科学技術振興対策特別委員会 第10号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/04/20
会議録
○山田委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
○石野委員 最初に、通産省の方にお聞きしたいのですが、通産省には技術顧問会議というのがあるのだそうですか、そういうものはあるのですか。
○武田政府委員 原子力発電の関係でございますと、顧問の先生方を二十数人お願いいたしております。
○石野委員 その技術顧問会議というのは二十数名だそうですか、それはどういうような任務を持っており、どういうような権限を持っておられるのですか。
○武田政府委員 私ども、科学技術庁と御協力しながら、原子力委員会とも御協力しながら原子力の安全問題を扱っておるわけでございますけれども、その過程で、私どもといたしましては詳細設計段階、これは工事計画の認可というようなかっこうになっております。それから運転段階、いろいろ検査をいたしましたり、あるいは事故、トラブル等を発見したときに処置をいたしましたり、そういう一連の技術的なチェックをいたしております。そのチェックの過程で事務局のみでなかなか、勉強をいたしておりますけれども、判断に誤りがあるといけないというようなことで、学識経験のある方々の御意見を承りたいというようなチャンスが大分ございます。それで、そういったときに顧問としての意見を述べていただき、私どもの行います行政処分なり指導なりが間違いない方向に行くようにというようなかっこうで意見を伺うわけでございます。したがいまして、法律的に申し上げますと、いわば通産省から諮問を受けて意見を言っていただく、その意見を採用するか否かは通産省の判断である、こういうようなかっこうになるわけでございます。 しかしながら、先ほど顧問にお願いしている趣旨を申し上げましたけれども、私どもがみずからの判断に誤りがあってはいけないという意味で御意見を伺うわけでございまして、いわばそういう特定の問題、個別の問題については顧問の先生方から言われたとおりのことをいままで実施してきているというのが実態でございまして、そういう意味では実質的には相当意見を言っていただき、その方向で私ども動いておるということが言えるかと思います。 以上でございます。
○石野委員 その顧問の意見というのは法律的に何か権限を持っておるんですか。
○武田政府委員 法律の条文上それに従わなければいけないというような決めはございません。したがいまして、法律的な権限いかんということを一番縮めて申し上げますと、権限は持っていないということになろうかと思います。ただ、私どもが判断に迷うことあるいは私どもの判断が正しくなるようにというような意味で意見を伺って、実質的にはその意見を非常に尊重して私どもの行政的な処分なりあるいは指導なりをいたしておるのが実態でございます。
○石野委員 行政的な処分なりあるいは指導するということの根拠になるのは、ただ皆さんの通産省だけの内部の全く私的なものであって、第三者に対しては何らの権限はないんですね。
○武田政府委員 この顧問の先生方が第三者に対して直接何らかのことをする権限を持っているというようなことはございません。
○石野委員 そうしますると、通産省としてはその顧問の意見なり発言というものをもって第三者に対抗するということもできませんね。
○武田政府委員 私どもが現実に顧問の方々をお願いしておりまして、いろいろそういう意見を伺う、それでその方向で動いているという実態がございます。したがいまして、私どもといたしましては自分たちだけの判断、行政部門にいる人間のみの判断でやっておるのかというようなお問い合わせが仮に外部からございますと、時と場合、必要または適切と考えます場合には、そういう顧問の方々にお願いをして高度な、専門的な分野等については御意見を伺って、その上で行政処分等をいたしておりますという説明をすることはございます。しかし、法律的に対抗できるかというようなことでございますと、むしろ私どもの処分は通産省の責任でやっておるということでございます。
○石野委員 法律的な権限も何もないのに第三者に対して顧問会議の意見はこうだからということで、通産省が自分たちの意見の裏づけとして技術顧問会議というものに信憑性を持たせていくというようなやり方はよろしいのですか、どうなんですか。
○武田政府委員 原子力関係の許認可あるいは検査等々を行います場合には、技術の内容が何分にも高度なものが含まれておりますので、行政部門におります事務屋、技術屋のみではなかなか処理できない部分があるというのが実態でございます。したがいまして、そういう実態をカバーいたすために原子力に関連のある各分野の学識経験のある方々にそういう顧問をお願いして、必要に応じてそういう方々の意見を聞いて行政の処分なり方向なりが誤りないものにするというのは適切なやり方であると私どもは思っております。
○石野委員 それはあくまでも通産省内部が参考意見として、あなた方の参考のために聞くのでしょう。それをもって第三者に対抗するという権利なり権限なりというものはそこに付与されてないのでしょう。どうなんですか。
○武田政府委員 顧問の先生方には、私どもの方でこれは伺った方がいいということにつきまして御意見を伺って、それをしんしゃくいたしまして私どもの処分をいたします。ただ、私どものやっております事柄の中身が、どの程度のレベルの人からの知恵でやっているのかというような実態的な議論ということでございますと、そういう学識経験のある方々の御意見も十分承った上でやっておるというようなことが私どもとしても言えるかと思います。 それでは責任がどこにあるか、こういう点になりますと、あくまでも通産省自体が責任を持っているわけでございます。
○石野委員 通産省自身が責任を持っているのだったら、第三者に対して顧問会議の名前を出す必要はないでしょう。第三者にその顧問会議の議を経ているからということにおいて通産省に信憑性を与える、そういう情勢が醸し出されておる。もし顧問会議を第三者にそういう説得をする能力あるものとしてあなた方が利用しようとするならば、顧問会議が一定の責任をとるということがなければどうにも困るのじゃないですか。
○武田政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもとして行政処分なり方向を考えますときに、こういうのは顧問の先生方、学識経験のある方々に伺った方がいいというものにつきましては御意見を伺っておるわけでございます。それで外部の方々に対してそういう御説明をすることがございます。これはむしろ、どんなような実態で通産省は仕事をしているのかというようなことでございますと、現実に顧問の先生方をお願いし、それでいろんな部分につきまして現実に御意見を承り、その御意見を尊重している、こういうような実態でございますので、別に説得とか押し売りとかまたは通産省の防衛のためにとか、そういうことじゃございませんで、そういう実態を御説明しているケースはたくさんあるわけでございます。
○石野委員 第三者に対してあなた方が行政的な指導なりあるいは処分をしたときの裏づけとして、理解を深めるための裏づけとして技術顧問会議の議を経ているということを言う。そしてそのことを第三者が聞くことによってなるほどなというふうに事態の理解を進めさせていく、こういうことがとられておる。私はそれはそれでもいいと思うのです。もしそうであるならば、顧問会議というものは第三者に対する一定の責任をとることが必要であろうと思いますし、そういうことでないならば、もう顧問会議というような言葉を出すんじゃなくて、通産省がそう判断するということで第三者に対抗するようにしていくべきだ、顧問会議というような名前を出すべきじゃない、私はそう思うのですよ。もしどうしても顧問会議というものは、いや、われわれはこういうようにして信憑性を得るためにあるいは専門の学者、識者の意見を聞いたんだということを言うことをもってなお第三者に対抗するとするなら、国会にもそのようにして答えるべきだ、それだけ顧問会議というものを常に使っているんだったら、私がこの委員会に技術顧問会議の委員を出してくれというときになぜ出さないのですか。私はきょうここへ顧問会議のだれかメンバーに参考人として出てもらいたいということを要求しましたが、あなた方から断られた。これは内部の参考意見を聞くだけのものだからここへ出すことはできませんということで断られている。そういうふうにこの委員会に出るだけのなにを持っていないのならば、第三者に対してもそういうような技術顧問会議なんというような言葉を使うべきでないと思うのですよ。なぜここへ出さないのです。
○武田政府委員 顧問の先生の性格につきましては、先ほど申し上げましたように、行政処分等の責任は通産省にあって顧問の先生方にあるのではないという御説明は別途のことでしたことがあろうかと思います。 それから、いま御指摘の顧問の先生のしかるべき方をこの委員会にという点につきましては、私といたしましては断ったというような事実は承知いたしておりません。
○石野委員 私は島根の方へ行っていろいろ問題があって、その問題の中には顧問会議の議を経て云々ということが出てきておるから、安全性に対する顧問会議の発議というものがそういうように決定的な意見を持つものであるならば、これはどうしてもきょうこの委員会に顧問会議の方に来てもらって意見を聞かなければいけないと思って、この前参考人の要求をしました。そうしたら、いろいろな理由があってか知りませんけれども、それはそこに出すだけのなにはできませんということで断られて、きょう来ていないんだよ。ぼくはもうここへ顧問会議の方を出さないというのなら、第三者に対して顧問会議の議を経て云々ということを絶対に通産省は言うべきじゃないと思うのです。それは通産省の内部の参考意見として聞くところにとどめてもらって、それを外へ出すようなことをしてもらっては困る。
○武田政府委員 ただいまの先生のお話につきまして、私の承知していることを申し上げますと、まず第一点は、顧問の先生を参考人としてここにというお話につきましては伺っておりまして、実は私どもがイメージに描いております先生につきましては、きょうどうだろうというのは、きょうは何か御都合が悪いようでございました。それで実は一方そういう状態のもとで、これは先生からのお話であるかどうか私よく知らないのでございますが、この二、三日の間に顧問の性格といいますか、それはどういうものであろうかというような全く別途の照会がございまして、それにつきましては事務局の方から処分等の責任は通産省自体が持っていて、顧問の先生は意見を伺うという性質のものであるという別途の説明をいたしております。 実態的には、私どもといたしましても石野先生からのお話で、懸案の件につきまして適当な先生はどなたかなというめどをつけまして、その先生にアプローチをしてみたという実績はございますが、実は本日につきましてはどうも御都合が悪いというようなことでございまして、もうちょっとノーチス期間が長ければ協力をしてもいいというような感じの話でございました。しかし、実は時間切れ的な感じでまことに申しわけなかったのでございますが、それはその状態で凍結しておりますというのが、私の承知しております現状でございます。
○石野委員 私は、顧問会議というものは何も法的な権限がない、ただ通産大臣の諮問機関だというようなことであるならば、それは通産大臣が自分の判断をするための素材として意見を聞くということでとめておいてもらいたい。それを第三者に対して、技術顧問会議がこういうように言っているからこうなんだというような言い方は、非常に第三者を誤らす。そしてまた、そのことはいろいろな問題を醸し出す危険もあると私は思いますので、この点は厳に戒めなくちゃいけない。したがって、顧問会議というものの性格なりあるいは任務規定あるいは権限というようなものについて、もしはっきりしてないならばその点ははっきりしてもらう、このことをひとつ要請しておきます。 いずれにしましても、技術顧問会議の方にここへ来ていただいて、私は参考人として意見を聞きたかった。それができないことは非常に遺憾です。そのことを要請しておきます。いいですね。
○武田政府委員 技術顧問の性格なり権限と申しますのは、先ほど申し上げたとおりでございます。 それから、先生御指摘のように、ある意味で私どもの説明は、実態の説明を従来からもいろいろなケースでいたしたわけでございますけれども、その説明をきわめて縮めて言います場合に、顧問の先生方がこう決めてくださったのでというような表現を用語として使ったようなケースもあろうかと思います。その辺は今後とも注意をいたしまして、顧問の先生方の意見も伺って、それで通産省として判断してというような、少し長くなりますけれども、その辺の説明の仕方については今後十分注意してまいりたいと思います。
○石野委員 私は、やはり原子炉の安全性の問題について安全専門審査委員会の見解というものは非常に重要だと思っておりますし、しかも、原子力船「むつ」の問題を通じて私どもが痛感していることは、基本設計と詳細設計との間の連係が十分でなかったということのために、事態が非常に最悪の状態になっても、その責任の問題で不明朗なことが数多くございました。われわれはそういうことを許せないと思っておりますので、安全性問題についてはやはり一元化されたところの一貫性がなければならないだろうということを痛感しているわけです。それらのことが原子力行政懇などでいろいろ問題になったように聞いておるし、また事実そのことがいろいろ進んでおるのですけれども、私は、今度島根の発電所を見ましてやはりそれを痛感するのですよ。安全審査の問題について、これでいいのだろうかという疑問を持っておりますので、きょうはそのことについてひとつお聞きしたい。 細かい技術的なことは、私はわかりませんけれども、今度私が島根の発電所の問題点を見まして、いわゆる制御棒の戻りノズルのところにひび割れがあった、そのひび割れの実態を調査するためにいろいろな作業を行った、その作業の結果、表面のステンレススチールのひび割れがどこまで入っているかを探っていきますると、カーボンスチールのところまでひびが入っているということが大体わかって、通産省はカーボンスチールの削り取り部門を二十五ミリのところまでの限度で認めるという作業の指示をしたようでございます。その結果として大体十三ミリぐらいのところで作業は一段落したんだというところまではこの前聞きました。そこで、この戻りノズルの削り取り部門は、通産省の技術顧問会議の決議を経て、削り取った部分については修復することなくして仕事をしてもよろしいということの指示を与えているそうでございます。現場では、その結果としてなるべく早く仕事を進めて、夏の電気の非常に必要な時期にそれを稼働に入れよう、こういうことで仕事は進められている、こういうことを聞いてまいったわけです。 そこで、なぜノズルの問題の点について原子力委員会安全専門審査委員会の議を経ているのか、設計変更についての問題はないのかということを聞きましたら、これは作業認可でよろしいんだということで処理なさったようでございます。 疑問に思いますことは、ノズルはこれは炉本体ですね。圧力容器の本体でございまするから、私はこれでいいのかどうだろうか、このままの作業、そういう通産省の指示のままに、現場はそれでいいと言うからやっているんだそうですか、原子力委員会安全専門審査委員会は、こういうことについてはそれでよろしいというようにお考えになっているかどうか、この際原子力委員会からおいでになっている方に御意見をひとつ聞きたい。
○吹田説明員 ただいまの石野先生が提起されておりまする島根原発の問題でございますが、原子力委員会としては目下十分な報告は受けておりませんで、定検中にそういう事実があったということだけを最近実は承知いたした次第でございます。 原子力委員会といたしましては、安全専門審査会の下部組織として発電用事業炉部会というものがございまして、これは石野先生おっしゃったように、現在のシステムでできるだけ一貫性を持たすために、工事認可で重要なことは、この事業炉部会が中心になりまして、審査会にフィードバックするかどうかということを判断して原子力委員会に報告することになっております。ですから、現在のシステムで一貫性を持たす、そういう事業炉部会というものがございますので、恐らく通産の方から検討の結果やはり審査会に意見を伺った方がいいとなりますと、その事業炉部会にかかるものと考えます。その上で審査会から原子力委員会に報告があると思いますので、現在のところ委員会としてどうするかということはデータ不足でございます。そういう状態でございます。
○石野委員 原子力委員会安全審査部会としてはデータ不足のために話ができないということ、それはごもっともなことだと私は思うのです。 ただ問題は、島根の発電所の認可、許可の申請書、これを私はわからないんだけれども、一生懸命に勉強してみました。そうしたら、通産のおっしゃるように、この申請書の中には戻りノズルの問題について余り触れてないんですよね。だから、工事認可の部門になっていると言えばそうかなと思ったりいたします。しかし、ノズルというのは、炉本体から離れているものならいいけれども、これは原子炉圧力容器の中の本体に直接くっついているものなんですよね。そこで、圧力本体の内面は全部ステンレススチールで張っているわけですね。ノズルそのものについては安全審査のときは問題にならなかったかもしれませんけれども、圧力容器の内部をステンレススチールで張るということは、審査のときには問題になっているはずだと思うのです。そのときに、私はなぜカーボンスチールを表面に出さないで、いわゆるステンレススチールを炉内の表面に出すということの、何といいますか、機能上の問題ということは安全審査部会の審査内容の中では十分論議になっておったんだろうと思います。 今度は、これを削り取ってしまいますると、少なくとも炉本体の一部分にカーボンスチールが出てくるわけですね。この問題はそんなに安易に工事認可の内容になり得るものだろうかどうだろうか。これはいわゆるデータがあってもなくても、事実はもうこうなっちゃっている。しかも、皆さんのところに報告も何もないままに通産はそれを工事現場にそれでよろしい、作業を進めなさいという認可を与えていることについて私は一つの疑問を持つのです。これでいいのだろうかどうだろうか、吹田委員はどういうふうにお考えになりますか。
