P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
77回国会参議院1976/04/30

予算委員会 第7号

発言数
245
登壇者
33
会派数
3
開催日
1976/04/30

会議録

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十一年度一般会計予算  昭和五十一年度特別会計予算  昭和五十一年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。藤井恒男君君。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 民社党の藤井恒男でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  質問に入る前に、二十七日の共産党の上田耕一郎君の質問の中で、わが党に関する問題で国民に疑惑を抱かしめかねない個所があったので、この際、その事実を鮮明にしておきたいと思います。  その一つは、いわゆる中曽根幹事長のテレホンサービスにかかわる問題です。中曽根幹事長は、わが党の厳重な抗議によって、テレホンサービスの内容が全く誤りであったことを認め、これを全面的に取り消し、陳謝しておるところですが、事の真相をより明確にするため、この経緯をこの際改めて申し述べたいと思います。  四月一日、わが党は幹部会を開催し、以下の当面の方針を決定しました。   一、国民経済の現状と国会の責務にかんがみ、五十一年度予算案の審議を速やかに再開し、国会の正常化を図るべきである。   二、ロッキード事件については、この際、特別委員会を設置し、予算審議と並行して徹底的に真相究明を行うべきである。   三、ロッキード事件に関する院の決議を尊重し、国政調査権を有効に機能させるための措置について、政府の保障を求める。  この決定を得るために私どもが討議したポイントは、一、一カ月余に及ぶ国会空転、予算審議の停滞によって雇用不安はますます増大し、経済不況は深刻の度を深めている。これ以上国民に犠牲を強いることは許されない。かつ、事実上第五次不況対策の機能を持つ五十一年度予算は、国会をおいて審議の場はほかにない。二、ロッキード問題はすでに司法当局によって捜査が進行している。この上は、政府高官の政治的、道義的側面の責任を追及するために、国政調査権を有効に機能さす道について政府の保障を求めることとする。以上の二点でありました。  私どもは、決定を見たわが党の当面の方針を内外に発表したところ、自民党から、わが党を含む野党各党に幹事長・書記長会談の呼びかけがありました。  四月二日、これを受けて野党国対委員長会談が開催され、自民党の呼びかけに応ずべきか否かを論議しました。わが党は、暫定予算の切れる四月十日を目前にして、現状においてこの自民党の求める会談には応ずべきであると主張したのであります。しかし、他の野党から、四月五日まで待ってもらえば会談に応ずることができる旨の発言があり、わが党の主張を保留して四月五日まで待つことにいたしました。  四月五日、五党による幹事長・書記長会談が開催されましたが、これは各党の意見調整調わずして決裂いたしました。その後自民党からの個別会談に応じ、自民、民社との間による幹事長・書記長会談を持った結果、そこでロッキード事件の真相の全面的究明に関する御承知の五項目の合意が取り決められたのであります。  わが党は、以上の経過を踏まえ、自民党に対し、他の三野党との間にもそれぞれこの合意に基づいて交渉を重ねるべきである旨の申し入れを行いました。  四月六日、わが党は、なお他の三野党に対して本件の協議に応ぜられたい旨の連絡を行い、かつ、一方自民党においても、社、共、公三党に対してその趣旨の呼びかけがなされましたが、遺憾ながらそれはいずれも不調に終わりました。  四月七日、この事態を踏まえて、わが党はやむなく決断して、民社、自民両党のみによる予算審議に臨んだ次第であります。  右の経過で明らかなごとく、一、三月中に自民、民社で話し合いをしたことは一切ない。二、民社党は、再度にわたり他の三野党の参加を求めるため十分の配慮を行っており、決して独走を指向したものでないことを、この際明確にしておきたいと思います。  以上の点に関して、私は、中曽根幹事長の誤ったテレホンサービスに関して要らざる疑惑を生じた経緯にかんがみまして、貴重な質問時間を割いて、ここに日を追って事実を詳報した次第であります。  三木さん、あなたは自民党の総裁でございます。一方の当事者として、この問題に関する明確な所信を表明していただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 予算審議に関する民社党の立場は、いま藤井君が言われたとおりにわれわれも承知いたしておるわけでございます。また事実、言われたばかりでなしに、そういうふうに行動をされたわけでございます。中曽根幹事長のテレホンサービスの問題は、本人自身が、事実に相違しておるということで全面的に取り消して遺憾の意を表しておるところでございまして、事実に相違するものでございます。このために民社党に対していろいろ御迷惑をかけたことは、まことに遺憾に思う次第でございます。  民社党の立場は、一自民党を助けるというのではなくして、藤井君の御指摘のように、なかなか暫定予算も通らないで、また暫定の補正を組まなければならぬということになりましたら、藤井君の御指摘のように、第五次不況対策の意味を持つ今年度の予算が、そういう細切れに終始いたしますならば、これは新規の公共事業も手につかぬわけでありますから、国民がこれほど望んでおる景気の回復、雇用の安定ということに大きな障害を来すことは、これはもうだれが見ても明らかでございます。ことに、ロッキード問題と予算審議というものは両立ができるわけですから、一方においてはロッキード問題を審議しながら予算の審議ができるわけで、それを絡ませてはいけないという、国家、国民の立場に立って民社党があれだけの決意をされたわけでございまして、われわれもその公党としての態度には深く敬意を表した次第でございまして、そういうふうに民社の態度というものは終始一貫をされておったものでございまして、この点は国民の皆さんにも誤解のないように望んでおきたいと思う次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 第二の問題は、日本共産党のリンチ事件についてであります。  さきの上田君の質問によれば、衆議院における春日委員長の本会議におけるリンチ共産党事件の真相究明を求める発言は、一、国会が司法権を侵すものであるとか、二、戦前の治安維持法を肯定するものであるとか、そのように非難した内容のものでありました。もとより私ども民社党は、三権分立の憲法体制のもと、国会といえども司法権への介入はあってはならないものと心得ております。また、戦前の治安維持法は悪法であり、現在の社会情勢において、かつは現行憲法のもとにおいては、このような立法は許されないものと確信しております。  そこで、リンチ共産党事件をめぐってさまざまに論争が展開されておりますが、その問題の中心は次の三点に集約されると思います。すなわち、その第一点は、あのようなリンチ事件なるものは実在したのか、または実在しなかったのか。その第二は、宮本顕治、袴田里見両氏の出獄は、いかなる法律、命令に基づくものか。その第三は、昭和二十一年五月、宮本、袴田両氏に対する復権はいかなる事情によるものか、この三点であります。  まず、その第一の問題点についてでありますが、本件について、宮本氏らに対する確定判決は、そのようなリンチが行われたものとして断罪し、これに対し共産党は、この事件は当時の特高警察のでっち上げた不実のものであり、その判決は当時の天皇制裁判によるでたらめ判決であると言い張っております。いずれにしても、真実は断じて一つのものでしかあり得ません。裁判記録にあるものが真実ならば、日本共産党の抗弁はうそであり、日本共産党の主張が真実ならば、あの判決は宮本氏らに無実の罪を科したことになりましょう。まさにこのような疑惑こそは、これは司法、立法、行政を通じ、わが国政の権威のために断じてこのままあいまいにして看過することを許されるものではありません。このゆえに、わが党は、その真相を究明するには、宮本氏らが法に基づき最高裁に向かって再審の申し立てを行うか、それを行わないとするならば、国権の最高の機関たる国会がその事実関係を正確に調査することは国会に課せられた崇高な使命であると考え、よって、春日委員長があの質問を行っているものであります。  すなわち、わが党は、あの確定判決の可否を論じようとするものではなく、ただ、あのリンチ事件が行われたか行われなかったか、その事実関係を究明しようとするものでありまして、あの判決は天皇制裁判によるでたらめ判決であると抗弁している共産党こそが、上田君の言う確定判決批判の行為を行っているものであると、ここに明らかにいたしておきたいと存じます。  なお、本件は、問題の重要性にかんがみ、本院においてもその真相を明らかにされねばならぬと考えますので、私はこの際、衆議院において春日委員長が本会議において、塚本書記長、小平議員、小沢議員が予算委員会において政府に求めた資料は、同様に本院においても提出されたいと存じます。  本日は時間の関係上、この事件の重要な疑問点である第二、第三の事項については、今後それらの資料のもとにおいて、適当な機会にさらにその真相を究明することといたしまして、私はこの点でとどめておきたいと思います。  そこで、稻葉法務大臣、あなたにお伺いしますが、いま申し上げました資料要求に関する問題、そして現在資料を整えつつある概況並びに、いま私が申し上げました——いや、本件に関しては民社党としての基本姿勢において私はその見解を表明したものでありますので、法務大臣としての所信を明確にお答えいただきたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 関連。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 答弁後にお願いできませんか。

向井長年民社党

○向井長年君 答弁の前に関連があるんです。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 向井君。関連発言を許します。

向井長年民社党

○向井長年君 ただいまわが党の藤井君が質問いたしましたが、先日、共産党の上田議員の質問の中での三木総理並びに法制局長官の答弁は国民に疑惑を招くおそれが私はあると思います。言うならば、この問題につきまして、特に上田議員が旧憲法並びに戦前の治安維持法、そして現憲法等を提起いたしまして政府の答弁を求めたと思います。こういう中で、特に共産党の上田君が、わが党の春日委員長なり塚本書記長の名を挙げての質問になっておりますが、あたかもわが民社党の委員長なり書記長が、法制局長官の答弁にあったように、裁判の内容、判決、これに対して何らか介入しているような疑惑を持たれるわけであります。私はこの問題に対して、いま藤井君が質問いたしましたように、わが党は裁判に対する介入なり判決に対する批判をやっておるのではなくて、事実関係を明確にしなさい——いま共産党の皆さんが「赤旗」、機関紙を通じて国民の前に、そういうものは天皇制裁判のでたらめ裁判であると。これこそ本当の裁判批判である。にもかかわらず、私たちは、こういうリンチがあったのかなかったのか、死体遺棄がなされたのかないのか、あるいは出獄の経緯は何であったか、あるいは復権はどういう経緯で復権されたのか、こういう問題を国政調査権として国民の疑惑を解くために提起をしておるのであって、その点は法制局長官も、非常に玄人筋にはわかるけれども一般国民には理解され得ないような感じの先般の答弁であったと思う。また総理は、それに対して、現憲法下においての治安維持という問題について、これは全くそんなことは必要ないという物の考え方の答弁であったと思います。こういう点を私は法務大臣に、いま質問と同時に明確にしていただきたいと思います。以上。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 向井君の御質問、治安維持は必要でないと私は申したわけでないので、戦前の治安維持法のごときものは、今日新憲法下でそういうものは考えられないということで、治安維持の必要というものは政治の第一義的責任でございまして、それを否定したものではない。この点だけは申し上げておきたいのでございます。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 藤井さんの質問、それから向井さんの関連質問についてお答えをいたします。  二十七日の上田委員の最後の方で、私答弁すればよかったんですけれども、答弁を求められないものですからそのままにしておきましたが、裁判に影響するような、そういう干渉は三権分立上許されないことは、国会といえども許されない、調査権といえどもですね。けれども、過去の確定判決について、全くでっち上げであるとか、暗黒裁判で話にならぬとかいうことを言われるのは、法務大臣としてははなはだおもしろくないんです。きわめて不愉快なんです。それは、法秩序維持ということを職務といたします者にとっては、はなはだ心外に思うんです。もしあなたのおっしゃるように、本当にでっち上げとどうしても思われるんなら、再審でもして覆されるまではやっぱり確定判決に記載された事実はあったものとして容認していかなければ、それは国家生活がいつまでたってもけりがつかない、そういうわけでございます。この判決はなかったものとみなすという付記はございますけれども、その付記のためにそういう事実が全部なかったことになるのではなくて、釈放するとか復権をするとかという根拠にはなるでしょうけれども、そういう事実が全部御破算、なかったことになったんだ、これはうそであったということを確認して将来に向かって効力がないものとみなすというのではありませんのです。それが違うところですね。ですから、この点については、その後どういう理由で一体釈放されたのか、治安維持法だけのものであったら釈放されることは当然ですけれども、傷害致死とか、死体遺棄とか、暴行とか、そういう刑法犯が関連して付随しているものですから、それなのに除外されているこういう犯罪の者がどうして釈放されたか、これが不思議でしょうがない、調べてみろと。それから、どうしてあの七百三十号に除外しておるものまで復権されたのか、それは調べてみろといって命じました、調査を。重大なことですから。調査の結果は相当集まりましたから、なお全部が明確になったわけではありませんけれども、多少残っておりますけれども、わかっている範囲内において国会の正式な要求がありますれば当然これは提出をいたす、そういうことは本会議の春日委員長の質問に対しても約束しておりますから、約束を果たします。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 稻葉さん、資料の概要を説明できる範囲で。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 資料の概要につきましては刑事局長から説明させます。——刑事局長が、そういう質問があることを予期しておらなかったとみえて、私も予期してないんですが、来ておりませんから、もし必要ならばすぐ呼んで答弁させますが、概略を申し上げますと、どうもああいう裁判に書いてあるような事実はそのとおりであるということが一つ。針金で縛ったり、そしてショック死で死んだのを穴を掘って埋めたり、そういう事実はあの判決に書いてあるあれだ、こういうことは大体わかりました。それから、何で釈放されたか。これは病気だということで診断書をつけて釈放されておる。で、釈放された後ずっとたって七百三十号が出て、復権に該当しないんだけれども七百三十号で復権したことにせいということになったんですね。どういう筋からそういうことにせいと、司令部のだれがだれのところへそういうことを命じてきたか、それはわからないんですな。けれども、およそそういう事実があったのではないかという調べはついておる。私の聞いておることはその程度でございます。なお詳しくは刑事局長から答弁させます。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) 四月二十七日の当委員会におきまする旧憲法下の判決と国政調査権との関係についての御質問に対する私の答弁が誤解を与えるおそれがあるという御質問でございましたが、私が申し上げましたのは、旧憲法時代のものでありましても、裁判所の裁判の当否を現在国政調査の対象とすることについては問題があるということを申し上げたつもりでございます。  先般の御質問に対して、私は当初、現に係属中の裁判について国政調査の対象とすることは許されないということを申し上げ、現に係属中でない事件、たとえば確定した裁判につきましても、これを司法権の独立を害するような方法で国政調査の対象とすることは司法権の独立を害するおそれがあるということを申し上げて、その例として浦和充子事件を申し上げたわけでございますが、次に旧憲法時代の判決はどうかというお尋ねがございましたので、旧憲法時代の判決についても、これは国家の同一性が存続している以上は同様であるということを申し上げましたわけでございまして、結論としては、旧憲法時代のものであっても、裁判所の裁判の当否を国政調査の対象として調査することは問題があるということを申し上げたつもりでございます。その裁判がどういう内容であったか、あるいはその法律的な意味はどういうことかということについて、政府側に御質問になりましたり、あるいはまた当該裁判所の裁判の判決の書類を、コピーを資料として政府に要求したりすることについては何ら言及したつもりはございません。特に、先ほど向井委員が問題にされました刑事の裁判の執行の問題については、これはもう行政の範囲に属する問題でございますから、それを国政調査の対象にされることについては何ら問題とすべき点はございません。

向井長年民社党

○向井長年君 法制局長官、国民はそんな詳しいことはわからない。したがって、私は長官に答弁願いたいことは、わが党がこの問題を取り上げて、行政上の問題として政府にこの答弁を迫っている。したがって、これに対して国政調査権としてこれは当然である、これだけでいいんです。ほかのことを言う必要ない。それを明確にしてもらいたい。そういうことをあなたに質問をしているんです。わかりましたか、行政上の問題であるから。裁判なり判決にわれわれは干渉したり、あるいはそれの内容を明確にせいということではない。批判をしておるのではない。したがって、当然国会の国政調査権の範囲としてこれを明確にしようと、疑惑があるから。これをあなたは、当然それは行政上の問題としてやるべきである、これを言えばいいんです。それに対する答弁を願います。

