予算委員会 第10号
- 発言数
- 565 件
- 登壇者
- 45 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1976/05/08
会議録
○委員長(八木一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和五十一年度一般会計予算 昭和五十一年度特別会計予算 昭和五十一年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 三案審査のため、本日、海外漁業協力財団理事長荒勝巖君及び日本輸出入銀行総裁澄田智君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(八木一郎君) 前回に引き続き、総括質疑を行います。上田哲君。
○上田哲君 社会党の締めくくり総括質問の立場で、私はロッキード問題に集中をしてお伺いをいたします。 いま最大の疑念と言うべきものは、ロッキード問題がうやむやになるのではないかということです。衆議院予算委員会以来の今日まで、特にいわゆる正常化の後に開かれた本予算委員会の政府答弁を承っておりますと、もはやロッキード、うやむやの道をひた走っているのじゃないか、これは私は非常に人々の見るところだと思うのであります。ロッキードがうやむやになるということは、民主政治の破壊であります。議会制民主主義そのものをかけた大きな危機がここにあると思います。これは一に私は総理の決意にかかっておる、こう思います。総理ならできることなので、後退に次ぐ後退という印象を払拭されて、政治生命をかけると言われた総理から、まず、この予算委員会の最後の段階において、単に決意の抽象的な表明ではなくて、断じてこのロッキード問題の真相究明をうやむやにしないのだという約束を、国民に向かって具体的に総理から伺っておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 上田君が、うやむやの道をひた走りに走っているというお話でございましたが、これはもう、事実政府のそういう姿勢はいささかも私はない。これだけの国民的な関心を持っておる事件をうやむやのうちに葬り去って、そして日本の民主政治というものが健全に育って相は国民も求めているんだから、何が真相かというものを国民は知りたいということが今日の日本の国民の求めですから、この求めにこたえなければならぬという強い決意であります。そしてまた、その結果として、その真相を究明し、法規に照らして厳正な処置をして、また、政治的な、道義的な責任についてもこれを追及して、日本の民主政治の健全な発展に、不幸な事件ではあったけれども、これは大きな画期的な事件であったんだというふうにいたしたいと思う次第でございます。
○上田哲君 抽象的では困るんです。総理、今回のこの変則国会、しかも非常に短い会期にもかかわらず、わが党はこれをきょう議了しようという態度をとっておるのです。議会制民主主義を守ろうということに対する熱意以外の何物でもないのです。これに対して総理大臣という権能を、政治生命をかけてということであるならば、この真相究明ができるんです。やってみなきゃわからぬというようなことじゃなくて、一歩踏み込んだ決意をこの段階でははっきりしていただかなきゃならぬのです。 いまも言われたように、問題となるのは、刑事捜査のもとにすべてを置こうとしているということが問題なんです。そうではないのじゃないか。刑事捜査にもこれはひとつ力を込めてやっていただかなきゃならぬです。われわれは刑事捜査がいかぬと言っているのじゃない。しかし、刑事捜査だけでそのすべてを解明しようというのでは、政治は要らないのです。高度の政治責任論を闘わさなければならぬのではないですか。それが国会ではありませんか。そのことについての明確な御意見を承りたい。
○国務大臣(三木武夫君) 刑事上の責任を追及するということは大事なことです。法治国家として法規に照らして厳正な処置をするということで、いま捜査当局に対して徹底的な捜査を継続して、そして真相の解明をするように私は激励する立場に立っておる。これはやはり無視できない大きな真相解明の基本的な手がかりでしょうね。 もう一つは、上田君の言われるように、政治的な、道義的な責任追及ということは、これは当然のことでございます。そのためにお互いに、この国会の中においてもロッキード問題特別調査委員会を置こうとしておるんじゃないでしょうか。この場も大きなやっぱり政治的、道義的な責任追及の場であり得るし、また、その場を活用しなければならぬ。また、政党自身も、これは各政党ともいろいろこの問題を契機として、党の体質改善、あるいはまた党の近代化等に取り組むべき私は責任がある。これは政党自身としても、政党の立場で政治的なあるいは道義的な問題というものも取り扱うべきでしょうね。自民党の中においても特別委員会をつくってある次第でございます。 こういう刑事上の責任、また政治道義上の責任、あるいは政党のこれからの体質改善の問題、こういうものを含んだ広範な問題をやっぱりこの問題は提起しておる。それぞれの部局において最善を尽くして、この不幸な事件が日本の民主政治発展の大きな一つの転機になるということを私は願っておるものでございます。
○上田哲君 それじゃ総理、納得しませんよ、国民は。刑事捜査というものは刑事捜査なんです。特別委員会で政治責任論をやろうじゃないかでは、予算委員会はどうなるんですか。予算委員会というのは総括委員会です。最高の政治討議をする場なんです。しかも、きょう終わるのだから、ここですべてを尽くせとは言わないが、そんな抽象論ではなくて、特別委員会に持っていけばいいじゃないかというような議論ではなくて、本当の政治責任論を闘わすのが国会であり予算委員会であるということは間違いないじゃありませんか。特別委員会などと言わないで、総理大臣の権能を最高に駆使して絶対にうやむやにはさせないのだ、そういうことをはっきり言ってください。
○国務大臣(三木武夫君) 予算委員会でも、総じてロッキード問題に対しては政治責任論ですよね、この予算委員会で展開されているのは。大いにおやりになって結構だと思いますよ。しかし、それでもこの予算委員会には期限がありますからね、そういうことで、その後は特別調査委員会ということでございます。 また、最後にこの問題はうやむやにすることはないと断言いたします。
○上田哲君 うやむやになった場合にも政治責任はあるということですね、うやむやになったことについての。
○国務大臣(三木武夫君) これだけの大問題をうやむやにして、当然に政治責任を伴います。
○上田哲君 わかりました。うやむやになった場合には、うやむやになったことの政治責任をとるという決意でありますから、その決意を了といたします。 そこで、もっと前向きに政治責任論争をしていかなきゃならないということになると、これは総理が言われた刑事捜査は、いま贈収賄をやっておる。贈収賄、大いにやっていただきたい。しかし、贈収賄という刑事捜査の範囲だけではなくて、われわれが政治論議をしなきゃならない問題というのは、その背景にある政治構造あるいは政策決定過程、この問題について深く議論をするのが為政者としての立場ではないかと、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 大いに議論されてしかるべきだと思います。
○上田哲君 結構です。私どもはそういう立場で、この事件は三十年保守政治の構造的腐敗である、こういうふうに考えております。つまり構造汚職だと呼んでおります。 総理の基本的な認識を伺っておきたいわけでありますけれども、だれが見ても、ここにはロッキードから流れ出た二つの大きな山が見える。一つはトライスターであります。一つはP3Cであります。そして、そのトライスターとP3Cの大きな山に共通することは、いずれもその基本方針が激変をしたということであります。四十五年から六年にかけて、トライスターについてはエアバス導入延期の大転換が行われた。PXLについては国産化の方針が一挙に覆った。この大きな方針転換というところにすべての今日までの議論が集中し、疑惑のポイントがある。これはもうだれもが認めるところであると思いますが、この長い審議の経過の中で、総理もこれについて同じようなお考えでありましょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 予算委員会等の質疑の中においても、いま上田君の御指摘になったような問題がいろいろ質問の中心をなしておったように思いますから、それがいろんな疑惑を呼んでおるから質問が出るんだと私は思います。
○上田哲君 総理も同じように問題意識をお持ちのようであります。そうしますと、ここで問題となるのは、このような政府方針の基本的な大転換がトライスターにもP3Cにも行われた。これはすなわち、政府の基本的な最高政策決定の変化であります。もっと簡単に言うならば、トライスターもP3Cも、四十七年八月のホノルルの日米首脳会談がなければ出てこないことであります。まさにそのとおりであります。そういう関係について総理はどのような責任感覚をお持ちでありますか。
○国務大臣(三木武夫君) ホノルルの会談がなければこういうことは出てこなかったと。私はそうは思わない。ホノルルの日米首脳会議の会議録も読みましたけれども、こういう問題がこの日米首脳会談の中心であったというような記録はどこにもないわけですから、そういうことと関係があってこういう問題が政策の変更が行われてきたというふうには私は承知をいたしておらないわけでございます。
○上田哲君 ホノルルの日米首脳会談がこの汚職を意図的につくったと、これは総理も言われないであろうし、私もそう言わそうと思ってはいません。構造的な仕組みではどうなっているかと言えば、児玉譽士夫なり何なりという者がどんなに右往左往しようとも、どんなにコンサルタント契約があろうとも、コーチャンの言うような莫大な金が、しかも検察当局はほとんど裏づけを終わっていると言われるその莫大な政治工作資金というものが流れ込んだということ、意味を持ったということは、ホノルル会談の最高トップ会談の決定がなければ引き金が引かれてないということなんです。いいですか、総理、最高政治責任者が、たとえばあなたや前総理等がそういう黒い金をもらったかもらわないかという議論をしているのではないんです。どういう意図があったかということも議論をしようとはしていません。しかし、客観的に見れば、そのような政策決定、日米最高首脳による政策決定がこうした汚職構造の引き金を引いたということは、争い得ない客観的な構図であります。だから、刑事捜査の対象としてなり得るかどうか、シロになるかクロになるかというような問題ではないのです、これは。政治責任というものはそういうところにあるのではないか。これについてどのような御見解をお持ちかと重ねて聞くのです。
○国務大臣(三木武夫君) 私からお答えしますが、私はそのように、上田君、思ってないのです。この問題がホノルルにおける日米首脳会談から端を発したとは私は考えてない。私も会議録は読んだわけですが、この点については非常に上田君、御疑問に思われている点でありますから、日米の首脳会談について少し外務大臣から補足して説明をいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど、引き金を引いたという表現で上田委員が仰せられたわけでありまして、それは比喩的なことでおっしゃったと思いますが、事実はもう少し厳密にやはり考えてみる必要があるのではないかと思います。 すなわち、ホノルルの首脳会談あるいはそれに至るところの鶴見・インガソル等々の準備、それらの過程を通じて、一定の機種をわが国が買うとか買わないとかいうことが議論になったかどうかということについて、記録等々を調査いたしましてもそのような形跡はございません。もとより、全体的な当時の環境が、いわゆるアメリカがドル防衛に非常に熱心で、窮地に追い込まれており、わが国としてはそれに協力するという意味で、できるだけわが国が必要とするものについては輸入を促進しようということは、これは両国の基本的な合意でありますし、ホノルル会談のそれが基調になっておったことも事実でございます。そういう大きな背景は、これはもうどなたも御存じのようにございましたけれども、それが特定の、どのようなものをどういう形で輸入をするというようなことにつながっていなかったことも、これも私は事実であると存じます。
○上田哲君 総理、こういう答弁をされては国民は失望するんですよ。政治責任というのは刑事責任だとは言っておらぬのです。総理が金をもらっただろうなんて低次な議論をしているのではないんですよ。いまもどなたも御存じのとおりと外務大臣が言われたように、三億二千万ドル、トライスターあるいはP3C、こういうことが決まったのはホノルル会談ではありませんか。当時の日本最高首脳部が、児玉を意識し、丸紅を意識し、コーチャンを意識していたかどうかなんていうことを聞いておるのじゃないんです。そういうものが、魑魅魍魎が右往左往している中で、意識するとしないとにかかわらず、その引き金を引いた結果になるではないか。政治構造としての問題意識というのはそういうものをとらえなければ、おれは知らぬということになって逃げの姿勢になるではないかということについて、総理は国民に向かってどうお考えになっておるのかということを聞いておるんです。
○国務大臣(三木武夫君) 外務大臣がいま補足の答弁をいたしましたように、このホノルル会談を通じて、そういう具体的なものが何ら決められた会議ではないということでございます。したがって、このことがいろいろな問題の出発点であるというふうには、私は直接この問題とPXLなどの問題と結びつけては考えないわけでございます。
○上田哲君 私は高度な政治議論を期待するのでありまして、低次な議論にしたくないんです。しかし、算術を申し上げる。しからば、ホノルル会談でトライスター導入三億二千万ドルの使い方が決まらなければ、いかに児玉がじたばたしても、あの大きなコーチャン工作は実現しなかったではありませんか。——外務大臣が出てもしようがないんです。総理に聞いておるんです。求めません。求めない答弁要らない。
○国務大臣(宮澤喜一君) 事実の有無についておっしゃっておるわけでございますから、私がお答えすれば足りると思います。 いま上田委員のおっしゃることをもう少し単純化して申せば、日本がそういうようなものを購入する外貨を持っていなかったならば、あるいはいわゆるドル防衛というような事態が起こらなかったならばそういうことは起こらなかったかもしれないではないか、結局そういうことをおっしゃっていらっしゃるのならば、それはいわゆる自由化体制でわが国が外貨を持つようになったのでありますから、必要な物は輸入できるような情勢になっておった。そういう背景があったかなかったかと、それだけのことであれば、それは私はございましたと申し上げるにやぶさかでございませんが、それが何か引き金というようなことになりますと、その間に直接の因果関係があったというふうな印象を与えますから、引き金というふうな言葉は、象徴的な意味でならともかく、厳密な意味では私どもは当たらないであろうと思います。
○上田哲君 私は総理から答弁を求めておるんです。
○国務大臣(三木武夫君) こういう外交上の具体的な問題は、関係閣僚をもって答弁さす自由を政府は持っておる。それで補足の説明は、今後もいたすつもりでございます。 いま申したように、これが直接の具体的な問題と結びつく会議ではなかった。私はこの会議を、会議録ばかりでなしに、会議の模様というものも私自身も書類だけでなしにいろいろ聞きもしたわけでございます。しかしながら、そういう具体的な問題と結びついた会議ではなかったということは繰り返し述べておるとおりでございます。
○上田哲君 こういう議論で時間を引っ張り込まれるのは、私は迷惑なんです。ドルが黒であった、それがすべて悪かったのではないかと、そんなことを言っているのではないんです。ドルが黒ならトライスターを買わなければならぬということにはならぬではありませんか。ホノルルではトライスターを買うことにしたではありませんか。それが何も汚職を目指したものだとは私は言っていない。政治構造としてはそういう算術的結果になるということについて、政治は知らぬ顔はできないではないかということを総理、考えなければいかぬだろう、政治はと、こう言っておるんです。考えなくてもいいということですか、総理。
○国務大臣(三木武夫君) どうも外務大臣の記録をたどっての話を聞きましても、それがいま問題になっている問題と具体的に結びつく会議ではなかったということは、繰り返し申し上げるよりほかにはない。
○上田哲君 政治責任の希薄としか言いようがありません。時間が惜しい。先に行きましょう。 そういう最高方針の転換によって出てくるのは、いわゆる行政指導なんです。そこで、まず伺いたい。全日空、日本航空、機種決定の新型機の導入について、政府はどういうかかわりを持つのか。行政的にではなくて、法律的に。特に全日空、日航の差異についても詳しく伺いたい。
○国務大臣(木村睦男君) 日本航空と全日空とは会社の形態が違いますので、それぞれ分けて申し上げますと、日本航空は、御承知のように政府が出資をいたしておる会社であるわけでございます。そこで新型機、新しい機材を購入するという場合には、どれだけの資金が要るかという問題が一つかかわり合いが出てくるわけでございます。全日空の場合には純粋の民間会社でございますから、いかなる機材をどう買おうとも、政府はタッチすべき事柄ではございません。 こうして、いずれも新機材を買いますときの外貨の割り当てとか、輸入の許可とか、そういう問題は当然あるわけでございます。さらに新機材を購入いたしまして、これを路線に使うという場合に、路線の事業計画の変更という問題が起きてまいります。その段階では、当然航空法によってタッチする、こういう仕組みになっておるわけでございます。
○上田哲君 全日空に係る航空法百九条の関連はいかがですか。
○政府委員(中村大造君) お答え申し上げます。 全日空について申し上げますと、航空法の規定によりますと、各路線ごとに免許をいたしておりまして、その免許申請の中に事業計画というものが内容として含まれておるわけでございます。したがいまして、この各路線について、そこで使う機種あるいは機数が変更になる場合には、当然事業計画の変更、これは百九条でございますけれども、事業計画の変更という行為が行われるわけでございます。
○上田哲君 日本航空と全日空では、その会社の性格上から、行政とのかかわりは法的にも違うわけですね。そして、まとめてもいいし、別々でもいいが、もう一遍確認しておきたいが、法律的には機種決定、新型機の導入等については政府はかかわりがないのですか、かかわれないのですか。
○政府委員(中村大造君) どの機種を採用するかということにつきましては、法律的にもまた実際の行政行為の中でも、政府はこれにタッチはいたしておりません。ただ、事業計画の中で、各路線ごとにどういう機材を何機、しかも何回使うかという、そういう点非常に細かく規定いたしておりますので、事業計画の認可をする段階において当然どういう機材を使うということは承知する、こういうことになろうと思います。
○上田哲君 四十五年のジャンボ四機の認可というのはどういう根拠によりますか。
○政府委員(中村大造君) お答え申し上げます。 四十五年の十一月に日航がジャンボ四機の購入をいたすにつきまして認可いたしましたが、これは日本航空株式会社法第十二条だったと思いますけれども、重要ないわゆる財産の取得、こういう観点から認可をいたしたわけでございます。したがって、これは日航だけにそういう措置がとられておるわけで、全日空の場合はそういうふうなケースはございません。
○上田哲君 いまのは日本航空法の十二条の二ですね。それは日本航空にはやれるのだ、全日空にはできないのだ、こういうことですね。
○政府委員(中村大造君) そのとおりでございます。
○上田哲君 行政指導というのは、どういう根拠で、どういうふうに実体的には進めているわけですか。
○政府委員(中村大造君) 行政指導といいますのは、やはりわれわれ理解いたします限りにおいては、いわゆるわれわれが行う行政行為の一種であろうと思っておりますけれども、その根拠はすべて設置法に発しておるというふうに考えております。通常はそれぞれの実定法によりまして許可とか認可というふうな処分を行うわけでございますけれども、そういうふうな具体的な処分を行う前段階として、あるいはそういう処分を補うというかっこうで、われわれはむしろ積極的にいろいろな行政指導というものを行うことによって、行政効果をしかもスムーズに上げることを期待してやっておるというふうに承知いたしております。
○上田哲君 日本航空法と航空法によって差があるけれども、日航はこの辺にあって、全日空はこれぐらいにあるという感じの比較はあるでしょうけれども、差はある。法的にはいろいろ、決定的ではないけれども、日航はある程度ありましょうが、機種決定はこっちはできるが、こっちはできぬ、しかし、すべては行政指導で行われている。行政指導で全体を、日本の航空行政をしっかりコントロールしているという認識がありますか。
○政府委員(中村大造君) たとえば機材の購入の契約をする段階におきまして、日航の場合は、ただいま申し上げましたように日航法によりまして取得認可という行政処分がございますけれども、全日空の場合にはそれがございません。結局、日航、全日空共通いたしましては、機材が入りまして実際に就航をさせるときに、それぞれただいま申し上げましたような事業計画というところでチェックをし認可するわけでございますけれども、しかし、現実に行政指導という観点から考えますと、どういう機材を使うかということは、これは法律的にもあるいは行政指導の面でも政府はタッチいたしませんけれどむ、たとえば国内線に大型機をいつごろから入れるか、あるいはそれぞれの会社につきましてどのようなテンポで入れるのがいわゆる需給のバランスをとる上でいいかということにつきましては、これは運輸省といたしましても非常に大きな関心事でございますから、そういう点は随時報告をとり、また必要な行政指導を、行政指導といいましてもいろいろ強弱があろうと思いますけれども、その都度必要な行政指導を行うことによって、方向として間違いのないように持っていっておるというのが実情でございます。
○上田哲君 総理、お聞きのようなんです。つまり法的にははっきりしない部分もある、ばらつきもあるんだが、日航、全日空に対して、行政指導ということで事実上機材、便数、路線等々の決定を方向づけをやっておるというのが実態なわけなんです。 そこで、従来から問題になっております四十六年二月の大方針転換ですね。これは四十五年の九月の日航、四十七年からのエアバス導入を含む五カ年計画が了承されておる。四十五年の十二月には全日空もそうだった。四十五年の十一月には国内線ジェット化と大型化推進の閣議了承もあった。そして四十五年の十一月にジャンボの四機の購入を認可をした。三カ月後にこれを延ばせということになった。これがずうっと議論されておるポイントであります。いまのような政府の行政指導の中で実質的にこういうことが行われておる。議論されてきたところですが、総理、この締めくくりの中で、やっぱりこれは大変不自然だと、究明しなければならないことを、大変不自然であるというふうにお考えになりますね。
○国務大臣(三木武夫君) 運輸省の行政指導というものは、何かこう不自然にそういうふうなことをするというのではなくして、そのときの、いろんな諸情勢を踏まえてそのときの行政指導は最善だと思う処置をしてきたものだと私は受け取るものでございます。
○上田哲君 総理、これはだれが見ても不自然なんですよ。これだけずうっとやってきた話が、ぽこっと三カ月でもとへ戻っちまって変わっちまったというのが、あなた不自然でないと国民の中でたった一人思うんですか。いいですか。四十五年の九月に日航が五カ年計画が了承されているわけです。すぐ三カ月後に全日空もそうなんです。そして閣議もそういう方向を打ち出しているわけです。それが基底にあって、四十五年の十一月にジャンボの四機を日航が買うということを認可されているわけです、これは。三カ月後に、これ延ばせということが出たというのは、だれが考えても——目新しい話じゃないんです。質疑はここに集中しておるんです。だれが考えても不自然だ。あなた一人はこれを不自然だとお考えにならぬと言うんですか。常識を問うておるんです。総理に答えてもらいたいな。
○国務大臣(木村睦男君) 事実問題でございますので、少しく当時の実情を、航空行政がどういうふうに当時移ってきたかということをお聞きいただいておきませんと、どうも十分おわかりがいただけないと思いますから申し上げます。
○上田哲君 総理がわからぬですか、こっちがわからぬですか。私はわかっていますよ。総理に聞かせるんですか。
○国務大臣(木村睦男君) 両方ひとつお聞きいただきたいと思います。 いまお話しの、日本航空あるいは全日空が五カ年計画を持った、これは事実でございます。これは両会社とも毎年、マクロ的にある程度の長期の五カ年計画的なものを持っておりますけれども、その五カ年計画は決して運輸大臣が承認したものでも何でもございません。同時に、その計画は航空会社自体も毎年その年度の予算編成のときに見直しをして、翌年はまた翌年からの五カ年計画というふうに見直しをしてきておるわけでございます。そういう意味の五カ年計画の中において、日本航空は四十七年から大型機を入れようという計画を一応持っておった。それが背景にありまして、四十五年に四機の新型大型機を購入する。ただし、それは日本航空の計画によりますというと、古い方のすでに国際線で運用しております三機は国内線に四十七年に導入しようという一つの含みもあって、新規に新しいのを四機入れようというような計画を持っておったことも事実でございます。全日空は国際線はもちろん持っておりませんし、大型機を持っておりませんので、新たに航空情勢に応じて、日本航空も国内線に大型機を入れようとしておる状況でもあるし、世界的な状況でもありますので、同じ競争会社として国内線に大型機も入れたいという、これも一つの計画を持っておった。そういうことで、四機の大型機の購入について運輸大臣は認可をいたした。 それで、当時の状況は、たびたび申し上げておりますけれども、四十五年の秋までは航空需要が非常に高かった。ところが、四十五年の秋を過ぎましてから航空需要が減ってきたというふうな客観的な情勢もあった。それを踏まえまして、四十五年の十月ごろに、運政審の答申はそれまでの航空需要の非常に高い状況を前提にしての答申でございましたが、当時決められました閣議了解もそれを受けまして、将来は国内線にも大型機、ジュット化をするという基本方針が出たわけでございます。それはいずれも一つの線に乗っておるわけでございますが、その閣議了解が出ましたけれども、そこでは四十七年に実現すべきであるとか、あるいは四十八年にすべきであるとかいう時点は押さえてないわけでございます。いわばそういう問題は、実施計画、実施方針的なものでございますので、これは運輸大臣がこの閣議了解を受けて、具体的にその事態の状況を見ながら決めていくということでございます。 そこで、当時の国会の質疑を見ましても、日本航空が四十七年に導入するということになりますというと、四十五年の段階ですでに発注もしなきゃいかぬというふうな事態を踏まえまして、国会での質疑応答も、そんなに早く、まだ日本の航空の情勢から見て大型機を入れるべきではないではないかと、ことに日本航空はダグラスを入れようとしておる、運輸省は公正なる競争の立場から両社とも同一機種が望ましい、こういうふうなことも言っておる。そうすると、同一機種を早く入れて、同じ機種を使わそうということはおかしいではないかというふうな、いろんな当時意見が出たわけでございます。その根底をなすものは、やはり航空需要がこのように減ってきておる。また、航空の安全の面も必ずしもまだ大型機で数多くの飛行場を使える状況でもない。それからもう一つは、これらの大型機も、四十五年の段階ではようやく一番機がテスト的に飛んだだけでありまして、まだアメリカの航空会社も実際には路線にこれを使っていない。したがって、実験的な検討もできていない。こういう段階で、いかにもあわてて政府が、航空会社が、そういう大型機を入れるということはどうも納得できぬ、もう少しゆっくり考えたらどうかというふうな御質問が委員会等でも出ておったわけでございます。当時の運輸大臣は、そういうことも踏まえまして、慎重に考えましょうという考え方を持ったわけでございます。 日本航空の計画はそういう計画でございました。そこで、国際線に使う四機につきましては認可を与えましたけれども、日本航空の中では、その裏には古い三機を国内線に回そうという考えがあったことも事実でございますが、当時、国内線でまだ大型機を入れるのは早いから、これは少し延ばしたらどうかというふうな指導をしたことは事実でございます。 そういうことで、いわゆる大型機、ジェット機の導入の時期が、各航空会社が四十七年を目途にしておったことは事実でございますけれども、政府自身が四十七年に入れるべきであるという方針は毫も持っていなかったわけでございます。そういうふうな論戦を通じ、また、それが国民の一応意見でもあるということで慎重になりまして、そして導入の時期をずらした方がよくはないかというふうな指導をしてまいったことは事実でございますので、私も運輸行政を預かるものといたしまして、当時のことについて、ロッキード問題が起きましてからいろいろな疑惑の目で御質問を受けておりますので、私もよくいろいろ当時の実際の航空行政が、何といいますか、不適切に行われておったかどうかということを検討をしてまいりましたけれども、私の見ておりますところでは、そういうことのために当時の航空行政が不適切に行われておったという印象はどうしても持つことができない。客観的な事実をずっと考えてみますというと、まず妥当な航空行政が行われておった、こういうふうに考えざるを得ないのでございます。 いろいろ誤解のあります点は、エアバスの問題と大型機の問題、これらが一緒になって議論されているようなことも間々ございますし、若干そういう点に国民の皆さんに十分御理解をいただけない点もあろうかと思いますが、要するに、大型機の輸送力をまだ当時両会社が入れますというと、下がりつつある航空需要に対してはオーバー供給になって、航空事業の安定ということが害される、もろもろのそういう実体的な理由もありまして延ばしてきたということで、私はいま運輸大臣として当時の状況を考えますときに、そう間違った運輸行政ではなかった、背後のことは別といたしまして、運輸行政そのものは妥当に行われておった、こう考えざるを得ないというのが実情でございます。
○上田哲君 背後……。
○国務大臣(木村睦男君) 背後ということは、いろいろ皆さんがおっしゃることがあるかどうか知りませんが、そういうことは別に、運輸行政の面において何か不自然があったかなかったかという御質問に対しては、私はきわめて妥当な運輸行政が行われておった、こう断ぜざるを得ないということを申し上げる次第でございます。
○上田哲君 第一の理由は旅客数だということですか、いまおっしゃっているのは。
○国務大臣(木村睦男君) いや、第一の理由は、やはり航空安全の問題でございます。
○上田哲君 安全が三カ月で変わるのですか。
○国務大臣(木村睦男君) いや、三カ月というのは、これは運輸省は別に三カ月間にやれとか何とかいう、先ほど申し上げたように、そういう方針は全然持っていないわけですから、その点がちょっと上田委員のお考えと違う点でございます。
○上田哲君 四十五年十一月と四十六年二月のことを聞いているのですよ。説明に出てきたじゃないか。
○国務大臣(木村睦男君) いま申し上げたようなことでございます。
○上田哲君 頼んでない、説明に出てきたのは。 総理、どうですか、いまの御説明をお聞きになって。
○国務大臣(三木武夫君) 私も聞いておってもっともだなと思ったのですが、それはやはり大型機を輸入しますと、新しいのですからね、いままでやっておったわけではないのです。新しく輸入する場合には、旅客の状態によって航空会社の経営の安定も考えるだろうし、また、大型機の事故なんかを起こしたような経験もありますから、安全航空、安全も考えるだろうし、新しいことをする場合にはそういう諸般の情勢を考えて、いろいろ行政指導も時に応じて変化もあり得るなあという感じを、運輸大臣の説明を聞きながら私も受けた次第でございます。
○上田哲君 これはひどい。単純明快な常識をすら否定するのは、逃げですよ、これは。この議論はすれ違いではありませんよ。平行線ではありませんよ。一方的な逃げですよ。責任回避以外何ものもない。常識論をすら否定してはいかぬです。運輸大臣は急に詳しくなって、るる当時の説明をされる。はなはだそのこと自体が私にはよくわからぬ。 しからば伺う。そのような細かい説明がつくような説明力をもって、その四十六年二月にその問題の行政指導はだれが、いつ、どのようにして行われたか、明示していただきたい。
○国務大臣(木村睦男君) 当時の航空局としての考え方でございましたので、航空局がそういう指導をしておるわけでございますので、その責任者は航空局長であり、もちろん運輸省の方針として指導したわけですから、大臣以下それぞれ所管の担当者の責任であると、こういうことになるわけでございます。
○上田哲君 いや、ここが大事なところです。だれが、いつ、どういうふうにやったか、具体的に聞きたい。
○政府委員(中村大造君) この点は四十六年の二月ごろから……
○上田哲君 二月のことを聞いているのです。
○政府委員(中村大造君) 主として需給状況を主体にして、四十七年度導入というものを先に少し延ばした方がいいのではないかということで、会社で一遍検討してもらいたい、こういうふうな意思表示をしたわけでございまして、したがって、これも行政指導と言えば行政指導でございますけれども、絶対にそうしろというふうな強いものではなく、検討を依頼した、こういう程度であったと思います。その後ずっと経過があるわけでございますけれども……。
○上田哲君 二月のことを聞いているのです。
○政府委員(中村大造君) 二月は——したがって、何月幾日にだれがだれに対してそういう行政指導をしたかということは、これは残念ながら、そういう記録もございませんし、また部内的にも、だれがだれに言ったかということは確認できないわけでございます。ただ、会社の方の記録に、運輸省からそういうふうな意思表示があったということは、これはございますので、そういうことから、二月ごろからそういう意思表示を運輸省がやってきたということが立証されるのではないかと思うわけでございます。
○上田哲君 そんなばかな話がありますか。答弁も求めないのに運輸大臣が出てきて、あれだけ長いことるる説明をしておる。にもかかわらず、だれが、いつ、だれにやったかというのは全然わからないんです。そんな子供だましの説明が通じますか。いつ、だれが、どこで何をしたか。二月のことです。運輸大臣はあれだけ説明したんだ。そのことがどういうふうにやられたのか、場所と時間と人と示してください。
○国務大臣(木村睦男君) これはたびたび申し上げますように、当時の、いま航空局長が申し上げましたような事情のもとに導入実施を延ばすべきであるというのが、これはまあ航空局長の意見でもあるわけでございますので、それを受けて担当の者がそういう連絡をとったと。
○上田哲君 担当の者はだれかと言うのです。
○国務大臣(木村睦男君) そういうことでございまして、それは航空局の職員には違いないのですけれども。
○上田哲君 だれですか。
○国務大臣(木村睦男君) 当時の事情のことですからね。これはその方針がいいか悪いかという問題についての御意見ですと、まあそういう御答弁になるわけでございますが、だれが、いつどうしたかということは、局長の方針を受けての行政指導ですから、むしろ方針を決めたのが問題になって、使い走りをしたり、連絡とった者はだれかということを、調べろというなら調べますけれども、私はそれがそう大きな問題ではないように思うのですから、そういうことでございますれば、よく調べてみます。
○上田哲君 全日空はこれで導入延期したんですよ。それをやった方がわからぬというばかなことが通りますか。どうですか、総理、これで。役所というのはそういうことを全然書いておかぬのですか。
○政府委員(中村大造君) 確かにそういう明確な記録が役所側に残っていないことはきわめて残念でございますけれども、私ども、当時の関係者等からも詳細に報告を徴し、また残っている資料についても精査いたしましたけれども、役所側として、だれがだれにということが現在までのところどうしても確認ができないわけでございます。たびたび申し上げているように、会社の方にも、だれからだれがそういうことを受けたという記録が現在までのところございません。ただ、運輸省から、航空局からそういうふうな意思表示があったということを会社の中で申しておる、そういう記録から、二月ごろから行政指導をしたという事実は私は紛れもないことだと思いますけれども、たびたび申し上げますように、現在までの調査によりますと、だれが、いつ、だれに対してと、こういうことはどうしても判明いたしませんということでございます。
○上田哲君 総理、あったことは間違いないと言っているのです。そして全日空はこれで導入延期したんです。ところが、向こうにはメモがあるけれども、こっちじゃどう調べてもわからぬ。これは総理、行政最高責任者として調べるべきでしょう、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) その場合、やはり航空局で決めたものを伝達するのでしょうから、責任者といえば航空局長でしょうが、実際にだれがその航空局の意向を伝えたのかというのは、もう少し調べてみましょう、これは。
○上田哲君 予算委員会の最後の日に、もう一遍調べましょうということがやっと聞けるということは、私は熱意があると思えませんな。それには理由があります。 私の調べでは、この導入延期のポイントはこのときじゃないんですよ。四十六年二月はどうしたって出てこないのです。四十六年二月ではないんです、これは。四十六年の六月にはっきりした行政指導をやっておる。その事実を認めますか。
○政府委員(中村大造君) 先生御指摘のとおり、四十六年の六月に日航に対しまして、導入延期といいますか、先ほどからお話が出ております国際線用三機の国内への転用、これを取りやめるか、あるいはこの四機の導入、購入を少し延ばすか、とにかくそういうふうな行政指導を六月にいたしたことは事実でございます。
○上田哲君 これなんですよ。四十六年二月にあらず、四十六年六月がポイントなんです。なぜ四十六年六月にやらなければならなかったのですか、日航に。
○政府委員(中村大造君) これは、当時の事情を調査した結果によりますと、二月ごろから導入延期について行政指導を始めたわけでございますけれども、それに対してすぐ答えが出たというわけではございませんで、その後日本航空につきましては、四十六年の三月の終わりに、いわゆる日航の四十六年度予算、事業計画等の認可がございます。その段階で、とにかく四十六年度に発注を予定しておる国内線用大型機を予算に計上することについて、これを落としたいきさつがあるわけでございます。しかしながら、先ほどから先生も御指摘のように、国際線で使っております三機のジャンボを国内線に四十七年度から転用するという計画は、依然として日航は持っておったわけでございまして、そうなりますと、やはり需給の関係、あるいは空港事情、あるいは両社の公正な競争ということから考えて、このまま放置して四十七年度に転用を認めていくということはどうしてもこれはできないということから、航空局といたしましても、従来のいわゆるアドバイス的な意思表示からだんだん強くなってきたのではないかと思います。そして六月には、いわば日本航空に対して転用を取りやめるか、あるいは国際線用の四機の購入を一時おくらせるか、その点について検討をしてもらいたいという意思表示をいたしたことは事実でございます。
○上田哲君 そのとき全日空はどうだったんですか。
○政府委員(中村大造君) 全日空は、これはいずれにしても新型機を購入いたさなければなりませんので、四十六年の六月段階は、まだ社内的には四十七年度に新型機を導入するという前提でいろいろ機種選定作業を進めておったと、こういうふうに理解いたしております。ただ、運輸省の行政指導に対しましては、全日空は四十九年でも結構だという回答をしておるということが、これは全日空側の記録でございますけれども、ございます。
○上田哲君 二月ですね。
○政府委員(中村大造君) 二月か三月でございます。
○上田哲君 非常に重大です。そうしますと、エアバス導入の延期が確定したというのはこの六月の行政指導ということになるんですが、いいですか、なぜ六月にやることになったかというと、二月の行政指導では、全日空の方はよろしい、JALの方が、日航の方がオーケーしなかった。だからいまのお話のように、単なる指導ではなくて、かなり強い指導として、アドバイスとして、六月に日航がオーケーになったと、こういうことですね。
○政府委員(中村大造君) 当時の全日空の記録によりますと、二月段階の航空局のアドバイスに対して、全日空としては四十九年で差し支えないような返事をしたということは、全日空の記録にございます。ただ、全日空内部といたしましてはやはり日航というものを常に意識しておったわけでございますので、そこで四十九年に延ばしたというふうな明確な意思表示を決定いたしていないようでございまして、先ほども申し上げましたように、いわゆる機種選定委員会では依然として四十七年度導入もあり得るという前提で準備をやっておった。私どもの調査では、たしか四十六年の六月三十日ごろだったと思いますけれども、そのときに機種選定委員会で導入時期を四十八年に延ばそうということを社内的には決めておるようでございます。ただ、対外的にこれを発表するということにはなっていなかったわけでございます。
○上田哲君 はっきりいたしました。つまり、四十六年二月、これは本来ならば監督権限が弱い方の全日空はオーケーをしたんです、導入延期に。しかし、JALの方がそこではうんと言わなかった。そこで行政指導が強まって、強いアドバイスとなって、四十六年六月に日航はここでオーケーをしたと、こういうことになる。これは間違いありませんね。もう一ぺんはっきりします。
