法務委員会 第4号
- 発言数
- 163 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1976/05/11
会議録
○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 宮崎正義君、小柳勇君、栗原俊夫君が委員を辞任され、その補欠として原田立君、寺田熊雄君、秋山長造君が選任されました。 —————————————
○委員長(田代富士男君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木静子君 それでは、まず法務省に司法書士の国家試験問題についてお伺いさしていただきたいと思います。 現在の司法書士法の規定によりますと、司法書士となる人がその事務所を設けようとする地の法務局または地方法務局の長の認可を受けなければならないというふうにされているわけでございますが、この認可制度を改めて国家試験ということにし、この試験に合格をした者に司法書士の資格を与えるようにしようという問題、いわゆる司法書士の国試——国の試験、国試問題としてこれまで国会において取り上げられてきておりまするが、全国の司法書士の方々がその早期実現ということを強く希望しておられるわけでございます。すでに、当局においても御承知のとおりでございますが、司法書士会の連合会では、このような全国の司法書士の会員の要望を受けて、昭和四十八年から司法書士国家試験制度要綱試案を発表し、これに基づいて法務当局等に国家試験制度を実現するための司法書士法の改正を要望しているわけでありますが、まず第一に、四十八年以後、法務省と日司連との間でどのように具体的に話が進んでいるのか、その状況を御説明いただきたいと存じます。
○政府委員(香川保一君) 四十七年の七月に、日本司法書士連合会から法務大臣あてに、いま仰せのような内容の司法書士法の改正の要望がございまして、これは国会でも、司法書士についても土地家屋調査士と同じような国家試験制度を採用するように努力しろという附帯決議もございましたものによるものでございますが、ただ司法書士業務の実態を踏まえての、真にその司法書士業務が十分行い得るような司法書士の制度をいかようにすればいいかという、将来のいろいろの問題も含めましてむずかしい問題がございますので、司法書士連合会の方で独自にお考えの案というふうなものはあるんだろうかというふうなことが問題になりまして、いま仰せのとおりに四十八年七月に日本司法書士連合会におきまして改正要綱試案というような、まあいわば案が決定されまして、それを受けましてその後民事局におきまして司法書士連合会といろいろ問題を詰めて議論しておるという状況なんでございますが、問題点の詳細はいろいろございますので、ここでちょっと申し上げるのも時間があれでございますが、いろいろ多種多様の問題が介在しておりまして時間が少しかかり過ぎておりますけれども、それだけ問題がむずかしいということで、今日まだ具体的な詰めができていないという状況でございます。
○佐々木静子君 いまお話にもございましたように、四十二年に司法書士法の一部改正が行われた。そして、そのときに衆議院の法務委員会で国家試験制度を採用するように努力するという附帯決議がお話のとおりあったと思うわけですが、もうすでに九年たっているわけですし、会員の方々はまあ待ちくたびれておるというふうなことで、何とか早く法務当局にも御協力をいただきたいというふうな機運も高まってきていると思うわけです。いま、お話にもございましたように、いろいろとむつかしい問題があるというお話でございますが、まあ根本的に言いますとどのような点で時間がかかっているのか、ちょっと時間もありませんから簡単に御説明をいただいて、そして今後の法務省の方針というものもお述べいただきたいと思うわけです。
○政府委員(香川保一君) いろいろ問題ございますが、そのために時間もかかっておるわけでございますが、一つの問題点申しますと、国家試験制度を採用した場合の最初に問題になる一つの問題としまして、司法書士の事務所を設ける場所、つまり司法書士をどのように全国に配置するかという問題があるわけでございます。大体、いままで国家試験がとられておる制度を見ますと、国家試験に合格すれば当然司法書士になれるという形になるわけでございまして、そうなりますと事務所をどこに設けるかは本人の自由ということになるわけでございますが、そういうことになりますと、どうしても都市に司法書士が集中するという現象が出てくるんではなかろうか。ところが、司法書士の業務から申しますと、現在御案内のとおり全国に千五百ぐらいの登記所があるわけでございまして、この登記所に対する申請手続をするのが司法書士業務の大半でございますが、田舎の出張所、登記所に司法書士が一人もいないということに相なりますと、その地域住民にとっては非常に不便なことになるというふうな問題があるわけでございます。そのようなことで、現在、先ほどおっしゃいましたように、各地方法務局の長が司法書士を認可して、各府県ごとにと申しますか、認可して事務所はここに設けるというふうなことでやっているわけでございます。そういったことが、国家試験を採用すれば一体どういうふうに調整すればいいかというむつかしい問題があるわけでございます。これなんかが一つの大きな例でございますが、それからさらにこれは率直に申し上げますと、現在司法書士になる方の給源と申しますか、人的ソースを見てみますと、法務局あるいは裁判所、検察庁に長年勤務して、その道の実務を十分心得た人が選考試験を受けて司法書士になっておるという者も相当おるわけでございます。こういう人たちはやはり国家試験になった場合でも十分合格できる自信はおありだろうと思いますけれども、その面からやはり国家試験になれば自分たちのそういった将来やめてからの職域が閉ざされるのじゃないかというふうな危惧もございまして、この辺のところも理屈はさておきまして、実際問題として調整しなきゃならぬというふうな問題もあるわけでございます。 それから、根本的に、司法書士の仕事は裁判所、検察庁あるいは法務局、まあ登記所等に出す書類をかわって作成するということでございますけれども、その仕事は実際本人——依来人の言うままに書類を書くというわけにもまいりませんので、やはりそこに法律的な整理をして、本人の意図はこうだということを十分把握した上で、その真の希望どおりの書類を作成するという法律的な事務でもあるわけでございます。そういうことから、いろいろ取引関係あるいは国民の権利保全、擁護というふうなことに相当のかかわり合いを持つわけでございますので、単にペーパーワークの国家試験だけで直ちに司法書士として適格であるというふうなことが言えるかどうかというふうな根本的な問題もあろうかと思います。それやこれやいろいろ問題がございまして、その辺のところは司法書士連合会におきましても十分理解は示しておるわけでございまして、同じような考え方に立ってそれを制度的にどういうふうにまとめていくかというところを現在詰めておるわけでございます。
○佐々木静子君 いまお話を伺いまして、この国家試験の問題は法務省は無論のこと、裁判所その他の各方面にわたって考慮しなければならないということで、慎重に御検討なすっているということ、よくわかりました。そして、日司連の作成したこの司法書士国家試験制度実施要綱も私も実は拝見さしていただいているわけでございますが、これはかなり高く理想を掲げたものであって、現実の問題とするとなかなかこのとおり実現しにくいという面も多分にあるとは思うわけでございますけれども、この法務省のいまの御答弁で国家試験制度を導入するという方向で進んでいらっしゃるというふうに承っていいわけでございますね。
○政府委員(香川保一君) 国家試験の導入は、これは司法書士の資質を向上させる、ふさわしい司法書士を生み出すにはやはり適当な制度じゃなかろうか。現に、先ほど地方法務局長の認可という形には法律上なっておりますけれども、実質的には全国統一の筆記試験もやっておりまして、国家試験に近づけているということから申しましても、法務省といたしまして国家試験制を導入すること自体については大いに結構なことだというふうに考えております。
○佐々木静子君 そうしますと、今後の見通しとして大体いつごろまでに成案を得られるというふうに承ればいいわけでございますか。
○政府委員(香川保一君) 先ほど仰せのように、現に司法書士になっておられる方が全国的に国家試験の導入を強く要望しておられるわけでありまして、これは自分たちのことではない、これからの問題なんでございますけれども、やっぱりそれだけ司法書士制度というものを充実させることについて全国の司法書士が相当強い関心を持っておられ、熱心にその道をさぐっておられるということの証左だと思うのであります。そういうことでございますので、私どもといたしましても方向は同じでございますから、できるだけ早く成案を得て国会に提案さしていただきたいというふうに考えておりまして、今後少しピッチを上げて作業を進めたいと、さように考えております。
○佐々木静子君 この点について、大臣に最後に一言お伺いしたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 民事局長からこの制度についてのいろいろ困難な点を二点ばかり申しましたが、それもやりようによっては解決し得るように私は思うんです。ですから、精力的に作業を進めまして、なるべく早い機会に法案を提出したい、こういう姿勢でございます。
○佐々木静子君 それでは、議題を変えまして、実は昨年の十一月二十二日に在日韓国人留学生の青年十三名を含む二十一名の学生が韓国で逮捕されたという事件が起こっておるわけでございますが、その多くが日本で生まれ、また日本で育った青年たちであり、特に今回の場合には二十一名のうち十数名が関西在住の人たちであるというような状態でございまして、きょうも逮捕された留学生の方々の家族、特に先日死刑の判決を受けましたペク・オククヮン、日本字で書きますと白玉光、あるいは同じく女性で死刑の判決を受けたキム・オジャ、日本語で金五子、その他この間またこれきわめて重刑の判決を受けましたキム・チョルヒョン、これは金哲顕、あるいは十年以上の長期刑を受けた人たちなどの家族がきょうもこうして何とか救済の方法はないものかということで、日夜もう夜も寝ないでみんな心配しておるわけでございますけれども、この事件につきまして、これは外国の裁判所で起こったことでございますので、大変に救援運動といってもきわめてやりにくい状態に立たされているわけでございますけれども、実は四月三十日に本人が、いわゆる彼らの言う北鮮——朝鮮民主主義人民共和国へ行ったということで死刑の判決を受けているペク・オククヮンさんなんかの事実につきましても、昨年の六月十七日から七月十四日まで北朝鮮に渡ったというふうな罪状になっているわけでございますけれども、この間に日本におって彼と一緒であったという証人がたくさんおりまして、大阪弁護士会が中心になり、近畿弁護士連合会もそのことについて取り組み、そのような事実が無根である、事実日本で彼は活動しておったと、仕事に従事しておったというふうなことも調査の結果明らかになって、どうもこれら一連の事件はでっち上げではないかというようなことから、何とか彼らの救済に当たらなければならないということで、多くの——これは在日韓国人の方々ばかりじゃない、日本の方々もいろんな方面で心配しているわけでございます。特に、一例を挙げますと、ペク・オククヮン氏は死刑の判決を受けたわけでございますが、大阪に生まれて大手前高校から阪大を卒業した、あるいはほかの方の経歴を見ましても、十年の重い判決を先日、四月三十日に受けたキム・ジョンテさん——金鐘太さんにしても、大阪に生まれ清水谷高校を出た人であると、あるいは天王寺高校を出た人であるというふうなことで、大阪の各高校を出て国立大学——阪大あるいは大阪市大あるいは同志社大学その他いろいろな大学で勉強して、本国でさらに勉強を続けたいということで、中には日本において博士号も取得したというふうな方々も多くて、日本における在日韓国人の将来の指導者とみなされておった人たちであるだけに、影響するところも非常に大きく、これは単に在日韓国人の人権問題だけではない、日本人全部にわたるこれは大きな人権の問題である。現に、友だちが無実の罪で死刑の判決を受けているということで仕事も手につかずに、たとえば死刑の判決を受けたペク・オククヮン氏の出身校である大手前高校の前などでは日本の友人たちがハンガーストライキということで座り込んでいる、そういうふうな、これはペク・オククヮン氏の問題だけに限らず、大変深刻な事態が起こっているわけでございます。この事柄について、彼らの人権と言いますと、これは母国である韓国が直接の責任を持たなければならないのであることはもちろんのことでございますけれども、この母国へ留学して、韓国の国家権力によってそういう事態が起こっているという事態を考えますと、これらの人たちの人権を守るという手段がない。彼らが日本に生まれ日本で育ち、日本に多くの友人や親戚を持っている。しかも、日本において永住権を持っており、将来また日本のためにも大いに尽くしたいということで、日本の大学を卒業して勉強を続けてきた人であってみれば、やはり日本政府としても何とか考えていただきたいというのか一同の気持ちでございます。そういうことで多くの家族、友人の方々が駆けつけて、きょうもぜひとも無実の者が処刑をされるということを、何とかそういう事態を避けることができるようにと、両親あるいはきょうだいがこうして日夜走っているわけでございますが、たとえば趙得勲という、これもやはり大阪で生まれて清水谷高校を出て、岡山大学を卒業してソウル大学で勉強していた青年などの場合におきましても、昨年の十二月の十二日に冬休みだから日本に帰ると国際電話で言ってきた、そうしてその日に飛行機で帰ってくると思っていると着かなかった。飛行機の旅券が取れなかったのかなと思って、まあ二、三日うちに帰ってくると思っておったところ、なかなか帰ってこないし、その後いろいろ調べてみると、見送りに行った友人の金大成君という人と二人、金浦空港で突然つかまって、いきなり目隠しをされて、そしてどこかへ連れて行かれた。金大成君は結局十日間ほど留置されて放免されたけれども、そういうことで趙得勲君もそのうち帰れるだろうかと、親が首を長くして待っておったところ、なかなか帰ってこない。そうこうしている間に全然音さたもないので、親も心配して日本から韓国に渡って、趙得勲君がどこに留置されているのかということもいろいろな刑務所、留置場を探し回ったけれども、どこにいるかわからないというふうな不安な状態に置かれている。そして、その間同じ時期に同じ方法で、これは熊本県出身の中央大学卒業のイ・チョル——李哲という人が、高麗大学に留学している人が同じ方法で留置され、それがいきなり秘密裁判で四月の二十七日に死刑の求刑を受けたということが報道されるに及んで、李哲さんの家族の方々も、あるいはまだ所在のわからない趙得勲氏の家族の方々も、いままあ気違いのようになってその所在を捜し、もしどこの裁判に係属しているかということでもわかれば、どうあっても弁護士もつけたいということで一生懸命になって捜し回っているけれども、韓国へ渡って幾ら調べてもらちがあかない。そういう不安な状態に置かれているわけでございますけれども、そういういま在日韓国人の上を覆っている、しかも在日韓国人の人権ばかりじゃない、日本の多くの人たちにも波及的に及んでいる人権侵害問題について、法務省の御当局とすると何とかこれは方法がないものか。永住権を持っている日本においてはきわめて善良であった、しかも今度の留学も全部韓国民団の推薦で留学している、こうした前途ある青年たちの人権問題について、大臣に一言伺いたいのでございますが、何とかお力をかしていただけないものであろうか。これは家族のみならず多くの良識ある日本の国民の悲痛なお願いというわけでございますが、大臣、この事柄について何とかお考えをお述べいただきたいと思うわけです。
