科学技術振興対策特別委員会 第7号
- 発言数
- 206 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/04/06
会議録
○山田委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
○原田(昇)委員 私は、本日初めての質問でございますので、大変失礼の段があるかもしれませんが、あらかじめお許しを願っておきます。 まず、わが国のエネルギーの供給見通しについてお伺いしたいと思うのでございますが、数年前に起こりました石油危機は、資源、エネルギーの有限性についての警告であったと思うのです。私たちは資源小国日本として、アラブ産油国の禁輸措置によって石油価格の高騰とか大変な経済的な損失をこうむったわけであります。しかし、それによってわれわれは石油の節減と石油にかわるエネルギーの開発という問題の重要性をいやというほど知ったわけでございますが、その後の経済の不況によりまして、何となく石油が実態的にだぶついておるということもありまして、いつの間にかのど元過ぎれば熱さ忘れるという感じになってきておるのではないかと思います。そこで、最近いろいろエネルギーの専門家等に聞いてみますと、産油国側は、この前の中東戦争によって自分の資源を自分でコントロールするという完全な力を得て、エネルギー資源を大事に保存しておこう、必ずしも先進国側の需要にマッチして生産を増加しないという体制になりつつあるということは確実のようであります。特にサウジアラビアを除く一般のアラブ諸国は、石油の生産についてはそれほど増加する意欲はないという状況であります。したがって、このまま推移すれば恐らく一九九〇年代、あるいは早ければ一九八〇年代の半ばには、完全に石油の面で供給不足という事態が世界的に起こるということが言われておるわけでございます。 そういうことを前提にしてわが国の将来のエネルギー需給計画も考えられておると思うのですが、これについてひとつ長官並びにエネルギー庁、通産省の方からどういうような計画を考えられておられるか、御説明願いたい。
○宇野国務大臣 この問題に関しましては、われわれとしてひとしく憂慮いたしております。御指摘のとおりに第二石油パニックは一九八〇年の中ごろを待たずして来るのではなかろうかという一般的な憶測もございますし、現に産油国自体におきましてもさような意味でいろいろと石油に対する認識を改めてきておるということも、わが国はシビアに受けとめなくちゃならないと思うのでございます。特に私たち国家がただいま急激な成長を遂げまして、これに反省を加えながらしかし安定成長は今後も続けたいということで、山もなく谷もないようなたんたんたる道ではあろうけれども、安定成長を続けようと思えばどういたしましてもやはりこれは六%台というのがわが国力、国情にふさわしい成長率ではなかろうかと言われております。さすればこの六%の安定成長を続けるとすれば、十二年たてば経済規模は倍になるわけでございますから、当然その経済、産業を支えるエネルギーも倍になるということを考えました場合に、いまの産油国の状態で果たしてわれわれのデスクプランどおりに石油が入ってくるだろうかということを考えますと、非常に憂慮さるべき面が多々あるわけでございます。だから、それにかわるべき代替エネルギーをいまから開発しようということになりますと勢い原子力ということになるわけでございます。これにも非常に問題がある。特に私といたしましては、福田内閣発足以来原子力に関しましては安全に第一の目標を定めて、やはり安全ということを期しながら片一方においてはそれと並行して開発をする、こういうふうな心構えでなかったならば、とうていこのエネルギー危機というものを克服することはできない。一にも二にも、そのことを考えますと非常にこのことは大切なことではないかと存じます。 したがいまして、さような意味合いでこのことを率直に国民の方々にも御理解を仰ぎまして、政府は政府としての外交的努力はもちろんのこと、国内におきましてもありとあらゆるエネルギーに対する政策を強化していかなくちゃならない、かように考えております。
○原田(昇)委員 昭和六十年の経済規模からいって、これをエネルギー需要に換算いたしまして需給バランスをお立てになっておるのが、エネルギー調査会の計画としてあるようでございます。それを見ますと、四千九百万キロワットの原子力発電の目標を立てておられますけれども、果たして達成できますか。
○山野政府委員 先生御指摘のとおり、一昨年暮れの総合エネルギー対策閣僚会議におきまして、原子力発電の昭和六十年度における目標率といたしまして四千九百万キロワットという目標を設定しておるわけでございますが現在の状況は運転中のものが十三基で約七百四十万キロワット、これに建設中並びに電調審で決定済みの十六基を加えましても約二千二百万キロワットでございまして、今後四千九百万キロワットの目標を達成いたしますためにはさらに二千七百万キロワットのものを六十年までに建設する必要があるわけでございますけれども、七年ないし八年という非常に長いリードタイムを考えますと、率直に申し上げて四千九百万キロというものを達成することはきわめて困難な状況に立ち至っておるかと存じます。
○原田(昇)委員 いま四千九百万キロは非常に困難だという御説明でございますが、ゆゆしい大事だと思うのです。一体どういうようにして計画の見直しを進められるのか、もし達成困難だとすれば何に求めていかれるのか、その点の御見解を聞かしてください。
○山野政府委員 先般政府は、総合エネルギー対策推進閣僚会議というものを設けまして、総合エネルギー政策の見直しに着手したわけでございますが、この会議の下におきまして、通産省におきましては通産大臣の諮問機関でございます総合エネルギー調査会におきまして、このような需給問題というものも含めて見直しをするということになっておりますし、また、私ども科学技術庁といたしましては、原子力委員会の事務局といたしまして現在ございます原子力平和利用の長期計画、これは昭和四十七年に策定されたものでございますけれども、この見直しをするということで早速作業に取りかかっておるわけでございます。今後できるだけ実行性のある計画をつくっていくべく、できるだけ早い機会にこれら検討の結論を得たいというふうに考えております。
○原田(昇)委員 原子力開発がおくれた場合に、エネルギーの不足分は何で埋め合わせるのか、石油の供給は果たして期待できるのか。いま四千九百万キロのときはたしか四億九千万トンぐらいの石油の供給を前提にしておられたと思いますが、それよりさらに供給をふやすということは果たして可能なのかどうか、しかと承りたい。
○武田政府委員 先ほどお話が出ましたように、六十年度見通しといいますか努力目標といいますか、トータルの石油に換算いたしました供給量約七億六千万キロリットルのうち一割程度、原子力の規模でいいまして四千九百万キロワット、これがなかなかそういう数字になるのがむずかしい、こういうことで、そういう四千九百万キロワットの達成がむずかしいということでございまして、私ども一生懸命努力してどこまで四千九百万に近づくかでございますが、仮に差額が出ますと先ほどの完全に固まっている数字との差は二千七百万キロワットでございまして、それがそのままであれば油に換算いたしまして大体三千五百万キロリットルとか四千万キロリットル近くに相当いたします。トータルエネルギー供給のいまございます六十年度需給バランスの約五%を占めるわけでございます。先ほど先生おっしゃいましたように、そのエネルギー需給バランスのうち石油輸入によるというふうに見通しております数字は四億八千五百万キロリットルでございまして、仮に単純に足し算をいたしますと五億二千万キロリットルとかあるいは五億二千何百万キロリットルという数字でなければいかぬ、こういうかっこうになるわけでございます。 なお、原子力以外でも、物によりますとあそこに書いてあります数字が必ずしもそのとおりにいかないというのもございます。それでは何でそれを埋めるのかということでございますけれども、先ほど宇野長官のお話にもございましたが、これから先の昭和六十年なりもう少し先なりを見通しまして需給のバランスなり、一体どんな供給でそれを充足していくかということにつきましては、閣僚ベースでもあるいは通産省の諮問機関でございますけれども総合エネルギー調査会でも、また原子力分野については原子力委員会でも、いま検討しているところでございます。したがいまして、結論的にはまだ何も出ておりませんけれども、埋め合わせる財源といたしましては、先生御指摘のように石油がもっともらえるのか、これが一つでございまして、そのほかは原子力以外でございますと、石油以外の代替エネルギー資源といたしましては、輸入ではございますが液化天然ガスあるいは石炭の輸入、それから国内的には水力をもっと拡充する、あるいは石炭の生産を維持する、またはたとえば地熱発電の開発をする、それから日本近海の大陸だなの石油、天然ガス、こういうようなことになるわけでございます。さらに一方では、エネルギー需要バランスの需要の方は、省エネルギーをいかにどこまでできるか、またはもっと拡大できるかということもございまして、これはあたかも供給力の拡充と同様の効果を及ぼすわけでございます。 したがいまして、そういうありとあらゆる可能性をどこまで現実にできるかということで答えが出てまいると思いますが、なお石油のみについて申し上げますと、先ほどの宇野長官からのお話のように現在世界の石油消費量の大体三十倍の確定埋蔵量を持っておりまして、毎年新たに発見する埋蔵量がございますけれども、実は現在におきます毎年の追加発見量というのは、消費量の年間三十倍のストックを持つということを達成するにはとても足りない量でございまして、一九九〇年あるいは八五年またはもうちょっと後かもしれませんが、その辺の時点では、毎年の消費量とその時点でのわかっております埋蔵量との比率が現在の三十年からだんだん下がってまいりまして、たとえば二十年とかうっかりすると十五年、そういう比率に下がってまいります。これは需要が伸びるせいと埋蔵量がふえない、両方のせいでございます。 そういうことになりますと、石油を持っている国々は自分の国の生活がかかっているわけでございますので、そういう点も含めまして物理的に達成可能な、物理的に持っている年数に比べましてもう少し早い時期に油の供給を自分の国の都合に合わせる、それを日本なりヨーロッパなりに供給してくれるかどうか必ずしもわからぬという点がございまして、それが先ほど宇野長官のお話しになった、場合によればもう少し早い時期にということになろうかと思います。それも含めて考えますと、六十年におきます油の期待しておりました四億八千五百万キロリットル、仮にほかの物がショートしてみんな油につけ足すといたしますと五億を超す数字になりますが、それが十分達成可能であろうかどうかということは、やはり現在行っております検討のうちのある意味では一番大きな検討課題になるかと思っております。そういう意味では決して安心であるということは申し上げかねるわけでございますが、何分結論的な数字、それからこれとこれで幾らというのにつきましては、先ほど申し上げましたような閣僚ベースなりあるいは総合エネルギー調査会なりの作業、検討がもう少し進みましたところでだんだん数字がはっきりしてくる、こういうような状況でございます。
○山田委員長 関連質疑を許します。与謝野馨君。
○与謝野委員 いまのお答えですと非常に長期的なお話でございますが、二次エネルギーとしての電力の不足ということがことしの夏あたりから非常に深刻になるのではないかと私は思います。特に北海道電力のような独立した系統しか持っていないところ、また中部電力のようにいろいろな理由で発電所が動かせないあるいは建設できないというところではもういつ大停電が起こるかわからない、そういう状況になっているのではないかと私は思いますが、ひとつ各電力会社の予備率等、突然国民の生活が不安に陥るというような状況がことしの夏あたりから来るのではないかという心配を私たちしているわけですが、当面そういうものに対して一体どういうお考えあるいは手当てをされているのか、それについてお伺いしたいと思います。
○武田政府委員 短期の問題でございますけれども、御指摘のとおり、現在、ことしの夏の電力の需給バランスを考えますと、供給力の方は水力を抜かしましてほぼ完全に見通しがついておりますが、需要の方は少し振れがあるわけでございますけれども、適正な予備率と申しますか、ある余裕を持って電力系統は運営しておりますが、その程度の余裕を持ちたいという数字に比べましてどうも余裕の程度が少ないという地域がございます。 それで、先ほど御指摘の北海道につきましては、これは電力系統の大きさが小さいということと、何分北海道と東北地方が電線がつながっていないものでございますから、北海道の中だけで賄わなければいけません。そういうことも含めまして、本当は需要の大きさに比べまして一五%程度、現在北海道電力のピークが、たしか昨年のピークが二百三十万か四十万キロワットだったかと思いますので、そういたしますと、それに比べまして一五%なら四十万近く、三十数万キロワットというような数字の余裕が欲しいわけでございますが、ことしのバランスを組んでみますと、どうもその余裕の量は一割を切る状況でございます。 それから一方、もう一つ、これまた先生御指摘のようにいろいろな理由で、理由は違いますけれども、中部電力につきましては、これはもっと電力設備全体の規模が大きいものでございますから、北海道とは違いまして、欲しい余裕は八%とか一〇%とか、そんな程度でございますが、実はことしのバランスを組んでみますと五%台、中部電力の規模はピークが千三百万キロワット程度でございますから、やはりこれだけ欲しいなというものに比べまして、四十万キロワットとか五十万キロワットとかいうような数字が足りないわけでございます。 ところで、現在何でそういう余裕が欲しいかということを申し上げますと、これは全国共通でございますけれども、需要というのはあくまで予測でございまして、適切な中心値的な予測をいたしますと、予測のずれというのが当該年度で考えましても三%やそこらは出てくる。 それから一方、日本の電力供給の相当部分、ある部分を水力で賄っておりまして、水力は水の出方でやはり出力の出方が変わってまいります。これまた予測するわけでございますが、やはり二十数年間のデータを使って水力はこれだけ、何万キロワットことしは期待できるという予測をいたしましても、何分統計的データでございますから狂うことがございます。これまた三%とか、そんなオーダーの余裕をもって予測していきたい。 もう一つ、火力発電所でも水力発電所でも原子力発電所でもトラブルを起こしたり故障を起こしたりするというのも、何分機械でございますから確率的に起こり得るわけでございます。それは発電所をとめて手直しをする、修理をする、こういうことになりまして、それがいつ起こるかというのは全く将来問題でございますので、これまたある確率的といいますか統計的な考え方で需給バランスを組む場合には処理せざるを得ないわけでございます。これは一台の発電機の大きさとその電力会社の系統の大きさの比率によりまして数字が変わるわけでございますが、全国規模で大ざっぱに申し上げますと、やはりそこで三%とか、そんなオーダーの余裕を持っていただく。三つの三%がございますので単純に足し算をいたしますと九%でございますが、それを私どもは八から一〇の余裕を持っていただく、こういう表現をしておるわけでございます。北海道は先ほどのような最後のことが、火力がとまったときというようなことを考えますともっとと。 実はいま申し上げましたように、北海道につきましても中部につきましても現在マイナスではございませんで、北海道は九%とか一〇%をちょっと切るぐらいの予測上の余裕、中部電力につきましては五%前後の予測上の余裕を持っております。したがいまして、予測がまさに予測の数字どおりで、中心値で施行すれば切り抜けることが可能であると考えております。 今度は予測が悪い方に当たりまして、いま申し上げましたような三つの要素が重なるという状況を考えますと、北海道につきましてはゼロになるあるいはマイナスになるということが考えられます。中部についても同様でございます。中部電力の場合につきましては、実は送電線が隣の三つの電力会社とつながっておりますので、隣に余裕があればそこから応援するということが可能でございます。中部につきまして仮に応援が得られない場合、北海道につきましては応援のありようがないわけでございますが、そのときにどういうことを考えるかという御趣旨であるといたしますと、私ども、実は昨年北海道について一部行ったわけでございますけれども、その電力会社の供給区域内にございます比較的大きな工場で、工場の操業にある程度の迷惑を与えますが、決定的なダメージということまでいかない範囲である程度電気の使い方をピークの時間落としていただくというような操作をいたしまして、北海道では昨年もそういうことをいたしましたが、まずは真っ先にそういう操作をする。そういう需要家、それも余りにたくさんの需要家の御協力を得るというのはなかなか大変なことでございますので、まずは限定されたそれも比較的大きな需要家で、かたがた協力してくださるところにまず御協力を仰いで、先ほどのような悪い方の予想になって、バランスがマイナスになりましたときにマイナスをゼロに戻すというようなことに努力するというのがことしの私どものポジションでございます。
○与謝野委員 いまのお話ですと、広域運営をしていない系統については電気事業法に基づいていろいろな御措置をとるということでございますが、非常に大口の需要家の使用を制限して何とか需給バランスを保つという考え方だと思いますが、私はそういう場合には一般家庭電力、使用量は個々の家庭にしますと非常に小さなものですが、電力不足に対する一般国民の認識を高める意味からも、大口需要家だけにしわ寄せをして電力制限をするということは、やはりいまの日本の置かれているそういう非常に厳しい立場というものが一般的な認識として深まっていかないのではないか。そういう場合に、一部のそういう産業用電力だけにしわ寄せをするということは長期的に見ますとやはり好ましいことでない。そういう場合にこそやはり省エネルギー、省電力あるいはむだを省く、また電源立地を促進する、そういう認識を高める絶好の機会だと私は思うわけですが、そういう点はいかがでございましょうか。
○武田政府委員 先ほどはことしの夏の予想数字に焦点を合わせまして御説明したわけでございまして、ことしの夏、先ほど申し上げましたように、予測でございますからどんぴしゃりそのとおりになるかどうかという点につきましてはあれでございますが、北海道につきましても、それから中部電力が仮によそから融通を全く受けられないというふうに仮定した場合につきましても、全体の三%とか五%とか、その範囲内でバランスが合わなくなるという、そういう程度でございます。そういう程度でございますと、五という数字が出ますとちょっと危ないかもしれませんけれども、そういう程度でございましたら、現在の電力の需要家の規模なりそれからウエートなり、かたがた、過去石油危機のときにいろいろ実施いたしました制限なり協力、これは法的も法的でないものもございますけれども、そういった実績等から見まして、まずはそういうところに御協力をお願いして何とか切り抜け得るのではなかろうかという、半ばといいますか、半ば以上の希望的観測を持っておるものでございますので、ああいう表現で申し上げたわけでございます。ただ、需給バランス表を組んで見まして、たとえば先ほどこれだけ余裕がほしいと申し上げておりましたものが、余裕がゼロであるというようなことを仮に前提にして先ほど御説明したといたしますと、先ほど申し上げましたことのほかに、いま先生が御指摘になったように、大口だけでそれをできるのか、もっと大きなところ、小さなところについてもあらゆる努力をしなければいけないのではなかろうか、それで、その中身が省エネルギー、省電力というのは全く御説のとおりだと私は思います。 先ほど先生の最後のお話で、開発を促進しなければいかぬじゃないかというお話がございましたが、ことしは何とかそういうことでなるといたしまして、仮に開発努力を余りしないということで考えますと、二年先、三年先、五年先、さらに先は、先ほど申し上げましたこれだけ持っていたいという余裕と現実に持っている余裕とのギャップがだんだん広がりまして、うっかりすると、そのギャップはゼロになりマイナスになる。マイナスの状態を頭に描きますと、わりに軽いマイナスの状態が昭和四十八年から四十九年にかけまして起こった石油危機に対する対応であったかと思います。もう少しマイナスの状態を考えますと、ずいぶん前になりますけれども、戦争中から昭和二十七、八年までに行われてまいりましたような、かなり思い切った需要削減をかなり広範な需要家の方にお願いするというようなことを当時やっていたわけでございますが、その時代に逆戻りしかねない。その場合には国民生活にも、それから国民生活のベースをつくります物の供給、それからサービスの供給にもいろいろ問題を起こすような可能性は理論的にはあると思っております。そういうことが起こらないように、一方では省エネルギー、仮に電力でございましたら、一般家庭も含めていろいろな意味で節電をお願いをする、それから一方で開発の努力を国を挙げてやる、これが対応策であろうかと思います。
○原田(昇)委員 いまお話しのように、短期的に見ましてもエネルギーの供給は非常に逼迫しておるということでございます。また長期的に見ても、石油の供給にはきわめて制約要因が大きいということでございます。したがって、エネルギーの節約と開発ということがどうしても並行して進められなければならないわけでございますが、なかんずく原子力が代替エネルギーの最大のチャンピオンでございますので、その開発をどうしても国民的な合意において進める必要があると思うのです。 そこで、私は、いま原子力の開発についてお話ですと、なかなか計画どおりいっていないということでございますので、なぜ開発がおくれているのか、その原因について政府はどのように認識しているかという点をお聞きしたいと思います。
○山野政府委員 ただいま原子力発電の立地が難航しておる原因といたしましては、率直に申し上げまして、原子力という新しい技術が社会に受け入れられますにつきましては、まだまだ国民一般、特に地域住民の方々の中に根強い安全性に対する不安感というものが残っておるというのが一つの大きな原因であろうかと思います。さらにまた、いま一つの原因といたしましては、電源を開発いたしましても地元そのものにはなかなか利益が還元しにくいといったふうな面もあろうかと存じておりまして、この二つの面におきまして私どもも重点的に施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○原田(昇)委員 私の見るところですと、着工に至る手続面で時間が余りにもかかり過ぎるということが非常に大きな原因になっているのじゃないかと思うのです。着工までの手続というのはどういうことになっていますか。
○山野政府委員 原子力発電所の設置に至りますまでの手続でございますが、まず計画段階におきまして、一番最初に電気事業者が発電所建設についての計画を作成いたしまして、電力の施設計画案というものを通産省に提出いたします。通産省におきまして審査の上、この電力施設計画というものを通産大臣が承認するというのが第一段階でございます。 これに続きまして、電源開発促進法に基づきます電源開発基本計画の決定というのが総理大臣によって行われるわけでございますが、この基本計画の決定の手順といたしましては、一つは通産省におきまして環境審査顧問会の場で環境審査というものをいたしまして、環境審査報告を作成いたします。また経済企画庁におかれましては、関係都道府県知事のその立地についての意見の聴取もされます。これらの結論を踏まえて、最終的には経済企画庁におきまして、電源開発調整審議会の計画決定という行為があるわけでございます。これら計画段階の諸手続を経まして後、原子炉等規制法に基づく原子炉の設置申請というものが内閣総理大臣に行われまして、この設置許可を得ました後、電気事業法に基づく工事計画の認可といったふうな行為があるわけでございます。以上の諸手続を全部終了しました後、具体的な着工に移るといったふうな手順になっております。
○原田(昇)委員 安全審査は設置申請の後でやるのですか。
○山野政府委員 電源開発基本計画が決定されました後で、電気事業者が総理大臣に原子炉等規制法に基づく原子炉の設置許可申請というものをいたしますので、この申請がございましたら、科学技術庁並びに原子力委員会におきまして所要の安全審査を行うという手順になるわけでございます。
○原田(昇)委員 どうもいまのお話ですと、電調審の計画決定に至るまで、環境の報告と立地についての意見あるいは地元の同意とか、こういったものがいろいろ要るようですけれども、何かその辺で地元との調整の仕方にもう少し仕組みの改善ができないか。たとえばある程度のものは条件つきにしてある程度進められないかとか、それから安全審査もあらかじめ予備審査というようなことでどんどん並行的に進めていくというような工夫をもう少しする必要があるのじゃないかという感じがいたすわけでございます。と申しますのは、たとえば柏崎なんかの例をとりますと、施設計画が出てから五年ぐらいたってやっと電調審が決まり、それからさらに二年以上たって安全審査が行われ、まだ着工にもならない、こういうことではいつまでたっても原子力発電というのはできないのではないかと思うのです。もちろん国民の非常な安全性に対する不安感というのは、これは払拭する必要がございます。これについてはしっかりした安全対策をやらなければならないし、また野党の方々にもこの原子力開発の必要性を十分認識していただいて、やはり与野党でコンセンサスを持ってこの問題にぶつかっていく必要が私はあると思うのですけれども、この点について政府の見解をお伺いしたいと思います。