○政府委員(中村大造君) 日航に対するこの行政指導は、あくまでも国際線に就航いたしました三機の国内線への転用でございます。これは六月一日にそういうふうな行政指導、意思表示をいたしましたけれども、そこですぐに日航がオーケーと言ったわけではございません。ただ、六月のたしか一日でございますけれども、これは役所にも残っておりますけれども、役所でいろいろ需給を計算いたしまして、そして在来機のままでいいではないかという意思表示を明確に日航に対していたしたと、こういう記録がございます。
○上田哲君 非常に問題ではありませんか、総理。はっきり順序はそうなっているんですよ。そうしますと、三月一日の衆議院予算委員会で全日空の若狭社長が、日航の方がわれわれより先に導入を一年延期しようと申し出されたので、私の方もそうしたと。これは完全にいまの話と逆転をする偽証であります。どうお考えになりますか。
○政府委員(中村大造君) この当時の証言でございますけれども、これは日航が新型機の導入を、従来から考えておったようなペースを一年おくらせるということを意思表示をされたものであるというふうに理解できると思います。その国際線用の三機を国内に転用することも延期したと、こういうふうな意味で当時の日航の松尾社長が表明されたかどうか、これは実はこの当時の新聞記事しかございませんので確認できませんけれども、恐らく日航が進めてまいりました新機種導入のペースを一年延ばした、要するに四十六年度に機種選定をして発注するという計画を延ばしたと、こういうふうに言われたのではないか、またそのような前提で理解するのが順当ではないかというふうに思うわけでございます。
○上田哲君 はっきりしている。この順序から言ってこれははっきりしているんですから。若狭証言というのが偽証であるということを立証できるのは、行政指導をした運輸省なんです。総理、政府がみずから進んでこうした問題を解明しようとすれば、出てくることは幾らでもあるんです。政府がこういうことを進んで立証しようという態度をとらなければ、こういう問題は出てきませんよ。明らかにこれはトライスターの逆転劇、このトライスターに道を開くために全日空は唯々としてこうした行動をとったんだと言いたくないために、日航の方が先だったと言っている。日航は後なんです。明らかにこの問題の虚構が崩れた。オプションの問題も決着がつくんです、これは。こういうことがはっきりしてきた。ロッキードのトライスター売り込みの逆転劇ということがはっきりしてまいりました。 政府は、もっとこういうことに対して責任を持って行政の立場から問題の解明を進めていく、この決意を総理からしっかり承りたい。
○国務大臣(三木武夫君) いままで政府が答弁してきておることは、いままでの調査に基づいて答弁をしてきておると思うわけでございますが、これがまだまだ疑問の余地があるということについては、そういう疑問点が提起された事態を踏まえて一層の調査はいたします。
○上田哲君 疑念をお持ちになりますね。疑念をお持ちになるわけですね。
○国務大臣(三木武夫君) 私自身はあの説明のとおりだと思いますけれども、上田議員は……
○上田哲君 いや、説明どおりが疑念なんですよ。
○国務大臣(三木武夫君) それだから、そういうふうな問題が提起されておりますから、国会で提起されておるいろんな諸問題について従来の調査で御答弁を申し上げておるわけですが、そういう疑念についてはさらに調査はいたします。
○上田哲君 だめですよ、もっと真剣にならなきやいかぬですよ。たとえばあの怪文書と言われているもの、はっきりしましたか。はっきりしないと言われるんだろうけれども、これは、はっきりしないというのは政府の責任がないということじゃありませんか。こんなところへとんでもないとじ込みが風にひらひら舞ったように飛んでくるということは、あり得ないじゃないですか。これは政府がやろうとすればできるんです。逆に裏返していくと、これは行政指導という名のもとに、官僚機構の中じゃなくって、そのメカニズム以外の人の圧力が加わったということを証明するものであるかもしれぬ。ゆゆしいことではありませんか。この行政指導そのものをもっと徹底的に究明をして、こうした問題の真相究明のために努力をする、いかがですか、その決意は。
○国務大臣(三木武夫君) 怪文書の問題、いわゆる怪文書と言われておる問題についても、昨日答弁をいたしましたように、この問題についても自民党の方で鋭意調査を進めておるわけです。無論、党の正式の文書でないということはもう御報告申し上げたとおりですが、一体だれが正式の文書でないものをつくったのかという点について、まだ解明に至っておりませんが、鋭意これは調査をいたす所存でございます。
○上田哲君 いまや行政指導あるいは行政指導という名のもとに外部からの介入、これは結局、政府与党の恣意を横暴に実現しようとする利潤メカニズムになってしまっておる、これが問題なんですよ。これがコーチャンが言っているように、日本の入り組んだ行政メカニズムというものが売り込み工作をすることに非常に有利であるということになってくるんです。これをはっきりさせなければこの構造汚職の根は切れませんよ。それが政治の最高責任ではありませんか。こうした構造メカニズム、汚職メカニズムとなったこうしたあり方というものを、行政指導という名のもとに行われるさまざまな疑念、これを行政の最高責任者としてきれいにする、それがこの問題の真相究明の重要な要素であるということをはっきり御決意として承りたい。
○国務大臣(三木武夫君) この国会の中でしばしば疑問点が提起されるというようなことは、これはいろいろ考えてみる問題があると思います。行政というものが国民から見ても厳正公正に行われるということは必要でございますから、いろいろ提起された諸問題については政府自体においても調査はいたします。
○上田哲君 調査しなければならないことがたくさんあるということが明らかになったと思うんです。 PXLの問題に移りましょう。PXLをめぐる疑惑というのは、四十七年十月九日、あの突然の白紙還元にすべてが集約されておるんです。これはずいぶん議論されておるんです。いまのような経過も踏まえながら、総理、最高責任者としてやっぱりこれは同じように疑念がある、たださなければならないことがたくさんある。そうお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 政府のいままで白紙還元の問題などについても、いろいろ政府も説明を申し上げたわけでございまして、いままでの説明では、白紙還元ということではない、大蔵省と防衛庁との間に国産か輸入かということをめぐって、これはなかなか結論がつかない、こういう議論が続いておったわけです。予算編成のときにもこれはいつも問題になったわけですから、そういう議論、従来の議論というものは一応これはたな上げして、そして専門家の意見を徴そうではないかということであって、いままで決まっておったものをにわかに白紙に還元したのではないんだ、決着がつかなかったんだと、毎回毎回議論を重ねておったので。 そういうことだということを説明を申し上げておるわけでございますが、これが事実でありますが、なかなかそれに対してまだ一部に疑問をお持ちの方もございますが、この問題などについては、これは実際は私はそうだということを、私自身もちょうど閣僚の一人であって、そういう経過は私自身も出席をした会議もございまして、私自身もそのように考えておるわけでございまして、提起される疑点が、皆なるほどこれは調査する必要のある問題だというものでないものもたくさんにある。これに対しては真実に基づいてできるだけ御理解を願うように従来も答弁をいたしておりますし、今後提起される問題については誠意をもってお答えをしたいと思っております。
○上田哲君 それらが非常に説明不足だというところは、お認めになりますね。
○国務大臣(三木武夫君) こうしてやはり同じような問題が繰り返して質問されることは、確かに説明の足らないところもあると思います。
○上田哲君 そこですよ。この大きな政策判断の変更は、まさに四十七年八月のホノルル会談、田中・ニクソン会談から一カ月後なんです。ロッキードのトライスター売り込みが一段落した段階で唐突になされておる。こういう動きとP3Cの関係は、田中政権を引き継いだ総理自身が責任を持って解明すべき第一の義務でしょう。いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) ホノルル会談のことは、ここで最初に上田委員から御質問があってお答えしたわけであります。これ以上ホノルル会談の解明という考え方は持っておりません。しかし、その後いろいろ後で提起される諸問題の中には、確かにもう少し調べて説得力のある説明が必要な問題点もあることは私も認めますから、これは十分に調査をいたします。
○上田哲君 その説明不足の根底は、政府部内で十分な議論が尽くされてないというところから出るのですよ。私はいまでも久保次官の最初の記憶の方にどうしても信憑性があるように思えてならないのです。たとえばこの懇談会での了解事項、こういう異例なものが出てきたのは、当時の国防会議、初めから正式の議題にもなっていないし、事前に参事官会議や幹事会で全く詰められていないじゃありませんか。国防会議、どうですか。
○政府委員(内海倫君) お答え申し上げます。 PXLの問題につきましては、いままでもたびたび防衛庁長官から説明されておりますように、かなり長い間、防衛庁及び大蔵省の間で論議が重ねられてきたものであります。したがいまして、それはその都度参事官会議なり幹事会で論議がされてきておるものでございますが、ただいま御指摘の、いわゆる国産化問題を白紙とし、専門家会議を設けて云々というあの了解事項をつくり出すという問題につきましては、参事官会議あるいはその幹事会等において事務的に論議をして詰めてその上で議員懇談会で定まったというものではなくて、当日の議員懇談会の席上において決められたものでございます。
○上田哲君 おかしいでしょう、それじゃ。だから、そういうことですから、たとえばもう一つ、急遽決まった専門家会議は、必要な法手続とか予算措置もないじゃないですか。どうですか。
○政府委員(内海倫君) ただいま申しましたように、国産化問題を白紙にし云々の了解事項というものは、事前に事務的に積み上げられてきたものではございませんで、議員懇談会の席上で、出席されておる国防会議の出席の大臣の皆さん方の論議の結果でき上がったものでございます。したがいまして、その時点においては、これをどういうふうに位置づけるか、あるいは予算措置をどうするかというふうなものは、その後において私どもが考えなければならない問題であったことは事実でございます。
○上田哲君 見てごらんなさい、総理。何にもやってないんですよ。これで説明力が出てくるわけないじゃないですか。こんな重大決定がこんな形で行われている、防衛庁長官。その問題の九日の前日の八日、大蔵省の主計担当官から連絡がきたと、こういうことになるのです。これ、日曜日です。日曜日だから、会議をしていたということはそれでいいですけれども、そこへとにかくたとえば電話一本でくる。しかも、受け取ったのはだれだかわからぬ。そんなことはあり得ますか。しかも六億八千万円までの調査費がついている、その年度。そこまでずっときているようなものが一挙に変わるのに、その担当者に電話でくるようなものですか、政府部内の打ち合わせというのは。そして、聞いた本人がどうしてもそれが記憶にとどまっていないというような、そんなばかなことがあるのですか。それが詭弁であるのか、それとも政府部内というのはその程度にいいかげんなものでこういうものを決めるのか、どっちですか。
○国務大臣(坂田道太君) いいかげんなものじゃございません。八日の日に、当時の増原長官以下首脳が集まっておりましたところに、大蔵省の主計官からうちの小田村経理局長に電話がございまして、支援戦闘機の国産化というものについては大蔵側としては異論がないが、しかし、P3Cの問題については国産の方針という従来の防衛庁の考え方はひとつ思いとどまってほしいと、こういう意向が伝えられた。それに基づきまして首脳が協議をいたしまして、それもやむを得ぬかなあというような形で終わっておるわけでございます。ところが、九日になりまして、いま事務局長からお答え申し上げましたような形で、輸入をも含めて国産もするかどうかあるいは、という専門家会議にゆだねられたわけでございますから、その前日の八日の大蔵省の意向というものはまた浮上したということでございます。非常にはっきりしております。それは事実調査の結果でございます。
○上田哲君 何がはっきりしていますか。はっきりしませんよ、そんなものは。防衛庁がそれまで国産を一生懸命になって走っていた。倍々、倍々と研究費が上がってきて六億八千万円まできている。川崎重工なんというのは百人のチームをつくってやっている。そこをだれが受け取ったかよくわからぬような電話がぽんと来た。それで、それもそうかなあと思ったなんということを信じますか。そんなばかげたことが日本の最高政策決定をする感覚なんでありますか。私は、その際久保さんがおかしいなあと思ったという認識の方が確からしく思えるんです。いいかげんならいいかげんでいいですよ。こんなことを決められてたまったものじゃない。大変な金額の問題ですよ、これは。その当時でも四千億、いまなら一兆円の国税ですよ、これは。そんな簡単に決められてたまったものじゃない。 もう一遍戻しましょう。国防会議……。
○国務大臣(坂田道太君) ちょっと委員長。
○上田哲君 あなたに聞いていないです。時間を邪魔しないでいただきたい。時間をどうするのですか、人の時間を。私がいま質問をしている。質問時間をどうしてくれる。
○国務大臣(坂田道太君) 委員長。
○上田哲君 質問中に何ですか、それは一体。委員長、何ですか、これは一体。国政調査権そのものの原則的な侵害じゃありませんか。無礼です。
○国務大臣(坂田道太君) 委員長、お願いしたいと思います。
○上田哲君 お願いしたいって、発言者が発言している最中に、委員長にお願いということは何ですか。何をあなたは興奮しているんですか。委員長、これは私が発言している最中に、貴重な時間ですよ。
○委員長(八木一郎君) 発言中ですから、発言を続けてください。 坂田防衛庁長官に申し上げますが、発言中でしたから発言は許せませんでした。発言が終わった後許可いたします。
○上田哲君 それはあなた、失礼だと言うべきですよ。そんなばかなことがありますか。(「謝れ謝れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)だから、何でもいいからどうぞおやりなさいと言っているんですよ。いや、謝る、謝らないなんという、そんな細かいことを言っちゃおらぬですよ。どうぞ御発言があるなら御発言なさいと言っているんです。クールにおやりなさいよ。ぼくは時間のことがあるから、大事な時間をやっているときに邪魔してもらっちゃ困ることを委員長に処理をしていただければ……。それほどお急ぎになるんならどうぞやってください。お譲りしますよ。
○国務大臣(坂田道太君) 上田議員の発言中に、私がせっかちで答弁を委員長に求めたことは失礼だと思いますから、謝りたいと思います。ただ、そこで座ってお話しになっておったのに、どうもここだけははっきり申し上げておかなければいけないと思いましたので、せっかちに申し上げたわけでございます。 と申しますのは、どうも上田議員の受け取り方が、いかにも政府全体としてもう国産化に決めてしまっておったというふうに受け取っておられて議論を進めておられるんです。そして、予算も六億というふうに、そういうふうにおっしゃるから、そうじゃないんです。四十五年度も二千万円、四十六年度も三億一千万円、それから六億九千万の四十七年度の予算も、これは技術調査研究委託費でございます。
○上田哲君 そのとおりです。
○国務大臣(坂田道太君) そのとおりなんです。ですから、国産化を政府として決めておらない。あれは国防会議で決めておらない。そういうこと、ここをまずはっきり御認識の上御質問をお願いいたしたいと思います。
○上田哲君 そんなことは知っているですよ。ばかばかしいじゃないですか、それで議事中断したんですから。時間戻してくださいよ、さっきの。何をおっしゃったのか。興奮せずにひとつ聞いていただきたい。それは議事録の上で決まってないですよ。決まってないのだが、大勢がそうなっている中で、だれでも驚いたというんです。驚くような状況が起きてきたということをいま経過の上で聞いておるんじゃありませんか。 国防会議、四十九年十二月の二十七日に、国産派というのがいわゆる多いと言われていたような状況の中で、あなたの方からライセンス生産という原案を出した。これはどういう経過と意図に基づきますか。
○政府委員(内海倫君) お答え申し上げます。 私どもは原案というものは決してつくっておりませんで、専門家会議の委員の中で、委員会の要求によりまして、会議の都度出ました意見をまとめまして、それを書類にして各委員の方の求めに応じまして指定された場所にさらに伺いまして、意見において間違いございませんか、あるいはさらにつけ加える意見はございませんかということで、審議の概要を積み重ねてまいったものでございます。したがいまして、事務局が原案をつくっておるとか、事務局が意見を入れて何がししたとかいうふうなことはございません。ただ、仰せのように、十月十四日の専門家会議の席上で出ました見解をまとめまして、その後それを各委員の方にお回しいたしました。そのときの案には、確かにP3Cを導入する方がより適当であるという文言が入っておりますが、これはどこまでも事務局の意見あるいは事務局の原案というものではなく、専門家会議の要望に応じて事務局がその都度そこに出た意見を取りまとめて審議に供してきておる、こういうものでございまして、この点は、事務局が原案をつくるというふうな立場では決してございません。
○上田哲君 玉虫色というのはそういうふうになってくるわけですね。 で、防衛庁長官が興奮されたように、懸命に政府が言っておられるのは、P3CやPXLについては国産というのは決めてなかったんだ、いまもP3Cは決めてないではないかとおっしゃるんです。議事録の上で、会議の決定の上で決まっているか、決まっていないかなんということは私は一言も言ってない。冷静にお聞き取りをいただきたい。問題は、そう言いながら事実関係はどんどんP3C輸入への既成事実が進んでいるじゃないかということを指摘したいのです。海幕は五十一年度の概算要求を具体的に積算しているじゃありませんか。説明してください。防衛庁長官、答えられないですか。
○政府委員(丸山昂君) お答え申し上げます。 五十一年度の概算要求ということでございますが、私どもP3Cということで五十一年度の概算要求は行っておりません。
○上田哲君 海幕の中での話を聞いているんです。
○政府委員(丸山昂君) 海幕の中でも、そういう要求が内局の方に上がってきておりません。
○上田哲君 内局の話は聞いてないです。海幕ですよ。素人みたいな答弁じゃだめですよ。
○政府委員(丸山昂君) 海幕の中でも、五十一年度の予算でP3C関係の予算を要求はいたしておりません。
○上田哲君 海幕の中の積算のことを聞いているんですが。 じゃ、海の向こうのロッキード。ロッキード社自身が昨年の五月に、一九七四年度版のロッキード年次報告書の中で、三十二ページ、国際活動の中でありますけれども、これですよ、この中で、他の諸国、オーストラリア、日本、オランダの対潜哨戒機の調達については一九七五年に決定できると考えている、株主に向かって胸を張って言っていますよ。これを御存じですか。
○政府委員(丸山昂君) ただいま御指摘のロッキードの株主に対する報告書の中には、そういう趣旨がたしかうたってあるようでございますけれども、これは会社としてのセールスの見込みをそこに記述してあるというふうに思うわけでございまして、私どもの中でそういう点についてはっきりコミットしておるという事実はございません。
○上田哲君 お役人はそう言うよりしようがないですけれども、ロッキードの肩まで持つことはない。総理、こういう年次報告が出ているんです。これはどうお考えになります。御存じですか、この事実。
○国務大臣(三木武夫君) 株主に対しての報告書ですからね。報告書でしょう。コンシダリング・ポッシブルということですと、推測でしょうが、株主に対する報告は悪くは言わぬですからね、会社は皆。いろいろありますけれども、これを政府に答弁を求められましても、私としてもなかなか答弁はいたしかねるのでございます。
○上田哲君 まあロッキードの株主総会の問題を総理に責任を持てとは言いません。しかし、総理が責任を持っていただかなきゃならないのは、これも、引き金という言葉になると非常にお気になるようですけれども、総理がそういう黒い金を受け取ったかどうかなんということを私は言っているんじゃありませんよ。政策構造の中で言えば、あるいは政策決定経過の中で言うならば、このP3CへP3Cへと動いている流れの中では、去年の八月のワシントンのホワイトハウスの三木・フォード会談の中で防衛協力の条項が決まったことにこのP3Cというものが深く結びついているんです。これをどうお考えになります。
○国務大臣(三木武夫君) 機種の選定というものは日本が自主的にするものでございますから、したがって日米の首脳会談で、私の八月にしても、あるいはまた一昨年八月の田中・ニクソン会談にしても、具体的なP3Cとかこういうものと結びついたような会議は首脳会談でやらないんですね、そういうものは。したがって、潜水艦に対してのいろんな防衛体制の強化ということは問題点でございますが、それがそのためにP3Cと直接に結びつくような首脳会談と、首脳会談という性質はそういうものではないということでございます。
○上田哲君 ところが、共同新聞発表、去年の八月六日には書いてあるじゃありませんか。「両国が協力してとるべき措置につき、両国の関係当局者が安全保障協議委員会の枠内で協議を行うことに意見の一致をみた。」、総理がやるんですから、大統領と。レベルはこういうことですよ、確かにこういうことでありますけれども、あと各論がずっとつながっていくんです。この八月六日を受けて、八月二十九日には坂田・シュレジンジャー会談が行われて、日米防衛協力の強化で一致しておる。わが国の対潜能力の強化が重要であるという点で合意しているということになっているじゃありませんか。 さらに、十月には社会党の訪米団が参りました。私も副団長として参りました。シュレジンジャー国防長官とペンタゴンで会いました。防衛協力とは何か。真っ先に出てまいりましたのが、対潜能力の強化を挙げておるんです。まさに対潜能力の強化とは、すなわちP3C以外にはないんですよ。防衛協力、それは対潜能力の強化である、イコールP3Cであるということになるじゃありませんか。先月の十九日には、坂田防衛庁長官は工業倶楽部で、現在もなおP3Cの導入に強く執着すると言っているじゃありませんか。ただ一言、P3Cはまだ決めてないぞということだけで、実態はここまでずっと流れておる。まさに防衛庁、総理、日米会談を踏まえながら一直線にロッキードP3Cの方向に、意図すると否とにかかわらず進んでいるという実態があることは否定できないではありませんか。政治問題として、政治感覚として総理はどのようにお答えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私の日米の首脳会談の場合は、そういう具体的な問題でなくして、安保条約によって日本の防衛というものをこれが補っていくわけですが、自衛力に加えてですね。そういう場合に日米がもっと協力しなけりゃならぬ、日米の防衛協力の中にどういう問題点があるだろうかと、これは従来は余り接触面というものは私は少な過ぎたと思いますね。そういう点で、日米間で日米協力の問題点、これをひとつ今後もっと掘り下げて研究してみようではないかということが首脳会談の議題であって、そのために日本がP3Cを購入してとか、そんなものは首脳会談の議題ではあり得ないわけです。日米の防衛協力、このどういう問題点があるか、これを両国で掘り下げて検討してみようではないかということが首脳会談で決められた問題点でございます。具体的な問題には入っていないということです。
○上田哲君 そういう逃げの答弁では、政治責任は全部逃げてしまいますよ。どう否定されようと、あなたがワシントンのホワイトハウスでお決めになった路線が真っすぐ動いているんです。真っすぐ動いているのは、もっと具体的に、おとといアメリカのラムズフェルド国防長官から坂田長官に招待状が来ているじゃありませんか。この招待に応ずるということになれば、六月までに安保協議委員会を開いて新協議機関の設立を決めなきゃならぬことになる。まさにワシントンのホワイトハウスに戻るじゃありませんか。それは丸山防衛局長がかつての委員会で述べたように、日米共同作戦司令部というようなものだ。こういうものができることになるではありませんか。ほうっておけないのですよ。ついにほうっておけないところへ来たんです。そういう形の新機関がいよいよつくられますね。いかがですか。
○国務大臣(坂田道太君) 日米防衛協力の問題は、上田議員から去年の四月、本委員会でシーレーンの問題が提起されて、そして始まったことで、私はかねがねそう思っておったので、安保条約がある、しかしながらその第五条について、有事の際の最高の責任者同士の話し合いが行われておらない、あるいはその有事の際における防衛協力というものを実際実動に移す、そういう具体的な話し合う場がないというのは何ともおかしいじゃないか。日米安保条約が日本国民の安全にとって不可欠なものであるとするならば、それはやはりこういう有事の際においての最高責任者同士の話し合いが行われなきゃならない、こういうことで八月の二十九日にシュレジンジャーと会談をいたしました。 そしてその当時発表いたしましたようなことでございますが、先ほど対潜能力云々というお話がございましたけれども、あの話は私から実はいたしたわけでございまして、日本は海洋国である、そしてまたよその国から資源を仰いで、それを加工して輸出を高めて日本の経済発展を考えておる、そういう国柄である、四海海に囲まれておる、当然なこととして対潜能力を高めていかなきゃならないと、こう申し上げましたら、それは自分も完全に一致する、そういうことに同意をするというようなことでございまして、その意味合いにおいて私は対潜能力を高めるということが大事だということを申したわけであります。これ、国会が終わりましたら、ひとつこの新しい機関を設ける最初の会合をぜひとも開きたいというふうに、外務省とも話し合いますし、先方とも話し合いをしておるということでございます。 また、招待状が参りましたことも事実でございます。そして、まあ日本の政治情勢がこういう情勢でございますし、国会も開かれておりますが、国会がもし終わりまするならば、そしてまた前提としてそういう日米防衛協力の第一回ができ上がりますならば、私はアメリカに行っていろいろ情報を交換、それから、シュレジンジャーからラムズフェルドに変わったその後のアメリカの方針等についてもじかにお伺いすることが、日本の安全にとって非常に大事だというふうに考えております。
○上田哲君 その名称、機構、権限、設立の明確な時期、しっかりお答えいただきたい。
○政府委員(丸山昂君) まだ最終的に日米間の合意ができておりませんので、いまこれから申し上げますことは、その後にまた変更があるかもしれませんので、そういう前提で申し上げたいと思います。 名称につきましては、現在のところ日米安保協議委員会のサブコミッティーとして位置づけるという考え方でございまして、防衛協力に関する小委員会といいますか、こういう名称になるかと思います。この点についてはまだ先方との合意に達しておりませんので、変更の可能性があると思います。 それから構成でございますが、日本側は外務省のアメリカ局長、それから防衛庁は私、それと統合幕僚会議の事務局長でございます。それからアメリカは政務担当の公使、それと在日米軍司令部の参謀長というところがアメリカのメンバーでございます。これに、そのときどきの会議の都合によりまして、太平洋軍司令部から臨時に参加するということもあり得るというふうに考えております。 それから時期でございますが、これはいま大臣からも申し上げましたように、日米安保協議委員会の開催によりまして、その時期に安保協議委員会がこのサブコミッティーを設置するという合意に達しませんと設置になりませんので、問題は日米安保協議委員会がいつ開かれるかということでございます。この点については、ただいま大臣からお話がございましたように、国会が終わりました後できるだけ早い時期にということでございますので、大体六月中にということを当方では考えておる次第でございます。 それから権限、いわゆるこの小委員会に付託される任務でございますが、これは日米安保条約の円滑な実施を行うための日米の防衛に関する協力のための研究協議ということでございまして、ここでは、すべてについて決定をする権限は与えられない、研究協議ということがこの小委員会の任務ということになるかと存じます。
○上田哲君 総理、そのとおりじゃありませんか。一本の筋がずっとつながってくるんです。いま大変抽象的なことを言っておりましたけれども、防衛協力、もとの言葉は防衛分担、そのもう一つもとの言葉は海域分担だと。防衛庁長官が言われるように、四月二日、当委員会において防衛庁長官の答弁、わが国周辺海域の防衛構想を立てる上で、アメリカ第七艦隊による全般的制海を前提として、日米間の作戦協力のため何らかの分担取り決めが必要であると考えていると、こうなる。P3Cじゃありませんか。そこへ行くんですよ。総理の頭の中にP3Cがあったかどうかは別問題として、これ自体は日米安保の中に分かちがたき海域分担、P3Cに進んで行こうというところに、もう引き返しがたく位置づけられておるのです。このことでいいのかどうか、これが問題ではありませんかと言っているのです。
○国務大臣(三木武夫君) 一国の安全を確保するということは、政治のこれは最重要な課題であります。そのためには日米安保条約、集団安全保障条約というものが日本の安全保障の一つの大きな柱になっておるわけですが、この日米間が余りいままで話し合う機会が私は少な過ぎたと思う。その話し合いというものは、厳格な意味において日本の憲法の枠内でなければならぬことは言うまでもない。その話し合いというものは、これだけの安全保障体制で、あらゆる場合に日本に対して、アメリカは日本の自衛力にプラス、アメリカの戦力を通じて日本を守るという誓約をしておるわけですからね、こういう日米間で、もう少しいろいろ話し合っていいのではないかという感じを私は持っておるのです。だから日米の当局者が話し合ってよろしい、いままではしなさ過ぎたという感じです。 そういう意味から、日米の防衛協力をするについて、いままではこういう問題というものが、まあ話し合いはされたけれども、もっと掘り下げて話し合いをする機会が必ずしも十分ではなかった。どういう問題点があるか、どのような協力が可能であるかというものを全般的に探ろうというので、これはもうP3Cへ持っていくためにこんな青二才なことをする意思は私はない。全般の日米間の防衛協力について広範な問題を話し合ってみよう、その中でいま言ったような対潜水艦の問題というのは取り上げられましょうが、そのためにこんな会議をやろうという考えはありません。全体の日米協力というものをもっと掘り下げて話した方がよろしいということで、安全保障協議委員会のサブコミッティーといいますか、下部機構として常時話し合いのできるような機関をつくることは、日米の防衛協力の上に役立つだろうということで、私もこれに同意を与えておるわけでございます。
○上田哲君 ですから、昨年の六月十一日、十二日の予算委員会で、総理の首脳会談の直前に私は総理に迫った。ロッキード、P3Cの議論をしちゃいかぬのだ、間違いだと。総理はそれをしないと言われた。しかし結果的には、私も知らなかった、総理も御存じなかったと思うけれども、そこには児玉、五十機入れたら二十五億円というのが後ろについていたじゃないですか。これを明らかにしなきゃならぬじゃないですか。それを抱えながら、なおかつP3Cの方に走るということは国民の疑惑を招く。為政者としてはこの問題を明らかにする任務と、それが明らかにならない間はこのP3C問題については撤回する。国産、輸入の問題じゃない。そもそもPXLを撤回する、それが態度だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) この問題は、一方においては軍事的な要請もあるんです。あるいは財政的な面もありましょうが、一つ大事なことは、私は重視するのは、これだけの問題を提起しておるこのP3Cの問題、この問題が国民に疑惑を与えるような形で決着を見るということはよくない。軍事上、財政上そういうものを踏まえて、なおかつ重要なことは、これだけの疑惑を生じておる問題が、国民の疑惑を残さない形でこの問題を処理したいというのが私の決意でございます。
○上田哲君 これをはっきりしなくてもP3Cを導入するというんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 導入するとは言ってないわけですから。いま言った、国民に疑惑を残さない形でこの問題の処理をいたしたいということが私の決意であると申しておるわけであります。
○上田哲君 国産、輸入にかかわらず、白紙撤回ということが政治信念の姿だと私は思っております。 時間がありませんから、最後の幾つかの確認に入っておかなければなりませんが、灰色と言われております。灰色を何とか出したいとおっしゃっている。灰色というのは何を言っておるんですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私も、上田君お聞きになっておったかどうかと思いますが、どうもよくわからぬ。それは文学的表現でありまして、やはり法律的な用語としては適当を欠くと思っております。
○上田哲君 刑事責任を問われなくても、ロッキード贈賄にかかわる金品を受け取った者はすべて灰色だ、それを出すべきだと私は考えますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 上田君の灰色の解釈を初めて承ったわけでありますが、この灰色というのは本当は漠然としておりますからね、法律的な用語としては適当であるとは思いませんが、上田君も御承知のように、四十七条という規定は、訴訟書類は公判前にはこれを非公開という原則を決めたわけです。ただし書きの条項があることは事実でございます。 そういう場合に、いま上田君がいろいろ問題を指摘されて、皆公表するかというようなことは、私はしばしば申しておるのは、こういう問題については、そのことの公開をしないということから守らるべき公益がありますね。あるいは捜査の妨害にならぬとか、あるいは人権の侵害にならぬとか、いろいろな公益上の問題がありますね。その公益上の問題等、また一方において、それを公にすることによって得られる公益の比較計量をするよりほかにない。これが四十七条ただし書きの法律の趣旨でありますから、現在の時点でいろいろなことを断定的に申すことは、もしそういうことを言ったら捜査の非常に妨害になるでしょうね。いろいろな人から意見を、参考人として呼ぶ場合があっても、すべてのことが公開になるんだということになってくると、その人に対しての態度にも影響を与えるんですね、そういうことを言えば。こういう段階で断定的に四十七条のただし書きの規定を私が言うことはできません。 だから、もし上田君がそれに対しての態度を追及されるならば、もう文字どおり、四十七条の規定に従って、公益上の比較計量に従って、個々の問題について国政調査権との関連において考えますと、それ以上答えられないですよ。いままだ捜査が緒についておるときに、後で皆公表になるんだと言ったら、それはやはりいろいろな点で、まあ被疑者ですか、あるいは参考人も加えて、そういう人たちの陳述にも影響するだろうし、そういうことは言えません。したがって、お答えのできるのは、いま言った四十七条の法規に照らして、また紋切り型のような答弁でございますが、それはやむを得ないという事情は御了承を願いたいと思います。
○上田哲君 私の定義については同意されますか、出す出さぬはともかくとして。
○国務大臣(三木武夫君) それは、上田君の定義として灰色の解釈を私におやりになったのだと、それは承っておきます。
○上田哲君 じゃ、評価されますか。質問は、評価されますかと聞いているんです。
○国務大臣(三木武夫君) 上田君は灰色というのをこういうふうに解釈しておるんだなあという評価はいたします。
○上田哲君 参考とされますか。
○国務大臣(三木武夫君) 有力な上田議員の御発言は、なるほどなあ、こういう考えもあるのかなあと、そういう意味においてはこれは一つの参考でございます。
○上田哲君 公表しにくいというのは、捜査の妨害ではなくて、日米協定第三項にかかわるのではありませんか。
○国務大臣(三木武夫君) 日米の取り決めというものは、大統領の提案というのは私は無理だと思わないのですよ。アメリカの法制、慣行に従っている。大統領といえどもアメリカの法制、慣行に従う義務を持っていますね。大統領が条件を付した理由を大統領は言っておるわけですよ。それはやはりいまアメリカ自身でも捜査の、調査のまだ途中にあるわけですから、それを全部国会でその資料を公開するということになれば、やっぱり問題の人は、みな手のうちを知るわけですからね、捜査の妨害になりますよ。何にも裏づけなしに人の名前がばらばら出れば、人権の侵害になることも事実です。 だから、アメリカのつけた条件が、これが理不尽な条件だったら私はのめなかった。しかし、アメリカの法制、慣行に従ってと言われる大統領のそのつけられる条件というものは、日本が考えてもそれば不法な条件ではないと考えましたから、これは私が受諾して、とにかくその資料は来るんですからね、受諾することによって。拒否したら来ないですよ。大統領といえども、法制や慣行を無視して日本とそういう取り決めを結ぶことはできませんからね。 やはり、そういうことによって資料は、上田君の御期待のように国会で公表されるようなことにはならなかったけれども、その資料は現にそれは有力な手がかりであることは間違いないですからね、捜査当局に。そういうことで、日米両国にまたがっておるから、これは日本の捜査当局でやらなきゃならぬ問題でありますけれども、参考になることは事実です。手に入っているんですから、これは。それで、いま非常に積極的に捜査の活動が開始されているんですから、これは真相解明という大目的のためにはベターであると政府は受諾をしたわけでございます。 そういう意味で、やはり日米の取り決めがあるからそういうことをするのじゃなくして、その取り決めについてのつけられたアメリカの条件は、日本から考えてもこれは不法な条件ではなかったというところが、こういう取り決めを結ぼうという日本の政府が決意をいたしたゆえんでございます。
○上田哲君 そうじゃないんですよ。第三項が障害になるのではないか、三項の問題です。公判以外は使っちゃいかぬというところが公表できないことになるんじゃないかということを聞いているんです。
○国務大臣(三木武夫君) それはやはり三項というのは、公判前にいま出せば捜査の妨害にもなるし、あるいはまた一方において人権の侵害の問題も起こりましょうから、その三項というものは、つけられた条件が妨害じゃなくして、その条件は日本の法制や慣行から見ても不法なものではないということで、三項があるからそれができぬのでなくして、指摘されておる三項は不法な条件ではないという、われわれの判断も一致したというところに、そういうことになるわけでございます。
○上田哲君 法務大臣でもいいんですが、その灰色公表ということのためには第三項は障害にならないということですね。
○国務大臣(稻葉修君) 私の方は法的責任の追及でございまして、法的責任ということになれば、検察庁的な感覚と裁判所的な感覚はシロクロの違いがあります。けれども、検察庁、捜査当局で言うシロクロというのは、不起訴がシロで起訴猶予及び起訴はクロ、そのほかに色はないんです。ですから、灰色灰色と言われても、私の答弁としては困るんです。前提がある。あなたのおっしゃる前提がある。
○上田哲君 起訴以外の公表する場合に、取り決めの三項は障害にならないわけですね。
○国務大臣(稻葉修君) それではなくて、それもありますが、それの根底をなすわが国の法制、つまり刑事訴訟法の全体の立法の精神、さっき公益の比較考量ということを総理大臣が正確に答えられた、そのとおりです。
○上田哲君 いやいや、そんなこと聞いてないですよ。私はその取り決めの第三項というのが、立件しなかった場合の氏名公表の障害になるかならぬかということだけを聞いている。
○国務大臣(稻葉修君) 取り決めの第三項があるなしにかかわらず、四十七条等を含めて刑事訴訟法、わが国の法制全体から言ってそうなります。
○政府委員(安原美穂君) 御指摘の問題は、灰色の高官名と言われるものが、アメリカから渡された資料の中にそのリストがあったといたしまして、そのことを公にすることにつきましては、資料の公開はいわゆる日米の実務取り決めによりまして、捜査、調査、裁判の目的のときにのみ使用することができるということでございますから、遺憾ながら、国政調査のためにこれを使用することはできないというのが第三項の解釈でございます。 しかしながら、第三項をつくったから国政調査のために使用できないのでなくて、第三項のような取り決めを結ぶに至りました前提は、先ほど総理が申されましたように、フォード書簡にある、米国の法制の基本原則をフォード書簡がメンションされ、それをわが国の閣議がこれを受けるということからきた協定でございまして、協定そのものによって初めて使用の制限ができたということではございません。 なお、灰色の高官の問題につきまして、資料の公開ということではなくて、日本の捜査当局によって調べた結果によるその灰色の高官名というものの公表のいかんということは、先ほど総理大臣が申されましたように、刑訴四十七条の公益の比較の後において、公益の関係におきまして国政調査上の公益が優先するとすれば公表されることもあり得るということでございます。