○国務大臣(稻葉修君) これ、なかなかむずかしい問題ですね。それから、まあ家族等に対する同情、慈悲の情感を持つということはともかくとして、外国におきまして、韓国において、韓国の国内法に違反した者として韓国の刑事訴追を受け、刑事法令に従って裁判を受けた。その裁判についてとやかく日本の法務省、法務大臣として所見をいろいろ述べますことは、同国の裁判に対する干渉にもなりかねませんので、日韓両国のやはり友好等も顧慮すべき問題である。仮に反対の立場に立ってみた場合に、やはりわが国の法務当局、法務大臣としてはあんまり愉快じゃありませんからね、わが国の裁判に干渉がましいことをやられるということは。そういう立場です。ただ、前にも申しましたとおり、佐々木先生のような立場の方が何とかならないものであろうかと、家族もかわいそうじゃないかという人間愛を表明されることは、それはそれとして、私の立場としては外国の裁判に干渉がましいことになることはこの際差し控えたい。ただ、外交上何らかの措置がなされるかどうか、これはまた別問題でございます。以上が私の所見です。
○佐々木静子君 大臣のお考えもわからないではありませんが、やはり日韓の将来の友好ということを考えると、これは単に政府間の友好ということではなくって、国民相互の友好が両国の友好にとっては一番大事なのではないかと思うわけです。そういう意味で、ぜひともこれはお願い申し上げたいと思うが、ちょうど外務省アジア局の方からお越しいただいていますので、いま申し上げましたさしあたりこの所在がわからない趙得勲氏がどこに留置されておるか、そして裁判がどこに係属しておるのかということを早急に御調査いただけるか、そしてこれは新聞にも報道されました大阪弁護士会が慎重に審議した結果、ペク・オククヮン氏がこの犯罪事実とされている北鮮に渡っておったという日時に、日本でいろいろな会合に出ておったというその事実、これは調査書に弁護士会がまとめてあるわけですけれども、これを韓国のしかるべき筋に責任を持ってお渡しいただけるだけの御協力は得られるかどうか、そのことを外務省に伺いたいと思います。
○政府委員(大森誠一君) ただいま御質問のありました第一点につきましては、私ども外務省といたしましても、先ほど法務大臣からも述べられましたように、政府といたしましては他国の内政干渉となるようなことはなし得ないところでございますけれども、在日韓国人の場合は日本に家族の方々が住んでおられますし、またわが国における社会人としてわが国の社会と種々密接な関連を有している方々に関する問題でございますので、私どもといたしましても成り行きに関心を持っている次第でございまして、このような観点から趙得勲氏など行方がわからないという方たちの件については、すでに在韓の日本大使館を通じまして調査中でございます。
○佐々木静子君 後の近幾弁護士連合会の調査事項について、これは外務省として韓国の政府の方にそうした調査事実の書面を責任を持ってお渡し、お取り次ぎいただけるかどうか、その点も重ねて伺いたいと思います。
○政府委員(大森誠一君) 第二点のただいまの点につきましては、現在、日本と韓国の間には司法共助取り決めが存在いたしませんので、先ほど御指摘のような文書がありましても、これを韓国政府に政府として取り次ぐルートはないわけでございます。このようないわば反対の証拠というようなものがあります際には、私どもといたしましては、それは関係者から韓国の弁護士に御送付願って、公判廷で提出されるのが適当なやり方ではないかと考えている次第でございます。第一次的にはやはりそういうルートを通ずるべきであろうというのが、私どもの考え方でございます。
○佐々木静子君 もう時間がありませんので、もちろん韓国の弁護士との連絡は密にとっているわけでございますが、重ねてできるだけ外務当局としても人権を守るための御尽力というものを強く要望して、時間がありませんから私の質問は終わりたいと思います。
○原田立君 法務大臣並びに最高裁当局にお伺いしたいのでありますが、具体的な法案の質問に入る前に、基本的な問題についてお伺いしておきたいと思います。 現状では、裁判官あるいは裁判所の職員が非常に不足しているのではないか、いろいろとこのいただいた資料なんかを見ても、不足しているのが例示されております。これで果たして国民が期待している裁判の運営ができるのかどうか、私は疑問に思うのであります。当然、訴訟の遅延等、国民へのサービス低下を招くことは明らかなのではないか、国民の期待している裁判、国民の期待にこたえ得るための裁判を行うためには、どうしても大幅な人員増員を図らなければ十分なる裁判の機能を生かすことができないのではないかと、こう心配をするのでありますが、基本的問題としてこの人員についてどのように考えておられるか、法務大臣並びに当局より御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 裁判所の機能が物的にも人的にも充実さるべきことは仰せのとおりです。それは結局、国の裁判所に関する予算と密接な関連を持つわけでございます。法務省は、予算の面においてだけ裁判所に最も近い法務行政をあずかるものとして、予算は国会の承認を得て決定するところでありますから、三権分立になっておる裁判所の、いま仰せの機能の増大に関する予算につきましても、法務省がお取り次ぎをするという、俗に言えばそういう立場で尽力しているところであり、今後とも裁判所の独自に御要求になっている年々の予算につきまして、法務大臣として最大の努力を尽くしていきたいというのが私の大まかな所見でございます。
○委員長(田代富士男君) 他に御質疑もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
○委員長(田代富士男君) 引き続きまして、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。稻葉法務大臣。
○国務大臣(稻葉修君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件及び行政事件の適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を七人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件及び行政事件、家庭裁判所における家事調停事件並びに簡易裁判所における民事調停事件及び道路交通法違反事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判所事務官について、司法行政事務の簡素化・能率化に伴う四十八人の減員を差し引いてなお十三人その員数を増加しようとするものであります。 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
○委員長(田代富士男君) 次に、本案は衆議院において修正議決されておりますので、この際、便宜政府当局から修正点について説明を聴取いたします。賀集司法法制調査部長。
○政府委員(賀集唱君) 衆議院における修正の経過について御説明申し上げます。 この法律案は、衆議院において修正議決されましたが、その修正点は附則に関するものでございます。すなわち、附則は「この法律は、昭和五十一年四月一日から施行する。」となっておりますところ、すでに衆議院の段階におきましてその日が経過しておりましたので、附則中「昭和五十一年四月一日」を「公布の日」に改めると修正され、施行期日が「四月一日」から「公布の日」と改められたのでございます。 以上のとおりでございます。
○委員長(田代富士男君) 以上で説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○原田立君 今回の改正案は、下級裁判所における……失礼しました、その前に、先ほど大臣は取り次ぎ並びに充実云々ということを言ったわけだけれども、最高裁当局の方ではまだ御返事をいただかなかったんで、そちらの方の答弁をいただきたい。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 裁判が適正迅速であるためには、裁判所が人的にも物的にも十分充実整備されなければならないのは当然でございます。裁判所に関しまして裁判がおくれていると、おくれているのはやはり裁判官並びにその他の職員が足りないのではないかということにつきましては、常々御指摘を受けておるわけでございます。昭和三十九年に出されました臨時司法制度調査会の意見書におきましても、裁判官の不足ということが言われておるわけでございます。私ども、その後鋭意増員について努力してまいりまして、過去十年間において約二百名程度の増員をしてきたのでございます。もちろん、裁判官に関しまして特に申し上げますと、わが国の法曹人口が限られているといったような問題したがってまた給源が限られているというようなことで、大幅に増員ができないという点がございます。その中においていろいろ努力してまいってきておるのでございます。裁判官の大幅な増員ができないから、できないということもありますので、反面補助機構の充実とか手続の合理化、それから事務処理体制の合理化といったようないろいろな措置も、増員とあわせて種々いろいろな措置をとってきておるのでございます。で、最近事件数がやや横ばい状態になっております。反面、そういったような措置によりまして若干裁判官一人一人の負担は減少しているのではなかろうかというふうに考えられるところでございます。ただ、半面訴訟のおくれという面はなお十分には解消できませんので、その点につきましては今後ともでき得る限り増員並びにそれとあわせまして先ほど申しました補助機構の充実等に今後とも努力していきたい、こういうふうに考えております。
○原田立君 今回の改正案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のための定員増加でありますが、迅速な裁判を促進するということであれば、毎年の増員数から考えると、とても迅速な裁判など及びもつかないのではないかと考えるわけです。たとえば、通常第一審の平均審理期間はここ三、四年を見ると五カ月台から六・五カ月以上とだんだんと延びつつあります。また、裁判官の増員についても臨時司法制度調査会の意見書からは大きくかけ離れた増員しかできておりませんし、しかも二百カ所以上もの裁判官不在庁があることを見ても、欠員が慢性化しているんじゃないか、慢性化していることは明らかなのではないかと、こう思うのであります。このような欠員慢性化を解消するためにも、抜本的に対策を講ずる必要があると思うのであります。どのように対処なさるのか。先ほど総務局長は、給源が不足しているからどうしようもないのだというような言い方をなされておりますが、それでは余り手のないやり方、考え方であって、何とか手の打ちようはないのかどうか。この点をお伺いします。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) ただいま御指摘のように、裁判の審理期間が若干ずつ延びておることは事実でございます。ただ、全体的に裁判の状況を申し上げますと、これは、地方裁判所におけるところの民事事件でございますと、大体一年間に六〇%普通事件が片づいております。それからまた、刑事事件でございますが、これも半年以内に七五%ぐらい処理されておるわけでございますので、特にすべての事件がおくれているということではなくて、むしろ、新聞その他へいろいろ載りますところの特殊の事件につきまして非常に長期化するために、裁判全体が非常におくれているのではないかというふうな印象を一般に持たれているものと思うわけでございます。しかしながら、戦前に比較いたしますと、やはり何といっても裁判がおくれておりますので、その点につきまして、ただいま御指摘のように、裁判官の充足並びに増員といったようなことが一番最善の方法なんでございます。給源がないから仕方がないということで私ども手をこまねいているわけではございません。そうした状況ではございますけれども、できるだけいい裁判官をより多く採るということで種々努力してまいっておりまして、幸い、最近におきましては、この数年間司法修習生から判事補に任官を希望される方が多くなりましたので、これの状況が今後かなりの期間続くということになりますと、裁判所の裁判官も相当程度充実するのではないか、こういうふうな期待を持っておるのでございます。
○原田立君 大臣、先ほどのお話の中に取り次ぎであるとか、あるいは充実させる方向で考えているとかいうお話であったけれども、取り次ぎだなんていうような程度ではなしに、いまも例を挙げて、審理日数がだんだんと延びつつあるということ、これは決して好ましいことであろうとは大臣も思っていないと思うんでありますが、これに対する御所見をお伺いしたい。
○国務大臣(稻葉修君) 裁判がおくれるのは好ましいことではないという点は、もう言うまでもないことでございますね。どうして裁判がおくれるんだろうということについて原田委員からの御指摘もあり、また裁判所側からもいま御答弁があったわけでありますが、結局は、どうでしょうか、人的な給源が限られてはおるかもしらぬけれども、やっぱり待遇の問題もあるのではないかと私は思いますね、処遇の問題。それからまた、員数の不足ということもあるのではないかと思いますね。それで今回の、先ほど御提案申し上げましたような、ささやかなことではありますけれども、員数の増加についての定員法の一部を改正する法律案を提出したわけでございますが、わが国の予算制度の仕組みとして、裁判所の予算の原案は独立の機関たる最高裁判所が全く独自の判断で内閣に提出することとされておりますことは御承知のとおりです。裁判所の予算につきましても、最終的に予算案を作成するものは内閣の責務でありますから、内閣としての意思決定の段階において、法務大臣は閣議の一員として、また裁判所の所掌事務に最も近い関係にある法務を担当する大臣として、裁判所の正当な要求が正しく理解されるよう、そのための事実上の努力を払うことは当然であると思います。単に取り次ぎをしているわけではありません。今後ともこのような立場から一層閣内において努力をしていきたいと、こういうのが私の考えです。
