ロッキード問題に関する調査特別委員会 第8号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/11/02
会議録
○田中委員長 それでは、これより委員会を開会いたします。 ロッキード問題に関する調査を進めますが、質疑に先立って、委員長たる私より総理並びに法務大臣に対して一つの提案を申し上げたい。 ロッキード問題がこのまま推移をいたしますと、会期わずかである、ロッキード問題の、ことに灰色高官の名前を発表せないままでこの国会が終わるおそれなしとしない。政府、お困りでしょうが、国会も困る。この委員会は、今日までの審議で、いわゆる灰色高官の基準を定めることにつきましては与野党いまだに一致を見るに至っておりません。 そこで、委員長が一つの提案を申し上げるわけでありますが、従来の委員会及び理事会の審議の経緯にかんがみ、時効で不起訴になった者、職務関係はないがトライスターの売り込み等に関して金銭を受け取った者など五名、すなわち三十ユニット関係五名をとりあえず政治的道義的責任がある者といたしたいと存じます。 ついては、この五名について氏名及び受け取った金額並びに事実関係についてその資料を御発表を願いたい。 なお、重要なのは全日空のプール資金に関する十三名についてであります。この十三名についても政府の積極的な資料提出の御協力を願いたい。 しかし、これに関しては、公開の委員会では困るというお説であるならば、秘密会の御要求が政府からあるならば、委員長は秘密会にする用意がございます。 いかがでしょう。まず総理大臣から御答弁を願います。(発言する者あり)ちょっと、静かに。
○三木内閣総理大臣 委員長、秘密会をお願いいたします。
○田中委員長 三木内閣総理大臣。ちょっと聞こえなかった。
○三木内閣総理大臣 できるだけ協力を申し上げたいと思いますので、秘密会にお願いをいたします。
○田中委員長 それでは、秘密会において言明をしたいということでございます。(発言する者、離席する者あり) それでは、これから秘密会といたしたいと存じます。 それで、まず……(「ちょっと待って。理事会を」と呼び、その他発言する者あり)—— いまのを理事会にしたらどうです。ここで理事会があったこととして、早く重要な話を先に聞いた方がいい。 それでは——ちょっと諸君、着席をしてくれ。ただいまから、本問題に関し重要な事項を審議いたしますので、理事各位で協議のとおり、この委員会は秘密会にいたしたいと存じますが、委員諸君の御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めて、さよう決定をいたしました。 それでは、議員——衆議院議員、参議院議員という意味でありますが、議員、政府関係者、当委員会の事務を担当する職員以外の方は、まことに恐縮に存じますが、御退席を願います。まことに申しわけありません。 ————◇————— 〔午後八時四十分秘密会に入る〕
○稻葉国務大臣 ただいまの委員長の御提案により政治的道義的責任ありといたされました五名、すなわち、時効で不起訴になった者と、職務権限はないがトライスターの売り込みに関して金銭を受け取った者、すなわち三十ユニット関係五名につきまして、とりあえず、その人名、受け取った金額及び事実関係について口頭で資料を提供いたします。 なお、全日空のプール資金に関する十三名についてはでき得る限りの御協力をいたします。
○田中委員長 氏名公表は局長からやりますか。
○稻葉国務大臣 なお、全日空プール資金に関する十三名についても、基準をお決めいただければ、できるだけの協力をいたします。
○田中委員長 それで、その五名の氏名、金額……。
○稻葉国務大臣 資料の正確を期するため、刑事局長をして説明いたさせます(「それは大臣がやることだ」と呼ぶ者あり)
○田中委員長 要らぬことを言うな。静かに、静かに。委員長にお任せ願います。 それから、安原君、速記もおりますが、速記は見られないのです。それで、ここもみな筆記をしておりますから、できるだけゆっくり言ってください。ゆっくりお願いします。時間はかかりません、わずか五名のことだから。ゆっくり……。
○安原政府委員 まず、ロッキード社から流入した金員そのものの授受はあるが請託の事実が認められないため単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められる者三名につきましては、ただいま委員長の御提案で政治的道義的責任がある者という御認定でございますので、その氏名等を申し上げますと、第一は前内閣総理大臣の田中角榮氏でございまして、その理由は、ロッキード事件の捜査の過程において得られました資料、すなわち全日空関係者及び丸紅関係者の供述や米国におきます嘱託証人尋問の結果等によりますれば、田中角榮氏は、昭和四十七年七月七日から同四十九年十二月九日までの間、内閣の首長である内閣総理大臣としての職務に従事していたものであるところ、昭和四十七年十一月十六日ころ東京都内において全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治氏らより依頼を受けた丸紅株式会社取締役伊藤宏から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニットの領収書に見合う三千万円一部である現金一千万円を全日空がL一〇一一型航空機を導入することについて内閣総理大臣として尽力した謝礼の趣旨のもとに、榎本敏夫を介して収受し、もって右職務に関して収賄したと認められますが、請託の事実が認められないため、単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められるものでございます。理由は、先ほどロッキード事件の捜査の過程において得られた資料、すなわち全日空関係者及び丸紅関係者の供述と米国における嘱託証人尋問の結果等から、さように認定がなされたということでございます。 それから、その次に同じくこのカテゴリーのもう一人の方は、元運輸大臣佐々木秀世氏でありまして、佐々木秀世氏は、昭和四十七年七月七日から同年十二月二十二日までの間、運輸大臣としての職務に従事していたものであるところ、同年十月三十一日ころ東京都内において全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社秘書課長副島勲から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニットの領収証に見合う三千万円の一部である現金三百万円を全日空がL一〇一一型航空機を導入するに際し、事業計画の変更などについて種々便宜を取り計らわれたい趣旨のもとに収受し、もって職務に関して収賄したと認められますが、請託の事実が認められないため、単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められるものであります。これを認定した理由は、証拠関係は、ロッキード事件の捜査の過程において得られた資料すなわち全日空関係者及び丸紅関係者の供述、米国における嘱託証人尋問の結果等に徴して、この認定がなされたものでございます。 このカテゴリーの三番目の方は、元運輸政務次官加藤六月氏でございまして、加藤六月氏は、昭和四十七年七月十二日から同年十二月二十六日までの間、運輸政務次官としての職務に従事していた者であるところ、同年十一月一日ころ、東京都内において全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社秘書課長副島勲から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニットの領収証に見合う三千万円の一部である現金二百万円を全日空がL一〇一一型航空機を導入するに際し事業計画等の変更等について種種便宜を取り計らわれたい趣旨のもとに収受し、もって右職務に関して収賄したと認められますが、請託の事実が認められないため単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められるものでございます。その認定の証拠は、同じようにロッキード事件の捜査の過程において得られました資料、すなわち、全日空関係者及び丸紅関係者らの供述、米国における嘱託証人尋問の結果等によるものでございます。 次に、ロッキード社から流入した金員そのものの授受はあるが、証拠上職務に関する対価であることが認定できないため収賄罪の成立は認められないが、この金員授受の趣旨がロッキード社の航空機売り込みと関連があると認められるものというカテゴリーも、委員長提案により政治的責任、道義的責任あるものとされておりますので、これによります二名の方につきまして御報告申し上げます。 第一の方は、元内閣官房長官二階堂進氏でございまして、同氏は、昭和四十七年七月七日から同四十九年十一月十一日までの間、内閣官房長官であった者でありますところ、昭和四十七年十一月初旬ころ、東京都内において全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより委頼を受けた丸紅株式会社取締役伊藤宏から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニットの領収証に見合う三千万円の一部である現金五百万円を全日空がL一〇一一型航空機を導入することについて尽力した謝礼の趣旨のもとに受領したと認められまするが、この金が内閣官房長官としての職務に関する対価であることが認定できないため、収賄罪の成立は認められないものでございます。ロッキード事件の捜査の過程において得られました資料、すなわち、全日空関係者及び丸紅関係者の供述や米国における嘱託証人尋問の結果等によりまして、このような認定がなされたものでございます。 もう一人の方は、衆議院議員福永一臣氏でございまして、同氏は、衆議院議員であり、かつ、自由民主党航空対策特別委員会の委員長でありますところ、昭和四十七年十月三十一日ころ、東京都内において全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社秘書課長副島勲から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニットの領収証に見合う三千万円の一部である現金三百万円を全日空がL一〇一一型航空機を導入することについて尽力した謝礼の趣旨のもとに受領したと認められまするが、この金員が衆議院議員としての職務に関する対価であることが認定できないため、収賄罪の成立が認められなかったものでございまして、この認定に当たりましてもロッキード事件の捜査の過程において得られました資料、すなわち、全日空関係者及び丸紅関係者の供述、米国におきます嘱託証人尋問の結果等によりましてかような認定がなされたものでございます。 以上五名につきまして、その氏名と金額とその理由を申し上げた次第でございます。