○上田哲君 鶏と卵がどっちが先かの議論じゃなくて、結論としてコケコッコーと言わないのですよ、これは。大変なことですよ。出てこないのですよ。出てこない、出す、ここのところ、はっきりしてください。出すか出さないかじゃなくてもいい、出得るということをあなたはお持ちかどうか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、総理大臣は日本の法制を踏まえて国政運営に当たるわけですから、四十七条の規定をそのまま文字どおり解釈をいたしまして、これに対して適正な適用をいたしていくとお答えするより、上田君、方法はないのですね、いまの段階で。しばしば言っておるように、四十七条の規定を解釈して適正な運用をいたします、こう答える以外にございません。
○上田哲君 あと五十秒だから大事に聞きます。 法制局長官、検察捜査は司法権でなくて行政権ですね。
○政府委員(吉國一郎君) 検察権が行政権に属することは言うまでもございません。
○上田哲君 総理の指揮権というものはどういうものですか。
○政府委員(吉國一郎君) 検察に対する指揮の問題につきましては、よく御承知の検察庁法第十四条の規定がございます。検察庁法第十四条では、検察庁も法務省の機関でございますから、法務大臣は検察官を一般的に指揮監督することができるようになっております。しかしながら、個々の捜査、処分につきましては、検事総長のみを指揮することができるということになっております。これは検察一体の原則と申しますか、検事総長を頂点といたしまして、その下に次長検事あるいは検事長、検事正というものを配しまして、検察官全体が一体となって司法権の行使と密接な関連を有する検察権の行使をいたす。その場合に、一般的な指揮監督というものは法務大臣はいたしますけれども、個々の処分については、検事総長のみを指揮するということにいたしまして、その検察一体の原則として検事総長の判断によって法務大臣の指揮を受けるか、あるいはその指揮を受けないで、こういうことをすべきではないということで法務大臣に対して意見を申し出て、その指揮を変えてもらうかというようなことができるようにいたしておりまして、検察権の純独立性と申しますか、そういうものを保障しようということになっております。 内閣総理大臣との関係は、内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基づいて各省大臣を指揮監督する立場がございます。これは内閣法第六条でございましたか、その第六条の規定によって、閣議にかけた方針に基づいて法務大臣を指揮監督するわけでございますので、法務大臣の検察庁法第十四条本文の規定による一般的な指揮監督権についてさらに総理が指揮することがあり得ますし、また検察庁法第十四条ただし書きのいわゆる指揮権というものについて、法務大臣を指揮監督することはあり得ると思います。しかし、それはあくまで法務大臣の行う指揮監督権あるいは指揮権に対する、いわばその上にさらにそれをどうするかということについての指揮監督権であるというふうに御了解願いたいと思います。
○上田哲君 法的には総理は資料を見ることはできる。しかし、政治的にあなたは見ないと言っておられるわけですね。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、アメリカから来た資料は私自身は見ない。これはやはり政治の介入であるというような誤解を生ぜしめてはいけない。それで捜査の進捗状態に対しては当然に報告を受けるということでございます。
○上田哲君 総理、私は見るべきだと思う。最高責任者としてあえて見て、国民に向かって一日も早く究明すべきだと思う。いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、もうそういう方針に私自身が決めておるわけで、直接にアメリカからの資料を手にとって私が見ることはいたさない考えでございます。
○上田哲君 最後に私は、捜査当局の捜査ということ、それはそれで大いにがんばっていただきたいが、その上に政治責任、政府の努力というのが大きく抜けているということを追及してまいります。政府の責任論というものがないのであります。政府及び内閣の責任において、一日も早く真相究明をしていかなければなりません。不十分であります。仮定の問題としての答弁では逃げになると思います。はっきりそういう意味の責任を承りたい。速やかに真相究明を行い、その限りでは解散に訴えるのが、信を国民に問うのが当然のことであります。しかも総理、あるいは政策決定の中枢、あるいは政策決定の中枢にかかわる部分にこの汚職が及ぶ場合には、当然解散ではなくて総辞職し、野党に政権を委譲すべきであるということを確信をいたしますが、これらについて最終的にきちっとした、逃げでない御答弁を要求いたします。
○国務大臣(三木武夫君) これは、最初から申し上げておりますように、この真相を解明することは大きな私に課せられておる責任である、こういうふうに自覚しております。ただ、なかなかこういう事件というものはすぐに真相は解明されるというわけでもないですね。アメリカの、上田君御承知のように、ウオーターゲートでも二年半かかっているわけです。ロッキード事件に二年半かかると私は言っておるのではないんですよ。しかし、やはりこういう問題というものには、事件の性質上相当な時間がかかる。だから、いますぐ、まだ真相究明してないじゃないか、政府の怠慢だ亀言うのは少しせっかちに過ぎるのじゃないでしょうか。やはりある程度の時間はかさなければならぬと思いますが、真相は解明されなければ、これにふたをして過ごせるような情勢だとは私は思ってないわけです。その場合に、仮定して最後には野党による政権までお話しになりましたけれども、いまはそういう仮定、こういうことが起こる、ああいうことが起こるというふうに仮定して私は物は考えてはおりません。真相を解明するということが当面の大きな責務であるということでいたしておるわけでございます。 解散の問題については、これはもう衆議院は任期を持っておるんですから、十二月までには解散をしなければなりませんので、これは適当な機会に解散は、これはもういやでも応でもいたさなければならぬのでございます。そういうことで、いつ解散をするかということは申し上げる段階ではないわけです。
○上田哲君 いや真相究明直後、解散と……。
○国務大臣(三木武夫君) そういうことも、真相解明というのはこれからの問題でございますから、とにかくことしは解散の年であることには間違いない。適当な機会に解散をして国民に信を問いたいと考えております。
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして上田哲君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(八木一郎君) なお、去る四日の野田委員の質疑に対し、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。稻葉法務大臣。
○国務大臣(稻葉修君) 先日の野田哲委員の御質問で、問題は出入国管理にかかる重要な問題ですから、調査を命ぜられました。私もごもっともであると調査をいたしました。その結果は、入国管理局長から正確を期するために報告させます。
○政府委員(影井梅夫君) 先般取り上げられました、元横浜入国管理事務所長高木民司氏の湯島秘苑就職の経緯等について御説明申し上げます。 同氏は、昭和四十三年三月末に横浜入国管理事務所長を定年退職いたしました。その後、二年余を経ました昭和四十五年の六月に、韓国料亭城園を経営いたしております城園観光株式会社に、直接に条件等を話し合いまして就職したというふうに聞いております。当時、高木民司氏の城園観光株式会社における地位は平取締役であったというふうに承知しておりますが、その後、役員改選によりまして代表取締役に就任したということでございます。 なお、その翌年、昭和四十六年の七月に城園観光株式会社は東亜相互企業株式会社、代表取締役は町井久之氏でございますが、この東亜相互企業株式会社より資金を導入いたしまして、この料亭の名称を湯島秘苑ということに改め、高木民司氏はその取締役となりました。昭和四十七年の十一月に、この会社の各前を秘苑観光株式会社というふうに変更いたしまして、その際に高木民司氏が代表取締役に就任して今日に至っているという経過でございます。 それからその次に、この湯島秘苑において観光査証で入国した韓国人の女性がホステスとして稼働しているという御指摘があったのでございますが、御承知のとおり、わが国におきましては、現在外国人女性をホステスということで入国を認めるということはいたしておりません。しかしながら、実際問題としてそういうことがあり得ますので、入国管理局といたしましては、警察当局等の協力を得まして、こういったいわゆる資格外活動ということがないかと、もしありますれば、この摘発に努力しているわけでございますけれども、お尋ねの湯島秘苑等におきまして、観光等の在留資格で入国した韓国人女性がホステスとして稼働しているという事実は把握しておりません。 この湯島秘苑その他韓国料亭では、韓国の民族舞踊の紹介を目的とする芸能人の招聘を行っておりまして、湯島秘苑につきましては、昭和三十八年以来韓国人の芸能人の招聘を認めておりますが、昭和三十八年以来、特に高木民司氏が同社の役員となります前後を通じまして、その招聘の人数には変化はございません。また、この料亭におきましては、終戦前からわが国に居住しております韓国人、その子女なども数名ここで働いているというふうに承知しております。 以上簡単に結果を申し上げます。
○委員長(八木一郎君) 午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時二十分休憩 —————・————— 午後一時二十九分開会
○委員長(八木一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、質疑を行います。中尾辰義君。
○中尾辰義君 最初に、ロッキード献金関係について若干お伺いをいたします。 今回のロッキード事件に関する特使派米とその目的についてでありますが、去る四月三十日の閣議決定で斉藤特使をアメリカに派遣することになったわけです。その中に、「ロッキード事件をめぐる日本国内の実情を米側に説明し、」「相互の協力関係を増進する」云々と、こういうふうにあるわけですね。総理は、この日本国内の実情というものをどういうふうに把握されていらっしゃるのか。午前中の質問にもありましたけれども、いわゆる灰色高官を公表することについて刑事訴訟法の第四十七条をめぐって与野党に非常に意見の相違があるようでありますし、そういう点で、アメリカへ特使をやって、国内の事情というものはこういうものでございますというその中身をどういうふうに認識をしていらっしゃるのか、どういうふうに説明をされるのか、その辺のところをまずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) ロッキード問題をめぐる受け取り方、日米間いろいろ違いはあると思うのですが、日本の場合は、賄賂といいますか、こういうものに対して——これが社会的な慣習として横行しておるというようなことはございませんからね。賄賂というものに対して、国民の潔癖感、これは諸外国に比べて非常にやっぱり国民の受け取り方というもの、反発の仕方が私は違うと思いますね、これは。そういうことで、このコーチャン証言なるものが、二月の四日でしたか、日本の政府関係者に支払うために金をデリバリー、運んだという証言は非常な衝撃を日本の国民に与えておる。一体その政府関係者というものはだれか、やっぱりこの真相を知りたいという国民の感情というものが、非常に強い国民の感情というものが巻き起こってきたわけですね。だから、この真相を解明をするということが、今日の日本の政治の上においても、無論経済問題その他の問題がありますが、それと同時にロッキード問題、真相の解明が当面の大きな重要課題になってきておる。これはアメリカ側にもよく説明しなければならない。したがって、日本の政治の、民主政治の将来の健全な発展のためにも、日米関係のためにも解明されることが必要である。そういうことで、このロッキード問題をめぐる日本の国内の実情というものを伝えて、このことで日米関係の将来を傷つけないようにしなければならない。そのためには、お互いに国情の違っておる国々が友好関係を維持するためには、その理解を増進するということが前提になりますから、そういう理解を増進するとともに、真相解明のために今後とも日米の協力関係というものを、やはり真相解明のために日米協力というものが推進されていかなければならぬこと。 また、これはいまのロッキード問題の起こっておる事態に対して対処するわけですから、もう少し前向きに見て、多国籍企業のあり方というものが、これが問題になってくる。やはり多国籍企業が自分の商権を拡張するために不正を行っていいという理由はないですからね。したがって、それは根本において不正を除去するだけの規制というものをアメリカ側にしてもらわなければならぬ。日本も、こういう不正が再び行われて国民の間に疑惑を巻き起こすことのないように、これはいろいろ——日本もいままで、四十八年でしたかね、昭和四十八年五月であったと思う。日本貿易会が商社のあり方について行動基準というものを発表して、この行動基準に従って、各社ごとに行動基準を皆持っている。そして商社自身がみずからやはり自己規制を行っておるわけですから。まあ、こういうことだけでいいのかどうか。こういうものもやっぱり日米間で話し合ってみる必要がある。こういうことがやはり特使を派遣して日米間でよく話し合ってみたいと思う中心点でございます。
○中尾辰義君 総理、私が質問をしたのは、真相究明にアメリカ側に協力を求める。その前提として、日本の実情というものはこういうものでございますということを説明しなければならぬでしょう。ですから、その実情というものは、いま、けさほどから灰色高官の公表にしても、四十七条ただし書きをめぐっていろいろと意見が、食い違い等があるわけでしょう。そういうような状態の中でどういうふうにあなたは日本の国情というものを認識をして、それを説明をされるのか、その辺のところを私はお伺いしておるわけですから。
○国務大臣(三木武夫君) それは中尾君にもいま私が答えましたように、日本の国民は非常に潔癖な感情を持っているから、そういう賄賂をもらった政府関係者はだれか、早くこれを知りたい。それが最大の関心でしょう、いま国民の中に。そうして、こういう不正を将来に向かって根絶してもらいたい、これがやっぱり国民感情だと私は思う。
○中尾辰義君 今度特使が行くわけですけれども、新聞等によりますと、まあ、ロッキードのコーチャン等は日本側からの聴取に対しては拒否しているということですが、これに対しまして総理はどうお考えになっているのか。これは全然協力していないじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私はよくその間の事情を——法務大臣の方がよく存じておるのかもしれませんが、こういうふうな日米の捜査協力というものはいろいろな問題点があろうと思いますから、個々の問題は、これはやっぱり司法当局同士が話すより仕方ないですけれども、全体としての日米協力というものについては特使もアメリカ政府に対して要請をしてもらいたいと思っております。
○矢追秀彦君 関連。 関連ですから簡単にやりますが、ただいま中尾委員の質問に対して、法務大臣、まずコーチャン、クラッターが拒否をした理由、その間の事情の御報告がひとつお願いしたいと思います。 それから、もしコーチャン、クラッターと会えない場合、事情聴取ができなかった場合、それにかわる手段としてはどういう手続をお考えになりますか。証人尋問の手続の方針を重点にされたような報道も出ておりますが、その辺はどうなのか。 それから総理にお伺いしたいのですが、いま言われたことだと思いますが、このコーチャン、クラッターからの事情聴取ができるように特使から強く米政府に要請をすべきだと思いますが、その辺をされるのかどうか、また、それが拒否された場合どういうふうにされるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) いま矢追さんがいかにも——クラッター、エリオット、コーチャンたちがあらかじめそういう任意捜査に応じないということを言うているわけではありませんね。断られているわけじゃないのです。これから大使が行き、そういうような点についても協力の交渉をして、そういうアメリカにおける重要な参考人の陳述を求めるという方向にいかなけりゃならぬわけであります。そういう点についての大使の任務もあろうかと私は思います。
○国務大臣(三木武夫君) コーチャン氏をどうするかとか、クラッター氏をどうするかとかという個々のケースは捜査当局同士で話をしてもらいたいと思っていますが、全体としての捜査協力のいろんな問題点がありますが、このことについては、斉藤特使は、この問題、そういう問題に対してアメリカ政府に要請をするようにいたしたいと思っています。
○矢追秀彦君 法務大臣、まだ断られていないという答弁ですが、可能性としてはどうですか。事情聴取できる自信がありますか。これは総理にも、含めてもう一回確認としてお伺いしたいんですが。
○国務大臣(稻葉修君) 向こうの司法省とこちらの法務省と、ああいうレベルで捜査協力の取り決めまでしておるわけですからね。向こうの政府を通じて協力を求める、その場合に可能性は十分にあると私は思うております。
○中尾辰義君 可能性はあるということでございますが、総理にお伺いしたいんですが、その刑訴法四十七条のいわゆるただし書きにつきましてはいままでしばしば議論がされておりまして、なかなかこれは意見の食い違いがあるわけですが、この四十七条を発動をするのは、その権限はやはり総理でありますから、やはり国民世論を尊重して考えなきゃならぬと思うんですがね。この点につきまして確認の意味で再度お伺いしておきます。総理の方に。
○国務大臣(三木武夫君) この問題は中尾君もお聞き及びくださったと思いますが、やはりこの場合の私の答弁は四十七条の全文、あるいはまたただし書き、こういうものを踏まえて適正な適用をするということ以外にこの段階ではお答えするわけにはいかぬのでございます。御理解を願いたい。
○中尾辰義君 今回のロッキード事件は、これはかつてない国際間にまたがる大スキャンダルでありますから、灰色高官、いわゆる刑法には触れないけれども、賄賂を握ったことは間違いないと、そういう人物も当然これは公表すべきである。これはもう世論の一致しておるところですよ。自民党の内部は私は知りませんよ。やはり民主政治の本義というものは世論を尊重しなきゃいかぬわけですから、だから私は再度くどくどとあなたの決断を聞いておるわけです。これはそれで答弁は要りません、時間がありませんので。 次に、輸銀の問題について若干お伺いします。 政府は、四十七年の秋、全日空のトライスター決定とほとんど同時期に、つまりトライスター導入決定三日前の十月の十七日に輸出入銀行法を突然閣議決定して、それまでは輸銀の資金というものは航空機の輸入には使われていなかった。それを改正して輸銀の資金が使えるように道を開いたのはどういうわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) これは、たびたび本委員会におきまして申し上げておりますとおり、わが国の国際収支が大変好調裏に推移いたしまして、外貨がたまってまいりましたので、それを活用する必要を生じたわけでございまして、仰せのように、それまでアメリカの輸出入銀行、それから市中銀行の協調融資によって輸入金融が賄われておりました航空機の輸入金融資金を日本の金融に切りかえるという方針を決めたわけでございます。これはたびたび申し上げておりますように、航空政策上の配慮からではなくて、そういう外貨事情の変化に伴うわが国の政策変更にすぎないわけでございます。外貨の事情が不幸にいたしまして石油危機の発生以来また変わってまいりましたので、ただいまではまたもとのような状況に変わっておりまするけれども、当時の状況といたしましてはそういう状況下にございましたので、アメリカ資金によっておりました輸入金融を国内の金融に変えたというにすぎないわけでございます。
○中尾辰義君 トライスター購入資金として輸銀は全日空に対して融資額は幾らになったとか、さらに金利はどうなっているのか、その点お伺いします。
○参考人(澄田智君) お答えを申し上げます。 日本輸出入銀行が、法律改正が行われた結果、航空機の輸入に対して金融を行ったわけでございますが、その折は、従来米国の輸出入銀行並びに市中銀行の金融による融資で行われておった航空機の輸入を日本の金融に切りかえる、それを円滑に切りかえるというために、米国の金融による場合の金利にできるだけ近いところの金利を適用するということで政府と協議をいたしまして、その指示に基づきまして金利その他の条件を決めたわけでございますが、その金利はトライスター以外の航空機についても同様でございますが、トライスターの場合で申せば、最初の六機につきましては六・一%、それから後の四機につきましては七・三%の金利になっております。
○中尾辰義君 とにかく、いまお伺いをしましたように、金利が非常にこれは安い。いわゆる特別金利ですね。それから融資の額が、従来は船舶輸出、あるいは原材料の輸入、こういうものであったわけですけれども、輸銀法の改正によって、トライスターを購入するために航空機もそれに入れた、しかもその融資の額が、これは買い入れ価格の八〇%まで融資をするという、こういうことを考えて、私は非常にこれ、大きな疑惑があると、こういうふうに思うわけですよ。だが、大蔵大臣はドル減らしのために、あるいは外貨事情のためにこういうふうにしたとおっしゃるけれども、どうしても最初申し上げたように、この全日空がトライスター導入決定三日前に輸銀の法改正を閣議決定したということは、どうもこの辺のところが私どもとしては腑に落ちない。表向きの理由はわかります。確かに当時は円を、切り上げを回避するということで委員会等におきましてもいろいろとそういう意見もあったことは事実である。けれども、やはりこの符合したような点から考えて、われわれはそういうふうに受け取るわけにはいかない。ですから、その点はどうお考えになっていらっしゃるのか、もう一遍お伺いします。
○国務大臣(大平正芳君) 四十七年秋の輸銀法改正は、外貨の活用のために考えた改正でございまして、これまで原材料等を融資の対象にいたしておりましたのを、設備も融資の対象にする、これまで頭金だけに限られておりましたものを輸入資金全体を対象にするというような改正を行ったわけでございます。その設備を対象とするという改正の結果として、航空機も対象になったわけでございます。中尾さんがおっしゃるように、航空機に対する輸入資金を供給するために特に意図的にこの改正を行って輸銀資金の融資を行ったというようなものではないのでございます。本末が逆になっておるわけでございまして、そういう改正を行って、その一つの適用として航空機も輸銀資金の融資対象に取り入れられたということに御理解をいただきたいと思います。 それから第二は、特別に金利が安いじゃないかという御指摘でございます。これまた本委員会で申し上げましたとおりでございまして、当時、それまでアメリカの輸銀とアメリカの市中金融機関の協調融資によって、日本の航空会社も金融を仰いでおったわけでございます。そういう方式を航空会社が望み、かつやろうと思えばやれたわけでございます。けれども、政府は、日本の外貨を活用する必要がありますので、これは日本の輸銀の金融に切りかえてもらいたいという措置を政府の勧奨によってやったわけでございますから、条件は、アメリカから融資を受ける条件と同じ条件でお願いするのが当然のやり方ではないかということで、そのとおりの措置を講じたにすぎないわけでございまして、何らその間に無理をいたしていないわけでございます。
○中尾辰義君 大蔵大臣はそうおっしゃいますけれども、これにははなはだ疑惑があるんですね。そこで、私はお伺いしますけれども、ロッキード社のホートン会長は、その証言の中で、ロッキード社がトライスター売り込みのために工作資金二十五億円を使用してこれを賄賂として渡した、しかし、この資金はトライスターの製品価格に転嫁をしてあるのでロッキード社としては損はしてない、こういう証言をしているでしょう。この事実は、これはもう非常に重大なる問題ですよ。そうなりますというと、日本輸出入銀行は、これは先ほどのあれで五百六十億か融資をしているわけですが、全日空に対して、このトライスターの売り込みの賄賂分を含めて、つまり二十五億円の賄賂分を含めた価格で全日空に特別融資をした、こういうことになるわけです。これは大変な問題ですよ。この点はどういうふうになっておるのか、会計検査院並びに輸銀の総裁にお伺いします。
○参考人(澄田智君) まず、私からお答えを申し上げます。 輸出入銀行は、融資の承諾に当たりましては、輸入の契約の内容を十分に検討審査をいたしまして、そして、それが融資対象として適格であるかどうかということを見まして、十分その点を確認いたしました上、さらに政府の輸入許可等々、照合確認いたしまして融資決定をいたしております。 それから、融資の実行に当たっては、融資の実行、すなわち資金を交付する場合には、輸入契約どおり取引が履行されているかどうか、そういうことにつきまして、インボイスとかアメリカの公証人の発行いたします航空機の引き渡し証明書、それから送金が行われたという送金内容証明書などによって確認をして貸し出し実行をいたしておりますので、そういう金融機関としての輸銀の融資の手続に関します限りにおいては不適当なとこは絶対にない、疑惑になるような点はない、こういうふうに確信をいたしております。 〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
○会計検査院長(佐藤三郎君) いままで会計検査院としてできる限り調査した範囲におきましては、お説のような工作資金が上積みされているというような事実は、現在のところ確認されておりません。
○中尾辰義君 それじゃ総理にお伺いしますがね。ロッキードのホートン会長が言っているんですよ、証言をして、向こうの委員会でですね、二十五億円を上積みをしてあると。いまの御意見は、私の方としては融資の額というものがちゃんと飛行機代として、ほかに流用されずに払っておればそれでいい、そういうような御意見でありますけれども、輸銀の資金というのは、これは政府資金ですよ、これは御存じでしょうけれども。一般会計からも出資金がされておりまして、当然これはわれわれの税金が入っておる。何も私どもは税金を政府高官に対する賄賂に使ってもいいという条件で税金を納めているわけじゃありませんからね。この辺はやはり厳重に考えなければならぬとこういうふうに思うわけですが、総理はどういうふうにお考えになりますか、これに対する対策として。
○国務大臣(三木武夫君) 中尾君のお説ごもっともで、飛行機代に賄賂まで入って国民がこれに対して負担されるということならば国民は納得できないでしょうからね。したがって、私は、こういう問題は、多国籍企業小委でいろんな証書をロッキード社の人が行っておりますが、これは相当信憑性もあるでしょうけれども、全部が正しいのかどうか、言っておることが。いわゆるロッキード社というものの立場もありましょうから、その信憑性というものはまさしく捜査当局が解明をしなければならぬ問題点だと思います。これはどうかと言えば不都合きわまるものである、しかし、そのいろんな証言というものはどこまで信憑性があるかということは、まさしく捜査当局が解明をしなければならぬ問題点だと考えておる次第でございます。
○中尾辰義君 それならば、捜査当局がいずれこれは解明する問題ですが、明確にこれの工作資金二十五億円というものは上積みをしてあると、こういう結論が出た場合に対しては、どういうふうに対処されるのか。これは大蔵大臣と両方お答えください。
○国務大臣(大平正芳君) これは輸出入銀行と全日空との貸借契約でございます。お金を輸出入銀行がお貸しした以上は、それに対しまして全日空は全的に責任があるはずでございます。それが第一でございます。 全日空が買い上げた品物の代価の原価に問題があるかないか、これは、いま総理が仰せになったように、その解明はいまからなされることと思うのでありますが、仮に若干の問題があったといたしましても、そういった問題をまず融資当局である輸出入銀行が正規の手順を踏んで、手続を踏んで、あらかじめ全部見抜くことが輸銀の能力として可能であるかどうかという点につきまして、全部そういうことがわかっていなければならないというようなことを強いることは私は大変酷でないかという感じがするのでございます。問題は、そういうことがわかって、しかもそういう取引をいたしたというものなのか、わからずにやったことなのか、そういうことは全日空が問われるべき問題であろうと思うのでございます。 それから企業のビヘービアの問題でございますけれども、それは法規に照らし、社会の道義に照らしまして、それぞれの企業が社会的責任、法律的責任を負うことでございましょうし、それに対してそれぞれの果たすべき責任があろうと思うのでございます。中尾さんは、そういったことを全部ひっくるめまして輸銀の融資行為について責任を問われるということ、お気持ちはわかりますけれども、それを全部輸銀の融資行為の中に求められるということは、いささか酷ではないかという感じが私はいたします。何も私、輸銀を弁護するつもりではございませんけれども、事柄の筋道はそういうものじゃないかと思います。
○中尾辰義君 ですから、総理にお伺いしますがね。それは輸銀が当時にはわからなかった点もありましょう。ですから捜査当局が捜査をして、これはホートン会長が言っているように工作資金二十五億円が入っておる、こういうことが明確になった場合に、これは速やかに全日空は輸銀に対して二十五億円、この賄賂の金は返還をしなきゃならぬ、速やかに。そのほかのものは別として。これはどうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) それはいま私がお答え申し上げましたように、輸銀と全日空との間の貸借契約の問題でございまして、そういう契約が交わされておれば、それは履行しなければなりませんけれども、恐らくそういう契約になっていなかったんじゃないかと思います。したがって、そういうことが仮に明らかになった場合に全日空がどのように処理いたしますか、全日空の会社としての社会的責任において処理されるべき性質のものであろうと思います。輸銀の債権者としての立場は変わりません。
○中尾辰義君 ですから私は聞いているんですよ、輸銀は政府機関ですからね。だから全日空の判断に任せるということでなしに、輸銀の資金はわれわれの税金も入っておるんですから、こういうことがあなたはっきりしたら国民がどう考えますか。われわれの税金を賄賂に使うのはけしからぬじゃないか、こういうことになりますからね。当然大蔵大臣がその辺のところは指導をしなきゃならぬと思う。ですから私は聞いているんでしょう。あなたの答弁は、それは全日空が会社として当然考えるべき問題だ、こういうことでは私は納得しないんです。もう一遍答弁してください。
○国務大臣(大平正芳君) 企業の社会的な責任というか、道義的な責任を問題にされておられると思うんでございます。それは、その企業が置かれた立場におきまして社会的責任を果たされるべきだと思うのでありまして、政府とその企業との関係、あるいは政府機関とその企業との関係という関係におきましては、法律的な立場においてそれを強いるとか強制するような立場にはないと思うんでございます。 ただ、仰せのように、政府機関は国民の大事なお金を預っておるわけでございまするから、確かにその融資あるいはそのお金を使っての仕事をする場合におきまして、それだけの自覚を持って誤りなきを期することは当然の責任であろうと思うのでありまして、それだけの自覚を持って当たらなければなりませんことは仰せのとおりだと思うのでございますけれども、今日のわれわれの体制の中で、それを制度的に強要する、あるいは強制するとかいう仕組みにはなっていないということを私は申し上げておるわけでございます。
○中尾辰義君 その辺のところが私は気に入らぬのですよ。金の性格そのものが、いわゆる輸銀の原資そのものがわれわれの税金であり、あるいは健康保険の掛金であり、そういうものが入っておるんですからね。だから、単に法的にこうだからどうのこうのじゃなしに、道義上の問題もあるんですからな。そうなりますと、当然大蔵大臣は行政指導もできるわけですよ、運輸大臣だってできるでしょう、それはちょっとまずいじゃないかと。だから速やかに返還をしておけとか。あなたは法律的なことばっかりおっしゃるけれども、都合のいいときは行政指導をする、こういうような問題のときには、それはわれわれが介入すべき問題じゃない、こういうような答弁では国民は納得しませんよ。これは運輸大臣も、両方答えてください。
○国務大臣(大平正芳君) 私は責任を回避したり逃げたりしているわけではないんです。まじめな答弁をいたしておるつもりでございますが、たとえば輸出入銀行の例で申し上げますと、輸出入銀行というのは政府金融機関でございまして、これはその金融を通じまして日本と外国との間の経済的交流を高めていくという使命を果たすために輸出入金融を担当しておる機関でございます。でございますから、その金融を受ける企業が間違いがあるというだけの理由で、その金融についてひとつ直ちにその金融をとめるとかいうことには直ちにならぬと思うのでございます。つまり、そういう政策目的に合致した機能はちゃんと果たさにゃいかぬと思うのでございまして、その受けた企業が過ちを犯すというようなことがあった場合に、その責任は別途その行為に対してその企業が責任を負う措置をとるべきが当然のことじゃないかと申し上げておるにすぎないのでございます。 しかしながら、政府金融機関の場合は、特にその資金が、中尾さんおっしゃるように政府資金でございますから、その融資に当たりましては特に気をつけて当たらなければならぬことでございまするので、たとえば石油ショックの後を受けまして四十九年の四月にも政府関係金融機関の融資のあり方についてという閣議報告をいたしまして、そのあたりのビヘービアの仕方について政府は各政府関係機関、日本開発銀行、日本輸出入銀行あるいは北海道開発公庫等に適用するルールを決めたわけでございまして、そのあたりは政府としても細心の注意を払っておりますけれども、物事の筋道は、まずその企業が第一義的な責任はちゃんと果たしてもらわなければならぬので、政府が何もかも手をとり足をとって処置してまいるというようなものではないのじゃないかということを私申し上げておるわけでございます。
○国務大臣(木村睦男君) 全日空としましては、当時初めてこういった相当な価格の大型機を購入するわけでございますので、機種選定委員会を設けまして、安全性あるいは快適性といった方面からの調査と同時に、やはり相当な投資が要るわけですから価格の面もいろいろ検討したようでございます。で、全日空について聞きましたところが、大体一機、最初の六機を注文したときには千七百万ドルから千九百万ドルぐらいだということでございます。その価格を取り決めましたときの事情を聞いてみますと、一機ずつ買ったわけではないので、まとめて何機か買ったので、相当に、まあいわば全日空側から言えば値段をたたいたと。しかも大型機を入れるためにYSその他リタイヤする機材も出てくるわけでございますので、いわば下取りというふうな関連も含めて、かなり安く買ったつもりであると、こういうことを申しております。ちなみに、当時、日本航空がボーイングを買いました値段が二千万ドルでございますから、まあ機種が違いますからなかなか比較もむずかしゅうございますけれども、まあわれわれといたしましては、法外に高い値段で買って、それが旅客の運賃等に影響しては旅客に迷惑をかけるというふうな立場から、こういう購入価格というのを一応事情を聞くわけですが、その範囲では別に特に高く買い取ったという感じは持っていないわけでございます。
○中尾辰義君 じゃ総理にお伺いしますが、だから私言ったでしょう。捜査当局が結論を出して、ホートン会長の証言のように、二十五億円という賄賂がその輸銀の融資額に対し入っておると。これが明確になった場合に、では大蔵大臣がおっしゃるように、一時的責任は全日空にあるにしても、それじゃ、政府機関として政府は知らぬ顔でいいのかどうか。これじゃ国民納得しませんですよ。だから、その辺のところは政府はどういうふうに指導をするか、その辺私聞いているんですよ。それを総理にお伺いします。
○国務大臣(三木武夫君) また中尾さんの質問は刑訴法四十七条に帰ってくるわけですからね、その四十七条。私自身が、法規によらないでここで答弁を申し上げることは法治国家としてできないことです。そうなってくると四十七条に帰る。四十七条のただし書きの条項に従って処置をいたします、それをいま結論的に——あれば個々のケースに対して比較考量せよということですから。一般的に向かって私がここで断定をすることは捜査の妨害になる。いま私が願っておることは、捜査当局を妨害したくないんですよ。妨害をしたくなくして、ひとつこの捜査を徹底的に捜査当局が活動を進めて真相を解明してもらいたいということですから、刑事責任というものの追及はわれわれできないことですから……
○中尾辰義君 刑事責任じゃありませんよ。
○国務大臣(三木武夫君) そういうことですから、何もこれは逃げておるわけでも何でもないわけでございます。そうするよりほかにはないということでございます。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申し上げました政府関係金融機関の融資のあり方というのを四十九年四月十六日の閣議で決めておりますが、それをもう一度御説明を申し上げることによってお答えにかえたいと思いますが、ここで決めましたことは、「政府関係金融機関は、政策金融を担当するものであり、企業の特定の行為を理由に、行政官庁の自由裁量によって、その融資内容が左右されることは、本来必ずしも適当なことではない。特に企業の違法行為に対しては、それぞれの法の定めるところに従って制裁が行われるのであって、さらに金融上の措置をこれに加えることには、慎重であるべきであると考えられる。」というのが、まあ全般を通ずる政府の思想でございます。しかしながら、石油危機以来現下の経済の緊急状態のもとにおきましては、著しく国民の利益に反する悪質な行為についても、政府関係金融機関からの融資の適格性の判断基準として十分考慮に入れる必要があると考えられるので、次のような方針を定めることとしたと。 そこで、「一、政府関係金融機関に融資の申込をした企業が、経済関係法令の重大な違反により起訴された場合その他著しく国民の利益に反する悪質な行為を行った場合で、企業としても相当の責任を負うべきものと認められ、かつ、次に掲げるいずれの場合にも該当しないと認められるときは、当該企業の主管大臣は、速やかに融資についての意見を付して主務大臣」、つまり政府関係金融機関を管轄している「主務大臣に通知する。」ということにすると。で、当該行為に対して十分な法的、行政的措置または企業自身の是正措置がとられるという場合は、これは別であると。さらに、融資の停止または融資条件の変更等の措置をとることによって、融資対象プロジェクトが実行困難となり、または対外経済関係に著しい悪影響を及ぼし、または国内における重要な政策の実施もしくは国民経済の円滑な運営に著しい支障を生ずるような場合、こういう場合は別でございますけれども、そうでない場合におきましては、当該企業の主管大臣が速やかに融資についての意見を主務大臣に通知しなけりゃならぬ。 で、主務大臣は、関係金融機関においてとるべき措置について、企業の主管大臣その他の関係大臣と協議いたしまして、協議結果を当該政府関係金融機関に連絡することにする。そして結論として、政府関係金融機関は、協議結果を基礎として、融資の停止または融資条件の変更等所要の措置をとることにすると。こういうことを石油危機以後の異常な経済状態を背景にいたしまして、その政府機関のあり方と、金融機関のあり方として決めたわけでございます。 で、この措置は今日改定をいたしておりませんで、このまま実行いたしておるわけでございまして、今度のロッキード事件の場合、このまま当てはまるかどうかという点につきましてもまだ若干の疑問がなきにしもあらずでございますが、何となれば、ロッキード事件はまだ真相の解明中でございますけれども、こういう思想は、今度の場合におきましても、真相が解明された暁におきまして政府関係金融機関のあり方を考える場合に、かつて政府がとりました措置は判断の材料になるのではないかと私は考えております。
○中尾辰義君 いまおっしゃったようなこともまあ大体わかりましたけれども、結論として、そのいまおっしゃったようなことの中で、ロッキードはどれに当てはまるのですか。もう一遍それをおっしゃってください。
○国務大臣(大平正芳君) つまり、ロッキードの問題というのは、まず真相が解明されなければならぬということが前提でありますね。それはようございますね。
○中尾辰義君 わかった場合。
○国務大臣(大平正芳君) わかった場合でございますが、その場合、直ちにその事実をもってこの融資内容が左右されるということは必ずしも適当ではない。それについては、それぞれ法の定めるところに従って制裁が行われるのであって、金融上の措置をこれにさらに加えることは慎重であらねばならぬというのが政府の態度でございます。しかしながら、あなたが仰せのように、政府資金を使っておるんだからこれだけの配慮がなけりゃならぬじゃないかというのが、後段に私が述べた考え方でございまして、主務大臣が調べまして、これは確かに融資についても考え直す必要があるという判断をいたすならば、政府機関を管轄する大臣に対しまして意見を具して相談する、主務大臣はこれに対しまして関係大臣と協議いたしまして、融資の停止または融資条件の変更等を命ずることができる、このようにして対応することが適当ではないかというのが政府の見解でございまして、そういう考え方はまだ変えていないわけでございます。
○中尾辰義君 これ、時間がありませんので次に進みますが、多国籍企業というのがいま非常に国際的な世論になっておりますね。そこで、そのことに対しても、今度の特使派遣によっていろいろと協力をし、聴取もしてくるわけですが、わが国のいわゆる多国籍企業ですな、わが国の場合、どういう企業、どういう商社等がこれに当てはまるのか、それをお伺いします。
