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80回国会衆議院1977/03/25

外務委員会 第5号

発言数
227
登壇者
15
会派数
6
開催日
1977/03/25

会議録

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、鳩山外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣鳩山威一郎君。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 今回の日米会談の御報告をさせていただきます。  福田総理は、三月二十一日及び二十二日の両日、ワシントンにおいて、カーター大統領と会談され、日米両国の共通の関心を有する広範な問題について包括的で充実した意見の交換を行いました。  このたびの会談は、日米両国政府の新しい首脳の間に、自由かつ率直な対話と、相互信頼の関係を築くことを最大の目的としたものでありましたが、この目的は十二分に達成されたものと考えられます。  このたびの訪米の意義と成果については、本日午後帰国されます総理御自身より御報告があると思いますので、私からは、会談後発表されました共同声明の趣旨に沿いまして会談の性格と内容について概括的に御説明申し上げたいと思います。  総理とカーター大統領は、日米両国がともに先進民主主義工業国としてそれぞれの責任を認識して、平和で繁栄した国際社会を実現するために努力するという決意を明らかにし、主要な経済問題に対して、他の先進国と密接な協議を通じてその解決に努力するとの立場を確認しました。  また、総理と大統領は、政治体制を異にする諸国、開発途上諸国との協調と対話の増進が世界の平和と繁栄に重要であるとの認識を確かめ合いました。すなわちまさに「世界の中の日米協力」を確認したものであります。  総理と大統領は、日米友好関係の特徴は、単に政治、経済面のみならず科学技術、文化、教育等の分野にまで日米協力の成果が広がっており、また、その担い手は単に政府のみならず民間にも及んでいることに注目し、また、日米協力関係の基礎は、民主主義の共通の価値観、個人の自由と基本的人権の尊重にあることを相互に確認しました。  今日の世界経済においては、諸国間の相互依存関係がますます増大しておりますが、総理と大統領は、日米両国の経済運営に当たっては、開発途上国を含めて世界経済全体への影響を十分配慮する必要があるという認識を確認し合い、ともに、インフレの再発防止に意を用いつつ、世界経済の景気浮揚に貢献していこうとの意思を表明しました。と同時に、日米両国は、他の先進工業国とともに自由貿易体制の維持、南北問題、エネルギー問題の解決に向かって互いに協力していくことが重要であり、その意味でも、ロンドンで五月に開かれる主要国首脳会議が、これらの諸問題について建設的かつ創造的な意見交換の場となるよう期待し、その成功のためにともに努力することに意見の一致を見たのでございます。  総理とカーター大統領は、アジアにおける永続的な平和の維持が世界の平和と安全のために必要であるという認識を再確認し、日米間の緊密な協調関係が、この地域の安定にとって不可欠な要素になっているということについて意見の一致を見ました。その関連で、総理と大統領はともに、日米安保条約は極東の平和と安全の維持に寄与しており、ともに、この条約を堅持することが日米双方の長期的利益に資するものであるという確信を表明いたしました。  大統領は、米国が今後ともアジア・太平洋地域に深い関心を持ち、この地域において積極的で建設的な役割りを果たすであろう旨述べ、総理からは、このような米国の態度の確認を歓迎し、アジアの安定と発展のため、わが国として、経済協力を中心とする諸分野で一層積極的な貢献を行うとの意向を明らかにいたしました。  総理から、東南アジア諸国連合の自主的な努力を高く評価すると述べたのに対し、大統領は、米国としてもASEAN諸国の地域的協力に注目している旨述べ、互いに日米両国が協力と援助を行う用意があることを改めて確認いたしました。  総理と大統領はインドシナ地域が平和で安定した地域として発展していくことが東南アジア全体の将来のために望ましいとの認識で一致いたしました。  総理とカーター大統領は、朝鮮半島における平和と安定の維持が日本及び東アジア全体のために重要であるという認識で一致し、朝鮮半島における緊張の緩和のため、引き続き努力することが望ましいことに意見の一致を見るとともに、両者は南北間の対話が再開されることを希望いたしました。  在韓米軍の問題に関しましては、大統領は、大統領選挙期間中の公約である在韓米地上軍の撤退について、米国が韓国と、また日本とも協議し、朝鮮半島の平和を損なわないような仕方でこれを進めていくことになろうと述べ、これに関連して、米国が韓国の防衛についての約束を引き続き守ることを確認いたしました。  カーター大統領は、核兵器の廃絶を究極的な目標として、地下核実験を含むすべての核実験の停止を提唱しておりますが、福田総理は、わが国が唯一の核被爆国として、また非核三原則を国是としている国として、この大統領の提案に全く同感であり、すべての核実験が早急に禁止されるべきであるという意向を表明いたしました。同時に、通常兵器の国際移転につきましても、総理と大統領は、かかる移転を抑制する措置を早急に検討するべきであるという点で意見の一致を見ました。  総理とカーター大統領は、国際連合強化のため、日米両国が協力することを確認し、これに関連し、カーター大統領は、いまや日本が国際連合安全保障理事会の常任理事国となる資格を十分有しているとの考えを述べるとともに、その実現に対する米国の支持を表明しました。現在安保理事会において常任理事国はすべて核保有国によって占められておりますが、国際の平和の維持には武力以上に経済力を含む国力が重要であると考えられますので、今回、カーター大統領が、日本は常任理事国になる資格があり、米国としてその実現に努力すると言明されたことに対し、福田総理より謝意を表明いたしました。  米国としては、わが国に対し、いまや経済の分野のみならず、政治の分野においても積極的な役割りを果たしてほしいと期待しており、今回の会談でもその趣旨の期待が表明されましたが、その具体的あらわれの一つが、わが国の安保理常任理事国就任への支持であるとも考えられます。  カーター大統領は、原子力の平和利用が核兵器の拡散につながる危険性を憂慮し、一層効果的な核不拡散体制をもたらすような新しい原子力政策を策定中である旨明らかにしました。  これに対し、福田総理からは、核不拡散条約の締約国であり、資源に乏しい高度な工業国であるわが国にとって、原子力開発利用計画の実現に向かって進むことが緊要であり、さらに、使用済み燃料の再処理工場について、現在すでに再処理工場を持っている英、仏、独等の諸国と、わずか数カ月で試験運転が予定されている再処理工場を持っているわが国との間に差別が生じてはならないと指摘され、わが国唯一の被爆国であり、非核三原則を堅持していることでも明らかなように、わが国が核兵器を製造することは絶対にないこと、また核拡散防止条約上も原子力の平和利用は保障されている等の点を強調されました。  これに対し、大統領は、米国の新原子力政策の立案に関連して、エネルギーの必要に関する日本の立場に対して十分考慮を払うことに同意し、福田総理より、この問題について、早急に日米両国政府間で協議を行いたいと提案し、カーター大統領もこれに同意されました。  この協議の性格は、一方において、日本の憂慮と主張に配慮し、他方において、一層効果的な核拡散防止体制に寄与するような実効的な政策を策定するためのものとなりましょう。つまり、本件に関しては双方引き続き話し合うことに合意したものであります。  カーター大統領は、日米間の貿易のアンバランス問題に触れ、その関連でわが国からのカラーテレビに対する輸入規制措置について、国際通商委員会(ITC)の勧告を受けることになっていましたが、大統領自身としては、関税引き上げ等の一方的輸入制限措置の導入は何とか避けたく、この点日本の協力を得られれば幸いである旨述べ、福田総理より、貿易アンバランスの問題は、貿易外収支のアンバランスの問題とあわせて考える必要があり、昨年のカラーテレビの対米輸出は、米国内における在庫積み増しという事情もあり、異常であったと見られること、今年は去年のようなことにはならないし、業界に対しても自粛を呼びかけているが、もし米側においてお求めならば、政府レベルで話し合ってみても結構である旨述べられました。  また、近く再開される日米航空交渉について、総理より、公正な解決が得られるよう米側の配慮を求め、大統領も、日本側に同様の配慮を求めました。  福田総理から、カーター大統領夫妻をわが国に招待いたしたい旨述べられ、カーター大統領は、この招待を喜んでお受けし、日米双方の都合のよい時期に日本を訪れるのを非常に楽しみにしている旨の回答がありました。  以上のとおり、今回の総理訪米はきわめて有意義であり、所期の目的を十分達成されたものと思われます。  以上をもって報告を終わります。     —————————————

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 鳩山外務大臣におかれては今回の日米首脳会談に出席された福田総理に随行されて、昨日総理より一足先に帰られましてきょうここに御出席でございますので、昼までの非常に短い時間でございますので簡単に問題をしぼってお尋ねしたいと思うのでございます。  共同声明につきましては、すでに私どもも配付された資料を通じて承知いたしておりますが、全体的な印象としては総論の概論のようなものでございまして、これをどう具体化していくかという点にひとつ大きな問題があろうかと思います。個々の問題で具体化していく見通しが本当にあるのかどうか、その決意を伺いまして、かつまた、この共同声明に当然盛られてしかるべき問題で共同声明に字句としてあらわれていない問題、これは案外重要かもしれませんので、それについても伺ってまいりたいと思います。時間が非常に制約されておりますので、具体的な問題を挙げて早速質問に入りたいと思います。  まず第一に、日本は世界政治、特に東アジアの安定のためにより大きな政治的役割りを果たすべきだとカーター大統領から要望されたのでありますが、日本の政治的役割りというものをどう理解したらよいのか、外務大臣からお伺いいたしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 日本の政治的役割りの点につきまして、これは福田総理がお帰りになりましてから、きょうあるいは質疑が行われると思います。私の印象といたしまして、日本は経済的に非常に大国であるということ、これはもう世界に知れわたったことでありますが、国際政治面では非常に遠慮がちであるということを言われておりまして、これだけの大国になったのであるから、国際政治面においてももっとどんどん発言してほしい、そういうような意向として私は聞いておった次第でございます。そういう意味で、これはひとりアジア地域だけのみならず、世界政治の分野におきまして日本はもっと発言をすべきだというように私は伺っております。特に日本がアジアにおきます先進工業国としてただ一つと申し上げてもいいかと思いますが、そういう地域にありますだけに、アジアの点につきましては主導的な発言権を持ってしかるべきではないかというような感覚を得ておる次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 外務大臣は昨晩お帰りになりまして、この点についてではないかと思うのでありますが、アジアにおいては経済協力以外の分野でも役割りを果たすべきだというふうに述べられておるのですけれども、外務大臣御自身としては、総理大臣が受けた感触というものをそばから見ていてそういうふうに感じたというふうにお話でございます。外務大臣としては、経済協力以外の分野でというのは具体的に言うとどういうことを頭に置いておられますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 日本は従来から経済協力の面で非常な役割りを果たしてきたのは御承知のとおりでございます。しかし、広く国際政治の分野、これは日本として日本の憲法上軍事的な面に触れることはできない、しかし、この国際政治の面で軍事面を除けば経済しかないということではないわけでございまして、これからの国際政治面におきまして、ひとり経済のみならずあるいは科学技術面、文化面、そういった面も当然含まれますでありましょうし、これからの世界平和に、あるいは東南アジアあるいは極東全般の平和に対しましてどのように貢献できるかという、もっと広い立場に当然立ってこれから日本は臨むべきではあるまいかという趣旨のことを昨晩申し上げたのでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 外務大臣はその場合、カーター大統領と総理の会談の中からも感ぜられると思うのでありますが、東南アジア特にASEAN諸国に対して日本がもう少し政治的に役割りを果たすべきだというふうに勧められたというふうに感じておられますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 私の受けた印象といたしましては、アメリカ合衆国がこれからアジアに対しますいろいろな外交政策を進めていくに際しまして、従来ありましたような頭越し外交と申しますかそういったことは毛頭考えてない、むしろこれからアメリカ合衆国といたしましては、日本の意見もよく聞いていろいろな面で日本と相談し合いながらアジアジ政策を進めていきたい、こういった意向を伺っております。そういった意味で日本の果たすべき役割り、これはこれからの東南アジアなりあるいはアジア全体なりこれからどのような方向に進むべきものであるか、そのためにはどういうことをしなければならないのか、そういった点につきまして日本はもっと責任を持って発言すべきだ、こういうような印象を強く持ったのでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、国連安保理事会の常任理事国に日本がなるべきだ、それについてもアメリカとしてはできるだけ支援するということがあったようにいまの御報告でも承りましたけれども、それもまたそうした具体的なアメリカ側の期待のあらわれというふうに理解されたのか、単にリップサービスというぐらいに受け取られたのか、その点はいかがでございますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいま申し上げましたように、日本としてはもっと積極的な役割りを果たすべきだ、こういう観点からの御発言でありまして、単なるリップサービスというものではない、むしろ日本の積極的な発言を期待する、こういうことが込められてのことであろうと思うのでございます。  御承知のとおり常任理事国という制度は、これを変えることはなかなか容易なことではないということは両国ともわかっておるわけでございますけれども、そういうことの上に立ちまして、アメリカとしてはさきに申し上げましたような考え方から強く支持をする、こういう表明があったものと考えておる次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、常任理事国に日本がなるためには国連憲章の改正も必要ではないかと思いますけれども、そういうことも含めて、日米でその実現のために努力するということまであったのでしょうか。もしそれがないといたしますと実効性がないことになるわけですが、感触と申しますか、あるいは具体的にそういう点の含みまでお話があったのかどうか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 憲章の改正はまことに容易でないという前提はあるわけでございます。しかしアメリカとしては、日本が当然なるべきであることを強く支持をするということは、現実に安保理常任理事国になってから初めて意味がある、そういうこと以上に、今日的な意味におきましても、日本は、核保有国である五カ国、これがいま常任理事国であるわけでありますけれども、国際的な面でそれと同等の発言権を持つべきだ、このような趣旨もその裏には読み取れるわけでございまして、現実に常任理事国になるまではいままでどおりである、なってから急に変わるんだ、こういうことではなしに、今回のカーター大統領の発言の趣旨というものは、もっと今日的な意味におきまして大変評価さるべきことではなかろうか、また日本もそれだけの覚悟を持つべきではないかと私は考える次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、単に、福田総理の言葉をかりて言いますと、どんどん物を言うというだけではなくて、国連における安保理事会の常任理事国になれということは、日本としてもそれに相応した責任を負ってもらいたい、こういうことではないかと思うのでありますけれども、大臣としては、いまそういう覚悟はあるというお話がありましたけれども、そういうようにお受け取りになったのか、また今後そういう時代に入りつつあるという認識を持っておられるのか、その点を重ねてお伺いしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 今回の会談を通じまして、日本が経済大国である、経済大国として、世界に経済面で非常に発展を遂げておる、そういったことを踏まえまして、日本としての国際社会におきます発言をふやしていく、その裏には当然のことながら責任が大変重くなりつつあるということを身にしみて感ずる次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私は、今回の共同声明で非常に関心を持っておりますのは、こういう言葉が出てきてもいいんじゃないかと思うような表現なり問題が全然出ていない、やはりそこに一つ逆な意味で今度の共同声明の意義を探らなければならないと思っておる一人でございますけれども、従来、いわゆる韓国条項というものが佐藤さんの時代から田中さんの時代、三木さんの時代を通じて、アメリカの歴代大統領との共同声明で常に一貫してあったわけでございますが、いわゆる韓国条項に対しまして、今回は韓国という字句がないのでございます。三木・フォード共同声明の韓国条項と今回の共同声明との間にかなり本質的な違いが出てきたということなのか。本質的には何ら変わっていないと理解してよいものでございますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 朝鮮半島の現状認識につきましては、福田総理もたびたび答弁をされまして、三木・フォード会談のときと基本的に大きな変化があったという認識ではない旨申されております。私も現状におきましてはそのように思っております。しかし、これからの朝鮮半島の将来というものを考えますと、これからは緊張が次第に緩和され、いずれの日にか平和的な統一ということを両国政府が希望されておる。この点は三木・フォード会談でも触れられておりますけれども、今回はそういった将来の希望を考えて、朝鮮半島全体の平和ということを主体として表現をしたということでございます。アメリカの地上軍の撤退の計画と申しますか、アメリカ側の意思表示があっておるわけでございますので、そういったことから緊張緩和の方向ということを考えた上で、朝鮮半島の問題をこのように表現をしておるというふうに御理解賜ってよろしかろうと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、外務大臣の御理解では、三木・フォード共同声明のときの韓国条項と現時点においては変わっていない、しかし、これから将来の変化を織り込んで、それに対応するためにこういう表現になったのだとお考えになっているように、私どもの方で理解してよろしいわけでございますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 変化を織り込むと申しますより、そういった期待感を持っておる、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 今回の会談で、日本は韓国に対してたとえば経済援助をすることを約束されましたか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 特に約束したというものではございません。しかし日本は従来から、特にアジア地域の諸国に対しまして経済援助と申しますか、経済協力をしておる。アジア地域に対して日本が引き続き貢献をしてまいる、その貢献の仕方は経済協力ということが主体をなすというようなことは、当方からも今後の方針として申し述べておる次第であります。

