外務委員会 第1号
- 発言数
- 205 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/10/06
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 このたび、私が外務委員長に就任いたすことになりました。本委員会はきわめて重要な使命を有するものでありまして、責任の重大なることを痛感いたしておる次第でございます。微力ではございますが、誠心誠意円満なる委員会の運営に努めたいと存じますので、委員各位の御指導、御協力を切にお願いする次第でございます。 はなはだ簡単でございますが、就任のごあいきつといたします。(拍手) —————————————
○藤本委員長 先般外務大臣に就任されました小坂善太郎君及び外務政務次官に就任されました小此木彦三郎君より、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。小坂外務大臣。
○小坂国務大臣 一言ごあいさつを申し上げまするが、私、先般外務大臣を拝命いたしました。もとより、御承知のごとくはなはだ魯鈍の者でございまするけれども、全力を尽くしまして、この非常に大切な日本外交のために努力をいたしたいと考えております。皆様の特別なる御協力、また御鞭撻、御叱正をこいねがう次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○藤本委員長 次に、小此木外務政務次官。
○小此木政府委員 私、新たに外務政務次官に任命されました小此木彦三郎でございます。奮励努力いたしますので、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○藤本委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。 坂本三十次君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤本委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 引き続き理事の補欠選任についてお諮りいたします。 ただいまの坂本三十次君の辞任による欠員のほか、理事中山正暉君及び羽田野忠文君の委員辞任により、現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤本委員長 御異議なしと認めます。 よって、理事に 石井 一君 塩崎 潤君 及び 竹内黎一君を指名いたします。 ————◇—————
○藤本委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項について調査を行いたいと存じますので、この旨議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○藤本委員長 国際情勢に関する件について審査を進めます。 まず、小坂外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。小坂外務大臣。
○小坂国務大臣 現下の国際情勢につきまして、若干の御説明を申し上げたいと存じますが、それに先立ちまして、一言お礼を申し上げたいと存じます。 先ごろ、国際連合総会に出席をいたしたいと考えましてお願いを申し上げましたるところ、非常に国会御多忙の折にもかかわりませず、この会議の重要性にかんがみまして、快く出張を御許可いただきまして、心よりお礼を申し上げたいと存じます。まことにどうもありがとうございました。さて、就任後初めての外務委員会でございますが、私はただいま申し上げましたようなことで、国会をお留守にいたしまして国連に参りましたので、その間の事情を申し上げたいと存じます。 私は、この第三十一回国連総会に出席いたしまして、一般演説を行うとともに、アメリカ、中国、ソ連三国の外務大臣を初め、各国の代表と会談する機会を得ましたので、これを中心として申し上げたいと存じます。 第三十一回国連総会は九月二十一日開会し、十二月二十一日までの予定で開催されておりまするが、私は九月二十五日より十月五日までの間、日本政府代表として出席いたしまして、九月二十七日午後、四番目の一般討論演説を行いました次第でございます。演説の要旨は次のとおりでございます。 まず、国連加盟以来二十年間、わが国が一貫してとってまいった平和外交の一層の推進の決意表明に力点を置きながら、そのための各国間の対話と協調の重要性を訴え、とりわけ諸問題解決に当たっての大国の責任について言及いたしました。 次いで、わが国の核拡散防止条約批准を踏まえまして、核大国の核軍縮への努力の必要性のみならず、通常兵器軍縮の重要性及び武器移転の自粛の必要性についてわが国の考え方を述べ、今後も核軍縮及び核兵器拡散防止のための国際協力に積極的に貢献していく決意を明らかにいたしました。 次に、南北問題に関しましては、発展途上国におきまする技術、教育水準の向上のための国際的協力にわが国が貢献する決意を述べました。 次に、朝鮮半島、中東、南部アフリカ地域等の問題につきましては、早急に話し合いによる平和的解決を図るように慫慂いたしました。 最後に、国連のあり方につきましては、国連の平和維持活動、国連の機構及び行財政、国連憲章の再検討を含む国連の機能強化につきまして、わが国の考え方を明らかにいたしました。 演説の後に、ワルトハイム事務総長、アメラシンゲ総会議長、キッシンジャー・アメリカ国務長官、グロムイコ・ソ連外相、喬冠華中国外相、ギランゴー仏外相、ジェミソン・カナダ外相、ピーコック豪外相、朴韓国外務部長官、チャバン・インド外相、モロッコ外相、トルコ外相等と会談いたしまして、国際情勢及び二国間問題について意見の交換を行いました。 また、私が主催するレセプション等に、事務総長、主要国代表等のほか、アジア・太平洋諸国代表、アラブ諸国代表、アフリカ諸国代表等を招いて、それぞれ意見の交換を行った次第でございます。 次に、二国間の関係でございますが、まず日ソ関係について申し上げます。 ニューヨークにおきまするグロムイコ外相との会談は、ミグ事件との関連で全体として厳しい雰囲気の中で行われました。私より、平和条約交渉を初め北方墓参、安全操業等の日ソ間の諸問題につきましての日本側の立場を説明し、問題の早期解決方を申し入れたのに対しまして、先方は、いずれにつきましてもかたい態度を示しました。また、ミグ事件につきましては、私より、本事件のような問題が多岐にわたる日ソ間の大きな関係に悪影響を与えるようなことがあってはならない旨を述べまして、先方の理解を求めましたが、グロムイコ外相は、本件に対する日本側の処理ぶりについて強い不満を示しました。会談の要旨は次のとおりでございます。 一、平和条約交渉に関し、私より、早期に四島の一括返還を実現して平和条約を締結するよう申し入れたのに対しまして、グロムイコ・ソ連外相は、平和条約締結交渉を継続することについては日ソ間に合意はあるが、四島の返還問題というのはあり得ないとの態度を示しました。よって私より、日ソ間には第二次大戦後の未解決の問題を解決して平和条約を締結するとの合意があり、この未解決の問題の中には領土問題、すなわち四島の問題が含まれている旨を反論いたしましたが、先方はこの問題についてはこれ以上話し合うことを希望しなかったのであります。 二、私より、ブレジネフ書記長等ソ連側三首脳の訪日を実現して、日ソ友好関係の強化を図りたい旨を述べましたところ、先方は、この問題は友好関係があって初めて考慮さるべきであるとの態度を示したのであります。 三、私より、北方墓参、安全操業の問題を提起し、ソ連側の善処を要望したところ、グロムイコ外相は、これにつきましてはソ連の国内法に従う必要があると述べ、また近海操業については、ソ連側は国際法に従って操業しているので問題はない旨を述べました。よって、私よりこれらの諸問題に関するわが方の基本的立場を繰り返し明らかにするとともに、ソ連側の善処方を強く申し入れておきました。 四、ミグ事件につきまして、私より本件の基本的性格とわが方の処理ぶりを先方に説明するとともに、日ソ関係をも考慮し、わが方としては迅速に所要の措置をとった上で、近く機体をソ連側に返還するとの方針をソ連側に伝達いたしました。 これに対してグロムイコ外務大臣は、事件の発生後飛行士と機体を即時返還するのが当然であるとして、日本側の処置ぶりに対して強い不満を表明いたしました。私より、ソ連側の発言は本事件の基本的性格について全くの誤解に基づくものであると述べまして、ソ連側の理解を求めた次第であります。 五、以上のように、総じてグロムイコ外相のわが方に対する態度はきわめて厳しいものがありました。私としては、ミグ事件は本来日ソ間の基本的関係に影響を及ぼすべき性格のものではないと確信しておりまして、今後とも日ソ友好関係の維持、発展に努めるとともに、領土問題を初めとする日ソ間の諸懸案の解決に向かって粘り強い努力を払ってまいる所存であります。 次に日中関係について申し上げます。 一、ニューヨークにおきます喬冠華外交部長との会談は、同部長との初めての会談でもあり、種種の問題について深く議論するというよりも、両国間の友好的な雰囲気を相互に確認し、またはつくり合うということに意義があったと思います。 この会談におきましては、まず、日中共同声明が発出されて以来、この共同声明に明記されました四つの実務協定が締結され、日中関係は全体として良好であること、次に、日中双方ともが日中平和友好条約交渉の早期妥結の熱意を有していること、この二つにつきまして意見の一致を見ました。 二、政府としましては、今後とも日中共同声明を基礎として、一衣帯水の間にある中国との善隣友好関係をより一層強固なものにしていくために努力を惜しまない決意であります。 日中平和友好条約交渉につきましても、日中永遠の平和友好関係の基礎とするにふさわしい条約が、日中双方の努力によりまして、両国民に真に納得のいく姿で早期に締結されますよう、引き続いて努力してまいる所存でございます。 次に日米関係について申し上げます。 一、キッシンジャー国務長官との会談におきましては、両国共通の関心事項につきまして率直な意見の交換を行い、今後ともアメリカ各層との対話を増進し、もって日米関係の強化のために引き続いて努力していくことを確認した次第でございます。 言うまでもなく、自由と民主主義を共通の基本理念とする日米両国の友好協力関係は、わが国外交の基軸をなすものであり、両国間の政治、安全保障、経済、科学技術、文化等広範な分野にわたる緊密なパートナーシップは、単に日米両国の国益に合致しているのみならず、広く国際関係の安定と国際社会の発展に貢献するものであります。特に日米安保条約につきましては、わが国の安全保障にとりまして重要であるのみならず、東アジアにおける国際政治の基本的枠組みの一つとしてこの地域の安定にも貢献しております。その意味におきまして、日米安保条約の持つ抑止的な効果を維持増進することは重要であり、先般、日米防衛協力小委員会が設置されたのもこのような趣旨に沿うものであります。 次に、現在日米間で検討を要する案件としては、漁業問題及び航空の問題がありますが、漁業問題につきましては、わが国としては、アメリカが国連海洋法会議の結論を待たずに、一方的に二百海里漁業保存水域を設定することを認めることはできないとの立場をとっており、日米友好の大局的見地から今後米側と十分話し合いを行って、わが国が関係水域で伝統的に行ってきた漁業の実績をできる限り確保するとともに、双方にとりまして受け入れ可能な形で問題を解決するように最大限の努力を払ってまいる所存でございます。 また、航空問題につきましても現在話し合いが続けられておりまするが、日米航空関係の不均衡是正という見地から公正なる解決が図られまするよう努力してまいる所存であります。 以上が現下の外交の主要課題に関する概要の説明でございまして、あわせて国連で私のいたしましたこともつけ加えた次第でございます。何とぞお聞き取りをいただきますようにお願いを申し上げます。
○藤本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 外務大臣には先般国連にお出かけになりまして主要各国の外務大臣と親しく会談をされたようでございまして、ただいまその御報告を承ったわけでございますが、いまの御報告をひとつ基礎に置きながら、幾つかの点についてお尋ねをしたいと思います。ただ日中関係あるいは日ソの外務大臣の会談につきましては、この後、堂森委員の方からお尋ねいたすことかと思いますので、若干触れるかもしれませんけれども、日米漁業交渉の問題あるいは南北朝鮮の問題につきまして、そしてミグ事件に関連してお尋ねをしたいと思います。 時間も限られておりますので簡潔にお答えをいただきたいと思いますが、まず、この臨時国会において三木総理大臣が南北朝鮮の国連同時加盟について言及されました。そうした立場を表明されたのでありますけれども、私の記憶するところ、政府が特に総理の見解としてこのような意見を述べられたのは今回が初めてではないかと思います。そういう意味におきまして、その背景なり真意についてお尋ねをいたしたいと思います。これは一体、ただ希望を述べただけであるのか、この所信表明の背後に、朝鮮民主主義人民共和国に対して新しいアプローチをする、そうした意向がそこに表明されておるのか、まずそのことを伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。 河上委員御承知のように、昨年度の総会におきましては南北それぞれにおいて決議案を提案いたしまして、いわば不毛の論議が交わされたわけでございますが、今年は双方においてこの決議案を撤回いたしたわけでございます。そこでこの背景というものは非常に好ましいものであって、これができるだけ話し合いの友好的な雰囲気を醸成するような方向に向かうことが望ましいというふうに私ども考えておるわけでございます。したがいまして、両方において希望がございますならば、われわれは、国連に双方が加盟して、国連の枠内において——枠外においてでもよろしゅうございますが、枠内、枠外においてそれぞれ話し合いができるようにするということは非常によろしいことではないか、こういうふうに考えまして総理演説の際にそのことに言及していただいた、こういうわけでございます。
○河上委員 外務大臣は、今回国連に出向かれまして、日中関係、特に平和友好条約の交渉のために雰囲気づくりをされたということを言っておられるわけでありますが、この南北朝鮮の問題につきましても、日本独自にそうした雰囲気づくりをする、そういう気持ちがおありなのかどうか。単に、国連でそういうことが決まったらただ賛成するというにとどまっておるのか。さらに日本独自として積極的にそうした雰囲気づくりをするという、そういう決意をここに込められておるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 国連というような世界じゅうの世論がそこに集まってくるようなそういう場で、両国が話し合いをされるという気持ちになることは非常に望ましいことでございますが、わが国と韓国との間には御承知のような非常に緊密な関係がございまして、私も韓国の外務大臣とも先方でいろいろ話し合いをいたしたわけでございます。私も実は大きなレセプションを計画いたしました。これは毎年わが国の代表部において行っておるレセプションでございますが、北朝鮮の方にも招請状を出しておきました。しかし、お見えになりませんでした。したがって、何らそういう接触の機会はございませんでした。そういう事実だけ申し上げておきたいと思います。
○河上委員 何らかのアプローチをするというか、雰囲気づくりをするという場合に、単にレセプションだけではなしにもう少し一歩踏み込んで、いま日朝間に横たわっております漁業交渉の問題、漁業協定に対して日本政府が裏づけをするとかあるいはさらに進んで、この承認問題というようなことについても政府として、もう少し積極的な姿勢を示さない限り、この国連同時加盟というのはそういうことを言った意味がほとんどないんではないかと思うのでありますが、外務大臣としては今度新たに大臣に就任されまして、そういうような意欲をお持ちでいらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 まあ、なかなかむずかしい問題でございまして、私も新任早々でもございますのでよく勉強してみたいと存じておりますが、ただいまのところではこれはなかなかむずかしい問題である、かように考えております。
○河上委員 それで、今度は朝鮮民主主義人民共和国が国連に対する決議を取り下げて、世界に一つの大きな波紋を投げたわけでありますけれども、この事実に対して政府はどのような分析をされておられますか。
○小坂国務大臣 この問題につきましては、いろんな御意見ないし観測等がございますわけで、私が会いました方々もいろいろ意見を言っておられました。主な意見は、先般のコロンボにおいて開かれました非同盟諸国の会議、その際に朝鮮民主主義人民共和国のとったいろいろな行動が、余りどうも共感を得なかったのではないかというような気持ちを述べる方がございました。これはあくまでも観測でございまして、私はよくわかりませんが、そういうことをおっしゃる方が大変多かったということを御報告申し上げておきます。
○河上委員 今度の首相の所信演説で、両朝鮮国連同時加盟に対してこれに賛成し、表面に出されたんでありますけれども、時間的に申しますと、いわゆるキッシンジャー構想、国連において南北朝鮮さらに加えて米中が加わる四者会談を提唱したキッシンジャー構想と時期を相接して発表されているわけでありますけれども、このキッシンジャー構想と、そうした新しい日本政府の態度の表明との間に何らかの示唆を受けたようなことがございますか。またこの四者会談というものについてどういうような感想を持っておられますか。
○小坂国務大臣 結論から申し上げますと、特別にキッシンジャー構想との関連でということはないというように申し上げたいと思うのです。ただ御承知のように、昨年は非常に激しい調子で南北間の争いがございまして、決議案もああいうような形で両方が通るという形があったわけでございます。ことしもまた北朝鮮の側から決議案の提案がございましたわけで、これまた国連の非常に大きなイシューになるかと思っておりましたところ、これが取り下げになった。したがってまた韓国側の決議案も取り下げになったということで、これは私どもから言いますと非常に歓迎すべきことである、こう考えているわけでございます。したがいまして、この機会をとらえて、できるだけ話し合いによってこのむずかしい問題を解決に持っていってもらいたい、こう考えるわけなんでございます。しかしそれについては両者間でもいいし、それから他の国が入ってもいいし、どちらでもいいしというのが偽らざるところでございます。ただ、きょう新聞を見ますと、喬冠華中国外務大臣はこれに対して否定的な御意見の演説の開陳があったようでございますので、これはなかなかむずかしいことかと思います。ただ、従来は国連で両方加盟してもいいと言いますと、これは南北の現在の状況を、ステータスを固定化するものだ、こう言って反発があったわけでございますが、今度はその反発が特にございませんものですから、できるだけいい方に進んでいってもらえばいいなというふうに思っておるわけでございます。
○河上委員 外務大臣としては、いまいろいろ各国の動きについて御説明があったわけですけれども、もし朝鮮民主主義人民共和国と日本との間に二国間で何らかの雰囲気づくりが必要であるとすれば、それがどういう形であるかはまたいろいろ御議論があろうと思いますけれども、そうした雰囲気づくりが必要であるとお考えになりました場合には、そうした努力をされるお気持ちがあるかどうか。私はそういうお気持ちが必要ではないかと思いますが、その点の御決意を承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 この問題なかなかむずかしい問題でございまして、先ほどの第三国が介入する場合にもアメリカと中国というような指定があったようでございますものですから、私など御承知のようにまだ新米でございますので、こういうむずかしい問題につきましてはもう少しよく勉強さしていただいて、その上で気持ちを申し上げさしていただきたい、こう思っております。
