P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
78回国会参議院1976/10/12

運輸委員会 第2号

発言数
151
登壇者
21
会派数
5
開催日
1976/10/12

会議録

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。委員の異動について御報告いたします。  去る八日、栗林卓司君が委員を辞任され、その補欠として和田春生君が委員に選任されました。     —————————————

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 港湾局長お見えですね。——港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律、閣法第五十七号と言っておりますね。第五次港湾整備五カ年計画として七十七国会を通過したのでありますけれども、その後一体どうなっているのかという点について、法案を通すときは熱心だったけれども、その後の経過がちっとも説明がないという点がございますので、港湾審議会の経過はどうなったのか、あるいはまた閣議の決定に対する議論はどういうようになっているのか、その点について説明していただきたいと思います。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 港湾整備五カ年計画につきましては、港湾整備緊急措置法の定める手続によりましてこの九月二十日に港湾整備五カ年計画の案をまとめましたものを港湾審議会に説明いたしまして審議会の御意見をいただいておるわけでございます。それで、その結果その答申を得まして、各省法律の定めるところによりまして、経済企画庁と各省との協議を整えまして十月一日閣議決定をいただいた次第でございます。その間におきまして、閣議決定に至ります過程において、港湾審議会あるいは各省折衝の過程で内容の動く点がございますおそれがございましたものですから、途中御報告申し上げませんでしたことを非常に申しわけなく思う次第でございます。  以上でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 新五カ年計画は、計画の策定については一定の手続を踏むというようになっておりますけれども、その一定の手続というのは一体どういうことですか。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 港湾整備緊急措置法に定めておりますところの手続は、港湾審議会の意見を聞くということが一つ定めてございます。それからいま一つには、経済企画庁と協議をするということが定めてございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 そうしますと、今回の法律のように、法律に基づいて閣議決定をすると、先ほど港湾局長の説明のようにですね。それと、法律に基づかないで、たとえば海岸整備計画のようにやる場合と二つあると思うんですけれどもね。この違いというものについて簡単に説明してください。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) この違いと申しますと、港湾整備緊急措置法、一番最初にできましたのは三十六年に制定されたわけでございますが、その当時所得倍増計画と関連を持ちまして、計画的緊急に港湾整備をする必要があるということで緊急措置法が制定されたと承知いたしておるわけでございます。それで、以後経済計画の変更等に伴いまして二次、三次と経緯をたどっておる次第でございます。一方、海岸の五カ年計画につきましては、必ずしも発足の当時所得倍増計画等の経済計画とのリンクという形ではございませんで、海岸法で定めております海岸整備事業の推進を計画的に実施するということのねらいから五カ年計画を策定していくというようになったというように承知をしておる次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 法案を決定する前の閣議の決定というものがありますね。それから、法案が通過した後の閣議の決定というものがいま港湾局長の説明の内容だったと理解いたしておりますけれども、そういたしますと、この緊急措置法というものは、この五カ年計画について細かに決めなきゃならないということを決めてあるんですか。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 緊急措置法を御審議いただきます前に決めましたのは実は閣議了解でございまして、これは五カ年間に政府としましてどの程度の規模をやれるかということを財政当局と詰めました結果を閣議了解いたした次第でございます。これが三月十二日でございました。それで、その総枠の中におきましてどのように内容を決めていくかということになるわけでございますが、実は三月の時点では在来の緊急措置法が五十年度までの計画を決めることになっておりました。それを今度五十一年度からということの計画を決めるにつきまして、港湾整備緊急措置法の改正を御審議いただきましてそれで御決定いただいた、そういう経緯を経ておるわけでございます。それで、この法律におきましては計画の目標と事業の量を決めることが定められております。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 三兆一千億のプロジェクト計画ですから、これは相当な金がかかるわけでございますね。この整備財源について、私は地方負担の額が実は膨大に上っていると思うんであります。いまの地方財政の事情等から考えてみて、過度の負担になってはいないだろうかという点について非常に心配をいたしているわけであります。特に入港の場合におけるとん税、これは国ヘトン当たり十六円ですか、それから特別譲与のとん税というものは市町村へ入るわけですね。この場合に、何回も何回も頻繁に入っている場合においては、これはもう大体定額というものに決まっているんだろうけれども、これらの金が大体どれくらい入るのか、なかなか経済事情、貿易事情の推移によってはかり知れない点が実はあるわけです。  それから、特定重要港湾と重要港湾という関係については、国が五割で地方が五割とか、あるいはまた外国貿易等で重要なものについては国が六割とか、いろいろ違っているわけですね。それから地元においても県と市では大分違いがある。七、三の違いですかね、遠いがあるわけですね。この場合における、たとえばその内容においても、直轄の場合とそれからいろんな補助事業との関係でも違ってきているというように理解いたしているわけでありますが、こういう点について、従来は交付税の中に相当程度組み入れられてきたと思うんです。ところが、今日ではほとんど起債じゃありませんか。そういうことを考えてみると、たとえば交付税があり、あるいはまた融資を認めてくれるとかいろいろあると思うんですけれども、一体、全体として運輸省としてはどんなふうにこの地方財源の関係等については理解しているか、説明願いたいと思います。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 御指摘のように、港湾の基本施設の整備につきましては、港湾法で港格別に、また施設別に国の負担率、あるいは補助率が決まってございまして、現在の閣議決定を見ました第五次港湾整備五カ年計画におきましては、三兆一千億のうちいわゆる国が費用の一部を負担、補助あるいは出資、あるいは無利子貸し付け、こういうような形で、何らかの形で国の費用の入る事業、これが二兆二千八百億でございますが、この二兆二千八百億を閣議決定したわけでございます。その二兆二千八百億に対しまして約三八%が港湾管理者の負担になるものと想定しております。これは現在適用しております負担率あるいは補助率、これを当てはめたものでございますが。  それで、御指摘のように、港湾管理者は地方財政法の第二十七条の定めによりまして、港湾管理者の行う事業の受益の限度において地元の市町村に対し経費の一部を負担させております。それで、その負担するべき金額は、当該市町村の意見を聞いて当該都府県の議決を経て定められておる状況でございます。したがいまして、関係市町村の経費の負担につきましては港湾の性格、それから投資の規模、また関係市町村の財政力等、さまざまな観点から各港湾管理者と関係市町村との間で独自に決められている現状でございます。  運輸省といたしましては港湾管理者の財政の改善には努力を払ってまいったわけでございますけれども、今後とも、たとえば入港料とか施設使用料等の運用を含めまして、港湾整備のための財源確保につきましては、港湾管理者を初めとしまして関係する方々と十分協議を重ねまして、財源対策に特段の努力を払ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 それはひとつ、特に財源対策については真剣に考えてもらわなきゃなりませんし、運輸大臣、その辺について、国として、いままではキャッシュできたと、今度は起債と融資だという点について、この三兆一千億というようなプロジェクトの計画ですからね、その点について大臣としてどうお考えになりますか。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 今日の地方財政の困窮の状況、まあよくわかっておりますので、この実施に当って、地方財政負担のできる限りの配慮というものをしながら実施をしていかなきゃならぬものと考えております。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 今度の第五次緊急整備五カ年計画は、環境整備というものがやっぱり一つの大きな柱ですね。で、その点について予算は二千八百億ですか、従来のものよりも相当多く見積もった。しかし、片方が地方港湾とか離島港湾とかですね、そういうものを配慮したと。それから現下の環境整備ということから、逆に今度は二千八百億というものを盛ったんだけれども、この点ではちょっとこの予算が少な過ぎはしないだろうかという点を考えるんでありますけれども、これはまあ緑化とか、あるいはまたヘドロ処理、廃棄物の処理、あるいはまたいわゆる港湾広場の新設といったようなことの説明が前にあったと思うんですけれども、そういう点から考えて本当にお題目程度の予算じゃないかというふうに考えているんですが、その点についてどういうふうにお考えになっていますか。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) お答えの初めに、ちょっと数字の点で疑問がございますんですが、今度の閣議決定しました二兆二千八百億の五カ年計画の中で、いわゆる環境整備、それから公害防止対策、これ合計いたしましたものは三千百五十億になってございます。  それで、この五カ年計画で盛り込まれておりますこのことにつきまして御答弁申し上げたいと思いますが、御指摘のように今日各地におきまして環境問題がいろいろと論議され、港湾の整備を進めるに当たりましてもその辺についての理解が得られないがために進まないというような事態も諸所に発生しておる現況にございます。これは実はこれまでの、第三次までの五カ年計画におきましてはこの環境整備ということについて特段の柱を用意しておらなかった、こういうようなこと、こういうことにも起因しておろうかと思いますが、第四次の五カ年計画におきまして、ようやく私どもといたしましては、港における廃油処理施設の整備とか、そういうようなことを計画当初におきまして柱を立てまして、それから計画進行の期間中におきまして廃棄物の処理施設とか緑地、こういうようなものを特に追加したわけでございますが、この第四次計画の中におきましては、計画としては百七十億程度の規模しか計上できなかったわけでございます、実施いたしましたのはこれを上回って実施いたすことになりましたが。このような経緯を考え、今日のいろいろな問題点を深く反省いたしまして、今次の五カ年計画の策定に当たりましては、この環境整備及び公害防止対策事業の事業規模を前計画に比べまして、まあ伸び率といいますか、倍率といいますか、その面では十八・五倍というふうに大幅にふやしまして、三千百五十億というものを計上したわけでございます。  この三千百五十億の内訳を申し上げますと、まず一つには、港湾は港に出入りする船の船員さん方の憩いの場である。また港湾を場として働く港湾労働者、あるいはそのほか、港湾を場として営んでおりますいろいろな諸企業の労働者、こういうような人々のいわゆる労働の場である。そういう点で労働環境としても好ましい環境である必要がある。それからまた、港湾を提供している地域社会の人々にとってはこれは大事な空間であり、その地域社会の人々のいわゆる住みよい空間を残す、あるいは住みよい環境を整えていくということもあわせて考えていかなければならないというようなことから、まず第一に、港湾環境整備の一環といたしまして緑地や広場の整備の事業費を六百二十億程度見込んでございます。  それからいま一つは、これは過去のいろいろな有害物質の堆積等ございまして、こういうようなものを取り除くこと、あるいは港湾の場として港湾周辺で営まれている企業から発生するであろうものに対する、それを防ぐための公害防止、そういう事業がございます。これの事業費が六百二十億。それからいま一つ非常に大きな問題でございますが、港湾の背後には都市が形成され、その港湾地域内及び港湾背後の都市からの廃棄物の発生ということが非常に問題になってございます。それで、港湾の貴重な空間をむちゃくちゃに埋め立てられてしまうようなことがあっては困りますので、そういう点、港湾の大事な空間を秩序立った利用の可能なように、港湾管理者が計画的に廃棄物の捨て場の護岸を計画しましてそこに捨てさせるというような施策を考えてございまして、この廃棄物処理施設整備、その費用が千八百十億。それからまたいま一つには、東京湾とか、瀬戸内海とか海域の汚染、浮遊油とか浮遊ごみ等がございますが、こういうようなものを取り除いてよい環境にしていくというようなことのために百億円、合計いたしまして三千百五十億円の事業費をこの中に計上している次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 これからの交通運輸に対して、各種施策の樹立に当たっては国の各種の計画との整合性を図るというようなことがよく言われているんですね。今後の輸送需要に対応して、海運とそれから内陸との輸送の関係の結節点でもある、港湾そのものがターミナルだということがいろいろ言われているわけです。いま港湾局長の言われたように、むちゃくちゃに埋め立てると言ったんですけれども、そういう点がいままであったわけです。私どもの方の昨年重要港湾に指定された御前崎港なんというのは、埋め立てたところが住民の住んでいるところより二メーターも高いですよ。雨がもし降ったらここは海になってしまう。そういうようなところについて私は住民の皆さんと訴えて、そうしてこの点については次に、いままでのところはもうできたものだからそのままにおくとしても、今度第六次になりますかどうなるかわかりませんけれども、計画としてはアイランド方式でいくということになっているわけですよね。この点についてはひとつ住民の声を十分聞いていただかなければ、私はこの第五次計画も達成できないと思うんです。その点についていかがですか。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 御指摘のように、港湾整備に当たりましては、やはり港湾の背後の地域社会の人々の理解と御協力なしにはこれは成り立つものでございませんし、また港湾というものは、やはりその背後地域の人々の生活をよりよくするために必要な機能、それを分担する施設でございますので、そういう施設をつくることが背後地域にマイナスの影響を与えないような十分な配慮をして整備を進めていきたいと考えております。  それで、港湾の計画は港湾管理者が計画をつくるわけでございますが、その港湾管理者が計画をつくるに当たりまして、よりどころとするべき基本方針というものを運輸大臣が示してございます。この中に、この環境の問題ということを十分配慮することを指示してございまして、例として挙げられました御前崎の港湾の計画につきましても、実は過般、地方港湾審議会で審議されました計画を港湾管理者の計画案としまして中央に出してまいりました。これを中央の港湾審議会でも論議していただきまして、御答申を得てその計画を認めたわけでございますが、その計画では、御指摘のように地頭方の埋立地の計画はアイランド方式になってございます。それで、私どもただそういうアイランド方式にするという、だけではなくて、やはり居住環境と業務環境との間の移り変わりが、環境の激変がありますと非常に住みにくい環境になりますので、そこのところを本当に人間の住む社会として快適な環境づくりをするように緑地等の整備も含めまして対処してまいりたいと考えておる次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 これから港へ行ったら倉庫と、それから防波堤とコンクリートと、そういうものしがなかったというのが、今度は港湾公園のような趣に変わってくるということですから、これはまあそういう立場で期して待つべきものがあると思うのでありますけれども、いま局長のおっしゃったように、たとえアイランド方式にしても、従来その付近でもって漁業を営んできたというような人は、もう黒潮がだんだんとだえていくんですよ、防波堤があちらこちらに外洋にできてきますから、湾内にできますから。したがってその海が腐ってしまう、ヘドロが堆積する、ガスがわくというようなことで、それらに関係する漁業者の立場というものは、非常に私はこれから問題が多いと思うんです。生活権の問題等もあるために十分その辺については配慮をしてもらいたい、こういうようにまず要請いたしておきます。  それから、いま申し上げた点は、私が何回も何回も運輸委員会で発言をしてきたことがようやく認められたということだと理解いたしているわけなんでありますけれども、これらの点について、将来計画については特に運輸委員会やあるいは地方港湾審議会、港湾審議会というような意見を十分ひとつ今後のこの予算の費目の使途については十分留意して、補償問題その他についても適切に対処できるような体制を整えておいてもらいたいと、こう思いますけれども、その点について一言だけお聞きしておきます。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) ただいま御指摘の点につきましては、四十八年に港湾法改正を御審議いただきまして、その改正されました港湾法におきまして港湾計画の策定の手続もすっきりさせることになりました。その中におきまして、まず重要港湾につきましては、港湾管理者が計画をつくるに当たっては地方港湾審議会の審議を経るようになってございます。それで、その地方港湾審議会におきまして漁業関係者、あるいはその地域社会の港湾にいろいろと関係を持つ方々を委員に入れるように港湾管理者を指導しておる次第でございます。それで、そのような地方港湾審議会の審議を経て港湾管理者の計画案としてまとめられましたものは、さらに国の方におきまして運輸大臣に提出されましたその計画を中央の港湾審議会でも審議するということで、いま御指摘のような趣旨が十分生かされるように配慮している次第でございます。  それで、ただ何分にも港湾というのは非常にいろいろな機能が営まれている複雑な社会であるということと、それから海に近いという環境条件等からしまして、たとえば緑地の整備等を例にとりましても、いろいろ技術的に解決しなければならない点がございます。そういうようなふなれな点につきましても関係者のいろいろと意見をまとめて、指導マニュアルのようなものをつくりまして、一刻も早く適切な行政が全面的に展開できるように配慮しておる次第でございます。このようにして御指摘の点、私ども今後的確に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 それから道路とか、鉄道とか、それから港湾とか、空港といったようなものについては、これは長期計画の策定の中で各施設の整備計画の融合性を図るということに閣議了解でなっているんですね。前回の七十七国会のときに、本日お見えの木村前運輸大臣と、前竹内局長と、国鉄の田口常務に、この点について港湾局は港湾局だ、国鉄は国鉄だ、道路は道路だということで、全くこの結節点というものについて重要視しなきゃならぬのにばらばら行政じゃないかということを私は言った。  その点について、特に静岡県の御前崎港等におきましては一五〇号線が通っているんだけれどもこれが全くの渋滞である。じゃ一体内航海運の関係どうなっているかといえば、まだまだこの機能を果たしてない。そうすると、今度はここへ国鉄を敷くということについてはどうなのか、それはいわゆるいままでのわれわれの先輩がやってきたような単なる政治路線じゃないということから要請をしたわけですけれども、これは全くいい話だということに実はなっているわけです。で、私どもは私どもなりにいろいろ調査をし、資料をまとめておるわけですけれども、この点について整備計画の融合性を図るという点については、これは国鉄二法の審議の際に私どもは申し上げるつもりでおりますけれども、大臣、その点についてどういうようにお考えになっておられますか。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 私もまだ就任して間がないのですが、間がないなりに見て回りまして、いま御指摘のようなばらばらの実情が方々にあることは特に目立ちます。自分でも気がつくことが多い。やはりこれは総合的に、有機的に結びつかないと本来の使命が達成できませんので、木村前大臣の仕事を受けてそういう方向に向けて努力をいたしたいと思っております。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 局長ひとつ……。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) ただいまの御指摘の点、一つには全国的な総合交通体系の問題、それからいま一つには個々の地域でのちぐはぐという二つの御指摘があったように思うわけでございますが、総合交通政策という観点に立ちましては、四十六年の七月に、運輸省としての「総合交通体系のあり方及びこれを実現するための基本的方策」というのを運輸政策審議会から答申を受けてございまして、私ども、これを基本方針といたしまして、私どもの立場で言いますと港湾の問題に取り組んでまいったわけでございますが、その後におけるわが国の経済、社会情勢の変化というのは非常に著しいものがございます。特にエネルギー等資源の制約、環境問題等、交通環境は著しく変わってきております。こういうことのために、寄り寄りこの見直し作業も必要ではないかということでいま検討中でございます。  その中におきましても、物資輸送に果たす海運の割合というのは高まっているのではないかということが実感として感じられるわけでございます。すなわち、海上輸送というのは、特に大量輸送及び中長距離輸送の分野を中心として輸送効率が高いということと、また輸送単位当たりの消費エネルギーが少ないというようなこと、さらには輸送空間の大半が海上であることから交通公害や空間効率の面でもすぐれているというような特性があろうかと思います。したがいまして、海上輸送の拠点となる港湾の整備に当たりましては、海上輸送を育成するという方向で、背後に相当の人口の集積を有し、かつ陸上幹線交通の結節点に近く、しかも地形的に恵まれたような港湾を重点的に整備いたしまして、海陸を一体化した物流ネットワークの形成に努めることといたしているわけでございます。  こういうような状況でございますが、現実に個々の港の計画ということになりますと、この期待しているようなことが道路あるいは鉄道、こういうような陸上交通との計画の整合性、あるいは事業の進展の整合性がございませんと、どうしても御指摘のような問題は生じてしまいます。そういうことを懸念いたしまして、地方港湾審議会におきましては道路関係の方、たとえば建設省の関係の方、それから鉄道関係の方、こういうような方もメンバーにお入りいただいて、それでいわゆる港湾計画と整合のとれた地域計画というものを御検討いただくし、また港湾計画はその地域計画と整合のとれた港湾計画にするという努力をしておるわけでございます。  ただ、たとえば御前崎港のように、現に鉄道の行っていないところもございます。そういうようなところもございますが、中央の港湾審議会のメンバーには国鉄からも委員の方がお入りいただいて、そういう点の補完もいたすようにしておる次第でございます。こういうように、私どもできるだけ港湾管理者が中心になって展開いたします港湾行政でございますので、港湾管理者、事務当局がそういう関係方面と緊密な連絡をとり、地域社会の方々の期待に沿うような空間利用計画をつくってくれるよう指導しておる次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 国鉄の貨物局長おりますか。——いま港湾局長の言ったように、流通拠点港湾というものは背後地への円滑な輸送というものが確保されなきゃならぬ。それには鉄道であり道路であるということになるわけでありますが、先ほど言ったように、この交通結節地点というものについて、これのいわゆる一体的整備というものが、さっき港湾局長は審議会の委員に一人入っていると言うけれども、それだけでは何にもならぬわけです。前回はそういうことで連絡会議のようなものを開くということに実はなっているわけですけれども、そういう点について前回の、七十七国会の後、与党自民党が主流とか反主流に分かれていろいろやっておりましたからそういうことないかもしれませんけれども、何かそういったような会合が開かれたのかどうなのか。今回の閣議の決定の中にそういうものが盛られたのかどうなのか。そういう点について前回七十七国会における運輸委員会のその後の経過について、私の申し上げた点について、早急にひとつ対策を講じていきたいということについてどういうようになされてきたか。また、どういう計画で今後対処しようとしているのか。その点についてひとつ国鉄と港湾局長からお聞きしたいと思います。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 先ほど御答弁申し上げましたが、総合的な交通体系というものの見直しということをどうしても必要とするということで、実は運輸省内におきましてこの総合交通体系の見直しを運輸政策審議会に諮問すべき時期に来ているんではないかということで、まあ諮問申し上げるとしましても事務当局が事務的にどういう点が問題になって、これに対して事務的な原案がどうということの整理がなされませんと、やはり効率よい御審議がいただけないという事情にございますので、それで現在事務的に、その政策審議会にかける前段階といたしまして事務的な連絡をやっているというような段階にあるということを申し上げたわけでございます。  それで、今後のことにつきましては、まず一つには、そういう方向で総合交通体系というものの見直しという全般的な問題を進めてまいりたい。それからいま一つ、個々のところにつきましては、私どもといたしましては、港湾局といたしましては、港湾管理者が幸いなことに地方公共団体が主体になって港湾行政を展開するということでございますので、その地域のいろいろな具体的な問題については情報量も豊富でございますし、またその地域社会にかかわっているいろいろな企業——企業というのは交通関係も含めまして、そういうようなものとの関係も密接でございますので、港湾管理者、事務当局にいま御指摘の点を十分配慮するように私どもの方から指導しているというのが現状でございます。

