科学技術振興対策特別委員会 第9号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/04/14
会議録
○山田委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
○日野委員 私は、きょうは、ずっとエネルギーの問題について質問をしてまいりたいと存じます。 わが国の今後の原子力エネルギーの開発にとって非常に重大な問題であります再処理問題について、アメリカのカーター政策以来ずっといろいろの紛糾が続いていて、国民の関心もそこに集まっているところであります。われわれも当然、カーター政策の行く末、今後の日米間のそういう面での交渉、これについては深い関心を持たざるを得ないところでございます。 それで、比較的最近までのことはよろしゅうございますが、カーター氏が日本と西独については再処理を認めるかのごとき発言をされたというような経過がございましたけれども、そのころから現在までの交渉の進展のぐあい、それからカーター氏の発言内容について政府はどのような理解を持っておられるのか、そういう点について大臣から伺っておきたいと思います。
○宇野国務大臣 大統領の国内原子力新政策は、大体七項目から成っております。これはもう先生御承知のところだろうと存じます。それを発表なさいました直後の記者会見において、いろいろ記者から質問がございました。その中で、日本に関する重要な点が二点ございます。 その一点は、アメリカは自分の国の政策を外国に押しつけようとするものではない。これはわが国にとりましても非常に重大なことだろうと思います。二番目は、日独両国はすでに再処理工場を持っており、今後も推進するであろうし、そのことは両国の完全なる権利である、こういうふうに言っております。 これを見る限りにおきましては、この委員会において先生方の御質問にもありましたとおり、日本はいわゆる核不拡散条約に参加しておる、その四条を信奉して私たちは参加したが、その四条に対してアメリカは余りにも冷淡ではないかというふうな声があったが、そうした点をカーター大統領も深く認識されるに至ったのではないだろうかという推測をわれわれもしているところでございます。 ただ、それに対しまして、アメリカ国務省の次官補のナイさんという人がおられますが、この方が特に、さらに引き続いて記者会見をして、カーター大統領の発表はあのとおりであるが、あれは一般論であって、現に日米間においては原子力協定というものがあるのだから、大統領の記者会見によって東海の再処理工場のホットランがオーケーということになったのではない、あくまでも日米間にある原子力協定を踏まえてその手続を終えない限りこの問題は処理されたものとは思わないのだ、こういうふうな話がございました。したがいまして、一部におきましては、それは大変だ、やはりだめなのだというふうな報道もあったのでございますが、これは当然の事務上の手続の話を事務官がしたのであろうとわれわれは解釈いたしております。 しかし、現在折衝をいたしております過程から考えますと、やはりアメリカは、日本に対しましては、原子力協定に基づいて両国が納得し得るような保障措置について共同決定をせざる限り、当然東海の再処理工場は動かないのだという態度をいまもなお持っている、だから、それに対して十二分に両国の話し合いを進めなければならない、こういうふうに思っておるところであります。
○日野委員 いま、ナイ国務次官補が補足的な記者会見をしたことをどのように理解なさるかという点についての政府側の御見解を伺ったわけでありますけれども、仄聞するところによりますと、カーター大統領の発言を受けてというよりは、むしろナイ次官補あたりは非常にろうばいをした様子が見えて、あわてて大統領発言を訂正するようなニュアンスで話をされたようでありますが、そこらに対する御見解はいかがであろうか。 それから、私は、カーターという方は非常に強い宗教的な信念を持たれた方であるのではなかろうかと考えているわけです。厄介なことにと申しますとちょっと語弊がありますが、こういう宗教的な信念から発している一つの政策というのはなかなか変更しにくいところがあるのではなかろうか、これは私、非常に危惧を交えて推測しているわけなのです。ここらについては、大臣はいかがお考えになっておられましょうか。
○宇野国務大臣 ナイ国務次官補のことに関しましても、いま若干触れましたが、確かに御指摘のような面がいまなおあると私は存じます。果たして当惑したのか、あるいは思わざる大統領の発言に驚いたのかは別といたしまして、一応われわれもいろいろ情報を得ておりますが、記者会見をなさるときには、お互いに想定問答集という形で、大統領も十分にそれに備えて、そしてあの記者会見に臨まれたと聞いております。その想定問答集がどうであったかというようなことまではわれわれ知る由もございませんが、通の話によればジャパン・アンド・ウエスト・ジャーマニーという言葉がきちっと書いてあった。したがいまして、これは決して思わざるハプニングで発言なさったのではなくして、大統領として、国内政策とそれが諸外国に与える影響というものを十二分にお考えになった上での発言である、こういうふうに承っております。ナイさんというお方は非常にきちょうめんな官僚さんですから、日米の間には原子力協定があるから、これを踏まえないことにはだめだよということで念を押された、こういうふうに私たちは考えております。 ただ、先般来お答えいたしておりますとおり、ドイツはユーラトムに入っておりますから、その点、わが国よりも非常に緩やかでございますから、この点もやはりナイ国務次官補が、ドイツに対してはさほど厳しい規制はとれないが日本に対してはというようなことを間々口走るものですから、それで、あなたは余りにも日本だけをいじめようとするのじゃありませんかと、ついぞこちらも言いたくなるというふうな、まあいま折衝が行われているというところでございます。 第二番目の、大統領が非常に信心の強い人だ、一日に三回もお祈りをする——私も一日に三回ぐらいお祈りをしておるのです、本当に。私も毎朝神仏を、ちゃんとお経も上げ、なおかつ高天原もやっておるのです。お互いに信心というものはやっておるつもりでございます。 特に私はきょうも、佐々木さんおられますが、佐々木さん、アメリカへ行って向こうの国会議員にお出会いになったら、カーターさんだけが信心じゃなくて、われわれ日本の高速増殖炉の今度できまするところの原型炉、これに対しましては「ふげん」とい名前がついておる。さらには新型動力炉の方は「もんじゅ」という名前がついておる。普賢菩薩、文珠菩薩、これはお互いに獅子とそして象を踏まえておる。獅子と象は猛獣だ。つまり、核というものは猛獣なんだからそれを宗教によって、その心において抑えよう。文珠菩薩のごとき知恵、普賢さんのごとき徳、これによって抑えよう、これだけやはり原子力を扱う上においては祈りの心をもって臨んでおる。カーターさんだけが信仰しているのであって日本人はちょっとも信仰せぬ、もう唯物論者ばかりだ、こうじゃなくて、われわれも唯心論のところが非常に多いんだ、佐々木さんこういうこともひとつ言うてこいよと言っているくらいでありまして、私はそういう点においてはカーター大統領とわれわれの信心は少しも変わらない。 しかし、その点におきましても大統領は大統領としてのお考えがございましょうから、いまおっしゃるようにアメリカは何分にもそういうところも徹底した国家でございますので、外交の上におきましては単に事務的ではなくして、やはり人間対人間というおつき合いでわが国の平和主義をさらに御説明申し上げたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○日野委員 いま大臣は、みずからの信心、これを原子力の開発の中に不動の信念として生かしていかれたいんだというお気持ち、それを私は非常に高く買いたいと思うのです。何といっても原子力という一つのまだ未知の分野をいっぱい秘めたエネルギーの開発に当たろうとする場合、決して忘れてはならない一つの大原則がある。それは安全性をあくまでも保っていくということですね。もちろん大臣がいま言われた大臣の確信といいますか、そういったものは安全性と密接に絡み合う。必ず自分はこの安全性を守り抜いた上でこれからの原子力、核エネルギーの管理なり開発、これに進まれるというお気持ちである、その宣明であると伺ってよろしゅうございますか。
○宇野国務大臣 私は毎度申すようでございますが、従来政府の原子力行政の中には、ややもするとまだまだ不徹底な面があり、特に安全という問題に関しましては多々反省を要する面があった、このことはもう率直に認めまして、就任以来それを第一にしようということで幾つかの法案も用意したということはすでに御承知のところでございましょう。したがいまして、本当にそこで働いていただいているお方の健康を考え、さらにはその安全を考える、これはもう行政の最高責任に立ちますと日夜考えております。本当に、朝起きてみて新聞に原子力のこと何も載っていないだろうか、どこかで事故が起きたというようなことはなかった、ああよかったな、そういう気持ちにもなるわけであります。 したがいまして、やはりそういう祈りの気持ちというものは政治家いずれもお持ちでございましょうけれども、そういう祈りの気持ちというものがあってこそ初めて安全というものに対しましても情熱を注ぎ得るものであり、いやしくも私といたしましては、過去の反省の上に立ちまして、ぜひとも安全、平和ということを一つの哲理といたしまして原子力行政に臨みたい。そのことは科学技術庁の役人さんにもしょっちゅう茶飲み話でも申し上げたりあるいは訓話として申し上げたり、機会あるごとに申し上げて、お互いがいま原子力の未来を開こうとしておるんだから、ざっくばらんにいいところはいい、悪いところは悪いとはっきりしてしまって、そしてそれを反省することこそやはり国民の御理解を賜るゆえんではなかろうか、こういうことで今後もやっていきたいと思っております。
○日野委員 ともあれ、今回のカーター政策に振り回されたといいますか、現に振り回されつつあるのかもしれませんけれども、この事件は日本のエネルギー政策にとって非常に大きな問題でもありますし、将来にとっても大きな問題を示唆しているように思われるわけであります。 日本のエネルギー政策をずっと見てまいりますと、まず石炭だと言ってみたり、それから石油が安くて大量にあるから石油だということでみんな石油に切りかえた。一転して今度はオイルショックというような事態が起きて、石油が経済戦略上の武器として使われるようになりますと、今度は石油について考え直さなければならない、今度は石油の依存率を下げなければならないというようなことが次々と、ネコの目のように変わったと言うと若干語弊があるかもしれませんけれども、これは日本の歴史的な流れから見るとやはりネコの目のようにエネルギー政策が変わったのではなかろうかというような感想はぬぐえないものとしてあるわけでございます。 そこで、きょうは通産省にもおいでいただいているわけでありますけれども、これからのエネルギー政策、これは問題を非常に大きくとらえるようで恐縮でございますけれども、これからの日本のエネルギーの問題について、原子力というものの位置づけをどうするのか、それ以外のエネルギーの開発、これについて現在どのように取り組んでおられるのかというようなことについて伺いたいと思います。 現在のエネルギーが、石油にばかり頼っていると何十年か先にはなくなるんだという視点ばかりではエネルギー問題というのは解決しないと私は思います。安全性の問題、それから住民のいろいろな危険に対する感覚の問題、場合によってはヒューマニズム的な観点からする政策に対する促進とかストップの問題こういったこともいろいろ考えていかなければならない。 それで、このエネルギー問題についてのアウトラインを大臣がどう考えておられるか、それから通産省の資源エネルギー庁の方でどういうふうに考えておられるか、それによって私は追加して質問をしていくようにしたいと思いますので、ここいらをかいつまんでで結構でございますから、ひとつお願いしたいと思います。
○宇野国務大臣 概略でございますが、やはり資源小国日本としては、資源は有限だという考え方で進みたいということでございます。できたら無限の資源はないだろうかということになりますが、核に関しましては分裂と融合と二つあって、融合の場合は資源は海水だから無限だということが言い得るわけでありまして、世界もその開発に取り組んでおり、日本もその開発に取り組んでおります。しかし、これはもう残念ながら二十一世紀を迎えましてなおかつ二、三十年たたないことには実用化されないであろうというのが世界の通念でございます。 しからば、それ以前に、いま申し上げましたような観点から何がいいだろうかということになれば、われわれといたしましては当然まず原子力に関しまして明らかにしておかなければならないのは、ウランも有限でございますから、その有限性を克服するような科学技術の開発、これが科学技術庁の目指しておりまする点でありますので、したがいまして、それは当然高速増殖炉ということになり、高速増殖炉を一九九五年ぐらいには実用化に持ち込みたい、こういうことがいま努力として掲げられておるわけでございます。幸いにもその実験炉がこの夏にホットランの段階を迎えたが、いまアメリカとの間において原子力協定を結ばないことにはそれは実現はできないんだというところでございます。 そのほかの問題といたしましては、かつては水主火従なんと言われた時代がございましたが、やはりもう一度水力発電というものも見直してはどうか。私は、単にエネルギーは核だけであるということを主張いたしておりません。この間のエネルギー閣僚会議におきましても、水力をもう一度見直しなさい、そして特にこれは各企業があるいは各自治体が自分のものとして開発をしていただく。その場合にもう少しくいろいろと開発に対して、税の上であるとか、あるいは資金の問題であるとか、あるいは政府資金の貸与については金利の問題であるとか、そういうことも十分考えれば、私はある程度の開発が可能ではないか。これはもうはっきり申し上げれば一番きれいな発電でございますから、したがいまして一番問題はダムをつくったり何やかやだといろいろな問題が出るかもしれませんが、一番公害というものから考えた場合にきれいな発電なんだから、やはりそういうことも考えたらどうだろうかということを申し上げた次第でございます。 そのほかは、一応、御承知のサンシャイン計画というものがありまして、これは通産省の方でやっていらっしゃいますが、石炭のガス化、液化を初め地熱、太陽熱等々、広範な面におきまして、何としてもやはり資源小国のわが国は対処しようということでございます。そうしたこともひっくるめまして二年前につくり上げましたエネルギーの長期需給計画、これが整合性を欠くあるいはまた実行性を欠く、こういうことでございますので、早急に見直しをしようではないかということになっておるというのが現在の私たちのエネルギーに対するところの取り組みの経路でございます。 今後も、いま申し上げましたようなところに重点を置いてやってまいりたいと考えております。
○武田政府委員 エネルギー総合政策のアウトラインでございますけれども、基本的にいま宇野長官のお話しになったとおりでございます。 私どもといたしましては、閣僚会議あるいは通産省の諮問機関でございます総合エネルギー調査会、それから事務局として対策本部を設けてございますが、そういったところで、非常に大所高所からは閣僚会議レベルによって御検討いただき、それから事務的な詰めないしは学識経験者の先生方の御意向、御意見は調査会の場を通じてというような検討をいま進めておるところでございます。 ところで、基本的にどういうことを考えているかというのは、先ほどの大臣のお話のちょっと補足になろうかと思いますけれども、先生御指摘になりましたようなエネルギー供給源の多様化というようなこと、これは実は五十年の閣僚会議での決定、方針も、石油依存をこれから低めていこう、それでそのためにエネルギーの供給源の多様化をする。その多様化の中身は、たとえば石油とか原子力とか天然ガスとかあるいは水力とかいろいろございますけれども、それからまた技術開発の必要なものについては技術開発を進めてその後供給源に繰り入れるというような、各種各様の物の多様化と、もう一つは、同じ石油にいたしましてもいろいろなところからもらってくるというような意味の場所の多様化、こういったようなものが入っているわけでございます。 実は、日本はいわば昔から資源小国だったわけでございますが、それで戦後一貫しまして日本のエネルギー政策は、いろいろな供給源をあっちこっちながめまして、そしてどんな組み合わせがいいかという組み合わせの問題であったかと思います。ただ昭和三十年前後、もうちょっと前ぐらいに中近東地域におきます豊富な油資源というものが埋蔵量として発見され、それがどんどん開発されてきた。その時点から十年ぐらいにわたりまして、実は日本のエネルギー供給源は全部石油一辺倒ともいうような方向に進んだわけでございます。当時はよく豊富低廉という言葉がはやったかと思いますけれども、まさに他の供給源もろもろのものに比べて石油が余りに安過ぎた、また便利過ぎた、非常に膨大な埋蔵資源が発見されたものでございますから、あたかも無限の資源というような感覚に私どももならされてしまったということがあったかと思います。また同時に、二倍もの値段の物を無理して使えというのはなかなかむずかしいことでございまして、そういったような価格差というような観点から石油にシフトが行われて、現在石油依存度が七〇何%と、こんなようなかっこうになっておるわけです。 しかし、その時点におきましても、たとえば原子力を例にとりますと、原子力委員会ができ、科学技術庁ができ、原子力基本法ができというのが昭和三十年代でございます。三十年の初めでございまして、そのころからすでに十年先、二十年先を目指して原子力の技術開発を進められ、結果としては導入技術が目下のところは中心になっておりますけれども、そういう過去二十年来の先行投資が原子力が現在まさに供給力の何%かを占める、こうなっているわけでございます。LNGについても同様でございまして、ある意味では、先ほどエネルギー政策がネコの目のように変わると、確かに三十年、五十年というタームで考えまして、それをぎゅっと縮めますと先生がおっしゃったとおりでございますけれども、エネルギー供給源の多様化というのにつきましては、過去二十年来、三十年来組み合わせである、組み合わせをどう選ぶかという点では全く基本的には変わってなくて、ただ現象的には、先ほど申し上げましたようにあたかも石油一辺倒という時代がこの十年、十五年続いてきて、それが石油ショックでまた改めて再反省をした、こういうようなことでございます。 なお、昭和五十年のエネルギー計画、見通しの数字がいろいろございますけれども、そういったあたりにつきましては、先ほど申し上げましたような調査会の検討なり事務的な検討あるいは大所高所からの閣僚レベル会議の御判断というようなものの組み合わせで来年の夏めどに、それから暫定的にはことしの夏に、暫定的といいますか、中間的といいますか、というようなことで現在検討が進んでいるのが現状でございます。
○日野委員 石油についてこれはあくまでも有限であるということが前提でありましょうし、石炭なんかについてもこれは同じようなことが言えようかと思います。また、これは原子力の増殖炉、転換炉といういろいろ技術、これは考えていくにしたところで、日本のウラン資源が何としても余りにも少ないということ、それからいろいろな国際間での何かの破綻があった場合、そういう場合には非常に大きなピンチに陥ること、これはもう当然考えて、想定しておかなければならないというふうに私は思うわけであります。それについて、できるだけ自然の中からそのまま取り出して再生産できるようなエネルギーを開発しなければならない必要というものは、これは当然長期的な計画としては持ってこなければならない。私は、これについても一応の計画なんかがあることは存じておりますけれども、どうも政府としては、現在石油から原子力へ傾いてきたわでありますが、その原子力に寄りかかる、石油に寄りかかるという姿勢が余りにも強過ぎるのではなかろうかというふうに私はいま考えているわけなんでありますが、この点は後にまた質問をすることにいたします。 私は、原子力を考える場合、先ほど安全性について大臣から御発言もあったのでありますが、安全性ということについてはどんなに重大に考えても考え過ぎることはないと思います。いまや原子力エネルギー、核エネルギー、これを使っていく上では、非常に重要な点は安全性の一点にかかるのではなかろうかと思うのであります。現在いろいろな原子炉の設置の立地などについて非常に難航をしているわけでありますが、これらが難航するというのも、結局は安全性に対する不信感、住民サイドからの不信感というのがぬぐえないところなんであります。そういうふうに大臣はお考えになりませんでしょうか。いかがでしょう。
○宇野国務大臣 当然そうした面も非常に影響があろうと私自身は考えております。
○日野委員 この安全性という問題を考える場合、これは単に技術者が技術的にこれは安全なのだと言ってしまったところで、これは安全性の問題の解決にはならないと、私はこう思うのであります。あくまでも住民の側がこれを信頼するような安全性でなければならない。そのためには、技術的な安全性の追求ということはとことんまでなされなければならないと同時に、住民の側が納得できるような政府、業界のこれらの安全性に対する姿勢がなければならないと私は思いますが、いかがでございましょう。これは通産省の方にも伺っておきたいと思います。
○宇野国務大臣 具体的な話を申しますと、私の選挙区にもたとえば近くに敦賀の原発があるわけです。電気屋さんなんかがしばしば見学に行くわけですが、いつ行ってもとまってますねということが一つの、やはりこれでいいんだろうかという疑念を素朴に抱く問題だ、こう言っていました。 そういう面におきましても、やはり原発等におきましては極力その操業度を上げるように考えていかなくちゃなりませんが、そのためには、まだまだ軽水炉そのものが輸入したてのものであって、なれておらないという面があったかもしれませんけれども、もう何でもない素朴な面から、その安全性に関しましてやはり素朴な疑問を抱かれるのが原子力だろう、私はこう思いますと、極力そういう面におきましても、この安全性というものは、単に口先だけではなくて、設置者みずからも完全な仕事をしていただかなくちゃならないと思います。それにつきましては、それを指導するのは政府でございますから、やはり政府が安全性に関しましては言うならば強化する、そうした安全を規制するための体制を強化する、こういうことで臨んで初めてそこに住民の方々の御認識も深まっていくのではなかろうか、こういうふうに考えます。もちろん中には誇大に宣伝なさるような方々もいるわけですが、こうしたこともひとつお互いに、多少は控え目になさった方がこちらとしては助かるなと思う面もあるんですが、しかし、まだまだ原子炉そのものにつきましてしばしば故障が起こっておるというようなことでございますと、そうしたことが一つのテーマになるわけでございますので、政府といたしましても、開発というものの一番大きなウエートは、やはり安全を完全に規制することにおいて初めてその開発ができるんだ、これは表裏一体である、こうしたことで進めていきたいと存じます。 したがいまして、今後は全国的な監視モニターをもっと強化いたしたいと思いますし、やはり原子炉設置等に関しましては公聴会等も開きまして、そして従来の通産省主催の公聴会、さらには、原子力安全委員会が今後設置されますが、その主催の公聴会といったようなことで極力住民の方々の御意見も聞いて、そうした場を通じまして、安全性に関しましては御理解を賜るというふうな積極的な姿勢も今後の原子力行政におきましては欠いてはならないところだ、こういうことで私は進んでいきたいと存じます。