○宇野国務大臣 いまおっしゃったとおり、非常に切迫した状態にあるということを考えますと、特に原子力に関しましては、もうしばしば私は国会で申しておりますが、何といっても安全規制、これによって国民の御理解と御協力を仰ぐ以外にございません。とにかく、唯一の被爆国でございますから、先天的に核アレルギーがあるということを承知の上で、ではそれをどうするかという努力もやはり政府はしなければならないわけで、その点いささか今日まで政府の努力が足らなかった面があるかもしれませんが、今後は、少なくともそうした面におきましても、まず政府みずからが努力をするということが必要でございますし、そのためには、過般も申し上げましたが、このエネルギーには、資源が足らない日本といたしましては、まさに党派を超越してお互いが同じ土俵の上でこの問題をもっと深刻に語り合ってはどうだろうかと、私はいつもそのような姿勢で臨んでおりますので、この問題に関しましては、野党、与党を問わず貴重な御意見は十二分に拝聴いたしまして、そしてそれが国益につながるように努力をしてまいりたい、かように存じております。
○山田委員長 関連質疑を許します。与謝野馨君。
○与謝野委員 ただいまの原田昇左右委員のお尋ねしたことは、私は実は非常に重要なことだと思うわけでございます。 安全性を確かめるという意味で原子力発電所の建設がおくれることは、これはやむを得ぬことだと思いますが、むしろ行政上の怠慢と申しますか、もう少し運用を改善することによって、原子力発電所を含めまして電源立地というものが促進できるのではないかと考えているわけでございます。 先ほどの原田委員の質問にもございましたが、いま電調審、電源開発調整審議会に、ある計画をかけるというための前提条件は、漁業補償がなされているか、地元との合意がなされているか、あるいは土地の手当てがきちんといっているかどうか、そういう三要件がそろいませんと電調審そのものにさえかからないということであります。こういうことでは、実は発電所の建設というものは非常に大幅におくれる可能性があるわけで、やはりそういう要件というものを完全に満たしていなくても、条件つきで議題に供し得るという、そういう運用を私はする必要があるのではないかと思います。特に、法律の中にはその三要件というものは書かれていないわけでございまして、法律上は基本計画の審議のみということが明文の規定となっているわけでございまして、やはり条件づきでも決定をなし得る、そういうところまで一歩進んでいただきたいと思うわけであります。 それから、電調審のメンバーに科学技術庁長官が入っていないということも私はおかしなことだと思いますし、また、安全審査につきましては、電調審にかかる前の予備審査あるいは予備的な勉強というものがなされていないわけでございまして、そういうものもやはり運用改善の面から私はやっていただかなければならないと思います。しかも、安全審査が完了しませんと、その他の約三十幾つか関連の法律がございますが、そういうものの手続も一切とれない、あるいは、たとえば土地収用に関する事業認定もできないということで、同時並行に行い得る手続があるにもかかわらず、運用の面からそういうものがなされていないということ、これで二年や三年はすぐ違ってくるわけでございまして、先ほどお話がございましたが、電力不足も予想されますし、電源立地が非常に困難になっているということですから、もちろん、手続的に、特に安全審査の面では慎重の上にも慎重をということは、これはどうしてもやっていただかなければならないわけですが、手続の面で救済できる、あるいは手続の面で期間を短縮できる、法律の運用としてできるという面ではやはり政府としては大いに努力をしていただかなければ困るのではないか、私はそういうふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。
○飯島説明員 ただいま先生御指摘の電調審の運用の改善の問題でございますが、先ほど原子力局長からお話がございましたとおり、電調審におきましては、電力の需給上の必要性だとかあるいは各種計画あるいは権益等との調整、それから立地に関する当該地元の同意、こういったものを前提といたしましていろいろ審議をしているわけでございます。こういったものを審議するのは当然でございますが、地元の問題等について、ある程度条件をつけても計画決定したらどうかという御指摘でございます。 従来、電調審は、過去数年前の地点などでは、かなりそういう点の調整が不十分のままに計画決定した地点が幾つかあるわけでございますが、そういった地点のうち幾つかにつきましては、現在になってもまだ問題が残っているというようなところもございます。結局私どもといたしましては、環境問題とか立地地域に非常に密接に関係する重要な問題というのは、一応計画決定する前の段階で、十分審議会の場を通じて調整を図り、そういった問題の解決に努めるということが、計画決定後その地点の工事が順調に進むという前提ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。 ですけれども、確かに行政的な機敏性という点で問題があるかと思いますので、今後とも私どもとしては調整の早期化とかあるいは効率化に努めまして、電源開発の促進に一層努めてまいりたいというふうに考えております。 それから、電調審のメンバーに科学技術庁長官が入ってないのはおかしいのではないかという御指摘でございますが、原子力の問題というのは非常に高度な専門的な知識を要する問題でございますし、電調審が広く一般に計画とか権益とか地元問題とかそういう調整を行う段階で非常に高度な専門的な問題の審議をするというのは、現実問題として非常にむずかしいわけでございます。そういうたてまえから、原子力の安全性等に関しましては原子力委員会が別にございまして、そこでそういった専門的な立場から審査を行うというたてまえになっておりますので、電調審におきましては、原子力の安全性の問題については事後に十分原子力委員会の方で御審査いただくというたてまえをとっております。
○原田(昇)委員 ただいまの御説明を私どもお伺いして、まだまだ納得いかない点が多々ございますが、時間の関係もございますので、この問題はいずれ後ほどまた取り上げさせていただくことにいたします。 そこで、先ほど来お話がございました将来のエネルギー問題の解決が非常に重大であるということは、わが国の安全保障という面からいっても、われわれの国民生活を維持するという観点からも、非常な問題であると思うわけでございます。 これについて私は、この際、政府、議会ともに長期的な、総合的なエネルギー戦略というものを立てまして、ぜひともエネルギー対策を推進していくということが必要ではないかと思うのです。これについてわれわれ議会の側といたしましても、各党でエネルギー対策についての見解を公開対論するということもぜひとも必要ではないかと私は思うわけです。私はそういう提案をしたいと思うのですが、これについて政府側の御見解をひとつお伺いしたい。
○宇野国務大臣 討論となりますと、どうなるか知りませんが、とにかく実りある討論の場所、そういう場所を国会でつくっていただけるならば、政府として本当にうれしいことである、こういうふうに存ずる次第でございます。先ほど申し上げましたとおり、これはもう党派を超越して考えたい問題だと私もかねてから考えておりますから、せっかく与党の先生におかせられてもそういう面でいろいろと御協力を賜るということに対しましては、もちろんわれわれは異議はございません。
○原田(昇)委員 そこで私は、各国の研究投資というのを比較してみますと、エネルギーに対する日本の研究開発投資というのは西ドイツに比べても低いし、アメリカに比べても問題にならないという状況でございます。これを賄うために何か財源が要るのかとも思いますけれども、これについて、この前私、総合開発機構の向坂さんからちょっと提案を聞いたのですが、エネルギーに対して一種の消費課税をして、そしてそれを財源にして特別会計をつくって、そこから研究開発投資を生み出したらどうか。これはエネルギー革命をやっていくのに、いままでの石炭から石油への移行はマーケットメカニズムで比較的容易に行われたけれども、これからのエネルギー革命については、石油から原子力というのに、あるいは新エネルギーに移行させるには、相当人為的な、むしろ政策的な決定によって、指導によってやっていかなければならないだろう、こういう観点からこういう提案をしておるようですが、これについてどう考えられますか。
○武田政府委員 研究開発特に原子力の研究開発につきましては、これは科学技術庁の方からお話があるのが適切かと思いますけれども、エネルギー全体の中で、そのエネルギーの開発のために必要な資金なり、その中に研究開発等が含まれてもいいわけでございますが、それをどうするかというような観点からお答えさせていただきたいと思います。 エネルギー全体の資金というのはやはり最終的にはエネルギー消費者が負担すべきものでございます。もちろん政策的な配慮が別途入ることもあり得ると思いますが、ただし、資金と申しましても、その資金の中にはいろいろな性格がございます。現実にきょう要るものもございますれば、五年たって必要になるといいますか、その果実を享受できるもの、あるいは十年たってまたは三十年先というようなタイミングで考えますと、現在使いますお金につきましても、いろいろその果実を受け取る時間が違うわけでございます。そういう観点から考えますと、エネルギーのために必要なものはすべてエネルギーの消費者が負担すべきであるという仮説を仮に立てたといたしまして、現在やっておりますエネルギーのための技術開発も現在の消費者が負担すべきであるかどうかという点になりますと、タイミングといいますか、射程の非常に長いものにつきましては一世代後の人たちがそれを使って非常にメリットを得るというようなものもございますし、かたがた技術開発というのは、本質的にやりかけたことが必ず成功するという性質のものではございませんで、ある意味の歩どまりがあるわけでございます。そういったことを考えますと、射程の長いものにつきまして、つまり将来の消費者が負担すべきものを現在の消費者がそのままダイレクトに負担するのかどうか。それとも、もっと広い意味で考えまして、エネルギーというのは国民生活なり産業なり、あるいは日本の経済活動、社会活動全体のベースであるというふうに考えますと、これは広く国民一般の方々に御負担いただくというような考え方もあり得るわけでございます。 そういうようなことでございますが、先ほど御説明いたしました総合エネルギー調査会の今後のエネルギーバランスの検討、あるいはエネルギー対策の検討の過程におきまして、広い意味での資金問題につきまして、いかに調達しいかに投入していったらいいか、その仕組みはどうかというようなことにつきましても、今後内容的な検討が進められていくことになろうかと思います。それが現状でございます。
○原田(昇)委員 ぜひともこの点は今後の検討をお願いしたいと思います。 ところで、原子力の開発について非常に問題になりますのは、アメリカの原子力政策の転換でございます。先般、福田総理がカーター大統領と会談されて、エネルギー問題原子力の再処理問題についてお話があったと聞いておりますが、その内容と結論についてどういうようになったか、お差し支えない限りお話し願いたい。
○宇野国務大臣 詳細は局長の方から申し上げますが、概略と認識だけ、やはり重大な問題ですから私から申し上げておきたいと思います。 これは御承知のとおり二十一人の方々が鋭意努力された結果のレポートでございます。その中には今日のカーター政権の中枢におられる方もいらっしゃるので、したがいまして、私たちといたしましては一応重大な資料であるとしてこれを分析をいたしたいと考えております。 二番目には、カーター大統領みずから、さながらバイブルのごとくにこれを福田総理に手渡しました。特にみずからのサインもそこに書かれたという話でございますから、いかにこのレポートを信奉なさっておるかということでございます。 内容に関しましては後ほど局長から申し上げますが、このレポートに関しましては、米国内におきましてもいろいろと評価はございます。現に三月の末にも、国会の中の、上院だったと思いますが、エネルギー関係の委員会におきまして、このレポートの評価をアメリカの原産会議の副会長がいたしておりますが、この副会長は、すべて私知っておりませんけれども、その中にはやはりいろいろと問題があるという問題点を指摘しておるということもあるわけでございまして、特に高速増殖炉あるいはまた再処理、これを軽々にしていいものだろうかという判断が加えられ、さらには今日のウランの埋蔵量、そのことに関しましてもやはりこのレポートどおりであろうかと、そのような甘い判断でよいのだろうかというふうなことも言われておるようなわけであります。 そうしたことで、貴重な資料ではございましょうけれども、日本の立場として純粋な科学技術的な立場でこれをどう評価するかということに関しましては、われわれといたしましても十分な分析をいたし、そして今日第一次ミッションがアメリカに行っておりますが、恐らくその人たちからもそういう問題に関しましては意見交換として相手に伝えられることであろうと考えております。
○小林説明員 先月ワシントンで行われました日米首脳会談の本件に関する概要につきまして簡単に説明させていただきます。 この問題は、三月二十二日の第二日目の首脳会談で取り上げられました。カーター大統領の方から、近く米国政府としては新しい原子力政策というものを発表するつもりである。四月二十日ごろまでに発表するつもりである。それは核不拡散の確保という観点からのものであるという説明がございました。そしてそれとの関連で、自分としては軽水炉による使用済み燃料の再処理というものは必要ではないと考えているという説明がございました。それから濃縮ウランの供給につきましては、十分確保できるようにアメリカとしては配慮したい、それからこの問題は各国に関係があるということを十分認識しておりますので、関係各国とも十分協議して進めていきたい、しかも平等に適用していきたいという趣旨の説明がございました。それに対しまして総理の方から、わが国のエネルギー事情、それに伴う原子力平和利用計画推進の必要性、それからわが国が唯一の被爆国であって、核エネルギーに対する特殊な感情が国民感情として存在すること、非核三原則というものを政府の政策として推進していること、それから核不拡散条約に昨年締約国となりまして、核不拡散問題につきまして、日本は場合によりアメリカ以上に強い関心を持って、この核不拡散の確保ということについては関心を持って協力しておるという点をるる説明されまして、そして動燃のやっております東海村の再処理工場につきましても、これは非常に重要な問題であるということを十分強調されました。このアメリカの新しい政策はどうなるかわかりませんが、その結果として、もし差別というようなことが起こるとすれば、そういう問題は日本としては非常に問題であるということも指摘されました。これに対しましてカーター大統領の方からは、アメリカはもちろん日本に対しては全幅の信頼を置いておる、しかしこの問題は世界的規模の合意で処理しなければならない問題であるということを言われ、いずれにしましても、日米双方が困ることのないようにお互いにこれから話し合っていきたいという結論に達しました。 そして、その結果といたしまして、共同声明の中に、この問題につきまして、共同声明の第八項で、わが国の原子力開発利用計画の実現について言及がなされまして、それから米国「大統領は、米国の新原子力政策の立案に関連して、エネルギーの必要に関する日本の立場に対して十分考慮を払うことに同意した。」という文言が、この共同声明の中に盛り込まれることになりました。 以上でございます。
○山田委員長 関連質疑を許します。与謝野馨君。
○与謝野委員 アメリカの原子力政策、国内、国外二本立てでございますけれども、国内の原子力政策と海外との関係における原子力政策とは非常に密接に関連をしているわけですが、伝えられるところによりますと、どうも米国の国内原子力政策というものはすでに固まってしまっているのだ、こういう説がございます。それと同時に、日本及び利害関係国に対しては、米国の国内原子力政策、新政策についてのドラフトと申しますかペーパーがもう配付されておる。極秘に検討を要請されているという報道もございますし、説もございます。その中で、プルトニウムのリサイクルはしない、再処理は凍結する、それからプルトニウム系の高速増殖炉からナトリウム系の増殖炉に方向転換をしていくのだ、また濃縮ウランの供給については十分の保障を与える、そういう内容と伺っておりますが、日本政府に対し、公式、非公式に米国の原子力政策、特に国内の新しい原子力政策について通告ないし意見を求められたというのは事実でありますか。
○小林説明員 いまだに米国の国内政策につきましても、まだ確定しておらないようであります。したがいまして、正式の米国の政策につきましての通報はございません。しかしながら、非公式におおよそのことはこういうことを考えているという趣旨の通報はございました。その概要は、いま先生が御指摘になられたようなことが主になってございます。
○原田(昇)委員 私も実はこの「ニュークリア・パワー・イシューズ・アンド・チョイシズ」という報告書、お話の報告書を入手しまして概観してみたわけでございますけれども、その中で特に問題だと思いますのは三つくらいあるのですが、石炭の代替エネルギーの可能性について、報告書はかなり楽観的に書いておる。日本は石炭を持っておりませんから、こういうのを前提にやられたら非常に大変なことになると思います。 それから、ウラン資源の賦存量についても相当楽観的で、そういうのをベースに濃縮ウランを安定供給できるのじゃないか、こういうことを言っておるのではないかと思うのです。 特に問題だと思うのは、再処理増殖炉ですね。これは経済的に引き合わないということをはっきり書いてある。今世紀中はまず経済的にペイしない、したがって使用済み燃料はストックしておいたらどうだ、こういうことを言っております。この点についてどういうふうに考えておりますか。
○山野政府委員 まず一番基本になりますウラン資源の賦存量でございますが、先ほど大臣から御紹介申し上げました向こうの文章には、今後入手可能なポンド当たり三十ドルまでのウランというものを全世界で約千百万トンというふうに見込んでおるわけでございます。これは従来の世界的な通念、常識とはかなり違う大きな数字でございまして、たとえばOECD、NEA等で一九七五年にいたしております統計等によりますれば、確認埋蔵量並びに推定埋蔵量両方合わせまして、ポンド当たり三十ドルまでのものは大体三百五、六十万トンということになっておりまして、このフォード財団レポートの数字というのは過大に過ぎるのではないかというふうに私どもは考えております。 それから、この入手価格にしましても、大体ポンド当たり四十ドル程度というふうに見ておるのでございますが、これはすでに最近非常に値上がりを示しておりまして、今世紀いっぱい、ポンド当たり四十ドルで買えるかどうかきわめて疑問である、むしろ不可能ではないかと私どもは考えております。 それから第二点、この再処理並びにプルトニウム利用の経済性評価でございますが、この点につきましては二つの局面があるかと存じます。 一つは、再処理をしました結果出ましたプルトニウムを普通の軽水炉に利用する、いわゆるプルサーマルに利用した場合と全然利用しない場合との経済比較、それから将来高速増殖炉というものをつくりまして、この高速増殖炉体系でプルトニウムを使う場合に、軽水炉と比較して経済性はどうであろうかという評価でございますけれども、まず前者のプルサーマルについての経済性評価につきましては、わが国におきましても各種の機関あるいは政府部内におきましても経済性評価をいたしておりますし、また、米国自身が昨年の暮れにエネルギー研究開発省におきまして発表しました研究成果等もございますが、これらを概観いたしますと、大体プルサーマルをした場合、つまりプルトニウムを利用した場合の方が核燃料サイクルの経費にいたしまして一〇%内外有利になるという結論が出ております。これは重ねて申し上げますが、米国の政府機関自体が昨年の暮れに認めているところでもございます。 それから将来、この高速増殖炉というものが今世紀の末から来世紀初めにかけまして実用化されました暁にはどういうふうな経済性を持つであろうかということにつきましては、実は昨年、原子力委員会の中に設けました新型動力炉開発専門部会という場におきましていろいろ評価検討していただきました結果、これはナトリウムを冷却材に使うというかっこうになっておりますので、相当建設費等は軽水炉よりも高くつきますけれども燃料費が格段に安くなるという点もございまして、今世紀末から来世紀初頭にかけて軽水炉に対して経済面で十分競合し得る立場に立ち得るであろうという評価もありまして、私どもはこのフォード財団レポートにはそういう点から賛成いたしかねると存じております。
○原田(昇)委員 これは仮定の議論ですが、もしプルトニウムが非常に危険だということで別な混合抽出というかそういったようなことを考えておるというようなことも日経か何かに出ておったような気がしますが、そういった方法が可能であるかどうか。
○山野政府委員 いまの御質問、混合抽出法の方から申し上げますと、これは動力炉・核燃料開発事業団におきまして昭和四十一年ぐらいから混合酸化物燃料の加工につきまして共沈法と申します研究、当時は基礎的なものであったわけでございますが、それを開始いたしておりまして、現在までに照射後試験等を行いまして相当な成果をおさめてきておる研究実績があるわけでございます。この燃料加工の研究開発の出発点と申しますのがウランとプルトニウムの溶液の混合体ということでございまして、ちょうど再処理の一つの工程に当たる状況になるわけでございます。そこでこの技術を活用しまして再処理工程で最後にプルトニウムを完全に分離するまでに至らない段階でプルトニウムとウランが混合状態のままで、これを硝酸加工物から酸化化合物に変えるといったようなことが可能になりますればプルトニウムの単体を取り出さないわけでございますから、核不拡散の見地からきわめて有利であるという評価ができるわけでございまして、そういう観点から過去行っております研究というものをさらに伸ばしていきたいといったふうな構想はあります。しかしながら、これは相当長年月を要する研究開発でございまして、一年、二年といったタームでは解決できる問題ではないと考えております。
○原田(昇)委員 アメリカの新政策というのは、原子力平和利用をやるわが国にとっては非常に問題だと思うのですが、平和利用面で核兵器保有国と非保有国との格差をますます押し広げるようなことになりはしないかと恐れておるわけでございます。そこで核不拡散条約の第四条の規定から見まして、今回の措置は非常に問題だと思うのですが、これについてはどう考えますか。
○宇野国務大臣 御指摘のとおりNPT、核不拡散条約の第四条には次のような趣旨が書かれております。 それは、この条約の参加国の平和利用、このことに関しては他のいかなる条項もそれに影響を与えるような解釈をしてはいけません、こう書かれておるわけであって、さらには核保有国とあるいはまた非保有国たるを問わず平和利用の道を妨げてはならぬ、こういうふうに念が押されておるわけでございますので、さような意味から申しますと、私はアメリカがそうした多数国条約があるにもかかわらずわが国の平和利用に対して水を差すような今日の言動はいかがであろうかとはっきり申し上げておるわけでございます。 特に、平和利用の面に関して再処理をストップする、そうでないとプルトニウムが世界に拡散するとおっしゃるが、その前に軍事利用の面をもっと規制すべきじゃないか。だから、核そのものに関しては軍事たると平和たるとを問わず安全規制ということが大切なのであって、それを分けて、核兵器を持っている国は別なんだというふうな思想でこの平和利用の問題をいろいろ議論されることに対して、私たちははなはだあなたたちの信義を疑う、私は実は何人かのアメリカ要人とお目にかかりましたからその節それを申し上げましたし、そうしたことを主張してまいりました。
○原田(昇)委員 ただいまの長官の御答弁、全く同感でございまして、心強い限りでございます。ぜひひとつその考え方で推し進めいただきたいと思います。 ところで、日本と国情が非常に似ているたとえば西ドイツでございますが、西ドイツは米国の新政策についてどのような考え方をとっておるかということについて、参考までに伺いたいと思います。
○宇野国務大臣 ただいまいろいろとそういう面に関しましても私たちは情報を得、またアメリカの新政策に対する各国の影響なり反応、そうしたことを踏まえながら、やはりアメリカと日本との間には原子力協定がございますから、この協定に基づきまして無事再処理のホットランに入り得るような両国の共同決定をしたい、こういうことで外交折衝しておる最中でございます。したがいまして、各国がああだこうだということを公式の場で申し上げることにはやはりいろいろと問題があるかもしれません。 しかしながら、私がその交渉前に分折をいたしましたところによれば、ちょうど西ドイツと日本はこの問題に関しましては同じ分類の中に入るのじゃなかろうかと思われる節が多々ございます。それは、お互いが天然ウランを持っておらない、資源がないということが共通いたしております。同時に、核兵器保有国ではないということも一致いたしております。三番目にはNPTには参加しておるのだ、そしてお互いに平和利用を誓い合っておるのだ、これはもう両国民に第二次世界大戦の言うならば戦犯国としての反省もあり、それだけの責任もございますから、お互いが平和利用だけだ、お互いの民族が生きるのは平和利用であり、また世界平和に貢献し得るのも平和利用によってこそ私たちは世界の経済にも貢献し得るのではないか、この認識はお互いに私は一致いたしておると思います。その次には、両国ともに再処理に関しましてはそれぞれもうすでにりっぱに実用化し得るという段階に達しておる。わが国もいよいよことしホットラン、来年からは本格操作ということでございますし、ドイツはすでにそうした問題も含めまして輸出産業としてその地位を着々と確立しつつある、こういうことでございます。 ただ違うのは、日米間の原子力協定の中におきましては両国の決定が必要でございますが、ドイツはユーラトムに参加いたしておりますから、その点アメリカの拘束力が日本ほどやや強くないのではないか、こう思うのであります。しかしながら、お互いに今後の民族のエネルギー問題といたしましては背に腹はかえられない問題であるとして、ドイツもこのアメリカの新政策を深刻に受けとめておるのではなかろうか、かように存じております。