○河上委員 それでは、先ほどレセプションのお話もありましたけれども、非常に小さなことでも国際関係というものは向きを変えるということに非常に意味があるわけでございますので、ひとつ大臣もその点今後留意して進めていただきたいと思います。 いま大臣の御報告によりますと、日米外相会談の中で、日米漁業交渉の話が出たということでございますが、八月十八日に始まりました日米漁業交渉は、結論が出ないままに交渉が打ち切られたことは御承知のとおりでありますが、十一月に東京で再交渉をやる、こういうことになったように聞いております。 そこでお尋ねするわけでありますけれども、日米漁業協定の日米間の対立点はどこにあったのか。
○小坂国務大臣 まず、沿岸で漁労をいたします地点でそれぞれ委員会のようなものがございまして、その委員会、委員会で、自分の方はこういう漁業をやってこれだけの漁獲が欲しいという考えがそれぞれあるわけでございますね。そういうようなことが突き上げになりまして、議会で、海洋法会議の結論を待たずに二百海里を漁業経済水域にするというふうに決めてしまったわけでございます。われわれとしては、それぞれの沿岸で多年にわたりまして漁獲を持っておるので、また、その漁獲を持っておるということは、日本人のたん白資源がそこから得られているわけなので、日本人の生活にも実際関係の深いことなんだから、そう簡単なことをやられちゃ困るぞ、何とかこれを修正してもらいたい、こういうことを申しているわけなんでございます。実は、先ほどちょっと御報告申し上げましたように、キッシンジャー国務長官と会いました際にも、そのことを強く要請をいたしました。キッシンジャー国務長官においても、その点は十分考慮してできるだけの配慮をしようというふうな話をされたわけでございます。
○河上委員 これは条約局長にも補足して御答弁いただきたいのですけれども、聞くところによりますと、いまお話がありましたように、二百海里の排他的な権利のアメリカ側の主張、これはもちろん第一点でありますが、同時に、それと関連してアメリカ側の方から操業の許可をするという操業許可権の問題、それから入漁料の問題、さらには違反船の裁判権がどこに所属するかというような問題、こういうようなことがあるように聞いておりますけれども、そのとおりでよろしゅうございますか。
○中島政府委員 交渉の詳細につきましてはアメリカ局長から御説明があるかと存じますが、ただいま先生から御指摘の点につきましては、御承知のように、アメリカの二百海里の漁業資源保存管理法案でございましたか、アメリカがつくりました法律におきましては、アメリカの二百海里の水域における資源に対する管轄権を相手の国がその条約の中で認めて、そして入漁するためには入漁料を払い、それから許可証を取得し、そして、それらの違反に対しては、アメリカ側が取り締まりの権限を持つというようなことを相手国との間で明らかにしろという国内法上の規定がございまして、わが方は、先ほど大臣からもお話がありましたように、アメリカ側の一方的立法は認める立場にないということで交渉をやっておりまして、御指摘のように、いまのような問題が交渉の主眼点になるわけでございますが、それらについて明確な結論はまだ得ていない、なお今後交渉されるべき問題である、こういうふうに理解いたしております。
○河上委員 新聞等で伝えられるところによりますと、そのような問題点の中で、わが国は、経済水域二百海里は海洋法会議での成立までは認められないという立場をとっているようでありますけれども、しかし、次の海洋法会議は来年の五月まで開かれないということが決まっております。ところが日米漁業協定は本年十二月で期限切れになるわけでございますけれども、そういう原則論の立場に立って交渉しておっても実質的に交渉が進むのかどうか、私ども非常に疑問を持つのであります。特に、御承知のとおりわれわれ衆議院議員の任期は、もうことしの暮れで切れるわけであります。そういたしますと、これは来年の一月の通常国会でいろいろ御報告があっても間に合わないということになるわけでございますが、この点は二百海里問題について日米間で妥協の道を探るのか、それとも原則論でそのまま突っぱねていくのか、そういう点は大臣、いかがでございますか。
○小坂国務大臣 お話のように日米間の漁業の問題というのは、われわれにとっても非常に大きな問題でございますけれども、やはりそこに、日米間に友好という基本線があるわけでございます。この両国の友好を害しないという範囲で双方に納得できる問題点があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 実はきょうも、たしか会議が行われておるように聞いておるわけでございますが、これはいずれにいたしましてもいまの御指摘の点はございますけれども、何らかの問題の解決ができるんじゃないか。これは総理の演説でも、総理から言っていただきましたように、全力を尽くす、日米友好の長い過去の歴史と今後の展望、その上に立って、非常に困難はございますけれども何とか双方の理解し得る合意点に到達するように努力したい、こう思っておるわけでございます。
○河上委員 いまのお話によりますと、基本的な日米友好の枠の中で何かの妥協点が見出せるというようなことでございますが、果たしてそのとおりにうまくいくのか。報道によりますると、政府筋として、二百海里経済水域が国際慣習法として認められるようになれば、日本も経済水域二百海里を認める方針だというふうになっておりますけれども、政府はそのようなお考えを持っておられるのですか。
○中島政府委員 先生御存じのとおりに、ただいま海洋法会議が行われておるわけでございますが、この海洋法会議における最も大きな問題は、二百海里の経済水域の設定の問題と十二海里の領海の問題、また国際海峡の問題、これらの主要な問題がパッケージで論議をされておるわけでございまして、このパッケージでこれらの大きな問題を片づけようという方向につきましては、累次御説明申し上げておりますとおり次第に定着化しつつあるということでありまして、ただ、先般の海洋法会議の会期におきましては、遺憾ながらそこまでは明確にはいかなかった。しかしその方角に向って動いておるということは事実でありまして、そのような主要な海洋法に関する制度が定着いたします場合には、わが国としてもそれを認めるということになろうかと思います。その際に、わが国といたしましては、少なくとも海洋法の場ではわが国の漁業実績が確保されるようにということで、経済水域の内容をわが方に不利にならないようにということで努力をいたしておる次第でございます。
○河上委員 経済水域二百海里での違法漁船に対する沿岸国の裁判権及び刑罰というのは、海洋法の非公式単一草案ではどのようになっておりましょうか。いまのお話でございますと、国際慣習法になればということでありますが、その場合は海洋法の会議における非公式単一草案が基礎になるのじゃないかと思いますけれども、それはどのようになっておりましょうか。
○中島政府委員 ただいまの単一草案の改訂版におきます「取締り」に関する規定の趣旨は、「沿岸国は、自国の法令の遵守を確保するために必要な措置(臨検、逮捕、司法手続等を含む。)をとることができる。」それから「逮捕された船舶及び乗組員は、適当な供託金等を支払うことによりすみやかに釈放される。」それから「沿岸国による刑罰は、拘禁及び体罰を含まない。」こういうようになっております。
○河上委員 もしそれで大体決まれば、政府はそれでいいというふうなお考えでいらっしゃいますか。
○中島政府委員 ただいま申し上げましたような趣旨につきましては、会議の大勢は特に異論はないようでございまして、この点についてただいま私どもといたしまして基本的な反対はないというふうに考えております。
○河上委員 そういたしますと、今度はアメリカの漁業保存管理法でどういうように決まっているかというのを調べてみますと、裁判権及び刑罰でありますけれども、これによると次のようになっておりまして、体罰を含むことになっておるのです。「本法及び本法に基く諸規則に対する違反行為その他の禁止行為を行った者に対しては、その程度に応じて民事又は刑事罰(最高は、十万ドル以下の罰金もしくは十年以下の懲役、又はその両方)が課され、また原則として漁船、漁獲物等は没収される。」云々となっておるのでありますけれども、このアメリカの漁業保存管理法というものをアメリカが譲らないといたしますとこれが適用されることになります。単一草案では、もし仮に漁民が違反した場合に沿岸国によって取り締まられますけれども、体罰等は含まないということになっておりますが、アメリカの場合は明らかに体罰を含むわけです。こういう点について一体政府はどういうふうに考えているのか。世界の趨勢が非公式単一草案の方向でまとまろうとしているのに、アメリカがいまこういうようなことを決めているのに対して、われわれは絶対妥協すべきではないというように考えますけれども、政府はいまこの点についてどういうようにお考えになっておられますか。
○山崎(敏)政府委員 河上先生が御指摘になりました点が、まさにわれわれとしても一番交渉のむずかしい点でございます。アメリカの漁業保存管理法によりますと、いわゆる違反船舶に対して体罰をも科し得ることになっております。われわれとしてはこういうふうな立場に対してはこれを認めるわけにはいかないというふうなことを強く主張しておりまして、その点については両者の間でまだ妥協点は見出せないでおる現状でございます。したがいまして、この点については今後とも交渉を重ねてまいりたいと申し上げる以外ないわけでございますが、他方、海洋法の条約に示されておりますような考え方で、もし海洋法会議で結論が得られれば、アメリカも海洋法会議の結論には従うということは言っておるわけでございますから、そういうふうな方向も踏まえながら何とか妥協の道を探りたいということで、目下鋭意努力しておる次第でございます。
○河上委員 そういう点では、妥協の道を探りたいということでありますけれども、軽々に妥協すべきではない。漁民の生命、財産というものがここにかかっておるわけでございますし、アメリカの漁業専管水域における日本の漁業の比重というものの大きさを考えますときに、これはもうぜひともがんばっていただかなければならぬと思うのでありますが、もしこのようにわが国の国民の権利義務を伴うような内容になるといたしますと、その場合、従来のような行政協定ではなくて、当然国会の承認案件にすべきだと思いますけれども、その点は、大臣いかがでございますか。
○小坂国務大臣 先ほどから申し上げておりますように目下鋭意交渉中でございまして、どういう内容のものになりますか、目下のところちょっと予想困難な状況でございます。したがいまして、この協定が御心配になるようなものになりますかどうか、そういう点は実は避けるように考えておるわけでございますが、いまのところ、どういう協定になりますか予想困難でありますので、国会に提案するかどうかということもちょっと申し上げにくい状況でございます。
○河上委員 一般論として、こういう国民の権利義務にかかわるような内容にもし仮になった場合は、やはり国会に承認案件として出していただけますね。
○小坂国務大臣 御要望の点は十分に研究させていただきます。
○河上委員 この問題は非常に重要でございますので、また随時、経緯を見てさらに質問させていただきたいと思うのであります。 先般来問題になっておりますミグ25の事件でございますけれども、すでに余り時間もございませんので、私は今後の討論の基礎を得るために幾つかの点を御質問したいと思います。 防衛庁長官もおいでになっておりますので、お答えいただければ幸いと思いますが、先般参議院の予算委員会で領空侵犯の定義についていろいろ問題がございました。政府見解なるものも出されましたが、これをここで重ねてさらに詰めておりますと時間が余りございませんので、それとの関連において防衛庁あるいは外務省の御意見を承りたいと思うのであります。 まず第一に、ソ連がミグ25につきまして不可侵権を主張しておるわけでありますけれども、これに対して日本政府はその不可侵権を認めていない。では、不可侵権の主張に対する反論の基礎はどこにあるのか、立論の基礎はどこにあるのか、これが第一点でございます。 第二点は、ミグ25は果たして軍用機であるのかどうか。もちろん、これは常識的には軍用機かと思うのでありますけれども、いわゆる民間航空機でありましても、もし軍の指揮系統に基づいて行動する場合には軍用機になるのではないかと思うのであります。逆に今回の場合は、軍の指揮系統に基づかずに、たまたま亡命の手段として利用したにすぎないわけであります。したがって、先般来領空侵犯のときも問題になりましたけれども、国際法上に言う軍用機とは何か、これが第二点でございます。 第三点は、この軍用機はソ連の国有財産なのかどうか。政府はソ連にミグ25の機体を返還するというわけですけれども、どういう根拠に基づいて、だれに対して返還するのか。 この三点を外務大臣並びに防衛庁長官から承りたいと思います。
○中島政府委員 事務的な点につきまして私からまずお答えさせていただきます。 まず不可侵権の問題でございますが、国際法上、国は自国の領空に対して完全かつ排他的な主権を持っておるということは、国際法の確立された原則でございます。したがいまして、外国の軍用機がその領空に入ってまいりますためには、別段の取り決めまたは個々の特別の許可が必要でありまして、それらの許可の条件に従って入ってくるということが必要でございます。この許可なくして領空に入ってまいりました軍用機は、通常軍用機は許可を持って入ってくれば、通常軍艦に認められているような不可侵権を享有するわけでありますが、ただいま申し上げましたような当該国の承諾なくして入ってくるという場合には、その不可侵権を失うという点も国際法上疑う余地のないところでございます。したがいまして、本件ミグ25機は、これはソ連の軍用機ではございますけれども、わが国の許可なくしてわが国の領空侵犯を行ったものでございますから、これに通常与えられるような不可侵権は認められない、こういうことでございます。 と申しましても、本来これはソ連政府の所有に属するものでありますし、わが方といたしましては、いま申し上げましたような領空侵犯機に対して所要の保管及び調査を行う権限を国際法上認められているわけでございますが、その調査が終われば、もともとソ連政府の所有する飛行機でもございますので、これを先方に返す、こういうことになるわけでございます。
○伊藤(圭)政府委員 私どもの方の立場からいたしますと、あの飛行機を現在まで調査した段階におきまして、明らかに武装いたしております。ミサイルそのものは積んでこなかったようでございますが、ミサイルを積むパイロンというようなものも持っておりますし、ロケットの装置もいたしております。したがいまして、武装している軍用機という判断をいたしております。
○河上委員 いま外務省は、国際法上ソ連は不可侵権を失っている、こう言われたのでありますけれども、その国際法上という、国際法というのは何によっておられますか。
○中島政府委員 私が国際法として申し上げましたのは、正確には国際慣習法と申し上げるべきかもしれません。ただ先生御承知のとおりに、一九一九年に航空に関するパリ条約というのが締結されまして、これはその後現在のシカゴ条約に変わったものでございますが、そのパリ条約の第三十二条にはこのような規定がございまして、これは一般的に国際慣習法を成文化したものだというふうに見られておって、また学説もこれを支持している次第でございます。その三十二条をちょっと読み上げさしていただきますと、「締約国ノ軍用航空機ハ特別ノ許可アルニ非サレハ他ノ締約国ノ版図上ヲ飛行シ又ハ其ノ版図二著陸スヘカラス右ノ許可アリタル場合ニ於テ特別ノ規定ナキ限り軍用航空機ハ外国軍艦ニ慣例上許与セラルル特権ヲ享有スルコトヲ原則トス」という本文がありまして、「著陸ノ已ムナキニ至リ又ハ著陸ヲ求メラレ若ハ命セラレタル軍用航空機ハ其ノ事実ニ基キ前項ノ特権ヲ有スルコトナカルヘシ」という規定がございます。本件、ベレンコ中尉の事案は、「著陸ノ已ムナキニ至リ又ハ著陸ヲ求メラレ若ハ命セラレタル」というものとは必ずしも直接該当するわけではございませんが、この部分は、一般的に先ほど申し上げましたような当該国の、被侵犯国の承諾なくして入ってきた航空機の地位を示す規定であるというふうに理解いたしております。
○河上委員 そういたしますと、大正八年のパリ条約、今日のシカゴ条約ですか、に依拠しながらそういう不可侵権に対する反論をしている、こういうように理解していいわけでございますね。
○中島政府委員 私がただいま申し上げましたのは、ソ連側に対してそのような反論を、いま申し上げましたとおりにしておるという意味ではございませんで、私どもの考え方を御説明申し上げたわけでございます。
○河上委員 それでは、いま防衛庁では、これは武装しておるから軍用機だ、こういうような解釈でございますけれども、国家意思が働かない場合、また軍の命令によらない場合でも、武装を持っておれば全部軍用機である、こういう解釈でよろしいんですか。その点もう一度確認いたします。
○伊藤(圭)政府委員 武装しておりますし、性能的に見ましても明らかに軍用機でございますし、また、あの飛行機そのものがソ連の防空軍に所属する飛行機であるということで、明らかに軍用機であると考えております。
○河上委員 じゃ、重ねて伺いますけれども、国際法上に言う軍用機というのは性能で決めるわけでございますか。
○中島政府委員 御質問の趣旨が、具体的な問題に応じて問題意識を持ってお答え申し上げませんと多少とも不正確になるかと思いますが、一般的にただいま申し上げられますことは、たとえば先ほど申し上げましたシカゴ条約は、民間航空機にだけ適用するという規定があるわけで、国の航空機には適用しないという規定がありまして、それを受けまして、軍、税関及び警察の業務に用いる航空機は国の航空機とみなす、こういう規定がございます。したがいまして、軍の用に供する航空機、軍の業務に用いる航空機ということが一つございます。 また、「空戦ニ関スル規則(案)」、これは一九二二年にできたもので、これは「案」でございますけれども、その第三条で「軍用航空機ハ其ノ国籍及軍事的性質ヲ示ス外部標識ヲ掲」げなければならない、こういう規定がございます。
○河上委員 この問題はなおいろいろ詰めていかなければならないと思いますし、今後類似の事件が起こった場合の処理の基礎になると思いますので、機会を改めてさらに質問さしていただきたいと思いますが、すでに時間が参りましたので、いま伺いました定義をもとに、今後この問題について引き続き追及さしていただくことで、きょうの質問を終わりたいと思います。
○藤本委員長 次に、堂森芳夫君。
○堂森委員 外務大臣に、時間の制約もありますので、若干の質問を行いたいと思うのであります。 きのうお帰りになったわけでありますが、先般来は国連総会へ御出席、まことに御苦労さまであります。 そこで、非常に精力的に各国の外務大臣とお会いになっておられます。いまも報告がございました。時間がありませんから、私はまず、ソ連のグロムイコ外務大臣とお会いになった、それからもう一つは、隣国の中国の喬冠華外務大臣、この喬冠華外務大臣は、先般亡くなられました周恩来総理にかわった華首相の時代になって、また最近毛沢東主席が亡くなられた中国としては、日本の外務大臣で中国の外務大臣とお会いになったのはあなたが初めてだと私は思うのであります。そういう意味で大きく注目をしておるのでありますが、まず、この二人の外務大臣にお会いになりました主たる焦点は、目的は何であったのでありますか。主たるものは何であったかということを承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。 ソ連のグロムイコ外務大臣に対しましては、われわれ平和条約を結びたいという考えを持っておるわけでございますが、これには御承知のごとく領土問題がございます。そこで、この四つの島の問題を早く解決して平和条約を結びたいということが一つでございます。 それから、ブレジネフ書記長以下ソ連の三首脳を呼びたいということを従来申しておるわけでございます。一九七三年以来そういうことを言っておるわけでございますが、そのほかにも定期協議をやりたいということで、グロムイコ外務大臣がこの一月に来日されましたので、その後のフォローアップもやりたいというようなこともございましたし、それから、日本の漁業の問題で安全操業の問題、それから、ソ連の漁船が近海操業をやって三陸沖等においても非常に問題がある。これは一応の協定ができましたが、しかし日本の沿岸漁業、これはみんな小舟を操っていく小さい漁業の累積でございますので、非常に生活不安に直接結びつく問題でもあり、ぜひ何とかこれを解決してもらいたい。それから墓参の問題も、あの四島は明治時代からずっと日本のものということでそこに人が住んでおり、したがって、お墓もあるわけでございますから、そこには簡単に行けるものというふうに心得ておるのでありましたが、何か最近になりまして、査証が要るぞというようなことで、事実上非常に困難になっておるので、これをひとつ解決したいということ。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 それから、先ほど御質問のございましたミグの問題。これにつきましてわが方の考え方を述べて、そしてこれは調査が終わった段階でできるだけ早く返還する考えであるということを申し述べるということが主たる目的でございました。 それから、喬冠華中国外相との間には、懸案になっております平和友好条約を早期に締結したいということを話し合いたいと思ったわけでございます。御承知のように、一九七二年に共同声明が発出されましてから、懸案の四協定、航空、漁業、その他四協定はできたわけでございますけれども、何といっても平和友好条約を結びまして、あるいはアジアにおいて日中双方が友好関係を強固なものにして、相携えてアジアの平和と安定と繁栄に寄与するということはもう不可欠のことである、こういうふうに考えるから、ぜひひとつこれを早く結ぶ話し合いをしようじゃないかというようなことを言うことが主たる目的でございました。
