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80回国会衆議院1977/03/03

科学技術振興対策特別委員会 第3号

発言数
32
登壇者
7
会派数
2
開催日
1977/03/03

会議録

山田太郎公明党・国民会議

○山田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力船「むつ」に関する問題調査のため、本日、日本原子力船開発事業団専務理事倉本昌昭君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田太郎公明党・国民会議

○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。     —————————————

山田太郎公明党・国民会議

○山田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。与謝野馨君。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 きょうは、国の原子力政策にかかわる問題につきまして、幾つかの点をお伺いしたいと思うわけです。  最初に、原子力船「むつ」の問題につきまして、現在青森県並びにむつ市また佐世保等といろいろ折衝されていると思います。青森県、むつ市も大変な御理解を示しておられるようですし、また、長崎県並びに佐世保市も「むつ」の受け入れにつきましては、地元の発展ということのほかに、やはり国家的な見地からこの「むつ」を何とか受け入れよう、そういう御熱意だと思うわけでございますけれども、その折衝の状況並びに地元の熱意に国は施策として一体どういうふうにこたえるのか、そういう点について宇野長官にお伺いしたいわけでございます。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○宇野国務大臣 御承知のとおり、青森県から「むつ」を撤去し、新母港に入れるということに関しましては、四者協定というものがございます。残念ながら、その四者協定の中で新母港に関しましては、まだ政府といたしましては決定することができません。  第二番目のお約束といたしまして、四月十四日までにひとつ「むつ」は出ていきなさい、いわゆる母港撤去である、こういうふうな約束がございます。これに関しましては、受け入れ先が長崎県でございますから、やはり長崎県の知事さん並びに佐世保の市長さんにお願いをしているところですが、この方々の御同意を得ないことにはなかなか出港できないという実情でございます。特に原子力船でございますから、六十日前に入港届を出せという規定がございます。これを逆算いたしますと二月の十四日、回航期日を入れましても二月の二十二、三日には「むつ」の届けをしなければならないというふうなことに相なりますが、しかしながら、では入港届を出すのかという問題が出てまいりまするが、現在長崎県におきましては、知事の諮問機関として研究委員会が鋭意その結論を出すべく御努力をしていただいておる最中でございます。だから、それを無視いたしまして、事業団が入港届を出すというふうなことは、これはやはり政府といたしましても差し控えなければならないことではないか、したがって四月十四日というものもあるいは若干おくれるのではないか。  このことは、率直にまず青森県にお伝えしなければならない、かように存じまして、先般も知事並びにむつの市長さんには私から直接申し上げ、また漁連には、長崎県に次官を派遣いたしまして、次官から直接その旨を申し入れ、そして格段の御理解を賜るように努力をいたしておる最中でございます。長崎県におきましては、御承知のとおり、先週でございますが、その研究委員会が一応意思表明をなさいました。しかしながら、この意思表明に関しましては、さらに三月の二十三日と承っておりますが、そのときにもう一度委員会を開いて、そして意見をまとめよう、それを知事が聞いて、知事の腹を決めよう、こういう段取りであるように承っておりますが、やはりこの知事さんの御決定に対しまして、私はそれを尊重するということを公にいたしておるわけでございまして、青森に対しましても長崎に対しましても、政府といたしましては同じ重さの責任で、ただいま御両者ともどもに出る、入るという問題に関しまして御理解を仰ぐべく努力をいたしておる最中でございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 原子力船「むつ」は、日本人の税金で日本人がみずから設計し製作した、日本じゅういろいろな原子炉がございますけれども、ただ一つの原子炉であるわけでございまして、こういうものをやはり国民として大切にしていかなければならないわけでありまして、ひとつ出港後は——これは国産原子力船の第一号だということをはっきりPRをしていただきまして、船名の改定ということも当然出てくるわけであると私は思っております。「むつ」が出港した後、それではむつ市に残った原子力船事業団のいろいろな資産、施設というものは一体どういうふうにされようとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。