○原田(昇)委員 資源小国でありますわが国はこういうような激動の時代、また将来のエネルギーについて非常に大きな不安を抱いておる時代こそ、国際協調を旨としながらもわが国の自主開発路線をしっかりと進めていかなければならないと思うわけでございます。そういう意味でぜひとも、今回のアメリカの新しい原子力政策によってわが国の自主開発路線が損なわれないように、協調を旨としつつも西ドイツなんかとも十分話し合って強力にわが国の既定路線を進めていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○宇野国務大臣 御趣旨に沿いまして最善の努力をいたします。
○原田(昇)委員 政府側も非常な決意で今度のアメリカとの交渉に臨まれるようでございますが、私は、この際、国会におきましても原子力開発の重要性、わが国の自主開発路線の推進という意味から超党派で米国に働きかけるべきであるし、また同時に、国内の開発についても超党派で国民的なコンセンサスをもって当たるべきだと思うのですが、これについて私はこの委員会でもぜひお取り上げ願いたいと思います。これは政府側にお聞きしても筋違いでございますけれども、われわれはそういう決意でぜひやりたいということを御提案して、質問を終わります。
○山田委員長 関連質疑を許します。与謝野馨君。
○与謝野委員 アメリカを含めまして、日本が原子力の平和利用をやるための条件というのはだんだんむずかしくなってきているわけですが、先日御質問をさせていただきましたときに、カナダのウランの禁輸の問題をお伺いしましたが、一つは、カナダとの交渉は一体どう進展しているのかということもお伺いいたしたいと思いますし、また、オーストラリアからのウランの供給につきましても、いろいろな障害が起こっている、一体それはどういう状況なのかという現況をひとつお知らせいただきたいと思います。
○山野政府委員 カナダとの交渉は、先生御高承のとおり、一月末東京で開催されたわけでございますが、それ以降外交チャンネルを通じまして日加間でこれまで協議を進めてまいっておるわけでございます。細かい内容は申し上げかねますけれども、これまでの交渉によりまして、原則的な実質的合意といったふうなものはすでに得られておるわけでございますけれども、今後これをいかなる形で協定案文に具体化するかという点につきまして、まだ若干の作業が残っておりまして、この夏を目指しまして、できるだけ早く成案を得るように努力したいというふうに考えております。 それから、オーストラリアの問題でございますが、これは新聞紙面にいろいろ出ておりますけれども、オーストラリアが今後ウラン資源の輸出について基本的な姿勢を決めます、いわゆるフォックス委員会のレポートというものの最終報告がまだ出ていないわけでございますので、この最終報告を待って基本的な態度を決めるものと思っておりますけれども、私どもの得ております情報では、オーストラリアは引き続き日本に対して、従来契約分のウランについては輸出をしていくといったふうな姿勢であるというふうに承知しております。
○与謝野委員 ただいま原田委員からの質問にもございましたけれども、フォード財団がスポンサーで出しましたレポート、こういうものは、やはり政府部内あるいは一般の原子力産業に関係をされている方々、そういう方々の英知を結集して、技術論の問題としても、あるいは経済性の問題としても、日本としての立場というものを明確にするための、反論と申すと非常に刺激的でございますけれども、日本の立場と米国はこう違うんだということをアメリカ側にしっかりと認識をさせるための作業というものを早急にやっていただいて、そういうものをしっかりとアメリカの政府に伝えていただきたいと私は思うわけであります。 それと同時に、この原子力政策は、やはり技術論や経済性だけでは米国の理解というものは得られないのではないか。やはり幅広い日米関係の中で、原子力平和利用がいかにあるべきかという、そういう外交政策的な観点からひとつ日本の立場というものを明確にする必要があるのではないか。特に、先ほど原田昇左右委員のお話の中にもありましたが、政府対政府という働きかけも必要ですが、政府対米議会、特に上院の外交委員会等にしっかりと日本の立場というものを強力に私は説明していただきたい。そして、米国の対外的な原子力政策が形成される過程で十分な働きかけをひとつしていただきたいと思うわけですが、今後そういう面でのスケジュールあるいは働きかけの内容、一体どういうふうに構想を持っておられるか、長官にお伺いしたいと思います。
○宇野国務大臣 核そのものに関しましては、福田・カーター会談においても特にわが国の総理が強調されましたように、あくまでも核は平和利用だと、さような意味においては、核の拡散を防ぐ、これはもうわれわれは人類として共通の課題にしなくちゃならない、かように存ずる次第であります。特に日本はさような意味におきましてはもう本当に平和利用に徹した国家だということは、過般来私が会いましたアメリカ要人も、毫も疑わない、こういうふうに言っております。言っておりますが、わが国のGNPが非常に高いというふうな面から考えました場合に、やはり世界の中には、日本は核を保有し得る、つまり軍事用に保有し得る、それだけの能力を持っておる国家じゃないかと、こういうふうな見方が全く存在しないというわけにはまいらない。それであればあるだけ、やはり私たちは平和利用ということに関しましては徹底した国是を打ち立てていくことが必要だろうと思うのでございます。そうした面が、はっきり申し上げてまだまだアメリカ全般あるいは世界全般に徹底しておらないのではないかといううらみがございます。 特に私は、さような意味合いにおきましても、アメリカの政府にも、日本に対しまして、その点は平和利用は十分疑ってないんだと言いながらも、その政府をサポートしているいろいろな層があろうと思いますが、そうした層の中には日本をどう考えておるだろうかという面におきましては、私は、あるいは大きなインフォーメーションギャップがあるんじゃないだろうかと、こう思います。したがいまして、われわれがアメリカの核の状態を知らないと同じように、やはりアメリカ議会も日本の状態を知らない面が多々あるんじゃないだろうかと、こう思いますので、日本は決して不利な立場に立たさぬよと、グローバルでこの問題は解決するんだといいましても、もうお互いに、先ほどドイツと日本の例を申し上げたように、核一つの平和利用に関しましてもすでにスタートラインがばらばらでありまして、したがって相当なハンディがついておるわけですから、そのハンディのままの平等性を確立するのか、そのハンディをなくするのか、そういう問題一つに関しましてもまだまだ各国の情報は、私は、完全にお互いが認識しておらないんじゃないかと存じます。さような意味においても、アメリカでは今日、先ほど御質問がありましたように、たとえば石炭に重点を置いてそのガス化だとかあるいは液化だとかいうふうな、研究すればすぐにあしたからでも大きなエネルギーとして利用できるんだと、天然資源があるからそういうことをおっしゃるかもしれませんが、わが国はもう全くない、てぶらはちかんでございますから、さような意味でも私は広くアメリカの政府にも議会にも、また一般にも知ってほしい。さような意味では今回のこの問題に関しましては、本当にわれわれといたしましてもあらゆるつてを頼って、広く一人でも多くの方々に御理解を賜ることが必要だ、こう思うのであります。 したがいまして、国内においては当然それだけ国民的なサポートを必要といたしますが、とりあえず外交の面におきましても、私は、先ほど御提案ありましたけれども、アメリカの議会とも極力お互いに話し合いをしたいものだなと、たとえば漁業に関しましてソ連に行こうとおっしゃるのと同じように、将来のエネルギーに関しましては、やはり現在の日本にはまだまだ問題はあるかもしれません。しかしながら、一九八〇年を考え、九〇年を考え、二十一世紀を考えたらどうなるんだというところに立った場合には、やはりそこには党派を超越した一つの、何か土俵がほしいなという感じ方を私は過般来申し上げておるわけでございまして、そういうことからも議会対議会で話し合いが進めば結構な話だなと思うのでございますが、なかなか今日の国会の状態ではむずかしい面があるかもしれません。しかしながら、何らかの方法でやはり議会の方々にも、われわれ議会人としての考え方を伝達するような方法を見出した方が、この問題に関しては、わが国としてもやっぱりあらゆる手を打ったんだということになるのではなかろうかと存じております。
○山野政府委員 このフォード財団の報告書で非常に重要な点と申しますのは、商業的な再処理を延期すべきである。結論的には、プルトニウムの利用というものもそれまで待つべきだというのが最も大きな結論であろうかと存ずるわけでございますが、この理由としまして向こうの挙げておりますのは、プルトニウムの商業的利用というものは核の拡散あるいは盗難の可能性があるという点、また、プルトニウムと未燃焼の濃縮ウランは大きな価値を持っているが、その回収は技術的に予想したよりもむずかしく、かつまた経費も高くつくので、再処理は今世紀中には経済的な利益があるかどうか疑問であるという点、それからまた、使用済み燃料を回収可能な状態で貯蔵する方が回収するよりも潜在的な危険は小さいのだといったふうな点を挙げまして、先ほど申し上げましたような結論を示しておるわけでございます。 これに対しまして、私どもの考えと申しますのは、核の拡散及び盗難の可能性の増大という点につきましては、保障措置の適用によりまして十分対応できる問題であるというふうに考えておるわけでございまして、保障措置の適用によりまして軍事利用への転用の探知、防止といったふうなことは可能でございますし、あるいはまた、核物質の防護措置を強化することによりまして、盗難防止も可能であるというふうに考えております。 それから、このプルトニウム並びに未燃焼の濃縮ウランは大きな価値は持っているけれども、この回収は技術的にもむずかしいし、経費もかかるという点でございますが、この点につきましては、先ほど原田先生に御答弁申し上げましたとおり、私どもは経済的に十分、軽水炉にプルトニウムを利用する場合であれ、将来高速増殖炉に利用する場合であれ、再処理をしてプルトニウムをリサイクルして利用する方がより経済性は高いというのが私どもの主張でございます。 それから、この使用済み燃料を回収可能な状態で貯蔵する方が再処理するよりも潜在的な危険が小さいという点でございますが、これは使用済み燃料の長期貯蔵につきましては、まだまだ今後管理面等で検討すべき技術的問題が多々ある。たとえば被覆管の腐食の問題、これに伴いますフィッションプロダクトの漏れの問題といったふうな面につきまして、まだまだ検討すべき問題があると考えております一方、再処理することによって取り出されますプルトニウムあるいは廃棄物につきましては、この管理というものにつきまして将来これが危険性が顕在化しないように防止することは、十分従来の研究開発並びに今後の研究開発によりまして対応できるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、先ほどの結論には私どもといたしまして同意しかねるところでございます。
○与謝野委員 最後に御要望しておきたいのは、結局こういう問題にしろその他の外交政策の問題にしろ、日本の立場というものあるいは日本の発言力というものはきわめて弱いのではないかという印象を私は持っておりますが、実際には、たとえば原子力の問題で発言力あるいは力というものは一体どういうふうに付与されているのか、そういうことを考えますと、やはり何と申しましても日本の自主的な技術の水準、そういうものが背景にありませんと、どういう交渉技術を駆使するにしろ、日本の立場というものを貫けないのではないか。そういう意味で、日本がやっております原子力にかかわる各種の技術の中で独自性を持ったもの、また、自主的に技術水準を高めていったものをさらに完成させるという、そういう自主技術に対する開発意欲、そういうものを高めるという強力な意思というものを政府におかれましてもぜひ持っていただきたい。そのことが日本の将来の原子力平和利用にかかわる国際的な発言力を確保するための道ではないかと私は考えております。 その点につきまして、簡単で結構でございますが、最後に宇野長官の御感想、御意見をお伺いしたいと思います。
○宇野国務大臣 確かに御指摘のとおり、わが国の独自の技術の確立は、今後の、特にエネルギー面におきまして必要欠くべからざるものである、かように存じております。現在エネルギーは、石油等に関しましては全くあなた任せ、海外依存度九九・七%、このような調子で、さらに代替エネルギーだと言いながら、もしそれ原子力の平和利用がいわゆる他国におんぶだっこというふうなかっこうでございましては、まさに日本の経済成長も何もかもないわけであります。つまり、みずからのエネルギーを持つからみずからの経済成長を企画し得、それによって国民の福祉を増大することができる、かように存じますと、そのためにもやはり代替エネルギーである原子力の平和利用に関しましてはわが国独自の技術を速やかに確立する、これがもう必要欠くべからざるところでございます。 だから、ことしは幸いにも核燃料サイクル元年と、こういうふうに私たちは呼んでおりまするが、予算の上におきましても、濃縮を初め、あるいは再処理もホットランに入るし、さらにはプルトニウムを燃料として一九九〇年代には実用化させなければならない高速増殖炉も、実はこの春、四月に臨界に達する、これはまだ実験炉でございますが。さらには、その一歩手前のつなぎである新型転換炉も、この年度の末には臨界に達する、こういうふうにそれぞれ相当なレベルまで達しておると私は存ずる次第でございます。 しかしながら、非常にむずかしい問題で、何度も繰り返しますが、やはり被爆国でございますから、核アレルギーを取り除く努力を政府はもう何としてもやっていかなくちゃなりません。そのために、私が常に主張する安全の問題が私は非常に大切なウエートを占めておると申し上げておる次第でございまして、さような面で、お互いに自分たちの首の根っこを海外から押さえられるようなことであっては、本当に資源小国の日本の将来が案ぜられます。したがいまして、原子力のエネルギーは準国産なんだ、それをみずからの技術でつくり出すのだ、つくり上げたならば、みずから楽園をこの国土に建設することができるのだ、それはひいては世界の平和にも貢献し得るのだ、それぐらいの大理想をわれわれ持っておるわけで、それがためには今回のアメリカさんのやり口はどうも日本の真意をはかりかねておるのじゃなかろうか、こう思いますから、いろいろな意味合いにおきましても、その交渉をもっともっと続けていかなくちゃならない、かように存じておりますので、御指摘のとおり、原子力の平和利用に関しましては、まずわれわれ独自の技術を速やかに確立をして、国民の方々から安心をしてもらう、期待をしてもらう、こういう体制に政府も努力いたしたい、かように存じております。
○与謝野委員 以上をもちまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○山田委員長 これにて原田昇左右君の質疑は、与謝野馨君の関連質疑を含めて、終了いたしました。 午後一時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十九分休憩 ————◇————— 午後一時五十三分開議
○山田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。石野久男君。
○石野委員 大臣にお尋ねしますが、カーター核外交に対する日本政府の折衝は、福田総理が訪米して以来いろいろと行われているようでございますが、この交渉の経過、現状はどういうふうになっておりますか。
○宇野国務大臣 福田・カーター会談におきましては、お互いにそれぞれの主張がなされまして、自後のことはひとつ双方の代表を送って話し合おうではないかということになったことは、先生も御承知のところでございます。その後相手方が、どういう方が対日問題に関して窓口となられるのか、少しくそれがわからなかったものでございますから多少手間取りましたし、また米国も、そのときカーター大統領が前国防長官のシュレジンジャーさんがあなたの国のお相手をするだろうと言っておられたことが間違いであったということもわかりまして、その結果、米国からはわが方に対しまして、とりあえず次のように考えておる。 国務省にはこの問題に関する担当官がいるから、シャインマンさんといいますが、この人がとりあえずひとつ日本といろいろ事務的な話をしようということになりまして、わが方からは御承知のとおり三省庁がこれに関係いたしておりますが、課長クラスの人たちを先日アメリカに派遣いたした次第でございます。アメリカの日程から申しますと、四日からその折衝が始まっております。現在はそうしたことでシャインマンさんを相手といたしまして今後の日程を決めたり、あるいはアメリカがいつごろ国内政策を発表されるのであろうか、それに続いて各国とのいろいろな話し合いはどういうふうな形で進められるのであろうか、さらにわが方としては動燃の再処理工場の問題、これに対するはっきりした立場を主張し、さらにはカーター大統領が福田総理にプレゼントされました例のフォード財団のレポート、これに対して、いろいろ内容的にわが方といたしましても疑念を抱く点が多うございますから、そうした説明もしようというふうなことでございまして、続いて国務次官代理のナイさんが現在欧州に出張中と承っておりますが、もうきょう、あすに帰ってこられますから、この方が帰ってこられますと、今度はそれにふさわしい方をひとつよこしていただいてはどうであろうか、こういうふうに先方から打診されておりますので、その準備もいたしております。 そうしたことで、アメリカの国内政策は恐らく六日から八日あたりにかけまして発表されるのではないであろうか、こう考えております。それに続きまして、御承知のとおりにアメリカのエネルギーに関する大統領教書、これが二十日ごろに国会に出される、そういうようなことで、四月二十日ということがいわば一つのリミットのように考えられておりますが、そうしたあらゆることを想定いたしまして、現在その折衝を始めたところであるといった段階であります。
○石野委員 いよいよ会談が始まって日程がそこへいろいろ設定されることになると思いますが、その間に大統領教書が二十日ごろに出るだろうということについての、その教書の指し示す方向というものについて、福田総理が先般訪米したときの感触と、それからこの教書が内容とするものとの間に若干の違いが出てくるようなニュアンス、そういうものを情報としてはつかんでおるのですか。それとも福田総理が向こうでいろいろ接触したときの感触を出ないというようなものなのかどうかということについて、長官はどういうふうにお考えになっておられますか。
○宇野国務大臣 これは非常にむずかしいことでございまして、私は一概にこういうふうな観測だと自信を持って申し上げる段階ではございません。しかし、いやしくも、接触を続けていろいろとわが国の立場を申し上げなくてはならないわけでございますので、現在は日本が資源小国である、したがって資源大国のアメリカと同じようにエネルギー問題に関して軌を一にして歩むということがはなはだ問題なんだということを説明しておるという段階でございます。私は恐らく、カーターさんが福田総理と会われたときにあのフォード財団のレポートを示されて、いわば自分のバイブルとしてこれを信奉しておる、これによって私の新政策が決まるのだと言わんばかりにおっしゃった、それであるからには、カーター大統領の信念というものはそう簡単に変わらないのではないか、かように存じます。 しかしながら、やはりアメリカも世界の平和をこいねがい、それぞれ自由主義国家群との提携を深めていかなくちゃならぬということを考えていらっしゃる面もあることは確かであります。したがって、言葉の端々に、もちろんわれわれはこの政策を外国に押しつけようとは考えておりません、しかし極力御協調願いたい、そのためにはそれぞれ各国との間におきましても慎重に話し合いを進めようじゃありませんか、こういうふうに言っておられる面もございますから、そこら辺でわれわれといたしましてもひとつ十二分に話をしていきたいと存ずるのであります。 ただ、日本の立場といたしましては、福田総理も強調し、私もそのことを機会あるごとに強調いたしますが、カーター大統領のその信念の底を流れておるものは、やはり核不拡散である。これは人類にとって本当に大変な問題なんだからよろしく協調して、核不拡散という原則をさらに新しく打ち立てたい、こうした問題に関しましてはわれわれといたしましても十二分に理解を示し、また被爆国である日本としては、むしろそれに対しましてわれわれの方からもその点を力説すべきである、これはもうすでに総理がおっしゃったわけでございます。英語流に申しますと、その点に関してはイエスだ、バット、しかしながら日本の事情はこうだ、このバット以下がまだなかなか双方において了解されておらないんじゃないかということがございますから、そういう面におきましてまだまだその推測が、恐らく新政策もこういう方向だろう、大筋は大体わかるのでございますけれども、やはり日本の立場、ドイツの立場、フランス、英国の立場等々アメリカも踏まえて話し合いが進められる、こういうふうに思いますと、あるいは二国間だけで終わる話ではございませんので、この問題は多分多国間の問題としていろいろと慎重な議論がなされるのではないだろうか、こういうふうに考えております。
○石野委員 カーターの信念は核不拡散にある、こういうふうに見ておられるということについて、いまのところそういうふうにカーター氏は所信を明確にしておりますが、私ども見ておると、その陰に隠れてアメリカのいわゆる原子力産業の世界的なシェアを維持しようということがあると思うのです。しかし、それはともかくとしまして、核不拡散ということについて言えば、NPTがあるわけですからそれで十分じゃないかということになるわけなんです。にもかかわらず、今日このようにカーター政策が外交上出てきておるということは、NPTではもう核不拡散の安定的確保はできないんだ。結局その一番原因になるプルトニウムを押さえなくちゃいけない、プルトニウムを押さえるということになると、核不拡散条約というような条約が意外にプルトニウムそのものを、あるいは炉そのものを、再処理工場そのものをと、こういう形になってきていると私は思うのです。そういうような要求であるというふうに私は見ますけれども、長官はどういうふうにごらんになっておるか、また、福田総理などはどういうふうに考えておられるのだろうか、その感触をちょっと聞かしてください。
○宇野国務大臣 いま石野委員が申されたとおりの観測、私も持っておるわけでございます。そこをひとつアメリカといたしましてもわれわれに十二分に説明をしてほしい。それは、まずNPTでありますが、アメリカと英国とソ連、この三国が発起人となって世界に呼びかけられて、私たちもおくればせながら参加をいたしました。その四条の精神から申し上げましても、平和利用を妨げるものでないと書かれておる。しかも、核保有国と非保有国との間に差別をしちゃいかぬとうたわれておるが、この点アメリカは、多数国で決めた条約、それをどういうふうに説明なさいますか。私たちも今日まで、先進国が核に対しましては非常に経験が深いのだから、その方々に従いまして当然核の不拡散に賛成だというのでこの条約に参加したが、国民に対してもアメリカはこういう気持ちなんだということをさらに伝えんがためには、いままで信頼してきた第四条における国際的信義、これに対してわれわれはアメリカに対していささか疑念を抱いておる、この点をはっきり言ってほしい、これは私の口からも再三関係者に申し述べたところでございます。 第二番目に、規制問題に関しましては、今日、先生御承知のとおりにIAEAがありまして、現在は、わが国におきましてプルトニウムを保有いたしておりますが、これらに関しましてはIAEAがもう三週間に一回も計量に参りまして徹底した査察をやっておるわけでございます。私たちはもうそれで十分だと思いますよ。しかしながら、アメリカから言わせますと、いや、そうじゃないんだ、実はそれが核ジャックされるおそれがあるということでございます。 この面に関しましては、わが国におきましては銃砲刀剣類所持等取締法があるからアメリカのようにギャングはいませんから御心配なく、実はこう言っておるのですが、いや、それぐらいのことでいいのかねという反論は返っております。しかし、これはわが国にはわが国の独特の立場がございますから、今日は十二分にその警備体制もしいておるのだ、したがってこの点に関してはまあまあ任しておいてほしい、こういうふうに言っております。したがいまして、そういう面において今度国際的にもっともっと強化しなければ危ないじゃないかというふうな話があれば、われわれといたしましても当然乗っていかなければならない話だろうと思いますが、現在の国内の規制法であるとかあるいは現在のNPTの協定等々におきましては、まだそこまでは話が進んでおらないという現状があることはあるわけでございます。 その次には、お察しのとおり、世界と申し上げましてもやはりいろいろございまして、恐らくアメリカがプルトニウムが一番危険だとお考えになったのは、インド政府は平和利用だと言っておりますが、その開発のための核実験だといって爆発をさせた。しかし、それはもう平和利用であろうが何であろうが、核実験そのものがいかぬのだというふうな強いところから、今回のアメリカの新政策というものが考えられたんじゃないか、私はかく考えております。 この間、私はアメリカの責任者に申したのですが、アメリカの政策は首尾一貫していないよ、なぜかならば、インドが核実験を行った直後にアメリカさんはある国、この国はNPTに参加しておりませんが、その国に原子炉を売っておるじゃないか、われわれにはあのようにNPTで大いにお互いに核不拡散を誓い合おうと言っておきながら、行動としては参加しておらない国に売っておるじゃないか、いまさらプルトニウムが危ない、危ないと言ったって、これは説明つかないじゃないか、相当な責任者でございますが、私の口からはっきりとそれを申し上げましたら、相手もたじたじといたしまして、確かにそうであったかもしれぬ、しかしながら現在はアメリカの政界並びに学界ともどもにプルトニウムは大変むずかしい問題だということを感づいたんだから、ひとつこの問題だけは認識してくれ、こう言います。 だから、なるほどそういう面におきましては、さらにNPTプラス今後いかに国際的に規制を強化するかという問題は残ってくるであろう、私はこうは考えますが、現状といたしましては、先ほど先生が御指摘されたとおりの気持ちでこの問題は分析をしながら取り組んでおるというのが、現在の段階でございます。
