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78回国会参議院1976/10/19

法務委員会 第3号

発言数
183
登壇者
16
会派数
4
開催日
1976/10/19

会議録

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  岩本政一君が委員を辞任され、その補欠として岡田広君が選任されました。

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは、まず私から法務省に対して伺いたいと思います。  本月の十五日に、いわゆるロッキード事件に対する中間報告がなされまして、これに対して私どもは大きな不満を持っているわけでございますけれども、当委員会におきましては、むしろこのロッキード審議をめぐりまして、主として法律的な面からの質問をさしていただきたいと思うわけでございます。  ロッキード事件を通じまして、いろいろいまの法制の上では十分を期しがたいという法律の欠点というようなものをあちらこちらで感じさせられたわけでございますけれども、そのうち特に日米両国間の犯罪人引渡条約というものがあるわけでございますけれども、日米両国犯罪人引渡条約、これが明治十九年につくられたもので、その後若干終戦後改正されてはいますものの、こういうふうに多国籍企業が世界に広がり、日本の中にも外国企業、特にアメリカの大企業が進出しているという状態のもとにおきまして、明治十九年につくられた日米両国犯罪人引渡条約だけでは十分に賄い切れない問題がたくさんあるのではないかというふうなことを私ども残念に思い、国民は歯がゆく思ったわけでございますけれども、前回金大中事件の捜査に関連いたしまして、日米両国犯罪人引渡条約の引き渡しの対象になる罪名の中に、謀殺とかあるいは謀殺未遂、日本の刑法で言えば殺人未遂なども入っておると、それで金大中の事件の被疑者を引き渡し要求することができるのではないかということを質問させていただいたわけでございますが、これらの規定の中で贈収賄に関する事件が入っておらないわけでございますね。これは明治三十九年に追加犯罪人引渡条約ができておりまして、昭和二十八年七月二十二日に引き続いて有効となって、また平和条約後復活したというわけでございますけれども、明治三十九年に追加された法律によりましても贈収賄関係が入っておらない、このことについて大臣はどのようにお考えでございますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) いま御質問の、日米犯罪人引渡条約の中の犯罪の種類の限定は、今度のロッキード事件の経験等にもかんがみ、狭いように思っております。贈収賄をその引き渡し犯罪人の罪名の中に加えるべきかどうかを検討するべきものではなかろうかと、個人的には思っておりますね。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 刑事局長にお伺いしたいのでございますけれども、いま申し上げましたように、贈収賄事件がこの中に入っていないために、日本で犯罪というものが明白になっても、どうしても司法の権力が外国にいる外国人に、日本で起こった犯罪であっても及ばないというもどかしさをいやというほど今度は味わったわけでございますけれども、贈収賄について、大臣もいま検討を考えたいというお話のように承ったのでございますが、法務当局とすると、いま具体的に何かその幅を広げる、あるいはいまの日本国内における経済情勢に見合ったような罪名を追加すると、そういうことについてはどのようにお考えでございますか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 先ほど来佐々木委員の御指摘のように、この日米間の引渡条約は、明治十九年に締結されまして、それから三十九年に一部改正されましたが、その引き渡しの犯罪の種類も、殺人とか強盗とか、きわめて限定をされておりまして、法務省といたしましては、最近のハイジャックとか、あるいは国際的なテロ事犯とか、あるいは、いわゆる多国籍企業による国際的な犯罪というものの増加する傾向にかんがみまして、特に日米間ではそういう折衝の多い間柄でもございますので、従来の犯罪の種類では、とても時代に適合した引き渡しが行い得ない、犯罪捜査ができないということで、かねがね改正をしなければならないと考えておりましたところ、たまたまいわゆるロッキード事件が起こりまして、いま御指摘のように、贈収賄罪というようなものは引き渡し犯罪の中に入っておりませんので、したがって、アメリカにおる人で贈収賄というようなものの嫌疑のある者でも引き渡しを求めるということができないというようなことに、御指摘のようなもどかしさを感じたことは事実でございまして、今度の起訴、公訴提起によりましても、田中前総理に対する賄賂罪では、コーチャンは共犯ということになっておるわけでございますが、引き渡しを求めることができなかったということもありまして、そういうこともありましたので、最近できるだけ早い機会に、現在の引き渡し犯罪の種類をもっと広げまして、贈収賄等を含めまして、今日の時代に適合する犯罪人の引き渡しが求められるように改正したいということで、ただいま案を作成中でございまして、外務省を通じまして、アメリカ政府ともその交渉の再開について接触中でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 ロッキード事件のような事件の再発防止ということを考えますと、これはもちろん外国人が収賄ということはちょっと考えられないのでございますけれども、贈賄をするだけして、させっ放しというのであれば、なかなかこういう事件を根絶するということはこれから先も見込みがむずかしいのじゃないか、そういう意味においても、ぜひ日米逃亡犯罪人引渡条約の中に贈収賄を入れていただきたい。それと同時に、外為法とかあるいは外国企業が日本で活動している現状から見ますと、税法違反なんかもその中にぜひ追加していただきたいと思うのですが、そのあたりはいかがでございますか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) できるだけ法定刑によって、何年以上の自由刑に当たるものはというような罪名の包括的な引き渡し犯罪の規定の仕方をしたいとは思っておるわけでございますが、そうなれば、いま御指摘のようなものも入ってくるのかと思いまするが、従来の条約が個別に罪名を列挙するシステムになっておりまして、その辺は相手方のあることでございますので、必ず包括的になるかどうかはわかりませんが、できるだけわが国の実情にマッチした引き渡しの罪名が入れられるように努めたいと考えておりまするが、いま御指摘の外為法のようないわゆる自然犯というよりも一種の特別法犯というものにつきましては、相手のアメリカの国の考え方というものも考慮に入れなければなりませんので、必ず入れられるかどうかということはまだこれから交渉してみないとわかりませんが、できるだけわが国の実情にマッチした条約の改正ということに努力したいとは考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 この話はもう外務当局と大分話は以前から折衝しておられるわけですか。大体いつごろこういう話が具体的に煮詰まりそうなめどでございますか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 実は、アメリカ政府当局も積極的な前向きの姿勢でおるように聞いておりますので、できれば本年じゅうには交渉を開始して、できるだけ早い機会に結論を得たいと、かように考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまの日本の経済情勢から見ると、主として米国人の企業活動というものが数からいうと非常に多いのじゃないかと思いますけれども、この犯罪人引渡条約ができても、これまた米国からほかの国に移れば、どうしようもないという問題も起こってくるわけでございますけれども、米国以外の国とも逃亡犯罪人引渡条約を結ぶというふうなお考えはおありか。また、ある程度の事務的折衝というものが進んでいる国があるのかどうか。そのあたりもお聞かせいただきたいと思うわけです。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 逃亡犯罪人引渡条約というものの基本的な前提条件として、条約を二国間で結びます場合に、その国とわが国とが法律の制度、文化水準あるいは政治の安定度というようなことをいろいろな意味においてできるだけ均等の条件の間で結ぶことがわが国民の保護にも連なる問題でもございますので、そういう意味で相手国のそういう法律、文化その他政治の安定度とかいろいろなことを考えながら結ばなければならないということば前提条件としてあるわけでございますが、御指摘のように、国際犯罪というものが広域化しておることは間違いございませんので、できるだけいろいろな国とそういう条件を満たされるならば条約を結ぶという方向で検討を進めるべきだとは考えております。現に、欧州諸国では隣接諸国とは盛んに逃亡犯罪人引き渡しの条約が結ばれ、しかも、二国間ではなくて欧州では多国間条約もできておる状況でございますので、前向きにひとつ検討を進めるべき問題だと考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 ぜひ前向きで取り組んで一ただきたいと思います。  法務大臣、ロッキードの究明で大変に名声をはせられたわけでございます。国民も非常に大臣に多くの期待を寄せておったわけで、まああの中間報告ではいささかがっかりしたわけでございますけれども、さらにこういう事件を二度と日本国内で起こさないように断絶する意味でも、ぜひこの逃亡犯罪人引渡条約というものの幅を広げて、できるだけ早い機会に結んでいただきたい、その件について大臣としての御所見を……。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) この件につきましては佐佐木委員がお考えになっている、大体そういう気持ちであります。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 ぜひそのことは大臣も前向きで取り組んでいただくというふうに承りまして、次の質問に移りたいと思います。  全国民の注目を集めました田中前総理あるいはほか二名の政府高官、元議員ですね。現在も議員ですけれども、そういう方に対する公判ですね。これは公判期日はもう決まっているのでございますか、どうなっているのでございますか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 税法違反、外為法違反で公訴を提起されました児玉と、それから強要罪、外為法違反の被告人である大刀川については決まっておるようでありますが、その他についてはまだ未定でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 公判を維持していく上におきまして、日本の検察官がアメリカへ参りまして嘱託尋問をしたこの嘱託尋問調書というものが非常に大きな証拠のかぎになってくるのじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、この嘱託尋問調書、米国における嘱託尋問調書ということは、日本の裁判史上は皆無というわけでもないようでございますけれども、きわめて例の少ないことである。この調書の性格について若干法務当局のお考えを伺いたいわけでございますけれども、嘱託尋問調書、これはもちろん有罪を認定せしめるための証拠として裁判に出される公算が大きいと思うわけでございますが、これは刑事訴訟法上はどういう性格の証拠としてお出しになるというふうなお考えでございますか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 刑事訴訟法の三百二十一条に、被告人以外の者の供述書と供述録取書の証拠能力の規定がございますが、ここに裁判官の面前調書、それから検察官の面前調書、それから三号で、「前二号に掲げる書面以外の書面」、三つ類別されておりまするが、御案内のとおり外国の裁判所に嘱託して作成されました証人尋問調書でございまするから、この三百二十一条一項の一号のわが国の裁判官の面前調書とは言えないという意味において、類別するならば三百二十一条一項三号の「前二号に掲げる書面以外の書面」ということでございます。そういうふうに考えるほかはないわけでありまするが、そういたしますと、これが証拠能力を与える条件としては、もう御専門でございますから御承知と思いまするが、せっかく御説明を申し上げますると、「供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述」することができないことということが一つの条件、これは今回の証人尋問調書につきましては、国外におるということは簡単に立証できることでございますし、その次にもう一つ、「その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。」という条件、これも公判の立証の過程において使うとすれば、そう困難なことではない事項で、証明することがそうむずかしいことではないと思います。  それから最後に三つの条件は「その供述が特に信用すべき情況の下にされたものである」というときに証拠能力が与えられるという、いわゆる御案内の特信情況ということが必要なわけでありまするが、それは結局、その供述がなされました事情とか形式とか内容を検討して、具体的に判断をされるべき事項だと思うのでありまするが、今回の場合は、私ども考えまするに、司法共助によりまして日米両国の取り決め、了解に基づいてなされた適法なものであることは申すまでもございませんし、先ほど申しました形式におきましても、その手続きを記載するのが米国の連邦地方裁判所という司法機関であったということ、しかも御案内のとおり、今度の証人尋問には、証人側の弁護人が在廷しておるというようなことを考えますときに、その供述が正確であり、信用のおけるものであり、任意なものであるということは十分担保されていると考えられるわけでございます。  さらに申し上げますならば、今回につきましては、起訴猶予の約束をしてなされた証言であるということでございますが、これは米国の法制下には御案内のとおりイミュニティーという制度がありまして、常にこういう証人尋問というものが行われ、かつそれが信頼のおけるものだとされておる実績もあることでございます。さようなことを考えますと、形式から見ましても、内容から言いましても、これは特別の信用すべき状況のもとになされたものであるということもわれわれは十分に説明できるということが考えられますので、以上三条件はすべて疎明ができる自信を持っておりますので、十分に日本の公判廷におきましても証拠能力を付与されるものと考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 免責を与えてとった証拠、供述調書の証拠能力の問題で昭和四十一年の七月の最高裁の判例がございますけれども、これはいまおっしゃったイミュニティーの制度とは若干趣旨が違っているとは思いますけれども、そのあたりはどのように考えておられますか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) いまも申しましたように、わが国での判例で問題となりました事例は、被疑者に対して不起訴にするという虚偽の約束をしておいて、その約束に反して訴追をしたという場合の、その被害者の供述調書の証拠能力の問題でございましたが、今回の場合は第三者の事件に関する証人、いわば参考人としての供述を求めるものでございますし、いまも申しましたように、米国では、いわゆる今度の日本の起訴猶予の約束は日本の法制にないので、イミュニティーなる制度がないので、それに準ずるものとして起訴猶予の約束をしたわけでありまするが、本来アメリカにはイミュニティーというものが与えられて、そのかわりに真実を述べるという制度がありまして、そのイミュニティーを与えられて真実を述べるということであって、虚偽の事実を述べないということが伝統として慣習として確立しておるという実情でもございますので、しかもそれに証人側の弁護人の立ち会いもある、こういうことに相なりますると、たとえ起訴猶予の約束を与えたといたしましても、あたかもイミュニティーの制度のもとにおいて行われた供述調書と同じように信頼性のおけるものだという確信を持っておる次第でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 せっかくこうして海の向こうから苦労の末、集めてこられた証拠でございますので、これが証拠能力が否定されるというようなことにならないように、ぜひとも真相究明のために、さらに努力していただきたい。このイミュニティーの制度についても、まあ学説の大半は肯定しているようですけれども、異論もなきにしもあらずというふうな状態ですから、ひとつ、さらに御検討いただきたいというふうに思うわけでございます。  大臣にお伺いしたいのでございますけれども、この中間報告がなされた後の新聞報道によりますと、総選挙までに、もう一度中間報告をしてもいいと、これは本当でございますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) あんまり本当でないのですね、全面的には。こういうことでございます。政府としては、ロッキード事件に寄せられた国民の関心にこたえるとともに、前国会における両院議長裁定の趣旨に基づいて、本件にかかわる政治的、道義的責任に関する国会の国政調査にも資することを目的とし、関係人の人権の保護と将来の捜査及び裁判に対する不当な影響の防止に配意しつつ公開された委員会において開示できる最大限のものとして、去る十五日、衆参両院のロッキード問題に関する調査特別委員会において中間報告を行ったものであります。したがって同報告は、現段階において法務当局としてなし得る最大限度の協力である以上、いわゆる児玉ルートについて捜査上新たな進展が見られるとか、あるいは同ルートの捜査がすべて終了するなど、特段の事情がない限り再度中間報告を行う考えはございませんのであります。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 きょうの新聞を読みますと、いよいよ国民が待望しておったところの小佐野氏に対する検察庁の捜査が始められた。昨日取り調べがあったということでございますが、新聞報道によりますと、今度引き続いて小佐野氏に対する取り調べが行われて、そうしていま病気だからということではかばかしく進まない児玉ラインの追及、ひいてはPXLにもさらに捜査の手が進められるであろうという、非常にわれわれ国民から見ると喜ばしい記事が載っておるわけでございますが、捜査の秘密というようなこともあると思いますが、きのうの捜査の状態なり述べていただける部分においては、刑事局長から御説明いただきたいと思うわけでございます。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) もう佐々木委員には十分御理解いただいておると思いまするが、捜査は密行でございますので、本来ならば、たとえお尋ねを受けましても、小佐野賢治氏を取り調べたということは申し上げないというのが、われわれの立場として一貫してきたつもりでございましたが、昨日、たまたま取り調べに行く途中を報道機関に露見と言っては悪いのですが、密行の目的を達せずに発見されまして、もうそうなればうそを申すわけにはまいりませんので、やむを得ずと言っては何ですが、密行のたてまえから言えばやむを得ず取り調べたことを申し上げたというのが実情でございまして、余り詳しくどういうことをということは佐々木委員も無理だということは御理解いただいておりますので、詳しく申し上げる段階ではないわけでございますが、大体二時間程度の取り調べをやったようでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 大臣もおっしゃったように、いまのところその中間報告をさらにやるというのは余り本当ではない。しかし、もう一度やり直さなければならないくらいに大きな変化があれば中間報告をやると、ぜひともこれは、ロッキード事件というものを考えても、額から言っても、私どもが見ているところでは断然こちらの線が大きいわけでございますから、ひとつ中間報告をどうしてももう一遍やり直さなければいかぬというところまで、どうぞ検察当局にもがんばっていただきたい。余り他からいろいろな制約を受けることなく、存分に捜査が進められるように、ひとつお骨折りをいただきたい。私は安原局長のおっしゃる捜査の邪魔になってはいけないということはわかりますから、これ以上お伺いいたしませんけれども、どうぞひとつその点重々国民の期待に反さない公正な捜査を進めていただけるようによろしくお願いしたいと思います。大臣、何かその点につ  いて。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 先ほども申しましたように、児玉ルートについて捜査に新たな進展が見られるとか、あるいは同ルートの捜査がすべて終了するなど特段の事情がない限りは、再度中間報告はしませんが、それがあれば中間報告をしますという意味ですね。ぜひもう一度中間報告のできるくらいに、一日も早くそういう状態になることを私も切望しているのです。これで答弁にかえさせていただきます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 前向きの御答弁をいただきましてありがとうございました。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 関連。法務大臣に質問いたしますが、いまの答弁聞いておりますと、この間の中間報告以上のことは当分は法務当局としては報告ないように推察いたします。あした衆参のロッキード特別委員会で総理を呼んで聞こうとしておるわけです。そうしますと、いまの法務大臣の見解と総理の見解とは違わないのではないかと思うわけでありますが、そうしますと、明日総理をロッキード委員会に呼ぶということはほとんど無意味ではないかといまちょっと考えたわけです。したがって、明日のロッキード特別委員会に対する各党の態度もまた変わらなければならぬだろうし、どういうふうにこれからロッキード特別委員会が審議を進め、国民の負託にこたえて真相究明をやるかということについても検討しなければならぬと思うのです。総理をこの委員会に呼ぶということは一つのくくりになりますね。そういうものとも関連いたしまして、現段階ではあの中間報告以上のことは法務当局並びに政府としては発表するようなものはないと、そのようにいまの法務大臣の発言をとらえてよろしゅうございますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) この間中間報告をした日、総理が時間があいていれば総理も出ていただいていろいろ御質問にお答えするはずなものだと私は思うのでございます。ところが、その日だめでしたからというので、ロッキード調査特別委員会では改めて総理をお呼びになるというわけですね。そして聞いたら何かこの間の中間報告より新しいものが引き出せるのか、引き出せると言ってはあれですが、答弁が進むのかとこう言いますと、私が申し上げた答弁以上には出ないと思います。それでは無意味ではないかと、こういうことになるわけですが、そこはやっぱり貫禄の相違ということもございますし、やはりそれはそれなりに政治的意味があると私は思いますがね。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 おとといの新聞、けさの新聞などで、自民党の大会対策といいましょうか、三木内閣の反三木勢力に対するもの、あるいは国民が中間報告に対して失望いたしておるので、もう少し総理はいわゆる政治的、道義的なものについて一歩進んだ発言をするかのごとく新聞報道がされています。それと、その事件の——まあ政治的道義的なものについては法務大臣の所管ではないと思いますね、これは。内閣の、総理の範囲だと思うのです。守備範囲だと思うのですけれども、しかし、それかといって事件の途中でいまの法務大臣の答弁以上のことが総理で答弁できるだろうかということも考えるわけです。したがって、おとといの新聞なりけさの新聞などの論調というものは一体どこから出たのかと。三木・反三木、自民党内の内紛、党大会へ向けての思惑あるいは国民のこの中間報告に対する失望、そういうものを何かこう新聞の記事を操りながら政府なり自民党が故意に宣伝しているようにも思うわけですが、そういうものから推察しても、法務大臣が、総理、そんな答弁できませんと言えば、恐らく総理もいまの法務大臣以上の答弁はしない。まあそれは貫禄ではないですね、これは。貫禄ではありませんね。そのような言葉は、それはもう不謹慎です。そう思うのですが、これはまああしたのことですから、いま栗原議員に聞きますときょう三時からロッキードの扱いなどについても討議するようであるが、もう一度念のために聞いておきたいのです。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 行政府としては私の答弁で尽きると思いますね、いかに総理大臣といえども法務検察の限度を越えた答弁はおできにならないと思いますけれども、元来われわれの方はシロとクロを決めるところで灰色を決めるところでないですから、灰色を決めろと言われても決められません、こっちは。越権ですからね。ですから灰色を決めるのは、いわゆる道義、政治的にも決めるのは国会なんですから、国会が決めるについて、自民党のロッキード問題に関する特別委員会の委員の行き方が党としてどういうものかという点について、総理は別に総裁という地位もございますからね、そういう点で、ロッキード問題に関する特別委員会における自民党出身議員のいろいろな対処の仕方、たとえば証人喚問とかそういうことの対処の仕方について、それは総理は総裁として質問があればお答えになることはできる、けれども道義、政治責任の追及、つまり灰色を発表せいとか決めろとか言われても、法務大臣と同じに、それは決められません、発表できませんということ以外には出ないと私は思います。出るべき筋合いのものではないと思いますな。(橋本敦君「総理の発言をいまから制約しては、大臣、まずいですよ」と述ぶ)そうだろうか、まずいかね。(橋本敦君「あなたの見解はいいけれども、総理もそうだろうと言うのはおかしい」と述ぶ)いや、私は総理もしかあるべきものだと私が思うという発言です。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 関連ですからそうたくさんもできない。習慣がどうなっているかわかりませんがね。いま橋本さんも言ったように、この委員会の発言であした出るかもしれない総理の発言についての制約はできませんね、それが一つ。  それから、自民党総裁として証人喚問などの範囲、いままで自民党はこういうふうに考えておったけれども、総裁としては、これでは事件は解決しないのであるから、また国民の期待にこたえ得ないのであるから、証人喚問についてはこういうふうに自民党を指導していきますと、これは総裁の権限ですね。任務ですね。そういうものを期待するとしても、事件そのものについては法務省の管轄ですね。そうしますと、どうもいままだ総理が出る幕ではないと、そういうふうに考える。かえって総理が出たことによって一捜査当局ももう大体これで終わりだみたいになってしまっても困ります。そんなことはないと思いますがね。したがって、いろいろ判断する時期だと思うのです。それが一つと、それから証人喚問について、議員については非常に抵抗があると。その他についても、議員でない者についても右に準じていまは証人喚問をしない。で、法務当局として、いま議員なりあるいは準ずる人を証人喚問やったら捜査に支障いたしますか。その二点について答弁願いたい。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 一般論として、今日の段階でそう支障あると思わないのです、証人喚問について。  それからもう一つ私が申したい点は、とにかくシロかクロか決める刑事責任追及の材料で政治責任、道義責任を追及されるのは、多少今後の公判維持だとかに差し支えますからね、そういう点もあって渋るわけです。だが、悪い言葉で言えば人の材料でやらなくても独自の材料でやっていただきたいものだと、道義、政治責任の追及は独自に、独自にやれといったって証人喚問でも何でもシャットアウトするからやれないじゃないか、こういうようにおっしゃるのはもっともだから、そういう点について総裁としての御配慮はあるかもしらないと。それも一々聞いてみなけりゃわかりませんよ。私、総裁でもないのに、総裁はそうすべきだなんて——また越権なことを言ったなんて橋本敦君にしかられるかもしれぬけれども。一般論としてそういうことは道義、政治責任の追及に対してこちらも協力すると約束しているのですから、それはそちらで大いにおやりくださいと、それを妨げるようなことを——証人喚問に、捜査に妨げあるとかそういうことを言って妨げになるようなことは慎みたいと、こういう気持ちで申し上げる次第でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは刑事局関係の質問はこれで終わりたいと思います。  次に、前回の委員会でもお尋ね申し上げましたが、昨年の国際婦人年、国連で決まりました世界行動計画に基づいて国内行動計画の案が伺っているところによりますといよいよこの十一月の上旬につくられるということで、日本の各婦人団体からいろいろな方面から多岐にわたって、ぜひこういう問題を国内行動計画に織り込んでほしいという要望が強く出ておるわけでございますので、きょうは関係各省の方にお越しいただいたわけでございますけれども、国内行動計画というものがいまどういう状態にあるか、いっその成案を見るのか、総理府の方にまずその経過を伺いたいと思います。