山野正登科学技術庁原子力局長

○山野政府委員 ただいま、むつ市には陸上付帯施設があるわけでございますけれども、私ども、この定係港撤去という暁には、この陸上付帯施設の撤去ということが含まれておると考えております。手順といたしましては、まず原子力船「むつ」がむつ市を出港いたしまして、出港いたしました後、陸上付帯施設につきまして「むつ」を支援する機能を永久に停止するという措置をとろうと考えております。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 私がお伺いしたかったのは、港湾設備等一体どういうふうに処分をされるかということをお伺いしたかったわけです。それと同時に、地元にいろいろな名目でいままで補償金を払われているわけでありますけれども、政府並びに県、事業団、あらゆるものを含めまして、むつの地元にはどのくらいのお金を一体どういう性格でどういう名目で払われたのか、そういうことを実はお伺いしたいと思います。

山野正登科学技術庁原子力局長

○山野政府委員 先生の御質問の趣旨、二つあるかと存じますが、まず、地元に陸上付帯施設等を建設するにつきましてどの程度の資本投下が行われたかという御質問と、それから恐らく地元に対する投資という言葉の中には、四十九年に定係港に原子力船「むつ」が入港するに際しまして、地元との四者協定によりまして幾ら予算が支弁されたかという二通りの御質問かと存じます。  まず、前者につきましては、定係港関係の設備経費合計で約二十六億円のものが投下されております。それから、後者の放射線漏れを起こしました後むつ市に入港するに際しまして、四者協定で地元に対して行う地元振興のための助成金、これは地元振興助成金でございまして、補償金ではございませんが、これが十三億七千八百万円でございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 これはずいぶんむだ遣いをしたと私は思うわけでございます。もう過ぎ去ったことでございますので仕方がございませんけれども、原子力船「むつ」がむつに行くについては、最初の誘致のいきさつがございまして、そういういきさつも踏まえてやはり事業団としては、今後新しい修理港、新しい母港に入られるわけでございまして、いままでのようなそういうむだというものをやはり排除していくという厳しい態度で臨んでいただきたいと思うわけでございます。  それから、今国会に原子力船事業団法の延長ということが提案されると聞いておりますけれども、われわれ見ましても、修理の期間がいかにも長過ぎる。専門家にいろいろ聞いてみますと、修理の期間はもう少し短くても修理がきちんとできるのではないか、こういうことを言う方もいるわけでございますが、一体いま事業団が考えられている、あるいは科学技術庁が考えられている原子力船の修理すべき個所、一体どこなのか、それで一体どういうデータ、根拠に基づいてそういう修理個所というものを認定されているのか、その点をお伺いしたいと思います。

山野正登科学技術庁原子力局長

○山野政府委員 ただいま予定しております修理期間は三年間でございますけれども、これはきわめて大ざっぱに申し上げますと、まず初年度は基本設計等の立案の段階でございます。それで、第二年度は安全性の総点検をいたしますが、そういう安全性の総点検並びに遮蔽の改修をいたしますことにつきまして、所要の安全審査期間と考えております。それで、第三年度におきまして具体的な工事をするというふうに考えておりまして、これらを合計いたしまして三年間というふうに考えているわけでございます。  これまで事業団がこの準備のためにいたしてまいりました作業といたしましては、ただいまの先生の御質問にも関連するわけでございますが、まず放射線漏れを起こしました後、いわゆる宮坂調査団を「むつ」に乗船させまして、若干の出力上昇試験をいたしまして、この遮蔽に対する放射線漏れのある種の実験をいたしております。この実験の成果、それから昭和五十年から五十一年度にかけましてモックアップ実験というものを、これは日本原子力船開発事業団が原子力研究所並びに運輸省の船舶技術研究所の協力を得まして、原研の研究炉を使って実験したのでございますけれども、このモックアップ実験によりまして今後行う遮蔽改修に要する資材の遮蔽効果と、それから遮蔽の設計をいたしますに使用いたします計算コードの信頼性の確認ということをこの実験によって行っておりまして、これらの調査、実験を経て得られました技術成果をもとに今後の基本設計を進めていくというふうに考えております。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 やや専門的になって恐縮ですが、「むつ」の出力上昇試験の際、測定をされたのは二次ガンマであろうと思うのでありますけれども、遮蔽計算——実際「むつ」が設計ミスだ、ミスだと言われたのも、当初の設計の段階でのいろいろな計算精度と申しますか、そういうものの信頼性が非常に低かったということによって起こったわけでございまして、今度もやはり最終的に完璧な安全な原子力船を完成させるためには、どこかの時期に出力上昇試験というものをきちんとやらなければならない、そういうふうに私は考えているわけでございますけれども、いかがでございましょうか。

