ロッキード問題に関する調査特別委員会 第3号
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- 会派数
- 1
- 開催日
- 1977/02/24
会議録
○原委員長 これより会議を開きます。 ロッキード問題に関する件につき調査を進めます。 この際、ロッキード事件の捜査処理に関する法務大臣の報告を求めます。福田法務大臣。
○福田(一)国務大臣 昨年二月、米国上院外交委員会多国籍企業小委員会における証言に端を発したいわゆるロッキード事件につきましては、東京地検は、警視庁及び東京国税局と緊密な協力の上、ロッキード社の航空機売り込みに関し、わが国に流入した資金をめぐり発生した事犯の刑事責任を追及し、昨昭和五十一年三月十三日から同年九月三十日までの間に、田中角榮元内閣総理大臣等国会議員三名を含む合計十六名を受託収賄、贈賄、外為法違反、議院証言法違反、所得税法違反等の罪名で東京地裁に公判請求しました。その経過は、同年十月十五日、第七十八回臨時国会の衆参両院のロッキード問題に関する調査特別委員会で稻葉前法務大臣が行いました中間報告のとおりであります。 その後、東京地検は、児玉譽士夫の脳血栓後遺症の病状が依然好転ぜず、主治医立ち会いのもとに休憩をはさみ一回一時間程度しか同人の取り調べを行うことができない等の障害のもとで同人の在宅取り調べを続行しました。一方、昨年十一月四日衆議院予算委員長から国際興業株式会社社主小佐野賢治に対する議院証言法違反の告発が最高検察庁になされ、東京地検は同年十二月八日同容疑により国際興業本社等五カ所について捜索差し押さえを実施するとともに、同人の冠不全(狭心症)及び高血圧症の病状が好転せず、主治医立ち会いのもとに休憩をはさみ一回一時間ないし二時間程度しか取り調べを行うことができない等の障害のもとで同人の在宅取り調べを続行しました。 東京地検としては、本年一月下旬から丸紅及び全日空関係の公判が開始される関係上、それまでに容疑のある事実はすべて処理する方針で鋭意努力し、去る一月二十一日、児玉については、昭和五十年三月四日ころから同年七月二十九日ころまでの間前後三回にわたり、クラッターからロッキード社のためにする支払いとして二億九千九百五十万円を受領したという外為法違反の事実のほか、昭和五十年分の所得税約一億九千六百万円を免れたという所得税法違反の事実、また、小佐野については、昨昭和五十一年二月十六日衆議院予算委員会において証言を行った際、昭和四十七年九月中旬ころコーチャンからロッキード社製造のL一〇一一型航空機を全日空に購入せしめるよう尽力してもらいたいとの懇請を受け、そのころ全日空副社長渡辺尚次に対し同社が右航空機を購入するよう慫慂したのにかかわらず、コーチャンから頼まれ、あるいは自分の立場で、全日空の何人にも右航空機を買ってやってくれないかというような話をしたことは一切ないなどと虚偽の陳述をした議院証言法違反の事実により、両名を東京地裁に公判請求しました。 現在、東京地検は、すでに公判請求した田中元内閣総理大臣ら十七名の公訴維持に全力を挙げ、公判廷における立証活動を通じて昨年二月以来継続してきたロッキード事件の捜査結果を順次明らかにすることに努めており、去る一月二十七日の丸紅ルートの第一回公判及び同月三十一日の全日空ルートの第一回公判において、それぞれ詳細な冒頭陳述を行い、今後検察当局が証拠により証明しようとする事実の全貌を明らかにしたのであります。 なお、これまで検事が取り調べた参考人の数は約四百六十名、児玉の取り調べ回数は七十回、小佐野のそれは二十一回、押収捜索場所は百四十三カ所、このうち検察庁が実施したのは百五カ所、押収物件は約六万六千八百点に上っております。 小佐野を含むいわゆる児玉ルートの関係については、重要参考人が国外に居住する外国人であるほか、本人らが長期にわたり病床にあるなど種々の悪条件が重なったため捜査は難航しましたが、検察当局としては、最大限の努力を尽くした結果、昭和四十七年以降ロッキード社から顧問料、手数料として児玉に流入した約十七億円に関しては、その留保状況及び使途関係につき、一部不明な点があるものの、相当程度の解明をしており、その内容は、同人に対する所得税法違反及び外為法違反被告事件の公判において逐次明らかにされるものと考えます。また、これまでの捜査の結果、いわゆるPXLの選定問題を含め、去る一月二十一日までに処理を終えた以外に犯罪の容疑を認めるべき資料は得られなかったとのことであります。 しかしながら、東京地検としては、なお捜査本部を存続しており、今後、ロッキード事件についての国会の国政調査等事態の推移に関心を払うことはもとより、将来、関係人の病状が回復し、あるいは米国証券取引委員会の調査結果を入手するなど特段の事情の変化が認められた場合には、さらに解明のため必要な措置をとるものと考えます。 なお、この種事犯の再発防止対策としては、問題が政治、行政、経済など広範囲にわたるものでありますので、関連する各分野において広い立場からの検討がなされるべきものと考えますが、さしあたり当省の所管に属する事項としては、現在、収賄罪の法定刑の引き上げを内容とする刑法の一部改正と引き渡し犯罪の種類の拡大を目的とする日米犯罪人引渡条約の改正を図りたいと考えており、いずれもそれが実現した暁は、再発防止対策の一環としてそれ相当の貢献をなすものと考えます。 以上、昨昭和五十一年十月十五日のいわゆる中間報告以後におけるロッキード事件の捜査処理の経過等について御報告申し上げた次第であります。 —————————————
○原委員長 ただいまの報告に対して質疑の申し出があります。順次これを許します。鯨岡兵輔君。
○鯨岡委員 法務大臣から報告を承りましたが、承った印象では、これはだれでもそう思うと思いますが、非常に簡単なものだなという感じでございます。 国民ひとしくこの問題に非常な関心を持っているわけでございます。しかし、裁判が一部行われているわけですから、そこには制約があるであろうということは想像できますが、われわれはこの犯罪というものを摘発したり何かするのがこの委員会の目的ではありませんから、俗に言う政治上、道義上の問題を解明し、再びこういう事件が起こらないために、そのために事態を明らかにするという熱意に燃えている私どもとしては、どうも少し簡単過ぎるような感じがいたしますが、別に長いからといっていいものじゃないのですから、これからどういうふうになっていくか、非常に簡単なものだなという感じ、そういう感じを受けることに対して法務大臣どんなふうにお受け取りになるだろうか、まずそれから聞いてみたいと思います。