山崎忠敬日本国有鉄道貨物局長

○説明員(山崎忠敬君) 港湾地帯におきまして発着をいたします国鉄輸送に係る物資につきましては、現在の体制におきましては、発の物資につきましてはそれほどの変化はなく、と申しますか、おおむね二百万トンぐらいの輸送量でそれほどの落ち込みはないわけでございますが、着の物資につきましては三割以上のものが、これ四十五年度あたりを基準にいたしましてでございますが、落ち込んでまいっております。この大きな原因は、何と申しましても石炭が大変落ちておると、こういうことでございます。  まあ現状はこういうことになっておるわけでございますが、港湾における鉄道輸送体制を今度新しく整備することにつきましては、その重要性は国鉄といたしましても痛感をいたしております。ただ、現在国鉄貨物輸送が落ち込んでまいっております理由の大きな一つといたしましては道路整備、あるいは自動車の車両構造の改善等によります自動車輸送の大変な発展によるものが一つ大きな理由になっておるわけでございまして、私どもは何から何まで鉄道で輸送すると、こういうわけにはまいらないと思っております。この点、港湾から発着する物資の性格、これは品名も品目もございますし、あるいはその物資がどういうところにどの程度の輸送距離で流れていくものか、こういったことにつきまして十分マーケットリサーチをいたしまして、国鉄なりに勉強いたしまして、そして前回と申しますか、七十七回の国会で田口常務が先生に御答弁申し上げましたように、制度面その他の改善につきましても積極的に国鉄としては取り組んでまいりたい、かように考えております。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 いま港湾局長も、国鉄の貨物局長も私の質問に対して有効に答弁していないんですよ。そうじゃなくて、総合交通体系というものは、これは私ども早くつくれと言っているけれども、たとえばこの成長率をどうするのか、物流の現状やその他について、いまいろいろと各省庁間で連絡しているときでしょう。そういうことでなくて、それは考えたらもうずっと先になっちゃうんだから、そうでなくて現状、重要拠点港湾というものと背後地への物流の関係に対する手段というものについて、全く横の連携というのがなってないじゃないかというように考えている。港湾は港湾、国鉄は国鉄、道路は道路、内航海運は内航海運ということではいけないんじゃないか。そういう点についてひとつ運輸省の、まあ大臣は新任早々だというから、監督局長、ひとつその点についてはどうお考えになっていますか。各局間、各省庁をしっかりまとめていくという点について、ばらばら行政をどういうように一本に仕立てていくのかという点についてひとつ答弁願いたい。

