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78回国会衆議院1976/09/27

本会議 第4号

発言数
26
登壇者
11
会派数
3
開催日
1976/09/27

会議録

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  永年在職議員の表彰の件

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) お諮りいたします。  本院議員として、また、国会議員として在職二十五年に達せられました有田喜一君、岸信介君、江田三郎君、佐々木秀世君、荒舩清十郎君及び秋田大助君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。(拍手)表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  これより表彰文を順次朗読いたします。  議員有田喜一君は衆議院議員に当選すること九  回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし  民意の伸張に努められた  よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院  議をもつてこれを表彰する     …………………………………  議員岸信介君は衆議院議員に当選すること九回  在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民  意の伸張に努められた  よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する     ………………………………… 議員江田三郎君は国会議員として在職すること二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する     ………………………………… 議員佐々木秀世君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する     ………………………………… 議員荒舩清十郎君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する     ………………………………… 議員秋田大助君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する     〔拍手〕 この贈呈方は議長において取り計らいます。     —————————————

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、有田喜一君から発言を求められております。これを許します。有田喜一君。

有田喜一自由民主党

○有田喜一君 ただいま、私ども六名の議員が、在職二十五年に及びましたことに対し、御丁重なる表彰の御決議を賜りました。まことに光栄に存じ、感謝にたえません。  ここに、表彰を受けました一同を代表して、一言御礼を申し上げます。  私どもが初めて議席を得ましたのは、戦中、戦後にかけての激動と変革の時期に当たり、未曽有の困難に直面した時代でありました。  自来、私どもは、それぞれの立場において、今日まで、議会人として、また政党人として、ひたすら議会制民主政治の発展と、わが国の繁栄を願い、微力を尽くしてまいりました。この二十五年を顧みるとき、私どもそれぞれの感慨深きものがありますが、今日、この栄誉に浴することができましたことは、先輩、同僚議員の温かい御厚情、御鞭撻と多年にわたる郷土の方々の御理解ある御支援のたまものでありまして、衷心より感謝申し上げる次第であります。(拍手)  いまや、わが国の内外の情勢はきわめて重大であります。私どもは、今後とも、同僚諸賢の驥尾に付し、国民各位の信頼と期待にこたえるため、最善の努力を尽くす覚悟でございます。  今後ともよろしく御指導を賜りますようお願い申し上げまして、私どものお礼の言葉といたします。  まことにありがとうございました。(拍手)

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君のあいさつにつきましては、これを会議録に掲載することといたします。     —————————————     岸 信介君のあいさつ   この度、本院永年勤続議員として、院議を  もって、表彰の決議を賜わりましたことは、ま  ことに身に余る光栄であります。   これ、ひとえに先輩同僚議員各位の絶大なる  ご指導と、郷里山口県の皆さま方の多年に亘る温かいご支援の賜と心から厚く御礼を申し上げます。  顧みますれば、昭和十七年四月、商工大臣当時、初当選いたし、その後一時政界から遠ざかっていましたが、戦後日本の現状を見るに忍びず、又先輩諸士の奨めもあって、昭和二十八年四月、政界に復帰いたし、今日に至りました。  この間、日本民主党の合同、安保条約改訂の波乱など、幾多の試練をうけましたが、その後の国政の推移と進展に思いを致します時、まことに感慨無量のものがあります。  今日の栄ある表彰を機会に、更に勇気を振るって、議会政治の確立、日本の平和、民族繁栄のため、己れを空しうして国政につくしますことをお誓い申し上げ、謝辞といたします。     …………………………………   江田三郎君のあいさつ  このたび、永年勤続議員として、院議をもって表彰をいただきましたことは、まことに光栄の至りであり、深く感謝いたす次第であります。  二十五年という歳月も、経過してみますと、まことに早く、この間、なにを為しえたか、省みて恥かしい思いであります。  わが国の直面する情勢は、内外ともにきびしいものがあります。正に大きな転換期でありますが、これに対応すべき政治の現状は、遺憾ながら、国民の期待にこたえていると言い難いものがあります。  議会制民主主義の制度は、ながい歴史をもつ西欧社会においても、多くの試練にあい、改革を重ねて参りました。わが国においては、よってたつ基盤がひよわでありながら、これを強固なものとする深い配慮と改革を欠いたなかで歳月を重ね、矛盾と弱点がひろがり、今や、危機と称して過言でない状況に直面しております。多年議会政治にたずさわってきたものの一人として、重い責任を感ぜざるをえません。  今日の表彰が、私にとって議員としての光栄ある終着駅ではなく、わが国議会政治刷新のため、心を新にしての出発点とすべきであることを、肝に銘じ、努力をお誓いして、ご厚情におこたえいたす次第であります。     …………………………………    佐々木秀世君のあいさつ  私は、昭和二二年四月の総選挙に当選して本院の議席を得、新憲法のもと、第一回の国会に臨むことができたのでございます。  爾来二五年間の長きにわたって本院に在職し、今日の栄誉に浴することができましたのは、先輩、同僚議員諸賢の御厚情をはじめ、北海道第二区選挙区住民皆様の終始変らぬ、力強い御支援の賜と、あらためて厚く御礼申し上げる次第でございます。  顧りみますれば初当選当時の我が国は未だ敗戦直後の混乱期であり、私も若輩ながら日本の再建という大きな課題に取り組まなければなりませんでした。  敗戦という厳しい現実を冷厳に受けとめつつ、新らしい国家と民族の将来をきりひらくためには何よりも日本国民の一丸となった新たな奮起が求められました。思えばこの道は、正に茨の道であったと申せましょう。数多の苦難を乗り越えて今日の日本の繁栄をもたらしたものは、日本国民の英知と勤勉に外なりません。  私も微力ながら、この二五年間、祖国と郷土の発展のため全力を傾注して参りました。しかし今日この栄誉をお受けするにあたり、十分それに価する努力を果し得たかを省りみれば甚だ汗顔の至りでございます。  現下、我が国の内外情勢は数多の難問が山積しております。この時にあたり私は、今日のこの栄誉と感激を肝に銘じ、微力ながら国家の繁栄と国民の福祉のために一身を投げ打って全力を尽す決意を新たにしております。些か所懐を述べて謝辞と致します。     …………………………………    荒舩清十郎君のあいさつ  ただいま私は院議をもちまして永年在職議員として表彰の御決議を賜りました。まことに身に余る光栄であり感激に堪えません。  私が初めて本院に議席を得ましたのは、終戦直後の昭和二十一年四月であります。  その後一時戦後の公職追放がありましたが、昭和二十七年十月に再び当選しまして以来今日に至る議員生活を振り返りますとき、まことに感慨無量なものがあります。  浅学非才の私が、よく今日の栄誉を受けることができ得ましたのは、ひとえに先輩、同僚議員各位の温かい御厚情と御鞭撻のたまものでありまして、心から御礼申し上げます。  あわせて郷土埼玉県の皆様の長きに亘る御理解と御支援に対しまして深く感謝申し上げ、この光栄ある喜びを分ちたいと存じます。  今日の表彰を機に決意を新たに議会政治の伸展のために一層の努力を傾ける所存でございます。  何卒今後ともよろしく御願い申し上げまして御礼の言葉といたします。     …………………………………    秋田大助君のあいさつ  ただいま、私が本院在職二十五年に達した故をもって、院議により表彰の御決議をいただきました。まことに感激にたえません。  この光栄は永年にわたる、先輩、同僚議員諸賢の御鞭撻と、わが選挙区内の有権者有志各位の終始変らない温い御支援のたまものにはかなりません。これらの御厚意に対し、ここに、心からなる謝意を表するものでございます。  顧みまするに、私がはじめて、本院に議席を許されましたのは、敗戦後、最初に行われました第二十二回総選挙の結果召集されました第九十回帝国議会でありました。当時、私は焦土と化した荒涼たる国土の中に立って、微力ながら祖国の再建を深く心に誓ったのでありましたが、爾来星霜三十年。往時を想い、国家の現状を眺めるとき、うたた今昔の感なきを得ません。  勤勉な国民各位の協力一致によって、わが国は世界中の人々が目をみはる驚異的発展を遂げ、経済大国に復興されました。しかし急激な高度経済成長のかげに、それに不可避な数々のひずみと欠点がもたらされ、今日のわが国は各種の公害問題をはじめ、自然や国土それに人心等の荒廃に基づく深刻でしかも解決困難な幾多の社会的、政治的、国際的難問の続出に悩まされている実情であります。  しかし、事態は独りわが国だけに止まらず、今や全人類は世界的混乱の中にあって歴史的大変換期に際会し、苦悶し続けております。  要約すれば、戦後三十年にして、人類は豊かな物質文明に恵まれましたが、豊かな心の培養をおろそかにし、その必要性を忘却したところに、現代政治の共通の悩みと欠点が暴露されたのであります。  この秋にあたり、政治に与えられた課題は如何にして、豊かな物質文明に豊かな精神文化の裏付けを与えるかにありましょう。  「豊かな精神文化」と表現は簡単でありますが、この内容を具体的に適確に把握して、これを大衆の理解に訴え、実行に移すことは英知と勇気が求められる難事であります。  しかし如何に困難の道でありましょうとも、われわれは、相ともに手を携え、力を合わせ、光栄ある二十一世紀を想望しつつ、あるべき健全なる民主政治の道をめざして前進せねばなりません。  ここに私は初心にかえり、各位の一層の御指導を願いつつ、国家の真の再建と平和、そして健全な議会制民主政治の基礎の確立に向って今一段と精進することをお誓い申し上げ、もって今日のこの御高配に対する御礼の言葉といたします。      ————◇—————  議員請暇の件