○福田(一)国務大臣 お説のごとく、当委員会は、ロッキード問題等のごときことが将来行われないようにするため、政治的道義的な責任を解明することを主眼として設置されたものであると私は理解をしております。その場合において、やはりロッキード問題の詳しい経緯等がわかれば、それがいわゆる政治的道義的責任問題を解明する意味で効果があることも理解できるわけでございます。 しかしながら、ただいま鯨岡さんもお話がありましたように、この事件はすでに公判に付せられておる事犯でございまして、そういう関係上、公判に付せられた冒頭陳述において検察側が証拠として持っておるようなものをここで一々明らかにするということは、検察の立場を維持していくという意味で裁判に支障を来しますので、これは詳しく申し上げることができなかったわけであります。しかし、できる限りにおいてこの問題の解明をしなければならないと検察庁は考えておるのでございまして、本来はこういうような起訴が行われますと、事犯については、多くは検察としては捜査本部を解消するのが一応の原則でありますけれども、今回はそれを解消いたしておりません。これからもなお場合によっては捜査をするという態度をとっておるわけでございまして、私、法務大臣としては、この問題の解明にはなお検察が全力を挙げて取り組んでおる姿勢を評価いたしておるものでございます。 いずれにいたしましても、非常に簡明であるという意味でおしかりを受けたことは恐縮でありますけれども、私としては、現段階においてはこの程度の報告でお許しを願いたいと考えておるのであります。
○鯨岡委員 二点伺いますが、法務大臣、これを読んで、児玉、小佐野両氏に対する公判請求はないのですが、一ページに、田中角榮元内閣総理大臣など三名を含む合計十六名の方を東京地裁に公判請求しましたということになっていますが、児玉、小佐野というような人たちの公判請求はいつごろ行われるのですか。
○安原政府委員 お尋ねの趣旨は、児玉、小佐野に対する所得税法違反等の被告事件、あるいは小佐野賢治のいわゆる国会証言法違反の被告事件の公判がいつ開かれるかというお尋ねであろうと思いますが、三月の十五日と承知しております。
○鯨岡委員 いま法務大臣のお話にもありましたが、これを読んで感ずることは、一番強く私が感ずることは、PXLという問題、この問題といわゆる児玉問題というのは世上ではイコール、ここに問題があるというふうに考えておるのですが、この捜査は一応終わったんだ、解消なんかしてないけれども、一応は終わったんだというふうに考えておられるのですか。あるいは、なあにまだ一つもわかってないんだ、これからなんだというふうにお考えになっておられるのですか。
○福田(一)国務大臣 PXLの問題については、検察は非常な重大な関心を持って、同時に、トライスターの問題と絡めて捜査を行ったのでありますけれども、現在のいわゆる公判請求をいたしました段階までの間では、その犯罪の容疑を明らかにすることができなかった、こういうふうに承知をいたしております。ただし、今後また新しい事実が出れば、それはそれに基づいて捜査を行うことはあり得ると私は考えておるのであります。
○鯨岡委員 児玉さんが活躍したのは、トライスターというような民間飛行機よりは、PXLというような方により活躍したんだという印象を持ったとしたら、誤りですか。
○安原政府委員 世上にはさようなうわさと申しますか、情報と申しますか、そういうものが流れておることそのことにつきましては、検察当局としては、ロッキード社の国内における活動の全般に不正の行為があるかどうかということに関心を持って調査を進めてきた以上、重大な関心を持っておったわけでございまするが、先ほど大臣が申し上げましたように、児玉氏を通じて、あるいはそれを通じなくとも、いずれにいたしましても、PXLの選定といいますか、導入に関しまして、検察当局としては犯罪の容疑を見出していないというのが現況でございまするから、終わった終わらぬというよりも、終わったということが、容疑を見出しながらその結末をつけたという意味であれば、そういう容疑自体を見出すという意味におきまして、出発点においてまだ終わる終わらぬを論ずる前の段階であるということに相なるわけでございます。
○鯨岡委員 この問題はそれで終わりにしますが、私は検察じゃありませんから、国民の疑惑々解消するために、この問題はさっぱり終わっておらないという感じで、今後この委員会でやっていかなければならぬ問題だと思っていることをつけ加えておきます。 三ページの二行目に、「東京地検としては、本年一月下旬から丸紅及び全日空関係の公判が開始される関係上、それまでに容疑のある事実はすべて処理する方針で鋭意努力し、……児玉については、」何々と、こう書いてあるのですが、「関係上」というのはどういうことでしょうか。この文章を書いた人にひとつ承りたいと思います。
○安原政府委員 すでに公開の法廷の手続でございまするから公になっておりますように、丸紅ルート及び全日空ルートにつきましては、公判が開始されまして、検察官が証拠により証明しようとする事実としての、陳述としての冒頭陳述が行われまして、いわば検察官が今日までトライスターの導入に関連いたしまして承知した、事実であると判断した捜査の手のうちをすべて公判廷において公にしておるということは御案内のとおりでございますが、そういうことでございますので、要するに、いわば、いままで当委員会の御要求、御調査に対しましても、公判に関係があるからあるいは捜査に支障を生ずるから申し上げることを御猶予願いたいということをお願いしておきました事柄で、検察の承知しておることは恐らくあそこにすべてぶちまけられておると言っても過言ではないわけでありまして、さように捜査の手のうちを示すということが丸紅、全日空のルートで予定されます以上は、それまでにわかっている捜査、容疑事件についてはそのような手のうちを暴露することは捜査の支障を来たすということは当然のことでありますので、そういう手のうちを示すまでに、容疑を抱いているものは全部処理したいという考えになったという趣旨でございます。