○吹田説明員 それについては恐らく通産がもっと検討しているんじゃないでしょうか。それにかわる状態とか、それに対する手当てについては、通産はいまの顧問会の先生方の意見をも入れて現在検討していると聞いたんですが、そうじゃないのでしょうか。もう完全に結論を出しているのでしょうか。審査会といたしましては、先ほど言いましたように事業炉部会にその一貫性を保つために審査にフィードバックするようなものはそこに意見を恐らく通産から伺うだろうと思います。
○石野委員 私は、いま吹田委員の御意見のように、そういう問題がいずれは安全審査部会に報告があって、いろいろな処置をなさるものだろうと思っておりました。ところが、現場に行きますとそうじゃないのですよ。そうじゃなくて、もう指示を与えておるのです。作業は進めてよろしいということのようです。そしてなお、ノズルはとめるというところまでも指示を与えております。ノズルはとめて、そこから炉内に戻り入りしておりました水の処置については今後検討するということのようでございます。ですから、そういう点にも、戻りノズルを通過するところの水は炉内の圧力等との関係もあって、やはり一定の検討を加えなければならない内容を持っていると私は思う。 そういう問題について、削り取った部分はそれでよろしい、それからノズルはパイプを途中でとめる、そしてその水はどういうように処置するかまだ検討するんだ、こういう終始一貫しない形で作業を進めていくということについては、安全性についての物の見方に非常に不安定なものを感じます。私は、素人考えをいたしましてもそれでいいとは思わない。原子力委員会はそういうことがあってもそれでよろしいというようにお考えになられますか。
○吹田説明員 その評価は恐らく通産で——これはたとえば平常運転に非常に関係しておりまして、事故とかそういうものの安全性を考える上ではそう重要でないと通産の方で判断したんじゃないかと私は想像いたしますけれども、恐らくそういう点は事業炉部会に連絡があるものと思います。
○石野委員 私は、事業炉部会にも何も連絡のないままに一定の推定なり判断を持ってそういうことを指示したことについては、通産の方で技術顧問会議との間に論議を重ねて方向は出ておるんだろうという吹田委員のお話、そうだろうかなと思ったりしますけれども、そうなりますと、通産の方ではその問題についてどういうふうに考えておられたかということについて所見を承らなければいけない。通産はどういうような見解に基づいてこういう指示をしておりますか。
○武田政府委員 本件ノズルの修復といいますか、ノズルのヘアクラックの部分を削り取るということは電気事業法の工事計画認可の対象でございまして、こういう処置をしたいという申請が出てまいりまして、そういう削り取って処置をするという点につきましては、そういうことをやっていいという指示をいたしております。 それから、先生御指摘のように、それではその後どうするのかということでございますが、まず、そこのノズルの部分に従来同様にノズルから水を原子炉の中に流し込むというやり方をやめまして、かわるべき方法で余った水の処理をする。ただ余った水の処理につきましては現在二通りの考え方がございまして、たとえば平常運転時あるいは少しトラブルが予想されるようなとき、いろいろなケースを想定いたしまして、総合してどちらがいいであろうかという検討を現在なお続けている段階でございます。その過程におきまして、私どもがお願いしております顧問の先生方に、グループの場合も個別の場合もございますけれども、こういうような方向で判断をし処置をしてどうだろうかというような意見を徴しまして、その方向でいいだろうというような御意見を承り、それを私どもの処理の判断の材料にしていま申し上げたようなことをしているわけであります。 したがいまして、ノズルのひびのある部分につきましてはその部分を削り取って処理する、これが一つ私どもの決めたことでございまして、もう一つは、それではそこに水を戻さない、別の戻し方をしようではないか、その戻し方については代替案が二つございますので、どちらがいいかもう少し詰めて検討をしようということで、まだ完全に処置は済んでいない状況でございます。 なお、先ほど吹田先生から事業炉部会のお話が出ましたけれども、実は事業炉部会を経由いたしまして、設置許可の段階より後の段階等につきまして二つの省庁に分かれておるものでございますので、その間のコミュニケーションができるだけよくなるように、コミュニケーションギャップがないようにということで、いろいろな連絡を従来からしてきているところでございます。その一環といたしまして、実は私ども通産省の顧問の先生にいろいろ御相談をいたします場合に、それがお一人の場合は別かとも思いますけれども、グループ的なかっこうで何人かの方にお集まりいただいて御相談するような場合には、できるだけ科学技術庁の事務局のメンバーの方にもその席に参加していただくというようなことを心がけておりまして、そういう場を通じまして本件島根の制御棒冷却水の戻りノズルの件につきましては、科学技術庁の事務局とは前々からずっとコミュニケーションをしているわけでございます。 それで、先ほど吹田先生のおっしゃいました事業炉部会につきましては、事務局が科学技術庁でございますので、事業炉部会に相談すべきものであるかどうか、あるいは事業炉部会の運営としてどうかという点につきましては私はちょっと申し上げかねるのでございますが、実は私どもの方の顧問会もまだ検討が一部残っておりますので、最終のまとめとして原子力委員会に御報告する、あるいはかくかくしかじかで最終の処理がこうなりますということを一般の方にもお知らせをする時期になるまでにはもう少し時間がかかるかなというのが現状でございます。
○石野委員 この前の委員会でもそのことは聞いたのですよね。しかし、それは原子力委員会とどういうふうに関係するか、二省庁にわたるとかなんとかいう問題じゃなくて、原子力委員会の仕事の一環を別受けとしてやっているわけですね、詳細設計の仕事は。だから安全専門審査委員会の仕事の中に包括されていくべき性格のものになるだろうと私は思っているのです。 いま言われたように、削り取ってよろしい、パイプはとめてもよろしいという指示をした、そこで削り取った部分についてはそのままでよろしいという指示を与えた根拠はどういうことなのかということのお答えをひとついただきたいのです。
○武田政府委員 このノズルの部分は、先ほど先生のお話にもございましたように、原子炉本体を入れております原子炉容器に密着している部分でございます。原子炉容器はその大部分につきまして、先生からお話がございましたようにステンレスで内張りをいたしております。これはカーボンスチールそのままやるよりはステンレスで内張りした方がいいというような判断があったからだと私も思っております。ところで、原子炉容器にはいろいろなパイプが出たり入ったりしておりまして、そういうパイプは先生御指摘のように原子炉本体とは非常に密着した部分がノズルの形であったりほかの形であったりそうなっておるわけでございます。実際にその原子炉容器のステンレス内張りがどの範囲で行われておるかということを検討いたしますと、部分的には原子炉容器、先生御指摘のような意味での原子炉本体の部分でございまして、ステンレス内張りをしてなくて、カーボンスチールのままというこういう部分がございます。たとえばでございますが、給水ノズルの一部でございますけれども。そういう状況で非常に不都合が起こっておるかどうかといいますと、現在までの私どもの知見によりますと、必ずしも不都合はない。今回の制御棒関係の戻り水のノズルの部分につきましてヘアクラックの部分を削り取る、その後もちろんきれいに仕上げをいたしませんといけないのでございますが、そういう仕上げをいたしました状況で、ステンレスの部分とそれからカーボンスチールの部分が境を接したようなかっこうで、ある大きさのものが新たにカーポンスチールのかっこうで出てまいります。その場合では、前回も先生から御指摘ございましたように、正式の名前は私もよく知らないのでございますが、電池みたいな形になって腐食が起こるのではないだろうかとかそういったいろいろな心配がございます。その心配につきましては従来からもステンレススチールとカーボンスチールがそうやって境を接している部分が原子炉容器並びにそれに直結している部分の中にございまして、いままでの知見でございますと、もちろん点検等々は丁寧にいたさなければいけませんが、特にそのために重要な問題が起こっておるということではございません。したがいまして、今回もその部分を削り取ってそこに肉盛りをしたりなんかするよりは、むしろ削り取って仕上げをされいにして、その角度等もいろいろ専門的にはこうしなければいかぬ、ああしなければいかぬというのがあるようでございますが、そういう処置をすればそれはそれで適切である、こういうような判断をした次第でございます。 それから、そこに水を戻す戻さないという点につきましては、実はそういった島根で発見されましたひび割れの要因、これがそれのみであるかどうかと断定はまだしておりませんが、要因は、そこに戻ってくる、入ってくる水の水温と原子炉の容器の中の熱くなった水の温度との温度差というものがかなりきいている。そうすると、もしそこに戻さないという行き方をすれば、温度差の問題がなくなって今後そういうひび割れが起こるという可能性がなくなっていく、そういうプラスがある。一方マイナス面は、もともとそういうデザインでございますので、何かほかの細工をしなければいけない。ほかの細工が当初そのノズルに戻したのに比べまして、機能的性能的にあるいはコンポーネントの何といいますか安全等々も含む問題でマイナスがあるといけないわけでございますが、現在のところそれはなさそうである。しかし、代案につきましてはたとえばA案、B案というような代案がございまして、どちらを選ぶかについてはやはり利害得失があるので、ここはもう少し勉強しようというようなかっこうでやっているわけでございます。 なお、一言つけ加えさせていただきますと、私どもも私どもなりに、原子力委員会がスタートポイントでなさっておられます安全審査につきましていろいろコミュニケーション、情報をもらいまして理解しているわけでございますが、私どもといたしましては、多分安全審査そのものをやり直すという問題ではないんじゃなかろうかというふうに想像はいたしております。しかし、その部分につきましては原子力委員会、科学技術庁が御判断になるべき事項であろうかと思います。
○石野委員 通産省がこのノズルに対して指示を与えたことについてのいろいろな見解を持っておるということは、いまの説明を聞きまして、私は理解はそれでいいかどうかわかりませんけれども、そういう考え方があることはわかりました。しかし、それにしても、やはりそのことについて安全審査部会がどう扱うか、あるいは安全審査部会で検討を加えても加えなくてもいいのか、あるいは加えなければならないのかという判断は通産がやるのではなくて、それは原子力委員会安全審査部会がやらなくちゃいけないんでしょう。それとも通産が推測で事を運んでいいのですか、どうなんですか。
○武田政府委員 先生御指摘のとおりで、安全審査会で議論をすべきかどうか、あるいは原子力委員会御自身が取り上げられるかどうか、これは原子力委員会なり安全審査会なりあるいはその事務局をされております科学技術庁の判断でございます。私、先ほどちょっと、ややオーバーに申し上げたのかもしれませんが、安全審査等につきまして、私どももいろいろ情報をもらっていて、私どもの知識としては、安全審査そのものをやり直すというものではないのではなかろうかなと思っているということを申し上げましたけれども、同時に申し上げましたように、それは科技庁なり原子力委員会が判断すべき事柄でございます。 それで、そういうこともございますし、それからそれがあろうとなかろうと相互のコミュニケーションをよくする。先ほど先生がおっしゃったような断層がないようにするというのが私どもの務めでございまして、そういう観点から本件を、たとえば私どもの顧問会でグループ会合等のときに説明し御意見を伺って、われわれが判断をするというようなチャンスに、あるいはそのチャンスを逸しますとその翌日というような調子で、科学技術庁事務局にはコミュニケーションを十分出しているつもりでございます。それで、その過程で私どもが印象として受けているのでございますが、もし直ちに安全審査のやり直しをしなければいけないということであれば、科学技術庁の方から私どもの方にすでにそういうコメントが来ているはずである。今後につきましては、これはまた今後のことを科学技術庁なり原子力委員会がお考えであろうかと思いますが、そういうことも含めまして、先ほど私は、そんなような気がしているけれども、最終判断すべきは科学技術庁なり原子力委員会でございますということを申し上げたわけでございます。
○石野委員 事を運ぶのにはそれぞれ理屈がついているということはよくわかりますけれども、その理屈が正しいかどうかということが問題なのだ。ことに安全性の問題については、本当に微細なものであっても、それが全体に及ぼす影響が大きいだろうというそういう想定に基づいて安全審査は行われると思うのです。先ほど、たとえばステンレススチールで張ってある部分もあればカーボンスチールの部分もありますから、たとえば給水ノズルにおいてと、こういうお話がありました。しかし、戻りノズルの場合はすでにステンレススチールで内張りをしているという、そういうことを前提として安全審査が行われていると思うのです。しかも、これは炉の圧力容器の本体を削り取っていることなんでございますから、通産がこういう問題をただ、この部分はもう安全審査のときには、工事認可の方に回されていることですからというような安易な受けとめ方でするということについては、私は非常に疑問があるのですよ。本当にこういうことならば、炉本体についても安全審査のときの原子力委員会の意見なり何なりもう少し詳細にこの辺を、スチールで内張りをしなくちゃならないとか内張りするとかということの技術効果なりあるいはその他のいろいろな効果面、あるいはそれに対するマイナス面というものも検討が加えられておったろう。いまや事態は違ってきているわけですね。表面がカーボンスチールの部分になって出てきている、露出するということになっている。それはある一定期間、平常運転の場合ならばいいかもしれないけれどもというようなことでは済まされないような内容であろうと私は思うのです。 これは、ここで論議をしておりましても、私は通産のこの見解は非常に越権だと思うのですよ。原子力委員会の安全審査部会を無視していると思うのです。それで、そのことは第三者のわれわれは認めることはできない。そんなことをもし通産が簡単にやるんで済むならば、いわゆる詳細設計などというものを通産の指導のもとに進めていくということは許されないことだと私どもは思います。これは科学技術庁の方の意見も聞きたいし、それから安全審査部会を持っております原子力委員会としても、そのことについて所見を伺わなければいけないと私は思います。 しかも、それは考えているだけじゃないのです。もうすでにそのことを現場で、それでよろしいというオーケーを与えているというところに問題がある。こういうような越権行為を私は許せないと思うのですよ。これは武田さんだけでなしに、資源エネルギー庁の長官あたりに来てもらいたいと思うのだ。あるいは通産大臣にも来てもらいたいのですよ。こういうようなことを勝手にやられていいのかどうか。科学技術庁長官はこういうことについてこれでよろしいというのか。これはぼくは長官の意見も聞きたい、原子力委員長として。
○伊原政府委員 ただいま先生御指摘の点につきまして、原子力委員会の事務局あるいは安全専門審査会の事務局としての立場から御答弁申し上げますれば、これは問題点は二つあるかと思います。 一つは、この件につきまして制御棒の駆動機構の性能にどういう影響があるかということ、いま一つは、圧力容器の内張り問題、これが原子炉の性能に対してどういう影響があるか、そういう問題かと思われるわけでございますが、最初の制御棒の駆動機構の性能に関しましては、設置許可時の安全審査におきまして、その緊急停止装置としての機能、これが重要でございますので、それに着目をいたしまして緊急停止の速度なり停止要因、こういったものを申請書に記載させて審査をいたしておるわけでございます。 それで、駆動水の戻りのラインにつきましては、平常運転時の微細な調整に関連する事項でございますので、これについては詳細設計において検討をするということで十分である、こういうことで従来これは設置許可時の審査の対象になっておらないわけでございます。 それからいま一つ、圧力容器につきましてどういう設置許可時の安全審査をやっておるかと申しますと、これは原子炉の異常状態に予想されます圧力に対しまして、容器の耐力、それから脆性破壊を防止するための最低使用温度あるいは健全性評価のための試験検査の可能性など、こういったことを中心にして審査をいたすわけでございます。 それで、ただいま御指摘の内張りのステンレスにつきましては、これは御指摘のように、圧力容器材料の腐食防止という観点でこの内張りをしておるわけでございますけれども、そのごく一部が削り取られたという場合にこれが全体的に非常に大きな影響が出るかどうかということでございますけれども、そこまでは至らないのではないか、こういう判断になるかと思われるわけでございます。したがいまして、私どもがいままで通産省とも連絡をとってお聞きしております範囲では、安全審査に直に影響する、こういうものではなかろうかと考えております。ただ、先ほど吹田委員からの御答弁にもございましたように、安全専門審査会の発電用事業炉部会にこの件についての御報告をいただけると思いますので、その時点でさらに検討はさせていただきたいと思っております。
