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78回国会衆議院1976/10/13

外務委員会 第3号

発言数
168
登壇者
13
会派数
4
開催日
1976/10/13

会議録

藤本孝雄自由民主党

○藤本委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  去る六日の外務委員会におきまして、渡部一郎君から要求がありました資料提出につきまして、外務省及び法務省当局から、それぞれ発言を求められておりますのでこれを許します。中島外務省条約局長。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 先般の外務委員会において、渡部一郎先生より亡命と難民の定義いかんという点についての御質疑がありまして、その際、とりあえず私の考え方を申し上げましたが、その点について関係各省ともよく詰めた見解を示せと、こういう御要望がございまして、それを紙にさしていただきましたので、その紙を読み上げるという形でお答えをさせていただきたいと思います。    「難民」と「亡命者」の定義について  一 「難民」、「亡命者」、「政治難民」 「政治亡命者」といった概念は、歴史上の種々の具体的現象を背景として論議されてきたものでもあり、これらにつき一般国際法上確立された定義があるわけではない。国際条約において、これらの者についての定義が置かれている場合にも、各々の条約の目的に応じてその適用の対象を定めているにとどまり、また、学説においても、これらの用語や概念は、論者により異なる意味内容をもって用いられている状況にある。  ニ したがって、「難民」、「亡命者」等の定義については、これらの概念や用語が用いられる各々の場合に即して考えざるを得ず、一義的な定義を行ったり、その間の区別を明確にすることは困難な実情にある。かかる事情にもかかわらず、あえて一応の輪郭とも言うべきものを述べれば次のとおりと考えられる。  (イ) 我が国でいわゆる難民や亡命者として論じられるものは、英語でRefugeeと称されるものにあたると思われるところ、Refugeeとは、通常は、広く戦争、内乱、自然災害等により、あるいは、政治上、宗教上等の理由による迫害の危険を逃れるために、本国や本来の居住地を離れ、これらの国による保護を受けることができないか、又は、受けることを望まない人々を総括的に指すものと思われる。  (ロ) 難民、亡命者の概念につきあえて論ずれ  ば、いわゆる難民の概念は、その歴史的背景もあって、これらの人々が何らかの理由により外国に居る場合の滞在国における保護、待遇の問題に着目してとらえられるものと思われるのに対し、いわゆる亡命者の概念はその者が何らかの迫害のおそれのために他国の庇護を求めていることとの関連で、その国がその入国滞在を認め庇護を与えるか否かといった観点からとらえられるのではないかと思われる。  (ハ) これらの難民ないし亡命者が何らかの政  治的理由による迫害から逃れるため本国又は本来の居住国を離れ、これらの国による保護を受けることができないか、又は、受けることを望まない者である場合に、政治難民とか政治亡命者とかいう表現が用いられるものと思われ、両者の区別は右に述べたごとき難民と亡命者の一応の区別以上には明確ではない。  三 なお、一九五一年に採 択されたConvention Relating To The Status of Refugees(難民の地位に関する条約とも亡命者の地位に関する条約とも訳される)は、Refugeeの保護・待遇についての規定を置いており、その入国滞在自体について直接定めた条約ではない が、この条約の適用上は、Refugeeとは次の者をいうとされている。(邦訳は便宜「難民」としたものである)     第一条「難民」の定義  A この条約の適  用上、「難民」とは、次の者をいう。  (1) 千九百二十六年五月十二日及び千九百二十八年六月三十日の取極、千九百三十三年十月二十八日及び千九三十八年二月十日の条約、千九百三十九年九月十四日の議定書又は国際難民機関憲章に基づき難民とされていた者  国際難民機関の活動期間中に同機関が行う難民の資格がない旨の決定は、(2)の条件を満たす者に難民の地位が与えられることを妨げるものではない。   (2) 千九百五十一年一月一日前に発生した事件の結果として、かつ、人種、宗教、国籍、特定の社会団体の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けることの十分に根拠のあるおそれのために国籍国の外にある者で、その国の保護を受けることができないか又は前記のおそれのためにその保護を受けることを望まないもの、又は前記の事件の結果として、国籍を有せず、かつ、以前常時居住していた国の外にある者で、その国に帰ることができないか又は前記のおそれのために帰ることを望まないもの     二以上の国籍を有する者の場合には、「国籍国」とは、その者が国籍を有するそれぞれの国をいい、十分に根拠のあるおそれに基づく有効な理由がない場合においてその者が国籍を有するいずれか国の保護を受けなかったときは、そのについては、国籍国の保護がないとはみなされない。 なお、注といたしまして、   一九六七年に発効したProtocol Relating tothe Statu s of Refugees(難民の地位に関する議定書とも亡命者の地位に関する議定書とも訳される)は前記条約第一条A(2)の定義から、一九五一年一月一日前に発生した事件の結果として、という条件を削除した。ということでございます。

藤本孝雄自由民主党

○藤本委員長 次に、竹村法務大臣官房審議官。

竹村照雄法務大臣官房審議官

○竹村説明員 同じく文書にしたものを読み上げます。   政治亡命を希望する外国人の取扱いについて我が国に政治亡命を希望する外国人に対しては、政治的迫害の申立てが十分に根拠のあるもものであるかどうかを検討し、根拠があると認められる場合には、人権の尊重と我が国の利益との調和を考慮したうえ、在留を認めることを適当とする事情のある者については出入国管理令所定の手続により在留を許可することとし、在留を認めない場合であっても、迫害を受けるおそれの明らかな地域には送還しないものとする方針で取扱っている。  また、第三国向け政治亡命を希望する外国人に対しては、当該国において受入れを認める場合には、本人の希望を尊重する人道的見地から、その渡航実現について好意的配慮を用いることとしている。 以上でございます。     ―――――――――――――

藤本孝雄自由民主党

○藤本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。

石井一自由民主党

○石井委員 小坂外務大臣が御就任になりまして、私きょう初めて質問をさしていただくということでございます。ごく基本的な問題について、特に昨今国際情勢が激動をいたしておりますので、外務大臣の基本的なお考えをお伺いしていきたいと思いますが、どうかひとつ率直に、また気楽に御意見をお述べいただきたい。私もこれまで大臣がお書きになっておりますいろんなものを拝見してまいりましたし、大体のお考えは了承しておりますが、基本的な考え方と、それからいま動いております情勢の中で、現実にどう政府の最高責任者として具体的に対処され、問題を把握し、どういうふうに取り組んでいかれるか、こういう点について、もちろん大臣のおっしゃるとおりいかないむずかしい問題もあろうかと思いますけれども、基本的な感触をひとつお伺いしたい、こう思うのでございます。  最初に、昨日、きょうと中国におきまして江青女史以下有力な政治家が追放された、こういう報道がなされておりますが、この情報を外務省としては確認されたのかどうか、この点からお伺いしたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 石井さんにお答えを申し上げます。  ただいまの問題は、実は日曜日にさようなうわさがある旨を聞いたわけでございますが、今日に至るも未確認でございます。日本の方からは新聞社で共同通信がさようなことを聞いたようでございますが、中国の外務当局は、さような質問があったことに留意するという回答だけのようでございました。したがいまして、公式には未確認でございます。

石井一自由民主党

○石井委員 私、不思議に思いますのは、万やむを得ぬということだろうとは思うのでございますけれども、イギリスの一報道機関が世界にこういうことを報道する、わが国には正規の外交チャネルもあるし、またたくさんの報道関係者もおる、こういうことでございますけれども、こういう事態をどういうふうにごらんになっておりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 わが国とそういう点は非常に異なることは石井さん御承知のとおりでございまして、非常に情報の少ない場所でございます。それについてどう思うかという点は、コメントすることを差し控えさせていただきたいと思います。

石井一自由民主党

○石井委員 未確認である、こういうことでございましたが、しかしこれは恐らく厳粛なる現実である、こういう認識で今後わが国の外交政策をお進めになるのだろう、今後いろいろ情報も入ってくるだろうとは思いますけれども、そういう前提で質問をするわけでございます。  私は、こういう事態は日中関係なりわが国の今後の外交政策を推進していく上で、特に日中平和友好条約等の締結等に何らかの意味で支障を来すというようなことを危惧するのでございます。今度の中国における指導部の権力闘争ということが日中なり中米、中ソという関係に何らかの影響が起こるだろう、こういうふうにお考えになりますか。この点はいかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この点もただいまの時点でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ華国鋒首相が毛沢東路線の継承を言っております。わが国に対する限り毛沢東路線の継承ということは、日中の友好親善を深めていくというようなことでございますので、さような方向であろうかと考えております。

石井一自由民主党

○石井委員 日中平和友好条約の締結に関連いたしまして、最近いろいろの動きがございます。たとえば藤山愛一郎先生が訪中されまして、その結果、新聞報道でございますが、妥協の余地のない非常に強い姿勢である、こういうふうなことも言われております。それからさらに、大臣御自身が今度ニューヨークでも喬冠華外務大臣と会談をされたりいたしまして、大臣自身は非常に意欲的にこれに取り組もうという姿勢を就任以来今日までお持ちなんでございますが、ただその後の向こうの反応なり今回の政変と申しますか、こういうふうな情勢は、事態は非常にむずかしい、こういうふうなことをある意味で感じさすわけでございます。前の委員会でもお述べになったのだろうとは思いますけれども、今後どのような形でこれを乗り切っていかれようとされるのか、この点についてひとつ基本的なお考えをお伺いしたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私は今後の日本の外交を考えます場合、やはり日本はアジアの国である。アジアの平和と繁栄について大きな責任を持ち、影響力を持つ日本が中国との間によい関係を持ち、善隣友好の関係を長い期間にわたって持つことが、やはりアジアの平和と安定、また繁栄に大きな影響を持つものである。その意味からして、日中両国は友好を重ねていかなければならない、こう考えておるのでございますが、残念ながらまだ最後の仕上げとも言うべき平和友好条約ができないというわけでございますので、これをできるだけ早い機会に双方の満足する形でつくりたい、こう思っておるわけなんでございます。しかし相手のあることでもあり、いろいろ事情が動いておりまするので、そのときどきによりまして判断していかなければならぬと現実の問題として思いまするけれども、しかし意欲はさような意欲を持って進みたい、こう思っております。

石井一自由民主党

○石井委員 たとえば宮澤前外務大臣が提案をしておりました覇権四条件というふうな問題に関して、この前の委員会で、これに必ずしも拘泥しないというふうな御発言があったようでございますが、この点に関しましては、何と申しますか、一つの発想を転換したような形で交渉に当たろう、こういう御姿勢でございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 一九七二年九月二十九日の日中共同声明、あの共同声明の原則と精神をしっかり守ってやっていくということは、前内閣においても言っておられたことでございまして、私もさような方針でまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、どうもいろいろと事態を想像して申しますよりも、やはり当事者同士がよく会って話をして、その上でいろいろ考えていくという方がよろしいのではないか。新聞紙でございますか、何か藤山さんの話にも、いろいろ言っていることが誤解されておるような面もあるというふうなお話もございまして、私もそうだろうと思いますので、今後はひとつ共同声明の原則と精神を踏まえて、友好を進めるという立場から、条約をできるだけ早くつくるようにしたい、こういう点だけにとどめてまいりたい、こう思っております。

石井一自由民主党

○石井委員 国連総会に御出席になりましたときに、喬冠華外務大臣との会談ということを大臣は非常に重視され、またこの点については総理ともいろいろお打ち合わせになってお出かけになったようでございますが、お目にかかられる前の期待と、それからお会いになってから後の感想と申しますか、そこに何らかの食い違いと申しますか、ギャップと申しますか、そういうふうなものを感じられたか、この会談についての前と後の考え方の違いというふうなものがあるかどうかということについてお話しいただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 率直に申しまして、私のお目にかかる前の感じとお目にかかった後の感じは同じでございます。非常に友好的な雰囲気の中で会談をいたしました。私は実は本人にお目にかかったのはあのとき初めてでございますので、その会った印象は、私としては非常にりっぱな方だという印象を持ったわけでございます。

石井一自由民主党

○石井委員 その節、この友好条約の締結ということの各論について、内容についてかなりお話し合いが進んだのかどうか、この点はいかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先方は着かれた翌日でございましたし、国連へ行く時間もございます。私の方は一日の日に実は立つ、こちらで言えば二日でございますが、立つ予定を、先方の到着を待って月曜日まで延ばしたわけなんで、帰国の予定の時間もございましたわけで、余り長い時間とれませんでございましたので、各論に触れるようなことはございませんでした。

石井一自由民主党

○石井委員 そうすると、早急に各論に触れるような機会をお持ちいただけたらなという感じを持つわけでございますが、ニューヨークヘお出かけの間に、三木総理は参議院の予算委員会等で、必要があれば外務大臣の訪中ということも考えてもいい、こういうふうな発言もございました。また、小坂大臣におかれましては、以前にも日中正常化の直前の大ミッションの団長などもされまして、従来から非常に知己の多い国である。したがって、われわれとしては、この懸案を解決するのにはいまの体制が非常にいいんじゃなかろうか、できれば総選挙前にでもひとつ大臣に労をとっていただいてと、非常に意欲的、積極的な姿勢が見えておるのでそういう期待があるわけでございますが、ただ私は、いまの一連の御答弁にかかわらず、中国の内部情勢というのがやや不利に動いてきたな、残念だな、こういう感じもするのでございますが、ニューヨークでの会談の後、わが国の政治情勢などというふうなもののスケジュール等も考えまして、これから具体的に何らかの動きをなされようとしておるのか。意欲はわかりますが、そういうものを踏まえて、どうお考えになっておりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 意欲は意欲として、具体的にどうかということでございますが、実は相手のあることでございますから、先方の反応等も十分考えてみたいと思います。  喬冠華外務大臣自身は、まだ帰られたかどうかという程度の時期でございますので、先方の反応もよく確かめまして考えたいと思っております。

