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77回国会参議院1976/05/13

農林水産委員会 第7号

発言数
276
登壇者
18
会派数
4
開催日
1976/05/13

会議録

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨十二日、佐多宗二君が委員を辞任され、その補欠として原文兵衛君が選任されました。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 漁業再建整備特別措置法案、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案及び漁船船主責任保険臨時措置法案、以上三案を一括して議題といたします。  参考人として、大日本水産会会長、亀長友義君、全国漁業協同組合連合会専務理事、池尻文二君、焼津漁業協同組合長、滝口佐左衛門君の御出席をいただいております。  この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして厚く御礼申し上げます。参考人におかれましては忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。  なお、議事の順序について申し上げます。初めに亀長参考人、池尻参考人、滝口参考人の順序で各十五分程度御意見をお述べいただいて、次いで委員から御質疑を申し上げるという順序で議事を進めてまいります。  それでは亀長参考人からまず御意見をお願い申し上げます。亀長参考人。

亀長友義大日本水産会会長

○参考人(亀長友義君) ただいま委員長から御紹介いただきました亀長でございます。  水産三法の審議に当たりまして、私どもの意見を述べさしていただく機会を与えられまして大変感謝をいたしております。三法の背景となっております水産業の実情につきまして、この機会に時間の許す限り述べさせていただきたいと考えるものでございます。  御承知のように、戦後、日本の水産業が非常な発展をしてまいりまして、世界一の漁獲であり、世界一の水産国といわれてまいりましたが、この発展の過程におきましてもいろいろな問題がございました。しかしながら、現段階においてはこうした発展の過程というものが非常に一変をしてまいりました。非常に大きな変化が起こりつつあるということを申し上げなければならないと思うのでございます。その第一は、私は国際条件の変化、第二は経営条件の変化、この二つであろうと考えるものでございます。第一の国際条件の変化につきましては、御承知のように戦後は、日本の漁業というのは、連合軍司令部によって非常に局限された四つの島の周辺に限定をされておりまして、それが逐次講和条約近くになるにつれて拡大をされまして、いわゆるマッカーサーラインというのがございました。講和条約の発効とともに日本が世界の海へ出ていけるということになりまして、近くの国の日米加、あるいは日ソ、あるいは日韓、最近では日中と、こういうふうな近隣の国とそれぞれ漁業に関する条約を結びまして、今日までやってまいりました。  しかしながら、世界的に沿岸国の資源獲得思想というのが非常に強くなってまいりまして、そのはしりは一九五八年でございますが、約十五年前、やはり海洋法、いまのような海洋法会議というのがありました。そこでいろいろな四つの世界の海洋条約ができました。そのうち三つは従来の世界の慣行をそのまま紙に書いたというものでございましたが、大陸だな条約というのが新しくできました。これは要するに、大陸だな——陸の先には長いところで約二百海里、それ以上に及ぶものもあります。日本の近くのように非常に大陸だなの短かいところもございます。しかし、そこにある地下資源、鉱物、石油、それからそこにくっついておる魚、こういうものは沿岸国の独占的権利だと、こういう大陸だな条約というのができました。これは従来の国際法にはなかったことでありまして、新しく世界にそういう事態を、創設をした条約であります。日本は大陸だなが小さいので、現在でも加盟をいたしておりませんが、そういう思想がだんだん進んでまいりまして、これが今日の海洋法会議の発端になってまいりました。  現在行われておる海洋法会議では、最初は深い海のところに鉱物がある。マンガンとか、クロームとか、こういうものがある。こういうものを先進国に先取りされては困る、深海海底を開発する技術というのはやはりどうしてもアメリカとかフランスとか、若干日本とかいう先進国に限られる。そこで後進国としては、そういうものにストップをかける、国連の会議でストップをかけまして、そうして新しく海の制度を世界に要求をしたわけであります。その取引として、二百海里というものを経済水域というものを認めようという、こういう機運になってまいりまして、現在でもまだ論議が続いております。この論議が、第三回の海洋法会議ということになりまして、この間ニューヨークで約八週間の会議を終わりましたが、あれが第三回海洋法会議の第四回会期で、それが終わったところであります。  しかしながら、これにもいろいろな問題があります。たとえば日本のように実績があった国はどうしてくれるのか、こういうことであります。さらに二百海里といっても、豪州やカナダのように、回りにどこの国もない、二百海里思う存分自分の国のものになるという国と、そうでない国があります。地理的に非常に狭いところに面しておる、日本でも太平洋の方は広うございますけれども、日本海とか、あるいはシナ海、北の方というのはほかの国の二百海里とつっかかる。そうなると、真ん中で分ける、こういうことになりまして、非常に世界的に資源が不公平に分配される、そういう不満が依然としてあります。これが海洋法会議がなかなか片づかないゆえんであります。またこのほかにもいろいろ国際海峡をどうするか、たとえばマラッカ海峡、日本のタンカーがたくさん通りますけれども、あれが全部領海になってしまう、十二海里にすれば。その際に外国船舶はどういう通し方をするのか、一々その国の許可が要るのか、あるいは従来どおり自由に通れるのか、いろいろな海の問題ございますが、問題を漁業だけに限定をして申しましても、実績国の実績というのはどう考えてくれるのか、こういう問題が依然としてくすぶっております。現在のところの海洋法の草案では、経済水域の中では、沿岸国が優先的に利用をする、そうして資源が余った場合には、後進国であるとか、あるいは入漁の実績のある国について、経済的打撃を与えない程度において配慮をする。こういうきわめてあいまいな条文でありまして、よく新聞などが実績確保というようなことを書いてありますけれども、実績確保という言葉には、ほど遠い、実績をしんしゃくする、こういう程度の条項があるにすぎないのであります。当然、経済水域二百海里ということになれば、これは地下の鉱物並びに生物資源——魚でございます。そういうものは全部沿岸国の所有と申しますか、行政管轄に入る、警察権も全部その沿岸国のものになる、こういうことになるわけであります。こういうものが現在まだ海洋法会議というものが終わっておりません。またこの八月からニューヨークで会議をやる、恐らくそれでもむずかしいので、来年あたりまたもう一回やる、その辺でまとまるだろうといわれております。しかしながら、アメリカ、カナダ、こういう国は非常に拍車をかけて、一日も早くこれを実現しようとしておる。そういう状況でありまして、日本の国が仮に、そういう経済水域というものができる、そうして実績にしんしゃくをするとありますが、初めのうちは、しんしゃくの度が大きくても、だんだんこれはしんしゃくの度が少なくなっていくのじゃないか、そう心配をいたしております。一体そういうふうになると、いま日本の国は一千万トンの漁獲を上げておりますが、どのぐらい漁獲が減るのか、仮に将来全部追い出されると仮定をいたしますと、約四割減る。四割減って六百万トンに減少するであろうというのが、いままでの漁船の稼働実績から、資料から推定した数字であります。もちろん一挙にそこまでいくわけではないと思いますが、実績に対する配慮というのが少なければ少ないほど、そのスピードが速くなる、こう考えざるを得ないわけであります。  こういうことを考えてまいりますと、まず第一にそういう条件の変化というのが、日本に非常に大きな影響を与えるわけでありまして、もしそういう状態になれば、日本の漁業というのは、まさに占領下の漁業に返るわけでございます。大体、外国の二百海里を日本の回りに引いてみますと、占領中にマッカーサーラインというのがありまして、そこから外へ行っちゃいけない、こういうのがありまして、面積に、地図の上では多少の移動がありますけれども、漁場の価値と、こういう点から見れば、漁場だけは占領中に返る、こういう事態が発生をするわけであります。戦後は終わったとよく言われますけれども、漁業だけは戦後に戻ると、こういうことになるわけであります。もちろんこれにはいろいろな問題がございます。日本の周辺でも、余り、私は政治的な問題でここで申し上げるのもどうかと思いますけれども、たとえば北方領土がどうなるか、竹島がどうなるか、尖閣列島がどうなるか、ということも非常に影響するわけでございまして、その帰属のいかんによっては、島だけではなくて、その周辺の二百海里というものがいずれかの国に帰属するわけでありまして、もし日本に帰属しないときには大変なことになるわけであります。竹島も、御承知のように、竹島自体は余り経済価値はございません。ですから、いまそのことだけで大きな問題になっておりませんけれども、この周りに二百海里がくっつくわけでございまして、たとえば山陰地方の漁業というものはその帰趨のいかんによって大変な変化を受けるわけでございます。そうなりますと、この領土問題というものが非常にクローズアップされて影響を持ってくる。これは日本に限りません。世界至るところにそういう問題が出てまいるわけでございます。そういう状況のもとで海洋法の成立を待ち切れずに一方的に宣言する国があります。昔から二百海里と言っております国がチリ、ペルーとか、南米にもございますが、最近は世界の一番大国であるアメリカですら国内立法をつくりまして、海洋法を待たずして来年三月には二百海里を施行する。言うことを聞かない国は入漁を認めない。コーストガードの予算を大変ふやしておりまして、コーストガードで警備をして、言うことを聞かなければ拿捕なり何なりすると、こういう姿勢をとっておるわけであります。いずれ日本と話し合いに入るということになりましょうが、そういう威圧のもとでの交渉ということになるわけでございます。  ソ連——私も先日ソ連から帰ってまいりましたが、ソ連は私は二百海里にはそれほど積極的でないというふうに見ております。と申しますのは、ソ連は日本以上に遠洋漁業国でありまして、六割を外国の漁場でとっております。日本は大体先ほど申し上げましたように四割。そういうこともありまして、しかしながら体制というものはやはり踏まえておりましょうし、また日本、この北洋では何としてでも日本より、少なくとも日本ぐらいの漁獲を上げたいと、こういう強い希望を持っております。また、御承知のように、食糧問題が非常に窮屈な情勢にある国でございまして、先ほどのソ連の経済計画でも漁業の、水産物の供給高を三割上げるということが決定されております。一体その海洋法でソ連も、アフリカあるいはアメリカから追い出されそうな時代にどうしてそういうことをやるのかという非常な疑問を持ちますが、イシコフ漁業大臣は三割は全部漁場の魚の増産だけで賄おうとは思っていない、やはり流通の合理化、加工の合理化、こういうことによってロスを少なくして達成するんだと、こういうことを言っておりますが、やはりみずから漁業をやりたいという意欲は大変なものでございます。漁獲高においても日本にいまや追いつかんとしておりますし、国営漁業でもございますし、大変な熱の入れ方をいたしております。この点アメリカは、非常にやかましいことを言いますけれども、国内に漁業をやろうというそれほどの経済的意欲はないと、こういうふうに私は判断をしておりますけれども、ソ連の場合はみずからこれをやりたい、そういうことで、日ソ交渉に当たりましても、アメリカとはまた違った意味の姿勢がございます。そういうふうな状況でございまして、もうお隣の中国、中国は海洋法会議では本来領海二百海里が妥当である、領海とするのが妥当であるという基本的主張を持っております。しかしながら、大ぜいの国をいざなって積極的にその主張を通すという姿勢ではございませんが、自分の原則的立場ははっきり述べております。  そういうふうに考えてまいりますと、将来日本の漁業というのは少なくとも現状より縮小していくという過程をたどらざるを得ないということははっきりしておるわけでございます。しかしながら、漁獲高の減少を漁獲の面で防ぐということになりますと、やはりどうしてもこれは海洋法というものを踏まえたとしても、二国間の交渉でできるだけこの実績を維持していくという方向を私はとらざるを得ないと思います。もちろんこれは沿岸の開発ということも必要でございます。海外の開発ということも必要でございます。ただ沿岸の開発にはこれは相当な国家投資をしていただかなければ沿岸の開発ということも大変むずかしい問題である、大いにやらなければならないが、むずかしい問題があると思います。  それから、先日も東大の、名前を申し上げると失礼なので私申しませんが、東大の助教授の方が、二百海里などに実績確保などとつまらぬことは言わないで、大いに外国に資金援助をして、技術援助をして、そこで魚を確保すればいいということを論文に発表していらっしゃる。まことにけっこうな話でありますが、二百海里の外国との交渉で、実績を確保することよりも、外国に技術援助や、資金援助をして外国で漁獲高を確保することの方がはるかにむずかしいのであります。私どもは実際にタッチをした経験からそういう判断をいたしております。現に、現在でも日本の漁業会社あるいは商社で外国との技術提携いろいろなことをやっておりますが、そろばんにのっておるものは余りありません。むしろ縮小ぎみであります。ましてそこへ海洋法ができれば、開発途上の国にしても非常ないわゆるナショナリズムというものが強くなってまいります。それだけのまた裏づけを海洋法で与えられるわけでありますから、私はその大学の先生の論旨には難易の度合いというのを余りお考えにならない議論でないか。私は、海洋法で実績をがんばる、大変なことでございますが、それと外国の後進国に資金援助をして漁業を確保する、どっちがやさしいかと言えば、私は、問題なく実績を確保する方に努力する方が、はるかにそれに比べれば効果的だと、こう考えるものでございます。もちろんそういうことも大いにやらなければなりませんが、代替性のあるというものではない、かように考えております。いずれにいたしましてもそういう日本の漁業をめぐる条件というのは非常に変化をしてきておりますし、大きな流れというのは好むと好まざるにかかわらず押し寄せてまいります。できるだけの努力をして、その悪影響を防止をするという努力をしなければなりませんけれども、現実にこれは漁業者の面から見ますれば減船であるとか、あるいは漁獲高の減少であるとかという経営面のいろいろな問題になってまいります。さらには離職者を出さなきゃならぬ、こういうことにもなってまいります。今回の日ソ交渉でも、現に船に乗って用意しておる者をおろしたというような、まあニシンの例もございまして、そういう例が今後ますますふえてくる、あるいは来年はやめなきゃならぬ、こういうふうなものがだんだんふえてくるという情勢になってまいりますと、やはり日本の漁業の再建ということをどういう方向に持っていくかということを考えなければなりません。そういう意味で今回この再建整備法というものも出ておりますが、もちろん私どもから見れば非常に微温的ではございますけれども、従来に比べれば非常に政府の御努力もありまして大前進があった。しかしながら、まだまだこれには私ども次の手が、今後の年にも次次と打たれていくであろうというふうに考えて、大いに期待をいたしておるものでございます。  それから第二は経営条件の変化でございますが、御承知のように人件費も上がるが魚も上がるという時代が大分続きまして、ところが、石油ショック以来人件費は上がるが、油は上がるが、魚は余り上がらぬという状況になってまいりまして、いわゆるコストで値段が決まるというしろものでは魚はございません。全くの需給関係、その需給の給の方も農業のように作付面積から大体の予測がつくというのでなくて、ときに大漁、ときに不漁というふうな非常に変動の激しいものでございまして、漁業は不況に非常に悩んでおります。国際条件の悪化ということも重なりまして、資材の高騰ということもございます。また非常にこの漁業の発展期に船を大きくした、同時に乗組員の居住区、待遇改善、こういうこともありまして、かなり日本の船は船の構造からいきましても他の国に比べましてりっぱな船になっておる。そういう面のいろいろ金利負担、経費負担というものもかなりかかっておりまして、宵越しの金を持たないと言われますけれども、本当に表向き、はでなようでも、余り漁師というものは宵越しの金を持っていないのが実情でございます。今回も政府の方でいろいろ融資制度を考えていただきまして苦境を切り抜けておりますものの、経営条件の大きな変化というものになかなかたえがたい階層、あるいは経営体というものが出てまいりました。そういう面から、私ども、政府にかねがね要望しておりまして、まあその一端と申すと失礼でございますが、ようやく本年度の予算では従来に比べますとかなり新しい項目が政府によって採択をされる結果になっております。  時間の関係もございますので私もう要約をいたしたいと思いますが、とにかく二、三年前とがらっと変わった状態がこの漁業をめぐる状態でございます。もちろん、漁業者みずからも大いに合理化をし、企業経営の不採算部門は切り捨てる、あるいは企業合理化を図るという努力をみずからしなければならないと思います。しかしながら、どうしてもこれは——従来、漁業は余り政府に、補助に頼らずにやってきた。金融は非常にめんどうを見ていただきましたが、補助というものは非常に少なくやってまいりましたが、だんだんそういう時代でなくなるわけでございます。まあ外国でも日本より漁業が盛んでない国でも漁業に対する助成が手厚い国もかなりございます。でき得べくんば独立してやりたいというのが私どもの気持ちでございますけれども、こういう状況になってまいりますと、なかなかそうもいかない面もございます。いろいろ本年度予算で新設された項目をさらに私どもは拡充して、今後政府並びに国会の御援助を得て施策を拡充していきたいと考えておるものでございますが、当面この三法につきましては、私どもいろいろ将来に望みをかけまして、第一歩でございますので、業界の大きな期待を持っておる次第でございます。よろしく御審議のほどをお願いいたしまして私の意見の開陳を終わりたいと思います。ありがとうございました。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) どうもありがとうございました。  次に、池尻参考人にお願い申し上げます。池尻参考人。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○参考人(池尻文二君) 水産関係の三法が審議されるに当たりまして、参議院の農林水産委員会において意見を述べる機会を与えていただきましたことにつきまして厚く感謝を申し上げる次第でございます。  本日の参考人は、亀長さんは御案内とおり国連海洋法会議に御出席になると同時に、日ソ交渉をまとめ上げて帰ってこられたばかりの方でございますし、後で御意見を述べられる滝口さんは日本のマグロ漁業界の権威でございまして、皆さま方の御質問等に答えるのに事欠かないベテランの方でございます。  私は、全漁連という立場から本日意見を述べるわけでございますが、いま亀長参考人が述べられましたように、日本の漁業を支えてまいりました三つの条件、つまり公海の自由、広い漁場、それに安価な石油、それに従来の高度成長のもとに実現してきました高い漁価というものに支えられて発展を遂げて、実質的に世界第一の漁業国を誇った日本の漁業の現状が、いまいろんな条件で根底から揺らいでおるという御説明がございましたが、これは沿岸、沖合い、遠洋を問わず、私は率直に認めなければならないきわめて重要な事態であると考えておるわけでございます。最近、食糧の問題が改めて非常に重要な、高い次元から論議をされておりますが、これだけの、日本国民に対しておいしい魚を供給してきた漁業は、従来までは余り国政の審議の間でも、あるいは国民の世論の間でも必ずしも重視をされてまいりませんでした。しかしながら、一千万トン内外の漁獲物を供給をするということを考えてみますと、これは畜産物の畜肉に換算をいたしますと四百万トンぐらいの換算率になると思いますが、その一千万トンの水産物をもし畜産で代替をするといたしますれば、いろんな計算があるでしょうけれども、改めて耕地面積の一千二百万ヘクタールの耕地の面積を必要とする。つまりこれは日本列島をさらにもう一つ二つつくらなければこれは実現をできないという夢みたいな話になるわけでございますが、そういうような重要な食糧を供給しているこの漁業をほうっておいていいのであろうかというような見地から、私どもは石油ショック以来非常な経営難に逢着をしています漁業者と一緒に、一昨年から漁業経営危機突破の運動を起こしましたわけでございます。そのときにまず私どもが問題にいたしましたのは、石油の値上がり分に対してぜひともこの際助成をいただきたいというストレートのドラスチックな要求を政府、国会にぶっつけたわけでございます。先ほど亀長さんが御指摘のとおり、すでに諸外国等においてもこれが実現をされている西欧諸国の例もございますのですし、私どももこれを先ほど申し上げました食糧確保の見地から、漁業をひとつ救済してもらうための有効な手だてとして要求をいたしましたわけでございますが、これは残念ながら実現をいたしませんでした。  私は、最近でも、特に野党の先生から、あれだけののろしを上げてどうして簡単に引き下がったのかという質問を受けるわけでございますが、これはもともとせっぱ詰まった意味で私どもぶっつけざるを得なかったというのが実際の話でございます。と申しますのは、確かにイギリスあるいはフランス、スペイン等におきまして、かねがねもうすでに十何年前から漁業に対する手厚いストレートの補助を含めた助成というものが実現をしておりました。私もそれは具体的に調査をいたしましたことがございます。そのときに、日本と条件がやはり違いますのは、西欧における、特にイギリスあるいはスペイン等の漁業というものは、どちらかと申しますと、もう人生で言えばすでに老齢期に達してしまっておって、しかし漁業はなくてはならないというような意味で、いわば静止安定と申しますか、そういう形で漁業が行われておるわけでございますから、国の手厚いと申しますか、ある一定の補助なりそういう助成がなければその静かに安定をしている漁業さえも維持できないというような条件のもとで、そういう一つの政策のよりどころがあったんではないかということでございました。確かに石油ショックあるいはその他の条件で、日本の漁業は相当困難な条件のところに立ち至っておりますけれども、しかし、これについてただ補助を実現するだけが日本の漁業というものを構造的に、あるいは将来を含めて本当に再建する道になるのかどうかということにつきましては、私ども要求をしながらやはりそこには政策についての一つの確固たる理論と申しますか、あるいはよりどころというものを持つことなくして要求はできないということを運動の過程でもやっぱり考えておりました。  たとえば一キロ当たりに値上がり分の一万円の補助をよこせと、それが実現をいたしましても、大、中、小すべての漁業者に一キロ当たり一万円の補助を確保するということになれば、年間五百億の補助が毎年要るわけでございます。そしてまたこの補助が一遍実現をされますれば、これは永久にこれを引き揚げるということはむずかしいということはもう先生方が御賢察のとおりでございます。したがいまして、これは要求はしてみたものの、やはり大所高所の政策論理からすれば、私どもいまの政治、経済の環境からなかなか実現はできないというようなことで、これにかわるべきものがいま御提案になっておりまする漁業再建整備の特別措置法、あるいはそれに絡まる中小漁業融資保証法の改正、そういったものの形になってあらわれてくると同時に、本年度の水産庁の予算の中に、たとえば魚価安定の制度というようなもの等の一部の構想も芽を吹き出しましたということになってあらわれておるものと私は理解をしておるわけでございます。したがいまして、そういう意味におきまして、日本の漁業というものは、いろんな条件さえよければ、先ほど言いました西欧の漁業と比べて、より以上に漁業者はバイタリティを持っておりますし、また日本の漁業者は技術も優秀でございますし、経営者が一定の時間自分の合理化のための努力をするということを前提にいたしまして、いろんな施策というものを、それの助成の道に使っていくならば、海洋法の問題あるいはその他の問題が将来困難な条件として横たわっておりまするけれども、日本の漁業の将来というものが、必ずしも暗たんということだけではあるまいというような先の希望を込めまして、いまの法律の一刻も早く成立することを私ども願っておるわけでございます。  したがいまして、先般も私全国をいろいろと歩いてまいりましたが、いま漁業者はこの法律が一刻も早く通ることを本当に一日千秋の思いで待っております。と申しますのは、先般の石油ショックの後に、五百二十億の石油値上がり分に対する緊急融資の実現を一昨年していただきました。この金はなかなか償還できないで、償還を延期をする手段をとっていただきましたが、この金の償還がいよいよ八月ごろには行われんとしております。特に中小漁業、カツオ・マグロを含めて、そういう漁業の経営難は非常に深刻なものがございます。したがいまして、新しい法律で予想されます固定化債務に対する長期の融資を含めての漁業再建整備法の内容となっておりまする経営維持安定資金制度の六百億円、それにさらに六百億円——これは法律の適用外でございますが、さらに油の値上がり分に対する施策を含めての油の緊急融資六百億円、計千二百億円の融資がこの法律の通過と同時になされんとしておることに対しまして、漁業者はこのことがぜひとも実現をするようにという期待を持っておるわけでございます。そういうようなことでございますので、ひとついろいろと国会の情勢も険しい事態でございまするけれども、幸いにいたしまして、漁業の問題につきましては、与党野党間に必ずしもそう大きな意見の対立はいままでもございませんでしたし、この問題につきましてもないと確信をいたしておりまするので、この法案の速やかなる御成立に先生方の御協力をお願い申し上げる次第でございます。  最後に、蛇足でございますけれども、私ども、ソ連船の近海操業の問題で、北海道、東北あるいは関東の沖を含めての漁業者が非常に困ったことがありました。また現在もそういう事態がある程度続いておるわけでございますが、それに対する対策として、日ソの政府間で、日ソ漁業の安全操業協定が締結をされました。この協定が、不幸にいたしまして、酒、たばこの値上げ法案に絡みまして、参議院段階で審議未了になりまして、次の国会まで批准が見送られた経験がございます。このときに、いかなる理由があろうとも、漁業者はソ連船の問題で非常な苦しみを味わっておったわけでございまして、その操業協定が国会で日の目を見なかったということにつきまして、きわめて悲しい暗たんたる気持ちに打たれたことがございました。私はこいねがわくば、今度の法律がひとつそういうことにならないように、前の例を引用いたしまして特段の先生方の御配慮を賜りますようお願いをいたすことを最後につけ加えまして、私の意見の開陳にかえさせていただきたいと思います。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) ありがとうございました。  次に滝口参考人にお願い申し上げます。滝口参考人。

滝口佐左衛門焼津漁業協同組合長

○参考人(滝口佐左衛門君) このたび水産三法の法律案の御審議に当たりまして、意見を申し述べる機会を与えてくださいまして深く感謝申し上げます。同時に各先生方には、平素私どもカツオ・マグロ漁業の振興に特段の御支援をいただいており、また今国会におきましては、水産三法に関する一連の水産予算を可決していただきまして、まことにありがたく、改めてお礼を申し上げます。私は父祖伝来カツオ・マグロ漁業によりまして生計を立てております焼津の漁業者の一人といたしまして、またその団体の責任者の一人といたしまして、まことに浅学非才ではございますけれども、この水産三法に対しまして若干の意見を申し述べさせていただきたいと存じます。  まず第一に、漁業再建整備特別措置法案と中小漁業融資保証法一部改正法案に対しまして意見を申し述べさしていただきたいと存じます。  これらの法律案は、私ども、カツオ・マグロ漁業界が長い間経営安定対策として要望してまいりました内容を包含して作成されていると存じますので、これらの法律案につきましては、基本的には賛意を表し、早急に可決成立いたしますよう関係諸先生の深い理解と御支援をお願い申し上げる次第でございます。特に前に融資していただきました水銀融資あるいは燃油特別融資等の返済が七月、八月に迫っておりますが、この返済ができませんと、倒産に追い込まれます企業が一層増加することが予想されますので、せっかくの今回の政策融資の恩典にできるだけ多くの企業が浴することができますように早急の可決成立方を心からお願い申し上げる次第であります。  私どもが経営しておりますカツオ・マグロ漁業、なかんずく遠洋カツオ・マグロ漁業は、現在千二百七十七隻、三十四万三千トンの現有勢力を持っておりまして、そのほとんどが中小漁業者でありますが、一昨々年発生いたしましたオイルショック以降、燃油を初めとする諸経費の高騰と国の総需要抑制政策や諸外国からのマグロ類の輸入の激増等によります生産地魚価の低迷等によりまして、その漁業経営はきわめて厳しい局面を迎えており、これに加えまして国連海洋法会議の動向を背景といたしまして、またこれを先取りいたしまして、漁場最寄りの沿岸国の中には、現在漁業管轄権の主張を唱え、あるいはまたすでに実施している国々がございます。私どもは、エクアドルやペルー等の中南米諸国の沖合いにおきましては、多額の入漁料を支払って操業をしておるのが現状でございます。またニューギニア、インドネシア等の国も同様でございます。そのためにすでに数多くの倒産、係船の事例が発生し、この事態は目下なお進行しております。そしてまた、多数の漁業者も多額の負債を抱えて倒産の防止と資金繰りに腐心し、その経営改善について懸命の努力を払っているのが実態でございます。しかしながら、漁業者の自助努力にも限界がありますので、政府の強力な支援を要請する声が強烈に上がっております。特に長期航海でありますカツオ・マグロ漁業の場合には、それらの企業の抱えております固定化負債を長期低利の政策資金によって乗りかえ、当面の不況から一刻も早く脱却することがまずもって肝要であります。本法律案の再建計画につきましては、それぞれの企業が再建計画を立てて農林大臣または都道府県知事の認定を経て所要の経営維持安定資金の融通を受ける仕組みになっておりますが、その際対象となります固定負債の内容と範囲はできるだけ広げ、また一企業体に対する融資限度も弾力的に取り扱っていただきたいと存じます。この経営再建のための維持安定資金の融資を円滑に推進するためには漁業信用基金協会の協力によって企業の受信力をつけることが肝要であります。そして基金協会も業界が難局に直面しておるいまこそその本来の機能を発揮すべきときであると思います。幸い今回漁業経営維持安定資金及び漁業用燃油特別資金を含めて、この種の政策融資に関しましては国の保証率を八〇%に拡大されますことにつきまして深く感謝するところでありますが、この機会にさらに中央漁業信用基金に対する国の補助を一層拡充強化し、もって基金協会の体質を強化するとともに、その保証能力の拡大と将来本件融資につきまして代弁事故が発生した際の原資にも充当できますよう配慮すべきであると存じます。  なお、本件融資にかわる融資総額といたしまして、五十一年度予算におきましては六百億円が計上されておりますが、農林大臣によります認定の結果、その融資額に不足を生ずる場合には次年度におきまして十分にこれを補完する予算措置を講じていただきたいと存じます。  次に、構造改善計画につきましては中小漁業振興特別措置法の内容をそのままこの法律案に組みかえられたものでありますが、冒頭でも述べましたように、漁業をめぐる内外の環境は一段と厳しさを増しており、わが国の経済基調も高度経済成長から安定経済成長へと変革したわけでありますから、この計画につきましては、関係各業界といたしましても新たな決意を持って真剣に対応することが必要であると存じます。したがって、農林漁業金融公庫の現行融資の内容及び条件は少なくともそのまま存続する必要があると存じます。この意味合いからして、生産手段はもちろんのこと、その他の広範な分野にわたっても協業化、協同化の努力を結集することは肝要であります。  次に整備計画について申し述べます。私どもの遠洋カツオ・マグロ漁業は本件整備計画の認定第一号に予定されており、業界といたしましても今日まですでに数回にわたってこの問題について真剣に検討を重ねてきておりますが、その間に出た論旨と要望を参考にしながら私見を申し述べてみたいと存じます。  現在私ども、カツオ・マグロ業界が検討している減船整備計画は、冒頭において申し述べましたように、海洋法会議の動向、オイルショックの直接のしわ寄せ、国の経済政策の影響など、業界の自主的な経営改善努力だけでは対応し得ない外部要因が根幹となって漁業経営の悪化をもたらしたことでもありますので、国の強力な財政措置が伴わない限り円滑にこれを実行することは困難だということであります。  すなわち本法律案第七条におきまして政府は「必要な助言、指導及び資金の融通のあっせんその他の援助を行うように努める」と言っておりますが、ここに言う「援助」が五十一年度予算にあります減船事務費補助程度の内容にすぎないものであるとするならば、私ども、共補償でやれということになれば、現在の疲弊した業界が恐らく所定の減船整備計画を遂行することは困難であると言わざるを得ません。よって、私どもカツオ・マグロ業界の立場から言えば、すでに予算に計上されております長期低利の融資をもって背後から援助するということではなく、法の運用によりましてもっと政府が前面に出て国の直接補助を主体とした強力な政策を推進するとともに、必要な予算措置を講じていただくよう、この機会に強く要望する次第であります。  次に、漁船船主責任保険臨時措置法案につきまして一言意見を申し述べます。  現在、私どものカツオ、マグロ漁業では、米国の水質改善法の制定以来、その操業と物資の補給を確保するために同方面に出漁する総トン数三百トン以上の漁船はすべて英国のブリタニやPIに加入しております。その隻数は現在二百八十九隻に及び、年間に支払う保険料も八千万円に達しております。公害の防止、水質の保全、環境の改善等は今後一層強く要請されることは必至でありますし、人命の損傷をも含めて漁業経営者として負担すべき事項はますます拡大することが予測されます。従来この種の保険が日本になく、私どもはやむなく外国の保険会社に契約して多額の保険料を支払うことにつきまして、割り切れぬ気持ちを持っておりましたが、今回新たに漁船船主責任保険臨時措置法が制定される運びとなったことはまことに喜びにたえないところであります。私どもとしましては、前述しましたように、現にブリタニアPIに加入しているわけでありますから、この法律制定の暁にはてん補範囲の内容のより充実と現行補償保険料よりも一層低率な保険料が実施できますように特段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  以上をもちまして私の意見開陳を終わらせていただきます。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) どうもありがとうございました。  それでは順次質疑のある方は御発言を願いたいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 じゃ、ちょっと先に、私、二、三点お伺いします。まず亀長参考人にお伺いいたしたい。  先ほどのお話では漁獲が、いわゆる遠洋漁業の漁場が狭められる中でどうしても減っていく、そこで、その対策は結論的には開発途上国の開発援助よりも実績確保が第一である、こういう考え方を示されましたですね。で、私もそれは大変大事であると思いますが、現実にはこの経済水域の拡大ということによって漁場が狭まっていく、これは否めない事実じゃないかと思います。そうすると、重要なたん白源としての食糧確保という観点から、その落ち込んでいく分をどこで、まあ全般的に見て確保していくべきであるかと考えておられるか。これが第一点。  第二は、先ほども池尻参考人の方からソ連の近海操業についての、日本海沿岸における近海操業についての問題が出ましたが、最近このソビエトと接触された中でソビエトの近海操業に対してこちらの方では非常に困っている、こういう立場をいろいろお話になったと思いますが、それについて接触の範囲で、ソビエトの方はどう考えておるか、どういう措置をとろうとしているか、こういうことをお伺いいたしたいと思います。  それから、池尻参考人、滝口参考人にお伺いしますが、前の石油ショック以来の緊急融資等によるところの負債がかなり水産漁業界にあると、中小業界にあると思いますが、そういうものが今度の大体、この債権によるところの融資という中身で大体吸収、肩がわりされると考えておられるかどうか、この点。  それから、構造改善の問題にお触れになっておりますが、今度の法律の中では、旧法における構造改善政策の中身をそのまま大体引き継いだような中身であると、こういうような大体御判断のようでありますが、それでは今回のこの本法の中にある構造改善に対して、新たな要望といいますか、ぜひ、前の反省、評価に立って、こういう点をやってもらいたい、こういうような点がないのかどうか、この点をお伺いしたい。  それからもう一つ、これは池尻さんにお伺いしたいんですが、原子力発電の温排水等々に伴う問題がいま国内でも大変問題になっております。特にいま北陸の方では、若狭湾一体には、九基に及ぶ発電所が、若狭湾にも建設されておりますが、さらに高速増殖炉という、国際的にいえばフランスのマルセイユやソ連等にもありますが、私も見てはまいりましたが、非常に問題がこれは皆あります。そういうものを地方に持ち出せばいろいろな問題を起こし、それはまあPCBではないが、一敦賀湾の中に起きたPCBの問題も、大和堆の二十時間も三十時間も出漁するイカの漁場にも重大な魚価暴落という結果を招いた、そういう事実から考えても非常にいろいろな大小さまざまな事故が予想されますが、こういうことは魚価の不安定に非常に大きな影響を与える要因になるんじゃないかと思いますが、現地の方では、県漁連等で高速増殖炉はいただけない、何とかこれはやめたいということで、これ以上新増設は困るという運動をされておりますが、私は、一地域の問題じゃなしに、日本全体の漁業の将来という点からもこの点は大変大事な問題じゃないかと思いますが、全漁連としてどういう指導方針等を持っておられるか、あわせてお伺いいたしたいと思います。

亀長友義大日本水産会会長

○参考人(亀長友義君) 最初の御質問でございますが、この実績がどの程度確保されるかということは、結局四百万トン他の水域でとっておる、そのうち大部分は北洋、北太平洋の水域でありまして、約七割から八割がそちらでございます。したがいまして、米、ソ、韓国、中国、特に米ソの出方によって非常に大きな変化がありますので、まあ四百万トンがどの程度かということは、いま私もはっきり申し上げにくいんでございますが、少なくともその欠減を行うとすれば、一つにやはり沿岸漁場の開発、これは水産庁の御計算で、私が知っている限りでは一割ぐらいの増産が可能でないか、現在の生産力の。というふうに了解をいたしております。そうなれば約三、四十万トンから五十万トン程度のものというふうに思います。  それから新規漁場、これは現在のところ私は新規漁場でそう大きなものはない、南氷洋のオキアミというのもございますが、おそらくこれは幾らやっても十五万トンか十万トンが限度であろうというふうに思います。したがいまして、残るところは大部分が輸入に頼ると、こういうことになるわけであります。水産庁は現在、これは後で水産庁にお聞き願いたいのでございますが、水産庁が昨年の夏ごろ計算をしたものによりますと、輸入を現在の三倍ぐらいにしなければならないというような計算であったように思います。現在日本では約六十万トンぐらいを輸出をし、八十万トンぐらい輸入をしておる。ですから、大体自給率は一〇〇%近いのでございますけれども、結局要らないものを出して、足りないものを買うという式でございますが、輸入の方を三倍にするということは私はなかなか実際問題としてむずかしいのじゃないか。この輸入の中にはもちろん合弁企業からの輸入、海外投資からの輸入、こういうものも含まれておると思います。でございますので、おそらくそういう面にはかなりな期待を持たれておるのではないかと思いますが、実行上は私は量的にも非常なむずかしさがあるだろうというふうに考えております。現在でも日本は魚は自給率大体一〇〇%と申しましても、数量から言えば世界で第三番目か四番目の輸入国にすでになっております。したがいましてなかなか、水産物の世界の貿易高というのはそう大きいものではございませんので、輸入量を現在の三倍にするというふうには、私は、開発輸入、海外投資輸入を含めましてもかなりなむずかしさがある。将来、魚の需要をいかに見るかということがございますが、少なくとも現在の需要が一千万トシ以上に需要が伸びるということになりますと、ますますむずかしい問題がある、かように考えております。  それから第二の近海操業をソ連側はどういうふうに考えておるかということでございますが、操業協定は、御承知のように、交通規則みたいなものでございまして、どこからどこまで操業してはいかぬというものではございません。公海であれば、その交通規則を守ってお互いにやろうと、こういうことでございます。現在のところ、私の聞いておる範囲では、ことしの四月からは非常にソ連側としては慎重な操業をしておるというふうに私は水産庁から聞いております。かなり日本の沿岸近くからは離れたところで操業しておるというふうに考えております。また、私がこの日ソ交渉の途中に向こうと接触した折にも、われわれはほんのわずかとっておるだけなんで、非常に慎重に操業しておるつもりだから、まあ余り騒がないでほしいと。ソ連も、日本の船には、かなり寛容な態度でサケ・マスも、ニシンもいままでとらしてきたはずだから、そこら辺は沿岸漁民との摩擦はもちろん防止をしなければならぬが、慎重に操業するつもりだから、余り騒がないでほしいと、こういう非常に、私は、気持ちとしてはそういう気持ちを少なくとも首脳部は抱いておるということは間違いないと思います。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○参考人(池尻文二君) 今回の経営維持安定資金によってどれだけ固定化負債の吸収ができる見通しかという御質問でございますが、マクロに見まして中小業者の抱えておる固定化の負債は大体一千億程度ではないかと私ども承知をしておるわけでございます。これはしかし全体の金額でございますが、個々の経営体でやはり経営の内容を具体的に審査をしてみますれば、その手当てをする額の妥当性というのも私は出てまいると。それから一つは、業種によってもまたその経営の苦しさの度合いというものがまた違っておる面もある。それからまた毎年変わるような漁況と申しますか、漁の模様とか、そういうようなものによっても変わってくるファクターがありますが、経営維持安定資金が六百億、これは七カ年の長期でございます。それにさらに別に六百億の石油の値上がり分についての融資と、それから別に今度は、近代化資金の八百五十億という、これは性格は違いますけれども、今年度に計二千億内外の、要するに新しい投資が行われていくという全体の中から見てみますれば、私は単年度六百億円の経営維持安定資金制度というのは相当の効果があるんではないだろうか、かように考えております。ただ、先ほど滝口さんがちょっとお触れになられましたように、マグロ業界だとかなんとかというようなもので、果たしてことしこれだけの措置でいいかどうかということになりますれば、来年の展望を含めて、また個々の業界によっては違った意見も出てくる可能性はあると、こういうふうに考えております。  それから原子力発電の温排水の問題でございますが、私は、アメリカに次いで日本が原子力発電の相当な計画を持っている国になっておるわけでございますが、アメリカの広大な地域に散布しておる原子力発電の立地と——まあ日本列島というものは非常にちっちゃいわけでございますから、そこに特に福井県等のごとき集中的に電力のサイトが立地をするということになりますれば、環境の問題といたしまして、温排水の問題と放射能のこの二つの問題は非常に重要な問題であろうかと思います。したがいまして、温排水が魚族資源にどういうような影響があるかということにつきましてはいろいろな意見がございまして、目下やはりまだまだ研究の段階でございますので、昨年来、財団法人、生物環境、温排水のそういうような影響の治験後の追求を含めまして財団法人が設立されました。私どもは、個々にいろんな学者、いろんな技術屋さんというものを動員してもらってこの温排水の究明に当たってもらいたい。そして、一刻も早くある程度の結論を得ていただきたいと、かように念願をしておるわけでございます。  高速増殖炉の問題につきましては、いま福井県で話題になっておるわけでございますが、私どもは、こういうものについては単に外国の模倣だけではなくて、やはり日本の環境、特に非常に高度の沿岸魚族資源というものを持っておる日本という特殊性を踏まえまして十分な配慮と用心をしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。

滝口佐左衛門焼津漁業協同組合長

○参考人(滝口佐左衛門君) ただいま御質問のありました構造改善計画について、中小漁業振興特別措置法の内容そのものだが、何かまだ足りないところがあるかと、こういうような御質問であったと存じますが、亀長会長も冒頭申し上げましたように、この水産三法が、構造改善計画等を含めた全部の三法の中でこれでもって完全ではないということを言っておられます。われわれもそのように感じておりますが、では何か、と言われますと、いま具体的に私はちょっとお答えできませんが、やはり法案を施行後必ず、いろいろの問題でこれが足りなかった、あれがほしかった、という問題が出てくるであろうと思います。その節には、われわれまた先生方にぜひお願いを申し上げたいと、このように存じます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 もう一点だけ。  大体、負債が吸収されるということですが、中小企業と一般に言われる分野を見ても、中小企業という枠で、政府公庫等から融資がされる場合に、中の部に政府の長期経営資金が流れて、零細、小の方には実際的にはなかなか流れていかないということが、中小企業政策の分野でも大変多いわけであります。  これは私の北陸では、繊維産業の実態を見ますと、国の長期低利の融資がかなりの額がなされても、中小企業の名のもとに中に流れて、零細、小のほうにはなかなか流れていかないといううらみがありますですね。今回の場合も私は、もちろん中堅漁業であるところの中漁業がしっかりやってもらうということは大変大事でありますが、それとあわせてやはり大変困っておる零細、小漁業者の方にもこの本法におけるところのやっぱり融資が十分流れていかなくちゃならないと思いますが、これについてかなり配慮をしないとなかなか流れていかないと思いますが、その点についてどうお考えでしょうか。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○参考人(池尻文二君) 経営維持安定資金の固定化負債に対する対応というのは、これは個々の経営体によって決まってまいりますから、これは県の方々の御努力でそれを十分調査をすれば私はおのずからわかってくると思います。端的に申しまして、いま漁業の中で困っている、困っているという内容はどういうことかと申しますと、経営的には私は中小漁業者、特にカツオ・マグロを中心とする中小漁業者が一番困っているということだけは先生方にも御理解願えるのではないかと思います。もちろん沿岸が困ってないというわけではございません。  そこでいま辻先生から非常にいい御指摘をいただきましたわけですが、経営維持安定資金ではなくて、先般行われました五百二十億の油の資金のときに、油の使用量だけで決めましたものですから、実態としまして零細な漁業者に一人当たり三万円と、あるいは五万円という金の単位になりまして、一体これは何事かというおしかりを私ども漁民から猛烈に受けたわけでございます。三万円の金を借りるのにうるさい手続をして、それは一体政治であるのかというきわめて強い怒りを先般の五百二十億でちょうだいをいたしました。これにこりまして今度は特に水産庁長官にその点の実情は十分踏んで対処していただきたい、こういうことを口酸っぱく申し上げておりますので、恐らく午後の審議で長官にその点を御質問いただきますれば、このたびは、水産庁長官は胸を張って十分な答えができるのではないか、かように考えておるわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 共産党の塚田でございます。  きょうはごくろうさまです。  先ほどから参考人の先生のお話を聞いておりますと、やはり今日日本の漁業が直面しておる事態というものはきわめて重大であるということが述べられましたし、また五十年度の政府の提出しました漁業白書を見ましても、今日、日本の漁業は危機に直面しているということもこれは異例なことだったと思うのですが、こういうことがはっきり書いてある。そういう中でこのたび漁業三法が提出されたわけでございますけれども、漁業再建整備法一つ見ましても、私どもはまだこの政府の助成策というものはきわめて不十分だというふうに率直に考えておるわけであります。これは後で政府に対する質問もしたいと思うわけでございますが、したがって、私どもは修正案も出したい、こう考えております。そこで、皆さんのこういう問題に対する積極的な、具体的な御意見がございましたならばぜひ三人の先生方からもそれぞれお聞きしたいと、こう思っております。これは共通したお伺いでございす。  それから、さて今度は個別にひとつお聞きしたいのでありますが、まず亀長参考人にお聞きいたします。  亀長さんはこのたびの日ソ漁業交渉の当事者としてごくろうなすったと思うのですが、北洋漁業を取り巻く環境というものは今日大変厳しいのではないかというふうに私どもは考えていますが、これに対する政府の対応の仕方というものはいまのようなことでいいのかどうかということを一点お聞きしたいと思うわけであります。  それから、池尻参考人にお聞きしたい点は、池尻さんは先般北海道におきます韓国漁船による漁具の被害補償交渉で訪韓されたと聞いておりますけれども、その結果がどうであったのか、そしてまた、その場合の日本の政府、つまり外務省であるとか、水産庁なんかがどのような援助をしてくれたか、その辺についてひとつ御希望も含めまして御意見を伺いたいと思うわけであります。  それから滝口参考人には、韓国のマグロの輸入の実態をつぶさに御存じだと思うわけでございますが、漁協としてこういう状態をどのようにお考えになっておるか、そしてまた、これに対する御意見がありましたならばお伺いしたい。  以上お伺いいたします。