住田正二運輸省鉄道監督局長

○政府委員(住田正二君) 港湾をつくりましても、背後地との連絡が悪ければ港湾の機能は十分に発揮できないわけでございますので、港湾の計画に当たりましては、これは一般論でございますけれども、先ほど来港湾局長が御答弁申し上げておりますように、港湾管理者が中心となりまして道路、あるいは国鉄関係と十分調整を図っているのではないかと思います。ただ、これも一般論ではございますけれども、国鉄の貨物がこの十年来激減をいたしているわけでございますが、その大きな原因の一つといたしまして臨海工業地帯が各地に開発されたということが挙げられるのではないかと思います。なぜ臨海工業地帯ができますと国鉄の貨物が減るかということは御説明申し上げる必要ないと思いますけれども、原材料がすべて海の方から入ってくる。また製品も消費地への距離が非常に短くなってまいりますので鉄道に向いた貨物が減ってくる。むしろ自動車で運んだ方が有利であるという貨物が非常にふえてきているわけでございます。  そういうことでございますので、港の性格によって異なると思いますけれども、臨海工業地帯がどんどんできてまいりますと、むしろ道路の方が有利である場合が多いのではないかと思います。もちろんその中には鉄道で運んだ方がいい場合もあると思いますので、先ほど貨物局長が申し上げておりますように、そこで扱います貨物の性質をよくリサーチいたしまして、鉄道に向くものは鉄道で吸収するという方策を講ずる必要があろうかと思いますけれども、そういう鉄道でなければ、鉄道をつくらなければ臨海工業地帯というものは十分効果を発揮できないということでは必ずしもないのではないかと思います。しかし、いずれにいたしましても、御指摘のように港湾の機能が十分発揮できるためには、背後地の交通関係を十分検討する必要があるわけでございまして、そうでなければ、またせっかく港湾をつくるために巨額の投資をする必要がないのではないかと思いますので、そういう点は十分検討いたしたいと思います。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 これからの港湾というものは、私はやっぱり臨海工業地帯という性格がそのまま残っているかもしれませんけれども、物流の拠点であるということになれば、これは海岸へ揚がったものをそのままいわゆる臨海工業地帯で全部消化してしまう。あとは内航海運ということはないと思うんですよ。そうじゃなくて、たとえば木材にしても、あるいはまた食糧にしても、そのほか第一次産業の資源と言われたようなものがどんどんこれから揚がってくるというように考えているわけです。  そういうことになれば、当然これはそこでもっていわゆる製造過程にすぐ移されてしまうということではないわけですから、そういうことで交通輸送ということを重点的に考えなければならぬ。それから自動車輸送にいいものは自動車輸送、国鉄が必要ならば国鉄でというような点についてのいわゆる融合性とか一体化というか、そういうものがなされていないというように考えているわけです。ですから港湾局長は、地方の港湾審議会等について国鉄の代表、それから道路の代表といったような人たちについて参加するように積極的に指導する気はございませんか。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 先ほどもちょっと御指摘ございましたが、審議会の委員にたまたま人が入っているということだけでは十分ではないと思います。それで私どもといたしましては、港湾管理者の事務当局に対しましてその港湾を——港湾というのは陸上交通と海上交通の結節点でございますので、その海上交通に見合った陸上交通は一体どういうふうになるのか、その計画策定のバックの資料としましてそういうようなものの検討結果もっけさせるようにしている次第でございます。それで、そういうようなものをやはり踏まえまして、いま御指摘のように道路関係、あるいは鉄道関係の人も入って御審議いただくということが御期待に沿う道ではないかというふうに考えておる次第でございます。  ただ、実はこれまでのところ、現実的な話で恐縮でございますけれども、物流拠点港湾と申しましても、港からのサービスエリアといいますか、背後圏の広さ等からしますというと、トラック輸送の方が便利だというようなケースが非常に多うございまして、現在いわゆる既存の商港と称するところにおきましても、鉄道の占める割合というのは非常に低い状態になっているという現実もございます。しかし、国民経済的な観点から、省エネルギー輸送という問題もございますし、どういうことが望ましいかというようなことは、私どももいろいろと研究してまいらなければならない。こういうようなことを鉄道関係、あるいは自動車関係、こういうところとよく意見交換しながら取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 地方港湾審議会には企業の代表といった人ばかり出ているのですよ。それから地方自治体の長とか。そういう人ばかりでなくて鉄道とか、自動車とか、そういういわゆる実際に輸送に携わるような人たちについても、これはひとつその中に入れるように国として、これはやっぱり指導することの方がより民主的だ、より有効だと思うのですけれども、いかがですか。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) ただいまの先生の御指摘の趣旨は私どももよくわかる次第でございますが、現実に地方港湾審議会のメンバーを決めるにつきましては、県といいますか、港湾管理者を構成する母体の地方公共団体の条例で決めておる次第でございます。それで私どもとしましては、港湾に関係のある方々の構成が偏らないようにしてもらいたい、それで、より密接に関係のある人を入れるようにということを指導しておる次第でございます。  それで、そういうことの含みの中にいまの先生の御指摘のことが生かされるようにしたいと考えておりますし、それからいまひとつ、関係行政機関も委員のメンバーに入っております。その行政機関の中には地方陸運局、地方海運局、それから港湾建設局、それから建設省の地方建設局、そういうようなところからも行政機関の代表として入っております。私どもやはりそういう行政機関同士の連絡を緊密にしまして、具体的なそういう民間の関係者、陸上輸送の民間の関係者が入れない場合においても、そういう行政機関のサイドから欠陥を補完するというような措置を講じてまいりたいというように考えておる次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 国鉄の代表は入っていないようですから、これはひとつ入れるように指導してください。大きな専用線、臨海鉄道その他ありますので、その点はひとつ要請いたしておきます。  それから、港湾の整備五カ年計画の中で、想定貨物量が昭和四十七年が二十六・三億トン、昭和四十九年が二十六・八億トン、昭和五十五年が何と三十八億トンということに実はなっているわけです。ここに五十年代前期の経済計画についての冊子をもらったわけでありますけれども、これは現状において過大ではないかというように考えるんですけれども、その点いかがですか。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 御指摘の貨物量につきましては、前期経済計画の経済指標でございますところの五十五年のGNPを二百兆と想定いたしましての経済計画でございますが、これとの関連におきまして、これは過去の実績からいたしましても港湾貨物量はGNPとの相関、あるいは鉱工業生産指数との相関、いろいろな経済指標との相関関係をチェックいたしまして、それで想定しているわけでございますが、今回の計画におきましても、いま申しましたGNPとの相関等いろいろ試算いたしまして、それで五十五年の全国の港湾取扱貨物量を三十七億トンというふうに想定した次第でございます。私ども事務的な立場から申しまして、この経済計画で想定しているような経済活動が営まれるためには、やはりこの程度の物の輸送、港湾の取扱需要というものがあるのではないかというふうに想定している次第でございます。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 最後に私は、港湾の建設については、ひとつ地元民との連携をよく図りつつ着手をしていただきたいということと、それから補償等の問題等については、よくひとつ現地の皆さんとの中において誠意をもって解決するようにしていただきたい。  それから、特に運輸大臣にお願いいたしたいと思いますのは、港湾なら港湾の建設ということはきわめて重要なことです。したがって、そのために、そこは一つのターミナルである。しかも交通の結節点であるということから、いわゆる国鉄とそれから道路という面について、十分整合性を図ってもらうように特にこれは要請を申し上げて私の質問を終わります。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 港湾は、まず国全体の経済の中に占める割合も無論重要でありますし、特にエネルギー資源のない日本にとっては、船は一番エネルギー経済からいえば安上がりでありますから、そういう意味でも大切でありますが、もう一つの使命はやはり地元の振興でございます。したがって、港湾の建設が地元の人たちに迷惑をかけないように、納得をしていただけるようにやらなきゃならぬことは当然だと存じます。  それから、道路とか鉄道とかの他の輸送機関との有機的連合、結合というもの、これを図っていかないと本来の使命が果たせませんので、そういう点は御指摘のとおりできるだけ総合調整に努めてまいりたいと考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 最初に運輸大臣にお伺いいたしたいと思うんでありますけれども、ロッキード事件でもって、運輸大臣をやった人や、あるいは運輸政務次官をやった人が手錠をかけられる、小菅に連れていかれるといったようなことがありまして、これはわれわれ運輸委員会のメンバーとしてもはなはだいやな問題であります。したがって、これからの運輸行政について特にこれは留意しなければならぬことだと思うのでありますけれども、ロッキード、トライスター一機がたとえば五十億である。そうすると、十機買えば五百億だし、二十機買えば千億の買い物ですね、これは莫大なもんです。したがって、千億もの飛行機を購入するということの商談がまとまれば、その間に賄賂が流れるということもこれはあり得ることです。しかし、これはロッキードだけかどうかということになりますと、果たしてそうだというふうに言い切れないんじゃないかという疑問が出てくる。これがロッキードでなくとも、DC10であったならばどうか、ボーイングであったならばどうか。それぞれの会社が大なり小なり同じようなことをやっておるんじゃなかろうかという疑惑をいまさらのようにわれわれは持つわけです。  したがって、そのような裏金が賄賂として、政治献金という名目のもとに児玉何がしという人のふところへ入ったり、そこから右翼へ流れたり、あるいは政界の妙な関係に流れるということは政治不信のもとになると思う。したがって、ロッキードのみならず、これからの運輸行政について、この種の類似の事件がなかったかどうかということを厳重にこれは監査をする必要があると思う。特に運輸省は、その点については問題がたくさんあるわけでありますから、一体どのようにしてこの種の事故防止の万全を期せられるお考えなのかどうか、その点をまず大臣にお聞きしたいと思います。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 確かに、このロッキード事件が運輸行政にからんで起こり、私どもの前任者の中から被疑者が出たことは、私どもとしても大変残念なことだと存じます。  ただ、いまの御指摘の民間航空機の購入ということ自体は、これは運輸省が直接買うわけのものでもないわけでありますが、運輸行政の中に許可、認可事項が二千五、六百件ございます。この中には、人命を預かるというたてまえから法律の要請に基づいて行うものが大部分でございますけれども、一面いろいろな利害とも結びつくわけであります。そしてまた、それらが関連し合い、総合して、何となく運輸行政に対する国民の不信感というものが存在していることも私は事実だと思います。  そこで私は、着任早々の運輸省の幹部に対する第一の要請として、綱紀の粛正を訴えたわけでございますが、運輸省といたしましては、その前から次官を長といたしまする点検本部を設けまして、運輸行政全般にわたっての再点検を実施し、しかも、特に実地に当たっておりまする地方の担当者を招集いたしまして、実地面における問題点というものを拾って、その矯正に努めさしているところでございます。まあ一言で申しますと、古い言葉でございますが、それだけ経済的な利害関係に取り囲まれている行政であるだけに、文字どおり李下に冠を正さないという心構えで当たってもらうように強く要請をし、監督をしていく所存でございます。  それから、従来往々にしてこういうものに対する対策が作文に終わりがちであって、あるいはまた、一定の時期が過ぎますと何となく忘れ去られてしまいがちでございます。そういうことのないように、特に監査、考査の制度というものを——あるにはあるんですが、その中には実際に機能していない部門もございます、しておるところも無論ありますが。そういうものの制度上の確立という面にも何か新しい効果ある手段を見出していきたい、こう考えておる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 国鉄運賃法並びに国有鉄道法の一部を改正する法律案はまだ当委員会に回ってきておりませんので、その際に国鉄問題についてはいろいろと質問をするつもりでございますけれども、当委員会でもって先般視察を行いました。その際に私も行ってきたんでありますけれども、あの青函トンネル見てみますと、あの工事は途中でもって休むわけにいかない。三千五百億の金がかかっておるけれども、お盆だから、あるいは正月だからといって手抜きをすると、そういうときには漏水事故等が起こりやすいという話を聞きました。なるほど、海底でありますから、水が漏れるということはしょっちゅう考えなきゃならぬことです。しかし、そうなると、あのトンネルは途中であきらめるわけにいかない。工事費が足りなくても足りても、ともかくつくり上げてしまわなければならないトンネルであるということを感じたわけであります。  それと同時に、あのトンネルは新幹線を通すようになっているわけです。新幹線を通すようになっているとすれば、トンネルができ上がっただけじゃ意味がないんだと。でき上がったトンネルに新幹線を通すということでなければトンネルの意味はなくなるわけです。そうすると、東北新幹線は今日東京から盛岡までになっておりますけれども、盛岡で東北新幹線を打ち切りにしたんではこれは何にもならぬわけです。青森まで延ばして青函トンネルをくぐって北海道へ上がって、上がったばかりの土地で終点にするわけにいかないから、少なくとも札幌あたりまではつながなければいかぬということになる。そうなるとこの青函トンネルそのものは東北新幹線並びに北海道新幹線というものをセットしているというふうに考えられるわけですね。  この間の衆議院の運輸委員会の附帯決議を拝見をいたしますと、「新線及び新幹線の建設は、前記総合交通体系に基づき、その見直しを行う」という附帯決議があります。「その見直しを行う」というこの附帯決議をどのように実行されるのか。東北新幹線並びに北海道新幹線は、これは見直しの中に入れずに既定の事実としてやってしまうと、こういうお考えなのか。それから今後見直しを行うとすれば、新幹線網についてはどのようにするのか。全国的にいろいろ計画があるわけであります。どういう考えのもとにこの新幹線網の見直しを行うおつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 御承知のように、鉄道建設審議会で決定されております計画の総量は七千キロであると記憶しておるんでありますが、その鉄道建設審議会の決定が行われた時期は石油ショックの前でありまして、高度成長の時期であったわけであります。その後、御承知のように経済情勢が内外とも大きく変化をしてまいりましたし、わが国の財政負担力にも大きな変動がございます。そういう状態の中で新たに鉄道建設審議会を開いてその修正をするという前に、するのには手続、あるいは時期等いろいろございますので、そういう情勢を踏んまえまして、この実施の面で新しい情勢変化に応ずるようにいたしたいというのが趣旨でございます。  それから第二の、その中に青函トンネルやあるいは札幌−盛岡間の東北新幹線を入れて考えているのかという御質問でございますが、それは見直しの中に入れて考えておりません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 新幹線問題についてはまだ問題たくさんありますが、本日の質問からは省略をいたしまして、この附帯決議の問題でありますけれども、衆議院で附帯決議がつけられました。参議院でも附帯決議ということが出てくるかもしれません。問題は、この衆議院の附帯決議を読んだだけで、これを実際に実行に移すとなると、予算的には大変なことになってくると思うんです。ところが、従来は附帯決議が必ずしも実際の予算面に反映されていたとは言いがたい。もし国鉄の問題を真剣に取り上げるならば、これらの附帯決議について、衆議院でもあるいは参議院でも同様でありますけれども、来年度の予算の中には少なくとも十分にそれが盛り込まれなければ意味をなさぬと思うんです。大臣としては、これらの附帯決議をどのように取り上げて、どのように実践に移されるおつもりなのかという点をお伺いをしたいと思います。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) あの附帯決議が出されました後で私がごあいさつを申し上げたのでありますが、あの附帯決議の中に、直ちにこれを実行に移すのには問題がある点が若干ございましたので、その点を留保しつつ附帯決議の御趣旨を尊重して実施に努力すると、こうごあいさつを申し上げたわけでございます。  したがって、あの附帯決議の中に織り込まれております中で問題点となると思いますのは、今度、国鉄債務のうちで国庫に振りかえられました分と残った分とございます。その残った分は資産に見合うものとして残したわけでありますが、それもこの場合含めた処置をとるようにという文章がございました。その点について考えさしていただきたいという意味を含んでおるわけでございますが、他の面につきましては、一遍にこれを実行に移すということは困難であるといたしましても、方向としては尊重してまいりたい。特に今度の予算で、われわれは二カ年で国鉄の健全な経営を確立したいということを目指しておりますが、その目指した方向に向かって努力をする経過の中であの附帯決議の要項というものを尊重し、できる限り生かしてまいりたいと思っておる次第でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私は、先般行われました日米航空協定の交渉の問題について伺いたいと思うんです。  まず最初に、今日までの日米航空交渉の経過について説明願いたいと思うんです。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 日米航空交渉の経緯でありますが、当初、一九五二年に日米航空協定ができたときからごく簡単に申し上げたいと思います。  一九五二年八月に協定が締結されまして、これによりまして、日本は中部太平洋を通りましてサンフランシスコへ行く、   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 あるいは北部太平洋を通りましてシアトルへ行く、こういうふうな路線を獲得いたしました。  それから二番目には、一九五九年にこの改定がございまして、ロサンゼルスが新しい地点として追加されました。さらに南米線を以遠権として獲得したわけであります。  それから三番目には、一九六五年にいわゆる世界一周路線の獲得でございますが、六五年にニューヨークからヨーロッパへ行く路線を獲得いたしました。さらにメキシコ、中米に行く路線を獲得いたしました。ただし、そのときに大きな代償を払ったわけでありまして、北部太平洋経由シアトル線を放棄いたしました。それから中米線などを獲得いたしましたけれども、これも完全な以遠権ではなくて、アメリカの国内での旅客貨物の積みおろしを禁じられているかたわの権益でございました。  続きまして、一九六九年に、上記に対して若干の追加が認められまして、アンカレッジを経由してニューヨークに行くいわゆる北部大圏コース、ニューヨーク路線が追加されました。さらに、サイパン経由グアム路線を追加いたしました。  五番目は一九七二年の改正でございますが、これは新しく加えたものはなくて、当時沖繩の返還に伴いまして、沖繩は当時までアメリカの支配下にございましたが、これが日本に返ってまいりますと那覇をめぐる路線は日本側のものになります。つまり、日本からアメリカに与えるべき路線になりますので、そのための改正をいたしたということがございます。そしてこのときに、同時に約束をいたしまして、いまの申し上げました那覇を経由する路線の価値、こういったものを十分評価いたしまして、沖繩返還後五年の間にそれを検討して、その結果どういうふうな措置をとったら日米間の利益の相互的均衡が図られるかという点を中心に、日本に許与すべき運輸権の追加ということを中心議題としてもう一遍相談をしよう、こういう約束をいたしまして、それに基づきまして先ごろ日米航空交渉を行ったわけでございます。  それから、今回の航空交渉の経緯を御説明申し上げましょうか。——それでは続きまして、今回の交渉の経緯につきまして御説明いたします。交渉いたしましたきっかけは、いま申し上げましたように、四年半前の沖繩返還に伴う措置であったわけでありますが、そのときに日米間の利益の相互的均衡という観点から日本側に許与すべき、与えるべき追加運輸権を認めることについて議論しよう、こういうのが当時両国政府で合意された内容でございますが、その日米間の利益の相互的均衡という大変抽象的かつ包括的な言葉の解釈が米側と日本側とでは幾らか違っておりました。いわば双方それぞれ若干の食い違いがあったんですが、いわば玉虫色というふうな形で文書がつくられました。アメリカ側は、どちらかといいますと沖繩の問題との関連で与えるべきものを計算して与えたらいい、こういうふうに簡単に考えていたかもしれませんが、私どもの方は、先ほどお話し申し上げました一九五二年の第一次協定締結以来、何遍かの改善を重ねてまいりましたけれども、中には新しいものをもらうかわりに、従来持っていたものを放棄するというふうなことを余儀なくされたりしたこともございましたし、全体としてまだまだ日米間の航空権益の不均衡は直っていないんだという観点から、今回の交渉を日米間の相互的な不均衡ということを是正する好機であると考えて交渉に当たったわけでございます。  私ども交渉の前に用意いたしました方針、そこでは、いま申し上げましたような日米間の不均衡を是正するということを考えたわけでありますが、若干具体的に申し上げますと、一つは日本とアメリカ両方比べてみますと、発着地点において非常に大きな制限があります。アメリカはアメリカ国内どこからでも日本に飛んでくることができます。しかしながら、日本の航空企業はアメリカの中で発着できる地点が限られておりまして、協定上七地点しか与えられていない。アメリカは十九の地点から日本に飛んでこられる。そういう協定上の権益を持っております。バス路線でも、二つの会社が協定を結ぶときには相互乗り入れ協定を結びますけれども、お互いに発着地点を共通にするというのが交通機関の間の協定の大原則であると思いますけれども、この点は日米間の航空協定は発着地点の数が十九対七という非常に形の上での不均衡があるわけでございます。  それから第二番に、いわゆる以遠権という問題があります。その国内のある地点を経て第三国に飛んでいけるその権利——以遠権でありますが、以遠権につきましては、アメリカ側は日本の東京、大阪、那覇から世界じゅうどこへでも飛んでいける無制限の以遠権を持っているわけでありますが、わが国はアメリカに行きまして、アメリカから大西洋を通ってヨーロッパに行けるという以遠権を持っているほか、形式的には中南米等へも持っていますけれども、先ほどお話し申し上げましたように、それは日本から乗ったお客さんだけが通して中南米に行けるというだけであって、アメリカの国内の地点からお客を乗せることは禁止されております。したがいまして、非常に経済的価値の乏しい以遠権である、そういう不自由があります。さらにニューヨークからヨーロッパといいましても、その路線は日本から行ったときにサンフランシスコヘとまらなきゃいけないということが義務づけられております。そういたしますと、非常に経済的にも得な大圏コースを通ってヨーロッパに行くことができない。大圏コースを通る路線はニューヨークどまりということになっているわけでありまして、そういった意味で世界一周路線といっても時間的にかなりの不利をこうむらされているわけであります。  それから三番目に、輸送力の違いが大きいわけでありますが、いま日本とアメリカの供給輸送力では大体アメリカ側が倍の供給力を持っております。これはどうしてそうなったかと申しますと、いわゆる事前審査主義、事後審査主義という言葉がありますけれども、私どもアメリカ以外のヨーロッパ諸国などとの航空協定では、いわゆる事前審査主義という原則をとっておりまして、あらかじめ両国間の航空企業が就航する便数を協定上明確にいたしておりまして、同数の便数の中で競争することを原則にいたしております。日米航空協定におきましてはこれが唯一最大の例外でございまして、そういう輸送力の調整規定がございません。はなはだしく両企業間の格差が開いたときには相談をすることもあるべしというふうな、きわめて事後的かつ抽象的な表現でありまして、現実にそういったことを発動するチャンスは非常に少なく、限られております。現実問題といたしまして、アメリカ側は日本に対しまして自由に、いかなる便数でも投与できるということになっております。そういたしますと、両国間の航空企業の体力の差というものが如実に出てまいりまして、現在アメリカは三つの企業が日本の、日本航空一社に対して倍の供給力を持っているという経済的な非常な不均衡の生ずる一番の原因が、この輸送力に対する規制措置がないという点であります。そういったことの結果、収入の面におきましても、日本とアメリカの航空企業を比べてみますと、アメリカ側が五十年度に約千七百億円を上回る収入を上げておりますのに対しまして、日本側はこの半分しか上げてない。そういう収入面での不均衡が起こってきているわけであります。  そこで、私どもはこういうことを是正すべきであるということから、まず路線権については双方同じように、同じ地点を獲得する権限があるじゃないかと、ちょうど鏡に私ども顔を映しますと、鏡の向こう側に同じ顔が映ります。そういうふうに鏡に映したかのごとき平等の権益というふうなことを踏まえて交渉したわけであります。したがいまして、以遠権についても同様でございます。  それから輸送力につきましては、事前に十分便数調整をいたしたい、こういうことを強く主張した次第であります。そして、十月四日の第一回から十月八日まで、これらの点につきまして日米双方の意見の開陳が行われたわけでありますが、八日に終結いたしましたけれども、結果としてただいま申し上げましたような日米間の総合的な不均衡を是正することにつきまして、具体的な何らかの結論が得られたということはなくして終わったわけでありまして、大変この点は遺憾でございます。  ただ、交渉前に予想されたことでございますけれども、アメリカ側は現在日本に対してほとんど譲るべき実は理由を持っていない。向こうにいたしますと、ただせいぜい那覇をめぐる権益、それを評価いたしまして、その権益に見合う分だけを何かどっかアメリカの国内の発着地点を追加して済ませばいいじゃないかということであったわけでありまして、したがいまして、先ほど来御説明申し上げましたような、日米間の相互的な均衡を達成するための各種の問題というものを実現するということは、すなわちアメリカとしては無条件譲歩に等しいような立場に置かれるわけでございますので、恐らく下手をすると、この交渉は全くかみ合わないで終わってしまうんじゃないかということを恐れておりましたけれども、五日間の交渉によりましてそういったことはなく、両者の妥結はもちろん見られませんでしたけれども、この問題についてはひとつ粘り強くわれわれは交渉したいということに対してアメリカ側も反対はしなかった。今後の、まだ日時は決まっておりませんけれども、今後これを検討していこうということを向こうも言って別れたわけでありまして、私どもこのような大きな問題でありますので、とても一回ぐらいの交渉でこれが解決するということは期待は非常に薄かったのでありますが、予想のとおりの結果になりましたが、私たちとしてはこれを第一回といたしまして、これから精力的に交渉を進めていきたい、こういうふうに考えております。  いろいろ巷間論ぜられる意見の中には、そういう相互的見直しということを向こうに食いつかせるためには、協定の破棄をしたらどうかという意見もございました。ちょうどアメリカとイギリスの間の航空協定もございますが、イギリス側はこれを不満といたしまして、バミューダ協定というそれを見習いまして、わが国もそうしたらどうかという意見もございましたけれども、私どもはそういったことをいますぐ発動する段階ではない、こういうふうな観点から、今回はそこまで行かずに、粘り強く交渉をするということを約束して別れたわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 いまの説明、私もいろいろ勉強した中で、特に日米航空協定というのは非常に不均衡な協定である。これはだれしもわかる問題でありまして、占領時代の遺物であるとまでマスコミ等では指摘をされているわけです。こういう不平等条約といいますか、交渉を通して非常に私は問題点が大きいのではないかと思うのです。日本の国益を守る立場から言っても、こういう問題はなおざりにできない問題だと思うのですね。で、運輸省——きょうは外務省のアメリカ局長が特別な用があって来れないそうでありますけれども、いずれにしてもこういう不均衡な条約というもの、協定というものは、日本の強い姿勢によって改めていかなければならない問題ではないかと思うんですね。特に運輸省は何をこの協定の中で、今回の交渉を通して、来年の五月まででありましょうけれども改定をしようと、このように心がけているわけですか、その点について伺いたい。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) いまお尋ねの点は、実は非常に大事な問題でございまして、私どもも今度の協定に入る前に、今回一体どの問題を中心にして議論するのか、どれが取れなければやめるとかいう点があるのかという点についてはいろいろ質問も出ましたし、また部内的にも非常に大きな問題として議論したわけでございますけれども、今回の交渉は実はそういう、ここまではどうしてももらうというようなことを決めずに出発したわけでございます。と申しますのは、今回の交渉の意義は、日米間になお存する不均衡というものをアメリカ側に強く印象づけるという点を第一の目的にいたしたわけでございまして、もしも日本の側がそういったことを、これだけもらえば手を打とうというふうなことをほのめかすことは非常に交渉上不利になるおそれがあるということで今回は提起いたしませんでしたけれども、したがいまして、今後をどうするのかという点については現在白紙でございまして、二つの方法があると思います。  一つは、何年かかってもいいから不均衡是正のために粘り強くやれ、来年五月に話がつかなくてもそれはそれでつなぐ方法があるのだから、つないでおきながら、せっかく向こうが食いついてきたのだから、この好機を逃がさず何年かかってもやれというかなり原則論的な立場が一つあると思います。もう一つは、そんなこと言ったってそれは簡単に戦後続いてきた体制がくずれるわけはないじゃないか。したがって、この際取るべきものは明らかにして、現実的な観点から一つ一つ進めていくべきだという態度もあると思います。私は二つともいずれもそれぞれ理屈があると思います。そこで来年五月まで、さらには五月に行く前に交渉があると思いますけれども、そういったときにどういう態度で臨むかという点につきましては現在白紙でございますが、ただいま申し上げましたような二つのかなりこれは両極端と申しますか考え方でございますが、その二つの考え方の中で一体どういうふうな道を選ぶべきかということを決めていきたいと思っております。その場合には、さっき触れましたイギリスがアメリカといまやっております再協定交渉の経緯等を見ながら、わが国としてとるべき道を誤りなく発見していきたい、こう考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 運輸大臣ね、これは非常に重要な問題なんです。国会でも余り論議をいままで——国会も閉会中でありましたし、この問題は論議はされていない。昭和四十年には国会決議をしてこの日米航空交渉の問題に当たったわけです。そういう国民的なコンセンサスもまだ得られていないような状態。運輸省も実際今回の交渉に対しては何を取るかという、あるいはどういうふうに解決するかという、いまの局長の答弁でもまだはっきり今後の方策がついていないという、こういうふうな段階ですね。  この問題について私は、運輸大臣としてこの航空協定の再交渉に当たって、運輸省のみならず、やはり日本の国益を守る立場からも、こんな不平等条約をいつまでも押しつけられているという、これは日米の友好をかえって阻害するのではないかということを私は非常に思うわけです。聞くところによると、フォード大統領の選挙があるのでアメリカはいま強い姿勢に出ている、来年になれば変わるのじゃないだろうかというような一部の意見もあるけれども、やはりこの問題は相当強力に交渉を行っていかなければならない問題ではないかと思うんですね。で、総理がフォード大統領と会談したとか、あるいは小坂外務大臣がキッシンジャーとこの問題で会談するとか、こういうようないろんな話を私は聞いておったわけでありますけれども、こういう問題等も含めて、あるいは今後の大臣のこの航空交渉に臨む決意ですね、この点について伺っておきたいと思うんです。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 私は五年前に交わされた言葉、両国間で約束された言葉というものをそのまま素直に受け取って、日米間の不均衡の是正をするのが今回の交渉の基本的目標というそのままの言葉で受け取ってこの交渉に臨むということが一つ、それが日本側の態度である。それから第二番目は、もう御指摘までもなく、これはべらぼうな不平等のものであります。その不平等の是正に全力を挙げて強い姿勢で臨んでいくということ。ただ、御質問の中にありましたどれを一番強く見るか、どれをその次に見るかというようなことは、いま航空局長の答弁のほかに、交渉に当たる場合に、まだ現在、これから進行するわけですから、進行する前に余り公に議論しておくことではないように思います。それからもう一つは、ちょっと数字は忘れましたけれども、お客さんは圧倒的に日本人が多いわけなんで、この事実もやっぱり踏んまえてひとつ不平等是正のために最善を尽くしたい。それから先ほども航空局長から話がありましたように協定破棄をして、イギリスがアメリカに対してやっております、それがどういう結実を見るか、これもやっぱり横目で見ながらやらなきゃならぬもんだと思うんですが、基本的にはいま申しましたように、五年前の約束はそのままの言葉で受け取って強い姿勢で不平等の是正に当たりたい、こう考えておる次第でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 まあ、いまイギリスの話が出ましたけれども、イタリアでもこの問題がやはり話題になっているわけですね。こういう世界的な問題でありますし、来年はICAOで国際会議が行われるわけですね。こういうことを考えまして、特にイタリアあるいはイギリスのアメリカとの航空協定に対する考え方ですね、これは航空局長、どういうふうに感じておりますか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 英米間の航空協定の基本になりましたのは、いわゆるバミューダでつくられましたバミューダ協定と通称言われておりますけれども、これは英米間の力関係がやはりアメリカ側に相当強いときにつくられた協定であったわけです。一言で申し上げますと、アメリカの資本主義経済の政策の基本原則であるいわゆる自由競争ということを基本にいたしておりまして、わが国とアメリカの間の日米航空協定もこのバミューダ協定の趣旨によってつくられているわけであります。したがいまして英米、日米——形は違いますけれども、貫かれている考え方は同じでありまして、いずれもアメリカの強い自由主義経済の思想に支えられている。したがいまして、その両企業間の力の差というものが如実に出てまいるという協定になっておるわけであります。これに対しましてイギリスは、非常に不満であるというところからこの協定の全面的な見直しをさせるためにことし六月、アメリカに対しまして破棄通告をいたしたわけです。破棄通告をいたしますと、一年間は現状が維持されますけれども、一年たちますと無協定状態になります。そこで、両国政府は新しい協定をつくる相談を引き続きずっとしているわけでございます。イタリーにつきましてもそういう動きがあると聞いております。  ただ、破棄でありますけれども、破棄は協定の中にすでに書いてある一つの協定の方式でございまして、協定を締結したときの客観情勢等が変わったときに、これをもう一遍オーバーホールするという意味で破棄の通告をするということでありまして、何といいますか、国交断絶とかいうふうなことではなくって、いわば客観情勢の変化に伴う協定をアップ・ツー・デートにするための一つの手段というふうに考えておるわけでございます。イギリスなんかは明らかにそういうふうに、いわゆるクールにとらえているわけでありまして、私どもも破棄ということも、日米間の航空協定をアップ・ツー・デートにしていくための一つの手段としてクールに考えていったらどうかという見方もあるわけであります。  そのためには破棄をして一年間交渉してみて、新しい協定がどのぐらいの姿で締結できるかということの見通しもなければなりません。もとのもくあみでは何もなりませんので、その辺の破棄をした場合の利害得失等を十分考えた上でそういった手段を考えることも、これは一つの道具として考えるというふうに見ております。現在イギリスはアメリカとそういったことでございますので、破棄後精力的に交渉を続けております。イギリスは日本に対しまして、ひとつ十分情報を交換しながらやろうじゃないかというふうなことを持ちかけてきておりますが、私たちとしても、同じ立場に置かれているイギリスでありますので、十分相互の情報を交換しながら、アメリカとの間のいわゆる不均衡な状況を是正する努力をいたしたい、こう思っているわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 特に航空協定の中にある輸送力の不均衡ですね、輸送力決定の不均衡の三原則といいますか、こういう問題、具体的にどういう姿で運輸省はとらえているわけですか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 現在の日米航空協定に、いまのお示しの点に関して三つのことが書かれておりまして、一つは、いわば機会均等主義といいますか、そういう問題、それから二番目は、平等な取り扱いというふうな問題、三番目には、常に公の利益、公の要求と合致した形で協定が運用されなければならない、こういうふうな三つの考え方がうたわれているわけでございまして、私どもはこういう考え方に照らしましても、現在の日米間の双方の航空企業の成果というものは決して均衡がとれていないということを主張するわけでございますけれども、アメリカ側はまた逆に、アメリカなりのいろいろ計算方法あるいは分析方法等をとりまして、いま申し上げたようなこの三つの問題については協定と現状とは全然そごはないんだというふうなことを主張しておりまして、その間の両者の主張はほぼ平行線を保っているわけでございます。私たちとしては、先ほど来申し上げておりますようなやはり協定の精神、平等取り扱い、機会均等ということが現実の行為の中で生かされていないという点を今後も強く主張をしてまいりたいと思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 この交渉に当たって総合的均衡というこの問題の取り違えが、日本とアメリカとの間の考え方に大きな相違があるんじゃないか。この点を、果たして来年の五月までにこの問題が解決するのかどうか、非常に大きな私は問題だと思う。アメリカはやはり自由企業として何とか権益を守っていきたいと、日本は何とか破棄しないように、何かできればうまくやれるような方法と、そういうふうな考え方では果たしてこの航空協定の改定がまとまるかどうかということは、私はもういまから非常に疑問だと思うんですね。こういう点についての双方のずれというか、行き違いというか、考え方の食い違い点という問題をもっとはっきりと浮き彫りにしなければならないのではないかということを強く私たちは考えるわけでございます。アメリカはこう言っているからだといういろんな言い分がまだ国民にも理解されないし、あるいはまた、この問題が一部のところで処理されているような感じを受けるのではないかと私は思うんですね。この点についてのやはり総合的な均衡という問題、今回の交渉に当たってアメリカは何を総合的な均衡と見ているのかどうか、この点について。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) アメリカ側と日本側の総合的均衡についての意見の大きな食い違いは、やはり双方の企業のかせいでおります収入といいますか、そのとり方の問題、それからまた、そのバックになっております両方の輸送人員のとり方の問題、これについて、これは前からでありますが、アメリカと日本の間に考え方の相違があるわけでございます。たとえば通過客というふうなもの、アメリカから日本に参りまして日本を経由して香港に行くようなお客さん、こういったものをどういうふうに計算するのかというふうなことについて日米間にかなりの考え方の違いがあるわけでございます。  私どもは、アメリカに対しまして、先ほど来申し上げましたような発着地点、あるいは以遠権の点で非常に不均衡がある、そういうふうに言いますと、アメリカ側はそういった形の上の不均衡よりも、両国企業の実質の収入面の均衡問題をとらえるべきじゃないかというふうに言いまして、そして、その収入の計算の方法をいま申し上げましたような日本側と違う考え方で計算をいたしているわけでございます。向こう側の計算によれば、収入面で両国間の不均衡はないと、こう言い張るわけであります。このことは今回だけではなくってかなり長い間の懸案でございますし、今度も本交渉に臨む前に実は予備交渉でその統計のとり方だけについて議論をしたこともありますけれども、なかなかいまもって両方の国の考え方が一致してないということがあるわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 これは航空局長、交渉に当たった当事者としてこの不均衡の是正、とにかく収入面でアメリカ側は考えるというこの問題ですね、果たしてそれを撤回して日本側の土俵に乗ってくるのかどうか、この辺の見通しはどうですか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 私たちとしては何とかそういうふうにいたしたいと思っております。ただ、交渉でございますので、両方で突っ張り合っておりますと、最後まで平行線になってまとまらないということもございますので、交渉の経緯により、またイギリスとアメリカの間の交渉の状況等を見た上で、いまの考え方の違いはそれといたしまして、現段階で何か中間的に妥結を図る方法はないかというふうなことは、これからわれわれ真剣に探るべき道であると思っております。  先ほどもちょっと先生がお触れになりました来年の春にモントリオールでICAOの会議がありますが、そういったこともやはり一つの大きな世界情勢の動きとしては注目すべき点だと思うんでありますが、従来ICAOの会議は航空の技術的な問題を中心とする会議でございましたけれども、今度は主として航空産業では後発国、そういったところの航空企業が、輸送力の双方の均衡というふうなこと、輸送力の総合的な均衡といいますか、そういったことを議題にしてICAOで議論しようじゃないかというふうな雰囲気になっておりまして、従来のように、ある国とある国の二国間の約束事だけで済ましていくということに対して新興航空国家が非常に反発していて、世界の航空秩序というものをもう一遍見直そうという雰囲気も出ているわけでありまして、私どもは仮にそういった世界的な動きというものも十分にとらえまして、そういった中で先進国同士である日本とアメリカの双方に何とか主張の妥結点を認めたい、こういう努力を粘り強くしなきゃならないと思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そこで、九月の八日にアメリカの新国際航空政策を発表しましたね。これは日米航空交渉に当たる、あるいはイギリスとの交渉等を踏まえての大統領強い姿勢を示したのじゃないかと思うんですけれども、この米国の新国際航空政策ですね、これについては航空局長、どう考えていますか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 私もあの新航空政策をすみずみまでまだしさいに検討が済んでないわけでございますけれども、ごく大まかにながめたところでは、新航空政策の基本線はやはり余り変わっていないんじゃないかという考え方を持っております。アメリカの経済国是である自由競争ということをたてまえにした航空政策というものの基本線はどうも変わっていない。イギリスとの交渉に臨むアメリカの強い姿勢を示したという意味で基本線は変わってないように思います。  ただ、アメリカの国内航空などを処理する考え方としては、一部自由競争を必要に応じて制限し調整をするという考え方が出てきているわけでありまして、この点はアメリカの経済政策としてはかなりの変更ではないかと、こう思っているわけであります。あるいは、定期便とチャーター便というものを両方並べて、定期を前面に出してウエートを置くという考え方から、チャーター便というもののウエートをかなり重視をしていくという、これはチャーター航空会社の力が非常に強いアメリカの国内の事情を反映したものだと思いますけれども、それぞれ従来の政策に対して多少変更を加えている点もございますけれども、どうも太い基本線は変わってなくって、従来からの考え方をもう一遍強く繰り返したという感じもいたしておりますが、なおしかし、しさいに検討いたしまして、今後われわれの航空交渉の際に援用できるような点がございますればそれを援用することをやっていきたいと思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 これは大臣に伺っておきたいんですが、こういういろいろな不平等な条約をどういうふうに、いま国内的に見ればやはりこれはコンセンサスを得なければならない問題ではないかと思うんですね。昭和四十年には国会の決議までしたほどの改定交渉ですね。あるいは私は今後の交渉において、お互いに双方が相入れない問題の中にあって、ロッキード事件の二の舞ではありませんけれども、日米首脳会談等でトライスターの導入が決まったと。今後のこの航空協定の交渉に当たって、漁業交渉であるとか、あるいは貿易の交渉とか、そういう問題と抱き合わせに、こういうふうな不平等な日米航空協定の交渉がひとつかまされるようなことがあってはならないと思うんですね。こういう問題について運輸大臣が今後国内的なコンセンサス、あるいは今後の首脳会談等においてこういう問題をどういうふうに提言されていくかどうか、その決意を伺っておきたいと思います。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 先ほどもお答えいたしましたように、五年前の約束は、日本側の従来までとってきた態度、それを貫いていきたいと思っております。それから、新しい海洋秩序の中で生じてくる諸問題、漁業その他の諸問題とこの問題とは全くこれは次元の違う問題でございますので、それを絡ませるような取り扱いは、これは運輸大臣一人でやるわけじゃありませんけれども、させない決意で臨みたいと思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 それでは次の問題に移りたいと思います。  第三次空港整備五カ年計画の問題について簡単に伺っておきたいと思うんですけれども、この空港整備についての計画の概要ですね、簡単でけっこうです、どこに今回の空港整備の力点を置かれたのか、その点について。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) お答え申し上げます。  今回の五カ年計画は、昭和五十一年から五年間の空港整備関係の事業費を決めたものでございますが、合計九千二百億円、前回の昭和四十六年から五十年までの第二次計画の五千六百億円に比べますと一・六倍になっておりますが、ただ、その間に諸物価が高騰いたしておりますので、事業の量としてはほぼ前回計画と同じと考えております。  この九千二百億円のうち、三千五十億円というものが空港周辺の環境対策に振り向けられております。御承知のように、現在空港周辺の環境対策を進めることは喫緊の問題でございまして、環境庁が昭和五十三年に空港周辺の騒音基準の中間目標を設定しておりますし、さらに続いて五十八年には最終目標年次が来るわけでありまして、私どもとしてはその中間目標なり最終目標がクリアできるように諸般の整備を進めませんと、飛行機が飛べなくなってしまうということでございまして、現在使っております空港の機能を維持するという意味では、いわば一番緊急度が高いということで三千億円の配分をいたしました。  それから二番目に、航空保安施設の整備に千三百五十億円、これはもう申すまでもなく航空施設の整備は航空の基本でございますので、千三百五十億円を充てました。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕  三番目に、新国際空港の整備で成田、それから関西空港合わせまして二千二百五十億円でございます。このうち成田関係が千八百億円でございますが、これも現在の国際航空の趨勢から見まして、成田の空港を一日も早く開港し、そしてその上に計画どおりの滑走路をあと二本つくるということを考えて配分したわけでございます。  それから四番目に一般空港——新東京、関西以外の一般空港の整備として千七百五十億円を配分いたしました。  それに調整項目、予備費等を入れまして九千二百億円になるわけでございますが、重点はまず環境対策を行うということでございます。それから安全の問題、さらに新東京国際空港の問題、最後に一般空港になりますけれども、私どもとしては、本当は飛行場をつくってから環境対策に金を使うよりも、飛行場をつくるときにその立地条件等を十分勘案いたしまして、もともと騒音問題の起こらないような空港をつくるということが大事だと思っております。そういった意味で、現在各地方でそういった非常に立地条件のいい空港を整備すべきだという意見が非常に強いわけでございまして、これに対して私どもは何とか全面的に対応いたしていきたいと、こう考えて千七百五十億円ここに配分したわけでございますが、これは恐らく引き続く第四次計画があるとすれば、そこではかなりの金額にこれはなるものだろうと思います。したがいまして、九千二百億円のうち、金額的には、当面の環境対策の整備ということで三千五十億円の空港周辺環境対策が重点のように見えますけれども、もう少し長期に考えまするならば、私はこの一般空港整備というところに着目をする必要があると、こう考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 成田、あるいは羽田等の問題についてはきょうは触れることはできませんけれども、一つだけ伺っておきたいのはこの地方空港ですね、特にこの三次の航空政策審議会の答申にも、YS11が昭和六十年にはなくなっちゃうわけですね。こうしますと、五十五年までの第三次空港整備計画、この中ではまだまだ完遂しないわけですね。その後の予定される第四次空港整備計画といいますか、その後の計画によって、果たしてこのYSの現在飛んでいる空港の整備が完全に終わるのかどうかという問題ですね。この点についてはどういうふうに考えていますか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) YS11は国産の非常に優秀な飛行機でございまして、現在ローカル空港を中心に六十七機使われておりますが、機材の生産性が低いなどの理由によりましてすでに製造が中止されております。したがいまして、将来的にはYSnは日本の空から姿を消すということになるわけでございます。そこでどうするかということでございますけれども、現在YS11が就航している空港が四十二ございます。一方YS11にかわるような、ジェット機じゃない手ごろの航空機はいまのところ見当らないわけでございます。そこで、四十二空港のうちその路線の状況を推測いたしまして、輸送需要がかなりこれから伸びていくというところにつきましては、十七空港ございますけれども、それにつきましてはジェット機が就航できるような滑走路の延長、あるいは所要の騒音対策等を講じなければならないと考えております。  残りますのが二十五の空港でございますが、これらにつきましてはどうするかという問題がこれから残っているわけでございます。一つのやり方は、最近お耳に入っておりますと思いますけれども、非常に滑走距離の短い航空機がございます。八百メートルで離陸できるSTOLという短距離離着陸機がございますが、こういったものがさらに技術開発されまして、輸送力が相当大きくなるというふうなことも伝えられておりますので、であれば、この十七空港を除く二十五の空港につきましては、ジェット機の就航を可能にするようないわゆる二千メーター滑走路にまでしなくても、現在のYS向きの千メーター前後の滑走路でも十分離着陸できるであろう、そういう機材の開発状況等も十分考えまして、かつはまたその地域の経済発展等に伴う輸送需要の将来、そういったものも踏まえまして考えていきたいと思っております。  ただ、まあ二十五空港全部将来とも必ず維持していかなきゃならないかという点につきましては、中にはその地域の航空輸送需要、他の路線との関係、あるいは他の交通機関との関係等から見て、すでにかなり使命を終わりつつあるものもあるかもしれませんので、若干の空港につきましては、しばらく整備をしないで休止をするということもあるかもしれませんが、人口の地方分散というふうな国の国土開発の基本政策に照らしまして、ローカル航空需要というものに御不便をかけることのないように、この点については十分考えていきたいと思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 このSTOLの開発ですね、これは果たして六十年までにできるかどうかということは、まだむずかしい問題でしょう。それと、実際のこの二十五空港が経済的な需要、航空需要等の問題を勘案して、将来どういう方向になるかという検討もしなきゃならない、確かにわかります。その問題をいつごろまでに結論を出すかということは、私は非常に大事な問題だと思うんですね。空港、滑走路を延長するとしても、いま非常に騒音問題等のことで三年、五年はすぐにたってしまうわけですね。したがって、そういう問題がどうしても運輸省の何といいますか、許可といいますか、運輸省の政策と各県単位、あるいは各市町村ですか、そういう地域単位の要望とずいぶんずれているような問題が私はなきにしもあらずだと思うんですね。こういう問題の調整をいつごろまでに大体結論を出すのか。  私は第三次空港整備計画の中に、十年ぐらいの先のこのYS11対策ぐらいはもう検討をしっかりさしておくべきではないかという点を強く考えるわけですね。この点についての考え方が、まだ地方ではおぼろげながらこういう問題にそろそろ手をつけなければならないんじゃないかという段階の程度で終わっているのではないかと思うんですね。こういう点についてもう少し国は明確にし、あるいは滑走路延長の問題についても地方公共団体との折衝をもう少し重ねて、やはりこの地域にこの空港が必要であるかどうか、こういう問題も含めてしっかりした協議を早く重ねるべきではないか、こういう点を考えるわけですけれども、どうですか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) まことに御指摘のとおりでございまして、現在飛んでいる飛行機が使えなくなるということは、そこの地域の方々にとっては大変な問題でございます。そこで、五カ年計画はそれはそれとして、このYSについてはどうするのかということを、それと一応切り離してもう少し長期の見通しを立てるということは必要でございます。そのためには新しい性能のSTOL機の開発状況をもう少し確かめてみたいという点がございます。  それからもう一つは、STOL機はかなり不効率な点もございまして、企業の収益にマイナスをもたらす要素がかなり多い、こういったこともございますので、それに対する何らかのバックアップの方法があるのかないのか、こういったことも十分考えていきたいと思います。その場合に一番大事なことは、いま先生御指摘のその地域の住民、地域の公共団体がどう考えるかということが一番大事でございまして、これからも各県知事さんを中心にいたしまして、その地域の声を十分聞きまして、そして、また必要によりましては空港整備に御協力を願いまして、この仕事を進めるのに完全を期していきたいと、こう考えておるわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 私は運輸大臣が秋田だからこう言うわけじゃないんですけれども、この間、運輸委員会で超党派で視察に行ったのです。まあ秋田の知事からも非常に陳情を受けました。これは超党派で、本当に土地の買収もちゃんと終わっているわけですね。ところが予算が全然ない、新幹線はできない、こういう問題で空港を早くつくってくれという要望、まあもっともな要望を私たちも受けたわけですが、しかし総花的な予算になってしまっている。地域住民も空港をつくることには全面的に賛成をしておる。まあいろいろ一部反対はあるかもしれませんけれども、ほとんど大体問題のないところですね。こういう地域の問題は早く空港をつくるべきではないか。  それから予算を総花的につけて、いつまでたってもなかなかできないような状態でYS11の廃止を迎えるのではないかという私たちは非常に危惧を感ずるわけですね。したがって、航空行政が中央優先的な問題じゃなしに、やはり地域の公共団体とも、もうYS11は昭和六十年には飛ばないのだ、その場合にどうするんだということを早く私は指示をすべきじゃないか、そして早く討議をするべきじゃないかと思うんですね。もし空港が必要でないとなれば、それにかわる交通機関があるとなれば、空港のために予算を費やす必要ないわけですね。こういう問題をもう少し早く腰を上げるべきではないかということを、私は地域の発展から考えましてもそう思うんですけれどもね。こういう問題を総合的に運輸大臣に見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 予算がどうしても総花的になりがちだというのは、空港だけに限らない全般的な大変残念なことでございますが、特に空港については、反対がない、それから周囲の環境の条件、騒音対策というようなものも問題がない、そういうようなところから早く仕上げていくという基本方針で臨んでいきたい、そう存じます。  それから実際問題として、できるか、できないかは、これは検討を要することでありますが、他の交通機関で十分代替ができるところ、まあ例を挙げたらしかられるかもしれませんが、東京−名古屋間なんという十分新幹線で代替できるというような状態のところは、やはりそういう条件をはっきり決めて、そして急がなくてもいいところ、あるいは廃止しても支障のないところというようなものは、けじめをやっぱりさっさとつけていくべきものだろうと私も存じます。私も自分の選挙区ですから、秋田の空港は何遍も見て、いま三木先生に大変心強いことを言われて実は非常にうれしくなったのであります。

