物価等対策特別委員会 第5号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/19
会議録
○委員長(中村登美君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。 この際、澤田公正取引委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。澤田公正取引委員会委員長。
○政府委員(澤田悌君) 先月初め、公正取引委員会委員長に任命されました澤田でございます。 非常にむずかしい時期にこの任務を命ぜられまして、その責任の重大性を痛感いたしております。何とぞよろしく御鞭撻をお願いいたします。 —————————————
○委員長(中村登美君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。 前回の委員会において聴取いたしました物価対策の基本方針及び公正取引委員会の物価対策関係業務等についてこれより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
○田中寿美子君 経企庁長官、長官の所信表明が本会議であり、それからこの委員会でごあいさつがあってからも大変時間が経過いたしております。そうしておりますうちに、先ごろ五十年代前期経済計画の案が発表されました。それで私は、ですから長官の所信表明並びにこの前期長期経済計画ですね。この中にあらわれている考え方の中から幾つか根本的な問題をお尋ねさせていただきたいと思います。 第一番は、長官は四十九、五十、五十一年というのは狂乱物価に対する調整の段階である、全治三年の重傷を負っていたけれども、それが次第に鎮静して落ちついてきたというふうに大変いつも自分でおほめになっていらっしゃるわけですが、私は、果たして物価が落ちついているのか、調整期間の後のこの新しい長期計画出発の第一年目に当たるわけなんですが、その辺をまず最初にお尋ねしたいと思います。 私の考えでは、まだまだ異常な状況にあると思うんですね。物価が落ちつきを見せてきた四十九年ごろにはなるほど卸売物価は三五%アップ、消費者物価が二五%なんという、まさに長官が命名なさいました狂乱物価状況、その状況から五十年度には卸売が平均で二%、消費者物価が一〇%ぐらいというふうになったんですから、確かに落ちついてきたということは認められます。しかし、一けたになったと言いましてもまだまだ異常で、何よりも、まず定期預金の一年ものの金利六・七五%を超えているわけですね。だから、銀行にお金を預けておいて利子がもらえるというような状況ではなくて、目減りしていく、預け賃を取られるというような状況になっている。こういう状況ではまだ物価対策が成功したというふうには言えないと思いますんですけれども、大体いつになったら定期預金の金利以下の物価上昇になるというふうにごらんになっていらっしゃいますか。まず、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ定期預金はそのときどきの経済情勢でその金利が動くわけでありまして、これが、非常に金融緩慢期で定期預金金利もうんと下がったという場合もあるわけで、定期預金というか、現時点での定期預金金利は六・七五%だ、その辺のお話だと、こういうふうに承ってお答え申し上げます。 私はいまの物価情勢に決して満足してないんです。これは八・八%だと、この三月には年間の実績が出たわけですが、この八・八%というのはかなりこれは高い水準である、こういうふうに思うんです。しかし、基調としては、私は非常に落ちついておる、また今後も落ちついていくだろう、こういうふうに思いますが、いまのその公共料金問題というのがある。これがまず一つなんです。公共料金を物価狂乱のあの当時から抑制方針をとっておった。ところが、それを抑えっ放しにしておくわけにはいかない、その調整を要する。しかし、これを一挙に大幅にという、そういうことをいたしますと、これはまたそれなりのいろんな弊害がありますので、これを多少時間をかけてならそう、まあいま私は、大体三年でこの公共料金問題、特に主要公共料金につきましては一巡をさせたいと、そういうふうに考えておるんです。そこで御承知のように、五十年度におきましては、これは酒、たばこ、郵便料金を中心とした公共料金改定、それから五十一年、五十二年にわたりまして国鉄、それから電信、電話料金、そういうふうに考えておるんです。これが一回りいたしますと、私は一般と物価が数字的にも安定してくる、こういうふうに見ておるわけですが、いまお話しの五十年代前期五カ年計画、これにおきましては、この最終年度である五十五年、この時点では六%以下にする、こういうふうに言っておりますが、六%以下というのでなるべく低い方がいい。そういう状態は公共料金問題が一巡をするという後には大体実現できる、こういうふうに考えておるわけです。その六%以下という水準も、またこれはしかしそう低い水準じゃないと思うんですが、これは国際情勢を見てみる、そうしますとやはり資源有限時代というか、そういう時代的背景の中で、やはり国際物価水準というものが上がるだろう。資源の多くを外国に依存しておるわが国とするとその影響を受けざるを得ない。そういうことを考えますと、本当はもっともっと低いところへ持っていきたいと、こういうふうに思うんですが、まあその国際的背景ということを考えるとそうはいくまい。まあ希望的に低い数字を出して、そして後で国民に失望を与えるというよりは、まあまああらゆる可能性というものを考えて、まあ大体この程度は実現できるというその線を出した方がよかろうというので六%以内と、こう申し上げておるわけであります。
○田中寿美子君 六%というのは私は果たして実現できるかどうかと思っております、五カ年平均のですね。というのは、これは後で卸売物価のことをお尋ねしたいと思っておりますけれども、五カ年計画の中で、卸売物価平均五%ですよね。過去の経過から見ますと、卸売物価の大体三倍ぐらいの消費者物価指数をたどっているわけですから、この六%というのもこれは本当に根拠があっての計算なのか、それともいまの金利ですね、定期預金の一年ものの金利六・七五、あるいは六%前後、これも動くだろうと思いますけれども、資金需要の方からまたあるいは貸出金利を下げていくというようなことになれば、これも動くかもしれないと思うんです。それでそのあたりを大体六%台ぐらいにしておかないとちょっとぐあいが悪いという感じで六%にしたのか、それともこれは到達目標という考え方で出したのかというふうに思うんですがね。確かに六%台になる、そして五カ年計画の最終段階では六%以下にするというふうにしてありますね。これは確かにそれだけの自信がおありになるわけなんでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私はただいま申し上げました公共料金が一回りしますと大変物価情勢は楽になる、こういうふうに見ておるんです。それを妨げる要素というのは国際情勢、国際情勢というか国際物価の水準というものが、これが横ばいであるとか、そういう程度で済みますればこれはかなりわが国の物価状態というものは良好になろうと思う。しかし、実際問題として私はそうは見ないんです。つまり国際価格というものは資源有限ということで、どうしても資源保有国の立場は強くなる。そういうことでわが国の輸入資源、輸入資材の価格というものが上がってくることは否めないんじゃないか、こういうふうに思うんで、その辺のことを配慮しながら、いままでのような国際情勢であればもっともっと低い水準を目指していいんだろうと思いますけれども、まあその辺もある程度考慮しておいた方がよかろうというので、やや高目の目標を掲げておる、こういうことでございます。
○田中寿美子君 高目とおっしゃいますけれども、恐らくもっと高くなると私は思います。 いま公共料金のことをおっしゃったものですから、私もちょっと公共料金のことをついでに申し上げたいと思うのですけれども、一巡すればとおっしゃいますけれども、長官、ことしでも六月一日から国鉄運賃五〇%、これが物価への寄与率〇・五%、電話料金が度数料が七円から十円、基本料金も五〇%アップでこれは〇・四%の寄与率、電報料金がやはり六月一日予定ですね。それからNHKの受信料が上がる、塩が上がる、医療費が上がる電気料金が上がる、そのほか公共的なものが一ぱい上がる。お米だって消費者米価が上がる予定でしょう、こんなのまだ計算を出してないですよ。それから国立大の授業料が上がります。地下鉄の料金も上がる予定、バス料金、地方鉄道運賃、これみんな値上げを検討中、そういった公共料金あるいは公共的な料金だけでも、いままでもうすでに六月段階で寄与率合計して計算してみると二・四六%ぐらい、それからあとのはまだ私計算に入れておりませんけれども、消費者米価など。それから基本的な商品ですね。鉄鋼の鋼材だとか石油だとかアルミ地金だとか合成樹脂だとか合成洗剤、工作機械とかいろいろなものがみんないま値上げ検討中でしょう。そうしますと公共料金と公共的な料金と、さらに非常に主要な基本的な資材の料金が上がっていくということになれば、私は本年度の八%だって怪しいと思うのですね。一巡する間っておっしゃるけれども、毎年毎年これがこういう状況で回っていきますと、私はとても六%という見通しにはならないのではないかと心配するのですけれども、それでも長官はやっぱりこれは低目に見積もってあるのだというお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 田中さん、昨年度も同じ状態なんですよ。昨年度で言うと、酒、たばこ、郵便料金、これは消費者物価にはかなりの影響があります。その上私鉄運賃だ、あるいは地方におきまして各種の公共料金の引き上げでありますとか、その上米価でありますとか麦価でありますとかいろいろなものがあった。そういうものがあったにかかわらず消費者物価は八・八%の上昇である、こういうのです。さあ八・八%の中でそういう公共料金これは国並びに地方公共団体その他料金認可の企業なんかのものを全部引っくるめまして大体二・七%です。五十一年度を展望しますと、政府が直接関与する国鉄それから電信、電話、そういうようなものを全部を引っくるめましてこれは一%ちょっと超える程度であります。その上さらにいまお話しのとおり米価の問題も起こってくるでしょう。それから現にまた電力会社の問題もある、それから地方公共団体におきましてもいろいろな料金改定なんかが起こります。起こりますが、大体全部引っくるめまして二%強の程度で済むのではないか、また済ませたいとこういうふうに思っておるのです。去年のような二・七%というような公共料金の引き上げはないわけなんで、その面からもことしは幾らか五十年度に比べますると条件はよろしいわけなんです。その他いろいろな努力をいたしまして、五十年度におきましては八・八%の上昇でございましたけれども、五十一年度におきましてはこれは八%程度、こう言っているのです。事務当局は率直に言いますと七・七とか七・八とかそういうことを言うのですが、私はそんな端数をつけないで、多少ゆとりを持って八%程度と言っておいた方がいいのじゃないか。八%程度と言っておいて、結果はそれより引っ込んだという方が国民に対する感じがいいんじゃないかと、こういうふうに存じまして、それでまあ八%程度と言っているんですが、決してこれは根拠のないことではない、こういうふうに考えております。
○田中寿美子君 私は意見が違いますが、いま二%程度とおっしゃったけれども、すでに六月段階までに上がるものの計算をしてみて二・四六ぐらい上がります。これからも先、次々もうそれこそメジロ押しなんですね。公共料金は過去大分抑えていた、だから今度ずっと上がっていくわけですね。それから公共的な料金とそのほかのものも産業からの要請があってみんなずいぶん上げるわけですから、私はその辺大変心配をしておりますので。 そこでこういう減速経済の中、よく長官はインフレこそ福祉にとって最大の敵だと、不公正の一番の原因だというふうにおっしゃって、インフレを収束させるというようなことをおっしゃっているわけなんですが、過去、高度経済成長時代に大変に所得の格差が拡大していった。調整期間のこの三年間だってやっぱり格差は拡大してきておりますね。これは予算委員会で加瀬委員もおやりになったことですし、衆議院の方に資料を提出していただきましたけれども、総理府統計局の資料で見ますと、四十九年、五十年度は第一分位と第五分位の所得の格差が、平均消費性向を見ますと反対になってきていて、高所得層の方が貯金を引き出して消費をしておって、そして低所得層の方が節約しなければならない状況に追い込まれているという状況があの数字から見られるわけです。 それから、低所得層の方が苦しい実情というのは、簡単にすぐエンゲル係数で見ることができるんですが、エンゲル係数を見ますと、四十八年、四十九年の各月とも五分位は二五・六%、五十年になると二〇%というふうに低下しているのに反して、第一分位の方は四十八年各月とも三四・五%、四十九年四〇%、五十年四一・二%と順々に上がってきている。これは物価のひどい高騰の中で、一番私ども食費に、庶民は食費がこたえているわけです。これは長官も御存じだろうと思いますけれども、いま、ことしキャベツの出荷が九〇%は需要に応じているのにもかかわらず非常な高値で、いまごろでもこのくらいのキャベツ半分買って百五十円ですから、こういう状況ですと食費が一番つらいわけですよ。ですから、詰められるだけ詰めてなお四〇%というようなエンゲル係数が出るということは、非常に所得の格差が開いてきている、調整過程でもそうだ、こういうふうにお思いになりませんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、そういう大局において感じがいたすわけです。ことにインフレ時代、またインフレと言わぬでも、高度成長、こういうときには所得格差が拡大をする、そしてインフレとそういう状態とが重なり合いますと、極端な格差、そういう問題が出てくると、こういうふうに思います。現に統計なんかもそれを示しておるんですね。しかし、経済が安定してくるというに伴いましてそれは逐次改善されつつあるということもまた統計も示しておるわけなんです。まあ先々の経済の見通しが非常に少ない、そういうインフレだとか極端なデフレでありますとか、そういう際になりますと、自分で自分の将来に備えるということで、貯蓄性向、これが高まってくる、そういうようなことがエンゲル係数なんかにもまたあらわれてくる、こういうことですが、経済が安定し、また静かな動きになってくるというに従いましてその傾向は漸次消滅していくと、こういうふうに見ております。
○田中寿美子君 格差が広がってきていることはお認めになったと思うのですけれども、五十一年度の経済運営の中では、やはり今度は減税も見送られているわけですね。ですから増税になる。それから公共料金の値上げが続いてくる。それから春闘でベースアップも低く抑えられた。こういう中では国民の生活は非常に苦しいという感じが非常に強いわけです。これは統計が確かに落ちつきを見せてきたとおっしゃって、統計でおっしゃいますけれども、統計だけじゃなくて、これは家計の実感からは非常に苦しいということを主婦たちが感じている。このことはよく長官もお聞きになって御存じだろうと思います。それで、貯金は余裕ができてきたからしたというふうにおとりになるようですが、節約は奨励していられますね。省資源の時代だと、だから節約しろと盛んに奨励されておりまして、事実その預貯金の状況を見ますと、四十九年、五十年の推移を見てみますと、四十九年の一月と五十年の一月と比べてみますと、銀行預金の場合ですね、大体六兆六千億くらい増加している。ところが、それがことし五十年の一月と五十一年の一月を比べますと、十一、二兆、十二兆くらい、十一兆以上ですね。だから大体倍くらい貯金していることになります。これは銀行預金だけで、郵便貯金の方も伸びてきているわけなんです。この統計だけでは、これは日銀の統計ですけれども、どういう階層がどういうふうに貯金したということがよくわかりません。それですけれども、別によく抽出して一世帯当たり幾ら貯金したというのを調べますね、あれで見ても、毎年毎年世帯当たりの庶民の貯金というのはふえていっているわけで、そのこと自体は私はいろいろな意味があると思います。単にそれは長官が、経済状態がよくなってきて貯金をするからエンゲル係数を押し上げているのだみたいないま言い方をなさったけれども、私はそうじゃないと思う。これは今度の長期計画の中で生活中心という言葉を使っていられるのですね。成長中心から生活中心へ、長官大変キャッチフレーズをおつくりになるのが上手で、インフレなき福祉だとか、この前までおっしゃっていました。今度は生活中心の経済という言葉を使っていらっしゃいますがね。ところが、いまの貯金というのは今度の長期計画の中で生活をよくするために社会資本、ストックの方の所得をふやすべきだということを相当強調していらっしゃいます。だから、個人消費支出をどんどん上げることよりは、ストックの所得をふやすべきだ。これは私どもの長い間主張してきていたことなんです。国民の生活を楽にする、豊かにする非常に大きな要素というのは、個人の所得だけじゃなくて、社会がその個人の生活を支えるところのストックの所得が大きくならなければいけない。その点では日本は高度経済成長をしていた段階でストックの所得のふえ方が全く足りなかったと思うのです。ですから、それはまさに大事なところに来ているわけですけれども、現在は貯金をしますのは将来の家を建てるための積立金をしていたり、つまりストックで賄われるべきものを個人の貯金で賄っているのです。だから、ちょっと学校の費用だってそうでしょう。学校のための教育費だとか、あるいは住宅を建てるために積み立てておくとか、あるいは家賃だって公団住宅で三LDKで七万円なんといいます。それから持ち家を建てたところは住宅ローンをいたしますね。住宅ローンは大変な大きな比率を家計費の中に占めているわけです。ですから、そういうものをみんな必要だから貯蓄していく。だからストックで賄われるべきものを個人の貯金で一生懸命に埋めてきたという状況だと私は思うのです。ですから私の言いたいのは、だから貯蓄せよ、せよと言われる、あるいは節約せよと言われるけれども、節約すべき者は高額所得者であるはずだというふうに思うわけなんです。どうお思いになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 貯蓄ということは、私はこれはもう健全な社会のためにもぜひ必要だと思うんです。私はやはり社会資本の充実、これが非常に国全体として大事なことだ、こういうふうに思うんですね。個人個人みんな家計を営んでおりますが、同時に、われわれはお金を出し合って共同の社会をやっているわけなんです。その共同の施設というものが非常にわが日本においては立ちおくれておる。そういう状態で、ぜひそれを直さなければなりませんけれども、それを直すには税という問題があります。それから同時に貯蓄という問題があるわけです。つまり家庭、家庭が税を納めます、あるいは貯蓄します、そしてそこに資金ができますから、そこで共同の施設が進むわけなんで、社会化とまでは私は言いませんけれども、社会資本が、共同のストックが充実されるということは非常にこれからの日本で大事なことだろう、こういうふうに思うので……。
○田中寿美子君 それは賛成なんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 貯蓄という考え方が、これが進んでいく、堅実に伸びていくということは、私は決して悪いことじゃないので、余りこう貯蓄、貯蓄と言うと、これは耳ざわりも悪うございますが、しかし、これは基本的には非常に貴重な考え方である、こういうふうに考えております。