亀長友義大日本水産会会長

○参考人(亀長友義君) 北洋漁業となりますと、主としてソ連とアメリカの関係、こういうことになるわけでございますが、これに対する対応策、私どもも現在の状態が決していいとは思っておらないのでございます。しかしながら、恐らくはかにとるべき方策がないというのが私は真実でないかと思います。と申しますのは、漁業のことでございますので、もちろんこれは本質的に国交、外交の関係が基本的にはございます。同時に、しかし、魚だけの特有な事情もあるわけでございまして、まあ資源の問題、やはりこの双方の国が長く資源というものを利用していかなきゃならぬ、こういう観点に立ちますと、やはり日本側の企業、経済的な理由だけでも主張しにくい、こういう側面もございますので、そういう政治と資源、まあ科学的な問題、この二つを兼ね合わせて、さらにその上には日本は御承知のように個人あるいは協同組合と、こういうものが企業的に事業を行っておりますので、そういう経済問題にも配慮をしなければならぬ、こういう三つの問題が重なった状況でございます。そのいずれをとりましても非常に長期対策の立てにくい問題でございまして、長期対策を立てるといっても相手のあることでございますし、相手の考えている長期的内容とこっちの考えている長期的内容が往々にして相反する場合が多いわけであります。そこにやはり長期的対策がそういう面からもむつかしい、また資源の面から申しましても、御承知のようにいろいろ魚の生態に関してもかなり学問的に最近は発達をしてきております。しかしながら、なかなかまだまだ物理や数学のように、人工衛星が何時何分、月に着くという時代でも、魚の量というものの計算は非常にしにくいわけでございまして、学者の間にもそれぞれ見解の違いがございますし、まあ学者もそれぞれ国益を踏まえておりますので、やはりそこに自分の立場というものが出てきます。非常に学問的にも資源という問題が究明しにくい、経済問題につきましても、御承知のように非常にオイルショック以来経済的基盤が変わってきておりまして、そういうどの面をとりましても、非常に長期的視野での対応策が立てにくいというのが、私は、率直に申し上げて、現状に満足しておるわけではございませんが、そういう実情に立って残念ながら毎年毎年非常に変化の多い企業経営というものを漁業はやっていかなきゃならぬ、こういう立場にあるものと考えております。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○参考人(池尻文二君) 韓国漁船の北海道太平洋岸の特に底引きによる漁業被害の件につきまして、先般、韓国に行ってまいりまして、向こうの業界である北洋漁業振興会と一応の話をしてまいりました。今回はいわば話の土俵づくりと申しますか、に行ったわけでございまして、御案内のごとく、日ソ間におきましては先ほど私が申し上げました日ソの操業協定によりまして、漁場におけるいろいろなトラブルの防止に必要な措置、それから起こった事件についての賠償請求の処理をするいわゆる賠償請求処理委員会というものがすでに公的に発足をしておりまして、目下やっておるわけでございますが、北海道で起きました事件につきまして、特に対韓国の問題は御案内のとおりすでに日韓漁業協定に基づきまして、西日本の方はいわゆる民間の協定をもちまして相互にこのトラブルの処置というものをここ十年間やってきておるわけでございます。それと一緒になってやったらどうかということも考えましたけれども、これは御案内のとおり、日韓のいわゆる近接した漁場で相互に操業しておるところの問題が主体でございまして、韓国の漁船が遠く北海道の沖ということにつきましてはなかなかなじみませんものですから、そこで政府の御指導も得まして、あらかじめ対韓国にも日本の水産庁からいろいろなそれに対する条件整備と申しますか、そういうような問題をやってまいりまして、そして交渉してきたわけでございます。  結論から申し上げますと、要するに、いままで起こりました損害の賠償、それから特に太平洋岸におけるあすこはスケソウの刺し網だとか、定置性の漁具が非常に多いところでございますから、韓国漁船があそこで操業をする場合は、特に実質的に十二海里を守ってほしい、その外であってもこういう網が敷設をされてこういう標識がついておるから、ぜひこれはひとつ遵守をしてほしいといういわゆる将来の未然防止の措置、そういうものを含めましてぜひとも恒常的な両国の民間による協議体というものを設けてほしいということで行ったわけでございますが、最後の協議機関の設置の問題につきましては、韓国もいろいろと実情がございまして、それでは前向きに検討するから六月の十五日まで回答をひとつ待ってもらいたいということで一応私ども引き下がってきたわけでございます。いずれにいたしましても、六月十五日までに回答のある常設的な協議機関というものを私どもぜひ実現をさせて北海道沖の問題を解決したいと、かように考えておるわけでございます。  政府に対してどういうことをしてほしいかということでございますが、少なくとも被害を受けた漁業者が韓国に行って交渉するのに、やっぱり金がかかるわけですから、そういう交渉に必要なる費用については、ぜひとも国でやはり考えてもらいたいということをすでに水産庁にも私ども強くお願いを申し上げておるところでございます。

滝口佐左衛門焼津漁業協同組合長

○参考人(滝口佐左衛門君) 最初の御質問でございますが、政府の助成措置について不満があったら述べろと、こういうことでございますが、冒頭陳述申し上げました点がありますので、その点は略さしていただきますが、ぜひひとつ減船整備等に当たりましては政府が強く前向きの姿勢で、来年度予算には強い措置をとっていただきたいということを申し上げます。  また、これは池尻先生とちょっとニュアンスが違うのでございますが、石油特別融資の問題につきまして、前に五百二十億でございますか、今回六百億を予定されております。確かに池尻先生がおっしゃいましたように、小さな方々に対して何万円ということでは問題にならぬということでございます。しかしながら、この問題にならぬ何万円が、非常に大勢の方に分かれますと膨大な金額になる。で、そのような、では、その何万円を何十万円にするか、何百万円にするかということになりますと、今回の六百億では足りないというような問題があるいは出てくるかもしれない。こういう点を私は非常に恐れるわけでありまして、数字的に五百六十億あったのを返せと、これは六百億借りてきて返せば出るわけでありますけれども、配分の仕方によっては、返せないという現象が出てくるであろうということを私は心配いたします。そういうことになりますと、実際はもっと欲しいという感じを私はいたすわけであります。  それから、韓国マグロの問題でございますが、私どもは実際韓国マグロだけを目のかたきにしているわけではございません。日本の国内にマグロが輸入される、その総数量に対してわれわれば実際は困っておるわけであります。これがマグロの生産地魚価を非常に低迷させる一つの大きな原因であるということでありますが、台湾等におきましては、まだ国交問題がありましてなかなか政府としても対応しにくいという問題があるようであります。で、一番たくさん輸入するところの韓国が結局目のかたきになったという形でありまして、先生方御承知のように、昨年は清水におきまして実力行使までやるというような騒ぎになったわけでございます。そこで、政府の方でいろいろその対策に苦心していただいたわけであります。で、御承知と思いますけれども、事前確認制と言いますか、そういうことで本年はやるということで一応業界は納得したわけであります。これは一年を四期に分けまして、その四期の中の大体の輸入量をある程度決めていこうということでございます。で、われわれとしましては、これは一切輸入を禁止だというようなことをいまの国際情勢からわれわれは考えておりませんし、せめて前年度実績以下にしておいてほしいということでございました。  ところが、本年一月−三月の実績を見てみますと、これが去年よりもはるかにオーバーしているというような問題があります。これを詰めてみますと、政府と韓国の間に大体取り交わされた、韓国政府が直接統制できるところのいわゆる独航船と言っておりますが、これらの数字については、そんなにひどい差はないわけであります。それ以外と言いますと、これは運搬船による輸入でありまして、これはいわゆるクッション輸入と言うんですか、韓国の漁船がとったにしましても、持ってくるのは日本の商社の船であると、こういうことであります。これは韓国船がとったにしましても、これをアメリカが手に入れて、アメリカから日本の船が持ってくるということになりますと、韓国の政府の手には負えないんだと、こういう形でありまして、何かわれわれとしましては、だまされたような感じがしないでもありません。で、われわれはそういう輸入業者について、政府がもっと強く指導してもらわなきゃ困るということを、再三にわたってお願いをいたしております。つい最近にも長官にもお会いいたしまして、この旨を強く申し入れております。実は昨日、日鰹連におきまして総会がございまして、やはりこの問題につきまして緊急動議が出されまして、通常総会の決議案といたしまして、一つの決議案を採択しておりますが、こういう文句でございます。    決議案   かつお・まぐろ・かじき類の輸入につき、政  府は「外国人漁業規制法」による政令指定にか  わり事前確認制度によってその規制を実施して  いるが、現実には輸入量は引続き増加し続けて  いる。   このためわれわれの経営はますます深刻化  し、倒産に至る者も後を断たず、このまま推移  すれば全体を崩壊に導くおそれなしとしない。   よってわれわれは、輸入量削減のための実質  的かつ有効な措置を一刻も早く実施するよう政  府に対し強く要求する。   右決議する。年月日、日本鰹鮪漁業協同組合連合会と日本鰹鮪漁業者協会の通常総会。こういうことで決議をいたしております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 亀長参考人にお聞きしますが、先ほどこれまでの体験的な観点から見て、外国に技術提携をして漁場確保あるいは漁獲確保するよりは、これまでの実績確保に努力する方がまだやさしいというお話がありましたが、ここ当分の間はそう急激に、遠洋漁業で漁獲できる四百五十万トンが、急速に減るということは考えられない、実績確保ということはかなり可能ではないかと思いますが、長期に見た場合には、やはり先ほどもおっしゃったように、実績をしんしゃくするという程度の条文におさまるというんですから、だんだんその度合いが少なくなって、環境は厳しくなってくる。まあその間にいろいろその漁獲減少を防ぐための手を打たなければならない。特に大手の場合、沿岸漁業をこれから振興するんだから、そっちの方へ割り込ましてくれということになりますと、これまた中小零細漁業は困るわけですから、二国間協定、日本の場合、政府間がやっているのは十カ国程度で、それをもっともっとふやすべきだという声があるんですが、亀長参考人としては、この二国間協定の政府間交渉の締約国についてどのようにお考えになっているか。それから深海魚のことについては、大手水産会社としてはどのように考えているか。それから実績確保をどの程度までの年月で押さえていて、あとそれを防ぐためにはどうしていくかという、いわゆる年次計画、長期計画というものは業界としてお考えになっているのか、それを承りたいと思うんです。  それから池尻参考人には、政府の方も沿岸の開発には相当力を入れて今後やっていくと思いますが、大手水産会社との間に、その区分と言いますか、その辺の話し合いをもういまからやられているのかどうか。それから今回の法案で、いわゆる自主減船につきまして政府からの融資があるわけでありますが、結局国庫の長期低利資金と言っても、借入金で、最後は全額自己負担、返済しなければならないわけで、この相互補償による自主減船方式には限界があるんじゃないか、だんだんまた油も上がる、あるいは漁網等の漁具等も上がる、経営困難、となりますと、なかなか返せなくなるんでないか。そういうことで、どうせこういう方式を国にやってもらうんならば、国が何割か補償していただいて、あと業界の方で相互に補償し合う、こういう考え方で進めてほしいという声もあるように聞いておりますが、そのときに、何割ぐらい当初として国に負担してもらってやっていけば返済の見通しがつくかという点について、お考えがあるかどうか。  それから滝口参考人には、今度自主減船でかなり減船するわけですが、これまでは、いわゆる減船した船、あるいは中古船等、かなり韓国とかその他台湾等に船を輸出していたということで、その船がマグロ・カツオ等漁獲して、それがまた逆に入ってくる。これについて一部規制するような法律もできたわけですけれども、今回すぐ減船計画を出さなければならないわけでしょうけれども、それに伴う遊休漁船についてどのようにお考えになって、対策を政府に訴えようとされておるか。以上の点。

亀長友義大日本水産会会長

○参考人(亀長友義君) 最初の実績確保の問題でございますが、私、先ほど意見陳述の際に申し上げましたのは、海外投資あるいは技術提携ということは非常に容易に可能なものだというふうに考えることに警告を発したつもりでございまして、それ以上の意味はないのでございますが、実績確保につきまして二国間協定をやる、現在も十カ国程度ございますので、それは当然二国間協定だろうと思います。しかしながら、いままで入っていなかったところに、日本がこちらから入漁の形で新しく協定を結んでやれるようなところがあるかと言うと、私はそれはなかなか実際問題としてむずかしいだろう。もしそういうものがあっても、相手の国は恐らく合弁企業、向こうを根拠地として、向こうの法人で、向こうの支配下にある形でしか実際上の稼働は認めないだろうというふうに私は想像いたします。もちろん二国間協定というのが、日本から出漁するいわゆる入漁船についての協定だけでなくて、合弁企業的なものも政府の協定でやった方がいいという考え方は確かにあると思います。また私ども業界としては、従来のように民間同士で向こうの政府と話をしても、なかなかむずかしゅうございますので、合弁企業がある場合でも、政府間の約束があることが望ましいというふうに考えておりますので、もしそういう分野でも二国間協定の性格を拡大をしていくということになれば、さらに十カ国より広がる可能性はあるかと思います。  それから深海魚の問題でございますが、これは御承知のように、現在政府の機関に開発センターというのがございまして、そこで深海魚の調査もいたしまして、日本にも持って帰って試食をいたしております。いろいろ調査をいたしたりしておりますが、現在まだ、いわゆる何と申しますか、商業的に日本へ持って帰って売られるというところまでまだ成熟をいたしておりませんけれども、いずれの時期にかは、こういうものも商業ベースに乗せていくということにならざるを得ないと思います。現在はまだ調査の段階でございます。  それから実績確保の年次計画というお話でございましたが、私はこれはいろいろ日本の入っているところの経済水域の国がどういう形で海洋法なりあるいは海洋法に先行して、あるいは海洋法といいましても、これは当然民主国では全部国会の批准を要することになりますので、どこの国も批准を要する。それから実施手続に入るということになりますので、私はこれが世界にかなり広範に実行されるにはまだ二、三年はかかるんじゃないかというふうに思います。それに応じましていろいろ計画を立てていかざるを得ないわけでございまして、私ども業界としては、まだ具体的な段階までまいっておりません。ただ、現実の問題として、すでにアメリカが先ほど申し上げました態度で海洋法に先立てて実行を迫ってきておる。さらにアメリカがやればカナダも追随をする可能性があります。豪州も可能性があります。そのうちに海洋法がだんだん署名なり終わって各国でも批准が始まる、相当数の国が批准をすれば有効になる。こういうふうになってまいりましょうから、それに応じてそれぞれ交渉をしていく。これは主として政府間の交渉になると思いますが、恐らくここ三年以内ぐらいにそういうものがだんだん固まっていくんじゃないかと思っております。

池尻文二全国漁業協同組合連合会専務理事

○参考人(池尻文二君) 第一点の、沿岸と沖合を含めまして、操業上の秩序の維持と申しますか、そういう点の御質問だと思いますが、沿岸、沖合を含めまして、いわゆる大手水産と沿岸漁業との関係と申しますよりは、日本の漁業の調整の歴史はいわゆる沿岸漁業と他の沖合漁業と申しますか、たとえば底引きだとかあるいはまき網だとか、そういうような業種間の調整が漁業法上の運営の一番のポイントであったと思います。したがいまして、日本の沿岸、沖合には、太平洋岸、日本海を含めまして、あるいは東シナ海を含めまして相当程度の、これはまあいろいろの、場合によっては血で血を洗うような漁業紛争が起こりましたそういう経験にかんがみまして、底引きの禁止区域だとかあるいはまき網の禁止区域、そういったものが多彩に線引きをされておりまして、現在のところはそれが踏襲をされておるわけでございます。ただ、将来これは非常に私ども見通しが困難であるわけですが、要するに経済水域二百海里というものが国際的に確定をした場合に、それから時代の推移によりまして、そういったところから締め出しを受けてUターンをしてくるいわゆる漁業者と沖合あるいは沿岸との調整というものをどういうふうにやるか、という観念的な一つの問題はあるかと思いますが、これはなかなか現段階では予測ができないところではないだろうかと、かように考えております。  なお、もう一点、仮に大手の沿岸進出というものがあり得る場合は、相当この技術が進みまして、つまり沖合に相当の施設をして、そこでマグロの養殖だとか、その他の高級魚の養殖が非常に可能であるという技術水準に達した場合には、あるいは相当の多額の投資を必要とするというようなことから、いま先生の御指摘の大手対沿岸、沖合との絡みというものがどういうふうになるかという問題が出てくる可能性はあるんではないか、かように考えております。  それから減船の場合は、これは私、余り専門家でございませんが、減船には幾通りも事態が想定をされると思います。このたびの日ソ交渉のニシンの問題で、もう出漁準備を始めておったときに切らなければならぬ、制限されなければならない。かって抱卵ニシンの制限の問題がありましたけれども、そういうふうにもう出漁している漁業者にやめてもらうというときには、これはもう直ちにこれは国が何とかしなければおさまる問題ではございません。カツオ・マグロの業種がそれと比べてどうかという問題は、これはまあ滝口さんの方が御専門であろうかと思いますが、私はやはりカツオ・マグロも含めてただ一部の二〇%たとえば減船してもらう、そうすると全部のメリットは残存業者に来るというだけのアイデアでは私はやっぱり困るんではないかと思います。確かに残存漁業者にメリットというものが相対的にはあるという観念的な割り切り方はできますけれども、経営として果たしてそれで成り立つかどうかという問題はまた別であろうと思いますので、特にやはり単なる割り切り方ではやっぱり将来困るんではないだろうかという気持ちがいたしております。

滝口佐左衛門焼津漁業協同組合長

○参考人(滝口佐左衛門君) 御質問がございましたカツオ・マグロの減船につきましてお答えを申し上げます。  これは三年間に二〇%の減船でございますが、減船の目的からいたしまして許可は取りつぶす、それから船は外国には一切売らぬ、他のイカ船あるいは運搬船等に利用する場合はあるけれども、その他はスクラップにしてしまうというのが一応前提でございます。で、このこれらを共補償、まあ多少の事務補償はございますけれども、国の補償はございますけれども、共補償でやれというのがいまの状態でありまして、現下の状況でいま池尻先生がおっしゃいましたように、業界だけでやるということは非常に大変であるということを先ほどから訴えておるわけであります。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 亀長参考人にちょっと一点だけお聞きしたいと思うんですが、亀長参考人は農林省に長くおられましたので、私、基本的な問題でひとつお聞きしたいと思うんですが、それは畜産の場合でもそうですけれども、たとえば畜産の自給率が八八%とか九〇%になった、それが維持されている。こういう統計は出てくるんですけれども、しかし、それは非常に大量の外国の飼料用穀物を輸入することによって維持されているというような状況があります。で、この水産の場合にも飼餌料の主原料である魚類がかなりの割合を占めているというように私は聞いているわけですけれども、しかもこの六十年に向かっての長期見通しを見ましてもかなり養殖漁業に対するウエートが非常に倍率から見ましても一番大きいような気がするわけですが、そうしますと、もちろん私ども海洋法会議の状況から見てかなり遠洋漁業が制限もされてくるということになりますと、どうしてもいまお話しのように沿岸あるいは近海の漁業に移らざるを得ないということになってくる。そこら辺に大変大きなジレンマが出てくるわけなんですね。将来の問題としてそのような資源浪費的な水産物生産の仕組みというものを、いまの畜産のように、たとえば大家畜の場合には粗飼料に大きく切りかえていくとかいう政策的な根本的な問題が出てくるような気がするわけですね。そうすると、それは同じ漁業間の中でもギャップとして出てくるような私は気がするんですが、その点について基本的にお考えがあればお聞きをしておきたいと思います。

亀長友義大日本水産会会長

○参考人(亀長友義君) 確かに御指摘のとおりでございまして、現在でも肥飼料に向けられている部分が相当ございますし、養殖の大部分は魚に魚を食わしているという形に確かになっておるのでございまして、御指摘のとおりだと思います。ですから、たん白食料という物理的な比較をいたしますとまことに不経済な行き方だと、こういうことになるわけでございますが、まあしかし、好むものをつくる、あるいは漁民の所得を向上すると、こういう面では非常に役立つものでございます。ただ私は、養殖の場合に限って考えますと、もちろんそういうえさの面からの衝突ということもございますが、それよりも先に、養殖は私はやはり日本列島の場合でも地理的に限界があるんじゃないか。御承知のように、外洋に面しておるところが非常に養殖というのは不向きでございますし、波の静かなところでないとぐあいが悪い。そういう地理的条件の方がむしろそれよりも先行するんじゃないかというふうに考えて私自身おるのでございまして、実はいま御指摘の点も確かにございますが、そこまではなかなか行かないだろうという感じがいたしております。まあ現在一千万トンの漁獲で養殖が約百万トン足らずでございますが、その養殖のうち大部分は貝類、海草でございまして、いわゆる魚に魚を食わす式の魚の養殖というのはおそらく二十万トンぐらいだそうでございます。でございますので、現在日本は世界に冠たる養殖技術を持っており、近く京都で国際養殖会議というのもやるそうでございますけれども、生産量からいきますと千分の二十でございますので、これを倍にしても千分の四十。おそらくいまの日本の地理的条件では倍はなかなかむずかしいんじゃないかと思います。でございますから、まあ貝類、海草ならそんなものは要りません、あれは自然のもので育ちますんで。魚類養殖は私はむしろ地理的限界の方が先立つんではないか、かように考えております。あるいはまた水産庁は違った考えをお持ちかもしれませんが……。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 各委員からの質疑は大体終局したようでございますが、私から一点御要望を申し上げておきたいと思います。  参考人御三方の御意見で今後のいろいろな漁業協定あるいは海洋法会議等を通じてわが国の漁業の前途はきわめて多難である、そのときに、ただいまかかっております三つの法案につきましては全土の基礎的資源の一部にすぎない、したがって今後いろいろな努力をさらに一層必要とするであろう、こういう御意見でございました。まことに妥当な御意見だと、こう感じておったわけでございます。そこでただいま工藤委員からの質問もございましたように、今後はとる漁業にも努力をしなければならぬと思いますが、さらにつくる漁業に一層の努力をする必要がある、こういうふうに私どもも判断するわけでございます。ところが、増養殖につきましても、まだまだ試験研究の不十分な点もございますし、さらにそれに関連する漁港の整備等の問題につきましても、水産庁では非常に連年にわたって努力されておりますが、いまだ十分と言えないと思います。こういう点を考えまして、今後政府が一層努力をすることはもちろんでございますけれども、本日は各団体の最高責任者の方お見えになっていただいておりますが、こういう問題を踏まえて、とる漁業の努力はもちろんのことでございますが、つくる漁業への一層の政府の努力を皆様方団体の方からも一層御支援をくださいまして、声を大にして、将来の日本の食糧難がやがてくることが想像されますので、たん白資源というものが非常に大事でございますから、そういう観点から一層団体の御活躍をお願い申し上げてやまない、こういう次第でございます。  参考人に対する質疑は、これをもって終わります。  参考人の方には長時間にわたりまして本委員会に御出席くださり、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  これにて休憩をいたします。午後は一時から再開いたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後一時十六分開会

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) ただいまから、農林水産委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、原文兵衛君が委員を辞任され、その補欠として佐多宗二君が選任されました。     —————————————

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 漁業再建整備特別措置法案、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案及び漁船船主責任保険臨時措置法案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 私は、もっぱらいままでは陸の方ばっかりやっておりましたので、金づちが海に飛び込んだようなものだと思いますけれども、ひとつ長官いろいろ教えていただきたいと思います。  まず、三つの法案を審議いたします前に、前提といたしまして、非常にいま問題となっております海洋法会議の問題につきまして、先ほど参考人から大体、概略についてのお話がありましたけれども、この点について先般のニューヨークの国連本部で開かれました第三次海洋法会議の第四会期がすでに閉会をいたしておるようでございますので、これで特に日本として関心が持たれてまいりました第二次非公式草案の、特に第二委員会で問題になりました領海、経済水域等の問題について、その経緯についてお聞かせをいただきたいと、こういうふうに思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、ニューヨークの会議におきまして、漁業問題は第二委員会で審議が行われたわけでございます。そこで、どのようなことが問題になったかということを簡単に申し上げますと、まず第一に、領海の問題でございます。領海の幅員につきましては、わが国を含めまして、大勢として十二海里を支持するという方向であったわけでございますが、現在領海二百海里をとっております南米の一部の国は、領海と経済水域との関係で、経済水域の規定ぶりいかんによっては、領海二百海里の立場に戻るというような強硬な主張をした国も一部あったわけでございます。しかしながら、領海の幅員については、大体十二海里が大勢であったというふうに考えていいのではないかと思います。  次に、二百海里の経済水域の問題でございます。経済水域に対する沿岸国の管轄権につきましては、先進国側は資源管理権のみに限定すべきであるということを主張したわけでございますが、中南米諸国、パキスタン等の一部急進沿岸国は、資源管理権、すなわち鉱物等を水産資源に加えまして、海洋汚染防止、あるいは科学的な調査等についても、管轄権を持つべきであるというような主張をしているわけでございます。さらにこれが今後、海洋法会議の将来に非常に大きな影響を与える、いわゆる内陸国、地理的不利グループというものがあるわけでございます。これは単に後進国だけでなくて、ヨーロッパのスエーデンだとか、あるいはドイツというような国も地理的不利国ということで、このグループに属しておりまして約五十カ国ございます。そこで海洋法会議の表決は三分の二の多数決でやることになるわけでございまして、五十カ国ございますと、いかなる提案も阻止する力があるわけでございます。この内陸国、地理的不利国グループは、内陸国は経済水域内の資源利用について、沿岸国と同等の権利を与えられるべきであるという立場をとっておりまして、この立場は非常に強い主張になっているようでございます。したがって、これに対して一部の沿岸国は反対しておりますので、この辺が将来、海洋法会議がまとまるかどうかの一つのかぎになってきている、ということのようでございます。  そこで、経済水域問題のうち、漁業関係でございますが、単一草案では、経済水域内の生物資源について、沿岸国が漁獲し得ない余剰分について、第三国の入漁を認める義務を課しているわけでございますが、わが国あるいは参考人からお話がございましたように、わが国以上の遠洋漁業国であるソ連、それからヨーロッパの国々は伝統的な漁業国でございますから、そのグループは、経済水域内での漁業実績維持の立場から、経済水域内の沿岸国の資源保存措置の決定及び自国漁船能力の決定、すなわち沿岸国がどの程度自分の経済水域の中で自分の船でとれるかということに関しては、恣意的な決定をしないで、科学的な根拠に基づいて、さらに地域的あるいは国際機関との協議義務を課すべきであるということ。それから、単一草案では、総許容漁獲量のうち、余剰分を非沿岸国にとらせるということになったわけでございますが、その場合の伝統的漁業国の実績の尊重を単一草案より積極的に規定すること。それから、第三国の入漁を実質的に不可能にするような条件を重ねることとならないよう、歯どめをかけなければならないというような各種の提案をしているわけでございますが、一部、発展途上国の強硬派から、経済水域における沿岸国の主権的な権利を弱めるようないかなる提案も受けられないというような強い反発がございまして、これもまとまらなかったわけでございます。  以上のような議論がニューヨークの第四会期においてなされたわけでございますが、御案内のように、次期会期は、ことしの夏、八月二日から九月十七日まで七週間ニューヨークで開かれるということになりまして、これらの論議は第五会期に持ち越されているということでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 いまのお話で大体の様子はわかるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、十二海里の領海、二百海里の経済水域の問題については国際的な認知が定着しつつある。しかも、それは時期的にそう長いものではないということがおよそ予測できるような気がするわけでありますが、先ほど亀長参考人が、大体、海洋法会議の決定をそれぞれ批准するとすれば、三年ぐらいの日時を要するのではないかということをおっしゃっておりましたけれども、その点について、実際の、私どもがこれから日本の水産を考える場合にその予測というものは、非常に私は大事ではないかというふうに思うわけでありますが、そういった面から新しい海洋秩序を実現をするという段階に立ち至っている現在の見通しとして、大体さっき亀長参考人がおっしゃったように、三年ぐらいというものを目標にするのか、あるいはもっと早い機会を想定をしながら対策を立てるのか、その点についての御見解を聞きたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 先ほど参考人から御答弁がございましたように、私どもも今度のニューヨーク会期ではまず調印までいく——熟さない。仮にニューヨーク会期で実質的にまとまったとしましても、なおもう一つ会期が要る。そうなると、時期としては来年の春ぐらいになる。一番早くいきましてそこでまとまる。それから各国が批准手続をとりまして、恐らく四十カ国ぐらいの国が批准した場合に条約が発効する、こういうことになるだろうと思うんですが、そうなると、やはり二、三年、過去の航海条約、領海条約、あるいは大陸だな条約等の経験にかんがみますと、あるいはそれ以上かかるかもしれないというような状況になってきているわけでございます。  ただ、御案内のように、ニューヨークで大体第五会期で決まって、さらに来年の春正式に調印されるというようなことになりますと、それはもう既定事実になりまして、現にアメリカは来年の三月から二百海里の漁業保存水域の国内法をすでに施行し、適用しようとしておるわけでございますけれども、そういうような動きが非常に出てくるわけでございます。そこで、海洋法会議で形式はどうあろうと実体が固まれば、実際上は各国が国内措置等の措置をとりまして、二百海里の経済水域の時代がやってくるのじゃないかというふうに思われますので、私どもは当初考えたよりも若干テンポが早くなってくるのじゃないかというような判断をしておるところでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 そこで問題になりますのが、すでに日ソ間の漁業交渉については非常に厳しい状態の中でありましたけれども、一応結着を見たということになっておりますけれども、これからアメリカとの間の二国間協定が進められていくわけでありますが、ソビエト、アメリカあるいは中国、韓国、そういった日本のいわゆる近くの国との二国間交渉の中で特徴的な問題の違いというのがあるのではないかという気がするわけですが、これはこれからの、いまの海洋法会議の批准等を目指すこれからの二国間交渉を考えてみましても非常に重要なポイントになるのではないかと思いますので、そう詳しくなくてもいいと思いますけれども、たとえばさっきお話がありましたように、ソビエトの場合には、日本と同じようにかなり、六〇%を遠洋漁業に頼るというようなことも言っておりましたので、そういうところとアメリカとの対応というのはおのずから違ってくるのではないかというような気がするわけですけれども、その点についてどのように御理解をなさっていらっしゃいますか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) わが国の北洋漁業を考えました場合に、交渉の相手国としてはアメリカとソ連が御案内のように一番大きいわけでございます。  そこで、アメリカはすでに二百海里の漁業保存水域の法案をつくりまして、来年の三月からやると、こういうことになっています。この法案がきわめて厳しいものになっているわけでございます。と申しますのは、アメリカの二百海里の中で漁業をしようという国は、アメリカの二百海里の漁業保存水域というものを認めなければならない。そこで認めない国はとらせないと、こういうことになっておるわけでございます。そこでわが国といたしましては、海洋法会議の結論が出る前に二百海里の外国の漁業保存水域というものは認められませんから、その辺の法的立場をどうやって調整して交渉のテーブルにつくかというような問題があるわけでございます。そこで、アメリカはもうすでにかなり二百海里漁業保存水域的な主張を打ち出してきておりますので、これとの交渉は非常にむずかしい問題が国際法上の問題としてもあるわけでございます。  次に、ソ連でございますが、ソ連は今度の日ソ交渉の経緯等をふり返って見ますと、確かに二百海里の意識はあると思います。思いますけれども、表面的には今度のオホーツク海のニシンの漁獲量の大幅削減といったような問題は資源問題として出してきておるわけでございます。したがって、亀長参考人からもお話がございましたけれども、私どもといたしましても、ソ連がアメリカと同様な国内措置で二百海里を押し出してくるというようなことは当分ないのじゃないか。それで、日ソ漁業条約の交渉というものはある程度資源問題を中心にしばらくの間展開していくのではないか。ただ、ソ連もアメリカと太平洋、大西洋両面において非常に密接な漁業上の関係を持っておるわけでございます。そこで、ソ連もまたわが国と同じようなアメリカの二百海里漁業保存水域というものに対してどう対処するかという問題を持っておりまして、その辺の米ソ間の話し合いのはね返りがまた日ソ間に出てくるおそれもあるというようなことで、これからきわめてこの二、三年非常に重大な時期に入ってきていると、こう思うわけでございます。  それから、中国との場合には昨年漁業協定ができまして、これが一応条約期間が三年でございますか、その間は安定しているのではないか。ただ、中国も海洋法会議では、いわゆる最右翼の立場で二百海里領海に近いような立場をとっておりますので、この中国との関係も三年後にはかなり重要な問題になってくるのではないかと、こういうふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 私どもから考える場合に、日本の場合には御承知のようにたん白資源が非常に少ないわけです。陸上の場合にもあるいは海の場合も相当部分が外に依存をしなければならぬということは、もう日本人であればだれでも知っているような状況なんですね。したがって、そういう意味からいたしまして、いまお話がありましたようにソビエトの場合とアメリカの場合にはそこら辺でずいぶん違いがあると思いますけれども、その両面を踏まえてわが国が二国間交渉に当たっていかなければならぬということになるのではないか。そこで、非常に大事なことは、いまソビエトから言われております資源的な面から問題が出てくるとするならば、私は、特に日本として、たん白資源の非常に不足しているわが国としては、資源メカニズムの問題を特に漁業関係の立場からどうとらえるか、それをどう積極的に進めていくのかということは、一つの面として非常に重要ではないかと思うんですが、その基本的な問題についてのお考えがあれば示していただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 御指摘のように、漁業というものは水産資源に依存しているわけでございますから、それをとりつくしてしまうというようなことがあれば、その漁業自体の存立ができなくなるということで、資源問題というのは非常に、最も重要な問題であることは先生の御指摘のとおりでございます。そこで、まあわが国のいろんな制度自体も資源管理ということも考えていろいろ実施されているわけでございますけれども、やはり何といいましても、漁業者はどうしてもとろうとする、これはもう漁業者としてのある程度本能的な行動なわけでございますね。それに対して資源管理の面からいろいろな規制を加えていくということで、かなり厳しい困難な面もあるわけでございますが、私どもといたしましては、やっぱり資源を永久に利用していくという立場から、当然そのようなことはやらなきゃならない。ただその場合、一つ問題になりますことは、日本だけがそうやっても外国がどんどんとってしまえば、ばかを見るだけじゃないかと、こういう議論があるわけでございます。これにつきましては確かにそういう面もございますので、私どもとしましては、やはり国際管理というようなことで関係国と協調しながら資源保護をやっていくという形にならないと、日本だけがやろうとしても限界がある、当然漁業者の反発を招くということもございますので、その辺のところはやはり国際協力が非常に大事じゃないかと、こういうふうに思っておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それから、いまのその点に関連をしてアメリカ側の問題を考えてみると、いまお話しのように、経済水域二百海里をかなり厳しく国内法で決めて押しつけてくるというようなお話なんで、まあそういうことも新聞報道されているわけですが、その非常に厳しさというものは私たちがどう受けとめたらいいのか。特にこれは全体的な食糧対策として考えてみると、日本の場合に特に穀類の輸入については相当な部分をアメリカに実は依存しているし、アメリカにとってもまた逆に言うと、日本というのは大変ありがたい相手国になる、貿易のための輸出のための大変ありがたい国になるわけです。で、いつも問題になっておりますのは、輸入する方と出す方との関係で、日本がいつも押しつけられてくるという可能性があります。これは大変うがった見方かもわかりませんけれども、こういうものを水産関係の面から逆に言うと穀類の輸出等につきましても、われわれが国内の畜産なら畜産物というものを、あるいは自給率を高めるという政策を打ち出す過程の中において、向こう側の圧力というものがそういう面からもくるのではないか、ということを若干危惧するんですけれども、この点についてはひとつわが国としては全体的にたん白資源が非常に少ないという実情の中にあるわけでありますから、ひとつより積極的な、しかも厳しい態度でこちら側もまた臨むということが非常に大事ではないかと思いますので、その点に対するもう一遍御見解とひとつ決意のほどを伺っておきたい。これはまあ大臣に伺うといいと思うんですけれども、長官かわってひとつお答えいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま御指摘のあった点でございますけれども、先般実はニュージーランドの農林大臣がやってまいりまして、こういうことを言ったわけなんでございます。まあいずれ経済水域二百海里というのは世界の大勢だと、ニュージーランドも当然やりますと、日本とは漁業上の関係もあると、しかしもっと畜産物、乳製品等を買ってくれれば、魚とらしてやってもいい、というようなことを暗に言ったわけでございますが、アメリカに対して、アメリカの二百海里の中で日本の漁業実績を大いに尊重してやってくれと、これはまあ当然言わなきゃなりませんし、われわれとしても言うわけでございますが、まあやってくれなきゃ穀物買わないというところまで言えるかどうかというような問題はもちろんあると思います。あると思いますが、いずれにいたしましても、アメリカと交渉する際に、当然背景にわが国のそういった動物性たん白質の供給源としての水産業という問題もございますし、さらに北洋における日本の実績というものは、これはもう長年の実績でございますので、そういったものを背景にして強力に交渉したい。しかし、向こうがそういう法的な立場をとってきておりますので、なかなか事態むずかしいというのが現実的な問題でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 もうちょっと深くやりたいんですけれども、時間が制限されておりますから、それこそ三段跳びでいきたいと思いますけれども、このように海洋法会議の成り行きというものを見てみますと、これはやがて決定的な段階がくるということはもう明らかですね。そこで、もう新聞紙上等にも出ておりますけれども、すでに大手水産会社等におきましては独自の行動を始めまして、いわゆるポスト海洋法対策というものが進められておるということが報じられているわけですけれども、この点について、総合的に見て水産庁としてポスト海洋法対策について一体どのように考えているのかということ、まあひとつこの海洋法会議の締めくくりとしてもお示しをいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 二百海里の経済水域は世界の大勢であるし、必至である。そういった二とを前提にしながらポスト海洋法対策どうかという御質問でございますけれども、まず第一に、先ほども参考人からお話しございましたけれども、わが国の一千万トンの漁獲高のうちの四百五十万トンはいわゆる外国の距岸二百海里でとってるわけでございます。したがいまして、四割以上のものでございますから、何といってもそういった遠洋漁場の実績、漁業実績を背景にして、なるべくいままでの漁場は維持していくようにしなきゃならないというのが当然でございまして、これについては、まず関係国と強力な外交交渉をやる。それからさらに開発途上国につきましては、まあ亀長参考人からはやや悲観的なお話もございましたけれども、技術援助とか資本援助、場合によったら合弁の設立等もやりまして、向こうの漁業を育てながら、同時にわが国の漁民の漁場も確保していく。場合によっては向こうの合弁会社がとったものの輸入というようなことも多少入ってくるかもしれませんけれども、そういうことも絡ませながらまず漁場の確保をしなきゃならないというのが第一点でございます。  それから第二点は、やはりそうやりましてもある程度既存の漁場が減るということは避けられないわけでございます。そこで、できればまだ多少残された日もございますので、新資源の開発をやるということ、それからさらにその中でオキアミとか、いままで余り利用してなかったものを利用できるように研究いたしまして、そういったものの開発もやらなきゃならない、こういうわけでございます。しかし、それではやはり数量的な落ち込みはある程度避けられませんので、それをどこでカバーするかということになりますと、沖合い漁業あるいは沿岸漁業という問題になってくるわけでございます。  さらに、今後の魚に対する需要ということを考えました場合に、やはり安定成長でわが国の国民所得というものは伸びていくと思われますので、中高級魚の消費が伸びていくだろうということを考えました場合には、やはり沿岸のものが多いわけでございますから、沿岸の漁場整備を初め、栽培漁業の振興その他、かなりもう技術的に解決できてる問題もございますので、そういった沿岸の生産量を上げていく。それから、同時に沖合いにつきましても資源管理、これは非常に大事な問題でございまして、資源管理等強化しながら沖合いの漁獲等の維持発展をしたいと思います。  それから、さらに問題は、現在、最近非常に問題になっておりますけれども、いわゆるサバとかイワシというような多獲性大衆魚が必ずしも食べられてない、えさになってるというような面もございますので、やはり今後そういった多獲性大衆魚の利用加工の面等も十分研究しまして、これはもうたん白質としては重要な資源でございますので、そういったものをもっと利用を高度化していくというようなことをやっていけば、そう国民食糧の確保という観点、すなわち動物性たん白質の半分は魚でやっていかなきゃならぬわけでございますから、そういった立場から考えてそう大きな不安はないのではないかというふうに考えているわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 いまのお話によりますと、そう大幅な影響というものはないのではないかという印象を受けるわけですけれども、しかし、いずれにしてもかなりの対策を強化をいたしましても、現在のまま推移するならば、かなりの限界というのが出てくるような気がいたします。  したがって、ここで私は非常に大事に思いますのは、先般出しました六十年の長期見通しですね。この中で見ますと、水産漁獲高は大体千百九十五万トンということで、現在の漁獲高からいたしますと、約二百万トン近い増というものを見込んでいるわけですけれども、それを一つの柱にしながら六十年の長期見通しというものを立てているように私は思うんですが、この海洋法会議の予想外に早いテンポで進んでいるとするならば、この六十年の見通しにおける日本の漁獲高千百九十五万トンというものを、これをこのままの数字として使うことが、これからの長期見通しに対する何といいますか、変化というものが私は出てくるのではないかという気がするんですけれども、この点については、これはむしろ大臣の方から——六十年の長期見通しの見直しをやる必要があるんじゃないかと思うんですね。そしてきちんとしたものを策定をして、海と陸との総合的な食糧対策というものが必要ではないかという気がするのですが、この点についてはいまそういう段階でないとおっしゃるのか、いまからその対策を講ずる必要があるのか、この点について私は重要だと思いますから、一つお聞かせをいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 大臣の御答弁の前に、この問題については事務的な問題がございますので御説明申し上げます。  御案内のように、ただいまお話がございました六十年の長期見通しの水産の見通しでございますが、あれは農政審議会の参考資料としてつけたものでございまして、当時実は私どもも非常に困ったわけでございます。と申しますのは、あれをつくる段階では、まだ海洋法会議の動向がどうなるか全くわかりませんし、漁業を取り巻くいわば与件というものが非常に流動的で固まらない段階であったものですから、そういったような要素はほとんど入れなくて、過去の漁獲高を、多少資源の問題を考えながら機械的に伸ばしたというようなことになっておりまして、最近の海洋法会議をめぐる動き等は全然入れてないわけでございます。そこで、こういうふうにかなりテンポの早い形で二百海里漁業水域の問題が具体化してまいっておるところでございますので、そういった状況の進展等も考えて、新しい最近の情勢を入れて、いわば作業の前提となる与件を重ねてもう一遍やり直してみる必要があるんではないかというふうに、実は、特に供給面については、需要の方はそう変わらないわけでございますけれども、そういうふうに考えているわけでございます。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は漁業、特に遠洋漁業につきまして、前途は非常に厳しいというふうに判断をしております。今回の日ソ漁業交渉一つを取り上げてみましても、ああしたニシンの半減、あるいはカニについても一部の制約を受けるというような状態ですし、ソ連の態度から見ますと、来年はさらにもっと厳しいことを予想しなければならない。あるいは八月に行われる日米漁業交渉、これまたアメリカが来年三月一日から専管水域二百海里の法律を実施するわけでございまして、これについては、外国人漁業については相当厳しい規制も行おうということでありますから、そうした日米漁業交渉等もいままでにない新しい段階に入ってくる。そうして海洋法、結論は出ておりませんが、経済水域二百海里というのは一つの方向として、既成事実として進もうという段階でございまして、そういうふうなことを考えると、これはやはり日本の直面しておるところの遠洋漁業が非常に厳しい状態になっておる。それに対してどういうふうにこれから対策を立てていくかということが、これからのわれわれの水産政策の基本になってくるわけでありますが、現在のところはいまの経済水域二百海里がどういう形で決まるかということがはっきりしないと、その基本的な対策というものもなかなか立てにくいわけであります。厳しいことは厳しいけれども、どういう形で決まるかということによって、また大いに違ってくるわけでありますから、そういうした二百海里の形がどういう形で決まるかということを踏まえて見て、そこで対策をさらに立てなければならない。そのときは、場合によっては思い切った根本的な漁業政策のやり直しといいますか、見直しといいますか、そういうものを当然考えなければならぬような事態になるのではないか、そういうふうに判断をいたしております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 これは私も、いずれにしても早急に見直ししていかないと、これは大臣、畜産問題あるいは穀類の問題一つを考えてみましても非常に大きな影響が出てくるわけです。ですから、これはできるだけ早く計画の練り直しを徹底的にやるという必要がいま迫られているような気がいたしますので、この点についてはぜひ早急な対策をやる必要があるということを私は申し上げておきたいと思います。  そこで、いまお話のように、これは必然的にしたがって沿岸漁業、沖合漁業に重点を置かざるを得ない、こういうような運びになると私は思う。ところが、さっきも参考人の皆さんからもお話がありましたように、沿岸漁業あるいは沖合漁業に重点を置くということになりますと、かなりの整備開発が必要になる、それは大量の資本投下ということが必要になってくるわけで、これに対して一体どのような資金調達なり対策を講じていくのかということが私は非常に緊急な課題となるのではないかと思いますが、これについてひとつ御見解をお聞きしたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 今後沿岸漁業を振興していく場合に、やはり基礎的な生産の基盤でございます漁場整備というものを重点的にやって、さらにそれに栽培漁業を上に乗っけて展開していかなければならない、こういうことでございます。漁場整備につきましては、先生御案内のように、五十一年から沿岸漁場整備開発事業というものを公共事業として行うことになりまして、七年間で約二千億の投資をして漁場整備をやっていこう、これは漁場をつくる、漁場の造成をやったりそういうことをやっているわけでございます。この金では十分じゃないんじゃないかということでございますが、私どももこれで満足しているわけではございません。ただ、最近の漁場整備の面につきましては、水産土木工学的にでも新しい問題もまだだいぶあるわけでございます。したがいまして、第一次の計画では七年計画でそういった技術的な技法というようなことも吟味しながら補充していきたいということで、そういうことで今後七年間で二千億。さらにこの事業はもっともっと続いていくものでございますから、第二次第三次の計画におきましては財政事情その他が許しますならば、もっと大きなものにしながら十分整備していきたい。どうもほかの公共事業に比べて小さいんじゃないかという御批判をだいぶ受けるわけでございますけれども、県等からもヒアリングをしたり、いろいろな関係者の話を聞いた経験では、この辺のところがいまの技術的な問題からいくとちょうどいいのではないかということで、もちろんこれで満足したわけではございませんで、そういった技術的な手法の発展等待ちながら将来確立していきたい、こういうふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 特にここで問題になりますのは、私はいつも言うのですけれども、試験研究機関、そういうものの充実、特にこれからの場合には沿岸漁業等につきましては、そういう徹底的な究明、さっき申し上げましたように資源メカニズムの問題等もあわせて非常に重要になってくるのではないかと思いますが、これについては大臣ひとついままでの七カ年で二千億とか何とかということでなくて、大胆な対策というものを——だれかも言っていましたけれども、水産庁ではなくて水産省にするぐらいにやって馬力をかけなくてはという話も出ておりましたけれども、そうすると農林大臣の権限から離れてしまいますから、これは困りましょうけれども、ひとつ思い切って、ややもすると、漁業というものは非常に重要な部分を占めておりながら、私自身だってどっちかというと陸上ばっかりやってきたようなきらいがあったわけですけれども、海というものをもう一遍私は、本当に本格的に見直して大量の資金投下というものが必要であると思うわけです。この点については、ひとつ大臣からも熱意を聞かしていただきたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 水産が大事であると、特に最近におきましては食糧政策の一翼を担う重大な部門としての水産を伸ばしていかなければならないということで、政府としてもできるだけのことはいたしてきておりますが、なかなか限界もあるわけでございます。が、しかし、特にこれからの時代というのは厳しくなっておりますから、そういうものに対処して国民的なやはり理解を求めながら、なかなか農林当局だけでできる仕事ではないわけでございますから、広くやはり国民の理解を求めながら、やっぱり思い切ったことは今後やらなきゃならぬと。試験研究等につきましてもそういう点を踏まえて今後積極的にひとつ要求すべきものは要求してまいりたいと考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それからもう一つ、これはつい先日、私水産関係の新聞をいただいたんですけれども、「水産経済新聞」の小さな記事でありますけれども、これから非常に重要になると私は思いますから、あえて指摘をしたいと思うんですが、これは沿岸漁業、沖合い漁業、だんだんこう私どもの近くで漁業が行われるというかっこうが出てまいりますと、そこで起こってまいりますのは、権利関係ですね。私は、これが非常に大きな問題として再び提起されるような気がするわけです。先ほどの参考人の御意見にもありましたけれども、いままで海上における漁業権なり、そういうものをめぐりますいろいろな紛争というものはかなり激しいものがあったというように聞いているわけです。特に干害常襲地帯のいわゆる水問題のように血を血で洗うような状態というものがあったということも聞いているわけなんですが、これからそういう問題がさらに一層大きくなるのではないかという私は心配をする一人なんです。これは国際的に見ますと、日本としては専管水域が十二海里ということになりますと、いままでの三海里から広がってまいりますから、その間の日本側の、向こうから入ってくる問題に対する監視の体制もありましょう。それと同時に、わが国の内部におけるたとえば漁業権を含む漁業者相互間の問題、あるいは漁協同士の問題、あるいは県間の問題、こういうようなことが相当起こってくるのではないかと思います。  具体的には私どもの場合も、たとえば鹿児島、宮崎、それから大分、高知、愛媛というこの地帯の状態を考えてみましても、たとえばモジャコの採捕にいたしましても、しょっちゅう私どものところ、東京までも電話がかかってまいりまして、宮崎で実は逮捕されたとかいうような状況が起こってまいります。これは今後さらに一層その度合いを増すのではないかという気がするわけで、そういう点からいたしまして、たとえば期間、あるいは魚族の体長とか、そういういろいろな採捕するための条件はもちろんでありますけれども、そういう権利関係につきましても国としてもう一歩踏み込む体制というものが必要ではないか。あるいは実質的なそういうものに対する管理体制をつくるということができれば、それが一番いいと思いますけれども、現在の状態、さらにこれから拍車をかけられていく沿岸漁業というものを考えてみると、一体それはどういうことがいいのか、私は重要な課題ではないかと思いますから、この点についてはひとつ水産庁の御見解を聞きたい。  さらに国際的な問題については、これは海上保安庁からもひとつ御見解を聞いておきたいと思っております。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、漁業関係はものすごくいろいろ紛争があるわけでございます。県間もございますし、それから業種間の、特にトロール界ですね、その他の漁業とのいろんなトラブル、いっぱいあるわけでございます。そこで、これらにつきましては水産庁が中に入りまして、物によっては訴訟になっているものもございますけれども、極力調整を図りながら、漁業秩序の維持を図ってやっているわけでございます。  そこで、今後問題になりますのは、今度漁場整備をやっておりまして、そこに大きな人工礁をつくるというようなことになりますと、そこでそれをめぐってのいろんなまたトラブルも考えられるわけでございます。したがいまして、漁場整備をやります際には、そういった権利関係を十分に調べまして、関係者が納得して、このこと自体は、漁業者としては大きな人工礁をつくることにだれしも反対しないと思うわけでございますから、納得してもらって事業を進める。それからその後できた後の利用関係等につきましても、これまた国なり県なり入って調整しなきゃならぬような問題が出てくることはもう私ども十分承知しておりますし、ある程度覚悟しておるわけでございますが、そういうことで余りトラブルがないように、一方漁場整備するというようなかっこうで事業を進めていきたいと、こう思っているわけでございます。  なお、経済水域が広がった場合の取り締まりについては海上保安庁の方から……。

