渉する腹は一つもないけれども、イシコフさんが政策を誤った、二百海里時代に突入するということに必ずしも深い前提を置かなかった、そのために七百万トンの漁獲量を一気に一千万トンにやって漁業を拡大した、漁船を大きくした、機械施設をした、漁業労働者をつくった、そしてこんな目に遭うとやがてイシコフさんが責任をとらされるのじゃないか、そのときに鈴木さんとイシコフさんの話し合いはほごになるんじゃないか、朝日新聞でそうインタビューした。私とイシコフ氏はこうやった、鈴木さんか懸命に話している、それはわかる。その言辞たるやいいから、われわれもこれを材料に使ってがんばるが、そこで、本当に向こうが十二海里に入らないという確証、確認の手続的なもの、法的なものがあるのかということが心配なんです。あれば私たち、あなたの言明をさらにまた深く信ずることができる。というのは、繰り返しますけれども、十六日にあなたから話を聞いて、十八日にイシコフ氏に会ったら、がらっと違っておったという、それでこういう心配を持ったわけですが、この点はいかがでございますか。
○鈴木国務大臣 これはいまお話がありましたように、ソ連側としては日本の沿岸沖合い三海里から十二海里の間で大部分漁獲をしてきておった、こういう経過もございまして、非常に強い姿勢で、また執拗にこの三−十二海里の間の操業ができるようにということを要求してきたことは、いまお話のとおりでございます。 しかし、わが方としては、沿岸の漁民かソ連並びに韓国の漁船の操業によって沿岸漁業の制約を受け、また漁具あるいは漁網等の被害も続出をした、早く領海の幅員を広げてほしい、政府もまた国会もこれにこたえて、五月二日に新領海法というものを全会一致で御決定いただいた、もう日本の方針というものは確固としてここに確立をされたわけでございます。でございますから、五月交渉に当たりましては、私は五月五日の第一回会談で、冒頭に、新しい領海法、漁業水域に関する暫定措置法、これを日本の法律とともにロシア語に翻訳したものまでつけまして、これをイシコフさんに提示をして理解を求めたわけでございます。 いろいろそういうような経緯等もございまして、第二条の中に第二文というものがございました。これは向こう側の希望を表明するものでございます。つまり、基本的にははいれないのだけれども、しかし両国政府が別途協議をし、検討する窓口だけは残しておこうではないかという第二文でございます。これは、一面、ソ連の幹部会令適用海域という中に、領海を含めて根っこからこの幹部会令というのが二百海里に適用されておるという事情もございます。これはソ連の法制上のたてまえがございます。わが方は国連海洋法会議の統一草案の線に沿いまして、漁業水域、端的に言うと漁業専管水域というのは領海の外百八十八海里である、こういうことで法制上の違いもそこにあるわけでございます。でございますから、ソ連のテキストによりますと、この領海内といえども両国間で合意をすれば一定の条件で相互に入り得るという余地がある、まあそういうことで、そういう検討ぐらいはする窓口は残しておこうではないかというのが第二文であったわけでございます。 しかし、私は先ほど前段で申し上げたように、領海の幅員を三海里から十二海里に緊急に広げるということになった、国会も全会一致でその必要を認めて御決定をいただいたといういきさつから、わが方としては絶対に十二海里の中に外国漁船を操業させない、これはもう国の不動の方針である、こういうことで、そういう絶対にできないこと、それを、第二文で検討する余地ぐらいは、窓口だけはあけておこうではないかというようなことも、私としては、できないことをできる余地があるがごとくそういう規定を残すということは、これは信義にも反する、そういう空約束をすることは信義にも反することであって、絶対にだめだということで、とうとうイシコフさんもその点を認めまして、そうして第二文というものを削除したわけでございます。そういうこともありまして、朝日新聞でも、調印直後の秦さんとのインタビューにおいて、もうこの点は今後蒸し返すつもりはないということをイシコフ氏自身も言っておるわけでございます。 私は、ソ日協定においてこのことは実施をいたすことで御理解をいただけるものだ、国民の皆さんにも、もう御不安はない、ソ日協定ではっきりこれを実施をするということで御理解を願っておきたいと思います。