石井一自由民主党

○石井委員 華国鋒首相が主席に御就任になったというふうなこともございます。主席と首相の兼任だというふうなこともございます。恐らく華国鋒主席就任の式典というふうなことも、毛沢東以降の非常に重要な国家的なイベントだと思いますので、当然計画されるだろうという感じがいたします。あるいはまた、最近の報道では毛沢東主席の記念堂が建設されるというふうなことがございます。何かこういうふうな機会がありましたら、訪中され、意欲的にこれに取り組まれる、こういう御決意はございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 よく情勢を見まして、いやしくもそういうようなことをやるべきであると判断されるような問題がございましたら、それはそれに対して真剣に取り組みたいと脅えておりますが、しかし真剣の中にも慎重にやってまいりたい、こう思っております。

石井一自由民主党

○石井委員 いまの質疑の中で感じますことは、基本的に共同声明の線に沿って積極的にやっていきたい。そうして過去の積み重ねも重視するけれども、しかし幅広く柔軟に取り組んでいきたい。そうして、相手があることだけれども、相手の都合いかんによってはいつでもこれに積極的に取り組んでいきたい、こういうふうな姿勢であるということを私感じさせていただいたわけでございます。  なお、この中国の内部の問題というものは、私はどうしてもやはり、残念ながら日中の現在の関係というものにややマイナスの影響があるのではないかな、こういうふうな感じがいたすわけでございますけれども、この点、私の申しておることを御確認いただくような形で、ひとつ結びの言葉をこの日中問題に関していただいて、次の問題に移りたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 日中正常化をやりたい、やるべきであるということは、もう国民のコンセンサスであると私は考えております。しかもこれはできるだけ早期にやった方がいいと思うわけでございますが、ただいま石井さんおっしゃいますように、いろいろ先方にも事情があるわけでございましょう。しかしそれがわが国にとってマイナスであるのか、わが国にとってと申しますのは、この条約をつくる上でですね、マイナスであるのかあるいはそうでないのかということは、ちょっとにわかにコメントしがたいと思いますので、私はそういう情勢があれば、その情勢についてできるだけの考慮をしてまいりたいと思っております。総理大臣におかれても、私の訪中についてこれを行わせるにやぶさかでないということを言っていらっしゃるのでございまして、ひとつそういう機会があればと思っておりますが、情勢をよく見てまいりたいと思います。この情勢がどういうふうになるのでございましょうか、必ずしも全体に対して非常にテンポを狂わせるような情勢であるのかどうか、これはもう少し見てみないと何とも言えないことだというふうに思っております。

石井一自由民主党

○石井委員 日ソ関係、特に最近のミグ25事件、これは私は日ソのいわゆる友好関係にも非常に残念な結果が出てきておる不幸な事件である、こういうふうに思っておるのでございますが、大臣はグロムイコ外務大臣とも国連の場でお会いになってまいりましたけれども、そこで二点お伺いしたいのですが、一つは、その会談の中で、きわめて厳しい会談であったというふうに私たち印象を受けておるわけですが、この事件に対する日本側の態度は非友好的だと主張したと言われておりますが、これは一体何を指しておるのかということが一つ。  もう一点は、平和条約交渉の中に北方領土返還という日本の国民にとって最大の問題は含まれていない、こういう発言をされた、こういうふうにもわれわれ理解しておるわけですが、この二点について外務大臣の率直な御見解をまず伺いたいと思うのでございます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 第一点につきましては、非常に誤解があるわけでございまして、まず機体も搭乗者もすぐに返すべきなのにそれをせぬ、どうも何か特別の薬品か何かによって心神喪失をさせて、そして本人の希望に反して亡命というものをでっち上げたのだ、こういうふうな誤解があったようでございます。それからもう一つは、わが国が何かあの事件をとらえて、ミグ25という最新鋭の戦闘機の秘密を第三国と一緒になって探ろうとしておるのではないか、まあ私の感じですからあるいは違うかもしれませんが、率直に言うとそういう感じを私は受けました。  それで、私はその二つとも非常な誤解であるということを申しました。それで、まずこれは日本の国民も日本の政府も全く好まぬことであるのに、先方から領空を侵犯して戦闘機が民間空港に強行着陸した、そこに問題があるのだ。そこで、本人は亡命したい、こう言っているのだ。これについては、領事条約にのっとってちゃんとソ連の大使館員と面会させているし、本人の意思を文書でも確かめているし、日本はそんな麻薬なんかかがして人の意思を変えるような、そういうとてつもないことはやらぬのだという話をよくいたしました。  それから、そういう状況になりますと、国際法上あるいは国際慣例上当然に調査することになるのだ。ところが日本にはあのでかい飛行機を運ぶものがない。幸いにギャラクシーというものがある。これは日本の立場でこのギャラクシーをハイヤーして、そしてちゃんとその使用料を払って、それで自衛隊の基地へ運んだ。そして、そこでもって調査をする。ところが調査をするについて、これは全部分解させてばらばらにしたのじゃあと困る。そこで、幸いにアメリカ軍の方にレントゲンその他の装置があるから、それによって最小限に機体を分解することにして、それで調査をしたのだ。しかし、それに関する米軍は、何も戦闘部隊じゃないんで、技術将校、そういうものが要ればそれを使った。しかし、それについては契約があってその給料も払っておる。要するに、日本自体として国際法上許されたる範囲のことをやっているのだという話を口を酸っぱくして言うたわけです。それで先方もわかったのじゃないかと思うのですね。わかったとは言いませんけれども、両方でわんわん言うたわけですけれども、別れぎわには苦笑いして両方で握手して別れたということでございます。  それから第二点の領土問題でございますが、これはわが方がずっと主張し続けている、ことに北方の四島は固有の領土で、これは暴力によって奪取あるいは略取した土地でない。千島は条約上放棄している。ところが四つの島は千島の中に入ってないのだという話をやったわけですね。先方は平和条約を結ぶということは賛成なんだけれども、四つの島の問題を解決してからでなければならぬという前提をつけてないのだ、こういうことです。ですから、この点はいままでと変わりないといいますか、いままでもわが方は四つの島の主張をして、そして先方はそれはだめだと言っている、そういう状態が続いているわけでございますから、この点は同じようなことじゃないかというふうに思うのです。ただ、あの事件を契機として日ソ間が悪くなるというふうなことは非常に残念なことである、われわれはこの二十年間友好を積み重ねてきたので、これはほんの一つの出来事であって、両方で了解して、早くこの問題を片づけて、そして友好を進めようじゃないかということで、返還します、返還する考えですということを伝えましたわけです。そういうような情勢でございます。

石井一自由民主党

○石井委員 いまの御答弁の中で、誤解もあったし、いろいろその経過の説明もあったのでございますが、必ずしも両者納得したというふうな情勢じゃないようなところが私はどうしても感じられるのですが、われわれの考え方としては、当然第一の最初の質問に関連いたしまして、こういう事態が起こったことに対してまず向こうから遺憾の意の表明がなされなければいかぬだろう、これは常識的に思うのでございます。この点が全くなかったのではないかな、こう思うのでございますけれども。  それからその次に、やはりいかに技術的だとかなんとか言われましても、これは私の個人的な見解ですけれども、ああまともに大切にしておるミグをアメリカの技術者が入っていって、いろいろそれに対して手をかすということ自体、これは安保条約なり何なりありましても、ソ連にとってはまことに不愉快きわまりない一つのやり方で、政府のやり方としては非常にまずい、こう私は思うのです。大臣はどう思われるかわかりませんが。それから、よしんば技術的にどうしてもそうやらなければいけないという事情があったとしましても、もう少し報道機関等とも連絡をおとりになりまして、その点はやはり国益を守るという形の中からやらなかったのだろうか。この点もやはり政府としてもう少し反省の要があるのではないかな、私がグロムイコだったって、いま大臣の言われた説明で納得しなかっただろうと思うのでございますが、まずこの点、いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 石井さんがグロムイコだったら、まず、済まなかったな、こう言われたろうと思うのですが、彼はそれを言わぬわけです。(石井委員「最初の問題ですか」と呼ぶ)ええ、これは違うわけです。  それはそれといたしまして、私は極力了解を得るようにしたつもりでございますが、ただミグもいよいよ調査が終わりまして引き渡すことになるわけでございます。この状況はいま欧亜局長から御説明をさせます。  ただ、私はいま石井さんおっしゃったことでそう思うのですが、この引き渡しをしますときにも、実はできるだけパブリシティーを与えないようにして、大騒ぎをしないで、そしてそっと持っていってあげるというのが望ましいというふうに思っていることを申し上げておきたいと思います。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 ミグのソ連への返還引き渡しにつきましては、九月の二十八日ニューヨーク時間、二十九日日本時間で小坂大臣からグロムイコ大臣に、日本側がこれを返還する用意があるのだということを明確に伝達なさいました。それを受けまして、十月の二日にソ連側に対しまして、東京で、十月十五日以降ソ連側の用意が整い次第適当な港で引き渡す用意があるということを伝えました。それ以後、引き渡しについての技術的な細目についての話し合いをソ連側とやっております。港につきましてもほぼ双方見当をつけて、それに伴う具体的な細目をいま詰めておるところでございます。

石井一自由民主党

○石井委員 大臣、私は先ほど申しました点でございますけれども、だれを非難するよりもやはり政府の基本姿勢というもの、ここに一つのこの問題、結局、領土の返還だとか平和条約の締結の問題だとかいろいろな交渉に非常に大きな不幸な結果を今回もたらしておるのじゃないか。恐らく外務省内でも、ミグの解体の問題に関しても西側同盟諸国との友好関係だとか、あるいはまた別の面では、ソ連を刺激しないというふうな考え方の錯綜と申しますか、そういう中に防衛庁等の主張というようなものがありまして、結果的には、日ソ関係にとって不幸なこの事件がさらに悪い影響を与えておる、これはひとつ大いに反省をする必要があるのではないかと思うのであります。金大中事件にしましても、日韓の関係に、ある意味で中途半端なままで今日になっておるというところに一つの問題を感じるのですが、こういう事件に対する政府の一つの基本姿勢というものを、起こってしまってからではなしに、今後やはり十分注意してやっていく必要があるのではないかということを非常に感じるのでありますが、大臣、そういうふうにお感じになりませんか、いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 御質問の意味は、あるいは私が取り違えているかもしれませんけれども、私は、日本の外交というものはやはり日本自身の立場に立って、日本のためにどうすれば一番いいかという基本があるべきだと思うのでございます。その点から考えてみますと、やはり善隣友好が必要でございますけれども、何といっても日米安保条約というもの、対米外交というもの、これがもう基本でございまするので、やはりそれに傷がつくようなことをしたくないという気持ちがまずございます。  それから、近隣の諸国は、体制が違っても、これはできるだけ仲よくしていきたいわけでございまして、そういう意味でソ連とも早く平和条約をつくりたいし、中国ともつくりたいわけです。ところが、ソ連の方は四つの島の問題でなかなか片がつきませんけれども、できるだけ早く片をつけて、さようにもっていきたいと思います。  しかし、今度のミグ事件は、そういう問題からすると、そういう友好を願う気持ちにもかかわらず、やはり日本はちゃんと国際法上許されておる権利はあくまで主張するのだ、こういうことがございませんと、ソ連が大きな声でどなってきたから、はいはいと言ってすぐ返してしまうというのもいかがかというふうに私は感じておりまして、これはグロムイコ外務大臣にも本当に率直に私の気持ちを吐露したのでございます。実は後で聞きますと、ソ連には大きな声で議論する者ほど仲よくなるというふうなことわざもあるそうでございまして、言い合ったこと必ずしもいつまでも残って悪くなるということでもないかと思うのでございます。こいねがわくは、ミグ事件というものは、おっしゃるように不幸な事件でございましたが、これはできるだけ早く決着をつけまして、そして長い日ソ友好の歴史のほんの小さなしみにすぎなかった、そしてその小さなしみもじきに消えてしまったというふうに持っていきたいというふうに考えております。  金大中の問題、これは実際にむずかしい問題で、私の前に四十八年の了解というものがございますわけで、一応決着がついているわけでございますね。最近はまた三・一民主救国宣言事件というのがございましたが、これはどうも先方の国内の問題なんですね。日本がそこまで口を入れるということになりますと、韓国が日本に対して抱いているイメージは、私、実は一九六〇年秋に初めて日本の外務大臣として韓国に参ったのですが、そのとき先方の新聞記者諸君がこの部屋いっぱいになるぐらい大ぜい詰めかけて、そこで記者会見をやったのでございますが、先方の言うのは、やはり三十六年間にわたる日本の圧政をどう思うか、こういうことを非常に中心に聞くのです。やはり韓国に対しては、韓国の特殊な感情があるということを理解していないといけない。私はそのとき、政治というものは、過去のことを人間だから忘れるわけにいかないけれども、過去にいつまでもこだわっておったのでは明るい未来が開けないから、今後のことを考えて日韓友好でいきましょうという話をしたのでございますが、そういう過去のあれからいきますと、先方が国内の問題だ、こう言っているものに余り日本が入っていきますと、まだ何かおれの国を特別に見ているのかというような感情が出やしないか、石井さんだから率直に申し上げますと、私はそういう気持ちがしておるのでございます。  ちょっとお答えになりましたかどうかわかりませんけれども、申し上げました。

