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78回国会参議院1976/10/14

法務委員会 第2号

発言数
147
登壇者
12
会派数
5
開催日
1976/10/14

会議録

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  犯罪被害補償法案並びに刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  両法案の発議者原田立君から趣旨説明を聴取いたします。原田立君。

原田立公明党

○原田立君 ただいま議題となりました犯罪被害補償法案につきまして提案の趣旨を御説明申し上げます。  労働災害での労災保険、自動車事故での自賠責、一般の疾病、傷害、死亡での健康保険、厚生年金、公害被害での公害健康被害補償制度などのように、私たちが日常生活において生命、身体が損なわれた場合は、不十分だとはいえ、救済の制度が設けられています。  ところが、通り魔的犯罪、無差別爆弾テロなどのいわゆるいわれなき犯罪によって被害を受けた人たちは、どこからも特別な救済の手が差し伸べられず、精神的にも肉体的にも悲惨な状況のもとに放置されています。しかも、いわれなき犯罪は近年次第に増加する傾向を示し、福祉国家を目指すわが国としては被害者をこのまま見過ごしにしておくことはできないところであります。  わが国における犯罪被害の救済は、現在のところ民法上の損害賠償制度による以外にありませんが、同制度は訴訟の長期化とそれに伴う経費の増大を避けることができないのであります。すなわち、同制度では犯罪被害者の窮状を速やかに救済することは実際的に不可能なのであります。  仮に訴訟を起こしたとしても、加害者側に賠償責任能力に欠ける場合が多く、よくてわずかな見舞金を受ける程度、悪くするとそれすらなく、被害者の大半は泣き寝入りしているのが実情であります。中には、加害者が不明あるいはつかまらない場合も多く、現行民法の損害賠償制度は、犯罪被害の救済に対し、ほとんど効果を上げていないと言っても過言ではありません。  このように犯罪被害者に対する社会的救済措置が極端におくれている反面、犯罪者の人権保障は、刑事制裁の緩和、社会復帰対策の促進、収容施設の合理化及び近代化など積極的に推進されています。犯罪者の人権保障の充実は憲法の規定に基づくもので当然のことでありますが、同時に犯罪被害者の人権保障も合わせて充実されるべきであります。犯罪被害者の救済を怠るならば、著しく社会的公正に欠けるとともに、刑事政策上からも片手落ちの感を免れないのであります。  以上の観点から、犯罪によって身体または生命にかかわる被害を受けた場合に、国が速やかに被害者を救済する犯罪被害補償制度を樹立するため本法案を提案した次第であります。  以下この法案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、この法律の目的は、犯罪によって人の身体または生命が害された場合における被害を国が補償し、被害者またはその遺族の生活の安定を図ることとしております。  第二に、補償の対象となる犯罪被害は、日本国内における他人の犯罪行為に起因して、負傷し、疾病にかかり、または死亡した者の当該負傷、疾病または死亡としております。なお、外国人にあっては、日本国内に住所を有している場合に限り、補償の対象としております。  第三に、補償形式は一時金形式をとっておりますが、その種類として、加療期間が二週間を超える傷病の療養については療養補償金を、療養による休業については休業補償金を、後遺障害についてはその程度に応じた額の障害補償金を、死亡については遺族の態様により千五百万円または千万円の遺族補償金を掲げております。なお、健康保険法、厚生年金保険法、労働者災害補償保険法等により公的給付が支給されることとなる場合にあっては、その額を控除して支給することとしております。  第四に、扶養義務者等が加害者である場合においては、補償を行わないこととするとともに、被害者側にも犯罪行為の誘発等の責めがある場合、報復措置がなされた場合等においては、補償の全部または一部を行わないことができるとして、公平な補償が行われるようにしております。  第五に、補償機関としては、各地方裁判所の所在地ごとに、補償実施機関たる犯罪被害補償地方委員会を、法務大臣の所轄のもとに審査機関たる犯罪被害補償中央審査会を設置することとしております。すなわち、犯罪被害補償地方委員会は、三人以上九人以下の委員で組織する合議制行政機関であり、その権限及び所掌事務は、補償申請の裁定、補償給付の支給、加害者の賠償能力及び生活状況の調査等としております。また、犯罪被害補償中央審査会は五人の委員で組織し、委員は弁護士資格を有する者のうちから国会の承認を得て法務大臣が任命することとし、その権限及び所掌事務は、犯罪被害補償地方委員会が行った処分に対する審査請求の審査等としております。  第六に、補償の申請は、その申請をすることができる時から二年以内に、犯罪被害補償地方委員会に所定の申請書等を提出しなければならないこととする等、補償手続等について規定を設けております。  第七に、この法律の公布日前二十年間に行われた故意の犯罪によって被害を受けた場合も、公布日以後の補償事由について補償することとしております。  以上が本法律案の提案の理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  引き続きまして、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして提案の趣旨を御説明申し上げます。  現在の刑事補償法では、心神喪失等の責任無能力の理由によって犯罪が不成立とされ、無罪の判決を受けた者に対しても補償金が支払われることとなっています。刑事補償の本来の目的は、いわゆる犯罪行為を犯していない者に対する補償を行おうとするもので、現に犯罪行為を行い、かつ、責任無能力の理由で無罪となった者までをも補償する趣旨のものとは考えられないものであります。昭和四十三年に、殺人者が、心神喪失中の殺人行為であるとの理由で無罪判決を受けた後に、その殺人者が国に刑事補償金を請求してきた事例において、東京地裁は、決定文の中で、刑事補償金の支払いが、法律上、やむを得ないものと認めつつ、「現行刑事補償法の立法的な解決を期待する」と述べております。また、当時の法務省刑事局長も「健全常識から見て非常に非常識」と述べているのであります。速やかな立法的解決こそ望まれるところであります。しかも、さきにわが党が提案しました犯罪被害補償法案では、心神喪失等責任無能力の理由によって加害者が無罪となった場合においても、被害者等を救済することとしております。  当該犯罪行為によって、被害者と加害者の双方が国家から補償を受けるということはきわめて不自然なところであり、常識的にも納得できないところであり、無罪の裁判を受けた責任無能力者に係る刑事補償については、裁判所の健全な裁量によってその一部または全部をしないこととする必要があると考えるのであります。  また、同様の趣旨により、無罪の裁判を受けた者に対する刑事訴訟法の規定による裁判費用の補償についても、犯罪行為を行いながら責任無能力の理由で無罪となった者に対しては、その全部または一部をしないことができることとする必要があると考え、ここに本法案を提案する次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 以上で趣旨説明聴取を終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは、私から先に質問さしていただきますが、まず法務省に対してお伺いいたしたいと思います。  実は、ただいまも議員立法の二つの提案について御説明があったわけでございますが、わが党からは前国会に相続法の改正案を提出しておったわけでございます。その事柄につきまして、これも前国会の五月二十日の当委員会におきまして、政府は積極的に相続法の全面改正ということは間に合わないまでも一部改正を早急に取り込み、次の国会に提案するよう大いに努力しておるという話でございまして、そして、大臣御自身も、次の国会に間に合わせるように鋭意促進しているという御答弁をいただいておるものですから、こちらが議員立法をこの臨時国会においては見合わせているわけでございますが、その後、その経過はどうなっているのですか。実は、衆議院の八月四日の法務委員会の議事録を拝見いたしますと、これはわが党の稻葉議員から民事局長に対して、今後民事局が提案する予定の法案について質問があり、答弁をされているのですけれども、参議院の法務委員会でお述べになったこの相続法の一部改正については衆議院の法務委員会で触れておられないわけなんですね。もっと後に出す法案のことを御説明になっていらっしゃるわけで、そこら辺で私ども参議院の当委員会で御答弁なさったことと食い違っているような感じがするのですけれども、その後どういうふうな進捗状態を示しているわけなんですか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 相続法の改正につきましては、現在御承知のとおり法制審議会におきまして全般的な再検討の作業を進めていただいておるわけでございまして、御案内のとおり相当問題が多うございますので、全面的な改正法案の提出はこの次の国会というわけにはまいらないわけでございますけれども、その中でも一部について民法部会におきましてかような改正しかるべしというふうな御決定がいただけますれば、一部改正でも国会に提案したいと、かような意味でこの前御答弁申し上げたわけであります。ただいま御指摘の八月四日の衆議院の法務委員会における私の御答弁申し上げました趣旨は、現在すでに私ども事務当局においてこの次の通常国会に提案したいということを決めておりますと申しますか、さようなものだけに限って申し上げたわけでありまして、相続法の一部改正にいたしましても、現在まだ民法部会において鋭意審議中でございますので、その審議の結果を尊重するという意味におきまして、今度の通常国会に必ず提案するというふうなことを申し上げるのはいかがかと、かように考えまして申し上げなかった次第でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは、法制審議会の結論が出るのは一年以内ということはとても無理だけれども、もう改正した方がいいところだけはどんどん早く改正するのだということで、御記憶も生々しいと思いますけれども、相当具体的に、かつ、次の、結局この臨時国会の後の、ですから十二月に始まる国会に部分的に相続分の一部改正を提案するのだと、いわば一〇〇%の確率じゃなくてもまずそうなるのだという趣旨の御答弁になっているのですよ。ですから、これを読み上げてみてもいいですけれども。ところが、全然それが八月の衆議院の法務委員会のいまも申し上げている予定法案の中に入っておらないので、これは一体どういうことになっているのかと。いまの御答弁は、法制審議会の全面的な結論が出るのはまだまだかかる、これは私も承知しているわけなんです。ですけれども、前の質問の趣旨並びに御答弁の趣旨は、そうじゃなくて、これを待っていると暇がかかる、しかしいい部分は中でもとりあえず改正する、これは多分次の十二月の国会に出せるであろうと、十二月には無理でも次の国会には出せるであろうという御趣旨であったわけで、大臣もできるだけそのように努力しているというお話であったわけなので、ちょっといまの御答弁の趣旨は五月二十日の法務委員会での御答弁と違ってきているように思いますが、どうなんですか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) この前の五月二十日に申し上げました趣旨は、法制審議会の審議とは切り離して法務省だけで結論を出して提案するというふうな趣旨でお答え申し上げたわけではないのでありまして、つまり、法制審議会におきましては相続法全般についての改正に取り組んでいただいているわけでございますけれども、その審議の過程におきまして他の部分と切り離してこれだけは早急にやってもいいというふうな御決定を得たものについてその部分だけでも切り離して国会に御提案申し上げるというふうに申し上げましたわけでありまして、たとえばこの前の国会で成立を見ました離婚復氏の問題も法制審議会の民法部会におきましてこの部分だけは早急に改正していいという結論をいただきまして御提案した、それと同じような形で御提案申し上げたいと、かような趣旨なのでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 おっしゃるとおりなんです。この御答弁を拝見しますと、全般的な改正はしばらく御猶予願わなければと思いますけれども、改正して差し支えない分は切り離してでも、一番早いところと申しますればこの次の通常国会ということになるのでございますが、さような方向で極力現在努力しておりますという趣旨の御答弁なのですね。そして、その後を受けて大臣が次の国会になるべく間に合わせるよう促進いたしたいと存じますというお話でございまして、ですから、次の国会というともう目の前に来ているわけでございますけれども、どの程度これは進んでおりますか。それが出るというので、こちらは議員立法を控えているわけなのですからね。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 前に佐々木委員の御提案の相続法の改正の内容は、たしか配偶者の相続分を現行の三分の一から二分の一に引き上げるという内容のものであったと承知いたしておりますが、この相続分の引き上げと申しますか、これがいろいろ現在審議していただいておるのでありますけれども、そう簡単に二分の一に引き上げていいとかあるいは三分の二にしていいというふうな結論はまだちょっと出そうもないような様子でございます。と申しますのは、わが国の相続の実態を見ました場合に、配偶者の相続分を単に二分の一に引き上げるというふうなことだけでは必ずしも実態にそぐわない面があるわけでございまして、やはり基本的にはケース・バイ・ケースで配偶者が何を最も必要としておるかというきめ細かい配慮をしなければならないというふうな観点からいろいろ議論されておるわけでございます。この前の五月にも申し上げたと思いますけれども、たとえば、配偶者、妻が夫の死後自分で自活していくという場合の基本的な必要のあるものとして居住用の家屋にそのまま居住できるということがやはり配慮されなければならぬのじゃないかというふうなことを申し上げたと思いますが、そのようなことをするといたしますと、単純に相続分の引き上げだけでは解決しない問題であるわけであります。そういう意味から、相続分の引き上げというのは、全般的な相続法の改正の他とはちょっと切り離し難い問題だろうと思うのでありますが、そういう点の改正、相続分の引き上げというふうな改正は、ちょっとこの次の通常国会ということはとても間に合いそうもないような様子でございます。したがって、現在の実態にかんがみまして、緊急に最小限度これだけは何とか早急にしなければならぬというふうな点も現在議論していただいておるわけでございまして、そのようなものについて、できるだけ早く結論を出していただいて、できるだけ早く成案を得て国会に提出したいと、かようなことでお願い申し上げまして鋭意努力していただいているところでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまおっしゃったような妻の相続分とかいう全般的な問題は一遍には無理だということは、これはもう先日来の議論でもよくわかっていることなので、たとえばこれは前回民事局長御自身がおっしゃったように借家権の場合は、少なくとも妻は夫を失った場合にその家に借家権を承継して引き続き住める。しかも、それが持ち家である場合は、所有権はともかくとしましても、妻がその家に住み続けることができるというふうな少なくともそういう保障は生活の本拠の問題でありますので必要ではなかろうかというふうに考えておりますと、こういう御説明も民事局長の方からあるわけですけれども、そういうふうなことで、現実に妻の相続分が権利が向上するような法案が法務省からこの御答弁によりますと次の国会に出るわけですから、ですから、そうなると、こちらが相続法の一部改正案をわが党から出しておって、そして中身が食い違う、ただ事実妻の地位の向上に役立つという場合に中が食い違うと、これは結構な法律だと思っても、なかなかこちらの出している法案と違ってくるとこれもまずいというふうな考え方から見合わせているわけですからね。やっぱり、出すということであれば、もう少し具体的に現実的に、それではいま本当にこれはまず出せるのか、間に合うのかどうなのかということを、これは私は何もこういう御答弁をいただいているのだから重ねて伺う必要はないのだけれども、衆議院の法務委員会では全然このことに触れていらっしゃらないから、だから心配になるのでお聞きしているわけですね。そのあたりはどうなのですか。ただ理屈を言うのじゃなくて、現実に次の国会に出せるわけですね、お約束どおり。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 法務省といたしましては、法制審議会の自主性と申しますか、これを最大限に尊重いたしておるわけでございまして、したがいまして、私どもが法制審議会にいついつまでに結論を出してくれという注文をつけて審議をお願いするというふうなことは避けてきておるわけでございます。私どもの希望としては、できるだけ早い機会にこういう部分だけでも緊急改正を要するものは国会に提案したいという希望を申し述べて、その線に沿って御審議をしていただくということにいたしておるわけでございまして、さような点を十分御了察願いまして、法制審議会の方にも、私どもとしても、できるだけ早く、できればこの次の通常国会に間に合って提案できるように、そういうテンポで御審議の結論を得ていただきたいというふうにお願いしておるところでございます。さような趣旨で御了解願いたいと思うのでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 何だかいままでの大変な意気込みと比べると非常に後退した御答弁ですが、大臣、いかがですか。できるだけ次の通常国会になるべく間に合わせるよう促進しようという大変いい御答弁をいただいているわけでございまして、さすが大臣はいろいろと妻の味方、婦人の味方でがんばってくださる、こういうことで皆さんが大変喜んでいるわけなんですけれども、どうも事務当局の話を伺うと、本当に出すのか出さないのかわからないような感じを受けざるを得ないわけです。前回の国会の終わるころには、間違いなくとはおっしゃらないけれども、まず出せるだろうというめどで話が進んでおったのが、どうももう一つ話がすっきりしない。大臣、いかがですか、こういうことで婦人の味方、妻の地位の向上のために大臣が大変がんばってくださっていると多くの日本の婦人が感謝しているのですけれども、ここら辺でくだくだっとなったのでは大変に残念至極という気持ちがするのですが、いかがでございますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 速記録に私がそういうことを述べていることは事実でございまして、法務大臣の答弁ですから、そして、その法務大臣は法制審議会の会長でございますから、法制審議会がそういうふうになりますようこれからも努力いたしたいと思います。婦人に憎まれるよりは、やっぱり感謝されておる方が結構でございますからね。ですから、これからも大いに努力をして、それが食言にならないように一生懸命にやってみたい、こういうことを申し上げるにとどめます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 もうぜひとも、憎まれるというよりも婦人をがっかりさせないようにひとつどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  それから衆議院でお述べになっていらっしゃる商法でございますけれども、株式制度の問題、これは大体いつごろ改正案を民事局はお出しになるおつもりなのでございますか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 実は、この前の監査制度の強化に関する商法改正案を御審議願った際に、附帯決議として商法の株式会社法の全般的な見直しをやれということで相当具体的に御指摘されたわけでございますが、それを受けまして、商法部会で株式会社法の全面的な再検討、つまり、株主総会のあり方、あるいは取締役ないし取締役会の制度の改善、株式制度の改善、その他いろいろ現在審議をしていただいておるところでございまして、商法の場合には、この前監査制度の改正を出しました際にも御批判があったのでございますが、どうも商法の改正は細切れ改正の形をとり過ぎる、監査制度の改正といっても、やはり株主総会あるいは取締役会の制度と非常に関連するわけだから、そういう細切れの改正でなしに、抜本的な全面的な改正をやるべきじゃないかというふうな御批判もあったわけでございまして、まことにそのとおりなわけでございます。したがって、私どもとしては、そのような趣旨に沿いまして全面的な改正案を準備して御提案したいと、かように考えておるわけでありまして、その一環として、手始めに株式制度の改善につきまして審議されておるわけでございまして、これは恐らくいままでの作業の進渉状況から見ますと本年末までには商法部会の少なくとも小委員会におきましては結論がいただけるものではなかろうかと、かように考えておるわけでありまして、その次に、先ほど申しましたような株主総会あるいは取締役の制度その他いろいろ順次検討を続けていただいて、ただいまのところの見通しといたしましては、全面的な改正の成案を得るまでにはやはり少なくとも三、四年はかかるのではなかろうかというふうに考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それからやはり民事局からお出しになる法案で、司法書士法の改正案があるのでございますけれども、これは前回私が当委員会で御質問申し上げましたときも、できるだけピッチを上げるという御答弁をいただきまして、また事実かなりピッチを上げていままでたとえば司法書士業界側と法務省との間の懇談、打ち合わせなども一カ月に一度ぐらいのところから、もう一週間に一度というふうな状態で、どんどんピッチが上がって進んでいるということでございますが、これは衆議院の稻葉委員の御質問に対しては予定法案の中に特にお述べになっていらっしゃらないわけでございますが、最近聞くところによると、次々国会ですね、来年の末の国会に提案する、政府案としてお出しになるという説もありまして、実は日本司法書士会連合会の全国会長会議が明日から始まるわけですけれども、いろいろな説が出ているわけでございまして、一体その真偽、いつ出されるのかということが私の方にも問い合わせがいろいろあるわけでございますが、法務省とすると、これは次の国会、通常国会に政府案としてお出しになるということは間違いないわけでございますか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) ただいま御指摘のとおり、最も関係の深い司法書士の連合会と担当課におきまして細部にわたって詰めの段階でございまして、なかなかむずかしい問題がいろいろあるわけでございまして、この次の通常国会に提案ということはちょっと困難ではなかろうか、もうやはり一年ぐらい時間がかかるのではなかろうかというふうに考えておりますが、しかし、問題が提起されましてからずいぶんたっておるわけでございますので、来年末から始まる通常国会にはぜひとも提案したいと、かような心組みで努力中でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 次の通常国会というのは、今度のというのじゃなくて、五十二年の末に始まる国会ですね。それは政府案としてそのときにお出しになるということはまず間違いないわけでございますか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) これは連合会と私どもの間で詰めをやって、そして民事局の成案づくりの作業という手順になるわけでございますので、これは私ども独自で努力さえすれば何とかなることでございますので、まず来年末の通常国会には提案できるというふうに考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 この内容についてお話を伺っておりますと相当時間もたちますから、これはまた別の機会に譲るといたしまして、来年末政府案として司法書士法の御提案を大体まず間違いなく出せるというふうに承って間違いございませんですね。  それから先般の国会で民法等の一部改正案が成立したわけでございますが、特に、戸籍法の一部改正をめぐりまして、第十条でございましたか、省令で定める部分というのが戸籍法の公開の制限に対する除外例などが相当問題ではないかと思っているのでございますけれども、施行期日が十二月の一日ということになっておりますので、もう大体省令も煮詰まってきたところではないかというふうに思うわけでございますけれども、省令はいつ決まるわけでございますか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 何分にも運用の非常にむずかしい問題でございますので、私どもの心組みといたしましては、十一月の初旬に省令を公布していただきまして、十二月一日からの施行に備えて遺憾のないように配慮したい、こういう考えでございますが、近く来週早々に全国の戸籍事務協議会の連合会の総会が東京で開催されるわけでございまして、その際に私どもの案をお示しいたしましていろいろ御議論いただいた上で、その御議論を踏まえて省令案を確定いたしたいと、かように考えておるわけでございます。恐らくは十一月の初旬には公布できるものと考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 この公開の制限について、各地方自治体からも、特にその窓口になる担当者などが、現在もいろいろな問題を抱えているわけで、まあそれぞれの必ずしも同じ考え方でない要望がいろいろと出ていると思うわけでございますし、私もそうした要望をお聞きする機会が多いわけでございますけれども、また一面、この戸籍の公開に関連する業界の人たちもまた大変にこの省令の行方を安じているわけでございますが、これは前回の当委員会でもちょっと議題になっておったと思うのでございますが、五月二十日の法務委員会の法案審議の際にお述べになりました業界の方たちに対する除外例というものは、これは変わっておらないわけでございますね。何かその後の変更事項というようなことがもしあるとすれば、その業界にとると非常に大きな問題でございますので、あのときの御答弁どおり間違いなく省令に生かして織り込んでいただいているというふうに承っていいわけでございますか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは、この省令の内容につきましても非常に関心を持っている人が多いものですから伺いたいと思うのでございますけれども、まだそれは最終的に決まっておらないとすれば、突っ込んで伺うのもいかがかと思いますから、また次の機会に伺わせていただくといたしまして、ともかく、前国会でかなり積極的に取り組んでいただいておりました相続法の一部改正、これは何だかうやむやに終わるということじゃなくて、多くの国民の方々、特に婦人の方々が多くの期待と関心とを持っていることなのでございますから、ぜひとも鋭意実現方に努力していただいて、そして、当初のまあできるだけそのように努力するとお約束いただきました本年末から始まる七十九国会に間に合うように政府案として提案していただきたいということを強く要望しておきます。いかがでございますか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 私どもも、もちろんこの前申し上げましたとおりの線でこの次の通常国会に間に合わせるよう努力中なのでございますが、ざっくばらんに申し上げますと、佐々木委員御案内のとおり、各いろいろの婦人団体等においてもこの問題に非常に御関心をお持ちであることは間違いないのでございますけれども、その御意見の中身は千差万別でございまして、やはり事柄が婦人の地位に関係する問題でございますので、その辺のところの意見の調整ということもやはり法制審議会の場においてやっていただいておるわけでありまして、一つの結論を私ども事務局だけで出して国会に提案するというふうな性質のものでございませんので、そういう意味でまだ年内に結論を一部でも出すについては相当の時間がございますので、その線に沿ってできるだけ努力はしたいと、かように考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 千差万別なところを全部をまとめてほしいとは私ども言っていないわけで、いいことはちょっとでも実現に移すという趣旨で取り組んでいただいているわけなんですから、ぜひともその期待を裏切らないようにお願いいたしたいと思います。  大臣、重ねて申し上げますけれども、多くの人たちが期待していることですので、ぜひとも御促進いただきたい、いかがでございますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 人に期待を持たせてがっかりさせるというようなことは非常に不道徳なことですから、そういう不徳漢にはなりたくないもんだなと、熱心にやりたいもんだと、こう思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 どうかぜひよろしくお願いいたします。  それでは次に、裁判所に対してお伺いいたしたいと思います。  かねてからいろいろと世論を呼んでおりました財田川強殺事件の死刑囚に対して、二十六年ぶりに再審が開かれようとする最高裁の差し戻しの御決定というようなものがきのう出されまして、また再審問題に対して新たな話題を呼んでいるわけでございますけれども、この財田川強殺事件無実を訴えている死刑囚の事件の決定が出るまでの経緯、これは簡単で結構でございますから、裁判所の方から御説明いただきたいと思います。

