予算委員会 第2号
- 発言数
- 513 件
- 登壇者
- 39 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1976/10/05
会議録
○委員長(八木一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。 この際、委員長から申し上げます。 昨日の委員会で質疑順位を決定し、これを進めてまいりましたが、その後、理事会で協議の結果、審査の都合上、今回に限り、先例としないこととして、お手元に配付いたしました質疑通告表のとおり変更することで意見が一致いたしましたので、さよう取り計らいたいと存じます。御了承をお願いいたします。 —————————————
○委員長(八木一郎君) それでは、昨日に引き続き、質疑を行います。小平芳平君。
○小平芳平君 最初に総理に伺いますが、ロッキード事件につきまして、いわゆる灰色高官の発表について総理は姿勢が後退したと、こういうふうに報道されております。また、本会議等で再三総理の答弁は聞いてまいりましたが、ごく簡単に、灰色高官名公表について、これこれの方針であるというふうに御答弁をいただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) しばしば申しておるように、いささかも私のロッキードの徹底究明に対する姿勢は後退をしておりません。 それから、いわゆる灰色高官につきましては、灰色高官というのは、結局は刑事上の責任はないけれども、政治道義上の責任の調査ということの場合に必要が起こってくる問題だと思いますから、それは四月の二十一日、両院の議長裁定に従って、そしてそのいわゆる灰色高官名と言われておるような、こういう人たちの具体的な氏名などについても、国会でその範囲というものをお決めになれば、これを提出をして国政調査権に最善の協力をする考えでございます。
○小平芳平君 四月三日に総理は記者会見で、刑事訴訟法四十七条ただし書きをわざわざ引用して、政府が決定し発表すると、こういうような趣旨の発言をしておられますか。
○国務大臣(三木武夫君) 四十七条に対して四月三日の記者会見のことを御指摘になっているんだと思うのですが、四十七条について質問があったのに対して私は、私の答え、「刑事訴訟法四七条に不起訴の時も氏名や内容を公にすることは、公益上相当と認められる場合、その限りではないというただし書きがある。その限りでは公表の……」、いまの初めから言います。「刑事訴訟法四七条に不起訴の時も氏名や内容を公にすることは、公益上相当と認められる場合、その限りではないというただし書きがある。その限りでは公表の道をすべてふさいでいるとは思っていない。しかし、この段階で断定的な発言は捜査に影響を与えるので発言は避けたい。」、これが私の答えですから、何も政府がどうこうするということをこの場合に発言したのではない。ただしかし、私はこういうふうに小平君、考えておったんです。捜査が全部終了したときには、そうしたならば捜査当局からロッキード事件の捜査の全容について報告を受けると、そしてその場合に、その報告を受ければ、これだけ国民が疑惑を持った事件でございますので、真相はこういうものでございましたということを総理大臣の責任と判断によって公表したいという考え方は持っておりました。ただしかし、まだ児玉の線が本人の病気とか、福田太郎氏の死去とか、いろいろ障害がありまして非常に捜査の進展がおくれておりますから、私が予定したよりもおくれたわけですね。それで、捜査が終了した段階というわけにはまいりませんので、捜査の途中ではございますが、まあ十五日ごろ——十五日までには稻葉法務大臣が中間報告をいたしたいと、こう言っておるわけです。これは全部終了していないのに途中でもいろいろこの報告をして、しかもその報告によって政治道義上の責任追及をなさる場合においてもいろいろ参考になる点もあると思って報告をいたしたいと、こういう考えでございました。最初は、そういう考え方を持っておったことは事実でございます。
○小平芳平君 したがって、最初、四十七条ただし書きを引用して総理が記者会見でお話しなさったその段階では、国会において要請があればとか、国会において各党一致して範囲を決めたならば協力しますとか、そういうことは考えの中になかったと、こういうことでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 四十七条は、あのときに記者団から質問がありましたので、四十七条というものの法的な解釈はこうだと考えておるということでございまして、政府がどうこうするという意図はあの中の発言にはないわけです。ただしかし、そういうことがあったからというのでなくして、これだけいろんな国民的関心を持った事件、しかもやはり国際的にもまたがっておる事件でございましたから、この全容というものに対しては、真相はこういうものでしたと、いろいろうわさとか、そういう揣摩憶測によっていろんな人権上の被害を受けておる人もおりますから、真相はこういうものだということを御報告することが総理大臣としてやはり必要であろうと、こう考えておりましたから、すべて終わった段階ではやろうという気はあったわけです。そのことを意識して四十七条を言ったわけではないわけでございます。ただしかし、その後、事態は御承知のように四月二十一日、両院議長裁定、そのときは党首会談を伴っておる、きわめて重みのある会議でございます。そういう中で、政治道義的な責任の調査は国会でこれをやると、こういう前提のもとに、事件の推移を見て、刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえて政府は国会の国政調査に対して最善の協力をするようにということに対して、私は同意して、四月二十一日からはそういう事態として、いまここへ来ておるわけでございますから、その議長裁定というものも今後の運ばし方に一つの大きな影響を与えたことは事実でございます。
○小平芳平君 私がいまお尋ねしている点は、議長裁定についてではありません。私がお尋ねしている点は、総理はロッキード事件は徹底的に究明しますというふうに初めから発言されておられます。そういうことは、この四月三日の記者会見も一つの段階であって、初めからこのロッキード事件については刑事捜査は刑事捜査で徹底して進めるとともに、政治的、道義的責任についても国会は国会で追及いたしましょう。しかし、総理としても、政府としてできる限りのそういう問題について公表もするし、究明もしたいと、こういう考えがあって取り組んだんではありませんかと、こう言っているわけです。
○国務大臣(三木武夫君) 議員の一つの規律に関するような問題を国会の場でこれはいろいろ調査をされることは好ましい、議長裁定を私は妥当だと思います。政府が政治道義的な責任を、行政府が検察の調査をもとにしていろいろとこれに対して政府の判断を示すことは、どうもいろいろな弊害が伴いますね、それは。政府自身はやっぱり、何か一つの政府という立場にあって、政治道義上の責任の仕分けを政府がするということは私は適当だと思わない。政府がやることは、やはり国政調査権に対して最善の協力をする、このことはいいと思います。ところが、政府自身も政治道義上というのはやっぱり責任を持っているわけです、行政というものの範囲内においては。そういう見地から、どういうところに行政のやり方というものに改革をしなければならぬ点があるかと、こういうような点で政治道義上の責任というものを政府は政府としてやる面が私はいろいろあり得ると思うんです。そのことは、すでに着手しているものもございますし、これから手順を検討をしたいという問題点もあるわけでございます。
○小平芳平君 何かきわめてはっきりしなくなりましたが、政治的、道義的責任の究明は国会はやると。政府はそれをやらないんですか、やるんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 政府は政府自身として、この問題は政府自身としても、たとえば行政という大きな責任を持っておるわけですから、そういう面においてはこういういままでのやり方に対して反省を加えたり、改革を加えたり、こういうことは大いにやらなければならぬと考えております。
○小平芳平君 もう一回恐縮ですが、政府は何をやるんですか、具体的に例を挙げてお答えいただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 一つは、やはり刑事上の責任を追及するについても、事はアメリカから発覚したんですから、アメリカの資料というものは捜査上に大変有力な参考になることは事実ですね。そのために政府としての行動は、国会の決議を受けてではございますが、フォード大統領に対する親書、それから始まって、司法共助といいますか、実務者間の一つの取り決め、政府が結んで、その結果資料が来ることになったんですね。これはやっぱり責任を追及する上において非常な参考になったことは事実ですね。それからまた、その間は政府は指揮権を発動するようなことはしないと、検察を信頼してひとつ徹底的に厳正に法規に照らして追及してもらいたいと。こういう刑事上の責任を追及するに対しても、政府のやはりその意図というものは前から明らかにしておるわけですね。それからまた、政治道義上の責任については、国会の国政調査権に対してもうできるだけの協力をしようということも、これは政府のやることの一つでしょうね、いままでの捜査の結果に基づいて。そしてまた、刑事上の責任を追及されるというばかりでなしに、政治道義上の責任という点から、いままでの行政のあり方、こういうものに対しても反省と改革を加えるということもやることでございましょうね。したがって、そういうすべての、この事件を徹底的に究明して災いを転じて日本の民主政治を健全なものにしたい、より強固なものにしたいという一貫した態度を貫いてきたと信じておるわけでございます。
○小平芳平君 総理、そういう抽象的なことではなくて、新聞で見る限りでは、灰色高官公表について、刑事訴訟法四十七条にはただし書きがあり、公益上必要な場合は不起訴でも公表の道がある、公益上の判断は政府が行うと、こういうふうに総理が語ったと報道されておるわけです。ですから、この線に変わりがないのですか、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) それはどこを読まれておるのか、私の談話はいま読み上げたとおりです。それはどういうところで発言したか知りませんが、私は、この事件が全部終了したときにはこの真相を明らかにしたいと考えておるわけでございます、真相をできるだけ。どういうふうに真相の内容を明らかにするかということは、いままだこの全容が明らかになっておりませんからどうということは申せませんが、できるだけ国民の疑惑にこたえたいと、こう考えておりますね。しかし、いまの段階は捜査の過程でしょう。たとえば児玉の線というものはまだ解明が終わってない。しかし丸紅、全日航の線もこれは相関関係を持っておりますよ。この事件は児玉の線との相関関係はないとは言い切れませんね。そういうふうないま捜査の過程であるという大きな制約の中においても、政府が国政調査権に対して最善の協力をして、そして国会に対して資料なども個人名も含む資料を提供しようということは、全部終わってしまったのでないんですからね、これはよほど政府の積極的姿勢のあらわれであると小平君もおとり願いたいのでございます。
○小平芳平君 総理、率直に、いま私は新聞の記事そのまま読んだわけですが、この記事どおりではないということですか。あるいは、この記事どおりの考えであるということですか。つまり四十七条にはただし書きがあり、公益上必要な場合は不起訴でも公表の道がある、公益上の判断は政府が行うと。四月三日記者会見。このことは、この記事は正確ですか、それとも正確ではありませんか。また、この点についてどうお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私の持っておる記録には、先ほど読み上げたような記録でございますが、私は、事件が全部終わった後は私の責任と判断においてできるだけ国民に真相を明らかにしたいと思っておるわけです。事件が終わったとき。いま大分おくれてきたものですから、そういうことではこれはもう非常におくれる可能性もありますから、中間報告でできるだけの報告をして、しかしいろいろな個人名などは、捜査の過程でもございますので、国会の国政調査権という場においてこれを資料として提供していろいろ御質問があればそれに答えたいと、こういうことでございます。だから私の考え方というものは何も変わっておるとは私は思わない。
○小平芳平君 不起訴でも公表の道がある、公益上の判断は政府が行う、そういう考えですか、そういう考えではありませんか。
○国務大臣(三木武夫君) 四十七条の立法の精神というものは私はそういうところにあると思っております。(「その判断を政府がするかしないかだ、答弁おかしい、政府が判断しないのか」と呼ぶ者あり)無論それは政府が判断をいたします。
○小平芳平君 そうすると、不起訴でも公表の道がある、その公表する方法については政府が判断するということですね。政府が判断して不起訴でも公表することがある、そういう考えは以前も今日も全く変わっていないということですか、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 基本的に考えは変わっておりません。
○小平芳平君 じゃ、法制局長官、この解釈はどういうことですか。
○政府委員(真田秀夫君) 四十七条に関連いたしまして、いわゆる灰色高官の氏名の公表の問題についての私の考えを申し上げます。 いわゆる灰色高官といいますのは、刑事責任の追及は免れたけれども、やはりその人の行った行為に関連いたしまして政治的、道義的な責任は負ってもらわなければならぬと思われるような人ということだろうと思うのですが、そういういわゆる灰色高官の名前を出すということは、これは刑事訴訟法四十七条に言う書類の公表そのものではないことは当然なんですね。四十七条では訴訟に関する書類は公訴提起前は公にしてはならぬと言っているわけで、そこで直接その四十七条が対象としているのは訴訟に関する書類なんです。ですから氏名を出すということは四十七条がじかに直接適用になる場面ではございませんけれども、しかし、四十七条というのはもともと、そういう訴訟に関する書類を公判提起前に——失礼しました、公判期日前に出すことによって、それは人権の保護とか、あるいは裁判、検察に対する不当な影響があっちゃ困るという趣旨から来ているわけでございますから、そういう四十七条の立法趣旨はなるほど書類そのものでなくてもやはり尊重しなければいかぬことは当然なんで、したがいまして、四十七条の趣旨をやはり踏まえて、灰色高官の氏名を出すか出さぬかという場合にも四十七条の趣旨を踏まえた判断をしなければいかぬと。そこで、四十七条ではただし書きがありまして、公益上の必要その他の事由があって相当と認めるときにはこの限りでないと。つまりその公表の禁止を解いているわけなんですね。 そこで、だれがそれじゃそのただし書きに当たるかどうかの判断をするかと言えば、これは四十七条のじかの適用の関係で言えば、訴訟に関する書類を保管している者であることは当然なんですね。つまり本文で禁止している、それをただし書きが解除するわけですから、その本文の適用のある人が当然ただし書きの適用の主体にもなるわけですから、したがいまして、書類を保管している者、通例は訴訟関係人でございます。 ところが、氏名の場合は、なるほど先ほど申しましたように、四十七条の書類そのものじゃございませんけれども、その精神に従って判断しなさいと言っているわけでございますから、その場合の判断の主体は、これはその氏名を握っている者が、知っている者がその判断の主体になる。したがいまして、法務大臣なり総理大臣が、検察当局から捜査が全部終了した後にいろいろ全容をお聞きになると。そうすると、今度は総理大臣なり法務大臣がその氏名を知っているわけですから、そうすると、その氏名を公表するかどうかという場合の四十七条のただし書きの適用の有無の判断につきましても、その四十七条の精神をよく踏まえて、そして法務大臣なり総理大臣が御判断になる、こういうことになろうかと思います。
○小平芳平君 そこで、では総理、結局この四十七条は、検察官が秘密裏に捜査を進めてきたという前段ですね、それから、ただし、公益上必要と認めるときはと、こういうわけですね。で、いまの法制局長官の御答弁で、それは書類そのものは検察官が持っているから公表するかどうかは検察官だと。しかし、その報告を受けた段階では、法務大臣なり総理大臣が不起訴の者を含めて公表することができるという解釈ですね、法制局長官のは。そうですね。したがって、総理は不起訴の者をも含めて公表しますという態度を示されているんですか。
○国務大臣(三木武夫君) そういう場合においても、刑事訴訟法の、議長裁定にもあるような、立法の趣旨というものを踏まえてとありますが、その中にはやっぱり、刑事訴訟法は御承知のように第一条に、公益というものもありますが、個人の基本的人権の擁護というものもございまして、そういう立法の趣旨を踏まえて当然にそういう場合やらなければならぬことは当然でございます、刑事訴訟法の大きな大前提でございますから。そういうことで、いろんな判断をする場合において、刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえて判断をしなければならぬという、この大きな前提に立つことは言うまでもないわけです。しかし、いま申したようなそのことは、公益上あるいはまた捜査上の影響、いろんなことが判断の材料になることはございますけれども、そういうことは、事件の捜査が全部終了した後においては、できるだけ真相はこういうものだということは国民にこれは明らかにしたいという考え方は、私は最初から今日も持っておるわけでございます。
○小平芳平君 四十七条ただし書きによって不起訴の者でも公表する場合がある、この判断は政府がやるということですか。そういうふうにはっきり言ってください。
○国務大臣(三木武夫君) 刑事訴訟法の立法の精神を踏まえて政府が判断をいたすということでございます。
○小平芳平君 不起訴でも公表するということですか。
○国務大臣(三木武夫君) いま申したような、そういう刑事訴訟法の立法の精神を踏まえて、政府がこれを国民の前にその真相を明らかにして、そういう場合にそういう問題も含まれる場合もあり得ることは当然でございます。
○小平芳平君 したがってそこには、国会の意思が決定があればということは、少なくとも四月三日の段階では考えていなかったわけでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) それはやはり四月二十一日の議長裁定、そういう議長裁定の線に沿うて政府は今日協力をしようということに相なったわけでございます。四月三日というのは議長裁定のない前でございますから、議長裁定があって、これに対して、われわれも誠実にこの議長裁定に従おうということでございますから、四月二十一日以後の政府の協力というものは、具体的にはいま申したような形で協力をしようということでございます。
○小平芳平君 したがって、四月三日の段階では国会云々の考えはなかったということですね。
○国務大臣(三木武夫君) 四月三日の段階というものは、これは事件が全部捜査が終了した後においては、何らかの形で国民に真相を明らかにしたいという考え方を最初から持っておったわけですから。議長裁定はその後に起こったわけで、それを議長は、こういう形で問題を具体的に非常に整とんをされてそういう裁定を下したわけでございますから、今日の段階では捜査が終了していないわけですから、今日の段階においては議長の裁定の線に沿うて政府は協力したいということでございます。
○小平芳平君 したがって、議長裁定以後、国会の要請があれば云々ということになって後退をしたと、こういうことでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 後退も何もないでしょう、やはりいまでも、事件が全部終了した後においてはその真相を国民にできるだけ明らかにしたいという考え方は変わらないんですから。ただ捜査の途中において、国会が政治、道義上の責任を追及する場においては、具体的にこういうことをしてもらいたいと、いたしましょうという約束をしたわけですから、いまは議長裁定の線に沿うて協力をしたいと考えておる次第でございます。何らその間、後退をしたということは私は全然ないわけでございます。
○小平芳平君 そのことを後退と言うんですね、日本語では。 法制局長官、いまの判断について、それは四十七条ただし書きの認めるという判断について、国会はどういう関係になりますか。
○政府委員(真田秀夫君) ちょっと御質問の趣旨がはっきりしないんですが、国会がその刑事事件の不起訴事件の内容なり、被疑者の氏名を知ったと、それを国民に公表する際にどうなるかというようなことでございましょうか。——それは先ほど申しましたように、本来は四十七条は訴訟関係人に適用のある規定なんですが、しかし、およそやはり刑事訴訟法もわざわざ四十七条で公判期日前の公にする行為を禁止しているという趣旨は、やはり何といっても尊重しなければいかぬだろうと思うんですね。ですから、先ほど申しましたように、総理大臣なり法務大臣も検察当局から事件の概要の報告を受けて知ったと。それを処理する際にも、なるべく、それは刑事訴訟法四十七条の訴訟関係人じゃないかもしれないんですが、やはりその四十七条の趣旨を踏まえまして、そして四十七条のただし書きが禁止を解除しているというような場合に該当するときに公表してもよろしいだろうということを申し上げましたが、それと同じような法理が、やはり国会が何らかのルートでそういう事件の中身をお知りになったときのその処理の仕方についても、その法理が働くのじゃなかろうかと思います。
○小平芳平君 こればっかりやっていると後が……。大事な問題が次にありますので、次へ進みます。 検察庁法第十四条第二項、法務大臣が個々の事件について検事総長のみを指揮することができるというこの点について、指揮権を発動するという、これは本来の趣旨はそういう趣旨じゃないということでありますが、過去に悪用されるということもあったと。それで、今回のロッキード事件捜査に当たっても、何となくその辺がすっきりしていない点がありはしないか。そういう点について法務大臣はどうお考えになっていますか。
○国務大臣(稻葉修君) 検察庁法十四条の、具体的事件についての検事総長のみを通じてする法務大臣の指揮権の規定がありますが、それについて今回はすっきりしていないようだと言われますが、これは非常にすっきりしているんです。それはもう過去において批判を受けたようなことをおっしゃるのじゃないかと思いますが、造船疑獄のときの指揮権みたいなそういうことは一切やらない。したがって、そういうことを一切やらないのみならず、陰でやるんじゃなかろうかと疑いも受けちゃいかぬから、アメリカからの資料も一切素通りして検察庁へ直接やったと、こういう態度をとって、これは非常にすっきりしております。
○小平芳平君 法務大臣、この条文そのものが何か余りはっきりしない面がありませんか。
○国務大臣(稻葉修君) 条文そのものは、はっきりしないわけではありませんね。明瞭な言葉で書いてありますから、そのとおりです。
○小平芳平君 そうすると、検事総長のみを指揮することができるとなっているが、指揮するんですかしないんですか。
○国務大臣(稻葉修君) 今回のロッキード事件に関して指揮したことはありません。指揮しないんです。指揮しないことに決意しているんです。ただ一般的に、しっかりやりなさいよとか、厳正公平、不偏不党、それに加えて、私はこういう事件になると、やっぱり一線の検事などは非常にかっかして行き過ぎになったりするようなことがないかと思って、冷静沈着にやりなさいと、こう言っているんです。
○小平芳平君 法務大臣が今後ともずっと、もうずっと代々の法務大臣が間違いなくやる、検事総長も代々全く間違いなくやるということなら、それですっきりするんですが、もしそういう全く間違いのない人ばっかりだということが言い切れない場合、この辺の条文の検討も必要になりませんか。その点はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) それは立法論としていろいろなことをおっしゃる人のことを聞きますけれども、要するにそれは運用の問題、それから検事総長と法務大臣との信頼関係の問題ですね。今回の場合は、ああいう御承知のような陣容でございますし、そこは法務大臣の人事権でぴしゃっとやってありますから、信頼する、信頼するに足る——安心しているわけです。運用の問題ですな。
○小平芳平君 それでは、この点についても再三御答弁がありましたが、児玉ルートの捜査はどういう状況にあるか。それからアメリカの嘱託尋問も終わったように報道されておりますが、そういうことによって捜査が進展することが期待できるかどうか。いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) これはなかなか微妙なところですね。非常に期待できるとか、さっぱり期待できないとか、そういうことを申し上げるわけにはまいりませんな、それは。アメリカの嘱託尋問が終わったが、法務大臣は非常に期待しているかとか、捜査のいま進展している内容に微妙に触れてきますから、それは申し上げられない。御勘弁を願います。 児玉ルート全体は、しばしば申し上げているとおり、P3Cなんかにも非常に関係するルートですから、まあ山は非常に高く険しいということを私は申し上げてきました。したがって、これの捜査は私としては一日も早くこういう非常にむずかしい問題を検察庁に解明をぴしっとしてもらって早く解放されたい。いつまでも時の人なんて言われてもう弱っちゃう。早くただの人になりたいんです。したがって、一日も早くやりたいけれども、なかなか捜査が難航している。関係者の病気、死亡、それともう一つは、しばしば申し上げて問題にされているように、逃れようとする方の日米の協力が非常に活動したやに私には感じられるわけであります。そういう関係でおくれているけれども、まことに申しわけありませんけれども、それでもまあ非常に粘り強く真剣にいま捜査続行中でありますから、しばらくお待ち願いたい。非常に総理以上の粘りを発揮して捜査を完了したい、こういうふうに思っているんです。
○小平芳平君 いま関係者が逃れようとしているということは、これは児玉ルートの関係者のことでしょう、いまおっしゃったことは。そうですね。 そうしますと、児玉宅で取り調べをやっているということは、どういう人が立ち会って、また、仮に向こうでテープでもとっていれば、全くその日の取り調べというものは筒抜けになるわけですが、そういう点はどうなっていますか。どのくらい、何回くらい取り調べが行われましたか。
○国務大臣(稻葉修君) それは捜査のやり方ですから、全部洗いざらい申し上げるわけにはいきませんけれども、知り得る限りにおいて正確を期するため、刑事局長に答弁させていただきます。
○政府委員(安原美穂君) 児玉は、御案内のとおり、脳血栓後遺症ということできわめて重症でございますので、取り調べに当たりましては事前に喜多村医師の診断を受けまして、取り調べが可能であるということであれば取り調べをする。しかも、途中異状を認められました場合には医師の診断を受けて続行可能かどうかを判断してもらって調べるというようなことで、大体取り調べを済ました後の調書の内容の読み聞きを含めまして約一時間が限度であるというのが現状でございまして、現在までに五十回にわたって取り調べを行っております。
○小平芳平君 だれが立ち会って、そして秘密は守られているかどうか。
○政府委員(安原美穂君) 立ち会いはおりません。検事そのものでございます。 秘密は保たれているかということは、検察官が承知している限りの捜査の内容については検察官としては秘密を守っております。 なお、在宅でございますので、調べの後にどういう行動を被疑者側がとるかということは別論でございますが、仮に証拠隠滅というようなことがございますれば、これはまた別の措置をとるわけでございますが、今日特に証拠隠滅のようなことが行われたというふうには聞いておりません。
○小平芳平君 総理にまた伺いますが、この将来に対して総理もしばしば発言されておりますが、こうした悪質な事件の二度と起きないような対策、これについてはいかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) やはり、私は、根本は、この事件を通じて考えることは、一つの政治家といいますか、これが金の授受に対して厳しい倫理観といいますか、これを持つことがすべてだと思います。それは、いろんなこういう事件が起こっても、こういう事件にかかわらない人の方が、大部分ですからね。やはり根本にあるものは政治家の倫理観、これが根本だと。その道義観念というものが確立せなければいろんなことをやっても私はだめだと思います。だめだと言いませんけれども、効果は少ない。これが根本だ。 そのほかには、各国でもこの問題のような事件というものを防止するためにいろんな処置がとられていますが、国内的にも国際的にも、OECDとか国連などでも、国際条約を、国連ではやっぱり多国籍企業の不正行為に対して国際条約のようなことを目標にしていま小委員会をつくってやっている。国内でも、アメリカなどはウオーターゲート法案のようなものを出しておる。日本は、外国のやっておることをそのまままる写しというわけにもいきませんから、いろんなことも参考にしながら、あるいはまた、そういうことばかりでなしに、運輸省のごときも、いままでの運輸省というものの許可、認可とか、あるいはまた行政指導とか、全般に対して見直そうという、これは機構を設けてやられる、いわゆる綱紀粛正という面がありますね、各省庁において。あるいはまた、まあ役人の人たちが民間に天下りする場合にいろいろな規制がございますが、これも検討してみる必要があるでしょう。癒着ということが言われるでしょう。政財界の癒着、こういうものに対して、そういう事実というものに対してもう少しいろいろ検討する面がある。また、政治資金規正法の中でもいろいろ賄賂などに対しての問題点、これに関連した問題点がある。こういういろいろ検討すべき問題についてはわれわれも検討をして、やはりこういう事件の防止というものに対していろんな立法的な処置、行政的な処置が必要かどうかということを十分に検討する必要がある。まあしかし、根本にあるものは政治家の倫理観というものが私は根本だと思いますね。これは各政党の課題でもある、各政党の問題である。
○小平芳平君 広範囲な御答弁でありますが、倫理観に期待するということが主体であって、腐敗防止、汚職防止というための立法措置等はまだ具体的な検討に入っていないと、こういうことですか。
○国務大臣(三木武夫君) 検討はしておるけれども、まだ成案を得るには至っていないということです。
○小平芳平君 どういうことを検討されていますか。
○国務大臣(三木武夫君) いま申したような点ですね。いろんな関連する問題点がございますから、こういう問題に対しては検討をしておるけれどもまだ成案は得ていないということです。
○小平芳平君 それから今回の第七十八臨時国会召集を前にしまして自民党内では大変な論争があった、内紛があったということも国会でもしばしば論議されてまいりましたが、これからも何か新聞報道だと党大会を目指してまた一もめするかどうかですね。私たちが特に重大な関心を持つゆえんは、そうしている間にも台風の被害、あるいは冷害、あるいは不況とか物価高ということに国民は苦しんでいる。そういうときに、総理大臣を中心にして、権力闘争というか、内紛というか、論争というか、そういうことばっかりに明け暮れておられたのでは困るという気持ちがきわめて強いのですが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) まあ自民党という政党は開かれた政党である。いろんなことがもう隠しておくことはないんですから、全部世間の耳目にさらされるわけですから、党内においていろんな論争があることは事実ですけれども、党内の問題は党内の問題で、やはり国政は国政で区別して考えなきゃいかぬ。党内の問題で国政が停滞するというようなことは、政党としてそんなことは許されないのですから、いろいろ小平君が御心配になるけれども、どうぞ御心配なく、党内の問題は党内の問題、国事に対してはこれはやはりそのことで国事を停滞さすような影響は与えないと、こういうことでございます。
○小平芳平君 大蔵大臣はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 総理から御答弁があったとおりに考えております。
○小平芳平君 何ら支障はありませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 支障を起こしてはならないと日夜戒めておるつもりです。
○小平芳平君 福田長官はいかがですか。国民生活が大変いま困っているときです。
○国務大臣(福田赳夫君) こういうときに行政が停滞をするということは間々ありがちでございますが、そうあってはならぬと、こういうふうに考えてまいりました。まあこの夏は私自身も夏休み返上というくらい職務に精励をいたしております。また、部下に対しましては、行政の停滞がないように特別の注意を喚起してまいりまして、いささかも行政の停滞はなかったと、かように考えております。
○小平芳平君 その判断は国民がすることになりましょう。 次に、冷害、災害について若干質問をいたします。総理は、所信表明の演説におきまして、「政府は農業技術指導の徹底を図る」と言っておられますが、これはどういうことですか。冷害につきまして「政府は農業技術指導の徹底を図る」と、どういうことをやるんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 稲作なら稲作でもその土地に適したような品種であるとか、あるいはまたそれに対しての耕作方法であるとか、何かその土地土地に適したようなそういう農業経営が行われるような農業技術というものが必要だということで、そういうことを頭に入れながらああいう一つの国会の演説の中に私が取り入れたわけでございます。まあ気象の変化に対しても、何か安全性の高い稲作を行うための品種の選定という問題ございますが、いろんな気象条件によっての品種の選定というものがある。また移植などに対しても、適期、一番の適したような時期に移植する。あるいはまた、肥料をやる場合でも、適切な時期に肥料をやる。いろいろな適切な防除的な措置を講ずる。そのためには、やはり根底にあるものは、農業の技術というものが根底にありますね、いま言うとおり。そういう意味で、農業というものがいろいろと技術の水準が高まって、そうしてできるだけ農家の労力というものが適切に生きてくるようなことにするためには、どうしても農業技術というものがやはり根底になけりゃならぬということで、この点に対して徹底を図っていきたいと申したわけでございます。
○小平芳平君 その土地に合った作物と言われますけれども、総理、じゃこれをごらんになって何かわかりますか、農業技術と言いますけれども。これは岩手県の葛巻町というところで収穫ゼロという品種、これなんかもずいぶん技術を改良して奨励されている品種です。奨励されている品種ですが、結果はこうです。どういうことが総理これでおわかりになりますか。何もわからないですか。
○国務大臣(大石武一君) 総理の施政方針演説の中につきましては、御相談がありましたので、われわれもしかるべき方策を考えまして、あのような内容のものをつくったわけでございます。その内容は、いま申しましたように、できるだけ冷害に備えるようなやっぱり適地適産と申しますか、そのような適正な品種を選ぶとか、あるいは土地に対する愛情を持っていろいろとあらゆる努力をするとかという基本的な考え方をあそこに入れたわけでございます。そういうことでございまして、ことしの七月、八月の冷害が始まりましてからのいろいろな技術的な問題につきましては、これはいろんな技術指導もございますが、これは私もよくわからない、専門家でいろいろ書いたものがございますが、ここで読み上げてもしようがありませんから省きますけれども、まあ大体そのような方針で、一般としての冷害に対する心構え、準備というものを中心としてあのような内容を入れたのでございます。
○小平芳平君 それが、冷害対策の最初に、「政府は農業技術指導の徹底を図る」と。何か政府が指導しているのにそれが徹底されないから、徹底しない農家が悪いかみたいな感じを受けないでもないです、「徹底を図る」と言いますからね。 じゃ、農林大臣は現地へおいでになったようですので、この三種類を見て何がおわかりになりますか。
○国務大臣(大石武一君) 何がわかるかと、はなはだむずかしい御質問でございますが、それでは米がとれないと思います。
○小平芳平君 では、農林省の方、どなたかわかりますか、これを見て何がわかるか。確かに空っぽです。
○説明員(芦澤利彰君) いもち病にかなりやられております。