○堂森委員 時間が限られておりますから、グロムイコ外務大臣との会見等については、後ほど時間がございましたら質問も申し上げたいのでありますが、まず、中国の外相との会談についての質問を行いたいと思います。 このたびの中国外相との会談で長い間中断しておる日中平和友好条約の再開といいますか、交渉が進められるような段階に至り得るか、どういう感触をあなたは日本の外務大臣としてお持ちになったのか、まずそれを承っておきたい、こう思います。
○小坂国務大臣 中国側におきましても、平和友好条約をつくる方がいい、それも早くつくりたいということを考えておられるという感触を得たわけでございます。しかし、それにはやはりいままでの経緯もございますものですから、ひとつ日本側としても中国の考えというものを十分理解してほしい、大体共同宣言が出ておるのだから、この共同宣言の原則と精神というものは断じて守ってもらわなければならぬということでございました。日本側といたしましても、共同宣言の原則と精神を守るということを従来とも申しておるわけでございますから、さらにお互いの理解を深めて、このお互いの大事な条約を早くつくりましょうというように言い合ってきたわけでございますけれども、それには双方の外務大臣が行ったり来たりできるだけ頻繁にして、理解を深めるということも必要でございましょうというような話もいたしましたが、先生御質問のどういう感触を得たかということになりますと、まあ何とかひとつ努力して平和条約をつくる時期に来ておるのじゃないか、こういう感触を強く私は持ったわけでございまして、何かとまた御指導、御叱正を得たいと考えておる次第でございます。
○堂森委員 それでは、言葉をかえまして外務大臣にお尋ねしますが、七二年に共同声明が発表されて近く平和友好条約も結ぼうではないかという話し合いができまして、きょうまで延び延びになっておる、その主たる原因は、最大の原因はどこにあるというふうに外務大臣はお考えでございましょうか。
○小坂国務大臣 まあ主たる原因は、率直にずばり申しまして覇権ということであると思います。ただ、それにつきまして、どうもいろいろ行き違いといいますか、余り理屈をこね合っているうちにだんだんもちがかたくなっちまったというような感じではないかというふうな感じでございます。
○堂森委員 それでは、もう一度お尋ねしますが、宮澤前外務大臣が中国側に、昨年でありますか、俗にいう覇権条項四原則といいますか、四項といいますか、そういうものを示されたのでありますが、この前外務大臣のやり方、そういう態度を踏襲されるという考え方でございますか。宮澤前外務大臣のああいうやり方とは違ったやり方で、手順であなたはやっていこうとしておられるのでありましょうか。この点も承っておきたいと思います。あるいは宮澤前外務大臣の考え方とは違うのだということがあるのか、違わないのか、そういう点も御答弁願っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 大変むずかしい御質問でございまして、私も従来からこの問題をずっとフォローしておりまするのでむずかしい点につきましては一応理解をしておるつもりでございます。ひとつ何とかよく考えて解決に向かいたいと考えておるという点にとどめさしていただきたいと思います。
○堂森委員 あなたは自由新報に昨年の十月二十八日ですか、覇権条項についてのあなたの考え方を具体的に発表されておると思うのです。あの考え方はいまも変わっていませんか。あるいは訂正するとか変えるとかいうことはないか。あのとおりだ、いまもそうかということについて承っておきたい。
○小坂国務大臣 あれは私が非常に自由な立場で書いたものでございまするが、しかし、考え方そのものは、もとより私の責任において書いたものでございますから、変わりません。 私は、覇権とは一体何であるかということをあの論文には書いておるわけでございますが、覇権というのは、力の強い国が力をもって他の国を支配したり、侵略したり、あるいは略奪をしたり、政府の転覆を図ったり、その内政に干渉したりする、これが覇権である、こういうふうに中国側は考えておるというふうに理解をいたしておるわけなのでございます。そうすると、それは悪いことなのである、日本国の精神はそういうことをしないということを考えており、したがって、国際紛争の解決には戦力を用いないのだということも書いておるわけなのでございまして、これはわが国の憲法の条章と全く合致する考えであるし、また国際連合においてもさような考え方であると思うわけでございます。 と同時に、覇権というのはいわゆるヘゲモニー、英語で言うとヘジモニーでございますが、それが経済上の覇権というのはよく日常語として使われますものでございますから、貿易上のインバランスが非常に強くて、ある国が他の国に非常に輸出超過が多い、あるいは非常に資本投資を多くしている、そうすると、その国が経済上の覇権を握っておるからこれは覇権だ、こういうようになると日本は非常に困ると思うのでございますが、そういう点はいわゆる覇権には関係ないというふうな理解を私はしておるわけなのでございます。 それから、条約によりまして、たとえば日米安保条約によってアメリカ軍が日本に駐留しておる、これはアメリカの覇権が日本に確立しておるのだ、こういうふうに言われましても、そういうふうになりますと、日本はいまやっていることが悪いことをしているんだということになってしまうので、これはできないことだと思うのですが、そういうこととも関係がない。こういうようなことでございまするので、そういう点をよく理解すればいいのではないか。 何とか条件などももちろんいろいろな方でいろいろな考えがあるのでしょうから、私はいいとかなんとか申しませんけれども、要するに日本の国のやることは日本の国の憲法の枠内でしかできないことなのでございます。それと同時に、他の国がやることも他の国の憲法の枠内で考えることでございますので、そういう点はそれぞれの国の実態に応じて考えてまいりますればよろしいのではないか、こういうふうに考えて私はあの論文を書いたわけでございまして、その考え方は現在も変わっておりません。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
○堂森委員 大臣、重ねてお尋ねいたしますが、宮澤前外務大臣の覇権四条件というものが先方に示されておる。そこでこの四条件のいろんな文章の内容等を私も検討してみたのです。そうしますると、もちろん大臣も知っていらっしゃることですが、あなたの昨年十月発表になっておられる覇権についての考え方と、宮澤前外務大臣が先方に伝えておる四条件というものと違いますか同じでございますか。どうお考えでございましょうか。
○小坂国務大臣 宮澤前外務大臣におかれましても、日中平和友好条約は非常に大切なものだから早くつくりたいというお考えであったのだと考えまして、その意味では同じだと申し上げたいと思います。 それからなお、さっきの論文、私はちょっと別な言い方をしたのですが、憲法の枠内で考えます場合に、攻守同盟あるいは共同行動など、そういうことはできぬわけでございます。日本の憲法はさようなことが軍事的にできないようになっておる憲法でございますので、そういうことは覇権を承認する場合に問題にならないことである、こういうふうに思っておるわけでございます。 早く条約をつくった方がいいという考え方は宮澤前大臣も私も同様であるというふうに存じておるわけでございます。
○堂森委員 私の問い方に率直に答えておられぬと思うのです。それじゃ、先般の喬冠華外務大臣とあなたの会見で、あなたは、覇権条項が日中平和友好条約の締結に大きな問題になっておる点である、そうおっしゃったのでありますが、覇権についての意見の交換は何もなかったのでございますか。いかがですか。
○小坂国務大臣 喬冠華外務大臣との間に覇権ということに対する考え方がいままで条約を成立させることの障害になっていたというお話はございましたが、しかし、その中身についての論議というものはいたしておりません。今後いろいろと心を開いてお話し合いをしなければならぬと考えておりますが、あのときはございませんでした。
○堂森委員 大臣の答弁を聞いておりますると、平和友好条約を締結するための障害となっておる覇権の条項については私はなかなかやっぱり困難性を持った問題だと思うのです。いまの日本政府の考え方とそれから向こうの側の考え方とにはかなり困難な打開の点があるのではないか、こう思うのですね。これはそう思うのであります。あなたは日本の外務大臣として、日中平和友好条約は早く結ぶようにしたいのだ、こうおっしゃいましたが、これからなるべく早くそうした条約を結んでいくための手順というものがあなたにはなければならぬと思います。ただ早く結びたいのだと言っておられるだけでは外交交渉ができるはずはないと思います。外務大臣として具体的なそういうプロセスというものを頭に描いて、こうこうこういうふうにしていきたい、こういうことがあると思うのですが、障害となっておる覇権条項について、あなたは具体的に打開していくそういう確信をお持ちでございますか。どういう方法で具体的に手順を踏んでいって実現していこうとしておられるのか、この点を承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 根本問題は私は相互の意思の疎通であろうかと思うのでございますが、私いま申し上げましたような点ではさほど問題があるとは思わないのでございます。と申しますることは、わが国の憲法上やっていること、これはわが国は憲法に許されておること以外はできないわけでございますから、これは十分理解され得る問題である、かように思っておるわけでございまして、手順とおっしゃられましても、いろいろ考えを進めてまいるわけでございますけれども、私はぜひそうしたいし、そういう方法がある、かように考えております。どういうことかとおっしゃられますと、これはもう少し時期を見てあるいはお話を申し上げ、あるいは御一緒に考えていただくという時期もあろうかと思いますが、私は可能であるというふうに考えておるわけでございます。
○堂森委員 くどいようでありますが、昨年、宮澤前外務大臣が覇権条項について向こうに連絡をして日本政府、日本外務大臣としての考え方が伝わっておるわけであります。向こうから何かそれに対するアンサーがあったのですか、ないのですか、いかがでございますか。ないとするならば、なぜないのでありましょうか。その点も承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 余り具体的なことを申し上げることがいいか悪いか、外交上のことでございますのでちょっと問題があるわけでございますけれども、私はやはり非常に必要なことであればこれはやるべきことであるし、その間に、誤解によるものであればその誤解を解く努力をしなければならないし、どうしても本質的に違うものであればこれはなかなかむずかしいことでございますが、そういう問題ではないというふうに思っておるのです。わが国のマスコミというものは非常に正確に報道されますものですから、四条件というようなあんなものが出て、それに対する反応がない、これはそのとおりでございます。四条件に対する回答は今日もございませんわけでございます。よければいいと言ってくるわけでございましょうけれども、それに対する回答はございませんわけでございます。
○堂森委員 外務大臣にさらにお尋ねしますが、それは私どうもわからぬのですよ。頭が悪いのかもしらぬ。向こうから返事がない、そしてあなたは何とかなる、こうおっしゃいます。だから私は、たとえばあなたが喬冠華外務大臣とお会いになったときに、外務大臣を日本へ来てくれないかと招待もしておられるのでしょう。あるいはこの間の衆議院の予算委員会において三木総理大臣は、必要とあらばという前提はつけておりますが、外務大臣を北京へ派遣をして平和友好条約の促進について話し合いをさせてもいいのだとか、いろいろな答弁もしておられる。外務大臣は、いや何とかなるのだ、基本的な考え方の対立はないのだ、こういうような意味の答弁でありますが、すでに七二年に覇権反対に両国の代表が合意をした共同声明が発表されておる。そしてこれが障害となって、覇権条項というものが一つの原因となってまだ条約が結ばれぬ、こういうことになりますと、一体どういう解決策があるのでありましょうか。私は頭が悪いのかよくわかりませんのですが、どういう見解を持っておるのか、くどいようでありますがもう一度お聞きしておきたい、こう思います。
○小坂国務大臣 堂森先生の方が私より数等頭がよろしいと私は存じておるわけでございまして、どうも私の悪い頭からいろいろ申し上げておることが御理解されにくいかもしれませんけれども、私の立場として実は非常に困りますことは、前のやり方と変えるというようなことはなかなか言い得ないことでございまするけれども、その点で何か問題が進んでいなかったら、その進んでいない原因を取り除いていくということをしなければならないかと思っておるわけでございます。しかし、前任者といえども非常に苦心をしてやっておられることでございますので、公開の席でそれを自分が直すとかなんとか言うことはおこがましいと思いまして、もたもた申し上げておるわけでございます。 私といたしましては、必要なことであるならば、どんなに障害があってもその障害を除いていかねばならない、悪いことであれば、どんなことをしても阻まなければならぬのでございまするけれども、日中の間の平和友好条約というものはどうしても必要なことであるし、しかも一九七二年の九月二十七日に共同声明が発出されて両国が合意している問題でございまするので、何とかその点で工夫をいたしましてこれをつくり上げたいと思っておるという点を申し上げさせていただきまして、あとの点は、ちょっとまだ私自身の考え方も御披露するまでに至っておりませんので、御容赦をお願い賜りたい、こう思っておるわけでございます。
○堂森委員 新聞報道等を見ておりますると、喬冠華外務大臣との会談はきわめて友好裏に行われた、こう報道されております。そして私は恐らく、外務大臣はおっしゃいませんけれども、これからの日中平和友好条約の締結の促進のためのいわば何といいますか、幕引きといいますか、何かそういう意味での会談であったというようなことも言えるのではないか。でありまするから、私はこれ以上あなたにお尋ねしませんけれども、やはり前外務大臣の覇権条項のああいう四条件ですか、ああいうものが一つの大きな問題点になってきていることは否定し得ないと思うのです。これから外務大臣として一日も早くこの条約が締結されるように努力をしてもらわなければならないと思います。 方面を変えまして、毛沢東主席が亡くなられて以来、その後ソ連邦のプラウダとかイズベスチヤとかいうような公の向こうの報道機関が盛んに中国との融和外交といいますか、そういう意味での論文等が盛んに発表されておるように新聞等では報道されております。そしてこのソ連邦の毛沢東が亡くなられた後の対中国融和外交政策といいますか、そういうものが展開されてきておると思うのです。あなたが国連総会に出席されまして、それぞれグロムイコ外務大臣にお会いになり、中国の外務大臣にもお会いになったりしておるのでありますが、今後の中ソ関係の推移はどうなっていくであろうかというような感触を得られたのでありましょうか、御答弁を願っておきたい、こう思うのです。
○小坂国務大臣 毛沢東主席の没後、中国の路線につきまして、華国鋒首相はこの路線の踏襲を言明されておるわけでございます。ソ連がいろいろ対中融和の姿勢をとっているという新聞報道等もございまするけれども、この路線が継続される限りにおいては、中ソ関係が変更されるという可能性は小さいものであると思っております。現在の中ソの間の関係は当分続いていくと考えておる次第でございます。
○堂森委員 時間がありませんから、グロムイコ外務大臣との会見についての一つ、二つの質問だけしておきたいと思います。 新聞報道を見ておりますと、グロムイコ外務大臣との会見は、何か非常に冷たいような雰囲気のものであったと新聞は報道しておるわけですね。過去二十年間、日本とソ連邦との親善関係を進めるために大きな努力がされてきておると思うのです。これは過去の先輩等が非常な努力をしてき、全国民的な努力でこれが推進されてきたと思うのです。しかし、今回のあなたとソ連邦の外務大臣との会見の模様等の新聞報道を見ますると、少なくとも非常な冷たい関係が生まれてきておるのではないか。そういう報道でありますが、この状況は、ミグ25事件というものによる単なる一時期的なものである、必ずや日ソ関係というものはまた以前のような友好関係のものに回復し得るのだというふうにあなたはお考えでありましょうか、これを承っておきたい、こう思います。
○小坂国務大臣 日ソ間は善隣友好の関係を持っていかなければならぬというふうに私は強く考えております。ミグ事件というのはまことに不幸な事件でございまして、日本の政府あるいは日本の国民の意思、そういうものと全く無関係に、ある日突然に領空侵犯が行われ、民間の空港に強行着陸が行われたということでございまして、そのための調査をしなければならぬという必要上今日の事態があるわけでございますが、それに対しまして、全く事情が違う意見をグロムイコ外務大臣は持っておられるわけであります。あれは不時着をしたのにかかわらず、日本が作為、詐術を用いて本人に妙なことを言わせて、そして勝手にアメリカへ亡命させて、機体を調べて、これは友好関係に反する、こういう考えを持っておられましたので、私もそれに対してわが国の考え方を述べまして、それが非常に激しい論争になったわけであります。これは新聞は相当正確に報じておられるわけでございます。そういうことでございますが、私は最後に、このミグは返す考えであるということを申し述べたのでありますし、帰り際に握手をして、そんなにいやな気分で別れたわけではございません。余りわあわあ言ったものですから、ちょっと両方とも苦笑いみたいな話でございました。 私もソ連に伺ったことがございまして、マズロフ第一副首相には大分お世話になったという話をしたら、いつのことだと言うから、考えてみたら四年前だ、四年間じゃずいぶん昔のことだねという話で、きょうは何を言ってもぐあい悪いですなというようなことで別れてきたわけで、そんなに激しい感情は残っておらぬつもりであります。 問題はミグでございます。どうか大きな日ソ友好の関係の中の小さな問題としてこの問題が処理され、いつしか思い出の一つの端くれといいますか、一つの小さな事件であったと思い出の中に残る程度のものにしたいものだ、かように考えておる次第でございます。