岡垣勲最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) この財田川の事件は、まず再審の請求が最初に出されましたのは、昭和三十二年の三月十日に最高裁判所に対して出されたわけでございます。これに対しては、三十二年の四月二十三日に棄却という決定を見ております。これは再審請求した者が被告人の父であるけれども、この被告人は未成年でないことが明らかなので、有罪の言い渡しを受けた者の法廷代理人ではないということで棄却になっております。その次が、昭和三十二年の三月三十日に高松地裁の丸亀支部に再審の申し立てがありまして、これについては昭和三十三年の三月二十日に棄却と、これは取り調べた全証拠によっても、原判決の証拠となった書証だとか証拠物等が確定判決によって偽造、変造、虚偽であったということの資料がない、刑事訴訟法の四百三十五条一号、二号の再審理由に当たらないということでございます。それからその次は、昭和四十四年の四月九日に同じく高松地裁の丸亀支部に対して再審の申し立てがございまして、これが昭和四十七年の九月三十日に棄却となりました。これに対して九月三十日に即時抗告がありまして、これが四十九年十二月五日でございますが棄却された。これに対する特別抗告が最高裁判所にございまして、それに対してきのう出た決定があったと、こういう経緯でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 この再審事件が、先日来、無実を訴えている人たちにとって非常に明るいニュースが、たとえば引前大教授夫人殺しの再審請求に対しまして本年の七月十三日に仙台高裁がこの再審請求を認めたというケースもございますし、また、今年の九月十八日に加藤新一老人が何十年も半世紀以上にわたって申し立てておった強盗殺人事件についての再審請求が広島高裁で開始決定がなされたというふうなことが報ぜられているわけでございますけれども、この再審請求事件について特に最近再審開始決定が相次いで下されているわけでございますが、この特徴というようなことをどのように考えてみるといいわけでございますか、法務省の方、いかがでございますか。