○田中寿美子君 それはいろんな面から見ますと、たとえば貯蓄は財投に使われていますから、だから貯蓄を奨励するということの意味もいろいろありますので——私が言いましたのは、個人が貯蓄して、たとえば水洗の便所、水洗にするというようなときの費用だって、これは本来ならば社会資本でやるべきものの半分以上を個人が賄っているというような、そういうようなことを個人の生活の中から、個人の個人消費支出をもっと上げるために切りかえていくべきじゃないかということを申し上げているので、それで節約すべき階層というのはもっと高い階層にあるのじゃないか。庶民が一生懸命でこつこつ節約してためているのは、本来ならば社会が、税金がそう使われるべきものだと思いますけれども、賄ってくれる分までしょっているのだということを申し上げたわけなんです。 それで、減速経済から長期計画に入ってきて、その間での福祉との関係なんですが、長官は前はよく福祉という言葉をお使いになった。三木内閣発足当時、不公正の是正と、それからインフレなき福祉とか、福祉型経済というのは、これは私の言葉だけれども、長官も賛成してくだすったことがあるのですが、今度のこの五カ年計画を見ますと、福祉という言葉を極端に節約してありますね。生活中心というような言葉になっている。私は、むしろ生活中心の経済というのは福祉型経済、だから成長中心、つまりGNP第一主義から福祉型経済へというふうに言えば非常にはっきりすると思うんですが、成長中心から生活中心へという抽象的な言葉を使ってありますが、具体的には生活中心へとはどういうことを意味しておりますでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 福祉中心というふうにこの生活中心というのを置きかえても差し支えないんです。ただ往々にして福祉社会と、こう言いますと非常に狭くとる人があるんです。社会保障と、こういうようなとらえ方をする人がありますが、私が考えておる福祉というのはそうじゃない。社会保障はもとよりであります。これはもう中心の大きな問題ですが、これはもちろんそれに含まれる。しかし、そればかりでなくって、われわれのこの生活の環境、いまお話しの下水道の問題もあります。あるいは教育の問題までも含めまして、とにかく生活が安定してできるような施策、その全体としての福祉と、こういうふうに言いたい。ただ福祉、福祉と言いますと非常に狭い意味にとられる。それを恐れまして生活中心だと、こういうふうに置きかえておるわけであります。
○田中寿美子君 つまり社会福祉と一般にいわれる狭い意味の厚生省管轄のああいうものを福祉というふうに言うんじゃなくて、私も福祉型経済というのは過去の高度経済成長に対比して、もうああいうGNP第一主義ではだめだから福祉型の経済に切りかえていけと、企業だって福祉型企業とか産業だとかいうような言葉がいわれるように、広い意味の国民の福祉を中心にした経済というふうに私言う方がはっきりしているというふうに思うわけで、いま長官の御説明だと、そういう意味に私は解釈してよろしいですね。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう広い意味であります。そのとおりでございます。
○田中寿美子君 それで、この三年間の調整過程、特に最近、ここの一年、二年ばかり雇用問題に大変不公正が起こっているわけです。減速経済に対処するために、企業が体質改善と称して、ぜい肉を切り落とすという言葉をお使いになりますが、そう言って過剰雇用の整理というようなことをしている。人減らし、首切りをやっておりますが、これは福祉に反すると思うんですけれども、どうでしょう。広い意味の福祉に反する。
○国務大臣(福田赳夫君) 企業はいま自由体制で、自由にして公正な競争で一つ一つの企業が運営されるという仕組みをとっており、また今後もその仕組みにしたいと思います。それで、一つ一つの企業の雇用の問題、これは非常な重要な問題でありますが、それに政府が介入するという考え方はいたさないわけです。しかしながら、いまわが国におきましては、大体終身雇用体制、そういう仕組みを各企業大方とっておりますので、わが国のそういう状態というものは世界の中でも非常に特異な状態だというふうになっておりますが、やっぱりそういう状態、私はいろいろ、その状態がいいのかどうかということについて意見はありますけれども、私としては、それは日本式のそういう雇用関係というものはいい状態じゃないか、そういうふうに思い、ぜひそういうふうにしていっていただきたいと、こういうふうに考えておるわけです。 問題は、そういうレイオフだとか解雇だとか、そういう状態が起こらないような経済状態をつくりたい、そういうふうに考えておりまして、それで、いまわが国をめぐる内外の環境というものは非常に厳しい。制約条件が非常に多いんですよ。ですから、余り過去のような背伸びをした経済成長というものは、これは考えられませんけれども、それにしても雇用という問題を考えますと、またこれ以下に下がっちゃ困るという問題もあるわけなんです。その一点をにらんで経済運営をやっていかなければならぬだろうと、こういうふうに考えまして、これからの経済成長、五カ年間を展望しますと実質で六%強だと、こうなりますれば大体内外の制約条件にもこたえ得るであろう、また雇用問題に対しましてもこたえ得るであろうと、こういうふうに考えておる、こういうことであります。
○田中寿美子君 この長期計画で雇用のことが第一番に取り上げてあるから非常に力を入れていることはわかるんですけれども、実際には完全雇用として失業率一・三%というふうになっておりますね、完全失業率一・三%というのは完全雇用なのかどうか私お尋ねしたいんですが、それでこの調整過程で、この中に需要の管理という言葉がありますね、雇用のところに。そうすると、言葉はわかりにくく書いてありますが、人減らしということでしょう、労働市場における需要を管理していくという意味で。完全失業率を一・三%のところに持っていくのが五カ年計画、そしてそれが完全雇用というふうに書いてあるんで、ちょっと私には腑に落ちないんで、完全雇用というんだったら、まあゼロとはいかなくても、もっとゼロ台の失業率であるはずだというふうに思うわけなんです。 それで、私一つ実例を申し上げたいんですけれども、おととい私は秋田に行きました。いま補欠選挙の最中で、応援に行ったわけです。男鹿半島に行きました。あの男鹿市ですね、永大産業が工場を持っているわけです、ベニヤ板です。これが十二月の一日から工場閉鎖になった。二百人あそこで働いているわけなんです。十二月、一月、二月、三月は雇用調整給付金をもらって、例の雇用保険法で。そして三月末までに打ち切りになって四月から後、いま大和銀行その他銀行管理に入っておりまして、本社が一応賃金を払っておるわけなんです。そこの人たちは果たしてどうなるのかさっぱりめどがつかないという状況で切られているわけですね。それじゃ永大産業というのはほかの日本全国に幾つも持っている工場は整理しているかというと、全然整理していなくて、秋田県の男鹿のあそこだけ切っているわけですね。あそこの男鹿市というのは人口四万でして、農業も漁業ももうみんな大変荒廃しておりますね。八郎潟の干拓のことはよく御存じだと思いますけれども、あそこを干拓して膨大な土地を持っているにもかかわらず耕作することもできない。農民が思い余ってたんぼを植えたらこれは県で買い取ってくれないからというので青田刈りを命じられた。そういうように漁業も農業もさびれ、そしてわずかにその永大産業——これは誘致工場なんです。高度成長期に誘致した工場なんです。それがわずかに職場としてあって、そこで二百人とその家族が暮らしてきたわけなんですね。こういう調整の仕方というのは私は間違っていると思いますがね。全く福祉に反した雇用調整だと思いますけれども、長官、そういうようなやり方、需要の管理というようなことは今後の雇用の方針の中ではすべきでないと思いますが、ほかに方法がないかどうか。つまり、これは通産省が指導しておりますよ、いろいろ、生産制限も指導して、その一環だと思うんですけれども、どうお思いになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 需要管理というふうに申しておりますのは、これは雇用を統制するとか雇用状態を管理すると、こういう意味じゃないんです。これはこれから経済がまあ成長発展していくと、それは内外の制約条件を突き破って高い成長をするというようなことがあり得ると、そういう際にはそれなりのいろんな問題を起こしますので、これをそういう高い成長にしないというためのいろんな政策をとると、あるいは経済が非常に低い水準の動き、そういうふうになってきた場合にそれを望ましい水準まで持っていくためには結局てこ入れをしなきゃならぬ。そういう経済の流れに対しこれが安定的に動いていくように、先ほど申し上げたとおりなんです。余り制約条件を超えて高くなっても困る、さらばと言って雇用問題ということを考えますと、余り低い水準ではこれは雇用問題に支障を生ずる、そこで適正な水準はどうかというと六%強という状態だと、その辺に経済を誘導していけば国全体として雇用問題でこれは望ましい動きになってくる、こういうふうに考えております。ただ、いま田中さん御指摘の問題はあるんですよ。つまり国全体としては雇用は均衡される、そしていわゆる完全雇用の状態にはなる、なるけれども、局所的に過剰の状態が出てくる、あるいは局所的にはその逆に不足の状態が出てくるとか、あるいは年齢層によりまして中少年齢層については不足の状態が出てくる、あるいは高年齢層についてはこれは過剰の状態が出てくると、そういうような需給の内容についてよほど注意していきませんと問題が起きてくる、こういうふうに思うんですが、その辺も十分配慮して、そして内容的にも、また全体としても、バランスがとれると、こういう状態にしたいというのが考え方でございます。
○田中寿美子君 総需要の管理という言葉が中間報告のところにあったんだけれども、今度本報告をきのういただいてちょっと見てみたら「総需要」の「総」は取って需要の管理という言葉になっておるので、一体これは何を意味するのか、ちょっと時間があれですから後ほど伺いたいと思いますけれども、いまの例は、悪くしますと雇用調整給付金があるためにあそこの工場は全部閉鎖できたんだというふうに見てもいい、企業によってはこれを機会にうまいぐあいに調整するという形をとって、働く人を全体——あのあたり余り文句言わないと、組織状況も余りちゃんとしてないというようなところをばさっと切ってしまうというような乙とが起こり得るので、こういうことは、需要を管理なさるという場合には相当、それは政府のそういう企業に対する指導というものが変なふうにならないようにしていただきたいと思うわけなんです。ですからこの減速経済の中で日本の資本は自己資本の率が低いですね。これは資料を見ますとむしろだんだんだんだん低くなっているんですね。だからこれは今後過剰な借入金にいままでも依存しているわけですけれども、金利が負担になってきますから、金利を下げてくれという要求が出てくると思う。そうすると、今度は預け入れている方の預金者というのはまたそれより低い預金金利になるという可能性もあって、大変そこで不公正がむしろ広がってくるという感じが一方にある。一方には企業が公正な競争をしない、一種のカルテルのような形で価格を維持していく、引き上げていくと、こういうことが過去にも行われてきたし今後も行われるんじゃないか、その辺が非常に重要な問題だと思いますが、ここでも、ですから雇用問題の次に独禁政策というものが出ております。そのくらい公正な競争を進めていく政策をとるべきだということが言われているわけなんです。事実はそれに反して、企業は政府の指導があると生産調整をしてよろしいと、減産体制をとるべしという通産省の指導でもあれば喜んでそういうことをやって働く人を犠牲にするという傾向が起こるので、その辺、需要の管理という言葉はどういうふうに私たちは考えたらいいか、具体的に書いてないもんだからわからないです。
○国務大臣(福田赳夫君) 需要の管理というのは、これは結局国民経済全体の動き、これを分析すればこれはいろんなものの需要、労働の需要、そういうもの、これが実態になってくるわけです。物の需要、そういう面から言えばこれは国民消費であり、設備投資需要であり、それから国のあるいは地方公共団体の財政需要であり、また輸出のための需要である。こういう大筋で言うとその四つぐらいになると思いますが、その総和がつまり国の経済、またそれが非常に景気的側面から見れば景気の動きとして出てくる、こういうことでございますが、そういう需要項目を、これは自由経済体制ですから、特にこれを個人の生活なんかにはそう介入することはできない。まあ政府が統制管理するという意味じゃございませんけれども、しかし政府はまあ財政政策を通じ、あるいは金融政策を通じまして、特に設備投資でありますとか、あるいは中央地方の財政でありますとか、あるいは貿易でありますとか、そういう問題には影響力を持っておるわけですから、それを機動的に政策の運用を駆使するというか、濶達に行いまして、そして余り需要が伸び過ぎないように、また余り需要が引っ込まないように、その辺の調節をやっていきたいと、こういうことなんですよ。その考え方をやりませんとどうも制約がある、それを越えちゃってね、経済が伸び過ぎちゃう。そうするとまたいろいろな問題を起こしてくる。それからまた引っ込み過ぎるということになれば、それに伴ういろんな諸問題、特に雇用問題に重大な支障が出てくる。そういうので、この需要をそういう方式で管理しまして、そして経済の動きをなだらかにしたいと、こういうことを申し上げておるわけであります。
○田中寿美子君 それでは少し消費者物価と卸売物価の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、もう先ほどからすでに言われておりますように、見通しで見ますと五年間で消費者物価六%、平均六%台、そして卸売物価が五%程度ということですね。それでまあ卸売物価と消費者物価がそんなに接近することはあり得ないと私は思うわけです。過去に卸売物価の三倍ぐらいの消費者物価をいつも示しておりましたからですね。それで全体として言えることは四十七年以前のような物価の状況にはもうならないということではございませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 諸外国をずっと見ておりますと、大体卸と消費者物価が連動して動く、そういう傾向です。わが国はそれが過去においてはかなりの乖離があったわけです。しかし、それがこれからは少なくなるだろう。つまり、成長の速度というものが問題になってくるのだろうと思うのですが、成長の速度が先進国並みになる、したがって、卸、消費者の乖離は少なくなると、これが基本的な見方でございます。 なぜそういうふうになるか、そういうことになりますと、過去におきましては高い生産性、そういう高度成長ですね、ところがあまり上がらないところがあり、コストの上昇を吸収し切れず消費者物価が上昇した。今度は減速経済でありますから、みんながそれを十分吸収し切れない、そういう状態が出てくる。その辺が非常な違いになってきておるのじゃないか、そういうとらえ方でございます。
○田中寿美子君 私は、消費者物価と卸売物価の関係、まだ納得できませんけれども、卸売物価がなぜそういうふうに高く計算されるか、なぜかということなんですが、時間の関係で、私が見ました物に挙げられておりますのは、まず、不況だ不況だと言って、企業が収益の回復をねらって産業界が減産体制をとる。で、政府もこれを積極的に援助している。私は通産省がその指導をしていると思いますけれども、そういうことで卸売物価が上がっている。それから輸出が前年より五割もふえている。それも、さっきおっしゃた、輸出とそれから国際的な商品の市況ですね、それが上がっているから高くなるというようなこと。それから金融が緩和されて、それで行き渡ったから、だからそれも卸売物価にやっぱりはね返ってきたというようなことが挙げられているんですけどね。日銀や経済企画庁で、最近の産業界の減産体制が最も大きな原因だというふうに見ているというふうに報道されておりますが、しかも、その卸売物価をつり上げている大企業の製品が六三%以上だと。だから、よく長官は新価格体系とおっしゃいますけれども、何か意図された物価値上げ——値上げというより高原状態ですね、そういう状態をつくり出しているんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これから物価が上がる、それをどういうふうに見るか。私は、卸売物価は高度成長期には安定しておった、それが今後は幾らかあの当時と違って上がる傾向を持つと、こういうふうに見ておるわけです。 これは理由は二つあるんでありまして、一つは、先ほど申し上げましたように、生産性の問題があるわけです。前の状態でいきますと、高度成長期の状態ですね、これは高度成長でありますから、その高度成長の波に乗る特に大企業、大企業の方は、これは企業規模が大きくなる、スケールメリットというものが出てくる、そこでその結果として生産性が上昇する、そういうことになってくるだろうと思うんです。そういうことで卸売物価は安定しちゃうんです。上がりましても一、二%の上昇だと、こういう状態。ところが中小企業ですね、中小企業の方は、これはそう高度経済成長であるといなとにかかわらず、生産性を上げることができない。そこで製品やあるいは料金の価格を上げなけりゃならぬ、そこで卸売物価は安定しておるにかかわらず、消費者物価の方は上がると、つまり中小企業物価がまあ大体において消費者物価ですからそういうふうになる。ところが、これから先を展望しますと、卸売物価は上がると思うんです。上がるのは、いま申し上げました減速経済ですから生産性が上がらない、そこでまあ上がる傾向を持ちます。 それからもう一つは、この輸入物価が、先ほどもしばしば申し上げているように、これが上がってくる。これは何に響くかと言うと、卸の方に響くんです。そういうことで卸売物価は上がる。消費者物価も先ほど申し上げましたように、まあいろんな事情で上がりますが、しかし、この輸入価格はそうは消費者物価には響かないと、こういうようなこともあって、乖離幅は縮小されてくると、こういうふうに見ておるんです。
○田中寿美子君 長官のお話を聞いていると、そうすると大企業の製品の卸売物価が上がっても、余り消費者物価にははね返らないみたいに聞こえるわけなんですがね。卸売物価の統計九百二十八品目をとっておりますが、その中で一体どういう種類の分類の品物が、商品が、一番どうしても大幅上昇を避けられないかということを伺って参考にしたいと思います。それでその意見は合わないだろうと思いますけれども、私の言いたいのは大企業の製品の値上がり、大企業だけじゃない、卸売物価の値上がりが消費者物価に必ず相当にはね上がるんじゃないかということと、それから卸売物価を引き上げている要因が、海外的な要因よりは国内的な要因の方が大きいんではないか、つまり生産調整という名前で価格を維持する制度がとられているじゃないかというふうに思うわけなんです。私は事務当局からどこが一番上がるのかということを伺って、あと田代委員がお急ぎですから、私は一時それだけでやめておきます。
○政府委員(宮崎勇君) お答えいたします。 大臣から御答弁がありましたように、今後の卸売物価、消費者物価の動きについて見ますと、一般的に輸入物価が上昇するという点と、生産性の上昇率が過去に比べて低下するという点が品目別の特殊性から言いまして特に卸売物価に響くわけでございます。で、卸売物価の今後の上昇要因を過去の上昇要因と比べますと、一番違っておるのは卸売物価の上昇要因——海外物価の上昇要因ということでございますが、ただ景気回復の当初におきましては、ただいま御指摘のような要因もありまして、若干その要因も強うございますが、これは景気の回復とともにだんだん少なくなっていく要因だというふうに考えられます。で、それが、卸売物価が消費者物価に与える要因でございますけれども、消費者物価につきましては、全体の消費需要の伸び方が従来の高度成長に比べまして今後低下いたしますので、その部分からする消費者物価の上昇要因というのは少なくなって、したがって卸売物価からの上昇要因というのが多くなるわけでございます。で、そういうわけで、卸売物価と消費者物価の上昇率の乖離が従来より小さくなると、こういうことでございます。
○田中寿美子君 後で項目のことはひとつお願いします。品目ですね、一番どれが上がるのかということ。時間が……。田代さんお急ぎですから……。
○委員長(中村登美君) 後で伺うそうですから……。