山野正登科学技術庁原子力局長

○山野政府委員 遮蔽改修を行うに先立ちまして、再度出力上昇試験をするということは、現在、四者協定によりまして原子炉は冷態停止に保たれているわけでございますので、これは不可能でございますが、将来、具体的に遮蔽改修工事が済み、総点検が済みました後におきましては、新しく決まるであろう新定係港におきまして、所要の出力上昇試験を行うといったふうなことになろうかと思います。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 次に、原子力安全委員会がこのたび新しく機構として加わる、こういうことでございますけれども、まずお伺いしたいのは、一体その原子力安全委員会の性格というのは何なのか、また、原子力安全委員会ができたことによっていかなる責任体制、いかなる行政の一貫化が図られるのか、こういう点についてお伺いしたいと思います。

伊原義徳科学技術庁原子力安全局長

○伊原政府委員 原子力安全委員会の性格でございますが、まず、なぜこの原子力安全委員会を法改正をいたしまして設置するかという点でございます。  現在の原子力開発事業、非常に重要でございますけれども、必ずしも期待どおりに進展していないという実情を踏まえまして、その原因の一つに、現在の原子力委員会が開発という機能と規制という機能との両方をあわせ持っておる、そこにやはり不信感が出てくるのではないか、こういう御指摘もある、こういうことでございますので、安全の確保に関しての権威ある機関といたしまして原子力安全委員会を設置いたしまして、原子力についての国民の信頼を確保する、こういうことが設立の非常に大きな目的でございます。  そこで、この原子力安全委員会がどういう仕事を所掌するかということでございますが、たとえば安全研究計画の策定など、原子力利用の安全規制政策というものをまずここでやっていただく。さらには、個別の原子炉の許認可等に際しましてのいわゆるダブルチェックという仕事をやっていただく、あるいは原子力利用に伴います障害防止、これの基本に関するもの、こういったいろいろな重要な問題につきまして企画し、審議し、決定していただく。  この委員会は、法的に申しますといわゆる国家行政組織法の第八条に基づきます八条機関、総理府の付属機関でございますが、先ほど申し上げました、企画し、審議し及び決定したことにつきまして内閣総理大臣が尊重義務を負うというふうな規定もございますので、非常に権威のある機関ということで、今後、この安全委員会が原子力安全問題の中心となって機能するということを期待しておるわけでございます。  しからば、それとうらはらの問題といたしまして、規制の一貫化という問題がどういうふうになるかということでございますが、現在の原子炉の規制につきましては、設置の許可は内閣総理大臣がいたしまして、その後に続きます設計及び工事方法の認可、あるいは使用前検査、定期検査、こういったものにつきましては、発電用原子炉は通商産業大臣、舶用原子炉は運輸大臣、試験研究用原子炉は内閣総理大臣、こういうふうな仕分けになっておるわけでございますけれども、責任を最初から最後まで一貫して持つべきではないか、こういうことでございますので、改正の案といたしましては、実用発電用の原子炉は通商産業大臣、実用の舶用原子炉は運輸大臣、試験研究用の原子炉及び研究開発段階の原子炉は内閣総理大臣ということで、設置許可以降最後まで一貫してそれぞれの大臣が責任を持ってこれを行う、こういう考え方でございます。ただし、その際に、行政省庁が許可処分をいたします場合に、その許可の基準の適用につきまして、たとえば平和目的であるか、計画的な遂行に支障がないかというふうなことについては原子力委員会に、また、安全上支障がないものであるかどうかということについては原子力安全委員会にそれぞれ諮るということで、いわゆるダブルチェック的な機能がそこで働くということになっております。  なお、その際、横断的規制の面も必要な最小限度におきまして明確にさせていただきたいと考えておりまして、たとえば廃棄の問題につきましては、事業所外の廃棄は横断的に内閣総理大臣が見る、それから運搬につきましても事業所外の運搬は、運搬物につきましては内閣総理大臣、運搬の方法につきましては運輸大臣がそれぞれ横断的に責任を持つ。さらに一つ重要な問題でございます国際規制物資の規制につきましては、内閣総理大臣が横断的に責任を持つ、こういうふうな筋にいたすということで案ができておるわけでございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 従来の安全審査の問題点というのは、パートタイムの学者を各行政官庁が使ってと申しますか、雇ってと申しますか、そういう方々に安全審査の下請をやらしていたというところが一番大きな問題点でございまして、官庁に独自の判断力がないというのが、私は日本の安全審査の一番大きな問題点であったと思うわけでございます。  今回は、通産省、運輸省、科技庁それぞれの担当の原子炉をそれぞれ安全審査をされるということですが、たとえば通産省に原子力の安全審査をするためのどれだけの能力があるのか、どれだけの人員があるのかということは、私はやや疑問を持っているわけでございます。  それと同時に、原子力安全委員会を権威ある委員会にするという御答弁でございますけれども、それでは、一体原子力安全委員会は、いつから、何人ぐらいのスタッフで実際の安全審査をやられるのか、そういう官庁独自の技術能力、判断力というものをどうやって涵養されていくのか。外国の例は、やはりそれぞれの官庁が独自の技術的判断能力、安全審査機能を持っていて、学者の先生方はそれにアドバイザーとして機能されているというのが私は実情だと思います。  そういう面で、今後原子力安全委員会並びに通産省が今度は実用炉の安全審査をやられるということで、一体どの程度の準備でこれに取り組まれようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

