本会議 第5号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1976/09/28
会議録
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日) 去る二十四日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。上田哲君。 〔上田哲君登壇、拍手〕
○上田哲君 第七十八臨時国会の劈頭に当たり、私は、日本社会党を代表して、三木内閣の所信を問います。 三木さん、あなたを総理に据えて、いま日本議会は憲政百年の揺れの中にあります。私は、保守、革新を問わず、およそ政治を動かす原理の中には、国民からの進歩への期待と言うべき力があると信じております。国民不信の長い自民党派閥抗争の中で、三木さんに寄せるちまたの声の多くには、この進歩への期待と言うべきものがあったと私は思うのであります。しかし、いま三木さんは、ゆらゆらと揺れ動くように見える総理のいすの上で、その一番大切な国民からの期待を裏切っているのではありませんか。進歩への期待とは、民主主義への前進の期待であります。私は、ここで厳しくその民主主義を三木さんに問いたいと思います。 そこでまず、私が素朴にあなたに求めたいことは、あなたの政治のルールを自民党のルールから議会のルールへ戻せということであります。自民党の派閥抗争は、自民党の政治だけが日本の政治であると思い上がっている一党長期独裁のおごり以外のものではありません。この派閥抗争の結果として、この臨時国会の開会自身、あるいは召集日、五十日の会期すらが一方的に政府の手で決定されてしまいました。この態度は、単に公の約束違反であるだけでなく、長い慣例に反する議会ルールのじゅうりんであります。総理はこの反省を明らかにされて、今後の国会運営に議会のルールを守ることを約束されるべきであります。これは、今後の総理の地位や解散の事態を踏まえて、あなたが自民党にだけ顔を向ける権謀術数の徒にすぎないのか、あるいは議会主義を尊重する民主政治家であるかの評価を決める第一歩であると考えたいからであります。 さて、私はここであえて間口の広い総花的な質問を思いとどめまして、思い切って今臨時国会の緊急課題に問題をしぼり込んで、突っ込んだ所見を伺いたいと思います。 まず、ロッキード事件の徹底究明であります。 最初に伺います。三木さんは、ロッキードはもうこれで終わりだと、そう思っておられるのではありませんか。確かに捜査本部は人員縮小段階に入っております。私の知るところでは、多分あすにも、多分あすにも、若狭、檜山の国会の偽証による起訴が行われるであろう、そのことによって全日空、丸紅ルートの捜査は終わるはずであります。いわゆる児玉ルートの解明がむずかしいというのは捜査当局の常識となっております。つまり、トライスターはこれで終わるということであります。そこで総理は、捜査の終結が即そのまま解明のすべての終わりと、このようにしようと考えておられるのではありませんか。昨日の衆議院の答弁を伺って、総理の理屈はこうなるのであります。全日空と丸紅の終わりは中間報告で締めくくると、児玉ルートは長い捜査にゆだねて、先はわからぬと、PXLは疑惑なしと、こういうふうに突っぱねていくと、私は昨日の総理答弁の論理をこのように伺ったのであります。これはすでに終戦処理の姿勢であります。そういう答弁は、総理、本日はここでは通用いたしません。全日空、丸紅あるいは児玉ルートというのは、実は捜査上の便宜的な区分けでありまして、事件の本態は紛れもなくトライスターとPXLであります。しかも、そのPXLの高い峰は全く手つかずであります。つまり、問題はこれからであります。これが本当の理解であります。もし総理が本当に心から真相究明と言われるのであるならば、この考えが私と同じであるかどうか、これは当然なことだと思いますが、ひとつ、はっきりさせていただきたいのであります。 総理は、総理大臣としての右手と多数党の総裁としての左手を巧みに使い分けていられるように思えてなりません。灰色高官の場合も、右手では大いに出そうではないかとおっしゃる。ところが、実際に当該委員会にゆだねると言われるが、その当該委員会では多数派がこれを小さく制限をする。証人喚問も、何びとにも制限はつけないと総理としてはおっしゃるが、さて、それについては自民党で議決ができない。これは三木さん、ひきょうであります。徹底究明と言われるなら、どうかひとつ右手左手と言わないで、両手でやっていただきたいのであります。証人喚問も、灰色高官の公表も、あなたがやろうとすれば全部できることであります。だから、中間報告も実は政治的終結宣言ではないのでしょうか。もしあなたが、この捜査が一応終わったという段階で、新しく国会に真相解明の任務をゆだねようというのであれば、この中間報告はこの国会冒頭になさるべきものでありました。このようなことでは、またもや事件はうやむやではないか、政治汚職というものは結局真相が究明されないのではないかと、国民のすべては、だれもが思うと思うのであります。総理は今国会をロッキード究明のための幕引きとして使おうとされているように思えてならぬ。そうではないのだということをどうかはっきり明言をしていただきたい。このことをはっきりしていただかないと、すべての質問は意味を持たないのであります。重ねて、この国会をロッキード究明の幕引きにするのではないのだと、どんなお言葉をお使いになっても、実態はいま申し上げたような論理の上に乗っているんでありまして、本当にどのような方途で真相究明を図るのかということを具体的に明らかにしていただくことを第一の質問といたします。 特に、灰色高官について申し上げるならば、灰色高官の要求などというものは——灰色という言葉もおかしいのでありますけれども、人口に膾炙したこの言葉で言えば、国民の常識としてこれは至極当然であります。灰色高官を最大限に出せとうことは、国民にとっては知る権利の最低限にすぎないのであります。こういう立場からすると、きわめて奇妙に感ぜられるのは、いわゆる灰色高官の線引きの問題であります。国民にとってみれば、ロッキードからばらまかれた二十五億円の行き先について、賄賂と政治資金の区別などというものは本来ないのであります。ところが、政府が、これを線引きをしろ、しかも、この線引きを国会で行えというのであります。はなはだ一方的な言い方であります。また、これについて各党の調整がつかないから灰色高官の公表がおくれているというような言い逃れも横行をしているんであります。はっきり申し上げておきます。わが党を初め各野党に、灰色高官の公表について何らかの制限を設けようなどという考えは全くございません。わが党は、ロッキード社あるいはこれに関係するところから配られたすべての金品の受領者の全員の公表を求めているのでありまして、むしろ問題は、政府・与党、総理自身がこれに賛成されるかどうかが問題なのであります。灰色高官の資料は私どもにはございません。すべて総理の胸の中にある。まるで総理は、ふところのカードをしっかり握りしめて、公表を求める側の話がつけばいい、その話がつかなければ出さないぞというような、捜査の秘密を私するように非難されるような態度を見せるのであります。これは誤りであります。問題は、まずあなたが何を出そうとされるかから出発するのであります。 総理にお伺いをする。あなたは、ロッキードから金品を受領した者のすべてを出そうと本当に思っておられるのかどうか。仮に国会がそのことを決定をしたら、素直にそのことをお出しになるのかどうか。一点。また、そうでなければ、どこまであなたが出す気があるのかということを、まず最初に宣明さるべきであります。これが第二点。さらに第三に、ここで刑事捜査権と国政調査権の関係を私はしっかり整理しておきたいと思うのであります。国会は犯人捜しの場ではありません。そうして、ある時期、刑事捜査権が国政調査権に対して優先する場合があるのも、やむを得ないと考えます。休会中、ロッキード調査特別委員会がそのために進めることができなかったことがあったのも、やむを得ないことであったとも考えていいのであります。捜査が時として国政を対象とするのも当然でありますけれども、しかし、その捜査が終結したということになれば、国政が今度はその捜査自体を検証し、国政調査権が完全に復権されなければならないことは、議会主義の当然の原理であります。捜査が終わったのでありますから、国政調査権はここで、まさにこの国会で、ロッキード真相究明のための新たな段階に入らなければなりません。臨時国会や総選挙でけりをつける、このようなことがあってはならないと思います。今月初め日本世論調査会が行った全国調査では、捜査の進みぐあいに不満な人が五七%に上っております。総理は、この世論の声にこたえて、ロッキード真相究明はいまや捜査活動中心の段階から国政調査権の発動の新段階に進むべきであるという点について、はっきりした決意と姿勢を示されることを要求をいたします。以上三点、まずしっかりお答えをいただきたいと思います。 そこで、アメリカ側の資料の問題に触れたいと思います。ここでこそ日本国会へのアメリカ側資料の公開の問題が議論されなければならないと思います。そもそもこの事件は、アメリカの多国籍企業が多額の黒い工作資金を日本の政、財、官界へばらまいた、投げ込んだという事件でありますから、アメリカ議会がこれを調査するのはきわめて当然なことであり、この調査によって明らかになった日本の汚職の問題があれば、日本にその情報をあまねく提供するのは外交上の誠意と言うべきものであります。これを両手を広げて受けることができるかどうかということは、日本議会の名誉と民主主義の力量にのみかかるところであります。 二月二十三日の本院本会議は、満場一致の決議をもって、アメリカ側の全資料の余すところなき公開を要請したのであります。この「余すところなき」という言葉は参議院だけが特につけた言葉であります。このとき三木総理は、まさにこの壇上から、まさにこの壇上から、国会がこうした異例の措置をとった国民的総意を十分理解してもらうよう、私自身直接、直ちに書簡をもってフォード大統領に要請すると、こういう決意を表明されたのであります。私は、まさにこの壇上から凛とした決意でこのことを申された総理の表情を鮮やかにいまも記憶いたしております。ロッキード隠しと言われる今日との違いに驚くばかりであります。総理は、もともとこの全会一致の国会決議が間違っていたとでも言われるのでありましょうか。米国資料に対する日本国会の基本の権利、基本の姿勢は私はここから毫も動いていないと思うのであります。御確認をいただきたい。もし、そのことに誤りがないといまも言われるのなら、総理のこれほどの姿勢の違いはどこから来るのでありましょう。これもひとつあわせて、しかと御説明をいただきたいのであります。 第二に、私はこれについて、わが国外交の姿勢について大きい疑問を呈せざるを得ません。実は、このような国会の決議や当時の総理の決意表明とは別に、日米外交は全く逆の動きをしていたと思われるのであります。 アメリカの上院外交委員会チャーチ委員会から、第一報、フィンドレー証言が届きましたのが二月の五日。それから六日後の二月十一日には、キッシンジャー国務長官は、国務省の記者会見で、高官の氏名暴露は相手国の安定を乱すと、資料の公表に早くも牽制をしているのであります。その三日後の十四日、ハビブ国務次官補が、日本大使館の西田公使に対して、事件の全貌を本当に公表してもいいのかと、外務省の真意をただしているのであります。このことは、すでにこの時点で日米の外交ルートの間に高官氏名を含む資料引き渡し交渉が進められていたことを物語っております。このとき外務省が西田公使にどのような訓令を発したかどうかは、いまもってつまびらかにはされておりません。しかし、それから五日後の二月の十九日、宮澤外務大臣は、資料は公表しないこともあり得ると、突然の発言をするのであります。国会決議や総理の決意からして、きわめて奇異な感じが否めないのです。しかも、総理は、その一週間後の二十六日に至ると、相手が条件をつけてくるなら従わなくてはならないと国会で答弁するに至るのであります。明らかな方向転換であります。しかも、この総理答弁は、この場所での国会決議からわずかに三日後のことであります。 そこで、三月五日には、インガソル国務副長官が、起訴以前の公表は禁止すると、この条件を打ち出します。この証言は、日本国民に大きな衝撃を与え、国会は空前の空転に入るのでありますけれども、このとき日米外交ルートでは早くから事前交渉を行っていたものと、いまでは確信されているのです。三月十一日になれば、キッシンジャー国務長官は、ボストンの世界問題評議会の外交演説という公式の場所で、米企業の海外における不正行為が暴露されたことによりアメリカの友邦諸国の政治構造は重大な打撃を受けている、友好国の混乱はアメリカの外交上好ましくない、と断言いたしております。三月十二日のフォード返書はこの線にぴたりと沿ったものであり、三月二十四日、日米司法協定が結ばれるのであります。まさに、資料の非公開というのは、高官氏名の公表というものが親米政権、自民党政権の混乱につながることを配慮したアメリカの方針そのものであり、外務省当局がこれに従属した姿以外の何ものでもありません。そして、ロッキード隠しはまさにここから始まっているのであります。外務省からこのときの事実経過に基づく説明と、総理の見解を求めておきます。これが第二点であります。 で、日米司法協定の締結は、これ以後のロッキード解明の大きな分水嶺となります。このように深く国民の主権にかかわる協定を、政府があえて協定と言わないで、取り決めと呼んで、国会の承認を必要としない形をとったことはそれ自体許しがたいことでありますけれども、それ以上に重要なことは、この協定の内容が厳しく不平等であることであります。日本国会の国政調査権の行使は、これによって全く決定的に阻まれてしまったのであります。この数カ月ロッキード委員会等によってその究明に携わった立場で言えば、資料、証人のことごとく、この壁に阻まれて、ほとんど核心に迫ることができなかったということを率直に申し上げなければなりません。国民の皆さんに対しては非力をわびなければなりませんけれども、そのことが突き通せなかったのが実情であります。 しかし、この資料の公開を制限するものはいまや取り払われたと言うべきではありませんか。司法協定の根拠となったフォード返書に言う「米国内の調査を妨げない限り」、こういう項、問題はこの項だけでありますから、そのことについて言えば、いまやチャーチ委員会もプロクシマイヤー委員会も、証券取引委員会、肝心のSECも、もはやロッキード調査を続けておりません。そして日本側の捜査も終結をいたします。もはや日本国会にこの資料の公開を制限する事情は消滅したのであります。日本国会にこの資料をあまねく公開する時期が来たのであります。外務大臣と法務大臣の見解を明確に求めておきます。 そして、真相究明を真に望まれるのであれば、この米側資料について、総理自身がこれまでとは異なる新段階への決意を明らかにされることが当然なことだと思います。あなたはこれまで、私は資料を見ないということをしきりに強調されてこられました。ある段階までは、捜査の中立性の保障の理由で、認められる部分もあったと思うのであります。しかしいまや、あなた自身が言われるように、捜査の中間報告を一まあ実は終結でありますけれども、中間報告を行う段階であります。現にこの十七日には、あなた自身が稻葉法務大臣から報告を求めておられるのであります。元来検察当局は、総理大臣たるあなたの指揮下に属する行政権の一部であります。捜査の終結と究明の不十分さの不満の多い今日、いまこそあなたはその全貌を掌握をされて、政治的道義的解明を国民の前に明らかにされるべきであります。したがって、総理はこの上に立って、必要とあらばアメリカに対して司法協定の改定交渉について、これを開始するよう外務当局に命ずるべきであります。もしこのままで放置するとなれば、不名誉な日本高官の氏名は、アメリカでは司法当局と議会がこれを知り、しかるに日本では国会がこれを知らないということになってしまいます。まさに主権の問題であります。 以上、アメリカの資料の問題について、以上四点、明確にお答えいただきたいと思います。 さて、三木総理がこのような真相究明の決意に立たれることを前提として、私は、国会に課せられた本来の使命であるその政治的解明について幾つかの課題を提起したいと思うのであります。 その第一は、まず事件の構造的な解明を目指すことであります。私は、あの二月五日の朝、フィンドレーの第一報を受けたときに、これを構造汚職と呼びました。それは、ロッキード事件が単なる一部の不心得者の収賄事件というような事件ではなくて、これは日本保守政治の骨格をなす主要政策の形成過程の中でこそ成立したという見方であります。したがって、ここには、日本の政権構造、日米外交関係、安保軍事体制の三つが分かちがたく絡み合っているのが特徴であります。この時期、総理大臣の職にあった人がまさにその職務権限にかかわる容疑によって逮捕されるに至ったというその事実は、この視点を明白に裏づけるものであります。日本国会が単に犯人捜しにとどまらず、この大汚職構造を、この三つの側面、日本の最高権力機構、日米外交関係、そして安保軍事体制、この三つの側面から明らかにするということは、まさに国会が国民から課せられた当然の任務であります。また、このことをなし得ずしてロッキード事件の真相究明はありません。