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77回国会参議院1976/04/24

予算委員会 第3号

発言数
425
登壇者
29
会派数
2
開催日
1976/04/24

会議録

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十一年度一般会計予算  昭和五十一年度特別会計予算  昭和五十一年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  理事会におきまして、三案に対し、総括質疑は当初の四日間を本日より行うこととし、質疑順位につきましては、とりあえず、お手元に配付いたしました質疑通告表のとおりとすることに協議決定いたしました。  そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。     —————————————

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) それでは、これより総括質疑を行います。加瀬完君。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 まず、総理の政治姿勢について伺います。  今回の議長裁定第一項は、ロッキード問題に対する政府の措置は不十分であり、遺憾であるとし、真相の徹底的解明を期するとありますが、総理に改めて裁定についての御所信を伺います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私自身としては、精いっぱい努力をいたしておるつもりでございますが、野党各党から政府の対応の仕方は不十分であるという御批判を受けております。国民の相当部分を代表する野党の主張には耳を傾けて、今後一層その御趣旨に沿うように努力したい考えでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いま、このような裁定を受けまして、ロッキード審議について総理の最も反省をいたされております点はどういう点でありますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) ロッキード問題に対しての基本的な政府の態度は、本院の、参議院における決議にもございますように、徹底的、迅速にロッキード問題の真相を究明する、そういうことが参議院の全会一致の決議の趣旨でもございますので、そのためには、一つには、何といってもこの問題は刑事上の側面があるわけである。加瀬君御承知のように、捜査当局は従来にない熱意をもってこの問題に取り組んでおることは御承知のとおりであり、徹底的に刑事的な責任というものは追及されなければならぬ。  しかし、ロッキード問題は一面において政治的な側面も持っておる。政治的な側面は、近く各党の合意によって設立をされる特別委員会においてこの側面から検討を願うことが適当である。  また、道義等の諸問題については、各政党がやはり金にまつわる国民の不信を解消するということが、そのためのいろんな各党における党の改革というものも必要になってまいりましょう。政治道義の確立ということも問題になってくる。とにかく選挙に金がかかり過ぎる。このことは単に私は自民党ばかりでないと思っている。選挙に金がかかり過ぎるし、選挙区の培養のために金をかけ過ぎている。この風潮が各党の間に、ひとつの政治に対してこう金がかかり過ぎるようなことをなくしていくということも根本の問題としてある。そのために選挙法の改正あるいはまた政治資金規正法の改正を行いまして、その前提の条件はできましたわけでありますから、この両法律というものが適正に運用されるならば、私はいま申したような問題に対して相当大きな改革をもたらすものである、こういうことを期待するものでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 おっしゃるように、政治責任なり政治道義なりというものを大きく総理も取り上げておるわけでありますから、なおいま御説明のように、この風潮を打破するということであれば、このロッキード問題の取り組みなどというものは最もかっこうの材料ということになるのではないか、この点はどうでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これだけの国民的関心と疑惑に包まれた問題でございますから、ロッキード問題の真相を解明するということが、いわゆる金にまつわる政治不信というものを解消するための大きな前提になることは、私も加瀬君と同じ考えでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 おっしゃるお気持ちのとおりに政府の方針は進んでおらなかったのじゃないか。だから国会決議にそぐわないような行動ではないかというのが議長裁定の内容ということになるのではないか。そこで、総理は、国会決議を無視してきた、国会は国権の最高機関との憲法規定の無視である、こういう批判がありますが、これについてどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 国会の決議を無視したという考えは持っておりません。皆さんのなされた決議においても、真相の徹底的かつ迅速な解明ということがあの決議の主眼である。その手段としてアメリカの資料の提供を受けたり、あるいは特使の派遣等も考えたらどうかということであって、目的は真相の究明ということであります。  また、資料の提供にしましても、参議院の決議は、アメリカの持っておる未公開の資料を含めて、その資料を提供されるよう特別な配慮、特別な便宜を上院と政府に図ってもらえというそういうことを要請された決議でございますから、それは、これを国会に提出をされて、あるいはまたこれを一般に公開されるということを野党の各位は期待をされたかもしれません。決議にはそういう文句はありません。しかし、その期待に沿えなかったことは残念ではございますけれども、しかし、アメリカは提供はするわけですから、捜査に対しては非常なこれは参考になることは事実でございます。やはり根本は日本の捜査当局がやらなきゃなりませんけれども、これは他力本願ではいかぬ、日本の問題ですから。しかし、アメリカの資料というものは相当有力な参考になると考えられますので、それを全部提供してくれたわけですから、これからもFBIの調査まで全部提供しましょうということは、日本の捜査活動に対して大変にこれは役立つことは事実である。  資料の提供はあったわけです。それを公判の時点までこの扱いは秘密にしてくれと。それはなぜかと言えば、アメリカも調査をやっておるんですよ、いま。全部資料が公開されたならば捜査の妨害にもなるし、また、裏づけのない資料が公表されることは人権の侵害にもなるから、これはやっぱり秘密の扱いにして、そのかわりに捜査当局には全部渡しましょうというのですから、私はアメリカの大統領としては精いっぱいの努力をしてくれたものだと思っておるわけです。  そういうことでございますから、国会の決議、いま申したような御期待に沿えなかった点も、そういうことを期待された方々の御期待に沿えなかった点もあるかもしれませんが、国会の決議に忠実に実行、忠実に沿いたいと思えばこそ——私の親書なんか書く必要ないんですよ。議長が私に申したことは、これを伝達してくれというわけです。ただ伝達すればいいんですよ。私が真情を吐露して親書までも書いたということは、国会の決議、これにできるだけ沿いたいという私の考え方から出発したわけでございまして、国会の意思を非常に踏みにじったという御批判は私は受けるわけにはいきません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総理は、男は一度勝負するとの名言をおっしゃられました。また、金権政治打倒、党体質の改善とうたって組閣をなさったはずでございます。それに対しましては当然、ロッキードと勝負をすべきだと国民は期待をしておったはずでございますのに、あなたのおっしゃるように迅速な解明が行われているとは国民は受け取っておらない。この受け取り方は間違いですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 加瀬君どうでしょうかね、この事件はコーチャン証言から始まったわけですから、大体犯罪の捜査というものは長い間時間をかけて積み上げていって、そしてその事件というものがいよいよ捜査活動に入るわけです。積み上げないんですから、この問題は。それにしては私は捜査当局のこの対応の仕方が、そんなに加瀬君が言われますように非常に手おくれであるとは考えてないんですよ。ああ、やっているという感じですよ、私は。短い期間にやはり全力を集中して捜査当局はこの事件の解明に当たろうと私はしておると思うわけでございますが、これからいろいろな結果を見てさらにこの捜査活動を督励いたしまして、加瀬君の御期待にも沿うようにいたしたいと思うわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私はここで捜査当局を問題にしてはおりません。総理がおっしゃるように、政治的側面なり政治道義の問題として政治責任を総理がどう果たすかということを迅速果敢に行ったという受け取り方は国民はしてはおらない、こう申し上げたわけです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、こういう場合にこそ国政の調査権というものは発動すべきものだと思います。そういう点で、もう自民党は、政府はしばしば、特別調査委員会を設けてロッキード問題は特別調査委員会で徹底的に究明しながら、国民生活、これを防衛していくためには予算というものの審議が必要だから、両立させてくれということを私自身も何回か申しました。しかし、いろんな御都合があって、特別調査委員会の設置というものが野党各党の迅速な決定までに合意が至らなかったわけでございますから、そんなに政治の側面の調査がおくれておることが全部自民党の責任だという御批判に対しては、これもいろいろ自民党もそれは責任を一番持たなきゃならぬわけでございますから、常に責任を感じながら私は政権の担当、国政の担当に当たっておるわけでございますが、常に反省はいたしますけれども、今度その政治の側面、政治道義上の側面の審議がおくれたのは全部自民党政府の責任だという御非難は、加瀬君、ちょっと事情をお考えくだされば御無理があるんでないでしょうか。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いや、私はこれ自民党を指しておりません。議長裁定は政府の措置が不十分であるという指摘でありますので、総理御自身の御責任を伺っておるわけです。  そこで、アメリカのチャーチ委員長は、腐敗した慣習はアメリカの安全を脅かすという発言をしておりますが、これはそのまま日本にも当てはまるとお認めいただけますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 全く私はそのとおりだ、安全というものは単に軍事面ばかりではないわけですから、社会が腐敗して国の安全を保持できるとは私は思いません。チャーチ委員長の考えと全く同じでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 汚職腐敗の金が日本に飛んできた、この腐敗事実はお認めになりますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) そのことはこれからの調査によらなければわかりません。アメリカの言うことが、もうすべてあの証言というものがそのとおりであると言うためには、それは裏づけがなけりゃなりませんから、この場合に私がアメリカのコーチャン証言を初めチャーチ委員会の証言すべてを肯定するかということに答える立場ではない。これからの捜査によって、裏づけがあるかどうかということによってコーチャン証言の信憑性が明らかになる問題でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法務大臣と国家公安委員長に伺いますが、いまの御指摘のコーチャン証言は、児玉氏の役割りは機種決定を待たせることであった、日本の支配層は非常に結束のかたい集まりであるので、これにコネをつけるために小佐野氏は役立った、日本には十一週間滞在をして、児玉、小佐野氏とも会合を重ね、売り込み戦略を練ってもらったと、こう証言をしておりますね。これに対して日本側がどう対応いたしましたか、対応の経過について御説明いただきます。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 捜査の進行の過程におきまして、だれをどういうふうに調査したか、どういう参考人を呼んだのかとか、経過をこの場合に申し上げることは差し控えさしていただきたいと思う。捜査の妨げになりますから、しばらく事態を見守っていただきたいと思うんです。それはですね、この刑事責任の追及は、国会のおやりになることでなくて捜査当局のやることでございますからね。そうして国税でも、それから警察でも、死人を出すほどの精力的な捜査をやっているんですから、しばらく事態を見守っていただくのが国会の犯罪捜査に対する御協力ではないかと私は思うものですから、いまここでどういう経過であったということを御報告するわけにはまいりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私はそんなことを質問していませんよ。コーチャン証言があったわけですが、これをどう受け取って、どうしたかと、こう聞いているわけだ。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) それを受け取っていろいろ調査を、捜査をやっているわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 答弁にならないよ。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) ただいま法務大臣がお答えを申し上げたとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総理に伺いますが、疑惑解明の最大の目標はどこに、また何に置いていますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これからの問題は、いわゆる賄賂の問題でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 もう一度おっしゃってください。賄賂の問題……。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 所得税法違反あるいは外国為替法違反の問題は、相当にこの捜査が進捗して、起訴すべきものは起訴しておるわけでございますから、これからは贈収賄の問題ということが捜査当局の大きな目標になる。政治的側面は別ですよ。捜査当局の目標はそういうことになるものだと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 収賄ということになりますと、児玉なりその他なりが当然出てくるわけであります。そういう人たちを存在させた政治体質、政治構造についての御反省はありませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それはいろいろな立場によって御批判があろうと思いますが、しかし、政治的側面というのは私はそういう面を言うわけでございます。これは国会における特別調査委員会においてもこの問題はいろいろと究明をされる問題の一つであることは否定いたしません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は国会が何を究明しようかということを総理に尋ねているわけじゃない。政府としての御態度は何だと、こう伺っているわけであります。  そこで大邸宅が建っても課税をしない、確定申告についても調査をしない、それがいままでの政府の児玉に対する扱いでありましたね。こういう点に過ちはないですか。そういう御反省はないですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 児玉であろうが、だれであろうが、やはり税の徴収というものは厳正であるべきであります。そういう点で、今度のああいう事件を通じてそういうことが発覚したということは、今後徴税に一段とやはり厳正な態度をもって臨まなければならぬという一つの反省の材料にはなると考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 児玉を法律も手を触れない大きな存在にした背景、理由、これについてどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) まあ、その大きな存在——人によって大きいか小さいかという評価もありましょうが、そういう大きな存在だと考えるような人もございましょうが、私は必ずしも日本の政治の側面から見ると、そんなに大きな影響力を与えたとは評価をしないのでございますが、人によって違いますが、そういうふうな大きな存在というものになったという一つの考え方を抱かしたことがあるとするならば、そういうふうな社会の一つの風潮というものは考えさせられる問題をたくさんに含んでおることは事実でございます。政府が大きな存在にしたわけはございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは総理が前々から指摘されるように、金権政治体質というものがありましたからこういう問題が起こった、そういう御反省はないですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 金権体質があるから児玉というものが存在したというふうには、私は直接には考えないわけでございます。そういうふうな風潮を助長することに対してのいろいろ問題点はございますが、児玉の存在即——金権政治の助長の中から児玉の存在というものが生まれたというふうに直接には考えておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうではないんですよ。金権体質というものが日本の政治の中に現存をしておりますから、贈賄なり収賄なりということで政治目的を達するという行為が発生するんじゃないですか。それに乗ってきたのが児玉であり、あるいはその他風聞されているような動きであるという解釈は当然でしょう。その体質あるいは体制、政治情勢というものに対して私どもは反省しなければならないじゃないかと、こう申し上げているのです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それは社会の中、政治家にしてもあるいはまた公務員にしても、そういうことは一切そういう問題にかかわりなく国家のために献身しておる者が大部分ですから、そのためにこれはそれを日本の体質なりとして当然に起こるものだとは私は考えない。個人のやっぱり持っておる自己抑制力といいますか、道義心、こういう問題もこれは非常に関連をしておるわけでございます。私は政界も官界も全体が腐敗しておるというような、そういう考え方は持たないわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは総理が金権政治打倒、党体質の改善と国民に訴えた、この内容は何ですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 何か金でものを支配しようという風潮というものが、これが社会に助長されることはよくない。政治でもそうです、選挙の場合でも。選挙というものはやはり政策を通じて国民の公正な審判を受けるべきで、それが金によって選挙というものが左右されるというようなことがあるとするならば、そういうような事態を金権的な一つの政治と私は考えるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ロッキード問題はそのものずばりじゃないですか。ロッキード問題に懸命な努力をしないで金権政治の打倒と言っても、それは国民はあなたの約束が忠実に守られているという受け取り方はできません。なおアメリカですら、外国政府は沈黙している、悪いことは見ざる聞かざる態度は無責任のきわみであるという指摘をされておりますね。したがって、金権政治打倒、党体質の改善をお誓いになった総理としては、この批判にこたえなければならないと思います。こたえておらないというのが議長裁定の前提じゃないですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それは、こたえるために捜査当局を督励して、そうしていまやっておるんじゃないでしょうか。こたえようとせぬのだったら、ああいうふうに私は督励しないですよ。政治というものがこれに対して介入することはしない、だからひとつこの真相というものは、国民が一日も早く真相の究明を望んでおるのだから、ひとつやってもらいたい、政治的な圧力を加えないとしばしば言っておるわけですから、そうして督励しておる姿が真相の解明をやらない者の態度であると言えるでしょうか。私は加瀬君、そうは思わないのですよ。そうしてこの真相が解明されることによって、その真相の解明ということがいろいろなこれからの日本の政治改革の大きなやっぱり出発点たり得るというふうに考えておるわけでございますから、一日も早くこの真相の解明を図りたいと努力をしておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総理のお話を承っておりますと、刑事責任が解明されなければ政治責任の解明もできないというふうに受け取られる。いままでのお話はそうでなかったでしょう。犯罪成立のいかんにかかわらず、政治責任は内閣の責任で明らかにされるというものだと、このような前提で御説明があったと思うんです。そうではないですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 捜査当局によっていま言ったようないわゆる法規に照らして解明がなされておるわけです。しかし、いま私が申したように、政治的な側面というものは、これはやはり大きな政治の課題でございますから、特別調査委員会の場もございますし、あるいは政党自身の問題もございます。自民党自身もそういう特別の委員会を設けておるわけでございますから、そういう問題はそういう問題として、これからこの問題を究明していかなきゃならぬ。しかし、一番いま急がなければならぬことは、捜査当局が、せっかくアメリカの資料もいま手に入ったばかりですから、これでやはり真相を究明するということも一日も急がなければならぬ問題であると考えておるわけです。これですべてであるとは思ってないわけです。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、今後の国会での究明については、総理は総裁として自民党もともにその解明に全面協力をすると受け取っていいですね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 国政調査権に対して最大限度の協力をいたすことは当然のことでございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 関連。  関連ですから簡単に申し上げますが、いま三木総理のそういうお答えであれば、先ほどの稻葉さんのお答えは、まるっきり反対ですよ。つまり、私どもの理解では、成田委員長の説明によりましても、裁定四項は政府が国政調査に最善の協力を行うと言っているわけですね。稻葉さんのお話だと捜査に国会が協力する意味で勘弁してくれと、こういうことですから、まるっきり反対になる。一体この解釈、どうしたらいいんですか。少なくとも私どもは、国政及び刑事、二つの面があるとこう言われる。しかし稻葉さんの答えからいけば、むしろ国政が捜査に協力するという意味で、たとえば証人の喚問であるとか資料の提出等は勘弁してくれと、こういうことですから、総理の言われていることとは全く反対です。私どもの認識では、どうしてもこれは国政に協力という意味で証人の喚問にも快く応ずべきであろうし、求められる要求に対しては当然提出されるべきである、こういうように思うんです。いま総理のお話はそのとおりに私は受け取る。閣内の意見が一致していないじゃないですか。どちらが本当ですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私も聞いておりまして、一致しておらないと思わないんです。全体としての政府の姿勢は、国政調査権に対して最善の協力をするということでございます、これはね。ただしかし、捜査当局がいま鋭意まだこれは捜査の過程にありますから、その資料を全部国会に出せというときには、それはだれが考えても捜査の過程にその資料を全部公開をするということが捜査の障害になることは明らかです。それは、そうすれば全部手の内を見せるわけじゃないですか、捜査当局の。それは今後のやはり捜査に対して影響を与えますから、したがって、捜査当局としては、いろいろそういう場合に対して捜査の過程においては全部、たとえばいま森中君の御指摘のような捜査の資料を全部国会に出せというような求めには、その段階においては応じられない場合もあると、こういうことを言っておるんだと私は思いますから、全体として政府の姿勢が、国会の国政調査に対しては最善の協力をするという姿勢は少しも変わりません。