河上民雄日本社会党

○河上委員 具体的なことは全然話題に出なかったわけですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 具体的なことは一切ございません。アジア全体に対しまして日本としても貢献をし続けていく、そしてアメリカ自身もアジア全体につきまして、プレゼンスという言葉を使っておりますが、いろいろな分野におきましてアジア全体に関心を持ってもらいたい、こういうことを当方の希望としても申し述べておるところで、その点につきましても、アメリカは従来どおりの関心を持ち続けていくということを確認されたわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 日本と韓国の関係につきましてはもう少し後に改めて伺いたいと思うのですが、今回の会談の中でアメリカのプレゼンスというものが問題になったというお話でございますけれども、共同声明の第五項の三つ目のパラグラフを拝見いたしますと次のように書いてあるのです。「米国が、太平洋国家として、」云々と書いてございます後で「大統領は、米国がその安全保障上の約束を遵守し、西太平洋において、均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在を維持する意向である旨付言した。総理大臣は、米国のかかる確認を歓迎し、日本がこの地域の安定と発展のため、経済開発を含む諸分野において、一層の貢献を行うとの意向を表明した。」こういうふうに書いてございます。これは従来自民党政府がとってきた態度あるいはアメリカがとってきた態度を確認したものにすぎない、こういうふうに言われるかもしれませんけれども、ここに「西太平洋」という新しい表現がございます。一体「西太平洋」というのはどこの地域を指しておられるのですか。アメリカ大統領がそう言い、日本の総理大臣が「この地域の安定と発展のため」にと、はっきり共通の理解の上に立って論議を応酬している、共同の意思確認をしているわけでございます。一体この「西太平洋」というのはどの地域を指しておられるのですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 この「西太平洋」という表現は、これは先方の申されたことでございますけれども、私どもが言っておるアジア地域、あるいはアジア・太平洋地域と言ってもいいかもしれませんが、太平洋のアジア寄りの部分でございますので、それほど地理的にどこが限界であるというようなことは確かめておりませんけれども、大体私どもが言う東南アジアも含む、あるいは北東アジアも含む、そういった漠然とした地域を指しておるものというふうに理解をしておるところでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ここは大変大事なことではないかと思いますし、これからのアジアにおける政治的な発展を見通して、織り込んでこういう共同声明を出しておるわけでありますから、しかも、これにアメリカとしては「安全保障上の約束を遵守し、西太平洋において、均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在を維持する意向である」というふうに言っているわけでございますから、この「西太平洋」というものが一体どこまでの範囲なのか。これは安保条約における「極東」の範囲ということが大変な国会の論議になったわけでございます。そういう経緯にかんがみましても、この「西太平洋」というのは一体どういうことなのか、日本政府とアメリカ政府との間に「西太平洋」という地域についての了解が食い違っておったというようなことがありますと、将来何が起こるかわかりません。そういう場合に非常に重要な問題になるのでありますので、私は伺いたいと思うのです。  明確な地域を示すことができないはずはないと思うのであります。この中には韓国が入っておるのかどうか。もちろん日本、そしてASEAN諸国、あるいはもう少し南の方まで入っておるのかどうか、これを明確にしていただきたい。もちろんその中に台湾も入っているというようなことであったら重大な問題でありますけれども、その点は一体どういうふうにお考えになっておられるか。だろう話では困るんじゃないかと思いますので、重ねてお伺いいたしたい。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 これはまあ条約というようなものではありませんで、お互いの話の記録のような性格のものでございますので、どこがこの表現に入っているとか入ってないとかいうようなところまで突き詰めて言っておるのではありません。アメリカが、アジア、いわゆる一般にわれわれが考えておるアジア地域からだんだん手を引くのではないか、こういうことに対しまして、いやそういうことはないということをアメリカ自身炉表現されたものでございまして、どの地域が入るとか入らないとかということは余り大きな意味がない。この発言によりましてアメリカがこの地域の防衛責任を全部引き受けるというような性格のものではない。まあ大きな方針としてアジアに対する関心を引き続き維持していく、このような趣旨を述べられたものでございますので、どこが入る入らないというようなことは詰める必要を余り考えておらないところでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、それまではいわゆる「アジア・太平洋地域」というような表現でずっと来ておる中で、そしてまた「東南アジア」とか「インドシナ地域」とか、かなりすでに明確に限定された地域名を使ってきておる中で、この「西太平洋」というのが突然出てきておるわけですね。どうも気がついてみたらそうだったなんというようなことでいいのかどうか。亡くなられた中国の周恩来首相が、日中国交回復のときに「法匪」という表現を使って、厳密な規定を主張する日本の外務省に、抗議とまた敬意を表したこともあるのでございますが、その外務省が、何とはなしにそうだったということでいいのかどうか。私はきょうは時間がないので、いろいろなことを傍証しながら皆さんの御意見をさらに詰めていくことができないのですが、いまの御答弁ではちょっと納得できないですね。これはもうある意味で非常に重要な新しい表現で、将来西太平洋条項なんという形でこれがひとり歩きしてきた場合に、一体外務大臣、責任をとってもらえるのかどうか。私はその点、これはまあ最初の出発点ですから、やはり非常に厳密にお考えをいただきたいと思いますし、当委員会でさらにこの問題を詰めていかなければならないと思うのですが……。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 いまの「西太平洋」という表現、これは条約になりますればお互いの約束事でございますから、その範囲というものは大変大事だろうと思うのでございます。しかし、両国がそれぞれ、アメリカ側としてはこういう発言をしておる、日本側としてはこう申しておるというようなことにつきまして、これは、そこでそれが明確な約束事になったという性質のものではございません。いままでアメリカがアジア地域におきまして持っておる関心等につきまして、これを引き続き維持していこう、このような大きな考え方を述べたのでございますので、この文章が新たないろいろな約束をここでする、そういうようなものではない。したがいまして、どこの地域がこの「西太平洋」という中には入るかとか入らないかとかいうことはそれほどの意味がない。またそれをお互いに、その地域につきまして、ここを入れろ、ここは入れるなというようなことの論議はほとんどなかったのでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ちょっと私は大臣の御答弁に承服できないのであります。と申しますのは、大統領が一方的に言っているならともかく、ここには、日本の総理大臣はそれを受けて「日本がこの地域の安定と発展のため、経済開発を含む諸分野において、一層の貢献を行うとの意向を表明した。」となっておるわけでございまして、一体、日本が約束したのはどこだかようわからぬけれども「この地域」というふうに受けているというのでは大変困るわけで、いまのような御答弁では本当はちょっと困ると思うのであります。これを受けて総理大臣が全然別なことを言っているなら、アメリカさんは何かこんなことを言ったのではなかろうかと言えますけれども、ここに明確に、日本の総理大臣は「この地域の安定と発展のため、経済開発を含む諸分野において、一層の貢献を行う」こういうふうに言われておるわけですから、やはり「この地域」というのがどの地域であるかということはある程度——ある程度ではなく厳密にわかってないと非常に困るのではないかと私は思います。これは何度繰り返しても同じようなことになるかもしれませんが、大臣、その点もう一度御意見を承りたい。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 これはむしろアメリカの意向を表明されたものでございますので、その地域はどこの国は入りどこの国は入らないというようなことはむしろ適当ではない。そういった広い意味でアジアに対する関心があるのだ、こう言っておられるのでありますから、それは地理的にどこが入る、あるいは国別にどこが入るとか入らないとか、そういうことをここでせんさくすることはむしろ適当ではないというふうに私は思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 アメリカ側がどう言っているかということについて日本政府が限定するというのは確かに不穏当かもしれません。不穏当というか、できないことかもしれません。向こうは違ったことを考えておるかもしれない、想像しかできないと思いますが、日本の総理大臣が約束したことについては、「この地域」というのが「西太平洋」を受けていることは明白なわけですから、やはりこの「西太平洋」というのが明確でないと非常に困った共同声明になりはせぬかと思うのであります。私はいまの大臣の御答弁ではどうしても承服できません。  ただ、きょうは非常に限られた時間をお互いに時間厳守する約束をいたしていま発言の席についておりますので、これは了承できないということで私は次の質問に移りたいのであります。  今回の共同声明で、アメリカは韓国から地上軍を全面撤退する意思を明らかにしたと見てよいのかどうか、そしてまた、アメリカは「撤退」とはっきり言い、日本側は「削減」という表現を希望したけれども入れられなかったというのは本当か、そして「撤退」と「削減」とはどう違っておるのか、その点を承りたい。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 韓国におきます米地上軍の撤退という問題でございますが、「撤退」という表現と「削減」という表現を見ますと、「削減」の方が何となく緩やかな感じがするというふうに感じたわけであります。また、「撤退」と言われておりますけれども、非常に慎重に、しかも朝鮮半島におきます平和を損なわないようなやり方でやる、また非常に時間をかけて段階的に撤退をするということは、「削減」と表現されても「撤退」と表現されても実態に余り差異はないのではないかということで、最後にそのような「撤退」という表現になったわけでございます。  それとともに、この「撤退」という表現が、これはもうすでに選挙公約として使われているということもありますが、先般の韓国の外務部長官が訪米しましたときにおきましても、「撤退」ということで議論がされておるということで、その表現は変えるとかえっていろいろな誤解を与えると申しますか、そういったことから先方としては「撤退」という表現にしてもらいたい、こういう強い要望があったのでございます。  したがいまして、語感といたしましてわが方の希望は入れられなかったことは事実でございますけれども、実態的には韓国に協議をして、また日本とも協議をして、しかも朝鮮半島の平和を損なわない、そういう慎重なやり方でやります、こういう実態面は変わっておらないということでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと日本政府としては、カーター政権が在韓米地上軍の撤退ということについての決意について、やや甘く見て会談に臨んだという印象を私はいまの経緯の中から承ることができるのであります。「撤退」というのは、まさにゼロになることですね。時間はかかり、あるいは慎重にやるにしてもゼロになることであります。「削減」というのは要するに残っているわけです。この違いというのは非常に大きいと思うのであります。単に語感の問題でなく、方針の問題としてそういう違いがやはりあったというふうに日本政府はお感じになりましたか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 言葉の問題としてそのような響きを持つことは、私はそのとおりだろうと思います。しかし、実態問題といたしましては削減であって、仮にほんのわずか残ったとしても意味のない数が残ったのでは、それこそ意味がないわけでありますし、それはむしろ表現の問題より実態が大事だというふうに考えておる次第でございます。  それから、これは韓国側の正式な意見として承知しているわけではありませんけれども、先々、やはり自分の国は自分で守るというのが一番好ましいことでありますから、韓国側としてもまた未来永劫と言っては適当かどうか知りませんが、非常に長い間、米国の地上軍にいてもらいたいということは考えてない、このようなことも韓国側の意向としてすでにアメリカ側に表明をされておるものでございますから、日本側としてそれでは非常にぐあいが悪いということは申せない立場であろうと思います。そういう意味で、これからの私どもの関心といたしましては、いかなる態様によってこの撤退が進められていくか、こういう点に実態問題があるわけでございますので、表現の問題は二の次でよろしいのではなかろうかというふうに考えた次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 表現の問題でなくて、アメリカは韓国から地上軍を全面撤退する意思を明らかにしておるわけです。そのやり方については十分日本と協議するということであろうと思いますけれども、日本政府としては、そのアメリカの意思といいますか、その目標というものを、今回の共同声明で了としたのか。いま、好ましくないような、反対はできないという意味の御表現はありましたけれども、これを了としたというふうにわれわれは理解してよろしいですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 たびたび申し上げますように、今後非常に長い間米地上軍が駐留をするということは、これは考えられない。しかも韓国政府もそのように考えておるところでございますので、私どもは「撤退」という表現で差し支えないというふうに考えた次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 くどいようですけれども、表現については承認したが、方針についても承認をされたのかどうかです。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 表現につきましては了承をいたしましたし、その撤退の態様、やり方につきましては、今後両国政府の意見をよく聞いた上で実行される、しかも朝鮮半島の平和を損なわないという点を非常に強調されておりますので、私どもとしては了承をいたしておるところでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 その際必ず協議がある。協議があるということはその条件になっておりますか、それとも協議しないで撤退する場合もあり得る、こういうふうに受け取っておられますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 共同声明に書いてあるとおり、韓国にまず第一義的に協議があるであろう、そして日本は、その隣国としての立場におきまして協議があるであろうというふうに、そのとおりに考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 今回の会談並びにその共同声明では、ロッキード事件について何も触れられておりません。会談の中であるいは触れられたのかもしれませんけれども、少なくとも政府の発表によれば、あるいはアメリカ政府のブリーフィングによりましても、触れられたとは見受けられないのでございますが、今回の会談及び共同声明でなぜロッキード事件——あれほど昨年日米両国間の最大の案件であった、そして資料の提供につきましても、アメリカの大統領と日本の総理大臣との間にいろいろ文書の交換まであったこの問題について、今度の首脳会談で全く触れられないということは、むしろ私は国民の目から見たら非常に不思議だと思うのであります。なぜロッキード事件に触れられなかったのか、私はこの点を国民は非常に注目して聞いておると思うのでありますが、大臣いかがでございますか。時間も余りないので、なるべく端的にお答えいただきたい。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ロッキード事件につきましては、もう国民の皆様方の大変な関心事であることはよく承知をいたしております。ただ今回の共同声明は、これからの世界におきまして日米でどのような協力をしていこうか、こういうことでありますので共同声明には載せなかったのでございまして、両首脳の間に、ロッキード事件につきましてはいろいろな機会におきましてお話があったであろうというふうに考えております。したがいまして、この共同声明に書かなかったからロッキード事件につきましての関心がないということでは決してないと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 時間がなく、時間を厳守することにいたしておりますので……。  私は、いまの御答弁では国民は納得しないと思いますし、恐らく今回の会談で本当にそういうことを真剣に話し合ったのかどうか、私どもはむしろ疑うのであります。これはむしろ、福田内閣がロッキード事件についてどういう対応をしようとしているかということを、はしなくも示したものではないか。書いてないことがむしろ非常に雄弁にそれを物語っているような気がしてならないのでございますが、時間が参りましたので、私の質問はこれで終わります。「西太平洋」の問題あるいはこのロッキード事件に対する御答弁は非常に不満でございますが、私はこれで質問を終わりたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 先ほどの「西太平洋」という表現につきまして、私は、先方の申されたことで、地域の厳密な定義というものを求めなかったわけでありますけれども、「この地域」の「この」というのは、前の福田総理の発言を受けて言っておられることで、「アジア・太平洋地域」ということを福田総理はこの地域におきます日本の役割りということで申されておるということだけ申し述べさせていただきます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、山田久就君。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 このたびの日米会談は、率直に重要な問題を話し合われた点、いろいろ内容の問題もありまするが、直接個人的な触れ合いというものを持ち、そしてどのような考え方で臨もうとしているかということを知り合ったことを、私は非常に有意義であったと考えております。きょうは大変時間がございませんので、いろいろ御質問ができませんけれども、とりあえず国民の関心の深い朝鮮半島の問題について、いろいろ話し合われたようでございますので、この点から御質問したいと思います。  朝鮮半島の平和と安定ということは、極東そしてまた日本の平和というものに対して重大な関連を持つ、利害関係を持つ、これは過去の事実でございます。そこで、今回この点、首相と大統領が「平和と安定の維持が引続き重要であること」「朝鮮半島における緊張を緩和するため、引続き努力する」ということを言われ、そしてまた米大統領が「米国の意図する在韓米地上軍の撤退に関連して、米国が韓国とまた日本とも協議の後に同半島の平和を損なわないような仕方でこれを進めて行くこととなろう」ということ、これは当然そうあってしかるべきことでございまするけれども、この点について、損なわないようなやり方ということでアメリカが持っておられる具体的な構想というか、そういうようなことで何か特に今度の会談で印象を得られたかどうか、この点についてもし何らかの印象を得られたならばお答えいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 アメリカの地上軍の撤退のやり方につきましては、ここに書いてあります以上のことは会議には出ておりません。またアメリカとして、朝鮮民主主義人民共和国との間にどのような外交姿勢をとっていかれるのかという点につきまして、これは私とバンス国務長官との会見の際に私からお尋ねしたのでありますけれども、これからの方策につきましては何らまだ決めていないという回答に接しただけでございます。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 このアジアにおける日本の役割りということで先ほども意見が出ておったようでございますけれども、日本が政治的な面でもいろいろ積極的な役割りをという期待、日本の今日の地位ということから見るならば、この積極的な役割りの大部分が、無論経済的な面における寄与ということを内容とするということになろうかと思います。政治的な面ということになりますと、過去のいろいろな点からなかなかむずかしい点があるわけでございますが、そういうような点について、大体経済を主にしての協力というものがやはり中心である、そしてその他の点においてそういうような点の一般的な要望があったというようなところであったのではないかと、こう思いますけれども、その点についてさらに承ることができれば、ひとつお話しをいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 総理からも、日本としては主として経済的な面におきます貢献をしたい、するという意図を表明されたのでございまして、従来の経済援助につきましてもいろいろ問題はあろうかと思いますが、いろんな財政的な面の協力ということになれば、これは広い意味でみんな経済ということになろうかと思います。しかし、従来の経済だけというのはいささか——先方の期待するところはもう少し広い意味の期待をしておるのではあるまいかというふうに感じました。福田総理からは、経済を主体とした貢献を日本としては考えておるということを表明をされた次第でございます。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 政治的な役割りというような点に触れたと伝えられている面で、すでにいろいろな議論が出ておるようであります。ことに朝鮮についてどういうことが期待されているのだというような議論も出ておるようでございますので、その点については十分政府として国民を納得せしむるような用意、準備が必要ではないかと、こう考えております。  なお、今回の会談の中で、アメリカが基本的人権問題ということに対して非常に関心を持っておられる。これは前からカーター大統領はそういうことでございますが、特に人権問題というようなことについていろいろ突っ込んだお話があったかどうか、この点もし何か承り得る点があるならば、お話しをいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 人権の問題につきまして、カーター大統領といたしましては、これは協議の席上では非常に抽象的なことにとどまったわけでございますけれども、アメリカと日本が基本的人権をきわめて尊重をしておるデモクラシーの国家であるということ、そういう意味からいっても日本を非常に高く評価をされるような表現を用いられたこと、そのようなことが印象に残っておるわけでございまして、狭い意味で現在問題になっておりますいろいろな個別的な人権問題というような点では、触れられておらないというふうに考えております。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 その点で、実は韓国の政府の問題等にいろいろどうなんだという議論が出ているようであります。人権尊重問題は今後非常に重要な一つの大きな課題ではないかと思うが、しかし、適用の態様ということになってくると、それぞれの国等についてなかなかむずかしい問題があるのではないかとこう思うのです。  これはいま直ちに外務大臣の答弁を求めているわけではありませんけれども、これに関連して、実は御承知のように昭和三十四年に、人権問題というものを基礎にして例の北鮮への送還ということが行われたわけですけれども、日本人の妻の問題で。その後すっかりこれについての陳情その他が無視されているということについて非常に大きな関心を持っているような向きもありますので、これはちょっと横道にそれるのですけれども、一遍よく外務省の方でこの点についてのその後のことも御調査おきいただきたい。これは関連してちょっと触れておきたいと考えている次第でございます。  次に、原子力の平和利用の点についてちょっとお聞きしたい、こう思うのですけれども、この点は御承知のように、総理も平和利用の確保ということで核燃料の再処理の問題を非常に取り上げられました。両方で引き続き協議になったということは非常に結構な点であったと、こう思うのですけれども、これは両方の利害の点、なかなかむずかしい問題もあろうかと思います。今後のこれの話し合いがつく見通しというようなことについて、そう簡単ではないと私は思うのですけれども、何かそういうような点について印象を得られたような点があるかどうか、この際、承ることができるのであるならばお聞かせいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 核燃料の再処理問題につきましては、共同声明で述べられましたように、これから両国で密接な協力、協議をしよう、こういうことが結論でございまして、全くこれからの折衝事項になるわけでございます。  ただ、福田総理から、いま日本が持っております利用開発計画、このプログラムというのは高速増殖炉を一九九〇年までに完成をさせたいという、日本はそういうプログラムを持っているわけでありまして、それが日本のエネルギー政策上どうしてもやり遂げたいことである、これができなくなりますと各国間の非常な不平等な取り扱いになるではないかということを、非常に強く申されたのでございます。また、先方からは、プルトニウムというものが世界の平和のために大変危険なものである、またエネルギーの問題からいってもむだなことであるというほどの表現が使われまして、非常に強く主張をされたということであります。両首脳の主張がそのようでありますから、これからの折衝はなかなか——かつ高度に専門的な面もありますので、これから四月二十日までに結論が出ますように急いでこの折衝に入りたい、こう思っておる次第でございます。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 次に、国際連合における常任理事国として日本が十分その資格があるということで、これについてひとつアメリカとしても日本がそうなるように十分尽力したという発言があったようでございますけれども、これは日本の、国連を中心にしてやっていきたいという従来の基本政策という点から見ても、まさに総理が謝意を表明されたごとく、非常に歓迎すべきことだと思います。にもかかわらず、もうすでに大臣も御承知のように、これには国連憲章の改正あるいはこういう問題に対する米ソのいろいろな立場とかいうようなことがあるわけでございまして、今回はそういう問題にも触れられたのであったかどうか。これは私が強いてしつこく聞くつもりはございませんけれども、何かそういう点にまで触れられたような点でもあったというのであるならば、お聞かせいただける点があるならば聞かせていただきたい、こう思います。  と同時に、確かに日本は国際連合の一員ではあるけれども、実際問題として国連のいろいろな義務、強制的な一番大事な安全保障の義務の履行というような点になると、なかなかむずかしい点を日本は抱えておる、こういうような点については、今後やはり日本としてもこの問題と並行して十分の研究、準備というものを進めていかなくてはならない点があろうかと思いまます。こういう点についての御用意というか、特に大臣として触れていただける点があるならば、また、それについての心構えや覚悟をお聞かせいただければ、こう存ずる次第でございます。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 カーター大統領からも、現実に日本を常任理事国にするというその手続面におきまして、大変むずかしい問題を含んでおるということは同時にお話がありました。そういったむずかしい状況でありますけれども、日本としては安保理常任理事国としての十分な資格があるし、大いにアメリカとしてはその実現を支持する、このような発言があったわけでございます。私は、先ほど申し上げましたように、これは現実に常任理事国になった、なってから初めて日本としてはそのような発言権ができるということよりも、むしろ現在日本として、アメリカは日本を常任理事国並みに非常に高く評価をしておるし、またそれ並みの日本として国際政治の分野で活躍を期待をする、このような点に非常に意味があるというふうに私自身は率直に感じた次第でございます。