藤永幸治法務大臣官房参事官

○説明員(藤永幸治君) ただいま佐々木委員御指摘のとおり、最近、本年の七月十三日仙台高裁におきましていわゆる弘前大学教授夫人殺害事件、また本年九月十八日広島高裁が加藤事件につきましてそれぞれ再審開始決定が行われ、また、昨日最高裁がいわゆる財田川事件におきまして特別抗告を認めた決定をいたしました。  これら三つの諸決定の特徴点は、いずれも昭和五十年五月二十日のいわゆる白鳥事件におきまして最高裁が決定いたしました再審の要件であります証拠の明白性に関して示した判断基準に従っておるという点が一番の特徴点であろうというふうに考えております。その判断基準と申しますのは、まず第一に、もし当該証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとするならば果たしてその確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかという観点から、当該証拠と他の全証拠とを総合的に評価して決めるべきであるということ。それから第二点といたしまして、このような判断に際しまして疑わしいときは被告人の利益にという大原則を適用すべきであるという考え方が示されたわけでございますが、これと同様な考え方に基づいていま申し上げました三決定が判断をそれぞれ下しているという点が特徴であろうかと考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま御説明にございましたいわゆる白鳥決定というようなことでかなり疑わしきは被告人の有利にという幅のある解釈がなされつつあるという御説明でございましたけれども、この再審開始決定を得ることは、私どもの常識としますと、大変に困難中の困難のことでございまして、もうまだまだ小さな針の穴を通る以上のむずかしい確率のように考えているわけでございます。そういう意味におきまして、日本弁護士連合会あるいはその他の民主団体などからも、毎度、この再審制度というものは人権擁護の立場に立脚して、もっとこの趣旨を生かして再審請求についての幅を広げるべきではないかという議論が再々繰り返され、いま申し上げました日弁連などにおいては幾たびか決議がなされているわけでございますけれども、法務御当局において再審請求についての幅をもう少し持たせる、広げるというふうな方向に立法を改正されるというふうなお考え、国民が非常に熱望していることでございますけれども、そういうことはいかがでございますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) お答えいたします。  今回の最高裁の決定は、谷口繁義に対する死刑判決につき、その事実認定を覆すに足りる明白な証拠が新たに提出される可能性があると、そういう理由で特別抗告を入れたものであります。したがって、現行制度のもとで右の決定があったからといって、いま直ちに再審制度を広げるような制度の改正をする必要はないと、むしろ右決定などを契機として現行制度の一層適切妥当な運用がなされるものというふうに期待しているわけでございます。  しかし、再審制度につきましては、質問者のような御説もあり、それから法務省としても運用の実情、諸外国の再審制度なども調査した上で、改正の必要性につきましても研究を重ねているところであります。今後ともあらゆる角度から慎重な検討を続けてまいりたいと存じます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 大臣から大変に力強い御答弁をいただいたわけでございますが、現在の再審制度でもこういう再審開始決定を相次いで見ることができているということでございますので、大いにこの運用というものを期していくということが大事であると同時に、いま諸外国の例というお話がございましたが、たとえば日本弁護士連合会などでも西ドイツの刑法学者を招いて講演会を開いたり勉強会を開いたりというようなこともいろいろやっているようでございますけれども、諸外国の例というと、いま参考になるような事例というと、どういうようなことがございますのでしょうか。