○田代富士男君 田中先生の質問時間に割り込みまして、まことに申しわけございません。ありがとうございました。この後ちょっと常任委員長の会合がございますものですから、その出席で割り込ませていただきまして、申しわけございません。そういうわけで時間が余りないものですから、こちらも簡潔に質問をしてまいりたいと思いますから、よろしくお願いをしたいと思います。 最初に、福田副総理にお尋ねをいたしますが、去る四月の二十七日に政府が独禁法改正案を閣議決定をされたと思います。これは副総理も御存じだと思います。ところが、いまだに国会に提出をなさっておりません。この問題につきましては、去る五月七日の参議院の予算委員会におきまして、公明党の桑名議員より三木総理に対して質問をしております。それに対しまして三木総理は、今国会に提出を確約していらっしゃいます。早い時期に提出をしたい。その場所に福田副総理もお座りになっていらっしゃったのですから、これはしかとお聞きになっていらっしゃると思うわけなんです。ところが、いま福田副総理が委員会が始まる前に、この委員会が百四十何日目に開かれましたなあという、私、実感のこもったお話を聞きましたけれども、その国会もあときょうを入れて五日間しかない。この五日の間に三木総理は提出をいたします、このように予算委員会を通じて全国民に公約をされている。しかし五日間の会期しか残ってないのに、いまだにこれは提出をされてないということは、これを出さないとなるならば、あと五日間ですから、国民に対して公約違反をしたことになる。もしこれを出すという意思があるならば国会延長をせざるを得ないと思うのです。だからこれは出す意思があるのか、もし国会延長してでもこれはお出しになるのか、三木総理の発言ですけれども、福田副総理も同じ責任はあると思いますが、まず、そのところを明確に簡潔にひとつお願いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) いきさつはもう田代さんおっしゃるとおり、私もよく承知しております。ところが御承知のような国会末期の様相と相なりまして、参議院の方に議案がふくそうしておるわけです。そういうようなことで、さあ、その独占禁止法をいまこの段階で提案するということになった場合に、他の議案との調整がどういうふうになるだろうか、国会経営上の配慮があるわけなんです。きょうも田代さんのお話のようなことを踏まえまして、この議案をどうするか、こういうことを相談いたしておるんですが、国会運営の衝に当たる当局から、いま非常に議案の問題の諸処理、これが機微の段階でありますので、きょういつ提出するかということは決めかねると、こういうお話なんですが、まあひとつしばらく形勢の推移をお待ち願いたいと、かように思います。
○田代富士男君 それは副総理、私は納得できないのです、その理由は。国会運営上の議案の兼ね合いからこれを提出するかどうか、いま、きょうも検討したということですが、それはたくさんの議案が回ってきております。しかし、その同じ議案一つをとりましても、この独禁法の問題は前の国会におきましては全政党がそろって賛成している法案なんです。ただ、衆議院で決められて参議院で日にちがなかったために通らなかった、そういうものであるならば、検討するならばこれは優先して出すのが国会運営上のこれは政府としての責任じゃないかと思うんです。私は、だからそれはいま副総理のその答弁は納得できないです。私から言うならば、結局は三木総理のメンツだけを立てるために閣議決定をして、議案の取り扱いだということで、副総理という立場から三木総理を擁護されたあれじゃないかと思うんです。出さないなら出さない。間に合わないなら間に合わない。五日間でしょう。検討中だ。五日間で、検討中だと、もう大体見込み立つじゃないですか。出さないなら出さない、出すならば延長して出す、もう一度、それじゃ納得できないです。
○国務大臣(福田赳夫君) 率直に申し上げておるんですが、これはもうすでに閣議の決定は経ておるんですよ。それを最終段階に来た国会の諸議案の処理ですね、その上からいつ出すかということにつきましては、なおまだ決めかねておると、こういうのが、これは本当に何と言うか、ざっくばらんに申し上げておるところなんですが、もう閣議決定は経ておる。
○田代富士男君 だから出すんですか、出さないんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) しかし、出す、出さない、出す場合にいつ出すんだ、ということを含めましてただいま検討いたしておりますと、こういうことでございます。
○田代富士男君 それは副総理、納得できませんよ。 じゃ公取委員長に。新任早早の公取委員長の決意とあわしてお尋ねいたしますが、これが国会に提出されてない。しかし公取委員長という立場からは、公平な立場からこの事態をどのように思われるのか、また、今後とも独禁法の強化改正に対してどのように取り組んでいかれるのか。福田副総理は後五日間検討するとおっしゃいました。もうだれが見てもわかることをおっしゃらないということは、いろいろ政治的な配慮があるからおっしゃらないかわかりませんけれども、言いたいでしょう、本心は。言いたいけれども、それが言えぬのでしょう。それならば、そういうことをずばり言える立場が公取委員長の立場ですから、公取委員長もそういうふにゃふにゃだったら、もう物価の委員会は百四十何日目ですなとおっしゃったけれども、開く必要ないんですよ。どうです、公取委員長、新しく任命された決意とあわせて。
○政府委員(澤田悌君) 公正取引委員会といたしましては、かねがね申しておりますように、七十五国会におきまして衆議院で全会一致で可決されました独禁法改正案、これを尊重し、これが基本となるべきものだと考えておりますし、現在もそういう考えでございます。 それで、いま問題の新しい改正案は、その中からいわゆる独占的な状態の規制に関する条項が削除されておる、これにつきましては残念であると申さざるを得ないのであります。これも私どもの明確な姿勢でございます。それであってもこの新しい法律案、現行法に比べますと前進でございます。私ども日々独禁法の運用を現実に扱っております者といたしましては、その前進をやはり貴重なものと受けとめざるを得ないのでありまして、この新しい法律案がぜひともできるだけ早く成立されますことをこいねがっておったのでありますが、伺いますと大変むずかしい段階になっておるということでございます。そういうことで、もし成立しないというようなことに相成りますれば、重ねて残念であると申さざるを得ないような次第でございます。
○田代富士男君 同じお隣に座っていらっしゃるお方が、片方では出ることを希望すると、それが出ないということは残念であると、このように、副総理、新委員長が申していらっしゃるんです。だから私は重ねてお尋ねをいたしますが、もちろんこの今回の法案も不備な点がありますけれども、 一歩前進という立場から言うならば通してもらいたいと思うんですが、この中で企業分割の規定、これに対する問題等が今回は改正の対象になっていない、それと同時に、公取委員長の立場から、いまもお話をされましたけれども、この改正案には——いろいろな改正案が出ましたけれども、五常改正案、われわれが、一応各党が寄り合ってつくったこの五党改正案に沿ったもので今後この独禁法強化の方向に向かっていかれるのか、そこらあたりの、新しい委員長としての決意はいま聞きましたけれども、もう一歩立ち入った質問をしたいと思うんですけれども、どうでございましょうか。
○政府委員(澤田悌君) ただいま申し上げたところに尽きておると思うのでありますが、重ねて申しますれば、最近の寡占状態の進行が云々されておる情勢にかんがみまして、公正取引委員会といたしましては、それに対応する改正が行われることが必要であると考えております。今後も削除された条項が引き続き検討をされて、改正案となって実現することをこいねがっておる次第でございます。
○田代富士男君 五党改正案に沿った御検討をされるのか、五党改正案に対する委員長としての御見解を聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(澤田悌君) 国会の御審議のことでございまするから、私どもの希望は希望として、もうお答えするのにも限界ございますのでありますが、七十五国会で廃案になりました線で改正が行われますならば、これは私どもこいねがうところであることは重ねて申し上げたいと思います。
○田代富士男君 それで今回の、まだ提出はされておりませんけれども、改正案において審判手続の改正、訴訟手続の改正がなされておりますけれども、これは私たちは納得できません。三木総理は盛んに、今回は緊急を要する内容にとどめたために、いまも私申しましたが、企業分割であるとか、カルテルの影響の排除は見送ったというようなことを強調していらっしゃるわけです。その中に、審判手続、訴訟手続の改正はそんなに緊急必要であったのかどうか、この点ですね、まず副総理からお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 申し上げるまでもなく、独占禁止法の改正案は、これは衆議院で五党修正案として満場一致通過している。ところが参議院に来てこれが廃案になった。そういう異例なことになりましたのは、これも率直に申し上げますが、自由民主党内の意見の調整が十分になされておらなかったと、こういうことに帰すると、こういうふうに思います。そこで自由民主党といたしまして、また政府といたしましては、前国会が終了した後、精力的に自由民主党内の意見の調整を急いだわけです。その結果でき上がりましたのがさきに閣議決定を経た改正案と、こういうことになるわけでありまして、この改正案の内容は、いま公取委員長が申し上げたように、構造規制の問題など、若干前の五常修正案、これに比べますと、削除されている面もありまするけれども、同時に、株式保有制限の問題、あるいは課徴金の創設の問題であるとか、あるいは罰則の強化の問題でありますとか、まあかなり公正なる取引と、これを推進する上において有効な修正個所を含んでおるわけでありまして、まあとにかく、国会へ出しただけじゃこの議案というものは意味をなさぬと思うんです。やっぱりこれは成立するということがその眼目でなければならぬと、こういうふうに思うわけであります。成立が保証される案とすると、自由民主党の中でとにかく調整を十分にしたというその案ですね、これにならざるを得ないんだろうと、こういうふうに私としては存じておるわけであります。ただそれが、会期末が迫っておるそういう際に、まだ提案に至らないことはまことに残念でありますが、その事情は先ほど申し上げたとおりでございます。
○田代富士男君 そこで、このいま申し上げました審判手続、訴訟手続の改正というものの背景を——まあこれは副総理が一番御存じのとおりに、これが自民党内でまとまらないといまおっしゃった。だから私から一方的に言うならば、三木総理は今国会に出しますということで国民に約束された。出さなかったということは、これは公約はしなかったということになる。それは自民党の党内の争いによってできなかったということになるわけなんですね。その争いの焦点というのが公取委違憲論というのがいま自民党の中で論議されている。だから、その背景に提起されたのがこの審判手続、訴訟手続じゃないかと思うんです。だから現在ですね、現在審判手続の方は公取の中にあってちゃんとこれはなされているわけなんです。また、訴訟手続の方も現在において公取の審決が訴訟になったのはそれは少しはありますけれども、これはいま取り上げなくちゃならないようなあれじゃないと思うんです。だから、私は、こういう党内のまとまらないというこの根本の公取委の違憲説、これを政府も自民党の中も、国民にこたえていくならば、速やかにこれを放棄すべきであると、私はこのように思うんです、放棄すべきだと。この点についても副総理のお考えを聞きたいわけなんですが、だから公取委がいままあ新委員長がお決まりになりましたけれども、これはもう副総理御存じのように、独禁法の二十八条の規定によりまして公取委が内閣から独立した、そういう立場で仕事をしていることは御存じのとおりであります。これが違憲であるというような学説は見当たりませんし、内閣法制局においても明確にそれは否定されている。にもかかわらず、そういうことがごたごたごたごたしていると、だから独禁法のこの運用というものは、高度の政治的な中立性というものが求められなくちゃならないじゃないかと思うんです。そういう立場から公取が審査をし、審判をし、そして審決を行う。これは言葉をかえて言うならば、準司法的機能を有しているんじゃないかと思うんです。そういう準司法的機能を有している以上は職権行使の独立性の保障というものはこれは当然のことじゃないかと思うんです。まあそれに対して三木総理は独禁法を強化いたしますと、総理におなりになる前からこれはおっしゃっていらっしゃって、総理になったらやらざるを得ないようになってやったと、しかし、口で言っていることと実際やっていることと、口にすればするほどこれはおかしなことになってくるんです。だから公取委違憲論の検討を中止するなり、とやかくそういう独占禁止法強化という、これは私は三木総理の政治的宣伝を、みずからこれは政治的宣伝でありますよということを言っているみたいです。いま私先日の予算委員会のときの答弁と現実とを合わしたんですけれども——この違憲論に対する考えと。そういう政治的宣伝以外にないと思うのです。そういうところから違憲論は放棄し、そうしてこれを一日も早くですね、会期延長になるかどうか、これはここでは発言できないでしょう。ここで副総理おっしゃったら大変なことになるでしょうから、それはわかった上の質問でございますから、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ公取がですね、これが中立的な立場でその職務を執行すべきだということにつきましては、これは内閣として何らの異見があるわけではないのであります。ただ、まあ政府・自由民主党の間の意見調整、これがおくれてまいりまして、そうして会期末に立ち至ったと、こういうまあ非常にいまむずかしい段階にきておるわけであります。いまここで私がこの改正案は政府案として提案をいたしませんと、こういうふうにはまあ申し上げません。まあいつ提案をするかということは、いま最終段階の国会運営として非常に機微の問題であるというので、慎重に検討中であると、これだけのお答えしか、まあ申しわけございませんけれども、できないわけです。
○田代富士男君 公取委違憲論はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) それからなお違憲論というものがあることは私は承知しております。おりまするけれども、そのゆえにですね、この調整案の作成がおくれたというふうには承知しておりませんです。
○田代富士男君 まあ違憲論があることは事実だけれども、そのためにおくれていることはないという理由であるならば、一体何が原因でおくれているのですか。そういう自民党のごたごたの中の根本は、公取委の違憲論その他があってまとまらなかったと、しかし、まあ閣議決定をしたということで、日にちの、国会のあれだというそれはわかりますけれどもね。その私は根本は違憲論、そういうものがあって出すに出せない事情があるだろうと思うのですが、そうではありませんとおっしゃったら、まあ何が理由か、もう一つ、申しわけないですか。 〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕
○国務大臣(福田赳夫君) まあ結論的に申し上げますと、これは自由民主党内の調整がおくれたんだと、こういうことです。また、その自由民主党の調整の結果、また政府との調整、これもあるわけですが、主として自由民主党内の調整がおくれたんだと、こういうことに尽きるわけであります。そういう調整の中で、どの点がどういうふうに問題となってごたごたしておるのか、その辺になりますと、私はさだかに承知しておりませんですが、しかし、いま御指摘のこの違憲論、この憲法論争が中心でおくれたんだというふうには承知しておりませんです。
○田代富士男君 じゃあ委員長にお尋ねいたしますけれども、訴訟手続の改正の問題でございますが、これは独禁法の八十条に規定されております公取委の行政委員会としての立証、証拠、拘束といいますか、第八十条の精神ですね。私はこれを侵すんじゃないかと思うんです。だから公取委の職権行使の独立性を侵すことになるのじゃないかと思うのですね。で、先日の衆議院の予算委員会で、公明党の正木議員からもこの問題が提起された折に、公取委員長は、公取委員会の職権行使の独立性はあくまで堅持するということを言っていらっしゃったけれども、訴訟手続の改正というものはこの八十条の精神に矛盾するのじゃないかと思うのですが、この点に関するお考え、いかがでございますか。
○政府委員(澤田悌君) 一般手続等に関する幾つかの改正案が新法律案に盛られておりますが、ただいま御質問の審決取り消し訴訟におきまする新証拠の申し出制限の緩和の点でありますが、具体的に申しますと、過失がなかった場合、その過失というのを重過失というふうに改められた点が御指摘のところだと思います。それが公取の権限を侵すものではないかということであろうかと存じますが、御承知のように公正取引委員会の果たしまする第一審的な機能と申しますか、それと訴訟手続におきまする被審人の権利擁護という点、その調和を図ったものと解しておるのでありますが、過失という点が重過失と改められても特に公正取引委員会の権限あるいは独立性というようなものに関連があるというふうには考えていない次第でございます。
○田代富士男君 だから公取が今後ともこの独禁法に取り組むということであるならば、この独禁法の第四十四条二項に「公正取引委員会は、内閣総理大臣を経由して国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見を提出することができる。」ということがなされておりますけれども、これを今後どのようにここに書いてあるとおりに実行されるのか、新しい委員長としてこの四十四条の精神をどう実行されますか。私はいまも言うとおりに、この訴訟手続の改正等は独禁法の八十条の精神をも侵すんじゃないか、そういう立場から援護しているわけなんです、私は、仕事をやりやすいようにと。だからそういうところから、それならば四十四条の精神をどのように今度おやりになるか具体的にひとつお示しください。
○政府委員(澤田悌君) 独禁法の改正その他独禁法に関する問題については、所轄の大臣でありまする内閣総理大臣に対しましてその必要性とか改正する場合の内容等につきましては公正取引委員会の考え方を述べてまいったのでありますが、今後まあどういう問題が起こりますか、将来のことは予測できませんけれども、現段階におきまして独禁法四十四条第二項による意見提出を国会に対して行うということは考えておらない次第でございます。
○田代富士男君 時間がないですが、もうちょっとお聞きしたいですけどね。それでこの独禁法の問題に対して副総理に最後にまとめてお聞きしますけれども、いまあと五日間しかないと、これは検討中であるとおっしゃるけれども、議会人であるならばこの五日間に議案が提出されて参議院へ来るまでどうなるかということはおわかりだと思うんです。恐らくこれは提出できないと思うんです。しかし、これは提出できないということで終わってはなりませんし、だから今後副総理として、将来総理になられるかもわかりませんし、これはまあこういうところで言うてもなにかと思いますけれども、副総理の立場としてこの独禁法に対して今後どのように取り組まれるのか、現実は現実、しかしこれは将来の展望としての決意を聞かしてください。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ政府としては閣議におきまして新しい修正案を決定しておるわけですから、その決定いたしました政府案が国会の御審議を経て成立されることを期待すると、こういうことですが、とにかくいま非常に異例な状態になってきておるんです。もう会期はあと実質五日しか残されておらぬ、それでまだ提案になっておらぬが、他に参議院に諸議案がふくそうしておると、そういう際にこの法案をどういうふうにさばいていくかということにつきましては、お察しのようでありますが、非常にむずかしい問題があるわけであります。さあいつ提案をするか、閣議が決定しているんじゃないか、きょうも相談をしたんですが、まあちょっと参議院の議案処理、そういうものを考えるときにこの席では決めかねるというのが偽らざる状況なんであります。しかし基本的な考え方としては、閣議で決定されておる、これが成立を期すと、こういうことにつきましては、これはもうそういうふうに政府として固い方針を固めておると、こういうふうに御了承願います。
