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80回国会衆議院1977/04/23

外務委員会 第14号

発言数
474
登壇者
29
会派数
6
開催日
1977/04/23

会議録

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 これより会議を開きます。  日本国と大韓民国との問の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との問の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本日は、委員各位のお手元に配付しておりますとおり、三回に分けて参考人の御出席を願うことになっております。  ただいまは、名古屋大学法学部教授松井芳郎君、明治大学法学部教授宮崎繁樹君、東北大学法学部教授山本草二君、以上三名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  本日は、本件につきまして、参考人の方々の忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。  なお、御意見の御開陳はお一人二十分以内にお願いすることとし、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  御意見の開陳は、松井参考人、宮崎参考人、山本参考人の順序でお願いいたします。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、松井参考人にお願いいたします。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 名古屋大学の松井でございます。  日韓大陸棚協定の批准に関しましては、すでに協定が署名されまして以来さまざまな議論が行われております。その中で幾つかの問題点が提起されておりますことは、すでに委員の皆さん方御存じのとおりでありますが、私は、そのうちで特に南部の共同開発に関する協定について、二、三の国際法上の問題点について意見を申し上げまして、御審議の参考に供したいというふうに考えております。  私の論点の第一は、一九六九年の国際司法裁判所の北海大陸だな事件判決についてでございます。御承知のようにこの判決は、いわゆる大陸だなの自然の延長論を採用いたしまして、大陸だなの分界について中間線論をとってきましたわが国に対して、この日韓の大陸だなの問題につきましては韓国側の立場を有利にするものというふうに一般に理解されてきたように思われるわけでありますが、果たして単純にそういうふうに理解してもよいのかという問題でございます。  この点に関しまして第一に注意しなければならないと思われますことは、これは外務委員の先生方にはすでに常識のことかもしれませんが、国際司法裁判所の判決は、一般に先例としての拘束力を認められているわけではございません。裁判所規程の第五十九条に、裁判所の判決は「当事者間において且つその特定の事件に関してのみ拘束力を有する。」というふうに書かれております。したがいまして、この判決が言っておりますことが日韓の大陸だなの分界にとってどのような意義を有するかということを明らかにしますためには、単に判決でこう言っているということだけでは十分ではございませんで、少なくとも判決が問題にしている事実関係、それから日韓で問題になっております事実関係、一体判決の言っておりますことを適用できるような共通性があるかどうかということが明らかにされねばならないというふうに思われるわけであります。  ところがこの点につきましては、これもすでに皆さん御存じのことだと思うわけでありますが、北海大陸だな事件判決は西ドイツとデンマーク、それから同じく西ドイツとオランダという隣接する国の間の大陸だなの境界を問題にしておるわけであります。これは大陸棚条約について申しますと、第六条二項の問題でございます。これに対しまして、日韓の場合は言うまでもなく相対する沿岸を持っておる国でありまして、これは大陸棚条約で申しますと第六条一項になるわけであります。したがって、この点で事実関係にかなり大きな相違があるということに気がつくわけであります。実は判決自体が、この二つの場合の相違、つまり同じ大陸だなの分界と申しましても隣接する国の場合と相対する沿岸を持っておる国の場合の相違を繰り返して強調しておりまして、相対する国の場合には、大陸だなの自然の延長がオーバーラップするので、中間線によってのみその大陸だなは区分し得るのだというような趣旨のことを述べているわけであります。本事件において、西ドイツの弁護人として小田滋先生が活躍されたことは委員各位も御存じだと思いますが、この小田滋先生は「海の資源と国際法」の第二巻の中で、中間線が沿岸が相対する国の間に用いられた場合には国際法の原則に合致しているという趣旨のことを述べておられます。小田先生はその例として、つまり中間線が国際法の原則に合致している例として、イギリスとヨーロッパ諸国との間の中間線を例に引いておられます。ところが、その中には一九六五年三月十日に締結されましたイギリスとノルウェーの協定がございまして、この協定も中間線を採用しておるわけでありますが、この中間線のノルウェー寄りには、これも御存じの方が多いと思いますが、深い海溝が存在するという事実がございます。この点に御注意をいただきたいというふうに思うわけであります。ちなみに、小田先生は同じ著作の中で、北海大陸だな事件の判決以後のものも含めまして大陸だなの分界に関する二十三の条約を挙げておられますが、この中では、日韓の場合のように相対する国で中間線以外の原則——もちろんこれは原則でございまして若干のこれからの逸脱というのが見られるようでありますが、原則として中間線を採用しており、中間線以外のものを採用したものは見当たらないのであります。  こういうふうに見てまいりますと、隣接する国の大陸だなの分界に関して下されました北海大陸だな事件の判決は、いままでしばしばそういうふうに理解されておりましたほど、本件、相対する沿岸を有する日本と韓国の間の大陸だなの境界線の引き方にとっては、それほど大きな先例としての価値を持たないのではないかと考えられるわけであります。しかし、この判決に刺激されまして、その後大陸だなに関するいわゆる自然の延長論が国際社会で非常に勢いを得てきたことは事実であります。  そこで、私の本日の第二の論点であります第三次海洋法会議を中心とする最近の動向に話を移したいと存じます。この点に関しましては、海洋法会議では自然の延長論が大勢であり、この観点から見れば、韓国側からの大陸だなの自然の延長の外縁から中間線の間を共同開発区域とした本協定はわが国にとってはむしろ上できである、時間がたつにつれて自然の延長論が優勢になるから、そういう意味では、時間がたつほどわが国にとって不利になるのだというふうな主張がしばしば見られるわけでありますが、果たしてそうでありましようか。  改訂単一草案の第六十四条、これは大陸だなの規定でございますが、それを見ましても、それから、それについての海洋法会議の第二委員会の議長の説明を読みましても、自然の延長論が原則的に採用されているということ、そしてそれが海洋法会議で広範な支持を受けているということはもちろん否定できないわけであります。しかし、注意しなければならないと思いますことは、ここで扱われている、つまり改訂単一草案で扱われているのは、大陸だなが公海に向かって伸びている場合の外縁についてであります。相対する国の大陸だながオーバーラップする場合の境界についてではないということであります。後者の問題は、実は別の場所、単一草案の七十一条で扱われておりまして、そこでは境界は適当な場合には中間線ないしは等距離線を用いるということ、かつすべての関連事情を考慮して公平の原則に従って合意によって定められるというふうに定めております。現行の大陸棚条約第六条は、合意がない場合には、特別の事情がない限り中間線、等距離線によるとしているのに比べまして、実はこの点は、現在の改訂版の前の旧単一草案第七十一条三項ではやや形を変えておりますが生き残っておるわけでありますけれども、この大陸棚条約に比べれば現在の改訂草案の七十一条三項は、合意に至るまでは暫定取り決めによる、暫定取り決めについては第一項で定められた原則を考慮するというふうにしておりまして、中間線に言及していないわけですから、その限りでは中間線原則が後退をしたというふうにも見えるわけであります。しかし、この変更の理由について第二委員会の議長は、暫定的な解決として中間線とか等距離線に言及することは合意を促進することにはならない、つまり中間線で得をする国が合意に達するのをサボることになるのではないかというふうな趣旨のことを述べているわけでありまして、必ずしも中間線原則がこれによって後退したというふうには理解されないわけであります。  それでは、この日韓の大陸だなの分界に関しまして、韓国側が主張してきたというふうに言われております自然の延長論で大陸だなを限界づける、分けるという考えはどうかと申しますと、これは海底平和利用委員会の段階、この段階の諸提案は海洋法会議にメイントレンズとして提出されているわけでありますが、その段階でも、海洋法会議が始まって以後も、一度も独自の提案として、つまり自然の延長だけによって分界をするという提案としては会議に提出されたことはないわけであります。もちろん分界に当たって考慮すべきいろいろな要素の一つとし渋して、地質学的、地形学的基準というふうなものを挙げる提案はかなり多く見受けられます。この地質学的、地形学的基準の中には、たとえば島の存在なども入るでありましょうが、当然海底の地形なども入ると思われます。しかし、それは唯一の基準ではございませんので、公平な境界を引くために考慮されるべき多くの事情の一つにすぎないというふうに、諸提案では考えられているわけであります。  むしろ、現在まで提出されておりますさまざまな草案、あるいはそれが改訂単一草案でも採用されているというふうに考えられるわけでありますが、その分界、大陸だなの境界を分ける基本原則は、公平の原則、イクィタブル・プリンシプルズの考え方だというふうに言えると思われるわけであります。北海大陸だな事件判決の中心的な考えも、実は大陸だなの境界を分けるについては公平の原則によるべきだという考えでありました。ただ、この原則を実現するためには、隣接国の間では等距離方式をとれば著しく公平を欠く場合があるからよろしくないという考え方だったわけであります。  ところで、もしも仮に韓国側の主張が通ったといたしまして、本件の分界に自然の延長論を適用して、その適用した結果は、この南部に関する協定の共同開発区域の大体東側の線であるというふうに言われているわけでありますが、この東側の線を日韓の大陸だなの境界とする考えをとったといたします。これは日本の領域の至近、御存じのように、一部が領海に触れるというふうな問題も起こったぐらいでありますから、日本の領域の至近にこのような線が引かれるということは、公平の原則に従ったものとはとうてい言えないことは明らかであります。  したがいまして、韓国が主張してきたと言われます自然の延長論による分界というのは、改訂単一草案第七千一条に照らしまして、正当化し得るようなものではないというふうに考えられます。一部には、韓国の主張が相当の根拠があるとか、日本の立場は時を経るにつれて不利になるというふうな御主張があるやに聞いておりますが、こういう考え方には納得することができないわけであります。  次に、海洋法会議の動向との関連では、もう一つ経済水域の問題にも触れておく必要があるかと存じます。海底平和利用委員会の段階では、海底と地下とに関します大陸だな制度、それから上部水域に関します漁業水域の制度を分けて条約化しようという幾つかの提案がございました。御存じと思いますが、日本の提案もこういった種類の提案の一つでございました。ところが、海洋法会議が開会しました後は、この二つ、つまり海底及びその地下、それからその上部水域、両方合わせまして距岸二百海里の経済水域として制度化しようという動きが決定的になっていることは、これはもう御承知のとおりでございます。改訂草案の第四十四条は、二百海里を越えない排他的経済水域において、沿岸国は海床、地下及び上部水域の生物及び非生物資源の探査、開発、保存、管理のために主権的権利を有するというふうに、その第一項(a)で規定しているわけであります。この主権的権利は、上部水域の水深とか海底の地形とか、そういったものとは一切関係なく、二百海里までの水域に認められるということは言うまでもありません。  この点に関しましては、改訂単一草案では、経済水域と大陸だなの関係が明確ではないという指摘があります。しかし、この指摘はどうも当たっていないのではないかと思われるわけであります。改訂草案の第四十四条三項は、本条に規定する海底及び地下に関する権利は第四章、これは大陸だなに関する章でございますが、第四章に従って行使されるというふうに規定しております。つまり、経済水域の内部でも、海底と地下の資源については、主権的権利の行使は大陸だな制度によるということを定めているわけであります。言いかえれば、主権的権利の行使の態様につきましては、大陸だな制度が優先するわけでありますが、その他の点では、二百海里以内では、経済水域の制度が優先的に適用されるということになるわけでございまして、大陸だなについてなら考慮され得る自然の延長論が、経済水域の場合には全く問題にならないということは明らかであると考えられます。ちなみに、相対する国の経済水域の境界画定の方式、これは改訂草案第六十二条でございますが、これは大陸だなの場合と全く同様であります。  したがいまして、韓国の主張しておるというふうに言われております自然の延長論に対して、わが国が中間線論の立場から事実上妥協した、形の上ではその主張を留保することになっておりますが、事実上妥協したとしか考えられませんこの協定の共同開発区域の制度は、経済水域が確立すれば当然日本に属する主権的権利をあらかじめ放棄するものだという批判は免れないと言わなければならないと思われます。もちろん、御存じのようにここで共同で開発する共同開発と申しますのは、単に共同で開発するというのではございませんで、この協定の第十九条によりまして、韓国が認可した開発権者が操業管理者となれば、それについては韓国の法令が適用される。日本の領海の十二海里のすぐ外側まで韓国の法令が適用される開発行為が行われるということになります。したがいまして、この共同開発区域というのが日本の主権の及ばない区域となるということは明らかですし、ある意味では、現在の公海とも違う制度に服するということは明らかだろうと思われるわけであります。  もちろん、しかし海洋法条約の成立なんていつのことかわかったものでないから、したがってそれまで待つことはできないのではないかという御反論があるのは当然かと思います。確かに海洋法会議が果たして新しい条約の採択に成功するかどうか、その見通しは必ずしも明るいとは思われません。また、採択されましても、新しい条約が必要な批准、加入を得まして効力を発生するまでには、さらに若干の年月が必要であると思われます。しかし、この数年の海洋法の展開は、あらゆる人の予想を越えた恐ろしい速度で進んでいるわけであります。現に二百海里の、これは経済水域というよりは、いまの段階では漁業水域の方が主流かと思われますが、その二百海里の漁業水域について申しますと、その一方的な設定が国際法に違反するというふうな議論は、現在ではほとんどできないような状態、それがまたたく間につくり出されたわけであります。新しい海洋法条約の成立の有無を問わず、二百海里の経済水域が遠からず慣習国際法化するであろうことは、その事態を好むと好まざるとを問わず、否定できない事実ではないかと考えられます。  本協定は実に五十年の有効期限を有しております。この点について最近、さまざまな事情で批准を急がなければならないという御主張が見受けられますが、五十年の長きにわたる有効期限を有するこのような条約、しかも先ほどまで幾つかの点について申し上げました重大な問題点を国際法上はらんでおると考えられる条約について、余りに事を急いで国民の重大な利益を将来にわたって売り渡してしまったというふうな非難を将来の世代から受けないように、国会は国権の最高機関にふさわしい慎重な審議を行われることが切に望まれる次第でございます。  本協定をめぐります国際法上の問題点はもちろん以上には尽きませんで、たとえば中国との関係でありますとか、あるいは日本の領海の至近の場所で操業が行われますときの汚染の防止とか、あるいは汚染によって被害が起こった場合の損害賠償とか、さまざまな問題点がございますが、そろそろ私に与えられた時間が終わるようでありますので、一応私の意見を以上で終わらしていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 ありがとうございました。  次に、宮崎参考人にお願いいたします。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 明治大学法学部の宮崎でございます。日韓大陸棚協定について意見を申し述べます。  日韓両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定につきましては、座標三十五が竹島の存在を無視して定められている点不適当であり、再調査を要すると考えますが、そのほかは両国大陸だなの等距離中間線によって境界を定めたもので、さして問題はないと考えます。  これに対し、日韓両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定、以下共同開発協定と申しますが、この協定は種々の問題点があると考えますので、以下この協定について意見を申し上げます。  それでは、一、わが国の領海との関係、二、排他的経済水域との関係、三、大陸だなのいわゆる自然延長論との関係、四、開発可能性の問題という順序で述べてまいります。  第一に、南部共同開発協定は、これを批准発効させれば、現国会に提出されている領海法案に定めるわが国の領海を侵害するおそれがあります。現在わが国の領海幅は三海里でございますが、領海法が成立いたしますと、その第一条により領海幅は十二海里になります。これに対し共同開発協定第二条は「共同開発区域は、次の座標の各点を順次に結ぶ直線によつて囲まれる大陸棚(だな)の区域とする。」としており、その座標十五と十六、十六と十七を結んだ直線の部分が男女群島の女島南方にある鮫瀬の領海を侵すことになります。わが国も加入しております領海及び接続水域に関する条約は、第一条で「国の主権は、その領土及び内水をこえ、その海岸に接続する水域で領海といわれるものに及ぶ。」、第二条で「沿岸国の主権は、領海の上空並びに領海の海底及びその下に及ぶ。」としておりますので、共同開発協定は、わが国の主権を侵害することになるわけでございます。  外務大臣は、国会において、その部分がわが国の領海になれば、国際法上大陸だなの範囲には領海は含まれていないのだから、その部分は共同開発区域から外れると申し述べられたようであります。しかしながら、その見解は正しいとは思われません。なぜなら、大陸だなの範囲は現在国際法上明確ではなく、大陸棚に関する条約第一条では領海外の海底区域を大陸だなとしておりますが、共同開発協定署名当時も現在もわが国の領海は三海里なのですから、その三海里に抵触しない形で共同開発協定第二条で座標の各点を結ぶ直線によって囲まれた大陸だな区域を共同開発区域にすることは、後に申しますように、わが国にとって不都合ではありますが可能であり、それを批准し発効せしめれば五十年間は有効であって、わが国の一方的意思によってはその拘束を免れることはできなくなるのであります。  本来、領海法が成立すればわが国の領海になる地域をみすみす共同開発区域にするのは主権の事前放棄でありますが、協定が発効してしまえば、その後で領海を三海里から十二海里に国内法で拡張しても、その効力を相手国に対し主張し条約の適用を一方的に圧縮することはできないのであります。条約法に関するウィーン条約第二十七条は、明らかに、当事国は国内法の規定を理由として条約の履行を怠ることはできないとしております。もっとも、条約の規定が一般国際法の強行規範に抵触するときは無効であります。しかし、大陸だなを沿岸から三海里より沖に設定するか沿岸から十二海里より沖に設定するかは、現在も共同開発協定署名当時も、国際慣習法上は任意であり、十二海里より沖が大陸だなだということが強行規範であった、また、あるということはありません。したがって、共同開発協定によって定められた内容は当事国を拘束し、わが国の国内法だけによってはもはや変更できぬことになるのであります。  したがって、共同開発区域から鮫瀬の領海となる部分を外しておこうと思えば、批准に当たって留保を行うか、もしくは共同開発協定と同一レベル以上の国際条約——名称は協定でも議定書でも構いませんが、そういうものによって明白にその部分を共同開発区域から除外する旨を両国の間で取り決める必要があります。  政府は四月十一日の口上書がそれに当たると言われるかもしれませんが、そうはまいりません。口上書は条約法条約に言う条約には当たりません。それは口頭で申し入れ口頭で受諾した内容を単に書きとめたものにすぎず、それ自体は条約法条約に言う「国家間において書面の形式により締結され、かつ、国際法によって規律される国際的合意」とは認められないからであります。極端に言えば、日本の在韓大使館と韓国外務部が取り交わしたメモにすぎぬものであります。このようなものによって条約、協定の内容を改変することは不可能であります。  もっとも、口上書自体は条約法上の条約ではないとしても、その前提となっている口頭の約束は、一般国際法上国家間の約束であり、いわゆる学問上口頭の条約に該当するものだと解することが一応可能のようにも見えます。しかし、その場合にも、その当事者は本国政府から条約の内容を改定するについての全権委任状を得てそれを示し、相互に確認していることが要件であると思われます。本件口上書の発信者と名あて人は大使館と外務部となっており、行為者が明確でないばかりでなく、全権委任状が付与されていた事実も認められませんし、国会に提出する条約の形式も整えていないわけであります。  第二に、政府が発行している日韓大陸棚協定早期批准促進のパンフレットを拝見いたしますと、国連海洋法会議では大陸だなの範囲を大陸だなの自然の延長とするいわゆる自然延長論がますます大勢を占めつつあり、待てば待つほどわが国にとって不利な情勢が固まりつつある、したがって、共同開発協定を早く批准した方がよいとされているようであります。しかし、その点にも疑問があります。  一九五八年の大陸棚に関する条約は、大陸だなの範囲を水深二百メートルないし開発可能な限度としておりました。これに対し、昨年第三次海洋法会議第四会期が作成した海洋法の改訂単一非公式交渉草案の第二部第六十四条は、大陸縁、コンチネンタル・マージンの外端または距岸二百海里としております。つまり、水深よりは沿岸からの距離によろうという考え方が主流になってきております。  さらに強調すべき点は、これは松井参考人も申されましたが、海洋法会議の大勢が二百海里の排他的経済水域を認める方向に大きく移ってきたことであります。改訂単一非公式交渉草案第四十四条では、「沿岸国は自国の領海を越え、かつ、領海に隣接する排他的経済水域といわれる水域において、次の権利および義務を有する」とし、a項で、「生物資源たると非生物資源たるとを問わず、海底、地下および上部水域の天然資源を探査し、開発し、保存しおよび管理するための主権的権利」と規定しております。共同開発協定によって日韓の共同開発区域とされている区域は、全部わが国の排他的経済水域に入り得る区域であります。この区域に対し、韓国側も二百海里の排他的経済水域を主張するかもしれませんが、共同開発区域全部が韓国から二百海里の範囲に入ることはありません。  さらに、このように相対する国の問の排他的経済水域の境界画定は、適当な場合には中間線または等距離線を用いることにより、かつ一切の関連状況を考慮に入れて、公平の原則に従って合意によって行われるものとする(六十二条)とされており、相対する大陸だなの境界画定にも同様の規定(七十一条)が置かれています。決して等距離中間線説が無視されてきているわけではありません。  また、松井参考人が引用されました北海大陸だながよく参考として引用されますけれども、北海大陸だなを囲む国の中で、ノルウェーとイギリス、ノルウェーとデンマークの間には、先ほども指摘されましたように、ノルウェーの海岸寄りにスカゲラク海溝がありますが、それぞれ当事国間では、それを無視して両国の中間線をもって両国大陸だなの境界としているのであります。  第三に、さらにこの大陸だなのいわゆる自然延長論によって韓国側の主張が有利であると政府は主張しておりますが、それについても疑点があります。  北海大陸だな事件についての国際司法裁判所の判決は、すべての場合に強制的かつ十分な境界画定の唯一の方法はないとしつつ、「境界は、衡平の原則に従い、関連あるすべての情況を考慮し、海中および海底への領土の自然の延長を形成する大陸棚のすべての部分を他国の領土の自然の延長を侵害することなく、出来る限り多く各当事国に残すような方法で合意によって決定しなければならない」とし、考慮すべきファクターとして、当該大陸だなの物理的、地質的構造並びに天然資源などを挙げております。  政府が発表しておられる啓蒙文書によりますと、韓国の麗水付近から沖繩にかけて北から南に共同開発区域を縦に切った断面図が示されておりますが、これによりますと、共同開発区域は韓国側の大陸だな上にあり、沖繩との間には水深千百メートルの海溝があって、韓国側の主張を裏づけるかのように見えます。しかし、公刊されている地図、海図、ESCAP報告書添付の地質図などを見てみますと、沖繩は近畿南部、四国、九州南部につながる円弧をなしておりますが、それに対し、近畿北部、中国地方、九州北部に連なる線の延長が五島列島から男女群島を経て共同開発区域に延びており、これに対して韓国の大陸だなは、共同開発区域より北にとどまっており、むしろ考慮するとすれば、中国大陸の大陸だなが共同開発区域の西部に及んでいる点であると思われます。  このような点からすると、韓国政府の主張をたやすく容認して等距離中間線以南をそっくり共同開発区域とした共同開発協定は、決して最善のものとは言えないと考える次第であります。  第四に、政府は共同開発協定の批准を急いでおられるようでありますが、本当にこの共同開発というものは急を要するものでありましょうか。  エネルギー問題が緊急を要する問題であることは確かであります。しかし、この共同開発を早急に進めることによってエネルギー問題が本当に解決されるのでありましょうか。この共同開発区域から石油が採掘されるという見込みはあるのでありましょうか。むしろ国民は、この共同開発協定は、政治的資金の油田を日韓両国政府に提供するのではないかという疑念を抱いております。わが国では、莫大で低利の資金が不確定な油田の探査開発のため石油開発公団を通じて油田開発企業に流され、韓国の朴政権には国際石油資本から鉱区使用料名目で金銭が支払われ、その間に黒い政治的資金が動くのではないかという疑惑があります。このような政治不信を政府はまず完全に払拭する必要があります。そのためには、未解決の金大中問題のすっきりした解決を含め、人権抑圧政策をとる韓国政府に対するわが国政府の毅然とした態度が望まれるわけであります。  なお、最後に、この日韓協定を批准しなければ国際信義に反するということが一部言われておりますが、そういうことはないと思います。  従来も、たとえばベルサイユ平和条約において、アメリカはこれに署名いたしましたけれども批准を拒否し、またヨーロッパの防衛共同体条約においても、フランスは批准を拒否しております。それが現在において決して道義的に非難されるものではなかったというふうに思うのであります。むしろ、そういう圧力というものに屈して、日本の国会が批准に対する承認を急がなければならないということになれば、日本の国会の独自性が損なわれるわけであります。国会において正しく審議され、批准についての承認の可否が慎重に論ぜられるべきであると考えるわけであります。  以上をもって意見の開陳を終わります。(拍手)

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 ありがとうございました。  次に、山本参考人にお願いいたします。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 東北大学法学部の山本でございます。  両協定のうち北部協定に関しましては、等距離中間線を基準としておりますし、また壱岐、対馬等の島も十分に考慮に入れておりますので、問題はございません。竹島につきまして多少の異論があり得るかと思いますけれども、現在の海洋法会議における単一草案でも、たとえば人間が常住できないような島あるいは岩礁あるいは経済的な価値を持たないような岩礁等については、その周りに大陸だなを敷くという可能性を否定しているわけでございまして、そういう点から見て、北部協定の中で竹島の地位というものについて格別の考慮をしなかったということは、現在の海洋法会議の単一草案の大勢から見ましてもことさらの問題はないというふうに考えられるわけでございます。  以上で北部協定については国際法上格別の問題はない、等距離中間線を維持しているという意味で、私は賛成でございます。  次に、多少の論議がございます共同開発に関する南部の協定につきまして主として意見を申し述べることにいたします。  この問題を考えます第一の前提といたしましては、韓国のいわゆる自然延長論も、またわが国が主張しております中間線の理論も、ともに現在の国際法からすれば法的に対等な価値を持った主張であるということを認めざるを得ないのであります。この点申し上げるまでもないと思いますが、どちらの主張が優先し、相手の主張を排除するといったような上下の関係のものとしては、まだ現在の国際法はそこまで到達していないと言わざるを得ないのでございます。  そこで、韓国側が主張しておりますこの自然延長論、これは確かに北海大陸だな事件を契機にして巻き起こった主張でございますけれども、そしてこの北海大陸だな事件というものは、松井参考人御指摘のとおり、これはその特定の事件についてのみ効力を持つものであることは間違いないのであります。しかし、その後、この北海大陸だな事件の判決理由といったようなものを大幅に海洋法会議で取り入れて、それを前提にして単一草案がつくられているということは周知の事実でございます。  たとえば、この大陸だな事件におきましては、確かに相隣接する国同士の間の境界画定についての基準を決めたわけでございますけれども、現在の海洋法会議における単一草案では、お互いに隣り合っている国あるいはお互いに相対面し合っている国、向かい合っている国、そういう同士の間でも自然延長論とか、後から申し上げる境界区分というものが認められるようになってきているわけでございまして、そういう意味では、本件協定の対象ということを考える場合にも、北海大陸だな事件で出された判決理由というものが海洋法会議に拡張して取り入れられ、それを前提にしてこの協定の価値というものを判断せざるを得ないわけでございます。  そういった前提でこの自然延長論というものを見てみますと、大陸だな事件の判決は沿岸国が支配している陸地が海底に向かって流れ込んでいるその自然の延長、つまり沿岸国の陸士の一部分を構成すると考えられるようなものについては、沿岸国が主権的権利を持つ大陸だなとして認めていこう、そのような沿岸国の権利というものは、いま申し上げたような事実を当然に原始的に各国が持っているいわば基本的な権利である。そういう自然延長に基づく大陸だなの主張というものは、国際法によってつくり出されたものでもないし、他国の同意、承認によって創設されたようなものでもないのだ、国家である限り、本来陸地に対する支配の延長ということで、いわば基本権として持っている権利なんだということを判決は力説しているわけでございます。しかもその自然延長論というものは、いわゆる近接の理論よりも優位するのだ、たとえば大陸だなが自分の沿岸の近くにあるといった隣接の理論に対しては、自然延長論の方が優先するのだということまで判決は言い切っているわけでございます。  こういう観点から見ますと、少なくとも北海大陸だな事件の考え方というものに支持されて、韓国の主張というものはそれなりに国際法上の根拠というものを持っているわけでありまして、決してこれを違法なもの、国際法違反の主張だというふうにして退けることはできないわけであります。ただこの自然延長論というものは、それに対抗するような他国の主張がない場合には、いま申し上げた自然延長とみなし得る範囲内まで沿岸国の主張が及んでいくわけでございます。  本件南部協定のように、韓国の自然延長という主張に対して真っ向から対抗する日本の主張、競合する主張、つまり等距離中間線でございますけれども、そういう主張の前には、両国の間でしかるべく境界区分をするか、あるいはその他の措置をとって紛争を解決しなければならない、そういう一つの性格を持った、あるいは限界を持った自然延長論でございまして、そういう意味では、自然延長論というものを大陸だなの境界画定の基準であるというふうに考えることは誤解でございます。そうではなくて、先ほども申し上げたとおり、大陸だなに対する沿岸国の支配権の根拠というものを説明する道具として自然延長論があるだけである。  そこで、韓国のそういった自然延長論に対して有効に対抗できるわが国の主張があるかどうか。実は九州の西側まで張り出してきております沖繩海溝というものの存在が浮かび上がってくるわけでございまして、北海大陸だな事件におきましてはイギリスとノルウェーとの協定を引きまして、その協定では、なるほど海溝の存在というものを無視して両国の等距離中間線を境界にしたけれども、これは一般国際法ではない、ほかの原則に対抗する、優位するような原則ではないと言い切っているわけでございます。海溝を認めるか認めないか、海溝の存在を無視するかしないかということは、一にかかって関係国の合意に任されているわけでございます。わが国は沖繩海溝の存在を無視して、日本の沿岸から東シナ海に及ぶ大陸だな、その中間線というものをとってわが国の支配の及ぶ大陸だなの範囲であるという主張で対抗したわけでございまして、そこでわが国の主張を韓国の自然延長論に優位させるためには、沖繩海溝の存在を無視するということが一つの条件になっていたわけで、それはついに韓国を説得することができなかった。そうであるとすれば、そこでまさに両国の主張というものが、どちらがどちらに優位するというものではないにしても、法的にはまさに対等な価値を持つ主張として、相打ちのものとして重なり合うということが出てくるわけでございます。  そういう両国の相競合する主張が対抗するときはどうするか。これもさきの北海大陸だな事件は、まず第一に公平の原則によって、そして合意に基づいてしかるべき境界を決めなさい、この公平ということは誤解してはいけないけれども、と判決は言っております。天然自然の国家の生得的な不平等を是正するというのが公平ということではないのだ、その大陸だなの個々の海域の実情に合わせて、具体的、妥当性というものにかなうような形で配分なり開発なりが行われたときに初めてそれは公平ということなんだ。そういう意味では各大陸だなのそれぞれの地域の特殊性というものが非常に大きくそこにかかってくるということを力説しているわけでございます。そして、その公平原則というものを実現するための具体的な方法として、この判決は、たとえば両国が合意してしかるべく大陸だなの配分比率というものを決める、これも一つの方法だろう、配分比率が決まらなかったときには機械的に等分に分けてしまうということも公平という点から見て考慮に値する、しかし、その地域の大陸だなの特殊性あるいは関係国の主張の内容という点から見て、そのほかにも公平原則というものを達成するためには区分けをしないで共同管轄をする、あるいは共同使用をする、さらには共同開発をするということもこの公平原則に該当するのだということを判決文の中で明示しているわけでございます。今回問題となっております南部協定は、まさにこの判決で指摘した共同開発という新しい考え方を具体的に実現するための世界で最初のケースである、そう評価すべき問題でございます。  しからば、この南部協定の共同開発の具体的な仕組み、形というものを点検してまいりますと、そこでは両国それぞれの国内法によって認可された開発権者相互間の事業契約によって操業管理者というものを指定し、その開発権者同士の事業契約に基づく協力関係というものを中核にして共同開発を進めていく。それぞれの日韓両国政府は、先ほど来申し上げておりますとおり、本件大陸だなに対する各国の相競合する法律的な主張を害しないようにそれを監視するという意味で、この南部協定に基づいて事業契約による開発権者同士の協力関係を協定の趣旨に合うように監視し、保障し、場合によっては保護していく。そこには歴然として各国の侵すべからざる管轄権というものは、資源の配分につきましてもあるいはそこで行われている活動に対するそれぞれの法令の適用という面でも貫かれているわけでございまして、そういう意味では、世界には共同開発という形は国際法上さまざまのパターンがございますけれども、陸地とか領海の中で行われるような合弁、あるいは共同出資といったようなタイプでこの問題を考えることはできないわけでございます。繰り返しますが、この大陸だな海域は、両国の相競合する主張がまさに相打ちという形で存在し、それが温存されている。そういう状態を前提とすれば、そこに出てくる共同開発というものの姿は、本件協定で出したようなきわめて精密な形の共同開発という形にならざるを得なかったわけでございます。こう見てまいりますと、私は南部協定の各規定というものを具体的詳細に点検いたしますと、現在の国際法の傾向から見て、あるいはすでに確立した国際法の規則から見て、何ら法的に非難すべき根拠を見出すことはできません。  なお、最近問題となっております経済水域との関連が一応問題になろうかと思いますが、国連海洋法会議で言われております経済水域というものは、まだ現在国際法上確立した慣行にもなっておりませんし、国際法の法規にもなっておりません。その経済水域の中で、わずかに漁業に関する問題だけを引き抜きまして、その点については現在ほぼ国際慣行として確立しつつあるという認識に立って、多くの国々がこの一年ぐらいにわたりまして国内法によって漁業専管水域を制定しているということは周知の事実でございます。そういう意味では海底の資源を含めた経済水域という観念は、現在の国際法ではまだ確立していない、また近い将来にそれが確実に確立するという可能性も見出せない。そう見てまいりますと、経済水域と大陸だな制度というものの優先性を論ずることは、現在の国際法の段階からすれば法的には無意味であると言わざるを得ないわけであります。仮に一歩を譲りまして、経済水域制度が将来ここにかぶってくるということを見た場合にも、これは単一草案の規定にもございますとおり、経済水域の中での海底の資源の開発については大陸だな制度の諸規定に従うというふうに書いてあるわけでございます。しかも大陸だな制度というものは、一九五八年の大陸棚に関する条約以来、先ほど御紹介した北海大陸だな事件の判決によってさらにそれが拡大され、そしてさらにこの長い第三次海洋法会議の各国の交渉を通じて、新しい国際法の重要な要素となるような面を強めてきているわけでございます。そういう意味では、まだその内容が十分に確立しているとは言えないような経済水域に比べてみた場合には、大陸だな制度というものの優先性を認めざるを得ないわけでございます。そういう観点から本件南部協定を考える際にも、経済水域との関連というものを法的に議論する余地はないのではないかと私は判断するわけでございます。  その他細かい問題いろいろございますが、最後に私が申し上げておきたいことは、戦後新しい大陸だな制度というものが国際的に大きく騒がれてまいりましたときに、わが国はもっぱら大陸だなをエビ、カニといったような甲殻類、漁業の面から問題をながめ、そしてわが国の遠洋漁業を害するおそれありということで、大陸だな制度にきわめて消極的な姿勢をとってきたわけでございます。どころが、御承知のとおり大陸だな制度というものの主流はいまや鉱物資源志向、鉱物資源というサイドから大陸だな制度を見るというのが世界の大勢でございます。そういう意味では、大陸だな制度にアレルギーを持ってきたわが国が、その世界の一つのメインの流れに乗って鉱物資源志向という角度から大陸だな制度に積極的に取り組む、その最初の契機、最初のテストケースという意味で、本件協定というものを前向きに受けとめるということが、国際社会における大陸だな制度に対する態度というものを決定する、わが国の国民にとっても大変積極的な効果のある影響というものを持つであろうというふうに私は考えるわけでございます。  細かい点はまた後ほどの諸先生からの御質問に対して補足させていただくことにいたしまして、とりあえず私の一般的な発言というものは以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 これより質疑に入ります。  なお、質疑の際は参考人を御指名の上、お願いをいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢委員 松井参考人にお尋ねをいたしますが、この海域における開発におきましては、二百海里経済水域、これを国連海洋法会議によって認められれば、わが国にとってはすべてわが国のつまり開発権があるのだという点で非常に有利なわけでございますが、先ほどのお話を承っておりますと、まあそれまで待ったらいいじゃないか。しかしながら、この大陸だな自然延長論を唱えている国々はこうした二百海里経済水域に対しましては相当反発を持っておる、こう思うのであります。そこで海洋法会議におきましては、やはりそれぞれの国が自分の主張をするわけでありますから、必ずしも経済水域二百海里で協定が結ばれるとは限らない。しかもまた、その他の要素も相当ありまして、内陸国、地理的不利国の主張もありまして、海洋法会議がここ近いうちに協定が結ばれるという見通しはない。そうなれば、それぞれの国の主張というものが非常に今後対立する可能性があるのじゃないか。この点に関しまして、まずもって見通しにつきまして御質問をいたしたいと存じます。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 御質問の点について私の考えを述べさせていただきます。  二百海里経済水域が、たとえば自然の延長論等との対立あるいは内陸国、地理的不利国等との対立などによって、それほど簡単に条約として成立することはないのではないかという趣旨の御質問だったというように理解いたしますが、その点について私が先ほど述べました意見をやや敷衍をさせていただきたいと思います。  まず第一に、二百海里経済水域の主張が自然延長論と対立しているかのような御理解かと思いますが、この点はやや誤解がおありなのではないかと考えます。自然延長論がもっぱら主張されておりますのは、二百海里までで大陸だなの範囲を切るか、それともそれを越えても自然の延長がある場合にはその部分まで沿岸国の権利を認めるかということの内容でありまして、むしろ対立点は二百海里の外側にあるというふうに私は承知をしております。それから、そのほか内陸国、地理的不利国等からこの経済水域に対してさまざまな形で批判あるいは不満が海洋法会議において提出されている、あるいは自分たちができるだけ公平な資源の配分を受けたいという提案が提出されているのは御存じのとおりでありますが、全体としての流れを見ました場合には、これら諸国も大きなところでは発展途上国の相互の団結というのでしょうか、そういうところを重視いたしまして、基本的な考え方としての経済水域には同意するということが圧倒的な傾向になっているかと思われます。確かに御指摘にありましたように、また山本参考人も述べられましたように、経済水域というのは現在形成途上の考え方でありまして、すでに実定法になっているというふうには現在の時点では言えないのは確かだと思います。しかし、二百海里の漁業水域でさえも、われわれほんの二、三年前まではそんな要求が実定法になるということはとても想像もしていなかった、日本がせいぜい五十海里の提案をしていたのは御存じだろうと思いますが、そういうふうに急速に海洋法会議は動いているということから考えますと、そしてこの二百海里経済水域の考えが圧倒的多数の、特に発展途上国でありますが、支持を得ているところから見ますと、その展開というのは急速に進むのではないかというふうに私自身は判断しております。その展開の仕方は、現在の漁業水域がそうでありますように、必ずしも条約の成立ということを待たなくても、これはある意味では不幸なことでありますが、各国の一方的な主張の積み重ねということによっても生じ得るというふうに考えております。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢委員 ただいま先生がおっしゃいましたが、私は山本参考人にお尋ねをいたすわけでありますが、ただいま松井参考人がおっしゃいましたように、この前までは二百海里漁業水域というものさえも問題にならなかった。しかし、いまこれが実定法として確立される見通しになるということを言われましたが、したがって二百海里経済水域も将来そうした形で確保される、確定される見通しがあるやに伺ったわけでございますが、しかし私は、この二百海里経済水域、それから大陸だなの関係につきましては、必ずしもそう甘い見通しと推測だけでは簡単に確定されるものではないんじゃないか、こう思うわけでございますが、その点について山本参考人は松井参考人とは若干異なった御見解を示しておられるようでありますので、この点について御質問申し上げます。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  今回の海洋法会議に対するわが国の基本方針は、海洋法会議の特定の傾向を先取りしないという方向にあるというふうに伺っております。私は、これは今日の海洋法会議の傾向から見ても正当なことだと思います。  そこで、この経済水域について何が確定し、何が未確定かということが判断の基準になろうかと思います。現在の単一草案に書いてある海底資源を含めた考え方というのは、当初ラ米諸国が主張した世襲水域の考え方をそのまま受け入れただけでございまして、これが相当近い将来に実定国際法として確定していくという可能性はほとんど考えられないし、他国もまさにそこをめぐって交渉で対立しているわけでございます。それならばこそ、昨今多くの国々がその中から確定する方向に向かっていると判断できる漁業水域の問題だけを引き出して国内法でやっているわけでございます。  以上でお答えといたします。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢委員 ありがとうございました。  なおまた山本参考人にお尋ねをいたしますが、わが国におきましては、東シナ海の大陸だなは揚子江と黄河の堆積物の流出によって形成されておるから中国の大陸だなである、韓国ないし日本の大陸だなではなくて、したがって、この大陸だなを日韓両国で勝手に共同開発するということはできないというような主張がある。そういう主張を御承知かと思うのでありますが、国際法上、大陸だなはその堆積物の由来によって帰属が決定されるかどうか。これは国際法上の問題点でありますが、この点について御質問をいたします。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  私の知る限り、いまだかつて大陸だな形成の原因とか由来というものを理由にいたしまして大陸だな制度を論じたというケースは承知しておりません。  先ほど御紹介いたしましたような北海大陸だな事件にいたしましても、あるいは海洋法会議での議論にいたしましても、大陸だながつくられたその形成の原因といったようなことを論ずるのではなくて、現に陸地を支配している、その支配している陸地と一体をなすものとして認められる範囲内で大陸だな制度をとらえていこうという考え方でございます。