○津川委員 あなた自身がソ連との交渉でわかるとおり、よく前言を翻すでしょう。われわれもソ連の共産党とやって前言を翻されたこともあった。そういうことなので、新聞のインタビューの記事もあったけれども、それを信用したい、それで、あなたと一諸にがんばる。だが、どうなるかわからないので、本当は文書交換が欲しかった、そうすればここのところは非常にはっきりしたのだ。文書交換がなくても、近いうちにソ日暫定協定をやるから、そこでしっかり確認させてくれれは——われわれもそれを要求するし、ともにそのためにがんばりたいと思っております。しかし、言葉にとらわれないで、いままでの苦い経験がありますので、この点はどんなことがあっても譲らないように、十分がんばっていただきたいと思うのです。 そこで、漁獲量の非常に減ったことにわれわれも驚いているわけであります。今度ソ連が設定した二百海里の中で、いままで私たちは年間百七十万トンぐらいとっておった。今度はそれが百万トンから百七万トンぐらいに減る、大変な状態です。 そこで、暫定協定は何であるか、鳩山外務大臣の言によると、交渉するゆとりがなくてそうなったという、本協定に対して、あなたは途中で、日ソ暫定とソ日暫定を双務的にあわせてやろうじゃないか、こういう提案もしておる。私たちはあのときはそれは非常によかったと思った。そういうふうに双務的になってくるとこれは本協定に近いものになってくるし、暫定協定というものを、やはりそういう形であなたが不信を表明する、遺憾を表明する、外務大臣が、残念であった、時間がなかった、やられた、こうなってくると、この漁獲量をいまから国民的な世論を起こして本協定で盛り返さなければならない、したがってこれには相当決意を要るし、国民世論の喚起も必要だし、技術的な検討も必要だし、社会主義の理論と理念というものもソ連にまた教えてもあげなければならぬ場面が相当出てくると思うのです。で、本協定でこれを直さなければならない、これか一つ。直し得ると私は思う。 そこで、農林大臣のこういうことに対する方針を続いてお知らせ願います。
○鈴木国務大臣 今回の漁獲量の大幅削減、これは私も衆議院の農林水産委員会でもまた当委員会でも、非常に不満であり残念であったということを申し上げております。それに伴う関係漁業界及び関連企業、大変な打撃を受けておるわけでございますから、この点はまことに残念でしょうがないということを率直に申し上げておるわけでございます。 ただ、これは今年十二月までの暫定協定でございますから、私は日ソの基本協定を締結をいたします際におきましては、この漁獲量の問題それから操業海域の問題、あわせてわが国が置かれておる立場、今日までの実績、さらに日ソ関係が相互補完の立場でやっていかなければならないというような観点から、基本協定の際におきましては、この点は十分時間をかけて改善をするように強力に話し合いを進めていきたい、このように考えておる次第でございます。 大体二百海里時代の持色というのは、伝統的な漁業実績を尊重するということよりも、沿岸国の余剰原則と申しますか、自分の国でとって余りがあった場合に実績国に合かち与えてやる、こういう余剰の原則というのが強く働いておる、こういうことを銘記しなければならない、こう思っております。 また、いまお話のございましたように、ソ連自体もアメリカ、カナダ、ノルウェー、EC等々の国で大幅な削減を受けておるというような事情かち、たくさんの漁船が操業ができないで係船をしておるという状況下にあるようでございます。したがって、ソ連の北西太平洋の二百海里内、自分の庭先でこの失われた漁獲量を補っていかなければいけない、また稼働できないでつないでおる漁船も操業させなければいけない、また漁業従事者、労働者の諸君にも働く場を与えなければいかぬ、こういうソ連にはソ連の家庭の事情もあるようでございます。 そういうようなこともございますから、相互に立場を理解し合って、最大限日ソ両国が今後長期にわたって相互利益の原則に立って新しい漁業秩序を確立をする、そういう観点で、基本協定の際には、今回の暫定協定で十分いかなかった面、そういう面は努力をいたしたいと考えております。