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 午後三時まで休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後三時四分開会

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君)運輸委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、石破二朗君が委員を辞任され、その補欠として中村太郎君が委員に選任されました。     —————————————

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 石破君の委員異動により、理事に欠員を生じましたので、これより理事の補欠選任を行います。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に中村太郎君を指名いたします。     —————————————

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 運輸省は造船各社を呼んで事情聴取、ヒヤリングを始めて操業短縮の勧告案を示す予定だということが報道されておりますが、この事情聴取はすでに開始しておるのか、あるいは近く始めるのか、またそれに対する運輸省がどういう考え方で臨んでおるのかという点をまず御説明願いたいと思います。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) 先生御指摘の、造船各社に対しますヒヤリングは先週の半ばから開始をしております。この趣旨は、最近の造船の不況にかんがみまして、海運造船合理化審議会の答申で言われております、五十五年に向けて操業度を短縮する必要がある、調整する必要があるのではないか、こう言われておりますが、最近の状況を見ますと、五十二年度から大体海運造船合理化審議会で言われております答申のベースに近くなるのではないかというところが次第に明らかになってきておりますので、このためにいろいろ今後とるべき措置を考慮していくためにヒヤリングを始めておる、こういうことでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 聞くところによりますと、三つのランクに分けて、それぞれ操業短縮の目標を示した勧告案を出す、こういうことも言われておりますが、そういうお考えですか。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) 今回の造船不況は、これは世界的なものでございまして、四十八年秋以降の世界的な海運市況の低迷、それからタンカーの船腹過剰等によりまして、国際的にも新造船受注量が減ってきております。また、既契約船についてもキャンセル等が起こってまいりまして、現実に工事量が減少しておる、こういうことでございまして、これについて海運造船合理化審議会が先ほど申し述べましたように、操業度調整の必要を提言しておるわけでございます。こういう情勢にありまして、各企業がそれぞれ今後予想されます低操業に対応して建造体制をその形に移すべく努力をしておりますが、運輸省といたしましては、わが国造船業の国内的、国際的な地位及びその影響力にかんがみまして、これが円滑かつ適正に行われるような所要の措置を講ずる必要があるということもまた海運造船合理化審議会の答申で言われているところでございます。  そこで、この措置の内容として現在検討しておりますのは、先ほど先生が御指摘のように、日本の造船所の中でも総トン数一万総トンを超える船舶を建造する能力を有しております企業が約四十社ございますが、それを対象といたしまして企業規模別に応じた三グループに分けて操業度の調整を行うということを現在検討しているところでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 その三グループにどのような所要の措置を講じられようとしているか、その点を具体的にちょっと説明してください。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) 各企業の生産量で三グループに分けておりまして、一つのグループは年間の建造量が百万総トン以上のもの、それから第二のクラスが十万トン以上百万トン未満のもの、それから第三のグループが年間で十万総トン未満の企業のグループ、こういうふうに分けまして、それぞれ五十三年度に、答申で言われております約六五%に平均がなるように、三グループそれぞれの年間の操業度時間の上限を示すという形で検討しております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そこで、お話の六月二十一日の海造審の問題でありますが、この答申の考え方には問題がたくさんあると思うんです。私はまあきょう時間の関係で一つ指摘をしておきたいのは、この造船危機と言われる事態の原因について一体どう考えているのかということがこの海造審の答申でもはっきりあらわれていないと思うし、率直なお答えを承りたいんですが、まあ造船の特に大手企業が世界的な経済の高度成長、海運ブームというものに便乗して、資本蓄積のための無計画的かつ非常に競争的な設備投資を行ってきた。それから海外に目を転じますと、南米や東南アジアのいわゆる発展途上国に対して建造修繕施設に非常に巨大なお金を投じてきたということに何といっても最大の原因があると、こういうふうに言わざるを得ないと思うんです。率直にこのことはお認めになりますか。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) 今回の造船不況につきましてはいろいろ論のあるところでございますが、海運造船合理化審議会での議論といたしましては、答申書にも書いてございますように、まず四十八年秋の石油ショック以前におきましては、世界各国のエネルギー需要の中で石油がかなり大きな形で各国の需要を満たすべく伸びてきた。したがいまして、海上におきます輸送におきましても石油の伸びが非常に強かった。同時に、それに伴いまして各国の経済の成長がかなりの水準で見込まれておりましたので、それに伴って、たとえば鉄鉱石を運びます鉄鉱石専用船とか、石炭とかその他の貨物も順調に伸びていたわけでございます。それが四十八年秋の石油ショック以降におきまして、まず石油の需要から石油の海上運送需要の減少へとつながりまして、それがさらに各国の経済成長に関連してまいりまして、その他の貨物も比較的落ちてきたということでございまして、したがいまして、石油が中心でございますが、全般的に荷動きが前に予想していたほど大きくないという見方ではないかと思います。  それから、日本の造船業のこれに対応する仕方といたしましては、四十六年からこの諮問に基づきまして中間的な答申を出しておりますが、これによりましてもかなり先行き海上輸送量が伸びるということで、まあ大手の造船所が超大型タンカーを主にした設備を整備をし、中手あるいは中小の造船業はそれぞれ大型タンカーの一部とか、あるいは大型の貨物船、鉱石専用船等に逐次それぞれのランクが上がっていったということでございます。海外に対します日本造船業の協力につきましても、これはこの十数年来、日本の造船業は世界の主力造船国として、またごく最近の数年間は世界の約五割をつくる造船国といたしまして、先ほど申し述べましたような世界的な経済発展を前提にして、海運なりそれを支える商船の建造を行います造船所の整備につきましてはそれぞれの関係国に経済協力をしてまいったわけでございまして、したがいまして、海運造船合理化審議会、あるいはOECD等におきます論におきましても、日本の造船能力の整備だけが、あるいはそれに伴いまする海外協力による海外造船所の整備だけが問題の原因であるというふうには議論をされておりませんし、そう私も考えております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 この石油ショックなどのいわゆる外因の方に大きなウエートを置いたお答えのように感ぜられるのであります。私もいま指摘した二点だけが原因だと言っているわけじゃない。これがやはり国内的には最大の原因だという認識の上に立って、今後の造船に対する政策をもって臨むかどうかというところが非常に大事なところだと思うのですね。いまの点は多少御答弁は反省の点で足りないように思うのです。  そこで、政府の責任ですね。いままでこのような海外に対する造船所、ドックなどの建設ですね、それから国内での特に大手造船会社の競争的な設備投資、これに対する政府の、運輸省の措置というものはこれでよかったと、どうしようもなかったんだと、こういうふうにお考えになるのかどうか、この点の御反省も含めて承りたい。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) その点についてはいろいろあると思いますが、私どもはまず第一点に、日本の造船業が四十八年までかなりの規模で整備をしてまいりましたが、これは一つは、たとえば外国船だけでなくて、国内の船主からの建造需要も非常に旺盛でございまして、あるときは発注をいたしますにもかなり先物でないととれないというような状況がございまして、決して無制限に拡大していったわけでなくて、押さえつつではありますが、国際的な造船の需要に対応するためにタンカーを中心として整備を行ってきたということでございまして、まあ抑制的というふうにお考えになってよろしいかと思います。といいますのは、たとえば大型タンカーの、あるいは大型鉱石専用船等の船台、ドック等の整備を行います場合に、一部のスクラップ・アンド・ビルドを実施してきておりますし、そういう意味で抑制的でありましたが、非常に旺盛でかつ非常に先まで続いておりました需要に対応して整備をしたと、こう考えております。  ただ現状となりますと、確かに国際的に世界の建造能力かなり余剰があると言われておりまして、OECDの場におきましても、各国それぞれ協調をしながら造船能力の縮減に向かって、それぞれの国情に応じながら努力をしていこうという一般的な指導原則も採択されておりますので、そういう意味におきましては、今後海造審の需要見通しを十分頭に入れて対応してまいりたいと、こう考えております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 政府のこれに対するきちんとした反省がいまの言葉からはうかがわれないわけです。  ところで、この造船危機と言われるものですね、これには、この造船企業で働く労働者には私は責任はないと思います。ところが、この六月二十一日の海造審の答申の中でも、政府に対して職業転換給付金制度の適用を云々しておる部分があります。建造能力削減の主な方向を大幅な人員削減の方向に指向していることがこの答申からも明確にうかがえるわけなんです。  運輸省にお聞きしますが、造船の大手六社と言われますかね、この大手六社が昭和五十三年の春ころまでに相当大規模の、何万人という規模の人員削減を計画しておるようでありますが、運輸省は、この大手造船各社がどの程度の規模の人員削減を計画しているか、その内容をいろんな情報でご存じですか。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) 五十三年三月末を目標にいたしまして大手六社、あるいは七社と言われる大手造船業者がどの程度操業度を落とし、かつ、それに伴いまして雇用対策をどうするかということは現在ヒヤリングをやっておりまして、まだその整理をしておりませんが、先生のおっしゃられる何万人という数字ということには聞いておりません。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そういうことでは、はなはだ仕事としては不熱心だと思うんですね。私も三菱重工、それから日立造船などの資料を手に入れていますよ。われわれでさえ手に入れられる。調べればすぐわかることなんです。日本海事新聞という業界紙がありますね、ご存じのように。これには、九月二十九日付ですが、この私の手に入れた各社の資料と符合しますが、いいですか、三菱重工業が、五十一年春七万七千一百人を五十三年春に六万九千五百人、川崎重工が三万三千六百人を三万一千八百人、日立造船が二万三千六百人を二万三百人、石川島播磨は現在三万六千六百ですが漸減と、三井造船、住友重機械が漸減と、これは数はありませんがプラスアルファですね。いま私の計算しただけで一万二千人以上ですよ、一万二千人ですよ。これに数のないところを合わせますと以上ですね。ですから私は万規模と言ったんです。  ごく控え目にこれは出してあるんだと思いますが、これだけのとにかく人員削減計画、これは社会問題ですよね。家族を入れると三、四倍になります。大きな問題です。これに下請が加わってくる、こういう状況であります。いかがでしょう、こういうような人員削減の状況、さらにこの下請労働者、これは私どもの調べでは、三菱重工は六千四百人から三千四百人に減った。いずれも下請の一番多かったピーク時から相当なやっぱり減少を来していると思う。この数字は把握していますか。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) いま最後の下請の数字から申し上げますと、下請につきまして私ども統計をとっておりますのは造船造機統計でございますが、たとえば一番下がことしの二月でございまして約七万九百三十四人、これが三月には七万一千五百と若干ふえております。最大のときが五十年の三月でございますので八万五千九百八十六人ということで、この時点に比べますと約一万四千人ほど減りつつあるということかと考えます。  それから、大手数社の造船の雇用の問題でございますが、これは二つございまして、造船の中に、言うなれば本工とそれからいわゆる構内下請——造船所の構内で働いておる下請と、それから造船所の構外に工場を持っていわゆる加工外注といいますか、仕事の契約をしておる事業者がございます。前者の構内の下請工の数から見ますと、私ども造船各社で五十三年の三月まででいいますと約一年間に、たとえば五十二年の三月から五十三年の三月という一年を考えますとそう大きな数字ではないと考えておりますが、いずれにいたしましても先ほど申し上げましたように、五十三年度から五十五年に言われております答申ベースのレベルに操業度を落としていくわけでございますので、四十九年で申し上げますと約六五%に落とさなければいかぬということでございます。したがいまして、この操業度短縮につきましては非常にいろいろ問題を含んでいることはよく承知をしております。そこで五十年度、五十一年度は、たとえば雇用調整給付金制度の適用等を通じましていろいろやっておりますが……