○石野委員 それじゃ局長に聞きますけれども、いまいろいろな所見を述べられましたが、ノズルにひび割れがきておったという事故解析は完全に行われておるのですか。局長はそれをちゃんと知っているのかね。
○伊原政府委員 ただいま先生の御指摘は、いかなる原因でひびが入ったと推定されるか、こういう御質問かと思われますが、それにつきましては、ほかの事象の例からいたしましてもある程度の推定はつき得るかと思いますが、詳細につきましてはさらに専門家の御判断を仰いでおるというのが現状でございます。
○石野委員 いろいろな意見は聞きますけれども、率直に言って、事故の原因が明確でないのに対策の立てようはずがないのですよ。ノズルで問題があったからノズルをとめればいいのだ、こういう問題じゃないのでしょう。大体ここでひび割れが出てきたのにはどういう問題があるかというのは、ノズル自体の問題ではなしに、炉本体の材質の問題だとか、あるいは水の流れの問題と、あるいはそこに対する熱応力がどういうふうになってきておるとか、その他の応力腐食はどうなっているかというような、もっと基本的な問題をたまたまこういう事例でわれわれに教えてくれているのだから、それを徹底的に究明するということでなければ安全追求の意味はないのじゃないですか。私は、そういう事故解折が明確に行われて原因が明確に把握されてない中で対策を急ぐということについては疑問を持ちます。もちろん、私どもは徹底的にどこまでもどこまでも事態を停止状態に置けということは言いませんけれども、しかしやはり、一応のそういう検討の作業が行われて、そして皆さんが衆目の一致するところそういうところであろうということになり、そして多くの人々も疑問を持たなくなればこれは別ですよ。しかし、いまの段階では幾つかの問題点が残っておると思うのですよ。ことに私どもは、たとえば炉本体は非常に厚いものですから少しぐらい削り取ったぐらいでは大したことはないと言えばそれまでかもしれませんけれども、そんなのなら何もステンレススチールなんか張る必要はない。本来的にそういう考え方だったら内面にステンレススチールなんか張らないで、むき出しのカーボンスチールでそのままやったらいいじゃないですか。ステンレススチールで内張りをしたというのにはそれだけの理由があるはずですよ。 そういうような前提の理論を無視して、事故が起きたからそこではとにかく応急に処置してやる、そして前へ前へ進めるというようなことでは、これは「むつ」に学んでいることにも何にもなりません。私はやはりこの通産の態度なり、いま安全局長が言われたようなことについても非常に言葉を合わすだけであって、もっと本質的に究明しなければならぬ問題をあなた方自身がもう少し考えなければならぬのじゃないだろうかという疑問を持ちますが、局長どうでしょう。
○伊原政府委員 この圧力容器におきますクラックの問題は非常に重要な技術上の問題を含んでおるというのは、先生御指摘のとおりでございます。そういうことでもございますので、私どもといたしましてもその原因の究明等は鋭意行わなければいけないわけでございますけれども、ただその問題と実際にどういうふうに修理をすれば安全に運転ができるかという問題とはやや別の観点から考えていいのではないかと思うわけでございます。 現在、このクラックにつきましては、これを削り取って、その上にステンレスをさらに内張りしなくても全体的な性能に、特に腐食防止という観点からは大きな影響がないと考えられるという通産省の見解につきましては、私どもとしても特に異論を現時点において差しはさむような問題ではないと考えております。
○石野委員 私は、これは非常に異なことを承るわけです。そんなのなら何で金のかかるような内張りなんか最初からやるのですか。そんな御都合主義のやり方をやっていたら、あなた方は答弁はできるかもしれぬけれども、これは国民は納得しませんよ。われわれも納得しませんよ。ステンレススチールを張らなくてもいいのだったら、何でそんなものを張るのです。高いものをつくるのですか。たまたまそこへいっちゃったから、それでそういうごろ合わせのような理屈をつけることについては承知できない。もうこれ以上聞いたって、あなた方の安全性に対する考え方は言いわけだけだということになってきて、国民はこれは信用できませんよ。通産省に対しても、科学技術庁に対しても、原子力委員会の安全審査部門に対しても、われわれは信用できなくなってしまう。私はそういう答弁はいただけませんよ。
○伊原政府委員 ちょっと私の説明、足りない部分があったかと思いますので補足させていただきますが、ステンレスの内張り、これはいろいろな目的があるかと思いますが、その重要な目的は、腐食を防止するということによりまして、いわゆる腐食生成物の発生を低くするということかと思われます。そういう観点からいたしますと、全体の内張りのうち、ごく一部の内張りがないという状態では、全体的に直ちに影響が出てくるということではない、こういう考え方である、こういうことでございます。
○石野委員 全体のうちのごく一部分だから大したことはないということだったら、ひび割れを何であなたはそんなに重視するのですか。
○伊原政府委員 ひび割れは非常に重要でございまして、これは発展いたしますとやはりパイプ破断なり何なりにつながり得る問題でございますから、これは非常に重要な問題でございます。ただ、ステンレスの内張りが一部削り取られたということとはこれはまた別の問題だと考えております。
○石野委員 ひび割れはきわめて重大だと言う。それで腐食の問題は非常に重要だ、こういうわけですよ。ひび割れば非常に重要だけれども、腐食は要らないというわけじゃないでしょう。腐食を進めさせないためにステンレススチールを張ったのでしょう。それでいま部分的にと言うけれども、私どもはこれはもっと検討を加えなくてはいけませんし、資料もないからあれですが、しかし、ステンレススチールとそれから鉄については、これは私ははっきりしたことわかりませんが、物質の、物体としての質度も非常に違いますね。そこで出てくる電池効果の点からいいますと、ステンレススチールの方はやはり溶けにくい、鉄の方は比較して溶けやすい、そういうようなことから、ここでは恐らくその腐食度というものが、そういうようなところからまた別な意味の問題点が出てくるだろうということ。それから、溶接部門に対してまたそこに何かほぐれのようなものが出てきて新たな問題が出るだろう、こういうような問題があるのじゃないか。すでにこういうようなことがあるからこそ、原研のJPDRのときには同じような事故に対して修復しているわけですよ。そして全部カーボンスチールも埋めて、それからステンレススチールも全部内張りをして、大体もとのとおりに戻して仕事をするということを原研ではやっているのですよ。通産はそれを省いて、ほんの小さなものだからそれでいいのだというやり方はきわめて便宜主義じゃないのですか。 この前、私は聞きました。とにかく夏の稼働期を、忙しいときやってみて、また少し使ってみて、どうだろうかということを見た上でまた対策を立てましょう、こういうような考え方があるやにも聞いた。それはどういう意味かというと、結局は夏の電力が非常に必要なときに、島根の発電所というのは一〇〇%事故のない原子炉だから、いまここで夏休んでしまったのでは事故があったという印象を与えるかもしれない、だから夏場だけ動かしておいて、またすぐ九月か十月ごろには定検に入れていこう、こういうずるい、国民の安全性に対する問題をはぐらかそうという意図がここに通産にあると私は見ている。もしそうでないなら、なぜ徹底的にもう少し検討を加えることをやらないか。こういうずるいやり方を私は認められませんよ。
○伊原政府委員 大変申しわけございませんが、ちょっと私の説明不十分でございましたので、さらに補足させていただきたいと思います。 いわゆるクラックの問題とそれから一般的な表面腐食という問題と別の観点から考えるべきではないかということでございまして、そのクラックにつきましてはこれは非常に重要な問題でございますから、そういうクラックが再び起こらないようないろいろな手だてをしなければいけない、そのために、この島根の場合には水をノズルから戻すことをやめる、そういう対策でこれを防止しようということが一つあるわけでございます。 いま一つ、ステンレススチールの内張りのごく一部が削り取られた状態というもの、これは一般的に表面腐食がその部分で多少ふえるかもしれないということはあるかと思いますが、そのためにクラックが発生するということにはならない、つまり別の観点の問題であろうか、こう考えられる次第でございます。
○石野委員 クラックの問題と腐食の問題との違いは確かにそうかもしれませんよ。だけれども、クラックがなぜ起きたかということについての原因の解明はまだ十分行われていないのでしょう。まあ考えられることからすると、そのクラックはあるいはある種の応力腐食によって、ステンレスの上に応力腐食の種がまかれて、それに熱作用が行われてクラックが進んでいったのじゃないかというようななにもあるわけですよ。そこではやはり一応の応力腐食というものが一つ、腐食が出てくるのでしょう。だからその原因が何であるかということを明確にしないままに事をどんどん先へ進めていって、そしてクラックの問題と腐食の問題とは違いますよというような判定をすること自体にもまだ問題があるのじゃないですか。クラックの発生する原因は、いわゆる応力腐食の種がまかれた上から出てきているとするならば、むしろクラックよりもその応力腐食の種の問題の方が重要になってくるのじゃないですか。そういう解明のないままに、こういう仕事を先へ先へやるというようなやり方は、安全性に対する非常に不謹慎な態度だ。そうじゃないですか。
○伊原政府委員 この原因の究明につきましては、実はこの制御棒駆動水戻りノズルのクラックは初めての事象でございますけれども、それ以外の前例で似たような現象が起きておりまして、それに対する原因究明が行われております観点からいたしまして、この水を戻すというのが原因であろうといまのところ考えられるわけでございますので、水を炉心に戻さないということによりましてクラックの発生は防げるのではないか、こういうふうに考えられる次第でございます。
○石野委員 水を炉内に戻さないということにすればクラックの発生をとめることはできるだろうという問題、それは一つの考え方かもしれない。しかし、同時にまた、水を炉内に戻さなければ炉内におけるところの圧力の問題、それからまた制御棒を駆動するための圧力の問題に影響が来ることは当然なんでしょう。私ははっきりわからないけれども、これは素人考えでもそういうことは考えられますよ。したがって、その問題もまだ解決していない。ましてや、クラックの原因は何であるかもはっきりしていない。それだのに、事を先へ進めていくというこの態度が問題なんだ。技術的な問題や何かはそれはあなた方の方が専門ですから、われわれはそれに依拠することやぶさかではありません。けれども、こういうふうに実はこの安全性の問題だってそれを総括すべき原子力委員会にもまだ報告もしないままに、工事認可のままでよろしいのだからといって通産が現場に指示を与えて作業をどんどん進めていくという、このやり方はよろしくないですよ。こういう態度は通産は改めるべきだ。これはどんなことがあっても、資源庁長官なり通産大臣に来てもらって私は聞かなくてはいけない。 同時にまた、原子力委員長としての科技庁長官は、こういう問題、これは安全審査のときには別問題に扱ったのだから、通産に預けたのだからいいというわけにはいきますまい。委員長、どうですか。こういうような問題について、もうそれでいいんだから、下でよしなに計らえよということで、あなたはこれは触れないでいくつもりなんですか、どうですか。私は徹底的にこれはクラックの原因というものを解明し、それに対する処置を明確にするということで作業を進めなくてはいけないのではないだろうかと思いますが、どうです。長官、どうです。
○宇野国務大臣 もともと通産の定検の一環としてこうした問題が行われておりますから、本来ならばわれわれの規制法の適用除外になっております。しかし、いまおっしゃるとおりな経路でありとすれば、やはりわれわれといたしましても安全には常に意を用いなくてはなりませんから、この間どういう経緯があったか、私といたしましてももう一度通産省にもその経緯を尋ね、そして原子力委員会といたしまして、いずれ報告があるだろうと吹田委員からも先ほどあったわけでございますが、そうした報告を待ちながら十二分に安全は期していきたいと思います。いままで聞いておりますと、うちの局長の方からも、いろいろ安全性に関しましては十分措置をした所存だという答弁もなされておりますので、われわれといたしましてもそのことを信じておるわけでございますが、先生御指摘の面はやはり一つの問題点であるかもしれません。 いずれにいたしましても、きわめて技術的な問題も多うございますから、ひとつそういうところで私といたしましても事の経緯を調べ、また今後に処したいと存じます。
○石野委員 長官にそういうような態度でやってもらいたいと思うのです。長官はいま、局長の意見も聞いておると安全性についてはずいぶん考えたようだとおっしゃるけれども、ただいまわかるように、事の本質についての根本的な原因はまだ徹底的に究明されていないで、対策だけがどんどん出ていくというやり方は間違いであると思うのです。この方法論を反省しなかったら、安全性の問題について信頼性は出てこないと私は思う。 たとえばこの房りノズルをとめるということになると、これはどの程度でとめるのか知りませんけれども、パイプの中の水はよどんでしまう。よどんだら、これが今度は炉内の水との間に若干問題が出てくるだろうという技術的な心配もある。そういう問題と、ステンレスとカーボンスチールとが合わさっているところへよどんだ水が作用してどういうような変化が来るだろうかということの心配もやはりある。だから、ステンレススチールで表面を内張りをしておれば問題のないところに、そういうような指示を与えたために新たな問題が発生してくるのでしょう。こういう問題についての解答が出ていないはずです。通産はそれを出しているのですか、そういう問題について。
○武田政府委員 ステンレススチールの内張りの部分が部分的に減少すると、もともとのヘアクラックの深さが十数ミリでございますから、ステンレススチールの内張りの部分から母材にいってしまっている部分がございます。ここを削り取りまして丁寧に仕上げをいたします。したがいまして、原子炉容器、これは相当なスペースがあるわけでございますが、そのうちで、ちょっとはっきり数字を覚えておりませんけれども、直径がたかだか二、三センチぐらいの内張りのない部分がふえるわけでございます。その辺につきましては、先ほど伊原局長のおっしゃったとおりでございまして、全体として考えますと問題はないということでございます。 それから、もともと戻しております水をとめる。これは、実は戻しております水が四、五十度というような非常に低い温度の水でございまして、それが原子炉容器の中の三百度前後のものとまざるわけでございまして、そういう温度差があるということがひび割れの原因である。したがいまして、もし水を戻さないことにいたしますと、温度差は解消するわけでございまして、そういった意味での問題はない、こう判断いたしております。 ところで、もともと戻していた水でございますので、その水はどこかに戻さなければいけないわけでございます。先ほど二つのやり方を考えているということを申し上げましたが、どこに戻すか、それはもともとこのひび割れの起こりました原因がそういう温度差のあるところということでございますので、余り温度差のないところに、それから、先ほど先生から御指摘ございましたように、戻している水そのものの圧力とかそういったものも問題であろう、そういう問題意識を私ども持っておりまして、そういう点も含めて判断をして、現在考えられております二つの案はまだいずれという結論が出ておりませんけれども、いずれもその観点では問題はない。ただし、細工をいろいろ変えなければいけないことがパーツにつきまして出てまいりますので、その細工が後々トラブルを起こさないように、また二つの代替案いずれも合格でございましても、よりいい方の代替案をとるべきである、こういうようなことから、その検討にはもう少し時間がかかっているということでございまして、いま先生の御指摘のようなことは、いろいろ考えました上でそういう判断をしているものでございます。
○石野委員 いまの審議官の答弁の非常に重大な点は、結論が出ないのに先にやって、どちらもよかろうという前提に基づいて結論を先に出してしまっているわけですよ。こういうことが安全性を扱う上で非常に危険だということを私は言っているのですよ。結論がそのように出ればそれで結構です。もし出なかったらどうするかという問題が一つあります。 それから、全体がたとえば水の量は二千トンもある量の中ですからほんのわずかなものでございますとか、パイプの直径が二センチか三センチかの小さなものですから大したことありませんとかという、そういうような物の考え方にわれわれは疑問を持つのですよ。そんなのならばなぜ六ミリか六センチかぐらいのヘアクラックを重要視するのですかということになってくるのだ。だから、そういう物の考え方を私たちは許せない。 特に、結論が明確に出ていないのに工事認可をどんどん先へ出していくというこの態度は改めなければいけないと思いますが、通産省はそのことについてどういうように感じていますか。
