外務委員会 第6号
- 発言数
- 199 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1976/10/22
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
○土井委員 いわゆる日韓大陸棚協定についての審議に臨むに当たりまして、ひとつそれに先立って外務大臣に対してお伺いをしたいことがございます。 それは、もう申し上げるまでもなく南北朝鮮がいまのままであるということは、日本、ひいてはアジアにとってまことに不安定な状況をもたらしているわけでありますから、そのためにキッシンジャー長官の国連提案もございますし、わが国においてはさきの本会議における三木総理の演説で、南北同時加盟を所信表明として明らかにされたといういきさつもございます。 そこでまずお伺いしたいのは、三木内閣の外務大臣として、外務大臣御自身のこの問題に対する御所信はいかがであるかということをひとつお聞かせいただきたいのです。いかがでございますか。
○小坂国務大臣 土井さんにお答え申し上げますが、私もいまお述べになりました朝鮮半島に対する考え方、これは土井さんと全く同様に考えるわけでございます。ただ、非常に不幸なことに三十八度線によりまして両地区に分かれておりますので、その双方ができるだけ話し合って、同一民族でございますから、将来のことを考えていくということは望ましいわけだと思うのでございます。しかし現実には非常に厳しく激しく対立しておるのでございます。ただいま御引用になりました総理演説でも、双方が希望するならば国連同時加盟もよかろう、国連の枠内また枠外においていろいろ話し合っていくことによって相互理解が図られていけば、それが平和の基礎になるので非常に結構だと思うわけでございます。ただ、いままではああいうことを申しますと、土井さんよく御承知のように、現状を固定化する、反対だというような意見があったわけでございますが、今度はそういう話がないだけ若干希望が持てるんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
○土井委員 そういうことであるならば、それに対してまず第一歩として、わが国としては北との何らかのアプローチがどうしてもこの節今後必要になってくると思われるわけであります。特に民間レベルを中心とした民間貿易事務所であるとか、それから新聞記者の交流なんかを図るということはまずそれの第一歩ではないか。その中で、わけても北の出来事というのは、具体的事実が事実としてわれわれによく伝わってこない。私たちにどうも実情がよくわからないというのは、やはり新聞記者の交流が現実においては全くないからだというふうなことを思わざるを得ないわけでありますが、こういう点については外務大臣としてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○小坂国務大臣 朝鮮民主主義人民共和国との対話ということも必要であろうということで貿易の点もやっておりまするし、人の往来についてもいままでと比較にならぬほど最近ふえておるわけなんでございます。ところが、体制の相違と申しますか、情報は非常にわが国と比べて少ないようでございまして、そういう点ではおっしゃるとおりのことはあると思うのでございます。しかし、そういう状況の中において事務所を持つとか、あるいは新聞記者交換をするとかいうようなことが、一体どの程度の情報をつかみ得るのであろうかと考えてみますると、その点若干、私個人の考えでございますけれども、リラクタントであるわけなんです。
○土井委員 外務大臣、最後の方がちょっとはっきり聞き取れなかったのですが、実は、外務大臣もよく御承知のとおりで、いままで国交回復してきたそれぞれの国とわが国とのつながりというのは、まずジャーナリストの交流という点から始められたといういきさつがございますね。ベトナムに対してしかり、中国に対してしかりです。しかもその間、日中国交について野党外交が成果を発揮し得たということは、だれしもが知っている事実として確認されているところだと私も思うのですが、それは外務大臣もお認めいただけるだろうと思います。そこで、朝鮮民主主義人民共和国の方に対しまして、いろいろと新聞記者常駐の問題、新聞記者交流の問題についてどのように考えられるかということの話し合いを進めてみたところ、もし日本の政府側にその気持ちがあるのならば、全面的にこちらとしてはそれについて実現させたいというふうな考えがあるという向きも伝えられてきているわけであります。したがいまして、こういう向こう側の意向からすると、もうあとは外務大臣がそれに対して乗り切られるかどうかということ一つにかかっていると申し上げても過言じゃない。したがいまして、すでにこういうふうな状況があるということを前提として、外務大臣として今後このことに臨まれる御所信をひとつ承りたいのですが、いかがでございますか。
○小坂国務大臣 北朝鮮側は韓国の存在というものは認めておらぬわけでございます。そういう点にもいろいろな問題があると思いまするけれども、とにかくただいまの御設問の点、貿易事務所なり記者交換なり、そういう問題につきましては、そういう提案でも具体的にございましたら、その段階において検討したいというふうに思います。
○土井委員 そうすると、具体的にございましたらということでございましょうから、このことに対しては私たちも御承知のとおりにパイプを持っております。このパイプを通じまして、向こう側からの具体的な正式の伝達ということを外務大臣が察知されるような状況になれば、そのことに対して具体的に外務大臣としては努力を惜しまれないということを確認いたしましてようございますね。
○小坂国務大臣 具体的な提案がございますれば、その提案について検討をいたします。
○土井委員 検討という言葉は使い方によってまことに微妙でございまして、どういうふうなお気持ちでそれに臨まれるかということは、全くその検討というお言葉の中からは察知できません。外務大臣としては、いままでの御答弁の中では、これに積極的にお乗りになるお気持ちがおありになるのかどうかということがもう一つうかがえていないように私存じますので、ひとつそこのところをきっぱりと、外務大臣らしくお答えいただけませんか。外務大臣、いかがです。
○小坂国務大臣 実はそういう提案が具体的にございませんものですから、あった段階で検討すると申し上げるよりないわけでございまして、どうも片思いのようにこちらから余り言うこともいかがかと思いますので、具体的な話があれば具体的に検討して、そして結論を出すということしか申し上げられないことを御了承願いたいと存じます。
○土井委員 それじゃ重ねて申し上げますが、新聞記者交流、新聞記者のお互いの常駐、このことに対しては外務大臣としてはあえて反対はなさらない、これは結構なことだと思っていらっしゃるでしょうね。このことについてひとつ。
○小坂国務大臣 ただ、冒頭に申し上げたように非常に情報が局限されておりますから、一体そういう情報を局限されている中でどの程度の好ましいことができるのかということを検討しませんと、余り具体的なことをこの段階で申し上げることは困難ではないかというように思うのでございます。
○土井委員 それは、情報とおっしゃるのはどういう情報なんですか。私がきょう御質問申し上げているのは、北からの情報がわれわれに入らないのですよ。したがって、正確に朝鮮半島における友好平和の外交姿勢で臨むということに対して、むしろ十分じゃないという点があるのじゃないか。やはり事実を事実として知るというのは、何といっても外交問題について進める第一歩でございますわね。したがいまして、そういうふうな点から私は申し上げているわけですから、いまの情報が限られるとおっしゃっている意味が私にはよくわからないのですが、どういうことをおっしゃっているわけでありますか。
○中江政府委員 先ほど大臣が御答弁になりましたことの補足になると思いますけれども、基本的には土井先生もおっしゃいますように、わが方で北朝鮮の実情について、これはもうあらゆる面でございますけれども、十分知ることができない、知るすべがない。そのために相互理解のうちのわが方の北朝鮮に関する理解というものは不十分である。そういう理解不足のためになかなか日本と北朝鮮との関係というものがうまくいかない。つまり具体的に申し上げますと、北朝鮮側に日本政府の態度についてさまざまの誤解があるということも私どもは痛感しておるわけでございますから、そういう観点からいたしますと、御意見のように何とか北朝鮮の実情について、政治、経済、社会生活、文化、あらゆる面についてわれわれはもっと知りたいと思っておるわけです。 いまお話しのございました新聞記者の交換というものも、そういうことに役立つものであれば非常に結構なことだろう、こう思うのですが、ただ記者交換の問題は、一般的にいままでいろいろの国との間で問題になりますのは、ああいう体制の国の場合には、両方が相互主義を主張する。相互主義ということの意味が、その取材活動についても果たして相互主義が確保されるのかどうかということが過去の経験からいたしますと問題になります。抽象的、一般的に申しますと、先生のおっしゃいますように、そういう新聞記者、報道関係者が向こうに行って自由な取材ができて、そして向こうの事情がいままでよりもよくわかるということは歓迎すべきことなんですけれども、いままで記者交換という形ではないにしても、若干の報道関係者がピョンヤンに訪れられたときの経験などからしまして、果たしてわれわれの陣営で考えているような報道の自由、取材の自由というものが確保されているのかどうかということについては、まだ疑問を持つ向きもございますし、その辺は政府といたしましても、公のチャネルはございませんけれども、いろいろな関係から入ってくる情報を慎重に検討いたしまして、本当に効果の上がるものならば、大臣もおっしゃいましたように、具体的な提案があったときにそれを考えて、何とか日本と北朝鮮との間の相互理解を深めることに努力したい、こういうのは私ども事務当局でも考えている点でございます。
○土井委員 そうすると、いまの御答弁からすれば、あらゆる情報からそういう条件をそれなりに察知して、そのように推測されている段階なんですね。だから正式に記者の交流とか常駐についての話し合いはいままでにないわけですね。話し合いがあってから、初めてそういうことに対してどう考えるかという条件は話し合われるわけですね。したがって、その問題はまだいままでのところないということなんですね。そうでしょう。したがって、こういうことに対して外務大臣に再度申し上げたいのは、話し合う御用意がおありになりますね。それも向こうの出方待ちであって、向こうが言ってくることをただひたすら待つというのでなくて、やはりこちらが積極的姿勢を持たないと、そういう問題に対しては全く動かないであろうと私は思うわけです。しかし、私たちもパイプを持っておりますから、野党外交がいままで一定の成果をおさめてきたといういままでの実績の上に立って、今回も必ずこのことに対してはやることができるという自信もございますから、北側に対してのパイプを通じてこのような問題の伝達を努力してまいりたいと考えているわけでありますけれども、外務大臣としては、このことに対してどのようにお考えになるかということを再度お伺いします。
○小坂国務大臣 土井さんのこの問題に対しての御努力を高く評価をさせていただきます。今後も問題をできるだけ具体的に詰めてまいるというふうな私の考えもお聞き取りいただいたと思うので、さような姿勢でひとつお考えをいただきたい、こう思います。
○土井委員 この問題については具体的な提案に従ってお考えになるということですが、一つ最後に申し上げて次に進みたいと思うのは、従来こういうことが伝え聞かれております。それは相互の記者の常駐をめぐって、治安上の理由から法務省並びに法務大臣の立場において、このことに対して大変消極的な態度をとり続けていられるという話であります。国内的に条件が調わない限りは幾ら話し合いといったってそうはいかないはずでありますから、この問題については、特に法務大臣や法務省に対して、外務大臣からの強力な説得を進められるように申し上げたいと私は思うのです。もしそれ以外の何らかの条件がありとするならば、なぜこの話し合いがスムーズに進まないかという条件も客観的に把握できるようなものでなければならない。恐らくは、それがない限りは、南からの圧力に外務大臣は屈して、こういうことに対しては十分お取り扱いをお進めにならないというふうないろいろな推測があっても、このことに対して否定はし尽くせないと私は思うわけであります。したがって、再度申し上げたいのは、あらゆる国交回復をしていったいままでの外交のいきさつからいたしまして、ジャーナリストの交流からそれは始まったという前例に照らしましても、やはり朝鮮半島における、北の朝鮮民主主義人民共和国との交流は事実の把握から始めなければならない。そのためにはジャーナリストの交流や常駐ということを考えることから始める、これは、いわば一つのあり方としては常道だと私は思うわけで、この点を再度外務大臣に申し上げまして次に進みたいと思います。これはよろしゅうございますね。 さて、この日韓大陸棚協定を問題にするときに、一つどうしても私たちにとってはひっかかる問題があるのです。それは、韓国政府から、例の金大中事件においてわが国の主権侵害がなされて、それが放置されたままで外交決着がつけられた形になり、しかも、かの事件に対しての具体的な解決は全くないままに今日に至っているというのがこの実情だと思うのですが、こういうふうな状態で正常な外交関係が日韓間に形成されるなどとは、恐らく考えている人はなかろうと私は思うのです。これからこの協定が締結をされてしまいますと、そして発効いたしますと、五十年の長きにわたって両国間のあり方を拘束していくという中身を持つわけでありますから、この協定を発効させる以前に、日韓間の基本土壌というものが正常化しない限りは、常に不安定のままで問題を残して、しかもいろいろな紛糾が絶え間なくこの日韓大陸棚協定をめぐって続き続けるというかっこうをわれわれとしては覚悟しなければならないと思います。 そこで、去る十月八日の当委員会で、水野委員の御質問に対しまして中江局長が御答弁をされておりますが、その御答弁の中に、「金大中氏の問題というのは、単なる一韓国国民の問題以上に、外交的にもうすでに日韓両国のみならず、アメリカなどでも注目されている問題ですので、私どもも、ただ三・一民主救国宣言事件は国内事項だということだけで、知らぬ存ぜぬというわけにはいかないという認識は持っておるわけです。」以下云々という御答弁になっているわけですね。いま議事録に従って私は読んだわけです。ところが、こういう、いま私が読ませていただいた文面からすると、それではどうするのかという肝心の点についての御答弁は全く欠落したままなんであります。あとずっと拝読してみたのですけれども、どうもそのどうするのかという点が欠落したままなんです。そこでこの点をひとつお尋ねしたいと思います。 私たちは、いまのこの中江政府委員の御答弁の前段の個所を前提として考えるならば、その認識を前提とするのならば、金大中氏に対しての原状回復が何よりも先決問題であり、そのために政府わけても外務省は、何をさておいても最大限の努力をするべきであるというふうに考えているわけですが、この点はどのようになっているわけでありますか、お伺いしたいと思います。
○中江政府委員 金大中氏の原状回復という問題は、あの事件が起きました直後からいままで、さまざまに議論されておるわけでございますけれども、再三政府側として御説明いたしておりますように、国際法上の権利として金大中氏の原状回復を韓国に向かって請求する、要求するというための根拠としては、どうしても韓国による日本の主権侵害があったという事実についてはっきりした確証を得なければならない、これが一貫した政府の立場であったわけでございまして、あの事件が起きましてからも、わが方の捜査当局の懸命の御努力によりまして、その主権侵害の疑いが濃いという意見が非常に強かっただけに、その成果に期待したわけでございますけれども、残念ながら、被害者も加害者も日本の国外に去ってしまって、議論だけが日本に残ったというかっこうになったために、捜査当局の捜査も、傍証固めその他いろいろございましたけれども、ついに現在までのところ主権侵害があったという確たる証拠をつかみ得ないままで推移している。 他方、土井先生と多少私どもの認識の違いますところは、この事件が最終的に決着するまで日韓間は正常な関係を持ち得ないと決めてかかるのか、それともこの事件は事件として引き続き国際刑事事件として捜査が続いておるわけでございますので、その捜査の結果を待つ。その捜査の結果、主権侵害についての確たる証拠が出てまいりますれば、申し上げましたように、改めて韓国との間でそれに基づく国際法上の責任を追及する。その追及の一つとして、金大中氏の原状回復ということも、これも外交の問題となり得るということで臨んでおるわけでございまして、その過程において、やはり十年間の関係正常化以降の日韓友好関係にかんがみますれば、外交的にはもとに戻す、そして日韓関係は友好に隣同士として関係を深めていくべきであるという認識のもとに、一九七三年の十一月二日に、外交的には決着を見るということで、外交的決着をつけた、これは御承知のとおりです。 その外交的決着をつけたことによって、何もかもうやむやにしたのだという御印象が多いのですけれども、前回の、いま御引用になりました私の答弁の、恐らくその後で出てきておると思うのですが、それじゃどうするかという問題につきましては、原状回復を要求するに至る十分な証拠はまだ持たないけれども、その外交的決着の際に日韓間の最高首脳の間で了解がありまして、それに、金大中氏の身柄の自由については、出国を含めて一般韓国人と同様に自由が保障されるということの了解があるわけでございますので、日本政府としては、いまの段階では金大中氏につきましては、その了解事項について韓国側の認識に間違いがないかどうか、韓国側はその了解に基づいて金大中氏を処遇しているかどうかということを機会あるごとに先方に確認し、先方はそれに間違いはない、変更はない、ただ、いま金大中氏がああいう身柄の拘束を受けているのは、三月一日の民主救国宣言事件という金大中氏誘拐事件とは関係のない韓国の国内法制上の問題として取り扱われている、こういうことで、そこのところは隣国同士でありましても、また隣国同士でありますだけに、主権の尊重、内政不干渉という国際法上の原則は筋として守っていきたい、これが現状である、こういうことでございます。
○土井委員 いまるる述べられましたけれども、それだからどうするかということは、まだ何もお伺いできていないわけで、現状に対しての認識をここで披瀝されたにとどまっていると私は思うわけであります。 そこで、これはるる御質問をいたしましても、同じ答弁以上には出ないだろうと思うので、当委員会の名において私はひとつここで提案をさせていただきたいと思うのですが、金大中氏の事件をきっかけにして、KCIAの活動というのはさまざまな形で日本の国内において具体的な動きがあるということが、いろいろな伝えられ方をいたしてまいっております。アメリカにおいてもそのような活動のあることがアメリカの議会でも取り上げられて、公聴会もそのために催されるということにもなっていっているわけでありますが、きのうも参議院の外務委員会で田英夫委員の方からもこの問題に対しての質問があったはずであります。この事件をめぐる解決をまだ見ていないというふうな問題もあるわけでありますから、この節、KCIAの日本の国内における活動をめぐる参考人を当委員会にお呼びいただいて、いろいろ事情を聴取するという機会をぜひここでつくっていただきたいと思うわけでありますが、これは委員長に提案いたします。いかがでございますか。
○藤本委員長 土井委員に申し上げますが、いまの件につきましては後刻理事会で御相談いたしますので、御了承ください。
○土井委員 さて、大陸だなという問題についてさらに少しお伺いをいたしたいと思います。 先ごろ大石農林大臣は、次の国会で十二海里領海をはっきり提案するということを言明され、そうして一昨々日は外務大臣はその点に対して大変消極的な答弁をされているのでありますけれども、外務大臣自身はこの領海十二海里という問題に対してどういうふうな対処の仕方を、またお考えを現にお持ちになっていらっしゃるわけですか。
○小坂国務大臣 土井さん御承知のような経緯でございますが、要するに内閣といたしましては領海は十二海里ということで行こう、ただ、その時期と方法については、経済的にも漁業以外にたとえば海峡の通航権というようなものがいろいろございまして、わが国の死活を制する石油がマラッカ海峡その他を通ってくるという問題もあるし、それからまた非常に大きな非核三原則の関係もある。そういうことで海洋法会議の進行と相まって結論を出そう、こういうことを決めておりますので、ただ卒然と国内法でできるのだというようなことを言われましても、これはいままでの方針と違うものでございますから、さらに内閣官房において意見を調整してもらって進みたい、こういう方針でおるわけでございます。そのことは私から先方にも申しまして、さようなことになっておるわけでございます。
