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78回国会衆議院1976/09/28

本会議 第5号

発言数
31
登壇者
11
会派数
5
開催日
1976/09/28

会議録

秋田大助自由民主党副議長

○副議長(秋田大助君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)

秋田大助自由民主党副議長

○副議長(秋田大助君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。金子満広君。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子満広君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、いま緊急に解明が求められているロッキード事件並びに国民生活防衛、平和の問題について、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。  まず第一に、ロッキード問題の解明についてただします。この問題で最も重要なことは、この事件がどのような本質を持ったものであるかということであります。  言うまでもなく、この事件は、自民党政治と大企業の癒着した金権政治がとめどもなく広がり、ついにアメリカの多国籍企業まで深く結びついてきた事件であります。国民生活と日本経済を犠牲にした大企業本位の高度成長政策のもとで、自民党に対する大企業の政治献金は急速に膨張し、企業からの献金で政治が動き、政治が金で売買されるという恐るべき事態を体制的、構造的につくり出してきたということであります。  大企業の献金がいかに政治に作用し、政治を動かしてきたかは、ロッキード事件だけではありません。たとえば、これまでも公共料金の値上げや公害規制等が問題になるたびに、私鉄、電力、鉄鋼、ガス、自動車など関係業界からの政治献金が急増するという歴史的事実にもはっきりあらわれています。これは三木内閣もその例外ではありません。現に昨年十二月五日、自民党政府が私鉄運賃の大幅値上げを許可するや否や、民営鉄道協会は、私鉄各社が一億五千万円の政治献金をその六日後の十一日、自民党に行うことを発表しているのであります。  このような金権政治は、大企業の利益優先を基本とするものでありますから、その結果犠牲を受けるのは国民生活であります。しかも、金権政治の腐敗は、総理のいすと結びつく総裁選挙で金が乱舞したと言われるところにまで拡大してきたのであります。  三木総理は、総理になる前は、企業、団体からの政治献金を禁止すると主張しながら、総理になるや、手のひらを返したように、企業献金は悪でないと述べるに至っていますが、ロッキード事件で企業献金の悪がこれだけ天下に明らかになった時点でも、なお企業献金への反省を回避しようとするのかどうか、明確に答えていただきたいと思います。(拍手)  さて、ロッキード事件は自民党の戦犯的政治の実態をも明るみに出しました。この事件に侵略戦争で暗躍した重要人物が介在していたことは、侵略戦争に無反省な歴代自民党政府の姿勢から見て偶然ではないのであります。  この事件の中心人物、人も知る右翼、A級戦犯容疑者児玉譽土夫が自民党政治の黒幕として暗躍してきたことは、きわめて重大であります。しかも、三百万の日本国民の生命を奪ったあの太平洋戦争を侵略戦争と認めず、何の反省も示していない田中前首相などは、戦犯右翼と同じ考えを持つものであります。太平洋戦争で日本の軍国主義が果たした役割りを侵略と認めるかどうかは、戦後民主政治の原点であり、ロッキード事件の性格把握の上でも重要であります。この点について、三木総理はどのように考えているか、その立場を明確にされたいと思います。(拍手)  さらに、ロッキード事件は、日米安保条約のもとで、アメリカの多国籍企業の賄賂で日本の政治が左右され、いわゆる防衛計画まで外国企業の賄賂によって動かされた事件であり、これ自体自民党政府の安保、防衛政策の売国的政策を明らかにしたものであります。このような自民党の金権、戦犯、売国的な体質の底知れぬ深さ、それこそが戦後三十一年にわたってわが国民を苦しめてきたのであります。  したがって、ロッキード事件の全面的な解明は、わが国政治の民主的再生と国民生活の防衛、国の真の独立の立場から、いささかも真実を隠すことなく徹底的に行われなければなりません。(拍手)いやしくも党利党略、派閥の思惑からこの事件を中途半端で終わらせるようなことは、国民の名において断じて許すことのできないことであります。(拍手)  そこで私は、まず三木総理が、ロッキード事件の本質と性格をどのように認識しておるのか、また、その解明をこの国会でどのように行おうとしているのか、重大な問題でありますから、改めてここで明らかにすることを求めるものであります。  次に、具体的解明のやり方についてただしたいと思います。  その一つは、真相解明に不可欠な現職国会議員を含む証人の喚問についてであります。  総理は、昨日の答弁で、「それは委員会で十分討議されるべきである」と言われましたが、問題は、総理が総裁をしている自民党が委員会で多数の力をもって終始反対をし、三カ月以上にわたって証人喚問を拒否してきたことであります。三木総理は、自民党総裁としてこの態度を肯定するのか、それとも改めさせるのか、明確に答えていただきたいと思います。(拍手)  その二は、五党首会談の合意と議長裁定による政治的道義的責任の究明及びその中でのいわゆる灰色高官の公表についてであります。  総理は、昨日の答弁で、「十月十五日までに中間報告をするが、氏名を含まない。氏名については刑事訴訟法の立法の趣旨に従い、秘密会でお願いしたい」と述べましたが、これは絶対に承服できない重大な問題であります。これこそまさに国民の目からロッキード事件を覆い隠すものであり、これで国民が納得するとでも思っているのでありますか。なぜ氏名を公表しないのですか。「関係者の名前が明らかにされなければ、日本の民主政治の致命傷になる」とまで述べたあなたが、なぜここまで後退したのですか。私はあくまでもその公表を要求するものでありますが、この点について総理の責任ある答弁を要求したいと思います。(拍手)  同時に、政治的道義的責任の追及は、捜査との関係で言われる黒色の高官、灰色の高官にとどまらず、これらの者を生み出した政治的基盤やその実態を、刑事訴訟法の枠に関係なく、全面的に明らかにするものでなければなりません。この点について総理はどのように考えているか、その見解を求めるものであります。(拍手)  第三は、病気ということで強制捜査や国会への証人喚問を免れている児玉、小佐野ルートの解明についてであります。  大体、八カ月近くもよくもならない、悪くもならないという病人があるのかどうなのか、国民は重大な疑惑を持っているのであります。本当に重病であるならば、自宅療養などでは本当の治療ができるはずはありません。当然病監や医療刑務所に収容するとか、監獄法の適用によって主治医及び専門医の治療を受けさせるとか、適切な医療を施しながらこの二人を隔離し、捜査の目的を達成する方法があるはずであると考えますが、法務大臣の見解を伺いたいと思います。(拍手)  具体的な措置の最後に、私は、汚職疑獄の再発防止のため次の提案を改めて行います。  一、企業、団体からの政治献金を一切禁止し、政治献金は個人に限定すること、二、大企業と政界、官界の癒着を断ち切るため、高級官僚の関連大企業への天下りを禁止するなど適切な措置を講ずること、三、国会が任免権を持った行政監視官制度を設けること、四、国民の知る権利を保障するため、新たに情報公開法を制定すること、五、汚職犯罪の時効延長などの特別措置を講ずること、以上の提案について、政府はこれを実行する意思があるかどうか、はっきり伺っておきたいと思います。(拍手)  次に、大企業本位の政治のゆがみ、金権政治が生み出した経済破壊から国民生活を防衛するための緊急対策について質問をいたします。  まず第一は、台風十七号による災害とその救援についてであります。  昭和三十四年の伊勢湾台風にも匹敵する今回の台風被害は、西日本を中心に全国四十六都道府県に及び、甚大な被害を与えています。しかし、今回の災害をここまで拡大したものは決して降雨量だけではありません。それは、わが党が早くから厳しく指摘したように、金権政治に縛られた、たとえば本四架橋や高速自動車道、大企業優先の国土の乱開発に血道を上げながら、住民の生活を守る治山治水を無視した積年の自民党政治が招いた必然の結果であると言わなければなりません。(拍手)  そこで、具体的な救援の問題でただします。  まず、総理は、その所信表明で百四十四自治体に災害救助法を適用したと述べましたが、実際に甚大な被害を受け、災害対策本部を設置した自治体は八百八十に及んでいます。したがって、総理の言う救助法の適用市町村は全体のわずか六分の一、世帯数では四割にすぎません。現行災害救助法は、人口三十万の自治体では床上浸水四百五十戸以下には適用されないという状態であります。この不合理は、いま被害者個人の上に重くのしかかり、自治体財政ではいかんともしがたい状態に立ち至っているのであります。この際、災害救助法を実情に即して改正し、適用を広げるべきであると考えますが、政府の明確な所見を承りたいと思います。(拍手)  次は、北海道、東北、千葉県などを襲った冷害対策についてであります。  すでに東北地方では自殺者が相次ぎ、青刈りが始められるなど、きわめて憂慮すべき事態を引き起こしています。ただでさえ、政府の農業政策の貧困と誤りによって、農業だけでは生活ができず、通勤農業や出かせぎが恒常化しているとき、この冷害の救援は一日も早く行われなければなりません。  去る二十一日、日本共産党国会議員団は政府に対し、天災融資法と激甚災害法の適用、特別の救農土木事業の実現、規格外の米の適正価格による全量の買い上げなどを申し入れましたが、この点について、政府の具体的で血の通った回答をこの席から冷害地の農民に直接はっきりと述べていただきたいと思うのであります。(拍手)  次に、今国会に提出されているいわゆる財政関連三法案についてであります。  今日、国家財政の破綻及び国鉄経営などの深刻な事態は、改めて指摘するまでもなく、高度成長政策、産業基盤づくり優先の長年にわたる自民党政治の当然の結果であります。すでに日本共産党は、国民生活基盤軽視、大企業優先の財政経済政策が必ずや破綻を招くことを繰り返し警告し、その抜本的改善案を提起してまいりました。しかるに政府は、大企業べったり型の税制、財政金融政策を改めず、弊害はいよいよ深刻な事態として国民生活の上にのしかかっているのであります。  そこで、まず赤字国債についてでありますが、三兆七千五百億円に及ぶこの借金がそっくり国民に押しつけられ、肩がわりされてくることは、いまさら指摘するまでもありません。国民の意思を無視した大企業本位の財政支出の穴埋めを国民の犠牲によって賄うなどは全くの筋違いであります。道楽息子が親兄弟の言うことを聞かずにつくり出した借金のツケを持ち出して居直っているようなこの赤字国債の発行は、国民にとっては全く迷惑千万であります。(拍手)政府は、なぜこのような事態を招いたのか、その原因と責任をこの際、ここで明らかにすべきであります。  しかも、こうした野放図なことをそのまま許しておくならば、結局は、新たな増税、公共料金、独占物価の引き上げ、福祉の切り下げになることは余りにも明白であります。過去に対する責任も、将来への確たる見通しも示さないままの無責任な政府の態度には断じて同意することはできません。  そこで、まず、新たな増税の危険性について具体的に質問をいたします。  政府は、昨日の答弁で、付加価値税をいますぐやるつもりはないなどと言っていますが、それは来年度のことなのか、近い将来はやるつもりなのかどうなのか、明確な態度表明をしていただきたいと思います。  さらに、福祉の切り下げの危険性、とりわけ高齢者問題についてただしたいと思います。  今日、六十歳以上で一人暮らしの高齢者は実に八十七万人、六十五歳以上の三五%が健康を害し、さらに、寝たきりの生活をしている人は実に四十二万人を数えています。病と闘い、生活の不安を訴えているのであります。総理にもその声が聞こえているはずであります。  総理は、昨日の答弁で、老人医療費の有料化はいますぐにはやらないなどと述べましたけれども、無料化は将来とも継続をし、むしろ適用年齢を下げるべきであります。  また、寝たきり老人に対する訪問看護について、私は前国会でその実現を要求しましたが、関係省庁では、一定の前進を見ながら、現在これが実現の段階に至っていません。すでに、訪問看護はヨーロッパ諸国では制度化されているのであります。  この際、老人医療の無料化継続と、寝たきり老人に対する訪問看護の制度化について、総理の口から、その実施の展望について、直接お年寄りにこの場所から答えていただきたいと思うのであります。(拍手)  次に、財源の問題についてであります。  わが党は、赤字国債を発行しなくとも、大企業や大資産家に対する税の特別減免をやめ、正当に課税するならば、それだけでも新たに約三兆円を確保することができると主張してまいりました。また、法人の実効税率についても、中小企業と大企業の不公正、つまり、昭和四十九年度で、資本金五千万円の町工場では法人三税負担率四六・三%に対して、資本金百億円以上の大企業では三〇・二%という状態を改め、大企業には高度累進による応分の負担を求めるならば、さらに新たな財源が確保できることは言うまでもありません。  この点について、大蔵大臣はどのように考えているか、その見解を承りたいと思います。  次に、国鉄運賃、電報電話料金の値上げについて伺います。  国鉄がいま抱えている累積赤字と経営破綻の根本原因について、総理は所信表明で一言も言及しませんでした。この経営難と累積赤字は、国鉄財政の能力を全く無視し、大企業に高利潤を保証する強引な設備投資を借金に次ぐ借金で推し進め、また、大企業の貨物輸送には低料金で奉仕してきた結果であることは、もはや全く明らかであります。この軌道を修正しない限り、真の国鉄の再建は絶対にあり得ません。  わが党は、このことを厳しく批判し、抜本的改革案を提起してきたのでありますが、ここで改めて政府の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)  第一は、過大な設備投資を圧縮し、大企業本位の国鉄経営を国民本位の国鉄に転換することであります。  第二は、これを前提にして、国鉄に対する国家財政の援助を行うことであります。  この国家財政の援助を、今日、ヨーロッパで見ると、たとえば昭和四十年からこの十年間でも、西ドイツでは営業収入の三八・九%、フランスでは五六・八%も行っているのであります。ところが、わが国では、国家助成は昭和四十三年度からでありますが、しかもその額は、出資金を含めてもわずかに六・七%にすぎません。このような厳しい独立採算制を再検討すべきであると思いますが、これをやるつもりがあるかどうか、答弁を求めるものであります。(拍手)  第三は、大企業本位の運賃料金体系の改善が必要であるということであります。  これらの措置を行わずに運賃の値上げを強行しても、それは何ら国鉄危機の解決にならないことは明白であります。  以上の点について、明快な答弁を願いたいと思います。  また、電報電話料金について言えば、電話の取りつけの際の設備料を資本剰余金として取り込んでいるのを収入に計上するだけでも、赤字はたちまち黒字に変わり、値上げは必要でないのであります。  次に、不況下の中小企業対策について伺います。  総理は、所信表明において、景気は着実に上昇していると述べていますが、これは史上空前の増収、増益を上げてきた大企業中心の回復であります。中小零細企業は依然として不況下にあえぎ、倒産一千件以上は過去十二カ月間連続しております。  わが党は、中小企業分野への大企業の進出を規制するため中小企業分野確保法案を、また、大スーパーの進出から小売業者を守るため大規模小売店舗法改正案を、さらに、官公需の五〇%以上を中小企業に発注させる、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律改正案を提出しておりますけれども、これらの諸問題について政府はどのような措置をとろうとしているか、具体的に伺いたいと思います。(拍手)  次に、安保外交に関し、若干の問題について質問をいたします。  周知のように、先般、朝鮮半島の軍事境界線における事件の際に、在日米軍基地横須賀からは空母ミッドウエーが、沖繩からは第一八戦術戦闘航空団が、直ちに朝鮮に出撃するという行動がとられました。これは、アメリカのベトナム侵略戦争の場合と同じく、日本が知らないうちにアメリカの朝鮮での軍事行動に自動的に巻き込まれるという重大な問題を示したものであります。  このような米軍の行動は断じて許せぬものでありますが、総理はこのような行動を容認するのかどうか、明確に答弁をしていただきたいと思います。(拍手)  さらに、日米安保条約のもとで、アメリカの核のかさのもとに組み込まれているわが国から、しかも、アメリカの政府当局者が朝鮮での核兵器の先制使用を繰り返し広言している状況のもとで、米軍が朝鮮に対しこのような軍事行動を行うことは、わが国の安全とアジアの平和を重大な危険にさらすものであります。  総理は、世界でただ一つの被爆国の総理として、アメリカの核先制使用に対してどのような態度をとろうとしているのか、また、国民の強い要望であり、国会決議にもなっている核兵器全面禁止の国際協定の締結をどのように実現していくのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  さらに、日米軍事同盟優先のもとで、いま、日米合同のソ連機ミグ25の調査が続けられていますが、西ドイツでは、一九六七年、同様の事件について、約二週間で機体を相手国に返還したと伝えられておりますが、ミグ25はいつ返還するのか、具体的に伺っておきたいと思います。(拍手)  最後に、憲法と民主主義の問題に関連して一言触れておきたいと思います。  前国会で、民社党の春日議員は、本院のこの演壇において、戦前の暗黒政治のもとにおける共産党のスパイ調査問題を突如持ち出し、政府が戦前の判決の当否の判断を示すべきであるなどという違憲、不法の質問を行い、国会を事実上再審の場にすることをたくらみました。  これに対して、法務大臣並びに法制局長官は、その後の国会答弁で、国会が判決の当否を審議するのは国政調査権の範囲外、治安維持法は現憲法が排除した法律である、宮本氏の釈放、復権は法的に決着がついていることなどを明言をいたしました。  しかるに、戦前の暗黒裁判の判決を絶対視し、共産党がこれをそのまま認めないからけしからぬということを口実にして、国会を再審の場として、政府にその当否をただすがごとき動きがいまも一部に見られます。  このような動きは、現代社会で何人にも認められた言論の自由に基づく当然の反論の権利を共産党が行使すること自体を不当視するものであり、憲法と民主主義の大義から見て、まことに許しがたいことと言わざるを得ません。  この問題は、すでに戦後の民主化措置の中で、「刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」との決定により、歴史的にも、法的にも、完全に決着済みの問題であります。  日本共産党は、戦前から、反戦平和、主権在民の旗を掲げて闘い抜いた唯一の党であります。これを治安維持法とスパイ挑発によって弾圧し、破壊しようとしたのが特高警察であります。一部の人たちは、この特高警察を非難するのではなく、特高警察や暗黒裁判の筋書きがよほど気に入っているようであります。  平和と主権在民のために闘った日本共産党を国賊と呼び、卑劣なスパイ挑発、でっち上げで弾圧、迫害した勢力は、一体国民に何をもたらしたでありましょうか。(拍手)彼らは日本国民を無法な侵略戦争に駆り立て、おびただしい国民の生命と財産を奪い、幾千万のアジア諸国民にはかり知れない犠牲を押しつけた戦争犯罪人であったではありませんか。  わが党に対するこのような憲法違反の攻撃を、三権分立をたてまえとする現憲法のもとでの国会で繰り返すことを、私は絶対に黙視することはできません。(拍手)  わが党は、このような勢力からの不当な攻撃に対し、断固として闘い抜くことをここに表明をして、私の質問を終わります。(拍手)