伊原義徳科学技術庁原子力安全局長

○伊原政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、行政省庁におきましても技術的な独自の判断力があるべきである、これはまさに御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても従来ともその能力の涵養には努めてまいったわけでございます。ただ、従来の日本の制度といたしまして、その行政省庁の判断のみではなくて、さらに慎重を期しまして、専門の学識経験者、中立的な立場におられますそういう方々の御意見も十分お伺いいたした上で、万全を期して許認可を行うというたてまえでございます。  そういうことでございますので、たとえば原子炉の安全審査につきましても、非常勤ではございますけれども、現在わが国の原子力分野の権威者三十名の審査委員の方にお願いいたしまして、審査を着実に行っていただいておるわけでございます。さらに、その三十名のほかに、専門の分野につきましての調査を補完的に行っていただきますために調査員三十名というものがございます。  そこで、この現在のやり方が今後どういうふうに変わることが予想されるかということでございますが、原子力安全委員会の発足は、この法案の御審議の結果これが今国会で成立ということになりますと、五十二年の十月一日に発足を予定いたしております。その際、委員会は、委員長一名、ほかに委員四名、合計五名を考えておりますが、常勤四名の方々にフルタイムでお願いをいたすことを考えております。さらに、その下部組織といたしまして、予算上いただいておりますのが、安全専門審査の専門委員が四十五名、核燃料の関係の専門審査の委員が四十名、その他の専門委員が十七名、合計百二名ということになっております。さらに、事務局のスタッフも、現在科学技術庁の原子力安全局がスタッフとして機能するわけでございますが、そのほかに通産省、運輸省等関係行政機関の各部局においてこれに御協力をいただく、こういうことになっております。