○土井委員 いま外務大臣のお述べになったマラッカ海峡にいたしましても、非核三原則の問題にいたしましても、相手国のあることでありますから、そう一筋なわでいく問題ではないということは十分承知の上で、私たちはいまおっしゃったことに対してそれとは違う対応の仕方が十分にできるという反論も持っております。マラッカ海峡にこだわる必要はない、非核三原則とは一体どういう関係なんだ、無関係なものをわざわざ引っ張り出してきて、ために屋上屋を重ねて、事をこっちの方向に引っ張っていかせまいとするような手だてに使われているのじゃないかというふうにすら憶測できるような問題の認識ではないかというふうにも考えられるわけですが、大臣、これからいよいよ待ったなしに選挙になるわけです。私たちは沿岸漁民の方々ともお話をしなければなりません。特に零細漁民の方々は、御承知のとおりに一日も早く十二海里になるということを待ち望んでいらっしゃることは事実なんですね。したがって、いま農林大臣は十二海里に対して非常に乗り気で、あのように積極的にやろうとなさっているのだけれども、その足を引っ張っていらっしゃるのは外務大臣及び外務省なんだということを、全国の有権者の方に選挙を通じてはっきり私たちが言明いたしましてようございますか。いかがですか。
○小坂国務大臣 その御認識は全く違うのでございます。わが国は海洋国家でございますから、海洋の問題に対しましてはどこの国よりも大きな利害関係を持っておるわけで、それなればこそいろいろと苦心をいたしておるというわけでございます。ただいま北の方の沿岸の漁民の方々が非常に困難をしておられるという点については、私も政治家でございますから、よく承知をしておりますし、何とかしてこの苦境を除く措置をとらなければならぬということもよく承知しておるわけでございます。大体小さな船に乗り、あるいは本当に沿岸で漁労をするというのは、言ってみればプロレタリアートでございますね。そのプロレタリアートを外国がその力に物を言わせて脅かすというようなことはやめてもらいたいというふうに思いますし、それなればこそ、近海操業に対してある程度の協定ができておるわけなんでございます。だから、そういうことでもございますし、実はこの問題についてどうすればいいかということをいろいろと相談いたしておるのでございますが、私の方から一方的に相手の話も聞かぬでこうしたらいいというようなことを言いますことは、農林大臣に対して失礼だと思いますから、いま申し上げたような調整をいま内閣でやってもらっておりますので、お話しのようにほどなく選挙もございますから、わが党に不利になるようなことはいけませんから、私も長くおります党員でございますから、十分考えまして国際的に通るような——国内法で十二海里と決めたらみんなほかは言うことを聞けというようなわけにはいかぬわけでございますから、そういう点を十分考えまして措置をとってまいりたい、こう思っておる次第でございます。
○土井委員 わが国にとって不利になるようなことはしない、これは当然だし、それから国際間の話し合いが必要だということも事実であります。したがって、そういう問題に対しては慎重に相手に対して話し合いをやっていく、これは非常に大事な姿勢だと思うのですが、そうなりますと、新しい海洋法秩序であるとか大陸だなについての国際的な考え方がいま樹立されようとするやさきなんでありまして、このことに対してはやはり国際間の問題であるとか、あるいは日本の国に不利になるようなことであってはならないというような問題であるとかを基本に、しっかりと考えながら、大臣もお話し合いを進めていらっしゃる最中だと思うのです。その新しい海洋法秩序や大陸だなについての国際的な考え方というのは、日本もそれに対して国益に反するようなことは困るという基本姿勢で臨み、また国際社会においてそれなりの発言をして具体化されて、それを待って日韓大陸棚協定を考えていったらいいことじゃないですか。いまそういう新しい海洋法秩序や大陸だなについての国際的な動きがあるときに、わが国に対して不利な条件を持ってくるかもしれぬ、またこのことが具体化されてわが国の国益を果たして守ることになっているかどうかという点からすると、多くの疑義を伴っている中身を持ったもので、この協定を急いで結ぶという必要はないと私は思うわけであります。いかがです、大臣。
○小坂国務大臣 日韓大陸棚協定に関しましては、この機会にひとつ少し申し上げさせていただきたいと存じますが、これは実は調印をいたしましてから二年半以上、三年近くたっておるわけであります。わが国がバイラテラルな条約ないし協定に調印いたしましてから、このように時間のたったものはほかに一件もないわけでございます。御承知のように、大体調印したその後の国会で御承認をいただくようにやっておるわけでございます。しかし、これが唯一の例外でございます。 そこで、この大陸だなの関係は御承知のように自然延長論というのが非常に強いわけでございますね。今度の海洋法会議でも自然延長論が大体行く行くの大勢ではないか、日本の言っているような中間基準線というのはなかなか通りにくいようなかっこうになっておるわけです。ですから、私は韓国側にしてみれば、これはほっといてもっと自然延長をして、この線よりもっと日本側の方に食い込めるのではないか、こう思うのじゃないかと思うのです。ですから、そういう意味でも、私はせっかくできた協定を早く批准していただく方が国益に沿うゆえんではないかというふうに思うのです。これは韓国を大事だと思う人も、あれはどうも感心しないと言う人も議会内でもいろいろな御意見があるわけでございますが、韓国はどこへも行かぬわけですね。何と言っても日本の一番近い隣国であるわけなのでございまして、この韓国との間にわれわれは協定を結んだら、できるだけ早くこの協定を発効させて争いがないようにする必要があると思うのであります。御承知のように、トルコとギリシャの間でエーゲ海の問題が紛争になっているわけでございますね。ああいうような問題が将来日本と韓国の間にできないように、できるだけしておかなければならぬ。ことに、石油が出るか出ないかわかりませんが、とにかく出るというエカフェの調査でそういう問題があって、ここでこうこう決めていこうということになっておるのでございますが、せっかく決めたことはできるだけ早くそれに従って決めておきませんと、将来石油でも出てくればますますそこに利益が絡まってきますから、紛争の種になりやすいわけです。 そういう意味で、やはりこの協定は大所高所に立って日本の国益ということを考えていただいて、しかもこの問題を残すと将来われわれの次の世代に問題を残していくことになるものでございますから、できるだけわれわれの責任においてこれに早く決着をつけていただきたい、こう私は思っている次第でございます。
○土井委員 国益を考え次の世代の問題を考えるがゆえに、いま大急ぎでこのことに早く決着をつけるということが間違いだと私は申し上げたいと思うのです。 いま自然延長ということをおっしゃいましたが、大陸だなの概念について少しお尋ねしたいと思うのです。 いらしてくださっていますね。——いまの海洋法会議についてのいきさつなどを把握なすっていらっしゃるはずだと思いますが、九十九里浜を一つ例にとらしていただきましょう。現行の大陸棚条約で考えてまいりますと、九十九里浜を例にとりましてどの辺までを大陸だなというふうに認識してようございますか。
○村田政府委員 九十九里浜の先のどの辺までが大陸だなかという御質問でございますけれども、具体的にどれぐらいということはちょっとお答えするのはむずかしいと思いますが、一般国際法の大陸だなに関する考え方を申し上げますと、領海の外、深海海底に至るまでの一定の範囲というのが大陸だなでございます。五八年の大陸棚条約によりますと、水深二百メートルあるいは開発可能の限度までということになっておりますけれども、しかしながら現在行われております海洋法会議におきましては、こういった水深とかあるいはその海底の地形ということによりませんで、一定の距離に基づいて大陸だなの範囲を決めるべきであるという考え方と、それから自然の延長と呼ばれておりますように、その大陸が海底に延びまして、その延長の外縁までという考え方があるわけでございます。したがいまして、現行の大陸棚条約の二条にいろんな規定がございますが、沿岸国が天然資源の開発に関しまして排他的な権限を持ち得る地域という概念は国際法的に定着していると思いますけれども、それを超えてどの程度の範囲が大陸だなであるかということは、まさに現在海洋法会議で議論をされておるところでございます。したがいまして、海洋法会議の結論を待ちまして、初めてどこまでが一般国際法上認められる大陸だなかということが決定されるということでございます。
○土井委員 いまの大陸だなについて海洋法会議で検討されていると言われる面は、まず単一草案の中で具体化されていっている中身に対しての検討であろうと私は思いますが、この単一草案に従って考えていきますと、また九十九里浜を例にとりますが、一体あそこの大陸だなはどのようになるわけですか。距離ではかるとおっしゃいましたが、ちょっとその辺明確におっしゃってくださいませんか。
○村田政府委員 現在海洋法会議で行われております議論にかんがみて申し上げますと、いずれにいたしましても距岸二百海里までは大陸だなとみなすという点については、ほぼ各国のコンセンサスがあると言っていいかと思います。しかしながらそれを超えまして、さらに自然の延長の論理に立ちまして、大陸だなの外縁までという考え方をとるといたしますと、その外縁をいかなる基準で決めるかということはまだ決まっておりません。まさにこの点について議論が行われておるわけでございまして、去る八月、九月に行われました海洋法会議のニューヨーク会期におきましても、たとえば堆積層の厚さというふうなものを基準にして外縁を考えたらいいのじゃないかというような考え方も示唆されましたけれども、これは反対という国もございまして、まだその辺については結論が出ておらないわけでございます。したがいまして、恐らく予想されますところでは、距岸二百海里までという点は大体異議がない。しかしそれ以上に延びるかどうかという点は、まさに今後の交渉の結果決まってくるということでございますので、九十九里浜からどうかという御質問でございますけれども、いまの海洋法会議の趨勢から見ますと、九十九里浜の沿岸から二百海里までは大陸だなとみなされるということになろうかと思いますが、それ以上につきましてみなされるかどうかという点は、まだ結論が出ていません。
○土井委員 そうするとこの単一草案の中身からすれば、いま私は九十九里浜についてお尋ねしたわけですが、日本列島全体は沿岸二百海里に及ぶところまですべて大陸だなに覆われているとまず考えていいわけでしょう。その二百海里以上に、いわゆるコンチネンタルマージンの外縁にまで及ぶかどうかがいま問題にされているという御答弁なんですね。だから、二百海里ということは文句なしなんですね、単一草案の中身で考えているのは。そうでしょう。大陸だなというのは、日本列島全体について言うと沿岸から二百海里まではすっぽり大陸だなというふうに考えなければならぬ、このことで出発しているわけですね。そういう考えでまいりますと、いま問題にしている日韓大陸棚の協定については、今後この結論を待ってやるということが、いわば国益からするとやはりはっきりした線を出すことができるでしょうし、そしていまのこの協定から考えて不利になる条件は全くないと思うのです。しかもなおかつ、そのときにはっきりさせていくことの方が、国際社会における日本の信用にも十分に影響が出てくると私は思いますよ。信用を獲得するという由来は、やはりこういう問題が具体的にはっきり海洋法会議で確立された後に取り扱っていってしかるべきではないでしょうか。 いま聞くところによると、待てば待つほど不利になるという論法があるようでありますが、私はそうじゃないと思います。むしろこういうことに対してはっきりされてから、このいまの日韓大陸棚協定に対して考えていくということが日本の国益を守るゆえんだ、国際社会において信用を獲得していくゆえんだ、こう申し上げたいと思うのですが、いかがです。
○村田政府委員 先ほど、先生九十九里浜の方からどれぐらいが大陸だなかということで御質問があったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現在この日韓大陸棚両協定の対象としております地域は、海洋法会議の結論を待つまでもなく、これが大陸だなであるということは明らかな地域であろうと考えます。したがいまして、この大陸だなを、いかにその境界を画定するかということが問題なわけでございます。この点につきまして、海洋法会議との関係を、先ほどの大臣の御答弁を補足して申し上げますと、大きく言って二点あると思うのでございます。 一つは、その大陸だな自体につきまして、距離基準で考えるかあるいは自然延長論をとるかという二つの大きい対立があるわけでございます。それで、わが国と韓国との間の大陸だなの境界画定につきまして、いわゆる南部地域について合意ができませんでした最も大きい理由は、わが国は、これが日韓の両国が共有する共通の大陸だなである、したがって境界を画定するのは中間線に基づくのが最も妥当であるという立場をとり、これに対して韓国が自然延長論に立ちまして、九州の西側にすぐ海溝があるというふうな地形的な理由もございまして、この共同開発の対象として協定上考えられております区域が、これはもう韓国の大陸だなであるという主張をしたということでございます。 そこで、この距離基準論と自然延長論が海洋法会議でどういうふうになっておるかといいますと、最近の趨勢ではますます自然延長論が優勢であるということでございまして、たとえば先般のニューヨーク会期におきまして、二百海里を越える大陸だなからの収益をいかに分与するかというふうな議論すら行われておるわけです。これはもう二百海里を越える大陸だなを認めるという大前提でそういう議論が行われておるわけでありまして、会議の後のアギラール委員長の報告というふうなものを見ましても、この二百海里を越える権利というものをやはり認めることが、海洋法会議全体のパッケージを成立させる上で重要だと思うということを委員長が言っておる。そういう点で、この海洋法会議の趨勢というものはわが国にとって必ずしも有利な方向に動いておらないということが第一点でございます。 それから第二点は、その大陸だなの境界を画定する基準がそれでは海洋法会議でできるかということでございますが、現在単一草案の七十一条で規定がございますけれども、それによりますと、非常に抽象的な公平の原則、それから適当な場合には中間線その他の事情を考慮するというふうな表現になっておりまして、非常にどんぴしゃりと自動的に適用されるような境界画定の基準ができるということはちょっと考えられないわけでございます。したがいまして、海洋法会議の結論がいかになりましょうとも、この日韓双方に隣接しております大陸だなの境界画定につきましては、わが国と韓国が交渉の上で決着をつけなければいけない。ところが、昭和四十三年以来この地域については日韓間で交渉が行われまして、結局双方が法律的な立場をいわばたな上げにしてこの協定をつくったということでございまして、海洋法会議の結論を待ったらもっとわが国に有利になるということは考えられないと思うわけでございます。
○土井委員 それはおかしなことをおっしゃいますね。法律的な側面をたな上げにして政治的折衝であった、これは正直に認められているとおりだと思います。いろいろ裏取引もございます。日韓癒着の上で決められていったといういきさつもございます。そこが問題なんですよ。海洋法会議の結論を待って、そうしてその後有利になるというめどが全くないとおっしゃるけれども、いまおっしゃったのは海洋法会議の現場でいろいろのやりとりを通じて、はだで感じたことをそれぞれ御説明賜った中身だろうと私は思いますが、しかし、いま私たちの手元にございます単一草案という中身を見ただけでも、この中間線をどこに引くか、また大陸だなに対して共同開発ということをどういうかっこうで考えていかなければならないか、これについてはしかとこの単一草案の中でも決めている個所がございますよ。申し上げるまでもない。 先ほど引き合いに出されたのは七十一条だけれども、七十条で現にそれを決めておりましょう。しかもこの大陸だなの定義に対して、問題にされております六十四条や、それからさらには沿岸国の権利としてある六十五条という個所などを見ますと、大陸だなに対し探査し、その天然資源を開発するための主権的権利を行使するとちゃんと書いてある。したがって、そういうこの前後の、これから海洋法会議で決められていく中身によって不利になるということは断じてない。国際間の取り決めを重視するということであるならば——韓国との政治的な配慮によって利権が絡んだ配慮からいろいろ政治的取引をやるなら別ですよ。しかし、国際間で正式に国際社会に通用する一般通念なり、さらにまた決められた国際条約なり国際的取り決めに従って考えていくというならば、決して不利になるということは私は言えないと思います。むしろ常識からすれば、そういうことが決められるのを待ってやるということが日本の国益に従って考える物の考え方じゃないでしょうか。そういうことを私は考えますが、いかがですか。
○村田政府委員 先にちょっと技術的なことを述べさせていただきます。 先生、七十条とおっしゃいましたのは、その後ニューヨーク会期でさらに改定されまして七十一条になった条項を私、先ほど述べたものでございますので、まさに先ほどの答弁で申しましたのはその境界画定に関する単一草案の規定のことでございます。 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、この南部の共同開発の対象として考えられております地域につきましては、わが国と韓国の主張が重複しておる地域ということでございまして、この点に関して、今回の海洋法会議の結果を待ちましても、これが明確にいずれか一方に帰属するという結論が出るということは、従来の海洋法会議の議論から考えまして考えられないわけでございまして、さらに境界画定の原則につきましてもいわば抽象的な原則というものが規定されるにとどまると予想されるわけでございます。したがいまして、両国が、この協定の二十八条に述べられておりますように、それぞれの大陸だな境界画定に関する法的な立場は損なわないという前提で、実際的にこの地域に関しまして非常に重要な資源の開発を速やかにやりたいということで締結したのがこの協定でございます。
○土井委員 速やかに資源の開発をやりたければ、境界線の問題に対しては、利権絡みの政治折衝で決めていったら何でもできるということであっては、何のために国際間の取り決めなり協定なりまた条約というものがあるかということにもなってまいります。その点は七十条の規定に従って私はまだまだひとつお尋ねをしたいと思いますが、これは時間のかげんがありますから次回に譲ります。ひとつ次回、もう一度この点については詰めを私自身やりたいと思います。 さて最後に、これは時間のかげんがありますから私は端的に御質問をしたいことがあるのですが、一九七四年の十二月の十六日の午後八時、韓国においては野党第一党の新民党が欠席のままでこの協定は承認をまず委員会でされて、明けて十七日の午後、本会議で、野党と怒号ともみ合いの中でこれを承認したといういきさつがあることは御承知だと思います。ついては、外務省とされては、事日本問題を取り上げる場合に、韓国の議会の現場に赴いて、つぶさにそういう事情を見てこられているかどうかということをお伺いしたいと思うのですが、いかがでございますか。
○中江政府委員 私どもといたしましては、締結した協定を相手国がどういうふうな審議をやって承認していくかということは、もっぱら相手国の制度と機構の問題でございますので、成り行きについては注目はいたしますけれども、しさいに、一々審議の状況を傍聴するとかなんとかということはしておりません。いま御指摘の、大陸棚協定が韓国の議会で通過いたしましたときの状況が、混乱した状況であったということについてはもちろん知っておるわけですが、その混乱の原因というのは、この日韓大陸棚協定に発する混乱ではなくて、この十二月十四日の、野党議員が別の案件で発言したことに端を発して本会議で集団乱闘事件があったということは聞いておりますが、その結果として、十六日の外務委員会には野党側が出席しなかった。政府・与党としては、野党も出て、与野党一致でこの協定を承認するのが適当だという議論もあったようでございますけれども、会期が迫っておったのが一つと、日本の国会における審議状況をにらみながら韓国側が承認をするというような自主性のない審議ではよくない、この協定によって資源の開発を促進するという韓国の国益に照らせば、韓国は独自の立場から承認できるときに承認すべきであるという議論が優勢となったと承知しております。結果としては与党単独で可決したということでございますが、その可決したいきさつで、いま御指摘の韓国の議会、本会議で乱闘事件があったというのは、この日韓関係とは関係のない、野党議員の発言に絡む混乱であった、こういうふうに掌握しております。