船谷近夫海上保安庁警備救難監

○説明員(船谷近夫君) 海洋法に関連しまして海上のいろいろの仕事、国家としてやらなくちゃいかぬ仕事がふえてまいります。海上保安庁といたしまして、そのぜひやらなくちゃいかぬじゃなかろうかと考えておりますのは領海の警備、それから海洋汚染の監視取り締まり、それからまた漁船の保護、あるいは領海にからむ紛争の防止等があると考えられます。しかも、非常に、二百マイルという区域はいままでに対象としてなかった大変広い区域になるわけでございまして、現在持っております海上保安庁の船艇、航空機、あるいは人員その他のものをもってしてはとても応じ切れない。また、それは海洋法の内容、条約の内容いかんにかかわるところではありますけれど、相当前向きにそういった仕事をやらなくちゃいけないと、条約の決定を見ました場合には、大変な業務量になると考えます。それに対応するためにはこれからどのような体制をしいて、どのようなそういった仕事をやっていくか、どういう方法でやっていくかというようなことをうんと検討いたしまして、必要な体制の整備を推進しなくてはならないと考えておるところでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 まあこの種の問題、権利問題、非常にいまお話のように大変むずかしい問題なので、私も少しばかり頭を入れかけたんですが、大変な問題だと思っておるわけですね。ちょうどいわゆる水利権よりももっと私は大変厳しいような気がいたしまして、今後の問題としてぜひ本格的な御検討をいただきたい、改善の方向で。よく私ども聞くんですけれども、密漁ぐらいしなければ漁業は成り立たないというようなことをよく聞くんですけれども、密漁を中心にしてやることによって漁業経営が成り立つということでは、これまた全く不安定でありますから、これは好ましいことじゃないわけで、それをどうなくしてやるかという、そして安心して操業できるか、そして漁業者の生活の安定を図るということが私は原則だと思いますから、ぜひその点については今後の重要な課題として御検討いただきたいと思います。  そこで、いろいろな環境やあるいは国際間の問題を解決をしてまいりますが、問題はそういうことを解決してまいりましても、要は一体漁業をやる皆さんが、これからの経営がよくならなければならないわけで、そういう人たちのための対策が非常に重要になってくる。そのための今回の三つの法案というものも一つの方策としてとられた方法だと思っているわけですけれども、それじゃ一体、現在非常に苦境に立たされている漁業問題の経営悪化というものは、主としてその原因はどこにあるのか。もちろん、構造的な問題もありましょうけれども、その点かいつまんでひとつ私どもにわかりやすく要点を御説明いただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) たしか午前中の池尻参考人のお話にあったと思いますけれども、オイルショック以前のわが国漁業というものは、いわゆる公海自由の原則、それから油が非常に安かった、相対的にですね。それから、魚価が一般物価よりも上がってきた。これは高度成長の影響だと思いますけれども、そういった状況の中でどんどん新船を建造し、漁業も御案内のように沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へと発展してきたわけでございます。ところが、四十八年の暮れのオイルショックで局面が一変いたしまして、とにかく燃油が一遍に三倍になってしまった。それから、それに関連いたしまして漁網等のいわゆる化学製品の値段が二倍ないし二倍半になった。賃金も上がる。反面魚価が余りさえないというようなことで、オイルショック以前の漁業経営を支えた条件が根本的に変わってしまったわけでございます。そこで、オイルショックの直後におきましては産業が同様の問題に面したわけでございますけれども、漁業は、特に遠洋漁業は非常に油を使うというようなことから影響が非常に深刻だったわけでございます。その反面価格が上がらない。そこで他産業の場合は、大体コストアップを価格に転嫁してしまいまして、最近では日本経済、オイルショックの影響ほとんど吸収したというかっこうになっておりますけれども、漁業はまだ吸収し切ってない。さらに比較的船をつくりかえることが容易だったわけでございますから、特に高度成長時代に人が他産業に行ってしまってなかなか船に乗ってくれない。そうすると人を集めるためには居住施設をよくしなきゃならない。同時に馬力なんかも多くしていかなきゃならないということで、かなり新船建造が盛んに行われたわけです。その結果、経営自体が借金経営になりまして、自己資本率が今日では大体一割割ってしまっているような状況になっておりまして、こういった経営自体が借金経営になっているというところも非常に経営をむずかしくしている一つの原因ではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  したがいまして、なぜ苦しくなったかということは、やはりオイルショック以後の経済情勢が変わったということと、その前における漁業経営の体質というふうなものがここで一遍に出てまいりまして非常に苦しくなった。したがいまして、やはり私どもが見ておりますところでは、一番苦しいのはマクロ漁業——遠洋マクロ漁業でございますね。それからトロール船の、大きなトロール船——遠洋をやっているようなもの、というようなものが非常に油もたくさん使いますし、賃金も高いというようなこともあって非常に経営が苦しくなってきているわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 いま概略のお話聞いたわけですが、確かに石油ショック以来ですね、非常に漁業に対する影響が出てきて、しかもその以前から、四十七年ですか、赤潮それから水銀、PCBといった汚染魚の問題が非常に出てまいりました。そういうような幾つかの悪条件というものが漁業関係の場合には極端に重なった。それに対するいろいろな対策はいまお話のように行われているようでありますけれども、たとえばその中でごく一つとってみますと、この前漁民大会で、先ほどのお話にも出ておりましたけれども、この燃油補給金五百八十億円を要求をするということで、大会の非常に中心的な目標として設定して運動も起こったわけですけれども、この燃油対策にいたしましても、たとえば五百三十億円の貸付枠を決めて融資を行ったようでありますけれども、現実にはそれが四百五十億程度しか使われていないということを私どもは聞いているわけですが、これは、じゃそれだけの影響がなかったのか、ということではないと私は思うんですね。貸し付けの条件なりそういうものにむしろ問題があったのではないかというような気がするんですが、その点については水産庁としてはどのように御理解をなさっているんですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 第一次の石油対策としての緊急融資につきましては、私どもといたしましては、大体業界の要望を聞きまして、各業種別に資金の割り当てをしまして、ある程度調整枠的なものを持っておりまして、さらに調整したと、こうなっておるわけでございます。そこで、特に条件が厳しかったとは思っておりません。しかし、いまから考えてみますと、先ほども参考人の方々とのお話出ましたけれども、特に沿岸漁業につきまして非常に融資枠が小さかった。さらに手続きがかなり厳しかったというようなことで、三万円や五万円の金を借りるならそれはやめとこうというようなことが多少あったのではないかというふうに思っておりますけれども、そう私どもが条件を厳しくしたとか、あるいは条件が悪かったということはなかったんじゃないかと、こう思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 まあ、一定の融資ということになりますと、条件がもちろん付加されてまいります。それに対して地方自治体なり国が利子補給したりいろいろしていくわけでしょうけれども、要はたとえば五百三十億という枠を設定したけれども、四百五十億しか使えなかったということは、やはり貸し付け条件の中にかなり、他の金融の貸し付けの条件から比較をするとまあまあということかもわからないけれども、こういう悪条件が重なった水産業界に対する資金の融通として、それでよかったのか悪かったのかということを考えてみると、私は、もっともっとやはり対策というものが積極的に講じられなければならなかったのではないかという実は気がしているわけですね。このことはやはり今回のこの減船を初めといたしました金融対策にいたしましても非常に重要な私は問題だと思っているわけですね。  さっきもお話がありましたように、地方自治体なり、そういうものが利子補給をして融資の関係をやりなさい、融資の関係に必要な経費の一部について補てんをしてあげましょうと、こういう程度じゃこれは困ると、むしろ直接補償をやりなさい、ということが非常に圧倒的な要求として出てきている。新聞なんかを見ましても、すでに北海道なんかでも、今度の日ソ漁業交渉の中で非常に厳しい条件が示された。それによって減船をしなきゃならない、あるいは休業しなきゃならぬというものに対する補償を要求するというようなことも若干出ておりますけれども、私は、それは非常に漁民の要求としては本当に正しいことだと思っているわけですね。そうすると、いま申し上げましたように、ここで過去行ってまいりましたその対策について、たとえば五百三十億が四百五十億しか使えなかったその原因は何なのかということを私綿密に調査をして、その改善策を次の段階ではとってやる、こういうことをしなければ同じことを繰り返していくのではないかと、このように思いますね。  特にさっき長官も申しておりましたように、同じ石油ショックの問題で水産だけではないじゃないか、他の業界もそういうことになるとみんな同じように補償の問題が出てくるじゃないか、こういうようなことも二方の議論としては出てくるんですが、それはお話がさっきありましたように、他の産業等につきましては、特にコスト吸収力が非常に強い。こういうようなことからそれは吸収されて、余り大きな問題に——最終的には価格の中に織り込むというようなことでいったけれども、漁業はできなかったということも率直には申し上げておったようですけれども、そういうことを考えてみると、私は、ここでいままでとってきた、そういう対策についてしっかりと見詰めてやらないと、次の対策でまた同じととを繰り返すことになるんじゃないかと思いますから、そういうことを特に申し上げたいわけで、その点に対する御指摘を申し上げておきますが、その点についてもう少しできれば何か次の段階で思い切ったというようなことが私は出てきてしかるべきじゃないかと思うのですが、その点どうでしょう。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 先回の石油対策としての緊急融資の実績についてもうちょっと十分吟味してやらなきゃならぬということは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、今回またさらに第二次の石油資金六百億を出すわけでございますから、その配分につきましては前回の石油資金の貸し付け実績その他を十分調べまして遺憾のないようにしたい、こう思っておるわけでございます。特に先ほど申しましたように、先回の場合、沿岸漁業の人たちからいろいろ不満が出たものでございますから、特に今度予算が通りましたので、近く第二次の石油資金をやるわけでございますが、その場合に、前の石油資金の割り当ては石油の購入量だけでやったものでございますので、かなり小さい人にはほとんど額としては非常に少額だったんではないか、というようなこともございましたので、今度の配分には多少石油の購入費以外の要素等も入れながら実態に即したようなことをやりたいと、こう思っておるわけでございます。そこで、先回一応経験を持っておるわけでございますから、私どもといたしましても、当然、経験を生かして今度の石油資金は実態に極力合うようにやりたい、こう思っておるわけでございます。と申しましても、そうすると、それでは沿岸漁業優先で中小漁業の方を削るのかということになるといけませんが、その点申しますと、そういうことはないようで、六百億の資金枠で大体いけるんじゃないかというような感じを持っておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それからもう一点、いまの経営悪化の原因の中でお話がありましたが、自己資本が非常に少ない、いわゆる他人資本、借入金が非常に多いということが特徴だというお話がありました。私事の点についてはいろいろ業界の皆さんからもお話を聞いているわけですが、特に固定化債務につきましてはかなり大幅な債務を抱えているという事態を私ども承知をしているわけで、この点につきましては特に漁業経営悪化の大きな要因になっておるようでありますから、この点についてはひとつ格段の私は対策というものをやらなければいけないのじゃないか、こういうように思っておるわけで、この点についてはこの法律の実施と同時に、その点についての配慮が私は当然しっかりやるべきじゃないだろうかということを申し上げておきたいと思います。  そこで、時間も余りありませんから先を急ぎたいと思いますけれども、この再建整備法案の中で特に先ほど参考人のお話もありましたように、減船の実施、いわゆる業種を選定をいたしまして減船の実施をやるわけでありますけれども、今回のこの対策については融資のみによって行うということになっているわけでありますけれども、一体それで十分なのかどうなのか、漁業界にとりましては非常に深刻な問題でありますし、かつて繊維関係で思い切った措置がとられたように、私は融資のみではなくて直接的なある程度の補償というものも含めた運営というものが大事ではないだろうか、法律までつくってやるわけでありますから、そういう点について考えられないのか、これで十分なのか、この点についての御見解を聞きたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) この法案におきましては、当面その実行上無理が少ないと考えられます減船方式として公庫資金を伴う自主減船ということになっておるわけでございます。御案内のように、過去の例にかんがみましても減船にはいろいろな態様があるわけでございます。たとえば最近起こっておりますのは、今度の日ソ交渉の結果、昨年向こうが日ソ漁業委員会ではっきり五十一年は調査船十二隻認めると言っていたのをひっくり返してきた。もう出漁の準備まで全部している、それをどうするかというようなケースとか、さまざまな態様があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、減船の態様に応じて適切な対策をとらなければいかぬということで、具体的にはただいま問題になっております日ソのニシンのあるいはカニの減船について直接的な救済措置というものをとらなければならないというふうに考えておりまして、それはケース・バイ・ケースで考えなければいかぬと思っているわけでございます。ただ、この法律では主として経営上の立場から自主的にやるというものについて、とりあえず公庫融資でやっていこうというふうに考えておりますので、その後、この減船計画推進いかんによってはまた何らかの別途の対策が必要になればそのときに検討しなければならぬ、こういうふうに思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 次に、この再建整備のこの法律の中で、一つの柱であります構造改善計画ですね。これについてそれを進めるに当たっての一体基本的な考え方というものを明らかにしていただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 中小漁業の構造改善につきましては、先生御案内のように、従来、中小漁業振興特別措置法でやってきたわけでございます。で、この構造改善はいわば経済の高度成長に見合って船を大型化する、施設を大型化するということに中心が置かれまして、その面ではかなりの効果を上げてきたわけでございます。しかし、その半面、先ほど申しましたように、いま自己資本率が非常に低くなってしまうというようなことになりまして、若干の問題も出てきているわけでございます。  そこで今後、こういった非常に厳しい国際情勢あるいは漁業をめぐる経済情勢のもとで、構造改善を進めなければならぬということになりますと、いままでは、いわば非常に早く船を更新して大型化していくというようなことがあったわけでございますが、これからはむしろ船型自体、もちろん今後漁業を続けていく上におきまして、新しい船はつくっていかなければならぬわけでございますが、その場合に船型等も、たとえばある程度燃料が節約できるような経営コストの問題を考えたような船型にしていくとか、あるいは経営体質の改善のために、協業あるいは企業合同まで進めていくとか、それからさらに施設につきましてもいままでと違ったいわばコスト節約的な点を重視したような構造改善をやっていこうということで、俗に言いますと、経済の安定成長に合った形で漁業が適応していく、そういうような構造改善を進めたい、こういうふうに考えているわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 それからもう一つの問題は、魚価安定対策だと思いますね。先ほどもお話ありましたように、非常に燃料あるいは資材が高騰した、悪条件が重なっておる、しかし魚価は一向に上がらなかった、こういうようなことが漁業の停滞というものの非常に大きな要因だということをお話があったわけですけれども、したがって、魚価安定対策というのは非常に重要だと思いますが、特にその中で先ほども冒頭にお話がありましたように、これからの海洋法会議の推移によりますと恐らく輸入が増大をするということが考えられるのではないか。それは申し上げましたように、全体的な日本の漁獲量が減ってまいりますけれども、たん白資源としては必要になってくるわけですから、それじゃ、陸上でそれだけのことを賄えるかというと、なかなかそう一気に畜産が増大するかというと、これもまたよそから入ってくる飼料をあてにした畜産の振興ということが中心になっているので、それも大きく期待できないとすれば、頼るものは何かというと、今度は穀類の飼料を輸入するように外国から直接水産物の輸入ということが考えられる。それがまたこの魚価安定の中にどのような影響を及ぼしてくるのかということも私は重要になってくるのではないかと思いますが、これは大変心配のし過ぎかもわかりませんけれども、いまから考えておく必要があるのではないかと思いますが、そういう点を踏まえた魚価安定対策というものは一体どうなのか、その点もお聞きしたい。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 石油危機の直後に水産業界から非常に要望がございましたのは、先生御案内のように、畜産物並みの強力な価格政策をとってくれという要望があったわけでございます。そこで、われわれといたしましても、その点、慎重に検討したわけでございますけれども、水産物の場合には、やはり商品としてまだ規格ができてない、したがいまして、非常に同じマグロ十キロといっても、値段により差があるというようなことで、なかなかいわゆる畜産物並みの価格政策になじみがたい。さらにバラエティーが非常に多くて、畜産物の場合でしたら豚肉だとか、牛肉だとか非常に簡単でございますけれども、水産物の場合は非常に種類が多いというようなこと、あるいは肉よりもさらに腐りやすい商品であるということであって、どうも畜産物並みの価格政策はできないのじゃないかということで、とりあえず昭和五十年の、系統の行います調整保管ですね、補助するというような形で対応してきたわけでございますが、これとても系統に赤字が出ては困るわけでございますから、いわゆる生産者の価格水準については必ずしも明確な保証がないというようなことがあるわけでございます。それで五十一年からは価格安定基金と、魚価安定基金というのをつくりまして、そこで赤字が出た場合、無利子の融資をする。これは八割でございますけれども、というようなことで、従来よりは政府の介入を強くいたしまして、政府の介入と申しますか、補助をたくさん出しまして、強くして、できればもちろん米のように生産費補償方式なんというわけにはいきませんけれども、ある程度の標準価格的なものを示しながら産地価格の維持を図っていくというようなことで、逐次魚価対策を強化しているわけでございます。それとの関連で輸入の問題があるわけでございます。特に輸入問題ではマグロの輸入が非常に大きく問題になっておりますけれども、いわゆる多獲性大衆魚その他のものは大部分まだ輸入割り当て制になっておりますので、将来の問題としては一部の水産物は非常に深刻な問題はございますけれども、水産物全体としてはクォーター制の運用によってある程度、そういった面の摩擦というものを調整できるのではないかというふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 大変時間がありませんから、後二つの法律について二、三点ずつお聞きをしたいと思うのですが、漁船船主責任保険臨時措置法案につきまして、まずこの法案の漁船船主責任保険のこれは試験実施を実施をしてきたわけでありますけれども、その経緯について若干お聞かせをいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 先生御案内のように、近年における漁船の大型化あるいはその高速化と海上交通のふくそう等非常に最近の経済の発展に伴いまして、海上におきましても、油の流出事故だとか、あるいは他の船との衝突とかいろいろ事故がふえておりまして、これによって船主が負担しなきゃならぬ経費も非常にふえておるわけでございます。そこで、そのような経費がふえてまいりますと漁業経営にも重大な影響を及ぼすわけでございまして、かねてから漁業者から、船主責任保険をつくってくれという要望があったわけでございます。これにつきましては、一般の船舶の方はすでにそれができておるわけでございますけれども、漁船がなかったということで、今日まで、一部英国の船主責任保険に入るとか、あるいは日本の組合のものに大きなものが入るとかいうようなことで適応してきたわけでございますけれども、水産庁といたしましても、昭和四十五年から四十七年にかけて漁船保険制度研究会というものをつくりまして、基本的な方向づけを行いますとともに、四十八年から三年間、漁船に関する船主責任の発生態様の調査、あるいは漁業者の船主責任保険に対する要望等の聴取を漁船保険中央会に行わさせるとともに、諸外国の実態調査あるいは学識経験者の意見等も聞きまして、それらの事項を背景に今回漁船船主責任保険の試験実施をやるというところまでこぎつけた次第でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 そこで、この保険の中で、保険料及びそのてん補リスクは、日本船主責任相互保険組合等に比較をいたしまして漁業者に不利とならないのかどうか、その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 保険料につきましては、現在、どういうような保険料にするかという具体的な額については検討中でございます。そこで、保険でございますから、いずれにいたしましても料率の設計が必要になるわけでございまして、漁船保険中央会が過去三年間に行った危険率の調査が一つの基礎になるわけでございます。ただ、これはまあサンプルとしても非常に少ないわけでございまして、これだけでそのものずばりで決めるわけにもまいりませんので、漁業者の意識調査、あるいは日本船主責任相互保険組合、英国のPI保険の保険料等を勘案いたしまして決めるわけでございまして、日本船主責任相互保険組合の保険料よりは漁業者に有利となるというような保険料を決めたいと、こう思っておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 次の問題は、この保険は、漁船積み荷保険をも含めて試験実施完了後は一体どうする考えなのか、また中央会のあり方についての考え方を若干お聞かせをいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) この船主責任保険の実験は、昭和五十一年度から五年間やることになっております。そこで試験実施が終わった段階でどういうふうな制度を仕組むかということは、実験の結果等を吟味してやりたいと思っております。そこで、試験実施の段階では——漁船の積み荷保険、これは現在もうすでに実験しておるわけでございますが、等を含めまして中央会で再保険さしているわけでございますが、ところが、漁船保険自体は特別会計でやっておりまして、これをどうするかという問題が当然本格実施の段階では出てくると思います。このことは結局、本格実施の場合の制度の仕組み方をどうするかということとも非常に関係が出てまいりますので、その段階で検討すべきことであるというふうに考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律で二、三お聞きをしたいと思いますが、この保証法はいままで保証保険業務を特別会計で行ってきたようでありますけれども、これを中央漁業信用基金に移行されるということになるわけでありますが、この場合、中央基金において保証保険業務が一層円滑に運営できるかどうか、改正をした非常に重要な部分になっておるわけですが、その点についての御見解を聞きたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私どもといたしましては、特別会計から中央基金にこの保険の事業を移しますと、やはり運用が特別会計よりも中央基金の方が機動的にできますので、特に保険需要が急増したというふうな場合に、現在、予算で限度が決まっておりますから特別会計の場合には機動的な対応ができない、というのが、中央基金の場合には対応できるんではないか。それからさらに、こういった保険の業務でございますから、多少人の問題もあるわけでございます。事業が非常にふえていった、保険需要がふえたときに、それなりに事務処理もふえますから人もふやさなければならない。そういう場合に、特別会計だと、まあ国家公務員としていろいろ定員とかその他の問題がありましてなかなか対応できないというような問題もある。それからさらに、中央基金でやりますと、理事会、評議員会等を通じまして基金協会の意見等が、特別会計でやっているときよりはよりそういった民間の意見が反映しやすくなるのじゃないかということもございまして、農業もそういうような制度になっておりますから漁業につきましても中央基金でこういった保険をやった方がいいんじゃないかと、こういうふうに思っているわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 そこで、中央基金へ移行するわけですけれども、中央基金への移行後、保証保険資金に不足を生じたという場合には、一体どのような対策を講じますか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 中央基金への移行に際しまして、特別会計から純資産約二十七億が中央基金に承継されるわけでございます。で、これによって補償保険の業務を実施することになるわけでございますけれども、当然水産庁といたいましても、中央基金の予算及び事業計画の認可、業務実施状況についての報告聴取等を行うわけでございますから、常に中央基金の業務内容をまあ的確に把握できるわけでございます。したがいまして、保険事故が多発しまして中央基金の保証保険資金が不足するというような場合には早目に政府としてもそれに応じた措置をとらなければならないのではないかと思っておりますけれども、将来二、三年に関する限り、二十七億というような金があれば特に業務に支障が生ずることが起こってくるということはないのではないかと思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 もう一点お聞きいたしますけれども、今回、先ほど議論をいたしました経営維持安定資金、それから燃油対策特別資金、こういう大量の資金が融資されるわけでありますけれども、現在の協会の保証能力で対応できると判断をしていらっしゃるわけですか。その点についての御見解を聞きたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 経営維持安定資金及び燃油対策特別資金にかかわる保証は、基金協会では一般資金にかかわる保証として処理されることになるわけでございます。そこで、昭和五十年の九月末における基金協会の一般資金に対する新規保証の余力は、総額で約七百二十億ございます。それからさらに、この保証余力のすべてが両資金の保証に使えるものではないにいたしましても、今回新たに基金協会の都道府県出資について国から六億円の助成を行いまして、これを含めまして合計約二十四億円の追加出資が見込まれるわけでございます。さらに両資金にかかわるてん補率につきましては、今回の法律でこれを引き上げるわけでございますから、協会の保証余力はその面からもかなり大幅に増大するというふうに思われるわけでございます。したがいまして、これだけの余裕があれば大体今回の千二百億円の経営維持安定資金及び燃油対策特別資金の保証は十分にできるんじゃないかというふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 もう時間のようですからこれで終わりたいと思いますけれども、非常に短時間で三つの法案の審議をいたしますので無理があると思いますけれども、私どもはできるだけ、この非常に追い詰められている漁業者に対する何らかの早急な手当てが必要だと、こういう立場から議論をしてまいっているわけであります。特にこの問題については、この三つの法律ができることによって大幅な、漁業者の生活の安定なり漁業の振興というものを期待をしたいと思うのですけれども、なかなかそうは簡単にいかないんじゃないかという気もいたしますし、この点についてはより積極的な水産業に対する対策というものが強化をされていかなければならない。このように思いますし、特に前段につきましては大臣も出席していなかった中での議論でございまして、この点については大臣の方も特に格段の御努力をしていただきまして、厳しい国際情勢の中における水産業に対する対策について万全を期するように私は特に要請をいたしたい。こういうことを申し上げ、大臣からの御意見も若干お聞きをいたしまして質問を終わりたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまのいろいろ質疑を通じまして、日本の置かれておる漁業の立場というものが非常に厳しくなっておるし、これからも厳しいと、そういう中にあって新しい決意を持ってこれからの水産政策の確立のために努力をしなきゃならぬということを痛切に感じたわけでございます。そのためには、今後具体的に予算あるいは政策等につきまして洗い直すところは洗い直しをして、世界の体制の中でおくれないでなおかつ、海洋国日本といいますか、水産国日本の地位を維持していけるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 二十日ほど前に五十年度の漁業白書が出まして、あくる日にそれぞれ新聞が社説で取り上げたわけですが、朝日新聞の社説は「内憂外患を満載した漁業白書」と、こういう見出しでして、私はそれを見まして、なるほど今度の漁業白書が内憂外患を満載しているが、何かこう沈没しそうな白書という、沈没寸前の白書というような印象を非常に強く受けておるわけであります。まあ世界一の漁業というふうに誇りました日本の漁業を襲っております内憂外患、大変なものがあると思います。で、白書が言っておりますように、従来支えてきた三つの柱が大きく崩れつつある、しかも、その速度が大変急ピッチである、そういう状況を白書が分析をしておるわけでありますが、そのとおりに私どもも受け取っております。  この白書によりますと、そういう状況に対します基本対応策というのが四つ出ておりますが、一つは漁業経営の再建、漁業の整備も挙がっておりまして、二番目は沿岸漁業の見直し、三番目は国際漁場における操業の確保、新漁場の開発といったもの、で、四番目は、未利用といいますか、いままですでにとっておる魚の活用というような四つの対策を挙げられております。で、まあ、今度の五十一年度の水産庁の予算にいたしましても、また今回出されております漁業三法案にいたしましても、いずれもこういう事態に対する対策として出されておるわけでございますが、昨年の年末に水産庁の予算案が決まりましたときに、水産庁は五年間の仕事をしたというような自画自賛といいましょうか、そういうような話が流れまして、私どもの耳にも伝わったわけであります。確かに三法案が出るわけでありますから大変なことであります。また、六百億円の漁業経営の立て直しのものも出ました。あるいは六百億円の燃油に対するところの資金も出されております。さらに、魚価安定基金も量ははっきり出してまいりました。さらに、本年から七カ年計画で沿岸漁場の整備開発が二千億円の事業費でもって本格的に発足をする等々考えますと、確かに五年間の仕事を水産庁がやっているという印象を受けるわけであります。  しかし、事態は五年間の仕事をやらなければならぬほど大変に深刻である、内憂外患こもごも至るという状態ではないかと思いますが、その中で私が最も感じますことは、安倍農林大臣が守りの農政から攻めの農政へということで、キャッチフレーズで登場されたわけでありますけれども、この漁業を見ますというと、これはどうも攻めの漁政どころの騒ぎじゃなくて守り一方の漁政という印象を非常に強く受ける。何か攻めに転じようというそのお考え方も方策としては出ておりますけれども、まだまだ私どもから見ますと守り一方の漁政という感じを非常に受けますし、もっと言いますならば、どうも撤退の漁政という、そういう印象すら与えるものがあると、こう私は感じておるわけでありますが、農林大臣の率直なひとつ見解をまず承りたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もまさにいま鶴園委員の御指摘になりましたようなわが国を取り巻く情勢につきましては同じ厳しい気持ちでもって対応をいたさなければならないと覚悟いたしておるわけでございます。特に国際漁業といいますか、遠洋漁業につきましては、もう攻めという段階からいかにしてこれを守るかと、いままでの実績をいかにして確保するかということに今後全力を尽くさなければならぬ、全力を尽くしてもなおかつ相当やはり漁場の削減ということは覚悟をしなければならぬのじゃないかというふうに思わざるを得ないわけであります。これは具体的に今度日ソ漁業交渉をやった経験からいたしましても、これまでにない漁業交渉における推移は厳しかったわけでありますし、また、八月から行われる日米漁業交渉、これを考えてみましても、来年の三月一日にはアメリカの法律が実施をされるわけでございます。そうして、これは専管水域二百海里というものを前提として、日本に認めさせた上で交渉に入ろうということでございまして、われわれとしてはこれを容認することはできないわけでございますが、アメリカはそういうふうな非常に一方的な態度で日本に迫ってきておるわけでありますし、また、入漁料といったようなこともはっきり法案の中へこれをうたっておるわけでございます。あの中で百六十万トンから百七十万トンの漁獲を得ておる日本としては、最も友好国であるところのアメリカとの漁業交渉すらこういうふうな状態になってくるわけでございますから、ましてその他の漁業国との間の交渉は、これからまあどんどん始まってくるわけでございますが、やはり相当な厳しいものであるということを覚悟しなければならないということを痛切に感じるわけでございます。そうした中にあって、われわれは、やはり多面的な外交努力を続けまして、何とか操業権の確保をやっていかなければなりませんし、また、経済水域二百海里が今回は確立をしなかった。しかし、八月から行われる国際会議で果たして確立できるかどうか。しかし、世界的にはもう確立せざるを得ないような情勢に追い込められておると思いますが、その経済水域二百海里の設定につきましても、われわれのいわゆる日本の伝統的な漁業国の利益というものを尊重するという形での経済水域二百海里の設定が行われるということのためにわれわれは死力を尽くしていかなきゃならぬと思います。が、しかし、ニューヨークで行われた今度の国際法会議の経過等をいろいろと見てみましてもなかなか、それに対しては相当な抵抗があるようにも思うわけでございまして、なかなかこれまたむずかしい事態も思いやられるわけでございます。そうした二国間交渉、それから海洋法の動向、そういうものを見ましても、私たちは、そうした非常にこれからの危機的な状態に立ち至る日本の水産に直面をいたしまして、これから果たして何をなすべきかということにつきましては、これはもう場合によっては思い切ったやはり政策の洗い直し、あるいは法制の洗い直しということも考えなきゃならぬ時点になっておるのじゃないだろうかと思うわけでございます。  同時に、こうした国際的な漁業と同時に国内と言いますか、沿岸、それからわが国の沿岸からの二百海里、それから二百海里ということはまた逆にかえって専管水域の中に入っていくわけでございまするので、これはわれわれとしては、この沿岸漁業あるいはさらに沖合い漁業というものを、これに対しては思い切ってこれまた振興対策がとれるわけでございますから、この振興につきましてもこれは相当——高度成長の中にあって日本の工業が非常に急速に伸びた、そういうことで漁場も汚染をされたりしておるわけでございますが、最近は公害立法等が確立をされまして、瀬戸内海一つをとってみても汚染度もだんだんとこう少なくなってきているという状態でございますので、こうした状態をさらに進めまして、そうして沿岸漁場等は積極的にこれを開発をし、そうして栽培漁業を進めて少なくとも百万トン近い水産の増産ということは行っていかなきゃならぬ。努力次第では行えるのではないかというふうに考えるわけでございます。  そういうことで私は、これからの水産政策を進める場合においては、ただ、農林省の中における水産庁の政策ということではなくて、やはり一つのわが国のこれからの食糧の政策の一翼を担う大きな立場としての水産庁としての施策を、それも国民的な非常な大きな理解と支持の中で施策というものを打ち出し、そうして進めていかなきゃならないということを痛切に私は感じました。そういう面で予算等も五十一年度は相当伸ばしたわけでございますが、まだまだ不十分でございますので、来年からはさらにその厳しい決意を持って、新しい決意を持って対処してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま大臣がおっしゃいましたように、私どもも、これは強力な漁政と言いますか、内外に対しまする強力な漁政の展開を強く要望いたしたいと思っております。何といいましても、新しい海洋時代に入ったと見なけりゃなりませんし、日本の漁業がその分岐点に立っている、あるいは崩壊するのではないかという危機を非常にこれはだれしも感ずると思います。その中で私どもとしましては、一層の強力な、内外に対する強力な漁政というものを期待をするものであります。  中に入りまして私は、二つほどお尋ねをしたいわけであります。先ほど四点上げてございましたですが、基本的な対応策としまして白書が書いてます四つの中の二つを伺いたいと思うのです。  その一つは、二番目にあります沿岸漁業の見直しという問題であります。日本の漁業の発展というものを見ますと、これはだれしもこの見解は一致すると思うんでありますが、沖へ沖へと進んでいったわけでありまして、その間における沿岸漁業というものが、言うならば軽視されておると言いますか、ないがしろにされてきたと言いますか、そういう面は否定できないと思います。数字で申しますと、三十五年、高度経済成長が始まるところでありますが、三十四年に遠洋漁業というものを一〇〇といたしますと、今日二八一という成長を遂げておるわけであります。沖合い漁業が一六〇ぐらいの成長を遂げております。ところが、沿岸漁業は一二〇という伸びであります。ただし、この沿岸漁業は養殖漁業が入っておりますから、沿岸の漁船漁業で見ますと九七ということで、停滞というよりもむしろ減ってきているという、こういう状況であります。ですから、三十五年当時全体として六百万トンであった漁獲高が今日千百万トンという段階になっておるんですけれども、その中における沿岸漁業というものは漁獲高が減ったという、沿岸の漁船漁業が減ったという、そういう事態を示しておるわけであります。そこで、沖へ沖へと進んでいった日本の漁業が、何かここで行き詰まったという感じのところから急に今度沿岸漁業に舞い戻ってくる。何かどろなわ式な感じを非常に受けるわけであります。  そこで、これから重大視されるということになるこの沿岸漁業の問題につきまして若干の点をお尋ねをしたいわけです。昨年の十一月に国土庁が新全総の総点検の中間報告を行いました。これは三全総に対しまする準備として行ったと思うんでありますが、その中に「農林水産業問題とその対策」というのがあります。これを見ますというと、いま日本の沿岸漁業で十分に利用されている水域はわずかに百万ヘクタールである、こういう指摘をしまして、今後五年間の間、現在から五年間にわたって技術と経済的な立場から考えて利用可能な海域というのは千二百二十一万ヘクタールある、こういう指摘をいたしました。日本の沿岸漁業の潜在生産力というのはきわめて大である、こういう指摘をしておるわけです。水産庁はどういうふうに考えていらっしゃるのかお尋ねをいたします。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、水産庁といたしましても、今後の日本漁業の問題を考え、さらに動物性たん白質の半分は水産物で将来においてもやっていかなければならないという現実、さらに今後において中高級魚の消費が伸びるだろうということを考えました場合に、沿岸漁業の振興を図らなければならないことは、先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、今後それではどうやって沿岸漁業の振興を図るかということでございますが、第一には、これまで余り、魚礁は大分やってまいりましたけれども、いわゆる農地の基盤整備のような漁場整備ということは余りやってまいりませんでしたので、今後はこういった漁場整備というものを大いに図りたいということで、御案内のように五十一年度を初年度といたしまして、総事業費二千億程度のもので、とりあえず第一次計画として七年間計画を定めて、魚礁の設置あるいは増養殖漁場の整備等漁場の整備を図りたい、こう思っておるわけでございます。さらに、そういった漁場の整備を図りまして、そこで資源を育てていかなければならぬということでございますが、この資源の増強につきましては、御案内のように最近非常に栽培漁業がいろいろ技術的な問題が解決されまして発展しております。そこで、こういった栽培漁業の振興を図って、それと漁場整備とあわせてということであれば、かなり漁獲高が上がっていくのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、沿岸の構造改善につきましては、現在第二次沿岸漁業構造改善計画を進めているわけでございますが、これをさらに進めまして、いろいろな漁業近代化施設の整備というものを図りたいと、こう思っておるわけでございます。さらに、先生御案内のように、やはり地域社会としての漁村——沿岸漁業の場合には漁村が非常に大事でございますけれども、地域社会としての漁村というものを考えました場合に、何と言っても漁港というものが非常に大きな地域社会の中心として役割りを果たしておりますので、今後において漁港の整備にもさらに力を尽くすというようなことで沿岸漁業の振興を図っていこうというふうに考えておるわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま長官からお話ありました、いままで水産庁として手がけていなかった沿岸漁場の整備、開発、五十一年度を初年度として七年間で二千億円の事業費で大々的に、本格的に始めるということになったわけであります。先ほど私が国土庁の資料で申し上げました、今後、現在から五年の間に、技術と経済的な両方の面から言って開発可能な面積が千二百二十一万ヘクタールある、いま利用しているのは百万ヘクタールだと。それから言えば、日本の沿岸海域というものは、潜在生産力というものはきわめて大である、こういうことを強調しておるわけですね。それに対応するものとしてということになると思いますが、出ましたのが、いま長官のお話の七年間に事業費二千億円で沿岸漁場の整備開発をやっていくと。その七年間でおやりになる二千億円の事業費をつぎ込んでやられる面積は一体どの程度になるのか、これをお伺いします。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 沿岸漁場の整備開発計画、第一次計画でやる面積は、ただいま先生が御指摘がございました開発可能面積の約一%でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 一%ですか、一〇%ですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 一%です。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 去年の十一月に国土庁のものが発表されましたときに、新聞はそれを報道いたしました。その中で、新聞が報道したのは漁業を取り上げたのですよ。漁業というのは、いま非常に大きな問題になっておりますから、ですから、漁業を取り上げて言ったのは、水産庁は余りにも弱腰じゃないかと。千二百二十万ヘクタールの開発可能のものがある、というふうに政府の機関である国土庁が指摘をして、それに対して、水産庁は七年間で約十二万ヘクタール、百分の一と、余りに弱腰じゃないかという指摘をしたわけですね、新聞が。これはそのとおりじゃないでしょうか。確かにこれは初めてやる仕事ですから、技術的ないろいろな問題があると思います。しかし、私はどうも一%ではこれは何ともならない。五年間に可能だというのですよ、経済的に、技術的に。技術も入っておるんですよ、これ。ここで、水産庁と国土庁とけんかしたらいいと思うんです。話にならぬですよ、こんな話では。一方は千二百万ヘクタールと言う、一方は十二万ヘクタールでやりますと、こういう話じゃ大体けんかにならぬですな。けんかしてもらいたいですな、これは。そこの点はどう考えていらっしゃるのかお尋ねします。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私どもといたしましては、この漁場の第一の整備開発計画というものは各県の意見も十分聞きまして、また専門家の意見等も十分聞いてつくったものでございます。  そこで、この漁場整備の問題につきましては、水産土木工学的にも新しい手法のものもかなりございます。特に人工礁という——いままでの魚礁というものは自然礁をある程度補強するような形で魚礁の事業をやってきたわけでございますが、人工礁というのはいわば平らなところに新しく人工的に魚礁部分をつくってみたいというようなきわめて意欲的な事業であるわけでございます。したがいまして、海の場合は先生御案内のように陸と違いまして水の流れとかいろいろな問題があるわけでございます。そこで、そういった現在の水産土木技術の現状等から考えまして、私は第一次計画の千二百平方キロというのは決して小さいものとは思っておりません。  そこで、確かに国土庁の言うような開発可能面積はございますけれども、一遍にそれを全部開発することはできませんし、こういった新しい事業の場合、特に漁場造成につきましても、人工干がたとか、人工藻場というようなものは、これも新しい面がかなりございますので、そういったことを逐次解決しながら現実的に問題を処理していくというのが現実的な態度ではないかというふうに考えておりまして、この面積、一見やや小さいようでございますけれども、かなりこれをやれば生産量も上がってまいりますし、私は決して面積だけで考えるべきではなくて、やはり事業の内容というものを極力充実するように私どもとしては努力しなければならないのではないか。やや先生の御質問にお言葉を返すようでございますけれども、私どもといたしましてはそのように考えているわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は冒頭に大臣に対しまして、水産庁が五年間の仕事を一遍にやったというふうに言われているが、それぐらいにやらなければ、いまの大変な事態というものに対処できない。それにしても、私は守り一方の農政ではないかと。それは外に対してだけではなくて、中に対してもそうではないかという印象を持っておるわけであります。その一つとしていま出しましたのが、国土庁がそう言っている、技術的に経済的に可能だと言っておるのですから。現在からおおよそ五年の間に技術的に経済的に千二百二十万ヘクタール可能であると。その数字は水産庁が都道府県に照会をされて出してきた数字であります。都道府県も承知をしている数字です。にかかわらず、これから七年間に十二万ヘクタール、わずかに百分の一というものをやる。いまの水産の異常な事態から言って、これは私はもっと強力な漁業政策というものを、中に対しても遂行していかなければどうにもならぬのじゃないか。確かに初めての仕事でありますから、長官がおっしゃるように技術的な問題もいろいろありましょう。これからまた開発していかなければならぬ技術もありましょう。それだけに慎重に現実的に政策を進めていかれることはわかります。ですけれども、ちょっと私は弱腰過ぎる、当時の新聞が書いたとおり。私に言わせると、もっともっと弱腰だと思う。しかし、これは中に対していろんな問題があるんだろうと思うんです。予算的な制約もいろいろなものもございましょう。ですが、もっと私は、積極的な施策を講じていかれる必要があるのではないか。まあ去年から予算がつきまして、法律が成立しましたのは四十九年でありますが、昨年から調査費等がついて本年から事業が始まるわけですが、そこで現実的にお進めになって、その過程の中で速やかにこれは変更し、拡大をしていくべきじゃないか。必ずしも今度の七年間の二千億円、十二万ヘクタールというものにとらわれる必要ないのではないか。大臣としてそういう決意で臨んでもらいたいということを要望いたしまして、大臣のひとつ見解をお伺いしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、これからのポスト海洋法と言いますか、そういう時代が急激に押し寄せてくると思いますが、そういうふうな急激な変化というものに対応して、わが国の一千百万トンに近い漁獲を確保していくということになれば、これはいまわれわれが現実の問題として取り上げておるところの漁場造成、漁場開発計画、七年計画で二千億というふうな進捗度も、これはこのままでは済まされないかもしれないわけでありまして、やはりそうした非常な急激な変化ということがあれば、これに対応して国民食糧な何としても確保しなきゃなりませんし、動物性たん白食糧の過半数はやはり水産物でわれわれは補っておるわけでありますから、これを確保していくためには、もっと思い切ったことをやらなきゃならぬような時代というものが急激に押し寄せてくるかもしれないということは覚悟して、これは一応二千億ということで、七年間ということで出発はしたわけでございますが、われわれは、変化に対応してこれを修正し、そして拡大をしていくということについては強い決意を持って臨みたいと考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 それで、いま私申し上げました沿岸漁場の水域の地図があります。この国土庁のやつに載っているわけですが、これは水産庁でつくったものだと思うんです。これを見ますと、それからこの数字の内訳でありますが、千二百二十一万ヘクタール、その中のほぼ半分というのが九州と沖繩にかかっているわけですね。約五百二十万ヘクタールというものが、約半分に近いものが九州と沖繩にあるという指摘をしておるわけです。もっと中身の詳しいのを出せと、こういう話をしたんですけれども、間に合いませんでした。何かどっかへ突っ込んであるらしいですね。いずれ新しいのを見たいと思うんですが。そこで、九州と沖繩にかかって約半分の五百二十万ヘクタールというのがある。そこで、この地図を見てみますというと、南西諸島、沖繩にかけましては、これはほとんどブランクになっているんです。あとのところは全部開発されておりまして、それで、それから幾らかまだ開発するところもあるでしょうが、とたんに、九州の南西諸島、奄美大島群島、そして沖繩約九百キロの南に及んだ海域というものはまるでブランクになりまして、何もないわけです。ちょこっとしたところありますけれどもね。ですから私は、開発可能面積、これから五年間で開発可能面積の千二百二十万ヘクタールの中の半数近いものが、この南西諸島から沖繩にある、約九百キロの海域の中にわたってある。こういうふうに見なきゃならぬのではないかと思うんですが、この資料はこれは水産庁から出たわけですから、ひとつ水産庁の考え方をお伺いしたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私どもも、現在及び近い将来における技術水準や漁場の経済的利用の可能性等から見まして、漁船漁業の漁場、増殖場または養殖場として整備開発が可能と推定される水面のうちで九州、沖繩沿岸は、大体わが国の沿岸全体の四割以上になっておりまして、相当な開発可能水域が残されているということは先生の御意見と同感でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 そこで、私は沖繩にも二回ほど行きましたし、それから奄美大島にもしょっちゅう行っているわけです。そういう中ですから、事態をわりあいと詳細に承知をしていると思っております。この奄美の群島ですね、鹿児島から約五百キロにわたって群島が存在しておるわけですが、この水域の沿岸漁業について若干お尋ねをしたいわけです。  いま長官のおっしゃるように、沖繩から南西諸島、奄美群島は、いまの沿岸漁業という立場から見れば開発する余地が十分ある、未開発の地域の非常に多い地域です。しかも面積が非常に大きいというふうに見なきゃならぬと思うのであります。ところが、沖繩もそうですけれども、奄美群島もそうでありますが、行ってみますというと、海岸線というのはわれわれの子供の時代の海岸線みたいなものであります。漁港らしいものはないし、そうして砂浜に二トンか三トンか四トン程度の船が引き揚げてある。その海岸線の上には人工の加工建築物というものはほとんどない。自然のままの海岸と言っていいほどの状況ではないかと思います。これは漁業だけでございません。農業についても、あるいは畑やたんぼの状態についても同じであります。昭和の初年ごろの状態じゃないかという感じを受けるわけですね。もっとも、日本の場合も戦後、非常に急速に発達したわけでありますけれども、いずれにしましても、非常に港の問題にいたしましても、あるいは港に付随しますところのいろいろな施設にいたしましても、あるいは漁船にいたしましても大変におくれている。それから漁業協同組合にいたしましても大変におくれている。そのことは、裏返せば開発の余地が十分あるというふうに言って何ら差し支えないと思うんです。  そこでまずお尋ねをいたしたいのは、沖繩から南西諸島にかけましての約九百キロにわたる水域の水産資源調査というのが余り行われていないのではないか。水産庁は大変博識で鳴っておるわけですが、事奄美から沖繩に対しては大変な頼りない感じがする。それはまあ沖繩がこの間復帰したということもあります。奄美が昭和二十八年まで占領下にあって復帰をしてきた。しかも、農林省の所管に沖繩が入りましたのは三年前であります。そういう点等もありましょうけれども、いずれにしても、まず第一に水産資源の調査というものが行われていないのではないか。今度国土庁が千五十万円の金をかけまして初めてあそこの水産資源調査を行うことになった。こういうものは私は水産庁が積極的に進めるべきものではないのか。きょうは国土庁を呼んでありません。呼んでありませんが、関係する課長には全部電話してみました。非常にあいまいなんです、これは。初めてやる水産資源調査について非常にあいまいですね。ですから私は、まず水産の資源の調査というのが手がけるべき問題ではないか、そういうことについて水産庁がもっと積極的にやっていく必要があるのではないかということをまず強調して、それに対する考え方を伺いたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 先生御案内のように、奄美大島の沿岸漁業の振興につきましては、いわゆる第二次構造改善事業というものをこれに実施しようと考えておりまして、今年度から調査を行いまして、今後二次構を進めるわけでございますが、その場合におきまして、やはり水産の問題でございますから資源調査が非常に大事だということは先生御指摘のとおりでございます。そこで、従来からも国の水産研究所が県の水産試験場に対しまして指導、協力してまいりまして資源調査はしてきておるわけでございますけれども、今後二次構を進めるというようなこともございますので、一層これらの調査につきましては積極的に行うようにしたいというふうに考えているところでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 沖繩の漁港、魚の港の方は、復帰いたしましてから水産庁の大変な努力があって急速に充実をしてきております。ですが、奄美のこの群島についてはまだ大変おくれております。農林省の所管になるようになりましてから三年たつわけですが、ですから、自治省の所管にありましたときから比べますと、港の予算というのは十倍にふくれ上がっております。それほど昭和四十八年という金額は非常に小っちゃかったです。農林省の所管になりましてから、四十九年から三年間で約三倍になっております。ですが、いままで沖繩に重点があったんですが、これからは奄美群島にも重点を置いてこういう漁港の修築、改築、局改こういうものについて、もっともっと積極的に進める必要があるのではないかという点が一つ。  もう一つは、いま長官がおっしゃった第二次構造改善事業に、やっとその最終便に乗っかったわけですよ、まさしくやっと乗っかった。ひょっとすると外れるところだった。やっと乗っかって、そしてことし百五十万円ぐらいの調査費がついて、来年から第二次構造改善事業が始まるわけです。そして漁具の倉庫であるとか、冷蔵庫であるとか、あるいは魚の荷揚げ場であるとか、そういうものがつくられるわけです。そういうものがいまないわけです。本当の砂っ原ですよ。砂っ原が島を取り囲んでおる、どの島もそうだと言って何ら差し支えないですね。港がありませんから、船は大きなものはできないです。ですから、陸に引っ張って揚げるようなものしか使えないですね。風が吹くときは風向きを、天気予報を見ておって、島の裏側に持っていかなければならない、これは大変ですよ。これは資源の調査もまだ不十分、しかし、未開発で、これは大変な豊庫になっておるわけですね、というふうに言われておるわけです。その意味の、いま申し上げたように、第二次構造改善事業でやっと最終便に乗っかったんですから、積極的に進めてもらうと同時に、その漁港の問題についても積極的に進めてもらいたい。  もう一つ、漁業協同組合が大変にこれは弱い。これは沖繩もそうですけれども、漁業協同組合が全く弱いですね。まあ協同組合の勢力をあらわすものとして、貯金額は幾らあるとか、あるいは貸付額は幾らあるとか、購買の金額は幾らあるとか販売の金額は幾らあるとかいうような数字が、漁業協同組合なり農協等の勢力、力を示すメルクマールになっておるわけですが、そういうものが、内地の——本土と言うんですが、本土のものの二十分の一ぐらいです。出資金にいたしましても十分の一ぐらい、すべてのものが二十分の一か十分の一という非常に弱い力です。で、それは、その漁業そのものというものが、いままで港の問題にいたしましても、何にしましてもほっとかれた、水産資源の調査も不十分であった。まあ行われていないと言ってもいいかもしれぬ、というような状況でありますから、漁協というものは強くなるわけがない。でありますが、日本の漁業協同組合というのは、御承知のように、これは戦後非常に強くなりました。漁業改革を通じての援助がありました。また再建整備法によるところの援助もありました。しかし、沖繩は、つい最近移管してきた、日本に返ってきた。奄美も昭和二十八年に返ってきた。が、そういうものの援助が何にもなかった。そして返ってきてみたところが、いま言ったような非常に弱い状態です。ですから、この奄美と沖繩の漁業協同組合に対して私は特別の措置を講じて、これが強くなるように、組織が強くなるような整備をする必要があるのではないかというふうに思っております。  以上三点、港の問題、それから漁業協同組合の問題、それから……についてひとつお答えをいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、今後の奄美群島の漁業の発展のためには、私はまず漁港の整備が必要ではないかと思います。御案内のように、沿岸漁業の場合、漁港というのは地域社会の中心でございまして、りっぱな漁港ができますと、そこに船も集まってくる、船も大きくなる、さらにそこにいろいろな陸上の施設ができるということで、漁村社会の中心になるわけでございます。したがいまして、今日まで御指摘のように奄美諸島においては漁港の整備がおくれておりましたので、私どもといたしましては、水産庁の所管になりましてから、非常に予算もふやして、奄美の漁港の整備には努力しているところでございます。なお、その点の若干につきまして、漁港部長から御説明させますけれども、ということで力を入れているわけでございます。  それからさらに今後、第二次構造改善事業を行うわけでございますから、これによりまして陸上施設等も整備していくということで、かなりの拡充が期待できるんじゃないか。そうなりますと、まあ施設ができた場合に、それを動かす人の問題でございますが、人の問題ということになりますと、今度は組織の問題が出てくるということで、漁協の問題が出てくるわけでございますが、先生御案内のように現在十三漁業協同組合がございますけれども、全国平均等比較いたしますと、組合員数はほぼ同数でございますけれども、出資金において約九分の一、それから貯金が残高において四分の一、販売事業の取扱い高も三分の一ということで、経営規模が非常に小さくなっております。そこで今後漁港をつくり、関連の施設を整備していくということになりますと、それを動かすものとしての漁協の整備ということが非常に必要になってくることは御指摘のとおりでございます。われわれとして県から聞いておるところでは、県はこの問題を漁協の合併によってやりたいというふうに考えておりまして、最終目標として、奄美大島の漁協二つと、それから与論島、沖永良部島おのおの一つということで、一三の漁協を四つの漁協にして、経営基盤の強化を図っていこうということを考えているようでございます。したがいまして、私どもといたしましても、やはり経営規模が小さいと、おのずからそこに限界がございますので、県のこういった合併計画につきましては、その必要な助成をいたしまして、大いに推進してもらうようにしてやっていけば、奄美諸島の漁業というものはかなり前途が明るくなってくるのではないかというふうに考えております。  なお、漁港について漁港部長から若干補足をさせます。