三木武夫自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○内閣総理大臣(三木武夫君) 金子君にお答えをいたしますが、金子君は、ロッキード事件の性格を共産党の立場からいろいろと分析になりました。  私は、ロッキード事件の起こった一つの背景というものは、やはり、目的のためには手段を選ばずという、こういう道義心の低下というものも非常に背景にある、また、政治に金がかかり過ぎる、金がかかり過ぎる政治というものも背景にあって、こういうふうな両面からこういう事件が起こってきたものだと思うわけでございまして、共産党の金子君の申されるように、あるいはこれを安保条約と結びつけて考えるような考え方はいたさないわけでございます。  次に、議長裁定という問題を非常に大きくお取り上げになりました。  私は、議長裁定の中で、この点については誠実にわれわれとして今後協力をしなければならぬ問題点だと思っております。第四項における「国会は、ロッキード問題に関し、本件にかかわる政治的道義的責任の有無について調査するものとし、国会の国政調査権の行使に当たっては、政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をもふまえ上たで事件の解明に最善の協力を行う」という、この議長の裁定というものは、これは誠実に履行しなければならぬと考えて、こういう線に沿うて、このロッキード事件の政治的道義的責任の追及というものに対して最善の協力を行おうとしておるものでございます。  御承知のように、政治的道義的責任の有無を追及するのは、私は国会という場だと思うのです。国政という場での、これは議院自体の一つの規律というものに関係する問題でございますから、この問題の責任の有無というものを調査するのは、これはまさしく国会の場である。したがって、その国会の場に対して政府ができるだけの御協力を申し上げたいというのは、この事件の刑事的責任の調査というものは検察がやっておるわけですから、それを通じての捜査の資料というものを持っておるわけでございますので、どういう協力をするかと言えば、やはり、この政治的道義的責任を追及される当該委員会において、世にいう灰色高官というものがどういう範囲を灰色高官と国会は国会の意思としてお決めになるのか、国会の……(「自民党としてはどうするのか」と呼ぶ者あり)自民党は自民党、あるいは共産党、社会党、いろいろいわゆる灰色高官の定義とか範囲というものを出しておるでしょうね。各党ともこれは相違があるわけですから、これをひとつよく話し合って、国会の意思として一本に出していただきたい。そうすれば、その決められた国会の意思に従って、具体的氏名も含めて資料を提供いたします、こう言っておるわけです。  そういうことで、範囲というものが国会において国会の意思として決まれば、これはもうそれを提供するという用意があるわけでございますから、これが議長の申す、ここにおける「事件の解明に最善の協力を行うものとする。」ということに私は合致する行為であると考えておるわけでございまして、議長裁定というものを誠実に守りたいと考えておるわけでございます。  それから、こういう一つの不祥事件を根本的になくするために、金子君は幾つかの御提案をなさいました。たとえば、企業からの政治献金をもう全部禁止して個人に限ったらどうかということでございます。  金子君も御承知のように、政治資金規正法は、これはもう戦後このような根本的改正というものはなかったわけですね。これはやはり大変な改正でありまして、いわゆる一つの政治団体の収支の公開というものを一段と強化しました。収支状態の公開、また寄付の量的制限や質的制限も加えました。これは大変な改正であったと思いますが、その改正法に、五年後には政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途を研究するためにもう一遍見直しをすることになっておりまして、個人献金にだんだんウエートをかけていこうという一つの傾向は各党にあるわけでございますから、そういうことも踏まえて、これには五年後には見直すという規定もあるわけでございますから、これともにらみ合わせて、この問題は処理してまいりたいと考えております。  また、その次には、政財の癒着を断つためにいわゆる高級官僚の天下りを何か制限を加えよというお話でございましたが、まあ役人の人たちの民間への天下りというものについては、すでにいろいろな制限があるわけでございますが、さらにもう少し規制を強化する必要もあるという声もございますし、この点は検討をさらにいたしてみたいと思っておる次第でございます。  また、行政監察官を国会に設けよという御提案もございました。これは金子君の御提案というよりかは、スウェーデンなどには百五十年前ぐらいからオムブズマンという行政監察官とも言うべき制度が定着をしておるわけでございまして、各方面からこういう声があるわけでございますから、この問題は真剣に取り上げるべき問題だと思っておるわけでございます。  それから次には、災害に対しまして、現行の災害関連法の指定要件が厳し過ぎて実情に沿わないので改正せよということでございます。  災害関連法については、かねてより、災害の規模、程度に応じて、実情に即した適切な運営を図っておりますので、特に現行の災害関連法案の指定要件を改正するという考え方は持っていないわけでございます。  それから、冷害の対策について、いろいろ御質問がございました。これについては、一つには農業共済金の年内支払い、天災融資法及び激甚災害法の発動等によって、各種の融資措置を講ずる、被害を受けた被災地帯の雇用の確保を図るなどの処置によって、被災農家の救済には万全を期してまいりたいと考えております。  それから、財政の問題については、大蔵大臣からお答えをいたします。  国鉄の破綻というものを、大企業本位であるという、そういうふうなお話でございましたが、われわれはそうは考えていない。国鉄はまさしく国民の足であるわけでございまして、どうしても今回は、この機会に国鉄を再建しなければならぬ、今度のは国鉄の運賃引き上げを再建の一環としてなされるものである、一方においては過去の累積赤字はたな上げする、徹底的な国鉄の合理化をやる、それでもなおかつつじつまが合わないわけでございますから、運賃が非常に低位に据え置かれてきたことは事実でございますから、運賃の改正をいたして、国鉄の再建を図ろうというので、単に運賃の引き上げというわけではなくして国鉄再建の一環として行うところに御留意を願って、この法案の成立に御協力を賜りたいと思うわけでございます。  また、電電公社についても、これは今回の料金の改定ができなければ非常に経営の基盤が弱体化してまいりますし、この電電公社にも国鉄にも、工事などに対して関連業者の中には中小企業も多いわけで、すでに倒産なども多く起こっていることなどを考えて、こういう国民経済の面からもこの両法案の成立というものは急がれるわけでございまして、野党の諸君の御協力を得たいと思うわけでございます。  それから、老人の医療の有料化の問題については、これはわれわれは老人の福祉政策を後退させようという考えはない、いかに財政的に苦しくとも老人の福祉を後退させるという考えはないわけですが、この老人の医療の無料化についてはいろんな意見もあるわけでございまして、その意見を聞いて、より一層老人の福祉対策が強化をするという見地から検討をしてみようというわけでございまして、いま直ちに老人の医療を有料にするという考え方は持っておらないわけでございます。  また、寝たきり老人というようなものに対して訪問看護を実施するとか、西欧ではこれが制度化されておるということでございましたが、こういう点については、地域の保健、医療保険、社会福祉等、各般の施策にも関連を有しますので、これはそういう事情も踏まえて今後の検討にまちたいと思うわけでございます。  それから、国鉄の経営に対しては、運賃の改定は再検討を行えということでございましたが、先ほど申しました理由によって再検討はできないわけでございます。  それから、仲裁裁定は議決案件として出してあるが、仲裁裁定はこれを完全に実施すべきであるという原則には変わりはないわけです。まあ、財源の点に問題があるから、国会の御審議を願っておるわけでございます。  それから中小企業の問題については、どうしてもこういう高度経済成長から安定成長への経済の調整期、しわ寄せが中小企業に来やすいわけでございますから、この中小企業の動向というものに対しては特に経済政策の中でも重視をいたしまして、できるだけ景気を早く回復せしめて最終需要の回復を図らねばいかぬという考え方が根本にあるわけでございますが、その間、いろいろ業種間においてまだ景気の回復から取り残されておる企業もあるわけでございますから、そういう企業に対しては、特にいろいろな対策を講じて倒産などを防止するために努力をしていきたい、ことに金融面などにおいては特に力を入れてまいりたいと考えておるわけでございます。  また、中小企業に対しては、中小企業の分野調整の立法は現在中小企業政策審議会で検討しておりますが、できるだけ早く、この法律は国会の決議もいただいておるので、実施に持っていけるように立法化を審議会の議を経て進めてまいりたいと思っております。  また、板門店の事件について、これはアメリカの方から一飛行隊が韓国に移動されたということは聞いておりますが、これは警戒的な処置を越えないものでないかと承知しておるわけでございます。  また、ミグ25の問題については、これは日本に侵入して強行着陸をしたことに対する必要な調査でございまして、日米安保条約とは何らの関係を持ってないものでございます。  また、シュレジンジャー前国防長官の核先制攻撃についてのお話がございましたが、その後やはりシュレジンジャー氏も朝鮮半島に核兵器使用はまず考えられないというような発言になっておりますし、核の使用などというようなことは回避するようにすることがわれわれの大きな今後のお互いの責任であると考えております。  また、わが国は核の攻撃を受けた唯一の被爆国民でもありますので、今後核兵器を完全になくするための、核兵器の完全廃棄に向かって最終的には努力しなければならぬのでございますが、一気にそこまではまいりませんから、この段階では核の軍縮をやって、そうしてそれを積み重ねていって最終の目的まで達成するように努力をすることが現実的な行き方であると考えて、今後核軍縮の問題については、われわれは一段と強力に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。  他は関係大臣からお答えをいたします。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 金子満広氏の質問に対してお答えをいたします。  いわゆる灰色高官名の公表問題については、総理大臣からも答弁をされましたが、この際、法務大臣の考えを明らかにしたいと思います。  灰色高官という言葉ですが、議長裁定にいう政治的道義的責任の所在を灰色責任というふうに私理解しますがね、あなたもそういうふうに理解して質問されておるようですから。その追及を目的として調査、審議を進めている国会の判断と責任においてその定義や基準やその公表はなされるべきものだと思います。その権限を持っている人が決めて公表するのだと私は思います。私ども法務、検察当局としては、刑事責任の追及の職務は持っておりますけれども、道義的政治的責任の追及の権限はないのですからね。こちらの権限外ですから、それは。  ただ、政府といたしましては、近く丸紅及び全日空ルートの捜査がおおむね終了する見込みでありますので、なるべく早いところその捜査結果の一般的概要を中間報告することを考えております。  この中間報告におきましては、国会における政治的道義的責任の調査、審議の参考にも資するため、すなわち定義をしたり基準などをつくる参考にも資するため、ロッキード社の航空機売り込みに関し、金品の授受はあったと認められるが起訴に至らなかったものの捜査結果を含め、刑事訴訟法の許す範囲内においてできる限り説明を行う所存であります。  ですから、国会においてこの中間報告や独自の調査等により、いわゆる灰色高官の定義、基準が決定されたならば、政府としては、議長裁定の趣旨に従い、参考資料の提供等最善の協力を惜しまない所存である。これは総理大臣も何遍も申し上げましたね。この場合、特定の者の氏名については、訴訟関係人の人権保護、関連事件の裁判に対する影響、将来長きにわたる国の犯罪捜査機能の確保に支障を及ぼすなどの理由により、公開された委員会では不十分であると思いますので、秘密会によることを希望し、この資料の提供の範囲が広まることをあなた方に協力したい、こう申しておるのです。  金子さんの次の質問は、今度こういう事件が再発しないようにそれを防止する具体策の一つとして、情報公開法をつくれということと、汚職犯罪の時効を延長せよ、こういうことが要望されましたが、情報公開法の内容いかんによりますね。したがって、これは将来の研究課題としては傾聴いたしますが、ここで直ちにつくるとかつくらぬとか、御返答するわけにはまいりません。  汚職犯罪の時効の延長につきましては、現行法上、当該犯罪の法定刑を基準として定められております。時効の期間は、現行法上、当該犯罪の法定刑が三年と、こうなれば時効も三年、五年なら五年、こうなっている。特に汚職犯罪の時効期間だけを、法定刑をいじらぬで時効の期間を汚職犯罪についてだけ例外を設けるのは、他の犯罪との均衡を失することとなるので適当でないと考えます。  なお、汚職犯罪の定期刑を引き上げることにつき、現在法務当局において刑法改正作業の一環として検討中であり、これが実現すれば汚職犯罪の時効期間は自動的に延長されることとなります。  第三番目は、児玉、小佐野の両名を現状のまま放置しておくことはいろいろ支障がある、このロッキード事件究明に非常に支障がある。いかにも法務省、検察当局は放置して怠慢にやっておることのようですが、そうではない。この国会議員のだれ一人として、ロッキード事件を隠そうとか、ずらそうとか、おろそうとかいう者はない。(発言する者あり)そういう者はありません。  児玉の病状につきまして御質問がありました。これは脳血栓後遺症で、あなた、病気に悪くもならない、よくもならない病気があるかと言いますが、たまにはあるのでしょう。——いや、児玉の場合はそうではありませんで、そのまれな例ではありませんで、だんだん悪くなっているということでございます。最近、最後に調べた検事の報告などによりますと相当に悪い、こういうことを聞いており、捜査上、私も心配しておるのです。したがって、その病状に照らし、逮捕勾留に耐え得る状態ではないと判断をいたします。検察当局としては、これらの事情を考慮して、最善の捜査方法を講じてきております。  また、小佐野氏の場合については、御指摘のような外為法違反ないし偽証について具体的な容疑があるとの報告を受けてはおりません。これの病状がどうだ、こう聞かれますが、これはこちらの問題ではありませんな。これは、国会がもし疑いがあるというなら、国会の再度の証人喚問に対し病気と称して応じないのですから、そのことに疑いがあるとされるならば、それは国会、すなわち当該委員会の問題でしょう。こちらが病状がどうだとかこうだとかいう筋合いのものではありませんな。  以上、答弁を終わります。(拍手)