武田康資源エネルギー庁長官官房審議官

○武田政府委員 先ほどの行政官庁独自の処理能力の問題でございますが、全く先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、原子力の開発に当たりまして、安全性の確保が第一である、こういう認識から、従来、詳細設計以降の段階は通産省が検査に当たりまして担当しておりますけれども、厳正な安全審査と検査を実施してきたところでございます。  そういう審査体制の強化につきましては、実は五十二年度につきましても、審査スタッフ、これは行政官庁メンバーでございますが、審査スタッフの増強というようなことを計画しておりますし、また、それの担当責任課の増設というようなことをお願いしているわけでございます。  また、何分原子力の技術というのは、非常にむずかしいといいますか高度な部分がございますので、従来私どものスタッフ限りで全部の判断をするということは、もちろん整理をいたしまして第一次的な判断はいたしますけれども、そういう新規性のあるものとかあるいはきわめて特殊なもの等につきましては、やはり学識経験のある先生方の御意見を伺いまして、それを参考にして処分をするというやり方をしておりまして、現在二十数名の方にそういった顧問をお願いしているわけでございます。この辺も、今後とも引き続き、事務スタッフにつきましても、またそういう意見を伺う先生方にいたしましても、さらに一層増強していきたいと思っているわけでございます。  かたがた、人数の点もそうでございますが、それぞれの審査スタッフあるいは検査スタッフ一人一人の能力がもっと向上するということは、技術の進歩とともにますます必要かと思っておりまして、そういう面につきましても今後とも配慮していきたいと思っている次第でございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 安全委員会につきましての御質問を終わらせていただきますが、機構改革は結構でございますけれども、安全審査機能の強化と同時に、やはり安全審査を迅速にやって、日本のエネルギー需要に対応できるような強力な体制をとっていただきたいということを御要望申し上げます。  次の質問でございますけれども、カナダが一月十日からウランの禁輸政策をとりました。私の理解する限りでは、日本とカナダの間には国際法上有効な双務協定がありまして、日本の電力会社が輸入しているウランもその双務協定下で有効な契約で輸入をしているわけでございまして、これをカナダが一方的に禁輸をするということは、私は国際信義上、また国際法上やや妥当性を欠いている行為ではないか、こういうふうに考えているわけでございますけれども、政府は、この禁輸政策に対する日本の立場というものをカナダ政府に対して一体どういうふうに主張されたのか、そこをお伺いしたいと思います。

太田博外務省国際連合局科学課長

○太田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、現在、日本とカナダとの間には原子力の協力に関する協定がございまして、カナダからわが国に対しますウランの供給もこの協定に基づいて行われておりますのは、ただいま先生が御指摘なさったとおりでございます。  ところで、この日加の原子力協定には、厳密に申しまして、当事国に対しましてウランの供給を義務づけている、そういう規定はございません。ただ、協定は名前が原子力協力協定ということにも示されておりますとおり、両国間の原子力分野におきます協力を推進するというものでございまして、ウランの禁輸といったような措置がカナダと日本との間の緊密な経済協力関係の推進を妨げることになるわけでございます。特に、両国間で新しい協定を締結しようという交渉が、このようなウランの供給の停止という異常な状況のもとで行われるということにつきましては、日本といたしましてきわめて遺憾であると考えておりまして、この旨を強くカナダ側に申しております。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 そこで、日加双務協定の改定交渉をされていると思いますが、差し支えない範囲で結構でございますが、いままで一体どういう点が基本的事項で合意をされたのか、あるいはその双務協定の改定が締結されるためには、一体これからどういう困難を乗り越えていかなければならないのか、まだペンディング事項は一体何かということについてお伺いしたいと思います。