石井一自由民主党

○石井委員 当然向こうに主張すべきところは大いに主張をし、この問題をいい形で解決をしないと、まことに不幸な事件が非常に大きな障害になるということを懸念するわけでございます。いま現に漁船の拿捕であるとか、訪ソ団の中止だとか、ビザの問題だとか、現実に向こうとしては態度で示している問題がたくさんあるわけですから、私は、非常に深刻な問題を提起しておるという御認識もいただきたいと思う。それかといって、決して主張すべきことを曲げろとかなんとかいうわけではございませんが、今後いろいろな交渉、引き渡しということもございますので、大臣としてその点ひとつ十分御配慮をしていただいて、遺憾なきを期していただきたいと思います。  最後に、大臣なり政府当局者から明快にお答えをいただきたいことは、さっきは過去の経過でそれはよく存じておりますが、最近も交渉がたびたび大使館筋と行われておるのですが、十五日以降いつごろ返還をするのか、何か九つにばらばらになったとかいろいろなことを言っておりますが、場所はどこで返還をするのか、こういうしさいについて、差しさわりのない点、これまで決まっていることについて、ひとつここで御報告をいただければ幸いだと思います。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 具体的な細目については、ただいまソ連側と話し合いをいたしておりますので、まだ詳しく申し上げる段階に参っておりませんが、実際の引き渡しの場所については、百里の基地から遠くない茨城県の港を想定しておりまして、そういう方向で、ただいまその前提のもとにソ連と話をしております。そこへ運んでいく具体的な方法等については、直接は防衛庁が技術的な点を詰めておりますし、それを基礎にしてソ連側と話し合いを続けておる状況でございます。  ただいまそういう細目の打ち合わせが行われておる状況なので、わが方としては、十月十五日以降引き渡しの用意があるということをソ連側に申し入れてございますが、技術的な詰めの結果、何日ごろになるかということはまだ確定的になっておりません。いろいろいままで本件について金を伴う問題もございますが、この点についてもソ連側に申し入れはしてございますが、ソ連側はまだこういうものについて払うというようなことは言っておりません。

石井一自由民主党

○石井委員 日立ということですか。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 ただいま明確に申し上げることはちょっと差し控えさせていただきます。

石井一自由民主党

○石井委員 大臣、いまたびたび時間をかけまして、微妙な問題なんで、外務省の局長と防衛庁の係官がやられたわけですね。これは、私こんなことを一々詰める必要もありませんし、構わぬのですが、結局こういう姿が外交に出ますと、防衛庁は防衛庁の主張がある、外務省は外務省の主張がある、どうもなかなかむずかしい。しかし、これが非常に大きな、北方領土の返還だとか友好条約だというふうなことになりますと、これは技術的な防衛庁の問題かもわかりませんが、ここはこういうふうにするという基本的な方針を、外交なら外交の姿勢を出されませんと、ミグは防衛庁の問題だから防衛庁が非常に発言力がある、ぐちゃぐちゃして、国内のこういうことで、外国に対して外交交渉に今後多大な支障を来すというようなことも起こり得るわけであって、これはまことに何か変なものをひっつけて言っておるように聞こえるかもわかりませんけれども、はっきり一つの基本的な姿勢というものが必要だ。このミグ事件というのは、防衛問題でもあるけれども外交問題であるという認識のもとにやりませんと、私は、これはいろいろなところに日本外交の支障というものが起こるのじゃないかな、こういうことを危惧しておるわけでございまして、この点、特に一応留意しておきたいと思います。何かコメントがございましたらお伺いいたしますが。――それでは防衛庁から一言、その返還の状態などについてお答えをいただきましょう。それで終わりますから、どうぞお答えください。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 返還のことにつきましてちょっと申し上げます。  現在、百里基地におきまして返還のための梱包作業を実施いたしております。この梱包作業は、そう時間を要せずに終了する見込みでございます。先ほど欧亜局長の方から御答弁申し上げましたように、ソ連側に対しまして十月十五日以降に引き渡すということを言い渡しておりますので、私どもの方は、そのラインに沿って、十五日以降に引き渡せるようにということで準備を進めております。具体的にどこでということは、まだはっきりここで申し上げられる段階ではございませんので、御勘弁いただきたいと思います。

藤本孝雄自由民主党

○藤本委員長 次に、河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ただいま石井委員から御質問がありましたことでございますけれども、昨日全世界に報道せられました中国の中枢部におけるいろいろの動きは、隣国であります日本として非常に衝撃的なニュースであったように思うのでありますが、これとの関連におきまして外務大臣、今後日中関係をどう進められますかについてお尋ねをしたいと思うのであります。まず初めに、外務当局はこのような伝えられる情報について、事実をすでに承知しておられたかどうか、事実の確認をされておるかどうかを伺いたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 事実を確認したかどうかと言われますと、これはまだ確認できないわけでございますが、そういう情報があったということは、先ほど大臣も御答弁されましたように、十日の日曜日に北京から一つの情報として私どもは承知しておりました。

