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77回国会参議院1976/03/05

農林水産委員会 第4号

発言数
210
登壇者
19
会派数
6
開催日
1976/03/05

会議録

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  昭和五十一年度農林省関係の施策及び予算に関する件を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 きょうは、国民食糧会議の問題と、不況と農業の関係、それから地方における政策動向と農林省の政策との関係、そういうものを中心にいたしまして、それから農林行政と地方財政負担、そういう項目について通告をしておきましたが、時間の関係もありますから、やれるところまでやって、お尋ねをしたいと思うんです。  実は、去年の白書に次いでこのたびの大臣の所信表明で、実はわが国農林漁業が容易ならぬ事態にあるということが明らかにされました。特に、大臣所信表明の末尾のくだりは、私は、あのわずかな文字から危機感のようなものを感ずるんでありまして、それに対しようとする大臣の決意も出ているように感じます。決意を多とするものでありますが、まあ、こうした危機感を言われる状況を背景にして、農業の再建と食糧確保の問題が何よりも国民的な課題にされ、そのコンセンサスを求めるために、去年は、総理の声がかりもあって、国民食糧会議がつくられた。まあ実に容易なことでないのでありまして、国民の関心を喚起をしようとしたものだと思うのでありますが、まず、あれでしょうか、この国民食糧会議というのは、何が論議をされて、何よりも国民的な合意をどこに求めようとしたのか、三番目には、それらは農林予算のどこに生かされておるのか、まずこれをお伺いいたします。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 国民食糧会議は、現在の食糧問題をめぐるところの内外の厳しい情勢を反映をいたしまして、国民的な食糧問題に関するコンセンサスを求めたいという基本的な考え方で行われたわけでございますが、この会議は三回にわたり行われまして、なおかつ、国民の各界各層の代表者にお集まりをいただき、それらの方々から食糧政策のあり方、今日の農林漁業に対するところのいろいろな諸問題についての御発言がございまして大変有意義であったと私は考えております。同会議における意見は、国民食糧会議報告として集約をされまして、政府に提出されたわけでございますが、それはまず第一に、自給力向上のための農業生産体制の整備、第二番目は、農産物の輸入の安定化及び備蓄体制の整備、三番目は、漁業経営の安定化、四番目は、食生活のあり方の検討、五番目として、農漁村の生活環境の改善等に留意して今後の施策の展開を図るべきである等の内容であったわけでございます。総合食糧政策の展開に当たりましては、今後とも生産者、消費者を含めてコンセンサスが必要と考えておりますが、特に重要な課題としては、自給力向上のために生産者側で生産性向上を含めた努力をしてもらうことはもちろんでございますけれど、同時に、消費者にも応分の負担をしていただくこと、わが国農業の特質に対応したところの食糧消費のあり方について生産者、消費者を含めた理解を得ることなどであろうと考えておるわけでございます。私は、この国民会議から集約をして出された御意見も十分これを尊重をいたしまして、総合食糧政策の展開という長期的な視点に立った政策を打ち出したわけでございまして、この総合食糧政策の展開は五十一年度からスタートするわけでございますので、この五十一年度予算の中においては、これらの諸政策を可能な限り盛り込むことにいたしたわけでございまして、おかげをもちまして各方面の理解と協力を得まして、この予算の中においてそうした食糧政策の基本に関する諸問題の新しい芽を出すことができたと、私はそういうふうに考えております。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 自給力向上のための生産体制の強化から始まって、五項目のレポートが出された。それらは総合食糧政策の展開に盛り込まれた、それに基づいてことしの予算はでき上がったと。こういうきわめて整った話なんでありますが、まあ一方では、国民食糧会議は開かれておるし、一方では、直接それとはお構いなしに農政審議会の見通しを受けて——長期見通しを受けて総合食糧政策が展開される。農林省は、依然としてわが道を行くと。まあいろんな人が集まって、いろんな人で議論してもらうという、私は、率直に言ってそういうちぐはぐさというふうなものを感じたわけです、つくり上げたのを時期的に見ましてもね。いずれにしても、三木総理は昨年の本会議で、農業白書に対する私の質問に答えて、国民的理解を得るには、しっかりとした農業政策もなければならぬ、だから一段と力を入れる。こう言いました。大平大蔵大臣は、農業は国民生活の基盤を形成するものだから、国土と自然環境を保全する上で重要な役割りを果たすこの農業に、加えて国際環境等も悪くなっておるから、財政面での投資は惜しまない。こういう答弁をして、農林予算はでき上がってきたことになるわけでありますが、いま五項目のこの食糧会議の意見がありましたが、私は、果たしてそれが農林予算にあらわれているかどうかという点については、必ずしも大臣が自画自賛するように見ていないわけです。自給力向上のための生産体制の強化というので、皆さんは、目玉として基盤整備に財投の導入を打ち出したわけでしょう。これは目玉と言われました。農産物の安定供給というのでその備蓄体制、これも目玉と言われた。これも出ています。まずこの二つについて言えば大分ばっさりやられているんじゃないですか。これはいかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 自給力向上のため、いろいろと生産基盤を充実するということで、農林公共事業のまず総枠をふやすということでわれわれとしては努力をいたしまして、この結果、国全体の公共事業費が一九%台であったわけでありますが、農林公共事業関係は二一・四%というふうなことで、全体の公共事業の伸びに比較すれば、農林関係の公共事業費はそれよりは伸び率は高かったわけでございまして、全体の財政の制約があるわけでありますし、公共事業費全体の制約もあるわけでございますから、もっと伸ばすことが期待にこたえることではありますけれど、われわれとしての限界もあったわけでございまして、とにかくしかし全体の公共事業費よりは伸びたということは御評価をいただきたいと思いますし、その中で長期の基盤整備の計画が非常におくれておる、実施がおくれておるということは厳粛な事実でございます。これはいろいろと御指摘を受けたわけでありまして、これはやはり長期の土地改良計画等を事業費としてのベースとして完全に実施をしていかなきゃならぬ。いままでのようなやり方では実施できないということで、相当これに対しては抵抗等もあったわけでありますが、財政投融資の活用という道を開くことができたわけであります。もちろんこれは法律の御成立をいただかなければこの裏づけはできないわけでありますけれど、しかし、これはいままでなかなかやろうとしてなし得なかった一つの大きな問題でございまして、これを打ち出すことができたということは、私は、これからの土地改良計画を進度を早めていくという上において非常に大きなメリットがあったと、私はそういうふうに考えております。  それから備蓄体制の強化、本格的な備蓄の実施ということについても農林省内部でこれはいろいろと検討をして、世界の大勢から見て、あるいは国内の実情から見て、どうしても五十一年度から本格的な備蓄のスタートをしなきゃならぬということで、いろいろの方策を打ち出したわけでございまして、その中には新税構想等もあったことは御案内のとおりでございますが、これについてはいろいろの事情があって、最終的には、われわれの当初の考え方を実現することはできなかったわけでありますけれど、しかしいずれにしても、公益法人をつくって、そうしてこれに国が全額補助をして、そうして大豆や飼料穀物につきましては本年度から大豆が五万トン、飼料穀物十万トンというふうに備蓄がスタートしたということは、これまた、その経過過程においては当初の目的を達成することができなかったとしても、しかし、まあとにかく公益法人の形でスタートできたということは、本格的備蓄がスタートしたと言ってもいいのではないか。さらに私たちは、これを強化していきたいというふうに考えておるわけでありまして、そういう面から言えば、大体、国民会議で集約された意見を実現することについて実績を上げることができたと。ですから、ばっさりやられたということでは私はない。相当大きな成果を上げたと思っております。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 皆さんの精神的な努力は多といたしますけれども、私は、農業の再建や国民食糧の確保というのはもう国民的な課題だ、というふうに総理じきじきに国民食糧会議の方で呼びかけて、国民の注意を喚起をして、そして農業白書によれば、いままで高度成長で手も足も出なかったけれども、今度は出番だ、というんでやったわりには、なるほどまあほかのところは平均的に一一四しか伸びていないのに、おれのところは一二〇以上伸びた、という御説はわかりますけれども、ぼくはやっぱり、目玉と言われた基盤整備はこれはやっぱり思ったようにいかなかった。備蓄も、法案まで用意をしてみたけれども日の目を見なかった。そして、食管の数字でもわかりますように、私は食管について言えば、去年一・三三などという奇妙な数字を持ってきて完全にあれ連動さしたわけ。ことしも、なお続けて議論があるでしょうが、恐らく連動でいくでしょう。連動させるよりももっとその差を縮めたいと、方針には書いてあるわけですから、そういう意味では、基本的な食糧である米の確保という点では、これはやっぱり食管制度のなし崩しだ。こういうふうに考えてみますと、いわゆる自給力の向上も、あるいは備蓄も、それから食管、これぼくは、三本柱だと思うんですが、これはいずれもそう自画自賛するほどのしろものではない。攻める方だって力んだんでありますから、私はむしろ自画自賛するというよりは、この事態でなおこれくらいの予算は認めないのかといって、あんた、むしろ開き直る状況にあるんじゃないかと思うんですよ。ちょこちょこっとというか、ちっと人よりもよけい取ったというんで、いばって歩くほどの品物じゃない。こう思うんですが、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いばって歩くほどの気持ちは持っておるわけではございませんけれど、しかし、全体的に見ますと、農林予算、食管費を除きますと、昨年度に比較して一八・六%——これは五十年度予算と比較していただければわかると思うんですが。五十年度予算では国全体の予算が二四・五%伸びたわけでございますが、農林関係予算は食管を除きますと一三・一しか伸びなかったわけでございます。そうした非常に厳しい情勢でこの予算編成されたわけですが、五十一年度予算は国全体の伸び率が一四・一%、食管を除いた農林関係予算は一八・六%というふうなことになっておるわけでございまして、そういう面から言えば、内容的には相当充実した予算をわれわれとしては組むことができたというふうに考えております。もちろん今日の食糧をめぐる内外の情勢を考えるとき、これで十分だとは思っておりませんし、これは今後さらに国政問題として積極的に取り上げていくという政府の姿勢が私は必要であるというふうには考えておりますけれども、私のでき得る限りの努力をいたしまして一応昨年度に比較して、五十年度に比較すれば五十一年度予算は相当さま変わりといいますか、内容は充実した予算になることができた、そして長期的な総合食糧政策の展開をその中に芽として発足させることができた、私はそういうふうに考えておるわけでございます。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 私は別にそうけちをつけるのが楽しみでやっているんじゃないんでありまして、後ほども申し上げますが、まあ大臣の所信表明のくだりでも実は私は、危機感をふつふつと感ずるということを申しましたが、容易ならぬ事態で、そんなに口で言うほど農業の再建は楽じゃない。あらゆるところを総合してみますと、そこまで来ているような気がする。それだけに、この程度のことではそんなに気やすく食糧の確保や農業の再建はできませんよ、ということをこれはやっぱり厳しく指摘をしておきたいし、そのような決意をなお固めてほしいところです。これはいずれまたおいおいと申し上げます。  ところで、きのうもやりとりの中にありましたが、高成長時代には消費水準が急速に伸びて需要のテンポが早いものだから供給が追いつかないとか、そこで結局自給力が下がってしまったとか、あるいは労働力や土地が景気のいい方にみんな持っていかれて農業の方にはうまくいかなかったとか、あるいはあおられて土地や資材が値上がりをして非常に農業を苦しめたとか、あるいはまた地力の減退であるとか、生態系や環境の破壊であるとか、さまざまのマイナス要因というようなものがどかっとやってきて、十数年の高成長の過程が非常にこういう危機を生んだんだと、こういうことになっておるわけでありますが、私は、農業危機の要因というものを、こういう高度成長の過程にあらわれたそういう現象だけに持っていくのはやっぱり無責任だと思う。私は、むしろ指摘をしたいのは、この個別経営を中心とした規模拡大路線、いわゆる資本主義的な発展様式として進めた主産地化、あるいは農業経営の専門化、まあスベシャリゼーションとも言われているようですが、あるいは単作化、こういう政策の所産ではないかと思うんです。高度経済成長から起きた現象をとらえて、それが犯人だったのだから、そういうことがなくなるであろう今後に期待をするという言い方では、私は問題の解決を見出すことができないのじゃないか。農林省自身がやっぱり進めてきた規模拡大路線や主産地化あるいは農業経営の専門化、単作化というような政策自体の中に危機と言われる要因が含まれている。こう見ないと、これから実は対策を打つ場合にも、ただ漠然と、不況だから人手が余っていいだろう、などというような期待だけで終わるのじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 今日、農業の体質が脆弱化しておるということは、私もこれは率直に認めなければならぬということで所信表明にも述べておるわけでございますが、この原因として、われわれは、高度成長というものに伴うところの農地の壊廃であるとか、あるいは兼業の増大であるとか、あるいはまた労働力の流出であるとか、さらにまた生産意欲の低下といったようなことも挙げておるわけでございますが、私は、そうした高度成長路線というものがそういういろいろの問題を生んだ、ということが最大の原因であると思っておるわけでありまして、いまお話のありましたような規模拡大路線あるいは主産地形成路線を農政としては進めてまいったわけであります。これは農業基本法にもそれが書かれておるわけでありますし、そうした規模拡大路線、主産地形成等につきましては、これは私は農政の基本的な考え方としては間違っていないと思います。いまでも思います。ただ、規模拡大を進めてこようという中にあって、やっぱり高度成長というものが規模拡大を妨げるいろいろの、土地の騰貴とか、価格の暴騰だとか、労働力の減少だとか、そういういろいろさまざまな障害が出てきた、そういう高度成長に伴う障害が結局、規模拡大であるとか主産地形成等についてもやはりわれわれが期待をしておるような成果を上げ得なかったと私は考えておるわけであります。やっぱり農業を考え、農政を考えるときに、規模拡大をしていくということは、依然としてわれわれは今後とも指向しなけりゃならないと思うわけであります。しかし、今日の食糧をめぐるところの内外の情勢から見ると、ただ規模拡大のみが農政の方向であるというふうにも私は考えないわけでありまして、これは今後とももっと農業の実態というものに応じた、たとえば適地適産であるとか、あるいはまた地域農業をその地域に即した形で発展させるとか、あるいはまた複合経営の見直しであるとか、そういうふうなこともこれからの農政としてあわして研究し検討して、そしてわれわれはこの施策を進めていかなきゃならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 これはこれからも非常に大きい問題ですから、私もそう気楽に言うておれるテーマじゃないと思うんですが、いずれにしても、個別経営を中心にした規模拡大とか、あるいは単作化とか、主産地形成とか、こういうもの自身が実はうまくいかなかったのじゃなくて、それ自身にもやっぱり問題があって総兼業化のような形を生んだ、政策そのものの中にもやっぱり問題点があった。ここのところにすっかり口をふさいでしまって、何か巨大な高成長というふうなもののせいにみんな持っていってしまって、この政策遂行者は口をぬぐって、また新しいものを探し求めようとする方向だけでは私は、やっぱりいかぬのじゃないかということを最近具体的な事実を幾つか検証してみて、つくづく感ずるわけです。いずれにしても、どうもそういう問題には触れずじまいでいて、すべてを高度成長のせいにして、反省する知恵も能力もなくしているのじゃないか。われわれが過去のことをやっぱり検証するのは、何も痛みつけているのじゃなくて、新しい知恵を探そうということですから、そういう意味では謙虚に検討すべきだ、こういうふうに私は思います。それにしても私は、神経質になるぐらい率直に農業というのがいま危機だと言うんですが、もとに戻ることとでも言うのですか、そういうのは非常に困難、不可能なぐらいに農業というのは脆弱化をしている、衰微をしているのじゃないかということをしみじみ感ずるんです。まあ、農業をこれから発展をさそうと言いましても、御存じのように工業化が進んだところで農業重視、こう言っても実際には工業から農業へ転換をするなんというのは世界に例はないんです、実は。工業から農業の方に切りかえるというのは歴史的に経験がないんじゃないんでしょうか。あるいはまた、生産性の高い方から生産性の低い方へ人口や資源の配分を切りかえていくというのは、これは容易なことじゃないですよ、率直に申し上げて。そういうふうにこれは簡単なことではない、こういうふうに思うのです。で、こういう問題の深刻さというのはどうも足りないような気がする。白書を見ますと、高成長の過程でさまざまな困難な状況が出た、日本経済は減速して安定成長路線になるから、言うならば農業をめぐる環境がさま変わりをしたから、この問題点の克服にはチャンスだ、こういう不況出番論をとっているんですが、果たしてそうでしょうか。  私は具体的に幾つか聞きますが、大臣が所信で述べた好ましからざる数々の問題というのは高成長の時期に出た。ところが、舞台は変わって安定成長どころか不況です。それが農業にとって出番だと、こういう発想なんでありますが、減速経済に入ってさまざまな困難な問題点というものはどのように好転をしていますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、この高度経済成長で農業の体質は確かに脆弱化した、しかし農家所得といったような面においては相当やっぱり目覚ましい成長を遂げておることは、これは事実であろうと思うわけでありまして、そういう面で農業の体質そのものを変えていかなければならぬと考えておるわけですが、これが高度成長から安定成長の方向へ路線変更するということになれば、いままでのような工業の著しい伸びというようなことも考えられない。これは資源問題とか、エネルギーの問題、環境問題等いろいろと制約が出てきたわけでございまして、したがって高度成長時のような鉱工業が非常に成長率が高くて農業が低いという圧倒的な差というものは今後はなくなっていく、鉱工業の生産もこれはもう非常に低いものになってくるだろうというふうに考えておるわけでございます。が、そういう中で、確かに困難な問題は私はあるとは思うわけでございますが、たとえば労働力が、土地等の農業資源が他産業へ流出するということにつきましても、いままでとは違ってこれは相当抑制的にならざるを得ないというようなことも必然的に出てくるわけでございますし、同時にまた、食糧をめぐる内外の情勢というものが非常に変化して、食糧問題に対する国民的な認識、いままではとにかく安い食糧は外国から買えばいいというふうな認識が相当あったと思うわけでありますが、まあ国際分業論的な、高度成長時代は。そうした国民的認識が、とにかく食糧を確保しなければならぬ、食糧問題は国政の重要課題であるということが、これは最近の総理府のアンケート調査等に出ておりますが、非常に盛り上がってきておる。そういうふうな一方においては食糧問題に対する国民的な認識が強まってきた、そして一方においては、高度成長から安定成長へ移りまして、農業以外の他産業の成長の速度が非常に落ちてきたというふうなことと相まって、私は、いまこそまさにこの農業の体質を強化をする一つの大きなチャンスを与えるところの契機、いまこそその機運が出てきた、この機運を逃さずキャッチして、その上に立った農政を図るのがいまの時代に課せられたわれわれの課題じゃないだろうかと、こういうふうに認識をしておるわけであります。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 精神的にはわかる。  これは大臣でなくてもいいんですが、局長どなたかでもいいですが、極端に言えば、不況は農業にとってメリットがある。私は、不況で農業がメリットどころか、農業も不況であえいでいるんじゃないかと、こう思う。そうじゃない、不況で農業にメリットがあるというのであれば、それが幾らか実証されなければいかぬですよ。一次、二次、三次を比べてみて、第一次産業の方が、不況にかかわらずこれは出番を迎えて生産指数も上がっている。二次、三次はぐっと下がっているとか、あるいはまあ消費動向、労働力、土地、地価、資材、地力、環境、こんなものはすぐに実証できないでしょうが、そういうもので何か実証されるものがありますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かにいまおっしゃるように不況によって農業、農村にメリットがあったかということになりますと、これはいまお話かございましたように、不況によるところの食糧需給、食糧需要の伸びは相当鈍化をしてきていることは事実でございますし、それからまた、農外就業機会の伸びの鈍化というようなことも、これは当然出てきておるわけでございます。そういう回から言えば、農業経済、農家経営には私は、不況によって相当な困難も生じておることは、これはもう率直に認めなければならない。そういうことを認めた上で、先ほどから申し上げましたような全体の一つの方向というものを見定めて、われわれは積極的に農政に取り組む一つのチャンスもまた来たというふうに思っておるわけでありまして、不況によるところのそういう面での打撃というものは、またこれは農家経済等には相当あるということは、われわれもいろいろの面から、これは感じておるところであります。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 官房長、何か答弁あるんですか、あるんなら……。