○土井委員 掌握されているのは結構ですが、外務省とされては、議会の現場に赴いてそのことを知っていらっしゃるわけじゃないんで、間接的にそのことに対しては仄聞なすっているわけでしょう。 ところで、わが国会は秘密主義では毛頭ございません。ここは開かれた場所でございます。そこで、私は渉外部からこういう資料をいただいているのです。これは調査をお願いしたからいただけたわけですけれども、これをずっと見てまいりますと、韓国大使館はまことに熱心に当委員会の傍聴席にいらしております。まことに熱心なものですよ。事韓国問題についてここで審議がなされる場合は、漏れなくいらしていると申し上げてもいいのです。この熱心さにはもう敬服のほかはございません。ただしかし、私たちがこの韓国問題についてここでいろいろ質問をいたしますと、その質問に対しての答弁というのは、ここで質問をやっているこの席を通り越して、あの傍聴席に来られている韓国大使館の方々の方を向いての答弁ではよもやなかろうと私は思うわけでありますけれども、そんなことはまさかないでしょうね。
○小坂国務大臣 さようなことは絶対にございません。
○土井委員 それはお答えとしては当然それ以外はないと思うわけでありますけれども、しかし、それならば申し上げたいと思うのですが、この協定自身に対しては、他党のことを申し上げるのはなにかと思いますが、与党である自民党の方の中にも反対される方が大分おられるようであります。野党は、このような日韓癒着の結果できたであろう協定には、中身からいたしましても由来からいたしましても、これがいざ発効してからその後どういう効果を上げるかという点からいたしましても、反対をせざるを得ないのです。また、聞くところによりますと、衆議院の外務委員会だけでかっこうをつけて通せば何とかメンツがつくというふうなかっこうで、いま審議が進められているという気配もいろいろなところから耳に入ってくるのですよ。もう御承知のとおりに解散を控えての臨時国会でありますし、三十一日になると、第一肝心かなめの三木内閣総理大臣の席が安泰であるかどうかということも余人の知るところではないようなただいまの状態であります。こういうふうな時期に、なぜ衆議院でこのようにこの協定の審議を急いでやらなければならない理由があるのか。野党側の、この質問席に立ってやる質問を通り越して、かの傍聴席の方を向いて審議を進めるための答弁というものがなされている。具体的にどういうふうな答弁がそうだということじゃありませんが、いま私が申し上げているのは基本的姿勢を言うのですよ。よもや、この臨時国会の中で衆議院さえ通せばよい、この会期終了までにどんな手段を講じても通すなんということはお考えになっていらっしゃらないと思いますが、外務大臣、そんな無理はなさらないでしょうね。いかがです。
○小坂国務大臣 申し上げますが、ここは日本の国会でございまして、われわれは日本の国益を守る日本の国会議員あるいは政府の役人として議論をいたしておるわけでございますから、この点についてはひとつさようなことは絶対にないというふうに、それ以外の、たとえばいまお話があったような、そういうことは絶対ないということを特に申し上げておきたいと思うのでございます。 私、先ほど申し上げたように、この協定が調印され、しかも韓国側が批准してからもう二年半以上たっておる。これは、ある意味においては、国際的な約束をしておきながら、それをまたほっておくということになりますと、政府の不信行為のようにもなるわけでございますから、やはりわれわれとしては審議を尽くしていく必要がある。その結果については、われわれは皆様方からいろいろ熱心な御質問をいただいて、それに対して誠意をもってお答えをする。あとは国会の運営でございますので、われわれは、国権の最高機関である立法府の御決定、またそのやり方というものに対しては何か言うべき立場にないということは申し上げるまでもないことですが、ただいまの発言に関連してわれわれの気持ちを申し上げておく次第でございます。
○土井委員 お気持ちのほどはわかりますが、ただしかし最後に私申し上げておきたいのは、これは国際間の約束とおっしゃいますが、二国間の協定ですね。二国間の協定を結ぶに際しまして、後でこれはきずがある、間違いがある、好ましくないという条件が出てきたときには、これを破棄するのが国際信用上大事な問題だと思うのです。相手国を尊重することにもなると思うのです。二国間の今後の外交、平和的なあり方を考えていくと、友好関係を持続させていくことのためにも、それは非常に大事だと思うのです。二年たとうが三年たとうが五年たとうが、この協定に対して中身が釈然としない限りは、これは結んだらいかぬと思いますよ。この協定を即刻発効させてはならないと思います。したがいまして、そういう点からしますと、これは問題の多い協定です。今後恐らく日韓間において禍根を残すような中身を持っている協定だと私たちは言わざるを得ない。大陸だなの概念についても、また日韓の事この協定を結ぶに至ったいきさつ、さらにはもう一つ幅広くいまの日韓間の癒着、こういうふうないろいろな状況を取り上げまして質問を準備している議員が社会党の中にほかにもございます。また私自身も、まだまだ質問の中身としてこれからただしていかなければならないことを残しながら、次回にこのことを継続して質問させていただくということをここに申し上げておきまして、きょうのところはこれで終わりたいと思います。
○藤本委員長 次に、正森成二君。
○正森委員 日韓大陸棚協定について、時間の許す限り質問をさせていただきたいと思います。 私は、まず第一に、本年の五月七日に次のような質問をいたしました。「昭和四十九年の九月二十二日から二十五日にかけて、西九州沖合いの日韓共同開発区域内の第五小区域の南部において、韓国側がひそかに百五十一マイル、約二百四十キロメートルにわたる探査を実施しておる。その実施をしました船はドイツ国籍でありまして、その船の属しておる運航社というのはドイツのプラカラ・セイアモス・ハノーバー、探査船はMVエキスプローラーであります。この船が昭和四十九年九月十七日の十二時三十分に鹿児島に入港いたしまして、同九月十九日午前六時に出港したということがわかっております。エージェントは日通の鹿児島支店であります。」ということを言いまして、これは韓国政府側が、日韓大陸棚条約が調印された後発効するまでは、お互いに採掘はもちろん探査も自粛するということになっておるのに、こういうことを行っておるのはけしからぬではないかというように伺いましたら、外務省の大森政府委員が、調べてみたところが、そういう事実はあった。「テキサコ社が一九七四年九月二十二日から九月二十七日まで、同鉱区内の」というのは韓国の第五鉱区の「中間線の韓国側部分について音波探査を行った際、技術的な理由で、たまたま中間線を越えて共同開発区域となるべき地域の一部に対しても音波探査を行ったということが判明したという趣旨の回答がございました。」その後は自粛しておるということであります。 大森政府委員に聞きますが、あなたのこの答弁は責任を持ってされたのですか。
○大森政府委員 私どもの調査結果に基づいての責任を持っての答弁でございます。
○正森委員 それでは私は聞きますが、MVエキスプローラーというのは海底地質調査船であります。海底地質調査船というのは、私は、エカフェの一九六八年の今度の大陸だなについて非常に世界的に関心を呼び起こす調査結果についても外務省から記録を取り寄せて、地図なども参照しましたが、海底地質調査船の初歩的な必要性というのは、自分の船がいまどこにおるかということを確定することであります。それを確定しないで、海底が深さが幾らあるとか磁気がどうだとか堆積物がどうだとか、そんなことをはかってみても意味がないことであります。普通の漁船ではないのです。海底地質の探査船です。それがいかなる技術的な理由によってついふらふらと日本側に舞い込んだのか、そんなことは理由にならぬ。明らかに自分の位置をちゃんと知り——そのための海底地質調査船なんです。百も知りながら、日韓間の協定をあるいは約束を破って、昭和四十九年の九月にこういう探査をした。韓国政府の重大な背信行為ではありませんか。大森さんは技術的な理由でたまたま中間線を越えた、こう言っておりますが、あなたは責任ある政府の政府委員として、海底地質調査船などというものがたまたま紛れ込むなどというようなことがまともな理由になると思いますか。そんなことを言われて、はいはいそうでございますかと言って引き下がって、この国会でそういう答弁をしておるのですか。
○大森政府委員 先般御説明申し上げましたように、外務省から韓国側に照会したのに対しまして、テキサコ社の探査活動ということでエキスプローラー号がその鉱区を探査している際に、日韓共同開発区域の方に技術的な理由で過って入ったものであるという趣旨の韓国側の説明を受け、それに基づいてその事情というものを御説明申し上げた次第でございます。
○正森委員 だから、そういう説明というのが、多少とも物事に通じておる者に対する説明にはならぬ、こう言っているのです。技術的な理由でたまたま紛れ込んだというなら、その技術的な理由というのは一体何ですか。そしてまた、紛れ込んだということがどうしてわかったのですか。そもそもわからないはずじゃないですか。紛れ込んだということがわかっているなら、自分の位置がわかったはずじゃないですか。どうして紛れ込んだということがわかったか、ちゃんとした答弁をしてください。
○大森政府委員 私どもからの韓国側に対する指摘に対して、韓国側の方で調査した結果、それは恐らく航海日誌その他によったものと思いますけれども、その結果、日韓共同開発区域の中にも入っていたということが判明して、その上事情を調査したところそういう回答をテキサコ社側から得た、こういうことであろうと考えております。
○正森委員 それじゃいよいよ重大じゃないですか。航海日誌を見れば日韓中間線から越えていたということがわかるということであれば、ちゃんと地理上の位置がわかっておって調査をしたということになるじゃないですか。もし紛れ込んでおったかどうかわからないというのであれば、当方としてはわからないけれども、日本政府がそう言うならあるいはそういうことがあったかもしらぬ、しかし当方の機械ではそんなことはないというならこれはまだ話がわかる。しかし、航海日誌でちゃんと入っておったということがわかるなら、航海日誌に書いてあるぐらいなら、ちゃんと意識して入ったということが明らかじゃないですか。それがなぜ技術的なミスになるのです。あなたの言うことは二律背反ではないか。
○大森政府委員 これは私の方の推測になるわけでございますけれども、あるいは日韓共同開発区域というものについてその調査船が十分その意義を認識していなかったというようなことによるものであろうかと推測いたしております。
○正森委員 逃げてますます不思議になってきて、今回の推測は前回の答弁を実質上完全に否定しておることになる。私がおかしいじゃないかと言って順番に追及していけば、ふろしき包みから何かこう品物を出して、次々に、これがお気に召さなければこれをお売りいたしますというような態度ですね、あなたは。この前私が聞いたときでも、すでに一昨年に私が聞いておるのに、一年一カ月も私のところへ報告に来るのをほっておいて、申し上げる機会がなかったから申し上げなかったということを言って、私が失礼なことを言うなと言ったら、結局、時の外務政務次官が実質上、あそこにおられますけれども、塩崎さんが失礼いたしましたと言って謝るようなことをした。今度は何ですか、あなた。前には技術的な理由でたまたま紛れ込んだという意味のことを言い、私がその答弁がおかしいというので今度もう一遍突っ込むと、航海日誌には書いてあった。航海日誌に書いてあったのじゃおかしいじゃないかと言って突っ込むと、今度はとうとう最後のどろを吐いて、日韓大陸棚協定というものを十分に知らないで、それでその地域であるということは意識しながらなおかつ探査した。百八十度違うじゃないか。これなら、この日韓大陸棚協定というのは一年おきぐらいにゆっくりやらなければ、あなたは本音を吐かないということになる。本音を吐くまでに二年かかったのです。 外務大臣は、私が一昨年聞いたときには、架空の事実だから調査してみなければわからぬという失礼なことを言った。架空であるかどうか調査してみなければわからないのに、調査する前から架空であるとは何事か、こう私が言ったのですよ。何ですか一体、外務省の態度は。 小坂外務大臣、あなたの在任以前のことですから、お聞きするのは若干お気の毒ですけれども、やりとりを聞いていてあらましのことは御推察になったでしょう。こういう外務省の態度はどう思いますか。
○小坂国務大臣 お言葉にもございましたように、私の就任以前のことでございますから、ひとつお気の毒だと思っていただいて御勘弁をお願いします。
○正森委員 外務大臣がお気の毒だと思っていただいてという御発言がありましたから、私も外務大臣に対していろいろ追及するということはこの席では控えたいと思います。しかし大森次長には責任がある。あるいはもしそのときに、これは推測ですが、局長がそういうぐあいに答えろと言ったのなら局長に責任がある。いや局長はあずかり知りません、宮澤外務大臣からの政治的な指示でございますというなら、時の宮澤外務大臣に責任がある。あるいは大森次長が知恵を働かして、この程度でとめておいて、打ち出の小づちのように次々と出せばいいと思ったのなら、あなた自身がよほど奸知にたけた官僚であるということになる。そのいずれであるか答弁してください。
○大森政府委員 私が先般の御質問に対してお答えいたしましたのは、私どもとして韓国側に調査照会した結果に基づいて行ったものであり、またあのときの答弁は私としての責任に基づいての答弁でございます。
○正森委員 間接的な言葉で自分が非常に、奸知にたけたという言葉は若干気の毒ですけれども、知恵を働かして小出しに答えたということをお認めになりました。 そこで私は申し上げたいのですが、推測ということで、いやいやながら認めざるを得なかったようですけれども、テキサコは、航海日誌にも書いてあるように、この場合にはドイツの船を使ったわけですが、探査をしておるのです。しかも、大森さんの推測じゃないのです、テキサコは、韓国政府との利権契約に基づいて、作業義務としてやむなくやっておるのです。韓国政府がやらしたのだ。われわれはちゃんと知っておるから、あなたがいつ本音を吐くかと思って待っていたんだ。そうでしょうが。
○大森政府委員 最初にお断り申し上げますけれども、先ほど申し上げましたように、航海日誌云々と申し上げましたのは私の推測に基づくものでございます。また、韓国政府がテキサコに命じて、日韓共同開発区域にまで調査せよ、そういう指示を出したという点については私どもは承知していないわけでございます。
○正森委員 速記録を調べてください。また答弁を訂正しています。あなたが、私の推測でございますと言ったのは、テキサコが日韓協定の趣旨についてよく知らなかったからやったんだろう、そういう推測であって、航海日誌に書いてあるというのは推測とは言っておりません。いま五分前に言ったことを変えるのですか。もしそうなら、私はここで質問を中断させていただいて、速記録を確かめるまで質問を中止いたします。
○大森政府委員 航海日誌の点について推測でありますがという趣旨のことを私が申し上げたと、そういうふうに考えております。
○正森委員 航海日誌の点についても初めに断りましたか。私が聞いている限りでは断らなかったと思いますけれども、あなたがそういうぐあいに航海日誌の点についても明白に推測だと言っているのなら、あなたの言葉を信用して質問を続けてもよろしい。しかし速記を調べてみて、もし推測というのが航海日誌にまでかかっていないような発言の仕方だったら、あなたとしてはやはり発言を慎重にしなければならぬということは自覚していただきたいと思います。しかしこの点は本質問題ではないから、貴重な時間ですから先に質問を進めたいと思います。 つまり、こういうように私はほんの一例を示したわけです。韓国政府あるいはそれと利権契約を結んでおるテキサコというのは、日韓両政府間で約束をしましても、実質的には、いま大森さんがある場合には推測という言葉を使って認めたように、それを破っていくという傾向を持っているのですね。そういう点はやはりよくよく考えてわれわれは日韓大陸棚協定というものを審議していかなければならないというように思いますし、特に大森次長の答弁の姿勢というのは、私がある程度本質に迫っていくところまでやると、ぽろっぽろっと言うけれども、いいかげんなところで済ましておくと、ああ、この点はうまく逃れたなということで答えない、そういう性癖を持っておる。これは国会で答弁する政府委員の態度として、非常に出世型であるかもしれないけれども、決して国民に対して忠実な態度ではないということを申し上げておきたいと思うのです。 外務大臣、その点についてだけ、一般論として答えてください。
○小坂国務大臣 一般論として申し上げまするが、政府並びに政府委員は誠意を尽くしてお答えをするという立場に立つべきものと心得ております。
○正森委員 それでは、この問題はこのぐらいにして、次の問題に移りたいと思います。 大陸だなの共同開発区域がナンバーを打って定められておりますが、その各線がどういう根拠に基づいて決められたかということを若干伺いたいと思います。 いただいております「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定」これの、私のいただいておるのでは四十四ページの図面をごらんになってください。それにはナンバーが打ってありますが、まず第一に、一、二、三、四、五、六を結ぶ線は何に基づいて決まったんですか。
○村田政府委員 この座標一から六までの線は、あらゆる島を考慮に入れました日韓の中間線でございます。
○正森委員 六、七、八と、それから八と九を結ぶ線は何で決まったのですか。これはちょっと違うようですから、別々の根拠だと思いますが……。
○村田政府委員 まず六、七、八を結ぶ線は、わが国と中国との中間線でございます。 それから八から九までの線は、韓国が海底資源開発法に基づきまして鉱区を設定いたしましたその南といいますか、南西といいますか、南西限の線でございます。
○正森委員 八から九の線は南西限の線というだけでなしに、韓国がここに海底鉱物資源開発法に基づく一番南の線を引いたという韓国側から見た根拠があるはずであります。それをおっしゃってください。
○村田政府委員 韓国がこの線を南西限といたしましたにつきましては、韓国がこの線を韓国と中国との間の中間線であるという考えで引いたものと心得ております。
○正森委員 わが方は、韓国がそれを韓国と中国との間の中間線であると言うことについて、もちろん韓中間で決めるべきことでありますから本来はわが国がとやかく言うべきことではないのですけれども、韓国側がそれを韓中の中間線であると称していることについて、わが方として各島あるいは海岸線をもとに一応の測定をしてみて、地図的に言えば、なるほどこれが韓中の中間線である、そういうことを確認しましたか。それともわが方としては韓中中間線というのは別の線ではないかと思っておったけれども、韓国側の主張する韓中中間線、そして韓国側の海底鉱物資源開発法に基づいて鉱区設定された南西の線というものを認めたのですか、いずれですか。
○村田政府委員 この線は、先ほど御答弁申し上げましたように、韓中の中間線として韓国側が測定したものでございますけれども、わが方といたしましては、先ほど先生がまさにおっしゃいましたように、韓中の中間線というのは韓国と中国が決めるべきものであるということで、したがいまして、わが国といたしまして韓中の中間線はいかにあるべきかというふうな点について特別の主張をする立場にございませんので、そういうことをいたしておりません。
○正森委員 そうだとすると、韓中中間線が、これは日中中間線についても、六、七、八を結ぶ線についても言えることですが、少なくとも六、七、八の日中中間線については、わが方なりに基点から測定をして確信を持っておるわけですね、本来なら中国と合意をすべきことですけれども。しかし八から九を結ぶ韓中中間線については、あなたの答弁を信用するとすれば、わが方としてははかってもおらない、口出しすべきことでもないということになれば、韓国側が主張する韓中中間線を一方的に認めておるということになります。中国はそれについてどう言っているのですか。これは重大な中国との間の問題を起こすおそれがあるのですね。日中中間線について、これがいかなる基点から見ても中間だというのであれば、これは中国がどういう抗議をしてこようと、自分はこれが中間線だと言って主張し得るという自信もありますし、日中間のことですから、わが方が異議を言えばなかなか合意はしないということで、これは別のルートの解決方法になりますね。しかし韓中中間線について、わが方は何ら基点からはからず、韓国の言う韓中中間線を一方的に認めたということになれば、中国との関係で重大な不信行為をしていることになるじゃありませんか。それについて中国に対してどういう責任を負うのです。韓国が中国といろいろ言うというのは、これは格別ですよ。わが方は少なくとも二国間の中間線について、二国のうちの一方は了承しないのに、なぜ他方の言うことだけをそのままうのみにしてこういう線を引いたのです。