河上民雄日本社会党

○河上委員 先ほど外務大臣は、このようないろいろな伝えられる動きというものが日中平和友好条約の交渉にマイナスになるのではないかという質問に対して、自分はそうは思わないというようにお答えになりました。私もそうだろう、大臣の言われるとおりではないかというふうに思っておるわけでございますが、しかし、日中関係というのは、単に平和友好条約の問題だけではなく、日中の経済関係とかいろいろの問題があると思うのであります。そこで、広い意味で日中関係に、今回の事件なりあるいは華国鋒政権の今度の新しい出発というようなことがどういう影響を持つか。特に日中貿易が最近停滞が伝えられておるだけに、そういう日中貿易の今後の見通しといいますか、傾向について、今回の事件の持っております意味というものがどういうような影響を与えるか。その点について外務大臣はどのようにお考えになっておられますか、御意見を承りたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 日中貿易につきましては、河上先生も先刻御承知のように、ことしの二月ごろからずっと輸出入とも減少しておるわけでございまして、一-八月の統計で見ましても、これは大蔵省の通関統計によりましても、昨年と比べまして、輸出が一八・七%の減、輸入が一二・五%の減、輸出入合計で一六・四%の減ということになっております。これを月別に見ますと、先ほど申し上げましたように、三月ぐらいからずっとマイナスが、まあ輸出については四月、五月にプラスのときもございましたけれども、あとは全部マイナスが続いている。これは鄧小平批判、周恩来国務院総理が亡くなられました後、その後継者をめぐっていわゆる走資派批判などがやかましく言われたころに、そういった中国の国内情勢というのが日中貿易の動きに影響があるのじゃないかということが盛んに言われた時期があったわけです。それを因果関係で直接結びつける、つまり、自力更生の路線との関係で多少の変化があるのじゃないかというふうにも言われたわけですけれども、中国側が一貫して言っておりますことは、一時的な増減ということに余りとらわれることなく、日中貿易というのは長期的に順調に伸展していけばいいではないか、またそれに注目したいということを一貫して言っておりますし、きょうも新聞の報ずるところでは、国貿促の代表で行かれた藤山代議士にも同様のことを中国側が言ったと報ぜられております。したがいまして、日中貿易の問題は、中国側の姿勢はそういう考え方であるし、また日本の立場といたしましても、国交正常化以降今日までの貿易の伸びを見ますと、やはり全体としては順調に進んでいる、それが一時的に増減する、あるいは影響を受けるということはありましても、そのことを中国の国内政治情勢と余り結びつけていろいろコメントすることが適当かどうかということは、私どもも慎重でなければならぬ、こういうふうに思っております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、広州交易会が毎年審秋二回開かれておったのでありますけれども、来年から年一回に縮小するというようなことが伝えられております。その問題については、いまの日中貿易の将来ということから見て、政府としてはどのようにとらえておられますか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 広州交易会のことについていま言われましたようなことは、私ちょっとまだ確認した情報としては承知しておりませんので、いずれにいたしましても、一回になり二回になりということがございましても、しょせん需給関係で動いていくことでございましょうし、いまのところは、いままで歩いてきた順調な道を多少の凹凸はあっても歩み続けていってもらいたい、こういう期待を持っているということでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 外務大臣は先ほど、日中平和友好条約の問題につきまして非常に積極的な御熱意を示されたのであります。私は、国連総会で小坂外務大臣が喬冠華外相とお会いになりまして一石を投ぜられたことは非常に結構だったと思うのでありますが、ただ、日中交渉のこれまでの経緯を見てみますと、前に宮澤外務大臣が国連でやはり日中外相会談をやり、いわゆる覇権条項に関する四条件を発表されたりいたしましたことが、かえってその後、停滞と言ってもいいと思うのでありますけれども、停滞を招いたような経緯もあると思うのであります。  そこで、そういういわば何かにかこつけて日中外相会談をやったことが必ずしもいい結果を招いていない、あるいは事態の打開に役立っていないということを一つの教訓として受けとめるべきではないかというふうに私は思うのでありまして、そういうような、さりげなく会ったというか、他の機会を利用して会ったということについて、余り高い期待を持つのは私はよくないのではないかと思うのであります。そういう意味から言いまして、小坂外務大臣が非常な熱意を持っておられ、また三木総理も、必要ならば外務大臣の訪中を考えたい、こういうふうに言っておられるのでありますので、私は、そういう他の何かの機会を利用してということではなく、率直に外務大臣がみずから中国をそのために訪問せられるということが必要ではないかというふうに思うのであります。しかも、その場合、単に結論を得るために、つまりあとは調印するだけだという状態まで積み上げてその上で訪中を考えるのではなく、むしろ、仮に何のおみやげもなくてもともかくぶつかってみる、そういう態度が、うまくいきながら、なおもう一つ進まないというこの日中平和友好条約の問題を解決するために非常に必要なアプローチではないかというふうに思います。  かつて日中航空協定の問題のときにも、当時の大平外務大臣が、当時の空気から見たら何の成算もないけれどもともかく中国を訪問した、そこから事態が打開されてきたという先例もあることですから、慎重に臨まれることは非常に必要でありますけれども、しかしその慎重という意味が、このもののために手ぶらででもぶつかっていく、そういうことをここでもう少し考えていただかなければならぬと思うのでありますが、私は、先ほど来、あるいは先般の外務大臣の日中関係に関する御答弁を承っておりまして、そういう思いが非常に強くなってまいりましたので、その点外務大臣、かつて大平外務大臣が航空協定のときに訪中せられたような性格の訪中を、この際一歩進んで考えていただきたいというふうに思うのであります。非常に意欲を持っておられるという御発言の中にそういうことも入っておるのではないかと思いますけれども、外務大臣のお考えを承りたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 河上さんのおっしゃることは、私も非常に結構な御忠告だと思います。やはり何回も熱意を示し合っておるうちにおのずから結論が出てくる、道が開けるということではないかというふうな感じを持ちますし、国連総会の場を利用してというのはこれは確かに顔つなぎにはいいでしょうけれども、だからすぐにどうということではないわけでございまして、やはり私が先方を訪問するということが必要かと思います。しかしいまの段階では、それによって、いまのお話のようにすぐに結論が出るということではないとも思います。しかし、それを何回もやっているうちに、また先方からもこっちに来てもらったり、相互に意思を疎通しているうちに問題が解決するという方法もあろうかと考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 なお、外務大臣、いま中国側で政治情勢が非常に流動しているような情報が流れておるわけでございますけれども、先ほど外務大臣も言われましたように、そのことによって日中関係にマイナスがくるということは私どもも考えておりませんので、何か中国の国内事情を理由にちょっと様子を見るというようなことの絶対ないように私は望みたいと思うのでありますが、大臣、重ねてその点のお考えを伺いたいと思うのです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先方の事情はあろうかと思いますけれども、当方としてはこの平和条約締結への熱意を強く持っておる。で、先方の状況をこちらがそんたくして何かするということは差し控えたい。先方からそれじゃちょっと困るということがあればこれはまた別でございますけれども、当方としては熱意を持ち続けることにいたしたいと思っております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 小坂外務大臣も日中国交正常化のときに、非常に大事なときに訪中されたという歴史的な人物にもなっておられるわけで、その締めくくりという意味で外務大臣になられたのではないかと思いますので、私は、先ほど要望いたしましたようなことをお考えいただきたいということを申しまして、この問題、一応終わりたいと思います。  ミグ25の返還の問題が先ほどいろいろ論議されました。この問題については、解釈といいますか、事はどんどん進んでおるわけでありますけれども、それがどういう法的根拠に基づいて、どういう定義に基づいて行われているかということになりますと、必ずしもはっきりしてない場面が非常に多いように思うのでありまして、私は、日ソ関係がこれ以上悪化しないように、日ソ関係の悪化の回避のために質問をいたしたいと思うのであります。前回その問題につきましてちょっと述べましたので、その後を受けて私は幾つかの問題点についてお尋ねをしておきたいと思います。  まず、ミグの調査につきまして米軍から十一名専門家の協力を仰いだ、こういうように聞いておりますけれども、それは間違いないわけでございますね。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 米軍の十一名の援助と申しますのは函館におきまして百里の基地に移送するために解体作業をいたしましたが、その解体をする場合の援助ということと、それからC5による輸送でございますが、それの援助でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 先ほど特殊なレントゲン写真のような設備を借りたとかいろいろお話がありましたけれども、それ以外に専門家として米軍から協力を仰いだケースがあるわけでございますか。そしてもしあるといたしましたら、それが全体で何名になるのか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 百里におきまして本来のいわゆる調査を実施いたしましたが、その間におきまして機材の提供並びに機体の調査に要する要員というものの援助を受けたわけですが、この援助の要員につきましては日によって増減がございますけれども、おおむね十数名というところでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、いまミグの調査は防衛庁としては終わったわけですね。いま梱包に入っているということでございますけれども、その調査が済むまで全期間を通じて米軍の援助を仰いだ人員というものは同名になりますか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 全部でおおむね四十名前後でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それは政府がもうすでに公表しておりますか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 いままではまだ公表しておりません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 防衛庁はそれを頼むに当たって一体どういう法的根拠でおやりになりましたか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 防衛庁といたしましては、機体の調査それから解体等に要します作業につきまして、必要最小限度の範囲内で米軍から提供を受けたわけでございますけれども、これは直接の根拠は防衛庁設置法第五条第四項に所掌事務の遂行に必要な物品及び役務の調達をすることができるという規定がございます。この規定を直接の根拠といたしまして、いわゆる調達行為という形で米軍の機材と要員というものを調達したということでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ここで書いてあります役務の調達というのは、日米両国間の協力について特に述べたものとは思われないので、防衛庁がたとえば大工さんなんかをちょっと呼んできて頼むというような感じのものも含んでいるわけですね。米軍のような、そういう日米両国間の協力を仰ぐのにふさわしい表現であるかどうか。この役務の調達ということの中にそういうことも含むことができるという解釈に立っておられるわけですか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 ただいま先生、大工の役務を調達するという例をお挙げになりましたけれども、私どもは本質的にそれと変わりはないというふうに考えております。つまりいかなる物品であろうと、いかなる役務であろうと、この規定に基づいて調達をすることができる。ただし、それならば相手方はいかなる人間でもいいのかという問題が出てまいります。今回の場合、相手方は米軍でございますので、その点について若干の問題はあろうかと思いますが、私どもそれについて議論をいたしましたが、米軍の指揮下に置かれた米軍人という身分を有する者をそのままの状態で、そのままのステータスで調達をするということにつきましては、防衛庁設置法並びに自衛隊法全体の趣旨、解釈からいたしまして必ずしも適当でない。つまり、外国の軍人をわが自衛隊の指令監督のもとに置くという状態になるわけでございますので、その点は必ずしも適当でない。したがってその話し合いを米側といたしまして、米側といたしましては、わが方の作業に従事する間、米軍の指令監督のもとを外れる、指揮系統を外すという話し合いになりましたので、そうであるならば一般の役務の調達と全く同じように技術要員並びに機材の調達をすることができるであろうというふうに考えたわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 日米両国でそういう話し合いをしたとおっしゃいましたが、その話し合いは日本側はどなたでアメリカ側はどなたでいらっしゃいますか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 日本側は航空幕僚長、米側は在日米軍司令官でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そのメモはあるわけですか。それとも公表できないというのですか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 航空幕僚長と在日米軍司令官との間で話し合いをいたしまして、ただいま申し上げましたような事柄で役務の調達をすることになりました。その具体的な話し合いの中身を一応双方で確認をするという意味でメモをつくってあります。  この中身は、本件作業に関しては米軍の技術要員とか機器、それは自衛隊の指令監督のもとに置くこととする。それから作業の過程で得られた、あるいは作業の関連で得られた知見は自衛隊のみに帰属する。それから要した費用は自衛隊が負担をするという主として三つの柱でメモをつくってございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまのメモ、合意内容を伺いますと、いわゆる日米安保体制下における在日米軍の要員はこの期間中だけはアメリカ軍の指揮系統を離れるということでございますね。それからこの作業中に得た知識、見た状況、いわゆる秘密でございますが、この秘密は全部自衛隊に属するということになりますね。そうなりますとアメリカ軍の要員が得た秘密というのは、その人たちが自衛隊の指揮系統を離れてまた在日米軍の軍人に戻ったときに、これはやはり頭へ入れた記憶というのはなくならないと思うのでございまして、これは一体、自衛隊の指揮系統を離れた後も秘密を守らなければいけない義務を負っておるのですか。それとももう指揮系統を離れたら、今度アメリカ軍として米軍の指揮系統に入り、それに対して忠誠を誓うということになろうと思うのですけれども、彼らが得た秘密というのは彼らの義務として、一切自衛隊に報告した以上もう全部忘れて、記憶を喪失した形にしなければならないのか、それとも覚えておる限りは、やはりアメリカ軍にも報告する義務があるのか、その点はいかがでございますか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 先生おっしゃいますように、実際に頭の中に入ったものを置いていけというわけにはまいりませんで、それは知識としては得ることになろうかと思います。ただし、先ほど申しましたように、空幕長と在日米軍司令官との間でそういう話し合いが行われておりますし、米側の方もそういうことを確認した上で、私どもの方に要員と機材を提供したという経緯もございますので、私どもは、もうこれにつきましては信頼関係ということしかないというふうに考えております。したがいまして、作業員が得た知識そのものを、仮に指揮系統に復帰したからといって、そのことをストレートに米政府の方に報告するというようなことはないというふうに考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、ニューズウイークとかその他アメリカの報道機関で報道せられておりますミグ25の性能について、これはどうも大したことないとか、思ったほどじゃなかったとか、こういう点は非常にすぐれているとか、いろんなことが言われておりますけれども、これは全くマスコミ関係が想像で書いている、こういうことになるわけですか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 各種の報道がなされていることは承知しておりますが、それがどのようなルートで出たものかということは私どもは承知いたしておりません。少なくとも当局の方から流れたということはないというふうに考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それは日本政府としては責任持たぬ、こういうことですか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 先ほど申しましたように、話し合いの結果を米政府あるいは米軍の方がそのとおり履行してくれるということを信頼をいたしておるということでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 事実はもうどんどん出ていることでありますし、いま四十名というふうなお話がありましたけれども、その人たちの記憶を全部消すわけにいかぬわけで、これは非常に微妙な問題を投げかけていると思うのであります。まず第一に、これまで新聞その他に報道せられ、国会の中の論議でも、米軍十一名が自衛隊に協力したということになっておりましたが、きょうのお話ですと四十名になる、こういうようなお話であります。そうなると、これがじゃ百名になってもいいのか、あるいは一個大隊にふくれ上がってもいいのか、そういう点で歯どめがなくなってしまうおそれがあるわけです。防衛庁設置法五条四項の役務調達、これを活用して在日米軍を無限に動員できるのかどうか。もしそういうことになりますとこれは大変なことだと思うのでありまして、どこかに歯どめがなければいかぬと思うのですね。拡大解釈のおそれが非常に大きいと思いますので、私どもはそういうことがあってはならない。すでに起こったこと自体は大変われわれとしては賛成しかねる、反対のことでありますけれども、現に起こってしまっておりますので、政府の解釈として一体どうするおつもりですか。どこかに歯どめがないとおかしいと思うのですが、その点防衛庁並びに外務省の御意見を承りたいと思うのです。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 先生おっしゃいました十一名と申しますのは、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、函館における解体作業に従事し、かつギャラクシーで輸送するという一連の作業に必要な人員でございます。  それからいま歯どめというお話でございますが、人数につきましてはかねがね申し上げておりますように、私ども必要な最小限度の範囲内でということを考えておりまして、その範囲にとどめるということで、おのずからそれについては限度があろうかというふうに考えております。  なお念のために申し上げておきたいと思いますけれども、今回米側の方からの提供を受けた技術要員並びに機材というものは、全く文字どおり最小限度の範囲でございまして、たとえば自衛隊で持っておらない機材で今回の調査に必要な機材というものがございますが、その機材を借りる。人間は主としてその機材の操作に要する人間であるというようなことが典型的なものでございまして、航空自衛隊におきまして、私の聞いている範囲では、ほとんど技術的にわからないところはなかったということを言っております。  なお、法的な問題で一応歯どめというものを私ども考えております。それは先ほど申しましたように、確かに役務の調達をするという根拠はございますけれども、それならば何を調達してもいいのかという問題でございますが、少なくとも調達をすることにつきまして禁止の規定はないけれども、しかし自衛隊法の全般的な精神というか、立法趣旨と申しますか、そういう点からいたしますと、たとえば自衛隊の業務で中核となるような業務、典型的には自衛官が武力を行使するというような業務につきましては、それは明らかに自衛官の身分を有する者でなければできないということになっておりますので、そういう業務について役務の調達をすることはできないというような意味の法的な意味での歯どめというものはございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 防衛庁が今回のミグの調査につきまして、これを日本独自の調査活動であるというふうに考えておられるか、日米共同の調査であるというふうにお考えになっておられますか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 あくまでも自衛隊独自の調査でございまして、日米共同調査ということはさらさらございません。米側の方の要員、機材というものは、再三申し上げておりますように、自衛隊の足らざるところを補うという意味でのほんの一部の援助ということでございます。したがいまして、作業そのものは全体を通じて自衛隊自身の作業の計画、スケジュールその他にのっとって行われ、個々の作業につきましても、自衛隊の指示に基づいて米側の方も動いておるというのが実情でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、自衛隊がアメリカのそういう能力を借りてやるというのは、これがもしアメリカでなくよその国の方がもっとすぐれた能力を持っているという場合に、それを借りるということも考えられるわけですか、それともやはり日米安保条約体制といいますか、そういうようなものがあるから、アメリカ軍の要員を借りることができたわけですか、その点はどうですか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 非常にすぐれた技術があるということであれば、おっしゃるように、米国以外の援助ということも理論的にはあり得るというふうに考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは外務省にお伺いいたします。  外務省の条約上の見地から見て、まず第一に、自衛隊のミグ25調査に協力をいたしました四十名に及ぶ米軍の要員は地位協定下の米軍であるというふうに認識されますかどうか。それから、いま防衛庁から言われましたような、つまり防衛庁設置法五条四項に基づく役務の調達ということで地位協定下の米軍を一定期間借りることは、自衛隊の指揮、監督下に入れることができるとお考えになっておられるか、またその法的根拠。それから、役務調達ということで無限に地位協定下の米軍を自衛隊の指揮下に入れることは余り適当でない、何らかの歯どめが必要だということで、先ほど防衛庁としてのお考えを示されましたけれども、外務省としても同じようなお考えでありますか。その三点、伺いたいと思います。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎(敏)政府委員 この作業を行うに当たりまして、自衛隊がアメリカの軍人とか輸送機等の機器を使用したわけでございますが、これは先ほど防衛庁からもお話がありましたように、自衛隊の指令、監督のもとに行われたわけでございまして、その作業に従事している間は、この米軍人等については地位協定の適用を受けないというふうにわれわれとしては考えております。  それから、ちょっと補足して申し上げますけれども、四十名という話が先ほど防衛庁の方からございましたが、それは、C5を借りたことに伴いましてC5の要員を十五名借りておるわけでございます。C5それ自体を動かすために十五名借りておるわけでございますから、四十名のうちには十五名のC5要員が入っておるということを御了承願いたいと思います。  それから、答弁を一つ落としましたが、自衛隊が何でもあらゆる作業について米軍の技術要員や機材を借りてやれるのかというお話でございますが、もちろんこれにはおのずから限度があろうかと存じます。自衛隊の本来の任務である国を守る任務としての、たとえば武器の使用というふうな事態について、自衛隊の指揮下に置いて米軍を使うなんということは考えられないわけでございます。したがって、これについては、役務調達行為本来の目的にかなう範囲において、また、自衛隊の本来の本質的な任務にいわば付随する任務においてのみ米軍の援助を受けるということがあるものと考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それではその問題は終わりたいと思いますけれども、ただ、最後に一つ、戦闘行為になったらやはりこれは役務調達ということで協力を仰ぐことはできない、しかし、機密調査は役務調達の中に入るというふうに解釈しておられるわけですか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 先ほど申しましたように、自衛官が武器を使用するというような業務につきましてはできない、それからいまおっしゃいましたように機密を要するような調査そのものにつきましてはやはりできないというふうに考えております。したがいまして、今回のようにあるいは秘というものが出てくるというような調査につきまして、そういう可能性もあることを考えて、米側との間に、知見は自衛隊のみに帰属するという話し合いをしたわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 大変微妙なお答えで、これは将来――将来というか、非常に大きな問題を残すように思うのですが、ちょっと他のことも伺いたいので、次の問題に移りたいと思います。  ミグ25の管理権というものについてちょっと伺いたいと思うのです。これは当初、まだベレンコ中尉がこちらにおる間ですが、あの機体を取り押さえて管理をしたのはどういう法的根拠に基づくものでございますか。そしてまた、新聞などの報道によりますと、ベレンコ中尉が不起訴になって釈放されるというか亡命するときに、日本政府にこの飛行機の処分権をゆだねるというようなことを言って出ていった、それについての一応のメモを置いていったというふうにも聞いているのでありますけれども、それは事実であるかどうか。そして、もし事実とすれば、一体ベレンコ中尉がその処分権を日本政府にゆだねるというのは、ベレンコ中尉にそういう権限があの時点であったのかどうか。そんなことをいろいろ考えてみますと、ミグ25の管理権というのは一体どこにあったのか、そしていままでのプロセスの中でどういうように動いていったのか、日本政府としての解釈をここで説明していただきたいと思います。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 ただいまお尋ねのいろいろ法的な点につきましては、二つ面があると思います。一つは、特に外務省関係から見ますと、国際的に見てこういうものが国との関係でどういうことになるかということでございますが、こうした形で領空に侵入し強行着陸したような場合、その機体については一つはその国の広い意味での管轄のもとに置かれると思います。したがいまして、その国の管轄というものを国内法に基づいてどういうふうに処理するかという他の面がございます。国内法の面につきましては、これはむしろあるいは法務省当局あるいは捜査当局から御説明いただくのが筋であろうかと思いますので、私はその点自分としても適当な立場にあるかどうか明確でございませんが、当初の段階におきましては、これは機体と同時に人の問題もございまして、人につきまして出入国管理令あるいは航空法その他の国内法令の問題として法務、捜査当局が人を領置をし、機体を領置しておった、そういう状況でございます。したがいまして、その取り調べといいますか、人については、本人が本人の自由意思に基づいてわが方のいわば保護を求めてまいりました状況にありますので、任意に取り調べが行われておった。任意に事情聴取が行われておった状況であったと思います。なおその間、当然のことながらこの事例を調べますのに当たっては、そうした捜査、法務当局のみならず、軍用機、軍人にかかわる事例でございますので、防衛庁も所要の調査の専門的な面からの補助をしておったというふうに承知しております。  なお、そうした取り調べ当初の段階において、人につきましては、人道的な見地とか、それから警備、警護の関係もございましたので、比較的早い時期に国内法的な措置をとり、外交的といいますか、アメリカへも出国をさせた状況でございますが、機体そのものについては、なお引き続き所要の調査が行われて、それにつきましては、防衛庁が国内法的に見てこれを保管し、調査の任に当たる、それが適当であろうという判断を政府全体として確認をいたしまして、その後も引き続き防衛庁の保管と調査という権限のもとに置かれているという状況でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 政府も余り経験のないことなので、この機体の管理権がどこにあるのかというようなことを、余り一つ一つ明確に決めずに事を運んでしまったきらいがあるのではないかという印象をちょっといま受けたのでありますが、あの飛行機はやはりソ連政府の国有財産なのですか。それとも、たとえばベレンコ中尉が日本政府に処分権をゆだねて出ていったというようなことでありますと、これはまさかベレンコ中尉の愛用機ではないと思うのですが、その辺どういうようにお考えでいらっしゃいますか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 本件ミグ機はソ連政府の国有財産であると理解しておりますし、その国有財産であるという地位が領空侵犯によって喪失したというふうには理解しておりません。ただ、先生がいまおっしゃられました点は、恐らく法務当局が国内法違反を取り調べている際に、入管令その他の国内法違反の証拠物件として領置しておった。それを取り調べが済みました段階で国内法の手続として一たん当人に返し、それをまた当人が置いていった、それは、当人がその保管をわが方の当局にゆだねていったということであろうと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 しかし、その間一貫してソ連の政府の国有財産であるということには変わりなかったわけですね。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 さように理解しております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この前条約局長に伺ったのですけれども、これは一体軍用機であるのかないのかですね。つまり、亡命のために使用した飛行機であるわけで、ちょっとそこらにある自転車を盗んで走ったとか、自動車を盗んで走ったとかいうのと違うと思いますけれども、一体これが軍用機であったのかなかったのかということをこの前お伺いいたしました。それに対して防衛庁は、当初、性能が備わっておれば軍用機であるというようなことでしたので、改めて国際法上における軍用機というのは何なのかということをこの前お尋ねいたしましたが、時間が余りなかったので、確認をしないままになっておりますので、ここでもう一度政府見解を承りたいと思います。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 軍用機につきまして一般的にこれを定義した国際条約というものがないことは先生よく御承知のとおりでありまして、また、一般国際法上も軍用機の包括的な定義があるわけではございません。しかしながら、少なくとも今回のミグ25機のように一国の軍に所属して軍の業務に本来供される航空機が軍用機に該当することは、疑いの余地がないというふうに考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そのいわば法的根拠は何でございますか。たとえば空戦に関する規則について、いろいろ述べたのがございますけれども、そういうようなものによってそういう解釈をされておるわけですか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 先般の当委員会での先生の御質問に対して、私自身も空戦に関する法規の一条を引用申し上げたことは事実でございますが、念のため申し上げますと、空戦に関する規則、空戦法規そのものは、まさに読んで字のとおり、空戦を行う際の戦時における害敵手段の制限法規でございまして、今回のような事案にそのままそれが適用されるという意味ではございません。ただ、お尋ねがございましたので、こういう規定もございますという意味で、参考までに申し上げたわけでございます。  それで、先ほど申し上げました軍用機の定義というものは、私申し上げましたように、別にこれを明確に定義した条約または国際法、慣習法があるわけではありませんけれども、一般的に申して、私が先ほど申しましたようなことと理解してよろしいのではないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、いま当該ミグ25機との関係で問題なのは、そのミグ機がわが国の領空を侵犯したことによって軍用機たるの性質を失うということではなくて、むしろ軍用機に通常認められるところの不可侵権を認めるべきかどうかというのが問題でありまして、その点につきましては、この前御答弁申し上げましたように、不可侵権を認める必要がない、これを喪失しておるというふうに私どもは理解しておるということでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私がその点についてお尋ねをいたしておりますのは、空戦に関する規則の第十四条に、軍用航空機の要件として、国の軍務に関し正式に任命されるか、または軍役に編入された者の指揮の下に置かれ、その乗員は、軍人であることが必要である。こういうふうになっておりまして、国家意思といいますか、そういうものが働いているということが一つの要件のように受け取れるわけでございますが、もちろんいま条約局長はかちっとした軍用機に関する国際法上の定義はないというふうなこともちょっと言われましたけれども、これに依存して言う限り、今回の領空侵犯が国家意思に基づかないものであるといたしますと、あれは一体完全な意味の軍用機であったのかどうかという問題が出てくるのではないかと思いますが、その点はいかがでございますか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 お言葉ではございますが、先ほど御説明申し上げましたように、空戦法規を私自身もこの前引用したわけでございますが、空戦法規そのものは、戦時に空戦を行います場合にどういうルールで行うか、具体的には先生のお挙げになりました条文にもありますように、これは第三章の「交戦者」という章に入っておる規定でございまして、要するに戦時中に交戦を行い得る、敵対行為を行い得る航空機の要件を書いたものでございます。したがいまして、当然に、先生のおっしゃられるように、その親元の指揮がなければいけないとかいうような要件が入ってくるわけでございます。今回の場合は、いわゆる空戦の問題が問題になっているわけではございませんで、一般の軍用機が平時において領空侵犯をしたという事案に対してどう考えるかという問題だというふうに理解しております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、今度の事件で、多くの方が指摘しておりますが、民間空港の函館に強行着陸したからいいようなものの、これが米軍基地たとえば三沢に強行着陸を図った、あるいはそこへ図らざるを得なかったような場合、一体どういう事態が起こっただろうかという心配がわれわれの頭をかすめたわけです。  そこで伺いますけれども、松前・パーンズ協定は現在でも有効になっておりますか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 現在も有効でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そうすると、領空侵犯措置については、日本側としてはどういうことが行えるということをいままで各委員会で相当議論がされておりますが、米軍ならばどのような措置がとれるのか。

