外務委員会 第7号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1977/04/01
会議録
○竹内委員長 これより会議を開きます。 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。有馬元治君。
○有馬委員 日韓の大陸棚協定がきょうから審議されるわけでございますが、この協定を審議するに当たりまして、朝鮮半島の情勢が安定しておることが前提条件として一番大事ではないかと思うのでございます。現に今回の日米首脳会談後の共同声明におきましても、朝鮮半島全体の緊張緩和の考え方が文言の上で従来と違ってはっきり出ておるわけでございますが、この韓国と北朝鮮の関係を含めまして朝鮮半島の情勢を政府はどういうふうにごらんになっておるのか、まず御見解をお聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 朝鮮半島の情勢につきましての認識でございますけれども、一時板門店事件のようなことがありまして緊張したことがあったわけでございますけれども、あのような事件が起こりましても後は円満に収拾を見たということから考えまして、今後の朝鮮半島の情勢は日本政府といたしましても緊張緩和の方向に進むことを念じておる次第でございます。行く行くは南北間が本当に平和的な統一を望むということは、福田総理もしばしば申し述べておりますし、先般のカーター大統領との間の共同声明にも触れたところでございます。そのために関係国がやはり外交的にも努力を続けていくということでございます。そういう意味で、最近の朝鮮半島の情勢が非常に緊張度を増しておるというような認識は持っておらないところでございます。
○有馬委員 日本政府側の見通しは、情勢判断はわかるわけでございますが、アメリカのカーター政権が北朝鮮政府をどういうふうに見ておるのか、この点のお考えをお尋ねしたいと思います。
○鳩山国務大臣 アメリカといたしましても、大韓民国とは国交があるわけでありますし、また、条約を結んでおるわけでありますけれども、朝鮮民主主義人民共和国との間には国交がない、こういう状態でございます。この点につきまして、私もバンス国務長官の会見の際に、今後のアメリカはいかに対処するかという点につきまして何らか聞き出したいと思ったのでございますけれども、そこの点は新しいことを聞くことはできなかった次第でございます。そして北朝鮮側との緊張の緩和につきましても、国交のあります韓国、この韓国を通じてそのようなことを考える、こういう態度でございまして、いわば韓国の頭越しに北朝鮮との接触を積極的に持つということはいまのところまだ見られない、こう思っております。
○有馬委員 今回の大陸棚協定、北部協定は期限がございませんけれども、南部協定は一応五十年間有効、また、これも延長ができる仕組みになっておりますので、相当長期にわたって朝鮮半島の今後の成り行きを洞察しなければならないわけでございますが、政府としては、朝鮮半島のあるべき姿として究極的にはどういう状態が実現することが好ましいとお考えになっておるのか、それからまた、こういう好ましい状態を実現するための具体的な方途はどういうことが考えられておるのか、この二点についてお尋ねしたいと思います。
○鳩山国務大臣 南部の共同開発の協定につきまして、期間が五十年というのは非常に長いという考え方もあろうかと思いますが、石油の開発というものは相当長い時間がかかるということ、また今度の共同開発地域の、背斜構造と言っておりますが、これが大変大きな構造でございまして、もしこれが開発された場合には相当長期にわたって採掘が継続をされるというような観点から、一応五十年ということとし、また、延長ができるようなこととしておる次第でございます。 その間に朝鮮半島の情勢がどのように変化するかということは、いまから予測することは大変困難であると思っております。先ほども申し上げましたように、朝鮮半島の平和的な統一ができること、これを日本政府といたしましても、あるいは日本国民といたしましても念願をいたしておるわけでございますけれども、これがどのように進展をするかということはいまここで申し上げかねるわけでございますが、いずれにいたしましても、平和的な統一ということが実現されましても、これから行おうとしております共同開発というものにつきましては、支障なく継続されることを希望をいたしておるところでございます。