○田中委員長 内閣総理大臣及び法務大臣にさらに私からお尋ねをします。 この三十ユニット関係のものはそれでわかりましたが、全日空プール資金関係の十三名というものについては、当委員会は非常に高い関心を持っております。これについても何とか御協力が願えないか、これはいかがでしょう。
○稻葉国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、当委員会において政治的道義的責任ありとの基準が決まれば、でき得る限りの御協力を惜しむものではありません。
○田中委員長 それでは、皆さまから質疑があれば御質疑を承りたいと存じますが、質疑の順序によってこれを許すことにいたします。 秘密会は、やはり秘密報告に関する質問でありますから、秘密会はこのままでやってよろしゅうございますね。 〔「異議なし」「野党質問だから公開しよう」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 実のある質問をするにはこのままがいいのじゃありませんか。——ちょっと理事諸君、ここへ集まってくれ。 ちょっと諸君にお諮りをします。 ただいま報告のありました政府の答弁は、いずれも秘密事項であります。この秘密事項に対する質問は、同様に秘密の扱いにすることが妥当であると委員長には思われる。委員長に任されたい。 〔「異議なし」と呼びその他発言する者あり〕
○田中委員長 委員長にお任せをいただいたものと認めて、委員長は秘密会のまま継続をいたします。 質疑を継続いたします。田中武夫君。 〔「委員長、議事進行について発言をします」と呼び、その他発言する者あり〕
○田中委員長 田中武夫君。——田中武夫君、先に発言を許しますか。
○田中(武)委員 いや、秘密会に関することを聞くということになれば質問します。それがまだ決まっていません。
○田中委員長 秘密会に関することについて御質問を願いたい。
○田中(武)委員 決まっていないから発言できません。
○田中委員長 おい、こっちの理事は向こうへ行って話をまとめてくれ。
○田中(武)委員 まず委員長に質問します。 なぜ、この後引き続いて秘密会にする必要があるのですか。なぜ、引き続いてわれわれの野党質問を秘密会でやる必要があるのですか。
○田中委員長 大多数の諸君の御意向が引き続き秘密会でやれとの御意向であったので、私はそう決定をしたのです。
○田中(武)委員 自民党だけじゃないですか。
○田中委員長 自民党だけじゃないですよ。大多数が……。それじゃ諮ってみましょうか。引き続き……
○田中(武)委員 何が秘密か。
○田中委員長 そんなに因縁がつくのはおかしいことはないか。
○田中(武)委員 いま発表されたのが秘密で、それ以外のことが秘密でないのか。
○田中委員長 それなら理事同士で相談してみて、それに従いますから。—— それでは皆さん、議席にお着きください。 委員長からお諮りをいたします。 これより秘密会を継続してやるか解除をするか、その決定方は委員長に御一任を願いたいと存じますが、いかがでしょう。 〔「異議なし」「だめだ」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 それでは御一任を願ったことにいたします。 ついては、これから秘密会を解除をいたしまして質問に入りますが……(「だめだ」と呼ぶ者あり)ちょっと待った、ちょっと待った。その質問は五名の人名には絶対に触れないこと。(「報告の材料に触れてもだめだ」と呼ぶ者あり)いやいや、人名さえなければ、報告の材料に触れることはやむを得ません。人名に断じて触れないことを条件といたします。 それでは、秘密会を解除いたします。(発言する者あり)それ以外にやる道がない。もめて時間がかかる。まあ任しておけ。(「委員長、横暴ですな」と呼ぶ者あり)横暴でもしょうがない。解除。秘密会を解除します。 〔午後九時十分秘密会を終わる〕 ————◇—————
○田中委員長 記者団の諸君、もう大体お入りになりましたか。——もういいですか。 それでは田中武夫君。
○田中(武)委員 私は、灰色公表について総理にその所信を伺いたいのでありますが、その前に、先ほどの予算委員会で小佐野賢治君の告発が決定いたしました。したがって、予算委員長から正式な手続がとられると思います。その場合、総理あるいは法務大臣、その予算委員長の告発書が出た場合にどのようにやられるおつもりか、それをお伺いします。
○稻葉国務大臣 田中委員も御承知のとおり、予算委員会の告発は委員長を通じて、委員長から検事総長になされます。したがって、検事総長はこれを受けて、その処置を誤りなくいたすものと信じております。
○田中(武)委員 予算委員長から検事総長へ書類が出たら、それは誤りなくやる、当然です。私がお伺いしたいのは、もう恐らくこの国会、本日が質問の終わりになるのではなかろうかと思います。したがって、予算委員長の告発書ば出ますが、それを待って質問の機会がありませんので、そこで申し上げておるわけなんです。予算委員長の告発を受けた場合に、それは厳正におやりになることは当然です。 私が次にお伺いしたいことは、間もなく選挙になることは当然であります。この総選挙というものと告発の取り扱いについて、これは検事総長が行いますから云々で逃げるかもわかりませんが、政治的に何らの配慮はないものと思うが、いかがです。
○稻葉国務大臣 私も総理大臣も、ロッキード事件に関する中間報告をいたした際にも申し上げましたとおり、基本的な態度として一切の政治的介入を検察庁にいたさないという方針を堅持しておりますことによって、御了承賜りたいと存じます。
○田中(武)委員 それでは、仮に総選挙の最中であっても、必要ならば逮捕その他は行われると解釈してよろしいね。
○稻葉国務大臣 その判断は、一にかかって検察庁の判断によることでございます。
○田中(武)委員 言うまでもないが、そういうことについては、政治的配慮というものは全然ないと確信を持って御答弁できますね。
○稻葉国務大臣 確信を持ってお答えいたします。そのとおりです。
○田中(武)委員 それでは、総理、このいわゆる三十ユニット関係、時効の完成によった者が三名、権限なしということで起訴にならなかった者が二名、合わせて五名、これらの人は、もちろん選挙に出ないという人がおられるかどうかわかりませんが、これ、すべてが自民党として公認をしておられます。そういう人に対して、その氏名がいま秘密会でありましたが、やがて公表せられると思いますが、公認ということについて、総理・総裁としてどのようにお考えですか。
○三木内閣総理大臣 自民党にはいろいろ選挙対策委員会等もございますし、まあ、われわれとしては、そういうふうな機関もございますものですから、いまここで、この問題についてこういう場面でどうこうするということは申し上げる限りではございません。
○田中(武)委員 もちろん党内にはそれぞれの機関があると思います。しかし、総裁として、少なくともこれは政治的道義的責任ありという人なんですね。こういう人を公認して、公党としていかがでしょうか。そういうことで果たして国民が納得すると思われますか。いかがです。
○三木内閣総理大臣 自民党としてそういう問題は処理いたします。
○田中(武)委員 秘密会で出ておる。だからこれは名前を言いません。だがしかし、現実に公認を受けた人がおります。そういう人に対してどうするのか。しかも、これらの人は時効の完成、あるいはまたその職務権限等によって起訴できなかったというだけで、言うならば準クロ、クロに準ずるべき人なんです。したがって、政治的道義的責任は当然あります。これらの人を公認のまま自民党としておやりになるならば、天下の公党としての自民党はその責任をどうお考えですか。国民が納得すると思いますか。いかがです。
○三木内閣総理大臣 したがって、やはり自民党として、この問題はわれわれとして処理することにいたしたいと言っておるわけでございます。
○田中(武)委員 秘密会に入る前に、委員長ははっきりと政治的道義的責任ありということでこの三十ユニット関係は言われたのです。それにこたえて秘密会ということになったんでしょう。それならば、政治的道義的責任はあることは明確なんです。それらの人にあえて公認という党のべールを着せておやりになるのですか。総裁としていかがです。もちろん手続は党内的にはあるでしょう。他党の内政干渉はいたしません。ただ、総理・総裁としてどう考えておるのかということをお伺いしておるわけなんです。
○三木内閣総理大臣 だから、繰り返して申しておるように、この問題は自民党で処理をいたします。
○楢崎委員 関連。 三十ユニット関係について、これは政治的道義的責任あり、このように当委員会は認めたと思いますが、委員長、それを再確認をお願いしたい。
○田中委員長 道義的政治的責任ありと確信を持って確認をいたします。