○石野委員 核ジャックとかあるいはプルトニウムは危険だというようなことについて、アメリカの新しい政策がこういう形で出てきたということを背景にしながら、NPTの実際の第四条の保障が全然ないじゃないか、そういう意見は意見として日本の政府が出したとしましても、一方ではやはり日米原子力協定があります。この日米原子力協定は、これは条約になっておりますけれども、率直に言いますとアメリカの力の方が強いですから、アメリカの方で燃料は補給しませんよと言えば、もうこれでおしまいになってしまいますね。いまそういうカーター外交に対して折衝しようとする政府の気持ちはわかりますけれども、しかし、その気持ちと日米原子力協定の問題との兼ね合いを政府はどういうふうに考えておられますか。
○宇野国務大臣 もうお説のとおり、日米原子力協定によってはっきりとわが方はアメリカの意向のままにならざるを得ないという立場に置かれていることは事実でございます。それが日米原子力協定でございまして、では他の国はどうかということになりますと、お互いに協定は結んでおりますが、たとえば西ドイツのごときはユーラトムの中の協定でございますから、拘束力は日本ほど強くない、こういうふうに考えております。日本といたしましてもそこが一番つらいところでありますが、今日まで日米親善でやってまいりまして、お互いが核というものは非常にこわい存在なのだから何としても平和利用に徹しようという精神でこの原子力協定を結んでおることは事実でございます。現行の原子力協定のままいくとすれば、まさに両国が共同決定をせざる限り再処理工場は動かないというのが事実でございますから、その点を十分に私たちもわきまえながら、とはいえ、アメリカは先ほど言ったように原子力政策に関して余りにも首尾一貫しなかったじゃないか、あるいは現在のNPTでも十分だとわれわれは信頼して入っておるが、肝心のNPTの四条すらあなたたちは守ってくれぬじゃないか。この間、外務大臣は予算委員会で明らかに、第四条違反だと思いますと言われました。そこまでわが国の外務大臣が言い切るほどの立場ですよということを、民主主義の国アメリカですから、やはりとことん言わなくちゃならないと私は思うのでございます。特に、アメリカの政府のみならず議会にももう少しく日本の立場がおわかりになっておらないような面がございます。一面、議会は日本のことを非常に心配していただいておるというふうな声も聞いておりますから、そうした面におきましても、いろいろの方法によって十二分に日本の立場を理解していただく、そのかわり日本もアメリカの立場を理解して、核不拡散という原則だけは、人類のためにもつと有効な方法があるのならば私たちも協力いたしましょう、こういう姿勢で臨んでいきたいと存じておる次第であります。
○石野委員 核不拡散についてアメリカも真剣に考えていることはわかるから、日本もそれには全面的に協力しよう、こういうふうに長官はおっしゃっておるのですね。しかし、現実にはGNPも伸びているし、核の処理の仕方についてはいつでも核兵器をつくり得る能力を日本は持っておるという世界の日本に対する見方は、観念的にどのように不拡散に協力しましょうと言ったところで消えるわけじゃありません。そういう現実を背景として、今度の問題は、日米間というよりもアメリカを中心として世界での外交論争になっていると思います。諸外国はともかくとしましても、現実にいま折衝団が、三省から代表が行っておられるようですし、それがきょうあたりから始まるのだということになりますと、先行きに非常に推測のしにくいものがあると思いますし、私の見方では、日本が核不拡散に対して何か保証を与えるものがなかったらアメリカはそれをオーケーしないだろうという感じがするのですね。何かそういう担保をお持ちになって交渉されますか。
○宇野国務大臣 まだ交渉が始まったばかりでございますから、こういう方法がある、ああいう方法があるということがたとえあったといたしましても、まだまだこうした公式の場で私が申し上げる立場ではないのじゃないかと考えておりますので、その点は御理解賜りたいと存じます。 とにかく、核不拡散ということにつきましては、一本棒のごとき強いものが世界を貫いておる、こう考えますと、その線でわれわれは話し合いをすべきだ。はっきり申し上げまして、平和利用と軍事利用とを区別して核の安全性を説くということ自体がおかしいのじゃないか、私はこう思うのです。アメリカとソ連だけは核を拡散しない民族であって、他の民族は危なくて仕方がないのだというきめつけは、アメリカさんとしては余りにもお考えが偏っておるのじゃございませんかと、私は実は責任ある方にも申し上げた次第でございます。 したがいまして、そういう立場で今後日本といたしましても、いわゆる平和に対する日本の立場なり主張というものは貫いていかなくちゃならない。これを貫きながら、アメリカの日本に対する偏見が仮にありとせば、それも正してもらいたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
○石野委員 今度のカーター政策が出る出ないにかかわらず、NPT条約の妥結に当たってわれわれの党が常に主張していたことは、この条約は、アメリカとソ連とが核を一つの力にして世界に政治を行う、いわゆる超大国の覇権主義だと叶うことであります。われわれはこのことを鋭く主張しましたし、またそういう立場から、NPTにわれわれが入ってみても、事実上は米ソの核保有のもとに飼育されるということ以外にはないじゃないかと主張している。それがまさにそのとおり現実の政治の中に出てきたと思うのです。 しかし、いずれにしましても、日本の外交上の問題として、核問題がこういう段階に立ち至りますと、その折衝面における米ソの、おれたちにだけは安心してついてこいよ、こういう差別の政治は許されないと思うのです。この点は、福田内閣がそういうことをアメリカに対して主張することについては、私は賛成いたします。同時に、それであるからということによって交渉のあり方について、ではわかりましたということで後へ引き下がるはずはないので、当然、これだけの主張をしてくることについては、やはり日本を特別扱いできないのだということをしばしば言っておるわけです。特別扱いできない日本について特別の扱いが実現するとすれば、何かの話し合いがなければならないだろう、そういうものがない限りは、とてもこの話はまとまらないのじゃないか、われわれ政治家としては常識的にそう考えるわけです。話の途中だからとか、あるいはまだ入らない前だからということをおっしゃいますけれども、事実上われわれは、そういうことがあっていいのか悪いのかという問題もひとつ考えざるを得ない。 そういう点で、政府はこういう問題についてどういうふうに対処する腹構えをしておるのか。特に長官は閣僚会議で、内閣総理大臣からアメリカに対する核外交の今度の問題についての取りまとめの責任を持たされていると言われておりますけれども、その閣僚会議ですか、あるいは委員会ですか知りませんが、そこでは一つの方針を確立しておりますか。
○宇野国務大臣 いまおっしゃいました会議は、核燃料対策特別会議と称しまして、私と外務大臣と通産大臣の三名がメンバーでございまして、それぞれそのもとに幹事会を置いておる。なおかつ、原子力委員会には、再処理問題は重要でございますから、再処理問題に関する懇談会を設けまして、ここには民間の有識者も入ってもらっておる。これが言うならば閣僚会議のシンクタンクのような存在でございまして、そこでアメリカの新政策に対処する日本の幾つかの方針をいろいろと打ち立ててもらっておるわけでございます。 そこで、確固不抜のものは、やはり再処理工場を動かしたい。でなければ、わが国としては今後のエネルギー問題に大きな影響がある。これだけは、アメリカさん十分に御承知賜りたい。日本だけ特別扱いはしないという、そこまではまだはっきり言っておらないわけですが、これはグローバルな問題であると言っています。世界的な問題とおっしゃるが、現に、わが国のように再処理工場を持って、まさにそれがホットランではあるけれども、そういう段階を迎えておる国は世界にそう数多くあるものではない。ちょうどふさわしいところが日本とドイツ、またイギリス、フランスも同様と言えるだろう。ただ、イギリス、フランスはわれわれよりも一日の長があることは認めましょう。ただ、アメリカにおきましては、再処理工場も閉鎖するのだ、商業ベースにおける再処理工場は閉鎖するのだ、軍事は別だ、こう言っておりますね。そこら辺も私らはなはだ疑問を抱くのであります。では民間の方はいま運転しておるのかといいますと、二つございますけれども、二つのうちの一つは現在停止中、一つは運転を放棄いたしております。現在、一九七一年から着工しておるのが建設中であります。だからこれはストップだと言いやすいかもしれませんが、私たちのはこの夏にホットランだと、こう言っておるわけで、五百名からの技術者、従業員もおられて真剣に取り組んでおる、それをストップさせる、これはいかにアメリカといえども、余りにも内政干渉じゃないか。しかも、言うならば、日米原子力協定があるかもしれないが、はっきり申し上げて、NPTの第四条に大きく触れるではないか。だから、この問題だけは決して、グローバルだからグローバルだからといって、そうですかと言って引き下がるわけにまいりませんぞ、やはり日米間の大きな、その間にそれぞれの立場の違いがあるのだから、この問題だけはわれわれとしてもそう簡単に引き下がるわけにはまいりませんというのが、今日の私たちの考え方でございます。
○石野委員 いま大臣のお話を聞いておりまして、日本の原子力政策が国内的な政策の上において、行政上においてもあるいは技術面においても、幾つかの矛盾を持ってきておりましたが、しかし、いまやその国内における矛盾が世界大に拡大されているという感じを深くいたします。私どもは核分裂エネルギーというものを利用するに当たってのその出立ちが核兵器にあったということ、日本が最初に炉を入れたコールダーホール型の炉自体がやはり核爆弾をつくるためにつくられた炉でもあったということ、こういうようなことで、日本が平和利用云々と言っておりましても、世界の目というものは、核はまず第一義的には兵器なんだ、核爆弾に用いられている。どのように平和利用を説いても、そのプルトニウムの利用あるいは高度濃縮ウランの利用というものの行き着くところはやはり兵器になってしまうのだというこの危険性は除くことはできないわけですよね。そういう情勢の中で、アメリカの場合は二つの炉があっても一つは停止中、一つは放棄されている。日本はこれからホットランに入るのだ、こう言ってみても、これまた日本のひとりよがりの言い方であって、世界の目から見れば、世界じゅうがこうじゃないかというようなことになってしまうだろう、こう思うのです。こういう日本の原子力政策の中における矛盾点、特に政府・自民党のとってきた政策の矛盾がこういう形になってきていると思いますから、ここではその論争はいたしません。 いずれにしましても、そういう情勢の中で、アメリカのオーケーがとれなければ再処理工場の運営はできないというこの時点で、東海村の使用済み燃料の再処理工場に対するホットランのゴーの指令が出たのだ、こういうふうにきょうは新聞報道がございます。政府は、アメリカとの折衝がこういう段階のときに一特に科学技術庁長官は原子力委員会の安全審査部門をしてこの指令を出したということの意図、そしてまた、それは交渉の過程ではどういう役割りをするというふうに見られておるのか、そういう点についてひとつ御所見をお伺いしたい。
○宇野国務大臣 技術的な問題でございますから、詳細は局長からお答えいたしますが、きょうの記事に関しましては、私から申し上げますといささか勇み足的なところがあるのじゃないだろうか、こういうふうに思います。世界的な問題として東海村の再処理工場はクローズアップされておるわけでございますから、慎重の上にも慎重を期しながら、やはり幸いにして米国の共同決定が得られたならば、まさにこれこそ安全の権化のような形で運転されないことには、本当に将来の日本の原子力行政そのものに大きな影響を与えるのみかは、国民生活に大きな影響を与えるわけでございますから一もうわれわれといたしましては、再処理工場に関しましては本当に神経がやせ衰えるほど細かな神経を用いながら、その安全を期せよ、こういうふうに言っておりますので、今日の段階まで実に安全を期して何度も何度もテストを重ねてまいりましたので、簡単に先ほどからホットラン、ホットランと私言っておりますが、そのホットランの時期を迎えるに際しましても、まだまだこれ以上の手続、技術的な安全の確認、そうしたことが私は必要だと存じますから、局長からその辺を御説明させます。
○伊原政府委員 ただいまの大臣の答弁に補足させていただきますが、現在の東海村の再処理工場が手続上どういう段階にあるかということでございますが、いわゆるウラン試験というものを昭和五十年九月に着手いたしまして以来、一年半にわたりまして、慎重の上にも慎重な試験を経てまいったわけでございます。三月四日にこれが終了いたしまして、それの中身につきまして、原子力委員会の核燃料安全専門審査会におきましてその御審議をいただいたわけでございます。その中身につきましては、全体として所期の目的を達成し、ホット試験に入る基盤が整った、こういう御意見をいただいております。ただし、手続といたしましては、そのほかにこの専門審査会におきましてこのウラン試験の成果を踏まえまして、ホット試験計画にかかわる安全性の審査をいまなお続行中でございます。それからまた、低レベル廃液の海への放出にかかわります安全性につきましても、同じく専門審査会で検討をいただいておるというのが現状でございます。したがいまして、これらの審査が終わりました段階におきまして、原子力委員会としても十分御検討、御判断をいただいた上で、その御意見を踏まえて、内閣総理大臣としては、ホットランに移っていいかどうか、こういう実施の承認がその次の段階としてくる、こういうのが現状でございます。
○石野委員 私は、原子力政策の中で宣伝工作というのは非常に重要であると思うのです。いまお聞きしますと、ああいう記事が出るような内容ではないはずですね。にもかかわらず、各社がみんなその発表をしております。これはどなたかがそういう発表をしなければこういう記事にならないと思うのです。これでは法律のたてまえもなくなってしまいますし、それから国民を惑わすこともはなはだしい。ことに私どものように、やはり政府の政策に対して若干の疑問を持っている者からすれば、これはわれわれに対する一つの挑戦であるとも思われる。どういうふうにしますか、ああいう記事の取り消しなり、あるいは改めるというやり方については。誤解が非常に出てくるのじゃないですか。
○伊原政府委員 先生の御指摘ではございますが、この各社の報道ぶりも、しさいに読みますと、それぞれその後の手続が必要であるということが書かれておるわけでございます。したがいまして、この報道自身が間違いであるということではないと私は思うわけでございますが、ただ、先生御指摘のように、印象が非常に前向きだというふうな、文章あるいは見出しなりそういったところから受けたということがあるいはあるかもしれませんが、中身につきましては、そういった今後の必要手続もあるということは報道されておるわけでございます。
○石野委員 私は、また他日問題にしなければいけないと思っておりますが、昨年、科学技術庁が日本原子力研究所を通じて世論調査などをしている事実がある。その内容はほとんど、やはりPR作戦へもう少し力を入れろということに結論が集約されていっているわけです。われわれとしてはちょっと許しがたいような内容がずうっと書かれておるわけですよね。やはりいま情報を提供する側において、ことさらに世論工作を考えているのかもしれませんけれども、私は余り誤った世論形成をされるということは、問題がどこか壁にぶつかったときにどうにも処置がならなくなってくる事態を引き起こすだろうと思うのです。そういう意味でやはり注意してもらわなければいかぬと思います。ことにいま、原子炉についてあちらこちらでいろいろな事故が起きております。こういう事故についても認識が十分でないのにもかかわらず、いたずらに国民的核アレルギーだというようなことを言われたりしますと、事実の究明ということを国民はなかなかできにくくなって、本当に安全性に対し、あるいは核エネルギーに対する期待感についての誤りが定着してしまって、全体としての世論形成が誤った方向へどんどん進んでいく結果が出てくる。国内ではそれは力の関係でいいかもしれませんけれども、国際的には何の役にも立たない。ことに今度のこういう問題になってまいりますと、私は国内の世論というものはほとんど何の役にも立っていないのだと思います。それどころか、もし先ほど大臣が言われたようにねらいはただ再処理工場の運行にあるのだ、これをとにかく何とかして運転させたいのだ、こういうことを言えば言うほどに、恐らく世界の人々の疑惑は高まってくるだろうと思います。私は、宣伝工作についてのあり方なりあるいは記者発表等についての政府のもう少し慎重な態度を望まなければいけない、こう思っております。 特に私は、きょうの記事は、外交折衝上アメリカに対する何か当てつけみたいに聞こえやしないだろうかというようなことも感じますが、そういう心配はちっともございませんか。外務省はどういうふうに思いますか。
○小林説明員 お答え申し上げます。 国内の世論が非常にわが国の原子力平和利用計画の推進を望んでおるということ、それから東海村の再処理につきましても予定どおりの実施を望んでおるということにつきましては、われわれ外交レベルでもアメリカ側に十分伝えておりますので、それに関連するような記事が新聞に出ましてもアメリカ側の顔を逆なでするようなことにはならないと考えております。
○石野委員 長官、どうですか。
○宇野国務大臣 大切な外交の場面を迎えておるわけでございますから、私もいろいろなことに本当にすみずみに心を配っておるわけでございます。ただ再処理問題に関しましては、わが国はあくまでも安全ということを第一義に申し、平和利用ということを一にも二にも申しておるわけでございますから、先ほど確固不抜の方針として再処理工場の運転だと申し上げましたが、背景にはそういうものがあるので、この点は世界に大きく私はPRしております。 ただ、原子力に関しましては、今日まで余りにもPRが少なかったということも事実でございます。しかしながら、それもしなくちゃなりませんが、過般来先生が幾たびか御指摘なさいましたあのいろいろな不祥な事故等に関しましては心すべきことであって、そういうことがあるからいかにPRをいたしましてもそのPRが牽強付会になってしまうのではないか、そのとおりだと思いますので、そうしたことのないように過度のPRは私は慎まなくちゃならないと存じますが、原子力そのものに関する正しい認識を国民に抱いてもらうようなPRはしていかなくちゃならないと存じます。 特に、この再処理工場に関しましては、諸外国、先ほど申し述べましたような分類の中に属する国々におきましては、アメリカさんに対しましておれたちの国の主張はもっとするのだと相当な意気込みで臨んでおるというふうな情報もしばしば耳にいたしておりますので、決してアメリカの主張に逆らっておる意味でもなければ、また感情を逆なでする意味でもなければ、一種のチャレンジでもない、ただ普通のそのままを、私たちといたしましては今後も報道は報道としてやっていかなくちゃならない、こういうふうに考えております。ただ重要な時点でございますから、それが誤解を生ぜしめるようなことであっては困る、これは確かに御指摘のとおりでございますので、さようなことも十二分に心しながら今後もいろいろな問題に対処いたしたいと存じます。
○石野委員 再処理工場の運転を確保したいという大臣の気持ちはそれなりにはわかりますが、もしこれが再処理工場の運営というものができなくなるというような状態になったときの対処の仕方、あるいはまた、午前中にもちょっとありましたが、ウランとプルトニウムを分離しないで混合体としてこれを活用すれば云々というようなこと、これは新聞なんかにもずいぶん出して、その技術の完成ができておるというようなことまでも言われておりますけれども、事実上この点についてはわが国の技術、特に動燃団の技術はそこまでいっておるのですかどうですか。
○宇野国務大臣 詳細はまた局長の方から専門的に御説明をいたしますが、とりあえずトリウム云々と言われておりますけれども、これはやはり先の長い話であろうと考えておりますし、動燃におきましても先般この問題が話題になりましたときにも、そうしたことを一つのてことして日米交渉に当たってはどうか、そういうアドバイスもあったのでございますが、とてもとてもてこにするという段階ではないということは事実でございます。同時に、私たちも頭をかしげるのでございますが、今日トリウムそのもの自体につきましてもやはりいろいろと問題がございまして、ウラン333というものもこれは分裂性の高い物質であるということを言われておりますし、それをまた資源として持っていらっしゃる国々が非常にいろいろとハッスルなさるのじゃなかろうか、そういうふうな国々が多いということもやはり今後世界的な話題として考えていかないことには、単純にトリウムで現在のプルトニウムにかわるのだということではないのじゃないか、こういうふうに考えます。
○山野政府委員 ただいまの混合抽出法についての御質問にお答えいたします。 これは動力炉・核燃料開発事業団が昭和四十一年ごろから混合酸化物燃料の研究開発の一環として行っておるものでございまして、ウランとプルトニウムの混合溶液から均質性のよい混合酸化物の粉末をつくるという研究開発でございます。これはプルサーマルないしはATR、FBR等の燃料製造のためにかなりのところまで研究開発が進んでおりますけれども、再処理との直接的な関係のあるものではないわけでございまして、今後この再処理工場でウランとプルトニウムを分離いたします前の混合溶液の状態からただいま行っております混合酸化物燃料の研究開発への工程につなぐことができれば、核不拡散の見地から非常に有用な研究開発になり得るという観点がございますので、そういう面から今後も検討してまいりたいというふうに考えておるものでございます。
○石野委員 いま混合抽出の問題は今度のカーター外交に対する対応策として問題提起を具体的に折衝の中に入れていく課題としておりますか。
○山野政府委員 この方式は、いま申し上げましたとおりかなりな期間を今後要する研究開発でございますので、いま直ちに実用化できるというものではございませんので、ただいま日米で行っております交渉の中でこれをどうするこうするといったふうな問題ではなかろうかと存じます。
○石野委員 アメリカがナイ次官補が帰られたらそれに対応するように日本でもまたやはり折衝者を送らなければいけないだろうというようなお話でしたが、それに対する準備は整っておりますか。
○宇野国務大臣 十分整えてございます。
○石野委員 その場合、今度は日本の場合では、たとえば長官自身が出向いていかれるというようなことで折衝されるのですか。
○宇野国務大臣 最終的にはそういう場面もあり得るかと存じますが、しかしながら、現在といたしましては、日米二国間だけでこの問題が解決するのやら、あるいはまた多数国間へ流れ込んでいくのやら、いろいろとまだアメリカも決めかねている面があるのじゃなかろうか、こう思います。したがいまして、私自身がこの責任者としてアメリカへ行かなくちゃならないという場面もあろうかとは存じますけれども、現在としてはきわめて事務的に話が進んでおりますので、その経緯を見守りたいと存じております。
○石野委員 長官は、今度の問題で、超党派でアメリカの政府なり議会に国会議員団が折衝に行ったらいいのじゃないかというような構想に基づいて、与党に折衝したり、何かなさったようでございますが、その真意はどういうところにありますか。
○宇野国務大臣 内閣が余り議会のことにくちばしをはさむことは決してよいことではございませんから、これは極力避けていかなければなりません。しかし、最高の責任を持っておる者として考えました場合に、アメリカの議会におきましてもやはりこの問題が非常に関心を持たれておりまして、特に外務委員会あたりにおいては、本当にカーター新政権の新政策が他国に与える影響はどうであろうかということも真剣に考えていらっしゃる向きもあるということを耳にいたしましたし、さようならば、ひとつこういう問題はやはり議会と議会で御接触願って、アメリカのお話もわが議会は聞き、わが方の話もアメリカの議会に聞いてもらおうということが、これは両国の親善のためにもいいのではなかろうかというふうな、私自身も議会人でございますから、そういうふうな思いを抱いて、そのことを率直に総理にも御相談申し、それを総裁として、野党に一度相談してみようということで、党からそれぞれの党に御相談があったであろう、こういうふうに存じておる次第でございます。本日も実は、私率直に申し上げまして、もしもいろいろと御都合が悪ければ、せめてわが党だけでもよいから、ひとつそれ相応のりっぱな説明をなし得る方が渡米していただいて、そして、アメリカの上下両院の外務委員長なりあるいはまたそうした重要な方々にお目にかかっていただいて、日本の立場を率直に説明する。特に、先ほどから議論をいたしておりますとおり、日本は決して核潜在保有国ではない、いかにGNPが高かろうとも、今日日本はそれを許さない、そんなことは議会が許さないんだということを、まずわれわれとしては相手の議会にもお伝えすることも一番大きなことではなかろうか。その上に立っての両国の親善を図りながら、わが国の核平和利用がいかに重大なものであるか、お互いにNPTを批准をした者同士として、その点も話し合ってほしいものだなと、こういう感じはいまだに私強く抱いておりますので、率直にけさはわが党の大平幹事長にその旨をお伝えいたしまして、議会の方とされましても、また、党とされましても、この問題はひとつできるだけいろいろの面でバックアップをお願いできないものであろうかということはお伝えしたものでございます。