矢野照重水産庁漁港部長

○説明員(矢野照重君) 漁港の整備の状況につきまして補足説明いたします。  先生御指摘のとおり奄美の漁港整備につきましては、四十八年までは自治省所管でやっておりまして、四十九年度からその実施計画の策定あるいは実施につきまして水産庁の方でやることになりました。それで、四十九年度以降奄美振興計画に基づく整備計画が立てられまして、と同時にこの計画は漁港法に基づく漁港の整備計画の一環として取り上げることにいたしまして、早町、大熊、知名、小湊等につきましては、改修事業といたしまして実施することにしております。五十一年度におきましては、以上四港の改修事業そのほか局部改良事業として八港につきまして、事業費約九億八千万円をもって事業を実施いたすことにしております。また今後とも奄美の漁港の整備につきましては、極力努力したいと思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私は、漁業白書から出発をいたしまして、そしてこのいまの大変困難な時期に、四つの基本対策をもって水産庁臨んでいらっしゃる、その一つの柱である沿岸漁業について具体的に伺っているわけです。これから開発をしていくという面が非常に大きいと思うのです。その場合に、先ほど申し上げたように、やはり南西諸島から沖繩にかけてのこの九百キロの海域、長さ九百キロに及ぶこの海域だと思う、その問題について私は伺ったわけです。ですから、これは日本の沿岸漁業をどうするかという問題について、私は水産庁が弱腰じゃないか、まあいままで弱腰だったんですが、さらに何とかしなければならぬという段階になって、大変弱腰だということを最初から主張しているわけです。ですから、まず奄美群島から沖繩にかけて、沿岸漁業で開発するという、そういう強い姿勢で臨んでいってもらいたい、そのことが私は日本の沿岸漁業というものを振興していくやっぱり一つの大きな力になっていくのだ、こういうふうに考えておるわけです、長官の見解をお聞きしたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私どもといたしましても、今後、先生御指摘がございましたように、沿岸漁業の振興には力を尽くしていかなければならない。その場合に、いわゆる日本の南の海というものは非常に有望な重要な漁場でございますので、沖繩、奄美にかけての漁業振興にも今後十分力を尽くすように努力をしたいというふうに思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私、沿岸漁業の問題をいろいろ伺っておる間に、非常にいいことを発見したのですが、水産庁の政策、漁業政策の中に、農業よりもはるかに進んだものがあるというものを感じました。それは船を貸す制度というのがあるんですね。漁船を貸すという制度があるんですね。これはなかなかりっぱですね。つまり漁船というものはこれは漁業を行う手段なんだと、財産として見ていかなければならないということで船を貸与する制度というのが試験的に行われている。で、鹿児島と山口と兵庫を、三県を相手にしまして、そして試験的に貸与の制度というものを活用しておられてそれが伸びてきておるわけですね。非常に伸びておるわけです。農業は、私は農林省は、農林大臣もそうですが、借地農業をやれ、借地農業をやれと盛んに最近主張するんですよね。ところが、国自身なり県自身は合理化法人とか、あるいは国は開拓をしたり、開墾したりしますが、みんな売っ払ちゃんですね。貸すなんということしないです。国や県が、農地を貸すという制度を積極的に進めることが、農家も借りて農業をやるという、そういう気構えができてくると思うんですよ。そういう意味から言うと、水産庁がやっておられる船を貸す制度というのは非常におもしろい制度で大変進んでいるという感じがしました。いま三県を相手にしておられるわけですが、実験的に。で、近い機会に保証制度もはっきりしてくるということになりますれば、これは私は非常におもしろいりっぱな政策じゃないかと思うんです。で、奄美から沖繩へ回ってみて、小ちゃな船がいっぱいですよ。十トン以下の船を買おうと思ったら大変ですね。貸すという制度がある。これを積極的に貸すと、こういうやっぱり運用をしていかれるということが大変いいことじゃないかと私は思っております。その点を後またひとつ答弁をいただくことにいたしまして、時間が迫っておりますから、次の第二番目の問題。  その第二番目は、基本対策の三番目に上がっております——全部やりたいんですけれども、時間がありませんから。三番目に上がっております国際漁場におけるところの操業を維持するという、それから開発途上国に対する援助、こういうようなものが三番目に上がっておるわけですね。ところが、私、水産庁の漁業外交——漁業外交と言うんですか、漁業外交と言っていいと思うんですが、大変従来から重要性を持っておりましたし、今後五年、十年にわたって大変重要性を増してくる問題だと思っております。しかし、どうも水産庁の漁業外交——外交というとおかしいかもしれませんが、まあ外交と言っていいでしょう。外交というものが、にかかわらず大変弱いんじゃないかという印象を持っておりますけれども。新聞でわれわれはしょっちゅう見るのはアメリカと日本、日本とソビエト等との漁業交渉、あるいは日本と韓国との交渉が行われております。そういう場合、その二国間協定、二国間の交渉という場合にあって何か操業率を維持するんだとか、資源は減っていないんだとかいう繰り返しはしょっちゅう行われておると、弱いんじゃないかという感じが起こります。これは十数年行っているんじゃないですか。まだ弱いというような印象を受けるんですけれどもね、まあ外務省は御承知のように経済外交については特に弱いですね、そう思います。特に漁業になりますと、これは特に魚という独得な問題を含んでおりますから一層これ弱いわけですから、私は水産庁が今後非常に重要な漁業外交についてもっと積極的な姿勢をとると同時に機構の面でも組織の面でも考える必要があるんじゃないかという点を思っておるんですけれども。ですから、たとえば重要な漁業の相手になるような国に対しては水産庁の職員を在外公館に派遣をすると、急速に派遣をするという程度のことをやったらどうですか。農林省いろいろ行っていますけれども、水産庁がやっぱり専門家がそういう在外公館に駐在するという政策をとる。さらに、水産庁の中にも何かそういう課なり何なりでいいから何かつくってお進みになったらどうだろうという私は感じがしてしょうがないんですがね。これから大変に重要視するからぜひそういうことをお考えいただきたい。大臣のひとつ見解を伺いたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もいま鶴園さんと全く同じような感じを持っているわけでありまして、去年なんかも一方では日ソ漁業交渉をやる、日中の漁業交渉も同時に行わなきゃならぬあるいは日米交渉もやらなきゃならぬということで、国会もありますし、水産庁全く人がいないというような感じをもうしみじみと感じたわけでございますし、これからも海洋法会議が終わったとしても、今度は日本と漁業交渉しなければならない国が大変たくさんあるわけですから、そういう国々との間に積極的に漁業交渉をやらなきゃならぬ。これは外務省に任せるわけにはいかない、やはり専門的な分野ですから、水産庁が出かけていって、具体的にどういう点で漁業交渉をするか、入漁料はどうするか、どういうことで日本の水産の実績を保つことができるか、というふうなことを専門的な交渉に入っていかなきゃならぬわけでございますから、いまの機構、人員ではなかなかそういう多面的な漁業交渉に対処することはできないと思いますし、また日ソ交渉一つとってみても、われわれの方はほとんどソ連の情報が入らない。ソ連の方はわれわれの情報は完全に握って交渉するというふうなことになるわけでありまして、それがやはりわれわれが手足を持っていないというところにも起因することを感ずるわけでございますので、これはまあ今後は非常に重大な時期であるだけに、そうした国際的な漁業交渉等を担当する一つの機構を水産庁の中に持って、そうしてその層を厚くしていかなければ、このピンチはなかなかこれは切り抜けられないということを痛感をいたしておりまして、そういう点では五十一年度の予算でも多少は強化をいたしましたけれども、まだまだ全然足らないわけでございますから、来年度にかけてさらにひとつこの点はどうしてもこれはもう機構の強化というものはやっていかなきゃならないと、こういうふうに考えておるわけであります。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 私も若干のやっぱり人員の増加を行っていただいて、そうして水産庁の中のそういう関係の強化をされる。同時に私はぜひ、在外公館に対しましてやはり水産庁から駐在員を置いておくと。ソビエトなりアメリカなりカナダなりあるいはフィリピンなりインドネシアなりそういうこれから重大視してくるような地域の大使館に対しては駐在員を置くというふうな努力をしていただきたいと思いますですね。これは農林省も相当程度の者が行っておるわけですし、通産省なんかも相当の者が重要なところには派遣しておるわけです。これから急速に重大化してくるわけですし、五年、十年のやはり問題でございますから、そういう問題の考慮もぜひ払っていただきたいと思っております。  そこで、韓国のマグロとの関係、マグロ交渉。これはまあいろいろきりがありませんが、一言だけ伺いたいと思います。韓国と日本とのマグロの問題については、これは航空機を除いては一切チェックするということになっておったんじゃないでしょうか。ところが、いまや貨物船はチェックしない形になっておるんではないか。貨物船もチェックされるんですか。この点をはっきりしてもらわないというと、マグロはどんどん入ってくる、予想以上の物が入ってくると、こういうことになるんじゃないでしょうか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) マグロの輸入につきましては、先生御案内のように、いろいろな問題ございますので、日本政府と韓国政府と話し合いまして、両国の水産庁で向こう側の自主規制というようなことで昨年話がつきまして、四万五千トンという枠を設けたわけでございます。その際、向こうが約束しましたのは、外国人漁業規制法の適用の問題をめぐっていわゆる韓国の独航船が日本にやってきて水揚げするという問題が非常に大きな問題になっていたわけでございまして、韓国はそういったことも考えて、自分たちの力でコントロールできる独航船について枠の約束をしたわけでございます。そのときの話では、運搬船は余りないというふうに聞いていたわけでございますけれども、洗ってみますと、運搬船の輸入が約年間一万トンぐらいあったわけでございます。そこでその点について韓国側に話をしたわけでございますけれども、韓国としては一例を挙げますと、たとえばサモアでアメリカの会社に売る、それをアメリカが特にかん詰めば去年は非常に余っていたものでございますから、要らないから日本に再輸出してくるということになりますと、日本の通関統計ではこれは原産地は韓国でございますので韓国からの輸入になるわけでございます。ところが、韓国政府の立場でいきますと、そいつはどうもアメリカに売っちゃったので再輸出まではおれの方で手に負えないということが出まして、その点から昨年運搬船で一万トン以上入ったわけでございます。そこで、ことしの一月六日からいわゆる輸入の事前確認制度というものを貿管令に基づきましてとっているわけでございます。この輸入確認制度の場合には、そういった運搬船によるものも全部事前に輸入承認とらなきゃならぬ。もちろんこれは確認でございますから数量そのものをチェックすることはできませんけれども、そういったことで運搬船のものも事前に報告義務が課せられております。そこで私どもといたしましては、韓国側の独航船の、向こうが輸出を許した数量とわが方で入ってくるものとをチェックしております。それでことしの一月から三月までの実績を見ますと、向こうの独航船の自主規制というのはかなり厳格に守られているということがわが国の事前確認制度と照らし合わせてやってみた場合にはっきりしたわけでございます。ただ、運搬船にはそういう問題ございますので、これは主として商社それから一部の大手水産会社が特に原料品のマグロを輸入している場合に多いわけでございます。したがいまして、これらの問題につきましては行政指導に限界がございますけれども、わが国のマグロ価格が非常に産地価格が低迷するというような事態が起こった場合には、やはり必要な行政指導を加えてこれを抑えていかなきゃならないのじゃないかというふうに考えておりますが、現在のところ産地価格は一部のキハダ等を除きましてかなり上がっているというような状況もございまして、そういった日本の産地価格の動向を見ながらやはり水産庁としては必要な行政指導は加えなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 運搬船によるやつは、アメリカのかん詰めにどうだこうだという話をしましても、結局国内にはね返るわけですよね。ですから、運搬船の問題についても、いま長官は魚価の状況を見て行政指導したいというお話なんですけれども、これはまた後で論議したいと思いますが、ぜひ魚価の下がらないようにといいますか、低迷しないような形に運搬船の問題についても十分行政指導をしてやってもらいたいということをひとつ申し上げておきたいと思います。  あと時間が少なくなりましたですが、もう一つお尋ねをしたいのは、鹿児島県が——鹿児島県と言ってはまずいですかな、名前は鹿児島ミクロネシア漁業視察団というものが一月の十八日から三十一日まで出たわけです。これは県の部長も課長も入って、試験場長も入って、漁協の組合長等も入って九名だったと思いますが、ミクロネシアへ行って、そしてグアム、サイパン、ポナペ、トラック島等々に出向いたわけですね。そして二つの目的があって、一つは二百海里というふうになった場合に、一体この地域における状況はどうなってくるのか、もう一つは生きたえさの捕獲ができるかどうか、あるいは買うことができるかどうかという問題を持っていったわけですね。私はこれは非常にいま二百海里の問題が出て、そして全国の漁業基地にあっては大変暗い気持ちでおると思うのですね。それから、いてもたってもおれぬという不安感もある。だから、自分らの目で見に行こうという感じもあるのじゃないかと思うのです。調べてみたいという感じがあるのじゃないかと思うのです。そのことは一体水産庁の政策としてこれはやはり不十分な点があるのじゃないかという感じを私は第一に受けたわけです。  いずれにいたしましても行った。そして約二週間にわたって大変に広い地域にわたって見て視察をしてきたわけですね。この地域というのは御承知のようにアメリカの統治下にありますね、いま。委任統治下ですね。それで約三百万マイルという大変に広い海域にあって、そこに二千の島がある。そしてミクロネシアという形に一応まとまっておる。かつて、ここは、いまでもそうですが、日本のカツオ漁業の六割がここの漁場ですね。カツオにとってはここは最大の世界の漁場なんです。そこの行く先が不安だということで、直接現地の人が行って、見たり聞いたりしたいという、いてもたってもおれぬという状況なんですね。そこで私は、このカツオの最大の漁場であるミクロネシア海域の問題について、一体水産庁としては、アメリカに対して、あるいは現地に対してどういうような折衝を行っていらっしゃるのかという点が一つです。  それからもう一つは、カツオは御承知のように、ほかの漁業と大変違っておって、生きたえさを、大変な量を持って四千キロ、五千キロ、六千キロと生かしたまま持って行かなければならない。しかもその量というのは大変なものでありますし、油と同じ金額ですね、水産統計を見ますというと。油の金額と同じぐらいのえさ代というものを持って、生きたものを生かしたまま持って行かなければならない。で、現地で買えないのか、現地でとれないのか、あるいは現地でとったものを蓄養できないのか、という点は大きな関心だと思うのですね。その点については水産庁も、水産資源センターですね、前、久宗さんがやっておられた、いま安福さん、安福センターとわれわれは言っておるのですが、等々通じていろいろやっていらっしゃると思うのですが、そういう問題についてはどういうふうにやっていらっしゃるのか、どういう見通しを持っていらっしゃるのか。手ぬるいのじゃないかという感じがしてしょうがないのですけれどもね。  それから日本と豪州との漁業協定ができていますね。その日本と豪州との漁業協定が、これは一九六八年にできたわけですが、昨年その中のパプア・ニューギニア、これが独立をいたしましたね、独立国になった。この海域がまたカツオ・マグロの、これはマグロも含めまして大変な漁場なんですね。この独立をしましたパプア・ニューギニア、この国の海域との二国間漁業交渉はどうなっているのか、どういう見通しを持っていらっしゃるのか、この三点、お尋ねいたします。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から、水産庁、手ぬるいのではないかという御批判があったわけでございます。最近よくイシコフは世界中飛び回っている、韓国の姜庁長はいつも韓国にいないぐらい先頭に立って外国の韓国漁場確保をやっておる。お前は何をしておるのか、というような批判を水産の業界誌等に書かれるわけでございます。  そこで、私の非常な悩みは、実はこれは二百海里時代がはっきりすれば、私はそれを大いにやらなければいかぬと思っております、当然やるべきだと思うのでございます。ところが、ある国が二百海里をやる、日本はそれを認めていないわけでございます。したがいまして、政府が先頭に立ってやることはできないわけでございます。たとえば外国の二百海里を認めて入漁料の交渉を政府がやるということになりますと、これは二百海里を認めたことになるわけでございます。ところが、わが国は厳として領海三海里でございまして、あとは公海であるという立場をとっておりますので、そんなものに政府としては入漁料を一文も払うべきではないという立場でございます。したがいまして、私が先頭に立って飛び回りたくても飛び回れないというのが残念ながら現状でございます。しかし将来二百海里がはっきりすれば、そういうことを大いに水産庁としてやらなければならないのではないか。先ほど在外公館ふやせとかいろいろな話がございました。また大臣からもそういうことを考えているという御答弁がございましたけれども、私も当然そういうふうなかっこうにならなければならないと思っております。  そこでミクロネシアの問題も実はそういうことなんでございます。現在アメリカは、二百海里の漁業保存水域の法案を出しましたけれども、ミクロネシァを除いてございます。したがいまして、あの海域は、少なくとも領海外については十二海里の外については、これは公海なわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、これそのものの扱いがどうなるかというのは、私どもが聞いているところでは一応アメリカの法律では除外されていても、何か自治的なミクロネシアの議会は二百海里をやりたいというようなことを言っておるというようなことを聞いております。そこで、そういうことが国際法上もはっきりしてくれば、これは何かやらなければならぬということになると思いますが、そこで現在そういうこともございますので、アメリカとミクロネシアの問題については直接的な話し合いをしておりません。しかしいずれにいたしましても、八月にアメリカと漁業協定の話をするわけでございますから、その際、アメリカの信託統治領になっておりますので、ミクロネシアの問題も話してみたいとは思っておりますけれども、現在、そういった状況のために直接的な交渉はしておりません。  それから、えさの話でございます。確かにカツオの場合には生きたえさの確保が大事だと、これを外で調達できれば一番いいわけでございます、経費的にも。そこで安福センターと先ほどお話がございましたけれども、安福センターで過去三年間いろいろ調査しております。そこで、一部有望なところも出ておりますけれども、ただ、向こうがトラック以外は外国漁船には生きたえさは売らないというような法規を持っておりますので、その辺のところがこれからの交渉事項になってくるわけでございます。ということで、決して私どもといたしましてミクロネシアのカツオ漁業における重要性というものについて、これを無視しているというようなことはないわけでございますけれども、そういったことでこれからの大きな問題になってくる問題ではございますが、現状はそういうことになっております。  それから、パプア・ニューギニアの問題でございます。それで、パプア・ニューギニアは従来豪州の領土でもあったものでございますから、独立前は豪州との漁業協定でカバーされていたわけです。これが独立いたしまして、とりあえずその豪州との協定を継承いたしましたが、ことしの秋にそれは切れることになっております。したがいまして、ことしの春以来交渉をやっておりまして、また、近く話をすることになっておりますが、現在のところは、二百海里でなくて十二海里の専管水域の問題をめぐってのいろんな問題、それから漁船の入港の問題だとか、そういう問題等ございます。  以上でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 長官はそんなことを言っているから取り残されちゃうんだ。決まってからやろうなんていう話をしているからですな……。それはお役人の考え方ですよ。おれも役人だったら、そういうことを言うかもしれないですけれども、それじゃ済まないですよ。とにかく戦々恐々としているのですから、いま。その場合に、わが国は三海里だと、あとは知ったこっちゃねえ、どこでも行ってとるんだというような話では、それは全くお役人の話ですな。私は、水産庁長官みたいな人を、次長を、三人か四人ぐらいつくって飛び回らしたらどうですかね、これ。ソビエトの漁業相なんていうのは飛び回っておるそうですな。大変なそうですよ、長官がおっしゃったように。韓国の漁業庁の長官も世界じゅう飛び回っておるらしいですね。動いていないのは日本の水産庁だけだというのですよ。それは、いま日本は、ソビエトと、それから韓国に行ったり、アメリカとやったりということはやっていらっしゃるのですがね、大体三海里でがんばっておるわけですからね。あとは知っちゃいねえ、そのときになったら、そのときに考えるというような話じゃ、これはいかぬですな。やっぱり行ったらいいじゃないですか。行って事情を調査したりなんかする必要あるでしょう。どういうわけか、それは人間が足りないと、こうくるわけです、これは。それで、私はさきに、そういうことにならないように大臣にもお願いしたわけです。若干の人間をおふやしになったらどうですか、在外公館にも職員を派遣されたらどうですか、できるのですから。農林省として派遣されたらいい。そして、事前に同意をお受けしたらどうかいということもわからなければ、それは全国の漁業基地においては、これはいても立ってもおれませんわ。何で大変な金を使って、こんな九人もの人たちが一月の末の忙しいときに行って聞いてくるかというわけですよ。それは不安でいても立ってもおられぬわけですよ。それに対して農林省は、水産庁は、わが方は三海里だ、二百海里は決まってからだという話では、これはどうもお役人の話じゃないかと。それはたてまえでいいですから、しかし、実際の実情は十分把握をしているという状態の中で進めていっていただかないというと、これは困ると私は思いますけどね。どうも、だからそこのところ穴があいているな、これは。大臣、どうですかね、ちょっとこれはおかしいよ、これは。まあ筋は通っています、りっぱな筋が。(笑声)

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま申し上げましたようなことで、水産庁としては、そういう立場にあるわけでございまして、そこでこれを補う意味で、たとえば海外漁業開発財団の荒勝理事長、あるいはお話のございました安福君とか、水産庁のOBが多いわけでございますが、昨年からことしにかけてそういうような人々もずいぶん外に出てもらっていますし、いろんな形でわれわれとしてやるべきことはやっておるというふうに御了解いただきたいと思うわけでございます。ただ、水産庁として、いま二百海里の入漁料の交渉はできないということでございますので、実態把握につきましてはそういう準水産庁と申しますか、あるいは準民間なのかわかりませんけれども、そういった機関を動員いたしまして、大いにやるべきことはやっているというふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 時間があればもっと具体的な内容でひとつ論議をしたいと思うのですけれども、私の持ち時間が五分ほど超過いたしておりますから、いずれ改めて水産庁長官のところへぼくは直接出向いて、こうなっているよと、報告書もちゃんと来ておるわけですから……。安福センターにいたしましても、荒勝理事長にいたしましても、そこのところをもっとハッパをかけて、きりきり舞いさせるぐらいに動かなければ、ちょっとやはり後手に回りますね、いまの状態では。せっかくそういう二つのりっぱなものがあるわけです。ですから、ぜひもっと——三海里のたてまえで、おれはじっとしておるのだという話でなくて、積極的な行動はやっておいていただきたいと思いますし、それからいろんな意味の情報なり、それから民間のやる場合の援助なり、そういうものをやっていただかなければいかんと思うのです、これ。それだけ申し上げまして終わることにいたします。     —————————————

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) この際、委員の異動について御報告いたします。  昨十二日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として河田賢治君が選任されました。  また、本日、河田賢治君及び向井長年君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君及び藤井恒男君が選任されました。     —————————————