○堂森委員 もう時間がありませんから。いまの答弁を承っておりますと、外務大臣は、もちろん日本政府は、ミグを近く返すという決断をしておられるようであります。そういうことが実現すれば、わりあい早い時期に日ソ関係は好転していくのだ、そういう判断であるというふうに理解していいのでございますか。そうではないのですか。
○小坂国務大臣 これはまあ希望でございまして、現実がさようにうまくいくかどうかはなかなか、これからの問題だと思いますが、われわれ誠意を尽くして事態を話しまして、これは国際法上どこでもやっていることでございます。領空侵犯というものは、先ほど条約局長申しましたように、完全に排他的な主権を領空権というものは持っているのだということで、そこへ入ってきたものについてはかような措置をとるわけでございますので、そういう事態が十分先方に理解されてくれば、もともと日ソ間では友好関係を持っていこうと双方とも言い合っておるわけでございますから、さようなことになることを私は衷心より希望し、またさような努力をしたい、こう思っている次第でございます。
○堂森委員 終わります。
○藤本委員長 次に、津金佑近君。
○津金委員 私は、まずミグ25の問題について外務大臣にお尋ねをしたいと思います。 先ほどのお話の中でも、このミグ25の問題につきましては調査が終わり次第返す、こういう方針であるというふうに言われたわけであります。一応いろいろ報道もされておるようでありますが、改めてそれではいつ、どこで、どういう方法でこれを返される方針か、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○橘政府委員 ミグ25の返還につきましては、九月二十九日、これは日本時間でございますが、先ほど外務大臣からお話ございましたように、グロムイコ外務大臣に対してできるだけ早く返還するという方針を伝達されました。その後、十月二日東京におきまして、外務省から在京のソ連大使館員に対して、十月十五日以降ソ連側が引き取りをする用意がある日に、わが方としては機体を先方に引き渡す用意がありますということを伝えてあります。場所につきましては、しかるべき港ということを申してあります。
○津金委員 私どもは、このミグ25問題のように突如としてわが国に入ってくる、こうした問題に対しては、必要な範囲で調査をするのは当然のことだというふうに考えておるわけでありますが、一応改めて今回のベレンコ中尉及び機体の調査がどういう理由に基づいて現在進められているか、もう一度お伺いしておきたいと思います。
○渡邊説明員 お答えいたします。 ミグ25はすでに御承知のとおりわが国の領空を侵し、強行着陸をしたという事実がございます。したがいまして、防衛庁の立場といたしましては、わが国の防衛の任に当たる機関といたしまして、いわばこの事件がわが国の安全に触れる事案であるということにかんがみまして、防衛庁に与えられました領空侵犯に対する措置を講ずることという任務と、所掌事務の遂行のために必要な調査を行うという権限、こういうものを直接の根拠といたしまして調査を実施しておるということでございます。
○津金委員 現在まで伝えられるところでは、一つは出入国管理令違反などなどの一連の問題、それからいまも触れられました日本の安全に関する問題、こういう面から調査が進められておるのでありますけれども、当初このミグが日本に着陸をした九月六日現在におきまして、北海道の警察、道警函館方面本部の処置というのは、まず出入国管理令違反でベレンコ中尉の任意同行を求め、機体はこの入管令違反の証拠品として領置する、こういうことが発表されておりますね。それでまた、当日九月六日の佐藤外務次官の記者会見においても同様の趣旨の発表がなされておるわけであります。少なくとも六日の時点ではその点がやはり前面に出ておったというのが歴史的事実として明白だというふうに考えるわけでありますが、そうした中で、日本の安全を侵す意図と事実云々ですね、こうした問題についての理由というものは時間的に見て後からつけ加わってきている、私はこういうふうに考えるわけでありますが、この日本の安全を侵す意図と事実ということに関する調査、このことが明確な方針としていつから確定されたのか、この点をまず事実経過の問題としてお伺いしておきたいと思います。
○渡邊説明員 このミグ25の取り扱いにつきましては、当時関係の省庁の間でいろいろ協議が進められましたけれども、現在、先ほど申しましたように防衛庁設置法上の根拠に基づきまして、いわば領空侵犯に関する背景状況解明のために必要であるということは、当初から潜在的にあったわけでございまして、領空侵犯のための事実調査ということと、それから国内関係の諸法令の違反ということといわば競合する立場にあったわけでございますが、便宜、国内法令違反の司法捜査というものを先行させたということでございます。
○津金委員 具体的な事実関係としては、いま申し上げた自衛隊法八十四条に基づく日本の安全を侵す意図と事実という面に関する調査、こういうものを明確に方針として打ち出されたのは九月九日のいわゆる関係五者会議、ここではっきりそういう方向が明確に打ち出された、こういう経過でありませんか。
○渡邊説明員 ただいまおっしゃったように、明確にその文書のような形で文字にして定められたのは、おっしゃるとおり九月九日でございますが、そのような考え方というものは、当初から関係省庁にございました。
○津金委員 いまおっしゃられたように、九月九日に文書その他明確な形で出されたということでありますが、それに基づいて十日に検察庁から防衛庁の管理権のもとに移管が正式に決定されておる、こういう経過になっている。少なくとも国民はそういうふうに発表を通じて承知をしておるわけであります。その間に、九月の七日にウッズ米国防総省情報官が記者会見におきまして、機体を実地に点検したいという希望を持っていることは事実であるという趣旨の見解を発表されて、これが広く報道されております。この防衛庁が、ないしは日本政府が九月の九日にいまあなたが申されたような方針を文書その他で明確にお出しになったという二日前に、このウッズ発言が行われているわけでありますが、そういう九月九日の方針をお決めになる上でこのウッズ発言、これはその方針決定の上で当然考慮に入れて決定をされたというふうに考えるわけですが、その点はどうですか。これを考慮に入れてそういうことを考えられたわけですか。
○渡邊説明員 先生ただいまおっしゃいましたウッズ発言というものは、私ども承知いたしておりません。
○津金委員 新聞その他はお読みにならなかったですか。正確に受けてなかったけれども、こういう報道がされたということも御存じなかったですか。
○山崎(敏)政府委員 このミグ25戦闘機はソ連の最新鋭の戦闘機でございますから、もちろんアメリカ側としてもこの飛行機について関心を持っておるということは報道その他によって伝えられたことは承知しております。ただ、そのウッズ発言につきましては、私たちとしては正確には承知しておりません。
○津金委員 こういう報道が新聞を通じて国民の前に明らかにされたのは事実でありますが、知らないと言われるならばこれはやむを得ません。 さらに問題を進めて、こうした中で九月の八日にベレンコ中尉がいわゆる亡命をするわけですね。そして九日に不起訴という処分が決定をされたわけでありますが、このベレンコ中尉を不起訴にしたという理由は何ですか、もう一度御説明願います。
○橘政府委員 ただいまお尋ねの点は、むしろ法務当局の方からお答え申し上げるべき筋であろうと思いますが、私ども法務当局の方から承知しておりますところでは、ベレンコ中尉を九月九日に起訴猶予とした、その理由としては、本人の希望等の人道的な配慮その他の諸般の状況を考慮してさような決定をしたと聞いております。
○津金委員 九月八日に亡命を認め、出国をさせた、そしてそのことによって第一の容疑であった出入国管理令違反の調査これ自体は、亡命を認めたことによって終了した、こういうふうに考えるのが私はきわめて常識的だと思いますが、その点はそういうふうに理解してよろしいのですか。
○橘政府委員 ただいまお尋ねの点につきましても法務省からお答え申し上げるべきところと思います。したがいまして、私どもの伺っておるところを申し上げるわけでございますが、出入国管理令等の国内法令の違反の事例については、起訴猶予ということでの処分が行われたと承知しております。
○津金委員 こうした状態の中で、九月十三日にアメリカ政府から機体の軍事的調査の協力の申し入れというものがあったと思いますが、この内容について御説明願いたいと思います。
○伊藤(圭)政府委員 十一日に保管が防衛庁に移りましてから、私どもの方でこのミグ25を私どもの航空自衛隊の基地に移送し、警戒、保管すると同時に、調査をしようと考えました。そして、その解体の準備をする過程におきまして、米軍の方から、お手伝いすることができるものもあるというような話は内々参っておりました。
○津金委員 それは内々ですか。在日米軍司令官から防衛庁の次官あてに、かなりはっきりした申し入れがあったのではありませんか。
○伊藤(圭)政府委員 正式の申し入れというものではございません。防衛庁がやっておられることに対してお手伝いできるようなことがあるというような話でございました。
○津金委員 その後、アメリカのラムズフェルド国防長官がこれまたこの問題に関して正式に記者会見をしまして、そうして米軍の協力申し入れ——いまのあなたの言葉で言えばお手伝いさせていただきたいという意味だとおっしゃる、その協力申し入れというのは、これに関して、日本政府が機体を押さえている結果、情報が入手できるようになることは明らかだという趣旨の発言を、ラムズフェルド国防長官が正式に行っておるわけであります。その情報というのは明らかに軍事機密に関する情報を含むものであるというふうに当然考えられるわけでありますが、アメリカの政府からのいまあなたが説明をされた協力申し入れ、それは、やはりアメリカのこういう意図を含めてそういう申し入れがあったのではないかというふうに考えられますが、この点はどういうふうに理解をされておられますか。
○伊藤(圭)政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもの方は、領空侵犯措置にかかわる調査ということで、まず自分の手で調査をするということを考えました。しかしながら、御承知のように、函館という民間空港にあの物体があったわけでございます。したがいまして、警備の面でも大変問題がございますし、また、民間機の運航の面でも問題がございました。そこで、あの飛行機を早く自衛隊の基地に移して必要な調査をしたいと考えておりましたので、最初から米側に協力を求めるということは考えずに、どうやればできるかということを実際に私どもも検討いたしました。たとえば、陸送すればどういう形でできるだろうか、海上を送ればどういう形でできるか、あるいは航空自衛隊の輸送機でできないか、そういうことも検討いたしました。しかしながら、一方には外交折衝の要請もございまして、自衛隊が好むように細かく分解するということは好ましくないだろう、それからまた、非常に時間的に限られておりました。そこで米側の協力を得て早く自衛隊の基地に運んで、早く必要な調査を終わって、そして外務省が言っておられます返還の準備を進めるべきだという判断をいたしまして、必要最小限の範囲で協力を求めるという決心を大臣がされたわけでございます。
○津金委員 私が聞いているのは、日本政府当局がどういう意図に基づいてやられたかということを聞いているのではなくて、アメリカのこういう、先ほどのウッズ発言もそうでありますが、この十八日の米国防長官の発言もやはり同じ線上の発言だというふうに考えるわけでありますが、そういうアメリカ側の協力申し入れの中に、先ほど私が紹介した国防長官の記者会見で述べられている、軍事機密を含む情報が利用できるというのは明らかだ、こういう発言の中に示されているような意図がアメリカ側にあったのではないかということを聞いているわけなのです。その点、いまのお話だと、最後の決断を大臣が下されたそうでありますが、防衛庁長官はその辺のアメリカ側の意図をどういうふうに理解されておられますか。
○坂田国務大臣 まずこの扱いにつきまして、私としては三つのことを考えたのでございまして、一つは、このミグ25戦闘機のわが国に対する領空侵犯及び強行着陸の背景状況を解明するために必要な調査を行うということが一つであります。それから二つ目には、調査に当たりましては、−本隊の能力が不足する場合、それを補う必要最小限度の範囲内において、自衛隊の主体性のもとに、米軍から技術要員及び機器を調達するということでございます。三つ目には、調査に当たりましては対外的影響等に配慮し、外務省とも密接な調整をとりつつ、慎重かつ迅速に実施する、こういうことでございまして、われわれの方ではあくまでも日本政府の主体性のもとにこの処理を行うということでございます。 しかしながら、一面におきまして、日米間におきましては安保条約等もございますし、今後情報等の交換ということはあり得る、そういうようなことを踏まえて、あるいはラムズフェルドがそういうようなことを言ったのかもしれませんけれども、その真意、内容については私どもは承知をいたしておりません。
○津金委員 時間がありませんので余りこの問題ばかりやってはおられませんが、私はやはり、事態の経過というものを事実に即して時間的に克明に追っていきますと、日本政府の方針というものは、当初出入国管理令違反という線でこれの調査を進められ、そうして九月九日の段階で公式に日本の安全を侵害する意図と事実という観点からの捜査が加えられ、そしてミグの保管が防衛庁に移されていく、こういう経過をたどっていることは、これはもう事実なんですね。その間にアメリカ側のこうした発言が行われている。もちろん、皆さんの方としては自主的に決定したのだ、こういうふうに言われるであろうと思う。事の是非は別としてあなた方はそう主張されているわけでありますが、事実の経過の示すところは、やはりこうした調査の理由がさらにつけ加わっていったということの経過の中に、こうしたアメリカの意図、こういうものを考慮した上でこういう処置がなされていったというふうに、事実の経過はこのことをはっきり物語っている、こういうふうに言わざるを得ないと考えるわけであります。 そこでもう一つ、論議を進めてお伺いしたい問題は、九月八日にベレンコ中尉が亡命で不起訴処分になる、こういう処置になっても、機体の処理という問題は、これは別個の問題として処理していくのだというふうな方針をとられておるわけですが、私は、やはりこの事件で人と機体を区別するということは非常にむずかしい問題だ、論理の上でもかなり無理のある問題だ、こういうふうに考えるわけでありますが、その辺はどういうふうにお考えですか。
○中島政府委員 国際法の観点から申し上げますと、領空侵犯がありました場合に、その領空侵犯の一般的状況の解明のための調査を、被侵犯国が人についてもまた機体についても行い得ることは明らかでございまして、その人に対する取り調べと、それから機体に対する取り調べという問題をどういうふうに扱うかということは、その被侵犯国の側において、国内法上の取り扱い、一般的な取り扱いぶり等を考えながら決め得る問題であろうと思います。もちろん、先生おっしゃられるように、人の処理と機体の処理とが全く関係がないということは言えないとは思いますが、何分にも人間の問題につきましては人道的な配慮というものも加えなければならないでしょうし、また、これの警備、保護上の問題ということもいろいろ考えなければならないというような事情がございまして、関係当局といたしましては、まず人間の取り調べを行った結果、当人が米国に亡命したいという意向が明らかであるというふうに判断いたしまして、この人間の方の処理を先に行ったということでございます。 私どもが理解しております限りでは、機体について現在調査しておられます防衛庁におきましても、初期の段階、当初の段階からベレンコ中尉について侵入の事情等についても聴取しておりまして、そして出入国管理当局その他の取り調べが終わった段階で防衛庁側にその機体の保管を移して、防衛庁の本来行うべき調査を本格的に行った、こういうことであろうというふうに理解いたしております。
○津金委員 現在この問題は防衛庁の管理下のもとで機体の解体調査が行われておるわけであります。このことについて先般の参議院予算委員会において政府がこの問題に関する統一見解を発表をされておるわけでありますが、その中で、国際法違反としては、明らかに侵犯側における国家行為としてこれが行われたことを必要とするという点が強調され、この点に関しては、三木総理も、ソ連政府の意思に基づくものでないということについては認められておる。同時にその後に「一般的に事前に被侵犯国の承諾を得ていない航空機の領空への侵入に対し、スクランブル等の措置をとることも当然に認められているところであり、」と書き、さらに「また、着陸後に被侵犯国が所要の機体の保管、調査を行うことも国際法上許容されるところである。」云々、こういう趣旨の文章になっていますね。この場合の、この保管、調査を行うということで解体処理も行われておるわけでありますが、このことを行い得る、国際法上許容されるところだ、こういうふうに言っておるわけでありますが、これはどういう国際法上の根拠に基づいてこれが可能なのか、具体的に御説明いただきたい。
○中島政府委員 先ほども御説明申し上げたところでございますが、国際法上各国は自国の領空に対しまして完全かつ排他的な主権を有しているものでございます。したがいまして、外国の航空機がその領空に入る場合には特別の取り決め、または個々の場合の特別の許可というような、その国の承諾を得て入らなければならないわけでございまして、そのような承諾を得て入りました場合には、通常軍艦に許与せられていると同じような不可侵権を享有する。しかしながら、そのような承諾なくして入域いたしました航空機につきましては、そのような不可侵権を認める必要がないということでございまして、そこで、その被侵犯国といたしましては、当該領空侵犯の一般的状況、なかんずく安全を侵害する事実がなかったかどうかということを解明するために必要な調査を人についても機体についても行う権限があるというのが国際法上のたてまえでございまして、それが予算委員会で法制局長官から申し上げました第二段の「もっとも、」以下の部分の趣旨でございます。
○津金委員 国際法上のたてまえであるというふうに言われましたが、それはもっと明確に、条文的根拠は一体どこに置いておられるわけですか。
○中島政府委員 この点も先ほど御説明申し上げましたが、不可侵権をいまのような領空侵犯の軍用機に対して認める必要がないという点につきましては、いわば国際慣習法として確立しているものというふうに考えてよいかと思います。先ほどパリ条約の三十二条を引きまして御説明いたしましたが、このパリ条約もいまの国際慣習法をあらわしているものだというふうに理解いたしております。したがいまして、当該軍用機に対して不可侵権を認める必要がない、しからば、領空侵犯をした航空機でございますから、そのような航空機の人間及び機体につきましては、合理的な範囲の必要な調査を行うということが各国とも行っている事態である、こういうことでございます。
○津金委員 現在国会におけるその論議の過程を通じて、このミグ25問題がいわゆる国家意思に基づく領空侵犯というものでないということは、三木首相の答弁によっても明白になっておるところですね。そういう段階において、いわゆる機体の調査という一般的な調査から機体の解体という、こういう調査にまで事態は進んでいるわけで、そういうところまで進む根拠というものは、私は非常に不明確ではないだろうかというふうに考えるわけでありますが、その不可侵権の問題を強調されましたが、こうした場合に、それでは、これは他国の所有物でありますが、それに対しては何をやっても構わない、こういうふうなことにもなりかねないと思いますが、その辺はどう考えられるのですか。