森整治農林大臣官房長

○政府委員(森整治君) いま御指摘の、不況がどういう影響を与えたかというのは、どれがメリットで、どれがデメリットかというのは、非常にむずかしい問題だと思いますが、特徴的に言えば、いろいろ大臣から概括的にはお答えいただきましたけれども、最近の転用面積は著しく減少しております。五十年で二万九千ヘクタールでございます。四十五年から四十八年では五万ヘクタールでありましたのが、そこまで減少している。全体に対しますと〇・五%ということでございます。これは四十年代へ戻っておるということでございます。それから農業就業人口の減少が鈍化しているということでございますが、これも四十五年−四十八年ではマイナスが八・四%、ところがこれ四十九年度で三・二、五十年の四月から十二月まで二・三ということでございまして、これらの土地なり労働力につきまして、今後やはり、先ほど大臣もお答えございましたように、今後農業生産をここで立て直していくという一つのチャンスではないか。逆に、不況の長期化ということでよく言われますように日雇いや出かせぎの収入が落ちまして、農外所得に相当な影響を与えてきているということはございます。これは兼業層に一つの影響を与えておるということでございますが、それについては公共事業ということを通じまして、所得の確保を図っているわけでございますが、いずれにいたしましても、昨年、五十年の傾向としましては、米が非常に豊作であったということもございますし、それから生産資材が非常に安定をしてきているというようなことで、農業所得そのものというのは相当な伸びを示しておるわけでございます。そういうことからいたしまして、全体的な、先ほど大臣が総括的に申されましたようなやはり食糧の安定供給という認識とともに、ここでひとつ踏ん張って農業を見直していきたいという気分がございますから、そういう波に乗ってひとつ農業の再建を図っていくべきではないか、というのが、われわれの考えでございます。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 それはそれで結構ですが、いまも大臣触れました。これを一つのチャンスにしていい気分になっているから一いい機運が出てきたから、これをチャンスにしよう、これを一つの契機にしよう。私はチャンス論というふうのにはいささか批判があるわけです。高度経済成長が始まって、農基法路線がとられたときも、一つチャンス論がありました。高度経済成長は農業近代化のチャンスである、こううたって、農基法路線を突っ走った。高成長路線は農業近代化のチャンスどころか、十数年突っ走って、あれはずいぶん悪かった、こういま言っているわけですよ。さまざまの問題点みんな抱え込んでしまったという、こういう状況がいま生まれている。チャンスというからには、あるいは見直しというからには、よっぽど思い切った政策の根本的な転換とでもいいますか、そういうものが一方で用意をされなければ、チャンスでもなければ、転機でもなければ、見直しにもならぬのじゃないですか。それをしないで、パターンは従来のまま置いて、経済が減速すれば、農業も一緒にしぼむだけの話じゃないでしょうか。ここのところでやっぱりチャンス論というからには、チャンス論にふさわしい政策の転換というふうなものが用意をされないといかぬのじゃないか、こういうふうに思うんです。確かに高成長の時代と変わったと言いますけれども、変わったのは速度がおそくなったんでありまして、テンポが鈍っただけのことなんでありまして、そうあとには変わってない。早い話があれでしょう。たとえば本当に減速経済に入ったんだ、そういう安定成長路線、それは福祉優先ですね。農業のそういう意味での見直しだというふうに変わってきたのかというと、七兆円、八兆円を抱える赤字財政の中で頭を変えるんじゃなくて、福祉も農業もやっぱり踏み台にしながら、全体的として工業がもう一遍どうやって上向くかということを四苦八苦していま考えているんじゃないですか。全体がしぼんでスピードが落ちたんであって、決して思い切った政策の転換や新しい政策の用意というふうなものはされていない。そのままにしておいてチャンス論だとか、見直し論だとかいうのは、私は、チャンスがくるかなあ、見直しされるかなあと言って、人々に期待を与える分だけ罪深いと思う。黙っててもらった方がよっぽどいい。期待をした分だけエネルギーが消費をするという、そういうことにもなると思うんですが。そういう意味で大臣に申し上げたいのは、本当に安定成長がチャンスであるというのであれば、農業も全体の中にしぼむんじゃなくて、思い切った政策の転換を用意をする、そういう発想が本当の意味での見直しだと思うんですが、その辺はいかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は高度成長が何もかも悪かったということで言っているわけじゃないんですが、高度成長によって農業においても農家所得の増大であるとか、あるいはまた農業の近代化。これは近代化が非常におくれておるというふうなお話でございますけれども、しかしまあ基盤整備等あるいは圃場整備その他の近代化は私は相当進んでおる。しかし全体的に総括をすると、農業自体が労働力の流出だとか土地の壊廃だとかいうことで体質が脆弱化しているということは、総括的にわれわれは理解をしておるわけでございまして、これから安定成長になっていくということになれば、いま官房長も申し述べましたように、労働力の減少というそうした外部的な要因というのは非常に薄くなってくるわけでありますし、また農地の壊廃ということも非常にまあ高成長時は、高度成長の波に乗った外部的な圧力が農地の壊廃につながっていったわけですが、この外の要因というものがここでなくなっていくということでございますから、と同時にまた内外の食糧問題に対する認識が高まってきたというふうなことも相まって、私は、やはりこれは一つの大きなチャンス到来というふうな感じを持つわけです。その前に幾らチャンスがあってもだめじゃないか、政策がそれに伴わなければだめじゃないかとおっしゃるのは全くそのとおりでありまして、そこで私が昨年一年間努力をいたしまして、築き上げましたのが総合食糧政策の展開であって、これこそまさにこれからの長期的な視点に立った、そうした高度成長から安定成長に移っていく中における農政の立て直しの基本的な長期政策である、こういうふうに私は考えておるわけであります。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 ですから、農林大臣という立場でそういう努力をされていることを私は多としますけれども、同時に三木内閣の閣僚の一人とすれば、三木内閣がとっておる政策というのは、本当に農業出番論で、抜本的な日本の経済体質を変えていこうとしているのではない。依然として頭の中にあるのは、輸出をどうやって伸ばすのか、工業製品をどうやって輸出をするか、あるいは設備投資をどう活況を見出すかということに血道を上げているじゃないか。この経済体質にはいささかも微動もない。とすれば、私は農業をまさに国民的課題にして云々といっても、全体がしぼんで、不況の分を農業がある時期肩がわりをしている分だけ、農業がみじめじゃないか、こういう指摘をしたいわけです。そこで、国民食糧の安定的供給という政策指向は、自給力の向上をうたっているんですが、皆さんの話を聞いていますと、自給力の向上というと、すぐに、それでも足りない分は外国から買うと、こうですね。王貞治みたいに、一本足で立っているのかと思うと、すぐもう一本の足を降ろして、自給力の向上というのは必ず二本になっている。こういうので私は、わからぬことはないですよ。足らぬものは買わなきゃならない。ですが、同じウエートで言うのが気にいらぬのですよ、率直に言ってね。自給力の向上、向上と言いながら。自給力に大きい影響を持つのは、率直に言って麦とえさですよね。これは日本社会党の提案というんじゃなく、ちょっと私論で申し上げますが。本当に自給力強化をしようというんだったら、思い切って変えるという意味で、たとえば食糧水準の向上で自給力をずっと減らしたのは肉でしょう、率直に言いまして。——肉でもない、えさでしょう。洋風追随で、肉を食うのは文化程度が高いみたいに思っていないで、これは日本でどれだけのえさがつくれるから、どれだけの家畜を飼う、こういうふうに考えていいじゃないか、政策の発想を。だから、国内で限られただけの家畜しかつくらぬぞと言わないで、あるいはまあ家畜で言えば大家畜、反すう家畜ですね、そういうようなものに中心を移せば幾らか自給は可能なんでありますから、そういう方向にずうっと重点を移せば、えさの輸入に伴う不利というようなものは相当緩和できますよね。で、こういうことでもう少し考え直す。それから米が余るというのは麦との相対的な問題でありますから、また国際的な問題、いろいろありましょうが、やっぱり麦の輸入を押える、ある程度麦がなければ、米を食うか、日本でつくるか、こう行かざるを得ないわけでありますから、それを思い切ってやってみる。それから食糧作物ですね、あれつくるな、これつくるな、というふうに無理して苦労しないで、食糧作物の増産運動を展開をして反収を上げる。そして増産運動を展開して反収を上げれば土地に余裕ができますよね、土地の余裕ができる。土地の余裕をつくって、あいたたんぼに、どんどん輪作の形でえさを植えていく、こういうふうなことを大胆にやれば、あれにもこれにもちょびちょびじゃなくて、こういうことを大胆にやりますと、自給度というのは相当上がるんじゃないですか。これいかがです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) おっしゃる点はよくわかるわけでありますし、その中において大半の問題点はわれわれも同じ考え方を持っております。やはり、食糧政策の基本は何といっても自給力を高めるということであります。いま外国からの輸入と並行して考えるというふうな認識があるんじゃないかと言われますが、われわれもやっぱり食糧政策の基本的な最重点は自給力向上ということに置いておるわけでございます。そういう中で、いろいろの農産物についての生産というものの見直しを行う、あるいはまあ自給というものの見通しを行うということの上に立って、われわれとしても政策の立案をして具体的に措置をいたしておるわけであります。たとえばいまお話のありましたような畜産にしても、もっと飼料穀物にかわる飼料作物をもっと大々的に増産をすべきであるという点、御指摘のとおりでありまして、われわれも、その可能性を追求して、そうして可能な限りの飼料基盤の充実、飼料作物の増産に、具体的には五十一年度予算等にもその裏づけをいたしておりますが、やっておるわけでありますけれども、しかし、なかなか代替のできない、たとえば飼料穀物との関係において代替のできないものは、中小家畜等は、なかなかこれは飼料作物との代替ができないわけでありますから、そうした中小家畜といったものについての飼料は、なかなかこれは国内においては、やはり生産できない、ということのわれわれはやはりきちっと認識を持って、それではどうするかと、それではいままでのように海外から簡単にそのときどきにおいて輸入するということでなくて、安定輸入というふうな形を今後定着させなければならぬというようなことでこれを進めておるわけであります。可能な限りのそうした代替のできる食糧については、これを積極的に増産をしていくということについては、われわれも全く同感で、これについては努力を今後とも続けていきたいと思うわけであります。まあしかし、いま国民の生活は、非常に食生活が多様化して、そうしてその国民の嗜好というものも非常に多様化をしておることは御案内のとおりでございまして、やはり農政も、そうした国民生活の多様性というものにはこたえていかなければならぬわけでございますし、そういう面からいきますと、ただ、ここで一概に麦の輸入をストップすれば米がふえるじゃないかというようなことで、そうした国民生活、国民食生活の多様性、国民の要請というものを無視してやるということもできないわけでございます。が、しかしこういう問題については、前進的に、誘導的に、われわれは、これからの政策の中で国民の理解を求めながら進めていくということでなければならない。私はそういうふうに考えるわけであります。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 上手に、あっちもよろしく、こっちもよろしくったって、なかなか切り抜けられる事態じゃないという状況認識が、あるいは少しずつ違っているのか知らぬけれども、私は、なかなか農業は元へ戻らぬのじゃないかという、それぐらい実は事態は深刻だ、ということを先ほど申し上げましたけれども、そういう意味ではやっぱり思い切ったことをやらなければならぬのじゃないかというので、幾つかの提起をしてみたわけであります。が、もっと話を敷衍をすれば、農業は元へ戻らぬのじゃないかという中には、何よりも村が崩壊していますから、農業の生産主体というような者が、いわゆる担い手というような者はもうがたがたになっていますね。そういうことなどももう計算に入れますと、本当に大変だと思う。地力の維持から出発をして、自然循環というようなものを利用した農業という、こういう型はもうなくなっちゃう。きのうも、土の問題が出ておりましたが、そういう状況の厳しさはもう一ぺんとらえ直してやらないと、あっちにもこっちにも調子のいい話だけでは通らぬのじゃないかという意味で申し上げたわけです。十分にひとつ御検討をいただきたいと思う。  時間が余りありませんので次に入りますが、いままでるるやってきましたが、とにかく農業の再建や、国民食糧の確保はまず国民的な課題にすることだ、第一は、私は、皆さんの考え方に私も賛成です。私は二番目に挙げたいのは、農村や、担い手その者が破壊に瀕しておるのですから、そこからどう活力を生み出すかということだと思うのですね。で、それには農民の実態とか、農民の必要とか、農民の嗜好とか、こういうふうなものをよりどころにして施策をつくり上げるという作法が要るんじゃないかと思うのですけれども、そういう意味で見ますと、それぞれの地域、自治体、そういうところではずいぶん、そういう農民の嗜好というようなものを身近にとらえた政策動向というようなものが顕著に見られます。そういう地域の政策動向というようなものを把握をして国のベースに乗していく。国は、税金をようけい持って補助金をずっと上から流して、それに皆飛びついてくるだろうという上から下への発想を、思い切って変えないといかぬのじゃないかということ、この農業政策の地域政策動向というふうなものを集約をしていく、というやり方に、思い切った変化を見せるべきだと思うのですが、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これからの農政は、特に地域農業、地域の住民のそれぞれの要望というものを吸収した中にあってこれを行うべきであるということにつきましては、全く私も同感でございます。農林省はいま、御案内のように、地域的に地方農政局というものを持ちまして、地方農政局の中に、地方の農林省関係の出先を集中をいたしまして、そして地方の独自な考え方もあるわけでございますし、そうした地域の農林漁業者の声というものを、この地方農政局が集約をして、そしてこれを農林省で、その集約に基づいて適切な施策をしていく、というのが今日の行政の組織としてはそういうふうになっておるわけでありまして、農林省としても、そうした地方農政局の会議をしょっちゅう開きながら、地域農民の意向にこたえながらこれに対して、その地域には地域の独自性があるわけですから、地域の独自性というものにもこたえて、施策もいたしておるわけでございますし、私は、これからはそうした地方農政局と同時に、地方の市町村というものの意見というものも、これはいろいろの面で、まあいままでもやっておるわけでございますが、もっと地方の市町村というところまで行った形の調整、あるいは意見の集約ということが必要であろう。ですから、市町村行政を通ずる農政の展開ということは今後とも、いまお話のようにもっときめの細かい農政をやるという上において必要なことであるということを私は痛感をいたしておるわけであります。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 非常に結構なことだと思いますが、この間、ちょっと日本農業新聞か何か読んでいたら、地方の政策動向は農林省よりも自治省の方がよう把握をしておる。まあ、自治省はそれは商売ですから、商売と言えばそれまでですが、せめて農業政策動向ぐらいは農林省の方がよく知ってなきゃならぬと思うのですが。いずれにしても、農林省がたくさん予算を取ったというだけでは解決をしないんで、それが地域末端の活力にどう機能をしていくかということが大事だと思うので……。幾つかの自治体、地域で工夫をしておる施策ですね、これちょっと皆さんの評価をお尋ねをしたい。いいものはやっぱり国のベースに上げるべきだ。  幾つか聞きますが、時間がないので簡単で結構です。いわゆる島根方式ですね、いわゆる島根方式というのが注目を集めています。皆さんのことしの予算でもそれに近いものというか、発想がほぼ似ているもので、何と言いましたか、土地利用型何とかかんとかと——集団生産組織の方式ですね。これが発想になっていますが、これはやっぱり予算の散らばりぐあいを見ても非常に縦割りです、まだ。あそこに予算を便宜的にまとめたんだが、内容は全部やっぱり縦だ。畜産団地といったら、畜産がこうずっとつながっているというふうな形になっているようですが、島根方式はそれを地域で、横で全部総合的にとらえる、一つの部落を一つの農場と考える。その農場の中には豚もあるし、牛もあるし、何もあるし、いわゆる複合経営も考えられるし、土地の融通も考えられるし、地力づくりも考えられるし、農機具の共同利用も考えられる。皆さんが縦割りでやっているのを横でつかまえておるという形ですね。それが農民の発想でメニューでやるわけでありますが、この島根方式に対する評価はいかがですか。