○田中(武)委員 いま委員長が確認せられましたが、総理、いかがです。ならば公認をどうする。もう一度御答弁願います。
○三木内閣総理大臣 繰り返し申しておるように、そういう状態のもとにおいて自民党がこの問題は処理をいたします、こう言っておるのです。
○田中(武)委員 これ以上の答弁は、現在置かれておる三木さんの党内事情からいって無理かもしれません。したがって、角度を変えます。 総理は、何回も選挙前に、いわゆる灰色、政治的道義的責任のある者を発表し、そうして国民の選挙に対する態度決定の資料にしたい、こうおっしゃいましたが、いまでも考え方は変わっておりませんか。
○三木内閣総理大臣 変わっておりません。
○田中(武)委員 三十ユニットは一応しばらくおきます。 そこで次に、全日空の簿外資金関係、いわゆる九十ユニットと言われるものです。これは十三人ということははっきりしています。これらの人について総理はやはり政治的道義的責任は全くないと考えておられるか、いかがでしょうか。
○三木内閣総理大臣 ロッキードの田中君の御指摘の資金は、灰色高官として検察当局が国会において申し上げたわけではないわけですね。ロッキードの金の流れというものをいろいろと追及していくとこういうふうな流れになっておりましたということで、これは灰色高官ということでこのことを中間報告で申し上げたわけではないわけなんです。金の流れというものはこういうふうになっておったということでございましたので、この問題についてはいま申したように、国会においてこういう金の流れに対してどういうふうな判断を下されるかということは、十分国会の国政調査権のもとにおいて御審議を願いたいと思います。
○田中(武)委員 三十ユニットは政治的道義的な責任がある、だが九十ユニットについてはそれはないと確信を持ってお答えになるのですか。
○三木内閣総理大臣 先般の中間報告は全部政府が灰色だという断定のもとに申し上げたのではないんですよ。ロッキードの金の流れというものを追及したらこういうことでございましたということでございましたから、したがって、そのいわゆる灰色高官と言われておる問題としてこの問題をとらえるかどうかということは、国会において十分御審議を願いたいと思うわけでございます。
○田中(武)委員 どうも答弁が逃げの答弁というか、ごまかしの答弁ではなかろうかと思います。 それでは、この九十ユニット関係は十三名、そのうち三十ユニットとダブっている者が三名、さらにすでに起訴せられた者が二名おることは明らかであります。これらの人については、起訴者は当然クロですね。それから三十ユニットとダブっている三名については、これは先ほど来言っているように、政治的道義的責任ありということははっきりしていますね。いかがです。
○稻葉国務大臣 起訴者二名、それから道義的政治的責任ありと委員長が提案されて、委員会でお認めになった分の中から三名、このダブリがありますね。そのもとである起訴になった金額、それから政治的道義的責任ありと委員会がお決めになったうちの三名の三十ユニットの分については道義的政治的責任ありと思われます。
○田中(武)委員 そうしますと、十三名中五名ははっきりしました。十三からマイナス五、八、問題はこの八名ですね。そういうことになりますね。いかがです。八でしょう。
○稻葉国務大臣 十三から五を引きますから、八ということに相なるかと思います。
○田中(武)委員 それでは、中身というか、これから問題になるのは、さしあたってこの八名だと思います。そこで、これを氏名ないしその関連のものを公表しろ、こう申しましても、それは委員会において、国会においてお決めになる、こうおっしゃっておる。ところが、これはとうていあと一日、二日では与野党の合意に達しない。とするならば、結局は国会において合議ができなかった、そういうことで、これはそのままほおかむりで過ごされるつもりですか。
○稻葉国務大臣 検察、法務の立場といたしましては、国会がいわゆる灰色の基準、すなわち道義的、政治的責任ありと認定されないうちは、人名等発表するわけにはとうていまいりません。
○田中(武)委員 法務大臣あるいは検察はそうとして、総理は行政の最高責任者として、しかも中間報告で発表になった中から引き算をすると八名が残る、この人たちをそのままにしていいとお考えですか、高度な政治的判断においてお答えを願いたい。いかがです。
○三木内閣総理大臣 しばしば申し上げておりますように、政府がいわゆる灰色高官というものを仕分けをしてこれを公表するということは非常な弊害が伴う。したがって、われわれとしては、やはり国権の最高機関である国会の場において、いわゆる灰色高官と言われておる人の一つの基準とか範囲とかいうものはこういうものであって、それはやはりいまの八名ですか、該当するから、したがってこれの資料を提供せよというような形で提供することは、これは国政調査権に対して最大限度の協力をすると言っておるわけでございますから、協力をいたしますけれども、こちらが灰色ということで発表したのではないのです。金の流れはこうなっておるということであって、それをこちらの方からいわゆる国会が追及しようとしておる灰色高官なりと断定をして、政府がこれを公表いたしますことは、私はいまの場合は、田中君は発表するのは当然だとお考えになるかもしれませんが、政府が捜査資料に基づいて一方的にそういう断定を下しますことは、非常に私は政治の介入になるおそれがございますので、そういう点で国会においてそういう基準といいますか、範囲といいますか、これをお決めになって、そしてそういうもとで政府に資料を出せということでないと、いきなり政府が、いわゆる灰色高官ということで発表したのでないにかかわらず、その名前を公表するということについては、やはり非常に弊害が伴いますので、したがって、その範囲というようなものは国会の方でひとつお決めを願いたいと言っておるわけで、逃げておるわけではないのです。逃げておるわけではないのですけれども、そこまで政府が問題になっておる灰色高官というようなカテゴリーでこれを公表いたしますことには、私は非常に慎重ならざるを得ないものがあるわけでございます。
○田中(武)委員 前に、確か二十日でしたか、来ていただいたときに、あなたは党内の意見取りまとめのために、この委員会、国会において灰色基準について合意ができるように努力すると約束せられましたね。その後、どのような努力をせられましたか。
○三木内閣総理大臣 私はできるだけ、いわゆる灰色高官と言われるようなカテゴリーに入るようなそういう氏名は、これは国会の国政調査権に協力して、これが国政調査権に基づいて明らかにされ、国民の判断の一つの資料に提供する二とがいいと思っておるわけでございます。したがって、こういう問題については資料提供に対して私は非常に積極的な態度というものをいままでとってきたわけです。私の意図は委員長やまた理事の各位にも十分伝えて、何とかこれをなるべく国民の判断を求められやすいようにひとつ取りまとめてもらいたいということを、田中委員長にも瀬戸山筆頭理事にも私はもう口を酸っぱくして申しておったわけでございまして、私はできるだけ国民の判断の資料を提供したがいいという論者でございますから、そういう自分の熱意からして、これは私としてできるだけの努力をいたしたわけでございます。
○田中(武)委員 いまおっしゃったこと、多分きのうの一日の午前ですか、委員長と筆頭の瀬戸山理事をお呼びになったというか、一緒に、いまおっしゃったようなことをおっしゃったことは新聞で拝見しました。しかし、それはとりあえず与野党間で話のあったというか、その分を公表したらどうかというような意味のように聞いておりますが、どうでしょうか。それがいわゆる三十ユニットの関係。だから、それだけで終わらそうとするお考えだと記事を見て受けたのですが、いかがです。
○三木内閣総理大臣 私は、ここで終わらしてできるだけこれを隠すという考えは全然ないのですよ。しかし、国会においても実際はいままで相当期間があったわけですから、田中委員長に対してもできるだけ与野党の合意を見て一それは各党とも自分の党が百点満点というわけにはいかぬかもしれない、国会政治ですから。それを歩み寄ってできる限り真相を解明したいというのが各党の願いですから、そこらで、いつまでも自分の主張を固執して曲げないということでは時間が次第に切迫してしまうものですから——それはきのうだけでないのですよ、この問題については私は非常に積極的に取り組んできたわけですが、どうもこういう問題について政党間で話し合いというものがなかなかスムーズにいかないということについては、与野党ともにこれからの議会運営、国政調査権というものをできるだけ活用をしていくことが立法府の権威を高めるゆえんだと思うのですけれども、もう少し歩み寄りというのを——皆自分の党の主張が通らないとなかなか妥協ができないという現状に対して改革しなければ、国政調査権の地についた一つの機能を発揮することはなかなかむずかしいのではないか。こういう点で、私自身もこれは一つの大きな国会の問題点であるという気がいたしておるわけでございまして、私自身がこれを隠そうという論者でないのですから、できるだけ国民の判断を求めるようにしたいと願っておるだけに、この点は、まだ日があるといってもあと一日くらいしかないので、まことに残念に思っておる次第でございます。