○有馬委員 今回の大陸棚協定は、すでに国会に提出されてから過去三年間を経過しておるわけでございますので、一刻も早く批准承認をすべきであるというふうに考えるわけでございますけれども、この協定の早期批准を必要とする理由といいますか、なぜ急いでやらなければならぬか、この点について明確なお答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 本協定が調印されましてから三年を経過いたして、しかも韓国側では直ちに批准をいたしたというような情勢にございます。そして他方、この共同開発というものがうまくいかないということになりますと、韓国どの間の信義の問題も出てくるわけであります。また、わが国といたしましても、エネルギーの将来を考えますと、この開発は一日でも早く着手をいたしたい。現在におきましては石油の備蓄というものが大変大事な問題になってきておることは御承知のとおりでございますので、このわが国にきわめて近いところで、ここでエネルギー資源を確保することができれば、わが国のエネルギー政策としても大変安心のできることでございます。 もう一点は、韓国側が、もしこれがなかなか日本の方で批准ができないという場合に、単独開発に乗り出すだろうか、こういう点があるわけでございますけれども、現在までのところ単独開発をするぞというようなことは申しておりません。おりませんが、韓国の国会等では逐次問題になりつつあるという情勢もあるわけでございます。 それから大陸棚に関する国際的な大勢でありますけれども、自然延長論というものが強まりつつある傾向にある、そういう段階になりますと、日本としては早く協定を結んで韓国との間に共同開発ということを早く決めた方がわが国の国益に沿うゆえんであるというふうに考えて、ぜひともこの国会で御承認をいただきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
○有馬委員 いまの点でございますが、二国間の条約で、署名後に三年も四年も批准がおくれておるという事例がほかにあるのかどうか、それから、二国間の条約でわが国の国会で承認が拒否された事例があるのかどうか、この辺ひとつお答え願いたいと思います。
○村田(良)政府委員 二国間条約でありましてわが方の事情によって今回の日韓大陸棚協定のように長期にわたって国会の承認が得られておられないという前例はございません。また、従来国会に提出いたしまして承認をお願いいたしました条約で承認をいただけなかったという前例はございません。
○有馬委員 次に、今回のこの共同開発区域を見ますと、特に初めてあの区域を地図の上で見ますと、どうも韓中の中間線を越えて日本側の方に、特に九州のすぐ南西部に大きな共同開発地域ができておるわけでございますが、これはどうも国民の素朴な感情としては、日本側が譲り過ぎておるんではないか、こういう感じをまず受けるわけでございますが、海洋法、国際法の考え方からいたしまして、この共同開発区域がこういうふうな線引きででき上がっておる、これは間違いないんだ、これで正しいんだと、わかりやすく説明をお願いしたいと思います。
○中江政府委員 先生御質問のように、共同開発区域というものを地図の上で上からながめますと、その地域が非常に日本に近いところまで迫っている、これはどうしてだろうかという疑問を持たれることももっともな面があると思うのでございますけれども、私どもがこの協定で開発しようとしておりますのは、表にあらわれております海ではなくて、その底にある大陸だなの石油、天然ガス資源を開発しようということでございますので、問題は、水の底に横たわっております大陸だながどういう姿をしているかということを見なければならない、こう思います。 したがいまして、地図を上からながめるのではなくて、縦断いたしまして横から海の底の地形をながめていただきたい。そういたしますと、この大陸だなといいますのは、中国及び朝鮮半島の方から東に大陸だなとして日本の方に延びてきておりまして、それが琉球列島の手前のところで一つ大きくくぼんだしわがございまして、それを乗り越えて琉球列島があり、太平洋側の方に延びていく、そういう一つの大陸だなというのが日本の認識でございますから、そういう一つの大陸だなを、日本と韓国とが相対してはさんでいるときには、これは中間線で区分すべきである、境界は中間線であるべきであるというのが日本の考え方であります。他方、韓国の考え方は、先ほど申し上げました大陸部から延びてきました大陸だなが大きく琉球列島の手前でくぼみまして、そこにひだが入っております。このくぼみのあるところまでが自然の延長であって、その海溝のあるところで大陸だなは終わっている。そういったところの地形の状況は、これは海面を上から見ていたのではわからないので、海にもぐって横からながめますとそういうことになっておるわけでございまして、国際法上、大陸だなの概念、定義というものがだんだん発達してきました過程から見ますと、この自然の延長が切れるところまでは沿岸国のものだという、いわゆる自然延長論も相当の重みと支持を得てきている。 したがいまして、日本が考えておりますように、琉球列島を越えて大きな大陸だなの中に一つのひだがあるのだという考え方で、したがって中間線だという考え方と、そのみぞのあるところで終わっていて、そこまでは自然の延長であって韓国のものだという考え方が真っ向から対立いたしまして、この対立を解くに十分な国際法の成熟した規則というものが存在しない現状におきまして、これを実際的に解決するためには、その重複したところをどうするかということで、そこで考え出されましたのが、世界にも類を見ない共同開発という実際的解決によってその部分の天然資源を有効利用しよう、こういうふうに決断したわけでございまして、私が申し上げましたように、海の底に横たわっている大陸だなの姿を見ますと、これは決して日本が譲り過ぎたものでもなく、韓国が譲り過ぎたものでもなく、双方が五分五分に譲り合っている、それがすなわち共同開発という妥当的な解決に双方満足して到達し得たゆえんである。こういうふうに思っておるわけでございます。