森整治農林大臣官房長

○政府委員(森整治君) 先生、直接島根方式とおっしゃいましたけれども、秋田でもございますし、静岡にもいろいろございます。各市町村がいろいろ工夫しながらいろいろやっている問題でございます。これはやはり私どもそれぞれそれなりに非常に高く評価をしておるわけでございます。ただ問題は、御指摘のように、それぞれのいろいろ縦割りが流れていきまして、それがやっぱりある段階で束ねられて事業が行われるということの必要性というのは私ども痛感をしておるわけでございますが、その場合に市町村の段階になってまいりますと、役場の役割りと、それから農業団体の役割り、そういうのをどういうふうに評価していくかということがございます。そういう問題は地域的なやはりその事情事情によって解決をされていくべきものだと思いますけれども、確かに御指摘のように一戸の農家では何もできないということは確かに事実でございます。それともう一つ、一つの作目だけで農業ができるわけではない。それともう一つ、土地利用からいいますと、やはり兼業の問題も大いに考えていかなければいけない。それからもっといきますと、やはり農業だけで農政ができなくなった、極端に申しますと。そういう段階ではないだろうかという認識を深く持っておるわけでございまして、まだ御指摘があるのかもしれませんが、島根方式は島根方式なりにそれが全部の市町村で行えるものだという認識は持っておりません。しかしそういう環境にあるところでやはり指導者問題というのもございましょう。そういう人の指導力ということと相まってある程度の成功を見ているものではないだろうか。こういうふうに私ども評価しております。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 いずれにしても、このようにユニークなのは、ここにも書いてありますが、集落内の農地を一農場として想定をする、集落内の農地を一部落一農場と想定をして、いま官房長からのお話があったようにさまざまなテーマというようなものを総合的に解決する。そこで一つの複合経営をやるというふうな発想ですね。これは特に担い手問題などを考えてみますと、非常に意味を持つと思うのでありまして、あるいは地づくりの問題にしても意味を持つと思うのでありまして、これはそれなりの評価をして、必要があればこれをひとつ大いに取り入れるということを要望します。  その次は、いわゆる豚肉の長期安定払い、これもあちこちでいろいろと工夫をしてやっています。どうも去年の秋ごろですと、農林省も、豚肉の長期安定払いが目玉商品になるような音を出していましたが、どっか、だれかがちょっかい出したのか、何だか消えていますけれども、豚肉の長期安定払いというのはいかがです、これに対する皆さんの評価。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 畜産物についての平均払いの問題につきましては、ことにいまおっしゃいました豚の問題、それからあるいは牛の問題等価格変動が大きい畜産物につきまして問題になるわけでありまして、今年度の予算そのものには一部調査費二千万円弱の調査費を計上してございますが、事業実施につきましては畜産振興事業団の助成勘定から数億程度の金を助成して来年度から早速実施すると、こういう予定にしております。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 これはいま特に豚が高騰しているものですから、食う方は困るが、売る方は、高いのはいいあんばいだというので、余り問題になっていませんけれども、しかし、長い期間で見ますと必ずこうなって、山あり谷ありになりますから、この制度ができれば豚を飼っている農家は月給をもらっているようなものでありまして、いろいろな、元手の方の生産は、景気のいいときと悪いときとならしてくれるという仕掛けですから、非常に意味があると思うのですが、農林省でも考えられておる。ことし調査をし、来年からでも、ということは結構ですが、ただ、農林省の考えているのは、大きい農協ばっかり考えているようなきらいがあるのですが、これはやつ。はりこれがいいのだとなったら、大きい小さい言わぬで、普遍的にするべきだと思うのですが、これはいかがですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 何も大規模な農協に限定してこれを実施するという考え方はございません。来年度早々発足を予定しておりますのは、全国的な規模において一遍に、これを一律的に実施するという考え方では必ずしもございませんで、現在でもいろいろ萌芽があるわけであります、各地で。そういった萌芽をつかまえまして、それをさらに拡大していくという意味におきまして、いろいろな問題というものも片っ方においてあるしするので、そういったものを実験的に探りながら、問題を解明しながら、それを逐次全国的な規模に広げていくという形で、予算といたしましては数億程度のものを四月、五月ごろに交付いたしまして発足いたしたいと思っておるわけでございます。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 これもいいものとして評価をされれば、積極的に取り上げてほしいと思います。  その次には、山村対策でも、地域では、それぞれ工夫をしてやっておるのでありますが、ちょっと私、これ頭が悪いので恐縮ですが、国土庁の方いらっしゃっていますね。——山村地域農林漁業特別対策事業というのと、振興山村農林漁業特別開発事業というのと、特定農山村振興特別対策事業というのは、これ舌かみそうで、みんな同じ意味ですが、私なんか読んでますと。何か違いがあるのですか。ちょっと、これ説明してください、状況がどうなっているのか、簡単にひとつ。

吉田佐敏国土庁地方振興局山村豪雪地帯振興課長

○説明員(吉田佐敏君) いまの御質問の点につきまして、私の方から説明するのは適当じゃないかもしれませんけれども、山村振興法によりまして、これは四十年度に法律ができまして山村振興対策を講じておるわけでございますけれども、四十年度以降千百九十四市町村指定したわけでございます。これは旧市町村単位で指定しておりまして、新市町村に直しますと千百九十四ございます。これにつきまして四十年度から第一期対策というのを四十七年度まで——実施いたしたわけでございます。この第一期対策の中で一番その目玉になりましたのが農林省で実施いたしました山村振興特別開発事業、いわゆる特開事業と申しておりますが、山村振興の特別開発事業というのを、指定されました市町村につきまして実施したわけでございます。これが一応目玉になっておりまして、このほかいろいろな、たとえば道路をつくるとか、あるいはいろんな施設をつくるとか、総合的な施策を講じてまいったわけでございます。その後、四十七年度に第一期対策を完了いたしまして、第一期対策の完了いたしました千百九十四の市町村、そのうちから緊急性の強いものにつきまして四十七年度から第二期対策というのを実施いたしております。これは四十七年度から後の方は五十三年度になりますか、あるいは五十四になりますかわかりませんが、大体緊急性のあるものから指定をいたしまして、これにつきまして関係各省庁でいろいろな山村振興対策を総合的に講じるわけでございます。その中の大きな目玉といたしまして、先ほどの第一期対策の中で、先ほど申し上げました特別開発事業、これに引き続くものといたしまして特別対策事業、略して特対事業と申しておりますが、これを農林省の方で一市町村当たり約一億二千万というような事業費規模で実施いたしておるわけでございます、これは特対事業と略称しておりますが。そういうことで……

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 あんた、個所数なんかどうでもいいですが、この三つ似たような同じ名前がありますが、これ、どういう違いがあるんですか、簡単に言ってください。

吉田佐敏国土庁地方振興局山村豪雪地帯振興課長

○説明員(吉田佐敏君) ですから、特別開発事業というのは、すでに四十年度から四十七年度までに完了してしまった、大体、いまほぼ完了という事業でございまして、第一期対策の中の目玉でございます。  それから、特別対策事業というのは四十七年度から実施いたしております第二期対策の中の目玉でございまして……

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 同じものですか、その二つは。

吉田佐敏国土庁地方振興局山村豪雪地帯振興課長

○説明員(吉田佐敏君) これは農林省の方でやっておりますので、私たち詳しいことは説明しにくいわけでございますけれども……。

岡安誠農林省構造改善局長

○政府委員(岡安誠君) 私からちょっと……。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 さっぱり何言ったのかわからぬ。(笑声)

岡安誠農林省構造改善局長

○政府委員(岡安誠君) ちょっと、じゃ、私の方から簡単に申し上げますけれども、簡単に申しますと、振興山村農林漁業特別開発事業というのは一次対策であったわけです、第一発のですね。それが大体終わりましたので、次に二次対策としまして山村地域農林漁業特別対策事業というのが始まっていると、こう御理解いただきたい。それから第三番目の特定農山村振興特別対策事業というのは、振興山村に外れるところがあるわけです、林野率その他でもって。ちょっとした外れでもって対象にならない、ということで非常にこれは御要望が強かったものですから、その外れたところにつきまして、やはり山村ではあるに違いない、ということで特定農山村振興特別対策事業というのが始まったと、こういうことでございます。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 そこで、この林野率七五でしたかね、これもずいぶん画一的で、怠けておって木ばっかり生えておりゃ、林野率あるけれども、山の上まで、天まで耕すと林野率がこう減ってしまいまして、同じような仕事をやりたいけれども、しゃくし定規でできないというので、恐らくこの特定農山村振興特別対策事業というのができたと思うんですが、これはそうすると、たとえば過疎と離島あるいは過疎と特豪、こういうダブりですね。それに山村ですから三重苦ですわね。こういうところは林野率というのはお構いなしに、原則としてやっていこうというので、地方は苦労しているわけですが、国はそのベースに乗っていますか。