森中守義日本社会党

○森中守義君 もう一問。  それじゃ総理、こういうことでよろしいんですね。捜査にどれとどれとどこが障害があるのか、まだ私どもは具体的にその内容を提示していない。そこで、内容次第ではこれとこれとこれについては障害がある、この面この面についてはそうじゃないというような意味で個々的に具体的な内容として協力されますね。それは約束、よろしゅうございますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 具体的にいろいろどういう要求があるのか、その要求に対して応じられない場合は応じられないという理由を明らかにいたします、個々の場合に。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、議長裁定の第四項のロッキードの政治的、道義的責任の解明につき政府は最善の協力を行うものとするということは、具体的にどういうことをなさろうということですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いまは国会が政府に対してどういう協力を求められるか、いまの場合まだ不確定でございますから、そういう国政調査に対して政府の協力を求められましたときには、可能な限り最善の努力をしようというのが政府の姿勢でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そういたしますと、刑事訴訟法四十七条ただし書きの適用を野党党首が申し入れたわけでございますが、これは野党党首の申し入れの趣旨が尊重されると認めてよろしゅうございますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 加瀬君お持ちになっておるから、お読みくださってもわかるように、議長の裁定は刑事訴訟法の立法の趣旨を尊重するということになっております。それは刑事訴訟法全体の立法の精神を尊重するという意味でございましょうから、当然に四十七条も、全体でございますから、その中に入ることは当然でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 関連。  ただいま総理の御答弁で、四十七条ただし書きも当然含まれると こういうふうに御答弁になったわけでありますし、去る二十一日の党首会談終了後の記者会見でも、総理はそのように言明をされておられます。そこで、議長裁定でも指摘をされておりますように、政府の措置がこのロッキード事件の究明に対して不十分である、遺憾であると、こういう指摘を受けておる。この問題にかかわって、関連ですから一問だけお尋ねをいたしたいのであります。  これは、総理は四月三日に記者会見をされて、そうして四十七条ただし書きで、たとえば不起訴の場合におきましても灰色の政府高官名の発表は可能である、こうきっぱり言明をされたわけであります。その後幾ばくの時日も置かずに、その明けの日には、きのうのはこれは一般的抽象論であって今回の問題に適用するとは言っていない——否定をされておりますね。これは総裁をしておられますが、党内にも非常な抵抗がありますことは容易に推測がされるわけであります。しかし、四月三日に四十七条ただし書きを適用しますというふうに記者会見で言明されておられながら、その翌日は取り消す。一般的抽象論である。非常なこれは大変な違いですね。今回はまた若干もとに戻られた。非常に波乱が大きい。一体総理は、総理・総裁の職責において、この議長裁定に示されておるように、このロッキード事件徹底解明、そうしてただし書きで不起訴の場合でも高官名は発表する、こういう御決意であるのかどうか、改めて伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 小野君にお願いしたいのは、正確に私の発言を伝えていただきたい。私が申したのは、質問があったわけです、記者会見で。質問があって、そういう場合に訴訟書類を、公判で不起訴になったような場合にはこれを公にしてはならぬというのがあるわけですね。これに対して質問がありまして、それは例外規定はある。それはいまのただし書きの条項、それを説明したわけでございまして、いま捜査が進行しておる段階で私がそういう一般的な断定的に申すことはどういう影響を与えるかといったら、皆いろいろな人の協力を得なければ真相解明はできないわけですが、全部公にされるんだというようなことを与えれば捜査に非常に障害になって、いま私が灰色の高官名もこれで発表するんだというふうなことを言ったということは、小野君、私の記者会見のときと全然違うわけでございますし、それは一般的な断定的なことを私がここで申し上げることはできない、四十七条の法律的な解釈を申し上げるまでだということを記者会見でも申しておるわけでございますが、どうか記者会見全体をお読みくださったならば、私の言うことに対して一貫性はあるというふうに御理解を願いたいわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 四月三日の記者会見で総理は、いまああいうふうにおっしゃったんだけれども、わざわざ条文をお読みになっておる。条文を読み上げて、そうして四十七条ただし書きを適用し得る、このように全国民は受け取っていますよ。しかも総理、この議長裁定の四項では「事態の推移をみて刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえ」て、この「刑事訴訟法の立法趣旨」というのは当然四十七条も含むのでありますと、いま答弁されましたね。「事態の推移をみて」というのは、これは議長裁定によると捜査終了を意味しない。捜査終了を意味しない。この裁定の趣旨ですよ。当然われわれは、このただし書きの適用はあり得る、いま総理も言われたんですから。この事実の経過を踏まえて、いままでの経過をごまかすことなく、やる気はありませんならありません、議長裁定を尊重して、しかも第四項、四十七条、ただいま言われたようにあり得る、やるつもりであると明確にお答えをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 先ほどから私がしばしば言っておるように、この段階で私がそういうふうな一般的な法の解釈というものについて、ここに断定的に申し上げることは、これはもう捜査の妨害になることは明らかですから、したがって、議長裁定にもあるような「刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえ」てということは、何も四十七条、四十七条、ただし書き、ただし書きとこう言われますけれども、刑事訴訟法というものの根底の中には、一方において一つの公共の福祉という問題もありますし、人権の尊重という問題もありますし、こういう立法の精神がずっと貫かれておるわけですから、そういう一つの立法の精神を踏まえて、この国政の調査権に対して最善の協力をしようということでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 四十七条の解釈をどうこうということを質問しているわけじゃない。議長裁定の第四項でこれらに関する問題の了解がついたわけですから、これは尊重されるでしょうと、こう申し上げておるわけです。野党党首の申し入れの趣旨は尊重するんですか、しないんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 議長裁定は文字どおり尊重いたします。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 クリーン三木の政治姿勢が変わったのじゃないかという風評がもっぱらなんです。これは変わりませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私はそんな器用な人間でないんです。しょっちゅうものが変わるようなことはない。私自身は、説明の不足はありますよ、説明の不足はありますけれども、私自身は一貫をしていきたいということを考え、そう大きな私に考え方の変化があるとは私自身は考えていないのでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 すると、政府は最善の協力を行う、こう第四項で約束をしたわけですから、最善の協力を行うということは、いままでの姿勢とは別な新しい姿勢が当然要求されているわけですね。そうでしょう。具体的にどういうことですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 国権の最高機関の国会の国政調査権に最善の協力をするということは、そういうものがなかったら協力しなくてもいいんだというふうに私は思わないんですよ。可能な限りできるだけの協力をすることが政府として当然であると考えておるわけでございまして、議長裁定の中にもそれが特に一項目として取り上げられたことにもかんがみまして、最善のできる限りの協力をいたします。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 くどく私どもが伺いますのは、田中金脈も今回のロッキードも、三木総理は防波堤の役割りしかしておらないという評があるわけです。私どももこの点はクリーン三木というイメージどおりに行動が行われているというふうには受け取っておらないわけです。そこでしつこく聞くわけですけれども、これはクリーン三木あくまでも筋を通す、ロッキード問題は徹底的に政府の責任でも明らかにすると、こう受け取っていいですね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは個人的な問題ではないわけです。これだけ政治に対しての疑惑が国民的に巻き起こっておるんですから、この問題の真相を究明せずして——私は三木内閣でなくてもそうだと思います。これにふたをして通れるでしょうか。通れるわけは私はない。私もまたこの真相の究明に対しては最大の努力をいたそうという考えでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは一応の解決のめどをどこに置きますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 刑事上の責任については、これはいつまでもというわけではございませんが、まだ捜査活動に入ったばかりで、いつごろまでをめどにというような見通しは私は実際問題としてはいまは立つまい。私に報告も受けておりませんが、これはいつまでもロッキード問題、ロッキード問題というわけにはいきませんから、できるだけ早くこの問題の究明を終えるようにしてもらいたいと思いますが、これは捜査当局の問題でございます。また政治的な側面の解明ということは、これは捜査当局よりも、もう少しやっぱりいろいろ時間をかけなければならぬ問題だと思いますが、いまどれぐらいで全部の問題が解明できるかということを、この段階で私は時期的に予測を立てることは困難だと思います。しかし、できるだけ早くこういう問題は解明されることが好ましいことは申すまでもございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたのおっしゃっていることは全く第三者的ですよ。私はあなたの責任でどうするかということを伺っている。国民は解決の時期を約束してもらわないと一体うやむやになってしまうじゃないか、捜査任せ、政治責任はそれからだという受け取り方をしておる。そこで、これはもう少しはっきりおっしゃってください。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) うやむやにするという考えはないんですよ、私は。この問題はいま、なんでしょう、大きな政治の課題はこういう疑惑を解明することによって政治の不信を解消するということが課題ですからね。これをうやむやにする考えは持っておりません。しかし、いま加瀬君の言われるのは、時期というものを言えと、こう言うんですね。ちょっと、いまこの時期を何月までというようなことには、私はそういうことは無理だと思いますが、これを一つの何と申しますか、中途半端にして、そしてこの問題を解明をせずにして終わらしてしまうという考え方は私は持っておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 議長裁定の実行は各党並びに政府を含めての共同責任だと思いますが、そう受け取ってよろしゅうございますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は総裁でもあるし、総理大臣の私が出席をいたしましたから、これは政党ばかりでなしに、政府もまたこれに拘束を受けるという考えでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうであるなら、ロッキード問題の解決がはかどらず、さらに混迷するような場合は、内閣はどうなさいますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) そういうことのないように一生懸命にやっておる次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私が先ほど申しましたのは、大体いついつまでにこれは積極的に解決をいたします、それが解決できないで混迷が続けられるようであれば内閣は責任をとりますと、こういう御決心を私は期待をしていると思うわけです。そういうお考えはございませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これはやはり一国の政治の最高責任者として責任を感じておることは当然でございます。責任を感じなけりゃおかしい。しかし、そうやってそれができなかったらどうすると、加瀬君、そういうふうなのではなしに、皆がひとつ協力して政治的側面というものが、単に与党ばかりでなしに野党各党も日本の民主主義、民主政治の健全な発展のためにお互いに協力して、できなかったらどうするんだという、そういうふうな発想ではなくして、みんながひとつ協力し合ってこの事態を解明しようではないかという御協力を願いたい。しかし、私が責任を感じておることは事実でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 民主主義を守るためにこのロッキード問題はどう解決しなきゃならないか、また解決の衝に当たるそれぞれ与野党を通して共同責任としていかに処すべきかということは、われわれ全体が考えなきゃならない問題だと思います。  そこで、民主主義を守るあるいは議会政治を守るということであれば、これがだらだらだらだら、さっぱり解決がつかないというやり方を政府自身が行っていいかどうかという責任問題が当然起こるのじゃないか。これに対して総理はどう決断をお考えになっていらっしゃるかという点であります。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは刑事上の責任はこれから捜査当局の活動にまたなければならぬわけですから、われわれ自身が捜査権を持っているわけではございませんから、そういうことに対して、できるだけそういう刑事上の側面は刑事的側面として捜査当局を督励して、早く事態の真相を究明するように努力をいたします。  また、やはり政治的な側面については各党の御協力も得てこの問題を解明をして、国民の疑惑を解くようにせなければならぬ。ただ、これだけの大きな関心を国民的に呼び起こした問題を、これはもう何と申しますか、これは事実はこうだったんだというような解明も行われずに、うやむやのうちにこの事件というものが結末をつけるというふうに私はこの問題を見てないんですよ。もう少しこの問題は、国民に対して大きな衝撃を与えた問題である。したがって、この真相はどうであったかということを解明するということが政権を担当する者の責任であるというふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 真相はわかっているじゃないですか。ロッキードの金が日本に来て、何人か受け取った者がいる。これは事実でしょう。いまだれが受け取ったか、金額は幾らだというのは捜査の対象であるけれども、汚職の現実があるということはさっきあなたもお認めになっている。汚職の現実の政治体制、政治体質というものに対して、政府なり政党なりはどうこれに対する責任をとるかというのが国民が期待している総理の決断でしょう。それを伺っているんです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) ただ、あれは一コーチャンというロッキード社の副社長の証一言ですから、これでもう金は政府の関係者に渡ったことは間違いないとこう断定するならば、それを裏づけするやっぱり捜査というものがなければなりませんから、したがって、コーチャン証言というものが本当に信憑性のある証言かどうかということは、今後の一つの捜査にまたなければなりません。したがって、捜査当局の今後の捜査活動というものの結果を待たないと刑事上の責任というものはなかなか断定をできないわけでございます。政治的な側面というものは、これは特別委員会もございますし、各政党もございますし、そういうことでこの問題もまた解明していかなければならぬ問題だと思います。  いずれにしても、私は、いま加瀬君にいつごろまでにこれを終わるかということを申し上げることはできないと申しておるんですが、この処理に対してはやはり私は責任を感じております。これをあやふやなうちに、うやむやのうちに終わらしてはならぬ、こういうことを責任を感じつつ、この問題の処理に当たっていく決心でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そういう受け取り方はできないんですよね。これはロッキード問題というのは民主主義の破壊でしょう。この日本における民主主義の破壊のような犯罪行為ですよ、政治的な犯罪行為。それを形式上の犯罪行為の事実が明らかになるかならないかということを待って政治責任を云々するという問題とは違うと思う。ですから、いついつまでにはっきりさせます、そうできない場合は内閣の運命もかけますと、そのくらいのはっきりした総理の決断を国民はいただきたい。これはどうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いまの刑事上の責任の問題については、資料がアメリカからも来て、これは有力な参考になるでしょう。捜査が始まったばかりですからね。私がここで、捜査当局の中に私が入っておるわけでもございませんので、こういう段階でいついつまでにこれは決着をつけます、そうでなければ私は責任を負いますということは、それは少しやはりそれをお求めになる方にも多少の無理があるのではないでしょうか。これはもう少し捜査が進んでまいりましたら見通しは立て得る時期もあると思いますが、この段階ではっきりした刑事上の責任というような問題について、期限を切って、いつまでには真相を解明いたしますというお約束は少し私は無理だと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私のみならず、お答えを聞いて私は国民は満足するという感じには受け取れないと思う。  そこであらためて伺いますが、国会での究明には全面的に御協力をなさる、これはよろしゅうございますね。そして、特に議長裁定の各項目については、これは尊重して協力を措しまない、これは変わらないと受け取ってよろしゅうございますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 議長裁定の項目というものは忠実にこれを履行したいという考えでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 森中委員の方から指摘された稻葉さんの御説明は、お取り消しをいただくことになりますね。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) 私の発言は取り消すほど間違っていないと思いますよ。総理と別に違っていないと思います。私の申し上げましたのは、加瀬委員が、いま捜査の段階であるにもかかわらず経過を報告せいと言われるから。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 違いますよ。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) そう言われたんじゃないですか。そういう点についてはできませんと。どうかひとつ一生懸命にやっているんですから、刑事責任の追及は刑事責任追及の法制上の担当者にしばらくお任せいただいて御協力願います、そのかわり国会の国政調査権、政治的、道義的責任の追及につきましては、刑事訴訟法の立法の趣旨をも踏まえて、こちらも御協力を申し上げますと、こういうことを言っているんですから、総理のおっしゃることと私のが違うわけはないじゃないですか。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなた、さっき捜査に協力するために国会の審議もストップさしてくれみたいな御意思だったと思う。そこであらためて伺いますが、米国の捜査資料は検察から警察へ渡されておると新聞に報道されておりますね。法務大臣の答弁は、この程度の情報さえも拒否するということですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○国務大臣(稻葉修君) その程度のことを否定しているわけではありませんですね。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この問題は同僚議員から事細かく質問をされますので、次に移ります。  第一に、生活安定対策が欠如しているのではないかという点を伺います。わが党は今日の政治目標に反不況、反インフレ、そして国民生活の安定を掲げておりますが、総理もこの原則はお認めいただけますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) それはわれわれもまた望むところでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 内閣広報室の五十年十二月の調査で「物価、暮らし向きについてを見ると、「これから上がると思う」八五%、「暮らしが苦しくなる」五二・九%とありますが、これはお認めになりますね。企画庁で結構です。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) たしかそのとおりかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 同年の朝日新聞の十一月の世論調査によりますと、三木内閣に望むこと、力を入れてもらいたいことについて、物価対策四六%、福祉対策、生活安定対策、それぞれ一一%、合わせて広い意味の生活安定が六八%、これはお認めになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 当然に政治の目指すものは国民生活の安定にあるわけですから、その程度のパーセンテージが出るのは当然であると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 不況対策一三%に対して生活安定の対策は六八%、しかし、国民最大のこの希望が具体的に予算案に生かされておらないじゃありませんか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 加瀬君、いろいろ日本の石油ショック以来の経過をごらんになれば御理解を願えると思いますが、物価政策につきましても政府の公約はことごとく果たしてまいっておるわけでございます。物価を一気に——いまの水準でも私は高いと思いますよ。しかしいま、三木内閣が出発したときにはインフレは年度比で二五%ぐらいの上昇率を消費者物価にも示しておったのですからね。それを一けた台にするという今年三月末までの約束というものは実行をいたしましたし、また来年八月を目標として今後の消費者物価の対前年比上昇率を抑えたいという方向に向かって努力をしておるわけですから、物価政策に対して政府が公約をことごとく実行しつつあるということについては、これは野党の立場に立ってもやはり御理解を願いたい点でございます。しかし、不況というものは、加瀬君のいろいろ御懸念になる点の雇用の安定というものにも非常に影響いたしますから、おろそかにはできない。やはりインフレを抑えながら不況を克服するということがいまの課題でございますから、したがって、物価の鎮静の傾向が見えてまいりましたので、いまは不況の克服、景気の回復、雇用の安定というものに政府が全力を尽くしておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 事実はそうではないんですよ。で、総理の公約の一つに社会的不公正の是正ということがございましたが、この公約は実現したと御判断なさいますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは相当やっぱり今後政治が追及していかなければならぬ方向であると考えて、これでもう全部十分だとは思っておりませんが、鋭意努力してきたことは事実でございますが、今後、これからの一つの政治の目標というものは社会的公正を期するということでございましょうから、一層の努力をいたしていかなければならぬと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは伺いますが、総理府が本委員会に提出されましたこの家計調査の実情、特に第一分位と第五分位の消費性向、貯蓄の動向、貯金引き出しの実情、特徴等を御説明をいただきます。これは総理大臣でなくても結構です。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) お答えを申し上げます。  勤労者世帯の実収入でございますけれども、昭和四十九年は、これは御承知のとおり物価狂乱の中でございます。ここでは対前年二四%の増加でありましたが、これを年間収入の、ただいまお話しになりました五分位階級別に見ますと、所得の低い第一分位階級、これは御承知のように四十九年度は百四十四万円以下の勤労者でございます。これでは一八%。所得の高い第五分位階級、これは四十九年度は三百万円以上でございますが、これでは二六%と、こういうふうに差がございました。しかしながら、五十年度の増加率は、第一階級では、五十年度は第一階級は百七十万円以下の収入の方々でありますが、一六%。第五階級、三百五十万円以上の収入の階級、これは一五%となっておりまして、階層間の差はなくなってきつつあります。  それから、消費支出でございますけれども、昭和四十五年以降四十八年までは第一分位から第五分位まで同率で伸びてまいりましたけれども、四十九年には第五階級の消費支出が四一%と大きく増加いたしましたのに対しまして、第一階級の消費支出は三%と増加率が鈍化いたしまして、したがって、消費動向には所得階層間で大きな変化が生じたのでございます。五十年度もそのような傾向は続いておりますけれども、伸び率といたしましては、第五階級は二〇%、第一階級は一一%という状況でございまして、四十九年に比べますと縮まってきているというのがただいまの状況でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これを政府はお出しいただいたわけですから、この資料について御説明いただきます。この資料では、あなたのおっしゃっていることと違います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 平均の消費性向のことを御指摘になったんだと存じますが、これは四十八年までは第一階級が八五%程度、第五階級が七五%程度と、所得の高い階級ほど低くなっておりますが、昭和四十九年には高所得者の消費の伸びが大きくなりました。そのために第五階級の平均消費性向が八一%、第一ないし第四階級の七四%という程度より高くなるという、これまでと異なった傾向を示しておりまして、この傾向は五十年も続いております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私どもに出された資料で御説明をいただかないと議論がかみ合わないんですよ。三木政治のもとでは、高所得層の生活は四十八年を大きく上回っておりますよ。低所得層の生活は四十八年を大きく下回って、生活格差は拡大をしております。これは出された資料にあるんですから、お認めにならないわけにいかぬでしょう。

川村皓章総理府統計局長

○政府委員(川村皓章君) 統計局長でございますが、お答えを申し上げます。  先生のお持ちになっている資料は、月別に細かく出した表でございまして、ただいま総務長官がお答えを申し上げましたのは、これを年間の傾向として大づかみに申し上げたわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 年間の傾向では生活実態は把握できないですよ。最近の月を押さえなければ現状の生活実態がどうだということは把握できないでしょう。  質問を少し進めますが、副総理は勤倹貯蓄を主張されておりますが、三木政権のもとでどういう階層が貯金をしているとお考えですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(植木光教君) 貯蓄性向の強いのは低い所得層、第一階層でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 貯蓄率と貯金引き出し率とを比較してみますと、引き出し率が上回っている月を第一分位と第五分位について五十年で見ますと、高額所得者の方が二、三、四、五、八、九、十と、七カ月も引き出しておるわけです。そして低額所得者の方は引き出しがなくて、全部貯蓄をしているんです。これは一体どういうことですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 大観しますと、四十八年、四十九年、またさらに五十年、これはだんだんと改善をされてはきておるものの、インフレ、不況のしわ寄せが第一分位、これに非常に大きくのしかかったと、こういうことが言えると思うんです。しかし、最近になりますと、だんだんそれが改善されてまいりまして、その格差は解消される方向である。それからいま御指摘の貯蓄性向、消費性向、そういうようなものを見ましても若干ずつ改善をされるという傾向にありますので、とにかく第一分位階層、これがインフレ、不況の犠牲面を非常に大きくこうむったということは言えると思うんです。あなたが御指摘のように、そういうことは是正しなきゃならぬ。そのかなめは何であるかと言うと、インフレをなくする、それからまた不況をなくする、この二点に尽きると、こういうふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 低所得層が一生懸命貯金をしている。高所得層は生活費がかさんでまいりますから引き出しをしている。ということは、国民生活の安定に低所得国に対する十分な対策が三木内閣にはなかった、こういうことにはなりませんか。福田さんは貯金を勧めますけれども、生活に余裕のある高所得層が勤倹貯蓄をすべきなのに、逆転して、生活できない者が貯蓄をしている。これは一体どういうことですか。どうしなきゃならないとお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私は常々言っているんです。このインフレがとにかく最大の社会の敵である。インフレは弱きをひしぎ強きを助けるという性格を持っている。その考え方というものがそういう数字に端的に出てきていると、こういうふうに思うんです。ですから、インフレを何とか鎮静しなきゃならぬ、これは最大の努力をしているわけです。いい方向に来ておる。それから同時に、極端なデフレというものがこれは格差拡大を招来する、こういう性格を持ちます。この不況も退治しなきゃならぬ。いま大観しますと、インフレと不況というものは同時解決はなかなかむずかしいんですが、私は石油ショック前後からの推移を見まして、このインフレ、不況問題の同時解決の作業というものは順調に進行していると思うんです。  先ほど、国民が暮らしに不満を持っておると、これはそのとおりだと思います。しかし、これが漸次解決されつつある。最近一番近い資料としては、NHKが相当の規模の調査をしたんです。非常に生活に満足しているという人が一〇%、まあまあという人が実に五〇%おるんです。まあまあ、まずまず満足していると。満足しないという人が三〇%ある。そういう状態で、逐次国民は安心感を持ちつつあると、こういうふうに見ております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それはおかしいですよ。予算編成は、少なくも五十年の段階での経済状態なり生活状態なりを押さえて予算編成なりあるいは施政方針なりというのが編成さるべきですよ。いまどうなったこうなったということは、これは議論の余地はありません。  それじゃ、さらに聞きますけれど、四十八年、五十年の第一分位と第五分位のエンゲル係数はどうなっておりますか。

川村皓章総理府統計局長

○政府委員(川村皓章君) お答えを申し上げます。  エンゲル係数につきましては、いま月別でございまして、第一階層のエンゲル係数を、いま四十八年とおっしゃいましたので、一月を申し上げますと一一二・九、二月が三五・五、三月が三四・四、四月が三四・八、五月が三七・四、六月が三五・八、七月が三四・九、八月が三五・九、九月が三七・八、十月が三五・四、十一月が三三・六、十二月が三一・一でございます。それからさらに第五分位で申し上げます。一月が二五・一、二月が二六・一、三月が二四・九、四月が二六・〇、五月が二九・二、六月が二六・五、七月が二五・六、八月が二八・一、九月が二七・一、十月が二五・九、十一月が二五・一、十二月が二四・二でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 五十年は。細かくやらなくても、大体一、七、十二くらいで結構です。

川村皓章総理府統計局長

○政府委員(川村皓章君) 五十年の一月が第一階級が三六・〇、七月が四一・八、十二月が三八・六でございます。それから第五階級が一月が二〇・五、七月が二〇・一、十二月が一九・六でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 四十八年当時は、いま御説明のありましたように、第一分位と第五分位のエンゲル係数の開きはおおむね一〇%、ところが、最近はその開きが二倍の二〇%になっておる。第一分位のエンゲル係数が五十年八月は四三・五%、九月は四三・八%、こういう状況を生活できる状態だと政府はお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) エンゲル係数はだんだん低くなることを希望しております。しかしながら、とにかくあれだけのインフレで不況でございますから、エンゲル係数が高くなる、これは非常に残念なことでありますが、やむを得ないことであった、こういうふうに思うんですが、先ほど申し上げましたように、まあまあ、とにかく生活の実感というものもだんだん国民からまあ安心していただけるような状態になりつつある、こういうふうに思います。とにかくNHKでは六〇%の人が満足をしておると、こういうところまできたので、なお一層この状態を進めたい、かように考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これが満足できるかどうか、御判断いただきます。第一分位のエンゲル係数が四〇%を超えたのは、四十五年に二カ月、四十六年に一ヵ月。ところが、三木内閣のもとでは五十年には九カ月続いて四〇%を超えている。これで生活安定対策が万全だと言えますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 生活安定対策の基本は何といってもインフレですよ。これを抑え込まなければならぬ。それから同時に景気を拡大して所得をふやす、同時に雇用の拡大を図る、こういうことだろうと思うのですが、その工作は私は順調に進んでおる、かように見ております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 インフレ対策が成功しているかどうかは後で触れます。とにかく社会的不公正の是正を公約した総理が、台所では不公正が拡大をしている、こういう事実を、これはどこか政策の欠陥があるとお認めになるのが当然ではありませんか。九カ月も四〇%を超えるエンゲル係数というのは、生活ができない階層がたくさんいるということですよ。これを私は言い逃れをする方法は、皆様方にはどう考えたって立たないと思うのです。どうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) とにかくあれだけの大混乱の後のこの克服でございますから、容易なことじゃない。しかし、五十一年度を展望してみますと、インフレもさらにかなり鎮静する、こういうふうに見ております。また、不況の方もようやく脱出可能か、こういうふうに考えられるような状態になってきておるわけです。また雇用、これも拡大される傾向になってきておるわけでありまして、この上とも全力を尽くして国民生活の安定を図る、そういう決意でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 お気持ちはわかりますよ。しかし、期待しているだけで現実はそうなっていないという点を、私はもう少し対策を立てていただきたいという点で伺います。  大蔵大臣、伺いますがね、生活費非課税の原則は、これは守られておりますね。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 非課税限度が百八十三万円という水準は、各国に比較いたしまして高い水準にございます。したがって私は、わが国におきまして生活費非課税の原則は貫かれておると言って差し支えないと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、最低生活費は課税最低限の百八十三万円だという押さえ方をしているわけですね。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) それが税制上非課税限度にいたしておるわけでございますので、学問上そこが生活費の限界であるということを強弁するわけじゃございませんけれども、常識的に申しまして百八十三万円というものが確保されますならば、最低限の生活は一応可能ではないかと言えると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 可能の根拠はどういうことですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 最低生活費が幾らかという議論、これは政府の他の所管の問題だと思いますけれども、財政当局といたしまして、百八十三万円というのはそれを上回っておると私は考えておるということを申し上げたわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この場合のエンゲル係数は幾らですか、百八十三万円の場合の。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 早速調べまして御報告します。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの御質問に大臣お答えいたしましたのは、課税最低限の水準をお答えいたしたわけでございまして、課税最低限四人世帯の百八十三万円というものの生計費の内容がどうであるかというものを、そのモデル計算したようなものは、それはないわけでございます。したがいまして、もし御質問がそれくらいの収入階層の家計調査のエンゲル係数はどれくらいになるだろうかということでございますれば、これは総理府の方で推計するか何かして、後ほどお答えするということになろうかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いまわからない——。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) それは、そういう分類は、ちょうど百八十三万円にはまるものはないのではないかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ですから生計費の最低限を維持するという根底で百八十三万円というのが計算されたわけじゃないですよ。そうでしょう。大体百八十三万円というものを決めて、これで大体足りるだろうという概算ですよ。これでは生活安定にはならないと指摘をしたいのです。  そこで、具体的に申し上げます。これは日本生活協同組合の三十五歳から四十五歳、百世帯の全国生計費調査でありますが、五十年十月は、世帯ですね、十七万五千二百七円となっております。生計費は一年に計算しますと二百十万円になります。恐らく前のエンゲル係数は三一・五に押さえておると思う。そして、これを三六にしますとやっぱり二百十万円くらいになります。このうちの食費は五万七千八百五十八円であります。不当にこれ、割り高と言えますか。どなたでも結構です。総理府でも厚生省でも結構です。——待たしては恐縮ですから、先へ進みます。  栄養改善研究会というところから標準家庭の東京都の一カ月の食費が出ています。これは十万千三百三十二円であります。これに比べるとはるかに生協の調査は割り安であります。すると、課税最低限百八十三万円というのは、どう考えたって生活費に食い込んだ数字ということにならざるを得ないのですよ。数年前は、大蔵省は最低生活費というものを綿密に計算をしましたが、このごろ計算しなくなりました。生活安定対策というものを本当に考えるならば、基準の最低生活費というのはどのくらいだというのを押さえて、それ以下の者に対する対策というものが行われなければ、これは対策があるとは言われないでしょう。その点を私は伺っているのです。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) ただいま加瀬委員がおっしゃいましたように、ちょっと私正確に記憶いたしておりませんが、かなり前に、いわばマーケットバスケット方式のようなものを用いまして、最低生計費というのはどのぐらいであろうかという計算をいたしたことはございます。そのときに、御記憶のようにイカの刺身を食べているのはいいとか悪いとかいう御議論までございました。ただ、そのころに比べますると、課税最低限が物価上昇に比較いたしましても相当大幅に引き上げられておりまするので、現在では私どもそのような計算はいたしておりません。  御参考に申し上げますと、たとえば四十五年の課税最低限は夫婦子供二人で八十八万円でございまして、それはただいま百八十三万円になっております。これは倍率にいたしますと二倍をちょっと超すわけでございまして、その間の消費者物価の上昇は一・八倍でございまするし、さらにさかのぼって四十年と比べますと、課税最低限は三・八倍でございまして、消費者物価の二・四倍をかなり上回っておりまするので、当時やりましたような作業はいまいたしておらないという状況でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 どんぶり勘定ですよね。それじゃ逆に伺います。所得階層別納税人員をお示しいただきます。これは衆議院の予算委員会に出しておりますね。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 衆議院予算委員会にお出しいたしました資料、資料番号B‐10というものがございます。それに即して申し上げますと、三千百十四万人の所得者のうち、収入階層別で百万円以下が四百十五万人、百万円から二百万円が千四百九万人、二百万円から三百万円が八百三十万人、三百万円から五百万円が三百五十三万人、五百万円から一千万円が八十九万人、一千万円を超す方々が十八万人ということになっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それで間違っていませんか。いまお示しになりましたものによりますと、百万円以下の収入の者が四百十五万人、二百万円以下の収入の者が千四百九万人、合計でこれは六〇%を超しているんじゃないですか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 仰せのとおりでございます。ただ一言つけ加えますと、これは四十九年分であるということ、それより後のはまだ統計がございません。それと、先ほど来の百八十三万円というのは夫婦子二人の場合でございまして、百万以下の納税者というのは圧倒的に独身者であろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これを月給に直すとどうなりますか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 基準外と申しますか、定期外給与をどの程度と見るかによりましょうけれども、たとえばこれを十五で割るとか十六で割るとかいう計算をいたすのが妥当であろうかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いま十七で割りますと、百万円の場合は五万八千八百円、二百万円の場合は十一万七千六百円になる。いずれにしてもこんなに低い所得で納税をしている。そうであれば、これが生活費に食い込まないという保証はどこにもない。それほど課税最低限、生活費非課税の原則というのははなはだあいまいなものだと言わざるを得ないと思いますが、大蔵大臣いかがでしょう。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう見方も理解できないわけじゃございませんけれども、しかし、一面そういう課税をしておりながら、巨大な公債によって歳入を賄わなければならぬという財政の状況にありますことも事実でございまして、生活費の立場から、それに食い込むような歳入を期待すべきでないという厳密な立場に立ちますと、いまの財政は成り立たぬということにもなるわけでございますので、全体の財政のよって立つ基礎というものにつきましても御理解をいただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 税金のことは後で触れます。しかし、生活費非課税の原則というのは最低限これは守られるはずのものです、法律で決まっているわけですから。  そこで、ひとつお考えいただきたいのは、低額所得者が貯金をしなけりゃならないということは、生活費の切り下げをしなければ生活が維持できないということが一つでしょう。もう一つは、これで国民の栄養基準が守れるかという問題があります。これは厚生大臣もあわせてお答えをいただきます。だれでもいいですよ、答えてください。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 国民の栄養基準につきましては、基準摂取量というのが一応決まっておりますが、それとも比較をいたしてみますると、ばらつきがかなりあるわけでありまして、栄養成分のうちに、非常に過剰にとっているものもありますし、また足りないものもございます。一般論で申しまして、現在のところ必ずしもそう低いものとは思っておりません。ただ、四十九年度において若干の実は摂取量の減がございましたが、これはあの石油ショックによる、むしろ物資の供給源から生じたものだろうと思われるわけであります。さっき先生、いろいろエンゲル係数論を御議論になっておりましたが、エンゲル係数が高くなることによってそうした栄養摂取を可能にしているものと思いますので、問題は私は別のところのひずみというものを政治の場で考えなければならぬものではないかというふうに認識をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 カロリーはどうなっていますか、四十八年−五十年、基準カロリー。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 基準カロリー、四十七年一〇九、四十八年一〇八、四十九年一〇四というふうにカロリー量としてはとっておるはずであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それはちょっと聞いてくださいよ、違っていますよ、単位が。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 違ってはおらないのでございまして、百分比で申しまするとそういうふうになるわけであります。絶対量でございますると、四十九年が二千百八十七カロリー、五十年度が二千百カロリーというふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 カロリーというのは、比率じゃカロリーの数にはならないですよ。五十一年度の国民の栄養基準をひとつお示しをいただきたい。四十五年は二千三百カロリーだった。五十年はいま言ったように二千百カロリー。私の調査によると二千百五十カロリー。カロリーは下がっている。五十一年はどうなっていますか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 昨年栄養審議会がつくりました国民一人一日当たりの所要量でございますが、二千百カロリーとなっております。また、調査の結果は昨年四十九年までしか出ておりませんが、二千百八十七カロリー程度でございまして、標準所要量よりも四%ぐらいまだオーバーいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 先ほど申しました四十五年が二千三百カロリー、四十八年が二千二百七十三カロリー、そして五十年は二千百五十カロリー、だんだん落ちてきているんですよ。カロリーが落ちてきているんです。そうなりますと結局、食を切り下げつつ生活を守ろうとしているという一面がわかるわけであります。ならば、生活安定のための対策というのが十分に講じられる時期であるにもかかわらず講じられておらない、こういうことにはなりませんか。これは企画庁で答えてもらいましょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 繰り返して申し上げて恐縮でありますが、生活安定のための基本は、何といってもインフレをなくする、それから不況をなくする、そして雇用を拡大する、この諸点にかかっておると、こういうふうに思います。この基本的な生活安定の構えは、私はかなりあの激しい石油ショック後の事態としては順調に進んでおると、こういうふうに見ておるわけであります。その工作の骨組みを構えまして、とにかくきめ細かくインフレ、デフレの被害者、そういうものに対しましてなるべく手厚く施策が回るように心がけてまいりたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総理にお答えをいただきますが、第一分位、収入の非常に少ない人は一生懸命貯金している。収入の多い第五分位は貯金をおろして生活費に充てている。この現状が妥当なものだとお認めになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) インフレというものが非常に弱い者にしわ寄せされる結果になりますから、社会的公正というものの大きな前提になるものはインフレを抑制しないとこれはだめだということで、インフレの抑制に対して政府が努力をしたわけでございます。個々の問題、加瀬君のいろいろの御指摘、私も拝聴しておったんですが、いろいろ改善すべき余地は今後あると思いますが、大きなあのようなインフレのもとでは生活の防衛ができないですから、ことに弱い立場の人たちにはしわ寄せをされる結果になりますから、政府がそういうふうな政策に重点を置いたことは御理解を願いたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 インフレ対策をいろいろおっしゃいますがね、政府のインフレ対策なり経済対策なりに国民は不信ですから、将来の見通しの明るさを感じませんから、低所得国が一生懸命貯金して自己防衛しているんでしょう。高額所得者は、インフレ対策の効果が一つもないから貯金をおろして生活費に充てているということじゃないんですか。インフレ、インフレと言うけど、具体的に国民のどの層を一体インフレ対策は救っているかということになりますと、はっきりした救済の対象というのはないんじゃないですか。結局インフレ対策そのものがないということになりませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) インフレはとにかく物価の上昇、特に消費者物価の上界ですが、これに対しましては御承知のとおり努力をしてまいって、四十八年のころは二六%も上がったんです。それが四十九年度は一四%で片づく。それがさらにことしは九%、ことしというか、五十年度は一〇%を割って九%前後で片づく、こういうことになり、これから先も努力しますればかなり鎮静化する、こういうふうに見ておりますので、まあ施策と言えばいろいろの施策をとっておりますが、とにかくインフレは鎮静化の傾向に非常に順調に向かっておる、こういうことは私は申し上げることができると、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは後で触れますが、中期計画とはまるっきりインフレ、物価の上昇率ははぐれているんですよ。この点は後で触れます。  そこで、こういう生活状態の中で、一体政府の賃金対策というのはどういうことになっていますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 賃金の問題につきましては、これは政府は介入いたしませんで、労使間の協調でやってもらっておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 労働大臣はそれで済まされますけれども、景気回復というのが一つのねらいであれば、賃金対策にどう政府が取り組むかということを考えなけりゃ景気対策は成り立ちませんよ。  そこで、これは福田副総理に伺いますが、アメリカの景気回復あるいは西独の景気回復というものはどういう原因で成功しましたか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まあ景気対策各国とっておりまして、対策はいろいろ違いがありますが、アメリカとドイツではこれは減税を主軸にしたようです。それからほかの国では公共事業なんかを重視しておる。そういういろいろばらつきがありますが、これは私はアメリカの当局者とも会っていろいろ話をしてみました。景気対策で減税政策を出す、これはどういう考え方かと言うと、これは公共事業が非常に効果的であるということはわかると、こう言っているんです。わかるけれども、わが国とすると、公共事業をさしあたって大規模にこれをというようなものがないほど公共施設が完備しちゃった、こういうことを言われます。私、日本の方では何するのかというと公共事業を主軸にするということを申し上げますと、それは賢明な行き方でしょうというようなことを言っておりましたが、わが国ではとにかく大変なまだ生活環境の整いの不足があるんです。  そういうことを考えますと、公共事業、これはもう減税よりは同じ金を使えばはるかに効果的であるということは、みんなこれはおのずからそういう認識を持たれるわけでございまするけれども、たまたまわが国は公共事業を行うべき状態に置かれておるわけなんです。ですから、わが国におきましては、諸外国と違いまして公共事業を主軸とする気対策をとったと、こういうことに相なるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは不況対策の点で質問をしようと思いましたけれども、公共事業による景気へのはね返りというのは非常に低いでしょう。個人消費の回復というものがなければ景気の回復というのはなかなか困難じゃないですか。ドイツでもあるいはアメリカでも個人消費の回復ということに力点を置いているわけでしょう。しかし日本はこれをとらない。とらない理由は何ですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 公共事業にせよ減税にせよ、これをやろうとすれば金が要るんです。ところが、わが国の財政の状況を考えますと、これはいま大変な非常事態でございます。経済も非常に苦しいですが、財政はより以上に苦しい状態だ。そしていわゆる赤字公債を発行しなきゃならぬ、こういうことになっておる。そういうときに、景気刺激効果としてそう評価されない減税、この政策をとることが果たして効果的であるか。同じ金を使うならば、これはもう効果の多い公共事業をやるにしかず、これが基本的な考え方になるわけであります。いまの財政状況からは、公共事業もやります、その上さらに減税もやりますというような余力がもうないのでありますからね。  それから同時に消費を刺激せいというお話でございますが、消費は刺激せぬでもかなり着実に上昇しておるのです。昨年度のごときは、大体私どもは五%を上回る——実質でございますが、上昇したと、こういうふうに見ておるわけであります。ことしもそういう勢いは続くであろうと、こういう観測でございますので、これを人工的にいろいろ政策手段を構えて刺激をするというのもまたいかがであろうかという感触を持っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 経済企画庁の基本的な計画は、消費性向を高めて景気を回復するという、そういう計画になっているんじゃありませんか。それで私は、あと午後に移しますが、二つの点をお答えいただきたいと思う。  四十九年十月‐十二月は個人消費が非常に高率を示しました。これはどういうことですか。五十年の消費鈍化の背景は何でありますか。ここらをはっきりと決めてかかりませんと、公共事業で景気が回復するか、あるいは減税でどうなるかという基本的な問題も基準がつかめませんので。  もう一つ、消費性向の高かった低所得層が非常に消費性向が低率である。これをこのまま認めておって景気の回復ができるか。これらの点を後でお答えをいただきます。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      —————・—————    午後一時四分開会