吉國一郎内閣法制局長官

○政府委員(吉國一郎君) ただいまも申し上げましたように、当該問題になっている事件の判決がどういう内容のものであったか、その法律的な意味はどういうものであるかということについて政府に質問をなさることも全く問題はございません。また、その判決書のコピーを資料として政府に要求なさることももちろん問題ございません。また第三には、その裁判の執行がどうなったか、その釈放の段取りはどういうものであったかということは、これは行政の問題でございますから、国政調査の対象になることは当然でございます。  以上お答え申し上げます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 いまのやりとりで、わが方が問題として提起していることは何ら国会の正常な運営の上において問題はないというふうに私は解します。稻葉大臣、後で刑事局長を呼んで午後の冒頭でも説明させてください。  それじゃ、その次に移りまして、総理の政治責任についてお尋ねいたしたいと思います。  先ほど来申し上げたような経緯を経て、わが方は三木内閣に手をかすのかとの一部の批判をも顧みず、あえて野党単独で衆議院予算委員会に決意を持って臨んだような次第でございます。幸い本日国会が正常化されておるわけでございますが、いずれにしても一月半にわたる国会のブランクというものは非常に大きな影響を国民に及ぼしておる。この点についての三木総理の政治責任について、まずお答えいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 一月半に及ぶ政治の空白に対して政府の政治責任というもののお尋ねでございます。そこで、一月半に及ぶ国会の空白という跡を振り返ってみますと、問題は私はこういうところにあったと思う。二月の二十三日でしたか、衆議院、参議院において国会の決議があった。その決議はロッキード問題の真相を迅速徹底的に究明するということが大前提である。そのためには、アメリカに対して、いわゆる高官名も含めてあらゆる未公開の資料も提供を受けるようにアメリカの上院、アメリカ政府に対して要請するというのが主眼でございます。これをアメリカ政府に伝達方を両院の議長から私に依頼してきたわけでございます。問題の点は、資料の提供を受けるということが決議の主眼である。そこで私は伝達すればまあいいわけですが、さらに私は、この日本の国会というものが憲法上に持っておる重み、またこの決議の背景、こういうもので、異例のことでございますが、大統領に対して親書を私が出したわけでございます。藤井君もお読みになったか知りませんが、読売新聞でありましたか、ワシントンの特派員は、三木総理の親書の真剣な態度に対してアメリカの国務省もホワイトハウスも深い感銘を受けた、これに対してはこたえなければならぬということが国務省とホワイトハウスにおいて、そういう空気が非常に強くなってきたと。国会の決議も背景にありましたけれども、裁判所がこの資料は外に出してはいけないという決定が行われておる、その決定を一部解除して、そしてアメリカが日本に対して全資料を提供するようになった一つの私は動機にはなったことは事実だと思うのでございます。しかも、私は国会でしばしば申し上げておったことは、資料を公開するという前提のもとにアメリカに対して資料を要求したのでありますから、アメリカから条件がついてこなければ資料を全部公開いたします、ただし、条件がついておるときには別であるというのが、ロッキード問題集中のときにおける各党に対する私の答弁である。民社党からは、河村君が、そんならばその条件の内容だけは公表いたしますかと言うから、いたしますと答えたのであります。国会における答弁に私は食言があったとは思わない。しかし、とにかくまあ私としては政府としてできる全力を尽くした所存でおるわけであります。資料の提供を受けろという院の要求に対しては、もう最大限度こたえようとして努力をしたわけでございます。これが一つ。  しかし、野党の諸君は、それではいかぬ、公開をアメリカに対して要求するために再交渉せよというのが野党の方々の主張であります。そこで、あれだけ、大統領の書簡が来て、しかもそういう解除の手続までして提供をされて、そして資料の提供を受けるについて当事者間の実務者の取り決めも行われたものを、もう一遍交渉して公開せよということは政府としてはできませんと。しかも、その大統領の公開できないという理由は、アメリカ自身でもいまこれを調査しておるのだ、調査の途中で資料を公開することは捜査や調査の妨害になる、しかも、裏づけのないままに発表することは人権の侵害にもなって、アメリカの慣習、司法的な慣習あるいはまた法制上もできないのだという理由もついておりますから、私は精いっぱいのことはアメリカ大統領はしてくれたものだと思うわけです。そこで、やはり野党の要求、もう一遍交渉して、再交渉して、資料を全部いまの段階で公開するために再交渉ということには応じられなかったわけであって、一点、これが空白の大きな原因。  もう一つは、藤井君の民社党の御主張もそうでありますが、ロッキード問題と予算審議は別々に両方がやれるではないか。ロッキード問題を追及しながら予算審議をやってもらわなければ、ロッキード問題はこれは時間が相当にかかるわけです。予算はそうはいかないんですから、だからこれを両立させてくれという主張が、遺憾ながらこれは野党の諸君の承服するところでありません。そういうことをすれば、政府は、予算審議をやればロッキード問題というものにふたをしてしまうんではないか、そういうことはいたしませんと繰り返しても、残念ながら各野党の御了承は得られなかった。(「全部の野党じゃない」と呼ぶ者あり)いま、まあこれは不規則発言ですから取り上げませんが、とにかくそういうことで、これがやっぱり空白の二つの原因です。  それでも議長の裁定は、政府は一生懸命にやったと言うけれども、まだやっぱり政府の努力は不十分である、今後一層努力をせよというこの議長の裁定に対して謙虚に私どもは反省をして、そして今後一層この真相の究明に対しては当たっていくつもりでございます。議長の裁定に異議は唱えなくて、これを受け入れたわけです。で、新聞などをごらんになりましても、政府の態度もむろん非難をされておりますが、野党の態度に対しても、各論説、どの新聞も例外はありません。これに対しても相当な批判を受けておるということでございます、野党の態度に。そういうことで、もし藤井君があの空白を全部三木内閣の責任であると断ぜられるならば、私は承服いたしかねるのであります。しかし、議長の裁定のごとく、努力はしたけれども、まだ足りない点もあったと、これから一生懸命にやれということには、反省はいたすわけでございます。したがって、そういう点で責任を感じつつ、政権を担当しておるんですから、責任を感じつつ、議長の裁定にありますように、一層努力していきたいと考えておるわけでございます。  国会の空白に対する政治責任の問題について、せっかくのお尋ねでございますから、率直に私の所信を述べた次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 三木さん、あなたは政治の最高の責任者なんだから、その面において、与野党ともに責任があるなんていうレベルのものとは違うと思うんですよ。だから、もっとその面では、謙虚にこの問題に対して国民にやっぱり陳謝すべきだと私は思います。  後段の予算審議との並行の問題についても、これはわが党が早くから主張しておるところであって、それに向かっての、三木さん、あなたのかじ取りができないからこれだけブランクになったんでしょう。そこにやっぱりあなたは焦点を合わして答えなければ私はだめだと思うんです。わが党は早くからこれを主張しておるんだから、それを受けてあなたはやれないわけなんだから、それが問題だと私言うんですよ。  それからロッキード問題についてもお触れになったけれども、ロッキード問題の何に対応するものが欠けてこうなったのか、それはやっぱり明確に答えてもらわなきゃいかぬと思う。どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) ロッキード問題に対して何が欠けておったと。いま捜査当局の活動も始めたわけですから、刑事上の責任というものは、これはわれわれが捜査権を持っておりませんし、追及もできませんから、これはやはり捜査当局の活動に待たなければならぬわけでございまして、どうもいまの取り組み方というものの対応が非常におくれているとは、藤井君、思わないんです、いまはね。この問題はそんなに簡単に真相が究明できる問題でありませんから、この問題はやはり今後無論努力をしていかなければなりませんが、しかし、そう政府のとっておる態度、対応の仕方が非常に怠慢であるとも思わない。全力をいたしておると思いますが、まあいろいろの御批判に対しては謙虚に耳を傾けていきますし、また政府の責任として、いわゆる政局担当の責任を持っておりますから、いろいろ至らぬ点に対しては反省を加えて、国会の空白に対しても責任を感じておらないわけではないんですよ。責任を感じておりますが、やはりこの問題は、われわれも努力いたしますし、野党の皆さん方も国会が健全に機能するということが議会制民主主義の健全な発展のために必要でございますから、御協力を願いたい、われわれも反省をいたしますと、こういうことでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 後段は……。予算審議と並行する問題です。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それは、おまえが力が足りないから野党を説得できなかったんだという御批判に対しては、甘んじて受ける次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 三木さん、私は、国会が必要以上に混乱したゆえんは、三木さんの言動にあると思うんですよ。三木さんの言動がもう常に揺れ動いておる。これは独禁法のときでもそうでしょう。本院の本会議において、もう余す日が余りないという状況の中で私もあなたに質問した、もう日がありませんよと。あなたは総裁として自民党をまとめさえすればこれは成立するんですと。あなたはそのときお答えになった、任してください、確実にまとめてこれを通しますと。結果はだめですよ。今度の問題でも、二月十九日にあなたが記者会見をなさっておる。そこであなたがお述べになったことは、「疑惑にふたをするのと真相を明らかにするのとでは傷つき方が違うが、真相を解明した方が日本政治のためにも日米友好のためにもよいことだ。日本の場合、真相が明らかになっても、民主主義は傷を乗り越える能力と自信を持っている」、こうお答えになって、公開を前提とするということであった。どうしてこの所信を、あなたは手をこまねいて実行なさらなかったのか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私の述べた考え方は、私は少しもいまも変わらない。だから、資料というものは民主社会において公開原則ですわね。だけれども条件がつく場合もある。なぜ私がそういうことを言うかというと、捜査当局の集めた資料というものは、藤井君、これは全部——日本でもそうでしょう。捜査をしておる資料を全部公開して、そうして、公開の原則だといっても、そういうものまで全部公開して手のうちを見せて捜査ができるでしょうか。これはやはり日本においても、あるいはアメリカにおいても同じように、捜査の途中でみんな全部資料公開はできませんから、そういうときは、やはり捜査途上のこういう資料などは公開できにくいのが国際的に常識ですから、そういう場合はあり得るんですよ。それが非常に理不尽な理由ではないわけですから、そういう場合は、これはやはり捜査途上においては公開せないということは、これは国際的に見ても当然のことでございますから、これをおまえがなぜやらなかったのかと、力が足りないじゃないかという御批判に対しては、それまでも私はするということは、これは常識に反することですから。そんなら、もう公開してくれぬのならば辞退したらどうかというような意見もあるかもしれぬが、私は、真相解明のためにアメリカの資料は日本の手に入った方がいいと思いますから、それはそういう条件はついておるけれども日本が資料をもらった方がいいということで、実務者問の取り決めにも応じたわけでございます。  そういうことで、いろいろ私の言動が誤解を生じたというようなことがございますれば今後注意しますが、私の言ったことに、藤井君、後退はないんですよ。そう考えておるわけです。そういうことですから、どうかひとつその点は御理解を願いたいと思うんです。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 この問題、また後で私三木さんに申し上げますが、その前に外務大臣にお尋ねしますけれども、あなたは昨年十一月二十八日の、いわゆるキッシンジャー書簡をいつお読みになりましたか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) キッシンジャー国務長官が法務長官に出しました十一月二十八日のこの事件に関する書簡は、ことし二月でございますと思います。自民党の議員がワシントンに行かれまして、こういう書簡が存在するということを発見をされて、そのことを私どもそれによって知りまして、照会をして国務省からその写しをもらって初めて知ったようなことでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 二月十九日に、臨時閣議の後、あなたは記者会見をなさっておるわけだけれども、それ以前にお読みになったわけですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 記録によりますと、この書簡の存在が明らかにされたということは二月の十二日に新聞で報道をされておるという記録になっております。私がその発言をいたしましたのはたしかに二月の十九日でございましたので、私の発言の方が後と考えます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 そうすると、二月十九日の記者会見は、このキッシンジャー書簡をお読みになった上での発言と解してよろしいわけですね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) さようでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 二月十九日は、三木首相も記者会見をなさっておるわけです。そしてこの記者会見であなたは、先ほど私が申し上げたように、公開を前提とするという形で胸を張って記者会見をなさっておる。そして、同じ二月十九日の日に外務大臣は、先ほど私が申し上げたところのいわゆるキッシンジャー書簡をお読みになった上で記者会見をなさっておる。その席で、外務大臣は三木さんと別な記者会見の内容です。要するに、これは非公開もあり得るというふうに言っておられるわけなんです。非常にここは違うところなんです。その後外務大臣は、いま二月十九日に私申し上げたような発表をなさったわけだけれども、それを訂正なさって、公開を原則に変わっておるわけですね。その経緯はどうなんですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 私が発言をいたしましたのは二月の十九日であったと記憶をいたしますが、その後、ロッキード関係閣僚会議が開かれまして、私の発言は時期及び表現において不適当であるという閣僚会議の判断がございましたので、私としてはそれを撤回をいたしたわけでございます。  ただ、ただいまお尋ねのように、私がそういうことを一度申しましたことが、総理大臣の姿勢を疑わせるような誤解を生じておるやにも思われますので、そうでないという意味で、私がどうしてそういう発言をしたかをごく簡単に経緯を申し上げた方がよろしいかと思います。  実は、その段階でアメリカの政府あるいは議会の持っております資料について、追加的に捜査——そのときはまだ捜査当局とは呼んでおりませんでしたけれども、当局から、かくかくの資料を追加してほしいという要請を米国政府にしてほしい、公電をもってしてほしいという依頼が外務省にございました。そのときまでこのようなやりとりは全部公開でやるということが原則でございましたので、本来ならば、求められました資料の性格等も世の中に話をすべきであるわけでございますけれども、私が件名を見ておりますと、素人考えでも、これは捜査の段階ではないが、しかし件名から見ると少なくとも調査に関するものである。そしてそれは将来の恐らく捜査と言われる段階の方向を示唆する種類の資料であるというふうに、私は素人ですけれども判断をいたしました。したがいまして、このような件名を発表するということは、恐らくこれからあるべき調査、捜査に支障があるのではないかと考えるので、自分としてはその資料の要求の件名についても申さない方が適当なのではないかと思うということを私が申したのでございます。  それに対して、それならばそれは公開の原則にもとるではないかという質問がございましたので、捜査当局の意向ではないけれども、私はこういう公電を扱う外務大臣としては、やはりこういう件名などはもうこの段階では申さない方がいいのではないかと思うということを重ねて申しました。それが一部の資料については非公開もあり得るという意味合いになったわけで、それは当然、論理的にそういう意味合いに取られることは私は当然であると思いますが、それがそういう発言として報道をせられたわけであります。したがって、報道の内容には間違いがございません。私が申しました経緯はそのような経緯であったのでございますけれども、それは閣僚会議等の議がありまして、翌日でございますか翌々日でございましたか、撤回をした次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 外務大臣、あなたは苦しい答弁をなさっておられますが、衆議院の予算委員会でも明確になさっておるように、本件の公開、非公開の問題は本来外交チャンネルの問題であるというふうにあなたは解しておられるんです。そのように発言しておられるんです、あなたは。したがって、外交の専門家、当事者として、ましてこのキッシンジャー書簡を読むならば、これは当然予見できた。あなたの言われることがいまそのとおりになっておるわけですよ。にもかかわらず、それを二日後の閣議がひっくり返すということに対して、あなたはその時点において、外務省の見解からするならこれはこうなりますよということをなぜ主張しないのですか。その点もうちょっとはっきり知らしてもらいたいですね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは二つのことがございますわけで、一つは、いわゆるキッシンジャー書簡というものを見れば、これは非公開になるということが当然わかったではないかというお尋ねであれば、それは私は必ずしもそう考えませんので、キッシンジャー書簡は、このような資料が早過ぎる——過早というのは熟さない日本語ですが、プリマチュアに世の中に出るということはよくないこと云々と言っておるのでありまして、キッシンジャー書簡そのものは、これらの資料が一切秘密でなければならないということを申してはおらないわけでございます。これは藤井議員が御承知のとおりと思います。したがって、アメリカの国内、政府と国務省、法務省、SECの間で裁判、判決が入りましてああいう取り扱いになっておるからと申しまして、この資料は日本政府にそこから論理的に公開としては渡されないということには必ずしもならない。それはアメリカ政府内の問題でございますから、一定の段階が来れば、すなわち、プリマチュアでなければこれは公になってもいいという反対の含みがあると解すべきでありますので、キッシンジャーの書簡からすぐに公開ということはむずかしくなると判断するということは、私はそう思いませんでしたし、いまも思っておらないのであります。  私が、それにもかかわらず二月十九日にああいうことを申しましたのは、先ほども申し上げましたように、わが国から米国に対して要求いたしました追加資料、これはそれまで外交チャンネルを通じて、いわば公開の原則に従って公のルートでなされておったわけでございますけれども、資料の件名等から見ると、それを公にすることは恐らくはわが国の捜査当局の今後の調査あるいは捜査に支障があるのではないかと私が判断をいたしまして、私がこれは申さない方がいいというふうに発表いたしたわけでございます。このことは、キッシンジャー書簡とは直接には関係がなかったわけでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 外務大臣、このキッシンジャー書簡の経緯を御説明願いたいと思うのですが、私はこのキッシンジャー書簡、キッシンジャーが資料を公開することにおいて外交関係に支障がないという書簡を司法省を通じて提出したならば、恐らくやこの問題は公開の原則が通ったと思うのです。その逆をいったから公開にならないという形になったと私は思っておるわけなんです。まさにこれは、その意味においてキーポイントはキッシンジャー書簡にある。キッシンジャー長官は外交上のことを配慮して書簡を出しておるわけですからね。それを受けてオーダーが出ておるわけなんだから、この辺をひとつ明快に、このキッシンジャー書簡が出た経緯、その内容とするものを御説明願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の六月にロッキード社の証券取引法違反の容疑について調査をすることをSECが決定をいたしまして、ロッキード社に対して資料の提出を命令いたしました。これに対して、十月にロッキード社がこれを正式に拒否をいたしましたので、SECはワシントンの連邦地裁に資料提出命令を出してもらうように求めたわけでございます。これを受けまして、連邦地裁はこの問題についてのヒヤリングを行いました。何ゆえにロッキード社が拒否をしたのかということについてヒヤリングを行いましたところ、ロッキード社は、これは自分の会社に不利であるということ、及び米国の外交関係を害するかもしれないと考えるという理由を申し立てました。もう一度ヒヤリングがございましたが、なお意見が不一致である。そこでその段階で、ロッキード社が米国国務省に対して、国務省の見地から外交関係に影響ありや否やについて助言をしてほしいということを要請をいたしまして、これは連邦地裁に助言をしてほしいということでございますが、その結果として、先ほどから仰せられております十一月二十八日の国務長官の書簡というものが司法長官あてに出されたわけでございます。  この書簡で言っておりますことは、一つは、いわゆるプリマチュアにこのような資料が出るということが米国の外交関係に害を及ぼすおそれがある。したがって、貴官による調査や法執行を妨げない範囲において米国の外交利益を害さないように保護をしてほしい、それを求めるということを国務長官から司法長官に書簡を出しまして、これを受けまして、司法省は連邦地裁にそのような政府の立場を伝えたわけでございます。連邦地裁はこれを受けまして、十二月十五日に、SECのそのような動議は認めるけれども、これに提出される資料は裁判所の管轄下に置く、一定の条件が満たされるまで第三者には公表しないという、いわゆる保護命令と申しますか、プロテクティブオーダーと言ったと思いますが、そういうものを出した、そのような経緯でございます。  したがいまして、藤井議員のお尋ねの一半は、まさにおっしゃるとおりであると思います。すなわち、国務長官がこのような書簡を出さなかったならば連邦地裁はこのような決定をすることはなかったであろうというのがお尋ねの趣旨でございます。私は、その限りにおいてそう推測すべきものと考えております。しかしながら、同時に申し上げることができると思いますのは、証券取引委員会は証券取引委員会法に定める一定の機密等々を守る義務を証券取引委員会自身が持っておりますので、したがいまして、この書簡がございませんといたしましても、SECはそれなりの守秘義務を持っておるという事実は残る、これだけは申し上げることができると思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 ここが非常に重大なポイントだと思うんです。SECの守秘義務の問題は別といたしましても、前半のポイントは、いままさに外務大臣がおっしゃったように、外交チャンネルの問題なんです。それを三木さんは二月十九日に記者会見し、二月の二十四日に国会決議を受けて親書まで出す。その後およそ十日も過ぎて、二週間ほどたってフォード大統領から返書が来た。返書がせっかく三権分立の厳しいアメリカの中でがんじがらめになってあるのを解除してくれたんだから、これ以上のことはできません、精いっぱいやってくれたんですと、こうおっしゃるんだけど、事は外交問題なんだから、いまそれは外務大臣おっしゃるとおりなんだ。要するにキッシンジャーに対して、おまえさんの考えは悪女の深情けだ、あなたはそう思うけれども、こっちはそう思っていないんだ、はっきりしてくれたらむしろ日米友好に益があるんだということをなぜやらなかったかと私は言っておるんですよ。あなたはじっとしておって、フォード書簡を見て、もうどうにもなりません、そう言っておるだけでしょう。その辺を私は聞いておるんですよ。どうなんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 藤井君も御承知のように、アメリカは言論自由ということは非常にやかましい国ですが、その情報自由に関する法律の中にも、原則はそういう自由という原則をうたいながらも、その中でやっぱり条件をつけておるのですね。捜査の途中にあるような場合とか、人権の問題もありますが、そういう条件で、自由にするについてもこういう除外例というものをアメリカにおいても設けておるんですから、したがって私は、日本政府がアメリカに要求したのは公開を原則として資料の提供を、要求したわけでございまして、外交チャンネルを通じて来るものは全部私は公開するという考え方のもとに資料も要求したわけです。ただしかし、アメリカの場合は、キッシンジャー国務長官の書簡があったという前に、やはりアメリカの一つの立法からしまして、捜査の途中にあるものの資料というものは、私はこれは外交チャンネルというのでなくして、今度取り決めができたような捜査当局に直接渡すような性質の文書も当然出てくるわけで、やはり外交チャンネルをもってアメリカに対していろいろ要請しても、アメリカの法的な慣習、アメリカの法制それ自体を根本的に曲げてという要求というものは、これはやっぱりできることとできないことがある。私はできない、そういうことは。だから、これは精いっぱいのことをしてくれたと判断せざるを得ないわけです、そういう法律があるのですから。  そういうことですから、もう一遍交渉してこれを解除ということにはやはり無理がある、捜査の過程において。それで、私はもうこれ以上の交渉をしても、アメリカからその情報をかちとることは不可能であるという判断があったわけでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 外務大臣、SECの問題を除いて、外交チャンネルの問題としていくのであれば、あなたは外交問題としてキッシンジャーと話し合う余地があったとお思いでしょう、どうです。いまじゃないですよ、その書簡が出た以降ですよ。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣の言われるように、これはすべて公開でいくことがわが国として望ましいということでございますから、キッシンジャー書簡が出るというようなことを私が知っておりましたら、それより以前の段階において、日本としては仮にどのような資料があってもやはりこれは公にされることが望ましいということを申す機会がありましたら、それは私は申すべきであったろうと存じます。この書簡が出たことを私ども存じませんでしたので、そういう機会は逸しておりますけれども、それ以前でございましたら、そういうことを申すならば、わが国に関する限り資料が公開で送られたという可能性はあった。SECの問題は除外してとおっしゃいますのでそれには触れませんが、しかし、それでもSECの問題は実は除外できないという要素はございましたと思いますけれども、おっしゃることの意味は私はそういう意味だと思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 外務大臣、あなたは本当に論理的に終始一慣言っておるんですよ。三木さんはそこをこう泳いでおるわけだ。だから、そこをもっと素直に外交チャンネルですぱっといけばあなたの所信は貫けたのですよ。  余り時間がないから先へ行きますけど、特使を決定なさったようだけれども、その件についてどういう目的を課せられたのか、お尋ねいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) このロッキード問題に対しては日本とアメリカとの受け取り方は非常に違う。これだけの国民的関心を呼んでおる問題、国会でもこれはもう一カ月以上にわたって空白を呼んだのも、ロッキード問題というのが中心になっておるわけです。こういう日本の実情というものはアメリカの理解を得る必要がある。私どもはこのロッキード問題という不幸な事件が起こっても、日米間の基本的な友好関係をこれによって傷つけたくないんですよ、藤井君ね。そういうことでお互いによくその国の実情を理解し合って、そうして相互の理解、相互の信頼というものを増進していかなければならぬ、こういう不幸な事件が起こっても。  もう一つは、やはりこれからいろんな点で日米間で真相究明のための協力があると思う。新しい資料がもし今後出てくるならば、その資料の提供も受けるし、真相究明のための日米の協力がある。  またもう一つは、多国籍企業のあり方というものが私は問題だと思う。これだけ経済の国際化というものが進んでくると、多国籍企業の活動というものは将来ももっと活発になるかもしれない。その場合に、アメリカ側としても日本側としても、多国籍企業が不正な手段によって販路を拡張するというようなことを考えたならば、アメリカ自身もこれは傷つけるでありましょうし、日本自身としても、あるいはまた日本に限らず、そういう国々としても非常なやっぱり傷がつくわけでございますから、当然にこの不正行為というものの防止について日米間で話し合う必要がある。アメリカ自身にも、リチャードソンという商務長官が中心になって多国籍企業の不正行為の防止に対して閣僚の懇談会ができておるわけです。そういうことで、国連でもこの問題を取り上げておる、OECDも取り上げておるわけで、いま世界的問題になっておるわけです。大統領の書簡にも私の書簡にもございました。したがって、多国籍企業のあり方というもので日米間で話をしてみたい、こういうことを一つの目的にして特使を派遣をしたい。これは議長の裁定にもあった点でございます。  そういうことで、近くアメリカ側との打ち合わせが終了をいたしますならば、日程等も発表して、できるだけ早くアメリカに派遣したいという所存でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 残念ながら私の持ち時間が余りありませんので、この問題はまた日を改めて同僚議員から、外交チャンネルでの問題として問題点を掘り下げてみたいというふうに思います。要は、三木さんにお願いしたいのだけど、特使を派遣するに当たっては、私は三木さんが決意されたことは非常に当初りっぱだったんだけど、それに対してアクションを起こしていないところに問題がある。そしてそれは外交チャンネルでアクションを起こし得る、いまからでも。そう思っておるし、それは外務大臣も認めていらっしゃるんだから、私は特使の目的にその問題を付加すべきだというふうに思います。これは要望としてお願いしておきたい。  次に福田さん、経済問題について現状どうなっておるか、お示しいただきたいと思います、見通しも。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 概括いたしまして、景気は回復に向かいまして着実に動いておると、こういうふうに見ております。  つまり個人消費、これも着実に伸びております。それから設備投資が昨年は大変な沈滞でございましたけれども、これが底固めをいたしまして、上昇に転じようとしておる。それから輸出がことしになりまして、これはかなりいい状態になってきておるんです。そういう経済の需要各面の影響を受けまして、生産が昨年の十二月から上昇に転じまして、昨年の十二月は〇・八、前月に比べて上がっておる。それが一月になりますと、その十二月に比べまして二%上がっておる。それからさらに、その一月に比べて二月は二・三%上昇である。三月は、これは速報でございますが、一・九%上がる。こういう状態で生産はかなりの伸びを示しておる。それと並行しまして出荷も順調に伸び、したがって滞貨整理、これが初めて整理の方向で動き出しておる。そういう経済の諸般の状況を受けまして、雇用の情勢もずいぶん改善をされてきておるように見、特に時間外勤務、これがかなりの増加を示しつつあるのであります。  そういう状況でありますから、いま不況、不況と言う。どこに不況の原因があるか。経済は上昇をずっとしておるにかかわらず、不況だ不況だと言う。まあ不況というのは、これはマクロの経済では確かに上昇過程であるけれども、ミクロ、つまり個々の企業につきますと、さあ操業度が低いものですから、過剰労働力を抱えておる、その人件費負担、それから過剰設備を抱えるものですから、その設備に投じた資金の金利負担、そういうようなことで個々の企業の経理が圧迫されるという状態でありましたが、この企業操業度の改善、これがかなり進んでおるわけであります。昨年の三月におきましては、製造業稼働率指数、これが七七という状態でありましたが、この二月になりまするとこれが八六ポイントを超える、こういう状態になっておるのであります。  さて、今後を展望いたしますと、そういう経済の諸要素はこの傾向を推し進めていく、こういうふうに見ております。そこへ、数日たちますると政府の御審議を願っておりまするこの昭和五十一年度予算、これが実施過程に入るわけであります。そういうことになり、非常に大局的に言いますと、政府の予算と、それから輸出、これが二つの大きな牽引力となりまして、わが国の経済は着実な回復傾向に向かい、経済見通しで五%ないし六%の実質成長ということを申し上げておりますが、これはまあ実現されるというふうにいま見通しておる次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 本院の予算委員会でしばしば企画庁長官はいまのようなことをおっしゃっておるわけで、副総理のお話を聞くとバラ色で胸がわくわくするわけだけど、実態はなかなかそうはいかぬわけで、採算面から見た企業の実態というのは非常に深刻なものがある。その辺について、私は、責任者としての河本通産大臣はどう見ておられるか、実態面から、採算面から、産業の実態を一遍お述べいただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 経済の大勢としては、先ほど副総理がお述べになったとおりでございます。ただ、採算面からいきますと、現時点では大体全産業の平均の操業率がほぼ八〇%ぐらいと想定をされております。そういうことで、先般も三月末に十九の業種、約二百七十社につきまして詳細な実情の調査をいたしましたが、自動車それから家庭電器、この二つは非常にいい状態になっておりますが、大部分の産業はなお依然として収益の面から言いますと水面下にある。しかし、ようやく水面を出ようとしておるのがいまの現状だと思います。それから二、三の業種につきましては非常に悪い状態が続いておる、こういう実情でございますが、ただ、決算面から見ますと表面は相当よくしております。それはやはり今後のいろんな増資あるいは社債の発行、こういう問題がございますので、これまでの蓄積を処分をいたしまして、そしてまあ決算面は整えておる、こういう企業が非常に多いわけです。でありますから、決算面と実情とはなお依然として相当違う、こういう状態でございます。ただしかし、先ほども副総理からお話がございましたように、大勢としては大変よくなっておりますので、操業率がこれからどんどん上がっていくと思います。そうしますと、先ほど申し上げましたように、十幾つの業種はまさに水面を抜け出ようとしておる、ここまで来ておるわけでありますから、急速に私は収益面も向上するのではないか、こういうふうに期待をしております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 操業度を、福田さんは八六%、河本さんは八〇%と言われるんだけど、操業度が非常に問題なんだけど、どっちが正しいんですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 副総理が言われましたのは、稼働率指数が八六、七%になったと、こういうお話だと思うのです。稼働率指数といいますのは、昭和四十五年の操業を一〇〇といたしまして、そして現在の操業を計算をしたわけでございますので、実際の操業率とは違うわけです。実際の操業率はそれから九%ぐらい、九ポイントぐらい引いたものが本当の操業率になると思うのですが、八六、七%というのは二月の統計の数字だと思います。現時点では二、三ポイント上昇しておると思いますので、四月末の現時点では稼働率指数もなお若干二月の指数よりも向上いたしまして、九〇近くなっておるのではないか。そういう意味から、私は操業率は現時点においてはほぼ八〇%であると、こう申し上げたわけでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 中小企業庁長官齋藤さん、問題をよりしぼって、中小企業の側面から現状をちょっと説明してもらいたいと思います。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 最近の中小企業の景気の動向でございますが、中小企業の生産は昨年の夏から暮れごろまで一進一退の足踏み状態を続けておりましたが、本年に入りましてから上向きに転じまして、二月は前月比で二・三%、三月は一・六%の上昇となりまして、回復の傾向を見せております。ただ、その生産の水準は依然として低い水準にございまして、昭和四十五年を一〇〇といたしまして、この三月の生産指数は一〇四・二でございまして、四十五年の水準からちょっと頭を出した程度の低い水準にまだとどまっております。なお、特に業種別の格差が顕著でございまして、電気機械等の消費財の関連業種は比較的好調でございますけれども、一般機械等の設備投資の関連業種の回復がおくれております。在庫の動向は、五十年の暮れに微増いたしましたが、ことしに入りましてから順調に在庫調整は進展をしておるように見られます。  ただ、生産の回復に比べまして、収益の動向は依然として余り芳しくございません。中小企業金融公庫がいたしました中小企業景況調査によりますと、この二月で前月比でさらに収益が悪くなったという企業が全体の三八%、よくなったというのは六%でございまして、横ばいが五六%、つまり収益が悪化したという企業が好転をしたという企業を三二%上回っております。それから、ことしの二月に私どもの方で地場産業の産地の状況を調査をいたしましたが、七十五の産地につきまして調査をいたしましたところ、そのうちの四十二の産地におきまして、ことしの二月の収益は去年の二月よりもやはり一割ぐらい悪いと、こういうふうな報告を受けておりまして、生産は上向き始めましたが収益状況は依然として悪い、倒産も御承知のように依然高水準が続いております。  今後の見通しでございますが、漸次回復に景気動向は向かっていくと思いますけれども、収益面の改善がおくれております関係で、倒産はなおしばらく高水準が続くおそれがあるのではないかと、こういうふうに判断をいたしております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 労働大臣、いまのような状況を踏まえて、雇用情勢について。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  経済活動の活発化に伴いまして、ようやく雇用情勢も明るい見通しを持ってまいりました。たとえば有効求人倍率、これが十一月が〇・五二だったのが、この三月には〇・六八と上がっております。非農林業の雇用者数も本年三月は前年同月比二・二%上がっております。御案内のように、雇用調整もだんだん解除されておりまして、残業時間、先ほど副総理からもお話がありましたが、三月が三一・八%増、恐らく近いうちの数字発表は四〇%増、こういうふうな明るい見通しもあります。  しかし、一方、私たちが非常に心配しておりますことは、完全失業者がまだ百二十五万もあるということでして、こういうことからしますと、いまから先も失業者の再就職という問題について非常に真剣に考えなきゃなりませんから、この国会に高年齢者あるいは身体障害者の法律案なども上程しているところでありますし、さらに何としても減速経済下の雇用基本計画というものをこれに順応して立てて、就職促進そして労働者の生活の安定のために懸命の努力をしたいと、こう思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 副総理、いま通産大臣が採算面から見た企業の実態、産業の実態、それから中小企業の実態、雇用の実態等についてお述べいただいたわけだけれども、かなり福田さんがおっしゃっておることと現場で受けとめている者との間には乖離があるんですよ。だから福田さん、たびたび意識的におっしゃっておるのかもわからぬけれども、あなたのおっしゃっておることを現場で聞くと、何かよそのことのように聞こえるんですよ。だから、やっぱりその辺を着目して物を言ってもらいたいし、そういう着眼をしてもらいたいと思います。  そこで、春闘もほぼ終わりに近づいておるわけですが、ことしの春闘をあなたはどう評価されますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、今日のこの時点に立ちまして経済を展望しますと、非常に明るさが見受けられる、着実に回復過程に乗っているということを申し上げているんです。しかし、何せわが国は景気循環をずうっと過去繰り返してきておりますが、不況といっても一年ですよ。長いときでも一年半です、これは。今度はそれが二年半なんですから、これはいまの時点に立ちますと企業経営というのは非常に苦しい。そういうこともまた申し上げているんです。しかし、あとしばらく努力してくださいと。来年のいまごろになると、もう日本の総体としての経済も常道にまずまず復する。また、操業度も上がってきて、いわゆるミクロとマクロとの乖離現象も大方解消される、こういうことを申し上げているので、いまこの事態に対しまして非常に楽観的なというか、企業はもう楽になったという見方はしておらないんです。  それから、春闘のことでございますが、この春闘、まだ私は全部決定になったというふうには見ておらないんです。まあ道のりのまだ半ばのような情勢でございますので、この段階でその評価をを申し上げるということはいかがかとも思うんですが、しかし、春闘で決まる賃金というものは、雇用者、つまり勤め人の所得と申しますか、この収入の大体半分ぐらいのウエートを占めるものなんです。あとの半分ぐらいは時間外手当でありますとか、ボーナスでありますとか、いわゆる所定外賃金だ、こういうようなもので、それを全体ひっくるめませんと、雇用者の手取りが一体どういうふうになっているかということの判断はできないわけでございますが、私はいま非常に抽象的に評価いたしますと、経済のこういう混乱期、それを脱出しようとしておるいまの時点でございますが、そういう混乱期あるいは脱出の過程におきまして、賃金決定が妥当な水準で落ちつくかどうかということは、これは国の経済の成り行きに非常に重大な影響がある。  昨年の賃金決定につきましては、私は昨年の二月、三月ごろは、ことしの春闘はどうなるか、これは日本経済が混乱になるのか、あるいは安定の足がかりをつかめるのか、これを決める天王山であるということを力説して、なだらかな決定を期待しておったわけでありますが、ことしも、ことしの一年たったその後の時点において、なだらかなそういう経済環境の中で日本の経済が安定化の方向をたどる、そういう方向を求めなけりゃならぬ、そういう中で私はやっぱりなだらかな賃金決定になるのであろうというふうに思いまするし、切にまたそれを期待しておる、そういう段階でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 春闘が全部終わったわけじゃないけれど、大方の山は越しておる。そういう関係で、東証一部の上場三百社の加重平均で大体八・四二、これは経企庁が出した五十一年度の経済予測における諸表の中の、いわゆる給与所得者の収入の伸びの予測とどのような関係を持っておるとお思いですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 経済企画庁の五十一年度経済見通し、その中におきましては雇用者所得の伸びを一一・八と見ております。この一一・八というのは、ただいま申し上げました基本賃金と所定外賃金、つまりボーナスでありますとか、時間外手当でありますとか、それの総平均でございます。景気が五十一年度は上昇期であるということで、この賃金交渉の対象になる基本賃金は、その平均である一一・八に比べますとかなり低い水準になる。そのかわり、あとの半分であるところの時間外手当でありますとか、ボーナスでありますとか、そういうものは一一・八%よりはかなり高いものになる。その高いものと低いものとの総平均が一一・八%になるというふうな見方をしておったわけでありますが、雇用者所得一一・八というのに対し、五〇%を占める賃金が、いま諸方面の統計を見ますと大体八から一〇ぐらいの間に決められつつあるように思います。それと、今後は時間外賃金とかあるいはボーナスがどうなるかということをあわせ考えまするときに、まあ一一・八%伸びるであろうという雇用者所得、それはそう大きな変化はないのではあるまいか。それがただいまの観測でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 一一・八%は、それは全部ひっくるめたところの雇用者所得であるというふうにしばしばおっしゃるけれど、しかし、衆議院の予算委員会の段階でも、あなたはそうすれば大体四、五%かなというようなことをおっしゃったときもあるけれど、正直言って九・五%から九・九%というのが春闘相場として一一・七%の雇用者所得に符合するものであるというのが一般的な常識なんですよ。それから見て、今度の先ほど言った八・四二というのは低きに失していないか。これでは財政追加か何かして、もう少し何らかの手だてを講じなければいかぬのじゃないかというあたりから私は質問しておる。どうです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 率直に申し上げますと、基本賃金ですね、これは経済見通しのあの段階よりまあ心持ち低いかなという感じがします。しかし、逆に今度は所定外賃金の方は、先ほど申し上げましたような時間外勤務なんというのがえらい勢いで伸びておるんです。それから雇用者の数が当時見たよりは若干ふえつつある。そういうようなことを考えまするときに、私はそれらのプラス・マイナスをひっくるめた雇用者所得、この一一・八というものはそう大きな変更はないのじゃあるまいか、そういうふうに観察しております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 大平さん、減税問題です。御存じのように一兆円減税というのを掲げて、民間労組を中心とした全民懇、全国民労協あるいはサラリーマン・ユニオン、サラリーマン同盟などが中心になって、大阪から東京まで行進をして、一兆円減税というものをあなたのところに請願に行ったと思います。御存じのとおりだと思うんですが、これは単に減税減税と言うだけじゃなく、非常に内容がユニークであると私は思う。一人平均三万円、合計一兆円の減税ということであるが、納税者に対して負の所得税の考え方を導入しておること、それから年金生活者等の弱者対策として社会保障の充実を求めておること、これは整合性の問題だと思う。それから財源を、追加公債の発行によるのでなくて、財政支出配分の修正と不公正税制の撤廃などに求めておる。で、この減税プランが緊急避難として五十一年度限りということになっておる。これは非常に私は整合性を持っておると思うんだけれど、いま言った、私は春闘相場がやや低きに失しておるという観点から、需要創出というものも考えていくなら、補完する形でのこの減税プランというのは受け入れられないものかどうなのか、ひとつお答えいただきと思う。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) いまの減税政策をどういう立場から主張されるかということでございますが、藤井さんの言われる減税は、つまりいまの経済が沈滞しておるので、いち早く個人消費の拡大を通じて景気の回復を急がなければならない、その意味で政府もいろいろやっておるけれども、さらに減税政策を加味してこれを促進すべきであるというような、つまり景気政策の立場からの御主張でございますならば、先ほども各閣僚からお話がございますように、景気自体はすでに底をついて回復に転じておるわけでございまして、新たな減税政策をここに導入いたしまして、それによらなければ回復の糸口が発見できないというような状況ではないという意味で、私どもにわかに賛成できないわけでございます。  ことしの景気対策といたしましては、むしろ減税政策よりは即効的な価値のある公共投資によるべきであるという選択をすでに政府はやっておりますことは御案内のとおりでございまするし、そういった政策を盛り込んだ予算がまだでき上がっていないような状況でございまするので、これが成立を見まして軌道に乗りますれば、いま回復の徴候を見ておりまする経済もさらに一層着実な回復の軌道に乗るのではないかというように見ておりますので、減税政策をそういう観点からやれという御主張に対しましては、にわかに賛同いたしかねるわけでございます。  しかしながら、第二に、もっと基本的に長期的に社会政策的な立場、福祉政策の立場、先ほど言及がございましたように、マイナス所得税というような新たな構想を背景に持った政策全体をリアレンジするというような構想を将来やるといたしまして、ことしはとりあえず減税をやるつもりは、そういう立場から考えられないかということの問題の御提起だといたしますならば、これは非常に将来長期にわたって考えなければならぬことでございまして、ことし限りこうやってやるというようなことは、後年度の政策の展望に立たないとにわかにお返事はできないことでございますが、私ども御理解いただきたいのは、減税政策というものを長期において見る場合におきましては、そういう単年度でことし限りというようなことでごらんいただかずに、長い時間帯においてながめていただきたいと思うのでございます。  たびたび本委員会におきましても申し上げておりますとおり、すでに日本の減税は相当のところまででき上がっておるわけでございまして、課税最低限で申しましても、所得税、日本は夫婦と子供二人で百八十三万円となっておりまするし、アメリカ百八十六万円、イギリス八十九万一千円、西ドイツが百三万九千円、フランスが百七十六万三千円と、アメリカと拮抗する水準に達しておるわけでございます。昭和四十年に比べてどうかと言いますと、これはその当時は四十七万四千円であったわけでございますから三・八六倍に引き上げられておりますが、その間の消費者物価というのは二・四二倍になっております。どの年度を比較いたしましても相当大きな改善を見ておりまして、日本で一番重税を課した昭和二十五年に比較いたしますと、当時この課税最低限が七万一千円であったのでございますが、いまの課税最低限は二十五倍になっておりまして、その間の消費者物価の値上がりは四・八倍になっておるようなわけでございますので、われわれの政府がやり遂げてまいりました減税政策というのは相当やってきておりますので、今日のような財政が中央、地方を通じて危機にあるときでございまするので、いましばらく足踏みをさせていただきましても御理解をいただけばしないかというのがいま私どもの考えでございまして、減税政策というものを頭から否定したわけではないのでございまして、ここしばらく御遠慮いただけますまいかというのが、いま政府のとっておる立場でございます。  長期の福祉政策、社会政策的な考慮から減税をどのように考えてまいるか、あるいはマイナス所得税的な考え方を今後政府がどのように考えながらまいるかというようなことにつきましては、あなたのおっしゃるとおり広く深く検討を進めてまいらなければならぬ課題だと考えますが、とりあえず現在の立場はいま申し上げたようなことでございますことを御理解賜りたいと思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 大平さん非常に御丁寧にお答えいただいたわけだけれど、結果はどうにもならぬ、ひとつ遠慮してくれということなんです。この十六年ぶりの減税見送りということによって、雇用者の側からすれば結果として増税じゃないかという感情は否定できないわけですよ。マスコミもそれを数字をもってすでに報道しておるとおりで、われわれが試算してみてもやっぱりそういった結果が出てくるんです。その点についてどうお考えですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) ことしは住民税の一部に減税がございましたが、国税につきましては御案内のとおり減税いたしておりませんので、物価が上がりまして収入が同時にベアがございましたならば、計算いたしますと、仰せのように実際の税金はふえてまいるということは御指摘のとおりだと思うのでございます。しかし、これは本年度の単年度の計算でございまして、私は先ほどお願いいたしましたように、長い時間帯においてこれまで鋭意減税に努めてまいったわけでございますので、減税は過去においていろいろここまでやってきたのだから、ことしみたような年、それからここ二、三年また非常に苦しい財政状況が続きますが、そういったときは、いままでずいぶん政府も減税してきたんだから、このあたりはひとつしんぼうしてやろうという御理解をいただいても罰は当たるまいというのが私どものお願いなんでございまして、あなたのいわれるようにことしだけを単年度だけ計算すればあなたのおっしゃるとおりでございまして、各労組の皆さんが主張されていることも私は間違いであるとは思いませんけれども、私どもお願いしていることはそういう筋合いのものでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 私はことしのことを言っておるので……。大蔵大臣答えにくいと思うから、副総理、ざっくばらんに私お聞きしますけれども、減税というものが仮に期中でできないということであるなら、百歩譲って、たとえばスポットにボーナス減税をやるというようなことも考えられないか。何かここでやらなければ私は全体のバランスがとれないというふうに思うし、またわが国の経済の現状を見ても、需要を喚起する意味からも決してむだじゃないと思うんだけれど、どうです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 五十一年度というこの一年をとってみますと、確かに藤井さん御指摘のように、百八十三万円の課税最低限ということになっておるが、その物価の上昇がある、その実質的な価値というものはこれは下がってくるわけでございまするから、したがって、所得税の面から見ると増税だというようなことにもなるわけなんですが、とにかく百八十三万円という高い非課税限度を設定した。これは私はもうどこへ出しても世界じゅうでそう恥ずかしくない大変な高い水準だろう、こういうふうに思うわけでございます。一方、財政は御承知のような非常に厳しい状態に立ち至って、赤字国債をまだ二、三年は続けなければならぬ。こういうような状態のこの際とすると、せめてボーナス減税ぐらいはどうだという御議論のお気持ちはよく私も理解できまするけれども、さあ国の全体としてここで、ボーナスというスポットの減税ということといえども、ここの辺はごしんぼうを願わなきゃならぬかなと、こういう感じがいたします。お気持ちはよくわかるんですが、答弁といたしましてはその辺かと、かように存ずる次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 本問題は、時間もないので、また同僚議員が後日それぞれの委員会を通じて主張したいと思うわけです。  労働大臣、お伺いしますが、今日の経済情勢のもとで、賃金引き上げと、それからいわゆる社会保障、減税というこの三つの問題を、景気回復による完全雇用の維持という目的に照らしてそれぞれ労働組合が要求して労使交渉が行われているわけなんだけれど、これをばらばらにやっておるという状況に対してあなたはどう思うか。私は、これは今日のような状況においてはそれぞれにお互いに相補完するものを持っておるし、代替性を持っておると思うんですよ。だから、これがやはりセットされた形で、いわゆる社会契約的なもので要求していくという仕組みも考えられていいと思うんだけれど、経営者は経営者で産業エゴ、企業エゴということで、低ければいいと、そして政府はそれは労使問題だと、これをばらばらにやっておるというところに非常に私は問題がある。そして、その間に労使の不信、政労使の不信はつのるばかりだ。何かもっと裸になって、政府がイニシアチブをとるなどの勇断が必要じゃないかと私は思うんだけれど、どうです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) いまこういうふうに非常に変化の激しいときでございますから、よくその制度問題を御要求されるわけです。まあそれがすぐにストライキを背景にしての制度要求というのは、やっぱりこれは国会を大事にするお互いからするとおかしい。しかし、おっしゃるとおり、私は労働四団体などに常時そういう問題についてはお会いをし、その環境づくりがいまの時代に大事だと思いますから、ときには物価問題などについて一五%程度に物価をどうしても抑えろというふうなお話があり、私の方もこれを受けて、内閣全体として一五%程度というのは昨年実現しました。こういう環境づくり、先ほどお話し申し上げました身障者の問題であり、中高年者の問題等々も労働四団体の方々と常時話をした中からお互いに理解を得てやっていく。おとといですか、産業労働懇話会をやりまして、これには中立の方、組合の幹部の方あるいは経営者の方々、そういうところで非常なインフォメーションをフランクに交換しながら、そうした日本的な、総資本総労働対決じゃなくして、日本的なそういう話し合いというものをつくっていくことが大事だ、いまから先もそれをしっかりと努めたいと、こう思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 労働大臣、いまのお話ですと、あなたは社会契約的なそういった政労使の話し合いの場、そういった交渉の場を構築していくというお考えを持っておるというふうに解してよろしいか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) まあイギリスが言うておる社会契約説というふうな、そういうはっきりしたものでなくとも、私はやっぱり政労使のいろんな常時のインフォメーションを交換しながら、たとえば私のところにも見えられます。そうしてまた組合の皆さん方も、それならば副総理のところに行こうということで、組合の方々の持っている気持ちというものをお互いがくみ取ることによって、日本的なそうした政労使の話し合い——私は西ドイツなどはよくコンサート方式といって政労使の常時的な対談などをやっておりますが、そこまではまだいまのところいきませんけれども、せっかくそういうふうな努力が日本のために大事だと、こう思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 福田さんもこの面には非常に関心をお持ちになって、しょっちゅう労働界とお会いになっておるわけだけれど、あなたのお考えはどうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) お話しの政労使よく相談し理解し合う、これはもう非常に大事なことだと思うんですよ。日本は私は日本なりの形でこれはかなり進んできた。さらに私はこれを進めたいと、こういうふうに思っておるんです。いろいろ外国なんかではかたい方式で、あるいは法規的にそういう考え方を進めるという国がありますけれども、わが国はわが国として、そういう法律というようなかたい衣を着ないで自由に話し合うという方式で進んでおると思いますが、さらにさらにこれを推進してまいりたい、こういう考えでございます。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      —————・—————    午後一時四分開会