○小平芳平君 そのとおりです。いもち病です。 日本人にとって米はきわめて大事な主食である。まあ私が申し上げるまでもなく、間もなくお昼になりますと皆お米を食べるのですが、こう見て何かわからない、お米というのはどこかでだれかがつくって自然にお金を出せば食べられるものだというふうなことでは私は大変残念なことだと思いますが、それはともかくとしまして、そういう実情がわからないままただ「農業技術指導の徹底を図る」というような姿勢はよくないと思いますが、いかがですか。総理、いかがですか。
○国務大臣(大石武一君) これは先ほど申し上げましたように、総理大臣の施政方針演説をつくる際に、いろいろな具体的な冷害に対する対策を述べたいというお気持ちでございましたので、われわれからその内容をお伝えしたわけでございます。そういうことであの文句が入ったわけでございます。技術的指導ということは、いま申しましたように、いろいろな天候の異変に対する農民の心構え、努力はこうあるべきであるという一つの考え方を示したという気持であの技術指導という文句を入れたわけでございます。そのように御理解願いたいと思います。
○小平芳平君 いや、御理解願いたいと言われましても、実情を知らないで、たとえばいもち病というのは、こういうふうな全く収穫皆無ですが、来年発生しないと限らないわけですよ。ですから、そういう実情がわからないまま、ただ演説だけすれば冷害対策になると考えるのは間違いでしょうと、こう言っているんです。
○国務大臣(大石武一君) あの異常な天候に対しましては、われわれがどのように努力したってとうていこれは抵抗できません。しかし、何とかして多少でも抵抗しなきゃならぬ、多少でもわれわれの農業を守らなけりゃならぬという気持ちから、やはりあらゆるできるだけの努力はしなきゃならないと思います。そういう意味で、あの文句は、われわれが農業の技術者、専門家とも相談をいたしまして、そのような方法を講ずべきであるという考え方から入れたのでございます。私も、これが何かとおっしゃられれば、いもちだということは私もわかります。それから青立ちのこともわかりますけれども、その御質問の内容がわからないので、結果としては米がとれないということを申し上げたわけでございますが、いもちがどうであるかということは多少の知識もございます。
○小平芳平君 いや、総理大臣に伺っているんですがね。まず、冷害あるいは災害に対して総理は冷たいというような批判もきのうありましたが、それに対して、総理は、いや、冷たくないんだと言っておられましたが、やはり実情を知るということがきわめて大事なことだということを申し上げているんですが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 実情を知ることは当然に大事でございます。そういう報告を受けながら災害対策というものは政府としてできるだけのことをやっておると考えております。私の所信表明の中でも、災害を一番最初に持って、災害に対して単に同情していますというだけではなくして、どうするかというようなことを具体的に述べたその中に農業技術も出てきたわけですが、そういうことでございますから、実情は知ることは大事でございまして、その実情の上に立って政府は適切な処置を迅速にとるということが私に課されておる責任だと考えておる次第でございます。
○小平芳平君 農林大臣、技術指導は今後の課題となりまして、もう今日はまるっきりとれませんから、いま大至急手を打たなければならない点は、共済金の支払い、あるいは融資制度の活用、これはもうずっときのうから詳しく御答弁があったから重ねて申し上げませんが、それからとにかく農家は現金収入がない。したがって、通常言われている救農土木事業等に画期的な力を入れていかなければ、もうきょうあすが困ってくるということになりますから、その一点だけ伺っておきたい。
○国務大臣(大石武一君) お話しのとおり、救農土木事業を徹底的に行いまして、できるだけ生活のしのぎがつくように、現金の収入を得させるようにいたしたいと思います。そのことがいわゆる出かせぎの防止対策にもなると考えておる次第でございます。その内容につきましては、ただいま、国土庁長官を中心といたしまして、その内容あるいは予算、そういうものにつきましては、われわれ農林省だけでなくて、建設省あるいは大蔵省ともいろいろと打ち合わせをしなきゃなりませんので、いま国土庁長官にその取りまとめ役を総理から申し渡しまして、そのような方向で進んだわけでございます。結果は、まだ具体的な実態がわかっておりませんので、どのような予算規模になるのか、どのような内容になるのか、はっきりまだ申し上げられませんが、とにかく、大体、大規模な機械を使うよりは実際にその人が働いて賃金をかせげるような、それが余り大きくない仕事、人手を使うような仕事を中心として、たとえば、農道であるとか、町村道であるとか、改修であるとか、あるいは基盤整備事業であるとか、あるいは山林のいろいろな林道とか、あるいは間伐とか、いろいろなものがございます。そういうものを中心にして進めてまいりたいと考えております。
○太田淳夫君 関連。 ただいま冷害についての質問がございましたが、冷害と並んで、今夏、十七号台風の被害が全国的に多額な額に上りました。私は災害調査に岐阜県に参りましたけれども、この十七号台風の一つの象徴的な現象として長良川の決壊がございます。この破堤の原因につきましてはいろいろな問題が言われておりますが、高まった水位が低まったために堤防に加わる水圧が変わって堤防が引きずられた、こういうような説もございますが、そのほか、現地に参りますと、堤防の漏水現象であるとか、あるいは河川敷内の桑畑や樹木が水勢を変えた、それがその原因ではないかと、このように言われております。 私は、この岐阜県の問題等を含めまして、建設省に二点と、国土庁それから農林省に一点ずつお聞きしたいと思いますが、やはり一級河川であります長良川の決壊と申しますものは、住民を初めとして国民に大きなショックを与えました。そこで、長良川を含めまして、すべての河川の災害危険個所の総点検、そして従来の河川管理のあり方というものを見直すべき時期に来ているんじゃないか、これが第一点でございます。 第二点は、この長良川決壊を初めとしまして、岐阜県下の中小河川、都市河川の被災個所というのは約三千六百ヵ所に上りました。その多くはやはり直接生活に結びついている場所でございますので、迅速な復旧が望まれております。したがって、建設省に質問いたします点は、激甚災特別緊急事業の適用、あるいは一定災事業の採用、そういう考えはないかということです。 それから国土庁につきましては、きのうのこの委員会でも問題になりましたけれども、住宅及び農業被害と個人災害の惨状というものは、本当に目を覆うような状態でございます。そこで、やはり個人災害の救済ということがこの災害行政の焦点であります。これを拡大してさらにきめ細かい処置と制度を拡充すべきである、このように思いますが、その点の方向性をはっきりと示していただきたいと思います。 次は農林省ですが、この長良川の決壊によりまして岐阜県の安八町あるいは墨俣町あるいは穂積町という三町は全町が冠水いたしました。そのため、今秋収穫の見込みは皆無の状況でございます。したがいまして、米穀の事前売り渡し申し込みにかかわる概算金、いわゆる前渡し金につきましては、これを返済しないで済むような特例を設けてほしい、これが農家の方々の意見でございますが、その点の農林省の所信をお伺いしたいと思います。 以上です。
○国務大臣(中馬辰猪君) ただいまの御質問と御要求については私も全く賛成でございまして、全国の一級河川を初めとして総点検をいたしたいということで、すでに各地建等に対しましてはその準備をするように要求をいたしております。その結果については、必ず近くまとまり次第皆さんの方にも御報告を申し上げたいと考えております。 なお、岐阜県下の問題でございますが、激特法の採用という点につきましてはいま最後の詰めをいたしておりまして、被害の大きい場所につきましては御趣旨に沿うことができるというふうに考えております。
○国務大臣(天野光晴君) 個人災害の問題については、きのうもここで申し上げましたが、何といいますか、法律の解釈、憲法の解釈からいって非常にむずかしい点があるという大蔵省の見解等がございまして、なかなか進みにくかったことは、皆さん方御承知のとおりだと思います。しかし、どうしてもそれらが救えないということになれば、解釈は都合のいいように解釈していただいて始末をしなければいけないのじゃないかというのが、私の多年の考え方でございます。そういう点で、弔慰金等の問題は一応百万まで出せるようになったから、これは一応お見舞い金としてはもう少しがんばればいいのじゃないかなどいう程度に思うのでありますが、いまお話があったように、宅地と住宅につきましては、やっぱり流されて跡形もなくなってしまった、屋敷も何も皆地崩れでなくなってしまったという問題になってきますと、なかなか復旧をするのには個人ではできかねます。そういう点で積極的にこの問題について私の方でも勉強しますが、きのうもお願いしたように、災害対策特別委員会の方でも、これは過去の例でありますから、小委員会等をおつくりになって、ひとつ協力をしていただきたいとお願い申し上げます。
○国務大屋(大石武一君) 前渡金のお話でございますが、これは確かに政府に引き渡すべき米が取れないのでございますから、この前渡金を延納するということも一つの対策でございます。 ただ、御承知のように、このたびのいろいろな対策には、共済金の年内の支払いを完了するようにいたしておりますし、また、いろいろな制度資金の融資がございます。たとえば、天災融資法並びに激甚災害の発動、そういうものによりまして、さらに自作農維持資金の融資とか、いろいろな融資がございまして、こういうものでその生活を支えることになっておりますから、こういう制度をたてまえを考えますと、この前渡金を来年に延ばすということは困難ではなかろうかと思います。むしろ、そのいろいろな融資、その中から前渡金を支払った方がよりやりいいのではなかろうかと考えておる次第でございます。 なお、前渡金の利子につきましては、これはいろいろと減免から、それから全部納めなくてもいい方法もございますから、これについてはいろいろとできるだけの努力を図ってまいりたいと思います。 なお、これは念のためでございますが、米を納められない、引き渡しできない場合は、集荷業者、大体農協でございますが、集荷業者が代位弁済をすることになりまして、そうして、その後で農協とその罹災農家との話し合いによって後でこれを始末をつけるという方法もございます。そういう方法もとれますので、いますぐこの前渡金の延納ということは、ちょっと困難ではなかろうかと思います。ただ、いま代位弁済になりますと、農協に金利を払わなけりゃなりません。その分につきましては、われわれは何とかそれにつきましてはいろいろな協力ができやしないものかと考えておる次第でございます。
○小平芳平君 では、別の問題に入ります。 法務省に伺いますが、きのうもこの席で日本共産党リンチ殺人事件というふうに言ったら、それはそうだとか、そうでないとかと、こういろいろ意見があるようです。スパイ査問事件とか、スパイリンチ事件とか、リンチ共産党事件とか、日本共産党リンチ事件とか、こういろいろ言われておりますが、法務省ではこの案件はどういう扱いになっているんですか。
○国務大臣(稻葉修君) この事件の扱いとは、呼び名のことでしょうか。呼称のことでしたら、いろいろ世間で、マスコミなどに使ったり、雑誌に使ったり、それから各政党がこういう国会の席上で呼ぶ名前が違っています。私は、しようがないから、いわゆる共産党リンチ事件と、こう申しておるわけです。法務省がそう決めたからそういう言葉を使っているのではありません。
○小平芳平君 それでは、私も共産党リンチ事件と言いますが、その共産党リンチ事件は、これがまた確定判決といいますか、その罪名はどういう罪名になっているんですか。
○政府委員(安原美穂君) いま大臣が申されましたようにいわゆるでございますが、お尋ねの点は、宮本、袴田両氏らによる治安維持法等の違反事件の罪名というふうに了知いたしますが、それによりますと、罪名はたくさんございますが、治安維持法違反、監禁、監禁致死、監禁致傷、傷害致死、死体遺棄、銃砲火薬類取締法施行規則違反、以上でございます。
○小平芳平君 その監禁致死というのと傷害致死というのはどういうふうに違うんですか。
○政府委員(安原美穂君) いわゆるこの事件につきましては、確定判決によりますると、宮本氏らが小畑氏外一名に対してスパイ容疑があるとしてこの同人らを監禁して傷害を与え、小畑氏を死亡させたという点が監禁致死であり傷害致死であり監禁致傷であると、こういうことになるわけでございます。
○小平芳平君 そして、この事件にはそのほかにも共犯者がいたというふうに言われておりますが、共犯者はどういう判決、あるいは刑の執行はどうなっておりますか。
○政府委員(安原美穂君) 共犯者は、宮本、袴田氏のほかの共犯者といたしましては四人おられますが、罪名は、三名の方は全部一緒でございまして、私が先ほど申し上げた宮本、袴田両氏と同じでございます。それから、一人の人は治安維持法違反、殺人、同未遂、幇助、不法監禁、銃砲火薬類取締法施行規則違反ということになっております。
○小平芳平君 そうして、いま宮本、袴田両氏は連合軍の特別の指示により勅令七百三十号に該当するものとして復権の手続がとられたというふうに答弁されておられますが、そのほかにも七百三十号の適用を受けた者、あるいは宮本氏らと同じように七百三十号に該当するものとして資格回復した者がおられますか。
○政府委員(安原美穂君) いま申し上げました共犯者であって宮本、袴田氏と同じような扱いを受けた、つまり七百三十号に該当するものとして取り扱うようになったという者はおりません。つまり、宮本、袴田両氏だけが特別の取り扱いを受けたというふうに理解しております。
○小平芳平君 そうしますと、その共犯者は資格回復されないでいるのですか。
○政府委員(安原美穂君) 当方の調査によりますると、ただいま申し上げた四名の人々はいずれも判決が確定いたしまして、一人は執行猶予でございましたが、三名については実刑が確定いたしまして、それぞれ刑の執行を受け、そして、ただいま申し上げたような七百三十号の取り扱いを受けずに、その後の大赦令、減刑令等によって減刑を受けまして、結局、すべて刑は終了いたしておりますし、一人は亡くなっております。したがいまして、結局、資格の回復の関係におきましては、従来のつまり刑法によるところの資格回復でございまして、当然に七百三十号のような扱いは受けていないということになるわけでございます。
○小平芳平君 したがって、法務大臣もたびたび答弁しておられましたが、昭和二十年十月四日の政治犯人の釈放に関する覚書というものは、刑事犯とか経済犯を伴う者は除かれていたということですね。
○国務大臣(稻葉修君) そのとおりであります。
○小平芳平君 そうすると、政府が資格回復を怠っていたとか、あるいはこの事件がでっち上げだとか、そういうことではなくて、実際には当時の司法省がGHQの指示によって政治犯を釈放したと、そして経済犯や刑事犯のついている者は釈放されなかったと、そうして、宮本、袴田両氏だけが該当するという特別な扱いを受けたと、こういうわけですね。
○国務大臣(稻葉修君) 小平さんね、釈放は何の理由か知らぬけれども釈放になったんですね。宮本氏については、病気、刑の執行停止ということで釈放になっています。それから袴田氏については、宮城刑務所からどういう理由で釈放されたのか不明であります。私らはどうもわからない。資格回復の点については七百三十号に該当するものとして特別に取り扱えという司令部から司法省に対する特別な指示によって二人だけ特別に扱いを受けたと、こういうことでございます。
○小平芳平君 法務大臣、これはお伺いしてもわからないとおっしゃるかもしれませんが、どうもその辺がわからないんですね。この釈放のいきさつ、それから資格回復についても、共犯者は七百三十号該当者とはされなかったと、どうして二人だけが該当者になったかということは、やっぱり依然として不明ですか。
○政府委員(安原美穂君) いかなる理由で宮本、袴田両氏だけが特別の指示を受けたかということは、あくまでも占領軍司令部の内部の意思決定の問題でございますので、当時の関係者の記録等を調べましても、いかなる理由でお二人だけがそういう指示を受けたかということはわかりません。
○小平芳平君 それから、判決で見ましても、さっき挙げられた不法監禁、あるいは監禁致死、死体遺棄、あるいはピストルを持っていたというような点は、宮本氏らは正当防衛であったというふうに主張しているように伺っておりますが、それは認められなかったということははっきりしているわけですね。
○政府委員(安原美穂君) 御指摘のような主張が宮本氏らからなされたことは事実でございますが、その結果につきまして裁判所はいずれも正当防衛あるいは正当行為という主張を認めなかったわけでございます。
○小平芳平君 いずれにしても、暗黒時代であったということは私たちもよく承知いたしておりますが、たとえ暗黒時代であっても、人間が一人死んだと、まあ殺されたと、しかも死体は床下へ埋められたと、こういうようなことはまことに不幸な事件である。私たちはこうしたことが繰り返されることがないようにという趣旨で発言をしているのですが、法務大臣はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) こういうことが繰り返されてたまるもんじゃないです。したがって、まああの当時、治安維持法に関するいろいろな批判もございますけれども、当時は、明治憲法下において、憲法秩序の根底を暴力をもって覆すという団体を国家が平気な顔をしているというわけにはいかなかったんでしょう。それを称して全部暗黒時代、暗黒裁判と言うのは、いささかオーバーだ、言い過ぎだと私は思います。
○小平芳平君 それでは、次の問題に入ります。 わが国の年金制度がきわめておくれているという点です。私が質問したい点は、五十二年度の年金制度の改善について政府はどういうふうに考えておられますか。物価スライドは当然行われると思いますが、その点の見通しはどうなっておりますか。この点については、わが国の年金制度は、公的年金を受けておられる方の約半数が老齢福祉年金、今月から月に一万三千五百円、こういう低い水準に置かれております。したがって、三十年、四十年と一生懸命働いて保険料を払い、税金を払ってきたにもかかわらず、月一万三千五百円程度で生活ができないということは、御本人のせいではない。制度が悪いし政治が悪いと、こう言うよりほかないという観点からお尋ねしているんです。したがって、五十年度は制度改正を考えているか。物価スライドはどう考えておられますか。
○国務大臣(早川崇君) 年金制度、年金額の増額改正につきましては、七十七国会におきまして相当大規模な引き上げ等の改善が図られまして、御質問の五十二年度におきましても、年金額の所要の改善措置を講ずる予定でございますが、何分にも無拠出の老齢福祉年金の御意見でございますので、これは千円上げましても六百億円という膨大なお金が要るわけでございます。したがって、老齢福祉年金の無拠出の内容の改善につきましては目下検討中でございます。 ただ、物価スライド制につきましては、当年度の消費者物価が五%を超えましたら自動的に翌年度の年金給付をその率で改定することになっておりますので、これは今年は物価上昇率八・八%という見通しになっておりますので、当然改定することになると思っております。
○小平芳平君 これは次の問題ですが、公的年金に加入しておられる方が海外派遣になった場合に、その人の年金権はどうなりますか。
○国務大臣(早川崇君) サラリーマンの場合には、当然被用者になっておるわけでございますから、厚生年金は海外におりましても通算されることになろうかと思います。ただ、国民年金は、厚生年金と異なりまして地域的年金でございますので、そういう点では厚生年金と違いまして、居住条件によりまして支給がされますので、国民年金に関する限りは通算にならない、こういう相違がございます。
○小平芳平君 総理大臣もよく外務大臣として聞いておいていただきたいんですが、国民年金に本人が入っている場合は、海外へ出たら最後、年金から外れちゃうわけです。それから問題は、本人が共済組合員あるいは厚生年金の加入者の場合は、その妻が国民年金に任意加入している場合——国民年金にまた任意加入するというまあ宣伝というか運動というかというものもずいぶんあるわけです。したがって、外務省の方とか報道関係の方などで、いつ社の命令なり国の命令で海外へ転勤するかもしれない、そういう人は、奥さんが任意加入している国民年金がそこで切れちゃうわけですね。これは何か救済する道がないか、いかがですか。
○国務大臣(早川崇君) いまのところは、御指摘の、お答え申したとおりでございますが、ECあたりで二国間で国民年金の通算制度をやるという条約を結んでいる国があるわけでございますし、そういったことも目下厚生省としては検討して、いま言ったような不都合を直すように目下検討中でございます。
○小平芳平君 余り検討していないですよ、大臣。私たちが実際に直接大使館の人なりあるいは海外で勤務しておられる方に聞いてみると、厚生省に任意加入している妻の国民年金を何とか年金権を保てるようにということを言いに行ったけれども、厚生省は、ある人が言いに行ったら、そういうことを言ってきたのはあんたが初めてだと言われたというふうに言っておりました。したがいまして、これは総理としましても真剣に研究していただきたい。 それから一九三五年のILO四十八号、移民年金権保全条約と通称言われているものは、なぜわが国は批准しておりませんか。
○国務大臣(早川崇君) 小平先生御指摘のILO四十八号条約は、一九三五年六月に採択されたものでございますが、現在まで六ヵ国批准しておりまして、それらの国々は大量の労働者がいわゆる海外移住を行っている国々でございまして、わが国のように労働力の交換が少ない国においてはまだ批准は行っておらない、こういう実情でございまして、現在の段階では批准の予定もございません。
○小平芳平君 そこで、外務大臣がおれば一番いいですが、この条約が労働力が大量に海外へ出ている国が六ヵ国批准しているだけだということですが、ですから、この条約によっては余り意味がないならば、もっと年金権を救済できるようにILOにおいてもわが国は主張すべきなんですね。わが国の主張を主張すべきなんです。 それからEC間では年金通算を二国間条約を結んでいるところがだんだんふえてきているんです。ですから、わが国も、四十八号条約が意味がないというなら、どういう条約ならいいか、あるいは二国間条約を進めるという点で御答弁いただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 小平君の御指摘のように最近二国間とかECの間で通算の規定を設けておるような条約ができておるわけであります。いま御指摘のように、前はそうでもなかったんですけれども、このごろは年金をもらっておる人で海外に出る日本人が多くなりましたから、いままで熱心でなかったという御批判でございますが、これはやっぱり年金権の問題というものは取り組まなければならぬ時期に来ておると私は思うのです。これだけ日本人が海外におるときですから、この問題は前向きに取り組んでまいりたいと考えております。そういうことで、この条約の問題も含めて、そういう世界的な傾向などを踏まえて前向きに取り組んでまいりたい所存でございます。
○小平芳平君 前向きという程度のものですかね。とにかく、たとえば外務省の人は国の命令で外国へ転勤するわけですから、新聞社の人は社の命令で外国へ転勤していくわけですから、したがって、そういう可能性のある方は妻に国民年金に任意加入しないでくださいと宣伝しなくちゃいけない、逆に今度は。そういう不合理をなくすためには、前向きというか、総理もう少し積極的に指示を出すなり、積極的に取り組んでいただきたいんですが。
○国務大臣(三木武夫君) 前向きということは積極的にと変えましょう。積極的に取り組んでまいりたい。
○小平芳平君 これは三木総理にばかり言ったってだめかもしれませんが、本当に本気になってやっていただきたい点の一つであります。 それから次に、厚生省は昭和五十二年度の予算要求重点項目というのに医薬品副作用被害者救済制度、こういうのをつくることにしておりますか、いかがですか。
○国務大臣(早川崇君) 医薬品の副作用で思いがけない健康被害が出ておることは御承知のとおりでございまして、これにつきましては厚生省といたしましては研究会を設けて検討してまいりました。去る六月にその報告がまとめられましたので、この研究報告をもとにいたしまして救済制度を目下検討中でございまして、五十二年度からはそういう制度が何らかの形で発足をするという運びにいたしておるわけでございます、五十二年度から。
○小平芳平君 厚生大臣は具体的に御存じないのでしょうか。五十一年六月二十五日の救済制度研究会の報告については、きわめて被害者団体が反対をしておるということとともに、また各新聞でもこの報告について厳しい批判をしているということ、そういう点御存じありますか。
○国務大臣(早川崇君) よく存じておりまして、被害者団体が指摘しておる主な事項は、メーカーの責任をあいまいにする被害者隠しではないか、また二番目には投薬した医師の責任を問題にしておらないではないか、あるいは無過失責任を医薬品について賠償責任を認めておらないではないか、あるいは時期的に膨大な賠償要求をなされておりまするスモン病訴訟を肩すかしするんじゃないかという、いろんな被害者団体の御要望はよく承知いたしております。そういうことを踏まえて、そうではないんだという趣旨の救済制度をつくりたいというので目下厚生省で具体化を急いでおると、かように御承知おき願いたいと思います。
○小平芳平君 それでは、この報告書の中にこういうところがあります。これは総理にも見解を伺いたいんですが、「製薬企業は医薬品を製造することによって利益を得ており、また、救済に必要な資力を有していると考えられること。」製薬企業はこの制度をつくった場合、お金を出すことができる、ふだんから十分利益を得ておるんだからということが前提になっているんですね。それから「製薬企業は救済に必要な費用をコストに組み入れ社会的に分散しうる能力をもっていること。」と、こうなっているのですね。製薬企業は救済に必要な費用をこのお薬のコストの中へ入れて社会的に分散して国民に負担をさせて、そうして救済に必要な金を引っ張り出すことができると、こういうような点は、つまり大量生産、大量販売ですね。で、日本国民薬づけという結果になっていることを前提にした、いかにもこういう考えで制度をつくろうなんということは、間違っておりませんか。
○国務大臣(早川崇君) 御指摘の点は、そういう場合にはまず国が薬品許可を誤ったというような国の賠償責任、また同時に直接メーカーが持つべきだというような御意見になるんですけれども、しかしながら、とてもその救済の負担に耐えられないというようなことを考えまして、広く薬業者全般にもある程度の負担を、一兆八千億円いま薬品の売り上げがあるんですね、そういうことも考えまして、みんなで共済的に被害者救済に当たろうという趣旨でございまして、国の何か手落ちがあるという場合にはもう当然国の方で賠償責任を負うということになろうかと思います。
○小平芳平君 いや、私が言っていることは、救済制度をつくるということは一歩前進だと、これは各新聞とも言っているんですが、この考え方が、製薬企業は利益を得ておるから救済に必要なお金を持っている、製薬企業は救済に必要な費用をコストに組み入れて社会的に分散する能力を持っている、そういうことを前提にして考えるというのは間違いじゃありませんかと言っているんです。総理、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) そうすれば、小平君は、それは何か合理化でやれというんですか、そういう費用、コストは、あなたの考えは。私はこの救済制度というものでどの程度まで製薬会社がみんな負担するということになるか。その負担というものがいわゆる価格なんかに転嫁しないで拠出ができることが理想だと思いますよ。しかし、どの程度の負担になるかということになってきて、なかなかそれがむずかしい場合も起こり得ると。しかし、できれば価格にこれを転嫁しないでやることは理想ではあると思いますが、その負担の度合いによったならばなかなか無理な場合も起こってくるということで、一概にこれはいけないとは言えない場合も起こってくる。できるだけそうしない方が理想は理想だと思いますがね。程度によりますね、その救済制度というか、補償制度というか。そういうことだと思いますね。
○委員長(八木一郎君) 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 —————・————— 午後一時四分開会
○委員長(八木一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き質疑を行います。小平芳平君。
○小平芳平君 医薬品被害者救済制度について質問中休憩に入りましたが、この点については、また詳しい点は他の委員会で詰めていくことにしようと思います。ただ、総理が最後に答弁なさった点で、そのままに切るわけにまいりませんので……。 で、私が総理に申し上げて答弁をお願いした点は、要するに医薬品を大量に生産する、それをまた大量に使う、そして被害者がまたスモンのように大量に発生する。こういうことを本質的な面からとらえて対策を立てなくてはならないではないか。ただ、被害が発生した、そらお金が必要だと。じゃ製品に上乗せして、それでもうけた金で救済すれば、金を渡せばいいんだという考えは間違いだと、こういう点で申し上げたんです。その点について御答弁いただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 小平さんの言われるように、薬の使い過ぎですね。こんなに薬を飲む国はないですからね、もう広告なんかでも、薬の広告がテレビでも何でも多いですから。外国では禁止しているでしょう。まあ禁止というか、余り出てこないですね、テレビなんかに。非常に何というんですかね、医薬品の使用というものはもう圧倒的な数字ですからね、日本の。こんなに薬を皆何か飲んでいるわけですから、こんなに薬を常用する国民はないですからね。私も薬の飲み過ぎということは、あなたのお考えのとおりに思うんですね、これは。それと、まあそういうような大量生産、大量消費というような形で、そうして被害があれば金を出せばいいんだということでは済まないと思いますね。企業の社会的な責任もありますからね。やはりそういうようなことを、薬を使われる人に転嫁しないでそれはやるということを第一義的に考えるべきだということは、私もそう思います。
○小平芳平君 次に、同じく厚生省に伺いますが、PCBによる被害、健康被害については、カネミ油症事件というものが発生して大変な被害を受けております。このカネミ油症患者に対する救済措置、それからPCBの健康に及ぼす影響は、厚生省はどう研究をしておられますか。 この点については、ストックホルム大学のイエンセン教授を私たち参議院の派遣された議員団が訪問したときに、イエンセン教授が非常にこのPCBの健康に及ぼす影響を研究しておられました。アザラシ、ミンク等の動物実験もしておられましたし、カネミ油症患者の血液の分析などもしておられましたが、こうした成果は政府に届いておるかどうか。またイエンセン教授は日本と共同研究したいという提案もしておられましたが、御見解を承りたい。
○国務大臣(早川崇君) お答え申し上げます。 カネミ油症患者につきましては、原因者負担の原則にのっとりまして、企業側におきまして医療費の負担が行われておりますが、国におきましても、本事故の特殊性にかんがみまして、研究費を支出して油症治療研究を継続するほか、患者の継続的健康管理を実施いたしまして、生活困窮者に対する世帯更正資金貸し付けにつき特別措置を設ける等、施策の推進を図ってまいっておりますが、今後ともこの方向で努力をしてまいりたいと考えております。 次に、PCBの健康に及ぼす影響はどのように研究されているかという御質問でございます。PCBの人体に対する影響に関しましては、カネミ油にかかる治療法の研究を継続しておりまするほか、PCBの慢性毒性研究、母子の健康に及ぼす影響の研究、体内蓄積分布に関する調査研究等を国で予算を計上いたしまして継続して実施しておりまするが、今後とも必要な調査研究を行ってまいりたいと存じます。 最後に、ストックホルム大学のイエンセン教授の研究につきましては、文献によりましてわが国のPCB研究者の間におきましても参考にされております。イエンセン教授の日本人との共同研究の申し入れにつきましては、厚生省としてはまだ聞いておりません。しかし、PCB研究の重要性にかんがみまして、厚生省のみならず環境庁も関係ございます。環境庁とも協議いたしまして、共同研究の取り扱いにつきましては検討してまいりたいと考えております。
○小平芳平君 この問題についてもいろいろ意見がありますが、また別の委員会で詳しく論議することにいたしたいと思います。 次に、問題が変わりますが、大蔵大臣にお伺いしますが、このデノミネーションはいますぐ実施せよと私は言うわけではありません。それはいろいろ準備とか、また大蔵省としてもいまはデノミどころじゃない、赤字を埋めるのに精いっぱいだとか、まあ国民にとっても十万円よりも十一万円の方が、収入が確保されなければならないというせっぱ詰まった時代にもありますから、いますぐということではありませんが、政府としてはやはり研究をしていらっしゃると思うのですが、どういうふうな研究をしておりますか、また、何らかの大蔵省は見通しを持っておられますか。
○国務大臣(大平正芳君) わが国の円が、たとえば対ドル三けたであるという状態、これは世界でもリラ以外には主要通貨でないわけでございまして、これらの呼称を変更いたしまして、もう少し簡便なものにしていくということは十分説得力のある御提言であると私どもも考えております。 しかし、小平さんもおっしゃるとおり、いまそういうことをいたすべき客観的な条件が熟しておるか、安定しておるかという判断になりますと、私どもはそう考えていないわけでございまして、いま直ちにそういうことができる状況ではありませんで、仰せのとおり、いまの段階は経済の安定、通貨価値の安定ということに全力投球すべき段階であろうと思うのでありまして、そういうことができる状況を早く私どもはつくり上げるということこそが当面のわれわれの任務であろうと思うのであります。 第三の問題として、それではいま何か研究ないし準備をしておるかというお尋ねでございますが、正直に申しまして、まだそういう具体的な準備というようなものを——関心を持っておりますことは事実でございますけれども、具体的な準備というものはいたしておりません。
○小平芳平君 まあ、いま大蔵大臣が御答弁なさった中にリラが出ておりましたが、イタリアの場合は、御承知のように五万リラ、十万リラという紙幣が発行されております。わが国の場合は一万円まででありますが、こういう点はどちらの選択になりますか。やはり行く行くはこのままでいけば一万円以上の紙幣が発行されるという事態にもなるんではないでしょうか、そういう点はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 紙幣の流通の実態を見ておりますと、問題のその一万円紙幣のシェアというものは、最近の傾向を見ると比較的安定いたしておるわけでございます。で、現在の状況で別段特に不便であるということではございまんので、一万円以上の高額紙幣を発行するというような考え、いまのところ持っておりません。
○小平芳平君 デノミもやらない、それから高額紙幣の発行もやらない。現状のままでどのくらいいけそうですが、あと何年くらい。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申し上げましたように、経済の安定、通貨価値の安定ということを目指して、ここ二、三年来の経済危機を克服してまいることが当面の急務であろうと思うのでございまして、デノミというようなことが何らの摩擦を伴うことなく、また心理的な不安を伴うことなくできる事態を早く招来するということが当面の目標でございまして、そういう目標に向かって着実な前進を図ることがわれわれの当面の任務であろうと思っております。
○小平芳平君 福田企画庁長官に伺いますが、いま大蔵大臣から御答弁がありましたが、大体将来の見通しということは余りお答えになりませんが、長官はどんなふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まず、デノミでございますが、これは私はいつの日にかデノミをやるべきだと、こういうふうに考えておるんです。大蔵大臣のお話のように、リラと円だけがドルに比べて何百リラ、何百円と、こういう状態で三けたの単位になっておるわけです。これは私は計算上から言いましても非常にややっこしいし、それから円の威信、こういう上から言いましてもこれはぜひ直したい。ただ、この経済、社会が安定感がみなぎったという時期に、これはまあ事前のPR、これは必要でありまするけれども、一挙にやると、こういうことじゃないかと思うんです。当分の間安定に力を注ぐ、またこの安定に力を注いだ結果、日本の社会、経済がどうなっていくか。私はだんだんとインフレは鎮静していくと思うんです。いまこのインフレの状態は、これはまあ基調としては私は鎮静の方向だと思うんです。ただ、公共料金の問題、こういうものがあるものですから、臨時的に、数字的に見まするとちょっと高い。しかし、基調としては安定しておる、安定化の方向に進んでおると、こういうふうに見るわけでありまして、いま五十年代前期五ヵ年計画というのをつくりまして、その線で安定化の路線を進めていくわけでございますが、これはかなり安定した社会が数年後には実現されると、そういうふうに考えております。