そこで、総理がこのようなところまで、このような次元までこのロッキード問題の真相究明に力をいたされるかどうかの決意を、まず第一点、しっかりと承っておきたいのです。 そこで、第二点でありますが、ここで避けがたく浮かび上がってくるのが、ハワイ・ホノルルの日米首脳会談であります。 この際重要なことは、すべての汚職の集約点であるこの会談に向けて、日本の最高政策決定の手順及び日米外交交渉が、あたかも一筋の糸をよるごとく、この一点に向かって巻き上げられていった過程が存在するということであります。 高度成長経済政策から日本列島改造論に高まった自民党政治の金権構造は、ここで膨大な政治資金づくりの収支合わせをたくらんだのであります。航空行政が巨大な利権の温床として形成され、全日空や丸紅が賄賂と引きかえの業績伸長の夢を託してここに絡んでまいります。大臣の執務室やその私邸にさえ、こうした商人たちが自由に出入りするという、庶民にとっては信じがたい図柄の中で最高政策がそちらに向かって曲げられていきます。 一方、日米交渉も着実に積み上げられていきました。四十七年一月の佐藤・ニクソン会談、四十七年七月のエバリー・鶴見会談、四十七年八月の田中・キッシンジャー会談、四十七年八月の鶴見・インガソル会談、そして四十七年九月の田中・ニクソン会談。ここで目に見えた限りで三億二千万ドルのトライスターの輸入を総理大臣と大統領が決定をするのであります。 総理に要求をいたします。この三億二千万ドルだけをとっても、この輸入決定に至るすべての政策過程を鮮明にここに提出をしていただきたい。これにかかわるすべての人々がロッキードからの金を受け取ったかどうかという視点ではありません。その人たちがどのような役割りを果たしたかということを詳しく知ることが必要であります。それが国政調査権であります。そして総理は、それをすべて明らかにする権能をお持ちなのであります。今後こうした国政調査権の要求に対して、すべて総理がこれを明らかにされるかどうかを、ひとつあわせて明らかにお約束をいただきたいのであります。 そこで、政治解明の第三点として特に指摘しておきたいことは、この構造汚職のてことなった政府の行政指導と言われるものの実態であります。元運輸大臣と運輸政務次官が逮捕されましたが、起訴状によってもその手足となった運輸省の動きが明らかにされておりません。そこに、行政指導という、刑事上職務権限上の責任を追及されにくい政治の流れの仕組みがあるわけであります。トライスターを買うのは航空会社であります。しかし、そこには運輸省の認可権があります。大蔵省の外貨、通産省の産業政策が絡みます。私たちの調査によっても、ダグラスからロッキードヘの大逆転が行われるに当たって、四十六年二月、四十六年六月、運輸省から強い行政指導が行われております。たとえば、四十六年六月の行政指導の場合、当時の運輸省航空局長から日本航空に口頭で電話がかかっただけで、すでにジャンボ機四機の発注を決めていた日本航空が四十七年の大型機導入をあきらめざるを得なくなって、結局は導入延期をもくろんでいた全日空の思惑どおりになったのであります。航空局長の電話一本で、こんな、すでに決定されていた政策の方向が変わっていく。 こういう仕組みの中で具体的な役割りを果たした人たちが、実際に金を受け取ったかどうかの問題は別にして、その働きそのものがなければ、根本的な、いま問われている汚職は出てこないのでありますから、その具体的な働きの内容について明らかにされねばなりません。この人たちがどんな役割りを担ったか、また、いまの政治制度の中ではそうするよりほかはなかったのだと言うのなら、そうした問題についてもここで徹底的に明らかにしていかなければなりません。 また、このような仕組みを能率的に動かすために、行政官庁と関係会社には太い人脈のパイプがあります。全日空の若狭社長が元運輸省事務次官、これはよく知られておりますけれども、全日空にはこのほか沢専務が元航空局長、それに常勤役員のうち実に六人が運輸官僚の出身であります。これは確かに異常であります。もともと政府の業界に対する半強制的とも言える行政指導というのは、決して航空界だけではなくて、石油、電力、自動車等ではもう常識になっております。ロッキード究明は、その出発点として、こうした問題に窓をあける立場を兼ねて、いまこそ究明の光を当てなければならないと思うのであります。これも総理の決意のみでできることであります。その総理の決意をお伺いをいたします。 第四に、もう一つゆるがせにできないことは、汚職の下部構造であります。私は、越山会について詳細なレポートを目にいたしました。その村では、二千九百人の人々のうち、前回の総選挙で何と七五%が田中票で占められたそうであります。村長さんの仕事は、越山会員をふやし、田中票を伸ばし、そのかわりに公共事業の予算をつけてもらうことだそうであります。山合いのその村では、道路の完全舗装と無雪化、橋の改修、山村センター、学校や幼稚園の鉄筋化が進み、雪深い山村の中心部に豪華な建築物が壮大に並んでいるということであります。工事は、これも田中金脈に名を連ねた新潟市の工事会社が請け負ったそうであります。越山会会員は九万八千人、それは集票能力であり、集金能力であると言われます。新潟県越山会の会長は、新聞の談話でこう言っております。「それは生きている組織だからだ。土建業者は仕事をもらえる、住民は橋や道路をつくってもらえる、願い事がすべて実現するのだ。」。いわば、こういう下部構造が金権体質を培養し、ロッキード事件を生み出し、その汚職が今度は培養する組織となって自民党の票が支えられているということになるのではありませんか。この下部構造を正すのが構造汚職を正すもう一つ大切なところであります。公共事業をそういうところにつけるというような腐り切った関係、総理、これもまた総理のお力で徹底的にこのことを究明し、その根を絶やすことができるはずであります。新しい選挙、きれいな選挙を口にされる総理は、ここから具体的に、足元からその姿勢を正されなければなりません。ひとつ具体的にお考えを承っておきたいのであります。 私は、いま政治解明のテーマとして申し上げた四点、これは、基本的なこの真相解明の柱としてのぎりぎりの、いや最低のものであります。総理の、国会の調査権をこれに向けようとするわれわれの問いに対して、胸を開いて、すべてに応ずるという姿勢をはっきりひとつ明らかにしていただきたいと思います。 次に、最もゆるがせにできない疑惑を集め、しかも最も未解明なものは、PXL、次期対潜哨戒機の問題であります。 トライスターがダグラスからロッキードの逆転を行ったように、こちらは国産からロッキードヘと逆転をいたしました。これまでの国会の調査では、PXLの国産から輸入への逆転劇は、トライスターの場合よりももっと一層ドラマチックであります。それは、あのホノルル会談の翌月の、次の月の十月九日の朝、八時五十五分から九時十五分までの二十分間に行われております。場所は総理大臣執務室、そこに居合わせたのが、当時の田中総理大臣、後藤田官房副長官、相澤大蔵省主計局長の三人だけ。ポスト四次防の中心課題、PXL、一兆円に上る大軍事費。トライスターなどは比較にもなりません。その大決定が、わずかこの十月九日の朝二十分で、とびらの中でツルの一声でなされたということになれば、まさにドラマチックでなくて何でありましょう。 政府は、これに対して、PXLの国産が決まっていたのではなくて、だから逆転ではなくて、白紙還元だと強弁をされるのであります。私たちは、との国会の調査で国内メーカーの声を聞いてみました。それまで百人の研究員を投入し、十五億円の研究費を投入した、そのすべてが一瞬にして無にされた国内メーカーの驚きは、とてもそんな言葉では説明されるものではありません。まあしかし、百歩を譲って、ロッキードからの輸入決定ではなかったとしても、ここで白紙還元というのは、少なくともそれ以降は国産化がだめになるということだけは、はっきりしているのであります。国産化でなければ輸入しかないのであります。それほど明白な輸入であるのなら、何で輸入と言わずに、わざわざ一歩下がって白紙還元と言わなければならなかったのか。このツルの一声は、策におぼれ、語るに落ちたものと、そのトリックと言わなければならないと思うのであります。そして、その証拠には、その十月九日からわずかに一月後の十一月には、丸紅とロッキードの間に秘密裏に結ばれた手数料契約。そして発足まで十カ月もかかった専門家会議。その間の四十八年七月には、ロッキード社と児玉との間に、五十機で二十五億円、これは丸紅とレベルは同じでありますけれども、そういう契約、売り込み手数料契約がちゃんと結ばれている。まさに疑惑が増幅されるではありませんか。防衛庁のつじつま合わせの答弁はもう私どもは聞き飽きております。 法務大臣、水の上には検察庁の手はいま出ていませんけれども、まじめに捜査をされたと信ずべき検察庁であるならば、私は、トライスターとは比べものにならない十倍の高い峰である、それなりの十倍の高い疑惑を持っているこのPXL問題について、検察庁が私どもとその疑いをともにしていないはずはないと信ずるのであります。(拍手)法務大臣がどうかこの点について疑惑の本態を明らかにされることを求めておきます。 われわれが抱くこの十月九日前後へのもう一つの疑念というのは、本当は、この朝の二十分間というのは余りにドラマチックに見せかけた単なる形だけのセレモニーであったのではないかということであります。PXL、対潜哨戒機をロッキードからのP3Cの輸入とするという話が、それからわずかに一カ月前の、あの問題の四十七年九月のホノルル会談に日米首脳の間で出ていなかったと信じろというのは、はなはだ常識的ではありません。巨額の賄賂をこれほど贈りながら、一千億円の売り物についてはよろしく頼む、一兆円の売り物に対しては頼まないなどという商法が存在するでありましょうか。コーチャン氏は、事件発覚の後、調査に訪れた社会党議員団にすら、何とこのP3Cの売り込みをやっているのであります。 十月九日の前夜、あの日曜日の夜、防衛庁の庁議に電話をかけた大蔵省の宮下主計官が「T2、T2改の国産を認めるかわりにPXLは輸入だ」と言い切っております。これが一主計官の裁量で言えるはずはありません。防衛庁幹部会は、これを海幕長にも知らせず、翌日の朝まで包み込みながら大蔵省の意向に気を配ります。そこに、総理大臣、国防会議議長の職務権限を際立てて浮き立たせながら最高決定を行わせる少数エリートの政策決定メカニズムが存在をいたします。 しかも、この日の国防会議に出席をされていた三木さん、この事情をそのままにしていて総理のいすを温めることはできないではありませんか。あなたは、この真相究明に真剣に立ち上がることをこの際しっかりとお約束をいただきたいと思う。国会は、当然に国政調査権としてこの流れを知るべき権利を持ちます。だから、国会は動議まで出して、田中、後藤田、相澤の三氏を証人として要求をしているのであります。自民党が反対をしないように、総裁の三木さん、お約束をいただきたいのであります。 第三に、ところで、こうした騒ぎの中で防衛庁は、驚いたことに、ことしの三月一日、アメリカ統合参謀本部のブラウン議長を招いて、白川当時の議長とともにP3C購入の意見交換を行うのであります。七月八日には、日米安保協議委員会の中に、共同作戦司令部というべき防衛小委員会を発足させて、いよいよ防衛協力という名前の軍事共同体制を固めるわけでありますが、この主要兵器はP3Cであります。PXL問題の疑惑は、時を経過するほど深まってまいります。P3Cは日米軍事一体化のために不可欠の要素だからであります。 こうした事態からもおわかりのように、いま最も放置できない課題は、児玉ルートなどという表現ではなくて、PXLの疑惑そのものであります。もしこの疑惑が正鵠を射ているとするならば、その奥には、驚くべき日米関係、政官軍癒着関係がひそんでいることになります。この件こそ、国会がまさに正面からの政治課題として取り組むべきものではありませんか。 PXLについては、このほか、韓国、台湾とのかかわりもあり、また、グラマンの売り込みも新たな疑惑が生まれています。総理はこれらについてどのような取り組みの決意をお持ちになるのか、お伺いをいたします。 さてロッキード問題の最後に申し上げる。 総理は、これまで事あるごとに真相究明の決意を口にされるのでありますけれども、たとえば、本院における五月以来五カ月間のロッキード調査特別委員会に、再三にわたる要求にもかかわらず、総理自身が出席をされたのはわずかに三回であります。証人喚問は、七十名の要求に対してわずかに六人。しかも、臨時国会直前の委員会には、自民党の内紛のため、ついに締めくくりの質疑すら開くに至らず終わっているのであります。このような状況の上で、総理が言葉だけの真相究明を叫んでも、まことにむなしいのであります。言葉どおり政治生命をかけていただきたいのであります。 ロッキード事件の真相究明を構造汚職の解明として取り組むのであるならば、それは必然的に戦後三十年の保守政治のすべてに及びます。ロッキード構造汚職の背丈は、実に自民党三十年の政治の背丈と同じなのであります。歴代この政治の責任を担った人々は、汚職の有無ではなくて、すべてその責任を免れることはできません。その今日の最高責任者として三木さん、また、特に三十年枢要な地位を続けてきた三木さん、政治家としてあなたの責任は決して免れるものではありません。所信表明には「責任」「おわび」という言葉は空疎に並べられておりますけれども、言葉で終わるのではない具体的なあなたの責任のありかを、この際、明らかにしていただきたいと存じます。 ロッキード問題を一応終わりますが、これまで私は、そのことを、議会民主主義の蘇生をかけて徹底究明を説いてきたつもりであります。 次に、これと同じ立場から、これも問題をしぼり込んで、民主主義を無視する最近の経済運営、とりわけ今国会の重要な柱である赤字国債問題を中心にただしたいと存じます。 まず、私は経済政策について、最近よく言われる政治へのコンフィデンスの欠如ということを述べておかなければなりません。 三木総理は、今国会の所信表明演説において、「景気の先行きについて手放しで楽観することはできない現状」であるとはしながらも、生産、出荷、個人消費、企業の設備投資、物価等、内容においては驚くほどに楽観的な見通しを立てておられるのであります。果たしてそうでありましょうか。確かに戦後最大の不況と言われる中で、マクロの経済指標は緩やかながら回復基調をたどってはおります。しかし、しさいにこれを点検いたしますと、それはきわめて格差の大きいアンバランスな形で進んでいることにすぐ気づくのであります。輸出を背景とした自動車、電機の好調、さらに最近では鉄鋼生産に回復が見られる反面で、国内消費の低迷を反映して、消費関連の企業、とりわけ中小企業や下請企業が相変わらず売り上げ不振に悩んでおります。企業収益全体は、日銀の観測でも、今年度下期にはかなりの伸びとなるものとは見られますけれども、一方では、完全失業者は依然として百万を低迷、企業の倒産も、中小零細企業を中心に、むしろふえる傾向があるのであります。消費者物価の値上がりは、落ち着いたといっても、第一勧業銀行が発表している日常購入品の消費者物価指数によりますと、六月は一〇・九%、七月は九・九%と政府の発表を上回っておりまして、卸売物価も、昨年七月以来今月で何と十五カ月連続上昇は確実という情勢であります。こういう情勢の中で、実質収入のダウンから庶民は少しでも生活を切り詰めなければならないと、がまんにがまんを重ねております。庶民は追い詰められているのです。不公正が一段と広がっています。それでも所信表明のように、総理は、「生産と雇用の順調な回復に伴い、個人消費も堅実に伸びていくものと期待する」、こんなのどかな見方をしていていいのでありましょうか。 景気の回復がおくれている原因として、産業界には、これは政治へのコンフィデンス、つまり信頼の欠如によるものであるという見方がしきりであります。生産、投資、消費、いずれをとっても、もう一つ盛り上がらないのは、政策に信頼がないため先行きに不安が強いためではないかということでありましょう。これは経済からの政治への不信であります。こういう不信がどこからきたのか、そしてこれをどうすればいいのか、ひとつ経済大臣の福田副総理、そして三木総理自身からも、とくと御見解をまず承っておきたいと思います。 次に、私が強く指摘したいのは、こうした経済の政治不信が進む中で、わが国財政はいままさにきわめて危険な大型国債発行時代に突入をすることになるということであります。今国会で政府はそのことを最大の課題とし、緊急避難という形でこれを国民に対して迫っております。不況の深刻化か、そうでなければ危険な大型国債発行時代か、そういう不毛の選択を国民に迫っているのであり、この選択は、今年度予算成立後四カ月をたったいまも、さらに厳しく国民を追い詰める政治情勢であります。これは、一党独裁の強権はあっても、主権在民の財政民主主義のかけらもない姿であります。 ここで私が大型国債発行時代と呼ぶのは、現状では財政のこれからの姿はもうこれ以外にはないであろうと予測するからであります。国債の大量発行という点だけで言うならば、昨年暮れの五十年度補正予算からその芽が出ているわけでありまして、政府はとうとうこのとき二兆二千九百億円という多額の赤字国債の発行に手をつけ、五十年度の国債発行額は五兆四千八百億円、国債依存度は二六・三%に達したのであります。そして、今年度の当初予算から、ついに赤字国債を当初予算から含める発行総額七兆二千七百五十億円、国債依存度は二九・九%、三〇%と言わなかったのは、どこか気おくれがするんでありましょう。こういうところにつながっていくのであります。