○鯨岡委員 そうしますると、丸紅や全日空関係の裁判が始まって、冒頭陳述などが行われて、いろんなことが明るみに出てくるから、それまでの間に児玉さんの方も小佐野の方もわかるだけのことはわからしておいてということで、そして以下に続いて、児玉の方は一億九千六百万円を五十年分税金から免れた、これは所得税法違反である、小佐野さんについては偽証があった、こういうようなことなんですが、ただ、すぐに私は不思議に思うのは、児玉はロッキード社と契約して、昭和四十四年から四十八年までは一年間に五千万円、四十九年からはこれが六百万円ふえて五千六百万円、これは幾らか自分で仕事のために使う経費はそこから払えよということにはなっているらしいが、それだけのものは入っている、契約なんですから。そのほかに飛行機一台について幾らというものが入っている。それは契約でわかっているのに、所得税法違反でそれまでにわかったのは一億九千六百万円というのはおかしいんじゃないかなという感じがいたしますが、これは後でまた承りますから、おかしくないならおかしくない、なるほどそういう契約がある以上はこの金額はその一部であっておかしいと、どっちにするかを御返答願いたいと思います。
○安原政府委員 御案内のとおり、児玉譽士夫がロッキードから取得したと認められる金額は約十七億でございまして、その十七億を本人の所得ということに考え、かつ、それが脱漏しておったということで、鯨岡委員の御指摘の、今回の一月二十一日の起訴の前に、四十七年以降の所得につきまして四回にわたって起訴をしておりまして、単にただいま御指摘の一億九千万円だけではないということでございますから、おかしくはないわけでございます。
○鯨岡委員 じゃ、なぜこういう中間報告のところに一億何ぼと、これだけ書いてあるのですか。
○安原政府委員 先ほどの御報告に申し上げましたように、引用いたしました十月十五日の前回の中間報告においてその点には触れておりますので、重ねて申し上げなかったわけでございます。
○鯨岡委員 五ページの最後のところに「十七億円に関しては、その留保状況及び使途関係につき、一部不明な点があるものの、」というのですが、私の感じでは、何だか大分不明な点が多い、一部わかったというふうにむしろ考えるのですが、この「一部」という意味は、どういう意味ですか。もうほとんどわかったという意味ですか。
○安原政府委員 「一部」という語感から出てまいりますことは、大部分はわかっておるということでございます。
○鯨岡委員 それでは、大部分わかっていることはこれから後の——きょうという意味じゃありませんが、後の委員会で安原さんにお尋ねしたいと思います。 それでは六ページに参りまして、三行目の一番末尾の方に「いわゆるPXLの選定問題を含め、去る一月二十一日までに処理を終えた以外に犯罪の容疑を認めるべき資料は得られなかった。しかしながら、東京地検としては、なお捜査本部を存続しており、今後、ロッキード事件についての国会の国政調査等事態の推移に関心を払うことはもとより、」これは先ほど法務大臣の言われたことですが、「国会の国政調査等事態の推移」というのですから、地検は国会の国政調査に何か期待しているのですか。期待しているとすれば、何を期待しているのでしょう。
○安原政府委員 いつかも小林委員からも御指摘のように、検察の捜査は国会追随型だということを申されましたが、ある意味においては国会における国政調査の結果に情報を得て捜査をしたことも事実でございまして、そういう意味におきまして、先ほど来、一部未解明の部分もあることを含めまして、なお捜査本部を存続しておるということは、国会の国政調査の内容ということについても検察当局としては重大な関心を払い、その中に犯罪捜査の端緒を得られるならば犯罪の捜査に着手することもあり得るということを、代表的な例として、国会の調査状況に関心を払うと申し上げた次第でございます。
○鯨岡委員 安原さん、そうすると、あなたのお話は、わかりやすく言えば、この委員会——ここばかりじゃないでしょうが、ここで、国会で調査している、国政調査権に基づいてわれわれがやっていることは、検察としては重要な参考になることが過去にもしばしばあったし、これからもあるだろうから、それらを見て、という意味ですか。
○安原政府委員 国会の国政調査、特に当委員会のなさっておりますことは道義的、政治的責任の追及ということでございまして、私どもの捜査のために国会が国政調査をなさっているとは理解しておりませんけれども、その調査の内容いかんによっては捜査権を担当する検察当局として非常に参考になる情報等も得られるという意味において、期待というよりは、注視をしておるわけでございます。
○鯨岡委員 福田法務大臣、ずいぶんあれですが、われわれがこれからこの期待にこたえることを福田法務大臣は期待なさいますか。
○福田(一)国務大臣 その件についてはただいま刑事局長がお答えをしたとおりでございます。私もそのように理解しております。
○鯨岡委員 それでは申し上げますが、これから十分に期待にこたえて活躍したいと思います。 法務大臣、先ほども理事会で言うたのですが、私は今度初めてこの委員会に入れていただいたのです。したがいまして、なかなか過去のこともよくわかってないのです。そして私は、いま申し上げましたように、国民がこの問題はどういうことだったんだ——われわれは別に犯人をつかまえるのじゃないですからね、刑事じゃないですから、そんなことはできないです。ただ、この事件はどういう事件だったんだということがよくわからないと、再び起こらないようにするためにはどうしたらいいかということがわかりませんから。問題は心がけの問題だと思いますよ。どんな法律をつくったって、心がけがよくなければ、心がけを直さなければだめだと思います。それでは心がけだけでいいかというと、そうもいかないから、法務大臣も、この報告の中にいろいろ末尾に言っておられるように、いろいろなことをこれから考えていかなければならぬが、その場合に、事態がどういうことで起こってきたのかということがわからないと処方せんが書けない、診断がうまくいかないと。間違った診断で処方せんを書いたら、ろくな処方せんはできない。その意味で、ここの委員会は別に政府が出した法案があったり、いまのところは議員提出の法案があったりしてその法案を審議するのじゃないのだから、ほかの委員会とその意味で違うということで、後で申しますが、これは国会が、この問題は大事だ、大変だ、解明しなければならぬ、こういうふうに言ったけれども、それから後に、政府はどうもこれに対して十分じゃないと言って議長裁定でもって遺憾の意を表明して、そこでこの委員会をつくろうということになったのですから、そこで、これからいろいろやっていく上において、時間がもったいないのですが、基本のことですから、法務大臣に御所見を承りたいのです。 法務省というのは何をするところですか。それからまたついでに、法務大臣というものはどういうお役目ですか。