○津川委員 今度の漁獲量の中で一番大きな打撃を受けておるのが例のスケトウの北転船です。五十一年で百八十二隻操業しておったのが、今度操業隻数が十五隻、ものすごい割り当て量の減です。漁獲量についても非常に減りまして、七八・二%の減量ということになるわけです。これをどうするかという問題です。 私は塩釜に行ってみました。八戸にも行ってみました。この減船の割りでいくと、八戸では十八隻ある北転船が一隻より操業できない。たったいまも塩釜の機船底びきの船の人たちから連絡がありまして、どのくらい行けるのか全然わからない、こういう状態なんです。そして割り当てられた十五隻の操業するところは、いや鈴木さんも甘いのですねと言う、ソ連もしたたか者ですと言うのがこの北転船の人なんです。十五隻割り当てられたところは、ほとんど資源がかれてしまったところなんだそうです。そしてカムチャッカの東西の今度漁区から外されたところ、あそこがいままで日本の北転船の非常に豊漁のところなんです。余剰主義などということを大臣は言っているが、ここでは余剰主義なんか当てはまるものでも何でもない。どうしても理解できない。あのカムチャッカの西の漁場なり東の漁場なりへ船で行って、割腹してでも守らなければならないという言葉まで出るわけなんです。したがって、具体的に今度の本協定で、一番減船の多い、一番漁獲量の削られたスケトウ、あれは必ずしも余剰主義だけでは片づかないものも持っているし、向こうが一番よく知っていて十五隻割り当てたところはろくにとれないところだ、こういう実績をも考えて、復活させる。それは具体的にはカムチャツカの西と東の漁区、これを復活させることだ、これが関係者の端的な意見でもあり、要求でもあります。 きのう、ここで意見を述べた遠藤さんたちの組合も、われわれに繰り返し繰り返し、このことを政府に要求してくれ、この点で政府を鞭撻してくれと言うわけなんです。この一点だけまず明らかにしてもらいます。
○岡安政府委員 確かに今回の暫定協定によりまして、六月から十二月の間でございますけれども、四十五万五千トンの割り当て量のうち、スケトウにつきましては十万トンということで、五十年の実績が約二十六万トンでございますから、相当大幅な削減ということになります。 問題は、スケトウといま先生おっしゃいましたけれども、やはり北転船の問題ということになりますと、北緯五十度から北の漁場をいかに確保するかということか非常に問題であるというように考えております。 今回の折衝、二日でございましたけれども、ほとんど夜を徹して交渉をいたしましたけれども、問題はやはり北緯五十度以北の漁場について、ツブとカニにつきましては、現在私どもの操業区域がございますけれども、それ以外の漁場につきましての操業を認めさせることができなかったという問題でございます。 大臣も申し上げましたとおり、今後来るべき長期協定、これは七七年度以降のクォータの折衝も行われるわけでございますけれども、私どもは重点的にこの五十度以北の漁場をいかに確保するかということ、非常に大きな壁であるとは思いますけれども、これを突破しなければ北転船の問題はなかなか解決し得ないというふうに考えておりまして、これは準備もいたしますけれども、かたい決意をもって交渉に当たってまいりたいと思っております。
○津川委員 国会も衆参両院から成る超党派の議員団をソ連に派遣して、私たち国民を代表して端的にソ連に日本国民、日本漁民の要求を申し上げました。鈴木さんの交渉に幾つかの応援隊が出ております。これはトロール船もはえなわも北転船の人たちも、こもごも行って皆さんが応援した中で、非公式にイシコフ氏とこの底びき船、北転船の人たちの意向で、五十三年までとらしてもいいという話が出たでしょう。出ましたね。だから向こうはいま、五十度以北、カムチャッカの両方のわきと水産庁長官言っているけれども、一応そういう話まで出ておって、あのばたばたとあわてた、二日の国会で承認を得るなどというあたふたの中で、これが効いたんじゃないかと思うのです。 