山田久就自由民主党

○山田(久)委員 今度の会談の結果として、まあ両国間においてはおおむね特別大きな問題はない、無論それはカラーテレビとかいろいろ経済上の問題はあるけれども、そういうことが会談の結果の実相ではなかったかと思います。けれども、これから世界における日米関係という意味において、国際的な面でお互いがより重い大きな役割りを、お互いに協力しながらやろうじゃないかという面になってくると、両方がこれからいろいろ意見のすり合わせをやらなければならない面もいろいろ出てくるのじゃないかと思う。そういう面については、ぜひ日本に対する大きな期待、そしてまた、当然国際的に要求される日本の立場というような点から見て、ひとつさらに外務省あるいは外務大臣としても、積極的なその点についての日本のやり方、行き方というようなものについて、十分検討、用意されることが私は非常に必要だろうと考えております。ぜひそういうような点について御努力をお願いいたしたいということを申し添えまして、もう時間がありませんので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  大変御苦労さまでございました。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 いま山田先生のお触れになりましたことは、まことに重要な点であろうと思います。これから外務省に課せられた責任は非常に重大になってまいるだろうと思いますので、そのような覚悟で臨みたいと思っております。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、中川嘉美君。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 まず、大臣にお伺いしたいと思いますが、第一回目の首脳会談において、カーター大統領は福田総理に対し、日本は特にアジア諸国に対し政治的な影響力を及ぼすよう望む、このことを述べているわけでありますが、この政治的影響力ということは一体何を指すのか、この点から伺いたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 政治的な影響力という、直接そのような表現であったかどうか、私ちょっとその表現まで覚えておるわけではないわけでございますけれども、趣旨といたしまして、このアジアにおきまして、アメリカといたしましては重要な問題は日本とよく相談をしてやってまいりたい、このような趣旨の御発言があったこと、そして日本からもアメリカのアジアにおきます関心を引き続き持ってもらいたいということを求めておるわけで、それにつきまして、先方もそれはそのとおりであるということを述べられたわけで、日本は従来から経済的な面で協力をしておる、しかしもっと積極的な意味で日本としても発言をしてもらいたいというような応答を伺っておるところであります。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 御答弁によりますと、非常に一般的な解釈、総論的な解釈に受け取れるわけですけれども、このような表現でもって話し合われたということは、私はやはり、たとえば韓国に対する経済援助の拡大とか、あるいはASEAN諸国への経済協力の推進といった意味を持ったものではないだろうか、このようにも考えるわけですけれども、この点については、先ほどの政治的影響力という言葉との兼ね合いをどのようにお考えになるか伺いたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 政治的な影響力というような表現として私ははっきり記憶にないものでございますから、ただいま申し上げましたように、日本としては従来から経済的な面で協力をいたしておる、今後とも協力を続けてまいるということを総理から申されたと記憶しております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 私は、この事項、すなわち政治的な影響力というこの言葉が現実にこの会談の中で出てきているわけですから、非常に重要視してとらえるわけですけれども、それだけに、共同声明の中でこれが消えているというところに、これはどういう理由なのかという疑問すら持つわけで、やはりこの言葉、大臣がお忘れになったというふうな御答弁ですけれども、より以上に重要な意味合いがあるのではないかと思いますが、果たして共同声明で消えて当然と思われるか、この消えているということについて何らかのお考えをいまここで改めてお持ちになるか、この点を伺いたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 安保理事会の常任理事国になるというようなことから、いろいろな発言を伺っております。その趣旨は、私はやはり、日本は経済面ばかりでなくして、もっと国際政治面あるいは外交面と申しますか、そういった点で、いままでその点について日本は余りに遠慮し過ぎておる、このような発言を伺っております。それを逆に見て、あるいは先方のスポークスマンの発言として、政治的な影響力をもっと持つべきであるというようなこととして言われたのであろう、しかし、そのいわゆる政治的な影響力と言いますと、その言葉として私どもは余りいい感じを受けないのでございまして、まあ私どもがそのような政治的影響力というような、英語の言葉としてそれをどのように解釈されておるか知りませんが、いま私が申し上げましたように、日本はいつも遠慮がちで物を言わないという点につきまして、もっとはっきり物を言うべきであるというように、私は率直なところ感じたのでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 それでは朝鮮半島の平和と安定というのはどういう状況を指すかという問題ですけれども、韓国の安全は日本の安全にとって緊要であるというあの認識、これは福田内閣はこういった認識はとらないと理解をしていいかどうか、この点をまず伺いたい。  さらに、朝鮮半島の平和と安定とは韓国の平和と安定を意味するのかどうか、朝鮮民主主義人民共和国との関係はどうなのかという問題、政府は韓国が全朝鮮半島を支配下におさめたときに初めて朝鮮半島の平和と安定が実現するという解釈に立っているのではないかというふうに思うわけですが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 韓国という表現が今回はそこに挿入をされなかったわけでございますけれども、その後ほどに韓国におきます「米地上軍」という表現が出てまいります。そういうことから、韓国につきましては朝鮮半島の平和が保たれるということが一番大事なことである、南北間の微妙なバランスということもたびたび申しあげておるわけでございまして、朝鮮半島の平和を阻害するようなことが起こらないこと、これを主体として申し述べておるわけでございます。ただ、実態認識といたしまして三木・フォード会談のときとどこが違うか、こうおっしゃいますと、たびたび申し上げておりますように、現在のところ実態認識として格別大きな変化があったという認識を持っておるものではございません。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 そうしますと、先ほど韓国の安全は日本の安全にとって緊要であるという認識は、福田内閣はそのまま特に変化なく解釈をしておられるか、そのとおりに認識しておられるかどうか、この点もう一度確認をしておきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 その認識が根本的に変わっておるという認識ではございません。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 共同声明第五項においては「アジア・太平洋地域」それから「西太平洋」「東アジア全体」と使い分けているわけですけれども、これらが具体的にどこを指すかということについて先ほど河上委員の方からの御質問があったわけで、大臣の御答弁の中に、地理的には特に限界はないという表現があったように思います。そうしますと、なぜこのような使い方をしなければならなかったのか、この点をまず伺いたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 先ほども申し上げましたように、アメリカ側といたしましては、太平洋という観念、それから太平洋の中で西の太平洋というような観念があるようでございまして、私どもアジアに住む者から申しますとアジア地域、こういうような表現を使っておるわけでございます。そういう意味で両者の間に表現が違うわけでありますけれども、実態的な観念として大きな違いがある観念ではないと考えておるのでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 私は、米側としては各地域に対しそれなりの非常に意味深いものがあるのじゃないかとむしろとるわけです。  それでは伺いますけれども、共同声明で言うところの「東アジア全体」というのは日米安保で言う「極東」の範囲と同じなのかどうか、それとも異なるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 安保条約におきます「極東」の観念につきましては、たびたびこの国会で御議論になったところでございます。その観念と今回用いております観念は全く別の観点から述べておるところでございますので、当然違ってこようかと思うのでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 そうしますと、朝鮮民主主義人民共和国は東アジアに入るのかどうか。極東の範囲についてのこれまでの政府見解というのは朝鮮民主主義人民共和国は入っていなかったのですけれども、この点はいかかでしょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 今回「東アジア」という表現の場合には当然含まれるべきもの、朝鮮半島から東南アジアまで含む広い観念であると考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 きょうは各党の皆さんとも時間が制限されておりますので、この問題について話を進めますとちょっと時間がかかりますから、御答弁を承った上で改めて御質問してまいりたいと思います。  次に、今回の日米首脳会談における一つの焦点であった核燃料の再処理問題、すでに先ほど来御質問が出ておりますが、今後の協議とか交渉に持ち越されることになったわけですけれども、日本国内での原子力開発の是非は別の問題として、米政府のやり方はきわめて納得のできないものがあると私は思います。特にこうした米側のやり方を認めることになりますと、核燃料がいわゆる重要な戦略資源となる。米国の独占寡占体制にひいては世界支配につながるものと言わなければならないのじゃないだろうか。今回の首脳会談や共同声明を見る限り、わが国の政府は単に陳情しただけにすぎないのじゃないかという感じすらするわけであります。核防条約批准の際にも、核燃料の供給とか平和利用を阻害しないということが同条約批准の前提でもあったわけですが、核防条約体制を推進してきた米国がカーター政権になって、これが不十分であるとして核燃料の供給をストップしようということは、矛盾もはなはだしいのじゃないかと私は思います。この点をどのようにお考えになるか伺いたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいま中川先生おっしゃいましたとおり、核防条約の考え方、第四条で、平和利用の目的のためにこれは阻害されないという保障があるわけでございますから、当然のことながら総理大臣からもその点はカーター大統領にも直接強く申し述べられたところでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 強く述べられた点は非常に結構と思いますが、この点の矛盾をさらにわが国としては強力に米側に対し訴えるべきじゃないかという気がいたします。私は少なくともわが国の核エネルギーの平和利用の権利というものは当然確保さるべきだと思うわけで、この問題に対する政府の基本的な認識と今後の交渉に臨む態度、先ほど御質問がすでに一部出ておりますが、いま一度基本的な認識と今後の交渉に臨む態度をここで改めて伺っておきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 わが国といたしましては、核防条約を批准したという立場、それから核保有国と不平等になってはならないということ、これらの点を強く主張し続けるわけでございます。カーター大統領といたしましては、核兵器の全廃ということを選挙のときあるいは新政権の最初のときにも申された、この核兵器の全廃は悲願でありましようが、それをもとにして——恐らくきょうバンス国務長官はソ連に向かわれておるところでありまして、これからSALTの交渉に入られる、そのような核兵器をどうするかということがまずあって、その次にこの原子力の平和利用が兵器に転用されないだろうかという点を問題にされておるわけでありますので、これら広い大きな核に対する政策というもの、これがどうなるかということと相当な関係を持ってくるだろうと思います。しかし、日本としてはプルトニウムというものもこの平和利用のためにエネルギーとして使う、これを使わなければ日本のエネルギーはもう二十一世紀になってから大変なことになるという観点のもとに強く主張しておるところでございます。これから大変厳しい折衝になろうかと思いますが、全力を挙げて日本の考え方、根本的な考え方にも関連をしてくることと思いますが、その考え方を理解をしてもらって、何とかこの新しい政策に日本の考え方を取り入れてもらいたいということを主張する所存であるわけであります。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 今後の交渉に臨む態度等もさらに詳しく伺いたいところですが、時間が来たようですので最後にもう一問だけ伺います。  わが国の憲法的国是でもある非核三原則、これに対してカーター大統領の深刻な理解を求めるべきである、このことは訪米前の党首会談でわが党の竹入委員長が総理に強く要求した一つの点でもあるわけであります。こうした重要な問題が共同声明に盛り込まれなかったというのはなぜだろうか。日本政府として何も言わなかったんじゃないだろうかというふうにすら私は感ずるわけであります。少なくとも憲法的国是である非核三原則については、共同声明で一項目として盛り込むべきがわが国の非核政策ではないかと私は思いますが、この点に関する大臣の御答弁をここでいただいて、最後にもう一つだけ中国関係について一言御質問したいと思います。この点いかがですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 非核三原則の点につきましては総理も強く主張されたわけでございます。日本が世界におきますただ一つの被爆国であるということ、それから日本はもう国是として非核三原則というものを強く持っておるのだという点も、総理から強く述べられたことを私も直接伺っております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 いずれにしても、こういうような重要な問題が共同声明に盛り込まれなかったというところに私は非常に大きな疑問といいますか、今後の大きな課題を残したような気がしてならないわけですが、これは先ほど申し上げたとおり、後の機会にまたさらにこのことについて伺っていきたいと思います。  最後に、日米共同声明を見てみますと、日米双方とも対中政策、対中国関係ですね、これに全く触れられていないわけですけれども、カーター大統領は米中関係改善に対してはどのような考えを示したのか、また、日本側からアメリカの対中国問題についてどのようなことを話したのか、全くこの中国問題が出てきておりませんが、この点を最後に伺ってまいりたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 中国問題につきまして余り多くの時間は持たれなかったのでありますが、あるいは総理とお二人だけのお話でどのようなお話があったのか、これは私も確かめておりません。しかし中国問題につきましては、私が伺っておりますのは、アメリカとしては上海コミュニケの基礎に従って関係の改善を図る考えであるというような表現であったろうかと記憶しておるところでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 それではまたさらに後の機会に質問さしていただきます。以上で終わります。