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 財政問題について、御質疑の第一は、赤字国債を導入せざるを得なくなった理由でございます。  これは金子さんも御案内のように、一昨々年の石油危機を契機といたしまして、世界的な深刻なかつ長い不況に入りまして、大きな歳入欠陥を記録いたしたわけでございます。政府といたしましては、増税を行うとかあるいは歳出の大幅な削減ができるような事態ではございませんでしたので、ここしばらく国債に依存する財政を編成せざるを得なかったわけでございます。その間におきまして体力を培養いたしまして、この危機を克服すべく、赤字財政に当面依存することにいたしたわけでございます。しかしながら、この状態はまことに不正常な状態でございますので、なるべく早く、五十年代前半にはこれから脱却しなければならない、そういうもくろみのもとに、鋭意その対案に苦心をいたしておるのがただいまの段階でございます。  第二の御質問は、歳入の問題でございますけれども、租税特別措置、とりわけ法人税の累進課税強化によって大幅な税収を確保すべきでないかという御提言でございました。  もとより政府といたしましても、租税は公平でなければなりませんし、特定の目的のために税制を活用するための特別措置にいたしましても、これが目的を達成した後までも既得権として残る、あるいはマンネリ化するというようなことは極力避けなければなりませんので、毎年毎年見直しまして、その刷新を図っておりますことは金子さんも御承知のことと思います。ことしの税制改正におきましても、相当大幅な租税特別措置の改廃の御審議をいただき、御決定をいただいたことは御案内のとおりでございます。  法人税の累進税化でございますけれども、およそ累進税というのは、私の理解するところでは、所得や財産が最終的に帰属する自然人の場合になじむ制度でございまして、法人税のようなものに累進税を適用している国はどこもございませんし、日本といたしましてもそういう考えは持っていないことは、本院におきましてもたびたび申し上げておるとおりでございます。  これに関連いたしまして、付加価値税の問題についての御質疑がございました。現在、財政は、中央、地方を通じまして、先ほど申しましたように公債に大きく依存しておる財政でございますので、これを是正してまいる、その意味におきまして、税を見直さなければならぬ段階であることは申すまでもございません。そのために政府といたしましては、ひとり所得課税ばかりでなく、資産課税につきましても、あるいは消費課税につきましても、税制全体にわたりましての御審議を税制調査会にお願いしておるわけでございます。付加価値税と申すものは、恐らく消費課税の中の一つの税目であろうと思うのでございまして、政府は税制調査会に、税目を限って、特定して御審議を願っておるわけじゃございません。したがって、こういったものがあるいは議論の対象になるかもしれませんけれども、これを直ちに取り上げるというようなところに至っていないことは、きのう総理がこの席でお答え申し上げたとおりでございまして、目下、税制全般にわたりまして、調査会で御審議を願っておるというように御承知をいただきたいと思います。  それから、第四の問題といたしまして、国民本位の立場に立って、景気対策、不況克服の意味で、災害の復旧、救農土木あるいは住宅あるいは文教施設、福祉施設等の建設を考えるべきではないかという御指摘でございまして、ごもっともでございます。私どももそういう考え方で五十一年度の予算も編成いたしておるわけでございますし、来年度の予算もそういう角度から編成してまいらなければならぬことは、当然の責任と心得ておるわけでございます。  ただいま、御承認をいただきました予算をもちまして、いま起こっておりまする災害、冷害に対する措置でございますけれども、これは実態を早く掌握いたしまして、これに対する復旧を急がなければなりませんし、手当てを急がなければなりません。そういったことは、この本年度の予算をもって十分対応できると考えておりまして、御指摘のように、補正をまたなければならぬというようには、ただいまのところ考えておりません。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) お答えをいたします。  ミグ25の不法侵入についての取り扱いの問題についての御質問だったと思いますが、今回の事件は、ソ連軍人でありますベレンコ中尉が、軍用機であるミグ25型機を操縦いたしまして、わが国の領空を侵犯した上、わが国の領土に強行着陸を行ったものでございます。  本件に関しまして、同中尉について、捜査当局が、国内法令違反の容疑で任意に事情聴取を行い、その証拠物件であります機体の実況見分を行っておる間、防衛庁といたしましても、領空侵犯、強行着陸の背景状況に関して、捜査当局と並行して、本人から事情を聴取いたしたわけでございます。  ベレンコ中尉の亡命とは別に、領空侵犯及び強行着陸があったということは、当初から存在しておる事実でございますし、わが国といたしまして、その背景状況の解明のために、防衛の任に当たる機関としての立場から、防衛庁が独自の機体調査を本人の出国後にも続行し、これを完了することは当然であるというふうに考えておるわけでございます。これは、こういうことを行いますことは、日本民族の安全と独立のために必要なことであると存じます。(拍手)

秋田大助自由民主党副議長

○副議長(秋田大助君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣三木武夫君。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○内閣総理大臣(三木武夫君) 証人喚問の問題についての御質問が答弁漏れになりましたが、国会における証人の喚問は、何人といえどもこれは区別はないわけでございますから、議員の喚問あるいはまた元高級官僚の喚問、それは皆何も例外はないわけであります。ただ、だれを呼ぶかという個々の具体的なケースについては、当該委員会で十分検討されて決定をされることを望むわけでございます。     —————————————