渡邊伊助防衛庁長官官房防衛審議官

○渡邊説明員 松前・バーンズ協定そのものは有効でございますけれども、実質的に米側は現在わが国の領空侵犯対処ということをやっておりません。したがいまして、今回のような件につきまして米側が何らかの措置を講ずるということはないと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ところが、松前・バーンズ協定によりますと、領空侵犯に対する措置は日米それぞれ固有のものによって実施するというふうになっているのでありますけれども、いまでもそのとおりでございますか。つまり、米軍の基地にたまたま亡命機でも入ってきた場合、それに対して米軍が何らかの措置をするとき、一々日本政府に通報せずに、通報している暇もないということで、ばっと米軍が独自にやることができるというふうになっていると聞いておりますけれども、そのとおりでございますか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎(敏)政府委員 領空侵犯の排除措置に関しましては、先ほどから防衛庁からも御答弁がございますように、自衛隊がみずからこれを行うのでございまして、現在のところ、アメリカが領空侵犯を排除する措置を講ずるということはございません。  ただ、いまお尋ねでございますけれども、三沢のような米軍基地にそういう飛行機が具体的に着陸したらどうなるかというふうな問題でございますけれども、これは仮定の問題でございますので、侵入状況その他も想定いたしかねますので、余り具体的にはお答えすることは差し控えさしていただきたいと思います。ただ一般的に言えますことは、こういう領空侵犯機が米軍基地に着陸いたしましたような場合でも、これは明らかに日本の領空の侵犯であり、また出入国管理令その他のわが国の国内法令に違反して入ってくることは明らかでございます。また、そこに仮に今回のような亡命のような問題が起こるとすれば、これはもちろんわが国が主体的に処理すべき問題であろうと思います。したがいまして、そういう機体の処理や人間の処理は、第一次的にはもちろん日本の政府の判断あるいは日本の国内法令及び日本の政策に従って行われるべきものと考えております。ただ、米軍は基地の管理権を持っておりますから、その必要な限りにおきましては、米軍と協議してまいるということになろうかと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 大体いま局長が言われたことのとおりだと思いますけれども、日本の場合は、相手側が武力攻撃をしない限り自衛権を発動することができないということになっておりますけれども、米軍の場合は武力攻撃という実態がなくても対応措置がとれるのではないか、アメリカ軍のたてまえから見て。そうなりますと、安保条約五条の適用なしに、日本の主権下で、米軍が武力攻撃ができるということに論理上なるのではないかと思いますけれども、そういう論理の余地を排除する論理がこちら側にあるのかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 理論的な問題ということで御指摘がございましたので、とりあえず私からお答えさせていただきますが、先生よく御承知のとおり、領空侵犯の問題は武力攻撃の問題とはカテゴリカリーに別でございまして、一般的には警察行為的な性質のものでございます。したがいまして、そのような領空侵犯に対しては領空侵犯に対して通常とるべき措置しかとれないということで、武力攻撃の問題には直接つながらないというのが論理的な考え方だと考えます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ただ、もう一度伺いますが、日本はまさにそのとおりでありますけれども、アメリカ軍の方は米軍基地について管理権があって、そこへどういう意図かまだ認定できない形で国籍不明の飛行機が入ってきたというような場合、これは単に亡命であっても何らかの措置がとれるのではないかと思うのでありますけれども、それはいかぬのだという論理的なたてまえが日本側にあるのかどうか、そこを伺いたいわけです。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 たとえ地位協定上どのような管理権その他の権限が米軍に認められておりましょうとも、国際法的に領空侵犯である事態に対して、それに対してとり得る対処行動の範囲を越えて、米軍が地位協定の規定をもとにして、その範囲を越えた措置をとり得るということはとうていあり得ないことであるというふうに考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは少し細かいといいますか、これまでミグ25の取り扱いについてどういう解釈に基づき、どういう法的根拠に基づいて処理をされてきたかということを確かめるためにいろいろ御質問をしたわけでございますけれども、もういまとなっては、われわれはこれまで政府がとられた態度、措置に対して、外交上の見地から見ても決して賢明でなかったという見解を持っておりますけれども、しかしいずれにせよ、もう現に起こったことでございますので、この上は一日も早く返還をすべきではないかと思いますが、返還の日取りにつきまして、先ほど十五日以降というようなお話でありましたけれども、これについて十五日以降であるが、同時に二十日ぐらいまでにというようなお話も承っておりますが、その点はいかがでございましょうか。相手のあることでございますけれども、大体の幅としていつごろまでにお返しになるおつもりであるか。また、これは返還すれば、その後ミグ25によって惹起されました日ソ間のいろいろのしこりというものは、今後まず返還することによって大きく解消するというふうにお考えになっておられるのか、返還した後にも、これによって生じた問題は、今後外交上の交渉によって解消をしていかなければならないというふうに覚悟しておられるのか。その点、外務大臣並びに外務官の当局の方に承りたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ミグの事件ははなはだ不幸な事件でございますので、先ほどからも申し上げておるようにできるだけ早くこれを解決したいというふうに考え、幸いに調査も終わりましたのでこれを返還いたしますが、返還することによりましてそのこと自体は解決するわけでございますから、それによって生じました誤解は払拭されるというように考えております。われわれ何としても日ソの間には善隣友好の関係を進めたい、こう考えておりますので、先方もそれを理解するであろう、こう期待しておる次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 十五日以降いつごろまでにということについて……。

橘正忠外務省欧亜局長

○橘政府委員 日本側といたしましては、ただいま大臣からお話しございましたように、所要の調査を終え次第、迅速にソ連側に引き渡しをしたいというふうに考えておりまして、十月十五日以降ソ連側の用意も整ったときにはいつでもお渡しできると申し伝えてございまして、それの具体的な、技術的な話をいまやっております。したがいまして、まだいつ具体的に引き渡し、先方の引き取りという運びになるかは、ただいまのところ明確には申し上げられません。十五日以降いつでもそういう用意の整い次第、なるべく早い時期に引き渡し、引き取りをやろうということで話しておる段階でございまして、特にいつまで、今度はおしまいの方いつまでということも、ただいま具体的にそういう話にはなっておりません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 では質問を終わります。