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、総予算三案に対する加瀬君の質疑を続行いたします。福田経済企画庁長官。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 午前中の加瀬さんの御質問、消費動向などに関することでございますが、政府委員の方からお答えをいたさせます。

藤井直樹経済企画庁国民生活局長

○政府委員(藤井直樹君) お答え申し上げます。  午前中の御質問、二つあったわけでございますが、一つは、個人消費につきまして、四十九年の十月ないし十二月ころに非常に停滞をした、それの理由、それからその後の個人消費の動向についての御質問かと存じます。もう一つは、低所得階層における貯蓄性向の増大、まあ消費性向の低下という問題についての御質問かと思いますが、最初にその四十九年十月、十二月ごろの消費についての実態を申し上げますと、当時非常にいわゆる定期収入の伸びが鈍化するということに加えまして、ボーナスその他の臨時収入の伸びも落ちるということもございまして、かなり消費の方が落ちたということが一つございます。それから同時に景気の先行きについて、物価の上昇というようなことも含めましてやや警戒的でございましたので、そういうことから消費性向が落ちた。しかし、五十年に入りましては、漸次その消費の沈滞というのが回復基調にございまして、実際に年間を通じて見ますと、実質的に家計消費支出から見た面では四・八%程度の実質の伸びになっているということでございます。  それから、第一分位が非常に低かったのは事実でございまして、これは先ほど数字でお示しになったとおりでございますが、最近になりましてその傾向がかなり改善されてきております。所得につきましては、十月以降第一分位の伸びがむしろ全体の伸びを上回るというような状況になっておりますし、消費の方も十一月ごろからふえてきております。したがいまして、消費性向自身も十月、十二月をとりますと、前年の同期よりも第一分位の消費性向は上がっている。やや横ばい程度でございますけれども、そんなような状況でございまして、私どもとしましては最近の情勢から見ますると、所得、消費ともに第一分位等についてみますと、急な伸びではございませんけれども、徐々に回復の兆しを見せているというふうに判断をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 先進諸国は大幅な個人減税によって景気刺激効果を期待するのに対して、日本は減税はおろか、ベアの抑制までしております。なぜこういう形をとらなけりゃならないのですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 景気対策として減税政策をとらなかったということにつきましては、午前中も申し上げたのでありますが、景気を刺激するということを考えますときに、これは財源が要るんです。その同じ財源を使うならば、住宅だとか上水道、下水道、そういうものをやった方がよかろう。いまそれをやる。その上に減税ということになりますと、これは財政が大変困難な状態でありますので、それはできない、こういうことでございます。  それから賃金問題は、労働大臣から申し上げましたように、これはもう抑制政策とか、政府は介入をしないです。労使の間で合理的良識を持って解決をされるということを期待する、こういう考えでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ベアの抑制論は景気回復のためにはマイナスだという議論がございます。これをどう御判断なさいますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) それは程度の問題じゃないか、そんな感じがします。もう横ばいでゼロだというような賃金の状態でありまするならば、これは景気にかなり影響する。しかし、これが物価の状況なんかとにらみ合わせまして、かなりの程度であるということでありますれば、これは景気にはさほどの影響はないと、こういうふうに考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ベアはしないならば減税対策をする、あるいはいろいろの諸手当の対策をするということでなければ消費停滞はやまないと思うんです。現状のような消費停滞を危険だとはお感じになりませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 消費が非常に沈滞しているというような見方をする人がある。しかし、実際は私はそうは考えないんです。五十年度をとってみましても、これはもう確実に実質で五%以上の上昇をする。経済の伸びが全体として二・六%ぐらいだ。それは設備投資の落ち込みがあります。輸出が停滞しているという問題があります。それにもかかわらず、消費が五%以上伸びる。それで経済全体が伸びていくという形になっておるくらいでありまして、いまの消費の状態、これがえらい沈滞していると、こういうような認識は持っておりませんです。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 五十年は九・九%、五十一年は八・八%自体、異状な物価の上昇であります。にもかかわらず、不況脱出に目を奪われて物価安定がお題目にすぎない、こういう批判がありますが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 五十年度の物価の年間上昇率は九%程度と思います。それに対して、いま賃金がどういうふうに決まるか、賃金が決まる上におきましては、この指標というものは労使双方にとりまして大きな指標になるのじゃないか、そういうふうに見ております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 物価よりも賃金が抑えられる。しかも、公共料金の値上げが軒並みにやってくる。公共料金のやり方は財政一辺倒的発想で、国民の生活を救済をする、あるいは保護をする、こういう立場が毛頭ない、こういうことになりませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 物価は私は非常に安定の基調だと思うんです。それにもかかわらず、数字で見た消費者物価上昇率、これは高い。年間上昇率が九%である。ことしは八%ということをねらっておりますが、これはもう非常に高い。その高い結果が出てくるのはなぜかと言いますと、これを動かす要素はいろいろありますけれども、大きくは賃金、それからもう一つは公共料金だ、こういうふうに思います。  賃金につきましては、これは労使双方で合理的な解決をしてくださる、その結果を期待するほかはない。公共料金につきましては、あの狂乱物価のときに、これは思い切った抑え込みをやったわけです。しかし抑え込みをそう続けるわけにもいかぬ。そこで、これが改定をしなければならぬときにきておるわけでございますが、これが五十年度で言いますと、九・九%物価上昇、その中で二・七%ぐらいのウエートを占めるんです。これを五十一年度にはどうするか、まあ国鉄当局、電電当局では相当思い切った引き上げが必要だと、こういうようなことを言いますが、そう急激にすることは妥当でない。そこで、ならして二年ぐらいでそれをひとつやるということにいたしまして、公共料金の物価への衝撃的影響を避ける。こういうことにいたしたいと、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 賃金を抑える、家計も抑える、その中で公共料金が上がるということになれば、これはバランスがとれなくなるわけですね。五十年代の前期の経済計画概要の物価見通しは、消費者物価の上昇率は六%と見たのですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 五十五年度のその時点では、何とかして六%以下に持っていきたいと、こういうふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 すると、かつての経済社会発展計画の三%、新経済社会発展計画の四・四%、経済社会基本計画の四・九%、いずれよりも高いわけですね。これはどういうことですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 過去の計画におきましては非常に低い物価上昇率を見込んでおる。それから経済成長率におきましても、わりあいに低いものを見込んでおる。実績はどうかというと、物価は見込みよりは高い。成長率も高い。そこで、経済見通しと実績との乖離、それが国民には、どうも政府の経済見通しは当たらないのじゃないかと、こういうような印象も与える。そこで私としては、六%消費者物価上昇というようなことは決して望ましいことじゃないと思うんです。もっと低くしなければならぬと、こういうふうには考えまするけれども、やっぱりやってみて、結果はそれよりも低く出たという方の方がむしろ国民に安心していただける、こういうふうに存じまして、目標としては六%以下と、こういうことにいたしておりますが、実行に当たりましては最大の努力をいたしまして、それを実現をいたしたいと、こういうふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 計画は五%以下に抑えていて、今度新しい方針としては六%というものを認めたということは、長期の消費者物価の安定目標の五%は放棄したということになりませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) そういう論理にはならないんです。五十五年度の時点におきましては六%以下、これは以下というのですから、どこまでが以下ということにもなりましょうが、とにかく六%以上にはしない、こういうことで、最大の努力をいたしたいと、こういうふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 最初の計画は五%以下なんですよね。それを一%上げて一応想定をしたわけだ。そうすると、最初の五彩以下というのはこれは無理という新しい御認定をしたのか、あるいは放棄をしたのか、いずれかということになりましょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 過去の長期計画では五%だとか四%とか、そういうことを考えておりましたが、それが実現できなかったんです。今度は目標として決めたことはぜひ実現をする。それにはそう安易な数字は出せない。こういうので六%以下としたと、こういうことでありまして、以下がどこまでいくかということにつきましては最大の努力をしてみたいと、そういう考えであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 最大の努力はわかりましたが、公共料金、さらに地方の手数料、使用料、授業料というものが値上がりを見込まれておりますね。そうすると、物価の影響は変わってくるのじゃないか。具体的に、先ほど出しました第一階層、第二階層、この人たちへの公共料金、手数料、使用料等の値上がりの影響というものはどう分析をされたのか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 物価が上がりますと、公共料金に限りませんが、第一分位に対する影響が第五分位などに対する影響に比べまして深刻に響く、これは申し上げるまでもございません。しかしながら、とにかく物価全体が安定しなければならぬ。これがやっぱり第一分位の方々なんかに対しまする最大の配慮だと思うんです。  そこで、公共料金の問題をお触れでございますが、これは公共料金は狂乱のとき抑え込んだが、しかし、これを抑え込みにしておくわけにはいかぬ。そこで大体三カ年程度の間に公共料金の改定をいたしたいと思っておるんです。もちろんこれは全部じゃありませんけれども、主力になる公共料金につきましては三年。そこで五十年度におきましては、酒、たばこ、郵便料金、その他地方の公共料金等もありまして、全体とすると二・七%になる。五十一年度におきましては公共料金改定の実質的には第二年度になる。ここでは国鉄料金、電信電話料金、そういうものが中心になりますが、これのその他の公共料金との合わせての影響、物価に与える影響といたしまして、これは二%強ぐらいの程度に総合いたしましていたしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。  この公共料金問題がなければいま日本の物価情勢というのは非常に楽なんです。恐らく私は公共料金問題がなければ、ことし五十一年度の時点では物価は定期預金金利の水準以下、そういうふうになり得る状態である、こういう基調と認めておりますが、こういう問題ほうっておくわけにいかぬ。しかし、ほうっておくわけにはいきませんけれども、その与える影響を衝撃的なものにしないということで三カ年ぐらいに分けてこの改定を行いたい、こういうふうに考えておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 物価は安定したという前提は、八%ないし九%の上昇率というものを是認して物価は安定したと見ているわけですね。しかし、いまも御説明がございましたけれども、消費者物価の安定は定期金利以下とお約束をしているはずだ。八%、九%なら定期金利以下じゃありませんよね。それならば、定期金利以下になるまでこれは公共料金を抑えるか、公共料金を上げるならばそれが生活に響かないような別な方法をとるかしなければ、このアンバランスの解消にはならないでしょう。この点はどうですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私も一刻も早く消費者物価水準を、これを定期預金金利の水準以下にしたい、こういうふうに考えておるんです。しかし他方、公共料金の問題、これを考えてみると、これをほうっておくわけにいかないです。これはどうしても手をつけなけりゃならぬ段階に来た。しかし、これが物価に衝撃的な影響を与えちゃならぬというので、大体三カ年ぐらいの期間を見まして主要公共料金を一巡させたい、こういうふうに考えておるわけです。  そうしますと、五十一年度、本年度におきましては、国鉄でありますとか、あるいは電信電話とか、そういう料金改定問題、これがある。またしかし、それで国鉄や電信電話の料金改定が終わったわけじゃない。やっぱり五十二年度にもそういう問題を抱えなきゃならぬ、こういうことになる。しかし、そういう主要の公共料金の改定問題が一巡いたしますと、その後の物価問題はかなり楽になってくる、こういうふうに考えておるのであります。そういうような手順を踏んだ上で、五十五年度の時点におきましては消費者物価の上界率を六%以下にする。その以下というのはどこの辺か、こういうことにもなりますが、それはもうなるべくひとつ国民にも喜んでいただけるような物価状態にいたしたい、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それは財政政策としてはお説のとおりな議論も成り立ちます。しかし、もう一つ政治としてはインフレと不況から国民生活を救わなければならないという大きな柱もあると思う。この対策というものは一体どこに行ったのですか。この対策というものを考えるなら、公共料金を無制限に上げる、こういうことは物価が八%、九%の状態では簡単には踏み切れない問題だと思うんですけれども、どうでしょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) お話の筋はわかります。わかりますが、一方、国の財政のことを考えますと、これはもう本当に大変な事態だと思うんです。経済の状態、これは物価の面から見ましても景気の面から見ましても、あるいは国際収支の面から見ましても、大体、大方五十年度中には安定基調というものが確立できる、こういうふうに見ておるんです。ところが一方、財政の方を見ますると、特例法を御審議願わなきゃならぬというような非常な事態である。これをいつ消せるか、こういうようなことになりますと、まだ二、三年はかかりそうな展望なんですよ。  そういうことを考えまするときに、公共料金問題を放置して、そしてという行き方はとうてい許されない。やっぱり財政のことも考えなけりゃならぬ。それからまた財政ばかりじゃありません。企業の運営ということも考えなけりゃならぬ。そういうことを考えますと、これはもう必要悪と言うと語弊があるかもしれませんけれども、とにかくよけて通ることのできない非常にむずかしい問題である。そういうことで、大変国民に対しましてはこれは御理解を願ってもこの問題はここで解決しなけりゃならぬと、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 国の財政も大事ですよ。しかし、国民生活を安定するために国の財政というのは存在するわけであります。したがいまして、こういう状態の中では国の財政のバランスのとり方はまたほかに方法がある。しかし低所得者に対する救済は、これはどうしてもほかにかえるものがない。そこで、低所得者減税というものを全然考えませんでしたけども、これはどうしてお考えになれなかったのですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、百八十三万円というのは、国税におきまして夫婦子二人の場合の課税最低限でございます。したがいまして、百八十三万円以下の収入の方々は国税政策で救いようのない層でございます。したがって政府といたしましては、加瀬さんも御案内のように、去年の予算におきましても、ことしの予算におきましても社会保障、生活困窮者、身体障害者等あるいは年金受給者等を中心にいたしました社会保障政策に対しまして一般の予算の伸び率よりもはるかに高い予算の配分を、資源の配分をいたしておるわけでございます。率で申しますと、ことしの予算は一四%程度の伸び率でございましたが、社会保障は二二%伸ばしておるわけでございまして、そういう方法によって生活困窮者に対する配慮をいたしたわけでございますことを御理解賜りたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 勤労所得税の税額控除を現行税負担額から独身三万円、夫婦者四・五万円、夫婦子二人七・五万円税額控除を行うと、標準家庭の課税最低限は三百九十万円になる。このくらいのことは当然このインフレの状態の中では考慮さるべきだとわれわれは主張をするわけでありますが、いかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本の状態を見てみますと、中央の財政も赤字でございまするし、地方も赤字でございます。多くの企業が赤字でございますが、どうやら個人の家計が実質収入が確保をされておるという状態になっておると思うのでございます。このことは客観的に見まして、個人経済はやや健全な状況でございますけれども、全体として財政の面も企業経済の面もこれは決して健全な状態でないわけでございますので、こういう状態はこのまま放置できないわけでございます。あなたが習われるような状況にいたすことは望ましいことでもございますし、そういうことは希望すべきことかと思いますけれども、今日の状態では、私はそういうことよりはまず経済全体を健全に持ってまいること、財政を一日も早く正常化してまいるということの方が急務であり、そのことが究極において国民の生活を本当に擁護する道に通ずる政策ではないかと確信をしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 全く技術的に方法を知らない議論だと思うんですよ。応能の原則というのがありますね。取るべきところから取っておらない、取るべからざる、生活費に食い入るようなところから税金を取るようなことだけで能事足れりとしている、こういうやり方が、私は先ほど申し上げましたように、国民生活を保護するという立場に立っておらないと指摘をしたいのであります。たとえば全額非課税対象というものを、通勤費でありますとか、諸手当でありますとか、年金の給付金というのに広げることが目下は必要ではないかという議論があります。この点はどうですか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) ただいまおっしゃいました中の通勤費につきましては、御承知のとおり、一定限度までは非課税という制度になっております。全額別途の必要経費とすべきではないかということは、大蔵委員会でもしばしば御議論が出ておりますが、私どものお答えのいたし方は、それは概算経費としての給与所得控除でカバーし得るものというような議論とか、いろいろのことを申し上げてございます。  年金につきましても、一部老齢者の公的年金につきましての非課税の部分はございますけれども、原則として年金をすべて非課説とするということは、やはり私どもとしては必ずしも賛成いたしかねるということを申し上げておきます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 内職収入、あるいは税における妻の地位。それから納税原則は納税者の自主申告にある。源泉徴収制度と申告納税制度との二本立てにする。こういったようなことはこの際は私は十分検討されてしかるべきだと思うんです。いかがでしょうか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 内職収入の問題につきましても、配偶者控除との関連、あるいは配偶者として取り扱うための所得限度の問題との関連としてしばしば大蔵委員会でも御議論が出ておりますが、時間の関係で詳しくは申し上げませんけれども、私どもは現在の所得税の制度がそれなりの合理性を持っているというように考えております。  もう一点、申告納税制度の御質問は、恐らく給与所得者についても申告でいい、つまり源泉徴収では全部終わらないんだという制度の方がいいのではないかという御趣旨かと思いますが、これにつきましては、もちろんそういう御議論ございますけれども、やはり全体としての納税者の数とか、あるいは税務当局の能力とかいうものを考え合わせまして、私どもむしろ納税者のためにもいまの年末調整の方がいいのではないかというように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いまの制度では、前回私はこの席で指摘をしましたけれども、必要経費の算定というのは全然十分に考慮されておらないわけです、ですから、これは検討の余地があると思うわけですけれども、なぜならば、これは副総理に伺いますが、いまマイナスの所得税構想というのが言われております。マイナスの所得税構想が言われているときに、マイナスの線に近いもろもろの課税対象というものが検討されるのは当然だと思うんです。この二点お答えをいただきます。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) もう必要経費の方はよろしゅうございますか。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 必要経費はいいよ、検討してくれりゃ。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) ネガティブ・インカム・タックスと言われておりますのは、これは加瀬委員よく御承知なので、いわば釈迦に説法でございますが、これは実は税と申しますよりは、一定水準以下の方々に社会保障給付を与えるというシステムでございまして、それを税の課税最低限とつなぎ合わせて考えていこうというアイデアだというふうに私ども理解いたしておりますが、これはいわば課税最低限以下の方々につきまして、ミーンズテストを全部やらなくてはいかぬという非常にむずかしい問題を別途抱えておりまするし、何よりも事柄のスタートが社会保障給付を、まあ医療給付はちょっと別かもしれませんが、統一的にやろうというところからスタートしているような気もいたしまするので、私がお答えするのは適当とも思えませんけれども、社会保障給付の考え方の問題としてなお研究すべき問題であろうと、くどくて恐縮でございますが、税ではないというように私は理解しております。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) この説は、これは学者の一部の人の間にあるんです。これは考え方としますと、所得保障についてのいわゆる保障制度体系、これと非常にかかわりのある問題だろうと、こういうふうに思います。そういういま厚生省を中心にいろいろな社会保障制度がある。それをかなり整理いたしまして、その財源を用いてマイナスの所得税というか、負の所得税というか、こういうものに置きかえることができるというようなことになると、これはいわゆる社会保障体系全体として見るときに一つの考え方ではなかろうかという私は感じがしておるのです。いろいろ勉強もしておりますが、さあ、その現行の社会保障制度はそのままにして、そして負の所得税だというようなことになると、これは制度として非常に重複したものがあり、またこの社会保障体系をいびつにするということになりますので、そう軽々に結論を出すわけにはまいりませんけれども、なおこれはただいま申し上げましたような趣旨におきまして検討はすべき興味ある課題であると、そういうふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこで二番目に、いままでいろいろ問題になってまいりました財政構造について伺いますが、五十一年度の財政は国民不在の財政、アンバランス財政、不安定財政、こういう批判がありますが、これは違いますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 財政は経済あっての財政でございまして、経済自体がいま異常な不況からの脱出の過程にございまして、大変苦慮をいたしておる段階でございまして、財政がひとり安泰であり得るはずがないわけでございまして、こういう段階におきまして経済に対してどういう役割りを財政は果たしたらいいか、そういう経済から財政はどういう程度に養分を摂取したらいいか、そういうことを工夫しながらやっておるわけでございまして、御批判はいろいろあろうかと思いますけれども、今日こういう段階における中央、地方を通じましての財政のあり方といたしまして、政府は懸命に対応いたして、徐々に正常化への道を歩みつつあると思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは大蔵大臣と経済企画庁と両者にお答えをいただきたいのでありますが、赤字国債の発行、景気回復の見通し、物価抑制との関連、そして償還計画、これらについて御説明をいただきます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今年度は御承知のように、七兆二千七百五十億の公債の発行を予定いたしておりまして、そのうちいわゆる特例債三兆七千五百億というものの発行を予定いたしておるわけでございます。もっとも、これはいま衆議院で御審議をいただいておりまする特例の法律をお認めいただかなければできないわけでございまして、私どもといたしましては、毎度のように法律をお認めいただきまして、シ団との交渉を終えまして、この巨大な公債が円滑に市中消化ができるようにいたすことによって、産業、金融を圧迫することなく財政収入の確保をいたしたいものと考えておるわけでございます。  この金額は確かに大きな金額でございますけれども、公債の金額が大きいことが直ちにそのままインフレを意味するものとは私どもは考えていないわけでございまして、経済と財政のつり合いが適正に保たれて、発行された国債が、先ほど申しましたように、円滑に市中において消化されるということが確立いたしますならば、インフレの懸念はないものと考えておるわけでございまして、政府といたしましてはそういうことを考えまして周到に財政の運営をいたして、インフレを招来することのないように、しかも財政収入を確保しながら、運営に支障のないようにいたしたいと考えておりますし、また、それはできるものと確信をしております。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 私に対しましては景気の展望のことかと思いますが、経済活動として見まするときに、大体昨年の三月が底でありまして、逐次上昇、非常に微弱ではありまするけれども、上異過程に来ておるのです。ところが、それが昨年の十月−十二月の時点で横ばいというか、停滞、足踏み状態になりました。  今日、この時点における推移から見まして、その後の推移はどうなっているかといいますと、まず昨年の暮れごろから輸出が伸びる傾向を非常に強く打ち出しておるんです。それから国民の消費、これも着実に伸びておるわけであります。それから設備投資が、昨年は実におととしに比べて一〇%落ち込むという惨たんたる状態でありましたが、これが、そう高い水準ではありませんけれども、ようやく底をつきまして上昇過程に転じておる。そういうことを反映いたしまして、生産活動が活発化してきております。十二月には前月比で〇・八の伸び、それから一月には前月に比べて二%の伸び、二月にはまた前月一月に比べて二・三%の伸び、これは相当の伸びなんです。年率にすると二八%ぐらいの伸びになるわけなんでありますが、これがそう永続的に続くとは思いませんけれども、生産はそうである。生産がそういう状態でありますので、企業の稼働率も、昨年の三月には七七ポイントであった。製造業稼働率です。これが二月の時点におきましては八六ポイント何がしかというふうな改善を示しておるわけであります。また、したがって雇用の状態、これもようやく底をつきまして、雇用に関する指標は全部これは明るい方向を示しておる、こういう状態です。  そういう状態を踏まえまして、いま御審議を願っておる昭和五十一年度予算が成立するということになりますると、これは昭和五十一年度の景気展望といたしましては、何といっても輸出、それに今度の予算、この二つの目玉が牽引力となりましてかなり活発な動きを示すであろう。私どもは実質におきまして五%ないし六%成長ということを申し上げておりますが、この目標は確実に到達できるという展望でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 政府提出の中期財政展望によりますと、五十五年度までに赤字国債から脱却したとしても、その累積額は十三兆五千七百億。これを六十年から六十四年度に償還するとすれば、償還計画が明示されるべきであります。現状では具体的な返済計画がなしに借金だけをしているということになればインフレにならざるを得ない、こういうことになろうかと思いますが、この点はどうですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 当面こういう経済状況でございますので、増税することはむずかしい。しかし、中央、地方を通じまして行財政水準というものは維持してまいらなければならない。そういう状況でございまするので、唯一の選択は、どうしても公債政策に頼らざるを得ないということでございます。いま償還計画が確実に立っていないから公債政策はとれないというので、この公債政策を退けるという余裕がいま日本の財政にはないわけでございますので、去年からことしにかけましてわれわれはやむなく公債政策を選択いたしておるわけでございます。  しかし、こういう状況は、加瀬さんも御心配のように、いつまでも続いてはいけないわけでございまするので、政府といたしましては、五十年代の前半にはこれから何としても脱却をしなければならないのではないか。そうするためにはどうすればいいかということにつきまして、一つの試算をしつらえまして、衆議院での御審議を煩わした経緯がありますことはいま御指摘のとおりでございます。  そういたしますと、五十五年以降六十年までの間、特例債から脱却された財政のもとにおきまして、私どもがどれだけ六十年以後予定される特例債の償還に財源を割愛できるかということが財政運営の基本の課題になろうかと思うのでございまして、私どもといたしましては、この五十五年以後の財政、予算の編成に当たりまして、この厳しい課題にはこたえなければならぬし、また私はこたえられるだけの体力をわが国の財政は持ち得るものと思っておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いまは答えはないですね。十年償還として、いままでの五十年補正からの償還とすれば、従来方式の積立金は発行額の端数分ぐらいであります。そうなりますと六十年二兆円、六十一年三兆円、六十二年三兆円、六十三年二兆円、六十四年一兆五千億程度の償還財源が必要となりまして、これは財政圧迫の要因とならざるを得ない。これが回避策がありますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 特例債の発行に当たりまして政府が決意いたしましたことは、この十年償還債の発行に当たりまして、この償還財源は借りかえ財源をもっては充てるつもりはないという不退転の決意を国会を通じて表明いたしたわけでございますから、あなたがいま言われる五十五年以後の償還財源の確保というものは、わが国の財政にとりましては至上命令になるわけでございます。どんなに苦しくてもそれだけの財源は予算の中で確保しないといけないと思いまするし、私は確保できるものと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それは感想を述べているにすぎませんよね。少なくも数字に対する答えですから、数字で計画をお示しいただかなければ納得はできません。中期財政展望を国会に提出しても、肝心の借金を返す手だてが全然示されていないのでは国債償還計画はないに等しいことになります。このままでは、返すためにさらに国債を発行するといった悪循環に落ち込まざるを得ません。赤字国債の返還計画がこの国会で明らかにされて、承認を求むるということが筋じゃありませんか。感想だけをお述べになっても、感想では承知できませんよ。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう御無理な御注文をいただきましても、ちょっと答えようがないわけでございますが、これからの数年先の内外の経済状況はどうなるかということを的確に数字的に私に展望せよと言っても、それは無理な相談でございまして、そこで、政府としてはいつごろこの特例債から脱却するかという見当をまずつけることが第一だと考えまして、五十年代の前半にはそうしたいものだということをまずお示し申し上げておるわけでございます。  しかし、この公債は政府の義務費でございますので、感想を述べるだけじゃいかないわけなんでございまして、政府の法律上の義務なんでございますから、何としてもこれは払わなければならないわけでございますし、わが国の政府は法律上の義務を怠ったことはない誇り高き政府でございますので、加瀬さんが御心配であるようなことは私はないと確信をいたしますが、償還財源を、したがいましてそれじゃどのように考えているかということについて、所定の国債整理基金への繰り入れの規定がございますほかに、毎年度予算で繰り入れたものを財源にいたしますということを申し上げておるわけでございます。  すなわち、五十五年以降特例債から脱却できました財政が、償還財源としてそれ以降の予算におきましてどれだけの償還財源を予算に計上して国債整理基金に繰り入れることができるかということは、財政計画の最大の課題になるということ、先ほど申し上げたとおりでございます。いまそれを数字的に年次的に示せということは、非常な未確定要素が多いことでございますので、そういう自信はないと申し上げたわけでございますが、そういう予算の繰り入れをもってこたえるつもりである。それはやらなきゃならぬことであるし、それは必ずできるに違いないということを、精いっぱいのところをいま申し上げておるわけでございますが、数字的に年次的に示せということはいささか酷な御質問であろうかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 つもり計画、つもり予算であるということはわかりました。しかし、財政法四条というものをいままで盾にしてやってきたのでしょう。これがあなた方の自民党財政でありますよね。その自民党財政は破綻をしたわけです。四条だけでやっていけないということになったわけです。ただし書きでありますか、別枠を活用するような形にならざるを得ない。それならば、これははっきりと計画が立たないで国債発行なんというのを簡単にやれる筋合いのものじゃない、財政法からいえば。このままでいきますと、インフレか増税のほかはこの解決の方法はありませんよ。そういう状態であるなら、少なくも五十一年度予算では財政構造のこの新しい状態に対する改革が当然考慮さるべきでありますけれども、考慮されておりますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今日の状態は、いみじくもいま加瀬さんがおっしゃるとおり、財政法が予定いたしておるような正常な状態ではないわけでございます。したがって、財政法の特例の制定を国会に仰がなければならぬような事態なのでございます。もしそうしなければ、あなたがいま言われたとおり、増税を選択するか、インフレを選ぶか、どちらかだということでございますが、そのどちらも政治は選ぶべきでないということでございますので、私ども特例公債の秩序ある発行とその秩序ある償還を通じましてこの難関を切り抜けて、そして中央、地方を通じての財政をノーマルな軌道に早いところ返していくということによって時代の課題にこたえなきゃならぬと、せっかく施策をいたしておるのがいまの姿でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は、財政当局が歳入構造の改革をしようということについて怠慢だと思う。そこで、これはわが党の意見も加えて質問をこれから進めます。  現行所得税法は税収の浸食が大きいという指摘についてはどうですか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) まことに恐れ入りますが、ただいまの御質問の、税収の何でございましたか。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 浸食。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの加瀬委員の御指摘は、おそらく石さんでございましたか、タックス・エロージョンのことを盛んに書いておられるのを私も拝読しておりますが、あの御議論の中で、いわば特別措置と称されるようなものにつきましては私どもも傾聴すべきところあり、研究を続けておるわけでございますけれども、あの御議論の中で、給与所得控除や人的控除がすなわち税の浸食であるという御議論は、私どもは賛成いたしておりません。あれが浸食であると考えれば、むしろ先ほどの、けさの御質問のように課税最低限を上げろというようなことと全然逆でございまして……