秋田大助自由民主党副議長

○副議長(秋田大助君) 矢野絢也君。

矢野絢也公明党

○矢野絢也君 私は、公明党を代表いたしまして、三木総理並びに関係閣僚に御質問をいたします。  最初に、総理にお願いをしておきたいわけでございますが、先ほどからの総理の御答弁は、まことに陰々滅々とした調子の、いたずらに長いばかりの、中身のない、ポイントを外した答弁ばかりでございます。いわゆる聞かせる答弁というものでは全然ないわけです。まだ稻葉法務大臣の方がよっぽど、中身については異論はございますが、聞かせる答弁だったと思います。どうかひとつ気力を振りしぼっていただいて、ポイントを外さないで御答弁を願いたい。  総理、あなたは自民党の党内抗争の対立を収拾、指導し切れず、閣僚の大半が臨時国会の召集に反対する閣内不一致など、前代未聞の醜態をさらされました。その結果、国政は渋滞し、政治空白を招いた責任は、反三木派の諸君に対して、あなたにもあれこれ幾らか言い分があるのかもわかりませんが、それはしょせん党内事情にすぎません。国民に対し、国会に対し、党総裁として、内閣総理大臣として、失礼ながらあなたの不徳のいたすところであります。  しかも、その間、物価の上昇、景気回復の足踏み、東北、北海道の冷害、集中豪雨の大被害、朝鮮半島の急迫した情勢、わが国漁業の死活問題である経済水域問題、ミグ25による亡命、かつてのニクソン・ショックの混乱につながる円問題など、どれ一つ取り上げましても、まかり間違えばわが国の平和と国民生活に致命的な結果を招く重大問題が発生しておるのであります。  にもかかわらず、総理は、国会も野党も国民も関係のないところで、政権延命のための党内派閥抗争に没頭し、結果として国政への責任をおろそかにしてこられました。私はやっておると言われるかもわかりませんが、このような重大な問題は、小手先の行政で処理できる問題ではありません。国政渋滞、政治空白の責任は総裁・総理としての三木さんにあることについての自覚を、あなたは果たしてお持ちでございましょうか。深く国民におわびをされ、その責任を明らかにせられるべきであると思いますが、総理の決意を伺いたい。(拍手)  次に、ロッキード疑獄について、総理、この七カ月間のあなたのやり方は、真相究明の言葉とはうらはらに、後退に次ぐ後退でございました。アメリカ側のロッキード資料を国民に公開することが全貌解明の決め手であったにもかかわらず、結果として、あなたはその期待を裏切りました。政治家を含む証人喚問を否定してみたり、刑事訴訟法四十七条ただし書き問題など、発言しては取り消す。抽象的な総論で真相究明と前向きのことをおっしゃって、具体的な各論ではきわめて後ろ向き。まことに失礼ではございますが、羊頭を掲げて狗肉を売るとはあなたのことではないかと申し上げたいのでございます。  まず、このロッキード工作資金の七割以上を占めるいわゆる児玉ルートの捜査が未解明のままで、捜査当局のせっかくの奮闘にもかかわりませず、このルートの解明の遅延をめぐりまして、政治的な背景についてさまざまな憶測があるようです。  たとえばコーチャン会見記の報道など、児玉ルートをめぐる黒い疑惑の情況証拠は固まりつつあるにもかかわらず、党内政権抗争の渦中にある三木総理が、三木体制を支えるあなたの陣営に、もしもかかわり合いが万が一にも出たらこれは大変だという意味で、このルートの徹底解明を歓迎されないのではないかといううわさ、あるいはまた、ロッキード疑獄事件は権力者の政略的な思惑によって幕引きが行われるのではないかとする疑惑、総理へあなたはこのようなうわさや疑惑に対して答える義務があります。もしそうでないと申されるならば、政治家を含む証人喚問に総理は賛成されるべきであります。あなたは、これは国会で決める問題だと人ごとのような逃げ口上を言っておられますが、これは許されません。現にあなたが総裁である自民党の反対で、ロッキード特別委員会における政治家の証人喚問は、国民の期待に反して否決されておるのであります。人ごとではありません。国民が聞きたいのは、あなたが賛成なのか反対なのか、これが決め手になるのであります。決意を伺いたい。(拍手)  あなたは、先ほどからの答弁を聞いておりますと、まるで検察当局の立場に立って物を言っておられるようでありますが、いま私が伺いましたことは、政治家としての、内閣総理大臣としてのあなたに、証人喚問についての意見を伺っておるわけであります。(拍手)  次に、政治的道義的責任追及の問題についてでありますが、総理の言動と姿勢は、灰色高官の定義は国会に一任する、これも逃げ口上ばかりで、公表基準を特別委員会の多数決の問題に押し込めておられます。これはまことに悪質なロッキード隠しであり、あなたの態度はひきょう千万であると言わざるを得ません。  いま国民が聞きたいのは、三木総理が行政府の最高責任者として、灰色高官の基準を、あなたがどう基準を考えておられるか、あなたの基準についてお尋ねをしておるのであります。(拍手)国会のことを聞いておるのではありません。  総理、よく思い出してください。あなたは、ロッキード真相究明に私の政治生命をかける、灰色高官の公表について、刑事訴訟法第四十七条ただし書きで公益のため公表して差し支えないと言われました。また、国民の判断を求める上で正しい材料を提供するとも言われました。また、ロッキード事件の政治決算を選挙でつけるんだ、ロッキードの解明をやれるのは自分しかないんだ、だから選挙も自分しかその資格がないんだという意味のことをさんざんあなたは公言してこられました。  いずれも、お言葉としては、まことにりっぱなお言葉であります。しかし、先ほどのような、起訴が何名、不起訴が何名というような人数だけで、あなたの言う正しい判断が国民にできると、あなたはお考えですか。あるいはまた、秘密会でないしょで説明をして、それが国民にわかりますか。この灰色高官の公表は、だれのための公表なんですか。国民に判断の材料を提供するための公表ではございませんか。(拍手)国民に十分な判断の材料すべてを提供することに、これであなたはなるとお考えでございますか。三木さんの約束は、あれはその場ごまかしのうそだったのでしょうか。  あなたは、反三木派の諸君に、そういった諸君はあたかもロッキード隠しであるかのごとく、そして、みずからのみが国民世論を代表するというような調子で言ってこられました。もし、この臨時国会で、ロッキードの解明が、総理の責任において国民が納得できる解明がなされなかったならば、やっぱり三木さんもロッキード隠し、いや、むしろ政権延命の政略の武器に三木さんはロッキード事件を使ったのではないかと、このような批判をあなたは免れることができません。  ロッキード解明は神聖な私の政治使命である、その政治使命が三木内閣の存在理由であると言われた。しかし、このような後ろ向きの姿勢で、三木さん、あなたはみずからその神聖な使命を放棄されたのです。したがって、もはや三木内閣の存在理由もみずから放棄されたと言われても、これはやむを得ないではありませんか。(拍手)どのような責任をとられるか、決意を伺いたいのであります。  総理みずからの信念と決断によって、ロッキード社またはその仲介者などから、名目のいかんを問わず、金品を受領した政治家などの氏名と事実関係を国民の前に明らかにすべきでありますが、その決意を伺いたい。  ロッキード疑獄の徹底解明とあわせて、この疑獄からどのような反省と教訓を引き出し、制度改革でどう生かしていくかが重要なことであります。  一つは、ロッキード疑獄は、政治献金のパイプを通じて、政府・自民党と財界、企業が結びついて、国民不在の政策が決まっていくメカニズムが象徴された事件であると言われております。この根を断ち、国民の政治不信を払拭するためには、何よりも企業献金の禁止並びに政治資金の一切の公開、ガラス張りの確立がそのかなめであり、総理はその決断の意思があるかどうかを伺いたいと思います。  二つには、今後このような事件の再発を未然に防ぐためには、金のかからない選挙の実現が肝要であります。そのためには、選挙公営の大幅拡大、有権者の票の重みを平等ならしめるための定数是正、戸別訪問の自由化、買収などの連座制の強化、選挙裁判のスピードアップなどの改革が是が非でも必要であります。総理はわれわれの提案についてどう考えられますか。また、総理に、ロッキード疑獄を教訓として生かす具体的な方策、対案があればこの席でお示しをいただきたいのであります。(拍手)  次に、総理、今日の日本はあらゆる領域において一大転換を迫られております。その転換は、それまでの成長それ自体が目的となっておったような大企業本位の成長経済から、成長を手段として国民生活を守る福祉などを目的とした福祉経済への質的転換でなければなりません。  七月の二十七日に東京都が発表されました「都民のくらし向き」という調査によりますと、一つには、五十年度の勤労者世帯の平均月収は、前年より八・七%ふえましたが、物価上昇分を差し引いた実質収入では三・〇%のマイナスになった。  二つには、生計費支出で特に目立ったのは公共的料金の支出で、二〇・四%のプラスになっている。このため公共的料金負担は月額約三万四千九百円となって、生計費支出の一七・一%を占めておる。  三つには、また生活必需品の値上がりで、低所得層の生活が一層苦しくなった。所得の少ない方々は、毎月約一万二千百円の赤字が出ているなど、きわめて深刻な実態を報告しておるのであります。  総理は、先日の所信表明で、きわめて楽観的な無責任な現実認識と見通しを述べておられましたが、苦しみにあえぐ赤裸々な庶民の暮らしを、総理、あなたはもっと深く認識されるべきであります。この報告をどう見られるか、所見を伺いたい。  このような国民の苦しい生活を守るためにも、また、わが国の景気を安定的に回復させるためにも、庶民大衆の個人消費を安定的に伸ばすためにも、ぜひとも所得税の年内大幅減税を実施すべきであると考えますが、見解を伺いたいと思います。  いま、物価情勢はきわめて警戒すべき段階で、大企業はコスト圧迫を理由にして、相次いで製品値上げを強行しております。まして、政府が減産指導によって需給関係を操作し、製品価格値上げの後押しをしておるようなことでは、財政インフレ、公共料金の値上げと相まちまして、政府みずからが口先とはうらはらにインフレをつくり出しておる張本人であると言わざるを得ません。責任のある答弁をお伺いいたします。  いま、アメリカは大統領選挙の最中でありまして、アメリカは円問題について具体的な対日強硬手段には出ておりません。しかし、この選挙が終われば、恐らくショッキングな強硬対策を打ち出してくるのではないか、この可能性が大変強まってきておるのであります。かつてのニクソン・ショック後の日本経済の大混乱は、中小零細企業に大打撃を与えました。同じ混乱を招かぬために、十分な配慮と対策が国内外の経済政策に必要であると考えますが、具体的にお答えを願いたい。  さらに、わが国経済の中で、市場における公正かつ自由な競争を促進し、一般消費者の利益を確保することを目的とする独占禁止法の強化改正は、きわめて緊要であります。少なくとも七十五国会で衆議院を全会一致で可決通過した五党修正案を、この臨時国会で成立させるべきでありまして、同法改正を公約された総理は、さきの所信表明では一言も言及されていません。責任ある答弁を求めるものであります。  次に、相次ぐ公共料金の値上げは、際限のない負担の増加になって庶民大衆の家計をますます苦しくしております。そこで、公共料金体系を、生活に必要な使用量までは安い料金を保障する国民福祉料金体系というものをベースにして、不公正是正、弱者擁護の立場から再検討すべきであると考えます。このような配慮を払わないで、一方的に庶民大衆に国鉄運賃、電話電報料金の値上げを押しつけることは断じて許されることではありません。所信を伺いたいと思います。  赤字だから運賃の値上げをします、赤字だから下請にも仕事を出しません、これを、総理、親方日の丸、弱い者いじめと言うのです。本当に国鉄は赤字と言えるのでしょうか。冗談じゃありません。全国至るところに、目抜きの最もすばらしい場所に広大な土地、資産を持っておる。天文学的な莫大な資産ではありませんか。それが有効な使われ方がしておりません。  まあいろいろ問題はありますが、本当に赤字をなくする決心で工夫をこらし、責任を持って取り組めば、国民に迷惑をかける運賃値上げを安易にしなくてもやれるはずです。汗を流して努力した上で、その上でやむを得ず運賃値上げの提案をなさるべきであります。それが政治というものであります。経営というものであります。国鉄再建の真剣な努力もなさらないで、中小企業の仕事もとめるんだ、賃金も上げません、これは政治ではありません。一種の脅迫と言われても仕方がないじゃありませんか。(拍手)  総理は昨日、仲裁裁定を実施すると言われましたが、これは本来、運賃値上げとは関係ない問題であります。スト権の与えられていない公共企業体職員の権利を守るための最低限の保障が仲裁裁定の趣旨であることは、総理も先刻御承知のはずであります。このような労働者の権利問題と経営問題である運賃を絡ませようとする態度は許されません。  運賃値上げが、あたかも今国会で確実に成立すると確信しておると、総理はさも裏づけのあるような、まるで国会と話がついているような調子で昨日はお話をされておりましたが、一体これは何を根拠にそのようなことを言われるのですか。議長裁定を引用されたようでありますが、これは十分の審議をしましょうということであって、成立を約したものではございません。また、仲裁裁定の完全実施を総理が言明された以上は、これを国会議決案件とせずに承認案件とされるのが筋であると思いますが、この点についてしかと伺いたい。  また、仲裁裁定実施のための財源の手当てをどのように考えておられるのか、また、仲裁裁定実施の時期はいつか、こういった点についてお伺いをしたいと思います。  なお、このような理不尽きわまる政府の仲裁裁定への責任回避の暴挙に対しまして、公労協の諸君が世論とともに歩むとの立場で、良識をもってストを収拾された昨日の御決定に心から敬意を表するものでありますとともに、私どもは、この仲裁裁定完全実施のために全力を挙げて闘わなくてはならないと決意をいたしております。  次に、財政特例法のことでありますが、赤字国債の発行を避けるための徹底した不公正税制の是正、不要不急の歳出の洗い直し、国債発行の歯どめとすべき償還計画及び償還財源、個人消化による市中消化の促進、公社債市場の育成などについて、この三カ月間いかなる努力と検討を加えられたのか、率直にお答えを願いたいのであります。  次に、税制についてでありますが、わが国の景気を安定的に回復させるためには、庶民大衆の個人消費を安定的に伸ばすことが必要であります。先ほども申し上げたとおり、年内減税を行われるとともに、大量の赤字国債発行の回避、こういった面からも考えまして、不公正税制の是正はいまや急務であります。大企業優遇税制度である租税特別措置法の改廃や法人税の累進課税制度の導入、大企業所有の土地についての土地価格の再評価、並びに再評価税の新設、インフレで不当に大もうけをした者に対する富裕税の新設など、政府の勇断さえあればできるものであります。これに対する見解を伺いたいと思います。  深刻な不況で打撃を受けられました中小企業は、いまもって厳しい状況下に置かれております。企業の倒産は、相変わらず負債額一千万円を超える倒産件数が毎月一千件を上回っておる。中小企業の厳しい実情は小手先の対症療法で克服できるものではありません。何よりも大企業中心から中小零細企業優遇の財政、税制、金融など、総合的な対策が必要であります。また、大企業の不当な進出を防止するため、中小企業分野確保を図るための事業活動調整法の早期制定。さらに代金支払い期間の短縮、支払い代金の一部現金比率の法定化などのための下請代金支払遅延防止法の強化改正、また銀行による歩積み両建ては、中小企業の苦境につけ込みまして、ますます巧妙に行われております。しかも、実効金利はそのためますます高まっておるのでありまして、歩積み両建ての一掃を政府は真剣に取り組むべきであります。さらに、年末を控え、中小企業の金融逼迫に対する救済策など、以上の諸点について具体策を伺いたいのであります。  わが国の福祉水準は、福祉先進国に比べまして所得保障、医療保障などで質、量ともにその水準が低く、財政危機に名をかりて低水準のまま放置し、国としての明確な最低保障水準も示されず、また、福祉行政の責任と方向も明らかにされておりません。  当面、特に緊急な課題は、医療保険制度の分立と不均衡によって生ずる給付の格差の是正と国民健康保険の健全化であります。ことに、国民健康保険は財政が逼迫し、破綻寸前であります。どのような展望と対策をお持ちか、伺いたいと思います。  特に、老人医療の無償化をやめて有償に切りかえるなどの議論が政府にあるようでございますけれども、これは断じて許されることではありません。しかと伺いたいと思います。  次に、所得保障として国民の要請の強い年金制度についてでありますが、現行年金制度には二つの大きな欠点があります。すなわち、年金権がすべての国民に保障されていないことと、年金水準がきわめて低いことであります。国民年金の受給者の大半は金額のきわめて少ない福祉年金受給者であり、しかも、これらの方が老齢年金受給者の過半数になります。これで今日のインフレ時代、老後の生活は保障されたと言えるでしょうか。年金制度の抜本的な改善について所信を承りたいと思います。  次に、交通、海難、災害、犯罪被害などの事故によって残された母子家庭の生活は、インフレ、不況や健康障害で極度に逼迫しておられます。すでにわが党は、救済制度の確立や生活保護の大幅拡大、さらに母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置法案を提案いたしまして、これら家庭の生活の防衛と向上を図るよう政府に訴えてきたところでありますが、見解と決意のほどを承りたいのであります。  次に、日本農業の再建と食糧自給率向上については、いまや国民的合意が形成され、そのための総合的かつ強力な施策が強く要請されております。しかし、政府の農業切り捨て政策によって、農業再建と食糧自給率向上の前途はきわめて厳しいものがあります。  政府は、食管制度の形骸化を促進しようとしておられますが、骨抜きをやろうとしておられますが、食管法を守ることは、日本農業を守り、国民生活の安定を図る上からもきわめて重要なことであります。食管法の今後についての方策、さらに畜産、野菜、果物など主要な農作物についての価格保障政策を速やかに実施し、安定した農業の育成を図るべきでございますが、しかと伺いたい。  また、漁業問題につきましては、沿岸、沖合い漁業に対する徹底した見直しを図り、その抜本的な振興策が重要なことは言うまでもありませんが、世界的な経済水域の拡大によりまして、遠洋漁業は重大な局面をいまや迎えつつあります。この対策を伺いたいと思います。  このたびの東北、北海道を中心に東日本一帯を襲っている冷害や、西日本を中心とした集中豪雨の災害は、それぞれの地域の農家や中小企業、地域住民に深刻な打撃を与えております。  これに対しわが党は、積極的な支援、現地調査を行ってまいりましたが、現地に参りますと、これは総理、よく聞いてください。半分収穫できたらこれはもう上できなんです、これでは牛を売るか出かせぎ以外にないんだ、あるいは、水や土砂崩れで倒壊した家屋の修復の見通しもつかない、商店や町工場では営業のめどすらもつかない、どうして暮らしていくんだと途方に暮れる農家や中小企業、地域住民の間では、政治の無為無策、無慈悲を糾弾する怨嗟の声が強まっております。政府はもっと深刻な認識を持ってこれの対策に取り組むべきでございます。決意を伺いたいと思います。  次に、ミグ25亡命機事件についてでありますが、政府の措置には慎重さと冷静さを欠いていると言わざるを得ません。  国際慣行から見まして、機体の調査は許されることかもしれませんけれども、事もあろうに外国である米軍の協力をもって軍事機密の解明を図り、しかも、その情報を結果として米側に提供するということに至りましては、わが国外交の独立性あるいは平和外交の基本方針から見て正しいやり方ではないと思います。ソ連政府に領空侵犯等に対する陳謝と、今後かかることのないよう誓約を厳重に求むべきでありますけれども、いずれにしても、機体は早期に返還するのがわが国外交の基本にかなうことであると思います。所見を承りたいと思います。(拍手)  また、日中復交後満四年を迎えたのでありますけれども、懸案の日中平和条約、この締結は三木内閣の手で行う決意が、総理、おありなのでしょうか、どうでしょうか。覇権問題に対する総理のお考えとともに、総理の所見を承りたいのであります。  いわゆる共産党のスパイリンチ事件、これは前国会で論議されまして、国民の関心を集めたわけであります。先ほど共産党の金子議員が、この本会議の席で言及されました。私もこれに絡みまして一言言及をし、意見を述べ、質問をいたしたいと思います。  戦前のこの事件がリンチであったのか、あるいは殺人であったのか、こういったことには、過去のことは過去をして葬らしめるべきであるという意味で、前国会、私は余り関心を持っておりませんでした。率直に申して、戦前の治安維持法など、暗黒政治における共産党への弾圧という意味で、これはむしろ不幸な出来事であったとさえ思っておりました。  しかし、今日的な意味で、現代の意味で、むしろ私が大変興味がありますのは、この問題に対する共産党の諸君の異常なまでの反応ぶりであります。日本共産党は、赤旗号外などで、戦前、特高警察がリンチ殺人事件としてでっち上げたものなんだ、宮本委員長がまるでありもしないリンチ事件を起こしたかのように言い立てられたのだなどと、リンチ事件はありもしないことであって、事実無根のでっち上げなんだ、こういうことを言う諸君は許しがたい悪質な反共宣伝であると大キャンペーンを展開されておるのであります。  法務当局に伺いたいのでありますが、もし法務当局がでたらめのでっち上げの答弁を前国会でしておられたとするならば、本来、公正、客観的たるべき法務当局の権威にかかわる問題であります。念のため、次の諸点について明確にしていただきたい。  一つ、リンチ的な行為が果たしてあったのでしょうか、なかったのでしょうか。あるいは勝手に死んだという意味での異常体質によるショック死なのでしょうか。あるいは外から加えられた傷、外傷性ショックによる死なのでしょうか。共産党の諸君は、逃亡しようとしてみずから傷つけた自傷行為であって、異常体質によるショック死であると言っておられるようであります。これらの事情について詳細に御説明願いたいと思います。  二つ、共産党の宮本氏の復権の根拠になったと言われます勅令七百三十号の「将来ニ向テ其ノ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」、この規定は、不法監禁致死、死体遺棄などの犯罪の事実が、共産党の諸君の言われるように本当になかったということを意味するのでしょうか。また、これら犯罪の成立を確定した判決が無効になったということを意味するのでしょうか。  三つ、この勅令七百三十号のただし書きによりますと、刑事犯などの併合罪があるものについては適用除外が明記されておる。不法監禁致死、死体遺棄などを犯したと判決されておる宮本氏が復権の適用対象とされたことについて、法務当局は前国会で「まことに奇妙きてれつな不思議なことで、よく調査する」、このように答弁をされておりましたが、調査の結果はどうなりましたか。  私があえてこの問題の質問に踏み切りましたのは、共産党の諸君が「犬がほえても歴史は進む」と、みずからに対する批判者を犬扱いする体質、これは戦前の権力者が共産党の諸君をアカ呼ばわりしたと同じ発想で、批判拒否、独善そのものではないかと、私は疑問を持つからであります。(拍手、発言する者あり)  この意味で、この問題は自由と民主主義にかかわるきわめて今日的な問題であると私は思いましたので、質問を提起したわけでございます。  あの暗黒政治、治安維持法のもとでの思想や政治活動が不当に弾圧された誤り、これは再び絶対に繰り返してはなりません。そのためにも、民主政治発展の教訓にしていくためにも、この問題をわれわれはすべてにわたって事実を事実として認識する謙虚な姿勢が必要であると私は申し上げておきたいのであります。(発言する者あり)  以上、私は、政治、経済の転換を主とした国政の総論的立場からの質問と、当面する個々の政策別課題についての質問をいたしました。総理の誠意と責任ある答弁を要望し、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手、発言する者多し)