○有馬委員 日韓の双方が満足すべき状態で合意をしたいというお話でございますので、一応それは了解いたすわけでございますが、ただいまの大陸だなに関する自然延長論といいますか、そういう考え方が片方にある、また、片方には二百海里の経済水域を設定するという考え方がある。これは国際海洋法会議の経過を見ればわかるわけでございますが、今度の日韓の大陸棚協定に当てはめて考えた場合に、自然の延長論が優勢であるから早く協定を締結した方がいい、批准した方がいいという政府側の考え方と、後の二百海里の経済水域を設定することによって、海底についても二百海里距離基準まではわが方の海底になるのではないか、そこで、海洋法会議の結論を待って二百海里経済水域を設定した方が日本にとって有利ではないか、こういう有力な意見もあるようでございますが、この辺は非常に大事なことでございますから、いま一度はっきりと、日本としてはこういう考え方でこの共同開発区域をとったんだ、これが世界の大勢であるというふうにわかりやすく御説明願いたいと思います。
○鳩山国務大臣 二百海里の経済水域という観念が国際海洋法会議で諭ぜられていることは御承知のとおりでございます。そして他方におきまして、大陸だなということにつきましても、これは別途に進められておるわけでございます。そして、大陸だなという観念と二百海里の経済水域——経済水域といいますと、結局水面下までも入る観念になろう、こう思うわけでございます。この両者は一体どっちが優先するかということになりますと、これはそのようなどっちが優先するという規定もない。二百海里の経済水域の方が優先をするということになれば、いま有馬先生おっしゃったような結論になっていくわけでありますけれども、その点は全く関連がないわけでございます。したがいまして現実問題として、共同開発地域とされておる対象の鉱区につきましてわが国が開発をしようということになった場合には、いずれにいたしましても韓国側と何らかの協定を結ばなければ開発ができないという状態は、仮に二百海里の経済水域ができても変わらないであろうと思う次第でございます。 そういった次第で、今日開発が急がれているということ、そしてもしこれを長い間日本政府が批准ができないということになりますと、もしこの協定がないという事態になった場合には将来とも紛争が続くということになって、開発がいつになってもできないという結果だけ残るだろう、こういうふうに考えますので、二百海里経済水域という制度が確立した場合になりましても、現状より日本が有利になるという見込みはないというのが私どもの考え方でございます。
○有馬委員 よくわかるのですが、二百海里の経済水域の議論は、大陸だなの議論と別個に、それの優先関係、どっちがどっちに優先するかというようなことは関係がない、二つの考え方があるということはよくわかるのですが、そうすると、二百海里の経済水域設定によって日韓の、今回の対象になっておる共同開発区域の問題を片づけるといいますか、日本側に有利に解決するということは現実的にはむずかしい、これは議論としてはあっても現実問題としてはそうはいかない、したがって共同で開発する区域にしたのだ、こういうふうに受け取るわけでございますが、それでよろしいのでございましょうか。
○鳩山国務大臣 日本といたしましては、韓国との間に協定をつくろうということで今日まで来たわけでございまして、この協定が無協定状態にまた戻るということになりますと、これはまたいつの日に開発ができるか、いつの日にもう一度そのような話し合いができるかということはきわめて見通しがつかなくなる事態になるわけでございますので、どうかこの協定を認めていただきたい、それが開発を進める一番の早道であるというふうに考えておるところでございます。
○有馬委員 次に、中国との関係についてお尋ねいたしたいわけでございますが、たしかこの協定に署名した後に、中国側は反対の声明を出しておると思います。また中国は、国連の海洋法会議においても自然の延長論に立った考え方を展開しておるようでございますが、そうなりますと、日韓の間で今度の協定を締結しようとしておるわけでございますけれども、中国に対してはいままでどういうふうな説明をやっており、これからも中国に対してこの問題について説得ができる自信があるのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