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、総予算三案に対する藤井君の質疑を続行いたします。  まず、午前中の藤井君の質疑に対し、法務省安原刑事局長から答弁を願います。安原刑事局長。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) まず、いわゆるリンチ共産党事件と言われるものにつきましての資料の問題につきましては、当予算委員会から正式な御要求がございますれば、検討いたしまして、提出できるものにつきましては速やかに提出することといたしたいと存じます。  次に、藤井委員の質問は、共産党宮本氏に係るいわゆるリンチ事件のような事件が実際にあったのかどうかというお尋ねでございますが、昭和二十年五月四日に確定をいたしました宮本顕治氏らに対する東京刑事地方裁判所の判決によりますると、その判決の原本によりますると、宮本氏らが大泉、小畑両氏をアジトに監禁して、暴行を加えて小畑氏を死に至らせたという事実などにつきまして、いわゆる不法監禁、傷害致死等の罪名によりまして、宮本氏が有罪の判決を受けたという事実は明らかでございます。  その次に、宮本氏の出獄の経緯はどうかということでございますが、宮本氏は、いま申し上げました確定判決の執行を網走刑務所で受刑中の昭和二十年の十月九日に、病気を理由に、刑事訴訟法五百四十六条によりまして刑の執行停止ということで釈放されておられます。  それから宮本氏の復権の経緯いかんというお尋ねでございますが、いわゆる政治犯等を含めまして、終戦後、昭和二十年の十月十七日に大赦令、復権令が出されましたが、宮本氏はこれに該当せず、さらに、その大赦令では政治犯人に対する資格回復が十分ではないということを理由に連合国軍最高司令部から出されましたメモランダムに基づきまして出されました勅令七百三十号による資格回復者の中にも宮本氏は含まれていなかったのでございますが、その後、昭和二十二年の五月十六日に至りまして、宮本氏は、いま申し上げました勅令七百三十号の資格回復者として扱うということになりましたが、そのことは、先般、衆議院の予算委員会でも申し上げましたように、当時の連合国軍最高司令部の指示によりまして、資格回復者として扱うということになったのでございます。  以上が、簡単でございますが、経緯でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 先ほど質問申し上げた中で、資料要求について私触れておりましたが、この際、正式に委員長に対して資料要求いたしたいと思います。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 要求資料については、委員長として理事会に諮り、手続を進めます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 大平さん、午前中、後段で経済問題について私質問いたしたわけでございますが、いずれにいたしましても七兆二千七百五十億、二九・九%の赤字公債という状況を抱えておる、その償還計画も定かじゃないという状況、これに対してやはり財政当局として責任を感じてもらわなければ困る。  なお、これは国民に借金するわけでございますが、先ほども申したように、国民は大変苦労しておるわけでございまして、財政支出も、私どもから見るなら大型に偏り過ぎて、中小企業に対する波及効果というのは定かじゃない。むしろ、地域住民ということを考えると、地域にもっともっと根をおろした財政支出というものを行うことによって、多くの中小企業の人たちに早いピッチで景気回復の波に乗れるようにさすべきであるというふうに私は思います。この辺について大蔵大臣のお考えをお聞きしておきたい。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 巨額の特例債に依存しなければならないような財政状況を招いておることにつきまして、財政当局者といたしまして責任を痛感いたしておりますことは、かねがね当院におきましてもたびたび申し上げておるとおりでございまして、この責任につきまして、私といたしましては鋭意対策に腐心いたしまして、できるだけ早く、これから脱却する道を早めることにおいてその責任を果たしたいと考えております。  第二のお尋ねでございまするけれども、中小企業に対する予算は、中小企業に対する金融措置と相まちまして、こういう財政不如意のときでございますけれども、可能な限り配慮いたしておるつもりでございます。藤井さんのおっしゃることは、地域的にも偏在しないように十分配慮した予算の配分が望ましいという御指摘でございますが、そういう趣旨に沿って配慮いたしておるつもりでございますが、今後も一層その趣旨に沿って具体的な措置を講じてまいるつもりでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 関連。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 一問簡単に、許します。