玉沢徳一郎自由民主党

○玉沢委員 山本参考人にお尋ねいたしますが、わが国としましては、経済水域二百海里を主張し、韓国は大陸だな自然延長論で対立いたしました結果、この共同開発方式というものが協定によって結ばれたわけでありますが、先ほど、こうした例は国際法上も初めてのケースである、こういうふうに言われたのでありますが、私は、やはり国際政治におきましては、それぞれの国の利害がそれぞれの国際法の論拠によって主張をされる、しかしながら、自分の主張だけを一方的に通そうとするならば、これは当然武力衝突なりお互いの国の対立になると考えるわけであります。そうした意味におきまして、私はこの協定というものはきわめて高く評価していいと思うのでありますが、世界にこうした協定を結んだのは初めてであると言っておられますが、類似のケースがあるかどうか、こういう点につきまして御質問させていただきます。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 大陸だなに関する限りは先例はございません。さっきの北海大陸だな事件の後、判決の趣旨を生かしまして、関係国はそれぞれ二国間の協定を結んで、しかるべき公平の原則に従って境界を分け合ったということでございます。共同開発というケースはございません。  ただ、これは先ほど御紹介申しました判決の中でも、公平原則を実現する一つのタイプであるということを明示しているという点を重ねて申し上げておきたいと思います。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 関連をしてちょっと質問させていただきます。  松井教授と、できれば山本教授にもあわせて同じ問題をお尋ねしたいわけでございます。  巷間の議論を承っておりますと、海洋法会議でいま議論をされております排他的経済水域二百海里というものが将来の大勢になるだろう、そういうものが出るとすれば、従来の大陸だなの法理なり国際慣習というのはなくなるんじゃないか、だから排他的二百海里経済水域という議論の保持をいわば国益として持つべきである。したがって、東シナ海における大陸だなの分割、大陸だなの境界線画定の議論を関係諸国と行う場合にも、そういう論理で立ち向かえ、こういう議論が多いようでございますけれども、どうも私どもは、従来の国際法が発展してまいりました経緯あるいはこれから発展していくであろう方向等を考えましても、少しこの議論は先取りよりもむしろ希望的観測に従い過ぎた議論ではないだろうかという感じがしております。  先ほど、松井先生のお話を承っておりましても、自然延長論は趨勢ではない、むしろ経済水域二百海里による主張がだんだん強くなるだろう、そうすれば韓国と中国と日本の間でも中間線理論によらざるを得ないではないかというふうな議論のように承ったわけでありますけれども、しかし、いままでの国際法の発展の歴史を見てみますと、北海の大陸だな問題の判決は、それはその管轄の領域の中の問題だけだという前提はついておりますけれども、一つの大きな大陸だな理論の発展の方向を示しておりますし、それが大幅に海洋法会議に取り入れられておる、そうして大陸だなの規定と排他的経済水域の規定について優劣を決めがたいように併置されたままで海洋法会議では議論が進められておるという現状から見ますると、韓国と日本が現実に国益を争っておりますこの大陸だなの境界線画定の問題について、果てしない論争に巻き込んで日本国民の国益をないがしろにするか、どこかで決着した妥協点を見つけて問題を発展させるかという観点に立てば、そしてまた、国際法というのは公平の原則と合意が原則でございますからそうせざるを得ないと思うのでございますけれども、いま先生は自然延長論は無理だというような御議論をなさるけれども、将来、たとえば中国も自然延長論を非常に強くとっておる、中国と日本が折衝する過程でもそういう問題が出てくると思う。そのときには無条件で日本の経済水域二百海里のような議論で対抗ができるのかどうか、その辺をひとつ両先生からお話を承りたい。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 お答えいたします。  経済水域の成立の可能性にかかわって、先ほどの玉沢委員と関連する御質問だったというふうに承りましたが、御質問の中で、私が自然延長論が趨勢でないというふうに申し上げたかのように理解しておられるようでありますが、それはやや誤解があるのではないかと思われますので……。  私は、二百海里を超えても大陸だなの自然の延長が延びている場合には、自然延長論が現在海洋法会議で趨勢になりつつあるのではないかというふうに理解しておりますが、本件の場合は二百海里以内の問題でありまして、その点についてはむしろ経済水域、つまり海底に関しては大陸だな、それから上部水域については漁業水域という考え方よりも、両方あわせて経済水域という単一の制度のもとに置こうという考え方が、少なくとも海洋法会議では圧倒的多数の支持を得て現在単一草案で正面に掲げられている、そうして個々の問題点、たとえば残存的権利の問題でありますとか、伝統的漁業国の権利をどういうふうに保障するかというふうな問題でありますとか、さまざまな個別的な問題についてはいろいろな意見、対立が出されておりますが、しかし、全体の経済水域設定という考え方自体については、すでにほとんど異論が出されていない状態だというふうに私は承知しております。  もちろん、私どもの日本に直接関係のある日本の近海では、アメリカ、ソ連と相継ぎまして漁業水域二百海里を設定いたしました。われわれはともすればそちらの方に目を奪われがちになるわけでありますが、海洋法会議における国際社会全体の趨勢はむしろ経済水域にあるというふうに私は承知しております。  御質問の第二の点というふうに言ってよろしいでしょうか、日本がいたずらに中間線ばかりを強調する、そして韓国では自然延長論を主張するということになると、果てしない論争になるのではないか、それはかえって日本の国益を損うのではないかという御趣旨だったと承りました。もちろんこの紛争が日韓の間で平和的にかつ公平の原則に従って解決されるべきだというふうに私も考えておりますが、しかし、現在の共同開発区域をあの水域に設定するという方法での解決は、まさに北海大陸だな事件判決でも言われ、それから現在の改訂単一草案でも言われている公平の原則というのに反することになるのではないかというのが私の見解でございます。  最後に、中国が自然延長論を主張しているがという御指摘がございましたが、この点まさに私先ほど時間が不足いたしまして言及することができなかった点なのでありますが、現在の南部に関する協定の非常に大きな問題点の一つがこの点にあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。つまり御承知のように中国は、この協定が署名されました直後に自然延長論に基づく強硬な抗議を発表しております。もしも日本が韓国との関係におきまして、韓国の言う自然延長論が相当の根拠がある、少なくとも日本の中間線論と対等の価値を持っているというふうに考えますならば、中国に対してもその主張が日本と対等の重みがあるというように考えなければならないとすると、中国をおいて日韓の間だけでこのような共同開発を定めるということは、たとえ形の上では法律的な主張を留保しておりましても、事実上は中国の言う、もちろん中国が主張する権利でありますが、それを大きく侵害するというふうに中国に理解されても仕方がないのではないか、それが将来の日中の大きな紛争の種になるのではないかということをおそれるわけであります。  どうも長くなって失礼いたしました。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  大変むずかしい問題でございますが、先ほど申し上げましたとおり、大陸だな制度というものは本来陸地の制度でございまして、それがたまたま海に張り出しているために海洋法との関連というものが出てきているわけでございます。したがいまして、経済水域という一つのまとまった制度の中で本来の海の制度と陸の制度というものを簡単に合一するということは、海洋法の傾向から見てもかなり危険でございまして、そういう意味で、大陸だなというものは本来は陸の制度なんだ、それが海に関連があるから海洋法会議で取り上げられているのだ、ということで私はお答えにかえさせていただきたいと思います。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 どうもありがとうございました。

有馬元治自由民主党

○有馬委員長代理 関連で稲垣実男君。

稲垣実男自由民主党

○稲垣委員 宮崎先生にお尋ねいたしますが、先ほど宮崎先生は、この開発問題に伴って日韓両政権に何か資金が流れるだろう。疑惑について心配してくださることは大変ありがたいのですが、今後必ずあるであろうがごとく言われるのはまことに心外でございまして、この点について第一点。  それからもう一つは、共同開発区域の今度の協定に関して、どうも人権抑圧だとか金大中事件等先生よくおっしゃいますけれども、われわれ政府・与党も全力を挙げてこの解決あるいは韓国の国内世論の関係については内政干渉しない方法でただいま努力しておるわけでございますので、その点については十分御理解を願いたいのであります。われわれ自民党自体もいろいろ言われますように体質の改善をしなければいかぬということで叫んでおるわれわれ若い者は、今後もそういうことに大いに努力いたしますので御理解願いたいと思います。一書お願いいたします。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 私は、率直に国民の疑念といいますか、そういうものを申し上げたわけでございまして、そういうことがぜひないようにしていただきたいと思いますし、金大中事件あるいは韓国の人権侵害につきましてもぜひとも政府・与党しっかり毅然とした態度をもってやっていただきたい、これが国民の切実な願いであります。

稲垣実男自由民主党

○稲垣委員 終わります。

有馬元治自由民主党

○有馬委員長代理 次に、土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 本日はせっかくの土曜日にもかかわりませずお三人の先生方に参考人として御出席をいただきましたことをまず御礼申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでございます。  まずお三人の先生それぞれにお尋ねをしたいと思いますが、ただいまの協定がそのままの形で、また現状がそのままの状態においていま韓国との共同開発をしてしまうということは、わが国の子孫に対して取り返しのつかないことになるのかどうかということをひとつお三方からそれぞれお聞かせいただきたいと思います。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 私は、現在の国際社会の趨勢の中で本協定がこのまま成立した場合には、わが国の将来の世代に対して非常に大きな不幸をもたらすのではないかというふうに結論的には考えております。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 いま松井参考人も言われましたように私も同感であります。この共同開発協定は五十年間日本の将来を決めてしまうということになります。経済開発につきまして排他的経済水域というものについての御意見が先ほどございましたけれども、世界の傾向が二百海里の排他的経済水域の方向に動いてきているということは動かしがたい事実であります。そういうことを考えますと、そういうやさきに五十年間その等距離中間線からそっくり日本側にあるものを共同開発にゆだねるということは、将来の日本国民にとっても私は遺憾なことであるというふうに考えます。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  大変歴史的な判断の入る問題でむずかしい問題でございますが、少なくとも現在の時点におきましてわが国が韓国の主張と対抗し得る、それに優位する法律的な根拠の主張を持ち得るのであれば、あるいは別の方法もあろうかと思いますが、先ほど来申し述べましたとおりそういう根拠を見出し得ない以上は、共同開発、自分だけの領分にしないそういう共同開発というものの中にもこれからの国際社会の大きな傾向というものがあるのだ、そういうことを若い世代、将来の子孫に対して教えるということは、私は大事な国際関係の一つの教訓だと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 共同開発という問題は、お互いの国がお互い政府同士だけではなくて、国民相互間においても信頼し合うという状況があって初めてうまくいくのではないかというふうに私は考えます。この共同開発がお互いが信頼し合っていなければうまくいくはずがないという前提に立って今回の問題も考えてまいりますと、アメリカのカーター大統領はただいま韓国における人権問題というものを大変に重視いたしておりまして、韓国の国内において国民の人権というものが侵されている事実を再三再四にわたっていろいろとこれを公表されているわけであります。日本の政府はこのことに対して何らコメントはないわけでありますけれども、ひとつ宮崎先生にお尋ねしたいのは、このようなカーター大統領の認識、そしてアメリカの韓国に対する対応、そういうふうな問題が現にあるわけでありますけれども、果たして、共同開発というのはお互いが信頼し合っていなければうまくいかないという前提に立って考えた場合、いまの韓国の状況というものを相手にして、日本としては共同開発をスムーズに進めることができるかどうか、その人権が尊重されているかどうかというふうなものをこの際含めて考えながら、宮崎先生のお持ちになっていらっしゃる御所見をひとつ伺わせていただきたいと思います。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 いま土井先生言われましたように、こういう協定を結びましても両国間に信頼関係がなければうまくいかないわけであります。特に私が考えたいのは、韓国の国民もこの協定を望んでいるかという点であります。朴政権が進めようとしておるのは、ここの利権をアメリカの国際石油資本に売り渡すということであります。そういうことを本当に韓国の国民が望んでいるでしょうか。私は長い目から見てこういう協定を結ぶということが両国の信頼を高めるということにならないと思うのです。カーター大統領も韓国民の利益というものと現在の朴政権の利益というものをはっきり分けるという考え方に立っております。韓国の人民の人権ということを重視しようということに移ってきておるわけであります。これは私は国際的な世論だと思うのですね。こういう協定を結んで目前の朴政権とだけうまくやるということは、世界的に見ても決して好ましくない。やはりそういう点で信頼関係という場合には、韓国国民のことも考え、長い目で考えていくということが必要でありまして、いま土井先生がおっしゃいましたように、そういう点からもこの協定については異論があるというふうに思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ほかのお二方の先生、いまの問題について何か御所見があればお述べいただけませんか。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  私どもの理解する限り、国家間の信頼ということは相手の国内体制というものを前提といたしまして、関係の条約、協定、規定の中にその信頼が盛り込まれているということと、その協定で約束されたことが誠実に守られるということに尽きるかと思います。そういう観点から本件協定というものを点検してみますと、先ほど一般発日として陳述申し上げましたとおり、法律的には大変きめの細かい、神経の行き届いた、そういう意味では法律的な意味での相互の信頼関係というものに立っている協定であると私は考えるわけであります。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 私の考えを述べさせていただきます。  現在、国際社会の一般的な傾向といたしまして、かつて人権問題というのは各国の国内管轄事項に属する問題であって、国際社会あるいは他の国がとやかく口を差しはさむべき問題ではないというふうに考えられておりました。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 現在ではそうではなくて、重大な人権抑圧というのは国際的関心事項であるという考え方が国際連合でも一般的に承認されるようになっております。それはローデシアの白人政権であるとか南アのアパルトヘイト政策であるとかあるいはチリのファッショ政権に対する国際社会あるいは国際連合における強い非難を見ても明らかだろうと思います。そういった観点から見て、現在のような状況にある韓国とこのような協定を結ぶことが果たしてそういった国際社会の趨勢から見て望ましいことかどうかということは、相当に考えてみなければならぬ問題であるというふうに私は考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先ほどお答えいただきました山本先生は、両国間の信頼が果たして保たれるかどうかということは協定が守られるかどうかにかかるというふうな御所見を披瀝されたわけでありますが、協定が守られるかどうかという点から考えまして、今回の協定を考える場合に、ただいま非常に大事なポイントになっておりますところをひとつお尋ねしたいと思うのです。  外務省は、わが国の領海が三海里から十二海里になる場合は、もはやその十二海里の領海域は国際法上の制度としての大陸だなではなくなるから、したがってその当該部分については当然に共同開発協定の対象外となるという御見解なんです。ところがこの協定というのは、御存じのとおり一般の国民は官報で見るという関係に相なります。客観的に第三者が見た場合、いまの協定の第二条第一項の中身がいまのままで官報に掲載をされて、この外務省が考えていらっしゃるような——私はこれは解釈だと思うのです。そういう問題に対しての外務省の理解だと思うのですが、外務省が解釈されているとおりに果たして第三者として見ることができるかどうか。官報に記載されるのは、ただいまの協定の第二条第一項の文言は一言も変えずに載るわけであります。いかがでございますか、私の質問わかるでございましょうか。まず宮崎先生いかがですか。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 この点は先ほど申し述べましたけれども、このとおりの条約の内容ならば、当然そこの座標によって示された範囲は特定するわけでございますから、これが共同開発区域になることは当然でございます。後に条約を改定しないで、単に外務省の解釈だけでそこの共同開発区域の部分が大陸だなから外れるのだ、だから共同開発区域からも外れるのだということを申しましても、客観的にはその特定された条約の解釈ということになりますから、これは通らないということになると思います。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  一九五八年に締結されました大陸棚条約、これはもちろん日本も韓国もいまだ加入しておりませんけれども、その第一条には大陸だなは領海の外の海底ということを言っていることは御高承のとおりでございます。ところが、先ほど御紹介申し上げました北海大陸だな事件におきましては、少なくとも大陸棚条約の第一条から第三条まではすでに国際慣習法として確立している。条約に入っているかいないかということは問題ない。しかも、その考え方をさらに国連海洋法会議で追認いたしました。そういう前提で今日大陸だなというものの範囲、定義をとらえているわけでございます。したがいまして、本件協定においてたとえば領海何海里といったようなことを明示していれば格別でございますけれども、そうでない限りにおいては、領海の範囲というものは現在の段階においては三海里である、しかもわが国の憲法第九十八条第二項は確立された国際法規を遵守する、そして国際慣習法は格別の手続をとらなくても国内法の一部として準用されるという前提に立っているわけでございまして、近い将来において領海法が制定された、そしてその領海法においては海洋法会議で容認されている十二海里までの範囲というものを選んで十二海里にする、そういうことをした場合には、それは国際法上別に何らの違法行為でもないし、国際法上の両国の権利義務というものを実質的に設定したり変更したり消滅させたりするものではないと考えるわけでございまして、そういう意味で本件協定に書いてある大陸だなというものは、そういう条約の解釈論あるいは憲法の規定との関連におきましても十分に解釈にたえ得るものである、私はそう考えておりますので、先生先ほどの御指摘のような問題から申しますと、結論的には先生がおっしゃったような政府あるいは外務省の御答弁と同じ結論になろうかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 松井先生お願いします。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 御質問の点について私の考えを申し述べさせていただきます。  確かに外務省等で御指摘のように南部の共同開発協定の第二条に言う大陸だなというのは、慣習国際法上の大陸だな概念を借りてきていることはそのとおりであろうと思います。しかし、それと同時に、第二条では、座標を明確に北緯と東経の地点をとりまして明文でもって定めております。慣習国際法の規定がありましても、条約上の明文の規定によって、その慣習国際法から特定の国が別の定めをすることは不可能ではありません。大陸だな制度は、通常考えられている強行法規、それに違反した条約を無効にするような強行法規とは考えられないわけでありますから、したがって、第二条の「大陸棚」という言葉自体が慣習国際法上の制度であるとしましても、その具体的に示されている座標が領海の中に食い込んでいる場合には、その部分、領海がこの協定によって侵食されるという解釈も不可能ではないわけであります。  現在口上書で取り交わされております解釈はそれとは違うわけでありますが、宮崎参考人も述べられましたように、口上書は当事国を法的に拘束する条約としての効力を持つわけではない。そういう意味では、国会の承認を経る正規の条約である本協定をそのような性質の文書で修正できるかどうか、解釈を確定できるかどうかということは多分に疑問のあるところでありまして、この第二条を少なくとも日本の新しい領海法と矛盾しない範囲で修正することがぜひとも必要であるというふうに私は考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 お二方の先生は、この協定それ自身の改定をしなければ、いまこの日本の領海が十二海里になった場合にも、いまの協定の条文をそのままに置いておいて、当然にその十二海里に当たる当該部分については共同開発協定の対象外となるというふうには考えられないという御答弁を明確に出していただいているわけですが、これは専門家や外務省のような、その問題についていろいろと解釈をこのようにしなければならないという基礎的な知識を持ち、その知識に従って考えていらっしゃる方々というのはいろいろ言えるでしょうが、国民の目には官報でしか映らないわけでありまして、第三者から考えて、素直にこのことがいま外務省の見解どおりに読めるかどうかということに対しては、もう私たちは大変な疑義を持っているわけです。第三者が見て素直に読める内容でないと、実は協定においても当事国同士が遵守するという体制が確立されるとは言えないわけでありまして、やはりこの点解釈論上いろんな疑義を生み、そして多数意見はどうだの、いや少数意見はどうだの、通説はどうだのと一々当たって回らなければならない。そうして半ばそれを見切り発車のような形で、有権的解釈で事を決していけばいいじゃないかという半ば権力的やり方でやられていってしまうということは、まことに反国民的行き方だというふうにも考えられる、このようにこの問題について私は思うわけです。  したがって、これは今回の協定の審議に当たっての非常に大事なポイントだと考えているわけですが、最後に山本先生にお尋ねをしたいのですが、先ほど山本先生の御発言を承っておりますと、私の理解に間違いがなければ、自然延長というのは、その国の基本権だというふうな御主張でずっと論旨を展開されたがごとくに私はお伺いをいたします。そうですね。そこでお尋ねをしますが、従来、相対している二国間において、自然延長という物の考え方で、基本的権利という主張を取り入れながら、線引きをされたという例がございますかどうですか。いかがですか。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 線引きをされた例ということを言われますと、たとえば先ほどの北海大陸だな事件以後の関係国の間で結ばれた二国間協定も、それを前提にしていると私は解釈しております。私が基本権と申し上げたのは、基本権というのは、別に国際法上無制限ということではございません。たとえば他国の主張と競合するというようなことがあれば、当然に国際法上の制限を受ける、そういう限界は持つ基本権でございまして、ただ、その自然延長論それ自体は、他国から承認されたり国際法によって設定されたりするものではないのだということを国際司法裁判所の判決を引いて御説明申し上げただけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そこで、その基本的権利という主張を取り入れながら、相対する二国間において線引きしました例がございますですか。いかがでございますか、従来。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。私は存じません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうもありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 中川君。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 私は、まず松井参考人に伺いたいと思いますが、この協定は日本側が主権の放棄をしたものと解されるかどうか、御意見を伺いたいと思います。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 お答えいたします。  大陸だな制度を前提にいたしますと、現在その限界については現行法上さまざまな議論がございますが、大陸だなの天然資源の開発については沿岸国が主権的権利を持っております。さらにこれが経済水域の制度に現在転化しようとしているわけであります。その点については先ほど御説明をしたとおりであります。したがいまして、現行の大陸だな制度を前提にいたしましても、すでに日本が持っている主権的権利を侵害しているというふうに解釈すべき可能性が非常に強い協定であるというふうに理解しておりますが、それがさらに経済水域という形で近い将来発展したといたしますと、なお一層強くそのことが言えるのではないか、こういうふうに考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 次に宮崎参考人に伺いますが、共同開発区域の問題で、日韓大陸棚協定では中間線に従って大陸だなの境界を定めるのが公平の原則によるものだ、このように考えますけれども、結論的にどういうことになるか、御意見を伺いたいと思います。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 お答えいたします。  そのとおりだと思います。日韓大陸だなの問題につきましては、日本の主張と韓国の主張が相対立をしているということについて、中間線論とそれから自然延長論というものが対立しているかのように言われておりますけれども、中間線というのはこの共同開発地域の北側なんですね。その南側はそっくり日本の水域に入るべきものなのであります。これに対して、自然延長論というものを韓国は言っておりますけれども、果たしてその自然延長論からいっても、韓国の大陸だななのかということが問題になります。これにつきましては、国民外交協会といいますか、外務省の外郭団体かもしれませんが、そこから出ておりますパンフレットにも引用しておりますエカフェの報告書ですね、その添付図面の中にはっきりと、日本の中国地方、北九州、五島列島を経て、男女群島からこの共同開発地域に連らなる同一の地質構造だということが示されておりますし、その他の地質図によってもそれが見られるのであります。つまり、日本の大陸だなにこの共同開発地域は入っているというふうに考えることができます。先ほど来北海大陸だな事件が引用されておりますけれども、これは先ほど申し述べましたように、その中に、地形だけじゃなくて、地質も考慮すべきだということが言われているわけであります。ですから、そういう自然延長論から申しましても、日本の方に理がないわけではない。単に沖繩の方だけから見て海溝があるということじゃなくて、その東の方からの大陸だなの流れも考慮すべきだと思うのです。  そういうことを総合的に判断いたしますと、これは等距離中間線が一番妥当である、少なくとも等距離中間線論がもうだめになったという考え方は間違っているというふうに考えるわけであります。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 さらに宮崎参考人に伺いたいと思いますが、共同開発協定そのものが有効期間が五十年という非常に長期なものになっているわけですけれども、この長期の間に政治経済関係でどのような事情変更があるかも想像できない。こういうことで、通常長期の条約あるいは無期限条約には廃棄条項というものを入れるのが普通だと私は思います。しかし、本法には廃棄条項がない。特に協定の第三十一条に協議事項というものはありますけれども、日韓両国の合意がなければ少なくとも五十年間は廃棄できないというふうにうたわれているわけであります。したがって、この協定は重大な事項が欠如している。この意味で欠陥があると私は思いますけれども、これに対する御意見を伺いたいと思います。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 御指摘のように、五十年間日本の将来を確定し、そうして本来中間線であるべきところより日本側の水域を共同開発にゆだねてしまうということについては、重大な問題がございまして、これはこの協定の欠陥の一つであるというふうに思います。将来どういうふうになっていくか、従来の十年間がいまの一年に当たるような状況であります。私は、共同開発そのものの考え方というものについては積極的な意味がないわけではないと思いますけれども、しかし、この地域の大陸だなについても、将来はあるいは中国との間においても話し合わなければならない、あるいは韓国につきましても、もっと民主的な政権ができ上がり、本当にアジアについての安定というものを考えた場合には、中国、日本、韓国も含めて共同開発を進め、そして適正な公平な配分をするということが必要になってくるかもしれません。ところが、今度の共同開発の協定はそういうことをもできなくしてしまうわけであります。そういうことにつきましては、少なくともフリーハンドを日本に残しておくということが好ましいわけでございまして、このように五十年間固定化するということは欠陥であるというように思います。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 次に山本参考人に伺いますが、共同開発の名のもとに第三国の資本による資源の略奪がなされる、こういうことは公平の原則にかなうかどうかという問題ですけれども、まずこの点を伺いたいと思います。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 先生方御高承のとおり、石油開発につきましてのいわゆるコンセッションというものが国際法上の制度としてございます。このコンセッションは各国家の主権の発動でございます。したがいまして、韓国がその主権の範囲内においてコンセッションの効果としていかなる法人に石油開発の免許を与えるかということは、これは国際法上各国の主権にかかわる問題でございまして、日本としてはとやかく言えない問題ではないかというふうに私は理解しております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 自然延長論、中間線論ともにこの国際法上確立されていないとのことでしたけれども、現実には自然延長論が取り入れられようとしているわけで、この中間線の内側においてのみの共同開発ということが公平の原則にかなうかどうか、この点を再び山本参考人に伺いたいと思います。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 先ほどの、先生の宮崎参考人に対する御質問とも多少絡むと思うのでございますが、確かに御指摘のとおり、もし沖繩海溝の存在というものを一般国際法上無視することができる、そして韓国にそれを国際法上の根拠として十分に説得できるという状況であれば、御指摘のとおり等距離中間線というものを韓国の自然延長論の主張を排除して押し通すことができるかと思います。ところが、先ほど御説明申し上げましたとおり、現在の一般国際法上はそういう韓国の主張を排除し得るだけの十分な根拠が残念ながらございません。そうなりますと、それぞれ両国の主張は、法的には対等な価値を持つものとしていわば入り合っているわけでありまして、そういう入り合っている中で出てくる一つの解決方式ということで共同開発という方式を認めざるを得ないのではないかというのが私の考えでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 共同開発区域がわが国の十二海里の領海と重なることになりますけれども、政府の見解は、大陸棚条約の第一条によって自動的に重なる部分は共同開発区域から除かれる、こういうことはたびたびいままでの政府答弁にも出ているわけですが、この場合、むしろわが国の領海内に共同開発区域が食い込むことを日本政府が黙示的に承認したということにならないかどうか、この点はいかがでしょうか。山本参考人。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 私は、先ほど御説明申し上げたような理由から、ならないと思います。したがいまして、今回領海法が新たに成立をいたしますれば自動的に、この共同開発の中にいま含まれている部分、今度新たに領海の部分となるものは共同開発の対象からは当然に排除される、私はそう理解しております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 そうしますと、この重なった部分を共同開発区域から取り除くためには、条約の内容の変更ということ、これを、という意味でもりて国際法上拘束力のある文書で取り決めを行う必要があるのじゃないか。このことについては宮崎参考人から先ほどるる御意見が述べられておりますが、国際法上拘束力のある文書で取り決めを行う必要があるかどうか、山本参考人の御意見も聞いておきたいと思います。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  領海法の成立によりまして食い込む部分が出てまいりましたとしても、先ほど申し上げましたとおり、本件協定の中での関係国の国際法上の権利義務を実質的に廃棄、変更あるいは新たに設定するというような要素を持ちません。したがいまして、国際法上拘束力のあるような文書の取り交わしということは、私は必要ないと考えております。  ただ、先ほども申し上げましたような意味での、自動的にそこが排除されるということを念のため確認するという意味での文書は、あるいは念のためという意味で必要かと、その程度でございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 山本参考人と宮崎参考人に次の問題について伺いますが、二百海里経済水域が排他的なものと言われていますけれども、これは大陸だなについても排他的に支配することになるのかどうか、お二人の御意見を伺いたいと思います。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 これは排他的経済水域ということになり、排他的経済水域というのが国際法的に確定するということになりますと、その主権的な権利は海底、それから海底の地下まで及ぶわけでございますから、その地域については主権的権利が及ぶことは当然であります。  大陸だなについての問題が出てまいりますのは、その二百海里外に大陸だながはみ出している場合に、独自に大陸だなとしての法理といいますか、そういうものが生きてくるわけでございまして、排他的経済水域に含まれている大陸だなにつきましては、その大陸だな理論はもちろん援用されてまいりますけれども、排他的経済水域そのものとして主権的権利が及ぶというふうに理解いたします。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  排他的経済水域という中の排他的という意味は、御指摘のとおり主権的権利ということでございます。したがいまして、先生の私に対する御質問のお答えは、その経済水域の中にいわゆる海底の資源というものも当然に含めたという形での経済水域というものが近い将来一般国際法として確定するという可能性があるかどうかということの判断にかかわるわけでございます。私は先ほど申し述べましたとおり、そういう可能性というものは、海洋法会議の中でも非常に争われている現段階からして認められない、そういう立場でございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 以上で終わります。大変ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 渡辺朗君。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 初めに、山本参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。  一九五八年の大陸棚条約締結の際に賛成五十七、反対がたしか三で、棄権が八だったと思います。私、問題にしたいと思いますのは、反対をし、棄権をしたその国々の主張の中に流れる共通のもの、何か特徴がありましたらお教えをいただきたいと思います。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  非常に目立った傾向といたしましては、大陸だな制度の中に、天然資源という言葉の中にいわゆる定着性魚種というものを含むかどうかという点について、日本を含めまして相当の国に反対がございましたことは事実でございます。これが第一の主要なポイントでございます。それは要するに、日本等の主張からいたしますと、大陸だなの天然資源ということの中には鉱物資源だけが含まれる、いわゆる定着性魚種、エビ、カニといったようなものは海の制度としてとらえていくべきだという主張であったわけでございます。  もう一点は、主権的権利という言葉が、とかく大陸だなを領土、領域として考える懸念がございます。それをそうではなくて、大陸だなの資源の探査開発ということに限った、非常に特定した範囲内での沿岸国の排他的権利というものを認めるべきである、それをそのまま生かすとするならば、主権的権利といったような言葉をやめて、排他的権利あるいは探査開発のための独占権という言葉にかえるべきだ、そういう面からの難色があったことも事実でございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 いまお話にもありましたように、資源ナショナリズムというのは年を追ってだんだん激しくなってくる、強くなってくる。したがいまして、海洋分割はその傾向が厳しいものになってくる、こういう世界の傾向であろうと思います。そうした場合に紛争が非常に起こりやすくなる。そうした場合に、二国間あるいは多国間で合意によって紛争が解決できる場合は結構でありますけれども、平行線をたどる事態が起こる、衝突がエスカレートする、その場合に、これを調停する機構として国際司法裁判所がございます。この機構の現状というのは、大変時間がかかったり、結論がなかなか出ないというようなこともあるようでありますが、日本としてこれから海洋政策を立てる、また海洋資源の問題を考える際に、この国際司法裁判所の機能強化、これについての見通し、あるいはまた提案がございましたら、お三人の参考人の方からお聞かせいただきたいと思います。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 資源問題に関する紛争の平和的解決のための機構の現在の状況とその強化の問題というふうに承ったわけでありますが、現在の国際社会の状況で、特に資源問題をめぐる発展途上国が絡む紛争を、現在の国際社会の平和的解決の機構でもってその軌道に乗せて解決するというのは、不幸なことでありますが、非常に困難ではないかと考えられます。と申しますのは、特に発展途上国、資源問題が絡む紛争の当事者になるそういった諸国は、現在の国際法の状況あるいは国際司法裁判所のあり方というものにかなり大きな不信を抱いている。それが伝統的な西ヨーロッパ的な国際法を新興国に押しつける機関になるのではないかという不満を抱いているからであります。この点の改革というものは、単に機構のどこかをいじるということではなくて、国際法全体が民主的に改革されるというような条件が整わないとなかなかむずかしいのではないかというふうに考えられます。  ただ、海洋問題につきましては、現在全く新しくと言っていいほど新しい海の国際法の制度が樹立されつつあり、これには発展途上国の主張も十分に盛り込まれているわけであります。そうしてこの海洋法の制度の一環として、海洋法裁判所その他の、紛争の平和的解決の新しい手続がつくられようとしております。この点については、従来の国際司法裁判所に比べて、相当に紛争の平和的解決の有効な機構としての役割りを期待できるのではないかというふうに考えております。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 お答え申し上げます。  国際司法裁判所の管轄を拡大するということについてはいろいろな研究があるわけでございますが、たとえば国際法協会、インターナショナル・ロー・アソシエーションの国連憲章検討部会などにおきましては、従来のように一般的に紛争解決というものを国際司法裁判所にゆだねるのではなくて、それぞれの国が具体的なある問題、たとえば大陸だなに関する問題、あるいは領海に関する問題というふうに限って管轄を任せるというようなことも宣言によって許したらどうかという考え方も出ております。しかし基本的には、現在問題になっております国際司法裁判所の管轄を認めた場合にも、その留保を行って一定の問題を除外するという例が多く出ていると同じようなことでございまして、決して根本的な解決にはならないというふうに思うわけでございます。  唯一の解決の方法は、ある条約を結んだ場合に、その紛争解決条項の中に、条約についての紛争が生じた場合には国際司法裁判所の管轄を相互に認める、そういうことを書く方法であります。たとえば条約法条約において、ユス・コーゲンスに関する問題については国際司法裁判所の管轄を認めるというふうに書いたり、あるいは対日平和条約の中で、紛争解決について国際司法裁判所に解決を任せるというふうに決めている例などであります。今後こういう問題を進めていく必要があると思いますし、今度の海洋法会議においてもそういうことが諮られておりますけれども、こういうことはぜひ進めていくべきであると思います。同時に根本的には、相互に信頼を持つということを国際社会の中に培っていくということが抜本的な問題だというふうに考えるわけでございます。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  国際司法裁判所は、その名前の示しますとおり司法裁判でございまして、したがいまして、国家の国際法上の権利義務として確定したような問題についての争いにはなじむわけでございますけれども、たとえば先生御指摘のような資源の配分、関係国の間で具体的にどうやって資源を分け合ったらいいかとか、あるいは何か共同の事業をやっていくときに、出資額をどのようにしたらいいかということをめぐる非常に経済性の絡んだような問題については、元来司法裁判にはなかなかなじまないものでございます。そこで、国際法上は従来、それはむしろ仲裁裁判とかあるいは国際調停委員会とかいうようなところで、単に国際法を厳格に解釈するというだけではなくて、具体的な妥当性、その他具体的な事情というものを勘案いたしまして、妥当な判断、裁定をしていこう、そういう制度もございますので、両々相まって先生御指摘のような資源の問題に対する国際紛争の処理手続というものが整備されていくことが望ましいというように考えるわけでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 ありがとうございました。  重ねてお三人の先生方にお尋ねをしたいと思います。実はこれは将来の問題になるかもわかりませんけれども、いまそういう点で、中国あるいは朝鮮半島、日本、これを乗っけております大陸だなの資源の問題の将来の姿というものを考えた場合に、やはり方向として適正な管理と、それからまた公平な配分の方法を少なくともいまから打ち出さぬといけないのではあるまいか。その方向がどんなものであるかという一つのビジョンになるかもわかりませんけれども、そういうことをしなければ、分割競争のいわばエスカレーションの中に巻き込まれていくという、そういう事態のみが懸念されるわけであります。そういう点でお一人お一人、短い時間で結構でありますから、願わくば一言ずつでもひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 お答えいたします。  確かに現在の、一言で言えば資源分割競争、一方的な主張によって広範な海域に排他的な権利を主張するというふうなやり方は、理想論からいって決して望ましい形ではないということは確かだと思います。しかし、最近特に発展途上国を中心にそういう動きが出てきました背景には、伝統的にそういった諸国が先進国によって一方的に搾取をされてきたという事実がある。またそういった事実に対する反発、先ほど資源ナショナリズムというお言葉をお使いになりましたが、そういった考えがあるわけでありまして、一概にこれを頭からだめだというふうに決めつける、特に先進国の立場からそういうふうに言う議論はなかなか通りにくいのではないか。したがいまして、そういった資源ナショナリズムを前提にし、承認する形で何かそれに国際的なコントロール、国際的な共通の基準というものをつくっていく必要があるというのが非常に重要である。そういった意味で今回の海洋法会議が成功し、これによって単一の制度が国際的に樹立されるということが非常に望ましいわけでありますし、また、事前にたとえばアメリカやソ連の一方的な二百海里の設定のように、その国際的な共通の制度の成立を妨げるような一方的な行為を行うということは、きわめてその観点から不幸なことだというふうに考えております。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 将来、この東シナ海の大陸だなの開発ということは非常に重要な問題になってくると思うわけであります。特にエカフェの報告などによりますと、台湾の北東つまり尖閣列島を含む部分が一番有力であるというふうにも指摘されているようであります。このことは午後の参考人が申し述べられるかもしれませんけれども、そういうことを考えますと、当然に中国との関係ということが生じてくるわけであります。つまり中国それから朝鮮、韓国、日本、そういうものを一緒にして公平な開発、配分ということが必要になってくるというふうに考えられるのであります。そういうことを考えた場合に、韓国の主張だけをうのみにして、ここで等距離中間線より日本側をそっくり共同開発ということで韓国とだけ取り決めてしまうということは、非常に危険であります。やはり公平な原則、相互の協力、その信頼の上にこの東シナ海の地下埋蔵資源の開発ということを進めていくということが何よりも重要であるというふうに考えるわけであります。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  共同開発区域を含めまして東シナ海の大陸だなに関しまして利害関係を持つすべての国が集まって、たとえば地域的な国際機関をつくることができるということであれば、先生御指摘のような好ましくない傾向に対して大変いい歯どめになろうかと思います。ところが、この本件の大陸だなをめぐる関係国の利害関係とか、主張とか、法律的な根拠ということは、そういった地域的な機関をつくるまで熟しておりません。そこで、とりあえずこの今回の南部協定というものを一つの出発点にして、そして関係諸国との間で二国間協定を積み重ねることによってこの東シナ海地域における大陸だなの共同開発の網目を張りめぐらしていくということが、各国が資源ナショナリズムというものに基づく分割闘争にふけるよりはよほど国際社会の将来にとっては健全なことではないか。そういう意味で、私は今回のこの協定をそういう方向に踏み出す第一歩、足がかりということで活用できればというふうに考えております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 大変ありがとうございました。  いろいろお尋ねしたいのですけれども、紙が回ってまいりまして、十分しか私は時間をいただけなかったので、本当にありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 寺前君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 重ね重ねお気の毒でございますが、私は腑に落ちないので重ねて御三人の人にお聞きをしたいと思うのです。  日韓大陸棚協定を急がなければいけない、損をするということを盛んに聞かされるから。それで政府がお配りになっておられます「早期締結の必要な理由」という外務省情報文化局のパンフを見ますと、四ページにはこう書いてあります。「待てば待つほど、我が国にとって不利な情勢が固まりつつあるといえましょう。」、「我が国にとって現実的に選択し得る最も有利な方式であり、その早期批准が我が国の国益に合致することは疑いありません。」、六ページへ行きますと、「海洋法会議で自然延長論がますます有力になりつつある情勢のもとで、韓国側を説得してみても、なかなかその納得は得られないでしょう。」こういうふうに、急がなければいかぬ、損をする。そんなに悪い主張をわれわれはやっているんだろうか。先ほども質問がありました。国際的に見て一体大陸だなの境界線の画定を韓国の言うようにやっているところがどれだけあって、われわれが言うような立場をとっているところがどれだけあるんだ。客観的事実はどうだったんだ。それから海洋法会議で事態は待ったらえらいことになるぞと、こう言うんだから、待ったらえらいことになるという内容は一体どこに出てきているんだ。私は、これも政府からいただきました第三次海洋法会議のこれを見ても、これのどこからそれが出てくるのかわからない。重ねての質問なのでお気の毒だと思いますが、私はせかされる以上はせかされるだけの簡単明瞭なお話があるんだろうと思うので、御三人の方々にそれぞれ簡明に教えていただきたいと思います。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 重ねてお答えいたします。  すでに私いままで繰り返して申しましたように、現在までの国際社会の動向の中で、現在、いま寺前委員が御指摘になりましたように、相対する国の大陸だなを分界するに際して自然延長論というふうな考え方が採用されたことは、これは先ほど山本参考人も述べられましたように、ないというふうに考えられるわけでありますし、それから現在の海洋法会議の動向を見ましても、自然延長論が優勢になっているというのは実は二百海里の経済水域の外側のことでありまして、分界については公平の原則ということで固まろうとしつつある、それは決して日本のこの問題に関する立場を不利にするものではないというふうに考えているわけであります。  もう一つ、政府がしばしば急がなければいけないというふうに強調されます点は、きょういままで議論になりませんでしたが、韓国がすでにこの水域に一方的に鉱区を設定して、日本の本協定の批准がおくれれば一方的に開発に着手するということをしばしば言っているわけでありまして、けさの新聞にも報道されておりますが、その事実があったかと思います。しかしこれにつきましては、日本が中間線方式という日本の主張に相当の根拠があるというふうに信じます限りは、このような韓国の一方的な行動というのは日本の国際法上の権利の侵害になるわけでありまして、それに対して国際法上しかるべき措置をとることは可能であって、決して日本の立場からすれば横車であるところの韓国の主張をのみ込むという必要はないのではないかというふうに私は考えております。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 私は先ほど来るる申し述べましたように、現在早急にこの問題がある共同開発協定を締結する必要はないというふうに思うわけであります。従来日本の外務省などは、たとえば二百海里水域につきましても、漁業については問題があるけれども、その地下の問題についてはコースタル・シーベッド・エリア、沿海、海底、水域という考え方で同意を示してきたと伝えられます。つまり大陸だなということよりも二百海里の距離までは海底について沿岸国の権利があるという考え方を出していたわけであります。これは共同開発区域のみならず、たとえば尖閣列島の問題などについても大きな影響を持つわけであります。それがなぜ豹変して韓国との間においてだけ韓国の主張をうのみにし、そうしてそれを日本の国会においてもあるいは国民に対しても押しつけるのか、そういうことについて非常に疑念を持つのであります。  また、大陸だなについて自然延長論ということを言いますけれども、ただ沖繩海溝の問題だけをなぜ押し出すのか。先ほど来強調しておりますように五島列島、男女群島からの延長としての地質構造というものをエカフェの報告自体に出しておりますし、これは政府関係のパンフレットの中にもその片りんが出ておりますけれども、そういう問題をもっと深く検討をして、本当に利があるのか、また排他的経済水域の見通しはどうなのかということを考えるべきなのに、それを五十年間固定するというような重要な協定をなぜそう急がなければならないのか、私も非常に疑問に思うわけであります。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答えを申し上げます。  私は、先にいけばいくほど不利になるという点については別に積極的な判断を持っておりません。ただ、それでは、考えられる近い将来においていまの事態よりもよく改善できるという状況が重なるかどうか、そういう可能性については、私は考えられないという前提でけさ来御説明を申し上げているわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間の都合もありますから次へいきます。  第三次海洋法会議のパンフレットの中で、大陸だなの問題を六十四条から七十四条のものとして参考として載せております。この中に境界の画定が第七十条に出てくる。「隣接国又は相対国との問の大陸棚の境界画定は、衡平の原則に従つて合意により行われるもの」なんだ。さあ、この共同開発区域というものを公平の原則から見たときに、果たして公平の原則としての区域になるという保障は明確なのだろうか。どう考えたって、公平の原則から言ったら日本は損するというふうにしか見えぬのですがね。なぜかというならば、領海というのがすぐその一部にもかかっているし、その横にきていることは、そこの見解は別としたとしてもあることは事実なんだから。  そこで私は聞きたいのですが、個々に開発をやります。韓国政府は韓国政府で鉱業権の設定をやる、日本政府は日本政府でやる。やって、その開発権者が相談し合って、そうしてそこでいよいよ操業、開発をやり出す。どっちが手を打っていくかということをそこで相談して決めていく、あるいはあとは抽せんでやるということを決めていく。そのときに、日本の国と韓国との間ではそれぞれ環境汚染に対する法律は違うと思うのです。どちらの手で操業、開発をやるかによって、その区域の中の環境汚染に対する責任の姿はばらばらになってくると私は思うのです、いろいろな会社が鉱業権を設定しているから。韓国の側によって、すなわち韓国の方のメジャーの手によってやられてきたという場合には、それはそこの果たす役割り、法令というのは、そこの契約によって行われていきますから、その法令としての扱いに基づていくときに、日本の国の領海の中にそれの影響は入ってこないのか。そうすると、領海に直接的に開発が加わらなかったとしても、その結果が日本の領海の中に影響を与えてくるということになったら、私は、そこで通用するところの法令が韓国の方の法令であったならば、日本の主権にやはり大きな影響を与えるんじゃないだろうかというような感じを受けるのですがね。そこで、時間がないようなんでお気の毒ですが、私がしゃべりたいという人があったらしゃべって御説明をいただいたらありがたいと思います。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 簡単にお答えしたいと思います。  現在の協定では、汚染の防止のために交換公文が結ばれております。この交換公文は、政府の御説明によりますと、非常に詳細に汚染防止の措置をやったもので、危険が生ずるおそれはないというふうに言われております。私は汚染関係の技術的な問題についてつまびらかにいたしませんので、その点を判断する能力はないわけでありますが、問題は、やはりいま寺前委員が御指摘になった法令の適用の問題にあるだろうと思います。  つまり、一方の国が認可した開発権者がオペレーターになりました場合には、その認可を与えた国の法令が適用される。したがって、日本の領海十二海里のすぐ外側に韓国の法令が適用される開発が行われるという結果になるのは御指摘のとおりでありまして、日本はその結果生ずることについてコントロールができない立場に立つ、少なくとも直接は立つわけであります。しかもそのオペレーターが、現在報じられているところによりますと、合衆国の余り聞いたことのない土地に本店を持っている、資本金千ドルとかなんとかの会社が多いというふうなことでありまして、確かに損害が発生した場合の損害賠償の規定の第二十一条、このあたりには、こういった特別の区域を設定されるに際して外務事務当局が非常に苦労して規定をつくられた苦労の跡がよく出ていると思うわけですが、日本の漁業などに被害が出ましたときに、このような協定でもって韓国が認可したそういうオペレーターを相手に満足のいく解決が日本国民にとって果たして得られるものかどうか、相当に疑問ではないかというふうに考えているわけであります。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答えを申し上げます。  国内法令の適用は御指摘のとおりでございますけれども、従来もそうでございましたし、これからはますます海洋汚染について、国家が事前にいろいろの防止をする義務と責任というものを個々の条約で負わされてまいりますし、また、海洋法条約の草案においても第三部でその趣旨の規定が出ているわけでありまして、新しく海洋の汚染についての事前防止を国の責任で行っていくという条約がふえてきて、さらにそれが各国によって受容されていけば、国内法令の基準というものをある一定の水準に保つという可能性は十分に残っている。これはどこの国の国内法を見てもそうだろうと思うわけであります。  なお、事後の救済につきましては、本件協定の中で無過失の損害賠償責任というものを認め、さらに、出訴できる裁判所というものも三つの種類を挙げて被害者の選択に任せているというふうに、事後救済という点についても大変綿密な配慮が払われている、そういうふうに私は考えているわけでございます。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 簡単に申し上げます。  一九六九年一月に、ロサンゼルスのサンタバーバラで海底の開発の際、部品の取りかえ中に事故が発生をして、漏れ出した油が海を汚染したということはまだ御記憶に残っておられると思います。この地域においては、今国会に提出されております二百海里の漁業水域というものも当然カバーするわけでございますけれども、その場合にもし事故が起これば当然影響を受けるという水域になりますし、開発と漁業という抵触問題も起こってまいります。同時に、海流の関係でその影響というのは日本海にも及ぶわけであります。私は、そういうことについてもう少し慎重な配慮というものが審議に当たっても加えられるべきであるというふうに思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 どうもありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 伊藤君。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 それぞれ違った角度からいろいろな御意見を重ねてお伺いをしましてありがとうございました。  私たち、いろいろな議論をこれからしていくことになると思いますけれども、恐らくエネルギーを確保しなければならないということでは、私ども六つの政党それぞれ一致をするところでございます。その上でこれから五十年間拘束をされるこの日韓大陸棚協定を考えますと、私、いまちょうど三十五でありますから八十五、もう私どもは発言権がない、そういう時代まで拘束をされ、そして日本の将来のエネルギーを左右する大変大事な条約でございます。そこで、私たちが日韓大陸棚協定を考えること、この共同開発区域のことを考えることとあわせて、先ほどから議論をされてまいりました尖閣列島を含めた東シナ海あるいは日本の周辺にある大陸だなあるいは海底資源ということをあわせて判断をしなければ、私どもは大変大きな過ちを将来に残すのではないか、こういう心配をしているわけでございます。  きょうは、大変専門の先生方でございますので、それぞれのお三人の参考人の方々に、違った角度から御意見をいただきたいと思いますが、私どもは、この日韓大陸棚協定を万一結ぶ、条約を私たちのこの国でも批准をしたという場合に、さらに大きな百三十億バレルを上回るような油田があると言われている尖閣列島等々の問題、日本と中国との今後の開発に関して、法的に不利なものを残すのではないか、こういう心配が大変あるわけでございますが、それぞれ皆様方に御意見をいただきたいと思います。