○武田政府委員 まず、クラックの部分を削り取るということについての工事計画認可でございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、その部分を削り取って丁寧に仕上げするということで十分である、それから同時に、対策としては、そこに水を戻さないことによって温度差を解消する、これがひび割れの原因でございますので原因除去になる、こういう判断のもとで工事計画認可をいたしております。 それから、ヘアクラックあるいはひび割れ、これは、実は原子力発電所では、ほかの火力発電所等もそうでございますけれども、年に一度とかあるインターバルで定期検査をいたしております。そういう定期検査は、たとえばひび割れであるとか、ほかにも腐食であるとかいろんな問題がございますけれども、パーツによって違いますが、そういうものを一年ぐらい運転いたしますと、いろいろ圧力がかかっていたり、温度がかかっていたり、またはそのほか運転状況が変わったりといういろんな変化がございまして、諸材料はその変化とそれから時間に応じましてあっちこっちトラブルのもとが出るものでございます。そういうものを洗い出しまして、それが発展しないうちに処置するような情報を得るというのも非常に大きな役割りでございまして、ヘアクラック等につきましては、必ずしもこのパーツに限りませんけれども、いろんな部分でそういうものを事前にキャッチして抑えているわけでございます。 何でそういうことをいたすかといいますと、ひび割れが生じまして時間がたちますと——もっともこういう大きな機械装置でございますので、すぐ一日のうちにということでございませんで、一月、二月、一年、二年というようなタイミングでございますが、だんだんそれが発展して深くなっていく可能性を持っております。それはある時点で抑えないといけませんのでそういう措置をいたしているわけでございます。したがいまして、将来発展すると問題であるということでございます。 なお、水の量その他につきましては、全体の量のうちの一部、たとえばコンマ何%が入らなくなるというのは、全体の機能または全体のたとえば先ほどの御指摘であれば腐食というような問題等等で考えますと、それがコンマ何%ふえるあるいはコンマ何%減るというようなことでございまして、エンジニアリング上安全を確保するためのある幅がございますが、その幅の中に入るような性質のものでございます。そういう二つの区分を、ちょっと表現は違いますけれども、先ほど伊原局長はそういう意味で区分なさったと思いますし、私どももそう思っているわけでございます。
○石野委員 削り取った部分は仕上げをすればそれで結構でございますという判断を通産は下したのですが、原子力委員会安全審査部会もそういうふうに判断を下すかどうかわかりません。しかし、通産がそれを結構、十分でございますと言うのは、この炉の全生命を通じてそういう判断を下しておるのですかどうですか。それともある一定の期間を置いてですか。どうなんですか。
○武田政府委員 当該ノズルにつきましては、私ども、そういうひび割れの原因をこれで除去することになるものでございますから、長い期間それでいいと思っております。ただし、原子力発電所は、先ほど定検の話を申し上げましたが、もともと年に一回とめて、あるいは一年ぐらい動かしたらとめて各部分を点検しようというのは、先ほど申し上げましたように、こういう温度が上がったり圧力がかかったりあるいはいろいろ水がぐるぐる回っていたり、またはそれが運転状況に伴って変化する、こういうような機械装置につきましてはある期間ごとに各部分のチェックをして、先ほどのような事前防止とでも言うのでございましょうか、事前キャッチ、事前防止という手段をとるということが実は昔から火力の分野でそういうプラクティスがございまして、(石野委員「説明はいいから短くやってくれ、時間がないんだから」と呼ぶ)したがいまして、先ほど申しましたように、私としては将来長く大丈夫という確信を持っておりますけれども、同時に、念には念を入れるということで毎年の定期検査の段階でいろいろなチェックは今後とも繰り返していく、こうなろうかと思います。
○石野委員 これは原子力委員会吹田委員にお尋ねしておきますが、いま通産の見解はあのような見解です。しかし、圧力容器の炉体が正常に保たれる耐久性というものは安全委員会は慎重に検討を加えたものと思われます。ノズルの部分をああいう形でステンレス張りにしたことについてはそれだけの理由がある。それが少なくとも作業中に事故が起きて、それが原形と違うような形になったことについて安全審査部会としてはこのままでほっておいていいとは思いませんが、これは報告を受けて検討するのだろうと思いますけれども、こういうことがしばしば起こったら安全審査部会というものは結局はあってもなくても同じことなんです。それをチェックして仕事に待ったをかけることならいいのですけれども、もう仕事はどんどん進んでいって、後からそれはだめだったとかなんとかということでは、これは安全審査部会なんてあったってなくたって同じことになってしまう。こういう権威のないもので安全審査部会は満足していらっしゃるのですかどうですか。この種の問題についてはもうそれでよろしいということになるのですかどうですか、ここだけちょっと聞いておきたいと思う。
○吹田説明員 現在のシステムでありますと、やはり基本設計に重点が置かれまして、後の詳細設計、その後のいろいろな検討は通産省の方でいたしますので、一貫性という点で御指摘のように事業炉部会を非常に活用いたしまして現在のシステムを少しでもよくするように今後いたしたいと思います。石野先生の御質問の真意というのは先ほどからお聞きしてよくわかりましたので、今後この原子炉に対しまして原子力委員会としても注意を払っていきたいと思います。
○石野委員 私は委員長に申し上げますが、われわれは炉の安全性というものを考える上でいろいろ安全審査についての処置、方法の問題がありますけれども、今度のこのノズルの問題については単に一部のノズルの問題という取り上げ方ではなくて、いずれにしましても炉本体に傷がついたわけですよ。安全審査の原形が変形されるわけです。ところが、これは通産省の管轄下だということで、工事認可だということで原形が変形になっても原子力安全委員会がそれにタッチできないということであるならこれはよろしくないと思うのであります。こんなことは許されない。同時にまた、こういうことのゆえに事態の原因が究明されないままに通産が仕事をどんどん進めていくというやり方は直ちにとめるべきだと思う。こんなやり方を許しておいたのでは、私は安全性に対する期待を持つことはできない。 そういう意味から、本委員会は後でこの問題について理事会等で検討を加えていただきたいと私は思います。通産は都合のいいことを言っておりますけれども、現実に通産と原子力委員会との間の連携はないままに事は運ばれていっているのであって、安全性についてはわれわれはきわめて不安を感じるものでございますので、こういう問題について、理事会でも論議していただくと同時に、もっと学識経験者等を入れて、こういうやり方でいいのかどうか検討を加える必要があると思いますので、そのような処置を願いたいと思っております。
○山田委員長 石野君に申し上げます。 石野君の御発言ごもっともと思います。そこで理事会で検討してしかるべき処置の結論を出していきたいと思います。さよう御了承願います。
○石野委員 原子力行政の上で非常に大事な問題は、安全性について一元的な一貫性がなければいけないということだと思うのです。一貫性、一貫性と言うけれども、非常に安全を安易に考えているようなところの一貫性が全般を覆ったのでは大変なことになってしまう。通産の考え方というのは開発優先であって、技術の安全に対する考え方には非常に緩やかといいますか安易なものがあると思うのです。今度の問題もそうですか、美浜の問題だって同じことが言えると思うのです。したがって、安全性問題についてはもっと「むつ」に学ばなければいけないということがにしきの御旗になっていて、逆に今度は一元化されるところの安全行政が原子力委員会の手から離れた形で勝手なことをやられるのは困ると思うのです。 「むつ」問題について従来とも原子力行政上の問題として問題提起が行われてきました。特に先般の委員会のときにも私は長官にお伺いしたのですが、四月十四日の時点で問題はああいう状態になってしまって約束が果たせなくなった。その後現地におけるところの問題はどのように進んでおるのですか、そしてまた、これから後長官はどういうふうに対策するか、三省の間ではどういうような話し合いができておるのか、もう一度はっきりここでお聞きしておきたい。
○宇野国務大臣 青森に対しましては、四月十四日の四者協定の期限が守れなかったことに対しまして深くおわびの意を表したという経緯は過般申し述べたところでございます。なおかつ、その約束をきわめて近い期間内に果たしたい、さようなことで、長崎県に対しましてもそうした趣旨のお願いをいたしておるわけであります。 すでに佐世保はその結論を明らかにいたしておりますが、まだ正式には回答は来ておりません。これは恐らく県と調整するであろう。どういう答えが出るか、いずれにいたしましてもそうした手続が残っておるので政府には答えておりませんが、現在は長崎県の知事の回答を待っておるという段階であります。知事といたしましても自分の諮問機関の答申は得ておられますが、県会にも諮る必要があるということでありますので、近く県会を開かれて自分の意見を県会にかけられる、また県会の意思をお聞きになる、そういう行事がまだ残っておりますので、それもひとつでき得べくんば早くやっていただきたいということをお願いをいたしておるところであります。もちろん市長並びに知事の意見に対しましては、私は従来から申しておりますとおり、それを尊重いたしますことには変わりございません。
○石野委員 地元の意見は尊重するという長官の意見はよくわかりますけれども、しかし、現実には青森の方はもう期限が来てしまって、約束の上から言えばあの船を外へ出さなければならぬわけでしょう。政府はもし両方の側での話がまとまらなかった場合にはどうするつもりなんですか。
○宇野国務大臣 現在は出口、入り口の問題を政府のお願いどおりにぜひとも実現したいということで努力をいたしておるところでございますので、万一できない場合はというようなことを私は今日ただいま想定せず、ひたすら出口、入り口に対してお願いをしておるところであります。
○石野委員 想定をしないでということを言いますけれども、すでに青森に対しては四者協定で約束をしているわけでしょう。それに対しては答えないということですか。
○宇野国務大臣 それに対しましては、過般次官を派遣いたしまして衷心よりおわびを申し上げておるわけです。それに対して青森県側から、よくわかっておるというような回答はちょうだいいたしておりませんですよ。やはり出ていけとおっしゃっておるわけでありますが、しかし、巨額の国民の血税を使った船でございますから、しかも大山委員会は、相当なレベルに達して全面的な総点検さえすればりっぱにその役目を果たしてくれる船である、こういうことでありますから、われわれといたしましても長崎県に持っていって修繕をしたい、こういう願いをともどもにしておるわけでありますので、したがいまして青森には特にそういうふうな経緯を申し述べて御了解を得ているところであります。もちろん、残念にして四月十四日は守れなかったということでございます。
○石野委員 問題は、あの船は国税をたくさんかけてつくった船だからもったいないんだということよりも何よりも、四者協定で青森からもう船は出ますよという約束をぴしっとつけたわけですよ。その了解をつける裏づけとして十数億の国費を使って新たに向こうの取りつけをしたわけでしょう。だから、いまこの段階に来て政府はどういうふうにやるのかということの腹構えをしなければ、現地でということになると出口と入り口でみんなお互いになにしているわけでしょう。政府はどういう考え方で、もし決まらない場合にはどうするのだということを、長官の決意がなかったらどうにもならぬじゃないですか。
○宇野国務大臣 長崎の方ではやはりいろいろと御検討願っておりますので、私としては間もなく政府の願いをかなえていただけるのではないか、こういうふうな期待でお待ちしておるわけであります。ただ、時期が若干おくれた、だから、若干おくれたことに関しましては二月前に、六十日前に青森県に申し述べておるということでございますから、やはり入り口が引き受けていただくということを私としては今日ただいま期待をして、一日もその日の早からんことをお待ちしておるわけであります。それを青森県にお願いをしておるわけで、青森県もいま事態を黙って見ていただいておるのではなかろうか。もちろん、四者協定は大きく後退をしておるということは、われわれ自体といたしましても責任を痛感をいたしております。
○石野委員 長崎との折衝の状態を青森が待っておるということを長官は考えておるとするならば、大体青森は何カ月ぐらいはそれを待っているというふうにお考えになりますか。それは、一年でも二年でも三年でもいいというわけではありますまい。長官はどのくらいがその期限だと思っておりますか。
○宇野国務大臣 六十日前の二月の時点で、私みずから青森の三者の方々と御懇談を申し上げました。そのときには四月十四日は若干おくれる、では若干とはどれだけの日数であるかというお話になりましたが、まあそこまでは、お互いに極力十四日に近い線ということで御了解を賜りたいということでございます。 したがいまして、いま石野委員が申されましたとおり、一年、二年、三年というふうなことは決して私たちは考えておりませんので、われわれの希望どおりに長崎が引き受けていただきましたならば、私は直ちに入港届を事業団をして出さしめる、そして実行に移したい、かようにすら思っておるわけでございますので、決して、それはきわめて長期であるというふうな考え方は私は抱いておりません。一日でも早くやりたいというのが私の今日の真意でございます。
○石野委員 青森の県民にこたえるために、長官は少なくとも、最長でもこのくらいだというような腹づもりをして事に当たっておるのだろうと思いますが、それは最長でもどれぐらいのつもりでおるのですか。
○宇野国務大臣 最長と言われますとなんですが、はっきり申し上げまして、私はもちろん、こうしたことは四月十四日に近い路線でありますから、一年もかかるようなことがあってはならない、そういうふうに考えてやっていきたい、こういうふうに思います。
○石野委員 一年もかからない、そうするとあとまだ一年間ぐらいは交渉の余裕を持っているというように理解していいのですか。
○宇野国務大臣 そういうわけではありません。長崎の御回答が、たとえば政府の申しておるような姿の御回答ならばすぐに入港届は出し得るわけです。それだと六十日以内に「むつ」は青森の岸壁を離れることができます。もちろん母港撤去ですから、その後のいろんな後始末ということはございます。しかしながら、いま最長とおっしゃいますから、私は決して一年や二年は考えておらない、といってここでまた長崎がどういうふうな答えを出されるかわかりませんから、それに対しまして私としても慎重に事を構えてお答え申し上げておるわけで、そう悠長に青森に居残っておるというような姿はよくないことです。私ははっきり申し上げておるわけですから、したがいまして、それをここで何カ月とか何年とかおっしゃいますが、何年というようなことは全く考えておらない。だから最長はどうかとおっしゃったら、一年も考えておりません、こうお答えするより仕方がないので、あるいは六十日内に「むつ」は出ていくことができるようなことを私は一番希望的な回答として望んでおるわけであります。
○石野委員 時間がありませんからあれですが、とにかく一年ではない、半年でもない、六十日ぐらいだというふうに長官は考えている、そういうふうに私は理解します。 最後ですが、きょうは原子力委員会から吹田委員おいでいただきましたが、私は原子力の安全性の問題については非常に重要な問題があると思いますので、きょうの論議の中でまだ吹田委員の意見を十分聞き取ることができませんでしたけれども、原子力委員会は少なくとも今日のこの問題については真剣にひとつ論議を重ねていただきたいし、通産のひとり走りは許さないようにしてもらいたい、こういうように思います。そのことを吹田さんにひとつお願いしたいのですが、いかがですか。
○吹田説明員 よくわかりました。
○石野委員 それではこれでおきますが、ひとつこの問題はもう一遍理事会でよく検討していただくようにお願いします。
○山田委員長 これにて石野君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○山田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 原子力船「むつ」に関する問題調査のため、本日、日本原子力船開発事業団専務理事倉本昌昭君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。 —————————————
○山田委員長 古寺宏君。
○古寺委員 最初に、科学技術庁にお尋ねをしたいと思います。 科学技術庁の方から長崎県に対しまして、原子力船「むつ」の安全性に関する説明書、これがいっておったように私記憶しております。そこで、この燃料体中に生じました核分裂の生成物でございますが、これは五十一年の二月の時点で十キュリーと推定される、こういうふうに説明をしておられたようでございますが、現在は大体どのくらいになっておりますか。
○山野政府委員 約五キュリー以下であると存じます。
○古寺委員 それはいつの時点で推定したものでございますか。
○山野政府委員 五十二年二月の時点の推定でございます。
○古寺委員 五十一年二月の時点では、あなたの方では十キュリーというふうにおっしゃっているのに、違うんじゃないですか。
○山野政府委員 五十一年二月末で約十キュリーでございますが、それから一年たちました現在、大体半分程度になっておるということでございます。
○古寺委員 そうしますと、一年たつと大体半分ぐらいになるわけでございますか。