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  藤山愛一郎君から、海外旅行のため、十月四日から十三日まで十日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋政嗣君 私は、日本社会党を代表いたしまして、内閣総理大臣の所信表明演説に関連し、わが党の考え方と具体的な対案を示しながら、若干の質問を行いたいと思います。(拍手)  ただし、本論に入ります前に、どうしても総理にただしておかなければならないことがあるのであります。それは、今次国会が開かれます直前まで、自民党内の三木擁護派と、いわゆる三木引きずりおろし派の間で、国民不在、政治不在の派閥抗争、権力争奪劇が繰り広げられたわけでありますが、その茶番劇の幕引きの条件として、総裁としては臨時国会中の解散は考えない、臨時党大会を十月中に開き、総選挙に臨む体制を整備するという合意が、総理を含む両派の間で確認された点についてであります。もし、この合意事項の意味するものが、伝えられるように、内閣の解散権が凍結され、十月中にも総理がその職を辞任するというものであるならば、三木総理、三木内閣は、相撲の社会でいうところのいわゆる完全な死に体であり、そのような総理を相手に質疑を行うことは、全く意味のないものとなると言わなければならないのでありますが、真相はどうなのでありましょう。解散権は凍結され、行使できないのか、十月中に開かれる臨時党大会においてあなたは総裁を辞任し、その後総理をもおやめになるのか、この点をまず冒頭において明らかにしていただきたいと思います。(拍手)  さて、本論に入りたいと思いますが、総理、あなたは、三木内閣が発足後初めて迎えた国会において、最初にこの議場において質問に立ったのが、ほかならぬこの私であったことを覚えておられますか。覚えておられるならば、ついでに、その際私が演説の冒頭において引用したあなたの演説の次の一節をぜひ思い出していただきたいと思います。   私は、今日の時局を戦後最大の危局であると思っています。このままいくと、日本の議会民主政治の崩壊に通じかねない危局であると深く憂えております。世間の論議は文芸春秋の記事に集中していますが、今日の危局を生んだのはもっと深く早くからであり、その原因は少なくとも三つあると思うのです。   第一は、金力、権力に依存し過ぎて、世論の動向を軽視した田中政治の行き詰まり、第二は、国民の一番心配している物価、不況、エネルギーの問題に対する国民的不満、第三は、自民党が党内センスでしかものごとを考えない閉鎖的政党となり、国民的視野と立場で考えないことに対する国民のいら立ち、こういうことが互いにからみ合って今日の危局を招いたのであります。  総理、あなたのこの発言は、いわばあなたの初心とも言うべきものでありますから、初心忘るべからず、よもや記憶にないとは申しますまい。あれから早くも二年近い月日が過ぎ去ったわけですが、あなたが憂い、私もまた共感した議会制民主主義の危機は、果たして回避されたのでしょうか。危機を生んだ原因は取り除かれたのでありましょうか。それとも、事態は少しも変わらないか、あるいは当時よりももっと悪化しているのでしょうか。私はまず最初に、最も基本的な、まさに三木内閣の存在意義そのものにかかわるこの点について、現在の総理の認識なり心境なりをお伺いしたいと思います。(拍手)  私は、あなたがいみじくも指摘された金力、権力に依存し、世論に背を向けて推し進められた田中政治の実態がどういうものであるか、それを端的に示してくれたものの一つがロッキード汚職であり、この疑獄の徹底究明を通じて、事件の全貌を国民の前に明らかにすると同時に、腐敗を生む根源にメスを入れ、政治経済のあり方を根本的に改革することなしには、国民の政治に対する信頼を取り戻し、議会制民主主義の危機を回避する道はないと思うのであります。  この点については総理においても異存はないと思いますので、具体的にお尋ねいたしますが、真相究明のためには、第一に、ロッキード社またはその関係者との間で金品の授受があったすべての者に関する資料を、その名前とともに国会を通じて公表すること、第二には、国会議員を含む必要なすべての関係者を証人として国会に喚問し、一段と事件の真相に迫ること、第三には、まだほとんどその解明が行われていないPXLや日韓汚職、児玉ルート、小佐野ルートについては、決してあいまいなままに終わらせないことなどでありますが、この際、初心に返った総理のこれらの点についての決意のほどを改めてお聞かせ願いたいと思います。(拍手)  ちまたには早くも、政府はロッキード事件の捜査に終止符を打ち、これ以上真相が明るみに出るのを防ごうとしているのではないかという不信の声が満ち満ちているのです。所信表明を聞くに及んでその感をさらに一層強くしたことは否定できない事実であります。国会決議、議長裁定の尊重を約束し、党首会談においてもその実行を誓ったあなたとしては、いつ、どのような方法でこれらの公約を実行に移されるつもりなのか、それを具体的にこの際明らかにしていただきたいと思います。  総理の明快な具体的な答弁が得られない限り、残念ながら、立場は違い、根拠は異なるのでありますが、われわれもまた、自民党国会議員の約三分の二の諸君と同様、あなたにはもはや統治能力、国政担当の資格が全くないものと断定せざるを得ないことを、ここにあらかじめ申し上げておきたいと思います。(拍手)  具体的質問の第二は、腐敗を生む根源にメスを入れ、一定の制度的歯どめをする方法についてであります。  私は、次の各項を直ちに実行に移すことを要求いたします。  第一は、贈賄、不正入札等、不正な行為が明らかになった企業との取引を一定期間停止することであります。このことは、すでに一部の革新自治体において実施されていることは御承知のとおりです。ところがどうでしょう。政府は依然として、ロッキード社から対潜哨戒機P3Cを購入する方向で着々と作業を進めているのであります。まことに奇怪千万と言わなければなりません。  第二は、政治権力と企業との癒着の根を断ち、政治の腐敗を防止するために、補助金、融資等、特定の援助を受けている企業はもちろんのこと、すべての会社、法人からの一切の政治献金を禁止すること。  第三は、競争入札が形骸化している現状にかんがみ、その原則を確保するため、一定金額以上のものについては、入札六カ月後にその結果を議会に報告させるとともに、決算報告書にも一定額以上の契約を公表させること。  第四は、国の直接購入する輸入物資、資材及び石油、食糧など、国民生活に重大な影響を及ぼす物資の輸入に当たっては、国の管理と規制を強化するため、公社、公団を設け、商社の仲介を通さない直接輸入とすること。  第五は、贈収賄の温床である交際費の損金算入は原則的に認めないようにすることであります。  そして第六は、多国籍企業に対する合理的課税のための租税条約を締結することであります。各国は、多国籍企業に対して同一の条件で課税し、税制上の優遇措置を設けないようにしなければなりません。  第七は、日本輸出入銀行、日本開発銀行、海外経済協力基金から一定額以上の融資を受けている企業の社会的責任を明らかにするため、その企業名を公表すること、また、これに伴い、財政投融資計画も予算形式にして、全体として国会の議決対象とすること。  以上の七項目でありますが、総理はこれらを即刻実行に移すか、あるいは具体化のための準備作業に入る意思がございますか。これらの点については早くから政府に対し文書をもって申し入れているにもかかわらず、いまだに何の音さたもないのはまことに遺憾であります。いまに至るもなおあなたがあいまいな答弁をされるようでしたら、先日の所信表明と思い合わせ、あなたには、腐敗を生み出す根源にメスを入れ、汚職の生じにくい制度に改めようという意思は毛頭ないものと断定せざるを得ないのでありますが、明快なるお答えを願うものであります。(拍手)  なお、このほかにも、政治の浄化に資するため、公営選挙の一層の拡大に努め、アメリカにおいてウォーターゲート事件の反省の中から再発防止法を生み出したように、わが国においても、政治家及び高級公務員の資産の公開等を含む同種の法律を制定する意思があるかどうかもお聞かせ願いたいと思います。  ところで、総理、冒頭においても指摘しましたここ数十日間にわたる三木内閣・自民党ぐるみの派閥抗争、権力争奪戦がもたらした完全な政治の空白を、あなたはどのように受けとめておられるのでありますか。  このような醜態が演じられている間にも、国民の多くは相次ぐ値上げ攻勢に生活を脅かされ、中小零細業者の中には経営難と倒産に打ちひしがれている人が数多くいるのであります。農民もまた、北海道、東北地方を中心に、農政不在の政治に加うるに異常気象という悪条件に追い打ちをかけられ、自殺者まで出るというぎりぎりの状態にまで追い詰められております。さらには、台風、豪雨の直撃に遭って悲嘆に暮れている人も大ぜいいるのです。にもかかわらず、所信表明の中ではただの一言もこの点についての発言がなかったことは、全く了解に苦しむところであります。このような姿をこそ、あなたは、党内センスでしか物事を考えない閉鎖的政党と指摘したのではなかったのですか。  総理、それでもあなたは、自分が総理大臣になる前に比べればまだましだ、自民党は自分の目指した理想の方向に一歩一歩確実に前進しているとお考えになりますか。私に言わせれば、三木、反三木と二手に分かれて争っているあなた方の眼中には、国民の存在も民主政治のルールも全くなく、ただあるものは、世界は自由民主党のためにのみあるという思い上がり、権力私物化の観念だけのように思えてなりません。(拍手)そして、特に見逃すことのできない点は、この狂騒劇自体が、国民の目を汚職事件からそらすみごとなロッキード隠しとなっている事実であります。私は、この事実を重視し、その責任を問わずにはおられないのであります。  総理、政治の最高責任者の地位にある者として、あなたがこの事態をどのように見、どのように対処しようとされているのか、この際明快にお答え願いたいと思います。(拍手)  次に、あなたは本年一月の施政方針演説の中で「誠実に努力するものが報いられる社会的公正の保障」を特に強調されたことを覚えておられると思います。その言やまさによしでありますが、現実はどうでありましょう。依然として不公平、不公正が本流であり、格差と不平等は逆に拡大しつつあるのではないのですか。一方に、好況のときも不況のときも例外なくもうけている金融資本や、公害をまき散らし、悪徳商法をいとわず、スタグフレーションの中でも高度成長時代以上に利益を上げている企業があるかと思えば、他方には、インフレと不況、大企業の重圧にあえぎ、産業再編のあらしに押し流され、一千万円以上の負債を背負って倒産する中小企業が、昨年来現在に至るも連続月千件を上回るという、戦後最高の記録を示すという現実があるではありませんか。  総理、あなたは、中小企業のかかる窮状を打開するために何をしたのですか。せめて、彼らが切望している中小企業の事業分野調整法の成立に積極的に取り組む意思はありませんか。私たちは、単なる調整法ではなく、中小企業分野確保法案を数年前から国会に提出し、これの成立を願ってきたものでありますが、三木内閣の中小企業に対する熱意が本物か、それともこれまた口先ばかりのにせ物かを見きわめる踏み絵として、とりあえずこの調整法についての賛否と、これを成立させる意思の有無をお尋ねする次第であります。  なお、自民党政治の犠牲となっているものが中小企業だけでないことは、これまた言うまでもないことであります。農業、農民も決してその例外ではないのであります。  自民党は長年にわたって農村をみずからの票田とし、金城湯池のごとくに振る舞ってまいりました。しかしながら、実際にやったことと言えば、選挙目当ての補助金政策と口先だけのサービスにすぎなかったことは、農業の現状を見ただけでも明らかであります。この十年余の間、農業、農村は荒廃し、食糧の自給率は急速に低下しているのでありますが、この傾向は三木内閣のもとにおいても少しも改まってはいないのであります。最近における新潟県福島潟の農民に対する植えつけ禁止や青田刈りの強行などは、まさに封建時代の悪代官の仕打ちそのままであり、自民党の農業、農民に対する姿勢をこれほど象徴的に示したものはないのではないでしょうか。(拍手)  総理、あなたは本当に日本の農業の発展を願っているのですか。もし願っているというのであれば、世界的な食糧危機の到来すら叫ばれている折でもあり、わが党が主張しているように、食糧自給度九〇%体制への復帰を目指して、まず米の減反政策を直ちに中止すべきであります。そして大規模農地改良、牧野と耕地の拡大を年次的に進め、同時に、農家負担を軽減するため農家固定負債のたな上げや農機具、肥料、飼料、農薬等の価格引き下げを行う公的措置を講ずべきであります。また、農畜産物の価格保障、農業への画期的な財政投融資等についての特別立法化を実行すべきであります。これらの諸点についての総理の見解をぜひお聞かせください。  なお、当面緊急の課題である東日本の冷害並びに西日本を中心とする各地の台風、豪雨による被害に対してどのような有効適切な対策を講じようとしているのか、所信表明のような通り一遍のものでは承服できませんので、改めてここで明らかにしていただきたいと思います。(拍手)  さらに、社会的公正の保障と言えば、さきの国会において総理は、それは国民の政治に対する不信を解消するためにも必要であると強調し、さしあたり取り上げるべき課題として教育の機会均等、諸種の社会保障、税制改革等を挙げ、特に重要なのは独占禁止法の改正問題であると述べられました。ここにおいてもあなたの主張は確かに正しいのでありますが、同時に問題は、やはり実行が伴わないことにあると言わざるを得ません。物価安定の観点からも絶対に必要な独占禁止法の改正をあなたは施政方針演説の中で、「一身をなげうってもやる決意であります」と言いましたが、実際には国会終了の前日に形式的に提出したにすぎず、しかもその内容たるや、全くの骨抜きというのでありますから、これほど国会、国民を愚弄するものはないと言わざるを得ないのであります。(拍手)このようなやり方は、政治不信の解消どころか、逆に政治に対する不信を一段と強めることになるのではないのですか。  総理、改めてお尋ねいたしますが、昨年の通常国会において与野党満場一致で本院を通過した独禁法の改正案を再び提出し、まさに一身をなげうっても成立させる意思はございませんか。明快な答弁をお願いいたします。(拍手)  この独占禁止法改正問題やスト権問題に典型的に示されているように、自分はやるつもりだったが、自民党内の多数の反対に遭ってどうしてもできなかったというのが、あなたの常套手段になっているような気がしてなりません。現在の最大課題とも言うべきロッキード汚職徹底究明の問題にしても、灰色高官名の発表等について、あなたがまたもやこの手法を用いるのではないかというのが、率直のところ、われわれを含む多くの国民が抱いている疑問であることを、この際、特に申し添えておきたいと思います。(拍手)  次は、総理自身が、これまた社会的公正を期するために必要だと認めたいま一つの課題、税制改革の問題であります。  