したがって私は、こういうことも御存じだろうと思いますので、ここを踏まえて、またこういう非公式の交渉をした人たちとこれからも協議して、この人たちの意見をも公式に表明させてがんばるべきだと思うのです。政府もがんばってください。こういう人たちも一緒に協議して、その人たちとも交渉団を編成してみる。この人たちがそういうイシコフ氏との非公式の話に出た五十三度、そのときには六十万トンという話も私聞いている。いまは十万トン。六十万トンは少し多いかもわからぬけれども、そこまで話になったということもありますので、こういうことを踏まえて、政府と同時に国民的な外交を今度のソ日協定、本協定の中で、責任はもちろん政府にありますが、政府の責任においてこういう形をとるべきだと思うのですが、この点はいかがでございます。五十三度以北というのは御存じですか。
○岡安政府委員 先生から五十三度というお話がございましたけれども、これは現在ソ連の漁業省令によりまして暫定規則というのが決まっておりまして、これは漁業を禁止する魚の名前とか、漁具、漁法等を決めておりますが、その中に、五十三度以北については全面的に漁労を禁止するという規定がすでにはっきりいたしております。これは漁業省令ではっきり書いてあるわけでございます。問題はやはり、私どもがそういうソ連ですでに決まっております漁業省令とわれわれの過去の実績等を突き合わせまして、五十度以北につきましてもわれわれの操業を認めるようにという交渉をいたしたわけでございますが、これは先ほど大臣からしばしばお話がございましたとおり、余剰原則といいますか、かたい別の壁がございまして五十度以北の漁場を確保できなかったということでございます。 五十三度線というものは内々あったということではございませんで、すでに漁業省令として明らかにされている線があるということ、これは承知いたしております。
○津川委員 そこでこの本協定における漁獲量のまた拡大、厳しい情勢にはあります。それの事情もわからないわけではありませんけれども、鈴木農林大臣がこう言っています。南アフリカやニュージーランドにおける日本の漁業と千島周辺、カムチャツカ、ここの漁業は違う。先祖が血と汗とあぶらで切り開いた権益だから、これは守るのが日本の責務だし、鈴木農林大臣はそこに命をかけると言っている。この言もいいので、どうしても本交渉の場合は、これは絶対に欠かさないで、領域の問題、漁獲量の問題、いろいろなソ連の既存のそういうあれもありますので、よけいそういうものを利用していくべきだと思うわけであります。 もう一つの問題はアメリカの二百海里の問題です。 この間、私、塩釜の北転船が出ていく朝に、この人たちの漁労長と会って話をしてみました。そうしたら、こうです。今度のアメリカの二百海里水域での割り当て、スケトウは百四万八千トン、このうち大型のトロールが九一・二%の九十五万六千トン、北転船に割り当てられたものは八・一%、八万四千六百トン。これは一体だれが痛まなければならないのか。腹を痛めなければならぬのは、漁業関係者に平等でなければならない。被害を受けるのは、資力のある人によけい腹痛んでもらいたい。どうにもならないのだ、百八十何隻ある中で十五隻残っても。八戸は十八隻のうち一隻残ってもどうにもならないのです。十八隻の北転船に関係した関連産業があった。一隻ではどうにもならない。そこで大手にも痛んでもらわなければならぬ。大手に主として痛んでもらわなければならぬ。ここのところが非常に重要な課題になってきて、あのアメリカの二百海里の中におけるものをこの大きい被害を受ける北転船にもっと割り当てろということ、これが一つの要求。この百四万トンのうち約九十六万トン大手に割り当てたときの水産庁の方針もまた方針なんだ。あなたたち、近いうちに日ソ暫定漁業交渉ができて、スケトウは北転船が三十万トンぐらいはとれるようになるから、いまは大手にやれと言う。これで泣きの涙をのんでいるわけなんです。結果は十万トン。そこで速やかにこの大手にも痛ませる。現にいま操業している区域を、指定をやり直しする。ここのところがかなり必要になってまいったかと思うわけであります。 二つお尋ねします。だれが被害を受けるべきか。漁業関係者全体でこれは痛んで、あと必要な補償は政府がすべきである、この点が一つ。現在アメリカの二百海里におけるこの割り当ての訂正をする。しかもこの大手は、自分の領域でとってしまうと北転船の領域に入ってくる。文句を言っても、あちらは船体が大きくてどかどかやってくるから、北転船は逃げるほかにしょうがない。割り当てられたところさえ大手にとられてしまう。こういうことなんです。この点の政府の方針を聞かしていただきます。