○山野政府委員 これは直線的に放射能が下がっていくわけではございませんで、当初のころの下がり方、つまり運転を停止しました以降は短期間のうちに大幅な低下を示しまして、それがだんだん緩やかになっていくといったふうな傾向を示しておるものでございます。したがいまして、ある特定の時点をとらえまして、昨年の二月から本年二月にかけました一年間に半分になっているということをもって、一年間に半減することにはならないと存じます。
○古寺委員 そこで、ストロンチウム90とかセシウム137、こういうものは非常に毒性の強い、しかも身体の負荷許容量が非常に重要な問題としてとらえられているわけでございますが、科学技術庁としてはどのくらいで安全であるというふうにお考えでございますか。
○伊原政府委員 先生の御質問の趣旨、あるいは的確に把握してないかもしれませんが、御高承のとおり原子炉等規制法におきまして原子炉の設置、運転等に関しましては、許容被曝線量などが定められておるわけでございます。環境に対します影響につきましてはその十分の一というふうな規定もございますし、さらに従事者に対しましては別の規定、すなわち年間五レムというような規定もあるわけでございます。その規定の範囲内で規制をするわけでございますけれども、基本的な考え方といたしまして、放射線の環境に与える影響なり人に与える影響はできる限り低くして、不必要な被曝はできるだけ避けるというような基本的な考え方で規制をいたしております。
○古寺委員 大体学者の意見によりますと千万分の一キュリーでも非常に危険である、こういうふうに言われているわけです。したがいまして、科学技術庁が考えている「むつ」の核分裂生成物に対する安全性の考え方というものは基本的に間違っているのじゃないかと私は思う。こういう面について今後十分にひとつ検討していただきたいと思います。 次に進みますが、事業団が第一次冷却水、これを五十一年二月五日に採取をいたしておりまして、コバルト60が冷却水の中から検出されました。これは補給水の大体三倍の数値になっているわけです。三けたの数値になっているわけでございますが、今年度この冷却水を採取した結果を、もしそこに資料がございましたらひとつ教えていただきたいと思います。
○宇野国務大臣 その前に、いま古寺委員から千万分の一キュリーですか、でも危ないというのはどなたの説でございましょうね。そうして、いま局長の申しましたのは、国際放射線防護委員会の許容基準というものを局長は申し上げまして、環境に対しては年間五百ミリレム、従事者に対しましては年間五千ミリレム、特に三カ月三千ミリレム、これがいまのところ国際的な許容量でございますよ。その許容量で大丈夫なんだけれども、われわれ原子力委員会といたしましてはさらにもう少しくそれを低くして、そしてなお一層安全を確認しよう、こういうわけでございますから、十分その点におきましては今日まで国会の議論もそういう線で進められておると存じますが、いまいかにも千万分の一キュリーでも非常に危険だとおっしゃいますと、非常にこの「むつ」の問題を誤解していただきますので、そこら辺はもう一度局長の方から専門的に答弁をさせますが、ひとつ御了解賜りたいと存ずるのであります。
○古寺委員 専門的な御答弁は後で改めて書面でいただくことにしまして、私は百万分の一キュリー、こういうふうに申し上げているわけでございますので、もし千万分の一というふうに私が先ほど申し上げたならば百万分の一キュリーというふうに御訂正を願いたいと思います。
○伊原政府委員 先生の御指摘は、これは核種がいかなる核種を考えるかということを前提といたしませんと問題がはっきりしないということが一つあるかと思われます。それといま一つは、この百万分の一キュリーというものがただ存在するというだけなのか、体の中に全部取り込まれるというふうなことまで考えるのか、そういうふうないろいろな条件を明確にした上でございませんと、ただ放射性物質というのが百万分の一キュリーが存在すると危ないのだというふうな表現になりますと、先ほど大臣の御答弁ございましたように非常に誤解を生みやすいことになるかと思う次第でございます。
○山野政府委員 先ほど御質問の一次冷却水の放射能濃度の測定値でございますが、これは毎月二回測定いたしておりますが、一番最近五十二年三月二十三日の測定結果によりますと、一次冷却水の全放射能が〇・七五プラスマイナス〇・六六掛ける十のマイナス八乗といったふうな値になっております。この単位はマイクロキュリー・パー・ミリリッターでございます。
○古寺委員 補給水の方はどうなっておりますか。
○山野政府委員 ただいま補給水の数字を持っておりませんが、私が承知しておりますところでは、これは一次冷却水と補給水とは同じオーダーであるというふうに承知しております。
○古寺委員 そこで、この核燃料体の中のストロンチウムとかあるいはセシウムとか、こういうものがなくなるまでには一体どのくらいかかるというふうにお考えになっておりますか。
○伊原政府委員 それぞれ半減期がございますので、なくなるというのをいつの時点と考えるかということが一つ条件としてはっきりさせなければいけないと思いますが、たとえば半減期の十倍の期間を経ますと大体千分の一になるというのは簡単な計算で出てまいるわけでございます。なお、燃料体の中にございますこういう核分裂生成物はそこに存在するというだけで危ないということではございませんで、それを十分閉じ込めて、環境なり人体に影響がないように十分な対策、手段をとっておる限りはこれは安全であるというふうに御理解いただきたいと思います。
○古寺委員 私はこの人工放射能というものはやはりゼロであるべきであると思うのですね、そういう考え方でいま申し上げているわけでございます。 そこで、先ほどから四者協定の話が出ておりますが、この核燃料体をもし抜く場合の話でございますが、交換用のキャスクがございます。現在は東海村の方に行っていると思いますが、もし原子力船「むつ」の核燃料体を交換するとすれば、この交換キャスクは使えるかどうか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
○倉本参考人 ただいま東海村の方に保管をしております交換用キャスク、これは「むつ」の燃料を十分使用いたしましていよいよ使用済み燃料、全部燃えてしまったという状態でこれを交換するために製作いたしたものでございまして、その状態においてもこれは十分使い得るものと思っております。
○古寺委員 現在、この交換用キャスクを扱えるような技術者は事業団にいらっしゃいますか。
○倉本参考人 使用済み燃料を将来いよいよ使うという場合におきましてこれを使用するということにつきましては、それまでの時点にその訓練をもちろんしなければなりません。しかし、現在の時点においてもしもこの燃料を取り出すということに相なりました場合には、これをどのような方法で取り出すかということにつきましては、現在、技術的に検討をいたしておりまして、いま東海村に保管をしておりますキャスクを使って抜くかあるいはこれを使わずに別の方法でこれを抜くかということについて検討をしておるわけでございます。
○古寺委員 このキャスクはまだ一度も使ったことがないわけです。しかも、そのキャスクをつくった当時の技術者は現在いらっしゃらないわけです。しかも、このキャスクを使ってもし交換をするとすれば、そういう技術者をつくるためには少なくとも一年はかかる、こういうふうに言われておるのでございますが、それは事実でございますか。
○倉本参考人 現在、東海村に保管をしております燃料キャスクを使って燃料交換を行うということにいたしますと、これを扱うための技術者のチームをつくりまして、これに対する訓練をもちろん行わなければならないわけでありますが、現在私どものところに実際にこのキャスクを使っていろいろ予備的な訓練を行ったという者は確かにおりませんが、このキャスクを設計し実際につくった者、また、過去においてそれらに従事をしておった私どもの方のOB等に集まっていただきまして、その方法等についての検討をし、訓練を必要とすると思っておりますし、また、これは十分可能であるというぐあいに考えております。
○古寺委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、相当の期間がかかるのではないかと思います。 そこで、この問題に入る前に、政府と青森県の知事さんとそれから県漁連並びにむつ市と四者協定というものを結びました。この四者協定というものがどのような効力を持っているものか、これは今後仮に原子力船「むつ」が長崎県で受け入れてくださるということになって協定を結ぶような場合にも同じような問題が起きてくるわけでございますので、この協定のいわゆる効力というものはどういうものなのか、これをひとつ法制局の方からお答えをしていただきたいと思います。
○茂串政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘のいわゆる四者協定の法的性格でございますが、これはこの協定の内容を見てもわかりますように、政府が青森県とむつ市と青森県の漁連に対しまして、協定書に記載されております諸施策を講ずることについていわば約束をしたものでございます。したがいまして、効力と申しますのは、いわゆる純粋に法律的な意味の契約とかそういうものではございませんで、いわば政治的な意味における約束という性格のものであるというふうに考えております。
○古寺委員 そこで、この期限が四月十四日というふうになっているわけです。これがもう何日か経過したわけでございますが、その場合にこの四者協定の効力というものは一体どうなるわけでございますか。
○茂串政府委員 いまお話のございました四月十四日という日でございますが、これは先生恐らく協定にいうところの「むつ」の定係港撤去完了のめどとされましたところの入港後二年六カ月以内の最終期限を指すものと私推察するわけでございますけれども、協定書の性格がただいま申し上げましたようなものであります以上、四月十四日の経過によりまして政府に履行の義務がなくなるという筋合いのものではなくて、政府が引き続き協定書に定められております諸施策の実現に誠実に努力すべきであるということは当然であると思います。
○古寺委員 まことにむずかしい内容でございますが、政治的な性格を持つ協定書である、その期限が切れても誠実に内容を履行するように政府は努力すべきものであるというような御答弁がいまあったのですが、政治的な内容を持っている協定書というものは、これは法的な裏づけもない、約束をほごにしてもいいわけでございますか。
○茂串政府委員 お答え申し上げます。 政治的なといいましても決してこれはそういう軽々しいものではないことはもとよりでございまして、政府の代表であられる当時の鈴木総務会長が、先ほど申し上げました三者との間でいわば約束をされたわけでございまして、そういった意味で政府が誠実にこれの履行に努力すべきであるということは、もう当然のことであろうと思います。
○古寺委員 ところが政府の方は、誠実に努力をしていらっしゃる、こういうふうに申されておりますが、六カ月以内に新定係港を決めるという問題も、四月十四日をめどに撤去するというような約束も、これは全部果たしていないわけです。これではこの協定を誠実に履行したというふうには私どもは受け取れないわけでございます。したがいまして、先日科学技術庁の事務次官が青森県の方へ参りまして陳謝の意を表しているわけでございますが、地元では了解をいたしておりません。どういうふうにしたらこの協定を誠実に実行してもらえるかということで非常に苦慮いたしておるわけでございますが、そういう場合にこの協定を誠実に実行させるための何か手段なり方法というものはございますか。
○茂串政府委員 たびたび同じようなことで恐縮でございますけれども、いやしくも政府の代表であられる方が地元の三者と協定を結んだわけでございますから、当然、それは政治的な意味における約束といいましても、これはもういわば政府が公約をしたわけでございますから、誠実に履行すべきことをお約束したわけでございますから、そういう意味でその方向に向かって努力すべきことは当然でございます。特に、先ほど申し上げましたように、法律上の契約とかそういうものではございませんから、法的な措置をどうこうするというような問題ではございませんので、まさにこれは政府のいわば政治的責任において実現に努力するというべき筋合いのものであると思います。
○古寺委員 今後も引き続いて「むつ」は青森県にいるわけでございます。これは出口の方でございまして、入り口の方の長崎県の方がこれを引き受けませんと、そのままいることになります。その場合には、この協定というものは、改めて協定をし直すべき性格のものでございますでしょうか。
○茂串政府委員 その点につきましては、まさに両当事者の話し合いの問題であると思いますけれども、いわば当時の状況下におきまして、政府としては、この協定に書かれておりますような諸施策を講ずることを誠実に努力することを約束したわけでございますから、その辺の事情が特に変更がない限り、実は私もこの辺の実態までよく承知していないわけでございますけれども、特に実態の変更がない限りにおいては、政府としては、継続的にこの協定書に書かれておる諸施策の実現に努力するという態度をとるべきではないかというふうに考えております。
○古寺委員 そこで、事業団の方で、たしかこれは四月十二日かと思いましたが、原子炉規制法に基づいて設置の変更を二年半前にやりましたが、それを再び今回さらに変更したわけです。五十三年度末まで延長したわけでございますが、こういう問題については、これは協定に違反するようなことにはならないでしょうか。
○伊原政府委員 原子炉設置許可の変更の許可申請が原子力船事業団から本年三月二十三日に出てまいりまして、審査の結果、四月十二日に変更の許可をいたしておるわけでございますが、その中身は、四者協定を忠実に履行するという観点から、従来の許可内容であります「四十九年十月十五日から二年六ケ月の間」という記述を改めまして、「安全性総点検及び遮蔽改修工事を終了する昭和五十四年度末までの間」というふうに、その点を変更をするということでございます。これは原子炉の冷態停止状態を長くするという意味でございまして、むつにそのまま居座るということでは全くございませんで、その冷態停止の期間は、「燃料交換設備は、むつ事業所には設置せず、早急に新たな附帯陸上施設の設置場所を確定して設置するものとする。」こういう中身でございます。 そういう意味から申しまして、むしろ四者協定の精神を忠実に履行するという観点からの変更であると考えております。
○古寺委員 その点は了解できますが、その問題について、四者協定の当事者である青森県なり、また漁連の連合会長なり、むつの市長さんなりとお話をし合った上で、了解を得た上でこういう問題を進めたのでしょうか。この点はどうでしょう。
○伊原政府委員 去る四月十二日に科学技術庁事務次官が青森に赴きまして、定係港撤去期限の遅延につきまして、地元の御理解、御協力を求めました際に、今回の変更内容につきまして、青森県、むつ市、県漁連に御説明をいたしております。
○古寺委員 これは事業団の方にお聞きしたいのですが、前には事業団の方から、こういうふうにやりましたというような公文書が行っておりますが、今回はすでに変更をし、許可ができてしまってから青森県の方に行って説明をしているわけです。これでは、四者協定を誠実に履行しようという姿勢がないのじゃないかと私は思うのです。やっている内容につきましては、確かに誠実に履行するためのこれは一つの方策であるということは言えるかもしれませんが、そういうことを地元の意見を無視して、了解をとらずにやってしまってから、こういうふうにいたしましたというのでは、これは非常に片手落ちではないかと思うのです。 そこで、私は長官にお尋ねをしたいわけでございますが、先ほどから長崎県の知事さんの方からの回答を非常に期待してお待ちになっていらっしゃるようでございますが、新聞の報道等によりますと、長崎県の知事さんは、被爆者団体の方々等とは、核燃料体抜きでひとつ了解をしていただきたいということをいろいろとおやりになっているようでございます。そういう点から考えまして、科学技術庁長官と長崎県の知事さんの間では、佐世保修理港を使用するに当たっての一つの条件として、核燃料体抜きでお話をいままで進めてきたのかどうか、その点をまず承りたいと思います。
○宇野国務大臣 全くそういう問題に関しましてはお互いに触れ合っておりません。したがいまして、現に佐世保港におきましては、政府の申し入れどおり、核燃料体つきの完全な姿で入っていただいて結構ということが、圧倒的な多数で市会でも議決されたわけであります。したがいまして、知事もそのことも十二分にお考えだろうと思います。 しかしながら、研究委員会は、いま古寺委員が申されましたとおり、核燃料を抜いた方がより安全である、こういうふうに答えております。核燃料体を抜かないと危ないというふうなことではないわけで、より安全である。恐らく知事もそういうような方向にいくのではないかということは、私はいろいろな新聞紙上等々において承っておりますが、まだ正式に私の手元にこうしたいというようなことはございませんし、知事といたしましても、やはり佐世保の市長、市会、この関係もございますから、その点も十二分に調整をして、そして両者の調整した意見を政府に御回答申し上げたい、佐世保の市長もやはり調整したい、こういうふうに言っておりますので、私といたしましてはひたすら、政府がお願いをいたしましたような線でその調整の回答が得られるものである、こういうふうに期待してお待ちしておるわけであります。 ただ、いろいろと事情もございましょう。特に被爆者がたくさんおられる県であります。あるいは漁業におきましても、わが国の一割を占める漁民の方々がいろいろな思いを持っていらっしゃると思いますから、そうした点は、知事は社会的、政治的に判断されることもあろうと私は存じます。したがいまして、いずれにいたしましても、そうした知事並びに市長の御意見を尊重するという立場の御回答を私は待っておるということであります。