久保田眞苗内閣総理大臣官房参事官

○説明員(久保田眞苗君) 婦人問題企画推進本部を構成しております省庁の間で先般四月の三十日に国内行動計画の概案を発表したところでございます。この概案に沿いまして、その後先生のおっしゃいますように各方面の団体からの御要請も受けておりますし、また婦人問題企画推進会議の討議も進んでおりますので、そのような御意見の反映を図りながらただいま本部の各省庁が内容についてさらに具体的に検討を進めておるということでございます。成案の策定の時期は一応十一月の末ごろを予定して作業を進めております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そこで、懸案になっておりますいろいろな問題について余り時間がございませんから簡単にお尋ねしていきたいというふうに思うわけでございますけれども、今度の国内行動計画で、その大きな骨子として男女平等を基本とするあらゆる分野への婦人の社会的参加の促進ということがうたわれていると思うわけでございますが、これに関連してもお尋ねしたいと思っておりますが、どうもこの問題について私の聞いているところでははかばかしく進んでおらないのがきょう御出席していただいておる大蔵省の方ではないかと思うわけなのです。と申しますのは、これはもうかねがね問題になっております人事院の規則によりまして、国税専門官を男子に限るというふうに規定されておって、そしてそれがいまなおその状態が残っておる。これは私もちょうど一年前の予算委員会でこの点を国税庁の当時の次長さんにお伺いしましたし、またそれに対してこれはほかの、衆議院の予算委員会でもこのことが取り上げられており、かつ国際婦人年の精神から見て婦人の幅広い能力を職場の中で生かせるように、不平等の取り扱いがないように積極的に努めてまいるという御答弁をいただいておるし、また当時、いまもそうですが、大蔵大臣の大平大臣も予算委員会でそういう御指摘を受けたからには積極的にこの問題を解決すると、前向きの答弁をしておられるのですけれども、ことしもまた同じくいまなお男子に限るというふうな、これはもう世界のどこの国へ出しても通用しないような文言が入っているわけですね。単に文言が入っているだけなら大した影響はないのですけれども、事実婦人が国税専門官の中からシャットアウトされている。これは国民全部から税金を取っておきながら婦人をシャットアウトをして男ばかり勝手に都合のいいように税金を何するというふうなことで、非常に国際婦人年の精神から見ても腹立たしい思いを私ども持っているわけなのでございますが、その後どうなのですか。少しはそのあたりは国際婦人年の精神、あるいは今度つくられようとしている国内行動計画の案に沿ってそのあたりを改定されたらどうなんですか、その点大蔵省に伺います。

山橋敬一郎国税庁次長

○政府委員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。  先ほどの先生のお話は、税務職員の採用の問題だと思いますけれども、前回の御質問に対しましても当時の国税庁次長がお答え申し上げておるわけでございますけれども、税務職の採用試験の受験資格を男子に限っているということでございますが、その理由につきましては、前回も実ば申し上げたかと思いますが、税務の職場の主たる仕事というものが調査、検査及び滞納処分というふうに非常に公権力の行使をする強い立場の仕事でございまして、これらの仕事が肉体的にも精神的にも非常に実はぎつい仕事であるというふうな点、あるいは税務の職場というものがあらゆる職務につきまして、またあらゆる場所で、また長期間にわたって勤務可能な職員でなければならないというふうないろいろな点が要請されるわけでございますが、こういう点を勘案をいたしまして実は税務職員の受験資格、いわゆる税務職の職員の受験資格を男子に限っているわけでございます。先生御指摘のとおり、これは女子にも開放すべきではないかというふうなお話でございますけれども、女子につきましては別途一般の初級試験というものによって採用を行っておりまして、採用と同時に一般男子と同様に税務職といたしまして税務職俸給表を適用をいたしまして男子同様の税務職員としての処遇をしているわけでございます。このように、採用の段階におきましてはそれぞれルートは違いますけれども、処遇面におきましては同じく税務職俸給表を適用するというふうなこと、あるいは役付職員への任用も男子と同等の資格でこれを行っているというふうなことで、男子、女子についての現在おりますところの職員についての処遇につきましては、差別というふうな問題はわれわれとしてはできるだけそのようなことのないように実は努力をしているわけでございます。  なお、女子がどうして税務職員の初級の税務職の採用のところから除かれているかというふうな点につきましては、実体面から言いますと、男子に比べまして女子は離職率がきわめて高うございまして、採用後五年で三〇%、七年たちますと約その半分が実は離職をするというふうな状況でございますし、また、税務の職場は転勤が非常に多うございます。ところが女子の場合には転勤が非常にむずかしいというふうな状況でございまして、こういうふうな条件を満たすのは一般的に男子であるとわれわれ考えておるわけでございまして、こういうふうな点からいわゆる税務職員の初級の採用試験につきましてはこれを男子に限るというふうなことにしておるわけでございます。もちろん女子につきましては、先ほど申し上げましたように一般の初級の道が開かれておりまして、採用後におきましては男子と同等の処遇を実はしておるわけでございまして、この点につきましては十分配意をいたしているわけでございます。なお、昨年佐々木先生から御指摘ございまして以後、われわれといたしましてはそのような女子の処遇の問題について十分内部で検討いたしておりまして、本年新たに税務大学校の本課、これは幹部職員を養成する一つのコースでございますが、ここに初めて女子を入学させるというふうな手当ても講じました。また新任の、採用いたしましての女子職員の研修も、従来国税局別に二日から多いところで二週間程度というふうな実は研修期間でございましたけれども、これを本年度から全国一律に一カ月に延長いたしまして、これを手厚く実施をいたします。その後、また同時にそれぞれの実務、事務系統別に実務研修というのをやっておるわけでございますが、これは男子、女子、これも同等にこの実務研修を行っておるというふうなことで、御指摘を受けました以後、改善できる点から実は鋭意改善に努力をしているわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いろいろと御説明聞きましたけれども、できるだけそのような差別がないように配慮しているとかはあたりまえのことで、もし差別があるようなことを日本の国家機関がやっていれば、それこそ大変な問題ではないですか。ほかの省にもいろいろ問題がありますけれども、大蔵省だけこれがめちゃくちゃに女性差別が話にならぬほどひどいですね。これではそういう話はどこへ持っていっても通用せぬのじゃないですか。それで初級に門戸を開いているということは、事務の補助的な仕事は女にさせる、しかし一番大事な徴税の仕事とか企画の仕事とかそういう政策面の仕事は女性にはさせない。そういう仕事の性による分担というか分業というような、もう固定的な古い観念の中で大蔵当局がこういうようなことをやっていらっしゃる、これは私もいろいろな職場の方とお会いしますけれども、大蔵省の頑迷固陋と申しますか、もう非常に古い考え方、男女の仕事を固定化したところのこういう考え方については、これはとうてい納得できないのです。しかも、全国走り回らなければならない、女性に向かない。なぜ女性は全国走り回るのに向かないかと、まずそういう問題があります。男の方だって子供の学校を変わるのは困るからとか、女房がいやがるからとかいうようなことで転勤を好まない人は幾らだっているわけで、女の人で転勤は幾らでも平気だという人もたくさんいるわけで、これはあなた方が頭の中で勝手に自分の奥さんがもしそういうことで走り回わられたら困るなぐらいの考え方で、固定した考え方で、全国を走り回る職場は女には向かないと勝手にあなたたちが決めているわけで、いまはどこの官庁でもあるいは全国規模の会社でも、どこでも動いていますよ、女の人も男の人も。また体力を要するとか何とか言うけれども、男の人だって体の弱い人が幾らでもいますしね。だから、そのために試験を受けさせよというわけで、男の人よりも女の人の方が体が丈夫だ、ずっと仕事ができるという人も幾らでもいるわけなのですからね。ですから、そのために試験を受けさせろと。試験の結果が悪ければ全部女の人は入れなくったってそれは仕方がないわけです、成績が悪かったのですから。なぜその試験を受けさせないのか。逆に言えば、男の人は本当に自信がないのだなと思いますね。受けさせたら負けてしまうから大蔵官僚のこけんにかけても受けさせないというふうな非常な偏見が私には感じられるわけですけれども、自信があるならもっと受けさせたらどうですか。少なくとも受けさせて、その結果適当な人でなければ何も採用しなくたっていいわけなんでしょう。

山橋敬一郎国税庁次長

○政府委員(山橋敬一郎君) ただいま先生から転勤の問題について若干お話ございましたけれども、私たち、毎年相当数の転勤を実は行っているわけでございますけれども、おおむね本人の希望というものをとりまして、それと職務の必要性というものを勘案をいたしまして、それぞれ異動計画というものを組んでやるわけでございます。ところが、毎年の段階におきまして女子の転勤希望者というものはほとんどございません。そういう点で職務上転勤を必要とするというふうな場合、公務の要請から転勤を必要とする場合もずいぶんあるわけでございますけれども、なかなかそういう希望者がない。そういうふうなことで、やむを得ず長期間同一署に在勤をするというふうなケースが比較的女子の場合多いわけでございます。そういうふうなことでなかなか公務上の要請の転勤という問題と女子の希望というものが実はマッチをしない。それが実は悩みの一つでもあるわけでございます。  そういうふうな問題もございますし、先ほど申し上げましたように七年間たつと半分程度が実は職場を退職をいたすというふうな状況がございまして、定着率、つまり職員としての安定性という問題についても若干の問題がございます。そういうふうな観点からいろいろ考えまして、実は税務職員としての、初級税務職の採用につきましては男子に限るというふうな形で現在までもやっておるわけでございます。  ただ、しかしながら、これを将来の問題としてわれわれ考えました場合には、税務の職場がすべて男子にのみ向いておるというふうなことを申すつもりはございませんで、税務の職場の中にも債権管理の問題であるとか、あるいは税務相談の問題であるとかいうふうな、職種によりましては女性の方が向いておる、あるいは女性にも向いておる、より向いておるというふうな職種もあろうかと思います。現在私たちはそのように職種区分を実はしておりません。したがいまして先生の御指摘のように、女子の問題をどう位置づけるかという実は根本の問題に立ち返りまして採用源の問題、あるいはその後の税務職員全体としての生涯にわたっての研修計画の問題、それからいま申し上げましたように女子に適する職種の区分というふうな問題、そういう問題を実は総合的に検討いたしまして女子の位置づけという問題を考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、現在、内部におきましてそのような検討委員会というものを設けましてそういう問題に鋭意取り組んでいるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまの話でいろいろ検討していらっしゃるということはわかりますが、その女子に適するというふうなことで検討されるということ自身が女子にとってははなはだ迷惑だと思いますね。というのは、人間の中には背の高いのもあれば低いのもあるし、体の丈夫なのもあれば弱いのもあるし、赤ら顔もあれば青白い顔もあるというように、男と女の別があるというわけで、たまたま女であるというだけのことであって、何も女子に適する職場なんというものを探してもらわなくて結構ですよ。もともと人間なんですから、男であろうと女であろうと、人間に適する職場を与えてそれをやらせればいいわけであって、アメリカでは士官学校にまで女子が全部入学できるようになっている世の中に、余りにもおっしゃっていることが理屈に合わないと思いますね。ちょっとそこら辺で、大変にほかの官庁なり——ほかの官庁にしたって十分ではないですよ。ですけれど大蔵省は特におっしゃることがおくれていらっしゃると思うわけなのです。頭のいい大蔵官僚だから、そこのところがわかりながら、あえて男性社会を固執していらっしゃるのだと思うのですけれども、そこら辺はやはり発想の転換をしていただかないと、大蔵省だけ本当に前時代的な官庁になってしまうのじゃないか。いまおっしゃっているように、研修制度とかあるいは税務大学校への入学の問題は確かに昨年の秋以後何回も申し上げたように、だんだんと改善していただいている。まだ十分とはもちろん言えませんけれども、少しずつ前向きに解決していただいていることは私も喜んでおるわけでございますけれども、やはりそのそもそもの発想が女子に向いている仕事についていろいろ考えるとか……何も向いている仕事を考えてもらわなくたって、どの仕事だっていいじゃないですか。  ですから、男であろうと女であろうと、試験を受けさして、それに滑れば別ですよ、合格した人はどんどん登用していく。これが日本の国益にも合致することだと思うわけですし、この国内行動計画案にもぴったりと合うことでございますから、ひとつぜひとも前向きで検討していただきたいと思います。どうですか。   〔委員長退席、理事原田立君着席〕