○国務大臣(河本敏夫君) 多国籍企業の問題につきましては、現在、国連とOECDで検討をしております。ただしかし、明確な定義は現在までないようであります。しかし、多分OECDでまとまるであろうと思われております考え方は、鉱工業生産を主にしておる企業であって、それから数カ国にわたって事業活動をしておる、しかも、一国において、それぞれの国において相当な影響力を持っておると、こういうふうな定義になるのではないかと言われておりますが、いま最後の詰めをしておるようでございます。まあ、そういう定義からいたしますと、日本では該当するものはほとんどないということになりますけれども、しかし、それをもっとゆるやかに解しまして、数カ国または数カ国以上で事業活動をしておるというふうな考え方に立ちますと、日本の商社などは全部該当するのではないか、こういうふうに考えております。
○中尾辰義君 それでは時間がありませんので一括してお伺いしますが、かつて、わが国の総合商社は、昭和四十六、七年にかけまして、大量なドル投機あるいは脱税、土地、モチ米等の買い占め、売り惜しみ、こういうことを引き起こしまして、国民生活に必要な基礎物資等が非常に暴騰してきた、そういうことで国民の批判を受けたわけですね。それから国会にも喚問されて、その後商社も多少は自粛したのでございましょう。総合商社行動基準、こういうようなものまでつくりまして、社会的責任の重大さというものもある程度私は認識したのではないかと思うわけでありますけれども、いまからお伺いするのは、丸紅自体も、丸紅の行動基準というものを発表したわけです。それが四十八年の八月三日です。それから一週間もたたない八月の九日にピーナツ百個、あるいはピーシズ、ユニット、このえたいの知れない領収証を書いておる。こういうようなことなら、全然商社はこれ、反省しておらぬじゃないか、こういうふうに思うわけですよ。ですから、今後商社法の活動規制につきまして何らかの法的規制をする必要があるのではないか。 さらに、法務大臣にお伺いしますが、会社法の全面改定をして企業の社会的責任を明記をする、こういうことも必要があるんじゃないかと思いますが、以上お答え願いたいと思います。——最初は総理だよ、総合商社の規制について。
○国務大臣(稻葉修君) 総理大臣、初め大まかにお答えいただきます。(笑声)
○国務大臣(三木武夫君) 多国籍企業は、先ほどの御質問のときにもちょっと答えましたが、日本の場合は、まあ多国籍企業というものはそんなにアメリカのように日本はないと思いますね。大企業がそういう合弁会社をやったり各地で仕事をする場合ですが、これはやはり国際化の時代にふえていくでしょうね、多国籍企業は。そういうことで、この問題は、一番好ましい型というものは自己規制だと思いますね。そういうことでやることが好ましいんですが、自己規制で不十分だというときにやっぱり規制という問題が起こってくるんですが、日本も各社が持っているんですね、大企業は。行動基準というものを持ってやっておるんですが、しかし、この問題は将来やっぱり検討すべき課題で、通産省を中心としてやっておるわけです。 アメリカの場合は、これはもうロッキード社がこういうふうな他国に対して非常な衝撃を与えておるわけですから、これは根本から不正行為を排除しなければならぬという声が起こってきて、アメリカには閣僚の不正行為防止に対する閣僚会議もできておるわけです。リチャードソンという商務長官が委員長になって、キッシンジャー長官もメンバーの一人です。こういうことで、今度斉藤特使は、この規制の問題などもアメリカはどういうふうなことを考えているのか、これは日米間にまたがる多国籍企業というものは相当ありますから、日米間で協力をして、向こうの方が、賄賂なんかを渡したりするようなことをもとで防ぐ、こちらの方は、こういう問題、ロッキード問題を契機としてさらに不正行為が行われるようなことを厳重に、そういうことのないようにしていくということで、日米両国の協力を待つ点も多かろうと思いますから、これはよく両国で話をしてみたいと思っております。 法務大臣からあとはお答えいたします。
○国務大臣(稻葉修君) 企業の行動について、つまり社会的責任についてはいろいろやかましい議論が世上にあります。ことにロッキード問題が起きてから、多国籍企業の社会的責任と国際的責任ということについても御指摘のとおりでありまして、いま中尾さんから、わが国の商法を全面的に改正してそういう企業の社会的責任を明確にしたらどうかという御質問でございますが、これを商法上の立場からいかに取り上げるべきかにつきましては、御承知のようにいろいろ議論のあるところです。 そこで、いままでなされた国会審議の結果、及び、この前の商法改正のときに衆参両院から附帯決議を付せられておりますが、それらの指標も十分踏まえた上、各界の意見をも参考として、いま法務省の法制審議会商法部会でアンケートを求めました。アンケートを求めたら、なるほどこんなにたくさんやってきたんですが、これ、いま申し上げている場所でありませんので要約して申し上げますと、法務省は、学者、裁判所、弁護士会、企業等関係方面に対してアンケート調査を行い、その調査結果については大部の調査報告を作成したりしておりますが、その骨子は、企業の社会的責任について商法中に一般的な規定を設けることに対して、一部に積極論があって、これを評価する者もありましたが、消極論が圧倒的に多かった。消極論の理由は、第一に、社会的責任という概念が不明確である。第二に、法技術的にきわめて困難が伴うわけです。第三には、実際上の有効性に疑問がある、問題があると。第四に、現行の民商法の規定によって対処できる部分もたくさんあると。第五に、企業の不当なビヘービアは、商法ではなく社会法、先ほどお挙げになりましたいろいろな売り惜しみ買い占め抑制法だとか、そういう社会法、経済法、それによる面接規制にゆだねられるべきであると、ただし、社会的責任に関連して個々の制度の改善、たとえば取締役の責任の強化、企業内容の開示の改善、株主総会の運営の改善などについては積極的意見も寄せられているところでありまして、法務省法制審議会商法部会において検討が始まっており、同部会において十分審議を尽くし、可及的速やかに適切な結論を得たいと考える次第であります。
○中尾辰義君 時間がありませんので、次へ移ります。 三月からニューヨークで開かれました国連海洋法会議は、ついに結論を出さないままに終了いたしまして、夏にもう一度開かれ、そして妥結に達すると、こういうような模様でございますが、会議でのわが国の政府の方針は、二百海里経済水域には、これはやむを得ないにいたしましても、これまでの遠洋漁業国としての実績を権利として何らかの形で認めさせると、まあ、そういう点にあったように思いますが、この会議に出てどういうふうになったのか、その点お伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日と申しますか、今日の明け方と申しますか、ニューヨーク会議が一応終了いたしまして、次回を八月二日から九月十七日まで開くということが決定したというところまで私ども報告を受けております。その決定がいかなる状況のもとに行われたかについてまだ詳細に報告がございませんが、とにかくそのような決定がなされたと。そこで、この会議の終末に当たりまして、従来非公式単一草案と言われておりましたものが、今度は単一草案改訂版ということでこの会議の一応の締めくくりがつけられたわけでございます。もとよりこれは、これに同意をしたということではございませんで、この単一草案改訂版が次回の会議の討議のたたき台になる、こういうことであろうかと存じます。この改訂版を見ますと、これは今回の会議の数週間にわたる成果をほぼ盛り込んで、従来の単一草案を改訂したものでありますが、わが国の関心のあります問題のうち、ただいま御指摘の二百海里の経済水域あるいは領海の幅員の十二海里、国際海峡等々の問題につきましては、ほぼ従来の単一草案の線が貫かれておりまして、ほぼそのようなパッケージが固まりつつあるということが申し上げられると思うのであります。 で、ただいまその中で御指摘の沿岸漁業国の権利でございますが、今回の会議を通じて見られましたことは、わが国あるいはEEC等の先進国の多くが、沿岸国が自分の取り得るだけの数値を取った後の残りはその他の国に開放されなければならないということを言っておるわけでございますが、そのどれだけが沿岸国の取る限度であり、どれだけを開放すべきかということについて、その基準が恣意的でありますと実際には何も残らぬということに私どもの立場からするとなり得るのでありますから、そういうことではいけない、そういう原則は認めるけれども、しかし、その算定は恣意的であってはならないということを強く主張してまいったわけであります。それに対しまして、アフリカあるいは南米等の一部の沿岸国は、全くそれは完全に自分の国の主権が決定すべきであるというような議論をいたしましたし、また全然逆に、ヨーロッパあるいはアフリカの一部の海洋に面しておりません国々は、自分たちにもそれらの権利に均てんする権利があるというような主張をいたしました。で、米国自身は、わが国の立場にかなり近い立場でありますけれども、場合によってある程度沿岸国に歩み寄ってもいいというような微妙な姿勢を示しておったわけでございます。それらの点につきまして、このたびの会議の終末では最終的な結論は出ておりません。 私どもとしては、今回大体全体のことがパッケージでまとまる兆しが見えてまいりましたので、次回のニューヨークの会議を最終のものと考えまして、沿岸国の一定の漁獲についての権利は認めつつ、なお従来からの遠洋国の既得権というようなものを客観的に確定する、そうしてそれを承認するような条約にしていきたい。これは実は中尾委員御承知のように、正式の会議は、昨日と申しますか、今朝終わりまして、八月までは休みということになるわけでございますけれども、その会期外でも絶えずこの関係国の間で接触をいたしてまいっております。従来もさようでございましたから、これから八月の間にも当然そういう非公式な接触は続いて行われるわけでございまして、わが国としてはそういう立場を同じくする国々とともに、先ほど申しましたような主張の実現に向かって、八月の会期以前、これから八月までの間にも非公式な接触を続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
○中尾辰義君 アメリカの方はすでに海洋法会議の結論を待たないで、すでにもう一方的に漁業専管区域というものを二百海里を設定をすると。これは来年三月から実施されるわけですが、そこで、一つは漁業専管水域には——アメリカの漁業専管水域ですね、これにはミクロネシア、ポリネシア、こういったような米国信託統治等の島々も適用される見込みなのかどうか。それを一つお伺いします。
○政府委員(山崎敏夫君) 今般、米国で成立いたしました二百海里の漁業専管水域を規定しております一九七六年漁業保存・管理法におきましては、この法律の適用対象地域が記されておりますが、その中にはミクロネシア等の米国の信託統治地域は含まれておりません。また、この法案を作成しました米国の両院協議会のレポートも、その共同解釈声明の中で、信託統治地域はこの法律の適用外であるというふうに記しております。ただ、ミクロネシアの住民としましては、この地域の周辺二百海里以内の漁業資源、マグロ等を含めました漁業資源をミクロネシアとして専管すべきであるというふうな考え方を持っておるようでございまして、そのような趣旨の決議を本年の二月二十六日にミクロネシア議会において採択いたしております。そういうわけでございまして、この法律の適用外ではございますが、ミクロネシア住民にはやはりこのような考え方を持っておるということは申し上げられると思います。
○中尾辰義君 二百海里の経済水域の設定が、これが決定的となりますと、わが国の年間漁獲量は約一千万トンであります。その中で四百万トンが失われる、こういう結果になるわけです。そこで、今後の対策として、わが国は沿岸漁業の振興、これはまあ当然やらなきゃなりませんけれども、果たして沿岸漁業の振興だけでこの二百海里の経済水域で失われるところの四百万トンというものをカバーできるのかどうか、こういうことを考えた場合に、今後遠洋漁業政策をどのように進めていくのか、農林大臣にお伺いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) お答えをいたしますが、政府といたしましては、この漁業資源というのは国民の動物性たん白食糧の過半数を確保しておるわけでございまして、そういう意味におきまして、いまお話がありましたような四百五十万トンに及ぶところの経済水域二百海里内で漁獲しておる水産物につきましては非常に食糧確保という面からも重要な位置にあるわけでございます。したがって、今後はわが国にとりまして重要な漁場であるところの北太平洋漁場の関係国に対しましては、漁業交渉等、これら関係国との各般の協議の場を通じまして多面的な海外折衝を推進することによりまして、また、発展途上国に対しましても、海外漁業協力、合弁事業等を通じた関係国との協力体制を推進することによりまして、極力わが国漁業の操業実績が確保できるように努力をしてまいりたいと思うわけであります。しかし、わが国の漁業を取り堆く国際環境は、先ほどからの御意見のように、海洋法会議の動向、あるいは各国によるところの、たとえばアメリカによるところの一方的な管轄水域の拡大、二国間交渉における規制措置強化の要求等非常に厳しいものがございまして、漁業の種類によりましては非常に影響を受けるものが想定をされますので、このような場合には、その程度及び内容、個別漁業の特殊性にも十分考慮を払いながら適切な対策を講じて、何とか遠洋漁業の資源につきましても確保するための努力を続けてまいりたいと考えております。
○中尾辰義君 次に、韓国マグロの輸入に関しましてお伺いしますが、近年、この韓国等からのマグロの輸入が著しく増大をしておりまして、昨年来これは非常に問題になった。そこで、昨年は政府間の話し合いで韓国側と輸出の数量を約四万五千トン自主規制しようということで決まったわけでありますが、これはどういうふうにその実績はなったのか、お伺いします。 〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 韓国からのマグロの輸入の問題でございますが、昨年の夏に韓国と協議を行った結果、韓国は同年中における独航船による日本向け輸入量を四万五千トンに自主規制をすることで合意が成立したわけでございます。同年中における韓国独航船による輸入実績はおおむね四万五千トンとなっておりまして、日韓間の前記の去年の夏の取り決めは守られたものと考えております。これに対しまして、同年における韓国からのマグロ類の輸入の実績は、いわゆる通関統計によれば五万七千九百トンとなっておるわけでございます。しかし、この通関統計の内容を分析をしてみますと、前記の五万七千九百トンの内訳としては、先ほど申し上げました独航船による自主規制をした四万五千トンのほか、運搬船によるものがあるわけでございまして、これはサモア、フィジー等の漁業基地に、韓国漁船がアメリカ、ヨーロッパ向けとして水揚げした残りの部分が主として加工用として日本向けに運搬船によりまして輸入されたもので、合意を見ました四万五千トンのいわば枠外のものでございます。このような輸入の形態によるものは昭和四十九年におきましても約一万トンございます。特に五十年においては、したがって大幅に増加をしておるという事実はないわけでございます。
○中尾辰義君 とにかく、日韓の両方で話し合いによって四万五千トンになったわけですからね。それが五万八千トンになったと。これでは約一万三千トンのオーバーであるということ、これは漁民は非常に憤慨をしておるわけですよ。いま若干の説明はありましたけれども、その点、もう少しひとつ詳しくおっしゃってください。
○政府委員(内村良英君) お答え申し上げます。 ただいま大臣から御答弁ございましたように、韓国側の自主規制を求めたものは、韓国の独航船が日本の港に入って水揚げするものについての自主規制を求めたわけでございます。その点につきまして昨年四万五千トンという約束が夏できまして、その後、向こうの自主規制によってその四万五千トンは守られたわけでございます。それ以外に、ただいま大臣から御説明がございましたように、韓国が独航船以外に、基地船と申しまして、外国の基地でやっておりまして、主としてアメリカですが、フィジーその他、あるいはアフリカの沖というところでやっておりまして、それをアメリカに輸出していたわけでございます。ところが、昨年アメリカ市場が非常に狭まりまして輸出できないということで、運搬船で日本市場に持ってきたものがあるわけでございます。それが総輸入が五万七千九百トンとなりました、その四万五千トンとの差額はそのような性質のものでございまして、これは韓国側に言わせますと、一遍アメリカなりほかの国に輸出したものの残りが日本に来たために、韓国政府としては自主規制をやろうとしてもそれを規制することができない数量だということでございます。そのようなことで数量が五万七千九百トンになりましたけれども、四十九年におきましてもそのような運搬船による輸入が約一万トンあるわけでございますから、特に五十年度におきましてそういった輸入が増加したというわけではございません。最近はアメリカの市場が大分回復しておりまして、その結果、かなり対米市場に韓国の基地船のものは出ているという状況でございます。
○中尾辰義君 それはちょとおかしいですよね。四万五千トンはこれは独航船で持ってきたんだと、あとは外国の基地から運搬船によって日本市場に持ってきた、結果的にはこれは同じことなんですよね。だから、そのような漁民をごまかすような取り決めでなしに、最終的に四万五千トンという結論を出したんですから、その辺を何とか話し合いをしてもらわないと、これはしり抜けになるじゃありませんか。じゃ、その四万五千トンはそれはそれ、あとは自由だということになりますと、何のために取り決めをしたのか、この辺がさっぱり、これは目的が外れてくるわけですからね。今後そういう問題をどうされるのか。外国人漁業規制法によって水揚げを禁止せよ、こういうような強硬意見もあるわけですが、もう一遍、その辺のところは答弁願いたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 昨年、韓国からのマグロ輸入が問題になりました際に、特に日本のマグロ業界から問題になりましたのは、韓国の独航船が直接日本の港に水揚げするという点が大きな問題になったわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、韓国側に対しまして独航船についての輸入規制というものを求めたわけでございます。その後、五十一年以降につきましても韓国側と話し合いまして、韓国が今年度におきましても四半期ごとに需給協議会を開催して、情報の交換等を行い、さらに韓国も日本の市場の動向に対応して自主規制をするという約束をしているわけでございます。 それから、さらにわが国自身におきましても、今年の一月六日以降においてマグロを輸入する者は、輸入予定日、数量等について輸入貿易管理令第三条第一項に基づいて通商産業大臣の事前確認を得て輸入するという制度をとりまして、韓国側の輸出の自主規制措置と、わが国の事前確認制度をかみ合わせながらマグロの輸入の合理的な秩序を維持して、特に無秩序な輸入が行われてわが国の業界が困るということがないように措置しているわけでございます。 さらに、五十一年度から新たにわが国のマグロ漁業経営に対しまして各種の再建助成措置を講ずることにいたしましたほか、マグロ価格の安定のために新たに生産者団体が行うマグロの調整保管事業に対して政府が助成することとしております。これらのことによりまして、今後マグロ経営の安定を図っていくという措置をとっておりますので、現在のところ、外国人漁業規制法による政令を発動する必要はないというふうに考えておるわけでございます。
○中尾辰義君 そうしますと、昭和五十一年度から事前確認制ということでありますが、すでに五月でありますので、五十一年度の一月から三月までの輸入実績はどうなっておりますか。
○政府委員(内村良英君) お答え申し上げます。 大蔵省の通関統計によりますと、本年一月から三月までの間における韓国からのマグロ類の輸入実績は一万四千八百トンになっております。
○中尾辰義君 それは昨年の一−三月の実績と比べてどうなっていますか。
○政府委員(内村良英君) 前年同期に比べまして四千六百万トン程度多くなっております。
○中尾辰義君 ですからあなた、ことしももう三カ月間で四千トンもふえておるじゃありませんか。そういう点が業界としては納得いかないのであります。ことしは数量規制はできないのか、また今後これで事前確認制でもってちゃんと自主規制の線まで守れるのかどうか、それともそのままほっておくのか、その辺のところ、いかがですか。
○政府委員(内村良英君) 昨年同期に比べまして四千六百トン——先ほど四千六百万トンとあるいは間違って申し上げたかもしれませんが、四千六百トンの輸入増が見られましたのは、五十年におきまして四万五千トンの自主規制を向こうがやった、その結果持ち越し分がございまして、その分を韓国側が一月に出してきた、それからわが方の輸入確認制が一月六日からこれは始まったというわけでございまして、その間の時期的なずれから一時的にそういう現象が起こって入ったと、こういうふうに見ておるわけでございます。で、今後私どもといたしましては、そういった事前確認制もとられておりますので、韓国側の自主規制措置について一隻一隻チェックしてみました結果、今年の一−三月につきましては向こうの自主規制は守られているというふうに考えております。ここの一−三月に特にそういった輸入が急増いたしましたのは、先方が五十年において自主規制をしたと、わが方が一月の六日から事前確認制をとったというようなことが絡みましてそのような現象が起こったものと思っております。
○中尾辰義君 それで再度お伺いしますが、この事前確認制というものはどういう制度なのか、これでもって数量規制ができるのか、ただ届け出だけするのか、その辺はいかがでしょう。
○政府委員(岸田文武君) お示しのございました輸入承認制度は、公表に際しましてあらかじめ要件を示すわけでございます。水産庁長官からお話がございましたように、契約の内容についてあらかじめ通産大臣の確認を得た上で銀行の輸入の承認を受けるべしということを公表の際に指示をするわけでございます。で、形の上は契約の確認ということになっておりますが、その背後には、先ほど農林省からお話がございましたように、両国間の話し合いということがございますし、他方、通産省におきましても、商社に対しまして秩序ある輸入を働きかけておる、そのような措置が背景にあることによって全般としてマグロ類の輸入が秩序あるものになるような形を期待しておるわけでございます。
○中尾辰義君 私がお伺いしますのは、その事前確認制でもって数量の規制ができますかと、それを聞いているんですよ、直接ですね。もう一ぺん。
○政府委員(岸田文武君) 数量の調整を直接目的とするものではございませんが、結果としては、数量が適正な水準に落ちつくような効果が十分期待できると思っております。
○中尾辰義君 結果として数量規制が期待できる、非常にこれは弱いことになっているわけですよ。私が聞いたところによりますと、単なるこれは確認するだけで、数量規制というのはできないんだと、そういうことになりますから、非常にこれは心配をされておるわけでしょう。ことしは昨年度の四万五千トンの数量をこの事前確認制でもって期待できるのかどうか、その辺いかがですか。
○政府委員(内村良英君) 事前確認制の場合には、輸入の割り当て制と違いまして、クォータを設けるというものとは根本的に違うわけでございます。そこで、韓国側に自主規制を求めておりますので、私どもの経験によりますと、昨年の場合はわが方にチェック機構がないものでございますから、向こう側の輸入自主規制について十分チェックができなかったわけでございます。そこで、事前確認制がとられますと、輸入の前に商社から一々報告があるわけでございますから、韓国がこういうふうな輸出許可を出したと、この船についてこう出したというのをもらいまして、それとこちらの確認制度でチェックするということで、いわば韓国の自主規制をわが方がそういう形でチェックできるという形になっている点で従来より非常に前進しているわけでございます。それから、私どもといたしましては、何といいましても、国内におけるマグロ価格の安定ということがマグロ漁業経営の点からも非常に大事なわけでございます。そこで、そういった制度をとった結果、最近産地価格が大体上がっておりますと申しますか、安定しておりまして、五十年の十二月、これはマグロの高い時期なんでございますけれども、それが五百二十円であったのが五百四十七円に上がっている。いまのはキハダマグロでございますが、メバチ等についても価格が大体二、三割上がっているというようなことで、現在のところ非常に価格も安定しておりますので、今後この制度を運用していけば、安定的な輸入と申しますか、輸入によって国内価格が大きく撹乱されるということはないようになるんじゃないか、そのつもりで制度を動かさなきゃならぬと、こういうふうに思っておるわけでございます。
○中尾辰義君 ですから、私がお伺いしているのは、事前確認制によりまして自主規制に見合う線までというような、何とかしたいというようなことらしいですが、ことしは自主規制というこの一つの線は何万トンにするかというのはないんでしょう。そうしますと、昨年の四万五千トンの自主規制の線まで何とか事前確認制で合わせたいと、こういうことですか。
○政府委員(内村良英君) 昨年は年間数量を決めたわけでございますけれども、ことしは四半期ごとにやろうということを韓国と話し合いまして、わが国の国内価格の動向を見ながら向こうの輸出量の調整を図っていくということで、一−三月については……
○中尾辰義君 数量は。
○政府委員(内村良英君) 数量は一万一千トンということで、韓国側が自主規制をとるということを言っております。四月−六月につきましてはすでに話し合いをしてございまして、それを若干上回る数字になっております。したがいまして、ただいまのところ、年間の数量については決めておりません。いずれにいたしましても、わが国の国内におけるマグロの産地価格の安定ということが非常に大事でございますので、その辺について十分事前に調査をしながら韓国側の自主規制を求めていくという方がより現実的ではないかというふうに考えましてそのような措置をとっているわけでございます。
○中尾辰義君 それではお伺いしますが、韓国のマグロ船が大体五百隻ぐらいと、こういうふうにいわれておるわけですが、これは三菱商事や三井物産、伊藤忠、こういったような大手商社がわが国の中古漁船を融資づきで売ったものが多いと、こういうふうに聞くわけですが、その辺の実態につきましてお伺いしたいと思います。
○政府委員(内村良英君) 韓国のマグロ漁船の隻数は、韓国の統計によりますと四十九年には五百六十七隻となっております。それらの韓国のマグロ漁船の勢力のうち、約二百隻余りが韓国を基地とする独航船でございます。これは、先ほど申しましたような、昨年規制をとった船でございます。その漁獲物は、日本市場を対象としております。これらの独航船の詳細は不明でございますが、約半数がパナマ籍でないかと思われます。数回にわたる政府間交渉によりまして、韓国政府は現在以上にマグロの漁船は増加させないということを約束しておりますけれども、半分ぐらいがパナマ籍と思われます。パナマ籍の独航船については、これも韓国のことでございますので詳細はわかりませんけれども、日本の商社等が日本漁船を外国法人に輸出いたしまして、この法人が漁船を韓国系の会社に貸して操業させて、漁獲物で借金の返済を要求していると、その借金が終わればそのパナマ籍の船を韓国籍のものに切りかえるというような措置をとっている模様でございます。
○中尾辰義君 そういうのがちょっとおかしいんですよね。要するに、マグロ漁船というのは水産庁の許可制になっておるわけでしょう。その裏をかいて、商社がパナマならパナマの現地法人に船をつくって売り渡す、それを韓国に買いなさいと、その買う金は私が、商社が融資しましょう、融資は何年かの月賦でマグロを持ってこい、それで何とか償還をしようという、こういうことを通産省はどう考えているのですか。これは最も悪どいやり方ですよ。こういうことに対して、通産省、水産庁はどうお考えになっているのか。このままほったらかしておくのか、何らかの対策を講ずるのか、自由貿易の今日、やむを得ないと、こうおっしゃるのか、その辺をお伺いしたい。
○政府委員(岸田文武君) 漁船の輸出につきましては、輸出貿易管理令の輸出承認品目にいたしております。この輸出に際しましては、新造船の場合でございますと運輸省に協議をいたしますが、中古船、新造船を問わず、漁船の輸出につきましては事前に水産庁に協議をいたしまして、その同意を得た上で輸出の承認を行うというようなやり方をいたしております。
○政府委員(内村良英君) 私どもといたしましては、日本の商社がそういった便宜置籍船というような形でマグロ漁業をやっておることは非常に遺憾に思っております。しかしながら、これは日本の国内法で規制できない問題でございますので、水産庁といたしましては、昨年も数回やりましたけれども、商社の関係者を呼びまして、そういうことは極力自粛するようにという要請はしておりますけれども、法律制度としてこれを取り締まることはできないわけでございます。
○中尾辰義君 通産大臣、あなたの所管じゃないか。
○国務大臣(河本敏夫君) 手続といたしましては、先ほど貿易局長並びに水産庁の長官が申し述べたとおりでありますが、最近は韓国の水産業界が非常な不況になりまして、実質上は漁船の輸出がストップしておると、こういうふうに承知しております。
○中尾辰義君 まあ、こういう問題がありますから、やはり商社法の規制等も考慮しなけりゃならぬと私は思うわけです。これから、よくひとつ通産並びに水産庁ともにこういう点は強力に指導をしてもらいたいと思います。 次に、カツオ・マグロの漁業自主減船の概要について。概要でいいですから、お伺いします。
○政府委員(内村良英君) 遠洋カツオ・マグロ漁業の実質的な減船計画については、現在、カツオ・マグロ業界において検討を進めておるところでございます。そこで、私どもが業界から聞いているところでは、三年間で約二〇%の減船をやりたいということを考えているようでございますが、現在、業界の中におきまして具体的な計画を取り進めておりまして、大体今月いっぱいぐらいで具体的な計画がまとまるように承知しております。
○中尾辰義君 自主減船といいましても、これは水産庁が案をつくって実質的には押しつけておるような感じでありますから、私は聞いているんですから、再度お伺いします。
○政府委員(内村良英君) 水産庁といたしましては、マグロ業界に対してこれだけ減船をすべきであるということを言ったことはございません。これはやはり現在のいろいろなマグロ漁業の置かれている状況にかんがみまして、業界が自主的にやろうというものでございまして、政府としてはこれを全面的に支持するということでいろいろな制度的な措置を講じているところでございます。
○中尾辰義君 業界には相当な反対があることを私は申し上げておきたいと思います。それは要するに、日本だけ船を減らして、あとは韓国でも台湾でも、パナマでも、アメリカでも自由だということになりますと、これはしり抜けの計画じゃないかと、こういう意見があるんですよ。それはいかがです。
○政府委員(内村良英君) 仮に輸入が無秩序に行われると、一遍に数量が急に増加するというようなことでございまして、日本の産地価格が暴落するということがございますと、マグロ漁業の経営からいっても大問題なわけでございますが、そういった場合には、国内で漁獲努力を減らしてみても意味がないということは先生御指摘のとおりでございます。 そこで、われわれといたしましては、最大の輸出国である韓国に対しましてそのような自主規制を求めておりますし、現在の状況では、先ほど御説明申しましたような制度を運用すれば、日本の産地価格の安定に大きな支障はないんじゃないかと、そこで業界が漁獲努力を自主的に減らすということであれば、マグロの経営というものは非常に体質が強化されまして、今後安定的に伸びていくのではないかというふうに考えているわけでございます。
○中尾辰義君 それじゃ最後に総理にお伺いしますが、新しい海洋法時代を迎えまして、わが国の水産行政は非常に重大になってきたと思うわけであります。そこで、新時代を迎えて漁業省を設置してはどうか、こういうように思いますが、いかがです。
○国務大臣(三木武夫君) 中尾君、食糧にたん白質の供給源として魚類に依存しておるところは、日本が一番高いと思います。そういうことで、その必要から行政の一元化という点で御提案があることだと思いますが、どうも一第一次産業、農林漁業、こういうものをやはり産業政策としては一元的にとらえておく方が国民の食糧確保の上からいってもその方がいいのではないかと、こういう点で外局として水産庁を置いておるんですが、この水産庁の機能は、こういう厳しい国際情勢なんかも踏まえて、これはもう各国との間に漁業協定のようなものを結ばなきゃならぬと思いますよ、これからね。新しい漁場の開発もしなけりゃならぬ。大変に困難なだけに、水産庁に課されておる責任というものは昔より非常に大きいものがある。水産庁の機能を強化しなけりゃなりませんが、水産庁だけを切り離して省にしようという考え方は政府は持っておらないのでございます。
○中尾辰義君 とにかく、たとえばある漁業権をもらうのに、お米の方の主管の農林大臣に許可をもらうというのも、これはおかしな話ですよ。ですから、それが無理ならば農林漁業省とかそういうふうにしたらいかがかと、こういうふうに思うわけであります。これが一点ですよ。 時間がありませんからまとめて申し上げます。 最後に、勤労者財産形成預金制度につきましてお伺いしますが、これは四十八年度から発足したわけです。それで、今日までその貯蓄額が幾らになっておるか、これは都市銀行、信託銀行等を入れまして合計して五十一年二月までに七千三百四十三億、これが集まっておる。この中の三分の一を雇用促進事業団を通じて勤労者のための財産形成、つまり住宅建設等があるわけです。ところが、三分の一ですから大体二千五百億ぐらい、それだけの大金があるにもかかわらず、今日まで財形を利用して家ができましたのは、ことしの三月までの集計で、資金交付が件数で百四十三件、戸数で三百七十九戸それからお金で二十九億九千万しかない。総理、あとの二千数百億という金は大企業に皆使わせておる。こういうことでは勤労者財産形成預金、貯蓄ですな、これは鳴り物入りの宣伝をしたわりに全然実質がないじゃありませんか。その点をもう少し前向きで検討していただきたい。 その点答弁を承りまして、これで終わります、大蔵大臣、総理並びに雇用促進事業団、労働大臣。
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるとおり、財形は四十七年から発足したのですけれども、持ち家分譲制度は四十八年の九月から発足したわけでありまして、その四十八年の十月からは石油ショック、そういうことやらでおっしゃるような数字が出ておりますが、最近は、五十年度末は累計貸付金額百三十一億、千九百戸となっておりまして、おっしゃるように、いまから先PRなどをしてぜひこれを拡充してまいりたい。 さらにもう一つ申し上げますというと、事業主が分譲してやる場合に、事業主にいろいろ援助する額をつくろうということで、そういう制度と、もう一つは、貸している金が利子が非常に安く、六%以下になっている。こういうこともあわせてPRして拡充してまいりたい、こう思っております。
○中尾辰義君 副総理、経済政策の点から住宅政策のことを。
○国務大臣(福田赳夫君) 私も、この制度の創設以来大変関心を持っているのです。会社に貸す分と、それから個人に貸す分とあります。個人に貸す分が、これが積み立ての期間を過ぎませんと貸しませんものですから、これはまだ全体とすると建設戸数が少のうございますが、これは私は将来大変期待はできる、こういうふうに思っております。PRにも努めなければなりませんけれども、将来非常にこの制度への期待というものは大きく明るい、こういうふうに見ておりますので、今後ともこれをどういうふうに普及するか努力してみたいと、かように考えております。
○中尾辰義君 これで終わります。
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして中尾辰義君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(八木一郎君) この際、資料要求についてお諮りいたします。 去る四月三十日の委員会において藤井恒男君から要求がありました資料要求につきましては、本委員会に提出するよう議長を経由して要求することに賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(八木一郎君) 多数と認めます。よって、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(八木一郎君) 内藤功君。
○内藤功君 質問に入ります前に、私は、ただいま行われた採決については、私どもは本来国会の場で討議、論議すべからざる判決の内容の当否、これに関する資料要求は許されない、憲法違反の不当な措置であるという考え方をはっきりと申し上げて、厳重に抗議をしておきます。 そこで質問でありますが、まず本論に入ります前に、植木総務長官と坂田防衛庁長官にお伺いしたい。 さきの四月二十七日の本委員会でわが党上田委員が、植木総務長官については、総理府時代の内閣調査室の文書に「連絡すべき外国機関」としてCIAの名前が明記されておった、この問題について調査の結果を報告されたい。 もう一点、坂田防衛庁長官につきましては、陸上自衛隊の業務学校で鈴木、曽田という二人の講師がスパイ謀略に関する講義——講義というのはレクチュアであります——を行っていた問題、また、陸幕二部に属していた内島洋一佐が米軍座間基地第五〇〇MI、軍事情報隊に勤務し、二十五名の別班グループの班長として対外情報及び野党の情報収集というスパイ行為を行っていたという、この問題についての調査報告。それぞれ調査の結果について報告をしていただきたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 調査をいたしましたが、御指摘の文書は存在いたしておりません。
○国務大臣(坂田道太君) 政府委員から答弁いたさせます。
○政府委員(伊藤圭一君) 昭和二十九年一月当時、業務学校には特別情報課程というものがございました。そして十七人の学生が入っております。現在その人たちは全部退職しておりますが、そのうち連絡のとれました者四名について聞きました。その結果、曽田、鈴木という講師から話を聞いたという記憶を持っている者は、三名については全く記憶がないそうでございます。一名は話を聞いた記憶はあるということでございました。しかし、内容につきましては全く実際わかりませんでした。 なお、この間お話がございましたような講義の内容については、私どもの方で調査しましたが、現在調査学校にございませんし、また業務学校時代にもそういうものがあったということは調査の結果はっきりいたしませんでした。
○政府委員(丸山昂君) この前の御要求は、内島一佐をキャップとするグループの偽名での行動について。陸幕第二部別班の存在、また、かつてあったのか。金大中事件における役割り。三野党に対する調査を行ったかどうかと、こういう御要求でございました。 まず、内島一佐をキャップとするグループの偽名での行動ということでございますが、内島一佐が偽名を使っているという御指摘がございましたが、内島一佐は内島洋、太平洋の洋という字を使いまして内島ヒロシというわけでございますが、本人は姓名判断に関心を持っておりまして、このヒロシの洋を弘法大師の弘という字と跡継ぎの嗣という字で、弘嗣という通称をずっと前から用いております。別に偽名ではございません。 陸幕第二部別班の存在、また、かつてあったのかということでございますが、これは前から繰り返して申し上げておりますように、別班というものは存在をいたしておりません。 それから金大中事件における役割り、これはもちろん金大中事件と何のかかわりもございません。 それから野党に対する調査を行ったかということでございますが、私どもは野党に対する調査を全く行う必要はございませんし、現に行っておりません。 それから、ただいまの御質問で追加でございましたが、内島一佐が座間にございます米軍の五〇〇MIグループに勤務をして云々というお話がございましたが、当方が、自衛隊員がアメリカの情報機関に所属するということは全くあり得ないことでございます。
○上田耕一郎君 関連。 いまの答弁、非常に事実をあいまいにしたものだと思います。関連ですので、時間もそうありませんし、私は最小限の問題だけここでお伺いして、後で徹底的に追及したいと思います。 第一に、丸山防衛局長は別班の存在を認めませんでしたが、私の質問の翌日、四月二十八日に防衛局の調査一課長の石崎氏は、わが党の中路議員に対して事実をかなり明らかにしました。これによりますと、陸幕二部には情報一班というのがあって、そこには内勤のほかに外回りがある。これはいわゆる背広グループで俗称別班と呼ばれているという事実を明らかにしました。そして、これは対外情報活動を行っているということであります。 第一の私の質問は、定員は六名であるにもかかわらず、石崎課長の説明によりますと、情報一班は実数は幹部二十六名いるというのであります。これは非常に重大な問題であります。中路議員に対して、昨年五月二十日付で防衛庁から陸幕情報一班その他についての現在員の資料が参っております。これには明確に現在員六名と書いてある。その後二回にわたって現在員六名かというのに対して、はっきり現在員六名しかいないと、そして一佐は班長以外にいないということを明言しているのであります。ところが、今回の追及に対して石崎調査一課長は、幹部が二十六名いると。現在員定員六名の四倍もの実数員がいるということであります。そして、しかも内島氏は一佐であります。これは国会議員に提出した資料が全くのごまかしであるということ、でたらめであるということ、こういうことを証明する以外にないと思いますけれども、この点、国会議員の資料提出要求に対してかくのごときうそをやっていたということ、秘密の別班グループというのが、俗称であっても事実いたということ、このことについて丸山防衛局長、どう考えますか。