これはもう、この大型国債発行からは後に引き返すことのできない道に踏み込んでしまったと私には見えるのであります。 事実、大蔵省がことしの二月にまとめた財政収支試算によりましても、今後五年間の国債発行高は、赤字国債を含めて毎年ほぼ七兆円に上り、五十五年度末の国債残高は五十一兆四千億円、昨年度末の三倍以上に激増することが見込まれているのであります。この意味では、今年度予算、五十一年度予算は、もはや例外だの緊急型だのというのではなくて、今後低成長下の大型借金予算の先鞭をつけたものであり、わが国財政史上の転換点となるべきものだと思うのであります。 そこで、総理と大蔵大臣、この大型借金財政の先鞭をつける時点にいまわれわれの財政があるという、その基本的な危機意識をどのようにお持ちであったのかどうか、厳しくひとつそのことを伺っておきたいと思うのです。今後の低成長下の財政の行き方を示す転換点という見方。 もともと国債というのは、建設国債であれ、赤字国債であれ、しょせん国民からの借金には違いないわけでありますから、この区分というのは野方図な借金財政に陥るなという一応の目安にすぎないものであって、ここまで大量の借金財政を持つことになれば、今後の財政のグランドデザインが示されるのが至極当然であります。明快な御回答を求めたいのであります。 第二に私が指摘したいのは、この転換点を強引に乗り切ろうとする政府の非民主的な姿勢であります。ここまで来ると、総額そのものが問題なのでありまして、一体これほどの借金をどこに使うのか、しかもこの借金は返せるのか、問題はこの二点であります。一言で言うならば、この借金は急場の穴埋めであり、多分この借金は返し切れぬだろうということであります。これでは政策ではありません。だから、わが党はこれまでこの無責任な国債発行に反対してまいりました。少なくとも四カ月の時間がありました。政府は何をしていたのでありましょうか。 しかし、困ったことが出てきたのであります。日本経済はこの間一向にもう一つしゃんとしない。失業者は百万。町を歩けば赤字国債を早く出してくれという声が多くなってまいりました。大型借金財政の将来よりも、庶民にとっては、いまや、いまの生活が苦しいのであります。私はむごいという気持ちがする。総理、私はむごいと思うんであります。借金を背負わせられる側に、借金以外の選択が許されないんであります。政府はこういう声に自分の失政の責任を隠してはなりません。こんなに苦しい声をつくったのは政府自身であります。 私は国債がすべて悪いと言ってはいません。しかし、これほどの悪質借金財政を、いかにもいいことをするように言われては困るんであります。大量の赤字国債の発行は本当に避けられないものであったかどうか。財政特例法案が前国会で継続審議になってから、この点について政府は前国会での審議を踏まえて何をしたか。たとえば、当面は短期証券の発行でつなぎ、補正予算を編成して税収を含めた抜本的な見直しをする、こういうことは考えなかったでありましょうか。財政民主主義を貫く立場から、大蔵大臣の見解を問うておきます。 このまま行きますと、私は大変なことになるという言葉を、もう少しく中に踏み込んで、大型国債発行時代のこれからの危険性を三点にわたって具体的に点検をし、御回答を求めておきます。 その第一は、償還計画についてであります。国債発行についての財政民主主義の基本は、財政法が明らかにしておりますように、原則的には発行を禁止するけれども、例外措置の条件として発行金額を国会で議決すること、もう一つ、償還計画を国会にきちんと提出をすること、ということを義務づけております。政府はこれを守っておりません。 まず、赤字国債についてであります。赤字国債の償還は十年の満期後借りかえ債を発行せず、一括現金償還されることになっておりますが、一般会計から国債整理基金に積み立てられる経費は、十年後には六分の一にしかなりません。それでも国債の大量発行によって償還の利払いのための国債費は年々増加して、五十五年度には四兆四千二百億円と、一般会計の一〇・二%、公共投資の半分を超える高水準に達しまして、大きな財政圧迫の要因となるものと見られるのであります。これは大蔵省の試算であります。こうした状態で果たして六十五年度までに十三兆五千億円に上ると見られる赤字国債の償還が行い得るでありましょうか。国債償還のための赤字国債、つまり借金返済のための借金と、こういうどろ沼操業に財政が陥る危険ははなはだ大きいと言わなきゃならないのであります。建設国債についても同じことが言えるんです。建設国債は、現在一〇%の市中消化分を除いて民間の金融機関が引き受けるわけでありますけれども、償還期間が六十年という長いものでありますから、満期になった十年後は政府が借りかえ債を発行して償還していく形になっております。ところが、実際にはほとんどが一年経過後成長通貨の供給という名目によって日銀が行う買いオペレーションで吸い上げられておりまして、金融機関の手元には残らない仕組みになっています。だから、いまのところは、事実上は大蔵省と日銀の間の借りかえだけの問題で済んでいるわけであります。ところが、この低成長であります。今後低成長下の大量発行ということになれば、日銀の買いオペは当然低水準になるわけでありますから、この場合、民間金融機関に残る部分の借りかえ償還が果たして十分にできるかどうか、非常に問題がここに残ってくるわけであります。このように、十年後の償還計画をはっきりさせないまま国債を乱発するということは、財政法の精神に照らし当然許されることではありません。先行きの見通しがこの四カ月間でどれぐらい伸びたのかということ、もっと不安になったのかということ、しっかりひとつお答えをいただきたいと思います。 二番目に、国債の償還に関連して、税制改革の問題をお尋ねしておきたいと思います。つまり、低成長経済のもとでこれだけの借金を解消していくためには、税の自然増収ではとうてい無理であります。当然何らかの増税を考えなければならないことになります。で、実際に五十四年度の赤字国債脱却を目指した大蔵省の財政収支試算でも、五十年度から五十五年度までの税の増収率は二〇・九%、四十年代の一六%台を大きく超えておりまして、増税なくしては不可能であります。私は、この場合、現行の各種不公平税制の是正が基本に据えられるべきであって、国民生活に直接響く所得税などについては、減税はあっても増税すべきでないと考えるものでありますけれども、あえてこのように申し上げるのは、すでに今月七日から始まった税制調査会における中期税制改革案審議、この審議の中でも、所得税増税の声がすでに強く上がっているということなんであります。とんでもないことであります。この際、今後の税制改革についての構想、このふくれ上がる借金財政の中で、とりわけ所得税についてのお考えをひとつ明らかにしておいていただきたいのであります。 さらに第三は、インフレの懸念であります。私は、ここで赤字国債の発行がそのままインフレにつながるというような短絡的なことを申し上げるのではありません。しかし、既発債のほとんどが買いオペによって実質的な日銀引き受けとなっていることに立つならば、今後の発行規模や景気情勢によっては、一歩誤ればインフレを誘発するという危険は常にあると言わなければなりません。しかも、やがて大量の国債を抱えた政府が積極的なインフレ政策をとることは、まことにあり得ることであります。もちろん、インフレのもとでは当然国債が減価するわけでありますから、国民は二重の損失をこうむることになります。私は、ここにも一党独裁の財政ファッショの到来の影を感じます。大型国債発行時代に当たって、財政の独走が始まったと思うのであります。国民生活を第一に、インフレをどのように防いでいこうとされるのか、また、決して政府の側からはインフレ政策はとらない——いまもそうなんですが、そのためのインフレ政策をとらないという約束を、総理と関係大臣から、しっかり国民の目の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。 さて、最後に三木総理、議会運営において、ロッキード究明において、経済運営において、日本の民主主義は死に瀕しています。苦し紛れに、あなたは、野党の担政能力が欠けているなどということを口実にされます。しかし、今日の政治の乱れは、目の前の参議院の保革伯仲が物語るように、すでに一党支配の条件を失った自民党が、それにもかかわらず強権をもってこれを推し進めようとするところにあるのであります。ガバナビリティーの喪失とは、一総理の統治能力の欠如などではなく、言葉の正しき意味において自民党全体の当事者能力の欠如であります。議会の子としての三木さんは、生きたり、死んだり、また生きたり、そうした有為転変ではなく、まさに死力を尽くして、いま民主主義の蘇生のために立つべきであります。 それには三つの道しかありません。第一に、あなたの政治のルールを自民党のルールから議会のルールに戻し、第二に、政治の威信回復の大前提であるロッキード究明に姿勢を改め、そして第三に、憲政の常道を踏み、野党第一党の社会党に選挙管理内閣をゆだね、名誉をかけて国民の審判に問うべきであります。(拍手)あなたが一党独裁のおごりを捨て、謙虚にこの道を選ぶなら、一転憲政史に残る宰相となることに拍手を惜しむものではありません。議会の子としての三木さんに強く決断を求め、多くの基本問題に質問を留保して、ひとまず降壇をいたします。(拍手) 〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 上田君にお答えをいたします。 上田君は、最初に自民党のルールから議会のルールにひとつ戻さなければならぬというような御発言があったと思いますが、まあそれが政権の交代を意味するものだと思うわけでございますが、常に議会政治は円滑に政権の交代のできるような条件を持っておるということが健全な姿だと私も思うわけであります。そのためには前提条件があるわけです。それだけのこの環境ができておるということであります。いつでも政権を交代しても、円滑に国政を担当できる政治環境というものが生まれておらなければいかぬ。もしそういう政治環境が生まれておったならば、日本のこの議会政治の姿も、私はよほど変わったであろうと思うわけでございます。その証拠に、こういうロッキード事件などの試練がありますけれども、政権を野党に渡せという国民の声というものは、上田君ごらんになっても、盛り上がってはいないわけでございます。(拍手)そこに私は、自民党も反省はいたしますけれども、日本の議会政治の一番の大きな問題点は、政権交代の基盤ができていないということだと思う。この点については、われわれとしても考えなければならぬけれども、野党第一党、社会党の諸君がこの点について真剣にお考えを願いたいと申し上げておきたいのでございます。 また、上田君は、やがて政府がいたそうとする中間報告などをとらえて、もういいかげんにこのロッキード事件は総理が幕を引こうとしておるのではないかと、こういうふうに断定をされましたけれども、私はそうは思わないのです。丸紅とか全日空のルートはほとんど終結に近づきつつある。けれども、児玉ルートというものはまだまだ真相の解明に至ってないことは事実です。これは児玉自身の健康上の理由もあったりして、いろんな障害がありましたから真相の解明がおくれておるわけでございます。しかし、児玉ルートの解明なくしてロッキードの真相が解明されたとは私は思わない。だから、時間が多少かかっても、どんな困難があっても、児玉ルートの徹底的解明が行われなければならぬと考えておるわけでございますから、この段階で中途半端にロッキー下事件に幕を引こうなどという考え方は絶対に持っていない。あくまでもロッキード事件の全容をこれは明らかにされなければならぬと思うわけでございます。 また、稻葉法務大臣が、これはもっと早くなると思いますが、遅くとも十月十五日までには中間報告をすると言っておるのは、いままでのこの捜査結果に基づいて総括的な御報告を国会にいたそうというわけでございまして、これが幕引きのために中間報告をするというわけではございませんから、誤解のないようにお願いをしたいわけでございます。 それから、PXLの問題こそ中心だというお話でございます。まあ今日までの捜査過程において、PXLについてのいろんな容疑が認められるという報告は受けていないわけでございますが、今後引き続き、児玉ルート関係の捜査の過程において、PXLの選定の経過について不正行為その他犯罪の容疑があれば、これはもう厳正に措置されなければならぬことは申すまでもないわけでございます。 また、国政調査権の問題にお触れになりまして、これからこそ国政調査権が本格的に活動する時期ではないかというお話でございます。私は、今度のいわゆる灰色高官の問題というものをとらえてみても、これはひとつ、議員の規律に関する問題である。議員の規律に関する問題、これこそまさに国政が追及さるべき問題だと私は思うわけです。そういう意味から、国政の調査権に対してはできる限りの御協力をわれわれはいたしたいということでございます。だから、この国政調査権というものに協力するという点から、いわゆる灰色高官というものにいたしましても、一体どういう範囲を灰色高官と言うのかということは 各党間で必ずしも意見が一致していないわけでございます。これを早急に、灰色高官という範囲はこうだということを各党間で一致をしていただいて、国会の意思として、こういういわゆる灰色高官の範囲はこうだと考える、これに対して捜査上のあらゆる資料を出してもらいたいということでありますならば、われわれは、捜査資料——個人名もその中に含むわけです。個人名も含めて捜査資料を提供して、国政調査権に協力をしたいと申しておるわけでございますから、どうかそういうことも、国政調査権というもので、これでいろいろ活動をされる上においてこれは重要な参考になると思いますから、どうか一日も早く、これは早くそういう各党間の意見の一致を見たならば、これはお出しをしようという用意をしておるわけでございますから、そういう意味で、国政調査権という見地から政治上道義上の責任の追及をやっていただきたいと思うわけでございます。 また、米側の資料というものについて日米共同で阻止したのではないかというお話でございましたが、そういうことは断じてないわけです。私は、アメリカはできる限りの協力をしてくれておると思いますね。持っておるあらゆる資料というものを、これは捜査の目的ではございますけれども、提供されて、嘱託尋問まで応じておるわけですから、アメリカがこの事件の真相の解明を包み隠そうとしておるということは、アメリカの善意からして私は事実に違うと思いますね。ただ、まあそれが捜査用だけであって、一般に公開しないという条件がついております。私は、こういうときに考えたんです。一般に公開できぬからといって断わるか、あるいは公開できなくても真相を解明することに役立たせ、真相を解明しようというわれわれの目的を達成するのかというので、どちらを選ぶべきかということを考えましたが、やはり重要な参考資料になる一つのアメリカの調査資料をもらおうという決意をして、その選択をいたしたわけでございます。そのことは重要な日本の捜査上の参考になったことは事実でありまして、真相を隠すために日米で共同しておるというような事実は全くございません。 今日では、アメリカの資料、重要な参考になったけれども、日本の捜査当局の独自の力で真相が解明されつつあるわけでございますので、これは今後の、いま国会にも調査権に対して提出をしようというこの資料も、日本がそのアメリカの資料を参考にしながらも、日本独自の捜査に基づいた、結果に基づく資料でございますから、あくまでもこの捜査は日本が独自にやって真相の解明に当たっておるというのが事実でございます。 それから、ホノルル会談というものを非常に問題としてお取り上げになりましたが、日米間の、日米の首脳会議というものは私はときどき必要に応じてやったらいいと思います。日米間は、いろいろな面でこれだけ密接な国際関係を持っておる国はないわけでございますから、ときどきやったらいい。まあホノルル会談も、その会談は日米両国の関心を持っておる問題について両国が密接な協議をするという一環として行われたわけでございまして、やはりその中では、中国問題を初め、アジアの情勢ということが一番意見交換の中の中心であったわけでございます。 また、経済問題については、すでに鶴見・インガソルの会談において、両国間の貿易収支上のアンバランスについては事務的なレベルで話がついておるわけでございますから、両国の経済問題については一般的に話し合ったわけでございまして、特に今度のロッキード事件とホノルルの会談が非常に不可分な関係を持っておるとはわれわれは考えていないわけでございます。また、運輸省の問題についていろいろ御質問がございました。もう少し補足する必要があれば運輸大臣から補足的な説明をお願いしたいのですが、いわゆる今度の問題は運輸省を中心として問題が起こったという点から、私は運輸省に対して、いままでの行政指導、許可認可、これを全部洗い直して、ひとつ再検討をしてもらいたいという指示をいたしたわけでございます。運輸省においても目下そういう点から検討を加えておるわけでございまして、やはりこういう問題が起こってきたのを機会に、行政全般について一つの検討をするという必要があると思うわけでございます。 