山橋敬一郎国税庁次長

○政府委員(山橋敬一郎君) 先ほどもお話し申しましたように、女子の問題は実は非常に大きな問題でございまして、先生の御指摘にもございますように、われわれといたしましては税務職員全体の採用源の問題としてこの問題をどう位置づけるかという問題もございますし、また生涯を通ずる研修体系のあり方の中でその女子の位置づけをどうするかというふうな問題もあるわけでございます。いずれにいたしましても、税務職員の構成、それから今後の採用、それからそれの研修という実は国税庁の中における人事行政の中の非常に大きな問題でございます。そういう意味合いにおきまして、やはりこれはいろいろな角度から総合的に実は検討した上で、われわれとしては結論を出していかなければならないというふうに考えているわけでございますが、いま現在そのような観点から検討委員会、もちろんこれだけの問題ではございません、いろいろな人事上の問題を含めまして検討委員会というものを設けまして、そういう問題も含めて検討しているわけでございまして、先生の御趣旨も十分含んでその点も検討してまいりたいというふうに考えます。   〔原田立君退席、委員長着席〕

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 国民から信頼される税務行政というものを打ち立てていくためにも、ぜひともこの問題は、そう理屈に合わないことばかりおっしゃらずに、考えていただきたいと思います。  それからこれは私も税理士をしております関係から、大蔵省をやめて税理士に転業される方何人も存じ上げているわけでございますけれども、離職率ですね、必ずしも定年になった方が離職していられるというわけじゃなくて、本当にこれからだと思われる年齢の方がどんどん自由業の方に転向していらっしゃるわけで、私どもは私なりに大蔵官僚の男性の離職率というものも調査しているわけでございますけれども、いま女子ばかりが離職するように言われましたけれども、いよいよ中堅どころということで離職されている率は、私はこれは圧倒的に男性の方が多いというふうにつかんでいるわけでございますので、一遍男女別にして離職率の資料をこちらに提出していただきたいと思います。

山橋敬一郎国税庁次長

○政府委員(山橋敬一郎君) 検討の上御連絡申し上げます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 出していただけますね。−では、出していただくことをお約束いたしまして、時間もございませんので、次の質問に移りたいと思います。  婦人の社会的活動のことについてまとめて質問をしたいと思っておったのでございますが、政府委員の他の委員会で御都合もあるようですから、ちょっと先に国内行動計画の中に織り込まれております法律上の婦人の地位、特に家庭婦人の地位、妻の権利とか地位ということについて重ねて御質問さしていただきたいと思います。  国内行動計画案の中にも婦人の家庭生活及び家業における労働の経済的価値を法律上も正しく評価するために、民法等の関係、法令の再検討を行うということがあの中に出ているわけでございます。いろいろと法務当局御尽力いただきまして、前七十七国会で民法等の一部改正法案を見たわけでございますけれども、これは前回もこのことについて質問さしていただきましたが、確かにそういう意味におきまして多くの婦人の希望というものが達成できたと、政府案で出していただいたということで非常にうれしく思っているわけでございますけれども、肝心の婦人の家庭生活におけるところの経済的価値の正しい評価という点における部分については、まだ全く手がつけられておらないという状態でございますね。法制審議会でなかなか簡単にそう結論は出ないというお話しのように前回伺ったわけでございますけれども、しかし、七十七国会において非常に前向きに、できれば七十九国会で、妻の権利を、主として財産権と申しますか、財産上経済的な立場を守るために積極的な法改正もできるだけの努力をしたいということは、大臣並びに民事局長から再三御答弁いただいていることでございますので、ちょっとこの間のお話だけでは私ども非常に不十分だと思うわけなのです。  そして、いよいよこの国内行動計画というものも十一月にできるのに、肝心の、これだけ婦人が一生懸命になっている問題について、もう少し前向きの具体的な話というものが当局から伺えないものだろうかという希望も強いわけなのですけれども、そういう点について、民事局長大変御尽力いただいているということはよくわかるのでございますけれども、何かできる話で、一遍に理想どおりはこれはとてもいかないと思いますけれども、こういう婦人の問題、特に妻の地位などというようなものは、とても一遍には解決しない大問題でございまして、階段を本当に一歩一歩上がっていくような積み重ねの上で初めて目的が達せられると思うのでございますけれども、ともかくできそうな問題というと、いま法務当局とするとどういうことを考えていらっしゃるわけでございますか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) この前当委員会において申し上げましたように、婦人、特に妻の相続の関係につきまして、夫生前におけるいろいろの、いま御指摘の家事労働の寄与の問題とかいろいろございますけれども、要は、夫を亡くした妻が、その後の生活の安定を相続法の分野でできるだけ考えてみなければならぬと、かような基本的な方針で、現在法制審議会で相続法の問題、とりわけ配偶者の相続法における法的な厚い処遇と申しますか、さような視点から御検討願っておるわけでございますが、何と申しましても、問題が非常に関連して広範なことでございますので、ある部分だけを切り離して結論づけるということがなかなか困難なことは、一般論として御了解願えると思うのであります。  ただ、何と申しましても、妻の夫死亡後の生活の本拠となりますのは居住権の問題でございますので、この居住権の問題だけでも確保するという見地から、切り離しての部分改正はできないかということで、鋭意結論をいただくように検討をしておるわけでございます。  佐々木委員御承知のとおり、借地借家法におきまして、つまり内縁の妻と申しますか縁故者がおって、しかも法律的に相続人がいないと。したがって、本来は建物所有権なりあるいは借家権、借地権というふうなものが国庫に帰属する性質のものでございますけれども、その場合の内縁関係にある配偶者の保護というふうなことから、国庫に帰属すべき居住権を内縁の縁故者に認めるということがすでにできておるわけでございまして、そういった方向の線に沿って、少なくとも配偶者については居住権の保護を、相続法とは切り離して理論的にはできないことではないのではないかというふうに思っておるわけでございます。  そういう点が、これは生活の基本でございますので、しかも、比較的相続法の関連が薄いと申しますか、全体としてはやはり考えなければならぬ関連がございますけれども、それだけを切り離して先に法改正をやったにしても、さほど大きな影響はないのではなかろうかというふうなことで、さような問題をいま鋭意検討しておるところでございまして、できるだけ早く結論を得て、できれば御指摘の国会に提案できるように努力はしたいというふうに考えておるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 今年の四月のイギリスの相続法の改正の問題、やはり日本と同じように、夫に限りませんが、主として夫でしょうが、夫の死亡後妻の居住する家屋を排他的に相続できる、ある程度の制限内であれば排他的に相続できるというふうな趣旨の立法ができたという話をあちらこちらで私のわかっている範囲で御紹介申し上げますと、大変に皆さんうらやましがられるわけでございまして、本当に日本もそのような法律ができると婦人の老後の生活が安定するのではないかと大変に皆さんが歓迎してくださるわけでございます。特に、この間の新聞を見ましても、さらに平均寿命が延びて婦人の平均寿命は八十二・五歳ぐらいまで近々延びるであろうと、来たるべき老齢化社会というようなことを考えますと、これは婦人が年をとって長く生きるということは不幸なことではありませんけれども、生きていけるとするならば、やはり少なくとも自分が落ちついて住める家ぐらいは、住むところぐらいはほしいのではないか。特に、最近の統計によりましても夫婦の年齢が非常に年齢差が少なくなってきている、最近の傾向として。しかし、それにしてもいまの状態では八〇%以上の方が夫が先に亡くなるというような統計も出ておりますので、まあ生き残るのは厚かましいから多少家ぐらいなくてもいいじゃないかというような考え方もあるかもしれませんけれども、せっかく生き残った婦人が住むところもなくて困るというようなことにならないように、これが相続法自身の改正が一遍に進まないとするならば、おっしゃったように、この昭和四十一年の借家法の改正で内縁の妻の居住権というものを保証していただいた、あれも非常に婦人の間で歓迎されたわけでございますけれども、ぜひ借家法の手直しなりなんなりで、夫名義の家に夫婦が居住していた場合に、配偶者死亡後、残存配偶者が困らないで済むように法律の改正というようなこと、本当は妻の家事労働における経済的評価というようなことの、夫婦間の財産関係そのものずばりの改正をしていただきたいわけですけれども、それが一遍にいかぬとするならば、ぜひともその問題に早急に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。見通しとするとどうでしょうか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 家事労働の問題は、これはすでに公表いたしましたいわゆる中間報告の中で、寄与分とかあるいは財産分与というふうな形で解決すべき問題ではないという大方の御意見でございまして、そうなりますと、結局相続分なり夫婦財産制の問題ということになるわけでありますが、これは相当大問題でございまして、なかなかここ一年ぐらいで結論が出るということはちょっと自信がございません。行動計画案ではこれらの点について私どもとしても前向きに意見を申し述べてございますけれども、全体的には十年間でやれというふうな目標のようでございますが、十年はかかるとは思いませんけれども、まあ二、三年はどうしてもかかるのではないかという感じがいたしております。そういう問題がございますので、先ほど申しましたように、相続法のそういった基本的な問題に関連しないような意味で、できる範囲から少しでもやっていくというふうなことで取り組んでおるわけでございますが、先ほど申し上げましたような居住権の問題も英国は妻のその相続分にプラス先取り的なものとして構成しておるわけであります。そういうふうな構成にいたしますと、これは勢い相続分の問題に関連してまいりますので、そういう形では、つまり英国流のやり方ではとても短期間に結論を出すというわけにはいかないだろうというふうに思うわけでございまして、現在いろいろ法制審議会で議論されているのはまさにそういうところなのでございまして、つまり夫の持っておる家の所有権あるいは借地権、借家権というふうなものをその相続の関係では配偶者と子供が共同相続をするにしても、遺産分割等で妻がそこから出て行かなければならぬというふうなことにならぬようにするというふうな、常識的に申し上げればそういうことなのでございますが、その辺の法律構成をどうするか、先生御承知のとおり遺産分割の場合には協議でやるわけでございますけれども、その協議の際にみんながいいと言えばそれでいいじゃないかというふうな突き放したことでなしに、少なくとも居住権だけは認めるようなことでなければならぬというふうな形で、遺産分割の協議そのものに制約を加えるというふうなやり方、あるいはまた協議が調わないために家庭裁判所で分割の審判をするというふうなときにも、裁判所に対する制約として配偶者の居住権だけは確保するというふうなやり方、そういうことも当然この中身として考えなければならぬ問題でございまして、その辺のところは十分おわかりいただけますように、法律的に相続法と切り離してどういうふうなうまい理論構成ができるかというところが、実は現在一番問題のところでございまして、そこのところが解決しないと、これはちょっと法改正ということになかなかまいらない問題でございます。鋭意その辺のところの観点は、方向としては身分法小委員会においても一致しておるわけでございまして、問題は結局そういった法律構成をどのようにするかということ等、それから先ほど来くどく申しますように、相続法の他の分野に影響を与えないようなやり方というふうなものから、まあいわば技術的に非常にむずかしい問題に現在取り組んでいただいておるわけでございます。私どもとしては先ほども申しましたように、できるだけ近い国会に提案できるようにということで、それを努力目標にいたしまして鋭意検討をお願いしていると、こういうことでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いろいろと取り組んで御努力いただいておりますので重ねて申し上げるまでもないことですけれども、たとえば労働者の災害なんかの場合、あるいは死亡退職金なんかの場合に、それが他の相続人を排除して残存配偶者に相続財産とは別に遺贈というか受け取ることができると、あるいはその場合に法律上の配偶者のみならず他の相続人を排除して法律上の配偶者がいない場合は内縁関係の配偶者が受け取ることができる、内縁関係でも優先するというふうな、これはちょっと立法の趣旨が違うとは思いますけれども、現在でもそういうふうなことで実際上の社会的な救済を行ってきているわけでございますし、この借家法のいま申し上げました七条の二の改正の趣旨はまさにそういうふうな単に法律論じゃない、社会の実情に合った救済のための法律というようなことで、これは改正されたのだと思うのでございますけれども、いまお話しの部分につきましては、相続そのものでなくても、ぜひともそういうふうな精神を生かしていけば、当然その居住権を優先的に残存配偶者に保証されるというふうなことは非常に大事なことだと思いますし、どうぞひとつ多くの婦人が——婦人ばかりではありません。自分の奥さんが自分の死後住むところがなくなるのではないかというのじゃ男の方も心配だと思いますので、これは国民全部の問題としてぜひとも早急に実現していただきたいと思うわけです。そしてさらに、いま鋭意取り組んでいただいている夫婦間の財産関係、相続関係も、これは十年の行動計画とは言わずに、ぜひとも二、三年のうちに、二、三年も長いかもしれませんが、一、二年のうちにできればまとめ上げていただいて、早急に実現をお願いしたいと思うわけでございます。法務大臣、その点について最後に何か……。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 佐々木さんと香川民事局長の質疑応答を聞いておりまして、これは法制審議会会長たる私としては、法制審議会を督励して、また民事局長にもなお一層がんばっていただいて、御要望の方向へ推進したいという気持ちであります。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 どうもありがとうございました。どうぞ法務省においても婦人のために大いにがんばっていただきたいとお願い申し上げまして、法務省に対する質問は終わりたいと思います。  次は建設省に対して伺いたいのでございますけれども、いま住宅の問題が出ておりましたけれども、これも昨年の予算委員会でも取り上げさしていただいたのでございますが、老齢化社会に向かいまして、特に単身で生活する人が大変にふえてきつつあるわけでございますし、特に戦争の犠牲によるところの二百六十万人ほどの独身女性というものが大体初老の年代に達してきておる。また独身女性でなくても、男の方の独身の場合は、よほど高齢でない限り、大抵一緒に住む家族というようなものが見つかるわけでございますけれども、母子家庭なんかの場合でも、子供さんが——母子家庭は、子供さんが独立して、卒業したけれども、まだ老人福祉の対象にはならないという谷間の年齢で単身生活していらっしゃる婦人というものが非常に多いわけでございますが、公営住宅になかなかそういう方々は入れないということから、抜本的な公営住宅に対する政策の転換をしていただかないと、この単身者の保護は図れないのではないかということを申し上げ、当時の仮谷大臣に積極的にこの問題に取り組むという御答弁をいただいているのでございます。聞くところによりますと、かなりプロジェクトが進んでいるというふうに聞いておりますので、ちょっと前回の委員会でもそのことが議題になったのでございますが、建設当局にそれがどのように進んでおるか、またどういう計画を立てておられるのか、そのあたりを具体的に御説明いただきたいわけです。

京須実建設省住宅局住宅総務課長

○説明員(京須実君) 従来住宅政策と申しますと、世帯を形成しております、つまり二人以上の方がお住まいになっている世帯を対象に主として対策を進めておりました。最近、先生お話しのように、中高年齢の方々等の単身者がふえてまいりました。また若年の方々で単身で世帯を持っている方々でも良好な住宅にお入れしたいと、そういうことが必要になってまいっております。したがいまして、まず、私ども第一段階といたしましては、今年の五月から住宅公団の賃貸者におきまして、特に小家族向けのいわゆる従来の一DKでございますか、一DK住宅の空き家の募集に際しまして、まず単身者の方にこれを開放いたしております。その結果でございますが、女性もその応募者のうちで約四〇%を占めておるわけでございますが、四十歳以上の単身女性は、全体ではまだ八%といったような段階でございます。今後この推移も注意深く見守ってまいりたいと思っております。その他、公団以外につきましては、現在のところ、まだその公団の様子を見ながら検討してまいろうという段階でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 大体のことをいま伺いましたけれども、具体的な計画の数字というようなものがございましたら、後ほどでも資料として出していただきたいと思いますが、いかがでございますか。