有馬元治自由民主党

○有馬委員長代理 次に、渡辺朗君。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 鳩山外相、このたびは御苦労さまでございました。大変短い期間ですけれども、重要な会談をされたわけであります。つきましては率直にいろいろな点お聞かせいただきたいと思います。  まず私、いま中川議員が御質問をしておられましたその連続でちょっとお聞きをいたしたいと思います。  今回の共同声明を見ますと、中国問題は確かに一言半句取り上げられておりません。ただし新聞で拝見いたしますと、この首脳会談では米中の国交正常化問題が取り上げられて話し合いが行われた、またある新聞では、その際に米国側は日本方式をとらないというようなことを述べたということが報道されております。外務大臣、その点で直接にバンスさんともお会いになっておられるし、恐らく中国問題をお話をされたと思いますけれども、そこら辺、もうちょっと詳しく御報告をいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 中国問題につきまして、日本と中国につきまして余り詳しいお話はいたしておりません。アメリカと中国との関係につきましては、やはり第三国の絡むお話になりますので、それほど突っ込んだお話は会談の席上で行われておりません。ただ、全般的なアメリカの考え方はどのように考えておられるかということにつきまして、カーター大統領の方から、アメリカとしては、いわゆる上海コミュニケの線といいますか、上海コミュニケのベースと言ったか、その言葉は覚えておりませんが、そういうレールに従って関係の改善を図ってまいりたいというお話があり、それから例の米中間で問題になっておりました資産の凍結の問題に触れられて、これらについて解決を図りたいんだ、それは一つの関係の改善になると思うというようなことを申されたことを記憶している程度でございまして、これからの方針についてはさらに突っ込んだ話というものはなかったのでございます。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 もうちょっと思い出していただきたいと思うのですけれども、以前キッシンジャー国務長官時代には、日本方式をとるというようなことを言われたことがございます。そうすると、今回そういう上海コミュニケにのっとって新しい進展は、これは考えているでしょうけれども、従来キッシンジャーが述べていた方式というものは否定する、ないしはネグレクトするというような立場であったと理解してよろしゅうございますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいま申し上げました以上突っ込んだお話はなかったというふうに御理解を願いたいのでございます。別に隠しておるわけじゃございません。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 では私、次の問題を質問させていただきたいと思います。  今共同コミュニケを見ますると、やはり大きな問題が韓国の問題でございます。朝鮮半島の平和と安定の問題でございます。その問題につきまして、朝鮮半島の緊張を緩和するために引き続き両国は努力することに意見が一致したということになっております。そうすると、引き続き緊張緩和のために努力するということは、今日までも日本がそういう努力を行ってきたことも意味するわけでありますし、今後ともどのような形かで具体的に緊張緩和のために努力するということに腹案があるから言われたんだろうと思いますが、その点についてどのような言及をされましたでしょうか、日本側としての態度を述べられたでしょうかか、お伺いをいたします。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 これから先の努力の具体的なやり方等につきましては触れられなかったのが実情でございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 実を言うとそこら辺がちょっとひっかかるわけでありまして、単に抽象的な、努力しようということだけではちょっと困るのでございまして、またそういう無責任なことでも、日本の国としては大変重要な問題でありますから困ります。具体的な案がないといけないだろうと思います。  ついてはちょっと掘り下げてお聞きいたしますけれども、鳩山外相はバンス国務長官とお会いになりました。その際に、これは新聞報道でございますが、それによりますと、アメリカ側の方は、渡航の自由化はするけれども貿易の自由化はまだ考えてないという点を言われたかに、記者会見の席上言っておられます。国務長官との間で、アメリカが最近朝鮮半島に対する具体的な新しいアプローチをしようとしているように感じられるわけでありますが、ここら辺についての動きというものをどのように把握されましたか、また説明を受けられましたか、さらにはそれに対してどのようなコメントをされたのか、そこら辺をお聞かせいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 全般的に世界じゅうでまだアメリカが国交を持てない国があるわけでございまして、そのような国々に対しましていろんな努力が行われておるのではあるまいかと思います。その一環といたしまして、私はいずれの日にかそのようなことが実現すると思いますけれども、私はバンス長官と会談をいたしまして、渡航の自由化に引き続いて貿易関係はどうなるであろうかということを率直にお尋ねをしたわけでありますけれども、それにつきましては、まだ現在のところは考えていないというところであろう、そのような回答であったわけでございます。しかしこれから先の話しは、恐らくまだ方針は決まってない段階でございますので、それ以上のことはなかったところでございます。  以上でございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 私は、本来ならば、米軍が朝鮮半島、韓国から撤退するといった場合に、日本側としてはその後の安全保障の問題を具体的に考え、その中で北朝鮮との関係、こういったものも提起されていく、それが筋であろうと思います。私、あるいはお聞きになっておられて故意におっしゃらないのではなかろうか、そこら辺をちょっと疑念を持つわけでありますが、アメリカ側の方でも、撤退する以上は必ずその後の安全保障を具体的に考えているだろうというふうに思います。たとえばクロス承認の可能性があるかもわかりません。アメリカが北朝鮮を承認する、それからまたソ連、中国の方に南の方の承認を求める、こういうふうなこともあるかもわかりませんし、あるいは朝鮮半島全体に対する米中ソ、こういったものによる安全保障の新しい構想というようなものも持っているかもわからないと思うのです。そこら辺について、本来ならば突っ込んでお話をされるべきであろうと私は思いますし、きっとしておられるであろうと推測いたしますが、私いまのお話の、ただ貿易の自由化はしないような印象を受けたということだけで、外務大臣は帰国後記者会見の席上、米国と北の関係は急速な進展はないであろうと思う、こういうことを言っておられます。そうすると、それは少々断定が早過ぎるのではあるまいか。それに必要なところのいろいろなことをお聞きになっておらないし、意見交換をしておられないという印象を私は受けるのですが、そこはいかがでございましょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 もう一つ朝鮮民主主義人民共和国との関係につきまして、これはアメリカといたしましては、韓国を飛び越して直接北側と交渉を進めるということはしないというような、これはそのようなことが言われたわけでありまして、それは現状のとおりでございます。しかしこれから先のことは、緊張緩和の方向でお互いに努力をしょう、こういうことでございますので、これから先現状どおりということは、そこまでこれから先のことは突っ込んだ話し合いはいたしておりません。  朝鮮半島の平和を維持しよう、確保しようということで南北間の対話の再開に努力をする。現状から申しますと、そういうことからいきまして、アメリカ側といたしましては、それは韓国を通じてそのような努力が行われると解釈するほかはないのでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 それではその問題、私要望を加えまして他の方に移していきたいと思いますが、それは、この共同声明の上でやはり国際的に宣言をされたと同じことだと思うのです。アジア・太平洋地域において平和と安全のために日本は大きな役割を背負うんだ、軍事的ではない他の分野において、政治的な分野、経済的な分野、そこにおいて大きな役割りを背負うのだということを言われた以上、やはりアジアにおける緊張の大きな焦点でございます朝鮮半島のこれからのあり方について、朝鮮半島の安全とそれから平和、こういった問題について日本としての建設的な役割り、具体的な案というものをひとつ用意していただきたい、これを要望しておきたいと思います。  さて、もう一つ大きな焦点になっておりましたのは核燃料の再処理問題、先ほどからもいろいろ質問が出ております。これについてお伺いをいたします。  外相は御帰国されてから、記者会見の席上でこう言っておられます。米国側は日本の主張に対して理解を示した、しかし同時に、カーターのプルトニウムは悪であるという信念は固かった、そういう理解を示していながら大変むずかしい、こういう矛盾したお話が出ております。したがって、これからの日米交渉はむずかしいことになるだろうという見通しも述べておられます。  この問題につきまして、鳩山外相が触れておられました核防条約を補完するような多国間協定をアメリカは考えているようだという言葉もございますが、どのようなお話し合いがございましたのか、この新しい核防条約を補完する条約なりあるいは協定というものについてどのような論議がされたのか、そこら辺お聞かせをいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 福田総理とカーター大統領とのお話し合いの中で、福田総理から、アメリカは日本以外の各国とも日本と同じように交渉をするのかということを聞かれましたのに対しまして、カーター大統領は、そのとおりである、四月二十日までに各国の意見も聞いてアメリカの新しい原子力政策をつくり上げる、このような発言をされましたので、これからの核防、核の拡散防止、この点につきまして現在の核防条約だけでは足りないというような意向が表明されたのでございます。そういうことで、まだはっきりとした具体的な方針としてあったわけではありません。これらはすべて四月二十日を期限としておりますアメリカの新しい政策にどのように盛り込まれるかという内容をなすものであろうかと思うので、いまここで予測をするのは適当でないと思っております。しかし、そのように日本以外の各国の意見も十分聞くというように言われたのは確かでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 その問題、実は四月二十日という期限が、本当に期限が少ないところで目の前にあるわけでございます。したがいまして、新しい多国間協定をいまの核防条約を補完するような形で結ぶとなりますと、その中身というのは大変重要なことになってくると思います。したがいまして、私は、この席で言うのは適当ではないと言うお言葉はありましたけれども、これはちょっと問題でございまして、たとえば査察がどのような形で強化されてくるかというような具体的な点が出てこようと思いますし、恐らく外務大臣としてはそういう問題点はすでに知悉しておられて、いまから用意しなければ実際に間に合いませんので、そこら辺率直にお話をしていただき、そして当委員会におきましても十分な事前の討議をしておくこと、これが必要であろうと思います。そしてアメリカの方にも注文をしていく、そういうやり方が大切だろうと思いますので、外相、もうちょっとそこら辺、中身についてお聞かせをいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 今回の両首脳の会談では、中身の点というよりも両首脳の考え方の主張があったわけでございます。その再調整を、何とか双方が満足がいくような形でこの問題を解決すべく引き続いて交渉をしょう、こういうことになっておりますので、中身には触れられておらないということが本当のところでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 時間も参りましたので、それではその本当のところをお聞かせいただきましたので、今後具体的な協定をつくるというと大変重要な問題でございますので、アメリカ側の希望すること、あるいはこちらの方から希望すること、これをぜひ事前にお知らせをいただき、そういったものについて私ども国民が十分な事前の了解を持って臨みたい、こういうふうに希望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 日米首脳会談について、この会談が行われる前に、十七日に与野党の党首会談が行われました。総理が出発されるに当たりまして、私どもの党としまして三つの点を公式に見解として総理に申し上げました。第一は、在韓米地上軍の撤退計画に関連して、政治、経済、軍事的肩がわりを引き受けるべきではないという問題、第二に、カーター大統領の核廃絶の提唱に被爆国の首相として積極的な提起をすべきであるという問題、第三に、ロッキード疑獄や日韓癒着解明のための資料提供を求めるなど、従来の徹底解明の公式言明に従って行動すべきである、こういう三つの問題を党首会談で申し上げて、そしてどういうふうになったのだろうかということについてお聞きしたいと思うのです。  時間が限られておりますので、私は出ていない問題から逆に聞いてみたいと思います。  まず、ロッキード疑獄や日韓癒着の解明のための資料提供を求める、徹底究明のために協力を求めるという問題について、共同声明の中には一行も触れられていない。これは会議の中にこの問題は持ち出されたのか持ち出されなかったのか。私は前に当委員会においても金大中の問題について聞いたことがありますだけに、どういうふうにこの問題について問題を提起されたのか、お聞きをしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ロッキード事件に関係の資料、特にSECの資料が発表されたときに御要望がございました。この点につきましては、私から国務省にそのとおりお願いをして、これは当然のことで資料は提供いたします、こういう回答に接しておりますので、首脳同士の話し合いにはしなかったわけであります。  また、日韓癒着とおっしゃられている問題につきましては、これはまだ交渉する対象がきわめて不分明な段階でありますので、これにつきましては当方から持ち出すことはいたさなかったのでございます。  なお、初めの二点につきましては、後ほどお話があるかと思いますが……。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 第二に、核の廃絶についてカーター大統領が就任のあいさつで述べておられました。出発前に総理もまた声を大にして発言をしておられたわけですが、この共同声明を見ると、核軍縮への第一歩としての核実験禁止という言葉だけがあって、核兵器の全面禁止の日本国家の決議なり、あるいはカーター大統領自身が廃絶というふうにまで言われた内容について、積極的に提起がされていないわけですが、なぜ核廃絶に向かっての全面的なそういう提案をしなかったのか、あるいはしたけれども受け入れられなかったのか、その経過をひとつ聞かしていただきたいのと、同時に、新聞報道を見ておりますと、沖繩の核兵器についての何らかの確認を外務大臣がおやりになったようですけれども、問題は、核機能、核関連部隊が現実に沖繩において、いつでも核部隊として対処できるようになっているというところにこの沖繩の米軍部隊の問題があると私は思うのです。国会でも核兵器の一時通過や寄港がしばしば問題になってきておったわけですが、核兵器のあるなしだけではなくして、こういう対応する部隊がおるという問題について何らかの問題提起をされたのかどうか、お聞きしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 核廃絶につきまして共同声明に書かなかったのか、こういう話でありますが、福田総理から、カーター大統領の核に対する強い核廃絶についての提案——提案といいますか、悲願、念願ということ、この点につきましても大いに同感の旨の表示がありました。私どもは、何よりまず実現可能なことである核軍縮、この軍縮につきましてはアメリカはこれから取り組むわけでございます。そういう段階におきまして、従来から申し述べておりますその全面的な核実験の禁止、包括的と申しますか、これをつけましてこの文章であらわしたわけでありますけれども、そのような点につきましてお互いに——わが国といたしましても、非核三原則を持っている国といたしましてその点は大いに賛成である、会談にはそのようなことがあったわけでございます。  それから沖繩におきます核兵器の問題が、あるのではないかという心配があるというお話は、私はバンス長官との会談におきまして、先方にそのとおりお伝えをしてあります。そしてわが方から申しましたのは、特に沖繩におきましては、沖繩復帰時の約束があります、そして核兵器の持ち込みは日本では事前協議の対象でありますから、いままでそのような協議を受けておらないということからして、核兵器が仮に韓国から日本に移されるというようなときは、当然事前協議がなければならない、そういうことで、いままでないから日本としては沖繩には核は全くない、こう理解しているが、そのとおりでよろしいかということで、全くそのとおりであるという回答に接しておるところでありまして、沖繩には核はないということはそのとおりであると私は確信をいたしておるところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 新聞報道を読んでいると、何かその問題について、そう思っているけれども調べてみるという、調べてから回答するというように報道が出ておりましたけれども、それは改めてアメリカとして調べたのかどうかということと、さっきも言いましたように、核を現実に持っていない場合でも核を使用する部隊がおるという問題については、あなたたちはどういうふうにお考えになって、この問題について語られたことがあるのかどうか、改めてその点について聞きたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 このバンス長官との会談の経緯は、非常に限られた時間であったものでございますので、したがいまして、即座にバンス長官が回答し得る時間的な余裕がなかったというのでございまして、その後、すぐ返事が参ったのでございます。したがいまして、即座に返答がなかったから、あるんじゃないかというようなことがちょっと新聞に出ましたが、そのようなことではありませんで、当方から、文書にいたしまして国務省の日本部長からずっと上げていったわけでありますけれども、それが長官のところに届くまでに若干の時間がありましたものですから、したがって回答がその席ですぐなくて数時間後にあった、こういうことでございます。  それからもう一つ目の部隊の名前でございましょうか、そのような話があるわけでありますけれども、アメリカといたしましては、その訓練ということは、いろいろな場合を想定しての訓練が行われるということであって、核の不存在ということは確かにそのとおりである、そのように考えておるところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間がありませんから、その論議はさらにまた別の機会にするとしまして、次に第一番目の項目の問題です。  何らかの肩がわりを引き受けてくるんではないかという問題が日本の国内ではずいぶん大きな問題に今日までなってきました。特に福田総理が歓迎式で、アジアの国々はなお不安定である、こうした問題に両国が共同の責任を分かち合うと述べておられるし、カーター大統領も、日本は特にアジアに対し政治的な影響力を及ぼすよう望むということを第一回会談で言われている。  そこで、先ほどもここで質問がありましたわけですが、そのカーター大統領の言われる政治的影響力、日本に期待しているというものは一体何なんだろうかという点からいろいろ論議がこれからも出ていくところですが、そこでひとつお聞きをしてみたいのは、南北問題の対話の速やかな再開を強く希望するということが共同声明の第五項にあります。日本に政治的役割りを求めるというふうにアメリカからも言われている。日本もそういう気になって一緒になって話し合っている。そうすると、この南北問題について、日本として何かの活動をやろうという新しい決意がなければこういうことにならないだろうというふうに思うわけですが、朝鮮民主主義人民共和国とのそのための何らかの接触を行う用意を持っておってこういうようなことになってきているのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 朝鮮半島の平和の維持のために努力をしよう、こういうことが述べられておるわけでございます。日本といたしましては、従来から民間レベルにおきます人の交流等が進んでおる段階であるわけであります。これから具体的にこのようなことをいたしましょうということで書いたわけではございません。そのような考え方で臨もうということを表明しておるところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そうすると、積極的に政治的な影響力を及ぼすように望むと、こう大上段に振りかぶられたり、政治的役割りが、後で常任理事国という形で出てきたりしているけれども、中身は別に考えていないとするならば、大したことないんじゃないかという位置づけになりますけれども、私は、こういうような問題は、声明をやる以上は積極的に裏づけをきちんとしておくということが重要だと思います。またの機会にやります。  また今度は、従来の首脳会談では韓国条項というのが再三にわたって出てきたわけですが、韓国という言葉が一切使われていないということは一体どういうことなんでしょう。そして、韓国条項とここに書かれている内容は同じことなんだろうかどうか、お聞きしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 日本とアメリカとの会談の内容でございますので、第三国のことはなるべく使わない方が私は適当であろうと思います。朝鮮半島の平和を維持する、これが何より国民としての関心事でございますから、そのような表現で足りるというふうに考えておるところでございます。  従来の考え方と根本的に変わったのかということを仰せられますと、基本的な認識は、現在のところ、三木・フォード会談の当時と基本的認識において大きな変化があったとは考えておらない、こういうことでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 第三国だから今度は控えたんだというお話、どうなんでしょうか、いわゆる韓国を安定させることも日本の政治的な役割りの一つとして位置づけられてこの会談は行われておるのでしょうか。その点はどういうことになっておるのでしょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 共同声明に書かれてありますとおりのことが論議をされたわけでございまして、韓国の安全という問題につきましては、従来から日本は大変大事な問題であると考えておる、この点につきまして、格別それが変化したことではございませんし、韓国の安全というものが朝鮮半島の平和という問題に関係しておるという三木・フォード会談の表現自体につきましても、実態的にそれが変わったということではない、このように考えておるところでございます。そして、これが朝鮮半島の問題のみならず広くアジア全体のためにも大変大事なことであるというような認識の交換があったわけでございまして、そのように御理解いただきたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 いただきました共同声明の六ページのところに「大統領は、米国が、太平洋国家として、今後ともアジア・太平洋地域に強い関心をもち、同地域において積極的かつ建設的役割りを引続き果すことを再確認した。大統領は、米国がその安全保障上の約束を遵守し、西太平洋において、均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在を維持する意向である旨付言した。総理大臣は、米国のかかる確認を歓迎し、日本がこの地域の安定と発展のため、経済開発を含む諸分野において、一層の貢献を行うとの意向を表明した。」こういうふうにありますが、この西太平洋地域の柔軟な軍事的存在というのは一体どういうことなんでしょうか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 この「柔軟な軍事的存在」という意味でございますが、私ども理解いたしておりますのは、やはりその時々に応じました、何といいますか、いろんなことで軍事上の問題というのは影響を受けるわけだと思いますが、もっと弾力的な対処とでも申しますか、そういったことが述べられておるのであろうというふうに私どもは理解をしておるところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 弾力的な対処というのは、この間うちから問題になっておった在韓米軍の撤退という問題があった、こういう問題に対してここでは、従来の約束を守るんだ、安全保障上の約束を米国は守るんだ、こう言う、そして均衡がとれた柔軟な軍事的存在を維持するんだ。歓迎すると言うんだから、その在韓米軍の撤退問題をめぐって日本政府として——これも新聞紙上でもかなり問題になっていますが、アメリカが言いもしないのに、自衛隊の基盤力を強化するんだということを日本政府が言う、それを受けて立ってアメリカの方がこういう表現をしているというふうにこれは解釈してよろしいですか。一番大事なところだと私思うのですよ。新聞にも出ているのですよ。アメリカが言いもしないのに、日本の自衛隊の基盤力の整備をやるということを言う、それに対して、アメリカの方がそれを受けて立つ状況の中で、従来どおりの安全保障上の約束をわれわれは守る、柔軟に対応するからひとつよろしく、こう言われた、こういうふうに解釈してよろしいか。一番肝心なところだからちょっとはっきりしておいてほしいと思うのです。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 大事なところと仰せられるのですが、どうも御質問の要旨が実のところよくわからないのでございます。日本の防衛力というものはわが国自身が自衛のために決めていくべき問題でありまして、アメリカ側から言われないのにやるということも私にはよく理解できないところでございます。そのような論理からの御質問で、大変大事なことには違いないと思いますが、どうも御質問の趣旨が私にはよくわからないのでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 寺前君、時間を過ぎております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間が来ましたので、趣旨がわからぬとおっしゃるんだから、もう一回そこだけ言います。新聞にもこういうふうに報道されております。「首相が大統領に問われる前に、日本の基盤的防衛力整備の方針を自発的に説明した」、こういう説明をした後で、いま言ったような柔軟なこういう問題の共同声明になってくるということになってくると、日本が軍事的な責任分担を新たに持つことによって、アメリカさんもよっしゃということになってきたんじゃないかという疑問が生まれる。この点についてはっきりしておいていただきたい。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 そのようなことは全く関係のないことであることは当然でございます。日本の防衛は日本の自衛のためにあるわけでありますから、日本の憲法上日本の自衛力、これは海外には関係のないことで日本だけの自衛のことでありますから、したがって日本の自衛の問題と朝鮮半島の問題は関係がないというふうに御理解願いたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、しかしわざわざそういう問題を首脳会議で提起されたということは、私はそれだけで済むわけにはいかない性格だと思いますので、引き続きまた委員会で質疑をしたいと思います。終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、伊藤公介君。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 今度の日米首脳会議で、私ども外務委員会でもいろいろな議論をしている問題でありますが、開発途上国の問題、それから特にエネルギー資源の問題が私たちのこの国にとっては重要な問題でございますので、こうした石油を含めたエネルギーの問題について具体的な議論がされたかどうかお尋ねをしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 開発途上国に対して、日本、アメリカ、いわゆる先進工業国がどのように南北問題に取り組むか、この問題は経済問題の大きな部分でございます。今回は、この経済問題につきましての時間が大変足りなくなってしまったのでございまして、その点につきまして両首脳の間に費やされた時間はきわめて少なくなってしまったのでありますが、結論といたしまして、この問題はロンドンにおきます首脳国会議、これの大きな問題として、それに対する準備をいたそう、こういうことになっておるところでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 朝鮮半島の問題は、外務大臣がアメリカにお立ちになる前に、私も実は質問をさせていただいた件でございますけれども、今度の日米首脳会議の中でもさらにはっきりとした形で、アメリカのカーター大統領のもとでアメリカと朝鮮民主主義人民共和国との渡航が自由化されてきた。渡航すらも自由化されないという非常な不自然さというものは、朝鮮半島がわが国にとって非常に重要な問題であればあるほど、私たちのこの国としても早急に考えていかなければならない問題だと思いますけれども、外務大臣の御見解を承りたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 御質問が日本と北朝鮮との間の人的交流、渡航の問題でございますので、その部分に限って申し上げますと、日本ではいままで、日本人で北朝鮮に行きたいという人につきましては、これは北朝鮮側のシステムがそういうことでございますのでやむを得ないのですけれども、北朝鮮側から招請された人でなければ入国できないという状況で、北朝鮮側から招請された人に対しましては、日本政府は全部旅券を発給しておりまして、一度も旅券の発給を拒否したことはないわけです。したがって、北朝鮮から招請された日本人は日本政府から旅券の発給を受けて渡航ができる、こういうふうに開かれておるということでございます。  他方、北朝鮮から日本に来る人の場合には、これは正式に承認した国家でございませんので、北朝鮮の発給する旅券というものによっての入国は不可能ですけれども、渡航証明書という別途の方法によって入国が認められておりますし、その数はたとえば昨年は六百人近うございます。一昨年も六百人くらい。その前、例の南北共同声明が出ました後は、八百人から九百人という数の人が北朝鮮から日本に来ております。  そういう人事交流から見ますと、日朝間の関係は米朝とは比較にならないくらい膨大なものであるということが認識していただけるか、こう思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 私たちがごく平均的な考え方で考えますと、北朝鮮と日本との交流がこのままでいいとは決して思いませんし、私たちが朝鮮半島を十分に理解する上においても、正常な形でもっと渡航が自由化されていく、そして、必ずしも政治レベルではなしに、国民の多くの人たちがもちろん南北の朝鮮を目で確かめ、理解をし、そこからまた友情を生み出していくという作業が実際に必要だと思っているわけであります。アメリカでもこうした形で渡航の自由化という形がはっきりしてきたわけでありますから、今後、いままでどおりの状況ではなしに、もっと具体的に新しい渡航の自由化という形でぜひ御検討をいただきたいと思いますが、その今後の見通しについてのお考えをお聞きしておきたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これもたびたび政府が御説明していることですけれども、日本と北朝鮮との間にはもっと相互理解が進まなければいけない、お互いに理解をしなければいけない面が多いので、それを解決していく一つの方法として、先生御指摘のように人間の相互の往来というものを促進することが望ましいという認識は持っておるわけでございますけれども、先ほど私が申し上げましたように、日本人で、これは北朝鮮もその一つでございますが、特定の国につきましては、相手国の招請がないと自由渡航ができない、ほかの国ではわりあい自由に渡航ができても、相手国の招請がなければ渡航のできない国というのがまだ地球上に幾つかあるわけでございまして、北朝鮮もその一つであるわけです。したがって、北朝鮮の方で招請するという立場にだんだん拡大されていきますれば、日本側としては旅券の発給はいままでも制限したことはないわけですので伸びて行くかと思います。  いずれにいたしましても、前提になるところは、よく言われておりますように、北朝鮮政府当局が日本政府の姿勢についても誤解があるようであれば、それは早く解いてもらいたい。また、日本と友好関係にある韓国の存在について現実的な姿勢をとってもらうというようなことも、いまおっしゃいましたようなことが促進される前提としてあるか、こう思います。  いずれにいたしましても、日本と北朝鮮との間の人事交流がふえることが、双方の相互理解、国民の間の相互理解に役立つという点では、私どもも同じ感じを持っております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 限られた時間でございますので、次の質問をさせていただきたいと思うのであります。  私ども、昭和四十八年当時からのオイルショック以後、エネルギーの問題は非常に切実な問題として考えなければならない時代に来ているわけであります。その一端を担う原子力の平和利用という形が、この国にとっても非常な関心事であるわけでありますけれども、今度の日米首脳会議で核燃料の再処理の問題が議論をされた。私たちの国は、核に関しては、非常に神経質なほどこうした問題についてはそれぞれの立場で議論されていたことでありますけれども、核拡散防止条約はその第六条において、核軍縮の努力をも義務づけられているわけでございます。アメリカが日本における核の問題について非常な関心を持つことも、ある意味から言えば当然なことだと思いますけれども、しからば、核拡防条約にまだ参加をしていない国に大変大きな原子炉あるいは原子発電所の提供を約束をしてきたということは、いままで私どもがずっと振り返ってみますとアメリカが最初でございます。一九七四年にインドにおいて核爆発が行われた、その直後にエジプトだとかあるいはイスラエルという国々に、原子炉の輸出というものに合意をしているわけでございます。もしわれわれがこういう立場をとるならば、アメリカは発電炉の輸出にも核拡防条約への参加を条件として輸出をするということが私たちは当然なことだと考えているわけでありますけれども、今後、今度は日本で日米首脳会談、そういう機会があるとすれば、私たちのこの国としての態度というものが必要だと思いますけれども、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 御説は全くそのとおりだと思います。何らかの機会がありましたら、そのような主張をいたしたいと思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 大統領の訪日ということが報じられたわけでありますけれども、大統領訪日の日程あるいはさらに今後どういうようなことについてそういう機会が持たれるかといった見通しについてお伺いをしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 目下カーター大統領は大変多忙でございます。政治日程もぎっしり詰まっておる現状でございますので、私どもは早急には大変むずかしいことであろうと思っております。カーター大統領、ことしはなかなかそのような機会がむずかしいのではないかと私ども考えておりますが、しかし少しお暇になりましたならばというところで、また時期等につきましてはこれから両国政府の間で外交チャンネルで相談をしましょうということになっております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 私たち、外務大臣、総理が訪米をする前に、日米首脳会議の主たるどういう内容について話し合われるのであるか、あるいは日本としてはどういうことを主題としてこの首脳会議に臨むのか、こういう御質問をさせていただいたわけでありますけれども、私の記憶では外務大臣は、カーターという人は大変にフランクな人だから、行って自由に話をするのだ、こういう御答弁があったと思います。私たちは、それぞれの国の一国を代表する人たちがこうした会議を持つというときに、私たちのこの国としてのもっとも基本的な会議に臨む姿勢、そしてどういう問題についてアメリカとひとつ大いに議論をしたい、こういうはっきりした会議に臨む姿勢というものがあって、そして総理、外務大臣が出かける前にこういう問題についてもっと議論が行われるべきだと思いますけれども、大統領の訪日に当たって、ぜひ大統領訪日前にこうした議論の場が持たれるように、そして首脳会議ということが、もちろんアメリカだけでなしに今後それぞれの国の中で行われると思いますけれども、どういう形で臨むかということが、もっと前もって議題くらいのものが当然この外務委員会においても提出されて、そして大いに議論されるべきだ、こう私たちは思います。  実は先日、特定の新聞を挙げていいかどうか私どもわかりませんけれども、発表された日米共同声明の内容がもちろんいま私どもの手元に届いているわけでありますけれども、すでに三月の二十日付の新聞でございますけれども、日米首脳会議における共同声明の日本側声明案というものが新聞に載っているわけでありますけれども、その内容をずっと私どももその後突き詰めて見てまいりますと、どうも予測をして書かれた記事ではない、明らかにいずれかの筋から文章としてあるいは文書でこれを読まれて取材をされたかあるいは書かれている。私どもは両方を突き合わせてみて、一体首脳会議などというこういう重要な問題を、前もってこういうことが新聞ではっきり発表されるということは大変に理解がしがたいわけでありますけれども、その辺の実情はどうなっているのかお伺いをしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいまのお話のございました共同声明の日本側の案の内容が二十日付の新聞に出ておるということを伺いまして、私もびっくりいたしたのでございます。この段階では、まだ両国の間に打ち合わせの最終が済んでいない段階でございますので、したがいましてこのようなことがどうして行われて、この案——これは最終案ではございませんので、何とかその中間のものが抜かれたと思うしかないのでございます。恐らく、何かこの記者が非常に自分で勉強されていろいろつくられたこともあるのだろうと思いますけれども、しかし何かそのもとになるようなものを持っておったというふうに推定されますので、今後このようなことのないように努力いたす所存でございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 時間が参りました。大変に勉強家の記者の皆様方には、余りこんなに全部突き合わせてみればぴったりのような記事が書けて、いいような悪いような大変に複雑な気持ちでございますけれども、以後よく注意をするなどということではなしに、たとえば今度の日米首脳会議にはそれぞれ問題がありますけれども、私たち今後二百海里宣言を初めきわめて国の重要な問題を外交問題として取り上げていかなければならないわけですから、事前に日本の外務省なりそうしたところからこうした文書が流れているということになれば、これは国として重大な問題だと私は思います。ひとつ厳重に調査をお願いをしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 私まだこれを全部読んでいる暇はないのでございますけれども、ここに出ておりますのは、項目の数も違っておりますし、大分正式のものとは違うようでございます。そのようで、これは記者諸君が相当勉強してつくられたもの、このように考えるしかないかと思いますが、なお、このもとになったようなものが何かの段階で抜かれたものではないかということは依然として考えられるので、気をつけたいと思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 午後五時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後六時二十四分開議