太田博外務省国際連合局科学課長

○太田説明員 お答え申し上げます。  御承知と思いますが、実は一月の末から二月の初めにかけまして、東京におきまして両国間で協定改定の交渉が行われたわけでございますが、そこの趣旨は、新しい協定に盛られるべき原則について合意する、そういう趣旨で交渉が行われたわけでございます。  その結果、どういう原則を新しい協定に盛るべきかという点で合意に達した原則といたしましては、たとえば平和利用ということでございますけれども、いかなる核爆発装置にも供給されたものを使ってはならない。最近こういうことが言われましたのは、七四年にインドが核爆発をいたしましたけれども、そのときインドは、これは平和核爆発であると称したわけでございまして、それを念頭に置きまして、いかなる核爆発といえどもそれをつくってはならないという規定でございますとか、あるいは核物質の——最近核ジャックということが非常にうるさく言われるようになってまいりましたけれども、核物質がそういう核ジャックのような目に遭わないように必要な措置を講ずることという原則でございますとか、あるいは保障措置、この現行の日加協定でも保障措置がかかっておりますけれども、この保障措置の適用範囲あるいは適用期間、これを強化いたしまして、以前よりもより軍事転用——万一軍事転用というような危険がないように万全を期する、そういう原則でございますとか、それから緊密な協議を行う、このような諸原則について両国の見解は合意に達しました。  ただし、二つの点につきまして、残念ながら今回の協議では合意に達し得なかった。  そのうちの一つは、情報の規制の範囲と申しますか、最近では原子力協定で物及び装置のみならず、情報をも規制の対象にすべきであるということが広く言われるようになりまして、特にその情報を第三国に移転する場合に、供給国の許可を得るべきであるということが次第に広く認められるようになってまいりましたけれども、どういう範囲の情報についてこの規制を適用すべきか、こういう点につきまして日加間で合意が見られませんでした。  それからもう一点は、濃縮に関する規制の態様でございまして、これもわが国の主張とカナダ側の主張との間には、残念ながら、種々協議をいたしましたけれども、まだ差がございまして、これは合意に達することができませんでした。  したがいまして、その後両国は、この二点につきましてできるだけ早期に妥協を見出すべく外交チャンネルを通じまして協議するということでございまして、現在この二点につきまして両国間で外交チャンネルを通じまして鋭意交渉中でございます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 いまの問題でございますけれども、三月中には実際に電力会社は、アメリカのERDAと契約している濃縮委託契約に基づきましてウランを工場に運び込まなければならない分が出てくるわけでございまして、これが期日に間に合いませんと契約上ペナルティーも払わなければいけないという実害も出てくるわけでございますので、政府におかれましてはそういう実害が出ないように、また、カナダの天然ウランが引き続き順調に日本に供給されるよう全面的な努力をしていただきたいと思うと同時に、また、ユーラトム諸国も同じような状況に置かれていると思いますので、そういう方面とも十分連絡をとりながら日本の立場、利益を守っていただきたいと思います。  さて、次の問題でございますが、アメリカでカーター新政権ができまして、アメリカの原子力政策、特に核拡散に対する政策が大きく転換されつつあるわけでございます。実際見通しも立たないまま、原子力の開発をやっている人たちは途方に暮れているというのが実際の姿であると私は思います。特に再処理の問題とプルトニウムの利用が大幅に規制されようとしている現況でございますが、先日、井上原子力委員も訪米されて、いろいろな情報も政府におかれましては集められていると思いますし、また昨日は、米議会でバンス国務長官がこの問題について発言をされているようでございます。そこで、現在日本としてわかっているアメリカの原子力政策の方向、その点についてお伺いしたいと思います。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○宇野国務大臣 率直に申し上げまして、カーター政権の原子力政策はまだ決まっておりません。だが、その全貌というものをわれわれが推測するに、決して日本は楽観できない、非常にシビアなものになるのではないか。そうしたことを前提としてやはり折衝を続けなくちゃならない、こういうふうに思っております。  先般、井上原子力委員長代理を派遣いたしましたのも、さような意味でわれわれといたしましては次の三つのことを主張いたしました。  それは、アメリカがあくまでも核拡散防止に全力を注ぐ、そういう方向については当然われわれ日本といたしましても大賛成である。しかしながら、日本には、やはり再処理を通じて核燃料サイクルの確立をしないことにはとうてい民族として生きていけないんだ、こういうふうなせっぱ詰まった事情もある。その点は友邦として十分御考慮賜りたい。特にわれわれが第三番目として主張いたしたいのは、昨年国会においてすでにNPTは批准をいたしましたが、その第四条で、非核保有国においての平和利用というものに支障を来してはならない、こういうふうに書かれておるから、私たちはさような意味でNPTの条約も批准したのだし、また平和利用一本やりで今後も大いに原子力の開発をして、日本のみか世界の経済にも寄与したい、かように存じておるので、この三点を、ただいま鋭意主張いたしておるところでございます。まだ相手がどういうふうに決定されるか、まだ日取りももう少しく定かではございません。  だから、しばらくの間は外交交渉を通じておりまするが、まあ一応アメリカのいろいろのお考え方もございましょうし、これに影響をされる国々も多うございましょうから、そうしたことをも判断しながらいましばらくは静観をいたしたい、かように存じておるところであります。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 静観をしているうちにアメリカの原子力政策が日本にとってきわめて不利なものになるということもあるわけでございまして、政策形成過程で十分な働きかけをしていただきたい。特に福田総理が訪米されるときには、できれば科学技術庁長官も随行されて、日本の立場を十分に説明してきていただきたいと私は思うわけでございます。特に長官が申されたように、核防条約さえ批准をしていれば日本の原子力平和利用はこのままスムーズにいくんだ、そういうふうにさえ核防条約の意味というものは受け取られていたわけでございまして、実際世界で、またアメリカの新しい原子力政策の方向として、再処理もさせない、プルトニウムの利用もさせない、また非核保有国には濃縮もさせないということでは、私たちがやっております原子力開発、日本の原子力政策というものはもう大きな行き詰まりを見せるわけでございまして、三月末か四月初めにアメリカの基本政策が決まるということでございますから、さらに強力に外交ルートを通じて政策形成過程で働きかけをしていただきたいと思うわけでございます。  次にお伺いしたいのは、ウラン資源確保の問題でございますが、いま海外で動燃事業団あるいは民間会社が海外のウラン探鉱をやられておりますけれども、その現況についてお教え願いたいと思うわけであります。