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 私は、第一点は海洋法をめぐる漁業政策、第二点は、先日妥結をみました日ソ漁業交渉の結果、減船を強いられましたニシン漁船関係者に対する政府の補償問題について、第三点が法案の内容についてお尋ねをしていきたいと思います。  まず、大臣に所感をお尋ねしたいと思うのですが、第三次国連海洋法会議は一応終わりまして、今回は、草案改定にのみ終わった会議でありましたが、まだ海洋新秩序の断定的な予想はややむずかしい。不可能であるにしても、遅かれ早かれわが国への影響性というものはかなりあるということははっきりしてきているわけでありますが、この点について、今回の会議を振り返って大臣の所感を承りたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 今回の会議におきましては、昨年のジュネーブ会議で配付されました単一草案に基づきまして各委員会ごとに逐条審議が行われたわけであります。各委員長はこれらの審議を踏まえて改定単一草案を作成をし、会期の最終日に各国へ配付をいたしました。この改定単一草案のうちの経済水域の内容等、漁業関係条項につきましては、若干の文章上の修正はあるものの、ほぼ昨年の単一草案の規定をそのまま大体踏襲をいたしております。したがって、今回の会議におきましては、わが国にとりまして、一層不利になるという修正案は一応阻止することに成功したと考えるわけでありますが、今後引き続いてまた八月から開かれるわけでございますので、伝統的漁業国の正当な利益が確保される公平な制度となるように、二百海里問題については、われわれとしては、最大限の努力を払っていかなければならないと考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 いずれにいたしましても、わが国を取り巻く内外の諸情勢というのは年を追うごとに厳しくなっていくわけでありまして、領海十二海里、経済水域二百海里というのは世界の大勢となってきておりますし、わが国は、この外国の沿岸二百海里以内で上げる漁獲高は四百五十万トン。この実績を今後いかに守るかということが一つの焦点になろうと思うわけでございますが、この点について現時点でどういう対処の仕方を考えておるのかお伺いをいたします。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 国連海洋法会議の動向、米国の専管水域法の成立等わが国の遠洋漁業の前途は非常に厳しいものがあることは御案内のとおりであります。われわれ政府といたしましても、国民の動物性たん白資源の過半をこの水産に頼っておるわけでございますので、遠洋漁業の地位の重要性にかんがみまして、特にわが国にとって非常に重要な漁場であるところの北太平洋漁業の関係国に対しましては漁業交渉等を通じまして多面的な対外折衝を続けていかなきゃならぬと思いますし、また発展途上国に対しましても海外漁業協力、合弁事業等も通じまして関係国との協力、協調を推進することにおきましてわが国の漁業の操業の確保、実績の確保ということは何としても行わなければならない。大変むずかしい問題はこれから起こってくるわけでございますが、操業実績の確保ということに対しまして今後ともあらゆる面で全力を尽くしてまいらなきゃならないと、こういう決意であります。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 午前中亀長参考人からいろいろ公述があったわけでありますが、海洋法会議が決まって各国批准し、それが浸透して完全にそれが施行されるというか、だんだん締め出しが厳しくなるというところに至るまで大体二年から三年ぐらいは、というような見通しを述べておりましたが、まあこの日ソ漁業交渉を見てもわかりますように、どうしても日本の場合は若干見通しが狂う、甘過ぎる、こういう点の反省を後からしでおるわけでありまして、もっと急速にやはりこういった新しい海洋新秩序というものに基づいた国際漁業情勢の深刻な場面というものが到来するんじゃないか。そのように厳しく見ておいて、そのための対処というものを早急にやはり打ち出していく、実行していくということが必要であろうと思いますが、水産庁当局としては先ほどの亀長さんの二年から三年ぐらいは、というこの考え方に対してどのように見解をお持ちになりますか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私どもも亀長参考人の御意見のように、仮に二百海里の経済水域というものが国際法の原則として確立されると、すなわち新海洋法が必要な関係国の批准を得て発効するのにはやはり二、三年はかかるだろうというふうに見ております。これはどういうことかと申しますと、ことしの八月から九月にかけてまたニューヨークで会議がございます。最も希望的なケースとしては、そこで意見がまとまって、それから来年の春に調印をするような会議がある、そこでまあ各国が調印いたしまして、今度はその批准が必要になるわけでございます。そうすると、恐らく新海洋法では少なくとも四十カ国ぐらいがその批准書を国連に寄託したときに発効するということになると思います。そうしますと、過去の航海条約、領海条約あるいは大陸だな条約等の経験から見ますと、どうしても二、三年はかかるんじゃないか。それぞれの国内手続が違いますけれども、国会にかけるとか、いろんな国内手続があるわけでございますから、そこで発効するのにはやはり二、三年かかるんじゃないか。したがって、いわゆる法律上はっきり経済水域が確立されるのにはそれぐらいかかるんじゃないか。実際上もうちょっとかかるかもしれぬというふうに思っておるわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 全体的にはそういうことだろうと思うんですけれども、まあ新海洋法に先駆けてアメリカの場合は決議をした、それにならってというようなところも出るんじゃないかというふうに考えられますので、その点に対するやっぱり対処の仕方もいまから考慮すべきじゃないかと、このように思うわけであります。  それからまた、すでにある二国間協定による漁業ですけれども、先ごろ米国の上院で、外国漁船には、米国漁船に割り当てた残りの分を過去の実績に応じて配分する、こういった法案が通過をしておりますし、また先日妥決した日ソ漁業交渉も実質的にはソ連の二百海里経済水域的な厳しさで押しつけてきた、こういうことであります。現在日米、日ソあるいは日韓、日中、日加などといった二国間漁業も今後同じような厳しい条件がつけられていくのじゃないかというような可能性が十分考えられるわけでありますが、現在の協定を基礎にもっともっと日本のこれまでの既存益権というものを保持するための交渉に政府としては本腰を入れなければならないんじゃないかと思いますが、この点についていかがですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 今後特に北洋漁業につきましては、アメリカ、ソ連等いろいろ漁業交渉しなければならないわけでございます。ただその場合に、単一草案の考え方にあらわれておりますように、まことに遺憾ではございますが、やはり沿岸国の力が非常に強くなってきているという時代になってきているわけでございます。したがいまして、これからの漁業交渉は従来のように公海は自由だと、その公海自由を前提にしてその中で資源保存について協力しようというような協定よりは、やや向こうのいわゆる沿岸国の力が強くなったような形で交渉しなければならないということになりますので、交渉自体はもちろん攻め込んでいかなければならぬわけでございますが、やはりわが国が受け身にならざるを得ない局面が多くなっていくんじゃないかというふうにわれわれとしても覚悟しているわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 それで、この二国間漁業協定なんですが、現在のところ、わが国が協定結んでいるのは十カ国程度ということなんですが、特に中南米やアフリカ諸国など発展途上国とはほとんど現在のところ没交渉状態と思われますが、非常に、今後国際漁業情勢というものは厳しい方向へ進んでいくわけでございますので、こうした発展途上国における新漁場の開発というものについてももっと政府が施策を講じなければならないんじゃないかと思いますが、この点についてはどういうような方針お持ちですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 現在発展途上国であるインドネシア、モーリタニア等とは民間協定があるわけでございます。なぜ民間協定になっているかということでございますが、これは先ほど鶴園委員に御答弁申し上げましたように、管轄権に関する基本的な立場の相違がございますので、現在のところ、二百海里、あるいは領海がかなり広い立場をとっているような国との間で政府間協定ができないということがございますので、民間協定でそれをカバーしているわけでございます。  なお、これらの開発途上国に対しましては、わが国としてはこれらの開発途上国における漁場を確保するために、経済開発費等援助費による無償援助、あるいは国際協力事業団を通じての技術協力等をやりながら、民間ベースの話し合いを側面的に援助していくということで今日までやってきているわけでございますし、当分の間やらざるを得ないわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、二百海里というものがわが国もこれを認めるというような段階になってくれば、当然政府が前面に立っていろいろな援助等を活用しながら、そういった開発途上国におけるわが国の漁場確保というものについて先頭に立ってやらなければならぬということはもう当然だというふうに私ども考えておるわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 今後、世界じゅうどこへ行っても経済水域の権利を主張されますし、それから資源保護の問題では入漁料等の要求をされてくる。こういうことで、これまで沖合いから遠洋へということで日本の場合は水産王国を築いてきたわけですが、とりっ放しの漁業ということではだんだん締め出しが強くなってくる。その点今後、需要関係者等の間に、そういった点について政府としてはどういう指導あるいは援助ということをやろうとされるのか。あるいは将来ビジョンというものについてお持ちでしたら、この際お示しいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 漁業の継続的な維持のために必要なことは資源の保存、非常にとり過ぎて資源をつぶしてしまえばその漁業は成り立たなくなるわけでございますから、資源の保存ということは非常に必要でございます。したがいまして、水産庁あるいは県におきましても、いろんな形で規則を決めまして、たとえば体長制限だとか漁期だとか、いろんなことを決めて資源保存を図っておるところでございますが、これにつきましては、国内でそういう措置をとっていると同時に、ソ連と話し合ってサケ・マス等についていろんな規制措置をとっているということで、国としては、あくまで資源保存の重要性にかんがみまして資源保存については業界の協力を得ながら、今後も十分やっていかなきゃならぬということはもう先生御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても、そのつもりで水産行政の実施に当たりたいというふうに考えているわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 これまでもそういった面の指導はされていると思うんですが、どうしてもやはり日本の漁業のこれまでの体質といいますか、といったことがよく守られないできた。特にソ連なんかの場合からは、日本の場合は調査船であっても商業的な操業の船と変わりないというような、きわめて、そういった点に対する厳しい見方をしているわけでありますが、従来よりはやはりそういった点の指導を強化される必要があるんじゃないかと思いますが、その点いかがですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ニシンの調査船の問題でございますけれども、昭和四十六年にいわゆる抱卵ニシンの禁漁がございましたときに、その後調査をどうするかという話が出たわけでございます。わが方は、やはり商業的な漁獲をある程度続けて、そこからサンプルを取って調査を続けていかないと、実際の資源の大きさはわからないのじゃないかということで、調査船にある程度商業的漁獲に近いような漁獲を許していたわけでございます。それに対してソ連の方は、科学調査船と言えば本当に科学的なごく少量とってそれをサンプルの分析をやるというようなふうに考えまして、そこに多少考え方の違いがあった点はございますけれども、その後四年間、ソ連は日本のそういった漁獲を認めてきたわけでございますから、必ずしも日本が調査船という形で乱獲といいますか、商業的漁獲をやっているということではございません。ただ、そこに多少両国の了解の違いがあったということはあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、日本のニシンの調査船が特にとり過ぎているというようなことはないのではないかと思っております。  それから漁業の場合、これはどうしても漁業者というものはそこへ泳いでいる魚があれば、これをとりたいというのは自然な気持ちでございまして、それである程度、場合によっては規定のノルマをオーバーするというようなことも全然ないわけではございませんけれども、そこはやはり取り締まりを行うと同時に、漁業者の人たちに対して十分な教育、これは私はやはり子供のころから教育しなきゃいけないんじゃないかというふうに思うわけでございます。と申しますのは、ややよけいな話になりますけれども、アメリカ等では、釣りをしている子供を見てますと、小さい子供でも小さい魚が引っかかればそれはもうすぐ、びくに入れないで、川に返しているわけでございます。ところが、われわれはどうも、私自身でもそうであったわけでございますけれども、子供のころ釣りをしてどんな小さいやつがつれても、これはうちに持って帰るというふうな、何かそういう資源保護に対する考え方がやや違っている面があるんじゃないか。私はやや、漁業がともすればとり過ぎになりがちだという問題もいろいろ考えることがあるわけでございますけれども、やはりその場合には取り締まりだけでは限界があるわけでございまして、やはり漁業者の教育、基礎的には子供のころからそういった教育をしていく必要があるのじゃないか。やや話が大げさになりますけれども、そういうような感じを持っております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 先ほど鶴園委員からもお話がありましたように、ソ連や韓国では、漁業相みずから世界じゅう飛び回って、各国との漁業協定や協力関係を推進しているわけでありますが、たとえばソ連の場合、ニュージーランド沖の豊富な漁業資源に目をつけて、もうすでに十年以前から大規模な調査船を送り込んでいると聞いておりますし、またアフリカや中東では漁港や冷凍倉庫を建設したり提供したりしての協力関係を深めていると聞いております。それに反して日本では、このニュージーランド沖の調査をやっと五年前からスタートをしたばかりだというのですが、それも現在民間主体ということでありまして、今後の問題としてですけれども、やはり政府が主導権をとって、こういった開発途上国と日本との間の漁業の技術あるいは資金援助あるいは資源の共同活用、こういったことについて進めるべきじゃないかと思いますが、先ほどから論議を交わしますように、日本の場合まだ領海三海里ということで、そのたてまえがあってなかなか公的な動きはできないにしても、やはり調査あるいは援助の段階でもっともっと水産庁自身の、何といいますか、指導体制あるいは実際行動をもっと高めていくという点で、相当強力な体制で今後臨むべきでないかと思いますが、その点いかがですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ソ連が非常に科学調査をやっておるというお話がございました。これは確かにそのとおりでございます。それでわが国の場合は、特に遠洋漁業というものは、いわゆる大手水産会社が先頭になって、ずっと開発してきた関係がございますので、いわゆる商業的に成り立つようなものにつきましては大手水産会社が先頭に立ってかなりやってきたわけでございます。ところが、ここまで水産資源がもう世界的に開発されてまいりますと、なかなかそういい漁場はない。そうすると、大手水産会社に任せておきますと、その場合にはやはり会社経営でございますから、どうしても採算が問題になるというようなこともあって、新しい漁場開発をやらないというようなことが起こってきたわけでございます。そこで昭和四十六年でしたか、いわゆる開発センターをつくりまして、国が相当な金を出しまして、開発センターが中心になっていろいろな資源開発をやっているわけでございます。現に昨年からは深海丸という世界に例のない、非常に深い、千六百メートルから二千メートルぐらいのところを引けるようなトロール船をつくりまして、それを操業させながらいろいろな資源調査をしているということで、私はいまのわが国の資源の開発調査は決して国際的におくれているとは思っておりません。そこで、今後ますますそういった情勢になってまいりますので、民間には任せておけませんから、こういった資源開発センターの調査、あるいは水産庁の試験場の行う調査等をますます拡充してやっていかなければならぬということは、先生の御指摘のとおりだと思っておるわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 漁場の獲得ということについては今後大いに努力しなければならないわけでありますけれども、新しいたん白源の開発という点で、深海トロール、それから南氷洋のオキアミの開発ということを言われておりますが、これについて具体的にいままでの経過と今後の方針、ありましたら説明をいただきたいと思います。   〔委員長退席、理事鈴木省吾君着席〕

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 五十一年度の開発センターの事業の計画によりますと、いわゆる深海丸の操業による遠洋の底びき網の漁業につきましては、ニュージーランドの南方沖合い海域においてこれを実施する計画を持っております。  それからオキアミにつきましては、クイーンモードランド沖合いで、隻数は一隻でございますけれども、中層びきの操業をやりまして調査をしたいというふうに考えております。なお、オキアミでございますが、これは最初かなり大きな資源量があると、しかしこれをどうやってとるかということがなかなか解決できなかったわけでございます。それについて開発センターが中心になりましていわゆる中層びきでこれをとるということがもう技術的には確立いたしましたので、今後はこれを民間の開発にゆだねていいのではないかと思っております。ただ問題は、資源的にはかなり大きな資源があるわけでございますけれども、この加工利用面がうまくいかないと、とってきてもうまくさばけないということになるので、これからやはりそういった面をまず片づけてオキアミの開発ということをやるべきではないか。とる方につきましては大体技術的な問題は片づいている段階でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 次に、日ソ漁業交渉を振り返っていろいろな点でお尋ねをしたいと思いますが、四月二十九日妥結された日ソ漁業交渉、例年厳しかった状況なんですが、今年はさらに厳しくなりまして、相当の痛手をわが国は受けることになったわけであります。ソ連の要求が厳しくなった裏には、米国の沖合いにおいてソ連が大幅に漁獲量を削減されたということもあるでしょうし、それから各国が二百海里専管水域を主張し始めてきたということを背景にして、すでにソ連は新海洋法を想定して北洋沿岸国として自国の資源確保に積極的に出てきたんだろうと、こういうように見られるわけでありますが、今回の日ソ交渉はこうした背景で特に日本に対してはニシンを前面に出してきて、サケ・マスとの対角線交渉で押し込んできた。こういうふうに報道されているわけでありますが、それに対して日本の方は例年どおり各種魚種について要求を固めていこうと、こういうやり方で従来どおりの交渉のし方だったのです。そうして交渉の終わった後で振り返ってみて、やはり相手国のソ連の置かれている立場、あるいは思惑に対するわが国としての分析や見通しが不十分ではなかったのかと、こういう代表団の人たちの反省もあるわけでありますが、大臣この点についてはどのような御反省あるいは御意見をお持ちですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私たちは、今回の日ソ漁業交渉は相当厳しいものになるということは重々予想はしておったわけであります。というのは、いまもお話がございましたように、アメリカが経済水域二百海里の法案を設定をするということが決まった。これは日本も大きな影響を受けるわけですが、ソ連も非常な大きな影響を受けるわけであります。それから、ソ連の五カ年計画で漁獲高を三割ふやすということをソ連の五カ年計画で決めた。そういうふうなソ連の遠洋漁業に対する非常な積極策の推進、そういうふうなことから見まして相当厳しいことになるだろうと。またわれわれが情報として入手した限りにおいては、ニシンなんかについても全面的な禁漁をするんだということをソ連はにおわしておったわけですから、これは相当私は厳しくなるのであろうということはかねがね予想して交渉団もその覚悟で行ったわけでございますが、そのとおり非常に厳しかったわけでございます。が、最終結果としてはサケ・マスについては八万トンのラインを確保することができたわけでありますし、ニシンにつきましても、全面禁漁という最悪の事態を避けて半分になりましたけれども、半分は削減されましたけれども、半分の操業を確保することができたということでございますから、非常に厳しい状態の中では私はまあまあの成果は上げ得たと、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。で、これは今後のことを思うとやはり日ソ交渉は今後はさらに今日以上に厳しい事態に直面する可能性もあるのではないかということを私は感じざるを得ないわけでございますが、日ソ交渉の結果は相当なわれわれの厳しい予期しておった状態の中にあっては、まあまあの成果は上げることができたというふうには考えておるわけであります。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 今回の日ソ交渉で、ニシンの場合は二万二千トンと、昨年の五割減でとどまった。だけど、来年になりますと全面禁漁をするという、もう一方的に宣言をしているようでありまして、このニシン同様にサケ・マスも来年は海洋法がらみでかなり規制が強まるのじゃないかというようにいまから憂慮されるわけですが、今後の日ソ交渉に当たってはもう泣き落としや腹芸などでは通用しないことを思い知ったというように交渉に臨んだ代表の方は話されているわけですね。それで先ほど長官は、日本の場合もかなり科学的な調査船を出して、決して他国に劣らないと、こういうふうにおっしゃっているわけなんですが、このソ連との交渉のあれでいきますと、ソ連側は今回の交渉に臨むに当たって飛行機も動員して徹底して資源の科学調査をやって、それをもとにして半減を主張してきた。結局わが国の実績尊重だけで攻めるには余りにもソ連の壁は厚過ぎたと、こういう反省をしているわけでありますが、まあニュージーランド沖の方の調査はかなり長官自信を持って優秀な科学調査を行っているというんですが、今後の対ソ交渉を考えますと、こちらの面も組織的な科学調査による資源データを収集して反論をしていくという方法以外に交渉を有利にまとめる方法はないのじゃないかと、こういう意見が強くなっているわけでありますが、この点についてはどのようにお考えですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 現在わが国といたしましても、北洋の資源、サケ・マス、カニ、ニシン等につきましては、水産庁あるいは県の水産試験場の船、それから民間のデータ等を使いましてかなりの資源調査をやっておるわけでございます。そこで、資源調査の見方につきましては、日ソでやります場合に、大体基本的な点は、同じような手法を使っておりますから変わらないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、海の中の生物資源の話でございますから、かなりのアローアンスがどうしてもすべての調査にあるわけです。そこで交渉のときに、一〇%なり一五%のアローアンスがある、それを上をとるか下をとるかによってえらい違ってくるというような問題もございます。ということで、ソ連と科学者同士で話が合わないということが起こり得るわけでございます。それについて先ほど亀長参考人は、科学者も国益を背景にするというお話がございましたけれども、その考え方は、あるいは手法は同じであっても、見方が違ってくることがあるということがございます。  それからことしのニシンにつきましては、まあわが方も科学調査船あるいはいわゆる調査船のデータでいろいろ標本調査、資源の分析その他やってきたわけでございますけれども、どうも聞いているところによりますと、ソ連はオホーツクのニシンについてかなり昨年大々的な調査をしたようなんでございます。そこで、この点が実はわが方がやろうとしてもできなかったわけでございますけれども、御案内のように、ニシンというのは産卵期に沿岸に寄るわけでございます。そこでこう海が白くなるわけなんですね。というのは、雌が産卵する、そこへ雄が精を出すということで、それを空中から観測しまして、その大きさを調べたらしいのです。これを過去少しやっておりまして、過去に比べてそういう産卵の何といいますか、面積が非常に小さくなっているということを指摘してきたわけでございますけれども、これらはソ連の沿岸でございますからわが国として調査できないところでございまして、そのデータをかなり使われまして、まあ科学者としてもある程度向こうの言うことをのまざるを得なかったというようなことがあったようでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 地元関係者の声の中には、どうも今回の交渉を見ていても、漁期が来たから、じゃあ交渉に入ろうかというような毎度同じような行き方、そういうようにどうも何かせっぱ詰まった、そういう情勢になっているという緊迫感が足りなかったんじゃないかというような声もあるわけですが、こういった地元の関係者の率直な意見に対してどういうようなお考えを持っていらっしゃるか。また、もう一方では、その証拠に、この大事な、困難をきわめると予想をされている交渉に閣僚級の政府の代表が入ってないじゃないか、というような意見がありまして、今後はもっと事前の根回しを十分にやった上で大詰めの段階では閣僚級の政府の代表が交渉に出かけていく、こういうことが必要ではないかと思うんですが、この点についてはどのようにお考えですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘のあった点は、これは非常に大きな問題でございます。と申しますのは、ことしのニシンの調査船のケースを考えてみましても、昨年、ソ連は、日ソ漁業委員会で十二隻の調査船にするということを内々約束しているわけでございます、五十一年度は。それを、資源状態がそういうことになったからこれを半分に切るというようなことで、わが国としましては、関係の漁業者は出漁準備をしているとそれを国際交渉で切られる、というふうになりますと、これは非常に混乱が大きいわけでございます。   〔理事鈴木省吾君退席、委員長着席〕  そこで、われわれといたしましても、かねがねソ連に対して、二年ぐらいの長期取り決めをやろうじゃないかということを主張しております。ただ、現在までのところは、日ソ漁業委員会のやり方は、資源というものを前提にしていろいろ漁獲量の決定、その他の規制措置を決めるものでございますから、なるべく直前のデータをとりたい、米価の決定についてもやっぱり六、七月まで、極力生産費の新しいのをとりたいということで米価を早く決めればいいのが、やはり六月ごろになってしまうということはございますけれども、それと同じように、なるべく最新のデータをもとにしてやりたいという希望がございますので、どうしてもこういう形になってきたわけでございます。ところが、こういう情勢でこうなってまいりますと、なかなかいろいろな問題もございますので、われわれとしては、これからもうちょっと長期取り決めをやろうじゃないかということを従来以上に主張しなければならない。  それから、ハイレベルの交渉というお話がございましたけれども、昨年、安倍大臣とイシコフ大臣との間の話し合いの結果、大臣同士の定期協議というのを一年に一遍やることになっておりますので、そういった機会を活用してやっていけばかなりの改善ができるんではないかというふうに考えているわけでございますが、現在のところ、ソ連との話し合いは資源を前提にしてやるものでございますから、どうしても従来のようなやり方にならざるを得ない。これをことしのような経験を避けるためにはどうするかということは実はわれわれといたしましてもいろいろ内々検討している問題でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 長官おっしゃったように、ニシン漁の関係者の場合は昨年も十二隻という約束があったために古平、函館などの港に全部漁具を積んで、それから一隻当たり乗組員たち三十人乗り込んで出港を待っていたわけですけれども、それが半分に打ち切られたということで大変な打撃を受けているわけです。もともとこのニシン漁は、北海道の零細漁民が主体を占めているわけでありまして、経営基盤も当然弱いし、漁場の転換もそう簡単にいかないという状態で、当面政府による救済措置が必要になってくるわけであります。すでに関係業者の方から六隻で、減船に伴う六隻で十一億六千七百万円の補償の要求申し入れが行われておりますし、水産庁ではこの五月内に結論を約束をされているようでありますが、今回のこの法律案、再建整備特別措置法案のこの法律にはかからないけれども、政府としては予算措置で処理をしたいと、こういう原則はお決めになっているようであります。これはどの程度の救済措置になるのか、もし差し支えなければこの席上で発表していただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 今次の日ソ交渉の結果、調査船が十二隻が六隻になりまして、出漁準備もしているというようなことで、非常に困っているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、そういった国際交渉の結果決まった話でございますし、政府としても必要な救済策をとるべき義務があるというふうに考えまして、現在、財政当局等との話し合いを始めたところでございます。  内容につきましては、ちょっと、いままだ話し合っておりますので……。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 今回減船されたのはニシンとさらにズワイガニ、これは五十年度三十五隻が本年度は三十隻。五隻減少をさせられた。それからアブラガニは三隻が二隻に、一隻が減少するわけですが、このズワイガニ、アブラガニの関係漁民にいたしましても、北海道の零細漁民が非常に何年も赤字を背負いながら未利用の資源を開発して、やっと軌道に乗せてきた、こういう状況でありまして、今回の交渉で一方的に減船措置をとられてしまう。非常に、漁民にとっては泣き切れない思いの今回の措置であると思います。水産庁としては、このズワイガニ、アブラガニの関係者についても同様に財政措置を交渉されておりますか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 東樺太のズワイ及びアブラガニの漁業が削減を受けたということにつきましても、現在、これに対する救済措置を検討中でございます。この問題につきましては、十一日の日に、関係の北海道道庁を初めとして、関係者の話しを聞いたばかりでありますので、現在、いかなる対策をとるか、部内で検討中でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 ぜひ同様に対処をしていただきたいということを特にお願いいたしておきたいと思います。  それで、現在大蔵省と財政の交渉中なんですが、五月中には結論が出るんでしょうか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 緊急に措置する必要がございますので、五月中に結論を出すように努力したい、また、そうしなきゃならぬというふうに思っております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 これは、あくまでも補償であって、あれですか、後から返済をするという融資とは違いますね……。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) まず第一に、出漁をするためにもうすでに網を買ったとか、あるいは人を雇っているとかいう直接経費がございます。それが全然使えなくなったわけでございますから、それは見なきゃならぬと思っております。そのほかに、漁業に伴います一種の権利料みたいな話、あるいは船の償却の問題等もございますので、そういうものは補償ということにはなかなか法律がならないものでございますから、特別救済措置ということで、そういったものを考えていきたい。  それから、ニシンの調査船の場合には、実は十二隻が六隻になっているわけでございます。ところが、ズワイの場合には三十五隻が三十隻になりまして、それから将来の継続性の期待感とか、いろいろな要素がございますので、そういった問題を十分考えながら現実的に措置したい、こういうふうに思っております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 特に、このニシンの漁獲削減によって減船対象船が出たわけでありますが、この人たちは、恐らく漁場を転換するか、何か考えているだろうと思います。これまで、転換する場合、漁場調査が十分されないままに転換されるために、その後経営が思わしくなくてさらに赤字を背負い続ける、こういう例が大部分であったわけでありますが、今後、この減船対策、それから漁場転換の場合、やはり政府が責任を持ってしっかりとした漁場調査をやった上で転換に対する援助もしていく、こういったことが必要であると思いますが、その点についてはどのようなお考えですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 過去におきまして国際協定等で出漁隻数を削られたという場合には、その当該漁業から他の漁業に転換したということが多々あったわけでございます。ところが、今度のニシンの調査船の場合には、現在即時に他種漁業への転換を図ることができないようなところまでもうすでにきているわけでございます。と申しますのは、船が三百トンないし三百五十トンでございますから、こういう大きな船を沿岸に持ってくるわけにもいかない。そうすると沖合いないし遠洋漁業を考えなきゃならぬわけでございますが、御案内のようにもう新しい漁場というのはほとんどない。そこでむしろマグロ等につきましては御案内のように減船しなければならない。それから北転船ももう漁獲の自主規制をやっているわけであります。できればこれも減船したいというところで、持っていくところが実はないわけでございます。  そこで、今度その六隻のうち二隻をこのようにしたいと思って実はいま考えているわけでございますけれども、先ほどお話のございました開発センターで用船しまして、そこでべーリング海から太平洋の中部にかけてのムラサキイカというものの開発をやらしてみたい。これはそういうイカがございまして、多少はとっているわけでございますけれども、それが商業ベースに乗るかどうか問題があるとか、いろんな問題がございまして、いわゆる民間の自由漁業としてはなかなか手が出しがたいものがございます。そこでそういうものを二隻ぐらい今度ニシンの調査船をやめるものをそっちに開発センターで用船しました、そういった新しい漁場の開発というものをやってみようかというふうに思っております。  というような状況でございまして、現在直ちにもう本土の船を転換するところはございませんので、これについては一応調査船の場合には四月から六月の中旬までの漁業でございますけれども、とりあえずのところは、直接休漁するという形で四隻については救済措置をとらなければならないのじゃないかと思っております。  要するにポスト海洋法の問題について一番問題なのは、このように漁獲努力を減らさなければならない、ある業種について。その場合ほかに持っていくところがもはやないというところが、これがわれわれの最大の悩みでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 最後に法案の中身に入りたいと思いますが、これまでいろいろ述べましたように漁業をめぐる国際的要因に加えて石油ショック以来の資材の高騰や魚価の低迷、こういった状況で漁業者は非常に苦しい経営実態に追い込まれているわけでありまして、このために今回水産三法が提出されたと思うわけでありますが、経営が苦しくなり債務が固定化した漁業関係者への救済措置として漁業経営維持安定資金の融資がとられて、この固定化債務を約一千億と、このように水産庁としては見込んでいるわけですけれども、この一千億円と見込んだ推定根拠についてお伺いしたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) この一千億の推定につきましては、農林中央金庫その他系統の調査、それから関係業界の調査等を勘案いたしまして大体一千億というふうに想定したわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 農林中金と関係業界の御意見をまとめてというお話でありますけれども、業界関係者の中では、この一千億では全体的に苦しい、全業者の固定化債務の解消はできないのじゃないか、せめて一千五百億円は最低でも必要だということを述べている人もおります。こういった推定は技術的に非常にむずかしいとは思うのですが、少なくとも水産庁は漁民の現状の苦しい実態というものを徹底的に調査をされまして、せっかくこのような漁民の方の救済の法案ができるのでありますから、さらに十分救済し切れるものとして発足をさしてあげていただきたいと思うわけです。今後漁業の動向によってはこの一千億の枠をさらに弾力的に増額するというお考えはお持ちでございますか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 先生御案内のように、五十一年度については、六百億円の融資枠で固定化負債の整理を進めようと思っております。そこで、これは大体二年計画でやるつもりでおりますので、五十二年度の融資枠については、五十一年の実施段階における状況等も考えながら要求していきたい。これはどの程度固定化債務があるかということが結局の問題になるわけでございまして、五十一年度である程度再建計画その他をとってみますと、大体の規模はより一層はっきりわかるわけでございますから、そうしたことを勘案しながら、五十二年度において必要な措置をとるというふうにしたいと思っております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 それから漁業者から始まって漁業協同組合あるいは県の漁連、県信連、それから全漁連、このように続く漁業関係の組織もまた漁業界全体の悪条件の中で非常に経営実態が苦しいわけであります。たとえば漁業用燃油の現物引き渡しを漁民に対してやっているところも、非常に漁民が経営が苦しいので、代金は返還されない、また融資しても返ってこないという状態でありまして、現状は相当深刻になっているわけであります。今後もそれが好転するかということよりも、さらに領海問題あるいは経済水域の問題も絡んできて、さらに事態は深刻になるのではないかと思いますが、過去に、昭和二十六年、農林漁業協同組合再建整備法、二十九年には、農林漁業の連合会整備促進法、三十五年には漁業協同組合整備促進法、これが制定をされて要求されたわけでありますが、今回もこれに匹敵するような臨時特別法というものを考えていくべきじゃないのか、ぜひそうしてほしいという声もあるのですが、これについてはどうお考えですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 先生御指摘のように、最近非常に漁業経営が悪くなってきているということの反映といたしまして、漁協の財務状況もかなり悪くなっております。われわれの承知しておるところでは、貸付金及び購買の未収金が増加している、これは組合員に対してのことですが。一方、漁協の取引先の資金繰りの悪化等を反映いたしまして、受取手形も増大しているような状況でございます。そこで、このような漁協の財務の悪化の原因には、やはり組合員の経営が非常に悪くなっているということが背後にあるわけでございまして、組合員の問題については、今回の漁業再建整備特別措置法によりまして、漁業経営維持安定資金を出すわけでございます。そうなりますと、漁業者の持っている組合に対する固定化負債の整理を行うのに非常に大きな援助になりますし、さらにその運用に当たりましては、組合から漁業者が借りている貸付金のほかに購買代金も対象とする考えを持っておりますので、これらの経営安定資金が出れば、漁協財務の健全化にもかなり寄与するのではないかというふうに考えております。そういった措置をとってみて、なお漁協の経営が非常に困難だというふうなことであれば、あるいは再建整備ということが必要になるかもしれませんけれども、私の承知しておるところでは、昭和二十年代のあの再建整備をやったときと現在とはまたかなり事情が違うというふうに考えていいのではないかと思っております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 次に、減船補償の問題でお尋ねをしておきますが、現状のように漁業界全般が経営困難で大変なときに、公庫の長期低利資金とはいっても、借入金なわけですから、これに依存して補償するというのは残存業者にとっては大きな負担になることは当然でございまして、この減船補償をある程度政府が行っていくという考え方は持てないのかどうか。また、いま発足に当たって踏み切れないとするならば、今後将来の問題として検討していく考え方はないのか、御説明いただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 今般の法案では、自主的な減船としてやれるものをやっていくという形でそういったものを取り上げておりまして、先ほどからお話の出ておりますようなニシンの調査船のようなケースは、これはまあ計画をつくってやるという話じゃございませんので、ケース・バイ・ケースで措置したいと思っております。  そこで、本法案で予定しているような減船が公庫資金だけでできないんじゃないかということでございますけれども、この公庫資金は償還期限が十年、特認で——それが原則でございまして、十五年というのは非常に長いものでございます。そこで、そういった非常に長期の金融措置をとればかなりの長期の間で漁業経営の状況も変わってまいりますでしょうし、残った人たちがそういった負担を負ってもほぼやっていけるというようなものをこういった自主減船で措置したい。ただ、やってみた結果、情勢が非常に悪くなった、漁業をめぐる情勢が非常に悪い、そこでもう既存の計画すら遂行できないというような深刻な事態になってくれば、それはそれなりでまたケース・バイ・ケースで問題を考えなきゃいけないのじゃないかと思います。ただ、現在のところ、そこまで予定してかかる必要はないのではないかということで、自主減船でやれるものを取り上げるということを考えておりまして、何が何でも減船措置はもう融資だけでやってしまうということは全然考えておりませんし、今後ますますこういった施策を重視していかなければならないというふうには当然考えておるわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 遠洋カツオ・マグロ漁業の五十一年度における予定減船数は六十五隻ということですが、この融資枠三十五億円の積算根拠、それとこの金額で十分とお考えになっているかどうか。  それから遠洋漁業の場合は他国との激しい競争が起きる場合が多いわけでありますが、日本だけが減船しても他国の動向によっては事態の改善につながらない、こういう場合も起こる可能性があるので、関係国との十分な話し合いが今後必要になってくるのではないかと思いますが、この点について。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) カツオ・マグロ漁業の減船の規模につきましては、業界の内部において現在検討中でございます。  そこで、予算の積算基礎でございます三十五億でございますが、これは遠洋カツオ・マグロ漁業に従事している漁船千二百九十一隻——これは四十九年末の数字でございますが、このうち三年間でおおむね二割を減船することを目標といたしまして、五十一年度においてはその四分の一に当たる六十五隻が減船になるということを想定したわけでございます。そこで、融資枠につきましては、一隻当たりの総合補償額につきまして、平年度の漁業純収益を年八分で資本還元した額、これは普通、公共事業等の補償の場合にも資本還元方式が使われておりますので、一応、資本還元した額六千七百万円を算出いたしまして、これに減船の想定隻数六十五隻を乗じ、さらに農林漁業金融公庫の融資率八割をとって三十五億にしたわけでございます。  それから、次の日本の国内でそういうような措置をとっても外国がどんどん漁獲努力をふやしていくということでは意味がないじゃないかという御指摘の点でございます。これはそのとおりだと思います。ただ、魚価の安定につきましては、今後魚価対策というものを非常に強化していくことを考えてまいりますし、まあ、そういった面もあって、われわれとしては、この減船措置によって漁獲努力が減る、減ればそれだけ国内でとる量が減るわけでございますから、価格面にもいい影響があるだろう。資源的にもいい影響がある。ただそれを、たとえばマグロを例にとりますと、韓国や台湾に逆に船をふやされるということでは問題がございますので、私は、国交のございます韓国とは最近いろんな面で漁業上密接な関係を持っておりますので、常にそれを強調しております。そこで韓国の方は船を増すことは考えていないということをはっきり言っております。台湾につきましては残念ながら国交がございませんので、民間レベルでそういうようなことを言う。言っても向こうが非常にふやしてくるという場合には、これは外国のことでございますから、その漁獲努力を削減することはとてもできない。その前の段階として、あるいは国際協定みたいなものを正式に結んでやるというのも一つの考え方でございますし、場合によっては、そういったものを輸入しない。これはなかなか貿易の問題、先生も御案内のようにむずかしい問題ございますけれども、日本でやるべきことをやっていて、どんどん一生懸命減船している、国もそれに援助をしている、業界も非常に苦しみながらやっている。にもかかわらず、そういった事態が起こるということであれば、これはガットの問題等いろいろございますけれども、やはり何らかの、より強力な輸入体制というのはできるんじゃないか。ただ、国内でやっぱりそれをやることが先でございまして、そういうことをやって、なお問題がある場合には、私はやはり輸入体制について、ガットがあるからどうか、なかなかむずかしいんだ、ということだけではなしに、現在やっておる事前確認制度よりもっと踏み込んだ制度が必要になってくるんじゃないかという認識はもちろん持っているわけでございます。けれども、一方、価格政策についても極力政府が力をかしてやっていくということで、そういったことがなくて、うまく経営の再建が、関係漁業者の経営の再建ができるように持っていきたいということを心から願望しているわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 時間が来ましたから終了します。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 持ち時間が五分ということでありまして、二十五分でありますから簡単に聞きます。いまお話があったんですが、関連してまいりますから、いわゆる漁業の整備計画について二、三点聞きたいと思います。  第一は、いまお話がありましたが、私、三、四年前漁業三法——昭和三十七年ですか、四年前に審議したときにも、日本の中古船が外国にずいぶん売られて、これがどんどん活躍をして、焼津にいつか私が見に行ったときにも、日本が輸出したといいますか、売った中古船がどんどん入って荷を揚げている。こういう状況を見て非常に問題があるというふうに、感じたことがあります。当時それを指摘したことがありますが、ここ数年、日本の造船の更新による中古船が韓国、パナマ、台湾等々にどのぐらい輸出されているか、その実態はどうか、お伺いしたい。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) わが国の漁船輸出でございますけれども、最近の数字を申し上げますと、四十五年百三十九隻、そのうち四十二隻が底びき網で、六十九隻がカツオ・マグロ、十二隻がまき網、十六隻がその他と、こういうことになっております。それが四十六年になりますとふえまして三百一隻、それから四十八年が三百八十九隻ということで、オイルショック前において非常に輸出がふえたわけでございます。そのふえた原因は、カツオ・マグロ船の輸出が非常にふえまして、四十八年のごときは二百隻のカツオ・マグロ船が輸出されております。それが四十九年以降かなり行政的にもこれを締めました結果、四十九年は二百七十八隻、五十年は百三十隻ということでかなり隻数が減っております。  それから仕向け地でございますけれども、ちょっと統計ここにございませんが、私の記憶では韓国が一番多くて、その次パナマになっておりますけれども、必要があれば後刻資料として提出したいと思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これについて非常に思い当たることがあるんですが、私の国の方は北陸の日本で有名な繊維産地ですが、織機——はた機を国が買い上げてスクラップにするはずが、いつの間にか韓国やそっちの方に輸出をされて、そこでどんどん生産されて逆上陸をして、減船ではないが、織機を減らして構造改善をやろうとした。しかし、その織機が外国に売られて、それが日本に逆上陸してかえって首を締めているという、こういうことが事実としてありましたが、この漁船の中古船の輸出の動きも、これはよく似たことになるんじゃないかと思います。そこで、せっかく本法成立によって自主減船がなされるとしても、そこでなされた減船が、四十六年三百一隻、四十八年三百九十八隻と、こういうような形で減船のされた船がまた中古船としてほかの国に出されるということでは、私は、さっき問題になった、日本は努力しても国際的全般の関係ではその事態の状況は変わらないということが起こり得ると思いますが、こういう中古船の輸出を規制するとか、これに対する対策とか、こういうことを水産庁はお考えになっておるかどうか、いかがですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 漁船の輸出につきましては、中古船の場合には海上運送法の第四十四条の二によりまして運輸大臣の譲渡許可が必要なわけでございます。この譲渡許可を出します場合に水産庁は協議を受けることになっております。それから新造船の場合には、輸出貿易管理令の運用によりまして通産省がこれを監督しておりまして、これも水産庁と事前に協議をするということになっております。それで、私どもといたしましては、毎年輸出枠を決めましてそれに基づいて運用をしているわけでございます。その結果、四十九年からかなり締めております。そこで、今後におきましてもこの態勢は維持したいと思っておりますが、現実は、枠を締めれば締めるほど輸出希望が非常に出てくるということで、四半期ごとに承認する場合に、これも抽選でやっているわけでございますけれども、水産庁の廊下にかなりの人が並ぶというようなことになっておりますので、なかなかむずかい面もございますけれども、私どもといたしましては、やはり、輸出して自分の首を締めるというようなことではいけないので、極力輸出は抑えるようにしたいということでやっていきたいと思っています。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 これは、日本の大手が、漁業に限らず東南アジア等々に投資をやって、それが日本へ、製品が逆上陸してきて大変困るという、似たようなケースになっておりますから、むずかしさはいろいろあると思いますが、これについては十分な配慮をしてマイナスの結果が出ないようにやっていただきたいと思います。  それから燃油対策ですが、法案の中身のとおり直接助成を求めた漁民に対して政策上は燃油は融資という形をとったわけですが、ヨーロッパ諸国における燃油に対する直接助成が、幾つかの国でなされているといいますが、その実態いかがですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 御指摘のように、石油危機の直後に、ヨーロッパ諸国におきましては、漁業及び施設園芸につきまして燃油の直接助成措置がとられた国が多いわけでございます。これは国によって違いまして、直接助成をした国、あるいはスペインのように石油が専売になっておりますので、専売価格の操作をやった国、というようなことがございますけれども、価格政策を多少やっておりますノルウェーはそのような措置をとらなかったわけでございます。  そこで、最近、外国のことでございますからつまびらかなことはわかりませんけれども、私はOECDその他の報告書を多少見ておりますけれども、それによると、もうスペインははっきりそのような措置はやめたようでございます。恐らくほかの国もやめているのではないかと思いますけれども、はっきりわかりません。そのかわり、やはり漁業の経営が苦しいということは、これは日本だけじゃございませんで、全世界の問題でございまして、ヨーロッパでも、今度ここに提出しております法案で考えているような経営安定資金みたいな、かなりの低利の融資措置というようなものをやっておりますし、それからノルウェーは、価格安定につきましてさらに価格安定基金を増額するとか、われわれが魚価安定基金をつくっていると同じような措置をとっておりまして、燃油の助成措置というのは緊急な一時的な措置としてとられたのではないかと思いますけれども、スペイン以外の国についてやめてしまったというのは私はまだ見ておりません。見ておりませんが、ほかの国の施策を見ますと逐次融資に切りかえているんじゃないかという感がいたします。なお確認はいたしておりませんので、十分調べてみたいと思っております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 去年の十二月に、武道館に一万人ぐらいの漁民の皆さんお集まりになって、われわれも参りましたが、あのときの一番の御希望はやはり燃油に対して直接助成の道を開けと、こういう声が多かったわけです。午前中、全漁連の池尻参考人もその間の経緯についてはお触れになっておりましたが、詳しくは伺うことは私、時間がないですから避けますが、赤字を重ねている漁民に長期低利といえども、さっきの減船の問題と同じですが、やはり、融資ということはある意味においてはこの借金の額がふえていくということになるので、可能ならば、助成の道というものは、燃油については非常に困難な条件の何年間かは開かれていいものじゃないかと思うんですが、再度この点の御見解はいかがですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私どもも、その燃油の助成ができれば、これは一番直接的な政策でございますから、できればやりたいと思ったわけでございますが、ヨーロッパのケースは、漁業が日本と違いまして非常に小さいものでございますから、円にして大体三十億ぐらいの金でやっておるわけでございます。ところが、池尻さんからお話もありましたように、日本でやれば大手を含めて五百億になるというような問題、水産庁の予算が一千億ちょっとでございますから、現実的に非常に問題があるという点と、それから、やはり、生産者に対してそういった直接助成というのは日本の産業政策の手法としてはほとんどないわけでございます。したがって、そういった産業政策上の手法としての問題、それから、これは池尻さんも言いましたけれども、一遍、竹馬になりますとなかなかやめられない。そうすると、日本の漁業は、そういった燃油の助成なしには成り立ち得ないような体質になってしまうと、これはやはり国民経済的にも非常に大きな問題があるんじゃないかということで、私どもといたしましては、今度、五十一年度予算で考えておりますように融資措置とそれから価格対策というものを中心に考えていくということの方が前向きではないかというふうに考えたわけでございます。恐らく、ヨーロッパの国も、最近のいろいろな施策を見ますとそういうふうに考えているんじゃないかというふうに思います。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 大臣ちょっと一言お伺いしますが、大臣も去年の十二月に、漁民のあの武道館の大会に恐らくいらっしゃったと思うんですが、大変な熱気の中で燃油の直接助成の道を開けと、こういう声でした。いま長官の答弁のように、世界各国の趨勢等々も考えて政策的には融資の方向をとられたわけですが、私は、あそこに出た強い漁民の皆さんのあの声をこれからの政策の中にもっと生かして、ぜひ吸収してやってほしいと思いますが、その点のひとつ、ちょっと決意のほど、所信のほどを一言だけ伺いたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 昨年の漁業大会、私は出席をいたしませんでしたが、しかし、全国どこへ参りましても漁民の切実な要求でありまして、特に、補助金にしてほしいというのは切実な要求であったわけであります。私もこの点につきましては、真剣に考えたわけでございますし、各国の法制等も調べたわけでございますが、ヨーロッパの一部の国等も直接助成等はしておるというようなことで、できれば、この助成ということもやれないものかどうかということについて相談もいたしたわけでございますが、やはり漁業者だけに燃油の助成をするということになりますと、他のいろいろと——じゃ、農業関係者はどうするのだとか、中小企業者はどうするのか、といったような、他との公平の問題がいろいろと起こってまいるわけでありますし、これまでそういう点について助成をしたという例がないというようなこともありまして、結局これを断念せざるを得ないんですね。しかし、そのまま放置するわけにはいかない。何とかこれを救済措置を講じなきゃならぬということで六百億の今回融資措置ということにいたしましてやったわけでございますが、なお、今後の推移を見まして——漁業経営は相当やっぱり苦しいわけでございますから、もちろん、こういった燃油に対する融資措置だけでは不十分でございましょうから、その他、われわれとしてできる限りの対策はあわせて講じていかなきゃならないと、こういうふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 ちょっと駆け足でございますが、午前中も参考人に意見をちょっと伺ったんですが、この六百億の融資の中で沿岸漁業の方には一体、枠としておよそどのぐらいが見込まれるかというのが一つと、それから中小漁業という場合に、いまやはり中堅どころの漁業が大変苦しいんだと私は思います。だから、中漁業者に十分な融資の道が開かれるということは、大変業界安定のために大事だと思います。しかし、その一面で中小漁業というと、小零細の小さい方はどうしてもこぼれてしまって、国の長期低利融資等の道が開かれた場合に、そちらの方にはごくわずかしか回らないという場合も過去においていろいろ、これ漁業に限りませんが、あります。そういう点で、今回の政策の具体化の中では、融資の中では、そういう小さい零細小漁業の方にも十分な配慮がきめ細かく行われておるかどうか、これについての対策といいますか、考え方、いかがでしょうか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 五十一年度の予算で講ぜられております石油資金の業種別配分でございますが、これは予算が成立したばかりでございますので、現在作業中でございます。したがいまして、沿岸に対して枠が幾らというところまでまだ固まっておりません。  なお、第一次の石油資金の際に沿岸の、特に小さい人に対して石油の購入代だけを基礎にして計算したもんでございますから、一人三万とか五万とかという額になりまして、これがいろいろむずかしい手続を踏んでまでその程度の額ならばもう要らないわ、というような声があり、さらにその結果、どうもあれは中から大手の方へ回っているのじゃないかというような批判も実はあったわけでございます。実際上、大手には出ていないわけでございますけれども、そういうことがございましたので、ことしはもうすでに予算の審議をお願いしている最中から全漁連等、関係者ともいろいろ話し合っております。そこで、沿岸の人たちがそう不利益にならないようなかっこうでやりたいと思っておりますし、具体的には石油の購入代以外の資材費等も見たい。さらに手続につきましてはかなり簡素化する。ある面については漁協が一括して代理でやれるというようなことまで考えてやらなきゃならぬと、こう思っております。  なお、このことにつきましては、特に手続の問題については会計検査院とか、いろいろ関係方面もございますので、十分相談しながら簡素化してやりたいというふうに考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 中小漁業の構造改善事業がこの中に含まれておりますが、その中で一、二点だけ伺いたい。  一つは、政令で指定される構造改善業種として、当面どういう業種を考えているか、いかがですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 目下のところ、以西底引き網漁業、遠洋カツオ・マグロ漁業、近海カツオ・マグロ漁業、まき網漁業、沖合い底引き網漁業、中型イカつり漁業等を考えております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 日本海の方では、いま大和堆を中心にイカが九州からずうっと北まで、北海道まで上がっていく、かなり長い漁期でありますが、このイカの業種も非常に私、大事だと思いますから、十分ひとつ考えていただきたいと思います。  そこで、先ほど、うちの鶴園委員の方から沿岸漁業の振興についてずっと御質問があって、御答弁がありました。七年で二千億の経費を投じて沿岸漁業の振興を図る、私は大事なことだと思います。それなら、先ほども、つくる漁業ということも大変大事だというお話がありました。そうなると、栽培漁業センターの充実ということが大変大事だと思います。で、日本海に五カ所、これが一応建設されておるのですが、大体この春あたり、ほぼ時間的に言って完成の期間に来ていると思いますが、五カ所の建設状況がどういう状況にあるか、ごく簡単で結構です。  それから瀬戸内海の方は、これは国の経費で運営しているんですが、日本海のこの五カ所は、これはまあいろんないきさつがありますが、府県のいわゆる経費で運営すると、こうなっておりますが、沿岸漁業にこれだけ二千億も投じて力を入れよう、しかも日本海の方はかなり大事な漁場にいまなっておりますが、そういう沿岸漁業を考えれば、こういう栽培漁業センターの運営等は国が負担するというか、もっと助成の道を講じてもいいのでないかと思いますが、これについてのお考え、いかがですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 栽培漁業センターでございますが、四十八年に指定いたしました新潟、石川、福井、島根、山口は五十一年から運営が開始されるわけでございます。そこで当初の私どもの考え方では、運営費は持てないと、いろんないきさつがございまして県単になったわけでございまして、運営費は持てないということであったわけでございますけれども、五十一年度予算では運営費そのものという形では上がっておりませんけれども、助成措置の中で運営費的なものも見るようにしております。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 申しわけ程度じゃないかと思うので、これをひとつ芽が出ているなら力を入れてもらいたいと思うんですよ。やはりリスクとか、栽培漁業センターでつくった種苗が十分生かされるようになるには、かなり経験とか、体験とか、時間が要る。当初はやはり広域にも放し、リスクを含むわけですから、それに対して私はやはりまだ国の助成が必要な段階である、今度、五十一年度に若干そういう芽が出ているなら、もうちょっと大きくしてもらって、余り申しわけ程度にならぬように願いたいと思います。  そこで最後にもう一つ、漁船船主責任保険に関するわけですが、海難事故を少なくするということもこの漁船保険の事業を効果的に行う、健全にする大事な道じゃないかと思います。そこでそういう観点から一、二点お伺いしたいんですが、日本海における漁業のウエートは、近年かなり大きくなってきた。先ほどちょっと触れましたが、イカなんかを見ますと、九州の方からずっと北海道の方までかなりな期間イカが北上していくと、それを追って非常にたくさんの漁船が日本海に集結をし、しかもちょっと浅瀬になる大和堆に非常に漁船が群がるといいますか、ずいぶん集まります。そこで韓国の漁船と接触したり、事故を起こしたり、海難等々があるわけですが、そういう実態は、ごく時間がないので簡潔で結構ですが、どういう状態になっているか。  特に時間の点もありますから、もう一つあわせて伺いましょう。私もいろいろ聞いてみますと、まあ舷々相摩すというような言葉もおかしいですが、船が接触をして向こうの漁民とそこにおるのがすぐ近くになる。そういうところで、こちらは人数が少ないし、韓国漁船は人数が大変たくさん乗っているということで、いろいろ問題を起こしておるようです。そこで一札取られてサインをして、後で大変な賠償請求を受けて困ったというようなことも聞きますし、いろいろまあ問題がありそうですが、大和堆におけるいわゆる日本漁船の安全操業と海上保安についてどういう実態にあり、どういう対策を講じているか、保安庁の方からお伺いしたい。