五十二年度予算編成に関する政府構想の中心をなすものは、財政の健全化という大義名分のもとに受益者負担の拡大、福祉切り捨て、大衆課税、大衆収奪を推し進めようとするもののように思われます。これでは社会的公正の保障とは全く逆行するではありませんか。  低所得者層、中間的な勤労所得者層を中心に、少なくとも一兆円を下回らない大幅な所得減税を実施し、高額所得者に対しては、逆に一〇%の付加税を課すべきであります。また、百八十五項目、年間二兆六千億円を上回る法人優遇の措置がとられている租税特別措置法の全面的な改廃を断行すべきであります。そして土地譲渡や利子配当所得、有価証券譲渡所得等の不労所得に対する優遇措置を取りやめ、土地増価税や富裕税の創設を行うことです。このような措置がとられて初めて税制面における社会的公正の保障が確保されるのであります。なお、このような税制改革の実行こそが、そのまま税財源の確保にもつながり、赤字国債の発行に頼らない健全な財政への道に通ずるものと確信いたします。  このように課税の公平を貫きながら財源を確保し、社会福祉を充実させ、お年寄りや心身障害者、あるいは社会的にも経済的にも恵まれない人たちのために手厚い対策を講じて、初めて政治に対する信頼も回復されるのだと私は思うのです。総理の付加価値税に対する考え方を含め、私のいま提起しました税制改革の具体案についての見解をお示し願いたいと思います。  次は、景気の問題についてであります。  政府は、経済はようやく不況から脱し、景気は回復基調にあると申しておりますが、それは、主としてアメリカの大幅減税によってもたらされた、アメリカの景気回復に助けられた、輸出の拡大に依存したものにすぎないのではないのですか。最近、アメリカを中心に厳しく指摘されている円安問題も、結局のところは、このような他力本願の姿勢に対する不満のあらわれと見ることもできるのであります。このような状態をいつまでも放置するならば、アメリカの国内事情と相まって、再び繊維問題のときのような外圧が加わってくる可能性が強いのではありませんか。  総理、本格的な景気回復を図るためには、アメリカがやったと同じように、大幅な大衆減税を行い、大衆に購買力をつけ、個人消費の伸びを景気回復のてこにすべきだと思いますが、いかがでございますか。(拍手)  このことは、賃金についてもそのまま言えるのであります。インフレによって大企業や大資本がたっぷりと利益を上げてきたのに引きかえ、労働者は、このインフレを抑制するという口実のもとに、賃金を不当に抑えられ、実質的な所得政策によって被害をこうむっているのであります。それだけではありません。国鉄、電電の労働者に至っては、仲裁裁定実施の条件として、運賃及び料金の値上げが持ち出され、いまだに裁定が実施されないという、まことに理不尽な憂き目に遭っているのであります。(拍手)  すでに明らかなように、国鉄の大幅な赤字は、政府の交通政策の誤りと歴代経営陣の無能がその原因であって、決して労働者の責任ではありません。だからといって、われわれとしても、国鉄の現状をこのままにしておいてよいと言っているわけでは決してなく、わが党としても、早くから独自の国鉄再建計画を提示しているのであります。その骨子は、当面、二料億円を超える地方線の赤字、約五百億円に上る、国の政策による公共割引と赤字承知で建設させた新線建設の国鉄負担分を政府が肩がわりすることを前提に、累積赤字のたな上げや利子補給等の措置を緊急に実施することであります。その上で国鉄貨物輸送の改善、合理的な運賃、制度のあり方、通勤輸送の改善など、経営全体の再検討を図るべきだというものであります。  電電公社についても同様のことが言えるのであります。現在の公社の経営はきわめて閉鎖的であり、これを民主化することが先決であります。そして料金体系についても、営業用、住宅用、福祉サービス用の三系統とし、その中で優遇されている業務用料金の適正化を図るなど、徹底した不公平の是正を行うべきであります。要するに、根本的に病巣にメスを入れることなしに、安易に運賃や料金の値上げに頼って当面を糊塗してみても、それは問題の解決を先に延ばすだけであって、決して真の再建とはなり得ないのであります。  労働者の実質賃金は、政府統計によっても、昨年度に比べ四月にはマイナス二%、五月にはマイナス四・四%と明らかに低下しているのです。このような賃金低下が、これまた大衆消費・需要の鈍化と結びつき、ひいては景気の回復をおくらせる結果となっていることは歴然であります。  減税は行わず、生産者米価や賃金は抑制する、さらに公共負担を強いるでは、個人消費の伸びなどはとうてい期待できず、したがって、本格的な景気回復は望むべくもないではありませんか。そればかりか、総理の公約とはうらはらに格差と不平等は広がるばかりであります。  総理、財特法の未成立を理由に、人事院勧告の実施を渋るようなこそくな手段を弄することは直ちにおやめください。そして公務員の給与改定、仲裁裁定の完全実施、災害対策及び国鉄再建のための緊急措置等を含めて早急に補正予算を提出することを要求いたします。(拍手)  特にこの際、仲裁裁定の完全実施を確約し、二十九、三十日のストライキ回避に努めることを明確にしていただくよう要求するものであります。(拍手)  内政問題の最後に、私は、国民の最大関心事であり、しかも現在、危機的要因を強めている物価問題を取り上げたいと思います。  確かに、現在のところ消費者物価は辛うじて一けた上昇の線を保っております。しかし、推察するところ、これが二けたに転ずるのは、もはや時間の問題と言ってよいと思うのであります。現に卸売物価は、過去十四カ月の間連続して上昇を続け、この七月には一昨年の狂乱物価時代並みの、前月比一%上昇を記録するに至っているのであります。この傾向は現在もなお続いており、すでに年率にすれば二けたの物価上昇期に入っているのです。昭和四十八年から四十九年にかけての実績を振り返ってみますと、卸売物価が二けたになってから六カ月後には消費者物価が二けたの、しかも狂乱と言われる数字を示すに至っているのであります。まだわれわれの記憶に新たなこの経験から言っても、今日の卸売物価の動向は、通貨の供給過剰の状況等と相まって、まさに危機的様相を見せていると言っても決して過言ではありません。  かかる事態に直面しながら、政府・自民党は抗争に明け暮れ、何ら有効の手を打つこともなく、ただいたずらに物価指数算定の方法を変えるというようなこそくな手段によって国民を欺こうとしているのであります。  演説あって政治なし、総論あって各論なし、特に財政経済問題については、何らの抱負も経綸も持ち合わせていないのではないかという三木首相への評価がようやく定まりつつあるかのように見えるとき、これを打ち破ることができる唯一の道は実行あるのみであります。  物価安定のために、独禁法の改正は断固やるべきです。為替差益を業界がすべてふところに入れてしまうようなことが許されてよいはずはありません。消費者に還元すべきであります。公共料金の引き上げも極力避けるべきであります。  総理、あなたは現在の経済状況をどのように見、どのように対処しょうとしているのか、特にこの物価の安定のために、どのような手だてを講じようとしているのかを具体的に御説明を願いたいと思います。(拍手)  次に、外交問題に入りたいと思います。  総理、あなた方が権力争奪に明け暮れている間にも、当然のことながら世界は動きをとめることはなく、内政同様、日本の外交活動もまた完全に停滞したのであります。その停滞ぶりは、日中平和友好条約交渉や日ソ平和条約交渉が再開のめども立たないまま放置されているのを見ただけでも明らかであります。  総理、あなたはランブイエやサンフアンで開かれた首脳会議に参加したことが非常に御自慢のようでございますが、大国首脳のサロンに加えられたことを喜ぶ前に、国連中心主義とかアジアの立場を強調するからには、いま少し非同盟諸国の声に耳を傾け、アジア、特に近隣諸国との友好関係確立のためにもっと積極的に取り組むべきではないのですか。  八月に開かれたスリランカにおける第五回非同盟諸国首脳会議では、アジアと世界の平和維持の立場から、朝鮮における国連軍の解体と一切の外国軍隊の朝鮮半島からの撤退要求が支持され、インド洋の平和地域提唱が決定されております。  この決議の正しさは、先般の板門店事件で裏づけられたと思います。休戦協定にかわる米朝間の平和協定を締結し、南朝鮮から国連軍と称する米軍が撤退することが第二の板門店事件の発生を防ぎ、アジアの平和を定着させる唯一の道だとは思いませんか。  私がここで特に強調したい点は、朝鮮民主主義人民共和国がこの板門店事件の処理に際してとった態度及び国連総会において共同決議案を撤回するという挙に出たことに注目すべきだという点であります。  総理、あなたがこれらの公正かつ現実的な態度をただ漫然とながめているようなことがあれば、またもや五年前、米中の頭越し接近にあわてふためいたあの醜態をいま一度演ずることになるのではないのですか。永遠の隣人である朝鮮人民との長期的な友好関係を確立するためにも、いまこそ朝鮮の自主的平和統一を願い、これを促進する国際的な環境づくりのために自主外交を進めることが必要なのではないのですか。  具体的には、まず一方において、朴政権に対する余りにも過剰な協力、援助をやめることです。また、いまや生命の危険にすらさらされている金大中氏の原状回復のために毅然たる態度をとり、自主外交の展開を内外に明らかにすることであります。(拍手)  そして他方においては、朝鮮民主主義人民共和国との間の人的、経済的、文化的交流を活発にすること、先般、日本の訪朝漁業代表団が話し合ってきた漁業の安全操業に関する民間取り決めに対し、政府の保障と援助を与えること、そしてこのような実績の積み重ねの上で、一日も早く朝鮮民主主義人民共和国を承認し、国交の正常化を図ることだと私は思います。(拍手)  総理は、所信表明の中で、みずからがなし得るこれらのことについては何も触れず、他人事のように、国連への南北同時加盟を期待するなどと言っているのでありますが、全く誠意も主体性もない無責任な態度と言わなければなりません。このような分断固定化を企図するようなことを言う前に、韓国あって朝鮮民主主義人民共和国なしといった態度を改め、私がるる述べた諸点を直ちに実行に移すべきだと思いますが、明確な答弁をお願いいたします。(拍手)  次は中華人民共和国との関係であります。  中国は、いま偉大な指導者を失い、国を挙げて喪に服しているときではありますが、これまた早急に日中共同声明に基づいて平和友好条約を締結すべきであります。これが実現は、ただ単に日中間の友好を深めることに寄与するばかりでなく、必ずやアジアの平和確立のために大きく貢献することになるごとは必然です。三木内閣発足以来、交渉は遅々として進まないばかりか、むしろ後退しているのでありますが、総理は一体何を考えておられるのか、この点についてもぜひ明らかにしていただきたいのであります。  次は対ソ連外交でありますが、結論から先に申し上げますと、最近の政府の対ソ外交は全く不可解の一語に尽きます。  日本社会党は、さきにソ連側が、北方領土への墓参に当たって、旅券の発行とビザの取得を求めてきたのに対し、政府が従来どおりの方式を主張したのは正しい措置だったと率直に評価いたします。しかしながら、相前後して行われた宮澤前外務大臣の北方領土視察に至っては、領土返還交渉を進める衝にある所管大臣が、このような行為に出た理由がどうしても理解しかねるのであります。果たしてどのようなプラスが期待できるというのでありましょう。  対ソ外交の支離滅裂ぶりは、ミグ25の飛来事件に直面してさらに拍車がかかったのではないかと思われます。  政府は、いち早くベレンコ中尉のアメリカ亡命を認めました。ということは、領空侵犯の事実は否定できないものの、それはあくまでもベレンコ個人の亡命を目的とした行為であって、そこにはソ連側の国家としての意思は何ら働いていないのみか、逆に、ソ連政府の意思に反する行為であることが立証されたことを意味するはずであります。  しかるに、思わぬ最高軍事機密の入手に目がくらんだのか、防衛庁が直接乗り出し、露骨な解体、検査を開始したのみならず、協力という名のもとに、事実上米軍にまで調査を許すに至ったことは、全く自主性喪失、外交不在のそしりを免れぬものであります。(拍手)そればかりか、かかる行為は、挑発とも受け取られかねない危険な行動でもあるのです。  わが国の経験からいっても、あの日航「よど号」事件に際して、朝鮮民主主義人民共和国は、国交がないにもかかわらず、日本政府の要請を受け入れて直ちに機体の返還に応じてくれたことは、まだわれわれの記憶に新たなところであるはずです。これが、いわば敵対関係にある国家間の場合を除いては、平時における国際慣行であります。ましてや、世界に誇る平和憲法を持ち、あらゆる国との友好関係を国際信義に基づいて推進することを国是とするわが国が、なぜに、ことさらこのような刺激的な態度をとらなければならないのでありますか。機体が移送された百里基地を持っておる小川町の人たちの不安を、総理、あなたはどのように見ているのですか。  それにつけても、いつの間にわが国の外交は、往年のように軍事に隷属するようになったのです。総理、あなたは軍部が政治、外交を支配した時代を生き、その実態を直接その目で見てきたはずであります。その結果がどうなったかは、われわれのすべてが知るところでもあるのです。シビリアンコントロールは、かかるときにこそその威力を発揮すべきではないのですか。  総理、あなたはソ連に対して、このような形で強い姿勢を示すことによって、対ソ交渉を進める上での切り札を持つことになるとか、あるいは中国との交渉を有利に進めることができるなどという、夢のようなことを考えているわけではないでしょうね。私は、あなたが今後の日ソ関係に深く思いをいたし、速やかに機体返還の要請にこたえられるよう、その決断の一日も早からんことを願うものであります。(拍手)  以上をもちまして質問を終わるわけでありますが、最後に、三木総理、そして自民党の諸君に私はぜひ訴えたいことがあります。  それは、ロッキード汚職はなぜ起きたのか、その罪を問われているのはだれか、そして、いまなさなければならぬことは何か、この三点を中心にもう一度じっくりと考えてもらいたいということであります。  真相究明を妨げ、権力争奪に憂き身をやつし、さらに、この上政治に対する不信を高めるようなことがあれば、それこそまさに民主主義政治死滅への道につながることを腹の底から自覚してもらいたいということであります。(拍手)  さらにつけ加えるならば、もし民主政治に対する一片の誠意と愛着があるならば、長きにわたって政権を担当してきた自民党自身の責任を痛感し、この際は潔く政権を野党に明け渡し、すべてを国民の選択にゆだねるという謙虚な態度をとるべきだということであります。(拍手)  在職四十年、議会人たることに誇りを持ち、みずからを議会の子と称する三木総理、あなたなればこそ申し上げるのであります。民主政治の危機に直面したこのときに当たって、議会の子にふさわしい選択はこれ以外にないはずです。総理が賢明なる決断を下し、政治家としての晩節を全うされることを心からお祈りいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