○小平芳平君 まさしく私もその物価について若干質問したいと思っていたのですが、この四月以後、各月とも小売、卸とも政府見通しを上回っているように伺っていますが、しかし、本当にその政府見通しでも達成されるかどうか、政府見通しが達成できるかどうか、こういう点が一点です。 それから公共料金が次々と引き上げられていく。これは今後企画庁としてどういうものが予定され、どういう方針で臨まれるか、そういう点についてお答えいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) まずこの卸売物価でございますが、この四月から今日までの推移は少し見通しより高目になっておるんです。かなりの努力を要する。しかし、ここに響いてくる大きないい要素ですね、これは為替相場が円高になっている。これがかなり私は浸透してくると、こういうふうに見るわけでありまして、何とかして見通しの年間上昇率を四・八%、これは実現したいと、こういうふうに考えております。 また、一方、消費者物価の方は、九月は東京区部だけしか出ておりませんけれども、八月までの動きは、大体八%程度という線に向かって動いてきておるわけです。九月はちょっと災害の関係、気候、気象の関係、そういうようなことで季節商品で高騰するものがかなり多かったと。これはちょっと高いものになりましょうが、まあ十月以降はそういう季節的要因、これはやや軟化すると、こういうふうに見ておりますので、何とかして八%程度という消費者物価の実現、これはそうひとついたしたい、また、いたせるというふうに考えております。
○小平芳平君 公共料金。
○国務大臣(福田赳夫君) なお、公共料金につきましては、目下国会において御審議願っております国鉄運賃なんです。それから電電の料金問題、これが若干の影響を、卸売物価に対しまして影響を持つ。それから、その他につきましては、細かい地方のバスだとか、そういう動きはありましょうが、まあやや大きなものといたしましては、タクシー料金の値上げ問題があるんです。ありまするけれども、これも十分調査いたしまして、コストはどうだろうと、それから一般物価状況から見てどうだろうと、そういうようなことで、物価政策ともにらみ合わせまして適正に対処してまいりたいと、かように考えております。
○小平芳平君 その、いま御答弁の円高傾向というものを、これが物価安定に役立つだろうという見通しをいまお述べになりましたが、もっと端的に消費者物価の鎮静に役立たせようという考え、方法はございませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 為替相場が一%円が高くなったと、こうしますと、これは卸売物価にはかなりの影響があるんです。一%ですからドルに対しておおよそ三円ですね。三円高になりますと、卸売物価の場合は直接の響きが〇・一程度です。それから、それが回り回って、間接的な影響ですね、それまで加えますと、〇・三になる。〇・三というんですから、ことしの一月に三百四円、それがいま九月では二百八十七円と、こういうふうになっており、かなりこれは物価に響いてくる、こういうふうに見ておるわけです。ただ、消費者物価には、これはほとんど影響ないんです。個人個人が外国から買うというわけじゃないんです。仲介者が買うと、こういうことになりますので、消費者物価にはこれはほとんど影響はない。間接的に卸売物価への影響を通じてあるという程度のものかと、かように見ております。
○小平芳平君 したがって、企業の利益になるだけで、消費者には関係ないということでよろしいんですか。そのままほうっておくということですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ原価がそれだけ減るわけでありますから、したがって、それを取り扱う、販売する、輸入商品を販売する人、その利益はそれだけふえるわけであります。しかし、一方、この業者においては、あるいは賃金の問題でありますとか、あるいは他の輸入物資の価格が価格自体として上がるという要素がありますとか、いろいろ上昇要因があるわけなんです。それと相殺をいたしまして、そこで上がるべき物が上がらずにそれだけ済むと、こういう影響になろうかと、こういうふうに見ております。 そこで、円高になってきておるという影響は、すぐは波及はしてまいりませんけれども、まあとにかく円高傾向がずっと続いておりますので、今後の物価情勢には全体としてかなりいい影響を持つ、こういうふうな結果になろうと考えております。
○小平芳平君 次に、わが国の為替政策ですね、為替政策が円安に操作されているのではないかというような批判ですね。こういうものに対して、大蔵省は、いやそんなことはないというふうに打ち消していられると思うんですが、こういう点についてはいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカの一部にそういう誤解に基づく見解が表明されたことがあったようでございますけれども、これまた誤解に基づくものでございまして、いま小平さん御指摘のように、日本の通貨当局といたしまして、為替相場について不当に介入した覚えもございませんし、今後もそういうことをしようという意図も全然ございません。
○小平芳平君 かつて、円切り上げのときになかなか政府ははっきりした態度をとらなかった。ただ過剰流動性とか言いまして、それがまたインフレ、狂乱物価というふうに引き続いてきた。いよいよ外国から、アメリカあたりからもう強烈に言われて、ようやく踏み切るというようなことで、国民生活に大きな打撃を与えた、その円切り上げが後手後手になったために国民生活に重大な打撃を与えたという批判がありますが、そういうことの批判がありますが、それについてのお考えはいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) その批判があることは承知いたしております。四十六年の八月から四十六年の十二月まで、スミソニアン・レートが設定されるまで、わが国の為替相場はフロートいたしたわけでございますが、それからまた一年三ヵ月ばかりスミソニアン・レートで一応の相場が立っておったわけでございます。その後再フロートいたしたわけでございます。要するに、二十何年間続きました一ドル三百六十円レートというものが突然壊れたわけでございますので、火の消えたような状態になって、政府も民間も一時戸惑ったわけでございます。世界の通貨体制が、次のこういう局面でどのようになっていくのかについて気迷いもあったと思うのでございます。したがって、本当に新たな水準でまた公定相場制ができるのか、それともフロート制が当分続くのか、そういう見当がつきかねたときでございますので、私は、当時の通貨当局に迷いがあった、あるいは世間全体が迷ったのも無理はなかろうといま思うのでございます。あの当時といたしましては、とりわけ、そういうニクソン・ショックの後を受けて中小企業が非常な不安でございまするし、円の相場がだんだん上がっていくという状況で、非常な底知れぬ不安に陥ったときでございまするので、政府といたしまして、一定の相場を維持しながら相当無理をして流動性の補給をいたしたということに結果的になったことは、私はある程度いまから考えてみて、同情というか、理解を示していただいて差し支えないことではなかろうかと思うのであります。ようやくフロート制がIMFの協定面で認知されたのがことしの一月なんでございますから、こうなってまいりますと、いよいよ私どもは腰を据えて新たなフロート制のもとで経済の運営をやってまいる覚悟で、長きにわたってこれを覚悟せにゃならぬわけでございますので、そういうことが決まらない前のことでございましたのでございますから、そういう御批判があることは私もよく承知いたしておりますけれども、それなりの事情がありましたことは、小平さんにおかれましても理解と同情をお願いいたしたいものと思います。
○小平芳平君 理解と同情と言われましても、福田長官は何回も大蔵大臣を歴任なさった方でありますが、やはりそういう点反省は反省としていかなくちゃならないと思うんですが、要するに後手になったがゆえに国民生活がよけい混乱したということを反省されますかどうか。そして、過去は過去として、今後は後手にならないためにどうするかというふうなお考えをお述べいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は為替制度としては、いま世界が全体として非常に不安定な時代でございますが、もう少し世界経済全体として安定したその際には、固定制がいいと思うんです。固定制をとるといいましても、しかし固定制にしがみついて、そしてそれを動かすことについて非常な窮屈感を持つという状態ではいかないが、固定制がいいと思うんですが、いまの世界情勢の中では私は変動制がいいと思うんです。変動制でありますれば、政府が中央銀行を通じてでございますが、介入をしなけりゃ、自然に実勢というものがレートに反映されるわけでありまして、まあ余り介入というようなことはすべきじゃない。レートに激変があるという際には、経済の秩序を維持するという上の介入が必要でありましょうけれども、もう多少の変動というようなことに対しては、これはもう介入すべきじゃない。これが私は三百六十円を三、四年前に堅持して過剰流動性というような問題を起こしたあの事態に対する反省であると、そういうふうに考えております。
○委員長(八木一郎君) 時間切れになりました。
○小平芳平君 もう一問。
○委員長(八木一郎君) もう一問、簡単にお願いします。
○小平芳平君 大蔵省では、いまの御答弁は御趣旨はわかりますが、貿易の黒字は日本経済の運営に不可決だと思いますが、どのくらいの黒字が妥当な線かという、望ましい線かということをお考えになっておられますか。外貨準備高も多いにこしたことはありませんが、どのくらいが望ましい額かということを検討されておられますか。
○国務大臣(大平正芳君) 大変むずかしい御質問でございます。貿易の黒字がどの程度が望ましいかということでございますが、一つの目安は、われわれの貿易の構成の中で、貿易外収支でいつも、いまのベースで六十億ドルくらいの赤字になる構造になっておりますので、そういったものは貿易収支の方でかせぎ取るということは、わが国の国際収支のバランスをとる上において必要でないかと考えるのでございます。しかし、経済に繁閑がございまするから、大変貿易、輸出が好調なときもありますし、またふるわないときもございますけれども、長期的に見まして、このように基礎収支は少なくともバランスする程度に、貿易収支は黒字でないと困るんではないかという感じを持っております。 それから、第二の御質問でございますが、外貨準備でございますが、ただいま日本は百六十三億ドルほどの外貨準備を持っておりますけれども、しかし外貨準備はどれだけなけりゃならぬかというと、日本の信用が非常に絶大でございますれば、別に外貨準備はそう多く蓄える必要はない。これは個人の経済も同様でございます。どれだけなけりゃならぬという筋合いのものでもないわけでございますけれども、これだけの貿易をいたしておるわけでございますから、貿易の決済に事欠かないように、あるいは資本の取引が相当活発に行われておる場合にある程度の用意をしておくということで、相当程度の準備は必要であろうと思うのでございます。そういう観点から見て、百六十三億ドルというのは私は相当多いじゃないかという見解は確かに成り立つと思うんでございます。しかし、わが国の為替銀行というのは、約三百億ドルぐらい外国の短資を取り入れておるわけでございますし、もっとも貸しておる金もございますから、差し引き百五十億ドルぐらいやっぱり借り越しになっておるわけでございます。そういう点を考えますと、この百六十三億ドル準備を持っておるということは決して多くないわけでございますので、そういういろいろな点を考えてみますと、一応の目安といたしまして、この程度の外貨準備は必要じゃないかというふうに私は考えております。
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして小平芳平君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(八木一郎君) 上田耕一郎君。
○上田耕一郎君 この国会は、国民の期待はロッキード問題と国民生活の防衛にありますけれども、その期待に反して、自民党、公明党、民社党の三党によって四十年前の暗黒裁判の問題が取り上げられております。前国会でもこの問題は取り上げられましたが、たとえば民社党の春日委員長の質問に対して、朝日新聞の「声」欄では、七十三通のうちわずか四通しか支持がないと。非常にやはり国民はこの問題に対して批判的であります。たとえば、アメリカで戦後マッカーシー問題が起きまして、アカ狩りというのがアメリカの政治のファッショ化の中で進みましたけれども、いままたこういう事件が取り上げられていることは、あの侵略戦争、軍国主義の治安維持法の経験を持っている国民にとっては、日本の政治が一体どっちを向いているのかという不安を濃くしている問題であります。この点を私はまず申し上げておきたい。 その点で、きのう総理が玉置議員の質問に答えて、この事件を共産党のリンチ殺人事件と呼ぶようにしたいという驚くべき答弁を行いました。これは一国の総理の言葉として、こういうところまでここで出てくるということは大問題だと思います。 さて、先ほどの小平議員の質問に対して、当時の共犯者四名のうち、一名は殺人、同未遂幇助だという答弁が法務省側からありました。しかし、これはあの事件の起きたときに一階にいた婦人の人でありまして、何ら争わず、転向し、例の古畑鑑定の出る前にそういう罪ということになった問題であります。安原刑事局長、事実に相違ありませんか。
○政府委員(安原美穂君) 先ほど小平委員から、宮本、袴田両氏の治安維持法等の事件についての共犯者の罪名をお尋ねがありまして、私は一人の方につきまして罪名が違うと申し上げましたが、これは前科調書による記載の誤りでございまして、罪名は同じでございます。殺人というものはございません。訂正をいたします。
○上田耕一郎君 そういう問題も間違えるというのはきわめて困りますけれども、もう一度もう一つお伺いしますが、殺人というためには法律上何が要件とされますか。
○政府委員(安原美穂君) 罪を犯す意としての殺意が必要でございます。
○上田耕一郎君 本件宮本氏の事件において、このような意味で判決が殺人としたかどうか。
○政府委員(安原美穂君) 殺意は認定せず、結果犯として傷害致死、監禁致死でございました。
○上田耕一郎君 総理、お聞きのとおりで、あの暗黒裁判でさえ殺意があったとは認めず、殺人あるいは殺人未遂とできなかったのであります。一国の総理が、こういう誤った呼称を使って公党の委員長を殺人呼ばわりするというのは一体何事ですか。例のロッキードの賄賂高官については、人権だとか名誉だとかいろんなことをおっしゃるけれども、公党の委員長に対しては人権も名誉も考えないでいいと思っているのですか。国会の演壇を利用して、共産党のイメージをダウンさせようとしてそういうことまでおっしゃるのは、きのうあなたが言った、目的のためには手段を選ばないやり方と言わざるを得ませんけれども、どうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 目的のために手段を選ばぬということは、よくないことだと思います。
○上田耕一郎君 だからどうですか、その呼称問題は。あなたは一国の総理であるにもかかわらず、自民党の総務会でリンチ殺人事件——リンチという呼称もけしからぬけれども、殺人というのは全くけしからぬ、それを決めたら、あなたは総理なのに自民党の総務会の呼び方に従うと。一体これで総理の資格がありますか。殺人でないことを認めますか。
○国務大臣(三木武夫君) 不法監禁の傷害致死でありますから、やはりこの事件は、共産党のリンチ事件と私もこれから呼びたいと思っております。
○上田耕一郎君 リンチというのも非常に不当な呼び方であります。この殺人事件というのはちゃんと議事録にも載っております、三木武夫君と。このように玉置君でも間違われるのですから云々ということで、共産党のリンチ殺人事件とこういうふうに言うようにしたいと述べておりますが、取り消して謝罪を要求します。
○国務大臣(三木武夫君) 共産党リンチ事件と呼ぶことにこれからはいたします。
○上田耕一郎君 いや、取り消して、だから謝罪するかどうかです、一国の総理として。
○国務大臣(三木武夫君) やはり、これからは共産党リンチ事件と呼ぶことにいたします。
○上田耕一郎君 だから、取り消すかどうか、取り消して謝罪するかどうか、はっきり答えてください。
○国務大臣(三木武夫君) いわゆる不法監禁とかあるいは傷害の致死でありますから、やはりこれは共産党のリンチ事件と呼ぶことが犯罪の性質から言っても適当だと思いますので、法務省もこう呼んでおるようでございますから、私もそういう言葉で呼びたい。前の言葉はやはり取り消します。
○上田耕一郎君 取り消すんですね。
○国務大臣(三木武夫君) はい。
○上田耕一郎君 三木さんは四十年議会の子と言われておりますけれども、戦前あの戦争に対してどういう態度、それから日独伊防共協定についてどういう態度をとったか、それから昭和十六年の治安維持法の大改悪に対して議員としてどういう態度をとったか、お伺いします。
○国務大臣(三木武夫君) 日独伊の防共協定、それから戦争、治安維持法、こういうものに対してはいろんな批判は持っておりましたけれども、しかし、その当時は、この問題というものがやはり国会において、御承知のように戦争というものは国会の今日のような議決ではございませんわけですから、やはりそういう不幸な事件は起こったわけでございます。
○上田耕一郎君 きわめてあいまいですけれども、あなたは全部これに賛成されております。確かにあなたは議会の子ではあるかもしれないけれども、少なくとも平和の子や民主主義の子——戦前ですね、ということはやはり言えない。ところが、そのあなたがきのうの答弁で、共産党のプロレタリア独裁問題についてあのようなことを言う。治安維持法に賛成し、戦前のあの専制政治に賛成しておいて、共産党の科学的社会主義の理論についてそういうことを言うのは、全くわれわれは受け取れません。われわれの科学的社会主義は自由と民主主義を守っておりますし、わが党は、プロレタリア独裁という言葉を前回の大会で執権と変え、今度の大会では綱領、規約からも削除した。今後も議会制民主主義、自由と人権を守って闘い続けるということをひとつよく認識していただきたいと思います。 稻葉法相に一つお伺いします。 あなたは、この問題が国会で取り上げられますと、不法監禁とか死体遺棄だとかいうことを盛んに挙げられますけれども、これが治安維持法違反でということについて余り触れられません。しかし一審の判決には、結局最も重い治安維持法の罪に従って無期懲役にすると、そうしているのでありますけれども、そのことを御存じですか。
○国務大臣(稻葉修君) よく知っております。
○上田耕一郎君 まさに治安維持法をもって宮本委員長らは無期懲役という罪に処せられたのであります。 もう一つお伺いします。 あの治安維持法はまさに思想を裁くものでありましたが、きのう秦野議員の質問の中に、内乱を取り締まるために治安維持法が必要だなどという質問がありました。治安維持法は内乱を取り締まる条項ありますか。
○国務大臣(稻葉修君) 内乱外患罪ではありませんから、そうではないですね。ただ、暴力をもって当時の憲法秩序の根底を転覆するという目的を持った共産党でありましたからこれを取り締まると。その首謀者をどうするとか、その結社をどうするとかいうことの規定をした法律であります。
○上田耕一郎君 内乱罪は刑法でありまして、治安維持法は主に国体なんですよ。だから、大本教だとか天理教だとか、それから創価教育学会だとか、そういう人々がすべて治安維持法で思想を裁くために取り締まられた。そういうことを御存じないというはずはないと思います。 ところで、もう一つお伺いする。 戦前、共産党員で、内乱の罪で起訴された人が一人でもいたか。
○政府委員(安原美穂君) 現在まで調査した結果によりますと、一人もおりません。
○上田耕一郎君 事実は以上のとおりであります。 きのう秦野議員は三二年テーゼのことを言いました。きょうここに野坂議長も傍聴に見えておりますけれども、あの三二年テーゼは単なるコミンテルンの指令でなくて、片山潜や野坂参三、日本の共産主義者も参加してつくったものであります。そういう点で、この三二年テーゼで内乱という言葉を使ったのは、帝国主義戦争の場合内乱という言葉を使ったので、あの十五年間の侵略戦争で三百十万人、日本人が殺されている。こういうものに対して国民の正当防衛の権利、こういうことであるのであります。このことを私は指摘しておきたい。そしてこの宮木委員長に対する裁判の問題では、まさにこの内乱問題で罪になっているんじゃないんです。思想が裁かれる。そして稻葉さんがいろんなことを言われますけれども、やあリンチだとか、あるいはピストルを持っただとかいうすべての問題について宮本委員長はいま反駁しているのじゃなくて、当時の昭和十五年、十九年のあの暗黒時代の法廷で全面的に堂々と反論している。死因についても、外傷性ショック死ではなくて急性のショック死である、急死であると、内因性の急死であるということまで明らかにしております。この堂々たる弁論に対して、当時の裁判長も検事もほとんど何らの反論もしていないのであります。そしてわれわれは、当時ああいうスパイをわれわれが査問したとかいうことについて、何ら隠してはおりません。 それで、きのう秦野氏は、宮本氏の人間性云々についてまで、共産主義者の人間性云々についてまで述べましたけれども、戦後宮本委員長は、たとえば「私の五十年史」の中で、「予期しない、不幸で残念な出来事だった。」ということを述べている。そういうことを認めることと暗黒裁判の特高の筋書きを認めよということとは全く別なことなのであります。そして、特高の筋書きを認めたことを、いままた国会で違憲の重大な疑いを持つ、こういう国会の論議をすること自体を私どもは違憲だということを前国会以来詳しく明らかにし、政府側の答弁でも、憲法前文が排除した戦前の明治憲法や治安維持法、これを肯定することはできないこと、また、国政調査権の範囲と司法権の問題どの関連で三権分立の憲法の原則を重視する立場から、この問題についての論議についてほぼ結論が出ているのだと私は思うのであります。戦前のこういう問題を取り上げる際一番大事なことは、あの侵略戦争や暗黒政治を繰り返さないという反省、決意のもとで取り上げるのか、それとも侵略戦争や暗黒政治を肯定、擁護する立場で取り上げるのかということであります。 ここで私は一つ言っておきたいのですが、先日の民社党の塚本議員の発言であります。当時赤旗が、死刑に値するなどと述べたとありますけれども、こういうものを証拠にしようとすると、たとえば中曽根前幹事長が昨年のスト権ストのときに、鉄槌を下すべきだという発言をした。また三木首相、九月十日に反三木派議員に命をもらいに来たと言われましたね。そうすると、こういうことを犯意の裏づけにするのと全く同じことになるのであります。それから、スパイを消せというコミンテルン指令を塚本議員は挙げましたけれども、これも結局警察の総元締めの内務省警保局の資料、これを使ったもので、事実とも違う信頼できないものであるということが明らかになっているものなのであります。 以上、この問題の戦前の問題についてわれわれの見解を私は述べました。戦後の復権問題に進みたいと思います。 稻葉法務大臣は、宮本委員長らはほんとうは勅令七百三十号で復権できなかったはずだと、なぜなら、ただし書きで刑法犯のある者を除外しているからだとそう答えられた。しかし、もしそうだとすると、刑法犯が少しでもついていると、治安維持法の罪も消えない、その刑もそのまま執行されるということになると思いますが、どうですか。
○国務大臣(稻葉修君) 私の申し上げておるのは、勅令七百三十号では選挙権等資格の回復をするには該当しない、無理だ、こういうことだけを言うているのでありまして、勅令七百三十号のもとになっておる司令部の覚書は、治安維持法と政治犯については消している、消滅している、こういうことだ。私の言っているのは、七百三十号に該当しないのを該当するようにせいという命令が来て、それで復権をしたということだけ言うているわけですね。
○上田耕一郎君 いやそうじゃない、そうじゃない。あなたは宮本委員長の釈放も、どうもいろいろあるけれども、特に復権は、七百三十号ただし書きによって刑法犯はいかぬということになっているから、これはおかしいと、そう言ったじゃないですか。
○国務大臣(稻葉修君) そのとおり、該当しないのです。元来該当させるのは無理だ。
○上田耕一郎君 だから、刑法犯がじゃ少しでもついていると、治安維持法違反でもその刑はそのままになるかということを聞いている。
○国務大臣(稻葉修君) その刑法犯の面は除外されない。
○上田耕一郎君 治安維持法の者も。
○国務大臣(稻葉修君) されない。
○上田耕一郎君 治安維持法の者も。
○国務大臣(稻葉修君) そう。
○上田耕一郎君 これはきわめて大変なことになります。刑法犯が少しでもついていれば、治安維持法違反による政治犯もそのまま刑務所に、戦争が終わってポツダム宣言受諾下で残らなければならぬことになる。どうなりますか。
○政府委員(安原美穂君) お尋ねの釈放の関係につきましては、昭和二十年……
○上田耕一郎君 復権。
○政府委員(安原美穂君) どちらを申し上げるのですか。
○上田耕一郎君 釈放と復権両方です。
○政府委員(安原美穂君) 十月四日付の連合国軍司令官の指令、いわゆるメモランダムによりまして釈放の命ぜられた者は政治犯でございますが、その政治犯というものの意味につきまして、当時そのメモランダムの解釈につきまして、司法省係官と司令部の間での解釈についての打ち合わせの結果、司令部のメモランダムに関する趣旨としては、刑法犯を伴う者は釈放すべき政治犯の対象ではないということが当時の関係記録、内部の記録等によりまして明らかになっておりまするから、宮本顕治氏らは、このメモランダムによる政治犯として釈放すべき対象ではなかったということが今日明らかであるとわれわれは考えておる次第でございますし、それから一二・一九のメモランダムによりまして、いわゆるそれを受けた政治犯の資格回復に関する勅令七百三十号におきましても、資格回復に関する勅令の適用を受ける対象に当たりましては、宮本氏らのような刑法犯を伴う者は、いかに治安維持法——これはずばり政治犯の対象になる、治安維持法だけならば対象になる者も、刑法犯を伴っておりました場合には、七百三十号の資格回復の対象者にならなかったというのが文義上明らかな解釈でございます。
○上田耕一郎君 一番の問題は、一〇・四指令にあります。一〇・四指令の一条C項、ひとつ読んでください。
○政府委員(安原美穂君) 拘留、投獄、保護、観察、あるいは自由の束縛の真の理由がその者の思想、言論、宗教、政見または集会に存するにかかわらず、技術的には軽微の犯罪を理由としてその罪を問う場合、それらが釈放の対象になるということでございます。
○上田耕一郎君 つまり、いま読み上げたところに明らかなように、軽微の罪というのは、正確に訳すと副次的な罪と訳せると思いますけれども、刑法犯が少しでもついたら釈放しちゃならぬというのでなくて、刑法犯がついていても主に政治犯の者、そういう者は政治犯なら釈放せよと書いているのであります。現に宮本委員長は十月九日に釈放されているのであります。こういう点で一〇・四指令の、これがポツダム宣言に基づく政治犯釈放、治安維持法撤廃の趣旨でありまして、それに基づいて十二月十九日に政治犯の復権問題が明らかになった。十二月十九日の指令では、一〇・四指令に基づいて釈放されたすべての者を復権せよと書いてあると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) あなたね、治安維持法に——いま軽微な罪と言われましたがね……
○上田耕一郎君 副次的な罪と言った方がいいでしょうね。
○国務大臣(稻葉修君) 宮本氏のは罪名が治安維持法違反、不法監禁、監禁致死、傷害致死、死体遺棄、こういうふうになっているんでね。治安維持法に少しでも軽微な罪があったのは釈放しろと書いてあるから、釈放するのが本当で、釈放しなかったのがうそだみたいなことを言いますけれども、不法監禁だとか、傷害致死だとか、死体遺棄だとか、軽微な罪でしょうか。
○上田耕一郎君 いや、宮本氏の場合は、一番重いのは治安維持法で、主な罪は治安維持法違反。それで無期になった。ほかのものはこういう無期なんという罪はつけられないんですよ。だから、治安維持法違反と刑法犯は一体不可分で、全部消えるか全部残るかどっちかなんですよ。で、一〇・四指令で治安維持法が消えたのだから全部消えると。ところが、政府はいまのような立場でサボタージュをし、矛盾し、動揺し、最後までこの二人については復権させなかった。それでこの二人が抗議し、ついに連合軍司令官によってこの一〇・四指令に対する七百三十号、特に政府が取りつけたただし書きのあのあいまいさをただしまして、是正されたのであります。 こうして明らかにこの二人は、「将来二向テ其ノ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」という七百三十号によって完全に資格回復したのであります。
○国務大臣(稻葉修君) いや、そうではありませんでね。十月四日の覚書にも、それから十二月十九日の覚書、それに基づく勅令七百三十号にも該当しないというのが司令部と司法省との間の往復した解釈なんですよ。それだから、それに当たらないならば、それじゃ特別にというて特別な指令をよこしたんじゃないですか。あなたの解釈は無理です、それは。
○上田耕一郎君 それはあなたの解釈なのであってね、稻葉法相のいまの。当時の日本政府は明らかに政治犯として釈放したと。連合国もそれを見て、それを了承しているということはもう明白で、だからこそ十月九日に宮本委員長は釈放されているじゃありませんか。それはその後の連合国の資料によっても明らかになっているじゃありませんか。
○国務大臣(稻葉修君) 私のことで満足いかなけりゃ、専門家に、いま私の言ったことが本当かどうか、あなたの言うのが無理じゃないのか、答弁させますから、よく聞いておいてください。
○政府委員(安原美穂君) 宮本氏の場合、判決によりますると、裁判所は同氏らが小畑氏らを監禁したり、暴行を加えたりして同氏を死亡させ、その死体を遺棄したなどの事実を認定した上、これに刑法所定の罰則を適用したものでございまして、実質的な政治犯に対し技術的に刑法を適用したものではございません。監禁罪は、御案内のとおり五年以下の懲役、監禁致死は二年以上十五年以下の有期懲役にそれぞれ処すべき犯罪でございまして、当時も、覚書に言うところのマイナーオフェンスという軽微な犯罪に当たらなかったという解釈が確立をしておったものと考えられるのであります。 なお、マイナーオフェンスにつきましては、当時の訳では御指摘のとおり軽微な犯罪とされておりますが、このように翻訳することに不都合はないわけで、副次的な犯罪という趣旨は必ずしも明確ではございませんが、それ自体どんなに重い罪であっても、処断刑が治安維持法違反等の政治犯である場合すべて副次的な犯罪と解する趣旨であれば相当ではないと考える次第でございまして、指令等にもしばしばございますように、治安維持法と刑法が併合罪の関係にならなければならないのではなくて、治安維持法違反と刑法犯とがいわゆる一所為数法——同時に二つの罪名に触れる場合におきましても、釈放の対象、あるいは復権の対象には当然ながらならなかったということは明文にも明らかでございます。
○上田耕一郎君 宮本委員長は、結局最も重い治安維持法の罪に従い、所定刑中の無期懲役刑を選択して無期懲役に処すということになっているのであります。だから、主に治安維持法の政治犯であって、当時の政府もそういう解釈で釈放したこと、そして司令部も認めたことは厳然たる事実であります。そして釈放並びに復権が七百三十号によって行われた。これは当時の政府のいろんなサボタージュが司令部によって是正されたということであります。一体あなた方は、宮本委員長の復権が、ポツダム宣言や、一〇・四覚書や、そういうものの枠の外で、これに背いて行われたと、そう言い張るのですか。
○政府委員(安原美穂君) まず、その治安維持法違反というのが、政治犯として純粋な政治犯のカテゴリーであったことは間違いございませんが、適用の処断刑の罪名が治安維持法違反であった場合においては、すべていかに刑法犯が同時に伴っておっても、それは副次的な犯罪であるという解釈を司令部としてはとらなかったわけでございます。そのことはその後の指令の、勅令の中にも、同時に刑法犯を伴う場合にはその限りにあらずというふうに書いてあることからも明らかでございます。 なお、私どもが一〇・四の覚書、あるいは一二・一九の資格回復の覚書の対象に刑法犯を伴うものはならないということを決して言い張るわけではなくて、当時の関係の記録から明瞭なことでございますので、客観的な事実と解釈を申し上げているつもりでございます。
○上田耕一郎君 しかし、司令部がそういう解釈をとっているとしても、していたとあなた言いますけれども、結局当時の記録、それから宮本委員長の復権の経過は、ポツダム宣言に基づき日本国がそれにサブジェクトツーしていた最高連合国の司令部は、宮本委員長を釈放したことを当然と認め、また七百三十号、一二・一九覚書に基づいて復権し、将来に向かってその罪を受けざりしものとするという措置をとったではありませんか。いまのは全くあなたの詭弁であります。事実と違うじゃないですか。
○政府委員(安原美穂君) 詭弁ではございませんで……
○上田耕一郎君 復権するはずがない。
○政府委員(安原美穂君) 論弁ではございませんで、明らかに当時の関係記録で釈放の対象に宮本氏はならなかったことはもう明らかでございます。 それからメモランダムの解釈が、それを前提にして七百三十号という勅令ができております。その勅令をごらんになりますると、治安維持法の罪を犯しておっても、同時に刑法の罪に触れる場合はこの勅令の対象外であるということは明文で明らかでございまするから、メモランダムの解釈を受けて勅令をつくっております以上、勅令はメモランダムの解釈そのものでございまして、司令部の意図もそれ以外にはなかったということも客観的に証明されることだと思います。
○上田耕一郎君 これは全く詭弁でありまして、そういうことになれば、釈放も復権も事実としてなかったようになっているんですね。そういうことじゃなくて、一体国は、この七百三十号に基づいて将来にわたって刑の言い渡しを受けざりしものとみなすということについて、それから戦後あれが行われてからもう三十年近くたっているので、いま国はこの件について法的にどういう決着がついていると思うんですか。
○政府委員(安原美穂君) 経緯はともかく、当時の超憲法的な指令によりまして、宮本氏、袴田氏につきましては七百三十号の該当者と同じ扱いをするということでございますので、昭和二十二年五月十六日以後は宮本、袴田両氏につきましては、将来に向かって刑の言い渡しを受けざりしものとみなされる、つまり資格回復をしたと。そして資格回復の前提として、当時、両氏につきましては残刑がございましたが、残刑の執行の免除があったと。したがって、今日、宮本氏は完全に資格を回復するとともに、残刑も残っておらない、執行の免除を受けて残刑も残っておらない。と同時に、その執行を終わった後の、すでに刑法三十四条二の期間を過ぎておりますので、そういう意味におきましては将来に向かって刑は消滅しておるということでございます。
○上田耕一郎君 当時の記録を全部ここで明らかにすることはできませんけれども、政治犯の釈放とそれから宮本委員長らの復権が、ポツダム宣言とそれに基づく民主化措置によって行われたことは明白であります。それに対して、当時にはいろいろ政府がサボタージュ、動揺、矛盾、さまざまなことが行われた。それが今日の答弁を聞いておりますと、依然としてそういう民主化措置に対して否定的なサボタージュ的な答弁がいろいろとここで行われている。これは私は戦前、戦後に引き続いている日本の政治の体質のところに問題があると思う。先日、衆議院で稻葉法相は、共産党のリンチ体質が戦前も戦後も続いていると、とんでもないことを言いましたけれども、そうではなくて、いまの答弁のように、戦前、戦後を通じて、日本政府のそういう暗黒政治をいまだに擁護するような体質が続いているところに一番問題があるのだとわれわれは考えている。 一つ質問します。戦前の特高警察に関係した人で戦後国会議員になった者、あるいは閣僚になった者、この人数と名前を明らかにしてください。