内藤功日本共産党

○内藤功君 結構ですよ、局長。その給付金の前の問題なんだから。給付金を適用するというのは解雇する段階だから。その点はいいです。  いまちょっと自席で発言しましたが、これじゃ何にも対策がない。六五%にしなきゃいかぬ、そのときは雇用給付金だ、給付金の用意をする、こういう前の問題なんですね。その、いまあなたの言われた一番ピーク時からどのくらい減っているか。私は、こういうこともあろうかと思って事前におたくの方で調べてもらった。過去における造船の下請の方の最高数は四十九年十月です。九万一千二百七十八名、五十一年二月が七万九百三十四名。ピーク時から幾ら減っているかというぼくの質問に対する答えは二万三百四十四名です。もっと大きいんですね。二万人を超している。  それで、これから五十三年にかけて大手の少なくとも一万数千名、この人員削減。これは重大な社会問題だと思うんです。現にその先走りとして、私どもの調査では日立造船では年配の方、病気の方、そのほか婦人ですな、特に共働き、こういう方に対する退職の強要ですね、ぼくはあえて実態から見て強要。それが行われて、ことしの三月までに八百人くらいの退職者が出ている。こういう実情ですよ。皆働きたいのだけれどもやめさせられている。これは大きな社会問題がこれから出てくるという問題です。石田さんは労働行政を長くやってこられたが、大きな問題です。  そこで、先ほどから六五%、六五%と言っている。六五%に操業を減らしていく。そのためにどうしても現在の人員数を削減するというんだけれども、私は現在の人員数をさらに削減する必要はないと、こう思うんです。労働者が犠牲とされる筋合いはないんです。さっき言ったように、設備の過剰投資というものが主たる原因になって今日の事態を招いている。これが基本です。そして私は、大型化と急成長のこの五年間の数字を見ますと、建造量は大体私の大ざっぱな計算で二倍近く伸びている。世界の半分がシェア。ところが、この労働者の数はどうですか。この最近五年間ぐらいで労働者の数は運輸省のお調べではふえていますか。建造量は二倍近く伸びていますが、労働者の数の伸びはパーセンテージで言っていただくと約どのくらい伸びていますか。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) 五年間で建造量が一万三千トンから一万八千トンにふえておりますが、それに対応いたしまして四十六年の年末で全部やりますと、四十六年が全体で二十五万人に対しまして五十一年の三月ではこれが二十五万、ほとんどふえておりません。この原因は、先生御承知のとおりでございまして、主として日本の造船業が合理化をやりまして、非常に近代的な工法で世界の国々に比べて、より工数の少ない建造方法を最近に至るまで技術を向上さして完成をした結果でございまして、従業員がふえないでトン数が伸びているというのはそういうことかと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 大変手回しのいい御答弁をいただきましたが、私のいま確かめたように、この五年間に建造量の大幅な伸び、これをもっと七年、八年前にもってきますと、もっとこの差が出てきますね、建造量の大きな伸び。これに対して人員は同じ人員でやっているのですね。同じ人員でやっている。ですから、いまから五年前に、いまとほとんど同じ人員でいまの大体七〇%の建造量を上げていた、成績を上げていた。  そうすると私は、この六五%なり七〇%なり、六〇%なりの六五%を基準とした操業短縮というものを、建造量の縮小を行っても、この人員というものはこの五年間ふえてないです。もう少し細かく言うと、大手の方ではなおその人員のふえは少ないですね。大体大手の会社でいうと、従業員が十三万くらいの規模、下請が四万五千から四万一千ぐらいの規模でこう動いていますね。こういう点から、労働者に犠牲を負わすということは、これは単に感情論、生活擁護論というだけじゃなくて経営論からしても成り立たぬと私は思うんです。  時間の関係で、ほかの問題もありますからもう一つ。私はこの際、海造審の答申で指摘しておきたいのは、こういうふうに労働者に犠牲をしわ寄せにしようという意図だけじゃなくて、こういうふうに書いてあるんですね。企業体質の弱い中小造船業の事業転換——中小造船業、関連工業、下請業の事業転換を言っておる。しかし、どうです。運輸省にお伺いしたいんですが、海造審の言う中小企業の事業転換というのは、口で言うのは簡単だけども、できますか。解体業をやらせるというんですね、予算を組むと言うんだけれども、事業転換はそう全部できるわけじゃない。結局これは、事業転換のできない中小企業はどうしようというんですか。倒産して全員解雇ということにこれはもう見えた話なんですね。非常に冷酷な提案なんです。私は、まずこの中小造船業については将来の見通しをしっかりとってやる、特に官公需要を優先発注してやる、それから資金や税制の面でめんどう見てやる、技術力の向上を図ってやる、こういうまず生かしていくという積極施策を講ずるべきなのに、事業転換を前に出すということについてははなはだ冷酷な答申だと思うんです。運輸省はこの答申のこの部分に賛成ですか。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) 事業転換について、これ二つ考え方がありますが、一つは、やらずに済めばそれにこしたことはないと考えます。それからもう一つは、少し多角的に期間をかけても分野を広げて、一つの需要分野におきます好不況に左右されない体質をつくるという意味では、積極的に時間をかけてできる事業転換をすべきだと、こういうふうに考えますが、最初の方の、やらずに済めばという点につきましては、これは世界全体で輸送需要が減ってまいりまして、それに係船等の需要があるわけですから、それをしも押して船をつくるということは、これは注文者がなかなか出てこないんで、なかなかできにくい話でございます。  それから、日本が五割をつくっておりますが、これがさらに国際的に、それを大幅にふやすということにつきましても前々からのOECD等で、かなり各国の摩擦を呼びいろんな輸入障害等も出るおそれがあるということでございますんで、そういう意味でつくるべき船か世界的にない——国際競争力がないわけではありませんので、そういう意味では船があればつくっていくということでございます。  それから国内船の問題につきましては、これも、たとえばフェリーの需要が一時に比べて減ってくるとか、あるいは漁船が最近の漁業実態を投影いたしましてなかなか需要が伸びないとか、いろいろ問題ありますが、総じて国内なり、あるいはほかの国の内航海運、内航サービスをやる船につきましてはほぼコンスタントから、場合によってはそう大幅に減少しないで漸増も見込めるかもしれない、こういうことでございます。  そこで私どもとしては、この答申の趣旨は、まず冒頭に書いてございますように、新市場を特に中小企業については開拓していくということで、従来非常にお客さん多かったものですから等閑視しておりました中近東とか、あるいはアフリカ、あるいは中南米のいわゆる小型雑船の需要に積極的に対応していく、あるいは技術力を増しまして、言うなれば少しむつかしい船もできるようにしていくということをやった上で、先ほど私が冒頭に申しました第二の点で、長期的には造船所の持っております鉄の加工技術、あるいは設計技術を使いまして鉄鋼工事等に出ていけるような素地をこれから涵養するように努力しよう、こういうふうに受け取っておるわけでございまして、そういう意味では、答申の線に沿ってそれぞれの対応策を考えていきたい、こう考えております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 いろいろお聞きしましたが、この海造審の答申というのはまだまだ問題が多い。そうして、特に大手造船の意見の代弁者のごとき感を私は呈していると思うんですね。この審議会自体を抜本的に考え直さなくちゃいかぬ時期にきていると思うんですね。  そこで、大臣にこの辺で御答弁願いたいんですが、海運造船合理化審議会、これはいろいろ審議会がありますが、その一つ。民主的な改組の問題です。特に海造審の今度の答申を見て思うんですが、こういう審議会に、合理化で一番早く犠牲になるのは労働者ですね。それから中小企業、下請業という方です。こういう経済的な力量、力の弱い人たちの代表を入れるという配慮ですね。それからもっと総合的長期の展望、特にこういう働く人にも明るい展望を持てるような、こういう結論の出るようなものにしなくちゃいかぬ。それから審議の公開、それから国会への報告を義務づける、国権の最高機関でありますから。たとえばこういうことなどやること一ぱいあると思うんです。審議会全般に言えるかもしれないが、特にこの海造審の民主的な抜本的な改組ということを私どもは主張し、提案をしたいと思うんですが、これについて大臣、どういうふうにお考えになりますか。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 私は、特に近年におけるこのタンカーの過剰という問題、これは、たとえは少し荒っぽいかもしれないが、ボウリング場とよう似ているような気がしておるのであります。運輸省へ参りまして、船台の建造その他についてどういう指導をしておったかということを聞いたんでありますが、やっぱり抑制ぎみの指導をしておったと。しかし、先ほどからお話しのように、その当時の経済情勢というようなものにあおられて御承知のような状態になった。そういう見地から考えれば、第一義的には経営責任というものがあると思います。したがって、雇用されている人々の再就職の問題などを含めたその第一義的責任の遂行というものが経営者として義務づけられるものだと、私はそう考えるわけであります。  しかし、前に以前と同じ人間で働いておったじゃないかと。その同じ人間で働いておったから競争力もあったわけでありまして、そこで、それがもとへ戻れば、こういう不況な状態にあれば、いままでの日本の造船業の優位性というものが失われるわけでありますから、一概にそういう考え方が全部誤りであるとも言い切れないと思うんです。ただ、これを再建していくのには、それは無論一番大切なものは先行きの見通しであって、タンカー等の場合、なるほど各国とも高度成長のときは景気がよくって注文が殺到したかもしれませんが、肝心かなめの石油はこれは明らかに有限なものであるわけなんで、そういうものと兼ね合わせて考えるときには、やっぱり経営責任が依然として残る。で、そういう見通し、対策を立てる場合に、いま私が申しましたような見地から、いまおっしゃったような下請業、それから勤労者、そういう人々の意見を十分徴すということが必要だと思います。  それから明るい見通しをつくれとこう言われても、これは客観情勢から結論として生まれてくるものでありますから、どうしても見通しの方を先に決めるわけにはいきませんけれども、見通しを立て、対策を立てる土台は、いま申しましたように経営側の立場だけでなく、その影響を受ける下請、勤労者、そういうような人々の意見も徴して立てられていくべきものだと考えております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そこで、こういう時代になりますと、この労働者の生活を守る団体である組合ですね、これは非常に大事な防波堤の役割りを果たすわけなんです。造船の関係の組合もいろいろありますが、私はきょう全造船機械という全国的な組合のことをまず取り上げますがね。この組合ではいわゆる不当労働行為、労働組合に対する支配、介入、それから組合の所属別による賃金差別、非常に露骨であります。一々詳しく言う時間がありませんが、端的な、私、証拠として言うのは、この十年間で全造船機械労組に関して労働委員会に提訴して労働委員会の第一審、初審で組合側の主張が認められて、なるほどこれは会社のやっているのは組合介入だということで軍配が組合側に挙がった事件が私の調べでは三十件ある。これは組合が勝ったから喜ぶわけじゃないんで、それだけやられているということなんですね。中身は第二組合をつくる、それに会社が協力する。それから第一組合と第二組合で差別をする、それから団体交渉を一方は認めるが一方を拒否するというような例が多いのですよ。三十件ある。いまかかっているのも多い。  この間、五月の末にこの全造船機械の実施したアンケートでは、十九分会四千六人からとりましたところが、三菱の長崎、横浜、石川島など大手では昇給、昇格が第一組合にいるため差別されている九六%、成績査定の基準が示されていない九五・九%という数字が出ている、深刻な問題。こういう不況下ですから、働く人との間にこういう紛争を起こしちゃだめです。それはもう一番仕事に響いてくる。職場の空気が悪くなってくる、大問題。これは社労でやるべき問題だけれども、あえてぼくが運輸へ出したのは、造船業という関係で問題にしたいと思います。  労働省来ておられますか。——こういうことに対して第一審の命令が出てもそれに従わない経営者が多いです、いまぼくが言った大手六社多いです。どうせバックに自分の方が強い力があると思っているからかどうかわからんがね、守らない。裁判続いている間にまた別の不当労働行為をやる。こういうさいの河原の石積みみたいなことをやっている。  これはどうしたら禁圧できるかというのは、ぼくはほかの委員会でも何回もやった。たとえば昭和二十四年まで労働組合法は刑罰主義だった。刑罰があった。もう復活しなきゃならぬのじゃないかと思うんですね。刑罰主義ということも考えなきゃいかぬ。それから刑罰がまずいと言うんなら制裁ですね。たとえばこの会社とこの会社はこういう不当労働行為を守りません。守らない回数、この会社は何十回です。この会社は何回ですというのを発表するのも一法でしょうね。社会的にやっぱりそういうことも大事でしょう。  それから労働委員会のいまの機構が足りないというならこの増強も必要でしょう。それから弁護士が労使双方につくためにおくれるというなら、弁護士をつけないでやるという工夫も必要でしょう。それから各社に対する個別的な行政指導も必要でしょう。  ぼくはいま五つぐらい方法を挙げましたが、幾らでも考えりゃある。ところがやってないんですね。全部労働委員会の出先任せという感じが率直にいってする。労働者のこれについての命令に従わないやつをどうするか、それは審理促進ですという答えじゃぼくは引き下がりませんよ。どうするのか、これ。いつものおざなりの答弁じゃぼくは引きませんから、どういうふうにするか答えてください。

松井達郎労働省労政局労働法規課長

○説明員(松井達郎君) お答えいたします。  いま先生の御指摘のように、昭和四十一年ごろから全造船関係の組合からの申し立ての不当労働行為というのは、これは相当の数に達しております。それで、いま先生がおっしゃられました地労委で命令が出ても中労委に持っていく、それからあるいは行政訴訟に持っていく、こういうようなことで、一体審査は長引いているけれどもどうしたらいいかという問題でございます。  まず最初に、これはいまさら申し上げるまでもございませんが、労働組合法におきましては確定した委員会の命令、それから行政訴訟によって、判決によって、指示されました労働委員会の命令、これにつきましては、御存じのとおり過ち料または罰金……

内藤功日本共産党

○内藤功君 失礼ですけれども、そういうことはわかっていますからね、先にどうしたらいいか。

松井達郎労働省労政局労働法規課長

○説明員(松井達郎君) それ以外に、たとえばまず昔のように刑罰主義に戻ったらどうかというようなお話がございました。これにつきましては、私も古い時代の記録でございますが、処罰請求ということでもって労働委員会が処罰を決定して刑事事件にするというような制度があったわけでございますが、この記録を調べてみますと、全部の申し立てに対して労働委員会が処罰請求をしたのが七%、起訴に至ったのが四%足らず、有罪確定が二%足らずというような数字がございます。それでなかなかこういうふうに罰則でもって持っていくのはうまくいかないというような過去の経緯がありまして、昭和二十四年以来、原状回復主義をとったというようなこともあるのではなかろうかと思います。  それで、一体刑罰主義がいいのか、原状回復主義がいいのかという点についてはいろいろな論争がございますが、場合によっては、それは刑罰というのは、いわゆる予防的な性格もございますから、そういう議論もあると思いますし、ことにこれは悪質な使用者に対しては役立つものかとは思いますけれども、一般論として考えてみた場合には、労使関係というものがやはり原状回復というやり方、それによって円満な労使関係に復すというやり方の方が一般論としては正しいからではなかろうかというふうに私どもとしては思っております。  その次に、会社名を公表したらどうかという御提案があったわけでございますが、私どもといたしましては、やはりこれは地労委の命令が出た場合に中労委に持っていくことができる、あるいはさらに訴訟に持っていくことができるということになっております以上は、やはり確定までは待つべきではなかろうかというふうに思うわけでございまして、確定すれば先ほど申しましたとおり労組法はそれなりの制裁を規定いたしているわけでございます。それから後、審理の促進について一体どんなふうに考えておるのかというようなお話もございましたが、私どもといたしましては、具体的な事件につきましては、それぞれ労働委員会に申し立てられたり、裁判所に訴訟が出ましたりした場合には、これはその権限ある機関によって判断すべきものと思いますが、一方私どもといたしましても従来からいろいろな機会をとらえまして、関係者に対しては不当労働行為等が行われないようにというような指導はいたしてきているところでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 それならどうしたらいいのか、私の出した提案をこれはまだ受け入れられませんというだけじゃなくて、どうしたらいいですか、何もありませんね。いま御提案ない。だからぼくはこの提案を言ったんだから。答えになっていない部分もありますよ。持ち帰って研究すると、ぼくの具体的な提案ですから。特に刑罰主義というのは、二%起訴されたっていいんです。起訴が二%だっていいんだ。犯罪になるということが、あなたも言ったように一つの効果を上げるのですよ。こういうものを検討してくださいよ、どうなんです。まじめに検討してくださいよ。