○古寺委員 そうしますと、長官がお考えになって期待していることと、長崎県側、受け入れ側の考えていらっしゃることとは違いますね。それから長崎県側が考えていることと青森県が考えていることも違います。 と申しますのは、青森県の方では、四者協定をきちっと守って核燃料体はむつでは抜かないようにしてもらいたい、絶対抜かせないというのが青森県側の考え方です。受け皿、入り口の長崎県の方でも、核燃料体抜きならば引き受けてもらえぬかということで、知事さんがいろいろ相談していらっしゃるわけです。そうしますと、青森県の方は核を抜くことはできない、長崎県の方は核燃料体を抜かなければいけない、非常に食い違いがあるわけです。そういたしますと、この四者協定というものは、誠意をもって履行しなければならない一国の政府が約束をした協定書でございます。そういうような協定を履行するために福田総理は、さあ働こう内閣としてわれわれは率先して現地にも飛んで行く、国民のために働くんだ、こうおっしゃっていらっしゃる。ところが、こういう重大な日本の原子力行政の今後を決定するような大きな問題を抱えていながら、長官はただの一度も青森県にいらしたこともございません。また、長崎県の方へ行ってお願いしたこともございません。こういう姿勢でもって原子力船「むつ」の問題が解決するということは私は考えられない。誠意をもって履行しているというふうには考えられないのです。 こういう点について、長官は一体どういうふうにお考えになっているのか、もう一回お答え願いたい。
○宇野国務大臣 最高の責任者でございますから、いろいろ確実な情勢のもとにお願いすべきはお願いしなければならないわけであって、その点は両県に対しましても常に連絡は失っておりません。たとえばまだ私の行くのが早いとか、あるいはまだまだそういう時期ではないとかいろいろな意見があるわけでありまして、私といたしましてはいま古寺委員が申されましたとおり、一日も早く、何度も何度も行ってお願いをしたいわけであります。 それでは、何をお願いするかということに相なりますと、入り口、出口の問題でございますので、御両県に対しまして同じ責任の重さを痛感しながら私は今日まで折衝してまいりました。したがいまして、それをもって政府に熱意がないというふうにはお考えにならないようにお願いをいたしたいと存ずるのであります。特に受け取っていただく方にはいろいろとそれだけの準備もしていただかなくてはなりませんから、今日まで佐世保の市長あるいは長崎県の知事、いろいろな要望がございました。たとえば安全というのをイの一番に保証してもらわなければならないというのが両者の当然の要求でありました。具体的には行政懇談会が政府に答申をいたしました安全委員会を設立しますか、この国会で安全委員会を設立してくれるのならば、佐世保としても喜んで受け入れる体制がしけると思うが、まだ政府はその準備をしておらぬじゃありませんかというのがちょうど昨年の暮れの話でございました。こういう問題に関しましても、いろいろな事情がありましたが、極力そうした方々の御要望に基づくべくいろいろと野党にもお願い申し上げ、また与党にもお願いを申し上げまして、御承知のとおり一応行政懇談会の出しました答申の線に沿った法改正をこの国会にお願いしておるわけであります。 そういうふうな何重にもの努力を重ねまして、そうしたことも大きく佐世保あるいは長崎においても御理解賜っておるのじゃないだろうかと思うのであります。長崎県と佐世保が、一年待とうが二年待とうがだめですよという態度ではなくて、政府が自分たちの要望にこたえてくれるのならば、われわれとしても何とか将来のために受け入れる体制をしこうではないか、こういうことで長崎県も佐世保市もともに本当に努力を傾けていただいたと私は思います。その間、また被爆者団体の方、漁業団体の方も十二分に自分たちの言い分をそれぞれの為政者に申し述べられたと思います。私はそうしたことをあすまでにやれとか、一カ月以内にやれと言う立場ではございません。それは非常に重大な問題でございますから、その点は知事並びに市長の御努力に私は本当に感謝をいたしておるわけでございます。 そういうふうにしながら、青森の方々に対しましても、四月十四日、二年半前に決められました約束が守られなかったことははなはだ私としても遺憾である、責任を痛感しておる、だからこの四者協定は確かに四月十四日という時点は守られなかったけれども、しかし若干おくれることがあったにせよ、「むつ」の母港は撤去いたします、そして必ずや長崎に「むつ」をお送りして、長崎で修繕をいたすように長崎にもお願いします。こういう努力をいたしておるのでございますから、四月十四日がだめだったからおまえたちは何にもせずに拱手傍観しておったじゃないかとおっしゃるような態度ならば、私も甘んじてそのそしりを受け入れますが、微力でございますが、政府は本当に両県に対しまして同等の重み、責任を感じながらやってまいりましたので、その点だけは何とぞ御理解を賜りたいと存ずるのであります。
○古寺委員 責任を痛感していらっしゃるということは、私もきょうで三回目の質問でございますので、何回もお聞きいたしました。五十年の三月二十七日に片山政務次官が八戸市に参りまして、県知事さん、それからむつの市長さんと漁連の会長さんをお呼びして、そのときにどういうことをお話ししたかといいますと、六カ月以内に新定係港が決まらなかった、それが三月二十七日でございますが、四月十四日までには定係港を決定することにしている。そしていま選挙が始まるので、選挙中は混乱を招きますから、選挙が終わったらそういう面も具体的な折衝をいたしまして、二年半後には必ず引き揚げます、こういうふうに三者にお約束をした、これが五十年の三月二十七日でございます。その後今日まで一向になしのつぶてで、どういうふうになったのか、どういうふうにするのか何らお話がなかったわけです。したがって、今回も久良知事務次官が政府の代表として向こうに行かれた際に、ただいま大臣がおっしゃっているように、責任を政府は痛感している、こういうふうにいままで何遍も言われてきたけれども、その責任を痛感しているというのは一体どういうふうに痛感しているのか聞いていただきたいというのが私に対する注文でございます。大臣はいつも責任を痛感している痛感していると言うけれども、一国の政府が国民と協定したその協定をほごにして、一体どういう責任を痛感しているのか、それを国会で聞いてきていただきたいというのが青森県の声であり、国民の声なんです。それをひとつ聞かせてください。
○宇野国務大臣 四月十四日が守れなかったということに対しましては、私は責任を痛感いたしております。しかしながら、全く目鼻がついておらないのかと申し上げれば、長崎におきましてもすでに佐世保市会が決議をしてくれましたし、さらには県会におきましても、多分近くわれわれの望むような回答をしていただくので、知事の決意も間もなくあるのではなかろうかと期待し得る段階です。全く目鼻がつかずに、おまえの方で何ぼどう言おうと何もないじゃないか、そんな気ぶりはどこにもないじゃないかとおっしゃるのだったならば別でございますが、やはり私たちもできるだけいろいろとお願いをしてまいりまして、間もなく恐らくわれわれの期待するような方向の線を出していただける日がまさに刻々と来ておる。一年も二年も先でもなければ、一カ月、二カ月先でもない、刻々と来ている、こういうふうに私は現在の情勢を痛感しておるわけでございます。もちろん、私が長崎の知事さんにお目にかかりまして、青森の知事さんの立場をひとつよろしく頼むよ、われわれとしてもその責任を非常に痛感しておるのだと言うと、もちろん知事同士でございますから、私も青森の知事さんの心境を十二分に存じながら、こちらはこちらで精いっぱいやっておるのですから、宇野さん、もうちょっと待ってください、これもまた私は知事さんに感謝を申し上げなければならないような立場でございます。青森の知事さんにも、本当に四月十四日守らなくて済まないが、では長崎の知事さんが全くそういうことをもう度外視して知らぬ顔をしておるかと言えば、いやそうじゃないんだ、いろいろと努力をしてもらっておるので、その努力をしておられるという点において、済みません、ひとつよろしくと言えば、まあそれはわかるとはおっしゃっていただけませんけれども、しかしながら、お互いに知事という立場はつらいものですなと言いながらも、そこら辺は私たちの努力をしておることも、青森が努力をし、長崎が努力をしておることも、お互いが、まあ口には出しませんが、これはわかっておると存ずるのであります。 したがいまして、私はその結論の結果、政府といたしましていかなる責任を痛感したかということを、われわれといたしましても十二分に検討いたさなくちゃなりません。私だけではなくして、これに関係するのは、運輸大臣さらには官房長官、この三者がいまのところはその窓口になっておりまするから、いかなる責任をとるか、そうしたことに関しましてもわれわれは十二分に話し合いたいと存じます。 いま、もう物が実ろうとしておる寸前でございますので、そうした意味合いにおきましては、まず入り口の方が態度を御決定していただいた、しからば、この間お約束したとおりに、若干おくれるかもしれないけれども、ひとつその点はまげてお願いしたい。また、その点におきましては、長崎の知事の御回答がどういう回答であるか、私は恐らくイエスと存じておりまするが、しかし、具体的にはどういう姿であるかということは、私にはまだはかり知ることができませんので、さようなことで、青森に対しましても、長崎の答えが出てから私が参ずるなり、あるいはまたいろいろな方法を使いまして、十二分に長崎の答えをお伝えして、それに対しての政府としての考え方を申し述べる、こういう幕が残っておりますので、いまここで、責任を痛感しておる、言葉だけじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、しかし、そういう責任にいたしましても、全般を通じてのいま申し上げたような観点における責任を私は痛感しておる、こういうふうに申し上げておるわけであります。
○古寺委員 大臣、新聞とかテレビもごらんになるでしょう。そうしますと、長崎県の知事さんが、被爆者三団体を十八日に県庁にお呼びになって、核燃料体抜きで、そして佐世保市は母港にはしない、あくまでも修理港として使うんだ、こういう条件でひとつ了解をしていただけぬかということを久保知事さんはお願いをしておるわけですね。そういうような事実が報道されていながら、なぜそういうことを一国の——あなたは原子力船「むつ」の全責任をいましょって立たれていると言っても過言でないと思う。そういう方がなぜ、そういう新聞なりテレビをごらんになったら、事実を確認するなり、また長崎県が核燃料体抜きでなければ引き受けないという場合には、どうやってこの四者協定を守るようにするかという、そういう努力なり誠意なりというものが必要でしょう。どうなんですか、一体。 同じことを何遍も申し上げておるようでございますが、こういう新聞やテレビで報道されている事実をごらんになって、あなたは、まだはっきりした内容がわからぬから、まあ今日の末に県議会が開かれて、その結果、私が期待しているような入り口の方からの回答が来るのを待っていらっしゃるのだ、こういうお話でございますわね。そういうことで、いままで何回も約束を破ってきて、極端に言うならば、国民をだましてきて、いまになってもまだ私はこの四者協定を誠意をもって履行するというようなお気持ちがうかがえない。ですから、長崎県の方で実際に久保知事さんがいろいろと御苦労していらっしゃる、そういう面について、大臣はなぜそういうものを、お話をよく承るなり御相談するなりして、なぜ一日も早くこの原子力船「むつ」問題を解決しようとなさらないのか。先ほど法制局の方からも御答弁がありましたように、政治的に誠意をもってこの履行をするために努力しなければならない重大な問題でございます。その点についてなぜかみ合わないのか、その点をもう一回大臣からお答えしてもらいたいと思います。
○宇野国務大臣 これは古寺さんもいろいろお考え賜ればわかると思うのですが、いやしくも最高の責任者と言っていただきました私が、たとえ知事が記者会見なさろうとも、あるいはまた被爆者団体にお話をなされようとも、それはあくまで長崎県内の問題として知事のおっしゃることでありますから、私ども知事の言葉がわからないわけではありません。しかしながら、私に対して正式にまだこうしたいというそういうお考えが述べられない限り、私が知事の意向というものを先取りして、恐らくこうであろうからひとつ青森はこうしてほしいと、なぜおまえはせぬかとおっしゃるだろうと思うのですが、やはりそれは余りにも行き過ぎな行動ではなかろうかと私は思うのでございます。 したがいまして、やはり知事の御意向を承りたい。知事は県会の意向を十二分に聞いてから自分の意思決定をなさる、こう思いますから、したがいまして、いかにおっしゃろうとも、私は、知事から正式に政府が聞いた上で、その上で私たちは判断するわけであります。判断をして、今度は青森の方々にどういうふうに相まみえんとするのかという問題が残るわけでありまして、確かに四月十四日そのものは私は守り切れなかったけれども、いろいろの方法においてとにかくむつから無事「むつ」を出して長崎に送りたい、こういうわけでございますので、そこはひとつ御了解賜りたいと存じます。
○古寺委員 今後また再び、長崎県の問題が解決をすれば協定をするようになると思います。しかし、一国の政府が国民と協定を結んだ場合には、やはり全力を挙げてその期日までには問題を解決する、こういう努力なり誠意というものは私は当然なければならないと思います。長崎県の知事さんの回答が来ないうちは、はっきりした答弁は大臣からいただけないと思いますが、青森県としては、この四者協定を一日でも早く解決していただきたい。しかし、政府が選んだ入り口が日本の中で二つしかない被爆県でございます。そういう面もあって、いろいろと冷静に皆さん判断をしているようでございますが、だからといって、大臣が長崎にもおいでにならない、青森県にもおいでにならない。早く言えば、出口と入り口の関係でもってどうなるか、その結果待ちなんだというような姿勢であっては、私はこれはいけないと思いますので、どうかひとつ、日本の原子力行政の今後の発展のためにも、こういうような過ちを二度と繰り返さないためにも、ひとつ全力を挙げてこの問題に取り組むことを特にお願いを申し上げまして、きょうは質問を終わらせていただきたいと思いますが、また長崎県の結果によっては再度いろいろとお尋ねを申し上げたいと思いますので、きょうはこれで終わります。
○山田委員長 これにて古寺宏君の質疑は終了いたしました。 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎委員 先般の四月十四日は、政府みずからが青森県民に対して「むつ」の母港を撤去するという約束の日であったわけですけれども、これは結局みごとに破られて、今日に至るも青森県知事の態度にすがるというのみで、本来原子力船「むつ」の今後の方針について責任を持っている政府が、独自の明確な方針、国民の納得するような方針を出せない、こういう姿が明確になっております。これはやはり、幾ら政府が安全だ安全だと言っても少しも信用してもらえないという、原子力行政に対する不信の最も象徴的なあらわれだと思うのです。それと相前後して、アメリカのカーター政権から、この点でもわれわれは、まだ研究段階であり危険だから中止するように、建設には反対しておった再処理工場について待ったがかけられて、ここでもまた政府の原子力政策が国民から厳しい批判を受ける、こういうことになってきていると思うのです。 私もかねがねこの二つの問題については質問を重ねてきましたが、きょうもこの二点について質問をしたいと思うのです。 再処理工場の問題でありますけれども、四月六日の本委員会におきまして、私の質問に対して最後に長官はこう答えておられます。この再処理の問題について、「今後とも貴重なアドバイスをちょうだいいたしますと同時に、同じ土俵の上で、党派を超越いたしまして、エネルギー問題だけはすべからく何か一つコンセンサスを一日も早く得られるように、私たちも努力をいたしますので、格段の御理解のほどをお願い申し上げる次第であります。」こうおっしゃっております。その時期と前後いたしまして、共産党の不破書記局長が「国民的英和を結集して原子力開発政策の全面的再検討を」という提案をしているわけであります。多分これは長官も読んでいただいていると思いますし、国民の間に大きな反響を呼んでいる問題であります。もしもこの間の委員会で宇野長官のお答えになった、同じ土俵の上で党派を超えてエネルギー問題を解決したいというのが真意であるならば、われわれの共産党の提案も当然誠意をもって検討されてしかるべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
○宇野国務大臣 不破さんの談話でございますが、実は私もまだ全部目を通しておらないうらみもございます。しかし、その中身は、多分日本の原子力政策がいままでアメリカに頼り過ぎたのじゃないか、だから今日のようなことになるのじゃないかというふうな精神から出ていると思いますが、私はすべてそれを否定するつもりはございません。しかし、私が申し上げたいのは、現在といたしましては、やはり再処理というものを一つの目玉といたしましたわが国独自の核燃料サイクルの確立、これが焦眉の急であると私は思います。したがいまして、そうした意味の土俵の上でいろいろと貴重なアドバイスをちょうだいしたい、安全は安全で、お互いにもっと徹底してやり得る方法があるのならば、これまた同じ土俵の上で議論をして、実り多きものにしたいんだ、こういう意味でございます。