藤永幸治法務大臣官房参事官

○説明員(藤永幸治君) わが国の再審制度、諸外国の再審制度、いろいろなあり方をとっておるようでございますが、再審を認めるかどうかということを実質的な必要性に即して弾力的に決定していくという考え方は、わが国の再審制度で十分にとられておると考えております。したがって、そういう意味で再審立法についての世界的な趨勢に合致しているものと考えております。佐々木先生も御承知のとおり、大陸法系諸国、特にドイツなどでは、不利益再審という、一たん無罪になった者も新たな証拠が出てくるとまた有罪になるというような、わが国の憲法体系下では必ずしもなじまないような制度もとっておる国もございますが、わが国では、御承知のとおり、戦後不利益再審というものは廃止されておりますし、その他フランスあるいは英米法系の国になりますと、再審制度そのものがないわけでございまして、刑の執行を受けている被告人が人身保護令状によって身柄の拘束を解いてもらうというようなことで、新しい審判、ニュートライアルに入っていくというような制度もとっておるようでございます。このようなものと比較いたしますと、わが国の再審制度は決して狭いということは一概に言えないのではないかと考えます。要は運用のいかんにかかるということでございまして、一般的に言って、まあ適切妥当な運用が現在なされているというように私どもは考えております。ただ、しかしながら、佐々木先生も御指摘のとおり、四十八年以降日弁連が再審請求の手続に関して七項目にわたる刑事訴訟法の改正提案なども決議の中で表明されております。このような諸決議に盛られました提案内容につきましても、法務省といたしましてあらゆる角度から検討しているところでございます。特に再審開始決定があるとほとんど無罪になっているという現在の再審手続の実態にかんがみまして、再審請求を審理する手続の改正提案につきましては、日弁連の決議、あるいは佐々木先生の御意見も貴重な御意見として、今後十分に検討したいというように考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 前向きのいい御答弁をいただきまして、ぜひこれは日弁連でも要望を毎度していることでございますが、刑事訴訟法四百三十七条「確定判決に代る証明」のうち、「その事実を証明して」とあるのを、その事実を証すべき証拠を提出してと改めていただかなければ、なかなか現実の問題としてむずかしい。特に四百三十七条のただし書きを削除していただきたいという問題とか、あるいは判決をした裁判所のみに出すのではなくて、できればそのすぐ上の裁判所に上級審に出すこともできるようにしていただいた方が再審制度の機能を生かせるのじゃないか。また、これは上訴権がその原審の弁護人に固有の権利として上訴の申し立てができるように、原審を担当した弁護人が再審請求をする権利を持つというようなこともこれは検討していただいていいのではないか、まあそういうことを私どもも痛切に感ずるわけでございます。そういう意味におきまして、いま大臣からも大変力強い御答弁をいただいたわけでございますが、特に弁護士でもって人権擁護のお仕事にもずっと携わっておられ、かつ法学博士でもいらっしゃる法務大臣にそこら辺のところもよく今後御検討いただきまして、ぜひともこの再審制度の持っている精神というものを活用していただいて人権擁護に役立たせることができますように、ひとつぜひとも取り組んでいただきたいということをお願い申し上げるわけでございます。いかがでございますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 佐々木先生も私も、弁護士という登録——私、登録しておりますから、いまは業務を禁止されておりますけれども、そういう意味ではお仲間なわけです。したがって、おっしゃることはよくわかるわけですね。けれども、法学博士と言われても、私の法学はどっちの方角だかわからないぐらいなものでございまして、これはそういうふうにいかに御婦人といえどもおだてられていい気になるわけにはまいりません。ただし、この再審制度のことにつきましては、先ほどもお答えしたように、これからも法務省としては真剣に取り組んでいくべき問題ではあると、法曹三者のうちの弁護士連合会がああいう考えをもう打ち出しておられるのですから、それにやっぱり歩調を合わせるような方向で検討するというのが法務省の姿勢ではないかというふうに存じます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは、最後に、最高裁にお伺いしたいのでございますが、この十月八日に裁判官訴追委員会に訴追請求がなされたと報ぜられておりますところの婦人の司法修習生に対する差別発言を行ったいわゆる差別裁判官問題についてお尋ねいたしたいと思います。これは当委員会は法務委員会でございますので、この四名の裁判官が裁判官たるにふさわしいか否かというようなことは当委員会で審議する事柄ではございませんので、そのような個人的なことではなしに、司法行政全般の問題としてお尋ねさしていただきたいと思います。  これはさきに衆議院の法務委員会でも本年八月に二回にわたって取り上げられていることは御承知のとおりでございますけれども、この経過というものを簡単に最高裁の方から御説明いただきたいと思います。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 簡単に経過を申し上げます。  ことしの七月十二日に、女性弁護士の方六十一名が司法研修所にお見えになりまして、司法研修所所長に対しまして質問状と題する書物を提出されたわけでございます。  翌々の七月十四日に、先ほど御指摘の衆議院の法務委員会がございまして、その際に、私の前任者であります矢口局長から、指摘されました四名の教官及び事務局長の報告書ないしてんまつ書を法務委員会に御報告申し上げた次第であります。  その後七月二十日に、ちょうど第三十期の前期の修了式がございまして、研修所の所長からあいさつがありましたが、その中でこの問題に言及いたしまして、司法教育において女性差別は全くなかったし、今後もないことを明らかにするとともに、教官との信頼関係こそが修習の基礎であるという趣旨のことをそのあいさつの中に述べているわけでございます。その点につきましても、衆議院の法務委員会で御報告申し上げたとおりでございます。  その後、八月四日に、やはり衆議院の法務委員会が開かれまして、私からその後の事情につきましてお答え申し上げております。  飛びまして九月の十四日に、先ほど御指摘の四名のうち、山本茂教官それから川寄義徳事務局長に対しまして、書面をもって厳重注意という措置をいたしまして、中山善房教官及び大石教官に対しましては不問に付するということに決めまして、司法研修所所長から山本教官及び川寄事務局長に対して注意書を交付したわけでございます。  その後、九月三十日に、日弁連から司法研修所所長に対して要望書が提出されております。  なお、同日付をもちまして、最高裁の事務総長に対しましても日弁連から研修所所長に対して要望書を提出した旨の御報告がございました。  大体以上のような経過でございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま経過の御報告を伺ったわけでございますけれども、これは非常にいろいろ弁明書とか提出されておりまして、衆議院の法務委員会でも前局長から朗読されたりして議事録にも載って公開されておるわけでございますけれども、これはまあはっきり言いまして私どもは研修所なんてどうせ女性差別は一ぱいあるからということである程度鈍感になって、まあそのぐらいのことはあるだろうというふうな受けとめ方をする向きがこれは率直に申してあるわけなのですけれども、一般の方は研修所というところはこういうところかということで非常な驚きを持って、その受けとめ方はまた非常にショックを受けておられるというのが事実でございます。それで、女性差別などはなかったという報告を受けておるというふうなことをおっしゃいますけれども、これは何を根拠にそういうことを言われるのか。研修所の中で女性差別なんていうものはもうどこにもそこにも私どもはすべて女性差別ではないかと思うようなことが非常に多いわけなんですけれども、そこら辺のところを人事局長さんが女性差別はなかったと受けておるというふうなことをそらぞらしく御報告になり、そして、あたかも、こういう問題を取り上げた修習生、あるいはこの問題を社会的に問題として取り上げようとしている人たちの方が間違っているというように受けとめられる言動というものに対して、実は私ども大きな不満を持っているわけなのでございますね。この間、いまの御報告にございましたけれども、司法研修所から二名の川寄そして山本両教官に対して処分の書面による注意書というものが出されておりますね、九月十四日。これは大体どういう権限でこういう処分を出されたのか。そして、川寄、山本両教官には出されて、問題になっているほかの二名の教官には出されなかった、それはどういうわけなのか。まずそれからお伺いしたいと思います。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) まず書面注意の根拠でございますが、裁判所法第五十六条二項に「司法研修所長は、最高裁判所長官の監督を受けて、司法研修所の事務を掌理し、司法研修所の職員を指揮監督する。」とございます。この規定に基づきまして、指揮監督権の発動として注意という措置をしたものでございます。現実の運用といたしましては、注意には口頭による注意と書面による注意がございまして、書面による注意の中にさらに厳重書面注意という、運用といたしましては三種の措置がございます。このたびの措置は、このうち最も重い厳重書面注意ということが選択されまして、司法研修所所長といたしましては、現在とり得る措置の最も重いものでございます。  なお、次に、山本教官及び川寄事務局長に対する注意書の内容でございますが、一応読まさせていただきます。山本茂教官に対する注意書は、   貴官は、昭和五十一年五月二十八日、第三十期司法修習生見学旅行の往路列車内において、女子修習生三名に対し、女性が法曹人として活躍することを否定していると受け取られるおそれのある発言をした。   右の発言は、貴官の職責に照らし、遺憾である。将来ふたたびこのようなことがないよう厳重注意する。  次に、川寄義徳司法研修所事務局長に対する注意書の文面でございますが、   貴官は、昭和五十一年五月二十八日夜、第三十期司法修習生見学旅行の懇親会に出席したが、右懇親会終了後の二次会において、男子修習生数名に対し、女性が裁判官になることに消極であると受け取られるおそれのある発言をした。   右の発言は、貴官の職責に照らし、遺憾である。将来、ふたたびこのようなことがないよう厳重注意する。  以上でございます。  それから不問に付しました大石教官に関することでございますが、すでに御承知かと思いますけれども、私どもといたしましては、大石教官の発言の要旨は、社会は女性の進出にとって十分にやりやすい状態ではない、その中で女性が法曹としてやっていくには男性にも増して覚悟と能力が要るのではないか、だから男性以上に修習に励んで能力をつける必要があるという趣旨のものであるというふうに考えます。いわば社会の現実の姿を説明して、むしろ女性修習生を激励したものでありまして、何ら非難さるべきものでないと考えて不問に付したのでございます。  次に、中山教官に関する件でございますが、中山教官の発言の要旨は、女性修習生で修習終了後家庭に入ってりっぱな家庭を築いておられる人がかなりいる、せっかく法曹資格を取得していながら家庭に入るのは一見もったいないという感がしないでもないけれども、主婦としてりっぱな家庭を築き、優秀な子孫を世に送り出すのも一つの賢明でりっぱな生き方ではないかという趣旨のものであろうかと思います。中山教官の発言はいわばそういう女性の例を紹介したものでございまして、それ自体女性差別の発言ということは認められませんし、また発言当時の状況から見まして女性差別と受け取られるおそれということも認められないということで不問に付したということでございます。  なお、その発言当時の状況等申し上げましたけれども、中山教官の問題の発言は、修習生同士のクラス対抗のソフトボール大会の後、近くの喫茶店にクラスの者がほかの教官と一緒に入りまして簡単ないわばパーティーを開いた席上でなされた発言でございまして、もちろんその中にも女性の修習生もおられまして、特に女性修習生がそのソフトボールに大いに活躍したことが話のきっかけとなってこのような趣旨の発言になったようでございます。  なお、申し落としましたが、大石教官の発言は、大石教官のクラスの者が自宅を訪問いたしまして、自宅でおもてなしをして、その際に話したことの内容でございます。この際も、もちろん女性修習生もおられたようでありますが、決してその席上でほかの修習生からどうも教官の発言がはなはだ穏当でないというような趣旨の発言はなかったようでございます。  まあいずれにいたしましても、ただいま申し上げましたように、不問に付しました両教官の発言の内容及びその発言当時の状況からいたしまして不問にいたしたわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 私はいまの御説明を聞いていまして、たとえば不問に付した中山教官の発言ですか、その話自身が非常な女性差別じゃないか。私は、そういう報告を聞いて、家庭に入ってどうのこうのというようなことの発言したこと自身がもう重大な女性差別じゃないかと思うのですけれどもね。そこら辺の認定自身が研修所というところ全体がおかしいのじゃないか。それが女性差別の発言でないというふうに思われているとすれば、私はその思う方がまたこれおかしいのじゃないか、非常に世間の感覚とずれがあるのじゃないか思うのですよ。たとえば、いまお読みになった注意書を見ても、いずれも女性が裁判官になることに消極であると受け取られるおそれのある発言をした、と。おそれも何も、これはおそれじゃなくって、そうした発言ずばりじゃないですか。それをなぜおそれと言うのか。おそれどころの話じゃない、そのものずばりのこと、それをおそれというふうに考える方自身がまた非常に差別的な閉鎖的な社会と申しますか、一般の国民感情からは大変に遊離した感情の持ち主ばかりではないかというふうに思うわけですね。  話をもとへ戻しますけれども、この司法研修所からの注意書というものがございますけれども、この四名の方々はいずれも東京地方裁判所の判事の身分を有していらっしゃると思うのですけれども、この司法研修所の所長名の書面による注意と裁判官分限法との関係はどうなるのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 問題になりました四名は、いずれも御指摘のとおり東京地方裁判所判事の資格を有しております。注意措置をいたしました根拠は先ほど申し上げたとおりでございますが、繰り返しになりますが、注意自体は、所長からの行政監督上の措置でございます。さらに、裁判官分限法による懲戒の問題が御指摘のとおりございます。分限法によりますと、その当該裁判官所属の裁判所から申し立てがありまして、本件の場合ですと、東京高等裁判所が、いわば分限裁判所として裁判の形式で分限事件を取り扱うということに相なろうかと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 その東京地方裁判所長——所長ですか、分限法の。いまちょっと私うっかりしておりましたが。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 所属の地方裁判所でございますので、具体的に申せば裁判官会議になろうかと存じます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 その裁判官会議では、どのようになっておるわけですか、結論が出ていないわけですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 東京地方裁判所から分限の申し立てをするという報告は受けておりません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 衆議院の法務委員会では、最高裁判所としても最高裁自身が監督権の発動をするという制度もあり得るという御答弁を勝見局長はなされていらっしゃいますけれども、最高裁の監督権と司法研修所長の処分とはもちろん別個のものでしょうね。最高裁はいまどのような処置をとっていられるのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 前回私が最高裁判所も措置の主体たり得るというふうに申し上げましたのは、行政監督上の上級庁としての最高裁判所でございまして、御指摘のとおり分限事件とは全く系統を異にするものでございます。  なお、最高裁判所といたしましては、司法研修所所長の措置によって必要にして十分なる措置をとられたということで、行政上の措置は現在はとるつもりはございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま問題になっている四名の方は、いずれも東京地方裁判所の判事の身分で、なお問題になった当時の現職、それぞれ事務局長あるいは三人は教官という地位に現職どおりにとどまっているわけですね。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 仰せのとおりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これはやはり非常に問題が多いのではないかと思うのです。これはいろいろと議論のあるところですけれども、こういう思想の人が現地のそれこそ国家の最終的な意思表示をする第一線の裁判官にそれじゃまた出ていくということになるのも、これは国民に与える影響というものを考えると大変に憂慮されますし、といって、いまここに教官等にとどまっておるということは、現実にこの問題を取り上げた修習生の人権との関係で、いまその人たちは現地修習に行っているわけでございますけれども、これまた大変に複雑な問題が起こってくるのではないか。特にこれは日弁連でも調査をしたことは御承知のとおりですですけれども、また国会で調査をするというふうなことになるや否やは別として、なるとすれば、またその当該教官のことをその修習生が述べる。これはいろいろな点でむずかしい事態が起こってくるのではないか。事実、それが現職にとどまっているということが、この事件のもみ消しの大きな圧力にならざるを得ないのではないか。そのあたりについていまどのように人事局長としては考えていられるのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) このような事態を引き起こしまして、報道陣が一斉に報道されましたことこれ自体が一つの大きな社会的な問題として注目を引いたわけでございます。それにも増して、御指摘のとおり、教官と修習生との間の関係ということにつきまして、おっしゃるとおりの問題があるいは生ずるかもしれません。しかしながら、本件にあらわれました四名の教官の発言及びその当時の状況というものから考えまして、確かに司法研修所の所長が先ほど申し上げました三十期の修習生の前期修了式の際にあいさつの中にも述べておりますように、教官と修習生との間の関係が全く破綻を来すようなことがあってはならないことはもうおっしゃるとおりであると思います。ただ、四人の教官及び事務局長を現職のままそのままにしておくこと自体が、この事件の、事件といいますか、このケースのもみ消しということになるというふうに私どもは考えておりません。なお、訴追委員会に申し立てがございまして、訴追委員会の方でどのように措置されますか、もちろんこれからの問題でございますが、教官自身のすでに御報告申し上げております釈明書、及び御本人たちが直接お呼びがかかりましていろいろなことを申し上げることになるかもしれませんが、私どもといたしましては、このようなことで修習生との間に、ある程度の、いわば、何といいますか、決して喜ばしい状態ではないと思いますけれども、だからといって、この教官及び事務局長を更送することによって、いわば信頼関係が回復されるということに当然になるかどうかということについても、むしろ問題があるのではないかというふうに私は考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは信頼関係といっても、単なる人間同士の一対一の信頼関係の回復云々というのではなくて、これは一方は法曹を養成するための国家の全くの独占的な機関であって、この研修所が気に入らないからもう一つの研修所へ行って自分は法曹になるのだといってみたって、ここ一つしかないのだから、好むと好まざるとにかかわらず、ここを出なければとにかく法曹になれない、国家が認めた唯一の機関なんですからね。そこで教官の言うことが理に合おうが合うまいがその教官を批判したり、きらわれたり、にらまれたりすると、その不利益を受けるのは教官じゃなくて、ことごとく修習生本人なんですから、全く信頼できる人間関係云々というような関係ではなくて、一方は修習生から見れば絶大な権力者であり、一方は全く無力な、そこを通らなければどうにもならない人間ばかりなんですからね。これはそういうふうな見方で人事局長が——修習生だって裁判所の職員名簿にちゃんと載っていますよ。そういうふうな角度から、ただ円満な人間関係がというふうな一対一の対等な関係に置かれている人間同士の問題を言うているわけじゃないわけでしょう。そこら辺、どういう配慮をしておられるのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいまのお尋ねの中に、ある修習生がきらわれたりにらまれたりというお言葉がございましたけれども、本件の場合に、どういう修習生がどの教官からにらまれているのか、あるいは憎まれているのかということにつきましては、少なくとも私どもは、今度のこの事件に関する限り、特定の修習生を、まあいわばお言葉どおりで恐縮でございますが、きらったり憎んだりするというようなケースはないというふうに考えます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 人事局長、ちょっと頭がおかしいのじゃないですか、えらい悪いですけれども。その教官を修習生が証人になって調べられることになるわけでしょう。弁護士会の調査でもそういうことでしょう、証人が修習生ですから。何もいまにらんでいるとかきらっているとかいうのじゃないですよ。本当のことが言えるかどうかという力関係を言うているわけですよ。そんな単純なことがわからないで、最高裁という大きな人間の集団をコントロールといいますか調整していかなくてはならない人事局長が、そんな、いま現にだれがだれを憎んでいるとか、そういう問題じゃないと。そんなことじゃないでしょう。力関係の問題です。一方は教官じゃないですか。教官がうんと言わなければ修習生はどうにもならないじゃないですか。その修習生から見ると絶大な、社会一般から見ると研修所の教官はそんな絶大な権力があるというわけじゃないけれども、そこを通らなければならない修習生の側から見れば、少々の無理でも白でも黒と言わなければしょうがない。黒でも白と言わなければ、これはどうにもならぬじゃないですか、そこを出ないと法曹になれないのだから。そういう力関係に置かれている教官と修習生の立場というものを人事局長としてどう考えているのかと言うているのに、わざと答弁をはぐらかしちゃ困りますね。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 修習生が、いわば教えられる者として、教官との関係が一対一の普通の対等な関係でないという御趣旨でございます。まさにそのとおりであろうかと存じます。ただ、本件に関しまして、恐らくその発言を聞いた修習生はわかっているはずでございますので、その修習生を一々呼んで、その際教官の発言がどうであったかということにつきましては、裁判所側及び司法研修所は一切いたしておりません。さらに、日弁連等におきましてどういう調査をされたかは私どもはつまびらかになし得ませんが、報告書によりますと、修習生から事情を聴取したということが書いてございますので、恐らく修習生をお呼びになってお調べになったと思います。先ほどから申し上げておりますように、司法研修所といたしましては、まさに佐々木委員御指摘のような関係がございますので、修習生を一々呼んで事情を聴取しないということにしたわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 最高裁が修習生を呼んで調べたのか調べてないかとかいうことをいま聞いているのじゃないですよ。たとえば日弁連あるいは国会という他の機関がこの事件をいま調査に入ろうと。また日弁連は入ったと。国会の方は事実上どういうふうにするかはまだこれから決まっていくこととしても、事実他の機関が調査をする場合に、一方は調べられる方は教官であり、それの証言をするのは修習生で、全くフリーな人間関係ではない。それに対して、あなたがいま問題になっている人たちを教官の立場に置いておくということは、結局のところは、修習生の自由な発言というものに対する大変な制約を与える。事実上黙らせてしまう。あるいはものを言った人間は非常に不利益を受けるおそれもある。それこそおそれですよ。そういうことについて多くの裁判所の職員を担当していらっしゃる人事局長としてどういう配慮をしておられるかと、その私の質問の趣旨がおわかりにならないはずがないですよ。それがわからなければ人事局長がお勤まりになるはずはない。その問題をはぐらかすのはどうかと思いますね。私の質問の趣旨に対する答弁をしていただきたいわけです。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) どのような場でどのような形で具体的に修習生が事情を聴取されるか、これは将来の問題かと思いますが、その際に、その事情を述べたということによって修習生が不利益を受ける、受けるおそれがあるというようなことは私どもとしては考えられないことでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 考えられないと。しかし、世間には常識というものがありますからね。裁判官は人間じゃないわけじゃなくて、考えられないとあなたがおっしゃったところで、これは考えられないという人は非常に少ないと思います。はっきり申し上げて。ただ、何だかんだとおっしゃっても、裁判所で考えていただかないといけないと思いますことは、私も弁護士会で修習生を十年ぐらい預かってきていますけれども、これは大低の弁護士がやっているとですけれども、ただ現地ではそれほど問題がないにしても、しかし、特に婦人の修習生等をお預かりしたときにお伺いする不満というか、恐れというか、まあ恐れと言った方が適当かもわからないと思いますけれども、教官あるいは指導官に対する不満とか恐れというものは、まあ非常に心酔される、慕われる指導官もたくさんあると思いますけれども、それが、どういうものか、法曹三者が指導しているにもかかわらず、もう全部と言ってもいいくらい裁判所の教官ですね。研修所には、裁判の教官もあれば、検察の教官もあるし、弁護教官もあるけれども、検察教官のことやら弁護教官のことが問題になるということは私は寡聞にして余り聞かないわけです、まあ一、二の例外はあるでしょうけれども。ところが、もうことごとく裁判教官です。この裁判教官という人が、みんな検察教官とか弁護教官と比べると非常に差別意識の持ち主ばかりが裁判所に集まっていると。もしそういうことだとすれば、憲法を守らなければならない裁判官に差別意識の人間ばかりが集まっているということになってゆゆしい問題だと思うのです。ですけれども、そんなへんてこりんな人間ばかりが裁判所に集まっているというふうには私は思いたくないわけで、または思わないわけですけれども。とすると、これは年々歳々裁判教官のことばかりが問題になるのは、私は、個々の裁判官の思想、信条とか、そういう問題じゃなくて、これは裁判所という、まあ研修所というところの所属は裁判所になっているからもありますけれども、裁判所というところが、ある目的を持ってそういう教育をし、そういう訓練をしていると言わざるを得ないと思うのです。もしそうでなくて、検察教官もおり、弁護教官もおり、裁判教官もいるときに、裁判教官ばかりが後で問題を起こす人ばかりだということになれば、裁判官というものが人間的に社会常識的に欠けた人間が集まっているということになって、これはまたそれなりに非常に大きな問題だと思うわけですけれども、私は、むしろ、いま言っているように、何かの一つの目的を持って当たっている、裁判教官がその目的で修習生を教育するから、そこに裁判教官との間ばかりにトラブルが起こるのじゃないか。そのあたりは人事局長としてどのように考えているのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 司法研修所の教官につきましては、当然のことでございますけれども、いま御指摘のような差別意識を持った者ばかり集めているというようなことはございません。むしろ、私どもといたしましては、司法修習生の教育に適した現場の裁判官から選んでおるつもりでございます。このたびも問題になりましたのは裁判教官ばかりではないかという御指摘でございますが、まさにそのとおりでございますけれども、この質問書を提出するに当たりまして、すでに御承知かと存じますけれども、三十期の修習生の中でアンケートをとった書面が私どもの手にも入っておりますけれども、その中には、いろいろな修習生生活に対する批判なり意見なりがたくさん述べられておるわけでございます。私どもといたしましては、当然、一方的な強権的な教育をやっているつもりはもちろんありませんし、修習生の意見に耳を傾けて、よりよい司法研修所としての教育の実を上げたいというふうに考えているわけでございまして、決して一つの目的を持って差別意識を持った教官ばかりを選んで研修所に送り込んでいるというようなことはございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 もう時間がありませんから、最後に、いまもお話にもありましたけれども、教育者としてりっぱな人を選んでいると。それがこれなんですね。だから、その選ぶ基準というものが、社会的に見たときに、国家的に見ても、やはり狂っているのじゃないか。むろん、優秀というのは、その尺度のとり方があるけれども。たとえば、いまの中山教官の発言なんか見ましても、これはもういまどき婦人は社会に出て働くべきか家庭に入って夫と子供のために奉仕すべきか、そんな議論なんか国際社会でどこもやっていないですよ。婦人は働きたければ当然社会で働く。その能力に応じた職場を社会が国が保障しなければならないし、また、職業に生きる男であろうと女であろうと、それが望むならば十分家庭生活を人間として享有するだけの社会の土壌をつくらなければならない。それが国家であり、社会でしょう。いまどき、女はうちにいて子供を産んで夫に仕えるべきだとか、そんなことを議論しているところはないわけですよ。国連の場においても、どこの日本よりもずっと発展のおくれていると思われている発展途上国、第三世界の国々でも、みんな人間の基本的な権利として希望する以上、社会的にその能力を十分発揮できるとともに、その人たちがまた私生活においても幸せな生活ができるだけのものを社会が保障しなくちゃならない。これはあたりまえのことであって、自分の女房とか自分の恋人に仕事をやめて家庭に帰ってくれと、これはいいでしょうけれども、仮にも教官という立場にある人間が、いまの国家の目的、そして世界の動向からかけ離れたような、もう全く前時代的な一世紀おくれたような話をこういう研修所の旅行中といえどもそういう場でやっており、また、それがそれで女性差別じゃないのだと研修所の所長が認定し、また、それを最高裁の失礼ながら大変優秀だと思っている勝見局長までが是認するということになると、やっぱり物事をはかる尺度というか基準というものが裁判所というものがもし狂っているとすれば、これは大変なことだと思うわけなんです。ですから、研修所の教育とか研修所のあり方というものについても、もっと広い国際的な視野に立って、少なくとも、日本的にも世界的にも通用するような、単に判例を人よりたくさん知っているとかそういう基準で人を選ばないで、もっと将来の日本のため世界のために役立つ法曹を育てていく。そこら辺に少なくとも研修所の人間の評価と世間一般の人間の評価との間に物すごくずれがある。これは私は私なりにいつでも感ずることなんです。そこら辺について、最高裁は、こういう問題を契機として、自分を守ることばかりじゃなくって、もう少し反省すべきだと思うし、やはり私が思うのは、研修所で足らないところはそういう教育が足らないわけですよ。研修所の一般教養の中に婦人問題についての講義を一時間でも二時間でも設けたらどうですか。世界行動計画とか世界人権宣言についての勉強もしたらどうですか。そういう教育にこの問題を契機として最高裁が入れかわり、もしそれをなさらないとすれば、あえて合目的的な女性差別の教育を研修所で行っているというふうに言われてもこれはいたし方がないのではないか、私はそのように思うわけですし、国民を裏切ることになると思うわけなんです。これは最高裁判所のために研修所があるのじゃなくて、りっぱな法曹を育てるということは国民のためにりっぱな法曹を育てるのですからね。そこら辺の観点を根本的に間違わないようにしていただきたい。局長、どういうふうにお思いになりますか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 男女平等の原則につきましては、日本国憲法を持ち出すまでもなく、また、ただいま仰せになりましたように、世界の趨勢につきましても、全くおっしゃるとおりであると存じます。司法研修所の教育におきましても、男女差別という問題につきまして、はしなくも世上に大分報道されましたけれども、私どもといたしましては、今後こんなことがないように十分配慮したいと思います。