京須実建設省住宅局住宅総務課長

○説明員(京須実君) 承知いたしました。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それから住宅問題は独身婦人連盟、そのほか母子福祉関係の団体からなども、ぜひ婦人の福祉対策として今後積極的に取り組んでいただきたいという要望がたくさん出ておるのでございますけれども、住宅問題は国内行動計画の中に私はぜひうたっていただきたいというふうに思うのでございますが、そのあたりはいかがでございますか。

京須実建設省住宅局住宅総務課長

○説明員(京須実君) 現在総理府に置かれております婦人問題企画推進本部には建設省は入っておりません。しかしながら住宅問題につきまして、婦人問題企画推進会議等のいろいろなお話がございまして、総理府の方から何か申し入れがございましたら十分検討したいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは総理府の方、いかがでございますか。

久保田眞苗内閣総理大臣官房参事官

○説明員(久保田眞苗君) 総理府の方といたしましても建設省との間で案を検討したいと考えておりまして、そのように積極的に運んでまいりたいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは厚生省の方にお伺いしたいのですけれども、いま住宅問題が出ましたが、そのほか母子福祉協議会関係でいま一生懸命になって取り組んできている問題に住宅の問題、母子家庭の母親の雇用の問題と並んで母子家庭の医療の公費負担の問題があるわけです。きょうの新聞報道によりますと、老人医療の問題も大分ややこしくなりつつあるというふうな状態の中で大変御苦労が多いと思うのでございます。実は一昨日も大阪市の母子福祉大会に私出席いたしましたけれども、ともかく母子家庭は非常に苦しんでいるので、医療の無料化を何とか実現してほしいという要望が圧倒的に強かったわけでございます。そんなことについて、厚生当局としてはどのように取り組んでいらっしゃるか。  私の調査しましたところでは、十二の府県において現在母子家庭の医療の無料化が多少態様の違いはあるようでございますけれども実現しているようでございますが、その実態もあわせてちょっとお述べいただきたいと思うわけです。

長尾立子厚生省児童家庭局母子福祉課長

○説明員(長尾立子君) お答え申し上げます。まず、最初に各都道府県が実施いたしております母子家庭の医療の無料化の実施状況を御説明申し上げたいと思います。  私どもが承知いたしておりますのは、一番古く始めましたのが北海道でございますが、この場合には所得制限を対象者に課しておりませんけれども、入院医療のみを対象といたしまして、これは現物給付的なものでやっておるようでございます。そのほか群馬県、長野県、愛知県、長崎県等が四十九年から実施をいたしておりますけれども、いま先生お話のように、これらの内容を見ますと、現物給付でやっておりますもの、または療養費払い方式をとっておりますもの、所得税非課税というところで所得制限を課しておりますもの区々でございます。私どもが了知いたしております限り、五十一年現在、都道府県の数にいたしまして十一個所で実施しておる、政令市札幌市を除いてでございますが、というふうに了知いたしておるわけでございます。  私どもといたしまして、母子家庭の医療費の無料化の問題にどういうふうに取り組むかということでございますけれども、御承知のように私どもの省で所管いたしております医療保障全体の体系の中で考えていかなくてはならない問題であるというふうに思うわけでございます。医療保障全体といたしましては、御承知のように家族療養費の一部負担の軽減ということを図りまして、そのほか高額医療費の制度を設けたわけでございますが、医療保障全体の体系の中で、こういった母子家庭、先生お話のように母子家庭のほとんどは大変低所得層であるということは御指摘のとおりだと思うのでございますが、実は母子家庭以外の、たとえば身障者の家庭といったような低所得層に属する家庭もあるわけでございますが、そういったものすべてを含みまして、医療保障全体の体系の中で考えていかなくてはならない問題であるというふうに考えております。したがいまして現在の体系の中で母子家庭のみを切り離しまして新たな公費負担制度をつくるということは困難であるというふうに考えておるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまもおっしゃったように、これは大阪市の大都市圏に属するところでも年額百五十万以下の母子家庭が八〇%以上を占めているわけでございまして、もう病気になるということが一番恐ろしいというのが現状でございますので、特にこれが地域地域によって異なりますし、母子家庭の医療の無料化ということは大都市ほど、人口が多いところが多いわけで、隘路に乗り上げているというのが現状でございます。一遍その態様も、いまおっしゃったように全部現物給与とかいろいろ違うようでございますから、それも本省でつかんでいらっしゃる事柄を資料として当委員会にお出しいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

長尾立子厚生省児童家庭局母子福祉課長

○説明員(長尾立子君) はい、わかりました。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 では、ぜひこの問題も、母子家庭のもう涙なしに聞けないような悲惨な実情もいろいろございますので、どうぞ積極的に取り組んでいただきたいとお願い申し上げたいと思います。  それでは次に文部省にお伺いさせていただきます。これは十月の六日の日でございますか、「教育課程の基準の改善について(教育課程審議会の審議のまとめ)」というのが発表されまして、私ども非常に関心を持ってこの「審議のまとめ」を読ましていただいたわけでございますが、この全文の中に、いろいろと国民サイドから見ましたときには当然多くの問題を含んでいるわけでございますが、本日はもう時間もございませんし、婦人に関する部分だけにしぼってお尋ねしたいと思うわけでございますけれども、国内行動計画というもので、男女の仕事の分担、固定化というものを排除して、そして女性が積極的に社会に参加できると、社会参加の促進を図るというのがいまの国内行動計画の精神だと思うわけですけれども、批判の多かった高校における家庭科、これが相も変わらず女子だけというふうなことがまた踏襲された「審議のまとめ」が出されているわけでございますね。これはいま文部当局では「審議のまとめ」が出ましたけれども、その後どのようにこの問題に対処していられるのか、女子家庭科の問題について文部当局の御意見を伺いたいわけです。特に国内行動計画の精神とこの矛盾というものをどのように考えていらっしゃるのか。

久保庭信一教育局職業教育課長

○説明員(久保庭信一君) 小中高等学校におきます家庭に関する学習につきましては、家庭が非常に総合的な場でございまするので、家庭科という名前の教科だけでなく、社会科、道徳等においても関連して教育が行われておるわけでございますが、特に義務教育の最終段階でございます中学校の三年の社会科におきましては、公民的分野ということで週当たり五時間の授業を行っておりますが、この内容は、家族生活、社会生活、経済生活、国民生活と政治という四つの分野から構成されておりまして、その家族生活の中で、家庭というものが男女の相互の理解と協力のもとに築かれなければならないということを前提にして理解を図らせるということの教育を行っております。また、高等学校の倫理社会、これは高等学校における社会科の必修の科目でございますが、この中におきましても、社会における人間関係ということから家族ということの理解を図ることが教育内容となっております。また、中学校の家庭科におきましても、集団の中におけるあり方ということで、家族の中での自分の立場、他への理解と協力ということが教育の内容とされております。そのように学校教育の全般を通じて家庭に関する学習が行われておるわけでございますが、御指摘の家庭科の教育につきましては、このたび発表されました「教育課程審議会の審議のまとめ」におきましては、高等学校につきましては現行どおり女子のみ必修としておりますが、内容の取り扱いにつきましては、学校や地域の実態及び生徒の必要に応じて選択して指導することができるようにするとして、従来よりも弾力的な取り扱いを認めておるところでございます。今後教育課程審議会としましては、「審議のまとめ」について広く意見を聞いた上、本年中に御答申をなさるという予定と聞いております。文部省としましては、教育課程の基準について具体的にどのように措置するかは答申を待って検討をしたいというふうに考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは国際的に見ても、日本の場合、男は社会に、女は家庭にという伝統的な考え方が特に近代諸外国と比較しても大変に強いように思いますし、しかも、家事専業の——家事専業に限りませんが、家庭の主婦がその地域社会のために奉仕するというその立場を通じて、また、社会の一員として社会参加をするという精神も大変にほかの国と比べると劣っているのではないか。そういう点においては、日本の家庭生活というものはいわば非常に特殊なものではないかというふうに考えるわけでございますね。そういうふうな、これは一面いい面もございますけれども、これから国際社会に伍していく上では、非常に優秀な日本の婦人が、家庭の中にばかり目を向けるということは、これは大きなマイナスではないかと思うわけですので、やはりその教育を担当する文部省で、日本人の伝統と言えばいかにもよさそうに聞こえますが、これからの社会においては、諸外国の国民と比べるとやはりこれはマイナス点というふうに思わざるを得ないわけですから、それを助長するような教育方針というものについては、努めてそういう考え方は排除するように考えていかなければ、こういう誤った男女の仕事の固定化というものを助長する教育方針を打ち立てることは、国家百年の計ということから考えても大変に影響するところが大きいと思いますので、この点はまた重ねてお伺いする機会もあろうかと思いますが、重々慎重に考えて、国内行動計画の精神にのっとってこれからの学校教育ということを進めていただきたいということを特に申し上げます。  最後になりましたけれども、労働省、もう時間がございませんので、いろいろとお伺いしたいことがたくさんあったのですけれども、一部しかお伺いできないわけでございますけれども、これも同じくこの十月に就業における男女平等問題研究会議で就業における男女平等についての報告書が出されまして、私ども非常に関心を持って読ませていただいたわけでございますけれども、この報告書の中でもいろいろと労働分野におけるところの差別の実情というものを、これは研究会議においても認定されているわけでございますね。特に採用において男女の差がやはりかなり顕著である。そしていま大蔵省に対する質問でも申し上げましたように、企画とか、中枢の面に女性の職場配置というものができておらない、民間企業においても女子を補助者としている企業が圧倒的多数であって、営業部門に女子を配置しているところが大変少ないと、特に昇進昇格においても技能とか経験年数とか学歴とかに関係なしに女子の昇進昇格の機会を与えない企業もいまなお多いし、また与えても一定のポスト以上には昇進させない、本人の能力とか努力とは関係なしに一定のポスト以上には昇進させないという企業も多々見られるというふうな実情でございますけれども、そういうことに対していま労働省とするとどういう行政指導を行っていらっしゃるわけですか。

高橋久子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(高橋久子君) 最近職場における男女平等の問題につきまして非常に関心が高くなっているところでございます。そこで私どもも四十九年の十二月から就業における男女平等問題研究会議に男女の平等の問題につきましての研究をお願いしたわけでございます。この研究会議から十月の初めに御報告をいただいたわけでございまして、先生のおっしゃいますように「実情」のところでは「採用」、「職場配置」、「教育訓練」、「昇進・昇格」その他多くの面でまだ男女平等が実現しておらないというようなことが指摘されているわけでございます。この報告におきましては、さらに男女平等につきまして「背景と問題点」というところに言及しておりまして、こういうものの根は非常に深いと、「社会通念」であるとか、あるいは「教育訓練」、「終身雇用・年功賃金制」あるいは「女子に対する保護法制」、「家計における妻の地位」、「家事、育児の負担」、いろいろな要因を挙げておりまして、非常にこの問題はむずかしいわけでございます。ただ、私どもはこういった貴重な報告をいただいたわけでございますので、この報告を尊重いたしまして、国内行動計画の策定、あるいは今後の行政指導に反映いたしまして職場における男女の平等が実現されるように努めてまいりたいと、このように考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまのお答えのほかに特にこれは裁判上は女子の定年差別というものが違法であるということが確認されているわけでございますけれども、これは労働省からいただいている資料によりましても、かなり男女別の定年制というものがいまなお現存しておって、就業規則によるものがそのうち大多数、八七%ぐらいを占めておるわけでございますし、また一面労働協約によるものも若干あるようでございますが、いま高齢化社会を迎えるに当たって、婦人の平均年齢がぐっと伸びておるにもかかわりませず、もう四十代、五十になるかならないかぐらいで定年になっているところがほとんどでございますね。それから後どうして生活していくのであろうかということで本当にもう先行き不安な気持ちでいる御婦人がもうほとんどじゃないかというふうに思うわけでございますので、この男女の定年制のことについても十分にこれらの、これは地方自治体にもございますし、あるいは企業などはほとんどそういうところが多うございますが、そういうところについての指導というものを具体的にどういうふうに配慮しておられますか。

高橋久子労働省婦人少年局婦人労働課長

○説明員(高橋久子君) 先生がただいまおっしゃいました男女別の定年の問題につきましては、私ども職場における男女の平等を進めてまいります上でも特に重点を置いて指導しているところでございます。特に先ほどおっしゃいました報告の中におきましても「行政指導の強化」というところで、この「若年定年制、結婚退職制等の制度・慣行の是正を強力にすすめるべきである。」と、これは特筆されておりますし、この報告の後で建議が労働大臣に婦人少年問題審議会の方から出されておりますが、その審議会におきましても、この一定年制につきましては「若年定年制、結婚・妊娠・出産退職制等については、年次計画を樹立する等早急な改善を図るための行政指導を強化すべきである。」、このように重点を置いてやるようにという御指摘がございますので、私どもはこれにつきましては男女平等の中でも特に重点を置きまして早くこういった制度が解消されるように努めていきたい、このように考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 国内行動計画の中にもぜひこの点は重々強調をされるように、特に多くの婦人のもう切実な願いであり、希望でありますので、盛り入れていただくようにお願いしておきます。  それと母子家庭の問題が先ほどから出ておりますが、これはいろいろな政党が母子家庭の母親の雇用の促進ということに努力しておるわけでございます。この間のいま申し上げました母子福祉協議会の集まりにおきましても毎度言われることが、子供を抱えた母親に職場がないので、結局内職などで何とか糊口をつながなければならない、そのつらさというものは本当に悲惨な状態と言うよりほかないわけでございますけれども、母子家庭の母親の雇用の促進ということについて労働省はどのようにお骨折りいただいているかお伺いします。

宮川知雄労働省婦人少年局庶務課長

○説明員(宮川知雄君) 母子家庭の婦人の就業ということにつきましては、やはり一番問題になると思いますのは手に職がない、中年で仕事につくということでもございますので、そうした経験もないということもございますが、やはり大きな問題はいわゆる育児と言いましょうか、家庭のお仕事と職業とがなかなか両立しにくいと、そういうところに問題があろうかと思います。そういうことからまいりまして、環境と申しましょうか、いわゆる条件の整備が一番大事かと思います。したがいまして、労働省といたしましては、そういった人たちが仕事につきやすいように各種の職業訓練——簡便なものもございますし、あるいは内職のあっせんというようなこともございますが、それとともに、そうした寡婦あるいは母子家庭の婦人を雇うというような事業主に対しましては奨励金を差し上げるというようなこと、それからいま申し上げました職業訓練につきましても特にお手当を考えるというようなことで環境の整備に努めてまいりたい、そういうように考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 最後に法務大臣に伺います。  この十一月にいよいよ国内行動計画が出される、総理府の企画推進本部に法務省も御参画いただいて婦人の人権を守るためにいろいろ御努力いただいているわけでございますが、特にこれから先の十年間の婦人の人権、権利問題をこれから決めるに当たりまして、さらにいい意味でのフェミストとしての名声の高い法務大臣でございますので、大いにがんばっていただけると思うのでございますが、御所信を述べていただきたいと思います。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 主たる役所は総理府でございますけれども、何しろ民法、身分法関係のことは所管でございますので、それに関する改正が急がれておりますから、なお一層拍車をかけて御要望に応じてまいりたいと、あの十年行動行計画の前半くらいのところは主として法改正に集中すると思いますので、急いで作業を進めさせたいと、こう思っております。

原田立公明党

○原田立君 刑務所の問題について若干質問したいと思います。  まず初めに刑務所の移転の件についてでありますが、人口の都市集中化等により設置当時は環境等から考えても十分対処できたものが、現在はいろいろな意味で当時の状況と大きく変化し、移転並びに統合廃止もせざるを得ないような環境にあるところがかなりの数にあるのではないかと推測されるのでありますが、移転の要請が出されているもの、あるいはすでに移転決定または工事中のものはどれぐらいの数になっているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 刑務所の移転につきましては、原田委員常に御協力と御支援をいただきまして、私どもも感謝申し上げておるところでございます。  ただいまのお尋ねの点でございますが、最近の分で申し上げますと、昭和四十五年以降におきまして、刑務所の移転要請があり、計画が決定していないところは二十一庁でございます。また移転が決定した施設は十九庁となっております。なお、ちなみに私どもで移転以外にいろいろ古い施設がございまして、これの整備も必要でございますが、刑務所なり拘置所の本所、支所あわせまして現在百八十八庁ございますが、整備済みが百二十二庁でございまして、未整備が六十六庁という多くの数字に至っております。

原田立公明党

○原田立君 私、この前もらった資料によりますと、これは移転要請を受けている庁数及び庁名ということで、それが住民または自治体の要請を受けているものが三十四庁、完了したものが三十五庁、こういう資料をいただいておったのですが、いまの局長のお話だとちょっと違うようなんですが、これは年次別に見て違うんですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 最初に最近の数字を申し上げましたので、数が少なくなりましたが、ただいま現在で移転要請を受けている庁、これは昭和四十年代の初めからございますが、三十四庁でございます。内訳を申し上げますと、本所が二十四庁、支所が十庁でございます。その後昭和四十一年以降移転を完了いたしました庁は三十五庁に及び、内訳は本所が十八庁、支所が十七庁となっております。  なお、現在移転工事中及び移転を決定しております庁数は五庁でございます。