船谷近夫海上保安庁警備救難監

○説明員(船谷近夫君) 日本海における漁業の安全操業に関しましては、水産庁が県といつも連絡をとりながら事前に海難防止を呼びかけております。で、事件としましては、ときどきやはり衝突事故等がございます。が、その都度、一応民間べースでやるように条約上なっておりまして解決をいたしておるようでございます。  で、海上保安庁の救難体制といたしましては、日本海の保安部に、十三隻の巡視船それから大型の巡視艇八隻等配置をしておりますし、それから航空機につきましては新潟に中型の航空機——飛行機と、それからヘリコプター、それから福岡から出動体制を持っております。仙台にも置いております。また、少し遠距離の場合、あるいは大規模の場合には羽田からYS型を飛ばすように処置しております。またいろいろの救難に関しまして、具体的なことにつきましてはそのつど、体制によって違いますが、医療等を投下するようなこともございますし、あるいはヘリの進出範囲であればヘリコプターでその負傷者等あるいは遭難者等をつり上げるというような措置を講じているところでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いまの救助体制の中で大和堆というのは、北陸の沿岸からは二十四、五時間船で出て、三十時間ぐらいかかるところです。大きな船はいいですが、漁民の小さい船の場合に急病人が出ると、お医者さんを運ぶのに大変困る。船に乗せると荒波で揺れて、もうお医者さんが着いたときにはくたくたになって診療ができない。こういうことで間に合わぬということで、航空機による医療の救急体制を求める声が大変強いですが、あの地帯は第八管区になりますか、管区としては。日本で一つ、管区に航空基地がない場所に当たるというのですが、そこらの実態は一体どうなのか。そしてもしそれが事実ならば、二万隻とか二万数千隻という船が大和堆に集中する事態を考えれば、私は、あの該当する管区に航空基地を置いて、ヘリあるいは航空機によるところのいろいろな体制を整備する必要があるだろうと思いますが、これについてどうお考えか、お伺いしたい。

船谷近夫海上保安庁警備救難監

○説明員(船谷近夫君) 先ほど申し上げました、たとえば新潟から大和堆に飛んでいく場合には、大体ビーチクラフト機で一時間十分くらいかかります。羽田から飛ぶ場合でも一時間四十分ぐらいで大和堆へ参りますが、大和堆というのは大体新潟から、あるいは八管区の舞鶴付近あるいは坂井付近からそう変わらない距離にあります。しかしながら沿岸付近の海難もありますし、できれば八管区内に航空基地を持ちたいという考え方を現在持っておりまして、検討を進めておるところでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 最後に。敦賀の保安部等にもいろいろ見てまいりましたが、病人が出た場合に羽田とか新潟に連絡するよりも、やはり北陸は北陸の方に連絡をしてすぐ連絡をつけたいと、そういう点からいま検討中であると言われますが、救急医療の体制、海難等々も考えて該当管区にまあ日本でただ一つ航空基地がないところでありますから、ぜひいまの御発言を前進的に具体化さしていただくようにお願いしたいと思います。もう一言お願いしたいと思います。

船谷近夫海上保安庁警備救難監

○説明員(船谷近夫君) 先生おっしゃるとおりでございまして、われわれも以前からそのように感じておりますし、特に冬季、天候の悪いときに、目の先のことがなかなかうまくいかないということもございまして、先生のおっしゃるようなことで前向きで積極的に検討いたしたいと存じます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 私は、先ほどから話が出ております韓国の水産物の輸入問題、これについて少しまとめて質問したいと思うんです。  御承知のように、昨年は、昨年七十五国会におきまして、外国人漁業規制法が成立をいたしました。そしてことしは今度再建整備法、こういう形になってきているわけでありますが、どうも私は考えますに、とにかくせっかく昨年外国人漁業規制法ができた。しかしそれが本当に発動してないという点はまことに不可解千万だと思うわけであります。けさほども参考人の御意見を聞きましたが、焼津の漁協組合長滝口さんは、とにかく昨年韓国マグロの問題が起きて国会でもずいぶん論議になり、そして事前確認制というようなものは承認した。ところが、ことしは昨年よりもふえておる。独航船は確かに規制されたかもしれないけれども運搬船でどんどん入ってくる。これはだまされたのだというふうな大変激しい口調で言っておられたのは長官もお聞きだったろうと思うのですが、先ほどこの問題については長官もいろいろ答弁されております。しかしどうも聞いておりましても納得いくような話ではないわけでございます。  そこでまず第一にお聞きしたいのは、韓国からいまありとあらゆる種類の魚といってもいいと思うのですが、七十種類とかあるいは百種類とまで言われておるくらいたくさんの魚が入ってきている。これが国内の漁業者を大変苦しめておるわけでありますが、政府が昨年外国人漁業規制法ができてからどんな対策をとってこられたのか、それを少しまとめてお聞きしたいと思うのです。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 昨年の春、いわゆる韓国マグロの輸入問題が起きました際に、わが国は韓国側に対して五十年における対日マグロ輸出量の自主規制措置を求めるとともに、輸入商社に対しまして韓国マグロの緊急調整保管事業を行わせたわけでございます。その結果、先ほども御答弁申し上げましたように、韓国の独航船による輸入、すなわち韓国の漁船が日本の港に水揚げして日本に輸出されるという分につきましては、ほぼ向こうの自主規制措置が完全に実施されまして目的を達したわけでございますが、それ以外に外国人漁業規制法を発動しても、それによって押さえることのできない運搬船による輸入が一万数千トンあったわけでございます。そこで、この問題につきましては、韓国側といろいろ話しました際に、先ほどもお話し申し上げましたように具体的なケースとして、アメリカなり外国の会社に売ったものが日本に再輸出される。ところが、日本の通関当局では、それは韓国からの輸入ということになってくるという問題がございまして、なかなか規制のしにくいものでございます。これは調べてみますと、大手商社あるいは大手の水産会社が主としてかん詰め用が多いようでございますけれども、加工用の原料として入れているものでございます。そういうことで一応五十年は先方の自主規制を四万五千トンということを決めまして、それによって輸入の調整を図ってきたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、向こうの自主的な措置でございまして、こちらの方としては何らチェックする方法がないというのが昨年の実情であったわけでございます。そこで私どもといたしましては、昨年の秋韓国側と話しますと同時に、日本側におきましても輸入の事前確認制をとる、すなわち韓国側の自主規制をわが方において正確にチェックできるような制度をつくりまして、五十一年以降はそういった制度を運用し、さらに四半期ごとに韓国と需給協議会というものをつくりまして、向こう側の自主規制を求めるということで、五十一年からそのような制度でやっているわけでございます。  そこで本年一−三月の輸入量を見ましても大体独航船に関する限りは事前確認制の数字を確認してみました場合に、厳格に守られておりますけれども、依然として運搬船の問題がなかなか手がつかないというような面もないわけではございません。しかし昨年と違いまして事前確認制をとっているわけでございますから運搬船でどれぐらい入ってくるかということは事前にわかりますので、今後、関係の商社なり大手水産会社を必要があれば行政指導をしなければならないというふうに考えているところでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 私の手元にある資料によりますと、いままではどちらかというと、民間ベースで交渉させるような形だったわけでありますが、昨年のこの外国人漁業規制法の法律が成立しましてからやっと政府が重いみこしを上げて対政府間交渉を始めたのが五十年の三月、それからその後、第二回が四月、まあこういう形でその後一、二回おやりになったかもしれませんが、ことしは四月七日東京で開かれた。で、四月から六月の間の輸入量を決めたと、まあこの程度でありまして、やはりそういう私は政府の姿勢というものがきちっとなってないところにいろいろとそういう運搬船の問題、商社の問題というようなのが出てくるのじゃないかと思うのです。ですから、日鰹連の意見書も手元にございますけれども、日鰹連としても、この意見書が、大変強硬な意見書が出ておる。まあこういうぐあいで、やはりこの政府の毅然たる姿勢が私はまず第一だろうと思うのです。それにはいま長官は政令を発動しても余り効き目はないんだというふうなことをおっしゃったけれども、そういう面があるにしても、私はやはり政府が政令を発動するということがまず第一ではないだろうかと、その点をなぜためらうのか、私どもにはどうも理解ができないんです。そうしているうちにどんどん韓国マグロの輸入の実績だけはふえていっている。まことに後手後手で、あれよあれよといううちにどんどん事態が進行していっている。そして今日のような危機に、再建整備を余儀なくされるような事態に追い込まれる、まあこういうことではないかと思うのですね。ですから、私はこの間、ある漁業者と話をしましたが、日本の水産庁は韓国政府のかいらいなんじゃないか、まあこういう言葉すら私は聞いているんですけれども、そういう点で私はもっと政府はこの面で真剣な努力をされる必要があると思うんですが、どうでしょう。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私どもが韓国政府のかいらいであるというようなことはまことに遺憾でございます。私どもといたしまして、この韓国マグロの問題が起こりましてから非常に多くの努力を、この韓国のマグロの輸入の問題には行政上も割いております。そこで、さらにこの際申し上げたいと思いますことは、水産庁はマグロだけをやっている行政庁ではございません。西日本の零細な漁民と韓国との間にいろいろな関係を持っております。そこで、私どもといたしましてはやはり日本の水産業全体の立場というものを考えて行政をやらなければなりませんので、そういうことを言われるとすればまことに遺憾でございまして、私どもといたしましては、むしろ水産庁は韓国マグロの問題で少しマグロの問題ばっかしやり過ぎているのじゃないかというようなことを一部の沿岸漁民から言われるほど、私どもといたしましてはやっているつもりでございます。したがいまして、そういうことを言うとすれば、まことに遺憾なことだと私は思うのです。  それからさらに、なぜ外国人漁業規制法を発動しないかという問題でございますが、やはりこの韓国のマグロの問題はいろんな漁業に係る問題がございます。それからさらに、法律論といたしまして、果たしていまの状況が外国人漁業規制法第四条の二の規定を満たしているかどうかという法律論の問題もございます。ということで、私どもといたしましては、事を現実的に処理するということが非常に大事だと思いまして、相当の努力を今日まで傾けてまいりましたし、特に事前確認制をとることにつきましては、はっきり申しますと、貿易を担当している通産省等がかなり難色を示したわけでございます。しかし、いまの日本のマグロ漁業の置かれている状況等を考えまして、そういった措置をとったわけでございまして、私どもといたしましては、こういった措置をとり、一方その経営対策、あるいは価格対策も、特にマグロについては昨年調整保管の対象になっておらなかったわけでございますけれども、五十一年からは調整保管の対象にする、さらに魚価安定基金の対象にするというようなことで、価格安定にもかなり力をいたしておりまして、一部キハダについては若干一部まだ価格が低迷しておりますけれども、その他のマグロについては価格もかなり上がってきておりますし、私どもといたしましては、韓国の水産庁だと言われることはまことに遺憾だと思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 長官、盛んに遺憾だ、遺憾だと力んでおりますけれども、一般の漁民にするとまさに、なぜ、じゃああれだけ議員立法で法律までつくって、そして政令ができるものという期待を持っていたにかかわらず、それが出ない、そして一方、輸入だけはどんどんふえているが、何事だと、こういう気持ちになるのは私は当然だと思うのですよ。まあ長官にすれば、遺憾だと、おれは努力していると、こういうふうに言われるかもしれないけれども、しかし客観的に見れば、具体的に行動としてそういう政令が出てこぬと、こういうことなんですから、これは漁民の方々にそういうふうに批判されてもこれは私は仕方がないことではないかと思いますよ。  そこで、いま長官、法律面でも云々と言われました。外国人漁業規制法の第四条の二のところではどういうふうに書いてあるか。「外国漁船の船長は、」寄港の許可の規定にかかわらず、「特定漁獲物等(外国漁船によるその本邦への陸揚げ等によって我が国漁業の正常な秩序の維持に支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められる漁獲物等で政令で定めるものをいう。」と、云々と、こうありますね。「支障を生じまたは生ずるおそれがあると認められる場合」、これは政令で発動、政令を決める、こういう意味だと思うんですけれども、いま韓国からのマグロだけで大体昨年、五十年で六万トンぐらいありますか。台湾、パナマを含めますと約十万トンです。日本の漁船のマグロの水産高は、私の知っておる限りでは約三十万トンぐらいだと思うのですけれども、日本の漁船が三十万トン、輸入が十万トン、これで支障が来たさないというふうに考えるというのはまことにおかしい話ではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) この解釈の問題でございますけれども、「我が国漁業の正常な秩序の維持」の「維持」ということが問題になるわけでございます。そこで、マグロの場合は現在のところ許可制度はございますけれども、その他の規制措置はほとんど、全然ございません。したがって、この「我が国漁業の正常な秩序の維持に支障が生じ又は生ずるおそれがある」ということにはならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。貿易問題は、この外国人漁業規制法の法律の趣旨とは反するわけでございまして、あくまで話は貿易の問題として起こっておるわけでございまして、マグロ漁業に関する限りはわが国のマグロ漁業の正常な秩序の維持に支障が起こってはいないというふうに見ているわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 そこがどうも意味がはっきりしない。じゃあ、なぜこういう法律をつくったのか。抽象論では、解釈論ではこれは問題にならないと思うんですね、言葉のやりとりということでは。言葉の解釈論では。しかし、現実にどんどんマグロが入ってくる、そして市場が荒らされるということになれば、日本の漁業者にとってはこれはもう生命、生活を脅かされる問題でありますから、当然こういう意見書なり、陳情書なり、決議というふうなものが出てくると思うんですよ。きょうも滝口参考人のお話では、昨日日鰹連の総会でやはり決議が行われたと言ってわざわざ決議文をそこで読み上げられましたけれども、そういう深刻な事態がいま起きているわけなんですが、もし長官がおっしゃられるような論理が通るとするならば、いま国会で提案されました漁業整備法案というものの趣旨に大体反してくるんではないかと思うんですけれども、その点はどうでしょうか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私ども水産行政を担当する者といたしまして、先ほども申し上げましたけれども、日本のいろんな漁業、非常に種類が多いわけでございますけれども、遠洋カツオ・マグロ漁業というものが経営上非常に厳しい状況にある、非常につらい状況にあって倒産者も出ているということは十分承知しております。したがいまして、マグロ漁業の経営再建というものにつきましては、私どもとしましては今度、法律を出しまして、さらに構造改善あるいは整備計画の指定にマグロ漁業をしていこうということも考えているわけでございます。そこで、ただ貿易の問題はこれは貿易の問題として考えなきゃならぬ問題ではないかと思うわけでございます。  そこで、私どもといたしましても、仮に簡単にクォーター制に戻すことができるというようなことであれば、あるいはその方がいろんな施策からいいのかもしれません。今日、多獲性大衆魚の大部分はまだ依然として輸入割り当て制のもとにございますので、それに戻せれば非常にいいとは私は個人的には思います。ただし、マグロはいち早く昭和三十六年に自由化されている品目でございまして、当時といたしましてはマグロは大きな輸出産業でございまして、関係の業界の方々も恐らく全く異議なく自由化措置に踏み切り、今日の事態はだれも考えてなかったのではないかと思います。それで、今日のわが国の貿易体制の問題として、現在までのところ貿易を自由化したものを割り当てに戻したというケースがございません。そこで、さらにガットの加盟国にもなっておる関係とか、いろんな問題がございまして、関税、この関税もガットでも約束している関税でございます。そこで、私どもといたしましても、関税引き上げ率の問題も考えましたし、いろんな問題を、輸入割り当てに戻すということまで実は考えなかったわけではございません。しかし、いろいろ検討した結果、やはり置かれている状況ということを考えて、昨年から韓国と自主規制の折衝をしながら今日まである程度輸入の安定秩序をつくってきたわけでございます。  それで、私の聞いているところでは、韓国いわゆる独航船の輸入については業界側もある程度わかって、先ほど滝口さんからもお話がございましたけれども、そこら辺は私はかなりわかっていっていただけているのではないかと思います。問題は運搬船なわけでございます。この問題はいまの貿易体制からいきまして、韓国政府もわが方もちょっとどうにもしようがない問題がそこにあるわけでございます。そこで、私どもの立場からいきますと、そこに商社が介入しているというような問題もございまして、非常にむずかしい問題がございますけれども、その後関係の商社等もいろんな形で行政指導をしてまいりましたので、かなりの環境を水産庁としてもつくっておりますから、より一層指導いたしまして遺憾のないようにしたいと、こう思っているわけでございます。  で、一方、私どもとしましては加工業者も実は所管しているわけでございます。去年、運搬船の問題が出ましたときに相当な指導をいたしまして、運搬船の輸入をとめろということまでやったわけでございます。そういたしますと、当時特定の種類のマグロがそこにはなかったものでございますから、加工業者が自分たちの工場をとめなきやならないというようなことで、加工原料の問題もそこにあるわけでございます。そうしたいろいろ複雑な問題がございまして、その中で私どもといたしましては誠心誠意やってきたつもりでございまして、いろいろ御批判はあるとは思いますけれども、一生懸命今日まで努力いたしましてある程度の秩序をつくってきた、そこでこれをより完璧なものにしたい。しかし今後マグロ業界が経営安定の政策を今度の法律に基づいて進める場合に輸入が非常に障害がある、国内で幾らやっても輸入のために撹乱されて経営安定ができない、日本のマグロ漁業は壊滅してしまうというようなことになれば、これはもう当然国民的にも無視できない問題でございますから、その場合は輸入制度について私は中途半端なことをやらないで、輸入割り当てに戻すとか、あるいは課徴金制度をとるとか、そういう制度を考えなければならないんじゃないかと思っておりますけれども、現在はいろいろマグロの貿易が置かれておる現状を踏んまえて現実的な解決を図る方がいいのではないかと思って過去一年半努力してきたところでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 水産庁の努力は一応認めていいだろうと思うんですが、しかしこの法律を私どもが昨年つくったときも、やっぱりこれはみんな努力をしてやっとここまできたわけですね、全会一致でここで。ところが、せっかくつくった法律がたなざらしになっている。しかも、事態はどんどん進行している。一体政治家は何をやっているんだというふうなことにだってなりかねないわけです。そういう意味では、やはり私はいまのいろいろな条件の中で水産庁は最善の努力をしておられるというんだが、やはりこの国会でつくった法律があって、そこでやはり政令の発動ということができる、こういう条件の中で、やはり私はこの国会の意思を水産庁としても、農林省としても十分に体してこの政令指定というものをお考えになるべきではないかと、私はそう考えます。  しかし、この論議をいまここでやっても、私の時間がたった四十分でしかありませんから、この論議はいずれまたやるといたしまして次に進めますが、実はいまもおっしゃっているように、大商社の問題というのが非常に大きな問題だと私は思うんです。そこで、いまカツオ・マグロの話をいたしましたけれども、今度お話したいのは北洋漁業の韓国船の問題であります。北洋はえなわ、刺し網漁業ですね、つまりギンダラです。ギンダラ問題。この北洋はえなわ、刺し網漁業は、いつから何隻大臣許可がおりているのか、それから現在の業界の現状はどうなのか、恐らく水産庁つかんでいらっしゃると思うんですが、とにかく最近この一、二年間、この北洋漁業で韓国船、台湾船が大量に進出しているということで、やはりギンダラ業界におきましても大変な問題になっておるわけでありますが、その辺の実情を少し聞かしていただきたいと思うんです。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 北洋のはえなわ、刺し網漁業は、主として北海道及び本州北部の中小漁業者によって営まれている漁業でございまして、その必要隻数は昭和四十二年以来二十二隻に固定しております。その操業区域はべーリング海及びアラスカ湾で、主要漁船の規模は約五百トンでございます。そこで漁獲のその大部分はギンダラでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 まさにこのギンダラがいまや第二、第三のマグロ漁業になろうとしているというのが実態だと思うんです。ところが、このギンダラ漁業は、日米漁業協定によりまして日本は二万五千トンという枠内で決められておる。そして二十二隻ですかの漁船、こういうふうになっておるわけで、そこへ韓国船、台湾船がやっぱり入り込むということで、いわば非常に危機的な状況といいますか、海上衝突も起きかねないというふうな状態が現実に起きておる。これはもう水産庁十分御存じだと思うんですが、私はこういう問題については外交上の措置を含めましてやはり安全対策を講ずるべきだと思うのですが、その辺はどうでしょうか。  それからもう一つは、やはりこのギンダラが日本の港にどんどん揚げられて市場に出てきておるというところで、やはりこれもマグロと同様に外国人漁業規制法の政令指定業種にすべきではないかというふうに私どもは感じているんですが、その問題はどうでしょうか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 現在、韓国はアメリカの沿岸で約十一隻の底刺しをやっているようでございますが、私どもが承知しているところでは、韓国側の漁場はワシントン州の沖合い、これは日本はもうやっちゃいかぬというふうにアメリカに言われましてやっていないで、韓国側がやっておる。そこで、わが方の漁場はアラスカ湾の中にございますので、主にベーリング海でございますので、漁場的に韓国側と競合しておるというふうには聞いておりません。ただ、今後韓国側は日本と同じような隻数、日本よりふやすことは考えてないけれども、日本が二十二隻出ているんだから自分の方も二十二隻にしたいという考え方があるやに私どもは韓国の政府側からそれとなく聞いたことがございます。そうなりますと、ワシントン州の沖の漁場ではちょっと狭くなりますので、わが国の漁場の方に出てくるのではないかという心配が将来の問題としてはあるのではないかと思います。それから台湾も最近出漁いたしまして、約二隻程度が出ているようでございますけれども、台湾とは正式な関係がございませんので正確なことはわかりません。そこでこのギンダラの問題は、今後アメリカとの日米漁業交渉でも大きな問題になる問題でございます。韓国も恐らくアメリカと話し合うことになるんだろうと思います。そこで私どもといたしましては、これはもう古く日本が開発した漁場でございますから、韓国と同じような扱いでは困るということを強く主張いたしまして、わが国の漁場を確保したいと、こう思っておるわけでございます。  それから、これを外国人漁業規制法の対象として指定すべきではないかということでございますけれども、現状では先ほど申しましたように、漁場も違っているようでございますし、余りわが国の漁業の秩序の維持に支障になっているというような問題は起こっておりませんが、将来さらに規制が強化されるというようなことがございまして、もっとたとえば魚体の制限だとかいろいろなことが行われると、それを日本が守っているのに韓国がそれを無視してやるというようなことになって、日本の漁業秩序の維持に支障が起こるというようなことになれば、その段階でまた検討しなければならぬ問題だと思いますけれども、現状ではまだそこまでいってないような段階ではないかと思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 水産庁は、大体正確に事態をつかんでいらっしゃるようです。ただ、漁場が違うというようなことはないようで、やはり競合して舷舷相摩すというふうな状態で、あわやというような事態が起きないとも限らぬということを業界の方々も言っておられますし、ここに北洋はえなわ刺し網協会の文書もございますけれども、こういう文書によりますと、大変危険な状態にあるということが一つと、いま韓国、台湾の漁船の隻数などもおっしゃいましたが、そのとおりだそうであります。それだけに、せっかく日本の漁業、この協会の方々が開発されましたこの漁場が他国の船で荒らされている、これは全く大変なことなんだということで、大変やはりここの業界でも憤慨をされているようであります。  特にもう一つ指摘したいのは、この北洋ギンダラの場合には商社がやはり相当大きな役割りを果たしているということです。これはマグロの場合でも先ほど話が出ましたけれども、やはりそういうことなんで、私どもいろいろ調査してみました。一体、韓国のキンダラ操業船がどのぐらい、どういう状態にあるか、関係日本商社がどういう商社であるか、いろいろ調べてみました。いまおっしゃったように、現在十一隻。この十一隻のうち、一つは、まず第一に高麗遠洋という韓国の会社があります。この会社に光明二十号、光明二十一号という約五百トン級の漁船が二隻ありますが、この会社とは日本の商社の丸紅が関係をしておる。まあ出資率がどのくらいになっておるかその辺の細かいことはわかりませんが、丸紅であることは間違いない。それから久一産業というのがあります。ここでも五太洋百五号並びに二百十二号というやはり五百トン級の漁船が二隻ありますが、これも丸紅である。それから東源製氷という会社がございます。ここの船は東源七百七号及び七百九号でありますが、これは三菱商事と安宅産業が関係をしておる。それから東遠産業という会社では東遠三十一号、九十一号という船がありますが、これも三菱商事である。こういう日本の大商社が直接関係をしてやっておる。これが置籍船という形になっておるのかどうか、その辺まではよく明確ではありませんけれども、関係しておることは間違いないということであります。  こういうふうに見ますと、やはりこういう点をはっきり規制しませんと、いろいろきれいごとを並べても事態は一つも解決しない。この辺に私はメスを入れる必要があると思います。ですから、さっきも申しましたように、自由化品目といっても、日本の漁業者を守るという立場から見るならば、漁船での入港、陸揚げ、このギンダラはやっぱり日本の下関とか宮城でありますか、その辺にどんどん入ってきているんですけれども、宮城、下関、北海道、こういうところに水揚げされておるんですが、そういう入港と陸揚げを規制することもできるんではないかと私は考えるんですけれども、その辺の実態をどうつかんでいらっしゃるか。そしてまたその対策をどういうふうに考えていらっしゃるか、それをお聞きしたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま日本の業界からのいろいろな要望のお話がございましたけれども、私は、日本の業界としては、やはり韓国が二十二隻にすると、その際、いま韓国がアメリカから与えられている漁場では狭いので、二十二隻になれば必ず日本の漁場の方へ進出してくる。あるいは若干、私は聞いておりませんけれども一、二隻出てきているのかもしれませんけれども、業界の心配というものは、やはりことしから来年にかけての韓国側の動きがどうなるだろうかというところを考えて非常に心配じゃないかと思います。  そこで、私といたしましては、今後このアラスカ湾、べーリング海の底刺しというものは、やはりアメリカの経済水域の中の問題でございますし、いろんな規制がさらに強化されるというようなことが予想されるわけです。それを日本側が受けて、あるいは韓国側は何らかの理由でそれを無視してやるというようなことが起こって、わが国の漁業の正常な秩序の維持に非常に大きな影響を与えてくるというような場合は、そういう問題として処理すべき問題じゃないかというふうに考えているわけでございます。そこでこの問題は、これからことし、来年にかけての韓国側の出漁体制がどうなるかということが非常に大きく影響してくると思いますので、そういったものを見ながら必要な対策を講じなければならないのではないかと思っております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 このいまの韓国ギンダラ、北洋漁業の場合は、日本に対してアメリカは大変厳しい規制をして日本が五千トンという枠をつけたところが、聞くところによりますと、韓国にはそういう規制がされてない。ですから、船もどんどんふやすということがいわば認められているような状態が現在あるようであります。そういうことと関連して、やはりこれから大きな問題になろうかと私は思うわけです。ですから、先ほど申しましたように、第二、第三のマグロになるのではないかという懸念を表明しているわけでありますけれども、いずれにしても私は、こういう問題はいろいろあるわけでございますが、私の時間も来たようでありますので、最後の結論だけ申し上げますが、これは大臣にお聞きしたいと思うんです。  とにかく問題が非常にこういうふうにマグロだ、ギンダラだといって、外交問題と大変複雑に絡んで問題が起きているわけですから、しかし、政府に言わせれば、とにかく沿岸、沖合い漁業の見直しというふうな大変結構なキャッチフレーズを出していらっしゃる。それはそれで結構なんですけれども、いま遠洋、とりわけ北洋の漁業の問題がやはりこの日ソ漁業協定の場合にしてもそうでありますけれども、非常に一つの政治的なポイントだと思うのですよ。ですから、私は北洋のギンダラの問題を例として一つ取り上げたんですけれども、特に、いま北洋海域の漁業が一つの新しい再編の時期を迎えておると言われております。これは日本の業界でもいろいろ論議されておるようでありますけれども、やはり私は、日本の政府の水産外交というものがやはり非常に手ぬるいのではないかと思います。いま申しましたギンダラ業界の問題にしましても、やはり日米漁業交渉に対する政府の姿勢というものが非常に従属的であるというふうに感ずるわけです。一方では韓国、台湾は野放しになってきている。日本だけが何か屈辱的に抑え込まれている、こういうことはやはりあってはならないことだと思うのです。ことしの夏対米交渉がまた行われるようでありますけれども、私は、そういう状態でございますから、やはり日本の政府としては相当の腹構えをもって臨むべきではないかというふうに感じますが、この点は大臣はどういうふうにお考えですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これからの日本の水産、特に遠洋漁業、北洋漁業、そうした水産の中にあって、いままでの実績を維持していこうということになれば、外交交渉につきましてもやはり並み並みならぬ決意をもってこれは臨んでいかなきゃならぬわけでございます。確かに韓国なんかが大変各海域に進出をして、これが日本の漁業に対しても大きな影響を与えておることも事実でありますし、またソ連あるいはアメリカが非常に厳しい態度で日本に臨んでおることも事実であるわけでありますが、そういう中にあって、いかにこれまでのわれわれの漁業の実績を確保していくか、国益を守るかということになるわけでございますが、それに対しては全力を尽くしていかなければならぬことは、これはもう当然のことであります。  ただ、その場合に、やはりわれわれとしてはトラブルはできるだけ避けていかなければならないというふうに考えるわけでございます。いまの韓国との問題につきましても外国人漁船取り締まり法、せっかく国会で可決されたわけであるから、これを早く発動したらいいじゃないかと、これは発動するのは簡単ですけれど、それによって非常な日韓関係でトラブルが起こってくる、かえって、その発動したことによって水産の秩序が全く乱れてしまうというようなことも当然考えられるわけでございますから、発動すると同じような効果というものをやっぱり外交交渉によってかち得ることができれば、それに越したことはないわけで、それでどうしてもだめな場合は、最終的には発動もしなければならぬわけであります。が、とにかく外交交渉によって解決をしていくということがまず第一にわれわれがやらなければならぬ仕事であろうと思うわけで、そういう面で先ほどから水産庁長官がるる述べたように、われわれは誠意を尽して努力をいたしまして、その結果、相当の効果も挙げ得たと、こういうふうにも思っておるわけです。これはまた、日ソの場合においても、あるいはまた日米の場合においても同じことが言えと思うわけでございまして、私たちは何もアメリカだからといって、もちろん従属的な姿勢をとるわけにはいかないわけで、これはあたりまえのことでありますが、日本は当然アメリカに対しても、アメリカが相当厳しいでしょうけれども、それに対しては、われわれの百六十数万トンに上る漁獲をいかにして守っていくかということについては非常な決意を持って臨んでいかなければならない。そういう姿勢を今後とも貫いて、とにかく非常なむずかしい情勢の中で、これまでの漁場を失わないように、これは最善の努力を尽くくしていきたい、こういうふうに決意をいたしておるわけであります。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 最後に、いま大臣が誠意を尽くしてまずやるんだ。これはこれで間違ってないと思うのですよ。しかし、ただ誠意だ、何だといってずるずるずるずるいっていれば、これはいつの間にか意識するとしないとにかかわらず、従属的なことになっちゃうんで、相手の言いなりほうだいというようなことになっちゃうんで、そこがやはり政治の私はむずかしさだろうと思うのですよ。しかし、韓国の場合でも、北洋の場合でも、どうも見ておりますと、誠意を尽くして一生懸命にしんぼうしてやるんだ、その上で、あるときには毅然とした態度をとるんだ、というふうなことになっていないんですね。いつまでもどうも、ずるずるきて、とうとう日本の漁業はここまできてしまった、再建整備もしなければいけない、減船もしなければいけないというふうな、まことに情けない状態になって、先ほどから論議がされたわけでございますが、その点をひとつぜひ十分検討していただきたいということ。  それから、最後にもう一つ申し上げたいのは、要するに漁業の再編成、特に今度の北洋漁業の再編の場合でも、大商社、大資本を中心に考えるのではなくて、やっぱり中小漁業中心に私は漁業の再編成をやるべきではないか。ところが、とかく大企業、大商社本位の再編というものがいろいろ言われております。しかし、これでは私は、日本の漁業の再編、再建はできないだろうと思うのですね。たとえば、今度の韓国マグロに対しましても、仮に韓国のマグロの一万トンを規制するとすれば、いま国会で再建整備法が予定しておりますカツオ・マグロの減船というのは年間六十五隻といわれておるのですけれども、そのカツオ・マグロ船の五十隻分が減船しなくても済むんではないか。つまり一万トンの輸入を規制するだけで五十隻分が助かるという、一年分ですね。そういう計算になると思うのですよ。ですから、そういう意味で、やはり日本の漁業を取り巻く情勢は大変厳しいことは間違いありませんが、ぜひ政策の基本を、やはり中小企業漁業の発展という方向に置いていただく。そうすれば必ず、私は日本の漁民の皆さんのエネルギーというものは、いろんな困難があっても、日本の漁業を再建していくであろうというふうに期待しておりますが、その辺についても最後に大臣の御答弁をいただいて私の質問を終わります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、これからの水産の実績を守っていくためには、やっぱり相手の国との間の交渉を粘り強くやるということは大事だし、そしていままでもそれをやってきているわけです。これは最近行われた日ソ漁業交渉見ていただけるとわかるわけですが、あれだけソ連が、初め厳しい全面禁漁、ニシンについてもカニについても全面禁漁という路線を打ち出した中にあって、とにかくこれをあそこまで譲らしたということは、やっぱりわが国がそれだけ粘り強く交渉し、大きな成果を上げた、ということは私ははっきり言えるんじゃないか。あの日米、あるいは日加の漁業交渉においても、とにかく漁業交渉の実情を見ていただけば、決してわれわれは譲ってない、取るべきところはちゃんと取っておるわけでございますから。ただ、外から見て、譲っている、誠意がないとかいうふうなのはおかしいわけであります。  それから、確かにこれからの漁業の操業権を確保するためには中小漁業、日本にはだんだんと大手の漁業会社などというのはなくなるといいますか、だんだんと圧迫をされてきておりまして、そういう形のものはだんだんなくなってきつつあるわけですが、そういう中にあってやはり中小漁業の立場というものを守っていくことも、これはまあ当然のことでありまして、マグロについても、われわれが韓国との間に交渉を続けながらなおかつ大商社が相当やはり韓国に進出して、資本的にもその他の面でも韓国のマグロ漁業を支配をしている。このあり方というものは決してこれはよくないことでございますから、そういう面に対して私たちも行政指導という形で大商社の姿勢を正すように積極的にやってきて、それだけのまた効果も上がっておるわけでございますし、そういうことは十分考えながらわが国全体としての漁業がこれからもいままでの操業の実績を確保できるように、これはもうあらゆる角度から万全を期してまいりたいと、こういうふうに思っております。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 私は、まず海洋法会議の動向と各国の動きと、あわせて海洋法会議の先取りの動きについてまずお尋ねをし、それから漁業三法の各条項に入って質問をいたしたいと思います。  これからのわが国の漁業を考える場合に、第三次国連海洋法会議の動向に代表される国際環境の変化を見きわめることが私は最も大事ではなかろうかと、かように考えるわけであります。しかしながら、この種の会議は百五十カ国に及ぶ多数の国々が参加しておりまして、勢い先進国対発展途上国、地理的大国対内陸国あるいはまた、地理的不利国等の利害関係グループ間における意見の調整を図ることは非常にたやすくありません。そこで、去る三月十五日から五月七日までの八週間の予定で開催されましたニューヨーク会議においても、先のジュネーブ会期末に作成されました非公式単一草案を基礎として審議を進めて、第二次修正単一草案の作成に努力されたようであります一が、その成果とその後の予定について簡単に御答弁を願いたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、五月七日に終わりました第四期の海洋法会議におきましては、昨年のジュネーブ会議で配付された単一草案に基づきまして、委員会ごとに逐条審議が行われたわけでございます。そこで、この審議結果を踏まえまして修正単一草案を各委員長がつくりまして、それを取りまとめまして今会期の最終日に各国に配付されたわけでございます。そこで修正単一草案のうち、経済水域の内容等いわゆる漁業関係条項につきましては若干の文章上の修正はございましたけれども、ほぼ単一草案の規定をそのまま踏襲しているということになっております。そこで、これをさらに次期会期の論議の対象として論議するわけでございますが、次期会期は、ニューヨークにおきまして、ことしの夏の八月二日から九月十七日まで七週間にわたって開催されることになっているわけでございます。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 そういうふうな状態でありますので、この海洋法会議がさっぱり進展しないということに業を煮やして、というわけでもあるまいけれども、一方に先取りをする国が次々に出てきておることは長官はすでに御承知と思います。昨年の十月にアイスランドが漁業水域を五十海里から二百海里に拡大をする、またマルタにおいても領海十二海里から二百海里に拡大をしていく。ことしの二月には、セネガルが領海を十二海里から百五十海里に広げ、さらに漁業水域を二百海里に拡大をしております。バングラデシュにいたしましても、あるいはメキシコにいたしましても、二百海里経済水域に実施しようといたしております。特に、わが国と関係のありますアメリカにおいても、二百海里の漁業専管水域を来年三月には実行しようとしているというのが現状の姿であります。これらの海洋法会議の先取りの動きは、直ちにわが国の漁業に重大な影響を及ぼすことはこれは論を待ちません。  そういうことでありますので、政府としてはどのように対処しようとしているのか、基本的な考え方を示してもらいたい。あわせて、去る四月末に妥結しました日ソ漁業交渉においても、こういうふうな海法洋会議の動向が背景にあったというようなうわさを聞いておるわけでありますが、交渉の過程ですか、そういうような動きがあったかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 海洋法会議の結論が出る前に、先生御指摘のように、一方的に漁業専管水域を広げてくるという動きが起こっていることはまことに遺憾でございます。そこでわが国といたしましては、会議の結論を得る前にこのような一方的措置をとることは国際法上認められないということで、現にアメリカが二百海里法案を国内の措置としてとりましたときに抗議をしているということがございます。しかし、そのような国際法上の立場はございますけれども、残念ながら世界の趨勢は管轄水域拡大の方向に向かっているわけでございまして、私どもも、ただいたずらに手をこまねいて見ているわけにはいかないわけでございます。  そこでこれからの問題といたしまして、やはり何といいましてもわが国は大きな実績を持っております。そこで、単一草案でも、沿岸国が利用できない分については当然とらせなきゃいかぬ、その場合に実績国の実績というものは尊重しなければならぬということもございますので、そういったものを足がかりにいたしまして強力な交渉を関係国とやらなきゃならない。その場合、開発途上国の場合は彼ら自身の漁業がまだ非常に未熟だということもございますので、資金面あるいは技術面の援助をいたしまして、そういった開発途上国の漁業の発展を図りながら、同時にわが国の漁場も確保していくというようなことが必要になってくるんじゃないか。その問題については、はっきり海洋法会議の結論が出たような段階になれば政府みずから先頭に立ってやらなきゃならない、こういうふうに思っているわけでございます。  そこで、今度の日ソ交渉の際にそういった動きが反映したのかどうかという点でございます。これについては、亀長代表あるいは水産庁の松浦海洋漁業部長が行っておりましたので、いろいろ話を聞いてみました。向こうは二百海里の経済水域という言葉は一口も出さなかったそうでございます。  それで今度の交渉の経緯を見てみますと、特にニシンが問題になったわけでございます。そこで、ニシンにつきまして向こうは資源上の理由を大きな理由といたしまして、いろいろな科学的なデータ等を示しながらわが方に漁獲努力の削減を迫ったわけでございます。そこで最後に粘りまして、全面禁漁は五〇%削減で食いとめたわけでございますが、ソ連の言い分は資源論が背景にあったわけでございます。  ただ私は、今度のアメリカの措置というのが、やはりソ連の漁業政策自体に非常に大きな影響を与えているんじゃないかと、こう思います。と申しますのは、わが国はもちろん、太平洋、大西洋両面においてアメリカと関係を持っておりますけれども、ソ連は両面で関係を持っておりまして、漁業上のアメリカの経済水域と思われる水域でとっている量はソ連の方がはるかに多いわけでございます。そこで、アメリカの今度の法案というのはまことに沿岸国の権限を非常に強化したような法案になっておりまして、まず二百海里を認めなければならない。で、認めれば漁業交渉をやる、認めなければとらせない。それからさらに、漁獲量は国務長官が決めると、外国の漁獲量は。入漁量を払えと。それから、漁獲量の決定については、地区別の漁業委員会の意見を聞いて決めるというような、非常にアメリカの漁業の立場というものを露骨に押し出したような法案になっているわけでございます。  したがって、ソ連もこれに正式に抗議したようでございますし、わが方も抗議したわけでございますが、ソ連の立場でいくと、この問題は非常に大きな問題だと、そのことは実は私どもが想像していたよりも、アメリカの両院協議会における上院、下院の法案の調整の際に、単一草案で考えているよりもより強硬な法案になったというようなことが、日ソ交渉の最中に起こっているわけでございます。したがいまして、私は、そういったアメリカの動きというものがかなりの影響を、ソ連の漁業相の考え方の中に与えていくんじゃないかと、そういう意味で、全然二百海里の動きが今度の日ソ交渉に影響がなかったかどうかという点につきましては、私はやはり何らかの影響があったのじゃないかと思っておりますけれども、その会議の席上では、従来と同じように公海における漁業の規制と、それについて資源論を基礎にして意見を展開してくるというパターンであったわけでございますけれども、その背景にはやはりそういったことも考えなければならぬ時代になってきたなあということで、非常に正直に申しますと、私どもが考えていたよりも若干テンポが早くなってきてるという感じがいたします。それも大きく影響を与えたのは、やはりアメリカの二百海里の漁業専管水域の拡大だと、こういうふうに考えるわけでございます。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 やはり世界の動きというものが非常に将来の日本の漁業のために重要であるということは長官十分おわかりと思いますので、ぬかりのないように、将来のために手を打ってもらいたいと思います。  それでは漁業三法の逐条に入って質問をしてみたいと思います。  まず、漁業再建整備特別措置法案について。本案はその「目的」で「漁業の経済的諸条件の著しい変動、漁業を取り巻く国際環境の変化等に対処する」云々と、こういうふうに書いておるわけでありますが、そこで、私はこの法案をながめてみて非常に問題の所在を明確にとらえておると。したがって、この種の問題を解決するためにいかなる具体策を講じようとし、また予算措置をどのようにしておるのか、この際明らかにしてもらいたい。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 今朝の参考人の御意見からもあったように、やはり石油危機以降の状況が非常にわが国の漁業経営の困難をもたらしている原因でございます。そこでまず第一に、緊急に必要な固定化負債の整理のための長期低利資金の融資を図るというのが第一でございます。  それから、これは個別の経営について経営再建計画をつくってもらいまして、必要な融資をするわけでございますが、特定な業種につきましては、業種ぐるみで構造改善をやる必要があるということで、構造改善を進めてもらうと、さらに構造改善とからめまして、業種によりましては資源状況等から経営上の立場で減船を必要とするというようなものも出てくることが考えられますので、そういったものにつきましては、自主的な減船を推進するためにいろいろな援助措置を講ずる、こういうことになっているわけでございます。  それから、これは法案とは直接関係ございませんけれども、御案内のように、燃油の値上がりに伴いまして、燃油代の助成の問題等もかなりやかましい問題として起こりました関係もございますし、さらに漁業経営上必要だと思いますので、五十一年度予算でさらに石油購入資金について低利の資金を出す。それからそういった措置をとりましても、価格が低迷しているということでは漁業経営の再建ができませんので、価格政策につきましても、水産物の調整保管事業について対象品目を追加するというような措置をとるとともに、いわゆる魚価安定基金をつくりまして、現在の系統が行っております調整保管事業にてこ入れをしながら、生産者に対しても産地で一定の価格水準を保証していくというような制度を逐次つくり上げていく。もちろん価格政策につきましてはこれで十分だとは思いません。なお今後どんどん拡充していかなければならぬ問題でもございますけれども、ステップ・バイ・ステップで拡充していくということでそのような政策を講じようとしているわけでございます。  そこで、御質問の予算措置はどうなっているかということでございますが、固定化負債の整理のための資金といたしましては、融資枠六百億と利子補給の補助金等が八億二千万円、それから構造改善のための資金、これは公庫資金でございますが、融資枠二百九十四億ということでございます。それから自主的減船のための資金措置といたしましては、融資枠三十五億、それから減船処理費の事務補助として三千万円、それから燃油等の購入に必要な資金といたしまして融資枠六百億と利子補給金が二億七千万円、さらに魚価対策につきましては、水産物調整保管事業に要する補助を大体倍にいたしまして十三億、たしか五十年は七億弱だったと思いますが、それを十三億円に上げまして、魚価安定基金につきましては、貸付資金の造成費補助三億、それに必要な資金の補助として二十五億というふうなことで予算措置を講じているわけでございます。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 この整備計画として法案の第六条以下に自主減船措置が規定されておるわけであります。法案成立後には直ちに遠洋カツオ・マグロ漁業が第一号として実施されるという予定を聞いておりますが、その業種に係る漁業に関連する国際環境の変化、水産資源の状況等に照らして、政令で業種指定を行い、関係漁業協同組合等が整備計画を作成して、農林漁業金融公庫から長期低利の融資を受けて行う自主減船方式をとろうというようであります。で、法案成立後における減船措置の基本的パターンという認識で決定したものと考えますけれども、本案に基づく今回の減船措置と、去る四十六年に実施されましたオホーツク抱卵ニシンの禁漁に伴う減船措置との取り扱いの基準の違い方、考え方、これを御説明願いたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) この法案におきましては、当面実行上無理が少ないと考えられる減船方式として、公庫融資を伴う自主減船を規定しておりまして、その対象業種としては当面遠洋カツオ・マグロ漁業を予定しております。このようなことで、この法律に基づく減船はいわば漁業経営の維持に必要上、業界の自主的な措置として行われる場合を想定しているわけでございますが、ただいま先生から御指摘がございましたように、四十六年のオホーツク抱卵ニシンの禁漁に伴う減船措置、あるいは現在問題になっております今年の日ソ漁業交渉の結果、ニシンの漁獲努力を半分にしなければならない、調査船を十二隻を六隻にしなければならないというような問題が起こっておりまして、カニにつきましても漁獲努力の削減を要請されているというようなことがございます。  そこで、このように国際交渉で急激に決まってきたという問題につきまして、この法律の想定しているような手続をとって措置をとることはできませんし、さらに漁獲努力を半分にしなきゃならないというような場合には、やはり共補償といいましても限度がございますので、そういった場合につきましては、いろいろ減船の態様に応じまして、ケース・バイ・ケースでやっぱり処置していかなければならないんじゃないかということで、私どもといたしましては、この法律に予定されている方式以外にも、状況によってはそういった減船方式も考えなきゃならないと思っておりますし、過去の場合におきましても、またそのような扱いがなされていることは、先生御承知のとおりでございます。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 それから、法案第七条において「整備計画の達成のために必要な助言、指導及び資金の融通のあっせんその他の援助を行うように努めるものとする。」と、こういうふうに書いておるわけでありますが、政府としては基本的にいかなる援助に努めようとしているのか。なお、五十一年度の予算をただいま聞いたわけでありますが、今後の予算でどのような援助処置を考えておられるか、所信のほどをお伺いしたい。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) まず第一に、法律解釈の問題といたしまして、第七条に規定する「その他の援助」の範囲でございますが、私どもは、これはかなり広く解釈すべきではないか、したがって、その中には財政措置も含まれるというふうに考えなきゃならないと思っております。  そこで、五十二年度以降、この規定に基づいて、どのような援助をやっていくのかという御質問かと思いますけれども、これは今後の構造改善及びその整備計画の推進状況等を見ながら現実的に処置していかなきゃならないということで、現在、五十二年にはこういうものを七条で要求するというところまで話が詰まっておりません。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 それから今後、この整備計画の必要となる業種は、今回の遠洋カツオ・マグロ漁業のように、過大な借入金を抱えておるわけですね。したがって、この固定化に悩んでいるわけで、経営が非常にむずかしいという業種が多数あると私は思います。したがって、たとえ長期的な資金を借りてでも、あるいはまた相互補償のための資金を借り入れるということは、経営をさらに困難な状態に追い込むというおそれがありはしないか、こう考えるわけであります。  そこで、減船の比率が高くなればなるほど、そのしわ寄せがひどくなっていく、自主減船の場合にもそれに必要な、少なくとも一部を直接政府が補助すべきだと私は思うわけなんです。こういう点については、どういうふうにお考えですか。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) やはりその減船を行います以上、残った人たちの経営が非常によくなるということでなければ、減船をする意味がないわけでございます。したがいまして、残った人たちの負担能力というのは、これは非常に大きな問題でございまして、残った人たちが負担能力がないということであれば、そういった減船方式というのは、私はやっぱり問題だと思います。  そこで、この法律において予定しておりますのは、まず当面実行上無理が少ないと思われる減船方式として、公庫融資によって、しかも期間が原則十年でございますけれども、特認は十五年でございますから、これはまあ十五年の融資というのはかなり長い融資でございまして、補助金に直してみても相当の額になるというような性質のものでございます。  そこで、そういうことで一応やってみて、さらに漁業状況がさらに悪化して、負担能力をもう超えてしまっている、しかし減船はやらなければならぬというような場合には、やはり政府としてはケース・バイ・ケースでその減船の程度を、業種の実態等に即してそのつどそのつど、適切な対策を講ずる必要があるだろうということで、今回のいわゆる整備計画に基づく減船ですべて終わるというふうには全然考えておりません。  さらにまた、わが国漁業をめぐる客観情勢というのは非常にまだ変動しているところでございますので、十分先行きを見ながら経営の安定に資するようなことをやらなければ意味がないわけでございますから、いたずらに残った人に負担をかけるというようなことは避けるべきではないかと思っております。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 いま全国の漁業協同組合の経理内容を聞いてみますと、魚価の低迷と漁獲量の減少に伴って収入が非常に悪化しておるんですね。そこで、運転資金の借り入れによって賃金を払ったり、いろいろ組合の運営をやっておるわけなんです。それで、本法に書いておる、自営漁業の以外の漁業組合についても、本法の第二条に掲げる「中小漁業者」の範囲の中に追加していくことはできないものかどうか。なかなかむずかしいようでありますが、考え方をお聞きしたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、いわゆる漁業経営が悪化するに伴いまして漁協の経営自体も非常に苦しくなってきている、すなわち貸付金がふえ、未収金がふえるというようなことで苦しくなってきているわけでございますが、自営漁協以外の漁協について、この法律の二条に基づく「中小漁業者」の中に入れることができないかということでございますが、これはちょっと、やはり漁業をやってないわけでございますから、その対象にはなじまないんじゃないかと思っております。  そこで、それならそういった漁協はどうするのかということでございますが、要するに組合員の経営不振のしわが漁協に寄っているわけでございますから、今後経営安定資金が出てきますと、組合員が漁協に持っている固定化負債の整理が行われますので、この面から漁協経営の健全化につながるものじゃないかというふうに考えております。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 本法の最後になりますが、漁業経営維持安定のための資金の融通を円滑化するために、次の四つの点を私はぜひ考慮してもらいたい。  その第一は、基金協会の融資保証については、高率な保証倍率を見てみてもらいたい。これは現在十倍ないし三十倍と聞いておりますが、少なくとも五十倍以上にこれを認めてもらって、漁業者の出資負担の軽減を図ることが一番よろしいんじゃないか。あわせて無担保融資の扱いをしてもらいたい。これが第一点。  第二点は、基金協会の保証能力の拡充強化のために、債務保証並びに代弁に必要な資金について、中央漁業信用基金からの貸付金を拡大してもらいたい。これが二番目。  三番目には、先ほどの質問に答えたようでありますが、この特別措置法による再建計画の認定だの、借り入れの手続を非常に簡素化してもらいたい、非常にふくそうしておるようでありますから。  それから最後に、漁業経営維持安定資金の融資枠配分については、沿岸漁業者に十分利用できるように配慮されたい。それでまた、漁業者というものは個人個人が帳簿を未整理をしておるわけなんです。もうきちっと帳簿をそろえておる者はなかなか少ないわけでございますので、この有資格の判定は漁協長の判断に取り扱いができないものかどうか。  以上四点をぜひ考慮してもらいたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) まず第一点の基金協会の保証倍率の点でございますけれども、先生御指摘のように各県の基金協会の状況によって倍率が違いますが、大体十五倍から二十倍ぐらいになっております。そこで、この資金につきましては、今度保険にかかる率、保険のてん補率を引き上げるということもございますので、基金協会の個人保証の倍率については四十倍くらいまで上げたらどうかというふうに考えております。五十倍というのはちょっと余り他に例もございませんようですし、極力その辺まで上げてみたいと、こう思っておるわけでございます。  それから協会の保証つき融資について、従来一般的には協会の健全な運営の確保という観点から物的担保の徴求等を指導してきたところなんでございますが、これは経営維持安定資金等の融資の際の担保の取り扱いについては融資金額、融資の実態等を十分勘案しまして、個別にその必要性の有無を検討して、ケース・バイ・ケースで適当な措置をとりたいと、こう思っております。  それから基金協会の債務保証及び代位弁済に必要な資金について中央漁業信用基金からの貸付金を拡大すべきではないかという御意見でございますが、中央基金の基金協会に対する貸付金の原資は四十九年、五十年の両年度に十三億二千七百万円すでに入れてございます。そこで五十一年度においては二億四千八百万円を政府から追加出資することにしておりまして、さらに基金協会に対する貸付金の増額に努めているところでございます。それからさらにこういったやや危ない資金でございますので、代位弁済が非常にふえていくというようなことになった場合には、来年度以降の追加出資についてなおそれに応じて検討したいと、こういうふうに考えております。  それから融資手続の簡素化の問題でございますが、これはぜひ、御指摘のように漁家経営に役立てる資金でございますから、余りむずかしいことを言ってなかなか金は出ないということではせっかくの制度が死んでしまうわけでございますから、その点につきましては私どもとして極力簡素化するよう関係団体の方々とも十分相談してやりたい。いずれにいたしましても特に迅速にやる必要がございますので、そういうふうなことを考えているわけでございます。まあ漁家の方々は特にこういった書類をつくることは非常に苦手でございますので、そういう点についても十分考えながらやってみたいというふうに考えておるわけでございます。  それから沿岸漁業者が十分利用できるようにということでございますが、これにつきましても、御指摘のように、沿岸漁業者についても十分な融資ができるよう漁協等とも十分相談してやりたいと、こういうふうに思っているところでございます。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  本案の骨子は、中小漁業融資保証保険特別会計において行ってきた保証保険業務を中央漁業信用基金へ移すことが第一、漁業再建整備特別措置法案の規定に基づく漁業経営の再建を図るための融資その他国の助成に係る利子補給を受けて緊急に融資される資金のうち、主務大臣が指定するものについては保証保険及び融資保険のてん補率を八割に引き上げることであると思います。私は大筋として改正案は評価するものと考えますけれども、中央漁業信用基金並びに各県の漁業信用基金協会の財務内容は決して満足すべきものではなく、漁業者の期待に十分こたえられるかどうか心配される点があるわけであります。  そこで、今回の制度改正に当たって特に懸念される点は、特別会計において保証保険を行っている場合は国が保証責任を負うことが制度的に担保されていたのでありますが、これを中央基金に移行した場合はこの担保がなくなりはしないかということであります。万一、保険事故が多発して中央基金の保険資金が不足するようになる事態になった場合には、政府はこれをどのように対応していくつもりなのか、政府の見解をお伺いしたい。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 保険業務を特別会計から中央基金へ移行した後におきましては、中央基金は特別会計から承継いたしました純資産二十七億というものを保険金として業務を行っていくわけでございます。そこで、私どもといたしましては、保険事故等が大体現状のペースであれば余り問題はないと思いますけれども、将来漁業経営の状況いかんによってはかなり事故が多発するということも全くないとは言えないわけでございます。そのような場合には政府として当然中央基金の業務につきましてはいろいろな監督をし、実態を常時把握しているわけでございますから、そういった場合にはなるべく早目に必要な資金を政府の追加出資等によって入れていくというような措置をとるつもりでございます。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 この本保証の保険制度のいわば基礎ともなるというものは漁業信用基金協会にあるわけでありますから、今回の改正で漁業経営安定資金と燃油対策特別資金等緊急資金のてん補率の一律八割への引き上げ、これら資金に係る基金協会に対する都道府県出資についての国庫助成、基金協会に対し中央基金が貸し付ける低利資金の増額を図るための中央基金への政府の追加出資等の措置を講ずることは私は時宜を得たものと思うわけですが、今回の政府が実施しようとしている漁業経営対策が円滑に実施されるためには基金協会の業務の適切な運営に待つことが大きいことは論をまたないと思います。  そこで、将来、代弁事故の多発等によって協会の基金に不足を生じ、協会運営に支障を生ずることも考慮しておく必要があると私は思います。これは前に答弁したようでありますけれども、重ねて、どういうふうにするという考え方をお示し願いたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 代位弁済が多発いたしまして、基金協会の運営が非常に困難になってきたという場合には、中央基金をつくりまして以来そういった場合の貸し付けができる、低利の金を貸し付けることになっておりますので、政府としては中央信用基金がそういったものに機動的に対応できるように中央信用基金の貸付金の枠を拡大していくということで、追加的な出資をするということが必要だと思います。それでも基金協会自体が非常にまいってしまうというようなことは、この場合には基金協会自体に対する直接的な出資の補助ということも必要になると思いますので、そういった点につきましては今後の運営に遺憾のないようにやりたい、こう思っております。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 最後に漁船船主責任保険臨時措置法案についてお尋ねをいたします。  いわゆる漁船のPI保険の試験実施のための法案であって、五十一年度予算にその裏づけとして本年十月から来年三月までの委託業務費約三千六百万、五十一年度以降五カ年内における国庫の負担となる契約を結ぶ国庫債務負担行為五億八千七百万が計上されております。  そこで、本法の実施が円滑に行われることを主眼において大体次の点について質問をいたしていきます。  政府の資料によりますと、漁船船主責任保険加入計画と期待保険料、すなわち保険設計を見ると、一万三千七百三十隻の漁船が加入することを見込んで設計されておりますが、特にその保険料について三百トンから五百トン階層が年間約六十三万と著しく高くなっているような感じがしますね。しかも、五百トン以上の階層についてはブリタニやP・Iクラブの料率を参考にして採用しているために、五百トン、千トン階級で約三十一万円となっており、私は理解しがたい点があるわけなんです。従来のブリタニやP・Iクラブ等への加入方式を改めて、わが国独自の漁船のPI保険の試験実施に踏み切った裏には、多少なりとも保険料において有利になるからという理由が必要であると私は思います。そこで、現実に試験実施する場合の保険料をどのように決める予定であるか、これをお伺いしたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 保険料につきましては、現在部内において検討中でございますが、ただいま先生の御指摘がございましたように、漁船保険中央会が過去三年間に行った危険率の調査では三百トンないし五百トンの階層の危険率は非常に高いものになっております。そこでこれをそのまま適用いたしますと、従来よりも高いものになると。しかも、三百トン、五百トン階層というのは一番船主責任保険を必要とするような階層の船が多いものでございますから、これはもう大きな問題になるわけでございます。そこで、私どもの方といたしましても、この調査資料についていろいろ精査したわけでございますが、やはり何と言いましても調査期間が短期でデータ数も完全でないということもございますので、実施のための最終的な料率をはじきます場合には、他の類似の保険の危険率等も勘案いたしまして、さらに安全割り増しの見方等もいろいろ料率設計でございますからあるわけでございますが、いずれにいたしましても試験実施の際、保険料率が高くなるということはないように保険料率をつくって、漁業者に有利なものにしなければ意味がないというふうに考えておるわけでございます。