吉田佐敏国土庁地方振興局山村豪雪地帯振興課長

○説明員(吉田佐敏君) いまお話がございましたのは、たとえば離島あるいは特別豪雪地帯、そういうところで過疎地域になっているところがございますが、こういうところは離島の中でも百十六の市町村につきましては過疎とダブっております。それから特別豪雪地帯の中でも過疎とダブっておる市町村がございます。それから、そういう離島につきましては、山村振興対策は一応講じないというようなことになっておりまして、離島の中では振興山村というのはございませんけれども、特別豪雪地帯の中では振興山村の要件に該当いたします場合には当然これは振興山村になるわけでございまして、現在、特別豪雪地帯百九十二市町村ございますけれども、この中で振興山村にダブっているものがございます。それから特別豪雪地帯と振興山村と過疎と、この三つがダブっている市町村もございます。これは大体三つダブっておりますのが……

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 そういうところはやるかと聞いている、全部入れますかと。三つダブっているところは全部入れますかと聞いているんです。

吉田佐敏国土庁地方振興局山村豪雪地帯振興課長

○説明員(吉田佐敏君) これはそれぞれ法律に基づきまして対策を講じておりますので、たとえば特別豪雪地帯と、それから振興山村と過疎と三つダブっておりますと特別豪雪地帯についてのいろんな施策、それから過疎対策の施策、それから振興山村の施策と、三つをあわせて行っておるわけでございます。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 私、時間が来ましたが、ちょっと神沢先生の時間を少しもらいましたので、後で調整していただきますので、よろしくお願いします。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 何分ぐらい……。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 五分ぐらいで結構です。——。  これは、私が主張しておるのは、確かに法律に基づいて、要綱に基づいてやっているんですよ、皆さんは。しかし、しゃくし定規で合わないために、現実には山村と過疎と特豪——山村と過疎と離島ですね。こういうふうに三重苦のところではなかなかこの山村振興並みの施策ができないというので、いろいろと苦労をして、それぞれ地域独自で指定枠を広げて、そういうダブっているところは全部やっちゃう、全国で三百くらいだそうでありますが。という苦労をしています。こういったものも、先ほど地方でやっておる施策の中の評価のできるものは国のベースに上げよと、私そういうふうに申し上げましたが、そういう取り扱いを要望をいたしておきます。  次に、ちょっと次元が低くなって恐縮でございますが、豪雪地帯の苗代問題ですが、これは局長でも結構ですが、大雪が降りますと苗代がつくれないというのでブルを入れるとか、早く雪を消すとかといろいろ作業をしますが、相当の部分を、平場で苗をつくりまして山へ届ける。これは豪雪対策としてその都度やっておるかっこうになるわけでありますが、雪は毎年降るんでありますし、特豪地域に指定しているところは雪が降るから特豪地域と言うんでありますから、これはひとつ恒久施策として盛り込んだらどうだろうと、こう思うんですが、いかがですか。

澤邊守農林省農蚕園芸局長

○政府委員(澤邊守君) まあ、地帯によってはあるいは差があるかと思いますけれども、私ども一般的に聞いておりますのは、つまり豪雪地帯におきましても、その年によって非常に雪の深いとき、遅くまで苗代がつくられない、その地域ではつくれないという場合に、他町村に委託をするというようなことがある。したがって、その意味では、毎年必ずということではないというように、まあそれが一般的だというように伺っておるわけですが、したがって、年によって非常に豪雪が遅くまで残ったというようなときには、予備費なり、あるいは予備費等の措置によりましてこれまでも委託苗代に対して助成をいたしております。最近では四十九年にいろいろのことをやっておりますので、今後もそのような事態が発生すればわれわれとしては措置をしたいというように考えております。ただ、最近機械田植えが非常に進んでおりますので、例の共同育苗施設で、ハウスの中で育苗して機械田植え用の苗代を共同でつくるというのは非常に進んでおります。これをやりますれば、豪雪地帯であっても他町村に頼むということは必要なくなるということでございます。これは何も豪雪対策ということではなくて、健苗の育成、それから機械田植え用の苗代も能率的につくるという意味からも望ましいことでありますので、全国的に奨励をしております。それに対します助成措置も一部やっておりますので、そのような方向で長期的には解決していただくのがいいのではないかというように考えております。

志苫裕日本社会党

○志苫裕君 大雪が降ればそのように対策を講じています、と言いますけれども、雪は降ってみないと、よけい降るかどうかわからないですよ。私は雪の中で育ってきましたから、皆さん雪に対する見方が少し甘いと思うんです。これは澤邊さん専門家ですからあれですが、雪は毎年降るんですよ。特別豪雪地域というように、そのために指定をしておるんで、特別豪雪地域にしておいて、降るか降らぬか結果を見て、降ったら何とかしましょうと言わないで、降るんですから、これは。で、これはやっぱり年間の計画の中にもう織り込んでおくということをひとつこれは前向きで処置をするように要望しておきます。  時間が来ましたから、最後になりますが、ロッキードについて言わないと最近の委員会締まらないんですが(笑声)私、どうも農林水産委員会のロッキードとピーナツ以外に余り関係がないんでありましてあれですが、ですから、私はきょうはここでは資料の要求ということにしておきます。  農林漁業の産物及び資材の、いうなら物資の生産流通、輸入も含めてでありますが、そういうものの取り扱い状況について、総合商社の役割りとか、シェアとか、そういうものについての諸資料ですね、ひとつおまとめをいただいて提出を願いたい。いますぐに急がぬじゃないか、というあれがあるかもしれませんが、丸紅に限らず総合商社、これからひとつじっくり調べ直す必要に迫られていますから、皆さんの方でもその準備の一環として早目にまとめて御提出を願いたい。  これは委員長、私この委員会としてもそのように取り計らいをいただければ幸いです。  以上です。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) ただいま志苫委員から資料要求の提案がございましたが、これに対して農林大臣の御所見をお願いいたします。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) できるだけ資料を整えて、早急に提出するようにいたします。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 私は三点質問をいたします。  一つは食糧自給の問題、一つは畜産の問題、さらに蚕糸の問題、この三つですが、大臣が何かお急ぎのようですから、私は四十分あるんですけれども、なるべく大臣が出られるまでに、この三点をできるならばやってしまいたい、かように考えております。  第一の食糧自給の問題でありますけれども、今回の大臣の所信表明におきまして、大臣は「食糧問題は、今や農林水産業やそれに携わる者のみの問題にとどまらず、広く国民の安全保障にかかわる問題であると申さねばなりません。」こういうような認識をしておることをお示しになりました。まことにこの点は同感であり、心強く考えます。しかしながら、先ほど来いろいろと御議論がありました、それじゃ、それを具体化するのにどうしているん、だということになりますと、どうもわれわれ必ずしも賛成をいたしかねるわけでございます。先ほど来お話の「総合食糧政策の展開」これにしましても九項目の項目を挙げられまして推進をしていくというような話であり、さらにまたそういう点を踏まえ、あるいはいままでのいろいろな実績を踏まえられまして、先般「農産物の需要と生産の長期見通し」こういうものも御発表になっておりますけれども、こういう表からも拝見いたしまして、そういう御理解なり認識にはちょっとほど遠いんじゃないか。あるいはそういう御理解でもありながらなかなかそういうお考えのとおりいかないんだ、というそういった弱気といいますか、あるいはやる熱意と申しますか、それが足りないんじゃないかというふうに疑われるような節があるわけでございまして、端的に私は申し上げますけれども、今日の日本の農政で最も大きな問題は米をつくりたい、つくりたいというのをつくらせないで、そして減反をしなければならぬ。しかも輸入し、あるいはまたこれからもどんどん国内で必要であるところの麦あるいは雑穀、豆、こういうものをつくらせようと思ってもなかなかつくらない。こういうことに一番の大きな農政上の問題があることはいまさら申し上げるまでもないわけでございます。  そんな観点から、いまの畑作総合対策というものも御計画になっておるのでありましょうけれども、この案を拝見いたしましても、まことにその場限りのような感じがいたしてなりません。豆に五万円の補助金をやる、ほかの作物に四万円の補助金をやると、こういうことで誘導しようとしておりますけれども、それをやっている間は恐らく十九万ヘクタールかあるいは八十万トンか、その生産調整もでき、あるいは誘導しようという作物もつくるでありましょうけれども、しかしその補助金がなくなった場合に、またもとへ戻っちゃうのであります。いままで五ヵ年ほどやってまいりました生産調整の問題にいたしましても、どれだけ定着したかということになりますと、昨日もどなたかの御質問がございましたけれども、私は疑問だと思います。今回の水田総合利用事業にしましても、三カ年過ぎた後にはまたもとのもくあみになってしまう。そして依然として今日のような困難な問題が続くんではないか、こういうふうに考えるのです。  しかしながら、時間がありませんから私は端的に申し上げますけれども、やりようによってできるんです。そのやり方を知らないといいますか、やる熱意がないんではないかというふうに私は考えます。豆一つとりましても今日御承知のように二俵半です。二俵半——百五十キロですか、しかとっておりませんけれども、昨日も局長答弁でようやく、三百キロぐらいはとれるんですと、こういう話を出しました。いままで私は何回もそれを話をすると、いや試験場では三百キロぐらいとれますけれども、農家へ行くと、そうはいきません。なかなかどうも同意しなかったのでありますけれども、きのうあたり、ようやく三百キロぐらいはとれます……。そうでしょう。あなたの方の何課が——畑作振興課かあるいは稲対室ですか、実績なんか調べていると、もう三百キロなんて普通でとっているのですよ。四百キロもとっています。五百キロもとれる。そういう技術というものを吸い上げていかない。そこに私は問題があると思うのです。この「総合食糧政策の展開」というこのあれを見ましても、九項目いろいろ書いてあります。基盤整備であるとか、あるいはいろんなこと、価格政策、こんないろんなもの書いてあります。が、肝心な物をつくる基本の技術というものに対して、これ何にも書いてないんですよ。農産物はこれは物をつくるところから始めなきゃならぬ。つくった物を、価格をどうしよう、流通をどうしようということは、これはその次の問題である。まず物をつくることから始めなきゃいけない。豆でも麦にしましても、もっと私は真剣につくる技術というものを検討してまいるならば、豆なんかはもうすでに三百キロは普通の農家でとっているのですよ。私のすぐ近くでも、いまの農林省で今度何か表彰してくれるそうです。婦人たちが集まって——三百キロなんて毎年もうとっている。全国見ましても、そんな例はざらにあるわけですから、こういう技術をひとつ吸い上げて、そして、これを一般に広めていくということが必要だと思います。しかも三百キロなんて言わないで五百キロあるいは六百キロ、これもその基本には、やはり技術者というものは本当に品種改良に取り組む、そして、いまある栽培技術なり、あらゆる技術を増収のために組み立てて、それをそして普及していく、こういうことが重要なお仕事だと思うんです。  まあ質問でなくて、私、当分皆さんに教えるつもりで(笑声)問題を提起いたします。そういうことにいたしますと、(「農林大臣になったらいいんだ」、と呼ぶ者あり)この農産物の需要と生産の目標にいたしましても、食用の大豆を四十七年では十二万七千トン生産しておる。これを六十年には四十二万七千トンとろう。ですから、自給率が食用だけにすれば、二〇%のものが六〇%になる、こういうことでありますけれども、あるいはまた、食用油を含めた量からいくと三百九十九万三千トンですか、国内で消費している、四十七年度は。これが六十年度では五百五十四万三千トン。それにしましても一一%の自給率が一三%になるから、こう言うのでありますけれども、需要全体からいくと三百九十九万トンが五百五十四万トンになる。自給率がわずか一、二%上がったって、逆に輸入量は百万トンもふえるのです。麦だって同じことなんです。麦だって——こういう需要と生産の長期見通しなんていうもので甘んじているということは、私は、本当に真剣に食糧自給ということを考えているのかということを疑わざるを得ないわけでございます。麦にしましても、御承知のように、いま四十七年で見ますと七百二十一万トン、総計で七百二十一万トン。これが、六十年では八百四十万一千トン。国内自給を六十万トンから百四十四万トンにする。したがって、自給率を八%から一七%に上げる。それで満足しておられちゃ困るわけで、率は上がっても、外国から買う量というのは、逆にまたこれに百万トン近いものが多くなる。果たして、こういうものが輸入できるかどうかということになると、私は問題であろうと思うのです。そういうことを考えますと、何としても豆なりあるいは麦というものを国内で自給していかなければならない。ところが、自給できないかどうかというと、私はできると思う。いまのように百四十キロや百五十キロとっているのではなくて、もうすでに三百キロはだれでもとれるのです。五百キロもとれる。五百キロもとるならば、豆で七百二十七万トンですから、これは五百キロですと十四万ヘクタールあればいい。十四万ヘクタールの水田に豆を植えてもらえばいいのです。しかし、そう言ったって、米と同じような収入がなければ植えない、こう言うでしょう。転作がみんなそうです。ところが、豆はいま約一万円ですか、七俵とれれば七万円。米だっていま一万五千円、八俵とって十二万円ですから。ところが、その生産費というものは、これはやっぱり農林省の統計で見ればすぐわかるのです。私は統計見なくたってわかっているのだけれど。生産費が、米ですと大体四万か四万五千円ぐらいでしょう。総所得にして七万五千円か。ところが、豆五俵とれば五万円。それに補助金五万円くれるなら十万円。ところが、生産費は、豆は二万円ぐらいになる、上がる。労働時間は、十アール当たり米は約八十時間から九十時間、豆は三十時間かかる。岩手のあるところでは、せっかく改善したけれどもたんぼにできないというので、いま豆をつくろうという計画をして、去年十一町歩ほどやったというのですが、その結果が、農林省の農政調査委員会で、こういうふうにちゃんと報告が出ていますね。これだと、五時間か六時間で一反歩豆をつくるという、いろんな機械を設備してやれば。そうすると、反収、反の所得から言って、あるいは労働報酬から言ったって、これはもう米の何倍にも労働報酬が当たるのですよ。こういうことをやりようによってはできるのです。麦だって、そのとおりなんです。麦だって現在二百何十キロですか。ところが、麦の収量というものはそれじゃ、どれだけとれるんだということになると、ちょっとやれば千キロすでにとっている。一トンとっている。最高どれだけとれるかというと二トンはとれる可能性があると、こう言うのです。こういう本にちゃんと書いてあります。これ、私の言うだけでなく、こういう本もぜひ、農林省の方々は、専門家もおられるわけですから、読んでいただきたい。麦の収量はどの程度上がるかというと、麦作競作会というのを皆さんの方でやっていますが、千キロはすでに実績は出ています。最高二千キロぐらいまでは可能だと書いてあるんですよ。ただ、これをやらせないのだ。農林省のいままでのやり方は、麦をつくらない、豆をつくらないような政策をやってきたから。米のように全力を挙げて増産しようという態勢をつくったならば、麦は千キロとれます。豆だって千キロとれます。そうなると米以上に有利な作物なんです。麦千キロつくれば国内で消費しているものは七、八十万ヘクタールあればできるんです。裏作可能な地、それぐらいありませんか。そういうことをぜひ——大変これは講義になってなんですけれども、よく御検討を願いたいと思いますが……。  それにつけましてもやはり技術というものをもう少し真剣に考えてもらわなきゃならない。技術革新というものをやってもらわなければだめなんです。物をつくることを知らない人が農政ばかりやろうとしてはこれはだめなんだ。やはり物をつくることが先決ですから、もっと技術者というものを優遇してもらわなきゃならない。今日、豆づくりの試験場の技術者なんて、日本じゅうに何人いますか、幾らもいないでしょう。麦だって、昭和の初め始めたのをやめてしまったから、もう今日のような状態になっている。ですから、どうぞひとつこの技術をもっと真剣に取り上げて、そして品種改良あるいは優秀な栽培技術の組み立て、それの普及、こういうものをぜひやってもらいたいと思いますが、大臣の所見をひとつ伺っておきます。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの鈴木さんの御意見、慎んで拝聴をいたしたわけでございますが、前段の、本気で農政に取り組んでないんじゃないかという御意見ですが、これは一年間かかりまして、私も「総合食糧政策の展開」というものを打ち出したわけであります。これは所信表明にも示しておりますように、食糧問題が安全保障にもつながっていく問題である。この食糧問題は、食糧政策は国政の最重要課題であるという認識に立って思い切った農政の刷新を行わなきゃならぬという熱意のもとにやったわけでありますし、五十一年度予算にはこれらの基本的な考え方に基づいて相当新しい政策を裏づけたわけでありまして、これは鈴木さんにも御協力いただきましたからよく御承知いただけると思うんでございます。そういう中にあって、いまいろいろと具体的にお示しをいただきました、まあわれわれも食糧の増産と、そして自給力を確立をしていくということが農政の課題である、最重要課題であるというのはよくもちろん認識をいたしておりまして、そういう点で基盤整備を初めとするところの各般の施策、生産対策、あるいはまあ価格政策、さらに中核農家の育成政策といったようなものについて強力に進めようというわけでございますし、そういう中にあって、水田相互利用対策というものも打ち出しておるわけでございます。が、そうしたもろもろの政策を進めておる中で、技術が大事であるということはまことにごもっとものとおりであります。農林省も技術会議等も持ちまして、そうして農産物の技術の革新と、あるいはまあ品種改良といった面については非常に努力を今日まで続けておる。私は、農林省のやっておるところの技術の革新というのは、相当世界的にも高い水準に達しておるんじゃないかと。まあ非常に大事ですから、これはさらに、技術問題については大いに熱意を込めてやっていきたいと考えております。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 時間がありませんから、いろいろ例を申し上げた牧草なんかも細かく申し上げて——これは有利な作物だということで申し上げたい。これはいずれ機会を得れば、あるいは担当の局長なり、課長でも教えてあげますから……。  それで、いま大臣こう長々御答弁ありましたけれども、技術会議というのは片すみに置かれたようなものですから、だから、やはり本気になってそういった増産に取り組む技術の体制をおつくりになる考えがあるのかないのか。端的にひとつぜひやってもらいたいんだ。やってもらいたいけれども、それをやらなきゃだめなんですよ、これは。幾ら絵にかいたもちをやったってだめですよ。これではいつも同じ議論を繰り返すだけですよ。やる考えがあるのかどうか。技術革新の本部でもつくって、あるいは豆増産対策本部でもいいや、あるいは麦増産対策本部でもいいや、技術を基礎にしたそういうものをつくる考えがあるのかどうか、その決意だけを聞いておきたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いままでもやっておりますし、これからも熱意をもってやっていきたい。特に畑作だとか畜産には技術面において特にこれは力を今後とも注いでいかなきゃならぬと考えております。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 まあ後からまた機会を設けてやりましょう、不満ですからなんですけれども。時間もあれですから、また改めてやります。  ついでに伺っておきますが、いろんな新しい品種——豆でも十俵取れる品種とか、麦十俵取れる品種とか、そういう品種改良というものが必要だということは私は前々から痛感いたしております。昨日、工藤先生からもお話があった。そんなことで、実は新品種保護の問題に私ども議員連盟として取り組んで、私も世話人になっておりますが、その後どういうふうになっておりますか、局長にちょっと説明を願いたいと思います。