○武田政府委員 いまの長官のお話のとおりでございますけれども、原子力につきましては技術面で私どもも科技庁と御協力しながら一生懸命やっていくわけでございますけれども、何せその微細なところにわたりますと、原子力の技術というのは非常に高級と申しますか、むずかし過ぎまして、専門の先生方の非常にむずかしい話を伺わなければいかぬ、あるいはいろいろ意見を聞いてみなければいかぬというようなことが起こりがちでございます。 ところで、それを原子炉立地周辺の住民の方々にわかりやすく理解していただくための翻訳機構が必要でございまして、私どもその翻訳につきましては先生方にお願いしたり、あるいは自分自身で努力したりいたしておりますけれども、なお不十分だと思っております。そういうギャップがある前提で、しかもなお、その周辺住民の方々の原子炉の安全性なり必要性なりにつきまして理解と御協力をいただきながらでなければ、立地をし、建設をし、運転するということが非常にむずかしいわけでございます。 それで、そのための努力をさらにしなければいけないわけでございますが、先ほど長官のおっしゃったとおりなんでございますけれども、一つは、私どもも過去からだんだん改善してきておりまして、現在時点ではささいなことでも何かあればそれを調べて、それから欠陥が出たところで公表し、それもできるだけわかりやすいかっこうでというようなことをいたしてきておりまして、いわば原子炉の運転または建設に伴いまして、その当該地域にいろいろな意味のインパクトを与えるわけでございますけれども、そのインパクトの些少な部分につきましても、実績を積み上げまして、周辺の方々が、なるほど隣に原子炉があってもいいな、あるいはそれほど迷惑ではないな、というようなことを実感として理解していただくというようなための時間がまだかなり必要になるかと思いますし、なお今後ともそういう面で私ども非常に努力していかなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。 それからもう一つ、先ほど長官もおっしゃったのでございますけれども、実は四十九年から五十年にかけまして、あるいは五十一年にちょっとかかったのでございますけれども、運転している原子力発電所の稼働率が非常に下がって、たしか五〇%ぐらいになって、あるいはそれをちょっと切ったような時期が一面ちょっとございました。そのときには、実は日本の国内でも発見されたこともございますが、アメリカでも同様なタイプのものにつきまして、あっちこっちにいわば故障といいますか、これを放置すれば何か発展するかもしれないなというようなものを、定期検査その他チェックのときにいろいろ発見し、または故障でとまったというような時点で発見をしまして、その手直しをあっちこっちで大分やったわけでございます。そういった手直しは、実はその時点で必ずしも発電所をとめなくても、たとえば半年運転を計画していれば、半年間引き延ばしてやっても必ずしも問題はなかったかもしれませんけれども、やはりそういうことに気がつけばストップして、時間をかけ、人手をかけ、完全なものに戻していく努力をすべきだというような判断が当時もすでにあったわけでございまして、そんなことも部分的には絡む。それから同時に、先ほど長官もおっしゃいましたように、まだ原子炉というのは、運転を始めましてから必ずしも長い経験を持っているわけではございませんので、たとえば水力発電所等に比べますと、その技術の定着の仕方がまだ不十分な点がございます。これは何も危ないという意味ではございませんけれども、そういう点もあって、より一層慎重にしなければいけない。 そんなことで、実は私どもはより一層の安全を確保するというために、稼働率という経済的な面をかなり犠牲にした。現在でもそのポリシーを続けているわけでございますが、それが説明不十分のために、とまっているのだから危ないのではないかというような印象を一部の方には与えた面がございます。そういうこともなく、何らのトラブルもなく、稼働率も年間七〇、八〇というような状態で続けられ、しかも専門屋さんにながめてもらっても安全性の面でも問題がないというような技術の定着水準、定着化した技術になりますと、そういったおかしな誤解を与えずに、安全対策というものをもっと推進できるというようなことになろうかと思いますけれども、ちょっとそれまでの時間がかかりますので、いわばいまのところは稼働率を犠牲にしてもその安全性をより一層というようなことで、とまったからといってそれが危ないということではございませんで、その危ないものに発展しないようにそうしているということ、この辺も実は私ども説明不十分で、現在でもまだなお不十分なのかもしれませんが、そういった私どもの説明、あるいは専門屋さんに言っていただいても同じことでございますけれども、実は専門技術あるいは専門分野を一般の方々にそれも正しく理解していただくように翻訳する技術、この辺も含めまして、私ども今後とも努力しなければいけないと思っておる次第でございます。
○日野委員 いまの武田さんがおっしゃられたことですね。結局はいまだ——発電原子炉に限りましょう。この発電原子炉については十分なことはわかっていないのだ、未完成な技術なのだということを結局お認めになっておられるわけでしょう。簡明にお願いします。
○武田政府委員 技術の完成という言葉の意味合いみたいなものでございますけれども、たとえば私が先ほど申し上げました表現、あるいはちょっと誤解というか、説明不十分な点があったかもしれませんけれども、原子炉の技術であっても、あるいは戦前、明治時代からでございます火力発電所の技術でも、または石炭の技術でも、技術というのは日進月歩でございまして、たとえ現在使っております軽水型原子炉といえども、さらに進歩向上の余地があると私は思っております。その意味ではなお改善の余地が十分あるわけでございまして、だからこそ、軽水炉につきましてもたとえば安全性なり信頼性の研究、これは原研でやっていただいたり、ほかのところでやっていただいたり、あるいはメーカー自身がやっているという面もございますけれども、それがなお継続し、進行しているわけでございます。 ただ、それではこれから今後改善の余地のある、あるいは人間の知恵が進歩しますともっといいものを見つけるという余地のあるものは未完成の技術である、こう定義をいたしますと、現在日本の中で使っておりますありとあらゆる技術、これらはすべて未完成ということになってしまうわけであります。したがいまして、あるレベルまで技術が向上すれば、これは実用技術であると考えていいと思いますし、これは単に原子力に限りません。そういう考え方からいたしますと、現在の軽水炉技術は、十分実用段階に入って何年もたっているというふうに考えるわけでございます。
○日野委員 私は、何も言葉の定義についてのやりとりをしようとは思いませんけれども、ここでわれわれが銘記しておかなければならないこと、これは、基本的に原子力の開発というのは、われわれが未知の分野に一歩さらに踏み込んでいくことになるんだ、自然界に存在しなかったもの、それを地上に、いままでの通常の人間の生活の中で遭遇したことのないもの、それをわれわれの進路に新たに設置していくことになる、こういう認識をわれわれは常に持たなければならない。そして、このエネルギーの開発において、一歩誤ればこれは取り返しのつかないことになる、そういう認識を基本的に科学技術庁、通産省、お持ちでしょうか。
○宇野国務大臣 常に申しておりますが、核というものは本当にこわい物質である。しかしながら、それをいかに人類の英知によって、われわれの生活のために利用するかということも欠くことのできない問題である。常にそのことはうらはらになっておる、そういう気持ちで臨まなければならない。先ほど私が文珠、普賢、両菩薩の話をいたしましたのもそういう観点でございますから、いま日野委員が御指摘のとおりだとわれわれも認識いたしております。
○武田政府委員 先生御指摘のとおり、未知の分野への挑戦という意識は私も持っております。それで、そういうことがございますからこそ、ほかの分野にないような、たとえば計画段階で、あるいは設計段階またはそれを考える段階で、役所、官庁でも、たとえば設置許可という安全性の審査に非常に長い時間をかけ、かつ専門の方々にいろいろ御意見を伺ってやっておるというような手段を前々からとってきたわけでございます。それから昨年の原子力行政懇の御意見に基づき、行政体制といいますか、安全確保体制といいますか、そういうものも変えていこうというようなことをやりかけているわけでございます。ですから、基本的な意識といたしましては、まかり間違えば危険な状態が起こり得る、それも他のものに比べてなお一層というような分野に挑戦しているというような意識は、私どもとして持っておるわけでございます。
○日野委員 さっき武田さんの方からおっしゃられた、何かトラブルがあれば、それが重大なものか否かは別にして、炉をとめるというような措置はとっているんだという御説明ですが、これは私は、決して技術の進歩という側面もネグレクトするわけにいかないわけですけれども、それと同時に、常にこれは危険をあくまでも回避していくんだという観点からなされなければならないことであろうと思うのであります。そういう観点をもって炉をとめるというような措置をとられておるのだということを、ここでひとつ確認をしておきたいことが一つなんです。 それからもう一つ、原子炉については、これが余りにもわからないことが多過ぎるんだということの認識を、われわれはここで強く持たなければならないと思うんです。たとえば非常に強い放射能にさらされた場合、炉内の機材の品質がどういうふうに変わっていくか、また熱応力がどのような作用を果たすものか、そういったことについて、そこらの基礎的な研究も決して私は十分であろうとは思えないし、いろいろ原子炉について発生しているトラブル、それについても、科学的な原因がなかなかわからないということが余りにも多過ぎるのではないか。 こういうふうに考えますと、私は、原子炉というのはいまだ本当は実験段階なのだ、これを実用化するのは少し行き過ぎだと、実は考えているのであります。ここらになりますと、非常に基本的な問題になりますが、根本的にはわからないことが非常に多いという認識を持っておられるかどうか、これについて伺いたいと思います。
○武田政府委員 第一には、危険回避という観点からとめるという点からまずお答えさしていただきたいと思いますけれども、原子炉の設計、これは設置許可の段階でそのアウトラインあるいは性能等、いろいろ検討されるわけでございますけれども、基本的にはウラン燃料体そのものが危険なものであるという前提に立ちまして、三重、四重の防護をする。それから、こんなトラブルが起こったらこうするんだと。で、それを幾つかの組み合わせを考えるというようなことをいたしまして、結果としては発電所の内部には、実際上問題になるようなインパクトを与えない、こういうようなことを確保できるというような心証を得て、あるいはそういう確信をもってそれで許可が行われる。その許可の線に沿いまして、それが物として具体化されるように、実際のデザインが行われ、それから材料その他も手配が行われる。しかもなお、それもあるポイントごとにチェックする。チェックするというのは、電力会社が自分ではもちろんでございますけれども、国も行政機関も、いわばダブルチェックということになろうかと思いますが、そういうチェック、これはまあ検査と言ってみたり、いろいろな表現がございますが、そういうようなことで二重、三重にやっているわけでございます。 したがいまして、原子炉の中あるいは付属の設備等で、ある故障、トラブル、事故でもいいんですが、何か起こったと仮にいたしますと、これはそれが設置許可等々の段階におきまして、いろいろなことを頭の中で考えるわけでございますが、考えた評価の範囲内のものであれば、物によりましては必ずしもとめる必要もない、物によりましてはこれはストップした方がいい、こういう技術的な判断があるわけでございます。 ところで、その必ずしもとめる必要がないという場合につきましても、それをそのままたとえば半年、一年、放置したらどうなるだろうかという想定問答みたいなものをいたしまして、その結果として早期に処置した方がいい、あるいはある発電所でそういうことが起こったので、同じタイプである別の発電所もチェックした方がいい、こういう判断もあり得るわけでございます。 先ほど私が、何かの現象がたとえがアメリカで起こったとき、あるいは日本で起こったとき、ほかのものをひっくるめてそういうチェックをし、それで必要な手直しをした、そのために時間がかかった、あるいはその炉をとめたということを申し上げましたのは、そういう予防手段といいますか、現在手直しをするのと、しばらくほっておいて手直しをするのと、どっちがいいんだという、その判断も含めまして——もちろん、即時にとめなければいけないものは、当然とめるわけでございますが、そういうことも含めて原子炉をとめる、あるいは点検をするというようなことをしているということを申し上げたわけでございます。 それから第二の、わからないことが多過ぎる、ある意味では先生おっしゃるとおりだと思います。と申しますのは、原子力発電所を日本の中で運転始めましてから、軽水炉だけに限定いたしますと、四十五年でございますからまだ六、七年でございます。現在、十三基になりますけれども、延べ年数でいきましてもまだ百年にはなっておりません。もっとも、アメリカではすでに四千万キロワットくらいのが動いているかと思いますので、アメリカの年数を足しますと、千年を超すくらいにはなっているかと思います。千年間運転したらどうだろうということで、仮に評価いたしますと、かなりのことがわかっているわけでございますが、ありとあらゆる現象が科学的に解明されているかどうか、こういう点になりますと、たとえば材料の問題などというのは別に原子力に限りませんけれども、大昔から鉄材を使っておりますが、鉄材がある場所にある条件のもとで、温度をかけ、圧力をかけ、または風雨にさらしというようなことをやったときに、また化学薬品に浸したときに、一体本当にどうなるのかというのは、物によりますと推定の域を出ていない面がございます。したがいまして、そういう意味では、原子力発電所を構成するあらゆる機器、材料では、そういう未知の分野が現在でもあるというのが私の認識でございます。ただ、未知のものがありましても、いろいろないままでのほかの分野での使用経験、原子力自体での使用経験から、この程度の安全度をかければ、たとえば計算上一の強さでいいけれども、未知の部分があるので三倍にしておこうかということは、あらゆる分野でよくアプライしておることでございますが、原子力の分野はまたちょっと違った考え方といいますか、簡単に三倍にするとかそんなことではございませんけれども、そういうファクターを見ている要素は原子力発電所の中にたくさんございます。その部分で言えばまさにアンノーンなので、余分な資材をつぎ込んでいる、物量的な評価をいたしますとそういうことになろうかと思いますけれども、そういうあらゆる分野につきまして日本の中でもまたアメリカでもいろいろ勉強され、研究され、あるいは何かの現象で実証データといいますか、実験データといいますか、それが出てくるたびにその知見が追加されて、追加された限りにおいて改善されていく、こういうのが現在も繰り返されておるわけでございます。 しかし、そういうセーフティーファクターをかける、あるいはある余裕を持つということを考えて、それで、これならば結果として発電所周辺あるいは外部に何ら実質的な悪い影響を及ぼさないというようなことをいたしますのは、ありとあらゆるエンジニアリングに共通なことでございまして、ただし、それをわかりやすいかっこうで理解していただく、または理解していただけるようなかっこうで翻訳するというのがきわめてむずかしいことでございます。かつての失敗例でございますけれども、先ほど原子力発電所周辺には実質的に何ら実害を与えないようなことを確保しておる、こう申し上げましたけれども、非常に縮めて言いますと、絶対何も放射能が出ておりませんというような表現になります。そうするとこれはまたうそになってしまいまして、今度は逆にうそを拡大して引き戻しますと、毎日毎日放射能を含む物質を原子力発電所が外にどんどん出している、これもまたやや誇大な表現になってしまう。その辺の区切りが非常にむずかしいものでございますので、そこのところを私どもも勉強し、それでそういう問題も含めて周辺の住民の方々の理解と御協力を得るように努力していきたいと思います。
○日野委員 答弁はできるだけ簡明にお願いしたいのです。もっともっと聞きたいことがあるのです。非常に有意義なことをおっしゃっておられるのはわかるのですが、こっちも手持ち時間の制限があるものですから。 この安全性という問題を考える場合に、これは単に技術的な安全ということばかり言っていたのではどうにもならぬのだというふうに私は思うのです。実は私自身も、たとえば原子炉に携わった学者、技術者、この人たちが安全だと言ったって全然信用する気にならぬです。 たとえば、ちょっと古い例になりますが、「ぼりばあ丸」とか「かりふおるにあ丸」という船が、これは五万トン級のタンカーですけれども、相次いで沈没をしたというような事故があったわけです。これは、「ぼりばあ丸」が沈んだ、それについて直ちにそれの建造なんかに当たった技術者が検討を加えて、技術的な欠陥は何もなかった、こう発表していたら、その発表が出るか出ないうちにまた「かりふおるにあ丸」が同じように沈没してしまった、こういうふうな例なんかあるわけです。それから最近の例で言いますと、「むつ」問題ですが、「むつ」の問題について大山調査会が調査をして、そしてレポートを出された。しかし、地元の人たちなんかはだれもこれを信用も何もしないわけですね。しかし田島英三さんとか服部学さん、この人たちのレポートになると地元の方もある程度の納得をしてくる、こういうようなことが見られます。 安全性の問題を論ずる場合、絶対的に安全とか、絶対的に安全でないなどということは本当はないのだ。要は、これを受けとめる人間の側にあるのだと思うのですね、これを安全であると理解するか、安全でないと理解するか。つまり、納得の問題だと思うのです。 私は、「むつ」の問題が発生したときの大山レポート、それから田島、服部レポート、これなんかを対比して考えてみると、住民の側の意向、または住民の側の推薦に係る人たちの意向というのは、これは住民の側の納得という点からいうと非常に大きなウエートを占めるのではなかろうかというように思うのです。 さっき大臣は、公聴会なんかを活用するというお話をなさったのですが、現在行われている公聴会なんというのは、質問されるわけでもなければ、また場合によってはそれを非公開でやるとか、本当の公聴会としての機能を有しているんであろうかというようなことを私、若干の疑問を持つのです。この反対の住民運動の側の意向、意見、これを最大限度に取り入れるための方策を考えておられないかどうか。これはもう形式的な公聴会などというものではだめだと私は思います。そんなものではなくて、もう実質的にも反対住民の意向がくみ取られるような一つのメカニズムをおつくりになるつもりはなかろうか、この点について大臣に御意見を伺いたいと思います。
○山野政府委員 先生御指摘のように、実際に私どもが安全であると考えておりましても、これをいかにして一般の方々に理解していただくかという点は大変むずかしい問題でございまして、先ほどおっしゃいましたこの「むつ」の問題にいたしましても、ある立場の方は開発もある程度の段階には達しておるという評価をされ、また、ある立場の方々にはそういう評価をされないというふうに、各専門家によってもまた見解も異なるわけでございますので、こういう安全の問題といったふうなことはできるだけ立場の異なる方々に十分に論議を尽くしていただいて、たとえば従来懸案になっておりますシンポジウムといったふうな場を通じまして、場合によりましては一般の方々にも討議に参加願って十分論議を尽くし、その論議を通じてよくよく理解をしていただくといったふうなことも必要かと存じます。 また、先ほど来いろいろとこの安全性理論が論議をされておりますけれども、一応従来の基礎研究等を通じ、また安全の規制等を通じまして、私どもは安全は確立されておると考えておりますけれども、しかし、これをやはり一般の方々に理解をしていただくためには、たとえば安全性の実証試験といったふうなことを通じまして、実際に安全であるということを物理的、具体的に目の当たりに見ていただくといったふうな努力も必要かと存じますので、そういうふうな各般の努力をしながら理解を深めていただきたいというふうに考えております。
○日野委員 どうもいまの答弁でも気になるのです。安全性が確立されている、そんな言い方をするからいかぬのですよ。われわれは恐れを持ってやるんだ、常に何かの危険があればそれを取り除くための万全の努力をするのだという言い方がどうしてできないのですか。安全性が確立されているなんと言うから、それじゃこの間の美浜の事故はどうなんだ、こういうふうなことになってくるのですよ。 私は、少なくともこういう未知の分野をいっぱい含んでいる技術に挑戦する場合に、これを担っていく人のモラルというものは非常に重大であろうと思っているのです。たとえば美浜だってあのように事故隠しが行われた。新聞なんかによると、この美浜の関係者はどうも通産省に口どめをされているらしくて、なぜこの事故隠しをやったのか、なかなか口を割らないとかいうようなことを報道なんかで書いているものもあるくらいなんです。やはり常に恐れを持って前に進んでいきたいということがどうして言えないのか。どうしてこの安全性は確立されているという表現になるのか。私は、これは非常に疑問に思わざるを得ないのであります。 特に、この間の美浜の事故なんかを見てみますと、あれはひょっとすると大事故につながりかねない事故であります。しかも、そのような危険な事故が発生した、そうしてこの技術を担っていく者たちの間に安全性に対するモラルが見られない、こういう点について、私は総合的に見た安全性ということを言いますと、そのモラルの点まで含めて、これは安全性が確立されたどころか、まだまだ非常に危険だ、こういうふうに私は断ぜざるを得ないのですが、これについて、御意見どうですか。
○伊原政府委員 安全性の確立というのが何を意味するかということで若干の点から御答弁申し上げたいと思いますが、私どもが申し上げております安全性と申しますのは、原子力施設をつくって運転することによって周辺の公衆に影響を与えない、環境を汚さない、さらには従事者に放射線障害を与えない、そういうことを確立する、それが安全性が確立されたということを意味しておるということでございます。したがいまして、先生御指摘のように、非常な恐れを持って自戒してやっておりますために、その結果安全性が確立されておる、こういうことかと思うわけでございます。 なお美浜の問題につきましては、これは私どもとしてもはなはだ遺憾に存じております。先生御指摘のように、そのモラルという点からいたしましても、今後電気事業者としてこのようなことが再びあっては絶対いけないということで、厳に事業者の自粛を期待しておるわけでございます。
○日野委員 ここでちょっとお願いがあるのです。私の持ち時間は十二分までということで、大体いい時間なんですが、石野先生の時間を多少こっちに分けていただくということにして質問を続行させていただきたいと思います。
○山田委員長 はい、了解いたします。
○日野委員 いま私は、この安全性の問題について、単に技術の問題だけではないというふうに申し上げました。モラルの問題から国民の感情、納得の問題まで含めてこれは総合的に見なければならない。このような考え方は、単にこれは日本ばかりではないと思います。新聞紙上で報ぜられているところでありますが、西ドイツのフライブルグ行政裁判所は、原子炉の安全性についてはたとえ一千万分の一の確率の危険でも許されるべきではないとして、原子炉の設置許可を取り消す判決をしたということが報ぜられております。そしてそれに対する各新聞の論調なんかも報ぜられているところでありますけれども、エコノミスト誌なんかを見てみますと、これはもう少なくとも自由主義国家群と言われる中では、何も西ドイツばかりじゃなくて、もうすでにこのような風潮、いささかの危険に対しても住民の側はゆるがせにしない、また国家意思として、いささかの危険でもあれば、そのような原子炉の設置は認めないのだというような風潮がもう自由主義国家群にはずっと広く行き渡っているというような論調がございます。そしてワシントンポスト紙なんかでも指摘をしているようでありますけれども、この原子炉の事故なんかでの判断の誤りというものは途方もなく巨大なとがめを受けることになるものであるからということを理由に同様の見解を展開しているわけであります。 こういうような世界的な風潮、それから現在の稼働率が非常に低いこと、原子力エネルギーの開発のスケジュールがずっと各国ともおくれていること、こういうことを見ますと、わが国の場合も、やはりいささかの危険であってもこれをないがしろにしない、絶対に許さないのだという国家の意思、これがはっきり宣明されるべき時期ではなかろうかというふうに私は考えるのですが、この点についていかがでございましょうか。