それから、汚職の下部構造として議員の後援会というものをお挙げになったわけで、具体的な例なども御提示になったわけでございますが、議員の後援会というものに不正行為があればこれは徹底的にその不正行為というものは追及されなきゃなりませんが、議員の後援会というものは、党組織というものが私は非常に十分だと思っていないわけですので、政党の組織の中においても、ある党によったら十分お持ちになっておるところもありますが、総じてやはり地方組織というものが非常に弱体であると、これを後援会というものが補足しておる一面もあるわけで、この後援会というものが汚職の下部構造であるという上田君の御指摘にはどうも承服しかねるわけで、たまたま不正行為がありますればこれは特殊な例として追及さるべきであって、後援会自体をそのように断定することには無理があると考えるわけでございます。 それから、今度のPXLなんかの白紙還元問題というものをお取り上げになって、少数のエリート官僚のやった仕事であるというふうなお話でございましたが、まあ白紙還元というのは、最初から決まっておったのをもって白紙と言うんじゃなくして、いろいろまだ結論が出なかった、出ないものに対して、それではもっと素人ばかりでなしに専門家でひとつ検討しようということで、白紙還元という言葉が適当かどうかは知りませんが、もしいろんな疑念がありますなれば、それはもう議員であろうが、昔の高級官僚であろうが、証人喚問に例外はないわけでございますから、当該委員会においてこれは御決定を願いたいわけでございます。まあ私は、この証人にだれを呼んで、だれを呼ぶなという指示を、総裁であっても指示することは適当だとは思わないんですよ。それは、総裁として全体の責任は私は負いますよ、各委員会でこれを証人に呼びなさい、この人を呼んではいけぬというような、そういう指示を私が総裁という立場であってもすることは適当でないんだと、その委員会、当該委員会においてやはり冷静に皆さんが御相談願って決定さるべきでないかと。総裁というものは、もう委員会の委員の端々までああしろこうしろという指示までしなければならぬとは私は考えていないわけでございます。このことは、証人喚問というものに対して邪魔しようとは思ってないんですよ。やはり国政調査権の上から、真相を追及したいという国政調査権に対しては、これは最大限度協力をする、こういう問題というのは、ときに党派の利害を超えてこの問題は追及されなければならぬものだというのが私の考え方でございます。 次に、公債問題についていろいろお話がございましたのは、大蔵大臣の答弁にこれは譲ります。大蔵大臣から答弁をいたすことにいたします。 それから、経済に対して、経済の見通しというものが非常に楽観過ぎて、経済が国民に対して不信感を与えておるというような御評価でございましたが、私はそうは思わないんですね。日本の経済運営というものは世界の中でもうまくいっておる方だと思う、日本の経済運営は。これは皆さんお考えになっても、高度経済成長からマイナス成長になったのですから、考えられないことですよ、日本が。十数%も実質成長しておった日本がマイナス成長まで落ち込んだのですから。この不況の中でしかもインフレが起こってきておる、不況とインフレが併存するという、こういう、いままで経験したことのないスタグフレーションの中から、日本の経済、インフレというものも鎮静をしてきたことは事実です。まだまだ問題はありますよ。しかし、往時に比べたならばこのインフレは鎮静してきた。しかも、不況というものも、今年の経済成長は恐らく六%程度の経済成長は確実でしょうね。マイナスから六%の経済成長。まあインフレも鎮静しつつある。こういう経済政策というものは、各国とも、このスタグフレーションのもとにおける経済政策は苦心しておる。私は世界における優等生だと思っておる、日本の経済というのは。これは実に国民の協力を得て、経済政策というものはまあこの困難の中でよくやってきたと思うわけでございます。したがって、この経済運営が国民の不信を買っておると私は思わないのですよ。もちろん上田君は、産業業種別あるいは地域別に、景気回復と言ってもいろいろ不ぞろいではないかという御指摘だと思いますが、その点はわれわれも確かに認めます。ばらつきがあるわけですね。この点については、通産省なども、地方の通産局が、いまそういう産業間におけるこのばらつき、景気がなかなか回復しない企業に対して、どのようにしてきめ細かい手を打つかということにいま苦心をしておるわけですね。いろんな対策を講じておることは新聞などにも報道しておるとおりでございます。そういう意味からして、そういう点はございますが、全体の景気が回復してくれば、そうすれば個々の収入、あるいはまた個々の収入ばかりでなしに、雇用の安定、所得の向上などを通じて、やはり景気全般が、いまばらつきのあるような景気全体の水準が上がってくるわけでございますから、私はいたずらに、経済というのは国民の生活で、はだで感じておるのですから、楽観論を言っても仕方がない。日本の経済の将来というものに対しては自信を持っておるものであって、国民に非常な不信感を与えておるとは思わないわけでございます。 また、自民党全体としてのガバナビリティーという問題をおっしゃいましたけれども、そして野党に政権を渡せということですが、最初に申し上げたように、私はどうしてもこの際、自民党が……。長期の政権というものは、非常な功績はありますよ。メリットもあるけれども、弊害もあることは事実ですよ。ときにやはり政権の交代というものが、長い目で見れば、政党政治の上からいって、それが一つの好ましい姿だと思うんですよ。そのためには、いつ政権を交代しても国民に不安を与えないで、政権を担当できる母体というものが用意されなければならぬということであります。これは自民党のためにもそのことが必要なんですよ、自民党のためにも。そういう意味から、どうかわれわれとしてもできるだけのことは……。この点については、これが日本の議会政治の一番の問題点、政権交代の基盤を持たぬということがこれは一番の弱点ですから、どうかわれわれも考えますけれども、野党の諸君、ことに第一党の社会党はこの点について十分お考えを願いたいということを、私の心からなる希望を申し述べて、お答えといたします。(拍手) 〔国務大臣稻葉修君登壇、拍手〕
○国務大臣(稻葉修君) まあ、灰色の責任と言いますけれども、それは仮に議長裁定にいわゆる政治的道義的責任者ということであるとするならば、そういう責任の追及は、犯罪捜査当局の職務外のことであります。けれども、政治責任の追及を行う権限は国会の国政調査権にあるのであって、その国会の活動に協力義務を負うのが議長裁定に基づく法務省の立場ではなかろうかと思います。したがって、法務大臣はその協力の用意のあることを明言申し上げる次第です。 それから、米国の資料を公開しないことは実務協定による日米の約束ですから、これは公開はできません。また、実務取り決めに基づいて米国から提供された資料は、目下継続中の捜査の、わが国の捜査の資料の一部ともなっているわけでありますから、捜査の途中でこれを公開するということは不適当であるわけであります。これも御了解願いたいと思うわけであります。 ただし、初めに申し上げましたとおり、議長裁定があるわけですから、それには政府も拘束されるわけでございますから、それに対する資料の提供等最善の努力を申し上げることは、総理大臣の答弁にもそのとおり申し上げているとおりであって、私もそれに従うことは当然であります。(拍手) 〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
○国務大臣(石田博英君) 私に対する上田君の御質問は、航空行政、特に行政指導の実態について説明をしろということでございます。私はまだ運輸大臣になって十日余りでございますから、十分な報告は聞いておりませんが、私が聞いておる範囲においては、運輸行政の中での航空行政指導、その大きな方向に誤りがあったとは思いません。しかしながら、しかしながらです。それに絡んでロッキード事件という事件が起こり、運輸行政、航空行政を含んだ運輸行政全体に対して国民の信頼感が薄れていることもまた事実でございます。 したがって、まず第一に着手をいたしたいと思っておりますことは、この行政指導というものがあいまいな形で行われておる、口頭とか電話とか。これはやはり、文書として後にはっきり残るような形で行政指導というものは行わなければならない、これが第一であると思っております。 それから航空に限らず、海陸ともに人命を預かる仕事でもあります。確かに許可認可事務は二千六百近くございまして、数字だけを見れば非常に多いような感じがいたします。すでに何度も点検を行って縮小いたしたのでありますが、またいつの間にかふえる。そのいつの間にかふえるのはどうやってふえるかと申しますと、災害防止のためにいろいろな立法が行われて、その法律を実施するために新たに許可認可事務がふえる、こういう回り合わせになっているわけであります。したがって、数だけの問題ではなくして、要は、それをいかにして公正に実施するかという点にあると考えます。 そこで、まあ昔から言われる古いことわざでございますが、李下に冠を正さないという姿勢を全職員に要求をいたしてまいる決意でございます。特に航空行政は、新しい交通機関である航空機が安全に、しかも適切に多くの人々に利用されるように、すでに制定されておりまする航空法に基づいてこれを実施してまいる所存でございます。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 上田さんにお答え申し上げます。 今後の日本経済に対しまして政府は楽観的な見方をしておるが、事実は、経済界は政治に対する信頼感を失い、先行き不安という状態ではないか、所見いかん、こういうことかと思います。 確かに石油ショック直後には、先行き不安、そういう状態が経済界にはみなぎっておったと、こういうふうに思います。何せ主要先進国の中では、外国の石油に対する依存度がわが国が一番大きい。したがって、あの石油ショックによるところの打撃もわが国が一番大きかったんです。したがいまして、わが国の経済、社会、あのショックによりまして崩壊寸前というところまで追い込まれる。したがって、経済界に先行きについて非常に悲観的、絶望的な雰囲気があったことは、これは事実であります。しかし、あれから三年目になりまして、いま三年目のちょうど途中にあるわけでございまするけれども、この間物価は、御承知のとおりかなり静かになってきておる。また、経済活動、これも活発化してきておるわけであり、また、国際収支もこれはもう非常な堅実な動きを示しておる。総体的に見まして、わが国のこの状態というものは、世界で最大の打撃を受けたにもかかわらず、アメリカ、ドイツと並んで総体的に良好な状態である、こういうふうにこれはもう国際的に評価をされております。 そういう状態の中で、この二年半余りのこの動きに対しまして、私は、そのとられた政策につきまして、経済界、国民はまあ不信感というような状態はもうもうなくなっておるんじゃないか、先行き不安という状態でもなくなっておるんじゃないか、政策運営についてはまあまあよくやっておるという評価ではないかと、そういうふうに見ておるのであります。しかし、今後ともインフレをなくし、そして経済を常道に戻すということは大変大事なことでありますので、節度ある経済運営によりまして、インフレ、不況、その同時解決に向かって全力を尽くすというのが政府の責任ではなかろうか。そういたしますれば国民も安心していただけると、かように考えます。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、国債依存財政は国民の同意を得ておるものとは思えないではないか、民主的でないじゃないかという御指摘でございます。国債財政につきまして深い憂いを込めて真剣な御論議をいただきましたこと、ありがたいことでございます。 上田さんも御承知のように、一昨々年の石油危機を契機といたしまして長い深刻な不況を招いたわけでございまして、これはいま副総理からもお話がありましたように、ひとりわが国だけではございませんで、先進国ひとしく深刻な影響を受けたわけでございますが、これが中央地方の財政に影響を及ぼさないはずはないわけでございます。端的に申しまして、昭和四十八年度は予定した税収が八千億の不足を来す、五十年度におきましては三兆八千億の不足を来すというようなことに相なりましたことは御案内のとおりでございます。そこで、われわれといたしましては、歳出を抑えていくか、歳出を抑えられないとすれば増税または公債に依存するか、そういういずれかの選択を迫られてまいったわけでございますが、当時の現状におきましては、これは先進諸国も同様でございますけれども、増税ができるような状態ではございません。中央地方を通じまして、行財政水準は何とかして維持してまいることが、経済を安定に導き、雇用の維持を図るために必要であるというような観点から、政府といたしましては、公債に当面依存するという道を選ばざるを得なかったことにつきましては御理解をいただきたいと思うのであります。この公債財政によってしのいでおる間に体力を回復いたしまして、そうしてこの経済危機を突破する時間をかせがなければならないと私ども考えておるわけでございまして、このことは国民によって私は理解されるのではないかと考えておるわけでございます。 第二に、この四カ月間の財政当局の努力、政府の努力はどういうものであったかということについてのお尋ねでございます。 第一に、私ども、ことし五十一年度の財政を、去年同様にまた歳入不足を来し、さらに国債の追加増発をお願いするというようなことがあっては大変だと存ずるのでございまして、まず五十一年度の財政の執行を真剣にやりまして、ことしを陰の極と申しますか、ことし十分この事態に耐えまして、来年以降、財政を漸次好転の方向に持っていく年にしなければならないという決意でおるわけでございまして、例年、ことしも御案内のように大規模の災害がございますし、また、北日本を中心にいたしまして冷害もございます。人事院の勧告もございましたし、その他多くの追加財政需要がいま手元にたくさん参っているわけでございますけれども、これらに対しまして十分なお手当てを考えながら、五十一年度の予算は、せっかく御承認をいただきました範囲内において何とか切り盛りをしてまいらなければいけないのではないか、ということに全精力をいま傾注いたして努力をいたしておるのが第一でございます。 第二は、明年度の予算編成に対する用意でございます。八月三十一日にいわゆる概算要求が各省庁から出てまいったわけでございますが、例年になく厳しくシーリングを抑えさせていただきまして、厳しい選択をお願いすることにいたしておるのも、来年度以降日本の、いま上田さん御心配の公債過剰依存財政というものを漸次改善の方向に持っていく用意を試みておるわけでございますことを御承知願いたいと思うのでございます。通常国会におきまして、本院におきましてもお約束申し上げましたとおり、五十年代前半には少なくとも特例債から脱却する財政を中央地方を通じて持たなければならないという方針のもとで、それを基本の方針といたしまして財政運営に日夜努めておりますことを御理解ちょうだいいたしたいと思います。 それから第三の問題でございますが、国債財政に関連いたしまして、まず償還問題、それから税制改革の問題、それからインフレ問題、三つの問題が心配になるということでございまして、これについての説明をしろという御質疑でございました。 第一、公債の償還問題でございますが、この問題は、通常国会におきまして、本院の本会議並びに委員会におきましてずいぶん議論を重ねさせていただいた問題でございますが、特例債の償還につきましては、従来の償還制度のほかに前年度剰余金は全額国債償還特別会計の方に繰り入れるということにいたしましたほか、借りかえによる償還はしないという政府の決意を国会にお約束を申し上げたわけでございます。ただし、上田さんのおっしゃるように、償還計画というものを国会に出せと、そしてそれを解明するようにという御注文は、衆参両院を通じてありましたことは御指摘のとおりでございますけれども、この問題は、これから数年ないし十年にわたる財政計画というものが立っていない限りにおきまして、数字的な償還計画というものは出しがたいことでございまして、これは難きを政府に強いるものであるという意味におきまして、それは御勘弁いただきたい。ただ、この償還に厳しい方針を持って政府は臨んでまいります。ただ、国債の償還費は、申すまでもなく義務費でございますから、すべてのことに先んじてこれは償還しなければならないわけでございますので、政府は何をおいてもこの償還に応じなければならぬ法律上の義務を持っておるわけでございますので、財政計画を年々立てていく場合におきまして、まずそのことを予算編成の最初に組み入れておかなければならぬことは当然でございます。 それから第二の税制改革でございますが、将来国債への依存をだんだん軽減してまいる上におきまして、歳出をだんだん御遠慮いただくか、また行財政水準を可能な限り維持してまいるといたしますならば、税制に対する依存は強まってまいることは御理解いただけると思うのでございます。先国会に政府が御提出いたして御審議をいただきました財政試算によりますと、政府がいま決めておりまする五十年代前半の経済計画上盛られました行財政上の需要というものを満たしながら、しかも五十年代前半に特例債を脱却するということを実行いたそうとするならば、中央におきまして税収を二%、地方におきまして一%、四十八年−五十一年平均の税負担より重く御負担をいただかなければならぬという計算になるわけでございます。そういたしますならば、相当税体系全体にわたりまして見直していただかなければならぬことにも相なるわけでごいます。上田さんは、特に所得課税についての関心を示されたわけでございます。政府といたしましては、所得課税ばかりでなく、資産課税、消費課税、税制全般を通じまして、この際抜本的に御検討いただかなければならぬ時期に来ておるのじゃないかという観点で、いま税目を限ることなく、税制調査会に御審議を願っておるわけでございます。したがって、いま政府としてこの税目をどうするということ、この段階でお答えすることはできないわけでございますが、税制につきましては、全般的に所得、資産、消費、各課税領域全体につきまして御検討を煩わしておるということを御理解いただきたいと思うのでございます。 最後に、インフレの問題でございます。原理的に申しますと、国債を発行すれば直ちにインフレが起こるとは考えませんけれども、しかし、国債管理に過ちがございますならばインフレを誘発する危険があることは御指摘のとおりでございますので、政府といたしましては、この国債の市中消化という点につきまして、国債をまずだんだん減債に持っていくということと、出しました国債につきましての市中消化につきましては、厳密に市中消化の原則を守ってまいるということを通じまして、御心配のインフレの招来を来さないように、極力努力してまいる所存でございます。(拍手)