○村田政府委員 韓中間の中間線というものは、本来韓国と中国の間で具体的に画定されるべきものでございまして、この協定におきまして八から九までの線を引いたということは、日本と韓国がいわば一方的に中国の意見を無視して韓中中間線を引いたという趣旨ではございません。ただ、韓国と中国との間におきまして、この大陸だなの境界画定について話し合いをするという客観的な条件が整っておらない現状でございますし、また、いずれにいたしましても、わが国は将来中国をも含めまして、この東シナ海における大陸だなの境界を画定するという場合には、基本的には中間線によるべきであるという立場をとっております。そういう点から申しますと、この八から九までの線は、いずれにいたしましても、日中の間をとりますと、わが国のいわば主権的な権利を行使し得る大陸だなであるという考え方に立っておりますので、そういった意味で中国の権限を侵害するというふうなことはないというふうに考えておるわけでございます。 ただ、中国が将来韓国と話し合いを行って、この境界線につきまして別の合意ができるというふうなことがもしございましたならば、それに応じまして若干の微調整というふうなことは考えられるかと思います。現在までのところでは中国がこの八から九までの線につきまして特に態度を明らかにしておりませんので、中国側がどういう考えかということは私ども承知しておらないわけでございます。
○正森委員 いまの答弁の中で、将来中国から何らかの異議があり、韓国と中国との間で別な中間線が引かれるならば、微調整という言葉による変更があり得るという答弁をされました。それはこの協定を考える上で非常に重大なことだと思いますが、外務大臣、そのいまの村田参事官の発言を肯定していいのですか。
○小坂国務大臣 お聞き取りいただきましたように、この七鉱区、八鉱区あたりは一応中国と韓国の間には無関係というふうにわれわれは考えておるわけでございます。いま、御承知のように中国は韓国の存在を認めていないわけでございます。そこで、この間の問題は、われわれとしては知るによしないわけでございます。そこで、この問題については日韓の間の大陸棚協定においては支障がないように、中国側に関係ないようにわれわれとしては配慮しているわけでございます。しかし、それにもかかわらず、当時の大平外務大臣から姫鵬飛中国外務大臣に対して、その間の事情というものについてはお知らせを申しておるということでございます。
○正森委員 いまの大臣の答弁中には私の質問に必ずしもそのまま合致しない趣旨もございましたけれども、大体言われんとすることはわかりますから、政府委員から補足答弁を求めないということにいたします。政府委員はわかっているような顔をしておりますから、そういうようにさしていただきたいと思います。 ただ、私が申し上げておきたいのは、やはりこの条約を考える場合に、韓中中間線にいたしましても日中中間線にいたしましても、中国側を除外してこういうことがやられておるという点は将来問題になり得る余地が非常にあるんだということは指摘しておきたいと思います。 そこで伺いたいと思いますが、次に九、十、十一、十二、十三、十四、十五、十六、十七、十八、十九、二十、この線はいかなる根拠によって結ばれたのですか。
○村田政府委員 この座標九からずっと二十まで参りまして最後に一に戻る線でございますが、これは韓国が自然延長論という立場から韓国の国内法に基づきまして設定いたしました鉱区のうちの第七鉱区というのがございますが、その東側の限度でございます。 韓国は、先生御存じのとおり自然の延長が、いわゆる沖繩海溝と呼ばれておる海溝の最深部まで自然の延長があるという立場をとっておりますので、その立場に基づきまして鉱区を設定いたしましたその東側の限度がこの線でございます。
○正森委員 私は、その九から二十を越えて一に戻ってくる線というのが、つまり韓国側が、主として第七鉱区ですが、設定してしまったその線を結局追認したものにほかならないということが非常に問題だ。韓国側の第七鉱区というのがいかなる経緯によって設定されたかということも後ほど問題にしたいと、こう思っておりますけれども、ただ一言言っておきますと、この私の指摘したおおむね東側の線ですね、その線は、わが国の領土である男女群島からあるいは福江島から、一番近いところで何マイルの線を通っておりますか。
○大森政府委員 男女群島につきましては、女島から十二・三海里、鳥島につきましては、これが男女群島に含まれるかどうかは別といたしまして、十二・一海里というふうに承知いたしております。
○正森委員 いまお聞きになりましたように、十二・三海里とか十二・一海里といいますと、いまつい先ほども外務大臣が領海十二海里という点について御発言がありましたように、わが国の領海のすれすれであります。そういうところまで韓国の主権が及ぶような鉱区を設定して、事実上それを南部の共同開発地域として認めておるということになるのです。これは、海洋法会議で二百海里までが経済水域あるいは大陸だなというようになろうとしている大勢から見るならば、まさにわが国の玄関の鼻先まで韓国が鉱区を勝手に設定し、そしてそれをこの日韓大陸棚協定で追認をしたということにほかならないというように私としては考えます。その点についての非常な問題点というのは、後ほどさらに申し上げていきたいと思いますが、現段階ではその点を指摘するだけにとどめたい、こう思っております。 そこで、次に、前国会でも私が指摘しましたけれども、若干の問題を申し上げたいと思います。 私は、前の国会で、大陸だなの境界画定について双方に争いがある場合には、一九五八年の大陸棚条約第六条で言われておるように、等距離原則と呼ばれる原則、つまり、まず合意、そして合意がない場合には、中間線もしくは等距離線。それは特別の事情を考慮して定めるという意味での等距離原則というものが妥当すべきであるということを主張いたしまして、二十幾つの二国間条約を当時の伊達参事官に答えてもらいましたが、それらはいずれもこの中間線理論におおむね基づくものである、こういう答弁を得たことは御承知のとおりであります。ところがそれに反して、この日韓大陸棚協定というのは、いま村田参事官が答えましたように、西側の線がやっと日韓中間線である、東側ははるかに入っておるということになるわけですね。これはいままでのあらゆる二国間条約に見られなかった不平等条約であります。あるいは主権の侵害に事実上該当するような条約であります。 そこで、韓国が大陸だなの自然延長理論をとっておるというようなことをいま言われましたけれども、わが国としては、一九六九年ごろから、あるいは七〇年からかもしれませんが、韓国側とこの問題についての実務的な折衝を行ったはずであります。それはいつから始まりましたか。
○大森政府委員 韓国側におきまして、昭和四十三年ごろから韓国の近いところにある大陸だなに鉱区を設定するという動きが見られまして、それに対しまして、わが方から最初に韓国側に対して、わが国としては隣国として韓国のこのような鉱区設定の動き、あるいは立法の動きというものについて強い関心を有するという趣旨の申し入れを四十四年の四月に行ったのが、そもそもの発端でござます。 その後も韓国側が立法の手続を進めまして、結局昭和四十五年に海底鉱物資源開発法というものを公布するに至りまして、その状況を見まして、わが方からは同年韓国側に、わが国としては韓国側の設定している鉱区のうち、わが国がその開発について日本の主権が及んでいるというふうに考えている部分については、韓国側の権利を認めることはできない、ついては韓国側とこの問題について話し合いをしたいということを申し入れました。これが四十五年六月のことでございます。 さらに、その後七月に、やはりわが方より韓国側に対して、韓国側がこの区域の開発を一方的に進めようとしているのは非常に大きな問題があるから、専門的見地からもひとつ話し合っていきたいということを再度申し入れを行いました。 それからまた、四十五年の八月に至りまして、韓国側で、これは第五鉱区ですけれども、探査が近く開始されるというような報道がありましたので、韓国側が日韓の係争となっている区域において探査、開発を行うことは差し控えるようにということを求めました。それに対しまして、四十五年の九月韓国側から、韓国が設定した鉱区は、朝鮮半島の沿岸が自然に延長したものであって、これは韓国が独自に主権的な権利を行使し得る区域である、したがって、探査、開発を差し控えるようにとの日本側の要請に応ずることはできない、こういう回答がございました。 さらに、それに対しまして、翌十月にはわが方から韓国側に、大陸だなの境界画定というものは二国間の合意により定めらるべきものである、係争となっている区域において韓国側が探査、開発というような行動をとることは差し控えるようにということをさらに重ねて要請したわけでございます。 翌十一月から韓国側と数次にわたってこの問題についての話し合いを行ったというのが、当初の日韓間の交渉の経緯でございます。
○正森委員 韓国側は、当初、自己の理論を正当化する一つの根拠といたしまして、一九七〇年二月に国際司法裁判所で行われましたドイツとデンマーク、ドイツとオランダ間の判決を援用したのではありませんか。
○大森政府委員 そのように聞いております。
○正森委員 ところで、私が承知しておるところでは、日本側はそれに対して、数多い二国間の境界画定の条約を援用して、韓国側の主張が必ずしも正しくないということを抗弁したというように聞いております。そして、ある程度実務家の交渉がデッドロックに乗り上げたときに、日本側から国際司法裁判所への提訴を韓国側に持ちかけたというように聞いております。これは、たしか私のいただいた資料では、昭和四十年ですか、日韓の交換公文がありまして、紛争は外交交渉で、それができない場合には調停に付するというようなのがありましたから、それも一つの根拠にして、外交交渉が行き詰まった場合には国際司法裁判所にお互い提訴しようではないかというように韓国側に提案したところ、韓国側はこれを拒否したというように聞いておりますが、そうですか。
○大森政府委員 ただいま先生御指摘のように、昭和四十年に日韓間に紛争解決に関する交換公文というものが交わされております。そういう趣旨から見ましても、この日韓間の大陸だなに関する紛争の解決については、一つの手だてとしては国際調停に付する、つまり、第三者による紛争解決という一つの道として国際調停に付する、あるいはそれが困難と思われます場合には国際司法裁判所に付託する、こういう道を考えまして、昭和四十七年五月に韓国側に対して本件を国際調停あるいは国際司法裁判所に付託するという提案を行いました。これに対して韓国側は消極的態度を示して、こちら側に対して積極的な反応を示さなかったというのが当時の状況でございました。
○正森委員 そこで私は指摘したいのですけれども、韓国側は当初、自分の主張、日本のすぐ近くの沖繩海溝というのですか、沖繩トラフというのですか、その一番深いところまでが自然の延長だ、自分のその理論は一九七〇年二月のドイツとデンマーク、ドイツとオランダの国際司法裁判所の判例でも支持されておるというなら、まさにその時期にこの日韓間の紛争があったのだから、国際司法裁判所に提訴すれば自分が有利な結論を得るということで、当然合意すべきだというのが論理的な基準になるにもかかわらず、それをやらなかったということは、これはドイツとデンマーク、ドイツとオランダ間の判例も必ずしも韓国側に有利ではなしに、本件については韓国側の主張を支持するものではないということをみずから知っておったから、国際司法裁判所に提訴をするということについて消極的態度をとったのではありませんか。 私は念のために……。ドイツ側の訴訟補佐人として出席された小田滋氏、これは現在国際司法裁判所の判事であります。この方が「海の資源と国際法II」という著書の中で言っておられるように、当時「隣接国の大陸棚境界線について」というので二回にわたって口頭弁論を行っておられます。その論文を読んでみますと、どこを読んでも韓国側に有利なことは言っておらない。ドイツ側に有利と思われるようなそういう結論が出た国際司法裁判所の結論であっても、なおかつ韓国側に有利なことを小田滋さんは当事者のドイツ側の補佐人として言っておられない。判決を読んでみたけれども判決にも書いてない。ただ言っておるのは、相対する国の場合には中間線というのは有用かもしれないけれども、隣接する国の場合には等距離線というのは必ずしも公平の原則に合致しない、近距離の場合にはいいけれども、遠距離になってくるほど、非常に奇妙な——奇妙なという言葉を数回にわたって使っておられますが、奇妙な結果を引き起こすのだ、そこで公平の原則を害しないように、大陸だなをどういうぐあいに隣接国に公平に分配するかというプリンシプルについて考えてみなければならない、せいぜいそれだけのことしか言っておらない。だから、この判例は全く日韓間については韓国側に有利に働かない。そのことを韓国側は考えた結果わかってきたから、最初の会談ではドイツとデンマーク、ドイツとオランダの判例を援用しておったのに、その後議論が煮詰まってくると、国際司法裁判所に提訴するということをやめたのではありませんか。そうだとすれば、日本側はなぜこういうような韓国側の主張をほぼのむような妥協をしたのか、その点が法理論的に言えば、われわれとしては重大な疑問を持たざるを得ないと思います。いかがです。ここにちゃんと弁論が書いてある。
○大森政府委員 韓国側が、いかなる理由によってわが方が提案した国際司法裁判所への付託に対して積極的な反応を示さなかったかという点については、これは私ども正確なところは承知していないわけでございます。いずれにいたしましても、国際司法裁判所につきましては、韓国側が強制管轄権というものを受諾していないという事情から、日韓間の合意なしにはこの問題を国際司法裁判所に付託し得ないという一条がある点を申し添えたいと思います。
○正森委員 日韓間の合意がなければ国際司法裁判所に付託できないというのはあなたがおっしゃったとおりであります。しかし、国際司法裁判所規定によって、当事国でない場合にも提訴し得るということもまたあなたのお認めになるところであります。つまり、当初は相手が一番新しいドイツとデンマーク、ドイツとオランダの判例を援用しながら、もしその主張が正しいとすれば、同じ裁判所で自分に有利な結論が下るであろうと想像されるにもかかわらず、あえてその提訴に消極的であったということは、自分がドイツとデンマークやオランダとの判例を援用したその根拠自体が薄弱なものであった、つまり韓国側の主張する理論的根拠が薄弱であったということを認めたことにほかなりません。だれが考えたってそうです。そうだとすれば、外務省当局としては、わが国益を守るためにこのような理不尽な線の引き方というのに対してはますます強硬でなければならないはずであります。それが五十年間もわが国民を拘束するような条約を結ばないための外務省としての義務でなければならない。その外務省の考えを変えさせたものは一体何ですか。 小坂さんが間もなく二十分くらい退席されるようですから、私は本当は、韓国の中間線理論というものが、自分自身の主張からいっても矛盾している点があるという点について数点述べるつもりでしたけれども、その点はまた次回に述べることにします。あるいは大臣が退席された後述べることにします。大臣に政治的にお伺いしておきたいことがあります。事務当局が答えてください。あなた方は一九七二年の前半までは、少なくとも日本側の中間線理論で韓国と堂々と渡り合っておったでしょう。それが九月から変わったでしょう。なぜ変わったのです。
○大森政府委員 昭和四十七年九月に第六回日韓定期閣僚会議が開かれまして、その際に本件が、これは会議の席上ではございませんけれども日韓間で話し合われて、従来の日韓両政府当局間の交渉経緯にかんがみると、韓国側の自然延長論に立脚する立場と、日本側の中間線論に立脚する立場とが、数年にわたっての折衝にもかかわらず平行線をたどってどうしても合意に達することができない、そういう状況が一つと、それから日韓両国とも自国に近接する大陸だなにおける石油資源の開発を早期に進めたいというこの二つの事情から、双方がその法律的な立場を留保して、両者の権利主張が重複する区域については、これを日韓共同で開発を進めるという考え方について日韓間で了解がついたということから、協定の具体的な交渉ということになったわけでございます。
○正森委員 非常に苦しい答弁であります。外務省が私どもが要求いたしまして提出した資料、「日韓大陸棚協定に関する韓国国会会議録仮訳」というのがあります。これを見ますと、この六ページには、一九七二年四月二十四日に「日本は紛争の具体的解決方法として調停及び司法的解決を提議」こうなっております。つまり、その時点まではわが方としては断固として自分の主張を通すつもりだったのであります。少なくとも外見上はそうであります。ところが八ページを見ていただきますと、「一九七二・九 第六回韓日閣僚会議の際、紛争地域の共同開発原則に合意」こう書いてあります。この時期に突如として、あるいは突如ではなかったということは後ほど申し上げたいと思いますが、政府が非常な妥協に踏み切っておる、こういうことになるわけです。法律的主張をたな上げしてと言いますが、たな上げになっていないじゃないですか。日本側から見れば、この共同開発区域というのは日本側から言う中間線の両側にまたがっているなら、まだわが方から見て両方の主張をたな上げしておるということが言えるかもしれないけれども、ことごとく日本側の、中間線のわが方側じゃないですか。明白に法律的主張はたな上げどころか実際上は破られているじゃないですか。たな上げになっていない。 しかも私が外務省から取り寄せたら、小坂外務大臣に伺いたいと思いますが、一九七二年九月六日、ソウルで第六回日韓定期閣僚会議共同コミュニケ、二十一項目にわたって載っております。これは非常に小さなことまで載っておるのです。どんな小さなことが載っておるかといいますと、たとえば「一九七二年五月、日本側が韓国農村青年を日本に招請したことに満足をもつて留意し、今後ともこの種の相互交流計画を発展させることが望ましいことにつき意見の一致をみた。」ということが十四項でわざわざ書いてある。あるいは十五項には「在日韓国人信用組合の昇格問題について日本側の好意的配慮を要請したのに対し、日本側は、種々問題はあるが検討する旨約した。」こういう問題までコミュニケに書いてある。しかし、日韓大陸だなの問題について重大な決定が行われたということはただの一行も書いてない。何ですか、これは。このコミュニケは一番大事なことを隠しているじゃないですか。一番大事なことを事実上隠しているじゃないですか。そしてその言いわけは、第六回日韓閣僚会議の際だ、日韓閣僚会議においてではないのだ、日韓閣僚会議の議題ではなかったけれども、アイテムではなかったけれども、際にあったのだということで、このコミュニケに書かなかったことをごまかそうとしておる。なぜ議題にもならずアイテムにもならなかったことを決定したのです。そしてそれを国民の目から隠したのです。何ぴとがこういうことをやったんです。一体これに参加したわが閣僚のうち、だれとだれが韓国のだれに会ってこういうことを決めたんです。大臣。——次長の答えることではない。政治的決定について聞いているんだ。
○小坂国務大臣 だれとだれがだれに会ってということになりますと、私は全く存じません。 そこで全般論でありますが、定期閣僚会議の議題というのはそれぞれ前もってございましたのでありましょう。したがって、コミュニケにはその議題についてこうなったということが書かれたのだと思います。一方、この大陸だなの主張は双方平行線であったものが妥協に達した、そこで、それはその問題として扱ったということではなかろうかと存じます。
○正森委員 私はそういうのは言いわけにならないと思います。農村の友好訪問団がどうするかについてコミュニケに載っておる。信用組合の昇格がどうかこうかということについて載っておる。かくも重大な問題についてなぜ議題でもないのにたまたま行った際に決めるのです。行った際にそういう話が出れば、当然帰ってきて——わが方は総理大臣は出ていないのです。外務大臣と通産大臣は出ておるが、内閣総理大臣は出ておらない。帰ってきてよく相談して、事務当局がすでにもう二、三年にわたってやっておるのだから、真っ向から意見が対立したままだったのだから、なぜ第六回日韓閣僚会議の際に決めるんです。そしてそれを公表しないんです。疑惑があると言われたって仕方がないじゃないですか。何ぴとが韓国側のだれと会ってそういうことを決めたのですか。
○小坂国務大臣 だれと会っては私存じませんから後で事務当局から答えさせますが、全体としてとにかくだれもわからぬうちにやったとおっしゃいますけれども、このように国会の御審議を経るわけなんでございまして、これで何も秘密協定というようなものではございませんで、われわれはそういうものをつくる意思ももちろんありませんし、この協定については国会で十分御審議を願っておるということでございますから、その点はどうも私、おっしゃることがよく理解できぬ。私とあなたとはどうもこの点では見解が相違すると申し上げるほかないと思います。
○正森委員 私は、外務大臣に日本の国益についてもう少し真剣に考えていただきたいと思います。国会で批准のために出して審議を願うのはあたりまえじゃないですか。それをやらなければ憲法違反じゃないですか。私は交渉の経過がもっと明朗なものでなければならないと言っているんです。これがわが領土だったらどうしますか。大陸だなでまだ国際法的にいろいろ問題のあることだからいいように思っているのかもしれないけれども、何十万平方キロにわたるという主権的権利を行使する問題について、ことごとくわが主権の範囲内において共同開発をする、こういう重大なことを別の用事に行って、その日韓閣僚会議の際に決めてくる、不明朗じゃありませんか。そんな話が出たら、帰って外務省の事務官僚ともよく相談し、内閣総理大臣とも相談し、党ともよく相談する、議会民主制ならそういうのが当然じゃないですか。国会で批准のために審議するかどうかとは関係ありません。大臣、そんなのはあたりまえなんですから、交渉の経過でなぜかくも重大な問題を、そのために行ったんではないのに、日韓閣僚会議で行って、二十一項目も事細かにいろいろコミュニケに書いておる、そういうことをやりに行った人がその際に決めるんですか。そこで全部大筋が敷かれておるのです。それは不明朗じゃないですか。そう国民が思うのはあたりまえじゃないですか。そして発表されないのはおかしいじゃないですか。