秋田大助自由民主党副議長

○副議長(秋田大助君) 静粛に願います。——静粛に願います。(発言する者、離席する者あり)静粛に願います。——静粛に願います。議席にお戻りください。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○内閣総理大臣(三木武夫君) 矢野君にお答えをいたします。  矢野君は、自民党の党内抗争によって国政の渋滞、政治の空白をもたらしたではないか、その責任をどういうふうに考えておるかということでございましたが、党内の問題と国政の問題は、私は別個の問題であると考えております。党内の問題で国政の渋滞、政治の空白を生じたとは思っておらないわけでございます。内政、外交の両面にわたって政治の停滞とか空白をもたらすことなく、責任を十分果たしておると考えておる次第でございます。  次に、矢野君は、ロッキード事件の真相解明に対する七カ月間の総理のやり方は、後退に次ぐ後退であったというような御発言でありましたが、私は大変に残念に思うわけでございます。ロッキード真相解明について少しも後退はありません。矢野君お考えになっても、やることはやっているじゃありませんか。どこに後退というものがあるのでしょうか。私は、ロッキード事件を解明して国民の疑惑を晴らそうという決意は、最初から今日に至るまでいささかも変わりはない、今後も変わるものではない、どうか私のこの真意を過ちなく御理解を願いたいのでございます。  また、児玉ルートの解明について、何か私が政治的介入をしておるような御発言もございましたが、そういうことは絶対にありません。私は、当初から、今度のロッキード事件に対しては、私も法務大臣も政治的介入をしない、しっかりやってもらいたいということでございますから、児玉ルートに私が介入する必要など何もないわけでございます。児玉ルートの解明は、法務大臣も本議場で述べておりましたように、いろいろ困難な事情はありますけれども、どんなに困難な事情があり、時間はかかっても、徹底的にこれの解明を図らなければ、ロッキード事件の真相を解明したとは言えませんから、この問題に対しては、中途半端で真相の追及を放棄することはないということを申し上げておきたいのでございます。  また、いわゆる灰色高官の問題についていろいろ御質問がございましたが、私はやはり、政治的道義的責任の追及の場は国会だと思っておるわけです。議長もやはり、国会の場を政治的道義的責任の追及の場として議長裁定をお出しになっておるわけでございますから、われわれとしてはできるだけ国会の調査権、国政調査権に協力をしたい。だから、いわゆる灰色高官という範囲と申しますか、これを各党間でお話しを願って、こういうのを国会は灰色高官と言うのだという定義をひとつ決めていただきますならば、それに沿うて検察当局が持っておる資料を、個人名も含めて国会に出そうというわけでございますから、これは私は、検察当局としても最大限度の国会に対する、国政調査権に対する協力の姿であると思っております。  そして、それの公表の問題については、政治的責任道義的責任の追及に当たっておる国会の判断において公表の問題は取り扱ってもらいたいと考えておる次第でございます。  それからまた、ロッキード事件の教訓から、金のかからない選挙、これを考えなければならぬということで、いろいろと矢野君もこれに対しての御意見がございましたが、私もその必要を感じて、公職選挙法の改正や政治資金規正法の改正を行ったわけでございますが、今度の来るべき総選挙は、この二つの新しい改正法が最初に実施される選挙でありますから、この結果というものを私は重視しておるわけでございます。この結果を見て、どうも不備だという点があったら、再改正するにやぶさかではないわけでございまして、どうしても政治に金がかかり過ぎる日本の現状というものをなくさないと、これは日本のいろいろな腐敗が起こる原因にもなると思うわけでございます。  そして、矢野君の言われた、公職選挙法の中で公営の範囲をもっと拡大せよということは、相当に拡大できる範囲内ではしておるのですが、やはり私は公営というものをもっと徹底するということには賛成論者です。なるべく選挙に金がかからぬようにするということは、今後どうしてももっと検討していかなければならぬ課題であると思うわけでございます。  それから、矢野君は、これからの経済を福祉経済というふうに名前をつけて言われました。今日の転換期は、量的拡大から質的充実を目指していると言えると思います。矢野君の言う福祉経済という言葉が、生活の充実あるいは福祉の向上に貢献する国民経済に持っていかねばならぬということならば、私も賛成でございます。本年五月に閣議で決定をした昭和五十年代の前期経済計画の中にも、高度経済成長路線から均衡のとれた安定成長路線へと移行をさせて、社会保障や居住環境の整備等を図りつつ、ゆとりと生きがいのある経済社会の建設を目指していくことにしておるというこの目標も、矢野君の御指摘のような社会の方向とは大体において方向は似ておると思います。  次に、物価の問題についていろいろと御質問がございました。  消費者物価は落ちついた動きを示しておることは御承知のとおりでございますが、物価の安定というものが国民生活の安定の基礎になるわけでありますから、このせっかく落ちついてきた消費者物価、これを再び急激な上昇を来すことのないよう、これはきめ細かく——物価政策というものは、これは一つの政策というのでないわけですから、いろいろな各省の施策等にもまたがって物価政策というものはきめ細かくやっていかなければなりませんが、消費者物価の安定ということには特に力を入れてまいります。ことに矢野君は、東京都の勤労者家庭に関する調査をお取り上げになりましたが、総理府の家計調査によりますと、五十年の東京都の数字では、実質所得はわずかではありますがプラスであることであります。矢野君の調査のポイントは、実質三%の減少となったことを言われております。  また第二は、「都民のくらしむき」でいうところの公共的料金というのは、牛乳とか、新聞とか、理髪とか、パーマネントとか、洗たく代まで含まれておりまして、通常われわれの公共料金と言われる範囲よりも相当広義な範囲であるということもございます。  また、矢野君の御指摘になった第三の点については、その原因が公共的な料金によってというようなことよりも、不況というものが影響して、第一階層の収入の伸び悩みによるというように思われますが、なお検討する必要がありますので、今後も国民生活の着実な安定、向上ということには努力をいたす所存でございます。  また、物価情勢は憂慮すべき段階であって、大企業がコストの圧迫を理由に値上げを強行したり、政府は減産指導をやったりして需給を調整しておるではないか、こういうことで値上げの後押しではないかというような御批判がございましたが、確かに卸売物価がやや速いテンポで上昇を続けておりますが、秋口以降は、大口の値上げはおおむね一巡しますから、この上がっていく勢いというものは穏やかになるものと考えております。  それから、政府が不況期に対して、需給の不均衡の著しい基礎物資の一部を対象にして、不況対策の一環としてガイドラインを作成して、公表などの処置を講じましたが、このような処置はもう緊急避難的な短期の処置でありましたので、今年の六月末までに撤廃をされております。  今後とも政府は、卸売物価も含めて物価の安定には十分配慮してまいりたいと考えております。  それから、国際収支や為替政策に対する問題で、円問題について非常に各国で批判があるではないか、またニクソン・ショックのようにならないかということを言われましたが、われわれはさようには考えてないわけです。どうもこの点については誤解があるようでございます。わが国の国際収支や為替政策に対する誤解という面があると思います。  最近、国際収支は、矢野君も御承知のように、輸入というものが大変に伸びてまいりまして、大幅な国際収支の黒というものは非常にバランスのとれたものになりつつある。したがって、現在の経済財政政策、国際金融政策を変えようという考えはございません。政府としては、各国に対してよく事情を説明して理解をしてもらうことが必要だと考えておる次第でございます。  独禁法の改正の問題がございました。私は、やはり公正かつ自由な競争のルールというものが自由経済を維持していく上においては必要であるという考え方は変わらないわけでございまして、独禁法の改正というものも、衆議院の修正可決された法案とは多少の変更がございました。しかし、課徴金制度の新設とか、会社、銀行等の株式の保有制限の強化であるとか、罰則の強化等重要な改正を含んでおりますので、ぜひこの改正というものは国会で成立をしてもらいたいと思うわけでございまして、いま継続審査になってこの国会に付託されているところでございます。これに対しての熱意が冷めたわけではないわけでございます。  また、電電とか国鉄の職員の給与に対して、仲裁裁定というものに関連して、運賃の値上げをセットして議決案件としておるのはけしからぬというお話でございましたが、仲裁裁定は、公労法の第三十五条の規定というものは政府は尊重していこうということが変わらない基本方針でございまして、何分にも政府が国会で議決願っておる予算の中ではやりくりができないので、いま国会の御審議を願ったわけで、これは、提出しておる国鉄とか電電の二法案もできるだけこの国会で成立をしていただいて、そうすれば、この仲裁裁定も完全に実施することが可能になるわけでございますから、さように考えておるわけでございます。  また、税制の問題についていろいろとお話がございました。特別措置法については、五十一年度にかなり思い切った整備縮減をいたしましたが、今後も引き続いて努力をしたい。  国債の償還財源については、一・六%の定率の繰り入れなどで支障がないように配慮しておりますが、いずれにしても、早く特例公債に依存しない財政に復帰しなければならぬというように考えております。  国債の個人消化のためには中期国債の発行なども検討しているわけでございまして、公社債市場の育成にも今後努力をしていきたいと考えております。  それから、中小企業の問題についていろいろお話がございました。中小企業の分野調整に関する立法については、いま総理府の中小企業政策審議会でいろいろ検討してもらっておるわけでございまして、この検討が済み次第これを立法化する作業をいたしたいと考えておる次第でございます。  また、銀行による歩積み両建ての一掃に対してどうするかという質問もございましたが、これはいままでもこの点は相当厳しく自粛するように金融機関を指導してまいったのでございますが、本年の四月に大蔵省から中小企業者に対して実情の調査が行われたわけでございますが、改善すべき点が実際多いということは発見をいたしたわけでございます。その結果を踏まえて、金融機関に対して一層の自粛の徹底を図っていきたい。それでは何かもっと効果的な対策はないかということで現在検討をいたしておるところでございます。  年末の中小企業の金融については、政府系の中小企業金融機関の融資によって、中小企業金融には支障を来さないようにいたそうと思うわけでございます。  また、老人医療の無償化については、先ほどから申し上げておるように、いま直ちに老人の医療を有料化するという考え方は持っておりません。  また、年金制度については、これはもう制度全般について各方面の御意見も聞き、この問題は年金制度全般に検討を加えなければならぬ時期だと思うわけでございます。  また、矢野君の御指摘になった、交通、さらに海難、災害、犯罪などの事故による母子家庭、現在約六十三万世帯に達しておりまして、これら世帯の大半は経済的に恵まれない状態にあって、国民年金とか児童扶養手当等の充実による所得保障を中心として、母子の福祉貸付金、自立促進の援助等、きめ細かに各種の施策を進めているところでありますが、今後ともこういう面における充実に努めてまいりたい。  なお、母子家庭の雇用促進については、寡婦等の雇用奨励金などの施策により一層の充実を図る等、その実情に即した対策を検討してまいりたいと思っております。  また、食管制度は、これは今後ともその根幹は維持していきたい。  その他の農作物については、それぞれの物資の特性に応じた価格の安定制度が設けられておりますから、それを適切に運用していきたいということでございます。  また、海洋資源の確保のためには、たん白食糧の資源を供給するためには、やはり二百海里の経済水域の設定ということは大問題でございまして、アメリカの大統領と、私がプエルトリコからの帰りにワシントンに寄って話しました第一の問題は、その経済水域の問題でございます。各国ともこういう傾向が出てまいりますと、日本の従来の権益というものはどうしても縮小する傾向にあるわけです。だから、今後外交交渉を通じて日本の従来の権益を守りながら、しかも国際協調をしていくというむずかしい段階に漁業問題は来るわけでございまして、今後ともなるべく日本の権益を守って、しかも国際協調のもとにそれを守っていくために最善の努力をしたいと思っております。  また、ミグ25の問題については、これはもう御承知のように、領空の侵入及び強行着陸をいたした背景の状況を解明するために、わが国政府が必要な調査をいたしておるわけでございまして、これはわが国の政府が主体であるわけです。しかし、どうしてもわが国の技術ではこの問題の調査が進められない場合に、アメリカの技術者というものの手をかりる場合がありますが、あくまでも日本の責任において、日本が主体であって、そうしてこのことによって、このことをNATOとかその他米国へ機体の機密を流そうという意図ではないわけでございます。  お答えをいたします。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 公明党の矢野書記長の私に対する質問は、いわゆる共産党スパイリンチ事件についてでありますが、これは要点三つあると思いますね、御質問が。第一は事実関係、第二は七百三十号の法的な効力はどうか、第三に宮本氏資格回復の法的根拠いかん。以下、順次これを何事をも加えず、何事をも隠さず、事実どおり御答弁を申し上げます。  お尋ねの事件につきましては、御質問の第一、すなわち、リンチ的行為の有無及び被害者の死因等についてでありますが、本件は、すでに前国会、この議場で春日民社党委員長の質問に答えたとおりであります。そして、この件は裁判所で有罪の判決が確定しており、右判決原本の写しは、当時のお約束どおり、前国会で、国会の要求により国会に提出済みであります。お暇のときに内容をよくごらんおき願いたいと思いますが、概略を申し上げれば、昭和八年十二月下旬ごろ、宮本氏らは、当時の日本共産党中央委員であった小畑達夫氏外一名にスパイ容疑があるとして、これを査問するため、外数名とともに右小畑氏らを監禁して暴行を加え、右小畑氏を外傷性ショック死により死亡するに至らせ、その死体を床下に埋めるなどの事実が認定されております。  このような事実関係について、これを争う主張のあることは、各位御承知のとおりでありますが、社会一般の常識からすれば、確定判決がある以上、判決に示された認定事実が存在したと考えるのが通常であろうと思われるのであります。  質問の第二は、勅令七百三十号の趣旨、その効力などに関する御質問でございますが、昭和二十年十二月二十九日、勅令七百三十号、すなわち、政治犯人等ノ資格回復ニ関スル件、それの第一条本文の規定は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向かって刑の言い渡しを受けなかったと同様に取り扱うというのであって、これにより、過去の犯罪事実がなくなったり有罪の確定判決があったという事実そのものまでが否定されるものではありません。このことは、前国会で私が、これによって全部御破算、帳消しになるのではないと申したとおりであります。  最後は、宮本氏の資格回復に関する法務省の調査結果でありますが、これはお約束どおり調査いたしました。結果を申し上げます。  宮本氏のように、治安維持法違反の罪に当たる行為のほか、刑法犯にも当たる場合には、勅令第七百三十号の適用が除外されていることは御指摘のとおりであり、宮本氏は同勅令に該当するものとして資格が回復したのではありません。  同氏につきましては、昭和二十二年四月末、連合国軍最高司令部より司法省に対し特別の指示があり、これに基づいて判決末尾に付記をしていわく、刑の言い渡しかなかったものとみなす、ということにして資格回復の措置がとられたものであります。  この総司令部の特別指示は、当時のわが国の置かれた立場上、占領下でありますから、超憲法的かつ超法規的効力を有するものであったのでありまして、宮本氏の資格回復は一にかかって連合軍司令部の超法規的命令によるものであります。  以上が判明した事実でございます。したがって、前国会に申し上げましたこの関係は、奇妙きてれつ摩訶不思議というものではありませんで、まさに司令部のおかげで助かったと申して差し支えありません。(拍手)