○田代富士男君 じゃ、次に進みます。 物価の問題については田中委員から種々いま数字の上から御質問があって答弁されましたけれども、四十九年度は一五%、五十年度は一けた台というような目標がなされまして、本年度は年度中上昇率八%という、こういうような数字が一応出されておりますけれども、これは本年度の政府の八%台公約と受け取ってよろしいでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ正確に申し上げますればこれは見通しなんですが、私どもは全力を尽くしてこの目標を達成したいし、できればそれ以下にしたい、こういうふうに考えております。
○田代富士男君 公約とまでいかないけれども見通しですか。公約とはとれないということですか。その点もう一回、公約ととってよいかどうか、見通しかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) いつも物価の目標につきましては公約とは申し上げておりません。もう見通し見通しとこう申し上げているんですが、五十一年度につきましても、四十九年度について申し上げ、あるいは五十年度について申し上げておるところといささかも違いはないんだと、かように御了承願います。
○田代富士男君 そこで、いま八%に抑えられるかどうかという問題ですが、いまの本年度の予算関係の中に関係します公共料金を見ましても、この国鉄運賃がCPIへの影響がどのくらいかと言えば〇・五、電信、電話料金が〇・三七、国立大学の授業料が〇・〇五、NHKの料金が〇・一というような数字が出ているわけなんです。それからもうすでに医療費が上がっておりますが、これは〇・一六、そうしますとざっとこれを計算しただけでも一・一八%ということになるわけなんです。公共料金は二%の中でもこれだけでもう一・一八%が組み込まれておるし、これに地方自治体のそういう公共料金の試算をいままで過去におやりになった計算でいきますと、四十七年が〇・一六、四十八年が〇・二四、四十九年が〇・二四、五十年度はどのくらいか、五十年の十二月は〇・六という数字が出ておりますが、これはもうちょっと調整されて〇・三ぐらいに落ちつくんじゃないかというようなことがるる出されておりますと、これを加えていきますと二%に対しまして残るところは〇・六か〇・六七ぐらいしかない。今後値上げを予想される、これは仮定ですけれども、お米だとかガスだとかタクシーだとか麦だとかメジロ押しに来ているわけなんです。こういうものを加えていきますと、いま田中委員が質問していらっしゃったとおりに、これは概算の数字でいきますともうこれだけでも二・七三、あるいは計算のやり方によりますと二・八八というような概算が出てくる。これだけでももう押し上がっているということは、八%というものははるかに二%の線がこれだけ上がっていたら上積みになるでしょう。こういう時期に今度はいま予想されるのが電力料金の値上げが申請をされております。これに電力料金を加えますと、このいま私が申し上げただけでも二・八出てくるし、電力料金の申請がされますと、これは大変な数字になるんじゃないかと思うんです。だからこの電力料金の値上げに対しましては、通産省の考え方と経企庁の考え方は幾分違いがあるんじゃないかと思うんですね。だから、まず最初に通産省の——通産省見えておりますか——そしてその後副総理からお尋ねをしたいと思います。お願いいたします。
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘のように、現在、去る四月の五日に北海道電力と東北電力、それから同じく八日に北陸電力と九州電力、計四社から電気料金の値上げの申請が出てまいりまして、その後五月の六日と七日に公聴会を実施したわけでございますが、なお北海道につきましては五月の六日、十四日、十五日の三日間公聴会をやりまして、現在部内におきまして慎重に査定中でございます。この電気料金につきましては、電気事業法の規定によりまして原価主義によるということになっているわけでございますが、先生御指摘のように、この電気料金問題は国民生活にも大きな影響を与えますし、それから同時に、現在なお不況下におります産業に与える影響も大きいわけでございますので、そういった点を十分に踏まえまして、原価の査定に当たりましては厳正な態度で臨みまして今後の方向を決めたいというふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 経過はただいまのとおりでありますが、私は通産省に対しましては、この電力料金の問題は原価主義で決めるということになっておりますので、その原価計算を早くしていただきたい、その仕方につきましてはこれはそうその政策的配慮をしないで、本当に純粋に原価主義に徹して、そしてその原価の計算をしてもらいたいんだというふうに申し上げておるわけであります。その結果がどういうふうに出てまいりますか、その結果を見た上、政策的に最終的な判断をしたい。その政策的配慮と申しますのは、これは二つの側面があります。一つは、電力企業はこれは重要な基幹産業でございますので、この産業が安定的に立ち行く、これはねらわなければならぬ。しかし他方におきまして、この電力料金の引き上げというものはこれは電力消費者、つまり企業並びに家庭に対しまして非常に大きな影響があるわけでありますから、それへの影響が衝撃的なものになってはならないと、この企業側の立場、それから電力を消費する側の立場、この両面を踏まえまして妥当な解決をすると、決定をすると、こういう考えでございます。
○田代富士男君 時間があれば細かく聞きたいと思ったんですが、時間がありませんから、いまさきざっと公共料金の値上げ予想されるものの試算した数が大体二・八八ぐらい出ているということを申し上げましたけれども、それといま電力会社の四社から申請が出ているんですが、北海道が三九・一五、東北が三五・二二、北陸が三三.四〇、九州が三四・三三と、九つの電力会社のうちのこの四つは需要量の少ない電力会社、全体の三〇%のシェアになっている。大手のあと五つの電力会社が残りの七〇%ということになるわけなんです。それでいま三九、三五、三三、三四とありますが、恐らくこれは申請の額面どおりいかないとすると、これが三〇%のアップとした場合にCPIへの影響は大体〇・三%くらいじゃないかと、このように、これは計算の上ですよ、やっただけでもいまさっきの二・八八プラス〇・三を足しますと、優にこれは大変な数になりまして、八%に抑えますと、公共料金二%というような、そういうことをいま言っていらっしゃるけれども、現実に現時点から試算しただけでもこういうような数字が出るということは、果たして八%が公約か目標かということを私が申し上げた点はここにあるわけなんです。こういう点について八%に抑えていきたいというならば、電力料金なんかに対しては厳しい態度で臨んでいかなくちゃならないじゃないかと私は思うんです。 それとまた、これは副総理にお尋ねしたい、それから公取にお尋ねしたいと思いますが、鋼材の値上げが予想されておりまして、通産省が行政指導で値上げをしているとも言われているわけなんです。こういうことを耳にいたしますけれども、さきの鋼材値上げについて公取は厳しい見解を出していらっしゃるけれども、今後の値上げに対する見解、通産省の行政指導による値上げに対してどういうお考えであるのか。 また、石油製品の値上げも、石連会長が秋までは待てないというような値上げが予想されていますけれども、これに対してはどういう態度で臨まれるか、これは副総理にお尋ねしたいと思います。 時間がありませんから、私の質問は以上で終わりたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) ちょうど去年のいまごろも皆さんから、ことしは酒、たばこだ、郵便料金だ、そのほか私鉄だとか、あるいは米だ、麦だ、いろいろメジロ押し論があったわけです。そのとき私どもは、公共料金の引き上げの総体は大体二・七%程度になると、こういうふうに申し上げたが、大体そういうところに結果は落ちついてき、消費者物価も一けたということを申し上げておったのですが、一けたの九・九というのをかなりゆとりをもって八・八というところで実績が出てきたわけなんです。ことしも同じ状態が大体においてあるわけなんです。御説のとおり、国鉄だ、あるいは電信電話だとか、あるいは米の問題がありましょう、いずれ。麦の問題も出てくるかもしれない、これはわかりません。そういういろんな問題がありますが、しかし、去年と対比してみますと、去年の二・七%に対しましてことしは二%強という程度に見られるのでありまして、これは物価政策上、ことしのこのような公共料金の動きが非常に去年に比べて状態を苦しくしているというふうには考えない。むしろ去年よりは公共料金圧力を緩和しておると、こういうふうに見るわけであります。 それから物価目標は公約か、見通しかと、こういうお話でございますが、これはもう従来経済見通し、物価の目標として掲げてあるのがちゃんとその目標以内でおさまっておるんですから、その実績をごらんになった上、これはひとつ御評価願いたいと、こういうふうに思います。 それから石油会社の値上げ問題が云々されておると、こういうふうにおっしゃられますが、私は、まだ石油会社の値上げの動きというのを全然承知しておりません。おりませんが、仮にあるということにすると、これは需給の関係である程度のことがあり得るかと——なしとしない、なしとしませんが、政府においてこれを指導するというようなことはいたしませんから、その辺はそのように御了承願います。
○政府委員(澤田悌君) 値上げ問題一般論といたしまして、値上げの動向というような問題が起こりましたときに、公正取引委員会として注目する最も大きい点は、そのもとにカルテル的な動きがあるかないかという問題でございます。 お尋ねの鉄鋼につきましてさきに調査をいたしまして、独禁法上の幾つかの問題点を指摘したのでありますが、最近また鋼材の値上げが報道されております。これがどういうふうな形で行われるか、その推移を見ておるわけでございまして、独禁法上必要があって調査をすべきかというのは、今後の動向によって判断いたしたいと考えております。
○田中寿美子君 私も独禁法のことに入ろうかと思っておりましたところ、ちょうどいい質問をしていただきましたと思います。 公共料金の値上げの問題は、長官少し楽観的過ぎるような御発言だというふうに私は思いますし、それからそのほか政府指導による減産体制をとっているという意味で、いろいろな卸売物価を引き上げる要因がいっぱいあるということを考えますと、五十一年度八%ということも大変心配されると私は思っているわけなんですが、先ほど、卸売物価を引き上げる品目は特にどういうものがあるかということを経企庁の方にお尋ねをしていたわけなんですが、わかりましたでしょうか。
○政府委員(宮崎勇君) 先ほどの答弁を補足させていただきます。 まず卸売物価について、過去昭和四十年から四十七年、いわゆる石油ショック以前の状況でございますが、平均して一・八%上がっております。今度の計画では、計画期間中平均五%でございまして、上昇率のいわゆるかさ上げ分が三%強になります。大体そのうちの三分の二程度が輸入物価の上昇によるというふうに思われます。一方消費者物価の方は、同じ期間をとりまして、四十年から四十七年は大体平均して五・五%上がっておりまして、今度の計画は六%台ということでございますので、約一%足らずの上昇、かさ上げになっているわけでございます。その消費者物価の一%足らずのかさ上げ分のうち、約一・五%程度が卸売物価の上昇による部分でございまして、消費需要が鈍化するというような意味でのむしろ消費者物価を引き下げる要因が〇・五%程度あろうかと思います。 で、品目別についてのお尋ねでございますが、本来個別の価格と申しますのは、市場で決まるべき性質のものでありますから、計画に大変なじみにくいわけでございます。また技術的にも大変五年先の個別の物価を予測するということはできませんし、仮にできたといたしましても、平均以上の上昇率を示します品目を、たとえば公認する、公表するというようなことになりますと、それがかえって物価上昇の引き金になりかねないというようなことで、計画では品目別の物価上昇率というのを示しておりません。ただ全般的に言えますことは、コスト面から見まして、一つは輸入物価が上昇するわけでございますから、輸入原材料のウエートが非常に高い非鉄金属でありますとか、あるいは一次金属というのは平均以上の上昇というふうに考えられますし、また労働集約的な軽工業製品についても、どちらかと言えば生産性の上昇率が低いわけでございますから、コストの点では相対的に上がりやすい品目だというふうに考えられます。また公害防止その他の投資の非常にウエートが高うございます化学工業、一次金属というのも比較的コストの面では上昇圧力が強いわけでございます。ただ、実際の市場におきまして決まります価格というのは需要の動向に左右されますので、コスト圧力が強いからといって、必ずしも需要がそれに追いつかなければ、実現するということではございません。したがって個別品目によって大変まちまちな動きをするというふうに考えられます。
○田中寿美子君 見通しとして品目別にというふうに伺うのは、それは無理であることは私はよくわかりますが、これまでの傾向をお伺いしたかったわけですけれども、時間をとりますので、いまおっしゃった意味は私わかりますから。 それで、全体として企業に対する政府の減産指導がある。そういうことから価格維持の政策がとられている場合が非常に多い。これはいま田代議員から公取委員長にお尋ねなさったのにもそれが出ているわけなんですけれども、長官ね、景気回復というふうなことが言われている、その景気回復の傾向に便乗して、価格をつり上げていこうとするような傾向がないかどうか、そしてそれが新価格体系というものになってしまって、さっき私は高原状態というようなことを言ったけれども、そういうふうなものになってしまって、かつては公共料金だって、三〇%アップなんということはもう考えられもしなかった高い比率ですね。それがもう平気になってしまったという、こういうことが企業の方にもそういう傾向がないかどうか、どうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 企業の方では、新価格体系論というのが一部にあるんです。私はこれは非常に警戒をいたしておるわけであります。つまりこれからの価格は、これは二つの要素があると思うんです。いま御指摘のように、需給が改善されていく、こういう結果、需給の関係からの価格上昇要因というものが一方にある。しかし他方において、これは企業操業度が上昇するわけです。ということは、これは一つ一つの製品のあるいはサービスの価格、料金というものが、これがコストとして下がっていく。こういう傾向、私はそれがあい相殺されまして、卸売物価に対しましてはそう大きな影響はなかろう、こういうふうに見ておるわけです。 それで、新価格体系論についてはなぜ警戒的であるか申しますと、いま御指摘のように、便乗的な値上げを誘いやすい。需給が改善される、それにつれまして新価格体系論だと、こういう声が出ますれば、価格つり上げの背景というものが、とにかく需給が改善されるんですから、できてくるわけです。そこで、その価格のつけかえが行われる。これは私はしかし企業として正しい価格に、物価に取り組む姿勢じゃないと。やっぱり政府においては、いま非常に景気政策を重視しまして、そして採算のとれるような水準まで経済の上昇を図りますと。したがって、それは操業度は望ましい操業度までいくということですと。でありまするから、企業がいま苦しい、苦しいその状態のはけ口を価格に持っていくということをせずに、操業度が改善されますから、それに期待をするようにひとつやってもらいたい。もし新価格体系論で、価格だけを引き上げるということになれば、これは結局めいめいの企業というものが価格を上げるわけですから、一つの企業をとってみれば、その企業が仕入れるその仕入れ製品の価格もまた上がってくるということで、これは悪循環を来すばかりで、少しも利益するところはないんだと。結局価格は全体として安定さして、そして企業が苦しいというその苦しいはけ口を価格のつけかえに求めないで企業操業度、いま政府が一生懸命やっておりますから、それに期待願いたい、こういうことを申し上げているんですが、大体理解はされておる、こういうふうに考えております。
○田中寿美子君 その点で、経企庁の指導と、それから通産省の方は生産調整についてどういうような指導をしていらっしゃるのか、もちろんその指導して価格維持をさせているような感じがしますが、いかがでしょうか。
○政府委員(天谷直弘君) 通産省の生産調整につきまして、いろいろ世間で誤解されている面もありますので、少しくどくなるかと思いますが、御容赦をお願いいたします。 生産調整の種類にはまあ幾つかございます。もちろん企業が自主的に生産を増強したり、あるいは削ったりすることは、自由市場における企業の正常な活動であるというふうに考えます。それから次に、業界全体として不況が非常に深化いたしまして、その状況が独禁法の二十四条の三に規定するところの要件に該当するようになりました場合には、不況カルテルによって生産を削減するということが言い得ると思います。この場合には公取が許可権を持っておられます。それから次に中小企業関係におきまして、団体法の十八条に規定する要件に該当する場合には、関係の中小企業が調整規定をつくりまして生産を制限する、これもまたあり得ることでございます。それからその次には、石油業法に基づきまして政府が供給計画を作成するという形で、これは生産制限ではございませんが、供給計画を作成するという形で、間接的に、弱い形で生産の調整を行うということもございます。それから現在、通産省が生産制限を指導していると言われているものの中心は、ガイドラインポリシーの対象となっておる品目でございます。これはどういう内容かと申しますと、通産省が四半期ごとに需要見通しを発表いたしております。具体的に申し上げますと、石油関係の五つの樹脂、すなわち高圧ポリエチレン、中低圧ポリエチレン、ポリスチレン、塩ビ樹脂とそれからポリプロピレン、その五つでございます。それから塩ビ管、それからアルミニウム、地金、それから段ボール原紙と、これだけの品目が、いまいわゆるガイドラインポリシーの対象になっておるわけでございます。なぜなっておるかということでありますが、石油化学樹脂に関しましては、原料のナフサが著しく高騰をいたしておることは御承知のとおりでございます。このナフサの価格が高騰しておることと、それから市場の状況が非常に不均衡になっておりますために、放置いたしますと市場の撹乱が激しくなる。場合によっては不況カルテルに移行する必要が出てくるというようなことが予想されますので、そういう撹乱を避けるために需要の見通しを発表いたしておるわけでございます。アルミニウム、地金、ダンボール等についても同様の事情があるわけでございます。で、これにつきましては通産省が生産を制限しておるわけではなくて、ただ、需要がこの程度しかないと思われますよと、四—六月期については、日本全体としての需要はこの程度であろうという一つの見通し、ガイドラインを発表することによりまして、企業の注意を喚起いたしておるわけであります。 で、次に、こういう生産制限と世に言われておりますが、われわれ生産制限と思っておりませんけれども、このガイドラインポリシーの対象品目、それから不況カルテルはもう現在なくなってしまいました。それから、したがってガイドラインポリシーの対象になっておる品目が卸売物価に占めるウエートはどれだけであるかと言いますと、約二%であります。それから次に、過去一年さかのぼってみまして、過去一年の間にこのガイドラインポリシーの対象になっておる品目の価格上昇が卸売物価全体の価格上昇にどの程度寄与したかと申しますと、三%弱であります。したがいまして、通産省のガイドラインポリシーの対象になっているものが、卸売物価の上昇一〇〇のうち三程度はそれで説明することが可能であるというふうに考えております。 以上、通産省のやっております実態については、以上のとおりであります。 なお、団体法については黄銅棒、それから洗剤、くぎ、こういうものが現在なお団体法に基づく調整規定の対象になっております。 以上でございます。