○大森政府委員 この第六回日韓閣僚会議に際しまして、この大陸だな問題というものはいわゆる閣僚会議の席上で取り上げられ、討議されたことはなかったということで本件については共同コミュニケにも記載されなかった、かように理解いたしております。
○正森委員 私がしばしば聞いておる、わが方の何ぴとが韓国の何ぴとと会ってこういうことを決めたのかという点については何らお答えがない。また日韓閣僚会議で行われたものではないからコミュニケに書かなかった。それじゃ、なぜ日韓閣僚会議に出るために行った閣僚が別のことを決めてくるのです。しかも日韓閣僚会議のコミュニケに書いてあることよりもはるかにはるかに重大なことを決めてくるのです。おかしいじゃないですか。
○大森政府委員 私の承知いたしておりますところでは、日韓閣僚会議の際に日本側の閣僚を代表しまして、慣例としてこの会議がソウルで行われます場合には外務大臣が表敬するということになっておりまして、これに従いまして、当時の大平外務大臣が朴韓国大統領に表敬訪問いたしました際に、先方からこういう共同開発という構想が示された、かように承知いたしております。 なお、先ほど来御説明申し上げましたように、この日韓間の問題につきましては、昭和四十三年ごろから日韓間で数次にわたって話し合いが行われてきまして、しかしどうしても両者の立場が食い違って調整がつかない、こういう状況でございましたので、四十七年夏ごろの時点では、わが方事務当局内におきましても、こういう状況であればあるいは共同開発というようなことも一つの案として考えるべきでなかろうかということで、内々に検討されていたという事情はございます。これが当時の状況でございます。
○正森委員 小坂外務大臣に伺いたいと思いますが、結局いまの答弁によると、慣例上外務大臣が朴大統領を表敬訪問することになっておる。そこで朴大統領のところへ表敬に行ったら先方から出されたということであります。仮にそれが事実だとして、それは向こうの口にセロテープを張るわけにはいかぬから、先方がいろいろおっしゃるということは、これは御自由でしょう。しかし、当然それは承って帰りますというのがあたりまえじゃないですか。
○大森政府委員 先ほどの私の答え方が不十分でしたので、補足申し上げます。 先方からのそういういわば構想の提示に対しまして、大平外務大臣は、この件については承ったので日本側において検討したいということでその訪問は終わった、こういうことでございます。なお、大平外務大臣は、表敬を了して帰ってこられましてから関係閣僚と協議をされた、かように聞いている次第でございます。
○正森委員 そうすると、大平外務大臣は承って帰ってきて、関係閣僚と協議をして、それからどうなったのです。中曽根通産大臣でも今度は単独で朴大統領に表敬訪問をしたのですか。
○大森政府委員 大平外務大臣は、関係閣僚と協議はされましたけれども、その後日本側の閣僚が、本件でたとえば朴大統領と再び会談したというようなことはございませんで、日本側の閣僚で検討の結果、本件については今後は事務的に日韓間で詰めていくように、こういうことになりまして、その後日韓間での話し合いが始まった、こういうふうに聞いております。
○正森委員 私は、そういう事務当局の答弁には絶対に納得できません。外務省が出した韓国の国会会議録仮訳八ページを見れば、「第六回韓日閣僚会議の際、紛争地域の共同開発原則に合意」と書いてあります。表敬訪問に行って、先方から話が出て、承って帰りました、閣僚会議で報告して、今後事務的にもっと検討させましょうというなら、なぜ向こうは合意と書いたのです。それじゃ向こうはうそを言っているのか。そんな説明で納得すると思いますか。これは外務省が出した資料です。
○大森政府委員 わが方としても、その第六回閣僚会議の際に、共同開発という考え方について原則的には韓国側の考えに応じよう、こういうふうになったというふうに承知いたしております。
○正森委員 何ですか、あの答弁は。委員長、よく聞いておられたでしょう。最初のテキサコの探査船の問題だけじゃないのです。私どもが聞き流すといいかげんなことを言う。会議録を二度三度示して詰めるとああいうぐあいに変わってくる。そんな答弁でこんな大事な条約の審議ができますか。一体、それなら原則的に合意をしたのはだれなんです。聞いた途端に大平外務大臣が合意したのか。それとも、当時出席していた日本側の閣僚が何人か相談をして、改めてこういう問題に関係の深い中曽根通産大臣が朴大統領のところへ行って原則的には合意だと言ったのか。そこら辺がはっきりしてもらわなければとても次の質問には移れない。——どうやら答えられないようであります。それですから、私は小坂外務大臣に、当時の状況について閣僚レベルでよく聞いていただいて真実を明らかにして、次回私が質問する機会がありましたらお答え願いたいと思います。いま、自民党の石井さんを除いて議場にはだれもおりません。定足数も足りない。大臣は昼食に行かれるということで、事務当局から私にお願いがありました。ですから、私は大臣の人権上も私の質問はこれで中断させていただきたいと思います。
○藤本委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○藤本委員長 速記を始めてください。
○遠藤説明員 実は私、この第六回閣僚会議に随員の一人として出席しておりまして、この間の事情をかなり承知しておるつもりでございますけれども、ただいま私の記憶、大分前のことで若干忘れましたけれども、なるべく記憶しております限り正確にお答えしたいと思います。 先ほど大森アジア局次長が答弁しましたように、代表団長であります大平外務大臣が朴大統領に表敬に参りまして、その際に先方からこういうふうな案が出てきた。そこで、大平大臣はそれを持って帰られまして、代表団の中で、これは中曽根通産大臣その他事務官僚がついていっておりましたから、その中で協議をしまして、それで正式な返事は、正式な返事と申しましても原則的な合意でございますけれども、後日、これはたしか九月の八日であったと思いますが、代表団がたった後でございますが、当時の後宮大使から先方の外務大臣に、原則的にはこれに合意する、しかしながら何分にもこの協定というのは、この考え方というのは世界初めてのことでもあり今後事務的に詰めさせよう、こういうことになったというふうに私は記憶いたしております。
○正森委員 いまのそういう御答弁ですが、そうしますと、韓国側の国会議事録の「第六回韓日閣僚会議の際、紛争地域の共同開発原則に合意」というのは、日韓閣僚会議はたしか九月五日と六日に行われ、八日にもし後宮大使が返事をしたということになれば、広い意味では際ということになるかもしれないけれども、実際上は微妙なニュアンスが違うことになります。 それから、私はあえてもう一問聞きたいと思いますが、中曽根通産大臣は朴大統領と個別会談をしておりませんか、大平外務大臣だけですか。中曽根通産大臣もこういう問題については当然会っているはずです。
○遠藤説明員 私の記憶しております限りは、朴大統領と会見しましたのは大平外務大臣だけであったというふうに記憶しております。ちなみに、昔のことで記憶が必ずしも定かじゃないのでございますけれども、たしか閣僚会議が終わりましてからすぐ代表団は皆日本に帰ってまいったと思うので、恐らく朴大統領との個別会談はなかったのじゃないかという私の記憶でございますが、そういうふうに記憶いたしております。
○正森委員 北東アジア課長は外務省の北東アジア課長ですから、通産省の随員がそう言うならあるいは信用していいかもしれないけれども、外務省の随員は外務大臣の言動については発言権を持っておるだろうけれども、しかし通産大臣が二日間おる間に何をやったかということをすべて知り得る立場にはない、私はこう思います。ですから、大平外務大臣だけでなしに、関係閣僚として中曽根通産大臣が朴大統領と個別に、会談というほどのものではないにしても、表敬訪問をした可能性は非常にあるというように言わなければならないと思います。 そこで、小坂外務大臣、同じようにこの外務省の資料を見ますと、「韓国は次の要因を考慮」して共同開発原則を提案し合意したのだということが書いてありますね。「韓日間の基本友好親善関係の維持、発展 対中国イニシヤチブ及び韓日共同歩調 石油資源開発の緊急性」、ここまではわかります。その次に「安保要因」と書いてあります。「安保要因(米国会社の開発参与等)」と書いてあります。これはどういう意味です。「安保要因」というのは、わが国の言葉から言えば安全保障という意味であります。「安保要因(米国会社の開発参与等)」と書いてあります。これはどういう意味なんですか。
○大森政府委員 この議事録中の「安保要因(米国会社の開発参与等)」という点につきましては、韓国側で説明をいたしておりませんので、韓国側はこれをどういうふうに意味して書いたものか私どもとしては承知する立場にないわけでございます。ただ、あえて推測いたせば、米国系の会社が韓国の沖合いの大陸だなの開発に参与といいますか関与するということは、いろいろの意味で韓国側の安全保障の見地に役立つ、そういう趣旨であろうかと推測するわけでございます。
○正森委員 これはもちろん韓国側の国会議事録ですから、わが国の政府に有権的な解釈をする資格はないというのはおっしゃるとおりであります。しかしながら、わざわざここに「安保要因」と書いてあるということは、韓国側が本協定を安全保障上非常に重要なものであるということを考慮したということを意味しております。そして「米国会社の開発参与等」とわざわざ入れたところを見れば、アメリカの会社が開発権者として韓国政府と契約を結んでおるということを非常に重視したということもまた事実であります。 そこで、外務省に伺いますが、韓国政府は第一から第七までの鉱区を与えましたけれども、第一から第七までの鉱区についてアメリカ側メジャーを含むアメリカ側に利権を与え、開発契約を結んでおるということは事実だと思いますが、そのとおりですか。時間がもうありませんから、簡単に答えてください。
○大森政府委員 韓国側の鉱区に対して韓国政府が租鉱権を付与した企業というものは、シェルを除きましては米国系企業である、そのとおりでございます。
○正森委員 そこで伺いますが、韓国政府はもちろんこれらの企業と開発契約、別名利権契約と言ってもいいわけですが、それを結んでおりますね。 〔委員長退席、石井委員長代理着席〕
○大森政府委員 ほとんどすべての会社につきましてはそのような契約が存在するということと理解いたしております。
○正森委員 この開発契約は、今回の大陸棚条約が発効した場合には、わが国の企業あるいはわが国民に対しても拘束力を持つことにある場合にはなるんではありませんか。
○大森政府委員 ただいま御審議いただいております大陸棚の南部の共同開発協定によれば、日韓双方の政府がそれぞれの区域について開発権者というものを任命することとなっております。恐らく協定が発効すれば、韓国側の開発権者は、現在韓国側の鉱区に租鉱権を有している企業がそういう開発権者に指定されるということになるであろうというふうに考えております。
○正森委員 私が聞いておるのはそんななまやさしいことではないのです。 ここにあなた方からわれわれが資料として配付してもらった「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定についての合意された議事録」というのがあります。その議事録の一番最初を見てごらんなさい。「協定において「法令」というときは、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、大韓民国政府とその開発権者との間の開発契約を含むものとする。」と書いてあるじゃないですか。韓国側の法令の中には利権契約が入っておるんですよ。そういう重大なことを決めてきておるのです。どこの国に、外国政府とメジャーとが結んだ利権契約が相手国の法令であり——そしてこの条約によれば、開発権者がその小区域において韓国側になれば、その法令が適用されてくるのでしょう。メジャーが開発権者になるから関係してくるというようななまやさしいものじゃないのです。韓国の法令というのは、韓国政府とメジャーとが結んだ利権契約が含まれておるのだと書いてあるじゃないですか。メジャーとの開発契約は、即法令なんですよ。そんなばかげた条約がどこにありますか。明文で書いてあるじゃないか。
○大森政府委員 至急調べましてお答えいたしたいと思います。
○正森委員 こんな大事なことについて、至急調べなければ答えられないのですか。五十年もわが国を拘束する条約について、韓国政府がわが国と全く関係なしにメジャーと結んだ利権契約が韓国の法令だ。それが、ある場合にはわが国の企業、わが国の国民に適用されるのだ、そういう内容になっておるのです。一番外務当局に質問があるのはあたりまえだ、こういう質問があればどう答えるかということを考えるのは当然じゃないですか。それが指摘されたら答えられない。でたらめじゃないか。私はこの条文を読んで、わが目を疑った。何です、一体。 私は、委員長に要求したいと思います。 韓国の法令であるという以上、韓国がすべてのメジャーと結んだ開発契約、利権契約の全文を本委員会に提出させていただきたいと思います。当然のことであります。同時に、わが国の日本石油等の開発権者もメジャーとそれぞれ契約書を結んで、本開発が開始された場合には自分たちがどういう権利義務を持つかということを定めております。それは、結局本条約の有力な内容の一つにもなり得るでしょう。したがって、わが国の日本石油開発あるいは西日本石油開発、そういうところが関係の外国企業と結んでおる契約書について、ぜひ本委員会に提出されるように要求したいと私は思います。 それでは時間が来ましたから、私の質問は終わります。私はまだずいぶん残っておるのですよ。
○石井委員長代理 ちょっと政府委員に答弁させます。
○大森政府委員 この合意議事録に触れられております法令の問題でございますが、これは交渉の経緯にかんがみますと、韓国側の国内事情による韓国側のみに関する規定である、かように了解しております。すなわち、韓国におきましては、政府と開発権者との間の開発についての権利義務関係というものは、海底鉱物資源開発法並びに政府と開発権者の間で締結される開発契約によって決められることとなっております。 そこで、韓国側が協定を実施するに当たりましては、このような開発契約の規定に基づく場合がありますので、この協定で言う法令というものには、原則としてこの開発契約を含む、こういうように了解したものでございます。 日本側につきましては、政府と開発権者との間の権利義務関係はすべて国内法に定められることとなりますので、韓国側のような事情はないわけでございます。以上、この点の法令というのは韓国側に関してのみの規定である、こういうふうに理解いたしております。
○正森委員 時間が参りましたから、私はその点については後で申し述べたいと思いますけれども、韓国側にのみ通用することだと言いましたね。そうすると、たとえばこの協定の十九条を読んでごらんなさい。「この協定に別段の定めがある場合を除くほか、一方の締約国の法令は、当該一方の締約国が認可した開発権者が操業管理者として指定され及び行動する小区域において、天然資源の探査又は採掘に関連する事項について適用される。」とこう書いてあるじゃないですか。この協定では、操業管理者というのは日本側の場合だけがなるとは限らないのです。お互いに話し合いで決める。決まらなければ、場合によっては抽せんで決める、こういうことになっているじゃないですか。その小区域ではその締約国の法令が適用されるじゃないですか。この付属議定書によれば、韓国政府とメジャーとが結んだ利権契約が法令であるとなっているじゃないですか。したがって、わが国の企業もわが国民も影響を受けるじゃないですか。それは韓国のことだというわけにはいかないじゃないですか。
○村田政府委員 この南部の共同開発に関します協定に関する両国の法令適用関係全般に関しましては、交渉の過程で、両方の法令をこの全地域にいわばダブって適用するのがいいか、あるいは特定の線を引きましてこちらから向こうは日本の法令、他方は韓国の法令を適用するというふうなエリアとか、いろいろあったのでございますが、最終的には、この協定の中の十六条、十七条、十八条というふうな個々の問題につきましては、それぞれ両国の法令をいかに適用するかということをまず定めております。その定めのない場合、先ほど先生の御指摘になりました十九条でございますが、これに基づきますと、一特定の小区域におきまして操業管理者というものが指定されるわけでございます。したがいまして、韓国側の認可した開発権者が操業管理者になります区域に関しましては韓国の法令が適用されるということでございますので、この際には合意議事録の定めによりまして韓国政府と当該企業との契約も適用される。しかし、たとえばわが国の企業が操業管理者になります区域に関しましては、日本の法令が適用されて韓国の法令は適用されないという仕組みになっておるわけでございます。
○正森委員 私はいまの答弁は十分な答弁になっておらないと思うのです、あなたはそれで説明したつもりかもしれないけれども。いまちょうど時間が過ぎましたが、その問題については、非常に大事な問題ですから、次回に改めて詳しく質問したいと思います。 しかし一言申し上げたいのは、そういう合意議事録でも、重大な疑惑がある問題について指摘されたら、なかなか答えられないというような問題ですね。あるいは九月五日、六日に行われた第六回日韓閣僚会議において、いかなる経緯でああいう政治的な合意が行われたのかという点について、外務省からもらった資料に書いてあるのですね、そのことについて当然に質問したら、またそれが答えられないというようなことでは、私は外務省の姿勢というものは非常に遺憾だと思いますね。委員長からその点は言っていただきたいし、それからなお、私が提出を要求いたしました資料については委員長においてお取り計らいを後ほどお考え願いたいと思います。
○石井委員長代理 正森委員に申し上げます。 この点に関しましては、御主張も非常にごもっともな点も多いわけでございますが、後刻理事会で協議をいたしまして、御趣旨に沿うように計らいたいと思いますので、理事会にお任せいただきたいと思います。 次に、永末英一君。
○永末委員 小坂外務大臣に伺いたいのでありますが、領海の問題については、あなたは海洋法会議の結論待ちという態度をお持ちのようでございますが、海洋法会議は年々開かれておりますが、どんどんこれが延びておる。ことしの会議も来年に延びました。歴代の外務大臣は、この領海問題について、もうそこに海洋法会議があるからその結論を待ってと、こういう答弁を繰り返されておった。あたかも外務省自体の方針が、領海の範囲を決める問題については海洋法会議待ちというのでございますが、現在のあなたの御心境はいかがですか。
○小坂国務大臣 永末さんの御質問の趣旨は、そろそろ考えたらいいじゃないか、来年の五月まで海洋法会議が開かれないのだからと、こういうことであろうかと思うのでございますが、 〔石井委員長代理退席、委員長着席〕 それが開かれるまでの間もいろいろと折衝いたしまして、一つの見通しをつけたいというのが外務省の考えでございますので、今後少し精力的にこの問題を詰めてみたい、こう思っております。
○永末委員 あなたの参加しておられる内閣では、運輸大臣も農林大臣もすでに、自分らの省の方針としてはいまでも十二海里宣言が望ましい、こういうことを国会において表明いたしておる。関係者といたしましては、もちろん防衛庁もあるかもしれませんが、外務省だけがまだこれから折衝だというのは、何かあなたの方に特に延ばさなければならぬ理由があるのですか、伺いたい。
○小坂国務大臣 一つは非核三原則の問題であり、一つは海峡の自由通航の問題でございます。まだ他にもございますが、これはこの二つに比べればややマイナーな問題であります。
○永末委員 海峡の自由航行の問題は、アメリカ側にも問題があり、あるいはまた日米安保条約から言えば相手側と目される国側にも問題があるわけですね。それと関連して非核三原則の問題があるわけである。したがって、それらの問題は交渉事で成る問題なんでしょうか。それともわが方が腹を決めてこれでいくんだ、こういうことであれば当然事項として表明される問題ではないかと私は思いますが、いかがですか。
○小坂国務大臣 やはり海峡通航の問題などはもう申し上げるまでもないことでありますが、マラッカ海峡、これが自由に通航できるようになっておりませんと、わがエネルギーの問題に非常に大きな影響があるわけでございます。これについては十分通航できるという、そういう形の見きわめの上においてやるべきである、さように私は考えておるわけであります。