浦野幸男自由民主党労働大臣

○国務大臣(浦野幸男君) 矢野さんの御質問は、国鉄、電電公社の仲裁裁定について承認案件ではなく議決案件を提出したのだが、この点についてどう考えているか、さらに、仲裁裁定を値上げ法案とセットにして議決案件としたのではないか、こういう御質問だと思いますが、先ほど総理から御答弁がございました。私は補足をさしていただきたいと思います。  公労委の仲裁裁定については、政府は昭和三十二年以来、これを完全に実施してきておるのでございます。今回の国鉄、電電の仲裁裁定についても、総理大臣がすでに述べられているが、私自身といたしましても、公労法第三十五条の精神を踏まえまして完全実施のために最大限の努力をいたしているところでございます。  本仲裁裁定を国会に付議するにつきましては、国鉄、電電に関する歳入二法案が現在国会において審議中であります。現段階におきましては、政府といたしましては完全実施を決定し得ないような事情があるために、議決案件として国会に付議した次第でございます。  しかしながら、今後の問題については、総理大臣も、各党間の申し合わせに従って審議が促進されまして、両法案が成立するものと確信いたしております、その場合には、仲裁裁定についても完全実施が可能になるものと期待いたしております、こう述べておられるところでございます。私といたしましても、今後とも本仲裁裁定の完全実施のために最大限の努力を払う考えでございます。  以上でございます。(拍手)     —————————————