藤本孝雄自由民主党

○藤本委員長 次に津金佑近君。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 私はまず、いわゆる金大中事件に関して質問をいたしたいと思います。  アメリカの下院外交委員会国際機関小委員会、いわゆるフレーザー委員会が、KCIAに関する聴聞会の報告書を公表しておりますが、その中に、ことしの三月二十五日のレイナード元米国務省朝鮮部長の証書が載っております。その中で彼は、金大中の拉致という今度の問題は、金大中の暗殺が目的であったという趣旨のきわめて重要な証言を行っております。たとえばKCIAが金大中氏を対幅海峡に投げ込もうとしていたことは明らかであるという趣旨の内容、あるいはKCIAの意図は、金大中氏を暗殺するか、あるいは完全に抹殺するかにあったと私はいまも信じておる、こういう趣旨の証言が行われておりますが、こういう証書が行われたということについては御存じでしょうね。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 ただいま津金先生が御指摘のような証言があったという事実は、承知しております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 これはきわめて重大な内容の発言でありまして、この点に関しては金大中氏が事件の直後にソウルで記者会見をしたその中でも、しをされて手足に五十キロほどのおもしをつけられて海に投げ込まれようとしておったという証言をしておりますが、こうした事実を裏づけるものとして、きわめて重要な意味を持っているというふうに考えるわけであります。政府当局は、いまこの金大中問題の事態の解決、さらには今後の捜査など、こうした事態の解決の上にこの証言を生かしていく、こういうお考えでおられるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 日本政府といたしましても、金大中事件というのが日本の領域内で起きた事件でございますし、累次御説明しておりますように、その外交的決着の際になされた了解事項については関心を引き続き表明しておる、こういう立場からいたしましても、この証言については少なからざる関心を持っておるわけですが、ただレイナード氏自身も証言内容の事実につきましてこういうことを言っておるわけです。  当時、いま言ったような事実について完全には確信は持てなかったけれども、しかしKCIAが一九七一年以来金大中氏に対してとってきた行動から判断して、われわれはありそうなことだと推測したということで、あくまでもありそうなことだと推測したということでいま言われたようなことを述べておるわけで、確たる証拠に基づいているものではないということでございますので、日本政府としてもあの事件が起きまして以来、証拠に基づいて真相が明らかになるように努力いたしました。その結果が、いままでわかっていることにとどまっておる。今度のレイナード氏の秘密公聴会の議事録は、これは相当部分――ある程度はセキュリティーリーズンということで削除されているところもございますけれども、公になったところから見ましてもまだ推測の域を出ていないということでございますので、国際刑事事件の証拠として利用できるようなものは残念ながらない、こういうことでございます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 このレイナード氏の証言は、少なくとも日本の国民に対して大きな衝撃を与えておるわけであります。また金大中氏が、後でも触れますが現在置かれている状況から見ても、国民はこの事態の成り行きというものに対して大変大きな関心を払っておる、こういうわけであります。  そういう点でいまの御答弁でありますが、私はこういう重大な問題については、当然政府当局としてはレイナード氏に会ってその内容について、その信憑性、レイナード氏がそういう趣旨の発言をした根拠、こうした問題についてきちっと確かめる、こういう処置がとられてしかるべきだと思いますが、直接本人に会ってその内容についてさらに確かめ、その裏づけをはっきりさせる、そういう処置はとられましたか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これはくだんの証言が行われまして、行われたということが私どもの承知するところになりまして、早速ワシントンの大使館の館員がレイナード氏と接触して、そのいきさつといいますか事実について確かめましたところ、レイナード氏の言いますのは、まず金大中事件というのは、自分はいろいろ推測で証言したけれども、本質的には日本と韓国との問題なので、それに対してどうこうと言う気持ちがないという点が一つと、これは当然のことだと思いますが、もう一つは、自分が公聴会で証言した以上のことは何も言えない、こういうことであったわけです。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 いずれにしても、この問題はやはり非常に重大な内容を持っているものであり、その証言に示されたこれらの事実ということについては、今後もその真実を追及し、これからの事態の解決、捜査に当然生かしていくべき重要な内容を持っているというふうに私は判断をするわけでありますが、そうした経過も含めて、外務大臣、今度の金大中の拉致事件というものはKCIAの計画的な犯罪であったという点については外相はお認めになりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この問題については、前々内閣以来ずっといろいろ経過が御承知のようにございまして、昨年の七月、韓国政府から金東雲元書記官に関する口上書を受領した際に、金大中氏の自由については日本政府としては、従来どおり外交的決着の際の了解が盛られている限りわが方が韓国側に対して問題を提起することはないという立場に立って、これを確認して外交的な了解には変更がないという旨を確認しておるわけでございます。  この問題については決着がついた問題といたしまして前内閣から引き継いでおりますので、私もさような立場をとりたいと思っております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 私がお聞きしているのは、そういう前内閣の経過論ではなくて、この事件の基本的な性格、それがやはりKCIAの計画的な犯罪だ、こういう認識を持っておられるかどうか、こういう点について聞いておるのである、いかがでしょうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これは、一九七三年に事件が起きました当初から、国会でもさまざまな議論がございまして、その前提はいま先生がおっしゃいましたように、これはKCIAという韓国の公的機関が介入したのではないか、その疑惑がきわめて濃いということで、日本の捜査当局を初めといたしまして、この事件に一体韓国の公権力の介入があったかどうか、言いかえますと、主権の侵害があったかどうかということが大変な論点であったわけでございます。それで、当時わが方の捜査当局の懸命の努力にもかかわりませず、結局のところ主権の侵害があったということについて、韓国に国際法上の責任を追及するに足る十分な証拠が挙がらないままに日時が経過いたしまして、十一月二日の外交決着を見たわけですが、この外交的決着の際にもはっきり当時の外務大臣が韓国側に言っておられますことは、国際刑事事件として引き続き日韓双方で捜査をいたしまして、その結果として主権を侵害したということがはっきりするような証拠が出れば、この外交的決着については再検討をすることあるべしということについては了解があるわけでございますが、それ以降今日までのところ、この外交的決着を再検討しなければならないような主権侵害を裏づける十分な証拠が出ていないというのが現状でございます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 いまあなたも言われたように、KCIAのそういう犯罪的性格を持った行為である疑いがきわめて強い、これを裏づける意味で今度のレイナード証言というものは非常に重要な意味を持っていたというふうにわれわれは考え、これを今後の事態の解決のためにやはり積極的に生かす方向で努力すべきだということを私は強く主張をしたいわけであります。  今日、御承知のように、金大中氏が八年の重刑を受けたということがすでに明らかになっておるわけですが、この点は、その根拠になったものは、民主主義の回復と朴政権の退陣を求めた民主救国宣言がその理由とされていることはすでに御承知のところであるわけであります。そういう点では、言論の自由、さらには民主主義の復活という、これは当然のことでありますが、そういう点だけがこの八年の重刑の根拠とされておるわけでありまして、これはわが国にとっても非常に重大な問題でありますが、そういう点も含めて、今度の判決、そういう重刑が科せられたという問題についてどう受けとめておられるか、大臣の基本的な認識を承りたいと思うのです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 それぞれの国におきましていろいろな体制があるわけでございまして、その点に関してはわが国は非常に自由でございまして、わが国の体制のもとにおきましては言論も自由であり、集会も結社も自由であって、非常に批判も行き届いているわけでございまするが、国によりましてはなかなかそういうことも許されないという国がいろいろあるわけです。ただいまの三・一民主救国宣言問題というのもこれは韓国の国内の問題でございまして、先方の判断に対してわれわれがいろいろと口を差しはさむ、あるいはコメントするということは、その立場にないと言わざるを得ないと思うのであります。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 しかし、この点については自由と民主主義にかかわる根本的な問題であり、あなたもわが国はきわめて自由で民主主義の徹底した国だということを強調されている。そしてこの点に関しては、アメリカ政府及びアメリカ議会もこれに対して抗議の意思を表明しているわけでありまして、直接の被害を受けた日本政府としても、こうした事態の経過の上に立って遺憾の意を表明するという程度のことは当然おやりになってしかるべきだと考えますが、その意思はございませんか。また、この点については河上委員からも委員会としての意思表示を行うという問題が提起されて、これは当委員会でも大きな議論になる問題だと思いますが、この際、政府の基本的な構えを聞いておきたいと思うわけであります。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 先生も御承知のように、いまの日韓関係といいますのは、一九六五年の日韓関係正常化のあのときに締結されました基本関係に関する条約、日韓基本条約というのがございます。その条約に基づいて新しい日韓関係というものの基本が定められて、そしてその後両国の関係が発展しているというのが現状でございますが、この条約にも明らかに書いてありますとおり、日韓両国は国連憲章の規定と精神を尊重するわけですが、特に両国間には主権の尊重ということがはっきりうたわれておるわけで、独立国同士の間柄として相手国の国内法及び国内法に基づき相手国が自国民に対してとっている諸般の措置について他国がその事項にコメントする、あるいはそれについて要望するなり批判する、こういうことは、やはりいまの国際社会の中では許されないことである、こういうふうに認識しておるわけでございます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 いずれにせよ、こうした事態の中で、金大中氏の出国を含めた原状回復という問題はやはりますます困難になった、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。こういう状態は、先ほどあなたもおっしゃられた日本の主権侵害という一つの疑惑、こういうものを解明するという上で大きな障害をもたらす、こういう結果になるわけであります。政府自身も従来再三にわたって、金大中氏の自由の回復という問題については非常な関心を持っておるということを言明され、国民の中にもやはりそうした政府の発言に対する一定の期待感とでも申しますか、そういうものがあるわけでありますが、事態はむしろ国民のこうした期待を完全に裏切るようなかっこうに進んでいると思うのです。こうした事態をどう将来打開をされていこうと考えておられるのか、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 一九七三年十一月二日の外交的決着の際に金大中氏の自由についてなされております了解は、一般市民と同様に出国を含めて自由ということであったわけです。また同時に、日米両国にそれまで滞在しておられたその滞在中の言動については責任を問わないということで、一般市民と同じような手続で出国が認められるであろうということが期待されておったわけです。この一般市民と同様ということの意味は、韓国側が申しますとおり、金大中氏であるからといって特別に厚遇もしなければ冷遇もしない、一般市民と同様の扱いにする、こういうことでありました。その後、選挙違反事件の裁判が再開されたり、今度の民主救国宣言事件で起訴され、第一審判決があり、いま控訴中である、こういうことでございまして、そういう韓国民としての金大中氏の現在の韓国における立場と身分というものがある以上、いますぐ出国を認めることができないということも、これは容易に理解できるわけでございます。  では、いつそれが実行できるか、そのためにどういうふうにすればいいかという点につきましては、外交的決着を見ました以上、日本政府としては、その際になされました了解について、韓国側がその了解に変わりがないかということを再三再四確認しながら、金大中氏が一般市民と同じ立場で出国ができるようになって、そのときに出国が認められるという時期をしんぼう強く待つということになりますが、一つ、金大中事件の外交的決着の際に、金大中氏の自由について、日米両国滞在中の言動について責任を問わないということを了解いたしましたそのときにただし書きがございまして、今後反国家的な活動をしないということが条件になっておりました。金大中氏が、あの事件が終わってから韓国にあらわれて、その後韓国において三・一民主救国宣言事件というものによって罪を問われているという事態は、これは韓国側はそれなりに将来の同氏の扱いについて評価なり考慮する要件になろうかと思います。日本政府としては、外交的決着の際の了解に変わりがないことを確認し続けるということで当面臨んでいくほかはない、こういう考えでございます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 金大中氏に対して加えられた今回の重刑の根拠ですね、これは御承知のように大統領緊急措置第九号であります。これはいまも言われましたように、金大中事件が起こってから三年たってつくられた法律だ。しかし、この九号そのものについては、やはり金大中事件の究明を妨害するためのものであるという観測すらあるわけでありまして、この内容については時間もありませんから一々申し上げませんが、まことに驚くべきものであって、かつての治安維持法をほうふつさせるような内容がここには堂々と述べられているわけであります。そういう意味では、やはり少なくともああいう事件を引き起こし、日本国民に対して多大な迷惑をかけて、そうして事件の究明に協力すべき立場に本来韓国側はあるわけでありますが、そういう中で、こういう驚くべき大統領緊急措置第九号によって事態の解明をきわめて困難なような状況に陥れた、こうした朴政権の措置について、日本政府として、少なくともアメリカ並みの遺憾の意を表するということはあってしかるべきだと思いますが、この点もう一度重ねて大臣の所見を伺いたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 先ほども申し上げたことの繰り返しになりますけれども、日本と韓国との間の現在置かれている主権国同士の、しかも隣国としての関係、それに先立ちます日本と朝鮮半島との長い歴史、そういったもの、あるいは日本に在留いたします朝鮮半島出身者の六十万を超える存在、そういったことを種々勘案いたしましても、韓国の国内法令あるいは国内法制について遺憾の意を表するというようなことはできない相談であろう、こういうふうに考えます。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 時間がありませんから、この問題については最後にもう一点だけお伺いしておきたいと思います。  こうした韓国の事態というものについては、日本国民の中にも大変大きな批判的な世論というものがあるわけでありますが、田中前総理大臣はこうした韓国の現状を総括的に評価をされて、韓国は現在自由と民主主義を目指す国であるということを本会議の答弁で公然と述べておられるわけであります。今日のこうした事態を踏まえて、小坂外務大臣もこのような基本的な見解を今日お持ちになっているのかどうか。この韓国の総括的な現状に対する基本的な認識、特に田中前総理がそういう評価を国会の本会議の席でなされておるわけでありますが、その点について小坂外相も、現在韓国を自由と民主主義を目指す国である、こういう認識をいまでもお持ちかどうか、この際もう一度お伺いしておきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先ほどアメリカ並みのというお話がございましたが、私はまだどうもよく承知しないのでございまするが、アメリカの国務省ないし国務長官が金大中の問題について何かアクションをとったというふうには承知しておらないのでございますが、なおよく研究をいたします。  それから後段のいまの御質問でございまするが、韓国は、御承知のように朝鮮半島において、非常に不幸なことでございますが、三十八度線を境といたしまして南北対立しているわけでございます。この中で韓国の言い分は、北朝鮮は共産主義、韓国は自由と民主主義ということを言っているわけでございまして、その言い分について、私どもはそのままにそれを見ておるということでありまして、その中のやり方がいいとか悪いとか言うことは――他の国に対して、共産主義の国に対しても民主主義の国に対しても、その政治のやり方についていろいろ批判することは外交上一切差し控えたいという考えを持っております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 もう時間がありませんので、最後に、さきの朝鮮半島の軍事境界線における例の事件に対して若干質問をして、私の質問を終わりたいというふうに思います。  この点については本会議の代表質問の中でわが党も取り上げて、この事件に際して、わが国から第一八戦術戦闘航空団ファントム戦闘爆撃機一個中隊を南朝鮮に急派したという問題であるとか、あるいは沖繩駐留の第三海兵師団のうち千八百人が南朝鮮に上陸に入ったというふうなきわめて重要な情報、さらには横須賀を母港とする米空母ミッドウェーが朝鮮海域に急行したという問題、さらには沖繩の嘉手納基地から大型ジェットタンカーKC価が十五機大挙して横田基地に飛来をしているという問題、こういう事態が相次いで起こっておる。特にミッドウェーの出撃あるいは核攻撃任務を兼ね備えているファントムが公然と南朝鮮に急派されたという事態は、かつてのいわゆるプエブロ号事件あるいは一九六九年四月のEC121スパイ偵察機撃墜事件等々のときにも起こらなかったような事態でありまして、これはわが国の平和と安全にとってもきわめて重大な意味を持つ問題である。日本が朝鮮での軍事行動に自動的に巻き込まれていく危険を日本国民は大いに感じたわけであります。  三木総理は、こうした動きに対して、警戒的措置を超えないものであるという答弁をされておりますが、実際にいつ戦争が起こってもこれに即応できる態勢を整えるといういわば第三段階の警戒態勢に当てはまるような事態だと考えるわけでありますが、こうした事態について政府としてはどのような認識を持っておられるか。きわめて重大な問題でありますので、この際改めてお伺いしておきたいと思います。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○山崎(敏)政府委員 板門店事件の際に米軍に若干の動きがあったことは事実でございます。ただ、ただいま仰せのありました事実のうちで、第三海兵隊が千八百名朝鮮半駐の方へ出動したというお話でございますが、こういう事実はわれわれとしては承知いたしておりません。それから、KC135十五機が横田基地へ飛来したというのは、当時沖繩に近づいておりました台風避難のためであったと聞いております。その次に、八月十九日に嘉手納の飛行場からF4の一飛行隊が韓国内の空軍基地に移動したということは事実でございます。また、八月三十一日にミッドウェーを中心とする第七艦隊のタスクグループが海上待機任務につくべく、横須賀を出港したということも事実でございます。これらのいずれにつきましても、政府としては米側から事前の連絡は受けております。  御承知のとおり、日本国から行われます戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設区域の使用が事前協議の対象となるわけでありますが、今回のF4の動きは、沖繩にあります米軍の基地から他の海外基地への移動でございまして、これは事前協議の対象にはならないと思います。また、ミッドウェーの出港は海上待機任務につくために行われたものでございまして、これも事前協議の対象となるべきものではないと思います。本会議で総理が答弁されましたように、これらの米軍の動きは、いずれも板門店事件に際しての米軍としての一つの警戒態勢としてとられた措置であったと考えております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 では、これで終わりますが、いまの答弁についてはさらにいろいろ明らかにすべき問題点が多々含まれていると思いますが、時間がありません。いずれにしてもわれわれは、この朝鮮半帰をめぐって行われた、特に日本の米軍基地を中心とする動きというものは、日本の平和と安全にとってきわめて重大な意義を持つものでありまして、昨年八月に確認された三木・フォード会談における新韓国条項、韓国の安全は日本を含む束アジアの平和と安全にとってきわめて重要だという、この危険性を改めて裏づけたものだというふうに感ぜざるを得ないわけであります。  いま事前協議との関係についての御説明がありましたが、安保条約第四条におきましては、この条約の実施に関して随時協議して、また、日本の平和あるいは極東の安全に対するこうした脅威が生じたときは、いずれか一方の要請によって随時協議することができるということが明記されておるわけであります。日本側としては、こういう問題については問題を提起し、随時協議を申し入れ、日本国民に対して米側のこの行為に関する解明を行って、国民の不安を解消するのが当然であるというふうに私は考えるわけですが、こうした措置をとられたかどうか、また今後おとりになる用意があるかどうか、この点を最後にお伺いしておきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私どもは、日米安保条約というものは日本の安全のため非常に重要なものであると考えております。したがいまして、安保条約がよく機能することが大切だと思いますので、そういう条約の各条章について、相互に常に連絡してわが国の安全の確保のために十分の力を尽くしたい、こう思っております。