○中江政府委員 この日韓大陸棚協定についての中国の立場というのは、いま先生も御指摘になりました、この協定の署名の後、一九七四年の二月四日に中国外交部スポークスマン声明というものが出されておるわけでございまして、その中で中国が言っておりますのは、この大陸だなは、日本と韓国ばかりでなくて、中国も含めて関係国がほかにもあるわけだから、こういう大陸だなは当然中国と関係国が話し合ってどのように区分するかを決めるべきである、こういう基本的な立場をまず述べております。日本政府といたしましても、この中国の考え方には賛成でありまして、もしできることでありますれば、この地域に関係のある国、日本、中国、韓国、北朝鮮がとりあえず頭に浮かぶわけですが、これらの国が一堂に会して一刀両断に境界線の合意を逐げるということが将来の紛争を招かない最も合理的な境界分割である、こう思うわけですけれども、いかんせん、現実のこの地域における国際政治の姿を見ますと、この四つの当事者が集まって話し合い得るような国と国の関係ができていないというのが大きな障害になるわけでございまして、日本は韓国とも中国とも国文がありますので、日本と韓国と中国、この三カ国が集まって東シナ海のいま問題になっております部分についての境界画定の会議には出席し得る状況にありますけれども、韓国と中国との間には、そういう外交関係といいますか、国と国との関係がないわけでありますので、そういう理想的な姿で境界の画定ができない、またいつまで待てばそれができるかという保証もない。他方、資源エネルギーの見地からいたしまして早期に開発が望まれる。そういう状況のもとでそれでは何ができるかと言いますと、中国の権利を侵害することなく、日本と韓国との間で、共同であれ別々であれ話し合いのできる部分がもしあるのであれば、その部分について話し合うことは差し支えないではないかということで、中国が主張するであろう大陸だなの部分をきわめて注意深く避けまして、仮に三カ国なり、四カ国が集まりましても日本と韓国との間で話し合えば済む部分に限定して協定を結びましたのが今度の協定であるわけです。したがいまして、具体的に申しますと、韓国と中国との中間線として、想定される線、また日本と中国との間の中間線として想定される線、そういうものからいずれの場合も中国側には一歩もはみ出ない範囲内に限って今度の協定を結んだわけです。 理論的に申しますと、そういうことでありますので、日本と韓国で締結すればそれで済む問題でありますけれども、これは、日本と中国との関係は正常化されておりますわけですので、中国に対しましては、異例のことでございますけれども、この協定の署名に先立ちまして、大平、当時の外務大臣から中国の姫鵬飛外交部長、最高の外交レベルで本件について通報いたしまして、詳細説明いたしました。それが一九七四年一月四日のことでございます。署名が三十日ですが、署名の前日に東京におきまして、外務省の法眼当時外務事務次官から陳楚、当時の駐日大使にいよいよあす署名されるという通報をいたしまして、また北京では橋本参事官から王暁雲アジア局副局長に通報する。そして三十日に署名が行われました。その署名直後に、今度は協定及び協定に関係のあります詳しい地図を付しまして、私自身、当時アジア局次長でございましたが、在京の米国鈞、当時参事官に詳細説明いたしまして、こういうことで中国の権利をいささかも害しないように最大限の注意が払われておる、しかしなお中国側で疑問があり、また日本との間で話し合うべきであるという点があるならば、いつでも日本側はこれに応じて話し合う用意があるということを繰り返し申し述べてきているわけでございます。 それ以後、国会に提出するたびごとに中国側にそのことを通報し、もし中国側で、すでに手渡してあります地図に即して見て、これは日本との間で問題だと思う点があればいつでも話をしよう、またそれに限らず一般に日中間の境界画定の話をしようというのであれば、日本ももっと南の大陸だなの部分につきましても中国との間で話し合いを早くして石油資源の開発に乗り出したいという希望が、また必要があるわけですので、中国との間で境界画定の話をする用意がある、そういう話をしましょうということを累次申し入れてきておるわけですが、いままでのところ中国側から、それではこういう話をしようという反応は来ておりません。 日本政府の立場といたしましては、いま申し上げましたような国際間の状況、またこの大陸だな開発の持つ国際法上の性格、また一般に条約を締結する場合の第三国との関係、そういうものをどの角度から見ましても、日本が中国に対していままでとってきました措置は理にかなっているものであるし、中国の外交部スポークスマン声明にもかかわらず、仮にこの協定が発効いたしましても、それは国際法上あるいは国際社会の通念として、日本のやったことに非があるというふうには全く思っていない、こういうことでございます。