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件及び国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案の両案件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 先般、農業開発基金の問題につきまして、大臣おられないときでございましたけれども、質問をいたしました。その際にも御質問申し上げましたが、十分納得のいく御回答をいただけませんでしたので、きょうは大臣おいでになっているところで伺いたいと思うのでございます。  今回の農業開発基金の協定の趣旨といいますか、ポイントにつきましては、いわゆるオイルダラーを非産油開発国に還流する、これが有効であるかどうか、効果があるものかどうかという点は、まだいろいろとあると思いますけれども、一つのパターンとしてはわれわれ非常に参考になる、傾聴すべきものだと思ったのでございますが、しかし、これをやるためにはわが国としても少なからず金を出すわけでございますから、その背景となるべき、いわば哲学のような問題になるかもしれませんけれども、考え方について、その点をしっかりした上で農業開発基金協定というものに参加してほしい、こう思うのでございます。  まず第一に、わが国として、非産油開発途上国の累積債務の問題でありますが、これは非常に警戒すべき局面に立ち至ったと考えられますが、政府はこの累積債務の問題をどのように把握しておられるか。特にこれがうまくいかなくなった場合、先般雑誌エコノミストでも論ぜられておりますように、世界的な大徳政令を出さなければならない時期が来るのではないか、こういうような警告が出されておりますけれども、外務大臣としては、この非産油開発途上国の累積債務を解決するためにどのような決意を持っておられるか。もし大徳政令のようなものが必要になるという事態があるとすれば、あるいはその見通しですね、大蔵省出身の鳩山外務大臣でいらっしゃいますので、そういうような世界的な金融の一つの問題として、その御識見を承りたいと思うのであります。もちろん政府として責任ある御答弁をいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいまお尋ねの発展途上国におきます累積債務の問題はまことに大きな問題でございます。そして、毎年の累積額というものが年に三百億とかあるいは四百億とかいうような最近の傾向でございますと、そのような数字を示しておるということはまことに大変な事態になっておる。特にオイルショック後にその金額が非常にふえつつあるということが一番大きな問題ではなかろうかと思っております。これに対しまして、発展途上国側の要求というものは、御承知のことと思いますけれども、いわゆるLLDCと言われております、発展途上国の中でもまだ未開発の国々におきましては、これらの公的債務をグランド化しろというような要求が出ておる。また、油の関係で最も悩んでおる国々につきましては、公的債務の支払い条件をIDAの条件に緩和してほしい、このような要望が出ておるわけでございます。また、一般の商業債務、銀行等の借り入れというようなものにつきましては、これを二十五年の延べ払いにしてほしい、このようなことが要求されておる。この問題につきましてはどういった態度をとるのかということにつきまして、これはまことに大きな問題でございますし、現在のいわゆる南北問題として、またCIECあるいはUNCTADにおきます最大の問題である、こう思っておるわけでございます。これに対しまして特効薬というようなことはなかなかむずかしいと思っておりますが、これからロンドンで行われます主要国首脳会議等におきましてもこれらの問題は当然議題に上るのではなかろうか、議題がはっきり決まっているわけではありませんけれども上るであろうと思います。そのような問題でありますので、わが国といたしましてやはり何らかのこれに対する考え方を持たなければならない。しかし、主要国がどのような考え方で臨むかという点も、これもなかなか名案がまだ出ておりませんけれども、主要国との連絡を密にしながらわが国としての対処方針を決めていかなければならないと思います。まだ決定されたような対処方針が政府として決まっておりませんので、政府はこう考えておるということをいまここで申し上げる段階にないことは申しわけないわけでございますが、問題が問題でありますだけに御理解を賜りたいと思う次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま大蔵省出身の鳩山さんらしい御答弁でございましたけれども、同時に、即効薬はない、世界じゅういかなる経済学者といえどもなかなか名案がないというのも事実でありますけれども、政府としてこれに対して基本的な姿勢を立てておかないと、本当の大徳政令が必要になるようなことでも起きますと大変な問題だと思いますので、これは政府としてはもう少し真剣に考えていただきたいと思います。  なお、国別に見ますと、七四年、七五年とアメリカ、西ドイツの経済協力額は伸びが大変著しいのでありますけれども、わが国はここのところ連続して減少しているわけでございます。その理由というのはいろいろあろうかと思うのでありますけれども、こういう状況を好ましいとお考えになっておられますか、それとも大局的に見てこういう点は改めていかなければならぬ、こういうふうに外務大臣としてはお考えでしょうか、その御見解を承りたい。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 わが国の経済協力の金額でございますが、わが国の従来の経済協力の形は、民間資金でやるところの協力が非常に金額が多かったわけでございまして、その部分がオイルショック後の不況に直面をいたしまして急激に減少をしてしまった事情にございます。一方政府がやっております政府の開発援助につきましては、予算の制約があってなかなか伸ばせなかったということがありましたために、総経済協力額は非常に落ち込んだということで、これは大変残念なことだと思います。現在の状況では、民間の海外投資は急速に回復するのはなかなかむずかしい面がある、そういうことになりますと、政府のやっております経済協力を中心にふやしていかざるを得ないという現状であろうかと思います。ことしも極力努力をいたしたのでありますが、結果的には千億ちょっと切るような金額の増額しかできなかったわけでございまして、この点は、日本が置かれております地位から考えまして、今後とも飛躍的に努力をしなければならないというふうに考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまの御答弁を承って今後の参考にしたいと思うのですが、今度の農業開発基金の目的に、開発途上国における食糧増産のために融資をするということがうたわれておるのでございまして、そしてそれに日本も積極的に協力をするということなんであります。しかし、ここ数年日本の政府は減反政策をずっととってきたわけですね。こういう国内における減反政策と開発途上国の農業開発、食糧増産のための援助に金を出すというこの発想との間に大きな矛盾があることはだれの目にも明らかだと思いますが、この矛盾をどういうふうにお考えになっておるか。外務大臣、いまこの協定批准を求めるに当たってどういうふうにお考えになっておりますか。またそれを、そういうことではいかぬのだということで、今後どういうようにお考えになりますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 いま日本ではお米だけが生産がときどき多過ぎるという問題があるわけでございます。しかし、日本だけ考えましても、本年度の予算におきましても農業投資は飛躍的にふやしておるわけでございまして、日本国内でも、これはもちろん日本でございますから、自力でやっておるわけでございます。そういうことから考えまして、食糧が総体的に不足しておる開発途上国におきましては、食糧輸入のために相当な外貨が必要になってきておる、こういう事情でありますので、何ら矛盾はしていないのではないか。日本の場合には米作につきましても相当大きな農業投資をしております。これは食糧生産に対します基盤の強化という観点からやっておるわけでございます。しかし発展途上国におきましては農業関係が大変立ちおくれているというために、食糧不足の現象、特に主要食糧におきまして不足があるわけでございますので、これから農業投資を大いにふやしていかなければならない、こういう段階にあると思っておりまして、水田の総合利用政策と今回の海外の農業開発に日本が協力するということは何ら矛盾をしておるものとは考えておりません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 これで質問は終わりにいたしますけれども、いま外務大臣は国内に農業投資をやっている、今度は海外にも農業投資をやるんだ、確かに金を出すという点では同じですけれども、明らかに日本においては主要食糧である米の減反政策をやってきているわけですね。片方では絶対的に不足があるわけです。こういう問題を先進国としてどう考えるかということを、やはり私は日本は世界に向かって果たす役割りとして、なかなか解決方法はないかもしれませんけれども、世界各国それぞれの特性に応じて協力をするという姿勢を打ち出す必要があると思うのです。  ただ、日本の国内の農業だけ食糧の質をよくするとか、そういうような形での農業投資というものはもちろんやっておるわけですけれども、明らかに発展途上国では主要食糧が不足している。日本の場合は、米については過剰であるというような状況があったわけですね。そういう問題をどうするかということ。本当は私は、世界に向かって、国際会議でもやってこういうことを専門家を集めて議論をする、そういうのを日本が提唱してもいいのじゃないかと思っておるのですが、そういう角度でやっていただきたいと思うのです。ただ農業投資の額がふえているからそれで矛盾はないということではなしに、問題の焦点ももう少しつかんでいただければ大変幸いと思うわけですね。アメリカなら大規模農業で非常に成功しているわけですし、日本の場合は小規模農業で成功しているわけです。そういうようなそれぞれの特性を持ち寄って開発途上国の食糧問題の解決に当たる、こういうような姿勢がやはり必要ではないかということを私は申し上げているわけで、日本は減反してアメリカからいろいろな小麦をうんと買えばいいじゃないかというような話ではいけないのじゃないか、こういうように考えておるわけでございまして、その点ひとつ大臣、私の質問を取り違えないで御理解いただきたいと思うのです。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 日本の場合は、これは御承知のことでございますが、食糧あるいは穀類をとりましても、日本自体としてはこれは絶対的に不足している国でございますから、そういう日本が、全体として食糧が非常に余っている、だから開発途上国の食糧が心配なら引き受けるよ、こういうことではないわけでございますね。ただ、いろいろな関係からお米だけが過剰生産傾向を持つ、その他の穀類は絶対的に大量的に不足である、こうい日本の国内の農業の形でございます。それも、日本としてはお米が大事だから、国民に主要食糧を米の面で心配がかからないようなことをやってきたわけであります。しかし、日本が食糧の過剰生産国では絶対にない。不足である。そして発展途上国におきましても食糧は不足であるということでありますから、やはり農業投資というものが必要なんだ。日本でもそういう面でも必要でありますし、発展途上国におきましても必要だ、こういう意味で申し上げたので、絶対過剰生産だからもうそれは矛盾するではないかということが私にはちょっと理解し得なかったものでございますから、そのようなことを申し上げたのでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私が申したのは減反政策をとったことについての反省を求めているわけで、もうこれ以上お話しする必要もないと思いますが、ひとつその点誤解のないように。全般的な食糧が不足しているということについてはわれわれも十分承知しているわけです。  それじゃ、これで質問を終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 以上で両案件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 これより両案件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決をいたします。  まず、国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件について採決をいたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 海上衝突予防条約につきまして、二、三質問をいたしたいと思います。  これに入ります前に、条約とそれに伴う国内法の関係について、政府の基本的な態度を一つ前提として承りたいのですが、ILO条約のたしか百二号でしたか、あるいは港湾関係のILO条約、こういうようなものを外務委員会で審議する、あるいは上程するというときにいつも問題になりますのは、国内法の整備ができておらない、こういうことをしばしば言われておるのでございます。けれども、本条約につきましては、これに伴う国内法はすでに準備はできているようでございますけれども、付託される委員会も決まっていないような状況でして、日ごろの外務省の御意見とは大分違っておるような感じもするわけですが、条約とそれに伴う国内法との関係につきまして、外務省としては、まず条約の批准をする、批准と同時に国内法も急いで整備する、こういう姿勢で今後ともいくのか、それとも従来のように国内法の整備ができない限りは条約は批准しない、そういうILO条約などでとった態度を続けるのか、その問題につきまして初めに承っておきたいと思うのです。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 若干技術的な面もございますので、私からお答えさせていただきます。  もちろん、条約上の義務を国内法的に担保するという意味におきまして、そのために、国内法が整備されている場合を除きましては、何らかの立法措置が必要であるというのが通例でございます。ただし、条約によりましては、その規定の内容がいわばそのまま国内的に適用できる、英語でセルフエグゼキューティングと呼ばれるような条約がございますけれども、こういうものに関しましては、必ずしも国内法の制定が要らないと考えられるものもあるわけでございます。ただし、そのような条約におきましても、やはり国内の立法技術上の要請といいますか、そのような理由から国内法を整備するということもございます。  いまの御質問は、主として条約の国会審議とそれから国内法等整備の時間的な関係の御質問かと思うわけでございますけれども、これは、実は条約の種類によりましてその取り扱いが必ずしも一律にいかないものであろうというふうに思います。  いま申し上げましたセルフエグゼキューティングのような条約であれば、そもそも国内立法措置が必要でないという場合もございます。それから、まずその条約について御承認をいただきまして、そのために必要な国内的な措置を、その条約を御承認を得ました当然の結論といたしまして整備するという場合には、時間的に国内法の整備の方が若干後になるということもあろうかと思います。  御指摘のILO条約あるいはその他いろいろな条約がございますけれども、事前に十分国内法の整備をしてから初めて条約の御承認をお願いするというケースに関しましては、いろいろな理由があると思いますけれども、たとえばその条約の内容が比較的一般的である、あるいは抽象的であるというふうな場合には、国内的にいろいろな問題点を検討いたしまして、まず国内立法についてめどをつけましてからその条約の御審議をいただくというのが通例でございます。  また、非常に広範な問題を含んでおりまして、関係各省等で長年にわたって慎重に検討する必要があるというふうな内容の条約につきましては、通常事前に国内法の検討を終えてから国会に条約を御提出するということになろうかと思います。  ただ、国会の御審議の便宜と申しますか、効果的な御審議をいただくというためには、なるべくなら同時並行的に国内法と条約の御審議をいただくというのが最も妥当な場合が多いと思いますので、原則としてはそういうふうな提出の仕方というのが一番妥当ではなかろうかというふうに考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ということは、いまの村田さんの分類というものをわれわれも今後よく覚えておいて、それに適合しないものはそれぞれセレクトしなければいかぬというように思っておるのですけれども、それは時間的には委員会のそれぞれの都合もあって、そう同じ日に採択されるということはない、むしろ国内法を扱う委員会は条約を批准してから審議に入るというのもあるわけでございますが、しかし、大体同一国会というような形を基準にしておられるわけですか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 従来の例から見ましても、同一国会の場合が一番多かったと思います。しかしながら、必ずしもその例によらず、先ほど申し上げましたたとえばILO条約のごときは、事前に国内法の整備をして、必ずしも同じ国会でない次の国会でその条約の方の御承認をいただくという例もございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、外務大臣に伺いますけれども、世界人権宣言の批准というのは、この場合どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 国際人権規約の問題につきまして、ILOと同じような国内法の体制との絡みがあるというふうに聞いておるわけでございます。国際人権規約につきまして、先般カーター大統領が国連で演説をされました中に、国際人権規約の承認に努力をするという表明がございました。私も、この人権という問題が大変大事な問題である、これから政府としてもその方面に格段の努力をいたさなければならない、こう考えておりますが、国内法の体制につきましてこれから鋭意努力をいたしたいと思っております。いまお尋ねの規約をとにかく決めてしまって、あと国内法をそれに従うように直せ、こういうような発想もあり得るかと思います。しかし、これはやはり大事な政策的な判断であろうと思いますので、これらにつきましてはやはり政府部内でよく検討いたしまして対策を考えるべきだというふうに現在のところ考えておる次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、いまの大臣の御答弁は、技術的な意味を踏まえながらも政策的な方針として御答弁いただいたと思うのですが、世界人権規約を承認することができるように国内の法的な整備を急ぐ、それが鳩山外務大臣のというか、政府の正式な態度であるというふうに私ども理解してよろしゅうございますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 その点につきましてはこれから努力をいたしたい。目標といたしまして、これが承認いただけますように、これから関係の各省とも意見を調整をいたしまして、その方向に努力をいたしたいということでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 大臣、その点これから努力ということを伺いますと、いままで余り努力していなかったようですけれども、ひとつこれから大いに努力をして、過去のことは問いませんが、やっていただきたいと思うのです。  それではこの協定、予防条約そのものにつきまして幾つか伺いたいのでありますけれども、去る二月の二十四日、マラッカ海峡通航規制に通するインドネシア、マレーシア、シンガポールの共同声明が発表されましたが、その後わが国に対して関係国から規制に関する何らかの意思表示がございましたか。あるいは規制の内容について政府としては責任ある正確な情報を入手しておられますか。