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 春日一幸君。

春日一幸民社党

○春日一幸君 私は、民社党を代表し、わが国政が当面する特に重要なる政治課題に限定し、以下、政府の対策、方針をただしたいと存じます。  政府と自民党は、幾多の重要案件を横目にながめて、前通常国会閉会以来四カ月、この間、党内、閣内ともども、もっぱら派閥間の権力闘争に没頭してこられました。  かくて、わが国政は、長期にわたる空転、空白によって極度に渋滞し、国民の政治不信はますます高まり、わが国民主政治はいまや歴史的な危機に追いやられております。  この際、まず究明しておかねばならぬことは、閣内不統一、党内不統一に対する三木総理の政治責任についてであります。  憲法は、内閣の統一性を確保するため内閣の連帯責任制を明定し、このゆえに大臣の任免権を総理の任意にゆだねております。また、議院内閣制は、衆議院の多数党が内閣を組織することとし、それは与党の挙党体制による内閣支持を至上の要件といたしております。  しかるに、去る八月二十四日、二百七十一名の自民党衆参議員は、臨時国会召集前に三木総理・総裁の退陣を迫って行動されましたが、何とこの会合には、当時の閣僚十五名が参加して公々然と三木総理に反旗を翻し、その後も挙党体制確立協議会を構え、これによって総理の退陣を強引に迫りました。国会以外の場所で、憲法の定めによらずして総理大臣の更迭を図る、これは明らかに憲法秩序の紊乱であり、かつて昭和十一年、反乱部隊が機関銃等兵器、兵力を用いて、時の岡田内閣を襲撃したあの二・二六事件と、その実体はその軌を同じくするものと申さねばなりません。(拍手)  しかるに三木総理は、このような閣内反乱に対して何ら権威ある措置をとらず、さらに、このほど臨時国会召集のための閣議決定に当たっては、国会が正常に運営されている限り臨時国会開会中には解散しないことを条件に、あの紛争をあのようにして妥協されましたけれども、これは憲法が内閣に与えた解散権を私物化して、その地位の保全を図ったものと言うべく、かくのごときは内閣の首班として、まさに天下に醜をさらすもはなはだしきものと申さねばなりません。(拍手)  三木総理は、しばしば「信なくば立たず」と言明してこられましたが、すでに、あなたの信望は地に落ちております。もはや、総理としての統治能力も、一党の総裁としてのリーダーシップも全身不随で、そのままお立ちになっておれる状況ではありません。  総理は、これらの経過を顧みられ、内閣の首班として、それで憲法上の責任を果たしていると思われますか。また、今後このようなことが再び行われた場合、総理はいかに対処される御所存か。この際、御所信のほど、国民の前に明らかにいたされたいと存じます。(拍手)  次は、台風十七号の被害対策並びに東北、北海道にわたる冷害対策について質問いたします。  あの台風十七号は四十都府県にわたり各地で多数の死傷者を出し、建物や農作物等に甚大な被害を与えました。これらお気の毒な被災者に対し、民社党は、ここに心からなるお見舞いを申し上げる次第でございます。(拍手)  政府は、これら被災者に対する救済及び災害復旧のために、直ちに必要にして十分なる予算措置を行い、万全の対策を講ずるとともに、今後、このような惨禍が繰り返し発生することのないよう治水治山等の施策を一層強化すべきであると考えるが、政府の救済、復旧対策はどのように進められておりますか。(拍手)  また、東北、北海道地方を覆う激甚な冷害に対し、どのような措置をとろうとしておるか、総理より御答弁を願います。(拍手)  次は、ロッキード事件の究明と、その政治的道義的責任の明確化について質問いたします。  ロッキード事件の究明は、今臨時国会に課せられた至上命令であります。したがって、今臨時国会においては、本件調査を精力的に推進することはもちろん、特に児玉ルートについては、その真相はいまだ解明されていない現状にかんがみ、その真相究明のため国会が証人として議員喚問の必要を生じた場合は、何びとも潔くこれに協力することとし、また、検察当局より議員の逮捕許諾請求が出た場合、国会は無条件でこれに応ずべきであると思うが、自民党総裁としての三木総理の御見解を承りたい。  わが党は、去る四月五日の国会正常化に関する自民党との協定において、ロッキード事件の究明と、その政治的道義的責任を明らかにするために、灰色高官名公表の道を切り開いておきました。またその後、五党首会談においても重ねて協定が結ばれております。  ここに、ロッキード事件の捜査は丸紅、全日空ルートにおいて大詰めを迎えつつあるこの段階においては、もはやこの際、灰色高官なるものの具体的基準及び公表の方法の決定は、これをことさらに国会の責任にのみ押しつけることなく、三木総理がしばしば言明されてきたとおり、政府もまた責任を痛感し、総理の公約のとおりに速やかに公表手続を推進すべきであると思うが、総理の御見解はどうか。(拍手)  また、ロッキード事件の究明と並んで必要なことは、今後この種の汚職、腐敗を根絶し、もって国民の政治不信を取り除くために、ここ早急に所要の法的措置を講ずることであります。  すなわち、この際、政府は政治腐敗防止立法の制定に取り組み、また、行政監察官制度を新設すべきであると考えるが、政府の見解はいかがでありますか。  なお、兵器等の輸入については、ロッキード事件の経験を生かし、今後はこれを政府の直接購入方式に切りかえるとともに、将来はあとう限り、これを国産に移すべきであると思うが、政府の見解はいかがでありますか。  以上の諸点について、総理より明確なる御答弁を願います。(拍手)  次は、ミグ25事件について質問いたします。  今回のミグ25戦闘機亡命着陸事件は、はしなくも、わが国の防衛情報体制のずさんさを露呈したものであり、国民は激烈な衝撃を受けました。さらにはまた、この亡命機の調査が米軍指導のもとに行われつつあることは、きわめて遺憾なことと申さなければなりません。  このような状況にかんがみ、わが国の安全保障体制はここに特段の検討を要すると思うが、政府の見解はどうか。  なお、今回の事件は、ベレンコ中尉の自由意思によるという米国亡命によって起こったものとはいえ、結果的には、これはソ連空軍所属の戦闘機がわが国土に侵入し、民間空港に強行着陸して、わが国の主権を侵害したものであるから、これに対し、わが国が独自の判断のもとに厳然たる措置をとることは当然であります。しかし、この事件の性格をあわせ考慮するとき、そのゆえにソ連との友好を阻害するがごときことがあってはなりません。  政府は、このような認識と決意に立って、ソ連がわが国の立場を正しく理解されるよう、折しも国連開催中の適当な機会をとらえ、日ソ両国外相間において密接な話し合いを行い、円満なる解決を図るべきであると考えるが、政府の方針はどうか、総理より御答弁願いたい。(拍手)  次は、内政問題について質問いたします。  その第一は、財政特例法案についてであります。  わが党は、今年度の第一義的政治課題として景気の回復を主張し、先国会において、本年度予算は大衆犠牲、産業優先予算に過ぎるものとして、これに反対いたしましたが、その後、国会の空転が長きにわたり、かくて予算の不成立が国民生活に著しい悪影響を与えることを憂慮し、あのとき、わが党は、国民生活防衛のために、あのように決断して予算成立に踏み切りました。  以上の経過にかんがみ、わが党は、予算執行に必要なこの財政特例法案の成立は、もはややむを得ないものと考えます。  しかしながら、この財政特例法案そのものは財政政策上、幾多の問題を内包していることに留意し、政府はこの際、かかる大量の国債発行がインフレの刺激要因にならないように、たとえば中期貯蓄国債の発行、特別マル優制度枠の五百万円までの拡大等、これを市中消化に向かってさらに特段の措置を講じ、もって本法案の早期成立を図るべきであると思うが、政府の方針はどうか。(拍手)  次は、景気浮揚対策と所得税減税についてであります。  わが国の経済は、この春以来、輸出の急増をてこにして一応は景気回復の軌道に乗ったと言われておりますが、最近はこの輸出の伸びが鈍化の兆しを見せ、またアメリカを中心に円安批判が起こるなど、この先々は輸出主導型の景気回復を手放しで期待することは許されない情勢にあります。したがって、景気回復の基本は、民間設備投資や個人消費による内需の喚起以外にはないと考えます。  よって、わが党は、ここに内需中心の景気回復と勤労者の生活安定を図るため、この際、年度内五千億、来年度五千億、合計一兆円の所得税減税を断行すべきであると考えるが、政府の見解はどうか。  以上の二点について蔵相よりの御答弁を願います。(拍手)  次は、独占禁止法の改正についてであります。  独禁法の改正は、総理が組閣冒頭に公約された三木内閣の金看板であります。これはまた、わが国政の長年にわたる重要懸案であります。しかるに三木内閣は、過去二国会にまたがって、この法案をもてあそぶがごとくに扱い、現に、いまだ何らの解決を見ていないことは、まさに三木内閣の無策無能ぶりをむき出しにしたものであり、あわせて三木総理の政治家としての良心を疑わしめるものであります。  すなわち、政府は、昨年度国会にあっては、衆議院で満場一致で通過したものが参議院で廃案にされるのを、あえて傍観し、本年度国会においては、かかる重要法案を国会会期終了わずか三日前に提出するなど、三木内閣の本法案に対する態度は、ことごとに心なきゼスチュアに終始し、国民を愚弄するのはなはだしきものと断ぜざるを得ません。  わけても本年度の改正案は、企業分割や価格の原状回復命令を削除して、肝心の法改正の目的をがたがたに狂わせたものであり、このようなまやかし改正でわが国経済の図太い不公正が是正できるものではありません。これは三木総理のはなはだしき政治的背信であります。  初心忘るべからずと申します。すべからく政府は、ここに猛反省して、少なくとも昨年衆議院を通過した五党一致の改正案を一日も早く再提出すべきであると考えるが、総理の御所見はいかがでありますか。(拍手)  次は、鉄道運賃の値上げ法案についてであります。  今日の国鉄の現状は、すでに破産状態そのものであります。このような事態を招来した原因の大いなるものは、国鉄内部において国労、動労がその経営合理化に反対し、当局もまたこれに屈従してなすところを知らず、かくて異様なほどに荒廃した労使関係のままに当局が親方日の丸式の経営に甘んじてきたからにほかなりません。(拍手)同時にまた、政府が国鉄当局に対し、何ら有効な指揮監督をなし得ないできたその政治責任も重大であります。  わが党は、昨年来、公営企業の経営実態を徹底的に洗い直すために、公営企業体合理化審議会の設置を口をきわめて強調してまいりましたが、三木総理はこれさえも実現しようとしておられません。これら真剣な国会論議を上のそらに聞き流し、ただひたすらに料金の値上げだけを図ろうとする政府並びに国鉄の態度は、われわれのとうてい理解できるものではありません。(拍手)  いまや、運賃の値上げは、政府並びに国鉄当局の根本的な経営改革に対する熱意一つにかかっていると思うが、これに対する政府の対策、方針はいかがでありますか、総理より御答弁を願いたい。(拍手)  なお、わが党は、公共料金については、これを全的に受益者に負担させることなく、公共負担と受益者負担の関係を明確にした上で料金設定を行うべきであると考えます。  よって、今後は、料金決定の法則を定める公的機関として、学識経験者のみから成るしかるべき委員会を今年度中に発足させ、向こう一カ年をめどとして、この際、適切妥当な結論を出すよう措置することが望ましいと考えるが、この構想に対する総理の御見解を伺いたい。(拍手)  なお、この際、公労委の仲裁裁定の実施方について質問いたします。  政府は、今回これを国会の議決案件としてその処理を国会にゆだねてまいりましたが、最近の行政例は、これを国会の承認事項とし、政府責任による完全実施でありました。これは国会と政府が長年にわたり幾多の論議を尽くして打ち立てた苦心の結論とも言うべく、いまさらこれを逆行せしめてはなりません。  言うまでもなく、この仲裁裁定の制度こそは、公企体労働者のスト禁止に対する見返り担保の機能を担うものであり、したがって、もしそれ、政府当局によってとの保障が一方的に否定されるならば、彼ら公企体労働者は、わけても忍苦に耐えて法秩序を守り抜いている鉄労、全郵政等同盟傘下の労働組合は、その労働基本権をいかに確保すべきでありましょうか。(拍手)それは勢いのおもむくところ、わが国労働運動の正常なる発展に致命的な打撃を与えることになりましょう。  昨日午前、自民党内田幹事長は、わが党塚本書記長との会談において、自民党は政府・与党として仲裁裁定の完全実施に向かって極力努力するとし、なお、これが実施を可能ならしめるための諸般の措置について協力を願うと、積極的態度を示し、覚書が交わされましたが、その後、このとおりの内容に基づき、裁定の完全実施を前提とし、最悪の事態は回避されました。  以上の経緯にかんがみ、政府はこの仲裁裁定を完全に実施する責任があると思うが、念のため、ここに重ねて三木総理より政府の方針を確認しておきたい。(拍手)  次は、中小企業対策について質問いたします。  ここに、中小企業は狂乱経済の深刻な直撃を受け、その多くは、受注の伸び悩みとコストアップなどにより、企業採算はいまだに回復されず、ために、その倒産件数は毎月千二百件に達する逆境にあります。  このゆえに、わが党は、当面特に緊急を要する中小企業対策として、この際、中小企業基盤整備準備金制度の創設、中小企業産業分野を確保する法の制定、歩積み両建て等の拘束預金を禁止する法の制定及び下請取引適正化法など、これら中小企業保護立法を最も速やかに制定すべきであると考えるが、これに対する政府の見解を総理よりお示し願いたい。  次は、農業政策についてであります。  わが国農業は、政府の政策貧困により衰退の一途をたどり、かくて、その食糧自給率は、総合自給率で七二%、穀物自給率で四〇%にまで低下いたしました。食糧自給率の向上を図る最大の要点は、いかにして農業従事者に生産意欲を持ってもらうかにあり、この大前提を無視した農政は、画餅に等しいものと言わざるを得ません。  この観点から、わが国の農政は、麦、大豆、ビート、キビ、飲用乳等に対しても生産費所得補償方式による二重価格制を採用すると同時に、経営規模の拡大、農業後継者の育成を図るなど、この際、抜本的施策を断行すべきであると考えるが、政府の方針はどうか、総理より御答弁を願います。(拍手)  次は、社会保障政策について質問いたします。  今後、わが国は急激に高齢化社会を迎えようとしておりますが、これら高齢者に対し、国民が連帯してその福祉を保障し、少なくとも生活の不安をなからしめることが当然の責務であります。  わが党は、この観点から、政府が社会保障五カ年計画を策定し、特に各種年金の充実に最重点を置き、来年度は万難を排して、厚生年金は夫婦単位で給付することに改め月額十二万円とし、現在給付されている国民年金の十年年金については月額四万円、五年年金は月額三万五千円、老齢福祉年金は月額三万円に引き上げるべきであると考えるが、政府の対策、方針はいかがでありますか、これまた総理より御答弁願います。  次は、行政改革と税制改革についてであります。  現在、国はすでに膨大な赤字国債を抱えながらも、一方、今後の財政需要はますます高まるばかりであります。このような情勢にいかに対処するかはわが国政が直面する重要課題であります。  このゆえに、まず着手せなければならないことは、行政改革を総合的に推し進めて行政を簡素化、効率化することであります。この問題はわが国政の長きにわたる懸案であるにもかかわらず、いまだ見るべき施策はほとんど講じられておりません。  なお、これとともに着手されなければならないことは歳入の強化を図ることであります。このためには、高福祉、適正負担の原則を徹底させ、いまだ国際水準より低い大企業法人税率の引き上げ、高額資産家に対する富裕税の新設、租税特別措置の合理的な改廃など適切、公正な措置を断行すべきであります。  もしそれ、政府がこれらの措置を等閑にして、典型的な大衆課税であり、かつ、中小企業者を特に苦しめる付加価値税の導入を図ろうとするがごときことあらば、それは弱い者いじめの悪政の最たるものであり、広く国民の承服できるところではありません。  蔵相より、以上の諸点について、政府の方針を明らかに御説明願います。  次は、リンチ共産党事件について質問いたします。(拍手)  私は、さきの通常国会において、自由と民主主義の根源にかかわる問題としてリンチ共産党事件を取り上げ、その事実関係を究明し、これを国民の前に明らかにすべきであると、当時あのように質問を提起いたしました。  しかるところ、日本共産党はこの私の質問に対し、依然として、この事件は時の特高警察によるでっち上げであり、あの判決は天皇制裁判によるでたらめであると反論し、その上、事もあろうに私の質問を憲法違反とののしって猛反撃を加えております。真実はただ一つのものでしかありません。裁判所の確定判決を警察のでっち上げに基づくでたらめ判決ときめつけ、みずからを受難者のごとくに言いふらすこのような日本共産党の言動に対し、いずれが本当で、いずれがうそか、その真実を明確にせず、これをあいまいにしておくときは、ますます国民の判断を迷わすことになり、その弊害は将来に向かってはかり知れないものとなりましょう。  よって、この際、次の三点について改めて政府の答弁を求め、その真実をさらに究明いたしたいと存じます。(拍手)  なお、私の質問は、先ほどの矢野公明党書記長の質問とあちらこちらにダブってはおりまするけれども、問題の性格にかんがみ、いよいよその真相をさらに明らかにするために、重ねて御答弁を願いたいと存じます。  まずその第一は、宮本顕治氏に対する本件確定判決の原本には、その後「勅令第七百三十号「政治犯人等ノ資格回復ニ関スル件」第一条本文ニ依リ将来ニ向テ其ノ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」との文言が末尾に付記されているが、これは一体何を意味するものか。すなわち、これは宮本氏らにはその判決に示されているような犯罪行為がなかったことを意味するものか。それとも、そのような犯罪行為は実在していたが、何か特別の事情によってその判決の効果だけを消滅させたものか。さらに、そもそもこの判決の原本末尾の付記は、いかなる法的根拠に基づき、いつ、何人が記載したものか。この間の事実関係を明らかにいたされたい。  質問の第二は、宮本顕治氏らの釈放と資格回復はいかなる法律に基づいて行われたものか。前国会における稻葉法相の答弁は、これは「まことに奇妙きてれつ」と述べ、ひとしく深刻な疑問を投げかけておられましたが、その後、この経緯については必ずしもいまだに適確な解明がなされておるとは言えません。よって、この際、その事実関係をありのままここに重ねて明示いたされたい。  質問の第三は、これら私の質問はわが国憲法のどこかに触れるか触れないか、この問題を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)  なお、この際、明らかにいたしておきたいと思いまするけれども、あの宮本顕治氏に対する確定判決を、これを特高警察のでっち上げに基づくでたらめ判決とののしって、すなわち、司法機関の決定を批判しているのは、それは私ではなくして実に日本共産党それ自身であることをここにはっきりと指摘しておきたいと思います。(拍手、発言する者あり)  当時の吉國法制局長官の意見をまつまでもなく、ある事件の判決内容を政府に質問することも、また、その判決書のコピーを資料として政府に要求することも、さらに、その判決の執行並びに執行停止や公民権回復など行刑政策上の諸問題をただすことも、これいずれも国政調査権の行使としていささかもとがめを受ける筋合いのものではないと確信するが、政府の見解はどうか。(拍手)  これは国民の知る権利と国会議員の言論の権威にかかわる重大な問題であると考えるので、この際、改めて政府の見解を明示いたされたい。  なお、前国会において私が要求した資料のうち、いまだ提出されていない特に重要なものについて、当該資料の提出をここに重ねて要求いたします。  その第一は、宮本顕治氏が網走刑務所において刑の執行停止を受けることになった医師の診断証明書。その第二は、病気のためと称し刑の執行停止を受けた宮本顕治氏が、その後健康体であるにもかかわらず再収監されず、あまつさえこれが資格回復されるに至った一連の経緯に関する当時の連合軍司令部とわが国政府との間の交渉のてんまつについてであります。  これらの資料は、本件の真相をあらわす眼目であるにもかかわらず、いまだに本院に提出されておりません。  ここに、問題の診断証明書については、当時、網走刑務所の医官吉田実なる人の作成に係るものとして、当該文書と思われるものがすでに巷間に広く公表されております。  また、連合軍司令部の本件関係文書については、米国メリーランド州スートランドの米国立公文書館に保管されている米政府の公開文書に、この間の一連の事実関係が詳細にわたって明記されていることが、これまた一般に報道されております。  しかるに政府が、右二つの資料を今日まであえて本院に明らかにしていないのは、まことに怠慢至極と言わざるを得ません。  政府は、右資料を速やかに本院に提出するよう、ここに改めて要求するが、政府は右資料を提出するかしないか、この際、法相より明確なる御答弁を願いたい。  最後に、解散問題について、総理の御所信のほどを伺いたいと存じます。  三木内閣は成立以来すでに一年十カ月を経過いたしました。この間、三木内閣はいまだ国民の信任を問う機会を持たず、それはいまもなお椎名裁定によってつくり出されたいわゆる青天のへきれき内閣のままであります。  三木総理にして、真の議会の子たるの自負あらば、すべからくその組閣早々に、みずからの施政方針について国民に信を問う措置をとらるべきであったにもかかわらず、事情はいかがあれ、じんぜんとしてなすところなく今日に至ったことは、まことに遺憾に存じます。  言うまでもなく、解散権は憲法が内閣総理大臣に託した国の大権であり、したがって、解散権の行使は、厳然として内閣の首班たる総理の決断によって行われるべきものであり、いやしくも第三者の横車などによって左右されてはなりません。  三木内閣は、冒頭に申し述べたごとく、その統治、統轄の体制にははなはだしき欠陥ありといえども、すでに政局は急迫急湍の折から、いまは局面の打開と人心の一新を急ぐべきであり、よってこの際、総理は、ロッキード問題の解明を初め、その他一連の諸懸案を処理し終えたならば、右顧左べんせず速やかに国会の解散を断行し、もってわが国政の新しき進路について国民の選択を求むべきであると思うが、三木総理にその御決意ありや否や、このことをお伺いをして、私の質問を終わります。(拍手)