向井長年民社党

○向井長年君 大蔵大臣、ただいまの質問については、少なくとも財政欠陥に対する、これに対してあなたは責任を痛感しておるのかと。言うならば国債発行も、安易に国債発行をしていくというこの考え方に対して、あなたは国民に対してどう答えるか、あるいは償還計画も、先般来も質問に出ておりますが、不明確である。償還するために国債を発行して償還しなけりゃならぬという事態が起きるではないか、こういう一つの問題。  あわせて、これは副総理にも関係しますが、経企庁にも関係いたしますが、言うならば景気浮揚策としていま政府がとっている問題について、大型プロジェクトに相当高くこれを盛っておる。言うならば地域住民に密着した下水道の完備、あるいはまた地方道の整備、あるいは農業基盤の整備、そしてまた学校や保育所や病院なんかの整備等が地域住民に対する福祉あるいはまた暑気浮揚になるのではないか、こういう問題を政府は軽く考えておるではないか、こういう質問をいま藤井委員がしたわけでございますから、これに対して明確に答えていただきたい。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 財政危機に対する責任は痛いほど感じておりますことはたびたび申し上げておるとおりでございまして、この責任をどのように果たしてまいるかということにつきましては、この危機に対しましてベストを尽くすことが私の責任を果たすゆえんであると心得ておりますこと、これまたたびたび本院において申し上げておるとおりでございます。  第二に、償還の問題でございますが、償還財源を計画的に蓄積してまいることを考えるべきであるという議論は、衆参両院を通じまして各党から強い要請がありますことは私もよく承知いたしておるわけでございます。けれども、ただいま内外の経済情勢きわめて流動的でございまして、不確定要素が余りにも多いわけでございまするので、そういった点について数字的計画性を将来にわたって策定してまいるということの用意は、残念ながら政府はまだないのでございます。しかし、いま向井さんが仰せになりましたように、この償還財源を借りかえ財源によって確保する、あるいは新たな公債の発行によってこれを埋めるというような考えは毛頭ないことは、衆参両院を通じてかねがね政府が御答弁申し上げておるとおりでございます。  第三の問題は、中小企業その他各公共事業等のプロジェクトへの予算の配分は、各地域あるいはプロジェクトごとの配分が適正でなければならない。大きなプロジェクトに偏向することのないように、生活関連プロジェクトについて特に配慮するところがなければならぬという御趣旨の御要請でございます。政府もそのとおり心得ておるわけでございまして、御案内のように、公共投資にいたしましても、産業中心から生活中心にその重心を移しておりますこと、御案内のとおりでございまして、御指摘の水道、下水道あるいは住宅、あるいは公園、そういった生活環境、農業基盤の整備、あるいは国土開発その他国民生活の基盤の培養、そういった点には特に気をつけて配分をいたしておるわけでございまして、予算全体のシェアが漸次そちらに重心を移しておることも数字の示しておるところでございますし、また、そういう方向に今後も努力をしてまいる決意でおりますことも、たびたび御答弁申し上げておるとおりでございます。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま大蔵大臣から申し上げたとおり、全くそのとおりいたしておるわけでありまして、新幹線でありますとか、あるいは四国の架橋問題でありますとか、あるいは苫小牧の新しいプロジェクトの問題でありますとか、そういう大規模プロジェクトが多いというようなお話でございますが、それはもうごくわずかなんです。公共総投資十八兆、もう膨大なものでありますが、そのわずかに五%がそういう大規模のものに相当する。こういうことでございまして、生活関連中心だと、こういうことは今後とも推し進めてまいる、かような考えでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 通産大臣、繊維問題についてお尋ねいたします。繊維産業の現状がどのようになっておるか、お尋ねいたします。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 繊維産業の一番悪かった時期は昨年の春だと思います。それから日を追うて回復に向かっておりますが、なお黒字経営に行くのには若干時間がかかるのではないかと、こういう状況でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 繊維産業が抱えている一番大きな問題は、輸入問題です。この輸入問題について政府はどのように考えておるか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) お説のように、最近、近隣諸国からの輸入が非常にふえております。昭和四十九年が約十八億ドル近い数字でございましたが、昨年はほぼその三分の二に減少しておりますけれども、それにいたしましても、十二億ドルという相当な水準でございまして、この近隣諸国からの輸入ということがやはり繊維産業のこれからの最大の課題の一つであると、こう理解しております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 そうであるなら、最大の課題であるこの輸入問題はどうしようとするのですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) この近隣諸国からの輸入に対して厳しく輸入制限をすべきであると、こういう意見もありますけれども、わが国は御案内のように自由貿易によって成り立っておる国でございますから、余り厳しく制限をするということも非常に影響するところが大きいものですから、問題の起こっております品種ごとに二国間でそれぞれの国との間に話し合いをする、そういう方向で進めております。たとえば絹織物等につきましては、生糸、絹より糸、絹織物等につきましては日本と韓国、日本と中国、こういう話し合いを通じて解決をしていく、そういう方向で処理したいと、こう思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 なるほど絹問題に関しては二国間協定によって話し合いをしておるけれども、いまのお話ですと、今後も輸入急増品目についてはガットのルールに基づいて取り決めを他の品目についても行っていくというふうに解していいんですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) もし今後そういう品種について非常に大きな輸入問題が起こってまいりましたときには、当然再び話し合いを開始いたしますが、現在のところ、絹問題を処理すれば大体当面の問題は処理できるのではないかと、こう思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 繊維産業は、現在の輸入量をもってするならば、お説のようにあるいはみずからの構造改善で処理していくことは可能かもわからぬけれども、低成長経済に入った状態に即応する経済産業体質を持っていこうとしても、繊維産業の場合ですよ、輸入がいつどれだけ入ってくるかということがわからない状況の中でビジョンが立たぬのですよ。あるいは構造改善もできないんですよ。そういう状況に立っておるんですから、ちょっと景気が回復するとぽこっと輸入が入るんだから、そういう状況に立っておるんだから、産業としてどうしても動きがつかぬ、こういう状況にあるんです。その面を踏まえて輸入対策についてお答えをいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そこで、絹の問題を処理する場合も、その一応の話し合いの基準を昨年の実績と、こういうふうに置いたわけです。先ほどもちょっとお話しいたしましたように、一昨年の十八億ドルという基準が、数字が三分の二に減少しておりますので、その程度であれば、今後日本がいろんな構造改善事業を進めていきます上において一つの目安にはなると思います。でありますから、現在の数量が激増したりしないように今後は秩序のある輸入、これを堅持していく、これが必要だと思います。そのためには、やはり輸入の動きをできるだけ早くキャッチするということが必要でありますし、輸入業者などに対してもできるだけ行政指導をしまして、むちゃくちゃな輸入をしない、こういうふうにすることも必要だと思います。いずれにいたしましても、輸入の動きを常に正確に、しかも早急に掌握しておくということが必要である。大きな変動が景気の動きによって起こらないように注意をするということが必要である、こう思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 繊維産業は直接従業員は約百八十万人、流通業者を含めると、およそ一千万に近い人たちが繊維で飯を食っておる。しかも繊維産業は地域に密着しておるために、この浮沈が地域経済に直接波及するというきわめてすそ野の広い産業なんです。したがって、私はきわめて重要なものだというふうに見ております。そして、繊維産業それ自体が過剰の設備を持っておるんですよ。そういう状況の中で、しかも開発途上国からの輸入防遏というものを受けておる。その中で構造改善をやっていこうとするなら、いまおっしゃるように繊維のマクロの立場で、何年前に比して輸入量が幾らだというような物のとらえ方ではだめなんです。繊維のそれぞれの素材別、品種別にきめ細かく輸入というものを見詰めていかなければ、私は繊維産業というものは崩壊すると思うんです。  その見地に立って、いまおっしゃるようなことであるなら、私は少なくとも政府の繊維に対する行政の体系というものが自由貿易主義というものに乗り過ぎておると思うんです。その上から、繊維に対してともすれば国際分業、これは響きが非常にいいわけだけれども、繊維という衣食住の衣を賄う産業を他に転移するというようなことは私は考えられぬと思う。だから、もっと真剣に輸入ガイドラインというものを設定するというふうな積極的な姿勢を私は示してもらいたい。どうですか、この辺。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、大体現在の水準は私は落ちついておると思うのです。それと、近隣諸国に対する貿易全体を考えますと、日本から非常に大きな出超になっておるわけですね。向こうは貿易全体から見れば大変な赤字になっておる。たまたま繊維関係だけが日本に対しては出超である。こういう貿易全体の立場も考えなければならないと思います。したがいまして、余り厳しい制限を加えますと、近隣諸国との友好関係や貿易全体に対して大きな問題を起こす、こういうことになりますので、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、いま落ちついております水準を維持していく、そのために常に監視を怠らない、こういう態勢でいきたいと思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 近隣諸国との貿易バランスという面から言えばなるほど出超でありましょうけれども、問題は繊維産業をどのように国内的に位置づけるかということだと私は思うんですよ。  三木さん、ちょっと目を覚ましてくださいよ。聞いておいてくださいよ。EC諸国では繊維問題について一つの業界が宣言を出しておるんですよ。その宣言について私ちょっと簡単に申し上げますが、欧州の安全保障を維持するためには、食糧、衣服、エネルギーのような基本的必需物資を満たす上で第三国に過度に依存することを避けなければならない、また生産のある段階が第三国に移動されることになれば、結果は欧州での繊維製品の生産を放棄することになりかねず、このことは基本的食糧の生産を停止するのと同様に非現実的なことである、このように述べて、結論として、EC共同体繊維産業の利益のため多国間繊維協定で与えられている全機能を利用するべきである、こういうふうに繊維産業を位置づけておるわけですよ。それがないのですよ、わが国には。だから、衣食住の衣を賄っている産業ですから、国際分業と言ったらそれはきれいごとですよ、一体それをどうするのかということをもっと真剣に考えて、アメリカでもやっておれば、カナダでもやっておる。ECでもやっておる。世界各国の先進国はすべて国際ルールに基づいて自国の産業を保護する立場をとっておるんでしょう。わが国だけですよ、これはストリップは。そういう形で日本の生活を賄う繊維産業というものを育てていくことができるかどうか、これは非常に重要な問題です。もう一遍お答え願いたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 明治維新以来百十年になりますが、その当初の九十年間というものは、繊維産業が日本の産業の中心であったわけです。いまでは重化学工業の比重が非常にふえましたので、繊維産業の占めるシェアというものは一けた台にはなっておりますけれども、しかし、何分にも関連する従業員というものは、生産流通段階を入れますと非常に大きな数字になります。国民経済上からもこれはもう重大な産業であるということは当然のことでございます。ECのいまお述べになりました決議も私どもは承知いたしております。したがいまして、国内におきましても構造改善事業というものを積極的に進めておるわけでございますし、そのためには新しい新構造改善法というものもできておるわけですから、それに従って国内では構造改善事業を進めますと同時に、輸入につきましては秩序のある輸入というものを積極的に進めていく、この二本立てによりまして日本の繊維産業というものを守っていきたい、こういうふうに考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 労働大臣、雇用問題に関しては、スポットの問題として雇用調整給付金などがあるのだけれども、繊維産業のように、長期間にわたって体、質を変えていこうとする状態の中で過剰労働力を持っておるわけですね。しかも企業は、先ほど大臣のおっしゃるように水面下に没しておる。そういったものに対して、いわゆる失業、離職というものを起こさせないための措置、企業が抱えている段階において何かないか、この辺についてひとつお考えがあったら示してもらいたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 御承知のとおり、昨年一月に雇用調整給付金が適用されたときに、一番先に繊維を重点的にやりましたことは御承知のとおりでございます。まあその一月から三月までに四十三万四千人目、三百六十三事業所というふうな適用のところがありまして、それからだんだん回復してきたことは御承知のとおりですが、ただいま構造改善等もあり、産業政策等々があって、その中に雇用政策をどうするかということは大きな私は問題であると関心を持っております。ことに最近では、各地方にも繊維工場が誘致工場としてずっと進出していることであります。その中にいまのように追い上げなどがあることですから、これはこういう機会にぜひそういう方々に、御安心して、あるいはまたひとつ期待をしてもらいたいという感じを私は持ってお答えしたいと思うんですが、労働省では繊維工業構造改善臨時措置法というものがございまして、これはなかなか幅広くやっております。この内容については職業安定局長からここで述べさせまして御理解をいただきたいと、こう思っております。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) ただいま大臣からお答えがございましたように、昨年来、繊維工業につきましては雇用調整給付金制度によりまして失業の発生を防止いたしてまいりました。ただ、今回の不況のように不況が長期化いたしまして、必ずしもこの雇用調整給付金制度だけでは十分でないというような事態が今後とも起こり得るかと思います。先ほど来の構造改善のための立法措置等によりまして転換対策等も十分処意いたしてまいっておりますが、今後、こういった産業構造改善のために雇用調整が必要になってまいります場合に、雇用調整給付金制度にさらに加えて、何らかのそういった長期的な雇用調整策のための措置というものを現在検討中でございまして、五十一年度を初年度にいたします五カ年計画、雇用対策基本計画をいま準備中でございますが、この中でそういった長期的な雇用調整策についての制度的な措置を検討中でございます。これによりましてそういった対応策を十分万全を期してまいりたいと、かように考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 労働大臣、それはひとつぜひ早急に立ててもらいたいと思います。  総理に最後にお伺いしますが、いま私、簡単な言葉として、短時間で繊維の問題点を申し上げたわけですが、要は、繊維産業というのはわが国の基幹産業であると私は思っておるのです。衣食住の衣を賄っておる。また、そこでできる素材が他の産業へ幅広く素材として提供されておって、中高年齢層を含む多くの労働力を吸収する産業である。まあこういうことを考えると、繊維産業に対する見詰め方、繊維産業に対する国内における位置づけ、これは非常に重要だと思うのです。その面について総理の御見解をお伺いしておきたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 藤井君の御指摘のように、衣食住ですから、これはもう国民生活の一つの基礎的な物資であるわけです。私、繊維産業が滅びる日はないと思っておるわけですよ。これはやはりどうしても必要ですよ。ただ、しかし、ここでわれわれが考えなければならぬことは、日本は発展途上国を周囲に抱えておるわけですね。産業の発展過程からすれば、繊維産業というものは最初に興ってくるわけですね。その発展途上国の新しく興ってくる工業化の芽を皆日本が摘んでしまうということは、これはアジアとともに生きようとしておる日本としては考えなければならぬ面があるので、やはり必要なことは、時間をかけて日本が繊維産業の上において高級品をつくっていく、構造改革というものが必要になってくる。  それはイギリスの繊維の歴史を見てもそういう過程を経ておるわけですから、今後、しかしそれにしてもやはり急激な変化というものは非常な打撃を繊維産業に与えますから、河本通産大臣も言っておるように、非常に急激な問題を起こした問題については個々に話をするということで、やはり通産省がこの構造改革に対しても非常なこれからも協力をしていかなきゃならぬ。そしてできるだけ高級な繊維産業に日本は衣がえしていく、そして近隣の発展途上国の中においても共存共栄の実を上げていくという大きな考え方向としてはそのように考えるのでありますが、藤井君と私は意見を同じくするのは、繊維産業というものは、やはりこれいつまでも必要な産業である、国民生活の一つの基礎をなす産業の一つであることは全く同感でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 残念ながら時間がありませんので、先に移ります。  漁業問題についてお尋ねいたします。農林大臣、「昭和五十年度の漁業白書が発表された。世界一の日本漁業を襲った内憂外患を詳述して率直である。これほど暗く、悲痛な調子の漁業白書はかつてなかった。」これは四月二十一日の朝日新聞の社説のまくらの言葉です。漁業白書を発表された経緯、そして状況、最近における、昨日の日ソ漁業協定の締結、あるいは海洋法会議の行方、これなどについてお答えいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 漁業白書にも述べておりますように、わが国の漁業を取り巻く環境というものは数年来非常に厳しくなっておることは御承知のとおりでございます。特に、海洋法会議がいま行われておるわけでございますが、その中にありまして、経済水域二百海里というのは世界の大勢になりつつあるわけでございまして、すでにアメリカを初めとしてその他の国々も、経済水域二百海里を設定する方向で動いておることは御案内のとおりでございます。こうした経済水域が設定されるということになりますと、現在のわが国の水産の水揚げは大体千百万トン近くあるわけでございますが、そのうちの四百五十万トンが乙の経済水域二百海里で漁獲をしておるわけでございまして、この四百五十万トンに対しては非常に大きな影響が出てくるものであるというふうに考えざるを得ないわけでございまして、そういう中にあって、いかにわれわれは今後の対外交渉においてこの四百五十万トンを確保していくかということは非常に困難になってくることは当然考えられるわけであります。今回の日ソ交渉に示されましたソ連の厳しい態度を見ましても、これはもう今後経済水域二百海里というものを前提とした動きであるというふうに私たちは受け取っておるわけでございます。  こうした遠洋漁業における非常な厳しさ、それからまた沿岸漁業等におきましても、汚染問題等もありまして、あるいはまた漁業の経営の逼迫といったような面もありまして、非常に苦しくなっておるというふうな現在の実情でございます。したがって、今後わが国の動物性たん白質の過半を供給しておるところの千百万トンを維持していくためには、さらに遠洋におきまして新漁場あるいはまた新資源の開発を行っていかなければならないことは当然でありますが、特に沿岸漁業におきましては、これに対して思い切った漁場の開発、あるいは構造改善等も行うとともに、漁業経営の安定を図りまして、沿岸における漁獲をさらにこの十年間ぐらいで七十万トン以上ふやしていかなければならない。そうしなければ、わが国の一〇〇%近くを供給しておりましたところの、いわば自給しておりましたところの水産の自給というものは非常に困難な実態になるというふうに、われわれは水産問題については特に厳しい今日の状況を自覚をして、これに対して積極的な施策を講じていかなきゃならぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。  いま、日ソ漁業交渉につきまして、昨日妥結いたしました経緯について説明しろというお話でございますが、ソ連側は、海洋法会議、米国二百海里漁業専管水域法の成立等の漁業をめぐる国際環境というものを背景にいたしまして、オホーツク海におけるニシン、カニの資源状態の悪化を根拠といたしまして、非常に厳しい姿勢で臨んでまいりました。オホーツク海のニシンの全面禁漁であるとか、あるいは東樺太アブラガニ及びオリュートル・ズワイガニの全面禁漁、カニ・ツブ漁場における周年のトロール禁止等の提案に強く固執するなど、交渉は近年にない厳しい交渉になったわけでございますが、まあわが国代表団の粘り強い折衝によりまして、これらの全面禁漁の措置は回避をされ、ニシン等一部の業種につきましてわが国としては不満はあるわけでございますが、大体今回はおおむねわが国の北洋漁業の実績を確保することができたことは一応の成果と考えるわけでございますけれども、しかし、相当の削減をせざるを得なかったわけでございます。  こうした交渉を通じまして、われわれはこの国際環境が非常に厳しくなっておる。これからの北洋漁業の長期安定を図るためにもさらに関係国との協力、協調関係を一層進めなければならないし、あるいはまた資源の保護、保存等に協力していくことは非常に重要であるというようなふうに考えておるわけでございます。そうして、こうした日ソ漁業交渉というものは、今後の日米漁業交渉であるとか、その他の外国との漁業交渉にもまた反映をされてくるわけでございますから、いま御指摘がございましたように、全体的に漁業問題については非常に厳しい、そしてそれに対しては思い切った施策というものを積極的に講じていかなければならないということを私は痛感をいたしておるわけでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 アメリカはすでに海洋法会議の行方を無視した形で二百海里の漁業専管水域法を成立させている。この影響があって日ソ漁業交渉も非常に難航したと思う。これはまた沿岸諸国に全部波及していくと私は思うわけなんです。二百海里という排他的専管水域が確定したとするならば、漁獲量が減ることもさることながら、漁船がどれぐらい減るのか、あるいはそこで働いている海員労働者がどのぐらい減るのか、それをどう対処しようとしておるのか。もちろん一千百万トンを他に求めて確保すれば全然問題ないわけだけれども、その間の摩擦失業などがあった場合にはどうするのか、その辺ひとつお答えいただきたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 経済水域二百海里が水産につきましてどういう形で規定をされるかということにつきましては、現在海洋法会議が行われておるわけでございまして、その結果がまだ出てないわけでございますが、しかし、経済水域二百海里というものは一つの大勢として動かすことのできない方向に進みつつあるわけでございますし、わが国は、この経済水域二百海里が設定をされる段階におきまして、わが国のような伝統的な水産国の操業権というものが確保されるということを前提といたしましてこの経済水域二百海里というものを認めざるを得ないというふうに考えて、この結論がそうしたわれわれの主張を入れられる形で決まることをわれわれは非常に期待をいたしておるわけでございます。  が、一方アメリカはすでに法律が成立をいたしまして、来年の三月一日から実施をされるわけでございますが、このアメリカの法案の内容を見てみますと、一概に排他的な権利を主張するものではなくて、その中にあってはやはり外国の漁業権は認める、操業は認めるという内容になっておるわけでございますから、私たちはこのアメリカの経済水域二百海里法律が来年三月一日から実施される前に、ことしの八月に行う予定でございますが、日米漁業交渉において、この法律の実施においてわが国の操業権が、まああすこのアメリカの経済水域二百海里海域内では大体百六十万トンから百七十万トンぐらいのわが国は水揚げをいたしておるわけでございますから、これが排他的に規制されるとなると大変でございまして、この操業が確保されるように、われわれとしては日米間の漁業交渉をこれは強力に進めていかなければ大変なことになる、そしてアメリカに理解を求めなきゃならないと、こういうふうに考えておるわけでございます。  したがって、経済水域がどういう形で決まるかということによりましてわが国の遠洋漁業の受ける影響は大きく違うわけでございますが、私はいずれにしてもこれは大勢であるし、決まるだろうし、アメリカがやったわけですから各国もそれぞれ個別にやってくるんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう中で影響は受けるわけでございますが、何としてもこれは外交交渉によっていままでの既存の操業権だけは確保して、打撃を少しでも少なくする方向へ今後努力していかなきゃならぬし、努外次第ではできると思うわけでございますが、したがって、どれだけに直接的に影響が起こり、そして減船をしなきゃならぬというふうなことは現在のところは考えてないわけで、何とかして現状を維持するように全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに思っております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 非常に農林大臣、私は考えが甘いと思うんですよ。もちろん二百海里というものがそのまま——まあ二百海里というのは恐らく決まるでしょう、これは趨勢なんだから——決まったら全部シャットアウトということではないでしょう。しかし、いまより漁獲量が少なくとも減ることは明らかなんですよ。仮に二百海里がぴしゃっと決まってしまったとすれば、漁船にして約一万隻、そして労働者が十五万人に影響する。そのうち七、八万人は少なくとも職を失うだろうということですよ。これは一時の炭鉱離職者あるいは進駐軍の離職者みたいな非常に大きな社会問題になる。ましてわれわれのたん白質の補給源ですからね。そのことも問題になる。両面抱えておるんだから、だから、あなたがおっしゃるように一千百万トン確保しますと言い切って、全部いまの漁船も漁船員も確保しますと言い切れるなら、もう私は質問をこれでやめますよ。結構なことなんだ。そうはなかなかいかぬでしょう。それが目の前に見えておるなら、どんな施策を持っておるのかということをやっぱり示してもらわなきゃ私は困ると思う。どうですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は影響がないと言っているわけではございませんで、相当な影響が出ることは、これは今度の日ソ漁業交渉の経緯から見ましても覚悟していかなければならないと思いますが、この影響が、なるべくこの打撃というものが少ないように、これは今後の漁業交渉等によってわれわれが努力すれば相当その打撃を少なくすることが私はできるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、しかし影響が出てくることはこれはもう覚悟もしていかなきゃならぬだろうと思いますし、たとえば御案内のように、捕鯨につきましても国際捕鯨が非常に制約をされまして、ことしから民間の会社が一つの会社をつくりまして、そして国際捕鯨でいままではなやかに出漁しておりましたのが一会社でもってこれを運営しなきゃならぬというふうな状態になりまして、その間にこれを従事されておる方々が相当失業、転換等もしなきやならなかったわけでございまして、こうした問題に対しても農林省としてもこれが就職のあっせんであるとか、あるいはまたこれに対する雇用安定給付金の支給であるとか、そういうものにつきましても、労働省等とも相談をしながら対処してまいったわけでございますが、そうしたことも今後われわれは国際捕鯨等の経緯等も考えまして、十分われわれは覚悟をして、これらの起こった場合に対処をしていく方策を研究をしておかなきゃならぬと、こういうふうに考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 現在日本の置かれているこの漁船部門は、海用法会議という外圧、そしてみずから漁場を喪失していくという両面を抱えておる。外からの問題については、鰹鮪漁業組合それ自体が三年間で二割減船する、五千二百人が職を失う、みずから縮小計画を持っておる。こういう状況の中にありながら、商社がこれに介入しておるという事実があるでしょう。たとえば便宜置籍船、仕組み船、これをどう見ておられますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) カツオ・マグロ漁業等につきましての合理化と申しますか、縮小せざるを得ないという事態に立ち至っておりますことは、一つは、燃油の高騰ということによりまして、魚価の方はなかなか上がらないということで経営が非常に苦しくなったというような面から、こうしたカツオ漁業、マグロ漁業等につきまして何らかの方策を講じなきゃならないということで、現在融資等によるところの合理化を積極的に行うということで法案を国会に提案をしておることは御案内のとおりでございます。  こうしたカツオ・マグロ漁船等の漁業について、何らかの商社等が非常に介入をしていたずらに混乱をさせておるということでございますが、そうした一面がなきにしもあらずでございまして、商社が直接漁業をやっておるということではないわけでございますが、たとえば韓国なんかに中古船を売りまして、そしてその中古船を活用、利用して、これでもって便宜置籍船というふうな方法等によって漁業を営んで、この漁獲物が日本に殺倒してまいりまして非常に経営を困難にさせておる。その一つの原因は商社活動にあるわけでございまして、私たちはこうしたやり方は、これからのわが国の漁業の安定というものを考えていく上におきましても決して好ましいことではないというふうに考えておるわけでございまして、したがって、そうした情勢に対しまして、われわれは商社等に対しまして積極的な行政指導等もいたしまして、こうしたいたずらな混乱からわが国の漁業を守るべく努力を続けておりまして、そういう点では相当なわれわれとしては効果は上げることができたと、こういうふうに考えております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 私は、漁業従事者、そして漁船員が、いま言ったようなもう非常に苦しい状況に追い込められておるにかかわらず、いま大臣が率直にお認めになりましたが、商社が中古船などを韓国に輸出して、それをまたは仕組んで、そしてわが国が開発した漁場に乗り込んで乱獲をし、それを日本に安値で持ってきて流通も支配する。これは一体どういうことだ。そのために日本の漁業従事者はますます苦しむ。そして漁業労働者は職を失う。これはけしからぬことだと思うんですよ。  たとえばラス沖、ラスパルカス沖というのはわが国が開発した漁場でしょう。最盛時期に九十隻行っておった。それに対して現在わが国の船は駆逐されて五十隻だ。百二十隻の韓国船が行っておる。その百二十隻は全部、全部と言っていいほど商社による便宜置籍船でしょう。仕組み船でしょう。これは一体どうするのだ、ほっておいていいのか。もっとはっきり答えてもらいたいと思う。規制しますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは直接規制をするという法的根拠はないわけでございますから、われわれとしては、たとえば韓国とのマグロの問題等につきましては、韓国との間の交渉を通じまして韓国に自主規制を求める。同時にまた、商社等を呼びまして、いたずらに中古船等を輸出をして、そしてこれが経営に直接タッチしてわが国の漁業というものを混乱させないように、これは商社等に自粛等を求めますし、あるいはまた、わが国のマグロ・カツオ等の魚価の安定のために、商社等によるところの協力を求めて、調整保管等も行わせてきております。そうしたことによりまして、何とか現在カツオ・マグロ等につきましても一応安定をしておると、こういうことでございまして、われわれとしては、今後とも、こうしたカツオ・マグロだけではなくて、その他の遠洋漁業等につきましても、こうしたことが起こらないように努力を続けてまいりたいと、こういうふうに思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 それから、この漁船員の失業保険というものがどうなっておるのか。私が調べる範囲では、被保険者でありながら失業保険の適用を受けているのは大体ざっと見て三割くらいだ。これは陸上の労働者と違って、漁船員が零細なるがゆえに、あるいは海で勤務するという特殊性なるがゆえに放置されておるのじゃないだろうか。この辺のところをはっきりしてもらいたいと思います。

佐々木輝夫水産庁次長

○政府委員(佐々木輝夫君) 大体漁船関係は船員保険の適用を原則的には受けるわけでございますけれども、その中で、現在強制的に全部一律適用されておりますのは二十トン以上でございます。それ以外の船につきましては、特定の業種につきまして限定的に現在適用されておりますが、いろいろ危険程度その他も考えながら、逐次その適用範囲を広げる方向で現在関係各省と協議中でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 ちょっと数字を挙げてください。

佐々木輝夫水産庁次長

○政府委員(佐々木輝夫君) ただいま手元に数字を持っておりませんが、いまの二十トン未満の漁船で適用を受けておりますのが、たしか八百隻か九百隻程度かというふうに思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 人だよ。

佐々木輝夫水産庁次長

○政府委員(佐々木輝夫君) 人間の数はちょっと現在手元に資料がございませんので……。

山縣習作社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山縣習作君) お答え申し上げます。  現在船員保険の被保険者は二十四万人でございまして、そのうち漁船部門の適用を受けております者が十一万三千五百人でございますが、その中で失業保険の適用を受けておる者は三万八千人でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 何%になりますか。

山縣習作社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山縣習作君) 約三分の一でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 そうでしょう。どうしてこういうことになるのですか。

山縣習作社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山縣習作君) 船員保険におきまして失業部門の適用のございます者は、いわゆる通年雇用と申しますか、臨時的な者が除かれておるわけでございますが、漁船につきましては一定の漁期等が決まっておりまして、その間のみ就労するという者が多うございまして、その分は適用が除外されておるところでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 周年操業、周年漁業であっても適用されている府県もありますね。それはどういうことですか。

山縣習作社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山縣習作君) 最近漁業部門におきましても通年雇用が増加の傾向がございますので、その点につきましては私どもの方も適時、適用拡大いたしておるところでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 私は、この漁船員の保険を調べてみたら、いまおっしゃったように、大体三割、保険に加入しておるのは。陸上に勤務しておる人たちと比べて非常に劣位にある。これは漁船が特殊扱いされてきたのか、私は経緯がわからないのだけれども、たとえば日雇い健保というのは陸上だってあるんだけれども、海上にはこれがない。季節的に働くからだめだなんて言うけれども、事実上はそれはもうカツオ・マグロなんて季節で出ていくのだから当然なんであって、実態は周年雇用と変わらない、通年雇用と。この点をもうちょっとはっきりしてもらいたいし、私はこの保険業務というものを全部、陸海統合してみたらどうかと思うんだけれども、その辺、労働大臣どうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) いろんな場所でそういうお話などもあることでございます。しかしながら、なかなかこれは研究を要すべき問題だろうと思って、注目して勉強しているところであります。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 同じこの海運関係で、汽船の問題について私お尋ねしますが、これは運輸大臣になりましょうか、外国船の用船の問題、それから海外売船の問題、便宜置籍船の問題、日本籍船の外国への裸用船、マル・シップの問題、あるいは大手商社による念書船の問題、これはそれぞれ何をあらわしておるのか、この辺のところ御説明願いたいと思います。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 先ほど来、漁船の問題に関連して便宜置籍船等のお話が出ましたのでございますが、いま藤井委員がいろいろと御指摘になりましたような現象がわが海運に非常にたくさん起きておる。こういうことをかいつまんで言いますというと、日本の船員費が国際的に見ても非常に高い。これが海運企業の非常に大きな問題になっておるということに帰結するのではないかと思うわけでございます。  御承知のように、海運自由という大原則のもとで、各国が自由競争をやっておる中での海運企業でございますので、その自由競争の中で日本の企業が今日まで非常に大きなウエートを占めて海運業として雄飛いたしておりましたのですけれども、最近の経済の不況、それから油のショックによります海運市況の低迷、そういうふうないろんな原因の上に船員費が非常に高くなってきたということで、この自由競争場裏において対抗していくために、日本の船員を乗せないで済む船舶を利用しようというふうなことから便宜置籍船の問題、あるいは売船の問題、あるいはいまの裸用船の問題、こういう問題がその辺に全部伏在をしておる、こういうふうに考えておるわけでございまして、これは今後海運の状況が、景気は大分回復してまいりましたけれども、従来のような高度成長のもとにおける海運業の飛躍ということはそう簡単にはいくことではございませんので、今後これらの問題にどういうふうに対処をしていくかということを現在いろいろと検討いたしておるわけでございます。海運事情が構造的な変革を来しておるということを前提にこれらに対処していかなければならない、かように考えて検討をいたしておるところでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 いまお話にありましたように、たとえば近海の周航不定期貨物船を見ると、昭和四十六年に日本籍船が九三%、外国船が七%、それが五十年ではわが国の籍船が四五%、外国船が五五%、まさに外国船によってわが国の近海は全部輸送されておると言っても間違いじゃない。それが脱日本人船員化の方向に走っておる。それはいま大臣もお認めになったとおりです。やっぱりわが国が四面海に囲まれておるし、貿易立国であるなら、わが国の貿易にリンクした船腹数というものを考えなきゃいかぬのじゃないですか。それをやっぱり経済単位だけで考えて脱日本人船員ということでマル・シップ、要するに外国に一遍出して、そして外国人を乗せてこっちに持ってきて動かしていく。そこには日本の旗が掲げてあるのに、乗っているのは韓国人であったりフィリピン人だ。これをOECDによる自由だからといってほうっておいていいものかどうか、私は重大な問題だと思うのですよ。そのために船員はどんどんどんどん職場を失っている。船員は右から左にできないわけですからね、あの優秀な技術を持った船員というものを捨ててしまう。海運国日本が裸になってしまうということになりかねない。その辺に対して明確に私は政府として方針を立てるべきだと思うのですよ。これはひとり海員労働者の職場の安定というだけじゃなくて、日本海運として考えなきゃいかぬことじゃないでしょうか。どうです。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○国務大臣(木村睦男君) 日本の今日までの経済の発展を支えてまいりました大きな柱に、この日本の海運企業というものがあるわけでございますが、それがいま藤井委員が御指摘のように、脱日本船員という方向で海運自由競争場裏にその発展の道を求めなければいけないということは非常に私も残念なことである、かように考えておるわけでございます。  しかし、いままで日本海運も政府の非常に手厚い助成もございましたし、また過去の経済の飛躍的な発展の支えを受けまして内部留保等もできておりますから、まだまだここで、大分悪くはなってきておりますけれども、どうにか持ちこたえられておるのはそういう過去の蓄積のおかげであると思うわけでございますが、今後この日本の海運が日本の産業経済を支えていくために、また日本船員の養成、そしてこれを確保していくというためにどういうふうにやっていったらいいかということは非常に大きな問題でございまして、いまもお話しのようにOECD等で海運自由の思想のもとでいろいろ議論されておりますが、われわれとしてはこの海運自由の原則というものを日本一国だけがこれに反する主張をいたしましても、これはなかなかむずかしい問題であろうと思います。ことに発展途上国におきましては、できる限り自国船による輸送をやろうというふうな傾向も出てきてまいっておりますので、世界全体の海運を考えますときに、先進国の中の一つとしてのわが国の海運企業、その中におけるわが国の船員をどういうふうに確保し、また船員の処遇等を考えていくかという問題も相当慎重に考えていかなければならない問題であると思うわけでございますが、これにはいろんな外的な、あるいは内部的ないろんなむずかしい要因がございます。いませっかくわれわれもこれらの問題と取り組んで、今後どういうふうにやっていくかということを真剣に考えておるさなかであるわけでございまして、しばらく時間をかしていただいて適切な指導方針を出したい、かように思っておる次第でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 労働大臣ね、マル・シップっておわかりですか。このマル・シップ、要するに日本に籍のある船、それを便宜的に外国に持っていって、外国人を乗せてこっちへ持ってきておる。これは日本の旗を立て、日本の管轄権下にある。ここに外国人を全部乗せることについては、閣議で二回にわたって決定した外国人労働者の受け入れを規制する措置に違反しておるかどうか。どうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) お話のマル・シップ、外国人船員を雇用されていること、これはおっしゃるとおり、閣議においては第一次、第二次の雇用基本計画を策定する場合に、政府といたしましては、ことに最近は日本は高年齢者の雇用がむずかしいときでありますし、外国人はなるべく使わないということをずっと主張し、そのとおりやっていることであります。しかし、船員の雇用問題はただいま運輸大臣からもお話がありましたが、所管があちらでございますが、この決定に基づいて、望ましいことじゃない、こういう姿勢をとっております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 これはもう総理お聞きのように、私もこれは少し勉強をさせてもらってびっくりしたんですよ。漁船の問題、それから海運の問題、外国に席巻されているんですから、日本全部。しかも、いま労働大臣がおっしゃるように、これは閣議に違反ですよ。海員組合は、港湾労働者と一緒になってマル・シップの荷上げを拒否すると言うんですよ。何ぼ注意したってとまらぬことなんだから、一体どうなるか、これは。だからこの点は真剣にもっと政府は考えてもらわないと困る。単にこれは海員の労働の職場がどうこうのの問題じゃないですよ。もちろんそれは大きな柱であるけれども、日本の海運をどうするのかということをもっともっと皆さん考えぬと、これは陸上にないがゆえに案外わからずにいらっしゃるのじゃないだろうかと思う。三木さんずっと真剣にお聞きになっておったからよくおわかりだと思うけれども、一遍その辺よく答えてもらいたい、どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 海運界というものは国際競争の一番激しい事業ですからね。外国等もやっぱりそういう傾向を持っておる。あるいは日本の場合は相当ひどいかもしれぬ。よその国でもそういう傾向はないわけではないわけです。したがって、これは閣議でも、なるべく船員の労働力を確保するためにそういうことをできるだけ避けるようにという閣議の決定はあることは事実ですが、この問題は、相当激しい国際競争にさらされている海運界としてやはり大きな問題の一つだと思います。しかし、藤井君の言われる船員の、ことに高年齢層などはなかなか他に転職という機会も少ないわけですから、今後こういたしますとこの場合に申し上げることもなかなかむずかしい。これ十分研究しなきゃならぬし、できるだけそういうことのないように今後努力をいたしたいと思います。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 残り時間が少なくなったので、三木さんしっかりこれは勉強して、私どもまた機会を見て十分掘り下げてまいりますから、もっともっと真剣に勉強してもらわないと困ると思います。残念ながら次に移ります。  次は、大店法にかかわる問題でございますが、現在、大店舗法が制定されて二年になっておるわけでございます。この法制定の目的は何であるか、二年間を経過した今日、立法の趣旨が生かされておるかどうか、この点まずお聞きしたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 大規模店舗法が制定されましてから、いまお話しのように二年たつわけでございます。毎年約二百六、七十ぐらいの案件を処理しておりますが、要するに、消費者の利益とそれから地域における小売商業との調整をどうするかということが一番むずかしい問題でございますが、そういうむずかしい問題をこれまでずっと私は処理してきたと思います。しかし、全国各地におきまして最近は紛争が幾つか発生をいたしまして、なかなか調整がしにくくなっておる、こういう傾向も認めないわけにはいきません。しかしながら、法の精神を生かしまして、できるだけ調整によって話し合いをつけていく、こういう方向で努力をいたしております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 ダイエーの熊本市における出店問題の経緯を説明してもらいたいと思います。