○岡安政府委員 スケトウにつきましては、従来大体外国の二百海里の中で約二百万トンとっておりまして、御指摘のとおりアメリカの二百海里の中で約百万トン、ソ連の二百海里の中で約百万トンということが従来の実績でございます。 それでアメリカとの交渉におきましては、実績確保ということを主眼にいたしまして折衝いたしました結果、全体では一一%の減でございましたけれども、スケトウにつきましては、資源の状態その他によりまして、それ以上の削減がございました。その中の漁船別の割り当てにつきましては、私どもは一応やはり従来の実績を考えて、お話のように現在北転船に対しましては八万四千六百トンですか、その割り当てということになっております。従来から、北転船は主としてソ連邦の二百海里の中でとっていたという関係もあるわけでございます。 そこでお話は、そういうような状態、特にソ連との関係でスケトウについて大幅にクォータの削減があったから、急遽アメリカ二百海里内における割り当てを是正すべきであるというお話でございますけれども、これはもちろん検討はいたしますが、事情をちょっと申し上げさせていただきますと、やはり航海の距離ということ、それから、操業の状態が違うわけでございます。北方トロール等につきましては、これは主として相当大型船でございまして、スケトウをとりまして船内ですり身加工をするというような形の操業をいたしております。北転船につきましては、それよりも小型の船によりましてスケトウをとって、これを持ち帰るというような操業形態がございます。したがって、操業する海域等によりまして直ちに調整が可能であるかどうか、この点も検討を要する問題でもございますし、また交渉の相手方との関係、これも当然考えなければならない。しかし、おっしゃるとおり、現在北転船につきましては重大な打撃をこうむっておりますし、従来のアメリカ二百海里内のクォータだけでは、百五十四隻を数えます北転船のうち一部分でしか年内通年操業はできないという問題もございます。私ども、業界の御要望もございますので、今後、ソ連との交渉につきましてはもちろん、アメリカとの交渉につきましても、その点は十分配慮いたしまして交渉に当たりたいというふうに思っております。
○津川委員 農林大臣、きのうもここの場で、ある委員が、農林省の、水産庁の幹部職員がある漁業会社の大手の会長になって、今度どこからか参議院に立候補するという。そこで水産庁は、農林省は、こういう大手の走り使いの仕事をしているという、これがかなり現地に行ってみるとあるのです。 そこで大臣、やはり漁業者全体で被害を受けなければならないし、全体で補償を受けなければならない、全体で国として援助を受けなければならぬ、こう考えるわけです。この点は水産庁長官は検討すると言うが、漁区の割り当てが急に変わるか、相手もある、だから、私は、水産庁は大手の代弁者だと言いたくなるわけです。こんな議論をしたくないのだけれども、そこであの漁労長たちに会ってみました。大手にはこれだけ行くのです。北転船にはこれだけ行くが、これだけあればいいと言うのだ。めんどうも何もないと言うのです。たったちょっぴりそれだけの話でここは片づくという。それを何回頼んでも——きのうここで陳述した遠藤さんたちは、どうしてもここのところは大臣の、大臣は漁業者だから実態よくわかる、鈴木農林大臣がそう言ったらあっちはうんと言う、必ず言わしてくれとまで私に言っているわけなんです。これだって、いまの水産庁長官に言わせると、ことし間に合わないのだ。いかがでございます。