○田中(武)委員 三木さん、私はあなたに質問しておると背中がかゆくなるのです。アレルギーになる。余りにもぬけぬけとあなたはおっしゃっておる。自分の党の主張にこだわるというか、固執しておるということは、むしろあなたの方じゃないですか。 これは撤回したものだからその上に立って申し上げますが、去る二十六日に何とかして話を進めたい、こういうことで特に委員長から要請もあって、実はいろいろ協議の中で、野党の中でもちょっと共産党さんは意見を異にしておりられましたが、社公民で案を出したわけですね。それは、一項目から六項目になっておる。しかも、それば委員長の要望にこたえてさしあたりこれをつくったのであって、この理事会においていわゆる灰色高官の基準についての論議を進めるために出しますということをつけて出したわけです。その六項目のうち一、二、三は一部自民党のいままでの主張からの字句は変わります。しかし精神は変わっておりません。それを受けて田中委員長と総裁である三木さん、それから党三役、国対委員長等が協議せられて、一から三までは認めます、四、五、六は拒否、こういう回答があったわけですね。私は何とかして話し合いの糸口をつけたいと努力した。これはむしろ国対等とは離れて、こちらで基準づくりをあえて行ったと言ってもいいくらいな気持ちであったわけなんです。ところが、一、二、三はオーケー、これはいままでの主張どおりですよ。それから四、五、六、その四というのは、いわゆる九十ユニットの関係です。これについて話し合う余地があるか。そうしたら、党三役、総裁、国対委員長等が話したんだから、その余地はないということだったんです。それなら、どちらが基準づくりに努力したと言えますか。一、二、三は初めからあなたの方のおっしゃっているとおりなんです。しかし、四、五、六と順次これをたたき台にして話し合いを詰める、そういうつもりで提出いたしました。ところが、四から六までは拒否だというかたくなな態度を示した自民党じゃありませんか。それで努力したと言えるんですか。
○三木内閣総理大臣 私は、最初にも言っておるように、この問題は何とか与野党の意見の一致を見たいということで非常に積極的にあったわけでございます。これはもう、私が何か消極的だというようなことはどこにもそういうものは、田中君、何ぴとから聞いてみてもそういうことはないわけでございますが、私は与野党で一致するような問題は問題として片づけて、そして第二段階として次の問題に入っていくとか、何か初めからもう、自民党も同じことですが、オールオアナッシングのようなことでなかなか話はまとまりませんから、田中委員長にも言ったのですが、できるだけ時間のあるうちに始めて、何かこれを一本化していくような努力をしてほしい一それはもう私はあなたにもずいぶんそのことを何回も何回も話をして(田中(武)委員「ないしょ話はやめてくれよ。」と呼ぶ)ないしょじゃないんですよ、委員長に私が言ったわけですから。本当に努力したんですよ、田中君。ただしかし、それを私は野党の態度を非難しているわけでなしに、国政調査権というものが有効に機能するためには、与野党ともにこの問題については、このロッキードの審議などを通じて改革を要するということを私が考えておることは事実です。それは野党ばかりではありません、与党も含めてでございます。
○田中(武)委員 ここに私は本日の朝刊の日刊有力紙の記事を持っています。それは理事会において発表せられた資料、ところが、これがともかく全部出ておるわけですね。そうしてそのある新聞には「確定的の八人は」ということで、そうしてこの分類に従って幾つかのグループに分けて、たとえばこの表で言う八の元運輸委員という、こういうカテゴリーに入る者がこれには十数名挙がっております。全部合わすと数十名の名前が挙がっておるのです。これをこのままにすればかえっておかしいんじゃないですか。すべての人が、自民党のすべてが灰色だということになりますよ。そうじゃないですか。ここに名前が挙がっているのをずうっと読んでみましょうか。出ておるのですよ。これは国民が見ておるのです。これらの人は迷惑をこうむっておると思うのです。したがって、はっきりとしなければ、より多くの人が灰色に包まれる、そういうことになりかねないのです。どうですか。総裁として、総理として高度な政治的判断において決断をせらるべきではありませんか。いかがです。
○三木内閣総理大臣 これは資料を国政調査権に協力するということで秘密会で提供したわけで、秘密会で資料を提供したもので、公表をしたというものではないわけでございます。また、それによって自民党全体が、皆が非常に疑惑に包まれているというふうには私は考えていないわけでございます。
○田中(武)委員 なるほど秘密理事会、衆参において出されたのです。ところが、きょうの、これは国会の権威の問題というようなこともあろうと思います。だがしかし、事実上出てしまった。どこに欠陥があったかはいまさら論じてもやむを得ぬと思いますが、問題は、本来秘密にすべきでないものを秘密にしたところにこういうことになったんだと思うのです。そのこと自体が、はっきり言えば、きのうの秘密理事会、もったいぶって出してきたのがこれなんですよ。秘密会を請求せられて現にこの委員会で出されたのは、すでに公知の事実ですよ。(「それは田中さん、違うよ」と呼ぶ者あり)名前は言っていません。きのうのあれ、新聞に出ておることは事実だと言っておるのです。ということは、先ほど言ったように、元来秘密にすべきことでないものを秘密扱いにしたところに問題がある。したがって、いま言うように、この資料によってカテゴリーを分けてグループ別に発表せられておる新聞があるのです。しかも、それがもう数十名挙がっておるのですよ、名前は。数十名出ておるのですよ。それをそのままにしていいとお考えですか。もう一度お伺いします。総裁として党員に対し、あるいはまた国民に対して、それでいいとお考えですか。いかがでしょう。
○三木内閣総理大臣 国政調査権、やはり道義的、政治的責任というものは政府が、行政府がこれを仕分けして公表すべき性質のものではない。国会において、国会はできるだけ政府の資料ばかりでなしに、ほかの資料もいろいろお集めになって、それはアメリカでもヨーロッパでもそうですよ、そういういろいろな資料の上に立って国会の判断というものを下すのが、国政調査権というのがわりあい機能して動いておる国の姿でございますから、そういうことに対してできるだけ資料を提供しようというわれわれの積極的な姿勢からして、いろいろな資料の御要求があったものに最大限の協力をいたしておるわけで、その資料を基礎にして、国会において十分に政治的道義的責任ありゃどうかということを御検討願って、そして国会がこれをどうするかという処置をお決めになるということでないと、私はなかなか国政調査権というものが健全に機能していくのに無理と思いますから、どうかそういうことで一つの国政調査権に協力するという意味で資料も提供したわけでございまして、そのことはこちらの方から積極的に灰色高官として公表したものでないわけですから、いろいろ新聞に報道されておるようでございますけれども、これに対しましてわれわれからとやかく言うべき性質のものではないと思っております。
○田中(武)委員 あのね、総理、この会期あと何日あると思います。何時間あると思います。あなたはいかにも、調子のいいことを言っておる。だがしかし、この段階に来てもう時間切れをあなたはねらっておるのだ。それは結局、先ほど秘密会で発表した、もうすでに大体が承知しておる五名です。中身は四名、名前は言いません。これだけで済まそう、逃げ込もう、こういう態度がはっきりしていますよ。だから、国会に責任をかぶせて、あなたはいいことを言いながら逃げ込む態度である、こう断定をいたします。いかがです。
○三木内閣総理大臣 その断定には承服をいたしかねます。私は逃げ込もうという考えはないのです。できるだけこれを明らかにして、国民の判断を求めることはいいと思っておるわけですから、そういうことで、与野党のこういう基準といいますか、範囲といいますか、これももう少し、こういうことになってはいけないと思いまして、私は委員長にもお願いをしばしばしたわけでございまして、したがって、国会の方で前の五名のように、委員長の御提案でございましたが、政治的道義的責任ありと判定を下されて、ああいうことを、資料を提供したわけでございますが、他のいわゆる全日空から資金がいろいろな形で、お中元とかお歳暮とかせんべつという形で渡されておるこういうものに対して、国会がこの問題に対してどのような一つの判断を示されるかということを、そういうことを国会の意思としてお決め願えればわれわれとしても資料を提供いたすわけでございます。こちらの方からいわゆる灰色として発表したわけでないのでございますから、こちらの方から積極的に国会の意思というものが示されない前に、いわゆる灰色高官という一つのカテゴリーのもとに私の方から申し上げることは、しばしば申し上げるように、いろいろな弊害が伴うのではないかと慎重にならざるを得ないと申しておるわけでございます。
○田中(武)委員 時間が来たからおきますが、総理、あなたは本事件発生の当時、政治生命をかける、あるいは先ほど言ったように、選挙の前に国民が投票するのに参考になるような資料は公開する、こう言ってまいられました。しかし、先ほど来言っておるように、あなたはすべてを国会に責任を負わせて、結局は、逃げることのできなかったといいますか、これはもう公知の事実のように伝えられておる人しか発表せずにこれで終わろうと、こういう意図であることは、これはあなたがどんなに言われようとも、そう言わざるを得ません。したがって、あなたの態度に対して国民がどのような判定を下すか、これはひとつ見ましょう。 それともう一つは、あなたは支持率が上がったといっていい気になっておるか知りませんが、それは、あなたならやってくれる、こういう淡い国民の期待なんですよ。それを裏切った場合にどうなるか、それを考えていただきたい。 それから委員長、先ほど秘密会で発表せられた氏名につきましては、理事会において協議の上、どのようにして発表するかを決めたいと思います。委員長にはそのことを申し上げておきます。 終わります。
○田中委員長 委員長は承知をいたしました。 諫山博君。