○福田(一)国務大臣 行政府の、いわゆる内閣の一員といたしまして、法律で決まっておりますが、御案内のように、法務省設置法というのがございます。その法務省設置法で認めておるところに従って行政部門を担当していくというのが法務大臣の責務であると考えております。 しかし、それでは余りあれでありますから、もう少し御質問の趣旨を広義に解釈するというか、どういうことをするのかという御質問として答弁をさしていただければ、法務大臣というのは、これはやはり国会議員でございます。日本におきましては国会議員がなることに一応なっておる。特に、私はいま国会議員でございます。もちろん、これは民間の人がなって悪いということではございません。大体、今度の場合においても私は民間人を任命した方がよほど国民から見て疑惑を招かないで済んだと思うので、そうあった方がいいということは就任当初にも私は言ったのでありますけれども、しかし、やれということであればこれはお引き受けするのは当然でありますから、お引き受けをいたしたわけでありますが、とにかく国会議員でございます。そして同時に、また行政府の一員でもありますが、しかし、法務省の仕事というのは司法、行政、立法というこの三権のうちで司法とは密接に関連しているものでございます。それはあなたも御承知だと思うのでありますが、三権分立の立場から考えまして、法務省が所掌しております検察事務というのは、これはもうあなたの方がおわかりで、こんなことを申し上げると失礼かもしれませんが、司法に隣接する領域のものでありますが、司法それ自体は最高裁判所を頂点とする裁判所の専権に属するものであることはこれまた明瞭であります。法務大臣がいささかでもこれに介入することは、三権分立のたてまえ上許されないところであります。これはもう明瞭でございます。 そこで、法務大臣が国会議員でありますから、議員の職務も行っておりますが、法務大臣としての行動は、先ほど申し上げたような法律の趣旨に従いまして、内閣の構成員として、また法務省の長として、三権のうち行政の担当者としての職務を遂行する任務がある、このように私は理解をいたしております。
○鯨岡委員 三権分立の話が出てまいりましたので、その点についても私が多年疑問に思っていることで、この委員会を遂行する上において必要だと思いますので、時間がもったいないのですけれども、法務大臣の御所念を承りたいと思います。 三権分立と一口に言いますけれども、その意味するところはわかったようでわからない。立法、行政、司法がダブっている。私自身はまさに立法機関の一員として国民から選ばれてきている。役人は、安原さんは行政であり、たとえばここに通産大臣がいれば、立法機関の一員として選ばれてきているその人が行政の長である。法務大臣はその上に、いまお話しのように、司法にも足を突っ込んでいる。よく総理大臣も大臣方も、そのことは国会マターのことでありますから何とぞ国会においてお考えくださいというようなことを言うて、国会のことには内政干渉しないという態度をとられることがあるのですが、それは果たして正しい態度であろうかどうであろうか。互いに人の職分まで侵していいというふうには私、考えませんが、これは完全に分離されているわけじゃないですから。どんなふうにお考えになりますか。
○福田(一)国務大臣 それは先ほどもちょっと申し上げたつもりでございますが、三権分立というそのたてまえは憲法によってちゃんと保障されておるわけであります、しかし、いま仰せになったように、先ほど私も言いましたが、私も議員でございます。しかも法務大臣という行政府の一員として法務を担当しておる。その法務大臣というものの仕事は何であるかと言えば、法律によって認められた仕事を遂行するということであって、それは法務省設置法というのがそれを規定いたしておるわけでございます。その範囲で仕事をいたしておる。 しかし、それではそれが最高裁判所と全然関係がないかと言いますと、裁判所との関係は、裁判所関係の法律というものを国会に提出せねばならない場合がございます。たとえば人員の問題であるとかその他の問題がございます。そういうことにつきましては法務省がこれを代行してやっておる。これもちゃんと規定があってやっておるのでありますが、そういうふうに、確かにお説のとおり、立法、司法、行政のうちで主として行政を担当するのであるけれども、しかし、議員である意味においては立法府の一員であり、また先ほど申し上げたような意味では最高裁とも、非常に細い線ではございます——細い線と言うと失礼というか間違いかもしれませんが、そういうような法律を出すような場合には法務省が担当する、こういうことでつながっておるのであります。 しかし、いやしくも裁判自体に関しては法務省は、独立の権限を持っておる裁判所の権限に対して何ら容喙をするというようなことはいたしません。しかし、そう言うと、それじゃ一体検察が裁判所に出て、いわゆる原告としてやっておるのはどういうことになるかということになれば、検察というのは犯罪を捜査して、そしてこれを起訴する、あるいは無罪とするというような判断をする重要な責務を持っておりますから、起訴をした場合においては、起訴をした事実について公判を維持するという重大な関連を検察が持っておるということは事実であります。 いずれにしても、そういうふうに、いまあなたが御指摘になったように、法務省は別としても、少なくとも法務大臣は議員であり、いまの私は議員であります。そしてまた法務行政を行わねばならない。また最高裁判所にも何がしかの先ほど申し上げたような関係があるということも事実でございます。