○伊原政府委員 西ドイツのフライブルグの判決につきましては、先生御指摘のようなことがあったように向こうからの報道が参っておりますので、その詳細を目下調査中でございます。ただ、この裁判につきましては、わが国と西独との制度の違いもございましょうし、そもそもきわめて高度の技術的判断を行政裁判所という立場から行うということが適当かどうか、裁判になじむ問題であるかどうかというふうな問題も含めまして、これは非常に世界的に今後とも検討されるべきものであると考えております。 先生御指摘のように、この原子力技術というものは、これは用心をしなければ危険な性格を潜在的に持っておるというのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましても常にその点は自戒をいたしまして、いかなる技術に比べても最も安全である、こういうふうな技術にすべく日夜努力中でございます。
○日野委員 どうもいまの局長のお話を聞いても、やはり技術に対する信頼というのが非常にあるように私は思うのです。それは技術に対する信頼ということもこれはゆえなしとはしないわけでありますけれども、いま行政裁判所ごときがこのような技術について結論を下すのはけしからぬみたいな言い方をされるのですけれども、これは国家意思の表明として裁判というのは、これはもうある意味ではオールマイティーですからね。日本の裁判所がこれに同調しないという保証はどこにもないのですよ。ですから、裁判所ごときが何がわかるかとか素人が何かわかるかというような考え方は絶対にやめていただきたい。要は納得の問題なんですということを私はさっきから申し上げているのです。技術的にはこうだと、幾ら高等な数式を並べ立ててみる、そしていろいろな例を挙げてみる。しかし、納得しないものはあくまでも納得しないのです。特にわが国のような核に対して苦い経験を持っている民族というのは、技術が進み過ぎるときに、その怒りのようにそれを引き戻すという、技術の健全な発達ということから言えば、非常に重要な役割りをわが国が負担するということは、それなりに国際的に見て名誉ある立場をわれわれは保持することになるのではないかというふうにも私は思っているわけでありますから、ひとつ技術に対する絶対の信頼を置くとか、その開発を担当された技術者の言われることについて余りにも信頼を置き過ぎることのないように、それからやはりモラルの確立、いささかの危険でもあればこれはとめる、危険の防止のためにあらゆる努力を払う、こういう政府の姿勢、これをぜひともここでお約束をいただきたいと思います。できればこれは大臣からお願いしたいと思います。
○宇野国務大臣 御承知のとおり、発電用原子炉に関しましては、現在、規制法の適用除外になっておりますから、そうしたことがないように通産省が常に定検をやっていろいろと調べております。しかし、美浜のようなことがあった。これに対しましては、わが庁といたしましても放置するわけにはまいりませんから、したがいまして立入検査をし、今後も強化する。そしてしばらく運転をやめなさい。本来ならば、この初夏から、もうすでに故障は全部直りましたから運転したいという会社側の御意向でありましたが、やはりペナルティーという意味もありました。すでに法的にはそれはできないであろうけれども、行政的に一つのペナルティーを加えるということも、今後の原子力行政の安全性確立のために必要だというのが私の判断でございましたから、局長に命じまして、何か行政的にがっちりやれ、こういうふうなことで実は相当長期間にわたる運転をやめてもらうようにいたしたこともすでに御承知だろうと存じます。 したがいまして、安全に関しましては先ほどから申されますとおり、法的措置あるいはまた技術上の措置、そうした問題の安全もございましょうが、しかし、やはりモラルという面を無視してはならないとわれわれも考えております。したがいまして、先ほど局長が裁判との関係を申し上げましたが、非常にむずかしい問題だろうと私思うのであります。本当に原子力に対する理解の差というのは、世界におきましても、また世界の同じ国におきましても、同じアメリカ人でも、絶対だめだという人もあれば絶対大丈夫だという、すでに先進国においてすらそのような論文がお互いに発表され、またいろいろ議論を呼んでおるというところでございますから、私はそうしたことをも十分踏まえまして、安全を確保しながら、わが国の小資源国だという点からまいりますと、どういたしましてもすべての面で安全を期しながら、やはりその開発も進めていかなくちゃならない、そして将来のエネルギー事情に備えたい、こう思っておりますので、いまここで、せっかくの御趣旨は十分わかりますけれども、だといって、すぐにそういうふうな措置がいいか悪いか。もう私は常に言うのですが、設置のときに十分この点も審査させ、建設のとき、運転管理のとき、従事者の問題、環境の問題、廃棄物の処理、こういう難題いっぱいの中で安全というものは確立されなくてはならぬと厳しく言っておりますので、その点も御理解賜りたいと存じます。
○日野委員 原子力の問題についてかなり長くなってしまいましたので、この程度で終わります。 エネルギー問題としては、省エネルギーということが非常に重大な問題になってこようかと思います、何しろエネルギーが非常に乏しいわけでありますから。この省エネルギーの問題について、これは総合エネルギー調査会の答申によりますと、省エネルギーというのは、国民運動的な規模で省エネルギーのための政策が推進されなければならないというようなことの指摘がございます。私は、これは非常に正しい指摘であるというふうに思っているわけでありますが、この答申を受けて現在通産省で進めておられる省エネルギーの政策、幾つかありましょうけれども、どうも私が見ていてまだ手ぬるいという感じが非常にするのであります。たとえば国会を見ても、暖房をこんなに熱くする必要がなぜあるのだというふうに私は思うのです、一例として。 省エネルギーということについての国民的な広がりを持った政策が進められなければならない。そのために国民のコンセンサスといいますか、幅広い同意を得た政策が進められなければならない。現在の目玉になるようなものはどんなことをやっておられるか、これからどういうふうにやられるか、これをちょっと……。
○武田政府委員 省エネルギーが大切だということは、全く先生御指摘のとおりでございます。国民運動的というような面と兼ね合わせて考えますと、内閣に資源とエネルギーを大切にする運動本部というのが前々から設置されておりまして、そこが中心にやっておりますが、一方、先ほど総合エネルギー調査会でまた見直しを始めているということを申し上げましたけれども、その中に省エネルギー部会というのをつくりまして、もう少し省エネルギーについて全般的なレビューをしたい、こういうようなことをいま考えておるところでございます。 最後に、目玉商品的なものというお話があったのでございますが、実はこれから十年先ぐらいまでの間に、このままでいけば伸びるだろうというエネルギー需要に比べまして、一〇%近く省エネルギーで需要を減らそうというような目標が昭和五十年すでに立っていたわけでございますが、これは産業面、民生面等々でいろいろな意味の節約と合理的に利用する、中には設備を入れかえまして、もう少しエネルギー消費量を少なくしていくというようなものがたくさん項目が入ってございます。ところで、まことに残念なことは、たとえば原子力とかLNGのように一つのテーマでエネルギー消費の一割くらい、十年先を想定しておるわけでございますが、それと省エネルギーがトータルで同じでございます。しかし、省エネルギーの項目を一つずつに分けますと、実は非常に小さなものになってしまいます。先ほど先生がこの部屋の明かり、暖房というような話をなさいましたけれども、たとえばそういうものも実は現在官庁では石油ショック以来の節約運動がそのまま続いてはおりますけれども、この項目を一つつかまえまして何%になるのだというふうなことをいたしますと、〇・一とかそんなことになってしまいまして、実はいろいろなことを一生懸命やるということも目玉でございまして、一項目としてそういうものを探すのはなかなかむずかしいというのが現状でございます。 したがいまして、先生がおっしゃいましたように、国民運動的な、みんなが協力してやるというようなことをやっていただく、あるいはやっていただくようなムードをつくり上げ実行に移すというのが一番大切なことであろうかと思います。
○日野委員 どうも時間がなくなってしまって、もっといろいろ伺いたいことは数々あったのですが、これで質問をやめたいと思います。しかし、エネルギー問題というのはやはり非常に重要な問題でありますから、また後の機会にきょうの質問の続きをさせていただくということで、きょうはわざわざおいでいただいてさっぱり伺わない方も出てしまったわけでありますが、その方々にはおわびしながら、私の質問を終わりたいと思います。
○山田委員長 次に、石野久男君。
○石野委員 大臣に伺います。 昭和四十九年の十月十四日に「むつ」問題で合意書ができた。この四者協定のぎりぎりの期限がきょうなんですよね。この協定に対して、各協定当事者に、現実には原子力船「むつ」は動かないでおりますけれども、どういう処置をしておりますか。その点簡単にひとつ。
○宇野国務大臣 はなはだ残念なことでありますが、本日のリミットを守ることができないということでございます。事情はいろいろあります。しかしながら、まあそれはまた後ほど申し上げるといたしまして、とりあえず青森県に対しましては、さようなことでございますので、一昨日でありますが、次官を派遣いたしまして、知事、市長並びに漁連の会長、三者に衷心よりおわびを申し上げた。そして片一方、長崎に対しましては、知事さん並びに、きのうも議長お越しでございましたから、せっかく研究委員会の答申も出たことであるので、恐らくそれを踏まえて御判断なさるであろうと思うが、できるだけ早い機会にひとつ御決断のほどをお願いしたい、それに対して政府は機敏に反応いたしたいと思うので、それがせめてもの青森に対するわれわれといたしましての、言うならばエクスキューズでありまして、もちろん青森の方々に対しましては、それまで政府の努力が実らなかったということにつきましては、私も重々おわびを申し上げておる次第であります。
○石野委員 長崎の諸君にあるいは佐世保の市長にいろいろなことを申し入れをしたり頼んだりすることはそれでいい。また別な政府の行動ですけれども、青森あるいはむつ市長、青森の漁連、そういう当事者の各位に対しては陳謝をして、どうするということについての裏づけなり約束事をしておられますか。
○宇野国務大臣 とりあえず原子力船事業団が入港届を出すという手続が第一番目にくる話でございます。しかしまだ、佐世保はああやって結論を出していただきましたが、正式回答はありません。恐らく佐世保市長におきましても、長崎の知事と十二分に意見を調整して出そうという腹ではなかろうかと思っておりますから、いずれにいたしましても正式回答を速やかにちょうだいして、直ちに、おくればせではあるけれども、六十日以前に出さなければならない入港届を事業団に出さしめます、これをひとつ御了解賜りたい。具体的と申し上げればその程度のことでありまして、もちろんわれわれといたしましても、四月十四日を守り切れなかったという責任につきましては、また別の問題として地元の方々にも十二分に御了解を賜らなくてはならないのじゃないか、こういうように存じております。
○石野委員 長官が事業団に対して六十日前の出港届あるいは入港許可の申し入れというようなものを出さしめますというその日限はいつというふうに約束されたのですか。
○宇野国務大臣 長崎の知事が決断をされて、佐世保市長と恐らく合議をされると思いますから、その合議が成立したときが私は出す一番よいチャンスだと思いますが、しかし、青森のことを考えますと、私の推測ではなはだ申しわけないのですが、たとえば双方ともに、まあ入ってくることは認めよう、条件は別だ、入ってくることは認めようというふうなことが双方の御意見ならば、もちろんその地元の許可を得ないことには、勝手に出すということはちょっと僭越なような感じがいたしますから、できるだけ早く、青森に対する約束はもうおくれてしまったが、一日でも取り返す意味において早く出したいという気持ちは双方に私は伝えておりますので、いつ出すということは、相手があることでございますので、まだ申し上げられませんが、昨日私は、具体的には県会議長がお越しでありまして、県会議長も十二分にその知事の意を体して来ておられましたから、ひとつ県会を極力早く開いていただきたい、そしてそこで、済みませんが結論を早く出してくださいということをお願いいたしておりますので、したがいまして、そうした時期を選んで一日も早く入港届を出したいということであります。
○石野委員 合意協定書に対する政府の態度というのは、長崎だとかあるいは佐世保だとかという問題は二次的なものなので、一義的には青森県漁業協同組合連合会理事に対して、あるいはまた知事に対して、むつの市長に対してですが、この三者は、向こうがそういう状態であるということはよくわかりますから、ではその時日は長官の言うように早いことを期待します、こういうことで了解を取りつけているのですか。そしてまた、現状から見ると、それはあす決まるかもしらぬけれども、また一年延びるかもしれないし、場合によってはもっと延びるかもしれないという問題について、この合意書をつくった当事者は何も条件はつけてないのですか。どうなんですか。
○宇野国務大臣 いま私が申したようなことを次官が一昨日三者にお伝えしたわけであります。したがいまして、それに対しましてはオーケーともあるいはわかったともいう返事はない、一応政府の立場を説明したにすぎない、こういうふうに御理解賜りたいと思います。
○石野委員 恐らくこれはまだ簡単に解決する状態にならないだろうと思うのです。私は本当に三十分しか時間がありませんが、こういう四者協定などというようなもの、しかもこの当時は、非常に疑問に思われることは、政府代表として自民党の総務会長がそこへ出ていってこういうものを取りつけをした、その代償は国民の税金十三億七千八百万円というものなんですよ。この取り決めの経緯の中にも問題が一つあったのです。合意書自身がこういうふうにして日限を守れないということになると、これは自民党の責任なのか政府の責任なのか知りませんけれども、これだけ公然と国民の前で協定したものが守れないというようなことについての不信感、これからこういうものに対しては国民は絶対に信頼を置かないということのあかしになったと思うのですよ。 長官はあるいは政府は、こういうような合意書に対してどのような意識を持たれておるのか、責任を持たれておるのかということについてのこの際見解だけを明確にしてもらいたい。
○宇野国務大臣 当時、鈴木善幸先生は総務会長でございましたが、一応政府代表ということで四者会談に臨まれております。したがいまして、自来政府もかわったかもしれませんが、政府にはいやしくも自由民主党である限り継続性がございますから、私はやはりこれは政府が責任を痛感すべきであると考えております。
○石野委員 この船を近いうちに出港させ、どこかへ入港させなければいけない。いまこの船についての監督官庁、責任官庁というのはどこなんですか。
○山野政府委員 運輸省と科学技術庁でございます。
○石野委員 運輸省と科学技術庁が分担で、船は運輸省、炉は科学技術庁、こういうことですか。
○山野政府委員 原子力船「むつ」の船体と炉とを区分しまして両省庁が監督を分担するということではございませんで、日本原子力船開発事業団というものを両省庁が共同で監督しておるということでございます。
○石野委員 どこかの港へこれを入れるということになりましたときのその運航の責任、あるいは入港させるための自治体なり市町村に対するそれの責任官庁というのはどちらになるのでしょうか。
○山野政府委員 おのおの両省庁の所管いたします法規に従いまして各種の手続があるわけでございますが、たとえば先ほど大臣から申し上げました入港届といったふうなものは、原子炉等規制法に基づきまして内閣総理大臣に事業団の方から申請がございます。また、船舶安全法上の扱い等につきましては、運輸省の方で所管しておられるといったようなことになろうかと思います。
○石野委員 その場合は、もう科学技術庁は関係ないのですね。
○山野政府委員 船舶安全法等の運用につきましては関係ございません。
○石野委員 論議はいろいろありますけれども、大臣は、長崎やあるいは佐世保の知事または市長が近いうちに受けてくれるだろうという、その自信を持たれる、信憑性を裏づけるものは何があるのですか。
○宇野国務大臣 修理港を昨年二月にお願いしたわけですから、やはり私の気持ちといたしましては、政府の気持ちをくんでいただきまして受けていただくことを期待する、その期待を持ちながらいま最終段階を迎えている、こう思っているわけであります。
○石野委員 先般国鉄が新幹線の問題で長崎線についての調査をやるというようなことを決めたことが地元民を納得させる材料であるというようなことが巷間伝えられておる。私はこの問題についていま時間がありませんから論じませんけれども、言うならこれは札束でほっぺたをたたくのと同じような変わった形なんですよ。国鉄の赤字経営の状態から見て、長崎線にいま一つの事を起こすということの何の理由があるのだ。もちろん地元民のことを考えなければいかぬが、経営の上から言えばそんなことをここで考えるとは非常識きわまると思われるような面があるわけです。私は、地元民に交通運輸をよくするということは別に否定はしませんよ。だけれども、国鉄運営という立場からすると、そういうことはどう考えたって理解に苦しむようなやり方ですね。それをこの「むつ」問題と絡み合わせるというようなところに問題があると思うのです。非常に不明朗です。しかし、私はこういうような不明朗なものを伴いながら解決をしようとしても恐らく解決できにくいだろうというように思っておりまするので、やはりもっと明朗な形で問題の処理をするようにしてもらわないといけない、こう思うのです。特に青森の知事あるいはむつの市長あるいは漁連の諸君は、そんなに長い時間これを待つことはなかろうと思いますから、事は非常に複雑で混乱状態を生ずるような事態が出てくるだろうと思うので、やはりもっと明確な方針というものを出さないといけないのではないかと思います。 私は、時間がありませんから他日また論じますが、きょうの新聞によりますと、スペインではアメリカに対していわゆる原子炉のいろんな作業の契約打ち切りというようなことをしているようだし、あるいはイランでもそういうようなことが行われているようですが、大臣はこれに対してどういう所見を持たれておるか、そしてまた、日本が同じような立場に置かれておることについての対策、いま佐々木さんや何かがまた行かれるようですけれども、私は政府と考え方に若干の違いを持っておりますけれども、この問題の解決についてどういう確信と自信をお持ちになられておるのか、この際聞かせてもらいたい。
○宇野国務大臣 イラン、スペイン等々NPTに参加しておる国ならば、今回の米国の国内政策、カーター大統領はこれを外国に押しつけないとは言っておりますが、もしそれが外国の路線になるとするのならば、明らかにNPTに盛り込まれておるところの平和利用に支障を来すことになるので、反発するのは当然だろうと思います。日本といたしましては、やはり条約に参加をいたしました締約国として、一番そのことをアメリカに対して申し述べておるわけでございます。したがいまして、やはり国際的な問題としてわれわれはこの問題を論じていきたいと思いますが、しかし、カーター大統領が言っていらっしゃる核の不拡散という問題に関しては、やはり日本といたしましてはこれは双手を挙げて賛成すべきである、だからその不拡散と平和利用が共立できるようにわれわれは主張していきたい、かように存じております。 ただ、欧州と日本と違うのは、日米間におきまして今日ただいま原子力協定が結ばれているということであり、その協定に基づけば、米国から受領した核燃料の再処理についてはお互いにその保障措置を共同決定しようということがございますので、これが一番大きないわばわが国のハンディとなっております。しかしながら、われわれといたしましては、従来から申し述べてまいりましたようなことを主張しながら、現在米国にわが国の立場を十分理解してもらって速やかにこの共同決定をなしたい、そのためには、グローバルな会議あるいはマルチラテラルによるところの会議も必要でございましょうけれども、二国間の外交というものの推進も、これは絶対にわが国としては無視できない、そういう立場で臨みたいと存じます。 先般のカーター大統領の政策発表後の記者会見によれば、カーター大統領もこの点は十二分に理解を示しておるのではないかと思いますが、しかし、やはり向こうにもいろいろと意見を持っておられる方がおられますので、特に日米間においては原子力協定、これがあるんだぞ、それを言う人もおります。非常にエンファサイズしておるという人もおりますから、そこら辺のことを十二分にわれわれも考えまして、やはり日米親善という基本路線にひびが入らないようにわれわれとしては自分たちの主張を貫いていく、こういう決意でございます。
○石野委員 日米親善にひびが入らないようにいろんな処置をするということの意味は、スペインやイランのように米原発を締め出すようなことはやりません、こういうふうに理解していいわけですか。
○宇野国務大臣 現在といたしましては、もう天然ウラン並びに濃縮ウラン、この両面におきまして、はっきり申し上げまして、われわれ首の根っこを押さえられておるような関係にあります。したがいまして、そういう強硬手段というものがいいか悪いかということは、また別の問題でございましょう。しかし、今後はやはりわが国の燃料問題は安全保障につながる問題ですから、私はいろんな面におきまして多角的な外交を進めることは必要だ、こういうふうに存じておりますが、現在ある協定、これはやはり国際信義の上で守らなくちゃなりません。われわれもその協定を守るから米国もひとつNPTの四条を守りなさい、こういうことをいまわれわれとしても主張いたしておるところであります。
○石野委員 ほかにもいろいろありますけれども……。 先日、私は大洗の原研を訪ねました。美浜のいわゆる破損燃料のホットラボにおけるところの実験結果のことでいろいろお話を聞きました。通産省から報告書をもらっておるのです。それにいろいろ写真などもいただいておりますが、これだけでは見にくいので、向こうでいろいろ写真なども見せていただきました。きょうは通産の武田さんにお願いしておきますけれども、きょうは時間がありませんから資料要求だけをしたいのです。 原研大洗で私は写真を百数十枚見せてもらいました。非常に鮮明に撮れている写真でございました。原研でそれをもらおうと思いましたら、ネガは全部関西電力にやっているそうですから、関西電力からあの写真を全部いただきたい、資料として出してもらいたい。これをひとつお願いしますから、そのように関西電力に手配してもらいたい。
○武田政府委員 関西電力が持っているようでございますので、先生のお話を取り次ぎまして、関西電力に話すようにいたします。