三木武夫自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○内閣総理大臣(三木武夫君) 石橋君にお答えをいたしますが、何分にも、石橋君の御質問は数十点にわたっておりますので、簡略、簡潔な答弁でお許しを願いたいと思うのでございます。  最初に、解散権と臨時党大会における総理、総裁の辞任に関する御質問でありましたが、憲法上総理に認められておる解散権の正当な行使を縛るような約束をできるわけはありません。また、私は、十月の党大会で総裁を辞任することは考えておりません。総理の地位についても同様であります。  次に、石橋君は、三木内閣の発足の後の国会において、いろいろ御質問がございました。私も記憶をしております。日本の議会制民主主義の将来に多大の危惧を抱いているという私の発言に対していろいろと石橋君が言われましたことを記憶しておりますが、まあそのときのことと今日とは私の心境の変化があるのかというようなお話でございましたが、石橋君も御承知のように、民主政治は各国とも情勢の急激な転換期に当たって重大な試練を受けております。その上、日本はロッキード事件という厳しい試練が重なりました。私は、日本の民主政治の将来を案じたればこそ、公職選挙法及び政治資金規正法の改正をお願いをして、民主政治の機能の障害になるという問題について改革に挺身したことは御承知のとおり。そとで、ロッキード事件が起こり、これを徹底的に究明することによって民主政治の健全化と強化を図る契機にしたいということで努力しておることは石橋君御承知のとおり。だから、私が石橋君の御質問に対していろいろ述べたときと私の心境にはいささかの変化もないということでございます。もちろん十分でないかもしれませんが、さらに日本の健全な民主政治の育成に最善の努力をする決意であります。民主政治を守るということに対する私の不退転の決意は変わらないということを申し上げておきたいのであります。  次に、ロッキード事件の究明について具体的にどうするのかというお話でございます。この問題について、次のように考えておるわけであります。  一つは、丸紅及び全日空ルートの捜査はほぼ終了に近づきつつありますので、遅くも十月十五日までには稻葉法務大臣の中間報告をいたすことにいたします。  中間報告には、ロッキードに関し金品の授受があったが起訴に至らなかった捜査結果も含め、一般的概要の報告をする準備をいたしております。その中には具体的な氏名は含まれません。  三つには、具体的氏名については、世にいう灰色高官につき、その範囲について国会としての意思を御決定になり、それが決定された後、それに従って資料の提供等国会の国政調査権に最善の協力をいたします。ただし、刑事訴訟法上の立法の趣旨に照らし、当該委員会は秘密会でお願いをしたいと思っております。  これが、石橋君御質問のロッキード事件の究明に対しての具体的な、今後こういうふうにしたいということを申し上げたわけでございます。  それから、ロッキード事件の徹底究明について、PXLとかその他いろいろ問題をお挙げになって、徹底解明について決意を聞きたいということでございましたが、いわゆる児玉ルートについては検察当局においてこれまで四回にわたり本人を所得税法違反ないし外為法違反により公訴を提起しておりますが、当人の病状等、捜査上種々の困難な障害がございまして、その使途関係についてはまだ十分な解明が行われておりません。しかし、時間がかかっても、どんな困難があっても、今後十分真相解明に努力するように捜査を続行する方針であります。  PXLやその他御指摘のような問題については、現在まで犯罪の容疑が認められるという報告は受けておりません。しかし、いわゆる児玉ルート関係の捜査の過程において、不正行為その他の犯罪の容疑が認められれば、何人といえどもこれに対して厳正な態度で処理に当たるということは申すまでもないことでございます。  国会の決議、議長裁定の尊重ということについては、私は、これを誠実に尊重したいということで、先ほど申し述べたような手続をとりたいと考えておるわけでございます。  また、政治腐敗を生む根源にメスを入れるために社会党から七項目にわたる提案をされております。これについては貴重な意見として十分に承っております。  その中には、国とか地方団体から補助を受けている会社などからの政治献金の禁止など、すでに実現されておるものもあり、また、特定の物資の輸入について公社、公団を設けて直接輸入することにしたらどうかということは、自由経済のたてまえ上必ずしも適当でないと考えられるものもありますが、社会党の七項目にわたる提案については今後、十分に研究をいたしたいと思っております。  また、公営選挙の範囲をもっと拡大していったらどうか。石橋君御承知のように、今回の公職選挙法の改正においても、選挙運動中の自動車とかビラとかポスターとか新聞による政策の広告、こういうものに対しても公営を実施しまして、諸外国に比べて選挙公営はちょっと例を見ないくらいにまで達しておるのでありますが、私は、選挙というものに金がかからないようにする、これがやはりいろいろな腐敗行為を生む一つの根本にある問題だと考えますので、これだけで満足しない、もう少し公営を徹底する方法を考えてみたいという意見でございます。  それから、御指摘になったいろいろな政治家とか高級公務員の問題については、これはいま、今後の検討問題としたいと思っております。  次に、三木内閣のもとでのいろいろな党内抗争をお挙げになりまして、そして政治の空白というものをお取り上げになって、いろいろな災害問題とか中小企業の問題というものを、私が今度の所信表明の中でも何も指摘しなかったというようなことは、少し石橋君、事実に相違しておると思うわけでございます。これは、自民党の党内抗争はまことにお恥ずかしいことではございましたけれも、そのために一日たりとも国政を空白にしたということは考えておりません。  たとえば御指摘になりました、公共料金を上げたではないかというようなことは、これはもう上げることをお願いすることについても、国民生活や物価への影響を慎重に配慮して、もうやむを得ない措置としてお願いをしておるわけでございまして、中小企業に対しては、金融その他の措置により倒産防止に極力努力をしておるわけでございます。  また、冷害や台風災害についての万全の対策を講じているということについては、先般の所信表明演説でも述べたわけでございます。  また、中小企業の問題について、いわゆる中小企業の事業分野調整法を早く作成せよということでございましたが、これは先般の国会決議の趣旨にもございまして、本年七月以降、中小企業政策審議会で分野調整の小委員会を新設いたしまして、いま審議を進めておるところでございます。この審議の結論が得られた段階で、速やかに具体的な法案の作成に着手したいと考えております。  また、独禁法の改正についてでございますが、石橋君御承知のように、第七十七回国会に提出しましたが継続審議になっておるので、この国会に付託されているところでございます。まあ政党内閣でございますから、衆議院は通過したけれども参議院で審議されておらないわけでございまして、その後、党内の意見を徴して、そして今回の提案となったものでございまして、私は、石橋君が御指摘になったように、自分はこうなんだけれども自民党が反対だからできないんだ、そういう言葉で自分の立場を弁護するようなことは、断じて過去においてなかったということは申し上げておくわけでございます。また、それは自民党の総裁として、そういうことで自分の立場を弁護するようなひきょうなことは許されない、そういうことは考えていない。  また、食糧の自給度九〇%の体制復帰のために米の減反政策を中止せよというお話でございましたけれども、農政の方針として、わが国農業の生産体制を整備して自給力の向上を図るということは、これは日本の食糧政策の基本として強力に施策を展開してまいる所存でございます。  しかし、米については依然として過剰基調にありますので、当面、消費拡大に努めつつ、需要に応じた計画的生産を確保する必要があると考えております。  また、食糧の総合的自給度を高めていくためには、米以外の農作物、非常に増産の必要があるものがあるわけですから、農用地の確保、整備に努めるとともに、水田の裏作の奨励などによって水田の生産力をも総合的に活用して、必要な農作物の増産を進めるべく、いま各種の生産対策を講じてまいっておる次第でございます。  また、大規模な農地改良であるとか農畜産物の価格保障とか、農業への画期的な財政投融資について特別立法を行えというような、いろいろと提案がございました。  政府は、これまで国民食糧の安定供給を図るために、農業への助成というものは非常に重視してきた。農村の安定なくして日本の安定なし、こういう見地からして農業というものに対しては重視をしてきたわけでございまして、農業基盤の整備、各種農作物の価格安定制度、金融面の助成など充実をしてきたわけでございまして、今後とも、これらの施策の充実強化に努めていく方針でございます。  また、台風、冷害の被害対策というお話でございましたが、御承知のように台風の被害並びに冷害の被害というものは非常に深刻なものがございます。  御承知のように、先般も建設大臣、農林大臣、直ちに現地を見まして、現地の視察等も行ったわけでございまして、現在、関係省庁において、被害の詳細な調査をやっておりますが、私は所信表明でも、災害あるいはまた冷害等の対策については、いろいろ細かく申し述べたわけでございまして、そういう政策を今後実施することによって救済に万全を尽くしてまいる所存でございます。  それから、税制改革についていろいろ御指摘をいただきました。  高度経済成長の時代には自然増収も大きかったのですが、今後の安定成長時代には税収の増加は限られたものであります。しかし、一方においては福祉の充実など、政府の役割りは拡大いたしますので、どうしてもこの際、税制というものに対して根本的見直しが必要になります。  御提示の土地増価税、富裕税、いつも社会党、この問題を提起されますが、実際問題として、こういう税金をいま取り上げることには、いろいろ問題がありまして一概に賛成はできないわけでございます。  だから、今後の税制のあり方全般について、これはいま税制調査会などの意見も聞いておるわけで、これは改革をしたい。その中に付加価値税、石橋君の御指摘になった付加価値税も問題になることはあるとしても、いますぐ付加価値税を実施するという考え方は持っておりません。  それから、本格的な景気の回復を図るためには、個人消費の伸びをてことすべきである、賃金の抑制策をやめて大衆減税を行えというお話でございます。  確かに、輸出を中心という景気の回復というものは、個人消費とか設備投資とかいうものでバランスのとれた成長を図らなければならぬことは言うまでもないわけであります。個人消費は、生産と雇用が回復しつつありますから、やはり着実に伸びていくものだと見ておるわけでございます。減税するために公債を追加発行するということには問題がいろいろございますから、景気対策として、いま減税を直ちに行うことは考えていないわけでございます。  また、賃金を抑制しておるということでございますが、賃金というものは、労使が国民経済的視野に立ち、自主的に決定すべきものでございまして、政府がこれに介入するというつもりはないわけでございます。  また、国鉄の大幅の赤字というものをお取り上げになりました。  国鉄の赤字は、石橋君いろいろ御指摘になりましたけれども、国鉄の赤字がなぜこんなに大きくなったかということは、長期にわたって運賃が低位に推移したことは事実ですね。日本のインフレの進行に対して、運賃の値上げというものが、これに伴っていないことは事実でございます。そういう面が一つある。また、輸送構造の変化があるわけです。トラックというものが非常に発達して、貨車輸送というものの一つのウエートが非常に変化した。こういう貨物輸送とか地方交通線などの分野で非常に収支が悪化したということが一番大きな原因だと思うわけです。  そのために、政府としては、累積した過去の債務を一部たな上げすることで、財政の面からくる国鉄の圧迫というものを一つには取り除いてやる。また、国鉄自身も、経営全般にわたる徹底的な合理化を図ろうとしておることは御承知のとおりです。だから、今回のこの提案の法案は、値上げ値上げと言われますけれども、根本は国鉄再建の中の一環としての運賃の改定である。根本には国鉄の再建というものがあるわけで、こういういわゆる過去の債務の一部のたな上げとか、徹底的経営の合理化などを図ってもなおかつどうにもならぬ問題については、どうしても利用者負担の原則に立って運賃水準の適正化を行わなければならぬ、こういうことで今回運賃の改定をお願いをしておるわけでございまして、安易に運賃だけに——運賃とか料金の改定によって、国鉄とかあるいはまた電電の経営の健全化を図っていこうという安易な考えではないということだけは御理解をお願いしたいのでございます。  また、電電公社についても、これまで経営合理化に努めることによって、昭和二十八年以来、電話料金の据え置きを図ってきたところでございます。しかし、電電公社の経営状態は、近年における人件費や物件費の大幅な値上げ、また利用構造の変化、いわゆる個人の電話が非常にふえてまいりました、結構なことではありますが、ふえるなどにより急速な悪化を余儀なくされまして、このまま推移すれば非常に憂慮すべき状態になるわけでございます。したがって、まず経営基盤の確立を図ることが必要である、こういうことで、電報電話料金の改定を実施するための関係法案の審議をお願いしておるところでございます。  いろいろと社会党の御提案については、今後電電公社経営のあり方について検討する折に十分参考にしたいと思います。  次に、仲裁裁定を完全に実施せよという点の御質問がございました。  仲裁裁定の取り扱いについては、政府は昭和三十二年以来これを完全に実施してきており、今回の国鉄、電電の仲裁裁定についても、公労法第三十五条の精神を踏まえ、完全実施のためにできる限り努力をいたしたいところであります。  一方、両公社の財政の抜本的な立て直しを図るため、国鉄、電電に関する歳入二法案が国会において審議中であり、仲裁裁定に関する案件を本国会に付議しているところであります。本国会における両法案の取り扱いについては、すでに各党間で、国民生活に深刻な影響のある諸案件を処理するため十分な審議が尽くせるよう各党協力することが了承されており、この申し合わせに従って審議が促進され、両法案が成立するものと確信をしております。したがって、その場合には、仲裁裁定についても完全実施が可能になるものと期待し、完全実施のために今後とも最大限の努力を払う所存でございます。  次に、物価問題について御質問がございました。  ことに卸売物価の動向、消費者物価二けたも時間の問題である、この問題についていろいろ御指摘になりましたが、所信表明でも述べましたとおり、物価の安定というものは、三木内閣の経済政策の基礎である、このことは明らかであります。景気の回復の過程で物価がどうしても上がりがちですから、総需要の適切な管理に努めるとともに、マネーサプライにも注意して、今後注意深く物価の動向というものを見守っていきたい。  それとともに、便乗値上げの防止のための監視、消費者に対する情報の提供など、物価政策にはきめ細かい対策を必要とすると思いますので、今後とも物価の安定に対しては十分な注意を向けてまいりたいと思っております。  物価の安定を図っていくということはきわめて重要なことであり、インフレの再燃を防いで、そうしてもう一遍インフレ状態を招くというようなことのないように経済政策を持っていくということに、国民の御協力のもとに、三木内閣は十分な自信を持っておるということを申し上げておきたいのでございます。  また、石橋君は、ランブイエとかプエルトリコの会議を非常に軽く見られておることは、私は、社会党のために残念に思うわけでございます。日本は、やはりこうした先進工業国の欧米諸国との間にできるだけ理解とまた協力関係を高めていくということが日本のために必要なことであって、この会議の意義を軽視される態度には、私は賛成いたしかねるわけで、きわめて重要な会議である。ただしかし、そのために非同盟諸国あるいは発展途上国に対しての関係を重視するということを忘れてならぬことは、これはもう当然のことでございます。  非同盟諸国の首脳会議に至るまでの——今度は第五回のコロンボ会議が行われたわけでございますが、非同盟諸国は日を追うて増大しておって、非同盟諸国の国際政治、経済における比重は重く、大きくなっておることは、石橋君御指摘のとおりでございます。発展途上国も非同盟運動に対して期待は非常に高まっております。したがって、わが国も非同盟諸国が国際政治、経済に占める右のような重要な地位にかんがみて、今後これらの諸国と相互理解の一層の増進に努めてまいりたい。  非同盟諸国を重視せよという石橋君の意見には、私は異存はございません。  また、朝鮮民主主義人民共和国との交流を活発にせよというお話でございましたが、北朝鮮とは今後とも貿易、人物、文化等の分野における交流を漸進的に進めて、もう少し相互の理解を深めたいと考えております。しかし、いますぐ石橋君の言われるように北朝鮮を承認する条件は整っているとは考えておりません。  また、私の所信表明が朝鮮における南北の関係を分断、固定化する考えだということは、私の所信表明を正確に御理解を願ってない意見だと思うわけでございまして、私は、やはり南北の平和的な話し合いによって南北の統一を最終的には望むものでございますが、それに至る一つの過程として申し上げたので、分断固定化を図ろうという考え方はないということを申し上げておきたいのでございます。  また、日中平和条約の締結を促進せよということは、これも石橋君のお考えと私も同意見でございます。両国とも早期締結に熱意を持っておることは一致しておるわけでございまして、日中共同声明、この後退は許されるものではない。共同声明を基礎として、これをさらに日中関係は発展をしていかなければならぬわけで、覇権問題などでいろいろ論議を呼んでおりますが、覇権に反対する、わが国としても覇権を求めない、世界に対して覇権を求めない、第三国の覇権というものも、これは反対である、こういうことは日本のもう外交政策とも一致するわけでございますので、基本的に一致しておるのですから、これをどのように条約上取り扱うかという問題だけでございますので、根本的に日中の平和友好条約の締結が困難になるような条件があるとは思っておりません。できるだけ早期に締結をしたいという考え方は変わりません。  また、宮澤前外務大臣の北方領土視察というものをいろいろと御批判になりましたが、外務当局者として現地の実情を掌握しておこうという考え方は当然のことでございまして、それ以外に他意があるわけではないわけでございまして、これは石橋君の非常に、この問題に対しては少し思い過ごしがあるのではないかと思うわけでございます。  また、ミグ25の問題についていろいろお触れにりましたが、防衛庁の行っておる調査は、ミグ25機による領空の侵入、強行着陸の背景の状態を解明するための調査であって、挑発行為を行っておるわけでは断じてないわけでございます。  また、本件の調査は、あくまでもわが国が独自の立場でやっておるわけでございまして、これは自主的に行うものであります。  防衛庁は、ミグ機の移送に関し、自衛隊の能力は欠けるところがあるわけでございまして、たとえばああいうふうなミグ25を移送するような大型機は日本は持ってないわけですから、そういう自衛隊の能力の欠けるところを補う必要最小限度の範囲を米軍の輸送機とかあるいは技術の要員などを調達したものであって、日米の共同調査というようなものではございません。  また、各国とも、類似のような状況下に起きた事件については、国際先例としても、必要な調査が終われば最終的に機体は何らかの形で返還されておるわけでございますから、今回の機体につきましても、かかる点を念頭に置いて処理をいたしたいと思っております。  最後に、いろいろ石橋君からの御忠告がございました。  一つの政党が長期にわたって政権を担当することは、功績もございますが弊害もあることは事実であります。  もし野党が国民の納得するようないわゆる政権担当の用意を示されておったならば、日本の政党政治の事態はもっと違っていたかもしれぬと私は思うのでございます。(拍手)しかし、現在も野党に政権を渡せという世論の高まりは見られないことは石橋君も御承知のとおりでございます。(拍手)したがって、石橋君のせっかくの御忠告ではございますけれども、今回はその御忠告に従うわけにはまいらぬということでございます。  お答えをいたします。(拍手)