原田立公明党

○原田立君 社債発行枠の拡大の問題についてお伺いいたします。  社債枠の拡大については、すでに電力またはガス会社については特別法でそれぞれ四倍、二倍まで発行できるようになっておりますが、また、一方、一般事業会社についても社債発行の限度を引き上げる方針ですでに昨年暮れから検討を始めているとのことでありますが、その経緯及び見通しについてお伺いいたします。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 私どもの実態調査の結果によりますと、昭和五十年におきまして、基礎産業、特に鉄鋼それから鉄道、これは民営鉄道でございますが、あるいは化学工業等におきまして、商法の二百九十七条の規定による社債の発行限度近くまで社債がすでに発行されておるというふうなことでございます。御承知のとおり、景気が上向きかけてまいっておるわけでありまして、設備投資が活発にされることによって景気の回復あるいは雇用の増大というふうな問題に関連してまいるわけでございますが、その場合に設備投資は御承知のとおり長期資金でもって賜うべきものであろうかと思うのでありますが、その最たるものとして、社債発行によって会社が資金を調達するというのが筋であるわけであります。さような情勢を踏まえまして、商法の現行の二百九十七条の規定による社債発行限度の枠が今後のわが国の経済事情から見て適当であるかどうかという問題が根本的にあるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、商法がそのような枠決めをしておるということでせっかく設備投資のために社債発行をしたくても法律的に許されないというふうな事態に相なりますれば、まことにわが国の経済の面からゆゆしいことになるわけでございますので、できるだけ早急にこの問題を検討しなければならぬということで。本年の三月ごろから法制審議会の商法部会におきまして社債の発行限度枠の拡大について御討議をいただいておるわけであります。いま御指摘のように、すでに電力会社、ガス事業につきましては、昨年の通常国会におきまして、現行商法の枠の、電力会社については四倍、ガス会社については二倍まで枠が拡大される法律的措置がとられておるわけでございまして、それもにらみながら、先ほど申しましたような事態に対処するために何らかの特例法を設けるべきではないかというこうに審議が煮詰まってきておるわけでございまして、まだ具体的にどういう特例法案を作成するかということについては確定案的なものは固まっておりませんが、そのような方向で現在商法部会で検討中でございます。

原田立公明党

○原田立君 すでにこの社債枠の拡大について法務省としては法制審議会商法部会にメモか何かをお出しになって事前検討を求めているというような話も聞いておりますが、いまもちょっと説明がありましたけれども、この問題の方向性ですね、それは一体どのようなところに置いておられるのか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 私どもが事務当局試案的な意味で商法部会に御提案してたたき台的な意味で御審議を願っておる案は、骨子を申し上げますと、現行の商法の枠の二倍まで社債の発行枠を広げると。ただ、現在の商法二百九十七条の規定が、御承知のとおり、資本金及び準備金と会社の純資産額とのいずれか低い額を限度にして社債が発行できるということにいたしております趣旨は、やはり主たるものとしては社債権者の保護にあると思うのであります。そういう社債権者の、これは主として一般国民から社債を募集するわけでございますので、そういう社債権者の保護も十分配慮しなければならない。さような意味で、枠は二倍には拡大するけれども、その商法の現行の枠を超えて発行する場合にはすべて担保つき社債でなければならない、かような内容の試案を商法部会で御検討していただいているわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 答申を得た上で次期国会提出のお考えのようでありますけれども、その内容については、いままで二、三お伺いしましたけれども、保護の面を十分に強化してそれで出していこう、こんなふうな考えですか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) やはり重点は社債権者の保護を基本にして考えなければならないわけでございまして、その点が非常に問題だと思うのでありまして、現在の商法自身の規定を改正するということが直ちにできませんのも、その辺が大きな理由だろうと思うのであります。時限的な立法措置で商法の現行の社債の限度枠の規定をどのようにするかという結論をできるだけ早く出していただくつもりでおりますけれども、それまでの間のつなぎとして先ほど申し上げたような骨子で特例法をつくってはいかがか、かような考えでございます。

原田立公明党

○原田立君 一時期法務省、大蔵省、通産省間の意見の食い違いがあり、調整が必要であると言われておりましたが、各省間の調整、意見交換についてはどのように行われていたのか、これが一点。  それから一部新聞報道によりますと、早急に問題を解決するにはある程度の条件はやむを得ないと妥協線を打ち出しているように思うわけでありますが、いまもそのような意味のお話がありましたが、要するに社債権者保護等の立場からも安易な妥協は避けるべきであると、こう思うわけであります。この点は一番今回大事な問題でありますので、局長並びに大臣の御答弁をいただきたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 関係各省としまして御指摘の大蔵省、通産省と協議を重ねておるわけでございますが、通産省所管の先ほど申しました電気事業、ガス事業の特例法は担保つき社債でなければならぬというふうな制限がないわけでございますので、社債の本来の発行のあり方といたしまして、無担保社債の発行が奨励さるべきか、あるいは担保つきの方に力点を置くべきかというところは、これは一つの政策論としましていろいろ論議があるわけでございまして、通産省の方は、電気、ガスとの関係もございまして担保つきでなければならぬということがその均衡上どうであろうかという御疑問がある程度でございますが、この点は協議の結果意見の一致を見まして、担保つきに限るということで調整ができております。それから大蔵省の方は、大筋におきましては私どもの考えに異論はないわけでございますけれども、全部担保つきということはいかがなものかというふうな御懸念もあるようでございます。  一つ考えられますのは、外債、これは最近相当活発化しておるわけでございますが、外債はむしろ無担保のものが大部分でございまして、それの突っかい棒として銀行の保証制度があるわけでございますが、それが一つと、それから御承知の転換社債は現在無担保で発行されておるものが大部分でございます。そういうふうなことがあるので、すべて担保つき社債でなければならぬというのは少しきつ過ぎはしないかという御意見があるわけであります。そういった外債あるいは転換社債につきまして、外債の方はいま申しましたように社債権者者の保護ということからも銀行保証が必ず併用されておるという実態、それから転換社債はやがて株式に転換するものでございますので一般の社債と同じような社債権者の保護をそこまで考える必要はないのではないかということが十分考えられるわけでありまして、そういった意味で、原則は社債権者保護のために全部有担保にすると。ただ、現在の実情あるいは合理的な理由のある外債、転換社債については例外的に無担保での発行を認めるというふうな方向を考えておるわけでありまして、したがいまして、大蔵省とも意見の食い違いはないというように考えております。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 民事局長が答えましたとおりでありますが、社債発行枠の問題につきまして原田さんのおっしゃる社債権者の保護に十分留意すべきであるという御意見につきましては、そのとおりであると私も存じます。

原田立公明党

○原田立君 現在、社債発行枠は、資本及び資本準備金の総額または最終の貸借対照表による会社の純資産のいずれか一方の少ない方に制限されておるわけでありますが、今回検討されている内容は、この制限を二倍に拡大することになっている。いま局長もお話があったわけでありますが、このような枠を拡大する必要性をどう法務省は認めるのか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 先ほど申しましたように、設備投資を行わなければならない会社が相当ふえてきておるわけでございますけれども、その設備投資の資金調達の方法として最も適当な社債発行ということが商法の現行規定の枠いっぱいにすでに社債が発行されておることから、社債発行によって今後の設備資金の調達が法律的に不可能になっておるというふうな事態でございますので、これはやはり法務省といたしましてはそのような事態の生じないように設備資金の調達のために社債が発行できる法制をつくらなければならぬと、かような必要があるからでございます。