○石野委員 関西電力の問題については、参考人のこともありまして、きょうは資料要求だけにさせてもらいます。 私は、先週島根の発電所へ参りまして、いわゆる戻りノズルの修復作業といいますか、そういうものを見ようと思って参りました。きょうは本当を言うと通産の技術顧問会の方にも出てもらいたかったのですけれども、参考人として呼ばなければいかぬというので手続上うまくいきませんでしたから、またこの次にさせてもらいますが、ただ一言聞いておきたいことがあるのです。 あそこでノズルの作業、いわゆるひび割れの作業をやられて、実はその現場を私は見せてもらおうと思いましたら、その前日に通産省から指示があって、ノズルの切削作業は二十五ミリまでの削り取りはよろしい、実際にはそこまでいかなかったが、ステンレススチールとカーボンスチールのそれぞれについて切削を行って、ステンレスは全部切り開いて、カーボンスチールは十三ミリメートルのところまで切削して、大体所期の目的を達成したそうです。それはそれでよろしいから次の作業に移りなさいというようなことで、全部作業台をとっちゃって、その前日に水を張っちゃって今度は上の方の作業をしておりまして、私は実はそこを見ることができなかったのです。 そのときに、実は会社の方からの話によりますと、もうこの切削したところは、ステンレススチールあるいはカーボンスチールのところは埋めるのかと聞いたら、埋めなくてもこのままやっていきます。それでよろしいという指示をいただいているそうですか、そのようなふうに指示をしておるのですか。
○武田政府委員 島根の制御棒駆動水戻りノズルのひび割れの問題でございますけれども、中国電力の方から、こういう削っていいかという話が参りまして、それで私どもの方で、顧問会の先生方にも御相談し、いろいろなやり方があるわけでございますけれども、一般に、ひび割れ等がございますと、それを削ってとってしまう、これが一つ、もっとも後を仕上げするわけでございますが。それから削ってまた肉盛りする、あるいは肉盛りしてつぶしてしまうというようないろいろなやり方がございますけれども、この場合には削り取るのがいいだろうというようなことで、そういうことをしていいといういわば承認でございますか、これを中国電力に与えております。
○石野委員 それで、中国電力では、これはそのまま削りっ放しでよろしいという指示をいただいておりますということが一つございました。そして同時に、そのノズルに対するパイプはもうとめてしまって使わない、それでよろしい、こういう指示もいただいておるということでございましたが、そういう指示をしておりますか。
○武田政府委員 先生のお話しのとおりでございます。ただ、指示というのが、こういうことでいいかというので、いいという話でございますから、言葉がちょっと微妙には違っております。 いま、私ども、顧問の先生方にも御相談し、私どももそれでいいと思っておるのでございますけれども、制御棒駆動水戻りノズルのひび割れの原因が、ちょうど冷たい水が温かい中に入っていく、そういう温度の差があるものでございますから、その辺が原因だ、そうすると、それを除去しなければいけない。原因を除去するような対策として何がいいかということでございますが、一つは、もとに復申して、そこを通して水を戻すという考え方もございますけれども、それよりも、どうもそこに水を戻さずに、別のところに水を戻してやる、それで、そういうやり方をいたしますと、その温度の差という問題がなくなります。 一方、それじゃどこに戻すのかという別途の問題が出てきまして、戻し方につきましては二通りぐらい案がございまして、これはどれがいいか検討中でございます。その検討が済みますとその先の処置がはっきりいたしますが、二通りぐらいのどちらをとりましても、そこに水を戻さないかっこうで、バルブでとめるのか、あるいは埋めてしまうのか、ちょっと私、まだそこまで聞いておりませんけれども、要するに戻さないということでいいという判断をいたしております。したがいまして、ノズルの部分を削り取ることはもちろん必要でございますが、削り取った後また埋め戻すとか、あるいは別の措置をするとかいうことは必要がない、そういう判断をし、そういう了解を中国電力に対して与えております。
○石野委員 これは安全審査上の問題としても非常に問題があるように私たちは思っておるのです、実際問題言いますと。現場では、あるいはまた通産の意見を言いますと、これは工事認可であるから安全審査にはかかわりがないというような御意見でございますけれども、きょうは時間がございませんので多くを申しませんが、この問題は非常に重要な問題を含んでおると思うのです。やはり私たちの検討したところでは、炉体、いわゆる炉心の中にこういう本体にひび割れがあって、しかも、削り取って、もう削りっ放しでよろしいというようなことを言われたときに、こういうことはどうなんだろうなという意見があるのです。 それは、削りっ放しのところで、とにかくステンレススチールとカーボンスチールとが露出するわけですね。そうすると、その露出したときに、そこでは必ず電池効果が出てくるだろう。その電池効果が出たときには必ず先に鉄が溶ける情勢が出てくるのじゃないかという疑問を持っている。そういう問題について安全審査委員会はどういうような審議をしているのかということに疑問を持っておる、顧問会はどういうような結論を出したのかというような疑問を持っております。そういうことが、安全審査をするときには、炉の表面は全部ステンレススチールでずっとカバーされているということが前提になって安全審査は行われているのに、そういう違った状況が出ていることについて、安全審査委員会も経ずしてこういう指示を与えているということについて、安全に対する通産の考え方は実にずさんじゃないかというようにも思われるのです。 同じようなことが原研のJPDRであった。JPDRであったときには、こういう削り取りをしましたけれども、原研はそれを全部もとどおりに戻して溶接をし、ステンレススチールを表面にするというようなことをやっておる。こういうようなことは非常に不安だという感じを持ちます。通産のこのやり方はきわめて拙速主義であり、現場で中電がそういうふうに言った、あるいはこの工作をやった日立製作所がそう言ったのかどうか知りませんけれども、そのことを通産がうのみにして、それでよろしいというようなことを出していることについて非常な疑義があります。こういう問題は炉本体にかかわる問題であり、しかも炉本体にこういうひび割れがきているという問題を、ただ工事認可という形で処置するということは、非常に安全性に対する軽率な扱いじゃないかということ。 それからもう一つは、ノズルから戻り水が入るということは、やはり炉内の圧力関係に対して一定の効果を持っておったと思う。それをどういうふうに処置するかということを見ないままに、ノズルはもう、パイプはとめてもよろしいという結論を出しておることにも、その安全性に対する考え方の非常に軽率といいますか無視した通産省の態度があらわれているというふうに思われます。 なお、科学技術庁は先般の技術顧問会において、削り取ってもよろしいというところまでの論議は聞いているようでございますけれども、それはもう使わないとかあるいは削りっぱなしでよろしいとかというようなところまで論議が進んでいないやに聞いておりまするけれども、顧問会のときにはそういうような結論をもう出しておったかどうか、そういう問題を簡単にお答えください。あとはまたこの次の機会にさせていただきます。
○武田政府委員 顧問の先生方に御相談した上での結論は、まず削り取っていい、それから不使用にする、こういうことでございまして、それではどこに戻すかというのは、先ほど申し上げましたようにこれから後の問題でございます。 なお科技庁との関係につきましては、私ども常時科技庁スタッフと連絡をとるようにいたしておりまして、顧問会の席に一緒に出ていただくケースもございますし、あるいはそうでないときにすぐ御連絡するというケースもございますので、全く同様のことを科技庁にもインフォメーションとして事務的には御連絡しております。
○石野委員 もう時間がありませんですが、ただノズルのところにこうしたひび割れが出たということについて、それは熱反応ということだけではなくて、むしろ応力腐食の種がまかれて、それに熱作用が加わってこういうひび割れがきているのではないかという疑問を持っている考え方もあるわけです。しかも、これは戻りノズルだけでなしに吸水ノズルの方にも同じような状態が出ておりまするので、こういうふうな問題についても疑問点の論議をしたいのですが、きょうは時間がありませんから、私はこれは他日、顧問会の先生方にも出ていただいて、このことについての所見を承りたいと思っております。 きょうは時間がありませんから、委員長そのことを含んでいただいて、私の質問を終わります。
○山田委員長 了解いたしました。 これにて石野久男君の質疑は終了いたしました。 午後三時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ————◇————— 午後三時五分開議
○山田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 原子力船「むつ」に関する問題調査のため、本日、日本原子力船開発事業団理事長島居辰次郎君及び同専務理事倉本昌昭君をそれぞれ参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。 —————————————
○山田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。古寺宏君。
○古寺委員 最初に長官にお願いしたいのは、時間が非常に短うございますので、答弁はわかりやすく簡単にお願いしたいと思います。 きょうは、御承知のように四月の十四日でございます。原子力船「むつ」につきましては、御承知のように四者協定がございまして、六ヵ月以内に新しい母港を決める、そして、きょうがいわゆる撤去の最終の期限のめどとしての日になっておるわけでございますが、それらの約束がすべてほごになって、きょう現在原子力船「むつ」はまだむつに居座っているわけでございます。長崎県の久保知事は、新幹線の見返り並びに燃料棒の抜き取り、この二つの問題で政府から回答が出れば、長崎県の方としての回答も出るというふうに承っておりますが、四者協定をほごにした今日、一体いつ「むつ」が新しい修理港、母港に向かって出発をするのか、その点について長官からお答えを願いたいと思います。
○宇野国務大臣 本日、リミットをとうとう守り切れなかったということに関しましては、政府としてもその責任を痛感いたしております。 いろいろ原因はございますが、しかし、一つの原因は、やはり入り口である長崎の御回答をお待ちしないことには、こちらからそう簡単に、政府がこう決めましたから、このとおりやりますからというわけにはまいりません。したがいまして、今日まで佐世保並びに長崎県御当局に対していろいろとお願いをしてまいりまして、佐世保は一応回答が出ましたが、しかし、回答はまだいただいておらないわけであります。さらに、長崎県におきましても、知事が上京されましたからいろいろお話しいたしておりますが、いま仰せの新幹線に関しましては、知事は一言も見返りとして私に要求したことはございません。ただ、宇野長官が閣内におられるから、ひとつ閣内においても御協力を賜りたい、そういう陳情をいたしますということで、私も一言も見返りとしてこれを受けとめておりませんし、また見返りとして受けとめるべきでない、かように存じておる次第でございます。 なお、もう一点の燃料棒を抜いてくることを条件としたという段階ではまだございませんので、知事の諮問機関がそういうことを一票違いで多数で回答なさったという段階で、知事がそれをどのようにお扱いになるか、議会がそれをどのように取り扱うかということは、今後の問題でございます。だから、私といたしましては速やかにひとつお願いしたい。 四月十四日、青森に大変御迷惑をおかけしておるのだから、ぜひともこの点私としても守りたかったのであるという意味で、青森県には次官を派遣いたしまして、三者の方々に丁重におわびをいたしました。もちろん、私たちは了解したとはおっしゃいませんが、しかし、われわれといたしましてもその点をおわび申し上げ、なおかつ、長崎に対しましては、知事にも会いましたし、昨日は議長も来ていただきましたので、議長にも、できるだけ近い機会に、できたら今月中にでも議会を開いていただけないだろうかということをお願い申し上げたような次第でございます。 したがいまして、いつまで待たすのかという青森の声に対しましても、長崎の知事の回答をお待ちしておる、こういう段階で、知事並びに市長が一緒に回答しましょうということも言っていてくれますので、そこら辺を待ちまして、回答が出たときに、私どもといたしましては、ここに理事長もお越しですが事業団が入港届を出す、こういうふうな手続を早くしたいのであります。それは正式の回答が出たときがいいのか、あるいは両者が一致した回答を持って来られたときがいいのか、これはまた長崎と十分話し合いたいと思うのでございますが、とにもかくにも入港届を一日も早く出すということがせめてもの青森の三者に対する私たちの今回におけるところの一つの方法である、こういうふうに考えておりますので、ひとつ御理解をお願いいたします。
○古寺委員 けさのテレビによりますと、長崎県の久保知事は、新幹線着工のめどがつけばという条件をテレビの放送で流しております。それが第一点でございます。したがいまして、新幹線の見返りはない、このように長官はおっしゃいますが、長崎県とはそういう新幹線の見返りについていままでお話をしてきたのであろうというふうに私は考えております。 そこで、もう一つの燃料棒の抜き取りの問題でございますが、一昨日、久良知事務次官が政府の代表として青森に参っております。その際に、非公式ではありますが、定係港むつで何とか燃料棒を抜かしてもらえぬだろうか、こういうような発言をしております。したがいまして、長崎新幹線の着工のめどがつき、そして燃料棒の抜き取りを政府が了承すれば初めてこれは長崎県側が引き受けるわけでございますが、その際に燃料棒を政府としてはむつで抜くということをお考えになっているのかどうか、その点を簡単にひとつお答え願いたいと思います。
○宇野国務大臣 何度も繰り返しておりますが、最終的には長崎県知事の御回答をもって私が決断すべきことではないだろうか、こう思いますが、まだそのような話を承っておりません。しかも、佐世保におきましてはいまのままでよいという決定をなさっている、これまた回答を承っておりません。そうした事情がございますから、いまここで燃料棒を抜くことを決意して、抜く場合はこうだと、たとえそれが仮定の問題でございましても私の口からは申し上げられないということをひとつ御理解賜りたいと思います。
○古寺委員 長崎県があるいは佐世保市が燃料棒を抜き取ってからならば引き受ける、こういうようなお話になった場合はどうしますか。
○宇野国務大臣 今日まで議会で申し上げておりますることは、どのような回答が寄せられるかは別といたしまして、やはり知事、市長というお方は地元を代表されるお方でございますから、この方々の決定につきましては私は尊重いたします、こういうふうに申しておるわけで、まだそれを想定してお答えするという段階ではない、こういうふうに御了解賜りたいと思います。
○古寺委員 そこで、事業団の理事長さんにお尋ねをいたします。 昭和四十九年の十一月の二十二日に事業団の方から青森県に対しまして、「原子力規制法に基づいて四十九年十月十四日に原子炉設置許可申請の変更を行いました。したがって、クレーンあるいは使用済み燃料交換用のキャスク、使用済み燃料貯蔵地の施設、設備は燃料取り扱いのために使用することは法律違反となりますので、当事業団としましては使用することはできません。」こういう文書を青森県の方に事業団の方から通知をいたしておりますが、御承知でございましょうか。
○島居参考人 私はおととしの四月から引き受けたのでございまして、いまのお話はまだ承っておりませんので、調べてまた後から回答させていただきたいと思います。
○古寺委員 しかし、少なくとも原子炉規制法に基づいて事業団がキャスクを移動したりあるいはプールの埋め立てをやったわけでございますので、当然そういうような手続はおとりになっておりますね、お答え願います。
○島居参考人 御存じのようにかぎは県知事の方へお預けしておりますし、そのとき四者協定において締結されましたいろいろな義務はすべてそういうふうに果たしておると思います。
○古寺委員 長官、ただいま事業団の方では途中でおいでになったのでよく事情がわかっていないというようなお話でございますが、当然この四者協定の後で原子炉規制法に基づきまして変更の許可を受けているわけでございます。したがって、それに基づいて事業団としては今後むつにおいては核燃料体の抜き取りは一切できないんですよ、もしそれをやった場合には法律違反になりますよ、こういう文書を青森県側に対して渡しているわけでございます。そういう事実がある限り青森県のむつで燃料棒を抜くということは法律違反になり、四者協定を破ることになるわけです。 したがって、これはもういままで六ヵ月以内という約束も守らない、四月十四日の期限もほごにした。そして、なおかつそういう事実があるにもかかわらずそういうことを一言もおっしゃらないで、長崎県の方でもしも燃料棒をむつで抜いてもらいたいというようなお話が出れば、その長崎県の御意思を尊重して政府としては考えたい、こういうことをおっしゃっていらっしゃる。佐世保市が修理港として引き受けるかどうかという時点においてもすでにこういうことは科学技術庁としては御承知のはずなんです。なぜこういうことをはっきり明言をして、そして燃料棒はむつでは抜き取ることはできないのであるということをおっしゃらないのか。そして、こういう事実を知っていながら、久良知事務次官が青森においでになったときに、非公式ではあるにしても、なぜ燃料棒を抜かしてもらいたいということをおっしゃったのか、その点について長官からお答え願います。
○伊原政府委員 先生御指摘のとおり、昭和四十九年十月三十一日付をもちまして原子炉等規制法上の原子炉設置許可の変更につきましての許可が行われております。その結果、現在むつには燃料交換設備は設置されておりません。したがいまして、これは仮定の議論でございますが、もし燃料交換を行うとすれば改めて原子炉等規制法に基づく設置の許可の変更の申請をお出しいただく、その変更申請に基づきまして変更の許可が得られますればその燃料交換の作業というものが行われ得るという法律上の手続になるわけでございます。
○古寺委員 ただいまの御答弁を承っておりますと、法律的な手続をしさえすればむつで燃料棒は抜けるのですよというあなたの御答弁なんです。いままで四者協定を破棄して、ぎりぎりまで、四月十四日までたっても約束を守らない。青森県に申しわけに行っても、謝りに行っても受けつけてもらえないじゃないですか。それをなおかつ、そういう手続をしさえすればいっでも燃料棒は抜けるんだ、こういう答弁としか私はいま受け取れなかったのです。どうですか、長官。
○伊原政府委員 ちょっと私の説明が不十分であったかと存じますが、法律上の手続とは別に、これは仮定の問題でございますが、当然地元の御了解ということが問題でございます。と申しますのは、四十九年の設置許可の変更も地元の四者協定の精神を尊重して、そういう申請が出てまいったと承知いたしております。したがいまして、単に手続上の問題だけですべてが解決するということを申し上げたわけではございませんで、法律上の手続の手順としてはこういう手順になるということを御説明申し上げた次第でございます。
○古寺委員 いま地元の了解を得てという条件を一つつけ足しましたが、この四者協定の期限を守らないということについての決着がまだついていないのです。青森県に対して、また漁連に対してあるいはむつ市に対して、一体どういう責任を示すのか。約束をほごにした、協定を破ったことについて、政府はどういうふうに責任を果たすのか。まだその点について明白になっていないわけです。どういう責任を果たすのですか、長官。ただ謝ればいいというものじゃないでしょう。
○宇野国務大臣 いま局長からお答えいたしましたのは一応法的な手続ですから、これは仮定の問題に対してでも同じことですから、法的な手続に関しましては局長の答弁どおりである、こういうふうに御了解賜りたいと思います。 そこで、局長は法的な手続だけ申し述べたのですが、地元の了解を得てとつけ加えられたが、それに対してのいろいろ絡んだ御質問だろうと思いますが、私は、あくまでもまだ仮定の段階ですから、最高の責任者が仮定の段階でお答えするということはやはりいろいろ問題がございますので、したがいまして、いまの問題に対しましてお答えすることはできません。 また、どういうふうに長崎が結論をお出しになるか、それをどういうふうにわれわれが受けとめるかというのも、まだ結論が出てからでないと決められないわけでありますから、私といたしましては、すでに四者協定を政府が破っておる、これははっきり認めてその責任を痛感いたしておるというわけでございますから、したがいまして、今後そうした場合にいろいろとまた地元で話がございましょう。まあ具体的にこうするんだ、ああするんだということに関しましても、今日私といたしましては、全く案を持っているわけではございません。また、現在のところで持ってみても仕方がない、私はこう思います。したがいまして、そうしたときには地元からも国会議員さんたくさん出ておられるわけで、その方々がどういうふうな御意見を開陳されるか、当然市長、知事、県議会、いろいろございましょうから、私といたしましては責任は痛感しているんだということを申し上げるのみであって、そしていろいろな、もし具体的にああせいこうせいと、謝れと言うんだったら謝るでしょうし、謝るだけで済まぬとおっしゃるのか、それすらもまだ仮定の問題でありまして、久良知次官を派遣してひたすらおわびを申し上げましたときにも、決して青森県側はああせよこうせよと今日の段階で言っていらっしゃらない。したがいまして、重々われわれは責任を痛感いたしております。もうその一言でひとつ御了解を賜りたいと存ずる次第でございます。そして長崎の知事さんが結論を出されて、その結論が幸いにも佐世保の市長さんと同じ結論だったらいいし、もし違ったらどうするかというふうな御質問も過般受けておるようなことでありまして、いろんな場面をわれわれとしても想定はいたしておる次第でございます。しかしながら、そうした問題はまだまだ仮定でございますから、この段階で長崎知事、この方の意思を私が先取りして申し上げることはできません。あるいは、青森の知事さん、むつの市長さん等々責任あるお方の意思を先取りして、ああするこうするということも申し上げられませんので、この辺はひとつ御理解を賜りたいと存ずるものであります。
○古寺委員 ただいま仮定の問題というお話が出ました。それで私は事実に基づいてお尋ねしますが、四者協定はきょうで期限が切れるわけです。そうしますと、これはもうほごになりましたね。きょう以後はどういう協定をお考えになるのですか。
○宇野国務大臣 過般、決して四人の間で合意をしておるわけではありませんが、私といたしましては四月十四日そのものは、原子力船である限りは六十日前の入港届が必要でございますから、したがってさかのぼること六十日で、二月十四日にわれわれがついに入港届を出し得なかった時点において、四月十四日を守るということは非常にむずかしい問題となってまいりました、しかしながら若干おくれるかもしれませんが極力努力をいたしまして、その線に近いところで私はやはり回航したいと思いますので御了解賜りたいと、もうすでにこれは二月の時点において三者の方々にみずから私がお目にかかりまして申し上げてあります。もちろんイエス、ノーというふうな答えはいただいておりませんし、あるいはまた、では協定を結び直そうというふうな声もいただいておりません。 したがいまして、今日ただいまの事態はまことに遺憾でございますけれども、すでに六十日前に今日の事態を私どもといたしましても察知をし、そして長崎県にひとつ速やかに御回答賜るようにお願いしたいということを再三お願いしてまいりました。しかし、長崎もやはり被爆県でございますし大きな漁業県でありますから、いろいろな意味におきまして慎重を期せられておるということもわれわれ重々わかっておるところでございますので、ただいたずらにもっと早くせい、早くせい、そんなことは私たちも申し上げられません。お互いに誠意を尽くして、どうにか今日の段階を迎えつつあるということでございますので、ではきょう以後はどういうふうな協定を結ぶのかとおっしゃいましても、実はこれは政府ひとりで考えるわけにはまいりませんし、その点は若干おくれるかもしれぬが極力努力するという線で、いま私は青森の三者の方々とつながっておる、こういうふうに解釈いたしております。
○古寺委員 では時間でございますので、次回にまた質問いたします。