原田立公明党

○原田立君 自治体等から移転の要請は受けているが、この対象外になっているというようなところ、そういうような要するに受理件数に入っていないようなもの、そういうふうなものはいま御答弁いただいた数に入っていないんじゃないか、漏れているんじゃないか、こう思うんであります。もしそういうのがあったならば、その件数は一体どのぐらいなのか、またその対象外にした理由は一体何なのか、その点はいかがですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) ただいま申し上げました三十四庁すべてが私ども検討の対象となっている庁でございます。ただ、この検討の対象となりましても、きわめて緊急度の高いところ、あるいは自治体等からたびたび御連絡にお見えになるところ、あるいはそうでないところというその違いはございますが、三十四庁すべてにつきましてわれわれは検討をいたしているものでございます。

原田立公明党

○原田立君 そうすると、対象外になっているというのはないということですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 結論から申し上げますと、それはございません。しかしながら、実はつい先週、西の方で刑務所の移転がありまして落成式を挙行いたしましたが、落成式が決まる前から出ていってくれ、こういうようなお話もありまして、ここはわれわれとしてはどうもすぐに出るわけにはまいらぬという庁はございますけれども、地方自治体からの御要望等につきましては十分慎重に検討いたしたいという姿勢でおります。

原田立公明党

○原田立君 現在、移転の要請を受けている件数は本所、支所合わせて三十四庁ということでありますが、先ほどのお話しになった数ですね、四十五年度以降に要請のあった件数と移転完了の件数についてはどのぐらいかということをお伺いしたかったわけでありますが、それは先ほどの移転の要請が出されているのが二十一庁、完了しているのが十九庁、こういうことですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) ただいまの数字のとおりでございまして、ただ、移転が決定したという点につきましては、何といいますか、まだ完成をしていないところがございますが、移転するように決定した庁が十九庁でございます。

原田立公明党

○原田立君 現在要請を受け検討中のものが三十四庁、すでに移転決定または工事中のものが五庁の計三十九庁ということになりますが、各自治体から移転要請のあったこれらの刑務所の要請内容といいますか、移転要請の理由、そういうものはどういうようなものが多かったのか。一律に答弁はできないかもしれませんが、比較的多い順に挙げていただきたいと思うのであります。また、このような要請に対する法務省当局の見解はどうか、この点はいかがですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) これら三十四庁も、そのできました当時の地理的環境等を見てまいりますと、当時はいわゆる市の中にあったといたしましてもきわめてへんぴなところに建てられていたわけでございます。ところが、人口の増加及び都市化が進むにつれまして、最近では刑務所が真ん中になってしまったというところになりますと、都市計画上あるいは町の美観といいますか、どうも町の真ん中に刑務所があってへいをめぐらしているのは困るというようなお話がございまして、主としてただいま申し上げた都市計画上の理由から移るという点でございます。

原田立公明党

○原田立君 都市計画上から移転するのが主な理由であるということですが、まさにそのとおりだと思うんですね。私もあちこち視察に行ったり、あるいはまた回ってみた場合にも、こんなところにあるのかというのが随所に見受けられるわけでありますが、これについてはもっと積極的な姿勢で対処していく、こうしてもらいたいと思うのです。やっぱり来るものが刑務所ですから、住民意識としてどうもあんまり芳しくないというような、そういう意見もあるだろうと思いますけれども、そこら辺のところは地元の市町村も、あるいは法務省当局も、もっと移転についての積極的な熱意ある姿勢というものを持たなければならないと思うんでありますが、私が聞いている範囲の話ですと、何か地元市町村、県市町村ですね、こっちの方に責任を押しつけているんだか何だか知らないけれども、そっちの方の熱意が少ないとか何とかいうようなことで遅々として進まないというようなことを漏れ聞くわけであります。これは法務大臣、もうあなたも都市の真ん中に刑務所がでんと座っているなんというのは余りよくないことは重々御承知だろうと思うのです。いま局長からの説明があったけれども、移転に対してはもっと積極的な姿勢で熱意を込めて法務省当局もやるべきである、こう私は主張するわけでありますけれども、局長は先ほど都市計画の云々ということでお答えがあったわけだが、大臣としては所見はいかがですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 法務省として刑務所の移転に熱意を示さぬという点については誤解もあるかと思いますし、誤解でない面もあるかと思いますが、私も多少責任があるように思います。というのは、よく陳情に来られる人に対して、もともとこっちが好んでそこへ建てたのじゃなくて、昔は真ん中でなくてずうっとじゃまにならぬところに建てておったのだけれども、そっちの方で寄ってきて囲って町の中にしたのじゃないかなんていうことを言うたこともございますのでね、私にも責任があるように思います。そういう点は改めまして、今後は積極的に都市計画等に不便を与えないよう、何といいますか、むしろそれに協力する意味において一生懸命にやりたい。  まあ、こういうことを言うていいかどうか、かつてこの人の前の局長さんのときに、就任早々のときに、まあ刑務所の移転ずいぶんたくさん問題があるようだから、道州制みたいな刑務所にして全国に八つくらいをばっと大きなのをひゅうっと建てて、さあっとこう、こうしたらこういう問題余りやかましいことはあっちこっちに起こらないんじゃないかなんて言ったことはありますけれども、この辺は局長どうなんだろうね。そういうことを一生懸命にやりたいと思っています。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 先生からお尋ねがなくて大臣からのお尋ねでございますが、実は私、矯正局長になる前、しばらく前でございますが、秘書課長をいたしておりまして、秘書課では組織を持つ関係から、大臣が申し上げたようなことを秘書課長といたしまして主張したこともあるわけでございます。ところが、自分が矯正局長になって考えてみますと、実はなかなかむずかしいということに思い至っております。  一つは、確かに大刑務所をつくりまして、それを四つか五つに分けると、所長さんは四人か五人を置くということになるわけでございますが、まずそうした大刑務所を置く土地をどこか地方公共団体で探していただけるであろうかということが第一点でございます。  それから第二点は、職員それから収容者等の順に申し上げてまいりますが、どうしてもいま大刑務所をつくりますと、ますます地方の果てに行かなければならなくなるだろうと思います。その土地の取得が困難な上に、職員の生活も考えてあげなければなりません。現在行刑職員は一万六千でございますが、それぞれ家族、子供もいるわけでございまして、転勤の問題、あるいは若い奥様が結婚し、妊娠したときの問題で、へんぴなところに参りますと、職員の医療体制、学校の体制等に非常にむずかしい問題が出ておるのでございます。現に、最近要請を受けて移転する先には非常にへんぴなところもございますが、さようなことを決定した場合には、時により局長みずからその所に参りまして、その職員と十分話し合いをしなければ、職員が移転に承知をなかなかしないというような深刻な事態が生じておるのであります。  もう一つの反面は、収容者の分でございますが、一つは水の問題がございます。昔のように、いわゆる水洗でない便所ならいざ知らず、現在刑務所を建てますときには、すべて水洗でございます。刑務所、拘置所が水洗でございまして、実は官舎の方が水洗ではないという個所が相当あるわけでございまするが、刑務所の舎房を水洗にいたしますと、相当程度多量の水を必要とするのであります。それにどうしても山の方に入りますものですから、井戸を掘っても大変なことになりますし、水道を引くには当該市町村に非常な御迷惑をおかけするということになりまして、水の確保に非常な困難を生ずるのでございます。  それから山地の方に参りますと、先般もある役所の移転でございましたが、沢のところを御提示いただきまして、そこを埋めれば刑務所が建てられるじゃないかというお話がございました。沢を埋める土石等の費用は別といたしまして、私どもで調査いたしましたところ、その沢を埋めると水の流れが変わると、水の流れが変われば洪水も起こるであろうということから、遺憾ながらその御提示は受けられないということになりました。そういう水の問題が一つございます。  それからその次には、収容者の教育の問題がございます。最近は、いわゆる矯正教育ということで、教育を盛んにしようということに相なります。教育を盛んにする場合に、矯正職員のみでは足りませんので、どうしても町の学校の先生にお越し願う、あるいは宗教教講師の方にお越し願う、あるいは特殊面接委員の方にお越し願って収容者の教育をするのでございますが、その方が非常においでになりにくくなるという点があるわけでございます。  そのほかには、もう一つはお医者さんの問題がございます。現在お医者さんを確保するために矯正当局におきましては万全の策を講じているところでございますが、多くのお医者さんは熱心に仕事をしてはいただくのでございますが、やはり近代的医学を学ぶためには、大学あるいは自分の御出身の大学でなくても、町の大学に行って御研究を続けるということが必要であろうかと思いますが、田舎に入りますと、それが非常にできにくい。したがって、若い優秀なお医者さんをとりにくい場合が出てくるという問題が出てくるわけでございます。  それともう一つは家族の関係でございますが、やはり収容者の社会復帰を考えますためには、どうしても家族の方にときどき面会に来ていただく、あるいは友達なり出所後雇ってくださる雇い主なりという方に来ていただく、あるいは保護司に事前に来ていただくということが必要なのでございますが、どうも遠いとそういう点が抜けてべるという問題がございます。ということをかれこれあわせ考えますと、私はまだ大刑務所構想を捨てているわけではございません。できますれば、そういうことも必要であろうかと思いますが、実現するとなると非常にむずかしいのではなかろうかというふうに思っているのでございます。大臣の御構想に決して反対する趣旨ではございませんで、現実の問題としては、その前に解決しなければならない幾多の問題があるように思っております。今後とも、私自身その点については検討と研究を続けていきたいと、かように思っておる次第でございます。

原田立公明党

○原田立君 老朽度合いはどうですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) その点が実は問題でございまして、先ほど先走ったようなお答えを申し上げたのでございますが、私どもといたしまして、木造の建物は大体整備の必要になるのが二十年ではなかろうか、ブロックは三十年ではなかろうか、鉄筋は五十年ではなかろうかということで、現在におきまして整備済み庁と未整備庁を分けて考えるわけでございますが、その関係でいきますと、実は整備されましたのが百土十二庁ございます。未整備のところが六十六庁という数字になるのでございます。

原田立公明党

○原田立君 法務省当局としては、要請のあった施設の移転に対しては、対象の条件といいますか、判断の基準についてはどのように考えておられるのか。ただいまいろいろと収容者の問題とか家族の問題とかいうようなお話がございましたけれども、大体これが答えになるのかなとも思うのですが、そういうふうに理解してよろしいですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) むずかしい方を先に申し上げたので、また姿勢が悪いではないかというおしかりを受けてはいけませんので申し上げておきますが、私どもといたしましても町の真ん中に刑務所があるということは必ずしもその町の発展のためには望ましいものとは言えないであろうという点から、先ほど来申し上げました難点の解決というものが一つの条件でございますが、そうした条件が満たされる限りにおきましては、地元からの御要望がいわゆる地域社会の開発にやむを得ないことである、かつ緊急性があるという点、なおそのようにいい土地が得られた場合に、地元公共団体の積極的な協力等があり、移転先に適地が見つけられるという場合におきましては十分な話し合いをいたしまして、移転候補地の選定に努力をいたしているところでございます。したがいまして、地元側の御協力とそれから私どもの御要望とが一致した限りにおいては早急な移転の決定をし、大蔵当局に予算措置を必要とする場合には頼むという方針をとっているわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 刑務所の職員が約一万五千人ぐらいいてまたその今後の厚生関係の面で安易にするとか教授の問題とか医師の問題とか、そういえばいろいろあるけれども、そんなことを言っていたのじゃ前に進まないと思うんですよね。それで、先ほど大臣の答弁は、あれは答弁になっていませんよ。大型刑務所の件はどうなんだと局長に聞いただけで終わりになっているんですからね。刑務所の移転等についてはもう少し積極的な姿勢を持ってもらいたい、こう思うのです。  それで、局長ちょっとお伺いしますが、すでに要請が行われて以来十年以上経過しているもの、あるいは五年以上経過しているものというふうに大別すると、一体何件どんなふうになっているのか、そこいら辺の数はおわかりになりますか。大臣が答えてからで結構ですから答弁願いたい。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 刑務所の移転につきまして要望の向きに対しては積極的にこちらも取り組むつもりでおります。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 先ほど先生からも御指摘がございましたように、現在移転要請を受けているのが三十四庁であり、移転の決定したところが五庁でございますので、三十九庁が昔からある移転要請庁でございます。そのうち二十一庁が昭和四十五年以降でございますので、差し引きいたしますと十八でございますか、ですから十八が五年以前から要請のあるところ、それから、四十五年以降の要請が二十一ということに分かれると思います。

原田立公明党

○原田立君 十年以上が十八庁ということでありますけれども……

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 五年。四十五年以前と以後。

原田立公明党

○原田立君 五年以前が……。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 十八。四十四年以前が十八、四十五年以降が二十一です。

原田立公明党

○原田立君 十年以上というのは二十一というわけか。逆になるわけだな。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) ちょっと十年以上が出ないのでございます。十年以上はいま出ないのです。

原田立公明党

○原田立君 四十五年だから、いま五十一年だから六年でしょう。だから六年以上と六年以下と、こういうふうに判断するわけでしょう。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) そうです。

原田立公明党

○原田立君 だから六年以上というのが、以上たってもまだ未整備の庁が十八庁あると、六年以内のものが二十一庁であると、こういうことになるのでしょう、答えとしては。だから六年というと微妙な数なんだけれども、その中でも要請があって十年とか十五年とかたってなおかつまだその移転ができないというような、そういう長期なところがあるのじゃないかと、こう思って心配して聞くわけなんでありますが、その検討が長引いている理由として、要請する側の各自治体でもそれなりに代替地等十分検討して要請しているはずであろうと思うのであります。で、予算面からも考慮されているのではないかと思いますが、特に長期にわたっているところについては早急に検討し対処されるよう強く要望したい。先ほどの六年以上ですか、十八庁ですね。このところについては特に重点的に対処すべきではないかと、こう思いますが、あまり時間がないから簡単で結構ですけれども……。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 関係市町村と十分な協議を遂げまして、御要望に沿うべく努力いたしたいと思います。

原田立公明党

○原田立君 適正な矯正業務を遂行するに当たり、その一つとして刑務所や拘置所の配置についても検討されることは当然でありますが、刑務所等の適正なる配置計画について、当面における計画と長期にわたる配置計画についてはどのようにお考えになっているのか。先ほどその一端として大臣から大型刑務所というようなお話がありましたけれども、それ以外について、配置計画について考えられておられるのかどうか、この点をお伺いしたい。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) こちらが自分で計画を立てるというよりは、それぞれの地元の要請に応じて、そしてやっていこうという方針でいまきておりますからね、その要請、地元の要望、それらを一番重んじて、そうして配置統合ということも——整理統合といいますかな、配置基準といいますかね、そういうことは受け身でいくべきものではないかというふうに存じております。そういうふうに思っております。

原田立公明党

○原田立君 その受け身でいくというのが、法務省としてあまりやかましい条件ばかり出すものだから進まない、前進しないと、こういう心配をするわけなんです。だから先ほどから何度も言っているように、地元の協力も当然必要だと思うのです。だけれどもやっぱり法務省としても熱意ある姿勢というものはなければならないと思うのですよ。どう思いますか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 具体的な費用の点になりますのであえて申し上げなかったのでございますが、現在刑務所で建てます金が一人頭七百万かかるのでございます。先般、私矯正局長に就任したのは昨年の十二月の半ばでございますが、一月の初めごろには約五百万でございました。その後諸物価の値上がり等がございまして、いわば上物だけでございますが、建物とそれに伴う職員の官舎を考えました場合に、一人頭、収容者一人として七百万、支所等にいきますと約八百万になるわけでございます。  先ほど三十四庁につきまして、現在移転要請を受けておると申し上げましたが、これを試算いたしますと、千四百億になるわけでございます。矯正局の予算は八百八十二億でございまして、あと二年ぐらい飲まず食わずでいけば全部移転できるのかもしれませんが、とてもそれはできないということでございまして、これだけの費用を、この国家財政下におきまして、国民の税金から支出していただくということもいかがかという問題もございます。そこで、いま地元にお願いしておりますのは、大体町のまん中になりましたものですから相当土地の費用が上がっているわけでございます。それを大蔵省の適正評価の価格でもってお買い上げ願いたい。その金で新しい刑務所をつくっていただきたいというのが基本的な方針になっているわけでございます。そのために地元との折衝が長引くということにもなりまして、非常にむずかしいというふうに言っている。なるほどでき上がった庁数は少ないのでございますが、適地の御相談を受けまして、また現に受けつつあるところで、こちらが調査してけっこうだというところについては、私どもの方からできるだけの御協力を申し上げるから早く移転の決定をしていただきたいということを市町村に申し上げ、またときにはその市長さん等が私のところへおいでになりまして、私も率直に、だんだん収用費が値上がりになっていきますので、おやりになるのでしたら早い方がいいのではないのですかと、私どももできるだけの御協力をいたしますということで話を進めておりますところがすでに数庁出ております。したがいまして、結果的には非常に遅くなっているような御印象を受けるわけでございますが、私どもといたしましては可能な限り地元の御要請に沿うべく努力しておりますので、その点につきましては十分御認識を賜りたいと思っております。