松井芳郎名古屋大学法学部教授

○松井参考人 お答えいたします。  尖閣列島につきましては、非常に多岐にわたる論点がございまして、簡単にまとめてこれについて意見を申し述べることができませんので、さしあたっての中国関係だけにしぼりますと、先ほども触れましたように本協定は、中国の立場に立てば、自国の権利がある自然の延長の大陸だなを害するというふうに主張されているわけであります。その主張、これに根拠があるかないかということは、もちろん議論の対象になるわけであります。必ずしも十分の根拠があるというふうには、私考えないわけでありますが、少なくともそういう主張がある以上は、中国とも平和的な話し合いによってこの問題を解決しなければならない。とすれば、これを無視して韓国とだけ結ばれようとしているこの協定が、将来の日中関係を悪くし、そしていま伊藤委員の御指摘のありました東アジア全体におけるエネルギー問題の友好的な解決にも暗雲を投げるのではないかという点を恐れるものであろうと思います。

宮崎繁樹明治大学法学部教授

○宮崎参考人 私もこの海底の埋蔵資源についてのことに詳しくはありませんけれども、伝え聞くところによりますと、あるいはエカフェの報告書などによりますと、尖閣列島付近こそが海底の埋蔵石油の本命であるというふうに感ずるわけであります。そういう場合に、御承知のように、尖閣列島の帰属自体について問題がございますけれども、たとえその領有権が日本にあったとしても、そこにあるところの海底地下資源に対して、日本の管轄権が及ぶかどうかということが問題になってまいります。そういう場合に、日本が韓国との間において自然延長論だという形でこの協定を結べば、当然それが先例となってくるというふうに思うわけであります。この問題につきましては、さらに検討を要するわけでございますけれども、少なくともそういうことについての先の見通しも持って日韓大陸棚協定についても考えていかなければならない、そういうふうに考えております。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、大変大事な影響を持つ問題であると私も思うわけでございます。ただ、先ほど来繰り返し申し上げましたとおり、今回の共同開発区域と申しますのは、日韓の主張がそれぞれ差し合っていると申しますか、入り合っている場所についての解決でございまして、そこで、私は願わくは、この協定の共同開発というものを踏み石にいたしまして、あるいはモデルにいたしまして、そして先生御指摘のような大変むずかしいほかの海域についての処理というものの一つの先例にできればと、そういう願いでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 山本参考人に重ねてお尋ねをしたいのでありますが、ちょうど日韓大陸棚協定が、三年前に条約が双方でつくられたわけでありますけれども、その三年前の国際状況、その後、領海十二海里、そして漁業専管水域二百海里、あるいはきょうの新聞を見ますと、ニュージーランドが日本に対して魚と牛肉の取引といいますか、漁業専管水域を近く宣言をするであろう。そうすると、いままでソ連から締め出された日本の漁船が、今度はオーストラリア、ニュージーランドで新しい漁場を求めなければならない大変大事なところになるわけでありますが、このニュージーランドからも漁業専管水域二百海里で締め出される等々、非常に状況が変わってきていると私は思うわけでございます。すでに二十六国の漁業専管水域二百海里を宣言している国がある。しかもその半数以上の十四カ国は経済水域二百海里を宣言をしている。この世界の動き、先生は今後の見通しについてどうお考えでございますか。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  予測が入りますので、大変にむずかしいお尋ねでございますが、ただ私は、やはり従来から日本が海洋法会議において海洋法会議の特定の傾向を日本だけが先取りするということは慎むということを言ってきたことは、これは海洋法会議の将来を考えた場合にも大変貴重な立場であるというふうに評価しているわけでございまして、そこで御指摘の、いま多くの国が漁業水域のみならず経済水域の主張にまで踏み切っている、これに対してどう思うかというお尋ねかと思うのでございますが、これは私としては、やはり先ほどもお答え申し上げましたとおり、大陸だなというものは本来は陸の制度だ、それに対して漁業水域というものは、これは本来海の制度である、大陸だなの制度はたまたまそれが海に関係するために海洋法会議で取り上げているだけである。したがいまして、そういう海洋法の本来の姿というものから見て、経済水域の中に漁業水域的な要素と大陸だな的な要素を混入させて経済水域一本で考えるという主張に対しましては、海洋法の本来のあり方から見て非常に問題なのではなかろうか、やはり海底の問題というものはそういう経済水域の中に含めないで、大陸だな制度という独立の制度の中で処理し、方向を見ていくべきではなかろうか、私はそう考えるわけでございます。ただそれ以上は大変これからの国際社会に対する予測の問題が入りまして、とうてい私のお答えできる能力を超えている問題でございますので、この程度でお答えになりますかどうか、さしていただきたいと思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 お尋ねしたいことはたくさんありますけれども、私いま山本先生のお話に重ねてどうしてもお聞きしたいのでありますけれども、わが国は偽りなく海洋国でございます。つい先日の本会議における福田総理は、今度の領海法十二海里に当たって、日本は世界にかつてない、この領海十二海里の中に特定の国際海峡に関しては三海里凍結をするのだ、いままで先例があるのかという私どもの質問に対して、全くない、海洋国日本であるから、わが国は世界に先駆けた新しい体制で臨むのだ、こういう御答弁がありました。しかし、間もなく開かれる国際海洋法会議におきましては、領海は十二海里、そうして国際海峡に関しては自由通過通航帯になるであろう。さらに二百海里等の問題も世界の趨勢になっている。こういうときに国際海洋法会議に先駆けてわが国が先取りをするということがなぜできないのか。先生のお話では、先取りはしないのだ、こういう御意見でございますけれども、もう一つお聞きをして質問を終わらしていただきます。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答え申し上げます。  私が先取りをしないのが大変評価できるというふうに申し上げました理由は、一つには現在海洋法会議で、たとえば大陸だなの制度あるいは経済水域の問題につきまして、各国の主張それぞれのいろいろな下にぶら下がっているものがございまして、そういう妥協の中で新しい制度ができていくのであろうというふうに考えるわけでございまして、そこで仮に日本が、その中のある一つの傾向を取り出して日本なりにそれを先取りしていくという場合に、海洋法会議ではその別の根っこで同じ先取りをしようとする国が出てくるわけでございまして、そういう点は海洋法会議において日本が本来の主張というものをするというときに、コンテクストと申しますか、文脈の根っこの違った主張と同調せざるを得ないといったような問題も出てくるだろうと思います。私は、海洋法会議で日本が非常に少数派でございますけれども、海底の制度につきましてもあるいは漁業水域の制度につきましても、従来少数派ながらも海洋法の本来のあり方として大変貴重な主張をしてきたというふうに評価しているわけでございまして、ただ、そういう中でソ連その他関係国との交渉の武器を強めるために、国際法に違反しない範囲で、現在の国際法の傾向の中で許されている範囲のものをとる。たとえば一つの例が、今回御審議の領海十二海里法案あるいは二百海里の漁業水域案というものがそういう系譜のものと思うのでございますが、そういうものを日本が最後の武器として取り上げ、採用するということは、国際的には許されることである、そう理解しているわけでございまして、それ以外の問題について、まだ国際慣習法として確定もしていなければ、近い将来確定する可能性も見出せないといったようなものについて先取りをすれば、根っこの違った形で主張しているほかの国の主張に同調せざるを得ないということで、海洋法会議におけるわが国の立場というものは非常に不利になるのではないか、そういうことを懸念しているわけでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 関連しています。もう一問だけさせてください。  世界のそれぞれの国々の考え方が違っている場合に、しかしそれぞれの主張がそれなりに通っている場合に、わが国が先駆けてわが国にとって国益になる主張を既成の事実として今日現在しておく、それはやがて国際海洋法会議でいろいろな議論になるでしょうけれども、一つの既成の事実としてこれは国際海洋法会議に大きな影響を与えるのではないのか。たとえばいま具体的な問題で、けさの新聞に載っております。韓国は忍耐と誠意をもって日本の批准を待ってきたが、今会期中に批准されない場合は、韓国の開発地域である第七鉱区を単独で開発し始めることになろう、こういうことを韓国側はすでに政府見解として発表をしているわけであります。もし、こういう事態になったときに、二百海里経済水域をむしろいまわが国の国会で——今度の国会で二百海里漁業専管水域の法案がかけられるわけでありますが、先日六党が合意をしたわけであります。しかし、まさにいまこそ二百海里経済水域をわが国はここで主張をしておくということによって、やがて起きてくるこうした事態に対して対抗ができるのではないか、私はこういう気がいたしますが、いかがでしょうか。

山本草二東北大学法学部教授

○山本参考人 お答えいたします。  先ほど申しましたとおり、他国との対抗上、交渉の武器として、いわば一種の自救行為とでも申しますか、そういうことをやらざるを得ないというときは、必ずしも国際法上の根拠がなくてもやり得るし、やる国があろうかと思います。  ただ、わが国が、海洋法会議で新しい海の立法行為が行われている、そういう海洋法会議に対処する方針といたしましては、やはり私の理解する限りでは、新しい法をつくっていくのだ、そして新しい法によって裏づけられた枠の中での主権なり権利なりを主張していくのだという立場を維持していられるというふうに私は判断しているわけでありまして、そういういわば国際法で妥当な範囲で、制限された範囲内で、許される範囲の主権なり権利を行使するという態度は、私は国際法から見てはもちろんのこと、憲法の趣旨から見ても大変正当なものだというふうに評価するわけでございます。主権というものは、そういう意味で決して絶対的な権利ではございません。これはいまさら先生方に申し上げるまでもないことでございまして、ただやむを得ず他国の主張に対抗するために、交渉上の武器として、いわば自救行為のような形で法的な裏づけのない主張をすることは、国によってはあり得るかもしれない、その程度でございます。  今回の先生の御指摘のような事態については、そういう意味での自救行為的なものを海洋法会議の中から先取りしてやるという必然性は私はないのではないか。ここらあたりは先生と御判断が違うのかもしれませんが、私はそういう趣旨でございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 三人の先生方に改めて心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 以上で、三名の方の参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本件審査のため大変参考になりました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後一時二十一分開議

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件の審査を続けます。  午後からの参考人として、海洋法・海洋問題研究家麓多禎君、東京教育大学名誉教授橋本亘君、帝国石油株式会社専務取締役吉岡格君、以上三名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  本日は、本件につきまして、参考人の方々の忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。  おな、御意見の御開陳はお一人二十分以内にお願いすることとし、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  御意見の開陳は、麓参考人、橋本参考人、吉岡参考人の順序でお願いいたします。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、麓参考人にお願いいたします。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 どうも、土曜日の午後に、話のまずい男が出しゃばりまして、まことに恐縮でございますけれども、私としては非常に大事なお話を御参考に申し上げたいと思って参りましたので、どうぞひとつ二十分間しっかり聞いていただきたいと思います。  最初に、私のきよう申し上げますことの筋合いは、けさの朝日新聞朝刊の「論壇」に一応出しておきました。あの筋に沿いまして申し上げます。  その前に、私の立場をひとつ申し上げたいと思います。  私は評論家ではございません。国際法の学者でもございません。私は海軍の軍人でございまして、戦争が終わったときに、武器を捨てて海洋法を勉強しよう、そして再び武器をとらないで海を守りたい、この一心に駆られまして、ことしでちょうど三十二年。長うございましたけれども、ここに呼ばれましたことは私としても非常にうれしく、光栄と存じております。  では何の立場でやるかと言いますと、私はやはり昔の海軍の軍人が武器を捨てて海を守るというつもりできょうはお話をいたします。  ではおまえは何をやるかと言いますと、私の職業は線を引くことです。十六のときから線を引いて船の位置を決める。私はきょうは福田総理のために線を引きにきたわけです。それで、私は技術的にも、線を引くことにつきましてはだれにも負けない自信がございます。実はもう三年この話をやっているわけです。  むだなおしゃべりはやめまして、二、三日前にCIAから世界の石油供給の問題が出ました。これが実は私の話の本当の骨子でございます。まずい絵で大変失礼なんですけれども、CIAの報告に欠けているところは、中国の石油は何も言ってない。ところが私のけさ方の計算では、幾ら遅くても大体一九八五年には二億トンを超える。大体一九八〇年に一億二千万トンないし三千万トンを超えるであろうというのが私の推測でございます。その場合に、いささか誇張はしてございますけれども、いまお話しする東シナ海というものが世界の政治にとってきわめて決定的な力になるのです。それで、トインビーが死にます前に、精神的に東アジアというものが将来世界の平和を負うだろうと言って死にましたけれども、私はそれに加えてこの東シナ海の石油というものが非常に大きな力を持つ。だからこそ私も一生懸命勉強しましたし、私は批准に反対とか賛成とか、そんなことで来たのではないのです。青嵐会の右から共産党の左まで私は全部友人と思っております。ですから、そのおつもりで質問のときも何でも聞いていただきたい。  ごらんのとおり現在CIAの問題で一番の点がチュメニです。ソ連にはチュメニを開発する力がない。なぜか。コストが大変高い。これは大慶です。大慶とチュメニの油田のコストをざっと計算しますと、もう問題にならない。非常に安いコストで大慶から油が出ている。大慶の油は、南へ延びまして渤海湾に入る遼河、それから渤海湾に入って黄河の入り口まで来ているわけです。ですから、その大きな資源が開発されてきますと、後は結局中国の工業の伸び方に従ってテンポを速めていく。私は成長率を一応一三%、昨年の成長率が変わらないものとして一応やりました。もっと上がることは上がるかもしれませんけれども、私が調べてみたのがそれでございます。そんなことで、この問題は決して汚職だとかなんとかいう小さな問題じゃないのです。これを開くのに私は大体五百億ドルかかると思う。  これが北海であります。北海は、いま盛んにやっているのがブレントですね。それから、この間出ましたのがフォーティーズ。これがエコフィスク。これはノルウェーです。これの開発費が三百億ドル。それで、非常におもしろいことには、何か相似性があるのです。それは機会がありましたら後からまたお話を申し上げますけれども、これでわれわれは何を学ぶべきかと申しますと、いかにノルウェーとイギリスが真剣になってこの問題に取り組んだか。鉱業法をつくるのに七年かかったのです。  私が申し上げたいのは、今度の応急措置法は鉱業法の特別法です。見ましたけれども、海洋開発に関係の特殊のものは何一つ載ってない。全部日韓関係の、国際関係の契約と義務の問題ばかりです。大変失礼でございますけれども、一生懸命開発されるのだったら、そういうものをやっていただきたい。昭和二十四年のあの鉱山保安法でいいとおっしゃるけれども、しかしそれでは私は何か物足りない、そういう感じを持ちます。  中国の話を最後にするつもりでございましたけれども、中国の石油は現在大慶、勝利、大港、それに遼河の口の盤山、それから益都、これが主体でございます。あとはことしからこの辺も出るだろう。一応私は東シナ海全体で五十七億キロリットル、これはけさ朝日に出しましたとおりで、私も小さな事務所を構えておりますので責任がございますから、一応私が責任を持って計算した。その基礎はメイヤホフに対して二・八の北海の経験係数を入れたわけです。北海が初め何億バレル、現在幾らという数が概算で二・八になりましたので、それを書いた。お手元に配ってありますので、この数字は急ぎましたので大分狂っておりますけれども、まあこんなかっこうで出ていると思います。  これが前座でございますが、以下三つに分けてお話しいたします。  最初は、海底地形と地質の問題と海洋法の関連において、日中関係に結びつけていきたいと思います。次は、経済問題としての海洋石油の開発というものを若干考えてみたい。最後に、社会問題としての一つを、あるいはこれはお話ししたくないので、時間が切れたらこれは申しませんけれども、一応用意はしております。  これは、実はエカフェが一九六九年五月に発表しましたそのものの深浅図を書いてみたわけです。ここで若干の誤解があると思いますので、海底の地形というものは何かと申しますと、浅い深いと表面の性質です。それから地質と申しますのは、これは私は素人でございますけれども、一応その下の構造というふうに考えます。この図は結局浅い深いがどうなっているかということでございまして、私が求めましたピンクが韓国の地形的のたなです。横に、済州島の北に、旧黄河の流れの口がございます。ここで一応地質の問題は別としまして、地形的には区切りがついておる。ここの、済州島のここにあります深みは黒潮の分流が掘ったものです。あとは全部中国の方から延びているということで、一応これは地形としては中国の大陸だなの延長である。大陸だなそのものは日本はもちろんございません。  そこで、一つの問題点としまして、大陸だなを国際法上どういうふうに定義づけるかと申しますと、いろいろございますが、現在のテキストでは、一応コンチネンタルマージン、コンチネンタルマージンといいますのは大陸の一番端ということで、ここにおきましては太平洋の構造として底にフィリピンプレートというのがございます。細かいことは申しませんが、その端が、はっきりわかっていないのですが、太平洋の大きなプレートと分かれまして、例の地震のもとになっておる駿河湾から始まってこっちへ延びてきておる。ですから、ここに海溝がございますが、そこがここでは限界だろう。ということは、東シナ海は全部大陸だなです。それから境界線につきましての問題点として、従来自然の延長ということがございました。自然の延長という自然とは何かと申しますと、これはいろいろございますので、決して浅いとか深いとかいうところではない、地下の構造もある、そのほかに、私はもっと厳密に、経済水域の問題もありますので、いわゆる水の水理構造というようなものをここに載せてございます。  したがって、それの境界を決めますもとは公平の原則であります。公平の原則とは何か。不公平でないということです。したがって不公平ではないということにつきましては、小田教授が前年の裁判のときにいろいろ弁護をやられた、ファサードという理論も、私はよくわからないのですけれども、そういう理論の一つになっております。したがって、浅い深いではなくて下の地質もいろいろ考えた上で、また間口、奥行き、すべてを考えて、不公平にならないようにするというのが公平の原則であって、したがって、使えるところでは中間線も使いましょうということになるわけでございますが、そこで大きな問題が中国との関係になってくる。ここに示しますように中国のたなは自然の——これは間違いないように申しますが、浅い深いでとってきますと大体こういう線になる。これは私が自分で作図したので間違いございません。それから地質の問題としましては、お手元に差し上げた資料にございます、ちょっとこれを私の方で拡大してまいりませんでしたけれども、ここに男女群島、尖閣諸島、隆起帯が、学術上は宍道−台湾隆起帯と申します。その名前は一応エカフェの調査で得たわけでございまして、これがここにある。だから、ここに堆積ができた、したがって、中国も話をすれば、全部これが中国のものだというようなことは言わないでしょう。しかし、ただ現状におきましては、いかんせんこの場合は日韓二国で線を引いてオーケーということになっておる。ところが、この六、七、八という線は中間線。中間線というものは結局日本の場合は権利がない。中国の大陸だなはずっと延びておると中国政府が主張すれば、ここに線を引いても私は国際法上権利がない、こういうふうに断言するわけです。したがって、もしこのような協定を強行いたしますと、ここで中国との関係において今後いろんな問題がある。皆さんも御承知のように、二百海里をつくったってどんどん韓国の船は入ってくるでしょう。それと同じように、ここは中国が掘ろうといえば、どんなことをやろうったって掘れるのですよ。ただトラブルは起こさないようにするから起こらないでしょうけれども。したがって、まあまあそんなにいきり立ってこの問題をがたがた言う前に、もうちょっといま申し上げたようなエネルギーの状態を考えるべきではないか。したがって、ここで前半の御意見としましては、私は失礼だが外務省の松永さんも同じかまの飯を食った仲でございまして、余り言いたくない。言いたくないけれども、また言うことを言わなければならぬということで、やはり日中関係というものはもっともっと真剣に考えていただきたい、これだけでございます。  まあ舌足らずで、時間がございませんので飛びまして、資源でございます。  資源は、私は率直に申しますが、きょうは国会でございます。ここは会社の技術会議じゃない。会社の技術会議なら、しぼって出るような油も、ある、ないというふうな議題になるかもしれない。しかし、ここでは朝鮮と日本の民衆に対して、本当に安い油が出るのか出ないのか、ここで決めなければならぬことです。それで私は、この問題の収益性につきましては、及ばずながら一応考えてみたわけですが、石油があるかないかということは大変むずかしいことでございまして、私もそんなにえらそうな口をきけません。ただ問題は、皆さんがどんな数字を出しても、その根拠というものをしっかりつかんでいただいて、そしてそれが余り国民に迷惑を及ぼさないようなことに考えていただきたいということです。  詳しく申しますと、最初に資源の問題で結論的に申しますと、ここが一応一九七一年のエカフェの調査の修正図、これが日本の地質調査所でつくった図です、英語で出ましたけれども。そこにこういう修正が載っておったので、ただ皆さんに注目していただきたいのは、あるかないかということより以上に、中国というところとどういう関係をしているか。仮にここからここを開発したら、中国にパイプを引かなければコストが合わないのです。それが一番大事なことなんです。それは北海でもごらんになったように、北海のパイプは全部ノルウェーのものもイギリスに引いている。もちろんノルウェーに行く話もございましたけれども、しかし根本はコストの問題。だから私は、けさほど油がないように言いましたけれども、もちろん私も、実は前の西日本石油開発が——フォッズ常務が来てから、ミスター・フォッズとはずっと一緒にやっておりましたので、そんな関係で、ここを掘ったときに油も見ました。出たのです。出ても結局どうにもならなかった。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 したがってここを、私は古い資料をもって申し上げるように思われるかもしれませんけれども、ただここはあくまで外務委員会であるということにしますと、やはりここは戦術の問題でなくて、戦略の問題を考えなければならないということで、収益性というものがまず第一に来るとすれば、やはり収益性のある油というものが出るということは私は絶対言えない、そういう結論に達しているわけです。  それで、いろいろと御意見もありましょうが、これは急遽つくった図なので、これがエカフェの一番最初の図です。紫色のところに一応堆積が二千メーター以上ある。もちろん堆積が深いからいいというのではございません。しかし、いろいろ拝見していると、堆積が深いから油があるというようなことを言っておられる方もあれば、私がいただいた資料の中には、浅いのもあるんだというものもある。だから、私は一応こういうものがありますよ、それはここにはかかっておりませんよと。むろんこういうところ、ちょこちょこありますので、全然ないというようなことは私は申し上げません。ただ、ここはあくまで会社の技術会議じゃないのです。それをよく皆さんお考えになっていただきたいと思う。したがって、いまの七一年のエカフェの図を使いましたのは、そこのお手元に差し上げた私の資料に載っておりますので、したがって、その意味におきましては、この図と前の図とちょっと違いますけれども、これはあくまで技術的な問題であって基本的な問題ではない。要するに皆さん方によくわかっていただきたいのは、千メーターでも掘れるとおっしゃる。千メーターのコストが幾らになるかということはおっしゃらない。そこで私は、わざわざ及ばずながら、フランスの石油研究所のカーブを持ってきてその資料に書いてございます。あれは本当のイラストレーションではございますけれども、あれもやはりこういうように高くなっておるというところでごらんになると、八十五メーターのところに思案点が一つある。ということは、この海域につきまして八十五メーターのコンターはここにある。したがって、全般的にコストが商い。  なおこれを分けますと、一応これが二百メーターより深いところ、これは千メーターより深いところ、そしてこれがいわゆる隆起帯。もちろん、申しますようにエアガンで調べるという方法があるわけです。ですから、私が申し上げることは何から何まで正しいとは思っておりません。ただ、エアガンの前の強力なスパーカーでやる程度のものがやはりここでは一番論議してしかるべき材料である。まあ私はここまで来ましたので申し上げますけれども、一人の市民として非常に疑問に思うのは、この海域のピンクのこちらが日本石油開発という会社の鉱区になっておる。それで日本石油開発は、一九七一年に三千五十キロメーターの間航走したこのエアガンの調査をやっておる。それは企業秘密でしょうから、私は知りません。知ろうとも思わない。ただ、それによってはっきりわかって七億キロリットルという数字が出るのならば、それは社長みずからここへ来て説明すべきである、私はそう思う。それだけ大事なことじゃないですか。  そういうことで、一応資源のことにつきましてはなお細かく割りますと、これは私はタッチしたくなかった図なんです。ところが、図をかいてみたら余りにおかしいものだからかいてしまった。十分理由はあるでしょう。ピンクが日本石油開発です。これが帝国石油です。これが西日本石油開発。これで見ますと、先ほどごらんになったように、こちら側はがけっ縁ですよ。がけっ縁をもらったところがある。いいところ、ここだけ持っておる。なおおかしいことがある。議事録をごらんなさい。調査費というものは批准にさかのぼってもらえるようになっている。ということは、日本石油開発一社しか調査費はもらえないのです、現実的に。私が幾らもらおうなんてけちなことは言わぬ。言わぬけれども、そういう疑問を少なくとも私に持たせたということは、やはり私としても若干心に残ります。  いろいろございますけれども、要点は、そこへ行けばまずまずお話の要点は尽きてしまうのですが、汚濁の問題といたしましては、一応ここは開発区域、ここは産卵区域、こんなに海流が分かれている、こういう大変なところだということを一応ごらんになっていただきたいと思います。そういうことでございますので、後ほど細かい点はまた御質問にお答えいたします。  大変勝手なことをえらいハッスルいたしまして、きょうはいささか土曜日なものですから、本来ならばどこかでゆっくりしているところを参りましたのでお許しを願いたい。失礼いたしました。(拍手)

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 ありがとうございました。  次に、橋本参考人にお願いいたします。