○国務大臣(稻葉修君) それを突然言われても、資料をいま整えて来ているわけじゃないですからね。だから……
○上田耕一郎君 きのう通告してあります。
○国務大臣(稻葉修君) 資料を用意して来ていないそうです。なかなかそういうのはむずかしいじゃないですかね。きのう通告してきょうそろえるというわけにはいかぬでしょう、むずかしいものだから。
○上田耕一郎君 衆議院で小林多喜二氏その他に対する虐殺の当時の資料を求めたところ、そういう資料はないと言う。戦前の特高警察の問題について、これに関連して、関係していた人々で戦後大臣にだれがなったか、国会議員にだれがなっているか、こういうことを資料もろくにそろえていない。ここに問題があるんです。 あの侵略戦争で東条内閣の商工大臣だった岸信介氏が戦後首相になった。自由民主党の初代幹事長になっているんですよ。三百十万人死んだ人に政治的、道義的、法的責任を持っている人を戦後首相にした国は、残念ながら、わが日本だけであります。われわれが調べたところによりますと、歴代の自由民主党内の閣僚二百十五名のうち、元戦犯、元公職追放者が何と五十六名、四分の一以上いるんですよ。こういう戦犯体質や暗黒政治を擁護する体質が戦後の日本にも続いているというところにこういう問題が生まれているということを私は述べたい。 戦後、昭和二十一年に、貴族院議員で当時の内務大臣植原悦二郎氏は、戦争の場合、その戦争が本当に国家の利益にならぬという場合にはその戦争に反対して闘うということをしなければ民主政治はできないということを言った時代がある。そういうことを国会で公然と当時の大臣が述べていた時代から三十年たって、侵略戦争についてもろくに言えない。暗黒政治の問題についてもろくに言えない。四十年前の共産党の事件を、いま、このロッキードや国民生活防衛でこれだけ国民が関心を持っているときに自民党と公明党と民社党が取り上げている。ここに国民は不安を感じているんです。この問題を私は追及をしておきたいと思います。 同時に、共産党の問題について言えば、戦後も共産党に対して政府のスパイ政策というのは依然として続いております。きのうも四名の確定判決問題が出されましたけれども、われわれが摘発し調査し除名しただけで、これまでに四百名を超えるスパイが戦後あります。驚くべき数です。この四百名のうち先ほど四名の名前が出ましたけれども、たった四名だということは、多くのこの査問というのはきわめて紳士的に平穏に行われているということを示している事実だと思う。(「そんなばかな」「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり)そしてしかも戦前のスパイの問題について、いまやじっておられる玉置さんは、あれは国の方針に基づいて共産党を調べたんだからほめたたえるべきだときのう言いましたけれども、そういうことを言うと、A級戦犯もほめたたえなきゃならぬことになるんです。侵略戦争に協力したことをほめたたえろということになるじゃありませんか。 当時のスパイは、たとえば松村などというのは共産党に入って銀行ギャング事件まで行わして共産党を壊滅させようとした。そして戦後も共産党に対する驚くべきフレームアップが行われた。松川事件について、松川事件の一審判決で、何名、求刑でどのぐらい死刑が求められ、判決がどうだったか、その点についてお伺いします。(「国のために死んだ者が安らかに眠れないなんてばかなことがあるもんか」「とんちんかんなこと言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長(八木一郎君) お静かに願います。
○政府委員(安原美穂君) 松川事件の第一審の判決は、昭和二十五年十二月六日に福島地裁で行われまして、全員有罪でございまして、求刑によりますと死刑は十名でございましたが、これが五名。無期懲役三名の求刑が逆に無期懲役が五名。——全部申し上げましょうか。求刑は、懲役十五年三名、懲役十三年三名、懲役十年一名でございましたが、判決は、死刑五名、無期懲役五名、懲役十五年一名、懲役十二年三名、懲役十年二名、懲役七年三名、懲役三年六月一名。 以上でございます。
○上田耕一郎君 あの松川事件は、当初、共産党がやった事件だとされまして、みんな共産党員です、つかまったのは。一審で死刑判決が五名出ているんですよ。これが十四年かかって五回目の最高裁判決でようやく無罪になった。もし、宮本氏の裁判のように控訴審がなかったら、無実の共産党員が五名死刑になっているんですから。こういうフレームアップの事件が戦後も幾つも続いているのであります。芦別事件、青梅事件、菅生事件、辰野事件など、これら全部無罪が確定している。 私がもう一つ取り上げておきたいのは、共産党に対する盗聴器、これの取りつけが後を絶たぬことです。盗聴器事件というのは、ニクソンがウオーターゲート事件で退陣に追い込まれたような大きな政治的犯罪であります。 日本共産党にこれまで盗聴器が取りつけられたのは、われわれが発見したものだけで十三ヵ所あります。設置場所も、党大会の会場、県委員会の事務所、あるいは宮本委員長宅近くの電柱の上にまで取りつけられている。これは、ことしの一月、島根県委員会の県委員長室の天井にしつけられたもので、この木の中に入っているんですね。こういうものです。これは性能は一・六キロ以上ありますが、宍道湖を越えて、ちょうど島根県警の本部、これに届くようになっているのであります。それからここには、群馬、山口、愛媛、愛知、ここで発見した盗聴器のこれはマイクでありますが、ごらんのように全部同じものです。四つの県委員会事務所に取りつけられていた盗聴器。これは私は国家機関による統一的組織によって取りつけられたものであるという疑いがきわめて強いと思いますけれども、総理、こういうことが許されると思いますか。
○国務大臣(天野公義君) ただいまのお話でございますが、日本共産党につきましては公安調査庁や警察がそれぞれの職務執行として調査、視察を行っているところでございます。ただし、その調査、視察の具体的方法においては、法の許容する範囲を超えるものであってはならないことは言うまでもないところでございます。
○上田耕一郎君 天野さん、警察にこういうことをやらせているんですか。
○国務大臣(天野公義君) 政府委員をして答弁させます。
○政府委員(三井脩君) ただいまお挙げになりました十三件、いわゆる盗聴事件というのは、ことしの六月に私たちのところにも共産党幹部の方がおいでになって承っております。 このうち、警察におきましては、告訴、告発が警察に対してありました五件について捜査をいたしました。しかしながら、その証拠品の提出あるいは関係者の供述が十分に得られないというようなこともありまして、被疑者を特定するに至っておりません。 なお、ただいまお挙げになりました山口県の事件あるいは島根県の事件でございますが、本件につきましては、警察庁に対して申し入れがありましたので、具体的なことは県所轄警察本部に処理をさせるということでおいでになった方には申し上げましたが、なお、われわれの方からも、島根県事件につきましては、島根県の警察本部に話を申し伝えました。島根県本部におきましては、共産党島根県委員長に対して、こういう問題につきましては松江警察署が所轄をしておるので、事実を連絡、届け出するようにということを申し向け、さらに所轄松江警察署から県委員会の関係者に対して再三捜査協力を申し入れましたけれども、現在まで証拠品の提出はございませんし、また、関係者の本件に関する供述も得られないという状態のまま捜査が進展せず今日に至っておる。同様のことは山口県委員会でも同じでございまして、あの十三件の表の中の最後の二件がいずれも本年の事件のように書いてございますが、このうちの山口県の事件につきましても再々申し入れましたけれども、所轄小郡警察署が山口県委員会と連絡をしておりますけれども、被害届を出さないことはもちろん、ただいま申しましたような捜査に必要な最小限度の協力も得られておらない、こういうことでございまして、ついに七月二日になって、県委員会の副委員長から小郡の警察署長に対しまして、本件はもう捜査してもらう必要はないと、結構ですと、こういうことがあり、捜査は進んでおらないという現状でございます。 なお、盗聴器の使用云々の問題についてございましたが、御存じのように、いわゆる追放幹部の捜査という時期がございました。あの当時に、捜査目的のためにいわゆる秘聴器を使ったことはございますが、これについては裁判例でも明らかなように、問題になった事件につきましては適法なる秘聴器の使用であると、こういう結論が出ております。 現在ではどうかということになりますが、現在、警察におきましてはそのような器械を使った秘聴というようなもの、その他のものを含めてでございますけれども、いわゆる盗聴、秘聴というようなことはいたしておりません。 ただ、法理論といいますか、そういう点について申しますと、過去における判例が言っておりますような、適法にかつ合法的に秘聴行為ができるという場合もありますが、ただいまのところ、そういうものは使っておらないし、やっておらないというのが現状でございます。
○上田耕一郎君 公安調査庁にもやらしておりますか。稻葉さん、どうですか。
○政府委員(冨田康次君) 先ほどお挙げになりましたようなケースには全く関係はございません。
○上田耕一郎君 警察も公安調査庁もいまやってないと言うけれども、現にわれわれは発見しているのであります。三木さん、もし反対党にこういう盗聴器を仕掛けるということになると、あなたもニクソン並みになることになりますけれども、直接間接を問わず、こういう不当な違憲行為を絶対にやらないということを誓いますか。
○国務大臣(三木武夫君) いま公安調査庁あるいは警察当局もそういうことはやってないと言っておるし、今後もそういうことはいたさせない方針でございます。
○内藤功君 関連。 自由と民主主義に対する三木内閣の姿勢がいまの盗聴器の問題でまさに問われておると思うんです。 私は一点だけにしぼりまして、北辰電機、日産自動車など、いわゆる民社党一党支持の同盟系の組合において、会社と結託をして、共産党支持者など、自分たちと考え方の違うことを理由に、一人に十数人が寄ってたかっての集団的な暴行傷害を加えている。この問題について三木内閣の閣僚各位の政治姿勢を問いたいと思うのであります。 これは多くの事実が明らかにされております。いま言った二つの会社のほかにも、たとえば日立武蔵であるとか、あるいは芝信用金庫であるとか、多くのものがいま摘発されております。ちょうどそのやり方は、思想の違う人を暴力でおどかす、昔の特高とこの点では似たようなやり方であります。これこそまさに現代版のリンチでないかと思うのです。さっき三木総理大臣は、この宮本委員長の事件を共産党リンチ事件と言うと、こういうふうに言った。しかし、リンチというのは一体どういうものか知っているのか。それはスパイに対する調査の事件である。これをリンチと呼ぶのは間違っておるということを私は指摘したい。私がこれから言うものこそまさに現代のリンチであり、これをまず究明しなければならぬと思うのであります。 皆さん、思想の違うゆえをもって暴力をふるわれたんでは、これは労働者の思想の自由、人身の自由はどこにあるでしょうか。団結の自由はどこにあるでしょうか。第二組合を会社と結託してつくるというのはまず第一の団結権侵害。二番目に、その労働組合が一つの政党だけを支持をするという形で締めつけるのが二番目の団結権侵害。これならまだしも、三番目に、違う立場の労働組合の労働者を暴力でおどかす、とんでもない話であります。この労働者の人権に対する暴力は絶対に許すことができません。民社党の塚本三郎氏は、十月一日の衆議院予算委員会で、この明々白白たる集団暴力の事実を否定したのであります。そんなことはないと言った。しかし、このつるし上げ暴力がいかにひどかったかということは、ここに私は竹内久さんという二十九歳の人の遺書を持ってきたんです。 この人は全金第一組合の執行委員をやった人である。去年の一月二十三日、大田区鵜ノ木に住む竹内千代子さん——お母さんあての遺書を京都の中央局から郵便で出して、以来行方がわからない。組合は一生懸命捜し、警察庁に対しても捜索願を出したが、いまもって生死がわからない。恐らく自殺されたと思うのであります。ここにあるこの遺書の中にどういうことが書いてあるか。私はこの中の一部を御紹介したいと思うんです。こう書いてある。 北辰電機の職場では、組合の分裂以後、全金つぶしのために、職場親睦会やスポーツ大会から、こういう共産党を支持する人、考えの違う人を排除していった。そうして差別を行ってきた。それでもこの第一組合をつぶせないとわかると、今度は会社が同盟の一部幹部を使って暴力事件をしてきた。これはたとえば昼休みや退勤時に昼飯をとらさず、二、三十人で取り囲んで罵声を上げてののしる。そうして昼休みに追っかけてくるんですね。そうして別の出口から逃げ出してようやく無事であったと。休み時間になると、きょうはつるし上げられるのじゃないかと毎日気にして非常に疲れたと。以下略しますけれども、こういう集団暴力が原因で(「暴力はどっちだ」と呼ぶ者あり)このような自殺に追い込まれたと書いてあるんだよ。あなた、見てごらんなさい。玉置君、見てごらん。ちゃんと書いてある。このような、思想に対するに思想をもってするのじゃなくて、思想に対して暴力をもってする。これこそファッシズムであります。
○委員長(八木一郎君) 内藤君、時間を守ってください。
○内藤功君 はい。 私は民社党の塚本三郎議員がこういうことを否定しようとした。こういうふうな集団暴力容認の体質のある政党であるのじゃないかと言われても、これはいたし方ないと思うんです。 そこで、私は質問に移る。 まず、総理に聞きたい。総理は、十月一日の衆議院予算委員会で塚本議員の質問に対して、こういう同盟組合に対して敬意を表すると言ったが、これは一体どういうことか。同盟組合を指導する民社党にも敬意を表すると言ったが、一体こういう事件についてどう思いますか。自由と民主主義の姿勢をまず問いたい。 次に法務大臣……
○委員長(八木一郎君) 内藤君、時間いっぱいです。いままでの記録の中で一番多いんですから。
○内藤功君 はい、もういっぱいですからすぐやめます。 二番目は法務大臣に聞きたい。こういう集団暴力事件に対する捜査はどうなっておるか。ほとんど起訴されていないと私は聞くんだけれども、冗談じゃない、一体どうなっているか。この捜査の状況を聞きたい。 三つ目は国家公安委員長です。この竹内君の失踪事件はきわめて重大だ。これは一体どういう捜査をしたのか、結果はどうか。 四番目、労働大臣。このような事件についてすぐに調査をする用意があるかどうか。そうしてこのような事件を全国の職場から防止して、労働者の人身の自由、団結の自由を守るという姿勢を示す用意があるかどうか、以上四点質問をいたしまして私の関連質問を終わります。
○国務大臣(三木武夫君) 塚本君が、労使関係というものを破壊的なものでなくして建設的な労使関係を育てていきたいと考えておるということは、それはまことに結構でございます。われわれとしては、そういう一つの労働組合に対しての指導の態度というものは、私は非常に結構だと思うわけでございます。また、思想とかあるいは信仰というような自由というものは、これはやっぱり基本的人権の重要なる内容をなすものですから、何人によらずこれを暴力によってその自由を侵すことはよくないことはもう申すまでもないことでございます。
○政府委員(三井脩君) 事件捜査の状況と家出人捜査の関係を御報告申し上げます。 ただいまお挙げになりました事件につきましては、総計七件、警察において告訴を受理いたしておりまして、いずれも告訴罪名であります傷害、監禁、暴行等によりまして、事件を本年七月十九日までにすべて所轄地方検察庁あて送致済みでございます。 次に、竹内久氏の家出後の捜索の状況でございますが、昨年一月二十五日、家族からの届け出で警察としては事案を認知いたしました。所轄東調布警察署におきましては、警視庁管内各署に対しまして、直ちに自殺のおそれのある家出人ということで緊急で電報手配をいたしましたが、さらにその翌日、全国に一斉手配をいたしました。特に過去の御本人の旅行されたところとか、あるいは先祖の墓のあるところとか、友人がおられるところといったような、宮崎県、鹿児島県、長野県、高知県の四警察の関係につきましては、特に立ち回り先手配をいたしたわけであります。さらに二月八日に至りまして、いわゆる家出人ぶれというビラでございますけれども、これを二千枚を手配をいたしまして、ただいま申しました中でも格別京都府、岡山県を重点に全国あて送付して発見に努めておりますが、残念ながら現在まで発見に至っておらないような状況でございます。
○政府委員(安原美穂君) 御指摘の北辰電機株式会社の紛争事件に関しましては、東京地方検察庁は、ただいま警察から送致を受けました事件を含めまして、昭和四十九年一月から現在に至るまでの間、合計五十七名の事件——暴力行為処罰に関する法律違反あるいは傷害等の事件の受理をいたしまして捜査をいたしましたが、捜査の結果、被告訴人——大体これは告訴事件が多うございますが、被告訴人らに暴力の行使があったということが認めがたいとか、あるいは暴力をふるわれたということは客観的に認められるが、だれが犯人であるかが特定しがたいというようなことで、五十七名中四十五名につきましては、嫌疑不十分ということで不起訴処分にしております。
○国務大臣(浦野幸男君) お答えいたします。 労使関係におきまして、どんな事情があるにいたしましても暴力の行使は絶対にあってはならないと思います。また、思想だとか信条による差別とか不当労働行為が行われてはならないことも言うまでもないことでございます。健全な労使関係を発展させるために、労使の良識ある行動を強く期待すると同時に、今後も指導していきたいと思っております。
○内藤功君 調査はどうですか、調査は。
○国務大臣(浦野幸男君) 暴力行為については、いま警察庁の方で調査しておりまするから……
○内藤功君 労働行政としての調査。
○国務大臣(浦野幸男君) 労働行政についての調査はいたします。
○上田耕一郎君 もう一つ法務省に聞きます。 衆議院で問題になった、京都府知事選挙に立候補した大橋和孝氏の竹入委員長に対する二千万円事件、それは京都地検が不起訴にしたが、京都検察審査会は不起訴は不当という議決をしておりますが、この議決の内容について御説明願います。
○政府委員(安原美穂君) 京都地方検察庁は、捜査の結果、被告発人である大橋和孝氏について、当時立候補の意思がなかったという判断をしておるわけでありまするが、これにつきまして、京都検察審査会は、昭和五十年十月二日の議決で不起訴不相当の議決をしておりまして、その要旨は、結局告発事実の行われた日時、つまり二千万円を持参した日時が三月九日であるという認定が正しくて、検察庁の三月四日という認定は間違いではないかという疑問でございまして、なぜならば、三月五日に大橋氏は立候補の声明を行っておるので、この金を持って行ったときには立候補の意思が確定しておったのではないかという、検察庁の判断とは違う判断を持って検察の判断に疑問を呈しておるということと、立候補の意思は明確ではなかったということであれば、その認定の証拠が側近等の供述によるもので措信しがたいというのが審査会の不起訴不相当に関する議決理由の要旨でございます。
○上田耕一郎君 この議決は、最後の捜査のところで地検はこの重大犯罪について——重大犯罪ですよ——強制捜査による証拠収集を図らず大橋らの弁解工作は野放しにされたと言うほかはないという申し立て人の主張は、当検察審査会としても同感であると言っておりますけれども、なぜ地検は強制捜査しなかったんですか。
○政府委員(安原美穂君) 本来捜査は任意捜査が原則でございまするが、報告によりますると、告発のあった時点で、事件発生当時からすでに十ヵ月も経過しており、かつ事前に新聞等で大々的に報道されて、強制捜査を行うということによっても効果は期待し得る状況じゃなかったというのが報告の結果でございます。
○上田耕一郎君 非常に疑問が大きく残っていることを指摘して、次にロッキード問題に移りたいと思います。 参議院では御存じのようにこのロ特委でPXL問題をずっと追及してきたけれども、依然としてこれはわからないということになっておりますが、コーチャン、クラッター、エリオット嘱託尋問で何らかのPXL問題についての手がかりが得られたはずと思うが、どうですか。
○国務大臣(稻葉修君) 昼前もそれについての質問がございましたけれども、児玉ルートというのはそういう関係も含めて残っているわけです。したがって、アメリカのクラッター、エリオット、コーチャンの証言内容でそれについての有力な手がかりが得られたんじゃないかという御質問に対して、得られましたとか得られませんでしたとか、こういうふうに言うのは、いま捜査の大事なところへ来ているわけでありますから、法務大臣の口からそういうことを申し上げるのは適当でない、申し上げかねますと、こういうことであります。
○上田耕一郎君 P3Cは額にしてトライスターの十倍、約一兆円以上といわれる商戦なので、これは一層追及が必要だと思いますが、コーチャン回想で、例の児玉の依頼で中曽根康弘氏が大活躍したことが述べられている。トライスターが日航に決まりかけたと、それを逆転させたということになっておりますけれども、共産党が全日空、日航、丸紅などを調査したところ、十月五日、六日にかけてそうした動きは全く皆無であります。八月十八日、参議院ロ特委で近藤議員が取り上げたコーチャン氏へのアメリカでの尋問メモの中に、当時ロ社と児玉との間に契約がなかったことを留意してほしいとあるので、実はあれは十月五日、六日の逆転事件というのは、PXLの逆転問題、ちょうどあの国防会議の直前なんですね。こういう疑惑が大きいんですけれども、この件に関し中曽根康弘氏について事情聴収その他行いましたか。
○政府委員(安原美穂君) 事件の捜査に関しまして、特定の氏名を挙げて調べたとか調べないとかいうことを申し上げるわけにはまいりません。
○上田耕一郎君 児玉隠し、中曽根隠し、田中隠し、いろいろ言われておりますけれども、中曽根隠し、これ絶対ないように特に稻葉法務大臣注意しておきます。この中で稻葉法務大臣、いま児玉Xルートとよく言われて、このXというのは小佐野氏だと世上言われておりますけれども、この肝心の小佐野氏がまた入院してしまった。あの入院というのはしばしば駆け込み寺みたいになっているわけですね。それはほぼ大体予想されることなので、一体東京地検は小佐野氏をその前に事情聴取をしたと思いますけれども、いかがでしょう。
○政府委員(安原美穂君) いま中曽根さんについてお尋ねと同じように、このことも申し上げるわけにはまいりません。ただ検察当局といたしましては、何とか隠しというようなことの言われない公正な捜査を心がけております。
○上田耕一郎君 亡くなられた福田太郎氏の場合には、入院中も事情聴取をしておりますけれども、小佐野氏についても入院してもできるはずだと思いますが、その点の方針はどうですか。
○政府委員(安原美穂君) 一般論から申し上げますならば、人命等に影響のない限り捜査の必要なあらゆる手段を尽くす所存でございます。
○上田耕一郎君 小佐野氏をなぜ偽証または不出頭罪で取り調べないのか。すでに若狭、檜山、大久保、伊藤、渡辺が偽証で起訴されておりますが、小佐野氏だけがされないというのはおかしいと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(安原美穂君) この点につきましては、先日衆議院のロッキード特別委員会で共産党の東中議員からお尋ねがございまして、そのことについては、せっかくのお尋ねではございますが、小佐野氏について調べたとか調べないとか、これから調べる方針であるということは一切申し上げるわけにはいかないと申して御理解を得たと思いますので、よろしくお願いいたします。
○上田耕一郎君 いや、東中議員も御理解をしてないと思いますが、もう一つ、小佐野氏は記者会見で、国会で資料提出を求められた政治献金の内容について応じますよと二月十六日に言っておりますけれども、捜査当局はこの小佐野献金リストを入手しておりますか。さらに、もし入手していなければ国会に提出させる必要があると思いますが。
○国務大臣(稻葉修君) 上田さんね、いま児玉ルート、そうしてそれに密接な関係のあるそういう捜査を一生懸命にやっているときに、あれを調べたか、これを調べたか、どういう方法で今後やるんだとか、そんなことを幾ら聞かれても言うわけにはいかぬな。それを言えば捜査に妨げになりますものね。本当に真相を究明しようという熱意を上田議員がお持ちならば、そういうことを根掘り葉掘り聞いて、私に言わせて、そうしてだめになるような方向にならぬように、ひとつお気をつけ願いたいと私は思います。
○上田耕一郎君 稻葉法相も、児玉ルートが未解明なのは残念だということをきのう言いました。国民全部がこれを考えている。二十五億円のうち十八億円あるわけですね。しかもここには、児玉ルートの中には、小佐野、二階堂進、中曽根康弘、さらに再び田中角榮氏の名前もコーチャン回想によればつながっていると言われるほどの大問題。それを本当にあなた方が調べているのかどうか。これは国民の大きな期待でもあり、同時に不安でもある。だからわれわれはこの点を追及しているのであります。三木首相、この児玉ルートに対する疑惑を徹底的に解明する決意があるのかどうか、この点あなたの決意を重ねてお伺いします。
○国務大臣(三木武夫君) 児玉ルートは、御承知のように、金額も一番大きい金額でございますし——児玉ルートを通じて流された金額。したがって、やはりこの児玉ルートというものが解明されなければロッキード事件の全容が解明されると言えませんから、いろいろ困難はありましょうけれども、これは徹底的に解明したいということが検察庁の意向でもあると聞いておりますし、私もそうだと思います。
○上田耕一郎君 PXL問題が影も見せないというのは、これは非常に大問題なんですね。稻葉さんはきのう日米協力の隠しだということも言いましたけれども、日米軍事同盟にかかわるものであり、この点について日米協力で必死に隠そうとしているという疑惑が非常に強いのであります。 九月三十日ロッキード社の株主総会で、ハーク会長は、P3C売り込みに対する確信を述べている。こう言っている。将来また日本へ航空機販売ができると私個人は信じている、日本は対潜哨戒機を必要とする防衛上の責務を持っている、そうして最もすぐれた対潜哨戒機をつくっているのはわが社だと、そう言っている。ところで一月三十一日付のポスト四次防の海上防衛力整備五ヵ年計画中には、P3C導入がすでに明記されているという報道がありますけれども、防衛庁、これは事実ですか。
○国務大臣(坂田道太君) まだPXLの次期対潜哨戒機は決めておりません。しかし十二月末までには何とかいろいろ検討いたしまして、最終的な結論を得たいというふうに思っておるわけでございますが、何しろやはりロッキード問題の解明がまだ十分でございませんので、それを待ちまして考えたいと思っております。
○上田耕一郎君 五ヵ年計画中に明記されているというのは事実と違いますか。
○国務大臣(坂田道太君) このポスト四次防につきましても、ただいま国防会議におきまして審議を煩わしておるわけでございますが、しかし、次のポスト四次防の段階におきまして次期対潜哨戒機を得なければならないということは考えておるわけでございます。
○上田耕一郎君 PXL問題の疑惑は、新たにグラマンの疑惑によって一層増幅されました。四十七年の十月九日の国防会議議員懇談会で、田中角榮氏のツルの一声で、国産化白紙還元されたのがPXLとAEW——早期警戒機、これがアメリカで問題になって、グラマン・インターナショナルのチーザム前社長が、ニクソンのアレン副補佐官から百万ドルの献金を求められたという証言とともに、田中・ニクソン会談でE2Cが話し合われたと証言している。こういう事実はありますか。
○政府委員(山崎敏夫君) この問題に関しましては、本年の九月十三日の米上院外交委員会の多国籍企業小委員会におきまして、イラン向けのF14の輸出問題に関する公聴会が開かれたわけでありますが、同社の、グラマン社のE2Cの対日売り込みに係る選挙資金献金問題も提起されました。その際、チーザム前グラマン・インターナショナル社の社長からニクソン大統領に、田中総理との会談でE2Cの対日売り込み問題を取り上げてほしかったので、アレン大統領副補佐官に対して、この問題につき一般的な説明を行ったと。その際、このアレン副補佐官は、本件は百万ドルの価値があると思う旨を述べた。 それから第二に、ニクソン大統領が田中総理との間でE2Cにつき話し合ったか否かは承知していないという趣旨の証言を行ったということは聞いております。この証言に関しましては、その翌翌日の九月十五日の多国籍企業小委員会の公聴会におきましてアレン副補佐官——当時副補佐官でありましたアレン氏がこれを全面的に否定する趣旨の証言を行っておりまして、またチーザム社長がアレン副補佐官にアプローチしたと言われます一九七二年の春には田中総理はいまだ就任しておりません。したがって、その時点では田中・ニクソン会談の予定もあり得なかったと思われますし、またチーザム氏の証言に言うサンクレメンテ小委員会なるものは存在しないと、かなり不正確な点が少なくないと考えられます。
○上田耕一郎君 いまのお答えの中で、チーザム前社長の後で会った日にちを数ヵ月後だということを述べておりますから、それを指摘しておきます。 全くいまのは納得できない。グラマン・インターナショナルのオラム現社長は田中・ニクソン会談の作業部会でE2Cが取り上げられたことを示す文書がグラマン社にあるということを認めております。また、チャーチ委員会に対してアメリカ政府は、ニクソン会談のアメリカ側の討議資料——国防会議のものですが、その一部をすでに提出している。ウオーターゲート特別検察局もすでに動き出しているのであります。ですから、アメリカ側ではもう資料提出が始まり、調査が始まっている。これは非常に大きな問題であり、私はP3C問題を明確にするためにも、このハワイ会談に関係するグラマン関係の資料の提出を要求したい。 一つは、アメリカ側のこの資料を日米司法取り決めに基づいて取り寄せてほしい。 もう一つは、サンクレメンテ会談、ハワイ会談、小委員会、作業部会などに関する日本側討議資料、会談記録、これを国会に提出してほしいと思います。
○政府委員(山崎敏夫君) いま仰せがありました中で、アメリカの国防省がアメリカの上院の多国籍企業小委員会に資料を提出したということでございますが、これはグラマン社のイラン向けの輸出に関するものでございまして、日本に関するものは一切含まれていないというふうに承知しております。 なお、ハワイ会談その他の関係資料を提出せよということでございますが、この問題に関しましては従来の外交上の慣例や配慮からいたしましても、この種の首脳会談及びそれに関連する資料の提出は差し控えさしていただきたいと存じます。
○上田耕一郎君 アメリカ側が提出した資料は田中・ニクソン会談に関する討議資料だと新聞には報道されております。 委員長、この問題、委員会に提出するよう取り計らっていただきたいと思います。
○委員長(八木一郎君) 委員長は理事会に協議して、適当に処置いたします。
○神谷信之助君 委員長、関連。 関連質問を行います。 まず第一の問題は、臨時国会の冒頭、九月の二十二日に五党国対委員長会談が行われました。そこで政府は、事件の真相について国会に対し中間報告を行うべきである、こういう合意が成立をいたしました。そしてさらに、口頭ではありますが、中間報告の中には、いわゆる灰色高官の公表を含むとはっきり確認をされています。現在、政府が行おうとするところの中間報告、これとは根本的に異なるわけであります。五党国対委員長会談の合意を踏みにじり、欺瞞をするものと言わねばなりませんが、まず、この点についての見解をお伺いしたいと思います。 第二の問題は、三木総理は、国民がこれだけの関心を持った事件でございますから、事件の内容がこういうものであったということを国民に真相を明らかにすることは政治の責任だと再三言明しておられます。ところが総理は、灰色高官名を含む資料の提出は秘密会で行おうとしております。これは従来からの言明から言っても国民をだますことになるではありませんか。しかも、その提出される資料の中身もいまだに明らかではありません。秘密会でなければ明らかにしないと言うのでは、国民の前に真相を明らかにしない灰色高官隠しだと言わねばなりません。今日、国民の八七%も高官名公表を要求する、こういう国民世論です。この国民世論に挑戦するものと言わねばなりません。三木さん、あなたはロッキード事件の真相を国民に知らせようとするのか、それともさるぐつわをかけておいて国会のロッキード特別委員会の委員だけに知らせれば済むと思っているのか、この点についての明確な見解をお聞きをしたいと思います。 第三に、私どもは、政府がこれから行うべき中間報告の中には少なくとも次の諸点が含まれる必要があると考えます。 まず第一の点は、全日空、丸紅ルートのロッキード資金の流れの全貌であります。すなわち一つは、いかなるルートで、いつロッキード社の資金が日本に流れてきたのか。二つ目には、日本に流入した資金がどこを経由して、最終的にどこへ行ったのか、その経過のそれぞれの過程ではいかなる趣旨、目的で手渡されたのか。三つ目には、この中で明らかになったすべての政府高官、政治家の氏名を、その刑事上の処分の有無、その結果及び理由を含めて明らかにすべきだと考えます。 さらに第二番目に、ロッキード社の製品の売り込みのために、またはそれと不可分の関係にある全日空の権益拡大のために行動した政府高官、政治家の氏名及びその行為の概要を明らかにする必要があると思います。 第三には、P3Cの捜査のこれまでの結果、捜査上の問題点、関係者の範囲、今後の捜査方針、さらに小佐野、児玉の捜査の今日における到達点と今後の方針も明らかにする必要があると思います。 第四に……
○委員長(八木一郎君) 神谷君、時間が経過しております。簡単に願います。
○神谷信之助君 はい。 ロッキード社から流入した資金によって日本の航空行政や防衛政策などにどのようなかかわり合いが生まれたか。 以上の点が当然含まれなければならないと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。同時に、中間報告については十分な質疑を行うのは当然だと思いますが、どうでしょうか。 以上の点についてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 午前中のこの会議でも私は申し上げたように、この捜査が全部終了した段階においてはロッキード事件の真相はこういうものだということを私は報告をいたす所存でございます。しかし、ただいまの段階は、御承知のように、丸紅、全日空の捜査が一段落はしたとはいっても、児玉ルートの解明は残っておるわけでございます。この丸紅、全日空のルートと相関関係がないとは言えないわけでございますから、こういう捜査過程の中において国会の国政調査権に協力しようというわけでございますから、おのずから限界のあるということは御了承を願いたいわけでございます。 あとは法務大臣からお答えいたさせます。
○国務大臣(稻葉修君) これから中間報告の内容を詰めていくわけですね。そうしてその中間報告には、五党国対委員長会議で決められた灰色高官の公表ということにも資し得る、役立ち得るような内容にする義務があるなあと、こういうことを思ってせっかく努力中なんですから、まずロッキード対策特別委員会で私の中間報告を聞いていただいて、それからここが足りないとかということで、質問したり応答したりなすったらいかがでしょうか。そういうふうに御了解願えますね。
○上田耕一郎君 秘密会問題。
○国務大臣(稻葉修君) 不起訴になった者から灰色——われわれの方ではこれはシロなんですけれども、国会の方ではそれの中から灰色を、こう引き出そうということですね。だから、その灰色の人の名前までも出しますと、第三の山が残っている段階でそういうのを公表して、第三の山の捜査に妨げないと言えるでしょうか、どうでしょう。これは非常に関連のあることですから、何でもかんでもああやって出されるんじゃかなわぬと言って、第三のルートを捜査するに任意の事情聴取に応じてくれるような人の範囲が、非常にいやがって狭まるんじゃないんですか。そうなると、第三のルートの真相究明に非常に差し支えがあるんじゃないんでしょうかね。あなた、常識上そう思いませんか。そうでしょう、どうですか。——納得されぬようですが、私は第三のルートの解明を非常に熱意を持っているんです。あなたもおっしゃったように、まことに残念だ。国民も非常に残念に思っているだろうし、共産党も非常に残念に思っているんじゃないんですか、上田さんも。そうでしょう。 だから、それに差し支えのあるようなことにならない範囲内において最善の協力を中間報告で申し上げましょうと。灰色ということは私らにはよくわかりませんからね。まだ定義も範囲も基準も決まっておりませんから、まずその基準を決めてくださいと言うんだけれども、その基準を決める過程においてさえも、こちらは協力して基準の決めやすいように協力申し上げましょうと言っているんですから、こんな熱心なことはないと思いますよ。決して秘密会にするから永久に隠すなんというんじゃないんです。全部、第三のルートも全貌が明らかになったら総理大臣はこれを報告する、全貌を。国民の知る権利というものは、この捜査の過程のうちではやはり制限されるものだ。最終的にみんな知るという、知る権利に非常に親切に応ずるためには途中においては知る権利を制限するのが、かえって全貌を最後に知る上においてその方が適当である。決してあなた、私らの方はつかまえる方です。つかまえる方が隠してどうなりますか。逃げる方だ、隠すのは。逃げる方は隠すかもしらぬ。こっちはつかまえる方だ。それを灰色隠しとか、ずらしとか、おろしとか言われたって、そんなことは私らには当てはまらないです。こちらには当てはまらない。