原田立公明党

○原田立君 発行枠拡大のねらいは、社債が企業の有力な資金調達の手段となってきたことにあるというのであります。また、いまもお話のあったように、限度いっぱいにもう社債を発行しているので、それではもう資金調達ができない、そういうようなところから二倍に引き上げようと、こういうふうなところだろうと思うのでありますが、仮に発行企業が経営危機に陥った場合、社債権者に対しての危険負担はそれだけ実際大きくなるわけでありますが、現行限度額を超えて発行するものに対しての対象については具体的にはどのような対策を検討するのか、要するに歯どめですね、どのようなことをするのか、その点はいかがですか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) 私どもの法務省の所管の問題といたしましては、先ほど申しましたように、現行の枠を越えて発行する部分に関しては、必ず担保つきでなければならぬという原則を立てることによりまして社債権者の保護を図りたい、かように考えておるわけでございます。そのほか、御承知のとおり、社債発行につきましては、大蔵省等のいろいろな行政的な一つの指導と申しますか、あるいは抑制といいますか、調整ということがあるわけでございまして、もちろんそのような行政機能は社債権者の保護を考えてのことでございますので、その辺の機能も十分発揮していただけるというふうに考えているわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 現行の商法二百九十七条で、社債発行限度を、資本と準備金の総額もしくは純資産のいずれか少ない方に抑えているのは、倒産という事態が生じても社債が紙切れ同然になることのないようにしたもので、社債権者の保護を目指したものだと、こう思うわけであります。ところで、過去における興人の倒産に見られるように、社債を発行しておきながらずさんな経営を行った先例もあり、商法二百九十七条の目的に反するとの意見もある。この点に関しては、この事例を通して今回の措置に法務省としてはどのような見解をお持ちですか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) これは基本的な問題なのでございますが、現在の商法の二百九十七条の規定は、一般に言われていますように、社債権者の保護を考えた規定と。つまり、倒産しても社債権者が迷惑をこうむることのないようにということだと言われておるわけでございますけれども、実は、二百九十七条の規定は、社債発行する時点における要件であるわけでありまして、つまり資本金及び準備金と純資産額のいずれか低い額において社債を発行すればその社債の発行は適法ということになるわけでありますが、その社債を発行いたしましてから当該株式会社が銀行等から一般の借入金を多額にした場合、これは実質的には社債権者が無担保でございますと同列になる、あるいは一方の借入金正有担保であれば借入金の方が優先するということになるわけでございまして、さような意味から二百九十七条を考えますと、実は徹底的なといいますか、社債権者の保護に欠くるところがないというふうにはちょっと言えない問題のある規定だというふうに私は思うのであります。そこにやはり単に発行枠を抑えるというだけでは社債権者の保護として十分でないという根本問題があるわけでございまして、その辺のところか、いま直ちに商法二百九十七条を改正して十分社債権者の保護を図れる措置を代替的なものとしてつくるという必要があることから、その措置がなかなか間に合わなくて、根本的な商法の改正ができないというのが実情でございます。しかし、他方、いま申しましたように、緊急に社債発行の必要性があるわけでございますから、そのような意味で、先ほど申しましたように、抜本的な改正がされるまでの間のつなぎとして特例法を出し、しかも、社債権者の保護としては一歩前進したというふうに考えられる必ず有担保のものでなければならないというふうなことによってこの緊急事態をしのぎたいと、かような考えでいるわけであります。

原田立公明党

○原田立君 二百九十七条の社債権者の保護とあわせて枠拡大は社債の依存度を高めることになり、自己資本の充実がおろそかとなり、ひいてはずさんな経営につながるのではないかと、こう心配される向きもあるわけでありますけれども、この点については、局長、どんなふうにお考えですか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) お説のとおり、自己資本の充実、つまり新株発行によって資金調達をするというのも一つの大きな柱であるわけでありますが、御案内のとおり、現在の経済事情のもとでは新株発行がきわめて困難な実情にあるわけでございまして、さようなことから、筋としては新株発行と社債発行の二本立てで長期資金を調達するということが一番合理的なのでございますけれども、経済事情から新株発行がはなはだ容易でないという客観的な情勢にあるわけでございます。したがって、理屈は理屈といたしまして、最近の設備投資の必要性を十分満たすためには、やはり現実的に資金調達が可能である社債発行ということによってやらざるを得ないという事態に相なっておるのではなかろうか、かように考えておるわけであります。その枠を拡大することによりまして、新株発行ではなくて社債発行ということのみによって資金を調達するというふうな安易な運用が心配されるという御指摘でございますが、これは両方の資金調達の方法が可能なときに一方だけをもっぱら使うというふうなことがあるいは安易ということの批判につながるかもしれませんけれども、いま申しましたように、新株発行が容易でないという客観的な事態でございますので、さような安易に発行することになるということは新株発行との対比においては言えないのではなかろうかというふうに思うわけであります。ただ、社債の発行だけの資金調達を当分とらざるを得ないという事態におきましても、その社債が一般の社債権者保護に欠けるような乱発と申しますか、さような事態はこれは避けなければならぬことは当然でございまして、現在、御承知のとおり、担保つき社債に限るといたしますと、担保附社債信託法のもとで社債発行がなされることに相なるわけでありまして、大蔵大臣の認許を得て受託機関になる金融機関も特定しておるわけでございまして、おのずからそういった中身のないと申しますか、一般の社債権者に将来不測の損害を与えるような社債発行ということは、おのずから担保附社債信託法のもとで調整される、抑制されるというふうに考えておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 よくわからないのでありますけれども、アメリカの場合などは企業の自由にまかせているのだそうでありますが、その裏打ちとして、社債の格づけが厳格で、投資家が安心して社債を買える体制が整っているということであるそうでありますが、わが国の場合はまだまだこの点も不十分だろうと思うのであります。また、拡大からそういう制度撤廃に発展するのではないかという意見もあるやに聞いておるわけでありますけれども、それらについての見解はどうなのか。また、社債の格づけの適正化についての見解もあわせてお伺いいたしたいのであります。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) お説のとおり、社債権者の保護という面から申しますと、現行の商法の二百九十七条の規定は、先ほど申しましたように十分でないわけでありまして、本来、筋といたしましては発行枠の限度を設けるということによって社債権者の保護を図るというのでは不十分といいますか、ちょっと方向が間違っておるのじゃないかというふうにも思うのでありまして、やはりこれは、個々の社債が発行される都度、それを応募する一般大衆に、この社債はこのような内容のものである、この会社の経理状況はこのようなものであるというふうなことを十分わからせる、いまお説の格づけというふうなこともそのことのあれでございますが、そういうふうなきめ細かい、一般に十分周知さした上で社債を応募するかどうかが国民の方で決められるような、そういう一つの制度と申しますか、そのようなものをつくらないと社債権者の保護としては十分でないとふうに思うわけであります。そのような制度がいま直ちにつくれるかということに相なりますと、遺憾ながらなかなかまだそこまでの地盤ができていないというのが現状だと思うのであります。しかし、この問題は大蔵省におきましても早急にそういう地盤づくりとそういった制度を設ける方向に検討中であるわけでございまして、そのような措置がとられることによって社債権者の保護を図るというふうな方向で考えるべきだろう、かように考えておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 一部の意見ではありますけれども、今回の社債枠拡大は社債枠の撤廃につながる引き金になるのではないかというような心配をする意見もありますが、確かに発行制限を法律で規定している国は先進国の中では少ないそうでありますが、現に日本機械工業連合会などから法務省に対して発行枠の撤廃を要請したとの報道も聞いているわけでありますが、その点は本当なんですか。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) これは、この前に株式会社法の全面改正ということで各関係方面に意見を徴したわけでありますが、その中で、この社債の発行枠というのは必ずしも合理的でないから撤廃してもらいたい、あるいは枠を拡大すべきだという一般的な意見は寄せられておりますし、先ほど申しましたように、いろいろの会社におきまして社債の枠が足かせになって社債発行ができないということで、早急に商法の改正をやってもらいたいという要望はいま御指摘の団体のみならず、各方面から参っております。

原田立公明党

○原田立君 いずれにしても、大企業優遇の措置を強化し、一般の社債権者への負担が大きくなることは絶対に避けなければならないと思うのであります。局長も大臣も、先ほど社債権者への保護は絶対にやらなければならないという点は大いに強調なさっておられたけれども、最後に、この点に対して局長並びに大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○政府委員(香川保一君) もう十分御理解賜っておると思いますけれども、社債発行限度の枠の拡大という問題は決して大企業保護というふうなことではないわけでございまして、社債発行限度が足かせになって設備投資ができないということになりますれば、それだけ景気回復もおくれる、あるいは雇用不安にもつながる問題でございますので、国民経済の見地から早急に拡大をしなければならぬ、こういうふうな考えでございます。その場合に、お説のとおり、社債権者の保護ということは基本的な問題として十分配慮しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 社債発行枠の拡大が現在のわが国の経済上必要があるという点は、原田さんもある程度はお認めいただいた上での御質問のように私は聞きましたのですが、それにしても、御注意になるような点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、十分尊重して戒心していかなければならない、心を警戒していかなければならないというふうに私は思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私は、きょうは法務大臣に右翼の問題について若干所信を伺いながら事実を明らかにしていきたいのですが、前の法務委員会で私は暴力団の抗争問題を取り上げて断固たる取り締まりを要求いたしました。右翼の問題ということになりますと大きな問題ですが、残念ながらきょう私に与えられた時間がごく短うございますので、できる限り時間を守るという立場でお尋ねをするわけでございます。端的なお答えをひとつお願いをしておきたいと思います。  言うまでもありませんけれども、右翼ということになりますと、戦前の右翼の問題は、軍国主義思想とも結合して、日本をあの戦争の惨禍へ追いやっていく中で重要な役割りを果たしたことが反省されるわけですね。しかも、五・一五事件、二・二六事件、こういったことに影響を与え、犬養あるいは岡田、こういった総理や、団琢磨のような財界の要人に対するテロまでやった。こういう右翼のテロ化する行動というものは今日の憲法下、議会制民主主義のもとでは許されないということは、法務大臣の所信としても当然だと思いますが、この点まずいかがでしょうか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) お説のとおりですが、お説のとおりだけでなく、今日の民主主義下においてああいうテロが許されないのみならず、旧憲法下においても許されるべき問題ではありませんな。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 まさに私の言葉足らずを補っていただいたような答弁で、そのとおりだと思うのです。  ところが、戦後におきましても、私は昨今の右翼の動向を非常に注意して見なければならないと思うのです。たとえば、わが党の宮本委員長に対して熊本空港で刃物を持って襲いかかるという事件もあった。それだけでなくて、社会党の浅沼委員長刺殺、この残虐なテロを忘れることはできません。   〔委員長退席、理事原田立君着席〕 それだけではなくて、ことしに入って、何と、右翼は五月には吉沢泉が外務委員会にまで乱入をして総理に迫っていくというような行動をやった。現在これは起訴され、公判中のようであります。次に、その翌月の六月はこれはまた公衆の面前で筆保安定が一国の総理を殴り倒すというような事件まで起こしている。まさにこういうような右翼の行動は許しがたいわけです。  私は、ここで、特にいまロッキード疑獄事件で問題となっている児玉譽士夫との関係に注目して、断固としてこういった根を断たねばならぬと思うのです。たとえば、青思会、いわゆる青年思想研究会、この青年思想研究会というものが、右翼事典の記載によりましても、「児玉譽士夫の指導下にあって日の丸青年隊、交和青年隊、防共挺身隊などを主力とする行動性の強い協議体」と、こう書いてあります。いま私が指摘した外務委員会乱入事件の吉沢、これは青年思想研究会の一団体である大日本生産党の行動隊の副隊長ということになっている。だから、戦後もこのようなテロ化する傾向が厳しく批判されなければならない右翼の行動の一翼に隠然として児玉譽士夫の影響力がある、こういう問題が否定できないわけです。   〔理事原田立君退席、委員長着席〕  この児玉譽士夫の団体は、ことしの秋、九月の六日から三日間、長野県の戸隠高原で軍事訓練まで行っている。この実情がまた法務大臣、大変な状況であります。新聞は「右翼秋へ動く」ということで大きく出しましたが、私どもが撮った写真で生々しい状況を見ていただいても、まさにこのように旗を立て、そして網で囲まれた自動車で出動する。そして、その状況はどうかと言えば、鉄かぶとをかぶり、私どもの言葉で言えば乱闘服に身を固めて集結をする。そして、この広い戸隠高原に一列に並んで軍事訓練を行う、こういう状況になっている。この状況を新聞の報道で明らかにしてみますと、こういった七十人余りの集結した部隊は、軍隊調で前へ進め、こういった号令をかけた後、続いて技術訓練に入った。こう書いてあります。「一人で五人を倒し、相手を血だらけにして抵抗力をなくす」こういう目的でこの武闘訓練をやる、公然とこう言われている。そして、カシの長い棒を持ちまして、これによって、この新聞にあるように、砂じんを上げて突撃の訓練をしている。いわば、これは具体的な目的を持っておるならば、騒動予備罪でも適用しかねない状況の行動が行われているわけですね。このような行動について、われわれは無関心ではおられないわけです。  さらに、それだけではありません。この青思会の北上清五郎氏がどう言っているかというと、新聞でこう言っております。「自民党の〇〇、財界の××は断じて許せない。〇×会社は制圧しなければならない。われわれのやり方は、ベ平連の一株運動などといった、ナマやさしいものではない」と、こういう発言まで飛び出していると新聞は書いておる。こういう武闘訓練が財界、政界、革新政党を問わず、総理襲撃にも見られるように、こういうことが野放しに行われるならば、今日の議会制民主主義これ自体が破壊されるということは明らかだ。こういった右翼の行動に対して、検察当局は、議会制民主主義と法秩序を守る立場でふだんからこれに対する対策を十分検討して、このような右翼のテロ化する傾向に対しては取り締まりを強化するということをやらねばならぬと私は思いますが、大臣の所見はいかがですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 私が就任をいたしました  のは昭和四十九年の十二月の九日でございましたが、その後法務省の省議メンバーの初会合のとき、法秩序維持の重点として暴力の徹底的取り締まりということを第一番に掲げておるのは、私が  あなたの所説に全く同感であるからであります。今後も一層その取り締まりの強化をいたしてまいりたいと存じます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 その大臣の初心を貫いて本当にやっていただきたいのです。国会周辺を、委員会をやっている間でも、大きなマイクでがなり立てて右翼が走り回っている。整然とした民主団体のデモとは異質です。時、所を構わず走り回っている。これもひんしゅくを買う行為であると私は思っているのです。今後、浅沼事件、あるいは総理襲撃事件、こういった日本における右翼のテロということが断じて起こらないように、断固として取り締まりをお願いしたい。  ところで、そういうように大臣がおっしゃる当の影響力を持つ児玉譽士夫ですが、この児玉譽士夫はこのような青思会を育てているだけではなくて、国際勝共連合、われわれはこの国際勝共連合は多くの資料によって、CIAやKCIAとも関連があるのではないか、朴政権と密着な関係があるのではないか、反共を売り物にしているけれども、狂信的な右翼団体ではないか、こういう危惧を持ってながめております。現に、ことしの九月、アメリカの移民局でも、この国際勝共連合と一体となっている原理運動関係者、これをアメリカ国内での活動が不相当だとして国外退拠を要求するということまでことしの九月六日の新聞が報道しているのを私は読んでおります。この国際勝共連合日本支部は一体だれが育てたのか。これは、資料によりますと、一九六七年の七月に国際勝共連合設立の会議が開かれて、ここにも韓国側の文鮮明と並んで児玉譽士夫、笹川良一氏、これが出席して設立されたというように報ぜられている。こういう国際勝共連合の関係においても、この右翼とのかかわり合い、あるいは児玉譽士夫とのかかわり合いで私は注意しなければならぬと思うのです。法務大臣にお聞きしたいのですが、私が自治省で法務大臣、あなたの政治資金関係の資料を拝見しておりますと、一九七四年十二月二十七日付で、新潟東堀前四丁目国際勝共連合に政治資金会費として二万円をあなたが拠出しておられる記載が自治省に届けられているのですね。この国際勝共連合に七四年つまり四十九年に二万円をあなたが会費として納められたということは、この国際勝共連合とあなたがこのときだけでなくていろいろな関係で関連がおありではないかと私は思うのですが、どうなのでしょうか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 国際勝共連合の会合にかつて出た覚えがありますね。そのときは何かまじめな団体のように思いましたが、その後やや疑問を持つに至って、その関係を遮断いたして今日に至っております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 寄付された事実、届け出は間違いないですね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) それは間違いないのじゃないでしょうか。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 法務大臣は疑問を持つに至って関係を断つ、こう言われたが、依然として児玉は設立以来影響力を持っている。それだけでなくて、法務大臣御自身が率直に正直に国会で仰せになったように、児玉譽士夫とは面識の仲だ、こういうことで何の因果かそういう関係だということをおっしゃったわけですね。この児玉譽士夫とあなたが何回かお会いになったというのは、たとえば釣りを一緒にするとか、碁を一緒にするとか、そういう関係じゃなくて、公的な関係ですか、お会いになった関係、児玉と。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 会ったというよりは、ちらちら見る方が多いのですね、十何回とか言ったうちの大体は。一番話をしたのは、例のジラインのあのときに紹介してくれといって、いろいろ株式の話なんかしておったけれども、私、株はさっぱりわからぬものだから、そんなようなことですな。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いま法務大臣の口から前にも国会であなた自身がお述べになったジライン事件の問題が出てまいりまして、児玉が直接大臣を訪ねて河本さんを紹介してくれという話を持ってきて紹介なさったということですね。ですから、児玉は人を介さずに、直接あなたに会える関係というものが一応あった、これは間違いございませんね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) それは間違いないです。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そうですね。いまおっしゃったジラインですが、その関係で検察当局は論告とは直接の関係はありませんが、捜査を行われて、水谷を起訴されました。このジライン関係の事件で、児玉に対しても多額のフィクサー料あるいは報酬が入ったと新聞に報ぜられておりますが、事実はどうなんですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 事実はそのとおりあるように聞いております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 児玉に入った金額をお聞きになっていると思いますが、幾ら入ったというふうに聞いておりますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 金額は明瞭に聞いておりませんが、あなたの方でおっしゃるのは、ここに質問書には二億円と、こういうものも入れて、だからこれも認めて、そして国税庁から告発されましたから、脱税で起訴をしていると、こういう関係になっておりますな。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 その関係はもう少しまた詳しく聞きたいのでありますが、少なくとも児玉にフィクサー料もしくは報酬として二億以上の金が入ったと私は言えると思います。それは間違いありませんね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 金額は……