○有馬委員 中国とのこれまでの経過はよくわかるわけでございますが、今後中国側が日本の呼びかけに応じてこの問題について話し合うということになって、しかも話し合いの結果境界線の一部に多少ずれ込みがあったり微調整を要するような部分が生じたときには、これはやはり協定の微調整というか部分的な修正ということは考えなければならぬと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○中江政府委員 これは先ほど私が申し上げましたように、理想的な姿としては関係国の間で合意して決められるべきものでございますので、日中間で境界線の話が進みまして、その結果、この協定で想定いたしました日中中間線と違ったものが正しい線であるということが明らかになりますれば、当然それに従って是正すべきである、こういうふうに考えております。
○有馬委員 この協定は今後いろいろなところに影響を持ってくると思いますけれども、その一つとして、東シナ海の南部にございます尖閣諸島の周辺が、これはたしか二百メーター水深以下の大陸だなであると思いますけれども、この尖閣諸島周辺の大陸だなの帰属の問題にどういうふうな影響を与えるのか、これについての御見解をひとつお尋ねしたいと思います。
○中江政府委員 尖閣諸島に限りませず、琉球列島の南部の方に散在しております私どもの領有権のある島々、これと中国大陸との間には、日本の立場によりますと一つの大陸だなをはさんで相対している、こういう考え方でございますので、日韓大陸棚協定のときの日本側の法律的な立場と同じように、一つの大陸だなをはさんで二つの国が相対しているときには中間線によるべきであるという中間線理論でまず中国側と話をすることになる、こういうふうに思っております。 そのことにつきましては、今度の大陸棚協定で中間線でなくて共同開発という方式をとりましたけれども、このことは、日本にとりましては中間線理論、韓国にとりましては自然延長論、それぞれの法律的立場を害しないということを明文をもって協定の第二十八条で留保してあるわけでございますので、日本が中国と話し合いをいたしますときには、日本の立場、すなわち中間線論によってこの南にございます大陸だなの境界線画定の交渉に入ることになろうか、というふうに思っております。
○有馬委員 大臣に対する御質問の最後に、領海の十二海里拡大に伴いまして、今度のこの協定がどういう関係にあるかお尋ねしたいと思います。 一つは、北部協定との関係が、領海を十二海里に広げたために抵触をしないかどうか、第二は、共同開発区域、これは東の方、特に東北部には五島列島から南へ下がって男女群島という日本の島々がございますが、ここには島あるいは岩礁程度の島々が散在しておると思いますので、現在の開発区域に最も近い島は何という島か、それからどれぐらいの距離があるのか、もしそれがこの境界線と抵触する場合にはどうするのか、この二点、そしてまた、韓国側はこの領海拡大の問題についてどういうふうな見解を持っているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 北部の境界線につきましては、これは中間線をとってございますので、これは十二海里になりましても影響はないということでございます。 南部、共同開発地域の一部に、わが国の領海が十二海里になったときには、ほんのわずかでありますけれども重なる部分ができるということでありまして、その島は鮫瀬という島で、そこから十・九海里のところに今度南部、共同開発区域の境界線が来るということでございます。 その場合の問題につきまして、領海が十二海里になった場合には当然わが国の完全なる主権が及ぶ地域になるのだということで、当然のこととしてこの共同開発区域、韓国側の権限はそこに及ばなくなるという解釈に基づきまして韓国側にその趣旨を伝えてあるところでございます。
○有馬委員 次に、事務当局にお尋ねいたしたいと思いますが、先ほどの中国との関係について、大筋は大臣からお答えいただきましたけれども、細部についてお尋ねいたしたいと思います。 この協定の地図による座標が示してございますが、座標の六から八、これは明らかに日中の中間線でございますが、この日中の中間線によって大陸だなの境界線ができておるわけでございますけれども、これは日中間においては意味があると思いますけれども、今度の日韓の協定についてはどういう意味があるのだろうか、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