○原田立君 現在の裁判官の陣容では、一カ月に一回か二カ月に一回ぐらいしか審理ができないというように、審理がいわゆる月賦方式で事件を処理する方式になっておりますが、このようなやり方はいわゆる口頭主義が実際上有名無実になってしまう。迅速な裁判の運営を考える上からも、もっと期日の継続あるいは集中審理の強化についても基本的な対策を考える必要があると思いますが、具体的にどう処理されるおつもりですか。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 訴訟の促進のための対策といたしまして、ただいま原田委員御指摘の点でございますが、私どもまことにそのとおりだと思うわけでございます。裁判が継続的に審理されませんと、結局、法廷で弁論がありそれによって心証をとって裁判をするという本来のあり方から離れまして、やはり書面によって裁判をするということになります。したがって、その点判断も遅くなるといった面もございますので、私どももそうした継続審理ということにつきましては、まさにそういうような方向に行くべきであるということで、数年来そのための努力をしてまいっております。その継続審理の点につきましても、現在の刑事訴訟法の規則、それから民事訴訟規則にもそれぞれ明記してあるわけでございます。ただ、長年の裁判の実際のやり方の結果もありまして、急にその方向に行けないという面がいろいろございます。もちろん、裁判所の都合ということもございますが、当事者の側からのいろいろな問題もございまして一挙にそこに行けないという実情でございますが、そういった面等も極力推進いたしまして、訴訟の促進ということに今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○原田立君 大臣、予算面については内閣で責任を持って出すのだ、原案はそれは最高裁が独自でつくるんだと、こういうようなお話ではございましたが、予算面について、お話がありましたので申し上げるのでありますが、国の総予算額に対する裁判所予算の推移を見るに、昭和三十年度が〇・九二%、四十年度が〇・七六%、四十五年度が〇・六一%、昨年の五十一年度が〇・五八%、今年度予算は〇・五六%と、年々その割合が減少の傾向にあるわけでありますが、この点については余り好ましくない状況ではないか。やっぱり、予算の確保については御努力なさっておられるだろうと思うが、もうちょっと努力なさるべきではないか、こういうふうに思いますがいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) そういう御指摘を受けますとね、まことにざんきにたえません。迅速な裁判を受ける権利は日本国憲法に保障された国民の重大な人権でございますからね、そういう点から申しましても、だんだん総予算に占めるパーセンテージが前より減ってきたなんということは、まことに不名誉であります。努力の足りませんことを遺憾に思いまして、この辺でひとつ、ここに最高裁の寺田事務総長もおられますし、総務局長や人事局長がおられますが、こういう参議院法務委員会の席上で手痛い御指摘を受けないように、ひとつ裁判所の方でまず独自に思い切って今度は御要求になってはいかがですかな。要求が少ないものをこっちが増すというわけにいかないですね。〇・五、六%ではしょうないじゃないですか。それを上乗せするというわけには……いかにも予算編成権についての裁判所の独自的な自主性と独立制というものに干渉することになりますので、私も一番もちろん努力しなければならぬ、今後の法務大臣もずっと努力していかなけりゃならぬと思いますが、いまお聞き及びのとおりですから、裁判所の方でもどうぞひとつよろしくお考え願いたい、こういうつもりで、そういうことでございます。
○原田立君 まあ話が横にそれないようにしてもらいたいと思うんでありますが、もと最高裁長官は、年頭の所感で、国の総予算の一%ぐらいは必要との意見を述べておりますが、これは当然だと思うんであります。担当大臣としては、いまもるるお話がございましたけれども、〇・五%台などとはざんきにたえないというようなお話がありましたが、一%ぐらいの予算獲得に大いに努力すべきだと思いますが、大臣の御決意はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 努力いたします。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 裁判所の予算が国の予算の中でどの程度あるのが相当であるかということは、まあいろいろむずかしい問題でございますが、基本的には適正迅速な裁判を実現するのに十分な予算ということになろうかと思うわけでございます。各国の裁判所関係の予算といったようなものも一応調べてはみたわけでございますが、いろいろ制度的に異なりますので、余り正確なデータはございませんが、比較的日本の裁判所と似ているのではなかろうかと思われるのがフランスでございますが、フランスにおきましては、これは若干資料は古うございますが、昭和四十八年におきましては国の予算に対して大体日本と同じぐらいということのようでございます。私ども、予算の獲得には終始努力を続けてまいっておりまするが、その際、ただ単に国の予算に対する何%ということで、すぐさま所要な金額が得られるものではないというふうに考えざるを得ないわけでございます。御承知のように、国の予算は経済の発展に伴いまして、公共事業費とか社会福祉といったようなそうした事業費関係の予算が急激に過去十数年以来ふえております。反面、裁判所関係では特に事業と申しますものはございません。裁判をやるということだけでございますので、片方の経済の発展に伴うところの裁判所のやり方そのもの、ないしは裁判所の事業といったものが特にふえた状況でございませんので、結局裁判所の予算は、本来の裁判の適正迅速に要する経費としてずっとまいっておるわけでございます。したがって、そういうような関係から、国の予算に対する比率というものは、まあ勢い低下せざるを得ないわけでございます。総額において裁判所の予算が十分かどうかという点については、御批判もあろうかと思いますが、私ども今後とも裁判所の予算の充実に努めまして、裁判の適正迅速のために、今後とも予算の面から十分手当てをしていきたいと、こういうふうに考えております。
○原田立君 もう時間でありますからあれですけれども、せっかく大臣は努力すると言っているんです。だけど、田宮局長の話を聞いていると、いろいろ総予算が伸びたんだから、このぐらい、〇・五%ぐらいでもしょうがないんだなんというような言い方をなさるけれども、それは考え方お変えになった方がいいんじゃないですか。むしろ、予算の増額を図って、陣容の、体制を充実していく、そういう努力をしていくと、こう素直に仰せになった方がいいんじゃないでしょうか。何だかいまのお話を聞いていると、いや、もう〇・五%で結構なんだというような、最高裁当局の方がそういうふうな言い方をしている、そう感じる。せっかく大臣は、取り次ぎか何か知らぬけれども、努力すると大いに言っているのに、最高裁当局としては余りにも消極的ではないでしょうか。時間がありませんから、簡単に一言。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほど来、原田委員からいろいろ御激励をいただきました。かねがね参議院の法務委員会において裁判所の予算について御激励いただいておるわけでございますし、また稻葉法務大臣からはたびたび裁判所の予算についても御支援いただく力強いお言葉を賜っておるわけでございまして、私どもといたしまして、必ずしもパーセントにとらわれないということを先ほど総務局長が申し上げたわけでございますが、さようなことも全部含めまして、裁判所の予算が十分充実して、適正迅速な裁判により国民の御期待に沿うように、今後ともなお一層の努力を真剣に続けてまいりたいと、かように考える次第でございます。
○国務大臣(稻葉修君) 法務省は、法秩序の維持それから人権の擁護ということを任務とする役所でございますからね。裁判所は独立とは言いながら、やはり適正迅速な裁判が行われることは一番人権の保護に密接なつながりがあることですから、そういう面で迅速適正な裁判を国民が受けられるように、基本的人権が保護されるように、そういう点に御留意あって、独自に提出される予算ではありますけれども、提出される予算案について、この辺でひとつ抜本的に前進をしてもらいたい、そうならば私も非常に努力しやすいということを申し上げて、私の答弁にします。
○委員長(田代富士男君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(田代富士男君) 速記を起こして。
○橋本敦君 私は、国民のために裁判の充実や迅速化という観点から、決して十分ではありませんがこの法案に賛成をいたしますが、それに関連をいたしまして、裁判官の研修にかかわる問題で大事な問題があると思いますので、質問をさしていただきたいと思います。 言うまでもありませんが、最近、金大中事件やあるいはロッキード事件にも関連をいたしまして、アメリカCIA、こういった問題についての批判がわが国はもちろんアメリカの国会でも国内でも大問題になっております。その関係で、ニューヨークのアルフレッド・クノップ社という有名な出版社ですが、ここから「CIAと謀略信仰」という本が最近出されまして、大変な反響を呼んでおります。この中で、われわれにとっても見逃せない重要な問題が書かれております。たとえば、CIAというのは御存じのとおり対外的な情報収集活動だけではなくて、外国要人の暗殺まで計画するといったことが暴露された大変な機関でありますけれども、CIAの任務についてこの本の中で次のように言っております。「CIAは、アメリカ対外政策の〃秘密兵器〃である。合衆国政府が支配し、影響下におきたい第三国で、隠密な地下工作による内政干渉を行なうのが、CIAの使命なのだ。」つまり、他国の内政干渉、主権侵害、これが使命だと言うのであります。さらに、この本の中で次のように書かれています。「日本などでは「アジア財団」を活動させて、知識人の取り込みをはかった。」こういう記載がこの本の中にあります。ところで、このアジア財団というのがカリフォルニアのサンフランシスコに主たる事務所があって、東京にも日本のアジア財団支部の事務所があり、法人として活動していることは知られているとおりです。このような他国の内政干渉を目的とするCIAの活動の手が伸びているような財団、つまりアジア財団、このアジア財団から資金の援助を受けて、裁判官あるいは検察官が研修を行っているというような事実が仮にあるとすれば、これはわが国司法の名誉のためにも、主権と司法権の独立のためにもゆゆしい大問題だというように言わなければなりません。 そこで、私は裁判所に対してアジア財団から資金援助を受けた裁判官の、あるいは判事補も含みますが、研修に関する資料をこのほど要求をいたしまして、昨日この資料を受け取りました。これによりますと、昭和四十一年から五十年までアメリカに留学ということで出かけられた司法研修所推薦の留学判事補、これが資金援助を受けたということで報告されてまいりましたが、その数は四十一年から五十年まで何と十四名の多きに上っている。 まず最初に伺いますが、このほかにはもうありませんかこれだけで間違いございませんか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 私どもの調べではそれだけでございます。
○橋本敦君 一九七二年のアジア財団の年次報告、プレジデント・レビューがここにございますが、このレビューの百十二ページ、ジャパンと記された日本関係、一九七二年ですから四十七年、この資料では空白になっている部分でございます。この中に、日本関係で法律関係に対する資金援助として、リーガル・トレーニング・リサーチ・インスティチュート、これが四名、アメリカへの留学ということで記されています。この最高裁からいただいたこの資料では判事補の名前はございません。私も名前を個人的に出すつもりは毛頭ございませんが、毎年出されるアジア財団のこのレビューでは名前も具体的に記されています。このリーガル・トレーニング・リサーチ・インスティチュートというのは、最高裁判所の司法研修所のことではないかと私は思って見ているのですが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいま御指摘のアジア財団の報告書に該当するものは、私どものお手元に差し上げました資料によりますと、四十六年の方に該当するのではないかというふうに思うわけでございます。四十六年、裁判所の関係として受けました者は二名でございます。それは間違いないと思います。
○橋本敦君 年次が一年ずれて四十六年にしても、このレビューでは四名あるわけです。ですから数が足りないわけですね。だから、この点は改めてこの資料、後でお見せしますから、御調査をいただきたいと思います。だから、この資料どおりだとすれば、十四名でなくて十六名になってまいります。 ところで、なぜこのアジア財団からこのような資金援助を裁判官がアメリカに留学するのに受けねばならぬのかという問題に入る前に、このアジア財団というのはどういうものかということについて明確にしておきたいと思うのです。 このアジア財団の定款を私の方で取り寄せましたが、この定款でアジア財団の基本目的が記されていますが、このB項あるいはC項、これを読んでみますと、朗読は省略しますけれども、要するに、アメリカとの共通の政治的な目的を達成するために必要な協力と協同関係の強化促進、これがこのアジア財団の基本的な目的だと言って差し支えない、こう考えられるわけです。したがって、かつてわが国に駐在した大使であったライシャワー博士、あるいは南ベトナムのバンカー大使などがこの財団の理事として就任されていた事実も、この資料から明らかになってくるわけです。こういうようにして、このアジア財団が米国の政策目的に従った活動を行うということを基本にしながらやっている中で、CIAの資金援助ということがこの財団になされていたという事実が大問題になった。これが昭和四十二年です。このアジア財団がCIAの資金援助を受けていた財団であるという事実は、裁判所当局としては御存じだったんですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まず、その前に、先ほどの四名という点と私どもが二名と申し上げました点の食い違いでございますが、後ほどさらに調査はいたしたいと思いますが、その二名は弁護士さんではなかろうかというふうに思います。裁判官としては二名、これは間違いないと信じております。 それから次に、アジア財団の目的としておるところでございますが、御指摘になりましたように、いろいろと目的は掲げてございますが、これを要するに、日本とアメリカ、日本とは限りませんけれども、アメリカとの間の相互の尊敬と理解に基づいてお互いに協力関係を樹立するということが、大きな大前提の目的になっておるというふうに承知をしてきておったわけでございます。 御指摘の昭和四十二年ごろアジア財団の資金の一部にCIAからの金が流れてきておるのではないかということが言われまして、その点国会でも御質問があったということは当時の状況としては十分に承知いたしております。しかし、その後、私どもも事が事でございますので、アジア財団のそういった資金関係につきましては、私どもといたしましてはあとう限りの調査をいたしたわけでございますが、具体的な活動の中に入っております司法改善のためのアジア財団の援助といったような関係におきましては、昔も、またその後における状況においても、CIAの資金とは全然無関係であるというふうな結論に達しましたので今日に至っておった、こういうことでございます。
○橋本敦君 せっかくですが、いまの答弁、私は納得できないと思いますね。 アジア財団にCIAの資金が提供されていたという事実、これがアジア財団全体として資金の提供を受けていたという事実、これは、お認めになるわけですね。しかし、司法関係にはその金は流れていない、こういう趣旨に聞こえたんですが、そういうことですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) CIAからの費用がどういう形でアジア財団に入っておったのか、あるいは入っていなかったのか、その辺のところについては私どもとしては最終的にはつまびらかにすることはできませんでした。しかし、少なくともそれがどうであるにしろ、司法関係では全然無関係である、こういうふうに理解したわけでございます。