原田立公明党

○原田立君 積極的な姿勢で、ひとつ臨んでもらいたいと思います。  先ほども問題が出ましたけれども、刑務所、拘置所の医療制度についてお尋ねいたしたいのでありますが、現在、本所及び支所における専従の医師の配置の実態ですね、これは一体どんなふうになっておりますか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 先ほど申し上げましたように、矯正は施設が非常に多くて、刑務所だけで本所七十四、支所合わせますと百八十八に及びます。そこで、まずお医者さんの定員と現員を申し上げますが、定員は二百二十六名であり、現員は二百十四名でございます。これは本年九月二十日現在の調査でございます。そのうちの御専門を分けて申し上げますと、内科が百十四人、外科が六十四人、精神科十五人、泌尿器科が三人、産婦人科三人、整形外科三人、歯科が七人、その他が五名でございます。合計二百十四人になります。  なお、刑務所と拘置所におきましては、医療センターといいますか、患者を集めて治療をするという施設を持っておりまして、これが九カ所ございます。その九カ所におきましては、医師の定員六十五のところ、五十八人を現員としてとっております。  なお、それ以外にも、もとより薬剤師それから看護——女性がいない場合に、われわれ看護士と言っておりますが、看護士等の専門家を配置いたしておりますし、それから収容人員が少ない支所におきましては非常勤医師をお願いいたしまして万全の措置をとるようにいたしております。

原田立公明党

○原田立君 本所については全部専従医師が配置されておりますか、それが一つ、支所についても、比較的規模の大きいところについては専従医師の配置を行っていると、こう聞いているわけでありますが、それは本当なのかどうか。小さいところは一体どうなっておるのか。もちろんいないということでしょうね。たまたま私の方でよく耳にすることは、病気になったけれども、なかなか診に来てくれなかったり、せっかく診てくれても非常に簡単で、大したことはないということで済まされてしまっているという訴えが現在でもかなり多いと聞いております。現に私も聞いているわけでありますが、ここいら辺の問題になりますと、人権上の問題にも関係することでありますので、非常に重大な問題だと思うのです。この点についての御見解をお伺いしたい。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) まず第一のお尋ねの都市の刑務所、拘置所でございますが、ここには専門の医師を置いてございます。それから大きな支所につきましても専門の医師を置いております。それ以外のところにおきましては非常勤のお医者さんをお願いしておるということでございます。  なお、先ほど申し上げました九カ所の患者の集禁施設、拘禁者を集めるという意味で、患者の集禁施設には四名ないし十四名の医者を配置いたしております。恐らく医療上の不服が出ますのは、御承知のようにお医者さんは専門化いたしておりますので、夜間の病気等の場合に、必ずしもすぐに一般のお医者さんをお願いできない場合があるということ、それともう一つは歯医者さんについての不服等がきわめて多いのであります。収容者の中には、いわゆる社会におりまして犯罪を累行しておりますときには歯医者さんにかかる閑もない。刑務所に入りますと、その期間に治しておこうというようなことになりまして、中に入ってからお医者さんを頼む。普通歯医者の方々には、大体平均いたしますと一週間に一度お越し願って治療をしていただくのでございますが、その間また夜間に痛み等が出た場合に、お医者さんをお連れすることがむずかしいときの不満等が先生方のお耳に入るのではなかろうかというふうに推察いたしております。

原田立公明党

○原田立君 不満の内容はいろいろ多種綿々ありますけれども、本所及び支所、大きなところは専従員を置いているが、それ以外のところは非常勤で置いておるということでありますが、ここら辺ももう少し整備強化していくことが必要なんではないでしょうか、その点はいかがですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) まさに仰せのとおりでございまして、私どもといたしましては医師の確保については万全の策を講じておるところでございます。しかしながら社会一般が非常にお医者さんの足りないときでもあり、医科大学の新設等が出ておるときでございまして、容易にお医者さんを得られないのでございます。また、ある施設等によりましては、お医者さんが親切にしたところが、出所後そのお医者さんのところに行っておどかしをかけた、あるいは小遣い銭をせびったというようなところが出てまいりますと、どうしてもその町からお医者さんを供給しにくいというような結果になっていると思います。しかしそうした困難を克服いたしまして、私どもとしては医者の確保に万全の努力をしたいと思っておりますので、ひとつ国会の先生方にも今後とも御協力をお願いをいたしたいと、かように考えておる次第でございます。

原田立公明党

○原田立君 先ほど御説明なすったのだけれども、この小さなところ、大支所でなく中小支所ですね、ここについては非常勤で、それで四人ないし十人ぐらい配置していると、こういうことでしたかね、そういうふうに私はメモしたのですが……。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 私の申し上げ方が悪かったかと思いますが、収容人員の少ない支所におきましては非常勤医師を充てている。一方、医療を専門に行っている患者の集禁施設におきましては四名ないし十四名ぐらいの医者を配置している。したがって残りのところがどうなるかということになりますと、これは一名ないし三名の医者は必ず各刑務所に配置されているということになるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 先ほど聞いたお医者さんの数では、内科が百十四名、外科が六十四名、精神科が十五名、泌尿器科が五名、その後ちょっとメモしそこなったのですが、このうちの精神科のお医者さんが全国で十五名、これは非常に少ないのじゃないでしょうか。これは前々からこの問題については当委員会でも指摘され、増員するように強く要請されているところでありますが、現在精神障害者の数及び精神科医師の——まあ精神科の医師の数はいま十五名ということでわかりましたが、四十九年六月現在で精神障害者の数は一体どのくらいあるのか、十五名で足りるのかどうか、具体的な増員計画はどんなふうに考えているのか、この点はいかがですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 仰せのとおり、精神科の医者を特に充実しなければならないという点は私どもも十分承知いたしているところでございます。しかしながら、いわゆる精神科医そのものの数が少ないということから、矯正になかなか医官としておいで願えない場合があります。しかしながら、参りました暁には、われわれとしては大いに研究もしていただくし、外国への出張あるいは研究等についても万全の策を講じておりますし、わが矯正局の医療分類課長もいま横にいるわけでございますが、精神科の専門の医学博士の資格を持っている者でございまして、そういうような関係で精神医の充実、それの待遇の改善については今後とも努力を続けていきたい。なお、精神科のお医者さんが少ないものですから、たとえば八王子の医療刑務所、城野、岡崎等は精神科のお医者をたくさん集めまして、むずかしい精神病の患者につきましてはそこに集禁をして十分な治療を尽くすということに努力いたしているところでございます。

原田立公明党

○原田立君 今後の計画はどうなのですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 失礼いたしました。  実は医者の関係につきましては、お医者さんに修学資金を差し上げて矯正医官になっていただく方法をとっているのでございますが、その金額が決して十分ではございませんので、これも引き上げたいと。それからなお、現在矯正施設に勤めております精神科医の方々にもお願いをして精神科のお医者さんの拡充と増員に努力をしていきたいと、かように考えております。

原田立公明党

○原田立君 拡充に努力したいという精神論ばかりで具体的な数が出てこないのは非常に遺憾に思います。  余り時間がないから次に進みますが、この収容者の作業賞与金と言うのですか、この関係についてお伺いしますが、監獄法第二十七条の2には「在監者ニシテ作業二就クモノ二八命令ノ定ムル所ニ依リ作業賞与金ヲ給スルコトヲ得」と定められておりますが、現行の作業賞与金あるいは少年院職業補導賞与金等の支給額は一体幾らになっているのですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 先生お尋ねのとおり、作業に従事した収容者に対しましては御指摘の監獄法二十七条に基づきまして作業賞与金を支給いたしております。この額は毎年増額されておりますが、昭和五十一年度におきます給与額は、平均の在所期間十八カ月といたしまして、平均額が二万三千四百十円になるように予算措置を講ぜられ、なお今後とも増額につきましては努力いたしたい、かように考えております。

原田立公明党

○原田立君 少年院の方は……。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 少年院と婦人補導院につきましてはやや性格が違うのでございますが、金額の多い方から申し上げますと、婦人補導院につきましては、在所六カ月で平均の支給が約一万三千円を考えております。それからなお少年院につきましては、在院期間が十四カ月といたしまして平均が三千円でございます。この金額がきわめて少ないのは、少年院におきましてはいわゆる職業訓練の方に行っておりまして、作業の出来高が高いというよりも、訓練に行きまして訓練をいたす関係から、高いそうした賞与金を差し上げるわけにはまいらぬという点から金額が低いわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 ちょっと私が聞き違いしたのかどうか知りませんけれども、五十一年度で、十八カ月収容されている人は月平均二万三千四百十円と、こういうことですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 出るときに二万三千円持って出るということになります。したがいまして、一カ月に入る費用を分けますと千五百円程度に相なるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 そういうごまかしみたいな答弁はよしなさいよ。私が聞いているのは、現行の作業賞与金、少年院職業補導賞与金の支給額は幾らかと聞いている。これは聞いているときには一カ月大体幾らですかというのを聞くのがあたりまえじゃないですか。出所するときに二万三千四百十円だなんて、そんなこと言って、これはじゃあずいぶん待遇がいいなということで勘違いさせるじゃないですか。いま聞いてみれば一カ月千五百円だ。千五百円とまあ二万三千円、大した差はないですよ、これは。だけど、いずれにしても千五百円というのは非常にひどいですね。私の聞いている範囲では、作業賞与金は千五百四十六円、少年院職業補導賞与金はわずか二百円、月ですよ、ということを私は聞いているんですけれども、間違いありませんか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) おおむねそのとおり間違いございません。

原田立公明党

○原田立君 こんな低い支給額にはいささか驚いているわけでありますけれども、この支給額の決定根拠はいろいろあるだろうと思いますけれども、問題は、実は私も聞いたのでありますが、監獄法のポケット註釈全書にこの監獄法第二十七条の解釈として、「作業奨励のためという政策的意味をもつ。」、あるいはまた、「作業奨励というばかりでなく、所内生活に或る経済的意味を付与し、」云々とありますが、そういうふうなこと等で決められるのでありますけれども、月千五百円ぐらいのものでこういうような作業奨励とか所内生活にある経済的意味を持たせるとか、そんなことができるのですか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 先ほど来先生が私に御質問された内容は私自身が内部で言っていることでございまして、ここでお答えするのが私としてはある面においてはつらい点があるのでございますが、作業の賞与金をまずどう見るかという問題が根底にあろうかと思います。御承知のように、現行の刑法におきましては懲役になった場合には定役を科するということが法制上のたてまえでございまして、その面から多額の作業賞与金を出すのはいかがかというようなことも言われるのでございます。しかしながら、先ほど先生もおっしゃいましたように、受刑者を矯正教育いたしますのは、これを改善、更生を図りまして社会復帰を容易ならしめるというところに矯正の目的があるわけでございますので、仮に十八カ月おりました暁に二万三千円ということでは再犯率もまた高くなるのではないかということをわれわれ自身が一番心配しているところでございます。しかしながら、一方におきまして最近少年院あるいは婦人補導院、さらには刑務所でもそうございますが、職を持っている方が非常に少なくなりました。三分の一は無職者であります。無職によっていわゆる世間を渡り歩いてきてそうした施設に入るということでございまして、そうした者に職業訓練で作業を教え、出来高を上げていくということが非常にむずかしい点がございます。その点で金額がまず低いということがございます。  それともう一つは、現在われわれ考えておりますところでは、本年度では約百七億の作業収益を上げる予定にいたしておりますが、本年度の予算でまいりますと、作業のための原材料を買う金に三十七億かかります。それから収容諸費、飲ませ食べさせという関係の費用が百五億でございまして、それで百四十二億になるわけでございます。したがって、そこから百七億の作業の収益を上げましても赤字になるという傾向にあるのであります。昔は刑務所における自給自足の原則というものが確立いたしておりまして、作業の収益の範囲内でいろいろなことを賄うということでございました。しかし、これではいまのような時代にはどうにもなりませんので、私どもとしてはその原則を変えて作業賞与金を上げなければならないだろうというふうに思っているのでございます。今後ともこの点につきましては万全の努力をいたすつもりであり、社会に出た場合にせめて一カ月ぐらいは安ホテルであるいは保護会で暮らして、その間に職を探すことができるという程度の作業賞与金を出したいと、それにつきましては所内における作業の収益を上げるために努力するとともに、そうした作業の収益の上がるような作業をも導入するということ、それからいわゆる生産性を向上させまして作業賞与金の方にも回す費用を多くしたいと、かように考えているところでございます。

原田立公明党

○原田立君 国連最低基準には「在監者の作業につき適切な報酬制度がなければならない」、かように決まっているわけでありますが、この国連基準の適切な報酬制度について現行の額と比べてみてどのようにとらえているのか。また現行のわが国の賞与金と比較した場合、十分だとは考えていないということの答弁は先ほどから何度もあったのだけれども、国連最低基準の決められたこの方針と見合わせて、わが国の実態を一体どういうふうに御判断になりますか。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) 国連の最低基準で申しております報酬は必ずしも賃金をあらわすものではございませんので、現在の監獄法で作業賞与金と言っている性格と決して違うものではないとまず法律的にはわれわれは判断いたしております。そこで問題は額の問題でございますので、この点につきましては、先ほど来申し上げました点から作業能率の向上を図ることによって作業賞与金の増額を図りたいと、かように思っているわけでございます。  なお、現在監獄法改正の作業を行っておりまして、法制審議会監獄法改正部会において審議中でございますが、法務省といたしましてその審議のたたき台となるように出しました構想におきましては、作業賞与金という名前を、仮称ではございますが、報償金に変えようというふうに思っております。この趣旨は現行の刑法等のたてまえから直ちに賃金制をとるわけにはいかないという点、及び賃金制をとりますと、どうしても出来高払い制にならざるを得ません。しかしながら、本当に仕事がなくて刑務所でもって仕事を覚えさせていかなければいけないという経験未熟の者についてこそ釈放時には多くの費用を渡さなければいけないのでございますが、賃金制だとその要望にはこたえられません。したがいまして、いわゆる作業の出来高払いの考えで、ただいまお読み上げになりました国連最低基準の報酬という点と、それから仕事を持たない者については職業訓練をして奨励するという意味の二つをとりまして、仮称ではございますが、作業報償金ということで新しい監獄法の改正におきましては規定をしていただきたい、かようにして現在監獄法の改正部会において審議をいただいているところでございます。

原田立公明党

○原田立君 ポケット註釈全書には、作業奨励あるいは所内生活の経済的意味のほかに、「釈放時の更生資金の趣旨をもたせることが重要視され、その趣旨からその増額に当局は最大の努力を払っている。」とあるわけでありますが、やはり釈放時の更生資金ということが最も重視されるものでなければならないだろうと思うのであります。大臣、この点についてはまた御質問しますから聞いておいてもらいたいと思うんですが、実際にこのような毎月千五百四十六円、出所時に二万三千円、こんな少額で果たして国連の決められたもの、あるいはまた決められた趣旨、あるいは更生資金的なものとはもうとうてい離れてしまうほどの少額では本当に再犯がまた恐れられるわけでありますが、増額に最大の努力を払うべきであろうと思うのであります。その点について具体的な方策なり見通しがあるのかどうか。実際問題、悪いことをして刑務所へ入るのだから、そこで外と同じような給料、報酬を得られるだなんてそんなことは私は言わない。だけれども、月にわずか平均千五百円だなんという、少年院についてはたったの二百円だなんというのは、これはもう前時代的な考え方ではなかろうかと思うのです。で、いまお聞きしているように、釈放時の更生資金の趣旨を持たせることが重視され、その趣旨からその増額に当局は最大の努力を払うというふうにポケット註釈全書には書かれているわけでありますが、その精神に沿っていくのかどうか。また具体的に今後どういう計画があるのか、この点をお伺いしたい。