○上田耕一郎君 しかし首相、秘密会ですね、当該委員会の秘密会でお願いしたいと、あなたは言われたけれども、国会法によりますと、委員会は多数で秘密会にできると、だからつまり自民党員がもし主張すれば完全に新聞記者も入れなくなる。密室。しかも国会法六十三条によると、議決によって記録も公表しないことができる。これでは灰色高官名は永久に国民には隠されたことになる。これでいいと思うのですか。
○国務大臣(稻葉修君) 永久に隠されたことにはならないのです。児玉ルートの解明の過程においてはある段階においてはそういうことは秘密にしておかないと捜査が非常に妨げになる。全部が明らかになった場合には、刑事訴訟法の立法の趣旨をも踏まえて、それを逸脱しない範囲内においては全貌を総理大臣から報告すると言っているんですから、なぜ隠す隠すと言って疑うんですか。
○上田耕一郎君 これまでの実績から疑わなかったらおかしいわけですよ。その点、国民は本当に灰色高官の名前もすべて含めて公表を要求していると、国会の秘密会での公表というのは国民への公表にならぬということを指摘しておきたい。 それから次に移ります。 ロッキード疑獄を生んだものは自民党を中心とした金権政治だと思う。その元凶は言うまでもなく大企業からの献金ですけれども、同時に自民党の総裁選挙の問題がある。首相は総裁選は諸悪の根源だと、そう言われていますけれども、どういう理由でそう考えますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私も総裁選挙を三回やっているんです。どうも総裁選挙というものを見てみると、派閥単位で総裁選挙が行われている。どうしてもやはり総裁選挙がいまのような形であったならば、派閥を強大にしなけりゃならぬという支障が起こってきて、まあ派閥という問題と関連してやはり総裁選挙のあり方というものは再検討をする必要があるということが、私が諸悪の根源であると言うゆえんでございます。
○上田耕一郎君 三木総裁にお伺いします。 自民党は総理大臣の候補者、首班候補者をどういう手続で決めますか。
○国務大臣(三木武夫君) 総裁公選の規定によって自民党の総裁を選んで、その総裁・総理は分離でありませんから、その総裁候補が当然に首班選挙が行われる場合に、首班選挙のときの自民党の候補者になるということでございます。
○上田耕一郎君 つまり、自民党は特別に首班候補者を選定しないで、自動的に総裁がなるわけですね。そうすると、自民党の総裁選挙というのは二重の意味を持つ、自民党の総裁を決めること、自動的に自民党が多数である限り一国の総理という最高の公務員の候補者を決めるという公的な性質を持っております。総理を決めることは国会議員の職務権限だと思いますが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) どうして私に聞くんですか。そういうことをどうして法務行政の担当者である私に。法制局長官に聞いたらどうですか。
○上田耕一郎君 あなたは憲法学者だから。——じゃ法制局長官の意見。
○政府委員(真田秀夫君) 国会議員が国会の場で総理大臣の指名をするという行為は法令による公務でございます。
○上田耕一郎君 いままではまるであたりまえのことですが、今度は本当に、稻葉法務大臣、そうすると自民党総裁選挙で、もし総理を選ぶ職務権限を持つ国会議員を総裁に当選する目的で買収した場合、刑法の請託贈賄、受け取った方は受託収賄に当たると思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(安原美穂君) 自民党の総裁選挙による選挙権の行使は自民党員としての権限といいますか行為でございますので、当然に国会議員の行為というわけにはなりませんから、受託収賄というようなことに直接はつながりません。
○上田耕一郎君 昭和四十年三月施行の都議会議長選挙に関する汚職事件の概要、判決要旨を述べてください。
○政府委員(安原美穂君) 判決は相当長うございますので、要旨を申し上げますと、この判決は四十二年の六月三十日に東京地裁で行われた判決でございまして、東京都議会の議長選挙に絡む贈収賄事件でございまして、この場合、議長候補を選定するに関して金銭、物品等が贈与されたという案件でございまして、このときの判決によりますと、自民党の議長候補者選定の本質につきまして都議会議員の全体の過半数を超える者が参集して、それら議員の属する会派において議長を確保するため、本会議における議長選挙の際、議長としてだれに投票するかを決定すること、すなわち本会議における議長選挙という議員の職務権限の行使の内容を決定するのが候補者選定の手続であるから、議員の職務行為、候補者選定ということは議員の職務行為自体とまでは言えないにしても、これときわめて密接不可分の関係にある。したがって、これは議員としての職務に密接不可分の行為であるから、それに関して、議長候補者選定について便宜を計らうという意味において、その対価として金銭の授受があれば贈収賄罪が成立するというのが東京地裁の判決でございます。
○上田耕一郎君 きわめて明白なんですね。自民党の都議会議長候補を決めるのに十万、二十万、洋服一着などやったんだ。ところが自民党の議長候補になれば、これは自民党が都議会で多数を占めているのだから、これが当然議長になるというので、これは有罪になったのであります。 そうしますと、先ほど安原さんは、自民党の総裁選挙、これは自民党員としての権限行使だと、国会議員の権限行使ではないと言ったけれども、この判決は職務行為自体と言えないけれども、密接不可分だと、これはほとんど自明の理だと言っている。それで、政党活動の自由はもとより尊重されなきゃならぬ、しかし政党活動であることのゆえをもって公務員の廉潔を害する行為の隠れみのとすることは許されないとして有罪になり、これはもう確定判決になっているのですね。この法理は、自民党総裁選挙にもし買収があればすべてそのまま当てはまると思いますけれども、いかがでしょう。
○政府委員(安原美穂君) 一見そのような御判断も出るかとも思いまするけれども、この判決は議長候補の選定に関する贈収賄が議長候補との、議長選出との関係において直接結びついておるわけでありまするが、自民党の総裁選挙についての贈収賄は、内閣総理大臣を選任をするという国会議員の権限行使と直接には結びついていないのでございますとともに、聞くところによりますると、自民党総裁選挙の選挙母体は、自民党の所属の国会議員だけで行われるのではないという意味で、選挙母体も違うというようなこともあるようでございますので、やや具体的な問題でございまするから、明言は差し控えたいと思いまするけれども、この判決をそのまま引用して自民党総裁選挙に持ってくること、そのことには若干疑問があるのじゃないかと私どもは思います。
○上田耕一郎君 福田副総理にお伺いします。 福田副総理は「文芸春秋」の四十九年九月号で、総裁選挙というのは、これで一国の首相が事実上決まるのだから大事中の大事な公職を決める選挙だ、そこで実弾が動きでもしたら贈収賄になると、こうはっきり書いておりますけれども、そういまでもお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 法的には私は贈収賄は成立しないと思うのです。ただ……
○上田耕一郎君 道義的に。
○国務大臣(福田赳夫君) 道義的、政治的に見ますると、どうも贈収賄と同じような関係が成り立つ、そういうふうな見解でございます。
○上田耕一郎君 安原さんは、自民党の総裁は総理とちょっと違うと言いましたけれども、田中角榮氏は当時の四十七年六月二十三日、党の総裁は議院内閣制上、内閣を組織する公的な性格を持つ、明朗濶達、疑惑があってはならないと、こう田中角榮は言っているのですね。福田さんは六月二十日の立候補声明で、「自民党の総裁は同時にわが国の首相であり」とはっきり明確に述べておる。先ほど三木さんも、自民党の総裁は自動的に総理の候補になるんだと、そう言われた。実際にそうなるわけですよ。 先ほどの判決では、ちょうどあなたが言われたようなことを当時の被告人たちが言っているんです。自民党の総裁選挙であんなに金が飛んだって大丈夫じゃないか、だから議長選挙でも大丈夫だと言った。判決はこう書いている。「いわゆる総裁選挙の実情について、世上噂さにのぼる如く多額の金銭が乱れ飛んでいることが真実であるとすれば、誠に遺憾至極という外はないが、かかる事実の存するからといって、当裁判所の前記判断を左右することはできない」と、こう述べているのであります。 福田さんは四十七年田中角榮と争ったとき、あんまり醜い選挙になったので途中でやめようと思ったと、そう書かれておりますけれども、実際に実弾が飛んだ事実を御存じと思いますが、またあなたも対抗上やむを得ずやったと書いておられますけれども、どうでした。
○国務大臣(福田赳夫君) 醜いことが多々あったように思います。
○上田耕一郎君 私も全部言えませんけれども、その当時週刊誌、新聞その他で三十億、四十億、百億円と言われる総裁選挙の金が流れ飛んだことについて、コピーだけでこんなにあるんですよ。百億円と言えばコーチャンが流した二十五億円の四倍であります、総額で。 ロッキード問題は民間の飛行機を決定するのに金が動いた。一国の首相の、日本の最高の地位です。日本の国政の最高責任者の地位を、もしコーチャンが流した二十五億円の何倍もの金を流して買い占めたと、贈収賄をやったと。もし自民党の議員が、サントリーとか、ニッカとか、五家宝とか、八ツ橋とか言われておりますけれども、もしもらっていたら、もらった自民党の議員は総理の座を取引した。これは昭和四十七年ですからね。まだ時効はあります。五年たっていない。どうですか。これは刑法上の贈収賄に明白に当たると思う。 「赤旗」の調査によりますと、田中角榮氏は、あの総裁選挙で当選した夕方、国際興業の本社に行って、小佐野賢治の前で直立して最敬礼のおじぎをしているんです。金をもらったからですよ。国際興業の中では、三十億円を小佐野賢治が出したからお礼に来たと、当選したその日に来ているんです。こういう大変なことを、日本の国の首相の座を自民党が党内でもし実弾で——こういうふうに書かれている。自民党のだれ一人として名誉棄損で訴えてはいませんよ。中曽根さんなどは党内から七億円で裏切ったということさえ書かれている。こういう事実については、私は週刊誌で書いてそのままで済ましてはおけないと思うんです。日本の国の最大の問題だと言っていい。議会制民主主義、国民主権、どういうことになりますか。国会議員の責任はどうなりますか。あなた方総裁候補選挙に立った人たちはどうなりますか。稲葉法務大臣、もし実弾が流れていたという疑いがあれば、私は刑事責任もあると思う。まだ時効になっておりませんから、この問題での捜査を私は要求したいと思う。国民に対する義務だと思う。
○国務大臣(稻葉修君) 総裁選挙にそういう多額の金が取引されたとすれば、それはいけない。よろしくない。
○上田耕一郎君 安原さんも先ほど妙な法理を述べられましたけれども、余り自信がなくて、若干違うというようなことを言われた。東京都議会の判決は、私が先ほど紹介したように明確な判例になっている。この問題を研究して、よろしくないというだけじゃなくて、刑法の受託収賄と請託贈賄として、重大な贈収賄事件として捜査を、刑事責任の追及を私は要求したい、明確に答えてください。
○政府委員(安原美穂君) 先ほど申しましたように、判決は、議長候補者と議長選挙という直接のつながりがございますが、自民党総裁、それから総理選挙ということでありまして、この判決が直ちに自民党の総裁選挙の金銭の授受が総理選挙における国会議員の職務行使に関する贈収賄になる金銭の授受であるということに解釈し切れるかどうか大いに疑問があると私は思いますけれども、いま御指摘のことはきわめて具体的な事柄でございますので、私ども法務当局からその当該事件についてどうするかということをお約束することはいたしかねます。
○上田耕一郎君 まあ局長は約束できなくても、法務大臣、これを研究し、この問題を取り上げる、そのように努力するという、そういう答弁はできませんか。
○国務大臣(稻葉修君) はなはだよろしくないことである、こういうように判断いたします。
○上田耕一郎君 あなたやりますか、職をかけて。職をかけて調べますか。
○国務大臣(稻葉修君) 職などいつでもかけているんだ。そんなことはあなたに言われなくても、職などいつでもかけているんです。だからそういうことはよろしくない、はなはだよろしくない。
○上田耕一郎君 よろしくないことはもう明白ですよ、政治的、道義的責任の追及があるんだ。ただよろしくないだけじゃなくて、法的に安原さんも疑義があるということは言われた。それで片方は議長候補でそれから議長になる。これは総裁で、これが首班候補になり、そして選挙で首班になるわけですね、自民党が多数である以上。それから三木さんも言い、総裁立候補の人たちは全部自分が総理になるつもりで総裁候補であれをやっているんですよ。総理になれないとしてあんなことをやりますか。福田さんも田中さんも総裁イコール総理だと言っているじゃありませんか。そうすれば国会議員の職務権限、この職務権限自体と言われないでも密接不可分だったらきわめて同じじゃありませんか。そういう点について、刑事責任をも明確に追及すると、そのことをひとつはっきりお伺いしたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 刑法学者安原刑事局長も、首班指名、総理大臣選挙直接に買収が行われて、野党を買収したとか、そういう直接な場合は明瞭だけれども、総裁選挙そのものについてのあれは法的疑義がある、こう言っているわけですね。しかし、これはよろしくないことはもう今度からやらないように皆さんにしてもらわなければいかぬ、それは。それはそうだ。まあ私は総裁選挙に立たないからいいけれども、こういう人たちにしっかりやってもらわなければいかぬ。けれども法的に疑義があるものを私が捜査するとかしないとか言うことは、やはり捜査機関は検察庁ですから、それに対して法務大臣はここでするとかしないとか言うことはやはり指揮権の発動にもなりかねませんから、そこのところは留保いたします。
○上田耕一郎君 三木首相の見解をお伺いします、重大問題ですから。
○国務大臣(三木武夫君) いろんな疑惑に包まれることはよくないですね、こういう選挙に絡むいろんなうわさが上るようなことはよくない。やっぱり政治のモラルから言ってよくないので、私は思い切って総裁選挙のやり方を変えよという提案をやって、いま自民党で検討をいたしておるのも、こういう一点の疑惑も持たれることはよくない、それをひとつこの機会に根本的からそういうふうなことになるような危険のない総裁公選の制度を打ち立てたいと努力をしておる次第でございます。
○上田耕一郎君 私は、これは刑事責任並びに政治的、道義的責任に当たるということはほぼ明白になったと思いますけれども、首相も稲葉法務大臣も余りに重大問題なのでなかなか答えられない。しかし、そういう重大問題でわれわれは今後もこれを追及し続けていくということを表明して次の問題に移ります。 そういうことを引き起こして首相になった田中角榮氏は、なって一ヵ月半たって檜山氏の訪問のときは五億円もうかるなと思ってやったわけですよ。ですから諸悪の根源というのはそういうことにもつながりがあるんです。何十億の金を使ってようやく総理になった、その金を取り返さなければならない。また次になるためには派閥を養わなければならぬということでつながりがある。そういう意味で私は、田中角榮氏は恐らく戦後最大の買い占め、日本の首相の座を買い占めたというロッキード首相であって、戦犯の岸首相に続いて日本の恥だと思う。その田中氏が今度また立候補するという問題があるようであります。きのうも追及されました。この問題について首相にひとつお伺いしたい。 自民党を離党した田中角榮氏初め三人に対して、自民党の国会議員、地方議員、自民党党組織、これは一切応援しないということを約束できますか。
○国務大臣(三木武夫君) 自民党が自民党としてこれは応援することはございません。
○委員長(八木一郎君) 上田君、時間が切れていますから。
○上田耕一郎君 一言だけ。 私、残念ながら国民生活防衛の問題について準備しておりましたけれども、できませんでしたし、特に謝らなければなりませんのは、電電公社総裁にわざわざ来ていただいておきながら時間の関係でできませんでした。失礼を幾重にもおわびいたします。 以上で私の質問終わらせていただきます。(拍手)
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(八木一郎君) 栗林卓司君。
○栗林卓司君 私は、まずロッキード問題からお尋ねをいたしますけれども、いわゆる灰色高官の解明の問題について、われわれも恐らく国民の大多数も同じ気持ちだと思いますけれども、この解明は三木総理が先頭に立って政府が中心になってやるものだと実は思い込んでおりました。ところが予算委員会の議論をだんだんと伺っておりますと、なかなかそうでもないようであります。最近は、いわゆる灰色高官の解明問題は国会の仕事であって政府の主たる任務ではない、こういう趣旨の御発言もあるようでありますけれども、これは総理が変わったのか、それとも総理がやるものと思い込んでしまったわれわれが誤解をしていたのか、どちらでございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほども何回か申しておりますように、この捜査が、全体の捜査が終了した後においては、国民がロッキード事件の真相を知りたいと考えておるわけですから、これに対して私の判断と責任において報告をしたいと思っております。いまは捜査過程でございますから、まだ児玉の線というものは解明は今後の課題でございまして、丸紅、全日空の捜査が一段落したと言っても相関関係もございますから、その公表には限界があるということを申しておるわけでございます。それにもかかわらず、いまやろうとしておることは、栗林君も御承知のように、四月二十一日の議長裁定の線に沿うて最善の協力を政府がやることによって、国会の政治道義的な責任の調査に対してできるだけの協力をやろうというのが現在の政府の態度でございます。
○栗林卓司君 そうすると、整理しますと、児玉ルートの解明が終わるまではだめであると、それまではなかなか灰色高官の解明問題には手をつけるべきではないんだけれども、議長裁定もあるから最大限の協力をする、いまそういうように伺ったんですけれども、従来はそうではなかった。なるほど児玉ルートの解明が終わってからの方が望ましいことは言うまでもありませんけれども、その間についても灰色高官の解明は進める。どちらを進めるかについては議論は確かにあった。前に重点がかかったことをおっしゃっていたんではなかったですか。
○国務大臣(三木武夫君) そうじゃないんですよ、捜査が全部終わらなければ全容というのはわからないですからね。だから途中でいろいろと言っても、ロッキード事件の真相をできるだけ国民の皆さんにも御報告したいという以上は、それはやはり児玉の線も解明されないと、どういう相関関係があるか、真相を国民の前にできるだけ知らしたいという目的は達成できませんから、そういう際の捜査が終わればできるだけ真相を明らかにしたいと言っておるわけですから、これは何も変わってないわけです。その途中ということになりますと、捜査が進むわけですから、捜査の妨害になってもいけない、そういうこともございまして、おのずからその公表ということには限界があるということは、これは捜査上も当然のことだと思うわけでございまして、私の最初考えておったことからいささかも後退はしていないわけでございます。
○栗林卓司君 そうすると、仮に総理が言われるようにロッキードの解明が終わってからといたしましても、その真相は国民の前に明らかにしたい。どこまで灰色高官を出すかという基準の問題については、いまのお話ですと、捜査終了時点で政府として基準も決めるという意味ですか。
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、政治的、道義的な責任というものは、行政府がこれに対してこの問題を裁くというのは適当でないと思うんです。刑事上の責任はむろん検察がやるわけでございますが、政治的、道義的な政治道義の問題というのは、やはり議長裁定にも政治的、道義的責任の有無は国会がやると書いてあるんですね。これに対して政府が最善の協力をするというのが議長裁定でございます。私はそれが適当だと思うわけです。やはりいわゆる灰色ということは恐らく刑事上の責任はないけれども、道義的、政治的責任があるという者を言うわけでしょうからね、それを行政府の立場でいろいろ区分けをするということにはいろんな弊害が伴いますね。だから国会の立場でこの有無というものを御調査願うということが私は適当だと思うんです。どこの国でも私はそうやっていると思います。それに対して政府が最大限の御協力をしたいということを言っておるわけでございますから、何かこの事件を逃げて通るという考えはないんです。これだけ国民の疑惑に包まれた事件をそんなことはできるものじゃありません。それをやれば、ロッキード事件の究明を通じて政治の不信を解消したいということにならないですよ、そんなことをすれば。どうかそういうことで私の真意は御理解を願いたいと思うわけでございます。
○栗林卓司君 灰色高官の政治的、道義的責任の問題に多くの関心が集まっていることは御承知のとおりです。また、その解明も真相解明の中の重要な部分であることは総理も否定はしないと思います。どこまで公表するかという基準は国会で決めてもらいたい、その総理の立場を一度踏まえたとして、現在基準について与党と野党の間で大きな隔たりがあるのは御承知のとおりです。仮にでありますが、仮に野党が要求している線で国会の総意が決まった場合に、政府としては国会で決めてくれと言われているわけですから、全面的に応ずる用意がございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 国会の意思としてお決めになれば、これはもう最大限度の協力をいたす所存でございます。
○栗林卓司君 重要なところですから、くどく伺いますけれども、最大限度というのは具体的にどういう意味ですか。
○国務大臣(三木武夫君) 国会の意思にできるだけ沿いたい。できるだけ沿いたいというのは、まあ言えば、全部国会の意思に沿うように努力をしようということでございます。
○栗林卓司君 そうしますと、伺っている印象からすると、仮定の問題で恐縮ですけれども、仮に野党が主張している方向で公表基準が決まった場合、でき得れば一〇〇%それに見合うような目いっぱいの努力をしたいと、こういう御答弁に受け取れるわけです。そうしますと、いま全日空、丸紅ルートは一応一段落ということになっているわけですが、野党が要求しているような範囲にまで灰色高官に関する調査が及んでいると理解してよろしいですか。
○国務大臣(三木武夫君) それは捜査していないものはやむを得ませんよ、捜査していないものは。捜査がしてないものを捜査の資料を出せと言っても仕方ないわけですから。それで私は、できるだけと言っておるのは、捜査も何もしていないものを出すと言っても、捜査を踏まえて出すんですから、それはできないということです。いままでの捜査の経過を踏まえて出すわけですから、それは出せないということでございます。
○栗林卓司君 ないそでは振れないわけですね。総理、捜査してないものは出すわけにはいかぬわけですね。ですから最大限に協力するということの言葉の意味は、政府がどこまで捜査をしていたかということなんです。どこまで捜査をしていたかということは政府の権限内の問題なんです。そこで私がくどく聞いているのは、基準は国会で決めてくださいとおっしゃいますけれども、ないそでは振れないんだということになると、どこまで捜査をするかという線引きがあらかじめなきゃいかぬ。ということは、政府固有の基準が裏にあるということなんです。基準は国会とおっしゃいますけれども、捜査してないものはしようがないじゃないかと、あたりまえの理屈を裏返していくと、実は政府として固有の基準を持って、その基準に従って捜査をしているということなんですから、国会が決めてくださいと言う前に、政府としてはこれが基準でございますということをお示しいただかないと話が進まないんじゃございませんか。
○国務大臣(稻葉修君) 捜査の基準と言いますが、捜査の基準は犯罪の容疑があるかないかということが基準で捜査するわけです。犯罪の容疑があれば捜査に踏み出す、その結果クロになるシロになると、こういう基準でございますから、犯罪の容疑があって捜査をいたしましたが、クロは報告で出しますね、報告で出せない者はシロですな。それを、そのシロのうちからどれだけを灰色と言うのか、それは政治道義的責任追及権者である国会がそれを判断して基準をお決めになるというのが筋じゃないでしょうか。
○栗林卓司君 政府が出したものが一応テーブルに乗っていまして、そのうちで選んでくれということは、政府としては犯罪容疑がある部分をこう調べた、それを国会として選んでくれという表現でありまして、前提なしで基準を国会に決めてもらいたいということではないんです。なぜかと言いますと、与党と野党でいろいろ相談をしてもらいたい、こういうことを再三おっしゃってきた。ということは、与党の案で決まる場合もあれば野党の案で決まる場合もあるわけです。ところが野党の案で考えますと、御承知のように非常に広く考えているわけです。そのへりの部分は常識的には犯罪容疑がない。したがって政府は調べていない。調べたら刑事訴訟法違反ですね。ということは、与党と野党で相談してくれというきれいごとを言ってはいけない、ではないんですか。
○国務大臣(三木武夫君) それはしかし、やっぱり国会の合意された意思に従うと言っているんですから、相談をしないと。これはやはり政府が追及するのは刑事的な責任ですからね、刑事的な責任のない者に対して国会が政治道義上の責任の有無というものを調査し、わかるわけでございますから、だからそれは、やはり国会はどういう範囲を考えておるのかということを国会の意思としてお決め願いたい。決める場合にも、議長裁定にも刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえてというわけでございますから、各党として十分そういう点でお話し合いが——私は、これぐらいなことは議会政治の場で、政治的、道義的責任の追及というこの国政調査というのは大事なやはり一つの国会としての権能でございますから、これはやはり将来においても行使していくためには、あんまりむちゃくちゃなことをやるというわけはないわけでございますから、いま申したように、刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえて、野党が国政調査権、これをやはり実りあるものにしたいという見地からお話し合いができれば、これは一本化できないわけがないという感じを持つものでございます。
○栗林卓司君 何を言われているのかよくわからないんですけども、国会の方で決めてくれということなんですから国会が決めた。行政としますと、刑事訴訟法という枠があるからそこまでは手が出ない。しかし国会でお決めになるというなら、刑事訴訟法の枠は出ることになるけども捜査の指揮権を発動するという意味でおっしゃってるんですか。
○国務大臣(稻葉修君) 総理の言われるのはそうではないんですね。刑事訴訟法の枠内で捜査をして、そうしてクロになりシロになると、しかしクロになった者だけでは、このロッキード問題というのは政治倫理の腐敗から来ている事件だから、その政治倫理上の責任もある程度出さないと国民も満足しないし、政治の倫理観につながらない。災いをもって福となすことにつながらない。だから、ある程度いわゆる灰色というものを国会が出そうとおっしゃるならば最善の協力をしましょうと。そこで、いままで丸紅、全日空ルートというのは大体捜査が終了しました段階で中間報告をして、実はシロにいたしましたよ、こうこういうわけでシロですという点についてもある程度申し上げて、国会が定義、基準、範囲、それをお決めになる判断の材料に、資料等を提供して協力申し上げましょうと、こういう心組みでおるわけです。
○栗林卓司君 依然としてよくわからないんですけども、刑事訴訟法の枠内で調べる範囲がまずあります。野党が要求しているのはもっと広い。枠内のことしか調べてない。その外のものを国会の総意として調べたいと決めることは国会の自由でありますから、決めた場合に、その捜査はだれがやるのかと聞いているんです。
○政府委員(安原美穂君) 先ほど来大臣が申し上げておりますように、刑事訴訟法あるいは検察権の行使の限界は刑事訴訟法の範囲内でございまして、いわば刑事責任の追及ということに尽きるわけでございまするから、いま御指摘のように、刑事訴訟法の枠外、いわば検察権の枠外にわたることにつきましては何ら権限がございません。そういうことでの調査こそ立法府がなさることとわれわれは考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 いまの見解、三木総理も御異論ありませんか。——では御主張をそのまま受け取りながら続けて聞きますけども、政府は、刑事訴訟法の精神に従って国会がその越える部分はやってもらいたいと、こういう御趣旨だった、希望するんならばですね。 そこで、一つ具体的な例を挙げて伺いたいんですけども、丸紅ルートのうちの檜山から田中前総理への五億円の部分、これはわりあいにわかりやすいケースなんで例を出すんですけども、五億円の贈収賄というのは檜山から田中角榮に渡ってこれで終わりであります。灰色高官の部分は田中に渡った五億円がだれに行ったのか。きれいに二つに分かれるわけです。檜山から田中に渡った五億円は、田中が受領を確認し、職務権限のことで議論が尽きればこれは一段落であります。刑事訴訟法の精神ではここまでです。そこから先は、特に公判維持のために必要という特殊な理由がない限りは検察としては調べる必要がありません。よってもって、ここから先は国会が調べてもらいたい。先ほどの国会が調べてくれと言うことをそのまま踏まえれば当然そうなります。この点、三木総理、これは総理からお答えいただきたいんですけれど、国会で調べてくれということだから、一つの例を、檜山から田中角榮への五億円を例にとってみると、前半分の部分は明らかにこれは刑事訴訟法の問題だ、後ろ半分は明らかにこれは灰色高官の問題だ、したがって国会が調べろということは、後半分は国会の総意がもしそう決まれば国会で調べていただきたい、当然そうなるので、この点は総理からでも御答弁できると思いますけども。
○国務大臣(稻葉修君) それはそのとおりです。そして国会がそれをおやりになるについて政府は最善の協力を申し上げる。こういうふうになっておりますとか、ああいうふうになっておりますとか、わかりませんでしたとか、できる限りの最善の御協力を申し上げるということになるんでしょう。
○栗林卓司君 これは三木総理に伺いますから、よく聞いておいていただきたいんですけども、五億円が田中前総理に渡りましてどこへ行ったのか。いま法務大臣は御協力をしますと言いますけども、もともとこれは灰色高官の部分なんですから、全然調べなくても検察は文句言われる筋合いじゃない。国会が調べなければいかぬ部分が相当ある。そこで、これを調べようとしますと、金に色はついてないんです。五億円の使途を知っているのは田中角榮その人しかいない。もし仮に公判維持のためにその前途を検察が調べたとしたら、それは田中が自供したという事実がなければできない。したがって、もしこの過程を国会でお調べくださいということは、この件に限って言えば田中角榮の証人喚問は当然の事実として不可欠になる、これをお認めになりますか。
○国務大臣(稻葉修君) 私、後で刑事局長にしっかりした答弁をさせる。ちょっとあやふやになりますけれども、どうも刑事被告人になっている人をこの国会へ呼び出して、さらに灰色部分を追及するための証人として呼んで聞いたりするということは、その刑事被告人の今後の公判維持について不適当な質問だのいろいろあって、それに答えなけりゃ偽証になるとか、こういうことになりますと、将来の公判維持に非常に差し支えあるように私、素人考えでそう思いますから、どうもその点は応じかねるような気がしますが、刑事局長にしっかりした答弁させます。どうもまことに相済みません。
○政府委員(安原美穂君) 原則論は栗林委員のおっしゃったとおりでございます。 ただ、具体的な問題につきまして、五億円の使途をある程度、五億円の趣旨を究明する上において捜査当局としても調べたはずでございますので、そういう観点で、将来公訴維持という観点で支障の来ることもあるかとは思いまするけれども、報告によりますると、使途につきまして犯罪の嫌疑が見出せなかったという報告も受けておりますので、理論的にはその犯罪の嫌疑が見出されなかったということであります以上は、それ以上調べることは捜査権の範囲を逸脱することでございますので、それ以上のことが何であるかはわかりませんが、それ以上のことは捜査権の範囲外ですから、立法府の御判断でそこはお調べになる必要があるということであれば御判断に基づくべきものと思います。
○栗林卓司君 そのとおり立法府の判断で決めてくださいという内容だと思います。 で、議員の証人喚問問題について、総理は記者会見で、一般的、抽象的な質問には答えられない、具体的に聞いてもらいたいと、こうおっしゃっていますから私はこう聞いたんです。この具体的なケースについてあなたはどうされるのか。私は質問時間がありませんからこれ以上くどくは聞きません。そこだけ伺って次の質問に移りますけれども、簡単なわかりやすいケースなんですからはっきり答えていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) これはいま申したように、具体的なケースについてその人を証人として呼ぶ必要性というものについて、これは委員会としてよく検討をされて御決定を願いたいと思うわけです。自民党総裁としては、自民党もやはり事態の真相を知りたいという国民の要望を背景にして、われわれも国政調査権の行使をしていただきたいわけでございますから、できるだけの協力は自民党もするように努力をいたします。
○栗林卓司君 仮にも前総理・総裁なんです。その人を証人に呼ぶか呼ばないかということが出先の委員会で決められるはずがありません。それは総理あるいは総裁として腹をくくって決めるものじゃないですか。余り言葉だけで遊んでいますと、やっぱり三木さん、あなたは幻を売る政治家になると思います。幻に踊っている国民の方がみじめですよ。 時間がありませんから先へ進みます。 国政の停滞の問題に触れますけれども、前国会が終わって以来、長い自民党の内紛が続いてまいりました。その結果、国政が大きく停滞したと思いますけれども、この点についての責任を伺います。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほども申したように、党内の問題は党内の問題、国政は国政で、党内の問題で国政に対して停滞をもたらしたと思っていないわけです。
○栗林卓司君 では、ひとつ具体的にこれも伺います。 今国会の重要法案の一つと言われている財政特例法はいつまでに成立をさせなければいけないと御判断でしたか、総理に伺います。
○国務大臣(三木武夫君) これ予算の裏づけ法案でございますから、一日も早く成立することが当然に望まれるわけでございます。
○栗林卓司君 一日も早くというのはあたりまえでして、ぎりぎりのところいつまでが成立のタイムリミットであったと考えていたかと伺っているんです。
○国務大臣(大平正芳君) 法案成立のタイムリミットは予算成立のときであるということはたびたび申し上げたとおりでございます。ただ、九月上旬をめどにというようなことを巷間伝えられておりますのは、財政特例法案が通りまして公債を発行することにならないと、お許しをいただかないと、ちょうど資金余剰期を迎えました九月に公債を発行できないことになりますので、九月に公債発行しようと思いますならば、遅くとも九月の上旬にはいわゆる財特法案を成立さしていただくということが必要だということを意味しておるものと思うわけでございます。すでにその期日も残念ながら経過いたしたわけでございますので、いま総理が仰せになりましたとおり、もはや一日も早く成立をお願いする以外に私どもの希望はございません。
○栗林卓司君 九月中に発行しないと困ると再三おっしゃっていました。そのためには九月の上旬あるいは九月の十日、いろいろなことが言われましたけれども、それが常識的に見てタイムリミットであるという点は間違いないわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 公債発行の手順から申しますと、それが一つのめどであると言わざるを得ません。