○橋本敦君 それはしかし調査が不十分ではありませんか。当時このアジア財団では、サンフランシスコでこの問題か提起をされて緊急執行委員会が開かれて、そしてCIA資金を受け取っていたという事実を財団本部がこれを認めて公表したという報道があるわけですよ。それを裁判所がどういう方法で、人をやってお調べになったのか、東京の財団でお聞きになった程度なのか、外務省を通じて調べられたのか、それはその当時の調査方法として問題がありますけれども、アジア財団自身の執行部が財団にCIA資金が提供されていたということを認めたという報道があるというのは、これは重大な問題ですよ。だから、その点は、いま人事局長つまびらかにできませんでしたとおっしゃるが、つまびらかにならないより、そのように報道されてるんですよ。だから、アジア財団にCIA資金が入っていた事実は、これはあなたが幾らお調べになったとおっしゃっても、入っていたという疑いが残っていることは間違いないんです。本当に調べようと思えば、CIAの関係についてアメリカへ行って本当に当時調べたのか、そこまでは私はなさってないと思いますよ。だから、そういう意味では、このアジア財団にCIA資金が入っていたというのは、これは、軽々に、あなたがおっしゃるように、調べた範囲でわからないというようなことで済まされない大問題なんですよ。なぜかと言えば、私がさっき言ったようにCIAというのは大変な機関だからです。宮澤外務大臣も予算委員会でCIAの活動はわが国では一切認められないと答弁されていることからも明らかですね。私は、裁判所や検察官がCIAの息のかかったというようなところと関係がある、研修についても何にしても関係がある、これはもう大問題だと思っているんですよ。絶対にこのようなことがあっちゃならぬ、わが国司法の名誉と権威にかけて。だから、矢口人事局長が調べたけれどもつまびらかでなかったと、それだけで終わってはならぬ。こんなところから資金援助を受けるということ、CIAとの関係で疑いが指摘されたところから、資金援助を裁判官か受けて研修する、これは絶対にやっちゃならぬ、これぐらい強い気持ちで私は質問しておるんです。これが私は日本の司法に対する名誉にかかることだと思うからですね。ところで、いまあなたはそうおっしゃったけれども、私が聞くように、当時本当にびっくりして飛んで行って、サンフランシスコに行って、その執行委員会あるいはプレジデントと会って確かめられたのかどうか、そこまでやっておられないでしょう。これだけは確認しておきます。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 渡米いたしまして本部について調べるということまではいたしておりません。
○橋本敦君 だから、そのような程度で資金が流れていたことはつまびらかでないというようなことで軽々に過ごしてはならぬです。現に、このアジア財団が活動する上でどういうような収入が活動の基礎になっておるか、矢口人事局長御存じですか。大部分を占めている収入はどこから出ておりますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 必ずしも最近のものではございませんが、ちなみに四十八年の資金関係を見てみますと、約七百万ドルの収入のうち、政府援助が五百八十八万ドル、民間からの寄付が六十六万ドル、財団基金が残り四十七万ドル、そういう状況でございます。政府からのものといたしましては、国務省の教育文化局というふうに承知いたしております。
○橋本敦君 もっと新しい資料で、たとえば一九七三年の年次報告を見てみますと、総収入六百二十九万ドルのうち、アメリカの政府関係機関からの補助金が五百六十七万ドル、約九割近い金になっている。一番新しい一九七四年のレビューによって見ますと、歳入五百五万ドルのうち四百七十万ドル、これが同じくアメリカの政府機関からの入金なんです。パーセンテージで言えば九三・〇七%。だから、つまり通常の活動業務にかかわる資金は大部分がアメリカ政府機関からの金だというのが、年次報告自体から動かしがたい事実です。そうして、この金が、アジア財団の七四年度の日本文に訳された「会長年次報告」という文書がここにありますが、どういうふうに記されているかと言いますと、「この資金は、主として合衆国国際開発機関よりの交付金でまかなわれています。」と。いま局長は、古い資料で文化局ですか——からの資金だとおっしゃった。今日ではアメリカの国際開発機関、ここからの「交付金でまかなわれています。」と財団自身がはっきり書いているのですよ。そして、この金は「二百五十人のアジアの人たちにたいし、セミナーやワークショップや視察旅行など、公私の教育や訓練の機会における技能の研修の援助をしました。この種の援助を可能にした金は、合衆国国務省をはじめ、サンフランシスコ財団、その他多くのところから出ています。」つまり、国務省がこのアメリカのアジア財団に対する補助金の支出には直接関係をしておるし、そうして具体的には国際開発機関から出されている。まさに、アメリカの政府機関、国務省といえば御存じのとおりキッシンジャーが長官ですが、アメリカの対外政策を推進するアメリカの主要部門、ここから出された金が九〇%以上を占めている、こういうアジア財団ですよ。こういう、まさにそういう意味では民間の私的法人を装ったアメリカの政府機関の自主的には一つの対外政策機関だと言ってよろしい。だからCIAの金が流れ込んでいるということは、いまでも疑いがあるのですよ。いまでも疑えば疑いがある。そういうところから、裁判官、判事補が出張されるのについて、何と十年間に十四名もの判事補が資金援助を受けておられる。これは大問題ではありませんか。 その受けている援助を見ますと、米国内を視察をなされるのにその旅費の援助を受けた、あるいは四十九年、五十年になりますと、往復旅費、つまり日本から留学する往復旅費、これまで援助を受けた、こうなっている。ところが、裁判所からいただいた資料によると、これは留学する人が個人的にアジア財団から旅費の援助を受けたものだと、こう記されている。留学するのにアメリカに往復する旅費が出ないのですか。出ないからこの援助を受けるのですか。この関係を説明してください。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まずその前に、国際開発機関からの金が出ておるということは、私どもそのように、金額は別といたしまして承知をいたしております。ただ、これはもっぱら低開発国向けのものでございまして、日本はそれには入っていないというふうに実は承知をいたしておるわけであります。まあ、そういう向こうのことでございますので正確にはお答えいたしかねますが、そういった用途を指定したような、ほかでも政府から出ておるのではないだろうかというふうにこれまで考えておったわけでございます。ただ、御指摘もございましたので、さらにそのような点につきましては今後も検討いたしてみたいと思っております。 そこで、裁判官が留学をいたしますについて、ただいま御指摘の十四名もの者が行っておるのに旅費が出ないのかという点でございますが……
○橋本敦君 往復旅費の援助を受けた方について説明してください。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) この、お手元に差し上げました資料をごらんいただいてもおわかりいただけるかと思いますが、昭和四十六年までは、これは米国内の旅行等の費用に使った金として支出を受けておるわけでございまして、往復旅費ではございません。 じゃ、その間はどうしておったかということでございますが、実は、若い裁判官の留学のこの制度の当初にさかのぼって御説明を申し上げなければいけないと思いますが……
○橋本敦君 時間が余りないので、簡単にやってください。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 結局、これは三十三年ごろから始まった制度でございますが、大学に留学をするということで、各大学から授業料あるいは生活費等についての援助というものがあったわけでございますが、旅費の点については援助がございませんでした。そこで、各裁判官が非常に御希望があったものですから、当時、フルブライト委員会等による旅費の支給を受けて行っておられる。そういうことでこの四十六年ごろまではフルブライト委員会の旅費の支給を受けておった。しかし、そういうものが非常に窮屈になってまいりまして、よく実は存じなかった面もあって恐縮なんでございますが、往復旅費というようなものをアジア財団からもらわれるようになった、こういうふうに承知いたしております。
○橋本敦君 アメリカ国内の視察を、見識を広め学習するためになさることを私は否定しません。だけど、アジア財団からの資金の援助をもらって米国内を視察する、こんなことはやめるべきですよ。さらに、往復旅費まで四十九年、五十年、アジア財団からの支出を受けて裁判官がアメリカに研修に行く、これは諸外国から聞いたらどうでしょうね。独立不覇であるべき裁判官が、かつてCIAと問題になり、いまでもアメリカの多額の政府機関資金援助によって活動している機関から往復の旅費まで受けて留学をする。私はこれは日本の司法にとってあるべき姿ではない。だれが何と言おうとも、こんなことはやめねばならぬ。私はそう思いますよ。しかも、私が指摘したようにこのアジア財団、もっともっと深く調査しなきゃならぬ、機関なんですよ。そういうときに、今後ともこのような研修を、アメリカに裁判官が留学される際に、アジア財団から往復の旅費まで受けてやることを事務総長、容認されるでしょうか。私はもう断固これを打ち切るべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 先ほど来、橋本委員のお尋ねに対して、人事局長からるる御説明申し上げました。実は留学の関係については、さらにもう少し御説明申し上げたい点もいろいろあるわけでございますが、時間の御都合もあるようでございますので、それは省略いたしますが、いろいろアジア財団については世上問題になっておるところでございますので、ただいまのお話を十分踏まえまして、今後はその方向に考えてまいりたい。率直に申し上げますれば、財団からかような援助を受けない方向で考えてまいりたい、かように考えております。
○橋本敦君 絶対にアジア財団から金を受け取って、そのお金の援助で裁判官が留学するような、まあ言ってみりゃ低開発国並みのことはやめてください。これはもう裁判官が研修の必要があれば、人数減らしてでも予算を取って行くべきです。私はそのことを強く希望すると同時に、いまの局長のお言葉が実現されることを強く期待をして、一応裁判所関係の質問を終わりまして、大臣に対する質疑を引き続きやらしていただきます。裁判所関係ありがとうございました。 稻葉法務大臣、いまお越しになったところで、議論を聞いていただいていないので恐縮ですが、私がこの法案に関連をして裁判所に申し上げたのは、かつてアメリカのCIA資金が流れ込んでいたということで問題にされたアジア財団、このアジア財団から資金援助を受けて裁判官が留学なさるようなことは、わが国司法の名誉と司法権の独立のために、ぜひともやめていただきたいということを申し上げたんです。ところが、この財団の資金援助でアメリカヘの留学ということになりますと、法務省の方も受けておられるわけなんですね、法務省の方。私は法務省から、資料の要求をいたしまして昨日いただきました。これによりますと、アジア財団の資金援助を受けてアメリカに留学された検察官が三名ございます。一人は法務省刑事局付の検事、これが昭和四十一年から一年留学されました。二つは、前橋地方検察庁の検察官、これが四十四年から一年留学をされました。もう一つは、法務大臣官房訟務部付の検察官、これが五十年から五十一年六月、まあいま行っていらっしゃるわけです。留学されております。これはいずれも公務出張ということで行かれていることは、この資料で公務出張ということに記載されていますから間違いありませんが、援助を受けた額はいずれとも不明となっております。裁判所の関係では援助を受けた内容は御説明資料でいただいたのです。法務省ではこの三人の留学について不明のままでは私は納得できませんので、どのような援助をアジア財団から受けられたのか、さらに調査をしていただけませんでしょうか。
○国務大臣(稻葉修君) いま初めて伺うことですから、調査をします。
○橋本敦君 法務大臣、先ほども私は申し上げたんですが、アメリカのCIAの活動については、いまわが国やあるいはアメリカでも、世界でも厳しい批判がございます。宮澤外務大臣は予算委員会でアメリカCIAのわが国内における活動は認めないと、はっきり言明されました。特にこのCIAが外国における謀略活動をやるというだけじゃなくて、内制干渉を目的とした活動を文化、教育あるいは政治いろんな面でやっているということが、CIA関係のアメリカの本からどんどん入ってきているわけですね。そこで、法の執行をあずかる大事な任務を持たれる法務大臣として、アメリカCIAの活動をわが国内においてお認めになるかならないか、その点を所信をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(稻葉修君) 認めるわけはないじゃありませんでしょうか。
○橋本敦君 もっともだと、私も当然そうだと思います。認めるわけは、それは法務大臣ないでしょう。ところが、いま言ったように、アメリカCIAの資金が、実はこのアジア財団にも提供されていたということが、昭和四十二年ごろから問題になっておるんですね。このようなアジア財団の資金援助を、問題になった昭和四十二年以後四十四年、そして昨年と、検察官が留学なさるのにアジア財団の資金援助を受けなければ留学できないんでしょうか。これはちゃんと国の予算を取って、検察官に必要な海外研修ということでおやりになっているはずだと思うのですが、資金援助を受けなければ留学できないというのはおかしい。しかも、このアジア財団のようなところから資金援助を受けることは、これは検察の名誉にかけてもやめるべきではないか、私はこう思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(稻葉修君) 昭和四十二年にアジア財団からの資金援助の問題が国会で論議されて以来、同財団から資金援助を受けないように措置してきたのでありますが、今回調査したところでは若干の職員が先ほど御指摘のとおり、なお当省の関知しないうちに個人的に同財団から援助を受けていたことが判明いたしました。不愉快であります。お尋ねのように同財団にCIAの息がかかっているかどうかは即断するわけにはまいりませんけれども、先ほど述べましたように、国会の場においてこの問題が取り上げられたこともあって、当省としては世間の疑惑を招くことのないよう、同財団から援助を受けないように措置してきたところでありますが、今後一層こういう点について注意をします。
○橋本敦君 注意をしていただかなきゃなりません。なりませんが、法務省かこの財団から資金援助を受けて行ってはならぬというように注意なさっているのに、現職の検察官お二人までが、四十四年と言えば国会で問題になってまだ新しいです。そして昨年。なぜこういうことになるのか。これは規律の問題にかかわりますよね。しかも公の出張旅費は出ている、公務出張ですから。はっきり公務出張と書いている。それに個人的にこのような援助をお受けになるということは、これはどうなんでしょうか、規律にかかわりませんか。私はこの個人的な検察官の規律を明確にせよとは要求しません。いま大臣がおっしゃった今後ないようにしたい、きわめて不愉快だとおっしゃる、絶対にないようにしてもらわねばならぬ。絶対にないようにするという大臣の決意を改めてお伺いをいたすことができれば質問を終わります。
○国務大臣(稻葉修君) 絶対にないようにいたします。
○橋本敦君 終わります。
○委員長(田代富士男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(田代富士男君) 速記を起こしてください。
○寺田熊雄君 官房長官、村上現最高裁長官が、この五月二十三日で満七十の定年に達せられるんですが、御存じでしょうね。
○国務大臣(井出一太郎君) 私も、そのようにうかがっております。
○寺田熊雄君 そこで、当然後任の人事が考えられるわけですが、いま現在は選考中と承ってよろしいでしょうか。
○国務大臣(井出一太郎君) 総理の頭の中にいろいろ構想はされておるんではないかと、これはそばから察しておるのでございます。