石原一彦法務省矯正局長

○政府委員(石原一彦君) ただいま仰せになったことはごもっともでございまして、私どもはまず刑務作業につきましては五つの目的があると考えております。  その一つは、まず共同の作業が多いのでございますので、受刑者として規律ある生活を維持すると、二番目が共同生活への順応ということでございます、三番目が勤労意欲の養成、四番目は職業的技能及び知識の習得、五番目に忍耐心の涵養という点でございます。したがって、この五つの目的を達しつつ刑務作業を実施していくのでございますが、作業収益を上げるということだけに徹するならば夜も働かせる、土曜、日曜も働かせるということにならざるを得ないのであります。現在は週四十四時間の作業時間でいたしておるのでございますが、先ほど来申し上げましたように犯罪前に職業を持っていなかった者が非常に多い、また、社会においての職業的技能が足りないことから社会の劣後者となって犯罪を犯す場合も多いのでございまして、中においての刑務作業で収益を上げていくということが非常にむずかしいのであります。  なお、所内生活で不便ではないかというお話がございましたが、中で使う金につきましては、一人四、五百円を大体使う——一カ月四、五百円を使うようでございますが、これはもう、ときにあめを買うとかそういう程度でございまして、生活については何の不便もないのでございます。残るところは、出所時に持たせる金ということでございますが、先生も御指摘のように、社会でいて働くよりも非能率な働き方で、それでいて多くの費用を与えるということは、先ほど申し上げました刑務作業の五つの原則から申しまして、かえっていかがなものか、過保護になり過ぎはしないかということも考えられるわけでございます。  そこで収益の上がる作業を刑務所に導入するということを図るとともに、与えられた作業時間の中で作業能率を上げるということに今後とも努力いたしまして、その結果を見て、またそうなりますれば、いわゆる作業賞与金の予算につきましても増額をしやすくなるわけでございます。ということを目標といたしまして、今後とも矯正の部門におきましては、食糧費の問題、あるいはいまの医療体制整備の問題、いろいろな問題がございますが、この作業賞与金の増額につきましては今後とも最大目標の一つといたしまして努力を続けるつもりでございます。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 作業賞与金の額が少ないというお話ですが、私も常識的に考えてえらい少ないものだなという感じもしますね。それに対して矯正局長も増額をしたいと思っているという点はいいのですけれども、いろいろ答弁を聞いてみてなるほどなと思う点も多々ありましたが、どうも独立採算制みたいな考えが多少出てきて、余り作業賞与金を上げて赤字になると困る——そうは言ってないけどそれみたいな話がありましたが、そういう性質のものだろうかどうかという気がしますな。それにしてもずいぶん赤字は少ないように思いますね。あれだけの収益が上がって、そして食費だのいろいろなものを引いてあれしても赤字は四十何億——四十億、国鉄から見たら——そういう感じがしたんです、私は。そのくらいのことをやっぱり矯正——改化寸前の費用として社会復帰をさせるためにそんな程度のことを、いかにも赤字になる赤字になるというような調子でお答えになっていたようですが、私、よく聞きましょうそういう点は。どうも余り感心しない印象を受けました。作業賞与金はもう少し上げなければいかぬ。ただ一年六カ月で二万四千円ですね。三年いる人は四万八千円になるわけだな。そうすると、長くいるやつは十万円か。ずいぶん長いのは十五万円も持って出るのもいるかもしらぬね、そういう率でいきますと。それもまた一律にそれでいいものかとかいうような、あなたの御質問と矯正局長の答弁を聞いておりまして疑問を多々感じましたので、よく検討してまいりたいと思います。作業賞与金の増額につきましては、矯正局長も言っているように、早急にもう少し常識的な線に引き上げたいものだというふうに思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 法務大臣、先ほど私はちょっと不規則発言のようなことで申し上げたのですがね。あしたロッキード特別委員会で総理を呼んで、私ども中間報告に関していろいろお聞きをする。それに先立って法務大臣が、総理に幾らお聞きになろうともあなたがおっしゃった以外のこと、以上のことは総理はおっしゃれませんというようなことをおっしゃるのは、私はこれはちょっとあなたの立場を越えた、少なくとも総理という内閣を統括し最大の政治責任を負う人に、審議を尽くすために質問をしようとする前日にそういうことをおっしゃるというのは、これはちょっと私はあなたの立場、権限を越えた問題で、いまからあしたの国会審議に水をさすというような感じを受けましたので、それば大臣行き過ぎじゃありませんか、こう私は言ったのですよ。その点どうなのでしょうか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) あの中間報告は総理ともよく内容を詰めて、法務当局として現在の段階で、児玉ルート等解明がおくれている現在の段階では、ぎりぎりいっぱい最大限の国政調査に対する協力にも資するための中間報告でありますと、こうなっていますから、総理もそのことはよく承知しておりますからね。それで私以上の答弁を御期待になっても、そう大した御期待はできないのじゃないでしょうかねという気持ちの表明でございますから、そういうふうにお受け取り願いたいと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だから、そういうことを踏まえて私どもは聞きますからね。それ以上の答えは出ないというようなことをあらかじめおっしゃるというのはどうかということで私は聞いたのですよ。  ロッキード問題についてはロ特であしたも審議がありますから、詳しくそこでお聞きをすることにして、若干ここで要点だけお聞きをしたいのですけれども、かつて自民党政変劇抗争が激化するという状況の中で法務大臣は、捜査を預かっている立場としては静かにしていてもらいたいものだ、捜査に支障があるとは言わぬが、ない方がいいのだと、こうおっしゃった。総選挙についても同じように、総選挙という国を挙げての政治戦に入りますと、これもまた捜査をやっていくということの中ではやはり総選挙がない時期の方が捜査は好ましい。まあ、これをあれこれ考えますと、総選挙までに残されている課題の捜査は全力を挙げてやって完結させるという方針を法務省としても法務大臣の所見としてもお持ちになっていらっしゃるだろうと私は思うのですが、その点はどうなのですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 前に解散問題等ちらちらしたときに、ロッキード問題のこういうまだ捜査が緒についている、あるいは最中であるというような段階で解散なんかやられることは、法務当局としては、これだけ関心を集めている捜査当局を預かっている法務大臣としては、好ましくないということは、それは当然の常識として申し上げてきました。いまここへきて、大体総選挙の時期はこんなふうなのだと。それまでにはひとつある程度の目鼻をつけたいと思うのは当然ですね。やっぱりぶつかりますと、その期間内は選挙取り締まり等、限られた費用と人数で捜査はやるのですから、そういうことにならないうちに片づけたいという、もう非常な気持ちはありますが、総選挙の日にちはこれこれだからこれまでになんというて期限を切ってまた児玉捜査をやるべきものでもありませんし、その辺のところは御了察願いたいと思っています。一生懸命にやって、なるべくそういうぶつからない時期に明らかにしたいというつもりで一生懸命にやっているはずであります。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 それに関連して、先ほど佐々木委員からのお尋ねがあった小佐野の事情聴取を先日やられたということにも私は二、三お尋ねをしておきたいのですが、これは中間報告をなさった後、引き続き検察庁は、あなたのおっしゃったように、総選挙までにという方針のもとで鋭意捜査に努力しておられる一つのあらわれだというように私どもは期待をして見ているわけですね。  安原刑事局長にお尋ねしたいのですが、だがしかしと私は言いたいのです。いままで局長はコーチャンの証言でも小佐野氏の名前を挙げて積極的な協力をやってもらったということだとか、あるいは回想記の中で五億円が児玉から小佐野氏に渡っておるだろうということだとか、いろいろな報道がなされてきた、重大な関心を払っているという御答弁をなさってきた。私はそういう点から言いますと、このロッキード疑獄が起こった当初から児玉、小佐野という名前がしばしば具体的なコーチャンの証言をも背景にして出てきたわけですから、当然検察庁は早くから小佐野氏について事情聴取するというのは捜査の常道として当然ではないかと思っていた。ところが、小佐野氏は血圧が上がって病気になったというのは大体七月二十日過ぎからで、それまでは元気に会社に出ておった事実は、これは小佐野氏の主治医がロッキード特別委でも説明されたとおり。しかし、きのう初めて小佐野氏を事情聴取したというのは、いま言ったように、総選挙までに捜査を逐げたいという熱意のあらわれという面と、逆に言えば、捜査の常道であって当然事情聴取をしなければならないこの人に対する事情聴取がきのう初めてだとするならば、余りにも検察庁は、あらゆる情報に重大な関心を払うという言葉だけであって、やり方がなまぬる過ぎはしないかという点を私は危惧として持つのですが、局長いかがでしょうか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) きのうが初めてであるかどうかということは申し上げるわけにはまいりませんが、いずれにいたしましても、検察庁が捜査を小佐野賢治氏についてやるということにつきまして、小佐野個人に何ら検察庁としては遠慮をする立場には何もなかったわけでございますので、最近始めたといたしますれば、その捜査を開始する時期が熟してきたということだけであって、それ以外の何物でもないということはひとつ御信用いただきたいと、切にお願いを申し上げる次第でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いま局長は捜査の密行性の立場で、きのうが初めてかどうかということは言えないということをおっしゃったのです。きのうが初めてだとすれば遅きに失しないかと私は聞いているわけですね。だから含みのあるお答えをなさっている。端的に言って、最近事情聴取するということになったとすれば、その時期が熟したと考えていただきたいと、こういうお話からきのうが初めてではないという推測も私はできるような御答弁だと思うのですよ。だから、きのうが初めてではないならないということは、これは内容について伺うわけじゃありませんから、最近時期が熟したということだとの関係で、初めてなのか初めてではないのか、これはおっしゃっていただいていいのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。児玉の場合は四十回調べたとか何とかおっしゃっているわけですからね。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 御推察にお任せをいたします。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 それではこの小佐野問題、もう一点だけ局長にお伺いしますが、事情聴取なさる場合に、厳格な法的な立場で言いますと、被疑者として事情聴取をなさる場合はそれなりの手続が要りますし、たとえば黙秘権の告知ですね、参考人という場合はそういう手続は要らない。現在のところ時期が熟しているという中での事情聴取は被疑者ということでおやりになっているのか、単なる参考人なのか、この点はどうなのですか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 当然の御疑問であることは私よくわかるのでございますが、これまた被疑者であるか参考人であるかということは、注目されている人物であるだけに、どちらかということを言うことがすなわち捜査の進行の程度を申し上げるということにつながるわけでございますので、ひとつこの点もこの際はちょっと答弁することを差し控えることについて御理解ある御判断をいただきたい、かように思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 局長なかなか上手におっしゃるので、次が聞きにくいわけですがね。最近時期が熟してきたという言葉だとか、それから先ほどの言葉の含みのあることを聞きますと、アメリカ側の尋問資料の入手、それからいままでの捜査の総合的な検討から、時期が熟してきたというように聞きますと、被疑者ということで調べる可能性が具体的に出てきたというように私は推察できるわけですね。  そこで、きのうは二時間ばかりということですけれども、被疑者か参考人かは聞きません、引き続き事情聴取をしていくという方針なのか、これはあると思うということは間違いないでしょうね。二時間で終わったというのは、これは終わるわけがない。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 橋本委員もなかなかお上手にお尋ねでございまして、私も困るのでございますが、いずれにいたしましても、これからの捜査方針の問題でもございますので、これまた小佐野賢治氏の置かれている環境等から、御専門のお立場からひとつ御判断をいただきたいと、かように思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 含みのある言葉で、もうこれでしまいだという答えが出ないということで、この点は私も質問を終わりまして、いずれロッキード特別委員会で具体的な事実を指摘してお伺いします。  きょう私が聞きたいのは、著名な弁護士の皆さん十一名が先日十六日に、東京第一検察審査会に、稻葉法務大臣が行われました中間公表、これの結果を受けて、職権でもって検察審査会が、検察官か中間公表で挙げられた延べ十八名——延べ十八名ですね、この方たちの名前を明らかにできませんが、検察官が起訴しないということに対して職権で審査をするようにという申し立てがあった。この件を検察庁がどのような姿勢で受けとめていかれるかということを、きょうは法務大臣以下にお尋ねをしたいと、こう思うのです。  そこで、言うまでもありませんが、この職権発動ということで検察審査会が実際問題として審査ができるかどうかということについては、検察審査会法の定めによって、たとえば第二条の三項で、「検察審査会は、その過半数による議決があるときは、自ら知り得た資料に基き」審査を開始することができると、こういう規定がありますし、さらに第三十三条の二項には、「職権による審査の順序は、検察審査会長が、これを定める。」という明定規定もありますように、職権を発動して検察官の行った不起訴等の処分について審査ができることは、これは争いがない。そして実際の実例を最高裁刑事局からいただきまして、四十六年以後の職権審査の被疑者の人数を伺ってみますと、四十六年には三百五人、四十七年三百七十四人、四十八年四百三十八人、四十九年五百四十人、五十年には四百五十七人、施行以来の総統計のうちで一五.七%に上る被疑者に関する検察官処分に対する審査が職権で行われているという事実も、統計上明白ですね。したがって、この弁護士の皆さんの申し立てを検察審査会がこれに基づいて過半数で審査開始を議決する可能性があるという前提で、私はいまからお尋ねをしたいと思います。  その場合に、まず第一に問題になりますのは、検察審査会がこれを審査する場合に、同法三十五条で検察官の協力義務が定められている。「検察上官は、検察審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。」と定められています。つまり審査が開始されれば、必要な資料の提出は、三十五条によって、検察官の任意ではなくて義務だと規定されているわけですね、法律上の義務だと。したがって、今度のこの十三人という問題に関する限り、検察審査会の会議の正式な要求がありますと、十三人——延べ十八人、その氏名をも含めて資料の提出を要求された場合は、この審査会に検察庁は出さねばならぬという義務を負うことになる、私はこう解しておりますが、法務大臣の所見はいかがですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) きわめて専門的なことで、いまの橋本委員の検察審査会の権限等につきまして、法律の規定がつまびらかでありませんので、刑事局長に答弁をさせていただきます。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 御指摘の検察審査会法第三十五条にいまおっしゃるように「検察官は、検察審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。」とありますので、検察官は必要な資料を提出する義務がございます。ただ、検察審査会法の解釈は、むしろ裁判所事務当局でなされるべき筋のものと思いまするが、私どもこの解釈といたしましては、何が審査に必要な資料かということにつきましては、それを協力する検察官に判断権があるというふうに考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そういう考え方があるために、私はきょうわざわざ法務大臣に質問をやっているわけです。何が必要かの判断権が検察側にあるとすれば、審査会がこれが必要だと、氏名その関係資料が必要だということを言っている場合に、職権で審査を開始すると決定しても、名前もわからなければ、資料も全然これは検察官必要ないと、こう言えるだろうか、検察官の立場の解釈に立っても審査会が審査開始を過半数で議決するなら、最底限度名前は、だれに関する事件かという名前、それからそれを起訴しなかった理由について中間公表で理由が述べられている。時効とか職務権限、対価性がない。それに関する資料は出すというのは中間公表をなさったという現時点において当然必要な問題になっているではありませんか、こういう質問なんですよ、いかがですか。中間公表しない前なら、まだ議論は別です。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 私の中間報告では、不起訴にした者のうち、何で不起訴にしたかの分類を、これが二人、これが三人、それからこれはロッキード資金と関係ないためにこういうのが何人と、十三人でしたかな、そういうふうなことをやったのですね。だから、なぜ不起訴にしたかということの理由は検察官は応じて述べるべきものでしょうけれども、名前はどういうものでしょうか。必要だと向こうから言われても、こちらはそれは必要ないでしょう、これで御判断願えばできるのじゃないですかという答えをして差し支えないように思いますが、正確には刑事局長に補足説明を求めます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 名前がわからなければ審査しようがない、だれがどう考えたって。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 特定の人間であることがわからなければ検察官が公訴を提起しなかった処分の当、不当がわからぬというようなことが合理的に認められる場合は、検察官としてもその名前を明らかにすべきだろうと一般論としては思います。しかしながら、別に名前がなくても、こういう地位にある人についてこういうことについて職務関係がなかったから不起訴にしたのですということだって検察官の処分の適否は判断できる場合もあるわけでありまするから、名前をどうしても言わなければならぬかどうかは具体的な状況によるのではないかというふうに解釈としては思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 局長のおっしゃるのは一般論ですね、一般論。だけれども、ここではっきりしているのは国会議員が述べ十八名出ている、職務もはっきりしている、地位もはっきりしている、それでパターン別に起訴しない理由も出ている、こういうことですね。そうすると検察審査会が審査の議決をして審査を開始するに当たって人数だけでは、これは完全な数字です。国会議員という地位はみんな平等です。だから個別にですよ、いいですか、個別に、パターン別じゃなくて各人別に起訴しない処分が相当かどうかを綿密に審査をするというのは審査の方法としてこれは普通、通常なんです、特定の被疑者に関する処分の審査ですから。だから、いま私が言ったように十八人全部を一からげじゃなくて、個別に検察官の処分の相当性を判断するという必要が生じてくるのは目に見えている。そうなった場合には、個別の審査ということに協力するということでなかったら審査会に対する協力義務を果たしたことにならぬと思う。この段階では名前を明らかにし、その人に関する資料を明らかにするのはあたりまえではないか。当然じゃありませんか、法務大臣、その段階における……。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) それは個別にはいいですがね、しかし何のだれそれということでなくてもいいのじゃないですか。A、B、C、D、E、Fと、こういうことで、Aについては幾ら、こういう金の授受がありました。けれども、こういう関係で不起訴です。Dについては幾ら授受がありました。しかし、それについてはこういう関係です。時効なら時効で不起訴とか、それから金銭の授受はあったけれども、それはロッキードの金だか何だかわからないというようなことで、これもB、Cも不起訴と、こういうようにそういう個別にやらなけりゃならぬことについてはわかりますけれどもね、それを一々何のたれがしという固有名詞を挙げてやる必要はないので、A、B、C、Dでよかろうじゃないかと私は思うのでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 まあ、本当に何かつまらぬ議論をしていることになっちゃう感じなんですよね、法務大臣。というのは、たとえばここではね、「検察官は意見を述べなければならない。」というのは、そういうような必要ないという意見を述べることができるという意味ではないでしょうか。述べなければならないというのは、求められて述べなければならない。しかも検察審査会の要求があれば、必要な資料ですから、じゃあ名前を言わない場合、資料の中に名前が出てくる、名前の入っている資料も個別に出すということも求められれば当然なければならぬですよ、個別審査の場合はね。いいですか。しかも、この会議は非公開を法律上決めている会議でしょう。法務大臣は、国会が決めれば秘密会ならば出していいとおっしゃったのでしょう。そういう立場からいって、いまなさっている議論というのは、これは検察審査会をまるでこれは無視していることになりますよ。本当にそんなことをお考えですか。国会の中間公表で言っていることでも、国会に秘密会ならば名前言っていいとあなたおっしゃったのですよ。だから、検察審査会なら法律上非公開ですから当然だと私は思って聞いているのに、検察審査会を無視なさるようなことをおっしゃると、これは政治責任にかかわると私は思うので、もう一遍答えていただけませんか。いま私は中間公表であなたがおっしゃったことも含めて聞いているのですからね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 検察審査会で審査する目的に照らして、それは不起訴にした、不起訴処分というのが果たして妥当であるかどうかを調べればいいのですから、まあそれについてはA、B、C、Dで十分足りるというふうに思ったのです私は。どうでしょう、だめですか。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だめです。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) しかしDについてはこういう理由で不起訴処分。なるほどわかった。それはそうと。そうして相当と検察審査会でも判断した場合に、やっぱり人の名誉に関することで相当だというのだから……