○山田委員長 次に、谷口是巨君。
○谷口委員 長官には前回の予算委員会の分科会に引き続いての質問になりますけれども、重複を避けて質問いたしたいと思います。 現状としては四月一日に佐世保の市議会が一つの結論を一応出しておるわけです。そして今月月末ごろに県議会が恐らく臨時議会を開いて何らかの結論を出すのじゃないかという状況でございますが、そういう状況について長官に聞きたいのですけれども、長官のこの前の予算委員会の分科会では、要するに佐世保の市長の核燃料体つき、また知事が議会で発言した核燃料体抜きという問題については自分は最後には一つの一致した結論が出ると信ずる、こういう話をされておったわけでありますけれども、今日でも核燃料体がついたままでよろしいという結論が出ることを信じておりますか。
○宇野国務大臣 すでに佐世保においてはそういう結論をお出しになったわけでありますが、知事がどういう結論を出されるか、このことに関しましては、私はまだまだこの場で推測をすら申し上げるわけにはまいりません。
○谷口委員 では長官は、去る十二日と思いますが記者会見をなさっておりますね。その中でこういうふうに伝えられているわけですね。「原子力船「むつ」の修理を受け入れるかどうかの最終判断を急いでいる長崎県がかねて要請していた長崎新幹線が、他の四新幹線と並んで十二日朝の関係閣僚会議で前向きに検討されることになったが、これに関連して宇野科学技術庁長官は同日、閣議後の記者会見で、「これは“むつ”受け入れの見返り条件ではない」としつつも、「新幹線問題の前進を踏まえたうえで久保長崎県知事が県議会を招集し“むつ”の最終受け入れを決めるだろう」」 こういうふうな見通しをあなたがされたということが報道されているわけですけれども、この真意をお伺いしたい。
○宇野国務大臣 当日閣僚会議がございまして、私もオブザーバーとして出席をいたしました。科学技術庁長官は新幹線関係閣僚じゃございません。ただ前日にわが党の政調会長がやはり陳情を長崎県から受けておられます。さような意味で総理と御相談なさいまして、長崎県とはいま密接な関係にある宇野長官もひとつ出てこいと言うので、私はオブザーバーとして出席をいたしました。だから私はそのときの模様を見聞をいたしております。 そのとき、私は当初にお断りしたのです。総理、きょう私はオブザーバーとして出ておりますが、しかし、いままで新幹線の問題を交換条件として考えたことはございません、私自身も国会においてそのことをはっきり申し上げ、久保知事も、私に出会った限りにおきましては、私には陳情はします、しかし、これは交換条件として申し上げておるのじゃありませんと言っておられますから、その点だけは総理もひとつ御了解賜りたい、私みずからそういうふうにお話をしてございます。当然田村運輸大臣も、いま宇野科学技術庁長官の言ったことが一番正しいことであって、われわれ運輸省としても、「むつ」は「むつ」、新幹線は新幹線、こういうふうに割り切って考えておりますので、両者がどこかにおいて結びついておるということは、政府としては決して考えておりませんということを前提としてあの会議が開かれまして、そして御承知のような結果が出たわけでございます。 つまり、五新幹線に関しましては、今後環境を含めてその調査を徹底しようではないか、つまりいままで新幹線に関しては、石油パニック以来公共事業を推進すると物価の刺激になるからというので凍結されたと私たちも耳にしておりましたが、運輸当局は凍結をした覚えは全くありませんということでございましたから、いままですでに調査費を使っておるのならば、今後は積極的にそうした意味合いにおいて、五新幹線の地元からは大変な陳情を受けておるのだからということで、いろいろ関係閣僚とお話し合いがございまして結論を得たわけであります。後々記者会見をいたしまして、私、いま申し上げましたとおり交換条件ではないということもはっきり申し上げたわけです。続きまして質問がありまして、とはいえ、しかしあなたはきょうのこの閣僚の決定事項が長崎県にどういうふうな影響を与えたと思われるか、それぐらい言ってもらってもいいんじゃないか、こういうことでございますから、私といたしましては、かねて久保知事が陳情しておられる趣旨から申し上げれば、きょう新幹線閣僚会議が開かれてその決定は久保さんの意にかなうものであろう、こういうふうに私としては思う、こう申しておりますので、それは報道どおりでございまして、その間には字句のちょっと足らない、ニュアンスがちょっと足らない面がございますが、そのとおりでございます。
○谷口委員 長官のお話を聞いておると、答弁が非常に上手でございまして、何だかだまされそうでございますけれども、だまされはしないつもりでおりますから……。 その点で、あなたが先ほどの質問に対して答えられた内容として、長崎県知事は一言も見返りとして要求はしていない、こういうことでございましたね。しかし、陳情は受けたとおっしゃいましたね。要求を含んだものがやはり陳情じゃないのですか。どうですか。
○宇野国務大臣 私は、そうは解釈しておりません。これで三度ばかりやっておりますが、その話が出たのは二度目でございましたでしょうか。長崎県知事の諮問機関である研究委員会が間もなく答えを出すであろう、その答えの、大体いつごろ開かれて、こういうふうにしたいというふうなことを、ちょうど上京のときに申されました。そのときにその話が出ました、朝飯食いながらですが。その後に二人が共同記者会見をしております。うちのクラブの方々と、そして地元の新聞社の方々も来ておられましたが、知事と私が共同記者会見しまして、当然新聞社の方からもそういう質問が出ておりますが、私はきょうは陳情を受けたけれども、これは交換条件だとか見返りというものじゃありません、はっきり皆さんに申し上げ、知事も同様のことでございます。いま運輸大臣あるいはまた政調会長、そうした方々にも、従来から長崎の公共事業としていろいろ陳情を重ねてきたことであるからそれを申し上げたまでで、特に宇野大臣は今回はこういう関係において仲がいいから、ひとつ閣内で御協力賜りたいと言ったのであります。私も、これは明らかに見返りではございませんということをしばしば申し上げ、昨日も議長にもその旨をはっきりと申し上げてあります。
○谷口委員 従来の政府のやり方を見ておりますと、困ってしまうと札束を持っていって、そうしてその札束でほっぺたをたたきまして、うんと言わしてきたといういきさつが幾つもあるわけですね。たとえば政府が勝手に行った四月十四日のむつ港の撤去の問題にしても、結局あのときに十何億円でしたか、金を出して納得をさせたという、これは長官みずからがこの前答弁されたのですけれども。そして、長官がしょっちゅう言われている、そういういろいろな問題と見返りと一緒にすべきではないということ、全く政治の姿はそうあらねばならぬと私も思います。建設は建設、この問題は別ですね。だけれども、私は長官に何度も聞きますけれども、地元のいわゆる反対派がある、あるいは賛成派がある、その賛成派の中の大部分には、いろいろな見返りの状態によっては、こういう実情があることはあなたも御存じのはずです。またいろいろな報道を通じても、たとえば針尾団地を買い上げてくれとか、あるいは企業誘致してくれとか、あるいは新幹線を早期着工してこれを佐世保寄りに通してくれとか、あるいは漁港の整備、あるいはこれからの原子力船に関する注文は佐世保でやってくれとか、いろいろ具体的な要望がなされていることはあなたも知っていらっしゃるわけでしょう。それを聞いている。ひとつ答弁してください。
○宇野国務大臣 私はいままで長崎のお方にお目にかかりました。何人となくお目にかかりましたが、陳情として知事からいま申し上げました新幹線を承ったのが一つ、もう一つは、佐世保の市会議員さんが来られまして、新聞に大きく報道されましたが、三百億円出して何とかいろいろ基金にしたいな、こういうお話があったことが一つでございます。もちろん三百億に対しましてはその場で、そういうふうなことをここでお約束するわけにはまいりませんし、見返りという考え方で私は「むつ」を考えたことはございませんからとその場で申し上げております。たったそれだけでありまして、そのほかのことをいま幾つか挙げられましたが、一切耳にいたしておりません。
○谷口委員 あなたと話しておると仮定の話には答えられない、全然戻ってこないわけでございますけれども、これはしかしその状態で過ごすわけにはいかないわけです。たとえば、私は、ああいう欠陥船の原子力船「むつ」を長崎県に持ってきてもらうことは、いまの段階では非常に反対であります。だけれども、いま賛成をしている方々の中の意見を聞けば、政府がこういう問題をしてくれるというふうに言っているから自分たちはそれに期待をして賛成しているんだという意見を皆言っているわけです。あなたが言ったかどうかは私はわかりませんけれども、現に政府関係者がいろいろなことを言っていることは間違いない。たとえば昨日のことでございますけれども、あなたは自分の都合のいいことばかりを先ほどの答弁の中でおっしゃっておりましたね。きのう副知事や議長が言ってきた、そのときに自分は今月中に議会を開いてほしいと要望したと、こうおっしゃいましたね。このほかに何かあったでしょう。たとえば例の新聞記事を見た議長とか副知事その他が、これじゃ話が違うじゃないですか、従来自分たちが聞いておった返事を確実にするということがこれではどうももらえてない、そういうことであなたのところに来たはずだと私は思いますが、どうですか。
○宇野国務大臣 閣僚会議の決定事項に関して、どういうふうな内容であり、またどういうふうに解釈したらよいかということを伺いに参りましたということでありました。だから一番大きな問題は、新聞にその名でしばしば報道されたいわゆる凍結解除、どこにも凍結解除と書いてませんが、これだと後ろ向いたんじゃないかという声もありますがというふうな話がありましたが、現に凍結ということ自体がなかったんだから解除はないわけですよ、だから素直にこのままお読みくださったらよいのであるというお話をずっと申し上げたわけでございます。 したがいまして、特に私といたしましては、先ほどから御答弁いたしておりますとおり、私が交換条件として皆さん方に、この問題を取り扱うわけにはまいりませんよ、それだけはっきりしておきましょう。運輸大臣もまた運輸委員会におきまして、現在いろいろとむずかしい問題が山積しておるときに、この問題に関してもやはり運輸大臣はこういう非常に厳格な解釈で臨んでおる。たとえば、すでに着工が決定され、そして工事がすでにもうなされようとしておる幾つかの新幹線においても、事前の調査が非常に不十分であったがために虫食い状態になった、これではとてもとても運輸大臣として責任を持てないから、だから私としてはやはりどうしても調査を徹底したいのだ、こういうことで、その調査はいままで決して凍結をしておらないので、スローダウンをしておったが、やってまいった。このスローダウンをしておったことをひとつ徹底的にやろう、こういうふうに決定したので、このまま素直にお読み取りになって、後は五線の地元の方々がこの調査に誠意を示され、あるいはまた御協力を願うことにおいて、あるいは若干早い遅いがあるかもしれないけれども、そういうことなのですよというお話をそのまま申し上げただけであります。
○谷口委員 私はそのようには受け取りませんけれども、一方的なことになりますからこの問題はそれでとどめますけれども、要するに、十二日の午前のいわゆる新幹線の関係閣僚会議の開かれる前の空気は、私たちがいろいろな情報を集めますと、要するに新幹線着工やむなし、そういうふうな気分が非常に強かったとわれわれは察知をしておったわけです、またあなたは知らぬとおっしゃるかもしれぬけれども。ところがその関係閣僚会議の結果、財源五兆五千億ですか、こういう財源をどうするのだ、あるいはいま着工しておる新幹線の非常に多額な金が要る段階で、何もできないじゃないか、いろいろあったと思いますが、そういうことから、後退をしまして、要するにこういう発表になったと思うのですけれども、あなたが知っている範囲内で答えてください。
○宇野国務大臣 まあ閣僚会議のことは、その責任者が記者会見をいたしておりまして、それは各紙報道なさっておったとおりでございますから、オブザーバーとして出ておりました私が、ああだったこうだったと言うわけにはまいらない性格のものでございます。 しかし、その朝、わが党政調会長が五線の代表の方々と出会っておられるわけであります。つまり、北海道からは町村金五さんが参加、東北には鈴木善幸さんが参加、北陸に対しましては小坂善太郎さんが参加、九州につきましては保利先生と松野さんが参加、代理もございますが、そうしたことで五線の話としてこれを取り上げておるというわけであります。
○谷口委員 じゃ長官は、四月六日ですか、大平幹事長に「むつ」問題について協力要請をされたとわれわれは聞いておりますが、簡単で結構ですから内容を言ってください。
○宇野国務大臣 これはそのずっと以前に、御承知のとおりこういう問題に関しましてもわれわれが交換条件として扱うわけにはまいりません。しかし、地元からはそういう陳情が来ておるということは重々承知いたしておりますから、ひとつお互いに寄り合って、こういう問題をどうするかはっきりしようじゃないかというので、私と運輸大臣と根本対策委員長と、そして政調会長、四人がずっと前に集まりまして、その結果、政府としてはいまお話ししてきたとおりでございますから、これを交換条件として私たちが言うわけにはまいらない。しかしながら、党はいろいろな問題を吸収をされる、そのために特別委員会もつくったわけでありますから、ひとつ根本先生の方から政調会長に対して、政府は苦慮しておるようであるし、政府がこれを交換条件としていろいろと協議するわけにはまいらない。だから政調会長、どういうふうにするかということをあなたの方でお考え賜りたいということで、実は政調会長一任となったという経緯は、すでに報道されておりますから御承知だろうと存じます。 そうして、私といたしましては、四月十四日が刻々と迫ってくるのに、なかなかこの問題が解決できないということはいかがであろうか、政調会長一任まではよかったが、これは党の問題だけれども、どういうお答えを出されるか知らないが、ひとつ党としても、やはり政府はいま四月十四日を守らなければならないから、それ以前に何とかこの問題に関しましても党の御意見を速やかに出していただけないものであろうかというような意味合いを私は申し上げたので、したがいまして、これは当然政府といたしましても党中心で動いておりますから、党の大黒柱である大平幹事長にそういう趣旨で申し上げたわけであります。一つには、青森との四者協定は極力これを守りたい、こういうことですから、その点も御了解賜ります。
○谷口委員 時間が迫ってまいりましたので、最後に私は長官にはっきりと返事を聞きたいと思うのですけれども、現在の賛成の結論が出た、あの陰には強い反対もあるわけであります。必ずしも全部が全部賛成ではない。その賛成の中の多くは、あなたが常識でお考えのように、たとえば非常に条件の悪いいろいろなものを引き受けるときは、何かそれに見合うそれ以上のものをもらうのが世間では普通でございますね。いまの県議会の連中は、皆私の昔の同僚でありますから、あなたに話すよりも私にすべてを素直に話しておりますよ、あなたはうそだうそだとおっしゃるけれども。 その話を総合いたしますと、私は最後に言いたいことは、環境アセスメントを本格的に行うということで、政府は地元に新幹線を早期に着工するぞというイメージを与えているのではないかというのが第一点。 第二点は、しかし本格的、そして厳密にこの環境アセスメントをやりますと、場合によりましては恐らく一年で済みますまい、二年、三年となるかもしれない。また、経費も五兆五千億と発表されておりますが、実際着工するともっとそれは上がるでしょう。こういう現在の経済状態では非常に可能性のある金額とは言えない。しかし、そういうものをしてもらえるのだという期待を地元の賛成の人たちは持っている。それは政府が期待を持たせた。あなたは言わなかったかもしれぬけれども、だれかがそういうことを言わしている。期待を持たせている。そういう段階で地元の多くの人たちが賛成であるということを現実に私たちには言っているわけですよ。 そういう状態で、いわゆるきのうの議長なんかがあなたのところに来たときには、新幹線の建設が明瞭ではない、だからはっきり確かめに行ったのが真意であります。ただ、儀礼的な問題があるから、いろいろな美辞麗句を使ったでしょう。恐らくそこで私は言ったと思います、そこへ行くという話を聞いておりますから。 私は、いま最後の質問でございますけれども、新幹線を建設する、そういうメリットを与えるというようなことでつってきて、そして、きょう期日になった、あの原子力船「むつ」がむつ港を追ん出される、何じゃかんじゃと言いながら、核燃料がついたままに佐世保に持ってくる。そうして二、三年たった後に、ああ予算的には非常に困難でございました、とてもこれはむずかしゅうございます。こういうふうなことになって、そうして気がついてみたら、修理港どころじゃない、母港化しておったというようなことに持っていくようないまの一つの動きがあるのではないか。そうなってくると、いま、えさにだまされているといいますか、メリットを求めている賛成派の人たちをだましていく結果になると思いますが、その点についてしっかりした返答を私はいただいておきたいと思います。
○宇野国務大臣 これはもう御承知のとおり、基本計画という段階が終わり、整備計画という段階が終わった線でございますね。あと待つのは工事実施計画、これをいつからしようか、そういうふうな意味合いの調査費が現在五十億、五十億ついておるわけであります。片一方の五十億は北海道と東北、片一方の五十億は九州二本と北陸、したがいまして、これをもう国鉄が、 スローダウンしながらもぼちぼち使っておるわけであります。しかも地元の、先ほどお名前を申し上げましたような、われわれよりもはるかに大先輩の自民党の諸先生方が、地元の熱烈な要望としてこれを実現すべしということで立ち上がっておられるわけであります。 こういう状態の中で閣僚会議が開かれて、そして五本の問題がいろいろと議論されたのでありますから、ことさらそれをもって地元をつったとか、あるいはまた、だますのではないかというのはちょっと酷な表現ではないかと存じ上げます。やはり政府といたしましても、ああいうふうな線を出しました以上は、今後は党と十二分に連絡をしてその具体化を急がねばならぬ、そういう決定でございますから、今後、地元と党がいろいろな問題におきまして協議するであろう、私はこういうふうに考えております。
○谷口委員 要するに、どのようにあなたがおっしゃっても、知事が、新幹線を建設する、核燃料体抜きということを条件としてやってきているわけですから、それを受けて今度の五新幹線のいわゆる凍結解除、新聞に書いてありますけれども、そうじゃないと言うが、そういう一連の動きになっている。あなたの言うとおりを聞いておるならば非常に大きな誤解を受ける。これが将来大きな禍根を残さないように、最後に意見を述べて、私の質問を終わります。
○山田委員長 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。 次に、小宮武喜君。
○小宮委員 先ほどの質問の中にもありましたように、一昨日、十二日に科学技術庁の久良知事務次官を青森県側に派遣をして、原子力船「むつ」を協定どおり四月十四日までに撤去できなかったことに対する陳謝をした、こういうことが報道されておりますけれども、これは単なる陳謝だけなのか、向こうに行かれて青森県側との間にいかなる話がなされたのか、その話し合いの内容をひとつお聞かせ願いたい。
○宇野国務大臣 これは、もうはっきり申し上げまして、陳謝だけでございます。
○小宮委員 その場合に、先ほども質問がありましたように、燃料棒抜きのことについては全然話し合われなかったということでございますか、それとも、やはり非公式ではあるけれども燃料棒抜きのことを要請された、これは事実ですか。
○宇野国務大臣 これは、長崎県の答えが出ていない前に、かりそめにもそういうことを推測すること自体が問題を非常に複雑にいたしますので、次官からは、非公式ながら打診をしたとかそういうふうなことは承っておりません。
○小宮委員 それじゃ、長崎県側と佐世保市の回答というのは、長崎県側で県議会を招集して、そこで知事がどういう諮問をするのか定かではありませんけれども、県に諮問をして諮問の結果が出た、そこで佐世保市側と話し合って、それで政府に正式に回答するという手順になりますか。
○宇野国務大臣 そういう順序を私は望んでおるということを御両者に申し上げてあります。
○小宮委員 大臣は、長崎県知事ともごく最近会っていますね。知事とはどういう話し合いをされたのですか。
○宇野国務大臣 知事はまだ自分の意向を明らかにいたしておりません。今日までの経緯からするのならば、一応私としても県会の御意思を承らないことには最終的な自分の意思決定ということにはならない、佐世保の辻さんの場合には諮問という形で県会に付されたが、私はどういう形でしようかということをまだ決めておりません、青森のこともございましょうから極力早い機会に県会を招集したいと存じております。こういう会話だけでございます。そして、やはり政調会長にも十分お願いいたしておりますが、長官からもひとつ政調会長の方にもよろしくというふうな陳情があったという程度でございます。
○小宮委員 二人並んで写っている写真が出ておりましたけれども、いま大臣が答弁されたようにただそれだけなのか。長崎県に対して、佐世保市に対して当然大臣として要請をしているわけでしょう。そういう要請をしている立場から見れば、たとえばいつごろ県議会を開催しますかとか、どういう諮問をされますかとか、あなたの立場から見てこのようにお願いできませんかというようなことは当然話の中に出るのじゃないですか。いま言ったような話し合いだけじゃなくて、知事と会って話をしておるせっかくの機会ですから、そういう機会に大臣としてそのような政府の態度を要請しないということは逆におかしいのじゃないですか。その辺、知事との話し合いの内容をもう少し教えてください。
○宇野国務大臣 そのことは、出会うたびに当然口を酸っぱくして申し上げておるわけです。佐世保においては、政府のお願いしたとおり、受けてやろうというありがたいことで、私は私の名代としてお礼の使者も出した。そのとき、県庁にもその使者を向かわしめて、佐世保もこうであったから、県もひとつよろしくということを申し上げておるわけでございます。そうしたことに対しまして、知事はまだ自分の意思を明らかにしておらないという段階でございます。 二番目の、県会を早く開いていただきたいということは、その前にお目にかかりましたときに、三月二十三日ですか、あのころに最終的な諮問委員会の答えが出るということでございましたから、諮問委員会が答えを出されたら、知事さん、その答えで早いことひとつ県会を開いていただいて、あなたの意思も速やかに明らかにしていただきたい、そして四月十四日までにせめて意思だけでもはっきりしていただければ、青森の方々にもそのことが説明できるのだ、私としてはいままで長崎の知事さんなり市長さんの御要望に対してはやったつもりだ、つまり、はっきりと安全を保障するような政治的、行政的な措置をとれ、これが一番うるさい問題だったが、これも私やって、すでに法案を出しておるでしょう、政府としては本当にできるところまでやったのだからお願いするということもしばしば言ってまいりまして、そのときは三月中だと実は期待しておりました。 ところが、新聞報道等を見ておりますと、四月の中旬を越えるだろう、いや月末になるだろうというような話がどんどん流れてまいりましたから、その間におきましてはまた使者を出しまして、青森に対して、われわれも拱手傍観しておるのだったらそれでよかろうけれども、政府としてはもう根限り、汗をかいてこの問題に取り組んでおる、意思決定ももうすでに諮問委員会でなされておって、それをどうされるか、私はひたすら見守っておるのであるからということをしばしば申しておりますが、同様なことをついこの間も申し上げました。 はっきり申し上げますと、私は、連休前にぜひとも県会を開けないですか、五月の五日、六日ぐらいまでずっと国民的な連休が続くのだから、ひとつそれ以前に何とか県会を開いていただいて、知事さんの意思をはっきりしていただけないですか、それを受けて、ではわれわれはどうするかということで機敏に反応しなくちゃならないだろうけれども、政府は、いろいろ物を考える上においてはどうしても日時が必要だろうと思うから、青森に対しても極力四月十四日に近い線近い線と言ってきたので、ということは申し上げました。それに対しまして知事も、極力御意思を尊重いたしまして、県会にも諮っていきたいと存じます、こういうことで帰られたわけであります。