○諫山委員 私は、きょう衆議院の法務委員会で九十ユニットの関係について質問いたしました。この九十ユニットについては中間報告の中で、十三名の国会議員に贈られた、国会議員の職務に関する対価であることは認定できなかった、ロッキード社の航空機売り込みと関連があるとは認められなかった、こういう記載がされています。それでは全日空の権益拡大と全く無関係にこの金が十三名の国会議員に渡されたのかというと、そうではない、こういう答弁がきょう吉田刑事課長からなされたわけです。正確な言葉を引用しますと、「九十ユニット関係の政治献金は、全日空の利益のためになる直接または間接の政治活動を期待してのものも含まれている、九十ユニットの十三名の国会議員に渡された分については、ロッキード社の航空機売り込みと関連があるとは認められない。」この認定に私は不満です。しかし、それにしましても吉田刑事課長が説明したような、そういう賄賂性の強い金であった、この点は法務大臣もお認めですか。
○稻葉国務大臣 中間報告にもはっきり申し上げておるとおり、職務とは関係がない、そう言うておるのでありますから、賄賂性はありませんですな。
○諫山委員 私は、いまわざわざ、ちょっとわかりにくいのですが、吉田刑事課長の表現をそのまま引用したわけです。吉田課長は別の言葉で次のようなことも言っておられます。この政治献金というのは、日中、日台路線を中心とする全日空の国際線進出を実現するための国会議員に対する働きかけ、こういう趣旨が盛り込まれていたのだと言っていますが、刑事局長、この点はどうですか。私は刑事課長の言葉をそのまま引用したわけですが、法務省の中で意見の食い違いがあるとすれば別です。 〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕
○安原政府委員 ただいま諫山委員御指摘でございますが、刑事課長から後ほど聞きましたら、さように具体的な事柄は申しておらぬということでございます。
○諫山委員 私は最初に括弧づきで引用したわけです。これは全日空の利益のためになるような政治活動を期待して政治献金とかいろいろなせんべつを渡した、こういう趣旨が含まれている、こういう説明ですが、違いますか。
○安原政府委員 政治献金ということでございますが、いずれにいたしましても、全日空の業務について理解のある政治活動をしてもらいたいという趣旨で渡されたというふうに理解しておりますが、それを日中、日台路線というように申されるのは御推察でございます。
○諫山委員 刑事局長にもう一回。 そうすると、全日空の利益になるように行動してもらいたいという趣旨の含まれた政治献金、この点は認められたわけですが、これは当時全日空が力を入れた国際線の開拓、こういう問題と関係があるのかないのか、どうなんですか。
○安原政府委員 捜査の結果によりますと、そこまで具体的にはわかりません。
○諫山委員 総理に質問します。 いずれにしましても、これが普通の政治献金とは違って、全日空の利益になるように動いてもらいたい、こういう趣旨の盛り込まれた金だということです。こういう金を受け取った、これが全日空の簿外資金から出ている、これは明らかなことです。こういう政治家について政治的道義的責任がないと思っておるのかどうか、三木総理、いかがですか。
○三木内閣総理大臣 この問題は、総理と申しますか、やはり政治献金というものに対しては政治家個々がいろいろ厳しい態度をもって臨まなければならぬことは、私は当然だと思いますが、この具体的な問題について政治的道義的責任があるかどうかということは、最初に申したように、政府みずからがこういう断定を下しますことは私は適当でない、こういうことで、やはりこの問題は国政調査権というこの調査の過程においてこの問題に対しては国会としての判断を示してもらいたいと申しておるわけでございます。しかし、皆政治家が政治献金に対してはいろいろ厳しさを持たなければならぬということは、一般的には私はそうだと思います。
○諫山委員 私が聞いているのはこういうことです。この政治家を支持する、だから政治活動の資金として使ってください、こういう意味の政治献金ではなくして、全日空の利益のために動いていただきたい、こういう意味を込めた政治献金、これが渡された。こういう場合に、受け取った政治家には政治的道義的責任はないと考えているのか。自民党の総裁としてでも答えてください。
○三木内閣総理大臣 格別いま捜査当局では特に請託というものはなかったということですが、政治献金というものはやっぱりいろいろ理解を持ってもらいたいという意味は、いずれの場合においても生むわけでございましょうが、特に特定のことに対して請託はなかったというふうに捜査当局は申しております。これに対しては、私から、そういう理解を持ってもらいたいというようなことで政治献金を受けたということに対して、これを私自身が政治的道義的責任ありと断定をすることは適当でないと思います。
○諫山委員 私がいま指摘したようなことは三木総理は初めて知ったのですか。従来九十ユニットの氏名公表というのは長い間議論されてきたわけですが、こういう意味の政治献金だったということをいま初めて知ったのですか。
○三木内閣総理大臣 私はしばしば言っておるように、この問題については政府自身からこれに対してこれには政治的責任、道義的責任があるという断定をするということば行き過ぎである、したがってこれは国会の方でそういう基準をお決め願いたいということをしばしば言っておるわけでございますから、この問題について私がいま初めて、こういう問題を、九十ユニットのこと、三十ユニットのことに対して、初めて知ったというわけではございませんが、そのことに対して、問の趣旨は、政治的道義的責任あり、こう考えるかどうかという私個人の意見を述べよということでございましたから、この場合申し上げることは適当ではないということに考えます。
○諫山委員 政治的道義的責任という言葉を使うと、なかなか三木総理も答えにくいようです。 今度は、もっとわかりやすく、全日空のために働いてもらいたい、こういう趣旨を込めて政治献金を持ってきた、この場合に政治家は受け取っていいと思いますか、受け取るべきではないと思いますか。
○三木内閣総理大臣 働いてくれといいますか、何かこう理解を持ってもらいたいと考えることは、それはあったでしょう。しかし、やはりその人間のいろいろな、たとえば旅行の場合のせんべつであるとか、盆暮れの一つのあいさつであるとか、こういうものは一つの社会的な慣習にもなっておりますから、そのとき一々、これはどのことという特定のことで頼むというような場合でなくても、従来から非常なつき合いがあったり、知っておったり、いろいろな場合でそういう場合もございますから、一概にこれを政治的道義的責任ありと断定することは適当でない、こう申しておるわけでございます。
○諫山委員 どうも三木総理はまともに答えられないようです。政治家としてもらっていいのかもらっていけないのかという質問に対しては答えませんでした。あなたは、ロッキード事件が発覚したときに、すべての疑惑を解明する、関係者の氏名が明らかにならなければ民主主義の致命傷になる、こういうことを言われました。国民はこのあなたに期待したわけです。ところが、たとえば十月初めの朝日新聞の世論調査を見ると、全部公表すべしという意見が七六%を占めている。しかし、ほとんど公表らしいことはしなかった。あなたは国会が基準を決めてくれればということを言うわけですが、国会が簡単に基準が決められるような状況でないことは、委員長の説明のとおりです。自民党ががんとして反対するからです。あなたは結局このまま総選挙ということをいま考えているのですか。それとも、公表をもっと進めるつもりですか。国会が基準を決めたら、こういう言い方は、もう現在の時点では通用いたしません。総理自身の権限でさらに公表するつもりがあるかどうかです。
○三木内閣総理大臣 私はいま最初に申し上げたように、政府がいろいろ政治的道義的責任ありということを断定することは適当でないと思っておるわけでございまして、したがって、この問題は国会にげたを預けるというのでないのですよ。議長の裁定などにも、そういうふうなことが国政調査権に対して最善の協力をするということでございまして、やはり道義的、政治的責任の追及は国会がやるという前提のもとで、その資料の提供を党首会談も含めた議長裁定にもしたわけでございまして、私はそれが適当だと思いますね。政府自身がいろいろ仕分けをするということは、手っ取り早いようでもやはり非常な弊害も伴いますから、せっかくそういう議長の裁定もあったわけでございますし、やはり国会が適当な——どこの国でもそうですよ。こういう問題、議員のディシプリンに関係する問題は皆国会自身でやっておるわけですね。政府がいろいろみんな責任がある、ないということを実際においてどこの国でもやってないですよ。これは、政府は刑法上の責任があればむろんやりますけれども、道義的、政治的責任というものはやはり国会の場だと思うのですね。そうでしょう。アメリカをごらんになってもそうです、ヨーロッパでもそうですから。だからそこで、国政調査権というものが機能するためにはやはり国会も、アメリカなんか調査機能というものが相当充実していますから——これからして私は問題だと思いますよ。やはり国会自身がやるだけの一つのなにを持たないと、全部政府に公表しろと言っても、それは行政府としては限界がございますからね。そういうことですから、そういう意味で、私はあえて逃げておるのではないのですよ。私はこれは明らかになったらいいと思って、最初から大統領にもああいう手紙も書いたのです。国会の決議もありますけれども、あの手紙というものがアメリカが資料をよこした大きな動機になっておる。だから、捜査が相当進んでいったわけです。私はこれを初めから隠そうとするならば、隠そうとする意図があるならば、あんな手紙を何も書く必要がないことですから、やはり積極的に解明したい。しかし、そのことは、私の方がやることに対して限界があるということです。それを私はやらずに、何か選挙に逃げ込むなんて、そんな考えはないのですよ。できるだけ国民の判断に提供したらいい。
○諫山委員 私は総理の長答弁は期待しませんが、灰色政府高官を自民党が公認するという問題、これはすでに指摘されましたが、総理としては、総裁としての指導権を発揮して公認しないように努力しますか。