山野正登科学技術庁原子力局長

○山野政府委員 ただいま海外においてウランについての探鉱をどういうふうに行っているかという現状でございますが、これは政府関係機関でございます動力炉・核燃料開発事業団と民間、これは現在九社ばかりあるかと存じますが、民間会社と両方において行われております。  まず、現在のわが国のウランの手当て状況でございますが、昭和七十年度ごろまでの約十四万トン余りのものは確保済みでございますけれども、これは主として長期買い付け契約によるものでございまして、私どもの方針といたしましては、将来できるだけ開発輸入の比率を高めてまいりたい、できれば全体の三分の一程度は開発輸入によって賄っていきたいというふうな基本方針を持っておりますので、その線に沿いまして、動燃事業団におきましては、海外におきます探鉱活動というものを積極的に進めておるわけでございまして、現在ニジェール、マリ、オーストラリア、カナダ等において行っておるわけでございます。これも、予算規模も五十一年度は十二億円でございますが、五十二年度の政府予算原案におきましては二十四億円を計上いたしておりまして、将来とも拡充してまいりたいというふうに考えております。  それから、民間における探鉱活動でございますが、この民間の探鉱活動におきましては、金属鉱業事業団が昭和四十七年度からウラン鉱の探鉱に対しまして成功払い方式の特別融資制度というのを認めておりまして、現在昭和六十年度までに約六億円の融資を行っております。私どもとしましては、将来とも民間の探鉱活動につきまして予算の拡充等に努めてまいりたいというふうに考えております。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 いま日本がやっております探鉱活動は必ずしも十分でないと私は思うわけでございますので、動燃事業団関係の予算もどんどんふやしていただきたいと思いますし、また民間の鉱山会社と申しましても、それぞれ世界的に見れば非常に資本力の小さいのが日本の鉱山会社でございまして、そういうところに探鉱に伴ういろいろなリスクを負担させるということももっと少なくしなければならない。ウランの資源を探鉱開発する場合に、すぐに価格とか採算という面だけにとらわれがちでございますけれども、やはり日本にとって大事なのは量的確保という面が非常に重要になってきたわけでございまして、ウラン探鉱に関しましては政府においてリスクを補償する、リスクを担保するという方向で制度的な改正を含めまして努力をしていただきたいと思います。そういう意味で、さらにこのウラン探鉱開発ということに力を入れていただきたいと思います。  もう一つは、いま電力会社はそれぞれ各自で海外のウラン会社とウランの購入契約をしておりますし、またアメリカのERDAとも委託濃縮契約をやっているわけでございます。また再処理につきましても、それぞれの会社が独自の立場で再処理契約をされているという現状でございますけれども、これはいろいろな点でむだも多いし、また機動的な効率的な運用も核燃料についてできないのではないか、そういう議論もあるわけでございまして、国の政策、また行政指導の物の考え方として核燃料のプール運営をするというようなお考えはないのかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。