○議長(河野謙三君) 上田哲君。 〔上田哲君登壇、拍手〕
○上田哲君 総理の御答弁を聞きまして、失望のきわみであります。再質問をいたします。 いまの総理の答弁を聞いて、これで真相究明に何がしかの可能性があると考えた国民はおられるでありましょうか。まさに総理はロッキード隠しの張本人であります。巧言令色、単に言葉だけで飾るのではなくて、いささかの具体策もあえて意識的に隠そうとされる、私はそういう感じを否めなかったことを率直に申し上げます。民主主義に背を向ける総理として私は強く指弾しながら、この一点がなければ次の質問に移れぬといったことをもう一遍繰り返して、 〔議長退席、副議長着席〕 場合によっては再々質問を留保いたします。つまり、本当に私は言葉だけを聞いているのではなくて、具体的な方策を聞いている。締めて申し上げる。 一つは、たとえば本院においては、この国会が召集されてからロッキード委員会がつくられるのに一週間かかっております。こういうことでは困る。直ちにロッキード委員会が設けられるならば、あなたはたった三回しか出なかった休会中とは違って、できるだけそこに出席をされると、毎日とは言いませんけれども、できるだけ出席されるということはまず約束をできるかどうか。 それから問題は灰色と証人であります。灰色を国会で決めなさい——時間があればまた稻葉法務大臣と論戦をしたいと思うのでありますけれども、灰色を国会で決めなさいというのは、非常に一方的であります。国会でいろいろ議論をするかもしれないけれども、まず、総理専権として有しておられるあなたの資料をどういう範囲で出すのか。はっきり言えば、あなたが出さない範囲を持っておられるのかどうか。ロッキードから金品を受領した全員について、その灰色高官——言葉にこだわっても困るのであります。その全経過と、全人員について出されるのかどうか。あなたはこの席でわれわれにこう申された。フォード親書の中で、関係者の名前が明らかにされず、この事件がうやむやに葬られることは日本の民主政治の致命傷になりかねないと。まさに致命傷になろうとしているときではありませんか。その意味で、あなたは灰色高官全員、つまり全金品を受領した者のすべてを提出する用意があるのかないのかということだけは、はっきりここで明言をしていただきたい。 もう一つは、証人であります。原則的には証人は区別はつけないのだ、議員も含めるのだとおっしゃるが、それは総理として。しかし、当該委員会で決めてください、そこでは自民党が多数。それならば証人喚問は実現しない。右手と左手を使い分けることをやめていただきたい。あなたがここで総理として、総裁として、国会が要求する証人は最大限に、最大限に証人喚問に応ずるということを、ここではっきり約束をしていただきたい。 この二つはまず約束をしていただかなければ、具体的な問題についてはたくさん答弁漏れもありますけれども、質問はできないのであります。再質問を留保して、まず答弁を求めます。(拍手) 〔国務大臣三木武夫君登壇〕
○国務大臣(三木武夫君) 上田君から、真相解明に熱心でないと言われますけれども、どうでしょうか、過去七カ月、この真相解明というものに対して私が真相を包み隠そうというような態度を一回でもとったでしょうか、上田君。私はそうは思わない。きわめて熱心に真相解明ということに対して、検察当局に対しても何ら政治的配慮を加える必要はない、やはり大いに解明してもらいたいということで努力をしておることは御承知のとおりであります。この国政調査権に基づく灰色高官ですが、この問題は、政治、道義上の責任というものは、やはりお互いの議員の一つの規律に関係する問題だと私は思うのですから、まさに国政調査の場でこれは追及さるべき問題だと思うのですね。そこで、いわゆるその検察の方が刑事責任を追及するために捜査した資料を、この灰色高官という範囲を国会の意思としてお決め願えれば、これを個人名も含めて提供するというんですから、これは非常なやっぱり国政調査権に対する協力じゃないでしょうか。やはりいままでそういうことはないんですからね。いままでない。しかし、ロッキード問題というものに対する問題の重要性から考えて、また、議長裁定の精神も踏まえてそれをやろうと。だから、灰色高官といっても、いろいろ各党でもその範囲というものに違いがございますから、早急に灰色高官というものの範囲というものを国会の意思としてお決め願いたい。そうしたら、それに対してその資料を提供する用意があるというんですから、私はやっぱり精いっぱいの一つの協力ではないかと思うわけです。いろんな法律上の制約もありますから、その中においてこれだけのことをするという態度がロッキードを隠そうとする者の態度だとは私はどうしても思われない。また、アメリカからの資料でも、それはやはり、ああやって私は熱心にアメリカに対して資料の提供を求めたわけですね。アメリカは、もう裁判所の決定で、地方裁判所の決定で、この資料は外へ出してはならぬという資料でしょう。それを私は熱心に大統領にああいう手紙まで出して、向こうは法的手続をとってまで資料というものをみな提供してくれたんですからね。私がいいかげんにおこうとするんだったら、そんなことはしませんよ。形式的なことばかり言っておればいい。そこまでしてやはりアメリカの資料というものが——アメリカからこの問題が提起されたんですから、アメリカの集積された資料というものが真相の解明に役立つという考え方から、ああいう手紙まで書いた。そうして、まああの手紙というものは、大統領が、そういういろいろな障害を越えて資料を出そうという決意をした大きな原因の一つになっておると思います、これはね。それが、上田君の言われるように、中途半端でふたをしようという者の態度でしょうか。だから、私としては、やはりできるだけこういう問題は真相を明らかにして、それから日本の民主政治というものがもっと健全になり、もっと強固になってもらいたいという願いを込めて、この真相を解明したいと言っておるのですから——それは上田君の御希望に沿わない点もありますよ。しかし、私は包み隠そうとするためにそうしておるのではなくして、いろんな法律的な制約もある中で、最大限度国政調査権などにも協力しようという態度であるということの、このやっぱり善意は御理解を願わなければならぬ。私がロッキード隠しをやっておると言われたんでは、私も心外千万ですよ、上田君。非常に心外である。そういう点で、どうか私の真意を御理解願って、もうできるだけの協力はいたします。 そういう点で、また、証人の喚問についてもお話しになって、おまえは総裁ではないかと言っても、これを、たれを呼ぶか、たれを呼ばないかという、一々委員会の問題まで、それはその必要性というものを皆さんの委員会でいろいろ話し合っていただかなきゃなりませんので、総裁がそこまで、これは呼ぶべきだ、これは呼んではいかぬというようなことを私が指示することは、総裁として、まあ総裁だから何でもできるんじゃないかと、そういうふうには考えないんですよ。党の運営というものは、そこまでやはり総裁が一々指示すべきものでないんで、私が言っておるのは、いわゆる証人の喚問というものは、高級官僚であろうが議員であろうが例外はないんだと、この原則に沿うて、各委員会においてその必要性——だれを呼ぶかという点については委員会で決定してもらいたいと言っておるのですから、まあ私の言っておることは、上田君、やはり御理解を願いたいと思うわけでございます。(拍手)(「答弁漏れがあるぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○副議長(前田佳都男君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。 〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 私の言葉が足りなくて、いろいろ正確に御理解を願えなかった点がございますので、補足をいたします。 国会で灰色高官の範囲を決めていただければ、それを全部、そのお決めになった国会の意思に従って協力をする所存でございます。(「委員会への出席はどうするのだ」と呼ぶ者あり) もう一つ忘れました。ロッキード特別委員会に三回しか出なかったと。御承知のように、私自身の日程もございまして、特に避けたわけではないんで、今後も私の日程の都合のつく限り、できるだけ出席をいたします。
○副議長(前田佳都男君) 上田哲君。 〔上田哲君登壇、拍手〕
○上田哲君 私は、最低限三点をお尋ねしたのです。簡単なことであります。 真相究明の真意があればすぐお答えになれるところでありましたが、証人についてよくわかっておりません。証人をどうされるのでありますか。原則、原理は総理として証人には区別はつけないとおっしゃるが、自民党がわれわれの動議に賛成しないのであります。総理が総裁として委員会を指図できるか、そんな一般論で逃げては困るのであります。公平に、客観的に国民の意を体して採決ができるなら問題はない。われわれがいままで闘ってきたのは、ロッキードに対する、黒い資金に対する闘いであるよりも、自民党の壁なんであります。その壁を突き破れない。国民の目に見えるようにあなたが自民党を指導して、六十人も七十人も要求しているのに六人しか証人、しかも中心人物の小佐野等々が呼べないなどということでないような指導をしていただきたい。そのことを約束をしてくれということが一つであります。 それから、アメリカの資料の問題。これはあなたの態度は、はなはだ、国民の立場を負うたやはり熱意がないのであります。資料公開を国会にすべきことが主権の立場として、もはや可能であるということを言っているのです。私はそれを二点に分けて申し上げているんですが、第一点は、この日本国会の公開を禁じているのは、アメリカのフォード返書の中に、アメリカ側の捜査の障害になる場合にはということにしか議論はないのであります。それを受けた、取り決めと呼んでおられる日米司法協定の中では、せいぜい五条と九条に関連項目が該当するだけであります。しかし、これは現に日本の捜査が終わろうとしているだけでなく、アメリカのプロクシマイヤー、チャーチあるいはSECの調査がもう終わっているんでありますから、この問題は解消しているということが一つ。もう一つは、そもそもあなた自身が、自民党自身、政府自身が、国会の議決を必要としない実務レベルの取り決めだと決めたという論理に従って、変えようと思ったらいつでも変えられる。国会は優位であります。国会が見せるべきであるという立場に立つならば、実務協定はこれに従うべきでありますから、いまや日本国会にこの資料を、日本の主権に基づく資料の公開を求めることに何の支障もないはずであります。あなたの決意のみであります。もし問題があれば協定の交渉に入ればよろしいということを言っているのであります。 稻葉法務大臣は、そうした資料について、国政調査権が求めるならば協力をすると。何事でありますか。いつ国政調査権は、つまり国会は、立法府は、憲法に言う国権の最高機関は、司法部の、検察の下位に座することになったのでありますか。この捜査の特殊事情から、私たちは国会の優位性を負いながらも、捜査権の発動の前に、幾たびか政府側の、自民党側の公式、非公式の要請に応ぜざるを得ない形になって委員会すら開けなかったこともあるのであります。証人もその一つであります。いまや完全にその三権分立の本意に従って日本国会の権威は回復さるべきであります。国政調査権はこれをふさぐのは何一つあってはならないはずであります。専権行為として捜査当局が行った捜査事項のすべてについては、いまこの捜査事項の終結に当たって、法務大臣は検察を指揮する立場で、進んでみずから国会に対してこれを表明することが、すべてを公表することが、国政調査権の復権そのものではありませんか。(拍手)こうした論理を超えて、はなはだ捜査権がなお上位にあり、国政調査権はこれに対して頼まなければ物が言えないなどということが、そのような人が法務大臣の場にいるということの不適当さをあわせて私は指摘をしておかなければなりません。(拍手) 時間がありませんから先に進みますけれども、その次の問題は、汚職の下部構造に対して、たとえば越山会を例に挙げた問題を関係ないと言われた三木さん、もし汚職の下部構造と言って悪ければ、利権構造そのものではありませんか。あえて利権構造を、どこにも後援会があるだろうなどという言葉でごまかされてはなりません。いい政治家をりっぱに育てようという庶民の心と行動と、利権につながり、特にその利権が公共事業費の分捕りの中に頽廃するような、そこに政治が介在するような利権構造、下部構造を私は汚職構造と呼ぶのでありますし、そのことを、他のまじめな行動、後援会組織と混同してはなりません。まさに自民党総裁の責任において、あなたの足元を正されることを具体的に求めます。公共事業費などをそういうところに優先的に配るなどということを、具体的に法規制を含めて、とどめることをお約束をいただきたいのであります。 それから、経済政策の問題であります。具体的に触れる時間はもうなくなりましたけれども、一言言いたいのは、庶民の苦しみがわかっていない総理大臣であります。いま景気がやや浮揚の傾向にあることはだれでもわかります。しかし、一部には、たとえば輸出の黒字が高まっていっても、百万の失業者があって、庶民の生活はどんどん減価に苦しんでいるのであります。この苦しみの中、やりくりの中で、明るみが差してくるだろう、大丈夫だろう、堅実だろうなどということを平然と言って、国民はわかってくれるだろうとこの席で言う総理大臣に私たちの生活を任すことはできぬのであります。まさにその中から胚胎した財特であり、赤字国債、赤字国債が国民の肩に乗っかっていく大きな借金なんです。だれだって借金はいやなんだ。いいはずはないのです。にもかかわらず、その借金をつかむ以外に生きていけなくなった。財特を頼むというちまたの声を苦しみをもって聞かなければならない総理大臣が、経済は明るさを増すだろう、やがて世の中はそれでよくなるだろうというふうに考えるところに、経済政策の根幹を失う、まさにコンフィデンスの欠落があることを認めて、具体的な経済政策の再検討を求めます。 最後に、政権問題について、三木さんの態度はまことに間違っています。三木さん、大きな問題は、政権を決定するのは国民であります。政権を決定するのが自民党であると思い込んできた一党長期独裁の思い上がりに三木さんがもしそのままどっぷりつかっているなら、あなたはその限りにおいて民主主義者ではないわけであります。皆さん、まさに、いま日本全体に、何回かこの数年行われている総選挙の中で、国民レベルの選挙の中で、あなたの自民党が得た得票はわずかに四四%ではありませんか。国民は、あなたにすべての政権をゆだねてはいないのであります。まさに、選挙法のからくりの中に形骸の政権を握っている三木さんが、もし民主主義を立てようという真意があるならば、いまこそ進んで名誉のために、憲政の常道に従って野党第一党に政権を移譲して、国民の審判を受けることが民主主義の子ではありませんか。このような憲政の見識を失い、このような憲政への道理を失って、一党独裁を無理強いに進めようという姿こそ、民主主義を破壊する姿であり、国民の信を失うものであり、やがての選挙に大きな審判が、その自民党の一党独裁思い上がりの上に鉄槌が下ることを私は信じてやみませんが、どうかその前に、いま一たび三木さんが……
○副議長(前田佳都男君) 上田君、時間が超過しています。