○栗林卓司君 そこで総理に伺いますのは、国政に停滞を与えた覚えはないと言うのですけれども、九月の十日が成立のタイムリミットだというのに、あなたが臨時国会を召集したのは九月の十六日ですよ。その日に成立しても一週間のおくれなんです。しかも、もしその日に成立しても、一週間のおくれだから何とかなるとでもお考えになっているんなら、野党の意見を国会で聞く必要がない、そういう政治姿勢と同じことなんです。九月の十日がタイムリミットだと言っている財政特例法案なのに、なぜ九月の十六日に臨時国会が召集になったのか、これはただ一法案の問題じゃないですよ。この法案が通らなきゃ先の仕事ができない、見通しが立たない、全国どこでも言っているじゃないですか。それほどの重要な関心がある法案のタイムリミットが九月の十日だと、これまた再三の政府筋からのお話があった。それをあなたは九月の十六日に臨時国会を召集した。いまなお財特法は成立をしてない。この点についてあなたは国政が停滞していないと本当に言えるんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 臨時国会の召集がもう少し早くという考えはございましたけれども、そういう点で私が考えておったよりも多少臨時国会がおくれましたことはこれは率直に認めざるを得ません。その点では申しわけないと思っておりますが、まあ、いま国会において提案をされております重要な予算関連の法案をできるだけ御審議を促進していただいて、これは早く成立を期待しておるわけでございますが、そういう臨時国会の召集に対しては予定よりもおくれたことは事実でございます。
○栗林卓司君 財特法というのはどんな影響があるか、例で申し上げますけれども、建設大臣に伺いますが、これは事実関係の確認です。災害の視察に行かれました鹿児島ですけれども、記者会見であなたはこうしゃべっている。全国的に見た場合は本格的な復旧は財特法が通らないとできない。当面は応急処置だけだ。私は同感な気持ちで言っているのですけれども、確かにこうおっしゃいましたか。
○国務大臣(中馬辰猪君) 応急と言いましても、たとえば長良川の決壊のときは、緊急に本格的な工事が要りますから、これは予算を流用して節約してやりたいと、こう申しております。
○栗林卓司君 当座の流用で賄える部分ではなくて、本格的な話になるとそこでも財特法が話題に出るんです。それは本当は、実務的に言うと八月末が私はタイムリミットだと思う。無理しておくらしたって、まあせいぜいそれが九月の十日だ。それを九月の十六日ということでおくれおくれてまいりましたけれども、時間がありませんからこれ以上この問題触れませんが、では一月以上にやがてなろうとするこの立ちおくれに対して修復ができぬ。 これは大蔵大臣に伺います。いろいろなやり方があるとおっしゃるかもしれませんが、条件三つつけます。これは御用金ではありません。国民には迷惑をかけない。さらに来年の四月、五月、これはそのための穴埋めの処置ではありませんから当てにしない。しかも、いま物価があやしくなってきた、OPECの動きを含めて考えますと、金融政策は慎重にならざるを得ない。この条件をつけてこの一月ちょっとのおくれは回復できるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 何とかして回復しなければならないと考えております。すなわち、九月いっぱいに発行すべき八千億程度の公債を十月以降にどのように円滑にはめ込んでいくかということについて格段の工夫が要ると思いますけれども、何としてもこれは克服しなければならないことだと思います。いま仰せになりました三つの条件の中で私ども何とか工夫をいたしまして、実質的な歳出の抑制ということに及ぶことなく処理いたしたいものと考えております。
○栗林卓司君 この国民に与えた不安、動揺、また行政に与えたいろんな停滞、それは否定できない事実だと思います。ここまで来てしまったら先の努力をするしか仕方がないとしても、総理として率直にやはりわびるべきじゃありませんか。あなたはこの問題について所信表明でも触れていない。率直にやっぱり申しわけなかったということを国民に対してあなたは言うべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) いま言っておるじゃありませんか、国民に対しても臨時国会の召集が少しおくれたことは申しわけなく思っていると、こういうことを申し上げておる。何回か申しげておる。
○栗林卓司君 私が聞いていますのは、おくれた理由は自民党の内紛なんですよ、ほかの国民に原因がある問題ではないんです。それを総理・総裁として、おくれたのは申しわけないで済むんですか。
○国務大臣(三木武夫君) まあ一つにはロッキード事件というものも一応の、この八月というときは非常にやっぱり捜査が一番の最終段階に入っておったこともあって、九月ということにせざるを得ないと思っておったわけですが、九月というものはもう少し早くという感じが、少しおくれたということは、いろいろとこの間、問題もございましたけれども、その点は申しわけなく思っておるわけでございます。
○栗林卓司君 時間がありませんから先に行きます。 冷害対策で伺いたいのですけれども、この予算委員会でも再々の御議論ですから、私しぼって二点だけ伺います。融資も結構ですけれども、働き口がなきゃどうしようもない。救農土木事業を起こしますと言うんですが、これも計画を含めてはっきりと金を惜しまないでやってもらいたい。これにどうお答えいただけるかということが一つ。 それから例の前渡金の問題でありますけれども、これもまた昨今の状況に顧みて、一俵三千円ですか、前渡しが出ておるようでありますけれども、この取り扱いについても利子減免、延納等について格別の御配慮ができないか。この二点伺いたいと思います。
○国務大臣(大石武一君) 救農土木事業と昔から申しておりますが、これは非常に被害農民からの要望も強いのでございます。これはぜひともできるだけ彼らが出かせぎに行かないでも済むような立場、考え方においてこれを進めてまいりたいと思います。また、その実際の実態がまだ確実につかまれておりません。そういうことで、いまどのようなこと、どのような金額にするかという内容はまだまとまっておりませんが、何とか一生懸命やることだけは間違いございません。きょうも総理から御下命がありまして、この問題は単に農林省だけではやれないから、建設省とか、あるいは大蔵省その他と十分考えて、予算の問題、それもあるから、十分総合的に対策を立てたらよかろうということで、国土庁長官を中心としましてそのような綿密な、総合的な対策を立てまして、いろんな内容、それから予算の処置についてもいま具体的に進める方針でおります。一生懸命にやる方針でございます。 それから、二番目の前渡金の問題でございますが、これもまた先ほど午前中にちょっとお答えいたしましたとおり、確かに政府に売り渡す米がないわけでありますから、これはどうにもやはり、まけるというか、あるいは延納するということが対策の一つであることは間違いございません。ただ、これだけでは決して対策にならないんです。御承知のように、たとえば制度融資の問題、そういうことでできるだけの手当てをすることになります。そうなりますと、そのような多くの制度の融資を使いますとなると、そうやっておりながら片方ではそのような前渡金を来年に延ばすとか、まけるということはちょっと法的にできにくいことになります。 そういう意味で、できるだけ生活を落とさないで、急場をことしから来年一年過ごせるような処置は、できるだけ融資その他によって講じますから、あるいは年内にその共済金の支払いをいたしますから、その前渡金はそれで始末をつけていただきたいと思うわけでございます。ただ、どうしても困る場合には、先ほど申しましたように、集荷業者は大体農協ですから、農協が代位弁済ということで、その米の引き渡しを農協が引き受けてこれを処理することができます。組合員の農民は農協と相談をして、いずれその後で何らかの手段において埋め合わせをすることになりますから、こういう方法もございます。ただ、この場合に考えますのは、やはり農協でありますから金利を取ります。その金利につきましては、できるだけ国の方で、あるいは県なりそういうものと連絡をとりましてそのめんどうは見てやりたいと思います。 それからもう一つ、前渡金には利子がついております。この利子はその被害の程度によって全免することもできますし、軽減することもできますから、これもできるだけ温かい気持ちで処理してまいりたいとこういう程度でございます。
○栗林卓司君 何か建設大臣、補足ありますか。
○国務大臣(中馬辰猪君) 救農土木と言いますけれども、農林省関係の土木事業だけではなくて建設省の土木工事も含んでおる、こういうふうに考えておりまして、ただいま農林省で準備調査をいたしておりますから、これと協議して所要の措置を講じたい。北海道あるいは東北の各県の地方行政団体とも相談しながら所要の措置を講じたいと、こう考えております。
○栗林卓司君 冷害地に参りますと、至って前途の暗い深刻な状況でありますので、精密かつ迅速な対処を心からお願いしておきたいと思います。 次の質問に移ります。 ミグ25が飛んで来たことも大きく影響して、ソ連の日本漁船拿捕問題が話題になっておりますけれども、最近の実情、特に領海内で起きたのか違うのかということもあわせて、これは海上保安庁だと思いますがお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(間孝君) ソ連によります日本漁船の拿捕の状況でございますが、本年に入りましてソ連によりますところの拿捕は、この十月三日現在で三十四隻、拿捕されました人数は百九十三人でございます。これを海域別に分けてみますと、道東周辺海域、これは国後、択捉、色丹、歯舞、これらの周辺海域でございますが、この海域におきまして二十九隻百三十九人。隻数では全体の約八五%を占めておるわけでございます。それ以外の海域では沿海州の海域で三隻三十五人。樺太の海域で二隻十九人となっております。このうちですでに帰還しておる者もございます。その数は十六隻百三十一人、それに一人の遺体が帰還いたしております。特に九月になりましてミグ25の事件が起こりまして、その後の拿捕がどういうふうになっているかということにつきましては、私ども非常に関心を持って見ておるところでございます。九月に入りまして以降の拿捕は、この道東の周辺海域で六隻二十九人。沿海州海域で一隻七人。合計いたしまして七隻三十六人ということになっておるわけでございます。これらはいずれも現在まだ帰還をいたしておりません。 以上でございます。
○栗林卓司君 領海内は。
○政府委員(間孝君) 失礼いたしました。 わが国の領海内での拿捕はございません。ただ、これにつきましては念のために申し上げますと、いわゆる北方領土、国後、択捉、その他の、これは日本の領土というふうに日本としては考えておるわけでございますので、日本としてはこれは日本の領海と考えられるわけでございますけれども、まあこれは現在ソ連側が自国の領海と主張いたしまして、その海域においての拿捕を行っておるということでございますので、これは日本の領海内での拿捕ということには一応考えない。純粋の北海道の周辺三海里以内の海域での拿捕はございません。
○向井長年君 関連。 私はただいまの質問の関連といたしまして、特に日ソ友好の立場から総理並びに防衛庁長官にお聞きいたしたいんですが、昨日もこの領空侵犯に対する問題が質疑されました。これに対しまして政府は、まあ言うならばこういう統一見解を出して明確に答弁されたのでございますが、私は法制局長官なり、あるいは防衛庁の答弁、全く言うならば国民に対して明確に答えてないと思う。ということは、これはもう国際法的に、いわゆる各国が認めている問題は、言うまでもなく、国家はその領土・領水上の区域に対し完全かつ排他的主権を持つ。この主権を制限する一般慣習法はまだ成立していないから、国家は外国航空機の自国領空への飛来を自由に制限しまた禁止することができる。こういうことが国際的に認められておるんですよ。そうなりますと、どういう国家意思があろうとなかろうと、亡命であっても国家意思が手伝おうと、すべて領空内に飛来したものはこれは領空侵犯である、これをまず政府は明確にしなければならぬと思います。 それと同時に、私はこういう理由から考えて、いかなる理由があろうと領空侵犯であるという立場から考えるならば、日本政府はソ連に対してどういう外交手段をとったかということ。たとえばこれに対しまして、本来非常に大きな迷惑ですね。わが国は迷惑を受けておる。したがって、本来でございますならばソ連から釈明があってしかるべきなんだ。にもかかわらず、釈明どころかこれに対して抗議さえしておるということ。こういう状態に対しまして私は、わが国は独立国家として毅然たる態度をまずとらなければならぬ、これが一つ。 もう一つは、このミグ25の機体調査に対しまして、わが国の自衛隊その他技術者がアメリカの力をかりてこれを調査しなければならぬというところに大きな国民は疑問を持っておる。わが国にその調査をするだけの技術がないのかあるのか、これは防衛庁にお聞きしたい。少なくともソ連を刺激するような状況をとるべきではないわけです。これが一つ。 あわせてもう一つは、ベレンコ中尉がわが国に領空侵犯して、そしてみずからの希望として亡命を言っておる。国内法に照らしていろんな問題があるはずであります。これに対する十分な措置をせずして直ちにアメリカに亡命さした。日本におることはかえって煩わしいというような考え方で急いでアメリカにこれを送り返した。こういうことに対して非常に国民は疑惑を持っておるんです。たとえば、これが逆にわが国の自衛隊機がソ連の領土を侵犯したときにどうなるでしょう。そう簡単に返してはくれません。幾らイギリスにあるいは西ドイツに亡命したいと言っても、そう簡単にできないはずであります。今日までの漁船の拿捕がそのとおり。こういうところに私はわが国の毅然たる外交方針なり、あるいは防衛に対する措置がないと思う。これに対してどう総理は考えられるか、あるいは防衛庁長官はこれに対してどういう措置をとったのか、この点をあわせてお聞きしたい。 時間が余りございませんから、私は多くは述べませんが……
○委員長(八木一郎君) 向井君、時間が経過しています。
○向井長年君 それと同時に、この領空侵犯に対して、言うならばシビリアンコントロールというものが十分じゃないのではないか。しかも、領空侵犯を発見して一時間以上かからなければ防衛庁長官に報告がいかないというこの実情をどう考えているか。こういう問題について防衛庁も十分反省しなけりゃならぬが、今後シビリアンコントロールに対してどういう措置をとっていこうとするのか。あわせてお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) この領空侵犯の問題については、昨日も申し上げましたように二つの側面がある。向井君の言われるように、これは領空侵犯であることは間違いない。しかし、国際法上で国家の責任として追及するためには国家の意思というものが伴わなければならぬので、そういう意味における領空侵犯としては、ベレンコ中尉の亡命などからし、その後いろいろ調査はしておりますが、国家意思として働いて領空侵犯をしたと言えるような一つの証拠は出てきてないわけで、そこにまあ一つの問題を残すわけですが、領空侵犯であることには間違いがないわけですから、これに対して国内法によって対処をいたしておるわけです。 また、毅然として日本は主権国家として態度をとるべきだと——言われるとおりだと思います。したがって、日本の政府としては必要な調査——ソ連は直ちに返還してもらいたいと——必要ないわゆるこの領空侵犯に対する背景の調査をいたしまして、そして、それが終わればソ連に対してそれを返還をすると、これは日本の方針でございますから、そういう方針に従ってソ連に対してもグロムイコ外相に対して日本の態度を申しておるわけでございます。しかも調査は、後で防衛庁長官から御説明をした方が適当かもしれませんが、一切日本の自主性、日本の責任においてやるわけですが、ミグ25のようなものを取り扱った経験がないわけですから、器具とか、あるいはまた技術などに対しても専門家の意見を徴する必要が起こるわけで、これはいま一番そういうのに迅速に応じ得るものはアメリカでございますからアメリカの専門家を依頼したわけで、たとえば函館空港でも、あれをいつまでもそのままに置いておくわけにはいかないですから、これをやはり調査するためには移転しなきゃならない、その移送の輸送機のようなものも自衛隊は持っておりませんし、また移送するにしてはこれを幾つかに分けなきゃならぬ。どういう装置がこのミグ25にあるのか、あるいは爆発するような装置があるのか、いろいろな点でどうしてもこれは調査という目的を達成するためには、ミグ25のようなものに対して知識を持っておる者の、一つの専門家の意見を徴するということが必要なので、日本の自主的判断においてアメリカの器具あるいはまた専門家の一つの助力を得たわけで、日米が共同して調査するというような、そういうふうな性格のものではないわけでございます。 これ以上のことはそれぞれの所管庁においてお答えをいたします。
○国務大臣(坂田道太君) 昨日もお答えをいたしましたとおりでございますが、まあ相手が亡命を意図しておったにかかわらず、とにかく主権の存する日本の領空に侵犯し、そして強行着陸をいたしたわけでございまして、当然のことながら、この本人についても機体についても調査をすることは当然なことだというふうに思っております。したがって、それに従って調査をいたしておるわけでございます。 それから、この調査につきまして、私どもはやはりあくまでも日本政府の主体的な立場において調査をすべきものである。あるいは得られました情報というものは日本政府が持つということでなければならぬというふうに思います。また、この調査に対しまして、どうしてもわれわれの力のみではできないというような面につきまして、たとえば輸送の問題、その他小さい問題等につきまして手をかりるということは当たりまえなことでございまして、これは主人公はあくまでもわれわれにあるわけでございます。 それから、この領空侵犯の事態がわれわれのところに届くのが遅かったということはまことに遺憾なことであると思います。今後この点については十分注意をしてまいりたい、シビリアンコントロールの上からも十分注意をしてまいりたいというふうに考えております。
○栗林卓司君 先ほど伺った拿捕漁船でありますけれども、九月が六隻、道東地区だけ見ておりますが、八月までは、二十九から引けばよろしいんでしょうから、二十三隻というとおおむね月当たり三隻ぐらいつかまっていたのが倍になっておる。これは見通しとしてはどういう展望をお持ちなのかということと、この六隻、二十九名に対して現在どういう交渉が進んでいるのか、見通しを含めて伺いたいと思います。
○国務大臣(大石武一君) ミグ25の問題がきっかけになったかもしれませんが、拿捕がふえておりますことは非常に困ったことでございます。こういうことで、いま全面的に出漁する漁船に対しましては拿捕に対してできるだけの注意を与えまして、そして拿捕を避けるように、そういうような方向で漁業をするように極力いま指導いたしておるわけでございます。ことに、海上保安庁からも道東ですか、根室の方と道北の北の方ですな、あそこに二隻の海上保安庁の監視船が出ておりまして、これが一生懸命いま拿捕に対して注意を喚起したりいろいろと協力をしておる次第でございます。 こういうことで、問題は一日も早くソ連との間の融和ができまして、このようなむだな厳しさをひとつやめてもらう以外に道はございません。それを一番願っておるわけでございまして、これに対しましては外務省、外交関係を通じましてできるだけそのソ連との融和をいま図っていくことをわれわれは願っておるわけでございます。 そんなことで、はなはだ手ぬるいことでございますけれども、いまの状態では、まことに残念でございますが、この出漁する漁船に対してできるだけの警戒をさせるということが一番大事なことだといま考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 この種の問題は冷静沈着に処理すべきものだと思いますけれども、出漁する漁船に気をつけてくれと言う前に政府が守るべき筋合いのものではないんだろうか。先ほど、あそこの部分の領海はかみ合っているけれどもうちは領海とは考えていないということでいいんだろうか。もつれることは目に見えているわけですから、二隻なんて言わないでもっと出したらどうなんですか。ソ連という国について、話し合いよりも力の威力というものをよく知っている国であることは皆さん御存じだと思う。ただ注意してくれったって、つかまったものが帰ってきますか。どうするつもりなのか改めて伺います。
○国務大臣(三木武夫君) まあ力で、力には力と申しましても、これは日本の外交はそういうふうには考えてないわけです。あくまで話し合いによって問題を処理していこうというわけでございますから、ソ連に対しても、やはり北方の領土の返還というものができましたならばこういう拿捕事件というものも非常に件数も私は減ると思いますが、あれが未解決であるということでこういう拿捕事件というものも非常に頻発するものを持っておることは事実でございますから、これはしかし、この返還交渉、これは相当にしんぼう強い交渉が必要なことは御承知のとおりでございますが、このことも努力しなきゃならぬし、そういう領土問題が解決しない一つの過渡的なと申しますか、日本から申せば過渡的な期間はどうしても日ソ間で話し合って、そうして安全操業に対する話し合いを、ソ連に対しても注意を喚起し、日本も気をつけるにしても、相手方においてもそういう点に対して慎重な対処をしてもらうように、これは日ソの外交交渉で打開していくことが一番日本の外交としての姿でもあるということでございます。 まあミグ事件というものがこれは影響を与えた点もあるかもしれませんが、しかしミグ25事件というものは日本からすれば、向井君の言われたように、はなはだ迷惑な事件であって、日本が何もこれは仕組んだわけでも何でもないんですから、このことによって日ソ間の従来の積み重ねてきた友好関係を傷つけるようなことがあってはならないわけでございますから、まあこの問題が、機体の返還も十五日以降はいつでも返すと言っているんですから、そういう冷静な環境のもとに日ソ間の外交というものは、積極的にこの安全操業の問題は取り上げて話し合いをいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 いま総理が言われたように、大変迷惑な事件でして、何もミグ25に来てくれと頼んだわけでもないし、むしろソ連としては自分の軍隊の管理ぐらいはしっかりやってもらいたい、はた迷惑もいいかげんにしろと言いたくなるのがわれわれの気持ちだと思うんです。この間は新鋭ミサイル駆逐艦が駆逐艦ごと逃げ出してくるし、今回は最新鋭戦闘機に乗ってまた逃げてくる。そうしておいて倍の拿捕をする。話し合いも必要ですけれども、時にやはり毅然とすることが将来の健康な日ソ関係になると思うんですが、時間がありませんから深く追いませんけれども、まあミグ25をお返しになるというんですから、交換に船も返してくれと、人も返してくれと言うぐらいの交渉はなさるんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 安全操業の問題については、いま言われたような拿捕されておる船舶あるいはまた船舶の乗組員等に対しては早期に返還をしてもらいたいという交渉は当然にしなければならぬことだと考えております。
○栗林卓司君 では次に進みまして、大蔵大臣に所得税減税のことで一つだけお尋ねします。 昨今の財政状況を考えますと、なかなかに減税ということが議論できる環境でないことはたびたび御指摘のとおりだと思います。といって、減税というのは一方では景気刺激効果がある。あるいはもっと基本的な問題として、税負担の公平があるかないか、行政にむだがないか、こう考えていくと、だから減税はだめだという議論は出てまいりませんけれども、ただ私が伺いたいのはこういうことではなくて、こういう減税一般の議論と物価調整減税というのは違った次元の問題じゃないか、そう思いますけれども御意見いかがでしょうか。 重ねて質問の趣旨を申します。実質賃金の維持あるいは実質生活水準の維持というのは、これはどこの政党でも基本的な公約なんではないだろうか。私は自民党もそうだと思います。したがって、これは何をさておいても政党の公約としてやらなければいけない部分。一方、一般の減税一般論というのは、これは景気政策の範疇であってもよろしい。私は物価調整減税というのは、国民に対して、公党として立つ公約に照らして別に考えなければいけないんじゃないか。こう分けて見ているわけですが、大蔵大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(大平正芳君) 減税に変わりはございませんけれども、あなたの御主張が理解できないわけではありません。
○栗林卓司君 重ねて、もう時間がありませんから一言伺いますけれども、財政上の事由ということになりますと、昭和五十五年度まで赤字公債脱却不可能だと、最近政府・税制調査会ではこれまでは減税し過ぎた、当分減税の必要なしとも議論がされているようですけれども、この意見に大臣はくみするわけでありますか、その点だけ伺っておきます。
○国務大臣(大平正芳君) まだ御検討をお願いしたばかりでございまして、税制全体についての、これは所得減税、物価減税、調整減税の問題ばかりでなく、税制全体についての御意見も十分承った上でないと、私、政府の意見を申し上げるわけにはまいらないわけでございまして、ただいまのところはあらゆる角度から一遍税制を見直していただいて、十分な御討議をいただきたいというのがいま私どもの立場でございます。
○栗林卓司君 では、国民生活問題の最後に海洋法の問題で一つお尋ねします。 問題の背景は御説明する必要もないと思います。世界の人口の急増ということを背景にしながら自国民の動物性たん白質をどうやって確保するかへこれが海洋法問題だと思います。アメリカでは二百海里について漁業専管水域に準じたものを決めようという動きがあります。 こうしたものに対して四つ伺います。日本政府とすると、これまでの日本の漁業の実績というものを守る方向で交渉されますか。二番目、そうなりますと、米国の二百海里水域法はとうてい条件に合いませんから、撤回させる方向で努力をされますか。将来の日本の遠洋漁業、近海漁業について、いま申し上げた前提に立ちながらどういう将来図をおかきになりますか。最後に、国民の食卓に関係する問題です。国民への周知徹底をどう図っていかれますか。四つ伺います。
○国務大臣(三木武夫君) 最近、この二百海里の経済水域というものの設定ということが非常に大きなやはり海洋法会議なんかの一つの議題になってまいりました。傾向としては二百海里設定の傾向にある。そこで、日本がこれからこれに対処する第一点の問題は、従来の日本の実績というものを踏まえて、そしてそれはとりもなおさず日本の国益を守るゆえんでもございますから、そういう交渉の基礎に置くことは当然でございますが、実際問題として、やはり各国との間に漁業協力などを通じて、そうしてその実績を守るための努力を実際にせなければならぬようなことになってくると思います。また、アメリカとの間には、これはいま御指摘のように非常に厳しいものでありますから、フォード大統領と私が先般訪米したときに話したんですが、海洋法会議で国際条約のようなものができますれば、これにアメリカも従っていこうということでございますから、いろいろ条件も違ってくるんでしょうが、いままだ五月に再開されるということで、海洋法会議で国際的なまとまりを見せているという状態ではありませんから、どうしても日米間でこの問題は話し合いをつけなければいかぬ。日本は二百海里を認めないという方針でございますが、実際はアメリカがああいうふうに国内法で決めて、三月の一日ですか、来年の三月からは実施されるわけでございますから、そういうことで、従来、アメリカも、日本の食生活の上におけるアメリカ、ことにアラスカを中心とした漁業というものの重要な意味は十分にわかっておるわけでございますから、今後は日米間における漁業問題というものは日米間の大きなこれは一つの議題になってくるわけですが、何とかアメリカも従来の友好関係にかんがみてこれをできるだけ国内法も踏まえて解決をしようという意図であることは事実でございますから、今後の交渉にまちたい。近海漁業については、どうしてもこういう二百海里というような経済水域が制定されてまいりますと制約を受けることはもう避けられない。そこで、今後は、多角的な外交というものは、これは漁業の協定のようなものになってくるわけです。それには、最初言ったような漁業協力などという、日本は漁業の面においては非常に進んだ国でもありますから、そういう漁業協力、そういうものを通じて、先方に対しても相当なやはり利益も与えながら、日本の半分は魚介類が動物質のたん白の一つのベースになっておるわけですから、そういうことで、この問題はそういう形で各国との間に精力的な外交交渉を通じて日本の実績をできるだけ踏まえていく、こういう努力をしていきたいという考えでございます。
○栗林卓司君 きわめて時間がなくなってまいりました。これを割くのは残念でありますけれども、先ほど共産党の上田議員の方からわが党に触れてのいろいろなお話がありましたので、この際一言申し上げながら法務大臣に伺いたいと思います。 まず、北辰電機と日産自動車のお名前が出ましたので、この点について申し上げます。 北辰電機は、先般塚本書記長が衆議院でも申し上げましたけれども、これは、現在、同盟組合員が千八百十八名、その他が四十六名という組織構成であります。なぜこのその他というものが残って出てくるのか。それは、戦後の日本の労働運動というのは、共産党の組合支配からいかに職場を守るかという苦闘連続の歴史でございました。結果として現在北辰電機では千八百十八名が同盟組合員であります。四十六名の少数派はどうするかといいますと、暴力に訴え、挑発をしながら、事実関係の有無にかかわらず、告訴をすることをもって組織攻撃をするのが常套手段であります。このことをまず申し上げておきたいと思います。 次に、日産自動車というのは、衆議院での共産党の質問を参考にすると、日産自動車追浜工場ということだろうと思います。私はその追浜工場で育ってきた人間であります。せっかくの御指摘ですから調べましたが、その事実は全くありません。自動車というのは一人の人間が逆立ちしてもできるものではありません。何方という人の協力によって初めてできるんです。きめの細かい緊密な人と人とのつながりがなかったら、今日の国際競争力がある自動車も、国民の手に届く自動車も、できようはずがありません。そんなところでおっしゃるような暴力ざたがあると考え得るかどうか、御推察をいただきたいと思います。 先ほど、リンチ殺人という問題に触れながら、殺人はおかしい、こういう指摘が上田議員からありました。傷害致死ならばよろしい。したがって、傷害致死という判決をお認めになったと思っていい。殺人というのは、意図をもって人を殺すわけであります。傷害致死というのは、殺す意図はなかったけれども、手を縛っていじめて転げ回っているうちに死んじまったんだ、これが傷害致死であります。日本語で言えば両方とも人を殺すということであります。交通事故に例をとりますと、間違って人をはねた、これは殺意がありませんから、殺人ではありませんが傷害致死であります。それを世の中では人をはねて殺したと言うんです。それをお認めになるのかと思ったら、いや、それはショック死なんだ、自分で転がって死んじまったんだ、そんなばかな理屈が通用するはずがありません。
○委員長(八木一郎君) 栗林君、時間が過ぎております。簡単にお願いします。
○栗林卓司君 そこで、お尋ねしたいのは、判決では過失致死となっております。暗黒時代だから判決は当てにならぬ、こういう議論が横行することはいかがなものでありましょうか。判決はあくまでも法の手続をもって修正すべきものであります。ビラとか、デマ、宣伝によって判決をどうこうするということは、私は法治国家の常識に照らして許せません。この意味で、あのリンチ致死事件の判決というのは尊重に値する判決であったかどうか、この一点を法務大臣に伺って質問を終わります。(拍手)
○国務大臣(稻葉修君) およそ法治国家において判決が確定したら、その判決の効力を争うならば、別に法律的手続をもって争うならばともかく、勝手にデッチ上げたとか、そういうことは暴言と称すべきものであります。
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして栗林卓司君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(八木一郎君) 次に、神沢浄君の質疑に入るに先立ちまして、昨日、田英夫君の質疑中、警察庁に対する部分について答弁保留となっております。この点につきまして警察庁から発言を求められておりますので、これを許します。三井警備局長。
○政府委員(三井脩君) ミグ25で函館空港に強行着陸いたしましたベレンコ中尉を、警察において、逮捕せず、事件を任意捜査で処理した事由について申し上げます。 御存じのように、本件は九月六日午後一時五十分ごろ、国籍不明機が許可を受けることなく函館空港に強行着陸をいたしたのでありますが、この事実を一一〇番で認知をいたしました北海道函館警察におきましては、直ちに警察官を現場に派遣して、乗っておりました搭乗員に事情を聴取したところ、ベレンコ中尉で、米国へ亡命したいということが判明をいたしましたので、同人につきましてその身柄を保護することにいたしたわけでございます。本件行為につきましては、数種の犯罪行為に当たるわけでございまして、本件については、本人が亡命を申し出、かつ身辺の保護を願い出ておるという状況もあり、刑事訴訟法の基本原則でございます任意捜査によったわけでありますが、つまり、逃亡並びに罪証隠滅の容疑が乏しいと判断をした結果でございます。なお、そのために、同人が所持しておりました拳銃等は任意で領置をいたしましたし、また、乗ってまいりました航空機につきましても、令状によらない処分として実況見分を行ったわけでございます。 なお、この中で、例示としてお挙げになりました平新艇事件並びに京都における脱走米兵事件についての御指摘がございましたが、ただいま申しましたような事情でございまして、事件の態様が異なっておるという点が、片方は逮捕し、片方は任意で事件処理をした、こういう結果の差が出ておるわけでございます。
○田英夫君 ミグ25の問題については、ただいまの御答弁も、ベレンコ中尉がおりてきたときにピストルを発射しておるわけです。世の中で公衆の面前でピストルを発射する男を逮捕しないなどということはあり得ない。その点を含めまして、法的にもあるいは外交的にも、さらに防衛の問題からいっても、このミグ25に対する政府の処置には非常に問題がありますので、きょうは時間がありませんから、他の関係委員会で社会党としてさらに徹底的に究明をするということにしたいと思います。
○委員長(八木一郎君) 神沢浄君。
○神沢浄君 私は、冷害問題から質問に入りたいと思うのですが、まず、総理とそれから農林大臣にお聞きをしたいと思うんです。 私は、今度の冷害問題というのは、一つには、ちょうど人体にたとえれば、日本の農政というものがレントゲン透視を受けての何か診断を受けたような結果になっているのじゃないかという感じを持っているわけなんです。いま、現地においては、最近のはやりの言葉をかりて、今度の冷害は自然災害と政策災害の複合災害だということを言われているようであります。私も全く同感でございまして、したがって、ただ自然災害だけに問題を帰せしむるでなくて、為政者という立場からすれば、きわめて謙虚な気持ちでもって政策災害であったということの反省をも含めて、この事実をやっぱり冷厳に受けとめる必要があるのではないか、こういうふうに私は思うのでありますけれども、その点で総理の所見、それから農林大臣の御見解などもまず承りたい、こう思います。
○国務大臣(大石武一君) お答えいたします。 神沢議員のいまの御意見は、大体において私もそのとおりだと考えております。とにかく異常な天候になればこれはとうていわれわれがどんなにがんばってもこれにはかないませんけれども、しかし、やはりその場合にも何らかのいままでのいろいろな心構えなり努力が積み重なっておれば、ある程度の抵抗はできたはずだと思います。そういう意味では、後から申し上げたいと思いますが、確かにいままでの農政のあり方にも一つやはり手落ちがあったと私も考えておる次第でございます。
○神沢浄君 そこで、私は、後からの質問の関係で、きょう農林統計の米の生産の指数が発表になっておると思うのですが、指数の全部をここでもって発表していただくのは、これは時間の関係もありますから、全体的な数字と、それから特に東北の激甚の被災県並びに北海道、岩手、宮城、福島等についての八月十五日現在に比べてどのくらい落ちておるかというふうな点の御説明をいただきたいと思います。