○石野委員 大臣は、いま核の問題で当面の責任者ということで、言うなればわらをもつかみたいというような気持ちでいろいろ工作しているんだろうと思いますけれども、しかし、議会の中には、核エネルギーに対する物の見方にはいろいろな違いがあると思います。特に各党間には違いがある。大臣が超党派の折衝団を構成しようというときには、たとえば北洋漁業の問題で議会のコンセンサスが各党とも全部得られるというような場合は別です。しかし、いま現に原子力発電の安全性とか開発の問題について意見の違いがあることは、大臣よく御承知のはずであります。ことに、私どもはただ単に観念的にそう思っているだけではなしに、われわれが心配しているようなことは具体的にどんどん出ておる事実に直面して、そして問題を提起し、政策論議をしている。こういう状態を大臣は正しくおつかみになっていらっしゃるのかどうか、実を言うと、私はこれは疑問に思っております。これは、単に対米折衝のためというだけじゃないのです。国内における原子力行政の上において、われわれが幾つか提起している問題についての行政管理の政策の中にそのことが具体的に出ているかどうかさえも、私は疑問に思っておるのです。 だから、大臣が、政府としてのいろいろなおもんばかりがあってあれこれのことをなさるのは、それは結構ですけれども、しかし、少なくとも国会は、やはり各党がそれぞれの主張を持っておりますし、また、国会を代表するということであるとすれば、各党とも一致した意見でなければならない。一部の政治家が個人的にいろいろな折衝をするという問題と、国会を代表したりあるいはそういうイメージのもとで外交折衝などをするということは、厳に慎まないと、問題が混乱すると思うのです。 私は、大臣が自分の立場上いろいろなさることは、それを制約することはできませんけれども、やはり大臣という資格で余り個人プレーに似たようなことをやられない方がいいんじゃないか、そういうように思うのですよ。ことに、いまお聞きしますと、大平幹事長に党としてやってくれという要請をされたそうですか、党はどういう受けとめ方をするか私は知りません。けれども、やっぱりもうちょっと政府サイドで努力することを中心にして処理をしていただくようにしないと困ると思いますがね、大臣はそういう点はどういうふうに考えておりますか。
○宇野国務大臣 原子力政策に関しましては、残念ながらわが国会におきましてはまだ完全に各党それぞれ意見が一致をしない面が余りにも多いということは、私も重々承知いたしております。そうした面におきまして、国会のことには私は余りくちばしを差しはさみたくないという気持ちでありましたが、いろいろな情報が入ってまいりまして、やはりアメリカの国会にも十分意思をお伝えした方がいいよという情報が入った場合には、これは当然私は総裁の許可を受けまして党に伝えるということは必要でございますから、したがいまして、先般はそういう意味で一つの情報として、こういう次第だから党の方でも御善処賜ればいかがであろうかと、こういうふうにお願いをした、こういうふうに御了解賜りたいと存じます。 そうでございませんと、わが党も、いかに与党とはいえ、内閣と党は違うぞと、これがわが党の立場でございますから、内閣の指示は与党は受けぬぞというのがやはりお互いにございますから、その点はきちっと分限を心得ながら、一つの情報として、こういうことでございます。よろしくお願いいたしますと、こう申し上げておるわけで、それを党の方がどういうふうに御判断なさるかは、これはまた別の問題でございますが、先般もそういう情報として、こういうことができたらはなはだ結構じゃございますまいかとお話しをしておりましたときに、ちょうど前日に国会の、参議院の予算委員会でございましたか、衆議院か、そこら辺は私も忘れましたが、ちょうどこの問題で福田総理がお答えになられまして、ひとつ国会の御協力もお願いいたしますと、もう福田総理もきのう言うたばかりだから、さような意味で、国会にひとつ御協力を仰ぐということは、これはいいことじゃないだろうかと、こういうふうに御判断されまして、それをわが党に総裁としてお伝えになったということでございますので、決して私が私個人の個人プレーとしていろいろな問題をやっておるというわけではございません。やはり内閣と議会、さらには内閣と与党といえども党、その間を十分私自身も分限をわきまえまして、そしていろいろと御連絡を申し上げておる、こういうふうに御理解賜りたいと存じます。
○石野委員 連絡役は、どんな連絡をしても私はいいと思いますけれども、しかし、政治ですから、政治には一つの方針がなければならぬと思いますし、特に核の問題について非常に重大なことは、核というものが、兵器としてのいわゆる核爆弾というものと平和利用というものは別個なものですよというこの考え方が通用するかどうかという問題なんですよ。私は、恐らくこれは通用しないと思うのです。どんな理屈をつけても、いま世界の政治の上においては。事実上私は、各国の対立しているいろいろな考え方から見ましても、核武装という問題と核の平和利用というものを別個なものとして考えることが成り立つというようなそういう政府の見解で外交交渉をなさいましても、これは通用しないだろう。それをもし通用させるということならば、何か特殊な事情がなければできないことだ、こういうふうに思いますので、この点だけはやはりはっきりしておきませんと、日本の政治が笑い物になる結果が出るだろうと思いますから、私はそういう点だけはしっかりと押さえておいていただきたい。 何かアメリカへ物ごいのようなことを言えば特別な扱いをしてくれるだろうかということを—もしそうだとするならば、そのときには日本の国はアメリカの行政権の中に入っているということ以外にはないのですよ。日本が主権国として一つのそういうものを持って折衝するときにはそんなことはあり得ない。日本がアメリカの星条旗のもとの一つの星になればそれはどんなこともできるかもしれません。いまはそんな日本じゃないはずですから、そんな甘い考え方は通用しないだろうと思いますので、これは外交折衝に当たりましては、特にあなたが三省の取りまとめ役をなさっているとすれば、その点は特に十分心得ていただく必要があるのではないか、こういうように私は思います。これは老婆心ながら私はそういうように申し上げますけれども、この際、長官の御所見だけ伺っておきたい。
○宇野国務大臣 今回の交渉に当たりまして、私は第一に、たとえその方々が事務的レベルの人たちであったにせよ、次のように申してお送りいたしました。つまり、今度は物ごいじゃない、頼みます拝みますじゃないのだ、やはりわが国の立場というものを、たとえ事務官といえどもきちっとした立場を主張してほしいですよ、もちろんこれは大きな政治問題になるだろうが、政治問題になったときには私たちが私たちの立場をはっきり言うから、事務官は事務官として、いままで多額の国費を使ってここまできたという経緯とそれについての国民に対する責任、そうしたことを重んじながら自分たちの主張は堂々とすべきである、決して拝みます頼みますじゃないのだということだけは私は申し上げたものでございますし、なおかつ、先ほどからしばしば申し上げておりますが、相当な地位のアメリカの関係者に対しましても、私みずから軍事用とそして平和用、これに核については区別をつけるべきではないのじゃないか、現にそういうものがにおい出したということをわが国会においても鋭く与党、野党ともにいろいろと御質問なさっているということを率直にあなたにも伝えておこう、アメリカはやはり平和なら平和に徹底してほしいのだ、だからわれわれから言うならば、米ソ間においていまどれだけあるか知らないが、相当あるところのプルトニウムをどうするかという問題を明らかにして、だから平和利用の国々も、こうしておれたちもはっきりしたのだから、これと一緒に歩調を整えてくれというのならば話はわかる、そこまで私といたしましてははっきり申し上げておるような次第でございまして、決して卑屈な態度で臨もうというものではございません。やはり、その点は先生の従来核に対するお気持ちと同じ気持ちを持って私は臨みたいと思うのでございます。 ただ、政策上はいろいろ核に対しましては軍事用と平和用がなかなか区別しにくいから、そう一概にオーケー、オーケーと言えないのだという立場も重々われわれは知っておるものでございますが、私たちといたしましては、今日日本の興廃はまさにこの平和利用にあり、それぐらいに思っておりますので、そのことを主張しておるような次第でございます。 なお、われわれだけではなくして、やはり米国の新政策に対しましては、日本と同じような気持ちで平和利用に徹するということは、いま米国の新政策に従うということではないのだという気持ちを明らかに吐露している国々もあるということもどんどんと耳に入っておりますが、そうしたこともございますから、われわれは世界的な平和という立場でこの問題に取り組みながら、なおかつ、日本の立場を鮮明にしていきたい、かように存じております。
○石野委員 原子力については国際的ないろいろな問題もありますし、また国内的にもやはり問題が多い。特に原子力の利用について私たちの党は、まだ商業用にこれを活用する段階には至っていない、実験、研究の段階であるという主張をずっと続けてきております。そういう点で、政府・自民党とは大分違うわけですが、それはさておきまして、ドイツと日本とがアメリカとの折衝の過程で、片方はユーラトムに入っているために日本のように二国間折衝とはちょっと違った立場にあって、どちらかと言えば向こうの方が有利なんだ、われわれは不利だ、こういうお話が先ほどありました。そういうこともあるけれども、同時にまた、ドイツは独自の自主技術の開発というものを相当持っておるという点があり、わが国における今度の折衝過程で一番問題になるのは、自主技術の開発におくれておる、もっと端的に言えば、ノーハウをすべてアメリカに依存しておるというようなことにあると私は思っておるのです。そういう点についての政策展開というものがこれから非常に大事になってくると思います。 長官は、今度の対米折衝などについて、しばしば自主技術開発の問題等を言葉にはしておりますけれども、しかし、今日の日本の原子力関係の予算配分とかなんとかいうものからいっても、その点はまだ十分なものでないし、この二十年間にわたる政治の上からいっても、口ではどんどん言っておっても、実際上はやはり開発の方向にどんどん先行投資が行われるような国家的な政策が行われてきておる。この点の見直しというものはどうしても必要だ、こう思いますけれども、いますぐじゃないけれども、そういうことを具体的に長官は何か手をつける意思がありますか。
○宇野国務大臣 自主技術の確立、これは何としても日本が早くいたしませんと、平たな言葉で申し上げれば、いつまでも海外に首の根っこを押さえられているような状態でいいだろうかということが言い得るわけでございます。われわれの国民生活、GNPあるいはまた経済成長率というものから測定いたしましても、それから逆算しても、エネルギーがいかに大切かということはしばしば申し述べましたが、そうしたGNPあるいは成長率一つを考えても、福祉国家に大きく育てようといたしましても、その肝心かなめのエネルギーに関してみずからこれを自由自在に動かして調整し、フルにその力を発揮せしめる能力もなしに果たしてできるだろうかということを考えますと、しばしば言われるように、原子力のエネルギーというものはまさに準国産だという気持ちでやっていかなくちゃなりませんので、御指摘のとおり、いまほとんどのノーハウが海外に依存しておるという状態であっては、それは期すべくもございません。 だから、さような意味でも、やはりそうした自主技術の開発と独自の核燃料サイクルの確立ということが必要でございます。そこが今回の問題と絡めますと、アメリカは豊富な資源を持っておるし、われわれは資源がないという大きな差がここに出てきたのではないであろうか、こう考えますが、さような意味におきまして、当分エネルギーということになりますと、原子力にやや重点を置いた科学技術庁の政策になっておるという御批判も私はわからないわけではございませんが、しかし、将来を見通しました場合、どういたしましても技術の涵養ということが必要だと存ずる次第でございます。 ただ、将来まだまだ問題がございます。それははっきり申し上げまして、やはり一朝にして、たとえば高速増殖炉を実用化するという段階を迎えるわけにはまいりません。それまでには十二分に石野先生御承知のとおり研究に研究を重ね、さらには実験から原型、原型から実証、実証から実用炉というふうな段階を踏まえるということになりますと、相当長期の見通しを持って臨まなければならないわけでございます。さような意味合いからも、決してこの原子力政策というものはことしと来年だけの問題で終わりなんだというのじゃなくして、やはり相当長期の見通しに立ってのことしである。十分の一がことしのウエートだとか二十分の一がことしのウエートだと、そのウエートをおろそかにするわけにまいりませんから、いま私たちとしても、既定路線に従いまして、その確立を急いでおるというのが今日の立場でございますので、われわれ政府といたしましても決して見通しも何もなくやっておるのではない。やはり一九九〇年代にはこうしたい、二十世紀にはこうしたい、あるいは一九八五年にはこうしたい、そういうふうな幾つかの目標をきちっとわれわれも打ち立てまして、それに向かって毎年度、毎年度技術の開発を急いでおるというのが現状でございます。
○石野委員 こうしたいという気持ちがありましても、なかなかそのように事が運ばない。たとえば、現在十三基の炉で稼働しておるのはほんのわずかだというような事実、しかもその定検とはいうものの、事実上は非常に大きな修理を要するというような炉がたくさんあったりしまして、そうしたいと思うようには動いてない。利用率にしても稼働率にしても、ことしのなには非常にパーセンテージが落ちてしまうというような現状ですね。これは一にかかって、安全性に対する問題点が、炉の本体あるいはまた燃料棒、その他いろいろなところに出てきているからだと思うんです。そういうことに絡めて、安全性をどういうふうに政治的につかむかということは、非常に重大だと思うんです。閾値がこうだからとかああだからということより以上に、国民の放射能障害に対する安全確保という問題に焦点を合わしますると、その取り上げ方というものはいろいろな形が出てまいります。 たとえば、先月の十四日でしたか、西独のフライブルグ判決が出ました。これはウィル原発闘争に対する判決です。これによりますると、やはり原子炉のいろいろな事故によって出てくる放射能障害の危険性というものが、仮に千万分の一の確率なんだということであっても、それはだめだよということで、炉の認可を取り消すというようなところまで判決は出ております。これは非常に重大なことだと私は思っております。重大なことというよりも、私どもから見れば、これは非常に当を得た判決だと思うんですよ。宇野長官は、こういう判決をごらんになってどういうような所感を持っておられますか。ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○伊原政府委員 ただいま先生御指摘のフライブルグ行政裁判所判決でございますが、御指摘のように三月十四日の判決をもちまして、ウィル原子力発電所の建設許可が取り消されたということでございますが、これにつきまして、いろいろ目下私ども、情報を収集しておるところでございます。 現在までに判明しましたところでは、判決理由、これはまだ公表はされておらないそうでございますけれども、原子炉の安全性の問題ということに触れられておる、こういうことのようでございます。ただ、聞くところによりますと、この第一審の判決につきまして州当局がさらに高等行政裁判所に控訴をする、こういうことでございますので、設計、工事の許可は依然として有効である、こういうふうに伝えられております。 わが国の裁判の制度と西独の制度とは、必ずしも同一でないということもあるかとも思いますし、なお判決の理由の詳細がわかっておりませんので、今後その辺も十分調べました上で、私どもとしての考え方を固めさせていただきたいと考えております。
○石野委員 この判決の主要な点というものは、とにかく経済性やエネルギー不足問題よりも、完璧な安全性ということが判決の主文になっていると思うんです。われわれがエネルギーを必要だと言う意味は、人類の生存のためによりよくしていこうということからでありますから、経済的にそのことの必要性はいろいろな意味で観点も違いますけれども、そこへ集中していくわけです。しかし同時に、安全性の確保がなければ、人類の生存が問題になってくるということになりますると、個々の生活の上昇ということよりも、人類の生存全体にかかわるというその方が大きい問題になる、こういう考え方が中心になっていると思います。これは私は正しいと思うんです。私どももいま、特に社会党が原子力について一つの政策を出している主要な点は、そこにあるんです。今日、われわれが一定の用益を得たとしても、その結果が子供や孫の時代に大きな負担を残していくというようなことがあってはいけないし、それは経済的な負担だけではなしに、健康的な問題とかいろいろなそういう問題をもう少し勘案するならば、安全研究というものはもっともっと重要だろう、こういうことでわれわれの主張が行われているわけです。 このウィル原発の建設許可取り消しという問題は、ドイツも日本と同じような状況にあるということは、しばしば宇野長官は言っておるわけですよね。今度対米交渉の中で違っておるのは、ユーラトムに入っているということだけなんだ、ほかはみな同じだ、資源の少ないこともエネルギーの少ないこともみな同じなんだ。そのドイツでこういう判決——それは裁判の構成や何かは違うからといっても、これはやはりわれわれのひとつ考えなければならぬ問題なんですから、大臣、この安全性の問題について、日本の一部の者が核アレルギーをあおり立てて反対運動しているんだというような認識だけは、やめておいてもらわなければいけないと思うんです。その認識を拡大しますと、やはりカーター折衝もできなくなるだろうと私は思います。これは非常に重要なことですから、大臣、やはりこういう点についての見解だけは確固として持っておいてほしいと思います。 ことに、この問題の重要な点は、原子力施設をつくったその周辺における住民と、それより遠隔地における住民との人権の問題がここに出てきておるわけですよね。そこでできる発電の用益は遠隔地がずっと受けて、ここでの放射能障害とか何かというものは、おまえのところは閾値はここまでだからいいんだぞということで、ここで抑えつけられていく。こういう人間に対する差別が行われている。ちょうど核について、米ソに対して日本やドイツを差別しちゃいかぬという主張と同じようなことが、ここでこういう形で行われていくのですから、これは原子力行政上きわめて重大なことでありますので、私は大臣がそういう観点をお持ちでなければいけないと思います。大臣の所見だけ、ひとつ聞いておきたい。
○宇野国務大臣 火力発電のときも、煙突が高ければ高いほど、煙は遠く行くという話を聞きまして、それに対していろいろとわれわれも検討をいたしたものでございます。同様なことがいまのお話であろうかと存ぜられます。なお一層、原子力行政に理解を仰ぐがためには、やはりそうした国民の直の声、それに対することも行政の上ではきちきちと処理をしていかなくちゃなりませんので、貴重な御意見として私は拝聴いたしておきます。
○石野委員 対米交渉がカーター核外交によっていろいろ行われておる段階で、日本の原子力開発の長期計画というものに対して、とにかく外交交渉がどうあろうとも、そういう観点からもう一度見直ししなくてはならない問題が、また新たに出てきたと思うんです。国内的には、事実上計画や、何かがいろいろありましても、それが思うように進んでいないということから、六十年四千九百万キロワットの計画はとても無理だということは、もう現実の課題でございますから、これをどういうふうに言いわけをしてみても、これはできないでしょう。そこへ今度また、こういうカーター外交が一つ入ってまいりました。核に対する問題点が新たに出てきますると、これは当然のこととして、日本の原子力の長期開発計画というものに見直しをしなくちゃいけない、こういう内容が加わってきたとこう思いますが、長官はそういう点はどういうようにお感じになっておりますか。
○宇野国務大臣 カーターさんの基本的な信仰に近い——まあ信仰とも言ってもよい核不拡散、これに対しましては先ほど来お答えいたしますとおりに、わが国も率先をして世界にアピールをしなければならない問題であろうと存じます。ただ、アメリカの政策がまだ決まっておりませんし、その政策を決めるであろうと言われている、言うならば原点とも言うべきフォード・レポートは、いろいろとわれわれが検討いたしましても、やはりもう少しくこれをお書きになった方が、こういう点については、率直に申して御勉強なさった方がいいのではないだろうかという点が多々あるわけでございます。 したがいまして、核不拡散の理念というものを高くかざしながら平和利用に徹するためには人類がどうすればよいかという問題は、ただ単にカーターさんが今日考えておられる新政策だけではないと私は考えるわけでございます。日本には日本としてのそういう道を貫き得るりっぱな理想もあり、また科学技術的にそれを証明し得る方途もあろう、こういうふうに考えておりますので、そうした意味合いにおきまして、いま直ちにカーターさんがこうだから、それに従ってわが国の原子力政策を見直そうというところまで現在私たちは考えておりません。 現在の原子力政策の裏の中には、過般来先生を初め多くの方々がいろいろ貴重な御指摘をしていただきました。私は率直にそれを受けとめて、行政面においても、いままで力足らざりしところをもっと力を発揮して補いなさい、そしてやはりそうしたことを如実に明らかにしていかないことには国民の方々の御協力は得られないよということを申しておりますので、あえて今後原子力政策をどうするかとおっしゃれば、私はいままで以上に安全に徹した行政を行いたい、かように存じておりますので、政策そのものをいますぐにがらりと変えるというところまでわれわれは考えておらないわけでございます。
○石野委員 安全に徹した政策を行うということについて、これから積極的な意欲を燃やして政治を行うのだというお話でございます。 そういうことであればあるほど、美浜の問題で、その後、美浜の方では社内におけるところの責任体制について再検討を加えてするとかという答弁をいただいたままになっておりますけれども、美浜はどういうように社内の処置をなさっていらっしゃるか。 それから同時に、これは科学技術庁というよりもむしろ通産省の問題だと思いますけれども、当時の通産省の管理体制というものに問題があったはずですが、そういう問題についてはどういうふうになさったか、そこをひとつ聞かせていただきたいと思います。
○伊原政府委員 社内の責任体制の明確化、関西電力の美浜の問題につきましてでございますが、同社の中におきます処分といたしましては、十二月十五日付をもって第一次処分が行われておると聞いております。 なお、前回、予算委員会におきまして、関西電力の参考人のお答えの中にも、さらに何らかの措置がとられると思うというようなことも言っておられるようでございますので、その問題についてはさらに社内の検討が行われておる、こう承知いたしております。
○武田政府委員 先生の御指摘の第二の問題は、四十八年当時、通産省が行っております定期検査の過程で、先生御指摘のような燃料棒の折損が発見できなかったということであろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、当時実は燃料体につきまして立ち会いをいたしておりませんでしたので、そういう経緯から、この折損について、定期検査の過程で私どもとして知り得なかった。したがいまして、その状態が昨年末まで続き、かつ、そういうことで行政的対応がおくれたということをきわめて遺憾に思っているわけでございます。 定期検査の体制につきましては、実は昨年先生から御指摘がある以前の段階からでございますが、年々充実をしてまいりまして、立会項目等もふやしというようなことを、四十八年当時に比べればやっていたわけでございますけれども、昨年から本年にかけましての先生の御指摘、それから、私ども科技庁と協力しての昨年十二月以来のもろもろの調査、検討、そういったものを経まして、さらに一層定期検査の立会項目を充実し、また立会回数をふやすというような措置をとり、同時に、この前、どんなような措置をするかという、対関西電力の措置とともに、定期検査体制をさらに充実する、それで検査官の増員等も含めてということを申し上げたわけでございますが、すでに三月、それからちょうど年度のかわります四月一日というのが人を動かしたりする時期だものでございますので、三月から四月にかけまして、十一名の検査官を原子力発電に関します検査体制を充実するということで追加しまして、ふやして、それで先ほど申し上げましたような定期検査立会項目の増加あるいは立会回数の増加というものに対応すべき体制の第一歩を整えているというのが現状でございます。 なお、今後とも定期検査につきましては、対象の実態につきまして、いま申し上げましたようなことを実行に移していくというのがきょう現在の段階でございます。
○石野委員 いまの答弁の中で、四十八年四月の定期検査のときには通産省はそこに立ち会ってなかったのでということでこの答弁を終えるということについては、ぼくは問題があると思うのですよ。予算委員会のときには、人が足りないから立ち会いする場所をそのときそのとき指定してそこをやるのだ、あとは書類を見せてもらうのだ、こういうことになっておりましたね。それで書類は、会社から出てきた書類を見て、それに問題があれば問題をそこでチェックしていろいろ立会検査の成果を上げる、こういうふうに私は聞いてきたんだ。しかし、いまの話だと立ち会いをしていなかったのだということになると、これはもう立会検査というのは意味がなくなってしまう。焦点を合わせたところで問題がなくても、ほかで問題があったときには、立会検査を何のためにやっているんだかわからなくなってしまいます。これは非常に重大なことでございますから、いまの問題は後でまたもう一遍日を改めて聞かしてもらいます。 なお、私は昨年の八月二十五日以降、十月一日の予算委員会やあるいは本委員会におけるところの質問等を通じて、しばしば通産省からの、あるいは科学技術庁からのこの問題についての答弁をいただいておるわけです。しかし、議事録に書かれておることは事実と全く違っていることが、あたかもまことしやかにみんな説明されているわけですよ。これは政府当局は政府の責任で答弁したはずですよ。しかし、実際は会社から来た報告か何かをリピートしただけですから、事実とは全く背反している。議会に対してこういう間違った答弁が議事録として残るということは、私は許せないと思うのです。こういう問題について政府当局はどのように考えておるか、責任はないのかどうなのか。これは現場からこういう報告が来たからおれはそれを言っただけだと、そう軽くこの委員会を見ておるのかどうか。この問題もきわめて重大です。私は、きょうはもう時間がありませんからその問題についての答弁はいただきませんけれども、これはひとつ政府でよく考えておいてもらいたいと思う。 私の質問に対する答弁の中に、美浜の一号炉の中には依然としてペレットが散乱しているものがあるのだ。五百グラムは回収されたけれども、七百グラムはまだ回収されていませんということが書いてあるわけです。それからまた、ジルカロイの破片が約二十センチぐらいはどういうふうになっているかわからないというままになっているわけですよ。私は、こういう情勢のもとで、問題がこれほど論議されておる段階でも、先般の予算委員会の追及がなければ美浜一号炉はことしの夏ごろには運開をするはずだったわけですよ。これで安全性が確保できるのだろうか。大変な水の量の中でこんなものだから大したことはない、そういう安易な考え方で安全局は考えておるのかどうか、私は非常に疑問に思うのです。この未回収のペレットだとかあるいはジルカロイの破片を監督官庁としての通産省なり科学技術庁はこのまま放置したままで仕事をどんどん進めさせるつもりなのか、全量回収を具体的にやるつもりなのかどうか、その点だけ聞かしておいてもらいたい。