初村滝一郎自由民主党

○初村滝一郎君 最後に、私は昭和四十八年から試験実施をしております漁船積み荷保険事業はその後の経過がどのようになっておるのか。また、これは昭和五十二年には試験期間が終わるわけでございますから、その後、本格実施をするとした場合に、その受けざらとも言うべきものは、どういうふうな実施期間を考えておるのか。また、今回の漁船PI保険の場合も同様でありますから、それがための準備はどうなっているのかを含め、基本的な考え方をお伺いして、私の質問を終わります。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 漁船の積み荷保険は、先生がただいま御指摘があったように、四十八年から五年間の予定で現在試験実施をしているわけでございます。そこで成績はどうかということでございますが、これまで順調に推移しております。そこで若干数字を申しますと、五十年度における実績は引き受け関係では契約件数が千五百三十二件、契約金額七百二十一億円で純保険料の額が二億七千九百九十九万円でございます。事故関係では事故が二十八件、支払いの保険金が一億九千二百三十万円となっておるわけでございます。そこで、五十一年度におきましては、これまでの試験実施の分析、保険料率の検討、本格実施のための組織等について部内で検討することになっておりますが、特に御指摘がございました再保険団体をどうするかという問題がございます。現在、普通の漁船保険の場合には、中央会は単に指導機関ということになっておりまして、再保険やっておりませんので、これをどういうふうにするかということでございますが、これは今後、本格実施の場合の制度をどう仕組むかという問題とも関係がございますので、そういったことを考えながら再保険団体を、再保険者をどうするかということを決めたいと思っております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 まず最初の大きな問題でございました日ソ漁業交渉についての評価でございますけれども、あれの後、安倍農相談話を発表なさいましたし、また先ほど同趣旨の発言をされております。その中身というのは、「日本側代表団の粘り強い折衝によって、これら全面禁漁の措置は回避され、ニシン等一部の魚種につき、わが国としてはなお不満はあるものの、おおむねわが国北洋漁業の実績を確保することができたことは一応の成果と考える。」と、そのように一応の成果というふうに評価されているわけですけれども、私が率直に申し上げれば決してそんな甘い評価では困ると。特に漁民の立場からすれば、一口で言えばニシンが犠牲にされてサケ・マスが何とか生かされたというようなことで、特にニシンに関係する、またカニなんかに関係する漁民にとっては非常に深刻な問題としてこの交渉の結果が受けとめられているわけです。オホーツクの索餌ニシンも調査漁船が半減になりましたし、道の漁民全体というだけではなくて、道民自身が、これでいよいよ北海道においてもニシンは終わりかと、カニもじり貧で特に東樺太のアブラガニ、ズワイガニというようなものも大きな衝撃を受けた、というようなことで、なお、評価についてはそういうやっぱり厳しい評価が現実のものとしてあるということを申し上げたいと思うんでございます。一般新聞もその後出されましたのでも、「危機感高める水産界」とか、「北洋の海強い危機感」といったような現実の厳しさというものを指摘されているわけです。談話の中でまた大臣は、「厳しい環境の変化を直視せよ」というようなことをおっしゃっていらしゃいますけれども、こういう直視するのは政府みずからが、もう非常に厳しさというものに直視しなければならないという深刻な立場に立っているのじゃないかと、そう思うわけです。  きょうは大変時間がございませんので、具体的に長官にすぐ御質問させていただきたいと思いますけれども、今度の交渉の結果で一番大きな問題点は何だったかと言いますと、資源の評価という問題に対する問題が私は一番大きな問題だったと思うんです。北海道新聞での一問一答で長官がお答えになっていらっしゃるわけですけれども、「こんどの日ソ交渉を振り返ってもっとも痛感したことは。」何だ、という質問に対して、長官が「北洋の資源を守ろうというソ連の姿勢がこれほどまでに真剣なものだったとは思っていなかった。」と、こういうふうにおっしゃっているわけです。オホーツクニシンでソ連自身が、自分も禁漁するということを言ってきたときは、まさかと思ったほどだと、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。確かにこの実感お答えのとおりだと思います。ソ連自身が資源を守るためには、うちの方も全面禁漁しますよ、と言われれば、本当にあっとそのときに息をのまれるというような状態ではなかったかと思います。こうおっしゃっている長官のお答えの中には、ニシンの五割削減の弁解というような点も受け取れるわけですけれども、やはり先ほど申し上げましたように、日本側の交渉の姿勢として、この資源を守るという立場での観点が非常に弱かったということが問題だと思うわけです。つまり毎年の交渉をずっと見ておりますと、いままでずっと実績尊重第一主義と申しますか、去年はこれだけとったんだから、ことしもこれくらいというような、そういう立場での交渉というふうにお見受けいたしました。こういうことになりますと実績——去年だからことしもということでは、理論的にも科学的にも相手に対してもう説得力もないし、また太刀打ちもできないというような点から、この点の資源に対する見方ということの考え方、姿勢、これも一つ大きく転換されなければ、これからの問題ということの解決にもつながらないと私は思っているわけです。  資源に対する評価でございますが、お互いの国の目標とする魚獲量を確保するための手段として、そして交渉駆け引きとして使われるということでは、全くこれも政治的な駆け引きで漁獲量が決められるということでは科学的ではないし、資源の評価というそのものがゆがめられてしまうということになるわけなんです。たとえば今度の資源状態の評価を見ても、ソ連側と日本側と相当の食い違いが出されておりましたですね。ソ連側は大変厳しいというふうに言うと、日本の方からの調査で言いますと、いや昨年並みで安定している、というようなことが出てきている。なぜおんなし問題について、その資源に対する評価がこういうふうに違うのかということがまた一つのこれは具体的な問題点になろうかと思うわけです。それで、松浦代表がいらっしゃいました後のこともちょっといろいろ聞かせていただいたわけですけれども、ソ連側は非常にこの資源の問題について科学的であり、かつ広範囲にわたって調査をしている。七五年から従来にない精度の高い調査で、産卵量を飛行機やアクアラングで調査して、産卵量から逆に親の魚の量を割り出すというような、そういうものが出されているわけです。日本の場合はこういうのに対してどういう調査だということの調査体制を見ますと、五隻の科学調査船調査と調査漁船の十三隻、これ年々減らされてきているわけですね。こういうところの調査でしかない。で、長官は、わが国は調査漁船による漁業者の情報に頼っているのでどうしても希望的な観測が入りがちだと、これも率直に北海道新聞の質問に対してお答えになっていらっしゃるわけです。  そこで、その資源に対する評価、どういうふうに見ているかという問題と、今度の交渉の中でそれがどういう問題であったかという点と、それからこの調査の体制というような問題について、長官としては今度の交渉の中でどういうふうにお考えになられたかということを率直な御意見を伺いたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) まずサケ・マスでございますけれども、現在わが国は日ソ漁業委員会の定める科学的な共同調査計画に基づいてサケ・マスの資源量調査をやっているわけでございます。そこで、その調査に使う手法はソ連側とほとんど同じようなものであると思います。なぜソ連側の評価とわが方の評価の間に差ができるのかという点でございますが、これは先ほども申し上げましたけれども、海の中の資源の話でございますので、どうしても推定が入ってくるわけでございます。そうしますと、推定値にアローアンスを設けるわけです、これは一五%の誤差があるとか二〇%の誤差とか。それをプラスにとるか、マイナスにとるか、によって非常に事情が違ってくるわけです、同じものを見るにしても。というようなことがそのサケ・マスの場合にはございます。  それからニシンについて。これは両国の漁業の実態の違いもあるわけでございますけれども、ニシンは、やや詳しく申しますと、四歳ぐらいから産卵をいたしまして、八歳、九歳まで産卵をするわけでございます。すなわち毎年沿岸に帰りまして卵を産んで、そこでまたオホーツクの中で索餌をする。そこでそのニシンの場合には卓越年級群というのがあるわけです。これはどういうことかと申しますと、非常に自然条件がいいというような場合にはある年にものすごくニシンがわくわけでございます。そういうものの漁業をずっと続けていきましても余り資源が減らないわけでございます。そこで、四十八年、五十年に卓越年級群があるわけです。これが主としてわが国の漁業の対象であった。わが国はなるべく大きいのをとろうとするわけでございます。ソ連側はあるいはソ連の食生活の関係かもしれませんけれども、五十一年以降の二、三年から四年ぐらいのところのやつを主としてねらうわけです。確かに五十一年以降に卓越年級群がないということはわが国の科学者も認めているわけでございます。そこで、余り大きな違いはないんでございますけれども、漁業の実態が違うところから——若い資源の見方について意見は一致しているけれども、わが方は、漁業は、もっと老齢のものをとるから維持できるじゃないかと、それに対してソ連は、若いものをとっているので、こんなことをしてれば資源は減ってしまうというところで意見の違いがあったわけでございます。それからもう一つ、ソ連は七五年にかなり大規模な調査をしまして、特に飛行機を飛ばしまして、先ほどもお話いたしましたけれども、ニシンの産卵場について海の白さを見たわけでございます。雄の精によってどの程度海が白くなっているか、それをずっと比較いたしまして産卵資源は三分の一になっているというものを出したわけでございます。というようなことがございまして、科学的調査自身についてそう見解の違いがあるわけではございませんけれども、判断のときに多少違ってくる。これは科学的なデータの見方と、それからニシンにつきましては、両国の漁業の実態が若干違っているというところから意見の違いが出てくるわけでございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 そこで、いろいろそういう事情もあろうかと思いますけれども、わが国としては調査漁船というようなものが大きな役割りを果たさなければならないと思うわけですけれども、現実にはことし半減と、だんだん減ってきたのがまた半減というようなことになりましたですね。そうしますと、これに対してどういうふうに調査というものを、ソビエトの規模というまではとても無理だと思いますけれども、どういうふうにこの調査というものを検討していらっしゃるのか。またニシンの研究については北海道の余市の水産研究所というのがございますけれども、ここの体制というのも非常に弱体でございますね。私も北海道でございますので、余市の方ではいろいろ勉強もさせていただいているわけですけれども、現在その余市の水研で男子が三名、女子一人、協力者として道立稚内水試一名、計五名しか人間がいないというような現状でございます。それから水産庁の試験船というのが一隻しかない。しかもその一隻もサケ・マス、サンマ、ニシンというようなもので分取り合戦みたいになってしまって、ニシンの場合で言うと、一カ月確保するのが精いっぱいだと、こういうふうな状態なんです。調査船漁船というのが半減されて現実の試験体制の中ではこういう弱体である。それで資源の問題でこられると太刀打ちできないということではまことに残念だと思うんです。私も日本の水産試験場の専門家の方たちといろいろお話いたしますと、決してソ連なんかに負けるようなものではなくて、研究者の方たち非常にりっぱな研究をしていらっしゃる。それで、やっぱりここで研究体制の充実とか、それから試験船だとか、それから試験船が足りないからといって、これも調査船漁船に乗って研究者が行っても、せっかくデータとっても、これを整理するという協力者もいないというような中で、日本の研究者が大変技術的にも、能力的にも私は負けないと思うのですけれども。で、そういうようないろんな外的な条件の中で資源でやってこられると、こっちが太刀打ちできないというようなことで、ことしみたいな苦い目に来年は漕わないで済むようにしっかりしたものを私はやっていただきたい。そういう点について長官としては具体的にどういうふうな方法でもって御検討いただいているのかどうか、その点お答えをいたがきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 私も日本の科学者の能力というのは非常に高いと思います。それで聞いているところでは、国際的にも非常に評価されている。ただ、御指摘のように諸外国の調査に比べまして、残念ながら金が余りないという問題がございます。そこで、ニシンの調査につきましても、私どもといたしましては、乏しい予算の中で毎年少しずつふやしております。  それから調査船が一隻で一カ月だというお話でございますけれども、科学的調査船は民間の船でさらに四隻やっておりますので、実際にはいわゆる調査漁船と言われる今度六隻になりましたもの以外に五隻の科学的な調査船を動かしております。これは五十一年度におきましても動かしまして、これによって魚体調査、海洋調査をやる。それから調査漁船は標識放流と、それから年齢の、さっきの話でございますが、年齢組成やらせるとか、そういうようなことをやっていこうと思っておりますけれども、基本的にお金が科学者が要求するところまで全部こないというところが残念ながら現実でございまして、私どもといたしまして、そういった科学調査の予算は極力ふやすように努力しなければならないと思います。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 まさにそのとおりだと思うんですね。具体的に今度調査したのが沖合いでの調査だということで、今度秋に三歳魚というものの調査で、来春は稚魚の調査やって初めてその結論出して、資源として裏づけ持って交渉できる。研究者がちゃんとその力があって、本当にもうそれができるのに、何がないんだ、金がないからだ、なんて実に情けないと思うんですね。長官御奮闘いただけると思いますけれども、農林大臣も水産予算でもうしっかりがんばっていただかなければならないと言うんです。こういうことが結局押されるというのも、何としても私は日本の水産業の上から残念なことだと思いますので、その辺のところも重ねてお願いをしたいと思います。  最後でございますけれども、先ほど初村委員の方からお話がありましたけれども、減船による補償問題でございますが、どうしてもこの減船で犠牲になっていくというのが中小漁業者というふうなことになっていくわけですけれども、大臣も衆議院の農水委員会でニシン業者への救済策は万全の措置をとると、こういうふうに言明をされたわけですけれども、これは抱卵ニシンの調査漁船だけに限られているということでは困るわけで、五割も漁獲量が削減されました索餌ニシンの分、その索餌ニシンの業者について、それも含めて万全の措置というふうに大変いいお返事だったのかどうか、その辺のところをお伺いしたいと思いますし、それから、ニシンと同様にズワイガニとアブラガニについても減船に対する措置というものについて、どの程度の御検討をいただけているのかどうか。  そちらに行っているかどうかわかりませんけれども、北海道のズワイガニ漁業協同組合の方から補償要求というのが出ております。ズワイガニが合計五隻が減船になるわけで、そのうちの四隻が百トンで、これについては六億四千万、あと一隻は四百トンの分で二億四千万というように合計八億八千万の減船補償というものが要求されているわけなんですね。そういうことで四十六年のときには相当補償というものに力を入れていただけたように思いますので、今度も抱卵ニシンだけではなくて、索餌ニシンの方も本当に困っているのですよ、笑っていらっしゃるけれども。本当にニシン漁民の人たち深刻だったものですから、私は、ぜひ何とかの措置というものを考えていただきたいと、その辺のところをどういうふうに考えていらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。  で、時間がないというので、続けて質問先にやってしまいます。  本来的に言えば、漁業再建整備法による減船対策、これの対象に加えよ、と要望するはずなのが、ニシンもカニもこの法律と別に救済措置をしてくれというふうに要求しているわけです。つまりこのことは、本法による減船対策が補助ではなくて融資であるという点で不十分だということを、逆に言えば、あらわしていると思うわけなんですが、また自主的減船といっても、国の助成が不十分な場合、結局経営が悪化している漁業者はとても補償に応じられないというような問題が出てきて、減船の対象となって資金力のある漁業者が生き残るということになって、弱肉強食の形にならざるを得ないということになろうかと思います。先ほど初村委員がおっしゃっていたように、やっぱりカツオ・マグロの補償というものが非常に不十分になってきてしまう。だから、これについて直接国が助成してほしいというような大きな動きになってきております。先ほどちょっと長官お答えになりましたようですけれども、これについても具体的に本当に安心してやっていけるように補償の方も何とか考えるというようなお答えがいただけるのかどうか。やっぱり大変だから、ちょっと困るけれどもしようがないというふうなことになるのか。その辺のところを全部一括してお答えをいただきたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) まず第一に、ことしの日ソ交渉の結果のニシンの漁獲高の削減、特に調査船が十二隻から六隻になったという問題につきましては、現在その救済措置について前向きに検討中でございます。カニについても同様なことで検討しております。それから、索餌ニシンでございますが、これは先生御案内のように、漁期が六月二十六日かに始まるわけです。それに対しまして、ニシンの調査船はすでに漁期が来ておりますし、カニももう漁期が来ておりますから、緊急に出さなければならないということで、中で辞めてもらう人を決めまして出したわけでございます。まだ索餌につきましては、漁業実態からどういうような漁業にするか、ゼロになったわけではございませんから、そういうこととも関連させながら、いろいろな対策を考えなければならないと思っておりまして、すでにニシンの調査船とカニにつきましてはある程度関係方面との折衝に入っております。それから、マグロが今度の法律に基づいて減船計画をやる、その場合に、同様に直接助成が必要じゃないかということでございますが、これはやはり国際規制で急に約束しておったものを切られてしまったというのとは、若干問題を違えて考えるべき性質の問題じゃないかと思っております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 索餌ニシンの方を捨てないでくださいよ。その方が数も多いし、大変なんですから、よろしくお願いします。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 他に御発言がなければ三案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 御異議ないと認めます。  なお、三案の討論採決につきましては後刻に譲ります。     —————————————

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 林業改善資金助成法案を議題といたします。  本案の質疑は前回終局しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから討論は終局したものと認めます。  林業改善資金助成法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいま可決されました林業改善資金助成法案に対する附帯決議案が、各会派の意見の一致を見ましたので、便宜私から提案いたします。  案文を朗読いたします。     林業改善資金助成法案に対する附帯決議(案)   森林の経済的及び公益的機能の重要性にかんがみ、政府は、林道、造林等の生産基盤の整備、林業者、林業労働従事者、森林組合等の林業の担い手に対する対策の充実、林業金融の拡充、林業技術の改良普及等を図つて林業経営の安定向上と森林資源の保続培養を期するとともに、本法の施行に当たつては左記事項の実施に遺憾なきを期すべきである。        記  一、林業の動向に即応して本制度の趣旨の徹底を期するため、今後貸付対象範囲の拡大、資金量の充実、貸付限度額の引上げ等本制度の改善拡充に努めること。  二、本資金の貸し付けに当たつては、林業普及指導事業及び森林組合その他関係団体と十分協調して受入体制を整備し、他の関連諸施策との連けいを密にする等その効率的かつ円滑な運用を期すること。  三、適正な間伐の実行が優良な森林の育成上緊要であることにかんがみ、地域の林業事情に即し、森林組合等による間伐の組織的な実施を促進し、間伐材の販路の開拓と価格の安定に資する等適正な間伐の促進のための対策を強力に推進すること。  四、林業労働従事者に係る白ろう病について、その予防措置の強化、発生状況の適切な把握、職業病としての的確な認定、治療施設の拡充等その対策の充実強化に努めること。  五、林業後継者及び林業労働従事者について、林業に対する意欲の向上、必要な技能の修得を図るため、研修施設及び研修内容の充実に努めること。  六、林業普及指導事業及び森林組合等の一そうの充実強化に努め、本制度の円滑な実施に資すること。   右決議する。   以上であります。  それでは、本附帯決議案の採決を行います。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、安倍農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。安倍農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの附帯決議につきましてはその御趣旨を尊重し、善処してまいる所存でございます。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) なお審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 次に、漁業再建整備特別措置法案、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案及び漁船船主責任保険臨時措置法案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の質疑は、先ほどすでに終局しております。  漁業再建整備特別措置法案について、塚田君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。  この際、修正案を議題とし、趣旨説明を願います。塚田君。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 私は日本共産党を代表して、漁業再建整備特別措置法案に対する修正案の趣旨説明を行います。修正案の朗読は省略させていただきます。  去る四十八年の石油危機以来、わが国漁業はその経営の維持すら危ぶまれる深刻な不況にあることは、政府提出による五十年度漁業白書でもこれを自認しているとおりであります。とりわけ、中小漁業の今日の危機の原因が海洋法の動向や石油危機などの要因はあったにしても、主として乱獲を前提にして成り立った漁業、すなわち生産性向上、近代化路線を通しての高度成長政策の漁業版であったと思うのであります。政府の言うがままにやってきたらとうとう減船まで来てしまったかという漁業者の述懐を自嘲に終わらせないためにも、いまこそ政府はこれらの危機にこたえ、真に漁業再建の名にふさわしい援助を行うべきであります。このことは、当委員会における参考人として意見を陳開された各漁業代表者の皆さん方の強い要望でもありました。したがって修正の第一は、減船対策を含む整備計画実施に当たっては融資のみでなく、あわせて直接助成を行うことにした点であります。これによって不幸にして減船に追い込まれている北洋ニシン漁業者なども救済できるのであります。なお、そのための所要財源はマグロ漁業を含め、初年度五十億円弱であります。  修正の第二は、現行の中小漁業振興法による構造改善事業は、政府提出資料によるこれまでの実績を見ましても法制定当時までのわが党が指摘したとおり、中小漁業経営の安定にとってその実効がきわめて疑問のあるところであります。これまで構造改善の対象業種になった中小漁業ほど、より深刻な危機に陥っている事実に照らしても本法からこれを削除すべきであると思うのであります。  修正の第三は、当該漁業者の意見が十分尊重され、民主的に取り入れられるべきであるという点であります。本法はそのための訓示規定すらもないのであります。整備計画策定に当たっては少なくとも水産業協同組合法第五十条(特別決議事項)などの精神を生かし、その民主的な手続規定を明確にしたことであります。  以上が修正案の要点でありますが、委員各位の御賛同をお願いして提案趣旨の説明を終わります。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) ただいまの塚田君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。安倍農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの修正案につきましては、政府としては賛成しがたいものであります。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) これより三案並びに修正案について討論を行います。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、漁業再建整備特別措置法案について採決を行います。  塚田君提出の修正案を問題に供します。塚田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 少数と認めます。よって、塚田君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいま可決されました漁業再建整備特別措置法案に対する附帯決議案が各会派の意見の一致を見ましたので、便宜私から提案いたします。  案文を朗読いたします。    漁業再建整備特別措置法案に対する附帯決議(案)   漁業は、動物性たん白質の五割を供給する食糧産業として、国民の食生活の安定に重要な役割を果してきた。しかるに、漁業をとりまく情勢は、燃油等生産資材価格の高騰と魚価の相対的低迷による経営収支の急激な悪化、海洋法会議の動向、米国の二〇〇カイリ漁業専管水域法の成立、今次の日ソ漁業交渉等にみられるような国際的規制の強化、資源状況の悪化、沿岸海域の水質汚濁の進行等極めて厳しいものがある。   よつて政府は、このような漁業の厳しい現状を打開し、その再建を図るため、従来の漁業政策を抜本的に再検討するとともに、当面左記事項の実現に努めるべきである。        記  一、漁業の整備に当たつては、業種の実態に即して、直接補助を含む強力な対策を講ずるとともに、失職者を生じないよう特段の努力を払うこと。    なお、当該業種の漁業者全体の協力を得られるよう努めるとともに、漁業者団体に対して適切な指導援助を行うこと。  二、省燃油その他経費の節減に資する漁船の開発を強力に推進するとともに、その導入を容易にするための措置を鋭意検討すること。  三、水産物調整保管事業等現行の水産物価格安定のための施策を拡充強化するとともに、水産物価格安定のための制度の確立について検討を進めること。  四、沿岸漁場整備開発事業の促進、水質規制の強化、汚染漁場の復旧技術の開発等に努め、もつて沿岸水産資源の維持増大を図ること。   右決議する。  以上であります。  それでは本附帯決議案の採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、安倍農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。安倍農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいる所存でございます。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいま可決されました中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が各会派の意見の一致を見ましたので便宜私から提案いたします。  案文を朗読いたします。    中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   中小漁業をとりまく極めて厳しい情勢に対処して、その必要とする資金の融通の円滑化を図るため、政府は左記事項の実現に努めるべきである。       記  一、中小漁業経営の悪化に伴い、今後予想される事故率の上昇等に対処して、政府は、中央漁業信用基金及び漁業信用基金協会に対する出資金、出資補助金の増大に努め、もつて緊急融資資金等の融通の円滑化に遺憾なきを期すること。  二、経営の悪化に伴う中小漁業者の受信力の低下に対処して、本制度の十分な活用を図ることはもちろん、金融機関に対しても、融資を円滑に行うよう指導すること。  三、漁業信用基金協会の保証能力の拡大を図るため、地方公共団体の漁業信用基金協会に対する出資の促進を指導すること。  四、経営維持安定のための資金等消極的性格の資金の比重の増大に伴い、事故率の上昇、事務量の累増等種々問題を生ずる恐れがあるため、本制度の今後のあり方について、引続き多角的な検討を行うこと。   右決議する。  以上であります。  それでは、本附帯決議案の採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、安倍農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。安倍農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し善処してまいる所存でございます。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 次に、漁船船主責任保険臨時措置法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいま可決されました漁船船主責任保険臨時措置法案に対する附帯決議案が、各会派の意見の一致を見ましたので、便宜私から提案いたします。  案文を朗読いたします。    漁船船主責任保険臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に努めるべきである。       記  一、試験実施に必要な加入漁船隻数を確保するよう指導すること。  二、ブリタニアP・Iクラブ等に加入している一部大型漁船の本制度への移行を指導するとともに、他制度と比較して本制度が不利となることのないよう、適切な措置を講ずること。  三、試験実施中の漁船積荷保険制度を、すみやかに本格実施するよう検討するとともに、本制度についても、可及的すみやかに本格実施に移行させるよう必要な資料の整備に努めること。  四、漁船積荷保険制度及び本制度の本格実施に当たる組織について、漁船保険中央会の業務のあり方との関連において、早急に検討すること。  五、本制度を含む漁業関係の共済制度、保険制度の統合、一元化について引続き検討すること。   右決議する。  以上であります。  それでは本附帯決議案の採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、安倍農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。安倍農林大臣。   