枝村純郎外務省アジア局外務参事官

○枝村説明員 マラッカ海峡はわが国にとりましても大変関心の深い問題でございますので、従来、沿岸三カ国との間でいろいろ意見の交換をしたり私どもの意見も申し述べております。ただ、ただいま御指摘の二月二十四日の三カ国外相会議の後で格段の公式なアプローチがわが国にあったということはございません。  それから、その際署名されたと伝えられます航行安全に関する協定でございますが、私どもそのテキストそのものは入手しておりませんけれども、諸般の情報を総合いたしますと、あの際に共同宣言という形で発表されました十二項目ということで大体尽きておるんじゃなかろうか。つまり大綱を定めたものであって、細目については、今後わが国を含む海峡の利用国あるいは適当な国際機関との協議を通じて定めていくというふうな考えではなかろうかと思っております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、まだ新聞報道以外には政府はほとんど承知していないということでございますが、御承知のとおりわが国の原油の輸入量の約八〇%が中東から来る、その九九%がマラッカ海峡を通過する、こういうことになっておるわけですけれども、政府は積極的に情報を集めるとか、そういう三国に対して接触をしたということもないわけでございますか。

枝村純郎外務省アジア局外務参事官

○枝村説明員 あるいは先生御承知かと思いますが、マラッカ海峡のたとえば海図の作成のために、わが国の専門家が国際協力事業団でありますとかあるいはマラッカ海峡協議会というようなものを通じて協力もいたしております。さらに今度は、現にそのための潮汐調査をやるための専門家の会議というようなものが現在開かれておるわけでございまして、あらゆるレベルでの接触は常に保たれておりますし、そういうものを通じて私どもとしてはできるだけの情報を集めるようにしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、大体そういったところからの私どもの得ております感触は、この協定の内容というものは大体大綱を定めたものであって、したがってあの十二項目の共同宣言、すでに発表されておりますもので大体尽きておるんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 報道された共同声明の第二項、第九項によりますると、マラッカ海峡に航行分離帯を設ける、そして海上衝突予防の国際規則第十条を適用するというように言っているのでありますが、この三国は例のIMCOと言うのですか、政府間海事協議機関には加盟しているのでありますけれども、海上衝突予防条約にはまだ加盟していないように聞いておるのでありますが、マラッカ海峡に設定しようとする航行分離帯とこの条約との関係はどういうようになりますか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 いまの先生の御質問の御趣旨は、その法的な拘束力の問題をとらえておられるのだと思いますけれども、その意味では、確かにこの三国はまだ海上衝突予防規則条約の締約国になっておりませんので、法的拘束力はないということでございます。ただし、御指摘のように三国ともIMCOの加盟国でございます。またシンガポールとインドネシアは、今回御承認をお願いしております条約の前身である一九六〇年の予防規則、モデル条約のようなものがあるわけでございますが、この趣旨にのっとった国内措置等をとっておるということでございますので、三国がこの条約にできるだけ早く加入してくれることが期待されるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 鳩山外務大臣は、先月当委員会におきまして私が質問をいたしましたのに対し、今度のマラッカ海峡の通航規制について、沿岸国の安全保持、公害防止の面から見ると、それ自体は歓迎すべきであり、受け入れて差し支えないという趣旨で御答弁がございましたように記憶をいたしますが、この沿岸国の安全確保という切実な願いを理解し、わが国は沿岸三国の規制に応ずるというふうに解釈してよろしいのかどうか、改めて外務大臣の御見解を承ります。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 沿岸三カ国といたしまして、この航行安全の問題、また汚染防止の観点からこのような規制をしたい、このようなことにつきまして、趣旨といたしまして尊重をすべきことであろう、特に御指摘のありましたような大きな事故を起こしておる国といたしまして、そのようなことにつきましては協力をいたすべきであろうということを申し上げたのでございますが、手続的な面等もございますので、これらにつきまして内容が現在伝えられているようなものであれば、またそれが妥当な国際的な手順というようなものを踏みまして行われる、もちろん内容は発表されておりますような、われわれとしても合理的なものであるという前提がございますが、そのような条件があれば尊重をいたすべきではないか、このようなことを申し上げた次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私は、国際海峡——国際海峡というのかどうか知りませんが、マラッカ海峡を規制したいというのは、やはり沿岸国のいわば悲願だと思うのです、航行安全、公害防止のために。もちろん外務大臣はそういう悲願を利用国として当然理解すべきである、こういうことじゃないかと思うのであります。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。もちろん技術的な点はいろいろあると思いますが。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 日本といたしまして、マラッカ海峡は非常に大事な海峡でございますし、その沿岸三カ国が合理的な規制を行う。特に日本といたしましては、過去におきまして被害を与えておるわけでございますので、そのようなことを日本として再び起こすということは、私は日本としては大変残念なことでありますから、そのようなことが起こらないような方式の合理的な規制というもの、安全確保の面から必要なものができれば、これは尊重すべきであるということを申し上げておりますので、それで御理解をいただきたいのでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私は、やはりマラッカ海峡沿岸三カ国の航行安全のための規制というのが、ある意味においてこの三国の悲願とすれば、私ども日本国の国是であり、また悲願である非核三原則というものを、津軽海峡などについても世界に向かって同じような熱意で主張すべきじゃないかと思うのです。それぞれがお互いに生きていかなければいかぬのですけれども、しかし、やはり一番切実にそのことを感じている国が主張するというのは当然のことだと思うのですが、いわゆる津軽海峡等においても領海十二海里として、しかも今後ともこういう日本の近海における非核三原則の厳守ということを、やはり外務大臣として、政府としてあらゆる機会に訴えるべきじゃないかと私は思うのでありますが、いかがでございますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 非核三原則につきましては、今回の日米首脳会談におきましても、福田総理からカーター大統領に強く申し述べられて、日本が非核三原則は憲法に準ずるようなものであるという表現を使われましたのでございまして、おっしゃるように、日本といたしましては非核三原則を厳守するということには変わりないわけでございます。  いまお尋ねの点は津軽海峡のお話のようでございますが、津軽海峡につきまして、このたび領海法をお願いするときに、現状どおりの領海三海里を海洋法の結論が出るまでそのままにしておくということにつきましてのお話でございますが、もうたびたび申し上げておるとおり、今回十二海里の領海を急いでとるということはもっぱら沿岸漁業のためを考えた措置でございますので、したがいまして、海洋法会議の結論が出るまで現状どおりにしておこうということでございまして、マラッカ海峡についての安全、また公害の観点から急いで措置を要するというものとはいささか次元が違っておるように思うのでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまの大臣の御答弁を伺うと、やはりもう少し熱意を持って、しかも、単に空に向かって叫ぶだけでなく、具体的な問題を通じて非核三原則をあらゆる機会に訴える姿勢をもう少し強くはっきり持ってほしいと思うのです。ただ、きょうはもう遅い時間でもございますし、いまの協定そのものと直接関係がございませんので、いまの御答弁には私は非常に不満でございますが、またの機会にこの問題をもう少し詰めさしていただきたいと思います。  最後に伺いたいのでありますが、最近の新聞記事によりますと、アメリカは原油を米国内で建造した米国籍タンカーに運搬させるという法案を議会に提出、そしてその成立の可能性は十分にあるというようになっておるのでありますが、これについて何らかの情報を得ておられますか。もしそれが事実といたしますと大変重大な問題だと思いますし、そしてまた発展途上国だけではなくて、アメリカまで旗国主義というか、そういうものを打ち出してくるといたしますと、日本政府としてはどういうように今後この問題を考えるか、これを最後に伺って、私はもう質問を終わりたいと思います。