松井達郎労働省労政局労働法規課長

○説明員(松井達郎君) 刑罰主義がいいか、原状回復主義がいいかというのは、申しましたように、いろいろな立場からいろいろ御意見があると思いますが、私どもといたしましては、現在のところ原状回復主義の方が適当ではなかろうかというふうに思っておりまして、刑罰主義に戻るという点につきましては、果たして労使関係の一般的なあり方からいって適当かどうかということで慎重に検討を要することではなかろうか、やはりいまのところは原状回復主義がいいのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 いや、私の質問は、五つ提案出したでしょう。個別的な行政指導を強化する、さらに委員会の事務局などを増強する、弁護士代理制度を再検討する、これらも含めて具体的な提案をしているのだから、あなたはそこで一人でこれはいけませんと言うんじゃなくて、これは労働省としてまじめに検討するということを言えないですか。

松井達郎労働省労政局労働法規課長

○説明員(松井達郎君) お答え申した問題ではございましたが、弁護士の代理の問題これはなかなか重要な問題だと思います。それで、御存じのとおり労働組合法におきましては手続規定は比較的簡単でございます。弾力的規定と言えるかと思います。それで、労働委員会における手続をどういうふうにするかということにつきましては、労働委員会の関係者それぞれ熱心に検討しておられるところでございまして、私どもといたしましても、この労働委員会の考えておられる審査の促進に関する考え方につきましては基本的に賛成ですし、御協力は申し上げておるところでございまして、現在も昨年七月以来、全国労働委員会総会におきましてこの審査促進が一つの柱になって、それで全国労働委員会協議会において検討がなされているところでございます。  それから、その次に個別的な案件について指導せいというようなことでございますが、先ほど申し上げましたとおり、委員会に係属している事案の一つ一つの判断につきましては、私どもといたしましては、これは委員会にお任せすべきものと思っておりますが、一般的に労使関係について合理的な労使関係をつくるという意味では、あらゆる機会を通じて指導いたしているところでございまして、この全造船の問題につきましても、ことしの夏の初めでございますが、私どもの局の方にひとつ実情を調べてくれというふうなお話がありまして、私どもといたしましては現在調べている最中で、間もなくまとまりますので、これは近くその結果を全造船の方の組合にも報告したいというようなことで仕事を進めておるところでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 現在調べておられるということなんで、労働省としてその調査結果を早く結論を出されるように希望して次の質問に移ります。  憲法の条項が果たして会社の中の、造船なら造船の労使関係に及ぶかという問題、これについて、きょう内閣法制局長官にお見えいただいたわけですが、あなたには一点だけお聞きしたいと思う、ほかの委員会もおありのようだから。私の質問は、これは一般的に憲法の十四条、法のもとの平等。それから十九条、思想、良心の自由。それから二十一条、言論、表現の自由、結社の自由ですね。こういった、いわゆる人権保障規定は私人間にも及ぶという考え方が最近の公法学会の学説など読んでもいろいろ非常に多い。直接に適用されるという説もあるし、間接に適用されるという説もあるが、いずれにせよ適用されるんだという考え方が非常に多いと思いますが、昔いわゆる埋葬問題での見解なんかを衆議院の法制局第一部長が出したことがありますが、この点についての内閣法制局としての見解を私まだ聞いていない。そこで、これについてどう考えられるかという問題をまず伺いたいと思うんです。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 憲法の保障しております基本的人権、そのうちの特に自由権的基本権と申しますか、その保障条項は一体どういう適用関係になるのかという問題でございますが、いろいろ学説はございます。ございますが、われわれといたしましては、この憲法の自由権的基本権の保障の規定は、一体これは何に対して保障しているのかという基本の考え方といたしましては、これは国家権力あるいは公権力といいますか、国家権力から国民の自由を守るというのがやはり憲法の大もとの考え方だろうと思いますので、したがいまして、私人間の法律関係にはこの憲法の規定は適用がないというふうに考えております。  私人間におきまして個人の自由だとか平等が侵害された、あるいはそのおそれがあるという場合にはどうなるかと言いますと、その点につきましては、それが侵害の態様とか程度が社会的に許容し得る限度を超えて行われるというような場合にはこれを調整するという必要がございますが、それは立法政策の問題として民法の第一条、権利の乱用禁止、九十条の公序良俗規定、あるいは七百九条ですか不法行為、あるいはその他のいろいろな調整規定によって調整されるということでございます。この考え方は、御承知だと思いますけれども、昭和四十八年の十二月十二日に、例の三菱樹脂の事件についての最高裁判所の大法廷の判決もございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 いまの考え方は四十八年の十二月の三菱樹脂の判決の考え方を、そのある部分を踏襲した考え方ですね。この三菱樹脂の判決というのは、その別の部分で民法の九十条というような規定、そして、この民法の九十条の公序良俗というものの解釈の中で、憲法の十九条なり二十一条のいわゆる自由権的規定がこういうものの解釈の基準になるということを言っているわけです。この点はどうですか。この三菱樹脂の判決自身の読み方を、非常にいまの長官は形式的に言っておられると思うんですね。  私は、こういう判決の論旨というもののごく一部だけを持ってきてやられるという、見解を出されると非常に誤解を生ずるし、特にいまのこの見解は重大ですよね。私は、自由権的基本権というものが、そもそも直接的にも間接的にも、いずれにもせよ私人間の法律関係に適用されるというのは、いまもう学説の大勢ですね。三菱樹脂の判決だっていろんな批判があるわけです。いま政府がどういう見解をおとりになるか確かめてみたんですけれども、あなた方がそういう見解をとるということは、非常にこの憲法の規定を軽く見る結果になると思うんですね。いまのこの三菱樹脂の読み方の点、それからいま私の言った点、どうですか。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 学説の中には、憲法の自由権的基本権の規定は間接的に適用があるというようなことを言っているのもございます。その間接的適用という意味合いなんですが、これはよく考えますと、法律というのは、類推適用を含めて適用があるかないかということなんであって、どうも間接的に適用がある、中間的な配慮といいますか、そういう適用というのは実は余り正確な言い方じゃないと思うんです。ただ、こういうことは言えるんだろうと思うんですが、先ほど申しました民法九十条の公序良俗規定、あるいは不法行為の七百九条の規定を解釈適用する場合に、その公序良俗違反性、あるいは違法性の判断をする際に、憲法が国家権力の行使に対しての保障であるとはいえ、やはり憲法がわざわざ規定を設けて自由権的基本権として保障しているんだということを念頭に入れまして判断をするということはあろうかと思います。そういうことをとらえて間接的適用だとおっしゃれば、あながち間違いだとは思っておりません。

内藤功日本共産党

○内藤功君 このことは当然のことなんですね、いまあなたの言われたことは。私人間の関係に憲法が直接適用されない立場に立つ場合でも、私人間のこの法律関係には民法の九十条とか、いま言った民法一条とかいうものが適用されてくる。その判断の基準として憲法が自由権を保障している。そのことが判断の基準になるのはあたりまえのことなんです。  私は、そういう前提に立って、もう一つ造船関係で私が非常に重視しているのは、石川島播磨の労働者から最近都労委にやはり提訴がされたわけです。これは労働委員会でも御存じと思いますが、ここでは会社の中で、簡単に言うと労働者を五段階に思想傾向を分けてブラックリストをつくっている。そして、いわゆる左翼系と会社が目される人を賃金、昇給、昇格の面で非常な差別をしている。それから忘年会、新年会、お葬式、野球などの行事からも排除している。こういう重大な事実があります。これは都労委のいま審理を経ている問題ですし、私どももこれは徹底的にとらえて今後追及したいと思いますが、こういう従業員の何万という職場で、しかも生活時間の圧倒的な部分を過ごす職場で、この労働者の自由が侵されているということは非常に重大な問題だと思うんです。  私は、まず労働省にお伺いしたいんですが、この都労委への提訴の事実は御存じと思いますが、この問題について、さらに労働省が先ほど造船機械の組合間差別を調査していると言われましたが、思想、信条による差別、これが行われているという点についてあなた方はどのように事態を把握しておられるか、この点をまず伺いたいと思う。

松井達郎労働省労政局労働法規課長

○説明員(松井達郎君) お答えいたします。  この申し立てば先月の末でございますか、全造船ではございませんで造船重機の中の組合の一部の人からあったわけでございます。それで、先生御存じのとおり、労働組合法の七条におきましては、正当な組合活動を理由として不利益に取り扱った場合は、これは不当労働行為であるという規定がございますが、先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては事案が労働委員会に審査をゆだねられておるときには、これは労働委員会の判断を待つべきものだというふうに思っております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 残念ながら時間がきましたので、私はもう一点だけ、今度は航空局関係でお伺いしたいと思います。  航空局長にお伺いしたいんですが、最近わが党が調査したところによりますと、国の出資に係る航空会社の中で、航空運賃を特定の顧客、代理店などに割り戻しをしている、リベートをしているという事実がわれわれの調査の結果あらわれてきておるわけなんです。それで、たとえばこれ日本航空ですね、日本航空の場合にこの金額は昭和四十八年度で七十億円、四十九年度で約百二十億円、昭和五十年度で推定としておきましょう、推定約二百億円、大変な額であります。日本航空の総売り上げ額との比率を見ますと、昭和五十年度では総売り上げ額の五・六%になります。日本航空ではそのリベートを処理するための専用の手続の様式まで用いられているということなんです。  私は、これ事実とすれば航空法違反の問題などもできてくるような問題だし、ぜひこれは監督官庁の運輸省航空局においてまず調査をしてもらいたいと思う。特にロッキード事件のいままさに追及、問題になっておるときです。リベートというのは普通表に出せない金だ、どういうところに使われているか、よもや表に出せない政治的な献金などに使われていることはないと思うが、その疑いはないのかどうかという点についてもあわして、これはこういう時期でありますから、航空局の方できちんとした姿勢でお調べになることが必要だと思う。初めてお聞きになったかもしれない、あるいは前にお聞きになっているかもしれないが、航空局長、この点について何か御存じですか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 私といたしましては初めて伺ったわけでございますけれども、したがって、事実私、今日何も把握しておりませんけれども、もしそういう疑いのような事実があるとすれば、それは恐らく御指摘のような旅行業者との関係で、主として団体利用の客などの運賃の取り扱いについて起こるのかもしれません。その場合には、いわゆる旅行業者が当然正当に受け取るべき手数料ですね、それがどのぐらいになるのか、これはまあ正当なものでございますから問題ないと思いますが、その手数料をさらに上乗せいたしましてリベートを出して、それによって日本航空の飛行機を使ってもらうように旅行業者に働きかけるということが商売の手段としてあるのかないのか、これはよく調べてみます。  特に、石油危機以来航空関係、特に太平洋をめぐる航空関係では日本のエアライン、それから外国のエアライン含めまして運賃競争が相当激しいことは把握いたしております。先ごろも国際、国内両航空会社、合計数社に対しまして運賃ダンピングに対する警告を出したわけでありまして、私どもはさようなことが続きますと、ひいては経営の危殆を招き、それは航空の安全を確保するゆえんにならないというところから厳しく対処してまいるつもりでございますが、いま具体的に御指摘のリベート問題につきましては、調べましてまた御報告したいと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 ぜひ早急にこれは厳重に調べてもらいたい。特にいま局長は手数料ではないかというようなことを言われたようだが、これははっきり言っておきますが、正規の手数料ではないということです。  最後にもう一問だけ、済みませんが、時間ちょっと超過してもう一分だけ。  これは日本航空労組の組合のいろんな争議は十年近く非常に多くの不当労働行為を繰り返してきた。他の委員会でも私どもの党の同僚議員が質問していますからそれは重複を避けて一点だけ聞いておきたい。  この賃金差別は現在都労委に提訴してあるだけで基本給だけで五億、日本航空労組の組合員であるがゆえに差別を受けている。残業手当や遅延損害金を含めると七億になる。この七月三十日には日航の朝田社長が組合の三役とのトップ交渉で、賃金差別問題は会社としても大きな問題なのでぜひ解決したいと述べられて、将来に禍根を残さないよう早期に解決するための努力を労使で確認をしている。ところがこれが七月三十日で、社長朝田さんがぜひ早急に解決したいと約束したのに、二カ月余り一向に進展がない。どこに私はこのおくれる原因があるか、社長はこれだけ言っている。どこにがんがあるのかと、社内でこういう努力を引っ張る勢力があるのかと思うのであります。  日本航空の労使関係というのは、これはもう安全にかかわることはすでに四十七年の事故が続発したときにも広く世の中から指摘されておった問題でありますから、安全にもかかわる問題、それから職場の権利、自由というものは、大きく言いますと日本の国の民主主義、自由の象徴にもかかわる問題でありますから、私たちはそういう観点から国会でこれは取り上げた、単なる労働問題だけじゃなく国の安全、国の自由と民主主義にかかわる問題にもつながるという観点で取り上げたわけですが、これについて運輸省の御見解、さらに日本航空の労使関係の問題についての、最後に大臣の見解もあわせて伺いたいと思うんです。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 昭和四十一年か二年ごろから日本航空の中にいまお話しのような労使関係の交渉があったことは承知いたしております。就任後、その後どうなっているかということを聞きましたところが、都労委で和解の方向へ話が向かっているのでその方向を期待していると、こういうような答えでございました。したがって、私はその報告をそのとおり受け取ったわけなんでありますが、思想、信条によって差別の待遇をしてはならないことは言うまでもないことでございます。私はそういうふうに理解して、そういう基本的態度で、日本航空だけでなく、運輸省の関係する一切の労使問題に対処するつもりでおります。

内藤功日本共産党

○内藤功君 いいですか、言うことないですか……。じゃあ終わります。

和田春生民社党

○和田春生君 きょうは運輸事情調査で多少項目をたくさん準備いたしておりまして、ポイントだけについて特に政府当局のお考え方をただしたいと思いますので、時間の制約もありますからできるだけ端的にお答えをお願いをいたしたいと思います。  最初に、今年度の商船大学、商船高専の卒業生の就職問題、それから海員学校の卒業生は今年また来年に卒業を予定されてもおるわけであります。すでにマスコミでも取り上げられておりますし、政府でも十分御承知と思いますけれども、きわめて困難な状況にあるわけであります。もっとも私ども得ている情報によりますと、たとえば商船大学、商船高専にいたしましても求人のトータル数では卒業生の数を上回っている、最近そういう形になっておりますから、職にあぶれるというものはうまくいけばないかもわからないわけであります。しかし、商船大学の場合で見ましても、商船高専校の場合にはさらにひどいわけでありますけれども、肝心の船舶職員を養成をする専門の学校でありながら海上部門に対する就職の可能性ですね、いまのところ求人というものが非常に少ないわけであります。  そこでこれは、文部省おいでになっていますか。——ごく最近の数字で、学校別の詳細なものはよろしゅうございますから商船大学二校、それから商船高専五校、これに関して卒業生の数と求人数、しかもその求人の中で海上部門と陸上部門、求人の数がわかっておりましたらそれをお聞きしたいと思います。

瀧澤博三文部省大学局技術教育課長

○説明員(瀧澤博三君) 初めに大学関係で申し上げますが、東京商船大学、それから神戸商船大学合計の数字で申し上げます。卒業生総数が三百十七名でございますが、そのうち就職を希望しておりますのが三百四名でございます。十月一日現在で調査したところでございますが、海上関係の求人が六十九、そのうち就職が決定しておりますのが三十五名という状況でございます。それから陸上関係の求人の状況で申し上げますと、両大学合わせまして四百二名の求人ございまして、そのうち陸上関係に就職が決定しておりますのが百二十四名ということでございます。そういうことでございまして、率で申し上げますと、海上関係へ就職が決定しておりますのが約一割強の一一・五%、それから陸上関係で四〇・八%、合わせまして現在の状況でなお半数をちょっと出たところというようなことでございまして、大変憂慮している次第でございます。  それから高専関係で申し上げますと、五校ございますが、合わせまして卒業生総数が四百十四名でございます。うち就職を希望しておりますのが四百七名ということでございまして、これも十月九日現在の状況でございますが、海上関係の求人数がトータルで七十四名でございます。これは若干大学関係と重複がございますかもしれません。そのうち就職が決定をしておりますのが十三名でございます。それから陸上関係の求人が四百四十三名、うち就職が決定しておりますのが六十七名でございます。率で申し上げますと、海上への就職決定がわずか三%、それから陸上が一七%、合わせまして就職決定しておりますのがなお二割、ちょうど二〇%という状況でございます。

和田春生民社党

○和田春生君 もともと商船大学にしても商船高専にいたしましても、船舶職員の養成を主たる目的として設置をされて、しかもライセンスを取って船に乗るということが教育の主たる目標なんですけれども、いま御報告されたように、これ全くその学校設置の目的からいきますとかけ離れた状況に置かれているわけです。で、学校を所管しているのは文部省でございますが、文部省としてこの状況を改善するためにどういう努力を現在までにされてきたか、その点をお伺いしたいと思います。

瀧澤博三文部省大学局技術教育課長

○説明員(瀧澤博三君) 大学関係で申し上げますと、求人の開拓につきまして運輸省を通じていろいろお骨折りをいただき、関係大学等とともに努力をしていくことは当然でございますが、最近陸上への就職ということも大分ふえてきているということもございまして、大学の性格自体ないしその制度としての仕組みを、陸上へ就職する場合にも学生になるべく不利にならないような仕組みにしていきたいというふうな考え方もございまして、ことしの四月から一般大学と同様に四年制に改めたということがございます。ただ、船舶職員として資格を取ることを希望する者につきましては従来同様四年半の教育の仕組みをとっていく、大学につきましてはそのような態様を検討しているわけでございますが、高専につきましては、これは一般の高専は五年でございますが、商船関係は五年半ということが法律で決まっております。  そういうことで、やはり陸上への就職につきましては大変な不利を受けるわけでございますが、これは何と申しましても商船高専の性格から申しまして大学のように弾力的に考えることは大変むずかしいかと思います。それで、その五商専の今後につきまして運輸省とも御相談をいたしまして、真剣に考えなければならないと思っているところでございます。ただ、さしあたり現在の状況では、直ちにこの五商専をどうするという結論を出す段階ではないかと思っております。来年の募集等につきましても一応従来どおりの定員で募集をすることとしておりますが、なお合格者の決定する段階までにさらに今後の状況を十分検討いたしまして、どのような措置をとるか慎重に考えてまいりたいというふうに考えております。