○大森政府委員 ただいま御質問のありました座標六と八を結ぶ線についてでございますが、海洋法会議におきまして有力になりつつある自然延長論の立場からいたしましても、一つの大陸だなに乗っております韓国と中国との境界画定は中間線によるであろうということは間違いないところでございます。したがって、韓中中間線の韓国側におきましては日韓間の境界画定という問題が残るだけでございまして、この問題をどう処理するかという点は、これは日本と韓国の間の問題でございまして、中国の関与し得る問題ではないわけでございます。このような観点に立ちますれば、わが国としては日中間の中間線の一部に当たる座標六と八との間の線を共同開発区域の限界線とする必然性は必ずしもなかったのでありますけれども、他方韓中間の中間線は、韓国側がきわめて慎重に測定したものであるとはいいましても、最終的な韓中間の合意を見たものではないという点も事実でございまして、将来韓中間で微調整が行われる可能性も理論的には皆無ではないという点も考慮に入れまして、あえて座標六と八を結ぶ線を共同開発区域の限界線の一部として採用することを韓国側に提案し、合意を見た次第でございます。 以上述べましたように、座標六と八を結ぶ線は、日中中間線の一部ではございますが、日中間の大陸だなの境界線ではなく、またこのような線を共同開発区域の限界線とすることは日韓間で合意することに問題はない次第でございます。
○有馬委員 大臣が退席されましたけれども、協定の細部についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 今回のこの協定が成立するまでには相当な時間と両国間のたび重なる折衝が繰り返された結果だと思いますが、その間において日本の主張と韓国の主張がどういうふうな主張であったのか。結局、主張の食い違いがあるために、係争区域が共同開発区域ということで、法律論はたな上げにしてこういう共同開以区域が設定されたのだと思うのです。そこで、韓国側はどういう主張をしたか、日本側はどういう主張だったか、これを最初にお尋ねしておきたいと思います。
○中江政府委員 今回の二つの協定が対象としております大陸だなは一つの大陸だなでございまして、その大陸だなは日本と韓国との間にまたがって存在している一つの大陸だなである。したがって日本の立場は、国際法にのっとりますれば、一つの大陸だなをはさんで二つの国が相対しているときには原則として中間線によってこれを分割するということでございますので、日本の法律的な立場は、北から南まで一本の中間線によってこの大陸だなを二分しようという立場であったわけでございます。他方韓国側の立場は、北部協定にあります部分は、これは確かに一つの大陸だなに日本と韓国が相対して存在しているわけですので、これは中間線でよろしかろう。したがって、その部分については法律的な立場は一致したわけでございますので、中間線による境界画定という北部の協定の原則的な合意ができたわけです。ところが南部の方は、先ほど私が申し上げましたように、日本は一つの大陸だなと言う。ところが韓国はそうではなくて、韓国の方から延びた大陸だなが、琉球列島の手前にあります海溝のところで深く落ち込んでいるので、そこでとまっている、すなわち自然延長はそこで終わり、換言いたしますと、日本側には大陸だなはない、したがって日本と韓国との間で、そもそも境界画定の話をする必要がないということで、いまの共同開発区域の部分全部を含みましてすべてが韓国の大陸だなであって日本は何ら発言権がないということで、一方的に試掘を始めようというのが、一九七〇年、七一年ごろの趨勢であったわけでございます。日本の立場はそうではなくて、その大陸だなは、日本もその大陸だなのもう一方の側に存在しているのであるからこれは中間線で分けなければならないということでこの話が始まったわけで、端的に申しますと、韓国は自然延長論、したがって日本に発言権なし、日本は中間線論、したがって中間線のところまで日本に発言権ありということで、管轄権のありなしということが真っ向から対立したのがこの協定の法律的な出発点であったわけでございます。
○竹内委員長 有馬君、間もなく休憩の予定でございますので、区切りのよいところで……。
○有馬委員 今度は大事なところですから、少し時間をいただきたいと思います。 この日本の主張は、沖繩列島をはさんで、御承知のように沖繩海溝と東側の琉球海溝と、深いみぞがございますね。この東側のみぞは関係ございませんけれども、西側の沖繩海溝というのは九州の西部をずっと北上して五島列島の近くまで二百メートル以上の深いみぞがずっとつながっておると思うのです。そこで日本側が主張した主張の骨子は、このみぞがあってもそれを飛び越えて中間線論で行こう、こういう考え方ではなかったかと思うのですが、これはいまでも変わってないわけですね。
○中江政府委員 いまも全く変わっておりません。そのみぞは飛び越えて主張し得る一つの大陸だなである、こういう立場を堅持しております。
○竹内委員長 有馬君、区切りのいいところで……。
○有馬委員 はい。ではあと一問だけ。委員長、これは続けて後で機会をいただけるのでしょう。いいですね。 その考え方は、今後の対中折衝においても同じ考え方を展開していくわけですね。
○中江政府委員 そのとおりでございます。
○有馬委員 それでは、またの機会にひとつお願いしたいと思います。
○竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