○説明員(有松晃君) 事務的なことでございますのでお答え申し上げますが、九月十五日現在の米の作況については本日公表をいたした次第でございますが、八月十五日現在の作況は一〇〇と出たわけでございますけれども、これに比べて五ポイント下回りまして、やや不良と、こういう結果になっております。これは八月十五日以降の天候が特に北海道、東北、北陸等で非常に悪かった、こういうことのために下がったというほかに、西日本に台風が来たということで下がった結果でございます。 以上でよろしゅうございますか。
○神沢浄君 その指数で、減収量並びに生産量に換算をいたしますと、どうなりますか。
○説明員(有松晃君) ただいま申し上げました作況指数に、本日の公表では作付面積も明らかになっておりますが、これを掛け合わせまして試算をいたしますと、水、陸稲合計で一千百九十六万トンという見込みでございます。
○神沢浄君 五十一年度における米の総需要はどのくらいになっていますか。
○国務大臣(大石武一君) ことしの昭和五十一年度の需給の状況は、大体千二百十万トンを予定いたしております。
○神沢浄君 そうすると、もう九月十五日現在におきましてもすでに計画上の総需要額を下回るという数字になるわけでありまして、いわば手持ち米に手がつけられなきゃならぬということになると思うのですが、まあ私なども農業に関係して数年、気象害というのはさらに落ちていくということになると思います。もう刈り取って驚き、こいで驚き、搗精をして驚きというのがこれはもう米の気象害のタイプですから、そうなりますと、相当にこれは手持ち米に食い込まなきゃならぬじゃないかという予想を私は持ちますけれども、大臣の御見解はどうですか。
○国務大臣(大石武一君) これは米の全部ができ上がってみなければわかりませんけれども、あるいは手持ち米に多少食い込むことになるかもしれない状況でございます。しかし、御承知のとおり、大体二百五十万トン近くの手持ち米がございますので、その操作には何ら心配はいたしておりません。
○神沢浄君 まあ当面の心配はないことはわかりますけれども、もしこのような冷害がさらに連続をするというようなことになりますと、日本の食糧問題というのはこれは容易ならぬことになってくる。それらの点については私は後から触れていくつもりですが、そこでお聞きするんですけれども、私の聞いておるところでは、この春、東北各県農政担当者会議という場において、冷害を予想した政府自体が警告とその指導を提起されたというふうに聞いておるんですが、実際でしょうか。
○国務大臣(大石武一君) ことしの三月に、長期予報をずっと気象庁と連絡をとって検討はいたしておりますので、そのような多少心配があるということで、いろいろとまあこれからの将来長期予報を勘案して、品種の選び方、あるいはいろいろな肥料のやり方、そのいろいろなやり方を大いに注意して、寒さが来てもこれに耐え得るような方法でやりなさいという通達は全国に出しておるのでございます。
○神沢浄君 その結果はどうだったかということと、岩手県や宮城県、要するに激甚被災県の品種別の作付、今年におけるですね、その点をちょっとお聞きをいたしたいと思うんです。 〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
○国務大臣(大石武一君) 品種によって、たとえば宮城県の例をとりますと、ササニシキというのが耐病性が弱い、あるいは耐寒性が弱いということで、トヨニシキというそれよりもう少し強い品種ができたということになっておりまして、トヨニシキがどちらかというと高冷地には植えられやすいという形にはなっておりますけれども、どうしてもやはりおいしい米で高く売れる米をつくりたいという農民の意欲も強いのでありますから、なかなかそのような指導をいたしましても必ずしもそれが的確にそういう対策が立てられておるとも言えない状態でございます。
○神沢浄君 そこで、これは総理にも真剣に考えていただきたいと思う問題ですが、学者の説などによりますと、ことしの冷害とそれからいわゆる居座り型の台風というのはきわめて相関関係にあると、こういう説が出されておるわけです。オホーツク海やらシベリアから非常に冷気が流れ込んできておるために、台風がそこへ居座ってしまって、そうして十七号のような大災害を起こすと同時に、東北、北海道におきましては、大冷害を起こす。しかも、歴史的に見て従来日本列島のいわゆる東北の冷害というのは、五年間くらいは連続をして反復をする、これはそういう事実が記録になっているわけであります。そういたしますと、ことしの冷害というのは、冒頭申し上げましたように、本当にここでもって真剣に日本の食糧政策というものに目を向けて立て直しをしなければ、これは容易ならないことになる。日本だけで済めばいいですけれども、いま地球は小氷河期に入っておるというようなことがこれまた学者の説として言われているわけであります。現にヨーロッパなどにおいては大干ばつが起こっておる。いま幸いにしてアメリカ、カナダが逃れておりますからいいですが、もし日本が依存をしているアメリカやカナダあたりに大きな気象異常というようなものが生じたときには日本はどなるでしょう。私は、今度のこの冷害というものは本当に真剣に見詰めなければいけないと、こう思うのですが、これは総理のやっぱり所見を聞いておきたいと思うのです。
○国務大臣(三木武夫君) やはり世界的に見ても、このごろは異常気象のようなそういう変化というものが起こっておるわけで、ヨーロッパでも冷害というものは非常なやっぱり農作物に対して影響を与えておる。これはそういう点で日本なども冷害というようなものは、いろいろ気象上も予測がつくような場合もあるわけでしょうから、こういうものに対する対策というものも立てることも必要だし、また、冷害というものが起こりやすい地域というものに対するいろいろな品種というものも、これは稲作についてもその品種というものに対しては、そういうものが起こればこれはどうにもその場で応急の対策といっても大して効果のあるものはないわけですから、冷害に対する農作物の品種というものに対しても、そういうものに強いような品種を選ぶとか、いろいろな点で冷害というものはやっぱり相当にわれわれは起こるという前提のもとに対策を講じていく必要があるというふうに感じます。農林省としても、こういう面は十分に農業技術ということを私の所信表明に入れたのも、こういうことも問題の意識としてあったことに基づくものでございます。真剣に取り組まなければならぬ問題点だと思います。
○神沢浄君 少なくともこの際米の減反政策などはこれはやめなければならぬじゃないですか。同時に、予約限度割り当て制度などというようなものだとか、それからまあ限度買いのものは、余り米などというあの言葉は私は大変気に入らぬですけれども、買い上げるとか買い上げぬとか毎年騒ぎをするようなこういうようなことはやめて、政府の全量買い入れ制というようなものはここで明らかにすべきじゃないかと、こう思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(大石武一君) 私もこれは新米のなったばかりの農林大臣でございますが、大体神沢議員と同じような考えを持っておるわけでございます。できるならば減反政策なり生産制限というものはやめたいと思います。しかし、現在このように米が大量に余りまして、そうして食管会計の赤字が大きくなり、そのことが農政の運用に大きな支障になっておりますことを考えますと、いまの政策をこのまますぐやめるというわけにはまいらないと思います。しかし、将来の十年後、二十年後の世界の食糧のことを考えますと、どんなことがあっても生産性を向上して、何と言ったって米は日本人の主食でありますから、この米はやはり将来国内の国民を養うだけのものは確保しておかなければならぬという考えでございます。このように将来のことを考えますと、どうしても生産性を上げなければなりませんが、いままでとってきた政策を急に変えるということも非常に困難でございます。これをどういうふうにしたらいいかということでいま農林省で人を集めましていろいろと相談をしている段階でございますが、次第に、このような米を持て余すというのはおかしいのでありますが、減反政策でないような妥当な姿で現在の需給のバランスを守りながら将来の生産性の向上ということに持っていかなければならぬということでいま頭を悩めて、そのような方向に持って行きたいと思うのでございます。余り米ということでありますが、これも確かにせっかく農民がつくったものでありますから、これを買ってやらなきゃ農民が困るわけであります。でありますから、できるなら全量買い上げる方が私は妥当だと思います。しかし、現在のことを考えますと一挙にはできませんので、このようなことを頭に入れまして少し新しい方向に進んでまいりたいと考えておる次第であります。
○神沢浄君 多少対策上の具体的な問題について尋ねておきたいと思うのですが、農林大臣、現地へ行ってかなり胸をたたいて被災民の要求については実行を約束をされておるようですから、私どももそれを期待をするわけなんですが、きのう以来いろいろ論議がありました農業共済金の早期支払いなども約束をされております。本来、農業災害が起こったら、農業災害補償法というれっきとした名前をうたっての法律があるわけですから、あれでみんな片がつかなければおかしいみたいなものですけれども、実はそうはまいりません。これはたとえば最高の額を選んでおいたところでもって、いまの一筆単位などではもう収穫皆無、全損になっても、その現実の補償額は制度上でも六三%くらい。しかも、農家の実際に収穫をするものとあの計算に使っておる基準収量とは相当の開きがありますから、これは現実には最高額を選んで全損になっても、まず現実に被害を受けたものの半分も補償され得ないというのが制度の実態だと、こう思うわけなんです。 したがいまして、これは、今度の冷害を一つの機会にしまして、やはり冷害等があった場合にはそれが実際に救済できるような制度に変えていかなければならぬじゃないか。前の国会でもって半歩か一歩か前進したような制度改正がありましたけれども、今度はそんなことではとても済まされる問題ではないと思いますので、この際ひとつ比例てん補制方式の採用ということに踏み切ったらどうか、こういうふうに私は考えます。掛金がどうこうするからというようなことがなかなか踏み切れない理由だそうですが、それは政府がちょっとそのつもりでもってめんどうを見ればできないことはないと思うのです。その点いかがでしょう。
○国務大臣(大石武一君) この農業補償制度は、前国会で全面的な改正をいたしたことは、御承知のとおりでございます。したがいまして、せっかく行った改正は、やっぱりしばらくの間その運営を見て、そしてその上に立って新たなる大改正を加えることが妥当ではないかと一応考えておるわけでございます。ことにいまお話しのことにいたしますと、何といいますか、完全比例填補方式といってむずかしいのがございますが、そうなりますと、これは結構なことでありますけれども、いま申しましたように、いろいろと大きな農家の掛金が増加することになります。ところが、実際に農村におきましては、災害のあるときはこの制度を喜びますが、ないときが二、三年続きますと、こんな掛金はむだだむだだという声が非常に強くて、共済関係の人がみんな苦労いたしているわけでございます。そういうことで、掛金を大幅に上げるということもいまの時代では非常な困難があると思います。また、ことに、あの制度になると全部の田を見るということになりますと、これまたとうていそれだけの労力と、評価することになると評価員、そういう者の獲得、それが当面困難ではないかと思います。 そういう意味で、結構な御趣旨でありますけれども、もう少し改正の後でありますからしばらく様子を見て、それからひとつじっくりと手をつけてまいりたいと思うのでございます。 ただし、政府から出ている金も、作物の共済につきましては大体六〇%ぐらい出ておりますので、これは決して少ない額ではないと考えておる次第でございます。
○神沢浄君 とにかくちっと前向きに真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。災害があったとき半分しか役に立たぬなんという制度では、せっかくの制度が私は意味がないと、こう思っているんです。 それから、これは関連してお尋ねしておきたいと思うのですが、昨日来の論議の中でもって、前渡し金の返済というのは一応受けなきゃならぬという御答弁だったと思うのです。その引き当てとしては、共済金がある、あるいはその他の制度融資などの問題があると、こういうことだったと思うのですが、共済金が、それは制度いっぱいに見て半分しかならないんですね。それに制度金融を加えてみたところで、これは前渡し金を返せということになると、生活が成り立ちませんよ。生活が成り立たないし、再生産のための準備だっても実際にはできない。これは、前渡し金の延納の問題というのはもう少し私は考え直していただく必要があるのじゃないかと、こう思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(大石武一君) お話しのとおり、返済を延ばすと、返さないというわけにはまいりませんから、延ばすということも一つの温かい手段だと思います。ただし、考えてみますと、米を引き渡すことができないような罹災農家は、高度の災害を受けておるわけでございますから、そうしますと、いまのような激甚災害の指定とか、あるいは自作農創設維持資金とか、あるいは前に申しました天災融資法とか、最高二百万円まで借りられるわけでございます。ことに、自創資金というものは、御承知のように、その生活を維持するために必要な金を貸すわけでございますから、こういう制度を採用しまして、さらにその前渡しの金を返さないというのは、ちょっと制度的に非常に無理ではなかろうかと、こう考えまして、むしろ、今後は、問題は、そのような制度融資の方の金額を上げるとか何かする方が妥当ではないかと思います。 ただし、前渡金の金利につきましては、先ほども申しましたが、全免することもできますし、減免することもできるわけでございます。そうして、もしどうしてもいろいろな問題でこれを延納させなきゃならぬという場合には、農協が代位弁済することができる仕組みになっておりますので、ここでやらせればそういう問題は解決すると思います。ただ、その金利の問題が多少ございますが、これは政府の方でも十分めんどうは見られると思います。
○神沢浄君 これは大蔵大臣にちょっとお尋ねしておくわけなんですけれども、異常災害ですから、再保険金が相当の額になってくるだろうと思うんですよ。そのいわば資金手当てといいますか、その措置というのはどんなように御用意になっていただいておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) とうてい既定予算では間に合わないと思います。したがって、特別会計の積立金を崩していく、それでもなお足らないということではないかということを心配いたしておりますが、いずれにいたしましても、年内に手に渡るようにしなければなりませんので、それだけの手当てはいたしておきまして、予算的な手当てはそれを受けて始末を今年度中にはしなければならないものと考えております。予想以上の災害でございますので、相当思い切った措置をしなければならないと考えております。
○神沢浄君 時間もございませんので、もう一点だけこの関係で伺って次に移りたいと思うのですが、これは共済団体からの悲鳴に似たような意見があるんですが、通常の年と違いましてこれは損害評価というのに相当の手がかかるんですね。評価の協力員などを臨時にたくさん動員をしなきゃならぬ。これは金がかかるんですよね、そうなりますと。ところが、団体には金がないわけですよ。これはやっぱり国でめんどうを見なきゃならぬじゃないですかね。何かお考えをおありでしたら承っておきたいと思うんです。
○国務大臣(大石武一君) やっぱり、おっしゃるとおり、非常に事務費がかさまってまいると思います。そういう点で、政府は、多少ではございますが、その事務費の補助については準備の心構えをいたしております。 また、幸いに近年災害が非常に少なかったものでありますから、特別積立金がかなりたまっております。その一部の取り崩しを事務費に充てるように、政府ではそのように考えておる次第でございます。
○神沢浄君 それからもう一点、規格外米も買い上げるというお約束はされました。しかし、値段が問題です、買い上げはしていただくにしてもですね。これはやはりこういう特別の事態に際会している被災農家のことを考えますと、経済的な面でもって役立つような温情をもっての値段を決めてもらう必要があると思うのです。そういうふうな点でお考えがありましたら聞いておきたいと思うんです。
○国務大臣(大石武一君) 低品位米につきましては、やはりこれは何とかこの際は処置しなければなりません。そこで、規格外米につきましては、売れるものは自主流通米としてできるだけ売るようにあらゆる協力をしたいと思います。そのことが農家の手取りの収入は多くなると考えます。それでもやはり売れ残るものと売れないものにつきましては、食糧となるものは全部農林省で買い上げます。その値段はどのくらいになりますか、それはできるだけ農民によいようにはしたいと思います。残りの食糧にならない分につきましては、これはとうてい政府として買うわけにまいりませんが、しかし、何らかの有利な方法でこれが売りさばきができる、処理ができるように責任を持ってめんどうを見てまいりたいと考えております。
○辻一彦君 関連。 災害でも私は農業労働災害について二点ほど伺いたいと思います。 第一点は、近年農業機械が、トラクター、コンバインが非常に普及をし、大型化をする。そういう中で、また一面では、婦人や高齢者が運転をするために、事故が非常にふえております。たとえば、北海道大学の農学部の調査によると、交通事故の二倍の事故死が四十九年においては出ている。四十九年に死亡五十九名、負傷八百五十人、四十五年の二・四倍に上がっている。また、北陸では、福井県の農作業安全促進委員会が調査したものによりますと、四十九年に死亡十四件、最近、耕運機の下敷きで即死、頭蓋骨骨折重傷、耕運機のロータリーに巻き込まれて即死、こういうものがあります。農林省がすでにまとめたものを見ても、四十九年は二百七十七人が死亡し、過去二年で七百十八人が死亡している、婦人は前年に比べて一八%ふえている、こういうデータが農林省でも出ております。厚生省の人口動態調査をもとにした死亡個票調査を見ると、これでは農業機械の事故死は四十九年は四百四十五人と言われておる。恐らく五十年はもっと多くなると思います。 そこで、これだけの交通事故の二倍も事故死が出ていると言われる農業機械によるところの事故死に対して、死亡も含めて産業労働災害の対象になっていない。これは私は非常に問題があると思います。このことは昭和四十八年以来私は農林水産委員会でしばしば指摘をして、櫻内元農林大臣も、農業労働災害補償については立法化を含めて検討をするという答弁をしておりますが、それ以来具体的な手が打たれていない。もちろん労働省、農林省は大型機械については一部これに参加をする、労災に参加をする道が開かれておりますが、このような多数の事故はカバーし切れないと思います。そこで、農業機械の安全対策と並んで、農業機械によるところの災害を産業労働災害としてとらえて、農民も労働者、勤労者と同じように労働災害補償の対象とすべきでないかと思いますが、これについて農業労働災害補償法の立法化の必要があると思いますが、所管大臣の所見をお伺いいたしたい。 もう一点は、これは簡単に申し上げますが、近年農村の基盤整備、特に環境整備におけるところの農村総合整備モデル事業というのがありますが、これは地方における期待が非常に強い。ところが、国土庁では五十一年度をもって指定が一応終わりになっておりますが、いま地方における希望が非常に強いので、国土庁並びに農林省は、農村総合整備モデル事業を地方の要望にこたえて拡充する意思があるかどうか、この点も国土庁長官並びに農林大臣から御所見をお伺いいたしたい。 以上です。
○国務大臣(大石武一君) ほとんどの農民が全部機械を使うようになりましたので、どうもふなれな者がいろいろ事故を起こして問題になっていることは大変困ったことでございます。これにつきましては、われわれもいろいろと心を配っているわけでございます。できるだけ、まず機械をいじる者に対しては、農協その他各機関を通じまして機械の操作をよく勉強するように、よく熟達するようにということでそのような指導をいたしております。同時に、機械の安全性が一番大事でございますから、メーカーに対しましては厳重に安全な機械をつくるようにということであらゆる努力をして、それなりの恐らくそれを検査したり規格を指定するようなやり方もやっておるわけでございます。 そういうことでございまして、できるだけ災害を防ぎたいのでありますが、どうしても何百万という人間がその機械をいじれば、必ずやはり何%かのけが人や死亡が出ると思います。先ほどお話しのように、これを労災法に適用したらいいじゃないかというお話でございますが、私も結構な方向だと思います。いま現在聞いてみますると、農林省ではやはり前向きに検討している段階でございます。何とかしてそのような方向にこの労災法が適用されるように持っていきたいと考える次第でございます。
○国務大臣(天野光晴君) 辻先生にお答えいたします。 農村総合整備計画と、これに即して実施される農村総合整備モデル事業は、五十一年度までに四百三十市町村で計画が作成されることになるが、この制度に対しては各地からのきわめて強い要望があるので、国土庁としては農村の定住環境の総合的整備を進め、国土の均衡ある発展を図るという見地からこれを拡充して実施する方針であり、今後関係方面と折衝を進めてまいりたいと考えております。五十二年度から五ヵ年間で六百市町村、五十二年度は百二十市町村を予算要求いたしておる現況でございます。
○国務大臣(大石武一君) いま国土庁長官から申したとおりでございます。
○辻一彦君 再質問、もう一回。
○理事(山内一郎君) 関連ですから簡単に願います。
○辻一彦君 農林大臣に伺いますが、労災に入れるということは前にも若干道が開かれておるのですが、私はいまの条件ではカバーし切れないと思うので、単独の農業労働災害補償法を立法化して立法によってこれを扱うのはどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大石武一君) 私は、いろんな制度は、余り細切れでなくて、やはり大きな総合的なものが望ましいと思います。そういう意味では、これは農業従事者、農業労働者として自営でありますけれども、これも中に特別に加入する制度ができているのでございますから、これを拡大して全面的に適用できるようにした方が妥当ではないか。やはり特定な小さなものをつくりますと、どうしても財政的基盤も弱くなりますし、政府もよけい、むだではありませんが、金を出さなければなりませんし、やはり大きな中に入った方がやりやすいと考える次第でございます。
○辻一彦君 後でまた委員会でやります。
○神沢浄君 次に、漁業の問題で一、二伺っておきたいと思うのですが、その第一は、アメリカは二百海里漁業専管水域法案というのが来年の三月から施行される、こういうことであります。このため、十一月の一日から開かれる日米加漁業委員会、十一月四日から開かれる日米漁業委員会の場におきまして、日本の漁業に対する規制の強化はもう想像にかたくないと、こう思うわけであります。こういうような情勢のもとで、いま、日本海員組合などを初めとしまして、日本の漁業を守る会という運動が熾烈に展開を見ているわけでありますが、確かに容易ならない情勢だ、こう思うのです。政府は、こういうような情勢に際会して、日本の漁業の現状の危機をどう打開していくのかという、この点について私はひとつ総理の所見を伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほども申し上げましたように、二百海里という経済水域の制定というものが一つの大きな世界の流れになってきつつあることは認めざるを得ないわけでございます。そこで、日本としては、どうしてもやはりその当事国との間で漁業交渉のようなものを改めてせざるを得なくなるわけですが、そうなれば、従来のようなやり方ばかりでなしに、やはり相手国に対しての漁業協力、いろんな意味における技術協力、こういうものを通じて相手国の経済発展に、漁業でいえば漁業の発展に寄与する、こういう政策をあわせて二国間の交渉というものを打開していくよりほかにはない。そうして、日本の持っておる過去の実績というものをできるだけ既存の日本の実績を尊重してもらうような、そういう多角的な外交というものである程度の漁獲というものを日本が確保していくよりほかにはない。またしかし、どうしてもやはり実績が狭められるような傾向にはあるわけでございましょうから、そういう漁業に従事しておる人たちにどのようにそういう今後の事業経営を安定さしていくかということは、やはり日本漁業政策としての一つの課題だと思うわけでございます。
○神沢浄君 そういう抽象的な表明でなくて、漁民の求めておるものは、もっと何か安心できるような具体的な政策というようなものであることは間違いないですが、時間もございませんから。 次の点は、いま特に北海における漁民の不安というのは、ミグ25のつけが自分たちに回ってきておるというふうなことでもって大変不安に駆られているようであります。小坂・グロムイコ会談もいわば実りないままに終わっているようでありますし、こういう中でもって、いわゆる領海十二海里問題というのが、これはもう漁民にとりましては非常に重大なことであるし、大きな問題なんです。総理は、この参議院の本会議においても、あるいは衆議院の予算委員会においても、海洋法会議の状況を見ながらというようなことをおっしゃっておられるようですが、それじゃいまの間に合わないですね。いまこういうかなり切迫した事態に際会しておるいまの間に合わないわけでして、これはむしろ国益を守るためにも、そういう状況の上からいきましても、領海十二海里の宣言というのは即時すべきじゃないか、こういう考え方がみんな一致していると思うのです。政府のひとつ見解をこれは総理からお聞きをいたしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私も、海洋法会議、世界各国ともやはり海洋の秩序というものを世界的に確立しようという意図があったわけですから、まあ海洋法会議で一つの結論を得るだろうという考え方を持っておったわけですが、意外に海底の資源問題などというのは、発展途上国と、また先進工業国といいますかね、そういうものとの間に非常なやはり意見の相違を来たしたわけで、非常な難航をいたしておるわけで、来年の五月にもう一遍再開をすると、まあその間においても非公式な各国間の交渉というものはしていくわけでございますので、でき得べくんば領海十二海里というだけでなしに、いろいろ海洋の国際的秩序というものをこの際きちんと決めて、その一環として領海問題を取り扱うことが扱いとしては一番私はいいと思うんですね。しかし、十二海里の領海の宣言をせよという神沢さんのようなお話は、神沢さん一人でないわけですね。多数のそういう御意見もあるわけでございますから、いまここで政府としては、そういう海洋法会議の個別的ないろいろな折衝、こういうものも踏まえて、これがまあ来年の五月が来るならばそういう海洋に対しての国際的秩序というものが何らかの国際条約の形でこれが成立するだろうという見通しが立てれば、領海十二海里の問題も一環として扱いたいと思いますが、しばらくこの海洋法会議の開催前における各国の動き等も見ましてこの問題は最終的な決断を下したいと考えておるわけでございます。
○神沢浄君 どうもうまく腑に落ちないですけれどもね。もう北海の漁民の立場からすると、出て行きゃ拿捕されるというようなことでもって、それこそ深刻な事態に際会しているわけですよ。これらの問題に対応していかなきゃならない政府の政治責任があるわけでしょう。相手は国際法でもって日本の領海は三海里だからということでもってやってくる。こっちは出て行けば十二海里でもって拿捕されなきゃならぬと、こんなばかなことを政府が見逃しているというところに私は問題があると思うんです。総理がお答えにならぬでしたら、私は担当の農林大臣にお聞きしたい。
○国務大臣(大石武一君) 大体総理からお答えしたことに尽きるわけでございますが、御承知のように、いままでは、日本の漁業は世界の海を制圧してまいったわけでございます。したがいまして、いまいろいろな海洋法や何かの問題によりまして二百海里経済水域とか十二海里とかいう説が出てきましたのは、結局は日本にとりましてはこれが不利なことになるわけでございます、大体におきまして。そういうことで、日本がいま仮にソ連の進出に困りまして、十二海里説、これは非常に漁民が希望しております。希望しておりますけれども、これが仮に日本が宣言したとしましても、果たしてこれが世界的に通用するかしないか問題だと思います。むしろ、海洋法会議でそこでいわゆる公に認められることが一番権威を持つゆえんじゃないかと思うのです。 で、ミグ25事件が起こりましてから、ソ連では、いままでも幸いにソ連と話し合いで大体十二海里の線を守るような方向で漁業が進んでまいりました。多少いざこざはありますけれども、以前よりはずっと少なくなりました。ところが、ミグ25の問題が出まして以来、一切われわれは認めないという発言をしておるのでございます。こういう段階で一方的に日本が宣言しましても、認めてくれるかどうかそれはむずかしいものです。むしろ、対外的には、日本がそういうことをしたということでいろいろな海洋法の会議においては不利な立場になるのではなかろうかとも考えられます。こういうことを考えまして、日本全体の水産のあり方を考えますと、総理も言われるように、多少慎重にならざるを得ないのではないかと私は考える次第でございます。
○神沢浄君 時間がないから論議を深めるわけにはまいりませんので、また関係の委員会ででも続けたいと思いますから、そういうことにいたします。 次に、中小企業の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、大企業の進出でもって中小企業がその圧迫の不安に陥っていることは間違いないのですけれども、ことしの五月のこれは衆議院の商工委員会で附帯決議が行われているんです。「政府は、可及的速やかに中小企業者の事業分野の確保に関する法的措置を確立すべきである。」と、こういう決議が行われておると聞いておるのですけれども、これに対してその後政府はどういうふうな対応をされてきておるか、この点をまずお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 五月の商工委員会でいまお話しの決議が行われまして以来、通産省にこのための審議会を設けましてずっと引き続いて審議をしていただいております。すでに七回審議会を開きましたが、あとなお数回開く必要があろうと思います。いま懸命に立法作業を急いでおるところでございます。 〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
○神沢浄君 その七回にわたって開催をされておる審議会の審議内容というようなものについて、いまお聞きできませんか。
○政府委員(岸田文武君) 中小企業政策審議会の分野調整小委員会は、七月七日に発足をいたしまして、それ以降現在まで七回に及ぶ審議を重ねております。 審議内容といたしましては、まず最初四回にわたりまして分野調整問題の経緯、現状、問題点の把握をし、さらに、それに加えまして、中小企業業界なり、あるいは進出大企業なり、さらにまた一般消費者等の関係者からの実情聴取を行いまして、これらの議論を踏まえまして第五回目以降実質的な審議に入りまして、具体的な検討に入っておるところでございます。 検討内容といたしましては、分野調整立法のフレームをどうするか、また、具体的には、立法の性格、対象業種、調整の方法等々の論点につきまして逐次審議を進めておるところでございます。
○神沢浄君 私どもは、この中小企業の事業分野の確保という問題については、業種の指定ということと、それから大企業の進出の制限、それから脱法行為の禁止、この三つはこれは欠くべからざる要件だと、こう考えているわけなんですが、その点大臣の所見を承っておきたいということと、それからいま中小企業は何といってもいろいろ聞いてみまして一番望んでいるのは、やっぱり仕事をほしいと、こういうことであります。 そこで、一つ問題に出てくるのは、やっぱり官公需を中小企業にできるだけ温かい気持ちでもって優先的に発注をしていくというこういう点で、これは政府のできることですから、大体地方の自治体なんかではもうそれぞれ都道府県においてかなりの比率をもって発注がされておるようですけれども、政府の場合が一番パーセンテージが低いように私どもの調べたところではなっておるんです。少なくともここで思い切って政府の場合も半分くらいは中小企業に振るべきであるというくらいの方針が必要だと、私はこう思うのですが、あわせてひとつ所見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 分野調整法の内容につきまして、私がこの段階で、すなわち、この審議会の審議が進んでおります段階におきまして結論を言いますのは差し控えたいと思いますが、ただいまお述べになりました御意見は、今後とも参考にさしていただきたいと思います。 それから第二点の中小企業に官公需の仕事を回すというお話でございますが、これはお説のようにできるだけその方向で努力をいたしております。毎年一、二%ずつふやしてまいりまして、昨年は三二・六%という水準でございましたが、ことしは三四%ということを目標にして努力をしております。 御案内のように、地方の方では、中小企業に回す比率が非常に多うございまして、約七割になっております。したがいまして、中央と地方合わせますと約五割になっておるわけでございますが、中央の三四%という水準はなお今後順を追って努力をいたしましてふやすようにしたいと考えております。
○辻一彦君 関連。 通産大臣に二点お伺いしたいと思います。 いま神沢委員からお話がありましたが、近年、東京の衛星都市や地方の中小都市に大手資本による大型の店舗の進出が非常に著しい。また、法によって売り場面積が千五百平米以下に抑えられておりますが、同一資本がぎりぎりの千四百九十九とか千四百九十平米で抑えて、数を分散をさしてやっていく、こういう形がかなり多い。したがって、これらから地方都市の中小の零細な商店の経営が非常に困難になり圧迫をされている事実があります。そこで、この千五百平米という売り場面積の基準を切り下げよ、切り下げてほしいという要求、希望、あるいは基準の制限以下であっても、同一系統の資本はこれを総量で規制をせよと、こういう声がいま非常に強くなっておりますが、これに対して通産大臣はどうお考えになるのか、お伺いいたしたい。 もう一点は繊維の問題でありますが、対米繊維自主規制以来近年の不況まで、北陸の石川、福井を初め、全国の繊維産地は、非常な不況に陥っております。いま多くの倒産が出ておる、言うまでもない状況であります。この中で、産地は政府三機関を初め民間から膨大な借金といいますか融資を受けておりますが、たとえば一つの例として、北陸の代表的な産地であります福井の産地においても、政府系三機関中心に組合の転貸融資は二百十四億六千六百万、個別直貸は二百八十一億九百万に及び、約五百億に及んでおりますが、これに民間金融を加えれば産地は約一千億の融資、言うならば借金を抱えていると考えられる。こういう中で中小零細な繊維産業が非常に経営が圧迫をされておる。 そこで、現在、政府は返済猶予をかなり広範に行っておりますが、この場合、最終返済期限がそのままであるために、たとえば運転資金等はもうここ一、二年で返済の期間が迫っておりますが、そのときに返済猶予は助かるけれども、一度にたまったのを返すのではとうてい返し切れない、大変だと、こういう不安が産地に強くなっております。これに対して、私は産地の苦境を救うためには最終返済期限を延ばすことが必要でないかというふうに思いますが、この点についての通産大臣としてどういう方向を考えておられるか、これについての御所見、以上二点をお伺いいたしたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 第一の点はスーパーに関する問題でございますが、御案内のように、大都市では三千平方メーター以上、地方都市では千五百平方メーター以上のものが届け出制になっております。これをもっと低い水準に置けというお話でございますが、一定基準以下のものにつきましては届け出の対象にはなっておりませんが、国会における決議等もございますので、必要とあらば行政指導でこれをチェックすることも可能でございますし、さらにまた、小売商業特別措置法という法律がございまして、この法律に基づきまして知事に調整を依頼すると、こういうことも可能でございますので、現在のところはその基準を下げなくても十分対応できると考えております。 もう一つこの問題に関連をしてお述べになりましたことは、企業ごとに総面積を規制せよということでございますが、これは前の百貨店法ではそういうことになっておったわけでございますが、そうしますと、たくさん会社をつくりまして結局脱法行為が行われるということから現在の制度に変えたわけでございまして、私は、現在の制度で商調協などの機能を十分活用するということにいたしますと、お話しの点は改正しなくても十分やっていけると考えております。 第二点の返済猶予の問題でございますが、これはまだ景気が本格的に回復しておりませんので、各地でお説のようなことが起こっております。中小企業の金融につきましては十分配慮しなければなりませんので、返済期限そのものを再延長する、こういうこと等につきましても、これは大蔵省等とも十分相談をいたしまして弾力的に対処してまいりたいと思います。