津金佑近日本共産党・革新共同

○津金委員 時間をオーバーしましたから、これで終わります。

藤本孝雄自由民主党

○藤本委員長 次に、渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 先日、私の質問に対して各省庁から、御意見のまとまっていない部分について、すなわち、亡命あるいは難民、政治亡命あるいは政治難民、政治犯罪等についての定義がわが国では確立されていないためよけいな混乱が生じておる点にかんがみ、外務、法務両当局において統一見解を指示していただくようお願いをいたしましたところ、早速当委員会の冒頭におきまして表示していただいたわけでございまして、その御努力は多とするものでありますが、外務省がお持ち出しになりましたものは、要するに定義はわからないということを述べられ、いままでの文献を集めてコピーされたものにすぎず、まことに遺憾に存じます。これでは問題が明確でありませんから、私はこの問題についてもう少し詳しくお伺いをしたいと思います。そうでないと、ベレンコさんの扱いについて、わが国は恣意的に、偶発的に、かつ自由裁量の非常に幅の広い政策をとっているから、日本に対しては圧力をかけた方が得だと諸外国に思わしめる可能性があるということであります。  特にアジア局長に残っていただきましたのは、韓国からの難民あるいは亡命者に対しては、その大半が韓国に送り返されてしまう、そして処罰される、そういうことを一方では行いながら、ソビエトからの来訪者に対しては、これを非常に友好的に扱ってアメリカまで逃がした、こういうことであっては一貫性がなさ過ぎるのではないかという重大な問題が生じてくるからであります。したがって、私はそういう点の統一的な取り扱いを希望し、かつ、わが国の難民、亡命者に対する取り扱いが一貫されることを望んで先日も御質問をいたしたわけであります。難民あるいは政治亡命者、政治犯人等に関して外務省がお持ち出しになりました定義は、いままではこうしておりますというにすぎない御答弁でございまして、先日の条約局長の御答弁よりはるかに後ろに下ったものでありますし、では今後こうしたものをどういうように取り扱うかという観点からもう一回お話をやり直そうと思うわけであります。  まず外務省には、先ほどから御説明になっております、私がいま提起しました人の問題につきまして、つまり韓国の難民あるいは亡命者に対する取り扱いと、今度のベレンコ事件との取り扱いの差についてどのようにお考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 日本に正規の手続あるいはルートでなくて入ってきた韓国人の扱いについては、第一義的に法務省入国管理局の所管でございますので、その扱いは入管当局の方から御説明いただくといたしまして、いまの御質問の中に韓国からの亡命者あるいは韓国からの難民というふうにおっしゃっておりますが、私の承知しております限りでは、韓国から日本に正規の手続、正規のルートでなくて入ってくる人の大部分は、いわゆる密航者、密入国者ということで処理されているというふうに聞いております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは法務省の入管局から出ました先ほどのペーパーにつき御質問をいたしまして、いまの問題の詰めにかかりたいと存じます。  まず、「政治亡命を希望する外国人の取扱いについて」には「政治的迫害の申立てが十分に根拠のあるものであるかどうかを検討し、」とあります。十分に根拠があると認められるにはどういう要件が必要なのか御説明をいただきたい。

竹村照雄法務大臣官房審議官

○竹村説明員 お答えいたします。  私どもここに「十分に根拠のあるものであるかどうかを検討し、」という表現を用いましたのは、一般に国際的に使われておる表現といたしまして、政治的な場合によりますと、政治的意見が原因で迫害を受けるおそれがある十分な根拠があるためというような表現を使っておりますし、そういったことでこういう表現を使ったわけでございますが、われわれとしては具体的なケースにおきましては、彼の一定の政治的な意見ないし政治的な活動のゆえに本国政府から訴追を受ける、あるいは具体的な迫害を受けるおそれが十分に具体的にあるということを念頭に置いております。  なお、これらの具体的な判断をするに当たりまして、従来最高裁判所まで争われた事例等に徴しましても、やはり訴追の具体的なおそれというようなところを非常に厳密に言っておりますので、われわれとしてもそのような解釈はしております。ただ、実際の行政運用を行う場合において、そこらあたりはやはり人道的な観点というものは優先させる考え方をとっておりますので、後ほどまた具体的なケースについての御説明を求められた場合にそういった点をお答えいたしたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 「人権の尊重と我が国の利益との調和を考慮したうえ、」こういう公害裁判のときに出てくるような言い回しでありますが、ただいま人権の尊重について配慮するというふうにおっしゃいましたけれども、わが国の利益と人権との調和というのはどういうことを意味するのか。今度のベレンコ中尉の場合は当人の人権を尊重したが、わが国に逃げ込んでくるところの金大中氏については人権を尊重しなかったのは、わが国の利益だと考えておられるのか、その辺金大中事件について説明していただきたい。

竹村照雄法務大臣官房審議官

○竹村説明員 まず、ベレンコ中尉のケースを前提としてお話しいたしたいと思いますが、私どもの入管手続のたてまえから申しますと、入国管理令の第三条は、「外国人は、有効な旅券又は乗員手帳を所持しなければ本邦に入つてはならない。」ということになっておりまして、入管令第二十四条第一号は、この第三条の規定に違反して本邦に入った者は退去強制事由に該当し、退去強制手続を進めるべきことを定めております。そこで、ベレンコ中尉は有効な旅券を持たずに本邦に不法に入国したのでありますので、入管令所定の退去強制手続を進めました。  退去強制手続の進め方は、第一段階が入国群森宮による審査、それが不服な場合には特別審理官による口頭審理、それが不服な場合に法務大臣に対する異議申し立て、それに対する法務大臣の裁決ということになっておりまして、わが国に特別在留を認める権限というのは法務大臣にしか裁量権がございませんので、入国審査官や特別審理官の審査の段階においては、この退去強制事由に該当するかいなかの判断しかできないのでございます。  ところで、ベレンコ中尉は、もともと本邦に在留を希望しておりませんので、この節一段階の入国審査官の審査の段階で、入国審査官が二十四条 一号に該当すると認定したのに対し、その認定に服しました。そうしますと、手続的には主任審査官において退去強制令書を発付するということになるわけでございます。ところが、本人はアメリカに出国を希望し、アメリカ側も本人を受け入れるという通知がありましたので、入管令の五十二条の退去強制令書の執行の一方法として、第四項に、みずからの負担により、みずから本邦を退去しようとするときは、自費出国を許可することができることになっております。この規定によってアメリカに送還したということになっております。  従来、昭和四十五年以降、ベレンコ中尉を除きまして、こういうふうに第三国へ亡命を希望した事案というのは三十名ございますけれども、その中で不法入国という手段をとった者は、全部こういう手続によって第三国に送出しておるということになっております。  なお、ついでながら、わが国に正規に入ってまいりまして、そしてその正規の在留期間内に第三国へ亡命を申し出る、というのは、日本にある在外公館、大使館に行ってその国の保護を求めるというような場合には、その在留期間内に出国する限りは、入管令の手続上は何ら違法なものとしての扱いはない。要するに、一般の外国人が入ってきて出ていったと同じということになります。ただ身辺保護とかそういった必要性が出てくるということでございます。もちろん、こういった配慮をする場合には外交上のいろんな配慮があるということは当然のことでございます。  今度は韓国からの例によりましても、現実にいままで扱った例を見ますと、本人が韓国への送還を希望しない場合には、迫害を受けるおそれのないその他の地域へ送還した例もございます。それから現に日本に在留を認めた例もございます。  それから最後に、金大中氏のことでございますが、金大中氏につきましては、正確な日時はともかくとして、日本にやってまいりましたときには無査証でやってまいりました。そこでわれわれは、査証のない者はやはり上陸拒否になるわけでございますけれども、本人の従来の経歴、社会的な地位、それから本人が上陸を希望した際には、日本での病気治療と出版物の校正ということを目的とした上陸申請がありましたので、そういう観点から上陸を許可し、そして特別在留という在留資格によって期間更新を続けておったということでございます。したがって、入管の立場から言えば、金大中氏を排除したというようなことはございません。  以上でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 迫害を受けるおそれの明らかな地域には送還しないということをかなり明瞭にいま言われましたが、当人において、その自分の母国とするところにおいて迫害を受けるおそれがあると想像される地域については送還しないということは、確定的な方針とみなしてよろしいのですか。