○政府委員(丸山昂君) 私どもの方の調査一課長が別班というものの存在を肯定したかのような御質問がございましたが、別班というものの存在は私ども終始お認めを申し上げておるわけではございません。この情報収集については、もう十分御承知のことと思いますけれども、机上におきまして分析をいたしますものと、それから外に出まして情報収集するものとがあるわけでございまして、これは当然情報収集活動を行う上においては必要な組織でございます。 それから、前に御提出を申し上げた資料に情報一班については六名という話がありながら、幹部が二十六名であるというお話がございますけれども、これは当方で定員としては六名おるわけでございまして、現在員が、その必要に応じて他からの現在員をここに回して使っておるということでございまして、この提出をいたしました資料は、その点についてははっきりと定員あるいは現員ということで御説明を申し上げておるはずでございます。
○上田耕一郎君 いまの答弁、全くのごまかしです。やっぱり定員六名以外に二十名秘密のグループがいたわけで、それを共産党の調査と追及によって初めて認めざるを得なくなって、それを臨時にいたかのようにごまかしているわけであります。この問題はさらに追及いたします。 二番目の質問は、やっぱり石崎調査一課長の私どもの中路議員に対する答弁の中で非常に重大な問題は、この事実上の別班グループは、外国の旅行者並びに商社員に対して謝礼を払っている。報償費を払って、そして情報を集めているという重大な問題であります。そしてこの報償の内容は、金を払って、ある政府委員によれば、一件約百万円の金を使うこともあるかのようであります。こういう金を払って外国の旅行者や、あるいは商社員に対して、その国の秘密の軍事情報その他を防衛庁が集めている。これはスパイをそそのかしているということにほかなりません。そしてスパイをそそのかして得た情報を、何と米軍座間基地にしょっちゅう出入りしているというのであります。陸幕二部長も言っている。つまり、その情報を今度は米軍の秘密部隊、五〇〇軍事情報部隊、これはCIAと構成上関係ありますが、そこに売り渡している。二重の主権侵害行為であると私どもは断ぜざるを得ません。 そしてこの報償費は、いまの防衛庁の予算を見ますと、今年度で一億八千九百七万円であります。この三年間常に一億八千九百七万円で、これは防衛庁以外にもこういう報償費がたくさんあります。特に外務省、外務省在外公館、内閣官房、こういうものを合わせますと、何と報償費が今年度の予算で、いまここに提案されている予算案の中で五十五億円に達しております。しかも重大なことは、この五十五億円の報償費は簡易支払い方法ということになっておりまして、個別に領収書を要らないということになっている。 会計検査院にお伺いいたしますけれども、この報償費の会計検査、特にこの防衛庁の一億九千万円近い報償費の内容をどのように実地検査をこれまでにしていたか。その中に、外国旅行者あるいは商社員に対して、憲法違反のそういう金を払ってスパイ行為をそそのかしていたという疑いがあったかどうか。その疑いを発見したにもかかわらず、会計検査院は何ら報告もせず、不法も認めずに過ごしていたのかどうか。その点お伺いします。
○会計検査院長(佐藤三郎君) お答えいたします。 会計検査院では、会計検査院法に基づきまして計算証明規則をつくっておりますが、その計算証明規則の中で、非常にそういう特殊なものについてはいわゆる簡易証明、簡易支払いではございません、簡易証明の方法を認めておりまして、領収証書の生のものはこちらへ出すということは、その経費の目的から申しまして至当でないということで、相手方において保管させるということになっております。そして領収書も、これはとれるものはできるだけとっていただいて保管しておく。それで、会計検査院としてはそれじゃどうして検査するかということになりますが、これは実地検査に参りまして、その保管者からその使途の内訳を見せてもらいまして、それから領収書ももちろん見せてもらいます。そういうことによって内容を確認しておるのでございまして、決しておっしゃるような野放しにしておるわけではございません。 それから、いままでのところ、御質問のありましたように、憲法違反の使用があったというような報告は受けておりません。
○上田耕一郎君 あと一問で終わります。 いまの問題も非常に重大で、この予算案の中にこういう憲法違反の主権侵害のスパイ行為の金が五十五億円もある。こんな予算案、認められませんよ。そのことを一言言っておきます。 三番目の質問は、金大中事件との関連であります。金大中事件では、国会でも何回も問題になりましたけれども、江村二曹という現職の自衛官が退職前に金大中のアパートを張るという、金東雲の依頼を受けてやった事実があります。その上官が坪山晃三元三佐であって、この人がミリオン資料サービスの所長であった事実も国会で追及されました。そして今回防衛庁に私どもがこの問題について聞いたところ、坪山晃三元三佐も陸幕二部に所属していたという答えがあったわけであります。私は、坪山晃三元三佐は七三年六月に陸上自衛官を退職しておりますけれども、陸幕二部の情報一班、私が追及しておりましたこの陸幕二部の別班の班員であったということはほぼ確実であろうと思います。そうなるとどういうことになるか。そうすると、あれだけの大問題であった金大中事件に、KCIAが関係しただけでなくて、現職の陸上自衛官の内島一佐をキャップとする陸幕二部の別班グループが明らかにかんでいた。そうして、その裏には米軍の五〇〇MI、つまり第五〇〇軍事情報部隊の黒い手も伸びていたかもしれぬという疑いがいよいよ明らかになってくるわけであります。 こうなりますと、これは前田中内閣の責任だけでなくて、現三木内閣、三木首相並びに宮澤外相を初めとする三木内閣の政治責任にも当然及んでまいります。昨年の七月二十五日の閣議で宮澤外務大臣は、外相の訪韓によって日韓間にわだかまっていた問題は最終的に決着したということで、金大中事件にけりをつけました。しかし、このけりをつける前提である問題が、いまや完全に崩壊しつつあるわけであります。KCIAの日本に対する主権侵害については、すでにレイナード元朝鮮部長の証言もある。そしていままた現職の自衛官がこれに関係していたという疑いが強くなった。この問題について政治責任をどうとるのか。金大中事件についてもう一度取り上げなければならない客観的な状況が出てきていると思いますが、三木首相並びに宮澤外相の答弁を求めるものであります。
○政府委員(丸山昂君) まず、事実関係でございますが、ただいま御指摘がありました坪山晃三、これは元陸幕第二部情報第一班に勤務しておった者でございますけれども、金大中事件の際には興信所の所長でございまして、もうすでに退職をした自衛官でございます。 それから、内島一佐があたかもこの問題と関連があるがごとくに御指摘でございますが、内島一佐については一切こういった関係はございません。
○国務大臣(宮澤喜一君) 金大中事件につきまして新たな事実が発見されれば、わが国の捜査当局は当然捜査をそれに基づいて続けて行うということは了解をされております。しかし、そのような事実を私どもは存じません。
○国務大臣(三木武夫君) 丸山防衛局長もいま言ったように、いま関係はないということでございますから、私もそれ以上言うことはございません。
○内藤功君 この点は、引き続き各委員会でわが党は追及していきたいと考えております。 さて、本論ですが、わが党宮本委員長の復権問題については、すでにポツダム宣言、連合軍の覚書、憲法の条章によってすでに法的に決着済みであるにもかかわらず、今国会ではこれを蒸し返した論議が行われ、貴重な予算審議の時間を大幅にとったことは非常に遺憾であります。これはゆゆしい事態であり、私はわが国議会制民主主義のためにあえて政府の所信を問い、その非を追及せんとするものであります。 まず、吉國法制局長官にお伺いしたい。国会において国政調査権の行使として、確定判決の内容に立ち入って事実認定の当否を論ずることはできないと考えるし、あなたの御見解もそうだと思うけれども、この点をまず確認したいと思う。
○政府委員(吉國一郎君) ただいまの点につきましては、多分再度にわたってこの席でお答え申したと思いますが、もう一遍取りまとめて申し上げたいと思います。 日本国憲法のもとにおきましては司法権の独立が貫かれておりまして、全く国会の権能の外にある司法権の行使に対しては国会の国政調査権は及ばず、司法権の独立を侵すような調査は許されないというのが一般でございます。したがって、現に裁判所に係属中の事件について調査することが許されないことについては、学説上も全く異論がないと言ってよろしいと思います。裁判が確定した後でありましても、調査の方法あるいはその内容が司法権の独立を侵害するおそれがある場合には、同様に国政調査は許されず、裁判の内容の当否を審査したり、そのための調査として裁判官や事件の関係人を取り調べるというようなことは許されないと考えております。この点につきましては、若干の異論もございますけれども、学界の多数の説は私と同じような考えでございます。
○内藤功君 そうすると判決の当否、つまり判決の当ですね、判決は正当であるという論議も許されないということですね。
○政府委員(吉國一郎君) 国家機関としての司法権が裁判をしたということをただ受けとめるだけでございまして、裁判の当否を論じてはならないということは、裁判がそれは正当であるか不当であるかということを、内容に立ち入って議論してはならないということを申したつもりでございます。
○内藤功君 判決でAという事実を認定した、しかし被告人は、Aではない、Bだということで最後まで抗争、否認しておる、否認しておった。かかる場合に、国会の場で法務当局が、裁判所の確定判決の認めたAの方が、裁判所の認めたA事実の方が事実に合う、真実に合う、正しいということを論じてよろしいか。
○政府委員(吉國一郎君) 裁判がどういう内容のものであったかという、どういう経過を経てこういう判決があったということについて調査をされることは、何ら差し支えございません。
○内藤功君 もう一回言います。確定判決で裁判所がAという事実を認定した。被告はBだと言って最後まで争った。国会の場で法務当局が、Aか、Bか、それは判決の言うAが真実だと言ってよいですか。
○政府委員(吉國一郎君) 国会の御質疑に応じて法務当局が、確定判決にはかようかようになっておりますということを申すことは何ら差し支えございません。
○内藤功君 いま聞いておるのは、裁判所の認定したAという事実が、これが事実に合っている、真実に合っているということを法務当局が国会の場で言うてよいですか。これ重大なことです。判決の中身を言ったかどうかじゃないんです。
○政府委員(吉國一郎君) 法務当局が質疑に対してお答えし得る限界は、確定判決では、いまの御設例であれば、Aという事実を事実として認定しておりますというところまでであると思います。
○内藤功君 その論理でいくと、ある死亡事故があったときに、これが異常体質によるショック死か、外傷によるショック死か、それは裁判所の認定した方が事実に適合する、いいですか、真実である、こっちが真実だということまで言ってよろしいか、国会の場で法務当局が。
○政府委員(吉國一郎君) お答えいたします。 具体的な事案に即して考えなければなかなかむずかしい問題でございますけれども、要するに法務当局が質疑に対してお答えできることは、確定判決の内容ではこうこういう事実があったということを確定判決が言っておりますということを申し上げるだけでございます。
○内藤功君 同様の点を法務省の刑事局長にお伺いしたい。同じなら同じで答えてください。
○政府委員(安原美穂君) 国会における国政調査権と司法裁判所の行いました確定判決との関係につきましての基本的な考え方は、先ほど法制局長官が申されたとおりでございまして、法務当局としても何ら異論はございません。 ただ、先ほどからお聞きしておりますと、法務当局がある判決の確定判決を紹介して、その内容が正しいということを言ったかのごとき御論説がございましたけれども、私、国会の議事録をごらんいただいても明らかなように、法務省の事務当局としてはいかなる判決があったかということを申し上げるだけであって、それの是非を論ずる立場にはございませんということは数回にわたって申し上げていることでございますので、法務当局が言ってよろしいかというのは、仮定の問題ではともかくといたしまして、言ったという事実を前提としての御論議ならば、さようなことは申しておりません。
○内藤功君 余り質問しないことまで答えなくていいですよ。実に頭の回転が早い。 そこで、いよいよ大臣にお出まし願いたい。確定判決の内容に立ち至って事実認定の当否を論ずることは、国政調査権の限界を逸脱して、三権分立の精神にもとる、この考え方でいいですね。確認しておきたい。
○国務大臣(稻葉修君) なかなか微妙なことをお聞きになりますがね、つまり、判決がよくできているとか、判決はこれは不当な判決だなあとか、そういうことはだめだと、こういう点については私もそのように思いますね。ただ、判決の示している事実がそのとおりだろうかと言われれば、判決の事実はそういうふうになっている、その認定に従うよりしようないじゃないかと言うことは差し支えないのじゃないでしょうかね。
○内藤功君 三月五日に、あなたは諫山委員に対して衆議院予算委員会で、「国会が国政調査権に基づいて確定判決の当否についていろいろ議論するということはどうかと思うし、また行政機関が裁判所の下した確定判決についてその内容に立ち至って当否を論ずることはいけない。」、「三権分立の憲法の精神に反するのではないか」と、こう言われたことは、いまでも同じ考えですね。
○国務大臣(稻葉修君) いまその内容をずうっと皆覚えているわけじゃありませんけれども、私の言うたのは、その判決はこれはりっぱな判決だ、名判決だとか、それからこれはもうくだらぬとか、そういう論評を加えることは三権分立のたてまえ上行政当局たる法務大臣が言うのはいかがなものだろう、それはよくないだろう。ただ判決にはこう書いてある、この事実認定には、確定判決だから確定判決には国民、それから行政府もこれに従うべきものじゃないだろうか、だからその事実認定を是とするより仕方がないんじゃないでしょうかということを申し上げることは、一向差し支えないように思いますがな、私。
○内藤功君 いま稻葉さんの言った一番最後のところ、判決に書いてある事実が、いいですか、真実にそのとおりだということを言っていいんですか。学力豊かなあなたによく聞きたいんだ、これは。
○国務大臣(稻葉修君) 私のさっきから申し上げていることは、判決が確定したのに、その確定した判決に述べてある事実の認定に従わないというわけには国民はいかぬのじゃないか。どうでしょう。
○内藤功君 違うんだな。違うんですよ。判決に書いてある事実摘示ね、いいですか、事実摘示に書いてあることが真実だ、事実に適合しておると思いますということを国会の場で法務当局が言うのはいいんですかと言うんですよ。
○国務大臣(稻葉修君) それはよくないですね。
○内藤功君 どうしてよくない。
○国務大臣(稻葉修君) りっぱな判決だと言ってほめ上げるようなことが、それからくだらぬ判決だとか軽べつするようなことを、論評することになるからいけない、それは。
○内藤功君 ところが、そういう総論ではちゃんとしたことを言っているが、本当は各論は違う、あなたは。一つ例を挙げる。一月三十日の衆議院予算委員会で塚本三郎委員の質問に対して、「異常体質によるショック死というよりは、」「外傷性ショック死という裁判所の認定の方が事実に適合するように私どもは判断」しておると、こう答弁している。これ、どうです。
○国務大臣(稻葉修君) あの判決の書いてある事実をずっと読みましてね、そうして、事実をたくさん並べてあるんです、あそこには。針金で縛ったり、さるぐつわをはめたり、なぐる、けったり、そういうふうにして、結果、死んだというんだから、異常体質によるショック死なんというよりは、やっぱり暴行の結果、傷害致死によるものだというこの裁判所の認定に従うのが、国民一般としては、確定判決でございますからそれに従わざるを得ないのでないかという意味で申し上げたんです。
○内藤功君 それが問題だ。稻葉さんね、結果として死んだというんだから、そうだよ、結果として死んだというんだからというのは、だれが認定したの。あなたが勝手にそういうことを真実に適合すると言っていいんですか。
○国務大臣(稻葉修君) それこそ確定判決に明記されておりますな。そして、死んだのみならず、死体を埋めたとも書いてある。
○内藤功君 もう一遍読みますよ。あなたはどうかしているよ。学力のある人にしちゃずいぶんきょうは狂っている。それは「外傷性ショック死という裁判所の認定の方が事実に適合する」と、こう言っているんですよ。これはいいですか、こういうことを言って。「事実に適合する」と言っているんだ。これがいいかというんですよ。よけいなことを言わなくていいんです。
○国務大臣(稻葉修君) いささか疑問もあるようだけれども、私の言うていることは、とにかく確定判決に書いてある事実を否認するというわけにはいかぬでしょうな。それはうそだとこう言うから、そんな、うそだとかなんとかいうことは国会議員のおっしゃることじゃないじゃないですかと、それは。でっち上げだとか、まるでその裁判がもうでたらめで、でっち上げで、全部その書いてある事実がうそだというようなことを言うから、いや、そうではない、事実として認定せざるを得ぬでしょうと、こういう意味で申し上げたんです。
○内藤功君 ところが、あなたの答弁は、その「裁判所の認定の方が事実に適合するように私どもは判断」しておると、こう言っているんです。これ、どうなんです。うそだとかなんとか言っているんじゃないですよ。これがいいのかと言っているんです。どうです。
○国務大臣(稻葉修君) その前にね、あなたのところの書記局長さんだとかなんだとか、いろいろな人が出てきて、全部この判決に書いてある事実は皆でっち上げで、うそで、でたらめで、暗黒裁判でというふうに言われるから、それは裁判の権威として、そういうことはね。やっぱり判決にある事実は確定判決なんだから、それを再審ででも覆すならともかく、覆した後ならともかくも、そういう段階で余りうそだ、でっち上げだと言われるものですからね、ですから、そうでないんじゃないですかという意味で申し上げたんです。
○内藤功君 そうじゃないんですよ。暗黒裁判の方は後でやるよ、ゆっくりね。そうじゃない。このあなたの答弁は、「裁判所の認定の方が事実に適合するように私どもは判断」しておると、こう言っているんですよ。あなたが法務大臣として、国会の場で言うていいのかというんです。あなたが中央大学で学生に言うのならいいですよ、ぼくは。そうじゃない、ここで言っていいのか、こういう問題なんだよ。どうです。
○国務大臣(稻葉修君) あなた、大分気負ってどなるように言われても困るんだな。いや、幾ら何と言われても、私は、論評することは悪いけれども、この裁判の事実の認定はそうなっていますということを言うのはちっとも差し支えない。何遍言われても同じことを答弁します。
○内藤功君 事実の認定がこうだと言っていないんです、あなたは。「事実に適合する」と、事実というのは、客観的な事実に適合するように判断しておると言っている。これと、判決が事実をそう認定したというのは違うんだよ。どうなんです、これは。
○国務大臣(稻葉修君) 確定判決に書いてある事実が事実に適合していると認定していかなければ、切りがないんじゃないですか。切りがないでしょう、それを争っておったのでは。やっぱり確定判決なんですから、それに書いてある事実は事実として認定するより、従っていくよりしようがないんじゃないですかという、われわれ三権分立のたてまえ上国民は裁判所の判決には従うのだ、国民である一人、そして行政府であっても、法務臣といえども国民ですから、それに従うよりしようがないんじゃないですか。どうでしょう。
○内藤功君 これは違うんですよ。事実の認定、裁判所の認定でそう言っているんじゃないんだ、何回でも言わせるね。「事実に適合するように私どもは判断をいたしておる」と。声の大きいのは勘弁してくださいよ、声の大きいのはしようがないんだから、これはね。それで、判断しておると。あなたはいつから最高裁判所の上にある、大審院の上にある裁判長になったかと思いたいぐらいですよ。判断しておる。大大審院裁判官みたいなものだ。そういうことを法務大臣という行政当局がここで答弁してはいけないんでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) 最高裁判所の上にあるなどというつもりもありません。そういう途方もない、思い上がった考えはありませんな。ただ、確定判決には従うのだということがなけりゃね。それを蒸し返して、うそだのでっち上げだのと言われたのでは、それはいけないんじゃないですかという意味で、確定判決の事実は事実として認定せざるを得ませんじゃないですかという気持ちを申し上げているんです。それ以外に、もし言い方があなたに誤解を与えるというなら、私がいま言ったのが本当ですから、そういうふうに御理解願いたい。
○内藤功君 そうすると、あなたは一月三十日、衆議院予算委員会の塚本委員の質問に対して、「外傷性ショック死という裁判所の認定の方が事実に適合するように私どもは判断」しておると、こう言ったのは取り消しますか。
○国務大臣(稻葉修君) 事実に適合するものとして認定していくのが正しい、これ以外に方法はない。
○内藤功君 まだそれじゃ訂正になっていない、半分しかなっていない。事実に適合するものとして認定するのが正しい、それじゃだめです、それじゃ。その裁判所の認定があったということは判決に書いてある、判決にはそう書いてある、そう言い直すんですね。それならまた話は進めますよ。裁判書にそういうふうに認定してあるということに訂正するんですか。
○国務大臣(稻葉修君) 裁判書にそういう認定をしておる、判決にはそう書いてある。その事実は事実として認めざるを得ないじゃないか、その上に。ただそう書いてあるということを言っただけじゃないんです、私。その書いてあることは事実として認めていくより、それに従っていくより国民はしようがないじゃないか、行政府を拘束するのじゃないか、こういう意味で申し上げているんです。ですから法制局長官、それから刑事局長の言うより一歩前進している。
○内藤功君 まだ完全に間違いが直っていない。事実として従っていく、その事実とは何です。こっちを向きなさいよ、大臣。事実として従っていくというのは、判決に書いてある事実として従うのか、あるいは客観的な真実として従うのか、どっちだ。
○国務大臣(稻葉修君) それは客観的な事実というのは、裁判にだって間々間違いがあることがあって、後で覆される場合もあるわけですから、神様までくるめて絶対間違いないと、こういう事実として認定するんじゃないんです。一応国家機構として三権分立になっておって、その最高裁判所の確定判決がある以上は、それには事実としてこれに従っていくよりしようがないではないか、こういうことを申し上げて、事実として認定せざるを得ないと、こういうことだ。ただ、そこに書いてあるということを述べただけではないんです、私のは。
○内藤功君 そうすると、あなたの一月三十日の答弁、「事実に適合するように私どもは判断」しておる、これは取り消されますね、この部分は。いや、取り消すべきです、これは。
○国務大臣(稻葉修君) いや、それね、勝手にあなたはその部分だけ取り上げてくれるよりも、ずっとあの議論を見ていてみなさい。確定判決があるのに、国会の場でこの判決に書いてある事実は全部うそだと言うから、そんなこと言っちゃだめじゃないですか、事実として認めていくのが本当じゃないですかと。もし不満があれば、再審でも何でも要求して覆したらいいじゃないですか。
○内藤功君 その再審論はまた後でゆっくりとあなたと論争しますからね。 さて、じゃ判決、そこだけ見ていると言う。ほかにも例を挙げてみよう。同じく一月三十日の衆議院予算委員会の塚本委員の質問、答え、これをここで言ってみる。塚本委員「針金で縛りそして細なわで縛って査問をしたということは」、いいですか、「事実として間違いないでしょうか。」という質問だ。これに対してあなたは「事実でございます。」と言っている。覚えているでしょう。これは、どうなんです。
○国務大臣(稻葉修君) 塚本委員がそういう質問をなさいましたから、判決に書いてあることは事実ですと。事実ですと。
○内藤功君 判決に書いてあることはということは、議事録にありませんがね。いまの創作だ、これは。
○国務大臣(稻葉修君) 質問が判決に書いてあることは事実ですかと言うから、同じく繰り返して判決に書いてあることは事実ですと言わなくても、ただ事実だと言うことは同じことじゃないですか。
○内藤功君 これは違う。質問にも答えにも判決にと書いてない。いいですか。塚本委員「針金で縛りそして細なわで縛って査問をしたということは事実として間違いないでしょうか。」いいですか、答えは「事実でございます。」、判決とは書いてないです。これは証人と検事の質問みたいなもんだ。裁判と同じことを予算委員会でやるんです。一番憲法で許されないことなんです、これは。どうです。これは許されないことは認めるでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) いや、そんな裁判を繰り返しているつもりはないですな。そんなことは、わしの思想から言えば断じてそんな間違ったことにいくはずがないじゃないですか、あなた。そんなことは法律論の一ページだね。そんなことはありませんね。ひっかかりますな。それで、前々からの共産党の質問や何かをずっと踏まえてきて、そこへきて、事実ですかと言うから、事実でございますと、これだけの話です。
○内藤功君 わしの思想からいけば——どういう思想か、これは後でまたお聞きしますが、わしの思想からいけばそんなこと言うわけがないと言うが、言っているんです、これは。「針金で」云云、そして「査問したということは事実として間違いないでしょうか。」この質問も問題なんですよ、この塚本君の質問もね。しかしいまここでは言わない。あなたのを中心にいく。あなたは、「事実でございます。」と。国会で法務大臣が、「事実として間違いないでしょうか。」——あなたは見たわけでもない。事実でございますということが言えますか。これを答えられなきゃ法務大臣の私は適格性はないと思う。普通の大臣と違うんだ、農林大臣とか通産大臣と。法務大臣だからね。
○国務大臣(稻葉修君) わが尊敬する通産大臣や農林大臣のことをそういうところに引き合いに出されては、私は困る。 塚本君の質問の内容は、いろいろ言われているから、事実でしょうかと。うそだ、うそだと共産党の人は言うが、本当にうそでしょうかと、こういう意味で「事実でしょうか。」と言うから、事実ですと、うそじゃありませんと、こうなったんですね。
○内藤功君 いよいよわかってきました。それがいけないんだね。事実として間違いないでしょうかと聞いたときに、あなたがどうして事実ですと言えますか。法務大臣の立場はそれは言えないというのが、さっきからのあなたの答弁じゃないですか。それと矛盾するじゃありませんか。
○国務大臣(稻葉修君) うそじゃないでしょうねという意味の事実ですかと、こういうのだ。ずっと前からの質問が続いているんですから、前の日や何かのね。うそだ、でっち上げだと言われてさんざんやられているから、それだから塚本君は、事実でしょうか、うそなんでしょうか、うそじゃありません、事実ですと、こうなるのが普通じゃないでしょうか、そうなるのが。(「だめだめ、それじゃ」と呼ぶ者あり)どうしてだめですか。私にはわからぬ。
○内藤功君 これがわからないとなると、法務大臣として適格かどうか、いろいろ考えなければならなくなってきますね。 さて、この事実として間違いないかどうかという質問ですよ、答えは、事実でございます、こういう問答は、問いも答えも、これは、事実でございましょうか、事実でございます、この問答は裁判所の検事と証人の尋問ですよ、これは。あなたも弁護士でしょう、私と同じ東京弁護士会に入っているんです。わかるでしょう。これは法廷ではやれるかもしれないよ。しかし、この国会の場で法務大臣ともあろう方が、「事実でございます。」——これは間違いです、これは。まさに国会を裁判の場にしちゃうものなんですね。ですから、この言い方は間違っておったということは明らかじゃないですか。
○国務大臣(稻葉修君) あなたが誤解されたことは事実ですけれども、(「誤解じゃないよ、あなたがわからないのだ、それは。質問の意味がわからぬですか」と呼ぶ者あり)いや、わかりますよ、わかる。しかし、いかにもね、裁判官と同じ立場に立って私が事実認定した、裁判をやっている、ひとつ裁判官として上からぴしっと事実ですという判断をしたかのごとく誤解をなすっていらっしゃるようですけれども、そうではないのです。私はそういうつもりで、事実ですと言ったのではなくて、うそだうそだと言われるけれども、うそではない、事実ですと、こう言った。
○内藤功君 いよいよこれは証拠を出さなくちゃいかぬ。議事録、一月三十日の三十八ページの最上段、私はこれを出すというふうには思わなかった。 ○塚本委員 大臣、ついでにお答えいただきたいと思いますから……。 針金や細引きで縛って、そうして査問したという——死んだ事実については、いろいろと意見が分かれておるようでございますけれども、針金で縛りそして細なわで縛って査問をしたということは事実として間違いないでしょうか。 ○稻葉国務大臣 事実でございます。 この問答は、これはまさに裁判所のかわりをこの国会の答弁がやっておる。この答弁は、法務大臣の権限を逸脱しているのです、これは。なすべからざる答弁なんです。これは認められませんか。
○国務大臣(稻葉修君) だから何遍も言っているように、法制局長官も答え、わが刑事局長も答え、それが正しい、それが正しいと。しかもその上に、私はちょっと一歩進んで、確定判決だから、その判決に書いてある事実は事実としてそれに従っていくのが、三権分立のたてまえにある国民のあたりまえのことじゃないですかと、そうして行政府である法務省も法務大臣もそういう三権分立のもとにあるのですから、その確定判決に書いてある事実を事実としてこれに従っていくというのがいいのじゃないでしょうかねと、こういうつもりで私はそういうふうに申し上げた。ですから、その事実を裁判官のような立場に立って事実だというふうにあなたが誤解をなすっているのは、誤解ですから、誤解を解いていください。
○内藤功君 法の日の法務大臣の講演のようなことをおっしゃったが、そうじゃないんだね。事実は事実として国民が守っていくとか何とかいうことは、一かけらもこの議事録には書いてない、ここには。議事録には、事実でございますか、事実ですと。われわれから見れば抱腹絶倒ですよ。これが一体国会の法務大臣の答弁だと心得ておれば、あなたは三権分立の本当の精神がわかっていないということです。これがこれだけ言ってもわからないですか。いまようやくその非がわかったですか、どうです。(「そういうやつが学力がないというんだ」と呼ぶ者あり)委員長、悪乗りしてやじっているのをつまみ出してください、冗談じゃない。
○国務大臣(稻葉修君) あの塚本さんの質問と、それに対する答弁につきまして、あなたと同じような立場で、あなたの政党の衆議院の三人の先生が、ちょっと話があるので会いたいというので、大臣室でお会いしました、私。そのときにも私は、そういう根本的な思想、判決にはやっぱり覆されるまでは従うのが、事実としてこれに従っていくのが当然じゃないですかと、そういう点については御了解をくだすったんだ。そして、それからまたいろいろ私が国会で答弁すると、すぐその晩やってこられますから、国会における私の答弁については国会の場でひとつ御質問くださいと……
○内藤功君 そこできょうに相なったわけなんだよ。
○国務大臣(稻葉修君) そこできょうに相なったわけだ。だから先ほど来、別なところでやっているようなことではいかぬから明瞭に答弁しているんじゃないですか。あなたは私のことをわからない、わからないと言いますけれども、私はあなたのことわからないんです。理解できないんです。これだけ一生懸命に答弁しているのに、三権分立をわきまえないやつだとか、それから法務大臣として資格がないなんて、自分自身はいいとしても、法務省全体の職員を統率する人間にとっては、それはいかぬ、そういうことは聞き捨てならぬ。
○内藤功君 これは聞き捨てならぬです、これは、これこそ。私の方からこれだけ事理を尽くして聞いている。何回も何回も詳しく聞いている。議事録まで示して聞いている。だのに、それにまともに答えない。あさってのことを言っている。そうして聞いたやつが不届き者のようなことを言っている。これは許せません。ふざけちゃいけません。法務大臣としてあなたのあるべき姿を助言してやっているんじゃないか。えりを正して聞きなさい。
○国務大臣(稻葉修君) 内藤さんね、そう大声でしかられてもどうしようもないんだな。ですから、私が先ほどずうっと述べてきたようなことが、正確な「事実でございます。」ということの意味、内容でございますと丁寧に答弁しているんですから、その辺で御了承願えるものだと私は思いますな。
○内藤功君 それでは、どういう意味かということについて明確な答弁を求めるために詰めていきたいと思うんです。 「針金で」云々、「査問をしたということは事実として間違いないでしょうか。」、あなたの答弁は議事録によると「事実でございます。」、これはどういうふうに正確に訂正なさいますか。
○国務大臣(稻葉修君) 判決にはそういうことが書いてありまして、その事実には、確定判決でございますから、国民が従っていくよりしようがないのではないでしょうか。
○内藤功君 これだけではないんですね。四月の三十日、今度は参議院にきました。参議院の予算委員会での藤井委員らの質問、これはリンチがあったか、なかったか、死体遺棄はあったかという問いに対して、あなたは、「ああいう裁判に書いてあるような事実はそのとおりである」と答えられました。「裁判に書いてあるような事実はそのとおりである」、判決に書いてあるというんじゃないですよ。これはどうですか。まさに事実があったかなかったか、あなたは見た証人のような答えをしている。さっきぼくは裁判官と言ってあなたから大変おしかりをこうむった。まあ御不快の点は、ひとつ言葉の行き過ぎはお許し願いたいが、今度は検事と証人だ。あなたが証人。はい、そのとおりでございます、こういうことがいけないんですよ、これは。国会が裁判所の役割りを果たすことになるんです、と言われるんだ。これもあなたの言い方としては、法務大臣のここでの答弁としては間違いですね。
○国務大臣(稻葉修君) まあそうやってそこのところの部分だけきちっと読まれるとおかしいようにも思いますけれどもね。それも、そういうことに対する質問を受けて、何というのかな、うまい質問の口車に乗ったような答弁でございますがね。ですから、そういう点につきましても、先ほど言ったのが私の三権分立に対する法務大臣としての心構えであり、それから国民としての心構えである。したがって、その判決に書いてある事実はそのとおりでございますと、そう書いてありますが、その事実は裁判所で認定された事実でございますから、それに従うよりしようがないんじゃないですかという気持ちです。
○内藤功君 これも違いますよ。もう一回これも言いますが、リンチがあったかなかったか、死体遺棄はあったか、質問はこれです。この質問も問題なんですよ、これは。こういうことをあなたに聞いたって、あなたは証人じゃないんだもの。ところが、あなたはそれに対して「ああいう裁判に書いてあるような事実はそのとおりである」と答えたです、「そのとおりである」。これは法務大臣がどうしてそういうことを言えますか、ここで。これはどういうふうに取り消すんです。
○国務大臣(稻葉修君) ああいう裁判に書いてある事実は、その書いてあるという事実は事実でございますと。書いてあるという事実は事実じゃないですか。書いてあるということは事実じゃないですか。書いてあるという事実は事実ですと。
○内藤功君 ところが、この速記録には「ああいう裁判に書いてあるような事実はそのとおりである」と、こう書いてある。あなたの言ったのと違うです、違う。違うから、このように訂正するのかどうか、そこを聞いているんです。
○国務大臣(稻葉修君) まあ、あなたと私の間柄だからね、あんまりひん曲げて、事ごとにひん曲げて、そうしてその文句だけを、文句、事実としてきちきちっとやられると、あなたはうまいから、そういうふうに思うかもしらぬけれども、私の言い分は先ほど言ったとおりであって、判決に書いてある事実は事実として、これに従っていくより、裁判の限りがない、それでないと。三権分立という制度に限りがなくなる。そういう意味で裁判に書いてある事実は事実ですと。
○内藤功君 そういう、私はあなたとの仲とかいうことでここでやっているんじゃない。公人としてやっているんだからね、間違えないようにしてもらいたい。 そこで、あなたのいまの答弁だと、どうなんです。そのとおりでございますと、事実を言ったりなんかする。ここでぼくは時間がないから先へ進みますよ。こういう、総論的に言って、口車に乗ったとかなんとか言うけれども、あなたは三回も犯しているんだ、はっきり。法務大臣というのはプロですよ。あなたは大学教授で、弁護士の資格を持っている。プロなんだから、お互いにプロなんだからね、これはプロの議論としてぼくは厳しく言うているんですよ。さっき通産大臣のことは失礼だったかもしれないけれども、あれは、いわゆるあなたのようなプロ、この人に向かってぼくは言っているんですよ。そのために言っている。どうです、これはあなたとしてこういう誤解を受けるような、「事実でございます。」とか、判決に書いてあるのが真実でございますとかいう言い方は、これは間違いであったということを率直に認めますか。
○国務大臣(稻葉修君) 決して公私を混同してはいません、私、公人として。それからプロだとかアマだとかで言われますがね、そういうことは、それはここは法廷じゃないんですからね、裁判所の法廷じゃないんですから……
○内藤功君 法廷じゃないから注意しているんだよ、さっきから。
○国務大臣(稻葉修君) ですから、あなた、ここは国会なんだから、お互いに政治家として、そういう点についてあんまり裁判所でやるような、弁護士が弁論でやるような詰め方をしなくたっていいんじゃないでしょうかね。大体わかっているんじゃないですか、わしの言うことは。三権分立から、確定判決に書いてあることがうそだとかでっち上げだとか言われてはたまらぬなと、事実でございますと、こう言うのは、その事実として認めざるを得ぬじゃないですかという意味でございます。これが政治家としてのあなたと私のプロの議論です。
○内藤功君 大体この一連の議論を聞いていて、私はあなたの議論を聞いておって、法務大臣として、法務当局が国会の場で判決の当否に入って答えるべからざることを答えている。これはことさらに報道機関に載せたり、あるいはことさらにこの事件の有罪性というのを取り上げてやっている、私はそういう感じがしてならない。このことを私は厳しく言っておきたいと思うんです。私はもっとやりたいけれども、この問題では時間がないからほかの問題に進みます。(発言する者あり)委員長、不規則発言を取り締まってください。不規則発言もたまには引き立て役でいいけれども、あんまり度を過ごすと、これはやっぱりいかぬです。 次に、法務省の刑事局長にお伺いしておきたいと思うんです。日本共産党の宮本顕治氏について、その復権の問題を質問しておる向きがありますが、この宮本氏は終戦直後、一九四五年十月九日に釈放され、そうして一九四七年五月二十九日には復権の証明を交付されて、そうして完全に復権しており、選挙権も被選挙権も月来行使し、復権の事実はすでに動かし得ない問題であると考えますが、この点をわれわれとしてははっきりと法務省刑事局長の答弁として承っておきたいと思います。
○政府委員(安原美穂君) お答えいたします。 いま内藤委員御指摘のように、官本顕治氏は、昭和二十年の十月九日に刑事訴訟法によりまして刑の執行停止で釈放されまして、昭和二十二年の五月に勅令七百三十号に該当する者として復権をしておるということは事実でございます。
○内藤功君 そうすると、現在の宮本氏の法的地位についてははっきりしているんですね。
○政府委員(安原美穂君) 法的地位ということは、私なりに解釈いたしますれば、公民権その他、公の資格を回復しておるかということであれば、復権はまさにそのことのためでございますから、そういう意味において、一般と同じ公民権その他の公の地位、資格を回復しておるということは一つの法的地位でございます。 あとどういうことを法的地位と言うべきかということになりますと、恐らくは推測でございまして、先ほどから先走って申しわけがないのですけれども、いわゆる刑の執行停止で釈放されておるのであるから、なお残刑が残っておるのではないかというお尋ねであるといたしますれば、復権ということは、本来、刑の執行を終わり、あるいは刑の執行の免除を得た者について復権ということがあるわけでございまするから、現在の法的地位としては、残刑の執行という余地はなくなっておるということでございます。
○内藤功君 衆議院の議論を聞いておりますと、一月三十日の衆議院予算委員会におきまして、塚本三郎委員の質問の中に、再収監をすべきである、こういう御主張があり、はなはだこれは不穏当であると思います。いまの刑事局長の答弁によりますと、再収監などということは絶対にあり得ないことだと思いますが、明確にお答え願います。
○政府委員(安原美穂君) 先ほど申し上げましたように、現在の段階においては再収監という余地はございません。
○内藤功君 法務省の刑事局長にさらにお尋ねしたいんですが、あなたは前の委員会の答弁でも、釈放の根拠として、刑の執行停止があったからという面だけを摘示しておっしゃいますけれども、この刑の執行停止、旧刑事訴訟法の五百四十六条でしたか、この刑の執行停止ということだけではなくて、その基本にはポツダム宣言の第十項、さらに昭和二十年九月二十二日の占領軍の米国の初期の対日方針、さらに昭和二十年十月四日のスキャッピン九十三号、こういう覚書、これが基礎になって釈放せられた、こういうふうに理解をせざるを得ないと思います。単に執行停止というだけで考えておられるかどうか、この点についての見解を承りたいと思います。