澤邊守農林省農蚕園芸局長

○政府委員(澤邊守君) 植物の新品種保護の問題につきましては、来年度の予算におきましても具体的な調査、準備の経費を計上して御審議をいただいているところでございますが、われわれといたしましては、植物につきましては一般の工業製品と違いまして、特許法にはなじまない点が多々あるということで、独自の制度を考えたいということで準備を進めておるところでございます。つい先般も、国際的なこの問題についての会議がございまして、わが国はなお未加入でございますけれども、参加をいたしまして、条約の改正問題につきまして検討をしてきたところでございますが、特許法は、現在におきましては植物につきましても特許を認めるというような一応の仕組みになっております、これまでは余り実績はございませんが。その辺の調整を今後両省の間で進めまして、できますれば次の国会ぐらいをめどにいたしまして新しい制度をつくりたいということで、鋭意検討を進めているところでございます。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 この問題ばかりやっているとあれですから、次に移ります。ただ、いまの新品種保護法の問題は急いでひとつやっていただくと同時に、特許庁の方との連絡を十分ひとつやっていただきたいと思います、相当期待をいたしておりますから。  それじゃ、次に畜産に移ります。最近の豚肉、牛肉、これは大変上限価格を超えておりますけれども、これが大体正当な価格なのか異常なのか、まずこの点お考えを承りたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 確かに問題になりますように、最近の食肉の、これは牛肉、豚肉両方でございますが、卸売価格の動向を見ますと、豚肉が昨年五月、それから牛肉が昨年の八月以来、いわゆる安定上位価格を超えているというような状況になっておりまして、そういう意味では私どもこの判断は、いろいろ価値判断は分かれるわけでありますけれども、私どもの見方といたしましては、基本的にはやはり食肉の需要は依然として堅調ではある。一方、国内生産はいわゆる一、二年前の畜産が受けた打撃の中で、たとえば牛肉でいえば、ことに乳雄の子牛が肥育に回されないで大量に殺されてしまった、それから雌豚がこれも殺されてしまった。こういった影響が豚の場合には昨年の初めから出ている、それから牛の場合には昨年の後半から出ている。そういった供給の面での打撃が端的に出ている。こういう意味で、異常な価格であるというふうに思っておるわけであります。  そして今後の判断でございますが、牛につきましても一時は枝肉価格が上がりまして、それに従来は子牛価格が連動して上がっておりましたけれども、今回はそれがなかなか上がり方も遅かったというのが特徴であったわけでありますが、最近幸いに一時十五万円程度でありました子牛価格が十九万円台に乗っております。回復の基調をたどっているということが見られます。それから、雌豚にいたしましても昨年の二月に九十万四千頭であった雌豚が——子取り用雌豚でございますが、五十一年の二月、ことしの二月には九十五万九千頭というぐあいに増加を示しておりますから、逐次今後生産は回復の方向へ向かうという形で、もちろん牛肉につきましては、これは輸入にかなり依存はしなければならないことは従来と変化がございませんが、輸入の適正な放出ということと相まって、いまの異常状態は逐次解消していくというふうに私どもは期待をしているわけであります。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 この肉が上がってきてからの肥育の意欲といいますか、肥育の頭数がふえておりますか、ふえておりませんか。豚にしてもあるいは牛は長い時間かかるわけですけれども。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 肥育意欲の回復がなかなか牛なんかの場合には先ほど申し上げましたように遅かった。しかし、それはことに牛の場合には肥育面の意欲はあったわけでありますが、その元牛を生産する子取り農家の意欲が冷えておったということでございますが、それは子牛価格が上がらなかったということもかなり原因しておったわけであります。最近、先ほど申し上げましたように、子牛価格が上がってきておりますかち、子取り農家の繁殖意欲というものも私は増加してきているというふうに判断いたしております。  それから、豚につきましては非常に元豚の値段が上がっております。それはやはり肥育意欲の向上の反映だというふうに思っております。  それから、繁殖農家の方の意欲でございますが、これもいま申し上げましたように、子取りの雌豚の飼養頭数が昨年同期に比べまして約六%ぐらい上昇しているということから、意欲は逐次従来に比べればやや回復のテンポが遅かったといううらみはございますが、上がってきているというふうに判断しております。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 そうすると、いまのような価格は異常な状態で、やがて安定基準価格ですか、ああいった程度に戻るというふうにお考えですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) この二、三年来のいわゆる畜産危機の中で受けた打撃がかなり深い、後遺症がわれわれの予想以上に深かったということから、この生産の不足といいますか、生産が需要に追いつかないという状態が来年度の上半期まではやはりある程度続くんじゃないかというふうに思っております。しかし、生産が次第に回復するにつれて、後半については正常な状態に逐次戻っていく、かように判断をいたしておるわけであります。もちろん片方、牛につきましては輸入をかなりしなければならないというふうに判断しておりますが、これにつきましても、たとえば日本の国産と同じような非加工であるチルド牛肉——冷蔵牛肉といったものを大量に今後重点的に入れるというような形で逐次価格は鎮静の方向へ向かうものと期待し、また私どももその方向で努力をいたしたいというふうに思っておるわけなんです。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 今月中に各畜産物の安定基準価格、行政価格ですか、決めなきゃならぬわけですね。そういうことからして、実はいまの状態が異常でなくて、いまのが農家の生産費なり生産者の経済的な面から見れば適当なんだと。異常でないんなら、そこを私は究明したいと思って聞いたんです。——異常なのか、異常でないのか。異常でない、それが生産費なりあるいは農家の立場からすれば、この程度しなきゃ生産ができないんだ、ということであれば、もう間もなく安定価格を決めなきゃならぬ時期ですから、その辺をめどに決まるのか。あるいはいろいろ試算しているんでしょうけれども、新聞によると農協あたりではすでに要求を出すとか、出したとか、いずれも二〇%。その数字を拝見しますと、いまの市場価格に大体合っているような要求のように見受けますけれども、その点の見解どうですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 牛肉につきましては昨年度初めて安定価格を決めたんでありますけれども、豚の例で申し上げますれば昨年度におきましても、対前年たしか私の記憶では、九・七%という程度の上昇を、値上げをしたわけであります。そういう意味からして、いまの安定帯価格が異常に低かったというふうには判断しておりません。むしろ現実の価格が、いま畜産危機の中で畜産農家の意欲が冷え切ってしまったと、大やけどをした者が、もう一回火のそばに寄るのをこわがったと、そういう心理が多分に働きまして非常に冷え切っておったと。そういうような異常な需給環境において現出した価格水準だというふうに私ども判断しております。  来年度の畜産物価格の決定でございますが、これは今年度中、今月いっぱいにしなきゃならないという法の規定に基づきまして今月の十二日に諮問をいたし、それから今月末に食肉、それから乳価の両方でございますが、審議会を開いていただきまして決定いたしたいと。そのときには、いま御指摘になりましたように再生産を確保するようなことを旨として価格は決めていきたい。具体的な試算につきましてはいま部内でいろいろ検討、作業中でございます。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 ただいま再生産できるような価格を決めるということですけれども、この価格算定の方式はいままでどうなっておりますか。米と同じような、主としてやはり資材なんかはだれが見てもそう違わないと思いますけれども、自家労働の評価ということになってくるんじゃないかと思いますね。米と大分いままで違っていましたか、評価の算定の基準。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 食肉の方でございましょうか、それとも乳価の方でございましょうか。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 食肉です。豚肉と……。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 食肉の安定価格は、これは安定上位価格と安定基準価格というふうに上位、下位を決めておりまして、その中でいわば異常な価格変動を抑えるためにその中にできるだけ収斂させる、こういった安定帯のゾーンであります。そういう意味におきまして米価と違いまして生産費所得補償的な色彩は考えておりません。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 いない。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) ええ。むしろ市場のメカニズムと、自由な価格形成というものを前提にいたしまして、そういうものを前提にして現出される価格というものを考え、同時にその中で再生産が可能である、そういったことを確保するためのことを旨として決めるんだと、これは法の規定でもそうなっておりますのでそういうふうに考えております。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 乳価の方はどうですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 乳価の方はこれは法の規定に従いますと不足払い法でありますけれども、主要加工原料乳地帯における再生産を確保するというようなことで法の規定がなっております。具体的にはこれは生産費を基準にして決めておりますが、その場合にいろいろ議論になりますところは家族労働の評価をどうするかということにかかわってくるわけでありますが、これは米価とは必ずしも同じ方式をとっておりません。はっきり申し上げると違う方式をとっております。今後どうするかにつきましては、これはいま内部で検討中でありまして、来年度のことにつきましてはまだ態度を決めておりません。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 米と乳価あるいは肉の価格の算定の方式がみんな違うわけですね。この「総合食糧政策の展開」という中にも書いてあったと思うんですが、そういう価格、いろんな農産物の価格決定の方式というものはひとつ同じくしようじゃないかというようなことで、どこであったか忘れましたが、書いてあったように思うし、またそれをやるのは当然だと思うのですね。米は米、あるいは乳価は乳価。同じ畜産物であっても、今度は豚肉、牛肉はまた違う。こういうんでは困るし、そしてまた、いつも価格のとき問題になるのは、そういった自家労働の取り方がまちまちです。しかも異常に低い、米なんかに比し非常に低いというところに問題が出てくると思うのです。ですから、どうぞひとつこういう方針もあるのですから、なるべく同じ方式をとっていただくよう、同じ評価額をとっていただくようにひとつ決定をしていただきたいと思います。  それからいま豚肉やあれの方は必ずしも生産費でない、需給関係を考慮する、となると、いま需給関係で、現在のように上限を超えたような価格になっているわけですから、これを是認するようなことになりますね、需給関係でそうなっているんだから。これが正当な価格だと、今日の時点では。そうすると、農業団体なんかがいま要求していると言われている価格と大体同じなんですよ。そんなんでいいんですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) やや具体的に申し上げますれば豚肉、それから牛肉それぞれ基準年次の取り方は異なっておりますが、過去一定の期間を基準年次にとりまして、その期間内において現出した市場価格というものをベースにいたしまして、それとその基準期間内の生産費と現在の生産費というものの変化ぐあいをもう一方の要素としてつかみまして、つまり、生産費の上昇率をその基準期間内において現出した市場価格にかけで——簡単に申し上げますれば、かけて、そうして安定帯価格というものを求める。こういったやり方であります。そういう意味でありますが、現在の、もちろん需給事情も一つの判断の要素ではございますが、現在の価格がこうであるからといって、それを是認するというような立場は私どもはとっておりません。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 時間がありませんから次に移ります。  蚕糸問題。これももうほとんど時間がございませんから簡単に伺いますが、御承知のように、今日韓国からより糸がどんどん入ってくる、それから中国から羽二重が入ってくる。こういうことで非常にいま日本の蚕糸業は困っております、不安を持っております。掃き立てを前にして養蚕家が非常に不安になっております。そこで、いまの糸の方は皆さんの御努力によりまして、一元輸入でありますから、これは秩序ある輸入ができておりますけれども、より糸の方はそうはいかない。あるいは織物の方は通産省所管だというのでなかなか、これが制限なりあるいはできるならば法律的な規制をすべきだという意見がございますけれども、これは農林省所管でなくているわけなんでしょうけれども、時間がありませんから、通産の人も来ていただいておりませんから、農林省としての見解はいかがですか。