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣三木武夫君。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○内閣総理大臣(三木武夫君) 石橋君から国会議員の証人喚問について御質問がありましたが、答弁漏れで申しわけございません。  この証人の喚問という問題は、すべての人々に可能でございますから、国会議員といえども例外は認められるべきことでないことは言うまでもありません。しかし、具体的にだれを呼ぶかというような決定については、当該委員会で十分な検討の上、決定をしてもらいたいと願うわけでございます。(拍手)     —————————————

前尾繁三郎無所属議長

○議長(前尾繁三郎君) 田中龍夫君。

田中龍夫自由民主党

○田中龍夫君 私は、自由民主党を代表して、政府の施策に関し、災害、冷害対策、ロッキード問題、財政、経済、外交、防衛につき若干の御質問を行うものであります。  まず、今回の台風によって犠牲となられた方々に対し、わが党を代表して、心からお見舞いを申し上げます。亡くなられた方々あるいはまた行方不明となり、いまもって生死不明の方々や御遺族に対しては、深く哀悼の意を表する次第であります。  今回の十七号台風は、本土にほとんど上陸しなかったにもかかわらず、総理より詳細御報告がありましたごとくに、多くの被害を出したのであります。  政府は、対策本部を急設して、所要の対策をなしつつあると存じますが、要は、各種の措置を迅速に処理することであります。近く迫り来る寒空に、罹災者の方々の速やかな救済措置をこいねがうものであります。  すなわち、激甚災害指定基準をば大幅に緩和するとともに、その指定を速やかに行い、予備金支出を初め、災害関係予算を増額して、公共土木施設、公共農林施設、文教施設等の復旧を促進し、さらに、住宅金融公庫の災害復興住宅の融資枠をこれまた大幅に拡大されることを望みたいのであります。また、災害弔慰金及び災害援護資金の限度額の引き上げ、早急な支給、貸し付け、天災融資法の発動と、自作農創設維持資金の災害融資枠の拡大と貸付限度額の引き上げ、また地方交付税及び地方債による特別の財政援助などについて、これまた速やかな措置を講ずることを切望いたしたいのであります。  しかし、この際、特に私が申し上げたいことは、農業災害においては、個々の農家の生産基盤である農地、農業用施設等、私有財産に対しても、暫定措置法により救済される等、法制的にも整備しておるにもかかわらず、中小企業者に対する罹災財産の救済については、金融の特例措置があるだけであり、被災財産については救済がされない。両者の懸隔が余りにもはなはだしいことであります。この際、一定の限度なり物件の対象を限定して、中小企業に対する私有財産に対しても国または公共団体の救済を考慮すべきではないかと思うのでありますが、これについて総理の御所見を伺います。  また、本年の冷害も深刻でありましたが、農業災害補償法による農作物被害救済の対象は法律によって基準収穫量の三〇%以上減収の場合に限られていますが、零細農家にとっては三〇%の減収は大打撃であります。これに対して行き届いた救済の道を講ずることが必要と存じます。  以上の諸件についてお答えをいただきたい。  次に、経済、財政について御質問をいたします。  総理は所信表明演説において、当面の経済対策につきいろいろと所信を述べられましたので、重複はここに避けますが、わが党はその実行を期待するものであります。  しかし、最近の経済情勢を見ておりますと、私は懸念を感ずることがあります。それは、経済界、言論界ですでに言われ始めた景気の中だるみの議論であります。中でも心配なのは国鉄、電電の運賃、料金改定法案の成立がすでに四カ月も遅れておるために生じてまいった関連企業の極度の経営不安であります。  国鉄、電電の本年度の工事予算は総額二兆三千億円を予定されています。工事関連企業は総数約七千、従業員総数九十万に達しています。これらの企業が工事中止によって極度の経営不安に陥っている。中には倒産に追い込まれておる企業も少なくないのであります。これが一般設備投資の低調にも影響し、雇用の不安を招き、景気全体の中だるみの大きな要因にもなっておるのであります。これは争うことのできない事実であります。  政府は、このような国鉄、電電関連企業の経営維持と、その従業員の雇用安定のために、特別に資金上の配慮をするなど、適切な処置を講ずるべきであると思うのであります。  さて、私は、今後わが国経済を安定成長の軌道に乗せてまいりまするためには、並み並みならぬ努力が必要だと思うのであります。特に景気浮揚のためには、財政、金融の一体的な運営がより一層に望まれるのであります。その一環として政府は中期国債の発行を計画しておられるのでありますが、私は、金融機関の協力を得て、ぜひこれを早期に実現することが絶対に必要だと存ずるのであります。  この際、国鉄、電電の問題についてさらに一言触れまするが、それは仲裁裁定の扱いの問題であります。  政府が今回、国鉄と電電公社職員の賃金に関する公労委の仲裁裁定につき、資金上、予算上支出不可能として、公労法第十六条に基づく国会の議決を求めてきたことは、法律上からも、また現実に実行不可能な実情からも当然のことであります。  国鉄は、すでに五十年度までの累積赤字が三兆一千億円を超え、もし運賃改定を行わなければ、五十一年度だけでさらに一兆二千億円の赤字が加わることになり、まさに破産のほかはないのであります。また、電電公社も五十年度までに約五千億円に近い赤字を累積しており、このままでは五十一年度にさらに六千億円に近い赤字が加わることになり、国鉄の二の舞を演ずることは明らかであります。  国鉄、電電公社が、このような大きな赤字を出しておる最大の要因は、賃金が年々大幅に上昇するのに運賃がこれに伴わなかったためであり、国鉄に至っては、営業収入のほとんど全部が給与に食われておるほどに経営内容が悪化しておるのであります。このように経営内容が悪化しておるもとにおいて、運賃、料金の改定は反対である、仲裁裁定は完全に実施せよと言われましても、これが不可能なことは言うまでもないことであります。  国鉄、電電労組指導部は、今月の二十九日、三十日にわたって国民生活への甚大な打撃をも顧みず、大規模な違法ストを構えてこの不可能なことの実施を強要しようとしておりますが、私は、本来国民に奉仕すべき立場にある公共企業体労働組合が、このような違法な、反社会的暴挙をあえて行わんとする非民主的態度をば、はなはだ遺憾とするものであります。(拍手)直ちにこの計画を中止するよう強く反省を求めてやみません。  野党諸君が、真に七十五万の国鉄、電電職員の生活の安定を思い、また、国家経済における深刻な不況からの完全脱出と国民生活の充実、向上を望むならば、財政三法案の一日も速やかな成立に協力こそすべきであります。(拍手)私は、心からこれを期待するものでありますが、以上の問題につきまして、総理の御所見を承りたいのであります。  次に、私がお伺いしたいことは、当面の国民の最大の関心事でありまするロッキード事件に対する政府の態度についてであります。  ロッキード事件の徹底的究明は、単に三木内閣の責任であるばかりではなく、国権の最高機関である国会の責務であり、また、政党自身の責務でもあります。内閣として責任を持つべき側面については、三木総理がその政治生命をかけて徹底的に真相究明に当たられることは当然であり、ただいま石橋君の御質問に対する総理の答えのとおりであります。  ただ、私がお聞きしたいことは、内閣総理大臣とじて究明すべき真相というものは、具体的には何を意味するのであるか、その究明の方法はどういうことであるのか、また、それをいかなる根拠に基づいて行われるのかということであります。  総理は、所信表明の演説において、「政治的道義的責任については、国会の国政調査権に基づく調査に対し、刑事訴訟法の立法の趣旨にのっとり、資料の提供等最善の協力を惜しまない」と述べられましたが、その刑事訴訟法の立法の趣旨をどう解釈せられておるかは、これまでいろいろの断片的な見解が総理や法務大臣から述べられておりますが、その具体的な内容が明らかではなく、ただ抽象的に決意だけを強調されるために、かえっていろいろな揣摩憶測を呼び、実りのない論議と政治の無用な混迷を招いておる事実を否定することはできないのであります。  ロッキード事件は刑事事件としてすでに司直の手によって捜査せられ、一部は起訴されて、裁判の手続が進行中であります。刑事事件としての側面は、司法機関あるいは準司法機関の法律に基づく公正な処置を信頼するほかはないと思うのであります。  行政府としての責任は、まだ捜査の終わっていない部分の捜査が順調に進むように、権限に基づいて督励し、あるいはまたその条件を整えたり、また政府部内に不正があれば、それを徹底的に究明して、厳しい行政処分を行ったり、あるいは政府の指導監督のもとにある企業に不正があるならば、これまた厳正な行政措置を講ずるといったことであろうと思うのであります。  ところが、政界の一部やマスコミは、三木総理や法務大臣の言われる徹底究明というのは、いわゆる灰色高官の有無と、その捜査の経過、結果を刑事訴訟法第四十七条本文、すなわち、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」という規定とはかかわりなく、何らかの形で内閣の責任において公表することであるかのごとくに受け取っておるのであります。  総理の所信演説によってそのことははっきりといたしましたが、総理の言われる刑事訴訟法の立法の趣旨にのっとり、その解釈いかんによっては問題があると思うのであります。  そのまず第一は、公判の開廷前にも適当な時期に中間報告をされるとのことでありますが、それは、刑事訴訟法第四十七条との関係はどういうことに相なるのでありましょうか。またその内容は、起訴に至らなかった者の氏名までも公表するのかどうかということであります。犯罪の捜査は徹底的に、かつ公正に行われなければなりませんが、同時に、人権と個人の名誉も十分に尊重されなければならないのであります。  刑事訴訟法の立法趣旨はこの辺にあると思うのでありますが、刑事訴訟法の立法の趣旨にのっとって、国会の国政調査に対して資料の提供等、最善の協力を惜しまないとされるのは、いかなる見解に立って、どのような協力をどうしようとされるのか、具体的にお伺いいたしたいのであります。  次は外交問題でありますが、アジア、特に朝鮮半島あるいはまた中華人民共和国の毛沢東主席の逝去後のいろいろな問題、あるいはインドシナ半島なりASEANの動向等、幾多重大な問題がありまするが、今日の外交の大きな部分は、まずその裏づけになりまする経済協力に対する反省であります。  総理は、ランブイエあるいはまたプエルトリコにみずから出向かれまして、特に南北問題について重大な関心を示されておることは御承知のとおりでありますが、しかし、具体的な対外援助協力の点については何ら解決を見ていないということに御注意を喚起いたしたいのであります。  日本の戦後経済の復興も、わが党政策のよろしきを得て、総生産においては米国に次ぐ隆々たる発展を遂げておるのでありますが、しかしながら、国際社会に対しまする協力の点では、余りにも日本は自己本位であるという厳しい批判がいまや各国から行われてまいっておるのであります。  OECDの開発援助委員会は、七五年、「経済協力の実態」なる年次報告を発表して、日本に対し厳しい反省を促しておるのである。わが国においては、すでに佐藤内閣の当時より、国連の決定である国民総生産の〇・七%の政府援助を約束もし、閣議においても数回これを決めております。それにもかかわらず、今日に至るまで旧態依然として〇・二四%にとどまっておるのであります。これはDACの援助国十六カ国のうちで最低でありまして、各国平均は〇・三六であります。これはわが国の国際責任上、重大な問題でありまして、これを上昇せしめる努力こそが日本の責任履行の具体的な実証であると信ずるものでありますが、なかんずく、アジア各国は日本に対しまして大きな期待を寄せておるのであります。  かくなる原因の一つは何かというならば、わが国の予算編成並びに査定の現行方式によるものでありまして、このままでは絶対にこれを増加することは不可能であります。少なくとも、対外政府援助分だけは、別途、政府の漸増計画の基本方針に基づいて別建ての特掲措置をとるべきであります。しかも、これは総理の権限でできることであり、また、なさなければならない国際責任でもあります。  これと関連して、私は国際協力に対しての政府の考え方の根本を承りたい。  従来、日本政府が対外援助をあたかも非生産的な国際慈善事業であるかのごとき態度で臨まれておりましたことは、非常な誤りであります。あえて申すなれば、日本は無資源工業大国でありまして、海外に原材料、食糧を求め、これを加工し、外国に販売するいわゆる付加価値、すなわち手間賃かせぎの国家経営であります。かくて、外交はいかなる国とも平和裏に友好を保ち、同時に先行投資を行って需要を喚起して、販路と市場を開拓する必要があるのであります。発展途上国に対する開発援助は、後発諸国に対する協力であるとともに、その発展に伴う需要喚起の先行投資でもあります。すなわち、わが国家存立の基盤整備でもあり、絶対必要な先行投資としてこれを重視しなければならないのであります。  終戦後の日本が輸出振興政策をとり、物の輸出のために各種の制度を整備いたしました。しかし、いまや輸出は物だけではなく、幾多のプラントや大型化したプロジェクトとなり、技術や頭脳の役務輸出に変化しておるのでありまして、これに対応できる新しい制度と機構の設置を必要とする段階に至っておるのであります。  石油ショック以来、産油国に対する経済協力は、オイルマネーの還流の国際的重要性からも、先進各国政府が競ってこれを行っております。しかるに、日本も数多くの経済協力の約束はいたしましたが、国内的な制度、機構上の不備があり、かえって不履行を累積して、国際信用をますます失墜しておるのが現状であります。  たとえば大型プロジェクトの場合の国際入札等においても、多額の調査費及び保証料を要し、その額も数千億円から一兆円にも及ぶ多額であります。そのために、民間の企業責任ではその調達は全く不可能である、これが不履行の大きな原因の一つであります。  いまや世界各国は、いろいろな制度を工夫し、新設して、これに対処しておるわけであります。わが国においても、政府みずからが、各国同様に再保証の道を講ずるとか、特別な保険制度あるいは基金なりの新機構をつくることによって、約束をした経済協力の実を上げて国際信用の回復を図ることが、今日、外交上の急務であると考えるのであります。  まず以上の諸問題につきまして、三木総理の御所見を伺いたいと存じます。  さらに、中南米外交について若干お尋ねいたします。  ガイゼル大統領の日本訪問は、在ブラジル八十万人の日系人にとりましては非常な喜びであり、日伯両国繁栄の上に、今後、将来にわたりまして大きな成果をもたらすことを確信する次第であります。  今回、大統領みずからが来日されて交渉が成立を見ましたセラード地域の農業開発のごときは、わが国への畜産飼料の安定供給や、大豆等のみならず、製鉄、アルミ、電力、パルプ、その他重化学工業の両国開発提携等について重大な成果があったことはまことに御同慶にたえないのであります。  明治四十一年、笠戸丸に始まった計画移住以来七十年になんなんとする間に、八十万人の日系人がブラジルに定着し、社会、経済、政治、行政各方面で活躍をしており、数名の連邦国会議員諸君を初め、政府の閣僚や地方政府の要職や言論界等、ブラジル朝野にわたって多数の有力者を出しており、両国将来のために喜びにたえないところでありますが、今後一層の活躍を期待する次第であります。  ブラジルのみならず、中南米各国にも多数の日系が活躍をしておりますが、同時に母国日本との緊密な関係を期待しており、かくて、これら中南米各国との協力関係がますます必要と相なるとともに、さらにまた、それに対応しての政府の機構の改編も必要でありまして、この点につきまする総理の御所見を伺いたいのであります。  次に、わが国外交の当面の緊急課題は、二百海里経済水域あるいは漁業専管水域の問題であります。  わが日本は、世界第一の水産国として年間一千万トンの水揚げを続けておりますが、二百海里水域からの水揚げは、その中の四百五十万トン、すなわち総漁獲量のほぼ半分の漁獲を上げておるのであります。いま、もしこれを失う結果と相なれば、日本人の肉食はその半分以上を魚肉に頼っており、国民の食生活確保の上からもきわめて重大な問題であると存ずるのであります。総理みずからが陣頭に立たれて、政府関係当局を督励して、民間関係機関も一体となって粘り強く折衝を重ね、従来の実績を確保しなければならないと思うのでありますが、いかがでありましょう。  次は、最近の日ソ関係を見ますと、私は、ソ連のわが国に対する態度がにわかに厳しくなりつつあるように感ぜられるのであります。  本年に入ってから、北方水域におけるわが国漁船の拿捕は累計三十一隻に及び、抑留された漁民百七十五名に達しておるのであります。また、北方領土墓参手続の変更を通告してまいっており、従来の友好的態度とは異なる厳しい態度を示しております。  そこへ降ってわいたように発生しましたのが、ミグ25戦闘機の函館空港不法侵入事件であります。元来、ソ連軍用機がわが国領土を侵犯したにもかかわらず、これに対して先方としての遺憾の意も表せずに、逆に軍用機の不可侵権なるものを主張したり、さらに、この事件を第三国の干渉によるものであるとか、不当な非難を行っておるのであります。政府は最も慎重に、しかも賢明に対処されるよう強く望むものであります。  特に、本事件の発生によって、外国軍用機が超低空で飛来するならば、わが国レーダーはこれを捕捉し得ないという国防体制上の重大な欠陥をば指摘されたわけであります。これは、さきの日本海水域の問題と並んで、防衛上の大問題と言わなければなりません。わが国固有の北方領土が侵略せられたままであり、いままた本土攻撃可能なる立証をここに見て、国土防衛の必要を国民として改めて痛感する次第であります。(拍手)  すなわち、国家固有の権利である自衛力は、周辺諸外国の日進月歩の技術、装備の進歩充実に対して、常にこれに対応して絶えざる研究を行い、技術、装備の充実を図り、これを高めることが必要となる理由もここにあるのであります。自国の防衛こそが国民としての崇高なる民族的義務であり、責任であるとの精神こそが自衛力の根幹であると思います。  洋の東西、体制のいかんを問わず、いかなる国といえども、自分の国をみずからの手で守ることは当然の責務といたしております。(拍手)と同時に、国家のために倒れた殉国の士に対しまする手厚い護持もまたしかりでありまして、国民みずからの国土防衛の問題と殉国の英霊に対する国家護持の問題は、国家の存立にかかわる基本的問題として考えるべきものであると存ずるのであります。(拍手)  しかしながら、ひとり日本のみ、敗戦のつめ跡と申しますか、国民の国土防衛の意識の希薄さと、護国の英霊をいまもって国家が護持する態度を失っておるのははなはだ遺憾であります。(拍手)総理のこれに対しまする御所見を賜りたいと存じます。  最後に申し上げたいことは、道徳教育についてであります。  戦後の占領政策によって、日本の現状にそぐわない教育政策が駐留連合軍によってとられましたが、その最たるものは、青少年教育における修身倫理課程を禁止した一点であると思います。道徳とともに、地理、国史もまた禁じられたのでありますが、この道徳教育の禁止のために、自来三十年、日本国民の考え方の中から、精神修養という言葉でありますとか、あるいは人倫という言葉もなくなってしまいました。日本人の明晰な頭脳は、これを克服して、科学なり技術なり、物量による欲望充足の面に長足の進歩を遂げて、戦後経営の成果をもたらしたのでありますが、社会連帯や国民生活の面において倫理性の欠如となり、平然として欲望のためには知能的な犯罪を行い、あるいはまた非国家的な行為をあえてして恥じざるごとき結果を招いたのであります。  ことに、共産党のリンチ事件のごとき、さきの国会の論議におきましてもいろいろと問題とされましたが、その後、国会におきまする審議はいかなる進展を見たでありましょうか。  個人生活においてしかり、社会生活においてまたしかり、さらに経済生活から政治生活においても同様であります。物質面においては、世界屈指の国家を再興しながらも、エコノミックアニマルとの非難をこうむり、国際道義の面においても、国内政治のあり方においても、倫理性、すなわちモラルが失われておるのであります。今日の政治的混迷の最大の原因は、社会的にも政治的にも道義観を失ってしまった、この姿にあります。(拍手)  国民に対して、国家に対する忠誠こそは、何物にも増してこの国会の場において示されるべきものであります。政治が金権によって汚濁され、あるいはまた国際謀略によって混濁せられるならば、「日本よ、いずこに行く」とさえ叫ばざるを得ないのであります。  われわれは、政治に道義を回復し、一億国民の期待と信頼を新たにする政治の責任体制の確立、あるいはまたそれに伴います政治家の出処進退こそが、最大の問題であると思うのであります。(拍手)政治こそ最高の道義である。この上にこそ秩序と繁栄とがあると存ずるのであります。  総理は、これら政治道義の最高の立場におられるのであります。みずからもって範をたれ、この混迷な姿を払拭される御決意を持たれるかどうか、最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