○鯨岡委員 法務大臣、今後この問題を究明していくときに、司法は別ですが、大臣はわれわれの先輩ですから、立法機関として長い間御指導いただいていたわけですから、それは鯨岡君、国会のマターだから君の方で考えたまえというようなことを言われたくない、また言わないでもいい立場だと私はいま大臣のお話を聞いて承った。それは国会の問題ですからというようなことをよく言われることに私は疑問を持つから申し上げたのですが、これはお願いしておきます。 そこで、憲法四十一条では、言うまでもなく「國會は、國權の最高機関であって、國の唯一の立法機關である。」と定めている。六十五条では「行政権は、内閣に属する。」とだけ書いてある。「内閣は、行政権の行使について、國會に對し連帯して責任を負ふ。」と六十六条で書いて、司法権については最高裁判所や下級裁判所に司法権は属すると書いてある。国会は国権の最高機関だということになっておる。その最高機関である国会が何かやろうとすると、しばしば政府の守秘義務というのにぶつかって、最高機関である国会の国政調査権はしばしば渋滞する。この件について法務大臣、どういうふうにお考えになりますか。
○福田(一)国務大臣 社会の事情というものは非常に複雑でございます。そこで、立法府の仕事というのは主として——主としてといいますか、立法府におきましては、少なくとも自由社会をたてまえとする憲法のもとにおいては、個人の権限を制限したりあるいはまた政府のやる仕事の内容を規制する、こういうことが法律によって決められるのだと思うのでございます。その場合に、その法律と法律の間においてこれがいささかダブるといいますか、相関関係が起きることがあり得るわけでありまして、それを抜きにして全部きちっと割り切って法律をつくるということは、すべての法律について行うことはかなりむずかしいじゃないかと思っておる。ただいまあなたの御指摘にあったような守秘義務の問題等々については法律でこれが規定されておるわけでございます。 そこで、行政府の立場から言えば、法律で認められたところをそのまま実行していくということが行政府の責務でございまして、法律以外のことをやってはいけないわけであります。したがってまた、自由主義国家、自由主義という立場から言えば、法律において認められておる行為なら何でもできるし、また法律で禁止されておらない行為なら、それは道義的、政治的な問題は別としても、やるとすぐこれが犯罪になるというものではないということも御理解できると思うのでございまして、これは必要があれば、国会がこの問題について審議をされ、そしてそれを決定されていくのは憲法のたてまえであると私は思っておるのであります。したがって、われわれは法律に基づいてすべてやっていく、そのことは大事なことであると考えておるわけでございます。
○鯨岡委員 きょうは皮切りですから、私はこれからの審議の土台を築くつもりでお尋ねしているのですが、法律のお話が出てまいりましたから重ねて私は申し上げるのですが、われわれは、先ほど申し上げましたように、憲法で規定されている唯一の立法機関、しかし、私は法律の勉強したことない。弁護士出身の方なんかもおられるでしょうが、あらかたは法律勉強してない。そういう素人が集まって、このロッキード委員会だってそうですか、国会全体そうです、そして法律をつくる。素人によって構成されている立法機関、その法律というものは、大臣、私は常識でいいんじゃないかと思う。いいことはいい、悪いことは悪い。国民は法律なんというものを詳しく知りませんよ、そんなもの。六法全書なんか片手にして生活している者はいないのだ。法律で許されていることならば何でもいいのだというように言われた。それには私、異論ないのですが、ちょっと時間がもったいないですが、このごろ鬼頭さんという人が、あれは特別なことをやりますね。あれは法律に違反していないのだそうですか、私はそういうことであってはいけないので、法律の基本というものは、もっとわかりやすくて、いいことはいい、悪いことは悪い、そういうようなものでなかったならば、善良な市民は安心して生活できていかない。法律の解釈もまたしかり、そういうふうに思うのですが、大臣、この考え方は違っているか違っていないか、ひとつ御批判を願いたいと思う。
○福田(一)国務大臣 私も同様に考えております。
○鯨岡委員 それでは、さらに話を進めて、どうも、同様に考えていると言うけれども、みんな法律に即していろいろやっているのでしょうが、いま丸紅、全日空などの方の公判が行われている。冒頭陳述では、これまた法律に基づいてちゃんと証拠があったり自白をしたりというようなことで、あれが積み重ねられたものだと思います。あなた、お金もらっています、こういう形でもらっていますと、あれほど詳細に言うのですが、全然そんなことはうそです、違います、こうやってやっている。社会的な地位が相当あった人が涙を流しながら違うと言っているのですから、これは私は信用したくなるような気持ちもないわけじゃない。ないわけじゃないが、国民はますますわからなくなってくる。私のように選ばれて立法機関の一員である者が全然わからない。どっちが本当なんだろう。これは裁判によって明らかになる。これから重要なことです。これは裁判によっていずれ明らかになるでしょう。 ところが、裁判にかかってないので、国会の要請に基づいて政府が、この人たちはお金もらいました、けれども時効だとか職務権限がないとかという意味で起訴になっていません、起訴できません。これは裁判ないです。その人ももらってないとこう言う。これはやはり、冒頭申しましたように、この事件というのはどういう事件だったのかということが明らかにならないと処方せんが書けないという立場をとっているわれわれとしては、どうしてもこれは明らかにしていかなければならないと思いますが、その間に国政調査に当たって、法務大臣、あなた自身もしくはあなたが率いる法務省は、どういう協力をわれわれにしていただけますか。