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 石さんに答弁しなくても、私に答弁してください。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) はい。ですから、あのおっしゃるような意味での浸食というのは、やはり特別措置の問題としてとらえるという限りにおいては、私どももいろいろ努力はいたしておりますし、今後も努力をいたしたい。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 シャウプ勧告の総合課税方式という一つのとり方がありますね。それと現行法と比べれば、浸食されている部面というのがあるという認定ができるのじゃありませんか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 完全にあらゆる所得を総合して課税するということが所得税としての一つの理想的な姿であるという考え方は、私も反対いたしません。その意味では、利子所得に分離課税が一部導入されておるとか、あるいは特定の政策目的のために、ある時期土地の譲渡所得が分離課税になっておったとかいうのは、おっしゃる意味では総合課税主義に基づく課税ベースを浸食しておるという御指摘は、そのとおりになろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この税収に対する浸食額が、四十七年では所得税の決算額が三兆七千億、先ほど出た石さんの参考資料によれば浸食額が六兆八千億と出ている。いまおっしゃるように、これそのまま受け取れないとしても、所得税に対する浸食額が非常に多いということは否定できないのじゃないですか、総合課税方式をとった場合と比べて。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 先ほどちょっと申し上げましたように、その各種の人的控除を浸食というふうにお考えになれば、膨大な額の浸食という計算はできるかもしれません。私どもはそのようには考えておりませんが。端的に申し上げて、特別措置による減収額がそのまま浸食であると考える場合には、五十一年度は、これは予算委員会に御提出いたしてございますが、所得税における特別措置による減収額は平年度五千億と推計いたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 東京都の所得階層別税負担率という調査を御存じですね。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 存じておりますが、ちょっとただいま手元にございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 その東京都試算の総合課税方式をとると、負担率が六百万円以下は現行と総合と余り変わりありませんが、一千万以上は現行と総合の割合は三六・四が四七・二、四千万の場合は三五二が六三・二、一億の場合は三〇・二が七三・四、一億を超える場合は二一・八が八七・六となっております。これはお認めになりますね。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 申しわけございませんが、ちょっとただいま手元に原資料を持っておりませんので、計数の一々について申し上げることはできない。申しわけございませんが、計算の前提には私どもかなりの疑問を持っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 傾向はこういうことになりませんか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 先ほど申し上げましたように、特別措置なかりせば、いまの所得税の負担率よりももう少し負担率は上がるであろうということは確かに申せるわけでございますが、その程度の差が東京都が出しておられるほど激しいものになるかどうかということは、計算の前提につきましては私どもかなりの疑問を持っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それは純然たる総合課税方式をとると、いまのようになりますよ。税調方式になっても、総合方式に比べ六百万円以下は大体同じでありますけれども、一千万円以上は税調方式が低いですね。高額者優遇がここでも変わらずに残っておりますね。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 先ほどの繰り返しになりまして恐縮でございますが、たとえば一億円の方が八十数%になるはずであるという前提が、どういう所得をお持ちになっておって、なぜそうなるかという前提に非常に私は疑問を持っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 税調の試算があるでしょう、税調の試算でも大体傾向は同じでしょう。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) ちょっとお待ちください。東京都の、あれは何と申しましたか、財源問題研究会でございますか、そこがお出しになったのは私承知しておると申し上げたわけでございますが、ただいまおっしゃる税調の資料というのは、ちょっと私、心当たりがございませんが。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは改めて伺いますが、シャウプ勧告は総合累進課税方式で日本の経済を救った一面がありますね。その後この税制がだんだん崩されてまいりましたけれども、この際、シャウプ勧告の精神に戻って、もう一回検討するという必要は感じませんか。取れる税金から取っていないのですから、シャウプ精神にもう一回返るという必要があるんじゃないですか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) シャウプが考えておりましたあらゆるタイプの所得を総合課税のもとに置こうというのは、所得税の理念として一つの理想的な姿であろうということは、私反対いたしておらないわけでございます。ただ、それが現実に可能であるかという問題と、それから政策的に何らかの特別措置を設ける場合、それがシャウプの考えている総合所得税をある意味では浸食する。その場合に政策目的、政策効果と、その結果によって出てくる不公平とを考慮をしながら解決をしてまいるというのが従来からの政府のとってまいった態度でございまして、その点につきまして、なお公平の側面を一層重視して、政策的な分離課税につきましてできる限り総合課税の方向に戻るように努力をしていくという気持ちは私どもは持っております。ただ、即座にすべてができるということも考えてはおりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこが財政当局の怠慢だと言いたいんですよ。先ほど大蔵大臣は、低所得者にも課税しなければやりくりがつかないんだという意味のことをおっしゃった。それならば、担税能力のある高額所得者の優遇をそのまま残しておく理由はないわけです。応能の原則というのがあるわけですから、当然担税能力のある者から税金を取ることが先でしょう。それに踏み切らないというのは一体どういうことですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 担税力があるところから税金をいただくのが当然でございます。したがって、高額所得者に対しまして高い負担をお願いするのは、仰せのとおり反対すべき理由は私はないと思います。  現実の税制でございますけれども、今日わが国の高額所得者、いわゆる高額所得者の負担率がそれでは諸外国に比べてどういうものであるかという点、私が承知しておる限りにおきましては、決して諸外国に比べて低いものとは考えていないのでございまして、相当高目になっておると思います。しかし、こういう財政の状況でございますので、なお特別措置の整備その他を通じまして負担の加重を求めておる時代でございまして、理想に向かって一歩一歩道を切り開いていくべきことは当然のわれわれの任務であると思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総合課税方式を取り入れれば、二兆円の増収というのは図れると思う。これを何も検討しないというのは怠慢じゃありませんか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 税収ベースの推計の問題でございますが、私どもなりにいろいろな推計をいたしまして、現在の所得税関係の特別措置をすべて廃止した場合、五千億程度の増収ではないかというふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総合課税方式というのはそれと違うんです。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) ほぼ同じものとお考えいただいて結構でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 違いますよ。  それでは、わが党の主張しております土地増価税、これでも相当の税収が図れるという主張をしているわけでありますが、政府はどうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) これはたびたびお話を伺っておるわけでございますが、これはいわば一つの資産課税でございまして、収益がそこにあるから税金をもらうというものではないわけでございまするので、したがって、税率は低目にならざるを得ないということになろうと思うのでございます、財産税の一種でございまするから。ところが、今日現在の税金は相当高目になっておるわけでございまして、社会党さんの御主張になるようなことでは、むしろ現行の方が高目になっておるのではないかという疑問を私持つわけでございます。現実の税制の問題でございまするので、よく具体的な検討が必要かと思いますけれども、大体の感じといたしまして、現在は相当課税は高くなっておるというように私は考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 生活費に食い込むところにまで課税をしなきゃならないというのに、含み資産を持っている者に含み資産に課税をしないというのは、バランスを失すると思う。東証の上場会社の含み資産が六十八兆円、一億円以上の法人分は九十八兆円だと言われている。全国的に見れば、これは大企業の含み資産というのは百兆を超える。いろいろ控除をして七〇%に課税をするとしても、一五%課税すればこれは十兆円以上のものが取れる。この際ですから、当然取れるものから取るという工夫が大胆に行われなけりゃ、生活費から課税を取られている者に比べてバランスがとれないのじゃないですか。この点どうですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、所得からの課税あるいは資産からの課税、消費に見られる担税力を捕捉するいろいろな課税の仕方があるわけでございまして、いま仰せになるような含み資産というようなものは一つの財産税でございます。一回限りは、あなたがおっしゃるように相当巨額の税収は可能であると思うのでありまするけれども、これを、国家の生命は悠久でございまするから、税源というものは長く永続的に安定的に確保しなけりゃならぬ。中央、地方を通じて私どもはそのことを考えておかなければならぬわけでございますし、経済活動も活発、活力のある経済を維持していかなければならぬわけでございまして、税を納めるために経済を運営いたしておるわけじゃないのでありまするので、私どもといたしましては、健全な所得の流れの中で可能な限り税収を確保してまいるという、オーソドックスなやり方が健全な財政政策ではないかと思っております。しかし、あなたのような考え方があるということは承知しておりまするし、異常の場合、日本においても戦後財産税を取った経験がありまするし、現に相続税というような形で財産税的なものが現行税制にもあることは御案内のとおりでございますけれども、いま新たな税目として、それではそういう資産税を考えるべきかということを尋ねられるならば、私は答えは消極的たらざるを得ないわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 健全財政じゃないですね。七兆円の赤字国債を出してその償還計画もないというのは不健全でしょう。だから異常の措置として、時限立法でも何でもいい、こういう財源をあさるというのは当然じゃないですか。それでは、現状の税制の中でも交際費税の増収を図るべきだという税調の報告もあったはずですよ。これはどうなりますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) これとても、そういう世論が高まりがあることは政府もよく承知いたしておりまするし、ここ数次にわたりまして交際費課税は強化してまいったわけでございます。ついこの間、三月三十一日に本院において成立を見させていただきました租税特別措置法の改正におきましても、交際費課税の強化について政府の政策を御承認いただいたわけでございまして、非課税限度は逐年高くなってきておりまするし、基礎控除は逆に低くなってきておるわけでございまして、仰せのようなラインで交際費の課税の強化は現実に進行いたしてまいっておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ある新聞に、空前の社用族天国、交際費一七%増の二兆円とあります。この二兆円に対して損金で落としたものは幾らですか。税金で取るものは幾らですか。これは四十九年度。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 私どもの手元にあります一番新しい数字は四十九年度でございますが、交際費支出額が一兆九千二百三十六億、このうちで課税対象といたしましたものが六千九十八億でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 もう一回言ってください。違っていませんか、それ。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 交際費支出額の総額が一兆九千二百三十六億、課税対象となりましたものが六千九十八億でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 トータルが六千九十億ですか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 六千九十八億が損金を否認されまして課税対象になりますので、税収はこれに四割なら四割を掛けたものということになります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 四十八年は。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 四十八年度は、支出総額が一兆六千四百五十九億、課税対象額が五千百五十六億でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いずれにしても損金で落とす部面というのが相当残っているわけですね。さらに、まだそれは損金で落としても幾らか取るからいい。  広告税の構想というものはどうなっていますか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 広告費に対して何らかの方法で課税を考えてはどうかという御議論は前々からございまして、税制調査会でも御検討を願いましたけれども、いまの時点で課税に踏み切るにはなお論議すべき点が多いということで、当面見送りという結論になっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 結局、企業側の当然取れるべき税収というものに対してはみんな見送っているわけだ。たとえばいままでの政策というものは、自民党のというか政府の、費用の拡大という一つの方法をとる。もう一つは、収益の縮小というもので税金は回避できるような方法をとっている。これをどこかでチェックしなければ、広告税でも交際費税でも取れることになりませんよ。こういう工夫なり検討なりはなさっていらっしゃるのですか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 交際費につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、課税強化の方向で進んでおります。損金にしない、課税対象にする割合がまだ少な過ぎるではないかという御指摘だと思いますが、これにつきましては、実は課税対象の割合が少ないのは四百万円の定額控除の影響が圧倒的に多うございます。四百万円の定額控除を縮減すべきかどうかという点につきましては、中小企業のサイドからこれはぜひそのまま残してほしいという強い御要望がございまして、今回も手をつけなかったという経緯がございますが、今後の研究課題だと思います。  広告費につきましては、広告費になぜ課税をしなくてはならぬかという点につきましてなお議論すべき点が多いということで見送りになっておりますが、ごく簡単に申し上げますと、広告費も交際費も販売促進費の一つの形であることは確かであるけれども、交際費には個人消費がまざり込むという要素が非常に強い、広告費にはそのような要素はほとんどないという点が一つ言われております。  もう一つ、広告費を消費税として考えるのは確かに一つの考え方であろう、しかしながら、これを規制する、交際費と同様に規制するという場合に、税として規制を受け持つべきかどうかになお議論すべき点が多い。と申しますのは、マクロ的に申しますと、日本の広告費は総額でも一人当たりでも決して多くはないという数字がございまして、問題があるとすれば、個別の広告が誇大であるとか、行き過ぎであるとか、神経を逆なでにするとかというところに問題があるのではないか。しかし、それは税で量的に規制する問題ではなくて、もしやる必要があるとすれば、公取系統の、何と申しましたか、景表法と略称されておりますあの法律などでやるべきものではないかという御議論がありまして、なお結論が留保されておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 少額ではないですね、一兆円以上の、四十八年で一兆七百六十八億、四十九年で一兆一千六百九十五億、これだけのものが全部生産活動費ということにはならないと思う。  改めて伺いますが、あなた方の御説明を聞いていると、法人税を改革し、大企業の税負担を高めることは現状では無理だというふうに聞こえますが、そうですか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 法人税の根元になりますものは、言うまでもなく法人の収益でございます。法人の収益が御承知のように惨たんたる状態に陥っておるというのが現実でございますので、その回復を待ちながらなお勉強を続けるということの方が妥当であろうと思いますが、その場合におきましても、やはり法人税はかなり国際的な関連をも念頭に置いて考えるべきものではないかというのが私の個人的な考え方でございまして、余り日本の法人税がよその国の法人税と違って飛び離れて高いものになると、いまのように資本も技術も自由に国際的に動いている場合に思わない別の弊害をもたらすかもしれないという点を含めまして、なお今後十分研究いたしてみたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 引当金、準備金、減価償却の積み立て残高について御説明をいただきます。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 引当金は四十九年度がやはり最新の数字でございますが、貸し倒れ引当金残高が二兆七千六百三十七億円、退職給与引当金が三兆七千三百三十億円、償与引当金が一兆五千七百三十九億円、他に、これは金額は小そうございますが、製品保証等引当金が四百九億円ございます。  それから準備金につきましては、これも項目がかなりございますが、金高の大きいものを申し上げますと、価格変動準備金が一兆一億円、海外市場開拓準備金が千七百二十六億円、海外投資等損失準備金が三千六百四十七億円、公害防止準備金が千四百三十四億円、探鉱準備金が百九十九億円でございます。なお特別償却は、残高というような観念がちょっととり得ないわけでございますが、四十九年度中の特別償却と割り増し償却の実施額は六千八百七十七億円ということになっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 結局、これを全部課税しろとは言いませんけれども、少なくも、これを全部課税外に認めていることは、こういう状態の中では不合理だという私は見方も成り立つと思う。当然、一部課税対象に繰り入れるべきだと思いますが、御意見はございませんか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 前臨時国会での当委員会での御審議でも大臣から申し上げましたように、現在ございます特別措置につきまして、より一層公平の観点から積極的に縮減を考えたいということで税制調査会に御審議をお願いいたしまして、その結果につきましては、租税特別措置法の一部改正法として今国会に御提出を申し上げ、すでに成立いたしております。整理の割合は従来の例を見ないかなり大幅なものになっておると私ども自負いたしておりますが、その場合の御議論といたしましては、まず引当金の部分は、これは特別措置として考えるべきではないであろうということになっております。もちろんしかし、引当金の繰り入れ率が合理性を欠くという場合にはこれは認めるべきでないので、その繰り入れ率の合理性については随時見直しを行うべきであるとされておりまするし、まさしくそのような考え方で、これは税法改正に先立ちまして、昨年の夏貸し倒れ引当金の繰り入れ率を縮減させていただきました。準備金につきましては、より一層公平の観点を重視して、廃止すべきもの、縮減すべきものを取り上げるという作業をしていただきまして、半年の検討の結果、準備金につきましての廃止、縮減ということをいたしまして、かなりの縮減が実現されておるというように私どもは考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは国税として、一体、こういう財政上の非常事態であるわけですから、当然原資をあさったと思う。どういうものを新しく歳入源として組み入れることになりましたか。また、どういうものを対象に御研究をなさいましたか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの御質問は準備金の縮減の内容というふうに伺いましたが、それでよろしゅうございますか。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いや違う、一般に全体に対して。いまの御説明だけではなくて……。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 全体といたしましては、先ほど大蔵大臣が申し上げましたように、五十一年度の財政運営を考えます場合に、歳入欠陥をいかにして克服するかということもさることながら、やはり景気回復に重点を置くという御判断に基づきまして、私どもとしては一般的な増税は避ける、五十一年度の財政面に関しては一般的増税は避けるという態度をとることになりましたので、一般的増税は御提案いたしておりません。特別措置の縮減のみと。さらに若干の選択的増税として自動車関係税の税率の引き上げを御提案申し上げました。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 一般増税は避けると言ったって、財政構造そのものが非常事態になっているときに、一般増税をあさらなければそれはバランスは合いませんよ。それから、一般増税は避けると言ったって地方税は上げているじゃないですか。国の政策としてお答えをいただきます。地方税は幾らでも上げると。国税は上げないと。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○政府委員(大倉眞隆君) 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、一般的増税を避けるという意味で、たとえば所得税の税率の引き上げとか法人税の税率引き上げとか、そういう手段はとらないということであったわけでございます。自動車関係税は、従来の経緯、現在の負担の水準並びに負担者がかなり特定されるという意味で選択的な増収を考えたと。地方税につきましては自治省から御答弁いただく方が適当だと思いますが、住民税は差し引き減税になっておるはずでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 減税になっていませんよ。地方税のことは後で聞きます。  増税をしろと言うとすぐ方向を変えて個人増税というふうに押しつけるような主張をなさいますが、個人増税なんということは私は一つも言ってない。当然、担税能力のある、取れる者が逃げているわけだからそれから取れと、こういうことを言っているわけです。  これは自治大臣に伺いますが、同じことが地方税でも言える。事業税の外形課税というのがいろいろ問題になっております。これはある県の法人事業税を調べてみると、四十八年、八十九億。四十九年、九十七億。五十年、四十六億。これは外形で仮に一%課税するとすると、五十年は百六十九億取れることになっている。こういう取れる財源があるのにどうして一体外形課税方式をとらないか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  この事業税に外形課税を取り入れるべきであるという議論はずいぶんもう長い間続いておるのでありまして、われわれとしてもこれはいろいろ調査もいたし、また税制調査会にも諮問をいたしまして、これが実現をすべきかどうかということについて検討を加えておるんでありますけれども、いまのところまだ時期尚早であるというような税制調査会で意見が出ておりますし、それから実際に取ります場合に、一体基準をどこに置いていいのかと。付加価値に置いていいのか売り上げに置いていいのかという問題もあるし、それからどういう業種について取っていいかという問題点もございます。それからまた税率の問題というようなこともありまして、いろいろそういう点も含めて税制調査会に御審議を願っておるのでありますが、ただいまのところ、まだ具体的に、このようにすべきであるという答申を得ておらないようなわけでありますが、この点については、今後もひとつ十分に調査をいたしまして、いかにも仕事はしておるけれども税金は少しも納めておらないというような形が一般から見て不合理じゃないかという感じは、またわれわれも十分理解をいたしておりますので、今後も検討を続けてまいりたいと、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 地方では希望があるけれど、自治省で抑えているという風説がありますが、そういうことはありませんか。  それからもう一つ、娯楽施設利用税はどう変わりますか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) 事業税について自治省が抑えておるなどという考えはございません。  それから娯楽施設利用税でございますが、特に問題になろうかと思いますのは、このゴルフの問題等におきまして、ただいまのところは標準を大体八百円に置いて、最低が四百円、上が千二百円ということにいたしておりまして、取っておる金額がたしか四百二十九億くらいになっておるかと思うんでありますけれども、これは決めました当時と比べてみまして、いわゆるグリーンフィーといいますか、使用料の方はどんどん上がっておるわけでございます。それなのに税金の方は、いわゆる一人が払う税金の方は据え置きになっておりますので、これはやはりある程度最高限も引き上げてはどうだろうかということでいま検討をいたしておると……