三木武夫自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○内閣総理大臣(三木武夫君) 田中君の御質問にお答えをいたします。  最初に、今回の災害あるいはまた冷害等についていろいろとお述べになり、また対策についても詳細な御提案がございました。そのいろいろと提案の中で、住宅公庫の災害融資枠、災害弔慰金及び災害援護資金の限度額引き上げと早期支給、天災融資法の早期発動、自作農維持資金の枠の拡大、限度額の引き上げ、農業災害復旧の充実、地方交付税及び地方債による特別減税、いろいろと災害対策に関連して御提案がございました。  政府は、今回の第十七号台風の被害については、現在関係各省において鋭意調査中でございまして、激甚災害の指定なども早急に行うよう準備をしております。したがって、いま御提案の中でいろいろと採用できるものは採用し、あらゆる方法を講じて罹災者の救済に遺憾ないようにいたしたいと思うわけでございます。また、融資枠などについても資金需要にこたえられるような措置をとってまいりたいと思います。また、将来の予防措置として、来年度から始まる治山治水対策をやはりもう少し強化して、災害の起こる基本からこの問題を防止するための対策を講じたいとも考えております。  さらに、国鉄、電電等の仲裁裁定の完全実施という問題についてどのように考えるかということでございますが、先ほど石橋君の御質問にお答えしたように、仲裁裁定の取り扱いについては、政府は昭和三十二年以来これを完全実施してきており、今回の国鉄、電電等の仲裁裁定についても、公労法第三十五条の精神を踏まえて完全実施をするためにできる限り努力をいたしてきたところである。  第二には、一方、両公社の財政の抜本的立て直しを図るため、国鉄、電電に関する歳入二法案が国会において審議中であり、仲裁裁定に関する案件を本会議に付議しているところであります。  第三点は、本国会における両法案の取り扱いについては、すでに各党間で国民生活に深刻な影響のある諸案件を処理するため、十分な審議が尽くせるように各党協力するということが了承されており、この申し合わせに従って審議が促進され、両案が成立するものと確信しております。  第四、したがって、その場合には仲裁裁定についても完全実施が可能になるものと期待し、完全実施のために今後とも最大限度の努力を払う所存であります。  仲裁裁定の問題は、重要な問題でございますので、これはあえて繰り返して申し上げたわけでございます。  それから、公労協のストについてどう対処するかということでございますが、国鉄、電電の仲裁裁定に関する案件は、去る二十日に国会に付議されたばかりでありまして、国会でこの取り扱いについては御審議されようとしているやさきに、公共企業体の職員が違法ストを実施しようとすることは、まことに遺憾なことでございまして、関係者の自重を強く期待をいたしたいと思うわけでございます。  また、国鉄の関連企業の経営維持ということ、あるいはまた従業員の雇用安定のためにいろいろな適切な処置を講ずべきであるということでございます。電電の関連企業についても同様であります。  国鉄、電電公社関係の二法案が成立していないことから、田中君御承知のように、工事費の経費の削減を行っておるわけです。ところが、国鉄とか電電公社の関連産業の中には中小企業関係が非常に多いわけですから、大変な打撃を受けておるわけです。法案の成立がおくれればさらにその影響というものは深刻化していくことは必至であります。こうした関連産業の影響を回避するためにも一刻も早く、一日も早く法案が成立して、工事の発注が円滑になされることが一番大事な点でございまして、それまでの間、影響をなるべく少なく食いとめるべく、関連の中小企業に対しては金融面その他でできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。  また、中期国債の発行というものを早期に実現せよということでございます。従来から国債の個人消化については市中消化への一つの柱としてその促進に努めてきたところでありますが、現在、個人消化促進の観点から、より一層個人のニーズに対応した中期国債の発行を検討することが必要であると考えまして、検討しているところであります。中期国債を発行したいという方針のもとで各関係方面といま調整中でございます。できるだけ早くに結論を得たいと考えております。  それから、中小企業に対しては救済を考慮すべきではないか。いろいろ災害などを受けられた中小企業の救済を図るためには何よりも資金の円滑な確保が重要であると考えますので、政府としては、被災中小企業に対する政府系の金融機関から迅速な資金の貸し付けを行う等、被災者の中小企業の救済にできるだけの処置を講じておるわけでございます。この問題については、被災者の中小企業者というものの現状から考えまして、できるだけの処置を講じてまいりたいと思っております。  また、ロッキード問題について、刑事訴訟法の立法の趣旨というものを総理はどのように考えておるかということでございましたが、刑事訴訟法の規定の第一条には、刑事事件について、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障を全うしつつ、事案の真相を明らかにして、刑罰法令を適切かつ迅速に適用実現することが目的である、これが立法の趣旨でございまして、公共の福祉の維持と基本的人権の保障、さらに、訴訟関係書類の非公開の原則、被疑者等の名誉保護の要請なども定めているところからもこういうことがうかがわれるわけでございまして、要は、福祉の維持と基本的人権の保障ということが立法の趣旨の中心になっておることは御承知のとおりでございます。  これからはどういう手続でいわゆる灰色高官の問題などは取り扱っていくのかということでございますが、田中君御承知のように、議長裁定という背景がございます。これを踏まえて、国政調査権というものに対してできる限り政府が協力をするという約束をしておるわけでございまして、したがって、中間報告を十月十五日ごろまでには遅くとも稻葉法務大臣から行いたい。その中には個人名は含まれないということは、先ほど申したわけでございます。ただ、いわゆる世にいわれておる灰色高官というものの範囲はどういう範囲をいうのかということが国会の意思として決定をされるならば、その決定された意思に従ってできる限りの資料を提供したいと思うわけでございます。しかしながら、その公表等の問題の取り扱いについては、国会の責任において、国会の判断においてなさるべきものであって、これは石橋君に答弁したとおりでございます。  それから、次に、経済協力の問題についていろいろとお話がございました。  田中君の御指摘のように、これからの世界の一番大きな問題は、南北間の関係の調整ということが世界最大の課題だと思います。先進工業国と発展途上国との格差が日増しに拡大しておる、これをどのようにして調整していくかということが、これからの世界の平和と繁栄ということに重大な関係を持つわけであります。日本は、先進工業国の仲間入りをしておりますが、ついこの間までは、非常に敗戦の痛手を受けたわけでございまして、そういう経済の力を持っておらなかったわけで、発展途上国の心情も一番理解できる立場でございますから、できるだけ両者の関係を、対決ではなくして対話と協調の関係において南北間の調整ができますような、そういう役割りというものは、日本として大いに国際政治の上でやらなければならぬ役割りの一つだと考えておるわけでございます。  そういう意味で、わが国としても海外への経済援助、ことに技術協力あるいはまた政府の無償援助、こういうものを含めて政府援助というものについてこれからも、日本の政府援助の率は国際的に見ましても少し低い水準にありますから、この政府援助というものを今後強化をしてまいりたいということは、所信表明にも述べた点でございます。  それから、中南米諸国との外交の重要性ということは田中君御指摘のとおりでございまして、先般もブラジルのガイゼル大統領が訪日をされましたが、ブラジルには日系人が約七十五万、その多くがブラジルの市民として生活を営んでおるわけでございますから、われわれとしても重大な関係を持っておる。ブラジルに限らず中南米諸国との外交関係は近年非常に重要性を増しつつあります。政府としては、各般の関係を強化するために、今後努力してまいりたいと思っております。  御指摘のようなこういう一つの外務省の機構のあり方、機構の膨張を抑制する一方、円滑な行政運営を図るという基本的な考え方については、これは今後とも検討してまいるべき問題であると考えております。  また、日米漁業交渉に対しては、総理が先頭に立ってこの問題に取り組むべきだというお話でございましたが、この問題は日本人の食生活にもきわめて重要な関係を持つわけでございまして、私は先般、ワシントンに立ち寄ったときに、一番真っ先にフォード大統領にこの問題を持ち出したわけでございます。わが国としては、米国が国連の海洋法会議の結論を待たずして、一方的に二百海里の漁業専管水域を設置することを認めることはできないという立場をとっておりますが、アメリカにはアメリカとしての国内法がすでにできておるわけでございます。来年の三月から効力を発生することになっておるわけでございますから、日米友好関係の増進という大局的見地から、今後米側と十分話し合いを行っていって、わが国の関係水域で伝統的に行ってきた漁業の実績というものを最大限に確保すること、そういうことが双方によって受け入れられることが可能な形で問題が解決されることを願って、今後最大限の努力をしてみたいと思う次第でございます。  また、ソ連による漁船の拿捕とかミグ機の侵入に対するソ連の態度についていろいろお話がございました。  ミグ事件は、わが国の政府及び国民の意思とは何のかかわりもなく発生した事件であり、本来日ソ間の基本的友好関係に影響を及ぼしてはならないと考えております。政府は、右の点を十分に頭に置いて、この問題には冷静に、かつ、慎重に対処してまいりたい。ソ連側においても、このミグの侵入事件というものの基本的性格を十分把握しているものと考えられます。  漁船の拿捕事件の基本の原因は、領土問題が未解決であるというところにあるわけでございまして、政府としては、なかなかこれは困難な外交交渉ではございますけれども、領土問題をしんぼう強く解決のために努力をして、そしてその間の暫定的な処置としては、人道的な見地から、北方水域における安全操業の確保について、ソ連側と十分に交渉を行っていく次第でございます。  また、ミグ機の侵入によって、わが国の防衛体制の欠陥ということをいろいろ御指摘になりました。私も、あの事件が起こった直後に、坂田防衛庁長官に、わが国の警戒体制の強化というものに対して特に力を入れる必要がある、軍艦とかあるいは飛行機とかいう、そういう面だけではなくして、空あるいは海の底、こういう警戒体制の強化というものは、えてして地味な面でございますが、そういう点にこれからは強化を図るべきだということを申したのですが、坂田防衛長官もそういう点を今後特に重点を置きたいということで、防衛庁としてもこの問題に重点的に検討を加えておる点だということでございます。  田中君も御指摘のように、いま低空飛行で来た場合には、レーダーでとらえることはいまの技術ではなかなか困難でございますが、しかし、やはりそれにしても、レーダーの技術も、あるいは電子器具なども、これは非常に進歩するものでございますから、そういう点も従来のものを再検討すると同時に、やはり何としても絶えず日本が警戒しておるんだ、いろんな行動に対しては常に日本に警戒されておるという警戒心を与えることがこれは非常に必要でございまして、国民にも安心感を与えるゆえんでございますから、今後のわが国の一つの警戒体制、この強化というものに対しては、一段と今後の国防体制の中に努力をしてまいりたいと考えております。  靖国神社の問題についていろいろお話がございました。これは田中君も御承知のように、過去数回議員提案によって靖国神社法案が国会に提出されて、未成立のまま今日に至っておるわけでございます。この問題については、今後とも世論の動向などを関心を持って見守ってまいりたい。いずれにしても、皆が、いろいろ宗教が違ったり、いろいろ立場が違ったりした人にしても、日本の国のために生命を失ったり、祖国のために努力をされた方々の霊をわれわれが弔うようなことができるような日を一日も早く迎えたいと考えておるわけでございます。  それから、最後には、いろいろと政治的混迷の最大の原因は、道徳観の欠如というものがあるというお話でございます。私も、やはり今日のごとき政治的混迷は、田中君の御指摘のとおりだと思います。  何としても、社会における根底には、やはり国民の道義観念といいますか、これが基礎になければ、法律ですべての人間生活を規制するわけにはいかないので、やはり根底には道義的な観念というものがしっかりしておることが健全な社会の基礎になるためであり、私がロッキード事件の徹底解明ということを申しておるのも、そういうことによって国民の政治不信にこたえて民主社会の健全化を図りたいということでございまして、やはり根本は、一つの道義観というものが健全であるということが社会の健全化の根本であるという田中君の御意見には全く同感でございまして、われわれみずからも自粛自戒して、そして国民の批判を受けるようなことのない公人としての立場を堅持しなければならぬと考えておる次第でございます。  お答えをいたします。(拍手)     —————————————