○三木内閣総理大臣 これは田中君の御質問にもお答えいたしましたように、いわゆる自民党には自民党としての機関がございますから、その機関においてもこの問題は十分諮りまして、自民党として適当な処躍をいたすつもりでございます。
○諫山委員 このロッキードもみ消しと関連してもう一つ重要なのは、鬼頭事件の関係です。鬼頭隠しということがいま公然と行われてきました。 〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、この問題について三木総理は、背後関係も含めて徹底的に調査する、こう言っていますが、現在の調査結果は背後関係はどうなっていますか。
○三木内閣総理大臣 何でも隠し隠しというのがはやりで、鬼頭裁判官の問題は、私自身かなり重要視しておるのです。そういうことで検察に対しても、本人はもちろんのこと、背後関係などもひとつ十分にそういうことがあるのかないのか、捜査をしてもらいたいということを申しておるわけでございまして、何でも隠し隠しと言ったら、このごろそういうはやり言葉になっておるようでございますが、そういう意図はロッキードに限らず、鬼頭問題に限らず、これを隠そうという考えは全然ないということであります。
○諫山委員 そう言いながらも、結局鬼頭裁判官の証人喚問は実現しなかったのですね。まだこれから期日がないわけではありませんが、自民党の反対で実現しなかったのです。これは明らかです。私はその点で、たとえば共産党の宮本顕治氏の身分帳の一部が鬼頭裁判官によって漏らされた。そしていろいろ宮本顕治氏を中傷する材料に使われている。こういう問題が出ているわけですが、この身分帳が漏れている問題について法務大臣は遺憾であるという意見を法務委員会で述べられておりますが、三木総理はどう考えておりますか。
○稻葉国務大臣 法務委員会であなたの御質問に対しまして、外部に出すべからざる、また出るべからざる身分帳のごときものが、いかに裁判官の身分があって、公務上の必要でという要求がありましても、これを軽々に見せたり、写真に写させたり、そういう法務省職員の出ましたことはまことに国民に対し相済まぬ次第であると私はいまでも思っております。
○諫山委員 行政の最高責任者である総理はどうですか。
○三木内閣総理大臣 そういうことがあってはならないと思います。今後はこの問題は、そういう書類の保管という問題に対しては厳重にいたさなければならぬと思っております。
○諫山委員 三木内閣が誕生したとき三木内閣に負わされた最大の責任は、当時は田中金脈の徹底的な究明だったと思います。当時あなたは、田中総理がみずから明らかにするからいいではないか、待ちなさい、こう言いました。ところが、結局田中総理は、当然のことですが、みずから明らかにしませんでした。あなたはこれに対して何をやったでしょうか。またロッキードに対しても真相を究明する、灰色の政府高官は公表する、こういうことを言われ、国民はこれに期待したわけです。ところが、実際何をやったでしょうか。あなたが初めに考えていたことは、秘密会でいま行ったようなことをやる、この程度のことしかロッキードの当初は考えていなかったのでしょうか。田中金脈問題とロッキードが起こった当時、国民に対してさまざま発言していたその問題について答えてください。
○三木内閣総理大臣 田中前総理は、これは法規に照らして追及するものは追及したことは御承知のとおりでございますが、何分にも長期にわたった複雑な経済関係、これに対して国民の疑惑もあるわけですが、これはやはり本人が国民の前にその誤解を解いて理解を求めると言われておるわけでございますから、私はもっと早くこういうことが実現するものと期待をしておったわけですが、今日までなされてないことば非常に残念に思うわけでございます。しかし、公人としてそういうことを国民に申したわけですから、時期は非常におくれてはおりますけれども、実行されることを期待するわけでございます。 また、ロッキードの問題については、私は、灰色ということを私自身から使ったことばないわけです。それは皆さんが言われる灰色高官、いわゆる灰色高官といって国会などで言われておることについては、というような言葉で使ったことはございますが、いわゆる灰色高官を、全部これを公表するというようなことを私が申したわけではないわけでございます。私の願いは、ロッキード事件というものの真相、これはどういうことであったかということを明らかにしたいということは、もう事件の当初から非常な熱意をもって、いま真相解明に対してはできるだけのことはやってきたし、今後もまだ児玉の線というものは残っておるものですから、これに対しても徹底的な解明をやらなければならぬと考えております。 ただ、世間でいわゆる灰色ということは、なかなかこれは法律的な用語でもございませんので、恐らく国会で言われる政治的道義的責任があることを灰色と称するわけでございましょうが、この問題については逃げるわけでないのですけれども、政府が一々これに対して仕分けをして、道義的責任あり、政治的責任ありという断定を下すことは、行政府としてやはり行き過ぎになる場合が多い。したがって弊害も起こりますから、政党内閣でもございますし、そういう点で、国会という国権の最高機関でそういうものに対しては一つの範囲を決めていただいて、これに対して政府が資料を提供して、国会では国政調査権という名のもとに責任の有無を十分追及されることが、私は将来においてもこの問題の処理としては一番いいと思うのですね。そういう形を定着させた方がいい。政府が言え、政府が言えと言って、政府が一々それを仕分けすることに対してはいろいろな弊害も考えられますから、やはり議員の規律に関する問題は国会の場においてその責任の有無を追及する、こういう形が日本の国会の上において定着をしていくことを心から私は願っておるものでございます。
○諫山委員 ロッキード隠しに強く抗議しながら、質問を終わります。
○田中委員長 それでは、坂井弘一君。
○坂井委員 総理に伺いますけれども、あなたは一国の最高権力者として、国民に対しては内閣総理大臣というこれまた最高に責任を負わなければならぬという立場から、まさに政治生命をかける厳粛なる気持ちで、いわゆるロッキード事件の関係者の名前はすべて明らかにするということを公約なさったはずだと思うのです。その場合の、総理が言われた関係者とは一体どういう人を指すのですか。
○三木内閣総理大臣 私の言いますのは、ロッキードの売り込みに際していろいろな金を受け取り、それに犯罪行為のあったようなもの、こういうものは当然に明らかにされなければならぬということでございます。 政治的道義的責任ということになりますと、いましばしば繰り返して申しておるようでございますが、このロッキードの売り込みに関して法律上責任を追及されなければならぬ者に対しては、何人に対してもこれは厳しき責任の追及がなされなければならぬということを私は念頭に置いておったわけでございます。
○坂井委員 お尋ねしますけれども、総理、つまり三十ユニットの五人につきましては、これはまさに政治的道義的責任ありということですが、これは言われますように、限りなく黒に近い、まさに灰色の中の灰色。そこで、九十ユニットの十三名、この十三名の中には、政治的道義的責任を究明される人は一人もいない、そういうお考えですか。
○稻葉国務大臣 総理に対する御質問ですけれども、便宜私からお答えいたします。 先ほども申し上げましたとおり、それが政治的道義的責任ありや否やということにつきましては、国会がその基準をお決めになって、先ほどの委員長のように、これこれこういう範疇のものについては政治的道義的責任ありと認めます、そうして皆さんに御異論がなかった、そういうものにつきましては御協力を申し上げるつもりです。
○坂井委員 同じ答えの繰り返しなんですけれども、総理御自身に聞いているのですよ。あなた自身はそれに対しては答えられないのですか。
○三木内閣総理大臣 答えられぬというわけではございませんが、やはり私がしばしばその点については繰り返して述べておりますから、もう少し法務大臣が詳細にそういうことに対して報告ができる問題があれば、法務大臣が好ましいと思った。 私は、もうしばしばこの点は、政治的道義的責任というものの有無については国会でひとつ御判断を願いたいということを申しておるわけでございまして、個人的にはいろいろな考えもありましょうけれども、総理大臣として私がこの問題に対して断定的判断を下すことが適当であるとは思わないわけです。
○坂井委員 総理、まさにいま中間報告を受けまして延べ十八名と員数は決まった。三十ユニットの五名、それからダブりがありますから、十三名の中で、つまり差し引きしますと八名というのが先ほどの話のとおりなんですけれども、この八名について、いまおっしゃるような、国会で政治的道義的責任究明のための基準をつくれということになりますと、日にちはあと二日しかない。四日一応会期末ということになりますと、現実の問題としてこれが結論を見ないままに終わってしまう、こういう危険性、心配があるわけですね。国民はひとしくそういう点について関心を持っているわけですよ。したがって、現実の処理の問題として、法務大臣はいまの答弁どおりで、基準をまずつくらなければこの九十ユニット十三名については協力するわけにいかぬ、こういうことですが、たとえばここでもう一回秘密会ということになりますと、十三名について何らかの協力ができますか。
○稻葉国務大臣 その秘密会において先ほどのような基準が、これは道義的、政治的責任があると認めますと委員長の提案でもあって、皆さんがそのとおり、こういう場合に限りますな。それは基準をお示しになったことと受け取りますから、申し上げられる。
○坂井委員 いや、それは法務大臣、型どおりの御答弁なんですよ。現実問題として日程は詰まっている。できないとした場合に、総理として秘密会であるならば何らかの協力ができるのかできないのかということを、総理、あなたに聞いているのです。