○鈴木国務大臣 こういうぐあいに厳しい漁獲量になってまいりました関係もありまして、漁業団体間、漁業者間、この間でまた分け前につきまして、分配につきましていろいろな問題が出てくることは、これはやむを得ないことであり、この調整はしなければならない、こう考えてはおります。しかし、いままで北西太平洋の海域では沖底と北転船が主としてスケトウの操業をやる、それから非常に遠隔の海域であるアメリカの水域内には大型トロールがやる、そして北西太平洋で操業しておった北転船がその北西太平洋の漁期がおおむね終わったときの裏作といいますか、補完的にやっておった、こういうことで全体としての漁業秩序が確立されておったわけでございます。それが今回のような状況になりましたから、もう北転船の諸君は、大体今回の十万トンにしても漁区の関係その他もあって、沖底の中小の本当に零細な諸君の方に大部分とられてしまう、それから、アメリカの水域では従来からいま申し上げたような事情で大型トロールが操業している、間に両方からはさまれておる北転船、これがこういう漁獲量の激減によって一番困った困難な事態に追い込まれておる、これが実態でございます。でありますから、私は、できるだけ零細な、北海道等の沖底の諸君は余りこの方までしわが寄らないようにというように考えております。と同時に、この中堅である北転船の諸君につきましても、船もあり船員もおるわけでございますから、できるだけの働く場所というものを確保してあげたい、こう考えております。 と同時に、二百海里に制約を受けない公海上の未開発の漁場というものを、やはりこれは民間だけでなしに、相当国が金もつぎ込んで、思い切った大がかりな調査、開発をしなければいけない、こう思っております。限られた升の中で、その中でお互いに奪い合いをしておる、もうこういうようなことでは日本の漁業は将来だんだん衰退をしていくほかない。また国民のたん白食糧の過半を賄っておる水産食糧、食糧問題としてもこれは大変な問題になってくるわけでございます。でありますから、調整もいたしますと同時に、私、各魚種間の調整もいたしたいと考えておりますと同時に、やはり未開発の漁場というものを積極的にひとつ調査もし開発をして、そして縮小生産でなしに、できるだけの日本の漁業操業規模を維持していきたい、そういう方向にも努力をしていきたい、こう考えております。
○津川委員 私は鈴木さんを漁業の専門家、守り手と思って信用していましたが、違うのですか。大手をこのままにしておくのですか。大手は百万トンのうち一〇%減ですよ。北転船は百八十何隻のうち十五隻しか残らないのですよ。そこで犠牲を大手はぬくぬくと——ぬくぬく、まあ魚価か上がってぬくぬくだ。北転船をこういうふうにしておいていいというのですかと言うのです。あなたのいま答弁されたことは、それはそれなりでいいことだ。悪くない。だけれども問題は、私の質問に的確に答えていただいて、水産庁は検討してみると言うのだ。いま急にというぼくは要求をしている。急に変えれば変えられる、これが一つ。変えられなかったら、来年の割り当てにおいてこの北転船が一つの希望を持っていいか。ここのところだけを明確にして、あと今度はいろいろな漁業基本法の問題は、ぼくらの漁業基本法をまた後に皆さんにつくってお目にかけますし、それはやりますけれども、そこのことじゃないのだ、ぼくがいま問題にしているのは。みんなで取っ組もうというのです。こういうことなんです。いかがです。
○鈴木国務大臣 どうもわからぬようですね。私ははっきり調整もいたしますということを申し上げております。魚種間の調整もいたしますということをはっきり申し上げておる。と同時に、その調整をやる一方において、やはり未開発の漁場というものを開発して、大型トロールであるとかそういうようなものはそういう方向に漁場転換をさせたい、そういうことを総合的に申し上げておるのであって、はっきりしておるじゃありませんか。
○津川委員 よかった、鈴木さんから大きな声ではっきりしていると聞いて。これで安心しました。再質問してよかったと思います。 そこで、この北転船が運んでくる魚を一次加工するすり身工場、これは今後三十九のうち三十七を第二次の緊急対策事業の対象としたいというふうにしていて、ここで何らかのことを、援助を保障するというわけですが、これはどんな形でおやりになるのでしょうか、伺わしていただきます。