秋田大助自由民主党副議長

○副議長(秋田大助君) 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本虎三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、総理の所信表明に関連する諸問題について、総理を初め関係各大臣に対し、その見解をただしたいと思う次第であります。(拍手)  まず、私は具体的各論に入る前提として一、二の問題について触れたいのでありますが、その一つは、二十四日なされた総理の所信表明に対する各界の評価についてであります。その幾つかについて紹介させていただくことをお許し願いたいのでありますが、いわく「総論も各論もなく採点に値せず」、いわく「三木内閣の遺言演説である」、いわく「政治責任不在の欠陥報告である」、いわく「死に体内閣の終戦処理演説である」等々でありますが、総じて井出官房長官を初め側近以外は、きわめて芳しくない評価が多いのであります。  総理も、本所信表明に当たっては、大いに想を練られたと聞いておるのであります。これら各界の評価について、総理としてもこれを聞いた上、一つの感想なり決意なるものがあるはずであります。この際、それをはっきり聞かせてもらいたいと思います。  しかし、事をよく考えてみますと、笑い事では済まされないのであります。これはむしろ、わが国の今日的政治の不幸の根底が、実はここらあたりに存在すると言わなくてはならないからなんであります。  いま、わが国は政治、経済、外交とも緊急課題が山積みになっており、強力な政治的リーダーシップが要求されているのであります。その中心機能である総理、三木さん、あなたの所信表明が死に体であるとか遺言演説だ、こういう評価しかされないというこの現実、全く悲劇としか表現の方法がないのであります。しかし、この救いようのない悲しむべき現実を、国民は一体どのように受けとめたらよろしいのでしょうか。  また、あなたは常にみずからを議会の子だと称しております。先般のこの所信表明演説の中でも、とりわけ議会制民主主義の危機について多く言葉を費やされておるのであります。しかし、今日のこの政治不信、政治的無関心の増加をもたらしたその責任は一体、総理、どこにあるとお考えですか。ロッキード金権問題に象徴される政治の腐敗、あるいは、さきの自民党の権力派閥抗争は、言うならば、与党自民党の総裁である三木総理、あなたの責任であることを改めて強く指摘し、あわせて率直に皆さん、との場所で総理の意見を聞きながら考え直さなければならないのです。  いま一つ、私は、三木改造内閣が持つ不可思議な点について、この機会に伺っておきたいと思います。  今回もまた福田、大平両氏が同じ資格で顔を並べておられるようであります。これは一体どういうことなのでありましょうか。福田、大平の両氏は、さきの激烈な自民党抗争劇の中の中心人物であります。とりわけ反三木十五閣僚の中心として、総理に対して、いわば弓を引いた人ではありませんか。あなたの政治理念に賛成できないと反逆して、事もあろうに、総理・総裁として不適当である、そして閣僚辞任も辞さないとして、自民党を分裂させるかどうかの瀬戸際まで追い詰めた張本人ではございませんか。閣僚として責任を果たせぬと言った人を、一夜明ければ、またぞろ内閣の重要ポストに任命する、このようなことで一体、国民が納得するでしょうか。(拍手)  この際、私は、福田、大平両大臣にも伺いたいのでありますが、およそ政治家として最も重要なのは、政治理念、政治道義の問題であろうと思うのであります。両大臣とも、あれほど国政を渋滞させ、議会制民主主義の権威を失墜させた、その重大ないわば渦中の人であります。三木総理のどこに反対されたのか、なぜ、かかる造反行為を起こさなければならなかったのか、この際、御両氏の政治的所信を伺いたい。(拍手)また、あわせて今回入閣されたことについて、政治家としての折り目、筋が一体、立つものかどうか、しかとお伺いいたしたいのであります。(拍手)  要は、個人の損得や派閥の利害関係ではありません。いまこそ政治に信頼を回復しなければならない重大なときです。その範とならなければならないのは内閣であろうと思うからです。  さて私は、以上のことを冒頭、基本的に伺いつつ、本国会が臨時国会という性格であることを考え合わせ、以下きわめて緊急的な問題について、数点にしぼって見解をただしたいと思います。  まず私は、いますぐにでも総理の権限を発動し、実行できる緊急の問題として、いままでそれぞれ御答弁がございましたが不満です、ソ連軍用機のミグ25戦闘機問題の即時解決を要求したいのです。  函館空港に飛来したミグ25は解体され、百里基地に運ばれました。地元小川町では挙げて反対決議を行っていますが、きわめて自然な国民感情であろうと思うのであります。  総理、あなたは、さきの所信表明演説の中で、また、いままでの答弁の中で、本件が日ソの友好関係に影響を及ぼすことがあってはならない、このように申しておるのでありますが、米軍と防衛庁の共同作戦で解体を進めて、白昼公然と軍事秘密をスパイまがいに収集することは、まさに日ソ友好関係に重大な影響をもたらしていないと考えますか。総理がいかに言おうとも、これこそ、まさに軍事優先、国民生活無視を示すものと言われても弁解の余地はないではありませんか。  特に北海道民は、安全操業や北方領土の問題墓参の問題で、これから迷惑を受けることになるのであります。島よ返れと多年叫び続けている、この念願の北方領土の返還あるいは漁業の安全操業問題等の解決は、かかって国と国との信頼関係の回復、積み重ね、これ以外にはないと思います。今回の一連の措置が果たしてこのような問題解決のため、そして日ソ友好促進と国際緊張緩和のために沿う方法かどうか、総理が申された冷静、慎重というこの論議がいかなる点で政治につながるのか、これを伺いたいのであります。総理、重ねて申し上げますが、総理としての決断を強く要求したいのであります。  さて私は、第二に、ロッキード事件について総理に見解を尋ねたいのでありますが、それにいたしましても所信表明の中で随所に盛られている総理の美しい言葉を伺いつつ、一方、今日のこの現実の事態に思いをはせるとき、きわめてそらぞらしい感じを免れなかったことを率直に申し上げたいと思うのです。  今日までの三木おろしの醜い一連のドラマの主犯がロッキード隠しにあったことは、多くの識者の指摘するまでもなく国民全体が承知しているところです。総理は、勇気をもって本件の真相解明を行う、このようにたびたび明言されておるのでありますが、しからば、その決断実行について、ひとつ証拠をこの際見せてもらいたいのであります。  田中前総理、橋本元運輸大臣、佐藤元運輸政務次官ら前自民党所属党員、国会議員に対する自民党総裁としての処断はいかがなされたのか、伺いたいのであります。  五億円という庶民にとっては夢にも見れぬような膨大な収賄疑獄事件を起こした張本人が、事もあろうに前総理大臣であったこと、この事件のもたらした政治全体への不信、そして民主主義への影響は、実にはかり知れないものがあると思うのであります。もちろん事件の真相は、法律的に見ると今後の進展に問うところであります。  しかし、問題の所在は、そのような次元ではないのであります。一国の前総理として引き起こした政治的道義的責任の所在を、天下の公党として、いかに明らかにし、国民に謝罪するかということにあると思うのであります。(拍手)物のけじめをつけてもらいたい。このこと一つ始末できないでどうして、美辞麗句を並べても、国民は一つ一つを信用するでしょうか。信用しないということを、まさにこの機会に銘記してもらいたいのであります。  ところで総理は、所信表明で「私が厳重に守ってきた方針は、捜査当局に対し、私も法務大臣も政治介入は一切行わないということだ。」このように言っているのでありますが、検察当局が、国会での追及を突破口にして捜査の網を広げ、ついに田中前総理の逮捕に踏み切ったととは、まさに民主主義の勝利であり、世論の勝利と言うべきでありましょう。がしかし、政治資金の問題でも疑惑ありと報道されている中曾根前幹事長、ことに、だれが見てもロッキード問題の本命は児玉ルートの解明であり、それには中曾根氏の証言こそ必要であったのに、その要求を自民党は一致して反対し、ついにこれを葬ったことは、だれが見てもロッキード隠しではございませんでしょうか。(拍手)総理も、政治生命をかけて、これを解明すると言いながらも、自民党総裁として、これに一言も物を言っていないのは、全く理解に苦しむところであります。また、稻葉法務大臣その人が、中曾根君は潔白だ、このように公言してはばからなかったのはいかがなことでございましょうか。派閥以外の何物でもない、人々はこう見ているのであります。これこそ見えざる指揮権の発動と思われるやり方ではございませんか。この点について明確な答弁を伺いたいのであります。  さて、第三に指摘したいことは、この長期にわたるインフレと不況の同時進行の中で、勤労国民を初めとして中小企業者、農林漁業者の生活は一層苦しくなっていること、御存じのとおりであります。  政府は、景気は回復し始めた、このように言っているのでありますが、景気が回復しているのは一部の大企業のことであります。そして、中小企業の倒産は八月で千二百八十八件と、本年最高の水準を示し、完全失業者は依然として百万人台に近く、明暗の二重構造はますます厳しくなってきているのが現実であります。  農民は、風、水、冷害、これで大幅に減収になっているのでありますが、出かせぎを余儀なくされつつも、片や出かせぎ先もままならないという現状にあるのであります。  しかも政府は、電力、ガス料金を初めとした公共料金の大幅な値上げを許し、インフレを促進しており、その中で、国民は生活を防衛するため、やむを得ず自衛措置として財布のひもを締めているのであります。  今日、緊急に必要である景気回復は、大型公共投資等大企業中心の政策ではなく、きめの細かい下からの景気対策です。すなわち、国民生活を安定させ、波及効果の大きい住宅、病院そして学校等、生活関連公共投資の拡大及び個人消費を拡大する所得税減税であります。  政府は、財源難を理由に本年度の所得税減税を見送り、大蔵省は早くも、財政面と景気対策の面からいって減税は不可能と言い始めているのでありますが、これは間違いであると言わざるを得ません。私は、景気対策のために、本年度補正で所得税減税を行うと同時に、来年度予算においても減税を行うべきであると主張するものであります。  景気の先行き見通しについて、政府が非常に楽観している材料に輸出の好調が指摘されているのであります。自動車やカラーテレビの対米輸出が伸びているのは米国の景気回復が要因でありますが、米国の景気回復が図られるのは大幅な所得税減税による個人消費の拡大によるものであります。わが国の輸出の拡大による景気回復は、実は人のふんどしで相撲をとると言っているこのたぐいと同じではございませんですか。すでに米国内に日本のカラーテレビ輸入阻止の運動が起こっている、このことを御存じではないのですか。欧米諸国からの円安批判はここに原因があるのでありますけれども、国際的に円安批判が高まって、各国の輸入規制の動きが強まれば、最初に影響を受けるのは中小企業であり、勤労国民であります。私は、国際的批判を避けるためにも、住宅等生活関連公共投資を拡大し、所得税減税を進めて個人消費を拡大させる景気対策を早急に確立すべきであると考えるのであります。  わが国の経済は、これまでのような高い経済成長ではなく、低成長時代に入ったと言われております。ことに最近景気の先行き見通し困難な状態を反映して、下請企業に対する下請代金支払いの手形の長期化、資材仕入れ先の指定、下請協力金の名目での下請単価の切り下げ等、親企業からの圧迫がますます強まっている実情です。下請代金支払遅延等防止法、こういうような法があっても何ら機能していないのであります。  そこで、私は、金融機関に回収される手形を調査し、大蔵省に報告させ、それを公表する等の措置を図るとともに、下請代金のうち、少なくとも労働賃金部分は現金支払いをさせる措置を確立させることが必要だと思うのでありますが、この点いかがでしょう。  また、中小企業が困難にぶつかっているだけでなく、わが国の農業は、異常気象により、北海道、東北を中心とする冷害、それに追い打ちをかけるように台風十七号による西日本の農作物被害により深刻な事態を招いていることは、もうすでに皆さん御承知のとおりであります。  わが党は、冷害に対していち早く東北大県に第一次の冷害調査団を派遣し、実態調査を行い、政府に緊急対策を要求しております。  この冷害や台風による被害は、長年にわたる自然破壊、農業軽視の高度成長の政策のもたらしたものであり、まさに、天災というより人災というべきであります。  具体的にこれから指摘したいと思います。それをやるのかやらないのか、これな明確に答弁してもらいます。  まず第一、政府は早急に被害実態の調査と認定を図り、共済金の早期年内支払いを行うとともに、病虫害防除、低温降霜予防等に要する資材の助成措置を講ずること。第二に、冷害、災害により生じたところの等外米、規格外米の買い入れ、来年度用の水稲の種子確保の助成措置を図ること。第三に、被害を受けた関係道府県並びに市町村に天災融資法、激甚災害法を速やかに発動し、融資措置並びに地方財政措置を講ずること。第四には、災害によって減収となった農家の現金収入を確保するために、公共事業費をふやし、地元雇用を増加すること。以上のほかに、被害農家の諸課税の減免、各種制度資金の償還金の延期等の救済措置を速やかに図るべきこと。このように考えるのであります。  私は、冷害、台風の被害者、犠牲者に本当に心からお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、これらの災害について緊急に復旧措置を講ずるため、本年度補正予算の提出を要求するものであります。(拍手)  次に、私は、地方財政対策における当面の緊急対策についてお尋ねいたします。  地方自治体は、本年度の予算編成に当たって政府から借金政策を押しつけられ、その予算編成に四苦八苦してきたところでありますが、台風災害及び冷害によってまたまた膨大な財政負担を強要されることになったのであります。台風災害による復旧事業、冷害対策としての公共事業について、政府は自治体負担分をすべて起債によって措置するようでありますが、こうした対策は地方財政をますます危機に追いやるもので、災害による地方税収の落ち込みが指摘されているそのときに、減収補てん措置を講ずることなく、いたずらに起債によって自治体の将来の財政負担を強要することは厳に慎まなければならないはずです。  加えて、地方財政は、人事院勧告に基づく自治体職員の賃金改定財源として、新たに九百億円の財源を必要としております。いまの地方財政にとってこの九百億円は政府の責任において最低限措置されなければならない財源であり、政府は災害対策を含め地方財政の緊急対策として補正予算を編成し、財源措置を講ずるべきであると考えるのでありますが、三木総理、この点いかにお考えでありましょうか、所見を伺いたいのであります。(拍手)  次に、緊急を要する社会的不公正の是正について伺いたいと思います。  三木総理はこれを旗印に登場したのでありますが、この社会的不公正の是正、しかしいまだ道遠しの観があります、いかがでしょう。  まず、老人医療について伺いたいのであります。  私たちは、医療保険の財政政策よりも医療供給体制の整備によって、保険あって医療なしと呼ばれる実態の克服を先行すべきことを、一貫して主張してまいりました。しかし、最近伝えられる、年寄り医療の有料化という大蔵省の方針は、明らかにこれに逆行するものであり、絶対に認めるわけにはまいりません。  先般、敬老の日、その日に全国各地で開かれた高齢者集会で、この問題をめぐって激しい怒りが沸騰しておりました。大蔵省は、老人が医療機関にかかり過ぎるという視点に立っておられるようでありますが、高齢者の有病率が青壮年の四倍以上にもなっているのに、受療率はいまだに三倍弱でしかないことを見れば、医療機関にかかるお年寄りを責めるのは筋違い、こう言わなければならないのであります。需要に応じられない貧弱な国立病院の方が責めらるべきではありませんか。この際、大蔵大臣に、老人医療の有料化の方針の撤回を要求するものであります。(拍手)  医療供給体制確立のために政府がとるべき最も基本的な措置は、医師が都市部へ集中している、この傾向を、いつ、どのようにして是正し、改善するかという点にもありましょう。この傾向は、年々強くなるばかりで、いまや大都市で人口十万人当たり百六十五・二人いるのに対して、町村部でわずか六十六・三人しかいないのであります。政府は、これを今後もこのまま放置し続けるのか、それとも行政責任において医療機関の適正配置を行えるようにするのか、端的にお答え願いたいと思います。  次は、年金の制度の問題です。  政府は、日本の年金水準は、国際的に見て遜色はない、このように言っております。さらに、厚生年金や国民年金については、物価スライド制が導入され、自動的に年金額の改正が行われることになり、制度の充実発展は画期的であるとして、自画自賛しているのであります。しかし、現在の年金対象となる六十五歳以上の人口は、九百十万人です。このうち、厚生年金等各種年金の受給者は四百五十万人です。しかも、厚生年金でモデル年金という九万円をもらっている人は、いま十四万人しかいないのです。国民年金で夫婦で最高のモデル年金八万四千円をもらえるのは、厚生年金と同様に二十八年も積立金を積んだ人のことで、実際は昭和六十四年以降にならないと受給資格が発生しないという状態であります。社会的不公正の是正と言うが、年金受給資格者以外の老人がどのような生活をしているのかという調査すら、政府はしていないではありませんか。必要な調査もしないで、社会的不公正の是正をすることが一体できるのでしょうか。調査は直ちに行うことを要求するとともに、少なくとも独立して家族を抱えた各年金受給者は、国が定めた基準でやっと生活をしている生活保護世帯の受ける金額よりも下回らないようにすべきであり、老人こそこの世をつくり上げた功労者でありますから、ゆっくり有給休暇をとって老後を安心して楽しめるような制度にすることこそが、まず社会的不公正是正の緊急課題であると思いますが、総理の見解を承りたいと思う次第であります。(拍手)  政府は何かというとすぐ財源を問題にするのでありますが、年金積立金は現在で十三兆円、五年後には二十八兆円、十五年後には百兆円を超えると言われておるのであります。当面はこれを運用して、近い機会に賦課方式に制度の転換を図ること、これが必要であります。なぜこれをやらないのか、一体やる意思があるのかないのか、はっきりこの際御答弁を願いたいと思うのです。(拍手)  私は、次に環境問題に入りますが、最近の経済状況を反映して、環境保全よりも開発を優先する傾向がいま強まってきつつあります。これは許せないことです。三木総理を初めとして、初代環境庁長官であった大石武一氏が農林大臣として閣僚に加わっておりますが、皮肉にもその大石初代環境庁長官が開発を一時ストップしたあの長野県のビーナスラインが、去る十六日環境影響評価も不完全なままで、開発の再開が環境庁によって認められたのであります。これに対していかがお思いでしょうか。感無量でしょうか。  三木総理、あなたが副総理であった昭和四十九年六月五日、NHK大ホールにおいてあなたが出席された席上で、自然保護憲章が採択されたことをよもやお忘れでないと思います。その自然保護憲章の第三項には、「開発は総合的な配慮のもとで慎重に進められなければならない。それはいかなる理由による場合でも、自然環境の保全に優先するものではない。」このようにはっきりとうたっているのであります。その後あなたは、今後行政の中にこれを取り入れる、このように皇太子夫妻を前にして胸を張って誓ったはずであります。  ところが、最近政府みずからが、空港や本四架橋、新幹線、苫小牧東部大規模工業開発促進、こういうような開発をどしどし進めようとしているではありませんか。  私は、ことに大きな問題として今後問題であろうと思うのは、原子力発電所が事故を続発し、全体としての設備利用率が昭和四十五年で七一・八%であったものが、五十年度は四一・九%に低下し、いまや取り返しのつかない大事故になるおそれがある問題が幾つも起こっており、日本の原子力はまだ実験室を出てはならない段階であることがいよいよ明らかになっているこのときに、しかも財政危機であると言われているこのときに、それも大型原子力発電所の促進のために、来年度の予算要求として、通産省が財投で九百億、一般会計と特別会計で二百五十億以上、科学技術庁が原子力開発利用の推進費として千二百億円以上もそれぞれ要求し、ことに法律がすでに切れている日本原子力船開発事業団にまで二十二億円余りを予定していることなど、一体どうしたことでしょう。これこそ多国籍利権の最たるものと言われて、ポストロッキードと称されているこの大型原子力発電、それも安全性が確立されないままで多額の予算を競っている状態であります。第二のロッキード事件になるおそれがあるこの問題だけは、断じて許されないし、また絶対に安全性を明確に示す、それまでは新設は見合わすべきである、このように提言するものでありますが、総理の御意見を賜りたいのであります。(拍手)  わが党はそのためにも、御存じのように、環境行政を後追い行政から脱皮させるため、公開の原則を貫き、住民に対する手続法として、環境影響審査に基づく開発行為の規制に関する法律を提案しているのであります。これこそ環境保全と地域開発を両立させるための唯一の手続法だと思います。総理、あなたも閣法で同じ法案提出の努力を誓ったのでありますが、ついに口頭禅になってしまいました。いまさら言っても仕方がないことでありますが、果たしてあなたはやる気があるのか、やる気がないのか、この際、国民の前に率直な弁明をいただきたい、これを心から要請いたします。  私は、最後に総理に申し上げて結びとしたいのであります。  総理、あなたは環境庁長官としてクリーンであるという国民的信頼を得た上で、あの汚れた田中金脈内閣の後を受けて総理・総裁になったわけであります。その土台になった環境保全、公害対策だけは忘れてもらいたくないのであります。公害や環境破壊が高度経済成長の必然的産物とするならば、ロッキード問題こそ保守独裁政権の生んだ史上最大の政治公害でありましょう。政治は力だ、力は金だとする金権万能体質の自民党に、戦犯右翼に財界が結びついて引き起こした、いわば複合汚染というか、まさに史上最大の複合汚職ではありませんか。(拍手)  公害対策の決め手は発生源対策であるということは、総理も十分によく知っているはずです。この発生源にメスを入れることなしにロッキード問題の解決はありません。あなたは本当にやるのか。答弁はだんだん後退しておりますが、やれるのか。今度だけは、あいまいな態度は許されないのです。小手先だけで幾ら洗っても、黒い犬は決して白くはなりません。本当に汚れた政治環境をきれいに浄化するためなら、党が割れてもあなたは敢然とこれに対処すべきではありませんか。それもできないなら、潔く政権を野党に渡すのが憲政の常道ではありませんか。(拍手)もし、そうでないとすると、やはりあなたもしょせんは権力亡者のそしりは免れないでしょう。  三木総理初め自民党の諸君は、いま戦後三十年、みずからの行為で引き起こした保守政治の末期的症状の中で、民主政治そのものを死滅させようとしているのであります。もし、民主政治に対する一片の良心を残しているならば、この際、潔く野党に政権をゆだね、すべてを国民の選択に任すべきではございませんか。これが今日の危機を救う残された唯一の道であります。四十年の議会人たることを誇りとしている三木総理には、これが残されたただ一つの決断であることを強く申し上げまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)