天谷直弘通商産業審議官

○政府委員(天谷直弘君) ダイエーが熊本市に出店をしようといたしておりまして、昨年、昭和五十年の三月二十八日に大規模小売商業店舗法第三条の届け出をいたしました。店舗面積は四万三千九百七十九平方メートルで、開店日は五十一年の六月十日という予定でございました。その後、地元におきまして、五十年の五月十五日以来、非公式の事前の商業活動調整協議会を六回開催いたしまして、昭和五十年七月十二日に、この非公式の商調協におきまして全員一致で進出反対の決議をいたしております。その後、通産省としましては関係者の動向等を見守っておるところでございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 結論は出ておるんでしょう、見守っておるというより。

天谷直弘通商産業審議官

○政府委員(天谷直弘君) 先ほど申し上げましたように、大店法三条の届け出は出ておりますけれども、第五条による届け出はまだ出ておりません。したがいまして、六回にわたる地元の商調協は法律に基づく商調協ではございませんで、事前の非公式の商調協でございます。事前の非公式商調協におきましては、関係者は進出反対という結論を出しております。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 これは四月二十六日の朝日新聞にも大きく載っておるところだし、いままでも数多く熊本の出店問題が載っておりますが、あなたの言うような、そう簡単な問題じゃないですよ。もっと丁寧に説明してください。

天谷直弘通商産業審議官

○政府委員(天谷直弘君) 先ほど来申し上げておりますように、ダイエーは進出の意向を表明したわけでございますが、地元熊本におきましては、中小商業者とそれから消費者との間で意見が対立をいたしております。で、地元の商業者といたしましては、商工会議所におきましては進出反対の決議をしておる。それからまた商調協におきましては、非公式の商調協ではございますが、進出反対の結論を出しております。これに対しまして消費者グループ等では、そういう商調協の動きに対しまして反対の意を表明しており、あるいは消費者のグループが十万名を超すような進出賛成の署名を集めておるというような状況でございます。ただし、ダイエーといたしましてはまだ第五条による届け出は出すに至っておりませんので、正式な第五条に基づく法律上の手続は何もなされていないというのが現状でございます。

藤井恒男民社党

○藤井恒男君 私は、もう時間がありませんから質問の形式をやめますけれども、この熊本の問題は法の趣旨を全く逸脱しておる。たとえば消費者代表者が商調協の場において辞任しております。あるいは商調協の会長も、これは正統な審議じゃないということで辞任しております。これは全部熊本通産局に報告がいっておる。すべての会議に全部熊本通産局は列席しておるわけです。結局どういうことかと言えば、消費者保護のために本来この大規模店舗法というものがあるものなんです。そしてスーパーが出店するときには、地域における零細小売業と要らざる競合によってお互いに困ることのないように話し合って、そしてあくまでも消費者保護の立場に立って出店の規模等を決めていこうという地域民主主義という形をとっておるんだけれど、結果は通産省は逃げておるんですよ。逃げてしまって、そして地元でわんわんやらせておるだけなんです。だから地元で力の強いやつが勝つということですよ。  熊本で十一万名の署名運動というのは、熊本全市民の三〇%、世帯にして七〇%ですよ。その人たちが出店賛成と言っておるんだ。ところが、商工会議所は全会一致で否決ですよ。そしてその強圧によって消費者代表は物が言えなくなって辞表しておるんでしょう。大学教授である商調協の会長は辞表を出しておるんでしょう。これで何で地元民主主義だ。一体通産省、これ、どうしておるんだ。消費者保護という立場はどうなっておるんだ。法の趣旨が全くゆがめられておる。そして通産省は逃げ回っておるんですよ。私はこういったことは許されないと思う。きょうはもう時間がないから、これは私また商工委員会で十分掘り下げてやってみたいと思う。熊本の問題だって、そんな簡単な説明じゃだめなはずだ。全部通産局に資料がいっておるんだから、もうちょっと私は真剣に取り上げてもらいたいと思う。  大変残念でございますが、時間が参りましたので、以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして藤井恒男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 中村太郎君。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 私は、時間の関係上、農業問題と中小企業分野調整に限って御質問を申し上げます。したがいまして、関係大臣以外の方はゆっくり休んでいただきたいと思います。三木総理と大蔵大臣もほんの少し聞いていただきたいと思うわけでございます。  まず第一に、農業問題でございますけれども、御承知のように最近農業の自給力向上が大変強調されておるわけでございます。日本という国は、考えてみますると、ずいぶんひ弱な国だなとつくづく思うわけでございます。資源が全然ないのに工業立国だなんて力んでおりますし、あるいはまた自分の国を守るということも自力ではできない。加えて食糧も外国に半分依存しているということですから、これはドゴールの言い分じゃございませんけれども、食糧なくして独立なしの感を私どもは深くするわけでございます。食糧の自給率向上、これはまさに国民的な課題だと思うわけでございますけれども、果たして政府がその国民的な期待にこたえて真剣にこれに取り組んでいるであろうかどうかということになりますると、どうも私ども素人にはよくわかりません。こんなことでいいだろうかなという心配も多いわけでございますので、きょうはそういう面におきまして御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  まず第一に、農林省にお伺いしまするけれども、自給率という取り方でございますが、時に総合であったり、時にオリジナルであったり、時に重量というようなことが一般的には使われておるわけでございます。したがって、この三つの意味と、それからこの三つの面から見た昭和四十七年の自給率と昭和六十年の目標値、これをお示しをいただきたいと思います。

森整治農林大臣官房長

○政府委員(森整治君) 先に自給率の問題でございますが、個別の農産物の自給率につきましては通常、物量をベースにして計算をいたしております。  しかし、食糧の総合自給率といいますか、全体として見る場合にその価値評価の基準をどこに置くかということで、結局何年を基準にするかという問題がございますが、一応価格を共通の尺度として総合自給率、金額ベースで算出をいたしておるのが総合自給率という観念でございます。  それからもう一つオリジナルカロリーに基づきます自給率というのが問題になっておりますけれども、これは各種食用の農産物につきましてすべてを熱量で換算をいたします。そういう計算をするわけでございますが、特に重要なのは、畜産の自給率と言いましても、日本のように飼料を海外に大きく依存しているという場合に、その迂回生産されました飼料をカロリーに直しまして、そこでカロリーで自給率を計算するということでございます。これにつきましては、いろいろミネラルですとかビタミンですとか、特に野菜、果物につきましてそういう観点が落とされるということと、それから技術的に飼料の場合カロリーに換算いたしますその数値がいろいろ問題になりまして、農林省でも一時各種で使ったことがございますが、ただいまはこういう計算は採用いたしておりません。  いずれにいたしましても、それぞれの使う目的によりましていろいろ数値を、自給率の計算を行っておるわけでございます。  次に、第二の問題といたしまして、一応現在の自給率はどうかという場合に、先ほどの総合自給率という観念で申しますと、食用農産物につきましては四十九年で七二%、六十年におきましては七五%という見通しを立てておるわけでございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 総合自給率という意味はわかったのですけれども、一般的には総合自給率七五%ということになりますると、すべての国内農産物が七三%あるいは七五%とれるのではないかというような考え方があると思うんです。むしろ自給率の本当の意味というのは、私どもはオリジナルの方が正確なような気がするわけでございます。まあそれはそれといたしまして、とにかく昭和六十年の目標でございますが、これはよく言われておりますような、これから開発途上国の人口が二・五%ふえていく、したがって世界の人口が増になる、それに世界食糧生産というものは追いついていかない、そういう危惧があるということが言われておるわけでございます。さらにまた、いわゆる地球の寒冷化によりまして、ソ連とかカナダのいわゆる食糧大国というものの生産が非常に影響を受けるということもよく言われておるんですけれども、これらのことを踏まえての、これらのことを織り込んでの自給率の向上目標ですか、その点をお伺いしたいと思います。

森整治農林大臣官房長

○政府委員(森整治君) 農林省の六十年見通しというものは昨年つくられたものでございます。それに先立ちまして世界の需給モデルというのを想定をいたしました。世界食糧モデルというのを農林省としても見通しを立てておるわけでございます。これによりますと、穀物と大豆を足した場合の生産量で見ますと、世界で十三億三千万トン、そのうち世界の貿易量に回るのが一億四千五百万トン、これは一九七二年でございます。そのうち日本では輸入量は二千万トンということで、約一四%弱ということになっておるわけでございます。  他方、今後の見通しといたしまして、昭和六十年、西暦で申しますと一九八五年になりますけれども、その場合の見通しといたしましては、生産量が十七億七千七百万トン、世界の貿易量が一億八千百万トン程度と計測をいたしておるわけでございまして、その場合の日本の穀物並びに大豆の輸入量は、さきの長期見通しによりますと二千七百万トン程度というふうに見込んでおるわけでございます。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 若干一五%に近くなりますが、一応そういう数値になっておるわけでございます。  そういうことでございまして、そういうことを踏まえまして、もちろん先ほどの世界食糧需給モデルでは、やはり開発国が生産は非常に伸びるだろう、それから発展途上国においては需要に対しまして生産がなかなか追いつかないというような地域的なアンバラはございますが、全体としては八五年には需給は均衡するものという、そういう前提に立ちまして、農林省の長期見通しもそういうものを背景におきまして算定をいたしておる次第でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 問題は、とにかく十年かけていまの自給率をわずか二%高めていくということ、しかも私どもの計算では、いわゆる重量とオリジナルの面ではいまよりも低下するという数字が出てくるんです。  私が一番心配なのは、とにかく六十年現在で日本の人口が約一億二千万、世界人口の中では大体二・五%なんですね。その日本が世界穀物市場のおよそ一五%の食糧というものを持ち去ることができるかどうかという心配があると思うんですね。いまでも四十九年の世界食糧会議においては若干の批判が出ておると言われております、日本はうま過ぎるじゃないかという批判も出ておる。しかも、六十年現在においても大体このままの状態ならば、開発途上国の大体八億人の人は栄養失調または飢餓状態に落ち込むだろうということがFAOのデータにも出ておるわけなんですね。こういう中で、世界においては全体のバランスはとれたとしても、とにかく日本の自給率向上という考え方については世界依存度を低くしていく、そういうことだけれども、本来的にはなかなか自給率向上にはならぬではなかろうか。特に資源ナショナリズムが強くなっていくときに、こういうことで果たしてその時点で国際的に何の指弾も受けることもなく円滑な輸入ができるかどうか、大変私はむずかしいと思うんですけれども、この辺は大丈夫でしょうか、農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 世界の食糧事情は、いまも事務当局からお話をいたしましたように、一九七二年ごろまでは在庫も非常に多くて、世界の農産物はだぶついておったという状況でございますが、その後、主要な穀物生産国等における不作等が続きまして、今日では、世界の農産物の存庫は相当減っておるというふうな情勢でございますし、今後、いまお話のありましたように、人口の増加であるとかあるいはまた生活水準の向上というものを考えますと、これは世界的に食糧事情というものは逼迫化をしていくというのが、そういう基調であろうというふうに私たちは考えております。  そうした中にあって、わが国の国民食糧をいかにして確保していくかということがわれわれが考えなければならない農政の基本であるわけでございますが、そうしたことを考えまして総合食糧政策をわれわれは打ち出したわけでございまして、少なくとも昭和六十年には七五%までは総合自給率を持っていきたいということでございますが、これはいま七一、二%で、わずか二、三%しかふえないじゃないかというふうな御指摘はわかるわけでありますが、私たちは、とにかくわが国では非常に資源が制約されておりますが、そうした資源の制約下にあって可能な限りの自給率を高めるということを第一目標にしております。  たとえば農用地の造成等につきましても、八十六万ヘクタール今後十年間で造成をする。これはわが国のこれからの農用地造成を考えるときに、われわれ行政当局として考えられる、現実的に実現できる可能なぎりぎりの線であるというふうな考えを持っておるわけですが、そうした農用地の造成、あるいは生産体制の整備、あるいはまた中核農家の育成等を図りまして、農民の方々に積極的な意欲を持っていただく。あるいは価格政策の改善等も行わなければなりませんが、そうした総合的な生産体制の整備を行って、とにかく七五%まで持っていく。  しかし、一面において、われわれがこの自給率の問題で考えなければならないのは、穀物、飼料、特に飼料穀物がわが国においてなかなかこれは増産ができないということであります。増産というよりは、生産ができない。畜産は今後とも、これは漁業問題とも関連して畜産の面は相当厳しくなってくる。一面においては需要が伸びていくわけです。これに対応していくためには畜産の振興を図っていかなければならないし、需要は伸びてくるであろう。そうなりますと、畜産の飼料穀物は、これはいまよりは五割ぐらいやっぱりふえてくるわけでございますが、この畜産の飼料穀物はどうしても海外に依存をせざるを得ないということになってくる。したがって飼料穀物——穀物については自給率が残念ながら四一、二%から三八%に減ってくる。これが総合自給率の足を引っぱっておるということになってくるわけでございますが、これはわが国の今日の生産の実態からして生産は不可能である。どうしても外国に頼らざるを得ない。そうした場合に、やはり世界的な食糧事情の逼迫化の中にあって、外国に依存する穀物、飼料穀物の輸入をどういうふうにして確保していくかということは非常に大きな問題でございます。  私が昨年アメリカに参りまして、三年間の安定輸入の道を開いたのもそうした考え方からでございますが、今後とも主要な穀物生産国との間には外交交渉等もこれを進めまして、そうして安定輸入という方向でこれからもこの輸入の安定には取り組んでいきたいと、こういうふうに考えるわけでございますし、同時に、世界的な農産物の逼迫化の中にあって、わが国においても備蓄ということもそろそろ本格的に考えていかなければならないというふうなことも私たちは政策として打ち出し、本年度予算から本格的に実施に踏み出しておる、こういうことでございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 一応、御努力なさっておることはよくわかるんですけれどもね。  そこで、いまの世界の平和というものが、今後十年間、二十年間必ず続くという保証はないんですね。あるいは日本が直接戦争に巻き込まれるかもしれない。直接に巻き込まれなくても、隣の国の紛争によって海上航行が阻害を受けるという可能性も否定できないと思うんですね。あるいはまた食糧が戦略物質に現実に使われておる。これからも使われるという可能性も否定できないと思うんです。この自給率というものは、これらの不安定な可能性はあり得ない、ずっと平和が続くんだという前提に立っていると思うんですけれども、その点いかがでございましょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん、われわれは平和をこいねがっておりますし、そういう大勢が今後も続いていくであろうということを踏まえて、わが国における生産体制の整備あるいはまた安定輸入、そして備蓄といったことを進めておるわけでございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 ですから、この外国への依存度が一五%という中で、それじゃ何か有事、何か起こったときにこれでいいのか、これでやっていけるという確信のある自給率ですか。何かトラブルが起こって、国際紛争が起きた、あるいは戦争が起きたというときでも、これを守っていれば大丈夫なんだということではないと思うんですが、その点いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は今日の食糧問題を考えるときに、いま中村委員の御指摘がある場合に、世界で非常事態が起こるというふうなことを考えるということになれば、これは食糧だけの問題でなくて、エネルギーその他大変なことになってくるわけでございますが、私としては今後十年間の目標と、そしてその中にあって食糧事情は、そういう非常事態というものは抜きにして、逼迫の状況に進んでいくであろうという判断のもとに、現在の食糧政策、そして長期的な食糧政策を打ち出してきておるわけでございます。もちろんわれわれとしては、国民食糧を確保するということは、わが国の安全保障といった面からも非常に重要なことでございますので、こうした国民食糧の確保につきましては、これは備蓄なんかにつきましても、やはり積極的に取り組んでいく姿勢というものは今後は必要になってきているんじゃないかというふうに考えるわけであります。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 自給意識の向上というのは、ちょうど国防論に似ているんですね。坂田長官がよく言われるように、自分の国は自分で守るという意識を向上させなきゃいかぬと。観念としてはわかるんですけれども、目先に危険がないからなかなかこれは浸透しないんですよね。食糧の自給も、国民の八〇%は不安を持っているんです。本当に大丈夫かという不安を持っているんですね。ところが目先にいっぱいありますから、なかなか切実感としてはわいてこない。ところが、何か起きたときはおしまいなんですね、間に合わないんですよ。そういう問題、ちょうどぼくは国防意識と同じような考え方があるんじゃないかと思うんです。そこで、とにかく国民の大部分が不安を抱いているんですから、いまの目標は目標といたしましても、その目標を上回るようなやっぱり大胆な積極策を掲げて、そのアプローチを図っていくということが大事じゃないかと思うんですけれども、その辺いかがでございますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろんそういう意味においてわれわれはわが国民が必要とする食糧はとにかく確保しておかなきゃならないということのために食糧政策を進めておるわけでございまして、これは現在進めておるところの総合食糧政策は、現実的に昭和六十年目標に向かって進めるとともに、その基本となるのは、わが国の潜在的な生産力といいますか、自給力というものをその間にしっかりと整えておこうこう、いうことがわれわれの大眼目でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 そこで、自給力の可能性あるいは自給力の向上の可能性、そういうものを探るという意味で具体的なことについて一つ二つ伺いたいと思うんです。  その前に、いまの実際の農地面積と、これを耕作する面積は一体どのくらいあるのか。それから冬の期間作付をしない地域が相当ある、農地が相当あるんですけれども、この数字は一体どのくらい、たんぼはどのくらいあるか、この点をお伺いしておきたいと思います。

有松晃農林省農林経済局統計情報部長

○説明員(有松晃君) お答えいたします。  耕地の利用の状況でございますが、耕地面積に逸しまして作付の延べ面積がどうなっておるか、その比率を出したものがいわゆる耕地利用率と、こう申しておりますが、この耕地利用率の最近三カ年の推移は、四十七年が一〇二・三、四十八年が一〇〇・三、四十九年が一〇二・四というようになっておりまして、そのうち田畑別に見ますと、四十七年は田が九三・三、畑が一一四・七、四十八年は田が九二・三、畑が一一一・三、四十九年は田が九七・〇、畑が一〇九・七というふうになっております。  また、この耕地面積、耕地の中で不作付の状況はどうかということでございますが、近年の田及び畑の不作付でございますが、田については四十八年が二十六万九千ヘクタール、畑については、これは推定でございます、四十八年の数字はちょっとございませんが、四十九年は田が十一万八千ヘクタール、畑が七万ないし八万という推定でございます。それから五十年は田が七万ヘクタールの不作付、畑が五万ないし六万ヘクタールの推定と、こういうことでございます。  それから特に、これは年間を通じてでございますけれども、冬だけの不作付地について申し上げますと、これは都府県だけの数字でございますが、北海道は原則として冬は作付されていない、こういうことでございますので、都府県の数字を申し上げますと、四十八年は田が二百五十五万八千ヘクタール、畑が五十一万七千ヘクタール、四十九年は田が二百五十二万六千ヘクタール、畑が五十一万一千ヘクタール、五十年は田が二百四十七万六千ヘクタール、畑が四十九万四千ヘクタール、以上のような状況でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 とにかく、これだけ自給力の向上が強調されるときに、狭い国ですね、寸土といえども遊ばせてはならない、これがやっぱり基本的な考え方でなきゃならぬと思うんですがね。ところが、いまお伺いしましたように、表作で大体十二、三万の土地が遊んでいる。裏作に至っては、本来的に言えば利用率が最高の場合二〇〇%ですよね、しかし北海道とかああいうところもありますからですが、とにかく畑とたんぼで二百九十六万ヘクタール遊んでいるということなんですがね、これは余りにも工夫がなさ過ぎる。とにかくこれだけ一生懸命になって大騒ぎをしてよその外国から全食糧の一五%も買い付けをしなきゃならぬというときに、国内で三百万ヘクタールというものを遊ばしておくという冥利の悪いことをやっていいかどうか。どうなんでしょうかね、これは。何とかならないか、あるいは今後どうするかという御対策をお考えでしょうかね。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これはこれからの食糧政策を進める上におきましても非常に重要な点でございまして、不作付地につきましては、いま御指摘がございましたように相当あるわけでございますが、これはいままでわれわれが調べたところでは、どちらかというと谷地田といったような非常に生産性の低い農地、そういう農地が多いわけでございますが、この不作付農地の活用につきましては、昨年も農振法の改正等も行いまして、これに対する利用、活用の一つの方向をはっきりと打ち出したわけでございますし、あるいは今後ともそうした農振法の活用とともに合理化法人等によるところの買い入れとか、そういうものも進めてまいって積極的にこの不作付地の利用、活用というものはこれはもう進めていかなきゃならぬことでございます。  同時にまた、いまお話にありました裏作につきましても、非常に裏作の利用というものは落ち込んでしまってきているわけであります。十年前と比べますと大変な落ち込み方で、現在、たとえば麦についても百万ヘクタール以上ぐらいの裏作可能の農地があるわけでございますが、それがわずか二十数万ヘクタールぐらいしか活用されていないというようなことでありまして、これはこれからの食糧確保という面から、そうした裏作可能であって、そして裏作が行われていない農地をそのままほうっておくということは農政上大きな問題でございますので、われわれとしては、今度食糧基本政策の中でわれわれが打ち出しました水田総合利用計画の中におきましても、この裏作の利用につきまして、たとえば麦につきましては、麦に対する奨励金とともに助成措置等も五十一年度から強化をいたしまして、そして裏作につきましてはさらにこれを毎年毎年着実に伸ばしていく。そして麦であるとか飼料作物の六十年目標に向かっての増産を図っていくということで、今後これは大きな課題としてわれわれは積極的に進めてまいりたいと考えております。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 当然これは力を入れて活用しなければならぬと思うわけなんでございます。そこで、一定の土地から収量を上げるということのためには、いま言った遊ばしている土地のないようにすること、同時にまた既耕地の中の単位当たりの収量、収獲量というものを思い切って上げる。そういうことの開発、品種の改良とか栽培技術の開発ということをしなければならないと思います。とりわけ、生産低下の一番の落ち込みの原因となっておりまする小麦、大豆、あるいは牧草等々については、さらにいままで以上の開発を、技術の開発の面について熱心にやらなければいかぬと思うんですけれども、これらの試験研究機関は一体今日どうなっておりますか。それと、いままで出た単位当たりの収量、十アール当たりの最高収量というものはどうなっておりますか、お伺いしておきたいと思います。

平松甲子雄農林水産技術会議事務局長

○政府委員(平松甲子雄君) お答えいたします。  先生御指摘の小麦、大豆、牧草等につきましては、農作物の中の主要な作物でもございますし、先生御指摘のように単位当たり収量を上げるということが自給率の向上にもつながるということもございますので、農林省の試験研究機関といたしましては育種なりあるいは栽培なり、地力向上という点に目的を置きまして、農事試験場等の専門試験研究機関、あるいは地域農業試験場というようなものが府県の試験研究機関の協力を得て試験研究に従事しておるところでございます。  ただいま先生御指摘の、単位当たり収量を試験成績としてどの程度上げておるかというお話でございますが、小麦につきましてはおおむね四百五十キロから五百キロぐらい、それから大豆で三百から三百五十くらい、飼料作物では飼料用の大麦につきまして五百五十から六百ぐらい、トウモロコシで六百から八百、ソルガムで六百から八百キログラム、それから牧草では、永年牧草、例としてオーチャードが挙げられますが、永年牧草では六トンないし八トン、イタリアンライグラスでは十トンないし十四トンという数字ございます。まあこのほかに非常に小さな規模でやったものについてはこれよりも大きな規模の収量を上げたこともございますけれども、通常の農家が栽培をいたすような規模で考えました場合の農事試験場における最高の水準というのは、いま申し上げたような数字でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 小麦については、福島県の農業試験場で十アール当たり八百キロを立証しているんですね。大豆については宮城県農試で七百八十キロ、牧草についても愛媛県の農試では二十トンを可能にしたというふうにデータが出ておりますね。したがって、こういう面における技術開発というのは、もっともっと開発の余地があると私は思うんです。  そこで、仮に一つのこれは可能性という意味で考えた場合ですね、将来の小麦を水田の裏作として百万ヘクタール栽培する。そうすると、まあ五百キロとすれば五百万トン、これは大体いまの必要量を満たすわけなんですよね。それが大豆についてもいま余っている水田を活用して、五十万ヘクタールぐらいこれは出てくるんですね。これを三百五十キロとすれば、これが百七十五万トンで、いまの食用大豆の倍は生産できるのではないかという考え方もある。牧草については現在既耕地が四十八万五千ヘクタールありますね。それからいま土地改良長期計画の中でこれが四十万ヘクタール新規造成すると言っております。合わせて九十万、これは十トンできても大体一億トン見込まれるんですね。こういうものは理論的には、物理的には可能だと思うんですよ、いろんなほかの条件はありますよ。その点はどうでしょうか。