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 上限は幾ら。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) 上限がいま最高が千二百円でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それを幾らにしようと。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(福田一君) それはいま私がここで申し上げるまではいっておりませんけれども、普通は千円ということにいたしておるんであります。最高限が千二百円ということになっているんですが、その最高限をもう少し上げてはどうであろうかということで検討をいたしておると御理解をいただきたい。いま数字を私がここで申し上げるのはいささか早計ではなかろうかと思っておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 経済企画庁に伺いますが、娯楽施設利用税の場合は、上限も千五百円にしてはという内示があります。それに対しまして、税金ではありませんが、授業料は千二百円から三千二百円、二千円上がっております。一体、同じ税金の比較ではありませんけれども、負担をさせる立場から言って、負担能力のあるゴルフの利用者は三百円しか上げない、授業料は二千円上げると、これが公平が守られていると、そういうふうに受け取れますか、国民感情として。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 税は各種のバランス、相互の均衡、そういうことで考えなきゃならぬ問題でありまして、そういうことで突如としてのお尋ねで私も的確なお答えはできませんが、なおよく検討してみます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 医師課税の特例はやめません。会社臨時特別税は廃止いたします。租税特別措置は残します。しかし国民が困っておりましても減税はいたしません。こういう受け取り方を素直に国民ができますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) いま国民が一番関心を持っている問題は、いつ景気がよくなるんだろうか、いつ物価がおさまるんであろうか、そういうことの一点に集中しているとも言っていいのじゃないかと思うんです。その方向に向かって全力をいま尽くしておるわけであります。それで、その実績も私は着々と効果を上げておると、こういうふうに見ており、先々展望は明るいと、こういうふうに考えますが、そういう過程において多少政策的に立ちおくれが出るという面もあり得るかと思うんです。たとえば、いまの物価調整減税、こういう問題があります。私も物価調整減税ぐらいはというふうな感じがするんですよ。するんですが、まあいまとにかくそれよりも何よりも一番大事な問題は、これは物価の安定、景気の回復だというようなことを考えまするときに、これまたやらなきゃならぬことかなと考えながらもそれができない、こういうような現状でございます。とにかく早く経済を常道に戻して、その上におきまして、財政なんかにもいろいろひずみ、ゆがみが出てきておる、そういうものを直すべきかと、かように考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 大蔵大臣おりませんね。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ちょっとお待ちください。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総理に伺いましょうか。歳出構造について何か特別の検討をいたしましたか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) これは大変検討すべき問題が、大きな問題があると思うのです。つまりわが国のこの社会、わが国の経済体制というものをここで基本的に変えていかなけりゃならぬという時期にある。つまり高度成長からまた適正な成長水準へと、こういう転換です。そういう中において、世界も非常に変わっておる。そこの世界の変わり方に順応しまして、省資源、省エネルギーと、こういうような体質改善を行わなきゃならぬ。そういうことは財政でももちろんこれはやっていかなきゃならぬ問題です。それから企業の方もそれはやっていかなきゃならぬ。家庭の方もやっていかなきゃならぬ。そういう非常に大きな意味において、財政も大きな転換をしなけりゃならぬ。そういう時期にあると、かように考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 大蔵大臣がお留守でありましたから、かわって答えていただきましたけれども、既存の不公平税制というのは一つも直されておらない。それなら既存の歳出構造というのはある程度この際検討さるべきが当然でありますけれども、その検討がございますかと申し上げたわけであります。といいますのは、こういう財政状態のときには、既存の発想を捨てた新しい発想で私は、財政対策というのを立てべきだと思う。この点はいかがでしょうか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、今日の予算も、精細に吟味していただきますならば、そういう方向で歳出構造も大きく変わっておるわけでございまして、先ほど社会保障のパーセンテージについて申し上げたわけでございますけれども、公共事業費につきましても、ことしはなるほど、去年に比べてことしは公共事業の割合をふやしましたけれども、この公共事業費自体の中身はまた生活関連公共事業のシェアがだんだん大きくなってきておることは、各プロジェクトを見ていただきますならばおわかりいただけると思うのでございまして、それは一例にすぎませんけれども、歳出構造全体をごらんいただきますと、時代の変化に応じまして財政がいかに対応しておるかということにつきましては御理解がいただけるのではないかと思うのでございまして、御質問に応じてお答えしたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 繰り返すようでありますが、七兆の借金を前提に予算が組まれておるわけです。それならば歳出において大幅な節減計画というものは私は考慮さるべきだと思う。二十四兆の予算の中に節減計画が具体的にありますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 節減をすることによって財政による財貨サービスの購入が減るというようなことになりますと経済の維持が不可能でございまするから、先ほど申しましたように、中央、地方を通じまして行財政水準は落とすことがない、むしろGNPの伸びよりは若干それをふやすという方向で予算を組んだわけでございますから、あなたの言う思い切った節減を財政自体の立場から言いますとやりたいわけでございますけれども、そういうことができない状況でございまして、一四・一%という増率を持った予算を編成いたしたわけでございます。  しかしながら、これは予算の規模全体の問題を申し上げたわけでございますが、あなたの言われる趣旨は、それは全体の構造としてわかるけれども、この予算の編成に当たりまして、こういう財政難のときでございますので、不急不要の経費はまさかないと思うけれども、政府としても精細な吟味をしてそういった経費を節約するように努めたかどうかという御質問だろうと思うのでございます。  この点につきましては、例年は若干の節約を型どおり各省にお願いをいたしておったわけでございますけれども、ことしは相当諸物価が高騰のときでございますにかかわりませず、相当各省庁には思い切った事務的経費の節減を予算編成に当たりましてお願いをいたしたことは、すでに本委員会で御報告をいたしたとおりでございまして、この方針は今後も厳しく貫いていくつもりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 基本的な財政構造の変革をするときに、基本的に変革をする考え方というのが薄いのじゃないですか。たとえば、取れるところから税金をこの際取る、節減できないところも節減してこれだけ歳出を縮減する、こういう抜本的な立場がなければ、七兆円の借金というのは、借金を払うためにまた借金をしていくという悪循環を繰り返さざるを得ないと思うんです。昨年の予算を組むときと本年度の予算を組むときで、大して基本的な立場の変革というものはないのではないですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 加瀬さんのおっしゃろうとされていることは私はよくわかるわけです。こういう財政非常時でございまするから、歳入歳出両面にわたりまして、思い切った構想の転換がなければならないではないかということ、仰せのとおりでございます。  私は、それを何も否定するわけではございませんけれども、今日、わが国の財政のそういう基本的な転換を許す環境にわが国の経済があるかということが、その前に問われなきゃならぬ問題であると思うのであります。わが国の経済が、非常に健康体で相当荒療治をいたしても支障がない、相当思い切った増税をやっても支障がないというのでございますならば、何もこの赤字公債をお願いするような必要はないわけでございますけれども、去年、ことし、ここ二、三年、どうも石油ショックを初めとする経済危機に対応いたしますには、ここしばらく非常に用心した対応をしなきゃならぬ経済状況でございますので、財政の都合ばかり考えておれないというところから、こういう環境の中で財政はどう切り盛りするかという発想をいたしたわけでございまして、もしそういう環境がなければ、あなたがおっしゃるとおり危機に際しまして抜本的な構想の転換をやるのは当然の道行きだと思うのでございます。  しかしながら、だからといってそういう基本の構想を捨てたわけでは決してないのでございまして、そういう対応の仕方をいたしておりまするけれども、この特例債を脱却してノーマルな状況にいたすまでの過程におきまして、いまあなたが言われたような精神で、歳入歳出両面にわたりまして十分メスを入れるべきところはメスを入れまして、財政を正常な状態に返していくという努力は精力的に進めてまいるつもりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は、政府の態度は非常に消極的だと思うんです。それで率直に注文を申し上げますが、二十四兆の中で一割の節約ができないということはないと思う。総合課税方式で二兆、土地増価で二兆、法人税で一兆、その他五千億、大まかにこれくらいの新規財源を取ろうという私は構想に立つべきだと思う。そうすれば一兆円の減税というものをいたしましても、六兆円は残る。このぐらいの抜本策を掲げられなければ七兆円の国債の消化というものは不可能であります。七兆円の消化というものを現状において幾らかでも縮めるような新規財源というものを求めるという私は発想に立っていただくことを希望いたします。  そこで最後の質問に移りますけれども、政府は不況対策を最重要施策と考えていらっしゃるわけですね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 今日では、そのとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは副総理に伺いますが、物価は片づいていない、物価高騰、不況の本当の原因が理解されておらないと指摘をする方がありますが、いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げましたが、まだ望ましい物価状態にはなっておらぬ、こういうふうに思います。しかし、物価安定の基調は固まってきておる、そういう観測をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 原因でありますが、四十七年の七月以前と八月以降とで、GNP、卸売物価、消費者物価が大きく違ってきておりますね。これをどうごらんになりますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) わが国の経済の動きを見てみますと、四十七年度以前ですね、十三カ年、これは成長率から言いましても、平均すると一〇%を超える実質成長です。それの反面におきまして、卸売物価はほとんど横ばい、それから消費者物価につきましては五%ないし六%の上昇と、まあ安定しておったんです、全体として。ところが、四十七年の下半期ごろから物価にも異変が起きてくる。その余勢が四十八年度に非常に急激にあらわれてまいりまして、四十八年度では、もうピーク時では年間物価の上昇率が、これが卸で三七%、消費者物価で二六%、こういうことになってきたわけです。本格的なインフレ化の現象でございまして、御説のとおり、四十七年度を境にして物価情勢は非常に大きく変わってきた、こういうふうに申し上げて差し支えない、こういう見解でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いま御指摘のGNP、卸売物価、消費者物価、四十七年七月はそれぞれ九・八、三・二、五・二、八月は六・一、二二・六、一六・二と異常な上昇をしているわけです。これは過剰流動性の発生放置などが原因という見方はできませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まあいろいろ過去を顧みてみますと問題はありますが、過剰流動性に対する対処の仕方にも問題があったかと思うんです。また非常に積極的な経済政策、これの行き過ぎという反省も今日になってみるとしなければならぬ、こういうふうに思いますが、ともかく、四十七年度を境にして日本経済の相貌が一変したということは私は申し上げることができる、かように考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは政府が御説明なさっていらっしゃいますように、ニクソンショック、石油ショックだけでインフレになったのではない。その以前にインフレの要因というものを政府自体がつくっている、こういうことに私はなろうかと思うんです。これは自民党政府の経済政策の失敗が最大の原因ですよ。そうではありませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) とにかく四十六、七年ごろは、国際情勢が非常に変転する時期でありまして、いまになってみますると、ああしたがよかった、こうしたがよかったというふうにも言えるわけでございますが、とにかくこの石油ショックばかりが今日の経済混乱の原因ではなかったと、こういうことは言えると思うんです。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこで、この不況の責任について、大蔵大臣あるいは副総理はどうお考えになっておりますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 不況の最大の責任者は、これはインフレだと思います。それがはっきり数字的にも示されておるわけですが、このインフレ化した四十八年ですね、これになると成長率が落ちる。さらに四十九年度になると、その余勢で成長率どころの話じゃない、マイナス成長だと、こういうふうになって、しかしインフレがおさまるにつれまして経済の運営もだんだん上昇してきておる。五十年になりますとプラス成長だと、五十一年度はとにかく五%ないし六%の成長が展望できると、こういうような状態になってきておる、かように見ております。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま副総理から仰せになりましたことが世界的な規模において起こったということで、その状態がいま回復の過程にあるわけでございますが、まだ安定の段階を迎えていないということが今日の問題であろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 財政演説それから経済演説で、大蔵大臣と企画庁長官はそれぞれ大蔵大臣は財政需要の伸び悩みと反省を述べております。企画庁長官は次第に軌道に乗ると期待しているとだけ述べている。結局、いままでいろいろ施策をしたけれども、見るべき施策はなかったということをこれはお二人とも認めていらっしゃるわけです。これはそう受け取ってよろしゅうございますね、演説の中にそうおっしゃっている。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) とにかく五十年という年ですね、これを回顧してみますと、世界じゅうマイナスなんですよ、マイナス成長。その中でわが国がひとりプラス成長国である。しかも二・六%成長、低いけれども二・六の成長だ。そういうゆえんのものは何んであるかというと、私は政府の施策よろしきを得た結果であると、こういうふうに考えます。つまり第一次、第二次、第三次、第四次、あれがかなり景気を支える私は要因になっておると、こういうふうに見ておるんです。  とにかく設備投資は実質でマイナス一〇の惨たんたる状態である。輸出はほとんど横ばいの状態で見込みを大きく下回る、こういうような状態です。その中でプラス成長を実現したゆえんのものは、これは一つはあれがあるんです、消費が着実に伸びたという問題もありまするけれども、同時にそれと相並んで、あるいはそれより多少力強く財政がこれを支えた、こういうことで第一次‐第四次の政策効果が相当効き目をあらわした、こういうふうに観察しております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そういう御主張はお立場としてはわかりますけれども、何十%のインフレの中に国民を塗炭の苦しみに置いておりますのも、これも皆さんのいままでの自民党政府の政策の結果ですよ。  そこで、総需要の伸び悩みが非常に問題だと言われますが、総需要の伸び悩みは何が原因だとお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) いま伸び悩みがあるというふうには見ておりませんけれども、四十八年、四十九年、五十年、この伸び悩みの最大の原因は、設備投資の落ち込み、それから世界的な不況の影響を受けまして輸出の伸び悩み、そういうところにあったと、こういうふうに見ております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは政府委員でも結構です。総需要の種目別内訳はどうなっておりますか。

青木慎三経済企画庁調整局長

○政府委員(青木慎三君) 五十年度の総需要の中身でございますが、現在の実績見込みで申しますと、個人消費支出が一五・一%、それから民間総資本形成が九二・七%でございまして、その内訳の企業設備が九一・一%、在庫品増加が四六・六%、民間住宅が一四・八%、それから政府の財貨サービス購入が一四・一%でございまして、そのうち経常支出が一七・五%、資本支出が一〇・三%ということでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこで経済企画庁の計画と、企画といいますか、それと実際の施策とは矛盾がございませんか。

青木慎三経済企画庁調整局長

○政府委員(青木慎三君) ただいま申し上げましたのは、ことしの一月にこしらえました五十年度の実績見込みでございますが、この実績になってまいりますのは、もうすでに三月は終わっておるわけでございますが、数字が出てまいりますのはもう一カ月余りかかると思います。  そこで総計が出てくるわけでございますが、感じで申し上げますと、個人消費支出はほぼこういうことになろうかと思います。それから、若干違いますと思いますのは、民間設備投資がわれわれの予測したよりやや弱いかという感じがいたします。それからもう一つ輸出につきましては、私どもの予測よりも大分強い数字が実績として出てまいると予想されます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 五十一年は、企業設備投資の伸び悩みを個人消費と民間住宅、政府投資で補おうということではなかったんですか。

青木慎三経済企画庁調整局長

○政府委員(青木慎三君) 五十一年度の見通しにつきましては、私どもは民間設備投資の伸びはそれほど強くないと思っておりますが、それに対する補いとしましては、やはり政府投資あるいは海外の輸出の伸びというものをもって補い得るので、先ほど大臣から申し上げましたように、五ないし六%の実質成長は達成できるというふうに見ております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 総需要の種目別で一番景気の回復に効果があるものは、個人消費ではないですか。

青木慎三経済企画庁調整局長

○政府委員(青木慎三君) 総需要の中でウエートの一番高いのは個人消費でございますので、個人消費の伸びというものの景気に対する影響は非常に強いというふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは大臣に伺いますが、減税もしないでどうして個人消費の拡大が図れますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 個人消費の伸びの背景には、これはいわゆる雇用者所得という問題があるわけであります。それからさらに事業者の所得ですね、これが次いで大きなウエートを占めるわけですが、この雇用者所得はいわゆる賃金に非常に大きく影響されるわけです。それにしても、五十年度におきましては一三%の賃金の伸びである。そういうことで実質的に消費支出、これがとにかく五%を超える伸びを示すという結果になりそうであります。それから五十一年度を考えてみまするときに、これは雇用者所得の伸びを大体一一・八%と見ておるんです。これがどうなるか、大体その辺に落ちつくのじゃないか、こういうふうに見ておりますが、これが実現されますと、やっぱりこの物価情勢等を勘案いたしましても、その他の事業者の所得、そういうものもありますので、実質の消費支出というものはまあ五%をちょっと超えるという程度になろうかと、こういうふうに観察しております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 日米独での一九七〇年と一九七四年の消費性向を調べてみますと、四十五年と四十九年で、アメリカは九一対九二、ドイツは八三対八五、それぞれ伸びております。日本は八〇から七四、日本は消費性向を低くしか見ておらない。消費性向を高める政策というものも政府になかったのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 消費性向は、国際的に比較いたしますとわが国はわりあいに低い方です。反面、貯蓄性向の方は高い、こういう状態でありますが、その状態が比較相対的にいいか悪いかという判断になりますと、私はこれは一概にそうは言えないと思うんです。欧米先進国におきましては家庭のストック、これは相当進んでおる。そういうのに比較いたしますと、わが国は住宅だ何だと大変な立ちおくれになっておる。そういう中において貯蓄が進む。反面におきまして消費性向が低い。こういうことは私は自然そうならざるを得ないのじゃないか、こういうふうに思います。そこで、これを伸ばす方向がいいのか悪いのかと、こういうことになりますと、これは私は人為的に伸ばすとか、人為的にこれを抑えるとかいうのではなくて、まあ経済の動向によって可処分所得がふえるという一面がありまするが、同時にわれわれはまた家庭を整えなきゃならぬ、こういうこともありますので、やはり経済の発展に応じて自然にこの消費動向が推移していくということを見守るというのがよかろうかというふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私の聞きたいのは、経済企画庁はこの消費性向を高めることによって景気の回復を図ろうという最初は計画ではなかったのか。しかし実際は現実の政策はそうなっておらない、こう受け取ったのでありますが、そうではないですか。初めから計画と実行は一致しているということになりますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 初めから、たとえば減税とか公務員の賃金が高いとか、そういうようなことを政策手段も用いてこの消費動向を強めようというような、そういう考え方は持っておりませんです。やっぱり経済が発展して自然に収入が多くなる、それに応じてこの消費動向というものも推移するという、消費につきましては中立的な構えをもって対処してきた、そういうことでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこで具体的に、五十年度で結構です、倒産の件数とその原因について御報告いただきます。

岩田幸基経済企画庁調査局長

○政府委員(岩田幸基君) お答えいたします。  最近の企業倒産の件数でございますが、全国銀行協会連合会の調べでございますが、ことしに入りましてから、一−三月合計いたしまして件数で三千五百六十三件、負債総額にいたしまして二千七百七十七億円……

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 五十年の暦年で幾らですか。

岩田幸基経済企画庁調査局長

○政府委員(岩田幸基君) 五十年暦年で合計いたしまして、件数にいたしまして一万四千四百七十七件、負債総額にいたしまして一兆五百六十二億円ということになっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この原因のうち、四四%は販売不振ということです。これは認めますね。

岩田幸基経済企画庁調査局長

○政府委員(岩田幸基君) そのとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 販売不振ということは政府の対策がまずかったということではありませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) まあ不況に明け暮れした五十年であったわけでありますが、それは何かと言いますと、まさしく御指摘のように仕事がない、つまり稼働率が低いという問題なんですよ。経済は、なるほど昨年の三月を底にいたしましてなだらかな上昇に移り、昨年の暮れから活発に動いておるわけですが、いわゆる水面下の上昇でありまして、望ましい稼働率に達しないわけです。つまり、これは仕事が少ない、こういうことなんであります。これを改善することが景気対策のかなめになってくる、こういうふうに思いますが、過去の不況で言いますと、とにかく不況というと一年あるいは一年半ぐらいのものです。そうすると必ず次には三年ぐらいの好況が来たものです。でありますが、今度はとにかく不況三年目に入っておるということで、水面下では経済は上昇に転じておるというものの、非常に企業は苦しい。そういう中において倒産現象というものが高水準に推移している。これは大局的に見てそういうことでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この不況対策を公共事業中心で回復できるというお見込みですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 公共事業ばかりで不況の状態が解決されるとは考えておりません。何と言っても国民の生活消費、これはとにかく経済活動の半分のウエートを占める問題ですから、これが堅実に推移するということがまずとにかく第一で、またそのとおりに動いております。それからまたもう一つは、設備投資はどうなるか、こういう問題です。これは昨年は惨たんたるものでありましたが、ことしはもうとにかく底をはい上がった、こういう状態になっておる。それからもう一つ大きな要因は、これは輸出でございますが、輸出も昨年の暮れからかなりの勢いで伸びてきておる。しかしそれでも安心はできない、こういうふうに考えまして財政の役割りということを考えておるわけで、この財政は、ただいま御審議を願っておりますが、公共事業費について言いますと、これは実質において八%五十年度を上回る、こういうようなものにし、それによって需要を増勢するということを考えているんです。それらを総合いたしまして需要が喚起されていく、こういうことでありまして、この総合的な動きは順調に推移していく、こういうふうに見ております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 公共事業の中心は新幹線、高速道路あるいは本四架橋などではありませんか。そうすると、今日の経済状態をつくった原因の一つは田中列島改造論ですよ。しかし、政府がいま考えている公共事業の中心は、田中列島改造論とどこが違うんですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) 五十一年度の公共事業、これはかなりの伸びを示しておるわけでありますが、それは加瀬さんおっしゃるような新幹線だとか、高速道路が中心だというんじゃないんです、これは住宅だとか住宅環境でありますとか、あるいは公害の施設でありますとか、あるいは上水道、下水道だとか、あるいは農山村の整備でありますとか、農業基盤の問題でありますとか、そういう生活に直結し、特に中小企業だとか農山漁村だとか、そういうところに非常に重点を置いた施策であります。しかし、手をつけかけた大規模プロジェクトというのがあるんです。東北新幹線あるいは上越新幹線、これは中途まで行っているんです。これを放置しておくということは国家的に非常に不経済である、そういうので、そういうものもやりまするけれども、中心は産業中心というか、それから大きく生活関連に移っておる、こういうふうに御理解願っていいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 中心は新幹線であり、高速道路であり、本四架橋でしょう。生活関連事業が中心にはなっていないじゃないですか。一歩譲りましても、五十年、五十一年度の公共事業予算の消化に自信がありますか。地方財政が苦しく、十分な受け入れ態勢ができない。公共事業を返上しよう、圧縮しようという空気が非常に強いのじゃありませんか。本当に生活要求が主点で地方を潤すということであれば、その財源を地方に与えなければ結局計画倒れということになりませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) もしそういうことであれば、御説のとおりなんです。昨年度は多少そういう傾向があったわけです。五十年度の十月‐十二月の四半期ですね、この辺には特にそういう傾向があったと思いますが、五十一年度の予算におきましては、そういう経緯を顧みまして、御承知のとおり地方財政につきましてもこれは本当に万全の構えをとっておりますので、中央、地方を通じまして公共事業は円滑に執行されると、そういう見解でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 関連。  いまの公共事業の問題について一、二点伺いたいと思います。不況対策に減税によるか公共事業によるか、これは政策の分かれるところでありますが、関連でありますから、これはきょうはやめます。  そこで、公共事業によって不況対策は一つは時間的にずれる、こういう懸念がありますが、その対策はどうか。特にこれは積雪地帯、雪の地帯にこの感が強いと思いますが、本院の視察で、災害の特別委員会で私たちは新潟の豪雪地帯を見て、その後北陸地方を歩いてみたのですが、非常にこの声が大きい。雪が早く来るので、いわゆる地方公共事業は予算の早期執行あるいは着工をやってもらいたいという声が非常に強い。  これは極端な例でありますが、国の予算が夏に県に来て、県会が九月、それから市町村は十二月、発注が一月で、四月には会計検査院が検査をする。これは冬の工事でどうにもならないという声がずいぶん強いのでありますが、私は積雪地帯における当然の声でないかと思う。そういう意味で、いま大型プロジェクト中心でなしに、地方の公共事業が重要であるという副総理の答弁でありますが、積雪地帯における公共事業の予算の早期執行と着工についてどう考えておられるか、これを副総理と、それから担当の農林、建設所管大臣にお伺いいたしたい。