○小宮委員 長官が非常に慎重に答弁されておることはわかりますけれども、先ほどの質問にありましたように、これはあらゆる新聞紙上に報道され、地元の人としては、どういう話し合いがされておるのか、大綱はつかんでおるはずです。これは私見ですけれども、やはり知事としては、その見返りの問題の決着の問題じゃないでしょうか。この問題で受け入れることと見返りの問題とを連動させるということについては、私も理論的な立場から言って反対なのです。しかしながら、現実にそういう知事の態度を決定するに当たって、やはりその問題か絡んでおるだけにちょっと——私は、見返りの問題は触れません。見返りの問題が仮に知事が希望するような方向で決まったとした場合に、知事は国が要請しておるように燃料棒つきの受け入れを諮問することになるのか、あるいは仮にその条件が満たされたとしても燃料棒抜きの受け入れということになるのか、そういった点について、知事との会談の中で、これも一回ではないでしょうから、何回も会っておるようですから、その辺の感触はどうですか。
○宇野国務大臣 御承知のとおり非常に慎重な方でして、やはり長崎の県政を預かっておられますから、私も相当際どいところまで腹をぶち割ってしゃべるたちの男なんですが、なかなか知事さんも慎重でございますので、いま申し上げたような結論に対しては、私はまだまだ、こうですと長官に申し上げる段階じゃありませんということでございますから、その点も御理解賜りたいと存じます。
○小宮委員 一つの仮定の問題をいろいろ話してみたってなかなか意見がすれ違いますので、この問題はまたこの委員会で取り上げるときが必ず来ると思いますから、それまでひとつお預けしまして次の質問に入ります。 次の質問は、アメリカにカーター政権が誕生してから、アメリカのいわゆる原子力政策が従来と違って非常に厳しくなった。アメリカの新原子力政策とでも言いましょうか、この新政策についていろいろ新聞報道では毎日のように出ているわけです。しかしながら、その新聞報道が、われわれが読む限りにおいては必ずしもみんなが同じような記事の内容ではございませんね。したがって、そのアメリカのカーター政権の打ち出した新原子力政策というものがどういうものなのか、ひとつ公式の場で政府の見解を聞きたいと思います。
○宇野国務大臣 新政策は、正式に申し上げますと約七点に分かれております。 一つは「商業的再処理及びプルトニウムのリサイクルは期限を定めず延期する。」二番目は「FBR計画を見直し、FBRに代る計画に努力を傾注する。」三番「代替核燃料サイクルの調査、検討を進める。」四番「国内、海外の需要に見合うように濃縮ウラン供給能力を増強する。」五番「核燃料供給保証のための法的措置」、六番「再処理、濃縮施設・技術の輸出禁止」、七番「国際的な核燃料サイクル評価計画を進める。」 以上が国内の政策として発表されたところでございます。 これに対しまして、後に大統領が記者会見をしていろいろお話をしておられますが、日本に関するプレスにおける説明ぶりとして次の二点が私は重要だと存じます。 一番は「再処理施設を既に運転している日、独、仏、英の諸国に対しては、米国の意志を強制しようとはしない。」二番「日、独両国は、自身の再処理努力を推進し、継続する完全な権利を保有している。」これが一番大切なところだろうと考えております。 ただ、これに対しまして国務省のナイ国務次官補がまた記者会見をいたしまして、ドイツと米国との間においては日本ほど厳しい原子力協定はないのだから、日本に関しては、ただ大統領のこの談話だけで東海の再処理工場のホットラン入りが保証されたわけではない。その間においてはやはり日米原子力協定という一つの行事あるいは段階が必要だ、こういうふうに申し述べておりますが、このことは私は、それは事務的な説明であろう、こういうふうに受けとめております。しかし、現状としては、いささかまだこの問題に関しまして、米国の一部の事務当局が、どういうふうな協定の内容にしょうかということでいろいろと議論をしておるということも耳にいたしておるところであります。
○小宮委員 私が持っておる資料を見ても、いま大臣が言われたように、「私は、われわれが行う決定につききわめて深くかかわっている幾人かの外国の指導者と緊密にかつ個人的に協議してきた。われわれは、すでに稼働中の再処理工場を有している日本、フランス、英国及びドイツといった国々に対してわれわれの意見を押しつけるものではない。」さらに、「日本その他の国に関しきわめてセンシティブである点は、わが国によるプルトニウム生産のための使用済み燃料を再処理することを否認する一方的行為は、これら諸国にとっての再処理の必要性につきわれわれがこれを禁止しまたは批判するということを意味するものであると彼らが感じていることである。これは正しくない。これらの諸国はその再処理を進め、かつ継続する完全な権利を有している。しかしわれわれは、これらの諸国が、将来においてその他の国々がこの再処理能力を発展させることがないようにするべく、わが国とともに協同することを期待する。」 こういうような内容で、まあこの内容を見る限りにおいては、カーター政権のこの新原子力政策というのは日本に対しても非常に友好的ではないのか、非常に理解を示しておるのではないかというようにも考えられるわけです。 そういう意味で、いま大臣も言われたように、日本からも原子力委員会の委員長代理も行くし、また佐々木前科学技術庁長官も行かれるわけですが、そうすれば、それはいわゆる原子力協定の第八条C項に基づく、動燃事業団の再処理工場において行う再処理に関する日米原子力協定のためのアメリカとの協議の問題で行くということでしょう。その場合に、その問題と、もう一つ、これはどうなりますか。わが国の使用済み燃料を再処理するため第三国に移転することについての、協定第十条A項第三号に基づく、これは米国の同意という問題がありますね。この二つの問題がこの対米交渉のポイントになるわけですか、どうですか。
○宇野国務大臣 佐々木、与謝野両議員が行くのは、これは政府相手ではなくして、向こうの議会に十二分に日本の立場を説明する、これも必要だろうということで党が派遣するということになったわけでございます。 そこで、いま御指摘の点は、日米原子力協定に関する限り、やはり三つのことがその対象になるだろうと思うのです。 その一つは、いま言われております東海の第一再処理工場の問題、これがやはりホットランに入ろうとするのならば、原子力協定におきまして定められておりますとおり共同決定をしよう、保障措置について共同決定をしようということがございます。二番目は、第二再処理工場、これは私たち早くつくらなくちゃ間に合わないと思っておりますが、これもやはり当然共同決定の対象になるわけでございます。第三番目は、英、仏に再処理を委託いたしている問題もこの共同決定でございますが、現在はそれをそのままストレートに利用せずに、しごく簡便な方法で外国のやつは現在のところは話がついておるという段階であります。
○小宮委員 そこで、ちょっと疑問が出てきますのは、この原子力協定の第八条C項に基づく米国との協議という問題は、たとえば動燃事業団がその再処理工場をつくるときは、何ら米国とのこの協議の対象にはならないわけですか。それは建設してしまっていよいよその再処理を始めるというときにだけこの原子力協定の対象になるわけですか。私の考えでは、こういうように再処理に関する原子力協定だから、その再処理工場をつくるとき、当然原子力協定に基づいていろいろ米国と協議をして、そして米国の方も了解をしてつくられたのではないかというふうにも感じられるわけですが、その点の経過はどうなっておるのですか。
○山野政府委員 日米原子力協定の八条C項で言っております共同決定と申します行為は、日本が再処理施設を建設いたします場合には関係のない条項でございまして、東海の再処理工場をつくるに際しまして特に事前に米国の同意を求めたというふうなことはございません。この八条C項に言っておりますところのものは、つくりました再処理工場におきましてアメリカが供給いたしました濃縮ウランの使用済み燃料を再処理いたします際に、これに保障措置が有効に適用し得るかどうかという点につきまして両国が確認し合って共同決定をするということでございますので、施設の建設に係る決定というものではないわけでございます。
○小宮委員 それはわかりました。 次に、協定第十条のA項第三号の問題です。これもすでにわが国から使用済み燃料を再処理するために結局イギリスに契約しているわけでしょう、こういう問題も改めて協議することになるのか。これについては、すでにもう第三国に移転しておるわけですから、その意味ではこの問題は今度のアメリカとのいろいろな交渉をする対象から外れるということなんですか。
○山野政府委員 御指摘の海外で再処理をいたしますときに、アメリカが供給しました濃縮ウランの使用済み燃料を移転するに際しましては、事前に米側の了解が要るわけでございますので、今後とも英、仏等に委託をして作業をする場合には引き続き要るわけでございます。 米国が今回発表いたしましたのは国内政策ではございますけれども、やはり背景といたしましては核不拡散という見地から、できるだけ再処理というものはグローバルに抑えていきたいというふうな気持ちは当然あろうかと存じますので、わが国はエネルギー資源の有効活用という面からこれに異を唱えていろいろ説得をしておるわけでございますが、そういう観点から申し上げれば、広い意味で今後米側に説得する必要があるというふうに考えております。
○小宮委員 しかし、一応イギリスに現在委託しておるのは、もうすでにこの原子力協定の第十条のA項第三号に該当しておるわけですから、大体この点についての米国との同意は取りつけてあるわけでしょう。
○山野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○小宮委員 それをまた今度改めて米国と同意を取りつけるための話し合いをするということなんですね。
○山野政府委員 私が申し上げておりますのは、将来の再処理を要するものについて申し上げているわけでございまして、過去のものはすべて了解を取りつけ済みでございます。
○小宮委員 それじゃいま向こうに契約済みのものはいい、これから新しくまたさらに委託契約をするものについては同意を必要とするから、そのための話し合いということになるわけですか。
○山野政府委員 そのとおりでございます。
○小宮委員 それでは、新聞報道でもカーターの新原子力政策についてはいろいろな報道がなされておるようです。したがって、カーター政権の新原子力政策について、特に先ほどの中にもありましたように、英国それからフランス、西ドイツ、これらの国々における反応、反響といいますか、これはどうでしょうか。わかっておったらちょっと説明してください。
○宇野国務大臣 まずアメリカ国内ですが、アメリカ国内におきましても原子力産業関係の人たちは反対であります。そして、この間もワシントン・ポストあるいはニューヨーク・タイムズを、コピーでありますが私も見ましたが、こんな大きな広告を出しまして、ミスター・プレジデント、あなたの政策は間違っておるということを堂々と表明をいたしておりますし、あるいはニューヨーク・タイムズは、たしか論説でカーターの新政策をわれわれはサポートするのだということに対して、これまた、編集長殿、あなたの論説も間違っておるというふうに出ております。したがいまして、アメリカの国内におきましても全面的に賛成を得ておるというわけではございません。ただ、議会方面が非常に理解を示しておるということでございます。 現在議会は、アメリカの原子力施設等々を海外に輸出する場合に、やはりチェックする機能まで持とうというふうな感じ方でございますから、だから日本の立場をそうした意味でやはり説明をする必要があるのじゃないかというので、先ほど申し上げました両議員が行かれるということになったわけであります。 英国は、総理大臣はカーターの新政策発表後、賛意を表しております。しかしながら、肝心かなめの燃料公団の総裁、お名前は忘れました、サー何とかいう、サーがついております。この人は、はなはだ疑問であるというふうに、疑問を投げかけております。 フランスは、ル・モンド紙等々によりましてもはっきり反対の立場を強調いたしておりまして、国際的にもお互いに結んで、この政策に反対しようではないかというふうなことをル・モンド紙において発表いたしております。しかし、一部におきましては、フランス政府はある程度この政策に対しては理解を示しておるというふうなこともわれわれの耳に入っております。 西独の方は、わが庁に対して在京大使館から、どういうふうなこれに対する評価をしたかという問題につきましてはっきりしたものを持ってきてくれましたが、それによりますと、私たちの主張と同じように、核拡散防止には賛成だ、しかし、それと同時に資源不足の小国のわれわれに対しては、当然平和利用というものは権利である、このことはNPTでうたわれているじゃないか、それを無視するようなことがあってはならない、だからこの二つの点を共立せしめるように今後われわれは米国に望むというふうな、ちょうど日本と、私の主張してまいりましたことと同じことをドイツも主張いたしておるというところであります。 そのほかイラン、スペイン等々が最近米国に対しまして猛然と反発をして、米国とは原子力施設等々、そうした貿易に関しては余り今後はつき合わないとか、あるいは肝心のIAEAにおきましても、IAEAを無視したのではないかというふうな意見が強まりつつあるということであります。
○小宮委員 わが国の再処理工場の第一号が大体運転再開の途中であるし、さらに第二次工場の建設まで予定されておるという中にあって、これからの対米交渉の問題はやはりわが国の核サイクル政策に非常に重大な影響を及ぼすことになるわけですけれども、この問題について、対米交渉の見通しというものはどういうふうに考えておられますか。
○宇野国務大臣 カーター・福田会談におきましては、四月二十日ごろをめどとしてということでございまして、このころに米国のエネルギー大統領教書が国会に出されるわけでございます。恐らくそこにはいま発表されました国内政策を中心としていろいろな話が出るだろうと思いますが、情報によりますと、これもおくれるんじゃないかというふうな情報も一部得ております。そして、われわれといたしましては、あくまでも米国の窓口であるところのシュレジンジャーさん、この方が、エネルギー省をつくってその長官になる、いま懸命の努力をしておられるわけですが、まだ大統領特別補佐官であります。この方がいつ日本の問題の担当者として出てくるかと思って心待ちいたしておりますが、なかなかそれが決まりません。したがいまして、現在のところでは、国務次官補でありますが、ナイさんどまりの話が続けられておるということでありまして、第一次交渉団からも連日のごとく連絡を受けておりますが、では第二次を送る、その第二次というのはナイさんを相手にするのが第二次だと私たちは思っておるのですが、そこの段階をまだ迎えておらないというのが現状でございます。 したがいまして、やはり率直に言って、ドイツ、フランスからもしばしばわが方には、どうなさるというふうな、非公式ながら打診もありますから、そうしたことを踏まえながらわれわれといたしましてもこの問題に対処したい。 一つは、どうしても日米原子力協定、これの共同決定という作業がございますから、これはこれなりの二国間の話を進め、なおかつ、大きな問題に関しましては、今後世界的に、現在のNPTではとてもとても機能を発揮し得ないから、もっとその監視体制を強化するのだ、それも結構でしょうから、それはそれなりで多国間でやるのだったらやるとか、そういうふうな話にもなるのではないだろうか。ちょうどザルツブルクにおきまして、五月の初旬にIAEAの総会がございます。ここに各国の首脳も出るということであります。私もできたら出て、そこで日本の立場を話したいと思っておりますが、今日の状況では余り大臣は出ないのじゃないかというふうな情報も来ておりまして、ただ科学者が純粋な立場から今後のプルトニウムの扱い方とかあるいは新型転換炉の話とか、そういう研究発表かもしれないねというふうな話も伝わっております。 その後にちょうどロンドンで先進首脳国会談が行われるわけでありますから、これにずっとつながっていくということを想像しながら一やはりわれわれの主張は常にアメリカに申し上げておく。特にドイツあたりは、日本が一番早くダウンするのじゃないか、こういうふうな見方もなきにしもあらずですが、決してダウンしない。われわれやはり民族の興廃をかけた問題だから一歩も下がるなと言って、私は第一次交渉団を送ったのだから、そういうたてまえで今後もアメリカと折衝を続けていきたいと思っております。
○小宮委員 それで、この問題については、福田総理が訪米した場合に、日本側の態度を向こうに伝えてあるでしょうけれども、それから原子力委員会の委員長だったですか、これは政府代表という形なんですか。それから佐々木元科学技術庁長官は、これは政府代表じゃないと。そうすると、いまはアメリカ政府と日本政府の交渉というのは途切れておるということなんですか。
○宇野国務大臣 決して途切れておりません。 最初の井上ミッションというのは原子力委員長代理、私の代理でございますが、この方に行っていただいたのはネゴシエーションじゃなくして、日本のポジションを相手にはっきり申し上げ、なおかつ、伝えられるところの米国の新政策とは何であろうかということを伺いに行ったというミッションだったわけであります。そしてその感触を伝えられて、そうした感触等々をもとに、総理が過般来申しております三点をカーターさんに出会って交渉して、その結果、日米間の問題がございますから、ひとつ日米間で事務的に話を詰めましょう、わが方の代表はシュレジンジャーですよとこう言われた。ところが、シュレジンジャーは間違いであって、あれば全世界のことを見ておるので、単に日本だけじゃないからというふうな話が伝わってまいりまして、第一次は、シャインマンという人がいますが、ナイさん、国務次官補のもう一つ下です。わが国で言うならば課長クラスでしょうね。しかし、ドクターも持っています。私も出会いました。この人と現在、科技庁、通産省及び外務省、この課長クラスが話し合いをしておる、その次の段階はナイさんが出てくる、こういうことでありますから、その次は私が出て、シュレジンジャーが出てくるのか、こういうふうなことを想定しながらやっておるわけで、決して交渉は中断いたしておらないわけであります。むしろ、早く私の出番をこしらえろと、こちらの方から言っておるわけでありまして、アメリカはまだまだもうちょっと反応が鈍いというところであります。
○小宮委員 それでは事務レベルで技術的には現在もやっておるということですか。
○宇野国務大臣 やっております。
○小宮委員 それではわれわれとしても、対米交渉の結果というのは、先ほどから申し上げておりますように、やはり日本のエネルギー問題あるいは核サイクル政策についても重大な影響あるいは障害にもなってまいりますので、この点ひとつ政府も腰を入れて成果を上げるように期待いたしまして、私の質問を終わります。
○山田委員長 これにて小宮君の質疑は終了いたしました。 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎委員 きょう四月十四日は、政府と自民党が、本日むつ市の母港を撤去すると文書を差し入れてまで確約をしておきながら、その約束をみごとに破った日であります。こういう政府と自民党の態度に対しては、青森県民を初めとして国民は怒りを持ってきょうの日を迎えていると思うのです。そのきょうに、偶然の一致と言えば一致ですが、行われておりますこの科学技術の特別委員会も、そういう点では意義の深い委員会だと私は思って、質問いたします。 結局は、二年半前の「むつ」の状態と今日の「むつ」の状態には、国民の目から見れば何の変化もない。二年半前に原子炉を凍結されてむつ市の大湊港の岸壁に係留された、その同じ状態で「むつ」はきょうの日を迎えている。この点について、まず四者協定による解決、このやり方が誤りではなかったのか。本来、もっと科学的、根本的な検討を加えて解決すべき問題を、余りにも政治的、一時的な解決の道に走った。そのことが実際、根本的には解決にならないで、より「むつ」問題を複雑かつ困難にしてしまった、そういうふうには考えられませんか。
○宇野国務大臣 これはあの当時のいろいろな事情を踏まえて、青森の三者並びに政府代表がお決めになったことでございまして、守れなかったということに対しましては、現内閣といたしましても重々責任を痛感いたしております。私といたしまして、あの四者協定がどうであった、こうであったということは、私は論評を避けるべきで、やはり四者協定がある以上は、そのことを守るべく最大の努力をするのが政府の立場であるということで、今日まで私は私なりに、非力ではありますが努力をしてまいったつもりでございます。 ただ、いかんせん、やはり長崎には特別の事情もございます。被爆県であるということ、あるいは漁業大県であるということ等々ありまして、県民の中にはいろいろな御意見があったろうと思います。そうしたことを踏まえながら、市会も県会も、要は、六十日以前と申しますと二月十四日でありますが、できたらここら辺までに市議会並びに県会の方も御協力賜らんかということは再三われわれもお願いをしたのでございますが、いま申し上げたようないろいろな、長崎には長崎の特殊事情がございますから、知事さんも市長さんも慎重を期せられたこと、これをまた私が非難するというようなことは毫も許されません。 そうしたことで、やはりいろいろの事情でおくれたのでございまして、その責任は重々痛感いたしておりますが、私は、内閣の継続性と申しましょうか、そうした立場で、今日、主人公はかわったが、自由民主党の内閣であるという立場に立てば、やはり四者協定を今後も——今日ただいまにおいてほごになったとおっしゃるかもしれませんが、若干おくれるかもしれないということをすでに二ヵ月前に申し上げてありますから、その若干を極力四月十四日に近い線で、やはり私としてはまだ守っていきたい、こういう気持ちでございますので、あの協定はだめだったということは、私から申し上げる立場ではございません。
○瀬崎委員 大体話をそらしてはいけませんし、聞いてないことまで答える必要はないと思うのです。 というのは、四者協定を結ばれた時点で、長崎だの佐世保だのは全く問題になってなかった、その関係はなかったということは、本委員会でも政府側が答弁していることでありますから、今日、長崎、佐世保の事情を理由にしてこの四者協定のおくれを云々することは、これは単なる詭弁と弁解にすぎないと思います。かつ、当時の事情を勘案すれば、三者が最善として決められたというふうに言われるけれども、その当事者の一人に私も会っておりますが、六ヵ月以内に母港を選定するの、いや二年半以内に出ていくの、そういう期限は何も地元の方から出した条件ではない、政府側、つまり鈴木善幸特使の方から出してきた期限なんだ、そういう点から言っても二重三重に協定違反は許しがたい、こういうふうな話が出ていることも記憶にとどめてほしいと思うのです。もしも四者協定があの時点で仕方のない唯一の解決方法だったとすれば、今度は二年半の間の政府側のとってきた方針なり態度なりに間違いがあったのではないか。今日解決に至っていないことは事実なんです。この点についてはどうなんですか。すべて誠意を尽くしてやって間違いなかったと言い切れますか。