○岡安政府委員 先生御承知のとおり、四月、五月につきましては、ソ連の沿岸二百海里に出漁ができなかった関係から、特にスケトウを中心といたしまして、それらを原料とするすり身工場等につきましては問題があったわけでございます。そこで、先般四月分といいますかにつきまして緊急の融資措置、つなぎ資金でございますけれどもいたしました。五月分につきましても、これは現在検討中でございまして、やはりつなぎ資金として措置しなければならないと思っております。 それで、本格的な救済対策は、これは漁業者に対します対策と同様、関係各省とも相談をいたしまして、なるべく早く方針を設定をいたしまして具体的な救済をいたしたい、こういう段取りでございます。
○津川委員 スケトウがとれなくなった。スケトウは長く冷凍もきかない、そこですぐ早目に加工する。加工は終わってしまった。したがって仕事がなくなっちゃった。これに対して四月分の融資をするのは結構ですが、六月十日でなければ届かないそうです。そこで、一日でも早くこれをやらなきゃならぬ。五月も操業していない。五月分はまたこんなかっこうになるのかということなのですが、この点はいかがでございますか。
○岡安政府委員 すでに私ども、つなぎ融資につきましては条件を決め、額を決め、それぞれ指示をいたしております。それぞれ金融機関からの融資ということになりますものですから、金融機関で認定を急いでおるようでございますが、確かにおくれておるところがございます。しかし、その分につきましては、たとえば北海道におきましては、道庁が私どもの緊急つなぎ融資のまたつなぎといいますか、そういう措置をすでに講じておるというふうに聞いております。
○津川委員 八戸や塩釜はどうですか。
○岡安政府委員 東北関係についてはまだ聞いておりませんので、これらにつきましては、できるだけ金融機関に急がせるように督促をいたしたいと思っております。
○津川委員 五月中の分も六月に融資をしますか。
○岡安政府委員 できるだけそういたしたいと思っております。
○津川委員 すり身工場、第一次加工が大変になっている。第二の問題は第二次加工、すり身からかまぼこなんかをつくる工場ですね。この材料となるすり身の値段は最近どうなっておりますか。
○岡安政府委員 冷凍すり身の価格でちょっと申し上げたいと思いますが、残念ながら、やはり最近においては原料不足もございまして、値段は相当上がっております。たとえば昨年の四月におきましてはトン当たり約十三万八千円というような平均値段でございましたけれども、対応することしの四月におきましては二十一万円というように、残念ながら、やはり原料の絶対量が不足であるということから上がっておるようでございます。
○津川委員 私が五月十日に塩釜に行ったときはトン二十五万五千円、去年の秋は十三万円、きょうは日曜だから立ってないけれども、きのう塩釜で三十四万円です。 そこで、かまぼこ第二次加工業者は材料仕入れに大変四苦八苦しているのです。このかまぼこ第二次加工業者は、高いものを買ってきて加工して、そうして営業を続けているので皆さんの方の融資の対象になってないのですが、これはどういうことなのです。
○岡安政府委員 スケトウの第一次製品がすり身といたしますと、かまぼこ製造は次の段階に入るわけでございます。すり身製造業までの段階は、先ほど申し上げましたようにつなぎ融資をいたしておりますが、その次のかまぼこ等の段階の関係業者につきましては、現在、関係省もございますので共同で大蔵省と折衝いたしております。原料不足によりまして操業が困難になったかまぼこ業者等を中心といたします加工業者につきましても、私どもの救済的な措置をできるだけとりたいということで、なるべく早くこれも結論を出したいというふうに急いでおるわけでございます。
○津川委員 そこで、第二次加工の原料であるすり身、大手が洋上でつくっておるすり身はどのくらいの値段で、だれのところに届いておりますか。市場で競りにかかっていますか。