澤邊守農林省農蚕園芸局長

○政府委員(澤邊守君) 生糸の世界的な過剰傾向の中におきまして、昨年特に絹撚糸あるいは絹織物が韓国あるいは中国等から大量に輸入をされまして、現在の繭糸価格安定制度、それに基づきますその一環としての生糸の一元輸入制度を空洞化させるというおそれがございます。われわれといたしましては、現在のような世界の需給事情は当分まだ続くのではないかというように思いますし、さらに国内産の生糸と輸出国の生糸の価格差はかなりございます。そういう点を考えますと、当分の間は生糸の一元輸入制度は続けるべきであるというのが農林省の考え方でございます。さらに昨年の例にもございますように、絹撚糸なり絹織物という形でフリーに幾らでも入るということでは生糸の一元輸入制自身が維持できなくなるというおそれがございますので、何らかの方法で生米、絹撚糸、絹織物を通ずる全体、総合的な輸入の秩序化といいますか、計画化といいますか、そういうような措置を講ずる必要があるというふうに考えておるわけでございます。この点までは関係省の間でも異論はないわけでございますが、具体的にどのような措置を講ずるかということで、一つは対外的な輸出国との話し合い、協議を本日も実はやっておるわけでございますが、そういうことによりまして、いわば自主規制を求めるというようなこともやりながら、半面、国内的な法的な措置をがっちりつくるということ、この両方が農林省としては必要であるということで、現在関係省とも話を進め、そのような方向で努力をいたしておるところでございます。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 時間ですからもうやめます。どうぞひとつその一元輸入はずっと続けていただく。それから通産の所管であっても、農林省は大いに強い態度で生産者の立場に立って、強い規制がでさるような、法的な規制までできれば結構です。そういう交渉をしていただくようにお願いして、私の質問を終わります。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 私の場合は、わが党質問のしんがりになっちゃったものですから、それに時間もわずかですので、どうしても落ち穂拾いみたいなようなことになりまして、重複もあったり、断片的になったりというようなことになるかもしれませんが、御承知を願っておきたいと思います。  そこで、まず第一に、まあ大臣の大変ごりっぱな所信表明を伺っているわけでありますが、これは申すまでもないことだと思うんですけれども、この大臣の所信表明はいわゆる「総合食糧政策の展開」を所信表明として展開をされたものであり、さらにそのもとになっておるというか、下敷きになっておるのは、例の「需給と生産の見通し」ということでもって一連の経過に基づいてここに一つの政策上の展開がされておる。こういうふうに受け取ってよろしいわけですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) そのとおりでございます。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 そこで、そうすると例の「生産と需給の見通し」に戻るんですけれども、これは六十年を見通して、まあこれによりますと自給率が総合では七三から七五に引き上がっているわけですが、ところがその穀物自給率については、これは落ちまして四二から三七になっているわけなんです。まあこの説明もいただきたいと思いますし、同時に、この見通し後の見通しを一まあ、これはこれだけじゃ何かその後どうなっていくのかというのが私どもには把握しにくい点があるわけでありまして、たとえば私どもの党におきましても、十年後には八〇から九〇までは引き上げるというふうな、こういう一つの計画をはじき出してもおります。まあ、国の場合としては、この見通し後の見通しというやつは大体どうなっているのかという点を、これをまず伺いたいと、こう思うんです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 昭和六十年を見通したこの総合食糧政策の実施は、これを強力に確実に進めていかなきゃならぬわけであります。いまの見通しでは七五%の総合自給率を確立をしたいと。まあ、その間に人口の増加もありますし、生活水準の向上等もあるわけでございまして、われわれは全体の生産は二七%伸びる、そして需要が二三%伸びていくだろうと。そうしてその結果最終的には七五%の自給率を確立することができるというふうに考えておりまして、そういう大前提のもとにもろもろの施策を進めていくわけでございますが、その中にあって穀物自給率は四二%から残念ながら三七%に落ちるということでございますが、これは今後の畜産物に対するところの需要というものも伸びていくだろう、それに対応するところの生産も安定して成長するであろう、ということを考えますると、畜産の、特に中小家畜の飼料であるところのトウモロコシ、コウリャンというのは、国内で生産ができないわけでございますので、今後これは外国依存率が高くならざるを得ないという判断でございます。もちろんその間において飼料食物に代がえできる飼料作物等の生産はこれを積極的に進めなきゃならぬし、あるいは麦であるとか、あるいは大豆等の増産も図っていくわけであります。が、これを総合的に見ると、畜産の伸びに従って飼料作物の輸入が今後やはり大幅に伸びるということから、われわれは、可能な限りの自給力を高めるとしても飼料穀物については残念ながら四二%から三七%に減らざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  これ昭和六十年以後は一体どうなるかということでございますが、これは相当長期にわたる需給の見通しでございまして、その前提となるところの経済社会的な条件、あるいはまた技術条件等につきまして、いまだ不確定な要素が多いわけでございますので、なかなか的確な見通しを行うということは非常に困難であるというので、農林省としても具体的な試算を行っておらないわけでございますが、しかし六十年以降も人口の増加等に伴いまして食糧の需要は増大すると見られるわけでありまして、それに見合って可能な限りの国内自給力の維持増大に努めて国民食糧の安定的供給を図ることが必要であることは申すまでもない、そういうふうに考えておるわけであります。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 大臣ね、いまお話を承ったんですけれども、率直に言って、これは別に国を責めたりするような気持ちとは違って、私ども農業にかかわる者の立場からすると、何とも心もとないわけなんですよね。一応六十年の数字は出ていて、総合でもって二つばかり上げるけれども、穀物では落ちる、しかもその間に、さらに人口はおいおいとふえていくであろうし、食生活の向上などもこれは下がることはないだろうということになると、どうも穀物自給率というやつは、大体これ以上もう期待ができぬのじゃないか。場合によると、落とさぬことさえも不可能になっていくんじゃないかというような気持ちさえこれは生ずるわけでありまして、そうなってまいりますと、この「総合食糧政策の展開」というようなものを見ますと、これは大体二本柱になっておって、一つは「国内生産力の強化」、一つは「食糧の輸入の安定化」というようなことになると思うんです。ところが、一方の国内生産力の強化というのが、大体六十年度あたりの後の見通しが、確たるところが説明ができないというようなことになれば、これはもう総合食糧政策というものの展開は、勢い輸入食糧に依拠せざるを得ないというようなことになってこざるを得ない。別にそれを目標としていなくても、自然にやっぱり輸入の方に傾斜していかなきゃならぬ、輸入安定の方に逃げ込んでいかなきゃならぬというようなことが、どうもそれは大きく懸念になるわけなんです。大体、この総合という字がつくとまことに、農民の側では二の足を踏んでしまうわけであります。いままで前歴が、前科がありますからね。全国総合開発計画といったら、これは農民の締め出しだった。総合農政といったらば、これは米をつくらせぬことになってしまった。今度、「総合食糧政策の展開」ということになると、これは何か農政の見直しだと、こう言っておるけれども、しかしいずれはやっぱり国際分業論の焼き直しみたいなものでもって、輸入の面へもう依拠せざるを得ないようになっていってしまうんじゃないか。そうすると、口先だけでは自給力の強化とこう言っても、余り当てにならない、信用がならぬじゃないかという、こういう不安、そういう心配がわれわれを初めあるんですよ。この辺をはっきりと、そうではないんだというですね、そうじゃないと思っているというだけのことじゃなくて、そうではないんだ、というやっぱりこれはもう立証的説明をしていただく必要があるんではないか。まあ、こんなような観点から、その見通し後の見通しをお聞きしたいとこう思ったんですがね、どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ、これなかなか国民の間にもそういう点では理解が進んでいないと私も思うわけでございまして、食糧の自給率といいましても、たとえば米、野菜、魚肉といったようなものによって食生活が維持されるということになってくれば、これは一〇〇%の自給力を持てるわけでありますが、今日の食生活というものは非常に多様化して西欧風化しておるわけでございます。そうした国民の多様な嗜好に応じて食糧の確保をしていくということになれば、やはり国内で生産される食糧につきましても、おのずから資源的な国土的な制約があるわけであります。そういう観点からいくと、特に畜産の飼料穀物につきましては、これは圧倒的にやはり外国に依存せざるを得ないということはこれはもう免れないわが国の持っておるところの客観的な現実の姿ではないだろうかと思うわけでございます。  たとえば飼料穀物にしても、現在千万トン輸入している。これが昭和六十年には千五百万トン輸入せざるを得ない。これはまあ畜産も、安定的成長ということを踏まえて、安定的にまた需要も伸びるということを踏まえての見通しでございますが、これはいまの食生活の変化等から見まして当然予想をわれわれとしてしておかなければならぬのじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。そういう面から判断をしますと、どうしても飼料穀物の点につきましては、たとえ麦等につきまして相当思い切った増産をするとしても、輸入の方がオーバーをしてまいりまして、自給率というのはおのずから減らざるを得ないというふうに私は考えざるを得ないわけでございます。これはもちろん国内の自給体制を軽視するというわけじゃなくて、可能な限りの自給力を高めていく、そうしてなおかつそれだけのやはり自給率については減らざるを得ないというのが現実の客観的な姿ではないかと、私はそういうふうに考えております。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 私が最初申し上げた自給回復、農業再建といっても、口先では、これは容易に言えることですけれども、現実の問題としては、いまのお話を承りましても、どうもどんと胸に落ちるようなものになっていないんだと。私はいまの大臣のお話はとても正直でいいと思うですよ、確かにわれわれも同じことを心配しているわけですからね。しかし私は、それでは済まぬのじゃないか。まあ、仮にも、先ほどまでのやりとりの中で、ことしの予算においては、とにかく芽出しをすることができた、ということでもって自負されている面もあるわけでありまして、私なども、努力をされた点について一定の評価を惜しむ者じゃありません。しかし、さあこの芽出しをしてここでいよいよ政策展開が行われても、本当にわが国の自給回復、農業再建というものができるんだろうかというこの点が、これは何としても、すとんと胸に落ちるようなものにならないわけなんです。しかし、これは時間の関係もあるし、そんなことの論議をここでやっておってもしようがないものですから、また場を改めようと思うんですけれども、ひとつ、やっぱり国民にわかるような、説明のできるような、これはひとつ用意をしていただく必要があると思うんですよ。  そこで、さっきも申し上げたんですが、国内の生産力の強化という面が、どうも本当に胸に落ちるような説明がいまの段階では無理だと、こういうことになると、私は、やっぱり輸入の方にどうしたって傾斜していかざるを得ないじゃないか。物は必要なんだから、物は得なきゃならぬということになると、勢いそっちへ行ってしまえば、安易な道へつくということでしょうから、これはどうしたってそういう傾向を避け得ざるようなことになっていくんじゃないか。それでは自給力の回復にも農業再建にもこれはつながらぬわけでありまして、そこで私は歯どめが、これは自給力の強化の政策を展開をしていくということについては、やっぱり輸入に依存する方向をどっかでもってとめていかなきゃならぬ歯どめがこれは必要じゃないか。こう思うわけなんですが、その歯どめがなきゃ、やっぱりどんどんまたもとへ返ってしまう。国際分業論の再燃でなくても、勢いそっちへ赴いていってしまうというふうなことじゃこれは困ると思うわけでありまして、どうしてもこれは歯どめが必要だと。こういう点についてはどんなようにお考えか。歯どめとしてはどういうことが必要であるか、というふうな点でお考えがありましたらばお聞きをしておきたいと思うんです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) なかなかこれは、歯どめということは、先ほど申し上げたような客観情勢から見まして非常に困難な面はあると思うわけでありますが、しかし国内の自給力は、とにかく可能な限りこれは高めていく、しかし、おのずから国土的な、資源的な制約があるわけですから、やはり生産についても限界がどうしてもあるわけでございます。その限界を超えた食糧については——これはやっぱり一億一千万の国民の食糧を確保しなきゃなりませんし、そしてその食生活も非常に多様化している、そして人口等を考えれば、大体静止人口は一億四千五百万人というふうなことをいわれておりますが、そういうふうな人口の伸び等も考えて、そして国民の嗜好にこたえていくということになりますれば、やはりこれは国内で可能な限りの自給力体制はつくったとしても、それの限界を超えた分については、これは外国に依存せざるを得ないということは、これはもうやむを得ない。ただ、外国に依存するそのやり方、依存のあり方というものにつきましては、これは非常に問題が私はあるのではないかと、こういうふうに思っております。いままでのような、とにかく安い農産物を外国に依存すればいいというふうな、そういうふうな安易な考え方で外国の食糧にこれを求めるということは、これはもう許されない時代になったということでございます。そういう観点から、私は、まずそうした農産物について安定輸入の道を開き、これを定着さしていく。さらにまた、将来の緊急の事態というふうなこともあり得ないとも考えられませんので、そういうことも踏まえて、それこそ食糧が安全保障であるというふうな考え方で、備蓄ということも本格的に実施をしなければならないというふうに考えるわけでございます。  同時に、その安定輸入の道も、ただ一つの国とか二つの国に頼るわけでなくて、広くこれを、多くの国々に経済協力もしながらこれを求めていく。まあブラジルなどに今度の経済協力を進めたことも、ああした粗放的な農業生産の国ではありますが、資源について、特に農産物資源については無限の将来を持っておる国でありますから、ここで日本の技術と経済の協力をすれば、相当そこで生産が進んで、そしてその余力というものはわが国の輸入というものに返ってくる可能性は私は十分あると。そういう点もやはり十分踏まえた輸入のあり方というふうなものは、これはもうやっぱりいままでと違った形でわれわれは真剣にとらえてこれを考えていかなければならぬ時代に入ったと、こういうふうに思うわけであります。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 まあいまの問題は、もう少し時間のあるときに論議を深める必要がある、こう考えているわけですが、きょうはそうもまいりませんから、次に移りますが……。  さて、ことしの予算の問題ですが、申し上げることが、もし失礼の点があったらお許しをいただきたいと思うんですけれども、私は、ことしの予算をながめてみまして、やっぱり特徴的なものがあると思っているわけなんですが、その一つは、何と言いましても、ことしの芽出し予算のために、農政の中ではこれは宝物みたいなものだと私は考えておりますけれども、やっぱり食管制度の運用というものを、これを停止をさせるという、これが条件になっちゃっているんじゃないか。所信表明を伺いましても、予算説明を伺いましても、食管の適切な運用に配慮をしつつということが実に丁寧に挙げられておるわけですね。これは、運用に配慮するなんていうことは、言わでもがなのことでありまして、しかし、繰り返しそのことを丁寧に言わなければならぬという点が、やっぱり運用という、語るに落ちるといいますか、やっぱりことしの農林予算の編成上のきわめて大きな特徴点として出ているように思います。この食管の運用を停止をするという、その条件と言えばおかしいですけれども、そういう土台の上に他の予算の獲得ということが、これはなされていったわけですけれども、しかし、結果的に見ると、やっぱりまだ大蔵省の方が一枚上で、かなり御苦労をされた点についてはよくわかるんですが、なかなか農林大臣の思うとおりに、農林省の当局の考えたとおりにはやっぱりいかなかったんじゃないか、というような点が私はあらわれているように思うわけでございます。  そこで、問題を分けて伺っていきたいと思うんですが、まあ食管の問題は後回しにしまして、一つは例の基盤整備事業の特別促進対策というものの上にあらわれてきておる。私が拝見しました農林省の出している冊子の中に、あれは「アフ」と言うのですか、ありますね、あすこに掲げてある、あれ何月だったですか、十一月ですね。十一月の中に「特別促進対策について」というかなりの論文が載ってますね。この中にははっきり四千六百三十九億円という数字を挙げて、この要求を行っておると、こう言っておるんですが、これは三、四百億円減っちゃっているわけですね。まあ、金額は三、四百億円ですけれども、内容的に見ますと、いわば農林省が考えましたところの一つの何といいますか、財投による事業先取りの対策というようなものが一つ消えちゃっているわけですね、これは。で、私がお伺いいたしたいのは、それによっていわゆる促進対策上の影響というものは、これは当然私は起こると思うんですけれども、起こらないのかどうなのか、どうそれを回避していけるのか、こういうような点について伺っておきたいと思うんです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、ことしの公共事業、農業の基盤整備費につきましても、もちろん要求満額獲得というわけにはいかなかったわけでありますけれど、しかし、国の一般の公共の伸び率一一九・七%に比較すると、一二一・六%というふうに、特に優先度をつけて基盤整備関係は予算が編成をされたわけでございますし、そして、特にその中にあって、国営の公共事業、基盤整備事業については、いままでの国営ベースにさらに財投資金を導入するという道が開かれたということによりまして、いままでの事業の進捗率が、非常におくれておりましたのを、相当これでカバーして、進捗を速めることができると。こういうふうになったと私は思っておるわけでございまして、そういう意味におきましては、もちろん完全に満足するという事態ではないわけでございますが、いままでよりは非常に大きく前進をしたと、こういうふうに考えておるわけでございます。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 大臣の御説明されている部分は、まあ御都合のいい方であって、正直言ってあれでしょう、農林省が考えておったところの特進対策の一つは消えたでしょう、これは。これで見ると、いわば先取り方式と言うやつに二様ありましたね、明らかに一つは消えているわけだ。予算もつかなんだ。予算と言いますか、その方針というものは消えているわけですよ。その点はどうですか。