○武田政府委員 ただいまの未回収のジルカロイチューブ約二十センチとペレット約七百グラムは、正確に申しますと私どもは確認できてないということでございます。それで、確認できていない部分があるという認識を持ちましたのが二月の時点でございます。先生御指摘のように、安全上の問題から、安全上問題がないという確認を私どもいたしませんと、科学技術庁も同様と思いますけれども、原子炉を運転しないあるいはさせないというのが基本的な考え方でございまして、そういう未確認の部分があることがわかりました時点から、未確認部分の確認といいますか、それからその結果として安全性の確認をすべく現在その作業を続けているところでございます。一方で、原研に頼みましていろいろ分析等をしてもらっておりましたが、一月にこの中間報告が出、先週、三月末を予定していた報告をもらったわけでございます。その評価とも絡みますけれども、いま申し上げました未確認部分について確認をし、その結果として原子炉を運転して安全上問題がないという心証を得まして後に——私どもといたしましてはすでに運転再開延期を指示していることでもございますし、動かしても問題がないという安全上の確認をいたしまして後に運転を再開させる、こういうふうに考えている次第でございます。 なお、先ほど私は立ち会ってなかったのでと申し上げましたけれども、立ち会いと報告をレビューするというのはもちろん当時から併用しておりました。ただ、立ち会っておらず、かたがた報告書の中にもそれらしき徴候が記載されていなかったので、四十八年当時この折損が私どもとして知り得なくて、それが三年越しになりまして、それで行政的対応もおくれた、これを先ほど縮めて御説明しましたので、一言だけ補足させていただきます。
○石野委員 この問題は多くの具体的な問題を残しておりますが、きょうは多くを聞きません。 ただいまのお話の中の未確認事項の確認という問題、これはペレット七百グラムの回収が確実にできるということ、それからジルカロイ二十一センチですか、それが確認できる、完全に回収できるということ、こういうふうに理解していいのですね。
○武田政府委員 先ほど申し上げましたように、未確認部分がそれだけあることを私どもはっきり認識できましたのが二月だったわけでございますけれども、そういう意味で、現在炉の中、あるいはそれ以外にもあり得るかもしれませんが、それ以外と申しますのは、取り出している燃料体の間にはさまっているものですが、そういうような考えられ得るケースにつきまして確認の作業を進めておるわけでございます。 なお、炉水の中に非常に微細な粒子となって含まれている可能性もあるわけでございますが、これにつきましては、炉水は常時循環しておりましてフィルターを通してこすということをやっておりますので、あるいはそういうところで取れてしまったものがあり得るかもしれません。それから、微細な粒みたいなものが炉の底なり何なりにくっついている、または燃料体にくっついているということも可能性としてあるわけでございまして、そういうものをすべて確認といいますか、そういうことをして結果的に動かすといたしますと、炉水の中で使用すべき燃料体を装荷しまして、そうした状態で運転をしたといたしましても、原子炉等規制法なり電気事業法なりで、こういうやり方をすれば安全であるという範囲のものになることを私どもとして確認しない限り運転を再開できない、こういう意味でございます。
○石野委員 これは長官にお願いしておきたいのですが、いま炉の管理は主として通産がやっておられます。しかし、安全性確認という問題からいたしますと、私どもはこの四年間ほどの経緯を見まして非常にずさんなものがあるように感じておるのです。炉内にあるところの残存物体、ジルカロイにしましてもペレットにしましても、そういういろいろ拡散しておるものの完全回収は、フライブルグの判決なんか見てもわかるように、完璧でなければならぬという思想が片方にあるわけです。もし炉の燃料棒が何らかの形で、冷却水が十分通らないためにそこから溶融が始まったということがあった場合には、これはどうにもこうにも処置ができぬものになってしまうだろうという危険性を持っておりますし、もし早期発見ができなかったり何かして、あるいはメーターで表示があったりしましても、それを十分にキャッチできなかったために——たとえば今度がそうだと思いますがね。そういう破損とか破壊があっても、事実、定検時までは掌握できなかったのですから。こういう人間が扱う上における事故の発生原因というものが想定し得られないところにいろいろ問題が起きてきます。そういうときにこれだけのものがまだ具体的に確認できてない。けれども、水量は多いのだから大したことはないやというような安易な考え方は許されないと思うのです。 ことに、今度の問題は、美浜発電所に対する関西電力の、法的な規制あるいは行政監督権を甘く見た、非常になめ切った態度がそこにあったと思うのですよ。そういう問題に対する規制が十分に行われなければ、法律があったって、上級官庁が幾らあったって、こんなものは何にもならない。だから、そういう意味から言っても、今度の場合は徹底的に、それこそ一グラムまでも明確になるように回収するということを本当にやらなければいかぬと思うのです。そういうことを安易に許しておいたら、これは悪例として残ってしまうと思うのです。これは率直に言って監督上ゆゆしき問題でございますので、通産に対して科学技術庁からも十分な意見の表示をし、共同の監督をしてもらうことを、特にこの際、私は長官にお願いしておきたいのです。 なお、美浜発電所の問題については、私はまだ聞かなくちゃならぬことがたくさんありますけれども、きょうの段階ではそのことを特に長官にお願いしておきたいのですが、長官、いかがでありますか。
○宇野国務大臣 十分御趣旨に沿うよう努力いたします。
○石野委員 いま一つ私は長官に聞きたいのですけれども、原子力船「むつ」の問題でございますが、この問題について受け入れ側であります長崎県及び佐世保市の間でいろいろ議論が進められておるようでございます。私たちの聞き及んでいるところでは、県の方は、諮問機関の答申に基づいて、燃料棒を抜いてならば入ってよろしいと言っておりますし、佐世保の市議会では、そのまま受け入れてもよろしいというような議決が行われたとか言っておりまして、辻市長はそういうたてまえで、受け入れの準備をしているかどうか知りませんけれども、やっておられるようでございます。この問題について長官は非常に熱心にあちこち走り回っておるようでございますけれども、どういう対応の仕方をなさるおつもりでおられるか、また現に何かそういうことについての行動をなさっていらっしゃるか、この点を聞かしていただきたい。
○宇野国務大臣 この問題は、青森県側に言わせますと、いよいよ四月十四日がリミットだから、早く母港を撤去してくれということでございますし、私もできるだけお約束をした日限内にいたしたいと思っておりますが、実は、佐世保の方はああしてはっきり意見を出していただきましたものの、まだ長崎県自体の意見が出ておりません。もちろん知事はすでに上京していただいて、そして研究委員会の意見を尊重する方向になりましょう、それで県会に諮ることになりましょう、こういうふうに私にその内意を伝えていただきましたが、正式にはやはり県会が、佐世保と同様に請願に対しましても、また知事の諮問をなさると思いますが、その諮問に対しましても答えをお出しになるというのが最終的ではなかろうかと思いますので、実はきのう、おとといからも参事官を回しまして、佐世保には政府の申し入れを一〇〇%受け入れていただいたのですから、率直に言ってお礼を申し上げました。また長崎県に対しましては、青森の事情もこれあり、ひとつ十二分に、長崎の事情もございましょうが、青森県もお待ちかねでございますので、でき得べくんば早く意見を出していただきたいということをお願いしているわけでございます。最終的には、知事さんは核燃料棒抜きというふうな結論を自分の意見として表明される、私はこう思うのでございます。 そうなりますと、佐世保と知事さんとの間におきまして意見が、受け入れることについては文句はないが、核燃料棒の扱いに関しましては大きな差が出てくるわけでございますので、両者の御意見を一致して持ってきてほしいものである、私はこういうふうに知事さんにもこの間申し上げた次第でございます。だから両者の御意見がどういうふうになりますか、国会ではもうしばしば、両者の御意見の一致につきましてはそれを尊重いたします、私はこういうふうに申し上げておるわけでございますので、まだ長崎の意見が出ておらない先に、私がここでこうなるだろうと言うこともまたいささか僭越に感じますから、その点はひとつきょうはここら辺の程度までで御勘弁賜りたいと思います。 なお、青森に対しましてもそれだけの対応策を講じていかなければなりませんが、これまた長崎のお答えが出ておらない先に、長崎はこうなるだろうと思うからこうしてほしいと言うこともまた非常にむずかしい問題がございますので、実は青森に対しましても、いま長崎とせっかく政府はいろいろと折衝中でございますからということだけで、具体的にこうなるああなるということをお話ししておらないという段階でございます。
○石野委員 いまの長官のお話でいきますと、長官は県と市との間の意見が一致をすることを待っておるのであって、その間仲立ちをしてあれこれやるという考え方はお持ちにならない、こういうふうにお聞きしてよろしいのですか。
○宇野国務大臣 その点は、この間知事の方から、万一意見が異なった場合にはどうしていただけるだろうか、同じ県の者同士ですから、極力市長と私と意見を一致させたいと思うがというお話がございました。そうしたときには及ばずながら私も、もし両者から何らか政府としての考えを聞きたいというときには、私ははっきり、言うならば両者の中へ入らしていただくというふうなことで政府が努力しなければなりません、地元に仕事を押しつけておいて、あなたたちだけで結論を出せというのでは政府も無責任だと思いますから、そのときには御両者の言い分を十分に了解しているつもりであるから、むしろこちらからお願いをしてでも中へ入らしていただいて、そうしたときには政府の御意見も申し上げ、そして、言うならば仲介の労もとらしていただく所存だ、こういうふうに私は長崎の知事には答えております。
○石野委員 もう一つお聞きしますが、こういうような情勢のもとで、長崎並びに佐世保等における原子力船「むつ」受け入れに反対する運動がございます。いろいろな形でこういう結論が市会や何かに出ましたが、市民、特に問題になる漁民に大きな反対運動があるわけです。その問題についてはどういうふうに長官はお考えになり、佐世保の市会の決議等を受けとめられるのか、その所見をひとつお伺いしたい。
○宇野国務大臣 長崎がわが国における広島と並んでの被爆県だということは、私はこれはまず忘れてはならないことであると存じますし、同時に、産業面におきましても、長崎の漁業はわが国の漁業の一割に相当するというぐらいの力を持っていらっしゃる。この面におきましても無視できないものがある。特に、水俣病であるとかそうしたときに長崎の漁連がいろいろとこうむられました有形無形の被害もあったというふうに承っておりますから、そうしたことから勘案いたしましても、やはり被爆者の声あるいは漁連の方々の声を全く無視して、政府が何もかもおれたちの思うとおりにやればいいのだというようなことでは、私は今後の原子力船そのものにも重大な影響を与える、原子力開発にも重大な影響を与える、かように考えておりますので、特にそうした意味合いにおきましては、それらの方々の声も十二分に承るように努力をいたしておるところでございますし、特に知事さんに対しましても、知事さんが決断なさるときには、やはりそれらの方々の声を十二分にしんしゃくをして御決断をなさるであろうから、私はあなたの御決断に対しても尊重いたしたいと思うのですと、こういうふうに私は平素から自分の考え方を述べておるわけでございます。
○石野委員 最後に、青森の方は四月十四日といいますと、もうすぐ、一週間ございませんが、どういう処置をなさっておりますか。また、これからどういうふうにされようとしておりますか。
○宇野国務大臣 青森に対しましては、先ほどもちょっと触れたのでございますが、四月十四日というリミット、はなはだ残念ながら、そのときに母港を撤去するということは不可能に近い状態になったわけでございます。しかし、何といたしましても、お約束でございますから母港は撤去いたします。そして「むつ」は速やかに青森から出て、佐世保がせっかく受け入れてやろう、こういうふうにおっしゃっておるわけでございますので、まあまあほっといたしておるということでございます。しかし、その間、いろいろと青森には約束が守れなかったことに対しましては、政府といたしましても心からおわびをしなくちゃならない、私はかように存ずる次第でございます。二年半の間、非常に長い間かかりました。もちろん長崎のお答えがないままに私たちが勝手振る舞いはできないということはあったにせよ、政府としては青森に対しまして十分意は使ってまいりましたが、四月十四日自体は守りにくい状態になりましたので、もうすでに、一月前になろうかと存じますが、市長並びに知事さんも来ていただきまして、四月十四日は若干おくれるということだけはあらかじめ申して、とにかくこういう事情だから御了解賜りたいと私はみずから申し上げた。もちろんお二方は、わかりました、承知しましたと言っていただいておりません。決してイエスは言っていただいておりませんが、政府のいろいろと努力をしてまいった点も、中には御了解賜っているのじゃないだろうかと思います。 特に、受け入れを賛成していただきました佐世保の市長さんからは、やはり行政懇が進言をいたしました原子力安全委員会の設置等、安全規制に対して政府が本当に具体的に動かざる限り、佐世保としてもそう簡単なものじゃないですよということをかねて承っておりましたが、それに対しまして、この国会に幾つかの安全規制の問題を法案として提出したことに関しましては、受け入れ側の市長さんも、この点、政府も非常に努力していただいたので、われわれの一番心配しておったことが今後はりっぱに行政面でお約束願ったからというふうな声も聞いたわけでございまして、政府としては、そういうふうに受け入れていただく方にも最大の努力をしておるのであるから、青森に対しましても決してわれわれはその責任を回避しようと思っておりません、重々重い責任を痛感をいたしておりますと言いながら、現在それとなく青森の知事さんなりあるいは市長さんにいろいろとお願いをいたしておるという段階でございます。
○石野委員 とにかく「むつ」の問題はまだ尾を引くと思います。そう簡単にはおさまらないと思うし、ことに今度政府が国会に提出しました原子力基本法並びに規制法の改正という問題は、内容は必ずしもそんなに手放しで喜べるようなものではないと私は思っているのです。しかし、これはまた後で討議するといたしましても、一応私はこれで、あと関連の村山さんの質問がありますから……。
○山田委員長 関連質疑を許します。村山喜一君。
○村山(喜)委員 宇野長官にお尋ねいたしますが、原子力船「むつ」の問題に関連をいたしまして、佐世保の市長が、三百億円の基金を積んでもらいたい。これは新聞に出ていることですから真実はどうかわかりませんが、その金を一体何にするのだと言ったら、その基金をもとにして生み出した利益で市の発展を図るために使うのだ、こういう話が聞こえております。同時に、長崎県の知事の方からは、何か宇野長官も運輸大臣と相談をしたようにも新聞にも出ているのですが、長崎新幹線の導入の問題を見返りに要求をした、こういうようなことでございました。 そういうようなことに対して、宇野長官は、そういう政治的な解決を図らなければこの「むつ」の問題は解決ができないという立場に立って問題を処理をされるつもりであるのか、その基本的な姿勢について伺っておきたいと思うのです。
○宇野国務大臣 この問題は非常に重大な問題で、私は純粋な科学の問題をいま御指摘のような交換条件で解決しようなどとは毛頭考えておりません。 第一点でございますが、三百億円というのは市長からではなくして自由民主党の佐世保の支部の一役員さんが直接私のところに持ってこられました。だから私みずからといたしましては、そういう問題と話をすりかえるというわけにはまいりませんと私はその場で申し上げたわけでございます。その後、市長がお越しでございましたから、市長さん、こういう話が直接お越しになって私の耳にも入ったがいかがなのですか、市は関与しておられるのですか、こうお伺いしたのですが、全く関与いたしておりません、あのときに市の職員が一人ついておりましたが、どういうことをあちらこちらでお言いになるかわからぬからそれを聞いてこいということで、むしろ心配して市の職員もついておったようなわけで、決して私が交換条件なりそれをいろいろなたてまえとして要求したものではございません、こういうことでございましたので、この点は御了解を賜りたいと存じます。 なおかつ、新幹線の問題も、実はこの間知事がお越しになったときに、二人してその会見をいたしました後に記者会見をいたしまして、そこでも知事みずから申されたのですが、きょうは、宇野さんとお目にかかったときに新幹線のお話をいたしておりますが、これはむしろ国務大臣宇野長官だから運輸大臣にも親しいであろう、かねてから長崎にはそういう計画があるので、できたらお力添えをしていただければ結構だというので、決して私はこれができればこうだああだというふうな交換条件で出したわけじゃございません、こういうふうな趣旨を知事みずから記者会見でおっしゃいました。私との会談におきましても事実そういうことで、言うならば閣員の一人として陳情いたしますからよろしく、こういうことでございました。私も、これを一つの交換条件として、こういうことをしてあげるから、じゃひとつ「むつ」を入れてくれということではない、こういうふうにはっきりそのときの記者会見でも申し上げたような次第で、同様の御趣旨はしばしば国会におきましても御質問を仰いでおりますが、私は交換条件ということはこの際にすべきではない、かように存じております。 特に、そうしたことをわれわれ自体も考えまして、今回の「むつ」問題に関しましては自由民主党の中に対策特別委員会というものを設けていただいて、そうした地元にいろいろお話もあろうから、それは直接党が吸収してください、党が吸収なさって、そして是か非かいろいろとお考えになるでございましょうから、その後に政府に対してこうだとかああだとかおっしゃっていただく分については政府は政府として検討いたしましょう、こういうことでございますので、先般「むつ」に関しまして、私と運輸大臣と相寄りましたゆえんも——ちょうどそこに政調会長も来ていただきまして、特別委員長の根本さんも来ていただきまして、この四人から、いろいろ政調会長がお聞きになっておること、あるいは根本特別調査会長がお聞きになっておること、そうした言うならば意見交換の場であったということでございますので、そうした面は私もはっきりして臨んでおるつもりでございます。
○村山(喜)委員 宇野長官のその考え方は正しいと思うのです。だけれども、政治家にはたてまえと本音というのがございまして、そういうようなことで、自由民主党のある国会議員は、長崎にそういうようなことで新幹線が敷かれるそうだ、そうなったら九州本線の方の新幹線、これはいま博多まで行っているわけでございます。それについて長崎はもともと支線である、まずその九州本線の方が優先すべきなのがそちらの方が先になるおそれがある、こういうようなことを公然と話をして、新聞にまでそういうような意見を発表している自由民主党の国会議員さんがおることも事実でございます。したがいまして、われわれはそういうような政治的な解決というんですか、そういうような措置をまた「むつ」に引き続いてもし自由民主党なり政府がおとりになるのであるならば、それは原子力行政に対する自信を完全に喪失をして、そうしてそういう旧来の陋習に基づいてそういうようなことを取引の材料に使ってやったという結果がもし仮に国民の前に明らかになるとするならば、これは科学技術庁の行政に対する国民の失望というものは、原子力行政に対して国民は明らかに反発を感ずるであろうと私は思うのです。それはやはり、いままで長官が正論を吐かれて堂々とこの委員会においてもお述べになったことが、もしそういうような事実があらわれてきた場合には、一朝にしてついえ去るということに私はなると思うのです。そういうような意味から、やはり筋を通した解決の方法をお考えにならないと、この問題は後々大変な問題になってまいりますので、私はあえてこの問題について長官の御意見を求めたわけでございます。 そこで、時間はもうありませんので、また他日に私の質問は譲らしていただきたいと思うのですが、あと一点ほどお尋ねをしておきたい点がございます。 これは、九州電力株式会社が「川内原子力発電所二号炉の増設について」ということで三月の二十九日付でそういうような申請をいたしたいということで知事と市長あてに、ここには文書の写しがございますが、計画概要を添えまして二号炉の設置申請をやりたいという意思表示をいたしたわけでございます。ところが、いま一号炉については安全審査の段階にございまして、一二三部会の方でいろいろ安全審査についての資料の提出を求めたりして鋭意検討中でございます。そこで、その内容は電調審の段階で私の方から特に発言を求めて、当時の経済企画庁長官でありました福田赳夫氏に、この地帯は地質に非常に大きな問題があるから、これについては慎重に対処してもらいたいという要請をいたしました。それに対して、経済企画庁長官でありました福田さんが電調審におかけになりますときに、この問題は電調審を通ったから即建設が始まるというのではなくて、直ちに十分な安全審査が始まる段階に入ったということだ、こういう意思表示がございまして、一二三部会の方においても、まだボーリングの数が足らない、こういうところを調査しなさいということで、初めてのケースでございますが、直接そういうような資料の請求がなされた。そういうような段階を踏まえて、いま安全の審査が行われている最中でございます。 したがいまして、まだその結論も出ない前からこういうような二号炉の増設申請をやってくるという段階にいま来ているわけでございます。私は、代表者が見えましたときに、えらい気の早いことをあなた方はするな、まだ安全審査について十分納得のできるものが生まれてこない限り、われわれとしては原子力の平和利用ということについて、この川内の原子炉第一号炉については賛成しがたい、だから安全の確認なくしては建設なしという確認の上に立って問題に取り組んでいるところだ、いま二号炉の申請までするとは何事だということで話をしたのでございますが、そういうふうな事実を長官は御承知でございましょうか。そういうような段階の中でそのような行為がなされるということについて、どうお考えになりましょうか。
○伊原政府委員 川内原子力発電所につきましては、先生御指摘のように、ただいま一号炉につきまして安全審査を実施中でございます。福田当時の経済企画庁長官がおっしゃったとおり、電調審をパスしたということは安全審査が始め得るという段階である、これは御指摘のとおりでございまして、現に安全の確認をいたしつつあるわけでございますが、ただ、電調審の方のお立場として、二号炉についてやはりそういう安全審査を前提として全体計画の中に組み込むということは、電調審のお立場としては十分あり得るものである、それは即すぐに建設ということではなくて、やはり安全審査、安全の確認を行うという意味である、こういうように私どもは理解しております。
○村山(喜)委員 これでやめますが、原子炉の安全審査の安全基準というものはおつくりになっていらっしゃるのですか。ということは、私がお尋ねをするのは、原子力委員会で決定をいたしました原子炉の立地審査の指針とか、あるいは軽水炉についての安全設計に関する審査指針とか、あるいは発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針とかそういうものを意味するものではございません。たとえば現在、いわゆる地耐力とかあるいは構造物というものについて一つの基準というものを設けて、これにパスするものでなければならないという目標値を定めたものがあるのかないのかということをお尋ねをしているわけでございます。 というのは、いま建設中のものあるいは稼働中のもの等の原子炉が全部で二十四基あるわけでございますが、それらの中で、安全審査について、それは個々の条件によって、気象条件等は違いますが、私がいま申し上げましたようなことについては、長い間の安全の審査が進んでいけば、そこには一つの共通的な安全の審査基準というものが設置されなければならないと私は思うのです。ところが、どうも伊方の原電の審査の状況を見ていると、あそこは地耐力の問題について徹底的に安全審査の一つの基準づくりをしてみよう、こういうような立場で取り組まれてきたのではないだろうか。また川内の原子力発電所の問題については、構造の問題について徹底的に一つの基準案をつくってみよう、こういうことで、部門ごとにいま安全審査の段階ではそういう基準づくりを一つのケースごとに当てはめながらやっていらっしゃるのではなかろうかという情報を得ているので、一体安全審査の基準というものがそういう共通的なものがあるのかないのかということを承っておきたいのです。