○政府委員(安原美穂君) 当時の釈放に関する記録によりますると、刑事訴訟法上の病気という理由による刑の執行停止ということになっております。
○内藤功君 二十年十月四日のスキャッピン九十三号、これが釈放、停止の基礎に、政治犯人の釈放というものの根拠として存在しておる、このことはお認めになりますか。
○政府委員(安原美穂君) 御指摘の十月四日のスキャッピンによっていわゆる政治犯が釈放されたということは事実でございまして、そういう政治犯として釈放された者についても、同じく刑事訴訟法上は刑の執行停止ということで釈放されているのでございます。
○内藤功君 議論をひとつ進めまして、法制同長官にもう一遍御答弁を願いたいと思います。 先ほどのあなたの答弁では、国会で法務省など政府当局が、確定判決の当否について論議をすることは許されない、これは明快に承りました。なお付言をされて、その当該裁判の裁判官あるいは被告人であった方をこの国会に呼んで調べるということは許されない、これも承りました。(「内容によるけれども」と呼ぶ岩あり)——そう、あなたが言うように内容によるんだけれども、そう言った。 そこでもう一つ進めて、調査権のもう一つの内容である資料の提出、裁判に関係する資料の提出を求めるということは、これは無制限に許されるかどうか、この点を聞きたい。
○政府委員(吉國一郎君) その裁判書を資料として要求することは何ら差し支えございません。
○内藤功君 判決の原本というものは、常にどんな場合でも無制限に要求できるとお考えか。
○政府委員(安原美穂君) 一般論につきましては、むしろ法制局長官からお答えをいただきたいと思いまするが、現に衆議院の予算委員会、先ほどはこの喪委員会でも資料の提出の決定があったようでございますが、私ども法務当局といたしましては、関係の資料を当委員会の正式の決定に基づきまして提出をしたわけでございますが、資料というものを客観的に見ますれば、当該資料を国政調査のために使う場合に、国政調査権の範囲を逸脱する国政調査のために資料の要求があるということであれば、客観的にはそういうものに行政府は提出に応ずる義務はないというのが法律論であろうと思いまするけれども、われわれ事務当局として、現実の問題といたしましては、当委員会がどのような目的で国政調査をされるかということが、一見明白に、国政調査権の範囲外のことをなさることが一見明白である場合は、それは応ずる義務はないということが言えるわけでございまするが、そういうことが一見明白でない場合におきましては、いやしくも国会で御判断されまして、国政調査のために必要であるということで資料の御要求があれば応ずるのが通常の原則ではないかというふうに考えて、応ずることにいたした次第でございます。
○内藤功君 さっきから稻葉法務大臣にお聞きしているように、リンチがあったかどうか、事実かどうか、それからこういうようなことをやったかどうか、事実かどうか、まさにこの判決の事実認定の当否を論ずる議論が行われているのですよ。それで、刑事局長なんかの答弁はぼくは読むと、これは判決にこう書いてございますと、絶対そこから出てないです、あの人のは。あなたのは出ている、法務大臣のは。出ていることによって、もう逸脱して国会は判決の事実の当否を論ずる場になっている。だから、いまこの委員会に法務省がこの判決を出せば、そういう判決の当否を論ずる資料にされるであろうということを知りながら出すことになりませんか。これはどちらでもいい、あなた、どうですか。(「ならないよ」と呼ぶ者あり)ならないと言えない、そういうことは。なる恐れがあるんだよ。
○国務大臣(稻葉修君) 私の答弁も逸脱はしてないんですね。刑事局長よりはちょっと進んでいるかもしらぬ、入り込んでいるかもしらんけれども、確定判決に書いてあることは事実を事実として認定せざるを得ぬじゃないかと。その確定判決に書いてある事実を論評しておるのはむしろ共産党じゃないですか、みんなうそだとか、でっち上げだとかと言って。それこそ論評するのであって、私よりずっと逸脱しているんじゃないですか。 今度要求された資料というものは、資料の提出についての御質問ですからお答えしますが、昨日、衆議院の予算委員長名をもって資料の提出を正式に要求手続がありました。それで私どもはかねてから、法務省としては各議院及び各委員会から正式の資料提出の要求があれば提出する方針を決めており、このことは法務大臣としても承認してきたところでありますと、私もそう答弁しているんです。したがって、事務当局が右のような法務省の方針に従って、衆議院の予算委員会から正式な資料提出の要求がなされたもので、それによって提出したのであります。予算委員長名で資料提出の御要求があり、これは正式なものであるとのことであったので、これに応じたわけであります。 補足します。「今回出初から提出する資料のうち、官本顕治氏に対する判決原本の写しは、同氏が右判決の言渡しを受けた事実及びその判決内容並びに右判決原本にその後資格回復に関する付記がなされている事実を明らかにする趣旨で提出するものであるからその旨御了承願いたい。法務省 衆議院予算委員会御中」と、きわめてよくできていると思います。
○内藤功君 そうじゃないんですよ、いいですか、判決というのは読むためにあるんです。判決は読むためにある。それから、それを論議するためにあると言ってもいい。判決は読むためにある。そういう判決を出せば、安原刑事局長が言ったように、出す側は、これは判決が存在しておる事実の説明のためだと、これはなかなかうまい答弁ですよ。しかし、うまいというのは、ずるい答弁ですね。そう思っていても、この国会に出せば、国会では宮本委員長の問題を、その中身に入って、テレビに民社党が出るときに、針金とか死体とかいうことをわざと聞きもしないのに答弁して、そうしてテレビに乗せて、ああ共産党はそういう政党かと、こういうふうに思わせる、こういう意図が私は十分あると思う。そこに使われているんです、現に。現に使われています。そういう判決の中身を論議するために使われることもあるんですね。いまのはわかりやすく説明したんですよ、わかりやすく説明した。出す方は、判決があったということで出す。しかし、出されたこの予算委員会の場、国会の場では、すべての政党とは言わないけれども、ある一党はこれを使って明白に判決の当否を論議する、それに使われる。これももう当然見通せることなんです。 だから、わが党は、こういう資料要求はなすべきでない。これをやったならば、内閣の閣僚某々氏がかつて受けた有罪判決を出してここで明らかにしろとか、あるいは某与党の某大幹部の判決を出せとか、切りがなくなってくるんです、これは。私はこれは人権侵害になる。国会の多数決の意思で国民の任意のある人の判決を国会に出して、この判決がいいとか悪いとか、この人は何やったと言ったらどうなります。福田副総理、こういうことが許されますか。
○国務大臣(福田赳夫君) かつて私は昭和電工事件で無罪の判決を受けたことがありますが、資料は一切出してもらって結構でございます。
○内藤功君 そこで、無罪になった方は、起訴状を出せということになるんですよ。あるいは昔ですと、予審終結決定を出せと、こういうふうに発展していくわけだ。それから、やはりこの判決を公開の場に自由に出されるということ、特に刑事判決を出されるということは、これは国民に対してどれだけ人権侵害になるか。 私は、きょう不用意に採決で賛成された諸君が、遺憾ながらこのことを考えないで賛成したとすれば、これは国民から厳しい批判を受けるだろうと思うんです。このことを私は最後に申し上げまして、私の質問は遺憾ながらまだ数点あったのですが、これで終わります。
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして内藤功君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(八木一郎君) 田渕哲也君。
○田渕哲也君 私は、まずロッキードの問題について政府に数点の質問をしたいと思います。 まず第一に、ロッキード関係の資料の公表の問題についてでありますけれども、総理は再三にわたって原則として公表するということを言われてまいりました。まず、公表についての総理の所信というものをもう一度ここで確認をしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) どこの国でも、捜査途中に捜査資料を公開をしないというのは国際的な一つの原則でございます。日本だって例外ではない。アメリカもそのとおりである。
○田渕哲也君 基本的には、そういう制約がない限りにおいて最大限に公表するという基本方針は変わりませんね。
○国務大臣(三木武夫君) これは起訴された場合は明らかになりますね、起訴された場合は。起訴以外のことは、やはり起訴されない場合のことは、その資料の公開というようなことはいわゆる刑事訴訟法の規定に従わざるを得ない。
○田渕哲也君 総理は、二月十九日の記者会見だったと思いますけれども、アメリカから提供される資料はアメリカ側の条件がない限り公表するということを言われたわけです、原則として。それから、このロッキードの問題についてもできる限り明白にしたいという気持ちは言われたと思います。その基本方針についてまずお伺いしているわけです。できるだけそういうものはガラス張りに明らかにするという基本方針は、変わりがありませんね。
○国務大臣(三木武夫君) やはり、これだけの国民的な関心を呼んだ事件でありますから、この全貌というものは明らかにされることが好ましいとは思っておりますが、それにはいま言ったような人権上の配慮も出然しなけりゃならぬことは当然でございますが、できるだけこの全貌はこういうことであったというふうに国民が納得できるような形が好ましいとは私は思っております。
○田渕哲也君 私は、公表を制約する条件というものはあると思うんです。アメリカから提供された資料については、アメリカ側の理由で条件がつけられておる。それから日本の国内においても、刑事訴訟法の規定その他によりましてやはり公表には制約がある。 私は、問題は、その条件が解除をされる、時期的にあるいはこの捜査内容の点等について、あるいはアメリカ側との交渉、話し合いによってできるだけその条件が解除されて公表できるということが望ましいと思いますけれども、その解除される条件というものはどういうものか。時期とか捜査内容とかアメリカ側の問題とか、そういう点について具体的にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私は二つあると思う、二つ。一つは捜査、調査の妨害にならぬ、人権の侵害にならぬ、こういうふうなことの条件が満たされるならば、これはやっぱりこれを秘密にしておる原因というものはほとんど解消されたということになると思います。
○田渕哲也君 問題はアメリカから提供された資料でありますけれども、これはロッキード問題に関する法執行についての相互援助のための手続、こういうもので捜査あるいは司法関係、法執行のため以外に使ってはならない、こういう条件があるわけです。したがって、アメリカから提供された資料に触れるような内容について公開する場合には、アメリカに対して何らかの話し合いが必要かと思いますが、この点はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) 田渕君御承知のように、あれは取り決めによって、起訴される事件についてはアメリカの資料を証拠書類として提出していいわけです。起訴されない事件にアメリカの資料を使うことはできないわけですから、これはもう取り決めに反するわけですから、こういう問題についてはやはり取り決めというよりかは、いろいろこの問題が、たとえば証券取引委員会なども将来どういうふうにあの資料をするのか、これは別個の問題として、これはある時期が来たならばそういう問題というものはやはりアメリカ自身としてもいろいろ方針が決められる場合もあり得ると思っています。この取り決めではだめだということです。
○田渕哲也君 そうすると、三木総理が前に約束をされた資料公開を原則とするというのは、捜査ルートを通じて来る資料ではなくて、別のルートから資料が入り得る、そういうことですね。
○国務大臣(三木武夫君) 私は自分の考え方の中に、こういうふうに考えておったですね。政府は公開を前提としてアメリカに対して資料の提供を求めたわけです。そうして、その外交チャンネルを通じて正式にアメリカから提供される資料はこれを前提にして来るんですからね、それなり公表をいたしますということを言っておったんです。ただしかし、ちょっと捜査当局ということになりますと、正式の外交チャンネルというよりかは、捜査当局同士が、資料ばかりでなしに情報もあると思うんですよ、情報も。こういうものについては、やはりそういうことは私の言っておる正式な文書というのではなくして、捜査当局同士の便宜の供与でありますから、私の言ういわゆる外交チャンネルを通じて来る正式の文書というふうには私は考えなかったわけです、最初からね。 そういうことで、そのために外交ルートで来たものは、田渕君もお読みになったでしょう、チャーチ委員会のあれは、速記録はそれなり皆さんにお配りしたわけです。いままでにもうこれは三回ぐらい来ているんじゃないですかね。多国籍企業の小委員会の一つの証言録といいますか、そういうものは来ておるわけであります。これはやっぱり区別して考えることが妥当であると、こういうように考えています。
○田渕哲也君 それから国内における捜査出局の集めておる資料の問題ですけれども、総理は、起訴されるものはこれは当然明らかになるわけですけれども、起訴されない、いわゆる文学的表現では灰色の高官名、これについては刑事訴訟法の四十七条ただし書きを適用して、その公益性というものを総理が判断される、このように承っておりますけれども、そうすると、ある段階で総理はその捜査資料に目を通さざるを得ない、こうなると思うんです。だから、一定の時期が来れば総理はそういうものに目を通して、どの範囲のものを公開するかということを判断されると、このように理解していいわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) この刑事訴訟法の判断はやっぱり検察当局だと思いますよ。内閣としては、こういう事件の捜査が全部終わり、事件が全部終わったときに政府としてはそういう判断をする場合があろうけれども、あの四十七条の規定はやっぱり第一義的には検察の判断だと私は考えております。 なお、さらに補足をいたします。
○国務大臣(稻葉修君) 四十七条ただし書きの公益の比較考量の第一の判断は、その事件を捜査した検察官にございます。ただ、大きな問題につきましては、その広い範囲の政治的公益比較判断というものはむずかしいですから、一検察官にできない場合がありますから、そういう点については報告をして相談されるでしょう。法務大臣でも一存で決められないような場面が、今度のロッキードの問題ではあるかもしれません。そういうときは内閣に報告し、総理大臣から閣議にかけて決定していただくという以外に方法はございません。
○田渕哲也君 先般の国会正常化の際の議長裁定に基づく五党間の協定、さらにはそれに先立っての自民、民社の協定、こういうものによると、総理は国政調査、政治的、道義的問題の解明のために最善の協力をする、こうなっておるわけです。そうすると、その判断は、最終的には総理がしなくてはならない。ということは、総理がその捜査資料について目を通さなくてはならないと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 政治的、道義的責任の追及というのは特別調査委員会の場面だと思うんです。検察は刑事上の責任を追及するわけでしょうからね。その場合に一体どういうことを——田渕君もメンバーにおなりになるでしょうが、具体的に国政調査権の立場から政府にどういう協力を要請してくるか、その具体的にどういうものを要請してくるかという具体的な問題ごとに判断をしなければ私はならぬと思います。それは私は、アメリカから来た資料を皆見てなければ、それに対して協力の判断が下せないというものではないと思います。
○田渕哲也君 アメリカから来た資料だけではなくて、起訴されない資料についても総理が目を通さなくてはならないだろうということを私は申し上げているわけです。
○国務大臣(三木武夫君) その書類に目を通すというよりかは、田渕君、捜査の進捗状態は当然にやっぱり報告を受けなければならぬということでございます。
○田渕哲也君 では、次の問題に入りますけれども、高等練習機並びに支援戦闘機について、これはT2シリーズとして国産開発中であった、四十七年当時ですね。ところが、四十七年十月九日の国防会議の前後に輸入切りかえの要請が大蔵省側から出された。その経緯についてお伺いしたいのでありますけれども、まず、防衛庁がこの件について輸入に切りかえるという要請を聞いたのはいつの時点か。
○国務大臣(坂田道太君) お答えいたします。 四次防で整備する新高等練習機及び新支援戦闘機につきましては、昭和四十二年度の概算要求、四十七年度の予算編成の段階におきまして、大蔵省との間で輸入か国産かにつきまして議論が交わされておりましたが、四次防の防衛庁原案におきましては、国産の高等練習機T2及びT2を支援戦闘機用に改造したFST2改を採用したいということで要求をいたしておりました。四十七年の十月の二日にかけまして、四次防主要項目決定のための政府部内での検討に際しまして、一般的に国産は割り高であるということ、あるいは特にドルショック以降の円高の為替相場によって外国機が従来よりさらに割り安になること及び国際収支上の観点から輸入について再検討するよう大蔵省から要請をされました。これは一番最初はたしか十月の二日だったと思っております。防衛庁は防衛上支障のない範囲内でF5Eなどの外国機の導入ができるかどうか検討し、折衝いたしましたが、最終的には国防会議等におきまして慎重に検討されました結果、運用上も、教育訓練上も、維持整備上の利点等を評価し、両機種とも国産することになったものでございます。
○田渕哲也君 四十七年予算の編成のときには論議があったかわかりませんけれども、結果としてはT2の量産二十機という予算が決定されております。したがって、四十二年から四十七年にかけてこれは国産化の方向で進んできた。それが大蔵省から輸入の話が出たのは十月の二日であったということですね。そうして国防会議が十月の九日でありますから、私は、これはきわめて不自然である、いままで国産化で来たものを、国防会議の一週間前に大蔵省から防衛庁に行くというのは非常に不自然だと思うのですけれども、この点どうですか。
○国務大臣(坂田道太君) その当時の背景といたしまして、やはりドル減らしの問題がございましたので、そういう背景を考えますと、十月二日に大蔵側から輸入で何とかならないか、ドル減らし等も考えてそういうようなことはどうなのかということをわれわれの方に言ってまいったわけでございまして、検討いたしました結果は、いま申し上げましたように、最終的には国産というふうに決まったわけでございます。
○田渕哲也君 その時点におけるT2の開発状況はどうですか。
○政府委員(岡太直君) T2の開発状況について御説明申し上げます。 通常、航空機を開発いたします場合は、設計、試作、試験の三段階を経てやるわけでございます。そうしてT2につきましては四十二年度から四十八年度にわたって開発したわけでございますが、まず四十二年度に基本設計、それから四十三年度に細部設計をいたしました。そうしまして、四十四年度から試作機二機の製作に着手いたしました。この試作機が四十六年度に完成いたしまして、ちょうどいま申されました四十七年の十月のころにはこの二機がまず飛行しておりました。 それからそのほか、四十五年度に実用試験機二機を発注しておりましたが、これも四十七年度の当初に完成しておりましたので、四十七年十月の時点におきましては、T2四機というものが飛行しておったわけでございます。そうして、このT2の四機につきましては全部超音速飛行を行いました。しかも、その飛行データというものが設計段階あるいは研究段階でシミュレーションその他にやりましたデータと一致しているというわけで、T2は要求精度どおりのものが予定した期間内に必ず完成する、そういうふうな技術的に大丈夫であるという判断を持っておりました。 以上でございます。
○田渕哲也君 いまの報告によりますと、T2、さらにこれがFST2改、同じ機体でありますけれども、これの開発段階はもうほとんど完了しておった。しかも、その結果というものはきわめて良好であった、こういう段階で大蔵省が輸入論議を持ち出すというのは、私はどう考えてもこれは不自然だと思うのです。この点はどうなんですか、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど防衛庁長官からお話がございましたように、大蔵省は四十七年度予算におきましてT2の購入を認めましたが、その後四次防計画の策定に際しまして、ドルショック以降の円高の為替相場によりまして輸入機が従来よりさらに割り安となる状況が見込まれますこと、さらにその後における外貨事情の著しい変化によりまして外貨減らしが要求される状況になりましたので、従来の経緯にとらわれないで外国機を輸入することを検討していただきたいということで防衛庁に御検討を求めたことは事実でございます。しかし、このことはPXLの国産化断念を目指してT2の輸入の切りかえを求めたものではございません。
○田渕哲也君 まだそこまで質問をしていないのですけれども、 〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 実はこのT2の輸入切りかえというのはだれが見てもこれは実行できる可能性はなかったと思うのです。もう十月九日の国防会議を控え、いままでずっと国産開発で来たものを、一週間前に輸入に切りかえろということを初めて防衛庁に切り出しても、それは話し合いがつくはずがないんですよ。それから、当時の開発状況を見てもきわめて良好であるし、開発はほとんど完成しておる。したがって、大蔵省は、とうていこれは無理だろうという判断のもとに話を出されたのじゃないですか。
○国務大臣(大平正芳君) 一口に申しますと、当時の為替レート一ドル三百六十円がさらに三百八円になり、輸入単価が一層下方に修正されるわけで、一機につきまして国産と比較いたしますと四億四、五千万円の差額が出て、それだけ割り安になるという顕著な計算上の差額が出ますので、財政当局といたしまして、防衛庁に検討を求めたといたしましても、決してとがめられるべきものではないと私は思います。
○田渕哲也君 これは、国産化をひっくり返すことはむずかしいだろう、しかし一応話を出してみようというので出された、それで防衛庁はあわを食って、当時の防衛庁の長官が田中総理のところへ飛び込んでいったりして、このT2とF2改の問題で一生懸命国産化を取りつけた、私は、本当のねらいは、先ほどお答えにありましたけれども、PXLの白紙還元にあった、このように判断せざるを得ないのでありますけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、当時為替レート関係で一機について四億、それから三百八円レートではじきますと五億という差がございまして、当時、防衛庁の計画によりますと、T2は七十三機、それからさらにそれに次ぐFST2改が九十六機と膨大な数でございまして、五億の差でございますが、この財政負担を合計いたしますと八百ないしそれ以上に及ぶというような差になっているわけです。 それから田渕委員御指摘の、十月二日に、予算の恒例といたしまして内示をいたしたわけでございますが、その前に防衛庁と事務方との間では、輸入機と国産機の性能比較その他につきましてもいろいろ議論を闘わしておりまして、防衛庁側としましては、T2が特に速度において輸入機よりまさるとか、あるいはレーダー装置がどうだとか、あるいは非常脱出装置がどうだとか、いろいろな技術的な説明があったわけです。それにもかかわらず、まあこれだけの大きな財政負担の差があるのはどうかということで、十月の予算の内示段階に至りまして、私ども輸入を検討したらどうかということを持ち出したわけです。 それからT2の開発費といたしましては、四十二年から四十五年まで九十二億ほどかけてございます。その開発費の結果、防衛庁が自信を持って説明できるような性能があったことは事実でございますが、何分にも一機の単価差が大きい、それから将来の購入の量も大きいということで、防衛庁に検討をお願いしたわけでございます。ただ、防衛庁とその後議論を交わしました結果、田渕委員御承知のとおり、十月八日におきましては、支援戦闘機は国産はやむを得ないと、しかし、まだ開発が完了してないPXLにつきましては、この問題は国産化を前提とする開発は御免こうむりたいと、こういう結論になったわけでございます。
○田渕哲也君 防衛庁との間に前々から論議があったと言うけれども、私はそうは思えないわけですね。ただいま防衛庁長官は、十月二日に初めてこの問題を聞いたと言っているわけです。それから当時の統幕議長の白川さんのメモによると、十月四日に初めて聞いた、それまでは全然知らなかった、寝耳に水だということを言っておるわけですね。本当に大蔵省がT2の輸入化を考えるなら、もっと早くから防衛庁と根回しをしてしかるべきである。それが十月九日のほんの数日前に話が出されたというのは、本当は、ねらいはこれではなかったというふうに見られるわけですけれども、どうなんですか。
○国務大臣(坂田道太君) 先ほども申し上げたんですけれども、四十七年度の予算編成の段階で、すでに大蔵省との間に輸入か国産かについて議論をいたしておりますから、そのことを付言しておきたいと思います。
○田渕哲也君 いまの件は四十七年の予算編成のときにそういう論議はしておりますけれども、予算は国産化、量産二十機という予算が編成されておるわけです。議論はあったけれども、国産化の方針が決まっておるわけですね。それをひっくり返すのに国防会議の一週間前に持ってくるというのはどう考えても理解ができないと思います。この点はいかがですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 御指摘のとおり、従来研究開発費も相当計上しておりまして、四十七年には二十機の予算が計上されております。ただ、田渕委員御承知のとおり、四次防の先取り問題が起こりまして、T2改の予算の執行は凍結されたわけでございます。その後、夏に至りまして、防衛庁は四次防の新しい項目を定めまして、防衛庁原案でございますが、これに基づきましていろんな議論があったわけでございますが、そのとき同じように、その四十六年の十二月十八日のスミソニアン協定以来、為替レートの非常に大幅な変更という事情の変更があったのも事実でございます。それから防衛庁の方としては、予算がすでに四十七年度二十機認められている、それから開発費も計上されて研究開発も進んでいるということで、まさか国産をまた輸入に切りかえることはあるまいと期待感を持っていったことは事実だと思います。ただ、私どもといたしましては、十月二日の前におきましても、防衛庁の内局等と十分いろんな議論を、国産、輸入の比較論などをやっていたこともまた事実でございます。
○田渕哲也君 それでは、このPXLの問題に触れたいと思いますけれども、PXLの四十五年、四十六年、四十七年度の予算、それによる調査研究の内容を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(江口裕通君) 予算的に申し上げますと、四十五年度におきましては、次期対潜機の調査研究費、これは技術委託研究費でございます。二千二百万円が計上されております。それから四十六年度ば同じく技術調査研究委託費三億一百万円。それから四十七年度におきましては、これも技術調査研究委託費六億八千六百万円というのが計上されております。 これらの執行状況につきましては、四十五年度は、予算執行総額といたしまして二千二百万円でございますが、そのうち一千九百万円で川崎重工に委託いたしまして、機体及び搭載備品等につきましての諸元性能の概定、それから開発計画の検討等の調査研究を行うことといたしております。それから同時に、エンジン関係につきましては、航空工業会に委託いたしまして、候補エンジンの性能につきまして、これは二百三十万円でございますが、調査研究を委託しております。それから、長くなりますが、四十六年度におきましては、同じく次期対潜機の技術調査研究を川崎重工に委託いたしております。これは総額二億八千九百万円でございまして、中身は、高低速域におきます空力特性の試験及びわが国でなかなか未経験でございました電子情報処理装置に関しましての試験研究、それから量産価格の調査方法の試験研究を行っております。それから四十七年度につきましては、一応次期対潜機の技術調査研究の第二段階に入るという予定でございましたけれども、四十七年の十月の議員懇談会の了解事項等にかんがみまして、執行を取りやめておるわけでございます。
○田渕哲也君 このPXLの調査研究というのは、四十五年、四十六年、四十七年、これは一連のものですね。
○政府委員(江口裕通君) 予算の性格あるいは調査研究の中身としては一連の性格のものとお考えいただいて結構であろうかと思います。ただ、この経緯につきましては、四十六年、七年、八年、引き続きまして、防衛庁の方ではこの調査研究という基礎的な研究の段階から一歩進みまして開発の段階に入りたいということで基本設計を要求しておりましたが、結果においてはそういうことに相なっておりません。したがいまして、一応これは基礎研究ということでございます。私どもの方の考え方といたしましては、四十五、六年度において一応概略のイメージをつかみまして、四十七年度においてさらにやや一段掘り下げるというような考え方をいたしております。
○田渕哲也君 この調査研究は国産化のためのものでしょう。
○政府委員(江口裕通君) 先ほども申し上げましたように、国産化をいたしますまでのプロセスといたしましては、一応その基本的な知識、研究等を努めますための先ほど申しました基礎調査研究という段階がございます。その段階で一応納得した知識が得られました場合に、これを各幕僚長の方から性能要求をいたしてまいります。そして防衛庁の長官が基本要目を定めまして、基本設計に入るように指示をいたします。その意味で、そういう措置もこれはとっておりませんので、あくまで基礎研究ということで、必ずしも開発を予定しておるというものではございません。
○田渕哲也君 必ずしも国産化のためのものでもないという説明ですけれども、実際はこの調査研究の中身を調べてみますと、輸入する場合に必要でない項目がたくさんあると思います。この点はいかがですか。
○政府委員(岡太直君) まず、いま、輸入する場合にも必要なことじゃない、あるいは国産にも不必要なことがあるのじゃないかというようなお話かと思いますが、四十五年度にありましたことは、運用上の要求を踏まえてどういうふうな飛行機になるかと、こういうことでございます。そうしてエンジンはどうかというようなことで、この研究によりまして、国産する場合の飛行機はどういうかっこうになるかという、国産の具体的な内容を決めたものでございます。これによって初めて国産するか輸入するかということを比較検討できるものでございますから、やはりこれは両方に役に立つというふうなものでございます。 それから四十六年度にありましたことは、内容的に言いますと二つございまして、電子情報処理装置の話と空気力学の話と二つございますが、この電子情報処理装置というのは、日本としては全然従来経験がございません。飛行機に搭載するのは非常に技術的な困難がございます。したがいまして、この点を明らかにしておきませんと、四十五年度に国産にできるというようなかっこうで飛行機をつくりましても、果たしてその電子情報処理装置が役に立つかどうか、飛行機に載せられるかというようなことの点で問題がございます。それからもう一つ、空気力学の問題は、やはり対潜機には非常なスピードも必要であるし、それから潜水艦をいよいよ見つけたという場合には、海面近く、低いところで小さい旋回半径に回らなきゃならぬということで、非常に矛盾する要求がございます。そして、これを風洞実験その他によりまして確認いたしました。この四十六年度の技術的検討ということは、四十五年度に概略の国産のイメージをつくったものに対する技術的裏づけでございますから、この四十五、四十六年によりまして初めて国産の内容が明確になっておる。この明確になった内容と導入するものを技術的にはっきりした根拠の上で比較する、こういうように四十五、四十六年度の内容がなっておるわけでございます。
○田渕哲也君 四十七年度の予算はどういう内容でついたわけですか。
○政府委員(岡太直君) お答えいたします。 四十七年度は、先ほど説明がございましたように、国防会議の議員懇談会の了解事項に基づきまして不用に立ったものでございますが、これは内容といたしましては、四十五、四十六年度にさらに引き続きまして対潜機に関する技術的な細部の細かい問題を検討する、こういうものでございます。そして、この細部の問題と申しますのは、四十五、四十六年度のものと性格が違いまして、これは導入にも役に立つし国産にも役に立つ、こういうものでございます。ただ両方に役に立つとなりますと、やはりどちらに重点を置くかという問題がございます。 具体的に申し上げますと、一番大きな問題はやはり先ほど申しました電子情報処理装置でございますが、もし国内で開発しますと、先ほど言いましたように新しい経験でございますから、どうやって信頼性のあるコンパクトな航空機に搭載するハードウエアをつくるか、こういうことが問題でございます。ところが、もし外国機を導入しますと、電子情報処理装置というものはついてくるわけでございます。したがって、信頼性のある電子情報処理装置が入ってくる。したがって、この場合はそれをいかに運用するかというソフトウエアが問題になります。それでこのソフトウエアは、向こうから来たソフトウエアに対して、日本近海の状況であるとか、日本におけるわが海上自衛隊の運用のやり方、こういうものを組み込みまして直さなければいけません。 そうなりますと、やはり四十七年度の内容を実施するにいたしましても、これはたとえば国産の場合にはハードウエアをまず第一に中心としてやる、それから導入の場合にはソフトウエアを中心にしてやるというふうに技術的に細かい問題になりますから、その重点をどうしたらいいかというような問題がございまして、これはやはり将来の導入と国産の方向を見きわめた上で、重点を決めて研究をやった方がいいというわけで不用に立てられたものでございます。内容としては、いま申しましたように電子情報処理装置、艤装、構造、こういうものでございました。 以上でございます。
○田渕哲也君 ちょっと明確でなかった面があるんですけれども、四十七年度のこの予算をつけたときには、国産か輸入か、どちらに重点を置いていたのですか。
○政府委員(江口裕通君) 先ほども申し上げましたように、調査研究費でございます。したがいまして、基礎研究でございますので、基本的にはこれはどちらにも向ける性格のものではございます。しかしながら、同時にこの予算は、一応開発段階に進みます前の前段階という性格も持っております。そういう意味で先ほど必ずしも開発を前提にしたものではないというふうに申し上げたわけでございますが、両方に触れる目的の本来の予算ではございますけれども、中身としてはそういう前段階的な要素もあったと、こういうふうに考えております。
○田渕哲也君 もう一遍重ねて聞きますけれども、そうすると、四十六年、四十七年の調査研究の内容並びに予算の内容というものは、国産開発にも役に立つけれども、輸入にも役に立つ、特にどちらかを重点に決めたものではない、こういうことですか。
○政府委員(江口裕通君) 事の経緯上、国産を考えておらなかったかと言えばこれはうそでございます。やっぱり考えております。しかしながら、予算の性格はあくまでこれはどちらにも向けられるという予算でございます。
○田渕哲也君 防衛庁長官の二月二十一日の談話というものがあります。これによりますと、この白紙還元ということについていろいろ言っておりますけれども、次期対潜機が国産と決定されたこともなければ、したがって取りやめたこともありません、ということは四十七年十月九日の前後においてPXLに対する方針は何ら変更がない、こういうことを言っておると思いますけれども、どうですか。
○国務大臣(坂田道太君) 私が申し上げたかったことは、政府といたしましては、あるいは国防会議といたしましては、国産ということは決まったことは一度もないというわけでございます。しかし、われわれ防衛庁として国産化の方針で来ておったということは事実でございます。そういう意味でございます。
○田渕哲也君 私は防衛庁の内部の考え方を聞いているのではなくて、政府として予算もつけてやるわけです。その方針については全然変わりがないということですか。
○国務大臣(坂田道太君) その点はそのとおりというふうに考えていただいて結構だと思います。とにかく国産ということは決めていなかったということでございます。
○田渕哲也君 防衛庁内部でどういう考えがあり、どういう動きがあろうが、国として政府として予算を執行し、事を進めるわけであります。その点に関しては四十七年十月九日の国防会議、その前と後とでは全然変更がない。変更がないとするならば、なぜ四十七年の予算の執行をやめたのか、これは矛盾だと思うんですね。この点はいかがですか。
○国務大臣(坂田道太君) それはやはり先ほど問題ございましたように、了解事項によりまして専門家会議でああいうような輸入かあるいは国産かという問題がございましたので、やはり効率的にこれを執行するということが必要であるという考え方で、先ほど申しましたようなことで執行停止にしたということでございます。
○田渕哲也君 そうすると何らかの変更があったわけです。その変更の内容をもう少し具体的に聞かせていただきたいんです。
○政府委員(江口裕通君) 先生のおっしゃっておりますその変更という意味がちょっと定かでございませんけれども、繰り返すようでございますが、経緯といたしましては、防衛庁の予算要求といたしましては概算要求の段階で開発の要求をしております。しかしながら、これは大蔵省あるいは予算閣議等々の経緯を経まして、一応成立した予算は全部基礎調査研究でございます。これは四十五、四十六、四十七年を通じて変わっておりません。この意味においては性格的な変更ということはないと考えております。
○田渕哲也君 四十五年、四十六年、四十七年のこの予算の性格は全然変わっていない、一連のものである。しかも、防衛庁長官の談話によれば、国防会議の前後において次期対潜機に対する政府の方針は全然変わっておりません、こういう言葉があるにかかわらず、なぜ四十七年の予算の執行をやめたのか、この点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(江口裕通君) これもやや細かくなりますが、予算の中身をひとつごらんいただきたいと思いますが、先ほど岡太参事官の方から御説明をいたしましたように、四十五、四十六年というのは一応イメージをつくる。四十五年は性能の概略概定をいたしました。それから四十六年につきましては、ある程度空力関係の問題でございますとか、電子情報の関係の問題というようなかなり基本的な問題をやりまして、それをあわせてイメージをつくっていった、こういう状況でございます。 それから四十七年になりますと、ややこれを一段階進めていったというふうに言わざるを得ないかと思います。ということは、より細かく項目を研究するということに相なったわけでございますが、そうなりますと、細かくしてまいりますと、そこで基準がある程度はっきりいたしませんと、結局むだなところまで手を広げるということにならざるを得ないのではないかと私どもは考えておったわけでございます。ということは、先ほども説明にありましたように、たとえば同じ電子情報処理装置をとるにいたしましても、そのソフト面とハード面の違い、あるいは極端に申しますと、改造の場合はまた改造のやり方があると思います。大体の方向が出てまいりませんと、項目を細かくしてまいればまいるほどその辺は非常にむだが出てくる、かように考えたわけでございます。そういう意味で一応執行は停止をして、大体の方向の出るのを見定めることとしたと、かような次第であったわけでございます。
○田渕哲也君 ちょっと納得がいかないのですがね、四十七年の予算を決めた段階では、じゃ、どういうことを想定して決めたのですか。国防会議で国産化の方針が出るということを想定して決めたのなら、国防会議でいままでどおり国産化も輸入も決定しないからその予算の執行を取りやめるということは筋が通るわけです。ところが、四十七年の予算を決める段階ではどちらとも決まっていない。どちらとも決まっていない予算を組んでおいて、十月九日の国防会議ではどちらとも決めなかったのに、なぜ予算の執行を取りやめるのか。これは理屈が合わないと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(江口裕通君) 先ほどからも申し上げておりますように、これは基礎調査研究でございますが、また一面においては開発の前段階的な意味も持っておるわけでございます。そういう意味で、先ほど国産を前提とする開発を考えないと言えばうそだと申し上げましたのはそういう意味でございまして、一応前段階という意味も持っておったわけでございます。しかしながら、予算の性格は、あくまでこれは輸入の面についても開発についても、どちらでも運用できるものではあったわけでございます。したがって、しかしながらそういう状況でありましたけれども、実際の調査研究の内容は細かく入ってまいった、項目がかなり特定化されてまいったということでございまして、特定化されればされるほどやはり方向というものがはっきりされるということに左右される、かように考えた次第でございます。
○田渕哲也君 さっぱりわからないのですがね。この中身はどうだっていいんですよ。専門的なことは聞いたって仕方がないのですけれども、とにかく四十五年度、四十六年度、四十七年度の予算は同じ方針のもとに決められた予算でしょう。その同じ方針というのは、国産化も輸入も決めていない段階の方針です。その方針が四十七年の十月の国防会議で、防衛庁長官の談話によると何ら変更されていない。変更されていないのに予算の執行を取りやめておる。これはどう考えても理屈に合わないわけですね。これがわかるようにしてほしいと思うのですがね。