岡安誠農林省構造改善局長

○政府委員(岡安誠君) 特別促進というのは、これは財投を国営事業に導入をいたしまして促進をするということになっております。方法は、当初二つ考えまして、いずれも財投利用の方法でございますけれども、一つは、今度の土地改良法の一部改正でお願いしておりますように、従来財投を利用することができなかった農用地開発事業、これに財投を導入しまして上乗せをするということ、これは可能になりまして御審議いただくわけでございますが、もう一つは、財投は導入いたしますが、国費の部分につきまして肩がわりをすると言いますか、一時国費を減らして財投を借り入れましてやるという部分があったわけでございますが、これは当初、予算要求をいたしましたときと、財投の資源と言いますか、資金源の模様がさま変わりいたしまして、非常に窮屈になった。そこで私どもは、もちろんすべて事業量を伸ばせば要はよろしいわけでございますので、先ほど大臣からもお話ございましたとおり、公共事業費そのもの、要するに国費そのものにつきまして、ほかと比べて飛躍的に増枠をしていただきましたし、また問題の国営事業につきましては、たとえば国営灌漑排水一般についても、一二七という伸び率、それから農用地開発一般についても一二七、それから公団事業につきましては二倍というような伸び率の確保ができておりますので、これは私ども目的は達成できたというふうに考えております。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 時間がないからやむを得ぬけれども、まあ結局支障は起こらぬという言い方をされておるようだけれども、私はそうは思えないわけなんですけれど、その論議はまた後へ譲りましょう。  それから備蓄の関係ですね。これは、農林省の考えておったのは、年間でもって百五十億くらいの予算については要求をされたように聞いていろわけなんです。それで大体五ヵ年間でもって、大豆で三十万トン、飼料で五十万トン、一カ月分ぐらいのものを目標にしてやろうと、そのためには一応法律もつくらなきゃならぬというようなところまで相当の熱意を集中をしてやられていたように聞いておるわけなんです。ところが、どうも今度の予算の上へあらわれておる面だと、かなりこれは大幅カットになっちゃって、法律をつくる必要もなし、大体予算の上から考えてみましても、十四、五億くらいのものになっちゃっていますかね。これだと、大体「総合食糧政策展開」に基づくところの大臣のきわめて熱意ある構想というものは、かなりのこれは支障を受けなきゃならぬと、こう思うんですが、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ確かに備蓄構想につきましては、当初考えておりましたような新税等を創設して進めるというやり方は、いろいろな事情で実現ができなかった。しかし、本格的な備蓄をスタートさせるということはぜひともしなけりゃならぬということで、これは後退と言うよりも転進ということになりますか、公益法人をつくって、そして大豆が五万トン、飼料穀物十万トンということで、そういうやり方を転換させて、国費でもってこれは完全に補助してスタートさせるということで、とにかく公益法人によるところの備蓄がスタートしたということは、これはいままでにないことでございますし、これはそういう意味では、備蓄の本来の趣旨というものに対して本格的なスタートを切ったというように私は考えて、これはさらに充実強化をしていかなきゃならぬと、こういうふうに思っておるわけであります。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 時間の関係でこれで終わりましょう、余り無理を言っても申しわけないですから。  スタートを切ったと、それは認めますよ。スタートを切ったまではわかりますが、先ほど来言われておりますように、自給力の回復から、そのための農業再建から、かなり夢をかけての——それは大臣の熱意もわかるんですよ。しかしさりとはいえ、まだ安定輸入の道を大きな柱にしなければ見通しがつかぬというわけでしょう。それが実態というわけですよね。そういう中でもって私は、備蓄という政策の役割りというものは大きなものがあると思うのです。大きな比重がその備蓄という政策にはかかると、こう思うんですよ。これが、せっかくのやつが、スタートだけはたしけれども、当初構想に比べれば、それこそ大きな変化が生じてきておる、これも事実だと思いますが、これは大体どういう理由ですか。やっぱりそれは財政当局に押しつけられちゃったということですか。それとも農林省の側の自主的な方針転換ですか。その辺を承っておいて質問をやめますが。

森整治農林大臣官房長

○政府委員(森整治君) 先生御指摘の備蓄につきまして、当初の案と大きく変わっている点は二つございます。一つは、財源を新税なり課徴金なりそういうもので取って、そこで確保して、それを備蓄の経費に使いながら計画的に造成していこう、こういう構想であったわけです。ところが、その課徴金なり関税につきましては、ガット上非常に問題があるということで、結局、税金で取るということに落ちついたわけでございます。税の議論として、非常になじまないという反対論が出まして、結局一般会計から金を支出するということに落ち着いたわけです。これが第一点でございます。  それから第二点は備蓄の主体でございまして、一つは食管特別会計、もう一つは糖価安定事業団を改組して政府関係機関で行うということであったわけでございます。これを民間の公益法人に行わせるということでございます。  いずれにいたしましても、結果的に申しますと、国が備蓄経費の全額を負担するということにつきましては、何ら変わりはないということでございまして、あと、民間の備蓄機構で今後実績を上げながら、いろいろ問題が出た場合には、また考え直すというふうに整理をして、結論を出したということでございます。  したがいまして、大臣、転進と申し上げましたけれども、われわれが意図しておりました全額、国で負担しながら備蓄をしていくことにつきましては、一応の目的は達成されたというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 まあ文句あるけれども、一応やめます。

原田立公明党

○原田立君 大臣は、所信表明の初めに、従来の高度経済成長から安定成長への路線転換が必要である。また不況と物価高の併存、資源問題、環境問題等の幾多の困難を克服して新しい経済社会を建設しなければならないことを強く主張しておられますが、高度経済成長から低成長時代への転換、新しい経済社会建設を目標とした新しい社会建設の中にあって、今後の日本農業をどのように位置づけようとしているのか、まず初めに安倍農林大臣の基本的な考え方をお伺いします。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国経済の高度成長の過程で、農村の過剰人口は解消し、食糧需要の増大に伴い農業生産は増大をいたし、農家の所得水準も大幅に向上したものの、反面で農家労働力の過度の流出、農地の壊廃の進行等農業にとって困難な問題が惹起されたことは否めない事実であります。  また、国民の生活水準の向上に伴う食糧消費、特に畜産物消費の増大によるところの飼料穀物の輸入の増加等によりまして、自給率が低下したことも否定できないところであります。現在わが国経済は資源、エネルギー問題、環境問題等によりまして、高度成長から安定成長へ移行しようとしておりますが、これは食糧需要の伸びの鈍化、農外就業機会の伸びの鈍化等、農業経済、農家経済に困難を生じさせる面もありますが、労働力や土地等の農業資源の他産業への流出に対して抑制的に働く等、農業の体質の強化の可能性を与える契機ともなり得るとも考えております。  したがって、今後の農政の推進、展開に当たりましては、このような状況の変化を踏まえて、わが国農業の体質を強化し、国内自給力の向上を図ることを基本として、農業生産基盤の整備、農業生産の中核的担い手の育成確保、価格政策の適切な推進等の施策を総合的に展開をしてまいる考えでございます。  これらの施策の推進等を通じまして、わが国農業が今後安定成長のもとで、国民経済の重要な一翼を占め、その発展に大きく貢献するとともに、国民食糧の安定的供給という不変の使命を十分に全うし得るよう、万全を期したいと考えております。

原田立公明党

○原田立君 大臣の所信並びに五十一年度予算の質問に入る前に、ひとつ農業基本法の改正問題についてお伺いしたいと思うんであります。  昨年十二月八日、今後の農業政策について協議した結果、農業基本法を再検討する方針を決め、そのための調査会を設置することで準備を進めていたようでありますが、いつの間にかこの計画もお流れになっておりました。ところが、先月二十六日に、中曽根幹事長が農業団体代表との定例懇談会の場で、再び農業基本法について改正の強い主張があったと新聞報道されているわけでありますけれども、しかし安倍農林大臣は、その日の記者会見で、改正の意思が全くない旨の発表が行われております。言うまでもなく、農業基本法はいわば農業の憲法的性格を持つものであり、農業にとってはきわめて重要な法律であります。このような法律を自分の都合で簡単に発言するものではないと、こう考えます。事前に十分検討された上で発表すべき問題であると思うのでありますが、この点大臣はどのように考えておられるかお伺いいたします。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 農業基本法は、農政の基本的な考え方が広い角度から織り込まれている、いわば農政の憲法とも言うべきものでございまして、その基本的な考え方は現在においても十分な適合性を持ったものと考えております。しかしながら、基本法の運用面におきましては、その時代の社会、経済情勢に応じて具体的施策を展開していく必要があることは言うまでもなくて、現に政府は農業基本法に基づくところの「農産物の需要と生産の長期見通し」におきまして、食糧自給力の向上を政策目標として掲げ、また農政審議会の建議の方向に沿って今後の政策を打ち出しておるところでございます。また、その食糧の政策の方向につきましては、内閣で開催した国民食糧会議におきましても国民的合意が得られておると考えております。五十一年度予算につきましても、この政策内容を極力織り込むことに努め、これを実施に移すこととしておりまして、特に農業基本法の改正もしくは新しい法律の制定を行う必要があるものとは現在考えてないわけでございます。  先ほどの御質問で、私が何か基本調査会のようなものをつくろうという動きがあったというふうな御指摘がございましたが、そういうことは政府サイドにおいては全くありませんでしたし、また私の属する自民党におきましても、中曽根幹事長は、基本法の改正という発言をされたわけでありますが、党としては農業基本法改正の機運は現在は私はないと、こういうふうに判断をいたしております。

原田立公明党

○原田立君 農業基本法は昭和三十六年に制定されたものであり、当時の高度経済成長時代を指向して制定されており、すでに十五年以上も経過しております。内容的にも、同法二条の、いわゆる「外国産農産物と競争関係にある農産物の生産の合理化等農業生産の選択的拡大を図ること。」を目指している部分については見直す必要があると思うのでありますが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 農業基本法の条章を私は読んでみましても、やっぱりこの基本的な考え方、農業の総生産を拡大をしていく、国際的な競争力をつけていく、あるいはまた自立経営農家が他産業に比肩し得るような所得を確保するための農業施策を総合的に推進していく、いろいろとそういうことが書かれておるわけでございまして、これは今日といえどもその基本的な方向というものには変化はない、こういうふうに私は考えておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 私が最初に伺った高度経済成長から低成長時代、新しい社会建設の立場から考えても、この基本法は改正するなり何らかの検討が必要であると思うのであります。  基本法改正については、昨年十二月、今回の中曽根発言以前にもくすぶっていたことも事実であります。この基本法づくりの中心者、生みの親とも言われている小倉武一農政審議会会長も、時代にそぐわないことを認めております。すなわち週刊東洋経済の五十年五月二十四日号の「日本農業再生の道を探る」の大内力氏との対談の中で、概要四項目にわたり改正を指摘しております。いますぐに改正と言わなくとも、ごく近い将来にはどうしても改正する必要があると思うのでありますが、この点の見通しについて大臣はいかにお考えでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは基本法も確かに制定以来ずいぶん時日がたっておるわけでございます。まあ基本的にはその考え方は適合性を持っておると私は言っておるわけでございまして、改正をする必要もないというふうに判断しておるわけでございます。がしかしこれはやっぱりこれからの農政を推進する上において、研究していくというふうなことについてはもちろん異論はないわけでございますが、私は、まあ農林大臣としていろいろの人が法律改正のことを申し述べておりますが、私自身は法律改正の必要はないと。そして農業基本法の趣旨にのっとってこの適切な運営を行っていけば、これからの新しい時代に対処するところの新しい農政は十分これを軌道に乗せて推進することができるというふうに確信をいたしております。

原田立公明党

○原田立君 いま大臣の所信と五十一年度予算について並行して質問いたしますので明確なる答弁をいただきたい。  まず五十一年度農林省予算案の特徴は、第一に食糧管理費の赤字不拡大を中心にその一部を新規施策の財源に回したこと、第二に、公共事業に重点を置き、予算規模の拡大の中心を農林水産業の基盤整備事業費の増加にその重点を置いたこと、第三に農業生産の担い手対策を推進するための予算措置を講じたこと、その他輸入穀物の備蓄対策等を考えての予算編成を組み、農林予算の総額では国家予算全体に占める割合の一〇%以上の確保を大前提に考えての予算折衝であったわけでありますが、結果的には国家予算全体の比率は九・九三%にとどまった。また、国民食糧確保のための備蓄対策については、二百万円の調査費だけと、大幅な後退と受けとめるのでありますが、この点についての大臣の考え、受け取り方はいかがですか。二点質問しているわけであります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 農林予算が一〇%を下回ったということにつきましては、確かに農林予算は二兆四千百三十億円でありまして、御指摘のように、国の予算に占める割合は九・九%となったわけでございますが、国の予算には、御存じのように、公共事業等予備費という従来になかった経費が千五百億円含まれておりまして、これを除いてみれば一〇%は楽になるわけでございます。  また、内容におきましては、最近における食糧需給の動向にかんがみまして、わが国経済の安定成長への移行に伴う厳しい財政事情のもとにおいても、食糧管理費の増高をもたらすことのないよう配慮しながら総合食糧政策の展開を図る方向で可能な限りの予算措置を講じておりまして、食糧管理費を除いた農林予算の伸び率は、五十年当初予算と比べますと、一八・六%と、国の予算の伸び一四・一%をはるかに上回っておるわけでございます。そういうことで、私は今回の予算というものは相当充実したものになったと、そして総合食糧政策を推進をする新しいスタートの切られた予算であるというふうに理解をいたしております。