○田中寿美子君 直接の寄与率は、いまおっしゃったような程度かもしれませんけれども、それを材料として使うその他のものにみんな波及していくわけですね。 それじゃ具体的な事例でお尋ねしたいんですが、これは衆議院の方に提出されております揮発油販売業法案のことなんですが、いわゆるガソリンスタンドの登録制についての法案ですね、突如としてというか、まあ相当の期間があったのかもしれませんけれども、国会の終わり近くなって提出されてきて——これは通産省原案として提出されてきているものであります。聞くところによりますと、通産省と公取とでは相当これを調整するのに難航をしたというふうに聞いております。いままでガソリンスタンドというものは届け出制であった、それを今度は登録制にして、それでその理由として不良ガソリンを防ぎ供給を安くさせるというふうに承知しておりますけれども、消費者の立場から申しますと、安売りをとめさせるというようなふうに受け取れます。ガソリンスタンドは元売りのメーカーとこう縦の系列をすっかり持っておりますですね、それで石油ショックの当時でも、たとえば私たちが石油を十八リットル一かん買いに行くというようなときに、つり上げられた価格よりも安く売ろうとする店がありますと、それはそんなことしたら元売りからもうもらえなくなるというようなことをよくこぼしている人たちがありました。これは公正な競争を私は阻害するというふうに思うんですけれども、このことについて公取委員会の委員長は、相当もまれたのかもしれないけれど、やむを得ないというふうにこれを承認なさったように私は受け取っておりますが、そうでしょうかどうでしょうか、どうお思いになるかということ、それから通産省の方のこれに対する御意見を伺いたいと思います。
○政府委員(澤田悌君) この法律案につきましては、通産省と法案作成の過程におきましていろいろとお話し合いをいたしましたのであります。公正取引委員会としていろんな点を話し合ったわけでありますが、主な点は二つございます。登録制の採用、それから勧告制度——十九条。それで登録制の採用によって、業者に新規参入の阻止、あるいは不当に系列化の促進が図られるおそれがないか、それから価格に対する勧告制度の導入によりまして、競争制限効果をもたらすおそれがないかという二つの点でございます。その登録制の問題につきましてはいろいろ調整いたしまして、まあ新規参入を阻止しない、それから不当に系列化を促進するものではないと、運用の仕方にもよりましょうが、大体そういう方向に改善されたと考えております。また、第二の点、勧告制度でありますが、これにつきましては、発動要件が若干厳格化されたのでありますけれども、率直に申しまして公正取引委員会の考え方が十分に取り入れられたと必ずしも考えていないのであります。したがいまして、この法律の運用に当たりましては第一の点、登録制の点につきましても、特に第二の勧告制度につきましては、独禁法の理念に反しないように慎重にやってもらいたいというふうに希望をいたしておる次第でございます。
○政府委員(左近友三郎君) 現在衆議院で提出しております揮発油販売業法案につきましては、その法案の成立の過程で公正取引委員会といろいろ御意見を交換をいたしましたことは事実でございます。いま委員長が申されましたように、この登録制についても系列の強化だとか、新規参入の阻止というふうなことになりますれば、これはやはり競争制限というふうなことで好ましくないというようなお話もございましたので、われわれの原案についてもいろいろ検討いたしまして、こういう問題が起こらないような措置をいたしております。ただ、これについてはやはり運用面の問題もいろいろございますので、この運用に当たっても十分これは注意をしていきたい。もちろん、これは国会で議決していただいた上でのことでございますけれども、というふうにわれわれ考えております。 それから価格面の勧告でございますが、これにつきましてもやはり運用は慎重でなければいけないと思いますし、現在、実はこの価格でガソリンスタンドで問題になっておりますのは、むしろ問屋さんが系列とそれから系列外とで差別のある価格で卸しておる。つまり、自分の系列には比較的、いわば定価に近い、一定の価格で卸すが、余分のものはもう少し安い価格で系列外に流すというふうなことがございます。そういたしますと、結局、差別的な価格で安いものをいわばダンピングして販路を広げるというふうなことが起こりがちでございます。ですからこれをやはり防止しなきゃいけないということでございますが、結局われわれとしてそういう場合には、やはり仮にそういう系列外に安売りができるならば、その業者が扱っておる数量全部を込みにして安く売るべきであって、一部は安く売り、一部は高く売るというのは妥当ではないんではないかというふうなことをわれわれは指導したいというふうに思っておるわけでございます。ただ、これにつきましても公取の方の御意見もございますし、また独禁法上の規制もまた考える必要もあるというふうなこともございますので、十分御連絡をとりながら、かつ競争制限にならないような形でわれわれの運用も将来考えていきたいというふうに考えております。
○田中寿美子君 まだ衆議院に提出されているというだけで、とてもこの国会で成立することはないだろうと私は想像いたしますけれども、しかしこういう動きがあるということは、これは公取委員長、一種のカルテル行為ではないでしょうかというふうに私は思うんですけれども、縦の系列、縦のカルテルみたいな、再販価格制度は出版物以外はこれは本当は禁止したはずですね。だけれども、実際問題としてまだ化粧品や薬なんかだって縦の系列がずっとできている。石油スタンドの場合は全く元売りから抑えられていて、そして元売りの印を揚げて売っているわけですから、生殺与奪の権を元売りに握られているという状況です。そこで、そういう印のない無印のスタンドの人たちがいまおっしゃったように、横流しからもらってくるのかなんかで安く売った場合に、それはいけないというふうにすることは公正な競争を妨げる行為であり、一種の大きな石油メーカーのカルテル的な行為ではないかというふうに思いますが、それはいかがですか。それが一つ。 それから販売店を登録するという距離の制限みたいになるわけですね。距離制限じゃないか知らないけれども、とにかくいままで届け出でよかったものが登録して、そこで許可を得なければいけないということは、薬店の距離の制限の問題のときに、あれは最高裁に行って憲法違反だということで距離制限できないという事例が出ましたが、その辺の問題はどういうふうにお考えになるんですか。
○政府委員(澤田悌君) 第一の点、法案で申しますと十九条になりますが、その後段の問題で元売りの問題がすぐ出てまいっております。その辺が独禁法上いろいろと懸念された点でございまして、先ほど必ずしも十分私どもの意見が反映したとは申せないと言ったのは、そういうところでございますが……。
○田中寿美子君 もっと強くならないのですか。
○政府委員(澤田悌君) したがいまして、そこの運用につきましては御指摘のような御趣旨によりまして十分気をつけてもらいたいというのが私どもの考え方でございます。 それから後の点も登録制ということ自体に一つの問題があるわけでございます。しかし、これも先ほど申しましたように、新規参入や系列化の促進というようなことにならないよう十分気をつけて運用していけばまずまずのところへ行けるのじゃないか、そういう考え方でございます。
○田中寿美子君 時間が少なくなってきましたので、これは国会で相当議論しなきゃならない問題だと思いますので、その際もっとやらなければいけませんけれども、もう一つ、これは社会党なんかが何年もかかってつくっておりました中小企業分野確保法、今度調整法という名前になりましたか、野党の方で提案しておりますが、これに関しては澤田公取委員長は、あれは不公正な競争をすることになるからということでむしろ警告するような発言をしていらっしゃいますね。ところが、中小企業分野で確保しようとしているものというのは、本当に零細な、豆腐だとか、クリーニングだとか、その他、そういうところにまで、大商社がミサイルからラーメンまでというような縦横の系列を広げているような時代に、中小企業が非常に圧迫されてきているときに、それを守るための法案を提出しようとしているのに対しては、これは好ましくないという勧告、弱き者には強くて、強い通産省なんかには弱いのじゃ困るので、ちょっとその辺はどうお思いになるでしょうか。
○政府委員(澤田悌君) ごもっともな御指摘でございます。ただ、これは純粋な独占禁止法のたてまえからの問題と、それをやや越えた立法政策の問題とむずかしい接点があると私は実は考えておるわけでございます。それで私の意見として伝えられましたところを先生御指摘になったのでありますが、一般論といたしましては、大企業が正当な手段で各業界に進出する、これを抑えるということは新規参入を阻止して業界の合理化を阻害する、ひいては消費者の利益をも害するようなおそれがある、競争政策上そのことだけを純粋に取り上げますと好ましいこととは考えられないという考え方が一つあるわけであります。 それからもう一つ、しかしながら、大企業がその資本や優越した地位を利用して中小企業の事業分野に不当な手段、たとえば、ダンピングでございますとか、販売に過大な景品をつけるとかあるいは取引に拘束条件をつけるとか、いろいろな不当な手段で進出いたします場合には、これはもちろん独占禁止法上の不公正な取引方法の禁止規定等を発動いたしまして厳正に対処してまいることになるのは当然でございます。こういう一つ一つの事例が正当な手段によるのか、不当な手段によるのかというようなことは、具体的に実態を十分把握するように努めてまいる必要があるのでございます。 これは、いままで申したことは、独占禁止法の立場から純粋に考えた場合の問題でありまして、それでは大企業がたとえ正当な手段であっても中小企業の分野に進出していくのがいいのかという問題になるわけでございます。ここは非常に微妙な問題でございます。これは議論を避けるわけではございませんけれども、結局立法の問題というところに、大きい政策の問題ということになるのではないか、こういうふうな感じで、この前新聞に対しましてはややあいまいな点を残して、私の意見を申したのが率直な感じでございます。
○田中寿美子君 いま公取委員長の趣旨はわかりました。それで、私たちも中小企業分野確保の法律案を出すのはそういう政治的な配慮から出すわけでございますから、まあその議論はこれで置いておきますが、経企庁長官ね、企業に対する行政の介入というもの、公正な競争に対して介入するということについては長官としてはどう思われるか。また、石油ショックのとき大変問題になりましたよね。石油連盟が価格を決定する、値上げを決める席上に通産省の係官がおったというようなことで問題になったんですが、そういう行政の介入ということについてどういうふうにすべきだと思いますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 非常に基本的に申し上げますと、企業はこれは企業の自主的な行動に任すべきである。ただし、法に定められておる場合におきましては、それはもうもちろん介入することもできるし、介入しなきゃならぬ場合もある、そういうふうに思います。しかし、通産省とするとあるいは他の企業所管官庁といたしますと、またその立場においてこれは法的介入じゃないと、しかし、アドバイスをすると、あるいは相談にあずかると、そういう場合に意見を述べる、それが企業側の参考になると、こういうことはあり得ると思うんですがね。たとえばいまお話を承っておりますこの中小企業と大企業との分野をどうするかというような問題につきまして、どうも大企業で行き過ぎな状態があるという場合に、このアドバイスというか、これをする、あるいは中小企業側から相談を受けるというようなことはこれはもう臨機応変にいたして差し支えないし、またいたすべき場合もあると、こういうふうに考えます。
○田中寿美子君 まあ独禁法の問題、先ほど田代委員が言われましたように、私どもも五党が合意した路線のものをほしいと思いますけれども、政府は山中案というものをつくっていらっしゃる。そしてそれは今国会ではとても見込みがなさそうな先ほどの話でございます。今後この独禁政策というのはこの五カ年計画の中でも物価対策の第一番目に上げられております。私はもっともっと重視していただきたいと思います。 最後に長官ね、物価指数の問題、まだ私も釈然としませんけれども、さらに、政府の示します指数と生活実感のずれということはもう長年言われてきております。私もずいぶん前に宮澤大臣が経企庁長官だったころにこのことをずいぶん議論したことを覚えております。で、政府の示す指数、消費者物価指数の二倍も三倍も家計の中でははね上がっているという問題について、東京の美濃部都知事が家計物価指数というものを出して、本当に実感、家計の中で物価がはね上がっている状況をつかむことを計画するというようなことを、私新聞報道で読ました。で、五十年度八・八が家計簿の上では三一・六にも出てきている。これはもちろんとり方が違うわけですけれどもね。それで、私前から家計費の物価指数みたいなものをとっていただいたらと思っていたんですけれども、そのいま美濃部都知事の計画をどうお思いになるか。それから現在の総理府でとっております物価指数のとり方を私も前にその収入階層別にとってみてもらえないだろうかということを申し上げたことがあります。無作為抽出じゃなくて、作為的に収入階層別にとったりあるいは低所得層というのは主食を中心にして非常にウエートが高く出る。ところが物価指数は四二八でしたかね、あの品目をとるものですから、耐久消費財もみんな指数の中にとられる。それから家賃が入らないというようなことは、日本の家計費ではおかしいわけで、さっきの三LDKの公団住宅で七万円なんという家賃は家計を非常に脅かすわけですね。それですから、実感と政府の示す指数とが違ってくる。しかし政府は国際的な基準でとっているんでしょう。ですから、それはそれとして、それの中身を、消費者としての国民にはこういうふうな状況があるんだということがわかり、そしてそれを改善していくための政策というものがやっぱり必要だろうと思うわけで、そういう意味で指数のとり方についてもっと考慮してみることが必要じゃないかと思うんですけれども、長官の御意見いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまの消費者物価あるいは卸売物価、これはわが国は国際基準にのっとって調べておるわけです。これは国際的にかなり権威あるものであると、こういうふうに申し上げて差し支えないんですが、これをその基本的な考え方を変えるという、これはまた私は問題があるだろうと思うのです。これはそれなりに国際社会においていろいろ議論をする場合の指標でございますから、これを変える、これはできない。しかし物価の動きがどういうふうに国民の生活に影響するか、そういう点は別の見地から考えるべき問題だろうと、こういうふうに思うのですよ。たとえばエンゲル係数が高い、そういう階層に対しまして、これは生鮮食料品の動き、これが非常に大きな影響を持つわけですからね。そういうようなことを考えますと、いま第一分位、第五分位というような階層別に生活程度がどういうふうに変化するかとか、そういうようなことも調べております。それから別々に生計費指数というようなことも調べておる、こういうことですが、そういう別の政策意図を持っての調査はこれからなお精密にしていくという必要があると思います。しかしまあ卸売物価指数だ、消費者物価指数だと、いまのこの体系を変えていくという考え方は、これは妥当ではないのじゃないか、そういうふうに思います。
○田中寿美子君 そのことはわかっているんです。ですから実際に指数というものは国民の生活を豊かにするためにどういうふうな役を果たすかという意味で、政策的な家計指数をとるとかあるいは生計費指数をとるとかいうようなことを考えてみてほしいという、これは私の要望なんですけれども。 で、長官は覚えていらっしゃるかどうか知りませんが、もう恐らく七、八年、もっと前かもしれません、私が国会に出て間もないころの予算委員会で、長官は大蔵大臣をしていらっしゃったと思いますが、あのころの白書か何かで豊かな生活を目指してとかいうのがあって、豊かな生活とは何かという議論をしたことを私はもう忘れないんですが、そのときに長官は、豊かな生活とはどういうことを指しますかと私が言ったら、豊かな生活とはすべての国民が百坪ぐらいの土地を持ち、そして自分の家を建て、庭には芝生を植え、その芝生にバラを植えて、そして親子が仲よくいろいろ未来のことを語り合うような生活だとおっしゃったんです。その後大変なインフレになってしまって、とてもそれははるかに遠い夢になっちゃったんですけれども、長官も昨年、三木内閣発足当時は、公共料金のことでも福祉型料金体系なんというのにも賛成してくださったんで、どうかそういう考え方に戻っていただきたいというか、あるいは進めていただきたいということを要望申し上げまして私の質問を終わります。
○渡辺武君 長官にお伺いいたします。 最近発表されました五十年代前期経済計画、これを拝見しますと五十一年度から五十五年度までの消費者物価の平均上昇率は六%ということになっております。同じこの資料で見てみますと四十一年度から四十七年度、つまり石油ショックの起こる前ですね。高度成長時代と言ってもいいと思いますが、そのころの消費者物価指数の年平均上昇率は五・六%だった。そうしますと、今度の経済計画は、消費者物価指数においても従来の高度成長期以上の上昇を見込んでいるというふうに考えられますし、卸売物価指数についてはいま言った四十一年から四十七年度まで実際年平均一・八%ずつしか上昇しなかったのに、今度の経済計画ですと五カ年間年平均五%程度ずつ上昇する、こういうことになっておるわけですね。これで一体物価の安定を図る経済計画と言えるかどうか、非常に疑問になるわけです。むしろ物価上昇の経済計画を立てているんじゃないかというふうにしか思われませんけれども、他方で考えてみますと、これから先消費者物価、卸売物価、これを押し上げる要因というのが非常に強く作用するような時期じゃなかろうかというふうに私には考えられるのです。 その一つは、やはり政府の財政上の諸事情からくる要因ですね、これが非常に強く作用するんじゃないか。財政制度審議会などの答申などを見てみまして、あるいはまた政府の国会答弁などを見てみますと、今後この財政上の危機がかなり続くと、成長率も落ちてくるし、財政も非常に窮屈になる。そこで、受益者負担ということで公共料金も上げなきゃいかぬのだと、それからまた社会保険料も上げなきゃいかぬというようなことを強調しておられる。そうしますと、そういう側面から物価上昇の圧力というものが従来以上に強くなる、その可能性があると思うんですね。特に大蔵省がこの経済計画に基づいて作成して発表しました財政収支試算、これを見てみますと、昭和五十三年度もしくは四年度まで赤字公債を発行する。そうしてまた、赤字公債を初めとして建設公債もずいぶん毎年度発行して、昭和五十五年度の公債累積残高は約五十一兆円という数字が出ております。こんなべらぼうな公債が累積していく、これはもうインフレの大きな要因になることは不可避的だというふうに思って差し支えないと思うんですね。 で、他方で民間企業の方を見てみますと、成長率が鈍化するということがまた一つの原因になってそれぞれの価格の引き上げと、私どもの言葉で言えば独占価格の引き上げという方向に作用する可能性が十分ある。最近の卸売物価指数の急速な上昇はそのことを端的に物語っているんじゃないかというふうにも思われます。 同時に、先ほど長官もおっしゃっておられましたが、国外からの諸要因ですね、これもまた無視できない。そういうことで私どもはあの経済計画を見ただけでも、今後の物価の動向というものは非常に不安だと思わざるを得ないわけですが、一体今後具体的にどういう物価政策を講じなさるのか。五十五年度に消費者物価指数六%以下にするんだと、卸売物価指数は四%台にするんだとおっしゃっておられますけれどもね、それを達成するためにどういうふうな物価政策を具体的にお考えなのか、これをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 一番かなめは何と言っても、これは先ほどから話もありましたが、需要管理、つまり成長管理と言ってもよろしゅうございますがね。これは経済が非常な伸び過ぎをするとか、あるいは落ち込みをするとか、そういうような状態を避けてなるべく安定的な発展をするということ、これが何と言っても大黒柱と言うか、かなめだろうと、こういうふうに思うんです。そういう節度ある経済政策の中で一つ一つの業種につきましてその需給ということ、これに十分配慮した政策をとっていかなきゃならぬ。同時に、公正な競争が行われるような配慮、それから流通面、これは非常におくれておるわけで、そういう面の改善ですね、そういうことをやる。そういう総合的な考え方を持っていきますれば、これは掲げてある目標というのは達成できる、こういう見解でございます。