○岡安政府委員 御承知のとおり、すり身につきましては、洋上のすり身と、港までスケトウを運搬して陸上ですり身にするものとございます。それぞれ、従来から品質の差等か現にございます。値段の方も大体、洋上の方が陸上のものよりも相当大幅に、たとえば五割ぐらいは高いというのが従来からの例のようでございます。洋上すり身につきましては、大体洋上ですり身にいたしました船の系列のところにすり身として流通をしておるというふうに聞いております。
○津川委員 洋上すり身の値段は、おかのすり身の値段みたいに毎月の状況を水産庁、農林省はつかまえているかどうか。つかまえていたらこの委員会に出してほしいのです。
○岡安政府委員 平均的な数字は把握いたしております。御要望がございますれば提出いたします。
○津川委員 委員長、これをひとつ求めて、提出していただきたいのです。
○竹内委員長 水産庁の方で提出してください。
○津川委員 そこで、一次加工、二次加工のすり身加工業者 これは共補償などということはさせないのでしょうね。いかかでございますか。
○岡安政府委員 いまの御質問は、漁業者が減船に伴っていろいろ損失を受ける、それに対する救済措置の話ではなくて、魚を原料とする加工業者の受ける打撃についてのお話でございますか。——これにつきましては、加工業者の受けて存ます損害、影響の度合いによりまして、これからいろいろ救済対策を検討するわけでございますけれども、いまお話しのいわゆる共補償というのは、従来から漁業者間におきまして漁船が減船をされるという場合に通例行われていたことでございますので、それがそのまま加工業者に当てはまるかどうか、これは検討してみなければわかりませんし、またそれを当てはめるかどうかも、やはり影響の度合い等によって変わってくるのじゃないかと考えております。
○津川委員 そこで、この共補償の問題ですが、漁業再建整備特別措置法、昨年私どもこれをつくりましたが、ドル・ショックのときにカツオ・マグロ自主減船に対応してやらせましたね。ところが、自主減船する人がないのですよ。また、残った連中はそれを補償するだけのゆとりがない。したがって、スケトウでこれから減船されると思うのだけれども、これはもっと困る。共補償するだけの能力がない。百八十何隻あったものが十五隻しか残らない。残った人は地獄なのだ。いま行くと、あのとおり魚がとれないところに行ってしまう。今度減船する方だって大変な話で、ここのところではやはり共補償ではなくして、別途、補償、援助の道を講じなければならないと思いますが、加工業者に共補償はやらないように。今度の場合、北転船にはよもやこんな形ではやらないと思いますが、やはり特別な対策を立ててやらなければ、これは去るも地獄残るも地獄なので、この点の救済、補償、融資、私は補償が必要だと思いますが、いかがでございます。
○岡安政府委員 共補償のお話でございますけれども、これは従来から行われておりました方法といたしましては、減船をする方々に対する救済を、減船をしないで残る人たちがこれを償うというような形で行われてきたわけでございますので、減船の幅が非常に大きいとか、たとえばニシンのように全面的に減船しなければならないというような場合には、共補償という形が機能し得るかどうかという問題が当然ございます。残った方々の利益によってその共補償分については償還をするわけでございますので、残った方々の経営の状態、さらに見通し等を考えませんと、おっしゃるとおり共補償が有効に機能しないということもあり得るわけでございます。したがって、私どもは当然被害の規模、影響の度合い等を考えまして措置をしなければならないというふうに思っておるわけでございます。救済措置もいろいろございまして、国がみずから援助をしなければならないようなものもございましょうし、融資によって措置し得るものもございましょうし、これはやはり被害の度合いによりまして私どもは検討したいというふうに思っております。
○津川委員 これで終わりますが、大臣とゆっくり話したものだから、やりたいと思ったものがまだこんなに残ってしまいました。これを夕刻の連合審査のときに、なるべく二十分で詰めてやってみますから。これで終わります。
○竹内委員長 次回は、明六日月曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十二分散会