○上田哲君(続) 憲政の常道、民主主義の政権交代のために、名誉ある決意を表明されることをもう一度求めて、質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 上田君の御質問の中で、日米の実務取り決め、これはアメリカの捜査の必要もあるというような意味からしたんだから、いまこそこれを公表すべきだというような御意見があったと思いますが、稻葉法務大臣からも申したように、これは日米の実務取り決めで捜査用だけにしか使わないという約束で資料をもらったわけでございますから、この書類をそのまま公開するというわけにはまいらぬわけでございます。これは取り決めがそういうふうに相なっておるわけでございます。 それから、証人の問題については、先ほど申し上げたこと以外につけ加えることはございません。 また、一般の経済状態に対して、私は手放しに楽観をしておるわけではないので、物価なども、これは非常に今後とも物価の動向というものには注意をしなければならぬわけでございまして、ことに卸売物価というものが相当急激に値上がりしつつあるわけですから、今後とも、これがいますぐ消費者物価に波及して、安定の基調を破るとは思っておりませんが、注意をしなければならぬ。消費者物価も一応落ちついてはおりますが、いろいろな公共料金とか、その他のやむを得ざる引き上げもありいたしますから、これもやはり警戒をしなければならぬ。そういう点で、何としても一般の国民の生活の安定というのは、物価の安定、雇用の安定ということが第一番に必要ですから、そういう点で、物価の動向には細心の注意を払いますとともに、雇用の安定にはどうしてもやはり仕事がふえてこないといけないわけでありますから、基調になるものはやっぱり景気の回復ということでございます。そういうことで、財政特例法などを提出しても、財政が景気浮揚の役割りをこういう時代には持たすべきであるということで審議をお願いをしておるわけでございます。一般の国民の生活に対して手放しに楽観しておるわけではないわけであります。景気の跛行の状態なども続いておりまして、必ずしも一般に景気がよくなったわけではないわけでございまして、これはいろいろときめ細かく景気の動向などにも注意をしなければならぬということは、これは申すまでもないんで、ただ手放しの楽観ではないと申し上げたいのでございます。 最後にまた、憲政の常道ということを言われましたが、それはやはり政治は自民党ベースではできませんね。国民のベースと言うべきでしょうね、やると言ったら。それは上田君の言われるとおりですけれども、やはりどうしてもこの点では、私は最初に申したように、何とかして日本に政権交代の基盤をつくり上げるということに、われわれも、また野党の諸君も一段と御協力を願わないと、なかなかやはり、いまのままでときどき政権が交代するということを国民ベースで考えて望んでおるかどうかということに、私はいろんな調査などを通じて疑問を持つわけでございまして、われわれもこれは全部責任を野党になすりつけておるわけではないのですよ。自民党も反省をしなければならぬものはたくさんあるし、改革も加えなければなりませんが、政権交代の基盤という点については野党の皆さん方にもお考えを願いたいと申しておるわけでございまして、そう自民党が長期政権にうぬぼれて発言をいたしておるわけではないわけでありまして、自民党の改革というものはもう当然にやらなければならぬと考えておるわけでございます。反省を加えつつ、自民党の現状にも反省を加えつつ、政党政治の将来のために、私はこういう自分の考え方を述べさしていただいたわけでございます。(拍手) 〔国務大臣稻葉修君登壇、拍手〕
○国務大臣(稻葉修君) 米国から参りました資料の公開のことについて御不満があるようでございますが、これはフォード大統領返書の趣旨を受諾したわが閣議決定に基づいて法務省と米司法省との間に締結したロッキード問題に関する司法取り決め、いわゆる実務取り決め、これによって明確に、この資料は、もっぱら法執行の責任を有する機関により行われるところの捜査、調査及び刑事上等の裁判または審理に関する手続においてのみ使用されるものであって、それ以外の場合はすべてその秘密が保持されなければならないと、こうなっておることを定めておりますから、ロッキード事件のわが国の捜査終了後といえども、これを公開することはできないわけです。それを公開するには、取り決めをもう一度やり直さなければならぬ。いまのままではだめだ。 なお、上田さん、あなた米国ではロッキード社に関する調査は現在全部終わったと言うておられますが、まだ現在継続中であると私は聞いておりまして、認識が違います。 また、実務取り決めに基づいて提供された資料はわが国で利用しました。そのわが国の捜査当局における捜査はいままだ終わっておりませんね。あなたもPXLが非常に重要なんだと、こう言っておられるんですから、それを一生懸命にやっている、捜査中でありますからね。それですから、これは捜査資料の一部となっており、わが国の捜査は継続中ですから、その捜査の途中で手のうちを見せるということは不適当であると、こういうことを私は申し上げたんです。ただ、議長裁定もこれあり、わが国においてアメリカの資料は参考にして捜査をやりましたが、わが国の捜査はわが国独自の捜査であって、わが国独自の捜査でありますから、わが国独自の資料、それはわが国の刑事法制の許す最大限において、国会の求めに応じてこれを提供し、議長裁定に最善の協力を申し上げると、こう言っているんですから、御満足いただきたいと思うのでございます。(拍手)
○副議長(前田佳都男君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。 〔国務大臣三木武夫君登壇〕
○国務大臣(三木武夫君) 上田君の御質問に補足をいたします。 後援会の実態というものに対して、後援会に公共事業を押しつけたり、いろいろな点で利益誘導みたいな形の後援会であってはならぬことは申すまでもないわけです。従来各地にある後援会というものは、党活動を補足してやるということが大きな役割り——地方の組織、党の地方組織が弱いですから、それを補強する役割りを果たしておるので、上田君の御指摘のようなことは、後援会がそういうことをやるということは、これ全くの邪道でございますから、今後とも後援会のあり方については十分実情なども把握して、そういうふうなことのないようにこれから指導をいたす所存でございます。 また、P3Cの輸入の問題について、もうすでに方針が決まっておるのではないかというようなお話でございましたが、まだ決まっておらないわけで、この問題については各方面から、しかもこれはいろいろ問題のあった点でもございますので、いま検討いたしておる最中でございまして、すでにもう輸入で、もうどういう機種にするかという方針が決まっておるというようなことは、まだあり得ないことでございますから、その点御了承を願いたいと思います。 —————————————
○副議長(前田佳都男君) 増原恵吉君。 〔増原恵吉君登壇、拍手〕
○増原恵吉君 私は、自由民主党を代表し、当面の諸問題について、総理並びに関係閣僚に対し、若干の質問を行うものでございます。 第一にお伺いしたいのは、総理の政治姿勢についてであります。 わが党の挙党体制確立のため深刻な話し合いが行われたのでありますが、党員の良識ある行動によって最悪の事態は回避され、内閣、党人事を刷新し、新体制のもとで三木内閣は再発足をされたのであります。 三木内閣の当面の課題は、懸案となっている財政特例法案、国鉄運賃法案、電信電話料金法案などの早急な成立を期し、国民経済を安定した軌道に乗せることであり、また、ロッキード事件の解明を図ることであります。ロッキード事件は、まことに不幸な事件ではありますが、わが国、民主政治の名誉に関する重大な事件であり、厳正かつ徹底的に解明し、政治に対する国民の信頼を回復することが必要であり、真に納得のいく問題の処理を期待するものであります。 さらに、台風十七号がもたらした集中豪雨による史上まれな台風災害への対策を審議し、民生の安定を図ることが今国会の重要な課題であろうと思います。 このような重要課題を抱え、国政は一刻の停滞も許されない重大な時局に当面をしております。三木新体制はこの難局にどのように取り組み、解決をしていくのか、新体制の力量が問われるところであります。総理におかれても、これまでの苦い経験の中から得られたものを率直に受けとめられ、姿勢を新たにして言行一致の指導力を発揮されんことを切に望むものであります。この難局打開に当たる総理の政治姿勢と決意を承りたいのであります。 次に、まず景気の動向と今後の経済運営についてお伺いいたします。 石油ショック後、わが国経済も二年以上にわたる深刻な不況と雇用不安の時代を過ごしましたが、わが党政府の厳しい総需要抑制策と積極的な財政主導型景気対策により、長い不況から抜け出し、景気も回復軌道に乗り始めてまいりましたことは、各種の指標によっても理解し得るところであります。輸出が高水準を保っているほか、個人消費、住宅投資などの国内需要も堅調であり、引き続き回復過程をたどるものと思うのであります。また、企業収益も水準はまだ低く、業種別にはかなりのばらつきが見られるにしても、企業の景況は一段と明るさを取り戻しつつあると見受けられます。 しかしながら、わが国経済の現状はまだ決して安定したものとは思われぬ節があります。景気が回復基調にあるといっても、それは一部製品の輸出に引っ張られたものであり、全般的な息の長い需要拡大を背景とした景気への移行はまだはっきりあらわれてきていないのであります。国内需要での最大のポイントは設備投資でありますが、この民間設備投資もまだ積極的に動く気配が見られず、また、個人消費も堅実さは増しているものの、景気を動かすまでには至らないのであります。 いま一つは物価の動向でありますが、卸売物価はここ十数カ月にわたって連騰し、政府見通しを上回ることは避けられないと見られます。卸売物価騰貴の背景には、企業の減産体制による製品値上げのほか、国際原料品の値上がり、公共料金の引き上げが挙げられておりますが、卸売物価の上昇はやがて消費物価にはね返り、心理的にもインフレ再燃のおそれがあり、先行き景気回復の足が引っ張られる心配はないかということであります。 これまで石油危機で痛めつけられたわが国の国際収支も、このところ輸出が予想外の好調を続け、反面、輸入がいまひとつ伸び悩んでいるため、貿易収支の黒字がふくらみ、同時に外貨準備の増加も目立ち始めたことから、わが国に対する黒字責任論や為替調整問題が出ております。輸出急増がおさまらない限り円安批判もおさまらないなど、海外から指摘を受けておりますが、輸出の伸びは品質、サービスを含めた総合的競争力によるもので、円安批判は当たらないものと思うものであります。また、物価問題との関連で、円高傾向が定着すれば、輸入価格は押し下げられ、それだけ卸売物価の上昇にはブレーキがかかり、ひいては物価抑制効果に期待が持てることともなるかと思いまするが、御所見を承りたいと存じます。 次に、五十一年度予算の執行及び五十二年度予算の編成についてお尋ねいたします。 わが国経済が安定成長への転換期に入ったことにより、かつてのような税の自然増収は望めなくなったのでありますが、他方、福祉の充実、生活関連社会資本の整備など、国の財政が担う役割りはさらに増大するものと考えられます。この歳入の停滞と歳出の増加をどのように調整し、健全財政を確保していくかが、当面の財政運営に当たっての基本的課題であろうと思います。 五十一年度予算はすでに成立し執行されているところでありますが、重要歳入法案である特例公債法案、国鉄運賃法案、電信電話料金法案が、すでに年度半ばを経過しておるにもかかわらず成立しておりません。特例公債法案は、五十一年度一般会計の歳入の一五%、建設公債対象経費以外の歳出予算の二〇%に当たる財源三兆七千五百億円を公債発行によって賄うこととしております。これら財源について法律上の裏づけを欠いたまま財政運営を行うことはきわめて異常なことであって、このような事態が続くならば、国民の抱く不安感と国民経済への悪影響は座視し得ないものになると思います。この特例公債法案の持つ意義と国の財政運営並びに国民経済に与える影響を承りたいと思います。 また、国鉄及び電電公社につきましても、すでに成立した予算と密接不可分の二歳入法案がいまだ未成立の状態であります。国鉄財政は五十年度末で約三兆一千億円の累積赤字と約六兆八千億円の長期債務を抱えて、きわめて憂慮すべき状態に置かれ、電電公社もまた年々累積赤字がふくれ上がり、財政悪化に拍車がかけられております。両公社の値上げ実施が大幅におくれ、減収が増大したため、両公社は最近に至って巨額の工事費等を削減しており、関連業界に深刻な影響を与えております。法案が成立しない場合は、両公社の関連業界約九千四百社、九十万人と言われる人々を経営不安、生活不安に陥れるだけでなく、国鉄の列車の運行にも支障が生じ、国民経済、国民生活にも甚大な影響をもたらすことになるでありましょう。 また、政府は、今春闘の結果である仲裁裁定については、両公社のこのような窮状から、先般、国会の議決を求める案件として国会に提出をいたしました。これに対して、仲裁裁定の完全実施を求めてこの二十九、三十日にストライキを構えるなどの動きもあり、憂慮されたのでありますが、昨日の衆議院本会議における総理の仲裁裁定実施に最善を尽くすとの言明によりまして、当局と労働側の話し合いが行われ、ストライキ中止の措置がとられ、最悪の事態が回避されましたことは、これをまことに多とするものであります。 これら歳入三法案を早期に成立させ、景気の回復を促進するとともに、国民の不安を解消することこそ三木内閣に期待される大きな責務であろうと確信をいたします。政府の決意と方策をお伺いをしたいと思います。 次に、五十二年度予算編成についてお伺いをいたします。 五十二年度予算編成に当たっては、構造的な財政危機にある現在、危機の実態を十分見据えた上、歳入歳出の徹底的な見直しを行い、歳出面については、既定経費を含め、優先順位を厳しく定めて、これまでの慣行や制度の改革に積極的に取り組むべきであると考えます。 わが国の財政が、少なくともここ数年は恒常的に巨額の赤字に直面することが避けられないとすれば、当然に歳出の圧縮、増税、国債発行によって収支を合わせざるを得ないと思われます。しかし、過度に国債に依存する状態が恒常化すると、財政の放漫化による国民経済の不健全化や国債費負担の増大によって起こる財政の硬直を招いて、財政政策は困難となり、民間資金需要への圧迫とインフレの懸念など、国民経済にとってゆゆしい事態となるおそれがあります。公債の依存度の引き下げ、特に特例公債発行額の縮減は今後の財政運営の基調をなすものであり、また、五十二年度予算編成の中心課題であると思います。また、一つには、景気が緩やかながら回復基調にある現状におきましては、景気の先行きについてはなお慎重に見守っていく必要はあると考えられますが、それ以上に大切なことは、財政の膨張に伴うインフレ回避に主力を注いで、赤字財政立て直しへの一歩を踏み出すべきだと思うのであります。しかし、もともと財政は、不況や雇用、物価、国際収支を中心とする経済の安定や、所得の分配、負担の公正化など、幅広い役割りを担うものであることから、たとえ緊縮財政が必要な状態に置かれても、政策目標を誤らず、総合的な努力や配慮を忘れてはならないことは当然と思います。御所見を承りたいと存じます。 次に、災害対策並びに北海道、東北の冷害対策についてお尋ねをいたします。 台風十七号は西日本を中心に記録的な集中豪雨をもたらし、被害範囲もほとんど全国土にまたがり、その犠牲者もまた近来にない多数に上り、家屋被害を初め、農作物、道路、鉄道などにも大きな被害を生じ、幾多の問題を残したのであります。被災された方々に対しては、この機会に深く哀悼の意を表し、お見舞いを申し上げる次第であります。 特に、長良川堤防決壊による岐阜県安八町や、地すべりが起きた兵庫県一宮町及び香川県小豆島などの被害は最も甚大でありました。被災地においては、被災者の疲労や衛生状態の悪化など、第二、第三の被害の起こることが憂慮されるのであり、被災地の救済対策と復旧工事に政府は全力を挙げ、万全の措置を講じて一日も早い生活安定と再起を図らせることが急務であろうと思います。 今回の水害で注目しなければならないものは、長良川の決壊であります。昨年、一昨年の石狩川、多摩川の例にも見られるとおり、一級河川の堤防すら万全なものではないことを教えており、中小河川ともなれば、より以上に危険で不安定なものであることは申すまでもなく、治水施設の抜本的な整備促進が望まれるのであります。 この災害の大きな原因の一つが異常気象にあったことは申すまでもないのでありますが、さらに、今日の災害は複合災害とも言われ、全国的な都市化の進展と、それに伴う河川流域の急激な変化が、洪水に対する安全度を低下させたこともその一因であると思います。また、今度の水害で、死者、行方不明など人命の被害は、地すべりやがけ崩れの発生した地域に多く見られたのであります。集中豪雨のたびにこうした人命被害の出るのはまことに遺憾なことであります。 申すまでもなく、台風は毎年やってきます。そしてわが国は名だたる水害国であるにもかかわらず、最近は河川改修などの防災より開発が先行し、生活の利便や経済効率の面に力点が置かれていることも否定できない事実であります。国土の八割が山岳、丘陵と言われる島国において、このような大災害を未然に防止することは至難のことではありまするが、風水害の猛威から国民の生命、財産を守っていくことこそ行政の最大の責務であることにかんがみ、今回の災害を契機として新しい発想で国土建設、治山治水のあり方を早急に見直し、整備促進を図られんことを特に要望いたします。すでに政府におかれても、関係閣僚を中心に、五十一年度台風十七号非常災害対策本部を設けられ、その緒についていることと思いまするが、激甚災の指定措置、被害の全貌と対策並びに財政措置をどのようにとろうとしておられるか、お伺いをいたします。 次に、北海道、東北を襲った冷害は、昭和期における最悪の凶作とも言われ、米作だけでなく、野菜や飼料作物に至るまで大きな被害をもたらし、寒冷地及び山間部では収穫皆無の農家もあると言われます。北海道、東北はわが国の米作穀倉地帯だけに、農家経済はもちろん、地域経済に及ぼす影響も大きく、かつ農業者の生産意欲に響く問題であろうと思います。