橋本亘東京教育大学名誉教授

○橋本参考人 橋本でございます。きょうは、私の二十年にわたって講義をしておった石油地質学のことに関しまして、この委員会でいろいろ自由な見解を述べさせていただけるということを非常に光栄に思います。  それで、会社の技術会議ではないそうでございますけれども、私は学者としての自分の立場から、いままで研究しておったことについて少し申し上げたいと思います。  それで、ずばり結論を真っ先に申し上げておきます。それは、私がこれからしゃべることは非常に専門的でございますから、おわかりにくいことだろうと思いますので、結論を一番先に申し上げておきます。問題になっておるこの地域というものは、日本の近海におきまして残されている非常に有望な地点である、そういう一つである、こういうことをまず申し上げておきます。  それをなぜそういうふうに価値判断をするかということをこれからゆっくりお話ししていくわけでございますが、それについて、油田の価値判断とはどういうふうにやるのか、それから油田の探査とは一体どういうふうにしてやるのかという、いままでの十八年間の講義、大概半年やっておったものをここで大変なダイジェストをして数分のうちに申し上げます。  油田の価値判断ということ、それはどういうふうにするか。油田ができる条件とは一体何なのか。その基本的な条件のためには、有機物のたくさんある岩石、それを母岩と申します。それから石油をためるのに都合のいい岩石、これを貯留岩と言います。そして、この貯留岩の中にせっかく石油がたまっても逃げるといけませんので、これの上にふたが要ります。これを蓋岩。ふたの岩と書きます。そのふたの岩が必要なんであります。ところが、これだけではまだ油田ができないのでありまして、これが油をためるのにいい構造をしておらなければなりません。それはどういうものがいいかというと、いろいろございますが、一番いいもの一つだけ申しますと、それは背斜構造でございます。背斜構造というようなものは変形を受けてできるもので、堆積物ができた当初から持っているものではございません。  それで、まずこの条件をどういうふうに満たすかということをやると、確かに母岩が厚いところというものにはいい石油をつくり出す能力がたくさんあります。ところが、その中の有機物がどうあるかということが問題でございます。それで、陸上でありますならば、われわれはその目的とする地層の周りのところ、それが露出しているところへ行きまして、つまり油田にならない方へ行きまして、その有機物の含有量その他を調べます。それから貯留岩の性質がいいか悪いか、こういうようなことは、地表ならばすぐそこでサンプルをとって調べることができます。そういうことができないのが海洋調査の特徴でございます。  それで、要するに探鉱の方針としては、厚い堆積物が広い範囲に堆積しておった、まずこれは非常に大事なことであります。その堆積区からどういうふうにするか。石油はあのように液体でございまして、そしてできたところからたまっているところへ必ず移動しているものであります。この形式に第一次移動と第二次移動の形式がございます。しかし、詳しいことは別といたしましても、とにかくそういうときにどういう移動の仕方をするのか。こう申しますと、石油はできつつあって、水と親和力を持っている間にその地層の傾斜面の上方の方へ向かって移動してまいります。ということは、厚い堆積物のある周辺の方に向かって移動しているということなんであります。そうすると、厚い堆積物のあるところでどこに行ったら母岩と貯留岩とがどんなふうになっているかと申しますと、常識的に言いますと、高まりのある方角に砂っぽいものが多いのでありますが、まあここではそういうめんどうくさいことは言わずとも、厚い堆積物の端の方にあるということを言います。それですから、私たちが一番気にいたしますのは、厚い堆積物のある盆状のところとそれが薄くなってくる高まりのあるところ、この間のところをヒンジゾーンと申します。このヒンジゾーンをねらうわけでありまして、そこのところに変形を受けた地層がありましたならば、これが一番いいことになるのであります。  そういうところを調べるその手順といたしまして、この調査というものは企業の根本の死命を制するものでありますが、一番初めには大ざっぱな、そそくさとやってしまっても大づかみに物を見るという調査が必要であります。それから今度、それならばこの辺に行ったらどうあろうかということを考えて、そういうところへ少しずつ詳しい調査を行ってまいります。そういう手順で言いますと、それでもその最後の決め手と申しますものは、この中に油があるかないか、それから母岩の性質がいいか悪いかは、海底のときにはどうしても掘ってみなければなりません。陸上だって最後の決め手は掘ってみなければどうにもなりません。これはもう石油業の宿命でございます。  それでもって、そういうことにおいてやってまいりますと、これを導入としまして、それではこれからどういうふうにしてこの中の東シナ海の石油資源を理解したらいいか。こういうことで多くの方がお持ちになっておられる資料はこのCCOPのテク二カルブリティンの二号の中に出ているのだと思います。それより前に出たものもちょっとございますし、それから後でこれがいろいろなふうに利用されてまいります。ですから、CCOPのブリティンの中で後に出てくる六、七、こういうところに出てくるようなものは皆これを使っておるものでありますので、このエメリーのところから申し上げます。この報告についてまず一番先に申し上げます。  これは御本人が一番最後のコンタルージョンに書いております。あくまでプレリミナリーリポートだ、プレリミナリーサーベーだということを言っております。それは出力がわずかに三万ジュールのスパーカーを使っておるのでありまして、スパーカーというものは手っ取り早い仕事をするには非常にいいのでありまして、後で尖閣群島のところを日本の方で調査しましたときには、十二万ジュールのものを使っておりますが、しかし両方とも、その報告書をごらんになればわかるように、多重反射と申しましていろいろな反射がごちゃごちゃになってしまいまして非常に読みにくくなるのであります。そういう欠点もありますし、それから出力が弱いために下の方がよくわかっていないので、これは亡くなられた共同著者であります新野教授が言っておられましたが、あれはエメリーが神わざ的によくやった、実際に精度として信頼度の高いところはあの機械なら一キロメーターぐらいだ、それをときには三キロにも及ぶところ、二キロのところを平気で読んでいる、実に大した腕だ、こういうことを申しておりました。  それで、まず信用度といたしまして、三万ジュールのものを使っておりますから、その新野さんの説に従えば千メーターはいいでしょう。そういうときに、いろいろな地層の厚さで二キロになり三キロになり、いろいろな値が出ております。そういうことで、それからまず始めていただく。そうしておいて、私があれを見ましたときに、毎回送られてくるものですから見ますと、一番先に気がつきましたことは、台湾の上にまで——その前に、この論文では地層を分けまして、一番下の基盤、つまり石油にとっては役に立たないもの、その次に変形を受けた堆積岩、それから変形を受けてない堆積岩、この三つに分けているのです。そうすると問題になってくるのは、変形を受けている堆積岩というものは非常に大事なものでございます。変形を受けていない堆積岩、こういうものが非常に広く東シナ海の上を覆っているわけであり摂して、そしてこの本の中にちゃんと書いてございます。それは変形を受けていない岩石が堆積する前の海底の高まり、そういう物の上の方へ行くと、そこに初めてディファレンシャルコンパクションといいますが、差動圧密と申しますか、それを受けると、周りが沈降の割合が高いものですから、ここに初めて傾斜ができる。つまり石油をためるのに必要な構造はそういうところへできてくる、こういうふうに書いております。  そのときに、もう一つ彼らがここの全体の有望性をうたうために使っておる言葉があります。それはここの一番上の堆積物、変形していない堆積物のまた表面のところを見ると、それは大陸側から供給された物で、河川の影響を受けておって非常に栄養的である。しかも栄養的な水を持っているだけに、その原生の海底の堆積物には有機物がたくさん入っている、こういうことを言っております。  そして、もう一つ大事なところを見ていただきたい。それは急速な堆積をしたものである、こういうことを書いております。それだから、この方面の深いところにはたくさんの石油ができる可能性があるということを実は申しておるんです。急速に堆積したというのは何かと申しますと、石油は御承知のように炭化水素でありまして、これは還元環境でなければできないものであります。還元環境というのは、私ども学生のころと違いまして、すぐその後で非常に急速な進歩をしたものでありますから、たくさん厚い地層がたまるようなふうに早く堆積が起きてくるということが非常に大事な条件だということがわかってきておるのでありまして、そういうものである。それだから深い方になってしまっている地層にもそれが入っておるだろう、こういうふうに言ってここの価値をうたい上げておるのであります。  ところが、図面を拝見しておりますと——もう一つ言っておきますが、それはこのエメリーたちの報告書の第十三図というのに一つのアイソパックマップ、等層厚線図といいます、間違うからソウコウとは読みません、ソウアッと読みますが、そのアイソパックマップを示しておりまして、これは海が浅いし、いきなりこのまま下の方のデフォーメーションしていない地層の頭の高さの構造だと受け取ってよろしい、こういうふうに書いてございます。  そういたしますと、先ほど申しましたアップディップの方へ、傾斜の高い方へずっと油が動いていっているだろうということを見ますと、そうするとこの中で中心部から左右と、まあそう簡単なものではありませんけれども、そういうふうに受け取ってみれば、ベースンの半分のものは沖繩側へ、半分のものはシナ大陸側へ動いておる、そして北の方の部分は朝鮮半島の方へ向かって動いておる、こういうことになるのでございます。これはあくまでも変形を受けた後の堆積物であります。  ところが、この変形を受けたことのない堆積物と言っている物が台湾の上にまでかかっております。これがどうも私納得できません。それでよく考えてみますと、それにはそれなりの理由がありそうだと思って、私の研究とはおかしいなと思っておりましたら、尖閣群島の調査報告が手に入りましたときに初めて理由がわかりまして、それは三万ジュールのものでありまして、実に不正確なもので、十二万ジュールのものをやった結果を見ると、そこにおける尖閣群島かいわい、それからもうちょっと北の方、そういうところですと変形していない堆積物は五百メーターぐらいしかありません、せいぜい千メーター。そして西の方へ行きますと、われわれが不整合と言って、地層の境を決める、特に石油の場合には重要なものになりますが、それがわけがわからなくなっていってしまう。だから、わからないなりに全部を一緒くたにしたなということがわかります。そして、なおそのほかに尖閣群島の調査をしますと、そのデフォーメーションを受けておる地層の中にもその二つの地層が不整合で境しておる、こういうことを書いております。  そして、こんなようにしてやってきて、決して彼はどこがいい、ここがいいというのは、単に台湾の東北に二十万平方キロメーターでしたかの地域が最もいい、こういうことを書いて、黄海の方のベースンはこれはセコンダリーなものだということを書いております。ところが、こういうふうにして見ると、その若い変形していない地層が横たわっていて、そこへ突っかかるようにしてダウンアップしたということを書いておりますように、その変形しておる地層というものの中のことはもう言わずもがなであって、この本には言っていないのでありまして、その地層の厚さのことは非常な問題になるものだということをひとつここでよく認識していただきたい。  それで、そういうことについては言わずもがななもので、そしてさっきちょっと隆起という言葉をお使いになりましたが、これを見ると、あくまでも台湾−宍道フォールデッドゾーンといいまして褶曲帯という言葉を使っております。そういうことはちゃんと意味がありまして、この褶曲の中に適当な構造があれば油がありますよということを言っておるわけでございます。そうすると、九州の北部からずっと台湾の北の端へ行くようなこの長大なる摺曲帯の中に、しからばどこに油があるか、簡単にわかるものではございません。しかも、こういう三万ジュールぐらいのものを使っておったのではこれは全く初めの、御本人がお書きになっておるようにプレリミナリーなサーベーでございます。その後、これから準精査なり精査に移っていく、その段階のところに一つ出てくるのが三回にわたって行われました尖閣群島の付近の調査でございまして、もう一つは日本の地質調査所その他で行っておりました九州の西側のとこいらの問題でございます。  それで、そういうところにおきましての新しい材料をいろいろと拝見してまいりますと、そうすると、正確にどの辺というふうに位置を記入して——正確ではなく大きなああいう縮尺のものに記入してみておりますが、それでも、この問題の地域の南の三分の一ぐらいのところにあります非常に大きな厚い堆積物のある地域がありまして、五千メーター以上の地層のあるところ、紡錘形になっておりますが、長さ大体二百キロぐらい、それから幅にして五十キロぐらいあります、それを今度三千メーターの地層の厚さのところで広げてみますと、そうすると南の方はクローズしておりませんでどこまで行ってしまうか見当がつきませんが、あの中では北の方へ向かって閉じていくかっこうをとります。それで、そういうところがありまして、そうするとここのところは非常にいいものがあり得るということであります。そして、もう一つ重要なことは、この位置を外れたところで、この大きなやつの延び先のところに、北の延び先のところに掘った井戸がございます。油徴というものは油の直接の証拠として非常に大事なものでありますが、ここで廃鉱にしました井戸の中からすでにドラムかんで二百本ぐらいの油を試油期間に取っております。これはりっぱな油徴でございます。それですからこれは間違いなく油のあるべースンに間違いございません。それですから、この中にいいところを見つけさえすればそれがあるので、私の手元にあります材料では南の三分の一についてそれがございます。それですから、北の方に行きますと、今後その概査が進みますと非常にいいことがわかる可能性は十分ある、こういうふうに判断いたします。それでいま時間切れでございますので、結論は最初に申しましたように、こういうことであります。  そして、ついでに申しておきますが、尖閣群島の調査結果と比較しますと、こちらの方の精度が余りにも違うもので、比較するのが気の毒であります。しかし、両方とも非常にいいところでしょう。だけれども、いまの問題になるところの南半分はそれにまさるとも劣らぬ、尖閣群島にまさるとも劣らぬぐらいに私は思っております。簡単に二百キロ、五十キロと申しましたが、ちょっと汽車の距離でお考えいただければ、あるいはわれわれが大きな油田を持っております秋田のベースン、それから新潟のベースン、こういうものがすっぽり入って余ってしまうのでありますから、そのぐらいりっぱなものがここにあるぞ、こういうことを申し上げておきます。とにかく早いこと掘りませんと、こんな大きな地域の価値を判断して、そして第一船が日本に油を運んでくるような状態になるのには七年ぐらいあるいは八年かかります。そうしますと、いまからすぐ始めて七、八年かかったら一体どうなるのですか。一九八五年の話になるんですよ。そうすると、そのときに世界の石油事情は一体どうなっているでしょう。そういうようなことをお考えくださると、私は、こういうところを見逃がしておく手はあり得ない。  それで私は、採算のことはわかりませんから、十分御検討になって、やれるものならおやりになったらいいと思う。それで鉱害のことは皆さん御心配でしょうからいろいろなことを十分注意して掘るようになさったらいいので、もしもそれでも万一ということがあるということで、それで掘っていけないというような議論があったら、それは柳葉の出刃包丁や果物ナイフで人を殺したからそのナイフをつくってはいけない、こういうような論旨に発展していく可能性のある問題だ、こういうふうに私は思いまして、それでもって、とにかくこういういいところを早いところ掘っていく。それで日本のいまの技術をもってしますと、北海のいま最盛期に入りかかったといっていい、そこの開発の成功率とほぼ同じぐらいの成功率です。それをそうでない、日本のはもっとひどいところを掘るわけですから、それでもこんな成功率を上げている技術を持っているということをちょうちん持ちをしておきたいと思います。日本のことをもう少し御信用願いたい、こういうふうに思います。  以上でございます。(拍手)

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 ありがとうございました。  次に、吉岡参考人にお願いいたします。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 帝国石油の吉岡でございます。  御承知かと存じますが、私どもの会社の沿革を簡単に申し上げますと、昭和十六年に従来ございました日本石油、日本鉱業等の石油会社の鉱業部門並びに地方にございました石油鉱業の会社全部を統合いたしまして、国策会社として発足をいたしました。昭和二十六年に占領軍司令部の指示によりまして国策会社でなくなりまして、民間会社になりまして、自後今日まで至っておるわけでございます。当初の事業は申し上げるまでもなく秋田、新潟等裏日本の内陸の油田、ガス田の開発がもっぱらの仕事でございました。相当長い間、秋田の八橋油田というような油田につきましては御記憶もおありかと存じますが、大体三十年代の末ごろまではどうにかある程度の生産を続けてまいっておりましたが、もう最近ではかなり内陸はくまなく開発を進めているという形で、もちろん現在でも試掘は続けてやってはおりますけれども、現在では大きなものは期待できないという状況になっております。それで、約十年ぐらい前から海外の方に出ることにいたしまして、東南アジアとかアフリカとかいう方面に単独で出たものもございますし、他社と共同で出たプロジェクトもございますが、幾つかのプロジェクトをやっております。また、そうこうするうちに海洋の油田、ガス田の開発技術が進んでまいりましたので、また日本周辺の大陸だなに着目いたしまして、現在懸命に周辺の試掘を行っておりまして、大陸だなにつきましては、現在までの試掘本数は、当社だけで、裏日本を加えますと、約二十二坑ぐらいになっております。  そこで、私ども石油開発業界が当面直面しております問題といたしましては、一九八〇年代の中ごろに必ず到来すると考えられております世界的な石油不足の危機にどう対処するかという問題でございます。御承知のように、石油事業というのは、探鉱作業を始めてから幸いに成功いたしまして油が出るまでには、かなり順調にいった場合を想定いたしましても七、八年はかかるわけでございます。一九八〇年代の中ごろと申しましてても、そういう意味からいたしますと非常に時間は切迫しておるわけでございます。特に私ども心配しておりますのは、日本は御承知のように資源が非常に貧困でございますし、それから油の自給率というものも、われわれの懸命の努力にもかかわらず、あるいは政府、公団等の御援助にもかかわらず、まだ低いわけでございます。その八〇年代における世界の不足という状態におきまして、そのように自給率の低いわが国が相変わらず世界で二、三を争うような大量の消費が許されるかどうかということを考えますと、はなはだ危惧にたえません。したがいまして、われわれ何としても一刻も早くみずからの手による油を一キロでも多く、これは国内ばかりではございません、海外も含めて、何とかわれわれの手で開発を進めるということが国際的な責任にもなっておるかと存ずる次第でございます。  その意味におきまして、私ども、懸命に大陸だなもやっておりますけれども、大陸だなで申し上げれば、そのうちで最も有望であり、大きな量が期待できます日韓大陸だなの開発をまず早く進めていただくということが今後の石油の方針を決める場合においても重大な意義を持つと考えまして、この地域の開発を一刻も早く始められるように熱望しておる次第でございます。  簡単でございますが、以上で終わります。(拍手)

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大坪健一郎君。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 土曜日の大変お忙しい、かつ週末の時期にお越しをいただきましていろいろ貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。二十分という限られた時間でございますので、要点だけ御質問をさせていただきたいと思います。ひとつ簡潔に御返事をいただければ非常にありがたいと存ずるわけでございます。  最初に麓先生にお伺い申し上げたいのですけれども、昔海軍におられて、日本の国益について非常に御関心がおありだということで、御説明とその全体的な戦略的なお考えには非常に敬服をいたしておりますけれども、今回の日韓大陸だな交渉と、その結果としての協定締結の問題に関連して、先生は反対のお立場のようでございます。その論拠を伺いますと、一つには、けさの朝日新聞に要約して出ておりますけれども、国際法上の議論として、たとえ自然延長論をとるとしても、日本は決して韓国に譲る必要はないんだというような御議論のように承るわけです。中国と韓国との間に横たわっております海底を国際法上は同一の大陸延長、自然延長と見て、韓国政府と中国政府がもしこれについて話し合いをするとすれば、国際法上の過去数十年かかってできてきました法理及び現在海洋法の審議で議論されております法理に従いまして、公平の原則とそれからその他考慮できるいろいろの事情を考慮して、合意に達する線ということになる。そうなれば、大陸及び半島の自然延長としては中間線にならざるを得ないのではないかと私どもは考えるわけですけれども、そういう国際法上の理解は先生の御意見によると通用しない、こういうことでございましょうか。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 ただいまの御質問にお答え申しますが、ちょっと私はわからないのですが、いまの御質問は日本と中国の中間線が結局問題でございますね。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 中国と韓国が大陸だなについて争う場合には中間線論にならざるを得ないのではないだろうか、国際法上。地質学上の問題ではなくて。そういう議論は成立しないとおっしゃるのでしょうか。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 中国と韓国の問題ですね。  中国と韓国との間の大陸だなにつきましては、一応これは経済水域とも関係もございまして、主体は黄海にございます。それから東シナ海の方は、東シナ海の大陸だなの自然延長ということから見まして、東シナ海としましてはたなは地形上、地質上中国ということになりますので、一応ここでは中間線というものは本質的には権威はないものと私は思います。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 それは先生のお考えでしょうけれども、一応大陸だなをどう定義するかという国際法上の議論から言うと、沿岸国の大陸だなは当然その国の領海を超え、その領土の自然延長全体にわたり大陸の外縁まで、こういうことになっておりますね。コンチネンタルマージンの外縁まで。そして沿岸国の権利として、天然資源を開発するための主権的権利がある。そして境界の画定については、隣接国であろうと、相対国であろうと、いずれにしても公平の原則に従って合意によって行われるものである。うまくいけば中間線をとりなさい、うまくいかないような場合は関連ある状況を考慮に入れて何とか合意に達しなさい、こういうのが国際法の原則ではないかと思います。それで先生のお説は、そのうまくいかない場合に考慮すべき一つの要素を大陸だなの境界決定の基本的な要素のようにお考えになっているように思いますが、いかがでしょう。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 お答え申します。  大陸だなの境界線と申しますのは、言葉で言うことはきわめて簡単なんですけれども、実際に当たりますとそう簡単にはわからない。それでわざわざ図をかいたわけでございますけれども、この中国と韓国との問題、これにつきまして私が一つの……(大坪委員「簡単にお願いします」と呼ぶ)わかりました。いまおっしゃいますのはここでございますね。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 国際法の問題をお聞きしておるので、地形の説明を聞こうとしておるのではありません。国際法上、つまり日韓大陸棚協定も国際法上の問題を議論しておるわけです。日中についての将来起こり得る問題は国際法上の問題でございますから、国際法上の問題をお聞きしておる。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 国際法上の問題ということは、机上の論争ではございませんで、結局は具体的な地形、地質の問題になってくるわけです。ですから、一応国際法の議論、議論と申しますけれども、実際は机上の空論ではないわけです。したがってこの区域で見ますと、具体的に一応中国のために、中間線としてここまで入ってきているということは大変な問題であります。したがって、ここの線そのものに大きな基本的な問題がある、私はそれを申し上げておるわけです。  ちょっと説明が悪いかもしれませんが、よく理論と実際という問題で海洋法の問題がいろいろ議論されますが、私が自分で線を引いてやっているのはそういう意味なんでございまして、そのところを履き違えると、これはとんでもないことになってしまう。そこで、こういう色づけまでしてみたわけです。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 それでは麓さん、結構でございます。  吉岡さんにちょっとお聞きしたいのでございますけれども、実はきょうもいろいろ議論がありまして、先ほど麓先生の方からも、調査はエカフェの調査を主としてでございますけれども、問題になっておる大陸だなの近辺、あるいはそれから南に沖繩海溝に沿って存在する大陸だな外縁部、ここには石油は余りないぞというようなお話があるようですけれども、たしか吉岡さんの会社は鉱区の設定を申請されていると思いますが、御調査をされて、見込みがあっておやりになるんでしょうか。その辺をひとつ御説明いただきたい。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 お答えいたします。  私どもの方が出願をいたしましたのは、まずエカフェの調査資料を検討いたしまして、有望だということで出願をいたしましたのでございます。その後におきまして、東シナ海の大陸だなにおける有望性につきまして、当社におきましても独自の調査をしたいと考えておりましたのですが、問題の地域でございますために、周辺の島々等の地表、地質の調査を実施してはおりますけれども、直接現在の出願区域に対する調査はできないで現在に至っております。  同じく出願をされております日本石油開発が、すでに四十五年ごろに実施をされました弾性波探査の結果をいただいておりますので、それを簡単に申し上げますと、これは日本石油さんの鉱区とそれから私どもの方の出願地域にも若干重なっておるような範囲でございますが、この地域の中央東寄りを北々東から南々西方向に台湾と五島を結ぶ隆起帯が走っておりまして、この隆起帯の東側と西側に第三紀層の厚く堆積する海盆——トラフという術語でございますが、海盆が形成されていることが判明いたしました。  西側の堆積盆地は古第三紀層、新第三紀層からなっておりまして、その厚さは三千メートルに達するものでございます。これらの地層には雄大な背斜構造も認められ、石油、天然ガスの賦存の可能性はきわめて高いと考えられます。事実、本地域のすぐ北方で掘削されました西日本石油開発会社の福江沖試掘井、深度四千メートルでは、新第三紀層中に石油の徴候を確認しておりまして、その南方延長に当たる本地域は、きわめて有望な地域であると申せると存じます。  次に、隆起帯の東方日本側の東海盆でも、古第三紀層、新第三紀層が約六千メートル堆積しておりまして、これらの地層も雄大な背斜構造、断層構造をつくっており、石油探鉱上きわめて有利な地質条件を備えておると思われます。  出願区域の約百キロメートル北方の当社天草沖試掘井、四千十メートルの深度でございますが、では新第三紀層中に数カ所天然ガス及び油徴を認めておりますので、その南延長上にございまして、しかも堆積量と地質構造の雄大な本地域は、石油探鉱上きわめて有望と考えられる次第でございます。  以上のように、いろいろな資料を総合して専門の担当者の検討をいたしたところによりますと、本地域の可採埋蔵量は少なくとも七億トンを超えるものと計算されるという資料がございます。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 そこを採掘したいという御希望をお持ちのようですから、当然お調べになるんだろうと思いますけれども、たとえば北海で、すでにイギリスが成功してイギリスのエネルギー事情は一変をしておる、非常に強い立場になってきたということも聞いておりますけれども、コストその他の面ではどのようなお考えでございましょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 開発時まで計算するということは、やはりその段階段階になりませんとなかなかむずかしいのでございますが、試掘等につきましては、日本の大陸だなで数本を打っております経験からいたしますと、一本につきまして二十億から二十五億ぐらいの金がかかるのではないか。そのほかに地震探査をいたします場合に、キロメートル何十万円というような計算は若干はいたしておりますけれども、正確な金額はもう少し進んでからでないと、的確なことは申し上げられないと思います。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 吉岡さん、結構でございます。  時間がありませんので恐縮ですけれども、もう少しお聞きしたいんですが、橋本先生に先ほどから地質学的な大変御造詣の深いお話を承りまして、私どもも素人でわかりにくい点もございましたんですけれども、大体褶曲構造の周辺部、堆積物の周辺部に石油がある可能性が非常に強いというお話でございました。いまの吉岡さんがおっしゃいました日本石油開発ですかが行われた調査というようなものは、企業側の希望的観測も入っておるかもしれませんけれども、先生の御専門の目から見てどのように評価できるものでございましょうか。

橋本亘東京教育大学名誉教授

○橋本参考人 お答えいたします。  私の説明が早口でおわかりにくかったと思いますが、厚い堆積物のある周辺部の褶曲にはいい油があるんだと、こう申し上げたんです。  それで、そういう観点で申しますと、いまのお話、詳しいことを図面の上で見ませんけれども、その厚い堆積物のあるところの近くにある雄大な褶曲構造ということでありましたならば、これはもう何といっても探鉱という目から見たら第一級にランクされるべき性質のものだと思います。しかもそこに油徴がある、こういうことになりますと非常に大きな魅力だと思います。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 もう一つ橋本先生にお伺いしたいのですが、俗に石油の関係は、この事業に従事される方は、大変失礼ですけれども昔から一種の山師呼ばわりをして、出るか出ないかわからない物を一生懸命掘っておる。一たび当てれば大変な億万長者になるというような話しがアメリカなどでもよくございましたけれども、本来多少の危険を冒しても積極的に探鉱すべきものなのか、よほど事情を確めて安全性を見た上で採掘すべきものなのか、これもひとつ御専門の立場から御説明いただきたいと思います。

橋本亘東京教育大学名誉教授

○橋本参考人 お答えいたします。  非常にむずかしいことなんです。それはどういうふうにそろばんの上に乗ってくるかという安全性をたたいていく限度がございます。それで、それは私ども横で見ている者にとってはいろいろとやりにくいことがございますが、十分に調べてかかっているのが原則のはずでございます。それだけお答えいたします。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 そういたしますと、もう時間が余りございませんので、午前中からずっとやってまいりました議論のことを考えますと、東シナ海をめぐってわが国と中国と韓国と三つの国が直接この大陸だなの地下埋蔵物についてその権益を主張しておる、あるいは将来その主張によって交渉事なり国家の接触が起こるということでございます。私どもといたしましては、可能な限り積極的に早く問題に手をつけるべきだ、ただし禍根を残すようなことがあってはならない、こう考えておるわけでございますけれども、いままでの私どもの主張と野党側の主張とで非常に違っております点は、積極的に開発する必要性がいまないのではないか、もっと待てばいいではないかということですが、ただいま伺いますと、探鉱してもしそこに油が見つかったとしても、これを取り出すまでに八年以上かかるというようなことでございますが、国際的な情勢から見ればこの八年という時間は非常に貴重な時間のようにも思われるわけでございます。  吉岡さんに、石油企業に従事しておられる御関係者として、国際的な石油事情から見て、わが国の国益に従って石油を確保する、そういう社会的責任もお持ちの石油会社として、日本と韓国との間で妥協が成立をすれば日本が相当量採取できると思われるこの共同開発地域について、あなたの御意見をひとつ伺わせていただきたいと思います。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 私どもも最初は当然のように中間線理論を持っておりましたけれども、その後の経過を見ておりまして、やはり一つは海洋法会議が非常に早く進展をして、それによりまして鉱区間のいろいろな問題を解決する基準がはっきりするというような期待を持っておったわけでございますけれども、海洋法の方がごらんのような状況でございまして、従来の中間線理論がむしろだんだん後退をいたしてくるような状況で、しかもどんな結論が出たとしても個々のケースは結局当事者間の話し合いによらなければならないということも明確になりましたので、やはり国益を考えて早い開発を望むとすれば現在の線でやっていただくということが一番いいのではないか。現在までは韓国側も単独開発は見合わせていただいておるようでございますけれども、このままで続きまして、もし単独開発でもやられますと、後どういう紛争になるか、どういうふうにして参加できるかというようなことも非常にむずかしい問題だと存じますので、現在の線でお進めいただくのが一番よいと私は考えております。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 お三方どうもありがとうございました。非常に重要な問題でございますので、きょうの貴重な御意見をありがたく拝聴させていただいたわけでございます。これで終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 安宅君。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 吉岡さんにお伺いしたいのですが、いま最後の御質問がございましたが、外務省が最近出したパンフで、韓国の朴政権が単独でやるということがきょうの新聞あたりに出ているのですが、あなた、日本の開発会社のしにせである帝石の取締役という立場で見て、単独開発できるでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 開発ができるかということでございますか。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 韓国が単独開発をやるぞと言っていますが、やれると思いますか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 やろうと思えばできるのじゃないかと存じます。技術的な問題でございましても、向こうの韓国側にも韓国独自でなくてメジャー等が参加しておりますし……。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 韓国独自ではやれない。つまりカルテックスならカルテックスというところがついておればカルテックスが掘ることはできるけれども、韓国はやれない、こういうふうに理解していいですね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 技術的な問題だけでは、そういうことが言えるかと存じます。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 わかりました。つまりそういうことは、外務省のパンフというのはどうもインチキだということになるわけで、そんなできっこないことをおどかしたって何もびっくりする必要はないということだけはよくわかりました。これはカルテックスとの関係、いまのカーター政権との関係、それと韓国との関係、これを見れば明らかなんで、私どもはそういう政治判断は別にいたします。ありがとうございました。それで結構です。  それから、続いて御質問いたしますが、あなたの方で五十一年の春からガルフと共同で沖繩県の那覇市南西沖約百十キロメートル、水深二百十メートルの試掘一号井というのですか、これはウエスタンオフショア号を使って掘ったけれども失敗した、これは事実でございますね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 事実であります。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 その場合のガルフとの契約書というのはどうなっているのか。秘密でも何でもないと思うのでございますが、ぜひ私どもに後でも結構ですからお見せ願えるでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 ガルフとの間には、私の方との関係を申し上げますと……

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 それは見せていただけるでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 協定書自身は、一応パートナーの了解を得なければ外へは示せないことになっております。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 それではガルフの了解を得なければならない。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 はい。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 それで、ちょっとこれは新聞記事で申しわけないのですけれども、五十一年五月五日に日本経済新聞と朝日新聞の記事が載っているのですが、あなたの方の掘るというのは義務井なんですか、ガルフの立場から見れば。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 はい。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 そのガルフ側のファームイン・ボーナスというのですか、これは何億だったのでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 協定を結びます場合に、ケース・バイ・ケースでございますけれども、たとえば地震探鉱何キロと試掘を何本とかいう義務投資だけを課しております場合と、それから……

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 いや、この場合です。特定していますから、沖繩沖の場合。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 沖繩の場合には、ちょっと私はっきりいたしませんが、実は沖繩のほかに……

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 いや、それはいいです。時間がないですから、ほかのところはいいです。  会社四季報というのがございまして、これは五十一年のですけれども、あなたの方のこの業績のところで、「ガス価格上昇により、五十年十二月期の収益好転。探鉱費も大幅に減少。ただコロンビア石油など子会社株式評価損四十億円落す。反面、ガルフからの共同分担金約二十三億円が入り」云々と書いてあるのです。ですから二十三億円だったのじゃなかったのですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 二十億余りだったと存じます。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 二十三億円と書いてあるんですから、そうでしょうね。  それではお聞きいたしますが、この場合にこの新聞記事によれば、両方とも、朝日も日経もそうですけれども、この試掘井を掘る代償としてガルフが鉱区権の半分を帝国石油から譲り受けることになっている、こういうふうに両方の新聞に載っているのですが、それは事実でしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 沖繩に限らず全部、ほかの協定も幾つかありまして、それは地域ごとに別な協定になっておりますが、大体の通則を申し上げますと、義務投資だけでいく場合と、ボーナスを出してやらせる場合もございますが、いずれの場合におきましても、そういう義務が終わればインタレストの半分、経済的利益の半分を譲渡することになっておりまして、鉱業権は渡さないことになっています。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 さすがに鉱区権ではないでしょうね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 はい。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 わかりました。  それから、これは鉱業法上問題になりますから、そういうふうに書いてあるものですからちょっと心配して聞いてみたのですが、つまり一般的に言って、たとえば共同開発、この日韓の大陸だなの場合もそうですよ、大体メジャーと共同でやる。結局日韓共同だけれども、韓国の方はちゃんと売り渡しているのですからはっきりしていますね。あなたの方も、ガルフじゃなくて、これはフィリップスの後のコアムとやることになっていますが、あとその他の石油会社も全部やるとするならば、大体いまのような共同開発方式というのでしょうか、それでやられるということになるんじゃないですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 ただいま申し上げましたように、日本の国内の大陸だなにつきましては、大体ガルフと共同でやることになっておりますが、今後の日韓の場合につきましては、協定並びに特別措置法の規定によりましてどういう形になるかという二とにつきましてまだ十分勉強しておりませんので、参加があるかないかということはまだ全然決まっておりません。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 ただ韓国の場合にはすでに法律が決まっておりまして、韓国側の方にはロイアルティー方式になっているということは御存じですね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 はい。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 そうしたら韓国の場合は、韓国側の取り分は二〇%、資本参加は。あとメジャーが八〇%ですから、ちょうどアラビアの王様が与えた権利と同じようなやり方ですよね、韓国の場合は。アラビア石油は国有化しようとしている。アラビアの方は最低でも五〇対五〇ですよね。韓国の場合は二〇対八〇ですね。これは人の疝気を病むことはないけれども、韓国の国民が知ったら、これはおかしいじゃないかという民族感情の大きな爆発になるんじゃないかという心配など、御商売人として世界を駆けめぐっているのですからあなたはどういうように思われますか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 私の方は日本側の方だけを勉強しておりまして、先方のことにつきましては意見を持っておりません。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 まあいいけれども、そういうことになっているということは御存じですね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 いや余りよく存じません。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 わかりました。  それで、そういうことを聞いたってしようがないでしょうが、そういう一般的な方式、たとえばファームイン・ボーナスを出す場合に、あなたの方で一部を経費負担する場合もあるし、このたびの沖繩沖のようにガルフが全部出す場合もあるし、そのかわり半分の石油はどうするとかという協定があるんだと思うのですね、それは一般論としては。その場合に、これは外務省も説明しているのですけれども、メジャーの分で取った分、あるいは日本の分もそうですが、日本に石油が入ってくるという説明を外務省も資源エネルギー庁も皆出しているのですが、これは国際価格で売るというのであって、帝国石油という会社が自力で掘った場合にはうまくいけば非常に大きな、しくじれば出ないのですからね、そういう場合にはコストの関係もいろいろあるでしょうが、一般的に言って、そういう会社を経由したものとは違って利益率というのは高いんでしょうね。そういうことにはなりませんか。ただ入ってくるというのは売るだけなんですよ。そういうふうに協定は皆なっているのですか。あなたはどう思われますか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 私どもが売る石油につきまして利益率が多いというお話でございますか。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 利益率が多くなるのじゃないかというのです。メジャーと共同で掘る、その場合半分はメジャーのものになる。そうですね。そうした場合に、自力で掘った場合は初めから帝国石油のものになるのですから、共同開発なんというよりも、日本一のしにせである帝石としては自力で掘った方がいいという気にはなりませんか、会社の経営者として。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 石油の探鉱というものは非常にリスクの高いものでございまして、初めから製造工業のように利益計算というものがはっきりしておるならば、資金さえ集まればそれは単独でやった方がいいに決まっておりますが、石油開発の場合におきましては非常にリスクが多いことでございまして、お互いにシェアを分け合って共同でやるということは石油業界の世界的な慣行でございまして、それで単独でやった方が有利だという簡単な判定はいたせないと思います。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 わかりました。それは一般論として私は言ったのですから。外国の会社に一旦渡るよりも——リスクの多いのは両方ですからね、どんな場合でも。そうでしょう、それを聞いたのです。  それから、たとえば石油の値段が高いか安いかというので、産油国でいろいろあるように、メジャーの分に渡った石油でも日本には皆全部入ってくるという仕掛けになっておったとしても、国際情勢や何かでことしはこれしか掘れませんでした、少し差し控えましょうなどという自由は、そのメジャーにあるということはそのとおりでしょうね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 その点につきましては協定がありまして、一定の生産量をお互いに出すということで義務づけられておりますから、自由勝手に一方が生産を制限したりとめたりするということはできないと存じます。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 いや、出なかったと言えばそれまでなわけです。——まあ、いいでしょう。  それではお伺いいたしますが、帝国石油さんがガルフと共同で沖繩、ちょうど沖繩の那覇の沖ですからね、二百十メーターの水深ですね、そこを掘るためにガルフと共同しなければならないというのは、どういう理由なんでしょうか。そういう掘る技術を持っていないという意味ですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 私どもは陸上の技術につきましてはどこへ出しましても世界水準にあるということは確信を持っておりますが、海につきましては何と申しましても歴史が新しゅうございますので、これを一緒にやって技術なりノーハウを取得するということがまたこれ非常に有益だと考えております。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 結論的に言いますと、非常に穏やかな言葉でおっしゃっていますが、そういう力量がまだないのですと、こういうことでございますか、帝国石油といえども。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 先ほど申し上げましたように、あの周辺の大陸だなにおきまして私どもはすでに二十何本の井戸を掘っておりまして、中にはガスが出ておるものもございまして、何ら事故も起こしておりませんので……