○宇野国務大臣 評価はいろいろございましょうが、少なくとも政府としては最大の努力をしてまいったと思います。ただ昨年は御承知のとおり選挙の年であったから、地元の国会議員さんの御認識もまちまちであったので、なかなかそういう面におけるところの、肝心の与党においてすら意見の一致を見ることができなかったこと、あるいは率直に申しまして、昨年は大変な国会でしたが、その後特に与党の方もいろいろとトラブルばかり起こしておりました。したがいまして、そうしたことで、両県に対しましても完全に誠意を尽くしたかということになれば、私は反省をしなければならない点がたくさんあるのではないかと存じております。しかしながら、福田内閣誕生以後は本当に全力を挙げてこの問題に私は取り組んでまいった。よく言われますように、人事を尽くして天命を待つ、別に天命を待っていたとは思いませんが、そういう意味合いのいわゆる人事は尽くした。本当にわれわれといたしましては長崎県のよき回答を得られるように人事を尽くしたと私は言えます。
○瀬崎委員 いま率直な気持ちを言われたと思うのです。人事を尽くしたかどうかは別といたしまして、結局天命を待つというのがいまの政府の態度じゃないですか。そういう点で四者協定に対してもはっきりした反省が出てこない、二年半政府がやってきたということについても何も反省がない、そしてただ頭を下げるだけだ、こういうことは全く無責任だと思うのです。もともと当てもないのに新しい母港をいつまでに選定するだとか、いつまでに移転するだとか、こんなことを約束する態度にだれが考えても問題があるのです。この点も評価を避けて逃げられる。なるほどそういう意味では宇野さんは政治家だなと私は思っているわけなんですが、もう少し大臣なら大臣らしくけじめをつけられる方がいいと思うのです。 本来、放射線漏れを起こした時点で、「むつ」に関係あるいは関心を持った科学者であるとか専門家、政府、事業団、民間の関係者の英知を結集して「むつ」にかかわるあらゆる問題、つまり過去にとってきた計画がよかったのか、その後の建造過程に問題はなかったのか、一体今後「むつ」は役立つのか役立たないのか、原子力船時代はいつごろどういう形で訪れるのか、そういうふうなことすべてを含めて、検討を二年半前に開始すべきであったし、そういうテーブルをつくるべきだったと私は思うのです。政府は、事もなげに気に食わぬ点があるから反論するとおっしゃるけれども、今度のカーター政権の新政策の背景には、フォード財団の二十一人の専門家による提言があることは事実です。あれをつくるために二億円の金をかけたという話だし、ずいぶん長い年月をかけているという話です。これだけの大問題を含んだ矛盾の集中点ともいうべき「むつ」問題の解決には、少なくともそれくらいの国民が納得するような審議機関をつくって、それぞれ部門別に「むつ」問題を検討すべきだったと思うのです。 大臣はいままで科学技術に縁がなく、大臣になられて間がないのですが、私はこの前の任期四年間もこの委員会をやらしていただいて、これでは国民はますます原子力行政を信頼しなくなるということを身をもって体験してきているわけです。大きな事件だけ取り上げても、科技庁ともあろう官庁に汚職が出ているわけです。この汚職とは無縁でなかったのですが、不破書記局長が明らかにしました分析化研の全面的なデータ捏造事件というのがありました。米原子力潜水艦の放射能測定のデータを、十枚に一枚くらいはほんまのがあるけれども、あとは全部でっち上げておった。このことがきっかけになっていろいろ点検が行われたら、放射能の測定体制がばか丁寧過ぎるのだというふうな森山長官の発言も当時出て、新聞でも大分書き立てられた。それにすぐ引き続いて今度は「むつ」の事故が起こっている。これは科学者の警告を無視し、漁民の反対を押し切って強引に太平洋上の試験を行った結果です。そのときに、これも有名な話だけれども、「むつ」の安全性を疑う者は世界の科学に挑戦するようなものだ、こういうふうな大臣にあるまじき発言も出てこれも問題になった。 さて、事故を起こしてからの政府の態度だけれども、国会答弁を一遍繰っていただけるとよくわかりますが、科技庁と運輸省の責任のなすり合いがずいぶん続いたし、政府側の答弁はくるくる変わるし、結局事の真相を明らかにする方向ではなく隠蔽する方向で責任逃れが続いたわけでしょう。そして先ほどから言っているように、新しい母港の可能性もないまま四者協定を結んだ。これが佐世保に結びついたきっかけは何か。ここにいらっしゃらないのは残念だけれども、佐々木元長官の国会発言にありますね、佐世保市長のありがたいおぼしめしがあったから、これがきっかけでしょう。科学的な検討の結果じゃないわけですよ。かろうじてこの間われわれに有意義な結果をもたらしてくれたのは大山委員会だったと思う。残念ながらあれは放射線漏れ問題の検討というきわめて限られた枠の審議しかできなかった。ああいう形のものがもう少し大きな検討課題を与えられて、「むつ」全体について検討ができたら、国民もまた違った目で「むつ」を見るようになっていると思うのです。また「むつ」の処理、処分の方法についても、ただ単に修理ということではないもっといい方法が出てきたかもしれないと私は思うのです。やはり「むつ」に賛成の立場、反対の立場、批判的な立場いろいろあるのですから、そういう人々を皆結集して結論を出してこそ国民合意の基礎になるのではないかと私は思う。 大体「むつ」建造の過程で、船価三十数億円の当初見積もり価格、これは原子力委員会の原子力船専門部会で決めた。ここには造船界の代表も入っている。入っていながら入札をけとばしているわけでしょう。当時の有沢原子力委員長ですら、国会の答弁で全くおかしな話だと言っている。そして随意契約で六十億にはね上がる。この随意契約を支持した人がきのう証人に立った中曾根氏で、この委員会の理事をしていらっしゃった。その中曾根さんの質問がきっかけになっているのです。そういうふうな疑惑もあるわけなんです。 そういうふうな点が今日残されたままだ、こういう点に最大の問題があるということを私は指摘したい。なぜ政府は、そういう隠密行動や密室のはかりごとでこそくな解決の手段を弄するのか、この点を私は追及したいのです。なぜ、もっと国会に対しても、国民に対しても、オープンな科学的な検討の態度を歩まなかったのか。しかも、これは事故後だけじゃない、それ以前からなんです。 たとえば、ついせんだっても朝日新聞の十二日付に「第三候補地 極秘に調査進める」という記事が出ています。「一九六七年七月、横浜が望み薄となったとき、事業団の職員ふたりが、東京の上野駅から列車に乗った。むつ市に行くには、ふつう常磐線か東北線を利用するのだが、このふたりは、遠回りの信越線に乗り込んだ。「新聞記者に見つかって、行き先がばれたりしたら、まとまる話もダメになる」と、この“密偵”たちは考えたのだ。」こう書いていますね。七月二十二日、横浜がだめになったその翌日「科学技術庁は、秘密の幹部会議を開いて、一つの方針を決めた。二十二日付の極秘文書には、次のように書いてある。」そしてその文書の内容が紹介されている。 一体、密偵とはだれなのか、極秘文書は実際に存在するのか、こういう問題が当然こういう記事からわれわれにとっては問題になってきますね。この記事について長官並びに科技庁は思い当たる節はないのですか。
○宇野国務大臣 ぼくはいま初めてその話を聞きます。そして先ほど私どもの言葉じりをおとらえになったかもしれませんが、それはおとらえになるんだったら、人事を尽くして回答を待つとしておきます。決して天命ではなくして、ただプロパーブスとしてひとつ引用させてもらっただけでございますから、われわれは誠意を尽くしておる、私たちは密室でこういう問題を処そうとは決して考えておりません。過去はどうであれ、そのことに関しましても内閣の継続性で現在の私たちが責任を一切負ってやっておるわけでございますので、私は、過去のいろいろなことに対しましても決して責任回避をすべきではない。したがいまして、過去にもし問題な点があればその点も反省をして、われわれとしては現在密室主義を排し、この後ろにもおられますが、新聞記者に何もかも申し上げておりますよ。お聞きください。決してあなたの言われるような密室で陰々滅々たるはかりごとをめぐらせているわけじゃないのです。いま残念ながらそれだけは初めて聞きましたので、もうちょっと経緯を伺わないことにはわかりません。
○瀬崎委員 科技庁の方でだれがこれに答えますか。こういう記事が出てこれを肯定するのか否定するのか、どっちですか。
○山野政府委員 御指摘の調査をした人並びにその文書の存否、至急調査をして御返事申し上げます。
○瀬崎委員 これは朝日新聞の記事ですが、またこれと同じかどうかは別だけれども、日経新書の「「むつ」漂流」副題は「ある国家プロジェクトの軌跡」であります。ここにも同じような文章があるのです。「事業団の幹部が初めてむつ市を訪れたのは七月だったといわれる。横浜市で飛鳥田市長が母港問題を議会に提案しない方針を明らかにしたころだ。そのとき彼は、東北本線や常磐線でなく、奥羽線を利用して日本海沿いに青森にはいった。」科技庁はよっぽど奥羽線が好きなんですね。「横浜への希望を捨て切れない事業団にとって、第二の候補地を探し始めたことは、横浜市に知られてならないことだったからだろう。むつ市へ着くと彼は、だれにも会わずに下北埠頭の埋立て地を訪れ、それから港の背後にある釜臥山にのぼって山頂から港を見おろすと、満足そうにむつ市を去った。」 こういう文章です。これはいいかげんな情報紙ならいざ知らず、れっきとした朝日新聞やあるいはまた単行本として出ておるわけでしょう。こういう問題があってこれは政府のやり方を国民は信用するわけはないと思うのです。 もう一つ言うなら、七日の朝日にはここにも「極秘文書」という題でこれは横浜市に頼んだときの事情のようですね。「日本原子力船開発事業団の石川一郎理事長から横浜市の飛鳥田一雄市長にあてた極秘文書は、このような前文で始まり、必要な面積が三・三万平方メートルであることなどが書かれていた。」 こうした一連の隠密行動について、科技庁よく調べてこの委員会に報告しますね。
○山野政府委員 できるだけ調査をいたします。
○瀬崎委員 ところが、こういう手法が現在の佐世保、長崎問題でもやはり続いているわけなんですよ。宇野長官御存じないのでこれは繰り返しになるのですが、ちょうど去年のいまごろなんです。三月二十三日から五月十二日、つまり佐世保問題の起こった当初ですね。この五十一日間に石渡参事官外延べ二百三人の科技庁の職員の方々が長崎、佐世保に出張していらっしゃるわけです。五十一日間に二百人です。これも自発的に政府側が打ち明けてくださったのではなくて、こちらが追及した結果明らかになった事実なんです。一体何を目的に出張し、どんな仕事をしてきたのか。この点については、一、二はわかりましたけれどもほとんどわかりません。結局、これも国会に対してこれだけ大じかけな佐世保工作の実態が報告されないままになっている。こういうことが私がさっき言った秘密主義がちっとも変わっていない、こういうことを言っているわけなんです。こういうことの続く限りは「むつ」問題などの解決はほど遠い、天命を幾ら待ってもこれは解決には到着しないのじゃないかというふうな感を私は深くしているわけであります。 次に、そういう秘密主義と同時に、利益誘導が常に「むつ」問題に絡まっている。母港問題、修理港問題など「むつ」問題を持ち込むときには必ず「むつ」とは全く縁のない交換条件とかあるいは利益誘導、こういうことが行われる。古くはむつに母港を何とかしようという時期であります。四十二年九月に、当時の竹内青森県知事の方から総理大臣並びに事業団あての質問書が出ているのですが、この内容を見ますと、「一 母港の安全性はどうなのか」「二 横浜市はなぜ母港を拒否したのか」ここらはいいのですが、「三 むつ港は将来どうなるのか」「四 地域開発にどのような効果があるか」こういうふうないわゆる「むつ」と関係のない質問が出て、出す方も出す方だと思いますけれどもこれにまた答えているわけです。その答えはこうです。「(むつ港の将来について)原子力第二船もむつ港を利用する。」「四 (地域開発の効果について)今後、関係官庁と協議するが、母港建設が下北発展の新しい転機になると考えられる。」こういうことを本来地域開発と関係のない事業団が答えているわけでしょう。できるはずのないのに結局こういう利益誘導でつっていくわけですね。 だから、最終的に当時青森県が母港に同意したときの同意書の条件もまたこの地域開発が条件になっている。この中には「政府は、地方港湾である大湊港を重要港湾に格上げされたい。」「母港に通ずる道路については、県およびむつ市と協議の上整備すること。」等があります。とりわけ同意書にはこう書いてあります。「むつ市民を始めひろく県民は、閣議了解事項に基づく下北開発事業の促進を熱望している実情にかんがみ、政府は下北開発にかかわる諸懸案事項の早期実現をはかるよう強く要請する。」 結局「むつ」はつけ足しでこっちの方が重点だというわけでしょう。こういうところから「むつ」はもともと危険なもの、厄介者という前提があって、そういうものをお願いするかわりにはこういう地域開発の方で注文を承りましょう、こんな方式が生まれたんではないかと思うのです。こういうことが「むつ」の本質問題、原子力船の本質問題をわき筋へやってこの本質をねじ曲げてしまう、そういうふうに長官お考えになりませんか。
○宇野国務大臣 最初出張の件が出ましたが、恐らくそのデータはどこからお取りになったか私は知りませんが、お取りになった以上は明らかに出張命令が出たデータだろうと思います。こそこそ行っているのじゃなくて、出張命令が出た以上は目的も明らかでありましょうし、また行った先で会われた相手も明らかでございましょう。つまりその当時は、私が察するに、いろいろと長崎及び佐世保にお願いした直後だろうと思いますから説明に参上したことではないか。それをもって全部工作だとかいろいろおっしゃるとこれはいささかわれわれといたしましてもひっかかるところが多々ございます。決してそのような役人の出張はいたしておりません。やはり堂々と出張いたしまして政府の考え方を述べよと言われたときには述べる、また資料を出せと言われたときは資料を出しておる、そういう出張であると私は信じております。 二番目のいろいろ交換条件を出すということ、これははなはだ残念でございますが、「むつ」だけに限らず、いろいろな公共事業を推進する国と言わず県と言わずあるいは企業と言わず、いまそういう風潮がございまして、果たしてそれがいいのだろうかということもわれわれ政治家の一人として常に胸に手を当てて考えている面も多々あるわけであります。しかしながら、総論賛成各論反対というのがいまの風潮であって、それは総論は賛成であっても各論は反対もあるのは当然な面もあるだろうと思いますが、そういう面におきましてやはり政治であるからには地元のいろいろな御意見を伺うということも必要であって、それは交換条件であったのか、それとも地元が切実に政治に吸収してほしいと言われたから時の政府・与党としては吸収したのか、いろいろあろうと思いますが、私はしばしばこの委員会でお答えいたしておりまするとおりに、特に私は他のことは言いませんが、「むつ」という純粋に科学技術的な存在のものについて私がいやしくも交換条件によってこの問題を解決するということは、将来の科学技術のためにも私はよくないということを申しておりますので、その点は私は瀬崎委員と同じではないだろうかと思っておりますので、その精神でやってまいりたいと思います。
○瀬崎委員 御同意いただいたので、それ以上言いませんが、ただ、そういう交換条件が青森やあるいは長崎から出てくる背景には、今日までの政治の中でそういう地域が取り残されて、大変困難を抱えていることの証明でもありますから、これは「むつ」問題があろうとなかろうと、やはりこういう声が出た以上は、それはそれとして別個に政府として解決のために努力されるよう要望しておきたいと思うのであります。 次に、大蔵省見えていますね、お尋ねしますが、原子力船にいわゆる船舶普通保険というんですか、これは適用されるんですか。
○萱場説明員 お答え申し上げます。 原子力船「むつ」も船舶でございますので、他の機関によって動きます船と同じように、海上保険の中の一つの項目でございます船舶保険は当然適用されます。
○瀬崎委員 その場合、普通約款で保険は掛けられるわけですか。
○萱場説明員 これは契約当事者間の話し合いによって生ずる契約でございますので、普通保険約款、正確に申しますと、原子力船固有のリスクがない限り、普通のほかの船舶と同じような形の保険がつけられます。
○瀬崎委員 それじゃ具体的に「むつ」についてお尋ねしますけれども、「むつ」はこれはどこの保険会社——東京海上でしたね、保険を引き受けているのは。普通船舶の料率と比べて、それ並みなのか、別途料率になっておるのか、どうですか。
○萱場説明員 いま東京海上であろうという御指摘でございましたが、あれは正確に申しますと、全社で共同で引き受けておりまして、これも若干細かくなりますが、一社、沖繩で営業しております大同火災海上というのがございますが、それは加盟しておりませんが、それを除きました元請十九社が共同して引き受けておって、東京海上は幹事会社ということでございます。 それから料率のお話でございますが、これはそういった原子力船に伴う固有のリスクがない限りは、普通の船舶と同じような考え方で、個別に積み上げて料率を出す、そういうことでございます。
○瀬崎委員 だから、その料率が普通の船舶に比べてどうなっていますか、これを聞いているわけであります。
○萱場説明員 これは同じと考えていただいて結構でございます。
○瀬崎委員 全く私が聞いている話とは違うのですよ。直接東京海上に聞いてあるわけですね。東京海上の話では、これはやはり原子力船としての危険担保つきだ、したがって普通船舶の料率よりもはるかに高い、こういうことなんですね。もっと正確に答えてください。
○萱場説明員 お尋ねが船舶保険ということでございましたので、普通の保険と同じような保険、実は四つ種類がございまして、原子船の「むつ」につきましては、普通の船舶と同じような船舶保険と、それから船主が、船の持ち主がつくっております船主総合保険というものがございます。それから原子力損害の賠償に関する法律ということで付保を義務づけられております原子力損害賠償責任保険契約、そういうのがございます。もう一つは、政府が引き受けております。これも同じく原子力損害の賠償に関する法律に基づく原子力損害賠償補償契約というのがございます。これは保険契約でカバーできなかった上積みの分につきまして、一定の条件で政府が上積み分を補償する。そういう四つのあれになっておりまして、いま申し上げました最後の二つは、原子力船に固有の分でございます。その分は当然高くなっているということでございます。
○瀬崎委員 その原子力船固有の危険負担、これはいわゆる原子力危険担保つきになっているわけでしょう、はっきり言って。
○萱場説明員 「むつ」に関する契約の当事者間の個別の具体的なケースその他につきまして、大蔵省として特に関知しておりませんのですが、考え方といたしまして、たとえば係船中に仮に運航するという前提で保険契約を結びますと、それは原子力船固有の特約がつきますので、その分は上積みされて保険料が高くなる、そういう考えでございます。
○瀬崎委員 まさにそうなったわけですね。だから、昭和四十九年四月一日に付保されておった料率というのは、これはまさに普通船舶並みで、〇・三二二五%なんです。ところが、実験航海に出る前にいまの原子力船危険担保つきになって一挙に料率が一・六三五%に上がっているわけです。これは事実間違いないでしょう。
○萱場説明員 個別の具体的な契約については大蔵省としては、料率の一般的な認可はいたしておりますが、個別の契約については一々報告を受けておりませんので、当事者からお答えいただきたいと思います。
○瀬崎委員 しかし、原子力の危険を担保する場合の料率をどれだけ上げるかということについては大蔵省に相談に乗ってもらっておる、こう言っておるわけですが、どうなんですか。
○萱場説明員 基本的な料率の決め方とか考え方につきましては、これはある程度国際的な点もございますので、大蔵省といたしまして認可その他検討はいたしております。
○瀬崎委員 この間たまたま放射線漏れ事故を「むつ」が起こしているわけですが、ああいう放射線漏れ事故は、この保険によってカバーされるのですかされないのですか。
○萱場説明員 私も事故の詳細につきまして専門的な知識を持ちませんが、その事故によりまして船主、契約者が損害賠償責任を負ったという事態が生じますれば、それをカバーするという意味で保険が働くということになります。
○瀬崎委員 科技庁、この点どう判断しているのですか。
○山野政府委員 ただいま御指摘の船舶保険と申しますのは、自船ないしは他船に物的損害を与えた場合に適用されるものと判断されますので、先般の放射線漏れ事故によって直ちにこの保険が発動されたとは考えておりません。
○瀬崎委員 結局あの種のものには適用されない。もし原子力が動かないという状態であれば、普通船並みの〇・三%強の保険料率で済んでいるということになれば、実質原子炉を積み込んでいることによる危険のみでその差額のアップが行われている、こういうふうに理解する以外にないわけですね。
○萱場説明員 いろいろこれも当事者間の契約によりまして個別的な事情にわたることかと思いますので、私は一般的なお答えしかできませんが、原子力を動かすこと、原子力機関によって航行する状態と、それからつながれたままで動かない状態とでは、やはり当事者間で約束をいたします危険の種類が全く違うものですから、それはそれに応じた取り決めを当事者間でなさるということ以外にちょっと申し上げられません。
○瀬崎委員 だから、東京海上で私が調べた話しかこの際できません、大蔵省が一般的なことしか言いませんから。 では、「むつ」の保険料率は年率で一・六%ですが、もし原子炉を積んでいない「むつ」とほぼ同型の在来船、条件は全く一緒で保険を掛けるとすれば、まあ〇・八%以下、こういうことなんですね。そうなってきますと、原子力船は在来船のほぼ二倍、こういうふうな数字が概略の比較として出てくるのではないかと思うのですが、大体そういうふうな受け取り方でいいわけですか。
○萱場説明員 これは契約の中身を担保する危険の度合いによりますが、先生の御指摘のような事例もあり得るであろうと思います。
○瀬崎委員 これは宇野長官にお聞きするんですが、確かに政府は「むつ」は安全だ、安全だ、あれは小さい事故なんだ、こうおっしゃるわけなんです。在来船と同じように扱えるんだ、こうおっしゃるわけなんだけれども、現に保険会社が在来船のちょうど二倍の料率を掛けているわけですね。二倍になる理由は、やはり原子力の危険担保をすれば現状ではこうなるというわけです。それで、こうなってくると、「むつ」を在来船と同じような形で安全だと宣伝してみても、社会的条件は「むつ」を危険だと見ているからこそ保険会社が高い料率を取る、こういうことになって、「むつ」が一般船並みの安全性を社会に通していくだけの資格はまだ持っていない、こういうことに私はならざるを得ないと思うんですね。こういう社会的な背景をそのままにしておいて「むつ」の在来船並みの安全性を主張してみても、これは国民が受け入れられるはずがないと思う。こういうところにも問題があるんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
○宇野国務大臣 私も初めて伺う話でございますから、どう答えてよいかわかりませんが、保険会社は保険会社として、日本独自でやっておる問題ではなくして、やはりこれは世界にも幾つかの例があって、世界共通の問題としてやっておると思いますから、したがいまして必ずしもそれが危険だから、危険だからというんではなくして、やはりまだその保険制度ができたころには原子力船というのはごく初歩であった、さような意味からそうした料率がなされたかもしれませんし、もしそういうことが危険でなされたのだったら、今後、われわれといたしましては、保険会社に対しましても、やがてりっぱな技術の開発をした暁には、これはやはりそういう見解であってはこちらは全く迷惑だ、むしろ直すべきだというぐらいのことは私は言うべき時期が来るのではないか、かように存じておりますので、いまのところは、感想を求められましてもそれくらいのことしか私としては申し上げられません。