○中島政府委員 まず第一に、国家意思の問題にお触れになられましたので、その点一言御説明させていただきますが、法制局長官からお述べになりました意見の中に「国家意思」云々とありますのは、そのとき長官からもお話がありましたように、またその意見にもありますように、その領空侵犯によって相手国の国家責任を追及するということになるかどうかという意味におきましては、相手国の国家の行為が必要である、そういう趣旨で申し上げているわけでありまして、一般的に領空侵犯があれば、それは国家意思があるかどうかということと直接の関係なしに、いま申し上げましたような領空侵犯の状況について解明するための調査を行う権限が被侵犯国にあるということでございまして、現実の問題といたしましても、ある航空機が領空を侵犯して入ってきますときに、それが国家意思があるかどうかというようなことは、これは調査の結果を待たなければわからない事態でございまして、ただいま防衛庁が行っております調査も、この調査が終わりませんと全般的な事態が解明できない、こういう状況にあるわけでございます。 第二点の解体の問題につきましては、別に国際法上解体ができるとかできないとかいうことが直接決められているわけではございませんで、国際法の観点から申し上げれば、先ほど申し上げましたような所要の調査を行い得るということでございまして、その所要の調査として解体と申しますか、先ほど来防衛庁から御説明がありますように、函館空港からほかに移す場合に、移すためにはどうしてもどこか削らなければならないというような意味で、その削ること自身が国際法上禁ぜられておるということはないと思います。要は、その当該領空侵犯の態様とかその状況とか、そういうこといかんによって合理的な範囲で必要な調査ができる、その調査のために合理的に必要であれば、それはその限りでの解体も行い得ないわけではない、こういうことになるかと存じます。
○津金委員 参議院の予算委員会の論議の中で、三木総理は、現段階では国家意思が働いて侵入したという根拠はないという意味のことをはっきり述べておるわけです。したがって、あなたのおっしゃるような一般的な意味での論議ではなくて、少なくとも今回着陸したものを調査の中で——総理自身が国会の答弁の中でこういう趣旨の発言、答弁をされておるという段階で、しかも本人は不起訴処分にしてすでに亡命してしまっておるという段階のもとで、この機体の解体調査というものの法的根拠というものが、やはりいま言った国際法のそういう一般的な解釈では非常に不明確だ。また、自衛隊法八十四条あるいは防衛庁設置法五条等でそういうことを裏づける見解もあるようでありますが、この点も私はやはり条文に照らしてみて非常に無理があるというふうに言わざるを得ないというふうに考えるわけであります。そういうことになってくれば、やはりその国の判断でそういう場合は結局何をしてもいいということに、その国の言うことになりかねないわけであって、その点の根拠というものを明確にしなければ、やはり国民はこの問題に対して非常に大きな疑惑を一つは感じておる。同時にその点は、この問題の解明が、私が当初申し上げたような、当然わが国の主権に基づく必要な範囲の調査という問題から、アメリカの、軍事機密を入手したいという国防長官の発言に見られるそういう方向に問題の中心が移動しているのではないかという疑惑はやはり国民が持っているわけで、そういう点でその根拠をもっと明確に、国民に納得する説明をされるのが日本政府の責任だと思うのですが、その点がどうもいまの説明では非常にはっきりしない。結局何をやってもいいということになりかねないのですね、いまの説明で言うならば。その点はどうですか。そこをもう少し私どもは明確にされる必要があるのではないかということを聞いているわけです。重ねてその点についての御意見を承りたい。
○中島政府委員 調査の実態としてどういうことになっておるかということは、私直接つまびらかにいたしておりませんので、お言葉を返すようで恐縮でございますが、先ほど御説明いたしましたとおり、その当該領空侵犯に対して必要な調査を行う権限がわが方にあるわけでございますから、その具体的な領空侵犯の態様に照らして、合理的な範囲内での調査がなし得る、その合理的な範囲内での調査に必要な限り、またその運搬等の技術的な問題の処理のために必要な限りにおいて解体ということも許されるということでございます。
○伊藤(圭)政府委員 先ほどもお答え申しましたように、解体というのは、どうしても輸送ということが必要でありましたので、必要最小限の解体をいたしました。 それから、自衛隊の立場といたしますと、明らかに領空侵犯され、そして強行着陸をされております。したがいまして、防衛庁といたしましては、このミグ25型機が低高度で、わが方のレーダー網にもかからないで、そしてわが国の領空に侵入したという事情、それからあの飛行機は非常に世界でも最優秀の飛行機だと言われております。したがいまして、その飛行機自体がいわゆるわが国の防空体制といいますか能力、そういったものを実際に記録しているかもしれません。したがいまして、領空侵犯に必要な範囲で十分な調査をしたいと考えて調査をしているわけでございます。
○津金委員 九月十八日に、このミグの解体の問題を含めて、いわゆる日米間の確認事項が角田空幕長とガリガン在日米軍司令官の間に結ばれているわけであります。これに基づいて解体作業が進められたわけでありますが、一体この確認事項というのは何を根拠に結ばれたのか。これはアメリカ軍と自衛隊、いわば軍と軍との間の確認でありますから、本来ならば当然安保条約に基づいてこうした取り決めが行われるというのが当然であると思いますが、この点でいわゆる第三条との関係の問題などが新聞等でも報道されているわけですね。第三条でいけばすっきりするけれども、余りにもぎらぎらするから、外務省の意見によって、これが事実行為ということでこういう確認になったという報道もされておる、大体その辺ではなかったかというふうな感じも受けるわけでありますが、そういう点でこの確認というものが何を根拠に結んだのか、軍と軍との取り決めでありますから、当然安保条約に基づく以外にないのではないか、そういう中での第三条との関係ですね、こういう問題について政府の見解をお伺いしておきたい。また、こういうことが安保と関連はないのだという説明を政府はされておるようでありますけれども、こういうことで軍と軍同士が安保と関連なしに、こういうことを事実行為として結ばれていくということになると、これはやはり将来の問題としてきわめて重要な問題を引き起こす危険が内在するのではないかということを考えるわけですが、時間がありませんから、その辺について一括してひとつ御答弁をいただきたい。
○伊藤(圭)政府委員 先ほど来たびたび大臣からも、私からも御説明申し上げましたように、自衛隊の業務として今度の調査を行っておるわけでございます。しかしながら、期間が限られており、また解体も適当な範囲でというようなことになりますと、自衛隊の力では足りないところがございます。したがいまして、法的な根拠といたしましては、防衛庁設置法に基づきまして、事務の遂行に必要な物品及び役務の調達が必要であるという判断をいたしまして、この能力を持っているのは現在ギャラクシーにいたしましても米軍が持っております。したがいまして、米側の協力の用意があるというのを受けまして、角田幕僚長とガリガンの間でどういうものをどういう範囲で協力できるのかということを話し合わせたものでございます。
○山崎(敏)政府委員 ただいま防衛局長から御説明がありましたように、防衛庁の権限の範囲内におけるいわば調達行為として今回のアメリカの協力を求めたものでございまして、その範囲においての行為にとどまるわけでございまして、これは日米安保条約とは何ら関係なく、それに基づかずに行われたものでございます。
○津金委員 もう私の時間がなくなりましたので、最後に一つだけ質問をしたいと思います。 私は、いまの政府側の答弁を聞いておりましても、事態の進行というものが、先ほど来私が時間的な経過を追ってお尋ねをしたことの中でも明らかなように、いま防衛庁のもとで行われている米軍を含む解体調査、これは国際法あるいは自衛隊法八十四条、こうしたものの拡張解釈だ。そういうもので結果的にはわが国の主権に基づく必要な範囲の調査、そういうものの域を大きく越えて、そうして実態は米軍の指導による日米合同の軍事機密入手への全面的協力、そういう方向に事態が進んでおるということは免れない、こういうふうに私は考えるわけであります。あなたの方は安保条約とは一切関係ないと言われるが、やはりわれわれとしてはここで改めてこの安保条約の実態というものも、こうした視点から新たな検討がいま必要とされておる、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。 そこで、もう時間がありませんから最後に一つお伺いしておきたいのは、この機体は、当初函館で警察が調査に当たった。そして九月十一日に防衛庁の管理下に移行し、そして九月二十四日に百里の基地に移動されているわけですね。それぞれの段階における調査、項目、細かいことであるが、どういう問題点を調査しているか。この函館の段階における調査の項目、九月十一日、防衛庁の管理下に移行した時点における調査の項目、それから九月二十四日、百里に移動した後における調査の項目、こういう点について、あなた方は決して軍事機密に対する協力ではないと言われておるわけですから、当然明らかにされてしかるべき問題だと思うのですが、その点についてお尋ねをして、私の質問を終わります。それだけについてお答えいただきたい。
○小坂国務大臣 技術的な点は事務当局から申し上げますが、この事柄の性格上、ひとつ私から申し上げておきたいと思います。 米軍の協力云々の問題に関してでございますが、ソ連の戦闘機がわが国の領空を侵して民間空港に強行着陸をしたということから事柄が始まっておるわけでございまして、これに対しまして、民間空港でございますから、これを早く自衛隊の基地に移して調査をしなければ調査ができない。そのためには、残念ながら輸送一つにいたしましても、ギャラクシーのごとき大型のものをわが方は持っておらない。そこで防衛庁の調達行為として米軍の協力も求めて、しかも調査に対してもいろいろ米軍の関与している点もあるというわけでございますが、これは共同調査ではなくて、あくまでも自衛隊がやっておることでございます。したがって、ギャラクシーの借料であるとかあるいは人員に対するいろんな支払いであるとか、そういうものは全部、幕僚長の指揮下にある人員に対する支払いとして防衛庁が自主的にやっておることでございまして、そういう意味で決して安保条約との関連ではない、そういうことを申し上げておきたいと思います。 細部につきましては、また事務当局から申し上げます。
○伊藤(圭)政府委員 九月六日から九日までは、私どもの方は警察と検察庁がやりました捜査に技術的な協力をいたしました。したがいまして、その内容について詳しく存じません。十日の夜から私どもの方の保管に移りまして、最初にやりました調査は、これを自衛隊の基地に移すためにはどの程度解体し、どのようにして運べばよいかという調査でございました。なお、百里に参りましてからやっておりますのは、先ほど申し上げましたように、低空で侵入してきた事情、それから機体自体が持っている能力、いわゆる資料を収集したりあるいは記録されているかというようなことを中心に調査をいたしておるわけでございます。
○津金委員 時間が参りましたので、一応これで終わります。
○藤本委員長 次に、水野清君。
○水野委員 私は、最初に日中平和友好条約について外務大臣から、その後ミグ25に関して最近の日ソ関係で伺いたいと思います。 外務大臣、御就任早々で国連総会に行かれて、忙しい日程でお帰りになって、外務委員会にお出になって、大変さっきからいじめられておられてお気の議だと思いますが、私もちょっと機微に触れたいところがありますので、これから少し伺いたいと思うわけです。 実は、外務大臣が喬冠華中国外相とお会いになった新聞記事を拝見して、二種類のややニュアンスの違う情報があります。片一方は、簡単に申し上げると、日中の平和友好条約は早期に締結されるんではないだろうかというような雰囲気のものであり、片一方は、小坂外務大臣には友好姿勢を示したが、日中平和友好条約についてはまだまだというふうな感じのものがございます。 実は、御承知のように、時間が余りございませんから、私、質問を先にはしょって申し上げますので、まとめて御返事をいただきたいと思います。会談の内容がどう報道されようと、それは勝手なんでございますが、私の想像するところ、中国の外交当局といいますか中国の政府は——御承知のように小坂外相は、外相に最近おなりになる前も日中正常化のためにいろいろお尽くしになった。小坂さんが議員として北京にいらして、中国側ともいろいろな話をこれまでしておいでになった。その個人的な小坂さんに対する友好の感情というものを非常に持っているように私は伺っております。そこでその会談の最中に、小坂外相に対する友好の姿勢はよくわかるのですが、三木内閣における小坂外務大臣として、ややたな上げになりかけている日中平和友好条約の今後の推進をどういうふうに考えていらっしゃるかということをまず伺いたいわけでございます。これが第一点であります。しかもその伺うに際して、先ほど堂森委員からもお話がありましたけれども、宮澤前外務大臣の——問題は、御承知のように覇権問題であります。覇権問題に対する日本外務省としての見解、覇権とは日本の政府としてはこう考えているのだという御承知の四項目がございます。これについても、方針を変えてでも、とにかく早急に日中の平和友好条約の締結をお急ぎになろうとしておられるのかどうか、こういう点を伺いたいわけであります。 喬冠華外相とのお話のときに灰ざら論が出ておりまして、これは非常におもしろい。新聞記事を読んでみますと、喬冠華外相が「日中共同声明の際には、二つの灰ざらは一線に並んでいました。だが、その後は日本側の灰ざらはその線からずれていますね。こっちの方にもどるべきですよ。」こう言っている。そうすると、これは新聞記事ですから、外務大臣がそうおっしゃったかどうかは別ですが、「こちらにもいろいろ事情があります。(二つの灰ざらを一つに重ねながら)」これは言葉ではなくて行動です、括弧してある。「要するに重なり合えばいいんでしょう。」こうおっしゃった、こういうんですね。こういう記事を読んでいると、覇権問題についてのいままでの四項目の、まあ条約的解釈といいますか、そういうものを余り目に角を立てずに、日中の正常化が行われた際の共同声明の精神に戻って、正常化のときの原点に戻ってやればこの問題は解決つくんだというふうに外務大臣は思っておられるようにも思うわけです。その辺をひとつまとめて御答弁をいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 日中平和友好条約を早くつくった方がいいということは皆考えておるわけでございまして、私もそう思っておる一人でございますが、いま非常に新聞をよくお読みになって、適切なところにお触れをいただきまして感謝をいたしますが、それと同時に、非常にこれは答えが微妙だと思うのでございます。先ほども、前の宮澤大臣の四条件は踏襲するのかしないのか、こういうお話で、これはなかなか微妙でございまして、尊敬する宮澤君に、踏襲しないと言えば大変失礼になる、そうかといって踏襲すると言えば、向こうはその返事をよこしてないんだから、それではちっとも変わらぬということになるのです。その辺が実に微妙なところだと思うのでございます。 私は、やはり平和友好条約というものはこれからの日中両国民が長きにわたって友好を続けてまいります上の基礎でございますから、やはり双方が満足する考え方というものがなければならぬと思います。そういう意味で灰ざら論は一つの意味があると思うのでございますが、一九七二年九月二十九日に発せられた日中共同声明はきちっとしておって、この原則、精神はこのまま守るということを日本の政府も自由民主党もあるいは野党も言っておるわけでございます。その考え方に立ってどうそれを了解しているか、こういうことで、私は中国の考えておるとおりの条約、それに日本がただ歩み寄るというのではなくて、日本の考え方も中国が理解して、こう動いてきて両方が重なり合った点が条約交渉の妥結の点である、こういうふうに考えておるという意味を申したわけでございます。 これは何といっても序曲でございまして、去年の場合は二回にわたって十一時間あったのだそうですが、ことしはなかなかそういうわけにはいきませんで、四十五分、それも時間がないので、私の下手な英話で儀礼的なところはいきなり言ってやるようなことをして、細部はもちろんきちんとした通訳の方にお願いしないと間違うといけませんから、それはお願いいたしましたが、そういうふうな急いだ形でございますので、とにかく序曲として、何かいい音楽でも聞こえてくるような、そういう環境をつくろう、そのうちに今度はすばらしい盛り上がりが出てくる、そういうふうなところに持っていけないものか、こう思ってあの会談は終わったわけでございます。ですから、希望もずいぶんございます。希望どおりにいかないのが世の中のことでございますから今後のことはわかりませんけれども、何とか一生懸命やってみよう、そういうふうに考えておるわけでございます。
○水野委員 外務大臣御承知のように、日中の共同声明が発せられたときというのは、実は覇権問題は書かれておった。ところがこれはその後にソビエト側から、覇権問題についてはおれを指すのだろうということで、言ってみれば横やりが入ったわけです。その段階でこの言葉が非常に重要になってきたという経過があるわけです。あれがなければ私は日中平和友好条約というのは、今日になってみれば簡単に済んだわけだと思うのです。ですから共同声明を発せられたときのその時点に戻って、よりを戻していかれれば私は解決がつく問題だと思うのです。ただそれが第三国に相当するソビエトが、あなたが覇権主義を持っているのだというようなことを言わなければいいんじゃないかと思うのです。ですからその点は、これは御返事をいただいても同じようなことでありますが……。 そこで、先ほど非常にいい音楽を奏でられてムードをつくってこれからおやりになろうということなんですが、先ほどこれも堂森委員からお話がありましたので、私も重ねて伺いたいのですが、総理大臣が予算委員会で、ともかく日中の平和友好条約をやるために、場合によっては小坂外務大臣を北京に派遣する、こう言っておられる。この際外務大臣は、そのいい音楽を奏でられたついでに、余りこの問題をただ急速に詰めるということだけでなくて、ともかく非常に友好的な気分があるかないかということで問題を解決したがる相手のお国柄なんですから、北京を訪問されるということも私は大変結構なことだと思うのですが、その訪問なさる、しかも近い将来、総選挙前においでにならなければいかぬ。御意思がありますか。
○小坂国務大臣 水野さんもよく御承知のように、あの覇権という言葉はアメリカと中国との上海コミュニケ、一九七二年二月の共同コミュニケに出ているわけなんです。でございますから、おっしゃるように、何かこじれなければどうということはなかったのです。いわゆる超大国と言われておるアメリカが同じことを言っているし、あれには第三国に対する問題ではないと、こう書いてあるものでございますから、要するにこじれちゃったような形なんでございますね。 そこで、私の訪中についてのお尋ねでございますが、これは相手のあることでございますから、その様子もよく考えながら、訪中にもちろんやぶさかではない気持ちでおります。
○水野委員 それでは次にミグ25の問題について、最近の日ソ関係について少し伺いたいのですが、時間がありませんので前の委員の質問と重複しないように申し上げますが、この事件が起こってからの日本政府内部の対応について私は少し伺いたいのです。 まず、先月の六日にこの事件が起こったのですが、起こった後、関係各省庁、警察庁、運輸省、法務省、外務省、防衛庁、この五省庁のどこの役所が一体この調査をやるのか、どういうことをやるのかということを御協議なさったようですが、それについて結論が出るのに非常に時間がかかっているようです。私は親愛なる防衛庁長官に大変恐縮なんですが、こういうようなことで一体日本の国家行政組織としていいのだろうか。 これは私の聞いた範囲ですから間違いがあれば訂正しますが、この事件が発生したのが六日の十三時十六分です。これは新聞にも載っていますから間違いない。それで防衛庁の方に発生の情報が到着したのが十四時十分だ、こういうんですね。長官は何かそのときに新幹線に乗っていらっしゃった。新幹線にも電話はあるわけですが、長官のお耳に入ったのが十四時五十分である。それから防衛局長が内閣に報告に行ったのが、何と十七時半である。もしこれが本当に緊急事態であれば、これはたまたまベレンコ中尉が亡命に来たのだから別に構いませんが、もし同様の飛行機が数機で北海道を襲撃したのだというようなことになれば、北海道はとっくに全滅しているかもしれないんですね。それにもかかわらず、しばらく長官の耳にも入らなかった。防衛局長がまとめて内閣に報告に行ったのが何と五時間ですか、四時間以上の時間がかかっているということについてどういうふうにお考えになるか。 それから、さらにもう一つ伺いたいのですが、防衛庁が調査をするのは国際的な常識であるということで問題ないのだという法的な内閣としての判断をお出しになったのが何と九日までかかった。三日間かかったということを聞いております。これは法務省が、主として法的解釈ですからお出しになったのだと思いますが、これもまた大変驚くべきことなんで、三日かからなければどこの役所の所管であるかというようなことがわからない。大変失礼ですけれども、あるお役所のある局長さんに電話で伺ったら、何分初体験でございますからお許しを願いたい、こういう御返事が返ってきたのですけれども、私は、ちょっといかにもこれは確かに初体験ですけれども、行政組織としてはいささかお粗末に過ぎる、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