○瀬崎委員 しかし、長官は、日本の原子力開発がアメリカに依存しておったという私の指摘に対しては、「技術のおくれだけはいかんともしがたかったものでございますから、その点に関しましてはいささかおんぶ、だっこであったかもしれないが、」こう言っていらっしゃるわけです。恐らくこの点で、共産党の指摘をよもやいまになって否定されることはないと思うのであります。 政府の計画のままでいきますと、一九八五年、つまり昭和六十年になれば、原子力発電が日本の電力供給の四分の一前後に達するであろう、そういうことになるのじゃないですか。
○宇野国務大臣 一九八五年の発電量が二億キロワット、こういうふうに考えますと、われわれが現在想定いたしております原子力発電量は四千九百万キロワットでございますから、仰せのとおり、大体二五%なんだということになります。
○瀬崎委員 そういうふうな状態を政府は一応目標にしている。つまり日本のエネルギーを、まだ安全性の確立されていない原子力に依存する、その原子力の利用がアメリカに全面的に依存している、こういうふうな政府のとっている原子力政策の道から根本的に転換しないまま、いま言われるような昭和六十年の時代を迎えたら一体どうなるか。日本の経済も産業も、それこそアメリカ政府の政策いかんによっては死命を制せられるのではないか、こういう心配をするのはわれわれ共産党だけではなくて、国民は皆そう思っていると思うのですね。こういう点から言っても、現在の政府の原子力政策はこの機会に全面的な検討を加えよう、こういうことになってしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○宇野国務大臣 先ほど申し上げました一九八五年、昭和六十年度の需給計画はやや私もその実行性疑わしき点が多分にありますから、これは先般閣僚会議を開きまして、もっと実行性を伴うものに改めようということは国会で御答弁したとおりでございます。 ただ、私が申し上げるのは、確かにわれわれの理想では、その当時の原子力発電が総発電量の二五%、四分の一、これぐらいのものを目指さなくちゃならない。ということは、つまりエネルギーは準国産にしたい。その準国産というのは、アメリカや他国に頼らなくても、われわれみずからのサイクルの確立によって準国産にしたい、こういうふうな理想を申し上げておるわけで、現に本年は再処理工場もいよいよホットラインを迎えよう、これによって後年に備えたい。さらに、濃縮技術に関しましても、ことしはそれらに関するところのパイロットプラントを予算上計上いたしまして、すでにその予算もお認め願ったわけでございますから、そういう意味で一日も早く海外依存度を低めていきたい、こういう気持ちでおりますので、二五%はさような意味が込められておる、こういうふうに御了解賜りたいと思います。
○瀬崎委員 原子力を準国産エネルギーだというのは、いまから先の話ではなくて、今日までずっと政府が国民に向けて宣伝してきておったところであったわけです。それが準国産ではなしに、まさに石油以上にアメリカへの依存度が強いということが今日はからずも明らかになって、だからこそ国民は驚き、心配しているのではないかと私は思うのですね。 そこで、第二の点として、アメリカ政府もプルトニウムリサイクル、つまり使用済みの核燃料を再処理して、そこからプルトニウムを抽出し、これをもう一度発電に使っていこう、こういうふうな考え方については、事前に、いうところのGESMO、総合環境影響報告というものを出そうと膨大な調査研究を続けているわけであります。アメリカがプルトニウムリサイクルに当たって総合環境影響報告の研究調査にどのくらいの調査年月あるいはどのくらいの予算をつけているか、お答えをいただきたいと思うのです。
○伊原政府委員 ただいま詳細な資料を持ち合わせておりませんが、先生御指摘のGESMOにつきましては、一九六九年に施行されました環境保護法に基づきまして、一九七三年八月にガイドラインが出ております。それとAECの規則がございます。その二つをもとにいたしまして、一九七四年前半に素案、ドラフトが出まして、それからさらに関係方面のいろいろな意見を聞きまして、一九七五年になりまして大部分の報告書が出たと承知いたしておりますが、核物質防護の点につきましての最終的な評価がまだ終わっていない、したがって全体としてはまだ完結しておらない、こういうふうに承知いたしております。
○瀬崎委員 プルトニウムを再び核燃料として使うならば経済的にも非常に有効だということはわかっていても、プルトニウムは非常に毒性が強いし、軍事利用が簡単にできるし、かつまた、放射能の半減期が非常に長い、こういう点では一つ間違えば人類に大変な悪影響を与えるというわけで、先ほどの伊原局長の答弁のように、三年にわたって研究調査が続けられまだ完結していない、こういう状態であります。 では、わが国で再処理を計画するに当たって、このGESMOに該当するような調査研究はやっているわけでありますか。
○伊原政府委員 先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、米国のGESMOは法律に基づきましてこういう環境の評価をしなければいけない、そういうことで実施されておるわけでございまして、わが国の制度、体制とやや違うところがあるということをまず御説明申し上げたいと思います。 それと、米国の場合、GESMOを発表するよりはるか前から、再処理技術なり軽水炉技術、その他核燃料サイクル諸施設につきましての技術開発が長年にわたって行われておりまして、豊富な運転実績、経験をもとにしてこういう調査をやったわけでございますが、わが国の場合は、端的に申しまして米国のそれまでの実績ほどのものがなかったというのは事実でございますが、それだけに技術先進諸外国の経験を十分導入いたしまして、たとえば再処理の技術開発につきましても遺漏なきを期す、こういう考え方で来ておるわけでございます。
○瀬崎委員 再処理問題について、主として軍事ではありますが、日本よりははるかに先発グループであるアメリカにおいてすら長年月をかけてこのプルトニウム利用が環境にどのような悪影響を与えるか慎重な調査研究をやっている、これは事実であります。日本にそういう法律や制度がないということ自体が政府の安易さというものをはっきり示していると私は思うのです。だから、当然わが国においてもこの再処理問題を考えるに当たって、まず事前に影響評価を調査研究しておく、こういうことが私は必要だろうと思うのです。こういうことも提起しているわけですが、長官としてはそういう点どうお考えですか。
○宇野国務大臣 日本が原子力に関しましては後発国であるということはもう否めません。したがいまして、先進国の技術に今日まで懸命に努力してまいりまして、先進国が積み重ねてまいりました経験を導入してまいったことも事実でございます。 環境への影響は、アメリカ側は現在いろいろと言っておりますが、私はアメリカの枢要なる地位の人にも反発するのです。平和利用だけのプルトニウムは危険だと言っていますよ、アメリカは軍事利用をじゃんじゃんやっておるじゃありませんか。おれたちは軍事利用のプルトニウムは危険だから軍事面における再処理工場を閉鎖するんだ、だから日本は閉鎖せいと言うんだったら話はわかりますが、平和利用だけは危険であって軍事利用はお構いなしなんだ、こう言わんばかりの現在、まだ決まっておりませんが、伝わるところはそう言わんばかりの新しい対外政策が決まろうというんだからそれはおかしいじゃないか。今日までアメリカが日本に対しましてもウランの効率化を考えるのならば再処理が一つのサイクルの大きな目玉である、こういう意味でわれわれも十分それを信頼してやってきたんでございますから、したがいまして、プルトニウムは毒性だということは初めからわかっておる話であります。それだけに管理を完全にいたしておりまするし、ましてや、わが国のごとき非核三原則の国家においてそれを軍事利用するはずもございません。また、将来それをたとえば軍事利用されるかもわからないような地域に出すのはいかがであろうかというのがアメリカの今日の一番大きな心配であるのならば、それはそれとして話をすればよいのであって、やはり核というものはもう本来非常に危険な物質なんでございますから、人間の英知によってそれをいかにコントロールするかが平和利用なんでございますから、だからアメリカはいまのようなお話で、わが国やっておらぬじゃないかとおっしゃいますが、われわれが後進、後発国であることは確かでございますけれども、十二分にその点に関しましても今日まで安全を期してやってまいりましたし、さような意味合いの事故を起こしておりません。将来国際的に核ジャックが出るかもしれぬ、そのために現在の日本のようなことでいいのかとおっしゃいましても、私たちは現在のあの管理体制で十分役目を果たしておる。中には機関銃を持った集団がやってきたらどうだという話もありますが、そういうことも踏まえまして私たちはわれわれ平和国家としての平和利用に徹底いたしておるのでございますから、確かにアメリカのいろんな結論は尊重はいたしますが、アメリカの主張だけを瀬崎さんが何か一方的に聞かれて、日本どうなんだとおっしゃることに対しては、アメリカの今日の新政策が完全にわれわれを説得し得る内容かと言えば、私は決して完全に説得し得る内容ではない、かように考えるわけであります。プルトニウムの安全性は別であります。これは十分考えていかなくてはなりません。
○瀬崎委員 ただいまのような認識で政府側がいらっしゃるものだから、本委員会においてもなお核燃料サイクル、原子力発電の全般にわたって改めてその安全性を集中審議する必要があるというふうな話になってくるわけでありますし、これは二十七日に実現することになっておりますから、私は詳細をそこに譲りたいと思います。 しかし、何も私は安全の問題についてアメリカのサルまねをしろと言っているんじゃないのです。アメリカですらGESMOというふうな膨大な調査研究をいまやっているんだ、そういうことでなければ再処理問題などは危険でそう簡単には手をつけるべきではない、こういうことにアメリカとしても行って、やはり手を打たざるを得なくなっていること自身は大いにわれわれは学ぶべきだと思うのですね。 かつ、日本で再処理工場、事故起こしていない、これも認識不足もはなはだしいと思うのです。再処理工場の事故がこの委員会で論議されたことが一体何回あったか、一度議事録を振り返って見ていただきたいと思います。 第一に、東海の動燃の再処理工場がウランテストをやっている段階のおととしの九月一カ月間で使ったウランの三%を超える欠量、つまり行方不明が生じておったという事実も本委員会では明らかにされております。計量技術がまだ未熟だった、そういうことでそれは済まされているのでありますが、それほどこの管理というものはウランやプルトニウムについてはむずかしいという事実がはっきりしております。 さらにまた、再処理工場の試運転の段階、テストの段階で人身被曝事故も何回も起こっておりますし、また、原因不明でプルトニウム蒸発かんといういわゆるプルトニウムを抽出する工程で想像もできないような二百リットル以上のウランの液漏れが起こったりもしているわけであります。 その他、事故を挙げれば枚挙にいとまがないと言わなければならないぐらいの経過があるわけです。だから、そういうことを全く無視して、事故がない、これは余りにも認識が不足しているんじゃないかと私は思うのです。 先ほどから長官のおっしゃっているアメリカのカーター政権の言っていること、カーター大統領の言っていることの矛盾はわれわれも指摘しているし、長官もある意味ではそれを認めていらっしゃって、この点一致している部分があるのですね。それはいまも言われたように、本当にプルトニウムの軍事転用、核拡散を防止しようと思うならば、なぜ一番の大もとである軍事用の再処理を禁止しないのか、その手を縛らないで商業用だけやかましく言うのは片手落ちもはなはだしい、首尾一貫しないのもはなはだしい。この前の委員会でもそう言われました。問題はそこから先であります。だから政府は、商業用の再処理についてその禁止措置を解除しろ、あるいは日本の再処理工場は例外として認めろ、こういうふうにアメリカに対して話を持ち込んでいるわけですね。果たしてそれが正しいのかどうか。だから私はこの前、長官の話にも首尾一貫しない部分がありますよと申し上げたのは、この点であります。もし本当に首尾一貫させるならば、このプルトニウムの軍事転用を——核拡散を防止するというのは正しい目的です。それならば、その目的を完全に達成できるようにアメリカ政府に対して、軍事利用を最も有効に禁止させる措置、核兵器の全面禁止の措置などをまず政府は迫るべきだと思う。また同時に、わが国の再処理問題について言うならば、これはアメリカにとやかく言われるまでもなく、この機会に自主的に全面的な再検討をして、将来誤りを起こさないように、こういうことを日本自身の判断で結論を出していくべきだと思うのです。それを、二回も三回もアメリカに行かなければ再処理問題の結論が出せないという態度を続けている。ここが最大の矛盾だと思うし、どう見たって国民が納得できない部分だと思うのです。そういう点で長官にお答えをいただきたいのであります。 カーターが言っている大義名分どおり、この軍事利用の危険を完全に防止する措置をアメリカ自身とれ、こうアメリカに迫っていただきたいと思う。日本については、アメリカの干渉を受けるまでもなく、日本自身の英知を結集して日本の再処理問題を含めて原子力の今後の利用はどういう道を歩んでいくべきか、こういう再検討をしていただきたい。この点について答弁をお願いします。
○宇野国務大臣 幾つかの過去の事故云々のお話に関しましては、いろいろ問題もございましょうから、局長から答弁をしてもらいます。 瀬崎さんの質問の中身は、現在わが国の再処理工場がアメリカの言っておるいわゆる商業用だ、だからというふうな前提の話かと私は了解いたしますが、わが国のものは、御承知のとおり事業団がやっておるわけで、決してそれで金もうけをしようというような機関ではございません。だからこの点、アメリカが言っておるところの商業用とは何ぞやということで、われわれはアメリカにもいまその究明をしておるところであります。 したがいまして、私たちは、いよいよ本格操作になりまして、各電力会社のものを預かるわけですが、それで金もうけをしようというのじゃございません。やはり今日わが国が軽水炉で濃縮ウランを燃料として燃した、その使用済みの燃料はどこかへ処理をしなければいけない、それが再処理でございます。よく言われまするように、トイレなきマンション、それをみずから開発しようというのでございますから——すでに軽水炉は十三基動いて、今後また建設もございます。そうしたことを考えた場合に、再処理がなくして、それをいつまでも海外に委ねることがよいかどうかという立場に立てば、これこそまさに日本の責任においてそうした再処理をする、そしてより効率的なプルトニウムを抽出して、これを燃料とするという高速増殖炉の方向を見出す、こういうわけでございます。私どもはいまアメリカに対しまして、あなた方の国にあるのは確かにコマーシャルベースの再処理工場かもしれませんが、われわれは国家管理のもとでこのプルトニウムを完全に安全な体制のもとにやっていこうというのですから、だから日本は違いますよということを申し上げておる次第でございます。ここはひとつ御了解賜りたいと存ずるのであります。 したがいまして、他の方法、たとえばトリウムならば将来決して軍事用に転用できないとか、あるいはまたウランとそしていまのプルトニウムを同時に抽出し得る方法があるのならば、これまた軍事転用を妨げるのに大いに役立つであろう、こういう議論に対しましては私たちは耳を傾けておるわけでございます。お互いに研究をしたらいいと思います。しかし、それはすぐあしたに間に合わないのでございます。高速増殖炉と申しましても、一九九五年ぐらいを実用化と考えておりますと、その間の安全を期するためには、やはり実験炉、原型炉、実証炉、実用炉、こういう四段階を踏んで研究に研究を重ね、安全に安全を重ねてこそ、私は原子力発電というものをより有効に使用することができると存じますので、そこが私は日本的な平和利用ではないか、かように存じております。われわれは、そういう意味において今日カーターさんは大体日本のことを了解してくれつつあると思いますが、なお一層われわれの立場というものをアメリカに知ってもらいたい、そういうことで進めております。 今後の対処に関しましては、それはいろいろ各党にも御意見がございましょう。たとえば軽水炉あるいは高速でなくたってCANDUを導入した方がいいんじゃないか、いろいろ御意見があろうと私は思いますが、そうしたものを同じ土俵でお話し合いしましよう。しかし、現在のサイクルはせっかく実りつつございますから、相当な巨額を投じたわけですから、これはこれで実りつつある、将来の安全に関しましてはやはりお互いにもっと議論すべきところは議論したら結構だ、こういうふうに申し上げておるので、決して全面的に瀬崎さんの御意見を私は否定はいたしておりません。そういう意味においてお互いに超党派で、同じ土俵の上で議論をするところは議論いたしましょう。しかし、いまのサイクルそのものは、もうあすにでも手が届くような調子で国民のために実用化される段階を迎えつつあるから、これだけはひとつお互いに尊重したいものである、こういうふうに申しておるわけでございまして、どうぞその点だけは御理解賜りたいと思います。