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 わかりました。  それでは、いまのあなたの会社の技術では何メーターくらいのところだったら掘れますか、そういう技術を持っておられますか。海の方、自信ないとおっしゃいましたけれども。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 水深でございますか。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 はい。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 水深で申しますと、常磐沖で掘りましたのは百六十メーターのところでございます。もう現在でございますと私ども二百メーターくらいは単独でやれるのじゃないかと思います。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 わかりました。そういう技術水準だということはわかりました。  それでちょっとお伺いしたいことがあるのですけれども、あなたの方で先ほど大陸だななり外洋の方に目を向け始めた、こうおっしゃいました。十年ほど前と言っていましたね。私、ずっと年次ごとの東シナ海に関する鉱区権の申請を調べておるのですけれども、あなたの方がやったのは九州のちょうど、何と言うんでしょうか、ごく日本に近い領海の部分ですね、これが四十三年。昭和四十四年にはどうも中国から見て中間線より向こうまで今度は申請を出しておられますね。四十四年、四十五年になりますと、今度男女諸島のあたり千件くらい出しておられる。それから四十六年になると、初めて今度の共同開発区域に当てはまる地域に鉱区権の申請を出しておられるのです。しかし、いまでもそうでございますけれども、日本の鉱業法によれば日本の領土それから領海、そういうものを基準にして法律はできているわけでして、そのころ、この鉱区権の申請を出したときには、資源エネルギー庁なり通産省なりというところは、そんなものはだめだとは言われなかったのでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 受理をされております。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 おっかなびっくり出しましたか。受理をされるという確信があって出しましたか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 確信というものは持たなかったかと思います。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 これは非常に重要なことですから、日本の鉱業法では、いまの法律で言うならば、それはいいか悪いかは別ですよ。石油を掘りたいという気は私らだって持っているのです。だから申し上げるのですが、この運用について通達も省令もあるいは政令も何も出ていません。ですから帝国石油が陸上なり、秋田沖なり、山形沖なり新潟沖の本当の日本の領海の部分について鉱区権の申請を出すということは当然だと考えておられたと思うのですが、それ以外のとんでもない大きな東シナ海のど真ん中に鉱区権の申請を出すということは、出したって大丈夫だぞという内示でもない限り法律的には不可能だと思っているのが常識だと私は思うのですが、いかがですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 もしそういう国際法上の問題等で管轄権がないことがあれば出願は無効になるという御意見を承っております。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 本来ならば領海なりそういう範囲内でしか鉱区権の申請ができないものと思っているのが普通なのではないかと聞いているのであります。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 大体領海——領海と申しますとおかしいですが、日本政府の管轄区域内にあると思って出したわけでございます。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 おかしいじゃありませんか。公海に、東シナ海のど真ん中に、それは中国との関係なんて私言っておるんじゃありませんよ。それは関係なしに、領海以外にそういう申請を出すことは本来ならば法律上できないはずだと思っておられるのがあなた方経営者の常識ではないのでしょうか、鉱業法にそういうふうにちゃんと書いてあるのですから。どうですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 ちょっと出願の契機につきましては、不勉強でお答えできません。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 役所から出しなさいということがあったんじゃないでしょうか。しかも昭和四十五年に、——その前の年までは琉球列島の太平洋岸の方を少し鉱区権の申請を出していますが、その共同開発区域内にあなたの方でお出しになったのは昭和四十五年です。ちょうどこの大陸棚協定の問題が出てきたころです。しかも日本石油開発さんあたりよりもあなたの方はおくれをとっています。ですから日本石油開発、あんな上場もしていない会社が出せるくらいなら日本一の帝石がなぜこんなことになるのか、おれたちもやらせてくれと言ったか、政府が共同開発区域になるのだからあなたもお出しになったらどうですかと言われたか、どっちかだと思うのですが、どうなんですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 日本石油がお出しになったということを聞きまして、急いでその後であいているところに出願をしたというのが事実でございます。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 日本石油開発がお出しになったのがわかったのでというお話ですが、どうして出したのか不思議に思わなかったですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 私は面接出願関係の仕事にタッチしておりませんので、その辺は何ともお答えいたしかねます。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 どうも頼りないですけれども、大変失礼でございますが、そうすると、あなたは取締役のどちらの方を専門におやりになっている役員の方なんでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 社長室関係、それから海外室関係その他をやっております。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 社長室関係と海外の関係だったら、一番詳しいのはあなたのはずであります。正直に申していただけないでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 すべての事業を見ておるというわけではございませんので、その件につきましては不勉強で申しわけございませんが、現在お答えできません。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 大変失礼な言葉になったかもしれませんけれども、海外の方というふうな任務を持っておられる方が、日本石油さんがお出しになったのでそれはおかしいと思ってお出しになったとあなたはおっしゃったのですから、おかしいと思った、日本の鉱業法上それはできないはずだと思っておったが——しかも日本石油開発というのは一九六八年か九年にあわててつくられた会社でしょう、きょうは資料を持っていませんからはっきり言えませんが。そういう会社が共同開発区域と思われるところ、あるいはエカフェがこれは石油があるぞと言われた区域、あるいは韓国が海底鉱物資源法をつくって、そして問題になった、そういう時期にあなたの方がお出しになったのですから、これはバスに乗りおくれては大変だ、そんなことできるのかということになったか、あるいは役所の方からあなたもぜひ共同開発に参加してくれないかというので、ここに鉱区権がまだ出てないから、あなたの方は、あんなに深い方でございますからね、帝石さんの割り当ては。そうでしょう。そういうことも含めてお勧めがあったのではないでしょうか。いかがですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 そういうことは私は聞いておりません。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 それでは、日本石油開発や何かが非常に水深の浅いところ、あなたの方は比較的深いところに割り当てられたと私は見ているのですけれども、そういうことについていろいろ社内で御不満などはなかったでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 聞いておりません。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 あなた自身どう思いました。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 やむを得なかったと考えております。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 やむを得ないということは、不利だけれどもやむを得ないということなんですね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 御解釈はお任せいたします。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 やむを得ないというのはどういう意味でやむを得なかったのでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 先願主義でございますのでやむを得ないと……

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 わかりました。  それでお伺いいたしますが、ガルフとの共同でおやりになった分について、たとえば環境汚染その他の問題での協定などは非常に詳しく出ているのでしょうか。この辺はお話しになっても構わないのではないでしょうか。どっちかそういうような失敗をし、あるいは油が流れたときにはどうするかというふうなことが契約書の中には書いてあると思いますが、どういうことが書いてあったのでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 協定の中に汚染の場合の責任というようなことは書いてなかったかと思います。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 わかりました。非常にこれは重要なことです。しかも韓国の例ははっきり決まっておるのです。日本の場合にも、大体先ほど言ったボーナス方式なりそういう共同開発方式なりということでやるのが一般の例ですから、大陸棚協定もそういう方式で会社がやるんですからね。日本の政府対韓国の共同開発とはなっておりますけれども、外国の資本と日本の掘削会社がやる。そして二分の一だという。金は向こうで出す。そうしますと四分の一以下になる。その価格は国際価格か何かで日本が、石油が入るといっても、その価格でしか買えないということになる、こういう結果になる。これだけは通例ですから、通産省も皆認めているところですから、これだけははっきりしておきたいと思って聞いたわけであります。  どうもありがとうございました。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 いまの先生のおっしゃいました汚染の問題にどういう規定があるかということは、当然保安法なり鉱業法なりによって責任者が決まっておりますので、オペレーターが責任を負うということになっておりますので、今度のような外国との協定と違いまして、そういう規定を協定の中に入れておく必要がございません。

安宅常彦日本社会党

○安宅委員 私、ありがとうございましたと言ってから申しわけございませんが、外国の方とやるのとは違いましてというお話ですが、ガルフ社は外国の法人ではないでしょうか。これだけは申し上げておきたいと思います。  ありがとうございました。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 中川君。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 麓参考人に伺いたいと思います。  わが国の近海で、石油の採掘による海水の汚濁、この汚濁自体は避け得ないと私は思います。したがって、この広い水域における石油採掘による海水の汚濁のわが国近海に対する生態学的な影響、これは当然無視できないものがあろうと思いますが、麓参考人の御意見を伺いたいと思います。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 私は、率直に申しまして、その方面の専門家じゃございません。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、余り適当な御返答をしかねるかもしれませんけれども、一応汚濁の問題につきましては、すでにそれぞれの向きからいろいろな調査報告も出ております。私は、そのパンフレットにちょっと書いておきましたけれども、一番大事なのはそういう生物学的問題ではなくて、いわゆる法制上の問題になるということで、一応日本の近海ということの中で特に今度の東シナ海の共同開発区域ということを考えます場合に、ああいう形で共同開発という名前で入り込んできて、汚濁の取り締まりというものがどうなっているのかわからないというふうになっているのが現状だと思います。  御質問の本来の目的に沿わなかったことは失礼でございますが、それは私の専門ではございませんので……。より大事なことは、あの協定文に載っておりますところの主権的権利、それに関連して、これは非常に大きな問題ですが、水面上の管理と海底上の管理という二つの問題で、水面はどうしても上から掘るのですから海底と一致しなければならない、そういう意味で、御質問の目的とはちょっと違いましたけれども、経済水域と大陸だなの境界というものはどうしても一致しなければならない。その意味におきまして、汚濁の問題というものは日本全国的に非常に重大な問題になっていると思う。お答えになっていないことは知っておりますけれども、それだけ御返事申し上げます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 そうしますと、あの付近の潮流の状態がどうなっているか私もよくわかりませんが、開発に伴う海水の汚濁は共同開発区域内にとどめることが可能であるか、先ほど御専門でないというお話もございましたが、御意見としてさらに伺いたいと思います。もし共同開発区域外に影響を及ぼすとするならば、どの範囲まで及ぶかということですが、この辺はいかがでしょうか。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 結局ここで問題になりますのは、ごらんのようにお手元の資料にもございますが、この範囲というのは、率直に申しまして、先ほども申しましたように、いわゆる政策決定の面としては、水産適性海面であるか、石油適性海面であるかということが非常に大きな判断のもととなると思うのです。そういう意味におきまして、結局どこをとりましてもあらゆる方向に被害が及ぶ。さらに細かくはお手元の資料にございますけれども、ここに黄海の冷たい水がございまして、一応暖流が四本に分かれてしまうというので、もし事故が起きた場合には洗いざらいこの辺がだめになってしまう。しかもここは一応アジ、サバ、そういうものの産卵場になっております。細かくはお手元の資料にもう一つの図がございますので、それをごらんになっていただきたい。よろしゅうございましょうか。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 わが国のエネルギー問題あるいは国際海洋法上の問題、日韓関係ですね、こうした見地等を総合的に考慮した場合に、この協定が果たしてわが国の国益に即したものであるという評価をなし得るかどうか、この点はいかがでしょうか。御意見を伺いたいと思います。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 御返答申し上げます。  私は、一番最初にちょっと舌足らずでございまして、コストの面で申し上げましたのですが、非常に大きな問題といたしまして、大変失礼でございますけれども、いま技術の方はえてして油はどこでも出るのだとおっしゃるのですが、これは私もいろいろ経験がございますけれども、ないとはおっしゃらない。その意味におきまして私はコストを最初申しましたのは、ここに非常に安いコストの油が出ているわけです。戦略的意味から申しますれば、この油をこっちへ流してくればいいわけです。ここで掘ってこっちへやったらいいわけです。私がけさ朝日にも書きましたように、とにかく東シナ海の開発という問題は中国を無視しては絶対できないのだ、日中協力だけが可能なのであるというのが私の結論でございまして、その点、先ほどの御報告が大変舌足らずに終わりましたけれども、最初に海底の図をお見せしましたように、たとえ現在のこの共同開発区域である程度の油が出ましても、そのパイプはやはり中国に引かなければコスト高になってしまう。そういう点を考えますれば、先ほどの海洋法の境界線の理論で、これも私、舌足らずでございましたが、結局その辺の問題が一番大事になってくるんであって、中国の主権的権利の潜在している海面に対してそういうようなエネルギーの供給源を求めていくこと自体が大きな矛盾になってしまう。それで私としましては、結局いまの海域のたとえ一端から出るにしても、中国というものを無視したら絶対何もできやしないのだというのが私の結論でございます。  若干敷衍いたしますけれども、私がある程度地質学の方と異なった意見を申しますのは、今回のこの批准に当たりまして外務省並びに資源エネルギー庁から出されました資料は、私が申し上げましたように、エカフェ、エカフェと言ってエカフェの報告を盾に持ってこられる。それでエカフェの報告というものが盾になれば、やはりここに戻りますが、資源の賦存というものには依然として深い疑問が残るのです。そのためにわざわざ私は図をかいて持ってきたわけなんです。  ですから、重ねて申しますけれども、いやしくも東シナ海の開発というものはあくまで日中関係を主体にして考えなければならない。したがって、日中平和友好条約もないままにこんなものをつくってしまったらえらいことになるのですよ。私は、先ほど青嵐会から共産党まで一緒の友だちに言いましたけれども、そういう前提の前提の前提でこの問題が議論されていかれることを私は申し上げたい。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 そうしますと、この協定がわが国の国益に即したものであるという評価をなし得ない、結論的にそういうことかと思いますけれども、それだけでなく、いまいろいろと日中問の関係をも含めたお話をいただいたわけですが、われわれは、この海洋法条約が成立し、経済水域と大陸だなの制度が確定した後に公平の原則を基礎として共同開発協定を結ぶべきだ、このように主張しているわけですが、麓参考人は、現時点でこの協定を締結することがしたがって時期を得たものではない、こういうふうに結論を下しておられると解釈してよろしいですか。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 絶対に許されるものでございません。この協定を現在批准するということは、先ほどその前の段階における私の考えを申し上げたので、大きな意味で日本の将来を考えたならば許されるべきことではないと思います。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 本日の「論壇」を拝見してみますと、このように言っておられる部分があります。「私はこの海域に対する投資効果を疑わざるをえなかった。より率直に言うならば、ここの海底から多量の石油は採れない。収益性ある油田開発は期待できないと判定したということである。」このように言われて、その二つ下の段ですが、「もちろん私は、九州西方の海底には全く石油がないというものではない。一九七二、三年、西日本石油開発(株)の試掘では、たしかに油徴はあった。私もその実物を見た。その海域は共同開発区域の北端付近にあたる。が結局、商業的開発の対象とはならなかった。」このようなふうに書かれておりますが、そうしますと、共同開発区域では期待する埋蔵量は望めない、しかも商業採算は期待できないということを意味して書かれたと思いますが、この点は間違いございませんですか。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 さようでございます。私が先ほど申しましたフォッズ常務と一緒にやっていたころの石油というのは、ごく最近聞きましたら、こういう話をしていました。あの油は非常にパラフィン分が多かった。それで歴青油であった。したがって構造上の問題もあるということがわかっているのです。それから当時、もちろん漁業補償の問題もございました。あるいはこれが大きかったかもしれませんけれども、とにかく油は本当のおしるしばかり出たということです。これは、韓国の浦項が一応この前大騒ぎいたしましたけれども、これと似たような状況だと思うのです。  ここにおられる先輩を前に置いて失礼でございますけれども、私は実務家としてここはだめだと結論をせざるを得ないのです。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 結構でございます。  次に、いまのお答えに関連をいたしまして吉岡参考人に伺いたいと思いますが、共同開発区域の石油鉱脈というものは非常に貧鉱である、したがって、期待できる埋蔵量というものもそれほど望めないというふうに言われているわけですけれども、共同開発区域の石油埋蔵量はどのぐらいと推定しておられるか、推定の形で結構ですからお答えをいただきたいと思います。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 最低七億キロリットルと考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 最後にもう一つだけ、私は先ほどの麓参考人のお話に基づいて伺ってみたいと思いますが、投資効果が非常にどちらかといえば薄い、収益性が期待できない、このように言われている共同開発区域であるわけですが、こういったものに対して、開発事業は十分に商業採算がとれる確信がおありかどうか、この点を最後に吉岡参考人に伺ってまいりたいと思います。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 当然これから探鉱を進めまして、精密ないろいろの調査をいたしまして、りっぱな構造が見つかるというようなことがあれば試掘までいくわけでございますが、その段階段階において判断をするわけでございまして、万一見込みが全然なくても行くところまで行くというような、そういう開発はやらないわけでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 以上で終わります。大変ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 渡辺朗君。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 最初に橋本参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。  非常に専門的ないろいろなお話を聞かせていただいたのですが、いかがでございましょう、たとえば北海の油田開発を進めます際に、十年間ぐらい非常に細かくいろいろ調査をしていたと聞いておりますけれども、そういうことに匹敵するような調査というのは、今回の場合、この共同開発区域に対しまして行われておりましたでしょうか、そこら辺をまずお聞かせください。

橋本亘東京教育大学名誉教授

○橋本参考人 お答えいたします。  北海の調査は試掘を一緒にやっておるはずでございます。そういう調査でございまして、それは十年——確かに戦前からやっておったのでございますから。ですが、ここのところでは問題が始まったばかりでありまして、それでもって、いまようやく始まりかかっている段階であろう、私の手元にある資料も非常に少ないことは確かでございます。ですから、さっき七年やそこらはかかるというふうに申し上げたのでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 重ねてお尋ねをさせていただきたいのですが、有名な大油田のあるペルシャ湾とかメキシコ湾とか、あるいはナイジェリア沖などというような場合には、何か陸上の方に油田が発見されたとか天然ガスが発見された、それから今度は海底の方にたどっていって、そうして油田を発見をしているというようなプロセスが普通だったというふうに聞いておりますけれども、九州沖の場合でございますが、その近辺の島嶼あるいは九州の地域においてのそういう徴候というのはいままでございましたでしょうか、どうでしょうか。

橋本亘東京教育大学名誉教授

○橋本参考人 お答えいたします。  陸上の油田からだんだん海底に行ったということは、陸上にもう探して物になりそうなものがなくなったから行ったのでございまして、初めは陸上でやっておりました。そのために今度は海底を掘る技術をどうするかという問題になって発展してきました。  それで、九州の場合にはどうなっているかと申しますと、陸上の場合にはむしろいま対象にしてあるもう少し古い地層、天草あたりの油徴のある白亜紀層の問題が盛んに研究されております。白亜紀層は日本に関して、いろいろ油徴はあるけれども、全くの未利用資源でありますので、非常に大事をとって、いまだに次々と手段を打っておると私は思っております。私も行って現場を見ておりますからわかります。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 それから、重ねて橋本先生で申しわけございませんけれども、北海油田の場合に、私、聞いたのですけれども、いまの貯留岩が、九一%が砂岩で九%は石灰岩というような岩石の特徴がございましたが、そういう点は、この海域においての特徴というものと比べまして何か共通性とか、あるいはそういうこととは全然関係なしに油田の層というものは出てくるわけでございますか。

橋本亘東京教育大学名誉教授

○橋本参考人 お答えいたします。  この海域においては石灰岩は普通に期待することはできないだろうと思います。貯留層としては、普通の一番含有率の高い砂岩が期待できる。それで、いまの北海の率というようなものは、それは世界のどこへも通用するといった式のものではない、そこだけの問題でございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 どうもありがとうございました。  麓先生に一、二だけ、短くて結構ですからお聞かせをいただきたいと思います。  それは、この海域をお調べになりまして、特に共同開発区域の地帯においては、地震帯というようなものはいかがでございましょうか。そこら辺はお調べになりましたでしょうか。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 地震につきましては、私は率直に申しましてそれだけ調べる余裕はございませんでした。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 麓参考人にもう一言だけ確認をさせていただきたいのですが、この共同開発区域になっております地帯は、先生は中国の大陸だなとお考えになりますか、これは朝鮮半島の大陸だなとお考えになりますか、そこをもう一度確認させていただきたいと思います。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 お答え申し上げます。  これはもう私が三カ年間言い続けておりますので、朝鮮半島のたなは実際ないのです。具体的に申し上げますと、先ほどともダブりますけれども、ここのところにはっきりした地形の境がある。これはもうすでに問題の一番最初のエカフェの図で出ておりまして、これはその後も変わるわけはないのです。いろいろ細かく申しますれば、いろいろ過去における学者の先生方の御意見もございますけれども、一致していることは、結局、いまここで緑でしましたものはいわゆる中国大陸の自然延長であって、このピンクの分だけが一応朝鮮半島のたなになる。これはもう絶対間違いないわけです。これはもう私、これ以上直すこともできません。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 恐れ入りますが吉岡参考人にお願いをいたしたいと思います。  帝国石油の方でこの海域で出願をしておられるのは第八鉱区でございますね。それから同じところは韓国側ではコリアン・アメリカン・オイルでございますね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 そのように承知しております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 韓国側の方は鉱業権者がすでに決まっております。出願をされているという、まだ鉱業権者になっておられないわけでありますけれども、コリアン・アメリカン・オイル、韓国側のパートナーの方とは、何かお話し合いをされたというようなことは今日までございますか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 おととし、去年あたりに、三回ほど向こうの方が来日されまして協議をしたいというお話がございましたが、協定の批准も終わっておりませず、特別措置法も固まっておりませんので、いま協議を申し上げても意味がないということでお断りをしてお帰りを願っております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 最後の質問でございますけれども、吉岡参考人に重ねてお尋ねをいたします。  帝国石油では常磐沖、これは天然ガス、それからザイール石油あるいはナイジェリア石油開発、これらの事業に手をつけておられるのですけれども、そうでございますね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 そのとおりでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 その際に、自己資金でおやりになりましたでしょうか。そのお金、資金の方は石油開発公団の方からの投融資がございましたでしょうか。お聞かせをいただきたいと思います。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 ザイール、ナイジェリア等につきましては公団の出資をお願いをしております。常磐につきましては公団の出資を仰いでおりません。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 ナイジェリアはいかがでございますか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 ナイジェリアは公団の御援助をお願いしております。もっともここは私の方の単独ではございませんで、帝人それから三井石油開発その他大ぜいの株主に参加していただいております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 重ねて、いまの吉岡参考人のお話にありましたザイールの場合でございますけれども、金額は石油開発公団からはお幾らでしょう。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 原則として五〇%の出資をお願いしております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 その際にどんな条件がついておりましたでしょうか。お聞かせいただければありがたいと思います。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 プロジェクトが幸いにして成功いたしました場合には、出資に応じて配当をいたすわけでございます。失敗した場合につきましては返済は、返済と申しますか、免除をされるわけでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 参考人の皆さん、どうもありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 寺前君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 事業というものについてきわめて未経験で無知でございますので、せっかく吉岡さんお見えでございますので、素人にわかるように御説明をいただきたいと思います。  共同で開発するのですから相手がおります。私が聞いているところでは、韓国側に出願をして鉱業権を設定された会社というのはコリアン・アメリカン・オイル・カンパニー、それでいいでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 そう承知しております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 ちょっと詳しくお教えをいただきたいのですが、資本金が一千ドル、米国ペンシルバニア州ピッツバーグ市七街四百三十九番地に本店が存在している。支店ができたのが一九七一年四月二十九日という資料が私のところに——これじゃないですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 ハミルトンという会社でございますが……。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 コリアン・アメリカン・オイルですね。そこの会社が、じゃ資本金幾らぐらいですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 存じません。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 一万ドルですか、所在地ウエルミントン市、これですかな。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 不勉強でございまして承知しておりません。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 まあいい、どっちにしたって非常に小さい資本金の会社だと思うのです。  そこでちょっと教えてほしいのですが、ああいう海の上で調査をしたり掘ったりするというのはむずかしいんでしょう。おたくの会社では、単独でやる能力はあるわけですか、ないわけですか。何か共同でやらねばいかぬ理由がありますか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 先ほども申し上げましたように、非常に深いところで掘るような場合には、非常に新しい技術を必要といたします。私ども現在まで、大陸だなでやっておりますが、一番深いところは百六十メートルくらいでございまして、それ以上の深さになりますといろいろな問題もございますので、技術的な面でも協力を得て先進技術を身につけるということが一つのプラスになると考えております。  もう一つはリスクの分散でございまして、日本でも最近、非常に景気の停滞もございまして、民間資金の動員ということはなかなかできませんので、資金を出してもらってリスクを分担するということは、現在におきましては非常に必要なことだと考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 先ほどお話を聞いておったら、おたくのやるところは、鉱区としては非常に深いところだそうですね、この共同開発地域の。ところが韓国の側では小さい資本金の会社がこうやって許されている。そんなところと一緒に話し合って共同で開発しようかという気になりますか。相手の韓国が許している会社に鉱業権が行っているというけれども、どうもおかしなところに鉱業権がいくものだな、私みたいに能力のない者がやらしてくれと申し出るのとよう似ているなと思って見ているのだけれども、これは一体どういうことになっていますのか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 先ほど申し上げましたように、まだ向こうとの接触を全然いたしておりませんので、具体的な措置が決まってまいりまして、話し合いを続けておりますうちにそういう問題は徐々に解決していくのじゃないかと考えます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 しかし、事態がここまで来ているときに、向こうに出願している会社がどういう者か、そういうことぐらいは当然調べておってあたりまえだと私は思いますが、きょうはそんなことを追及する委員会でもありませんので、それはさておきます。  そこで、さっきからお話があったように、日本の場合に単独ではやらない理由を二点挙げておっしゃっていました。おたくのところは、いままでの状況を見ていると、ガルフと一緒にやる共同事業というのが多いようですね。それで恐らくここもそういうことなんでしょう。そうすると、従来の有価証券報告雷を見てますと、ガルフと一緒におやりになっているのを見ると、「義務完了後共同作業が開始され、ガルフに対し経済的利権の五〇%が譲渡される。」これは全部そうなっておりますね。ですから、恐らくこれもそういうことになるわけでしょう。そうすると、間違っておったら言うてもらったらいい、何にも知らないのだからね。それで掘った石油は日本の国内にそのまま納められて、利益を向こうに渡すということなのか、それとも掘った石油が初めから五〇%だあっと行ってしまうということになっておるのか、ここらはどういうことになりますのや。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 半分はもちろん向こうの所有になりますが、日本のマーケットに全部出してもらうということになっております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 日本のマーケット。そうすると、石油としては日本にあって彼らが握っていて、持っていくことは日本からは自由に持っていけないという状況になる。日本で売るというのは、すると、その売り先というのは帝石になるわけですか。どういうことになりますのでしょう。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 帝石とは限りません。需要家に直接売られる場合の方がむしろ多いかと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 自由に日本の市場に、彼らが日本の土地で掘って売り飛ばす、こういうことをやるわけですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 さようでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そういうことですか。それで共同で開発した場合には、能力があるのかないのか知らないけれども、相手の会社は半分、これは協定で、掘ったものの半分は韓国へ出願したところの方が握ってしまうわけですね。日本の場合で、外国の、おたくだったら、ガルフだったらガルフが半分、日本の土地で売るけれども、アメリカが握ってしまう。そうすると、結局日本の会社の名において握ることのできる石油というのは全体の四分の一になる、こういうことでいいわけでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 先ほど申し上げましたようにい五割ガルフの参加を求めるということはまだ何ら決まっておる問題ではございません。ただ、私ども従来から、大陸だなにおきましても、ガルフと協力してやっております関係から、ガルフに参加を求めることも非常に可能性の高い話だと存じますが、いまだに五〇%とかどうとかということは全然まだ決まっておりません。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 仮に五〇%といたしました場合に、先生のおっしゃるような場合にはその五〇%の油も日本側のマーケットに全部出していただくということになるかと存じます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それは市場に出す話としてはね。直接握っているのは、会社としては、日本の会社というのは全体から言うと四分の一、こういうことになりますな、仮に出てくるということになれば。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 さようでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それからこの事業を進めるのには、先ほど何か二十億とか二十五億とか、一つの坑で要るということになりますね。おたくのところのあそこの中は面積から言うと全体の二割ぐらいになるんですかね。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 二割ちょっとだと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 もうちょっとありますか。その二割ほどのところで一体どのぐらいの費用をかけて石油を掘り出そうということを大体考えておられるわけですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 先ほどもそういう御質問があってお話し申し上げたわけでございますが、まだ総額どのくらいで探鉱を行い……(寺前委員「見当でいいですよ」と呼ぶ)まあ地震探鉱が一キロ二十万円とかなんとかという単価がありますし、それから試掘の場合には大体二十億から二十五億の金ということになっておりますが、大急ぎで進めるといたしましても、実際問題といたしましては、一本掘っていろいろ調べてまた掘るというようなことにいたしますと、大体一年間に、試掘段階に入った場合でございますが、三本ぐらいが精いっぱいだと存じますので、二十五億として七十五億ぐらい、それで日本側がその半分といたしますと、大体三、四十億の金が一年間に要るというような計算ができるかと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それで、それを進めるとすると、そのお金はどこの金を使うことになるでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 公団の資金をいただくとか、あるいはガルフと提携していただくとか、その辺の比率とかあるいはそういうことをお願いするかどうかというような問題については、まだ決めておりません。     〔毛利委員長代理退席、有馬委員長代理     着席〕

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それはそう決めているかと言えば、それはまだ決めてませんということになると思いますが、そういう事業というのは一定のめどをもっていろいろ出願もし計画もしておられるだろうから、石油開発公団に依拠するとなれば、こっちも予算の都合がありますからね。だから、大体国会の方でも政府の方にひとつ予算として年額このぐらいは、これをもしも進める場合には考えておいてもらいたいという要望もあるだろうから、そこはどういうふうにお考えになっているのか、最後に要望を聞いて私は終わりたいと思うのですが、いかがなものでしょう。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 恐らく公団にもお願いするかと存じますので、よろしくお願いいたします。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 年間どのくらい金が要るのですか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 いま申し上げましたように、試掘段階においてやはり三、四十億要ると存じます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 どうもいろいろありがとうございました。

有馬元治自由民主党

○有馬委員長代理 次に、伊藤公介君。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 けさ、先ほどからいろいろ皆様方が取り上げておりました麓参考人の「論壇」を実は私も通勤電車の中で読ましていただきました。その中に「本年二月に資源エネルギー庁から出された説明書が、率直にその事実を認めながら、最近、外務省から配布されたパンフレットには「共同開発区域には七億キロリットルの石油の埋蔵が推定される」と書かれている。いかにも、つじつまが合わない話ではないか。」こうお書きをいただいているわけでございますが、これはどういう内容でございますか、お聞かせをいただきたいと思います。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 お答え申し上げます。  これはもう皆さんのお手元に行っていると思うのですけれども、いろいろこれからお話が進むと思っておりましたものですから、何か考えをまとめなければいけないというので——現物はここにございます。これが二月に出ましたエネルギー庁の説明です。これで私が率直にと申し上げましたのは、ここもやはり、エカフェのスパーカーの調査ということが石油賦存の決め手になっておる。そこで三行目に「有望とされた東シナ海大陸棚の北部にあたっている。」そこじゃないんだということです。四月にこれを拝見しました。そのとき私は驚いたのは、間際になって駆け込み的に、エカフェの調査を初めとするこれまでの各種調査によれば、背斜構造の発達したきわめて有望な地域で、石油埋蔵量は七億キロリットルを超えるとも推定される。先ほど諸先生のお話もございましたから、このエカフェ以外の調査も含めてでございますけれども、その意味で、片っ方じゃ北方にある。これでは一応エカフェというものを前に出しましていかにも権威づけておいて、そして何も根拠を出さないでいきなり七億キロリットルという数字を出している。そこで私は非常に意外に思ったのです。だから、先ほど申しましたように、日本石油開発が七一年に三千五百キロメートルのエアガンの調査をやっている。やっているならやっているでそれをちゃんと——私も知りたいわけですよ。私もそんなところまで引くような余裕もございませんが、ただ私どもは、必要によりますれば専門のことは一応見ますし、こういうものが来れば一生懸命見るわけです。これにはそのほかにも、反対の根拠がないと書いてある。それはそれぞれの御意見ですからなんでございますけれども、私は、率直に言って、このパンフレットは大変遺憾でした。これはまるで昔の大本営発表です。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 その外務省から出た資料等については、改めて質疑でお聞かせをいただきたいと思うのであります。  麓参考人に、あなたの専門的な知識から、直後この問題ではありませんが、重ねて一つだけお尋ねをしたいと思います。  韓国側が当初鉱区を設定してきたわけでありますが、その第一鉱区はカルテックス、第二鉱区はガルフ、第三鉱区はシェル、第四鉱区はガルフ、こうなっておるわけですけれども、この会社の方方はすでに引き揚げてしまっている、あるいは台湾と契約をした会社もすでにその契約を取り下げている、こういうお話を伺っているわけであります。きょうの午前中においでをいただいた参考人の皆さんからもお話をいただいて、申し上げたことでございますが、日韓大陸棚協定はわが国のエネルギーの将来にとって大変大事な問題でございます。しかも、五十年かけた、日本の命運を担った大変な問題でもあります。したがって、日韓大陸棚協定だけではなしに、注目をされている東シナ海の油田ということをどうしてもわれわれは考慮せざるを得ない。そうしますと、カルテックス、ガルフ、シェルという会社は中国との開発にかなり注意深い配慮をして引き揚げたのではないかと私ども考えられるわけでありますが、これはそういう配慮のもとで引き揚げたのか、あるいはこの地域にはもう石油が出ないという前提で引き揚げたのか、麓参考人の御意見をいただきたいと思います。

麓多禎海洋法・海洋問題研究家

○麓参考人 いまの問題につきましては、一昨年のフォーリンアフェアーズに前のワシントンポストの支局長がある程度書いておりますが、あれに若干具体的なことが出ておるのです。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕  結論を申しますと、本当の石油の専門家の方は朝鮮半島の周辺と日本の周辺には石油はないのだと考えているのが私は本当だと思うのです。それは先ほど申しました例のように、ないということは言えないわけです。ですけれども、実際、とれると言う者はいないと言わざるを得ない。いまのお話で、率直に言って、朝鮮半島の周辺では油が出ないからもう引き揚げたのですよ。  一つ具体的なことを申しますと、ちょうど済州島から南何キロでしたか、あの線上のボーリングの成績が一本どこかでわかっておるはずですが、三千三百フィートのところで岩が出てしまっておる、そういうこともあります。それから若干のボーリングが、要するにアメリカの政策によって、いわゆる米中関係との問題において圧力をかけられた。それは私の先ほどの資料に書いてございます。そういうことで、尖閣諸島付近に主力油田があるのだということにつきまして、技術的のことを日本の国家としてもっと落ちついて検討すべきだと私は考えております。  一つだけわかっておりますのは、台湾の南で非常にりっぱなガス田が発見された。これはふたをしてあるわけですが、パイプで運べないというのが主な理由です。そのほかにも若干のボーリングの成績があるわけですが、私はそれはちょっと専門外になりますので、その辺のところの余りはっきりした情報はございません。  ですから、結論的には、一つには政治的の問題はございますが、それ以上にいわゆる地質上の油賦存の問題がある、私は直接具体的のことをはっきりと申し上げられる立場にはございませんけれども、そういうふうに判断しています。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 時間がありませんので、最後に吉岡参考人にお聞きをしたいと思うのでありますが、第八鉱区の将来性について、すでに調査をした中で、吉岡さんのところは御商売でありますから、御商売としてこれが成り立つのかどうか。また、先ほどお話を伺いましても、ザイールあるいはナイジェリアから出資があるというお話でございますけれども、現在まで帝石さんは石油開発公団からどれほどの借入金があるのか。また、今日まで探査をされたわけでございますが、探査にかかりました費用はどのくらいになっておりますでしょうか。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 私どもの方はまだあの出願区域内の探査は一切やっておりません。先ほど御報告いたしました資料は日本石油開発の作業のことでございまして、私どもの方は周辺の各島などにつきまして地表調査をやっております。それから天草に掘りました井戸とかなんとかからいろいろと推定はいたしておりますけれども、あの区域内の探査はまだ実施をいたしておりません。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 石油開発公団からどのくらいの……。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 ナイジェリアに対してでございますか。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 いいえ、いままで。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 全体でございますか。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 はい。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 公団に御厄介になっておりますプロジェクトといたしましては、海外ではサバ石油というのがございまして、ここで五割いただいておりますので、ちょっと記憶がはっきりいたしませんが、十数億出資を願っておるかと思います。  それからザイール石油につきましては、やはり……

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 正確なものをお持ちでなかったら結構です。

吉岡格帝国石油株式会社専務取締役

○吉岡参考人 やはり三、四十億出ているのじゃないかと存じますが……。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 具体的なことをいろいろお聞きをしたいのでございますが、私の持ち時間が終わりました。大変参考になるいろいろな御意見をそれぞれの先生方からお聞かせをいただきまして、ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 以上で、三名の方の参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本件審査のため大変参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  午後四時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後三時五十分休憩      ————◇—————     午後四時十四分開議