竹下登自由民主党建設大臣

○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。  この暫定予算ということになりましたので、私どもの方で、建設省所管で申し上げますならば、公共事業の実施個所がおおむね一万五千カ所ございます。しかし、少なくとも暫定予算の範囲内でも三千五百カ所程度の個所づけは終わっております。しかも、地方自治体のお話がございましたが、昨年は統一選挙等もございましたので、いわゆる二月県議会の予算がほとんど骨格予算であったわけでありますが、今年度につきましては、地方でずいぶんがんばっていただきまして、四県を残し金額を消化するという地方財政の裏づけもいただいておる現状であります。したがいまして、私どもといたしましては、事前工法協議という制度を活用いたしまして、特にこの事前工法協議という制度は北海道、東北、いわゆる積雪地帯においては従前からも使われておることでありますが、それによりまして、おおむね一万五千ヵ所のうちの八千カ所程度は設計、測量等々すべて終了をいたしておるところであります。したがいまして、予算をできるだけ早く通過成立さしていただくことによりまして、特にこの積雪地帯は、一般的に従来の傾向からして上半期で七〇%というような仮に目標が定められたといたしましても、積雪地帯では八〇%を超す契約をすでに上半期にはやっておかないと完全消化ができないわけでありますので、そういう方向でいま詰めをいたしておりますので、心から予算が早期に成立いたしますことを念じておる次第であります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 農林関係予算につきましては大変消化がスムーズにいっておるわけでございますし、特に農林関係の土木関係事業、公共事業関係につきましては、中小企業関連が非常に多いわけであります。また、雇用につながるところの労務を要する事業が非常に多いわけでありますので、そうした事業を推進することによって、いわゆる不況対策といいますか、農村関係の不況対策には大きなプラスの面が生じておると考えております。  なお、事業の実施につきましては、五十一年度予算が成立をいたしましたならば直ちに実施ができますように、現在個所づけ等につきましては鋭意これを作業を進めておる段階でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 委員長、もう一問。  予算のおくれについては、これはロッキード問題を中心に別の責任があるとは思いますが、この論議はここではいたしません。しかしこの声は、地方で、雪が来る前にいろんな仕事をやって、冬はなかなかいい仕事ができない、この声が大変強い。こういう点から財政当局としての大蔵大臣の考えをもう一度伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 五十年度の契約はもう九八%終えまして、例年より順調に進捗しておるようでございます。ことしは不幸にいたしまして暫定予算を組まざるを得なかったわけでございますけれども、各省庁におきまして個所づけの作業をお進めいただいておりますので、予算成立を相待ちまして、予算のおくれによりまして事業のおくれを見ることのないように周到な配慮が行われるものと期待いたしておるわけでございまして、予定どおり予算を執行いたしますならば、われわれがこの予算に期待いたしておりました景気回復効果なるものは一応期待できるのではないかと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 副総理に伺いますが、公共投資の対象でありますが、景気政策のてこに使う場合、生活環境関連公共投資が重点に対象とされると了解してよろしゅうございますね。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおり考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 大蔵大臣に伺いますが、金融対策でありますが、国債増発と企業振興はどうこれから関係づけられてまいりますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) この下半期になりますと、経済の回復に応じまして産業資金の需要が活発になってくるのではないかということを考えまして、国債の発行につきましては前広にシンジケート団と十分の了解を取りつけておく必要があると考えておるわけでございます。言いかえれば、下半期に国債の発行が大量に殺到することのないように、年度をならして円滑な消化を図ってまいらなければならぬと考えておるわけでございまして、そういう意味におきましても諸般の法制、国会に御審議をいただいておりまする法律のタイムリーな成立をこいねがっておる次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 国債増発で日本銀行券が増発されるということはありませんか。そうなりますとインフレの防止がしにくくなる、こういう関係はどう対処されますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国債の増発によって直ちに日銀券の増発を誘うということは考えておりません。私どもといたしましては、まず厳格に市中消化の原則を貫いていきたいと考えておりますし、またそれはできると思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 国債の増発分と民間貸し出し分と、銀行貸し出しが前の二つが競合するということはありませんか。それに対する対策はどういうことになりますか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○政府委員(田辺博通君) 御質問の点は、今年度これから次第に景気が回復して盛んになってまいりますと、民間の資金需要と国債の消化需要といいますか、これが銀行の面で競合することについてどう考えるかということだと思いますが、そういう意味合いで、先ほど大臣からもお話がありましたが、国債の発行というものはなるべく前半期におきましてウエートをかけて発行しておいた方がよろしいと思います。ただ、今後の景気の動向、資金需要の動向というものは、現在のところまだ全くそう簡単にはつかめません。現在のところは、後ろ向きの資金需要が次第に鎮静してきている、そのわりあいには前向きの投資需要というものは比較的盛り上がっていない、こういう状態でございますので、国債の発行が平準してうまく行われるならばそういった競合の問題は出てこないんじゃないかと、こう考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 地方債を含めると、三者が競合しますね。地方債なり縁故債なり、それから民間の資金需要なり、それから国債なりと。こういう点、地方の方では縁故債その他の需要には事欠かないと、こういう保証が立ちましょうか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○政府委員(田辺博通君) 地方債、特に地方の縁故債につきましても、今後の問題がございますが、昨年度におきましても特に後半に相半大量の縁故債の発行があったわけでございまして、これは自治省、大蔵省お互いに協力をいたしまして、また民間の元の金融機関にも呼びかけまして、従来でありますと単独でもって引き受けていたものをシンジケートを組んでうまく消化するというような方策が大体軌道に乗ってきておりますので、昨年度分につきましては全く問題はございませんでしたが、今年度の問題につきましても、同様な措置によってスムーズにはけるように配慮したいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 問題を変えまして、歩積み両建ては解消されましたか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○政府委員(田辺博通君) 過当な歩積み両建て預金の自粛ということにつきましては、長年の間努力を続けてまいったわけでありまして、法律的な意味と申しますか、正確な意味で拘束されている、担保に入って引き出せないという、いわば狭義の歩積み両建て預金というものはずいぶん改善されてきたと思っております。これは、私の方で調査をいたしております数値によりましても、また公正取引委員会が企業に向けて出しておりますアンケートの結果を見ましても同様でございます。ただ、昨今特に問題になっておりまするのは、そういった正規の手続を踏まない、いわゆる非拘束性版金でありながら、銀行の方は拘束していない、ところが企業の方では拘束されていると思っている、なかなか引き出せない、これ事実上引き出せない、こういうものが相当あるんだと、こういう声がございますので、私どもの方といたしましても、直接企業に対してアンケート等を行いまして、その実情を調査の上何とかこれを処理したい、こう考えておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 拘束版金を警告した当時と現在の状況について報告をいただきます。——概略で結構です。

田辺博通大蔵省銀行局長

○政府委員(田辺博通君) 昭和四十二年当時からこの拘束預金の自粛措置を進めてまいったわけでございますが、四十二年五月、私どもの方で各金融機関から報告をとっております数字によりますと、拘束性預金比率は一二・七%でございましたが、最近の調査は、五十年十一月現在の調査でございますが、この数値が三・八%になっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 前回の調査に比べ、いわゆる狭義の拘束預金率は、相互関係が三・五から三・七、信金が六・七から七・二、信組が一一から一一・一と増加をしておりますね。公取の調査です。

田辺博通大蔵省銀行局長

○政府委員(田辺博通君) ちょっと恐縮でございますが、いま手元に公取の調査の資料を持ち合わせておりませんので……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 だから、前の調査よりも拘束率が高くなっているんですよ。これ、お認めになりますか。私が問題にしたいのは、相互銀行とか信金とか信組とか、いわゆる中小零細企業の資金源のところにこの歩積み両建ての制度が前よりも大きくなっているわけであります。これは一体どういう指導をなさっていらっしゃったのか、あるいはこれからしようとするのか。

田辺博通大蔵省銀行局長

○政府委員(田辺博通君) 公取の調査でいわゆる狭義の拘束性預金というところを見ますると、相互銀行、おっしゃるとおり四十九年十一月は三・五でございましたが、五十年五月は三一七、それから信用金庫が六・七が七・二となっております。これは私どもの方で調査いたしました数値によりますると、十一月に比較しまして、五月——昨年の五月でございますが、これは相銀、信金ともに下がっております。これは私どもの方の調査は全金融機関に対して、その全体の債務者に対して報告をとっているわけでございますが、公取の調査は、たしか中小企業の中から抽出された八千社に対してアンケートをとられ、そして回収されたものが二千社足らず、それの集計でございますので、多少のぶれがあると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 商工中金も実質的な歩積みをさしておりますね。中小企業に対する銀行のあり方というものをもっと検討さるべきだと思いますが、不況対策ということからして、なおこの問題は政府の強力な指導が必要だと思いますが、いかがでしょう。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり心得ております。  金融機関がその使命を果たしてまいる上におきまして、監督官庁といたしまして、随時、検査等を通じまして、監視を怠らないつもりでございますけれども、とりわけ中小零細企業に対する融資につきましては、政府機関の補完的な役割りに期待しながらも、民間金融機関におきましても特にこの面に対する配慮をお願いいたしておるわけでございまして、去年も特別の枠を特別の業種に対しまして相当大量に設けていただきまして、この危機に対応していただいておるわけでございまして、こういった措置は今後もなお一層強化してまいるつもりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 最近の受取手形サイトについて報告をいただきます。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 下請事業者の受取手形サイトにつきまして、アンケート調査の形で毎月約三千社につきまして調査をいたしておりますが、一年前に比べまして最近は若干改善を見ております。具体的に申し上げますと、昨年の一−三月の平均の手形サイトが、これは算術平均でございますけれども、百二十四・四日でございましたが、ことしの一月−二月は百二十二・六日でございまして、若干改善を見ておる、こういう状況でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 百二十日前後が化学、石油関係、鉄鋼、金属はやはり百二十二日、一般機械が百二十五日、精密機械が百三十日から百二十日、こういうことになっておりますが、これは御指摘のとおりでありましょうが、建設関係はどうなっていますか。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) ただいまちょっと手元に業種別のものを持っておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは伺いますが、三百日手形というのを御存じですか。

齋藤太一中小企業庁長官

○政府委員(齋藤太一君) 下請代金支払遅延等防止法によりますと、銀行で、金融機関で割り引くことのできない長期の手形を下請事業者に渡してはいけないということになっておりますので、私ども常時、親事業者について調査をいたしまして、そういった長期の手形があります場合には改善方を指示をいたしておるところでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 お役所仕事といいますか、全くお役人の調査ですよね。だれも三百日の手形は切りませんよ。五カ月は支払いがきても据え置くんです。五ヵ月たってから百五十日の手形を切る。もらう方からすれば三百日手形ということになるわけです。こういう実例がたくさんある。こういうのを掌握して指導されなければ、中小企業の不況対策とか振興と言ったってどうにもならないと思う。これは大臣にひとつお答えをいただきましょう。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 確かに不況が深刻な状態にありましたために、いまお述べになりましたような事実はたくさんあると思います。これもやはり根本的に改善するのには景気の回復を図らなければならぬわけでございますが、しかし、法律もあるわけでございますので、実情を速やかに掌握をいたしまして改善のために一層の努力をいたします。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 関連。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 竹田四郎君より関連の声がありますが、簡単に願います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 通産大臣にお聞きしたいんですが、いま中小企業の手形サイトの問題がありまして、手形サイトが非常に延びているというんですが、一体その手形サイトの日、どこから始まるのか。取引が行われるわけですね。品物が導入されますよ。導入されたその時期に始まるのか、あるいは検収ということが行われますね、品物が確実かどうか、数量がどれだけあるか、それが検収が終わってから一体手形というのは切るようになっているのかどうなのか。私の知っている例によりますと、これは名前を挙げても結構でありますけれども、最近の下請等に対する支払いというのは、検収を非常に引き延ばす、ひどいのになりますと二カ月間検収しないわけです、納めてから。検収が終わって初めてそこで支払いが始まる、こういう例が実はあるわけです。そうすれば幾ら手形サイトを短くしても、検収を長引かしておけば、これは実際上は支払いというのは長くなっちゃうわけです。だから、現実にはそれで三百日の手形サイトでも出されましたら、物を納入してから一年間は金が取れない、これは私は実態だと思うんです。この点は通産大臣、知っているのかどうなのか、そういう事態に対してどうするのか、はっきりさせていただきたいと思うのです。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 品物を納めて、あるいはまた工事をしてからいつ手形を切るのかということでございますが、これは個々の企業によりまして全部違うと思いますが、しかし、不況になりますと、どうしても、いまおっしゃったように、手形を切る時期が非常におくれるわけです。でありますから、実質は三百日手形というふうなことが行われる、こういうことでございますので、要するに、根本的には景気を回復しませんと、幾ら法律がありましても、何やかやと方法を考えまして手形の支払いは非常に延びる、こういうことでございます。ただしかし、先ほども申し上げましたように、法律もあることでございますので、常時調査をいたしまして、できるだけ適正な取引が行われるように指導をするつもりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 中小といいますか、小零細企業といいますか、この援助対策というのも立てませんと、不況対策の救済というのは事実においてできないと思うのであります。そこで、白書にもございまして、わが党も主張しておるわけでありますが、事業分野調整法といったようなものを、これは政府が積極的につくって、それで小零細企業の経営の安全性というものを進めていくということをお考えいただくのが必要ではないかと思いますが、この点はいかがでしょう。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業の分野に大企業がみだりに入り込むということは、これはもうどうしてもできるだけ避けたい、こう思います。ただしかし、法律でこれを一概に禁止をするということは、立法技術上非常にむずかしい点もございますし、また、そのことが産業の近代化を妨げる、消費者の利益に合致しない、こういうこと等もございますので、できるだけ行政指導によってそういうことのないように指導をしていきたいと考えておりますが、従前も幾つかのトラブルがございましたけれども、大抵の問題は行政指導で解決をしております。ことしからは新しい制度を設けまして、紛争を早く掌握する、それから同時に、紛争が起こったときにそれを処理するための機関を強化する、そういう対策をとっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 紛争が起こる可能性があり、これを処理しなきゃならない必要があるならば、法的な措置というものもこれは考えられるのが当然じゃないですか。たとえば、印刷会社が零細企業をみんな押さえる、納豆屋から納豆屋まで大企業が押さえる、こういう現状でしょう。これを法律もつくらないで行政指導といったって、これは問題の解決にはならないと思います。十分御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 効果が上がりますように十分検討をいたしますが、当分の間は行政指導でやっていける、かように確信をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 行政指導でやっていけないでしょう。やっていけないからトラブルがあるし、問題が起こり、倒産が起こっているんじゃないですか。これを配慮をしなければ、私は問題の解決にはならないと思うんです。注文をつけておきます。  時間が参りましたので、とにかく、個人消費の拡大というものを抑えて景気回復は不可能だと、そういう私どもは立場をとります。さらに、政治に信頼を取り戻し、生活に希望を与えるためには、一般国民にとっては減税以外方法はないではないかと思います。しかも、前述したとおり、減税の原資はございます。原資をどうしてつくるかという態度と方法さえ考えれば、これは生まれてきます。一兆円減税というものを断行して、国民の不安動揺というものを明るい方向に持っていく、これはやはり三木政治の一つの国民に対する方針でなければならないと私は思います。最後に総理にお伺いします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いろいろ考えの違う点もございますが、熱心にいろいろこれからの政策について社会党の立場を代表されて述べられたものに対しては、参考にいたす次第でございます。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして加瀬君の質疑は終了をいたしました。(拍手)     —————————————