○福田(一)国務大臣 私は自由主義の国家におきましては、できるだけ法律に基づいて自由が制限されないのがいいことだと思っておるのです。自由が制限されない。 そこで、疑わしい問題があったからといって検察が取り調べをしたりなどいたしましても、それを一々報告をすると、御案内のように、法務省には人権擁護局というようなものもございます。人権の問題というものも、これは非常に大事なことなんです。今度のロッキードの問題については、それに関係したものは一切全部出せという国民感情があることも私はよくわかります。しかし、そういうことで一つ法の網を破りますというと、今度はどうしても守ってあげなければならないような人の人権も擁護できなくなる可能性もないとは言えません。そこいらが非常に問題があるところでございまして、したがって、法律でもって罪があるという人については、これは私は法務省としても検察としても明らかにするということは当然だと思うのでありますけれども、いよいよ取り調べてみたけれどもはっきりしないというようなものについて、そしてこれは罪とは断定できないというものについては明らかにしないということの方が、将来、たとえば権力を持った者が独裁政治をやるというようなこと、いわゆる昔のような、おい、こら警察みたいなことが行われないようにするには、ちゃんと法律でもって限界をはっきりして、その範囲において限界を守って処理をしていくということが非常に大事である。 この問題、実はあなたのおっしゃるように、私らも——私らもと言うのはおかしいが、私も法務大臣ですが、冒頭陳述も一応読みましたし、また、これに対する反対の被告側の意見の開陳等も読んでいますけれども、なかなかあれは複雑でございます。こういうのは、やはりマスコミの方たちにお願いしたいのでありますが、なるべくみんなにわかりやすいようにひとつ解説をしていただく。こういうことだということで、わかりやすく報道をしていただけることを私は希望するというか、お願いをしたいと思っておるのでありますが、いずれにしても、この裁判の過程においてそういうことが、いまあなたのおっしゃったように、なるべくみんなにわかりやすく出ることがいいことだと思っておるのでございます。そういう意味合いにおいて、あなたが御疑問を抱き、そして一般人の気持ちを代表して御質問をいただいた気持ちは十分に理解をいたしておるつもりでございます。
○鯨岡委員 失礼ですが、私のお尋ねしたことに対して法務大臣必ずしも十分にお答えいただいたと思っていない。私は、やはり人権を守らなければならぬということは、法務大臣と同じように考えておりますし、法務大臣はなおさらだと思います。そして、それは正しいと思います。調べたものをみんな見せろと言っても、それは見せられるものじゃない。その間には人権を侵すということになるおそれがありますから、私はそれをやってくださいと言ってはいないのです。それは、私の方はむしろ守ってください、立法機関で法律つくる方ですから。ただ、私がお尋ねしたいのは、これは読み上げるまでもないですが、五十一年二月二十三日、国会が全会一致をもって、この事件は大変な事件で、「国民感情に与えた影響は甚大であり、その真相の解明は徹底的かつ迅速になされなければならない。」「政府においても、右の趣旨を体し、……解明のため万全の措置を講ずべきである。」と言ったのにかかわらず、政府がちょっともたもたしていたと見えて、その後四月二十一日には「ロッキード問題に関する国会の決議の重要性にかんがみ、政府の措置は不充分であり、遺憾である。」そして「国会は、ロッキード問題に関する調査特別委員会を設置する。」こう決まって、この国会でロッキード委員会ができて、また今度の国会でも、まだ解明されていないからといって、この委員会ができているわけ。そして、過去をさかのぼって考えてみれば、この問題については政治的道義的責任の追及に当たる国会としてはぜひ知らなければならぬ、これを言うてください、こう言うて、そして、これはどちらというのですか、とにかく法務大臣の方からこういうことですという最小限のことを言われた。私はそれは最小限でいいと思う。それ以上のことをべらべら言わなくてもいいと思う。いいと思うけれども、そのことは、それに当たった人の意見は違う。政府の言っていることは違うと言っている。全然私は関係ありません、知らないと言っている。その人たちはどこで弁明しますか。弁明のしょうがない。裁判ならばいずれ明らかになるからいいけれども、裁判やっていないのですから、どこでも明らかにならない。われわれはわれわれの同僚のためにこの委員会で明らかにしていかなければならぬ。その明らかにしていく過程において、法務大臣、あなたの方ではどういう御協力がいただけますか、こういうことです。それを承っている。
○安原政府委員 その協力の方法といたしまして、前国会以来しばしばお願いいたしておりまするように、政治的道義的責任とは何かということを国会でお決めになった場合におきましては、その政治的道義的責任の範疇に属すると考えられることで検察当局、法務当局が知っていることにつきましては御協力を申し上げて資料を提出いたしましょう、ただし、これは先ほど大臣の申されましたように、裁判のように確定した事柄ではないわけであるから、また検察は犯罪にならない者についてその道義的責任を明らかにする職能を持っていないものでもあるから、またそして刑事訴訟法で公判開廷前に捜査に関する書類を公にしてはならないと禁ぜられていることでもあるから、秘密会でその資料を出しましょう。あくまでも秘密は守っていただきたいということで秘密会にその資料を出したわけでありまするが、それがどういうわけか公にされたということは、はなはだ私どもとしては遺憾に考えておることでありまして、秘密会に提出するという限度において協力をしたという実績があるわけであります。したがって、どういうものが道義的責任があるのかということをお決めになれば、それに当たると思われる者について知っているものは提供しましょう、ただし、その性質上、公にするわけにはまいりませんので秘密会でお願いしたいということで、前国会の十一月二日に秘密会にそれを提供したというのが、われわれの協力し得る最大限の協力の仕方でございます。