○坂田国務大臣 今回のミグの領空侵犯に対しまして、わが方に到達いたしました報告というのがきわめて遅かったということは、まことに防空の責任者といたしまして遺憾なことだと実は思っております。本当にこれでいいのかということでございまして、やはり私ども防衛庁自体としましても、平和時ではございましてもあるいは一機でございましても、あるいはそれがたとえ亡命を意図しておったにいたしましても、今後こういうような点は速やかに私どものところに報告が来なければならない、またそういうふうに常に整備されておらなければいけないというふうに思います。 また、それに関連いたしまして、たとえばわが防衛庁におきましても、通信幹線すら独自のものを実は持っておらないことでございまして、これも毎年各幕から要求をされますけれども、予算上これが計上されないということでございます。これは今後のポスト四次防の中におきましても大事なことでございまして、単に主要装備を整えるということでなくて、やはり抗たん性あるいは後方支援態勢、つまり正面と後方というものが一体となってバランスのとれたもので、小ぢんまりしておるけれどもちゃんとした防衛力を持ったもの、あるいはこういうような領空侵犯事件に対しても対処できるということでなければ国民に対して相済まぬというふうに私は考えておるわけでございまして、この対応につきましても各省庁で初めてのことではございましたけれども、やはりこういうようなことに対しましては即座に対応できるという、そういう態勢があることが、いかなる国といえども日本を侵犯をしないということにつながっていく、あるいはまた未然に戦争を防止するということにもなるかと思うのでございまして、この問題は小さい——まあ今度の場合は亡命でありましたからよかったものの、やはりこういうようなことをゆるがせにしない、きちんとした防空態勢をしなければならぬというふうに私は思いますし、これから心がけていきたいというふうに思っております。
○水野委員 そこで、もう少し続いて伺いたいのですが、私は今度の事件がわりあいに、思ったよりも問題が平穏裏に解決しそうなんでよかったなと思っておりますけれども、ソビエト側を必要以上に硬化させたことに私は二、三理由があると思うのです。これは本当かうそかわかりませんが、ソビエトの大使館の方も、これも初体験だったんでしょう、かなりあわてておって、その事実確認についても非常に迷っておったという話を聞いておりますけれども、その後日本側は、ベレンコはこれは亡命の意思があって来たのであり、アメリカに亡命をさせたのだ、こう言っておられる。私もそう信じております。ただソビエト側は、奥さんだのお母さんだのをモスクワでテレビにまで出して、亡命したんじゃないんだと言っていろいろ演出をしておられます。私はこういうふうな事態になるだろうと思ったのですが、それについてもこのべレンコ中尉の亡命を認められたやり方が少し簡単過ぎたんじゃないか。非常に簡単にアメリカ側に渡されて、言ってみると、どうも感じとしてもう少し日本に置いておかれて、いろいろ取り調べもなさる必要もあろうし、たとえば飛行機の機体の問題についても、中尉から直接聞いたらよかろうと思うのに、非常に急いでアメリカに亡命をさせてしまったということに、逆に言うと私はソ連側がいろいろと宣伝をする根拠を与えた、こう思うのですね。たとえば警察が、あのベレンコ中尉が函館の警察かどこか出るときに頭に物をかぶせているのは、いかにもあれは強制的に連行したんだ。日本じゃ例のロッキード事件でも、かぶって出たり入ったりした人がいますけれども、要するに余り顔を見せたくないし、本人も顔写真を撮られたくないということであったのでしょうけれども、ああいう扱いその他についても少し私はつまらぬことをしちゃったんじゃないかと思うのです。できれば私は、日本でベレンコ中尉に記者会見をさせたらいいと思うのですね。彼は恐らくいやがったのだろうということは聞いておりますが、彼がいやがっても、それは彼は殺害されるのじゃないかというふうな恐怖心からそう思ったらしいですが、しかしそれは記者会見のやり方もあるので、入ってくる新聞記者やカメラマンに対しでボデーチェックをしてでも、よろしければ記者会見をするとか、そういう手は幾らでもあると思うのです。そうして、少なくとも内外の記者団に対してしっかりとして、彼の意思がこうであるということを確認させた上でアメリカにパスすべきであったと私は思うのです。これは私の意見なんで、まあ返事をしろと言ったってこれはもうしょうがありませんけれども、私はその点においてややちょっとアメリカにパスするのが早過ぎたんじゃないかと思うのが一つであります。 それから、これは新聞社やテレビの方がたくさんおられるところで恐縮なんですが、防衛庁が一説によるとはしゃぎ過ぎた、こう言われているわけです。防衛庁がはしゃぎ過ぎたというのは、大変なものが来て、これが世界で一番すごい飛行機で、マッハ三だとか、いやもういろいろなことが出てきて次々に報道される。報道されることが実はどうもソビエト側にとっては一番つらいことであるというか、逆なでされるというか、どうせソビエト側の考え方はよくわかりませんが、相手側に渡ったことであるから相当なチェックを受けるということはわかっていても、それが一々毎日毎日新聞やテレビに報道されていくことは彼らにとっては非常にたまらないことらしいんですね。それだけならいいんですが、とうとう外国の新聞にまでそれをキャリーされて、いや、つまらない飛行機だとか、いやそうではない、とんでもないいい飛行機だとか、評価が変わったりくるくるする。世界じゅうに恐らくこの報道はキャリーされたろうと思うのですが、私はこの辺に防衛庁の姿勢がやはり少しおかしいのじゃないかと思うのです。これはまた長官に恐縮なんですけれども、何も相手の神経を必要以上に逆なでして、これによって、小康を得ていると言え、日ソ関係にいろいろな波風が立ったことは事実なんでありまして、たとえばこれは私が新聞を読んでいて気がついたのですが、百里基地に持ってきてエンジンを始動させるのだというような、これはまあエンジンを動かせば音がするのですから、周りに張っている人はわかるでしょうけれども、させる二日も三日も前から、エンジンが何か大変すばらしいエンジンなんで、今度はそれを吹かしてみせるんだとかなんとか予告編まで載っておるわけですよ。そうなるとまたソ連の方では、日本の政府はわざわざこうやって新聞に出して、何か国防意識でも高めようと思っているのか、ソ連の飛行機はこんな飛行機だとキャンペーンしようとしているんじゃないか、こういうふうに誤解をしていると思うのです。私は、この点でもう少し防衛庁内で——防衛庁はこれまではどっちかというとマスコミに理解をしていただくための防衛庁であったのかもしれませんが、また別の面ではきちっと機密保持をなすって、やはり漏れて困るものは外部に漏れないというだけのことをなさらなければ、自衛隊という組織として締まっていかないと思うのですが、いかがでございましょうか。
○坂田国務大臣 水野さんのおっしゃること、まあもっともだと思うのでございますが、しかし私どもといたしまして意識的にそういうことをやったわけではないんで、そうではなくて、むしろ先ほど申しましたように、やはり調べるものは調べる。しかしながら、逆なでするようなことは外交上も思わしくないということで、函館空港にさらしておきますと必然的にこれは見れるわけでございますし、写真も撮れるわけでございますし、覆いをいたしましてもなかなか十分ではございません。したがいまして、一日も早く格納庫に入れてひそかに作業をするという方がいいということで、実は百里に移したわけでございます。 それから、まあこの点は水野さん自身もジャーナリストの経験おありでございますけれども、日本のジャーナリストの方々はやはり非常に知りたがっておられる。しかし、それはまた同時に、国民自身がこういうような飛行機について知りたがっておるということも、これは抑えがたいことでございまして、機密にわたらないことで、差し支えのないことぐらいは、やはりある程度報道するということがしかるべきではないだろうか。ちょうど、ベレンコをむしろ日本において会見させたらいいじゃないかというような御発言もあるわけでございまして、そういうわけで、われわれ自身としても初めてのことではございますし、相当気を使ってやったつもりが、実は結果としておしかりを受けるようなことにもなっておるということでございます。しかし、いずれにいたしましても慎重に、丁寧に調査をいたしまして、そして梱包をいたしまして丁寧に返したいというふうに実は思っておるわけであります。 それからまた、日ソの関係の外交上の問題は私も非常に気にしておる一人でございますけれども、残念ながらソビエト社会と日本社会とは仕組みも違いますし、風俗、習慣も違いますし、また、われわれを含めまして国際感覚に欠けているところも実はあるわけで、こちらはよかれかしということが思わぬところで向こうには非常に傷をつけるということにもなりかねないわけで、今後この点については十分注意をしていかなければいけないのじゃないか。まだあと、これをお返しします間におきまして期間がございますから、そういうような点も今後十分注意をしてまいりたいと考えております。
○水野委員 時間がありませんので、外務大臣に一つこの問題に関連して伺いたいのですが、御承知のように、この事件が起こってからソビエトが言い出したことで一番特徴的なことは北方領土の問題であります。いままでは、御承知のように一九七三年十月、当時の田中総理大臣がモスクワを訪問した際に、日ソ首脳会談の経緯をまとめて共同声明にしております。この共同声明の中では「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結する」ということが明文されております。その諸問題の中には北方領土問題も含まれているということは、これはそのとき文書にすることはできませんでしたが、口頭では首脳間で、要するにブレジネフ書記長と当時の田中首相との間で口頭で確認をされている、私どもはこういうふうに理解をしております。 ところが、この事件が起こってからソビエトは、北方領土の問題などというのは全く意味をなさぬ、これは日本の一方的な言い方であって、今後この問題について話し合う必要がないというような非常に強硬な態度に変化をしています。いままで渋々ながらともかく「諸問題」のうちに入れておったわけですが、これは問題外としてきたわけです。言ってみると、ミグの問題ではソビエトの方もこれはえらいことになったと思ったのかもしれませんが、災いをもって福となすというのですか、向こうにはそんな言葉はないかもしれませんが、ともかくこれをいい口実にして北方領土の問題をたな上げにしようという意図が外交上ありありと出てきているわけであります。これについて、私は容易ならぬ事態だというふうに思いますが、外務大臣はどう考えておられるか。 それからもう一つちょっと問題があります。いままで実はわりあいに議論されたことがない問題ですが、北方領土の問題をわれわれは普通漁業問題であるとかあるいは主権問題であるというふうにだけ思っておったのですが、私が漏れ承るところ、最近の国防会議か何かでこの問題が議論されたことがあるやに聞いています。というのは、ソビエトの極東艦隊の太平洋に対する唯一の出口である。いわゆる津軽海峡であるとか対馬海峡であるとか朝鮮海峡であるとか、これはソビエト側にすれば監視をされている出口でありますけれども、この北方領土の周辺の海峡は、ソビエトの極東艦隊にとっては太平洋に出る彼らの自由な出口だ、戦略的な価値を持っているんだ、こういうことを聞いております。 前の方は外務大臣にお答えを願い、後の方はひとつ防衛局長に、そういうようなことについて防衛庁はどういう見解を持っているかということを承りたいと思います。
○小坂国務大臣 私も、水野さんのおっしゃったように、一九七三年の日ソの共同声明の中においては、もう明確に「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結する」、そういうことを書かれているわけでございますし、また未解決の問題点の中には北方領土等の返還問題が含まれているという点については、日ソの首脳間において明確な確認がなされておるというふうに承知しておりますので、先般グロムイコ外務大臣と会いましたときにもその問題を私は強く押し返しました。この問題については、われわれの主張を理解してもらうまで断じて主張をし続けるからということを申し伝えた次第でございます。
○伊藤(圭)政府委員 ソ連の海軍につきましては、太平洋岸に出るということは沿海州の港湾から三つの海峡を通らなければならないという問題がございます。もう一つは、ソ連はペトロという港を持っております。あそこと沿海州の港とを結ぶ要衝の地であるということは間違いないだろうと思っております。
○水野委員 終わります。
○藤本委員長 次に、渡部一郎君。
○渡部(一)委員 まず外務大臣に日中問題についてお尋ねをしたいと思います。 外務大臣は日中国交正常化協議会の会長でもおありになりましたし、長らく自民党の中の中国問題に対して非常に熱心な議員のお一人でもありましたし、私どもはそういう意味で大きな期待を寄せているわけであります。外務大臣は昨年九月訪中された後、十月二十八日付の自由新報で中国問題について御発言をされております。先ほども御質疑がいろいろありまして、宮澤前大臣の覇権問題に対する四項目を踏襲するかのごとく仰せになりました。またこの自由新報の中のテーマについても触れられました。 私もう一回お尋ねするのでありますが、この自由新報の記事の中で大臣が言っておられることをいま省略して申し上げますから、これについての御見識をまず承りたい。 一つは、一日も早く日中平和友好条約を結ぶことが必要であるという御認識であります。 第二は、中国側は一九七二年の日中共同声明の際に問題にならなかった覇権反対がどうして問題になるか。本文でおかしいと日本側が言い出しているのは日本側の熱意を欠いているものではないかというふうに言っておるが、私は、日本政府が同共同声明の原則と精神を踏み外すことなく、早期に条約を結ぶ決意であると思っている。若干の工夫が要る。それは覇権の内容を突きとめることである。昭和六年以降日本がアジアに覇権を求めたことから、覇権に反対することは当然である。一九七二年の米中上海コミュニケも同じ表現を使っておる。国連憲章、平和五原則の基礎の上に諸民族が誠実な努力をするなら、覇権を求めるというようなものはあってはならない。条約の本文に書くと——ここが大事なんですが、条約の本文に書くと権利義務を生ずるなどと考えないで、もっと素直に、覇権はいけないことだからこれを求めるべきではないし、覇権は反対だと言い切ったらよい。それから、覇権はいかなるものかを日中両国が話し合い、後で問題が起こらないようにしておくべきである。覇権に対する中国の理解は、聞いたところでは、実力をもって他国を侵略、支配、内政干渉、掠奪、転覆活動を行うこととのことであるようだ。次のようなことを双方の理解を突き合わせ、他日の問題にならないようにしたい。 一、経済上、貿易のアンバランス、たとえば日本の経済投資が多額に及んだり、日本側の輸出が他の国よりの輸入に比較して著しく多い場合、これを覇権と言うかどうか。前掲の定義にあてはまらないと思うし、貿易立国の日本としては一般経済行為を覇権として条約上規制されては困ると思う。 二、良好な日米関係はわが国外交の中できわめて重要な基軸であるが、国民の一部に日米安保により米国は日本国に覇権を確立しているとするものがある。これも前掲定義の解釈から覇権とは言えないと思うがどうか。日中友好は反米の中で行ってはならない。 三、一部に、覇権反対と言うと日中間に攻守同盟でも結ばれるかのように考えている者があるが、日本国憲法は自衛以外の一切の行動を禁じているのだし、日中両国はそれぞれ社会制度を異にしているので攻守同盟などあり得ないと思うがどうであろうか。 共同声明第七項で、第三国に対するものではないとなっているから、これは日中両国間の条約としての基礎である。こちらから中ソ両大国の谷間にあってなどと問題を出すのは愚劣である。 最後に、長い将来を見通し、小手先のテクニックを排し、誠意をもって大きな政治的立場に立った決断を下すべきときと信ずると書いてありまして、私は、当委員会においてこの言明を高く評価して、さきに発言したこともございます。宮澤先生にもお伺いしたことがあるわけでありますが、このいまの話は今日このまま——当時のお立場が違いますから、当然立場がある程度留保をつけられるかとも存じますのでお伺いするわけでありますが、小坂外相の信念はその後お変わりになりませんものでしょうか、また、これを一歩進めてどうなさるおつもりか、伺いたいと存じます。
○小坂国務大臣 先般の委員会におきまして渡部さんから私のその論文について非常に理解のあるお言葉をいただいたことを承りまして、今日に至るも深く感謝をしているものでございます。 ただいま御引用されました私の論文につきましては、おっしゃるとおり、非常に自由な立場において書いたものでございますけれども、私はいかなる立場になりましても、自分の書いたものには責任を持つ考えでございます。 それから、先ほどいわゆる宮澤四条件というものを踏襲するかどうかということで、堂森さんに対してのお答えは余りはっきりしていなかったかと思うのでございますけれども、私は水野さんにお答え申し上げたことのとおりにお考え願いたいと思うのです。私は、宮灘さんが苦心されたものをけなすようになることの言い方は実はしたくないのです。そういうけなす意思は毛頭持っておりません。しかし、あの問題についてのあの回答は、先方の同意が得られなかったということは事実でございますから、その事実をやはり踏まえまして最も適切な方向を掲げなければならないという気持ちを水野さんに申し上げたわけでございまして、さように考えておる次第でございます。
○渡部(一)委員 そうしますと、ここで中国側の態度は別としまして、外務大臣は、懸案になっている覇権事項を前文とか本文というような技巧的な論争に持ち込むことなく、抜本的に中国との関係を正常化する、平和友好条約を結ぶという方向で前進せしめたいという基本姿勢をお持ちだ、こういうように理解してよろしいわけですか。
○小坂国務大臣 さようでございます。