○渡辺武君 経済計画の物価対策のところを見てみましたらまことに抽象的なことが書かれてあって、これは一体経済計画と、特に物価の面で計画的なものと言えるかどうかと思いましてね、特に長官に伺ったわけですが、どうもいまの御答弁もそれに類したまことに抽象的なものだ。これでは私は、目標数字は出ている、しかしそれを達成するために一体どういうふうになさるのかちょっとわからぬですね。もう少し具体的におっしゃっていただけませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 具体的に言うといま申し上げたとおりなんですよ。かなめは何と言っても成長と言うか、需要の管理ですね。これが徹底いたしておりますれば、これは物価というものの基調は微動だもしない。その上に立ちまして、ただいま申し上げたように、流通の改善だとか公正取引の確保でありますとか、いろいろな施策を進めていくと。問題は、私はその成長が本当にそういうふうな、ああいう目標としておるところが実現できるかどうか、そこにあると思います。その面になりまするといろいろ問題がある。これからの国際情勢の動きに対してどういう対応をするか、そういう問題もありますし、あるいはいま御指摘の財政、まあこれは後遺症ですな。後遺症としては残っておるそういう問題がある。これをどういうふうに始末をしていくかというようないろんな問題もありますが、要するに経済が安定した基調であるというそのかなめはやはり成長が行き過ぎませず、あるいは引っ込み過ぎもしないという状態を堅持する、そのために財政金融政策を過たないように駆使してまいる、こういうことじゃないかと思います。
○渡辺武君 物価の上昇が需要と供給の関係で起こるんだというお立場から言えばあるいは需給の管理とおっしゃることも、あるいは非常に抽象的だけれども、当たらないことでもないというふうに考えても差し支えないと思うんですけれども、問題はやはり今後成長率は鈍化するということになっておるわけですから、何も一生懸命需給の管理をしなくても、そういう面で私は需給関係が緩むと見て差し支えないと思うですね。問題は需給事情いかんにかかわらず、そのほかの物価上昇要因が非常に強くなるというところに、私は重大な要因があるんじゃないかと思う。 具体的に伺いますけれども、さっき申し上げた公債が今後ずっと累積していくと、インフレのおそれがある、この問題について一体どういう歯どめをお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公債の問題は私も非常に重大関心を持っておるわけですが、これが野方図に今日のような状態が長く続いていくと、先々の見当もつかないままに続いていくということになると、これは私はゆゆしい問題だと、こういうふうに思います。しかし、政府はこれを赤字公債と、まずこの状態を早く解消しなきゃならぬというふうに考えまして、そして五十四年度あるいは遅くも五十五年度にはこれを解消をいたしたいと、こういうふうに考えておるわけですが、そういう先々節度ある財政姿勢ということを堅持してまいりますれば、今日数年間多額の公債が出る、そういう状態がありましても、これをいまお話しのように歯どめと申しますか、それを堅持してまいります限りにおきましては私は心配はないと、こういうふうに考えております。 歯どめとは一体何だと、こういう話ですが、これは要するに公債を発行して、そして国民経済の均衡を乱すということがない、そういうことがこれはまあとにかくかなめでございます。それから、さらに技術的な側面を申し上げますれば、その発行した公債が、これは完全に消化されると、こういうことでございます。それが重大なかなめである。これを守っていくことであると、こういうふうに考えております。
○渡辺武君 この公債の歯どめの問題についてあるいはインフレの歯どめの問題について私どもが伺いますと、大体本会議などの答弁を伺っていますと、経済と財政のバランスがとれたら大丈夫だということと、それからもう一つ市中消化の原則、この二つをいつも言われるんですね。よく伺っていますと、経済と財政のバランスとおっしゃるその内容ですね、これが毎年度の財政と経済のバランス、これをお考えになっているんじゃないかというふうに思うんですね。ところがその年にはなるほど仮にバランスがとれて公債が発行されたとしても、公債というものは建設公債の場合で言えば六十年間に償還すると、こういうことになっていますね。ずっと累積するんですよ。そうして、先ほど私申しましたように、政府が出している数字でさえも五十五年度には五十一兆円というべらぼうな金額になる。そのときのGNP——これは経済計画に出ております。これで計算しますと、GNPの中に占める公債累積残高約一八%。べらぼうな数字になるんですよ。いまイギリスはGNPの中で公債の累積残高約四〇%以上と言われている。アメリカは二八%と言われている。まさにそのことが重要な原因になってイギリス経済なんかはどうなっていますか。不断にストップ、ゴーでしょう。ちょっと経済成長が刺激されたら、たちまちインフレに落ち込んで引き締めをやらなきゃならぬ、こういう事態の繰り返しになっているわけですね。私は単年度の財政と経済のバランスだけを見ていたら、やがて日本経済もそういうところに落ち込んでいくんじゃないか。これは重大問題だと思うんですよ。もう少し長期の構えで財政と経済のバランスを考えるというならこれは別です。そういうお気持ちございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりなんですよ。それですから今度長期計画ですね。つまり五十年代前期経済計画、これにおきましても財政のバランスはどうすべきか、どうなるかという展望も示しておるわけです。これは野方図に展望なしに財政は赤字が幾ら出ても構わぬというような調子でいったら、これはもう重大なインフレの原因になりますよ。その点は十分心得ておるんです。さればこそ赤字公債という状態を、もうこの二、三年で解消したいという固い決意で財政運営に臨みたいとまで考えておるわけですが、しかし、いまのその展望の中で、財政からインフレが起こるという要素は見ておりませんです。先々、財政の赤字の状態は克服するんだというその考え方のもとに臨んでいきたい。
○渡辺武君 その長期のバランスを考えると、おっしゃる点は結構だと思うんですがね。しかし、いま長官、大丈夫だとおっしゃった、その経済計画を基礎にして大蔵省が財政収支試算というのを出している。それによれば昭和五十五年度の公債累積残高五十一兆円、GNPに占める比率一八%、大変なものになるんですよ。一体こういうような事態でインフレは起こらないというふうに言えますか。とうてい私は言うことはできないと思う。赤字公債発行、これはもちろんインフレの要因になりますが、それだけじゃない。建設公債だって一年たてば日銀に持ち込める。そして公債と引きかえに大量の日銀の信用創造ができるんです。そうでしょう。これはもう私はインフレ不可避だと思うんです。もし仮に長期の財政と経済のバランスを考えるとおっしゃるなら、一体公債の発行残高はどの辺をめどにして考えたらいいのか、これを伺いたいんです。私はいま申しましたGNPの中における公債残高の占める比率、これも一つの指標じゃないかというふうに思いますが、その点も含めてお答えいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 先進諸国でも公債の残高はかなりこれは多いんですよ。いまあなたも御指摘になりましたが、英国のごときは大変な累積額ですわね。アメリカだってそうですよ。要するに残高がそうなりましても、これをこなしていく財政力があればいい。財政力は何だと言いますれば、経済がこれを支えると、こういうことになるんで、その経済がインフレもなく、デフレもなく成長していくと、安定的に成長していくと。これが実現できますれば財政の方はそれは一時的に多少の赤字が出、あるいはそれが累積されましても、私は基本的に心配はない。つまり財政は経済の上に立って国家社会をどういうふうに運営していくかという手段の問題ですよ。この手段の基礎になる経済が安定しているということになれば、財政は基本的にはそう心配はないんです。しかし、その処理を誤るとこれは問題がありまするから、先々まで展望を持って、そしてその財政の健全化に努めていきたい、こういう考えなんです。
○渡辺武君 どうも超楽観論のような感じですな。さらに具体的に伺いますが、この経済計画の中に、通貨供給量に適切な配慮を行うということが書かれております。私はいま申しましたような莫大な公債がこうずっと累積する、年々発行される、それだけじゃなくそれが累積する、これが日本銀行などに持ち込まれて、そして通貨の供給量がふえる、これは大問題だと思うんですね。やはりインフレの今後の可能性を考えてみれば、確かにおっしゃるとおり通貨供給量に適切な配慮を行わなきゃならぬと思うんですね。しかし具体的に、一体どういうふうな内容のことを考えていらっしゃるのか、それを伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 国の金の回り方ですね、これはやっぱり貯蓄が一番基礎になるわけですが、その貯蓄がこれが公債に向き、また地方債に向き、また産業に向いていくと、こういうことになる。その総量がこれが経済の成長と見合った適正な規模でありますれば、これは何らインフレの原因となることはない。ですから、国のいわゆるM2というやつがありますね。あれはよくにらんでおかなきゃいかぬと思うんです。あのM2というのが、これが経済の成長とかけ離れてたくさんになったと、そういうことになりますると、これは警戒信号。そのときには、これは経済全体の運営にどこか間違いがあるわけですから、運営について注意しなきゃならぬ。M2、さらにさかのぼりますれば日本銀行の通貨の発行量、そういうものに目を向けまして、そしてそれに警戒信号が出たという際におきましては、このもとになる経済活動あるいは財政活動、そういうものについて調整を加えるということを考えなきゃならぬと、さように考えます。
○渡辺武君 これまたまことに抽象的な御答弁ですね。そんなことでどうなるのですかな。もうすでにいまおっしゃったM2の対前年同期比の増加率ですね、これ物価狂乱のときの昭和四十八年の一—三月が二四・九%、四—六月が二五・五%、七—九月が二三・四%、非常に異常に高かったんですね。それがずっと不況が深刻になるにつれて下がってまいりまして、昭和四十九年の七—九月一一・〇%まで落ちた。ところがその後ずっとまたふえ始めまして、私の手元にあるこの統計では、五十年の七−九月が前年同期比で十三・五%というところまで上がってきている。昨年の末からことしの初めにかけてかなりまた増勢が強くなって、この三月は恐らく一五・七%という数字だと記憶している。もうすでに経済の名目成長率をはるかに超えて、M2が増加しつつあると、これは私はインフレの可能性を十分に含んだ動きだというふうに心配しなきゃならぬと思います。 経済企画庁が「物価レポート’76」というのを申しています。これを見てみますと、こういうことが書かれているんですね。「四十五年までは、マネー・サプライ残高が変動すると、およそ一〜二・四半期後には卸売物価も同じ方向へ変動するという統計的な関係があることがわかる」、それからしばらくおきましてね、「四六年から最近までは、マネー・サプライ残高の変動と卸売物価の変動との間の時間的なずれがかなり長くなっているようですが、それでも両者が同じ方向へ変動するという関係があることが読みとれます。」これは経済企画庁が正式に発表したものですね。つまり、M2が増加すれば、それと多少の時間的なずれはあるけれども、卸売物価が上がるんだと、ほぼパラレルにね。そういう表がきちっと出ている。解説までいま言ったようについているんですよ。いまのM2の急速な増加、やがてはこれは卸売物価の急速な上昇につながっていく、そのおそれがあると思う、従来の経験則として。そう見て差し支えないと思う。そうして先ほど長官は、卸売物価が上がればこれは消費者物価の上昇に響くんだということを御答弁の中で言っておられた。重大な時期だと私は思います。具体的にこのM2に対してどういうふうな規制措置を考えておられるのか、M2の増加について。具体的に伺いたいんですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) 具体的に申し上げますと、M2そのものを規制するという考えは持っておりませんです。M2が上がってくるというのは、これはいろいろな現象がある。これはそのしりなんですよ。しりがそこへ出てきている。ですから私どもはM2を規制するという考え方はとらない。M2が動いていくという、その基本になる経済諸現象、それをまあいろいろな誘導をするとか、対策はとりますが、M2、つまりこのしりを抑えるのだと、そういう考え方じゃないのです。そのしりじゃなくて、おなかの方の現象に何か異変があるか、それをM2で観察しまして、そしておなかの方に対策をとる、こういう考えでございます。
○渡辺武君 それは長官、もうちょっとやっぱり真剣になって、物価問題、インフレ問題、考えていただかなきゃならぬじゃないですか。そんな御答弁じゃとうてい満足できませんよ。いま大体高度に発達した資本主義諸国の経済政策というのは、ずっと接近する動きがあるのですね。長官もよく先進諸国とおっしゃる。アメリカにしましても、西ドイツにしましても、あるいはそのほかの国にしましても、このM2の増加、これ非常に重要視しまして、それを具体的に規制する措置を講じつつある。これが私は実情だと思う。アメリカのごときは、相当大規模に調査もして、そうしてM2の増加についての目標値を定めて、そうしてそれを中心として、いろいろな経済政策を考えるという立場をとっている。特に西ドイツなどは、その目標値を公表している。そうしてそれに応じて、金融、財政政策も、それに従属させる形で考えている、これが私は実情だと思う。イギリスのように、数値そのものは公表しないけれども、しかし内部的にはしっかり持っていて、そうしてその数値が実現できるように、できるだけ財政や経済、金融の運営を規制するという方向をやっているのです、具体的に。だからいろいろな諸原因のしりだから、しりを抑えたってしょうがないというその立場は通りませんよ。やはり長官、もう少し稻葉さんのお言葉じゃないが、学力をつけていただいて、具体的な規制措置を考えていただきたい。どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) どうも学力がありませんで、御迷惑をかけますが、渡辺さんのおっしゃっているのは私非常に間違いがあると思うのですよ。それは四十五年のM2は一八・〇、卸売物価は二・三ですよ。四十六年はどうだというと、M2は二四、卸売物価はマイナスの〇・八ですよ。何か連動して動くような認識の御議論ですが、根本的に間違いがあるような感じがしますがね。あなたのはどういう統計ですか、それは。
○渡辺武君 いや、あなた方の出した「物価レポート」ですよ。これにそういう結論が書いてあるのだから。あなた、自分で自分の顔をたたいているようなものです。
○国務大臣(福田赳夫君) これは権威ある「主要経済指標」、これにちゃんとそう書いてありますから。
○渡辺武君 これも権威ある経済企画庁の「物価レポート’76」、七十ページですから。
○国務大臣(福田赳夫君) それはまあ別といたしまして、やっぱり通貨供給量というものを決めてしまって、そうしてそれをもう一歩も動かさぬというような考え方じゃ、もう経済政策が非常にぎくしゃくしちゃいます。私は、恐らく日本銀行では、この辺この時点ではこうしようという腹は持っていると思います。思いますがね、それを物価のように見通しはこうだ、公表して、その中にぎしぎし経済活動を押し込んじゃう、これは非常に私は何というか、余りにかたくなに過ぎる経済運営になっていく。そうじゃなくて、まあある程度のにらみは持っておる、しかしそれもにらみながら、経済諸活動の方を調整していくと、そういう行き方の方が賢明であると、こういうふうに考えます。
○渡辺武君 そういう方向でおやりなさいと申し上げている。その場合、なお重ねて一問だけ伺いますけれども、現在の時点で、先ほど申しましたように三月の時点で一五・七%、大変な増加率ですがね。大体どのくらいの増加率が妥当と思われているのか、その辺も伺いたい。
○政府委員(青木慎三君) ただいま御指摘のM2のことでございますが、御指摘のとおり三月は一五・七でございます。このM2が幾らになったら危険であるかという議論がいろいろされておりますけれども、私どもはこのM2の数字が幾らになったらどうということを判断するのは、いままでのデータから言いまして完全な結論が出てこないというふうに考えておりますし、通貨当局の日銀でも同じような考え方でございます。ただ、いまこのM2は経済活動との関係がございますので、不況から脱却します、好況期に入りますときには前年度比が比較的高くなるというのが通例でございまして、現在の判断では三月の一五・七%というのは危険な状態であるとは私どもも判断しておりませんし、日銀当局も判断しておらないわけでございます。ただ、御指摘のとおりやや高い数字でございますので、このM2の今後の動きというものはある程度注意しながら見守っていく必要があるという点では御指摘のとおりでございますが、現在の数字が危険であるというふうには考えておりませんし、またこれがたとえば二〇ならいいか、二一ならどうかというような一義的な数字というものは結論が出せないというのが私どもの考え方でございます。
○渡辺武君 それでは次に米価の問題について幾つか伺いたいと思います。 いよいよ米価決定の時期に入ってきているわけですが、新聞報道などによりますと、ことし農林省、大蔵省などは生産者米価の引き上げについては大体春闘の賃上げの平均の率八・八%以内におさめると、新聞によると五%程度じゃないかというようなことも言われております。そして他方で、消費者米価については末端逆ざやの解消ということで昨年度並みの一九%くらいの値上げはするんじゃないかというふうに言われているわけですけれども、生産者米価についてまず伺いたいんです。 賃金は確かに上がったと、そしてまた米の生産費に含まれる農用資材、これも上がっていると、こういうことですから生産者米価もことしも引き上げざるを得ないんじゃないかというふうに思いますが、その点どんなふうにお考えになりますか。
○説明員(二瓶博君) ことしの生産者米価の取り扱いにつきましては、率直に申し上げまして農林省といたしましてまだ何ら具体的な方針を決めておりません。今後資料の整備等を待った上で米の生産費、それから物価、賃金等の動向、それからまた全体といたしましての食糧、農業政策のあり方というようなもの等を総合的に勘案いたしまして検討をしてまいりたいということでございます。したがいまして、生産者米価の引き上げは不可避ではないかというお尋ねでございますけれども、資料もまだ整備もしていない現時点でございますので、生産者米価が上がるのかどうか、また上がるとすればどのぐらいかというようなこと等につきましては、残念ではございますが、これは申し上げられる段階にはないと、こういうふうにお答えせざるを得ないと、かように思うわけでございます。
○渡辺武君 具体的に何%上がるか言えということを伺っているわけじゃないんですよ。そんなことを聞いたって無理ですわな。しかし消費者物価指数だって年度間で一〇%以上も上がった、それから賃金もいま言ったように大体八・八%程度だというふうに見て差し支えないと思うんですね。農用資材の値上がりだってあるでしょう。生産者米価は全然上げないんですか。上げないとは言い切れないでしょう、どうですか。