○理事(山内一郎君) 答弁者、よく打ち合わせてやってください。
○政府委員(丸山昂君) るる御説明申し上げておりますように、四十五、六、七と、それぞれ技術調査の調査委託費という形で予算がついておるわけでございまして、四十七年度予算について申し上げますと、この概算要求をいたします段階においては、先ほど御説明いたしましたように、国産化につながる基本設計費というものを要求をしておったわけでございますが、最終的には技術調査委託費という形で四十七年度予算がついた。そして先ほど来お話がございますように、四十七年の十月に御存じの閣議了解、議員懇談会の了解事項というのがあったわけでございます。 そこで、本来であればこの四十七年度の予算は国産という方向につながるものでないわけでございますから、当然ここで執行しなければいけない性格のものであるわけでございます。ところが、十月に閣議了解がございまして、その後国防会議に専門家会議が設置され、そして方向が決められるということであれば、当然その段階におきまして、この予算を使うか使わないかということが明確になるわけでございますが、この点について基本的な検討を専門家会議で行うということで、この専門家会議の開催が後に延びたということも含めまして、そこで先ほど来から御説明を申し上げておりますように、四十七年度の予算の中身について検討いたしますと、専門家会議でこの問題が検討されるという基本方針がすでに示されておりますので、そこで外国機の導入になるのか、あるいは国産になるのかということが全くこの専門家会議の結論を見ないとわからないという状態になってきたわけでございます。 そこで、実際のいまの四十七年度の予算の執行いたしますに際しまして、先ほど来から御説明していますように、どちらに重点を置く方がより効率的であるか、予算の執行上効率的であるかということを検討いたしました場合に、先行きの方針がはっきり決まった、見通しがはっきり決まった場合に改めてこの関係の経費を執行する方が適当である。したがって、その四十七年の段階においてこの四十七年度予算を執行することは、必ずしも予算の適正な効率的な運用ではない、こういう判断を下しましたわけでございまして、したがいまして、実は四十七年度の予算は、四十七年度の歳出化とそれから四十八年度の国庫債務負担行為、これを両方含んでおるわけでございますが、四十八年度の予算編成の決まります四十八年の一月でございますが、この時期においてその歳出化の分もあわせまして不用ということに決めたと、こういう経緯でございます。
○田渕哲也君 依然として不明確だと思うのですね。そうすると、四十七年の予算はどちらかに決まればむだになるような予算を組んでおったのか。これは非常に問題だと思うのです。四十七年の予算を組む段階では国産化とも輸入とも決まっていなかった、だからどちらにも対応できる予算を組んでおったと。これが、国防会議で白紙に戻すといっても方針は何ら変わっていないというのが防衛庁長官の談話であります。それにかかわらず予算の執行をゼロにするというのは、私は政府の説明というのはやはりうそだと思うのですね。本来はなし崩しに国産化を進めておった、正式な決定はなくても。国産の調査研究は進めておった。ところが、国防会議では白紙に戻して、これは前も後も国産と決定されたこともなければ、やめたこともないと言っているけれども、実際はこれで国産化ということの方針をやめて、輸入に切りかえるという方向が決まったんだ、実質的にはそうじゃないかと思うのですが、いかがですか。そうすれば説明のつじつまが合うわけですよ。
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどから申し上げますように、私どもといたしましては、あくまでも国産というものが念頭になかったと言えば、それはうそであるわけでございまして、あるわけでございます。ただし、大蔵省とのいきさつから考えまして、政府全体としては国産化を目指す研究調査費じゃないということであったわけであります。しかし、われわれといたしましては、ああいう了解事項が出ましたにもかかわりませず、四十八年度の予算編成のときが最後の、いわば国産化にするのか、どうするのかという一つの最終的な分かれ目になるであろうということで、まだそのとき、国産の方針というか、そういう考え方というものを全然捨ててないわけでございまして、その意味においてまだ四十八年度で決定的になると。ところが、実際上はそこでもう決定的になっちゃったということでございます。
○田渕哲也君 幾ら言われてもね、防衛庁長官のこの談話に書いてある、次期対潜機は国産と決定されたこともなければ、したがってそれを取りやめたということもありませんというこの談話と、四十七年度予算の執行をやめたということとは矛盾するわけです。これは少し明らかにしてください。このままじゃ納得できないです。
○政府委員(江口裕通君) 先ほどから申し上げておりますように、項目を若干細かくして研究を進めていったというのが四十七年に考えておったことでございます。具体的に申しますと、情報装置でございますとか、あるいは艤装その他、三項目に分かって構造面等を予定しておったわけでございます。そうなりますと、かなり具体的な問題に入ってまいるわけでございます。一方、四十五、四十六年の場合にはある程度一般的な、一般概念というようなものを求めておったということでございまして、そういう意味で具体的になりますればやはりある程度方向がはっきりしておった方がより効率的であるというふうに考えられるわけでございます。そういう意味で、当時としては専門家会議の発足というものは早々、年度内、あるいはそういった段階で発足するという可能性を持っておったわけでございますので、そういったものの審議の状況等を見た上で運用してまいった方が効率的であるというふうに判断した次第でございます。
○田渕哲也君 これは調査研究の内容が細かくなるとかどうということとは関係ないですよ。それが国産化に入っていくのか、ずんずんのめり込んでいくのか、いかないかによって予算の執行を取りやめるということは話はわかるんです。調査の研究が細かかろうが大まかであろうが、国産か輸入か決定していない前提での調査なら取りやめる必要はないわけです。その点はどうなんですか。
○政府委員(江口裕通君) その点につきましては、先ほども申しましたように、開発を進める、あるいは輸入を進める、いろいろございますが、そういったいろいろ調査研究を進めてまいります場合に、たとえば国産を例にとりますと、国産に入る前には開発の段階がございます。それからその前の段階として、いま申し上げております調査研究という段階がございます。この調査研究の段階からやはり開発に入りますのには一つの飛躍があるわけでございますが、しかしながら、一方この予算は全然それでは開発に関係ないかということになりますと、やはり前段階的な意味を持っておる。前段階的な意味を持っておる予算であって、しかもそれをかなり具体的に検討しておるということでございますので、そういう意味から言いますと、やはりある程度方向がはっきりした方がよろしい、効率的である、かようになるのではないかと考えております。
○田渕哲也君 わからないですね。
○理事(山内一郎君) ちょっと答弁者、質問者と打ち合わせをしてください。同じことばかりやらないで。打ち合わせしてください。早く願います。
○国務大臣(坂田道太君) 私が談話で申し上げておりますのは、あくまでも政府全体として、あるいは国防会議といたしまして国産化ということは決めてない。これは一貫して変わっていない。 〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 しかし、その執行につきまして、私どもが、やはり了解事項が出ましたので、これについては少し謙虚な立場で判断する方がいい、輸入ということも含まれてくるわけでございますから、そういうようなことは新たな事態でございますから、新たな事態に対処をいたしまして、それを踏まえてわれわれの方はこの執行は手控えた方が予算のむだ遣いにならないのではないかというふうに考えたと。
○田渕哲也君 いまの長官の答弁、おかしいと思うのです。新たな事態が生まれた、輸入ということも含まれてくるというのは、いままでそれなら輸入は含まれてこなかったのかということになるわけです。全然納得できないわけですけれども、時間の関係があります。この問題は特別委員会あるいは内閣委員会、他の委員会でさらに討議したいと思います。それまでに政府として明快な見解をまとめていただきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) よくおわかりいただきますように、統一してお答えをいたしたいと思います。統一見解を出したいというふうに思います。
○田渕哲也君 次の問題に移ります。 参議院の地方区の定数是正について、総理は当予算委員会でこのような趣旨のことを言われております。先般の最高裁の判決ですね、判決は衆議院に関するもので、参議院については違憲とは言えない、あるいは選挙制度が違うから参議院の場合人口比例だけで配分するわけにはいかない、私はこの発言はちょっと問題だと思うのです。最高裁の判決の根拠は憲法十四条、十五条、四十四条等であり、いわゆる一票の平等性というものを根拠にして判決を下しておるわけです。この点について衆参両院の区別はないと思います。この点いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 参議院のいまの定数制度は合憲であるという、参議院の東京都と鳥取県ですかね、その例を、そういう問題をとらえての定数であったと思うんです。合憲という判決が下っているわけですね、最高裁の小法廷で下っておる。しかし、先日の判決に言われておる選挙制度というものは、そんなことではないのです。私流に解釈すれば、選挙制度にはいろいろに複雑な要素が含まれている、それでも一般の人が見てこれは投票権が著しく不平等である、合理性と言いますかね、それがないというようなときは、やはりこの問題というものは是正されなきゃならぬというような意味の判決だったと思うんです。幾ら幾らになればというような基準はあの判決にはなかったわけです。 ただ、私は参議院の場合、衆議院のように人口比でやっていいとは、私自身はそうは思わない。これはやっぱり参議院は参議院としていろんな、たとえば全国区という制度がないですね、衆議院には。全国区というものの制度があって人間が決まっている。そういうことも参議院の選挙制度の中では無関係ではないでしょうからね、やはり衆議院にない制度ですから。だから、ここで参議院の方々が、小委員会ができておるわけですから、こういう問題については小委員会で各党の合意が成立することが一番好ましい。絶対にこれが正しいという選挙制度なんかないんですからね。そんなものは絶対はありませんよ。皆が納得できるようなルールというものがいいということでしょうからね。私が期待するのは、公選法の委員会でやはり小委員会をお設けになったんですか、なるとかというお話ですから、ここでひとつ精力的に詰めていただきたい。この合意ができれば、これは政府だって当然に同意いたしますから、そういうことで努力を、その各党の小委員会におけるお話し合いの過程を踏まえて、政府としても研究はしておりますけれども、こういう問題に対する最後の結論を出したいと考えておるわけでございます。 最高裁のあの精神というものは、大きな精神はくみ取らなけりゃならぬ。人口に比較して次々に参議院の定数を変えていかにゃならぬものだというふうには考えないですけれども、しかし、投票が余りに不公平だということは是正されなければならぬという最高裁の判決というものは、これはやはり参議院においても考えなければならぬ点だと思います。
○向井長年君 関連。 三木さん、そんな無責任なおざなりの答弁、だめですよ。昨年の六月の公選法改正、政治資金改正、このときに参議院においてどういうことがあったか、あなた御存じですか。ことしのこの国会の冒頭に、しかも三木総理の所信表明に対して野党各党が、社会党、公明党、共産党、わが党、四党がそろって地方区定数是正問題を取り上げた。そのときの答弁といまの答弁、ほとんど変わらない。そのとき私は特に当時の問題を指摘いたしまして、総理の前にこの文書を渡したはずです。見られましたね。いま参議院において公選法特別委員会でこの問題を二、三日前から審議をしておるんです。その中であなたが率いる自民党がこれに対して一番消極的であり、あるいは積極的に地方区定数是正をやろうという姿勢がないんです。当時この公選法問題でもめたときに、これは共産党さんと公明党さんはこの公選法なりあるいは政治資金反対の立場であったけれども、しかし地方区定数是正については野党全部が賛同した問題なんです。この国会の混乱のときに河野議長が何とか国会をスムーズに進めるためにあっせんされたわけです。その内容があなたに渡したこの文書なんです。 読んでみましょう、ここで。重要な問題でございますから。「申合せ 参議院地方区の定数については、人口の動態の著しい変化にもとずきこれを是正する要あることを認め、次期参議院通常選挙を目途として実施する」——目途と言えば来年ですよ。来年六月、七月ですよ。「実施するよう取り計らう。この場合公職選挙法改正の過去の事例を参照するものとする。なお、全国区制度の改正については別途検討をすすめる。」、切り離しておるんですよ。このあっせんが出て、そしてこれに対して自由民主党の参議院の会長安井謙さん、捺印をしております。社会党の当時の会長は阿具根登君、これも署名をいたしております。民社党の会長私が署名をいたしました。この後、公明党、共産党の代表にもこれをどうでしょうと言えば、当然だということで賛同されておる。こういう経緯があるんですよ。それならば、あなたの率いる自民党は現在これに対してまだ踏み切ろうとしない。少なくとも河野議長が、最後に立会人として河野謙三参議院議長がこれに署名しておる。 あなた、簡単に言うけれども、少なくともわが国の政治は政党政治でしょう。政党政治は政党間の信義を守らなければいけませんよ。信義を守らないところに議会制民主主義はないはずだ。そうでしょう。そうなれば、あなたが、参議院の会長がこういうように署名をしておる以上は、早く地方区定数是正を来年度の選挙に間に合うようにやりなさい。どこをどうするかはこれからの審議の過程ですよ、全国区は切り離しておりますから。そして私はここでまだ、「人口の動態の著しい」という言葉がございますから、私は河野議長のあっせんに対して質問をした。この「動態」というのはどういうことかと。著しい人口の増という答弁なんですよ。したがってふやさなければならぬということ、しかも、あたかも今度の最高裁の判決で、いわゆる国民の声が国会に公平に反映されなきゃならぬということでああいう判決が出ておるんでしょう。そうなれば、当然これに基づいてやらなきゃならぬはずだ。何回聞いても、どの党が聞いても同じ答弁をあなたは繰り返している。そこに間違いがある。 自民党の皆さんもよく聞いていただきたい。安井会長が捺印している。河野議長が立会人。しかも、これに対して公明党、共産党も賛同している。したがって早急に公選委員会で具体的にこれを審議して詰める、このように自民党総裁としてもやるべきであるし、政府もそれに大いに協力体制をとるべきであろう、私はこう思いますが、総理、どうでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) 自民党によく話します。そうして、この問題は各党が、これはやはり党利党略ということだけではいい選挙制度にはなりませんから、党利党略を離れて、参議院はいかにあるべきかという、こういう問題とも結びつきますから、そういう参議院のあるべき姿というものを頭に入れながら、どうか一日も早く各党間で合意が成立することを望むわけでございます。自民党に対しては私からもよく話します。小委員会に対して自民党も協力して、皆の合意が得られるように努力をするように私は注意をいたします。
○向井長年君 自民党総裁としても自民党に働きかけるということでございますので、私は了解しますが、このあっせんの中にありますように、来年度の通常選挙に間に合うように、こういうことがございます。これは守られますな。そのためにあなたは努力されますね。
○国務大臣(三木武夫君) これはまだ四年も五年も先のことではなくして、明年に参議院選挙がありますから、それを目途として各党が精力的に話し合いをすることは当然でございます。
○田渕哲也君 時間も大分なくなりましたので、リンチ事件について二、三質問をしたいと思います。 先ほど共産党から、裁判の判決に対する資料要求は違憲だという抗議が行われましたけれども、私はこれは全く事実の誤認に基づくものだと思うのであります。国政調査権は立法調査、行政監督のために国会に認められた権限であります。しかも、有罪判決を受けて刑の執行中の者が釈放され、資格回復をするに至ったのは、これは内閣による検察、刑務行政あるいは恩赦行政に関するもので、当然国政調査権の対象になると思うけれども、これはどうですか。
○政府委員(安原美穂君) 確定判決に基づく刑の執行等の事柄は、まさに行政権そのものでございますので、当然国政調査権の対象になると思います。
○田渕哲也君 この以上の行政措置の当否を論ずるために、この判決の内容というものが関連してくるわけです。そのために国会が、判決の中身といいますか、この裁判の訴訟記録というものは大体公開が原則でありますけれども、こういうものを聞いたり答えたりすることは何ら差し支えがないと思うけれども、いかがですか。
○政府委員(安原美穂君) 御説のとおりと存じます。
○田渕哲也君 それから、国会は立法府でありますけれども、この立法調査のために、裁判の判決がどのように行われておるかということを当然これは調べなければならないという場合もあろうかと思います。私は、共産党が主張するように国政調査権を狭く限定することこそ、憲法に定められた国会こそ国権の最高機関だ、ここでの自由な論議に制約を加えようとするものであって、おかしいと思うのであります。 また、この宮本リンチ事件の判決原本に資格回復の付記がなされております。いわゆる復権の措置がとられておるわけでありますけれども、これによって判決の事実がなくなったりあるいは無罪であることが確定したことになるのかどうか、この点をお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(安原美穂君) 復権という事柄は、御案内と思いまするが、将来に向かって人の資格に関する法令の適用については判決がなかったものとなるという、有罪の言い渡しがなかったことになるということでございまして、決して遡及して有罪の判決があった事実がなくなるということでもなく、また確定判決に基づく刑の執行そのものが無効になるというものでもございません。
○田渕哲也君 共産党は、この復権措置がとられたということを根拠にして、この裁判の内容がでっち上げである、こういう宣伝をしておりますけれども、これは私はいささか無理があると思うんです。判決の内容がでっち上げだとするならば、やはり再審請求、必要な手続を経てその裁判の判決の内容を変えなくてはならない。この点はいかがですか。
○政府委員(安原美穂君) 先ほど来お答えいたしましたように、法務省当局といたしましては、有罪判決の内容の是非を論ずる立場にはないのでございまして、有罪の判決があった、確定の判決があったという事実を申し上げるわけでございます。
○田渕哲也君 私は、やはり三権の独立ということも当然かと思いますし、また、それぞれの権能、権限というものは尊重しなくてはならない。したがって、この司法権も尊重しなくてはなりません。確定判決があって、再審の請求もせず、また再審の手続も行われないのに、それがでっち上げだという宣伝をすること自体、司法権の尊重にはならないと思いますけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) そのことが、先ほどから問題になっている内藤さんの質問に対し、少しでっち上げだとか、うそだとか言うのは、それこそはみ出しもはなはだしいと私は申し上げたとおりです。
○田渕哲也君 昭和二十年十月四日に出された占領軍の政治的民事的及び宗教的自由に対する制限の撤廃に関する覚書の内容の概略はどんなものか、説明をいただきたいと思います。
○政府委員(安原美穂君) お尋ねの覚書の内容の概略は、昭和二十年十月の四日、連合国軍最高司令部より「政治的民事的及宗教的自由ニ対スル制限ノ撤廃ニ関スル件」という覚書が発出されたのでございますが、その覚書は、まず第一に、思想言論等を制限する法令、情報の収集、頒布を制限する法令、人権、国籍、宗教、政見を理由とする差別を規定する法令の廃止及びその効力の停止ということであり、第二は、いわゆる政治犯の釈放であり、第三は、いま申し上げた法令の執行のために設置されました組織機関等の廃止、第四番目に、思想警察関係官吏等の罷免であり、五番目は、被拘禁者に対する不当な処遇等の禁止、第六番目は、廃止を命ぜられた諸機関の記録の資料の保存、それからこのような事柄を明示するとともに、このようなメモランダム実施のためにとられた措置についての報告書の提出等を命じたものでございます。
○田渕哲也君 新聞の報道等によりますと、当時、この覚書に基づいて司法省から政治犯釈放についての刑事局長の通牒が出たといわれておりますけれども、その事実はあるのか。また、事実があるとすると内容はどんなものか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(安原美穂君) 昭和二十年の十月五日付で司法省刑事局長から「政治犯人ノ身柄釈放ニ関スル件」と題します依命通牒が、全国の検察庁の長に対して発せられておる事実はございます。この通牒は、いま申し上げました十月四日のメモランダムの趣旨にかんがみまして、いわゆる政治犯の釈放を指示したものでございます。 それによりますと、治安維持法、国防保安法、軍機保護法、軍用資源秘密保護法、国境取締法、要塞地帯法、刑法の外患に当たる罪の各事件及び不敬及び言論事件の関係者で現に身柄拘置、拘束中の者につきましては、刑法犯、経済犯を伴うものを除き、捜査中、予審または公判係属中あるいは刑の執行中でありましても、即時身柄を釈放するよう命じたものでありまして、刑の執行中の者につきましては、すべて刑の執行の停止という方法により釈放することとしております。なお、この通牒の発出に当たりましては、当時の連合国軍最高司令部の指示に沿い、その了解のもとに行われたものでございます。
○田渕哲也君 その通牒の中では、刑法犯、経済犯を伴う者は釈放の適用から除外されておりますけれども、この点についても占領軍と了解済みのことですか。
○政府委員(安原美穂君) いま申し上げましたように、刑法犯、経済犯を伴う者を除き釈放を命じたものでございまして、このことにつきましては、連合国軍最高司令部の指示に沿い、その了解のもとに行われたものでございます。
○田渕哲也君 宮本氏が釈放されたのは、どんな理由によるものでありますか。
○政府委員(安原美穂君) いま申し上げましたような関係でございますので、刑法犯を伴う者を除きということになっておりまするから、宮本顕治氏の確定判決によりますると、治安維持法のほかに、監禁致死、傷害致死等の罪名を同時に伴っておりますので、この通牒から言えば釈放の対象にはならなかったものと理解しております。したがいまして、当時の記録によりますると、宮本顕治氏は病気、病重篤であるということで刑事訴訟法上の刑の執行停止ということで、十月の九日に釈放されておるという記録関係がございます。
○田渕哲也君 昭和二十年の十二月二十九日付勅令七百三十号というのが出ております。これは復権に関する勅令だと思いますけれども、その内容はどんなものですか。
○政府委員(安原美穂君) この趣旨は、結局この二十年の十月の十七日に終戦を契機といたしまして大幅な恩赦が、大赦が行われまして、その中でほとんどのいわゆる政治犯は恩赦の対象になったわけでありまするが、その際に恩赦の対象、大赦の対象にならなかった者、したがって復権の恩典に浴さなかった政治犯人に対して、なおそれらの釈放された政治犯人の復権をさらに図るべきだという趣旨からメモランダムが出たものでございまして、それが十二月の二十九日のメモランダムでございますが、この際におきましても、復権の対象になりました者は、先ほどの大赦令、復権令によりまして大赦あるいは復権の恩典に浴さなかった、刑法の外患罪等の一部の罪のような大赦令から除外されていたり、大赦の対象に浴すべき罪でありましても他に行政法規違反等の罪との関係で大赦、復権の対象にならなかった政治犯人につきまして復権の措置をとったものでございます。
○田渕哲也君 この勅令は昭和二十年十二月二十九日に出されたけれども、その時点で宮本氏は対象とはされておりません。これは該当しないということになるからであります。それにもかかわらず、昭和二十二年に至って宮本氏が突然資格回復をされました。その理由は何ですか。
○政府委員(安原美穂君) 御指摘のとおり、先ほど来の大赦令あるいは復権令、復権に関する昭和二十年十二月二十九日の勅令等によりましても、宮本氏は大赦あるいは復権の対象にならなくて、減刑等の措置をもって昭和二十二年の春に至ったわけでございますが、昭和二十二年の四月の末に連合国軍最高司令部から、いま田渕委員のお尋ねの勅令七百三十号に該当するものとして復権させる措置をとるよう指示があったわけでございまして、いかなる理由であるかは、当時の最高司令部の考え、判断でございますので、私どもそんたくの限りではございません。
○田渕哲也君 私は、占領軍の覚書、あるいはそれに基づく勅令、こういうものは占領中において法律的な、法規的な権能を持つわけでありますけれども、そういうものに従っても、ちょっと矛盾があると思うんですね。その矛盾があるのに、なぜそういうことがされたのか。まあその経緯は先日のサンケイ新聞の報道に書いてありましたけれども、いろいろの内容が明らかにされております。これらの点について政府としてその資料を入手しておるのかどうか、この点をお伺いいたします。
○政府委員(安原美穂君) 先ほど来お答えいたしておりますように、われわれこの問題が起こりましてから、できる限りの当時の関係資料あるいは関係者につきまして調査をいたしまして、一応の結論を得て先ほど来お答えを申し上げておるわけでございますが、御指摘のようなアメリカの方にも資料があることを承知いたしておりまして、なおそういう資料が必要かどうか、なお検討をいたしたいと、かように考えます。
○田渕哲也君 このような占領軍の指示で資格回復の措置が昭和二十二年になってとられたのは、宮本氏のほかにだれがおるのか。
○政府委員(安原美穂君) これは先般衆議院の予算委員会でもお答えいたしましたように、袴田里見氏がもう一人おられます。
○田渕哲也君 つまり、宮本氏と袴田氏の二人が、進駐軍の特別な措置で、いわゆる法的な根拠というものは明らかでないけれども、特別な措置で釈放され復権されたということになっておるわけであります。この事実関係はまだ明らかでありませんけれども、今後政府としても十分調査をして明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) そのことはすでに調査の結果明確になっておりますけれども、なおサンケイ新聞等の資料等がアメリカにあるということですから、それは取り寄せて一層明確にする、調査が必要だとおっしゃればやっても構いません。
○田渕哲也君 終わります。
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして田渕哲也君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(八木一郎君) 青島幸男君。
○青島幸男君 私は、まず総理にお尋ねいたしますけれども、主に政治姿勢についてでございます。 現今、一般国民の間に大変な政治不信の念が蔓延しておりますけれども、その主なものが大体金銭にまつわるものというふうに見られております。政治家とお金の問題というものがすっきりいたしませんと、どうしても国民の間の政治に対する不信をぬぐうことはできませんので、その点明確にするべきだという考え方が一般に言われておりますし、政治家自身がその政治活動の資金について明確にすることが、これはもう絶対必要だというふうに私感じますけれども、総理、その点いかがお考えでございましょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 最近、金にまつわる不信というものは、青島君の御指摘のとおり非常に多いわけです。まあ政治活動には非常に金が要ることは事実であります、金がね。今日のような大衆社会のもとにおける政治活動には相当な資金が要る。そういうことで、したがって金の集め方、使い方というものに対して国民の疑惑を受けないようにすることは当然の政治家としての責任だと考える次第でございます。
○青島幸男君 まさにそのとおりと思います。総理は率先個人資産の公開などを試みられるようなこともなさいましたし、その点大変お心遣いをいただいているし、私敬服するところでございます。 どこからどういう形でお金が出るか、それをだれがどういう形で受け取るか、しかもそれがどういう形で使われたかということが明確になれば、どんなに多額のお金が動こうと国民は疑念を差しはさむ余地はないと思います。それが納得のいくことであれば一向に構わないわけです。しかもそれが法律にのっとったことであればですよ。ところが、先般来問題になっております中曽根氏の政治団体の虚偽の収支報告書の問題でございますけれども、大変世上をにぎわしておりますけれども、この問題について総理はどういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(三木武夫君) これは実際は中曽根君自身が金の出し入れをしておるわけではないので、会計の担当者がおるわけですね。それを一々本人が見ておるわけではないけれども、しかし道義的責任は負わなければならぬでしょう。そういう点で、これはいま自治省との間に訂正をしまして、そして手続をとっておるようでございますから、自治大臣から答えを——私いまの段階はよく知っていないのですけれども、必要があればいま自治省との間でそれを再提出をしておるということで、いま手続をとっておるということの報告を受けておるわけでございます。
○青島幸男君 総理、どうも内情をよく御存じのないような御発言でございますけれども、昨年七月の改正で第二条第二項に「政治団体は、その責任を自覚し、」「国民の疑惑を招くことのないように、」「公明正大」でなければならないということをわざわざ規定しておりますし、そのことを道義的にも求めているわけですね。中曽根派の四団体の虚偽報告というものは大変に悪質なんですよ、総理。中曽根氏との関係も大変に明白になっているように世間では受けとめております。と申しますのは、その主要なる四団体の一つの事務所は、四十七年までそこの第一議員会館の中曽根氏の部屋に置かれているわけですよ。後で追加されました、世間で言われておりますところの幽霊団体と言われておりますところも中曽根さんの砂防会館の事務所と同一の電話番号で、同一の住所なんですね。ここまで明白になってまいりますと、これはどうしても道義的責任としましても、総理、党総裁としても何らかの御処置をお考えにならないと世間一般に対してぐあいが悪いのではなかろうかという感じがいたしますが、その点どうお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) 青島君も御承知のように、政治資金規正法がこの一月一日から新しく発足したわけであります。そういうことで、今度は相当この出入り等も厳しくなっておりますから、こういうことでいろんな弊害というものが是正をされる一つの機会にしたいと思っております。過去のことについては、これはいろいろ調べるものは調べて、そして訂正するものは訂正し、処置をいたさなければならぬことは御指摘のとおりでございます。
○青島幸男君 ところが総理、御説明申し上げますけれども、訂正というような筋合いのものじゃこれはないんです。たとえば届け出した報告に数字の間違いがあった、あるいは字句を訂正しなければならない部分があった、あるいは計算上の間違いがあった、あるいは住所の記載についていささかの間違いがあった。これは訂正という言葉が当たると思います。しかし、これは訂正じゃないんですよ。全く欺瞞に満ちているわけです。幾つか個人名が出て、そこへ渡ったようにしてあります。しかし、その個人名について詳細に調べますと、ここにありますけれども、これは当該の市区町村に問い合わせた書類ですけれども、そこから、それに該当するものは当県にはおりません、当町にはおりません、当市には存在しておりませんという返事がこれほど来ているわけです。全くいもしない人間に数千万、数百万という金が渡ったごとくに取りつくろって、しかも何年にもわたって出ているわけですよ。こういうことを放置しておきますと、これは政治家全体の信頼にかかわる問題ですし、ましてや総理は党総裁として、そういう虚偽報告がなされている、何年にもわたってですよ。不注意と言うには余りにも政治家としてはみずから正すところがなさ過ぎる、政治家の資格に欠ける人間だと私は思いますよ。こういう方がおたくの党の幹事長の席に留任しておられるということについては、いささかも疑問をお持ちになりませんかどうですか。その点、明確にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) この問題は、いま自治省とかその他政治資金規正法の立場から検討すべき点があるならば検討するということで、こういういろんな諸手続の過程でございますから、こういうものを踏まえて、注意をすべきものは注意をいたして、再びこういうことを繰り返さないようにすることは総裁としての大きな責任であると考えております。
○青島幸男君 残念ながら、中曽根さんが幹事長として留任することについての、疑問にお思いになりますかどうですかという私の質問には明確にお答えになっていただけないように思います。ということは、世間一般、三木さんは大変個人資産など公開なすってクリーンのように言われているけれども、同じ穴のむじなではなかろうかという風評が立っても、これを抑えることはできないようなことになりはしませんか。それは、私はあなたのお人柄についても大変懸念しておるところです。 もう一つ翻って考えますと、国家公安委員長にお尋ねしますけれども、警視庁が近くこの件につきまして捜査に着手するというふうに聞いておりますけれども、これをどういうふうにお取り扱いになるつもりですかね。単に道義的な問題だけではないわけです。というのは、つまり領収書を、全然関係ないのに関係ない方が領収書をつくられて報告されてしまっているわけですから。中にはこのことに大変憤りを持って、私文書偽造で告訴するぞというふうに憤っている方までおいでになるわけですけれども、この点についてどういうふうにお取り扱いになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。 中曽根幹事長の関係しておる四団体の収支報告については誤りがあるということで、実はこの四月三十日までに再訂正が出ております。あなたのいま御質問になったことは、そういうことではなくて、とにかく前に虚偽の報告があるが、それについて国家公安委員長としてそれをどう考えるのかと、こういうことだと思うのであります。やはり事実訂正が出た段階において、訂正がいま出て自治省においては調べておりますが、大体近く公開されると思います、その内容については。それを見た上で、私は警察関係で必要と認めれば捜査するものだと思っております。 ただし、この機会に私申し上げておきますが、国家公安委員長というものは、この件を捜査せいとかという指揮権はないんですよ、私は。警察が警察行政をちゃんとやるようにという監督はしなければならないのですけれども、一々の件について私がこれをこうしなさい、あれをこうしなさいというような指揮権がないということは、警察法でちゃんと決めてあるところなんであります。しかし、私の聞くところでは、警察の方では取り調べをしたい、それについては自治省の方でちゃんと訂正の書類が出た上でしたいというような意図を持っておるように聞いておりますが、いまここに警察庁の刑事局長が来ておりますから御報告をさせます。
○政府委員(土金賢三君) お尋ねの件につきましては、公安委員長から御答弁がありましたように、警察としては捜査をいたす方針でございます。ただ、御承知のように、この政治資金規正法という法律に罰則がございますのは、その所管行政庁の行政措置を担保するための罰則である、こういう趣旨であると考えますので、その所管行政庁である自治省におきましてとられる措置を把握した上で捜査をいたす、こういうことにいたしておるわけでございます。
○青島幸男君 国家公安委員長の言うこともよくわかりますし、どこをどうせいということもないでしょう。恐らくそれはそれで結構だと思います。司法の手にゆだねて、それはどういうかっこうで告訴されるか、されたらどうなるかということは、それは担当の所轄のところがやればいいわけでしてね、そのことをとやかく言うということは申しません。 自治大臣としてお尋ねいたしますけれども、自治省というのはつまり訂正報告を受けているわけですね。しかも、再訂正報告を受けられているわけですね。しかも形式上書式が整っておれば一応受理して、これについて虚偽があるかどうかということは一応たださないわけですね。たださないたてまえになっておりますね。そうしますと、何を手間取って閲覧の状態にしてくれないのかということは、大変私ども疑問に思っているわけです。おととい、おたくの方へ問い合わせましたところ、受け付けたのは、四月の二十七日か、最初にあって、それから三十日ごろ再訂正があった、それからいろいろ調べておると。何をお調べになっておるのか、大変手間取っているので私気になっているんですけれども、その辺をお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(土屋佳照君) 訂正命令に対しての整理をされた結果は、いま御指摘のように四月二十六日ごろから持っていただきまして、四つの団体がございます。そういうことで、一つの団体については最初は四月三十日でございました。それについては、形式的審査ではございますが、件数も多いわけでございます。領収書についても当時の領収書はないにいたしましても、今回訂正されたものについて、こういった方が受け取ったことは間違いありませんという領収証明書と申しますか、そういうものもたくさんついてきておるわけでございます。縦横の計算、一々のチェックということも私どもとしてはやらなければならないということと、若干休みもよけい入ったということもございますが、おおむね整理は終わった段階でございました。かなり形式的でも数が多くなりますと、四十七年下期からずっとでございますから、ある程度の時間を要したということでございますので、その点は御了承を願いたいと思います。
○青島幸男君 結構でございます。 その再訂正の報告書を見ないと何とも言えないのですけれども、中曽根派の政治団体の訂正報告の中で、もし他の政治団体へ行っているということがあるとしますね。そうすると、すでに届け出をしてある他の政治団体の報告書も訂正しなければならなくなりますけれども、その点はどうなるんでしょうかね。
○政府委員(土屋佳照君) 収支の動きにつきましては、この団体と他の渡った政治団体、その間では明確にその点つじつまが合うべきことでございますから、もしそういうことになりますと、当然訂正ということは起こるかと思います。ただ、私どもがいままで事務的に見た範囲では、今回の訂正には、そういった政治団体と他の政治団体に渡ったというかっこうではなくて、個人に渡ったように私見ておりますけれども、最終的に整理をして公表することになりますから、その点ははっきりいたすと思います。ただ、政治団体から政治団体へ行ったとなれば、おっしゃるような整理の仕方が必要になってくるということでございます。
○青島幸男君 そうなりますと、その派閥の下部団体というものは、すべて訂正報告をし直さなければならないというような実情ができてくるかもしれません。そうなりますと、世間では、何だい、根元が狂ってればみんな下も狂って、みんなインチキじゃないかというようなことまで出てくると、相当大きな問題になりゃしないかという気がします。 もう一つお尋ねしますけれども、個人の名前で出てくるとおっしゃいましたけれども、個人の名前で出てきますと、すでにもう確定申告も済ましておるわけですね。そうすると、その確定申告の修正まで大蔵省に出してしなければならないのじゃないかという疑念がわくわけですけれども、その点はどういうことになるんでしょう。大蔵大臣おわかりになりましたら、ひとつお教えいただきたいと思いますけれども。
○国務大臣(大平正芳君) それが政治資金として立証されておりますれば、所得税法上その人の所得として申告する必要はなかろうと思いますけれども、そうでない限りにおきましては、所得税法上の申告をしなければならぬと思います。
○青島幸男君 どうもよくわからないのですけどね。すべての国民は一定期間に一定以上の収入があった場合、これは納税の義務が生じますね。そのために必要な申告をしなければならないわけですね。そうすると、自治省に届け出て収入が明らかになっている人がいるわけですよ。しかしその人も確定申告の中に自分の収入として届け出なければいけないのじゃないかと私は思いますけれどね。たとえ政治資金として使ったのだからそれは全額必要経費として認められるんだとしても、少なくとも総額これこれあったと、そのうちこれだけは政治資金として使ったんだからこれは控除してもらいたい、そうなったらどうなんですか。届け出しなきゃならないはずでしょう、収入として入ったものは。
○国務大臣(大平正芳君) いま、そういう立法政策上の問題としてそうすべきであるということであれば、一つの御提言だと思いますけれども、現実にはそういう手続は踏んでおりません。