○三木内閣総理大臣 これはしばしば申しておるように、国会の延長はないといっても、やはりこの九十ユニットの中で、これに対しては政治的道義的責任ありという御認定がございますれば、これは資料を提供はいたします。ただ、時間がない。いままで、これ時間がずいぶんあったわけですから、私はこういうことを心配をして、なるべく早く与野党の意見が一致することを求めておったのですが、残念ながらできませんが、それでもまだこれは四日、一日ございますし、国会においてそういう資料の提供というものはそう隔たったものでもないわけでございますから、そういうことになれば協力はいたしますけれども、時間がないから政府の方から全部それを言えということで政府から申し上げることは適当でないという感じが私はいたします。
○坂井委員 本当に率直に聞いているのですが、時間が全く切迫しているわけですよ。そこで、いまの総理のお考えですと、これはこのままで終わってしまうという心配が実は非常に強いわけなんですね。 そこで、そういうことじゃなく、もう一歩踏み出して、総理として何らかの努力をなさるというお考えがあるのですかないのですか。たとえば腹案があって、いまここでは言えないけれども、そのために、総理として自身の胸の中にはこういう方法でどうだろうかという一つの努力の何かの案をお持ちなのかどうなのか、それとも何にもないのか。
○三木内閣総理大臣 私は努力といっていろいろ考えてもみますけれども、なかなかこの問題はむずかしい。国会においても全部おまえ、おまえとこう言いますが、国会としてはこの問題は国政調査権の上から重大な問題ですから、国会の方においても御努力を願って、こういうふうなことでどうだというような御提案があれば無論考えますけれども、私自身が時間がないから全部言ってしまえということに対しては、私は繰り返し述べておりますように、適当ではないというふうに考えるわけでございます。
○坂井委員 田中委員長に伺いますが、大変時間が切迫しておる。この現実の対応、処理といいますか、何か一つの形をつくって、ぜひとも一つのけじめといいますか、それはつけたい。このままではどうも中途半端で、何とも釈然としないという感じはお互いに残ろうと思うのです。総理の胸の中もやはりそういう気持ちなきにしもあらずだろう、私はそう思います。思いますので、田中委員長が先ほど提案されました秘密会、そこで、一方ではこういう事態になれば総理がみずからの高度な政治的判断によって公表をしたらどうだ、こういう議論もあるわけですね。しかし、それに対しては、それはいわゆる検察に対する政治的介入で適当ではない、そういうことを法務大臣はきょうはおっしゃっておるようであります。田中委員長はどうお考えになりますか。委員長はまさにこの際四十七条の解釈、判断としまして、いわゆる公共の福祉、これは優先させなければならぬ、まあ個人の基本的人権もあるけれども、これはこの際は遠慮してもらわなければならぬという趣旨のことを前に述べられた。これは全くそのとおりだと思うのですが、いまのような考え方に対して田中委員長、どうお考えでしょうか。
○田中委員長 私の考えを赤裸々に申し上げます。 政府が進んで発表をいたしますことも決して違法ではない。同時に、両院議長の裁定にもあり、政治的道義的責任の究明はわが国会にある、具体的にはこの委員会にある。その当面の責任者である委員会が苦心妥結をして、そうして灰色高官になる者の刻印を打って要求をするならば、御要求に応ずると総理は仰せになっておるわけでありますから、この仰せに従う努力をしてみる必要があるのではないか。その努力は一方に置いておいて、政府が積極的に出すべきものだ、出すべきものだと言うてみても、これは始まらぬ。努力をしてみる必要がある、こう考えます。
○坂井委員 委員長のおっしゃることはわかるんですよ。わかるんです。しかし、その努力というものは、委員長も御承知のとおり、われわれロ特委員会理事会においてはずいぶん努力をしてきたんですね。そうしてその結果、きょうようやくにして秘密会ということでもって幾らかは出た。しかし、それは私が前段申しましたように、まさに限りなく黒に近いいわゆる灰色の中の灰色だ。これでは国民としても承知をしないだろう。またわれわれ口特の委員会としましても真相究明を目的として今日までやってきた。これではどうも釈然としない。政府においてもそうであろう。したがって、ここでどうしてもわが委員会でいわゆる基準というものが決まらない、このおそれが多分にあるということでありますと、もう一度秘密会によって何らかもう一歩これを打開する方法はないものだろうかということを提案しているわけであります。委員長のおっしゃることはわからぬではありませんが、しかし、現実の問題としてこのままになってしまうという心配、これまたきわめて大である。何かの方法がないか。委員長のいまのお答えどまりで、それ以上の名案は委員長にはございませんか。
○田中委員長 それ以上の名案はございません。
○坂井委員 総理に伺いますが、間もなく選挙ですね。第二次中間報告をするとかしないとかと、ややこしい話がいっぱいあるのですが、するのですか、しないのですか。
○三木内閣総理大臣 私は児玉の線の捜査が進捗しておるならば、中間報告をすべきだと思っておるのです。ところが、現在のところ、先般の中間報告からさらに今度は児玉の線でございますが、これが大きな進捗を見ていないので、いま特に中間報告をするような材料に乏しいということでございましたので、現在の段階では中間報告ということはいたしましても——丸紅、全日空のルートは一応の終結を見たわけでございます。一応でございます。これから児玉の線と関連してくれば別になってくるわけですけれども、また別個の問題ですが、そういうことでやはりもう少し児玉の線というものが進捗をいたしませんと、中間報告と申しましてもその材料がなかなか乏しい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○坂井委員 時間が参っておりますのでやめます。 意見だけ申し上げておきますが、三十ユニットの政治道義的に責任ありと断定をされました五人、これは決して公認すべきではないということだけ意見として申し上げまして、終わります。
○田中委員長 河村勝君。
○河村委員 中間報告に基づく政治的道義的責任追及についての質問は、私の質問で最後になると思います。 それで総理にお尋ねをいたしますが、いままでずっと総理の答弁を聞いてまいりまして、本当に私はむなしい感じがいたします。この事件が始まった当初から、総理はこのロッキード事件の解明に自分の政治生命をかけるということを言っておられた。政治生命をかけると言っておられる限りは、総理としては、総理大臣としても自民党総裁としても、そのいずれにおいても強いリーダーシップを働かして、そうして政治生命をかけると言われるだけの努力をなさるべきはずだと私は思う。しかし、現実に私は、あなたが総理大臣としても自民党総裁としても、本当にリーダーシップを発揮してこの事件を究明しようとされているとはとうてい思われない。特にこの政治的道義的責任の追及の問題について、あなた本当にそれを十分におやりになっているとお考えでありましょうか。
○三木内閣総理大臣 ロッキード事件の真相を解明するということに対して政治生命をかけるという私の決意は変わらぬわけでございます。私は、したがって今日まで真相解明ということに誠実に努力をしたことを自分でも信じておるわけでございます。ただ問題は、いわゆる灰色高官という問題が一つ最後に残ったわけでございまして、これは国会において、この場において政治的道義的責任ありと断定をされたものに対しては、河村君御承知のように、資料の提供をいたしたわけでございますが、政府自身がそういうふうな九十ユニットの政治献金を受けた者がいわゆる灰色であるという断定のもとでああいう内容を発表したわけではないわけでございまして、いわゆる金の流れというものを追及すればこういうことになったということでございまして、それは政治献金というものが一切悪いということならば別でございますが、政治資金規正法などにおいても、個人献金というものは旧法のもとでは余り制限なしに認められて、改正の新しい法律では、上限とか個々に対しての限度というものは決められておる。いままではそういう制限もなかったわけですからね。そういうことですから、ほかにはやはり政治献金というのはあるわけですからね。この問題というものが政府みずからがいわゆる世間で言われる灰色に入るということを断定して公表するということは、いろんな弊害が起こるのではないか。できるだけその内容というものを非常に詳細にわたってそういう人たちの問題、そういう人たちの一つの経歴などについても申し上げて、国会の方で政治的道義的責任ありという一つの判断を願うために基準づくりといいますか、範囲を決めるのに何か御便宜を提供したいということで、秘密会でございましたけれども資料を提供したのだと思うのです。 われわれもいろいろ考えてはみますけれども、政府自身がいわゆるこれが灰色なりということでそういうことを発表したわけではないわけでございます。いま追及しようとするのはいわゆる灰色高官ですから、国会でその問題をいわゆる灰色高官なりとして御判断を下すことには慎重にすべきだという見解をいまも持っておるわけでございますが、いろんな基準をつくるための判断の資料というものは提供したわけでございますから、それに基づいて国会で合意ができますれば、この九十ユニットについても資料提供はいたしますとこう言っておるわけでございます。私の方でも考えてはみますけれども、なかなかいい知恵はない。政府自身が灰色というので考えて、ああいう金の流れを明らかにしたわけではないわけですから、どうか国会で、実際日にちは少なくなりましたけれども、この問題をもう少し話し合いを願ってそういう範囲などがお決め願えれば、われわれの方は資料を提供する用意があるということを申しておるわけでございます。