○説明員(二瓶博君) 先生御存じのとおり、生産者米価につきましては、三十五年産米以来、生産費所得補償方式という方式をとっておるわけでございます。したがいまして、米の生産費、まずこれをつかまえなければならないわけでございますが、その際に、ただいま先生おっしゃいますように、家族労働費につきましては都市均衡労賃で評価をいたします。これはプラス要因になろうと思います。それから物材費、雇用労賃等につきましては物価修正をいたします。これもまたプラス要因であろうかと思います。ただ問題は、稲作の生産性の向上という問題が他方あるわけでございます。最近、稲作の機械化等も相当進展をいたしておりまして、投下労働時間が減ってまいっておるということがございます。これはマイナス要因になるわけでございます。それから反収が非常に上がるということも、これもマイナス要因になるわけでございます。五十年産米は御存じのように作況指数一〇七という史上四番目の大豊作でございます。そういうこともございます。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいますように、確かに賃金は上がっておる、生産資材も上がっておるということはございます。相当落ちついてはきておりますが、これは上がっておるということが言えると思います。ただ、ただいま申し上げましたような生産性の向上という面が他面ございます。しかも、これらのデータはまだ十分、時期的な関係もございまして整備をされておらない。したがいまして、具体的な算定も、作業もやっておらないと、こういうことでございますので、いまの段階では何とも申し上げかねると、こういうことでございます。
○渡辺武君 どうも生産性の向上といってもね、今年度の米穀年度でいままでとそう事変わって急激に生産性が上昇したというような事態じゃないでしょう。他方で賃金は上がっている。それからまた肥料の場合ですと、これは昨年の二月とことしの二月を比べると九%、農薬も九・四%上がっている、こういうような状況ですよ。ですから、いろいろ抽象論をおっしゃいますがね、具体的に考えたら上げざるを得ないんじゃないですか、どうですか。
○説明員(二瓶博君) たとえば農林省で統計情報部というところがございまして、ここで農村物価指数、これを公表をいたしております。一番最近の公表数字でございますが、これはこの三月の数字になりますが、農業生産資材、総合いたしまして対前年同期比は二%のアップ、こういうような状況でございます。
○渡辺武君 いや、それで伺ったことを答えてください。
○説明員(二瓶博君) したがいまして、そういうような生産資材等の上昇も若干はございますけれども、ただいま申し上げましたような状況でもございますし、生産性向上という面につきましては、これもどの程度になるか、稲作という非常に零細的なああいう経営面で農業経営をやっておるということから見ると、そう大幅な上がりはないんじゃないかというような御指摘でございますけれども、、これもどの程度かはまだデータが出ておりませんので申し上げかねるわけでございますが、そういうプラス面、マイナス面、いろいろ勘案して最後的にどうなるかということでございますので、いまの段階ではちょっとそういう面の資料の整備がまだありませんものですから、何ともお答え申し上げかねると、こういうことで率直にお答え申し上げておるわけでございます。
○渡辺武君 農林省、従来この生産者米価と消費者米価との末端逆ざやはもうこれ以上広げないんだということを言ってこられた。できればこの末端逆ざやは漸次的に縮小の方向に向かわせたということも言ってこられたが、その方針、お考えには変わりありませんか。
○説明員(二瓶博君) 先生御存じのとおり、現在、米の売り渡し価格とそれから政府の買い入れ価格、これとの間には非常に大幅な逆ざやがあるわけでございます。この点につきましては、食糧管理制度の健全な運営を図っていこうというような観点からいたしましても、はたまた財政上も始終問題があるわけでございます。したがいまして、この両米価の逆ざやというものにつきましては、逐次是正をいたしまして両米価の関係の正常化を図ってまいる、これが必要であろうかと考えておるわけでございます。本年度も基本的には、ただいま申し上げましたような考え方で、農林省といたしましては対処したいというふうに考えてはおりますけれども、ただいま申し上げましたように、生産者米価の方すらまだデータの整備もございませんので、具体的に算定等に入っておりませんし、政府売り渡し価格の面につきましても、当然これはそういうことは作業に入っておりません。そういう状況でございます。具体的なことは決まっておりませんけれども、考え方としては基本的にはそういう考えで農林省としてはおるわけでございます。
○渡辺武君 そうしますと、仮にいま逆ざやが解消の方向だと言われましたが、一歩譲りまして拡大しないという仮定をして、仮に生産者米価を五%上げたら消費者米価は何%ぐらい上げなきゃなりませんか。
○説明員(二瓶博君) 仮に生産者米価を五%引き上げるといたしました場合に、逆ざやを現在以上に拡大をしないというために政府売り渡し価格をどのぐらい上げればいいかというお尋ねでございますけれども、生産者米価を五%ということでございますれば政府売り渡し価格の方は六・四%という形になります。
○渡辺武君 福田さん、伺いますけれども、先ほど田代委員からも質問がありましたけれども、今年度の消費者物価の上昇の見通しですね、この中で公共料金の上昇を約二%と見込んでおられる、そしてその中でも特に予算関連公共料金ですね、これは一・二%と見込んでおられる、そういうことでございましたね。それで残りが〇・八%ということになりますよね。この消費者米価の値上がり、これは今年度の公共料金の値上げの中にもうすでに織り込んで考えておられるのか、考えておられないのか、その辺を伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 消費者米価も若干上がるという想定のもとに全体の公共料金二%強と申し上げているんです。二%とは申し上げておりません。二%強だと……。
○渡辺武君 若干というのはどのぐらい考えているんですか。いまの数字で言えば消費者物価指数〇・八%しか残っていないんですよ。それで先ほどもお話ありましたが、電力料金の値上げがいま問題になっていますね。この前、長官、衆議院での御答弁の中では、九電力が六月から仮に二〇%上げたとすれば消費者物価指数を〇・五六%押し上げるんだという御答弁があったと思うんですね。そうしますと、仮に二〇%上げたとしますと、あと〇・二四%ぐらいしか残らぬ。地方公共料金の値上げもあるでしょう。消費者米価はどのぐらいの値上げを織り込んでおられるんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 〇・八とおっしゃいますが、〇・八なんということを申し上げたことはありません、二%強ということを申し上げているんです。それを二と、こういうふうに規定しまして、〇・八と言うが、そうじゃないんですよ。二%強であると、こういうことです。強というのがどの辺まで言うか、これは四捨五入して三にいくなんていう、そんなことは考えておりませんが、〇・八のマージンだというような前提をおとりになられないようにお願いしますが、米価が幾らとか、電力が幾らだとか、そういう細かい積み上げはいたしておりません。おりませんが、いろいろ過去の勢い等ずっと見ておりまして、全部合わせまして二%強程度になる、昨年のような二・七というような状態にはならぬと、こういう見解です。
○渡辺武君 最後に一言だけ伺いますが、昨年消費者米価は一九%値上げになりましたが、その程度のことを考えていらっしゃるのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは全然個別に何が幾らというあれはしておらないのです。主要の公共料金につきましては個別にこれは御説明できますけれども、その他のものにつきましては、過去こういう状態であったので、いろいろな客観情勢を考えましてことしはこの程度であろうと、こういうのですが、総体として二%強だと、こういうことであります。
○渡辺武君 次に、公正取引委員会の委員長に伺いたいと思います。 先ほどもちょっとお話が出ましたが、いま鉄鋼各社が鋼材その他の値上げの動きを示しております。公正取引委員会としてこれに対してどういう対処をなさるか。先ほどは注目しているという趣旨のことをおっしゃいましたが、私、新聞で見まして、これは五月十三日の毎日新聞に書かれていることですが、何ていいますかな、「同調的な値上げになる恐れもあると注目している。」と、「値上げの形によっては調査する」とおっしゃって「きびしく監視する考えを示した。」と、大分新聞記事の方が厳しく書いているのですが、どうでしょうか。
○政府委員(澤田悌君) そのとおり考えております。要するに、値上げの仕方が問題なのでございまして、どういう形で値上げが行われるか注目いたしておりまして、その結果調査が必要であるかどうか、検討したいと考えております。
○渡辺武君 監視するとおっしゃると、どういう疑いを持たれているわけですか。たとえば同調的値上げじゃないかと考えておられるのか、やみカルテルの疑いがあるというふうに考えていらっしゃるか、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(澤田悌君) 御承知のように、昨年の値上げにつきまして委員会は調査をいたしたわけであります。それで若干の問題点を指摘したのであります。その後どういうやり方で今回の値上げをするかということにつきまして、全く問題なければこれはもう結構なことなのでありますが、前回の調査にもかんがみまして、鋼材値上げのあり方、これを注目して見ておる、こういう意味でございます。
○渡辺武君 いまおっしゃった、昨年調査なさったんですね。ところが、調査はなさったけれども結局値上げは決まってしまった、言ってみれば公正取引委員会の活動は——率直に言わせていただきますよ、効果がなかったということになっていると思うんですけれども、その原因は何だとお考えでしょうか。
○政府委員(澤田悌君) いわゆる同調的値上げというような形は、何というか、いわゆる寡占的な業界に起こりがちでございます。そういう事態に対しまする独占禁止法上の規制手段と申しますか、これは率直に申しましてまことに不十分でございます。その結果なかなかこれについての力強い規制がむずかしいと、そういうことではないかと考えております。
○渡辺武君 そうすると、独占禁止法上に問題があるという御趣旨の御答弁だと承りましたけれども、現在の独占禁止法の範囲内でも四十条あり、四十六条ありですね。昨年は恐らく任意調査だと思いますけれども、強制調査、これをなぜおやりにならなかったか、この辺を伺いたいと思います。
○政府委員(澤田悌君) 事態に応じましていろんな調査方法をとるわけでありますが、任意に調査をいたしまして協力を得られます場合には強権を発動するという必要もございません。前回は任意調査をいたしたのでございます。もし協力が得られないというようなことでありますれば、独禁政策の遂行上必要があれば四十条の強制調査を発動するということもあり得るかと考えております。
○渡辺武君 昨年その任意調査をやられて、協力はあったわけですか、いかがでしょう。
○政府委員(澤田悌君) われわれは調査に協力してもらったと考えておる次第であります。
○渡辺武君 もしその任意調査でいろいろ疑わしい問題が出てきた、これはもう独禁法上、たとえば同調的値上げの疑いがあるとか、あるいはやみカルテルの疑いがあるとかいうようなことになった場合、四十条もしくは四十六条に切りかえて強制調査をやってもっと徹底的に調べるということは可能だと思いますが、どうですか。
○政府委員(澤田悌君) そのカルテル的な疑いが明白であるというようなことにもし相なりますれば、そういうことも考えられるかと存じます。
○渡辺武君 ちょっと前に返って伺いたいんですけれども、ことしも注目しておられると、しかし、その注目というのはかなり厳しいものだと、監視という言葉を私使って伺いましたが、そのとおりだとおっしゃいましたね。ことしもし調査をするとすればどういう調査をなさいますか、任意調査かあるいは強制調査か。
○政府委員(澤田悌君) 現在は事の成り行きを見ておるわけでございまして、調査をするしないを決定したわけではございません。それで、もし仮に調査をする必要があるなというふうに感じました場合にも、任意調査で協力が得られるならば任意調査から始めるのが当然ではないかと考えております。
○渡辺武君 昨年の調査でも任意調査の範囲でお調べになっても、その結果としてはかなり疑いがあるという結論だったんじゃないでしょうか。 私、ここに「公正取引」ナンバー三百三号、七六年一月号ですね、これを持っております。「高炉メーカーの鋼材値上げについて」ということで、昨年の十二月十日に発表された文書がここに書かれているわけです。そこにやはり問題点として、昨年の値上げが問題があると四点にわたって書かれております。これは私時間もありませんので詳しく読み上げることができませんけれども、たとえばこういうことも書かれているのですね。「新日鉄の値上げ発表後きわめて短期間のうちに、他社が平均値上げ額、個々の鋼材の値上げ額、あるいは二段階値上げ方式の点で、新日鉄と実質的に同一内容の値上げを発表したことについては、不自然さが残る。」、それから2については「カルテルと実質的に同一の効果をもつものではないかという疑点が強く残る。」と、かなり強い疑問を出しておられるわけですね。これだけの疑問があるならば任意調査で終わらないで四十条もしくは四十六条を発動して何で御調査なさらなかったか、その御調査をなされば昨年の公正取引委員会の活動は効果がなかったんだということにはならなかったんじゃないかというふうに思われますが、どうですか。
○政府委員(澤田悌君) 当時問題点として指摘いたしたのはいまおっしゃるとおりであると思います。任意調査におきましても十分調査をしたものと私は見ておるのでありまして、その結果、カルテルと申しますか、共同的な連絡と申しますか、そういう事実はなかったと、あったとは認められなかったということが基本でございまし、その上で、なおいま御指摘のような問題点は残ると、こういう解釈と申しますか、発表であったと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○渡辺武君 非常に強い疑問を持たれて、しかもこれ以上調査しなかった、そこに私は現行法の枠内でもその運用上非常に甘いところがあったんじゃないかという感じがしますな。それが鉄鋼業界をつけ上がらしてことしの値上げ、そういう動きを醸成さした一つの原因になっているんじゃないでしょうか。しかも今度の値上げの動き、これは新聞記事でしかわかりませんけれどもね。初めは新日鉄が値上げのトップバッターになりそうだったけれども、その戦術を変えて神戸製鋼がトップバッターになった、あるいはそれに続いて日本鋼管が出るだろう、しかもそれぞれの会社が自分の得意としている品種、これの値上げをやって、そうしてほかの会社はそれに同調する、言ってみれば、戦術をこう考えて、お互いに話し合ってこれは考えなきゃできないことです。そうして値上げの額も、それから大体七、八月積みから上げるんだという値上げの時期もほぼ同じですな。明らかにこれはやみカルテルもしくは同調的値上げの疑いが濃いと思うんですね。私は、昨年の失敗にめげずに公正取引委員会がこの際徹底的に調査なさるという必要があろうかと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(澤田悌君) 繰り返しになりますが、前回の値上げにつきまして独占禁止法に明白に違反するという事実は認められなかったのでございます。ただ、御指摘のように、いかにもいわゆる同調的な結果がでております。それについて事実を指摘し、警告的な意味においても、あるいは世間の批判を求める点から言いましてもああいう指摘をいたした次第でございまして、私はそれなりに十分効果があったというふうに考えておるのでございます。
○渡辺武君 最後に一問だけ。私、こういうことを申し上げちゃ失礼かと思いますが、過去の実績から申し上げます。いままで四十条を発動して強制調査をやられた業界というものはずいぶんあるんですね。ところが鉄鋼業界だけはないんですよ、詳しく申し上げませんが。少しこれは鉄鋼業界に対して公正取引委員会は甘いんじゃないかという感じが非常に強いのです。今度の値上げも、いま私が申し上げましたような疑いかなりあるんですね。ですから、厳しく監視するとおっしゃいましたけれども、それをさらに一歩進めて、昨年以上のやはり措置をお考えいただく必要があるんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(澤田悌君) 鉄鋼業界に対して特に甘いというような事実は全くございません。今後の動きをよく見ておりまして、調査の必要があれば調査をいたします。
○中沢伊登子君 各委員が先ごろ発表した経済計画について御質問をしておられましたが、私もこの問題について二、三点質問を申し上げておきたいと思います。 この経済計画は、戦後もうすでに八回も変わっているわけでございます。いつも立ててから二、三年で変わっていきますので、これでは幾ら経済計画を立てても計画倒れになるのではないかと、このように思うわけですが、近々、うわさによりますと、三木内閣がかわってしまうような新聞報道を耳にしているわけですが、次は多分福田内閣でしょうと、こう言われているわけですけれども、大臣がかわっても変わらない経済計画を立ててほしいものでございますが、さて、今度この経済計画を読みますと、五年後、すなわち昭和五十五年までに物価を六%にするとのことです。これは先ほどから再三質問になっているわけですけれども、五年後の努力目標が六%では努力が足りないのではないか、このように考えますが、いかがでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私も六%以内という目標は、これは決して好ましい水準じゃないと思うんです。何とかして、とにかく過去において五%ないし六%の物価上昇で済んだんですから、これから先はと、こういうふうに思いますが、これから先の経済は高度成長期と違った環境になってくると思うんです。つまり、あのころは豊富低廉な資源というものが輸入可能な時代だった。これから先はそれが非常にむずかしい状態で、しかも国際商品価格というものは上昇すると、こういう状態だろうと思う。そういう中で卸売物価というものは上がらざるを得ない。そうしますとそのはね返りがまた消費者物価にもやってくる。こういうことをまず考える必要があるだろうと思うんです。そういうことなどを考えますと、余り低い水準の目標を立てまして、そして実績はそういかなかったと。その際に、これは国際情勢がこうなんですからと言っても、これは国民も素直に理解していただけないんじゃないか。そんなようなことも考えまして、とにかく六%以内と言っているんです。この以内というのをできる限り大きくする。そして、六%、六%、あるいは六%以内と言っておったが、実績はこうなんだというふうに国民に喜んでいただけるようにしたいということで、ああいう、まあちょっといままでの流れから言うと高い、そう私も思いますが、そういう水準を掲げたわけでございます。