○寺田熊雄君 現在、法律的には長官は、内閣の指名に基づいて天皇が行うことになっておりますね。これは憲法の六条二項、それから裁判所法の三十九条一項ですけれども。内閣における長官及びその他の最高裁判所裁判官の選任に関する担当の大臣はだれだということで、実は私、村上現長官、それから石田前長官、それは直接お目にかかりましてお伺いしたんですが、それから横田前々長官にも電話でやはりお伺いしたところが、内閣官房長官だと、法務大臣ではないんだというお話だったので、きょう御出席願ったわけなんですが、大体そういうふうにお伺いしてよろしいわけですね。
○国務大臣(井出一太郎君) その辺、きちんとしておりますかどうか、私は、いまおっしゃる憲法六条、これから敷衍して考えますと、内閣という表現でございますね。したがいまして、これは内閣総理大臣に属するというふうに思うのでございまして、私の立場はその補佐役みたいなことでございますから、何か総理から下問があれば、何か状況をお伝えするくらいのことはいたしますけれども、どうも官房長官がその選任をというようなものではないのではないでしょうか。
○寺田熊雄君 法務大臣に若干御遠慮あるんでしょうけれども、最高裁の一貫したお考えというのですか、やはり戦前は大審院も司法省の管轄下にあったような形でしたが、そういう形は新憲法下の現在では好ましくない。まあ独立しておるということなんでしょう。それで直接総理とつながる。その窓口は官房長官と、こういう構想なんだろうと思うんですがね。大体そういうふうに伺ってよろしいんでしょう。
○国務大臣(井出一太郎君) 寺田先生、表の方をおっしゃる。私は裏の方を答えるというふうなもので、まあ方向としたらそう変わらないと、そういうふうに御了解願います。
○寺田熊雄君 現在、最高裁の長官及びその他の裁判官の任命資格、これは裁判所法の四十一条に規定がございますね。一般的には識見が高いこと、それから法律的素養のあること、四十歳以上の者であること、ということが要件になっております。しかも、そのうちの十人については、さらに厳しい法律的な教養というものが要求されており、これも官房長官御存じでしょう。
○国務大臣(井出一太郎君) さように承知をしております次第でございまして、まああえてお答えをすれば、裁判の権威は国民から絶対の信頼を得られるようにありたいわけでありまして、したがって、最高裁判所の長官の人事につきましては、円満なる常識、高い識見と法律の素養、そして国民の皆様が御納得のいく人を選びたいと、こういう考え方の上にこれまでの最高裁長官は選考されておると、このように心得ております。
○寺田熊雄君 まだ私がお尋ねする前に、大変行き届いた御答弁があったんですが、いま申し上げましたように裁判所法四十一条の規定が果たして従来、この裁判官選任人事の場合に現実に守られているかどうかということになりますと、多少疑いがないわけではないわけですね。たとえば任命後、大急ぎで司法研修所で使用されている一切のテキストを取り寄せて、にわか勉強にかかったというような方もおられたんですね。 それから、何よりも私どもが懸念いたしますことは、内閣と言ってもまあ戦後ずっと一貫して自民党内閣が続いておりますので、自民党内閣の好む政治的な傾向と言いますか、そういうものを持つ人であることが選任の条件とされたような印象を国民に与えたこともあったように思うんです。しかも、その選任される裁判官が、従来も下級裁判所の裁判官でありました場合には、その実際に下した判決の結果でありますとか、その判決の傾向であるとかいうことまでも調べた上で任命しているというようなことが、真偽はわかりませんが、そういうことが取りざたされたこともございます。そこから、まあいわゆる最高裁の右寄りであるとか、政治的偏向であるとかいうようなことを指摘する人もあったんですね。私は、そういうことはあってはならない、最高裁はあくまでも政治的な偏向がなくて、まあ私ども革新の者から言いますと、もうちょっと左であってほしいと思いますけれども、いま現在、そういうことを期待できませんから、せめて政治的な中道を歩む中正のものであってほしいというのが私どもの願いなんです。これについて、官房長官どのように考えられますか。
○国務大臣(井出一太郎君) 非常に重要な人事でございますから、裁判官の選考に当たっては十分気をつけまして、さきに私が申し述べたような方針のもとに従来対処してまいったことと思うんでございます。そしてまた、いままでりっぱな人が選任をせられてきたと、こういうふうに私どもは承知をしておる次第でございます。
○寺田熊雄君 官房長官、非常に善意にお答えになっていらっしゃるんでありますけれども、最高裁の国政の上に持つ重要性、とりわけ法の合憲性の判断を最終的に決定する権限を持っているという重要性を考えますと、その裁判官の任命はいやが上にも適切かつ公正に行われてほしいと私ども思います。ことに、その長たる裁判官ですね、最高裁判所長官は大法廷の裁判長でもありますし、判例の形成にも各裁判官は独立不覇であるといっても、やはり大きな影響を持つというように私どもは考えております。ことに、裁判官会議の議長でもありますし、直接総理に向かって人事についての意見具申ができる地位にもありますし、その任命の適、不適というものは国政や国民生活に非常な影響を持つと思います。ことに、最近非常にやかましい司法の独立でありますとか、基本的人権の擁護でありますとか、あるいは裁判の公正保持というようなものに大きな影響があるように思うんですね。ところが、現行法制上その選任が内閣の一存に任されておりますね。いま官房長官おっしゃいましたように、もう総理の頭の中には特定の人間に関しての構想をお持ちのように思われるというふうにおっしゃったように、総理大臣の一存といいますか、意思が非常に大きくそこに働きますね。ところが、私ども考えますと、いままでにも総理大臣が至公至平、神のような人であればいいんですけれども、そういうことはなかなか期待しがたいわけです。ことに、いろんな雑音に左右されて自主性を喪失しがちな人もまあ現実にあるわけですね。そこで、非常に心配をするわけなんです。過去にも、たとえばある自民党実力者が前の石田長官のことを、おれが任命してやったんだなんていう不遜な言を吐いていることも聞いたことがあります。それから、まあ総理に影響を与える実力者に向かって、なりたい人が運動をしたというようなことも聞いておるんですね。そこで、やはりこの任命に当たっては内閣の独断とか恣意とかいうものを防いで、その公正さを担保するような制度的な保障というようなものが、この法務委員会でも非常に論ぜられておるようですね、従来。これについては官房長官どんなふうにお考えですか。
○国務大臣(井出一太郎君) ただいま、総理の頭の中に特定の人がということでございますが、まだそこまでは熟しておらぬという点をまずお断わりをいたしておきます。 それから、ただいまるる最高裁の長官の資格といいましようか、かくあるべき理想像、こういうことにお触れになりましたが、私も全く同感でございます。 そして、いま総理大臣一人の考え方のみでなくて、もう少し広くというふうなお考え方をお示しになり、またこれは法務委員会でこういう話題もしばしばお出しになられておることも私承知をしております。ただ、これにつきましては最高裁の裁判官の選任の権限が、憲法でもって内閣に与えられておる。そしてまた、国会によって信任を受けた内閣がその全責任においてこの権限を行使すると、こういうたてまえこそが憲法の趣旨に一番よく適合しておるものであろうと、こう考えておる次第でございまして、それゆえにいままでも最高裁判所の裁判官の選任に当たりましては、内閣はその地位の重要性、重大性を十分認識をして、常にこれにふさわしい人材を選んでまいっておりました。この人選は従来から国民の信任を得ておるものであると、こういうふうに考えておる次第でございます。したがいまして、お尋ねのような何かこう制度的な、あるいは諮問委員会とでもおっしゃいますか、そういう考え方はございません。
○寺田熊雄君 そうなりますと、ますますもって内閣の独断とか恣意とかいうものを防ぐ必要が大きくなるわけなんですが、たとえば裁判所部内から裁判官を、最高裁判所の裁判官を選任する場合でも、何人が十分な法律的素養や識見を持っておるかと、また人格が高潔で部内に信望があるかというような、そういう個々の人間関係については内閣でわかりませんわね。だから、どうしても最高裁長官によって代表せられる最高裁側の意見を聞いて、それを十分に尊重するというような必要性が出てまいると思うんですが、その点は官房長官としてどんなふうにお考えになりますか。
○国務大臣(井出一太郎君) もちろん、いまおっしゃるように裁判所側の御意向というものは、これは一番重要な要素として尊重しなければならぬ、従来もそういうたてまえで推移をしてきておるであろうかと、こういうふうに考えております。
○寺田熊雄君 私も村上長官にお会いして御意見を伺ったんですが、最高裁の長官はその能力、法律的な素養でしょうね。その能力とか、それから人柄のよさとか閲歴とか、そういうものが三拍子そろっていないとやっぱり都合が悪いというような御意見で、これはきわめて当然な御意見だと思うんですけれども、そういう御意見のようであったように思います。この問題で村上さんだけでなくて、石田さん、横田さんなどのお話を伺いますと、それぞれニュアンスを持っているわけです。それで、積極的にこういう人物が望ましいというような意見を総理あるいは官房長官の方に申し上げるというようなトーンを持つ表現と、それからまあ総理や官房長官の方から意見をたたかれたときに、好ましければもちろん同意するけれども、好ましくなければ再考慮を求めると、翻意を願うと、そういうパッシブな態度でおると、多少そういうニュアンスはありますけれども、何にしましてもね、具体的な人事に関しては最高裁側の意見というものがよく内閣に届いて、内閣は十分それを尊重していくということが実際上の慣例のように思われるんですね、私には。官房長官、そういうふうに伺っていいでしょうか。
○国務大臣(井出一太郎君) まだ具体的に最高裁側の御意見が伝わってきておるというのではございませんが、恐らくまだ日もあることでございますので、これからそういう機会もあろうかと、こう思います。そしてその場合、そういった裁判所側の御意見とそれから内閣の側とそごしないように、一致することが一番望ましいと、こう考えてそれを願っておるという次第でございます。
○寺田熊雄君 いままでの任命のことについていろいろお伺いいたしますとね、大体その任命の一週間ぐらい前ごろには内定しておるように思われるんです。これは私、相当確実にそういうことを伺っておるんですが、もうきょうがあれでしょう、十一日。一週間というともう二十三日に定年になりますから十七日ぐらいまでには内閣の御意思というのは最終的な決定を見ないといかぬようにも思うんですね、それは規則ではないですけれども。そうしますと、よく最高裁側とも打ち合わせをされて、その人事が公正かつ適正であるように、官房長官に十分補佐していただきたい。ことに、政治的な偏向のない中正な人を御選任になるように、十分その補佐の責任をお尽くしいただきたいと思うんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(井出一太郎君) ただいま御発言のありましたように、これから取り進めてまいりたいと、かように存じます。
○寺田熊雄君 じゃ委員長終わります。官房長官どうも御苦労さまでした。
○原田立君 先ほど大臣に質問をして、若干まだ残っておりますので、最高裁側に質問したいと思います。 先ほども質問したのと同じように、人員の不足は明らかでありますが、裁判所の運営に支障のなきよう十分なる努力を切望するものであります。 そこで、今回の改正案の提案理由の説明によりますと、「下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のため、判事補及び裁判官以外の裁判所の職員の定員を改める」となっておりますが、判事補七名、職員十三名の増員に至ったいきさつについて簡単に御説明願います。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 今回の判事補七名、それから裁判官以外の裁判所職員の増員でございますが、この内訳は、お手元に配付の資料の十五ページに出ておりまして、判事補七名のうち三名は地方裁判所におきますところの特殊損害賠償事件、これは公害事件その他日照権とか欠陥自動車の事件といったような、そうしたものを特殊損害賠償事件と言っておりますが、この事件が最近ふえておりますので、これについて三名。それから、地方裁判所におけるところの行政事件、これは租税関係とか公務員関係とかいったような、それから行政処分に対する訴訟でございますが、こういった訴訟が最近かなり長引いておりますので、その関係の審理の促進を図るということで四名でございます。 一般のその他の職員は裁判所事務官でございますが、ここに掲げてあるとおりでございます。判事補の増員の理由となった特殊損害賠償事件、行政事件の処理のほか、家庭裁判所におきますところの寄託金事務、これは離婚その他家庭裁判所で審判、調停等ありました場合に、たとえば養育費の支払いといったような問題につきまして、これも直接当事者間で受け渡しをしないで、裁判所が中に入ってその受け渡しをするという、こういう事務でございます。この事件の処理。それから、家庭裁判所、簡易裁判所におきますところの調停事件の処理のためでございます。調停事件も四十九年の十月から調停法が改正になりまして、調停事件の処理の充実ということで、昨年もこの点の手当てをしてまいりましたが、本年もこの程度の人員に増員ということでございます。そのほか、簡易最判所におけるところの道路交通法違反事件、これもかなりふえておりますので、昨年に引き続きまして一般の職員をふやすということでございます。ところが、反面におきまして、この資料の「1」の「備考(7)」にございますが、政府におきまして人員の削減計画というものがございますので、裁判所はもちろんそれに拘束されるわけではございませんが、それに協力をするということで、簡易裁判所におけるところの司法行政事務の簡素化、能率化に伴うところの四十八名の減員ということで、差し引き純増十三名ということに相なった次第でございます。
○原田立君 いま御説明いただきましたが、まず裁判官の増員についてお伺いいたします。 提案理由の説明にある「地方裁判所における特殊損害賠償事件及び行政事件」の「適正迅速な処理を図る」ため、判事補を七名増加したということでありますが、特殊損害賠償事件処理のための増員は、昭和四十六年度十二名、四十七年度四名の増員の後、四十八年、四十九年、五十年のこの三ヵ年間は増員されておりません。一方事件数は、四十七年度千七百六十一件に対して四十八年度が二千百七件、四十九年度が二千三百九十四件と大幅な増加を示しておるわけでありますが、事件が増加しているにもかかわらず昨年までの三ヵ年間増員しなかった理由は一体何であったのか、また今回特に増員した理由は何であったのか、お伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 特殊損害賠償事件の処理の関係につきまして、従来からの増員の点はただいま先生から御指摘のとおりでございまして、昭和四十六年、四十七年に裁判官の増員をやっておりますが、四十八年から昨年までは増員をやっておりません。その理由でございますが、この特殊損害賠償事件は、その事件の種類はお手元に配付の資料の二十五ページの備考のところに載っておるような事件でございます。当初、これらの事件は非常に複雑困難であるということで、合議事件でこれを処理するということを考えたわけでございます。したがいまして、合議体を構成する——合議体をふやすといったような意味から、その左陪席に当たりますところの判事補の増員を四十六年、四十七年で合計十六名の増員をやって合議体の充実を図ってきたわけでございます。そのような手当てをいたしました結果、これらの公害事件、その他特殊損害賠償事件の処理のやり方等についてある程度軌道に乗ったと申しますか、当初はいろいろまごついたわけでございますが、いろいろそのやり方等について工夫がなされまして、その反面、これらの特殊事件の場合には自然科学上の知識が必要であるとか、また因果関係の点について科学的な究明が必要だといったような特殊な面がございますので、その辺のところをたとえば協議会を開いて担当の裁判官同士いろいろ協議していただくとか、自然科学の研究会を開いてお互い同士知識の交換をする。それからまたは、そうした自然科学面におきますところの専門家からの講演を聞いて知識をふやすとか、または専門図書をそろえるとか、能率器具をそろえる、そういうようなことでさしあたりやっていけたのでございます。裁判官以外の職員につきましては、四十八年から五十年までも逐次増員を行っております。ところが、また最近に至りまして各種特殊損害賠償事件が非常にふえてまいりましたし、またかてて加えてその内容等も非常に複雑、困難化してまいりましたので、この際、さらに合議体を充実するということで、判事補の増員をお願いしている、こういう次第でございます。