○瀬崎委員 再処理工場そのものの認識については大きな開きがありますから、ここで話を詰めるわけには私はいかないと思う。先ほども言いましたように、幸い二十七日には集中審議が実現しますからその場に譲りたいと思います。が、しかし、やはり国民が誤解をされてはいけないから、あえて二、三の点だけを私は触れておきたいと思うのです。 といいますのは、この再処理工場から環境に放出されます放射能物質については、クリプトンとかトリチウムなどが普通の原子力発電所とは比較にならないほど多量であるということはもう明らかでありますし、安全審査でも相当緩い審査をしていることも事実であります。トリチウムで言えば、大体再処理工場一日分の放出量が百万キロワットクラスの原子力発電所のほぼ一年分に匹敵するというふうなことであります。これについては、かつての前田科学技術庁長官がこの委員会で、そういう放出をゼロにするように努力をする、そういう開発をするとおっしゃって、確かにその開発は行われております。が、しかし、それだって現在まだまだ完成にはほど遠い、こういう状況ですから、もし動けばそういうきわめて有害な放射能物質が環境に放出されます。さらにまた、プルトニウムやウランを抽出した残りはいわゆる死の灰でありまして、これはいまのところではステンレスのような容器に入れて半永久的に地下に保存する以外に保存の方法がない。アメリカなどではその液が地下に漏れたとかなんとかいうことで大変住民の反発を招いた、こういう例も出ておることも事実であります。それをガラスで固めるとかあるいはロケットで宇宙へほうり出してしまえなどという信じられないような、荒唐無稽な話が出るほどに未確立な技術分野でもあるわけでしょう。 ですから、そういう点で軽々しく、日本の再処理工場はもうあらゆる技術的な難問を突破したのだというふうな話でいろいろな論議を進められること自体に大きな問題があるし、アメリカの今度のカーター政策の背景には、御承知のフォード財団の研究調査結果も根拠になっている。宇野長官は、カーターさんはキリスト教の中でもバプティスト派に属して戒律が厳しい派だからこういうことに対してきわめて潔癖なんだろう、こういう話ですが、そういうものではないと私は思いますね。きわめて矛盾した政策ではあるけれども、その根底にはやはり一定の科学的な調査も裏づけられている。このことはやはり見てとっておく必要があると私は思うのです。 そこで、わが国の場合でも、私の経験している範囲内の委員会の審議を見ただけでも、原子力で体どういう点が未解決の問題として残されているのか、どの点で専門家やあるいは国民の世論が分かれているのか、この点はおのずから明らかになると思うのです。だから、国会審議を真に政府が尊重するという気になられるならば、その同じ土俵の上に上がる条件もまた生まれてくると思う。たとえばでありますが、原子力発電の安全性と経済性、この点についてもこの国会論議がはっきりと対決状態で残っております。プルトニウムリサイクルの可否についてもそうであります。核燃料の供給問題についても、いまはアメリカ一辺倒の軽水炉をまさにトイレのないままつくっちゃって、しかも濃縮ウランしか使えない状態に追い込んでおりますが、こういう問題についても意見が大きく分かれます。さらには、日米原子力協定問題も、この間私も改定しなくちゃいけない論理になるのじゃないかとお尋ねしたことがありますが、これも問題点の一つです。安全審査体制が最大の問題になったのも御承知だと思います。いま政府が出している原子力行政の改正なるものは、これはわれわれ国会が審議したのとは全く違った方向に行っておるということも申し上げておきたいのです。これも未解決の問題なんです。さらに大きくは、原子力発電そのものの将来展望とか日本のエネルギーの将来に関してどういう位置づけをとるべきかという点でも決して問題が解決されたわけでは全くありません。したがって、この問不破書記局長提案の最後の部分にあるのでありますが、こういう未解決の問題について、本当に同じ土俵の上で論議しようとおっしゃるならば、これはやはり専門家の知恵を大いにかりなければなりません。そういう点では政府側の意向を体した学者や専門家だけではなしに、政府の見解、政策に批判的な立場の専門家や学者、中立的な立場の人々、そういう人々をやはり、どういうところにどういう形でかは私たちも余り手を詰めたようなことを言ってはかえって土俵はつくりにくいですから、申しておりませんが、とにかく集まってもらって、そういう英知を結集することが国民的合意を得ていく上では絶対欠かせない手続ではないか、こういう提起をしているわけであります。 この点についても、宇野長官が本当にそういう国民合意を目指していらっしゃるというなら、当然検討されてしかるべきだと私は思っているのですが、見解を伺っておきたいと思います。
○宇野国務大臣 原子力に関しましては、わが国といわず先進国のアメリカにおきましても、やはり極端な反対論と極端な賛成論があるわけであります。現在そういう中を縫いながらいろいろと模索をしておることも事実でございましょうが、しかし、再処理並びにプルトニウム利用、高速増殖炉という方途に関しましては、これが決してむだな方法ではないということはあまねく知れ渡っております。私は最近、国際的にも相当数多くの政府の要人の方々とお目にかかりますが、ほとんど一致した意見であります。大体アメリカのフォード財団みずからも決して高速増殖炉の存在を否定したものではないということでございます。ただ、しばらくの間は、インドのようなことがあってはいけないから何とかというふうなところから出発しておることも事実でございますから、だからわれわれといたしましては、今日の高速増殖炉を頭から否定するというふうな意味合いで反対制的な方々の意見を聞くということが果たしてどうであろうかとは思いますよ。しかしながら、瀬崎さんがそこまで極端から極端まで話さなくちゃわからないとおっしゃるのならば、それも一つの方法でございましょうが、やはり議論というものは実り多きものが議論だと私は存じまするから、できるだけ実りのあるところからお互いに話し合っていこうじゃないか、こういうふうに私は申し上げたいと存じます。 議論だけして同じ土俵に上がった、なるほど原子力開発という問題では同じ土俵かもしらぬけれども、いろいろと大きな差があってしまってにっちもさっちも動かなくなってしまった、これでは議論が先行してしまって、事実は、わが国のエネルギーはじゃどうなるのだろうかという心配もございますから、われわれといたしましては、さような意味合いにおきまして、実りある土俵をつくりたい、こういうふうに考えておる次第でございますので、反対も入れろ、それはわからぬことはございませんが、アメリカにも極端な反対論者がおられますから、そうした方々ではなくして、この間のフォード財団のリポートもある程度コンセンサスを得た方々が慎重に事を運ばれた、それでもなおかつそれに反論が幾つもあるというふうな問題でございますので、そうした点におきましても、いま私が申し上げましたような観点でひとつお互いがまず政党から同じ土俵の上でお話をしたい、こういうふうに申し上げておるのでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○瀬崎委員 私がこういう提案あるいは共産党が提案をしている一つの根拠としては、確かに政府もこの間、原子力船「むつ」放射線漏れ問題調査委員会というものをつくられたり、あるいは原子力行政懇談会もつくっておられます。それから、これは技術的な問題になりますが、「むつ」総点検・改修技術検討委員会というものもつくられた。再処理問題懇談会という名のものもあります。また、原子力委員会の中には、原子力船懇談会とかあるいは核燃料サイクル懇談会というものもつくられる。こういうものが幾つかつくられはするけれども、じゃここで出た結論が国民的な支持を得てその方向で進めば何らか打開ができるかというと、こういうところで論議された結論すら一つも実行に移せないというこの事実だけはいやでもお認めになると思うのですね。 だから、そういう点では私は何も反対の立場といっても、理由なしに一切の原子力の利用には反対だというふうな人を含めろと言っているのじゃなくて、われわれだって原子力の平和利用についてはそのやり方さえ科学的で慎重であるならば賛成の立場に立っているわけですね。ただ、政府のいまやっていることは間違いでもあるし、間違いだからこそ行き詰まってくるというわけで、この際反省を求めて再検討をする必要がある。再検討に当たっては、あらゆる立場、あらゆる角度から検討する必要があるから、どういう名前の審議会とか、どういう機関につくられる審議会かは別として、そういう国民的合意を得られるような、少なくとも公正な審議機関というものが必要になってくるのではないか、こういう提起について宇野長官がやはりもう少し胸を開いたお考えがあってしかるべきではないかと私は思うのですが、いかがですか。
○宇野国務大臣 いま瀬崎委員がおっしゃっておられる範囲内の話なら、われわれといたしましても非常に意味があることだ、こう思うのですよ。ただ、現在われわれ接触いたしておりますと、このようなことにすらこれだけの大きな隔たりがあるかと思うような面がまだ数少なくはございません。さような意味で、政府といたしましても、じゃよろしゅうございますとやると、じゃこれを入れなければけしからぬというようなことになってしまえば元も子もないので、そこら辺もある程度考えながら、やはり原子力と申しましても範囲が非常に広いと思います。そうした意味で、原子力全般の政策のための委員会だというものが果たして可能かどうか、いろいろむずかしゅうございまするが、やはり一つ一つの部面において、せめてまずこれは片づけよう、これはどうしようということならば、われわれといたしましても実り多きものとして今後考えていかなくちゃならない。そういう意味で、いま申されたようなお気持ちの上ならば、私としてもそうしたことは将来大いに検討していかなくちゃならない問題だろう、こういうふうに存じます。
○伊原政府委員 先ほどから大臣の御答弁を申し上げておりました点に幾つか補足させていただきたいと思いますが、五十年九月にウラン試験を開始いたしましたときの計量不能量といたしまして、第一回に三・二%という数字が出ましたのは事実でございますが、その後第二回が一・一%、第三回一%、第四回、五十二年一月には〇・四%というところまでこれが改善されております。 それから、人身被曝事故があったではないかという御指摘でございますが、これはいずれも法規に定めます量よりずっと低い値でございますし、当然その放射線障害などは起こっておらないわけでございます。 それから、蒸発かんにつきましては、十分原因を究明いたしまして、改修をいたしております。 そういうふうなことでございまして、確かにトラブルはございましたけれども、そもそもウラン試験の目的の一つに、ふぐあいな個所を発見してそれを手直しするということが大きなその目的の一つでもございます。そういうことで、原因を徹底的に究明いたしまして、それからこの間においていろいろトラブルはございましたけれども、周辺環境に影響を与えておりません。そういうようなことで、私どもといたしましてはこれからホット試験に入るのには十分自信があるわけでございます。もちろん、そのホット試験になりましてからも幾つかトラブルはあり得ると思いますけれども、十分慎重に対処してまいりたいと思っております。 それから、再処理工場から放出いたします放射能の量につきまして、確かに、たとえば百万キロワットの発電所に比べますと、たとえば気体が約六十五倍、液体が約二百六十倍というのは事実でございますけれども、これも法規に定めます量に比べますと、一けた以上少ないわけでございます。ただ、私どもはそれで満足しているわけではございませんで、さらにこの放出量を減らすということでいろいろの努力をいたしております。たとえば液体につきましては、とりあえず十分の一に低減化し、さらに減らすことを研究をいたしておりますし、クリプトンにつきましても、回収技術の研究開発をいろいろいたしているわけでございます。
○瀬崎委員 私がわざわざ安全局長の答弁を求めなかったのは、もう聞かなくたってどういう答弁をするかわかるからなので、いまの答弁も、開発側の原子力局長が言っている話なら理解できますが、規制側の安全局長の答弁としてそういうおざなりなことを言っていては、これがよけい国民の不安と不信を醸し出すと私は思うのですね。そういう点ではきわめて認識が甘くて、私は聞いていても不愉快に感ずるぐらいなんです。 時間の関係もありますから、この前の委員会で残された問題について質問しておきたいと思います。 一つは、朝日新聞の最近の記事の中に、原子力船「むつ」を青森県に押しつけるに当たって隠密行動があったということですね。新聞記者に見つかったらまとまる話がだめになるのでと密偵たちは考えて遠回りしていったという話でありますが、そういう事実について、あったかなかったか、どういうことなのか調べて報告するということでした。その回答をまず求めたいと思います。
○山野政府委員 日本原子力船開発事業団に調査を求めたのでございますが、事業団からの報告によりますと、当時の関係者から事情を聴取いたしましたところ、事業団の職員が同年の八月に現地調査に行った事実があったということでございます。
○瀬崎委員 そうしますと、もう一つ、「むつ漂流」という五十嵐さんの著書に、事業団の幹部がむつ市を訪れた、これも東北線や常磐線でなく、奥羽線を利用したというわけなんですが、これも同じ件を指している、そういうように見ていらっしゃるわけですか。
○山野政府委員 同じ件を指しておると類推されます。
○瀬崎委員 その事業団の職員は、指摘されているとおり、やはり視察に行くことが見つかったのではぐあいが悪いから通常のコースではなしに回り道をしていった、こういうことも事実なんですか。
○山野政府委員 当時の経路としまして、上野−秋田−青森、帰りは青森−秋田−上野というコースをとったことは事実のようでございますが、これがどういうふうな配慮によるものであるか、何せ十年前のことでございますのでそこまでは調査いたしておりません。
○瀬崎委員 そうなると、これは密偵というふうにとられても仕方がないということになるのじゃないかと思うのです。これが今日的意義を持つのは、こういうことがやはり政府の原子力行政に対する不信の一つになっているわけですね。本来は、原子力船を考える場合にはその安全性が中心になって論議されるべきなのに、その安全問題を抜きにしてというか、あるいはそらすためにこっそりと動くのじゃないかとか、あるいはまた利益誘導するのじゃないかというふうにとられるわけですね。この点はそういう意味で古い話だからという考え方自身が間違いで、やはり改めて政府は今日のこの困難に直面して反省をして、反省をしたらしたという見解がはっきり出てもらわなくちゃ困ると思うのです。 もう一つは、同じくこの記事の中に、横浜に断られた後で、当時の、四十二年になりますね、七月二十二日付で極秘文書を出している。これは科技庁ですね。その中には、「定係港設置が受け入れやすいことを見込んで、むつ市の埋め立て地を候補地として極秘のうちに打診する。このため、青森県知事(必要あればむつ市長)、関係国会議員等に接触し、地元から誘致の声が出るように要請する。」云々ということなんですが、こういう秘密文書はやっぱりあったわけですか。
○山野政府委員 この件につきまして文書原簿を調べたのでございますが、本件に該当する文書は見当たりませんでした。
○瀬崎委員 見当たらないにもかかわらず、権威ある新聞にこれは相当丁寧に載っていますね。まず原文なしには書けないような内容であります。なぜこういうことになってきていると局長は考えているのですか。
○山野政府委員 これは私の全くの想像でございますが、これはここに書いてございますような文書といったふうなものではなくて、多分メモか何かのようなものではなかったかといったふうな感じがするのでございますが、これは全く私の想像でございまして、何ら根拠のある話ではございません。
○瀬崎委員 最後に、この問題で長官の御見解なり感想も聞いておきたいのですが、とにもかくにも「むつ」というものを表に出せばいろいろと抵抗が起こってくる。抵抗が起こってくるのはやはり原子力船の安全性の問題等について国民が不安を持っているからなんです。だから、そういうときには、やはり正面から問題をとらえて、その安全性について十分検討すべきものは検討しながら国民の理解を求めて問題の解決を図るのが筋だ。それを横へ置いておいて隠密行動をとるとか利益誘導などというのは、問題を複雑にしてより困難にする効果はあったにしても解決に役には立たないという点について、ひとつこの機会にはっきりとした見解を出しておいていただきたいと思うのです。
○宇野国務大臣 十年前のことを、私もそういうことでありますからいろいろ局長からも話を聞きました。しかし、局長がいまお答えしたとおりのことでございましょう。しかし、それはそれといたしまして、やはり今日原子力行政は安全を第一義として臨まない限りこの開発は進まない、私はこれくらいに思ってこの国会に臨んでおりますから、いま瀬崎さんがおっしゃいましたとおり、事安全に関する問題を初め原子力に関しましては、これからもっともっとガラス張りの中でやはりどんどんと政府の所信を表明すべきである。政府が安全であると言うことは安全なんですから、われわれは安全だと思ってやるわけですから、何も逃げ隠れあるいはまた暮夜ひそかに訪ねてどうのこうのということのないように、やはり堂々たる行政をしていきたい、このことに関しましては私は今後さような心構えで臨みたいと存じます。
○瀬崎委員 一時的に国民の目をごまかしたとしても、この原子力問題という大きな問題については決してそのことで長期の根本的な解決にはならない、こういう点だけは政府も今日はっきりと理解していらっしゃいますね。その点念を押して終わりたいと思います。
○宇野国務大臣 過去にごまかしたことがあったかどうかは知りません。そのことはいざ知らず、やはり行政というものは常に太陽のもとにおいて堂々とやるべきものである、こういうふうに存じております。
○山田委員長 これにて瀬崎君の質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○山田委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 核燃料サイクルの確立及び原子力の安全確保に関する問題調査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十九分散会