○中沢伊登子君 物価の上昇は低ければ低いほどいい。これは当然のことでございますけれども、いまおっしゃいましたように六%以内、これもなかなか大変な努力だろうと実は思っているわけですね。一番目にそういう質問をしたわけですけれども、実は私はこの六%以内でおさまるだろうか、どうだろうかということを大変心配しているわけです。と申しますのは、いま長官もおっしゃったように、資源をよそから輸入をする、こういうことが一つございますね。日本の経済はいま日本だけの経済で運営ができません。世界の経済とずっと密接な関係があるわけです。それともう一つは、一例をとりますと、国民のたん白資源も決してこれからは安くはならないだろうということを大変案じているわけですね。それは、海洋法会議で経済水域二百海里と、こういうふうなことが各国から言われてまいりますと、日本では相当お魚をいただくわけですが、その日本の漁業が甚大な影響を受けることはもう当然でございますね。その上にもう一つ心配なことは、いま人口爆発が盛んに言われているわけです。この人口がどんどんふえてまいりますとまた食糧難ということにぶつかるのも、これもまた火を見るよりも明らかなことでございます。昨年日本の人口がふえたのが約百三十万。百三十万の人口といいますと、神戸市がちょうどいま百三十万人なんです。毎年神戸市ぐらいの都市が一つずつふえていくということになりますと、これも相当なまた食糧の問題から、私はたん白源も上がっていくし、食糧も野菜も何もかも上がっていくんだろうと思います。それからまたもう一つ考えてみますと、たとえば私どもはいま牛肉というものはほとんど口に入らなくはなりましたけれども、牛を養うためには穀物その他人間の大体七倍ぐらいの食糧をやらなければならないわけですね。それで、七倍ぐらいの食糧を食べさせておいてわれわれが肉をいただくと、こうなりますと、私は肉なんというものももっともっと高くなるんではないか、こう思いますと、五年後に大体六%以内、こうおっしゃっておられますが、果たしてそういくでしょうかどうでしょうかということを大変私実は心配な感じがしているわけですが、それを長官はどうお考えでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) その辺がこれからの日本の経済の展望として一番問題点だろうと思うんです。国内的には、努力いたしますれば、これは物価は非常に私は安定できると思うんです。いままでの高度成長時代でも、卸売物価にして一、二%でしょう。消費者物価にして五、六%なんですよ。今度は減速経済だと。これは卸売物価は同じ内外条件としますと、これは前よりは多少上がる傾向を持つだろうと思うんです。つまり減速経済ですから生産性が上がらないと、こういう点でそういう傾向にならざるを得ないと思うんですが、消費者物価の方はかなりこれは卸売物価との間の乖離を薄め得るという状態になっていくだろう、そういうふうに思うわけです。ただ一つ心配なのは、海外要因です。資源の問題。また資源というのはいま御指摘の海洋資源ももちろん入るわけですが、それからさらに食糧の問題、そういう問題がありますので、なかなかこれはこれからの国の経済運営というものは、海外要因から来る影響、これに対してよほど備えるところがなけりゃならぬだろうと。いわばこれは経済安全保障と、こういうような角度の考え方が必要だと、こういうふうに思います。そういう考え方の諸施策をとります。たとえばそういう不足しそうな資源の備蓄政策でありますとか、あるいは海外からの依存を可能な限り脱却しようというような考え方とかいろいろとりますが、それにしても海外の資源有限時代から出てくる影響というものはなかなか防ぎとめ得ないだろう。そういうことで、もう非常に残念なことでございまするけれども、物価につきましても思うような目標を掲げ得ない、こういうふうに考えますが、あの石油ショックのようなああいう衝撃的な影響がない限りにおきましては、とにかく腰を落とす、静かな控え目な成長政策をとるということにいたしますれば、大体この掲げてある目標は達成できると、こういうふうに考えております。
○中沢伊登子君 日本でただ一つ需要が完全に賄える物というのはお米ですね。そのお米にしてすら毎年消費者米価も上がっていくんですから、本当に容易ならないことだろうと、こう考えております。そこで、経済計画の中で総需要管理政策が必要だと、こういうことをおっしゃっておられるわけですね。ところが、これはどういう方法でやるのか、具体策が何にも書かれていないわけです。そこで、いつごろ具体策の成案を得られるのか、その辺お答えをいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 総需要管理政策、あるいは需要管理政策でも同じでございますが、これは主として財政金融政策がその施策の主軸になるわけなんです。ところが、いま五十一年度について言いますと、これはいわゆる調整期間、最後の年とはいえ調整期間なんです。非常に異例な状態にある。それからその後といえどもまだ後遺症は残るわけです。特に大きな問題は、これ財政の問題であります。そういうことで、ここ二、三年の間というものは、これはそういう調整工作あるいは後遺症対策ということで、臨時応急な施策で立ち向かわなければならぬだろうと、こういうふうに思いますが、その後になりますと安定的な経済運営ができるわけでございますので、これは一つの政策手段をもちまして、そしてこの安定が確保されるようにしたいと、こういうふうに考えておるんです。 その施策は一体何だということになりますと、いままだ具体的に結論は出ておりませんけれども、結局こういうことだろうと思うんです。問題は、焦点は設備投資、これを刺激するあるいは抑制する、こういうための手段いかん。それから財政を景気刺激型にするか、あるいは景気抑制型のものにするか、それを有効にできるような手段いかん。この二つが主軸になると、こういうふうに考えております。もし、そういう手段が、今日より有効に働き得る手段ができますれば、もう本当に機動的な景気調整というものができるわけなんで、その辺は経済審議会あたりともよく相談をするというようにして、ぼつぼつそういう方向の勉強にかかろうかと、こういうふうに考えております。まあいま当面今年じゅうにしなければならぬ、来年じゅうにしなければならぬという問題とは考えていないんです。いまこの時点は応急的な構えだと、しかし、応急的な段階が終わりますればそういう手段を装備しまして、そして政策運営に誤りなきを期していきたい、こういうふうに考えております。
○中沢伊登子君 もう一つは競争政策が重要だと、これもおっしゃっておられるわけですけれども、独禁法の改正が盛り込まれておりませんし、それからその適正運用しか言っておられないわけですね。私はどうして、先ほど来お話がありましたように、競争政策が重要だと言うのならば、独禁法も出す出すと言いながらお出しにならなかったということが大変これ残念だったと思いますが、どうしてこれがお出しになれなかったか、それは先ほど来議論がありましたけれども……。
○国務大臣(福田赳夫君) まことに申しわけなかったんですが、参議院でいわゆる五党修正案が廃案になりました。その背景は何だと言いますると、自由民主党の中の意見調整が十分行き届いておらなかったということなんです。そこで先国会が終わりましてから精力的に意見調整をやりまして、まあやっと目鼻がつきかけたという段階でロッキード問題ということで、さらにまた最終的な結論がおくれまして、まあつい先日閣議決定というところまで来たんです。ところがその段階になりますと、今度はいろんな議案が衆議院の方から参議院の方へ送られてくる。その国会最終段階の処理をどうするか、非常に、いま政府与党とするとむずかしい段階に逢着しておるわけなんです。そういう中で閣議決定をされたが、この独占禁止法を提案をするかというと、なかなかそのタイミングがむずかしいんです。そこで、いまいつこれを国会に提案をするか、他の議案の支障になるということにならないような配意のもとにこれを考えなきゃならぬわけで、これは本当に申しわけないわけなんでございまするけれども、いましばらくひとつ御猶予を願いたいと思います。
○中沢伊登子君 先ほども申し上げましたように、せっかく経済計画を立てても、そういったようないろいろの問題があって、これが計画倒れになってしまうと、こういうようなことにならないようにひとつ御努力をお願いをしたいと思います。 それから次には、生活問題研究所がことしの一月、全国の生協組合員の生活動向調査というのを行った中で、灘神戸生協の組合員がそれに応じました結果を見てみますと、その問いの第一番に、ことしの家計は昨年に比べるとどうなると思いますかという、こういう質問をやられた。その中で、悪くなると答えたのが半数を超える五三・一%あったわけです。もっともこれは一月という月でもありますので、いまの時期ならもっとピンとはね上がるんではなかろうかと思います。反対に、よくなると考えた人が五%ありました。それから問いの第二に、生活の中でいま一番不安に思っているのは何かと、こういう質問に対して、食生活だと答えた人が二六・五%でトップでした。それから住生活と答えた人が二四・二%で、生活の基礎部分の不満が多いことは、それだけ生活そのものの深刻さを物語っていると思います。先ほど田中委員がこの辺のことについていろいろ御質問になられましたが、不況、インフレが長引くにつれて、国民の生活意識や暮らしの中身は急変してしまいました。 また、兵庫県のまとめた家計調査によりますと、昭和五十年の家計収入は、実質ベースで前年比〇・八%減となっています。一カ月当たりにしますと二十三万八千円程度となって、一〇・九%ふえているのではございますけれども、それを上回る大幅な物価上昇のために、マイナスに追い込まれたわけでございます。一方、一カ月当たりの今度は消費支出は約十七万円となっていて、これは実質で二・三%増であります。四十九年の前年比七・七%減に比べれば大幅な改善ということになりますが、しかし、こうした改善があったのに四十八年の水準を下回っております。つまり、消費そのものは依然として水面下の回復にとどまっているということになるわけです。この状態を長官はどのようにお考えになられるでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまの神戸生協の世論調査を見てみるというと、大変今日の生活に不満の方が多いということを見て驚くわけですが、どういう調査方法によってこれをこういうふうにしますか、ついこの間NHKがやった調査では、一七%でしたかね、非常に満足していると。それから四〇%ぐらいな人がまずまず満足していると、こういう回答をして、六〇%の人はいま生活に満足しているという回答をしておりますがね、いろいろ調査の仕方でまちまちのことでありましょうが、食生活に不満だということですね。これはやっぱり野菜の、あるいは魚あたりのそういうものの暴騰なんかがときどきある、そういうことに対する不満じゃないかと思います。しかし、こうずっと季節的要因をはずしまして考えますと、まあそういっときのようなひどい状態ではなくなっているように思うんです。 それから住宅の問題ですね、これは私は確かに不満が皆さんの中にあると思うんです。この問題は、私はよほど政府としては重要視しなければならない。私の感触では、衣食の方はまあまあわが日本としてはよくいってるんじゃないかと思うんですよ。しかし、住の方はこれはもう先進諸国の中では最もおくれている。政策の重点というものをそこへ持っていかなきゃならぬというふうに考えておりますが、この世論調査を見ますと、食生活にも不満という人たちが非常に多うございますが、これは季節性の消費、食料につきましての不満じゃないかというような感じがしますが、ひとつこういう重要な資料でありますので、貴重な参考資料といたしまして努力をいたしたいと存じます。
○中沢伊登子君 ちょっと私ここに資料を持つてきていないようですけれども、私がいま申し上げましたのは、五月一日付の生協から出しております「協同」という新聞の抜粋でございます。それはちょうど一月に調べた結果でございましたから、それが五月のに載ったわけですけれども、恐らく一月ごろは野菜が大変高くて高くて、キャベツなんかなかなか手に入らなかった、こういうようなときでございましたけれども、しかし実際いま牛肉などというものはなかなか食べられない、こういうような不満は相当ございます。私も麹町宿舎からときどきそばのスーパーに物を買いに行くんですけれども、生のアスパラガス、あれなんか五、六本で三百円もするんですからね。それはそんなもの食べなくてもいいんですけれども、つい一人でおりますとなるべく簡単に手早くできるものと思いますと、そういうものはもうちょっとお湯につければ食べられるんで買おうと思うんですけれども、三百円で五、六本というとなかなかちょっと本当は手が出ないところなんです。まあいろいろそういうこともありましてさっき田中委員も言われましたように、私はエンゲル係数が必ずしも四〇%だから生活が苦しいんじゃなくて、エンゲル係数が三〇%になったからこれは食生活が大変よろしいというわけにはいかないと思います。それはなぜかといいますと、物が非常に高いから食べ物を削っているわけですね。ですから、エンゲル係数が相当下がった、こういうことで、その数字だけ見てこれは大変食生活に満足だということにはなり得ないものだと思います。 それから次に、御質問申し上げますことは、不況やインフレが三年目を迎えた現在でございますが、消費者は高度成長時代とは違って、いわゆる合理的な生活ぶりに徹してまいりました。むだの排除とか廃品更生とか不用品死蔵物の交換などをして必要最小限の消費動向になっていると思います。そこで、政府は景気回復のためには財政と輸出を牽引力にして、また相当部分を個人消費の上昇に期待をかけていられると思います。この前、土光さんと福田長官がテレビの討論をしておられたのを私は聞いておりましたけれども、そのときもこの相当部分を個人消費の上昇に期待をされているようなニュアンスを承っておったわけですが、消費は美徳といわれて使い捨てにさんざん走りました。その次には、今度節約は美徳だと、こういうようなかけ声と省資源の宣伝のもとにむだ遣いは悪徳のように思い込まされました中で、先ほど申し上げましたような消費者はいろいろな工夫をしたわけです。ことしのベースアップは一けたにすぎませんでしたし、私どもも相当減税をするようにということも申し上げたんですが、結局減税も見送られてしまいました。さて、その個人消費というものは、長官の御期待のようにいくものだとお考えでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 個人消費につきましては、大体実質五%、まあ五十年度ずっと見ますと、その水準で伸びてきておるわけです。五十一年度につきましても、その辺はまず確実に実現できると、こういうふうに思っております。春闘が去年よりはまあ低い水準で決定される。しかし他方において物価の動向も落ちついてまいる、それから景気はよくなる。景気がよくなれば時間外だとかあるいはボーナスだとか、そういう収入もふえるし、あるいは個人事業家の所得もふえる、そういうようなことを全部総合いたしましてね、まあ五%というふうに見ておりますが、この水準が五十一年度において実現されるということは、まあ間違いなくそういくんじゃないか、そういうふうに見ております。 減税というお話でございますがね、先ほどまあ渡辺さんからも御指摘がありましたが、財政ですね、こっちのほうも大変な状態です。そういう状態の中でありますので、なかなか減税という財政的余力というものがないんで、まあこの辺はひとつ国民にも御協力願わなきゃならぬだろうかと、こういうふうに思いますが、早くこの経済を正常化いたしまして、まあ何ですか、先々も読めるような経済状態、そういうふうにぜひいたしたいというふうに考えております。
○中沢伊登子君 去る四月の一日に日銀の総裁が景気足踏み脱出宣言ということをされましたね。あれからちょうど一カ月半ほど過ぎたんですが、長官は景気はなだらかに上昇するだろうと、しきりにこういう言葉を使っておられるわけですが、私は四月の半ば過ぎだったと思いますが、所用で新潟の方にちょっと行ってまいりました。ついでながらということで近くの中小都市を訪問してみましたが、どこへ行ってもまず聞かれたことは、景気はいつ回復するかと、とにもかくにも景気を早く回復させてほしい、こういうことが市民の要望でございました。市民と申し上げましても、お目にかかったのは中小企業の方でございましたけれども。その一例を申しますとね、燕市に行きましたとき、あそこは洋食器をつくって販売をしているところでございますけれども、またここの業界も非常に深刻でございまして、出血生産をしながらコスト割れの販売をしているわけです。それから輸出が少しとまったということでにっちもさっちもいかないというような話を伺ったわけですけれども、輸出は大変好調だったと、こういうふうな話を伺いますけれども、この洋食器については悪かったんですか。それで何かこの間フォード大統領が洋食器のまた自由化をするとかいうような話をちらっと新聞で見たような感じがするんですけれども、その点はどうなんでしょう。
○政府委員(青木慎三君) 個別の業界のことでございますので、私から申し上げますが、なるほどその洋食器につきましては、報道されておるところによりますと、アメリカは関税割り当て制度をずっと十数年実施していたわけでございますが、今年十月以降廃止するということが決定されているということでございます。このこと自体は日本の輸出にとりましてプラスなわけでございますが、従来関税割り当て制度ということで十数年やっておりますために、日本のシェアというのはこの関税割り当て制度である程度確保されておるわけでございますが、これが完全に急に自由化されますと、最近日本の競争力というのは韓国とかあるいは台湾とか同業者がございまして、その辺に比べますとやや弱まっておりますので、一挙に外されるとかえって日本のシェアが減るというような事態も考えられますので、いま現在若干問題になっているということでございます。ただ、これは向こうが自由化をするということでございまして、輸入制限は撤廃するということでございますので、これに対して抗議を申し込むのもまたいかがかと思われる事態もございますので、なかなか困った事態ではないかと思います。したがいまして今後外交ルートを通じまして、どういう交渉をいたしてまいりますか、これは通産省の方でやると思いますけれども、実態はそういうことでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) いま日本の経済は、これは非常に活発な上昇過程に入ったんです。入っておりますが、石油ショック後の経済の沈滞ですね、これは非常に深刻です。そこで操業度がうんと落ちているわけでありまして、まあ何でしょうか、あのショック後の企業の操業度が全体とすると六〇%台に平均してなったんだろうと思います。それが今日改善をされてまいりまして、まあこの時点では恐らく八〇ぐらいのところにはきておると思うんです。これが八六、七、その辺まで行かぬと、これは企業全体を平均いたしまして損益分岐点、そこへ到達というわけにはいかない。そういう状態で、いまそういう状態になるにはいつごろかと言うと、まあ来年の春だろうと、こういうふうに見ておるんです。ですから、とにかくあのときから不況三年です。普通の状態で言うと一年、長くて一年半ぐらいで済む不況ですがね。それが三年も続くんですから、各企業とも非常に苦しい。苦しいが水面に頭を出すと、こういう状態がもう一年足らずのうちに迫ってきておると、こういう状態で、まあ各企業ばらつきはあります。ありますが、まあ大方先が見えたなあという感じにいまなってきておるんだろうと思うんです。ただ、特殊な業界では、まあなかなかそういう状態まで来ないものもありますが、一般的に見ますると、大変明るい方向に動いておると、こういうのが実情であるかと思うわけであります。
○中沢伊登子君 もう時間がないんですけれども、五時九分までということで、時間が過ぎましたけれども、最後にそれじゃ一つだけお伺いをして終わらしていただきますが、民社党の経済安定計画化基本法、これには福田長官も多少検討に値すると、こう言われたと伺っておりますが、どうお考えでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど私は成長管理といいますか、需要管理といいますか、それがどうしても必要になってくると、こういうふうな考えでございますが、そういう意味合いからすると、民社党の御提案は大変私は参考にいたしたいという気持ちなんです。あれは言っていることを全部できるというふうには考えませんけれども、特に景気調整基金を設定せよというようなことは、これはまあ少し何と言うか、応急措置の済んだ後の段階の問題としてこれは十分検討——前向きに検討するという必要のある問題じゃないか、そういうふうに考えております。大変全体として非常に建設的なお考えが多いわけでございますが、特に私はあの景気調整基金を設定せよという点は印象的に頭に残っておると、こういうことでございます。
○中沢伊登子君 ありがとうございます。時間がおくれてすいませんでした。
○理事(鳩山威一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十三分散会 —————・—————