○原田立君 確かに判事補の増員は必要でありますけれども、御提出いただいた法律案関係資料の十六ページで見てみても、下級裁判所の裁判官の欠員数を比較しても判事が八十六名に対して判事補六名、簡裁判事は二十二名の欠員となっておるわけでありますが、この数字は昭和五十年十二月一日現在のものであり、現在ではこの数字に多少の異同はあろうと思いますが、今回の改正ではむしろ判事の増員を図ることか必要ではなかったのか。それを判事補七名の増員にした理由は何であったのか。また、現在の下級裁判所の裁判官の欠員の実態は一体どういうふうになっているのか、お伺いしたい。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官を充実していかなければいけないということにつきましては、先ほど来御説明を申し上げておるところでございますが、現実の問題といたしまして、どの程度の充員が可能であるか。また、可能であるとしてもその可能なところは判事のところであるか、あるいは判事補のところであるか、簡易裁判所判事のところであるかということは、供給と申しますか、裁判官の任命の源となります資格者の有無と、希望者の有無といったところにかかってくるわけでございます。そこで、昨年の十二月の欠員状況を見まして、それ以降におきますこの四月までの裁判官のさらに増減の事由というものをしさいに検討をいたしました。その結果、判事補が十年たちまして判事の資格を取得いたします。それによって判事がふえる、また判事補がその分減るわけでございますので、その結果による欠員状況、それからこの四月にすでに採用をいたしましたが、新しく研修所を出まして判事補になる人との関係、そういったものを見合わせまして、今回の増員は判事補のところで増員をいただくということが、充員の関係から最も好ましい。で、判事のところはすでにここにも出ておりますように、ある程度の欠員がございまして、現在もその欠員がございますので、ここのところを増員いたすということは、実はいただきましても実員で埋めるということができないところでございますので、今回、判事補の増員ということでお願いをいたしたわけでございます。ちなみに、そのようにいたしまして、この四月に判事補から判事になった方、それから新たに採用した方、そういう作業が終わりましたこの四月の中ほどの裁判官の充員状況ということを数字で申し上げてみますと、次のようでございます。 まず、判事でございますが、七十名の欠員がございます。判事補は三名の欠員がございます。それから、簡易裁判所判事は三十一名の欠員でございまして、四月半ばの時点で合計百四名の欠員があると、こういう状況でございます。 なお、ごく最近、今後における充足見込みという点に触れさせていただきますと、判事補と簡易裁判所判事は大体この八月に採用を予定いたしておりますが、簡易裁判所判事の採用によって完全に充足する予定でございます。判事のところは供給の関係がございまして、ちょっとこの数字を埋めるということはできない状況でございます。
○原田立君 最初にも伺ったことでありますが、現状の裁判所の実情から考えて、今回の増員を加えたとしても裁判官の人員は少な過ぎることははっきりしていると思うのであります。いまも矢口さんの説明があったとおりでありますが、本当に国民の期待に十分こたえていけるだけの運営が可能かどうか、再度確認しておきたいと思うのであります。 また、毎年八十名前後の判事が退職するとのことでありますが、ここ五年ぐらいの実態は一体どうなっているのか、今後の退職というか、見通しについてお伺いいたしたい。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ここ数年の裁判官の退職の状況、ことに判事の減粍の状況でございますが、大体七十名前後の毎年の減粍がございます。定年退官、それから任期終了によって再任を希望されない方、公証人等に就任されるために依願免を申し出られる方、それから中には現職で亡くなる方もございますが、大体そういう状況でございます。
○原田立君 簡易裁判所判事の増員については、昭和四十九年、五十年度とも道路交通法違反事件の処理のため、おのおの三名の増員を図っているわけでありますが、今年度については増員ゼロとなっているのでありますが、この種の事件は多くこそなることはあっても少なくなるとは予想できないのでありますが、今回増員しなかった理由は一体何ですか。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 御指摘のように、簡易裁判所判事の増員は主として道路交通法違反事件の処理のためでございます。で、道路交通法違反事件は、お手元に配付の資料の二十三ページにございますように、逐年かなりの程度でふえておるのでございます。その関係で、このところ毎年のように簡易裁判所判事の増員を行ってきたのでございますが、この種の事件の処理は簡易裁判所の判事一人がそれに専任して当たるということでございますと、年間二千件程度の事件が処理できるということで、従来の増員によってかなりの程度までこの事件の処理の促進が図られており、反面、この種の事件、若干横ばいでございますので、昭和五十一年度におきましてはむしろ判事補の増員というところに主力を置きまして、この道路交通法違反事件の処理につきましては、この五十一年におきますところの事件の動向を勘案した上、さらに改めて検討いたしたいというふうに考えた次第でございます。 なお、簡易裁判所の判事は増員いたしませんでしたけれども、この道路交通法違反事件の処理のためということで、補助職員であるところの裁判所事務官の増員は一面において図っているわけでございます。
○原田立君 簡易裁判所の判事が不足していることは、政府提出資料の欠員の数からもはっきりしておるのでありますが、増員計画の措置をどのように考えているのか。聞くところによりますと、法律では簡易裁判所は口頭でも受け付けることになっているのに、この口頭での受け付けはやらないところが漸次ふえていると聞いております。昭和四十八年度ではこの種の事件処理のため、判事四名の増員が行われているわけでありますが、実態は口頭での受け付けはお断りというのは現状では立法趣旨に反するのではないか、この点についての御見解をお伺いしたい。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 簡易裁判所におけるところの事件の処理のやり方でございますが、簡易裁判所が国民が利用しやすい、国民に親しまれる裁判所という本来の趣旨から申しまして、簡易裁判所につきましては、その訴訟手続に関する特則というのがございまして、ただいま先生から御指摘のように、この特則によりますと口頭受理ということが決められているわけでございます。 簡易裁判所におけるところのこの特則の活用ということにつきましては、昭和四十五年に裁判所法の一部を改正する法律案の成立の際に、当国会におきましても附帯決議がございまして、この特則を大いに活用せよということを求められたのでございます。この点につきましては、その後私どもの方で、たとえばこれの実施要領というものを作成いたしまして、全国に配付いたしました。それからまた、各種の口頭受理の関係の書類をつくりまして、それは定型的な書類でございますが、これも全国に配付いたしまして、国民の利便に供するというふうな対策を講じております。 そのほか、簡易裁判所判事の会同とか研修の場合には、常にこの特則の活用をすることによって、国民に利便のある裁判所として機能するようにということで、その辺の推進をしておるのでございます。若干ずつではございますが、口頭受理の割合が当初は全事件の四%程度でございますが、現在では一割以上の事件が口頭受理をされているということでございますが、この点につきましては、絶えず簡易裁判所におけるところのこの特則の活用状況といったようなものについて調査を続けておりますので、この調査の結果を見ながら、この特則の活用というものについて推進していきたいというふうに考えております。
○原田立君 全国の地方裁判所における民事・刑事新受件数は、昭和四十七年度六十七万八千九百五十六件、四十八年度が六十三万五千七百六十三件、四十九年度六十五万四千六百九十六件となっておりますが、この民事・刑事新受件数に対して、裁判官一人当たりの負担件数は何件ぐらいになっているのか、何件ぐらいが一番適当なのか。私の手元にある資料によりますと、民事、刑事両方合わして昭和四十五年では五百九十四件、一人当たりですね。四十六年は五百七十七件、四十七年は五百四十五件、四十八年は五百六件、四十九年は五百二十件と、こういうふうになっているわけでありますが、この数字では負担増になるのではないのか。一説には、理想として二百件ぐらいというふうに聞いたことがあるんでありますけれども、それから見ると倍にもなっておるわけでありますけれども、その点についてはいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先生のお手元の数字がどういう数字か、詳細存じませんが、裁判官の負担を考える場合には、裁判の中でも訴訟事件とそれ以外に、たとえば民事で申しますと保全とか督促事件といったような、比較的簡単にできる事件もございますし、刑事の場合ですと、訴訟事件のほかに令状事件といったように、簡単に——簡単と申しますか短時間内に処理できる事件も多うございますので、私ども、裁判官の負担というものを考える場合には訴訟事件を一応中心として考えておるのでございます。 裁判官の訴訟事件の負担でございますが、これも裁判官の定員の数でその年の新受事件を割りますと簡単に出てくるわけでございますが、そうした新受事件と裁判官の定員との関係を申しますと、地方裁判所の場合には一人の裁判官が民事と刑事の訴訟事件をやるといたしまして、民、刑の訴訟事件を定員で割りますと、地方裁判所の場合には、四十五年は百五十二件、四十六年が百四十一件、四十七年が百四十一件、四十八年が百三十二件ということで、事件も多少横ばいのせいもございますが、まあ逐次その点では負担は軽くなっているというふうに言えるわけでございます。 しかしながら、現実の訴訟事件の内容は種々ございますので、単にそうした統計上の数字の割合で負担が軽くなったとは言えない面もございます。最近のように事件が非常に複雑困難になりますと、十年前の一件が現在では一・五件ないしは二件に相当するといったような事件内容もございますので、私ども、これによって決して裁判官の負担が従来より著しく軽くなったというふうには考えておりません。 それから、裁判官の負担はどの程度ならば適正であるかという問題でございますが、これも事件の種類によってなかなか一概には申し上げられないのでございますが、大体私どもといたしましては、民事の場合であるならば年間の負担件数は大体二百件ぐらいならば相当であろう、こういうふうに考えております。
○原田立君 最近の三カ年における司法修習生の進路志望の実態、また判事補、簡易裁判所判事及び検事の採用状況等、本年度の状況は一体どうなっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 最近の状況でございますが、裁判官で申しますと、本年度は七十九名の裁判官任命がございました。また昨年度は八十四名、一昨年八十五名、こういうような状況で、かなり大ぜいの方が裁判官の御希望でございます。これは一般的な修習生の進路でございますが、本年度五百三十名、昨年度五百四十三名、一昨年度五百六名という方が修習を修了いたしまして、裁判官になった方と、それ以外に検察官になった方がございますが、その点を除きます大部分の方が弁護士でございます。弁護士になられた方の数を申し上げてみますと、本年度三百七十七名、昨年度四百十四名、一昨年三百六十七名、そういうような状況でございます。
○原田立君 御説明にもあったとおり、弁護士への志望が圧倒的に多いのでありますが、その原因についてはどのように認識しておられるのか。また手元の資料によりますと、本年度は八十三名、うち一名は病気のため取り下げとなり八十二名、このうち三名が不採用になるようでございますが、この三人の不採用の理由は一体何なのか。思想的なものが理由なのか、それとも別に理由があるのか、その点はいかかですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 大体、五百名前後の修了者か毎年あるわけでございますが、その中で、本年度で申し上げてみますと、裁判官に約八十名ぐらい、また検察官に七十数名なられたというふうに伺っております。大体百五十数名、百六十名近い方が判、検事になっておりまして、残りの方が弁護士さんになられるということでございまして、いろんな現在の弁護士さんの必要性というようなことも考えてまいりますと、その数字は必ずしも任官者が非常に少ないといった数字ではないというふうに考えておるわけでございます。ただ、現在のような社会の情勢でございますので、この在野法曹におなりになるということも、それはそれで非常な大きな魅力がございますので、そういう在野法曹の方に志を立てられる方というのがどの程度の人数となってあらわれてくるか、ある意味では私は当然のことではなかろうかというふうにも考えておるわけでございます。裁判官の任官者でございますが、一たん希望をなさいまして途中で取り下げられたというような方もございますが、最終的に八十二名の方が裁判官に任官を希望されて、来ていただいた方は七十九名でございますので、三名の方には来ていただかなかったということ、いわゆる不採用ということでございます。その理由は思想、信条とか団体加入、そういったものとは全然無関係でございます。
○原田立君 無関係ということでありますけれども、じゃ、どういうことなんですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) その点でございますが、どういう理由で来ていただかなかったかということについては、まあ一切公表を差し控えさせていただいております。ただ、一般的なこととして申し上げられますことは、やはりいわゆる専門教育を二年間修習生として受けてくるわけでございます。そういったことで、これは一般の大学を卒業するとか何とかということと少し趣を異にいたします。おのずとそこに裁判官に御任官いただくにふさわしい方と、まあこれはいかがであろうかと思われる方とが出てまいります。そういうようなことでひとつ御了承をいただきたいと思います。