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいる所存でございます。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) なお、以上三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて休憩いたします。    午後七時二十四分休憩      —————・—————    午後八時六分開会

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を順次聴取いたします。安倍農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことによって、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、農業者の老後生活の安定と福祉の向上に資することを目的として、昭和四十六年一月に発足したものであります。  本制度につきましては、昭和四十九年度に年金給付水準の引上げ等を内容とする制度の改善充実が図られたところでありますが、その後における農業をめぐる諸情勢に変化が見られること、厚生年金保険、国民年金等の公的年金制度において制度の改善充実が図られようとしていること等にかんがみ、年金給付水準の引き上げ等を中心に、速やかに制度の改善充実を図る必要が生じておりますので、今回、本制度の改正を行うこととし、この法律案を提出いたした次第であります。  次にこの法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、年金額の引き上げであります。経営移譲年金及び農業者老齢年金の年金額につきましては、前回の制度改正以後における農業所得の推移と厚生年金及び国民年金における給付水準の改善の状況を総合的に勘案して、現行の一・四八倍に引き上げることとし、これにより農業者年金制度がねらいとする政策的効果を上げ得るようにいたしております。  第二に、保険料の額の改定であります。今回、年金額の引き上げを行うこと等に伴いまして、年金財政の収支の均衡を確保するためには、保険料の額についても相当な引き上げが必要となるのでありますが、農業者の負担能力等を勘案いたしまして急激な負担の増高を緩和することとし、昭和五十二年一月から十二月までの保険料の額は、給付水準の引き上げ率と同率の引き上げとし、以後段階的に引き上げることといたしております。  第三に、農業後継者に対する措置であります。その第一点は、農業後継者の育成確保を図り、後継者に対する経営移譲の促進に資する見地から、今後における農業生産の中核的担い手となることが期待される特定の後継者につきましては、保険料を三割程度軽減することとし、その軽減分については、これらの加入後継者に係るいわゆる拠出時の国庫補助の割合を引き上げることといたしております。  後継者に対する措置の第二点といたしましては、適期における後継者への経営移譲がより円滑に行われるよう、経営移譲年金の支給要件である経営移譲の方法として後継者に対する使用収益権の設定による方法を認めることとし、経営移譲に係る支給要件の改善を図ることといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林漁業団体職員共済組合制度は、農林漁業団体職員の福利厚生の向上を図り、農林漁業団体の円滑な運営に資するための制度として実施され、その給付内容も逐年改善をみてまいりました。  今回の改正は、恩給制度、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度の改善に準じて、既裁定年金の額の引き上げ、最低保障額の引き上げ等により給付水準の引き上げを行うとともに、障害給付及び遺族給付につきまして各種の改善措置を講じようとするものであります。  まず、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を昭和五十一年七月分以後、昨年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として引き上げることにより年金額の引き上げを行おうとするものでありますが、本年度は特にいわゆる上薄下厚方式により年金額の低い者に有利な改定を行うことを内容としております。なお、この措置とあわせて、退職年金等の最低保障額の引き上げを行っております。  次に、障害給付の改善措置であります。これは、職務によらない障害年金及び障害一時金に係る受給資格期間につき、新たに他の公的年金制度の加入期間を通算することとするほか、障害年金の廃疾認定日の繰り上げを行おうとするものであります。  第三に、遺族給付の改善措置であります。これは、職務によらない遺族年金の受給資格期間につき障害給付の場合と同様、新たに他の公的年金制度の加入期間の通算措置を講ずるとともに、寡婦加算制度を創設し、老齢または子のある寡婦に係る遺族年金に一定額を加算することとするほか、従来からの扶養加算の額について増額しようとするものであります。また、通算遺族年金制度を創設し、通算退職年金の受給権者が死亡した場合には、その遺族に通算遺族年金を支給することといたしております。  最後に、掛金及び給付の領の算定の基礎となる標準給与の月額の上下限の引き上げを行うことといたしております。  その他、恩給制度及び国家公務員共済組合制度等の改善に準じ、所要の改善措置を講ずることといたしております。  なお、実施の時期につきましては、一部の規定を除き、昭和五十一年七月一日及び同年八月一日といたしております。  以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 次に補足説明を順次聴取いたします。岡安構造改善局長。

岡安誠農林省構造改善局長

○政府委員(岡安誠君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたみで、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一に年金額の引き上げであります。  まず、経営移譲年金の額につきましては、保険料納付済み期間一月につき現行は六十歳から六十四歳までが千七百六十円、六十五歳以後は百七十六円でありますが、これをそれぞれ、二千六百円及び二百六十円といずれも現行の一・四八倍に引き上げております。  これにより、六十歳から六十四歳までの間に支給される経営移譲年金の額は、二十八年加入者に例をとれば月額四万九千二百八十円から月額七万二千八百円に引き上げられます。また、本年から支給が開始されます五年加入者の場合には月額一万七千六百円から月額二万六千円に引き上げられることとなります。  次に農業者老齢年金の額につきましても、保険料納付済み期間一月につき現行は四百四十円でありますが、これも経営移譲年金と同様現行の一・四八倍とし、六百五十円とすることといたしております。  第二に保険料の額の改定であります。昭和五十二年一月から十二月までの保険料の額につきましては、すでに提案理由において申し述べましたように、現行の保険料の額に年金給付水準の引き上げ率と同率の一・四八倍を乗じた二千四百五十円とし、以後、昭和五十三年一月から十二月までの保険料の額につきましては、一月につき二千八百七十円、昭和五十四年一月以後の保険料の額につきましては、一月につき三千二百九十円とすることといたしております。  第三に農業後継者に対する措置であります。  その第一点は、農業後継者の育成を図る見地からの保険料の軽減措置でありますが、この軽減措置は、三十五歳未満の者であって一定の要件に適合するものに適用することといたしております。軽減された保険料の額は昭和五十二年一月から十二月までの保険料の額につきましては、一月につき千七百五十円、昭和五十三年一月から十二月までの保険料の額につきましては、一月につき二千五十円、昭和五十四年一月以後の保険料の額につきましては、一月につき二千三百五十円とすることといたしております。  なお、軽減された保険料につきましては、拠出時の国庫補助の割合を引き上げることとし、一般の保険料に係る国庫補助が十分の三であるのに対し、本措置により軽減された保険料に係る国庫補助につきましては、十分の五とすることとしております。  農業後継者に対する措置の第二点は、後継者に対する経営移譲の要件の改正でありますが、提案理由におきましても申し上げましたように、後継者に対する経営移譲の要件として所有権の移転による方法のほか、使用収益権の設定による方法を認めることにより経営移譲の円滑化を図ろうとするものであります。  なお、本措置とあわせて支給停止に関する規定の整備も行うことといたしております。   このほか、失綜宣告を受けた者に対する措置、年金額の端数処理に関する措置等所要の措置を講ずることといたしております。  最後に、この制度改正の実施時期は、昭和五十二年一月一日からといたしております。  以上をもちまして農業者年金基金法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 古岡農林経済局長。

吉岡裕農林省農林経済局長

○政府委員(吉岡裕君) 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  まず第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、昭和四十九年度以前に給付事由が生じた退職年金、減額退職年金、障害年金、遺族年金及び通算退職年金につきまして、その年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昨年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として、七・九から一一・五パーセントまでの率で引き上げることにより年金額を引き上げることといたしております。なお、その改定時期につきましては、毎年度繰り上げてきており、本年度は、昭和五十一年七月といたしております。  第二は、最低保障額の引き上げであります。これは、退職年金、障害年金及び遺族年金につきまして、その年金額の水準が厚生年金保険の水準を下回ることのないよう、最低保障額の引き上げを行おうとするものであります。たとえば、退職年金につきましては、四十二万千二百円から五十五万二千円に引き上げることといたしております。  第三は、退職年金等の算定方法の改善であります。これは、退職年金等の算定方法のうち通算退職年金の額の算定方式に準ずる算定方式中の定額部分を年額三十三万九千六百円から三十九万六千円に引き上げるとともに、その定額部分に係る加算期間を十年から十五年に延長することといたしております。  第四は、職務によらない障害年金及び遺族年金等の受給資格の緩和であります。従来、職務による障害年金及び遺族年金を除き、受給資格期間は組合員期間が一年以上としておりましたが、今回、組合員期間と他の公的年金制度の加入期間とを合算した期間が一年以上といたしております。  第五は、障害年金の廃疾認定日の繰り上げであります。これは、健康保険制度による療養の給付等を受けている者等に対する障害年金の廃疾認定日を当該療養の給付等の開始後三年を経過した時から一年六月を経過した時に繰り上げることといたしております。  第六は、遺族年金に係る寡婦加算制度の創設及び扶養加算の増額であります。まず寡婦加算の額につきましては、遺族である子の数等に応じ二万四千円から六万円までの額を加算することといたしております。また扶養加算の額は、遺族である子一人当たり九千六百円から二万四千円に増額することといたしております。  第七は、通算遺族年金制度の創設であります。従来、通算退職年金の受給権者が死亡した場合には、その遺族に死亡一時金が支給されるのみで、退職年金の受給権者が死亡した場合その遺族に遺族年金が支給されるのに比較して不均衡があったわけでありますが、今回これを是正しようとするものであります。なお、通算遺族年金の額は、通算退職年金の額の二分の一に相当する額といたしております。  第八は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。すなわち、標準給与の月額の下限につきましては五万二千円から五万八千円に引き上げるとともに、上限につきましては三十一万円から三十四万円に引き上げることといたしております。  第九は、老齢者等の退職年金等の割り増し措置の改善であります。これは、七十歳以上八十歳未満の老齢者等に支給する退職年金、障害年金及び遺族年金につきましては、その額の算定の基礎となった旧法組合員期間のうち二十年を超える年数につき、さらに五年を限度としてその超える年数に応じて割り増しを行うことといたしております。  以上がこの法律案の主な内容であります。  なお、この法律案に対しまして衆議院において修正が行われ、財団法人農林年金福祉団を新たに本法の適用対象団体とすることとされるとともに、同福祉団の職員の厚生年金保険の被保険者期間で、同福祉団の職員であった期間を通算する特例措置等に関する規定が設けられたことを申し添えます。  以上であります。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 本案に対し、衆議院において修正がなされておりますので、この際、修正部分について衆議院農林水産委員長代理理事今非勇君から説明を聴取いたします。今井勇君。

今井勇自由民主党

○衆議院議員(今井勇君) 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正について、その趣旨を御説明申し上げます。  修正内容は、農林漁業団体職員共済組合の保養施設の経営を委託されている財団法人農林年金福祉団を本年七月一日以降本法の適用対象団体とするとともに、これら団体の職員についてその者が有していた厚生年金被保険者期間で当該団体の職員であった期間を、本共済組合の組合員期間とみなし、これを通算する特例措置を講じようとするものであります。  このような修正を行うことといたしましたのは、財団法人農林年金福祉団は、農林漁業団体職員共済組合の福祉事業の円滑な運営に資するため、その業務を受託経営することを目的に昭和三十七年十月に設立されたものであり、財団法人としての農林大臣による監督のほか、農林大臣の指定を受けて、もっぱら、農林漁業団体職員及び年金受給者の福祉を増進するための事業を行うことにより農林漁業団体の発展に寄与している団体であり、農林漁業団体の福利厚生事業の一翼を担っている性格からして同一の年金制度を適用することは、これら役職員の希望にもかない、むしろ自然であるとの判断に立った次第であります。  また、この団体について加入と同時に、加入前の厚生年金被保険者期間を本共済組合の組合員期間とみなすことといたしましたのは、加入を認めただけでは、かえって制度上は不利となるおそれがあり、より充実した老後保障を求める趣旨にもとると考えたからであります。  また、この通算措置に伴い、厚生保険特別会計から本共済組合への交付金、みなし組合員期間についてのいわゆる掛金不足額等の納付金、その納付金についての社会保険料控除の適用等について必要な規定を設けております。  以上が修正の趣旨及び内容であります。何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。  これより両案の質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 大分時間もたっておりますが、農林年金につきまして、五、六点お尋ねをいたしたいと思います。大変技術的な問題でありますから、局長にひとついろいろ伺いたいと思います。  一つは引き上げ率の問題であります。いままで政策スライドで、国家公務員の賃金が上がりますと、その上げ率について一律に上げてきたわけですが、今回は六段階に分けて、そして平均が国家公務員の賃金の値上がり分、つまり一〇・七に等しくなるように、こういうやり方をしたわけであります。従来からそういうようなふうにした方がいいのではないかという論議もあったわけですが、この六段階の分け方が国家公務員の行政職俸給表の(一)について検討を加えて、そうして六段階に割ったわけですね。何がゆえに六段階に割ったかということもありますが、これはもともとの話でありますから……。そこで最高が一一・五%、これを上限にして、下限の方が七・八五%、それで六段階に割って、平均が一〇・七と、こういう形になっておるわけですが、こういう一律から六段階に分けて適用する場合に、農林年金の場合には一体どういうふうに有利になるのか、どうなのか。私が考えますと、国家公務員共済組合あるいは地方公務員共済組合、これはどうも不利になるように思うのです。いままでは一律で上げておりましたですが、今度は六段階に割りますと、国家公務員の場合、地方公務員の場合におきましては上限に該当しない。一番高いところの適用を受ける者は恐らくなくなるだろうと思うのです。それから次の高い者、高いところから二段目ですね、ここのところも恐らく国家公務員、地方公務員の場合はいなくなるんじゃないかと思うのです。そうしますと、高いところの適用を受ける者がいないわけでありますから、平均いたしますと、決して一〇・七にならぬというふうに思うのです。  それは国家公務員の問題でありますから、地方公務員の問題でありますから、これはそのままにして、農林漁業団体にこれを適用する場合は違うのじゃないかというふうに思うのですが、それは一番高いところの適用を受ける者、次に高いところの適用を受ける者、そういう者が相当おられると思うのです。特に高いところから二段目というところは相当おられるのじゃないかと思うのです。そういう意味で六段階に分けて、そうして平均が一〇・七になるというやり方でいきますと、そういうことになるのではないかと、そういうことについての局長のお考えをお伺いしたい。  それからもう一つは、今度初めてこういうふうに六段階に分けたわけですが、来年も再来年もということになりますが、今後もこういうやり方を継続していかれるのかどうかという点についての考え方ですね、この二つをお尋ねしたいと思います。

吉岡裕農林省農林経済局長

○政府委員(吉岡裕君) ただいま先生御指摘になりましたように、今回御提案申し上げております法律の別表におきまして、平均標準給与年額の区分をいたしまして、お話のように六段階の区分に応じてそれぞれアップ率を変えまして、今回最低年金のアップを図っておるということで御提案を申し上げておるわけでございます。この考え方としましては、従来、物価及び国民の生活水準を両方をあらわすものといたしまして、国家公務員の給与改定率というものを基準にいたしまして農林年金の既裁定年金額の増額改定を毎年図ってきておるわけでございますが、お話のように、いままでは国家公務員の平均的なアップ率を一律に乗じましてこの改定を行ってきておったわけでございます。ところが、やはり国家公務員給与のアップ率の内容につきましては大体上薄下厚方式と申しますか、給与の低い者に対してはベースアップ率を高く、給与の高い者に対しては逆に相対的に低くということで上薄下厚方式がとられてきておりまして、この趣旨はやはり農林年金その他共済組合の年金につきましては採用すべきであるというふうな意見もございまして、今回各年金共通の方式として、ただいまお話し申し上げましたような一一・五%を上限にいたしまして、下は七・八五%ということで、平均一〇・七%のアップ率を六階級に分けて適用したものでございます。  そこで問題は、この区分の方法につきましては全体の各共済制度共通といたしまして、この区分を設けまして、そこで平均が一〇・七になるように、それぞれの階層にほぼ見合う国家公務員給与の改定率の傾向を参酌いたしましてこのアップ率を決めております。それが結局一定の率とプラス一定の定額という形で六階層について改定率が決まっております。この一律にしないで定額をつけ加えたという意味は、それぞれの階層区分間におきまして、その周辺で逆転現象が起きては困るということで、一つはそれをスムーズにするという意味がありまして、この定額をパーセントの上に足しました改定率というものを設けておるわけでございます。そういうことを各共済制度共通にいたしました結果、先生御承知のように、農林年金の受給資格者はわりに平均的な共済組合の受給権者に比べまして給与率、給与が相対的に低いというふうなことがありまして、結果的には、この階層区分を統一的に各共済制度に設けました結果を農林年金に当てはめました際に、やや平均よりは得をしておるという結果が農林年金の場合にはあらわれておるわけでございます。  それから、この制度をさらに来年度以降も踏襲をするかというお話でございますが、国家公務員給与のべースアップ率を既裁定年金のアップ率として、それを基準として改定をするという方式はほぼ定着をしておるわけでございますので、全体としてはそのようなアップ率を使うという点についてはさらに踏襲されると思いますし、またこのような上薄下厚方式と申しますのが今年度とられたということは、やはり一つの先例となるものではなかろうかというふうに私ども思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 第二番目にお尋ねをいたしたいのは、遺族年金であります。この遺族年金は従来から大変問題になっているものでありまして、御承知のように、恩給法によりまして、大正の若い年代に五〇%——年金受給者が死亡いたしましたときに、その典型的には妻でありますが、五〇%というのが決まりましてから、その後約五十数年にわたってこの五〇%というのが残存してきたという——残ってきたといいますか、そのままになっておるわけでありますが、近年になりまして、これを改定すべきだと、五〇%ではなくて、あるいは七〇%あるいは八〇%というものに改定すべきだという意見が強くなってまいったわけですが、今回は、この五〇%という定率を改定しないで、寡婦年金制度というものを新しくつくって、そういうような考え方に対して対応をするという形になったように思うんです。そこで、この寡婦加算制度でありますが、寡婦——六十歳以上の人の遺族年金を月に二千円プラスする、年額二万四千円を五〇%にプラスをする。それから六十歳以上の寡婦で子供一人ある場合は三万六千、年額、プラスする。二人ある場合は六万、定率の五〇%にプラスをする。こういう寡婦加算制度というものがつくられたわけですけれども、この点について二つお尋ねをしたいわけです。  一つは、今後ともこの遺族年金については定率を改正しないで、こういった寡婦加算制度というものを充実していくような方向にいくのかどうか。先ほどの局長の答弁ですと、これは一つの前例になって、ということになるかもしれませんが、定率を改正しないで寡婦加算制度を拡充するという形でいくのかどうか。今後のこととしてね。  もう一点は、六十歳以上の寡婦、これはわかります。次の、子供一人ある六十歳以上の寡婦、子供二人以上ある寡婦——この子供というのはこれは未成年者のことですか。その二つについてお尋ねをいたします。

吉岡裕農林省農林経済局長

○政府委員(吉岡裕君) 今回の遺族年金制度の改正の中に寡婦加算制度を導入をしたわけでございますが、先生ただいまおっしゃいました加算につきまして、この法案で申しておりますことは、六十歳以上の寡婦で遺族としての子がいない場合、これは先生おっしゃいましたように、年額二万四千円をプラスするということでございます。それからあと、子供が一人ある寡婦の場合及び子供が二人以上ある寡婦の場合といいます場合には、年齢の制限が実はついておらないわけでございます。したがいまして、子が一人以上ありました場合には、一定の——奥さんの、遺族の年齢いかんにかかわらず、この年金額が加算をされるということになっております。それで、子供一人の場合には三万六千円、それから二人以上の寡婦の場合には六万円ということでございます。それで、この場合の子と申しますのは、未成年者である子供ということでございますので、原則として十八歳未満の子弟ということになるわけでございます。  それからこのような制度を継続をさらにしていくのであるかという御質問でございますが、今回このような制度を各年金共通の制度として導入をいたします過程、背景を若干申し上げますと、これは確かに退職年金額の五割支給というのを、もっと全体的に支給率を高めろという意見がいろいろあったことは私どもも承知いたしておりますが、今回の制度改正の中で考えられましたことは、その遺族年金の受給権者のうちで特にその生活の実態等から見て年金の必要性が特に高いと考えられる範囲というものは、どういうふうなものであろうかということを勘案をいたしまして、また低額年金者に手厚い引き上げとなるというふうなことも配慮をいたすというふうなことを考えまして、結局子のいる寡婦及び先ほど申し上げました高齢の寡婦について定額の加算をするという寡婦加算制度というものを創設をいたしたわけでございまして、こういった方々については実質的に遺族年金の支給率を引き上げる、そういう結果になっておるわけでございます。  たとえば、四十九年度末現在の農林年金の退職年金の平均年金額というのが約五十二万一千円ばかりでありますが、この退職年金の受給権者が死亡をした場合に、先ほど申し上げましたような寡婦加算をした場合の遺族年金の支給額はどうなるか、というふうなことを計算をしてみますと、従来の五割あるいは扶養加算等を加えますと、若干五割よりふえる場合もあるわけでございますが——それに比べましてやはり一割ないし二割といった支給率の上昇が計算上見られるわけでございまして、このような形で遺族年金の支給率の上昇に対応をしたということでございます。  それから、将来もこのような方式を継続するかどうかということでございますが、この問題については、やはり今後とも遺族年金の受給者の生活実態等を考慮いたしまして、受給者の生活の保障に資するという観点から、やはり各年金制度共通の課題として検討をしていかなければならないというふうに思っておりますが、その支給の改善を今回のような加算方式でいきますか、あるいは支給率の引き上げというふうなことでいきますか、この点についてはそういう全体的な検討の中で今後取り扱っていかなければならないだろうというふうに思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 従来、遺族年金が大正の初めごろからずっと五〇%という低額であったものですから、したがってこれを何としても六〇なり七〇なり八〇というところへ持っていかなけりゃならぬという論議が行われておるんですけれども、しかし出てきたところの結論は、いま言いますように、もうごく限られた部面に対しまして、非常に困っているという、そういう年金遺族者に対して寡婦加算制度というものをつくった、こういうことだろうと思うんですね。それで六十歳以上の寡婦に対しまして年間二万四千円と上がりますと四、五%上がりますですね。それからあと子供一人、子供二人という、こういう例はもう非常に限られたごく例外的な問題だろうと思うんです。六十歳になって十八歳未満の子供が一人おるということも、これはもうあり得ないし、あり得ないと言ってもいいわけですし、ですから、ごく若くして——若いといっても、二十年勤めなければ年金つかないわけですから、年金受給者が死亡した場合に、本当に限られた人たちですね。限られた人たち、しかも、それはまた大変困るという、ごく例外的なとごろにこういう支給の制度をつくられたものだと思うんです。ですから、年金制度というものをこれからどんどん拡充していかなけりゃならぬ、そういう場合に、問題になる一つはこの遺族年金なんですけれども、この遺族年金をこういう形で処理をされる。そしてその処理をされるということは、つまり定額率というものを変えないでこういう形で処理していくということについては、大変これは問題があると私は思いますし、だれが聞いても問題があるというように思うんですが、当面はごく限られた、本当にかわいそうな人たちに対する処置としてとられたものだと思っておりますけれども、しかし、これがその遺族年金の改定という形で出されてはかなわぬ、たまったものじゃない。これはしかし局長に言う話じゃなくて、もともとの恩給局長なり、というところに言わなけりゃならぬ問題だと思いますけれども、その点をひとつ、関係者でありますので、局長にも申し上げておきたいと思います。  第三番目にお尋ねをいたしたいのは、この実施の時期であります。で、これもいつも問題になるわけでありますけれども、全体の共通の問題であります。で、五十一年七月から実施するということになっておるわけですが、十月実施というのが二十年続いたわけですがね。そして一昨年九月になりまして、そして昨年八月になって、で、ことし七月になったわけです。二十年間十月が続いて、そしていま申し上げたように、九月、八月、七月と、こうなったわけですが、そこで、二十年も十月というのが続いたのに、何がゆえに一カ月繰り上げて九月になったかということはもう御承知のとおりであります。ですが、その後一カ月ずつ繰り上がってきて、ことし七月になったんですが、これは何を目途にして引き上がってきつつあるのかという点をお尋ねをしたいわけです。年度内の四月一日というところを目途に置いて、そこへ近づくように一カ月ずつ繰り上げてきておるのか。そこに目途を置いてやっておられるのか。あるいはもう一つ、いつも問題になります国家公務員の賃金にスライドするということになったんですが、政策的になったんですけれども、国家公務員の賃金は昨年の四月一日に上がっているわけで、それがことし七月ですから、ですから、一年三カ月ずれておるわけですね。ですから、賃金を引き上げる、あるいは年金を引き上げるということは、これは実施時期を無視しては何ら成り立たないわけであります、いつから上げるかということがもう大きな問題なわけですから。ですから、私どもは政策スライドになったけれども、一体その目標をどこに置いてるんだと。公務員が上がった昨年の四月一日というところを目標に置いているのか、それともどこを目標に置いて一月ずつこう上がってきているのか。その場、その場あたりで一カ月前に持ってきょうかということでいっているのか。何か目途があって動いているのか、それをお聞きしたいわけです。

吉岡裕農林省農林経済局長

○政府委員(吉岡裕君) 既裁定年金の改定の実施時期はただいま先生からお話がありましたとおりでございまして、各共済制度とも十月であったものが四十九年一カ月繰り上げられて九月になりまして、五十年度さらに一カ月繰り上げられて八月、今回は、五十一年度分は七月ということで順次繰り上げられてきたわけでございまして、この実施時期の繰り上げについては、やはりこの問題としては、一歩ずつ前進をしてきておるというふうに考えるわけでございます。そこで、私どもも、これで十分であるというふうに考えておるわけではないわけでございますが、この実施時期をさらに繰り上げるかどうかということにつきましては、他の共済制度との均衡問題でございますとか、あるいはいろんな財政負担の問題とか、いろいろ総合的に勘案をされる要素が多々あるわけでございまして、今日までそのように一カ月繰り上げられてきたこの過程もそういう総合的な考慮のもとに繰り上げられてきたということでございますので、私どもとしては、今後ともこの問題については関係各省といろいろと協議を重ねながらやはり今後の問題として総合的な観点から検討をしていかなければならない問題であろうというふうに思っておる次第でございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 国家公務員共済年金あるいは地方公務員共済年金、三公社の共済年金、そして農林漁業団体の農林年金、さらに私立学校の教職員の共済年金こういったものの共済年金があって、さらにそれに恩給がある。それぞれ担当者がおられるわけですが、農林年金の直接の担当者は局長であるわけです。したがって、それぞれの年金の担当者が実施時期の問題について、私としては、明確な考え方を持ってやはり対処していただきたいという考え方を持っておるわけであります。国家公務共済組合の年金については担当者が考え方を持っていますし、恩給については恩給局長が直接の担当者として考え方を持っておると思います。ですが、そういう関係者が、直接の関係者が十三人程度、十人程度おられるわけですから、ですからこの実施時期の問題については何を目途においてそこに近づく努力をするのか、という点についてのやはりそれぞれ考え方を持ってひとつ対処していただくように要望いたしておきたいと思っております。恩給がこうなったからそれに右へならえだと、あるいは国家公務員共済年金がこうなったから右へならえという形ではこれは成り立っていかないと私は思います。やっぱりそれぞれの年金の担当者がそれぞれ真剣になって考えていただく、その中で政府は政府としての担当者は担当者としての考え方がまとまっていくんだろうとこう思いますので、要望いたしておきたいと思います。  それから次の問題は、今度、掛金率の問題なんですけれども、掛金率の算定の仕方が大変に変わったわけですね。これも各年金に共通の問題でありますけれども、変わった。そこで従来のやり方と今度大変に変わったのは修正率を掛けた、七七・五%という修正率を掛けたという点が非常に変わったわけですが、これは従来の積立方式から賦課方式に変わっていく段階だろうというふうに推定をいたします。想定をして間違いないだろうと思いますが、つまり、後の者が負担をするものが出てくる。いまの者ではなくて、今後、将来の者が負担する面が相当出てきたということだろうと思うんです。  そこでお尋ねをしたいんですが、この積立方式から賦課方式に変わってくる段階がことしだ、ことしはその段階に踏み込んだ、こう言って差し支えないのじゃないかと思うんですが、それを一つの段階として、さらにそれを推し進めていく考え方があるんだろうか、五年後になるわけですね。五年後になるわけですが、七七・五という修正率を掛けたわけですけれども、これをさらに賦課方式の方へ前進していく考え方があるんだろうかという点をひとりお尋ねをしたいわけです。  もう一つは、五十一年度の農林省の予算の中に新しく「農協等の」と、「等」という字が入っておりますが、農協などの相互扶助事業整備推進費というものが一億五千万円ついたわけです。この新しくつくりました一億五千万の農協等の相互扶助事業推進費というのは掛金率と一体となっておりますけれども、来年もこの一億五千万というのはつくのか。再来年もつくのか。さらに、この一億五千万というのはふえていくのか、固定しているものかという点ですね。これは掛金率に関係があるから、ふえていくのか、固定していくのか、来年もつくのかという点をお尋ねをしたいと思います。

吉岡裕農林省農林経済局長

○政府委員(吉岡裕君) 今回の財政の再計算に当たりまして修正積立方式という方式を導入したわけでございますが、御承知のように、財政の再計算をいたしました結果、現在のような平準積立方式という方式をそのまま踏襲をいたしていくといたしますと、相当大幅な掛金率の増高が避けられないということが財政計算の結果わかったわけでございます。  そこで、そのような財政内容について今後どうするかということで、農林年金当局でも財政研究会というものを持たれまして、専門家を集めていろいろと検討をされました結果、答申が出ておるわけでございますが、そういう答申を踏まえまして、考え方としては、掛金率の急激な増高というものを避けながら、しかも世代間の負担の均衡をとるということを考慮いたしまして、一方、国家公務員共済等にそのような例があるわけでございますが、その例に準じまして平準保険料に七七・五%という修正率を掛けまして掛金率を定めるということを今回いたしたわけでございます。  今回の修正積立方式というのはいま申し上げたような事情によって採用したものでございまして、基本的な考え方としましては、積立方式が先生御承知のように将来の給付に必要な財源というものを事前に積み立てていくという方式であるわけでございますが、その方式自体には基本的には変わりがないわけでございまして、いわゆる賦課方式と申しますのが、給付に必要な財源をその時点で徴収をするという考え方で賦課方式ができておるわけでございますが、その賦課方式を導入をした、一歩導入をしたというふうには私どもは考えていないわけでございます。  そこで、将来この財政方式を、農林年金の場合にどのような方式をとっていくことが適当であるかということにつきましては、これは長期的な視点に立って考えなければならないわけでございますが、この考え方といたしましては、組合員のまず掛金負担の増加、非常に大幅な増加というものは避けなければならないという問題が一つございます。それから二番目の問題としましては、やはり世代間の負担の均衡というものははかられる必要があるのではなかろうかということになるわけでございまして、そういうふうなことを考えました結果、年金財政の健全な運営をどう図っていくかという方向で考える必要があるわけでございまして、この農林年金のあるべき財政方式につきましては、今後、関係方面の意見を聞きながら慎重に検討すべき重要な問題であろうというふうに考えておりますが、いずれにしろ五年ごとに財政の再計算、見直しをいたしておりますので、そういう時期を目指してこれについての考え方を固めていく必要があろうというふうに思うわけでございます。  そこで、農協中央会の行います相互扶助事業につきまして一億五千万の予算補助を今回準備をいたしておるわけでございますが、これが掛金にどのような反映をするかということでございますが、現在農協中央会は職員の相互扶助事業というものを行っておりまして、これをこの一億五千万の国の補助を契機といたしまして非常に拡充をしたいということを考えておるわけでございます。そういう農協中央会の相互扶助事業の拡充の中におきまして中央会は農林年金財政に寄与をするという考え方から福祉相互扶助事業の一環といたしまして年金に補助をいたすということを考えておるわけでございまして、その年金に対する補助というふうなものも考えました結果、計算上は九十八・九四というような掛金率になるべきものをそのような全中からの寄与を考えまして九十八という掛金にとどめたということでございます。私どもといたしましては、来年度以降もこの全中に対します補助金の獲得にはできるだけ努力をしていきたいというふうに思っております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま局長から答弁がありましたように、今度の掛金率を計算いたしますと、現在は千分の九十八ですけれども、再計算をしたところが百三十四になる、まあ一挙に大変な引き上げをしなきゃならぬわけですね。四十幾つという引き上げをしなきゃならぬわけです。まあそれから、ここにありますようなものを若干引いたといたしましても、まあ現在の千分の九十八から一挙に千分の百三十というふうに上げなきゃならない。したがって、一挙にこういうふうに掛金率が大幅に引き上がることについては、これは何といってもためらわざるを得ない。といって、どうにもしようがないですから、そこで七七・五%というものを掛けてここで約三〇%切り落とすというやり方をやられたわけであって、その分は今後の人が払うということになっていくわけです。いまおる人じゃなくて今後の人たちが払っていくという分になってくるわけです。そういたしますと、一挙に掛金を引き上げるということは何としてもここで避けなければならない、それにはいま言った修正値七七・五というものを掛ける、減らす、その分は将来の人が払うと。そういたしますと、一挙に上げるということは困るということを避けながら、事実上は賦課方式の方へ一歩踏み出してきたというふうに言っていいんじゃないでしょうか。局長は、現在と将来との間の何か掛金の平等な、というふうなお話なさいましたですが、つり合いのとれたというふうなお話もなさいましたけれども、そういうものだと私は理解しておるわけです。  したがって、この七七・五%というものは今後どうなっていくのか、五年後にはこの七七・五というのが六〇になるのか——国民年金はたしか六〇ぐらいだったですかね、今度改定するときは六十何ぼという数字を掛けておるわけでしょう。ですから、そういう形に変わってくるのではないか。だから、結論的にいいますと、重ねて言うようなことになって恐縮ですけれども、掛金が千分の九十八から一挙に千分の百三十四と上がるのは困ると、それは何としても避けなければならないと、それには賦課方式に一歩踏み込まなければできないわけじゃないですか。これはまあ大変技術的な問題だと思いますけれども、しかし、これは保険料はこういう共済組合においては大変重要な問題なもんですから、そういうふうなお考えがあるのかどうか、あるいはそういうふうなことでやっておられるのかどうかというふうに、そう思わざるを得ないですよ、これ。新たな分はだれか払わなければいかぬわけですから。  それともう一つ、いま挙げました一億五千万円というものが、掛金率は百三十四でなければならぬものに修正率を掛けて七七・五%というものを掛けますと、そこでがたっと落ちますから、ちょうど三十一落ちる。そうすると、百分の三となる。それにもう一つ、利差益充当分というものを引いて千分の九十八・九四となるわけです。その九四、これを切り落として千分の九十八になさったわけで、その切り下、げたほぼ一に該当するもの、それが一億五千万に見合うものというふうに見なければならぬのじゃないかと思う。そういたしますと、この農協等の相互扶助事業推進費という一億五千万、本年新しくできたものは、これはどうしても来年もとってもらわなければ困るし、再来年もとってもらわなければ困ると、こういうことになるわけですね。そうなってもらわなければ困るわけです、これ、掛金を上げなきゃならぬわけですから。あるいはそれはもし、とらぬということになれば、次から次に毎年重なっていきますよ、四年分というのは重なっていくわけです。そこのところをひとつお尋ねをしたい、考えを聞きたいわけです。

吉岡裕農林省農林経済局長

○政府委員(吉岡裕君) ただいまお話しの一億五千万という全中に対します助成措置につきましては、御承知のように、予算制度というものは単年度主義でございますので、今年度獲得をしたものについてしか私どもとしては、直接断言できないわけでございますが、私どもとしては、先ほどから先生もお話しになりましたように、この全中が行います職員の福祉の充実と資質の向上を図るための相互扶助事業につきましては、その実効を期すために、なお今後とも当分、こういった助成措置が必要であるという立場に立ちましてその継続について努力をしたいというふうに思っておるわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 共済年金の場合は、いつでもそういう金がつきますと、後は毎年固定したものになり、あるいは発展していくものになっておるわけですね。ですから、私は、この金というのは、今後もこれは継続していってもらわなければ困るし、いくべきものだというふうに思いますし、できればこの一億五千万というのはもっともっとふえていけば、掛金率を下げる上には大いに役立つ。私ども、この委員会におきまして、いつも——私立学校教職員の共済組合、この掛金が大変低いわけですね、千分の七十八ぐらい。一方の方は千分の九十八という大変高い率になっておりますから、この関係をどうしても引き下げていくとか、近づけていくというか、そういうためには何らかの措置をとらなければ困るというふうに思っておるんですけれども、この一億五千万というのができたから、これをふくらましていくことはできないものかという私は感じを持っておるわけなんです。そこで、そういう意味のことを申し上げたわけです。  それからもう一つは、給付費の補助率一八%——給付費の補助率の定率分一八%、厚生年金が分離しまして厚生年金が二〇%となっている。だから、どうしても二〇%に近づけてもらいたい。そうすることが、最も給付が低くて最も掛金が高い農林年金の掛金を引き下げていくといいますか、あるいは人並みなところへ持っていける、そういうことになるんだということで、農林省当局におかれても一生懸命努力してこられておるわけですね。そこで、厚生年金は二〇%で国家公務員共済年金は一五%です。それで大蔵省の言い分は二〇%、一五%差があるけれども、国家公務員の場合は共済年金適用者よりも賃金が高いんだ、だから絶対額としてはほぼ同じなんだ、こういう話なんです。絶対額としては同じなんだ、ほぼ同じなんだ、そうかもしれません。そこで、今度は厚生年金と農林年金と比較しますと二〇%、一八%、これは給与水準にいたしますと厚生年金の方がいいです。農林省の資料の中に出ておりますように、数字もいい、厚生年金の方が農林年金の人たちよりも給与は相当にいいです。そうしますと、一八%、二〇%では絶対額も大変広がる、こういうことになるわけで、何かその場その場の理屈をつけているように思うんですけれども、これが一八%が二〇%にならないのは困ると私ども思っておるわけなんです。それで本委員会でもこの法案が出るたびに附帯決議の一項に必ずこれが出ておるわけなんですけれども、いかに困難なのか、なぜ実行できないのか、そこのところをひとつ明らかにしていただきたいと思います。

吉岡裕農林省農林経済局長

○政府委員(吉岡裕君) 現在の農林年金に対します国庫補助率の一八%を二〇%と厚生年金並みに引き上げるべきだという非常に強い各方面の要望があるということも私ども十分承知をいたしております。昨年もこの二〇%への引き上げにつきましては農林省としては予算要求をし、大臣も大臣折衝まで最後にやっていただきまして、いろいろ努力をお願いをしたわけでございますが、なかなか財務当局の壁が厚くて、現在のように一応据え置きの一八%ということになっておるわけでございます。この補助率の考え方につきましては、厚生年金の二〇%、それから国共済の一五%というもののちょうど中間ぐらいなところに農林年金が位置するわけでございますけれども、これは年金のそれぞれの給付内容あるいは給付水準というものから見て農林年金が両者の中間に位置することになるということになっておるわけでございます。基礎的な考え方としては低い年金、低い給与、そういうものについては高い国庫補助率を考えるべきだというような考え方が背景にはいろいろあるようでございます。ただ御承知のように、農林年金の財政基盤が弱いという実情にもかんがみまして、毎年、財源調整費というものを予算で獲得をしてきておるわけでございますが、ことしもその金額は一億以上昨年に比べましてふえておりまして、この財源調整費を加えますと実質的には一九・七七%という国庫補助になるわけでございまして、私どもとしては、実質的には厚生年金の補助率におおむね匹敵をする内容となっておるのではないかというふうに思っておるわけでございますが、私どもとしては、今後とも、この引き上げについては努力を重ねていきたいというふうに考えておる次第でございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 いまの点でちょっと関連で質問したい。  少し前に大蔵当局にわれわれ交渉に参ったときに、財務当局は、厚生年金は大蔵省が云々しておる、それから農林年金は総理府、だから運用を任せば数字は動くはずはない。こういうことを言ったことがあるのですが、そういう考えをいまも持っておるのかどうなのか、私はそれは非常におかしいと思うのです。大臣が一八から二〇への交渉を毎年されておるのですが、なかなか財務当局の壁が厚いというのは、どこに原因があるのか。これは何年越しに毎年、予算期になるとこれをやっておるのですが、どこに壁があるのか、それについて、大臣交渉の経緯をひとつこの機会にお伺いしたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの辻さんのお話で、資金運用部に一緒に集めればいいのだ、ということでは全然ない。私は、大臣折衝を、ことしもやりましたし、去年もやったわけでございますけれども、他の年金との平衡、公平を期するというふうなことで財務当局の方はなかなかうんと言わない。それで、私たちはその主張は曲げておるわけではないので、今後ともこれは続けていかなきゃならぬというふうに考えております。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 いま局長は、財源調整費が昨年よりもふえた。しかし、その率は一・七七%、したがって、一八%に一・七七を加えれば一九・七七になる。そこで、ほぼ二〇%ということになるのだ、というお話なんですが、それは大蔵省の言い分なんですよ、われわれに対する言い分なんです。ですから、それも受けて決まったのだから、農林省としては大蔵省と同じ意見を述べる、これは筋が合います。ですが、農林省側の予算要求で行っているのは、一八%に対しては二〇%で立ち向かう。財源調整費については一・七七%ではなくて三%で立ち向かう。その二つの柱で立ち向かっておられるわけだし、要求されておるわけだし、理屈を立てておられるわけだ。それがこういうふうに決まったからと言って、御主張を曲げたようなお話では——大蔵省の見解ですから、政府と見解一致で、こうなるかもしれないが、どうもぴんとこない点があるわけであって、やはり一八%に対しては二〇%といってもらいたいし、財源調整費については一・七七%ではなくて、三%ということでいってもらう。その中でさらに大臣折衝もやってもらって何とか厚い壁を抜ける。給付は一番低くて掛金は一番高いというやつを是正したいというのが、農林省の考え方でありましょうし、私どものまた一致した考え方なんでありますから、そういう立場で今後ともひとつ対処をしていってもらいたいということを要望いたしておきたいと思います。  あと問題になりました一億五千万について若干説明を伺いたい点もありますけれども、それは今後とも、来年もこれはできるのかということで、しかもこれは掛金率と一体のものである、ということで終わりたいと思います。  もう一つ、伺いたいのは、いままでも何回か申し上げましたですが、掛金率が千分の九十八、今度改定をいたしまして九十八になるわけですが、農林年金が発足しましたときには、三十四年発足ですが、千分の七十八だったんです。それが九十八になっておるわけですけれども、国家公務員共済の場合は発足のとき千分の八十八だったんです。われわれその半分が自己負担ですから、四四闘争といってやったもんです、相ならぬというわけでですね。半分しますと四四ですから四四闘争といってやったもんでありますが、農林年金が急速に七十八から九十八へというふうにぐっと上がっていって、それで、国家公務員共済年金の場合にあっては八十八が現在九十三と、こうなっておるわけですね。今度改正するんですかね。おたくでいただいた資料では九十八、三となっているんですが、大変上げ幅が急ピッチなんですね、農林年金は。いまや私学共済は千分の八十ですね。地方公務員の共済が九十四ですね。ですからこれやっぱり何としても給与は非常に悪いわけですし、それに掛金率はこんなに大変高いというのは困りますので、この点について先ほど申し上げたような点等で一層の努力をお願いをしたいと思っておりますが、要望いたしたいと思っております。

吉岡裕農林省農林経済局長

○政府委員(吉岡裕君) 農林年金の掛金率がほかのものと比べて相対的に高いということは御指摘のとおり事実でございますが、なぜそういうことになっておるかということはやはり過去の経緯とその後の給付内容の改善にかかるわけでございますが、厚生年金から分かれまして農林年金として独立をいたしました際に、農林年金の場合には初期の過去勤務債務というものを相当大幅に持ってきておるということと、その厚生年金時代の積み立て不足といったようなことがあるにもかかわらず農林年金になりまして給付内容が非常に改善をされてきたということで、いわゆる後発過去勤務債務というものが非常にふえてきたという、この両面の理由によりまして農林年金としての掛金率が相対的に高くなっておるわけでございます。今回の財政再計算に当たりましても先ほど御説明をしましたような内容であったわけでございますが、今後この次の財政再計算の時期を目指しまして、その時期における年金の状況、それから財政状況、それから職員の関係の給付関係、給与り実態というふうなことを総合的に勘案をいたしまして掛金率はなるべく上げないようにひとつ最善の努力をしてみたいというふうに思うわけでございます。

鶴園哲夫日本社会党

○鶴園哲夫君 じゃ、終わります。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時二十三分散会      —————・—————

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