○鯨岡委員 安原さん、それは違う。これは真剣な問題なのよ。安原さんの言ったことはもう過ぎちゃったことなのよ。そして安原さんの言ったことで、後先になるけれども、秘密会にしてくださいとあなたの方で要求をされた。そこで秘密会になった。それが漏れたということは、これはまことに遺憾だと私も思います。そして、そういうことでないようにこれからするためにはどうしたらいいかということについても、委員長におかれてはひとつお考えを願いたい。われわれも考えていかなければならないと思いますが、それとこれとは別なのよ。あのときに、政治的道義的責任のある、俗にいわゆる灰色というのはどういうのだ、国会でもって意見をお決めなさいと言ったけれども、それはついに各政党間において合意がなされなかった。なされないので、委員長が、あなた方の言ういわゆるこれこれ、これこれに当たるものを政治的道義的責任のある者と解釈いたしますからそれを言うてください、そして、それなら言いましょうというので、秘密会になって言うたのよ。私の言うのは、これからのことなんです。いままでのことはいいの。その人たちは、そうじゃない、それは違っている、こう言う。もらってないと言う。私が問題にしたいのは、もらっているかもらっていないかということは重大な問題であります。国民環視の的です。もらっているかもらってないかは、裁判さえやっていればいずれは明らかになる。もらってなければもらってないでもって、検察というのはとんでもないことだということになる。けれども、裁判をやってないのだから、どこで明らかにしますか。もし私だったら、これはいても立ってもいられないよ。冗談じゃない。あの何か教授の奥さんを殺したという人は、二十八年かかって自分の冤罪を証明している。いても立ってもいられませんよ、それは。 そこで、それを明らかにするのにはどこでやったらいいかというと、私の判断では、ここでやるしかない。そこで、これから当然その問題が出てくると私は思う。そのときにどういう御協力がいただけますかということを聞いている。
○安原政府委員 検察は刑事責任のあると考える者につきましては、これは公判請求という形で、自分の証拠を提出して裁判所に判断を求めるのであります。そういうことが検察の仕事でございまして、道義的責任の追及をする原告官ではないのでございます。したがいまして、あくまでも道義的責任を追及する原告官は、道義的責任を追及することを任務として調査されておる当委員会であり、かつ、裁判所もまた当委員会である。したが気それが白か黒かということは、あくまでも当委員会が御判断をなさることであると私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、検察の言ったことが判決であるというふうに御理解になるということはまことに迷惑な話でございまして、あくまでも資料を提供して、これが白か黒かは委員会が判断されることで、その委員会に出される資料を秘密扱いならば出しますというのが私どもの立場であります。
○鯨岡委員 わかりました。それでは、これからここでその問題が究明されるときには、ひとつできるだけの御協力をお願いすることにいたします。 この問題で時間をとりますと困りますから、途中でちょっと……。運輸省、来ていますか。航空局長さんはどなた。——高橋さん、一言でいいのです、私があなたにお聞きしたいことは。 速記録を全部読んでみました。それから例の冒陳も全部、何回も読んでみました。そして、これからも間違いのないように、間違ったら申しわけないですから、何回もこれからもひとつ読んでみたいと思いますが、五十一年、去年の六月から七月、八月ごろにかけて集中的にわれわれの先輩、同僚があなた方にも聞いている。それは例の航空行政指導の関係、大型機導入のこと、トライスター採用の件などなど、いろいろ聞いている。ところが、高橋さん、局次長の松本さん、監理部長の山元さんとおっしゃるのか、それから監理部監督課長の小林さん、それからいま次官になっておられる中村さんですね、そういう方々がいろいろお答えになっておられるのですが、そのお答えと冒頭陳述に書いてあることとの間に、きょうは問題にしませんが、幾つかの食い違いがある。これを問題にしてしまうとちょっと大変なので、あなたの方でもうお気づきでしょうから、その重要な食い違いの二、三点について、どうしてそういう食い違いがあるのか。あなた方が言ったことが正しいのか、冒陳に言っているのはどうも、それを批判するのがどうなのか知れませんが、あなた方のかつて言ったことが正しいか正しくないか、思い違いであったか、二、三の例を挙げて、これは言った人から聞きたいのだけれども、あなたがいま責任者ですから、あなたから承っておきたいと思います。
○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。 私は昨年の六月に着任いたしまして、事件の発端の二月から六月まではいま次官をしております中村大造が航空局長をしておりました。私は六月から担当をしたわけでございますが、その間、二月以来昨年の夏に至るまで、運輸省といたしましては、当時の運輸省の関係者、それからすでに退職しているわれわれの運輸省の先輩、こういう人たちに(鯨岡委員「時間がないからその点はいい、食い違いがあるかないかだけ言ってくれればいい」と呼ぶ)わかりました。再三調べまして、それで行政機関として調べ得る限度まで調べた結果を御答弁したわけでございます。 そして私は、先日、冒頭陳述を読みました。詰みましたところが、私たちが昨年の国会で答弁してきたことと食い違っていることが書いてあります。私は非常に意外でございましたということでございます。
○鯨岡委員 一、二の例を挙げてください。
○高橋(寿)政府委員 失礼しました。 一、二とおっしゃいましたんでございますが、一番大きなことを一つ。あとのことはささいな文章の表現等でございますが、一番大きな問題は、四十六年二月に大型機の導入を二年間延期したといういわゆる行政指導問題。この行政指導問題について私どもの調べたところによる答弁では、運輸省事務当局が独自で判断をして指導を開始した、こういうふうに答弁してございます。ところが、冒頭陳述では、当時の橋本運輸大臣からの御指示があって、事務次官等に御指示がありまして、その線によってきっかけがつくられたというふうに書かれておる点が一番大きな食い違いでございます。あとの点は、たとえば機種導入のことに関しまして、当時の田中総理に若狭氏がアプローチしたとかしないとかいうことはございますけれども、一番大きな問題はいまの行政指導の経緯でございます。(鯨岡委員「それは発言はだれ」と呼ぶ)これは運輸大臣が全部一括して答弁しております。木村運輸大臣の……(鯨岡委員「答弁ですね、そうですね」と呼ぶ)はい。正式に文章にいたしまして、昨年ロッキード委員会にお出ししております。