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件の審査を続けます。  ただいまからの参考人として、全国漁業協同組合連合会専務理事池尻文二君、国際問題評論家北沢洋子君、石油開発公団総裁倉八正君、以上三名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  本日は、本件につきまして参考人の方々の忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。  なお、御意見の御開陳はお一人二十分以内にお願いすることとし、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  御意見の開陳は、池尻参考人、北沢参考人、倉八参考人の順序でお願いいたします。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、池尻参考人にお願いいたします。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 私は全漁連の専務理事をいたしております池尻でございます。  当委員会に急に参考人として呼び出され、本協定をまだ十分に研究する時間がなく、したがいまして、その賛否の判断を求められましても果たしてその資格があるかどうか、まず冒頭に御了解をお願いする次第でございます。  ただし、本協定の中身でございます日韓共同開発区域における海底石油の開発に関連をいたしまして、本区域がわが国西日本における重要な漁場であることから、海底油田の開発と漁業との関連におきまして私を参考人としてお呼びになったものと理解をしておる次第でございます。  そこで私は、一般的に現在わが国の漁業の直面しておる事態並びに今後進まなければならない方向につきまして参考のために申し上げたいと思う次第でございます。  御案内のとおり、いよいよ二百海里時代へ突入をいたしてまいりまして、日米、日ソ漁業の交渉に見られますように、従来遠洋漁業を中心に世界第一の漁業国の地位を維持してまいりましたわが国の漁業が、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋への外延的な拡大によって外国漁場に魚を求め続けた従来までの漁業発展の歴史にいま厳しくその終えんを告げる時代が来たということでございます。したがいまして、今後、わが国漁業は外国漁場で従来確保してきた漁業の実績を急激に減らされることのないようまず最大限の努力を傾けながら、歴史の流れに逆行することなく、緩やかに新しい方向への構造の転換を図るための、いわば時間をかせぐための血みどろの努力がここ数年必要となってくると思われるわけでございます。日ソ、日米の漁業交渉に見られます厳しい現実は、まさしくそれを物語っておると思うものでございます。七つの海に魚を追い求める時代は遂に去りつつあるという認識でございます。したがいまして、先ほど申し上げました今後の新しい漁業の構造の転換とは何か、つまり新しい漁業の方向とは何であろうかということについて申し述べたいと思います。  それはまず第一に、わが国の二百海里内の魚族資源の増大、漁場の開発を今後積極果敢にやらなければならないということでございます。つまりわが国はわが国の二百海里の中で将来の漁業の根城を築き上げていかなければならないということでございます。俗な言葉で言いますと、わが国の二百海里を新しく見直すべき運命にあるということでございます。特にわが国周辺の大陸だなを中心とする沿岸漁場整備開発、栽培漁業の展開、大規模魚礁帯の設置を中心とするいわゆる資源培養型漁業を展開させることによって、かつての外延的拡大路線から、日本列島周辺にわが国民の魚類たん白質の供給源を求めていくという新しい国土づくり、漁業づくりという時代の幕あけが来たと私どもは認識をしておる次第でございます。  資料によりまして若干御説明を申し上げますと、わが国周辺の水深二百メートル以浅のいわゆる大陸だなの面積は、これは調査の方法等もございますが、大体三十万平方キロ、わが国国土面積の八〇%であろうと思います。その三十万平方キロの漁場の中で、すでに整備開発され、漁業が天然礁あるいは人工礁等によって営まれている水域は一万平方キロでございまして、まだわずかに三%でございます。いわばまだ日本の沿岸、沖合い漁業は、いまだ天然のままの状態の利用にしかすぎないということでございます。その中ですでに漁場以外に利用されたもの、たとえば海は海上交通の場にも使われておりますので海上交通、あるいは漁場としてではなくて埋め立ての計画になっておるような地域あるいは海中公園、その他の海を立体的に漁業以外のものに使うというようなことの面積が四万平方キロ、これは一割でございます。したがいまして、今後開発可能性のある水域は約二十五万平方キロと推定をされます。したがいまして、現在及び近い将来における技術水準の上に立ちまして、経済的漁場利用の可能性からして、まず第一にこの半分の十二万平方キロを何とか漁業の視点から開発をしていって、外国の二百海里水域で失うであろうと思われる三百七十万トンから四百万トンの、たとえば二分の一でも、わが国の周辺漁場によってこれを回復をするということが、今後の新しい方向になるかと思うわけでございます。  このようなわが国漁業の歴史的転換の時期に当たり、わが国周辺海洋がわが国経済の発展の要請からくる多種多様なニーズの中に、わが国民の摂取する動物たん白質の過半を供給してきたわが国漁業のこれまで果たしてきた、そしてまた今後とも果たさなければならない重要な使命にかんがみ、漁業の正当な活動と存在が国民のコンセンサスを得て、そのニーズの中に正しく位置づけられなければならないことを、私は強く訴えたいと思うのでございます。  このことは、いま参考人として意見を求められている日韓大陸棚協定の共同開発区域における漁場との関係のみでなく、また単に海底油田開発という事業のみでなく、広くわが国周辺の海底を含めて、海洋の利用開発計画全般との接点において、今後の漁業の重要性を無視しない正しい整合性ある政治の判断、行政の対応を強く期待したいからでございます。残念ながら、過去における経済成長至上主義は、わが国周辺の海において絶えず漁場を、漁業を犠牲にしてきた苦々しい事実の上に立って、改めてこのことを強調したいと思う次第でございます。そして、すべての開発計画に要請される共通の義務は、私は、以上の見地から、まず第一義的に、絶対に海洋を汚染してはならないという大前提であると思うのでございます。  このような見地から、私は次の三点について最後の取りまとめの意見といたしたいと思います。  まず第一は、共同開発区域は、わが国の重要な漁場の一つでございます。この漁場における漁業の正当な活動、将来の沿岸開発事業の展開を含めてこの正当な活動が維持され、かつ海洋の汚染が万一にも生じないよう万全の配慮をしていただきたいことでございます。  それから第二に、通産大臣の認可権発動に際し、漁業者の利益を損なわない見地から、ぜひとも農林大臣の意見を十分に反映せしめる具体的な措置を賜りたいと思うことでございます。  最後に第三でございますが、今次わが国二百海里漁業水域の暫定措置法制定に伴い、その運用に当たり、日韓漁業関係に微妙に影響することが予想をされております。特に本協定の成否も、またその例に漏れないと私は承っております。いずれにいたしましても、対韓国との関係は、直接、間接にわが国漁業者の利害に直接はね返ってくる重要な問題だけに、この点につきまして慎重な配慮が望ましいということでございます。  以上、意見を申し上げまして、私の参考人としての意見といたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 ありがとうございました。  次に、北沢参考人にお願いいたします。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 本国会の農林水産委員会において、十二海里領海法と二百海里漁業水域法という、いわゆる海洋二法案の審議が行われております。ここでは、五月に再開される日ソ漁業交渉に備えて、わが国の立場をソ連と対等にしようとするため、いわば漁業面での国益のみが考慮されているように見えます。  一方、この外務委員会においては、日韓大陸棚協定の審議が行われており、ここではわが国のいわゆるエネルギー資源の自主開発と日韓二国間の国際的信義という二点が行政府側によって強調されているのであります。  一方においては漁業、もう一方においては石油といった二種の天然資源が、あたかも相互に関連のないようなもののように別々に取り上げられております。しかし、この領海、漁業水域、大陸だなという三つの審議案件こそは、今日、世界が創造しつつある新しい海洋秩序の時代に、まさにわが日本もまた生きているのだということを象徴したものにほかなりません。いや、むしろ国際海洋政治の中で、わが国が長期かつ公正な海洋政策を打ち立てることを内外から要請されていることを示したものであります。この三つの案件は、それぞれ海洋法体系の部分をなすものであり、したがって新しい海洋法体系の中の部分として、相互に有機的な関連をもってとらえられなければなりません。  本委員会に対する意見陳述に当たって、私はまず最初に、国際法から見て、日韓大陸棚協定を問題にしたいと思います。  すべてこれまでの審議において、外務省はこの協定に言う大陸だなの定義を、一九五八年の大陸棚条約第一条に基づくものであると説明しております。五八年条約とは、ジュネーブで開かれた第一次海洋法会議において採択された、公海、領海、接続水域、公海上における漁業などの四つの条約の一つでありました。つまり、五八年大陸棚条約からして、単独の国際法ではなく、すでに海洋法体系の部分であったのであります。  問題は、この条約が採択された五八年という時代であります。当時は、アフリカの大部分の国が独立しておらず、国連を初めとする国際政治の場においては、大国が圧倒的な優位の時代でありました。したがって、大陸だなの範囲も、領海の外で水深二百メートル・プラス開発可能なところまでとされていたところからも明らかなように、当時の石油資本にとって大陸だなの下に眠る石油資源の開発が可能な限度までとされておりました。  しかし、七三年十二月に始まって今日に至るところの第三次海洋法会議は、五八年と全く異なった国際環境のもとに開かれております。五八年に比べると、工業先進国グループと発展途上国グループとの間の力のバランスは大きく変わり、南の途上国は新しい国際経済秩序の確立を北に対して主張するといういわゆる南北時代に入っております。  海洋法会議の場においても、二百海里経済水域という新しい概念が提起されました。この場合の経済水域というのは、領海十二海里の外にあって、二百海里の水域内の海底の下と上にあるところの天然資源を領有する権利のことを指しております。つまりこの経済水域の概念は、五八年ジュネーブ会議においてはばらばらにしか採択されなかったものが、今度は統一されたものとしてとらえられているのであり、当然その中に大陸だなも含まれるのであります。  特に、七四年六月にカラカスで開かれた第三次海洋法会議第二会期では、この二百海里経済水域が大勢を制しました。世界の海が富と力のある大国のものとみなされ、その資源が思いのままにされてきた時代は過ぎ去ったのであります。  カラカス会議では、このような時の流れを理解することができなかった国が一つだけありました。残念ながらそれはわが日本国政府でした。ここではわが国の小木曽代表が、出席国百二十五カ国中ただ一人二百海里経済水域の設定に反対し、ミスター・エクセプト・ワンというあだ名をつけられました。  今日、日本政府は、国会に二百海里漁業水域法案を提出し、その成立を急いでおります。経済水域と漁業水域との差はあれ、いずれにしてもカラカスからわずか三年足らずの間に、わが国政府の海洋政策は百八十度転換したのであります。  二百海里経済水域の中には、当然のことながら大陸だなが含まれています。昨年五月ニューヨークで開かれた第四会期においては、改訂された単一草案、リバイズド・シングル・テキストが作成されました。この草案は百三十一条から成り、海洋法体系のすべてを盛り込んだ包括的な海洋法であります。そしてこの会議には、日本、中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国も出席しております。この草案はことし五月二十三日からニューヨークで開かれる第六会期において採択されることになっておりますが、たとえ成立に必要な三分の二の賛成を得られるものでなかったとしても、慣習国際法としての効力を持つことになるでしょう。  この草案第四十四条においては、沿岸国はその排他的な経済水域においては、海底、海床、上部水域の天然資源についての主権的権利を有するとされており、第四十五条では、その範囲を領海の外二百海里までと決めてあります。  大陸だなに関しては、第四章六十四条から七十四条までに規定してあります。これは四十四条の経済水域と矛盾するものでは決してありません。確かに六十四条には、沿岸国の大陸だなはコンチネンタルマージンまで、つまり自然の延長が二百海里と一緒に述べられています。しかし、これはあくまでその国の大陸だなのコンチネンタルマージンが他国の二百海里の中に入り込まない場合を指しているのであって、日韓大陸棚協定の場合のように、日本と韓国との間に二百海里の線を引くと大きく重なってしまうようなところを指しているのではありません。  外務省情報文化局が四月に発表した日韓大陸棚協定のパンフレットに述べられているような、韓国の自然延長論が大勢を占めており、わが国の二百海里論が少数派であるという主張の根拠はどこにもありません。そればかりでなく、日韓大陸だなの共同開発区域は、海洋法会議の草案による二百海里経済水域を設定すれば、日韓間では草案七十一条に従って、公平の原則に基づき中間線が引かれるということになり、ほとんどその場合日本側の水域に入ることになります。  第二に、協定が対象としている大陸だなに埋蔵されている石油資源は、エカフェ報告にあるように、第三紀に中国大陸の揚子江、黄河から流れ込んだ堆積物によって形成されたものです。つまり、東シナ海の大陸だなの形成過程は、北海のそれとは異なっています。北海のものは、沿岸国のすべてにかかわる共通の大陸だなですが、東シナ海の大陸だなは、日本、朝鮮半島の大陸だなと別のものであります。したがって、自然延長論を主張し得る国は中国だけで、韓国、日本は沿岸からわずかの部分しかクレームできないのです。外務省情報文化局のパンフレットの十四ページから十五ページまでによれば、それが明確に示されております。韓国の大陸だなのコンチネンタルマージンは共同開発区域に入るはるか前のところまで、日本の場合もはるかその前までです。つまり、A図の共同開発区域となっている部分は、中国から延びてきている大陸だななのです。一方、B図では、向かって左の部分が中国であることもなぜか書いてありませんし、A図に書かれた麗水のように地名も距離もありません。にもかかわらず、図が示すように、中国からの線はなだらかな典型的な大陸だなの様相を示しており、共同開発区域を終えたところで終わっています。水深で見ると、これはちょうど中国大陸から二百海里辺のところで二百メートルの深さになります。そこまでは五十メートル内外の海底石油開発に理想的な深さが続いています。つまり、地理学的に言って、この大陸だなの自然延長を主張し得る国は中国であって、日本、韓国ではありません。とすると、日韓間においては、二百海里経済水域設定によって中間線を引くべきなのであります。  第三に、日本政府が制定した二百海里漁業水域とこの大陸棚協定の関係を検討してみたいと思います。  二百海里漁業水域には、海底の石油資源は含まれておりません。また、韓国、朝鮮民主主義人民共和国、中国に対しては、除外規定を設けてあります。これは日韓大陸棚協定と矛盾しないように配慮されたものと思われますが、かえって矛盾を大きくしてしまっております。  たとえば、外務省の言う五八年大陸棚条約によっても、大陸だなの天然資源は石油資源ばかりでなく、海床にあるマンガン、カニ、コンブからカレイのような魚までも含むとされているからです。漁業水域法は、この中の水産資源だけを切り離しております。ですから、漁業水域としても、一部大陸だなの資源が入り込んでいることになり、中途半端なものでしかありません。また、大陸だなの海底にある石油資源を除いているために、たとえばソ連が沿海州側から北海道の領海近くまで、日本の二百海里水域内で石油資源の探査を始めたとしてもこれに対抗するものがありません。また、ソ連が日韓大陸だなの共同開発区域の中で水産資源を採取したとしても、同様に対抗するものがありません。  私は、日本が二百海里経済水域を設定することが最も望ましい道であると考えております。この場合必要なことは、単に近視眼的に、ソ連の二百海里に押されたからということだけではなく、はっきりと日本としての、新しい国際海洋法体系の創造されつつある時代にふさわしい海洋政策とイデオロギーを確立すべきであります。その上に立って、この際、すでに述べましたように、古い海洋法をもとにしてつくられた日韓大陸棚協定を批准すべきではないということは言うまでもないことでしょう。  第四に、共同開発区域に石油の埋蔵の可能性が少ないということです。外務省のパンフレットには約七億キロリットルを超え、堆積層の厚さが六千メートルのところがあるとして有望だと主張しております。しかし、通産省資源エネルギー庁の行ったエカフェ報告のレジュメには、対馬海峡のところでは二百メートルで、その厚さが増すのは台湾に近い尖閣列島付近で、ここは二千メートル以上のものだと書いてあります。不思議なことに外務省は、こういうパンフレットを出すときに、こういう重要なデータをつくるときに必要な資料のソースを明らかにしていないことであります。カーター大統領のエネルギー政策を見るまでもなく、日本にとってはエネルギー政策の抜本的な検討が必要とされている今日であるからこそ、このような重要な問題に当たってのあいまいさは許されないでありましょう。  第五には、この協定が今後五十年間にわたって日韓両国間に効力を持つものと考えられており、さらに石油という重要なエネルギー資源の開発を対象としたものであると考えられているところから、協定文そのものの逐条的な審議が必要だと思います。  まず、北部の境界画定に関する協定について、座標三十から三十五に至る線引きについては、これまで日韓間で紛争対象となってきた竹島の存在が無視されております。竹島にも大陸だなと経済水域があるわけですから、当然その帰属が確定された上でしか認めることはできないはずです。  また、北部の境界線は、三十六個の座標の間を直線で結んだ線となっております。しかし、この地図を見ても明らかなように、基点となっているところの日韓両国の海岸線は非常に入り組んだものであります。それにもかかわらず、それらの中間線が果たしてこのような直線に近いものになるのか非常に疑問なところであります。  次に、南部の共同開発区域に関する協定について、すでに述べた理由によって、私はこの協定の逐条的審議を主張するものでありますが、ここでは次の二点について陳述しておきたいと思います。  第一点、第四条によると、日本政府から特是鉱業権を得た開発業者と韓国政府と開発契約を結んだ開発業者とがそれぞれ複数いて、それが各々一業者によって代表されるとあります。第六条では操業管理者、つまりオペレーターがこれら開発権者の間で合意によって指定されるということになっております。つまり、実際にボーリングする業者を決めるのは、政府の介入なくして業者間で決められることになっております。すると、日本の場合は日本国籍のものと決められておりますので、日本の石油会社であるわけですが、韓国の場合にはこれが外国の石油会社になります。この場合、昨年七月五日、韓国商工部がテキサコ・コリアとコアムの二社に契約の再締結を行いました。ちなみにテキサコ・コリアは資本金千ドル、約三十万円、コアムが一万ドル、三百万円、それぞれ米国籍のメジャーの子会社であります。第六条を読むと、極端な可能性としては、日米業者間で話し合いの結果によっては、共同開発区域全域にわたって米系メジャーの子会社がオペレーターになることも可能であります。その場合には、日韓の石油共同開発ではなくてメジャーの開発になるのであります。  第二点。第十七条の第一項と第十八条の各条において、開発業者が共同開発区域内での事業活動、固定資産の所有、開発資材の搬入と搬出についての免税措置が決められております。具体的には、韓国政府と開発契約をしたところのメジャーの子会社の場合を考えてみましょう。日本政府も自治体も、このメジャーが共同開発区域内で行っている事業活動、固定資産の所有に対して課税できないわけで、また彼らが資材を日本の領土内を通過して共同開発区域内に搬入または搬出するときに輸出入関税を課することはできないことになります。つまりメジャーにとってはこの共同開発区域は自由貿易地区、すなわちフリー・トレード・ゾーンに等しいものとなるでありましょう。このことを利用して、共同開発区域内をトンネルにした日韓間の国際的な密輸が行われる可能性があるのではないかとさえ私はおそれるものであります。  第三点、この共同開発区域内で生産される石油の配分の問題であります。そもそもこの協定にうたわれているのが日韓両国で共同で石油をとって二分するということでした。しかし実際の協定の条文を読むと、日本にとれた石油の半分が自動的に流れ込んでくるという保障はないのです。もちろん開発は民間企業がやるのですから、日本側はこれをお金を払って買うのですが、韓国政府と開発契約を結んだメジャーが採取した場合が問題となってきます。韓国政府とメジャーとの開発契約はロイアルティー方式によっています。韓国政府が七四年十二月の韓国国会に提出した資料によると、ロイアルティーの額は一二・五%で、これは原油で支払われるのかドルで支払われるのかはっきりしません。しかし、一般的にはロイアルティー分は原油で支払われることが多いようです。いずれにせよ、韓国政府に支払われる一二・五%の分は、韓国政府とメジャーとの間の開発契約に基づくもので、すでにこの協定成立以前に結ばれております。協定第八条によると、この協定に適合する限りという文言がつけ加えられてはいますが、韓国政府とメジャーとの間に結ばれた開発契約を法令とまでみなし、日本側の開発業者が関与できないことになっています。  第九条には、日本の業者とメジャーとは、この共同開発区域でとれた石油の等分の配分を受ける権利があると書いてありますが、このときメジャーが掘った石油のうちの韓国政府へ支払うロイアルティーの一二・五%の分が、あらかじめ引かれた量についての半分なのかもしれないというおそれもあります。なぜなら、それは開発契約イコール法令に基づくところで、日本の業者が関与できる筋合いのものではないからであります。同じことが日本政府と日本の開発業者との間に結ばれた契約、また日本の業者と外国の石油会社とが結んでいる業務協定の内容についても言えます。第九条の条項の審議に先だって、少なくとも韓国政府とメジャーとの間の開発契約、日本の業者と外国石油会社との業務契約の内容が委員会に明らかにされることが協定の条文からいって必要であります。いずれかの当事者がこれらの資料の提出を拒んだ場合には、本委員会はその者に協定の批准を行わないであろうと通告するくらいの強い態度で臨むくらいにこの問題の重要性を認識していただきたいと思います。  最後に、さきの委員会審議において外務大臣は、この日韓大陸棚協定という二国間協定が大陸棚条約という慣習国際法に優位するといった、特別法、一般法の関係にないという見解を述べられました。それは領海十二海里宣言に伴い、わが国領海の一部が共同開発区域とされているものの中に食い込み、協定第二条第一項の中の直線のうち直線でなくなってくる分があるから、条文全体の書き直しを必要とするという議論に対して説明されたものでありました。ここで明らかなことは、あくまでもこの日韓大陸棚協定は、慣習あるいは一般国際法としての大陸棚条約に従ったものであり、後者が変われば前者も当然変わるということであります。そうだとすれば、五八年大陸棚条約は、ことし五月二十二日、これから約一カ月足らずの間にニューヨークで始まるところの第三次海洋法会議第六会期において採択されることになっているところの改訂単一草案に盛られた大陸だなの新しい規定、並びに経済水域における海底を含めた天然資源開発の排他的権利など、国際法上の大陸だなの範囲が変化すれば、この日韓大陸棚協定も自動的に変化するということになります。しかも繰り返して言うようですが、この海洋法会議には、韓国、中国、朝鮮民主主義人民共和国、日本など、この協定の関係国すべてが参加するという意味において、五八年大陸棚条約よ。普遍性を持つことができます。しかも、その内容の変化によって、この共同開発区域とされている大陸だなのほとんどが日本側に入ってしまうとしたら、自動的に協定の言うところの日韓で共同開発すべき区域が消滅してしまうか、あるいは大幅に位置のずれた、しかも日本の九州や韓国がすっぽり入ってしまうとてつもない広大なものになります。なぜなら、日韓両方が二百海里経済水域と、二百海里大陸だなを設定した場合だからであります。そうすれば中間線を引くよりほかはなくなり、この結果、これまでの共同開発区域は日本側にほとんど入ってしまうことになります。これは外務省の法解釈に従って言えばこういうふうになるということを言ったわけです。  協定に盛られたこれらの諸点は、私に与えられた陳述の時間が余りにも短いために、ここで展開できなかった部分に比べればきわめてわずかなものでしかありません。  結論として言えば、この協定は抜け穴だらけの欠陥協定だと言わざるを得ません。その上、最初に申し上げましたように、この協定は今日の国際環境のもとにおいては、すでに時代おくれのものとなっているからであります。  どうもありがとうございました。(拍手)

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 ありがとうございました。  次に、倉八参考人にお願いいたします。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 倉八でございます。  私のきょうの陳述の内容は、まず今後の長期的にわたる石油の見通しから説きまして、そしていま御審議願っております本案について触れさせていただきたいと思います。  エネルギーは国の経済及び国民生活を支える根幹でありまして、今後とも世界経済の成長に伴い必然的に需要の増大を招き、これに応じた供給の確保を必要とするものでございます。かかる膨大なエネルギー需要を満たす供給源といたしましては、石炭、石油等、従来からの資源に加えて、原子力、水素、太陽熱、地熱等の新規ないし代替エネルギーの開発を促進することがまず何よりも必要でございます。しかしながら、これら新規ないし代替エネルギーにつきましては、コスト面、技術面等の諸問題からその開発がかなりおくれるものと予想されており、世界のエネルギー供給は依然として石油に依存せざるを得ない状況が今後かなり長期にわたって続くことは、かかるエネルギー需給に照らし確実なものと考えられます。  たとえばOECDが本年一月に発表しました世界のエネルギー展望によれば、OECDの総エネルギー需要は一九八五年においては石油換算約五十一億トンと、これは一九七四年の一・五倍に増大いたしますが、そのうち約二十五億トンが石油であり、依然としてエネルギー全体の約四九%を占めるものと予想されております。このほか世界でも権威あるエネルギー研究機関におきましても、一九九〇年に至っても世界のエネルギーのうち石油が相も変わらず四十数%を占め、石油がエネルギーの圧倒的担い手たる地位を不動にしておると警告しております。日本におきましてもこの情勢は変わらず、万全の代替エネルギー策を推進しない限り石油依存のパターンが続くわけです。オイルショック以降、世界の各国で叫ばれました脱石油という、これが奏功していない証左でございます。  しからば、かかる重要な資源である石油は今後とも確保できるだろうか、あるいは供給に不安はないであろうかという問題が必然的に考えられるわけでございますが、不幸にして楽観を許さない厳しい状況にあるというのが現実であります。  具体的に申し上げますと、一九七五年末の世界の埋蔵量はわずか九百五十億トンでございますが、今後十五年間の消費量は約六百億トンに達するものと見られ、仮に今後石油の新規発見がないといたしますと、一九九〇年には約三百五十億トンの石油しか世界に残らないことになります。一九九〇年の消費量を約五十億トン、本当はもっと多かろうと思いますが、約五十億トンとしますと、その減衰も考慮に入れれば、以後数年で石油は全く枯渇するに至るということが予想されます。したがって、一九九〇年においても依然エネルギーの王座を占める石油の生産をさらに十五年ないし二十五年程度維持するためには、今後十五年間に約六百五十億トンの埋蔵量を新たに発見する必要があるわけでございます。このためには、世界各国が挙げて石油の探鉱開発に全力を傾けることが緊急課題となっております。これを達成できるかどうかが人類が真にエネルギー危機に直面するか否かのかぎでありまして、まことに憂慮にたえないところでございます。  翻ってわが国のエネルギー事情を見ますと、わが国は総エネルギーに占める石油の依存度が実に昭和五十年においても七四%と、諸外国に比べてきわめて高く、また石油供給に占める輸入石油の割合は九九・七%と著しく高い率を示しております。今後新規または代替エネルギーへの転換等、エネルギー構造の改善を図り、消費の節減に努める等、石油の依存度の低減に努力するといたしましても、なおかつ昭和六十年においてわが国のエネルギー供給のうちの三分の二以上、一九九〇年においてすら六〇%以上は依然として石油に頼らざるを得ず、この点大幅な改善を見ることはむずかしいと考えられます。したがって、石油はエネルギーとしましても、また石油化学の基礎原料としましても、わが国にとってまさに国家の死命を制するものであり、石油の安定供給の確保を図ることは喫緊の要務であります。これがためには、備蓄の増強、DD原油の確保、資源保有国との友好の増進、また経済関係の緊密化、国際協調の推進等、諸般の対策が講ぜられる必要があることはもちろんでありますが、なかんずくわが国自身の努力による自主開発原油の増大が最も安定した供給拡大の方法であることはいまさら申し上げるまでもないことであり、ましてやわが国が世界の石油消費量の約一〇%に当たる大量の石油を確保していなければならない状況において、わが国は大消費国として積極的に石油資源の探鉱開発を促進し、発見埋蔵量の増大に寄与すべき国際的な責務を課せられているのであり、いたずらに他国の開発努力の恩恵のみを享受するがごとき安易な態度をとるならば、それは長く通用しないことでございます。  わが国における石油の安定供給確保の観点から、広く内外において石油の探鉱開発を推進する必要がありますが、わが国の庭先とも言える日本周辺の大陸だなは最も安定かつ確実な石油の供給源であり、いわば備蓄そのものとも言える上、低硫黄原油の賦存も十分期待できる等からも、最も望ましい地域として積極的に開発を促進すべきことは論を待たないところでございます。かかる観点から、日韓共同開発地域の重要性が当然生じてくるわけでございます。  日韓共同開発地域を含む東シナ海及びその周辺は、一九六八年のいわゆるエカフェの調査等現在までのデータによれば、世界有数の豊富なる石油賦存地域である可能性が高いと指摘されております。これらのデータによれば、当該地域は石油が賦存するための必要条件の一つであります厚い堆積層が存在するものと考えられます。さらに国の委託調査あるいは私の方の公団の調査、それから民間の行った調査を勘案しても、日韓共同開発区域について五千メートル前後の堆積層の存在がすでに数個確認されていますし、きわめて有望な地域たることは疑わざるところでございます。  この際蛇足ながら申し述べたいことは、およそ石油の探鉱開発というものは、陸上に工場を建設し物を生産するのと異なり、きわめてリスキーな長期にわたる作業を要する事業であるということでございます。それだけに、敢然とこのリスクに立ち向かうことが必要と私は信じます。石油の探鉱開発は、まず地質の構造や性質を調べる地質調査から始まり、磁力、重力を利用して地質構造を把握する空中磁力探査、重力探査、機械的震動、圧縮空気等により人工的に地震を起こし、その反射波を分析して地下の地質構造を明らかにする地震探査等各種の物理探査を実施し、有望と推測される構造に試掘を行います。試掘の結果石油が発見された場合は、さらに賦存の広がりの確認、油質の調査等をもとに商業的採取の可能性を検討し、可能性ありと判断された場合には次いで開発に移行し、以降生産井の掘削、生産設備の建造等、開発段階を経て生産を開始することになるわけでございます。  このように、石油は探鉱から開発を経て生産に至るまでおよそ八年ないし十年の長い期間にわたるリードタイムを要するものであり、英国が成功を誇る例の北海の各種の油田は、探鉱から生産開始に至るまで実に十年余を費やしております。冒頭に申し上げましたように、遠からずエネルギー供給は緊迫化し、とりわけ石油資源の枯渇化に直面することは避けがたい状況にあります。この情勢が顕現して初めて、早く開発をやれやれと言われましても、とうていできるものではございません。したがって、なるべく速やかに日韓共同開発地域の事業に着手し、幸い探鉱に成功し、開発に移行することになった場合を考えましても、この水域はその過半が水深百メートル以下であり、日本の大陸だなですでに成功し、生産を開始しております阿賀沖の八十メートルの例を徴するまでもなく、開発上の技術的問題は全くないと信じます。  また、開発のコストという点から見た場合、油田の規模など種々の条件により大幅に異なるものでありますが、一般的に申し上げまして、埋蔵量二千万キロリットル程度の油田で約千億円程度が一応のめどと思われます。この油から得られる売り上げ収入から、開発コスト以外の種々の経費を加えましても、なおプロジェクトの経済性を維持することは困難ではないと考えております。  かかる有望な地域を目と鼻の先に控えながら、探鉱や開発に着手し得ないことは、石油資源の確保という観点からすれば、まことに惜しい限りでございます。  終わりに一、二付言させていただきます。  探鉱や開発の実施に当たって特に留意すべきことは、一つは作業工程においての公災害の発生や事故をなくすること、漁業との調整、配慮でございます。他から言われるまでもなく、開発権者や操業管理者はだれよりもこれらの問題を深刻に考えております。と申しますのは、一度汚染事故や漁業への大きな影響を惹起したならば、それらの開発権者や操業管理者ははかり知れない打撃を受けるからでございます。幸い、かかる認識が徹底しておりまして、昭和三十三年から今日まで、日本周辺の大陸だなに九十六本の井戸を掘り、また新潟県阿賀沖では開発が成功し、相当量の石油やガスを生産しておりますが、いままでに事故や漁業との問題は全く生じておりません。この協定や大陸棚特別措置法の幾多の条文にも、詳細にわたりこれらの防止対策を遵守せよという趣旨のことが担保されておりますので、この徹底には遺漏なきものと信じます。  次には、探鉱開発を効率的に実施することであります。当公団がもしこの地域の開発に関連するようなことがあれば、資金、技術等の面で厳正綿密に運営し、目的達成のために努力をいたしたいと存じます。現在御審議中の日韓大陸だな共同開発地域につきましても、探鉱開発が一日も早く緒につくことを切にお願いいたしまして、私の陳述を終わります。(拍手)

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島村宜伸君。

島村宜伸自由民主党

○島村委員 参考人の皆さんには貴重なお時間を割いて御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  時間がございませんので、早速質問をさせていただきたいと思います。最初に北沢洋子先生にお願いしたいと思います。  実は、率直に申し上げて、北沢先生のお名前を最近になって存じ上げましたので、先生御自身の講演等を伺ったことがございませんものですから、「朝日ジャーナル」とか「現代経営」とかあるいは月刊「潮」、こういったたぐいのものを読ませていただいて、それで実はこの質問の根拠をつくったわけでございます。  つきましては、まずもって伺いますが、私なりの取り上げ方では、この朝日ジャーナルの記事に大体総括されているような感じを受けるのでございますが、この記事の中に、先生御自身の創作部分があったり、あるいは御自身が書いた文章が何か多少書き加えられたり脚色されたり、そういうものがあるかどうかをイエスかノーかでちょっと伺いたいのでございますが……。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 私がここに呼ばれましたのは、意見陳述をすることでございまして、いま申しましたことについて私は質疑に答えたいと思いますけれども、私は朝日ジャーナルに書いた文章について答えるつもりでここに参ったわけではございませんし、そのような招請状をいただいた覚えはございません。

島村宜伸自由民主党

○島村委員 私自身、前もってその陳述書をいただいておればそれなりの質問ができるわけでございますが、事前にそういうものを持っておりませんので……。ただ、少なくも、北沢先生がお書きになった文章そのものが、いろいろな意味で、数少ない論文の一つでございますから、社会的に大きな影響あるいは政治的な判断の大きな材料にされていることは事実でございます。そこで、いや、これ自身は多少そういう意味合いでないものも含まれるというのであれば、これをまじめに取り上げるとかえっておかしなものになるので実は伺ったわけでございます。  そこで、私なりに、一応公的に発表された文章でございますから、この文章について引用させていただきたいと思うのです。  まず、北沢先生はこの朝日ジャーナルの文章の中で、「日韓大陸棚の共同開発がたった一つだけ中東石油と異なっている部分がある。それは、ここの石油開発の費用のほとんどが日本政府資金によってまかなわれるという点である。そしてこの点こそが、日韓の新たな構造汚職の本質なのである。」そう書いておられるわけでございます。  少なくも、私自身が伺いたい点は、「ここの石油開発の費用のほとんどが日本政府資金によってまかなわれる」という部分でございます。私が調査したところによりますと、これは全く事実でございませんで、少なくも日本石油開発の部分は民間が五〇%、そしてメジャーが五〇%、帝国石油は一〇〇%帝国石油の負担でやる、それからいま一つの西日本石油の場合は一〇〇%のうち、これは三菱とシェルの合弁会社ですから、この両社によって賄われるということであって、全く政府資金はゼロだということなのでございます。その政府資金ゼロであるはずのものが、先生の文章によりますと、この石油開発の費用を全部日本政府の資金によって賄われるというふうに書かれているわけでございますが、これはあくまで勘違いでしょうか、それとも先生御自身の創作でございましょうか、ひとつお伺いしたいのであります。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 先ほどお答えいたしたはずなのですが、私が招請状をいただきまして参りましたのは、現在行われています審議に役立つような意見を申し上げに来たのでございまして、私のジャーナルに書いたことを審議されに来たのではないということをさきにお答えいたしました。石油開発公団の問題に関しましては、もう一度この会議をお開きになって私をお呼びになってください。

島村宜伸自由民主党

○島村委員 事実は大変に大きな影響があるわけでございます。問題のそういう幾つかの事実を確認した上で質問をいたしたいと思いますので、実は伺ったわけでございます。要は、北沢参考人の御意見を伺うについて、私は少なくもその事実についての内容を、一応的確さという意味において把握したいために実はこの質問をいたしたわけでございます。  それでは倉八参考人にお伺いいたします。  石油開発により、油の流出によって海洋を汚染し漁業に打撃を与える可能性について御意見を伺いたいと思います。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 さっきも意見で述べましたように、われわれが開発、探鉱で一番注意するところは、いま先生の御指摘の事故でございます。とれにつきましては最大の関心を払っておりますし、それからまた、鉱山保安法あるいは海洋汚染防止法で十二分と言えるぐらいの厳重なる管理をしておるわけでございまして、いま世界に一万本ぐらいの海の井戸がございますが、御承知のように、二、三の例を除いてはほとんど事故はないということで、私たちはこれについては絶対自信を持っておる次第でございます。

島村宜伸自由民主党

○島村委員 北沢参考人にお伺いいたします。  石油開発公団について「融資した会社の九〇%が休眠中となって」いると書かれておりますが、今国会での予算委員会や当委員会の政府答弁では、少なくも四十社中七社が休眠しているというだけだということでございますが、北沢論文は何を根拠にしているのか、お答えいただきたいと思います。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 いまの方にお願いいたしますけれども、私は、もしこの問題について、つまり石油開発公団法並びに石油開発公団と日韓大陸棚協定の関係についてここで私に再度参考人としての意見を述べろというふうなことでありますれば、この次の外務委員会のいかなる時間においても私は出頭する用意でございまして、そしてしかも、そのためにあらゆる可能な限りのデータをそろえて、ここに倉八さんもいらっしゃいますので、その石油開発公団の中のできる限りの資料を私に公開させていただきますれば、その問題にお答えしたいと思いますので、これ以上このような種類の問題、質問のやり方というものを続けないでいただきたいと思います。

島村宜伸自由民主党

○島村委員 それでは、先ほどの陳述の中で、堆積物の流れが揚子江あるいは黄河から流れ込んだものであることからして、少なくもこれは中国の大陸だなであって、韓国、日本の関与すべきものでないという陳述がありましたけれども、少なくも海洋法会議に、私が知る範囲ではこのような考え方はありませんし、同時に大陸だなの法的帰属については全く関係ないと私は少なくもそう考えるわけでございます。たとえば、もしそういう考え方が通るのであれば、たとえば、ヒマラヤ、ネパールからの堆積物がインド洋に流れ込んで大陸だなにあるからと言って、これがネパールのものになるということにはならないわけでございます。その点についてお伺いしたいと思います。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 私は、自分の意見を申し上げたのではありませんで、私の意見の根拠となったのはエカフェ報告を述べたものでございます。そのことをそちら様がどのようなふうに解釈なさるかはその人の個人の問題であって、私の問題ではないと思います。(発言する者あり)

島村宜伸自由民主党

○島村委員 いろいろな御意見が出ているようでございますが、問題は、私どもいろいろ質問をするからには、しかも、参考人としておいでいただくからには、それなりの社会的な権威が認められてここに御出席になっておられるわけでございまして、私はそういう意味で、参考人に御意見を伺う前にその内容について実は伺いたかったわけでございます。少なくも私がいままで調べましたことによりますと、内容的には私ども大変理解に苦しむようなことがたくさん出ておりますので、そういう事実をあらかじめ明快にしておいて、実は質問をしたかったわけでございまして、それでは次の質問に入りたいと思います。  倉八総裁にお伺いをいたしますが、公団の投融資対象地域として本邦周辺海域が追加された点、あるいは投融資対象者として外国政府機関等が追加された点は、日韓大陸だな共同開発を目的としたものであるとの説が一部にありますが、事実はどうでございましょうか。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 そういうことは全く根のないことでございまして、われわれは、日韓共同開発区域を目標として改正したものでは絶対ございません。説明をしろとおっしゃれば説明もいたします。

島村宜伸自由民主党

○島村委員 いま少し詳しく説明をしてください。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 いま二点御質問がありました。  第一に、いわゆる日本の領海も石油開発公団の対象にしたのはどういう意味かというのが一つでございますが、それにつきまして、日本の大陸だな——いわゆる石油開発公団の対象は海外であったわけであります。海外というのは、日本の周囲から言えば領海の外でございます。ところが、そのうちにさっきも申し上げましたように、だんだんと日本の周囲に数十本の井戸が掘られて、領海内においても領海の外から続いておるりっぱな背斜構造がある。たとえば六十くらいありますが、それもわれわれとしましては、同じ海の開発としてこれに投融資して大いに石油を出したいという意味で広げたわけでございまして、それだけの理由で別に日韓のことを頭に置いてやったことではございません。  それから第二の融資の場合でございますが、これも一昨年の六月の改正によりまして、石油開発公団は政府関係ないし政府機関に融資できるというのは、これはいま産油国においてはみんなナショナルリザーブとして国ないし国営石油がみずから鉱区を持っております。そういうところに日本からの借款を求められましたらば、必ず石油で返すという条件でわれわれは融資をするわけでございます。  ところが韓国におきましては、もうこれが産油国でないということは、これは万人の認むるところでございまして、そういうことはあり得ないのでございまして、もしも韓国からそういう申し出がありましても、韓国はたとえこの開発において相当な油が出ましても、それは自国産に向けられるだけのことでございまして、日本に出す余裕は私はなかろうと思います。したがいまして、こういう場合には私は適用されないということをはっきり申し上げておきたいと思います。