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 正確でなくとも結構です。二億以上……。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 正確ではないようですね。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いや、どのぐらいと大臣は見ておられますか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) それは今後の公判維持のところにちょっと響きますので、大体二億という程度にしておかれたらどうでしょう。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 新聞が報道しておるのも大体二億程度という報道もある。  児玉が右翼にこのような影響力を隠然として持ち、その力を背景に事件に介入してフィクサー料、報酬を受け取る、配下に恐喝その他をやらせるというような問題、そしてさらに公然と彼の影響下にある右翼を集めて戸隠高原でまさにわれわれが一般市民が見れば恐怖感を感ずるような武闘軍事訓練をやる。その児玉の関係を甘やかしてはならぬと思うのです。この前、私は、暴力団を徹底的に取り締まれない一つの理由として、政治家とのつながりがあって甘やかされているのではないかと指摘をしたのです。それと同じようにこの右翼との関係でも、自民党の有力な政治家とのつながりという問題、これがきちっと正されなければ、児玉も右翼も甘やかされるという問題が依然として残るのではないか、私はこの点を心配するのです。たとえば二月の四日といいますと、まさにアメリカの上院ではコーチャンが衝撃的な証言をしているその日です。この二月四日に、帝国ホテルでは、児玉の有力な幹部であり青思会の有力な幹部であり右翼の大物である西山光輝氏の引退披露パーティーが行われた。これは千人から集めて公然と行われたわけです。これはもう多くの人が知っているわけです。このときに、当時現職であった安倍晋太郎農林大臣を初めとして、十数名の政治家が招待されて列席をしているということが報ぜられている。また、国会議員ではないけれども、P3C関係で疑惑を持たされている相澤英之氏も出席していると新聞は報じている。有力政治家が十数名ずらっと並んで右翼の大物の引退披露記念パーティーに顔を並べるというこの姿が、日常的に自民党政治家と右翼とのつながりが深いということを国民に思わせる、こういう状況になっているわけですが。私は、いまあなたがおっしゃったように、いまの右翼の動向、戦前の動向を見るならば、自民党政治家の皆さんは、これは思想は自由ですよ、思想は自由ですが、具体的な政治家の行動として、えりを正して、このような右翼の大物とだれもが知っている集会に公然と大臣以下出るということは慎むべきではないか、私はこう思うのですが、政治的モラルの問題として大臣はどうお考えでしょうか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 人のことはともかくとして、それが私のこの前ごあいさつに申し上げました、特に言動を慎み、まじめにやっていきたい、私はそういうつもりで、そういう会合に私が出るというようなことはありませんな。唾棄すべきですよ、そんなことは。さように思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そうすると、あなたはこの集まりにお行きになっていないことは私も知っています。祝電とかそういったことをお寄せになったこともないですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 記憶にございません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 微妙な御答弁なんですね。わかりました。  そこで、大臣、これがまあ二月四日の話ですが、先ほどのジラインの話に戻りますけれども、私が調査したことで大臣にかかわる問題ですけれども、このジライン問題の解決を、ジラインのメインバンクである大銀行から何とか解決してもらいたいという相談をあなたがお受けになって、衆議院のあなたの議員会館の部屋に太刀川をお呼びになって話をされた事実、こういう事実はいかがですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 全然ありません。それはうそです。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 これは絶対ないということですね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) うそです。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そうすると、ジライン関係にかかわられたのは、児玉を紹介したという事実以外はないと、これはもう断言なさっている。これは間違いありませんか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) ありません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 特に私は今日ロッキード疑獄という問題で児玉ルートの捜査が難航しているという問題を国民が注目をしている。その中で、法務大臣自身も、あの児玉ルートは高い峰であり、きわめて困難だということをおっしゃっています。病状を理由にしていまだに強制逮捕、そういった処置もとられていないし、捜査が進捗していないということについて、国民は右翼と政治とのつながりということについての疑念を再び持ち始めている。こういう中で、私は先ほど児玉の有力な幹部である西山氏の披露パーティーに有力な政治家が十数名ずらっと並ぶというような状況を一つの例として指摘したのです。こういうことはない方がいいということは大臣もおっしゃるとおりですが、私は、今日まで児玉関係で捜査をなさってこられた過程、今後の過程で、児玉がどのような政治家とどのようなかかわりを持っているのか、これはやっぱり政治姿勢を正す意味において何らかの形で明確にすべきだと思っているのです。たとえば、児玉が政治献金をした政治家はだれとだれ、金額は何年度幾らであったか、あるいは児玉の団体に逆に寄付をした政治家はどなたがいつ幾らぐらいなさっているか、そして、児玉とそういう政治資金関係だけでなくて、児玉が主宰、顧問、あるいはその他関係する団体の顧問なんかになっておられるというようなことがどの政治家にあるとかないとか、こういったことも正すことが私はロッキード疑獄事件とも関連をして今日の右翼の芽を摘んでいくという意味で、政治的、道義的責任を正すという意味で、これはなすべきことではないかと、こういうふうに私はいま考えているわけなんです。  今度は、中間公表があした行われるわけです。そういう意味において、あしたすぐに間に合わなくとも、児玉ルートの捜査の関係の中で、児玉との具体的なつながりのある政治家と、そのつながりの態様ですね、そして、できればもちろん事件とのかかわり、こういったものも明らかにしていくということが必要ではないかというように私は考えておるのですが、大臣のお考えはどうでしょうか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) ロッキード事件に関しての児玉とのつながりについては、犯罪の容疑ある範囲において厳正に捜査することは当然ですね。それから個人のつながり、普通のつき合いとかそういうことについては、検察、法務省の直ちに関与すべき問題ではなく、政治家がその生活においてえりを正す、行動においてえりを正す、言動を慎むという性質のものでなかろうか、こういうふうに思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そういう御意見もあろうかと思いますが、国会自身が国会の立場で政治的、道義的責任の解明という立場でやるということは、これは大臣も否定なさらぬと思う。それに協力するという意味、内容において一定の捜査でわかっている範囲の協力をなさるということは、これはいいわけですね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 国会がロッキード事件に関して道義的、政治的姿勢をお正しになる、それに政府が協力する、これは当然ですね。ただ、ロッキード事件に関係なく、一体ああいう暴力団の頭みたいなやっとつき合っている政治家はどうだと、そういう意味の一般的な政治家の姿勢とか、道義的責任とか、政治的姿勢とか、これを国会が別にお正しになるという場合に、それは議長裁定みたいなものがまたあれば、そして、政府が協力すべきだという約束をすれば、それは協力すべきものですな。今回のは、ロッキード事件に関し、その道義的、政治的責任を追及するために国会の国政調査権の発動について協力する、これだけですね。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 時間がまいりましたので申し上げますが、いま私が言ったのは、ロッキード事件に関して、この構造的疑獄の政治的、道義的責任を明らかにする上で、児玉を中心とする戦犯右翼との政治のかかわり、これを明らかにするという必要を国会自身があると判断して協力を要請すれば当然応じてもらっていいわけだ、こういう考えで申し上げたわけで、この点は御理解願いたいと思います。どちらにしても、質問時間が終わりましたので、私はきょうはこの程度で終わります。また引き続いてお尋ねをします。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 病気というものに対する無理解から人間が非常にべっ視されている、差別されているということがいま起きておりますので、これをベースにしてお伺いをしたいと思うのですが、厚生省にお伺いしますが、いま難病の中でベーチェットというのがございますけれども、このベーチェットという病気に対してどういうふうな厚生省は認識を持っていらっしゃるでしょうか、ちょっとお伺いしたい。

古川武温厚生省公衆衛生局難病対策課長

○説明員(古川武温君) ベーチェット病は、症状を申し上げますと、口の粘膜あるいは外陰部の潰瘍、こうしたところに潰瘍ができる、そうした病気で、進行しますと失明に至る、こういうふうな非常に重篤な病気でございます。症状としてはそういうふうなことを申しましたが、実体は全身病、そういうふうに考えなければいけないと思います。ただ、この病気についての原因については四十七年から難病に指定しまして研究を進めておりますが、その以前、昭和四十年あるいは四十五、六年、その前からこの研究については厚生省で取り組んでいるところでございます。  一番問題になりますのは、こうした原因のわからない病気について、これが伝染病ではないかというふうな一般的な疑問があるわけでございますが、ただいま申し上げましたように陰部の潰瘍ですとか、こういうふうなものを主徴にしますが、夫婦間でこの病気がうつる、うつされるというふうな報告はございません。また、全国調査もいたしておりますが、全国的に患者が特にどういうふうな特定の地域に多発している、患者が多いというふうな事実もございません。こういうふうな点から申し上げますと、べーチェット病は伝染病でないというふうに申し上げられるわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 いま厚生省の方としては全国的にこのベーチェットの患者の数をどのぐらい把握なさっていらっしゃるか、ひとつお伺いします。