○伊原政府委員 先生御指摘の点、大変重要な問題を含んでおるかと思いますが、御高承のとおり特に地盤の問題、地耐力の問題などにつきましては、その地域地域の特性などもいろいろございます。そういうことでございますので、現在安全技術専門部会で検討中でございますが、これは詳細設計の段階でこの考え方を生かしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 じゃ、その詳細設計の段階で生かしてまいるということでございますから、その問題についてはこれから質問を継続することを留保いたしまして、きょうのところは時間が参りましたので、終わります。
○山田委員長 これにて石野久男君の質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○山田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 使用済み核燃料の再処理に関する問題調査のため、本日、動力炉・核燃料開発事業団副理事長瀬川正男君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。 ————◇—————
○山田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。瀬崎博義君。
○瀬崎委員 共産党は、これまで再処理工場がまだ研究段階の技術であること、さらには環境汚染その他危険な要素を持っていることを指摘しまして、その建設や運転には強く反対をしてきたわけであります。今回きわめて遺憾な形、つまり米国政府の圧力という形でその運転に待ったがかかったわけであります。その今回の米国政府の再処理問題についてのいろいろな政策なり政府の交渉等についてきょう質問したいと思うのです。 まず、過去において、過去というのはフォード声明が出る以前のことでありますが、その間、日米原子力交渉では、わが国の再処理工場問題はどういうふうに扱われておったのか、お尋ねをしたいと思います。
○山野政府委員 過去の日米両国関係におきまして再処理問題がどのように扱われておったかという御質問でございますが、これは一つは現在の日米原子力協力協定を見ますと、八条C項に、日本の域内においてあるいはその他の施設において、米国オリジンの濃縮ウランの再処理をいたしますときには、日米間で共同決定をするという項があるわけでございますが、これは明らかに米国が日本の国内において再処理をするという基本的な立場を容認したものと思われるわけでございまして、ただ、この再処理をするに際しては保障措置が有効に適用されるということを確認するための共同決定が必要だという条件を付したものだと考えておるわけでございます。そういう意味で、過去におきまして米国は、日本が米国から輸入をしました濃縮ウランの再処理について、これを日本国内において忌避するといったふうな考え方は持っていなかったというふうに判断しております。
○瀬崎委員 そうしますと、この日米原子力協定が日本における再処理を容認したものだという政府の認識があったとすれば、当然のことながら、その建設については計画の段階から公式かあるいは非公式か日米間で折衝が行われたものだと思うのですが、具体的にはどういうときにどういう形で日米間で東海の再処理工場の建設問題が合意されてきたのか、その点をひとつお尋ねしたいと思います。
○山野政府委員 この日米協定におきましては、再処理施設の施設を建設すること自体について、日米間で合意をするという条件は付されておらないわけでございますし、私どもが東海村の再処理工場を建設するに際しましては、フランスの技術を導入してこれを建設したわけでございまして、米国の了解を取りつけるといったふうな合意はなかったものと考えております。
○瀬崎委員 重ねて聞きますが、そうすると建設段階においては公式にも非公式にも日米間の合意なるものはなかった、そういうことなんですね。
○山野政府委員 ただいま先生御質問の非公式にもなかったかという点でございますが、これはあるいは日本においてそういった計画があるといったふうな情報を米国政府に伝えるといったふうなことが非公式な協議あるいは非公式な情報伝達というふうな意味合いでございますれば、これは時々刻々関係諸国との国際協力関係において情報の交換等はいたしておるわけでございますから、それはあったかと存じますが、私の申し上げておりますのは、日米協定に基づいて了解を取りつけるといったふうな合意はなかったということを申し上げておるわけでございます。
○瀬崎委員 しかし、八条C項によって、再処理工場を運転するときには改めて共同決定が必要であるというこのことも認めていらっしゃるわけですから、そしてまた政府が、われわれは運転すべしと言っているのではありませんけれども、政府側の立場から言えば、たとえフランスのプラントであったにしても当然運転を前提にして建設しているのであるから、その運転を差しとめられるようなそういうふうな日米交渉にはしてなかったと思うのですが、そこらあたりはどういう経過になっておったのですか。
○山野政府委員 これまで日米間で原子力の平和利用につきましていろいろ会議、協議等はあったわけでございますが、そういう時点におきましては、わが国は絶えずこの核燃料資源の有効利用という意味合いにおきまして、核燃料サイクルを国内に樹立するというのを基本方針としておりまして、これは非常に長い間わが方の変わらざる基本方針でございますので、これは重々米国も承知しておったと思うのでございます。
○瀬崎委員 私が言っているのは、当然運転を前提としての建設をやっているはずなんで、その運転そのものに文句がつけられるような、そういうふうな手抜かりなことは政府として私はしてないはずだと思うのですが、現にこうなってみると、そういう点で日米交渉において政府間に何らかの手落ちがあったのかなと思うから、その点を聞いているわけです。
○山野政府委員 日米協定における手落ちと申しますよりも、今回米国が言わんとしております—これはまだ正式に表明しておるわけてはございませんが、フォード財団のレポート等で言っております再処理について、商業ベースのものはしばらく凍結しようということは、再処理に対する保障措置の適用の有効性について、現在の保障措置技術について米国が疑義を持っていたということのあらわれではないかと考えておるわけでございまして、日米協力等に手落ちがあったといったふうなことではなかろうかと存じます。
○瀬崎委員 東海の再処理工場は、これまでもしばしばウランの脱硝工程だとかプルトニウム蒸発かんなどで重大なトラブルを起こしたり、また被曝事故等も従業員の中で起こっておる。そういうことのために今日ホットテストや運転がおくれておるわけなんですが、当初の運転予定は大体昭和五十年ぐらいじゃなかったのですか。
○山野政府委員 私の記憶では、昭和五十一年の春から商業運転を開始するという予定であったかと考えております。
○瀬崎委員 だから、事業団側の計画があるとすれば、その前のホットテスト等も含めて、その時点でそのスケジュールに合わした日米原子力協定に基づく交渉があったのではないかと考えるのですが、それはどうなっておりましたか。
○山野政府委員 これは使用済み燃料の再処理に入る時点ということでございまして、御指摘のように五十年九月からウラン試験に入ったわけでございますが、当初いろいろなトラブルがございましてかなり計画が遅延いたしまして、ホット試験のタイミングというのが大幅にずれたわけでございます。そこで、昨年の春ぐらいから日米間で、いよいよホット試験も間近になったので日米の共同決定についての協議を始めたいという非公式の接触を始めて今日に至っておるということでございます。
○瀬崎委員 そうすると、結局当初立てておったスケジュールに従っては日米間での交渉をしていなかった、こういうことですね、八条C項に関する協定は。もう一遍確認しておきましょう。
○山野政府委員 これは当初五十一年の春から営業運転に入るというスケジュールから見ますれば、日米間の共同決定の交渉というのはかなりおくれておるわけでございまして、実際にホット試験を始めるのに間に合うようにというタイミングで日米間の話し合いを始めたということでございます。
○瀬崎委員 ことしに入ってから井上原子力委員長代理がアメリカを訪問されていますね。井上ミッションとも言われているのですが、これは日米原子力協定に基づく交渉団としてアメリカに行かれたわけですか。
○井上説明員 私、二月の末に約一週間訪米をいたしまして、新しい原子力政策に関係がある諸官庁の重要と思われる人々に会いました。 ただいま御質問のように、私のミッションは、日米協定の関連と言えば関連でございますが、特に日米協定の問題について話をするというよりは、カーター新政権になりましてからのアメリカの原子力政策に対して日本の原子力政策あるいは日本の事情というものを説明をして、両者間に円満なる了解ができる、こういうことを主たる目的として訪米したわけであります。
○瀬崎委員 そうすると、受け入れるアメリカ側としては、井上さんの訪米は直接的には日米原子力協定八条C項に基づく再処理工場の運転の協議というふうな受け取り方ではないわけですね。
○井上説明員 さようであります。私は、その問題に触れないとは申しませんけれども、それは私のミッションの一部でありまして、私どもはアメリカの政策がカーター新大統領になりまして、あるいはカーター氏が選挙演説をやっておりました当時からの一つの新政策というものに対しまして、日本が在来堅持してまいりました政策というものの了解を得たい、こういうことが主たる目的であったと思います。
○瀬崎委員 日本政府側から、再処理工場の運転に関して日米原子力協定に基づく協議の申し入れというのは、正式にはいつ行っているわけですか。
○山野政府委員 口頭の申し入れとしましては昨年十一月でございます。
○瀬崎委員 口頭とわざわざ断られたのは何かほかの申し入れもあるのですか。
○山野政府委員 その後十二月に文書で申し入れをしております。
○瀬崎委員 井上原子力委員長代理の訪米も、直接協議を目的とするものではない、触れないというものではないというお話なんですが、そうすると、その政府の正式申し入れに対する日米協議というものは、いままでどの日米会談がそれに該当するわけですか。
○山野政府委員 この共同決定につきまして、日米間でできるだけ早い機会に協議を始めたいという申し入れをしたわけでございますが、米国側におきましては新しい政権下におきまして新しい原子力政策というものを立案しておる最中でございまして、そういう基本的な立場が確立する前にこのような個別の協議に入るというのは妥当を欠くというふうな判断であろうかと存じますけれども、まず基本的な原子力政策についてのすり合わせをしました後で、このような個別的な話し合いに入っていきたいという意向のようでございました。したがいまして、これまで日米協議につきまして、具体的な協議の場を持ったといったふうなことはございません。
○瀬崎委員 これは大臣に聞きたいのです。 現に、日米原子力協定が現在有効に存在しているわけですね。ところが、わが方は、政府の立場で言えば、再処理の運転は足元に火がついてきている問題だ、急ぐ問題ですね。一方の当事者であるアメリカ政府が、こういう協定を結んでおきながら、自分のところの政府の事情で協定のテーブルにもつこうとしない、こういうことになってきますと、この日米協定とは一体何なのか、わが国にのみ一つの拘束があって、米国政府に対する拘束はないじゃないか、こういうふうに見られて、対等のものではないような感じがするのですが、その点の長官の御見解はどうですか。
○宇野国務大臣 あくまで協定は対等でございます。ただ、いま局長から申しましたとおり、新政権、新政策というそうした事態がわれわれが申し入れました後に起こったわけでございますから、したがいまして、やはり日米親善というたてまえからも十二分に相手の立場を尊重しながらやはり私たちの立場も向こうに十二分に説明をして、一日も早く共同決定したいというのが私の真意でございます。
○瀬崎委員 事態をはっきりさしておきたいと思うのです。わが方は協議をしたい、これは正式に申し入れたわけですね。アメリカ側はその協議に応ずる、そういう正式な意思表示がまだ出ていない、こういうことですね。
○山野政府委員 米側と日本側とは十分に意思疎通は図られておると私は思うのでございまして、米国側は基本的な原子力政策について日本側とまずすり合わせをしたいと言っておりますし、わが方も米国が今回大前提として言おうとしております核の不拡散強化という点につきましては同感でございますので、そういった基本原則についての話し合いをまずするということについては私どもいささかも異議のないところでございますので、その結論を踏まえた上で個別の協議に入るというのは私どもとしても異議はないというふうに考えております。
○瀬崎委員 井上さんがアメリカへ行かれたのは、新政権に日本側の政策などの説明に行かれたというお話でしたけれども、しかし、ただそれだけで十日間もアメリカへ行かれることはまずないと思うのですね。当然相手側の意向というものもある程度打診してその後の日米交渉その他に当然反映させる、準備をする、そういう使命もおありだったと思うのですが、その点で、井上原子力委員長代理が行かれたときに、アメリカ側から出された宿題というのは大体どういうことであったのか、あるいはまた、当然日本側として今後考慮していかなければならないなと井上さんがお考えになった点はどういう点でしたか。
○井上説明員 御指摘のとおり、私参りまして、この政策を決定する主たる官庁といたしましては国務省であります。しかし、その他に関係する省庁はたくさんございます。それを、全部とは申しませんが、相当努力をいたしまして日本側の事情は十分説明をしてまいったつもりでございます。 と申しますことは、当面再処理の問題が急ぐ問題でございますけれども、民間で考えております英、仏へのスペントフュエルの送り返しの問題、あるいは将来起こるであろうところの日本で独自につくります再処理プラント等々の問題がございますが、その基本的な考え方は、日本は核燃料というものを最も有効に利用しなければならないのであるということを説明し、了解を得るということで話をいたしました。それに対しまして先方側の人は、若干発言のニュアンスは違いますけれども、総体的に申しまして、アメリカは新大統領のもとに新しい原子力政策を確立したいのだ、それの第一の主眼は、核燃料から生ずるであろうプルトニウムというものがこれ以上世界各国に広がると申しますか、流布してはやはり核戦争の脅威がなしとしない、そこでこの際、核不拡散というものを強化しなければならないのであるというのがもう共通した考え方でありました。 日本の事情は十分聞いてくれたと思いますが、それに対しましてアメリカが何か言ったはずだし、それについてどう言うか日本側として考えておるか、もちろんこれは私ども日本側として考えておりますが、総体的に申しますれば、私が参りました二月二十二日から三、四日間ずっと各関係者に会いまして、ほとんどすべて共通的に申しましたことは、いま自分たちの手でカーター大統領のところへ提出する案の立案中である、これは早ければ一週間、あるいはもう少しかかるかしれないけれども、それが決定をする、それがカーターのもとに提出をされて決定をするまではわれわれの側の意見は残念ながら申し上げかねる、こういうのが向こう側の回答であったわけであります。
○瀬崎委員 すでに報道等で伝えられておるわけなんですが、たとえばそのときにプルトニウムの国際管理体制のあり方を中心に再検討することを主なねらいとした原子力国際ラウンドに日本も参加するよう要請があった、こういうようなこともありますね。井上さんが必要なら参加してもよいというふうな意思を表示された、こういうことは事実あったのですか、なかったのですか。
○井上説明員 新聞に報道されましたことが全部そのとおりであるとも申し上げかねるのでありますが、そういう話が出たことは事実でございます。それに対しまして私が参加をするとは言っておりません。そういう検討をするという場合に日本は必要な資料その他は十分供給いたしまして御相談には応じます。しかし、参加をするとは私は言っておりません。
○瀬崎委員 それじゃ井上さん自身の意思表示はされなかったとしても、そういうことを聞かれてそういう発言をなされている以上は、当然政府側にはそれを伝えて政府側の今後のいろいろな対応の一つにはするような処置はとっていらっしゃるわけでしょうね。
○井上説明員 当然さようなことは政府側にも報告をいたしておりますが、なぜ私がはなはだ不得要領なお答えを申し上げておるかということは、もう再々お聞き及びのように、たとえば今回のフォード・マイター報告その他いろいろございまするが、アメリカ側が再評価をするということは、その前提といたしまして再処理からできるプルトニウムそのものはやはり一つの悪であるという考えのもとに再評価が行われると私は想像いたしたわけでございますが、日本はプルトニウムそのものは悪ではなく、これを悪用する心配さえないようにすればいいのであるということで、再評価そのものの前提に少し相違があるように私は考えたのであります。したがいまして、その間の事情がはっきりすれば私は日本がそうしたものに参加するにやぶさかでないと思いますけれども、それが確かめられないうちにただアメリカ側の再評価に日本が参加するのではなく、日本は日本といたしましてわれわれは及ばずながら独自な判断をすべきである、こう考える次第でございます。
○瀬崎委員 そのほか、これは井上さんが行かれたときの話ではありませんけれども、たとえば査察技術開発のための国際共同研究に動燃再処理工場を使用してもらってもよいとかいうことをわが方が出している。あるいは米国が開発中の最新技術による査察の導入を考慮してもよいというふうなことを日本側が出している。あるいは各国の余剰プルトニウムを国際管理下に置くことも考慮してよいと言っているとか、先ほども話がありましたが、プルトニウムとウランを分離して抽出するのではなく混合して抽出するような方法を検討してもよいと言っているとか、情報としては事実上いろいろ表に出ているわけですね。こういうふうなことが出る以上は、われわれ国会として、果たしてこういうことがすでに日米交渉のわが方の何らかの提案として出ているものなのかどうか、このことには重大な関心を持たざるを得ないわけです。 いま私が触れたような問題については、やはりアメリカに対応する日本側の提案として出していることなのか、あるいは考えていることなのか、この点お答えをいただきたいと思います。これは長官にお願いします。
○宇野国務大臣 そういうものは今日まで一切提案いたしておりません。現に第一次交渉団が出発して、そして本日も連絡が入ったのですが、四日から事務的な折衝を始めましょうという段階でございまして、この事務的な段階におきましても、実はむしろわが方の立場を相手に説明し、さらにはこの間カーター大統領が福田総理に、これが私の今回の新政策の原点だとおっしゃって手渡されたフォード・マイター報告に対するわが方の評価、これをまず申し述べようという段階でございますから、決してそのようなことを提案した覚えもありませんし、現にいたしておりません。 そして、いろいろとこういうときには、私自身も三省庁を預からしていただいておるわけでございますので、三省庁は、大切な交渉だからそれぞれがああ言ったこう言ったということのないようにということを十分お互いがかたく戒め合いながらやっておりますから、現段階におきましてはそういう事実は一切ございません。
○瀬崎委員 現在派米している実務家レベルの交渉団、まあ第一次交渉団とも言っていらっしゃるようでありますが、これは主としてフォード財団の提言に対する反論だということですね。しかし、その反論をアメリカ側が受け入れる余地があるかどうかという問題については、ここまでフォードからカーター政権へほぼ同じような流れで核拡散防止のために再処理の無期延期といったような形で言明されてきている、しかも、核拡散を防ぐということは全世界だれしも良識ある人なら望むところですから、これはまさに世論にこたえることで、否定できない問題だと思うのです。こういうことを打ち出したカーター政権が現在の主張を後退させるような決定をするとはわれわれ考えられないと思うのです。当然、反論だけして用事が済むものではないと思うのですが、この第一次交渉団が、反論は反論だけれども、しかし同時に、反論どおりにいかない場合の提案としては、一体まずこの第一次交渉団のレベルではどういうものを持って行っておるわけですか。
○宇野国務大臣 第一次交渉団には私は提案権を与えておりません。これははっきり申し上げましてこちらの課長クラスの人たちが、いま私が申し上げました目的に沿って交渉いたしておるわけでございます。同時に、せっかくカーターさん、ここまで結論したんだから恐らく日本はもうだめじゃないか、こういうふうな御判定のもとの御発言でございますが、われわれはやはり言うべきことは言いまして、アメリカにおきましてもそれ相応に耳を傾けるだろう、そうしたことを私たちも期待しながらやっております。
○瀬崎委員 このカーターよりは緩やかな線だとは思うのですが、フォード声明の中でも、使用済み燃料の再処理を核燃料サイクルの必要不可欠のステップであるとはみなすべきではないというふうな言葉を使っているのです。こうなってくると、アメリカの今回の新政策なるものの根底には核燃料サイクルを否定するような考え方もあるのじゃないかと思うのですが、政府はこの点をどう理解しているわけですか。
○宇野国務大臣 カーターさんのフォード財団の報告にもそのことが触れられてありますが、しかし、全面的に、完全に、未来永却にわたって否定しておるというものではないわけでありまして、やはり二十一世紀になれば恐らく高速増殖炉、それに伴うところの再処理、こうしたことは必要なんだ、しかしながら核分散のおそれがあるからしばらくの間はストップなんだ、こういうふうな思想が盛られておるわけであります。ここには多分に、アメリカは資源の豊富な国であるからその間の間に合わせは他のエネルギーによってカバーすることができるんだという思想がちらちらいたしておる。そうしたことについてわれわれ資源小国はいかになすべきかということがわが国の主張でございます。 したがいまして、いまおっしゃるようにアメリカ自体がそれ全部がだめだと言っておるわけじゃありませんし、これは日本が言うだけではなくしてアメリカの中におきましても、先般の質問に対しまして私がお答えいたしましたとおりに、特に原子力関係産業があるわけでありまして、いわゆる原産の副会長みずからが国会において、今回のフォード財団のレポート自体には幾つかの誤りがあるということをはっきり指摘しておるわけであります。その中におきましても、いまお触れになられました面に関しましてはアメリカ自体がやはりそのことを主張しておるわけでございます。われわれだけの主張ではない。だからカーターさんも国の内外の主張に耳を傾けられるであろう、また傾けてもらわなくちゃならない、そういう外交折衝をしたいと思っております。
○瀬崎委員 日本政府側の期待としてはそれは私は聞けると思うのです。そうなるかならないかは、こういう言明が公式に出ておる段階で、私は余り甘いことは期待できないのではないか、こういうふうに思っております。 次にNPTとの関係なんですけれども、あのNPT条約の審議が国会で行われたときに、政府側は繰り返しこのNPT締約国になれば原子力の平和利用は保障されるんだ、こういうふうに言ってきたわけですね。これは外務省の解説パンフレットなんかにも明記されているところでありますね。締約国優先の原則を考慮に入れれば、参加、不参加によってわが国の核燃料などを確保する上での安心度、不安度は大きく違ってきます。つまり、安心度は大きく前進するという表現になっているのです。今日のこの事態になってくると、やはりこういう政府側の判断あるいはいろんな答弁、こういうことには当然間違いがあったのではないかとわれわれ言わざるを得なくなるのですが、その点についての政府側の考えはどうですか。
○宇野国務大臣 もう瀬崎さんと同じことで、私もこの間アメリカの要人に出会いましたときにイの一番にそのことを申し上げて、こうした多数国条約というものはお互いの国際信義によってこれが締結されておるものである、われわれも四条を十二分に信頼をして、そして平和利用というものは日本に許された唯一の今後の私たちの原子力の応用法だ、もちろんわれわれは被爆国民であるから、いまさら他の目的にこれを使用するなんて毛頭考えておらない、そういう善良な民族であるにもかかわらず、さながら今度新政策が決定すればそうした第四条に水を差してしまう、アメリカみずからが水を差すんだ、こういうことについてはどう説明なさるんだと、実は私も瀬崎さんと同じ気持ちで、アメリカの要人たちに出会うたびにそのことを主張しておるわけでございます。その点に関しましてはアメリカもいささかたじろいでおりますが、しかし、あれはあれ、これはこれというふうな考え方がございますから、それは余りにも大国としての言うならばエゴじゃないか、そこまで私は申しておるような次第でございまして、特にNPTを貫く問題はいわゆる核不拡散でございますから、したがいまして、核の利用ということは、軍事目的たるを問わず、また平和目的たるを問わず、それを差別すること自体がおかしいんであって、本当に危険ならばまず軍事からあなたたちは制限し、規制すべきではないか、それを先に平和利用を規制してしまって、軍事の方はへっちゃらだというようなことは私は解しかねるということを、われわれ自体もアメリカに主張をいたしておるところであります。
○瀬崎委員 当然それは主張されるべきことだし、主権国家として政府を代表されればあたりまえの話だと思うのですが、問題は、それに対してアメリカがどうするかこうするかはまた別の問題になると思うのですね。そういう点から考えると、われわれはまさにそういう点が問題でこのNPTには反対しているわけなんですが、これが核拡散防止の有効措置とは言えないということから今日の事態が起きてきているとは考えませんか。