三木武夫自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○内閣総理大臣(三木武夫君) 島本君にお答えをいたします。  自民党の内部紛争は、お恥ずかしいことだと思っております。しかしながら、そのために政治の空白、政治の停滞を生んだとは思ってはおらないわけでございます。  また、島本君は、私の所信表明に対して、野党諸君の御批判の言葉をすんなりここに持ってこられて、いろいろと御批判をされましたわけでありますが、その御批判には耳を傾けますけれども、評価に対しては見解の相違であると申し上げておきます。  また、福田、大平両君のことに対していろいろありましたが、憲法六十六条との関係などを持ち出されたわけでございますが、内閣の方針が決定される過程において、閣僚間で意見の相違があるということは、これはいろいろあっても当然のことでございまして、決定をすれば一体となるわけですから、憲法六十六条の第三項との関係の問題が生ずることは考えられません。  また、この改造内閣に対して、いろいろな御批判がございましたが、先ほども申しているように、いろいろ決定に至る過程においては、議論があることは当然であります。しかし、一たん決定をされれば内閣は一体となって難局に当たるわけでございまして、造反などはあり得ないわけでございます。福田、大平、河本君など経済関係の閣僚の諸君には、経済の非常に重要な時期でありますので、経済を重視する見地から引き続き閣僚として留任を要請して、この要請にこたえられたわけでございます。改造内閣は、強力に国政を推進する能力を十分持っていると考えております。  また次は、ミグ25の問題についていろいろ御質問がございましたが、これは先ほども申し上げたように、この問題は国際慣行などにも照らしまして冷静に慎重に処置を行っておるわけでございまして、この事件が起こったことは、わが国政府及び国民の意思とは何のかかわりもなく発生した事件であり、こういう事件によって本来の日ソ間の基本的友好関係に影響を及ぼすことがあってはならないという考えでございます。政府としても、ソ連側もこういうこの事件の基本的性格というものを正確に理解をされることを望むわけでございます。  また、ミグ25の解体の問題についてでございますが、函館空港、島本君も北海道の御出身でございますが、函館空港をいつまでもあのような状態に置くことは、警備からいっても、民間空港の見地からしてもそのままにおけませんので、これを移動しなければならぬ。移動するについては、その輸送などに対しては自衛隊の力だけでは、これは力の及ばない点もございますから、アメリカの専門家の協力を得たわけでございまして、日米で共同作業をしておるというような性質のものではないわけです。あくまでも日本が自主的に、日本の自主的な立場で、自己の責任においてこの処置をいたしておるわけでございます。したがって、今回の調査が終わり次第、わが国に侵入した背景等についての調査を終了いたしました段階で、機体の問題の処理というものをつけたいと思うわけでございます。  また、ロッキード事件の解明についてはどうするのかということでございますが、この問題は、石橋君に詳細に私の考えておる手順を申し述べましたので、これをそのとおりに御理解を願いたいのでございます。  また、田中前総理の逮捕の問題についてお触れになりましたが、ロッキード問題の容疑が、われわれがかつて総理・総裁として仰いだ田中氏に及んだことは、大変私にもショッキングなことでありまして、まことに残念でございます。  私は、総理・総裁として責任のとり方というものに対して真剣に考えてみたわけでありますが、ロッキード事件の真相を徹底的に解明して、国民の政治に対する信用の回復を図る、このことがわが国の民主政治の健全化のために必要なことであるから、それに挺身することによって責任を果たしたいというのが私の現在の心境でございます。  それから、証人喚問のことについては、石橋君にお答えをしたとおりでございます。  また、いわゆる灰色高官についても、先ほど石橋君にお答えをしたとおりでございます。  また、稻葉法務大臣が中曾根、佐藤君などに対して指揮権を発動しておるのではないかというお話がございましたが、法務大臣が検察当局に対して指揮権を発動するようなことは絶対にありません。私も法務大臣も、この問題に対しての解明には政治的配慮を加えないというのが基本的な態度である、このことは今後も変わることはありません。  また、災害についていろいろお述べになりまして、御提案がございましたけれども、島本君の御提案はほとんど政府もやっており、やろうとしておることであるということを申し上げておきたいのでございます。  また、下請代金については、これは下請代金の支払い遅延防止法は実効が上がってないではないかというお話でございます。下請代金の支払いの遅延や長期サイトの手形の発行等を防止するために、立ち入り調査というものを強化したいと思っております。そして、下請代金の遅延防止法の厳正な運用というものをさらに今後指導を強化してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、老人医療の問題についてお話がございましたが、老人医療問題については種々論議があることは、島本君御承知のとおりでございます。この問題は、国民全体の医療保障のあり方や総合的な老人の福祉対策の一環として検討されるものでございますが、いますぐ老人の医療を有料化する考えは持っておりません。  それから救急医療体制の確立、これは、御指摘を待つまでもなく、いま非常にこの体制の整備が要望されておるわけでございまして、今後とも緊急医療体制の効率化、体系の整備というものは重点的に取り扱ってまいりたいと思っておるわけでございます。  年金制度は、島本君の御指摘のように、根本的に検討する時期だと思います。賦課方式というお話がございましたが、賦課方式を含め、財政方式のあり方について検討をする時期に来ておると思います。そういうことで、年金問題というものは全面的に検討をいたしたいと考えております。  それから、私が環境庁長官であった時代のそういう記憶からして、島本君が、環境行政というものを今後大いにやる気があるのかないのかということは、長い間そういう方面に対して関心を持っておる島本君としては、それはよく私の環境保全に対する熱意は御理解を願っておるものだと思っておったのに、あの質問はまことに私も残念に思うわけでございます。  やはり日本は、この狭い国土に一億の人間が住んでいかなければなりませんから、開発をやらぬというわけにはいかぬ。開発はやらなければいかぬ、それは環境を犠牲にする開発であってはいけぬというのが私の変わらない考え方でございます。したがって、今後は環境のアセスメント、事前に環境調査をするということでないと、後からいろいろ環境上の問題が起こっても、それを手直しするということはできない場合もございますから、環境のアセスメント、これを私は、私の時代から力を入れておったわけですが、現在の環境庁についてもこの環境アセスメント、これを確立して、この点はまだ技術という点においてはいろいろ確立されていない点もございますので、この点を特に重視をいたして、開発をするにしても、環境が保全されるという前提の開発ということにいたしたいと思っておるわけでございまして、後退をするなどということはあり得ないわけでございます。  また、最後にロッキード事件にもう一度触れまして、いろいろこれを根本的にメスを入れるのにはどうするかというような問題でございますが、私は、基本にあるものは、政治のモラルを高めることだと思う。目的のために手段を選ばぬということが民主主義の敵である、この観念に徹するということが私は一番必要である。それは、法律で全部規制できませんからね。基本にあるものはやはり政治家の道義的観念、これがしっかりしておらなければ、法律の規制だけでできるものではない。公人としての倫理が確立されなければならぬ、これが第一だと思います。  また、次には、いろいろ法制的に考えなければならぬのは、政治に金がかかり過ぎるんですね、日本の政治は。それは諸外国に比べて金がかかり過ぎるわけでありますから、選挙などに対してももう少し金のかからぬような選挙をやるようにしなければいかぬ。公職選挙法とか政治資金の規正法なども、そういう面から政治の腐敗を防ぎたいという私の念願からああいう法案を提案いたしたわけでございましたが、今回の総選挙はこれが初めて実施されるわけでございまして、その実施の状態から考えてみて、これを改正する必要があったならば、これはもう一遍改正するにやぶさかでないところでございます。  また、ロッキード事件のような事件が起こらないような予防的措置というものも非常に必要がある。この点については今後ともいろいろな面で、政府の行政指導のあり方とか、許可認可事項の再検討であるとか、あるいはまた役人の方々の民間企業への天下りの規制の問題であるとか、いろいろ問題がある。この点は、そういう根本の問題についてもメスを入れなければならぬと思いますが、基本はやはり政治のモラルというもの、これが基本になる。この問題を確立せなければ、取り締まりだけで解決できるものではない。お互いに自粛自戒せなければならぬ問題だと考えておる次第でございます。(拍手)

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 最初に、先般来の自民党の党内問題と私の立場についての御質疑でございました。  政党といたしましても、内閣といたしましても、その進路につきまして時に論争がございましても、別に不思議はないと思うのであります。私は一党員といたしまして、また一閣僚といたしまして、そういう議論に参加したまででございます。ただ、自由民主党が政権を預かっておるわけでございまするから、総理からもお話がありましたように、その間に行政の渋滞を生ずるというようなことがございますならば、これは確かに御批判に値することだと思うのでございますが、私も財務行政を預かっておりますので、その間いささかも渋滞を来すことのないように心がけたつもりでございますことを御了解いただきたいと思います。  第二に、総理の御答弁で大体尽きておりますが、二、三私から補足いたすべきところがございますので、補足さしていただきたいと思います。  それは、まず景気対策と減税問題それから景気対策と公共投資問題でございます。景気対策につきましては、島本さんも仰せのように、個人消費が着実に拡大いたしまして、それをベースにして初めて景気対策が実のある景気対策になるという御見解は、私も同感に存ずるのでございます。したがって、生産と消費がこの春以来回復してまいりまして、雇用もまた改善を見つつございますることは、慶賀にたえないところでございます。ただしかしながら、最近ややこの足取りが緩みがちになってきた、テンポが遅くなってまいりましたということは、確かに御指摘のとおりでございます。  しかしながら、これはただいまわれわれがとっておりまする経済政策の基調を変えなければならぬということに直ちにつながるものとは考えないわけでございまして、減税政策を採択してまでやらなければならない事態であるとは私どもは考えていないわけでございまして、公共投資政策も含めまして、現在の経済政策というものを着実に実行してまいって、景気の立ち直りというものが期待できるのではないかという見解をいまなお持ち続けておるわけでございまして、せっかくの御指摘でございますけれども、いまの段階におきまして、減税政策を採用する、あるいは追加的な公共投資を行うということは、目下のところ考えておりません。  第二に、補正予算について、台風災害の対策、あるいは北日本の冷害対策、あるいは地方財政対策にかんがみて、補正予算を提出すべしという御提言がございました。  台風被害対策、冷害対策、地方財政対策につきましては、総理大臣も仰せになりましたように、政府といたしまして万全の対策をいま講じつつございますし、それらの財政的な裏づけは御承認をいただきました五十一年度予算で私は十分であるといま考えておるわけでございまして、補正予算をさらに提案いたしまして御審議をいただくという考えは、目下のところ持っておりません。  老人医療の無料化の問題につきましての御指摘がございました。  確かに、ことしの予算の編成のときに、大蔵当局といたしましては、四十八年の一月に老人医療の無料化を実行して以来の経過を踏まえた上で、また、市町村の国保の財政状況等を踏まえた上で、このままの状況で果たして本当の意味の老人の幸せというものが招来できるかどうかということに若干の疑問を持ったわけでございまして、一部の是正を提案いたしましたことは事実でございます。しかしながら、各方面から、なお検討すべしという世論的な御要請がございましたので、なお一年間、厚生省を中心といたしまして、老人福祉という立場からもう一度、これまでの経過を踏まえた上で検討してみようということで、ただいま検討いたしておるわけでございますので、五十二年度の予算編成までにはこの問題につきまして何らかの結論を出さなければならぬと考えておるところでございます。(拍手)

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まず第一に、自民党内の政局論争で私がとった態度についてのお尋ねでございますが、私は、いかなる社会、いかなるサークルにおきましても、論争のないところに進歩はない、こういうふうに思うのです。  ことに、政党におきましては、これは政党というものは非常に強い仕組みでございますので、ややもいたしますればこれは独裁体制にもなりかねないところがあると思うのです。その独裁体制のもとでの政党運営の結果が過去においてどういう結末をたどったか、これは島本さんもよく御承知のところであります。私は、今回の政局論争、これは内外ともに非常に重大な局面に立った自由民主党を真に国家のために、国民のために道を過たしめない、そのためにはどうするかという非常にまじめな論争であったと思うのです。私は、この論争こそ、この種の論争がいままで自由民主党の中になかったことが、これはかえってよくないことであったというふうに思うのです。今後とも、問題があるということになりますれば、率直に総理・総裁に対して私の意見を申し上げたい、かように考えております。  なお、これに関連いたしまして、なぜ私が改造内閣において留任したかという御質問でございますが、確かに私は三木総理大臣からこの改造に当たって留任を求められました。私は御辞退いたすべきか、あるいはお受けすべきかということをよく考えてみましたけれども、結局、私は留任、お受けするという選択をしたわけです。なぜそういう選択をしたかと言えば、そういう求めに応ずるという態度をとること、これが国家、国民のためである、さように考えたからであります。  社会党でもいろいろ党内論争ということがあるようでございまするけれども、論争が済んだ後、その論争のいきさつを根に持って、ぐじゃぐじゃ後まで尾を引かせるということは、これは私はよろしくないと思うのです。論争が済む、そういう段階になりますれば、これはもうあっさりと、またもとの統一された体制に移る、それが自由民主党の美しい党風である、かように御理解を願いたいのであります。  さらに、島本さんから景気の状態についての御質問でございましたが、これはもう大方総理大臣より、また重ねて大蔵大臣からお答えしておるので、私からつけ加えることは多くはございませんけれども、あの深刻な石油ショック後の立ち直りとしては、私は順調に動いておる、こういうふうに見ております。  特に、景気の側面についてのお尋ねでございましたけれども、国民の消費にいたしましても、住宅の投資にいたしましても、あるいは産業の設備投資にいたしましても、まずまず着実な動きを示しておる、こういうふうに私は見ております。年度ちょうど半分の段階でございまするけれども、年度初頭に皆さんに申し上げたように、大体私は、五%ないし六%成長、そういう線に沿っていまの日本経済、景気は動いておる、こういうふうに見ておるわけでございます。そういうことで、いま経済政策について重要な変化を考えるという必要は、私は認めておりません。  したがいまして、ただいませっかくの御提言、減税によって景気を刺激すべきという議論には賛成いたしかねます。  また、財政の面から見ましても、いまここで所得税減税をするというような余裕はとうていないのです。これは三兆七千億円の赤字公債を発行しなければ国の財政の均衡が得られないというような厳しい状況下においては、とうてい考え得られざることであるということをお答え申し上げます。(拍手)

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 大体、総理からすでにお答えになっておるものと思いますが、この際、ミグの問題につきまして、私の考え方を一言申し添えておきたいと思います。  日本の安全保障にとりまして潜在的脅威を構成するミグ25戦闘機が、今回、わが国の領空を侵犯いたしまして、強行着陸をいたしました。この軍用機の性能、機能を調査することは、日本国民の安全のために必要なことであり、防衛庁長官の責務であるというふうに考えております。(拍手)      ————◇—————

三塚博自由民主党

○三塚博君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十八日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。

秋田大助自由民主党副議長

○副議長(秋田大助君) 三塚博君の動議に御異議ありませんか。

秋田大助自由民主党副議長

○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会      ————◇—————

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