平松甲子雄農林水産技術会議事務局長

○政府委員(平松甲子雄君) 先ほどの答弁の中で私が申し上げましたように、試験場では特殊な例としてはそれより高い数字がございますということを申し上げたわけでございますけれども、これは非常に小さな規模で最高の注意を払ってと申しますか、たとえば倒伏しそうだというと支柱を立てるとか、あるいは鳥が来ないように網を張るとか、病虫害の防除については薬の散布を非常によけいやるとかというような形で最高度に管理をした場合にどうだという数字でございまして、私が最初に申し上げましたように、通常のお百姓さんが最高に自分の経営規模の中で営農をやったとして最高に上げ得るであろうという数字というのは、先ほど私が申し上げた数字でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 あとの質問、いま試算として出したじゃないの。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も、これからの食糧確保の面においては、いまお話しのように高収量技術を開発をして、そうしてそれによって増産を図っていくということは、今後ともわれわれは積極的に取り組んでいかなきゃならない課題であろうと思うわけです。  米について言えば、御案内のように去年は四百八十一キロという史上第一位の高収量であった。これは非常な技術あるいは品種改良の進歩の結果であると思うわけですが、米以外につきましても、大豆にしても、あるいは麦等についても、試験研究としては非常に高収量の研究もいたしておりますし、また現実に、たとえば農林大臣賞なんかを受ける農家、これはまあ非常に篤農家とも言えるわけですが、非常に全国的にはわずかでございますが、そういう農家等は非常な麦についても大豆についても高収量を上げておるわけでございますから、そういうことでこれを平均的に進めていくということは最も必要なわけでございますが、なかなか一般的に押しなべてそうした、たとえば麦について八百キロというふうなことを生産可能にするということは、今日の農業の実態あるいは土地の問題等からして困難であるわけでありまして、したがって、農林省が統計としてあげた数字をわれわれは基盤として六十年目標をあげておるわけですが、しかし、基本的にはこれは何としても高収量技術というものをさらに開発をして、そうしてそれを一般化をしていくということのためにわれわれとしてはやはり努力をし、施策を尽くしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 自給率を思い切って上げるには、やっぱり思い切ったことを考えなければだめなんですよね。これはあなた、こうすれば自給できる可能性があるという可能性に向かってはまっしぐらにいどんでいく、そういう強い姿勢がなければこれはなかなかできないのですよね。従来のようなやり方じゃこれはもう向上しないんですから。そういう面で、私は、あらゆる可能性に挑戦していくんだというまず農林当局の姿勢を求めたいんです。  いま申し上げましたように、可能性はあるんですね。可能性はあるんだけれども、むしろ一番の原因は経済的な条件だと思うんですよね。いまの小規模零細の個々の農家が幾らやったって、これはもうそんな成績上がるものじゃない。しかし、大規模機械化あるいは基盤整備、土地集約化あるいは土地集団化、こういうことをやっていけばできないということはないと思うんですがね。そういう点についてのお考えはどうでしょうか。これは当然いまあすからやるというわけじゃございませんけれども、そういう点とあわせていろんな面から、こうすればこうなるということを考えておかなければならないのではないかと思うんですけれども、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かにお話しのとおりであろうと思うんです。われわれとしても、とにかくこれから必要な農産物について増産を図っていくためのあらゆる努力を今後とも続けていかなければなりませんし、そのためには、いまお話しのような集団生産組織を育成していくとか、あるいは構造改善事業を進めるとか、あるいは価格政策等につきましても改善を加えるとか、あらゆる角度から生産性を高める。同時にまた農家に意欲を持っていただくためのいろいろな措置を講ずる。さらにまた品種改良であるとか高収量技術の開発であるとか、そういうものもあわせて進めながら総合的にこれをやらなけりゃならぬ。ただ、農業生産はなかなか一挙に、いまお話しのように高収量を上げるということはなかなか困難、いわば匍匐前進といいますか、着実に一歩一歩いまそういうことを進めていかなきゃならぬ農業というものの本質でございますので、われわれは基本的にはそういういまお話しのような考え方のもとに、着実に、そしてやるべきことは思い切って施策を講じて、国民食糧の確保という国政の大きな課題にこたえていかなきゃならないと考えております。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 それから私、別の面からといいますか、日本農業というもの、農業就業人口、これによって、このままの状態で推移したらとんだことになりゃせぬか、その面から崩壊を招くというような危機をはらんでいると思うんですよ。そういう面でまずお伺いしておきたいのは、いまの現在の農家別戸数、それから土地の保有率と生産シェア、これを政府委員からお伺いしたいと思います。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕

有松晃農林省農林経済局統計情報部長

○説明員(有松晃君) お答え申し上げます。  専業と兼業別の農家数でございますが、昨年の二月に農業センサスを実施いたしまして、その結果の数字でございますが、総農家数が四百九十五万三千戸となっておりますが、その中で専業農家が六十一万六千戸、これは一二・四%。それから兼業農家の中で、第一種と第二種と、これは農業の方が所得が多いのを第一種、農業以外の方が所得が多いのを第二種と、こう言っておりますが、第一種の兼業農家が百二十五万九千戸で、構成比は二五・四%、第二種の兼業農家は三百七万八千戸で六二・一%と、こういうことになっております。  それから、専業といまの第一種、第二種兼業別の農家の生産シェア並びに土地の保有率でございますが、これは、先ほど申し上げました農業センサス、並びに四十九年度に行いました農家の経済調査、これらの数字をもとにいたしまして推計をいたしますと、四十九年度のシェアでございますが、これは全国シェアでございますが、生産額では専業農家が二四・九%、第一種兼業農家が四五・九%、第二種兼業農家が二九・二%となっております。  それから経営耕地面積の方のシェアは、専業農家は二二・六%、第一棒兼業農家は四一・四%、第二種兼業農家は三六・〇%でございます。  以上でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 結局、いまのデータを見ますると、専業と第一兼農家合わせて五二%の土地を耕作しているんですよね。それでおよそ全生産の七一%を上げているんです。第二兼農家は戸数では全農家の六二%を占めておりますけれども、二九%の生産シェアしかないということなんですね。しかも、土地は四二%土地を持っているけれども生産シェアは二九%しかやってないということなんです。したがって、どうしても今後の日本農業の担い手というものは、この専業と第一兼農家の基幹的な農業従事者でなければだめだということを立証しているわけなんですね。ところが、この基幹的従事者がものすごく減っているんですよね。どんどん減っているんですよ。大体この十年間で約半分になっています。五%ぐらいの率で減っているんですね。特に去年、昨年度の農業白書によりますと、この分野がもう男子で百八十七万人、女子で百九十八万人、計三百八十五万五千人落ち込んじゃったということですよ。これは大変なことだと思うんですね。こんな減少率で毎年何年激減しておったら、一体十年後、二十年後どうなるんでしょうか。この見通しはどうお持ちになっていましょうかね、十年、二十年後の見通し。  いままでは大体五%くらい減ってきているのですね。去年、ことしとやや鈍化している。しかし三%以上ですよね。ここ二、三年間経済成長はちょっと落ちるけれども、恐らく将来に向かって五、六%いくことは間違いない。そうなりますと、仮に五%までは減らないにしても、それに近い数字で減っていくことは、これは構造上考えられることなんですよね。こういった場合に、十年後、二十年後の基幹農業従事者の数というものは一体いまの三百八十五万からどのくらい落ち込んでいくのか、このお見通しは持っているのでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これはさきに政府が策定をいたしました農産物の需要と生産の長期風通しにおきまして、農業就業人口と六十歳未満の基幹的野子農業従事者につきましては、六十年までに一応見通しを試算しておるわけですが、その結果では従来のテンポほどではありませんけれど、今後年率三%程度ずつ減少して、六十年には就業人口が四百十万から四百三十万人程度、それから基幹的男子農業従事者は百二十万人から百三十万人程度になるものというふうに推定をいたしておるわけでございますが、そういうことで、試算の結果から見ますと、三%ずつ減少をするというふうな見通しを立てておるわけでございますが、そういう中にあってわれわれとしては、中核農家といいますか、実質的な農業の担い手を中心にいたしまして規模の拡大等もこれは今後進んでいくであろうと思いますが、そうした規模拡大のためのいろいろ施策は講ずる。あるいはまたその他の基盤整備事業の推進等によるところの生産体制の充実等も図って、六十年目標の農産物の確保につきましてはこれは何としても実現をしていかなければならない、こういうふうに思っております。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 いま農林大臣の言われたその数字は、ちょっと私のあれでは違っておると思うのですよ。私ども、基幹的農業従事者は百五十日以上就業した者というふうに解釈しているのです。その数字から言うといま私が申し上げたような数字であります。  そこで私は一番心配しておるのは、これからの後継者の問題です。これはとにかくひどいですね。農業後継者は昭和二十五年には四十一万四千人あったんですよ。それが五十年は一万人ですからね。実は私も昔若いころ農学校を出まして、いま農学校の同窓会長をやっているのですよ。この間卒業式に行ったらば、二百三十人の卒業生の中で自営農家、自営をやるという農家に入るのはただ二人なんですね。これは実業高校で、農業高校でそうなんですからね。こういう数字が出てもむべなるかなと思うわけなんですけれども、しかし、だからといってほうってはおけないんですよね。  このデータを見ますと、二十五年を最高として、それから十年間は二百八十九万五千人ありました。ところが、その後の十年間、三十五年から四十四年までの十年間はこれの四分の一以上に減っちゃった。七十四万人しか出ていないのですね。四十五年から四十九年の五年間は、これが何とまた二十六万人減っちゃっているのですよね。で、昭和五十年が一万人。恐らくこの傾向は、ここ数年間一万人台あるいは一万を割るかもしれない、こういう推移を私はたどると思うのですね。  こういうことになりますと、現在の基幹従事者というのは、これは戦前の人、それから戦後のいま申し上げました二十五年から十年間の二百八十九万人で支えているのですよ。しかし、この人たちといえども、あと二十年たちますと引退してしまうわけですね。そうすると、二十年後の基幹労働力というものは、現在の後継者が全然よその産業に行かないという前提に立っても、三十五年から今日までの後継者合計で百万人ですから、今後二十年間で約二十万として百二十万になってしまう、二十年後に。五百六十一万ヘクタールを百二十万人でやるということになるのですね。ということは、いまのような二月一ヘクタールの経営規模ではこれはどうにもなりません。経営規模がふえなければこれはしょせん百二十万人で約六百万ヘクタールを耕すことはできませんから。耕したくても耕せない。これは百二十万ヘクタールしか耕せないということになりますよね、男子基幹農業従事者がやるとすれば。土地がふえないのですから。ですからどうしてもこれを何とかしなければならないと思うのですね。このままにして、こんなような状態で依然として一戸当たりの基幹的野子従業者の耕作面積がふえないということになりますれば、その時点で日本農業の重大なピンチを招くということになりますね。一体どうしたらいいかということなんですよ。  しかもここ数年間、農業白書を見ますと、毎年、五、六年以上ですよ、農業の中核的担い手あるいは後継者を確保しなきゃいかぬということは毎年載っている。強調されている。しかるにこの五年間をとってみても一万七千、二万六千、一万四千、一万、こう減っているのですよね。せっかくラッパでうんと強調したって見向きもしてないというのが実態なんです。これは一体どういうことか。こんなものじゃ何ぼ農業白書を書いても、いまのような農業政策をやっておったのではこれは減ることを食いとめることができないということになるのですけれども、いかがでしょうか。抜本策はありますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまお話がございましたような農業の、これは農業のみにかかわらず漁業、林業も言えるわけでございますが、この後継者をいかにして確保するかということは、まさに農政の焦眉の急であると私も考えるわけでございます。  高度成長時代はずいぶん農家労働力は減少し、さらにまた後継者等も非常に減ってきておるわけでございますが、今後安定経済成長という方向へ進めば、高度成長時代とは違って、これからの後継者の確保につきましては、周囲の条件というものはよくなってきつつあると思っておりますし、現在すでに農村へのUターン現象というのも起こっておることも事実でございますが、しかし、われわれはまず第一にやはり後継者がこれからもふえていくというふうなために、これはもう全体的な農業政策、林業政策の推進を進めることはもちろんでございますが、農村あるいは農林漁村の環境の整備等も行って、あわせてやはり本当に農村、漁村といったものが魅力のあるものになっていく、そして後継者が将来に希望を持って農業に従事していく、そういうふうな体制づくりを、これはもう全体的な意味で総合的につくり上げていかなきゃならぬことはもちろんでございます。  同時にまた、今日までやっておりましたような後継者に対するたとえば後継者育成資金の充実であるとか、あるいはまた今度から青年農業士といったような新しい後継者のための制度をつくったわけでございますが、こうした制度を推進していくことであるとか、さらに後継者のための環境づくりといったような具体的な事業をこれからもどしどし進めていくことは、これはもう当然なことであろうと思うわけでございまして、農業者の後継者対策というものは、これからわれわれが取り組んでいかなければならない非常に緊要な重要な課題であるというふうに考えておるわけであります。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 いま農林大臣の言われたようなことは、毎年ちゃんとりっぱに書いてあるのですよね、農業白書の中にも。だけれども、現実にどんどん減っていくのですよ。だから私は当面の施策、農村環境モデル事業、いろいろありますわ、これも積極的にやらなければいけませんよ。あるいは自給力向上のために奨励金を出す、これもやらなければいかぬと思うのですが、もう一つは、二十年後の農業はこうなるのだという青写真、展望を示さない、だから希望が持てない。一体十年、二十年後どうなるのだろうかと、非常に不安ではないかと思うのですよね。  だから、先ほどから申し上げておりますように、将来は人は減るけれども、経営規模はそのためにこう広がっていくのだ、それで、それを経営すれば安定的な経営が得られて他産業並みの所得が得られるのだぞという将来展望をやっぱり与えなければ、これは安心してついていけない、こういうことになると思うのですよ。ところがこの将来展望、なかなか農林省の立場はむずかしいと思いますよ、不安定な要素が多いのですから。だけれども何かそういうものを示さなければ、勇気を持って示さなければこの激減にストップをかけることはできないと私は思うのですがね。そういうものを、どうでしょうかね、示す用意がありますか。検討されますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) われわれはそうした将来に対する展望といいますか、を考えまして、昨年いっぱいかかりまして総合食糧政策の展開という、昭和六十年を目標にいたしました具体的な政策を打ち出したわけでございます。そしてこの政策の第一年度として、この五十一年度予算にはそれらの施策を具体的に盛り込んでおることはこれは御承知のとおりでございます。  ただいま基盤整備等につきましても、土地改良計画の目標を達成するための、ただこれは一般予算だけでなくて財政投融資の活用であるとか、あるいはまた先ほど申し上げましたような水田の総合利用対策によるところの裏作の振興のための助成対策であるとか、あるいはまた中核農家育成のための集団生産組織の育成であるとか、推進であるとか、あるいは土地の集積規模拡大のためのいろいろの諸施策を具体的に五十一年度予算には打ち出しておるわけでございます。同時にまた、価格政策等につきましても、全体的にこれを見直していくというふうな姿勢も示しておるわけでございます。  そうした総合食糧政策をわれわれは五十一年度から打ち出して、そしてこれを実施しておるわけでございますが、これを確実に進めていくことによりまして、私は農家の皆さんあるいはまた後継者の皆さん方にも、昭和六十缶の目標というものの中にあって一つの夢というものを見出して、そうして積極的に農業に取り組んでいただける、食糧政策に取り組んでいただけるものというふうに考えておるわけであります。こうした長期政策を確実に実施するということが大事なことでございますので、今後ともわれわれはこれが実現のためには全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 従来とも農林省の立場では一生懸命やっていることはわかるのですけれども、その政策では間に合わないという実態なんです。ですから、新規に思い切った財政投資を含めて農業政策のもとを考えていかなければいかぬということを私は申し上げているんですよ。結局は、この間も質問がありましたように、しょせんは農業をやることによって他産業並みの安定的な生活ができるということが前提なんですよね。  そういうことを考えますと、いままで大体農業予算のほかに、約三百万ヘクタールの基盤整備をやっていかなきゃだめだと言われておるんですよね。これは国際化に対応した農業問題懇談会というのが、御案内と思いますけれども、提言していますね。これをやるためには大体二十五兆円基盤整備でかかる。それにしても年一兆円ですよね、二十五年間。こういうことを提言されているんですよ。このぐらいのことは当然考えていかなきゃならないと思うんです。  とにかく農業問題というのは、これは大変むずかしいと思います。重大ではあるけれども、困難もあると思いますね。これが独裁国家ならば政府の命令でどんどん押しつけて引っぱっていくのですけれども、日本のような民主国家はそうはいきません。これはあくまでも国民の協力、理解、とりわけ農家のコンセンサスが得られなければだめなんですよね。しかし、農家のコンセンサスを得なければだめだというだけでは通らない。それを、国民的な合意を取りつける、その指導的な役割りを果たすのはやっぱり農林省、政府でなければならぬと思うんですよね。そういう意味で、私はこの際思い切って、財政投資も含めて真剣に取り組んでいかなきゃならぬと思うんですけれども、新しい観点からその点について農林大臣と、三木総理のお考えをお伺いしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 五十一年度予算案を見ていただくとおわかりだと思いますが、全体の国の予算が一三%の伸びでございますが、そういう中にあって、農林関係予算につきましては、食管を除きましては一八・六%というふうに非常に高い伸び率を示しておるわけでございます。われわれは、今後ともこの農政の重要性というものを認識をして、限られた財源ではございますが、そういう中にあって、食管等につきましての赤字等につきましてもこれを極力抑える。そして、これを積極的な農政に振り向けていくというふうな考え方もとりながら、これの基盤整備を初めとして、あらゆる農業施策には積極的に取り組んでまいらなきゃならない、そういう決意でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 いま農林大臣から食管の問題が出ましたが、ちょっと私は提案したいと思うんです。  まず、総理府にお伺いしますけれども、統計局で出しております「一世帯当り一ケ月の米類の支出金額」という統計があります。その中で、米の消費量、ウルチ米の中でもって徳用上米、標準価格米、他のウルチ米というのがあります。その購入割合と、消費者支出に占める米の割合、これをひとつ発表していただきたい。

川村皓章総理府統計局長

○政府委員(川村皓章君) お答えを申し上げます。  家計調査ではウルチ米を、徳用上米という概念と、それから標準価格米という概念と、その他のウルチ米の三種類に分けて分類して集計してございます。それの五十年十二月の購入数量の割合は、徳用上米で〇・二%、標準価格米が三〇%、他のウルチ米が七〇%となっております。また、消費支出全体の総額に占める米類の支出金額の割合は、全体が二十三万八千七百八十三円、消費支出全体でございまして、そのうち米類が六千六百八十四円でございますので、二・八%でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 食糧庁長官に伺いますが、いまの統計でも明らかなように、大体七〇%以上の人が政府の銘柄米という、いい米ですね、それと自主流通米を食べているんですよ。標準米と徳用上米を使っている人はわずか全体の二五%なんですね。しかも、これらの米の金額というものは家計支出のわずか二・八%。これは昭和四十年には七%あったのですね。仮に一つの試案として、この七〇%以上の人、ある程度程度の高い人でしょうね、その人たちに政府の逆ざや分を全部負担してもらったとすれば、大体十キロ当たりの値段は幾らになって、その場合の家計支出はどのくらいになるんですか。そうなった場合に、全体の食管会計の中でどのくらいの金が浮いてくるか、試算をしていただきたいと思うんです。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  十二月の数字でございますが、この月は賞与の月なり、あるいは米価の支出も比較的多い月でございまして、年平均で安定した数字ではございませんけれども、お話によりまして数字を検討いたしますと、現在の家計調査の上、中米の平均価格は五十年の十二月では三百三十円でございましたが、それが、ただいまのお話のように、これに対する財政負担をとりますと四百円程度となるということでございます。で、家計支出の支出増は、この計算でまいりますと九百七十円程度ということでございまして、お話の、家計費に占める米支出の割合いかんということでございますと、二・八%から三・二%になるということでございます。  次に、財政負担はこれに伴ってどのくらい浮くかということでございますが、これについては多少の前提もございます。食管の損益から算出する場合と、あるいは積み上げ方式によりまして六百二十万トン、すなわち七五%を占める政府米から積み上げた計算による場合とで振れがございますので、なお精細な検討を要しますが、おおむね四千億程度であろうというふうに考えております。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 いま御説明があったとおりなんですね。ある程度いまから、現在よりちょっとよけい負担してもらえば四千億浮いてくるんです上ね。最近の総理府の調査に出ておりますように、国民の八〇%は、若干の負担がふえても食糧不安なからしめろというのが大多数の国民の要望なんですよ。しかも、いま上米は七〇%の人が食っているというのは、ずっとここ何年も続いているんですよ。私は、この人たちに理解と協力を求めれば、あながちできないことはないと思うんですよね。その金は必ず食糧自給の基盤整備に使うのだという中で御理解をいただければ、あながち無理ではないと思うのですけれども、そういうようなことをやる、お願いする、理解を求める運動を展開する御用意がありますか、農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま食糧庁長官からお話しをいたしましたように、政府が売却をしておるところの銘柄米につきましても、これは大幅な逆ざや関係を初めとして、運賃だとか、保管料の経費を負担をしておることは御承知のとおりであります。また、自主流通米につきましても、現在の逆ざや関係のもとで流通の円滑化をはかるために、流通促進奨励金を初めとする各種の助成も行っておるわけでございまして、米の消費者価格につきましてはこうした財政負担によりましてその安定が図られておるところでございますので、御指摘のような銘柄米や、自主流通米についても、消費者家計の許す範囲や、あるいは物価に与える影響を考えれば、これはやっぱり一挙に財政負担なしの状態を想定するということはなかなか私はむずかしいことではないかと思います。しかし、現在の両米価、生産者米価、消費者米価の逆ざや関係は非常に大幅でございまして、これは食管の制度をこれから堅持していかなければならぬわけですが、その運用上から見ましてもいろいろな問題を含んでおるわけでございますし、また、農政上の問題もあるわけでございますから、この消費者家計の許す範囲や、物価に与える影響も配慮しながら、あるいはまた国民の御理解も得ながら、基本的にはやはり両米価が逆ざや関係を逐次是正をしていくと、そういうことによりまして食管制度の健全な維持を図っていきたいと、私はこういうふうに基本的に考えております。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 時間がございませんので、農業関係の質問を終わりますけれども、最後に三木総理、いまお聞きのような食糧の自給力向上の問題にしても、日本農業の展望にいたしましても、大変重大な時期を迎えているんです。総理として農業政策に取り組む考え方、姿勢につきまして御意見を承りたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は農業というものは、高度経済成長のときにはやはり工業生産というもので都会に出る。労働力の不足ということもあって出たわけですが、こういう時代になってくると、農業の持っておる環境、まあ安定しているんですよね、農業社会というのは、精神的にも。農業のよさというものを見直されてくる時代が来るのではないか。農村に対しての人口の、パーセンテージは少ないけれども環流も行われてくる。  ここで問題は、やはり農業というものが魅力のあるものにする必要がある。そのためにはやはり大事なことは、食糧生産というものはいざというときにはどうするんだというわけですが、これは当然に考えなきゃならぬけれども、食糧を自給自足するという国はないですからね、やはりある程度は輸入に仰がなきゃならぬですから、安定的な供給というもののためにはやっぱり輸入は確保しなきゃならぬが、国内においては穀物の自給率というものはまだ四〇%を割るような状態ですから、これは低いですね。もう少し高めていかなきゃならぬけれども、しかし、やはりいざというときを考えてというような、それだけの自給率を常に持っておくということには考え方に無理がある。むしろ潜在生産力といいますか、どういうことがあっても急激に生産力を拡大していける潜在生産力の培養というものが大事である。  そうなってくると、中村君も御指摘になっておりましたような、いわゆる土地基盤整備といいますか、そういうふうなことはこれから大きな私は問題だ。そしてまた一方において、いま中村君が問題として扱われておる後継者の問題にしても、やはり耕作反別というものがもう少し拡大をされて、農業経営というものを経済としても魅力のあるものにしなきゃなりませんから、これはやはり土地の所有権を移動するというような——土地に対する日本人の執着力というものはよその国と違うですからね、所有権の移動ではなくして、耕作反別を拡大づけるような方法というものは農林大臣もいろいろ常に言っておるんですが、これは場合によったら法律の改正も伴うかもしれない。いろいろな点で、賃貸借で農業の耕作反別を拡大していけるような方法を考えていく。そして農業に専念できるために、他産業に比べて経済的に非常に魅力のないものだと、そういうものでないようにする。価格政策も一つの問題ですが、そういうような政策を行うことによって、農業というものが——これはいろいろな面において農業というものを無視する国はどこにもないですから、ヨーロッパにおいても農業というのはヨーロッパ共同体の大きな一番問題点になるわけですから、日本の農業というものが日本経済の中に正当な位置づけをされなければならない、こう考えておる次第でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 ぜひ一つ勇気を持ってやっていただきたいと思うのです。  それでは中小企業分野調整問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  この問題もかなり長い懸案になっておるわけでございます。実際、いまこの問題を抱えている中小企業界では、いつ何どき大企業が金にまかせて割り込んでくるかわからないというような危惧を持っておるんですよ。戦々恐々としているんです。わが党におきましてもしばしばこの問題を取り上げておりますけれども、なかなからちが明かないわけでございます。  その際に、先般も通産大臣が言っておられたんですけれども、政府の言い分というものは、中小企業の分野を法律で定めるということは自由経済の根幹にかかわる問題であるから、これはより慎重を期さなければならない、あるいは中小企業者を法律で保護するようなことはかえって甘えを助長して、体質改善や技術革新、合理化への意欲をそいで、長い目で見た場合、中小企業のためにならない、また消費者のサイドから見てもメリットがない、したがって法律規制は好ましくない、むしろ行政指導でやることが望ましいし、事実、実効を上げておるというのが通産大臣の御意見なんですね。  それは言うことはわからぬでもないのですが、もう一歩入ってみますると、いまトラブルの業界の実態について御認識がないのじゃないかというふうに私は考えておるのですよ。確かに大企業のやり方はひどいのですよ。本当に殴り込みをかけてくる。情けも容赦もなく、中小企業の生活ファンドを奪い去っても構わないという態度に私ども思えてならないのですね。私どもは、一部の野党と違って、大企業を何でもかんでも悪なんて、ちっとも思っておりません。今日まで果たした大企業の役割り、当然高く評価しております。これからも日本の経済は大企業の正常な活動に期待しなければやっていけない。わかっておるのです。しかし、だからといって、自由経済だから何でもやってもいいということにはならぬと思うのですよ、これは。やっぱりもうけることが先決だから、他人が困ろうが、中小企業がどうあろうと知ったことでねえと、早く手をつけた方が勝ちだという、そういう大企業の中の一部業者、この傍若無人なやり方に対しましてはこれは何としても納得できない、こういうことなんですよ。大企業がもし言うように、良識を持って、節度を持って真に中小企業との共存を図るならば、いま起きているような幾多の問題は出てこないと思うのですよ。しかし、至るところにいざこざがあって、しかも通産省では解決をしているんだと言いますけれども、業界の方ではちっとも解決だと思っていない。尾を引いているのです。これがやっぱり行政指導には限界があって、行政指導では根本的な解決にならないという証拠になっていると私は思うのですよ。  そこで、おさらいの意味で、若干過去の件についても触れておきたいと思うのですが、まず第一に中小企業庁長官、大企業がつくっている豆腐と豆腐屋さんがつくっている豆腐、知っておりますか、値段と目方を。知っていたらお答えください。