○青島幸男君 全然明確じゃありません。よくわかりませんね。大蔵大臣にはっきりお尋ねいたしますけれども、一定期間内に総収入があったら、それは申告すべきでしょう。たとえ政治資金は全額控除されるんだから、だったら申告しなくていいんだということにはならないでしょう。その点お尋ねしているわけです。
○国務大臣(大平正芳君) その人の収入から経費が差し引かれて、そして所得が形成されるわけでございますが、政治資金の場合におきましては、それが真正に政治資金として使用されたということでございますならば、所得税法上は認められておるわけでございますので、申告はしなくてよろしいというように私は承知いたしております。
○青島幸男君 これは大蔵大臣のお答えとも思えませんけれどもね。総理、どうでしょうね。それは大蔵大臣がそう言うのだから、総理、御見解もただしようがないと思いますけれどもね。とにかく総枠幾ら幾ら収入があった。そのうちどこどこへ使ったので、これは必要経費として認める。で、必要経費を引いて、それは所得だからそれに対する税金を払うでしょう。一応総枠で入るものは届け出しなきゃならないはずじゃありませんか。そうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) ですから私が申し上げているのは、受け取った、収受した金の中で、政治資金として収受した、しかし、そのうち一部を政治資金として使用し、一部を個人の収入にしたという場合には、あなたがおっしゃるように、その部分は所得の申告をしなけりゃならぬと思います。しかし、全額を政治資金として使ったという場合におきましては、申告の必要がないと私は承知しております。
○青島幸男君 はっきりいたしました。それでいいんですね、それでいいんですね。間違いありませんね。政治資金として使ったものは、どんなに多額であろうと申告しなくていいんですね。その点、明確にお尋ねしておきます。
○国務大臣(大平正芳君) 政治資金規正法上の規制を遵守して、公明に申告をされて処理されております限りにおきましては、さような処理をして間違いないと私は承知しております。
○青島幸男君 それはおかしいですわ。それは所得について所得税を課さないというのは、所得税法の九条にちゃんと別途掲げてありますよ。これ、読みましょうか、時間もありませんけれども。「公職選挙法の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条」つまり選挙運動に関する収入及び支出の報告の部分ですね、この規定による報告がなされたものに限って課税なされないわけですよ。おかしいですよ、これは。
○国務大臣(大平正芳君) それじゃ専門家を呼んでいますから、お聞き取りをいただきたいと思います。ちょっとお待ちをいただきます。
○委員長(八木一郎君) 委員長から申し上げます。 ただいま大蔵省主税局長の出席を要求し、間もなく出席いたしますので、このままお待ちください。 青島君に申し上げます。青島君、座ったままでもう一度質問していただいて、そして説明を求めましょう、その方が早いから。
○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの御質問の御趣旨は、政治家の方が個人として政治資金を受け取られた、それについて政治資金の収入額を常に申告すべきであるかどうかという御質問だと思いますが、御承知のとおり、政治資金として受け取りました収入金額から政治活動に必要な経費を差し引きました残りがございますときには、それは雑所得でございますから、残りがある限り申告していただく義務が当然にあるわけでございます。ただ、御自分で政治活動にお使いになった経費を計算なさいまして、差し引きゼロであるとか、あるいは赤字である、つまり雑所得がないというときには、これを申告なさる義務はございません。
○青島幸男君 その辺が大変にいままであいまいでありまして、どこからどこまでが政治活動に使ったか、あるいは個人の所得として使ったかということはきわめて明確でありませんので、問題が錯綜してくるわけですし、ですから、一応私は百歩下がって、組織活動費だとかあるいは調査費とかいう名目が出ていますから、私はよくわかりません、しかし、それはそれで結構です、譲りまして、しかし、総枠これだけお金があるぞ、収入があった、しかしこれこれは政治活動に使ったんだ、これこれ分は残った、これの所得についてこれだけ税金を払うぞということを明確にしなければ、ここから後はどうしてもわからないわけですから、そうしますと疑問がどうしても残るから、少なくとも総枠だけは申告するようにしたらどうだろうかという御提案を申し上げようとしてこの話をしているわけです。その点、総理どうお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) いま主税局長の言ったことが合理的でないでしょうか。政治資金規正法という法律があるんですから、これでやっぱりその中で政治活動に使ったものはそれに申告をする。政治活動でなしに、雑収入の中に入るようなもので使った場合は所得税の申告をする、こういうことで処理をすべきだと思います。政治資金規正法があるのですからね。政治資金には所得税をかけないということになっているんですから、政治資金規正法で処理する。それで処理できない金額については雑収入と称すべきでしょうから、所得税の申告の中に入れるべきである、こういう措置よりほかに私はないと思います。
○青島幸男君 そうしますと、献金する側だけ、個人も含めまして幾ら総枠を決めましても、もらった方が申告をなさらないと、それは新しく改正した政治資金規正法の精神を全く担ってないことになりはしませんか。出す方だけ幾ら規制しても、もらった方がこれは政治資金だとしていいかげんな領収書をつけて出せば、それで事が済んでしまうのだったら、いつまでたったってらちが明かないじゃないですかということを私は申し上げているんですよ。
○国務大臣(三木武夫君) それはやはり政治家の良心にゆだねなければですね……
○青島幸男君 良心が信用できないんですよ、これですから。
○国務大臣(三木武夫君) それはやはり政治資金規正法の改正になった機会に、金の入るばかりでなしに、出る方に対しても厳しく規制をすることが私は必要だと思う。ただ、青島君、こういう点はあるんですね。まあいろいろ金がかかるですからね、選挙とか政治に。そういう点で皆政治家が金というものに苦労をしておることは事実でしょう。だから、そういうことで、そんなにたくさん政治資金が余って雑収入の中に入るようなことが、実態としてあるかどうかは疑問だと思いますよ。しかし、処理の方法としては、いま言ったような政治資金規正法によって届け出をしないものは雑収入として所得税の申告をすべきである。このことは、やはりそういう処理をしないと不明朗になるということは、青島君の御指摘のとおり。それならそれはどうやって信用できるのかと、そうやって疑ってかかりますとなかなかむずかしくなりますが、やはり政治家が、こういう政治資金、金にまつわる不信というものが政治不信の中で大きな問題を提起したときですから、この機会にそういう良心的な届け出をするということが当然の政治家の責任としていま課される問題だと思います。
○青島幸男君 ですから、皆さんがそういうふうにみずから恥ずるところあって正直に申告をしたりしてくださればいいわけですけれども、その切のところが非常に不明確なんで、国民の間に疑念がわいているわけですよ。ですから、このごろパートタイムで奥さん方が御主人のために幾らか助けても、一定額以上はやっぱり収入があると申告をして税金を納めなければならないわけですよ。そういう方々の考えからすると、総枠が幾らあっても、いいかげんな領収書をつけて出せば政治資金として認められてしまうんだという考え方は、どうしたって政治家を信用する気にはさせないわけですよ。その辺のところを私は申し上げているわけでしてね。 現実の問題として、この間うち新聞にも出ましたけれども、収入が収支報告書で半年間に数千万円も政治献金を受けていることが自治省への届け出で明白なのに、しかもそれは全部政治資金に使ったからとして確定申告には記入しないで、それで議員歳費だけを給与所得として平気で出しているという事実があるわけですよね。ですから新聞なんかで発表されますと、あの番付なんかでですね、私よりずっと大物の政治家と言われる方が私よりずっと下位の方にいて、私が上位にいたりすると、恥ずかしいやら、もう情けないやら、実にばかばかしい気持ちになるわけですよ。それは一般の世論だと思いますけれどね。その辺をひとつ明確にしていただかないと、私は今後、幾らあなたがどうおっしゃっても、政治の信頼を回復することはできないと思います。 で、私大変いま残念に思っておりますのは、こうしてお答えいただいている総理並びに大蔵大臣御自身の政治団体の政治資金についても、調べてみますと、明々白日、疑いの一点も差しはさむ余地がないという事実じゃないんですよ。そのことに対して、もう何をか言わんやという非常に絶望的な気分になりますけれどね。しかし、やがては国民が正しい判断を下すものと私は信じておりますから、みずから皆さん方もし不正なところがあったら唯々諾々としていらっしゃらないで、恥じていただきたいということを大声で申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして青島幸男君の質疑は終了いたしました。(拍手) これにて総括質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。よって、三案の質疑は終局いたしたものと認めます。
○委員長(八木一郎君) これより討論に入ります。 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。小野明君。
○小野明君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十一年度予算三案に対し、反対の意思を表明いたします。 三木内閣は、列島改造と狂乱物価の田中内閣の後を受けて登場し、発足以来、インフレと不況の克服、社会的不公正の是正を経済政策の重要な公約としてまいりました。しかるに、今日の状況を見ると、狂乱物価は全治三カ年と言っていたにもかかわらず、消費者物価の水準はいまだ年度平均で前年度比で八%であり、定期預金の金利を上回る高さにあります。景気は最悪期は脱出したとはいえ、中小企業の倒産や完全失業者の数は依然として過去に例を見ない高い水準を示し、社会的不公正は是正されるどころか、かえって拡大をしております。これは三木内閣が賃金と物価の抑制に偏した経済運営を行い、景気政策転換のタイミングを誤った結果であることは、すでに天下周知の事実であり、今日の不況は、まさに三木内閣が景気政策を誤ったことによる政策不況であることは明白であります。 財政もまた、五十年度に続き五十一年度も七兆円を超える巨額の赤字を出し、その半分以上は赤字公債によって賄わざるを得ない状況にあります。このような事態は、戦後歴代内閣にいまだかつて例を見ないことであり、われわれは、国民とともに三木内閣の経済・財政政策の失敗の責任を追及せざるを得ません。 日本経済の現状は、インフレと不況の併存するスタグフレーションの状態にあり、財政も企業も家計もすべて赤字で、国民は将来の生活設計さえ立てられない状況であります。このような状態から国民生活を守るためには、これまでの大企業や高所得者中心の高度成長政策をやめ、雇用不安もインフレもない、真に安定した生活中心の経済政策への転換が必要であります。しかるに、五十一年度予算を見ますときに、その内容には、経済政策転換への姿勢が全くあらわれていないのみならず、かえって経済政策失敗の結果を国民負担の増加という形で国民に転嫁しており、われわれのとうてい賛成できるものではありません。 以下、主なる点についてその理由を申し述べます。 その第一は、景気対策についてであります。 戦後最大の不況の中で国民が一番望んでいるものは、速やかな不況からの脱出であり、景気の回復でありましょう。しかるに、景気の現状を見ると、ようやく最悪期は脱出したとはいうものの、その回復力はきわめて微弱であります。しかるに、五十一年度予算の景気対策を見ると、大規模プロジェクトを中心とする公共投資と輸銀を中心とする輸出振興対策だけであります。公共事業費は二年間も伸び率ゼロであり、雇用対策や社会資本整備の立ちおくれから考えても、ある程度の増額は必要であります。しかし、今後の経済政策は、再び高度成長への復帰は許されないとするならば、公共事業費の内容は、当然住宅や生活環境の整備を中心とした生活関連事業が中心でなければならないのに、五十一年度の公共投資は、依然として道路や新幹線等の大規模プロジェクトが中心であります。これでは田中内閣時代の列島改造論の再来と言われるのも当然であります。 不況の原因が個人消費の停滞にある以上、当然低所得者を中心とした所得税の減税こそ必要であり、国民多数の声でもあります。にもかかわらず、これも行わず、公共料金や社会保険の保険料を軒並み値上げし、しかも、公共事業は地方財政の窮迫で進捗率が落ちているとすれば、政府の言う財政主導による景気対策とは一体何であるのかと問わざるを得ません。 その第二は、公共料金の値上げについてであります。 インフレと不況の併存するスタグフレーションのもとにおいては、景気対策は物価に悪影響を与えるようなものであってはならないことは言うまでもございません。しかるに、五十一年度予算の内容を見ると、国鉄、電電、住宅の家賃、授業料等公共料金は軒並み値上げが織り込まれており、地方財政関係の手数料、使用料の値上げまで含めれば、公共料金はほとんどすべてが値上げであります。 政府の公共料金値上げに対する基本的な考え方は、石油値上げに伴う価格体系の是正ということであるが、このような考え方は、製品価格の値上げによって不況を脱出しようと考えている企業の値上げ機運を促進することは明らかであります。これでは物価に対する配慮を全く忘れた予算と言わなければなりません。欧米諸国の経済運営はすでにインフレ対策に移っているとさえ言われているのに、このような公共料金の大幅値上げを予算に織り込んだことはきわめて遺憾であり、五十一年度予算は物価に対する配慮を全く欠いた予算と言わなければなりません。 その第三は、福祉政策についてであります。 経済政策の最終目標は国民福祉の確保であり、福祉政策を財政事情により後退させるようなことはあってはならないことは言うまでもありません。しかるに、五十一年度予算を見ると、社会保障費の伸び率が最近四年間の最低となっており、その内容も、福祉年金の引き上げが二万円という公約が一万三千五百円にとどまったのを初め、生活保護費等社会福祉関係の諸手当の引き上げ率は平均一二・五%にとどまり、物価上昇率を考えれば、その改善率はわずかに三%にも満たない金額であります。しかも、公共事業費は生活関連事業の比率がほとんど高まっていないとすれば、福祉政策は大幅な後退と言わざるを得ません。その上、保険料は値上げされ、所得税は名目所得の増加に伴う物価調整減税すら行われていないとすれば、高福祉高負担どころか、低福祉高負担以外の何物でもありません。 その第四は、地方財政についてであります。 地方財政の現状は、不況に伴う税収の減少と義務的経費の増加によって深刻な状態にあり、景気対策や福祉政策にも支障を来たしかねない状況にあります。しかるに、五十一年度予算の地方財政対策を見ますと、政府の財源措置はわずかに二兆六千億円であり、その大部分は運用部資金からの借入金と地方債の増発であります。また、交付税については、三二%の交付税率は、国債の大量発行時代のもとではもはや全く存在理由はなくなっているのにそのままに据え置かれ、地方団体が常に問題にしている超過負担は、自治体側の発表によれば四十九年度だけでも六千億円を超すと言われているのに、五十一年度予算の解消措置はわずかに六百四十二億円であります。 国家財政が大幅な赤字のもとでは地方財政も当然耐乏は必要としても、税収の減少は政府の景気政策の失敗によるものであり、補てん措置の内容も大部分が自治体の借金で賄わなければならないとすれば、経済政策失敗の責任を二重に地方に転嫁するものであり、地方財政対策はきわめて不適切、不十分と言わざるを得ません。 その第五は、財政赤字の補てん対策と公債政策についてであります。 五十一年度予算の歳入は、租税収入の二兆円の減収と歳出需要の確保のため七兆二千七百五十億円の公債が計上されており、そのうち半分以上は赤字公債である特例公債であります。公債依存率は二九・九%であり、戦時中を除いては全く例のない高さであり、先進国中最高であります。公債政策はすでに限界であります。 公債政策は、経済政策における政策手段の一つであることはわれわれも十分承知しております。したがいまして、何でもかんでも反対しているものでないことは言うまでもありません。しかし、一たび運用を誤るならば、財政インフレを通じてインフレの促進要因になることは、戦前の例を引くまでもなく明らかであります。しかも、赤字公債が毎年発行され、市中消化された公債は一年後には日銀に買いオペで買い上げられるとすれば、建設公債と市中消化という政府の言う公債の歯どめはすでにないも同然であります。今年度の公共債の発行額は、国債、地方債を合わせれば十四兆三千六十億円の巨額であり、これが景気回復に伴う民間の資金需要と競合すれば、新たな景気過熱の要因となりかねないことは火を見るよりも明らかなことであります。公社債市場の整備も行われず、公債管理政策の用意もなく、単なる財政赤字の補てん策として発行される政府の公債政策は、財政政策としてきわめて危険と言わざるを得ません。 真に国民のサイドに立って財政赤字の補てん策を考えるならば、不公平税制を改革して、富と所得の再配分をこそ考えなければならないのに、不公平税制は、わずかに法人関係の特別措置を廃止して百五十億円を増徴しただけであります。しかも、企業には臨特税を廃止しながら、配当課税や医師の不公平税制すら直せないとすれば、一体、三木内閣の公約である社会的不公平是正はどうなっているのかと疑わざるを得ません。 このほか、私学助成策、農林漁業、中小企業予算もきわめて不十分であります。 以上、要するに、五十一年度予算には経済政策転換への姿勢は全くあらわれておらず、その内容も、政策失敗の結果を国民大衆に転嫁する形で予算が組まれており、われわれのとうてい賛成できるものではありません。 以上の理由により、われわれは五十一年度予算に反対をいたします。 最後に、ロッキード事件と三木内閣の政治姿勢について一言いたします。 三木内閣の政治姿勢の基本は、金権政治を打破し、清潔政治を打ち立てることにありましたことは、改めて指摘するまでもないことであります。しかるに、今日の状況を見ると、田中金脈問題さえはっきりした決着がついていないのに、いままたロッキード事件という一大疑獄事件を起こしておりますことは、きわめて遺憾であります。今日の政治不信のもとは、ロッキード問題に対する疑惑が解明されないことにあることは明白であり、国会が米国に対し資料要請の決議をしたのも、ロッキード問題の真相究明を望む国民の声にこたえようとしたものであります。 しかるに、政府与党のこの問題に対する態度を見ておりますと、総理自身が公開を約束していたにもかかわらず、米国から提供される資料はすべて非公開とする協定を結び、公開について米国に再交渉を要求するわれわれの主張を拒否して、長期にわたる国会審議の空白を招き、四十日間の暫定予算の編成を余儀なくされたのみならず、国会審議の最重要案件である本予算を、実質上の単独審議にもひとしい自民、民社の二党による強行採決により衆議院を可決させて本院に送付したことは、対話と協調を旨とする三木内閣の政治理念とは全く相反する行為であり、まさに憲政史上例を見ない暴挙と言わなければなりません。したがいまして、本院の予算審議の空白も、その責任は挙げて政府・与党の態度にあることは明白であります。 国会は正常化されたと言いましても、ロッキード事件の真相を究明し、政治不信のもとを正そうというわれわれの考え方は、いささかも変わっておりません。しかるに、本委員会における政府側の答弁は、終始一貫して検察当局のみに事件真相の使命を課し、国会では政治的、道義的責任を追及すると言いながらも何らその具体案は示さず、刑事訴訟法四十七条ただし書き、また議院証言法を用いても、なおかつ国会の議決よりは司法権の捜査上の守秘義務が優位するといったような態度は、ロッキード事件の真相究明を望む国民の声を無視するものであり、きわめて遺憾であります。このような政府の態度は、去る四十九年の本委員会における、政府は国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう最大限の協力をすべきものとの統一見解に沿わないのみならず、今回の国会正常化の条件である、国政調査権の行使に当たっては刑事訴訟法の立法趣旨を踏まえ最善の協力を行うものとするとの議長裁定第四項の趣旨にも反する行為と言わざるを得ません。 われわれは、本件に関し、本院における質問趣意書に続き、第二次の質問趣意書の提出を準備中でありますが、これに対するさらに明確な答弁を要求するとともに、今後国政調査権に基づいて、不起訴になった場合の政府高官名の公表及び関係資料の提出を要求した場合、速やかに国会に提出することを要求いたします。したがって、もし三木内閣がこの要求にこたえられないときは、もはや政権担当能力を失った内閣と断定せざるを得ません。このときには、当面の生活関連法案を処理した後、総辞職を行うか、もしそれができないとすれば、衆議院を解散して信を国民に問うべきことを要求して、反対討論といたします。(拍手)
○委員長(八木一郎君) 高田浩運君。
○高田浩運君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度一般会計予算外二件に対し、賛成の討論を行うものであります。 今日のわが国経済は、石油危機に端を発した世界的な経済変動といわゆる減速経済への移行という歴史的な転換の渦中にあります。政権を担当するわが党に課せられた使命は、この世界的なスタグフレーションを背景とする現下の不況と雇用不安を速やかに克服すること、また、不況による国及び地方の空前の財政危機を乗り切り、そして安定した経済の成長発展を軌道に乗せ、民生の充実向上へ前進することにあると思います。 石油危機以来、わが国経済はインフレ、国際収支の悪化、不況という異常な経験をしたのでありますが、わが党政府の懸命の努力と施策よろしきを得て、消費者物価は五十年度末、対前年同月比上昇率八・八%と見事に一けた台におさめ、公約を達成するとともに、一方、国際収支は、ことし三月の貿易収支は最高の黒字を示し、昨年度の国際収支の赤はその前年度に比し一挙に半減するほど大幅に改善されております。不況の克服につきましては、これまで四次にわたり景気対策として、財政支出の増大や金利の引き下げ、金融の緩和等を実施してきたところでありまして、経済は最近ようやく回復基調に転じております。 五十一年度の財政は、この景気の回復を着実に促進するため、財政主導型の景気浮揚策を積極的に推進して、国民生活と経済の安定及び国民福祉の充実に対処せんとするものであり、政府の財政政策を評価するものであります。 以下、五十一年度予算について若干所見を述べてみたいと存じます。 第一は、予算の規模及び景気浮揚対策についてであります。 まず、一般会計の規模は二十四兆二千九百六十億円、財政投融資計画の規模は十兆六千百九十億円、ともに前年度に比べ一四・一%の増、これは経済見通しによる中央、地方を通ずる政府の財貨サービス購入の伸び率一三・三%及び国民総生産の伸び率一三%を上回るものでありまして、経済動向に即した景気浮揚が期待できる積極的予算であります。 また、予算の編成につきましても、その重点を需要創出効果や雇用吸収効果の大きい部門、その他景気の回復に密接に関連する部門に置いている点に大きな特色があり、努力の跡がうかがえます。これを公共事業費について見ると、四十九年度、五十年度と伸び率ゼロであったものが、五十一年度は一般会計予算の伸び率を大きく上回る二一・二%としており、これに公共事業等予備費を加えると三兆六千八百億円、実質伸び率は二六・四%になっております。 財政投融資計画においても、景気の回復に直接結びつく住宅、道路、中小企業金融、輸出入金融の各部門の資金量が大幅に充実されており、このような予算と財政投融資の重点配分は、住宅、生活環境施設のほか、治山治水等の国土保全施設、農業基盤の整備、貿易の振興、中小企業の安定等を一層促進することができると同時に、景気の回復という現下の国民的課題にこたえるものであります。 第二は、公債発行についてであります。 発行総額は七兆二千七百五十億円、うち三兆五千二百五十億円は財政法第四条に基づく建設公債により、三兆七千五百億円は特例公債により賄うこととなっております。財政の健全性の確保という点からすれば、公債発行は極力抑制すべきことは論をまたないところでありますが、今日の財政事情のもとで、国民の要求する各般の行政需要に応じ、景気の回復を図らなければならない財政の役割りから、万やむを得ないと言わなければなりません。 今日の日本の経済が、国民総生産百七十兆円、預貯金総額百九十兆円という巨大さを考量すれば、この程度の公債発行が直ちにインフレにつながるとは思われません。しかし、公債の増発は公債費の増高をもたらし、財政を硬直化させるおそれがありますので、政府においては将来の堅実な財政見通しを的確に踏まえ、節度ある規模にとどめるとともに、速やかに特例公債に依存しなくても済む健全な財政に立ち直らせるよう、異常な努力と決意を要請したいのであります。また、公債発行に当たっては、市中消化の原則を堅持するはもちろん、その円滑な消化のため発行条件等に一層の検討を願いたいのであります。なお、今後、景気が順調に回復し、需給ギャップが縮小し、税収が回復するようになれば、公債発行の減額には勇断をもって対処していただきたいのであります。 第三は、地方財政対策であります。 五十一年度地方財政対策として、道路目的財源を主として平年度約三千億円の新規財源が付与されるほか、特にこの財政危機打開のため、地方交付税特別会計に対し政府資金一兆三千百四十一億円の貸し付け、また一兆四千二百億円の地方債を政府資金で引き受け、さらに、一兆二千五百億円の地方債に対し国が元利の一部を補給することになっております。これは苦しい国家財政の中にあって、地方自治と住民福祉に直結する地方行政の適正な運営が図られるよう、その財政的基盤の確立を国の責任と協力において図ろうとするもので、政府の英断を評価するものであります。 地方公共団体においては、国のこのような配慮を理解の上、努めて一般行政経費の抑制と財源の重点的かつ効率的な配分を行い、節度ある財政運営を行われるよう強く要請いたしたいのであります。 第四は、社会保障の充実についてであります。 社会保障制度は、これまでのわが党政府の絶えざる努力により、制度的に著しく改善、充実を見てまいりました。生活環境、保健医療、所得保障、社会福祉、雇用の安定というような社会保障施策は、景気のよし悪しを問わず、いかなる場合でもきわめて重要な政策課題であります。そうして大切なことは、高度成長による税の自然増収になれ過ぎた、ばらまき福祉とか見直しとか言われるような安易な政策態度ではなくして、現在及び将来、特に老齢人口急増の今後の事態を考量し、自助と連帯の精神の上に立って、国民の適切なる負担と、長期にわたる社会保障給付の安定的確保と向上を図ることこそ最も意を用いなければならない重要なポイントであります。 五十一年度社会保障予算は、このような視点を慎重に考慮し、厳しい財政事情のもとにおいて十分な配慮をなされたものであります。すなわち、前年度比二二・四%増の約四兆八千億、一般会計の伸び率をはるかに超え、総予算の中に占める割合も一九・八%に達しております。 その内容は、生活保護基準の引き上げを初めとして、各種年金の改善、身体障害者対策、社会福祉施設の整備拡充、雇用、失業対策などきめ細かい配慮がうかがえるのでありまして、社会保障重視の姿勢はこれを高く評価するものであります。 そのほか、本年度予算は、文教及び科学技術の振興、中小企業対策、農林漁業の振興など、各般の施策に、限りある財源を有効適切に配分されておりますほか、一般行政経費及び機構、定員の抑制、補助金の合理化、適正化など財政の改善合理化が行われており、編成内容は時宜に適したものであります。 最後に、ロッキード事件で国会が長期にわたり空転し、このために、政策経費を含まない四十日間の暫定予算を組まざるを得なくなり、今日の緊急課題である不況の克服と雇用の安定という国民的願望にこたえることを遅延させる結果となったことは、まことに遺憾千万であります。いわゆるロッキード事件について真相の徹底究明が行わるべきことは言うまでもありません。しかし、今日の政治が担っている責務は広範多岐であります。仮にもロッキード問題に籍口して他を怠ることありとせば、それは国民に対する政治の責務をないがしろにするものと言わなければなりません。 経済の回復、そして国民の生活安定、さらには国の安全と防衛、いずれも一日もゆるがせにすることを許さないものであります。その主柱とも言うべき五十一年度予算の使命はまことに重いものであり、その早急な成立が待たれていたものであります。そしてまた、成立の暁にはその早急なる執行が要請されるところであり、今後政府においてはこれにこたえるよう格段の努力をされるよう望むものであります。それとともに、この予算と表裏一体の関係にある諸法案、特に、公債特例法案及び地方交付税等改正案は、公債の年度間を通ずる円滑なる消化及び地方公共団体の借入金の利子負担の現状等から、その早期成立がきわめて重要であることを付言いたしまして、昭和五十一年度予算三案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
○委員長(八木一郎君) 太田淳夫君。
○太田淳夫君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度予算三案に対して反対の討論を行うものであります。 最初に、三木内閣の政治姿勢について申し上げます。 三木内閣は、金権体質の改善を公約として高く掲げて登場いたしました。そして、今国会で国民の最大の焦点となったロッキード事件の真相解明こそその公約を国民に実証することのできる重要課題であったのであります。 しかるに、三木内閣は、その解明に対し、後退かつ消極的態度に終始し、国会決議を無視し、議長裁定に対しても非協力的な姿勢をとろうとしております。かかる国会軽視、国民不在の政治姿勢には強く反省を求めるものであります。速やかに国会に資料を提出し、灰色高官名を国民の前に公表することを約束し、政治的、道義的にも、その責任を明白にしてこそ、登場時の公約を果たすものと言えるのであります。 次に、昭和五十一年度予算案について申し上げます。 この予算案は、一言でいえば大企業救済、国民生活切り捨て予算であるとしか言えません。このことは、巨額な借金で産業基盤造成の大型公共投資を拡大し、大企業本位の景気対策を推進する一方で、物価調整減税すら見送り、実質増税をもくろみ、その上に、国鉄運賃、電報電話料金等公共料金の大幅値上げを強行しようとしていることでも明白であります。しかも、厚生年金や国民年金の保険料を引き上げ、医療保険の初診料や入院費の引き上げもしようとしております。これでは国民の犠牲の上に経済危機を乗り切ろうとしているとしか言えません。五十一年度予算に課せられました不況克服、インフレ再燃防止、雇用の安定、国民福祉の向上等多くの課題に何らこたえていないのであります。 ここで強く指摘しなければならないのは、政府案は、わが国経済が迫られている低成長時代への移行という至上課題に対応しようとする決意も見られなければ、その展望もないということです。端的に言えば、このことは高度経済成長時代に築かれた制度や慣行の改革に手をつけていないことも明らかであります。すなわち、景気回復策としては、高度経済成長期と同じパターンの大型公共投資に大盤振る舞いするだけで、個人消費を喚起する低所得者に対する所得税減税や公共住宅の大量建設等の生活関連公共投資の拡大という発想が打ち出されていないのであります。 また、財源不足に対しては、歳出の見直しとか不公平税制の徹底した洗い直しによって歳入を確保すべきでありますが、巨額な赤字国債発行を優先することは、自然増収を国債発行に置きかえたにすぎないのであります。 また、低成長時代に移行するとなれば、当然、社会保障制度の将来像を示すべきであるにもかかわらず、それもしない。逆に、財政難を理由に福祉関係予算を後退させてしまっておるのであります。 わが国経済の現実は、依然として、厳しいものがあります。景気の動向はいまだ不安定であるし、雇用情勢や中小企業倒産も楽観を許しません。さらに、インフレ再燃の危険すらあります。いまこそ現実の厳しい経済情勢の克服はもちろんのこと、このような中で打撃をこうむっている老人、身障者等の生活を守ると同時に、インフレの再燃を防ぎながら、安定成長の軌道に、わが国経済を導かなければなりません。 その意味で、五十一年度予算はその第一歩を踏み出すべきであるにもかかわらず、政府予算案はこの展望を全く欠いています。このままでは経済運営の失敗を招き、今日の困難な局面をさらに泥沼に陥らせることは必至であります。 以上の点から予算三案に強く反対し、討論を終わるものであります。(拍手)
○委員長(八木一郎君) 岩間正男君。
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の予算三案に反対の討論を行います。 私はまず、この予算案の審議が本院では実質わずか九日間しか行われないまま、ただいま採決に先立つ討論を行わざるを得ないという異常な事態について一言しないわけにはまいりません。 参議院の権威を傷つけ、議会制民主主義を踏みにじるこのような事態を生み出した政府・自民党の責任は重大であります。ロッキード事件の真相の迅速かつ徹底した究明を求めた国会決議をじゅうりんして、資料の公開と国会での徹底究明を妨げたこと、さらにはロッキード事件の真相究明と予算審議を両立させて国会の正常化を図ろうとするわが党などの努力を、民社党との密約に基づいてぶちこわしたのであります。その結果として長期にわたる審議の中断を招来した責任は、挙げて政府・自民党並びにこれに協力した民社党にあることは明白であります。 しかも、政府は本予算委員会での厳しい追及にもかかわらず、依然として真相究明を阻もうとしております。言語同断と言わなければなりません。 さて、私が本予算案に反対する理由の第一は、今日、インフレと不況の同時進行、生活環境の悪化など高度成長政策の害悪が明々白々となっているにもかかわらず、本予算案が依然として大企業本位、高度成長型の仕組みを骨格としていることであります。 特に、政府は不況対策の口実で、高速道路、新幹線、本四架橋などの大型プロジェクト中心の公共事業費を大幅に増額させ、さらには大企業のプラント輸出促進のために日本輸出入銀行の輸出融資枠を八一%も広げるなど、大企業本位の需要喚起策を最大の重点としております。これこそ、再開された財界の自民党への政治献金と相まって、今年度予算が、ロッキード事件など構造的汚職の重要な根源である金権政治に貫かれたものであることを端的に物語るものにほかなりません。 反対の第二の理由は、このような大企業べったりの予算のために、赤字公債の事実上の恒常的発行、公共事業等予備費など財政法の基本を踏みにじる不法、不当をあえてしていることであります。 特に、昨年に引き続く赤字国債の発行は、大蔵省の財政収支試算によれば、五十三年、四年度までその発行を予定し、累積する公債の利払いなどのための大増税を予定していることにも明らかなように、とめどもない財政破綻、インフレと重税への道に直結するものであり、断じて認めることはできません。 反対の第三の理由は、その反面で国民に対しては国鉄運賃、電報電話料金、消費者米価、その他の公共料金や社会保険料、初診時、入院時の患者負担の大幅引き上げを押しつけるなど大収奪を加えるものとなっていることであります。 また、わが党が質問の中で明らかにしたように、社会保障や生活関連施設整備は将来にわたってまで極度に圧縮され、また中小企業、農漁業は切り捨て同然となり、また地方財政には一層の破綻を押しつける結果となっています。 反対の第四の理由は、この予算案が、財政危機の中で一兆五千億円もの軍事費を組み、対米従属の自衛隊の強化を図っているほか、わが党が明らかにしたように、アメリカの悪名高いCIAとつながる自衛隊のスパイ活動組織を保障するなど、対米従属、軍国主義復活を進めるものであることであります。 本予算案の以上のような内容が、ロッキード疑獄を生んだ自民党の金権、売国、戦犯政治と根を同じうしていることは明白であります。 私は、物価の安定と国民生活の防衛を最優先し、日本経済の民主的改革を図る予算を組むべきであることを重ねて強く要求いたします。 最後に、民社党の要求による資料提出の問題について一言触れます。 春日一幸氏、参議院では藤井恒男氏など民社党の諸君が共産党のスパイ調査問題に関する資料の提出を要求したのに対し、本日、当委員会ではわが党などの反対を押し切って提出を採決いたしました。そもそもこの資料要求は、すでに歴史的にも法的にも決着のついている本問題について、不当な言いがかりをつけ、三権分立と基本的人権の保障を定めた憲法の原則に反し、国会において過去の判決の当否とそれにかかわる問題について審議する目的で出してきたものであり、明白な憲法違反であり、絶対に容認することができないものであります。 以上のことを強調して、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
○委員長(八木一郎君) 木島則夫君。
○木島則夫君 私は、民社党を代表して、ただいま議題の昭和五十一年度一般会計を初めとする予算三案に対し、一括して反対の討論を行うものであります。 第一の反対理由は、累積する膨大な赤字国債を抱え、減速経済の時代をどう乗り切るかという、財政計画の基礎づくりを怠った点であります。 つまり、本予算案は、ただ目先の歳入欠陥をいかに覆いつくろうかに終始してしまった感じです。膨大な赤字国債の発行を必要としながらも、行財政の合理化に対する熱意は一向に見られない点です。また、税制改正を見ますと、ついに所得税の減税は見送られてしまいました。これがため勤労者の所得税は、今年度収入がふえますと、必然的に大幅増税になります。たとえば夫婦と子供二人の標準世帯で見ますと、五十年の年収が三百万円の場合、所得税は十三万五十円でありますが、ことし一〇%の賃上げがあった場合には十六万五千六百五十円にはね上がり、実に三万五千五百円の増税になるわけであります。 このような大幅増税は、消費者物価の上昇率と相まって、庶民の生活は非常に苦しいものになるでありましょう。このほかにも、税の不公平是正並びに高額所得者の税の強化については全く微温的な対策に終わり、逆に自動車関係の税は大幅に引き上げられ、かえって税負担の不公平を増しております。私がこの予算案に反対する最大の理由はここにあります。 第二の反対理由は、公共料金の軒並み大幅値上げについての疑問です。 つまり、国鉄運賃五〇%、電話基本料金、電報、通常各二倍、そのほか国立大学授業料、健保初診料などの値上げが、果たして物価対策の見地から考えまして妥当な措置であったでありましょうか。私どもは、かねがね公共料金の値上げについてはすべて長期にわたってこれを凍結しなさいとは言っておりません。本当に値上げすべきものについては最少限これを行うとしても、そのための条件として、一般物価が安定し、経営の合理化、近代化が徹底して行われ、正常な労使関係が確定し、サービスの向上が図られるなどが満たされることが必要なのであります。この観点からしますと、国鉄の現状は全くこういった条件を満たしておりませんし、ただ運賃値上げだけで赤字解消を図ろうとする安易な姿勢を許すわけにはまいりません。 政府は、こういった公共料金の値上げを織り込んでも、五十一年度の物価上昇率は八%程度に抑制できるとしておりますけれど、むしろ、公共料金を抑え、その上さらに独禁法の改正等の手だてを講じなければ、このような結果は生まれてこないと思います。政府においてもこのような厳しさを知るべきでございましょう。 最後に反対すべき理由でありますが、社会保障関係予算について二二・四%伸び、総額四兆八千七十八億円に達しておりますが、この伸び率はここ数年で最も低く、その特徴は福祉の後退と国民負担の増大を意図したものであります。政府は、昭和四十八年を福祉元年として、遅まきながらも漸次社会保障の給付内容の強化を目指し、関係予算を伸ばしてまいりました。特に五十一年度は、社会的不公平の是正及び個人消費の拡大による不況の克服という観点からも、社会保障の充実強化が絶対に必要でありました。しかるに、今回、関係予算の伸び率を二二・四%に抑え、福祉の後退を前面に打ち出した点であります。 その典型的な例としましては、老人医療の無料化を有料化する、また児童手当制度についても、五十一年度は手当額の引き上げを行わず、さらに五十二年度にはこの制度自体を廃止しようとしております。このほかにも、大事な問題は、老齢福祉年金の引き上げについて、財政難を理由にその引き上げ幅を千五百円にとどめてしまいました。こうした政府の姿勢はまさに社会的不公平是正を放棄した態度にほかなりません。また、健保の一部負担金、年金保険料の大幅引き上げなど国民負担の増大を意図しておりまして、こういった国民生活軽視の姿勢は断じて認めることはできないのであります。 以上がこの予算案に対する私の主要な反対理由であります。(拍手)
○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、討論は終局したものと認めます。 これより採決を行います。 昭和五十一年度一般会計予算、昭和五十一年度特別会計予算、昭和五十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して問題に供します。三案に賛成の方の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(八木一郎君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条により、委員長は原案どおり可決すべきものと決定いたします。(拍手) なお、参議院規則第七十二条により議長に提出すべき審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時四十分散会