政府におかれては、台風十七号及び冷害による被害農家に対し、救農土木事業の実施や、農業共済金の年内支払い、天災融資法の発動など、可能な限りの対策を強力かつ早急に実施されるとともに、低温に強い品種の研究開発など、技術面での対策をさらに一層推進されるよう望むものであります。 次に、雇用問題と中小企業対策についてお尋ねをいたします。 景気はようやく回復基調にありますが、一方、雇用改善テンポは予想外に鈍く、足踏み状態に置かれております。完全失業者は七月には九十九万人と、八カ月ぶりに百万人の大台を割ったにもかかわらず、完全失業率は前月を逆に上回り、今回の不況下では最高の水準を示し、今後景気が順調な回復軌道に乗ったとしても、高い水準の失業者が定着するのではないかと先行きが心配されていのであります。こうした背後には、企業が減産経済に対応するため今後の雇用増加についてきわめて慎重な態度をとっていることとか、目下の景気回復過程においてもかなりの業種において操業率が依然低水準にとどまっていることが、失業解消の道を遅くする一因だと指摘をされております。これに加え、値上げがおくれている国鉄、電電関連企業従業員があり、また、下請業界の人員整理が進むおそれも高まって、景気回復下の雇用不安が根強く残っておるのであります。景気回復下の雇用不安にどのように対処をされようとするか、お尋ねをいたします。 また、中小企業は、輸出が好調に伸びている反面、予想外の内需不振で行き詰まる企業がふえ、倒産件数も昨年九月以降連続して一千件台を超えております。ことに、業種、企業間の格差が広がり、受注、販売が停滞して、息切れするいわゆる不況型倒産が圧倒的に多く、今後さらに秋から年末にかけ季節的に倒産が増加し、企業倒産は当分一千件台の高水準が続くものと見られております。当面の中小企業対策を承りたいのであります。 次に、地方財政についてお伺いをいたします。 地方財政においても、国と同様、深刻な財政難に陥っております。すなわち、景気の停滞によって、四十九年夏ごろから表面化した地方財政の危機に対し、国は、五十年、五十一年の両年度において交付税特別会計における資金運用部資金の借り入れや、特例地方債の発行などによる応急対策を講ずることにより、地方財政の運営に支障が起こらないよう措置をされたのであります。このような措置は、現在、国、地方を通じ、その財政が石油危機以後の経済の激変に伴う異常な事態に直面しておるところから、やむを得ない措置であると考えられますが、自治体においても、この異常事態を一日も早く克服し、健全な財政を取り戻すため最大の努力をすることが急務であると考えられます。 しかし、五十一年度の地方財政の財源不足額は二兆六千億円に上り、さらに五十一年度末の地方債残高は十一兆円を超える見通しとなっております。五十二年度は、ただでさえ困難な財政運営が予想される中で、さらに五十年、五十一年度の緊急対策の借り入れの精算を迫られることを苦慮しておるところであります。地方財政の重要性を特に考慮され、その運営に支障を生ずることのないよう十分な財源措置を講ずる必要があると思われるのであります。もちろん、地方自治体においても、国と同一基調に立ち、安易な財政運営は絶対に許されなくなったとの強い認識のもとに、財政支出の合理化に努め、財源の確保を図るなど、可能な限りの努力を払うべきことは言うまでもないところであります。 そこで、地方自治体も強く望んでいる地方行財政制度の改革も含め、明年度の地方財政に臨む政府の御所見を承りたいのであります。 次に、当面する外交問題についてお伺いをいたします。 さきに、宮澤前外務大臣が現職大臣として初めてソ連警備艇の見守る中で北方領土を視察されたのでありますが、これは政府として北方領土問題に改めて強く取り組むという決意の表明とも見られ、その意義は大きいと思うものであります。言うまでもなく、歯舞、色丹、国後、択捉の四島はわが国の固有の領土であり、四島一括返還は日本国民の一致した悲願であるということは、いささかの変わりもない民族的課題であります。ソ連側は、ことしに入って、わが国の北方領土返還要求は外部のそそのかしによる根拠のない不法な要求であると主張しているようでありまするが、これは全く歪曲であり、ソ連によって不法に占拠されたことは法的にも歴史的にも明らかであり、四島の返還を求める日本民族の願いは確固不動のものであります。われわれは心から日ソ間の親善友好を望むものでありますが、日ソ間の安定した親善関係を築くには、領土問題は避けて通れないものと信ずるものであります。 また、ことしの北方領土四島墓参が中止のやむなきに至ったのでありますが、墓参という、本来人道的な問題については、日ソ両国は、立場の相違を認識しながら、領土問題が解決されるまでの間は、人道的な立場から、永年にわたって確立されてきた慣行を尊重するというのが、日ソ友好という観点からも当然と考えるのでありまするが、今回の措置はまことに遺憾であると存じます。 次に、日中平和友好条約について申し上げます。 このたび、日中間の国交正常化並びに善隣友好関係の強化に熱意を示された毛沢東中国共産党中央委員会主席の長逝を見ましたことは、日中両国にとってまことに遺憾なことであり、心から哀悼の意を表するところであります。 懸案となっておりまする日中平和友好条約交渉が開始されて以来、すでに二年近くが経過をしております。この間、覇権問題については、宮澤・喬冠華会談において、宮澤前外務大臣よりわが方の考えを説明されているところであります。その後目立った進展はなく、日中間の見解の隔たりは調整されぬまま今日に至っておるのでありますが、不幸にして毛主席が逝去されて間もないこの時点で、この問題の早急な調整を図ることは、無理をせず、慎重に話し合いを続けていくべきであろうと思うものであります。 次に、防衛問題についてお尋ねをいたします。 日米安保体制は、日米関係の緊密化と相互の利益増進に役立つとともに、わが国の平和と安全の維持に寄与してきたことは疑いのないところであります。今後とも米国との緊密な友好関係の維持に努めることが、わが国の安全はもちろん、その発展、繁栄のため不可欠のものであると思います。 従来、日米安保体制の主要な柱である防衛問題について、日米間でその協力のあり方についての具体的な協議が行われていなかったごとは、きわめて遺憾なことと思っておりました。しかるに、先般日米防衛協力小委員会が発足し、第一回の会合が持たれたことは意義深く、その進展に大きな期待を寄せております。わが国の防衛力は、みずから必要とする有効な防衛力を保持するとともに、日米安保体制のもとに間隙のない防衛体制を整備することが肝要であります。したがって、基盤防衛力構想も、あくまでも日米間に十分な協力体制をつくり上げるという見地に立ち、十分慎重な検討が必要であり、そのためにも、党のしかるべき機関においても十分な審議、検討が行われることが必要と考えられまするが、御所見を承りたいと思います。 次に、海洋国家たるわが国の特性から、対潜能力は重視すべきところであります。潜水艦の原子力化など、列国潜水艦の能力向上は顕著であり、一方、わが国の現有対潜機は、その主力たるP2Jが五七年ごろから老朽減耗していくという状況であり、このような事情を考慮するとき、早急にこの問題について結論を出し、わが国防衛上欠陥が出ないよう措置する必要があります。もとより、ロッキード事件の発生等が大きな影響をもたらしていると思いますが、純粋に防衛上の見地に立って速やかに措置されんことを希望するものであります。同時に、水上の護衛艦艇の増強が対潜機の活動と連動相関の関係にあることにかんがみ、この種艦艇の増強についてもあわせて考慮さるべきものと考えますが、いかがですか。 また先般、ミグ25亡命事件で明らかになりましたように、戦闘機はマッハ三の時代に入りつつあります。また、爆撃機についても超音速機が実用化されつつあると言われております。同時に、航続距離や搭載量の増によって侵攻行動範囲が一段と拡大され、対処すべき脅威の質の向上は著しいものがあります。また、これからの航空戦は電子戦の能力によって優劣が決すると言われており、電子技術の進歩はとどまるところを知らない状態であります。 一方、わが国の現有の要撃戦闘機を見ると、F104JとF4EJファントムでありますが、F104Jは任務についてからすでに十数年を経過し、間もなく耐用命数に達すると言われております。また、F4EJファントムについても低高度目標を要撃する能力に欠けていると言われており、もはやミグ25クラスの最新鋭機には対処できなくなりつつあると思われます。このように、F104Jはすでに減勢期に入りつつありますが、この穴をどのような形で埋めようとされるのか、また、将来予測される各種の航空脅威にどのように対処されるのか、御所見を承りたいと思います。 最後に、九月六日、ソ連のミグ25型機一機が、自衛隊の行った警告にもかかわらず、わが国の領空を侵犯し、函館空港に強行着陸するという衝撃的な事件が発生いたしました。自衛隊は、北部航空方面隊にある四つのレーダーサイトがこの目標機の航跡を追跡し、また、千歳基地からファントム二機を緊急発進させたと聞いております。しかし、サイトレーダーは、目標機が領空侵犯した後の十三時二十六分から函館空港に強行着陸するまでの間、二度にわたって目標機を見失っており、また緊急発進機も、一時機上レーダーで機影をとらえておりますが、やがて見失っており、結局、有効な対領空侵犯措置を実施できておりません。 今回の事件は亡命目的ということでありましたが、もし不正な意図を持っていたらと、国民は不安を禁じ得ないものと思います。さらに、航空技術の進歩により、低空からの侵攻の可能性がますます増大するものと思われ、今後の防衛力の整備においては、このような低空からの脅威に対処する機能の充実に努めるべきであると思われます。特に早期警戒機の早急な調達実施が不可欠であると思われますが、今後どのような防空体制の整備を図ろうとしておられるか、御所見を伺いたいと思います。 以上をもって私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 増原君の御質問にお答えをいたします。 増原君が御指摘のように、今日は戦後最大の難局だと受けとめております。また、この国会では、従来の財政関連法案、国会の御審議を得て成立を見なければ予算の執行もできないという状態に立ち至っております。また、ロッキード事件の究明、これは皆さんの御指摘になりますように、ロッキード事件を究明して日本の民主政治というものを健全なものにする。そして、もっと基礎を強固なものにする道を切り開いていくという意味において、われわれの議会制民主主義の将来にとっても大問題であるわけでございます。こういうものを抱えながら政治は一日の停滞も許されないわけでございますから、内政、外交、難局を抱えて、微力ではございますけれども、各位の御協力を得て誤りなきを期したいと考えておる次第でございます。御協力を切にお願いをする次第でございます。 それから、財政問題については大蔵大臣がお答えをすることにいたしますが、国鉄法案に対して、値上げがおくれたらどういう影響があるかという御質問でございましたが、今度の値上げ法案と言われておりますけれども、一連の国鉄の再建の一環として、まあ値上げが出ておるわけです。従来の累積、過去の累積赤字をたな上げする、国鉄は思い切って経営の合理化をすると。それでもなおかつカバーし切れないものがございますから、運賃の引き上げによって国鉄の再建を図るということでございますから、これが国会で成立を見なければ国鉄の再建はできない。日本の交通の上における国鉄のウエートというものは非常に重要なものでございますが、これは全く経営ができないというような非常な危機に突っ込んでいくということでございまして、また、国鉄のいろいろな工事費などを削減いたしましたがために、中小企業で——関連産業の中には中小企業者が多いわけでございますから、これはすでに倒産とか、非常な深刻な打撃を受けておるわけでございまして、これがさらに深刻な状態に陥ってくる、こういうので、国鉄の再建、経済全般に対する悪い影響と、こういうものを与えますから、ぜひこの国会で、賛否はともかく、この法案の審議を終了していただきたいものでございます。 また、電電につきましては、昭和二十八年以来、度数料と申しますか、料金の基本になる七円という、この度数の料金というものを据え置いたものでございますから、物件費やまた人件費の増加で非常に経営が悪化しておる。これが国会で成立をいたしませんと非常に電電公社の経営の基盤というものが危険になるということで、ひいてはそのことは国民一般のそういうサービスの面においても、これは低下することは明らかであります。また、電電公社でも経費の削減をいたすために工事費を削減をいたしましたがために、いろんな関連産業、ことに中小企業というものが非常な苦境に陥っておるわけでございまして、そういう意味からも、この電電公社の料金の引き上げということは、電電公社の経営の基盤を強化し、また一般の関連産業などの仕事を継続し、雇用を安定さす上から言っても必要なものでございまして、この点についても十分な御配慮の上、審議をひとつ尽くしていただきたいと思うわけでございます。 また、仲裁裁定のことについてお話がございましたが、仲裁裁定は、公労法三十五条の規定というものを当然に政府が尊重をすべきものでございますが、御承知のように、現在政府に与えられておる予算の中ではなかなかやりくりがつかないので、国会に対して一つのいろいろそういう面も含めて御審議を願いたいということでございますが、この国鉄と電電公社の二法案、まあ野党も審議の促進に対して御協力を願えるということになっておるようでございますから、そうなれば仲裁裁定が実施せられることは明らかでございますから、この問題を早く解決して勤労者の不安を解消することが必要だと思っております。 それから災害地の問題、今度の台風などによって被害を受けた地域の、この罹災地に対する問題について、特に増原君からは被災者の衛生状態の悪化などに対していろいろ御配慮がございました。われわれもその点については十分気をつけなければならぬと考えて、こういうことをいたしておるわけでございます。 被災地における防疫対策としては、被災住民の健康調査をいたし、浸水家屋等の消毒及び被災地域の衛生、害虫などの駆除を速やかに実施して、伝染病が発生するようなことのないように万全を期したい。もう一つは飲料水の問題があるわけですから、これは自衛隊の協力なども得まして、隣接市町村で飲料水を確保するということに力を入れておるわけですが、また施設が壊れておりますから、この復旧作業に全力を挙げる。また、いろんな廃棄物が今回の災害によって生じましたから、これは関係市町村の応援を得て迅速に廃棄物の処理というものにも当たる。また、被災者に対する救援、応急の援助については、災害の援護資金を早期に貸し付けたい、そうして被災者の生活の安定を図りたい。そういうふうなことで、衛生状態の悪化、あるいは被災者の生活の安定に万全を期したいと思うわけでございます。 しかし、今回のことで、増原君も御指摘になったように、災害が起こるたびに応急対策を講ずるというのではなくして、やはり根本は治山治水という問題でございますから、その基本になるわけで、これは生活の原点かもしれない。そういう点で、治山治水というものに対しては、来年度から五カ年計画が始まるわけでございますが、従来の考え方というものをもう一遍ひとつ練り直して、治山治水計画というものを相当強化をしていく必要がある、こういうことでいま検討をいたしておるわけでございます。 地すべり対策なども、御指摘のとおり、がけ崩れ、地すべりの個所というものはなかなか全国に多いわけでございますので、建設省において実態を把握して、これらの危険個所に対して計画的に順次対策を立てて、そしてこれを実施していく。しかし、重点的に考える必要がある。非常な危険個所もございますわけですから、重点的に対処してまいりたいと思っておる次第でございます。また、居住区域が拡大する地域に対しては少し規制措置をとりたいということで、総合的対策を講じてまいりたいと思っております。 今度の台風第十七号による被害でございますが、現在までのところは、私の所信表明演説にも申し述べたとおり、死者百六十七人、被災者約四十万人でございまして、施設などの被害額は約七千三百億円、こういうことに現在の調査としてはなっておるわけでございまして、対策としては、激甚災害法に基づく激甚災害の指定、天災融資法に基づく天災の指定等を早急に行うべく、いま準備を進めておる段階でございます。また、被災農家や中小企業等に対する特別融資措置などを講じますとともに、租税に対しても減免措置を適用したり、あるいは災害復旧事業の早期実施などに よって、被災地域における住民の民生の安定を図っていく方針であります。先ほども申したように、災害の再発を防止するためには治山治水計画を強化してまいりたい。いまのところ予備費で対応し得ると考えておりますので、補正予算は考えておりません。また、被災地域の公共団体に対しては、非常に大きな被害を受けた激甚災害の指定による特別財政援助の措置のほか、普通交付税を繰り上げて交付する。災害復旧事業に対する地方債の充当であるとか、特別交付税の配分なども考えて措置を講じたいと思っております。 また、北海道、東北の冷害対策につきましては、これも閣僚の方々が現地を視察して、けさも閣議をした席上で、その稲など私にも見せていただきまして、大変に被害の深刻な状態を目で見たわけでございますが、そういう被害の早期把握に努めて、そして農業共済金を年内に支払いたい。