○原田立君 次に、裁判所事務官についてお伺いします。 改正案の提案理由の説明によりますと、「地方裁判所における特殊損害賠償事件及び行政事件、家庭裁判所における家事調停事件並びに簡易裁判所における民事調停事件及び道路交通法違反事件の適正迅速な処理を図る等のため、」と、こういうふうに理由づけされているわけでありますが、裁判所事務官を十三名増員するということになっておりますが、その内容について具体的にお伺いしたい。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) ただいま御指摘のありましたような事件の処理ということで、裁判所事務官の増員をお願いしておるのでございますが、資料の十五ページにありますように、これらの事件処理に要する事務官として実は六十一名でございます。ところが、他方、人員削減ということが四十八名ございますので、まあ差し引き純増十三名ということではございますが、これらの四十八名の削減は、裁判事務ではなくて行政事務関係の職員を四十八名削減するということでございまして、まあ事件の処理の方が裁判所の場合には第一義的でございますので、事件処理の関係では六十一名の増員をしていく、こういうことでございます。その内訳は、この資料にございますように特殊損害賠償事件の処理として六名、それから行政事件の処理として十二名、それから家庭裁判所における寄託金事務の処理として三名、それから家裁の調停、簡裁におけるところの調停事件の処理として合計三十三名、それから簡易裁判所における交通事件の処理として七名、合計六十一名の増員をお願いいたしているということでございます。
○原田立君 もう時間がありませんので、実はまだ若干質問が残っているのですが、それは割愛するとして、最後に裁判所職員の実態についてお伺いしたいのでありますが、法案関係資料の十九ページを見ますと、昭和五十年十二月一日現在の数字で、裁判所事務官は三百八名の過員となっております。これはどのような事情によって過員になるのか、また過員解消の見込み計画についてはどうなっているのか、その点をお伺いしたい。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) この表も昨年の十二月一日現在でございますので、現状においてどうかということにつきましては 刻々にこれら書記官以下の職員は異動がございますので、ある時点において幾らということが的確につかめないわけでございますが、この三百八名の過員となっておりますのは、実は書記官研修所に書記官になるべき者、速記官になるべき者が研修中でございます。これらの職員は身分は事務官でございますが、実質的には書記官ということでございまして、研修所にいる間はそのようなことで事務官という身分で入っておりますので、その分だけ過員の状況が年度の途中では生じているということでございます。これらの職員が四月になりまして、それぞれ書記官研修所を卒業いたしまして、書記官になったり速記官補になるということでそれぞれ抜けていきますと、年度の初めにおきましてはこれらの過員か解消すると、こういうふうな状況でございます。
○佐々木静子君 それでは、また引き続いてお尋ねいたしますが、先ほど来、裁判官の数が足らないのではないかという御質問がほかの委員よりなされておりましたけれども、まず不在庁ですね、いま裁判所でずいぶん不在庁が多い。裁判所からいただいた資料によりましても、兼務者がいる庁の不在庁が五十六、兼務者もいない不在庁が九十五も全国に存在しているという状態でございますけれども、この不在庁問題を今後このままにしておくつもりなのか、増員をして補充するおつもりなのか、まずその点を伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) これらの不在庁の関係でございますが、限られた裁判官の人員を適正に全国に配置をいたし、裁判に支障を来たさないということで、全国の裁判官の負担がそれぞれ同じようになるようにという配慮からの適正配置の問題として、私どもとらえておるのでございます。これらの現在の不在庁もしくは兼務者がいる庁で、現実にはその土地に住んでおられないといったような庁につきましては、それぞれ事件が非常に少のうございまして、一人当たりにいたしますと、ほかの裁判所の裁判官に比べてたとえば三分の一とか五分の一、非常に少ないところですと十分の一ぐらいの事務量しかないといったような庁もたくさんございます。したがいまして、それらの庁につきましては、一人の裁判官を専任としてそこに常駐されるというよりは、最寄りの裁判所と兼務するなり、最寄りの裁判所から填補をするということで処理をするということが、限られた人員を十分に活用するという面から相当であるというふうに考えまして、現在そうした不在庁というのがございますが、主として裁判官配置の関係でそのような状態が生じておるのでございます。もちろん、裁判官が今後飛躍的にふえるというようなことでございますと、場合によってはこれらの庁にもそれぞれ裁判官を配置するということも可能になろうかとは思いますが、しかし現状におきまして、そのように一人当たりの事務量からいうと十分の一というようなきわめて少ない庁におきまして、裁判官を一人常駐されるということは、これは一つの裁判機構全体の問題としても、なおそういう場合でも検討を要すべき問題であろうかというふうに考えております。
○佐々木静子君 それはいま裁判所の方の側から見る不在庁ということについて伺ったわけでございますけれども、これはやはり国民サイドからもぜひ考えていただきたいと思います。と言いますのは、やはり、先日も弁護士会との懇談会で裁判所に対する要望というようなことが議題になったんでございますけれども、これはやはり弁護士の側から見ると、不在庁問題というのは非常に深刻な問題でございますし、たとえば緊急を要する仮処分とか仮差し押さえの場合など、その管轄の裁判所に裁判官がおられないということは、これは大変に事務の停滞を起こすことでございますし、また、刑事事件でも保釈その他の緊急を要するときにも、裁判官がおられないということは大変に人権の保障の面からも欠けることでございますので、積極的に不在庁問題ということについて、裁判所はもっとお取り組みいただきたいと思います。裁判所側の御都合ばかりじゃなく、国民サイドにとっても一度真剣に、早急に御検討いただきたいと思うんですがいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) もちろん、私どもこうした不在庁をつくることにつきまして、私どもは最寄りの裁判所との間の相互配置というふうに考えておるわけでございますが、こうした相互配置の問題につきましては、別に裁判所のみの都合を考えておるわけではございませんで、もちろん裁判所の任務は人権の擁護ということでございますので、いやしくも地元の人たちに御迷惑をかけることのないようにということで、最寄りの裁判所との地理的状況、交通事情等、それから当該裁判所におけるところの従来からの事件の性質等、十分あらゆる見地から検討いたしまして、特にそこの人たちに御迷惑をかけることはないというふうに考えたところだけについて、こういうふうな措置をとっておるのでございますが、ただいま佐々木委員御指摘のように、具体的な場合には種々御迷惑をかける面もあろうかと思いますので、その点につきましては今後とも十分迷惑のかからないように、適切な事件処理をするように、今後とも指導していきたいというふうに考えております。もちろん、一方におきまして、裁判官の充員といったようなことにつきましても、今後ともあわせて努力していきたい、こういうふうに考えております。
○佐々木静子君 ぜひそのようにお願いいたしたいと思います。 そして、いま原田委員からの御質問にもございましたが、書記官が欠員が多くて事務官が過員になっているという問題、これは前回の、ちょうど昨年の定員法の審議のときにも議題にさしていただいたわけでございまして、たしか昨年の場合には書記官の欠員が百三十六名というわけで、事務官の過員が二百二十八名ということになっておったと思うんでございますけれども、今度も、これは適当に解決を図るという御答弁のように承ったわけでございますが、本年度においても余り変わらない、書記官は百三十二名の欠員、そして事務官の過員は昨年よりもっとふえて三百八名という状態になっている。というと、前よりももっと不均衡が助長されたのではないか。これ、裁判の本質的な意味から考えても、書記官こそ裁判の主要な役割りを果たすものではないかというふうに思うわけでございますが、どうしてここら辺の調整を早急におやりにならないのか、その理由を伺いたいわけです。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判所の職員の中の書記官の有資格者の数というのは、毎年確実にふえてまいっております。本年度も相当数の書記官が書記官研修所を卒業し、あるいは書記官昇任試験を受けまして書記官資格を取得いたしております。ただ、個々の数字の上で昨年と余り変わらない数字ではないかという御指摘でございますが、ごもっともでございますけれども、実は、簡易裁判所等の庶務課長兼主任書記官というような方がございまして、実際問題といたしましては、書記官任務の方をよけいにおやりになっておるという場合もあるわけでございますが、この定数の問題とかいろんな点がからんでまいりまして、主任書記官兼庶務課長になっている方を逆にひっくり返しまして、庶務課長兼主任書記官というふうにいたしたこと等による問題でございまして、実質的な書記官の数というものは確実にふえてきておる。そういった点で御迷惑をかけるようなことはない、このように考えております。
○佐々木静子君 実は、以前、当委員会で私は裁判所の過剰警備のことを議題にしたことがあるわけでございますけれども、これは、現在もいろいろと各裁判所で紛争が、トラブルが起こっておる。たとえば、一例を挙げますと、横浜地裁の小田原支部で起こっておるような弁護人と裁判所の職員とのトラブル、あるいは極端に言えば裁判官の暴力事件というふうな事柄も、どうもそこで主役をなしているのは、先ほどお話しのあった庶務課長さんらが率いる事務官の方々が大ぜい、弁護人に対して、あるいは弁護人に限りませんが、傍聴人あるいは訴訟の当事者に対して、警備という名のもとにおけるいろいろな紛争が起こっているわけですが、そういう職員は一体、これはやっぱりこの事務官の中に入っているのですか、警備員というものは別にいるわけですか、どうなっているわけですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 事務官になりまして警備の仕事に従事する者は別途警備員を命ぜられております。これが全国で二百名ございます。その数は最近特に変動はございません。
○佐々木静子君 そうすると、警備員以外が警備に当たったり、あるいは弁護人あるいは訴訟当事者、傍聴人などに対して実力を行使するというふうなことは考えられないわけでございますか、裁判所のたてまえとすれば。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判所の庁舎管理に関する規則によりまして、必要な場合には庁舎管理の職務を一般の職員に負わせることができると、こういうふうにいたしております。また、その必要も小さい裁判所等でございますとあるわけでございます。 まあ、先ほど御指摘の点がございましたけれども、具体的な問題は別といたしまして、事務官であるから、庶務課長であるからそういう問題が特に起こるということはないと存じております。先ほども申し上げましたように、庶務課長が本務であるか、主任書記官が本務であるかは別といたしまして、両方の資格を兼ねておりますので、事務官なるがゆえにということは私はないと、そういうふうに考えております。
○佐々木静子君 くどいようですが、そういう紛争を見ますと、裁判所の職員というのは一体どれだけいるのであろうかとびっくりするくらいたくさんの人がそういうときにあらわれてこられるわけで、どうも、たとえば小さな支部にそれだけ職員がいたのかと実は驚くわけなんですね。定員法などを見ていると職員が足らないように思うのですが、いざそういうことがあると、ウンカのごとく裁判所の職員という人があらわれてくる。これは、私は非常に奇異な感じがするわけなんですけれども、事務官であれば事務官としての仕事をきっちりやってもらうべきであって、全国で二百人が警備に当たっていられるとすれば、それはネコもしゃくしもひっつかまえて、どこから来たのかと思うくらいの人があらわれてくるというふうな奇異な現象というふうなことは、ちょっと納得いかないんですが、その点は今後とも極端な過剰警備の問題と関連してよく御検討いただきたいとお願いしておきたいと思います。 それから、次に速記官の問題でございますが、昨年は速記官の定員が九百三十何名というふうに伺っておりまして、そしてそれがかなり不足しているというお話のように伺っておりましたが、ことしもこの表で見ますと、速記官というものが特に具体的に記されておらないわけですが、本年度は速記官の方の定員が何人で、その充足率はどうなっているか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 速記官の定員でございますが、これはずっと変わりがございませんで、九百三十五名ということで終始いたしております。昨年の十二月の現在では、と申しますか、ことしの三月三十一日までということに相なりますが、二百三十名ほどの欠員がございました。ところが、四月になりまして速記官研修所を卒業いたしますと同時に、新たな採用者が三十九名出てまいりましたので、いま現在の数字を正確に申し上げますと、百九十九名の欠員ということでございます。もっとも、その中にはまだ研修をしておる者も入っておりますので、現実に一線で働いておるという者の数は、現在研修中の者を引かなければいけませんが、ともかくもそれはもう速記官になることを予定されておるものでございますから、私ども速記官の中に入れておるわけでございますが、そういった人を現在員に含めますと大体いま、二百名の欠員であると、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
○佐々木静子君 前回の、昨年のときに速記官を補充するために、外部から新しく募集するという話が人事局長の方から御答弁にあったと思うんでございますが、その後それはどうなっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 昨年そのように確かに申し上げたかと思いますが、昨年外部の募集をいたしまして、十八名の方を外部から募集いたしました。内部採用と合わせまして三十六名の方があったわけでございます。本年度も引き続き外部採用をいたしました。外部採用の方を現在三十五名採用いたしております。まあ大体多く採りました分、内部採用は減ってまいっておりますが、合計四十名近くの養成ということは今後も努力して続けていきたい、このように考えております。
○佐々木静子君 これも前回にお願いしておったことでございますが、特にこの速記官というのが新しい分野の職業であるということで、きわめて優秀な人がたくさん厳しい競争率の中で応募されて採用された。ところが、そういう方々が中年になって、四十歳を過ぎてなかなかその将来ということについての頭打ちの状態になっているということで、前回もこの速記官の将来ということをどのようにお考えになっているかということに対して、中には司法試験に受かって裁判官になった人間もいるというような御答弁もあったわけですが、その本人の努力ということのみではなくて、制度的にひとつ御検討いただきたいということをお願いしてきたわけでございますけれども、それはその後どのように進んでおりますですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 現在、速記官の方の一番上の等級別定数と申しますと、四等級であったわけでございます。しかし、相当年齢の方も出てまいられたわけでございまして、それだけ経験年数もふえてきたということでございますので、ぜひその上の等級の方を設定する必要があるということで、現在、暫定定数といたしまして三等級の方が八名とれているわけでございます。ただ、これはやはりただ経験年数が長いというだけで三等級というわけにはまいりません。やはり大きい裁判所等、たくさん速記官のおりますようなところにおける組織というものを考えていかなければいけないわけでございます。その点につきまして、職員組合等ともいろいろの角度から検討をしておる。しかし、すでに定数がとれておりますので、できるだけ早く軌道に乗せていきたいと、そういうふうに考えております。