○瀬崎委員 私がこの保険料率を調べるに至った経過は、日本郵船の常務であります黒川正典氏が、現在原子力船の日本における保険料率は在来船の約二倍だ、明らかにそれだけのリスクを保険会社が見ているような状態のもとで、とてもじゃないがこれを一般船並みに扱えるもんじゃないし、国民が受け入れるものではない、そういうところにも問題がありますよと、こういう指摘を受けた。そしていろいろ調べてみたら、案の定いまのような形になっているわけですね。だから、何ぼ国民が一般船と同じように受け入れようと思ってみても、自動車の保険でも何でもそうですね、必ず危険率の高い車ほど高い料率になるし、また貨物の場合なら危険率の高い物を積めば割り増しを取られるという仕組みになっていますから、ああなるほど、やはり原子力船は危険なんだな、こういうことにもなりますので、こういうこともいまの原子力船「むつ」を取り巻く社会的条件の中の一つにあるんだ。こういう中で長崎は大丈夫、大丈夫と言っても、私は無理だなという感じを受けますね。 最後に、これも利益誘導の一環になるんですが、佐世保重工が今度の「むつ」の修理を引き受けたのは造船不況の打開に役立つからだ、こういうふうに一般に言われるし、辻市長も大変強調されるんです。一体政府側は、このSSKが「むつ」修理を熱望している、こういうふうに考えていらっしゃるんですか。
○宇野国務大臣 現在といたしましては、熱望とかそういう度合いをはかるわけにはまいりませんが、やはり「むつ」の修理を請け負うということについては、十二分に研究しようというので、労組の中におきましても特別の研究会をお設けになって、そしてずいぶんと研究をなさった、そういう結果、ひとつ「むつ」の修理を引き受けてもいいのではないか、そういうふうな結論に達せられつつある、こういうふうに承っております。
○瀬崎委員 実はこの点で、私は、一体佐世保重工がどういう立場、どういう意図で「むつ」の今回の修理を、仮定の話でありますが、引き受けようとしておるのか、直接尋ねてみたのですね。回答されたのは吉田常務なんです。四点ほど、重要な点の話がありました。 まず第一に、「むつ」はせいぜい八千トンの船で、かつ、やらせてもらえるのは修理だけである。しかも、佐世保重工が原子炉部分を直接さわれるわけではないので、修理を一括もらえたとしても、工事費の歩どまり率は非常に少ない。また、現在年商が大体八百億円だそうですね。受注残高がざっと一千億円はあると思う。こういう中での「むつ」の修理ですから、造船危機をカバーするようなものでは全くありません。そういうふうなメリットがあると思われては困りますということをはっきりおっしゃっています。 それから第二に、では、すでに原子力船開発事業団の方へ一名出向させていらっしゃるじゃないかということに対しては、あれは別に原子力関係の技術習得とかなんとかということではなくて、造船技術者をと要望を受けたので一人派遣しているのだ、特にSSKが「むつ」修理に備えて原子力関係の研究をするとか、態勢を強化するとかいうことはやっていない。 第三に、どういうことになるかわかりませんけれども、核燃料をどこで抜くのかなんという話がおいおい出ているが、と水を向けたら、佐世保重工で燃料棒を抜くなんてとてもできる相談ではありません。耳にしたこともありませんと明言して、きっぱりと拒否されておったですね。 それから第四に、「むつ」の修理を仮定した係留地の問題でありますが、係留地についても、すべて米軍の提供財産になっておるために、SSKの一存だけで勝手に使えるものではありません。二百五十トン・クレーンのある新造船の艤装岸壁も提供財産であって、日米合同委員会の協議を経ながら使用しておるし、現状ではこの岸壁が遊ぶという状態ではありません。 大体この四点ですね。こういうところから、「むつ」の修理だけとってみれば、何もSSKにしてみれば求めてやらなければならない仕事ではないというふうな印象を私は強く受けた。だとすれば、この「むつ」を引き受けることが造船危機の不況打開につながるのだなと言われる背景には、「むつ」を引き受ける側にそういう自衛隊の修理をたくさんもらえるのじゃないかとか、いろいろ話が出てくる。そっちが主題かなという感じがしてくるのですね。この点についてSSKと政府との間に何らかの交換条件なり、何らかのそういう利益誘導的な話し合いは行われているのですか。
○宇野国務大臣 その点に関しましては、私が窓口としておりますが、過去一度もそういう話はございません。また、造船不況だから引き受けるのだという話も聞いたことはございません。まあ、辻市長といたしましては地元の市長さんですから、したがいまして、佐世保はやはり昔から軍港であって、その後米軍で栄えた町で、いま何もないから、そうした意味においても、ひとつこの原子力船の修繕をしたというその経験を高い集約産業として残していきたい、それくらいの気持ちで私は「むつ」の修理をお引き受けしている面もございます。こういうふうな説明がございましたが、それも交換条件といって市長がお出しになったわけではなく、いまおっしゃったような内容に関しましては一切聞いておりません。
○瀬崎委員 もちろん吉田常務は、最後の結論として、労働組合との関係等もあるので、いまの時点では「むつ」修理についてSSKがどういう態度をとるかはノーコメントだ、それ以上はお聞きいただいても云々というようなことでしたね。 私がいま幾つか問題を挙げましたが、最初に、二年半たった今日、政府としては完全に青森県民に対して約束をほごにする形になった、その原因はどこにあるかとお尋ねしたけれども、明確なお答えはなかった。そこで私は、これがすべてではありませんけれども、その有力な原因の幾つかをいま申し上げたわけですね。だからこういう点について、ひとつ大臣としても科技庁としてもやはり率直に反省して、改めるべきは改めていく、また「むつ」の今後の処理についても修理一本やりで解決できるものではない情勢だ、こういうことも十分認識していただきたいと思うのです。 このことを強く要望し、大臣の答えをいただいて終わりたいと思います。
○萱場説明員 先ほど私の答弁、若干正確を欠いたかと思われますので補足させていただきたいと思いますが、大蔵省としましては、船舶保険につきましては船舶保険の料率の基本的算出の方法について認可しておりまして、いわゆる料率から申しますと、これは自由料率という部類に属するわけでございます。 そこで、原子力危険について大蔵省が認可しておるかと言われれば、それは先ほど申しました原子力損害の賠償に関する法律によります原子力損害賠償責任保険契約、そっちの方の考え方は基礎書類として認可しておりますが、船舶保険につきましては原子力危険の料率が幾らという形では認可しておりませんので、失礼いたしました。
○宇野国務大臣 いろいろ瀬崎さん本当にいつも小まめに資料をお集めになって熱心な御討議をいただきまして、私といたしましてはいつも耳を傾けておる次第でございます。十分きょうの意見も承りました。
○山田委員長 次に、中馬弘毅君。
○中馬(弘)委員 国民が注目しておりました十四日、きょう参ったわけでございますが、何らの手を打たずに、あるいは明らかにならずに日が過ぎようとしております。この点につきましての最終的な責任と申しますか、これはどこにあるとお考えでございましょう。
○宇野国務大臣 やはりこれは政府でございます。
○中馬(弘)委員 だとするならば、きょう国民に向かって何らかの陳謝あるいは釈明を今後の方向につきましても明確にしながらやられるお気持ちがあるのかないのか、その点お伺いいたします。
○宇野国務大臣 朝、記者会見をいたしまして、私自身の談話として深くおわびを申し上げ、なおかつ、今後全力を挙げて、青森県の方々には十四日の線は守れなかったけれども、しかし若干おくれるということはすでにわれわれとしても率直に申し述べてあるから、そうした線で努力をいたしますという談話を発表いたしておきました。
○中馬(弘)委員 やはり政治に信頼を取り戻すならば、それこそ総理大臣が誤ったことは誤ったんだと、あるいは悪かったことは悪かった、このことを明確に、もちろん功績を自慢されることも必要でございましょうが、同時に失敗した場合に明確に国民に対して陳謝するという態度が必要じゃないかと思います。場合によってはテレビあたりででも、外国の例に見ますようにはっきりと陳謝される方が国民の信頼を取り戻すことではないか、かように考える次第でございます。 それから今後の方向につきまして、あるいは時期また方法につきましての明確なといいますか、一応の方向ではございましょうが、そういうことは国民に何か発表されますか。
○宇野国務大臣 このことは私の談話の中におきましても、長崎と現在全力を挙げて折衝いたしておるので、したがいまして、近く県会も開いていただけると思う。そして知事さんも恐らく政府がお願いしているように受け入れていただく方向で意思決定をなさると思う。その場合には早急に事業団をして入港届を出さしめます、それによって六十日ではございますが、回航期間が十日間あるとすれば、入港届を出しても五十日目にはどうしてもわれわれとしてはむつを離れてお約束を守りたい、それぐらいの気持ちでこの問題に対処するということを談話の後の記者会見で各紙に申しておりまするし、ちょうどたまたまきょうはNHKで朝の七時のニュースの時間に出ろというので、いま申し上げましたと同じことを申し述べて、私は政府を代表して、衷心より青森県の方々にはテレビを通じておわびを申し上げておきました。
○中馬(弘)委員 今後の方向でございますが、燃料棒の抜き取りということは、これは場合によってはあり得るわけでございますか。
○宇野国務大臣 これは各党の委員の方々から御質問がずっとひっきりなしにあったわけでございますが、場合によってはという仮定の問題に対しましても、私といたしましては今日お答えしがたい。なぜかならば、佐世保はああやって市会ではそのまま入ってこい、こういうふうに言っていらっしゃるわけですし、私と全く関係がございませんが、知事さんの諮問機関におきましても、そのままで入ってきても大丈夫だろうけれども、なおベターな方法としては抜いてはどうかというのが一名だけ多い多数決であったというふうなことで、知事さんがそれをどういうふうに御判断なさるか、これもまた容易にはかり知れない問題でもございましょうし、そうしたことですので、私が知事さんの御意向を先走りして仮定の問題としてでもお答えするということは、やはりそうした関係者の多くの方々といろいろ問題を生ずることである、こう思いますので、御理解を願いたいと存じます。
○中馬(弘)委員 燃料棒を抜いてしまいますならば、これこそ全く普通の一般の船でございますので、これまた仮定の問題としてお答えしにくいかもしれませんけれども、青森のむつに帰すことがあるのか、あるいはまた横須賀とか、どこか別のところということも考えられるのか、その点についてお願いいたします。
○宇野国務大臣 非常にデリケートな問題でございますが、やはり仮定の問題であります。ただ、私は次のようなことは申しておるのです。洋上で抜くということは、これは現在の技術としても不可能な話であるということだけは申し上げられるんじゃないだろうか。じゃどこだといいましても、これはまだまだ仮定でございまして、重大な影響を与える、こう思いますので、しばらくの間、まだ私も意思を決定いたしておりませんので、ひとつ御勘弁を賜りたいと存じます。
○中馬(弘)委員 これまた仮定の問題とのお答えが返ってくることを百も承知の上で申しますならば、そうした場合に、先ほど五新幹線との取引の問題なんかも出ております。そういったことの誤解を除く意味におきましても、場合によってはこれは白紙還元にして、造船会社各社の入札にするとか、そういったことも含めたことが必要じゃないかと思います。その点についてのお答えをお願いしておきます。
○宇野国務大臣 これはもう明らかに、昨年の二月に前内閣でありますが、長崎、佐世保にそれぞれ総点検のための修繕をお願いをしたわけでありまして、政府といたしましては、ひたすらその回答をお待ちしておる。しかも、その回答はわれわれのお願いした線においてしていただくということをひたすら期待しておるということでございますから、その回答も得ない先にその船をどうする、こうするということは、私としては申し上げるわけにはまいりませんし、また、政府といたしましてはあらゆる努力をして、これは大山委員会が答えを出してくれて、かなりの水準に達しており、遮蔽改修並びに総点検をしてやれば、りっぱにこれは将来の原子力船の一ページを飾るものだと言っていただいておりますから、そういう線で最大の努力をするということがわれわれに課せられた問題でございますので、架空の上の架空のような感じがいたしますから、私といたしましては、ひたすら人事を尽くしましたので、よき回答が来ることをただいまはお待ち申し上げておる。 もちろん、回答が参りましても、それだけで事は済みません。やはりその後どうやって入港届を理解を得て一日も早く出して、そして今後青森との間でどういう理解を深めていくかという問題もございます。そうした意味合いにおきまして、まだまだ人事を尽くしたと申せられないわけでありますが、回答に関しましては、とにかく安全を保障するための行政措置はいかがという問題に関しましても、法律も準備をさせていただいたりいろいろやってまいったことは事実でございますので、そうした意味合いにおいて待っておるという段階でございます。
○中馬(弘)委員 この「むつ」の問題にいたしましても、日本の科学技術行政のあり方といいますか、こういった研究開発と利用との問題が何か未分離だということに起因するんじゃないかと思います。 それとちょっと関連するのでございますが、カーター政策、この前出ました。福田さん行かれまして、その真意というものが人道的なものなのか、あるいは軍事的なものなのか、あるいは経済的な世界戦略の一環なのか、そういったことについての政府の御認識をお聞かせ願いたいと思います。
○宇野国務大臣 巷間いろいろの批評がございまして、アメリカが核に関しては自分だけがその特権を保有したいからだという評論もあり、あるいは経済的優位性を誇らんがための措置であるという評論もあり、あるいはまたカーターさんの信心、信仰より出たものであると、いろいろございますが、政府といたしましてはただいま極力アメリカと折衝いたしておりますので、私たちといたしましては、経済的とかあるいは軍事的とかそういう問題ではなくして、やはりカーター大統領が選挙中に公約をなさった、その公約を忠実に守りたいという純なる心から出たものである、こういうふうに受け取めまして、しかしそれはそれとして、もしそうしたことを対外的な政策としてお決めになった場合には、わが国にはそれこそ将来の民族の興亡にも関する大きな問題であるから、その点はひとつわが国の立場を理解してもらいたい、こういう主張をいたしたいと思いますので、いろいろ批評はございましょうけれども、われわれといたしましては、カーター大統領の選挙中の宗教的な姿勢、そうしたものから出たものである、こういうふうに今日は解しております。
○中馬(弘)委員 非常に純粋な御解釈をなさっているようであれでございますが、私はこの間アメリカに行ってきまして、AFL・CIO、例の労働組合の事務局長あたりと少し懇談したわけでございますが、いままでのアメリカの政府のやり方はけしからなかった、というのは、すべての技術を海外に出して、それて海外の方でそれをどんどん開発してそれが国内に入ってくるじゃないか、そのためにアメリカの労働者は大変な失業問題を起こしているのだ、政府のやり方はけしからぬ、やはり技術というのは安易に外に出すべきでないのだということを申しておったわけでございますが、その一環としての政策であるということも考え得るわけでございますが、そういう要素はありますか。
○宇野国務大臣 もしそれが労働界の御批判であるとすれば、ちょっと違うのじゃないだろうか。なぜかならば、カーター大統領は、先ほど申し上げましたとおり、原子力産業に関する問題、再処理、そうした技術だとか核濃縮だとか、そういう問題については法的に輸出を禁止するのだ、こういうことを言っておりますから、だからアメリカの原子力産業界がいま、カーターさんの政策はおかしい、われわれののどを絞めるのか、こういうふうな反発が出ておるわけでございますので、そういう点から考えますと、いま中馬さんが聞いてこられました批評は当たらないのじゃないだろうか、私はこういうふうに思います。
○中馬(弘)委員 もちろん、もろもろの要素が入っての今度のカーターの方針だと思いますが、たとえば西ドイツはいまイランあるいはブラジルあたりに対しまして一兆円に及ぶような非常に大きな原子力発電のプラントをあちこちで成約し、またやっております。これに対してアメリカはおくれをとっていることは事実でございます。こういう特に西ドイツと日本とにこれだけ大きな差が出た原因といいますか、根本的な原因は何だとお考えになりますか。
○宇野国務大臣 原子力開発の過程におきまして、ドイツの方がわれわれよりもやはり一日の長であるということは認めざるを得ません。したがいまして、そうした点を幾つか反省しながらわれわれとしても独自の核燃料サイクルの確立に努めたいということでございます。ただ、残念なのは、西ドイツと日本は同じ資源小国でありますが、対アメリカということになりました場合には、いわゆる原子力協定の内容において日本の方が拘束性が強く、西ドイツはユーラトムの一員でございますから、その点ははるかに楽である。だからブラジルとの輸出産業として今後原子力産業を興したいという意図はありありと見えておりますし、そのブラジルが今日ただいまはNPTの参加国ではないわけでございます。にもかかわらず、そういう問題をアメリカはなかなか手がつけられない。しかも西ドイツははっきり輸出するということを決定してしまいました。だから、そういう問題があるのに、一番御しやすい日本だけをあなたたちは追うて何か窮地に追い詰めようとするのかという私たちには今日疑念がございます。その疑念を明らかにしながら日米友好の線を崩してはならない、そういう外交を今日やっておるわけでございます。 わが国といたしましても、将来平和利用ということが確立されたならば、本当に核のいわゆる分散が完全に防止されたならば、われわれといたしましても将来の産業としてやはり原子力産業のいろいろな技術というものは確立をして、そしてわが国独自のものとして世界に寄与し得ることがあるのならば、それも今日の段階では決して私は否定してはいけない、そうしたことはやはり民族のノーハウとしてあるいは技術として残しておくということも必要だろうと思います。しかし、それらもすべて今日は非常に低迷しておる段階でありまして、NPTの参加国もあれば参加国でない国もある、そこともごちゃまぜになって議論されておるという面もございますので、そこら辺をカーターさんは一遍整理をしたいなという気持ちは事実ではないだろうか、こういうふうに受けとめております。
○中馬(弘)委員 これはただ原子力だけの問題じゃなくて、いろいろな科学全般の問題あるいはもう少し広く言うならば文化、文明の問題についてすら、何か日本のいままでの行政あるいは政治のやり方の根本の差じゃないかという気がするわけです。といいますのは、たとえば学問にしましても、教育の場にしましても、大学問題いま大きな問題になっておりますが、純粋な学問というものと、それから実利といいますか、実学といいますか、こういったものとの何か未分離があります。それから文化、芸術にしましても、本当に文化、芸術だけを追求するというものとまた商業的なものとが何か未分離になってしまっておる。そういうところから日本は独自のものをつくり出し得ないことになっておるのじゃないかと思うのです。 これが一番端的にあらわれておりますのが科学技術の面だと思うのです。やはり研究開発は研究開発としてもう少し純粋性を追求していいんじゃないか。また、利用というものは利用というもので別に分けて考えなければならないのじゃないか。ロケットの開発にいたしましても、この原子力の問題にしましても、「むつ」にしましても、これが何か産業界の発展のためだとか日本の一つの方向だとかいうことを追求することに非常に意が強くなり過ぎて、もう少し別の観点で言うならば、技術を追求するといいますか、こういう体制というのが科学技術庁のあり方にしましても非常に未分離であるというような気がするのです。その点について、長官どのようにお考えでございましょうか。
○宇野国務大臣 非常にやはり問題点だろうと思います。現に、科学技術庁設置法に従えば、われわれはあくまでも科学技術の振興を図って、そして資源の有効利用、こうした面においても努力をするべし、こういう目的を持って設置された庁でございますが、大学及び人文科学に関しては、あなたたちの仕事の範囲ではないよ、範囲外だ、こういうようなこともございます。そうした意味合いにおきまして、今日まで人文科学と自然科学というものが分離されたまま来たという面においては、それはそれなりの意味があったかもしれませんが、しかし学問そして技術、そうしたものが完全に並列しながら、そしていろいろと国民に寄与し得たかどうかということになりますと、まだまだもうちょっと考えてみねばならぬところがたくさんあるのじゃないかな、こう思うのでございます。 しかし、こうした問題はすでにいろいろな機関からも指摘をされまして、たとえば国会にかかったこともございますが、やはり人文をどうするかこうするかという問題になってまいりますと、国会議員の中におきましても意見がばらばらでございます。したがいまして、そうした問題に一つの結論を与えるという段階でないことも事実でございます。そうしたことがすべて科学技術が言うならばドイツ等におくれをとった原因とは申しませんが、しかし、将来におきましては、私は、やはり科学技術という純技術面とそうして人文科学とどこかでクロスをして、そしていまおっしゃるような姿で伸びることも、移り変わりの激しい日本としては、あるいはまた世界としては必要なことではないだろうかなとは考えておるのであります。しかし、これとても決して一人の考え方だけで、すべての方々が御同意にならないことはできないような問題でございますので、いろいろと科学技術を掘り下げて考えてみました場合には、中馬さんがおっしゃったような見解もその中にあることは承知いたしております。
○中馬(弘)委員 ちょっと私の言葉が足らなかったようなんで少し誤解された面があるかと思うのでございますが、要するに人文のあれと一緒にしろと言っているのじゃなくて、一つの科学技術という分野におきましても、純粋の研究というものとそれから何か産業に寄与しようという、技術といいますか、何と言ったらいいのか、それとの未分離があるんじゃないか。たとえば原子力船「むつ」の問題にしましても、これはただ一遍研究してみようじゃないかということで、研究所というようなところでやっておれば、失敗しましたぞということで頭をかいて済むことかもしれない。しかし、それが何か造船会社も一緒に入った、造船技術者も一緒になったような形で、事業団という形でやるがために、何かそれをやらなければならないというようなことで余りにも拘泥されている面があるような気がいたします。 それから、原子力発電につきましても、これは何か初めから実用化の方に重点が置かれ過ぎたのではないかという気がします。またロケットの問題にしましても、一つの人工衛星を上げることが目的で、あるいは通信衛星といったようなことで利用することが何か目的であって、肝心のロケットは買ってしまえばいいじゃないかとか、そういう形に安易に走ってしまっておる点、こういう点が一番問題じゃないかという気がするわけです。 そういう意味から、特に産業に結びついたようなところはそういう関係の省庁に移してでも、科学技術庁というのはもう少し純粋な形で日本の本当の技術開発に取り組んでいく必要があるのじゃないか、かように考える次第でございます。その点についてのことでございますので、誤解ないようにお願いしておきます。 そういうことをお願いいたしまして、時間も参りましたので私の質問を終わらせていただきます。 ————◇—————
○山田委員長 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 今十四日、理事貝沼次郎君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員となっております。この補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に貝沼次郎君を指名いたします。 次回は、来る四月二十日水曜日、午後一時理事会、一時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十四分散会