天災融資法や激甚災害法の発動によって、各種の融資措置というものを被災地に行いたい。また、被災地帯の雇用の確保と、被災農家に対しては救済に万全を期する方法で、きょうの閣議においても農林大臣に私からも質問をいたしたわけですが、現行の、ある制度を、いろんな制度を全部使えばこの救済処置はとれるということでございましたので、それに対してこれを督励をいたした次第でございます。 次に、景気の回復下の雇用不安対策というものについていろいろ御質問がございましたが、根本は、景気をよくするということが第一番でございます。そうすれば雇用が確保されるわけですから、そして一方においては、各業種、いろんな業種によって景気の立ち直りの早いもの、遅いものがございますから、雇用調整給付金制度を初め、現行の各種の雇用対策を積極的に活用して雇用の安定に努めたいと思っておる次第でございます。 また、中小企業対策についてお話がございましたが、全体として景気が回復の基調にあることは事実でございます。先ほども申したように、業種別でかなりのばらつきが見られることなので、そういう点で中小企業の状態を手放しに楽観しようとは思っておらないわけでございます。そのために、政府としては、政府系の三金融機関の資金量をまず確保して、貸し出しの弾力的運用をする、信用の補完制度の機動的な運用をする等の処置によって、中小企業の非常に苦しい事態を何とか切り抜けていくために最大の努力を払ってまいりたいと考えております。国鉄とか電電公社関係の法案の成立の遅延によって非常に中小企業が——何分にも中小企業が非常に多いんですね、関連産業の中で。そういうことで、これを一日も早く成立をせしめて、こういう面からも中小企業の打撃というものをひとつ緩和していかなければならぬと考えております。 次に、地方財政制度の改革ということを増原君御指摘になりましたが、かつて知事の御経験もあるし、今日の地方行財政というものは改革を加えなければならぬ時期に来ておることは事実でございますが、いま経済という情勢もなかなか変化しておるときでございますから、こういう推移を見守りながら、これは地方制度調査会とか各方面に御協力も願っておるわけでございますが、地方財政というもの、行財政というものを根本的に見直したいという考えでございます。 それから、地方債の需要の拡大によって地方債の消化が困るんではないかというお話でございましたが、資金の調達能力の弱い一般市町村に対しては、可能な限り政府資金を優先的に充当しますとともに、民間資金によって引き受けられる地方債については、自治、大蔵両省が協力して完全な消化を図れるよう努めております。そういうことで、地方債の、縁故地方債の消化に対しては政府もできるだけの協力をいたしたいと思っておるわけであります。 また、政府の北方領土の処理に関して御質問ございましたが、これはもう政府は一貫して四島の返還を求める、北方四島の返還を求めて、そして平和条約を締結をすると、こういうのが、これは自民党ばかりでなしに、与野党を通じて国民的に合意された意思でございますので、なかなかこの交渉は難交渉でございますけれども、粘り強くこの問題の解決に努力を継続していくつもりでございます。 日中平和友好条約の締結について、毛主席が逝去されたのでいろいろ変化があるのではないかというような意味の御質問があったようでございますが、毛主席も御生存中には日中の平和友好条約というものの締結を熱心に望まれておった一人でございますので、それによって変わるものでもございません。また、日中平和友好条約を早期に妥結を図りたいというのは両国が一致しておる意見でございますので、今後は、いろいろな外交機関を通じてこの日中の平和友好条約が両国民が納得できるような形で早く締結をされるように努力をしていく所存でございます。 自衛隊の問題についていろいろ質問がございましたが、このお答えは防衛庁長官にゆだねることにいたします。以下は全部防衛庁長官からお答えをする方が適当だと思いますので、私の増原君に対する御答弁は以上で終わらしていただきます。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 増原さんから経済各般の問題につきまして御質問であり、また、二、三の点につきましては御懸念の表明、また意見の開陳があったわけであります。結論的に申し上げますと、今日の経済の段階は、これは石油ショック後三年になりますが、あれだけの影響、打撃を受けました日本経済といたしまして、その回復状況はまあまあ順調に推移しておると、かように申し上げて差し支えないと思うんです。 そこで、まず景気の問題でありますが、個人消費は堅調でございます。また、住宅投資もしかり。それから輸出につきましては、この上半期においてはすばらしい伸びだったんです。これがそのままの伸びでいくようなことは考えられませんけれども、しかし、大体においてまあ堅実に伸びていくというふうに見ていいと思うんです。 で、御懸念の設備投資でありますが、昨年大変な落ち込みであったわけです。これはなぜかと申しますと、企業の操業度が低いわけです。したがって設備に遊びが出る。さようなことから新規の設備に対する意欲が出てこないと、こういう問題があったわけでありますが、しかし、その後、企業操業度も大変改善されてまいってきておる。さようなことから、ことしになりますと、設備投資も回復過程に転じております。もっともこれは緩やかな回復でございますが、これからさらに生産は増加し、またこの稼働率も上がっていくと、こういうふうに予想されますので、設備投資は引き続き回復過程をたどるであろう、そういうふうに思います。 そういう最終需要、各方面の影響を受けまして、生産もことしに入ってからは非常に活発な動きをしているんです。それから生産されたから滞貨ができるかというと、そういう状態じゃない。出荷も非常によろしい。そういうまた情勢を受けまして、雇用の各方面の状況、これも改善をされてきておる。こういうふうな状態でありますので、景気の側面、つまり、端的に表明しますと、経済成長という角度から見ますと、「経済見通し」でも申し上げた次第でございますが、大体実質におきまして五%ないし六%、その程度の水準は、これは実現できそうだというふうに考えております。 物価につきましては、しばしば申し上げておるところでございますが、消費者物価は堅調を続けております。この八%政策目標、これは実現できるというふうに考えております。ただ、卸売物価につきましては、四・八%という政策目標がやや上回る状態で動いております。これにつきましては、なお需給のバランスの問題でありますとか、また企業に対する各種の要請でありますとかいたしまして、なるべくこれが目標に近いところで落ちつくようにということを願っておるんです。そういう中で、増原さんは、卸売物価がそういう状態だと消費者物価にはね返ることが必至じゃないか、そういう御懸念の表明でありましたが、これは需給が緩和基調にもありまするし、それから消費者の態度も堅実でありまするし、さらに中間段階において卸売物価の高騰は吸収され、消費者物価への直結的な状態でもありませんので、これが消費者物価に悪影響を及ぼすものとは考えておりません。なお気をつけてはまいります。 それから最後に、国際収支についてでありますがこれは、環境とすると非常に厳しい環境の中でありまするけれども、国際収支は引き続いて堅実な動きをしております。特に本年上半期におきましては、大変輸出が伸びる、逆に輸入の方は伸び悩みであるということから、大変な黒字になったんです。そこで、黒字国責任論でありますとか、一部に出てまいりましたけれども、輸出につきましては、これは、いままでは特殊要因、つまり、アメリカ初め各国の景気が回復基調になってきた、その影響を受けておりまするけれども、同時に、アメリカ等におきまして、カラーテレビでありますとか、自動車でありますとか、そういうものについて在庫補充の必要があったわけです。そこでわが国からどおっとそういう種類の商品の輸出があるという状態でありましたが、大体在庫補充も一回りいたしましたので、それらの輸出の鈍化ということが見られるわけであります。逆に輸入の方につきましては、わが国の輸出がそういうふうに活発であるにかかわらず輸入が伸びない。なぜ伸びないかというと、わが国において在庫がたまっておった、輸入在庫が。そこでこの輸入を増すという必要がなかったわけでありまするが、その在庫もだんだん底をつくという状態になりましたので、この輸入の方は今後ふえていくということで、まあ上半期に見られたような大幅黒字は見られないと、かように考えております。国際社会における節度ある経済運営、これは心していかなければならないと、かように考えております。 そこで、そういう国際収支が堅調であるということを背景に、わが国の円相場が堅調である、このことは私は大変いいことだと思うんです。つまり、為替相場はそのときどきの通貨の需給の要因によっても決められまするけれども、同時、に本質的にはわが国経済全体に対する国際的な評価の問題でもあるわけなんです。わが国の円に対する評価は、すなわちわが国の経済に対する評価であるわけであります。その評価がまあ上がってきたというのが円価格が上がってきたと、こういうことなんでありまするから、これは私は大変いいことだとは思いまするけれども、同時に、円高になりますると輸出にはよくない影響がある、逆にわが国の物価にはいい影響があるわけでございます。したがいまして、この円高基調というものを、これを刺激するという考え方はよくないと思うし、また、円高基調にあるというのを、輸出というような配慮のもとにこれを抑えるということもよくない、自然の流れに任せるということでありまするけれども、まあこの円高ということはわが国の重要な問題である物価に大変重大な関係がありますので、ますます日本経済の全体の運営を合理的にし、経済全体を安定させ、そしてなだらかに円が強くなっていくという状態が好ましい。そういう状態を期待しながら経済運営をやってまいりたいと、かように考えます。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する第一の御質問は、五十一年度の予算の執行についてでございます。五十一年度の予算でございますが、税収は、ただいままでのところ、われわれの予想いたしました収入をほぼ確保いたしておりますので、去年、おととし見ましたような歳入欠陥を招来するというようなことはないと考えておりますけれども大きな自然増収を期待できるような状況ではございません。したがいまして、ただいま御審議をいただいておりまする特例公債法案、これは仰せのように、経常費の分の二〇%にも相当する大きな歳入法案でございまして、この成立を早急に仰がなければ予算の計画的な執行が不可能になることは申すまでもないことでございます。すでにいわゆる建設公債分の公債を発行済みでございまして、資金余剰期の九月にほとんど公債が発行できないという状態に陥っておるわけでございまして、一日も早く特例公債法の御承認をお願いいたしたいところでございます。なるほど政府には大蔵省証券の発行をもって一時融通をつけることはできるわけでございますけれども、この蔵券の発行というのは年度内に始末をしなければならぬことは財政法の命ずるところでございまして、公債の円滑な消化を通じて初めて財政の執行が可能でございますことは御指摘のとおりでございます。一日も早い成立を重ねてお願いする次第でございます。 電電並びに国鉄の歳入法案につきましても、先ほど総理からるる御説明がございましたけれども、国鉄並びに電電の財政、それから関連した企業の経済、さらには労使関係等から見まして大変重要なことでございますので、あわせて早急な仕上げをお願いいたしたいと思います。 第二の御質疑は、五十二年度の予算編成についてでございます。五十二年度の予算を展望してみますと、国債費が非常に大きくなってまいるということ、地方交付税がいやおうなしにふえるということ、それから社会保障費の平年度化が出てまいるというようなことから申しまして、どうしても膨張せざるを得ないことになるだろうと思うのでございます。しかし一面、ただいまのような国債に対する過剰な依存はやめていかなければならないことでございますので、特例債は漸次減債の方向に持っていかなければならぬということでございますので、まず歳出面におきましては、増原さん御指摘のとおり、既定経費——これは制度の見直しも含めまして既定経費を厳しく見直しまして、締まった予算をつくり上げなければならぬのじゃないかと考えております。歳入面におきましては、税制を同様に見直しまして、これは所得課税ばかりでなく、資産課税、消費課税全体を通じまして見直しまして税収の確保を図っていく、仰せのように負担の公平ということを念頭に置きながら考えてまいることは当然でございますけれども、そういうことに慎重を期してまいるという態度で、ただいま税制調査会に御審議を願っておるところでございます。(拍手) 〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
○国務大臣(坂田道太君) 増原先生にお答えを申し上げたいと思います。 日米防衛協力についての御質問だったと思いますが、わが国の防衛につきまして、私はかねがね三つの原則があるということを申しておるわけでございます。一つは国を守る国民の意思、二つは必要最小限度の防衛力、三つ目は日米安保条約ということでございますが、昨年の八月の二十九日にシュレジンジャー前国防長官と私と話し合いまして、この日米防衛協力、有事の際における協力関係をどうするかということについて話し合いをいたし、そして今回、防衛協力小委員会の発足を見たわけでございまして、この有効な協力関係がなされることによりまして安保条約が有効に機能いたしまして、わが国の安全及び極東の平和と安全とが一層効果的に維持をできるというふうに考えておるわけでございます。これらの運営等につきまして党におかれましていろいろ検討されるということでございますが、それらの意見をひとつ十分お知らせいただきますならば非常に幸いだと考えております。 次期対潜機を早期に決定すべきじゃないかということでございます。わが国は四面海に囲まれて、資源の多くを諸外国から得ておるわけでございますから、この対潜能力を高めるということは日本の海の守りから言って当然なことだと思うわけでございます。したがいまして、次期対潜機につきましてはP3C級の優秀な対潜機を得たいと思っておるわけでございます。米国におきまして昨年部隊に配備されましたS3A、またはカナダで最近採用を決定しましたCP104ということの細部等につきまして調査をいたしたいと考えております。まだ結論を得ておりません。しかし、昭和五十二年度予算編成時までには所要の措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。 それから次期対潜機の整備は、P2Jの減勢を適時に補完するとともに、列国潜水艦の性能向上の趨勢に有効に対処することを目的とするものでございます。したがいまして、艦艇の増強を必然的に必要とするというものではございません。しかし、艦艇と対潜機が密接に関連しているということは御指摘のとおりでございますから、次期対潜機の調査検討におきましてもこの点は十分に考慮してまいりたいというふうに考えております。 それからFXの早急な整備ということについてのお尋ねかと思いますが、現在用いておりまする要撃戦闘機は最新鋭機に対しましては能力が不十分でございます。このために、F104Jが逐次減勢をしていくのを適時に補完するとともに、現用の戦闘機に欠けておりまする低高度の目標を要撃する能力、あるいは対戦闘機戦闘能力、あるいは電子戦の能力等にすぐれた新戦闘機が必要であるという考えのもとに、現在機種選定作業を行っておるところでございまして、これまた昭和五十二年度予算編成に間に合うように結論を得たいと考えておるわけでございます。 最後に、ミグ25戦闘機が領空を侵犯をいたしまして強行着陸をいたしましたことにつきましては、防衛庁長官といたしましてまことに遺憾であるというふうに考えておるわけでございまして、低高度でこのように行動いたしまする航空機に対処する方策につきましては、わが国のみならず、各国とも苦慮をいたしておるところであります。わが国におきましても、地上レーダーや現有要撃機の不備を補いまして、防衛体制を強化するために、たとえば早期警戒機あるいは低高度捜索能力等にすぐれた要撃戦闘機の導入等について検討しておりますが、低高度で侵入する高性能の航空機のすべてを早期に探知をし、所要の措置を講じ得る体制を整備するということは、かなり多額の費用、多数の要員等を必要といたしますし、現状ではきわめて困難なことを御了解願いたいと思いますけれども、しかし、可能な限り防空体制を整備するよう検討してまいりたいというふうに思います。 日本の安全保障にとりまして、この潜在的脅威を構成するミグ25戦闘機が、今回わが国の領空を侵犯をして強行着陸をいたしたわけでございまして、とのような軍用機の性能、機能を調査することは、日本国民の安全のために必要なことでありますし、また同時に、私、防衛庁長官の責務と考えておる次第でございます。(拍手)
○副議長(前田佳都男君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。 本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十七分散会