○渡部(一)委員 それでは、きわめて明快でありますから、次のテーマに移りたいと思います。 次のテーマはミグの問題であります。これはまず防衛庁長官からお伺いしなければいかぬと思っているのでありますが、今度ミグという飛行機が一機やってきまして、日本じゅう大騒動でありました。昔、たった四杯で夜も眠れずという江戸時代と今、ちょっと違うのにもかかわらず、ミグ一杯で日本じゅう大騒動した点、日本の民族の反応の仕方というのはある意味で似ているかもしれません。しかし、当時蒸気船四杯やってきたのに、地元から馬を飛ばして徳川幕府の見解を聞きながら、非常にのろい反応が行われたと同じように、今回もまた大騒動が起こりました。当時の幕末の幕府と同じようなやり方が行われたわけであります。もう寸分たがわない。幕府の親玉である将軍が無知無能、醜態をきわめておったと同じことが今度も起こりました。 私は、先ほど水野さんも御指摘になっておられましたが、一体、こういった事件から国家としても学ばなければいかぬのでありますが、今後どうなさるおつもりか、伺っておきたい。要するに、飛行機が今度はおっこってきた。もう一回どこかにおっこったといたしましょう。ミグでもよし、ファントムでもよし、あるいは北鮮の飛行機でも韓国の飛行機でもよろしいですが、どっかから日本へ、いま亡命で逃げ込んできたとします。今度はどうなさるか。どこが責任を持つ主務官庁として処理をなさるのか、伺いたい。その辺をまず防衛庁長官から伺いたい理由は、あとで外務大臣にも伺いますが、外務省は当初、一番先に、機体は返還すべきであるということを記者に対してレクチュアを行った。そしてそれは夕刊に出た。次の日の朝、外務省高官は突如として怒りを発し、こうしたものは返すべきものではないと——外務省高官がだれかは私は知っていますが、言いませんが、その外務省高官は突如として怒られた。そして、こんなものは簡単に返すべきものじゃない、中は徹底的に調べるべきものである、返すか返さぬかはこっちの自由だとまで、すごい口調でおっしゃったのが新聞にばんと反映した。そしていま、国連総会にお行きになった外務大臣は、水一杯飲ましてくれないソビエト政府の代表に対し、ミグ返すよとわざわざ親切に言いに行ったでしょう。そしてその間、あの飛行機の周りを右往左往して、警察庁は物差しを持ってはかりに行った。巻き尺で何がはかれるか、交通事故と同じスタイルでおやりになった。防衛庁は遠くの方から遠巻きにしていて、見せてくれとか、見たら悪いのかとか、見るべきでないだろうかとか、見た方がいいんだろうかとか、見てわかるだろうかとか発言されておった。これはもう防衛庁の各職員や軍人さんから私が直接聞いたことですよ。こういうようにおっしゃった。見てわかるだろうか、本当に率直に事態を認めるこの御発言は、私はとうといとは思うけれども、こんなものかなと笑いを抑えることができない。見たらわかるだろうか、見ていいだろうか、見たいと言ったらいけないだろうかなどという発言が防衛庁関係者から行われた。 さて、これぐらい混乱した状況を描写すればもう十分でありますが、一体今後起こったらどうなさるか。どこで協議なさるのか。そういう協議なさる機関はあるのかないのか。今後はどこが主務官庁でこれをお扱いになるのか。多くの教訓を学ばれたと思いますので、まず防衛庁長官から伺います。
○坂田国務大臣 確かに今度のミグの事件はいろいろな教訓を与えたと思っております。災いをもって福となすというつもりで今後は対処いたしたいと思います。 ただ、平和時におきまして一機、特に亡命機等が入ってまいりますことは、なかなかこれを完全に抑え得ないということは、先生も御承知のとおりでございまして、かつて一九六九年だったと思いますけれども、キューバから参りました同じミグだったと思います、25じゃございませんけれども。アメリカといたしましても、AEW等も持っておりましたけれども、この侵入を許してしまったというようなことでございます。それだけに、日本の社会というのが非常に平和だということでもあるわけでございます。 しかし、これが亡命機であったからいいようなものの、そうでなかった場合に対して、やはり即応体制がなければいけないということでございまして、私は、今度の事件が起こりました最初から、少なくとも潜在的脅威を持っておる、構成をしておる物体が入ってきたのであれば、亡命であれ何であれ、どこの天体から来ようとも、これを調査するのはあたりまえなことで、それをやらないならば、防衛庁長官としての国民に対する責任を全うできないのだというふうに考えておりましたし、また事態はそういうふうに進んでいったというふうに考えておるわけでございまして、今回もスクランブルいたしまして、F4が飛び上がったわけでございますが、しかし、これをある時間見失ってしまった。今度入ってまいりましたら、やはり同じようなスクランブルをいたしまして、こちらの指導のもとに所定のところに着陸をさせる、そしてわれわれが調べる、同時に、それには警察、検察庁等にも立ち会っていただくというようなことになろうかと思います。
○渡部(一)委員 防衛庁長官、そうすると、今度そういうのが入ってきたら、外務省でなくて防衛庁が主務官庁として取り扱う、こういう意味ですか。
○坂田国務大臣 それはいろいろの場合があろうかと思いますけれども、一応われわれといたしまして、この飛行機を誘導する。そしてそれを所定の指示の飛行場に着陸を命ずる。それから先はやはり国内法に従いましてやるということになろうかと思います。
○渡部(一)委員 それでは答えたことになりませんよ。
○伊藤(圭)政府委員 今回の場合には、民間空港に強行着陸をしたということで、初めてのケースでもあり、やや最初の段階で話し合うのに時間がかかりましたけれども、民間空港に着陸をいたしまして、その警備をやっておりましたのが警察でございます。そして、その空港の管理をしておりましたのが運輸省でございます。その時点で関係各省の間でも、防衛庁が領空侵犯措置の一環としてこれを調査するということは当然だというふうに合意はなされておりましたけれども、順序として、まず警察、地検、そして防衛庁という段階をとりました。 今度の例がございますので、やはり民間空港にこういうようなことで着陸した場合には、もちろん警備は警察がやることになると思いますが、今度のように保管の責任が転々とするということではなく、防衛庁にするのかあるいは地検にするのか、そういうことについて、警備、管理は別といたしましても、保管の責任というものをはっきりさせようということで話し合おうということにいまいたしておるわけでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、着陸した飛行機をだれが保管するかという、倉庫の管理人みたいなお話をいま協議しようとしているわけでしょう。私が言っているのはそうではないのです。ソ連の飛行機でしょう。ソ連の飛行機ですから、それには——ここは外務委員会ですから特に言うのですが、外交問題の懸案として、いまソ連の飛行機をすぐ返したらいいのか、あるいはそんなことすべきじゃないのか。外交的懸案がなくて、機械的な国内法の措置でやることには疑いがありますよ。確かに機体をだれが保管するかは、それは国内法の措置で決めたらいいことでしょう。だから、それはどうぞお決めください。だけれども、また所管争いして、ぐるぐる回るということのないようにしていただきたい。まだいまだに決まらないというのは、私に言わせればもってのほかです。だが、もう一つ前があるじゃありませんか。ソ連との間がもっとナーバスになっているときに、いまと同じ措置をとったら、これは戦争ですよ。戦争の引き金を引くことになるでしょう。もっといきり立っている相手国との間でこうした事件が起これば、別の判断が要るに決まっているじゃないですか。そのとき防衛庁が全部それをしょい込みますか。違うじゃありませんか。じゃ、いま言っている防衛問題に関する閣僚会議は、こういう問題に役に立たないことはもう明らかです。安全保障の問題を含めて、打ち合わせする機能がないじゃないですか。官庁は麗々しく、膨大な官庁がこの霞が関に集中していて、五万人もいるけれども、五万人は無能な集まりと同じくぼんやりしているじゃないですか。それは機構が決まっていないからです。反応することができない。だれとだれが打ち合わせするのですか。そんなことも決めないで、この何ケ月かぼんやりなさっていたとしたら、私はもうあきれるしかないですな。どうなっているのですか。政変で、大臣が忙しいのはわかっているけれども、大臣以下は忙しくなかったはずじゃないですか。暇だったはずでしょう。局長クラスはそんなことも相談しないのですか。居眠りでもしていたのですか。私は重大問題だと思う。幾ら政変に自民党が忙しくたって、役人同士でそれくらい話し合ったらどうですか。だれがやるのですか。答えていただきたい。また同じことが起こるじゃないですか。一機来るたびに大騒動だ。今度は倉庫の管理者だけは決まるけれども、あとは返すのか返さないのか、既定方針でいいのか悪いのか、その都度大騒動をやらなければならない。肝心な機能が動いてないのじゃないですか。どうなんですか、これは。答えられる人が答弁してください。
○坂田国務大臣 おかしいと思うのです。私はケース・バイ・ケースと言ったので、先生おっしゃるように、緊張状態のときに同じようにするか、それはケース・バイ・ケースです。外交上の配慮もあるでしょう。それは外務大臣と話すでしょう。そういうわけでございます。 しかしながら、先ほどから申しますように、少なくとも領空侵犯したものに対してはこれを調べるというのはあたりまえなことであって、いつだったってそれはやろうと私どもは考えております。その際、いまのように、日ソ関係の非常に悪い状況があるという場合にどうするか、そのケースの場合には外務大臣とお話しすればいいことじゃないかというふうに私は思っております。今度の場合だったって、外務大臣とお話をして事を進めてまいったわけであります。
○渡部(一)委員 私は、調査をしたことがいいかどうかについてはまだ話していません。その問題は触れてないのです。私が言っているのは、話し合いの機能がなかったでしょうと申し上げているのです。大臣が新幹線に乗っておられたことは、もう有名な事実ですよ。大臣が五時間後でなかったら見解を表明されなかったことも事実ですよ。報告でさえ五時間後じゃないですか。ところが、こういう問題の場合は緊急を要するじゃありませんか。打ち合わせする機構が動いてないと私申し上げておる。外務省とすぐ相談なすったらいいじゃないですか。じゃ、今度はそういうふうに動くのかどうか心配だから、私申し上げておるのです。
○坂田国務大臣 これまた当然なことだと私は思っております、外務省と打ち合わせすることは。(渡部(一)委員「それなら処罰をすべきでしょう、今度なぜこんなに動かないのだ」と呼ぶ)私は、ちょうど新幹線に乗っておりました。いろいろの事態があるわけです。しかし、その際われわれ防衛庁の職員が何もしてなかったかというと、そうではないわけです。ですから、これから改めましょうということを申し上げておるわけです。先ほども申し上げておりますように、領空侵犯してから一時間もかかってわれわれのところにこれが到達をする、そういうようなことは防空の責任者として困る、こういうことは改めなければならぬということを本委員会で私は明らかにいたしておるわけでございます。
○渡部(一)委員 これ以上防衛庁長官に聞くのは気の毒なんですけれども、今度は外務省の方から見ますと、外務省はこの間に意見の表明が強くなったり弱くなったり、二転三転なすった。そして、その方針は一体いつになって決まったのですか。防衛庁の方といつ打ち合わせをなすったのですか。この問題は荘然と見ておられたのか、新聞記者にコメントを発表するだけで何も相談してなかったのか聞きたいのです。
○橘政府委員 この事件が九月六日に発生いたしまして、外務省の方も警察あるいは防衛庁の方からの連絡をすぐ受け取っております。ただ当初におきましては、この事件の正確な事実あるいはその基本的な性格というのが直ちには明らかでございませんでした。私どもも、常時その後防衛庁、警察当局等と連絡をとり、さらに亡命らしいという連絡も受けましたので、外務省の係官も現地に派遣をいたして、現地の警察等とも協力をして、まず事実関係の確認、事件の基本的な性格をつかむことを努力いたしたわけでございます。その間、ただいまも申し上げました省庁のみならず、総理府といったようなところにも連絡をとって、関係省庁の連絡を相互に緊密に保つことは常時留意してまいりました。そして、次第にこれは亡命ケースであるということがわかりましたので、それに伴っての人の処理と機体の処理ということについて、これまた関係省庁、法務当局も交えて実際上常に毎日連絡をとりつつ本件の処理に当たってきたのが実情でございます。
○渡部(一)委員 まあ、あなたは時間帯を抜かしておっしゃったからそういうことになるのでしょうけれども、それまで何日かかられたかをよく御反省をいただきたいのです。 もう一つ、時間がなくなってきましたから、私は申し上げますよ。この案件が片づかない理由のもう一つは、亡命ということをいま橘局長はおっしゃった。ところが、日本政府の統一見解によれば、亡命の定義は不明なことになっているのじゃないですか。定義の不明なものを亡命と定義したのは、一体どういうわけなんですか。定義が決まってないのに、亡命と決定された。そして、外務省からきのう十月二日付で提出をいただいた書類によれば、「領空侵犯(亡命)軍用機に関する先例」となっている。法務省は亡命という定義は決めておらぬ、むずかしいんだ、わからないんだ、「いわゆる亡命事件調査表」こっちは「いわゆる」と入っているから勘弁しますよ。これは亡命と入っているじゃないか。 田中法務大臣は、政治亡命については定義づけずに、政治犯罪と政治難民について定義づけておる。また一九六八年の衆議院法務委員会において川井法務省刑事局長は、政治犯罪の解釈については、主観説と客観説が対立しておるだけでなく、最近では折衷説が出ておるなどと言って、これを片づけられた。一九六八年には、赤間法務大臣は、亡命者については、生命の安全、国益に反しないこと、公安に害がないことという三条件をつけられた。また外務省の中川条約局長は一九六二年八月、もう少し難民の定義等につきましての詳細なことを見きわめまして、各国の扱い、あるいは国際間における実際上の扱い方というようなものをもう少し見きわめました上で、難民条約に入るか入らないかを決めたいというようなことを言われた。難民条約に入るか入らないかは決まっていない。そしてそれと一緒に亡命の定義が明快でない。 私は最後に資料を全部述べ立てていきますが、昭和五十年六月二十五日稻葉法務大臣は「難民条約批准の問題は、お説のとおり、今日のこの段階で批准をおくらせるべき問題ではない、時期は熟しておる」と発言された。国内法の整備をすると述べられたが、あと何もやっていない。したがって亡命だかどうだかわからないじゃないですか。わからないものを亡命だと定義するから、こんなに混乱が起こり、騒動が起こる。亡命者の扱いについて、韓国からの亡命者は送り返す。ベトナムからの亡命者は追い出す。ソビエトだけは亡命者の言うとおり通す。大混乱の亡命行政が行われているじゃないですか。防衛庁が混乱するのは当然のことですよ。警察庁が困るのだって当然のことじゃないですか。これはどうなさるのですか。 亡命の定義をどうするか、難民の定義をどうするか、難民条約に入るか入らぬか、難民条約に加盟できるような国内法の整備をいつ行うのか、その四つを御答弁いただきたい。
○小坂国務大臣 難民の定義につきましては、これは条約局長からお答えを申し上げることにいたしたいと思います。 居住国に不満を持った者がわが国に対して避難をしてくる、そういう場合にどうしたらいいかということでございますが、難民条約及び難民議定書、これは難民の人権を保障し、その地位を安定させようとするものでございまして、その趣旨は私ども賛成しておるわけでございます。 しかしながら、この条約に基づきまして、難民に対して保護すべき事項はいろいろな面にわたっておりまして、わが国としては、たとえば出入国管理令であるとかあるいは初等教育であるとか、あるいは社会保障についての内国民待遇、その他国内の法令等のいろいろな整備の件がございますので、ただいま御指摘のように、そういう法令が整備されていない段階で、私ども条約を提案することはちょっとむずかしいという状況でございます。 条約上のむずかしい問題は、ひとつ局長の方から……。
○中島政府委員 本件ベレンコ中尉の問題と先生のいま御指摘になられました亡命との関係につきまして、一点解明さしていただきますが、ベレンコ中尉の問題について亡命と称しておりますのは、ベレンコ中尉がソ連の国を離脱してアメリカの領土的な庇護を求める、そういうことでアメリカに行きたいという希望を持ってその手だてとして軍用機に乗ってわが国に入ってきた。そういう意味で、それを恐らく亡命と、いま先生御指摘の書類には、亡命という言葉を使ったんであろうと思われます。 それが今度は、いま大臣から御説明がありましたいわゆる難民条約と一緒であるかどうかという点は、ベレンコ中尉なる者が本国で迫害のおそれがあるという十分な理由があったかどうか。これは先生御承知のように、難民条約の難民の定義でございますけれども、あの定義は、たしか、政治的な理由とか人種とか宗教とかそういう理由のために本国で迫害のおそれがあって、そのために国外にある者、それからそれにプラスいわゆる無国籍者を含んでいたと思いますが、そういう定義に該当するかどうかという点は、必ずしもそうではないんだろうと思いますが、いずれにしろ、難民条約は、先生もよく御存じのとおり、そういう難民に対して国内でどういう待遇を与えるかという条約でございまして、本件の場合には、ベレンコなる中尉がアメリカに行きたいということで日本に不法入国してきたという事案でございまして、それを亡命と申しましたのは、要するに、アメリカに行ってアメリカに滞在したいという気持ちを持ってやってきたということを便宜亡命と称していたんだろうと思います。
○渡部(一)委員 いま中島局長の御答弁を伺っていますと、亡命についての定義に触れることなく、今回のベレンコ出国——出国と言っておきましょうか、ベレンコ出国というものは、亡命という言葉をもって充てて臨時に述べておるのだ、こう述べているように聞こえるわけですね。 結局、定義をいまされているわけではない。今国会で何回も議論されているのですが、政治亡命とそれから政治難民、こうしたものの定義を明快にしていただかなければ話が進まない。 そしてまた、それらに対する取り扱いをどうするかについて、いまケース・バイ・ケースというようなお言葉もありましたけれども、そのケース・バイ・ケースでは話にならない。こういうケースはこうというふうにその処理の態様を分けてもらいたい、そして当委員会に御提出をいただきたいと思うのです。 なお、大臣が国内法が完成しない前に難民条約に入るわけにいかぬと言われたのは、それは答弁としては後退なんです。少し前の答弁ですね。最近はもうちょっと進んでいまして、稻葉さんは、難民条約に入らなければならなくなった、国内法も整備するようになってきたとまで言っておられるのですから、そこは法務大臣とお打ち合わせになって今後進めていただかなければならぬと思うのです。それはおわかりいただくと思うからいいけれども、その亡命、政治難民という定義をひとつ明快にしていただきたい。そうでなかったら、韓国の亡命者は送り返した、あるいは台湾からの亡命者は送り返す、中国大陸のは送り返す、ソ連からのだけは通す、こういうような非常にばらばらなやり方はとうてい説明がつきかねる。だから私申し上げておるのです。これについて明快な御答弁を——きょうはとても無理だろうと思います。後ろで御相談の御様子を見てもとてもだめという感じが私しますが、御答弁になるならしていただいて、だめならこの次の委員会までに明快な御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。だれか一括して……。
○小坂国務大臣 日本に亡命したい、こういういわゆる難民か亡命か、その辺がなかなかむずかしいわけでございますが、そういうものについての規定は実はないのでありますけれども、いままでの慣習上、ほかの国に行きたい、そういう希望については、本人の希望に沿うてその国に送っておるという慣習があるわけでございまして、今度のベレンコの場合も、本人のアメリカに行きたいという希望に沿うておるわけでございます。 それから、難民条約の問題につきましては、先ほども申し上げたように、国内法の整備されていないのはそのとおりなのでそこを申し上げたわけでございますが、これを整備せよというお話はそのように私も承りまして、法務当局にもさような御意思を伝え、できるだけ御期待に沿うようにしたいと思います。