和田春生民社党

○和田春生君 学校を所管している教育担当の文部省としてそれ以上の御説明を受けるのは無理だと思うわけであります。で、この場合、特に商船大学の場合にはある意味で言うと海離れという傾向も出てきておりまして、海運の好況の真っ最中でもだんだん海上の就職が減ってまいりまして、大体四十六年までは八割方海上に就職をしておったのが、四十七年には海上、陸上の比率が六対四になる、四十八年以降は半々、むしろ海上の方が少ないという形でございますから、これはまあ最高の大学という性格から見て必ずしも船に乗ることだけに力点を置くというわけにはいかない、またいろいろ多角的に考える必要性はわれわれも認めるわけです。その点はよろしいんですけれども、商船高専はそうではなくて、これは文字どおり一〇〇%船舶職員を養成するということが目的で、学校の教育内容もそういう形でつくられているわけであります。私はいままで何もしていないのではなくて、ここに船員局長もおられますし、前運輸大臣の木村さんも座っておられましたけれども、八方手を尽くして努力をしてきたんですけれども、実際どうにもならぬというところに来ているわけです。  実は九月の末日、各商船高専の卒業式が行われました。私は、全日本船舶職員協会の会長をいたしておりますから、その立場においてあいさつに行きましたけれども、卒業生の答辞も在校生の送る言葉も、校長の訓話も、すべて日本の海運界のためにりっぱな海運人として、船舶職員としてやっていただきたい、そういうところに重点を置いて行われているわけです。実は私は、そういうことを聞いておって、本当に気の毒だなあという、涙がこぼれる思いをしたわけです。商船高専の卒業生が、最初から船乗りになるために一生懸命勉強してきている。そして、在学中すでに優秀な者は甲種船長、甲種機関長の筆記試験に合格している者もおるわけであります。去年卒業して就職口がなくても、やはり船に乗りたいというために、学校を出てから一生懸命勉強して甲一、あるいは甲長のライセンスの資格試験を受験をして筆記試験にはパスしているという者もおるわけですね。それに対して、いまお話しがありましたように、決定したのがわずかに三%である、求人総数でも卒業生の一五%に満たないという惨たんたる状態であります。  文部省当局はこのことについていまはっきり明言をされておりませんけれども、私も文部大臣、また大学局長にもお会いをしていろいろ話を伺っておりますが、現に学校側には募集定員を減らすという問題の非公式な打診ないしは相談も行われているわけです。現在は大変機械的になっておりますから、在学生の数が減ってまいりますと、それの規模に応じて商船高専の予算も教授の定員も減らされる。これは、こういう特殊専門学校については、一般の教養学とは違いますから、必然的に教育内容の低下にこれが結びついていくという問題がある。ひいては、商船高専校そのものの存立というものに重大な疑義が発せられるわけであります。これについて船員局長、また前運輸大臣におかれましても非常に御努力をしてくださったことは認めるにやぶさかではございません。しかし、このままでほっておいていいわけじゃない。いままでの努力をしたことを、こうした、ああしたということは私全部承知いたしておりますからここでお聞きしようと思わない。今後どういうふうにして海に対する就職を拡大されるおつもりか、その点をまず船員局長にお伺いをしたい。  次いで海運局長には、これは受け入れる方が受け入れないとどうにもならないんです。受け入れる側は海運会社なんでございまして、事業官庁としての一番責任を持っているのは海運局でございますから、船主に対してそういう事業を監督をするという官庁の立場においてどういう働きかけ、ないしはサゼスチョンをされたか、そういう点をあわせお伺いをしたい、こう思います。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) お答えいたします。  船員の需給状況につきましては、非常にただいま難渋いたしておりまして、特に外航方面では予備員率が非常に高い。普通でございますと五〇%ぐらいが適当でございましょうけれども、現在では六五から七〇%にまで及んでいる。また、企業内にあります予備員の中でも中高年層、特に四十歳以上が非常に多うございまして、職員で三五%以上、それから部員で三九%以上、こういうふうに中高年齢層が非常に多うございまして、そういう関係で特に部員の場合におきましては職業転換、職種の転換が非常に困難でございます。そういうことから、これらの人たちの現在の職域の確保についても難渋しているわけでございます。加えて、新規学卒者の職域を広めるということ、確保するということ、非常に難渋している次第でございます。こういうことでございますので、これからどういうふうにやっていくかということは、まず、ただいまの卒業生の職場を確保することにつきましては、従来にも増して最後まで、採用の決定まで努力をさしていただきたいと思います。  それから、将来のことにつきましてでございますが、これにつきましては、やはり将来の船員の需給の関係について的確な見通しを得たいと、かように考えております。しかしながら、現在の状況からいたしますと、先ほど申し上げたような予備員の状況、あるいは中高年層等のこういう年齢別の状況等々を考えますと、また船体の、船腹の構成の状況、それから最近いろいろ技術革新によりまして船質が改善されております、そういう関係で船員の一船当たりの職場もだんだん狭くなっております。そういうことを考えますと、長期的にはこの需要の推定をいたしますのは非常にむずかしいところでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、将来に向かって、新規学卒者ばかりではなくて一般の船員も含めて、どういうふうに船員の雇用対策の基本を決めていくか、この中では、どういたしましても船員の需要量につきまして推定をしていかなければいけないということで、ただいま苦心しながら需要の推定をやっているところでございます。しかし、先ほど申し上げたような事情で、非常に推定につきましては難点がございます関係上、的確な数字がなかなかすぐには得られないと思いますが、その中でやはり従来からの日本船員の果たした役割り、これを考えながら努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) 海運業を所管しております立場から、こういった事態についでいかなる手を打ち、いかなることを考えておるかという点につきましで御説明を申し上げたいと思います。  ただいまの商船高専の定員、定員としては年間六百名かと存じますが、これは昭和四十一年ごろの海技審議会の御検討を経まして、その御答申に基づきまして四百名から六百名になって今日に至っておると思います。その後日本の商船隊は一時急激に増加をいたしまして、その限りにおきましては、商船職員の求人というものは非常に高かった時代がございます。また、その後四十七年、八年、いわゆる石油ショック以来日本の商船隊の新しい増加の傾向がぱたっととまりまして、あまつさえ船員費の高騰その他から、日本船舶を外国に売却をして事実上それまでその船に乗っておった日本人船員を外国人船員に置きかえようとする動きすら出てまいりました。最近に至りまして……

和田春生民社党

○和田春生君 そういう事情はわかっているんですよ。どうしようと思っているかということを端的に聞いている。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) ことし四百名程度の高専の卒業生を出しておりますが、長い目で見まして、現在の日本の商船隊の規模から見まして、このぐらいの職員の人が新たに新陳代謝の一部として入るのはむしろ穏当な数字ではないかと私どもは思っております。これが事実ことし就職できないというのは、やはり現在の海運業が目の前の競争力強化、弱化を補うための努力というものに非常に努力をしなければならぬということを思い込んで、長い目で見た自国、あるいは自会社の船員の年齢構成というものに配慮が及ばないからこういった一時的な現象が起こっておるのではないかというのが私どもの感じでございます。したがいまして、私どもといたしましては、非常にむずかしいことかと思いますけれども、将来の日本の海運におきます船員の絶えざる新陳代謝というものをこのような時期でもできるだけ続けていくように、したがって、年の上の船員さんがやめていかれるのを若い船員で補っていくという努力を、このような時期であってもできるだけするように、私どもといたしましては時に応じて船主の皆さんに勧めているところでございます。そういったことは非常にむずかしいことであることはよく承知しておりますが、そういった方向でございます。  第二に、やはり今後の問題といたしましては、国際競争力の問題、その他ございますけれども、日本の船員の職場というものを全体として減らさないように、できればふやすように、そういった方向につきましては現在いろんなことが考えられておりますけれども、いわゆる混乗ということも含めまして、日本の船員の職場というものを減らさないように、できればふやすようにいろんな施策を今後進めてまいりたいと思っております。

和田春生民社党

○和田春生君 この点について、私はいまの説明はそれなりに海運局長としてもお苦しい立場でおっしゃっていると思うんですけれども、一般の産業における新陳代謝とか雇用対策とは、商船教育というのは本質的に違うということなんですね。ことしの卒業生を採用するかしないかは、ことしの雇用対策でもなければ、来年の雇用対策でもないんですよ。一人前の船員ができるのには相当の年数がかかるわけです。日本の海運界は戦前から今日に至るまでこういうくだらぬことを本当に繰り返してきている。私自身もそれを体験しているんですからね、自分で。現に文部省や学校に言わせれば、運輸省と船主が一体になって、船員が要るから定員をふやせふやせと言って強引に定員をふやさした卒業生が去年から出てきているわけです。募集定員をふやして、その卒業生が出るときになったら一人も要らないと、こう言うわけでしょう。それが非常に在校生のモラールに影響してきます。新しくやはり海に出る者が絶望をする。そうすると今度は応募の生徒数が少なくなる。結局質のいい船舶職員が確保できない。在学生でも、頭がよくて目先の見える者は、足元の明るいうちにというわけで、こんなもう船は見込みがないからというんでどんどん陸上に変わっていく。これから五年先、十年先、十五年先の日本の船舶職員というものをどういうふうにするのか。全部外国船で、全部外国船員で動かしておっていいわいという太平楽を並べておったのでは、そのとき海の国の日本にとって大変重要な問題が起きるわけですね。  ですから、当面の雇用対策で苦しいのはわかるけれども、そういう長期的な視野、ある意味でいけば船員に対する人事の一貫性というもの、ふやせと言って教育さしたんです、特殊教育を。出たら採るのが責任だと思いますよね。経営というものもそういう点では倫理性を持たにゃいかぬ、経済のそろばんだけでは……。そのことは私も各船主にずいぶん船主協会長以下説いて回りました。やっと最近に至って数名ぐらいずつ大手では採用しているようですが、日本船主協会の所属船主だけでも約二百六十社ある。全部が全部無理だと言っても、一社で航海一人、機関一人ずつ、二名ずつ採用する形になれば、それだけでも二百数十名のそこに求人というのができるわけですから、大手のプラスアルファという形になれば高水準に達する。できの悪いのを採らぬのは、それはまあいろいろあると思いますけれどもね。そういうような面から考えていかないと、将来の日本海運の質的な面において船員の面から重大な危機に直面する可能性がなしとはしないと、そういうふうに考えるわけですね。  そこで、時間の関係もありますから、私は、特に今度運輸大臣になられた石田さんは、もう労働大臣として労働行政はベテラン中のベテランでございますし、海運関係のことも御勉強願ったと思うので、私は一つの提案をして、大臣のお考えでそれをひとつ具体化することを事務当局にも命じ、また関係船主等にもそういうことを話していただきたいと思う。  それは、いますぐ採れということが無理だということはある程度私もわかっているわけです。しかし、それで全部締め出してしまいますと、せっかくいい素質を持っている人間が、海に絶望すると全部散っちまうわけです。そこでですよ、たとえば日本船主協会なら船主協会で、全員とは言いませんけれども、学校出て、ちゃんとライセンスを取って一定の資格を持った者については、全員を船舶職員の予備軍として登録をする、そして日本船主協会に欠員が出たときにはその登録の順序、あるいは試験をやれば成績の順序なんかも入ってくるかもわかりませんけれども、その登録した中から順序に応じてその欠員については補充していくのだと。いきなり雇ってプールしておくことは無理かもしれないが、少なくともその者は登録をして、あきさえあればそういう諸君については船に乗れるというチャンスを与えるのだというようなことを考えるべきではないか、長期的な視野に立った場合に。  また現に、生活をしなくてはいけないから陸上に就職をするけれども、チャンスがあれば何としてもおれは船乗りになりたいのだ、卒業生のパーティで話をしていましたら、そういう希望を持っている青年がいっぱいおるわけですから、ぜひそういうことを私は考えるべきではないか。これは船主側ではできなければ、やっぱり運輸省が、事業官庁と船員局も抱えて、労働行政も海のことをやっているわけでありますから、そういう方法を講じて積極的に道を開くということでないと、採れ採れと言っても、目先のことでもういっぱいになっちゃっている船主側は、そういう将来性まで考えるゆとりがないわけです。そういうことをひとつおやり願えないだろうか。ここで必ずやると言うことはそれは無理でございましょうが、ひとつこれを取り上げて検討していただく。私もこの質問をするについて、いろいろ考えて、そういうことが一つの方法として考えられるんじゃないか、こういうふうに思うので、大臣の御所見を承りたい。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) いまお話を承っておりまして思い出したのは、私どもが大学を出るころ、それは技術者が足りないというので理工科部門をやたらに勧めたんですね。そして徴兵なんかのときも、われわれはとられても理工科部門の人は残した。ところが、戦争が終わってしまうと、そっちがむやみと余ってしまって、いまとちょうど同じような御議論が非常にやかましくなったことがあります。その後、労働行政をお預かりをいたしました当初ですね、大学、高等学校の数をどんどんふやした。私はそのとき、教育による失業問題が起こるぞという論文を書いたことがある。なまじ学校を出てなければ働き口があるのに、出ていたためにかえって……。  ところが、いまのこの海運の技術者というのは、日本のように四面海に取り囲まれているところにとっては、今日の状態は確かにいろいろな不況の中に苦しんでおることはよくわかりますけれども、長い目で見れば、私は四百人や五百人という数はそれほど大きな問題ではない。というのは、海運局長のお話のとおりだろうと思います。したがって、せっかくそれだけの技術を持って卒業し、資格を得ている人を、少なくとも運輸省において登録をしておくと、この制度はぜひ検討して実現を図っていきたい。これは別にお金がかかるわけのものでも何でもない。登録をする、まあできればときどき予備訓練くらいのことをしておくことが必要だと思います。大体文部省そこにおられるけれども、そのときどきのはやりを後で追っかける、これから先にはやりそうだという人を先に多く採用するんならいいんですけれども、はやってきたときに募集すると、物になるのには四年か五年かかって、物になったときにはもう様子が変わっている、こういう点をやっぱり長い視野で物を見て、そして学校の定員構成その他を考えなければならない、それはごもっともだと思いますので、早速検討を命ずるつもりでございます。

和田春生民社党

○和田春生君 これは運輸省自体で登録をするということもなかなかむずかしいと思うんですが、船主の団体もございますので、そこを十分に協議をしていただいて、そういう制度を考えていただきたい。そうすると、国家予算のように単年度勝負じゃなくて、ある程度の期間をもっていけますから、大臣のおっしゃったように、いまはやり出したし、人が足りないから急に募集すると、出たときにこんな余るなんということじゃなくて、ある程度ずっと調整をしていけるんじゃないか。まあ一つの方法として、これは大臣からいま早速具体的に検討するということでございます。海運局長、船員局長等もぜひ協力をしていただきたい、このことをお願いをしておきたいと思います。  では次に移りまして、質問予定通告をいたしてありますけれども、国際海上衝突予防規則七二年法、これの国内法の改正並びに批准、その準備作業、どこまで進んでいるか。これは私、前にも質問をいたしまして、御答弁をいただいているという事実があるわけですが、お伺いいたしたいわけです。

薗村泰彦海上保安庁長官

○政府委員(薗村泰彦君) もういきさつは先生御承知のとおりでございます。別に繰り返しません。実は水産庁の方と一般の船舶と、それから漁船関係の船舶との航法の調整の問題がございますので、両方で調整をやっております。その意見が調整ができましたら、できるだけ早く国内法化をして条約として批准をしたいという作業を進めている最中でございます。

和田春生民社党

○和田春生君 現在において、この新しい七二年法を批准した国並びにそれらの国が保有している船舶のトン数の百グロストン以上の全船腹の船舶保有量に対するパーセンテージ、おわかりになっておったら現在においてひとつどれだけか、御報告をいただきたいと思います。

薗村泰彦海上保安庁長官

○政府委員(薗村泰彦君) 現在で加入が十六カ国になりまして、それでトン数で六六%の現状にあると思うんです。トン数でしたか、隻数でしたか、どっちかちょっとはっきりしませんが、いま調べますが……。したがって、来年の七月十五日に世界的に発効するという予定でございます。

和田春生民社党

○和田春生君 いま御説明がございましたけれども、この法律ができたときには五十一年の一月施行ということが一応の目途として考えられておったことは御承知のとおりであります。しかし、その後、批准国の数がふえないということで足踏みをいたしておりましたけれども、このルールによれば十五カ国以上、それから百グロストン以上の世界の船腹量に対する保有量が六五%を超えたときにこの法律は発効するわけでありますから、来年にはもう具体的に発効するわけです。しかも七二年にこの規則案ができてからすでに今日まで足かけ四年という長年月を要しているわけです。いまごろ水産庁と調整をするなんというのはスローモーションもいいところでございまして、これはもう現場の船員や運航者にとっては、はなはだ迷惑なことなんです。しかも、新しいこの七二年法の海上衝突予防規則と国内法との間にはかなりの点で摩擦をする、あるいは国際法との調整をやらなくてはならぬという問題がずいぶんあるわけでありますね。  これはもう時間もございませんから一々例示をすることは省略をいたしますけれども、また明らかに、たとえば国内法であるところの海上交通安全法と、この国際的なルールとの間に矛盾しているところもあるわけですね。海上衝突予防法だけではなくて海上交通安全法と違っているところがありますね。たとえば巨大船と新喫水線との表示なんという問題についても一体どういうふうになるかという問題がある。これをあわてふためいてやって、もう国際条約は発効しちゃったのだと、さあ国内法を改正したと、そうして海上交通安全法も海上衝突予防法も改正されると、それ船長や何か皆勉強しろと、不徹底なうちに事故を起こすと国際法が優先でばっさりやられると、もう全部しわ寄せは第一線の運航者によってしまうわけで、最終的に国会にかけて、もうすでにいまの時期で言えば国会に提案をされて、審議が進んでおって、そして国際条約が発効するときには国内法の改正、これももう施行されるというふうにいくのが世界屈指の海運国として当然ではないか。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 いままで四年間ももたもたしておって、いまこれから調整をするなどというのはどこに原因があるんですか。そんなにゆっくりいってどれだけの国益があるんでしょう。私、そのことをお伺いしたいと思うんですね。

薗村泰彦海上保安庁長官

○政府委員(薗村泰彦君) 先ほど先生、加入国は二十六カ国、それから隻数で六六%でございます。  それから、確かに遠洋の漁業と、それから国際の一般の船舶との関係というのは、別に利害関係の相反するというような点はございません。ただ、沿岸の漁業に従事している漁船と、それから一般船舶との通行方法の調整については、これは現状でもかなり調整がなされておりますけれども、その現状を変えないという前提で当然調整を図らなければならない点がございますので、その点について沿岸漁業との面で水産庁と私どもが調整をしているということでございます。

和田春生民社党

○和田春生君 水産庁は来てますか。——そうすると、いまの海上保安庁長官の御答弁によりますと、何か水産庁が沿岸漁業を盾にとって国際規則の条約に基づいて衝突予防法を改正する、海上交通安全法を改正する足を引っ張っているような印象に聞こえたんですが、そうなんですか。

森実孝郎水産庁漁政部長

○説明員(森実孝郎君) お答え申し上げます。  この夏以来、新しい海上衝突予防法の改正並びに条約の批准について運輸省から御協議があったわけでございます。率直に申し上げますと、瀬戸内海等狭い水道などにおきます優先権の問題、優先航法の問題、あるいは喫水制限船の運用の問題等、特に内湾等におきましては、沿岸漁業者から法の明文の規定のあり方、それから運用の問題について相当反対なり批判があることは事実でございます。しかし、私ども水産庁といたしましても、保安庁の要請もあり、また全体の情勢も考えまして、できるだけ御協力したいということで、先月以来漁業者の代表を集めまして、具体的な問題を干し上げていくという作業なり話し合いをやっている段階でございます。できるだけこの努力を私どもも続けて、国内法の規定を整理し、さらに運用についての明らかな基準をつくるということで問題を解決するために御協力申し上げていきたい、こう思っております。

和田春生民社党

○和田春生君 まるで井戸の中のカワズみたいな答弁で、そういうことでは困るわけでしょう。これはもう七二年にすでにこの法律の草案できているわけです。しかも、これできたときに、御承知と思いますが、もしこの新しいルールを一九七三年の十二月三十一日——四十八年の十二月三十一日までに文書を寄託できない国は、手続ができる予定とされる期日を条約発行日以前にIMCO事務局長に届け出ろとまで言われているので、非常に国際的に急がれておるわけでしょう。そしてこれは、私の手元にもここに翻訳文ありますけれども、民間ではもう仮訳文は七三年からこれずっと出ておって、われわれはこれを全部読んでいるわけです。  そこで、ちょっと技術的なことでお伺いしたいと思いますが、決定版のこれの翻訳はできているんですか、どうですか。

薗村泰彦海上保安庁長官

○政府委員(薗村泰彦君) 近く外務省で条約の翻訳会議を始めていただくということで極力努力しているところでございます。

和田春生民社党

○和田春生君 冗談じゃないですよ。もう七二年からいままで。七六年でしょう。で、これはわれわれは研究する必要があるからいろいろな機関で仮訳文をつくり、突き合わしているけれども、従来の規則との関係でなかなかどう解釈をしたらいいか、むずかしい用語の問題もある、それをこれから外務省にその翻訳の決定版をお願いしようと、これからゆるりと調整しようと。これはぼくは、海の国日本としてまことにお粗末きわまることで、そういうような国際的な動きというものに対してまことに鈍感にすぎないか。実は海洋法との関係における諸問題なんかについてもやはりそういう国際問題に対する国内の鈍感さといいますか、鋭敏な反応を示さない、あるいはもう中だけを見ておって、外のことについては十分考えようとしないという、いろんな錯綜した国内事情というものが日本をしばしば不利な立場に置いていると思うのです。  これは運輸大臣、大事なことですから、就任されまして、年内にも総選挙があって大変でございましょうが、ひとつ大臣の在任中の大きな仕事としてこれを促進をしてきちんとするということをやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 私も、七二年にできたものの正式の翻訳がいまごろ、これから努力するというのはちょっとびっくりしたところで、促進方について極力努力をいたしたいと存じます。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕