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だから非公開……

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 名前まで聞かなくったっていいのじゃないですか、A、B、C、Dと……。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いいですか、人の名誉に関し捜査の密行性に関するから法は審査会は非公開だと決めているのですよ。しかも法務大臣ね、国会の秘密会云々以上にこの場合は四十四条で、審査員が秘密を漏らした場合は、これは罰則の制裁まであるのですよ。国会議員はそれはないといって私この前聞いたでしょう。それでも秘密会なら言ってもいいとおっしゃっているその姿勢が検察官の処分の当否を審査する検察審査会、これに対してなぜ言えないか。これは問題ですね、なぜ言えないか。つじつまが合わない。しかも、この第一条で検察審査会法の目的は、「公訴権の実行に関し民意を反映せしめてその適正」を期すると、こうなっているのですよ。「民意を反映せしめ」、これはまさにわが国司法の民主化の重要な一機関なのですよね。だから検察庁はみずから行った処分に確信があれば堂々と、この民主的な機関においても求められた必要な資料に可能な限り全力の協力をするという姿勢があって初めてこの機関が生きたものになるのですよ、おわかりですね、ここまでは。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) ええ。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だから審査会が、いま大臣がおっしゃった、局長がおっしゃったような意見にかかわらず個別的な氏名と個別的な資料がやっぱり必要だと、個別審査の上で、ということになればこれはお出しになるということをお考えになるのは当然ではありませんか。もう一遍そこのところはっきりしてください。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 考えるのが当然じゃないかと、考えないとは言っていないのですな。しかし検察審査会の目的を達成できればいいのであって、不起訴処分が相当か、相当でなかったのかということを判断されれば、検察審査会の目的は達せられるのですから、ABCDでですね、これはこういう理由だと言われれば、これは相当とか不相当とかいう判断はおできになるのじゃないかと思ったものですから申し上げただけで、あなたのおっしゃることもごもっともです。決してあなたのおっしゃることは間違いだなんてちっとも思いませんよ。思わぬけれども、検察審査会の目的に照らして、必要にして、それで十分じゃないでしょうかと、こう私は思ったものですから、そういうふうに申し上げているのです。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 大臣がそう思われても、これは大臣の解釈で、検察審査会の独自性、独自の判断というのはあるのですから、その御意見をお述べになった上で、なおかつ検察審査会が議決をなさって必要だということになれば、そのときは考慮をされる用意があると、こう伺ってよろしいわけですね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 先の話でございますから、いまそうして検察審査会にかかるかどうかもまだ未決定のときでございますから、もう少し事態の推移を見さしていただきたいと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 むずかしいことになると事態の推移論がこのごろよく出てまいります。はっきりしておかないと、検察審査会ということに対する検察庁、法務大臣の姿勢の問題として私は聞いているわけですね。たとえば法務大臣、当然の権限としてこの三十七条によりますと、審査会は、これは証人を呼んでも調べることができると、こうなっておりますね。証人を呼んでも調べることができる。「審査会は、審査申立人及び証人を呼び出し、これを尋問することができる。」これ不出頭の場合は、これは裁判所が召喚状を出すのですから強力ですよ。ここまでの手続きで審査会を生きたものあらしめようという立法構造になっているのですよ。たとえば証人を呼ぶ場合に、審査会が証人を呼びたいと、その証人というのは、審査会はこれはどのような証人を呼ぶことが妥当であるかは検察庁が提出した資料に基づいてしか判断できません、何にもないのですから。そうすると、この証人というのは、具体的な特定の人に関する関係で証人ということは成り立つので、類型に関する証人というのは成り立たぬのです。だから、この法構造をどこから見ても、あなたは審査会の目的を達する審査に必要な限度でとおっしゃるが、その限度は最低限、個別的審査として氏名を明らかにする、それに関連する資料を出すと、これはこの法構造から当然出てくるのだと私は言っているのですよ、おわかりですか。証人を呼ぶと言ったってどうするのですか。聞きますけれども、たとえば検察審査会が証人を呼ぶ場合に、当てずっぽに呼ぶわけにいきませんよ。具体的な資料に基づいて呼ぶと。だから、この証人を呼んで調べることができるような資料が要求された場合、それに協力しなければ、証人を呼ぶ審査会の権利を検察庁が妨害したということになる。そうでしょう。だから、具体的な資料、具体的な要求があった氏名を含めて、全面的な協力をするというたてまえを検察庁はとらなければだめだと、こう言っているのです。もう一遍答えてください。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 先ほども申しましたように、具体的な問題でございますから、余り立ち入って申し上げるわけにはいきませんが、あくまでも検察審査会の目的が、検察官が公訴を提起しなかった処分の当不当を論ずるということでございまするなら、当不当を論ずるためにどうしても個人の名前が必要だということの合理性があれば、検察官は非合理なことをいたす理由はございませんので、その点は御信頼をいただきたいと思います。たとえば起訴猶予をしたいというような場合には、これは人間の名前を明らかにしなければ、起訴猶予というのは犯罪の情状によってやるわけですから、これは特定しなければなかなか判断しにくいという問題もありますが、まあ、職務関係がないというようなことになりますと、これは果たしてそうであるかどうかという問題があって、個々、ケース、ケースで、要は個人の名前を明らかにして、国会がいまおやりになろうとしている道義的責任の帰属を明らかにするのが検察審査会の目的ではないわけであります。必ずしも個人の名前が特定してなければできないというものではないだろうと一般論としては思いますが、これは具体的なケースの問題でございますし、それから具体的なケースのことになりますると、判断をする検察官の判断というものにゆだねるべき問題でもございますので、余り具体的な事件について、こうすべきだということを、大臣ないしは事務当局にこれ以上お尋ねになることは、ちょっともう私どもとしてはお答えいたしかねるという問題でもあるということも御理解いただきたいと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 具体的なケースということでわかりますね。たとえばAということで大臣はいいだろう。Aという人の職務権限は官房長官であるのか、政務次官であるのか、これも言わなければ職務権限の審査できませんよ。おのずと名前はわかってくるのですよ。だから具体的なケースによって、検察庁が審査を十分遂げる目的に資すると考える範囲では資料は出すと、これはいま結論で局長おっしゃったから、それはそれでいいと思う。  もう一つ私が聞きたいのは、日米司法取り決めに基づく資料の非公開ということが取り決められておりまして、その資料を使うのは日本国内における司法手続き、その範囲内ということで限定されている。これの再協議問題が起こっておりますが、これはまあ別にいたしましょう。で、この審査会に提起する資料というのはケース・バイ・ケースで、必要とあればケース・バイ・ケースでいきます。アメリカが資料を必要ありと判断して提供しても、日米司法取り決めには反しないものだと私は解しておりますが、局長の御解釈はいかがですか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) この取り決めによりますと、これらの資料は、もっぱら法執行の責任を有する機関により行われる捜査、調査のため、並びにこれに伴う刑事上、民事上及び行政上の裁判、または審理に関する手続においてのみ使用するものとするということになっておりまして、私どもの解釈では、検察審査会の審査というのは、いわゆるこの取り決めによる刑事上の審理に関する手続きの中に入る。したがって取り決め上も必要ということであれば、資料を提供することは、この協定に反しないというふうに解釈しております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 その点は、局長がおっしゃった解釈は私の解釈と全く同じですし、合理的な解釈だと思いますね。ですから問題は、法務大臣、この申し立てがあったのですから、これから審査会がこれを議決すれば、直接に検察当局が、これにかかわる重大な問題になってくる、こういうことですね。そこで私は、法務大臣にお願いをしておきたいのは、今後審査会がどう動くかわかりませんが、いま国民がこの疑獄の真相解明を要求している中で、審査会がどう動くかも国民は恐らく注目するでしょう。ということは、検察庁がこの審査を十分遂げるについて、どれだけ協力なさるかということも注目するでしょう。そういう意味では、国民の期待にこたえる立場に立って積極的な検討を進めてもらいたい、こう思うのですね。  それから第二番目の問題として、時間がありませんから簡単に伺いますが、佐々木委員からは、犯罪人引渡条約の改正問題ということが提起をされました。これも重要ですが、再発防止ということに関連をして法務大臣も演説会でおっしゃっているのですが、時効の延長問題ですね、これも大きな問題になっている。現に中間報告の中では、時効によって起訴できないものの数が明らかにされている。この時効の延長問題については、これはどういう方法で時効延長ということを具体的に実現をして、将来時効の壁によって、シロとされてしまうようなことが起こらないように国民世論にこたえるか、法務省で検討されているのではないかと思いますが、法務大臣の方針があれば、お話いただきたい。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) これは時効だけを法定刑と引き離して、捜査のむずかしい、時間のかかる、そういう収賄罪だとか、贈収賄罪だとか、またほかにもそういう犯罪があるかもしれませんね、そういう点については、法定刑と別に時効を定めるというような総則でも置くかどうか、そんな点をいま検討中でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だから、その方策は検討中であるが、贈収賄罪についての時効の延長ということを再発防止のためにも具体化する必要があるということは、大臣もお考えだと、こう承ってよろしゅうございますね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 検討する必要があると考えて検討しているところであります。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そこで、これからの検討ということで二、三だけ明確にしておきたいのですが、法務大臣の談話を拝見しますと、十六日の山形での記者会見で、単純収賄罪の罪を三年から五年、受託収賄を五年から七年というように刑を重くし、それによって必然的に時効が延びるということも一方策だというように述べられたという部分がある。しかし、果たしてそれが合理的な方法であろうか。私は合理的な方法でないということをこれから申し上げたい。たとえば、私はきょう法務省から昭和四十一年から四十九年までの間の贈収賄罪事件の判決結果を資料としていただきました。これはなぜいただいたかと言いますと、単純収賄の現在法定刑は三年ですね。三年という最高の刑を裁判所が言い渡された事例を過去この約十年の間に調べてみた。そうすると、この資料によりましても、四十一年に一件、四十九年に一件、たった二件だけなのです。たった二件だけ。あとは一年以上二年、あるいは六カ月、また執行猶予が非常に多いという数字が出ている。それから受託収賄は最高五年ですね。この五年という最高刑を裁判所が言い渡された過去十年の例をとってみますと、四十一年に一件だけだということが法務省からきょういただいた資料でもわかりました。だから、これによっても、わが国の裁判所が三年、五年という上限の刑の範囲内で妥当な刑を裁判官が定めておられるということと、この上限を上げなければならぬということがいままでの裁判判決の実情からは出てこないということがよくわかるのです。  それからもう一つ、外国の立法例との比較をしてみましても、諸外国の贈収賄罪立法例と比べましてわが国の法定刑はむしろ高いぐらいで、低いということには比較法的に言っても決してならない。これは学者も言っていますし、これは立法例を比べればわかる。  そこで、私は、刑法本条そのものをいま改正するということが、そこに最大の合理性があるのじゃなくて、時効の壁で本来罰すべき人を逃してしまうという不正義が起こらないようにするには、時効の延長ということをやると、これがやっぱり一番大事な早くやるべき道だと思う。そうなりますと、刑法改正作業というようなこれは国を挙げての大問題にかかわる問題じゃなくて、時効の延長を合理的な方法で、特別立法によるか、それとも刑事訴訟法の特例を設けてやるかという方向を検討することがいまは妥当ではないかと私は思う。この点について、そこまで法務大臣はお考えかどうか、いかがでしょう。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) いま法務省で出したその裁判例ですが、まあこのロッキード事件を契機として法の運用それ自体も大分変わってくるのじゃなかろうかとも推測いたすわけですね。そうしますと、現行法でも相当法の運用はこの事犯にかんがみて変わってくるのでないかと思います、それは。  それから時効だけを特別に法定刑と切り離して、贈収賄罪みたいなものの犯罪の種類はほかにもあるかもしれませんけれども、とりあえず贈収賄罪について切り離してやるという考えについて、それがいいとかというふうにまだ私は決意をしているわけではありません。大いにそういう方法も、御説のような方法も検討に値すると。それから法定刑や何かについていろいろ御意見がありました。御意見がありまして、ごもっともな御意見だと教えられるところが多々あります。よく検討します。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 たとえば、法務大臣、旧刑事訴訟法を見ますと、旧刑事訴訟法の二百八十一条が時効に関する規定があったのですが、これによりますと、法定刑に基づく時効の期間を一項、二項とこう決めていくわけですが、その第六項で特別に、刑法百八十五条、これは単純賭博罪なんですね、旧刑法では。これだけについて時効は六月とするというように、この罪についてだけの時効を刑事訴訟法の中で決めている立法例も現にわが国にあるのですね。だから、刑事訴訟法の一部改正で贈収賄罪の時効を特別に延長するということも、わが国の法体系を根本的に乱すとまでは言えない立法論的に可能な方法の一つだと私は思うのですが、刑事局長、立法論的には私は可能だと思いますが、どうですか。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) 橋本委員御指摘のように、かつて旧刑訴におきましては、単純賭博罪についてだけ、本来ならばその法定刑から言えば三年であるところを一ランク落としまして六月という時効を決めたのでありますが、それは賭博罪というのは罪責も軽微で直ちに処罰するのでなければ刑罰の効果が少ないので公訴時効を短くしたという趣旨であったようですが、新刑訴になりましてからはそういうことを認める必要はないということで削除されたということでございます。そういうことでございまして、いわばいまの刑事訴訟法上の公訴の時効は法定刑に比例して時効が長くなったり短くなるという画一主義をとっておるわけでございまして、そうでございますが、私どもとしては、いまなお法定刑に比例して時効が定まっていくのが時効制度の本質からいって最も好ましいのではないかと思いまするけれども、いま御指摘のように、昔には賭博罪のそういう例もあり、また犯罪の発覚のしにくいものにつきましては、アメリカの模範刑法典のように、贈収賄罪についてはその公務員の在職中並びに離職後一定期間の間は、たとえ普通の場合の時効が完成しておっても、在職中に時効が完成しても、なお在職中並びに離職後一定期間は時効が完成しないとしている特例を設けているところもあるわけでございまして、必ずしも立法論として絶対に不可能であるということではないように思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 大臣、そこでいま言った刑事訴訟法の一部改正ということで早くやるという方法もありますが、いま局長がおっしゃったように、在職期間の時効の停止、退職後も一定期間、たとえばいまおっしゃったアメリカ法律協会の模範刑法ですと二年ですがね、退職してから二年の間は時効を停止しているというような考え方もある。それから、わが国の不法行為の時効の起算点は、不法行為があったということを知ったときから時効が進行する。で、不法行為があったときから二十年以内ということで、それをこの事件に、刑事事件に援用するならば、発覚がきわめてむずかしい贈収賄事件が検察庁に公的に認知をされ発覚したときから時効が進行するというようにする方法もある。たとえばこれはイリノイ州の刑法典ではそうなっているわけですね。起算点を発覚のときからという方法もある。そこで、こういうことを考えますと、刑事訴訟法の一部改正というのじゃなくて、たとえばイギリスでは、一八八九年に公共機関の汚職に関する法律という刑法典と別の独立の公務員の汚職を取り締まる法律がありますから、わが国でもこういう公務員の汚職に関する特別立法ということをつくりまして、そこでいま言った時効の起算点あるいは時効の計算方法、停止、こういつたことを総合的に、再発防止法の一環として公務員汚職取り締まり法を特別につくってやるという方法もある。ですから、私がきょう申し上げたいのは、以上のような諸外国の例を検討しながら、刑法改正という大きな、これだけで済まない大問題ということで時間をおくらすよりも、特別立法という形をも十分考慮して、総理が指示されている再発防止ということに法務省も積極的に協力されるという姿勢で臨んでほしいと、こういうことできよう質問申し上げたわけですが、最後に、大臣として私がきょう申し上げた点を積極的に御検討いただけるかどうか伺って終わりたいと思います。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 御説のようなことが問題になりましたときに、私、秘書官が検事さんですからね、この法定刑最高年限と時効を合わせるという、こういうやり方がやっぱり刑事訴訟法上というか、そういう点で絶対の原則なんだろうか、学問はどうなっているのだと聞いたことがあるのですが、それは絶対の法則ではないでしょう、諸外国にも例がありますからというようなことで、検討を要すべきことだなあというふうに思っておりましたから、御説は十分拝聴しましたので、検討さしていただきます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 終わります。

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会      —————・—————

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