竹村照雄法務大臣官房審議官

○竹村説明員 そういう基本方針に従って対処しております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 第三国向け政治亡命を希望する外国人において、当該国において受け入れを認める場合には、そこを好意的配慮を持ってその実現を図る旨ここに記載されておりますが、どこの国の人でも比較的容易に受け入れる国もありましょうし、また、どこの国の政治亡命者でも比較的受け入れない国も周辺にありますでしょうし、その辺はいろいろなことになるだろうと思うわけですが、受け入れを認めない場合はどういうように処置されるのですか。

竹村照雄法務大臣官房審議官

○竹村説明員 もとよりわれわれといたしましては、日本に在留を認めるのが適当でないという場合には、本人の希望に従っていろいろ処置するわけでございますが、仮定の問題として、そういった希望先も全部受け入れを拒否されたという場合は、われわれとして、従来の扱いの中には、退去強制令書を執行せずに、日本に在留を事実上認めて、一定の事態の鎮静を待って最終的な処置をした、たとえば特別在留を認めたという例もあれば、本人の希望に従って、いずれまた出ていくところが出てきてそちらへ出ていったという例もございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 大臣はお急ぎのようですから伺いますが、このたびの難民条約に対する加盟の問題をいよいよ配慮する旨、先日の外務委員会におきまして外務大臣は御答弁になりました。新聞の報道によれば、現在国連を中心に進められております難民、亡命者の庇護に関する新条約について、政府はその作成会議に代表を派遣して意欲的な方向を示すやに報じられておりますが、報道が区々としておりまして正確にはわかりかねますので、この難民条約に対しては、お入りになることに問題点はたくさんあるだろうことも私は承知しておりますし、今度の新しい領土的庇護に関する条約については、比較的その面は容易だということも了承した上で伺っておるわけでありますが、政府はこの二条約についてどういう方針でおられるか、承りたいと存じます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 難民条約に関しましては、先般申し上げたようなことで、鋭意検討を進めさせていただきます。  また、ただいまお話しの領土的庇護に関する条約でございますが、これに関しましては、草案が昨年の第三十回国連総会に出ておりまして、事務総長に対して、本件条約案を検討し採択することに、一九七七年一月から二月にかけて全権会議を開催するように要請する趣旨の決議を採択したわけでございます。本件の会議が予定どおりに開催されます場合には、わが国といたしましてはこれに参加する方針でございます。  ただ、申すまでもなく、条約の最終的な姿は会議の結果を待たなければわからないわけでございますが、現段階で加入の可否を云々するということはさような趣旨から困難でございますが、現在の条約案につきまして、わが国が出入国管理に関する基本的政策との関係などにつきまして慎重に検討する必要があり、入管当局とも協議をいたしまして態度を固めることにいたしたい、かように考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この領土的庇護に関する条約に関し意欲的な方針を示しておられることは大変に結構なことだと私思うわけでありまして、最終的な形の成立を待つまでは正規の方針、手続等も表明できないことは事実でありましょうが、意欲的にそれに参加され、討議され、わが国の方針を明示されることが必要かと存じますので、ぜひとも御奮闘いただきたい、こう思っておるわけであります。  難民条約の検討にかかっておられるのは前委員会でお話しくださいましたけれども、国内法的な法制のさまざまな処置について検討するとおっしゃっておられましたが、その点については現在実施にかかった、実施段階に入ったと見てよろしいのでしょうか。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 実施段階に入ったかどうかといういまおっしゃいました点、よく意味がわからなかったのでございますけれども、関係各省庁といろいろ条約上の問題点を精力的に詰めておることは間違いございません。その結論というようなことをまだ申し上げる段階にはございませんけれども、前向きに検討はいたしております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 どうぞ大臣、結構でございます。  私の申し上げましたのは、前委員会で外務大臣が述べられ、それ以前に稻葉法務大臣が、難民条約については加盟の方向で国内法の整備その他の処置をとるべきときが来た、機は熟したと述べられているわけでありまして、それに対してのお打ち合わせなり協議が当然行われてしかるべきだと思っているわけであります。ところが、お言葉のみで、進んでいる気配が感じられておりませんので私はあえてお伺いをしたわけであります。どうかこの点につきましては、両大臣の御答弁のとおり精力的な御協議をいただくようにお願いします。

大川美雄外務省国際連合局長

○大川政府委員 関係省庁と精力的に協議を続けてまいりたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この政治亡命あるいは政治犯人の取り扱いにおいて、法務省入管局が取り扱われていることはわかるわけでありますが、法務省入管局のお取り扱いの場合において、外務省とどういう点において御相談をされるのか。外務省は外交的配慮を持ってこれらの諸問題を取り扱わなければならない官庁でありながら、今度のベレンコ事件についての外務省側の意見は、必ずしも防衛庁や法務省との協議が速やかに行われたとは認めがたい状況が現出しているわけであります。  そうすると、一般的に言うて、わが国にあるいは第三国に向けて政治亡命を希望する外国人の取り扱いについて、法務省入管局はどういう時点において外務省とどういう機関を通して協議をなさるのか、その辺を明示していただきたいと存じます。

竹村照雄法務大臣官房審議官

○竹村説明員 私ども入管局の立場から言いますと、たとえばベレンコ事件などは、最初にこれを把握したのは警察でございまして、警察から通知を受けまして、それで入管局として立件して調査を始めるという段階でございますが、そういった段階は、同時に外務省の方にも通知がなされておると承知しております。われわれは、こういった手続があった場合には、従来からこういう問題が起きましたときには外務省の担当の局に御連絡申し上げ、向こうからも連絡があって、今後どうするかということを速やかに協議しております。ただ、先生非常に混乱があったように申されましたけれども、こういう旅券を持たずに日本にやってきた亡命申し出事案につきましては、わりあい数が多いというわけではございませんけれども幾つかの例がございますから、そういった意味では手続そのものは非常にスムーズにいったというふうにわれわれ考えております。ただ、機体が絡まっていろいろありますけれども、それは人の問題と若干違うものですから、そういった意味での問題はあったろうかと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 亡命者の基本的な人権の保護に関する問題について基本的な事項を伺いたいわけでありますが、一般国際法上庇護権というものは確立されていると見るべきであるかどうか、その辺当局の御見解を承りたい。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 一般国際法の問題としてお尋ねがございましたので私からお答えさせていただきますが、一般国際法上外国人の入国、滞在を許すかどうかという問題は国家の自由裁量の問題とされておりまして、その意味で外国人が領土的庇護を求めてきた場合に、その庇護を求めることについて理由があると認められるような場合でも、国家としてこれに応ずる国際法上の義務はないというふうに考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 亡命者が庇護国の公館に逃亡した場合庇護権は及ぼし得るかどうか、この問題については、一九六七年でしたが、日本にあるキューバ大使館に米軍人が飛び込んだときに、いかなる国の在外公館も政治亡命について庇護権を持たないと政府側は主張されましたが、その御見解は今日も変わっておられないのか。そうしますと、今回のベレンコ事件のお取り扱いもちょっと問題が生ずるようになるのではないかと思いますが、その点はどうお考えですか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 先ほど私がお答えいたしましたのは、先生よく御承知のとおり、国際法上領土的庇護、テリトリアルアサイラムという観点から申し上げた問題でございますが、いま先生が御提起になりましたのは、いわゆる外交的庇護、ディプロマチックアサイラムという問題であろうと思います。わが国といたしましては、接受国に対してわが在外公館に外交的庇護の権利を認めるよう要求したこともなく、またわが国にある外国の在外公館に対してこのような権利を認めたこともないという立場を依然としてとっております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 迫害が予想される国への送還禁止の原則と申しますか、その点は先ほど法務省がかなりきちっと確答されましたが、これは一般国際法上の国家の義務とはなっていないものと思います。日本政府としては、これは厳として確立してある、こういう意味に解釈してよろしゅうございますね。これは外務省に特に伺います。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 先生がただいま御指摘の点は、まさに国際法上ノンルフルマン原則という名前で論じられている問題でございますが、私どもといたしましては、一般国際法上外国人の入国、滞在、不法入国者の強制退去は、一国の自由裁量の問題であるとされておるということでありまして、いわゆる政治難民を迫害のおそれのある国に向けて追放または送還しないというこの原則は、近年諸外国における出入国管理上の措置や条約に受け入れられてきつつあるということではありますけれども、いまだ国際法上の規則として確立したというところまではいっていないというふうに考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうすると、その原則にもかかわらず日本の場合はそれを――ノンルフルマン原則ですか、わが国の場合は諸外国に先立ってその原則を堅持する、こういう意味ですね。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 私がただいま申し上げましたのは、純粋に法律的に一般国際法上の問題としてまだ確立しているまでには至っていないということを申したわけでございますが、にもかかわらず法務当局におきましては、その趣旨を実際の事案の処理に当たって生かしながら処置をしておるということを先ほど来御説明があったというふうに考えております。

竹村照雄法務大臣官房審議官

○竹村説明員 こういう機会にぜひ御理解いただきたいのですけれども、四十八年度の出入国法案の際に、送還先につきまして本人の希望する地域ということを念頭に置いた条文がございました。それは、すでに四十八年当時、われわれとしてはこういうふうな基本的な行政運営の方針を持っておった、それを条文にあらわそうとしておったということをこの際申し上げておきます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 本委員会の場でいろいろPRなさるのも結構なんですが、私の伺いたいことは、政治犯の不引き渡し原則というのがありますね。これはノンルフルマン原則と政治犯不引き渡し原則との関係はわが国においてはどう考えるべきなのか。  もう一つややこしいのは、日米犯罪人引き渡し条約及び地位協定十七条五項(a)との関係はどうなるのか、その辺をひとつ明快に明示していただきたいと存じます。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 まず第一点の犯罪人の引き渡しの問題でございますが、一般的に申しまして、犯罪人の引き渡しは外国において刑事手続の対象となっている犯罪人の現存する国の政府が、当該犯罪人を当該外国政府の請求によって審判または刑の執行のためにこれを引き渡すという問題でございます。その犯罪人のうち、政治犯罪人といわゆる政治亡命者ないし政治難民との関係につきましては、一般的に申し上げれば、いま申し上げましたように政治犯罪人は犯罪人引き渡しとの関連で論議されておって、したがって政治犯罪を犯して訴追、処罰の対象となっている者を指しているのに対しまして、いわゆる政治亡命者とか政治難民とかいわれる者は、先ほど来御説明しておりますように、犯罪を犯して訴追、処罰の対象となっているかどうかという点が問題なのではなくて、何らかの政治的な理由による迫害のために外国に逃れる者ということを指すというふうに考えているわけでございます。  それから第二点の政治犯罪人と地位協定の御質問がございましたが、必ずしも私が十分理解していないかもしれませんけれども、地位協定の第十七条の五項(a)は、日本の当局及び合衆国の当局が、日本の領域内における米軍の軍人とか軍属とか家族の逮捕及びこの十七条の規定に従って裁判権を行使すべき当局へそれらの軍人とか軍属とか家族を引き渡すことについて、相互に協力しなければならないということを定めたものでございまして、政治犯罪人との直接の関係はないのではないかというふうに考えております。  なおまた詳しい御質問があれば、また御説明させていただきたいと存じます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 時間がありませんので余り詳しくお伺いするのもどうかと思うのですが、在日米軍と日本政府との間で、またこの地位協定をめぐって、たとえば政治犯罪人が事実発生した場合、犯罪人引渡条約並びにこの地位協定十七条五項の(a)との関係はどうなるのか、この辺は詰めておかれませんと、現に米軍内に発生した反戦運動の人々に対する取り扱いはきわめて恣意的にばらばらに行われる危険性がある。また、後に問題を起こす可能性もある。また、わが国で確立している、本日こうして確立された、入管局の政治亡命を希望する外国人の取り扱いの項目に対して大きな留保をつけるものになると思いますが、その辺はいかがですか。

中島敏次郎外務省条約局長

○中島政府委員 恐らく、先生がいまのような御質問をされておられるについては、先ほども先生から御指摘がありました、一九六七年の米兵がキューバの大使館に亡命を求めて駆け込んだという問題がおありなのではないかというふうに推察するわけでございますが、この問題につきましては、当時の実態的な問題の解決ぶりとは別といたしまして、先ほど申しましたように、政府としては大使館のいわゆる外交的な庇護権を認めないという立場にございますので、それは当時わが政府の立場といたしましては、外交的庇護の問題ではなくて、これは脱走したアメリカ兵の地位協定に基づく処理の問題であるというふうに考えておりまして、したがいまして、当時私どもといたしましては地位協定――もしわが当局が当人を逮捕するということになれば、それは地位協定十七条五項(a)のアメリカ側に対する援助の問題になるというふうに考えていたわけでございます。ただ、当時キューバ側が外交的庇護に関するわが方と同じような見解をとっていなかったことも事実のようでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは終わります。

藤本孝雄自由民主党

○藤本委員長 次回は、明後十五日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十三分散会

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