○神沢浄君 次に、私は救急医療の問題でもってちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、自分の県の例をとっては大変恐縮ですけれども、私の県の市川という町の保育園児が車にはねられて病院へ運ばなければならなかったのですけれども、県内の病院でついに受け入れができずに、静岡の浜松まで運ぼうとして、途中でとうとう亡くなってしまっているような事件もありました。 なお、私が県内で調べましたところ、いままでの一年間ぐらいの間に、いわゆるたらい回しというのが、私の県の山梨のような小さい県でもって四百件も起こっているのです。実に救急医療の体制というものが余りにも粗末というか貧弱な現状だということがよくわかったのです。こういうものに刺激をされて、私の県では、つい先ごろの九月の県議会の中でもって約一億二千万くらいの当面緊急の施設の整備のために予算の計上をいたしているわけであります。しかし、私は、結局はこれはもっと国の行政の責任として考え、取り上げていかなければならぬ問題だと思うのです。国民の生命に関する問題です。そういう点で、前の国会においてもかなり論議も行われたのですが、その後、政府としてはどういう対応をされておるかというようなことをまずお伺いをしたいと思うのです。厚生大臣でしょうか。
○国務大臣(早川崇君) お答えいたします。 救急医療につきましては、本年四月から救急医療懇談会というものを設けまして検討してまいりまして、まず問題は夜中の問題が多いのでございますが、その場合には、消防庁に一一九番、あるいは一一〇番に電話をかけますと、いわゆる当番制の医者というものがありまして、そこへ運べる。それからまた、医師会なんかが医師会館等に夜間の救急医療センターというのを各地で設けさしておりまして、そこへ行きますと当番のお医者さんがおるということで、そこへ運ばれるわけです。さらに、もっと重症の者は、病院を指定いたしまして、輪番制で第二次の救急医療施設を指定しておるわけでございます。さらに、五十二年度予算では百二十三億を現在要望いたしておりまして、いま御指摘の救命のための救急センターというようなものを大幅に整備して、いわゆる夜間の医者の過疎ですね、農山村では地域的な医者の過疎がありますが、都会では夜間医者が寝ておったりいたしまして病院も閉まっておる。しかし、それにはお金を出しましてかなり国で補助しなければなかなか整備されませんので、思い切って百二十数億の予算をもちまして救急医療体制を整備いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
○神沢浄君 積極的な取り組みを望んでやまないのですが、それにつけましても法制上の整備というものを急ぐ必要がありはせぬかと思うのですね。私どもの知るところでは、救急医療についての関係の法制というのは、消防法の中にただ搬送の義務が規定しているだけのことであって、これは消防法なんですよ。これは医療の関係ではないところでのただ搬送義務の規定にすぎない。速やかにやっぱり国や自治体の行政責任をまず明確化する。それからこれはもうどうせ勘定の合わない——まあ最近の医は算術だというようなことも言われますけれども、これは算術ではとうてい扱えない問題ですから、不採算医療というものの確認を決める。それから医師や医療機関の協力の義務を規定するというような点がこれはどうしてもやっぱり法制上は明らかにしていかなきゃならぬ、また、そういうことが急がれることじゃないかと、こう思うのですが、これはあわせて大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
○国務大臣(早川崇君) ただいまは行政上できるいろんな施策を申したのでございますが、行政面でもなおうんとやらなければならぬ問題があるんです。救急病院の告示指定に対しましても、国立病院なんかは非常に高率の指定を受けておるんですが、三公社五現業あたりの病院になるとこの救急医療に対して告示されておる病院が少ないんです。そういった面もひとつ御協力を願うということでございまして、行政上できること、また、医師会に御協力願えることは最大限やりたい。同時に、いま御指摘の立法化の問題も、必要があればあわせて厚生省で真剣に検討してみたいと考えております。
○目黒今朝次郎君 関連質問。 いま厚生大臣が言われた、たとえば三公社五現業の病院の問題については、前回七十七国会の予算委員会で各担当大臣から、この救急医療の義務化について努力をすると、こういうような答弁を私はもらっているんですよ。いま大臣の三公社五現業の病院が協力していないということは、前回の各担当大臣の答弁と食い違っているんですがね。私がこの前挙げたのは、三公社五現業で八十一ヵ所、国立大学病院で二十七ヵ所、学校関係の病院で八ヵ所、国家公務員の共済病院が四十三ヵ所、合計百六十の病院があるけれども、救急医療の指定は二ヵ所だけだと。したがって、民間のお医者さんに協力を求める前に、まず国立、準国立、公立と、そういうところから設備を十分して、少なくともどの町へ行っても大学病院や鉄道病院や逓信病院はあるんですから、そこのところをセンターにして充実する。その点については五十二年度に向かって努力しますと言って各大臣が答弁し、三木総理大臣は最後の締めくくりとして、そういうものについては積極的にやりますと答弁したことといまの大臣の答弁は食い違っている。田中厚生大臣は、同僚の山崎委員の質問に対して、本件問題は国の責任だという大原則も確認しておるわけでありますが、この辺の食い違いを一体どのようになされるのか、再度総理大臣から答弁を求めます。 それからもう一つは、厚生大臣の諮問機関として救急医療懇談会というのがあるわけですが、この懇談会がことしの七月の十三日に中間報告という形で出しておるわけでありますが、この中間報告で、いま神沢委員が言った医師の協力の義務化という問題については反対であるという中間答申を出しているわけでありますが、この中間答申といまの大臣答弁とのずれは一体どうなさるのか、その点、二点について御質問いたします。
○国務大臣(早川崇君) 先ほど申し上げましたのは、五十一年四月一日現在の調査でございまして、国立病院その他国立療養所等は救急告示を受けておる比率が九七%とか非常に高いわけでございますが、三公社と国に準ずる病院におきましては、病院数八十五に対して救急告示病院数が五で、いわゆる比率が五・九%と、大変いまだ低いわけでございます。そういう意味で、今後三公社等の国に準ずる病院につきましては、厚生省としても、三公社とも連絡して、救急医療に御協力をしていただくという努力をいたしたいと思っております。 ただいまの懇談会の報告は反対であるということでございますけれども、私といたしましては、新たに大臣にもなりましたので、いま御指摘の医師会との関係もございまして、立法して義務化することは果たしていいかどうかも含めまして、ひとつ立法化の検討をいたしたいと、こう申したわけでございます。
○目黒今朝次郎君 これは総理大臣、要望ですが、私は前の予算委員会で約三十分ほどこの問題をやったんですから、もう申しません。ただ、大臣が、委員会の都度、答弁のための答弁では困る。したがって、答弁をしたなれば、そういうことが各関係大臣がどういう行政指導をしたのか、どういう具体的な考えであるのかという点をやっぱり質問者に文書その他で答えるというくらいの積極性があってほしい。そういう答弁の投げやりではないという行政指導を特に総理大臣に総括ですから要望して、終わります。
○国務大臣(永井道雄君) 救急病院の問題につきまして御質疑がございまして、非常に重要な問題であるというふうなことで、われわれとして努力すべきであるというふうにお約束を申しました。そこで、ただ、いま前もってお申し入れがありませんでしたから数字を持ってきておりませんが、国立大学では告示をしておりますところと、それから告示はしないけれども実際的にやっているところとあるわけです。しかし、国会での御討議に基づきましてこれをふやさなければいけないということで、来年度予算には相当たくさん要求をいたしております。さらに、各大学でその姿勢をとっていただくようにわれわれとして要望いたしまして、御論議の線に沿って行政を進めるようにただいまいたしているわけでございます。
○神沢浄君 もう時間がありませんから、二、三点を私は一括して質問及び意見の提起をしておきたいと思うのですが、一つは、いまの救急医療の問題でもってもう一度だめ押し的になりますが、大臣からこの法制の整備をここで約束をしていただきたい、これが一点。 それから農林大臣、先ほどいわゆる領海十二海里の宣言について、どうも何といいますか、及び腰のような印象を私は受けて残念ですけれども、これはわが国の主権の問題ですから、本当に漁民を救おうということであれば、また、いまこういう切迫した事態に際会しておるという認識の上に立てば、これはもっと積極的な姿勢と方針というものがあってしかるべきだと私は思うのです。それは重ねてひとつ御意見を聞きたい。いまの問題は、これは何といいましても基本の問題ですから、総理にもお聞きしたいと思います。 それから最後に、十七号台風あるいは今度の大冷害を受けて、私はやっぱり国の気象観測の体制というものがどうなっておるかどいうことが非常に心配です。何か三省くらいに分かれて、それぞれの立場でやっておるというふうに聞いておるわけなんですが、それぞれの関係の省庁からの体制の現状、目的等の説明を受けると同時に、今後国としては、さきにも申し上げましたように小氷河期に入ってあるいは冷害は連続して起こるかもしれないなどという学者の説などがたくさんある中でもって、私はこれは大変重大な問題だと思いますので、政府としてはどういう考え方を持っておるかというようなことをお聞きをいたしたいと、こう思うのです。
○国務大臣(早川崇君) 救急医療の立法化による義務化につきましては、その可否について慎重に検討して結論を出したいと思います。
○国務大臣(大石武一君) 領海十二海里の方向は私は賛成でございます。できるだけ早くこれをやりたいと思います。ただ問題は、日本の漁業の世界的な権益も守らなければなりません。その関連においてできるだけ早くこれを実施することが大事だと、こう考えておる次第でございます。
○国務大臣(三木武夫君) 漁民の熱烈な、早く日本は十二海里の領海の宣言をせよという非常に強い要望があります。また、沿岸のいまのような領海が三海里ということでございましたら、そこにいろんな紛争も起こる可能性もございますから、それを画定をするべきであるという声はよくわかるわけでございます。そういうことも胸に体しながら、一つの国際の海洋秩序でもございますから、この要望を踏まえてできるだけ早く処置をいたすようにいたしたいと思います。
○政府委員(有住直介君) お答え申し上げます。 今次の十七号台風、それから東北地方におきます冷夏の問題、そういうこともございまして、ただいま気象観測網についての御質問が出ました。私どもも気象による災害をできるだけ少なくするために努力をしていきたいと日夜やっておるわけでございます。 十七号台風につきましても、あるいは農業気象につきましても、的確な情報を提供するため、農業につきましては農林省と御協力しながらやっているわけでございます。的確な情報をいち早くお伝えするためにはどうしたらいいかということで種々検討し、私どもは地域気象観測網の展開ということで進めさせていただいております。これはリアルタイムで情報を集配信することができるシステムでございまして、雨の観測につきましては現在全国で約千百ヵ所ございます。気温その他の観測につきましては現在のところまだ今年度で約四百ということでございますけれども、計画といたしましてはふやしていきたいというふうに念願をして努力いたしておるようなわけでございます。 農業気象の災害を減らすためには、農林省と御相談しながら、私どもは農作物についてはわかりませんので、気象の予報を出しまして、作柄その他との関係を考慮してよりよい情報を流す、そういうことでございますので、私どもとしては予報の精度をどうしても上げなければいけないということで、長期予報を諸外国に先立ちましてやっておるわけでございます。この長期予報というものは全世界でもやっているところが非常に少のうございます。特に、本年三月十日に出しました暖候期の予報というような向こう半年までの予報というのは、わが国だけでやっているというふうに自負しているわけでございます。 それから、気候の変動が最近、先生お話しのように問題になっておりまして、昭和四十九年の春に私どもとしましては世界的な天候の見通しというものを発表さしていただいたわけでございますけれども、その後各国でそういう異常気象を含めました気候変動につきましての研究調査というものが進んでおりますし、また観測データも集まっておりますので、さらに検討をし直したいと思いまして、気象庁内に気候変動調査委員会というものをつくって検討を進めていきたいと考えておるわけでございます。 説明が若干長くなりまして申しわけありません。
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして神沢浄君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(八木一郎君) 喜屋武眞榮君。
○喜屋武眞榮君 ロッキード問題が明るみに出まして、今日に至るまでの動きを三木総理の姿勢と結びつけてとらえた場合に、最初大上段に構えていた三木さんは、これはわが国の民主政治の根本の問題である、徹底的に究明しなければいかぬということを絶えず強調しておられた。ところが、最近、きのうきょうにわたるこの論議の中でも、全面的に協力するとおっしゃるかと思うと、できるだけ協力する、こういう非常に後退した感じを率直に認めざるを得ません。どうですか、三木さん、初心に立ち返っていただいて、本当にこの問題の複雑さ、厳しさをわからぬわけではありませんが、そこをひとつ初心に戻って、この問題の徹底的解明が日本の民主政治の根本の立て直しにかかわるのだ、こういう勇気を持って決意をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) しばしば申し上げますように、私はこのロッキード問題というものは日本の民主政治の健全な発展のために非常に根幹に触れるような問題を含んでおると思いますから、これを徹底的に解明することが日本の政治の粛正の出発点であると、こう考えておりますから、私のこの初心に何ら変化はないのでございますので、その点はどうぞ何か変化があったのではないかという御懸念のないように願っておきたいのでございます。
○喜屋武眞榮君 この一連の流れにおいて私がおそれることは、政治不信が国民世論の中にとうとうと広がりつつあるということでございます。これを三木総理はいかが受けとめておられますか。
○国務大臣(三木武夫君) それは、こういう事件が起これば、非常にやっぱり政治というものに対する信頼を失ってくることになると思うのです。この失われた政治の信頼、これを回復するということは、われわれとして課されておる緊急の課題だと思っておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 では、お聞きしますが、この国民の政治不信を挽回するために、どのようなことをなさろうとおっしゃるのですか。
○国務大臣(三木武夫君) これはやはり刑事上の責任は徹底的に究明されなければならぬ。これはやることをやっておることは御承知のとおりであります。また、政治道義上の責任というものは、議長裁定にもあるように、国会の場においてこれは調査をしていく。政府はその資料の提供等、最善の協力をする。また、もう一つは、こういう金にまつわる不信というものがときどき起こってくるその原因の一つには、余りにも金のかかり過ぎる日本の政治、金のかかり過ぎる選挙というものの存在することも無視できない。政治資金規正法とか公職選挙法の改正を行いましたが、この点からのやっぱり制度的ないろいろな検討も必要である。 また、政府の方としては、綱紀の粛正、あるいは行政指導のあり方、許可、認可、こういうものに対して行政というものが国民の信頼を傷つけるようなことのないようなこの機会に一つの見直しをしてみるということも必要である。また、根本の問題は、やはり政治家が金の授受に対して非常に厳しい倫理感を持つことがすべての根本だと思うんですね。そうでなければ、いろんな制度とか法律ばかりですべてをカバーすることはできないんですから、この倫理感が崩れてくれば、いろいろな制度を考えてもこういう事件の再発は防げない。こういう点がやはり根本で、これは各政党の課題でもある。政党というものの一つの粛正と申しますか、こういうことが伴わなければならぬ。こういうロッキード問題というものばかりでなく、金にまつわる不信というものを除かなければ政治の信頼は回復できない。これは単に政府ばかりの問題でもございませんし、これはやっぱり政党の問題であるし、国会の問題でもある、あるいは行政の問題でもある。この機会に各方面のいままで惰性でやってきておったものを一遍見直して、みずからそういうものに自分で改革する能力を示すことが必要であると考えておる次第でございます。 そういう線に沿うて、われわれもこの事件を日本の民主政治健全化強化の転機にしたいと願っておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 災いをもって福となすという言葉がありますが、この重なった構造汚職を徹底的に洗いざらいし、いわゆる古株を残しますというとまたいつか芽が吹きますので、そういう心構えでひとつ、われわれも責任を感ずるわけですが、この際徹底的に浄化していただきたい。強く要望いたします。 次に、衆議院議員の定数配分についてお尋ねいたします。現行の定数配分は、昨年改定されたものであるにもかかわらず、選挙区ごとの不均衡がひどく、憲法に言う国民平等の要請に背いておると思います。今回の臨時国会は現職の衆議院議員の任期切れを控えた最後の国会ですから、ここで改定が行われる、こういう期待はできないわけでありますから、次の総選挙は憲法違反の定数区分によって実施されることになるということになります。すでに去る四月の最高裁判決によってそのことが事前に判明しているにもかかわらず、それを承知の上で選挙を実施することは、国民の基本的人権を故意に侵害するに等しいと言わねばなりません。政府は早急に定数配分の改定を行うべきであると思うが、どうでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 去年変えたばかりですからね、去年。二十名ふやした。各党が賛成をしてふやしたばかりで、まだ一遍も選挙もやっていないわけですから、あなたの言うようにまたここでもう一遍変えるという考え方はございません。この不均衡は相当是正されたと考えております。
○喜屋武眞榮君 これも民主主義の根本につながる問題でありますので、ぜひひとつ一日も早くこれが憲法違反にならないように、ならないようにという後ろ向きでなくして、前向きで常道に立ち返って、このことを強く要望いたしておきます。いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 人口の移動が激しいときでございますから、それに伴って不均衡は是正を絶えずしていくということは心がけねばならぬですけれども、いま衆議院の定数をまたここで変えろという御説には賛同いたすわけにはいかぬということであります。
○喜屋武眞榮君 時間がちょっぴりで食い足らずの点がありますが、次に急ぎます。 次に、三木総理の沖繩に対する政治姿勢を私はただしたいと思います。総理は、絶えず、公正な政治、そして民主政治の確立を強調しておられます。ところが、ずばり言わしていただくならば、沖繩に対しては差別と犠牲を強いていこうという、こういう政治姿勢であるということを私は追及いたしたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、喜屋武君も御承知のように、最近沖繩へは実に頻繁に訪問する機会がありました。それで実際に二十七年間日本の手を離れてアメリカの施政権下にあったというものに対して、その沖繩の人々の御労苦に対して私は身にしみるような思いがしているんですよ。それで、できるだけその犠牲に報いなければならぬということで、返還後四年ですかね、そして公共施設というものの整備あるいは県民の所得の向上ということで特別措置を講じてまいったわけです。十分だとは言わないんですよ、私はね。しかし、この沖繩に対するいろいろな特別措置は、長い間他国の施政権下にあって相済まなかったという気持ちもその中にあるからでございます。最近は失業率が高いということで非常に心を痛めておるわけでございます。本土に対しての職業のあっせんとか、沖繩自身で働く機会を多くするとか、いろんな点で雇用の安定というものを図っていきたいと考えております。一つには、やはり沖繩の一つの問題点は基地というものですね、これが沖繩の人々の生活にいろんな点でかかわり合いを持っておるわけです。沖繩の基地をできるだけ整理統合していくという従来の方針、これに従ってアメリカ側とも今後とも話し合って、やはり日米安保条約における機能を非常な大きな急激な変化は許されませんが、もう少しやっぱり基地の整理統合というものは今後の大きな課題である。この点は沖繩の人々の生活との間に重大なかかわり合いを持つわけでございますから、今後とも一層日米間の話し合いを続けていかなければならぬ問題だと思っておりますから、沖繩の人々の気持ちがわれわれがすべて犠牲とされたという喜屋武さんの御批判はどうも私たちは承服いたすわけにはいかないわけでございます。
○喜屋武眞榮君 それでは、具体的に指摘いたします。 総理は、日米安保の強化を絶えず強調しておられます。日米安保の強化ということは、日本国民の生命、財産、人権の安全保障でなければいけません。ところが、あなたが強調されればされるほど、沖繩における県民の生命、財産、人権の不安と危険はますます高まるばかりでございます。この矛盾をどう解決しようとおっしゃるのですか。
○国務大臣(三木武夫君) 日米安保条約を強化しようということを私は申しておるのではないんです。日米の安保条約によって基地の提供ということもあるわけでございますから、そういう点では沖繩の方々にもいろいろな意味において生活上の非常な御不便をかけておるわけでございますから、これをできるだけ整理統合の方向に向かって持っていかなければならぬと考えておると申したわけでございます。
○喜屋武眞榮君 戦後二十七年、復帰後五年。ところが、沖繩における戦後処理がいまだなされていないではありませんか。放棄請求権の件数が十二万一千八百件、金額にして一千六百五十九億六千八百九十五万余円、どのようにその放棄請求権がいま検討されておるか、それを知りたいと思います。
○政府委員(斎藤一郎君) いわゆる対米請求権の状況についてお尋ねでございますが、これにつきましては、当面沖繩開発庁の協力を得まして防衛施設庁が調査を行うということになっておりまして、昭和四十八年度以降実態の把握に努めてまいっております。昭和五十一年の七月の末までに沖繩返還協定放棄請求権等補償推進協議会からの第一次それから第二次にわたって要請がありました分、さらに沖繩県の漁連の要請分、こういうものについて概況の調査を終わっております。 調査の結果によりますと、漁業補償関係の被害の実態につきましてはおおむねその内容が把握できたのでありますが、そのほかのものについては、補償体系自体が成り立つかどうかというような疑義がある。それから米施政権時代の補償と重複しておるのではないかと思われるものがある。それからまた、地籍が不明確であるため現地との照合が困難であるものがある。また、損害額評価時点が区々であって必ずしも内容が統一がとれておらない。それからまた、事実確認がきわめて困難で関係市町村でも立証困難であるといったようないろいろの問題点がございまして、さらに沖繩県などの御協力を得て引き続き精密調査を実施する必要があると思っております。 これからの処理の方針につきましては、いま申し述べました概況調査結果をもとに、政府全体の問題として決定していただく必要があるかと思っておりまして、現在、内閣審議室などを中心に関係の各省で協議をしておるという状況でございます。
○喜屋武眞榮君 検討を急いでほしい。漁業補償は予算計上されますか。
○政府委員(斎藤一郎君) 漁業補償については、先ほど実態が把握できたと申し述べておりますが、今度の五十二年の予算には概算要求をいたしておりませんが、状況によって必要があれば適切な措置をとれるように関係方面と御協議いたしたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 検討すべきものは急いで、予算計上すべきものは急いでいただかなければいけない。 次に、地籍測定がまだなされておらない。地籍の混乱は米軍の無秩序な基地構築によるものであり、地籍を画定することが戦後処理であり、国が責任を持ってやるべきものであることは間違いがないことである。いつまでに完了する計画か、承りたい。
○国務大臣(西村尚治君) 開発庁の方の所管といたしましては、御承知のように非軍用地域の分でございますが、非軍用地域で境界の不明なところで地籍を早く明確にしなきゃいかぬ、こういう地区が約二十平方キロほどあるそうでございまして、これにつきましてはいろいろ調査をやっておるのでありますけれども、先生御承知のように、土地の所有者が所在不明でありましたり、関係帳簿が非常に不ぞろいであったり不十分であったり、いろいろな関係がございましておくれておるわけでございますけれども、これまた先生御承知だと思いまするけれども、西原村ですか、あそこで最近非常な成果が上がっております。こういうのをモデルケースにいたしまして、鋭意開発庁としても開発庁の所管の分につきましてはひとつ御期待に沿うように迅速に解決できるように努力をしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 これも急いでほしい。と申しますのは、この地籍測定に名をかりて恐ろしい刑特法が準備されておることであります。日米安保条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における米国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法であって、憲法違反の疑いの濃い法であると言われております。ところが、いま準備されておると言いましたが、これが適用になった。去る九月十七日、県道一〇四号線を封鎖して実弾射撃演習を行った際、阻止闘争中の労働組合員四人を沖繩県警は初めて刑特法第二条を適用して逮捕した。これは、違憲の疑いが非常に強いと言われる刑特法の適用は不当であるというのが通説である。これに対してどう受けとめておるか、承りたい。
○国務大臣(天野公義君) お答え申し上げます。 キャンプ・ハンセン演習場は、わが国が日米安全保障条約に基づきアメリカ合衆国に提供した施設区域でございまして、同演習場に正当な理由なく立ち入れば刑事特別法第二条違反の罪が成立することは明らかでございます。刑事特別法については違憲を唱える向きもありますが、本法につきましては砂川事件につき最高裁の有罪判決が確定しており、合憲な法律と考えております。したがいまして、犯罪の予防、鎮圧、検挙等を責務とする警察が同法違反の捜査、取り締まりを行うのは当然でございます。
○喜屋武眞榮君 先ほど私地籍測定と刑特法と申しましたが、これは間違いで、基地確保新法案が準備されておる。沖繩における米軍及び自衛隊基地確保のための公用地暫定使用法が来年五月十四日で期限切れになるが、引き続き基地の継続使用をねらって沖繩にだけ適用する。私が差別法と言いましたのはこれであります。これは憲法違反の疑いがあり、すでに違憲訴訟も提訴されておる。かかる法を提出すべきではないと思うが、総理の見解はいかがですか。
○政府委員(斎藤一郎君) まず、事務当局として状況をお答えしたいと思いますが、お尋ねの沖繩における駐留軍等の用地でございますが、これはいま御指摘がございました沖繩復帰の際のいわゆる暫定使用法に基づいて契約等の権原が得られない土地について使用することができるという法律によって使用しておるわけですが、これは五年間に限られておりまして、したがって、来年の五十二年の五月十四日になりますと使用の権原がなくなるわけでございます。ところが、今日までこの暫定使用法の適用の土地については努めて所有者と合意をして契約をするという努力をやってまいりましたが、まだ合意のできないものが相当数ございますし、一方において来年の五月十五日以降もやはり米軍等が使用しなきゃならぬという必要がございます。そこで、その使用権原を得るためにどういうぐあいにするかということで、従前わが施設庁においていろいろと立法措置も含めて検討してまいってきたところでございます。で、いまお尋ねの立法については、われわれ事務担当者としては法が必要である、新法が必要であるというふうに考えまして、事務当局としてはできるだけ早急に成案を得て国会に御審議いただくように取り運びたいというふうに考えて、目下関係の機関と協議しておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 皆さんにとっては必要かもしれぬが、県民にとっては迷惑千万である。これはけしからぬ法である。そこで、違憲の訴訟もいま訴えておる最中でありますから、断じてわれわれはそれを承服するわけにいきません。 次に、農林大臣にお聞きしたい。日本の食糧問題の解決は私は日本の農政の転換、いわゆる国際分業論から国内自給を高めていく方向に思い切って転換しない限り解決できぬと思っているが、これはいかがですか。
○国務大臣(大石武一君) 原則的には賛成でございます。ことに、将来のことを考えますと、主食につきましてはできるだけ国内で生産が確保できるようにいたしたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 それで、国内甘味資源の補給という立場から、北海道のビート、そして鹿児島のサトウキビ、沖繩のサトウキビ、これはどうしても国民の甘味資源の補給という立場から再生産意欲を高めて保護育成しなければいけない、こう思うのです。いかがですか。
○国務大臣(大石武一君) お説のとおりでございます。
○喜屋武眞榮君 そこで、いまそのビートがこの数日で値段が決まるということであります。追っかけてサトウキビも値段が決まることになっております。そこで、生産者、現地側から、ビートはトン当たり二万一千円、サトウキビは二万二千五百円最低要求として出されておりますが、その最低要求に対してどのような見解を持っておられますか。
○国務大臣(大石武一君) ビートにつきましては、今月の九日をめどとして価格を決めたいと思います。それからサトウキビにつきましては、今月末あたりにこれを決定いたしたいと考えております。で、できるだけいい値段にしてあげたいと心の中で願っております。御承知のように、サトウキビは沖繩の大事な大事な基幹作物でございます。これにかわるものはございません。したがって、これはできるだけ大事にして、そして生産の振興を図っていきたいと思います。そういう意味ではできるだけいい値段にはいたしたいと思いますが、ただ価格問題だけでは解決できないと思います、将来は。と申しますのは、いま現在砂糖業界があのとおり低迷いたしまして非常に混乱いたしております。このような時期に、国内産の砂糖類を非常に大幅に値上げするということも非常なむずかしい問題がございます。そこで、値段もいろいろ考えますけれども、一番大事なことは、やはり沖繩におきましてはサトウキビの生産性を上げるということが一番大事ではないかと思うのです。そういうことで、特に基盤整備とかそういうことに今後一生懸命に力を入れまして、そしてその方面からの生産が多くなるように、ひいては農家の収入が多くなるようにいたしたいと、こういうことをあわせていま考えておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 沖繩にはありがたくない日本一が幾つかございます。これはすべて日本の政治の吹きだまりの形として沖繩にしわ寄せになっておる。基地日本一、日本の百分の一の規模しかない沖繩に五三%の基地が温存しておるということをそこから基地は諸悪の根源であるということが言われておるが確認しておる。その基盤に立って、爆音公害日本一、凶悪犯罪日本一、失業日本一、これはすべてそのよって来る原因は申し上げるまでもありません。そこで、爆音公害、これは本土でも横田米軍基地の騒音訴訟がなされておる。沖繩もいまその準備をしております。
○委員長(八木一郎君) 喜屋武君、時間が切れております。
○喜屋武眞榮君 はい、終わります。 それから失業の日本一も、沖繩の七%に対して本土は一・九%、まさに三倍以上であります。このことについて労働大臣、警察庁長官、防衛施設庁長官のそれに対する見解を求め、そして最後に、三木総理、私が犠牲と差別とあえて申し上げましたのは、ただだてに言っておるのじゃありません。この深刻な事実は、みんなみんな戦後二十七年、復帰後五年、三十有余年にわたる日本の政治の吹きだまりがしわ寄せになって沖繩にふりかかっておるということをいま一応振り返っていただいて、総理のそれに対する所見と決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(天野公義君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、残念ながら沖繩県におきます人口十万人当たりの凶悪犯の発生率は全国で一番高くなっております。また、凶悪犯ばかりでなく、刑事犯全体の発生率も他府県に比べて高いという特徴がございます。したがいまして、警察といたしましては、これらの犯罪の傾向を、捜査の実情を踏まえ犯罪の早期検挙を図るための捜査体制の充実強化等に積極的に努力してまいる所存でございます。 なお、昭和五十年中の沖繩県における在日米軍関係者による刑法犯は二百二十三件、二百五十一名でございまして、四十九年に比べますと、マイナス九十五件、マイナス五十七名と減少している状況でございます。
○国務大臣(浦野幸男君) 沖繩の失業問題についてお答え申し上げます。 沖繩の失業は、御承知のように基地の問題がありまして、これの離職者が非常にふえつつあるわけであります。そこで、失業率はいまおっしゃいましたように非常に高い。ことしの七月の調査でいきますると、六・二%という失業率になっております。これを本土に比べますると、本土は一・八%ですから、非常に高い失業率が沖繩にあるわけであります。これはああいう非常に離れた場所でありますので、こういう失業者を吸収するということがなかなか困難な問題がありまするが、職業安定所を通じまして一生懸命で努力をいたしておりまするが、その方法としましては三つの方法があると思います。特に地元で産業を開発する、あるいは雇用率を高める、これはなかなかいまのところではむずかしい問題であります。第二の問題は、沖繩から本土の方へ就職をあっせんするという方法。第三の方法は、沖繩で公共事業をもっとふやしてこれらの失業者を吸収していく。この方法がありまするが、いずれにしましても、この三つの方法をいろいろと努力をしまして、失業率の少なくなるようにあらゆる努力を払っていきたいと思っております。
○国務大臣(三木武夫君) 沖繩の外国の施政権下にあったという御労苦に対してもわれわれはできるだけのことをしなければならぬという考えのもとに、公共施設の整備とか県民の所得向上というものにはいろいろな特別の処置を講じてやってきたつもりでございまして、相当な成績は上げておることは——まだ十分とは申せませんが、復帰後における公共施設の整備、県民の所得向上というものには相当な前進が見られたことは事実でございます。一方においては基地の問題もございますが、何とかして喜屋武君の持たれる、喜屋武君自身がお持ちになっておるとしたならば残念なことであって、差別と犠牲であると。われわれの意図は、何とかそういう感じを沖繩の人たちが持っていただかないような状態に持っていかなければならぬということで努力をしておるものでございまして、十分だとは思ってはおりませんが、なお一層沖繩の振興というものに対しては努力をいたす考えでございます。
○委員長(八木一郎君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(八木一郎君) 次に、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。 先般、当委員会が行いました予算の執行状況に関する実情調査のための北海道、九州及び四国地方への委員派遣について、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十九分散会