三木武夫自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○内閣総理大臣(三木武夫君) 春日君にお答えをいたします。  春日君は、最初に、閣内不統一、内閣の憲法上の責任ということに対して言われましたが、閣内で閣僚の一人一人に意見を述べる機会を与えましたけれども、しかし、決定は一つであります。閣内が不統一であったとは考えません。話が決まるまでの過程において、いろいろ議論があることは当然であります。しかし、決定は一つである。また、内閣の改造なども、党内の意見を徴して、私の決断で行ったものであって、内閣の延命などというふうにこれを考えることは、見当違いもはなはだしいものであります。私は、憲法上の責任は十分に果たしていると考えておるわけでございます。  それから次に、災害の問題についていろいろと御質問がございました。  台風十七号の被災者の救済あるいは災害復旧のための処置については、政府といたしましても直ちに災害対策本部を設けて取り組んでおるわけでございまして、たとえば災害援護資金の早期貸し付け、あるいはまた、被災地における防疫対策としては、住民の健康調査、浸水家屋等の消毒並びに被災地域の害虫駆除、こういうことも実施をいたしまして、伝染病の発生予防にも万全を期しております。  また、被災家屋とか被災農家とか中小企業者などに対しては、激甚災害法による激甚災害の指定、天災融資法による天災の指定等を早急に行うよう準備をいたしております。特別融資の措置などを講ずる等、被災地域の住民の生活安定には最善を期する所存であります。  また、その被災地域の復旧事業には早急に取りかかりたい。  しかも、根本にはいわゆる治山治水というものがやはりもっと強力に推進されることが基本であると考えまして、明年度から始まるこの治山治水五カ年計画は、特にこれは従来の考えよりももっと強化していきたいと思うわけでございます。治山治水対策を強化していきたい。  それから次は、ロッキード問題についていろいろお話がございました。  いわゆる灰色高官ということに対して、これは政治的道義的責任の追及でありますから、政治的道義的責任の追及というものを、政府がそれを決めるということは適当であるとは思いません。やはり政治的道義的責任の追及ということは、議長の裁定にもあるように、国会の大きな国政調査の任務でございますから、国会において十分政治的道義的責任のありというものについての調査、審査を進めていっていただきたい。政府はそれに対してできる限りの資料提供等の便宜を図ろうというのですから、氏名も出しましょう、個人名も出しましょうというわけでございますから、これはやはり、政府の国政調査権に対する協力としては、私は最善の協力をしておる姿だと思うわけでございます。  願わくは、どうか国会の方で、一体灰色高官と言われておる一つの範囲はどういう範囲か、その範囲をお決めいただければ、これに対してすべて資料は提供いたしましょうということでございますから、これは何も政府が責任を転嫁しておるというよりかは、道義的責任とか政治的責任を政府自体がこれを決めるということは、私は適当であるとは思わない。そういう点で、この点については、どうか国会の国政調査の場においてそういう問題に対して決着をつけて、そうしてその公表の取り扱いというものは国会にゆだねたいと思うわけでございます。  また、議員の証人喚問に対しては、先ほど申したように、具体的にだれを呼ぶかということは、当該委員会で十分検討して決定してもらいたい。議員は例外ではない、証人喚問の例外でないことは当然でございます。  また、汚職の発生を防止するために、春日君は、政治腐敗防止法の制定、行政監察官制度の新設、政府高官の資産公開等、あるいはほかに、兵器の政府直接購入方式への切りかえ等のいろいろ御提案がございました。  自衛隊の装備品のように現在でも商社が介入する余地はほとんどなく、質問の趣旨は一応実現されている。  その他の問題は、いろいろ検討を要する問題でございます。  行政監察官制度なども、スカンジナビア諸国においては、これは百五十年前ぐらいからスウェーデンでは行われて、ある効果を上げておるわけでございまして、検討の余地のある問題だと思うわけでございます。  次に、ミグ25の領空侵犯に対して適切な処置を実施できなかったではないかというような御質問でございますが、これは春日君も御承知のように、非常に低高度で行動した場合においては、この航空機に対処する方策は各国とも苦慮しているわけです。アメリカでもこれに対しての適当なレーダーといいますか、その相手の飛行機の状態をキャッチするような、そういう一つの器具というものは持ってないようでありますから、なかなかこの点はむずかしい点がございますけれども、しかし、何とかして、日本の場合は戦争をするというわけではないのですから、警戒体制を強化、整備するということが必要で、日本の上空を侵犯するようなことがあれば、いつも日本に監視されておるという状態をつくることが必要である、そういう点で、今後とも空とか海とか海の底とかいうものに対しての一つの警戒体制といいますか、監視体制強化は、今後図ってまいる所存でございます。  また、ソ連の戦闘機に対しては、これはもう普通の各国がするように、どうして領空を侵入してきて強行着陸したのか、こういうことの背景などに対しての調査をしておるわけでございまして、ほかに他意はないわけでございます。このことが日ソ間の基本的な関係というものを悪化するようなことのないようにと考えております。  また、小坂外務大臣が国連の総会に出席した機会に、グロムイコ外相とも会うことになっておりますから、この話も当然に日ソの会談に出るものと思います。  それから、国債発行のような問題は、大蔵大臣からお答えをいたすことといたします。  独占禁止法の改正でございますが、これはやはり私は、自由経済を維持して——自民党は自由経済の維持の立場ですから、やはり公正なルールが必要であるということで、独禁法の改正は必要である。まあ前回のを多少修正はいたしましたけれども、それでも修正の個所は、いま直ちに実施するというような必要の迫った個所ではなかったので、もう少し研究したいということで、すでにそういう議論の余地のない課徴金制度の新設とか、会社、銀行等の株式保有制限の強化であるとか、罰則の強化とか、必要の改正を含んでおるもので、ぜひともこの成立を見たいと願っておるわけでございます。  また、国鉄の問題についてもいろいろとこれに対して委員会——公共料金決定の公的機関として学識経験者から成る委員会を設置する気はないか。  公共企業体というもののあり方にはいろいろ問題がある。政府のもとにおいても、いま学識経験者のもとに、中山伊知郎先生を煩わして、いろいろな部会に分けて公共企業体のあり方というものに対して検討を加えておる。国鉄とか電電もその中に入るわけでございまして、いろいろ春日君の御提案のように、これは根本から検討しなければならぬ問題を含んでおると考えて、鋭意そういう点にも政府としても審議を進めておる次第でございます。これはやはりいろいろな抜本的改正を必要とすると考えております。  また、仲裁裁定に対しての御質問がございました。  仲裁裁定の実施については、公労法三十五条の規定にのっとり、政府は、これまでいろいろ障害を克服して、完全実施に努めてきたところであります。今回も、国鉄と電電については財政上きわめて困難な実情にあるが、裁定の完全な実施に向かって最善の努力を払うことにいたしたわけでございます。政府もそのように努力をしたいと考えております。  またしかし、法治国家でございますから、違法のストなどによって問題の解決を図ろうということは、どうかそういうことは慎んでもらいたい、政府はそういうことは認められないことでございます。  仲裁裁定の実施に関しては、財源措置を必要とすることは当然であり、この国会において所要の法案が審議をされて、どうかこれの審議については野党各位においても大局的見地から御協力を願いたいと思うわけでございます。  次に、中小企業の問題についていろいろと、たとえば中小企業の基盤整備準備金、中小企業の分野確保法、拘束預金禁止法、下請取引適正化法についていろいろ御意見がございました。  いずれも春日君の御意見は貴重な御意見だと思います。われわれとしてもその必要を感じて、いずれも取り組んでおる問題ばかりでございます。今後、中小企業の問題に対しては、特にわれわれとしても力を入れてまいる所存でございます。  食糧の自給率の向上を図るために、所得の補償方式による二重価格を採用して経営規模の拡大、農業後継者の育成のため抜本的な施策を確立すべきだという御意見でございます。  主要農畜産物については、従来からもそれぞれの物資の特性に応じた価格安定の制度を設けまして、適正な価格水準の実現に努めておるところでございますが、しかし、農畜産物ごとの特性や価格支持の仕組みを考慮せずに、一律に特定の価格算定方式を採用するととは問題であると思います。  経営規模の拡大、農業後継者育成には、これは春日君と同じような意見で、従来からもこの点については特に政府が力を入れておるところでございます。  老後の生活不安をなくするために社会保障五カ年計画を策定して、そして来年度からこのようにせよというお話でございました。  これはやはりどうしても、社会保障の中で老後の生活の安定ということが一番求められておる時期でございますので、年金制度というものは根本的に考えてみる時期に来ておると考えております。  ことにその中では、高齢者の年金というものは年金の中でも特に重要だと考えて、できるだけ老後の生活が不安のないように、私自身も、先般、生涯福祉計画というものを実は発表して、その中にも老後の生活というものを重視したのも、そういうゆえんでございます。  また、行政改革を断行せよということでございましたが、これはまことにごもっともなお説で、政府は、去る八月に第四次の定員削減計画を定めましたほか、行政機構の膨張抑制、特殊法人の整理合理化等、施策を講じてきておるところでありますが、しかし、これだけ時代が大きく変わったのですから、これに適応した簡素な、能率的な行政を実現すべく、行政機構の改革というものは、これはもう積極的に取り組まなければならぬ問題だということで、私も新しい仕組みというものをいま検討をいたしておるところでございます。  次に、税の問題についていろいろお話、御質問がございました。  わが国の法人税、法人住民税、法人事業税を統合したいわゆる法人の実効税負担は、大体五〇%ぐらいに達しておりますが、まだ法人に対してこれ以上の税負担を求める余地があるかどうかということは、いま調査をしておるわけで、富裕税のごときも問題になるのですけれども、財産の把握が十分でないと、かえって不公平を招く等の問題があり、今後、これはにわかに富裕税のごときものを採用するというわけにもいかないので、今後の税体系のあり方について関連して十分検討をしたい。租税特別措置についても整理合理化に努めておるところでございます。  解散の問題について最後にお触れになったが、大体春日君と同じように解散の問題は考えておるということでございます。  お答えといたします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質疑は国債問題でございました。  特例公債法の早期成立について御理解をいただきましたことは感謝にたえませんが、それに関連いたしまして、国債の消化につきまして若干の御提案がございました。  第一は、特別マル優制度を設けることによって個人消化を促進してはどうかということでございますが、春日さんも御承知のように、国債につきましては別枠の非課税制度がございます。預金につきましては少額貯蓄非課税制度がございます。また、勤労者の財産形成制度に関連いたしまして貯蓄非課税制度もございまして、相当のこういう優遇制度がございまするので、ただいまのところ、政府としては、さらに特別なマル優制度を新設するという考えは持っておりません。州貯蓄国債の制度を考えてはどうかという御意見でございますが、ただいま郵便貯金で定額貯金制度がございまして、これがいわば日本における貯蓄国債に代替する機能を果たしておりますので、貯蓄国債を日本でいま採用する必要はないのではないかというように私ども考えております。  ただ、御指摘の中期国債の発行につきましては、去年の暮れ以来、関係方面等の間でいろいろ検討を進めてまいったのでございますが、近日中に結論を得たいと、最後の仕上げを急いでおるわけでございます。近く、新たな制度といたしまして、中期国債の発行にこぎつけるということによって、真の意味における国債の個人消化を促進いたしたいと考えております。  第二番目の御質疑は、年内に一兆円の所得減税。  今度、景気対策でございますけれども、これは現在、私どもの経済政策によりまして、生産と雇用が回復に向かい、個人消費も着実に伸びてまいりましたことは、たびたび副総理からも御報告がありましたとおりでございます。また、わが国の所得税の課税最低限は必ずしも低くないのでございまして、先進国に比較いたしまして、米国に次ぐ第二位の水準にあることも御承知のとおりでございまするし、ただいま赤字公債を大変たくさん出しておるような状況でございまするので、大きな所得税減税をやってまで、この際、景気政策を講じなれけばならぬものとは、政府は考えていないことを御理解いただきたいと思います。(拍手)

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 民社党春日一幸委員長のリンチ共産党事件に関する私に対する御質問に対し、お答えいたします。  御質問の第一は、宮本氏の判決原本の付記は何を意味するか、これはどういう意味なのか、法的根拠はどういうことか、法的効力はどういうことかという御質問ですが、これは、昭和二十二年四月末、連合国軍最高司令部から、宮本氏らについては、勅令七百三十号によって資格を回復した者として、無理だろうけれども、資格を回復した者として取り扱うべき旨の特別の指示がなされた。これに基づいて、以後その旨の取り扱いがなされることになったというだけのものです。だから、判決原本への付記も、その当時、東京地方検察庁の担当者によって行われたものであります。  この付記の意味は、公職選挙法など人の資格に関する法令の適用については、宮本氏につき将来に向かって刑の言い渡しを受けなかったと同様に取り扱われるというだけの話であって、有罪の判決があったという既往の事実まで否定するものではありません。(発言する者あり)したがって、それまでになされた判決の執行等は、網走刑務所への収容等判決の執行等は、当然有効であるし、また、判決によって認定された犯罪事実、すなわち針金などで体を縛り、さるぐつわをはめ、殴るけるの暴行を加え、外傷性ショック死に至らしめ、さらに死体を床下に埋めたなど不法監禁致死、死体遺棄などの犯罪事実が、この付記がなされたことによって、全部なかったことになるわけのものではないのであります。  次に、宮本氏の網走刑務所からの釈放の法的根拠についてでありますが、宮本氏は、昭和二十年十月九日、網走刑務所より病気を理由とする刑の執行停止ということによって釈放されたものであります。  また、資格回復の法的根拠は、先ほども申し上げたとおり、連合国軍最高司令部からの特別の指示に基づきその措置がとられたからであります。  さて次には、春日委員長がリンチ事件の質問を国会で行われることが憲法違反だなどと言う人があるが、それはどうなっているのだ。これは司法権の独立と国政調査権の関係についてお尋ねになるわけでありますが、この点については、すでに内閣法制局長官が前回の通常国会においてその見解を明らかにしているとおり、国会の国政調査権が裁判の内容の当否を審査するにあらずして、判決の存否、その内容等、客観的事実に関して質問をしたり、刑の執行状況を調査したりすることは、たとえ確定した事件に関するものであっても憲法に違反するものではないと答弁をしておるとおりであります。(拍手)合憲でございます。  最後は、本件に関する資料の提出の件でありますが、網走刑務所から出したときの診断書は、記載内容が個人の秘密に属するものである等の理由から、また行刑の円滑な運営、すなわち刑事政策上、これは今後のこともありますから、一々そういうものを発表しておったのでは支障を来しますから、これは慎重に検討することにいたしたいと存じます。  なお、当時網走刑務所に御指摘の刑務医官が存在していたことは事実であります。  また、すでに巷間にそれは知られているではないか、そういうことを言われますが、診断書につきましては、法務省においてこれを公表したことはございません。  次に、委員長要求の資料として、米国国立公文書館所在の関係諸文書について申し上げます。  これまでの国会における調査の結果によってもすでに明らかなように、宮本氏の資格回復の経緯、その法的根拠は、もう大体私が申し上げたことで明確でございますから、ただいまのところ米国からそれらの資料を取り寄せて裏づけをする必要があるかどうか、どうでしょうかな。しかし、せっかく一党の委員長の御要求でもあり、今後国会から正式の御要求があれば、御所見とあわせて検討いたしたいと存じます。  御指摘のような、怠慢にならないよう相努めまする所存でございます。(拍手)

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————  裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) お諮りいたします。  裁判官訴追委員早川崇君から、訴追委員を辞職いたしたいとの申し出があります。  また、裁判官訴追委員の予備員中山正暉君、羽田野忠文君及び高鳥修君から、予備員を辞職いたしたいとの申し出があります。  右申し出をそれぞれ許可するに御異議ありませんか。

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  裁判官訴追委員及び同予備員の選挙

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) つきましては、この際、裁判官訴追委員及び同予備員の選挙を行います。

三塚博自由民主党

○三塚博君 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられ、予備員の職務を行う順序については、議長において定められんことを望みます。

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 三塚博君の動議に御異議ありませんか。

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、裁判官訴追委員に小平久雄君を指名いたします。  また、裁判官訴追委員の予備員に       松永  光君    加藤 陽三君    及び 中山 利生君を指名いたします。  なお、予備員の職務を行う順序は、松永光君を第一順位とし、加藤陽三君を第二順位とし、中山利生君を第四順位といたします。      ————◇—————  公害等調整委員会委員任命につき事後承認を   求めるの件  漁港審議会委員任命につき事後同意を求める   の件  運輸審議会委員任命につき事後承認を求める   の件  電波監理審議会委員任命につき事後同意を求   めるの件  労働保険審査会委員任命につき事後承認を求   めるの件

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) お諮りいたします。  内閣から、  公害等調整委員会委員に加藤泰守君及び金澤良   雄君を、  漁港審議会委員に上杉武雄君、及川孝平君、佐藤肇君、瀬尾五一君、瀬戸尚君、高木淳君、林原嘉武君、松田惣之助君及び森勝君を、  運輸審議会委員に吉田善次郎君を、  電波監理審議会委員に市原昌三郎君を、  労働保険審査会委員に及川冨士雄君を任命したので、その事後の承認または同意を得たいとの申し出があります。  まず、公害等調整委員会委員、運輸審議会委員及び電波監理審議会委員の任命について、申し出のとおり事後の承認または同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、いずれも承認または同意を与えるに決しました。  次に、漁港審議会委員及び労働保険審査会委員の任命について、申し出のとおり事後の同意または承認を与えるに御異議ありませんか。

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意または承認を与えるに決しました。      ————◇—————

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会      ————◇—————

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