富田長治運輸省海運局外航課長

○富田説明員 先生御指摘のとおり、いまアメリカの上院、下院に幾つかの法案が提出されております。実は一九七四年にも同じような事態がございまして、これは下院、上院とも通過いたしたのでございますが、当時のフォード大統領がいわゆるポケットビートー、拒否権を発動して、これをとめたという例がございます。そのときもいまの法案と大体同じような内容でございますが、その際にも日本は先進西欧海運諸国と一緒になりまして、いろいろとアメリカの国務省、向こうの外務省でございますが、国務省に働きかけを行いまして、その阻止に努力したという前例がございます。  それから、ただいまでは、実は先生御案内のとおり、アメリカではいろいろな議員さんが上院、下院にそれぞれ幾つか同じような法案を出されまして、それをだれか一人がまとめられて最終的に法案になるわけでございますが、実はまだそこまでは行っておりません。しかし事実として、三つ、四つその手の法案が出ております。それでまた、これがそのまま上院、下院で一つの法律になり、通過いたしますと、今度はカーター大統領といたしましては、まずカーター大統領の所属なさっておられる政党とかいろいろな関係から通過する可能性が非常に強いということでございますので、本年三月、日本も西欧各国と一緒にアメリカに対してこれを再考願うという抗議の申し入れをいたしております。このようなことが蔓延いたしますと、次々と発展途上国、ことに産油国あたりがまねをすると大変なことになるという認識のもとに、われわれはぜひそれを阻止していただきたいというふうに考えているわけでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、渡辺朗君。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 時間も大分遅くなっておりますので、私は簡単に御質問をさせていただきたいと思います。  まず外務大臣にお尋ねしたいのですけれども、こういう条約、これは明らかに安全を保ちながら衝突を避ける、そのためのルールでございます。そうなると、これは当然国内法にもそのままきちっと移しかえないと大変だと思います。その点、国際条約と国内法が整合性といいますか、同じものが移しかえられていないと大変なことになると思いますが、その点、御見解いかがでございましょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 御説のとおりだと考えます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 実は私は前にも御質問をいたしました。その点どうですかとお聞きしたところ、国内法の方にまだ私は目を通すチャンスがございませんでした。そのときは配付もしておりませんし、また私もその機会がなかったわけであります。たまたま国内法の方を見させていただきました。したがいまして、比べてみました。そうしたら、たとえばこれは翻訳の間違いなのかあるいは意図的に変えてあるのか、主語が変わっております。国際条約の方の第九条(c)項、これを見ますと、「漁ろうに従事している船舶は」こういうふうな書き出しである。ところが国内法の九条三項では「航行中の船舶は、」こういうふうになっております。それから同じく十条の(i)項のところ、それから国内法では十条の7のところ、条約の方では「漁ろうに従事している船舶」こういうふうに主語が出てくる。国内法では「航行中の船舶は、」こういうふうに変えられております。逆になっているのは一体どういう配慮でございましょうか。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 条約の九条(c)項と国内法の第九条第三項とが表現が相当に変わっておるという御指摘でございますが、そのとおりでございます。しかし、表現は変わっておりますけれども、この国際規則の九条(c)項と国内法の九条第三項とは内容において全く同一でございます。  私どもが仮訳等作成いたしました段階で九条(c)項が現行法の漁船と動力船の狭水道におきます航法関係において違いがあるのではないかという疑問が提起されました。これにつきましては私ども慎重検討いたしまして、そういうことはないという結論のもとに、条約の精神をそのまま国内法に盛り込むという作業を行ったわけであります。こういった点につきまして数カ所ございますけれども、これはすべて条約の精神をそのまま国内法に移しかえるという試みをしたものでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 条約の精神がそのまま生きているとおっしゃいましたけれども、私はパイロットではございません。ただし、たとえば私がパイロットだとしてこの条項を読んだ場合、国際条約の第九条(c)項のところを読んでみる。そうしますと、こういう表現になっております。「漁ろうに従事している船舶は、狭い水道又は航路筋の内側を航行している他の船舶の通航を妨げてはならない。」こういうことになっております。ところが国内法の方は「航行中の船舶は、狭い水道等において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。」これは違いませんか。私がパイロットだったら、これはちょっと困ってしまうと思います。そして、この規則は衝突を避けるものでございますから——国内法で運転をしている、国際条約に基づいて運転している、そうなるとこれは逆の形になってきて、逆に衝突が起きるという事態が来ませんか。大変素人めいた論議でございますので、専門的な御見解を示していただきたいと思います。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 規則九条の(c)項と国内法の第九条第三項との関係についてもう少し詳しく御説明を申し上げます。  規則の九条の(c)項には、先生御指摘のとおり、漁労に従事している船舶は動力船の安全通航を妨げてはならないという意味の規定がございます。ところが規則の十八条に、漁労船と一般船舶との航法関係について規定いたしております。この規則の十八条によりますと、一般動力船は漁労船を避けなければならない、こういう規定がございます。翻って現行法を見てみますと、現在の国内法では「漁ろうに従事している船舶以外の航行中の船舶は、漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。」これはいまの十八条のところと同じことでございますが、「但し、この規定は、漁ろうに従事している船舶が航路筋において他の船舶の航行を妨げることができることとするものではない。」というふうに規定いたしております。この現行法の規定に対しまして、今回の規則では、条文の整理をやったという関係で、本文が十八条に、現行法のただし書きが九条に分割して規定されるということになったのでございます。  こういう分割されました規定を見ますと、一見航法上で漁船が不利になったようにも見えますし、漁船が動力船を妨げてはならないということが強く浮かび上がってきたようにも思われます。ところが、条約の審議の過程におきまして、その過程をつぶさに検討いたしますときに、この十八条と九条は並立するといいますか、現行法と同じく狭水道におきましては、十八条が適用され、なおかつその上に、漁船は動力船の航行を妨げてはならないという規定がかぶさってくるということが、審議の過程でもはっきりいたしております。ということは、現行法と一つも変わらないということであります。  したがいまして、こういった一見現行と変わったような表現に見えますので、船舶運航者が誤ってはいけないという配慮から、現行法と違わないということがわかるような表現にいたして、運航者がこの規定の運用を誤ることがないようにしたということでございます。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 説明を聞いていると、何か私自身がこんがらがってまいりまして、衝突しそうな感じになってまいりました。なぜそういうふうに分けて、あっちこっちに国内法では書かなければならなかったのか。恐らく外国の船舶は日本の領海の方、あるいは狭い水路を通ってくる。こちらに日本の漁船が操業している。国際条約の場合は、両方がもっと単純にわかるように規則はつくってないと、衝突が起こってしまうのではないかと私は懸念をいたします。  その点、いまの九条のところもそうなんですが、さらに十条でもこう書いてある。国際条約の方の(i)項には「漁ろうに従事している船舶は、通航路をこれに沿って航行している船舶の通航を妨げてはならない。」ですから、漁船の方が船舶を避けていくわけです。ところが、国内法の十条7のところでは「航行中の船舶は、通航路において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。」そうなると、船舶の方が漁船を避けるわけであります。これは大変な食い違いでございまして、ぶつかるということになってしまいやしませんか。  私は船舶の運転をしたことがないものですから、この条文だけを読みますと、大変不安になってまいりました。その点で安心できるような御説明をしていただきたいと思います。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 この十条の当該の規定も、九条の場合と全く同じ考えでございます。先ほどもお答え申し上げましたけれども、規則を見ますと、九条では、漁労船は動力船の進路を避けなければならないという規定がありますし、もう一方十八条では、動力船は原則として漁労船の進路を避けなければいけないということがあります。ですから、運航者が狭水道におきまして、狭水道を通っておる、前方に漁船がいる場合にどういう航法をとればいいかということであります。九条だけを守って走りますと、相手の方が妨げないのだからどいてくれるであろうというふうに考えます。ところがこの規則には、十八条のいわゆる動力船は漁船を避けなければいけないという大原則があるのです。したがいまして、この大原則に従って、漁労船が進路を妨げていなかったらその漁労船を避けて通航する。漁労船はその場合に動力船が安全に通航するのを妨げるようなことをしちゃいけないということを規定しているわけであります。  したがいまして、国内法にはそのことがはっきり書いてあります。一つも運航者が誤ることがないように非常に丁寧に書いてあるということで、ちょっと違いがございますけれども、精神においては条約の精神と国内法の精神は全く同一であるということであります。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 これは精神は同じであっても、解釈が同じなんでしょうか、ここら辺ちょっと教えてください。なぜそんなことを聞くかと言いますと、たとえば衝突事故が起こった場合、海難審判がある、あるいは国内諸法上で裁判が行われる、こういうふうな状態のときに、私は主語が違っているだけでもかなりそれぞれの権利義務の違いが出てくるのじゃないかと思います。漁船が主体になるのか、あるいは船舶が主体になるかによって権利義務の関係が違ってきやしないだろうか。ましてこのような解釈が、いま聞いておりますと、どうも私自身混乱してくるのですけれども、よその国の船を運航している責任者がそこら辺がこんがらがっってしまって起こったような場合、国内法の立場でいくと大変に説明ができない、言いわけができないというようなことが国除条約に照らして出てきはしませんか。そこら辺心配でございますので、重ねて解釈はいかがという点をお尋ねいたします。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 海難審判のことが出てまいりましたけれども、この九条と十八条の関係、それと現行の二十六条の関係——現行の二十六条と申しますのは、動力船は漁船を避けなければいけない、ただし航路筋では漁船は動力船を妨げてはならないというのが二十六条でございますが、これと今度の新しい条約の規則の九条と十八条の関係につきましては、審判庁も新しい条約の規定は現行法と変わらないというふうに考えております。したがいまして、私が先刻御説明申し上げたとおり、漁船と一般動力船の狭水道におきます権利義務関係が変わらないということであります。  狭水道におきます航行におきまして、十八条が原則的に働くということは国際的な通則であります。したがいまして、外国船といえども、条約を真っ当に解釈して運航しておる運航者は、同じ解釈をするはずであります。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 先ほども申し上げましたけれども、時間の点で大分遅くなっておりますので、そうしてまた、いまの御説明を聞いておりますと、何か安心していいのか不安になってくるのか、大変危惧をいま私持ちながら、もう少し専門の方々に、本当に安心していただけるのか、現場の方々に危惧はないのか、そこら辺は私自身も確かめてみたいと思います。  ただもう一点、最後にちょっとお聞きしておきますけれども、たとえば精神が同じだと言われるような文章、先ほど申し上げました第九条の(c)項、それから国内法の九条三項、たとえば国際条約の方では「狭い水道又は航路筋の内側を航行している」というふうにちゃんと文章が書いてある。ところが、これが国内法になると「狭い水道等において」と、「等」というのは大変漠然とした話でございまして、不明確なものであると思うのです。たとえばそういう点での国際条約が本当にきちんと国内法にその精神のみならず具体的な適用の範囲、そういうものが移してあるのかという点を前に私お尋ねしたときには、そのとおりでございますという御返事があったのですけれども、こういう何か漠然とした話では、大変に私不安を覚えざるを得ないわけです。この点について解釈を聞かしていただきたいと思います。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 一般的な御説明を申し上げたいと思います。  条約に基づきまして国内法を制定いたします場合には、いろんな立法技術上の理由から国内法の文言等を検討するわけでございまして、必ずしも条約の文言をそのまま引き移すということはしないことがあるわけでございます。先ほど海上保安庁の方から御説明いたしましたように、今回の条約の十八条と九条の(c)項というものを一体として解釈いたしますと、原則的に言って、大型船といいますか動力船等は、漁労に従事している船を避けなければならないというのが大原則でございまして、ただし、狭い水路あるいは航路筋におきましては大型船舶等の通航を邪魔をするようなことを漁労中の船はしてはいけないというのは、いわば特則のようなかっこうになっておるという意味におきまして、従来のわが国の国内法がとってきた考え方と何ら変わっておらないわけでございます。  そこで、今回国内法を制定するという場合に、従来わが国がとっておりました国内法の表現方法等をこの際に変えますと、これを読む人がかえって誤解を持つというふうなおそれもございますので、できるだけ法的な安定性を確保したいということから、内容的に見まして従来と変わりない、ただし、条約上の表現の方法は若干変わっておりまけれども、内容は全く同質であるということを確認いたしましたので、いま申し上げましたように、法的安定性という立場から従来と同じような規定ぶりを国内法においてとったということでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 私は、こういうような表現の違いがあったという場合に、国際的にやはり理解が一つでないと大変混乱が起きると思います。その点、まだまだこれは専門的な立場の研究もしていただきたいと私は思いますけれども、国際的にそういう面での理解をこの国内法に対してちゃんとしてもらえるのかどうなのか、ここら辺をぜひやっておいていただきたい、これを要望いたしまして、また改めて、もしかしたら質問をさせていただくかもしれませんが、きょうの段階では私一応質疑を終わらせていただきます。ありがとうごさいました。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 この条約が一九七二年の十月二十日ですか、通って五年になります。なぜ今日までこの国際条約がわが国会で批准の措置がとれなかったのでしょうか。大臣にお聞きしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 政府委員から答えさせていただきます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 冗談じゃない。一番簡単に最初に疑問に感ずる問題は、えらい長いことかかるなという問題なのに大臣はお感じにならないとするならば、私は、この取り扱い問題、ちょっと事務的では済まないような気がするのです。余りにも長いじゃないですか。ちょっと聞いてみただけでも、その前に討議の年数が三年とか四年とか国際会議でもかかっているというのでしょう。そうすると、これは国内法上よくよく何か問題がなければこれだけ長くならないのじゃないでしょうか。しかも、海上交通の国際的なルールを決めるのに、ばたばたといまここで決めて七月十五日から実行だ。よほど何か問題がなければ延びなかったものを、いよいよ通してしまって、あっという間にやらなければならない。これはよほど何か問題があるとだれだって考えなければならぬじゃないですか。外務大臣にはそのいきさつについて事務当局はよく説明をしていないのか。外務大臣が、ちょっとほかのことの方が大きくて、この問題は大したことないと御判断になったのか。私は率直に言うて、外務大臣が何が一番の問題点と思われたのか、細部は聞かないとしても、その点はきちんとしておいてもらわなければならない問題だと思うのですが、いかがなものでしょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 これは海上衝突の予防という大事な問題でございますから、やはり船舶運航者に完全な理解を得てもらわなければならない。沖繩の右側交通を左側交通に直そうというのも五年がかりでまだできてないわけでございますから、本当に交通の安全というものは慎重の上にも慎重を期して時間がかかったのであろう。ただ、私は七二年から今日までずっとフォローしておりませんので、専門家にお答えをさせた方がよかろうと思った次第でございまして、別に他意があるわけでございませんので、御了承いただきたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私も細部の問題まで大臣にお聞きをしようとは思いません。だが、いま沖繩の話で、右側交通と左側交通という話が出ました。今度の条約は右側通行から左側通行に変わるほどの大きなものなのか、それともそういう通行上の問題では大したことないのか、基本的にはそこは大臣はどう理解しておられますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 それは交通の規制が、時代の進展に伴いまして古いものでは問に合わなくなったというので、次第に細かい規制と申しますか、そのように進化の過程にあるのではないかと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それでは大臣に、その進化の過程で、通航上一番大きく変わった問題のところは何でしょうか。変わるところはいっぱいありますよ。だけれども、右側が左側になったがごとく、これで一番の大きく変わったところは何でしょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 専門家でないものでございますが、時代の変化という点で一番変わってきた問題は、通航方式と申しますか、レーダーを非常に使うようになるとか、そのような近代化という観点ではあるまいか。それからまた、新しい制度としては、分離通航帯を設けるというようなことも出てきた、このように理解をいたしております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 国内法の作成者に聞きたいと思うのです。おたくの方で長いことかかっているのは、レーダーの関係の問題で長いことかかったのですか。長いこと国内の意思統一をする上でかかったのはどこでしょうか。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 一九七二年の条約は、すなわち昭和四十七年でございますので、約五年前になるわけでございますが、それ以後どうして国内法がそんなに長くかかったかという点について御説明申し上げますと、まず第一の点は規則の九条で、狭水道におきましては操業中の漁船は一般の航行船舶の進路を避けなければならないという規定がございます。それで渡辺先生も、これは狭水道におきます航法関係において、一般船舶と漁労船との航法関係におきまして漁労船の方が不利になったのではないか、こういうふうに御質問がありましたけれども、漁業者もまた不利になったのではないか、こういうふうに憶測いたしました。これに対しまして、海上保安庁は、いろいろ先ほど申し上げましたけれども、細かく条約の審議の過程等を研究いたしまして、全く現行法と変わっていないという解釈について関係者に対し説明を行いました。ところが、なかなか了解が得られなかった。それでようやく最近に至りまして、漁業者も水産庁関係もこの海上保安庁の見解に同意をいたしました。わかったということになりました。それで国内法化の準備が進んだという次第であります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 外務省の方は大胆にもっと正確にお伝えをしないと——国内法を準備しておられる人は、問題点は狭水道のところの航法問題で、漁業関係者との間に理解が一致しないのだ、苦労したのだというお話があったじゃありませんか。大臣にそのことを率直におっしゃらないと、レーダーがどうのこうのと言ったって、問題の一番の焦点は違うということをみずから言われたでしょう。私はこういうのはきちんと大臣にお伝えをすべきだ、そうでなければ、大臣は責任を持てないことになるから、私ははっきりその点はひとつ指摘をしておきたいと思います。  そこで、私は次に聞きたいわけですが、海上交通の問題というのが、国際的なルールと国内のルールがそごを来した場合には衝突が起こるということを考えておかなければならぬことになると思うのです。だから、はっきり受け入れられないものならば受け入れられないと言わなければ、これはぐあいが悪いことになるわけですね。  ところで、ここに私は海上安全船員教育審議会の会長さんあてに東京商船大学の学長さんの名前で出ている諮問に対する回答という文書を持っております。この文書を見ると幾つかのことが書かれています。「法律形式、構成はできるだけ条約尊重の形式表現が望ましい。」これが第一番目です。第二番目に「法第九条第二項第三項の帆船及び狭い水道等における帆船及び漁ろう船の航法規定は、法解釈上但し書き規定が主文となるものである。すなわち第十八条が一般法で、第九条が特別法である。従って特別法が一般法に優先するという適用原理の筋を通すべきものと思う」先ほどからここで問題になっている点について、この東京商船大学の学長さんの名前で出ている諮問に対する回答が、やはり同じように疑問を持っておられる。以下いろいろ書かれておりますけれども、大学という、日本においてもこれらの分野において重要な役割りを背負っておられるところの人から、この条約といま進んでいる国内法との関係においては、素直に受け取れない要素があるという御指摘が出ているということは非常に重要だ。  また、私は日本船主協会の方々にも聞いてみました。そうすると、船主協会の方々もまた同じような問題提起をしておられます。「条約批准のための現行海上衝突予防法全面改正に当たり、特定の条項について当局との間に重大な見解の対立を生じ、従前からの問題点がクローズアップされる結果となった。すなわち狭い水道又は航路筋および分離航路内における一般船舶と漁ろう船との航法関係であって、改正法案は現行法をベースにして書かれており極めて難解で条約のニュアンスを忠実に伝えておらず、また一般通航船にとって不利と思われる表現方法がとられている。このため海運関係団体と当局との間で再三にわたって意見交換が行われたが、法案作成日程との関係もあり、最終的に三月四日の海上安全船員教育審議会海上安全船員教育審議会海上安全部会の場において、漁業側を含め関係者に対し本問題点の正当な解釈について周知徹底をはかることを条件に原案どおり決定をみた。」ここでも船主協会の方々の中でこの条約に対する疑問が出て今日まで来ている。  もちろん漁業関係者は当初から問題にしている。とすると、国際法と国内法においてこれだけ論議を持っている内容について、果たして日本の解釈が国際的に通用するのかどうかということをはっきりしておかなかったならば、私は、条約審議をするこの外務委員会としては重大な責任を負わなければならないことになると思う。  ですから、この検討会に直接外務省は人を派遣をして一緒になって検討されたことだから、今度は大臣からでなくして、担当者からお聞きをしたいと思うのです。  現在の日本の海上衝突予防法の二十六条では「漁ろうに従事している船舶以外の航行中の船舶は、」——ですから漁船以外のものは、「漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。」回避せよ、こう言っている。ただし、漁船の方は、妨害したらいけませんよ——主文は何か。漁労をしている船を避けなければならない、これが現在の主文だと思うのです。ところが条約になってくると、狭い水道について「漁ろうに従事している船舶は、狭い水道又は航路筋の内側を航行している他の船舶の通航を妨げてはならない。」——主文は何か。要するに狭い水道では漁労しているところの船舶は他の船舶の通航を妨げてはならない。「避けなければならない」程度じゃない、「妨げてはならない」ときわめて言葉強く指摘をしているわけであります。妨害するな、狭い水道を自由に通れるように保障せよ、これが主文で、そうして後に十八条で「各種船舶の責任」問題というのが出てくる。狭い水道に限って言うならば、主文は何かと言ったら、漁労している船は妨げてはならないというのが主文じゃないでしょうか。  そうすると、明らかに現行国内法とこの条約との間には、時代の変化によって大きな船が通るような時代になってきているときに、細かい船がごろごろそこらにおってもらったら困るじゃないかということで、ここに、強くじゃまするなよということが主要な問題として国際舞台で論議になったのではないだろうか、私はこの条約と現行法とを対比してみたときに、そう理解をせざるを得ないと思うのです。現行法とこの条約の関係で言うならば、私の理解に間違いがあるでしょうか。  国際的に一致してこの解釈が通用しているのだろうか、どういう解釈になったか、その論議の過程の文章はないかと思って探したけれども見当たりませんでしたので、私はここで関係する討議の内容について聞かしていただきたいし、その後それぞれの国々においてこの解釈問題が一致しているのかどうか、違う国はないのか、どういうことになっているのか、説明をしていただきたいと思います。