○中島政府委員 まさに先生御指摘のとおりに、亡命とか難民とかいうのはさまざまな意味に使われておりまして、またおっしゃられる方々によってそれぞれ違うということで、大変混乱をしておることは事実でございます。学者先生方の御諸説にもまた、それぞれの先生方がそれぞれの意味でやっておられる、そこに混乱がある、こういう御指摘は全くごもっともだと思うのでございますが、私、とりあえず一般的に、これはみんなが必ずしもそういう使い方をしているという意味で申し上げるわけではございませんけれども、ごく一般的に国際法との関連で申し上げれば、亡命と称するのは、亡命が問題になるのは、これは先生には釈迦に説法で申し上げるのも気がひけますけれども、いわゆる領土的庇護との関係で、普通何らかの理由で迫害のおそれがあって本国を出て他国への入国、滞在を希望する、そういう意味で他国の領土的な庇護を求めるものを亡命と称することが一般国際法の議論では多くございますし、他方、難民と称するのは、そのような亡命者をも含むこともありますけれども、むしろ一般国際法上議論されます観点は、政治的な迫害というようなことがあるかないかということを問わず、いずれにしろ、何らかの理由で自分の国籍のある国または通常居住する国を離れて、それは場合によればみずからの意思で離れておる者も含みまして、何らかの理由で、よその国にあってもともとの本国の保護を受け得ない者に対して、いまいる国においてどういう待遇を与えるかという問題として取り上げられておる、いわゆる難民条約というものも、いま申し上げた後者のような、基本的にはそういう性質の条約であろうと私は理解いたしております。 先ほども申し上げましたように、難民と亡命とを明確に定義せよというお話になりますと、全く先生おっしゃられるように、使う人の使い方によりましていろいろ違うものでございますからなかなか明確なことを申し上げられない、一般的な状況でございますが、御説明させていただきます。
○渡部(一)委員 いま条約局長は初めてその辺まとめてお答えになりましたが、これは法務当局あるいは他の所管官庁とも協議をなさらないとまずい問題を含んでおりますから、その扱いも含めまして、この定義も含めて、次回までに政府側の統一見解としてお示しをいただきますよう、このごたごたした議論に決着をつけるためそうしていただきたい。委員長の方から政府に対し御指示をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤本委員長 さようにいたします。 次に、永末英一君。
○永末委員 ミグ25事件について伺います。 ベレンコ中尉がわが国を出国するまでは、ミグ25に関する調査に対する防衛庁の立場は、言うならば、いろいろな罪名があったようでございますが、ベレンコ中尉の不法な入国に関する証拠物件として検察庁の依頼を受けて調査に従事しておった、こういうことでございました。さて、ベレンコ中尉がアメリカに向けて出国をいたしました後で、防衛庁が主体になって調査をされてきたのでありますが、それはどういう法律根拠に基づき、どういう機関でそれが決められたか、御報告を願いたい。
○伊藤(圭)政府委員 防衛庁では十一日から防衛庁独自の調査を行っておりますが、これにつきましては、防衛庁は、防衛庁設置法第五条によりまして、領空侵犯に対する措置をやることになっております。そして、自衛隊法八十四条によりまして、領空侵犯に対する措置をやる任務を与えられております。この任務を行うために必要な調査ということで実施いたしておりますが、このことにつきましては、防衛庁としても当然と考えておりましたし、関係各省庁との間の合意もそのとおりでございましたので、それに基づきまして実施をいたしております。
○永末委員 それに、飛行機が最初から勝手に飛んでくることはないんで、必ず人が乗ってくる。防衛庁はいまそうなっているとおっしゃったけれども、なぜそれが当初から行われなかったのか、御説明願いたい。
○伊藤(圭)政府委員 最初警察と検察庁がいわゆる刑事事件として捜査に着手いたしましたので、関係各省の間の合意として、とりあえず刑事事件として調査を行い、その後、防衛庁の調査をやるというふうに合意されたわけでございます。
○永末委員 しかし、あなたがいま報告なさったように、防衛庁が防衛庁設置法並びに自衛隊法に基づいて調査をしておる。であるならば、同様な事件もしくは類似の事件、こういうものが起こった場合には当初から防衛庁が調査をされる、こういう方針が政府として固まっておると承ってよろしいか。
○伊藤(圭)政府委員 調査には、もちろん防衛庁の調査もありますし、その刑事事件の捜査もあるわけでございます。したがいまして、その順序はそのときどきの状況によって違うかもしれませんけれども、防衛庁が一番先にやるということもあり得ると思います。
○永末委員 防衛庁長官に伺いますが、平時においてこのような事件というのはきわめて異常な事件で、したがって、これに対する政府の対処の仕方というのは、やはりケースを見きわめつつはっきり決めておくべき問題ではなかろうか。特に今回の問題で明確なのは、たまたまそれが亡命であり、自発的にあちらの方から、しかも民間空港に着陸をしてきてからの事件でございますけれども、その着陸が行われるまでは、一体それは武力による攻撃の意図があるのかないのか、これはだれにもわが方にはわからなかった問題である。したがって、領空侵犯の事実は、わが方のレーダーに映って以来、そしてある時間が来ればはっきりわかっておることである。であるならば、その限りにおいては防衛庁がわが国の機関の一番先頭に立ってこれに対処しなければならない。だといたしますと、その続きとして、これらのものが着陸をいたしましたときにも、防衛庁が最初にタッチするのは当然ではないかと私は思いますが、そういうことは政府の中で合意は見ていないのですか。
○坂田国務大臣 いま先生おっしゃいましたとおりに私は考えておるわけでございますが、今後のこともございますので、各省庁一致した見解として政府としての統一のことは今後決めたいというふうに思っております。しかし、大体先生のおっしゃるような方向で決まるものというふうに確信をいたしております。
○永末委員 この事件が起こりました六日の夜以後、ソ連側からのいろいろな反応があったと伝えられております。その反応の態様と、これに対するわが方の対処の仕方を御報告願いたい。
○橘政府委員 ソ連側からは、事件が九月六日の午後起こりまして、その午後のうちにもわが方にも事実を問い合わせることから始まるわが方への接触が始まっております。当方も、事実関係において所要のことはソ連側に連絡、知らせてはおりました。それから、ソ連側からは、もうその翌日ぐらいからパイロットと機体の即時返還あるいは機体についての不可侵権という立場を口頭でわが方に申し入れてまいりました。九月九日には、先方のいわゆる日本政府に対する声明なる文書も持って、わが方に先方の立場を申し入れてまいりました。わが方としては、その間常にわが方の立場を先方に説明をし、反駁すべきところは反駁しておりました。
○伊藤(圭)政府委員 ソ連側の軍事的な対応といたしましては、六日の夜二機の飛行機がわが方のレーダーでつかまえられました。そして、それに対しましては、千歳と小松からスクランブルに上がりました。その日は、翌朝の午前二時ごろまでやはり航跡が認められましたが、これはわが方に向かっている航跡ではございません。それでスクランブルには上がりませんでしたが、航空機のそういう動きがございました。それから、艦艇等につきましては特別な動きはございませんでした。しかしながら、私どもの方といたしましては、まず飛行機に対しますスクランブル態勢といたしましては、通常の五分待機二機というのをふやしまして、待機の姿勢をとりました。 それから、海上交通の船舶に対しましては、監視態勢をとりまして、とりあえず大湊の艦艇があの津軽海峡を通っておりますソ連の艦船に対しまして監視をいたしましたし、その後、横須賀の方から船を増強いたしまして、多いときには九隻程度の船が津軽海峡を通航するソ連の艦船に対しまして警戒をいたしました。 陸上自衛隊は、函館に二十八普通科連隊がございますが、あそこにおります隊員は、夜間の外出等をやめ、待機の態勢をとって、ミグ25が函館を離れるまで警戒をいたしておった次第でございます。
○永末委員 自衛隊の行っております調査は完了いたしましたか。
○伊藤(圭)政府委員 ほぼ完了いたしまして、現在、返還のための解体作業に入っております。
○永末委員 その完了というのはどういう意味なんですか。何と何とを調査されたのですか。
○伊藤(圭)政府委員 今度の領空侵犯というのは非常な低高度で入ってまいりました。そして、わが方のいわゆる防空監視態勢を突破して入ってきたわけでございます。そういったものに対するあの飛行機の性能、能力、さらに軍用機でございますので、あの飛行機が持っております航法装置、その中に日本の安全にかかわりのあるいろいろな地勢あるいは防空態勢で交わされます通信、レーダー等の記録、そういった一連のものを調査いたしたわけでございます。
○永末委員 相手方の射撃管制装置なども調査項目に入りますか。
○伊藤(圭)政府委員 詳しくは聞いておりませんけれども、領空侵犯の措置といたしましてそういうものも必要だという判断のもとに調査をいたしたと思います。
○永末委員 あなたが聞いてなければ、シビリアンコントロール、はっきりしませんな。あなたのところには報告があり、防衛庁長官は知っていなければなりませんね。そうですね、防衛庁長官。
○坂田国務大臣 当然火器等につきましてもやっておるわけでございます。
○永末委員 外務省は、大臣がグロムイコ外相とお会いされたときに機体返還を申し出られたという話でございますが、機体返還をすべきものであるということはいつ御決定になったのですか。
○橘政府委員 この事件が——これは亡命という定義はあれでございますけれども、亡命のパイロットによって運航されてきた機体で強行着陸して、その間領空侵犯を行ってきた、そういう事件の性格が明らかになるにつれまして、そうしたものについての国際法上の立場あるいは類似の状況で起こりました他の国における状況、それらを考えまして、最終的には機体は何らかの形で返還されておる、そういう実際上の事例も多いということを念頭に置きながら本件の処理にずっと当たってまいりました。
○永末委員 当初、早速にも返すようなことを申されましたが、その後自衛隊が調査をするということで、機体はばらばらにされて、百里基地に移されて調査が実施せられた。先ほど防衛庁のお話では、調査はほぼ完了したというのですが、自衛隊側から調査は完了したという報告を受けてから返還を決定されたのですか、それとも初めから返還をすることを決めており、その交渉をする態度で臨んでおられたのですか。どちらなんです。
○小坂国務大臣 調査は、国際慣習上、慣例としてやっておるわけで、自衛隊としてはスクランブルをし、調査をするという権能を持っているわけでございますが、これをどうするかというと、やはり他の例等も勘案しまして返すべきものだろうというふうに私ども考えまして、防衛庁長官にもお伺いしたら返してよかろうというお話で、私がグロムイコソ連外相に会ったときに返すという意思を伝えたわけでございまして、意思を伝えたときに最終的に日本の意思は決定したというふうに御理解をいただきたいと思います。
○永末委員 外務大臣、相手方の外相は、結構でございます、では、返していただきましょうと言いましたか。
○小坂国務大臣 そうかということでありました。
○永末委員 私もそうかと聞かざるを得ないのでありますが、この事件については日ソ両国に非常な見解の差異があると伝えられております。たとえばソ連側は、ベレンコ中尉は不時着陸したと言い、日本側は、これは亡命のためにやってきたのだと言う、この点は解消しましたか。
○小坂国務大臣 抑せのとおりでございまして、どうもグロムイコ外務大臣の話では、何か無理やりに事実をでっち上げて、本来は、友好国であるならば機体も人も即時に返すべきものであるのにかかわらず小さな問題を大きくしているのは日本側である、そういうようなお考えでございました。しかしその前には、直接そのお話はございませんでしたが、私の方の関係者が先方といろいろ話をしているときには、いま抑せのように、本人は給油のために不時着したのだ、ところがそれに麻薬か何かかがせて、妙な意思を述べさせて、大体ソ連の大使館員に対しても面会もさせなかったじゃないか、そういうようなことでありましたので、そうではございません、ちゃんと本人の意思を確認して、本人の書いた文書もございます、さように亡命を希望しているのであります、それから大使館員に会いたくないと言っているのに会わせました、それも何か三十メートルも先で会わしたような話だが、そうじゃなくて部屋の中でちゃんと会わせました、そういう話をいたしたわけでございます。その辺の両方の見解といいますか、見方といいますか、それはそうかというわけにはなかなかいかないので、ぜひソ連に了解してもらうように努力を重ねたいと思っております。
○永末委員 いま大臣が言われましたように、わが方がこの事件に関して承知している事実とソ連がこうだと思っている事実には非常な開きがある。したがって機体が返還されればこの事件は片づくのではなくて、むしろもうすでにべレンコ中尉はアメリカに行ってしまっておる。まだ日本におるという説もございますけれども、アメリカに行っておると私は思いますが、問題は、そういう誤解があるとしますと誤解を解かなければならぬ。それから機体の返還もまた、そうなりますと誤解を解くための一つの手段でしょうね。そこで伺いたいのでありますけれども、この誤解を解くためにはどういう方法が必要だと思いますか。
○小坂国務大臣 私も新米でどうもよくわかりませんけれども、やはり事実は一つしかないものでございますから、事実を事実としてたび重ねて言うということしかないと思うのでございます。真実は真実ですし、私どもも全く先方の言うようなことを考えておりませんわけですし、先ほどの御質問の中にも、何かソ連側がおっかさんと細君を連れてきていろいろ言わしているというような話もございましたけれども、やはり事実は一つだということでございますから、よくその実情を繰り返し繰り返し先方に言うということかと思うのでございます。先ほどもちょっと話がありましたが、何かソ連側は傷に対して塩でも塗るような、顔を逆なでするような気持ちを持っておるというふうなことも言われますので、これはそういう意図ではなくて、領空を侵犯されて、しかも民間空港に強行着陸をされてその調査をするということは、どこの国でもやっている当然のことなんだということを私はグロムイコ外務大臣にも申したわけなんでございますが、できるだけそういう線で努力してみたいと思っておるわけでございます。
○永末委員 ソ連が不時着陸だ、こう言っておる限りにおいては領空侵犯ということを認めないのだと思いますね。したがってわが方が最初ソ連から公式の接触があった以後、領空侵犯に対する——領空侵犯はわが国にとって不法行為でございますから、遺憾の意も何も表明されぬのは驚くべきことである、こういう意見を外務省筋が言われたというのですが、不時着陸だと相手方が思っている限りにおいては遺憾の意は表明されない。 さて、先ほど公式に、わが国の外務大臣である小坂さんから相手方の外務大臣に機体を返還しようと言われたというのですが、遺憾の意を相手方が表明しなくても機体は返還されますか。
○橘政府委員 九月二十九日、小坂大臣からグロムイコ大臣に返還の方針を伝えられまして、その後十月二日には、在京のソ連大使館員に対して、十月十五日以降返還の用意があるということを伝えてございます。そのときには、特に遺憾の意の表明とか特定のそういったようなことを条件とはしておりません。 なおこういう亡命のケースは日本は初めてでございますが、ソ連あるいは東欧の飛行機が西欧等に行ったケースは過去にも幾つか相当の件数、私どもの知っている中でもございます。恐らくそれはいずれも亡命のケースとしてその国に受け入れられたり、第三国に行ったりしておるわけでございますが、ほとんどの場合、その場合でもソ連あるいは東欧側はそれが亡命であるとかいうことはなかなか公には認めておらないようでございます。
○永末委員 その話の中で、ベレンコ機が着陸をいたしましたときに、函館空港の施設を破壊をしてみたり、あるいはまたその飛行機を百里に輸送する、これから、百里からどうするかわかりませんが、ソ連に送るところへ輸送する費用や損害賠償の費用、こういうものをソ連側に支払えと言われたそうでありますが、支払うということは機体返還の条件ですか。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
○橘政府委員 今度返還と申しますか、向こうへ引き渡すための輸送とか梱包とかに必要な経費もございましょう。あるいは、いろいろ函館空港等における損害という問題もございますので、これらについては十月十五日、機体を引き渡す用意ありということを言った際に、あわせて先方に申し入れてはございます。特に、条件とかそういうことではございませんが、今後具体的な引き渡しについては、細かい技術的な話し合いということも細目としては要ると思いますが、わが方のそういういまの金の面での申し入れに対するソ連側の反応はまだ何も来ておりません。
○永末委員 この事件の発生する直前からではございますけれども、日本漁船のソ連官憲による拿捕が非常に異常な程度に高まっております。しかも、また日航の交代乗務員がモスクワに行ったときに、ビザがないとかなんとかで追い返されるというような事件もございました。これらの事件を見て、いまソ連側はミグ25事件に対して日本側に報復手段を講じているのだという説があります。外務大臣は、これらの事件についてどのような評価をしておられますか。
○橘政府委員 事実関係につきましてまず申し上げたいと思いますが、最初の漁船の拿捕でございますが、九月六日にこの事件が起こりまして、それ以来、現在までにいわゆる拿捕が七件ございます。ただ、昨年も九月、十月、十一月とかなりの拿捕件数がございまして、そういう意味では特にここでことしふえたとも言えない。ただ、やはりニューヨークでの両外務大臣の間のお話にもございましたので、わが方としては、出漁に当たっては恐らく行かれる方もいろいろそういう点では警戒はしておられると思いますが、現実の数字はそういうことでございます。 それから、日航の乗務員につきましては、これは簡単に申し上げますと、全く向こうの内部の事務的なミスでございまして、新しい乗務員の交代に必要な手続は実は先方から正式の口上書でオーケーというのが事前に来ておりました。ただ、それが末端の現場にその新しい乗務員のリストが行っていなかった。そこへ、こちらから新しい乗務員がモスクワに着いた。そのために現場でチェックができなくてこちらに引き揚げてこざるを得なかったということで、本件は四日の日にすでに先方としてもすべてオーケーであるということを言ってまいりましたので、今度のミグの件とは何ら関係のない件でございます。 なお、こういう件は過去においても実は数回起こったケースがございます。
○永末委員 小坂外務大臣はグロムイコ外相に会われて、このミグ25事件というものが日ソの友好関係にきわめて著しいきしりを与えておると見られましたか、それとも努力をすれば、機体の返還等々の努力をすれば氷解する事件であるという御感触を得られましたか、いずれですか。
○小坂国務大臣 私の印象は後者でございます。 私ども正しい国際的に認められていることをやっているわけでございまして、報復ということがよく書き物などに出ることもございますけれども、報復というのは悪いことをやったときにそれに対してのしっぺ返しでございまして、これは非常に不幸な事件で、日本の政府や日本の国民の意思に反してベレンコなる者が領空侵犯をしてきた、それから生じた問題でございますし、私は返すということを先方に通告いたしましたので、これによりまして時日の進行とともに事態が改善されるというふうに思っておる次第でございます。
○永末委員 先ほど同僚の水野議員から、北方領土返還に関してソ連側が戦略的な観点でなかなか返還にがえんじないのではないかという点に触れまして、それはソ連艦隊がこの海峡を通過する利便を失うからだという説明がございました。 防衛庁長官、この話は国防会議に出たようでございますが、あの辺の海は冬氷結いたします。しかし国後、択捉両島間の海底は氷結しないので、潜水艦の通航が可能である。だといたしますと、ソ連側の潜水艦というのは冬季太平洋に出るためにきわめて重要な航路になる、こういう計算になるわけでございまして、そういうことに関するあなた方の評価はいかがですか、最後に承っておきたい。
○伊藤(圭)政府委員 ソ連の海軍にとりましてやはり太平洋に出る航路というのを確保するのは非常に重要な関心事であろうと思います。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたような意味で、あの二つの島はやはりソ連にとっても深い関心を持っているというふうに判断いたしております。
○永末委員 答弁まことに空々漠々でございますが、時間が参りましたので、質問を打ち切ります。
○竹内(黎)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十七分散会