○永末委員 国際海峡の問題については、わが方は——わが方というよりもあなた方の政府は、そこに何ほどかの自由航行の航路帯を見出そうというのが方針のようでございます。もしそうだとすると、それは返す刀でわが方が、たとえば津軽海峡のごときは似たようにしなければならぬ、もし自由航行のある帯を認めるとするならば、その限りにおいてはそこはわが国の主権が及ばないという判断になるでありましょうから、いわゆる非核三原則の問題はなくなる、こういう論理的な筋道になると思うのです。その辺どちらをこんがらかしているのかわからぬけれども、もし非核三原則が問題になって、非核三原則に対するある意味での除外例を認めるというのならば、そのことは国際海峡全体にわたってわが方の主権を認める、こういう形になる。どっちをおとりになるつもりで各国と交渉するのですか。
○村田政府委員 実は、その国際海峡というものをいかなる制度のもとに置くかということがまさに現在の海洋法会議で議論されておりまして、まだ結論を得ておらないところでございます。先ほど先生が国際海峡の中に特定の航路を指定して云々ということをおっしゃいましたが、現在の、たとえば単一草案をとりますと、その中に、沿岸国は国際海峡においてシーレーンを設定することができるという規定がございます。これが果たして最終的にそのように決まるかどうかは別としまして、現在の規定はそういうものが入っておりますけれども、これはいわば沿岸国の自由に任されておるわけでございます。かつ、このシーレーンを置くという規定の趣旨は、主としてその国際海峡におきまして、相当交通量が多いところでございますから、船舶の航行の安全というふうなものも考慮した規定でございまして、その部分の水域だけをいわば領海ではない公海にするというような趣旨でそもそも置かれた規定とは考えられないわけでございます。 いずれにいたしましても、この国際海峡にいかなるレジームを適用するかということは、今後交渉がまだ行われますので、断定的なことはちょっと申し上げかねるわけでございます。
○永末委員 この領海の問題は、特にソ連の漁船隊がわが方の領海、いままでの宣言海域である三海里のすぐ外に位置していろいろやっておる、あるいはまたその他いろいろなことがあるのでありますけれども、そういうわが国の方の国内的な国益から言えば、それは当然十二海里だということは国民のすでに合意を得ている問題だと思う。外務省側はいまおっしゃったように、わが国の周辺ではないよその地域における国際海峡にもしなってくるならば、それに対してのわが方の船舶航行の問題と絡み合わせておられる。非核三原則はわが国周辺だけの問題である、こうなりますと、外務大臣、一体何カ国と交渉したらまとまるのですか。どういう考えなんですか。各国と交渉するのですか。それともわが国は海洋法会議ということでまとまったところでやろうとするのですか。それならば、いまの問題は海洋法会議で来年の五月にまとまるという自信でもおありなのか。海洋法会議でまとまらなければ、また来年、再来年、海洋法会議である結論がつくまではやらぬという方針なんですか、その辺をひとつお聞かせ願いたい。
○小坂国務大臣 それがまさに海洋法会議の結論を待ってといういままでの方針であったわけです。いまもその方針を変えておるわけではございません。ただ、来年の五月までの間に、ソ連が沿岸漁民に不安を与えている問題を何とかしなければならぬということが非常に喫緊の問題としてあるわけでございます。ただ、それをやりますには、やはりソ連との間にもある程度の話をしておいてやりませんと、いままで話をしておるわけで、御承知のように何か標識をつけたものがあって、その中には入らぬというような協定を結んでおるわけでございますから、それにもかかわらず今度は十二海里まで広げますよという話をしませんと、やはりこっちから一方的に領海宣言というだけではなかなか問題をこじらせてしまうおそれもあるという考慮もあるわけでございます。
○永末委員 これはまさに政治の問題であり、決断の問題だと思うのですね。いまソ連側のことだけ話が出ましたけれども、もしわれわれが十二海里宣言をやるとしますと、いま北方水域でどんどんと拿捕されておりますわが方の漁船に対するソ連側の措置に対しても、わが方としてやはり言い分が出てくるわけである。あちら側が十二海里と言い、こっちは三海里で、あっちが勝手な領土権を主張して押し込んでおることをわれわれはのまされておるわけだから、私はいろいろな言い方が可能だと思います。したがって、いまのようにわが国周辺のことをまず主張すべきだ、こういうことなら、特に関係国と交渉して、そしてわが方の準備を整えて宣言すべきである。海洋法会議の結論待ちだというのは、これは二つの条件でしょう。私は、海洋法会議の結論を待って国際海峡だけのことを見てやろうということよりも、むしろ領海の幅をいまの国内世論が十二海里で進めよということでくるならば、その意を体して外務省としては進むべきだと思いますが、もう一度結論的に御方針を伺いたい。
○小坂国務大臣 これは各省にわたる問題でございますから、従来から内閣の官房で副長官が統一見解を出して、そしてその方針で海洋法会議の結論待ち、しかし十二海里を領海とする点は問題はないということにしておるわけでございますが、いまこういう問題が起きまして、内閣の官房の方にさらにこの検討を依頼しておるようなわけでございます。もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
○永末委員 外務省としてもひとつぜひ促進をするように期待をいたしておきます。 さて、日韓大陸棚協定に移るのでありますけれども、北海におきますイギリスを中心とする油田開発がどんどん進んでおります。これらの問題も新しい問題ではございますが、北海におきます油田開発は、各国がそれぞれ自分たちのシェアを決めてやっている。それは、わが国の日韓協定に示されているような共同開発方式ではございません。しかし、その地域では、すでにそこに国益の存するポイントが設置されるわけでございますので、どのようにしてその国益を守るかという北海油田地域に関する防衛問題が現実の問題としてなっておるわけであります。それはすでに関係諸国の会合も行われ、特にまたこの油がNATO諸国に使われるというのでNATOの会議にもこれが議題として供せられておる。当然のことながら、ワルシャワ会議機構側は、ソ連を中心として、この北海といういままで公海であった地域にそれらの国が国益を守ろうというのでもし軍事的な措置を講ずるならば反対だ、こういうような意向を示しているのである。さて、この日韓大陸棚協定を結ぶに当たって、韓国側とこれらの地域に対する防衛問題の相談をいたしましたか。 〔委員長退席、塩崎委員長代理着席〕
○大森政府委員 いたしておりません。
○永末委員 外務大臣、どういうことでしょうね。当然起こる問題です。ソ連はバルト海から北海に対しては、言うならばソ連はいままでバルト海だけであったけれども、エストニア、ラトビア等の三カ国を併合し、そして東ドイツもいわば自分の勢力範囲に置く、こうなりますと、昔のバルチック艦隊ではございませんが、北海というのは彼らが自分の根拠地から大西洋に出る通過しなければならぬところだ。したがって、その地域における相手方の防衛措置というものにはきわめて関心が深い。わが方の日韓大陸棚協定がもし成立をしてお互いが開発にかかった場合には、ウラジオにおけるソ連艦隊が対馬海峡を通って出てくる通過しなければならぬところだ。したがって、ソ連が北海に対してやっていること、言い分というものは、当然この地域に対しても来なければならぬ。そのことを考えないで石油資源だけ考えているというのは、政治のあり方ではないと私は思う。外務大臣、いまの答弁では何も相談したことないというのですが、一体そんなことでこれを進めていいのですか。
○小坂国務大臣 まさにこの大陸棚協定は、あの地帯をエカフェが調査をしてみたら石油があるように思われるということで、両方からその部分についていろいろな話が行われたものでございまして、やはり安全保障上の問題になりますると、日本は安保条約をアメリカとの間に持っております。それから、韓国も米国との間にそういうものを持っているということで、ただいまお話しのような趣旨の点が双方の関心の外にありまして、これは当然、お互いにそういういま申し上げたような関係で安全保障を考えておるのだからということであったのではないかと私は思うのでございます。私は、その点どういうように議論されたかということはまだつまびらかにしておりませんけれども、当時の事情はさようなものではなかったかというふうに思うのでございます。
○永末委員 私が提起いたした問題は、もしこの協定が結ばれ、そうして実行行為に移される暁においては、必ず問題になる問題である。韓国との間に話がなかったならなかったでそれでしまいですよね。しかし、さてこの地域にわが方の生産プラットホームができてきたりする場合に、必ずやはりソ連の軍用艦船が通ることについての問題点が発生するわけである。わが国の方としては方針があるのですか。韓国は別として、わが国としては、この地域におけるこれらの安全を維持する問題あるいはまた外国の軍用艦船がこれに対して関係を持ってくる場合の方針というのはあるのですか。
○小坂国務大臣 ただいまの山口県と韓国の間の海峡、これもやはり領海十二海里の問題と関係してくるわけだと思うのでございますが、そういう点につきまして非常にいままでケアレスであったといいますか、関心がその点に集中していなかったといいますか、そういう点はあろうかと思うのでございます。しかし、ただいま永末さんの御指摘のように、非常に今後大切な問題であるという認識を私も持っておる次第でございます。
○永末委員 外務大臣はいま大切だと言われましたが、大切だと思うだけではいかぬのである。北海におきましては、生産プラットホームの安全を維持するためにはどういう方法が可能なのか、あるいはまた、それから各国に引かれるパイプラインの安全を維持するためにはどうしたらよいのかということが具体的な話題になり、イギリスにおきましては、このために軍用艦船をつくって、そしてこれに対しての防衛のための配置をいたす等々のことをやろうとしている。 〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕 これは空からもその監視をしよう、あるいは生産プラットホームにもし何らかの監視用の軍事用の措置を講ずる必要があれば何が必要なのか、かえってそれは弱いではないかというようないろいろな議論があるわけです。大切だという御答弁は、これらについて政府としてやはり野放しにするのでなくて考える、措置をひとつ研究するということですか。
○小坂国務大臣 私の言葉が足りなかったと思いますが、非常に必要なことだと考えるというのは、したがいましてその必要なことに対していかにすべきかという措置を含めて検討していくということでございます。
○永末委員 いまの外務大臣の言葉は現政府の考えでございますからよもや変わることはないと思います。要するに、莫大なわが国の国費を投じてそこにわれわれの国益の結晶であるものがつくられるならば、やはりわが国の責任においてその安全を維持していくことを考えるのは政府の当然の責務でございますから、そんなことは知らなかった、そんなエカフェの報告で油があるから掘ればいいのだというような問題ではなくなっておるということをひとつ真剣に腹に入れてこの問題には対処をしていただきたい。ただ、いま私が言ったから考えなくちゃならぬというのじゃ、余りにもお粗末ですね。やっぱり考えなくちゃならぬのである。いわんや、また、先ほどのように韓国の生産プラットホームとわれわれの生産プラットホームとが入り組んだような場合に、その適用法令はわが国の方はわが国、韓国のは韓国だと言うけれども、同じようなところに混在している場合に安全保障上一体どうなるのか、われわれは韓国とかかわりを持たないでやるのかどうか、この辺のことは一遍御方針を決めておいていただきたいですね。そうでなかったら、この協定を野放図にオーケーと言うわけにいきませんな。ひとつ宿題にいたしておきます。 外務大臣にもう一つ伺っておきたいのは、この問題は発生以来のことでございますが、中国とのかかわり合いがあるのですね。中国もまた大陸だなにつきましては自然延長論をとっている。しかもその自然延長論をとっているもう一つの国、韓国との間でわれわれこういう共同開発の協定を結ぼうといたしておる。そして、大分前のこの委員会で、中国に対してはどのような関係を持ったかと聞いたら、説明をしたという程度なんですね。あなたは中国との平和友好条約の締結にきわめて御熱心でございますから、もしこの問題をそのままにほっておいてそうして平和友好条約の締結と言っても、中国側はきわめてこの問題に関心を持っておると思うのであります。したがって、あなたが外務大臣になられてからこの問題に関し、中国側と一体どういう交渉をひとつされるおつもりか、この点をしかと承っておきたい。
○小坂国務大臣 この点に関しましては、大平外務大臣時代に姫鵬飛中国外務大臣と接触をされまして、この問題について報告をされたというふうに聞いております。その後も外務省のアジア局を中心にいたしまして、先方としばしばこの話をしておるという報告を受けております。 私になりましてからは、実はまだやっておりません。これはそういうことが必要であるという先方からの話もございませんし、私もまだなりたて早々で、毎日こうやって御答弁に明け暮れておりますので、まだやっておらないようなわけでございます。
○永末委員 われわれがこの委員会で外務省から報告を受けておりますのは、この問題が問題になったときに経過を報告をした、いよいよ協定が結ばれてそれも報告したという話です。しかし、それならばこの線を引くことに異存はないかということについては、異存はないという返答を外務省はもらっていない、そのままになっている。 平和友好条約で前の外務大臣の宮澤氏が、わが方の覇権に関する四項目の考え方を申し述べた。これに対して、あなたがこの前、喬冠華外相にお会いになるまでに、いやともおうとも返答がなかったわけですね。しかし、あなたはこれに対してある一定の判断を下された。返答のないのは不承知であろうというので、あなたは国連において、言葉は違いますけれども、国家間における覇権の存在には反対だという旨の演説をされたと私は理解をいたしておる。この問題についても返答がない。返答がないというのは同意していることじゃないでしょう。普通の哲学的用語によれば沈黙は同意なりというのですが、中国の場合にはどうも沈黙は不同意であるように思います。したがって、あなたの代にこの協定の締結をやろうということであるのなら、やはり中国の考え方を同意に持ってくる。中国と韓国とは国交はございませんから、何ら交渉はあり得ません。しかし、わが国は中国とは国交があるわけでございますので、中国にかかわり合いのあるところだけについては、明示でなくても暗黙でもやはり中国の同意を取りつけておくのが、将来起こるべき国際紛争を避けるために一番やらねばならぬ道だと私は思います。御見解を伺います。
○小坂国務大臣 永末さん御承知のように、中国は韓国を認めておらぬわけでございます。したがいまして、この間には了解その他のことはあるよしもないわけでございますが、われわれのいま問題にしていただいているこの大陸だな開発の協定は中国との間には差しさわりがない、そういうことになっておるわけでございまして、中国としては韓国を認めないのでございますから、日本と韓国が何をしようが返事のしようがないという理解もできるわけでございます。しかし、あなたのような御見解もありますから、これはそういう御見解があるということを十分頭に置きましていろいろと考えさせていただきたいと思います。
○永末委員 小坂外務大臣、あなたは中国との間には問題がない、こうおっしゃった。そんなことありはしませんよ。韓国との間に問題があればこそ共同開発案というものになったんでしょう。中国とわが方との間は中間案ですよ、そこで引っ張ってある線は。中間線案、これで引っ張っているだけです。しかし中国側はそうじゃないんだ。大体、その辺全部が大陸だなは自然延長だ、こういう議論をしてきた場合には、中国との間にも共同開発案ということが妥当の結果生まれないとは限らない。すでにこの協定案が、両方とも、中間線案もだめ、大陸自然延長論はこっちがだめと、折衝の結果この怪しげな区域の設定になったことは歴史的事実である。中国との間には、この線で一部分該当するところは中間線論に基づいているわけでありますから、それで解決済みだなんということは言えませんよ。そんなことを言ったら、いまのあなたの発言、中国は承知しないと私は思いますね。もう一度正確にお考えを伺いたい。
○大森政府委員 これまでの中国との話し合いの状況につきまして、私から補足させていただきます。 中国は、この日韓協定につきまして、この日韓協定が一昨年一月に署名されました直後の二月四日に、外交部スポークスマンの声明という形で、この東シナ海の大陸だなについては、まず、自然延長論をとっているということを述べまして、次いで、この区域の全関係国が集まって話をして境界を定めるべきである。しかるに、この日韓協定は中国を抜きにして取り決めておるので反対であり、また中国の主権を侵害するものであるという立場を述べた経緯がございます。 わが国としましては、先ほど大臣も言われましたように、この協定が署名されますしばらく前の時点で、当時の大平外務大臣から姫鵬飛外交部長に対して、近くこういう趣旨の協定を日韓間でつくるということを説明した経緯がございます。また、一昨年の一月三十日の協定署名の同日にも、東京におきまして外務省から中国大使館の方に同趣旨の説明を行いましたし、さらにその年の四月にもわが方から中国側に説明をいたしております。 その説明と申しますのは、日本としても、中国が考えているように全関係国が集まって境界について話し合いができればそれが一番望ましいとは思うけれども、現状においてはこの関係国同士の間にすべて国交関係があるということではない、こういう状況からそれは当分実現がむずかしい問題と考える。したがって、日本としてはこの日韓共同開発協定においては、日本と韓国の間にまたがる大陸だなについて、日本と韓国とで処理し得る区域に注意深く限定して、中国の権利を侵害しないように考慮した上でこの協定を結んだものである。日本としては、もし中国が日中間の大陸だなの境界画定について話し合いをしたいというのであればいつでもこれに応ずる用意がある、こういう趣旨の説明及びわが方の立場の表明を行ってきたわけでございます。昨年にも行いましたし、本年に入りましても五月に同様のことを中国側に申し入れた経緯があるわけでございます。中国側は中国側の従来の立場を繰り返し述べている、これが状況でございます。
○永末委員 小坂さんもお急ぎのようでございますから……。 経過は経過です。その経過の結果判明しておることは、わが方はわが方の立場を表明し、中国は中国側の、わが方の見解とは違う見解を言っている、平行線のまま今日に至っている。そのままこれを成立せしめてよいかどうか、この判断ですね。あなたが熱心に日本と中国との間の未来永劫にわたる平和状態を築こうというのなら、こんな小さな問題の同意すら取りつけられないということでは進まぬわけでございまして、先ほど私はソ連側の艦船通過の問題を申し上げましたけれども、中国だって、国防上重要な問題ですね。したがって、そういう問題を考えました場合に、中国との関係のあるところはごくわずかなんです。だから、何かの了解を取りつけてこの協定を結ぶということが、この地域におけるこの協定の重みを増すことになる。もしこのまま、中国が自分の主張を言いっぱなしておる、わが方の見解と離れたままである、にもかかわらず、わが方がそれを無視して協定を結ぶということになれば、そのことが因となって中国側との関係がしっくりいかないということになったら何をしたかわからぬ、こういうことになると思いますので、これからの外務大臣の方針をお聞かせ願いたい。
○小坂国務大臣 御意見の点は十分テークノートいたします。
○永末委員 テークノートというのは生きるのでしょうね。このごろ、水溶性インキというのがありまして、テークノートが、水がかかったら消えてしまったということがありますから、テークノートされることをテークノートしておきます。 さて、朝鮮半島には二つのそれぞれ主権国家が併存している状況でございますが、北朝鮮はこの協定について公式にどう言っておりますか。
○大森政府委員 一昨年二月二日に、北朝鮮は外交部スポークスマン声明というものを出しまして、次のような趣旨のことを述べております。去る一月三十日に、日韓の間で大陸だなに関する協定が署名された。これは朝鮮人民の利益に全くそぐわず、わが国の自主権と利権を侵害するものである。朝鮮としては、この両国間の協定についてはこれを認めることができず、それは無効であると考える、こういう趣旨の声明を出しております。
○永末委員 それは、韓国が共同開発区域の設置に賛成をしたということに対して、国益の侵害と言うておるのですか。要するに韓国の行為に対してけしからぬと言っているのですか。共同区域設置でわが方が大陸だなの自然延長論に対して何ほどかの制肘を加えている形になっておりますから、それがけしからぬと言っているのですか。どっちなのですか。
○大森政府委員 声明は非常に長いものでございますが、日韓双方を非難しておりますけれども、どちらかといいますと韓国側の方に非難の重点が置かれている、そういうふうに感じとっております。
○永末委員 その非難は韓国が、言うならば自然延長論を一〇〇%主張しなかったからけしからぬ、こういう意味合いのものですか。
○大森政府委員 はっきり自然延長論というような言葉は使っておりませんけれども、言外にはそういうこともあるというふうにくみ取っております。
○永末委員 主として、あるいは多くの部分韓国の行為に対する非難のようですが、わが国に対する非難もありますか。