島村宜伸自由民主党

○島村委員 堆積層の厚さだけで石油の賦存を結論づけることはできないという、先ほどの北沢参考人の御発言でございますが、堆積層の厚さだけで石油の賦存を結論づけることはできないということでしたけれども、もう少し詳しく御説明いただきたいと思うのです。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 私はそうは申し上げませんでした。  私は外務省のパンフレットを批判したのであって、先ほどの陳述の中で申しましたことは、外務省のパンフレットの冒頭に書いてありますところの「石油埋蔵量は七億キロリットルを超えるとも推定されています。この地域の堆積層の厚さは、一部では六千メートル位のところもあり、これは中東に匹敵するものです。」と書いてある。この点について、外務省のパンフレットが出されるからには、——これは明らかに、このセンテンスで読んでみるとエカフェ報告の調査の結果ではないわけで、エカフェ報告のエカフェの調査を初めとするこれまでの各種調査、ですから、プラスアルファの調査が入っているわけで、その場合に、エカフェ報告はここに石油埋蔵量が七億キロリットルを超えるとも言っていないし、堆積層の厚さが一部では六千メートルくらいと言っているわけではありません、共同開発区域の中においては。それで、こういうパンフレットを出すからには、その典拠を明らかにすべきである。これはそちらは自民党であるかもしれないけれども、わかりませんけれども、この国会は少なくとも立法府であります。だから、行政府の意見というものを批判的に——批判しなくてもいいけれども、とにかく検討するということは必要だと思うので、私はここにおいてその問題を提起しただけでありまして、それ以上でも以下でもないのであります。  つまり外務省という行政府が出したパンフレット、一般向けの非常によくわかりやすく書いてあるパンフレットの中で、——エカフェ報告においては、これは通産省がまとめたレジュメですけれども、対馬海峡の近所で二百メートルであって、それが南に行くに従ってだんだんと層が厚くなって、そして台湾の近く、すなわち尖閣列島の近くでは二千メートル以上のものになると言っただけで、そのエカフェ報告にはこう書いてあるけれども、それがこの日韓共同開発区域というところの非常に対馬に近いところで、なぜ六千メートルの堆積層があるかということの説明がなされてないということにおいて、私は陳述しただけであります。ちょっとお聞き違いだったと思います。

島村宜伸自由民主党

○島村委員 池尻参考人にお伺いいたします。  もし日韓大陸棚協定が成立しない場合には、日韓関係は相当ぎくしゃくすると思えるのでございます。昨日の新聞報道その他によってもかなり韓国側が激化しているような情報を受けるわけでございますが、その結果、たとえば韓国側が船の締め出しといった挙に出ることも考えられる。その場合、日本の水産業界の利害得失をどうお考えになるか、お話しいただきたいと思います。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 事実、ある結果が出ました場合に、私どもの漁業に直接間接の影響があるということを十分想像ができるわけでございます。だからと言って、そのことのために本協定の成否がどうだということにはなりませんが、私は慎重に対拠をしていただきたいと申しましたのは、ある事態の決着の場合に火の粉をかぶるのは常に漁業者であるというケースがきわめて多いわけでございます。たとえばミグ戦闘機の扱いのために直ちに北方の漁業者がいろいろな迷惑をこうむったという事実等もあるわけでございまして、政府といたしまして絶対にそういうことのないような慎重な対処を望みたいという漁業者の希望を申し上げた次第でございます。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 関連で質問させていただきます。  北沢先生にちょっとお伺いしたいのですけれども、北沢先生先ほどの御説明で、大陸だなの定義が一九五八年につくられました大陸棚条約の第一条から最近は非常に変わってきた。その変わってきたのが非常に質的に大きいので、あなたは大きく変わってきたとおっしゃいましたけれども、それで日本政府は古い大陸だなの定義で問題を処理しようとしておるからというような御説明がございましたけれども、どういう点が変わってまいったのでございましょうか。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 大陸だなの定義が変わっただけではなくて、海洋法体系そのものの内容が変わってきているということを私は一番初めに申し上げました。五八年という年は、アフリカがまだ独立していない、つまり数においても力においても途上国が圧倒的に弱かった時代につくられたものであって、現在一九七七年においては、海洋法会議においては、これは三分の二、つまり圧倒的多数の可決でありますけれども、それにしても途上国の数というものが非常にふえたわけですから、しかも、国連総会の安保理事会のように大国がビートーを持つという、そういう特権的な権利を持っていない会議でございますから、その場合に途上国の意見というものが反映されるということは当然のことだと思います。その意味において私は内容が変わったというふうに申し上げたのです。  それで、この点において大陸だなの内容が変わったということについては、昨年の五月のニューヨークの第三回国連海洋法会議の第四会期において改定されたところのリバイズド・シングル・テキストの中に、これは繰り返して申し上げますけれども、あくまでも大陸棚条約あるいは大陸だなの概念というものが国際海洋法体系の中から飛び抜けて単独にあって、それをどうのこうの論議するということはできないというふうな意味においておわかりになっていただきたいと思うのですけれども、この中に大陸だなの規定というのがありまして、恐らくそちらも外務省からお受け取りになったと思いますけれども、五月十八日外務省という、こういう文書がありまして、そこに、外務省によれば自然延長論と距離基準論とがある、日本は距離基準論をとっているというふうに書いてあります。ところが、そうではなくて、このテキストに書かれてある内容の大陸だなの規定に関して言えば、コンチネンタルマージン、すなわち陸からずっとつながっていってなだらかな曲線を描いて海の底に落ち込んでいく、そのある一定のところまでをマージンとして、そのマージンに関してはそれがどれくらいの深さであるということについては各国それぞれ違うと思いますけれども、そのマージンまたはそのコンチネンタルマージンが二百海里の以内にある場合には二百海里とする、つまり、だからたとえばアフリカのある地域におけるように海岸線から急速に大陸だなが落ち込んでいる場合でも二百海里とすることができる、ですから、コンチネンタルマージン、プラス二百海里という考え方が出てきている。  それで、こういう海洋法の問題というのは、各国が自国に有利なように宣言するのが常であるわけで、その場合にコンチネンタルマージンが二百海里よりも幅が狭い場合には、当然のようにその国は二百海里説をとるわけです。つまり、はっきり言えば二百海里経済水域というものが一つ大きくあって、それは上も下も全部天然資源を含むわけで、その二百海里経済水域の中に大陸だなというものの概念が入ってくるわけです。  ところが、大陸だなに関して言えば、それ以上に広がった部分があるわけです。ですから、二百海里を越えた部分はどうするか、それは日本と韓国との間の問題については全く関係ないから私はここで陳述することはないわけですけれども、そちらが一般的な大陸だなの概念ということで、日韓というふうに特定なさらなかったのでお答えさせていただくわけですが、その場合二百海里よりもコンチネンタルマージンが越えた場合には、その部分の天然資源についてはその国は独占することができない、そういう独占することができないというのは、それは持たざる国の要求であって、それが大きくなれば、それを持っている国が支配しなければならない。  ですから、私がここで強調したいのは、皆さんにわかっていただきたいのはイデオロギーであって、その思想を身につけることが大事なのであって、その条文のテキストが、ここにおいてはこうであってあそこにおいてはこうである、それで矛盾であるというふうに言うならば、それでもいい。しかしながらこれは、いままで持たざる国であったものが持って、いままで大国が力と富によってほしいままにしてきた世界というものに対して異議申し立てをしているという、そういう時代における大陸だなであり、大陸棚条約であり、海洋法であるということを理解していただきたい。それだけです。

大坪健一郎自由民主党

○大坪委員 時間がありませんから、もうやめますけれども、たった一つだけ。  そうすると、いまの御説明によると、あなたがお話の中で、韓国や日本は北海と違って大陸だなの形成過程が違うから大陸だなの主張ができないとおっしゃいましたけれども、いまあなたが御説明になった大陸だなのお話ですと主張ができるんじゃないでしょうか。まあこれは論争するつもりはございません。ただ国際法ですから精密な議論をしていただきませんと、非常に茫漠とした議論では、それは評論にはたえるでしょうけれども、実定法秩序を議論する場合にはたえられないと私は思うのです。大変失礼なことを申し上げて申しわけありませんが……。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 北沢参考人、時間の関係がありますから簡明にお願いします。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 評論をするのが悪くて、国会議員の方がりっぱだというふうではない、私はここでは対等だと思っていますので、そういうふうにほめたりけなしたりしていただかなくて結構でございますけれども、私がさっき述べた内容は、またどなたかが聞き間違えたのですけれども、日本と韓国との間で自然延長か中間線かという、つまり古い五八年の大陸棚条約において論争するのは現時点においては間違いではないか、国際環境に照らしてそれは間違いではないか、むしろ日本と韓国とで大陸だなの問題について、またその経済水域について論争するならば、それはお互いに二百海里の経済水域を引いたところで、そこでどのように公平な原則に従って中間線を引くかという問題であるというふうにお答えしたはずです。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 野坂浩賢君。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 参考人の皆さん御苦労さんです。時間がありませんので、早速お尋ねをいたします。  最初に池尻参考人にお尋ねをいたします。きのうも領海法の参考人においでになりました。そのときに、漁民の諸君たちは領海法なり二百海里の漁業水域を速やかに決めてもらいたい。いままで外国船が漁労をしておるときに、スクリューにロープを巻きつけて、血で血を洗うような戦いを続けてきました、しかも、漁業者に対して私たちは国益の前に漁民は忍ぶものは忍ぶんだというような説得は全く効果がないような状況である、こういう漁民の心情を吐露されまして、大きな感銘を与えた、こういうふうに私も承知をしております。その際に、いまもお話がありましたように、現状は十二海里、二百海里時代を迎えておるわけでありまして、いままでの漁業というものは、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へ、こういう漁業の方式だったけれども、この時代を迎えた今日、改めて遠洋から沖合いへ、そして沿岸へ、そしてまた、いま与えられた開発可能区域をどのようにして進めていくか、漁場と漁業の拡大をどのように進めていくか、こういうことをいまも強調されたところであります。したがって、この共同開発区域は、アジやサバあるいはタチウオ、グチ等の産卵場でありますし、海流は二つに分かれて流れていく、こういうふうに承知をし、私ども山陰の沖にもここの産卵がふ化されて流れておるということも十分承知をしております。これから掘削その他がもし始まるとなれば、外務大臣も非常に環境その他については最小限にその影響をおさめたいということでございますけれども、この海流その他に乗ってくる漁獲量の問題なりあるいは影響の状態、そういうものはどのようにお考えになり、把握をされておるか、これが一点。  それから、きょう最後にお話しになりました、もし通産大臣が認可するようなことがあれば、農林大臣と十分協議してもらわなければ困ると、これは何を意味しておるのか。言うなれば漁業に重大な影響がある、これからの動物性のたん白質を確保をし、国民に提供するためには、どうしてもわれわれの漁場を守らなければならぬ、こういう意味であろうと思いますが、この影響についてどのようにお考えになっておるのか。  三点目は、いままで大陸だな問題について、たくさんの関連をした漁業組合、私、これだけもらっておりますが、読むと時間がかかりますので読みませんが、そういう方々と話し合いをされたことがあるのか、その点をお尋ねいたします。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 お答えをいたします。  当該共同開発区域の漁場は、いま御指摘のとおり、アジ、サバ、イカ、タイ、グチ、タチウオその他の西日本における有望な漁場でございまして、特にイカの産卵場と私ども聞いております。そこにおける漁獲量は、五十年度で約三万九千トン、四万トンだと承知をいたしております。したがいまして、本開発区域が実現した場合における石油の掘削の問題につきましては、従来と同じように私ども漁業者も重大な関心を払っておるわけでございます。一たび汚染というような問題が起こりますれば、まことに重大な結果になりますので、そういうことのないように願望をし続けておるわけでございます。そういう趣旨からいたしまして、今次協定の特別措置でございますか、たとえば両国の開発権者が締結する共同開発事業計画は、通産大臣の事前認可が必要であり、この段階で漁業被害排除のため十分な行政指導を行うという政府の姿勢が示されておりますけれども、さらに、漁業者の意見を代弁をする農林大臣等の意見を聞いて十全の配慮をしてほしいと、こういうことでございます。  なお、本区域の問題につきまして、私ども組織といたしまして正式にこの問題を取り上げまして漁業者と賛否の問題を議論したことはございませんけれども、直接間接に、この問題がすでに過去に話題になっておりますときからいろいろと相談を受け、そして議論をしたことはございます。  以上でございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 議論の内容を教えていただけますか。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 内容といたしましては、先ほど申しましたように、潜在的にこういうプロジェクトの問題につきましては漁業者は非常な関心を持つわけでございます。原子力の開発しかり、油田の開発しかり、その他の問題も同じでございます。そこで、油田の開発の問題につきましては、単にいま問題になっております共同開発区域の問題だけではなくて、ここにいらっしゃいます倉八さんがたしか西日本石油の社長で山陰の沖を開発されるときに、漁業者の非常な拒絶反応があったわけでございます。そこで、この種の問題を、漁業者とそれから当時の西日本石油開発といろいろ詰めまして、私どももどういうことになるのか、技術的な見解等も持ち合わせない段階でございますので非常に心配でありましたけれども、結局は試掘を認めるということになりまして、私が経験した限りにおきましては、たしか昭和四十二、三年、あるいは記憶間違いで昭和四十四、五年になるかとも思いますが、相当の会議を積み重ねまして結論を出した次第でございます。その後石油の試掘が全国的にも、たとえば常磐沖あるいは阿賀野川の沖、北海道の沖等にも同じようなケースが進みましたわけでございますが、幸いにして私どもが当初心配をいたしましたこととは現実は違っておりまして、いままでそういうトラブルが起こらなかったということにつきましては、私も非常に安心をいたしておるわけでございます。ただ、この種の問題は、万一あった場合というものが非常に大事なわけでございますので、この点につきましてはやはり関心を示さざるを得ない、かように考えておるわけでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 地元の漁業協同組合等の御意見は聞いておいでになりませんね。いろいろと意見が述べられておるようですね、長崎県の漁業協同組合とか日本遠洋旋網漁協とか日本遠洋底曳網漁業協会とかですね、非常に関心を持ってこの問題についての議論があるようですが、まだそれは十分聴取されておりませんね。いま私が言っておるのは、きのうもお話があったように、血で血を洗うような状態、国益というような名前で忍べという説得はもうできぬと、こういうようなお話が強く示されたわけですが、それからいまの四万トンというのはその共同開発区域内でとれる魚だけであって、全体に広がってまいりますから、あるいは産卵に重大な影響があれば魚量というものが減ってまいりますから、それによる全体的な影響は、きのうも議論があったんですが、六十万トンとか、もっと、百八十三万トンという意見もあったわけですが、そういう全体的な大きな影響、そういうものは十分現地の皆さんと話し合っていらっしゃるでしょうか。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 まだ十分話し合っておりません。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 北沢参考人にお尋ねをいたしますが、また、倉八参考人にもあわせてお尋ねをいたしますが、いまお話がありましたこれですね、外務省が出しました「日韓大陸棚協定」、これは見られたと思いますが、これには先ほど議論があったように七億キロリットルということが出ております。倉八参考人もいまこういうお話をされたですね、共同開発地域は安定確実な場所である、これについては、この論拠はエカフェ報告だと、こういうふうにお話しになりました。私もエカフェ報告書を読んでみましたが、お話があったように、台湾の北東部ですね、尖閣列島、この近所には非常に厚い石油貯蔵層があるということで、ここはちょっと弱いんじゃないかというふうに私は受けとめておるんですが、北沢参考人と倉八参考人と両方にその見解を、エカフェ報告を軸にして御説明をいただきたい、こう思います。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 どこが強いかどこが弱いかという問題だろうと思いますが、いま問題の日韓共同区域におきましても、国の調査、これは公団が委託調査を受けるわけでございますが、これの調査もやり、それからいまあそこに鉱区を持っております会社もある程度の調査をやって、そういうのを分析した結果、いまの共同区域内においても六千メートルにわたる厚い堆積層があるということがわれわれが研究の結果出てきたわけでございまして、したがって、南が厚い北が薄いということは一概に言い得ないと私は思います。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 繰り返すようですけれども、先ほど申し上げましたように、ここの統計数字の典拠となっているところの資料ですね、それはエカフェとその他の各種調査なんです。それで、エカフェではないということをさっき証明したわけで、そのくだりから言えば、石油埋蔵量七億キロリットルを超え、一部では六千メートルの堆積層があるというところは、それはほかの調査に基づいたものでなければならない。そうなれば、その調査の名前、内容、それから私は技術的な専門家でないからわかりませんけれども、どの地点においてどれだけの深さ、どれだけの厚さがあったということ容易にわかるはずの——地震の探査、まあ余り言わない方がいいと思いますけれども、どの地点においてどれだけの深さがあったということは詳細な海図の中に書き込まれるはずなんです。ですから、それがどの地点であるかということは、この数字を出した団体または人はそれを知っているはずなんで、その典拠をここのパンフレットの中に明らかにすれば、それが果たして本当か、その典拠なりその資料に基づいてわれわれは再度それを検討いたして、われわれというよりか、むしろ本委員会が再度点検、審議することができるのではないかということを私は申し上げました。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 倉八参考人にお尋ねをしますが、いまお話があったように、エカフェ報告ではそういう資料はない。いまあなたがおっしゃるように、これはいろいろな資料だ、いろいろやったんだと。それはあなたが社長である西日本石油開発がやったんですか。どういう資料ですか。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 これはさっきも触れましたように、通産省におきまして、昭和四十五年から日本の大陸だなの調査、あるいは大陸だなよりもいわゆる大陸斜面の調査を毎年続けておるわけでございます。その調査が一つと、それからあそこの共同区域にいまいわゆる出願をしている三社のうちで、いま御指摘の西日本というのも、きわめてラフないわゆる概査というのも一回行いましたし、それからまた北部における日本石油の鉱区も概査が、これはラフな意味の概査でありますが、そういうのが行われて、それを総合しまして、私はさっき六千メートルになんなんとする堆積層があるということを申し上げておる次第でございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 倉八参考人にさらにお尋ねいたしますが、石油開発公団の投融資の実績というのは、四十五年から五十年度までに大体海外プロジェクトには二千三百四十四億四千六百万円、融資の返済額が二十億五千万円、それから大陸だなのプロジェクトというのは融資と出資と合わせて七十六億八千百万円で、融資返済額はゼロだ、こういうふうに私は承知しておりますが、そうですね。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 私はその資料をここに持ってきておりませんからはっきりは言えないわけでございますが、全体的な数字としまして、公団が投融資した海外及び大陸だなの投資の総数はここに持ってきておりますからお答えできますが、いまの返済が幾らであり、またどのくらいの残高があるかということについては、私はちょっとここに資料を持ち合わせませんから、お答えできません。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 では、資料をお持ちでなければ、後で出していただきたいと思います。  それで、今度掘削とか試掘とかをやるわけですが、この共同開発区域内は水深百メートル以下というのが大体一五%ぐらいの範囲で、最大水深は千百五十メートルぐらいある。きょうは、先ほど帝石の専務もおいでになったのですが、試掘をする能力は日本は大体二百メートルぐらいだと言うのです。こういうことですから、ガルフその他と組むというお話があったわけですが、そういうことからして、いま二千億も貸して二十億ぐらいしか返ってこない、大陸だなプロジェクトの場合には七十億貸してゼロだと、こういう状態ですが、この状態から考えて、石油開発公団というのはこれから融資をするわけですから、窓口になってくるわけですから、まあ一本やれば大体二十五億ぐらいかかる、一年間で三本は打つのだ、十本に二本ぐらいしか当たらぬ、あるいは一本かもしれぬというような状況にあるわけですが、あなたは責任を持って七億キロリットルは出るのだと絶対の自信でありますが、いままでの経緯から考えて、冬眠状態、休眠状態というのが先ほど自民党から話がありましたけれども、休眠状態のものがずいぶんいっぱいありますね。私も八〇%ぐらいは休眠だろうと思っておるのですが、そう状況の中で融資の条件、貸し付けの限度額について、これは出るであろうとおっしゃっておりますが、これがもし出なかったら、その金というものはどういうふうにして返済をさせるのか。非常に焦げつきが多いし、枯れ切ってないという実績から踏まえて、いま自信がありそうなお話でありますが、それらの点については、条件なり限度額というもの、そして返済の姿というものは大体どういうぐあいになるものでしょうね。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 最初、水深が百メートル以内のところと言われました先生の数字は、私はちょっと違うと思いますが、百メートル以内のところが五十何%ございまして、それから四十メートルから五百メートルまでが九二%ぐらい実はあるのでございまして、それで、いま試掘でやっておりますのは、タイでやっております試掘は千百五十メートルのところまですでにやっておるわけでございまして、したがいまして、決して二百メートル以上になったらやれないというようなことではないわけでございます。  それから後の休眠会社、それから不良債権の問題だろうと思うのですが、私はこれはぜひ先生方に御了解願いたいのは、石油開発というのは工場を建てるのと違いまして、世界の平均が百本掘りまして十八・八本というのでありまして、その中で油田の成功というのは実はそれの四分の一とか五分の一でございます。したがいまして、各国も日本と同じようにそういう開発のために投融資しておるのは、それは不良債権としてもう政府の出資の中から落とすというのが世界各国の共通の開発政策でございまして、したがいまして、われわれはできるだけその確率を上げたいということでありとあらゆる努力をするつもりでございますが、絶対一〇〇%成功するということは決してできない、現在のいかなる技術をもってしてもできないということを御了承願いたいと思います。  それから、いまの七億キロというのは、私の方とそれから通産省の技術専門家が一応の推定として計算した数字でございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 貸し付けの限度額とか条件ですね、それについてお話をいただきたい、それから、ついでですから、もう時間がありませんから、この共同開発は、二つに割って韓国側と日本と五〇対五〇。韓国はメジャーに、その業者に権利を与えますから、それで八〇対二〇というかっこうですから、実際問題その石油が日本に入るのは四分の一だという話が先ほどもありましたが、四分の一で、しかもその価格は普通の国際価格でわが国は買うものなのか。近所にあるからそれは国際価格でなしに、安いのか、日本が掘るんだから。そういうことはどうですか。国際価格である、やはりメジャーから、業者から買うんだということになれば、中東アジア等の石油を買うのも変わらぬじゃないかという議論が成り立ちますが、その点はどうでしょうね。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 貸し付けの条件というのはいま五〇、五〇で投融資をしております。投資がほとんど全部でございます。その内容は、この井戸をこういうやり方でいつから削井を始めるということで、きわめて厳格な条件でやっております。それで、大陸だなにつきましては、石油資源の確保という優先順位としまして、大陸だなには七割まで投資いたします。  それから四分の一しか日本に来ないというのは、そういうことは絶対ないわけでございまして、出たものの半分は日本に参ります。それは日本でたとえば外資企業がやりましても、石油の輸出は日本は認めませんから、一滴残らず日本に全部来るわけでございます。  それから価格につきましては、どのくらいの価格で日本に売るかということは、これは開発権者が決めることでございますが、私はいまのOPEC諸国、特にガルフ地方から来る石油よりも安かろう、こう信じております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 これ一問で……。  韓国と分けて半分来る、そういうお話ですが、西日本石油開発の社長を兼務しておられますから、私どもよりよく知っておられますが、コリアン・アメリカンあるいはシェルと西日本石油開発が組む。その相手のシェルその他と話し合いをして、産出をされた石油というものはそのメジャーも半々に取るのじゃないですか。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 まず申し上げたいのは、私はいま準公務員でございまして、民間会社との兼務は一切しておりませんから、公団の総裁の倉八でございます。  それで、いまのにお答えいたしますと、西日本の例が出ましたが、たとえば西日本と韓国側の開発権利者であるたとえばカルテックスが組みまして、それがたとえば百万キロの石油を出したといった場合には、半分の五十万キロは日本に来るわけであります。日本に来て、だれがだれに売るかは別問題でございますが、日本の取り分である五十万キロは一滴も残らず日本に費やされるわけでございまして、輸出は絶対ございません。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 中川君。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 参考人の皆様には大変御苦労さまでございます。  まず池尻参考人に伺いたいと思いますが、先ほど述べられた御意見の中に、漁場の開発を積極果敢に行わなければならないこと、またわが国の二百海里を見直さなければならないこと、さらに共同開発区域がわが国にとって重要なる漁場の一つである、そのために海洋を絶対に汚染させるべきではない、こういったことが先ほどの御意見の中で強調されていたわけですけれども、共同開発区域で操業が行われた場合、漁業に与える影響をどのように推定をしておられるか、またこの水域で漁業に従事する人口はどのくらいか、さらに漁獲量、漁獲額等はどのくらいか、もしお手元に資料なり、またおわかりでしたらお答えをいただきたいと思います。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 私は、当海区に行われる油田の掘削によりましてどれだけの影響が出るかという問題は、先ほども申し上げましたように、過去幾つかの例があるわけでございますが、試掘そのものによりまして漁業が特別の制限を受けたりあるいは油の汚染で損害を受けたというケースは幸いにしてございませんでしたということを申し上げましたが、この場合も、たとえば試掘をいたしますにしても、そのために漁場が制限をされましても、それは点の問題でございますので、私は率直に申し上げましてさほど影響というほどのものはないのではないか。むしろ、今後の運用によりまして油汚染というようなものを絶対に防止してもらわなければならない、これが漁業者の抱いておる不安であろう、かように考えております。  なお漁獲量は、私先ほど申し上げたように三万九千トン、魚種はアジ、サバ、イワシ、イカ、グチ、タチウオ、タイその他でございますが、関係漁業といたしましては大体以西底びきあるいははえなわ、一本釣り等の漁場でございまして、関係漁民数が大体どの程度にわたっておりますかということにつきましては、詳細な数字は持っておりません。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 いままでは余り被害がなかったということでお答えがありましたけれども、海洋開発の際の海水汚濁問題、ただいまももしそういうことがあればというふうに言われておりますが、この問題についてそれでは具体的にどのような対応策を考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 油田の開発も原子力の開発もそうでございますが、これの防止につきましては政府が第一義的に責任を持ってもらわなければならない、私はかように考えております。私どもの組織、漁民がどうしてもこれは手の届かない問題でございますので、その点は政府に挙げて善処を願わなければならない問題である、かように考えておるわけでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 共同開発区域で操業が行われた場合に、しかも何らかの漁民に対する被害というものが現実的に出てきた場合に、いわゆる漁場の転換ということは可能であるかどうか、また、国に対する漁業補償についてその場合にどのように考えておられるか、この辺はいかがでしょうか。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 先般、瀬戸内海で三菱石油の油の流出がございました。あの例にかんがみまして——ある時期におきましては漁業の操業が全く不可能になり、漁業者の生活を困窮させたという一つの例がございます。したがいまして、いまごらんになりまして、瀬戸内海の海はあの当時を想像できないように一応もとの海に返っておりますけれども、油の被害というものは、やはり学問的に今後アフターケアで追求していきますれば、いろいろな障害を起こすと私どもも聞いております。それは瀬戸内海で、今度は瀬戸内海ではないわけでございまして、場合によりましては一時、油も拡散をするでございましょうし、あるいは潮流に乗って当該地域だけの汚染にはとどまらないという問題等もあるだろうと、これは想像でございますが、想定をされますけれども、きれいになったからといって安心するということは科学的な態度でないのではないだろうか。やはり油の汚染そのもののもたらす直接、間接の影響というものは科学的に究明をして、産卵にどういうふうに影響を与えるかとか、その他科学的な問題として、一つの大きな問題として取り組んでもらわなければならないのではないか、私どももかように考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 漁場の転換ということについて伺いたいわけですが、この点はどうでしょうか。いざというときにそういったことが可能であるかどうか、この辺はいかがでしょうか。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 油汚染の規模によるわけでございますが、常識で考えますと、先ほど申しましたある一定の期間に漁業者が操業不能その他水産物が汚濁して廃棄されなければならないということになるわけでございまして、それがもとに復するという状態であるならば、私はそこの漁場というものが永久にだめになって、転換をするというようなことはあり得ないのではないだろうか。なお、なぜかと申しますと、当該漁場は、先ほど申し上げました以西底びきだとかあるいははえなわだとか一本釣りで、要するに回遊魚を追っかけておるわけでございまして、根つぎ、いそつきのいわゆるそこにしがみついて漁業をするという形態でないだけに、漁場の転換というところまではいかないのではないか、これもやはり私、専門家ではございませんから、常識的な判断でございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 もしもいざというときに補償額と要請額との差が余りにもかけ離れたような場合、こういう問題にはどのようにされますか。たとえば共同開発区域に漁船のデモンストレーションをやるとかそのようなことは考えておられるのかどうか。先ほど来の御答弁を聞いておりますと、これから始まろうとするいろいろな作業に対して、実際に直面してみなければわからないとは思いますが、もう一つ現実的に、こうなったときにどのような対応をするかという、この姿勢というものがまだもうちょっと聞かれないような気がしますので、こういったような補償額と要請額の差が出たというようなときにはどのような対応をされようとしておるか、この点はいかがでしょうか。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 補償額の差でございますか。それはやはり関係漁業者にとって重大な問題でございますので、その事態に対応いたしまして漁民の皆さんと相談をいたしまして決めたいと思うわけでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 これ以上さらに御質問することをここでは避けまして、それでは最後に参考人にもう一つだけお聞きしてから次の倉八参考人に移ってまいりたいと思います。  共同開発区域から石油が得られる利益、そして同海域の漁獲量を失う損失と、これを比較して国全体としてどちらがより重要と考えておられるか。漁業の立場でお答えいただくわけですけれども、この重要性について御意見を承りたいと思います。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 私は漁業の立場というものは金で評価できないと思っております。したがいまして、許されることならば、将来私どもの漁場にいろんな危険を及ぼすようなものは、できるならばそういうものは避けていただきたいというのが漁業者の信念でございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 それでは倉八参考人に伺いたいと思います。  先ほど、この前の質疑のときに御出席をいただいた参考人の御意見によりますと、共同開発区域に対する投資効果を疑わざるを得ないという御意見、そしてより率直に言うならば、この海底から多量の石油はとれない、収益性ある油田は期待もできないとその方が判定をしておられる。また九州西方、この海底には全く石油がないというものではないけれども、ちょうど西日本石油開発の試掘があったときには確かに若干は出た。しかし、その海域は共同開発区域の北端付近にあったということですね。そうして結局は商業的な開発の対象とはなり得ないんではないか、こんなような御意見があるわけです。このように共同開発区域では期待する埋蔵量は望めない、商業採算も期待できないというふうな考え方があるわけですが、この協定による共同開発区域の石油埋蔵量、先ほどからも数字も出ておりますが、こういったことと関連をして、開発事業そのものは十分に商業採算がとれる、この確信がおありかないか。先ほど帝国石油の吉岡参考人にも伺ったわけですけれども、倉八参考人の御意見として伺っておきたいと思います。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 さっきから申し上げておりますように、私はこの地域は非常に有望な地域であると思っております。それでその収益性が、採算性ありやということになりますと、だからこそ早く試掘をやりまして、その堆積層の中からの出油を探す、あるいはそれに応じて地質をさらに掘り下げて検討していくというのが必要でございます。それで私といたしましては、いままでわかった資料から見ると、これは採算のとれる油なりガスがあろうと、いまはそう考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 試掘ということはもちろん当然一般論として必要なこととは思いますが、石油開発公団は、開発事業についてどういう側面において援助されようとしているか。国民の税金をむだにするということは、これは許されないと思うわけですけれども、そういう懸念に対する公団の見解、こういうものはいかがなものか伺いたいと思います。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 私が預かっております石油開発公団がいまの共同開発地域に投融資するかどうかは、まだいまのところわかりません。というのは、担当される開発権者が果たして公団に投融資を希望されるかどうかもわかりません。しかし、もしも私の方で助成するというたら、資金について、その試掘あるいは探査についてどこをどうやって、どういう掘り方をし、あるいはどういう探査の仕方をやるということをつぶさにわれわれの方で検討いたしまして、それの七割とかあるいは六割ということをわれわれとしましてはそこに投資なり融資としてお役立てする、また技術的な指導につきましては、いま公団が一番大きい技術陣を擁しておると思いますから、それは十分技術面からのいろいろなアドバイスはいたします。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 日本の今後のエネルギー需要の伸びをどのようにとらえておられるか、また日本のエネルギー需要の伸びをどのようにして賄っていくかという問題ですが、この辺のことについてお答えをいただきたいと思います。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 要するにエネルギーの伸びというのは、従来はGNPが一伸びますと、常識的にそれに一・三を掛ければエネルギーの伸びがわかったわけであります。ところが、最近は非常に産業構造も変わりまして、いまGNPの伸びの一に対して、たとえば石油の伸びは〇・九とか非常に減ってまいりました。たとえばいまから十年たちましても石油は依然として七〇%近いウエートを占めるであろうというふうに私は考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 時間が参りましたので、最後に北沢参考人に一つだけ伺いたいと思いますが、簡単なお答えで結構でございます。  本協定を締結しないことによるメリットとしてどのようなことが考えられるか、また本協定を締結することによるデメリットにはどのようなことがあるだろうか、このことについて簡単で結構でございますから、お答えをいただきたいと思います。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 締結しないことによって生じるところのメリットですけれども、私は共同開発方式というものがいいか悪いかということを論じるわけではありませんけれども、共同開発方式というものを全く抜きにしてここのことはお答えするわけにはいかないわけなんで、共同開発方式ということに限って言いますと、たとえば台湾問題が解決した暁ではありますけれども、最も有望であると思われているところの尖閣列島付近の石油開発問題というものを、日中あるいはその他の国を加えたもので共同開発することができるかもしれない。その場合にはエカフェ報告が有望であるということを言っているわけで、ただし、ここには尖閣列島の領有をめぐる問題というものが残っておりますし、たとえ日本のものだとしても、島と大陸ということが果たして中間線でもって公平の原則が貫かれるかどうかということは疑問だと思います。にもかかわらずそこの方が私ははるかに有望だと思いますし、また、この日中に関しては中間線、それから二百海里水域にすれば全く日本の中に入ってくるところの共同開発区域ではない開発区域の設定というものをここにすることが、つまり西日本沖の、ある形は違うにしても、何かできるのではないか、そういうふうな可能性については、それは一にかかってここの関係諸国、つまり日本、中国、韓国、それから朝鮮民主主義人民共和国という関係諸国の平等な立場において解決する、または、そこに関係しているところのあらゆる国際政治問題というものが、解決の方向に日本が努力するということにおいて、それは可能であると思います。  それでデメリットですけれども、現在私が結論したがったところは、この協定に沿って実行された場合に余りにも抜け穴が多いということなんです。つまり、日本の政府というものが企業に対してある程度コントロールする力を持っているというならばよろしいわけですけれども、そういうコントロールする力がない。つまりその政府の立場、これはあくまでも民間業者と民間業者がいずれの国の国籍を問わず開発するわけですから、そういう民間業者の間の協定だとか事業に対して日本の政府というものが、韓国政府のことは言わないにしても、日本政府というものがコントロールする力がほとんどない。つまり、そういう立場を日本の政府がとってないという現状において、国会がまたそういうコントロールする、つまりそういうものを監査する特別な機関を設ければまた別ですけれども、そういうことなしにこのままこの協定を結べば、あらゆることが可能である。つまり、石油は出たけれども、日本の外に輸出することはできないかもしれない。しかしながら、メジャーですから、それはあらゆることは可能であって、それをどこかに蓄積して日本に出さないことはあるかもしれない。それからまた、韓国政府とメージャーとの間にどういうふうな開発契約が結ばれているかは全くわからない。それを日本国国会が韓国政府に問い合わせることはほとんどできないだろう。つまり、主権の問題にかかわっているわけです。それにもかかわらず、そういう契約がすでに存在するわけですから、そういうものを査察する力というものはないわけです。それを出させる力というものはないわけで、このままもし批准するということはまさに盲判を押すということでしかない。つまり、行政府が準備したものを立法府が盲判を押すということであって、それは全く国会のあり方としては間違いであるというふうに私は思います。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 以上で終わります。どうも大変ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 渡辺朗君。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 倉八参考人にお尋ねを申し上げたいと思います。  石油開発公団は、わが国のエネルギー政策の一つの大きな目標である石油の三割自主開発、そういった使命感を持って活動しておられるわけであります。その際に、先日実はこの外務委員会におきまして通産大臣に来ていただき、御質問をさしていただきましたところ、この目標を達成するためにわれわれとしては最大限の資金的な応援の方法をとりたい、金で心配をかけるようなことはしないと、大変勇ましくもあり、またかつ、ちょっとびっくりするようなお話もいただきました。  実はそれに関連いたしまして、石油開発公団が先ほどからのお話の中で、いろいろ民間の会社に投融資をしておられる、また大陸棚協定が批准された暁には、その区域からとれる五〇%の石油は一滴残さず日本に持ち込む、そういうお話がありましたけれども、それは日本の地域には持ち込まれるかもわからないけれども、民間の会社に行くのであって、これが本当に国民に低廉な価格で還元できるのか、こういう点について保障がない。その点が非常に心配でございますので、総裁としての御意見をいただきたいと思います。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 いま先生のお言葉にありましたように、出たものの半分は全部日本に持ってきて使います。その場合の価格という問題でございますが、さっきもお答えしましたように、幾らの価格で売るかということはその開発権利者が決めることでございますが、幸い中近東から来るような運賃もかかりませんし、それからもしもパイプでもできたらば非常に経済的に運べるということで、一般的に言えば、輸入原油よりも安かろう、その安い分がもしも大きければ大きいほど日本の国民経済に寄与できる、私はこういうふうに考えております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 いま開発公団の財源はどういうものが充ててございますでしょうか、お尋ねをさせていただきます。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 これは政府の出資と資金部からの借り入れ、それと公団債の三本立てがわれわれの給源でございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 一キロリットル当たり七百五十円の石油輸入税、これも充てられているわけだと存じますが、そのとおりでよろしゅうございますね。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 おっしゃるとおりでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 そうしますと、私ども国民が使っている石油の輸入税、こういったものも開発のための援助として使われる、それだけに国益のためという言葉が往々にして使われるのでございますけれども、国民サイドにどう還元するかというようなメカニズムなりシステムなりを何か必要とするのではあるまいか。早い話が、新日本石油開発あるいは帝石あるいは西日本石油、出願中でありますけれども、これらが開発権者となられた場合、西日本石油の場合は新会社を最近名称も変更されたようでありますが、そこに入るのであって、国民の方にストレートに来ない、何かここら辺のことを考える必要があるのではあるまいか。早い話が石油公団がこれを買い取られるとか入手されるというシステム、これができないならば、何か特殊法人的なもの、かつては日本合成ゴム株式会社がございましたし、あるいはまた東北開発株式会社というのがございましたが、そういうようなもの、国のコントロールのもとに置くというふうな方法は考えられないものでしょうか。イギリスの場合、ノルウェーの場合はいずれも国策会社ができております。そして北海の開発にかかっておりますが、そのようなことを総裁として何かお考えではないでしょうか。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 いまの先生のお話はまことに石油政策の基本問題をおつきになった非常に傾聴に値する御質問と私は思いますが、果たしてそういう一手買い付け機関でやった方がベターか、あるいは民間のバイタリティーを大いに生かしてやった方がベターかという問題につきましては、大いに検討を要する事項と私は考えますので、今後研究をさせていただきたいと思います。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 ぜひ総裁にも御検討いただきたいと思います。というのは、通産大臣にその点を要望いたしましたところ、ぜひ前向きに検討し進めるというポジティブなお話がございましたので、やはり早急にそういった方向を考えていただきたいと思います。  次に、同じく重ねてで倉八参考人にはまことに申しわけありませんが、お尋ねをいたします。きょうの午前中でございましたか、午後からの同じく参考人として来ていただきました帝石の方でございますが、お尋ねをしておりましたら、現在ザイールの石油開発をやっておられる、石油開発公団から三、四十億の融資が行っている。これは事実でございますね。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 事実でございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 そうしますと、石油公団法の附帯決議の中にはこういう項目があります。四番目のところに、「国際紛争のおそれがある地域の探鉱事業に対する石油開発公団の投融資については、これを行わないこと。」私の知る限り、現在ザイールにおいて紛争が起こっております。また、諸大国の介入もあって大きなものになりはしないかと案じておりますけれども、石油開発公団としてはこういう問題について、これは附帯決議と相反する結果になっているのではないかと思いますが、どのような御見解をお持ちでございましょうか。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 ザイール石油は日本の中で成功した代表的な会社でございまして、すでに生産を開始しまして、日本に持ってきまして非常に大きく寄与しておるわけでございます。いま先生の御指摘の一昨年三月の附帯決議で、そういう紛争のおそれがあるところには投融資はしないということがあるのもそのとおりでございますが、最近のザイールの紛争というのは、一つの州であるカタンが地方にアンゴラから侵入した事件が発端でいろいろそこでやっておるわけでございますが、われわれがいまやっているところは海面でございまして、いまのところは何ら支障がございませんが、しかし今後紛争が非常に長引き、あるいは拡大し、さらに今後ザイール石油から投融資なら投融資の要望があった場合は、十分その辺は通産省あるいは外務省とも相談いたしまして善処したい、こういうふうに考えます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 この問題はぜひいろいろと深刻に検討をしておいていただかないと、石油開発のために国民が税金を出し、そしてそれを援助していながら、たとえばいまのザイール紛争のようにある地域の人種闘争、特にアパルトヘイトだとか、そういうような問題に関連いたしましてまだまだこれから騒乱の可能性があると私は思います。そういうようなところに日本そのものが巻き込まれていくという懸念がございますので、十分な検討をぜひお願いしたいと思います。  重ねて倉八参考人にお尋ねをいたしますけれども、この附帯決議の「国際紛争のおそれがある地域」ということについては、この共同開発区域は適用されるんでしょうかどうでしょうか。公団側の方としてどのような御見解をお持ちでございましょうか。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 これは私から有権的な解釈というのは非常にむずかしいと思いますが、私自身はこの協定がめでたくできれば紛争はなかったというふうに考えますが、しかしまた、いろいろ中国の問題あるいは朝鮮民主主義人民共和国の問題もありますから、その点は政府とも十分に相談いたしまして政府の指示を受けたいと思います。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 時間もございませんので、最後に一問だけ倉八参考人にお尋ねをさせていただきます。  先般通産大臣にお尋ねをしましたときに、公団法によれば外国政府機関に対しても融資はできることになっているけれども、韓国政府に対しては考えておらないし、その意思はないというふうにおっしゃいましたが、公団の側はそのような理解で臨んでおられますのでしょうか、お確かめをいたします。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 そのとおりでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 大変参考になりました。どうもありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 寺前君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 繰り返しになりますから、私は確認的な質問だけをちょっとさせてもらいたいと思います。  先ほどもお話が出ておりましたが、海底の石油をとろうという話と海の漁業、これは当然のことながらそれぞれの利害が相反するものが生まれてくる、そこからどうしたってやる以上は話し合いがされなかったらうまくいかない、現実に行われている開発がそうだと思うのですね。そういうことになってくると、この開発地域の漁民の皆さん方と、これは法律でもってばっとやらすことを決めてしまって、しかも日本だけがやるんじゃなくして韓国との共同ということになるだけに、ちょっと普通の紛争では済まない要素を持ってくるというふうに私は思うのです。それだけに、この協定というものが関係漁民の皆さん方に一定の理解が進んでいないことにはこれは私、大変だろうと思うのです。先ほど漁連のお方のお話を聞いておりますと、漁連の中自身でも十分まだ話が進んでいないような印象を受けたんで、誤りだったらあれですけれども、幹部の皆さん方の間でそうだということになったら、広く関係漁民との間にはもっと理解が進んでいないんじゃないだろうか、私はこれを懸念するのです。そういう意味では私は国会においても、たとえばの話、現地へ調査団が行って、それを機会にしてみんなの意見を聞くとか、公聴会を現地において行うとか、何らかの形で国会自身がそういう条件をつくってあげるというやり方が必要ではないだろうかということを先ほどのお話を聞きながらつくづく感じておったわけです。いままで政府がそういうことで意見を聞くというやり方をされたことがあるのか、あるいは関係石油業界の方々がそういう意見を聞くという行動をやられたことがあるのか、私は国会の側ですから国会ではやった覚えはございませんので、そういう意味では関係者の間の合意を得る手はずというのがやられていないというふうに断定しても間違いないのじゃないかというふうに思うのですが、事実は一体どういうことになっているのだろうか、その事実問題をひとつお聞かせをいただきたいのと、それからこの問題について深く理解をするために、私が言ったように国会が現地調査をやるとかあるいは公聴会をやるとか、何かの処置は要りませんかということについて、漁連の幹部の方と公団の総裁の方にひとつ御意見を承りたいと思います。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 正直に申し上げまして、私も冒頭に陳述申し上げましたとおり、私自体がこの協定のすみずみまでの問題について勉強をしてここに来ているわけではございません。私は全漁連の専務理事でございますが、もうすでに二十三年おりまして、少なくとも言えますことは、日本の漁業者の、特に沿岸関係の漁業者に起こることは必ず私のところに問題が提起されてくるという自負をいままで持ってまいりましたが、このことにつきましては私は余り声を大にして漁業者からの要請も受けませんでしたし、私自体もまた不勉強のままでおっておるわけでございます。  ただ、一言申し上げますと、先ほども触れましたように石油の開発が始まった場合に、島根の沖でいろいろ問題がありまして、そのときには非常に真剣に取り組んだ経過がございます。そこで、先生まさしくおっしゃるとおりでございまして、私は、国政の審議をなさいます国会議員の先生方は、深く現実の漁業者の実情なり地域住民の実情を掌握する必要はこれは十分——それが当然である、かように考えるわけでございます。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 お答えいたします。  日本の周囲の大陸だなで探査をやり、あるいは試掘をやる場合に、漁民の方と相談してその了解を得ないでやったためしは一回もございません。それで今度も、御指摘の、たとえばこの地点にこういうことをしたいという場合には必ず関係の漁民の方と御相談申し上げるということと私は信じますし、それからもしも私もこの開発に関係を持つようになるとすれば、そういうふうに指導するつもりでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 質問した点がちょっと違うのですがね。要するに今度は他の国と共同してやる地域となるだけに、日本の単独の中で事業主が漁民の皆さんとお話をして云々という事態とはちょっと違うのじゃないか、国際協定でもって一定の地域を位置づけてしまうのだから、その場合はどうなるかというようなことについてお話し合いが関係のところの中で行われているのかという事実を私は心配をしたわけなんです。公団の方で何かおやりになっているとか業者の中でも何かそういうことについて今度はこういうことになりますよということをおやりになったように私は聞いておらないし、政府もやったようにも思わないし、国会自身もやっていないから、そういう意味では、国際的にこういう共同開発地域というのを設けてやるということについて全然未知のままに事態は進んでいるのではないか、その事実を何かお気づきですかということを聞いたわけなんです。私はそういう国の違うところが共同で作業することになるから、それだけに十分な合意がされた上で協定というものが確認されていないと、一国の話だけでは済まないのではないかということでちょっと聞いたわけで、別にこれ以上お答えございませんでしたら、それで結構です、別に問い詰めているわけではございませんので。  それではその次に、ちょっと北沢さんにお伺いをしたいと思うのです。南部の共同開発の協定、これの二十八条にこういうことが書いてあります。「この協定のいかなる規定も、共同開発区域の全部若しくは一部に対する主権的権利の問題を決定し又は大陸棚(だな)の境界画定に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならない。」こういう言葉というのは、一般の人が読んでおったときにはよくわからない言葉なんですよ。私もようわからないのですけれども、わからないままに国会議員が勤まるかということになりますので、せっかくりっぱな先生お見えになったのだから教えていただきたいと思うのです。実は、先ほど北沢さんがお述べになっておられた外務省の情報文化局のこのパンフを見ると、早うやらなんだら損するぞということが、「待てば待つほど、我が国にとって不利な情勢が固まりつつあるといえましょう。」とか、あるいは「我が国にとって現実的に選択し得る最も有利な方式であり、その早期批准が我が国の国益に合致する」とか、あるいは「自然延長論がますます有力になりつつある情勢のもとで、韓国側を説得してみても、なかなかその納得は得られない」というようなことを指摘してあるわけだけれども、私は子供にちょっと聞いてみたのですよ、これは常識的に締約国の立場を害するということにならないのだろうかということを私はつくづく思うのです。普通常識から言いますと、こちらに朝鮮半島がある、こちらに日本がある、いま全体として海の問題では二百海里がざっと国際的な話になってきている、単に海の上だけじゃなくして底までいく経済水域という形でこういく、お互いがそう線引きして、そこへ大陸だなが、その片一方の方があれはおれのところの地続きだ、こう言ったときに、これは二百海里を超えた範囲内のところで話をするのが普通と違うか、子供はこう言う。私はきわめてそれは常識的だと思うのだけれども、世界はそれが常識にならないのかどうか、第三次海洋法会議が進んでいるけれども、そういう話にはならないのかどうか、それはもう通じないというのかどうか、きわめて常識的に、子供が質問したことに対する問題として先生の御意見を聞かせていただきたいのと、この二十八条が本当に締約国の立場を害することにはならないのか。その共同開発地域というのは、こういう常識からいったら明らかに日本のところへがばっとかぶってくる、そういう設定をよくぞのんできたなという話にはならないのだろうかと私は子供に言われて、説得がきかぬので、先生、もしもう集いこと外務省の立場に立ってお言いになるのか、それはそうだとおっしゃるのか、それをひとつお教えいただきたいと思います。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 私が陳述の中で省きました部分がございます。それは日本がもともと五八年の大陸棚条約に基づいて中間線論をとっていたわけですけれども、その場合に韓国は自然延長論をとっていた、これは外務省の説明によるところですけれども、その紛争の中で、七二年四月の段階で、日本の外務省が韓国に対して国際司法裁判所にこれを付託するという通告をしているわけです。つまり、日本はこの共同開発地域と同じ部分を、その当時は、つまり七二年四月の段階においては、それを日本のものだ、天然資源に関しては主権的権利を有するものだという主張をとっていたわけです。それが同じ年の九月初めに、これはそのときの田中首相が中国に行く直前ですけれども、この日にちというのが私は非常に重要だと思うのですが、そのときに第六回日韓閣僚会議が開かれて、その会議の中か外かは別にして、そのときに韓国側から日本の団長に話があって、そしてそれが急遽決まったということは、そこのところはこの前の国会でも明らかにされているところだと思いますし、議事録にも書かれておるところです。ところがその間に、つまり七二年の四月と九月の間にもう一つ会議が開かれていて、それが私たちここではまだ討論されていないだろうと思うのですけれども、民間の日韓協力委員会が開かれているわけで、それはここのところで、伝聞を、本に書いてあることを云々することはできませんけれども、そこにおいてある人に言わせれば、それはもともと台湾と日本との間に尖閣列島のところで共同開発する話を将来進めるためのモデルとして、ここの共同開発区域を日韓でやろうということを政府ベースに乗せたという話があります。このことについては国会で追及なさるのがよろしいと思いますけれども、そういうくだりでもってなされたのであって、これは一つの国ともう一つの国が国の国益をがっぷり四つに組まして、そしてあくまでも対等の立場で決めたものではなくて、何らかの政治的な動きがあったということをあらわしているものではないかというふうに私は思うのです。つまり、その七二年四月と七二年九月の間の急激な変化、それは百八十度日本の態度というものは変化したわけです。こういう返事でよろしゅうございますか。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 別に問い詰めるわけではございませんからいいです。  時間が来ましたので終わりますが、一つだけ公団の総裁に、昨年でしたか、総合エネルギー調査会の需給部会で長期エネルギー需給計画というのが出されましたね。この需給計画は、これが計算の中に入っているのでしょうかどうか、御存じでしたらお教えをいただきたいと思うのです。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 私はそれがそのまま入っておるかどうかは存じませんが、今後大陸だなを開発していく場合に開発できるであろうという数字を入れでおるのが千四百万キロだろうと思います。したがいまして、この大陸だなから出るものずばりを入れておるかどうかは、私ははっきり存じません。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 伊藤公介君。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 最後の質問でございます。  午前中からいろいろと御意見をいただいてまいりました。私は、今度のこの日韓大陸棚協定が長い間すでに何回かこうした議論を積み重ねてきて、しかしその内容に立ち入っての質疑がほとんどされないまま今日に来た。しかも五十年先のわが国の経済のまさに命運を担う日韓大陸棚協定というものが、終始私どもいろいろなお話を伺っていますと、もはや単にエネルギーの問題だけではなしに、大変イデオロギーが立ち入ってきておる、こういうことは大変残念なことでありますけれども、私たちはあくまでも個々のイデオロギーを抜いて、これから先長い間わが国の経済をどう考え、エネルギー資源をどう考えるかということを基本にしてこれから決断をしていきたい、こう考えているわけでございます。  まず、いま私どもが同時に領海十二海里、そして漁業専管水域二百海里、こういう非常に切実な新しい海の秩序に対応しなければならないときに差しかかっているわけでありますけれども、池尻参考人、北沢参考人、お二人にお尋ねを申し上げたいのでありますが、私どもはこの二百海里漁業専管水域を宣言するということよりは、むしろ今後の国際海洋法会議の動向を見れば、まさに先取りをして経済水域二百海里を宣言をすべきだという考え方を持っているわけでありますけれども、もし漁業専管水域二百海里でなしに経済水域とした場合に、わが国がこうむる利益、不利益はどうなるのか、お二方にお尋ねをしたいと思います。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○池尻参考人 むずかしい質問でございますが、日ソの事態で急激に二百海里というものが出てまいったわけであります。私はこの海の囲い込みというものについては、漁業者の立場を離れまして一つの意見を持っておりますが、長くなりますので申し上げませんが、やはり海洋分割というものは核兵器の問題あるいは現在人類が持っております政治的な両体制の矛盾の問題、それから来る、それの次に海洋分割というものが果たして人類に幸せをもたらすか、不幸をもたらすかということは、超大国を初めこれは十分考えて善処をしなければならない一つの問題だと思っております。したがいまして、こういう事態でなければ、私は漁業専管水域二百海里さえも日本は漁業の全体の利益のために緩やかに定着をさしていかなければならないという考え方を持っておりましたが、そういうことも許されない事態になってまいりました。したがいまして、専管水域のみならず経済水域ということによってその海を取り囲みましても、その運用に当たりましては単に目先のメリット、デメリット、そういうことではなくて、やはり海の囲い込みが将来隣保共助あるいは善隣友好、どの国に対しましてもそういうような効果を持ち得るような哲学で運用しなければならないのではないか、かように考えておる次第でございます。