和田春生民社党

○和田春生君 翻訳だけではなしに、これは国内的に確かに沿岸漁業との調整というのはいろいろ問題があると思うんですよ。それは私わからぬわけじゃないんです、海の実情を知っていますから。これは国際的なシーゴーイングの船に対して適用されるわけですから。国内のそういう事情にかまけておって日本がこれを批准してない、そして、国際的なルールと違った、規則と違った日本がルール、法律をもってやっている、何か事故を起こしたり、混乱起こした、責任問われるのは全部現場の船員でしょう。はなはだ迷惑千万な話なんです。世界の海を航行しているわけですから。国内の調整は国内の調整ですけれども、国際海上衝突予防規則に対するやっぱり海上衝突予防法の改正というものは急ぐ。同時に、それと根本的に抵触する海上交通安全法の関係条項は改正する。しかし、国内のいろいろ細かなところについてのいろいろな実際的な調整問題についてはそれと並行し、あるいはその後に検討するというんでないと、調整がつかないからさっぱりその作業が進まぬということでは非常に困ると思いますので、私はまあ穏やかに言っておりますけれども、実は全くこれは怠慢だと思いますから、それに対しては憤りを込めて促進方をぜひ要求をしておきたいと、こういうふうに考えるわけであります。

薗村泰彦海上保安庁長官

○政府委員(薗村泰彦君) 先生お説のとおり、極力推進方を図ります。ただ、調整問題を後にしてということではちょっといきませんので、やはり法文の国内法のつくり方に直接関係がございますので並行して作業を進めたい、こう思います。どうぞ御了解を賜りたいと思います。

和田春生民社党

○和田春生君 それでは、先ほど造船問題もちょっと出ておりましたけれども、私は限られた時間の中で多くの問題を取り上げても非常に無理があると思います。現在の造船業の実態というものを見ると、操業度がだんだん落ちていく、大変厳しい状況にあるということはわかります。しかし大手の方では、造船部門のほかに陸上機械部門をかなり持っているわけですから、造船の従業員がある程度減っても、そちらの方に配置転換というような形で大手造船はやっておりますから、それが直ちに雇用不安には結びつかない。しかし、造船の専業あるいは下請と、こういう関係ではなかなか深刻な問題であるわけです。この点について私の党では、当面の造船政策を単なる不況対策という観点から取り上げるのではなくて、将来に向けて長期的な見通しのもとにいろんなことを考えてもらいたい。  そこで、これは前大臣もいらっしゃいますけれども、当時から再三要請をいたしたわけでございますが、たとえばその中で一つの問題をきょうは取り上げたいと思うんですけれども、SBT構想であります。これは確かに船主側にいけばそれに対して負担がふえる。さらに、一船当たりの輸送量が減少するという点で経済性の問題があると思うんです。それから、世界各国がやらないのに日本だけがやれば、これは日本の海運に大変大きな打撃を受けるという問題もあるでしょう。しかし、少なくとも海洋汚染の防止と安全性というものを考えてみると、最近では陸上のタンクでさえも二重、三重の安全設備というものを考えているわけですね、安全対策を。陸上でさえもそうなんです。ところが、海の上で一発タンカーが事故を起こすと、ウイングタンク三万トン流れ出したという形でも重大な問題起こすわけ。それが相変わらず一皮めくれば、海からもうすぐタンクに直通だということでは、陸上における安全度に比べてなお問題のある海上としては、私は非常にこれは問題の多いところじゃないかと思う。  したがって、タンカーの安全対策とそれから環境の汚染を防止をすると、そういう両面から考える。で、その点については、現在のようにタンカーの船腹が余っておって係船もあると、だぶついているというときこそやりやすいわけ、船腹が足らなくてフル回転しているときに、そういうふうに改造工事をやれったって、とてもじゃないが追っつかぬという形になるわけですから、むしろ時期的にはこういうタンカー不況時でタンカー船腹が余っておるときにこれを行うということが望ましいわけです。問題は資金対策、もう一つは国際関係。ところが、国際関係でみると、諸外国の方ではSBT構想を進めよと、こういう意見もあるにかかわらず、われわれの聞くところによりますと、むしろ世界最大のタンカー国である日本が反対の先頭に立っているという、言葉が言い過ぎであれば最も強硬なる反対グループの中で活躍をしているというふうに聞いているわけですね。  私はむしろ逆で、日本が各国をそれ引っ張っていって、そちらの方向へ持っていくということが必要じゃないかと。しかも、それは安全対策ですから、海運不況のゆえに船主側が非常に資金的にぐあいが悪いということになれば、そういう面にこそ将来に安全と環境の汚染の防止、環境保全という面で積極的になるわけですから、そういうSBT構想というようなものも不況対策でなくて造船政策の将来性を見込んだものとしてひとつ積極的に考えてもらう必要があると思うんです。まあ海運局長と船舶局長相談しなくてもいいんですから、運輸大臣に一発で答えていただいても結構でございますから、ひとつその点どうでしょうか。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) 初めて聞くことなんで……。

謝敷宗登運輸省船舶局長

○政府委員(謝敷宗登君) タンカーにSBTといいますか、分離バラストタンクを設けまして、それで従来海水のタンクと油タンクを交互にバラスト用に使うということから出てまいりますタンクの洗浄水が海洋汚染をますます悪化させているんじゃないか、こういう議論がIMCOといいますか、政府間海事機構で行われておりまして、現在の七三年の海洋汚染防止条約では七万トンデットウェート以上のタンカーについては新造船についてこれを適用するということになっておりまして、その意味では海洋汚染防止の観点からは一歩前進したと、こう考えております。  それで、これをさらに既存船、いわゆる七五年十二月三十一日以前に建造契約が結ばれ、あるいはつくられた船、こういったものにも海洋汚染防止のためにSBTをつけるべきじゃないかと、それはひいては海運なり造船の過剰問題解消につながるのではないか、こういう意見が非常に出てまいりまして、現在IMCOの海洋環境保護委員会、あるいは民間の団体で議論がされております。これは先生御指摘のとおりでございます。  そこで、日本側でございますが、先生御指摘のとおり、日本だけ実施するということになりますと、まあ何といいますか、国際的には世界の各国がタンカー持っているわけですから、当初その新造船に対して考えました効果も、まあ日本だけに限定されるという問題と、それから端的に申しまして、海運不況の中で日本だけが実施することに対する費用の問題点等が出てまいっております。ただ、現在もIMCOの、政府間海事協議機構の海洋環境保護委員会で議論をされているさなかでございまして、必ずしも日本が反対の急先鋒ということではございませんで、両者のグループがかなり均衡しているといいますか、その中で日本としてどうすべきか検討しておりますところでして、必ずしもその反対の急先鋒ではないということに私どもは考えております。

和田春生民社党

○和田春生君 反対の急先鋒じゃないというだけではなくてね、むしろ積極的な推進者になるべきだと。というのは、SBTは海洋汚染防止だけではなくて、それが即安全性の向上にもプラスするわけなんですから、それをぜひ考えるべきじゃないか。しかも、一九七五年以降の新造タンカーに適用するなんというのは本当は余り意味ないから、みんな賛成しているわけでしょう。これだけのタンカー不況で、もうタンカーの建造がばったりストップして、それが造船不況になっているわけですからね。どんどんどんどん新しいタンカーができるぐらいなら、造船産業だってほくほくで困るわけはないわけですから。問題はそれまでにできたやっぱりタンカーが世界じゅう走り回っていくわけです。これは私は日本の国益の点から言っても、この委員会の席上でそういうことは余り言いませんけれどもね、強力に主張して各国を引っ張っていって実現するということは決してマイナスにならぬと思うんです。そういう点で、これはむしろ積極的にそれを推進して、呼びかけの側にこの世界一のタンカー王国である日本は立ってしかるべきではないか、そういう意味を込めて言っているわけです、いかがですか、これは運輸大臣、あれでしょう。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) これは素人の悲しさ、いま初めて聞きながら、想像して隣に聞いてみたら、私の想像どおりの問題らしいのですが、要するに結局タンカーに油を入れるところと水を入れるところと仕切りをつけて、安全性を確保すると同時に海洋の汚染を防ぐと、こういうことですね。で、いまひょっと考えたことですが、造船余力が、造船所が遊んで、しかも係船が世界じゅうで五千万トンもある、こういうときに造船所がそれをぶっつぶしてスクラップにするよりは、これは世界的な合意を得られれば経済的なような感じをいたします。ただ、日本だけがやるとそれだけ輸送コストが高くなるので、高くなったのを一体だれが補償するかという問題がありますので、日本だけがやるということになると問題があるとは思いますけれども、せっかくある力を、そしてせっかく船の形をなしているやつをスクラップにするくらいならば、まずそういう海の汚染を防ぎ、しかも安全度を高める方向で検討する方が国益に合うという感じを私はいまお話を伺っておっていたしております。

和田春生民社党

○和田春生君 そういう点で、ひとつこれは海運局長も含めて十分御検討をお願いをしたい。時間もございませんから、なぜそれが国益にプラスするかということをここでくどくど述べることは省略をしたいと思います。目先のことを考えるよりも少し長期的とは言わないけれど中期的視野で考えてやるということは、あらゆる面において私は損にはならぬのではないかと、こういうふうに考えますので、ぜひ御検討を願いたいと思います。  次に、この問題が出ましたので、特に海洋法の問題とも、海洋汚染の防止取り締まりとの関係がありますので、そちらの方に質問を移したいと思います。  で、二百海里の経済水域の問題についてはいろいろと複雑でございますし、限られたきょうの質問時間では触れるのは適当でないと思いますので横へ置いておきますが、特に私がお伺いしたいのは領海問題についてであります。三木総理は、たしかこの領海十二海里については非常に積極的な発言をされておった。ところが、最近の国会における三木総理の答弁を聞いておりますと、大変後退をして、ニュアンスが消極的になっておるわけであります。  私はそういう点について、外務省もここにお見えになっておりますが、いろんな海の関係から見て、領海十二海里ということを日本が宣言することがどれだけ日本にマイナスがあるんだろうか。領海の三海里というままでぐずぐずしておってそれが国益にプラスするという点は、どれだけ頭をひねってみても私は考えられない。世界の大勢が領海三海里という古い時代のままであって、公海の自由の原則を守るために日本も領海の幅はできるだけ狭くしておいて、自由な公海の海域を広げておいた方が国益になるという観念ならそれは話がわかる。ところが、日本の近海付近を、周辺諸国を見ましても、たとえばソ連にどんどん漁船が拿捕されている。ソ連は十二海里でやっているわけです。日本は現実的に十二海里のソ連の領海を認めないと言ったって認めないわけにいかないんで、中に入ったらやられちゃうわけです。そして、ソ連の漁船は日本の金華山のすぐ目と鼻の先にやってきて魚をばかばかばかばか大型船を持ってきてとっていって、日本の漁船は網を切られたりしてふうふう言っているけれども、陸からそこへ目の前に見ながら手も足も出ないでこちらはふうふう言っている。  日本が三海里を守ることによって世界の大勢も三海里になるというんなら、私もそれは三海里でぐずぐずしておることはいいと思う。しかし、いまやもう経済水域の問題ちょっと問題が違いますけれども、領海十二海里の問題なんかは日本が宣言をして、日本も十二海里でいった方があらゆる面においてプラスになる。なぜこれをぐずぐずしているのか、その理由は私はよくわからないわけです。こういう点について、外務省もお見えになっておるようですから、そのいきさつについて最初外務省の方からお伺いをしたいと思います。

村田良平外務省条約局外務参事官

○政府委員(村田良平君) お答え申し上げます。  領海幅員を十二海里に拡張するということ自体につきましては、政府はかねてから検討をいたしまして、閣議の了解もございまして、その態様あるいは時期の問題は別として、そういう方向で考えると。ただ、具体的な実施の時期、あるいは態様につきましては、これは先生御存じのとおりでございますけれども、目下進行中の海洋法会議の成り行き、その他のいろんな要因を勘案して決定するということできたわけでございます。すでに今国会でも三木総理が両三度にわたって述べておられますが、政府といたしましては、この領海十二海里拡張問題というのはいましばらく海洋法会議の行方、その他の要因を見守って検討していくことにしたいというふうに総理も述べておられる次第でございます。  いま先生、領海十二海里の問題と並べて、経済水域の問題については若干違うけれどもという御指摘がございましたが、海洋法会議の場におきましては、この領海十二海里の問題というのは決して経済水域二百海里、あるいは国際海峡の問題等と無関係ではございませんで、全体がいわば一つのパッケージとして従来交渉されてまいりましたし、今後も交渉されるということでございます。したがいまして、領海十二海里だけの問題を取り出しますと、これはほぼ国際的に定着しつつある考え方であって、わが国がたとえば、ただいますぐ領海十二海里にするにしましても、これをもって国際的に非難を受けるというふうな行為でないことは確かでございますけれども、やはり海洋の秩序全体をできる限り包括しまして、一括した解決というものを見て、またその一環としてわが国が領海十二海里に踏み切るというのが最も妥当なアプローチかというふうに思いますので、われわれといたしましては、いましばらく海洋法会議その他の状況を見守っていきたいと思うわけでございます。  実は、先般のニューヨーク会期におきましては海洋法会議がまとまりませんでしたけれども、これは決して決裂したわけではございませんで、明年の五月二十三日から七週間また行われますが、その間にもいろんな非公式の接触、交渉を行うということになっておりますので、そういった動きを総合的にながめまして検討していきたいというふうに考えております。

和田春生民社党

○和田春生君 もちろん領海と経済水域というのは接続している海面上の問題ですから関係がありますよ。しかし、私が言っているのは、エコノミックゾーンというのは全く新しい概念を海洋法の中に持ち込もうとしているわけですね。そこでいろいろ問題がある、しかも、これについては内陸国、沿岸国ですね、地理的不利益国、いろんな対立もある。そういう中で日本がいろいろ苦労してきたということはわかるわけです。しかし、日本が領海を十二海里にせずに三海里のままでやっておることが、日本は良識があるなんてほめてくれる国一つもないわけでしょう。取引の材料にすらならないわけでしょう。ほとんど近辺の国みんなそれでどんどんどんどんやっちゃっているわけですから、日本はそれでやられるばっかりじゃないですか。それが、重大なエコノミックゾーンとの関係かなんかで日本が領海十二海里の宣言をやらないということが取引材料になるというんなら、あなたの言っていることわかる。なりやしないじゃないですか、もう。そうでしょう。  ただ、日本としては良識を発揮したつもりで、海洋法全体との関連においていましばらく、いましばらくと言っておったって、そんなものは各国せせら笑っておって、アメリカなんかは二百海里の保存水域法を来年の三月一日から一方的に発効さして、この国内法を認めなければ魚をとらしてやるかどうかわからないみたいなことで、日米漁業交渉がデッドロックに乗り上げている。十二海里を越えて、エコノミックゾーンに対してまでアメリカあたりはそういうふうに強引な態度に出てきておって、いろいろと外務省、また水産庁苦労されているわけでしょう。どうして、その十二海里の問題を広げたからといって日本が損するものは何にもないじゃないですか。三海里にやっていることによって、もう現実に被害が目の前に見えているじゃないですか。なぜちゅうちょするんですか。実はこれは私はもう四十七年に衆議院で取り上げている。早く日本は十二海里の領海の宣言をやりなさいと。それが国益にプラスすると言っている。検討いたしますと言って、いままであんたもう六年も七年もたっているけれども、いまだに全体を見ましてなんという、どうも積極的にやったらいいことはやらない、その点はわからないのですがね。どうですか、これは。

井口武夫外務大臣官房外務参事官

○説明員(井口武夫君) 海洋本部の本部長でございますが、ニューヨーク、実は夏会期八月二日から七週間ございまして、領海十二海里と先生おっしゃいましたが、領海そのものを、あるいは経済水域についての議論がまだ完全に決着がついておりません。たとえば、先ほど先生言われました海洋汚染との関係でございますけれども、領海において実は沿岸国が船舶の構造あるいは乗組員の資格要件、こういうものについて国際基準よりも上乗せの基準を課せるのかどうか、これについても実は海運国と沿岸国の意見が対立しておりますし、それから科学調査に関しましても、実は領海における科学調査の問題でやはり三海里から十二海里に拡大する結果として、科学調査の取り扱いをどうするかということでいろいろな議論が出たわけでございます。  それで、かつ領海に関しましては、確かに伝統的な無害航行というものがございますが、これが三海里から十二海里に拡大する結果といたしまして、従来国際航行に使用されておりました海峡についても、その航行制度について通過航行制度という新しい制度が定着しつつあるわけでございますが、これについても、たとえばタンカーの汚染問題に関連いたしまして、タンカーの通航規制というような議論がまだ夏出ております。したがって、方向といたしましては領海十二海里、経済水域二百海里、それから国際海峡における通過、通航の自由というものが大体会議の方向として定着しておるということは事実でございますが、その細部に関しましては現在交渉中でございまして、最後の実は九月十七日の本会議におきましても、アメラシンゲ海洋法会議議長は、海洋法会議が来年五月に再び開かれる、それまでは一方的立法はできるだけ控えてほしい、やはり総合的な海洋秩序が一括して解決するということが望ましいということでございまして、いま海洋法会議を途中で壊すとか、あるいは交渉をおくらすとかいう動きは全くございませんで、今後非公式協議を続けて来年五月の会議でなるべく実質的に妥結したいという方向でございますので、やはりそういう全体の大きな交渉というもので問題を解決するのが一番望ましい姿だというふうに考えておるわけでございます。

和田春生民社党

○和田春生君 それは言葉で理屈を言えばそうかもわかりませんけれども、特に経済水域の問題については、日本の沿岸漁業というものに非常に大きな影響がありますから、いろいろ粘るということはわかるんですが、私が言っているように、その経済水域についてすらアメリカはもうすでに来年三月一日から国内法を一方的に発効させるという強引な態度をとって日本が追い込まれているというのが実態ではないですか。領海の場合については、いま御指摘になったようないろんな問題があることは私どもよく承知しているわけです。それにもかかわらず、じゃ、ソ連はどうですか、十二海里で現にやっているんじゃないですか。韓国もそうでしょう。北朝鮮だってつかまってみてよく調べて見たら十二海里の領海でやっているということがわかったというわけでしょう。中国だってそうでしょう。みんな十二海里で日本の近辺の国はやっているわけだ。  日本が三海里でがまんすることによって、じゃ、おまえのところの十二海里をおれのところも認めないんだから、国際海洋法会議はまだ結論が出ていないので十二海里は領海だとソ連が言っておったってそんなものは無視して、三海里の近くまで入っていくぞと言ったって現にできないわけでしょう。それならば、日本だって十二海里にぱちっとやっちゃって、その上でやはり取引をする面があるなら取引をする。国際海峡の通航問題だって十二海里の宣言をやれば津軽海峡というのは日本の中に入るわけですから、一つの交渉材料ができるわけじゃないですか。おれのところは自由航行じゃないかもわからない。無害通航でソ連の原子力潜水艦でも津軽海峡を通るときは浮かび上って出ていけぐらいのことは言えるわけなんですから、それぐらいのことはやっぱし考えて、領海問題を来年の五月からの海洋法会議の結論を待つまでなんというのんびりしたことを言わずに、これはひとつ積極的に考えていただきたい。  それは日本の沿岸における外国漁船の取り締まり、あるいは海洋汚染なんかについても、ソ連の船なんかひどいですよ。三海里を出てしまったら材木の木皮なんかもどんどんどんどん海の中に捨ててぱっと行っちゃうわけだ。どうしようもないわけだ、公海だと日本が言っておるものですから。そういう現実の状態があるわけでしょう。金華山の沖にだって房総の沖にだって目の前に大船団がやってきて日本の漁船の網をどんどん切っていく。日本の漁船のこれは伝統的漁場だけれども、三海里から外は公海でございますと言っておるから、飛行機か何かで上は見ておるだけで手も足も出ないというのが日本の現状。  そういう点でひとつこれはもう最後の質問に時間がきましたのでなりますけれども、国務大臣の一人として、ひとつ石田大臣に善処をお願いしたいと思います。

石田博英自由民主党運輸大臣

○国務大臣(石田博英君) ちょっと私事になりますけれども、私は娘婿が外務省におりまして、あんまり外務省と違った意見を言うと、江戸のかたきを長崎で討たれると困るんで、私は個人としては全くあなたの御意見に賛成です。私は日ソ友好議員連盟の会長をしておりますために、金華山沖で魚をとられた、漁網は破られた。それから伊豆半島の東にサバの産卵地があります。あそこまで来て大きな船でとる。まず私がとったように組合から抗議を毎回受けております。その都度十二海里の領海宣言をなぜしないのか、私はその都度言ってもおりますし、さっき三木首相の態度が後退したとおっしゃったけれども、そういうことはございませんで、私もあなたと全く同じで、何度説明聞いても私はここ納得できない。ただ、十二海里宣言すると迷惑を受けるのは実は運輸省で、海上保安庁は守らなきゃならない区域が一遍にぐっとふえるわけでありまして、それはもう確かに海上保安庁が迷惑を受けることはわかるんだけれども、どうも私はその理屈はよくわからない。やはりできるだけ早く十二海里宣言をすべきものだと私は考えます。

和田春生民社党

○和田春生君 終わります。

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会      —————・—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