古川武温厚生省公衆衛生局難病対策課長

○説明員(古川武温君) 昭和四十七年に全国的な規模で調査をしたことがございます。この際の全国の推定患者数は八千五百というふうに推定されております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 その数はまあ大体一般的に認識されている数なんですけれども、帝京大学の医学部の教授の清水保先生のお話によると、潜在的な方々もいらっしゃるでしょうし、どういうわけか、日本という国は重症心身障害者のことに関しましては非常にそれを外へ出したがらない御家庭が多いので、それ相当の数がおると思いますけれども、清水教授は万を超しているというふうに見解をなさっていらっしゃいますが、厚生省はどういうふうに……。

古川武温厚生省公衆衛生局難病対策課長

○説明員(古川武温君) 失明者の割合等から推定した数がございます。これはただいまお話のございました清水教授の推定だろうと思われますけれども、それによりますと、一万を超える数が出てまいります。ただ、厚生省といたしましては、全国的に研究班を組織し、それぞれの権威に集まっていただいた研究班の推定でございますので、八千五百というふうな数字を公式に確認しておるわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 それで、厚生省で研究班を組織されておるのは存じておりますけれども、こういったたベーチェット病の患者に対する厚生省の取り扱いといいましょうか、あるいは専門の病院あるいは施設、こういうものはあるのでしょうか。

古川武温厚生省公衆衛生局難病対策課長

○説明員(古川武温君) 厚生省におきましては、ベーチェットをまず難病対策が始まりました昭和四十七年から特定疾患に指定しまして、その患者が一番不安に思っている原因の究明あるいは治療等の確立、こういうふうな点に焦点を置きまして研究を行ってをります。現にまた治療を行っている患者さんもあるわけでございますので、そういう意味では患者さんの医療費の自己負担、これについて全額公費で補助する、こういうふうな制度を持っております。ベーチェットの患者につきましてはそうした医療費の面あるいは研究の面で積極的に進めるというふうなことでは、ほかの難病同様に、不十分ではございますが、医療機関の整備については医務局において国立病院の研究機能あるいはマンパワーの養成、そうしたものを合わせたいわゆるセンター的な病院をつくり、これを整備強化し、さらにそのもとにそれに協力する病院を整備するというふうなシステムで難病の病床整備を行っているところでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 そこで、社会福祉法人全国ベーチェット協会というのが発足しまして医学博士の福山正臣さん、この方が事務局長でやっておるのですけれども、こういう篤志家ですかね、こういう方々の集まりて、しかも素人の方々——こういうことに対しては素人、お医者さんではありますけどもね、医学的専門の立場からごらんになって。こういう方たちが奉仕をなさって、御自分たちの財産を抵当にまで入れて更生施設をつくろうと、それ以前に厚生省の方に何度も足を運んで、普通の盲の方の更生施設と違って、難病課長ですからよくこのベーチェットの内容はおわかりだと思いますけれども、失明をした後でも全身にけいれんが起きたり、ですからリハビリテーションをやっている最中でもその病気が起きてくる、けいれんを起こしたり何かする。ですから、普通の盲の方がリハビリテーションで更生する作業を行うのと違って、そういう病気がまた出てくる。それを治療しながらあるいは押さえながらリハビリテーションを行わなければならないという特殊な状態がこのベーチェットの患者の中にはあるということについて、全国のいわゆる更生施設を再三再四にわたって厚生省にお願いに上がっているのにもかかわらず、厚生省がこれをそのたびにけったというのは、どういうところに原因があるのでしょうか。

金瀬忠夫厚生省社会局更生課長

○説明員(金瀬忠夫君) ベーチェットの病気の方の治療と更生という問題につきましてはいろいろ医学的な問題も関連ございますし、実は正直申し上げまして私は社会局の更生課長でございますが、身体障害者という立場でとらえてみます場合には、いろいろの失明者の更生施設がございます。ただ、身体障害者というのは、症状が固定して身体障害の状態になられた方、身体障害者福祉法で救うというにはそういう対象の人でとらえて更生施設がございます。そういう意味におきまして、医療が伴う対象者については身体障害者福祉法上はとらえ得ないというふうな問題がございまして、そういうことから、どちらで整理をするかということに実は多少手間取ったという問題がございます。現在の段階は、いま先生が御指摘のように、私ども、失明者になられました身体障害者の更生施設という形でとらえまして社会福祉法人の認可をしたというのが実情でございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 ここに九月の二十五日の毎日の全国版にベーチェット病友の会埼玉県支部事務局長斉藤とみさんという方の記事がありますけれども、「ベーチェット病の患者が友の会を結成してから満六年になりますが、厚生省に施設を要望しても、苦しいのはベーチェット病だけではない、と実現の道は絶えてをりました。」こういうふうに書いてあります。今後、いまの更生課長のお話の内容を伺っておりますと ベーチェット病対策として厚生省がそういったいわゆるリハビリテーションの施設をおつくりになる気があるのかないのか、あるいはどこかにそういった施設を併合してやる気があるのかないのか伺わせてください。

金瀬忠夫厚生省社会局更生課長

○説明員(金瀬忠夫君) 私ども、現在、失明者に対する更生施設といたしましては国立が五カ所ございます。これはその失明の原因によって成立するものではなくて、失明者全体としてとらえて、その中で失明者の更生を図ろうという趣旨でございます。したがいまして、いま申しました五カ所の光明寮におきましてもすでにベーチェットの方が二割方入っておられます。全体同じ失明者という状態をとらえて更生施設を考えていくというのが私どもの考え方でございまして、特定の病気の方、その特定の対象者だけをとらえた国の施策としては特別の措置を考えるというふうには思っておりません。ただしかし、今度のように民間としてそういう形で進められる場合には、趣旨を考えましてもできるだけの御援助はしなければならない、かように考えております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 いま更生課長のおっしゃったような状態なので、この社会福祉法人全国ベーチェット協会が会をつくりまして、そして会長に大石武一氏をいただき、その大石会長がかつて医師をしていたときに一番最初に手がけた患者という方が埼玉県の秩父市におって、その方の私有地をそれでは私のところの土地を提供しましょうということで、さあ患者側の方は大変な大喜び、しかも九月中に地鎮祭を行ってしまわないといろいろ経済的に負担が大きくかかりますし、下手をすると抵当に入れている方々は破産の状態になるというようなことから、地鎮祭を始めようと思ったところが地元から大変な大反対を受けたというのは御存じでしょうか。

金瀬忠夫厚生省社会局更生課長

○説明員(金瀬忠夫君) 承知いたしております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 その大きな理由というのが、先ほど難病課長がおっしゃったように、これは伝染病である、伝染病をこんなところへ持ってきてもらっちゃ困るというのが一番大きな理由だというふうに聞いておりますけれども、厚生省の方はどうでしょう。

古川武温厚生省公衆衛生局難病対策課長

○説明員(古川武温君) ベーチェットの施設をつくろうというふうな場合に秩父市によい候補地を見つけたわけですが、その前にも二、三候補地があり、それぞれ反対に遭ったと聞いており、その理由の一つにベーチェットは伝染病ではないかというふうなことが理由の一つに挙がっているということを聞いております。この問題については、一つの施設をつくっていく、こういうふうな場合には、やはりその施設が地域から分離した形ではなく、地域と密接に結びつき、そして進むというふうなことによって初めてその施設の機能が十分に果たせる、発展していくというふうに思われます。この場合に、現在県あるいは市がその仲介の労をとるというふうなことで昨十三日にも会合をしております。そういうふうな時期でございます。それで、もしこういうふうな問題がさらに地域の住民に伝染病であるというふうなことが障害になるならば、適当な時期に私難病対策課長が現地に赴きましてじっくりと地元の人と話し合い、その誤解を解くにやぶさかではないと、こういうふうに考えております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 いま、県とか市とか言ったのですが、この市の方が大変なんですな。住民から出された建設反対の請願書は市の文教厚生委員会に付託されて、同委員会で視力障害センター二カ所、福岡と神戸を視察し、医学的には最高権威者に伝染病ではないことを確かめ、福祉施策にのっとってベ病による中途失明者救済に絶対に必要なものと判断を下し、九月十一日に反対の請願は否決になったのですが、住民の反対に及び腰になった市長は地元にメリットがないと公言し、反対をみずからの姿勢の上で示したために、翌日の本会議では逆転、請願どおりに採決された、こういうことですね。それでいま県が入った、そのお話を昨晩私は電話でこの福山さんという方とお話しした。ところが、それが全然らちがあいていない。しかも、西武鉄道が観光秩父を守るというので猛烈に反対しているとか、中にはその施設がそこにできるならばというのでその近所に住んでいる人が疎開のことも考えている、移転を考えている、そういう人がいるとか、こういったようなデマが飛んだために県や市に問い合わせが山ほど来ている。これが現在、きのうからきょうにかけての状況なんです。いも難病課長がおっしゃったように、その誤解を解きに私は行くと言いますけれども、どういう手段を講じられますか。

古川武温厚生省公衆衛生局難病対策課長

○説明員(古川武温君) この問題は、やはり、先ほど申し上げたように、地元の説得というのが第一に必要だろうと思います。地元の住民の理解によって初めてしっかりした施設ができていくのではないかと考えます。現段階では県の方が調停に入るというふうな段階でございますので、じっくりと地元の人との話し合いをしていただきたい、必要によりその中にわれわれも入ってその誤解を解いていきたい、こういうふうなことでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 その地元の反対の仕方が並み大抵の反対の仕方じゃないんですね。たとえば、市道へ九十何本もくいを打ったり、あるいはこれから地鎮祭を行おうとするところへ乗り込んできて、てめえらにこんなところへ来てもらっちゃ困るとか、あるいは何が何でも反対だと、理由なんか何にもない、何が何でも反対だと。そうかと思うと、たれ幕をたらしているそうですね。ここにその言葉が載っていましたがね。秩父を盲にするな、羊山聖地——羊山というのがあるのだ、そこの場所にね。羊山というんですがね。その羊山聖地を守れ、秩父を盲の町にするな、こういうたれ幕をぶら下げておるんだそうです。法務大臣、これは明らかにもう大変な人間べっ視ですわな。地元の人がもちろんそれはお話を最初に根回しをしておかなかったということも大変なミスかもしれません。しかし、その反対の理由がないところに反対の理由をつけて無理やりに反対の姿勢をとっているというのが私は現状としか見られない。ですから、水俣病のときにも、読売の編集手帳、十月の十二日に書いておりますね。「水俣病の患者が「私たちは水俣病になった不幸の上に、日本に生まれたという不幸を負っている」」こんなことを患者に言わせて、これで法治国家でしかも民主主義の日本だどうのこうの、経済大国どうだ、こんなことを言っておられますかね。もしこれが本当に伝染病という状態のものだったならば、いまごろ日本じゅうなっているはずですよ。だから、そういった無理解な人たちに対してどういう説得をしたらいいのかぐらいのことは私は国のレベルであってしかるべきだと思う。どうも、日本という国は、諸官庁というのが国民より上にあるんですよ。税務署の窓口に行ってみれば一番よくわかる。あのややこしい税務処理、わからないから聞きに行くのですよ。わからないからこけにしよる。どっちが偉いんだと言うのだ、私は。憲法に主権在民としてあるじゃ無いですか。してみれば、在民の方に権利がある。それを無視して、役所が、それは県の段階でやるのだ、それはそこの市の段階でやるんだ、厚生省は国全部のことをやるのだ、こんなことは構っていられるかい。私はそんな偉い人間だとは思わないな、みんな。もっと素直にものを考えてほしいのですよ。国の政治家は国のことだけやればいいのだ。国全体のことをやらなければいけないのじゃないですか、下から下まで、まことにこれは筋違いのお話で申しわけないんですけれども、私は法務大臣が大好きです、個人的にも。お願いをします。ひとつ、法務大臣から、県の方でも結構です、あるいは厚生大臣でも結構でございますから、ひとつこういうことがあるのだが、何とかこの人たちの悲願を達成させてやれぬかとい観ようなひとつ労をとっていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 所官違いですから厚生省にしかられるかもしれませんけれども、あなたの常々人権に対する非常な重んじ方、人の生命等の尊重の仕方に関する御姿勢はかねがね感服しております。私もあなたが大好きなんです。あるいは、あなたがわしを好く以上に好きかもしらぬ。そういう姿勢を非常に高く評価し、かつ、おっしゃるとおり、近ごろ地域エゴイズムといいますか、そういう風潮のあることも苦々しく私は思っているのです。それも、ちゃんとした理性に基づくものならいいのですけれども、理性をなくして民主主義が育つわけはありませんからね。そういう点については、厚生省の担当官も、自分で乗り込んでいっても説得したい、こういう熱意はあるんですから、私の方の人権擁護局などが出ていかないうちにそういう話がまとまってほしいなと、こういうことを知事にも市長にも頼んでみたいと思っていますね。これは管轄違いだけれども、人権擁護局で出張ってやらなければならぬようなことじゃ信頼が君ないよと言って頼むよねと、こう言う程度のことはできますけれども、管轄に入っている、こちらの、厚生省の管轄を侵すようなことは慎みたいと思っています。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 厚生省の皆さんに大変御迷惑をかけたと思いますけれども、ひとつよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十二分散会      —————・—————

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