小林智彦外務省国際連合局外務参事官

○小林説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、この点につきましては、一九七二年のIMCOの会議のときにも若干議論があったようでございます。非常に簡単なものでございますが、そのときの議事要録がございます。この点についての結論といたしましては、この新しい規定の仕方で問題はないということで、議長が最終的に結論を出しましてこの規定に落ちついておりますが、ただソ連の代表などは、漁船は狭い水路においてはほかの船舶の通航を妨げなければいいのである、したがって、十八条で言っております動力船等が漁船を避けなければならないということについては、その点が明らかであるという趣旨のことを言っております。ただ、この規定の仕方が二つに分かれておりますので、必ずしも漁業関係者に理解されない面があるのではないか、コンフュージョンがあり得るではないかという趣旨は言っておりますけれども、この規定そのものについては、ソ連はそういうことで、漁船がほかの船舶を避けなければならないということじゃなく、ほかの船舶が漁船を避けなければならない、狭い水路においては漁船はその船舶の通航を妨げなければいいのだ、したがって、ほかの船舶が通るときに漁船を避けて通ればいい、避けて通れるように漁船は漁労に従事していればいい、そういう趣旨の議論が行われております。イギリスの代表も同様に議論いたしております。  確かにこの規定の仕方については少し解釈がむずかしいじゃないかという議論があったということはここに記録を通じて明らかでありますけれども、その議論の結果、たとえばベルギーもデンマークもそうですが、イギリスやソ連の解釈に賛成しております。  そういうことで結局発言した国は、記録によりますと六カ国でございますけれども、この漁船の航行について両方の規定に矛盾があるとはっきり言っている国は一つもございませんでした。  それから、その後、では各国がどういうふうに解釈しているかというのを改めて調査しましたが、たとえばカナダにつきましては、現行規則といいますか、旧規則二十六条と同様の国内法がそのまま新しい条約のもとでも存続している。したがいましてカナダは、はっきりと新条約におきましても旧規約と全く内容的に同じであるという解釈に立っているものと思われます。  それから英国などもやはり同様の解釈で、英国は条約をそのまま国内法に移しかえているようでございます。しかし解釈といたしましてはやはり同じように解釈しております。  それからベルギーも、調べましたところ、九条と十八条の関係というのは、結局事実上旧規約の二十六条に取ってかわったものであるという解釈に立っているという回答をよこしております。  スウェーデンも同様でございます。  以上でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 この解釈が、それぞれの国がいろいろの意味を持ったままで散っておるとするならば、私は国際法上もはっきりしないと危ないのじゃないかという心配が、これは皆さんも持たれたように、出てこざるを得ないと思うのです。だからその辺の問題を、外務省としては、国内法をこの国際法をそのまま条文にしたのだったら、これを基礎にして物を言っておったらいいけれども、確かにこれの主文と違う形態、すなわち前の法律を基礎にして今度のベースがつくられているというふうにしか見られないので、そうなると、国際的に通用するのかしないのかということを外務省としてはっきり何らかの形で明らかにしなかったならば、私は危ないなと思うのです。これについてどういうふうに考えられるのか。これが一点です。  それから第二点として、今度は国内の関係者を指導している関係庁に聞きたいと思うのです。あと七月十五日実施という段階までは短い間です。日本の船舶の諸関係の免状を持っておる人々というのは百数十万おられるのでしょう。この分野で働いている人たちはたくさんおられるのでしょう。そういう人たちの間に、幹部の皆さんの間においても明らかに長期にわたって疑問を持ったままにある姿を、短期間の間にみんなのものにし、国際的にもこの法律でよろしいのだというお墨つきとしての理解を徹底させるためにどうするのだろうか、これは国内的な指導のあり方に不安を持つ。ですから、さっきの船主協会の方がそれを条件にしてのむということを言っておられたけれども、私はその体制問題というのが一体どういうふうになっているのだろうかと、そこがまた新たな心配になるわけです。この二点について御答弁いただきたいと思います。

小林智彦外務省国際連合局外務参事官

○小林説明員 お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたとおりの状況でございますので、新条約の解釈に関しましては国際的に問題ないと考えております。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 先ほど先生から海上安全船員教育審議会の審議の模様等についてお話がございましたが、先生御指摘の東京商船大学の教授も船主協会の責任者もこの審議会のメンバーであります。その審議会におきましては、先生御指摘のような議論が行われました。しかし、私どもと討議の結果、満場一致で原案を承認するということになっております。したがいまして、船舶関係者あるいは学識経験者、それと漁業関係者も全部意見の統一ができたというように考えます。  それから、この国内法についていろいろ問題があったのであるから、その周知徹底についてはどうしておるかという御質問でございますが、こういった九条、十八条なんかの関係を含めまして、新しい国内法といいますか新しい条約の精神の周知徹底を現在精力的に行っております。すでに二月から講習会を開催するとか、パンフレット、リーフレット等を作成して配付するとか、スライドを製作するとか、短波放送による新ルールの解説を放送するとか、海上保安官等が臨船し指導するとか、こういったあらゆる手段を用いまして現在精力的にこの新ルールの周知を図っておるという段階でございます。したがって、七月十五日ごろまでにはこういった周知が徹底する、こういうように私どもは考えて努力いたしております。  なお、先ほど私が説明申し上げた中で、九条(c)項の説明の一部で若干表現、言い回しの間違い等がございますので訂正させていただきます。「漁ろうに従事している船舶」と言うべきところを、実は「操業漁船」と申し上げました。また「他の船舶の通航を妨げてはならない。」と言うところを「他の船舶を避けなければならない」こういうふうに発言いたしましたので、誤っておりますので訂正させていただきます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、これは委員長にお願いをしたいのですが、明らかにこれは違うという意見を持っておられる商船大学の先生がおられるわけです。それから全漁連の方、船主協会の方、海員組合の方とか、そういう関係者をひとつ当委員会に参考人として呼んでいただいて、万遺漏ないような検討を最後やっていただくことをお願いをいたしたいと思うのです。これが一つです。これは委員長にお願いをしたいと思います。  それから、今日までこれだけ時間がかかっておったということは、どう見たって、いま周知徹底方をやっていると言うけれども、これまた大変なことだと思うのですよ。国内法が通っていないのに、条約を批准していないのに、説明会をやっておられるということは、もう国会は通るのがあたりまえだということからやっておられるわけですか。そういうことなんでしょうか。とするならば、これは一体どういうことでわれわれ審議させられているのかなと言わなければならぬと思うのです。その点一体どうなっておるのか。  それから、ちゃんと条約の批准も終わり、そしてちゃんと法律もでき上がった——三月の四日に諮問会にかけてまでやっているのに、二月段階からやっているとおっしゃったからますます奇々怪々だと言わなければならぬわけです。私はこの間、京都府の漁連の幹部の皆さんにお会いしたときに、海上保安庁の方からこの海上の予防の問題について何か連絡が来ていますかと聞いたら、全漁連の上の方で相談をしておられたようですというお話だけでした。中身について御存じありませんでした。それは京都の漁連の幹部の皆さんだけが知らないのでしょうか。さっきのお話だったら、かなりやっておられるような発言だ。とすると、これは一体どうなっているのだろうか。きちんとけじめをつけてやることはやる、やる以上は徹底したやり方をこういうふうにしてやります、明確にしてもらわなかったら、あいまいな形で国会で発言をしてもらっては困ると思うのです。はっきりしていただきたいと思う。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 まず委員長からお答え申し上げます。  ただいま寺前先生お申し出の件は理事会で協議をいたします。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 新しい条約はことしの七月十五日に発効いたします。これは昨年の夏にはっきりいたしたことでございます。したがいまして私どもといたしましては、この新しい条約によって行動しなければならない船が出てまいります、こういったものに対しては即刻その内容について周知を図るということが必要である、このように考えた次第であります。したがいまして、主に外国に行く船舶の乗組員に対して早く手をつける、そういうことをやった次第でございます。  国内の問題でございますが、漁業者等に対する周知の問題等につきましては、規則——条約にあります国際規則でございますが、この内容について国内の船舶運航者に対しましても周知を図っております。これは若干外国に参ります船舶よりもおくれて現在努力しているところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、七月十五日まで期限が少ないから、いまのような疑問を持ったままで日本の関係漁民なりあるいは船舶の運営に携っている人がおっては困ると思うので、それでこの法律が通ったり条約を批准したらどういうふうにして周知徹底を図るのか、これに賛成した人でさえもその点はっきりしてもらわなかったら困るといっているのだから、その点はどうなっているかということと、それから、今度の条約に基づいて日本の国内法をやっていくということになると、四年後には灯火を、九年後には音響信号をつけなければならないという新しい問題などが出てきます。こうなってくると、今度は物によって違いますが、数万円から数十万円も費用がかかるという問題が出てくる。それに果たして対応することができるのかどうか、そのためには政府として何らかの措置をとるという準備をあわせて検討しておられるのかどうか、あるいはまた従来から海上の衝突事故の一つの問題点として仕組み船の問題があります。わが国の用船だが、外国籍のもので乗組員も外国人というものがあります。こういうものをどういうふうにして日本の政府の責任で教育をされるつもりなのか、現実的には放置されたままになるのではないか、その対策は一体どうとろうとしておられるのか、この点について最後にお聞きして質問を終わりたいと思います。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 まず第一点の周知活動状況についてもう少し詳しく御説明申し上げます。  講習会の開催につきましては、本年の二月から三月にかけて一つの保安部で二回開催するということを基準に実施いたしております。三月十八日現在では、開催回数が百四十回、受講者人員は八千六百人ということになっております。資料の作成配付につきましては、パンフレットを五万部作成しております。リーフレットにつきましても同じく五万部、それからレーダープロッティングに関するリーフレットを二万部、広報用のポスター一万部、立て看板その他についても作成して周知を図っております。  それからもう一点、新しい国内法が制定されますと、信号装置あるいは灯火の設置といったことを義務づけられる船がある。これに対してはどうかという御質問であったと思いますけれども、今回の予防法の改正に伴います灯火のつけかえにつきましては、必要な経過期間を設けるということになっております。また、この費用でございますけれども、私どもが調査いたしましたところではは、そう高いものではないというふうに考えられます。なお、こういった改正に伴います費用を安く上げるといいますか、そういったことに関しましては、その融資制度等についてもいろいろございますので、そういった点についてなお十分に検討し、水産庁当局とも調整を図ってまいりたいと考えています。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 さきの渡辺先生の御発言じゃありませんけれども、どうも国際法と国内法の関係が不安でかないませんので、私は場合によってはもう一度聞かしてもらうかもしれませんが、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、伊藤公介君。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 大変時間が遅くなりましたので、簡潔に、できるだけダブらないように二、三の御質問を申し上げたいと思います。法案の個々の問題については大分質疑がされましたので、二、三の実例を挙げて御質問を申し上げたいと思うのであります。  まず三月十九日の新聞でございますが、カーター大統領は海洋汚染防止のために二万重量トン以上のタンカーに二重船底、バラスト用分離タンクなどを備えつけることを義務づける通航規制を発表しておりますけれども、これは事実でございますか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 そのような方針を明らかにしたということは承知しております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 昨年の末からことしにかけて、アメリカの沿岸だけでも十三隻ものタンカーが事故を起こして大量の石油が流出をした事件以来、アメリカでは、独自に海洋汚染防止対策をとるべきだというアメリカの国内世論に応じて、カーター大統領が今回の規制措置に踏み切ったと思います。アメリカへの原油輸送関係については日本船はそう多くないわけでありますけれども、これが実施をされるとわが国への影響も大変大きいと思われますので、今後政府はどう対応をされるのかお聞きをしたいと思います。

富田長治運輸省海運局外航課長

○富田説明員 お答え申し上げます。  実はカーターさんの御発表の中身が若干よくわからないところがございます。と申しますのは、こういうことに対して海運各国の協力を求めたいということも言っておられますので、あるいは真意は、こういう問題をIMCOに持ち出してやろうということであろうかと思います。そういう場合には、もちろんそのようにわれわれとしてはIMCOの場で真剣に検討すべき事項であろうかと思います。ただ、アメリカだけが一方的に国内法でおれのところへ来る船はこうでなければいかぬということを決められますと、非常に大きな影響がございますので、そういうことについてはわれわれとしては非常に困った事態であると思っております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 アメリカでは、今回のタンカー二重船底の義務づけのほかにも、二百海里汚染防止水域を宣言するという動きもあります。わが国は、従来の海洋法会議では、汚染防止ゾーンの幅については五十海里を主張してきたわけでありますけれども、その見通しについてはどうなのか、また、アメリカの二百海里汚染防止水域の宣言という動きに対するわが国の働きかけは一体どうなるのか、お聞きをしたいと思います。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田(良)政府委員 御指摘の点は、まさに海洋法会議の特に第三委員会という場におきまして従来詳細な議論が行われたところでございます。各国とも海洋汚染の防止という点につきましては非常に強い関心があるわけでございますが、別途どの程度の管轄権を擁すべきかということについてはいろいろな議論がございまして、わが国あるいはフランスその他の一部の国が、二百海里全域に沿岸国が海洋汚染防止に関して管轄権を及ぼすのはやや行き過ぎではなかろうか、これは五十海里ぐらいでとどめてはいかがかという議論をしたことは事実でございます。しかし、その後の海洋法会議における議論、特に昨年八月のニューヨークの第五会期におきます議論を通じまして、二百海里全域に海洋汚染に関して沿岸国が管轄権を及ぼすということ自体ついてはほぼコンセンサスを得たと言っていいと思います。原則として管轄権を及ぼすということは決まりましたけれども、それがどの程度の管轄権であるかというその管轄権の内容、たとえば国際基準というものをどれぐらい尊重するかという点が今後議論されると思いますので、わが国といたしましては、海洋汚染を防止するという視点と、それからやはり海洋を航行する船舶の自由という点は非常に重要な点でございますので、この双方の利益を調整するような方向で来るべき海洋法会議に努力いたしたい、かように考えております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 海峡の問題につきましては、私ども新自由クラブなりの考え方がございますので、関連をして後日改めて私たちの考え方を再度御質問申し上げたいと思いますが、最後にことしの二月四日でございますけれども、福島県のいわき市の沿岸で、十二海里内の海域で、岩手県の漁船がソ連船に網を切られた、この僚船がソ連船をつかまえた上に、小名浜の海上保安部に巡視船の派遣を求めた、ところが、現場まで時間がかかるとして出動を断られたという報道記事が新聞に載っておるわけでありますけれども、この事実はいかがでございますか。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 本年の二月四日に、福島県の塩谷崎沖におきまして、第七金毘羅丸、これがソ連の漁船によりまして漁具に損傷を受けたという事件が発生いたしております。その当時、第七金毘羅丸からの連絡によりますと、ロープ一本と網に若干の被害はあった、が、ソ連船も立ち去った、こういう連絡が小名浜の海上保安部にございましたた。  なお、巡視船が遠くにいるので現場に海上保安庁が派遣しなかった、要請はしたけれども派遣しなかったという記事が確かに載っておったと思いますけれども、これは事実に反しておりまして、同船からは巡視船の派遣を要請しなかったというのが事実でございます。この件につきましては、第七金毘羅丸から船主あてに報告したその報告にもそのことがはっきりと載っております。被害が余りなかったので大丈夫だという連絡があったのでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 そうすると、これはもう報道記事が、新聞に載っているこれは事実ではないということでございますね。

山本了三海上保安庁警備救難監

○山本説明員 そのとおりであります。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 これは新聞記事を私持っておりますので、改めて私の方でも確認をして、後日改めて、事実でないということであれば、これはどちらが正しいかわかりませんが、本問題については、もし問題があれば改めて御質問を申し上げたいと思います。  先ほど御質問申し上げましたこの海域の問題については、改めて私どもの党の立場として御質問申し上げたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 これにて本件に関する質疑は終了いたしました。      ————◇—————

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の締結について承認を求めるの件、日本国とカナダとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  まず、政府よりそれぞれ提案理由の説明を聴取いたします。鳩山外務大臣。     —————————————  日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の締結について承認を求めるの件  日本国とカナダとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいま議題となりました日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和四十八年十月、田中総理とオーストラリアのウィットラム首相との間で広範な分野における両国の友好協力関係を一層促進するための包括的な条約の締結交渉を行う旨合意したことに基づき、オーストラリア政府との間で数回交渉を行ってまいりました。その後オーストラリアにおいては、昭和五十年十二月に行われた総選挙の結果、ウィットラム労働党政権にかわり、フレーザー自由党党首を首相とする自由・国民地方党連合政権が成立いたしましたが、新政権も前労働党政権と同様本件条約の締結に積極的姿勢を示し、さらに数次にわたる交渉の結果、条約の最終案文について合意を見るに至り、昭和五十一年六月十六日に東京において、わが方三木総理と先方フレーザー首相との間でこの条約の署名が行われた次第であります。  この条約は、本文十四カ条及び議定書から成り、さらに、オーストラリアの非本土地域に関する交換公文が付属しておりますが、その主要な内容は次のとおりであります。  すなわち、両国は、両国間の相互理解と協力を幅広い分野で促進し、両国関係を拡大強化するように努めるとともに、二国間貿易につき、双方がお互いに安定的なかっ信頼し得る供給者、市場であることが相互の利益であることを認識して、公正かつ安定的な基礎の上に貿易の発展を図ること、及び出入国、滞在、事業活動等について、公正かつ公平で第三国との間で差別的であってはならない待遇を供与することが定められております。また、条約の運用につき定期的に閣僚レベルで検討し、条約の実施から生ずる問題について申し入れができ、この申し入れについては好意的考慮を払うことが定められております。  わが国とオーストラリアとの関係は、両国経済の相互依存性を基礎として近年大きく発展してきており、また両国関係は、経済分野に加え、政治、文化、社会等を含む幅広い分野で拡大、増進されつつあり、さらに同じアジア・太平洋地域に属する先進民主主義国として、同地域の安定と発展に多くの共通の関心を持つに至っております。かかる状況のもとで、この条約を締結することにより、両国の友好協力関係がより確たる基礎の上に置かれ、この関係が将来長きにわたって発展することが期待されます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国とカナダとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  わが国とカナダとの間の文化交流を促進するためにカナダとの間に文化協定を締結することは、両国間の相互理解と友好関係の一層の強化に資するところ大であると考えられましたので、昭和四十九年九月に行われた当時の田中総理のカナダ訪問の際の合意に基づき本件協定の締結のための交渉を行いました結果、昭和五十一年十月二十六日に東京において、わが方当時の小坂外務大臣と先方ブルース・ランキン駐日カナダ大使との間でこの協定の署名を行った次第であります。  この協定の内容は、戦後わが国が締結した各国との文化協定と同様、文化及び教育の各分野における両国間の文化交流を奨励することを規定しております。  この協定の締結は、両国間の文化交流の一層の促進に資するところ大であると期待されます。  よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十九分散会      ————◇—————

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