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 藤井丙午君。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 委員長にお願いいたしますが、私、四、五日来おなかを壊しておりまして、下痢でもって大変体力が衰えておりますので、あるいは座ったままで質問をさせていただくかと思いますが、その点よろしゅうございましょうか。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 申し入れのとおり許可します。座ってやってください。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 同時にまた、各大臣にも立ったり座ったりしていただくようなことは、ごめんどうなことはかけませんから、まとめてひとつ御答弁を願いたいと思います。  私は、自民党主党を代表し、また私見を交えまして、三木総理大臣並びに各関係大臣に御質問をいたします。  まず第一に、率直に申しますと、国権の最高機関でありながら、国会ほど時間を浪費し、これくらい非能率きわまるところは、これは世の中にどこの社会にも存在しないということを、本当に私は国民の皆さんに対して申しわけなく、おわびしたい気持ちでいっぱいでございます。(「質問じゃない」と呼ぶ者あり)質問じゃなくて、私は気持ちを言っているわけであります。  御承知のように、世界経済は、アメリカを初め、ヨーロッパ諸国にも若干景気回復の徴候があらわれてまいりましたけれども、まだきわめて低成長でございまして、しかも深刻な失業問題も抱えており、一方、世界の人口の三分の二を占める発展途上国は、いわゆる人口の増大と食糧の不足、いわゆる飢餓と貧困と疾病に悩む国々との間に深刻な南北問題も台頭しております。欧米の先進工業国も、いずれも政治的な不安定と相まって、世界の自由経済体制というものそれ自体が根幹から崩れつつあるような感じがいたしております。  そういった中で、やはり日本も政治的にも経済的にも社会的にも思い切った歴史的な転換を図らなければならぬと、こういう重大な時期に差しかかっておると私は受け取っております。しかも、こういった重大な時期に、ロッキード事件といったような、まことに不可解と申しますか、不祥事件が起こりまして、いまや国民の政治に対する疑惑と不信の渦を巻いておる。これはまことに遺憾なことでございまして、私どもとしましては一日も早く事件の真相を解明して、国民の政治に対する疑惑と不信を払拭して、正しい議会制民主主義の確立を図らなければならぬと、これはもう皆さんも御同感だろうと思いまするが、さて、先ほど三木総理からお話がありましたように、三月十日付のフォード・アメリカ大統領の三木総理大臣あての親書は、これはいろいろの論議を呼んで、国会の決議に沿わないじゃないかというようなことで、四十日間もそのために国会が空転したということはまことにこれ、遺憾千万でありまするが、フォード大統領の親書は、御承知のように、ロッキード事件には全面的に捜査には協力すると、ただし捜査段階での資料の公開は禁止するという、アメリカの法律に基づいて公開はしないけれども、日米両国の検察、司法当局との間に資料を提供して極秘裏に捜査に協力すると。これはもういわゆる英米法の確立された原則でありまして、捜査段階の資料を公開するというようなことは、証拠隠滅等、捜査の妨害にもなり、また人権問題も含むということでございますので、これは当然の条件でございます。  同時にまた、このロッキード事件というのは、これはアメリカだけの問題、あるいは日本だけの問題じゃございません。すでに三月二十五日付の毎日新聞のワシントン発でも、アメリカの司法次官補のソーンバーグ刑事局長が三月二十三日夜、司法省がロッキード社の不正事件について独自の捜査を行っておるということも明らかにしておりますし、また、例のCIA事件を暴露したタド・シュルツ氏が、ニュー・リパブリック誌四月十七日号に、アメリカの大手軍需航空企業が日本その他の諸外国の秘密代理人に支払った手数料の一部がアメリカ国内に還流して、大統領選挙か何か知りませんけれども、政治の不正な献金に使われた疑いが非常にあるとして、アメリカの司法省でひそかに捜査を開始しておるということを報道しておるわけでございまして、そのシュルツ論文の要旨は朝日新聞にも詳しく出ております。したがいまして、わが国としては、すでに検察当局を通じてアメリカ側から資料が提出されまして、従来の日本独自の検察並びに税務当局の捜査と相まって、いまや真相解明に当たっている次第でありまして、私どもは、このアメリカの証券取引委員会の資料提出ということは、これはかなりの手数を要する問題でございますけれども、これを強制命令でロッキード社から提出させて、そういった文書も日本に到着して、きわめて重要な内容が含まれておるようにも伺っております。したがいまして、私どもは、これらの資料を中心にして、一日も早く事態の真相が解明され、と同時に、万が一伝えられるがごとき政府高官あるいは政治家がこれに関与しておるとするならば、これはもう国民の前にその資料をしかるべき時期に公開することはもちろん、法に照らして厳重に処罰を行うことは当然であります。が、同時にまた、揣磨憶測で、いわれない疑惑を与えるということは、これはもうあくまでも一掃して、政治に対する国民の不信感を取り除くことも当然のことと私は考えます。  以上のように、問題はもはや司法、検察の捜査の段階に入っておりまして、いわば国会の調査権の手を離れておるわけでございますから、私どもとしましては、世界で最も高く評価されておる日本の検察当局の捜査というものを信頼して、その結果を待って、いかに処断すべきであるかということでありまして、したがって、こういった条理を尽くしたフォード大統領の親書なるものについて、国会の決議で公開云々をしているから、それにこたえてないというようなことで四十日間も国会の審議を拒否するということは、これはもう理不尽そのものでありまして(「そのとおりだ」「演説会じゃないんだぞ」と呼ぶ者あり)国会の——立ちましょう、わけのわからぬやつが大ぜいおるから。国会の決議がそれほど重大であるなれば(「重大だよ、重大だ」と呼ぶ者あり)しからば、社会党や共産党の諸君に私は申し上げたいんですけれども、国民の願望である北方領土の返還について、衆議院において六回も国会で決議をし、参議院でも三回も決議しております。にもかかわらず、野党は一回だって国会を空転させたことがありますか。あるいは総評、なかんずく公労協、官公労等が連日のように抗議のデモをやったことがありますか。社会党や共産党の諸君は、ソ連に対しては、ソ連政府に対しては何の抗議もできないというような特別な事情があるでしょうかということを、国民の皆さんはおそらく疑問を持つでしょう。  まあ、それは余談でございまするが、ただ問題は、ここで三木総理にお伺いしたいことは、自由民主党が与党として今日まで日本の経済の成長あるいは生活水準の向上に尽くされた功績は私も十分認めるものでございますけれども、長期政権から来るいろいろな宿弊あるいは弊害等から、国民の疑惑を招きやすいような体質になっておることもこれは事実でございますので、そこでこの際、やはり責任政党である自民党はこの機会に厳しい自己批判に立って、思い切った自己革新を行い、国民大衆に深く根差した近代的な組織政党に脱皮し、本当に政権を担当し得る唯一の能力のある政党として再出発してもらいたい。最近のNHKあるいは新聞等の調査によりますと、自民党の支持率も減っておりますけれども、社会党以下の支持率も減っております。支持政党なしというのが五〇%近いということは、これはロッキード事件のみならず、これは日本の議会制民主主義にとっては重大な危機であります。そのことをこれは……(「新日鉄は何している」と呼ぶ者あり)新日鉄は関係ありません。大企業はけしからぬなんて言う政党が、しゃあしゃあと金をもらいに来るような——まあそういうことは、私は大人だから言いませんけれども、余りきれいごとばかり言っておるようなことではないようであります。  そういうわけで、まず三木総理大臣は総理・総裁として、この事態をどう受けとめて、いま申しましたような、この議会制民主主義の危機にどう対処しようと考えておられるのか、御所信を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) ただいま藤井さん、非常に体の調子の悪いときに、声を大にして日本の議会制民主主義の将来に対していろいろと大所高所から憂慮されました発言に対しては、思いを同じくする私として、共感と敬意を表する次第でございます。  最初に述べられました、もう少し国会が能率の高い運営をしなければならぬというのは、与野党ともの大きな私は課題だと思います。このように世の中の変化の激しいときに、政治が変化に対応力を失ってくれば、国民の政治不信というものは、これはもう増大するばかりでありますから、何とかして与野党とも、変化の激しい時代に適応した日本の議会政治のあり方というものについては、将来の私は大きな課題だと思うわけでございます。  また、ロッキード問題については、藤井さんの言われますように、いま捜査当局にアメリカの資料も手渡されて、そして捜査が始まったばかりでありますから、できるだけ早くこの問題、刑事上の問題は結末をつけられることを望んでおるわけでございます。そして、何人に限らず、不正行為があったときは法規に照らして厳正な処断を受けなければならぬことは御指摘のとおりでございます。また、このロッキード問題は、そういう刑事上の側面と政治的な側面、政治道義上の側面とがございますから、こういう点については、国会にやがて設置される特別調査委員会、あるいは各政党ともこの問題は取り組んでいかなければならぬ問題だと思います。  また、自民党という政党が日本の政治に持っておる責任は、御指摘のように大変に重いものが私はあると思いますから、この自民党が長期の政権の中に、いやしくも弛緩と申しますか、その惰性の上に心の緩みのあるようなことがあっては国民に相済まぬわけでございますから、絶えず自己改革を行って、そしてこの多年の、ややもすれば情性の上に流されるこの現状を打開していかなければならぬ、そういう点で、私は、各党とも、このロッキード問題というものは、そういう意味の大きな、やっぱりそういうことをしなければならぬという反省も与えたと思いますが、自民党としても、党の体質改善ということは真剣に取り組んでまいりたいと思うわけでございます。まあ藤井さんは、この議員になられるまでは、産業界にあって、金を渡す方の責任をお持ちになったわけでございますから、いろいろな点で政治をそういう側面からごらんになって、党の改革には大きな見識をお持ちになっておられると思いますから、今後とも党の体質改善には藤井さんの御協力も得たいと願っておるわけでございます。そういう点で、私どもは、この難局に対処する責任の重さというものに対して、これに責任を感じつつ、いま言われましたようないろんな困難な問題に取り組んで難局を打開していきたいという決意でございます。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 では座ったまま……。  私は、この最近の世相を見ますと、これは政治の指導力の欠如とか、戦後教育のいろいろの影響等もあろうかと思いますけれども、率直に申しまして、国民の間には、これは民主主義の履き違えとでも申しますか、あるいは自由主義の履き違えとでも申しますか、とにかく自己主張と権利意識と欲望の肥大化のみが、これ、だんだん増大しまして、その欲望が満たされないと、いや政府はけしからぬ、大企業はけしからぬと、こういったような風潮になり、同時に、家族制度も崩壊し、隣人愛、社会連帯感というものも薄らぎ、あるいは祖国という観念すらもなくなっておる、また日本を支えてきた責任とか義務とか克己心とか勤労意欲といったようなものも次第に減退しつつあるような状況でございまして、もしこういうことがだんだん続くとなると、私はこれは、中国とかアメリカのような広大な領土と膨大な資源を持つ国と違って、後ほど申しますように、ほとんど資源を持たない日本が、ただ勤労でのみ生活をしておる国民が、こういうふうになってきますと、案外早く自己崩壊の過程に入っていくのではなかろうか。かつてのローマやギリシャが自由放任から放縦堕落と、そしてついに崩壊したといったようなことになりかねないという私は非常な憂慮を持っております。もっとも日本は、わずか三十年の間に廃墟の中から世界の経済大国をつくり上げた旺盛なエネルギーもありますし、また情勢の変化に対応する力も持っておりますから、必ずしも悲観するものではありませんけれども、しかし、いまはそういった、今後の飛躍発展か、しからずんば自己崩壊の過程に入っていくかという、非常なこれは重要な時期に私は際会しておると思います。まあこういういまの社会的風潮というものを総理はどういうふうにごらんになり、またこれをどう対処していこうと考えておられるか、その問題についてちょっとお伺いいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) こういう時代に自己主張があるということは当然ではございますが、しかし一方において、自己主張の裏には責任というものがやはり伴ってこないと、自己主張ばかりで責任を分担するという観念がないと、これはおさまりがつかない。その上に、自己規制力といいますか、セルフコントロールの精神というものが民主主義には要る。やはりここで、一方においては自己主張あるいは責任の自覚、あるいは自制力、こういうものが民主主義を支えるものだと私は思います。ところが、一方においては、藤井さんの御指摘のような、そういう大きな民主主義を支える要素の間にバランスを欠いておるような事態も起こっておることは事実でございます。しかし私は、日本が、藤井さんのように、もう崩壊の過程に入っておるというふうに悲観的には見ないわけです。日本民族はこれ以上の試練を幾たびか受けて、これをみごとに乗り切ってきた民族でございますから、これは試練としては受け取りますよ、大きな試練ではあるけれども、この試練を乗り越え得る能力を持った民族であると、かように考えるわけでございます。やはり日本の一つの民主主義の混乱は、目的のためには手段を選ばぬという傾向が横行してきておるということだと思う、目的のために。目的は手段を正当化するものではない。もしそれが正当化するというなら民主主義は成立しない。目的は手段を選ぶものだということがやはり社会の秩序の中に——これは私は野党ばかりに言っておるんではない。すべてわれわれの反省も含めて、皆がやはり目的のために手段を選ぶということがなければ、民主主義の秩序というものは維持できません。こういう点で一つの混迷も起こっておるんだということも考えますわけでございますから、お互いに民主主義を健全に育てていく以外に日本の選択は私はないと思いますから、こういう点については、民主主義を大事に育てていくその基礎になるもの、これを培養しながら、しかもまた目的のために手段を選ぶという秩序のある、手続のあるこれからの態度をとるようにわれわれは努めなければならぬというのが私の基本的な認識でございます。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 次に、私は従来の国会の論議を拝聴しておりまして、無論その中には非常に傾聴に値するものもありますけれども、多くはこれ、ほとんど分配論に終始しておりまして、この超少資源の日本経済がどのようにして成り立ち、国民生活がどのようにして推持されておるかという根本の問題、あるいは厳しい、険しい国際環境の中にあって、日本国民が平和に安全に暮らしていくことができるかといったような基本問題についての十分な論議が行われておりません。したがって、国民に対して十分にこれらの問題について納得のいくような解明が政府からもなされておりませんし、また各政党からも、政治家からも、この真実を国民に本当に訴えておるかどうかという点について私は非常に疑問を持っております。それとは逆に、選挙戦等を見ておりますと、まことに国民に対して口当たりのいいような、いわゆる迎合政策の並べ合いみたいなことで、今日国民が、あり余るような物資があり、あり余るほどの自由があるから、日本はもう自給自足ができる国だというような大変な錯覚に陥っていると思います。  ところが、日本には、もう石油ばかりじゃありません、鉄鋼資源も、アルミニウムとか銅とかニッケルとかクロムといったような非鉄金属も、あるいは繊維原材料も、あるいは新聞等の紙パルプも、こういったありとあらゆる工業原材料はほとんどありません。食糧でも、米と野菜があるのが救いでございますけれども、生活に欠くことのできない大豆であるとか小麦であるとか、塩、砂糖、あるいは鳥や豚の家畜飼料からコーヒー、紅茶に至るまで、われわれの生活を取り巻くすべてのものが、これは外国から原料を輸入したものでございます。五十一年度の輸入の見込みでは五百七十七億ドルという膨大な数になっております。これはただ輸入できるものじゃありません。これに見合う、あるいはそれ以上の輸出をしなければならぬわけでございますので、日本の各産業はこういう原材料を高度の付加価値のあるものにして、たとえば鉄鋼とか自動車とか造船とか産業機械とか電気機械とか、あるいは化学工業製品等にして、おそらくことし六百億ドル以上の外貨をかせいで国民経済なり国民生活を推持しておるというのが現状であります。したがって、昭和五十年の統計を見ましても、輸出に占める重化学工業製品の率は何と八三・二%を占めておるのであります。それを野党の皆さんは、口を開けば大企業はけしからぬといったようなことをおっしゃるけれども、もしこういう国際競争力を持った工業が、また国際的な情報を持っておる、あるいは販売活動網を持っておる大商社等の活躍がなかったなれば、日本の経済というものは本当に干上がってしまうということなんですよ。そういう根本の問題をどうして政府も国民にもっとわかるようにアピールなさらぬだろうか。政治家の皆さんも、これは与野党を問わず、こういった問題をもう少し真剣に考えて、私は国民にアピールすべきであると思う。  私は鉄鋼関係ですから、ちょっと手前みそのようなことになりますけれども、鉄鋼の生産は、一昨年は一億一千七百万トン、昨年は世界的な不況のために一億二百万トンに下がりましたけれども、ことしはおそらく一億一千万トン以上になるでしょう。鉄鋼資源のない日本の鉄鋼業が米ソと相並んで一億トン以上生産しておるということ、これは西ドイツの二倍以上、イギリス、フランスの四倍から五倍という大変な生産をしておるのであります。しかも値段は、トン当たり三万円から五万円ぐらい安いのです。ですから、自動車も七百万台、これはアメリカの九百万台には及びませんけれども、フランス、西ドイツの三百二、三十万台に比べれば、これは二倍以上生産しておるのですよ。造船に至っては千七百七十四万トン、これは世界で断然優位でございまして、(「生産しているのは労働者だよ」と呼ぶ者あり)労働者だけで物はできるはずはありませんよ。これは優秀な最新鋭の設備と高度の技術と民間の労働者の生産性の高い労働力によって賄われておる。そんな国鉄とか動労とかといったような親方日の丸の赤字だらけの、賃金だけは取るというような、そんな労働者だったら日本経済は持っていけませんよ。民間の労働組合の諸君の勤務ぶりを見てごらんなさいよ。(「真剣にやっているよ」と呼ぶ者あり)これはまあ、そういうところを基盤にして出ておられる方々はそうおっしゃるでしょう。そういうわけで、赤字累積の上に堂々と違法ストライキをやっておるようなことでは日本の国民経済は成り立ちませんよ。ですから、私はそういう点について、十分に国民に理解と認識と協力を求めるということを政府に期待したいのでありまして、最近はまあ、さっき申しましたように、アメリカ等の景気が少し回復基調になってまいりましたので、各企業は輸出に血路を求むべく一生懸命やっておるわけでございまするが、こういった、国民にもっと真実を訴えるという努力をなすべきじゃないかということについて、三木総理はどうお考えになるでしょうか、お伺いいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま藤井さんの御指摘になりましたように、分配の問題は確かに大きな政治の課題であることは否定するべくもございませんが、そのことが生産をおろそかにするということでは日本の生存は維持できないわけです。御指摘のように、もう食糧から原料、燃料まで海外に依存しておるわけでございますから、そういう原料、燃料を使って、そして再生産をして、それを輸出をして、また食糧から原料、燃料を輸入してくるというわけですから、経済大国といっても加工大国が日本の姿である、そういうことで、これは激しい国際競争に打ちかっていかなければ、日本の輸出というものはやはり維持できるわけではないわけでございますから、国民が分配の問題について関心を持つと同時に、生産というものに関心を持たなければ、これはもうイギリスの教訓などにもあるように、日本の国の経済というものは発展するものではないわけです。そういうもので生産に携わる者に対しての適当な評価を忘れてはならぬと私は思います。こういうことに対して、しばしば国民にも率直に訴えてはおりますけれども、努力が足りないという御批判もございまして、真実を国民に語り、国民の協力を得るということが、これはもう民主政治の大きな出発点でございますから、一層に今後努力をいたしたいと思います。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 次に福田副総理にお伺いいたしますけれども、先ほど申しましたように、最近における輸出の好調等を背景にして、昭和五十一年度のGNPの実質成長五、六%は確実であるという見通しを御発表になっておりますし、最近は不況脱却の宣言といったような、かなり強気の御発言もあるように伺っておりますけれども、マクロ的に見た経済とミクロ的に見た、つまり企業ベースで見た経済との間には、かなりの大きな隔たりがあるように思います。ことに民間企業の実態は、政府の考えておられるほどなまやさしいものではございません。福田副総理は、かつて三社に一社は赤字であるといったような発言をされましたけれども、これは有価証券報告書等によって見られました、きわめて皮相的な見方でありまして、各企業は、決算は表面上はいろいろと苦心をしてつじつまを合わせております。そうしなければ、銀行からの借り入れもできなければ社債の発行もできませんから、あらゆる社内留保、各種の積立金を取り崩し、あるいは証券類等の売れるものは全部売って、それで何とかかっこうをつけておるというのが実情でございまして、まあ自動車とか一部の食品、流通関係の企業は別としまして、鉄鋼、造船、産業機械、化学工業といったいわゆる日本の経済を支えておる重化学工業の実態は、実は非常に深刻なものです。恐らくこの三月期の決算では丸裸になってしまいやせぬかという状態でございます。したがって、自己資金がわずか一六、七%でありまする日本の企業というものの体質はもう一段と悪化して、これがまあようやく輸出に血路を求めておるという段階でございますけれども、このような実態を福田副総理はどういうふうにお考えになっておるでしょうかということと、河本通産大臣は、各産業、特に基礎産業等について、実態についてよく御存じのはずと思いますけれども、ミクロ的に見た場合の各企業の実態と今後の成り行きというものをどうお考えになっておるか、それぞれひとつお答え願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(福田赳夫君) わが国の経済社会にマクロとミクロの間に大変な乖離があると、そういう御指摘でございますが、それは私はそのとおりだと思うんです。わが国の経済は、マクロ的に見ますると、昨年の三月ごろが底で、まあ回復過程に向かった。それが昨年の十−十二月期に停滞期に入り、また再び昨年の暮れごろから転じて、これはかなり活発な上昇傾向に転じておる。で、輸出のごときは、昨年の暮から五、六%毎月前月比でふえる、これはえらい勢いです。これがそのとおりずっといくとは思いませんけれども、今日この時点はかなりの上昇、昨年はとにかくマイナス一〇%という落ち込みを示した設備投資がはい上がりの兆し、それから依然として個人消費は堅調である。近く昭和五十一年度予算が成立すると、これはかなり景気に対して刺激的な効果を持つであろう。そういうことを展望しますと、マクロではかなりこれから先よくなっていくと思います。しかし、わが国の経済といたしますと、最近経験したことのない長期不況なんです。過去におきましては、大体一年−一年半の不況、次いで三年がらみの好景気、また一年−一年半と、こういう循環でありましたが、今度は二年をかなりもう越えるというような不況段階でございます。  そういう段階で、景気は全体とすると上昇過程にはあるものの、一つ一つの企業は非常に苦しい。なぜ苦しいかというと、これは企業の操業度がかなり低い水準にいまだ低迷しておる、こういうことであろうと私は見ておるんです。つまり、過剰労働力を抱えておる、その人件費負担、それから借金体質のわが国の企業の金利負担、こういうことで、ミクロ的に見ますると大変苦しい状態であり、しかも長期のそういう不況状態だというので、ミクロ、マクロの乖離、これが私はわが国の経済社会の実態ではなかろうかと、そういうふうに見ております。この乖離を解消する、これが私は景気対策としてのねらいどころでなければならぬと、こういうふうに存じまして、企業操業度が一体どういうふうに動いていくかということを、これはじっと見詰めておるんですが、幸いにして、昨年の三月、底でありました製造業稼働率指数七七ポイントであったわけですが、それがこの二月には八六・四%というところまで改善しておる。もう御承知のとおり、製造業稼働率指数は企業の稼働率そのものを示すものじゃない。それよりは、実際の稼働率よりは〇・九ぐらい高いものであると、こういうふうに言われておりますが、しかし、いまの経済全体のマクロの動きの情勢から展望しますと、この企業操業度がこの一年間でかなり改善を見ると思うんです。製造業稼働率指数、これも改善されるわけです。実際の稼働率もかなり改善されまして、来年のいまごろという時点を考えてみますと、まずまず望ましい稼働率に到達し得るのではないか。その時点が、つまりマクロとミクロの乖離の解消される時点であると、こういうふうに見ておるのでありまして、今後とも経済需要諸項目、この動き、これが着実にそういうマクロとミクロの乖離の解消に向かって動くように、ひとつしっかりと経済の誘導をいたしてまいりたい、かように考えております。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 三月末に通産省で十九の業種、約二百七十社の個別調査をいたしました。そこで判明いたしました結果は、十九のうち、完全に立ち直ったと思われます業種は二業種であります。大部分の業種はまだ水面に出てくることができない。しかし底はついておる。上昇過程にあるけれどもまだ水面には達しない。二、三の業種に至りましては、将来の展望も立てられないと、こういうのが実情でございます。しかし、先ほどもちょっとお話がございましたが、決算面は大半の会社が黒字になっておりますが、それはやはり過去の蓄積を一応全部処分しまして、それによって形を整えておると、こういう実情でございます。したがいまして、過去二年半の不況のためにほとんどの企業が蓄積をなくしておる、体力が非常に弱っておる、こういうことが判明をいたしました。経済の大勢としては、この春以来非常にいい方向に行っておりますので、大勢としてはもう心配はないと思いますが、個々の分野では、そういうふうにまだ非常にひどい状態が続いておる。  しかし、先ほど副総理が三つの点を指摘されましたが、その三つの点がだんだん改善されるに従いまして、私は各業種ごとの、また企業ごとの好況感も出てくるのではないかと思いますが、その時期はやはりこの秋ごろ、あるいはそれ以降になるのではないか、こういう感じがいたします。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 次に、エネルギー政策について、河本通産大臣にお伺いいたしますが、このエネルギー問題は、わが経済の発展並びに国民生活の維持に欠くべからざる重要な問題でございますが、そのために、政府は昨年の十一月十九日に総合エネルギー対策閣僚会議で、エネルギーの安定供給確保に関する八項目にわたる施策の推進を決定しておられますけれども、その中心をなす石油の安定供給確保について、まずお尋ねいたします。  もう御承知のように、日本は石油はほとんど皆無に等しい状態でございまして、昭和五十年の輸入量は二億六千三百万キロリットル、輸入依存度は九九・七%、輸入金額は二百十億、これはわが国の輸入金額の全体に占める率は実に三六・三%となっておる実情でございます。この傾向は、原子力発電などの新しいエネルギー対策の画期的な発展を見ない限り当分続くものと思います。  ところが、わが国の石油産業の実態はどうかと申しますと、一般には、まだ石油はもうかっておるのだといったような国民的な受け取り方をされておりますけれども、もう自己資本率がせいぜい四、五%というきわめて脆弱な基盤の上に立って、長短期資金を含めて六兆円に上る借入金、その利子だけでも年間五百億と、こういう状態でございまして、こういった石油産業の累積赤字は千八百億程度と言われておりますけれども、実質は四千億ないし五千億と言われております。ですから、私はこの三月期の決算でも、かなりの赤字が見込まれると思います。政府は、一時、標準価格の設定等、いろいろ事態の改善に努力されておることは承知しておりますけれども、こういったこの石油の実態というものを国民に十分理解と認識を深めていただいて、適正な価格体系のもとに、この基礎産業である石油産業の基盤を強化するとともに、石油の安定供給確保ということを考えるべき時期ではないか。もう欧米では、原油の値上がりに相当した分をそのまま製品に転嫁するといったような価格体系をとっております。そういう点について河本通産大臣はこの、石油産業をどうこれから再建していくかという問題。  もう一つの問題は、石油の備蓄の問題でございます。これは昭和五十四年三月までに九十日分に備蓄量を増加するということが義務づけられております。石油会社としましては、三菱石油の原油流出事件以来、防災法とか、消防法の関係から、既存の貯蔵タンクについても、より改善を要するものがたくさんあり、しかも、これは従来と違って改造のために二倍以上の用地を必要とし、多額な設備資金を必要としておりますが、さらに、先般の臨時国会で決められた石油備蓄法によって、九十日分の義務備蓄をするということになりますと、これ、三千万キロリットルのタンクを設置するための用地が約五百万坪、こういった土地が、いまのような住民感情の中で果たして確保できるかどうか。  この間もモービルの社長さんとも話をしましたが、モービルでは、日本の各地で地下のタンクの適地を、いろいろいま調査をしているといったようなことを言っておりましたが、何かこれ、よほどのことを考えないというと、実はもう、さっき申しましたように、膨大な借金を抱えて赤字に苦しんでおる会社に、いかに国策上必要といっても、この九十日分の備蓄をするためには一兆四千億以上の金がかかるわけなんですね。これを石油産業にだけ負わせるということは、これは本当に、やせ馬に重荷を負わせる以上の問題でございますので、これは国策上必要とあれば、やはり政府の出資による共同備蓄公社でもつくるとか、何とかこれ、助成策を講じないと、これは言うべくして不可能じゃないかと思いますが、この二点について河本通産大臣にお伺いいたします。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 政府は、昨年一カ年間、総合エネルギー対策閣僚会議を開きまして大体の結論を出したわけでありますが、その要点とするところは、エネルギーの将来にわたっての安定的な確保、この一語に尽きるわけでございます。そのうちでも現在のエネルギーで石油が約八割を占めておりますが、いろいろ将来工夫をいたしましても六三、四%までが減らし得る最大限である。今後十カ年間にあらゆる努力をして、なお全エネルギーの三分の二は石油に依存しなければならぬ。これは全部輸入に仰がなければならぬと、こういうことでございますから、エネルギー政策の大部分は石油政策である、こう申しても過言ではないと思います。  しかるに、この石油産業が昨年の秋の状態では、先ほど御指摘のように、すでに二千億前後の累積赤字を抱えこみまして、しかも、昨年秋の状態のまま進めば、この春には数千億の累積赤字に達する。企業を維持することが不可能である、こういう状態に達しましたので、これは大変だということで石油の需給関係を修正いたしますと同時に、標準価格制度を石油業法に基づきまして発動いたしました。その結果、ようやく標準価格が浸透いたしまして、現在ではほとんどこれが達成されたという状態でございますので、石油企業の経営状態は相当改善されると思います。ただしかし、何分にも昭和四十八年の秋に四倍になりました石油の価格を、日本の石油会社に対しては低く抑えまして犠牲を強いておったものですから、過去の蓄積がなくなりました。そこへ二千億の累積赤字であると、こういう状態でありますので、企業体質は非常に弱体になっております。そういうことから、なお今後体質強化のために相当積極的な対策が必要ではないかと、こういうふうに私どもも考えまして引き続いて作業中でございますが、将来の方針について作業中でございますが、自民党の方におきましても石油対策についての委員会ができまして、二六また作業中でございます。大体この秋ごろまでに石油業界再建のための方向を明らかにしたいと、かように考えておる次第でございます。  一方、この備蓄の問題でございますが、昭和四十八年の秋の石油ショックであれだけの大混乱が起こったわけでありますが、そのときの反省といたしまして、もう少し日本が備蓄に力を入れて、そして石油の備蓄をもう少し持っておったならばあんなに大混乱は起こらなかったのではないか、そういう強い反省と同時に国際的なその後動きも出てまいりましたので、六十日備蓄というものを、昨年法律を改正いたしまして九十日備蓄というふうに目標を修正をいたしました。  しかし、これを実現するのには五ヵ年間で実現することになっておりますが、通産省の計算では約一兆三千億かかることになっております。その半分が増加した備蓄用の油の代金、これに対しては九割の低利資金を供給することにいたしております。残り半分が設備費でございます。そのうち約四割が土地の代金、六割がいろんなタンクとかそういうふうな設備にかかることになっておりますが、こういう設備に対しては七割の低利資金を供給することになっておりますが、しかし、何分にも一兆数千億という非常に膨大な資金でありますので、それだけの借入金を政府の方であっせんをいたしましても、なお業界の負担というものは非常に重いわけでございます。しかし、日本には石油がありませんので、どうしても最低九十日は保有したい。こういうことを考えますと、現在の政府としての備蓄に対する補助は先ほど申し上げました程度でありますけれども、なお今後、この補助率というものをもう少し高める必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えております。  ただいまのところ、そういう方向で検討しておるところでございます。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 さらに、石油の開発関係についてお伺いしますけれども、現在すでに六十二社に及んでおります。ところが、その資金効率というものがきわめて悪くて、また、従来の石油公団の運営にもいろいろな問題があるように伺っております。先般も新聞に報道されましたジャパン石油開発株式会社、これはアブダビで開発されておる油田の利権の三分の二を持っているイギリスのBPから、持ち分の四五%を七億八千万ドルという巨額な資金で買い取ったわけでございますが、そして原油を輸入しつつありますけれども、石油ショック以来、アブダビ政府側の経営参加が六〇%、また産油量も日産四十万バーレルといったように非常に低い水準にありますために、ジャパン石油開発会社の借入金は一千七百二十億、累積赤字が三百億というふうになっております。だから、そのうち開発公団の融資が約八百億というふうになっておるように伺っておりまするが、こういった石油資源の開発について一体どういうふうにお考えになっておるか。  次に、いま日本近海の大陸だなの開発が非常に期待されておりますが、韓国では日韓大陸だな共同開発協定が締結されてからすでに二年間を経過しておりますし、最近韓国にも油田が発見されたということで非常な勢いを得て、もし日本の国会でこの協定を批准しなかった場合には、独自の力で第七鉱区の開発をやるといったようなことも新聞に報道されておりますが、こういった問題について通産大臣はどのようにお考えになっておりましょうか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) いまお話しのように、石油開発のために、石油開発のための企業が日本では六十数社という、雨後のタケノコのように乱立をいたしまして、その中で成果の上がっておるものも若干ありますけれども、大部分が成果が上がっていない、こういう状態であるということが一つ。それからもう一つ、石油ショック当時、大変だということでとにかく先を争って石油開発事業に出ていったわけでありますが、現在は石油事情がその当時と根本的に変わっておると思うのです。  最近、中近東諸国の産油国、たとえばイラン、イラク、サウジアラビア、こういうふうな大きな産油国からも長期の引き取り契約をひとつ結んでくれないか、数量は幾ら多くてもよろしい、できるだけ多い方がよろしいと、こういう非常に強い要請が相次いで来ております。こういうことは、二年半前にはかつて想像されなかったことだと思うわけであります。また一方、海外の石油開発で成果を上げております数社の状態を見ましても、たとえばアラビア石油などは二千五百万トンのいま能力を持っているわけですね。しかし、実際は千六百万トンしか掘っていない。それはフルに掘りましても販売できない、こういうことになっておるわけですね。しかも、千六百万トン掘っておるものの一部は海外で売っておる、こういう状態で、せっかく開発いたしましてもそれがフルに稼働しておりませんし、しかもパーティシペーションといういわゆる国有化の問題が起こりまして、当時考えられなかったような事態が起こりまして、その所有権が取り上げられつつある。  こういうことを考えますと、いまADMAの話等も出ましたけれども、ADMAなどもあれだけの大金を投じまして少しも成果が上がってない。結局フルに働いてない。こういうことを考えますと、海外における石油開発政策というものを根本的にこの際再検討する必要がある。むだな金をたくさん海外に投じておる、こういう状態はよほど私は整理する必要があるのではないかとこう思います。  一方、日本近海で開発いたしました油は、これは日本の近海に存在するわけでありますから、取り上げられる、こういう心配はありませんし、これは日本の国産の油として、エネルギーとしてこれは非常に力強いものになろうかと思います。そういう意味で、これからは私は日本近海の開発ということに非常に大きな力を入れる必要があるのではないか。海外の開発と、それから同時に産油国との長期契約、こういう方向に再検討すべきであろうと、こう思います。  そういう意味で、韓国との共同開発をする予定になっておりますあの大陸だなの開発も、条約ができましてからすでに二年になりまして、いまなお批准できない。こういう状態で、韓国の方からも何回も、早く批准して共同開発に着手したいと、こういう強い要請を繰り返し受けておるわけでございます。そういうことがございますので、どうか一刻も早く批准が完了いたしまして、日本の大陸だなにおける開発というものが軌道に乗ることを期待しておるわけでございます。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 どうもたびたび通産大臣を煩わして恐縮でございますけれども、石油と並んでエネルギーの大宗をなす電力事情でございますけれども、これはいまからの推定だと、六十年度における供給は、当然安定成長になりますから、それだけ需要は減るわけですけれども、一方、国民生活の向上によって冷暖房等がふえてまいりますから、民生用の増大等を考えて一〇%の供給余力を見るとすると、昭和六十年度末一億九千百二十万キロワットと見込まれておりますが、その電源構成は、石油火力発電の比率が三二・六%に減少し、原子力発電の比重が二五・六%、LNG火力発電が一四・一%となっております。ところが、原子力発電以下の新エネルギーは、いずれも資本集約的であるばかりでなしに、核燃料の手当てであるとか、濃縮あるいは再処理、廃棄物の処理等に特段の資金を要するのみならず、環境保全のための膨大な投資がかかるわけでございます。問題はこういうふうに提起されておりますけれども、果たしてこれをどうして実行していくか、資金のめどが果たしてついておるのかどうか、その場合にかなりコストが上昇するので、そういう場合にやはり新しい価格体系のもとに公共料金というものの適正化を図らなきゃならぬじゃないかといった問題が起こると思いますが、これまた通産大臣からひとつ御所見を伺いたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 今後の電力事情でございますが、先ほどお話しになりましたように、十年後の目標は約一億九千万キロを想定をしております。現在に比べまして約倍ということでございます。六%台の成長をいたしましたときにはそれだけの電力が要るということでございますが、これを従来の石油火力を中心といたしました発電だけではとうてい賄えませんので、石炭火力、それから原子力発電、LNG発電、それから地熱発電、それから水力発電と、あらゆる方法を講じまして約一億キロの電源開発を考えておるわけでございますが、その中でも大きなシェアを占めますのがいま御指摘の原子力発電という問題でございます。  現在稼働しておりますのは約六百万キロにふえております。建設中が約一千四百万キロありますので、数年後には二千万キロまではできるわけであります。しかしなお、六十年四千九百万キロという目的を達成するためには新しく三千万キロというものを立地しなければならぬと、こういう非常に大きな問題を抱えておるだけではなくして、燃料のリサイクルという問題を抱えておりまして、昭和五十八、九年ごろまでは大体の手配があらゆる分野でついておるんですけれども、それ以降の見通しについてはまだはっきりいたしておりません。再処理問題等についてもいま英国、フランスとも交渉中でございますし、アメリカとも交渉中でございます。しかし、ここ七、八年の見通しは、一応ウランの面でも再処理の面でもついておる。今後は、新しい立地を求めております三千万キロの対策とあわせて、この再処理対策というものを並行して進めていかなければならぬというのが大きな課題でございます。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 同じ問題に関連して佐々木科学技術庁長官にちょっとお伺いいたしますけれども、いま通産大臣のお述べになったように、たとえば原子力発電における新型転換炉、高温ガス炉、高速増殖炉等の新型動力炉の開発とか、ウランの濃縮技術、使用済み燃料の再処理及び放射性廃棄物の処理、さらには核融合技術の開発など、これから推進していかなきゃならぬ問題が非常にたくさんあるわけでございますが、このほかにさらに太陽熱エネルギーの活用であるとか、地熱エネルギーの活用、石炭の液化ガス化、水素エネルギーの開発、いろいろの問題が提起されておりまするが、いまのところ、これらは率直に言ってお題目の羅列だけのようにも思われますので、一体こういった研究開発がどの程度に真剣に取り上げられ、またどの程度の予算を投入し、どういう手法でこういうものを開発推進していくつもりであるか、ひとつ技術庁長官からお伺いいたします。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(佐々木義武君) お話しのとおり、今後のエネルギー資源を新しく創設するための、あるいは従来のものを改善するためのいろんな種類のものが考えられておりますけれども、私、主として担当しております原子力発電を中心にいたしましてどういう計画でただいま進んでいるか、その見通しいかんという点に関しましてお答え申し上げたいと存じます。  お話しのように、ただいまは軽水炉を中心にいたしまして、この軽水炉の十カ年間で四千九百万キロワットをどうして達成するか、あるいはそれに必要な、それに伴っての燃料サイクルといったような種類もございますけれども、まだ十分とは申されませんので、あるいは従来の原子力委員会が決めておりました民間にのみゆだねるという方式がよろしいかどうか等の点も考えまして、いろいろ再検討を要する面もございますので、そういう点もあわせまして、特に安全サイドを中心といたしまして、軽水炉あるいは燃料サイクルの問題ただいま研究中でございます。  これは少なくとも十年、十五年は中心になっていく炉でございまして、その後いわば中期的に考えているものは何かと申しますと、高速増殖炉と、もう一つは藤井先生の同僚でありました新日鉄の湯川さんが遺言に残していかれました多目的高温ガス炉が、私、中期の中心だと思います。将来は、長い将来は長期にわたっては核融合に入っていくわけでございますが、そこでFBR、高速増殖炉はただいま一番本命といたしまして研究を進め、近く原型炉の段階にまで進んでいくわけでございますけれども、これが完成いたしますれば、御承知のように軽水炉で使い古した使用済み燃料から新しいプルトニウムという燃料を取り出して、いわば国産的に燃料を自分でつくり上げできる。そしてその燃料を使って発電ができるということになりますので、大変ありがたいことでございますから、これは一生懸命ただいま努力中でございます。多目的高温ガス炉の方は、製鉄とか、あるいは化学工業とかいろいろございますが、一番期待を持ちたいのは、この千度以上の高温を水の分解、水素の製造に利用できないか。そして将来の水素経済の中心にこれを役立てたい。そういたしますと、燃料そのものが、エネルギーが、水素を日本の水で自分で持てるわけですから、日本のようなエネルギー資源のないところではこれほどありがたいことはないわけでありまして、先ほど申しましたように、湯川さんの遺言を体しまして、私どもただいませっかく原子力研究所を中心にいたしまして進めている最中でございます。  それで核融合の問題は、これは海水から重水素を取りまして、それを燃料にするわけでございますので、日本としては一番将来とも期待を持てる問題でございまして、この方はいま世界のランクでは決してひけをとってございません。日本原子力研究所あるいは大学あるいは電子技術総合研究所等を中心にいたしまして、世界のレベルの規模でただいま問題を進めてございます。したがいまして、これに要する膨大な資金等は、やはり政治力と申しますか、国を挙げまして、言うなれば希望したいのは与野党を挙げましてこういう問題に国を挙げて取り組んでいく姿勢こそは、資源のない、エネルギーのない日本にとりまして最も重要なことかと思いまして、今後私どももそういう点に留意いたしまして、所期のコースに従いまして進んでまいりたいと念願しております。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 次に、独禁法の問題と公正取引委員会の性格について簡単にお尋ねします。  今度の新たに任命されました澤田公正取引委員長は、これは経済に対する知識と経験も深く、人柄も非常に明朗濶達でございまして、私どもは独禁法の適正な運用を大いに期待しておるわけでございますが、それとは別に、公正取引委員会それ自体の性格に幾多の疑義があります。  実は、三木総理もしばしば言明されておるように、公正な競争条件のもとに自由主義経済の健全な発展を期するということが独禁法の改正の趣旨であることは私もよく了解しておりますし、やみカルテル等の不当な不正な取引を禁止することは、これは当然なことで、私どももこれは大賛成でありますが、私はまず第一に、公正取引委員会の性格について疑問といたしておるところは、独禁法に関する職権の行使は明らかにこれは行政権の行使でありますから、その職権の執行機関である公正取引委員会は、憲法の定めるところによって当然内閣の指揮監督を受けるべきものでありまするが、公正取引委員会の委員長及び委員は独禁法第二十八条で、独立して職権を行使し、内閣の指揮監督を受けないということになっております。  しかるに、去る七十五国会におけるわが党の青木一男委員の質問に対して、政府は、公正取引委員会の委員長及び委員の任命権と予算権を持っておるから軽い程度の指揮監督があるかのごとき説明をしておられますが、しかしながら、憲法で言う内閣の指揮監督というのは、下級の行政機関への職務上の行為についての観念であることは明らかでありまして、その点についてはすでに吉國法制局長官も明らかにされておるところであります。したがって、任命権や予算権があるとしても、公正取引委員会が行う職権の行使について何ら政府の指揮監督を受けないということになりますと、最高裁判所と程度の違いは多少あるとしましても、内閣と肩を並べるような完全独立した行政機関が存在するということになります。  また、憲法第六十五条において、すべての「行政権は、内閣に属する。」と規定してあるのみならず、六十六条三項では、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と明記してあります。ところが、公正取引委員会は、職権行便については内閣の指揮監督を受けない。国会に対しても内閣を経由して報告の義務があるだけで、職権の行使については何ら責任を負わない。このような、政府の指揮監督を受けない、国会に対しても責任を負わないといったような行政機関が存在するということは、三権分立の憲法のたてまえから言って非常な疑問があるわけでございますので、自民党の調査会におきましても、これらの点につきましては時間をかけて憲法調査会等で慎重に検討すべきであるという結論になったのですが、その点について三木総理の御所見を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(三木武夫君) 公正取引委員会は行政機関であることは間違いございませんが、やはり公正取引委員会というものは中正公平に職務を行わなければならぬわけでございますから、他の下部行政機構のように一々その具体的な職務行為に対して内閣が指示するものではないわけで、内閣は予算、人事を通じてこれに対して一定の監督権を有し、それを通じて国会に対して責任を持っておるものでございまして、やはり公正取引委員会というものの性格上、その独立性は尊重しなければならぬと考えております。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 先ほども申しましたように、世界経済というものはいまや非常に流動的でございまして、特に世界経済に依存する度の高い日本経済としては、絶えずこれに対して流動的であり機動的でなければならぬと思います。したがって、日本の産業経済政策も十分これに対処するようなあり方でなければならぬと思いまするが、そこで、この前の国会に提出された改正案によりますと、たとえば所管の通産大臣と産業政策等については審判開始の前にただ一回協議するということにしかなっていないんですね。そうなってくると、何のためにそれじゃ経済官庁があるのかということになるので、極端な表現をすれば、日本の経済はどうなってもいい、独禁法さえ——というようなことになるわけですから、だから、その辺のいわゆる経済政策、産業政策との整合性を一体どのように考えていいのか、河本通産大臣の御所見を承りたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 前回の独禁法の改正案は、衆議院の段階では一応通りましたが、参議院の段階で審議未了と、こういうことになったわけでありますが、やはり私はその一つの理由は、いま御指摘になりました問題について、参議院としてのコンセンサスというものがなかったということが一つの理由でなかったかと思います。そういう過去の実績をもとにいたしまして、いま政府案を検討中であるようでございますが、産業政策とそれから公取委員会との整合性ということは、これはもうもちろん望ましいわけでございます。この公正取引委員会というものはあくまで中立的な、政治的勢力から影響を受けないで自由に行動しなければなりませんけれども、これはやはり国の行政機関には間違いありませんから、産業政策と全然違う方向にいくということはこれは望ましくありませんから、その中立性とそれから政治的影響の排除ということは、これはもう当然考えなければなりませんが、どこかでやはりこの整合性というものがないと国の産業政策というものは私はうまくいかぬのではないか、こういう点について十分配慮した上で今回の改正案の提出ということを期待したいと思います。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 時間がありませんから、あとは一瀉千里に質問させていただきますが、まず田中厚生大臣にお伺いいたしますが、この国民の生活の安定確保と同時に福祉の向上ということは、これは憲法でも規定されるところでありますが、しかしながら、これは国の財政面から一定の制約があり、また高福祉高負担の原則が貫かれなければならぬということは、これは当然でございます。現在の福祉政策が決して十分とは私も思っておりません。もっときめの細かい行き届いた福祉政策について一層の努力をするということはもちろんでありますが、同時に、国民の福祉は物質面のみならず、高齢者の方々の生きがいのある生活環境をいかようにしてつくり、国民全体が助け合うという隣人愛や社会連帯感が根底になければならぬものと思っております。したがって、安易な福祉政策はかえって国の前途を危うくするおそれなしといたしません。  現にイギリス病と言われるのは、福祉政策の行き過ぎと国有、国営等による基本産業の勤労意欲の低下がイギリスの財政の慢性的な赤字と国際収支の大きな赤字の原因となっておるように伺いますし、オランダやスカンジナビア諸国においても福祉政策の根本的な見直しが行われておる現状でございます。私はその意味で、これらのイギリスやその他の国々の轍を踏まないように、国の財政と国民の税負担能力等の限度においてバランスのとれた、しかも効率の高い福祉政策の推進と同時に、福祉政策の行き過ぎが逆に勤労意欲の低下を来たして国際競争力を失うことのないように万全の配慮が必要であると考えますが、こういった福祉政策の基本方針について大臣に御見解を伺いたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 藤井先生おっしゃるとおり、日本の社会福祉、社会保障はまだ充実をしなければならない一面を持っていることは事実であります。特に人口の老齢化が急速に進んでいる今日、こうした点に着目をし、この方面の施策の充実を図らなければならないというのは言うまでもありません。しかし、最近の傾向を見ますると、昭和四十七、八年ごろからわが国の社会保障費は三十数%という非常に高い伸び率を示しましたが、しかし、これは当時高い経済成長に支えられた自然増収、これを多くのシェアを社会保障費に持ってこれたという客観情勢が背後にあったわけであります。しかし、いまや経済の様相はかなり大きく変貌をいたしました。したがいまして、今後はこのような簡単な手法というものはとれないということに相なるだろうと思います。そうした場合においてはやはり政策のプライオリティー、優先度というものを、これをあくまでも厳密に調べて、優先度の高いものを選択をし、進めていくという配慮が必要であろうというふうに思われるわけであります。  ちなみに、わが国においては社会保障の水準向上を望む声は強いのですが、これについての費用の拠出についてはなかなか抵抗感があるというのも事実であります。国連の統計を見ますると、わが国においては北欧の社会保障の先進国と言われる国と比較をいたしますると、租税負担率は大体三分の二で、社会保険料負担は大体三分の一、したがって、この統計による社会保障のコストというものについては約二分の一しか持っておらないということであります。しかも、いまや日本は人口は老齢化を急速にしつつあるということであります。今日非常に低いというのは、人口の老齢化があの種の国までは進んでおらないということから何とかこれでもっていると思いますが、しかし、今後こうした客観情勢を踏まえるときに、国民の理解と納得を得つつ、やはり社会保障のコストと費用というものを国民が、先生おっしゃるように、連帯と協力という精神のもとにこれを進んで出すようなことに啓蒙をしなければいけないし、またそのことなくして社会保障の発展充実はないというふうに考えますので、いろいろな点について抵抗もあろうかと思いますが、今後、厚生行政を担当する者はその点について力点を入れなければならぬものだというふうに思っておりますし、ことしの予算編成をめぐりまして私はしみじみとそのことを感じたということであります。  なお、いま先生おっしゃるとおり、高齢者に対する福祉については、金銭面の給付だけでは私は十分ではないと思われます。したがって、いわゆる社会に参加をするという、生きがいを持たせるということが老人福祉においては非常に大切な要素であると考えられますものですから、近年いわゆる高齢者の無料職業紹介事業というものを増設をしたり、あるいはメニュー方式による老人のための明るい町というものの中に、老人作業センターとか老人農園といったような、よしそれが費用に見合わないというふうな作業であったといたしましても、これにこういったような事業を推進することによって老人が社会に参加をし、社会に役立っているんだという自覚を持たせることが老人福祉の大きな私は一つのオリエンテーションだと思いますので、そうした方向についての施策についても今後努力をいたしたい、かように考えております。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 次に永井文部大臣にちょっとお伺いいたしますけれども、永井さんが民間から文部大臣になられまして、かなりユニークな文部行政を展開しておられることを私どもは高く評価いたしまするが、しかし、せっかくの御努力にかかわらず、教育の現場は必ずしも文部大臣の期待されるような実情にはなっておりません。  教育基本法の第八条の第二項にも、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」という規定もございますし、さらに義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法の第三条においては、「何人も、教育を利用し、特定の政党その他の政治的団体」「に資する目的をもって、学校教育法に規定する学校の職員を主たる構成員とする団体の組織又は活動を利用し、」義務教育職員に対し、「児童又は生徒に対して、特定の政党等を支持させ、又はこれに反対させる教育を行うことを教唆し、又はせん動してはならない。」と、こういうふうにはっきりと規定してございます。しかし、いま申しましたように、かなりの学校の現場においては混乱ないしは荒廃を来しておるのみならず、先般も東京練馬区の都立石神井学園で革マル派と見られる職員が、子供たちの見ているところで中核派と目される三人組に鉄パイプで殴られて二週間のけがをしたといったような記事も報道されておりまするが、文部大臣は、いま申し上げたような教育基本法の第八条の規定並びに義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法の規定が正常に機能しておると考えておられますかどうか、その辺をちょっとお伺いいたしたいと思います。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) お答え申し上げます。  ただいま藤井委員が申されました教育における中立性の問題でありますが、あからさまに一つの政党を支持するとか、あるいはある派を支持するというような先生は、私は義務教育機関で考えますというと、全国的に教室の中でそういうことを言う、あるいはそういう授業をするということはまずない。しかし、いま御指摘がありましたように、たとえば大学に参りますというと、いわゆる過激派の学生がいて、世界にも類例を見ないほどの流血の惨事を生み出している。これは否定できない事実であります。また、義務教育諸学校におきましても、常にそういうことが起こっているというわけではありませんが、場所によりまして、教職員組合と教育委員会があるいは校長が非常に対立をするそういう雰囲気に包まれているということでありますから、私はわが国の教育というものが必ずしも静穏なる状況の中で、そうして冷静に進められているというふうに考えるといたしますと、民族の将来にとって危険であると考えます。  ただ、この問題は実は非常にむずかしいことであると思います。というのは、ただいま御指摘になりました教育基本法八条二項でありますが、この二項は党派的な教育をしてはいけないというのがあるのでありますが、同時に第一項というものがあります。八条一項でございます。八条一項は何を言っているかというと、大いに積極的に政治的教養を積ませる教育をやらなければいけないというのがあるのでございます。私はある意味におきまして、わが国の学校教育においては八条一項は弱いのではないか。先ほど御指摘がありましたように、国民の今日の世論を見ますというと、政党すべてを通しまして、半数ほどの国民が政党を支持しない。しかしながら、実を言えば政党は国民のものなんでありますから、残念ながら国民はわが国の政党を建設することに失敗したと言うほかはないのであります。  しからば、われわれは将来を考えて教育を行っていくにはどうしたらいいかという問題でありますが、これは私は年齢に応じていろんなことを考えていかなければなりませんが、子供の時分から自分は自分が統治するのであるといういわば主権在民的な考え方、これが各学校、各学年の段階において行われて、そういう習慣ができている、これが本当に強められませんというと、本格的な政治的中立にならないで、単純な党派的政治論が横行することになると思います。  もう一つ、単純な党派的議論が横行しないようになりますためには、先ほど御指摘がありましたように、わが国が民族として生きていきます上には、いろいろ党派的立場がありましょうとも、たとえば資源が乏しいとか、あるいは国際的に活動することが今後の日本人にいよいよ要望されるというようなことは、党派を越えた高度な国民的政治の問題でありますから、かような国民的な政治的教養というものを実は八条一項は示しているのではないか。これを冷静に、そして非常に沈着に習慣づけながら勉強していくという方向をもっと強めることによって、政治を逃げるというのではなくて、政治の問題を国民がわがものとするという方向を強めることによって私は八条二項の中立という方向というものも深められていく。そういう二つの面を踏まえながら、現状において満足できませんですから、これを強めるためにわれわれは努力していかなければならない、かように考えているわけでございます。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 もう一回文部大臣を煩わして恐縮ですが、さっきもお話の中に出ましたけれども、日本は超少資源国でございまして、人的資源という言葉が果して適当かどうかは知りませんけれども、人的資源の充実と科学技術教育の振興ということが大変大切だと思います。一九七〇年代に入りますと、世界的にも各国とも技術革新の大きな壁にぶち当たって、これを打ち破らないと次の飛躍、発展が期せられないといったような状態になっております。  そこで、最近日本の高等学校への進学率が九三%程度になり、また大学の数は短期大学入れると実に九百九十九校、在学生数が二百万人というアメリカに次ぐ世界の高等教育の最も進んだ国になっておる。そのこと自体は非常に結構でございますけれども、果してその質的内容が大学にふさわしいような教育あるいは学習が行われておるかどうかということについては、私どもはきわめて厳しい見方をしております。無論、知識を修得し真理を探求しておる、新しい創造力の創出のために真剣に勉強しておる諸君のあることも承知しておりますけれども、概観して言うと、大学はレジャー化して、学習に費やす特間よりはマージャンとか喫茶店とかデートとか、その他のレジャーに浪費する時間の方が多いではなかろうかといったような感じさえ持ち、また中核派であるとか革マル派であるとか、あるいはもう二十幾つに分かれるセクト等の過激分子の活動に明け暮れておるといったような感じすらあるわけでございます。  そこで私が申し上げたいのは、日本の教育全体がいまアメリカあたりと比べても逆になっておる。つまりアメリカあたりでは、欧米では小学校から高校までは伸び伸びと教育し、知育、徳育、体育がバランスのとれたような形で人間の基礎づくりが行われて、そのかわり大学に入ると非常に厳しい教育をしておる。入学者のほとんど半分が落第するといったようなことになっておりますので、その辺が一つの大きな問題で、これは教育だけじゃなくて、やっぱり日本の社会に学力偏重という根強い社会慣習が根を張っていることもこれ事実でございますが、ただ単に文部省の責任というわけじゃございませんが、そういうことを考えまして、特に私が憂慮しますのは、アメリカあたりではむしろホワイトカラーがブルーカラーをオーバーして、そのために大学の卒業生から修士課程、博士課程を経た者の失業者が大変ふえまして、それがアメリカの社会不安の大きな原因になっているんです。日本もやっぱり同じようないま傾向になって、産業構造から要請する人と高等教育のサイドから供給する側との非常なアンバランスが、やがてはアメリカのようなやはり社会不安の原因になりはしないかということもあります。  したがって、もうこれ以上大学高等学校をふやすべきじゃないかということが一つと、もう一つは、たとえば東大のように学校の施設設備、あるいは教授陣等が充実しておるようなところは、これは専門の大学院として、あるいはまた地方にも連合した大学院というものをつくって、もっと高度な密度の高い教育、なかんずく科学技術教育等を行うべきではないか。まあそういうことで、いかにも日本がこれからますます頭脳集約的な産業に転換していかなきゃならぬという段階でございますので、私はそのことを非常に痛感するわけでございますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