○大森政府委員 先ほど申し上げた声明において日本のことを呼ぶ場合に、日本軍国主義者というような表現を使っており、その一節においては、日本軍国主義者もまた日本の再侵略策動に反対する北朝鮮人民を初めとするアジア人民の声に耳を傾け、むやみに手を出してはならない、という一節がございます。
○永末委員 朝鮮民主主義人民共和国としては、石油開発についてこうありたいというようなことを世界のどこかで発表したことがありますか。
○大森政府委員 ただいま御質問の点につきまして、特に北朝鮮側が何らかの特定の立場を主張したということは私どもは承知いたしておりません。
○永末委員 朝鮮半島の主権状態がどうなるかは、これは未来の問題でございますけれども、わが国政府としましては、韓国との間にこの種の協定を結ぶ、それから朝鮮半島のいまの状態がどう変わろうとも、それはまたそのときの話だ、こういうことでこの協定をお結びになるわけですね。
○大森政府委員 南部の共同開発に関する協定が対象といたしております共同開発区域は、北緯三十六度十分以南の地域に限定されておりまして、いかなる意味においても北朝鮮の権利は侵害されていない、こういうふうに考えております。 なお将来の問題につきましては、朝鮮半島はどういう形で統一されるか、それはまだわれわれにもわからないことでございますけれども、将来の問題といたしましては、そういう状況に変化があります場合にはそのときの状況にかんがみて処理する、こういうふうに考えております。
○永末委員 北朝鮮との問題も平行線のままでこれをやっておるわけでございます。もっとも北朝鮮とわが国とは国交はございませんから、国と国との話し合いはできませんが、しかしそういうむずかしい状況で韓国との間の関係を五十年にわたって決めようというわけですから、これはなかなか前途多難なる協定でございます。 さて韓国のことを少し聞いておきたいのでありますが、私の友人に金哲という人がおります。この人は韓国における民主社会主義者であります。私が韓国を訪れるときにはこの人と面談をいたし、彼はまたわが国に来たときには私どもと面談をいたし、いろいろな話をいたします。そして韓国において民主社会主義運動をやっております。統一社会党を総統し、その党首に就任をいたしましたが、次いで韓国側の法令に触れたということで、党首の役を辞して顧問に就任をいたしておりました。昨年八月に私は彼に会ってきたのでございますが、何ら暴力的な政権転覆を企てる様子はございませんが、この人が秋口に逮捕され、そして裁判の結果罪に服しておると伝えられておりまして、なかなか調べることができません。しかし、韓国の政権を判断するには私にとっては重要な一つの手がかりになりますので、日本政府としてこの金哲氏について知れるところがあればこの際ひとつ御報告を願いたい。われわれはそういう政権と協定を結ぼうとしているわけでございますので、私にとっては金哲氏事件はきわめて重要な問題でありますので、御答弁を願います。
○遠藤説明員 いままで私どもが調査しました結果を御報告いたします。 韓国の金哲先生、いま統一社会党の顧問でございますけれども、先生がお会いになりました直後、去年の十月二十一日でございますけれども、反共法と、それから大統領緊急措置第九号の違反で起訴をされました。起訴理由でございますけれども、これはそのときちょうどその統一社会党の中央委員でありました朴仁穆さんという方がおられますけれども、この人が朴大統領を誹謗したとして裁判にかかっていた朴仁穆事件があったわけでございますけれども、公訴状の内容をコピーにして新聞記者にばらまいた、こういうふうなことが起訴事実であったわけでございます。 そこでこの金哲事件はことしの二月二十七日、ソウルの地裁の第一審で、反共法、それから大統領緊急措置第九号違反ということで懲役三年、それから資格停止三年の判決を受けたわけでございます。ちなみに資格停止三年と申しますのは、大体公民権停止と同じような意味にお考えいただいていいと思いますけれども、こういう判決を受けまして、これに対しまして金哲先生は直ちに控訴されまして、第二審判決、これは六月十日であったのでございますけれども、ソウル高等裁判所の第二審判決で原判決が破棄されまして、結局反共法につきましては無罪、緊急措置第九号違反ということで懲役二年、それから資格停止二年の判決が言い渡されたわけでございます。金哲先生はこの第二審判決に対しまして上告は放棄いたしまして、現在服役中である、こういうふうに承知いたしております。
○永末委員 統一社会党を社会主義インターナショナルへ紹介をし、その加盟を促進したのはわれわれ日本の民社党でございました。その意味合いでは、金哲氏に対して現在の朴正煕政権というものがどういう態度で臨んでいるかということは世界が見ておるわけであります。最初反共法でこれを訴追するというがごときは、まさに統一社会党のやっていることに対して色めがねで見ておるとしか思えないのでございまして、これは隣の国の話でございますが、日本政府もそういう朴政権のやり方というものを見ながらやはり本協定の実効性も見ていかねばならぬ問題だと思います。御報告は御報告として承りました。 さて、この前のこの委員会で、韓国側が鉱業権を与えたその会社について説明を求めたわけでございますが、いかにも何かペーパーカンパニーのようでございまして、それぞれアメリカに設置をされ、資本金もそれぞれきわめて少ない。一体韓国側の鉱業権を得た会社というのはどういうような計画を持っておるのか、それをひとつ明らかにしていただきたい。 その前に、共同開発区域でなくて、韓国が単独で鉱区を設定し、そして鉱業権を与えた会社がやめてしまったという報道がございました。まず、やめたところはどこか、その理由は何かということを御説明を願い、次いでこの共同開発区域における相手方の鉱業権を持っておる会社の信頼性について御説明を願いたいと思います。
○大森政府委員 私どもの調査して得た結果によりますると、第二、第四鉱区、これは韓国側の鉱区でございますが、そこに租鉱権を持っておりますガルフは、その契約上、探査期間は一九七七年四月までとなっておりますけれども、ガルフ社は右期日以前にでもいつでも韓国側に鉱区権を返還する用意があるということを申し出ている由であります。また、シェルは第三鉱区と第六鉱区両方に租鉱権を持っておりますが、この第三鉱区については、契約上の返還期日以前の本年一月に鉱区権の返還ということを行っておりまして、またもう一つの第六鉱区につきましても鉱区権を放棄する意思がある、そういう意思である旨をすでに韓国政府に通告している、こういうふうに聞いております。またテキサコ社については、現在のところ第一鉱区について試掘の予定はない、こういうふうに聞いております。したがいまして、韓国側鉱区のうちで今後とも探査が継続されると予想されますのは、共同開発区域を別といたせば、第五鉱区ということだけになるわけであります。 なお、日韓共同開発区域につきましては、韓国側鉱区権者であります米系企業がその権利を放棄したということは聞いておりません。むしろこの日韓協定が発効したならば速やかにこの協定に基づく探査、開発に着手したい、そういう意向であると聞いております。 さらに補足いたしますと、韓国側の鉱区において米系企業がこれら鉱区の放棄ないしは放棄の意向を表明しているという点につきまして、私どもの承知しているところでは、韓国側のこれらの鉱区について試掘を行ってみたところ、どうもあの辺は砂れきが多い地区で、技術上の理由あるいは経済上の理由で開発が必ずしも望ましくない、望ましい結果をもたらさない、そういうような判断に立ってのことと聞いております。
○永末委員 アメリカ側のメジャー関係がそうやって韓国独自の鉱区については断念をしてしまっておる。さて、この共同開発区域につきまして、たとえばガルフはコリア・ガルフ・オイル・カンパニーというのをつくっておりますが、ピッツバーグに本店が所在しておる、資本金が千ドルである、これはおかしいじゃないかと言ったら、調べてみますというのがこの前のお答えだった。これはどういう会社です。
○大森政府委員 韓国側の租鉱権者のうち、コリアン・アメリカン・オイル・カンパニー、これは本店は米国デラウエア州ニューカッスル郡ウエルミントン市ウエスト十番街百番地、こういうところに所在している会社でございまして、払い込み資本は一万ドルということでございまして、会社の設立年月日は一九七一年三月六日でございます。それからコリア・シェル・オイルという会社がございます。これの本店所在地はオランダのハーグ市ということでございます。資本金につきましては十万ギルダーでございまして、会社設立は一九六九年十月十三日でございます。次にテキサコ・コリアという会社がございますが、これは本店はやはり米国のデラウエア州のドーバー市ということでございます。払い込み資本が千ドルで、設立年月日は一九七〇年二月四日でございます。また、コリア・ガルフ・オイル社、これは本店は米国のペンシルバニア州ピッツバーグ市でございまして、払い込み資本は千ドルで、設立の年月日は一九六七年十一月十日、こういうこととなっております。
○永末委員 いまおっしゃったことは資料で明らかでございます。私が聞きたいのは、日本側の鉱業権の出願人は、日本石油、西日本石油、帝国石油等々、日本においてはれっきとした会社である。ところが相手方の方は資本金千ドルの会社、大変なのが出てくるわけですね。これは一体どういうことなんだろうか。両方とも似たようなちゃんとした会社が共同開発をやろう、こう言うなら話はわかりますが、わが方はちゃんとしたれっきとした会社である、相手方は千ドル会社だ、これじゃ、一体韓国側の出方というものに対して非常にわれわれとしては疑念を感ぜざるを得ない。したがって、まず先ほど単独鉱区で断念をいたしましたガルフに関係ありと見られるコリア・ガルフ・オイル・カンパニー、ピッツバーグの千ドル会社、これは一体どういう会社ですか、御説明願いたい。
○大森政府委員 コリア・ガルフ・オイル・カンパニーにつきましては、払い込み資本は先ほど申し上げましたように一千ドル、それから授権資本は二万五千ドル、こういうことでございまして、これは米国のガルフ社の一〇〇%の子会社として設立されたものであります。この資本金というのは確かに少ないわけでございますけれども、これはいわゆるメジャーの一〇〇%子会社でありまして、これらの関係企業と韓国政府の間には契約が存在するわけでございますが、この契約を行う際に、韓国政府は、会社の資産内容等について十分調べていると聞いております。 コアム社につきましても、これはメジャーではございませんけれども、出資社はいずれも信頼するに足る会社であって、資本その他について心配ないというふうに韓国側は考えていると承知いたしております。 他の一つの米系企業、また一つのオランダ・イギリス企業、これらについてもいずれも一〇〇%の子会社でありまして、親会社の資力がしっかりしているということで心配はない、こういうふうに考えているものと承知いたしております。
○永末委員 要するにこの協定が成立をし、そしていよいよ試掘ができる、わが方の会社はまた金融の措置を講じてやり出すということで、初めて相手方も金を集めてやるんだと思うのですね。いわばきわめて利権臭が強いわけだ、相手方は。だから、それまでは別に活動することはないもんだから千ドル会社でよろしい。いま次長のお話では、資本状態も調べてという話ですが、別にそういう、このためにつくった会社で、動けないときにはこんな程度だと思う。やはりそういう金融とか、やる規模とか、わが方が一体どういうようにこれに対して金を動かしていこうとするか、まだ質問したいのでございますが、塩崎君が待っておりますものですから、きょうはこの程度にとどめて質問を中止をいたします。
○藤本委員長 次に、塩崎潤君。
○塩崎委員 日韓大陸棚協定について若干の質問をさせていただきたいと思います。 この大陸棚協定が国会にかけられましてから二年半を経過いたしたのでございます。審議もだんだん進んでまいりましたが、まだ衆議院さえ通過していない状況を大変私どもは憂慮するものでございます。 石油資源の安定的な確保は、わが国の当面の大きな課題でございます。最近また石油危機の到来があるのではないかというふうに心配されています今日だけに、どうしてもこの協定は今国会において成立させたいという気持ちでいっぱいでございます。 これまでの審議の経過をずっと私も見てまいったのでございますが、この協定は本来経済的な側面を持ったものだと思うわけでございます。それでありますのに、国会ではそういった経済的な側面の議論よりも、むしろ日本の政治社会あるいはまた韓国の政治社会、あるいは日韓の政治外交関係についての問題からいろいろと疑惑を持たれ、疑問を持たれ、今日までこの協定が成立していないと思うのでございます。政経分離だと、こんなようなことを申し上げましても、なかなか聞き入れられてないような状況だと思うわけでございます。 そこで、きょうはこれらの点を中心といたしまして、小坂外務大臣を初め外務当局の皆様方に若干の御質問を申し上げたいのでございます。 その前に、ただいま正森委員がいらっしゃいますので、正森委員のいらっしゃる前で、先ほど御質問になられました合意議事録、その一項の大韓民国政府とその開発権者との間の開発契約が法令の中に含まれるという大変鋭い法律家らしい御質問で、この座が白けるまでなったあの問題について少し御質問をしたいんです。常に、この問題は利権を伴う問題があるんではないかというふうに言われております。ことに、韓国と開発権者との関係はいろいろのことが取りざたされている。アメリカの多国籍企業小委員会では、ガルフは相当大きな献金を韓国政権にしたではないかというようなうわさが伝わっておりますだけに、いま正森先生が御指摘されたように、韓国と開発権者との間の契約を——これはどんな契約か、日本には全く責任のないその契約が、日本の企業に対して適用になるというようなことにこの協定ではなるのではないかという、私どもにとっては大変ショッキングな御質問があったので、私も驚いて、いま少なき法律、条約の知識で読んでみたわけでございます。 それで大臣、どうなんです。私は、こんな大事なことを、大臣が見られても、国会で承認を受ける協定と違った行政当局間の合意議事録で、他国民の企業に対して強制力を持つ法令の中に、私的な企業と韓国政府との間の勝手に決めた契約が入るというようなことは、私の草々な間に感じたところでは、入るはずがないと思ったのです。入るとすれば、協定の中で、韓国と開発権者との間の契約は法令とみなす、というぐらいの規定が入らなければそうならないと思ったのですが、一瞬たじろぐどころじゃなくて、もう数分たじろいだために、全く外務省の方に非があり、こういうふうに見えたのですが、しかし、大臣、常識的にどうなんでしょうか。私はそんなことはないと思うのですがね。
○小坂国務大臣 大変いい点を突いていただいて、私は感謝をいたします。実は、この問題は非常に事務的なことでございますし、また、私の就任以前のことだものですから、事務当局が答えるのが筋であろう、しかも合意議事録でございますから。さように思っておったのでありますが、何か私も塩崎君と同じような印象を持ちました。ちょっとそんなばかな——ばかなと言っては何ですが、そんなことはあり得ないことである。それから、日本の国民の権利義務を一合意議事録で縛って国会の審議にも供さぬ、しかも、その協定が、包括的に韓国と開発権者との間の権利義務を日本国民に及ぼすことを承認しているなどということは、私は法律ははなはだ素人でございまして何でございますが、私の政治常識からはちょっと遠いことのように思うのですね。それで、この際、せっかく御質問いただいて、その後時間もたっておりますから、事務当局からもっと明快に答えさせます。あり得るべからざることだというふうに思います。
○塩崎委員 いま大臣から政治常識での御答弁があったのですが、私は法律とか条約というものは、まさしく政治常識で構成されるべきだと思いますのでそうだと思うのですが、正森委員が当時委員長席に座っておられた石井理事にこの点について抗議もあり、外務当局はもう少し勉強しろ、こんな簡単な問題で答えがこんなに戸惑うというのはどういうことかというようなお話がありました。本当に審議がここまで進んできた今日ですから、私は大事な正森委員の御指摘だと思うので、これはひとつ正確にこの合意議事録の性格、なぜ韓国だけ、この法令の中に韓国政府と開発権者との間の契約を入れたのか、これをもう少し、今度は流暢に——たじろいだらいかぬのです。正森先生は声が大きいですから、それからあなた方より法律知識があるから、皆さん方たじろいだだけでしょうが、やはりよく筋道を考えて、ひとつ落ちついて答えてください。
○村田政府委員 先ほどの正森先生の御質問に対しまして、もっと速やかに明快な御答弁をすべきであったのに、もたつきまして申しわけないと思っております。ただいまの塩崎先生の御質問にかんがみまして、この点に関して御説明を申し上げます。 この日韓大陸棚協定に基づきます両国間の共同開発の問題は、基本的には開発権者間の事業契約に基づくわけでございまして、その場合に、一方の締約国の開発権者が操業管理者であるという区域に関しましては、先ほど私十九条に基づきまして御説明申し上げたのでございますけれども、協定に別段の規定がない限り、これは租税とかいろいろな点については別段の規定がございますが、その国の法令が適用される、つまり日本の会社が操業管理者になった場合には日本の法令が適用されるということでございます。そこで、ある特定の区域に関しまして、韓国側の会社、これは先ほど永末先生からいろいろ御質問になったそういう会社が操業管理者になるということになるかと思いますけれども、その場合に、韓国政府とその操業管理者たる企業との間の権利義務関係と申しますものは、韓国の国内法令に本来よるわけでございますけれども、韓国の場合にはわが国と法令の体制が若干異なりますので、韓国の場合における政府と開発権者の関係は、まず第一には韓国の海底鉱物資源開発法という法律によって定められるわけでございますけれども、さらに韓国政府と開発権者との間で締結されます開発契約というものによって定められることになるわけでございます。これはいわば韓国だけの事情でございまして、韓国政府と韓国側の開発権者との関係ということでございます。したがいまして、日本側が韓国政府と韓国側の開発権者との間の権利義務関係によって影響を受けるということはないわけでございます。 韓国側の法令に開発契約を含めるという規定をこの合意議事録に置きました理由は、韓国側の場合には、必ずしも海底鉱物資源開発法というもので直接全部規定しておらない事項につきまして、韓国政府と先方の開発権者との間の権利義務関係というものがございまして、それが契約に含まれておるという韓国側の事情からこのような規定を置くという提案があって、わが方もこれを受諾したという次第でございます。日本の方はそういう事情は全くございません。この協定におきまして法令の解釈というものを、いまの韓国側の考え方も取り入れまして、行政府の代表者間の了解を確認したというのがこの合意議事録の規定でございます。 なお、しかしながら、そういうことを言うけれども、韓国側の法令にもしも開発契約も含まれるということになりますと、韓国政府がいかなる開発契約を結んでもそれがこの協定上の法令とみなされるというのはおかしいじゃないかというあるいは御質問があるかもしれませんけれども、これは協定の第八条におきまして「一方の締約国の開発権者は、他方の締約国の開発権者が当該他方の締約国の法令に基づく義務を履行する場合において、その義務がこの協定に適合するものである限り、その履行を妨げてはならない。」という規定があるわけでございまして、合意議事録の一項によりまして、韓国の言う法令という中には、韓国政府と開発権者との間の開発契約が含まれることになりますけれども、いま申しましたような第八条の規定がございますので、「この協定に適合するものである限り」という条件がついておりますから特に問題はないというふうに考えております。
○塩崎委員 この問題は、正森先生がいま手を振っておられますから、いずれなお詳細なる御質問が続いてあるかと思うので、私は大変楽しみにしているわけでございます。私はこの条約解釈はいまの外務省の解釈が正しいと思っておりますが、いずれまた正森先生の御質問に期待することにいたしまして、次の質問に移らしていただきたいと思います。 いまの条約の解釈の問題でも、常にこの問題は利権という色めがねと申しますか、プリズムというか、そんなような角度から見られて難航しておる。私はそんなことはないと思うのです。大体いないはずの黒ネコを暗やみの中で探すようなもので、なかなか見つからぬことを一生懸命やっても仕方がないと思うのですが、そんなような話ばかりで、条約の議論が建設的な主張もなくて終わっているような気がして大変残念でございます。そこで、私はなお心配な点があるのは、わが自由民主党の中からこのような問題で日韓大陸棚協定を見ていく、こんなような点があるので、この条約について審議がスムーズに進まないということがあったら大変だと思うのです。わが自由民主党のよさは、ほかの政党と違ってどんな意見を言ってもいいというところにあることはもちろんでございますが、大臣、だんだんとこの条約の審議が進んできました今日、わが自由民主党の議員の言動というのは大変大事になってくると思う。 自由民主党の議員の方々が二人ばかり日韓大陸棚協定に対して反対をしておる。その一人は宇都宮徳馬先生でございますが、宇都宮徳馬先生はもう自由民主党を離党されましたから、もうこの点は心配する必要はないと思うのですが、もう一人は、ことしの「世界」の六月号に意見を発表されました塩谷一夫先生でございます。「一自民党議員の憂い」という題で、ことしの六月号、審議をしておった最中なんです。塩谷先生が「ロッキード事件と日韓関係」というサブタイトルをつけて「世界」に発表されたのですが、大臣はこの論文をごらんになったでしょうか。大臣もよく論文をお書きになる。その論文がときどき問題になることは大臣もすでにこの委員会でもう御経験済みでございましょうが、この塩谷論文をごらんになったかどうか、ごらんになったとすれば、この論文についてどう思われるか、ちょっと御感想を伺いたい。