○河村委員 国会はもう日数がないことを承知でそういうことをおっしゃるのは、誠意ある回答だとは私は思いません。現在の総理の、あるいは政府の態度というのは、灰色高官の基準は国会でおつくりください、基準づくりに必要な資料は提供しましょう、それから国会で基準が決まったら灰色高官の氏名は国会に報告しましょう、それを公表するしないは国会の仕事です。結局、政府は完全に責任を回避して、国会にげたを預けてしまっておる。それならそれで自民党総裁としての総理、三木さんはこの基準づくりについて自民党を強力に指導すべき責任があるはずです。ところが、現実にはそれをなさっておらない。だから結果は、結局、与野党の間で合意できたものは三十ユニット分、すなわち単純収賄で時効、それとロッキードの売り込みに関連があるけれども、職務権限がない者、これは事実上クロに等しき者ですね、それだけしか合意ができない。そういう結果になってしまっているんですね。結局、公表の範囲はそれに限られてしまう。そうしますと、自民党総裁としての三木さんの意思というのは、結局、政治的道義的責任を追及すべき範囲というものは、この三十ユニット分に限る、そういうあなたの意思が働いている、そういうふうに断定せざるを得ないのですね。そういうことでしょう。
○三木内閣総理大臣 そういうふうに私は考えないのですよ。これは私自身はできるだけ真相を明らかにしなければならぬという論者ですよ、これは事件が起こってからもう終始私のとっておる態度ですけれどもね。しかし、一つのいわゆる灰色高官という、これは政治的道義的責任というのでしょうが、こういう問題について、これはやはり判断を下すのは国会だと私は思う。どこの国をごらんになってもそうでしょう。行政府がいろんな皆に対して政治的道義的責任ありという断定を下して、そうしてその責任を追及しておるという国、私はないと思うのですね。国会自身が、やはりどこの国を見てもそうですよ。おととしも、私、イギリスへ呼ばれて行ったけれども、やはりイギリスで国会自身が何か政治献金について、それがある贈賄をして刑務所に入っておる人から政治献金を受け取ったということで道義的責任が追及されていました。おととしの五月です。アメリカでもロッキードの問題というのは国会でいろいろやっておるのですからね。私は、河村君、逃げようとするのではないのですよ。政府が一々政治的道義的責任ありという断定を下すことは、それはだれの内閣になっても弊害があるんでないでしょうか。それはやはり国会の国政調査権というものがもっと有効に機能することが本当だと私は思うんですよ。逃げて言っているのではないのです。そういうことで政府が言った九十ユニットについても金の流れを言ったわけで、政府が灰色というカテゴリーの中に入れて言ったわけではないのです。あれがすべてですからね、金の流れは。全部金の流れを明らかにしておいた方がいいということで言ったわけですからね。しかも、その内容について、もしいろんな基準をおつくりになろうとすれば相当参考になるようなことまで申したわけでございますから、われわれも無論いろいろ考えてはみますけれども、どうか国会の方でも、いつも三木はけしからぬ、ロッキード隠しだ、隠しだ、そういうふうなことでは問題はなかなか前進をしないわけですから。政府は資料をいつでも提供すると言って、いままでも国会がお決めになったら資料を提供してきたことは、いろいろきょうの実例などをごらんになってもわかるのですから、国会の方でも与野党が歩み寄って——私は自民党にも言っているのですよ。これは自民党の言うとおりにもいかない、だから一本化に努力してくれということを私はもうしょっちゅう言っているわけです。だから、そこで皆がやはり歩み寄るという気持ちがないと、与野党の一致というのはどの問題でもやりにくいですね。だから、私は、そういうものができて政府がいろいろそういうことを、これは将来の先例にもなるでしょうから、これは非常に弊害が出てくるんじゃないかということで慎重に考えざるを得ないのですが、国会の方でもひとつ御努力を願って、いろいろな基準づくりみたいな材料は資料として精いっぱいの提供はされたと私は思いますよ。そういうことで、どうか国会の方も時間がないと言ってこの問題を投げないで、まだ会期はあるわけでございますから、どうかもう少し国会の方でも御努力を願いたいと思うのです。われわれも無論考えます。
○河村委員 国会の判断に任すというのは、一般的な場合には正しいのです。ただしこの場合には、この道義的責任を追及することによってやはり直接影響をこうむるのは、大部分が自民党になります。ですから、どうしても国会に任せれば、本来、多数を持っている自民党が一番いやなことをそう積極的にできるわけはないのですよ。それを承知の上で、あなたは国会、国会と言っておられる。だから、本当に国会と言われるなら、あなたは自民党総裁として、少なくともここまでは公表すべきものだという指導をされなければいけないのですね。いまの九十ユニットの分は、これはロッキードの売り込みには関連がないかもしれない。しかし、現に全日空の会社の利益に連なるものであることは認められている。しかも、この場合、一般のせんべつとかお歳暮とかいっても、社会通念をはるかに越えた額のものが渡されているわけですね。いまロッキード事件の解明について問われているのは政治家としての通念、これと、一般社会の通念とが余りにもかけ離れてしまっておる。一般の人がせんべつをもらうのは、常識として十万円ぐらいのものでしょう。ところが、この場合、百万円でも二百万円でも社会通念に合っているとしか言われないような取り扱いになってしまうわけでしょう。ですから、そこにいまの政治のいろいろなひずみやゆがみがあるわけですから、この場合にはやはり政治家の通念ではなくて一般社会通念に照らして、そうしておかしいというものはやはり政治的道義的責任追及の対象とする、そのくらいの覚悟で総理・総裁として臨まなければ、これの本当の解明ができるわけがないじゃありませんか。どうして三木総理はそのくらいの大きな立場からこれをされなかったのか、それを私は非常に残念に思うのです。あなたはそう思われないだろうか。どうでしょうかね。
○三木内閣総理大臣 河村君は、ある一定の金額以上の政治献金を受け取ってはいけないという意味で言われておるのかもしれませんが、政治資金規正法でも個人の献金百五十万円までは認められておるわけですからね。だから、この問題は、やはり一つの個々の政治家というものが持っておる政治献金に対しての考え方というものも——私は厳しくするということは賛成ですよ。しかし、いま政治献金は、いろいろな政治資金の届け出をしているのだって、世間の常識からすれば、金額としては皆わりあいに大きいですね。そういうことから言えば、私はこの問題ばかりに限らないと思うのです。いずれの場合においても、世間の常識から言ったら、やはり政治家への政治献金というのは金額が多いんだなあという感じを持っている人が多いと思いますよ。しかし、これはやはり政治家としての個々の一つの考え方にも非常に大きく依存しますわね。これはやはり別の問題だと思いますね。政治献金というものの金額がいまのような限度でいいのかどうかということは、やはり別の問題だと思います。しかし、たとえば全日空の場合でも、献金というものが、必ずしもこれはロッキードの売り込みなどというふうなことを全然考えず、そういうことの依頼を受けて金を受け取ったわけではないわけですからね。そこに非常に一般の政治献金というのを——零細な金もございますけれども、相当まとまった百万とかいうような金も、政治献金として政治資金規正法の届け出をしたものを見ればあるわけでございますから、どうもこれをいきなり政府自身が政治的道義的責任ありという断定を下すことには私は非常にちゅうちょせざるを得ないのです。この問題は何も隠そうとしておるのじゃないですよ。しかし、国会が問題にしようとするのは、いわゆる灰色高官ということでしょう。だから、政治的道義的責任ありというこういう一つのカテゴリーの中で、政府がこれを全部明らかにするということはやはり非常に行き過ぎる場合が起こり得るということで言っておるので、何も隠そうという意図では全然ないのですよ。できるだけこういうことは明らかにした方がいいと思うのですが、だからといって、政府がそういう調査の状態などを一番知り得る立場にあるのですから、それをもう何でもかんでも全部公表してしまうことが適当だとは私は思っていないということで、隠そうという意図ではないということは御理解を願いたいのでございます。
○河村委員 時間がなくなりましたが、答弁が長いだけで、私にはちっとも誠意がある答弁だとは思われないのです。非常に残念なんですが、ことしの四月の五日に民社党として予算審議の再開に踏み切りました。そのときに、私どもと自民党との間で、捜査終結の時点でこの政治的道義的責任の有無についての国政調査権の発動に対して政府は最善の協力をするという約束を取りつけました。その際に、私は今日まで申し上げたことはなかったのですけれども、同時にそれだけではなくて、将来国政調査権の発動に応じて刑事訴訟法四十七条ただし書きを適用することを予期している。ただし、これは捜査に与える影響を考慮して公表することをやめました。やめましたけれども、この段階になりましたから申し上げるのですけれども、この刑事訴訟法四十七条ただし書きを適用するという約束は、総理も十分御承知であるし、同時に、そのときの、直接お会いしたわけではないが、総理の表明された意思表示というものは、もっとはるかに強いものであったと私は思っています。ところが、結局ここに至って一番最低の線まで落ちてしまったというのは、私は非常に残念です。それだけを申し上げて、質問を終わります。
○田中委員長 それでは、ちょっと理事はお集まりください。—— それでは、暫時休憩いたします。 午後十一時一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