永井道雄文部大臣

○国務大臣(永井道雄君) わが国の学校教育と産業の関連、そしてアメリカの轍を踏んではいけないという問題の提起と考えますが、まず、この問題は、私は十分な計画が今日まで行われてこなかったということに起因するように考えます。特に一九六〇年代は雇用マーケットの年ごとの拡大がありましたために、どんどん学校をつくると志願者が来るというようなところから、非常に六〇年代に、わが国もそうでありますが、アメリカ合衆国においても大学に進む人がふえてきたということであります。しかしながら、現状におきましても、すでに大学の卒業者が一種のアンダーエンプロイメント——卒業して就職いたしますが、高卒で働けるような職場に行くという状況がわが国においても出てきております。  そこで、私どもはどういう考えをとっているかと申しますと、これは二つの点が大事であると思います。一つは、もちろん産業社会の発展というものをよく考えながら学校教育を設計していかなければならないのでありますが、その場合に、余りに産業社会に密着いたしますというと、実は産業社会がその次に変わるわけでありますから、したがいまして学校教育というのは必ずしも産業社会の動きだけにとらわれて仕事をしてはいけない。他方、そういう意味においては自主的側面が非常に大事である。将来の見通しを持たなければいけない。  しかし、今日考えなければいけないのは、第二点として、そういう観点を持った計画性でございまして、現状を見ると、とにかく急膨張をいたしましたから、いま文部省でとっております政策の要点を申しますと、高等教育懇談会でも、今後五ヵ年間はまず大体においてふやさない。特にこれを私学について見ました場合には、これは私学振興助成法の中に一項あるわけでございますが、五ヵ年間は特別な事情を大学設置審議会あるいは私立大学審議会が認めない限り、新しい私学は認めない。こういうことでございますから、まず数をふやさない。しかし、それだけでは消極的でありますから、国民の血税でありますところの私学振興助成をやっていきます場合に、傾斜配分をやりまして、経営内容がよくない、たとえば事実上定員の十倍の実員を抱えているというような大学もあるわけでございますから、こういうところには助成をしない。本年度の配分では五倍以上のところはしないということでございます。その前は六倍でございますが、それだけでも三十幾つの大学がありました。そういう形で私業の体質というものもどんどんよくしていきたいという考えでございます。  しかし、それだけではこれからの社会に対処できない。と言いますのは、国民全体が水準が高まってこないと言うと、わが国は先ほどからおっしゃいましたように、非常に国際的常識などもブルーカラーにも必要になるわけです。そこで、そういう大量の要求というものをどうしていくかということについて、二つ考えております。一つは放送大学を三カ年の後に開設をいたしまして、これは将来四十一万人を包容し得る、そういう形で生涯教育をやって仕事につきながら勉強をする。もう一つは本年度、四月一日から専修学校というものを高等教育機関の一種といたしまして認めました。すでに八百校が整備されましたから、三月三十一日までわが国の高等教育機関は千であったのですが、一夜明けて四月一日から千八百になったわけであります。ただ、その専修学校の性格というものは非常にスキルに即しておりますから、いわばいまお話のありましたようなレジャー産業的なものではなくて、そうでなくて本当に語学をやる、あるいは本当に電子計算機のソフトウエア・プログラミングをやる、こういうものが強化される下地がこの四月一日からできたわけでございます。  しかし、科学技術というものの教育が非常に必要ではないかという御質問の後段の点について申しますと、これは専修学校あるいは私学助成だけでは解決はできない。この解決には私は大学院というものを強化することと、それから国立の共同利用研究所というものを強化していくべきであると考えております。わが国は加工大国ということを言いましても、事実問題といたしまして、わが国がパテント輸入に支払っている金というものはパテント輸出からわが国が得ます収入の十倍でございまして、いわば十対一の比でいまだに対外パテント依存の国家でございますから、創造的な研究を開発していかなきゃいけない。  しかし、財源に限りがあり、そして本当に本格的な研究をやっていくのには大学院というようなものを今後つくっていく上で、一つの大学の上だけにつくるのではなくて、大学を連合していく。あるいは独立、たとえば東大からも独立していく。これをいま国会でも御審議願っておりますし、文部省の中でも審議しておりまして、ぜひそういう本格的に力のあるものをつくる。  しかし、その場合に外国人からの刺激もありませんというと強化できませんから、たとえば岡崎の分子科学研究所では評議員にすでにカナダのノーベル賞受賞者を迎えまして、これはいままでなかったことでありますが、そういう人の刺激を受けながら、わが国の研究開発というものを世界的な水準に持っていく。また他方、技術開発大学というものをこれから発足させるわけでありますが、これも従来の東大あるいは京大、東京工業大学というふうなところの教育の仕方よりも実習というものを重視いたしまして、そしてエンジニアの開発というものを養成を考えていく。これを高専あるいは工業高等学校というものとの連関を考えて、そしてわが国の学校教育がともすれば教科書中心主義になっていくのを、もっと実習というものをがっちり踏まえた上で創造的な研究ができるものにしていく。  いろいろ各方面にわたって政策がございますが、大要を申し上げますれば以上のような形で、ぜひともわが国における頭脳というものの潜在性を強化いたしまして、そして有効にわが国の国民から集められた税金を使用いたしまして、私はわが国の学術の水準を高めて将来に備えなければならない、かように考えている次第でございます。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 次に坂田防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、最近、わが国を取り巻く四囲の各国の軍事情勢というものは非常に急激に増大されつつある。一方では、アメリカとソ連との間にデタントというか、平和条項というようなことが問題になっておりますけれども、その実は両国とも非常に強大な軍備を進めておる。特に極東におけるソ連の勢力というものは、ある軍事専門家に伺いますところによれば、陸軍は三十万人以上、海軍は百二十万トン以上、うち潜水艦が約百二十五隻、そのうち原子力潜水艦が四十隻前後、空軍は二千機。アメリカの陸軍四万人、海軍の約六十万トン、空軍の二百三十機に対してまさに圧倒的になっているのですね。中国は御承知のように二百八十万という世界最大の陸軍国であり、核武装もしておる。空軍も三千八百機ある。南北朝鮮も同様に非常な武装で固めた深刻な対立を続けておる。  その中で日本がこうして平和で安全でおられるということがいつまで続くか。その辺のことについて、国防という問題についてはほとんど国会でもこれはタブー視されておるのですが、私は、やはりスイス等へ行きましても、スイス等はこれはもう本当に永世中立を世界に表明しておる、宣明しておる平和な国で、軍隊はないと思いきや、人口六百万のスイスに常備軍、予備軍等合わせて五万人を持っており、事ある場合には四十八時間以内に六十二万の総動員体制がしけるといったような大変な軍事国家になっているのですよね。そういうことを考えますと、やはり国を守るという、そういう国民の意思、気概というものがここになくちゃならぬと思う。坂田防衛庁長官もそういう意味で先般も「防衛を考える会」というようなものをおつくりになったんですけれども、その辺の見通しについてひとつ。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(坂田道太君) 最近、日本の周囲の国々におきまして軍事力が非常に増大をしておる。特にソ連の海軍が目覚ましいばかりの増強をしておるということは御指摘のとおりでございます。でございますけれども、わが国はあくまでも日本の国を守るためにあらゆる外交手段、それからまた民生を安定をする、それから経済力を伸ばすということを前提といたしまして、日本の国を守っていかなければならない。しかし、私は御指摘のとおりに自分の国は自分の国民の手によって守る、こういう国を守る気概というものがなくなったならば国は守れないというふうに思います。それからもう一つは、どんなにすぐれた戦車あるいは優秀な飛行機、潜水艦等を持っておりましても、国民の理解と支持と協力というものがなかったならば防衛力は力になり得ないと私は思うんです。これはベトナム戦争の教訓としても言えることだと私は思うのでございます。  その意味合いにおきまして、私はあくまでも外交、民生安定、経済力を醸成するということを前提といたしまして、三つのことを、三つの原則を考えておるんです、わが国を守るために。その一つは国を守る意思、強固なる意思、それが一つ。この意思を具体化するところの必要最小限度の防衛力、これはなけりゃならない。もう一つは大規模の攻撃あるいは核の脅威、これに対してはわが自衛隊のみによって国民の生存と自由というものを守ることはできません。したがいまして、やはり日米安保条約というものは不可欠なものであるというふうに思います。つまり国を守る意思とその能力と、そして安保条約、この三つは一つも欠くことのできないものである。三つで一つである。これによって初めて日本の安全と独立というものが期し得られるものだというふうに思っております。  したがいまして、私はやはり国民の理解と支持と協力を得るために、防衛問題、安全保障の問題が国会でも論議をされなければならないというふうに思いますし、われわれとしてはこういうような三つの原則でもってあなた方の国民一人一人の生存と自由を守っておるのでございますと、こういうことを常に国民に訴えなければならないというふうに思うわけでございます。そのために私は「防衛を考える会」というものをつくった次第でございますが、リポートも発表されました。これを契機といたしましてかなり議論が活発化してまいっておりますことは御案内のとおりでございます。  それというのも、従来はどちらかと言いますと、右と左との余りにも極端な議論のみがございまして、肝心なその中核となりますところの健全な良識ある国民と言いますか、そういう人たちが日本の安全をどう考えていいかということについての議論が実はなかったように思うのでございまして、そういう人たちこそやはり議論に参加させて日本の防衛政策を生み出していかなければならない、こういうふうに私は考えたわけでございます。したがいまして、やはりできれば、私がいまここで申し上げる立場にはございませんけれども、国会におきまして常任の国防委員会、あるいは言葉はどうございましても、専管するところの安全保障委員会みたいなものがなければいけないのじゃないかというふうに痛感をいたすものでございまして、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それからまた、国民にどのような国際情勢であるか、日本列島を守るところの、日々変化するところの情勢がどういうものであるかということを知らせるためには、防衛白書というものがやはり毎年でも発行されなければならない。ところが、この六年、絶えて久しく防衛白書を出しておりません。これはまことに私は残念なことであったと思いますが、これも一年がかりでやりまして、ようやく近く発表する段階に至ると思うわけでございます。こういうことを通じまして、国民の理解と支持と協力を得たいと思っております。  幸いなことに、この自衛隊に寄せられます国民の信頼関係も、かつての四十七年度の総理府統計によりますと七三%でございましたが、それが七九%に上がりました。前は一五%がわからないと言ったのが、一三%に下がりました。そしてまた、絶対反対であると言われた一二%という国民の方々が八%に下がってきた。これは私は非常に大きいことであると思いまして、こういう国民の信頼のもとに、今後、防衛政策を進めてまいりたいというのが私の考えでございます。  以上であります。

藤井丙午自由民主党

○藤井丙午君 どうもありがとうございました。(拍手)

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 以上をもちまして藤井丙午君の質疑は終了いたしました。     —————————————

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) この際、お諮りいたします。  理事会におきまして、当初の四日間の総括質疑の質疑総時間は六百六十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党それぞれ二百二十分、公明党及び日本共産党それぞれ八十分、民社党四十分、第二院クラブ二十分とすることに決定いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) なお、藤井丙午君の発言について、社会党及び共産党理事より抗議の申し出がありました。委員長といたしましては、本件を理事会において協議いたすことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十九分散会     —————————————

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