○宇野国務大臣 現在のアメリカの考え方は、あるいはそこら辺にあるかもしれません。しかし、われわれ日本といたしましては、現在まだそのような判定はいたしておりません。NPTだけでわれわれは十分であると存じますし、また、それに伴うところの保障規定等もこの国会にIAEAとの協定として御審議をお願いするわけでございますから、そうした問題を通じまして十二分に核の不拡散の目的は到達されるのではないだろうか、かように考えております。 しかし、アメリカは恐らくそうした問題でもっと強い線で規制をしなくちゃならないといろいろ考えているであろうと思うのでございますが、やはりわれわれといたしましては、多数国間で結ばれた条約であるからには、単に日本とアメリカだけの問題ではなくして、私たちと同じ気持ちをドイツもあるいはそのほかの加盟国も抱いているのではなかろうか。また加盟国でなくとも同じような気持ちによって、核の不拡散は必要だけれども、しかし、といってアメリカとソ連だけが、おれたちの民族だけが十二分にこれを規制し得るので、他の民族はだめなんだというふうなことはおかしいじゃないか、いろんな意味合いにおきまして話が煮えておると存じまするが、やがてかりそめに第二のNPTが必要ならば、それは恐らく多数国間におきましていろいろと新しい見地から議論がなされるであろう。そうしたときにはわれわれといたしましてもあえてそれを否定するわけじゃございませんが、現在といたしましては、去年国会がせっかく批准したばかりの条約でございますから、われわれはあれで十二分なる機能を発揮しておる、こういうふうに信頼をいたしております。
○瀬崎委員 では、もしそういう政府側の主張が通らなかった場合、アメリカ側が現在の態度そのままということになった場合には、いまの宇野長官のお話からいけば当然のことだと思うのですが、核兵器不拡散条約に対する評価もまた変わってくる、こういうことになるんですね。
○宇野国務大臣 私は評価は変えてはならない、こういうふうに思っております。少しも変える必要はない。アメリカに対しましても、やはりわれわれがこれを調印し、そして批准をした体制そのままでいけばよろしい。ただ、それプラスアルファということが各国間において本当にいろいろと議論されたという場合ならばまた知らずでございましょうが、現在のアメリカ的認識に基づくところの方策によって私たちが、核不拡散なるほど欠点はございましたねと言う必要はどこにもない、かように考えております。
○瀬崎委員 私が言っているのはそうじゃなくて、結局核不拡散条約そのものがアメリカに対して有効な措置たり得ないということがわかってきた場合に、それでもなおこの条約に対する政府側の評価は変わらないのか、こういうことなんです。
○宇野国務大臣 そういうことのないようにこれから外交をやるわけでございます。したがいまして、いま外交にちょっと手をかけたばかりのときに、いまの瀬崎さんの御質問に対して私もそうなんでしょうということになれば、これは初めから外交じゃございませんから、その点いろいろお気遣いをしていただいていることに関しましては私も非常に感謝を申し上げますが、現在、ではこういう場合にはどうなるかということに対しましては、私はお答えできる立場におらないということでございます。
○瀬崎委員 いま交渉の緒についたばかりだということですけれども、日米原子力協定というのはずいぶん古い歴止もあるわけですし、何回かの改定交渉も行われてきているわけですね。その中にはっきりと八条C項というのが存在しているのはわかり切っているわけです。それにしては今日招いている事態、余りにも唐突な問題として出されるのには、われわれとしてはきわめて納得のいきにくい問題がある。この点では政府側自身が振り返って反省すべき点が多いということを指摘して、時間の関係もありますので次に進みたいと思うのです。 先ほど山野局長は、例のウランとプルトニウムの混合抽出について、これが日米交渉と関係のない問題であるかのような発言をされたように思うのですが、瀬川副理事長にまずお尋ねしたいのです。 これはある新聞にはっきりと出ておったのですが、共沈法について、ウランとプルトニウムの混合抽出は、技術的にはあと一年も研究すれば完全に実用化できるだろうと報道されているわけですが、実際に一年以内に実用化できるものなんですか。
○瀬川参考人 新聞に出ていたことのお尋ねだと思いますが、私がいつの時点であと一年と言ったか、ちょっと記憶がありません。ことしになってからだと思うわけですが、一年ぐらいで技術的な見通しが得られるだろうというふうなことを言うたのは、私どもの再処理プラントが既定計画どおり運転に入りまして、その既定計画どおりの運転ができることを確認しながら、その設備を利用して、御質問のプルトニウムとウランの混合溶液を共沈法によって処理する研究開発をやれば、一年ぐらいで可能性の見通しが出てくるのではないだろうかというような感じで言うておったことと思います。
○瀬崎委員 山野局長の先ほどの発言と大分違うと思うんですね。非常に実用化は先の先の話だというふうに言われたように思うのですがね。こういう点で一体動燃事業団としては、この共沈法でウランとプルトニウムの混合抽出の技術を実際にこれから開発し、いまのプラントにつけ加えて切りかえを図っていくというふうな考え方で開発を進めるのか、どうなんですか。
○瀬川参考人 私どもは混合燃料の製造工程につきまして、共沈法による混合溶液を処理して、ウラン、プルトニウムの混合のペレットをつくれるかどうかにつきましては、相当長い間研究してきたわけでございます。ただ、今後必要なのは、実際に再処理プラントの運転に基づきまして実際の溶液を使いながら共沈プロセスの方につないでいくという技術開発が必要でありまして、やはり現物の試験材料がないとこの技術は完成しないわけであります。そういうふうに、この技術開発の後半は見通しが私はあると思います。前半は現物がなければどうにも技術の確立はできないというふうに考えております。
○瀬崎委員 ということになれば、これもずいぶんと報道されているように、こういう共沈法への切りかえによって日米交渉の行き詰まり打開の一つの提案にしていくということは実際には考えられない話だ。技術的にもそういうことになる。いやおうなしに現在のプラントを分離抽出の形で動かしてみない限りは、共沈の技術開発の段階へ進めない。こういう理解でいいわけですね。
○瀬川参考人 そういうふうに私ども考えておるわけであります。 なお、日米交渉にこの問題がどういうふうに利用されるか否かは、私はいまのところ念頭にはございませんでして、私の考えております混合溶液による燃料製造技術というものはそれとは全然別個に技術開発をわれわれが進めるべきだという気持ちでおるわけであります。
○瀬崎委員 先ほど宇野長官はまさしくも正しい発言をされたと思うのですね。本来、核拡散を本当に防ぎたいのであれば、商業用ではなしに軍事用の再処理施設を大体禁止すべきだという趣旨の発言だったと思うのですね。ところが、それを前フォード大統領も触れない。今度のカーター政権も触れないで、この商業用の方ばかりやかましく言ってくる。だとすると、一体、カーター政権なりカーター大統領の本音は何かということをわれわれはやはり問わざるを得なくなると思うのです。交渉に当たっていらっしゃる宇野長官としては、カーター政権の今回の新政策を出そうとしている真意は一体どこにあるとお考えなんですか。
○宇野国務大臣 まだ直接出会ったこともございませんから、なかなか真意ははかりかねるのですが、しかしながら、福田総理も出会ってこられ、あるいは鳩山外務大臣も出会ってきた、官房長官も出会ったというふうないろいろな方々とお話をいたしたり、さらにはいろいろ分析をしていらっしゃる方々等々の情報も私はちょうだいしているわけですが、そうしたことから申しますと、恐らくフォードさん、それを引き継いだところのカーターさんともどもに、アメリカがこのような新政策を出すに至った経緯の中には、直接的動機としてはインドの核実験があったんじゃなかろうか、こう言われるわけですね。しかし、私は、これはインドの核実験があった後にアメリカがある国に原子炉を輸出いたしておりますから、ちょっとおかしいじゃないか、こう言っておりますが、直接カーター大統領の感触からするならば、あの方はきわめて、クリスチャンの中でも特にバプティスト派ですか、非常に巌しい戒律を要求されておる宗教家だから、いまの核不拡散ということを公約なさったその背景にはもう強い宗教心が働いておる、かく見るべきであるというのが大体の見方でございます。
○瀬崎委員 ちょっとここで横道へそれるのですけれども、関連して、NPTの審議が行われたときの外務委員会、内閣委員会、それから科技特の連合審査のときに、当時の佐々木長官が、こういう答えをしていらっしゃるのですね。「発電炉からただいま出ますプルトニウムの質はそのまま、九十数%を要する爆弾をつくるプルトニウムにならぬことはもう御承知のとおりでございます。」まあ、これ自身の答弁は問題があると思うのですよ。あるけれども、政府側はこういう答弁をしているのですから、もしこれが妥当とするならば、今回、商業用発電炉から出てくる使用済み核燃料の再処理を幾ら規制してみたって、軍事利用の抑制にはならないということになるのじゃないかと思うのですが、この点、政府側はどう考えますか。
○山野政府委員 私、これは想像でございますが、恐らく、そのときの御発言は、軍事用に使われますプルトニウムは発電用の使用済み燃料からつくるのではなくて、それはそれなりにそういう目的のためにプルトニウムをつくる施設から取り出すという趣旨のことをおっしゃったのであろうというふうに推察いたします。
○瀬崎委員 しかし、これを補足して半澤氏も、当時、核爆弾の原料と言われておりますのは兵器品位のプルトニウムで、濃縮ウランと言われておる一般に原子力発電所から出てくるものが全部核兵器に利用できるようなものじゃない、そういうことの強調もあるのですね。こうなってくると、なおさら今度のカーター政権は何を言っているんだろう、こういうことにならざるを得ぬわけですね。だから、そのねらいが一体どこにあるのかということを政府側もよくくみ取って交渉に当たらないと、的外れになると私は思うのです。ただ単にインドの実験だけが果して今度のカーター政権の新政策の動機なのかどうか、私は非常に疑問を持つわけです。その疑問を持つ一つの要因として、カーターが選挙中にサンジエゴというようなところで声明を出した。その中では、技術の安全性が明確に実証されるまでは国内の商業的再処理を実施する許可を抑えるよう要求すると言っているわけですね。こういうこともやはり米新政策の要因になってくるのではないか。 それからフォード財団の提言を見ておりますと、再処理とリサイクルをおくらせる理由は廃棄物管理問題に絡んだ複雑な事情もある。廃棄物の管理や処分方法がまだ開発されていないというふうな指摘もしているわけですね。こうなってくると、事態はそう簡単に政府側の希望どおりにいくものじゃないというふうな感をわれわれは深くするし、この点について言えば、われわれが今日まで指摘しておったこととよく似ているわけですね。この点の評価は、長官いかがです。
○宇野国務大臣 幾つかあるでございましょうが、私は、それらはすべてフォード財団のレポートから得られたものではないかと存じます。また、率直に申し上げまして、カーターさんを取り巻くブレーンもたくさんいらっしゃるわけですが、その方々が必ずしも日本の状態に精通をして、あるいは世界の各国の状態に精通して物を言っていらっしゃると思えない節も多々あるわけであります。なぜかならば、アメリカ自体の先ほど申し上げました再処理工場自体は、今日、一つがもう休止中であって、一つは余り能率もよくないからもうやめちゃったというふうな姿で、一つが建設中ですから、これをストップするというのはいとも簡単なことかもしれませんですね。したがいまして、何か自分だけはいいことをしているが、ほかは、動かしておるやつは悪だよと決めつけること自体がおかしいので、じゃそれならば軍事用の再処理工場はどうなんだいと私は相手方にはっきり申し上げるわけですが、いや、それは別だ、こうなりますと、おかしいじゃないかとはっきり申し上げておるのです。したがいまして、いろいろおっしゃっておるけれども首尾一貫しないよということをわれわれは申し上げておるわけで、私がいまこうしたところで申し上げておる気持ちは、私は日本の将来のことを案じますと、それぐらいのことは当然アメリカに言うべきであって、カーターさんにもそうした本当の情報を伝えて、そうしてやはり翻意していただくところは翻意していただかなくちゃならない、こういうふうに思っておる次第でございます。 この間も、福田総理がお行きになって、そばにおられた方々のお話を聞きますと、語気鋭く迫る、まさにそのとおりの一場面があったんだと聞いております。それがカーター大統領にとりましても、やはりそう甘いものじゃないんだな——こちらも決してアメリカの今日の新政策を甘いとは考えておりませんが、向こうさんも、やはり各国ともにこの問題は深刻なんだなというぐらいのお気持ちは抱かれたであろうという情報も得ておるわけでございますから、これからが外交でございますので、その辺はひとつ御了解を賜りたい。私は、共産党さんの評価がよかった悪かったということにつきましては、この場で言及して申し上げたくございません。ただ、私たちの政策としてずっと持ち続けてまいったということにつきまして、一部にはあるいはまだ反省をしなくちゃならない面があって、完全無欠なものだとは私は言い切れない面があったんじゃないかとは思います。しかし、現在は外交折衝中でございますので、その点も御理解のほどをお願い申し上げたいと存じます。
○瀬崎委員 確かにカーターの言っていることに首尾一貫性がないことはわれわれだって全く同感なんです。だけれども、宇野長官のお話にも首尾一貫性がない。片一方でカーターは非常に厳しい宗派に属しているから、こういう点は非常にシビアなんだろうとおっしゃるけれども、おっしゃっている一方で、シビアでありながら軍事利用の方の手を縛ってないのはおかしいじゃないか、おかしいことをカーターはやらないわけですね。だからその真意は一体どこにあるのか、こういうふうにわれわれは問うのだけれども、そうなってくると、インドの核実験が動機でそういうことを縛りたいと思っているんだろう、この話も私は余り一貫したものじゃないと思うのですよ。 そこで、フランスを中心にして現在EURODIFが濃縮ウランの相当な規模の生産開始を控えています。これは外国への供給も行うと言っている。西ドイツを中心にしてはURENCOが、これも近々運転にこぎつけるような状態にある。こうなってきますと、今回の米国の新政策が仮に現在どおりいったとしたところで、第一これでカーターの考えているような核拡散の防止が一体できるんだろうかどうかというのはだれだって疑問を持ちますね。事実上効果がないものになってくるのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
○宇野国務大臣 大統領の核不拡散の信念は信念として、私たちはそれは評価してあげなくちゃならないと思うのですが、だからといって、おれの信念どおり皆動けよ、平和利用はだめなんだということに対しては一言なかるべからず、これが各国の評価ではないか、こういうふうに思っています。したがいまして、多国間条約ですから、やはりNPTの参加国というのはそうしたたてまえで今後いろいろと各国が話をされるんじゃないか、私たちはそういうふうに思いますが、だからといって——これが翻意をしていただいて、日本がうまくいけるということを私たちは一番望んでおるわけですけれども、やはり世界にはいろいろな国があるわけで、資源のない国もございましょうし、あるいは再処理技術がここまで来た国もございましょうし、まだまだ再処理技術は持っておらぬのだ、プラントを輸入してこれからやろうかと思っておるところだという国もございましょうし、いろいろございましょうから、それを十把一からげにして一視同仁だとおっしゃっては、これは大変なことであるというのでございますから、そこら辺に関して、いかに信心の強いカーターさんといえども、政治家としてその辺を十二分に分析をなさった場合には果たしてどうなるであろうかという問題も出てくるでございましょう。しかしながら、プルトニウムというものはそうした意味合においてカーター大統領が考えている、それならばそれを世界としてはどうするかという問題が新たに多数国間の問題として出れば、これは私たちも喜んでその話は乗るべきであろうと思いますが、そのかわり再処理はそれまではストップだということには私たちはちょっと乗りがたい。 そういうわけで、それぞれ各国の立場がございますので、われわれといたしましては、今回のアメリカ大統領のいろいろな新政策ができなければ、それはわが国にとりましては一番ありがたいことで、そうして両国間で、いろいろ経緯はあったがお互いにわかったね、というようなことで同時決定ができることが一番望ましいとは思っております。だといって、瀬崎さんもおっしゃったとおり、決してこの事態は楽観を許すべき事態ではございません。私たちはやはりシビアに受けとめながら、自分たちの主張は、正しい面は正しくはっきりと申し上げていかなくちゃならない、かように存じている次第でございます。
○瀬崎委員 かりそめにも新政策が出されなければありがたいがなんというような気持ちがあって、こんな事能に政府は臨める筋のものではないと思いますね。 そこで、濃縮ウランの買い付けを現在でも一部、EURODIFですか、そういうところに予約しているようですが、それをさらに拡大していってアメリカ以外の国に切りかえていくような考えも持っているのですか。
○宇野国務大臣 やはり資源の問題ですから、これは多角的に今後いろいろと計画を持つべきである、私はさように考えております。そうしておりながら、そうした資源を最高に有効的に利用する技術に関しては速やかに国内で独自の技術を開発して、そして海外依存度を低めていく、これが今後の原子力政策でなくちゃならないと考えております。
○瀬崎委員 先ほど来の宇野長官のお話の中にも、日米原子力協定が日本にとって一つの大きなくびきになっているというお話なんですが、もし打開が困難になる、また私はそういう可能性は十分あると思うのですが、そういう場合に日本側から日米原子力協定改定の申し入れを行うとか、あるいはこれは廃棄の手続も定めておりますが、そういう手続に訴える場合もある、そのぐらいのことも考えているわけですが。
○宇野国務大臣 交渉が本当に始まったときに、そういうような決裂状態を想像しながら私は交渉に臨みたくはございません。われわれはやはり日米親善という長い間の友好関係にあるわけでございますので、お互いにインフォメーションがなかなか届かなかったためにギャップがあったということもございましょうから、そういう点を十二分に埋め合わせながら、言うべきは言い、聞いてもらうべきは聞く、また相手の言うべきことも聞く、こうしたことで無事円満に現在の協定に基づくところの同時決定を最終的な目標としてわれわれは交渉に臨む、これが私たちの態度でございます。
○瀬崎委員 この交渉の推移いかんによっては、いまの長官のような楽観的な運びになればいいですけれども、その逆ということになる場合も当然考えなければいかぬと思うのです。それはわが国の国内政策にはね返ると思うのですが、現在政府が無理無理立てている原子力発電計画ですね、六十年四千九百万キロワット、こういうものの変更を余儀なくされるような事態ということも考えていますか。
○宇野国務大臣 それはもう全く別な次元でございまして、いま申し上げたとおりに、われわれは日米間において現在続けられておるところのいわゆる濃縮関係なり、さらには再処理に関するところの了解なりは、それはそれなりの問題として解決をしていきたいということでございます。したがいまして、現在、一昨年につくられました長期の需給計画は、これはいま御指摘のとおり、四千九百万キロワットはちょっと無理ではないかとわれわれも考えました。私が一番に言い出しまして、このような無理な目標を持っておっても、これは少しも整合性も実行性もないから、やはりはっきりした実行性、整合性を伴うところのプランに改めようではないかということで、先般も閣僚会議でそのことが了解をされまして、現在通産省及びわれわれ、さらに関係省庁において鋭意この見直しをやっているものでございますから、今回の交渉とこれと一緒にして考えるかというそういう御質問に対しましては、全く別個のものであるとしか答えようがございません。
○瀬崎委員 フォード財団の提言に対して、いろいろ間違いもあるんだからこれをただすんだとか反論するんだというお話なんですが、先ほど私がカーターの真意の一部がこういうところにあるのではないかと指摘しました再処理技術そのものの、困難性、それから放射性廃棄物の処理、処分、貯蔵の困難性、こういうことについてはこれは何もアメリカが外国のことを言っているんじゃなくて、アメリカ自身のことを評価しているわけですから、これを日本がとやかく言って、それは間違いですよと言ってみても始まらないと思うのですね。こういう点では、むしろそういう部分についてはもう少しまじめに検討して、わが国における再処理問題についてもその困難性、危険性に対して政府の認識に誤りがないかどうか、こういう点は十分反省してみる必要があると思うのですね。そういう点でも、現在の東海再処理工場の運転計画等についてはむしろ見直しが必要なのではないかと私は思うのですが、そういうふうにお考えになりませんか。
○伊原政府委員 米国で再処理技術なりあるいは廃棄物処理の問題につきましてある評価が行われておるということにつきまして、これはいろいろな評価があるわけでございまして、従来米国では、再処理の技術というものは一応完成をしておるし、高レベル廃棄物の永久処分についても技術は十分確立しておるという評価があったという政府関係の報告なども私どもは見ておるわけでございます。したがいまして、この問題についてフォード財団の報告というのが一つの見解であるとは思いますけれども、それが世界全体を通じての真理であるということには必ずしもならないと思うわけでございます。 私どもといたしましては、特に再処理の技術につきましては、十分慎重の上にも慎重な準備をいままで重ねてまいったわけでございまして、東海の再処理工場の運転につきましては、もちろんこれはささいなトラブルというものは今後とも出得るとは思いますけれども、周辺の環境に影響を与えることなく、成功裏に運転が行われるものと考えております。
○瀬崎委員 最後に、日米原子力協定については、いま改定などは考えていない、日米親善を信頼して現在の協定のもとで円満な同時決定に至りたい、こういうお話ですね。しかし、日本が今日窮地に立ったということはお認めになっていて、しかも、その原因は、米国におんぶにだっこになってしまっているということは反省していらっしゃると思うのです。だとすれば、やはりこの際、今日まで政府のとってきたあらゆる面で、つまり原料面で、技術面で、そしていろいろなノーハウその他の面で米国依存になったということ、それから米国型の軽水炉中心でずっと日本の原子力発電所の建設が行われてきた、こういう原子力政策については、率直にはっきりと間違いは間違いとして認められて、これからは自主的な道をこのように転換するんだという展望も出されないと、困ったときだけそういう話が出て、何らかの解決策が暫定的にでも生まれれば、結局またアメリカに寄りかかって、日米親善が対等、平等の親善ではなくて、従属の親善で進むということになりかねないと思うのですね。この点をはっきりしていただいて、終わりたいと思うのです。
○宇野国務大臣 過去の原子力政策が、いまおっしゃるようにすべて反省をしなくちゃならないとは私は考えておりませんし、今日までの経緯からいたしますと、戦後一番日本と親しく、いろいろ協議にあずかってもらったのがアメリカであるという立場からいたしますと、そのプロセスにおきましては、かくなったことも一つの大きな効果があったと私は思っています。 しかしながら、要は、今日私たちの問いたいのは、日本はそうやって別におんぶ、だっこされておったわけではございますまいけれども、やはり技術のおくれだけはいかんともしがたかったものでございますから、その点に関しましてはいささかおんぶ、だっこであったかもしれないが、ここに、GNPでは大きな国にはなったが、技術がないと非常にさびしいものだ、資源がないとさびしいものだという、そうしたさびしさを今日私たちは味わいつつも、では将来子孫のためにこれをどうすべきかということに相なりますと、しばしばお答え申し上げておりますとおり、エネルギーに関しましては、石油と同じように海外依存で首の根っこを押さえられておるということがあってはいけないから、速やかにわれわれ独自の技術を開発をしていく、これが私たちの気持ちでございます。そうしたときにはアメリカもよきパートナーであり、またヨーロッパもアジアもよきパートナーであるというつもりで私たちは今後もこの問題を解決していきたいと思うのでございますが、一番底にあるのは、やはりどういたしましても、日本に対するところのいろいろな見方が世界にございましょう。なかんずく、日本はGNPが大きければ大きいだけ、何か日本にはまた別の底心があるのではないかというふうなことを疑われておることも、一部には確かにあるかもしれません。そうしたことに対しましても、私たちは常に、われわれは事原子力に関しては平和利用のみを願うところの国民であるということを世界に標榜しながら、私たちが生きていくのは代替エネルギーの開発しかないんだということも、国内において十分国民の御理解を仰がないことには、すべて事はなかなかうまく運ばないのじゃないかというふうに考えております。 したがいまして、今日まで決してアメリカに従属をしたという関係ではなく、よきパートナーとして、われわれは技術問題に関しましていろいろと知恵を授かったことも事実でございましょう。しかし、今後は、われわれみずからがそうした技術をもとにしてみずからの技術をつくり出すんだという気構えを持っておるのでございますから、これに対しまして世界がどういうふうな評価をするかは別といたしまして、やはり民族が背負っておる一つの関門だと思います。この関門はお互いが協力一致をいたしましてこそ初めて切り抜けられるのじゃないだろうか、かように存じますので、ぜひともこうした面におきましては、今後とも貴重なアドバイスをちょうだいいたしますと同時に、同じ土俵の上で、党派を超越いたしまして、エネルギー問題だけはすべからく何か一つコンセンサスを一日も早く得られるように、私たちも努力をいたしますので、格段の御理解のほどをお願い申し上げる次第であります。
○山田委員長 瀬崎博義君の質疑はこれにて終了いたしました。 次回は、明七日木曜日午前十時三十分理事会、十時四十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時七分散会