武田康資源エネルギー庁長官官房審議官

○武田政府委員 いま先生御指摘の各電力会社がばらばらに、石から濃縮、再処理について手当てしているという点、先生御指摘のとおりでございますが、何分核燃料物質、原料物質等は使用目的が明確な需要者に限って輸入等をするというようなことになっておりまして、そうでない一般の人がまとめてというのはなかなかむずかしいのが実態でございます。しかしながら、ばらばらというよりは相互に協力するというようなこともあり得るわけでございまして、御指摘のような問題がないとは言えませんので、核燃料の安定確保という観点から核燃料の手当てについてどのような体制がいいのか、ウラン取引並びにその先の取引の特殊な事情を勘案しながら今後十分検討してまいりたいと思います。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 いまのお話ですと、法律がこうなっているからこういう運営しかないのだというお考えのようでございますけれども、日本全体を考えれば、いまのような各電力会社がそれぞれやっているというのは経済的効率から考えても望ましくない。また対外的にも、一つところで扱って、たとえば鉱石の相互融通とかあるいは委託濃縮契約の一本化とかあるいは再処理の問題につきましてもその一社で扱うとか、電力会社は九社になっておりますけれども、そういう運営というものは十分可能なわけでありまして、そういう方向で通産省も科学技術庁も御検討願いたいと思うわけであります。  最後にお伺いしたいのは、やはり日米関係の問題でございます。  日米は非常に緊密な経済的、政治的な協力関係を長い間続けてきたわけでございまして、カーター新政権のもとでもそういう友好関係は継続されていくわけでございますけれども、たとえば先ほどの原子力政策の大転換というようなことになりますと、実はこれは日米の緊密な協力関係に一大転機をもたらすような、画期的と申しますか、驚くべき政策転換でございまして、そういう日米の基本的な協力関係という観点から、カーター新政権に、日本の原子力政策の現状、そしてまたその政策形成過程での働きかけを宇野長官に十分していただきたいのでありますが、いかがでございましょうか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○宇野国務大臣 仰せのとおり、やはり日米親善とは申しながら、わが国にとりましては再処理工場がこの夏にはもうホット試験に入るという段階まで進んでまいったわけであります。さらに、そのホット試験を通じまして明年度から本格操作に入りたい、ここまできているわけでございます。ウラン資源も乏しいし、石油資源も乏しい日本といたしましては、われわれがエネルギー問題を解決する方法はこれしかございません。それに水を差されるというふうなことがかりそめにもあっては、それこそ仰せのとおり一大事でございます。だからその点は、われわれといたしましてはあらゆる機会に努力をいたしましてアメリカに説明をいたしておるところでございます。月曜日にもその方面の関係者が来日いたしますから、私みずからお目にかかりまして、御指摘の点に関しましてはわれわれとしても強く主張してまいる所存でございます。  ただ、まだ全貌がわかっておりませんから、したがいまして、それに対していろいろ批判を加えるとかあるいはまた行き過ぎたお答えをするということに関しましては、やはり今後の外交交渉もございましょうから、さような意味で、私は静観というふうに申し上げましたが、しかし、外交的努力はいっときといえどもゆるがせにしてはならない、こういう決意で臨むつもりでございます。  もう一つ、先ほどのを訂正いたしておきたいと思いますが、最初の「むつ」のときに、次官を長崎県に派遣したというのじゃなくて、これは青森県に派遣したのでございますから、その点訂正いたしておきます。

与謝野馨自由民主党

○与謝野委員 動燃事業団の再処理工場のホットテストができなくなるということのほかに、実際は日本の電力会社はイギリスとフランスとの再処理契約も持っておりますし、またさらに、その再処理契約を拡大しようとしているわけでございまして、国の原子力の基本政策が外国の政策によって影響されてやむを得ない部分もありますけれども、これだけ不明でございますと、事業者としては一体どういうことをしたらいいのか途方に暮れているというのが実情でございます。  それと同時に、原子力規制法を改正されて、再処理工場を非常に大きなものを民間でも建てられるようにするという法改正が提案されるというふうに聞いておりますけれども、実際そういう問題も不可能になりますし、また日本にとってはプルトニウムを使えるか使えないかということは、実際には原子力をやるかやらないかぐらいの大きな差でございまして、プルトニウムに対して、いますぐ使うかどうかは別にいたしまして、オプションを持っておくということは、日本の原子力政策にとりましてもきわめて重大な問題でございます。その重大性は何度強調しても多過ぎることはないと私は考えております。  そういう意味で、政府におかれましては、外交交渉を通じまして、日本の原子力政策の根幹が崩れるような政策選択をアメリカ政府がされることのないように努力をしていただきたいと思います。  そういうことを御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

山田太郎公明党・国民会議

○山田委員長 次回は、来る三月九日午前十時三十分理事会、十時四十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三分散会

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