○佐々木静子君 これは、四十歳過ぎてだんだんと反射神経というものもそれほど鋭敏でなくなってくるという年齢に達してこられた速記官の方々の将来ということについて、ぜひとも前向きに取り組んでいただきたいとお願いいたします。と同時に、いま等級の話が出たわけでございますが、この事務官の等級を見ましても、この主任事務官の五等級がポスト増あるいは定員増とも非常に減っている。ポスト増では昨年が百七十八名の増であった。一昨年は百五十八名増。ところが、今度は五分の一の三十五ということになっておる。しかも、この三十五増すべてが六等級ということになっているように伺っているんですが、そのとおりでございますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘の点についてはそのとおりでございます。ただ、主任事務官という関係ではかなりの数字がとれてまいっておりますので、そういう意味では主任の増というところに重点を置くよりも、率直に申しますともう一ランク上のところに重点を置いてきた。その上の方に重点を置きますれば、下に流用することも可能でございますので、そういう方針でまいっておるわけでございます。
○佐々木静子君 さらに、五等級の定数も昨年が二百五十三であった。ところが、一昨年は三百四であった。ところが、ことしは三分の一にも満たない八十ぐらいになって非常にダウンしているというようなことで、事務官の中にも将来ということに対して非常に暗い見通ししか立たないというふうな声も起こっているわけでございますので、いろいろと御事情もあろうかと思うんでございますけれども、ひとつそのあたりも希望を持って仕事ができるように御検討いただきたいと思うわけですが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) お手元の数字でもあるいはおわかりいただけるかと思いますが、本年非常に厳しい級別定数の改定状況で一般的にはございましたけれども、幸いにして四等級書記官といったところには相当数の成果を得たわけでございます。これは日ごろいろいろとお励ましをいただいておることのたまものと思ってありがたく思っておるわけでございますが、もちろん書記官の定数を増加するということは、また事務官から書記官の方にかわっていくというような人たちの導きにもなるわけでございますが、それは別といたしまして、事務官の待遇の改善という点についても、今後なお一層の努力をいたしたいと考えております。
○佐々木静子君 それでは話を変えまして、婦人の問題について少し伺いたいと思います。昨年は国際婦人年ということで、非常に婦人の社会進出ということが強く叫ばれたわけでございますし、ことしはまた婦人の——女性の社会参加というための十年のスタートの年ということで、婦人が各分野に進出するということが強く要望されているというわけでございますが、司法分野についての婦人の進出ということも若干承らしていただきたいと思います。現在女性の裁判官は何人いるわけでございますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官といたしましては、現在、本年度四月の採用の方もひっくるめまして五十八名ほどでございます。
○佐々木静子君 これはいろいろな事情があると思います。特に婦人が法学部へ入学できるというのが、非常に歴史的に日本の場合はおくれた。また、その後やはり法律分野に婦人が進出するということについての、社会での非常にまだ認識の浅さというようなものから、女性裁判官の数というものがなかなか思うようにいかないのだと思いますが、社会主義国家に行くと、裁判官は女性の方が多いくらいであることは、つとに御承知のとおりでございますし、自由主義国家でも、たとえば私もメキシコの会議に参りまして、メキシコその他中南米においても、婦人の裁判官が何人いるかというと、そんなのとても数など数えておれないというふうなぐらいに、もう婦人が法律分野に出ているということは、日常あたりまえな話として受け取られているというような状態から考えますと、大分進出したとはいえ、日本の場合はなかなかいろんな面で隘路が多いんじゃないかというふうに思われるわけでございます。その五十八名のうち、独身の方もいらっしゃると思いますが、夫婦で裁判官をしている方がかなりパーセンテージが多いんじゃないかと思いますが、どのくらいで、かつその場合の任地の決定なんかはどのようになっているんでございましょうか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) いま申しました五十八名の裁判官の中で、夫婦が裁判官というのが十九組でございます。女性だけで申しますと十九人の方が御主人も裁判官であるということになっております。現在、御夫婦でお勤めになっております方で、任地の関係で別居せざるを得ないという方は一人もございません。現在のところできるだけ、まあ多少御主人に通勤の不便をかける、時間をかけるというようなことはあるようでございますが、一つのところに住んでいただいて別な役所にお勤めをいただくというふうにいたしております。ただ、これは佐々木委員もいま御指摘ございましたが、まだまだまあ全般的に全体の裁判官の数の中から見ますと、少ない女性裁判官であり、比較的若いところに裁判官が集まっておりますので、そういった御主人と同居しながら勤務していただくということは可能であるという状況でございます。これがある程度たってまいって、それぞれ御主人もまた御夫人の方も一応裁判長でございますとか、高等裁判所の裁判官でございますとかそういうポストにおつきになりますと、いまのようにいつまでも同居可能にできるかどうか、これはそれでまた別途、問題がございますが、現在のところはそういう状況でございます。
○佐々木静子君 いま十九組の夫婦裁判官の方は、全員同居していらっしゃるというのは非常に結構なことだと思うわけですが、そのほかにも配偶者を持ってらして、そして御主人は裁判官でないという方もいらっしゃると思いますが、こういう数少ない裁判官をぜひとも裁判所の中で育てていっていただきたいと思うわけですし、またさらに婦人でせっかく司法試験を通って裁判官を希望される方が、希望はしているけれども、家庭事情その他から裁判官になることができない、あるいはなったけれどもやめなければならないというようなことにならないように、これは御夫婦裁判官ばかりじゃなしに、ほかの職業を持っている人と結婚している場合についてもやめざるを得ないということにならないように、ぜひとも配慮をしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 数少ない裁判官方でございますので、具体的な例を申しますと、あああのことかということになりますので、一切その点は申し上げませんが、佐々木委員御指摘の点については最大限の配慮をいたしてきたつもりでございます。今後もその点については可能である限り配慮していきたいと考えております。
○佐々木静子君 最近、家裁の所長第二号というのが出まして、国際婦人年にいいニュースだということで明るいニュースとして取り上げられたわけでございますが、いま家裁の所長が婦人がお二人出ているようでございますか、そのほか裁判長が婦人で何人いらっしゃるのか、あるいは高裁判事は何人いらっしゃるか、及びその家裁に余り婦人裁判官が多いのではないか、そうしたことについて伺いたいんですが。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 現在の五十八名の裁判官の配置状況でございますが、御指摘ございましたように、家裁の所長がお二人おられます。これも非常に数の少ない若年層に偏っておるという結果でございますが、将来は何も家庭裁判所でなければいけないという問題ではございませんので、その実力をお持ちであれば自由に地方裁判所の所長にもおなりになることが可能であろう、こういうふうに考えるわけでございます。所長としては現在家裁の所長お二人でございます。その後になりますと、やはり期の関係でまだまだ大きい裁判所の裁判長というところまで大部分の方が行かれない状況でございますので、勢い数は少のうございますが、地方裁判所の裁判長をしておられる女性の方がお二人でございます。また、家庭裁判所の裁判長をしておられる方がお一人ということになっております。それから、高裁判事にすでになっておられる方は現在お二人でございます。そのほかに、地裁判事の身分のままで高裁の職務代行というものをしておられる方がそのほかにも一名ございます。地方裁判所と家庭裁判所の関係としまして、女性が家庭裁判所に偏り過ぎておるのではないかという御指摘でございますが、実際はそういうことはございませんで、逆に地裁の方が多くなっております。それ以外の方で現にどちらで勤務をされておるのかというのを見てまいりますと、地裁では、三十一名の方が勤務しておられ、家裁では二十名の方が勤務しておられる、こういう状況になっております。
○佐々木静子君 それでは婦人の裁判官のことはこのあたりにいたしまして、一般の婦人の職員のことについてちょっと伺いたいのでございますが、裁判所職員のうちで婦人は何%ぐらいが職員として働いているのでございますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判所の職員の行(一)、行(二)とを合わせまして約二万一千ほどの職員でございますが、その中で大ざっぱに申しまして五千名の方が女子職員でございます。割合といたしましては二三・四一%ということになっております。大体他省庁並みの人数でございます。
○佐々木静子君 それで、一般職員の中で、管理職に進出しているのはどのくらいでございますか。聞くところによりますと、最高裁の事務総局などで婦人が管理職に進出することは大変に困難であるというような話をいろいろと聞くわけでございますが、どのようになっているわけでございますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 下級裁判所等全部ひっくるめまして、大体百八十名ほどの女子職員が管理職に進出いたしております。
○佐々木静子君 ちょっと時間の関係で先を急いで伺いますが、これは前回の定員法の審議の際にもぜひともお願い申し上げたいということで質問さしていただいたわけでございますけれども、この一年間の間に裁判所職員で出産された方は何人あるわけですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 二百四十七名が出産をいたしております。
○佐々木静子君 実はこれは全司法からの資料でございますけれども、これは東京地裁だけの資料でございますが、ここ過去三年間、昭和四十八年からの出産者調査を見てみますと、たとえば東京地裁で五十年度出産した人が二十二名、そのうち妊娠中の障害のあった人が十一名となっているわけです。さらに、異常出産であった者が、その三分の一が異常出産と。これは東京地裁ばかりではなしに、全国の国公労連の資料あるいは全司法の婦人部の資料を見ましても、大体三〇%前後が異常出産ということになっているんでございますが、そのあたりについて職員の健康管理の面からも、また異常出産というのは次の世代を背負う新生児の健康上も非常に好ましくないわけでございますが、どのようにお考えでございますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) その点につきましては、昨年御指摘のように、佐々木委員から御質問がございまして、できるだけその点について、次期の日本を背負って立つりっぱな子供さんが生まれてくるようにということは、私どもも心から念願しておるところであるということで申し上げたわけでございますが、その後、産前産後の休暇等の関係におきましても、できるだけ母体の元気回復と申しますか、そういったことに弾力を持った運用をいたしておりまして、もう少し率が低下してくるのではなかろうかという期待を持っておるわけでございます。
○佐々木静子君 これは国公労連の婦人部あるいは全司法の婦人部からもことし特に強く要望されておりますのは、産後の休暇の六週間というのは非常にこれは医学的に見ても無理である。現実に調べてみますと、この東京地裁の資料でも六週間で出勤できた人は一人しかおらないわけでございますね。ほかは全部六週間たっても回復しないということで、病休というようなことになっているわけでございますけれども、これはいろいろ国家公務員法との関係もあるし、いろいろあると思うんでございますが、これはILO条約の関係から見ても、ILO条約などでは十四週間ということが言われているわけでございまして、その点、非常に働く婦人の保護という点においては欠けておると思うわけです。そういうことについて、ぜひ裁判所御当局としてもお考えいただきたいと思うのと同時に、一人の人を除いては全部六週間以上産後は休まざるを得なかった。それらの人たちがみんな——これは年次休暇で賄えた人か一人で、ほかは全部病休になっているわけですね。そして、その資料を見ますと、病休をとったために、あるいは産休の場合もですけれども、不利益を受けたという人がその半分以上を占めておるわけでございます。ですから、そういう点ももう一つ十分に御検討いただきたいと思います。 それから、時間ありませんので、最後に代替要員のことでございますが、いま教職員その他保健婦さんとか看護婦さんの場合は育児休暇というところまで取り上げられているわけでございますが、裁判所職員の場合は代替要員というものが非常に職種の上で限定されている、しかも日数が少ない、そういう状態でございますが、もうすべての職種に代替要員を置いていただきたいというのが、これは全司法労働組合の強い要望でございますので、ひとつその点も十分御検討いただきたい。そして、速記官の方などの人員確保についても、いろいろ御苦労なすっていると思いますが、退職者の方々で、代替要員で一定期間出ることは可能だというような人たちの話もよく聞くわけでございますので、あらゆる職種に代替要員を置くというふうにぜひとも前向きに取り組んでいただきたいのでございますが、いかがでございますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まず、産後の六週間を過ぎましてなお休まれる方についての病休の扱い、これはそのようにいたしておりますが、それによって不利益を受けたというお話でございますが、これはちょっと私はそういうことはないんじゃないかと、特に産後の六週間を経過したなお病休については、注意して扱うようにということを指示しておりますので、そういうことはないと思いますが、なお念のため御趣旨を徹底したいと思います。 また、代替要員の点でございますが、これは全国散らばっております、どこで始まるかわかりませんので、速記官等につきまして、仮にやめた方がおありだとしても、その方を短期間遠いところへ持っていくということはなかなかむずかしい問題でございますが、まあ速記官の数もおいおいふえてまいることでもございますので、それらの点につきましても御指摘の点十分検討さしていただきたいと思います。
○委員長(田代富士男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田代富士男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十六分散会 —————・—————