今村宣夫農林省食品流通局長

○政府委員(今村宣夫君) お答えを申し上げます。  大企業のつくっております一丁当たりの豆腐の販売価格は五十五円ないし六十円でございますが、中小企業の一丁当たりの豆腐の価格は、六十円ないし七十円でございます。ただ、これは一丁の豆腐当たりといいましても、重量がいろいろ違いますので、大企業の場合は大体三百グラムでございます。そうしますと、百グラム当たり大体十八円から二十円、こういうことでございます。中小企業の場合だと三百五十グラムないし四百グラムございますから、百グラム当たりの価格でいきますと、十七円ないし十八円ということになります。これは大企業、たとえば森永乳業の、あるいはその系列会社の豆腐でございますが、これは容器が異なりましたり、あるいはまた冷凍をいたしまして販売をいたしますので、冷凍の経費等がかさんでおるというかっこうで、大企業の製品の百グラム当たりの方は単価としては高うございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 単価が高い。単価としては大企業が高いのだね。

今村宣夫農林省食品流通局長

○政府委員(今村宣夫君) はい、さようでございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 なぜ聞いたかというと、やっぱりこれからの質問に関係があるのです。ということは、いま言ったように、大企業の方が単価としては高いのですよね。しかも、一袋六十キロから出る大豆の量は、パック入りのやつは千二百丁出るのです。それから豆腐屋さんの方は七百丁しか出ないのですよね。まあ豆腐というのはたん白源ですから、豆を大変入れなければだめなんですよね。それで、その栄養価は、豆腐屋さんの豆腐が七にすれば、大企業は四である。七対四であるということが立川都立大の松岡教授によって立証されているのですよ、これは。品物が、栄養源が高くて、しかも安くて、しかも味がよくて、手づくりだということなんですよね。ふるさとの味なんですよね。こういうところへ何のために大企業が入ってくるのかということですよ。通産大臣、大企業進出のメリットは一体何ですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 最初に申し上げておきたいことは、産業政策の中で私どもは中小企業問題を最大の課題であると、こういうふうに理解をしております。  中小企業問題の中で、この分野調整という問題がいま当面の一番大きな問題だと思うのです。そこで、分野調整のやり方でございますが、政府といたしましても分野調整は必要である、こういう理解の上に立ちまして、それは法律をつくらなくても行政指導でやれるんだ。現にこれまで幾つかの紛争がありましたけれども、大部分の問題は行政指導で解決をしてきた。なお若干不十分な点がありましたが、今後は、いち早くそういうトラブルの発生をいたしました場合にその実情を掌握をいたしまして、そして同時に、紛争を調停するための調停機関というものが弱体でございましたから、ことしから通産省の本省、それから地方の通産局等に調整機関をそれぞれ置きまして、そして遅滞なく調整に当たらせる、こういうふうにやるべくいま準備を進めておるわけでございまして、分野調整の問題は非常に大きな課題だと、そういう理解では全く同じ意見だと思うのです。  そこで、なぜ行政指導の方がいいと考えておるかといいますと、何と申しましても、何万種類という業種があるわけですね。これを一々問題があったからといって指定するということは、これは立法技術上非常に大きな問題点があるということが一つ。それからもう一つは、やはり何と申しましても、外部からの刺激が全然なくなりますと、これは近代化というものがおくれると当然考えられるわけでございます。それからまた、近代化がおくれますとこれは消費者のためにもならない。こういう消費者利益、こういういろんな立場から考えまして、行政指導でこれまでやってきましたし、その行政指導の態勢を強化すれば十分やっていけると、こういう認識の上に立っていま行政を進めておるわけでございます。  いま御質問の点につきましては、齋藤中小企業庁長官から答弁をいたします。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 豆腐につきましての大企業が進出をした効果は何かという御質問でございますが、豆腐の中でも、防腐剤を使いまして日もちをさせるようにいたしました豆腐と、いわゆる木綿豆腐と申しますか、その日のうちにつくりまして、日もちはしませんが、その日のうちに食ぜんに供するという豆腐と、従来二種類あったように存じますが、防腐剤としてAF2という薬品が使われておったわけでございますけれども、このAF2が人体に、健康に害があるということで、一昨年でございますか、使用が禁止になったわけでございます。したがいまして、その後は日もちのする豆腐というのは製造が困難になったわけでございます。これに対しまして、森永乳業あるいはヤクルトといったようなメーカーが高温殺菌法という新しい技術によりまして、一週間ぐらいこの防腐剤を使いませんでも日もちのする豆腐の製造法を開発をいたしまして、その技術によりましてこの豆腐を販売を始めたわけでございます。  先ほど農林省からお話がございましたように、少しこぶりでございまして、値段も若干その小ぶりでございます関係で一個当たりは安くなっておりますが、百グラム当たりにいたしますとやや割り高になっておる。それから栄養の点もたん白質がやや少ないといったようなお話もございました。味等は消費者の好みの問題でございますが、いずれにしましても、この防腐剤を使わないで日もちのする豆腐というものの技術を開発した点が、この場合の大企業が進出をした一つの意味合いかと存じます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 そのこともそうだと思うんですよ。しかし、本来的にはやっぱりその商品需要がこれからもふえていく。したがって、生産を高めて合理化によって生産費を安くして、安く消費者に提供する。なお、食品であれば栄養価をより一層強めていくという、そういうことでなけりゃならぬと思うんですよ。ところが、いま先ほどからずっと申し上げましたように、一体いまの豆腐屋さんの豆腐と大企業の豆腐とどういうあれがあるかということなんですよね。家内企業で二、三人なんですよね。朝の二時ごろに起きて一生懸命やっているんですよ。これへ大企業が何で一体入り込むのか、つぶしちゃうのかということが、しかも、いま言った大企業の進出のメリットはほとんどない。中小企業業界で問題になっているやり方は大体この業界と同じようなケースなんだ、大部分が。三木総理、どうでしょうかね。いまのひとつ豆腐の業界の問題に限って、この大企業の進出はこれはあたりまえだ、やむを得ないというお考えですか。そんなことをやらなくてもいいじゃないか、大企業が何も豆腐屋さんまでやることないじゃないかというのが実は一般的な国民感情なんですよ、率直に。その辺、どうでしょうかね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 一々それならこれはどうか、これはどうかというと幾らも問題はあるけれども、一つの物の考え方としては、私は中村君と同じ考えなんですよ。大企業が何もかも全部進出するということは弊害の面もある。それはいろんな合理化等の点で、大企業の進出というものが究極において消費者の利益を擁護する場合もあるでしょうが、何でもかんでも全部大企業が進出するという行き方には、物の考え方としては中村君と私も同感でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 中小企業庁長官、理化医ガラス業界の二回にわたっての調停がありますね。時間の関係で私の方から説明できません。それから軽印刷業界、これにつきましても二回にわたってのあっせんをしておりますけれども、この経過をごく簡単に御説明いただきたい。

野口一郎通商産業省生活産業局長

○政府委員(野口一郎君) かいつまんで経過を御報告申し上げます。  理化医ガラス業界、これは中小企業の業界でございますけれども、ここに旭硝子の子会社と米国コーニング社との合弁会社でございます岩城硝子が進出しようという動きがございました。これは昭和三十九年から昭和四十年にかけてでございますが、このとき両方話し合いをいたしまして、岩城ガラスの方は中小企業との協調を図る、中小企業業界の方は、自分たちの業界に進出してその脅威を感じ、通産省に実はその前に調整を図ってほしいという申し出があったわけでございますが、通産省が間に入りましてその協調を図るという旨、岩城ガラスの方から念書を取ったわけでございます。それは岩城ガラスがコーニングと合弁会社をつくってその業界に進出しようというときの話でございますが、その後現実的に、昭和四十四年になりまして理化医ガラスを生産するという動きが出てきたわけでございますが、このとき岩城硝子がつくりますのは、いわゆるパイレックスという非常に世界的にも品質の高いものであったわけでございます。それに対しまして中小企業業界は、これは問題だという意味の反対があったわけでございますが、つくる物が物だけに、岩城ガラスの方で中小企業業界と協調を図りながらやるということで話し合いがついたわけでございます。  その後もう一度昨年五月になりまして、岩城硝子がその生産するガラス製品を自動成形機という非常に高能率な機械をもって生産するということで、この機械を設置するということに関連いたしまして再び問題が起こったわけでございます。そこで、両者からいろいろ申し出を受けまして、通産省といたしましては両者の調停を図りまして、五十年の十二月に両者の和解ができたわけでございます。  その際の条件をかいつまんで一口で申しますと、去年のような、ただいまのような不況下におきまして、そういう状況を踏んまえまして、岩城硝子はことしの一月から六月までの製品の出荷の水準を、その機械を入れる前の状況、すなわち昭和四十九年の半年の出荷の実績水準からさらに一〇%を下回る線で抑制をいたします、その他いろいろ条件ございますが、そういうことで両者の和解を見たわけでございます。  それから次に軽印刷の話でございますが、これは大企業でございますところの大日本印刷の子会社でございますQプリントという会社が、製版から印刷、製本に至るまでの一貫システムをつくりまして、これを全国的なネットワークをつくろう、こういう動きがあったわけでございますが、それに対しまして中小印刷業界、これは大体三つの団体からできているわけでございますが、日本軽印刷工業会、全日本印刷工業組合連合会及び白木青写真工業会、この三つでございます。この三つの業界が、大企業がこの分野に入ってくることに対しまして反対運動をしたわけでございますが、通産省といたしまして、この両者の間の調停を図ったわけでございます。  その結果、このQプリントの技術なりあるいはシステムなりというものは、たまたま現在印刷業界は構造改善事業に取り組んでいるわけでございますので、この構造改善事業にも資するという意味におきまして、このシステムのフランチャイジーになるものは、この構造改善事業を進めておりますところの三つの団体に属している組合員に原則として限る、こういう条件をもって両者の話し合いが成立したわけでございます。その後、この話し合いに基づきまして、第一号店は北海道の帯広に、第二号店は千葉県の千葉市に実現しているわけでございます。もっともこういう一号店、二号店ができるに際しまして、やはり若干のトラブルは出てきたわけでございますけれども、それぞれ、当省も間に入りまして円満に話し合いをつけたわけでございます。  以上でございます。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 結局、理化医ガラスの方は、最初の調停では、一切中小企業を脅かしません、医療ガラスはつくりません、こういう念書が入っているんですよね。ところが、その念書を入れておきながら、四十四年に新しい工場をつくっちゃった。四十五年には工業用ガラスの生産を始めた。しかも、五十年四月にはTCMブローマシン、高性能機械を設置しちゃった。それで生産を始めた。こういうことなんですよ。中に入って、じゃあいままでの実績だけ認めよう、この一〇%低くしたものは認めてやろうということなんですよね。そういうことになっていたんですよ。しかも、大企業は需要シェアを開拓するために二〇%も市価より安く入っているんですよね。たまったものじゃないですよ、こんなものは。  軽印刷の方も、最初はやりませんよと言っているんですよね。それで。パイロットショップを二つ出した。それから抗議をしたらば、通産省が中に入ってフランチャイズの問題で話がついたにしても、また二つふえたんですよね、千葉と帯広に。ふえちゃったんですよ。  これが行政指導の実は実態なんですね。大手が約束を破って進出をしてくる。くれば、通産省の行政指導というものは、これを追認する形なんですよ。約束を破ったのだからどうするのだという、そういう措置はできない。あるいはまた、施設をつくればそれを撤去させる権能はない。これはいまの法体系では当然のことなんですよ。いまの体系の中でそんなことやったら憲法違反になりますからね。これはやっぱり通産省をあながち責めるわけに私はいかないと思うんですよ。これが限界なんです。だから、何回かこうあっせんをやっていれば、だんだんかさ上げをしていくんですね。そのたびに順々に中小企業界では追いやられてしまうということになっているんですね、実績の積み上げを認めるということですから。これじゃ基本的な解決にならないんですよね。そこに業界の不満があるわけなんです。  ですから、私どもは、これを何でもいいからかきねをしてしまえ、中小企業と大企業の分野をはっきりしてしまえということは主張していない。この事後措置、追認、あと追いの措置を、なぜこれが事前にできないだろうか、事前措置。事前にですよ、大企業が施設をつくる前にそういうチェックする措置をしたらどうだ。むずかしいことじゃないと思うんですね。基本的には、横から入ってはいかぬということじゃないんですよ、前に事前にやらなければいかぬ。でないとすれば、何らかのやっぱり法体系を整備して、それを裏づけに入っていくという、そのことを考えていかなければいかぬじゃないかということをかねがね言っているわけなんですよ。どうでしょうかね。

戸塚進也自由民主党

○戸塚進也君 関連。  最後に一問だけ申し上げます。総理と通産大臣にお伺いしますが、いま中村委員から指摘のあったことは非常に私は重要な問題だと思うんです。先ほど行政指導というお話もありましたけれども、現状認識ではわれわれはもっと危機感を持っているんです。こんなことでは中小企業は全くやっていけないというような状況に来ていると思うんです。  そこで、総理にひとつこの問題について本当に真剣に取り組んでいただきたいというような覚悟、わが党の松野政調会長もこれについてはひとつ立法措置を考えようじゃないかということを言ってるのでありますが、具体的にこの分野調整についてひとつ真剣に立法をお考えになる気持ちはないか。次期の国会にでも政府として提案される覚悟はないか。  通産大臣にお伺いいたしたいことは、技術論としてはいろいろあると思うんです。何万種類の中からこの種類、この種類と指定することはむずかしい。しかし、問題が起こりそうになったら、それについてはチェックをして審査をしようという方法もあると思うんです。そういうことを含めて、場合によっては時限立法で考えてもいいと思うんです。何とかひとつこの現状を、中小企業が体質改善が終わるまで何とかひとつ対策を考えてもらいたい、真剣に立法を考えてもらいたい、こう考えておるんですが、通産大臣からも明確な答弁をお願いいたしたい。  最後に、当面、いまのような豆腐あるいはいわゆる軽印刷、段ボール、かまぼこ、中小企業はいじめられていますよ。そういうことに対して、大臣が大企業に対して、もっと気をつけろ、そうしなければ立法措置をやらざるを得ぬぞというくらいの、もっと強いやっぱり指導が必要じゃありませんか。そのことについての覚悟を伺います。以上。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 分野調整は私どもぜひ必要であると、こう思っております。ただ、それをいますぐ法律をつくってやらなくても、行政指導を強化しながらやりたいというのがいまの考え方でございます。そのために、いま御指摘がございました、そういう事態が起こりそうになればいち早くその情勢を察知して事前に調整することが必要じゃないかと、こういうお話でございますが、そのための体制を本年度からつくることにいたしております。  それからなお、紛争が起こりましたときに、紛争を調停する能力が不足しておりましたので、本省及び九つの地方の通産局にそれぞれの専門官を配置をいたしまして、直ちに調整に入る、そういうふうにいたしておりますし、この行政による調整能力というものは非常に本年度からは強化されると思います。それによりまして、今後処理したいと思います。それでもなお問題が処理できない、こういう場合には別の方法を当然考えなければならぬと思いますが、本年はそういう行政能力の強化ということで対処をしたいと思いますので、もうしばらくの間推移をごらんいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 中村君からも、戸塚君も、中小企業としては当面のこれは重要な問題だと思いますが、まあ通産大臣も問題の重要性を非常に認識しておるわけでございますから、今後一段と行政指導を強化していくばかりでなしに、一体その後でどうなっておるかという問題を、中村君もいろいろ御指摘があったように、本省にも地方の通産局にも調整機関を設けておるわけですね、調整機関を、何か調整したらそれで終わったのじゃなくして、一体どういうふうになっておるかということをフォローしていく必要もございましょうし、行政指導を一段と強化していって、なおかつ、やはり中小企業の保護という立場から、立法化しないとこの問題解決しないというときには立法化も研究をいたします。