北沢洋子国際問題評論家

○北沢参考人 日韓大陸棚協定の関連において申しますと、それは非常に近視眼的な物の考え方ですけれども、二百海里経済水域を、漁業水域でなくて経済水域を宣言した場合には、それはこの日韓大陸棚協定というものそのものが、全くその持っていた基礎そのものを失うわけで、つまり日本の線引きの中に入ってきてしまうという意味において、私の主張するところのこの協定は無効になると思うわけです。その意味において、私の考え方では、これはその方が非常に利益であるというふうに思うわけですけれども、考えなければいけないことは、経済水域を宣言するということは、ただ二百海里を宣言したらいいという問題でなくて、日本のようにいろいろな国と境界線を引いた場合に、向こう側も二百海里を宣言するわけですから、その場合に日ソのような、つまり相手がしたから対抗上する、それでそれを少しずつ、何かバーゲンのように取り合っていくというような形でなくて、もっと根本的に国際海洋法体系というものができつつある、それを日本がどのようにその中に貢献するかというふうな考え方のもとに、つまり思想的に全く違う考え方のもとに二百海里経済水域を宣言すべきであって、そしてそのような思想に基づいて善隣国と、つまり関係各国と交渉しなければならない。つまり交渉ということが直ちに出てくるわけで、太平洋のど真ん中に引くわけではないですから、つまり全部引っかかってくるわけで、そういう交渉の立場に立つときにも、ただ物さえとればいい、ただなるべくたくさん魚をとればいいというような、それから石油をなるべくとってしまうというような考え方以上の、もっと思想的な考え方というものを持つ必要があるのではないかと私は思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 日本と韓国との共同開発区域のこのエネルギーというものが必要なことはもとよりであります。これは私ども恐らくどの政党も、エネルギーがもしあるとすれば、そのエネルギーはわが国にとって欠かすことのできないものだ、こう言うことは同じだと思いますけれども、しかし私どもは、日韓の共同開発の海底に眠っている油田だけのことを考慮をして、もっと大きなものを失ってはならない、この配慮はどうしてもしたい、していかなければならないと考えているわけでございます。  倉八参考人にお尋ねをしたいのでございますけれども、日韓大陸棚協定の共同開発の部分はもちろんでありますけれども、さらに新しく開発すべきところをお考えになっているのか、あるいは希望の持てるところがさらに幾つかにわたってあるのか、また具体的な共同開発を含めて今日まで独自の調査をされているのか、お尋ねをしたいと思います。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 さっきから申しておりますように、最も安定した供給源であります日本の大陸だな並びにそれに接する大陸斜面と申しますか、それを優先的に開発するということは当然のことだろうと思いまして、それに全力を挙げておるわけでございます。  それから、日本の大陸だなにつきましても、有望なところもございますので、そういうのも片っ端から開発していくことは当然でございます。  それからこの調査につきましては、大陸だなも含めまして、さっきから申し上げておりますように調査をしておる次第でございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 日本と中国との間に眠る油田こそ、わが国の今後の経済にとってはより重要な問題だと思うのでございますけれども、倉八参考人、今度の日韓大陸棚協定をこういう形で共同開発をするということが、今後の日本と中国との間における開発に大きな影響を及ぼすのではないかという心配をしておるのでございますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 私は、これは全く私見にわたる一個の意見として聞いていただきたいと思いますが、こういう囲まれた土地において、有望な資源があり、その大陸だなの所在をめぐって、いろいろ問題のあるところは、共同開発というのが一番現実的な、しかも資源を確保する有効な手段ではなかろうかと考えます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 重ねてもう一度お尋ねを申し上げます。  私たちは、このことが大変大事な問題であり、そして今後のエネルギーの問題に大変重要な問題であるからでございますけれども、当初韓国が第一鉱区から次々と鉱区を設定をしてまいりました。そしてこれに開発をすると言って乗ってきた企業が、すでにみんな引き揚げてしまった。これは中国との配慮が非常に強い、中国とのむしろ油田開発ということに配慮をしながら引き揚げたのだというお話も私どもは聞いているわけでありますけれども、その辺の事情についてはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 いま先生の御指摘のとおりだと思います。それが一つと、それからもう一つは、この協定にもありますように、放棄義務あるいは開発義務というのがうたわれまして、韓国が与えた御指摘の会社にもそれが適用されたわけでございますが、そういうのが二本くらいおのおの掘りましたけれども、いい油田が見つからないで放棄したという、国際的な考慮と現実的な問題、その二つから来ているのではないかと思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 時間が参りました。最後の質問をさせてください。  いまお答えの中に、私の質問に対してはそのようでございますというお話でございました。私たちは、この共同開発区域に眠っている油田に関しては、それぞれ専門の方々の資料によっても、あるいはこれまでのエカフェを初めとした調査等によっても、かなり期待が薄い。あるいは出ても、そう期待が持てないという消極的な意見も非常に多いわけであります。そのときに、すでにそれぞれ私企業が、共同開発のこの韓国が設定した鉱区は捨てても、新しい中国との油田を考えている、考慮しているという実情を考えれば、いま私たちの将来の国益にとっては、この共同開発をすることよりは、中国とのこれからの開発を考える、すでに日中友好、日中間の関係は急速にいまその条件が整いつつあるわけですから、むしろ中国との新しい石油開発を考えるということの方が、わが国にとっては国益になるのではないかと私は思いますけれども、倉八参考人の御意見をお聞かせください。

倉八正石油開発公団総裁

○倉八参考人 私といたしましては、両方ができれば一番よかろう、それを非常にこいねがっておる次第でございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本件審査のため大変参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  この際、暫時休憩いたします。     午後六時五十七分休憩      ————◇—————     午後八時二十二分開議

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続き、政府に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。飯田忠雄君。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 時間が大変遅くなりましたので、簡単に質問を申しますので、お答えの方もどうか簡単にお願いいたします。  まず最初に、条約締結権の問題についてお尋ねいたしますが、条約締結権は、これは立法に関する問題だと理解しております。そこで憲法は、事前に国会の承認を得ることを原則とし、時宜によっては事後の承認でもいいと、こういうことになっております。  そこでお尋ねいたしますが、今般の日韓協定は国会の事前承認を受けておられるでしょうか、お尋ねします。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 この協定は当然批准の条項がついておりますので、事前の御承認が必要と考えております。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 締結前に事前承認を受けられたでしょうか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 発効する前に御承認をいただかなければならない、こういうことでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 そうしますと、それは発効する前であって、実際に協定をお結びになるときには動いておいでにはならないと、こういうことでございますね。どうでしょうか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 条約の締結と申しますのは、わが国が、批准、加入、受諾等の手続によりまして、わが国が当該条約によって最終的に拘束されるということの意思表示をするときでございます。したがいまして、この条約について申しますと、批准をする前に国会の御承認をいただくというのが事前承認の意味でございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 それでは、事後承認というのはどういうことでございますか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 例外的な事情の場合に、政府がその締結を終わりまして、その後に国会の御承認をいただくという場合が事後承認でございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 それでは、これは言葉の問題ですから、言葉を改めます。日韓協定を実際に韓国といろいろ相談をしてお決めになる、この場合に、事前にどういうことを決めるかということを国会の方へ申し出て承認を求めるのが立法というたてまえからは必要であろうと思いますが、それはなされておりません。そうしますと、なぜそういう手続がなされなかったか、急がねばならぬところの事情が特にあったのか、こういうことが問題となるのですが、どういう事情があったでしょうか、簡単に御説明願います。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 条約を締結するという権限は、憲法七十三条三号によりまして、これは政府にあるわけでございます。したがいまして、まずその協定を交渉いたしまして、さらに署名に至りますまで、これは行政府の権限としてこれを行ったわけでございまして、その後国会の御承認という手続を経まして初めて批准によって条約を締結するわけでございます。もちろん、いろいろな条約を締結する際に、その条約をめぐる政治的な問題等について国会で実質的な御議論があるということはあるかと思いますけれども、条約の交渉あるいはその署名を行う前に国会の御承認をいただかなければならないという規則はないわけでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 私がここで御質問申し上げておりまするのは、条約を結ぶということは一つの立法作業でございます。立法作業であるならば、当然立法は国会に所属する権限である。たまたま便宜上政府にその取り扱いが任されておるにすぎないわけです。そうでありまするならば、事前に国会の方へこれから結ぶべき条約の内容を御相談になるのがたてまえではないでしょうか。どうです。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 いかなる内容の条約を交渉するかということは、先ほど申し上げましたように憲法第七十三条三号の規定に基づきます政府の行為でございます。しかしながら、締結の前には国会の御承認をいただくということでございまして、そこで言われておる締結と申しますのは、批准あるいは加入、受諾等の行為を指すものでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 この問題は議論しておってもなかなか意思が通じませんので、留保いたします。  次に移ります。領海は主権の及ぶ海域だ、このように言われております。主権は地下にも及ぶでしょうか。どうです。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 地下及び上空にも及びます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 領海が十二海里に広げられました場合に、その海底ですね、海底の陸地、これはわが国の主権の及ぶところになるということでございますね。  そこで、その土地が、その海底の陸地が大陸だなに属する、こういたしますと、それに続いておりますところの海底の地域はわが国の大陸だなだ、こう解釈してよろしいでしょうか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 大陸だなは領海の外に広がる海底でございまして、その海底にわが国が主権的な権利を資源の開発に関して行使し得る区域でございます。したがいまして、わが国に属する大陸だなということになろうかと思います。ただ、この日韓大陸棚協定につきましては、たまたま韓国が別途のいわゆる自然の延長という立場から主張しておりました大陸だなというものがわが国の領海のすぐ近くまで延びておったということはございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 現在は領海三海里ですから、現在この条約を結べば韓国の自然延長説の方が強い地位を持ってくるでしょうが、領海を十二海里にいたしました場合には、わが国の大陸だなになるところなんです。この共同開発区域というのはわが国の大陸だなになるはずでございます。そうした場合に、これが韓国の大陸だなだという主張と衝突いたしました場合、公平の原則、これはすべての法律の世界においての大原則でございます。この公平の原則によった場合に、どのような境界線を設けるのが正しいでしょうか、お尋ねいたします。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 私、必ずしも先生の御設問をよく理解しておらないかもしれませんけれども、この協定が共同開発区域としております地域に関しましては、わが国は基本的にわが国に属する大陸だなであるという立場をとっており、現在もその立場をとっておるわけでございまして、これは協定第二十八条の規定によって明らかなところでございます。また、韓国もこの区域は韓国に帰属すべき大陸だなであるという法律的な立場をとっておりまして、またそのことは協定第二十八条の規定で明らかな次第でございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 中間線で決めるということが公平の原則に合うのではないか、こういう学説が午前中の先生方の意見にもございました。それを中間線によらないで、この協定に決められたような方式で決められた、その根拠はどこにありますか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 この当該の区域に関しまして日韓間の主張が対立し、食い違いましたのは、この大陸だなの区域がわが国と韓国という二つの相対する国がともにする大陸だなであるかどうかという点に関しまして、両国の認識の差があったからでございます。わが国は、この大陸だなは日韓に共有の大陸だなであるという見解を持っておりましたのに対しまして、韓国の方は、自然の延長の理論に立ちまして、沖繩海溝に至るまでは韓国に帰属すべき大陸だなであるという主張をしたわけでございます。したがいまして、わが国の主張によりますと、日韓の中間線が境界画定の線になるべきであるという立場でありましたが、先方の自然の延長論のためにこのわが国の立場が受け入れられなかった。したがいまして、その双方の権利主張の重複いたしました部分を共同開発区域とするという実際的な解決を図ったわけでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 海溝は領海十二海里の外にありますか、中にありますか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 どこまでが海溝の区域であるかということは必ずしも明確な定めはないと思いますけれども、恐らくわが国の領海の中の部分、外の部分双方があるのではないかと思います。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 領海を十二海里といたしました場合に、わが国の領海内に明らかにこの大陸だながある。それは自然の延長としての大陸だなと考えていいものがございますね。領海の中でわが国の主権の存在する海底があるんですから、それの自然の延長としての大陸だなが続くでしょう。そうでありますならば、当然これはこの公平の原則からいけば中間線をとるのが正しいのではないでしょうか。これは、たまたま現在三海里でおやりになるからそうでなくなったんで、十二海里になったときにおいて協定を結ばれればもっと違った結論が出るんじゃありませんか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 領海が三海里であるかあるいは十二海里であるかということにかかわりなく、わが国の基本的な態度は、この海溝というものはそもそも無視さるべきものである、したがいまして当該海域はすべて大陸だなと考えるべきであるという立場から、韓国と交渉をいたしたわけでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 そういう交渉をなされた立場はよくわかりました。わかりましたが、それにもかかわらず中間線がとられなかった、そのわけはどういうわけでしょうか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 先ほども申し上げましたように、先方の自然延長論に基づきます権利主張とわが国の主張とが結局調整されなかったということでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 政府のいまの最後の御答弁では、私はどうも納得しかねるのです。議論がかみ合いません。この問題も留保いたします。  それで次に、協定二十八条を見ますというと「共同開発区域の全部若しくは一部に対する主権的権利の問題を決定し又は大陸棚(だな)の境界画定に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならない。」、こう書いてあります。ここで「主権的権利の問題」というのは一体何でしょうか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 この日韓大陸棚協定は、大陸だなに関する主権的な権利の主張をめぐりまして両国の交渉が行われました結果、その点に関して合意が得られないという状況のもとに、双方の主張の重複いたしますところを共同開発区域にいたしたわけでございます。したがいまして、この第二十八条に定めております「主権的権利」と申しますのは、この共同開発区域にいたしました区域に関しまして、この大陸だなが日韓いずれの国が主権的な権利を行使し得る区域であるかということに関しましては、わが国も韓国もそれぞれその立場を留保しているということを意味するものであります。  また、後段の「大陸棚(だな)の境界画定に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならない。」と申しますのは、この共同開発区域の境界がございますけれども、これが将来の日韓の大陸だなの境界画定等々の立場をあらかじめ定めるものではない、その点は全く何ら定めておらないということを意味するものでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 「主権的権利の問題」という中には、領海の範囲を定めたり、二百海里の漁業専管区域を定めたり、あるいは経済専管水域を決定したり、そういうことも含まれるのではないでしょうか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 その点はこの条約の趣旨及び文脈によって解釈すべき問題だと思われますけれども、この協定はあくまで大陸だなに関する両国の主張が重複いたしますという現実に立ちまして、大陸だなに関する両国の合意を定めたものでございます。したがいまして、この協定が対象といたしておりますのはあくまで大陸だなでございますから、この第二十八条に申します「主権的権利の問題を決定し」云々というのは、大陸だなに関する両国の主権的な権利の問題を決定するという意味である、こういうふうに考えます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 この協定条文によりますと「大陸棚(だな)の境界画定に関する」云々とあります。大陸だなの境界を決めるに当たって関係がないのだ、こういうわけです。そうしますと、それはその大陸だなの上の方の部分についての問題についても関係がないのだ、こういうことになるはずではありませんか。     〔委員長退席、山田(久)委員長代理着席〕 そこで、たとえば領海の範囲を変えた、変えるというと大陸だなの範囲も変わる。また、二百海里の漁業専管水域を決める、経済水域を決める、そうしますと大陸だなの権利行使の状態も変わる。そういうふうに読めるんじゃありませんか。どうです。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 いま申しましたように、この協定は大陸だなに関して取り決めを行なっておるわけでございまして、したがいましてこの第二十八条に申します「主権的権利」というのは、大陸だなに関する両国の主権的権利の問題という意味でございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 「共同開発区域の全部若しくは一部に対する主権的権利の問題を決定し」そういうことに対して両国の立場を害しない、こう書いてあるのですよ。そうしますと、それは大陸だなの問題だということは、内容は一体どういう内容なのですか。それはおかしいではありませんか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますけれども、この協定はあくまで大陸だなを対象として両国が合意した協定でございます。またその後段の境界画定に関しましても、明らかに「大陸棚(だな)の境界画定」ということが書いてあるわけでございまして、この第二十八条はその他の問題を対象としたものではないというふうに考えるわけでございます。(発言する者あり)

山田久就自由民主党

○山田(久)委員長代理 御静粛に願います。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 私は、ただいまの政府の答弁は私の質問以外のことをお答えになっているわけです。この地域についての「主権的権利の問題」という、その内容についていろいろの権利があるのなら、そういうものを含まないということには読めないのである、それはどうかと、こういうことをお聞きしておるのですが、この問題につきまして御答弁が私には納得いきませんので、これも留保しておきます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 議事進行。  先ほどからたび重なる御質問をしているわけでありますが、そのように堂々めぐりをするだけで、その問題に対し解明を行うことをせずに、言葉だけで逃げようとなさってはならないと思うのです。質問の趣旨と答弁の趣旨が全く違っておる。私は、この問題については正式に留保さしていただいて、次回会合までに政府のしかるべき統一見解を表示されることを望みます。委員長においてよろしくお計らいを願いたい。そうでなかったらこの委員会は無意味じゃないですか、こんなことをするのは。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員長代理 後刻相談の上決定いたします。(「相談せぬでもいいじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)  ただいまの渡部委員の件について、外務大臣からひとつ一度答弁していただきます。外務大臣。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 御質問の趣旨は、この「共同開発区域の全部若しくは一部に対する主権権利の問題を決定」「するものとみなしてはならない。」こういうふうに読む場合に、この「主権的権利」というものは、領海になった場合にそこをどうするかという問題を含むのではないか、こういう御趣旨だったと思いますが、そういうふうに私この文意を——主権的権利という問題はやはりあらゆる種類の権利を含むものと解するのが至当であると思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 いまの御答弁についての押し問答は、主権的権利の行使に関して、本大陸棚協定における両国の主権的行使というものが妨げられないというのであるならば、本協定の共同開発地域におけるわが国の主権的権利というものは大幅に制限されているという部分を明らかにしようといたしたものであります。これは明らかに二つの考え方が衝突しているものであります。わが方の立場を侵されないと言いながら、実は韓国側から大幅に侵されている、そしてその公然たるごまかしのレトリックが当委員会において表示されているわけであります。飯田委員はその点を明示しようとして何回か議論を尽くされているわけである。いまの大臣の御答弁は、そのうちの一部を表示されたものであります。明らかに主権的な権利の行使というものをこの協定によって妨げられているわけでありますから、これまで行われた答弁というのはきわめて不十分であり、また論理の撞着を来しているのでありますから、統一見解をもって明示されたいと申し上げているわけであります。その点が明らかでないような答弁をぐるぐるするんだったら当委員会の審査は進まない。夜遅いからといってこういう態度をとることは許されないということは、同僚議員が先日来さんざん申し述べているところであります。きょうは、夜遅いにもかかわらず自民党及び政府の切なる懇望によってこの質問が行われているわけでありますが、こういういいかげんな答弁が続くならば、私らは質疑をボイコットするしかない。これはひとつ明瞭に政府の統一見解なりなんなりをお示しいただくことをぜひとも要求いたします。そうでないなら質疑は留保して、次回に全部譲らしていただきます。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいまの主権的権利の問題を、この協定によってわが国の立場を害するものではないということをうたっておるわけでございます。したがいまして、いまこの主権的権利ということが、たとえば領海が広がった場合に、領海が十二海里になりました場合に、その一部につきましてそういった問題が起こった場合に、この領海になったそれによるこの主権の問題がこの協定によって害されたものでない、こういう趣旨でありますから、私どもは、この領海になった部分につきましても主権的な権利を主張し、その点につきましては大陸だなという問題から外れますから、したがいまして、その点は韓国政府も同じ見解であるということで、それで了解を得たものでございますから、そういった問題も含んで、この主権的権利というものがあらゆるものを含んでおる、権利として含んで、その権利の問題をこれによって決めるということはないんだ、こういうことをここにうたってある趣旨でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 恐縮でありますが、ただいまの大臣の御答弁はきわめて不十分、不適切かつ日本語としての体をなしていない。これはもうだめですよ、本当に。  委員長、これについての正式のお計らいを求めます。そうでなかったら質疑はこれで打ち切りますよ。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員長代理 速記をちょっととめて。     〔速記中止〕

山田久就自由民主党

○山田(久)委員長代理 速記を起こしてください。     〔山田(久)委員長代理退席、委員長着席〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 鳩山外務大臣。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいまの御質問に対しまして次回までに政府の統一見解をお出しいたします。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 それでは次に移りたいと思います。  この開発権者にはどのような人を充てられておるのでしょうか、お尋ねいたします。

大森誠一外務省アジア局次長

○大森政府委員 この南部の共同開発協定の開発権者につきましては、この協定の第四条の規定に従いまして、この協定が発効いたしました後にそれぞれの国によって開発権者が認可されることとなっております。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 ここで私、心配ですからちょっとお尋ねいたしますが、たとえば韓国の方の開発権者に韓国国籍以外の外国の資本が入っておるということになりますと、将来問題が起こる可能性があります。国際情勢の変化がありました場合に、その開発業者の国籍の国が相当強い発言権を持ってくる、つまり開発業者の地位がどうなるか大変重大な問題を含むと思います。そこで、この問題についてあらかじめ御検討をなさったかどうか、御答弁をお願いします。

大森誠一外務省アジア局次長

○大森政府委員 この協定上、日本及び韓国はそれぞれの立場に従いましてその開発権者を認可し得ることとなっております。韓国側は韓国側の事情で、恐らくその国内法に基づきまして自国にとって最も利益にかなうという目的に沿って開発権者、それが外国であろうと自国の企業であろうと、それを認可し得ることとなっております。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 簡単にお答え願いますが、いろいろの資料を見ますと、外国資本がこれを開発するということになっておる、だからそれは外国の資本に奉仕する協定ではないか、こういう議論をなさっておるのも見たことがございます。そこで、それが今後どのように変わるかという問題は重要なものです。日本の領海、その領海のすぐ先の大陸だな、しかも日本の大陸だな、そこで第三国の権力が大きな影響を持ってくる、こういう事態が生ずる心配が多分にありますが、この点についてどうお考えになりますか。

大森誠一外務省アジア局次長

○大森政府委員 この協定の規定に従いまして規制が行われるわけでございますので、御指摘の御質問がどの部分をとらえておっしゃっているのか私、はっきり了解しかねましたわけでございますけれども、この協定の規定に従いまして規制を受ける、こういう仕組みになっているわけでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 どうも御答弁は納得いきません。  そこで、もう先に進みますが、公害防止の措置に〇きまして協定の二十条は「措置について合意する。」こう書いてありますが、どういう合意をなされたのでしょうか。合意の内容は発表になっておりますか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 この二十条に基づきまして、交渉の際に二つの交換公文が合意されたわけでございます。その一つは、汚染の防止及び除去に関する交換公文でございまして、もう一つは、これと関連のございます衝突の防止に関する交換公文でございます。これはお手元に参考資料として御配付してあると思います。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 それ以外はないわけでございますね。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 現在までのところ、日韓両国政府で合意したものはございません。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 私、もう時間が来ましたのでこれで質問を終わろうと思いますが、先般の口上書の効力につきまして、口上書というものは条約の一部をなすものではない、このように私ども理解をいたしております。また、韓国の方の口上書も条約の一部をなすものではないと理解をいたしておりまするが、そうしたものによって条約の内容に規制を加えることができるという政府の御見解について、どういうわけで規制を加えることができるのか、簡単に御説明願います。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 この協定は両国が一般国際法上の大陸だなというものを対象といたしまして合意したものでございます。したがいまして、このわが国の領海幅員の十二海里拡張に伴いまして当然大陸だなでなくなる区域が生ずるわけでございまして、この点に関しまして日韓両国が当然この共同開発区域から除外されるということを確認的に記録にとどめるための文書が口上書でございます。別の表現を用いますと、口上書をもって創設的に当該部分を大陸だなではなくてわが国の領海とするということではございませんで、わが国の領海の幅員が拡張されますと当然大陸だなでなくなるという区域を明確に双方で了解したということでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 それでは領海法が公布されました後にこの批准をいたすことにした方がはっきりすると思います。領海法が成立しました暁において、協定の内容をそれに合わせて訂正して批准するということが正しいと思います。  そこで、先ほど以来私はたくさん留保いたしましたが、これは後ほどまた質疑をさせていただきます。いまの口上書の点につきましても、ただいま申しましたような意味においてもう一度御検討を願いたいと思います。  これをもって私の質問を終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十八分散会

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