○小坂国務大臣 韓国の問題に関しては、韓国のやることは好かぬ、悪いことが多いんだ、こういう頭で考える人が非常に多いといいますか、わが自由民主党の人以外にはそういう人が非常に多いということは私、はなはだ遺憾に思うのであります。何といっても韓国は非常に近い隣国でございますし、しかもいつか申し上げたように、われわれ三十六年にわたって韓国を支配しておった、そういう歴史があるだけに、非常に気をつけて韓国の問題というのは対処しなければならぬというふうに思っておるわけでございます。 ところが、この日韓大陸棚協定についても、二年半以上もほうってあるということは、先方が批准しているだけに大変問題になると思うのです。でございますから、いまのお話のように非常に建設的にこの問題を考えていく、しかも資源の問題、エネルギーの問題に関連する、わが国として非常に国益に大きな関連のある問題でありますから、これはもっと率直に受け取って、正すべきはもちろん正さなければいけませんけれども、色めがねをかけないで審議をしていくということが必要であろうと思うのです。 ところでいまの御質問の論文でございます。私は実は余りよく読んでなかったのですが、いま御質問があるというので大急ぎで昨晩読んだわけです。これはなかなかいろいろなことが書いてありますが、私としては、いま申し上げるような私の気持ちからははなはだ遠いものであると言わざるを得ないと思うのです。私の論文は非常に好評でございまして、問題になるなんという性質のものじゃございません。それとこれはどうぞ御一緒にされぬようにお願いしたいと思います。
○塩崎委員 いま外務大臣から塩谷論文についての御意見がございましたが、自民党の中にいろいろと意見がある。その大部分は、大臣のおっしゃったように、韓国の政策がけしからぬから韓国に対する協定とか条約とか援助というものはすべきでないという意見が多いのです。ところが塩谷論文の特徴は、そうじゃなくて、むしろ日本の側にその原因があるのだ、つまり日韓汚職とかいうような言葉が言われておったり、あるいは韓国に対する経済援助にいろいろの疑惑があり、むしろ韓国に対する日本の政策を改めなければ大陸棚協定を結んではいかぬというふうに、大変不明確なんですけれども、私が想像していけば読めるのです。そうすると大臣、大臣は現在の日本の韓国に対する政策、これはこちらがどうでもとれる政策でございますが、何か改められるべき点があるかないか。大臣はもう一つ新しい抱負経綸を持ってニューフェースとして登場されたわけでございますから、この日韓政策——日本の韓国に対する政策、韓国の政策でありません、日本の政策についてどのようにお考えか。塩谷先生の言われるように改めるべき点があるかどうか、特にこの点をひとつお答えを願いたい。
○小坂国務大臣 どうもこの委員会で見ておりましても、こっちの半分の方はどうもよう言わぬのです。頭から悪いと決めてかかっている。実は個人の見解でございますが、私は、こういう態度は個人として問題だと思うのですね。どこの国でも、ほかの国から悪く言われて気持ちをよくする国民はないわけでございますから、そういう点はいろいろ過去の経験があり、近いだけに非常に気をつけていかなければならないと思うのです。 そこで、韓国に対する態度はどうかということでございますれば、韓国は独立した国でございます。尊敬すべき隣国である、こういう考え方に立ってつき合うべきである、こういうふうに思っております。
○塩崎委員 最後に、いま私の質問は、韓国は独立国である、これはもう間違いないと思うのですけれども、日本の対韓政策、たとえば経済援助をやめるというところまで塩谷さんは言っておられるようにも読めるのですね。いろいろ疑惑の種になるようなことがあったらやめたらどうかというふうなことを言わんばかりのことが書いてあるのですが、その点で改めるべき点がありますか。
○小坂国務大臣 私は事実は知りませんが、何か経済的に妙なことをすることはいけないことは、もう私から言わぬでも当然のことでございます。そういう点があったかないかということは、私はないと思いますけれども、私はそんなことばかりトレースしているわけではございませんから、その程度のことしか言えないのです。要するに韓国がりっぱな国として繁栄していくということはやはりわれわれの喜びでもある、そういう気持ちでつき合うのが本筋であろうかと思います。
○塩崎委員 大臣の御答弁を敷衍いたしますと、やはり日本が韓国に対する経済援助、これは経済援助として一つの政策的な価値を持つなら継続すべきであって、それと疑惑というような問題は別問題である、全然そんなことは別の話で、政策決定には影響しないという意味だというふうに私は理解していきたいと思うのです。そういった意味で、この塩谷論文は大変勉強されておりますけれども、どうなんでしょうか大臣、いまごろこういう意見が出たりするということ。しかも、これは委員長もそうなんですけれども、三木総理の最も近い方々が「世界」というわりあい有名な雑誌に書かれておる。これは国会審議の最中である。これは毛利筆頭理事なんか大変熱心に日韓大陸棚協定を推進されておるのに、こういった論文を出されるのは自民党のよさと考えていいんでしょうか。大臣、これはどうなんです。何かうまい方法ありませんか。
○小坂国務大臣 私は、ここで委員の諸君が同じ気持ちでこの大陸だなの条約の成立を待ち望んでおるというふうに思うのでございまして、それ以外のことは、この審議の問題じゃない、かように見て通りたいと思います。わき目に見てお互いに本道を行こうじゃありませんか。そう思います。
○塩崎委員 そこで大臣もう一問だけ——それでは政務次官にひとつお尋ねすることにして、いま申しましたのは塩谷論文の日本の韓国に対する政策が改めるべき点があるかどうかということが中心でございます。もう一つは、先ほど大臣が盛んに力説されました韓国の政策、これが日本にとっていろいろと不信の念を持って見ていられるから、この大陸棚協定を締結すること自体にいろいろと疑惑や疑問が提起をされるわけでございます。どんなにいいことでも、そういった角度で見れば悪いことになってしまうというようなことだと思います。その中に金大中事件があることは政務次官もう御案内のとおりです。 そこで、これはアジア局長でもいいのですが、政府は、金大中事件については、もう外交的な決着はつけたのだ、あとは金大中氏について関心の表明を行えばいいというふうに言ってこられているのですが、今後もただ関心の表明を続けるだけでいいのかどうか、この点について、これは大臣がおられれば一番よかったのですけれども、大臣がおられないから、これは大変政治的な答弁ですから政務次官から答弁していただきたい。とにかくなかなか釈然としていない金大中事件なんですね。それがあるから大陸棚協定に影響するとするならば、この問題についてどう考えるか、ひとつ簡潔にお答え願いたいと思います。
○中江政府委員 要すれば後で政務次官から政治的なお立場から御見解の御表明があるかと思いますけれども、いまの御質問の点について、事務当局としてお答えできる範囲内について御説明したいと思います。 関心の表明というのは、関心の表明にとどまるか、一言で言えばそういう御懸念だろうと思いますが、関心を表明するということは、関心を表明することによって、日本政府が引き続き関心を持っている事項、これはすなわち外交的決着の際に両国の最高首脳の間で了解された事項が実現されることを強く期待しているということで、その実現されるまで見きわめていくのだという、日本政府の強い姿勢を示している、そういう姿勢を示すことによって、外交的決着の際の了解事項が実際に実現されるような雰囲気あるいは情勢になったならば、間違いなく韓国政府としては、金大中氏の出国を含めて自由であるという、その身柄の自由について約束どおり処置されるということを見守っていくというのがいまの段階で、この段階が永久に続くという意味で、ただ関心を表明しさえすればいいという態度ではない、これは一つはっきりと申し上げておかなければならぬと思います。 もう一つは、金大中事件というのは、外交的決着をつけて、あとはそのときの了解事項が守られているかどうかを見守っていればいいというだけではなくて、これはもう御承知のことですけれども、この事件はそもそも外交案件である以前に国際的な刑事事件であったわけです。したがって、金大中氏事件というのは本質的に国際刑事事件でありまして、その国際的な刑事事件という意味では事件は全くクローズされていない。これは日韓双方とも捜査を継続しているということでございまして、その捜査の結果、新たな事実が出れば、その新たな事実に基づいて、本日でも即刻に韓国側に新たな話を持っていくという余地は残してありますし、そのことは一九七三年の十一月二日の外交的決着を見ましたときに、当時の大平外務大臣から、韓国側に新たな事実が出て主権侵害の裏づけができたときには、この外交的決着については全面的に再考慮する、その余地は留保してあるということは、はっきり韓国側に念を押してあるわけでございます。そういう意味で、ただ関心を表明していればいいというのんきな気持ちで私どもがいるというわけではございませんので、それを申し上げておきたい、こういうことでございます。
○小此木政府委員 アジア局長の答弁の中にもかなり政治的な意味も含まれておると解釈いたしますので、私から特に補足することはございません。
○塩崎委員 報道等によりますと、金大中氏の病状は大分悪化していると言われておりますね。去る八日の衆議院のここの外務委員会で、小坂外相は水野委員の質問に対して、金大中氏に対して医師団の派遣を検討しているのだ、こんなような発言をされたと新聞に報道されたわけでございます。ところが、一向に医師団を派遣された様子もないのです。八日といいますと、いまから十四日も前の話でございますが、この問題は大変大事な問題でございます。医師団の派遣は一つの政府のアクション、積極的な態度だと思いますから、それが何を意味するか、いろいろ問題を生ずるかと思いますけれども、この事実、そして外務大臣のその真意、これを少し補足して御答弁を願いたいと思います。
○中江政府委員 御指摘の十月八日の外務委員会におきます小坂外務大臣の答弁の内容は、これは速記録でごらんいただくとはっきりすると思いますが、具体的に医師団を派遣することについてこれを検討するというふうに直截なお話ではなくて、御質問されました委員の方から、金大中氏という人は単なる一韓国人ということではない政治的な意味があるわけだから、この人の健康については政府としてもいろいろ考えなければいかぬのじゃないか、たとえば医師団を派遣するとかあるいはこれこれというようなことでお話が出まして、それに対する外務大臣の御答弁は、そういう一般的な金大中氏の健康に対する関心なり御懸念に答える形で、一言で言いますと内政干渉にわたらない範囲内で金大中氏の健康状態の実情把握にはいまでも努めているということをおっしゃいまして、そのほかは人道といいますか人権の問題を重く見る政治家として何ができるかは考えたい、こういうことをつけ加えられたと私は記憶しております。 具体的に医師団を派遣したかどうかという御質問に対しましては、いま申しましたような経緯がございまして、政府として医師団の派遣をいま具体的に考えているということはございませんし、政府間の問題として日本から——韓国も韓国には韓国の法律に基づく監獄あるいは収監されている、あるいは拘禁されている人たちの健康管理の規則もございますし、韓国にも優秀な医学の専門家もおられるわけでございますから、そこに日本から医師団を派遣して、割って入って健康診断をすることは軽々にできないことであるということは塩崎先生も御理解いただけるか、こう思います。
○塩崎委員 私も医師団を派遣するという新聞記事を見て驚いたのです。大変な問題が起こりやしないかと思ったのですが、いまの中江局長のお話でそういったことはしないのだということでございますので、その点は了解できるわけでございます。 しかし、ただ関心を持ち続けているということをここで表明すること、このこと自体も確かに結構なことでもあるかもしれない、一つの行為であるかもしれませんが、それだけでは何か十分でないような気もするわけであります。そのことがひとつ韓国政府に小坂外務大臣の意思として通ずる方法が考えられるかどうかですね。たとえばノートバーバルでこのような事態、ことに大陸棚協定がここまで審議が進んだ今日において、やはり金大中氏の健康状態については非常に関心を持っておるのだというようなことも言うことが適当かどうか、こんなことが将来の方向として考えられるかどうか、お答えいただきたいと思うのです。
○中江政府委員 金大中氏事件あるいはそれに絡まる金大中氏個人についての問題を口上書という、ノートバーバルというお言葉がございましたが、いわゆる外交経路で取り上げることは、なかなか外交的決着及びその後の事態の進展から見ましてできないことだ、私はこういうふうに思います。その後新たな事実が出れば別でございますけれども、それのない限りは外交経路で再び取り上げて問題を再検討する、あるいはもう一度いろいろと議論をすることは、もう外交の常識としてできないことだと思います。 しかし、それだからといって何もできないのかという点につきましては、先ほども申し上げましたように国内事項に対する干渉ととられない範囲内で何ができるかという点については、これは大臣も大臣のお立場でいろいろお考えになると思いますが、事務当局といたしましても、とにかく金大中氏事件というのは主権侵害の疑いが濃厚であるというふうに多くの人が思って、それが裏づけられることではないかと期待した人が多かっただけに、それが裏づけられないで外交的決着を見たということからくる一種の何とも割り切れない気持ちというものが残っていることも他面事実でございますので、それを解決するといいますか、そういう割り切れない気持ちにこたえる方法というのは、内政干渉にわたらない範囲内で何ができるかということは検討してまいりたい、こう思います。
○塩崎委員 だんだん時間がなくなってまいりましたので、あと一問だけお尋ね申し上げたいと思います。本来、野党の方々がたくさんおられればたくさんの問題も提出してお答え願いたいのでございますが、野党の方は正森先生お一人のようでございますので、あと一問だけで私の質問は終わらせていただきたいと思います。 ときどき、日韓大陸棚協定について、大変審議がおくれたためにいろいろと韓国側は焦っておる、いらいらしておる、単独開発をやろうじゃないかという声もあり、何というか、いろいろの対抗措置というようなことが伝えられておるので、私どもも大変心配するわけでございます。私はまさかそうではないと思うのですけれども、最近日本漁船に対して韓国の軍艦が臨検するというケースが大変ふえてきたと伝えられておるのですが、それは大陸棚協定と関係があるのかどうか、あるいはそうではなく、そんな大陸棚協定というような経済的な問題よりも、その前の政治的な社会的な背景、たとえば板門店事件とかそういったことが関係があるのかどうか知りません。フグの時期で、いま日本漁船が盛んに韓国近海で操業している。ところが山口県船籍の権現丸という漁船が、韓国の軍艦から韓国側が設定した特定海域からの退去命令を受けて、しかも発砲された。また、貨物船第二東海号が韓国海軍から臨検を受けたと聞いておりますが、こんなようなことが一つの報復措置とかいうようなことであったらこれは大変なことだと思うのですね。 先般、北鮮との関係で大問題になりました事件として松生丸事件がある。これが第二の松生丸事件だとすると大変で、いまだに松生丸事件のしこりが残って、私はいつも遠藤課長に陳情するのですがさっぱり聞いてくれない。北鮮との関係は全くないのだから、電話でちょっとしゃべったぐらいで終わりだということで、全く泣き寝入りみたいな気がするのですね。しかし韓国との間では堂々と外交関係があるのですから、これらの事件に対して日本政府はどういう措置をとるのか、とっているのか、そしてこれらの事件をどう考えるのか、大陸棚協定との関係があるのかないのか。こういう問題は一刻も早く皆さん方が明らかにして日本国民を安心さすべきではないでしょうか、この点ひとつお答え願いたいと思います。
○中江政府委員 まず冒頭にはっきり私どもの認識を申し上げますと、日本船に対する捜索、臨検あるいは発砲ということが大陸棚協定と関係があるかという点については、関係はないものと、こういうふうに認識していることを申し上げておく必要があろうかと思います。 それでは一体何だという点でございますが、これは本年もそういう事件が続発しておりますが、過去にも何度かありまして、韓国側では北朝鮮と対決しているという軍事的な関係からあの水域に公海上に特定水域というものを設けまして、その部分を主として軍事的な観点から警戒している。その特定水域の中に入った日本船あるいはその近くに接近した日本船というものに対する臨検、捜索に近いようなこと、あるいはその停船を命ずるに当たっての空砲の発砲というようなことがあったということは、過去にも例がございますが、日本政府の立場では、公海上にそういった水域を一方的に設けるということは、これは国際法の許すところではないわけでございますので、従来ともその水域の国際法上の有効性については日本は否定的である、認めることはできないということを申し入れておりますし、またそれから生ずる今回のような日本漁船に絡まる事件につきましては、海上保安庁が受けました報告に基づいて、正確な事実を根拠としてそのたびごとに韓国政府に抗議を申し入れている、こういうことでございまして、ただいま御指摘の第二権現丸その他の最近の事例につきましても、いま海上保安庁の正式の報告を待っている。その報告によりまして外務省としてはしかるべき外交的な措置をとる。これは当然抗議をし、韓国のそういった一つの制度というものの効力について日本政府の立場を再び明らかにする、こういうことになろうかと思います。
○塩崎委員 いまの中江局長のお話では、これらの事件に対して日本政府は抗議をしたんですか、しないんですか。いまのお話では、保安庁から来たらやるようにも聞こえたのですが、とにかく韓国の政治に対して、先ほどから申し上げておりますように、日本人はまだまだ釈然としない人がたくさんいる。そんなようなときに、外務省はやはり是は是、非は非ということを迅速に、そうして明らかにやってもらわなければならぬと思うのですが、いまのお話は長々と言われておったわりに中身がないような気がするのですが、どうなんです。
○中江政府委員 基本的には塩崎先生と同じ考えで臨んでおるわけですが、いまの第二東海号——先ほど私、第二権現丸と言ったのは間違いで第二東海号、それから権現丸、そのほかに清進丸、第一春日丸、こういったものは主としてフグはえなわ漁船でございますが、これが九月の下旬から十月六日にかけて少なくとも四件私ども承知しておるわけです。 これについては、もしこのとおりであれば、当然抗議を申し込む事案でございますけれども、日本の制度からいきますと、まず第一に海上保安庁に被害届といいますかそういう報告がある。海上保安庁でこれの事実を整理した上で、こういうことがあったということで外務省に移管される。そこで、外務省がその事実に基づいて国際法に照らして韓国側に抗議を申し入れる。順序はそういうことでございまして、九月下旬の案件についてはまだそういうところまで事務的に進んでいない、こういうことでございます。
○塩崎委員 なお私は、条約プロパーの問題としていろいろ御質問もしたいことがありました。特に経済的なアスペクトといいますか側面について、この協定の内容をいろいろと伺いたかったのでございます。特に、このような日本の開発が望まれておるわりに、わが国の石油業界の盛り上がりといいますか熱意がそれほどでないようにも見える。さて中東とこの日韓大陸だなとどちらが大事であるかというような問題、これは一遍参考人の意見も聞いて私はいろいろと質問もしたい点がありますし、委員長においてひとつ来週の月曜日くらいにでも、これらの問題について参考人の意見を聞くようなお取り計らいもやっていただきたいと思います。きょうは大臣も退席されましたし、野党の先生方はもう正森先生お一人ですから、ひとつ私は、きょうは質問は終わらせていただいて、必要に応じてまたこの内容について、ことにいまの条約の解釈などは正森先生またやられましょうから、関連してでも質問をやらせていただくことを留保して、これで終わらせていただきたいと思います。
○藤本委員長 塩崎委員に申し上げますが、参考人招致の件につきましては、後刻理事会で御相談いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次回は、来る二十七日水曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時四十五分散会