中村太郎自由民主党

○中村太郎君 時間が来たのでやめますけれども、いまの中小企業分野の問題は早急に、前向きに検討をしないと、あたら中小企業界から自民党は信頼を失うということになりかねないので、そのことを申し添えまして質問を終わります。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして中村太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 市川房枝君。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 私の持ち時間は二十分ですが、皆さんお疲れでしょうから、答弁をお願いしております方々はお残りいただいて、あとはどうぞ御自由になすってくださって結構でございます。  まず、国会の空白について総理に伺いたいと思います。国会の長期空白について、国民の間には政治不信、国会不信、政党不信がさらに強まってまいっております。私のところへ、その空白の間の議員の歳費を返上するように骨を折れなんというようなことだの、いろいろなことを言ってきております。この空白は政府だけに責任があるのではなく、国会自身にもあると私は思うのでありますが、総理・総裁として今後こういうことがないようにするにはどうしたらいいのか、ひとつ御意見を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは、どうしても国会は審議の府ですからね、いろいろ意見があったら意見を国会を通じて言うということでないと、民主主義というものの一番の端的な保障は国会がいつも必要な機能を果たしておるということでないと、やはり私は民主主義というものが、何かこう国会の外での運動というものが中心になるということでは議会制民主主義は維持できない。そういう点で、先ほどもお答えしたように政府・与党としても十分に反省いたしますが、野党の皆さんもこれは育てていかなければ、まだ日本に議会制民主主義が深く根をおろしておると私は思わないんです。こういうので、大事に育てていくためには、これは与野党ともに協力していかなければならぬと私は考えるわけでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 次は、最高裁の違憲判決について伺いたいと思います。  四月十四日の最高裁の違憲判決は、私ども市民団体が有権者の立場で、四十七年の衆議院の選挙での千葉第一区の議員定数は憲法十四条の平等の原則に違反しているので、当選は無効だと提訴したのでありますが、これに対して十五名の裁判官のうち十四名が憲法違反だと認めましたが、この過半数の八名が公衆の利益のために選挙は有効とするという判決だったことは御承知のとおりです。この判決は日本の政治構造を変革するほどの画期的な重要な判決だといわれておりますが、総理はこの判決をどうお受け取りになりましたか。それからまた、この判決理由の中には、違憲と判断されるほどのアンバランスを放置してきたということについての政府及び国会の怠慢に警告をしておりますが、それについてはどういう御感想がありましょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 先般の最高裁の判決というものは重要な意味を持っておると思います。市川さんの御指摘のように千葉一区、それから兵庫五区ですか、四・八対一ですか、そういう極端なアンバランスを指摘して、投票権、投票の価値に差がこういうふうにつくことは客観的に見ても合理性があるとは思えない、だから客観的に見て合理性を有すると思われないようなものに対しては、その不平等なということに対して正当な理由を付さない限りは違憲であるという判断をするということでございますから、この問題は衆議院の選挙区制と定員数についての判決でございますが、この点は将来、今後この判決の重要性を考えて、そして衆議院の選挙区制や定員数というものは考えていかなきゃならぬ。しかし市川さんも御承知のように、われわれもつとにそれを考えまして、すでに千葉県を初め十一府県だと思いますが、皆さんの御同意を得て国会で定数の是正を行ったわけでございますから、いままたこの判決があったから衆議院の定数について変更を加えるという意思は持っておりません。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いま総理は、もう昨年の衆議院議員の選挙法の改正で二十名定員をふやした、だから、すぐ定数の是正を考えないとおっしゃったんですが、四十七年の選挙もそうですけれども、昨年の改正も四十五年の国勢調査の人口によっているんですよ。ところが、ついこの間四月の十五日に五十年の人口の国勢調査の結果が発表になったんですが、それで見ますると、またアンバランスが出ているんですよ。兵庫の五区と千葉の四区で比較しますると一対三・七一八になっているんです。もう四に近いんですよ。だから私は、やはりこの判決の趣旨から言えば、これだけのアンバランスを放置するわけにいかない。直ちに定数の是正を考えていただきたい。ただ、どうせことしの十二月十日までには選挙が行われるので、それまでに改正の時間がないし、新しい法律ですから今度の選挙は現行法でやってよろしい。しかし、その選挙が済んだら直ちに私は是正する方向に向かってほしいと思うんですが、いかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 最高裁の判決にはちょっと不明確な点もあるんですよ。合理性を有するという、合理性を有さないというその差は一体幾らかというパーセンテージは示してありません。そういう点が解釈上不明確でございますが、しかし言わんとするところの意味はわかるわけでございますから、衆議院の場合は、これはもうどうせ今年に選挙をやらなきゃなりませんから、いまからそういうことを最高裁の判決があったからどうこうということではございませんし、すでにある程度是正をしたんですから、将来の課題としてはこの最高裁の判決というものはわれわれも頭に入れて考えなければならぬ問題点だとは思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 総理のこの判決に対する解釈の問題は、私と少し違うんですけれども、私は今度の判決で重要なのは、いわゆる一票というこの数字上の、平等だけでなくて、その一票の価値が平等でなくちゃならぬ。これは非常に私は大きな点であって、そのことを考えれば、私はいまお話しのように今度の判決では、偏差のどこから以上がどうということは示しておりません。しかし、趣旨から言えば、私はせいぜい一対二までであって、それ以上は是正されなきやならぬと、こう思うんですが、これはいますぐの問題じゃありませんから、ひとつ総理になお研究をしていただきたいと思います。  それから、大体こういう違憲の問題が起こってくるのは、私は公職選挙法の別表一のおしまいに書いてある、五年ごとの国勢調査によって更正するものとすという非常に不明確な言葉がこういう結果になっているんで、これを義務制にやっぱりすべきなんだ、そしてこういうものはむしろ本文の中にすべきだと思うんですが、その点はいかがですか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  御指摘のとおり、選挙法には、衆議院の場合におきましては、五年ごとの国勢調査によって定数を変えることを例とする、こういう規定があるわけでございます。そういたしますというと、五十年の国勢調査というものを踏まえて一応この問題を考えるべきではないかということについては、われわれとしても尊重しなければならない面があると考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 まだいまの問題いろいろありますけれども、参議院の地方区の定員是正については、この判決に関連して総理はどうお考えになっていますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 参議院の判決では、四十九年ですか、あれは東京と鳥取ですか、それを比較しまして、やはり差があるんです。五・一対一ぐらいの差があったんですけれども、これを合憲という判決があるわけでございます。合憲という判決がある、四十九年に。  参議院というものと衆議院の選挙の制度とは相当の違いがあります。全国区というものはないですからね、衆議院の場合は。それから県が一選挙区単位になっておるわけですね。そういうことで、また人口というものについて、それならば参議院の定数というものが人口比でいかなけりゃならぬということになれば、またこれも衆議院との違いは、どんなに人口の少ない、鳥取県ですか、六十万ないでしょう、五十七、八万。そこでも二人の参議院議員はどんなに人口が少なくても持たなけりゃならぬ。そうなってくると、それならば六十万というものの単位で東京などの有権者を割ってみますと、これは大変な議員が要るということで、どうも参議院と衆議院との間には選挙制度というものに対してもやはり相当な違いがございますから、これはやはり最高裁の裁判というものに対してはむろんわれわれが頭に入れなきゃなりませんが、直ちに人口比で参議院の地方区の定数を割り切っていくということにも非常に選挙制度の違いがございますが、しかし問題になっておるわけです、この参議院の地方区あるいはまた全国区の問題もあわせて関連を持っておるんですから。  この点については、私も次の参議院の通常選挙までにはこの問題を一体どうするかという結論を出しますということを申しておるわけでございまして、でき得べくんば、衆議院の場合でもそうでございましたが、こういう選挙制度、選挙の区制とかという問題については各党間の合意ができることが私は一番好ましい。絶対に正しいということはないですからね、これは。これがもう絶対に正しくて、これと違うことは間違っているというものでないんですから、各党問の一つのルールですから、これの合意が成立するということが一番好ましいので、小委員会も参議院においても公職選挙法の特別委員会でおできになるということでございますから、どうか早急に各党の合意が成立をして、みんながこのルールがいま考えられる一番公正なルールであるというルールができて、それとにらみ合わせて政府の考え方も決まるということが私はやり方としては一番好ましいと思っておりますので、どうか各党間においても、この問題は重要な問題でございますから、小委員会等において十分御審議を願いたいと思っておる次第でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 参議院の地方区の問題は、昨年実は衆議院の選挙法二十名増員のときに、参議院もこの次にはするという約束をたしか総理はなすったのじゃなかったかと思うのですが、私は、今度の最高裁の判決は衆議院の問題なんだけれども、しかし、その趣旨からいって当然参議院の地方区も問題とすべきなんで、さっきおっしゃいましたけれども、参議院の方の地方区は五十年の国勢調査から言えば、鳥取県と神奈川では一対五・五〇二ということになっております。  ただし、私は参議院の方は衆議院と違って、ただ人口比だけでなくて、やはり地域も考える。それから参議院は三年ずつで選挙がありますので、やっぱり偶数でなきゃならぬという点もあり、そういう点で衆議院とは多少違っていい。私どもは各県に二人ずつ配分して、そして残りの定員をそれこそ人口によって配分する。そうしてできるだけアンバランスを少なくする、こういうことで、まあしかし増加の意見が大分出ておりますけれども、私どもは国民は増員は望んでいないと、そう考えますので、私ども二院クラブは一応現在の定員の枠内で是正する、こういうふうに意見をまとめております。これはぜひひとつこの次の参議院の選挙までに修正してやってほしいと、こういう希望を持っております。  次に、ロッキードの問題について、一、二伺いたいと思います。  政府は、きょうですか、斉藤前国連大使を政府の特使としてアメリカに派遣なさることになったようですが、この問題は国会の決議の中に実は入っている。それからもう二カ月たつのですが、どうしてその間この問題は放置されていたのか。それから今度の議長裁定で改めて派遣することになって決定したわけですが、この政府特使はアメリカへ行ってどんなことをなさるか、新聞でちょっと拝見はしておりますけれども、総理から伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 国会の決議は、市川さんも御承知のように、資料の提供を受けるようにというのが主眼でございます。右の目的を達成するために特使派遣等政府が万全の措置を講ずるようにということになっておりますので、その資料の提供を受けるためにああいう国会で決議が行われたのですから、普通ならば、これを伝達を依頼されたのですから、それを送ればいいわけですが、異例の私の大統領あての親書を書いて、特使が行ってただいろいろこれを伝達するよりも、総理自身が親書を書いてすることが、まあ特使を派遣するというのもある決意を伝達して資料の提供を受けるということでしょうから、非常に私自身の考え方も述べて丁重な親書であるわけですから、そういうことで、そういう目的は、特使の派遣等万全の措置という国会の意思はあの親書によって私はある程度、万全の措置という中に、そういう政府のとった態度というものはこれはやはりそういうことで国会の意思にこたえ得たと考えておったわけでございます。  そういうことで、そのときは特使の派遣等を考えなかったわけで、また外交機関もあるわけですから、そういうことで考えなかったわけですが、国会の空白から議長の裁定が出て、その中にもございましたし、またいまのこの段階というのは、いろんな資料の提供は、条件はついておりましたけれども提供を受けたし、ちょっと一段落いたしました、そういう資料の提供については。そこでこの際、日本がこの問題に対して、国民がなぜこんなに大きな関心を持っておるかという問題については、アメリカにもこの実情を伝えたい、あるいは国民感情、国会の模様などの実情を伝えてアメリカとの間に相互理解、相互信頼を深めていきたい、この問題が日米関係にいささかも悪い影響を与えないようにしたいというのが政府の非常に熱望いたしておる点でございますから、この点とか、あるいはまた今後真相究明のために日米協力という面はまだまだあると思います。いまこれから新しい資料も、もし出てくるような場合があれば提供も受けたいし、そういう真相解明のために日米の協力の問題というものも話し合っておく必要があるし、また市川さん御承知のように、多国籍企業の方からこれは問題が起こったわけですから、多国籍企業のあり方というものに対して、大統領の書簡にもございましたが、日米間でこれは協力し合って、こういう多国籍企業の不正行為というものを両方から防止するということがこういう事件を起こさない根本的な問題点にもなるのでありますから、こういう点についても、アメリカにもすでに不正防止のための閣僚の委員会もできておるわけです。御承知のように商務長官のリチャードソン氏が委員長になってやっておるわけですから、この連絡もとってみたい、こういうことで、相互の理解増進ということに重点を置くわけでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 私、約二カ月前にちょっと一市民としてワシントンに参りまして、国務省当局を初め上院の多国籍小委員会の委員の方あるいはSECの幹部の人たちに会った私の感触では、日本の総理や国会から要請された資料は全部日本に提供することにした、米国は米国で、いま総理からもお話ありましたけれども、アメリカの問題として調査を続け対策を考えている、賄賂をもらった日本の政府高官についての問題は、これは日本自身の問題なんだ、だから日本が調査すべきだと、そういう感触を受けたわけでございます。現に四月の二十四日の朝日に掲載されましたワシントンからの通信にも、「日本の動き、米は当惑 渡せる物ない」とありましたけれども、こういう点をいらっしゃる特使の方はひとつ踏まえて、そしていま総理がおっしゃいましたけれども、そういう点で使命を果たしていただきたいと思いますが、そういうアメリカの私が受けてきた感触なんかについてはどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それは私はアメリカとすれば、アメリカ自身もこういう不正行為を、証券取引委員会は株主の利益擁護のために委員会ができておるわけです。そういう不正行為を企業が行えば株主の利益を害しますから、そういう特別委員会ができてアメリカの目的のために調査をしておるわけですから、したがってアメリカとしては、市川さんの言われたように、日本はやはり自主的に日本自身が調査、捜査をやってもらいたい、アメリカとしてそのために参考になる資料は差し上げるが、あくまでもこの問題は日本の問題としてやってもらいたいという感じをアメリカが持つことは私は当然だ。日本のために調べたわけではないんですからね。したがって、便宜は図るけれども、アメリカの資料は皆に公開されなければ何にもできないんだというふうに考えないで、自力でこの真相を解明する態度をひとつ日本は持ってもらいたい、こういう考え方をアメリカ人が持っておるという市川さんの、いまのあなたがアメリカに先般おいでになった感想というものは、私もアメリカ人はそう考えておると思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 外務大臣にちょっと伺いたいんですが、ロッキード問題についての三木総理の親   それから国会の決議は、二月二十四日に東郷大使からアメリカの国務省に手渡されたようですが、アメリカの上院には約二週間後の三月十日のコングレショナルレコードに、決議文をつけないで、ただ日本の国会から決議が来たというだけ受け取ったといいますか、それだけしか載っていないんです。それは大臣御存じでしょうか。これは一体どういうのか、私にもちょっと解釈ができないんですけれども。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 慣例によりますと、私も今度知ったのでございますけれども、国務省から議会担当の国務次官補の名をもちまして上院議長に送付をした。その場合、上院の慣行によりますと、すぐそれが法規部とでも申すべきところに移管をされまして、その法規部におきましてどの委員会に付託すべきかの決定をする由でございます。そして、それが事実上決定をいたしましたときに本会議にかけまして、件名としてそれを議事録に載せる。それによりましてこれが付託をされたということになるのだそうでございまして、国務省から送られましてからそれまでの間に一週間ないし十日、そのぐらいの日にちがかかることは、普通の議会の手続とするとごくしばしばあることであるという由でございます。したがいまして、ただいま市川委員の言われましたコングレショナルレコードに件名が載りましたときにこれが委員会に付託をされる。この場合、外交委員会に付託をされたということになる由でございます。  なお、そういう問題もございまして、私の記憶が正しければ、チャールズ・パーシー議員が演説をいたしまして、国会決議全文を紹介をするという手続をとることによりまして、演説の一部として今度はそれが文章として記録に載ったというふうに承知をいたしております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 三月の十日に上院で秘密会がありまして、駐日ホッドソン大使がアメリカに行かれて、そして上院の秘密会でロッキード問題についての日本の状態といいますか、国民の状態というか、そういうものの報告があったらしいです。その後で、十七日にクラーク議員から上院に出ましたね。それから十八日にパーシー議員が上院にやはりこの問題について出したのですが、この演説は日本で新聞にも大要が出ておりましたけれども、外務省はそれを日本でどういうふうに処理なすったのでしょうか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○政府委員(山崎敏夫君) クラーク議員、さらにパーシー議員の演説に関しましては、早速私の方で翻訳いたしまして、国会の関係方面にもお配りいたしました。できるだけ広く皆さんに読んでいただくようにいたした次第でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 実は、そのパーシー議員の演説の前日といいますか、十七日になりますけれども、私はパーシー議員にお目にかかり、そのスタッフの方とも会って話したんですが、そのときに、日本の国会への返答をいま執筆している最中だという話がありました。そしてその方のおっしゃるのには、東郷大使からしばしば催促があったので、チャーチ委員長にかわって、日本に関係があり、この問題について関心を持っているパーシー議員が買って出て演説をすることにしたんだと。演説の中には、いまお話がありましたけれども、日本の国会の決議の全文が入っておりますし、総理の親書もフォード大統領の返書もそれに付属でつけられてあるんです。ところが、いま外務省から翻訳して国会の方へとおっしゃったんですが、私帰国してから、ことにパーシー議員の文書が私のところへ国会から来ているかと思って探したんですが、来ていない。私個人として来ていないし、それから私ども属している小さい第二院クラブにも来てないんですが、私はその間の実情を直接知っているだけに、何でも国会で調べますと、外務省はこれを一種の何と言いますか、情報として、各党派の理事にといいますか、理事会にこれを渡してくれということであったから出さなかったんだと、こういうことですが、私はどうもこういう処理の仕方はパーシー議員その人のそれを演説をした趣旨にもかなわないし、何だかどうも失礼なような気がするんですけれども、外務大臣どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私もクラーク議員とパーシー議員の演説を読みまして、やはり両上院議員とも、日本でもあれはたくさんの人々が読んで理解してもらいたい、わかってくださいということを訴えた演説だと思いますので、外務省にもこれは早速議運などには届けるようにということでいたしましたが、市川さんの言われるように、議員各位にお配りすべきものであったろうと思います。これはさように今後いたすことにいたします。いまからでもそういうことの処置をとるこにいたしましょう。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 次には、政治資金ときれいな選挙についてちょっと伺いたいと思います。  総理、私は今度のロッキード問題は突然起こったのではない。政治資金の届け出に見られるように、自民党及び自民党の各派閥は収入の九割、十割までを企業からの金をもらい、それで選挙や常の活動に使っておいでになるんですが、こういう金権体質といいましょうか、それ自身が私は一審もとになっているんだと思うわけです。ですから、今度賄賂をもらった高官の究明を徹底的にするということはもちろんですけれども、同時に、日本のこういう金権体質といいましょうか、政治的土壌といいますか、そういうものを私はこの際徹底的に直さなければ、またこういう問題は何度でも起こってくると思うんですけれども、いかがですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 企業の政治献金が全部悪だと言うことは、いまの日本の現状に立って私は無理だと思う。やはり自由社会を守るという点で、自民党というものに対して一つの政治活動を助けたいという気持ちは私は皆あると思いますよ。そういう人たちが自民党の政治活動を助けたいということについては、これはやはり自民党が御辞退するということではない。ただしかし、いろんな点で市川さんの言われたような誤解を生ずる点もありますから、将来、相当な時間をかけなけりゃいきませんが、政治献金のあり方というものについてはいろいろ検討すべきものはあると思います。しかし、企業の政党に対する献金が悪だという断定は私はできない。それは皆が、やっぱり自由社会の健全な発展を願っておる人たちが自民党の活動、政治活動を助けたいと思う気持ちをたくさん持っているでしょうからね。そういうことで、それを、そんなものは全部御辞退するということにも私はする必要はないと思います。  ただしかし、先般の政治資金規正法の改正あるいは公職選挙法の改正というものは、私は画期的なものだと思うんですよ。まあ市川さんから言ったら自分の理想から遠いといっても、議会政治というものがそんなにドラスチックな改革を予定した制度ではない。漸進的に改革していくというのが議会政治の一つの大きな特徴でございましょうから、そうすればやっぱり相当な——いままでなかったんですからね、ああいう改正は——大改正で、まあ野党の皆さんは政府のいいことは余りおほめにならないで、全部三木内閣は悪い悪いということですけれども、相当にこの内閣もいいことをしておる。これはやっぱり評価されないと、全部悪いといって、いいことをしても余り評価しないで全部悪いということは、これはやはり私は議会制民主主義というものを健全に発達させていくためには、いいことはほめて悪いものは徹底的に攻撃するというフェアな態度がないと、もう全部三木内閣のことは悪いんだというような何か絶対的な、絶対主義みたいなことでもう全部悪いと言うて否定するようなことが議会制民主主義の健全な発達に役立つとは私は思わない。  しかし、これは私は野党の皆さんが御批判をなさることは当然でございますが、そういうことで、いいこともずいぶんしている。その一つの公職選挙法あるいはまた政治資金規正法、これは厳しいものですよ。日本のこの政党の体質にも大きな影響を与えますね、この政治資金規正法。あるいは公職選挙法でもそうですよ。これを皆が忠実に履行するならば、日本の選挙というのは面目を一新すると思いますね。これを裏道を考えないで、まともにあの公職選挙法というものを実行する。あるいは政治資金規正法というものも、新しい政治資金規正法というものに乗って、金の集め方あるいは出し方、こういうものが厳重な規制があるわけですから、そういうことが行われれば、これは日本のいま言われた選挙や政治に金がかかり過ぎるという弊害を是正するために相当大きな一つの役割りを果たすものだと考えるわけでございます。しかし、それだけで十分でございませんから、私どもも政党自身の体質の改善といいますか、とにかく金でものを解決しようという考え方はいけないんですから、やはりもっと清廉な一つの党風を確立するということについては、一段と努力をいたしたいと思っておる次第でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いまの総理のお話は一通り伺ったんですが、これは改正された政治資金規正法を私は改悪だ、もっと前より悪いというのが私の感想であり、そしてあれを改正されたけれども、改正された意図のようにうまくいってないみたいですね。  自治大臣、一月一日から実施されているんですが、どんなふうに運営されているのか、ちょっとその状態を伺いたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) まだ実施されて四カ月前後でございますから確たることは申し上げられませんが、少なくとも政治団体の数は半減以下になると思います。そうして、いままでのような何か目的とかあるいは関係しておるところとかいうことがはっきりしないような団体はかなり整理をされたと、かように私は考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 その問題はまた地方行政委員会で詳しく伺いたいと思いますからおきますが、選挙の問題ですね。総理はきれいな選挙推進国民運動本部というのをおつくりになって、そして予算もいままでの倍額をおつくりになったんですが、その成果があったとお思いになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) きれいな選挙の推進のための国民運動本部というものも発足しまして、私自身も発会式に出席しまして、やっぱり選挙をきれいにするためには、第一番に議員というものが責任があると思いますよ、候補者といいますか。しかし、それはやはり国民の協力も得なければなりませんから、ああいう推進運動というものは今後も強力に私は運動は続けていく必要がある。あの運動は、統一地方選挙からあの運動というものがそれを目標にして展開したわけですが、悪質な選挙違反は大分少なくなったようです、統一地方選挙の検挙された実績から見ますと。  それにしても、国会議員からあるいは地方の町村会議員に至るまで、こんなに金がかかるような選挙をやっておったら日本の民主政治は私はだめになると思う。そういうことで、どうか今後はそういう運動も通じ、また政党自身も、これから私どもはそういう点では特にいままでの惰性というものを打ち破らなければいかぬ。それはもう金を持っておるか集める能力がなければ議員になれぬというようなことで民主政治が健全に発達するわけがない。そういう点で、この点はひとつああいう公職選挙法の改正があり、政治資金規正法の改正があった機会に、今後の選挙に対して、改正した効果があったという実は上げたいものである。取り締まりなんかも強化したいと思います。そして粛正選挙というものを行えることを心から願っておるわけでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 総理のそのきれいな選挙云々というやつは、もうことしはそれをやめちゃって、それからこれは自治省なんだけれども、いままでの自治省の公明選挙連盟だとかあるいは明るい選挙推進全国何とかという会、何か二つあるのを一緒にしちゃって新しい会をおつくりになるみたいなんですが、単にそういう組織を変えるだけじゃないんですか。本当の選挙をきれいにするという基本方針がその中にありますか。これは自治大臣から伺いたい。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) この選挙をきれいにする会、選挙をりっぱなものにしようということについては、これはいま総理からもお話があったように、候補者になる者が一番大きな責任があると思います。しかし、何といってもやはりいままでの選挙の実例を見ますというと、いろいろの関係とか情実とか因縁とか、こういうものが中心になっておるのでございまして、そういう問題をよく国民がみんなでわかってもらえるようにすることが一番大事だと思うのでございます。  そこで、いままでも、ただいま御指摘になりましたような公明選挙連盟とか明るい選挙推進協議会とかいうものがございます。それからまた、三木内閣になりましては選挙をきれいにする会というものを起こしまして、いろいろの会を起こしまして、何としても国民にもひとつよく理解をしていただこう、そのためには選挙管理委員会も必要であれば婦人団体も大事、報道機関にもお願いせねばいけませんし、あるいは社会団体にもお願いせにゃいかぬという意味で、いま一生懸命努力をいたしておるところでありますが、ただいま御指摘になった公明選挙連盟、明るい選挙推進協議会というのは、もうできましてからずいぶん長い間になりまして、それを進めていただいておる方も相当老齢化をいたしております。そこで、この機会にこれをひとつ一緒にしてはどうかという空気が二つの会の間で起きてまいりまして、そういう動きが出ております。  われわれも、そのこと自体は何も悪いわけではない、本気でもって今度はやるんだからりっぱなものをつくろうというお考えであれば御趣旨に従うのは当然であると思って、その御趣旨に従うように考えていまやっておるわけでございますが、その場合に、できましたらば、新しく統合をされた場合には、御案内のように今度は普通のいわゆる啓蒙開発費として十億前後、あるいはまた今度の総選挙を目当てにして五、六億、合わせて十六億五千万円ほどの経費があります。こういうものをもっと有効に使わにゃいかぬと思っているんです。いままでは何か引き受けられた方が、まあそう言うからやっておこうかというくらいの程度である。市川さんが一番よく御存じだと思うんです、そういうことは。それではだめなんですね。やっぱり本当にやるという気になってやられる人、またそこにいる事務員の者も本気でやる。それから連絡もよくとるというには、ある程度の待遇問題等も考えてやらにゃいかぬじゃないかと思うんです。それがまた責任を増す道でもあると思っておりますので、そういう点も考慮しながら真剣にこの選挙をきれいにするというか、選挙の浄化をするというか、公明選挙を実現するというか、これには全力を挙げて自治省としては取り組んでまいりたい、こういう考えでいまいろいろと考え方を進めておるところでございますので、市川さんなどは一番そういう意味では実践されている方ですから、これからも大いにひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 自治大臣、いろいろ注文を後で持っていきます。  最後に、婦人問題について少し伺いたいと思います。昨年は国際婦人年というので、総理は内閣に男ばかりで婦人問題企画推進本部というのをおつくりになりましたね。このことを、私はアメリカへ行ってアメリカの婦人議員だの婦人団体の幹部に話して、笑われて恥をかいてきました。婦人をそれに加えるおつもりはありませんか。  それからもう一つ、国際婦人年は一応済みましたけれども、引き続いて国連の婦人の十年ということで、五年後、十年後にまたこの間のメキシコのような世界婦人会議というのが開かれることになりました。そうすると、この本部も十年やっぱり継続をしていただく必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 国際婦人年というものが催されて、各国とも婦人の地位あるいは婦人の福祉の向上というものに皆思いをそれぞれの国でいたしたと思うんですね、ああいう国際的な婦人年というものが制定されたことに対して。しかし、この問題は一日にして婦人年の年だけで解決できるような簡単な問題ではございませんから、国連でも国際婦人の十年という、今後やはりたゆまない努力をしていくということでございますから、したがって、市川さんのいま御指摘になったような、婦人年は今後また何年ごとになりますか、それは開いていく必要が私はある。そうしてやはり世界のこの問題に対する注意を喚起するとともに、どういう実績が上がったということを報告することにも意義があると私は思いますので、そういうことで継続的にこういう婦人年というものが開催をされることには賛成でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 総理、婦人を本部にお加えになることはどうですか。いまお答えがなかったんです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 推進本部が男子だけであるということはしょっちゅう市川議員からお話がございまして、アメリカにまでそれが伝わっているということは存じ上げておりませんでした。御承知のように本部長は総理であり、副本部長が総務長官でございますが、この本部員というのは各省庁の次官で構成をいたしておりますので男子ばかりということになっておりますが、しかし、実際の仕事を推進しておりますのは幹事でございます。この幹事には女性が二人入っておりますし、また本部には参与制度を置きまして、四名のうち三名は婦人でございます。また本部の担当室は七名が構成員でございまして、そのうち六名が婦人でありまして男が一人だという状況でございます。また民間有識者で構成されております企画推進会議、三十二名でございますが、これは三分の二が婦人でございます。こういう審議会はほかにはないのでございまして、政府といたしましては実質的に婦人問題というものに精力的に熱心に取り組んでいるということを御理解いただきたいと存じます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 その副本部長の大臣は一生懸命やっていてくださるらしいけれども、いまの答弁はそれは一種のごまかしですよ。下の方に女がいっぱいいて、上は男ばかりじゃないですか。そんなのはだめですよ。  総務長官に別のことを伺います。去る二月五日の次官会議で、各省庁の調査会・審議会委員に婦人を加えること、それから婦人公務員の採用、登用ということが決まったんですが、それは強制力はありませんわね、本当に実現するんでしょうか、総務長官。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 仰せのとおり、次官会議において申し合わせをいたしました。これは世界行動計画の趣旨に基づきまして、国の政策、方針の決定でありますとかあるいは行政に対する婦人の参画を促進するものでございます。御承知のようにこの申し合わせ以後、国連の公使に婦人が就任をすることになりました。あるいは重要な国際会議であります国連の多国籍企業委員会の政府代表にも婦人が選ばれました。また国連経済社会理事会の代表顧問にも婦人を登用する、こういうようになっておりますし、審議会関係が確かに婦人が少なかったわけでございますけれども、各省庁いろいろ御努力くださいまして、最近でございますけれども、金融制度調査会でありますとか、社会教育審議会にそれぞれ婦人が入りましたり、あるいは増員せられるというふうにいたしておりまして、着々とこの申し合わせを遂行いたしております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 その増加した数といいますか、詳しい報告はいまはちょっと無理かもしれませんけれども、ひとつ出していただきたいとお願いをしておきます。それから、いま婦人の国連公使ができたとおっしゃいましたが、これは外務大臣に私はお礼を申し上げなきゃならない。これは去年の予算の委員会で私がお願いをしましたときに、考えてみますと約束してくださったことを実行してくださったわけであります。けれども、ほかの方のは、ILOの方はあれは何も政府は関係ないのであって、それもやっぱり政府の手柄になさるのかもしれませんが、ちょっとそれは納得がいかないわけでございます。まあこれは、私はこの婦人の公務員の問題は各省について細かく実は知りたいんですけれども、きょうは農林省だけについてちょっと伺います。農林大臣、おいでになりますね。  農林省には婦人だけが勤務している生活改善普及員というのがおります。なかなかよい仕事をしているんですけれども、だんだん減らされてきてもう十年間に三百人ぐらい減ったんですよ。そして五十一年度にも二十八人ちゃんと減らすことになっているんです。これはさっきの総務長官の、いまの次官会議の決定にちょっと反していると思うのですけれどもどうですか。  それからもう一つ、農林省の所管の研究所には優秀な婦人の研究員がいるのですけれども、やっぱり男女平等になっていない。婦人は男よりも待遇が低いという具体的な調査の数字を私は持っているんですけれども、農林大臣、ちょっと答弁をいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 御存じのように、国は、農家、農村生活の改善向上を図るために生活改良普及員の設置について補助をいたしておるわけですが、これにつきましては、昭和五十一年度の補助職員設置定数につきまして、昭和五十年度以降の定員管理についての政府の全体的な方針に即して国家公務員各種補助職員と同様に取り扱うということで、二十八名減員することといたしております。現在、五十一年度が二千百十三人でございまして、五十年度が二千百四十一人ですから、いまお話しのように二十八人減員をしたわけでございますが、しかし生活改善普及事業につきましては、普及員の資質の向上であるとかあるいは機動力、これは四輪の自動車を貸与するといった面の強化等、普及活動の効率化を図ることによりまして、実質的な普及員の活動には私は支障がない、そういう方向で今後とも進めてまいりたいと思っております。それからまた、研究機関の研究員につきましての処遇については、これは男であるとか女性であるとかいうことでもなくて、また勤務年数とかあるいは年齢といったことではなくて、これまでの研究の実績あるいはまた適性ということからこれに対して処遇をいたしておるわけでございまして、これは決して婦人であるからといって特段な差をつけておるということでは決してないわけでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 平等に扱っているとおっしゃるのでしたら、そうでない事実を私、何か持ってきますから、もう一遍そこでお話をしましよう。  次に文部大臣に伺いたいのですが、第一番に、小中高校の教育課程の審議が行われておりますが、その中で、家庭科は小学校を除いてはいま女子だけがやっているわけですけれども、男女家庭科一緒にする、共修の問題がどう扱われているかということと、それから第二番目には、内閣の、さっき総務長官お話しになりました婦人問題企画推進会議というのが四月十日に発表しました教育の基本的考え方の中で、ちょっと短いから読んでみます。「いまだに根強く残っている役割分担意識に固定することのないように、教育課程の基準の改善の方向を吟味する必要がある。家庭科教育も、家庭運営の責任が男女双方にあるという立場から検討されなければならない。」と、こうありますが、大臣はこの考え方に賛成してそれが実現するようにお骨折りいただけますかどうか、伺いたいと思います。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) お答え申し上げます。  男女の平等に基づきましていろいろな学科を共修していくことは大変結構と思いますが、しかし、機械的に何でもただ共修ということが望ましいということでもないと思います。いま先生の御指摘になりました四月十日の推進会議の意見にありますのは、役割り分担というものを固定しないような教え方をやってはどうかということでございますが、幸いに、いま教育課程審議会は大体こういう線に沿って考えていると思います。  御承知のように、小学校はいままで家庭科共修、そして中等段階において里子と女子を技術・家庭科で分けている。そして、高等学校では女子だけが「家庭」を必修するということでございましたけれども、いま私、大体教育課程審議会で検討しております方向は、ほぼこの中間意見の方と類似であると考えております。それの大要を申しますと、こういうふうに言っているわけです。小学校、中学校、それから高等学校を通して実践的、体験的な学習を行う教科として家庭科というものの性格を一層明確にするようにと。具体的に言いますと、特に中学の段階において、従来は男子向き、女子向きというふうに幾らか機械的に分けておりましたから、今後は技術・家庭科については男女相互の協力と理解を図るという観点から、従来の男子向き、女子向きの学習系列というものを少し検討してみる。つまりそれはお互いにミックスしたり、もう少し随意に相互に交流しながら勉強ができるという方向でございます。なおまた、高等学校の「家庭一般」というものにつきましても、教育課程審議会では、いままでよりもう少し弾力的にやっていったらどうかと。これは地域によっての違いやいろいろございますから、従来のようにただ女子だけが必修という方向ではない。私は大体こういう教育課程審議会の考え方というのを尊重してまいることが正しいと思います。  帰するところ、男子、女子という二つの分け方がございますけれども、他方、女子の中にもいろいろな個性を持っている人がいるわけでございますから、その点は男子と同じことで、そこで家庭婦人としてりっぱな生涯を送られる方もありますが、他方において、社会においていろいろな仕事をされていく、そこでりっぱな業績を上げられる方も多数おられるわけでございますから、この家庭科というようなものを常に小学校から高校まで共修というふうな、そういういわば機械的な取り扱いをするのではなくて、もう少し弾力的にして、そして、それぞれの女子の方が、ある人は「家庭」にいきたい、ある人はそうでない方向にいきたいというような要望に沿うように弾力的につくり上げていくという、そういう方向が教育課程審議会で打ち出されておりますのを尊重していきたいと思っております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 ありがとうございました。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして市川房枝君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