○鯨岡委員 それは後で問題にいたします。 それから……
○福田(一)国務大臣 先ほどのいわゆる灰色高官名を公表するかどうかという問題が出たわけでありますが、私は、前回、法務省は、これは絶対に明らかにされない、外へ出ないということを、また出る場合には、どういうことであるかというようなことがよく審議された上でどうしても出さねばならないという決定があったとしても、その場合は、法務省へは出さないという約束をして、そうして法務省の方は出したんでありますから、それを出されましたから、今後そういうものを出せと言われても、法務省としては、私は出す意思はございません。これははっきり明言しておきます。(「そんな答弁はだめだ」と呼び、その他発言する者あり)私は法務省の責任者であります。責任者の言うことは、これが法務省の見解であります。(発言する者あり)
○原委員長 これは後刻理事会を開きまして御相談に応じます。
○鯨岡委員 これはいよいよ重大問題になってきたのに、時間がないのでまことに残念ですが、そこで、私が先ほど国権の最高機関としての国会、それと政府の守秘義務との関係、国政調査権と守秘義務との関係について申し上げたのはそれなんです。ですから、それじゃ国権の最高機関としての国会の国政調査というものは、あらゆる場面においてそういうことでもって支障を来して、目的を達せないのじゃないかなと思うから申し上げたので、これは委員長の御裁断によって後で理事会でおやりになるそうですから——ちょっと待って、ちょっと待って。私の質問だから私に始末させてください。(発言する者あり)質問を続行します。さっきの件は重大問題ですから、理事会でお諮り願いたいと思います。 時間がありませんから、あと二問だけ。 大臣、いろいろ法律を準備しておられるやに新聞では書いてありましたが、何か一番重い刑をもっと重くするというようなことだけでいいでしょうか。私は賄賂推定というようなこともしていかないと、新聞に伝えられるところだけですが、方法は、延ばすということだけではいけないと思うのですが、その点について簡単にひとつ。大臣、どんなことを考えておられるか、再発防止について。——これは刑事局長の答えることじゃないんじゃないかな。大臣のお答えになることじゃないかな。
○福田(一)国務大臣 今度のロッキード事件が起きまして、そして取り調べをやっております過程におきまして、時効の問題等が非常に大きくなりました。そしてまた、いわゆる収賄側の方は、これは重く罰すべきであるというのが本来の、従来の刑法の規定でございます。そこで、収賄の刑はさしあたり重くする。そうすると時効も長くなりますので、今回の事犯にかんがみてこの刑法の一部の改正を行う、こういうことでございます。 そこで、この機会にもう一度、先ほど私が言ったことにいろいろ御異論もありますが、理事会に出て私の意見を聞いていただくのもまた一つでありますけれども、この機会に申し述べさせていただきたいと思います。 それはどういう意味かといいますと、確かに国会においては、とにかくできるだけこの問題の究明について、道義的、政治的責任について協力をしろ、こういう決議がございました。そこで、これは決議の問題と法律の問題との実は議論になるわけだと思うのでございます。私は、決議というものは法律に優先するべきものであるかどうか、非常に問題だと思っておるのであります。私たちは法律の認められる範囲においてこの法務省の仕事をし、検察の仕事をいたしておるわけであります。 そこで、決議がおありになりましたが、もし必要とあれば、そういうものは当然公表しなければならないというふうに法律を改正されれば、これは問題ございませんが、法律においてはそういうことはしないことに決まっておるのでございます。しかし、法律においてそういうことは決まっておるけれども、せっかくのこの院のお話であり、最高機関のお話でございますから、法律がなくてもこの秘密が保てるならば出しましょうというので、一部出したように聞いております。ところが、その名前が直ちに公表をされてしまった、明らかになってしまったということでは、これは法律といわゆる院の申し合わせとの間に非常に問題があると私は思うのであります。 法律というものは、やはり法律をわれわれは守るのが義務でございます。しかし、それだけの譲歩をして出したのがすぐ公表されるようなことでは、われわれとしてはこれは今後は出すことは非常に困難である、こういうふうに私は理解をしておるということを申し上げたのであります。
○鯨岡委員 この発言で私の質問を終わります。 法務大臣、私は、いまの法務大臣のお話は、ここでもって本当に長い時間かけてお話し合いをしなければならないほど重大な問題だと思います。特に、私が自分の考えを、失礼ですが、申し上げますと、私は国民から信頼されていない政治は何をやってもだめだと思います。それは、よけいなことを言うようですが、いま、この減税がいいか公共投資がいいかというような問題があります。これは大問題です。しかし、これはやり直してもやり直しがきくのですよ。ところが、国民から信用を失えば、公共投資もだめなら減税もだめなんです。この事件で国民は政治家を信頼していない度合いが深まってきている。だから、私のことを自民党で何かこう危ないぞなんて言っている人がいるそうだけれども、何と言われようと、この事件を解明しなければ、そして失われた政治の信用を取り戻さなければ、われわれは政治家としてやっていけないという気持ちでやっているのです。一だから、国会の決議といえば、与野党が一致して決議しなければできないのですから、法律は過半数でもできるのです。それはなるほど大臣の言われることの方が法律的には正しいかもしれぬけれども、この際は、できるだけのことを、人権をきわめて重視しながら——だって安原さん、もらってないという人がもらったというふうに言われたら、これは人権じゅうりんですよ。私だったら、もう生きてられないよ。だから、その点をはっきりするということに対しては、ぜひ今後御協力をいただけるように心からお願いを申し上げて、質問を終わります。
○原委員長 午前中の質議はこれをもって終了して、直ちに理事会を開催いたします。 午後は本会議終了後開会することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ————◇—————