原田立公明党

○原田立君 いろいろ意見がありますが、それはやめにしておきましょう。  次に、五十一年度予算で特に注目したい点は、食糧管理費を抑え、そのかわり一般農政費を大幅に増す、その前提として、何としても国家予算の一〇%以上の確保を強く主張したものでありますが、ところが、結果的には一〇%を割ってしまった。大臣は、所信の中で「わが国農林漁業を取り巻く環境や食糧をめぐる内外の諸情勢もまた、大きな変貌を遂げつつあり、新たな施策の展開が強く要請」されると主張しておりますが、一〇%を割る予算で果たして十分なる施策ができるのかどうか、食糧確保に対して国民が安心できる対策が講じられるのかどうか、お伺いしたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これはわれわれとしてももちろん、これで一〇〇%完全な予算であるとはとうてい考えておりません。まだまだ今後努力をしなければこの国民食糧の確保という大目標を貫いていくことにはならないわけでございますから、これはまあ大いに今後努力をしていかなければなりませんけれども、まあ七兆というふうな国債を発行する、そういうふうな財政の非常に厳しい時代の中にあって、農林予算が少なくとも国全体の伸び率一四・一%に比較して、食管を除きまして一八・六%も伸びたということは、国政の面においても農林漁業というものを一つの重要な国政の課題というふうに取り上げて、まあ配慮がなされたというふうに考えておるわけでございまして、今後ともこの点についてはさらにこの勢いをかりて、大いに伸ばしていかなければならない、そうして国民の期待にこたえなければならない、こういうふうに考えております。

原田立公明党

○原田立君 食糧管理費を極力抑えて一般農政費に回すとの当局の考えと、五十一年度産米麦価との関係についてはどのように考えているのか。消費者米麦価の大幅引き上げ、消費者負担の拡大、高負担につながることを心配するのでありますが、この点についての見通しをお伺いしたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、基本的には食管制度というものは堅持していかなければならぬというふうに考えております。ただ、その食管を堅持する場合において、食管費がどんどん多くなっていくということは、食管の健全な運営の上から言っても必ずしも好ましいことではない、まあ食管制度を堅持する上において非常に支障をむしろ来たすと、こういうふうに考えております。現在の食管赤字の原因というのは、これは両米価の逆ざや、生産者米価と消費者米価の逆ざやでございますので、これをなるべく縮小をしていくという方向で努力をしたわけでございまして、まあその結果、大体五十一年度予算は五十年度と同額というふうなことになったわけですが、そういう基本的な方向は今後ともわれわれは堅持しながら食管の健全な運営を進めていかなければならぬと思います。まあ両米価の決定につきましては、ことしはどうかということになりますと、まだ具体的な方法は決めているわけではないわけでございますが、従来と同様、食糧管理法の規定に基づきまして、政府の買い入れ価格につきましては生産費及び物価その他の経済事情を、政府売り渡し価格については家計費及び物価その他の経済事情をそれぞれ参酌して決めることにいたしたいと思いますし、この場合に、引き続き相互の関連に配慮するという考え方を基本としては検討してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。

原田立公明党

○原田立君 先ほど大臣は、農林予算は一〇%を割ったけれども、公共事業等予備費千五百億円の中には農林関係の予算も含まれており、この部分も加えれば一割以上になる、だから五十一年度予算獲得は大成功であると自賛しているように聞こえるのでありますが、わが国を取り巻く諸情勢を考えた場合決して安心できるものではないと思うのであります。大臣は攻める農政を自認している以上満足していないと思うが、どう受けとめておられるのかどうか。  また、先にも触れた食管不拡大の上に立って農林予算を一割以上確保するとすれば、これまでのような補助金の積み上げ方式から何らかの新しい施策を打ち出す必要があるのではないか。当然五十一年度以降のことも考え合わせて、この点どのように取り組むつもりでいるのか、具体的施策をお伺いしたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ決して満足をしているわけではございませんが、私たちが苦労してつくり上げました総合食糧政策というものを五十一年度予算にこれを繰り込んで、そうしてスタートをすることができたというふうに考えておりますし、一割のシェアにつきましても、公共事業等予備費というものを引いた場合におきましては一割を超えておりますし、これに仮に公共事業費という予備費が実施されるとしても、農林分を考えますと、これは一割を超えておるということで、シェアにつきましても一割を超えたと。そして食管の方は昨年並みである、五十年度並みであるということになりますと、相当積極的な農政費を予算の中には織り込むことができた。それが結論的には「総合食糧政策の展開」を進めるという上において非常に大きなメリットになったというふうに考えておりまして、私としては、この総合食糧政策、せっかく緒についた総合食糧政策を、今後とも確実に実施していくというのが私の基本的な考え方であります。

原田立公明党

○原田立君 大臣の所信表明を見ておりますと、ことさらに生産体制の強化、自給力の向上を主張していることが気になるのであります。所信表明の中にも「農村の過剰労働力は解消し、農家の生活水準も向上したものの、その反面で労働力の過度の流出、農地の壊廃の進行等農業の健全な発展にとってその体質が脆弱化している」と言っているものの、決していままでの農業政策の失敗に対する反省はなく、ことさら生産性の向上、自給率アップのみを強調しておるのであります。私は、いままでの姿勢に対して率直に反省し、農政不信を回復することこそ第一であると大臣に猛省を促したいものであります。現に急激な農業人口の減少、優良農用地の荒廃の進行など今後の日本農業を考えた場合、心配するものでありますが、その点どのようにお考えでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、農業の体質が脆弱化したということについては率直な反省を表明しておるわけでございます。これは必ずしもこの農政の失敗というふうには考えておらないわけでございますが、しかし、体質が脆弱化しておるという事実というものはこれはもう認めなきゃならぬ、そうしてその上に立った農政というものを進めていかなきゃならぬというふうに考えておりまして、したがって「総合食糧政策の展開」を確立するためにこれまで衆知を集めて一年間がかりでやってまいったというのも、そういう観点に立っての上のことでございます。

原田立公明党

○原田立君 今月十五日からニューヨークで第三次国連海洋法会議が開かれることになっておりますが、この会議に臨むわが国の基本的態度、方針が先月末に決定したものでありますが、領海十二海里の支持、経済水域二百海里の賛成という方針は世界の趨勢であります。しかし、領海、経済水域以外の船舶の通航、群島問題、海底資源、海洋汚染等、もろもろの問題についての水産庁長官並びに大臣の所見をお伺いしたい。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) ただいま御指摘のように、一月十五日から八週間にわたりましてニューヨークで第三次海洋法会議の第四会期が開催されることになっておるわけでございますが、本会議におきましては、昨年のジュネーブ会期末に議長から提案されました非公式単一草案というものを交渉の基礎として討議が行われることになるわけでございます。これは議長も言っておりますように、別に各国の同意を得てつくったものでもなし、これまで出た意見を取りまとめまして交渉のたたき台というふうな形でつくったものでございます。  そこで、そこでは領海、海峡、群島、経済水域、漁業、大陸だな、深海海底、海洋汚染の防止、科学調査等、海洋制度に関する重要問題が全部網羅されているわけでございます。特にわが国の漁業にとって一番大きな問題は申すまでもなく、いわゆる二百海里の排他的経済水域の問題でございます。そこで、過去三回の海洋法会議における討議におきまして、経済水域の設定、それに伴って領海を十二海里にするということは会議の大勢になってきておりますので、わが国といたしましても、その経済水域の沿岸国の権限というものがわが国の漁業にとって許容し得るものであれば、会議の推移を見ながらそれを受け入れるというような態勢で臨まざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、この問題につきましては、御案内のように、沿岸国対遠洋漁業国、あるいは先進国対開発途上国、それから地理的不利国と地理的な有利な国というようなものの対立がございましてなかなか、どういうふうに推移するかは今後問題のある点でございますが、わが国といたしましては、わが国漁業の利益を十分守るような形でこの問題に臨みたいと思っているわけでございます。  なお、今後のわが国のこの会議に臨む場合の戦術と申しますか、やり方でございますが、極力EECあるいはソ連は漁業においては遠洋漁業国でございますので、そういった国、他の先進国等とも十分連絡をとりながら伝統的な漁業国の正当な利益というものを守るようにやりたいと、こう考えておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 経済水域二百海里設定に伴い、わが国の遠洋漁業の縮小は避けることはできないのであります。海洋たん白資源確保の立場からも今後の沿岸漁業の振興、漁場の整備は緊急の課題であろうと思うのであります。五十一年度予算に対しても大幅な予算案がついていることは当然のことであります。わが国の海洋たん白資源確保のためにも沿岸漁業の整備振興に対しては最大の努力が必要であろうと思うのであります。この点に取り組む大臣の所見をお伺いしたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま漁業をめぐるところの内外の情勢はきわめて厳しいわけであります。このニューヨーク会議の結論がどうなってくるかということに対してわれわれは非常な注目を払っております。特にこの経済水域二百海里は世界の大勢になっておりますが、どういう形でこれが設定をされるかということについては、特に重大に私としては考えておるわけでございまして、われわれは伝統的な漁業国の操業権というものが認められるという方向で、この経済水域二百海里の設定が行われることを期待してあらゆる努力を尽くすわけでございますが、仮に認められたとしても、相当やはり遠洋漁業には影響を受ける。そういうことを考えますと、わが国の国民食糧の中において動物性たん白資源として水産物は過半数を占めておるわけであります。千百万トンの漁獲高を持っておるわけでありますが、この千百万トンが縮小していくというようなことでは大変でございますので、われわれとしては、沿岸漁業の整備、あるいは栽培漁業の推進、さらに遠洋における海底深海漁業の開発、あるいはまた新しい漁場の調査、発見、開発というようなことにも全力を尽くしてあらゆる施策をこれはもう集中しなきゃならぬ、そうして動物性たん白質資源の確保を図っていくために努力を重ねてまいりたいと考えております。

原田立公明党

○原田立君 米国の二百海里漁業専管水域設置の決定に伴い、第三次国連海洋法会議、日ソ漁業交渉の両会議に及ぼす影響はきわめて大きいものであろうと思うのであります。また、今日まで公海の自由の原則のもとに発展を遂げてきたわが国の遠洋漁業に与える打撃ははかり知れないものであります。特にべーリング海、北部太平洋での漁獲量はわが国の総漁獲量の二〇%、外国での二百海里水域内の五〇%にも及んでおるわけでありますが、まさに水産王国日本の危機である。この点大臣はどのように問題を受けとめ対処するつもりでおるんですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) まさにおっしゃるとおり大変な漁業の危機である。ですから、この危機を切り抜けるためには、遠洋漁業におきましてもこれ以上制約が強まらないような形で、これは外交交渉が非常に大事でございますが、強力な外交活動を展開して、わが国の既存の漁業権、操業権が守られるよう努力することは当然のことでありまして、一方また、先ほどから申し上げましたように、沿岸漁業の開発、栽培漁業の振興、さらにその他の世界の海の中の新しい資源を求めて、これから積極的にわれわれとしては施策を進めなきゃならぬと思います。

原田立公明党

○原田立君 米国の二百海里漁業専管水域設置決定等、日本漁業協定の方向はどうなるのか。水産庁初め水産関係者の間では、法律設定により、一遍に日本を漁場から締め出すことはない、今日までの日米漁業協定に基づき実績を認めさせる、というような希望的見方が強いようでありますが、あくまでもこのような見方は一方的な日本側の観測であり、予測にすぎないと思うのであります。  水産庁長官にお伺いしますが、今後の日米漁業協定の進め方、北方水域での漁獲を確保するためにはどのような対策を行うか。また、二百海里経済水域といっても北方水域、南方水域によっておのおのの利害が反しているわけでありますが、この点、立て分けて考え、対策を講ずる必要があると思うのであります。北方、南方水域に対する対策をどのように考えておられるのか。  また、海洋法会議以後のわが国の具体的対応策として、沿岸漁場整備開発が唯一の対策であろうと思うのであります。今後、ますます需要の増大が見込まれているこの水産資源の供給に果たして対応できるかどうか、心配であるのでありますが、水産庁長官並びに大臣の所見をお伺いしたい。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) まず最初に、アメリカの二百海里経済水域とわが国漁業の問題でございます。  現在、アメリカでは上院、下院で漁業専管水域十二海里を二百海里に広げるという法案が先々月すでに通りまして、法案の内容が若干違うものでございますから、両院協議会が行われております。その結果、施行の期日がいつになるかちょっとわからない問題が出てまいりまして、三月一日になるのか——来年の三月一日になるのか、七月一日になるのかわかりませんが、い、ずれにいたしましても、アメリカは、そういった経済水域を二百海里に広げるという措置をとってくるわけでございます。ただ、その法案を見ますと、法案の中に、過去にそのアメリカの経済水域の中で漁業実績を有している国とはいろいろ交渉する。それから、自分たちが利用していないものは利用させるというような規定がございます。そこで、これに基づきまして、五月にワシントンでアメリカと漁業交渉をすることになっております。その場合、現在アメリカの経済水域の中で取っているもので、一番量の大きいものはスケソウダラでございます。アメリカは現在スケソウダラを全然利用しておりません。したがいまして、わが国といたしましては、当然これについてわが国の漁獲量を維持するような交渉をすることになりますし、それから、サケ・マス、カニ等につきましても、すでにアメリカとは、条約その他を持っておりますので、逐次、情勢は厳しくはなると思いますけれども、わが国の漁獲高というものは確保できるというふうに思っております。  それから海洋法会議、この結果一つの法典ができるかどうかは問題でございますけれども、いずれにいたしましても、ポスト海洋法の問題といたしましては、いわゆる先進国すなわちアメリカ、カナダ及び共産圏のソ連、この辺が北洋における交渉相手でございますが、そういった国々とはただいま大臣からお話がございましたように、外交交渉をして漁獲高を確保していく。それから、韓国、中国とも同様な交渉をして、彼らの経済水域の中におけるわが国の漁業の実績というものを確保できるような外交交渉をしなきゃならない、こういうふうに思っております。それから、いわゆる南半球を中心とする開発途上国の沖合いで取っている量は、大体五十万トンぐらいのものでございますが、これらの国々は余り漁業技術を持ってないというふうなこともございますので、今後、資本面、技術面で十分協力しながら、また必要によっては入漁料を払ってでもわが国の漁業実績を確保するということでやりたいと思っているわけでございます。  それから、そうなってもかなりの影響があるんじゃないかということ。正直に申しまして全然影響がないということはございません。したがいまして、遠洋漁業の漁獲というものはある程度減ってくる。それをどうやってカバーするのかということでございますが、今後のわが国の水産物の需要の問題を考えました場合に、需要が今後伸びると思われるものは申し上げるまでもなく、いわゆる中高級魚の需要が伸びるということがございます。実は先日、大臣の御主催で全国の小売商の人たちに集まってもらいまして、農林省といたしまして、いろいろ懇談したわけでございますが、その際、魚屋さんたちが言っておりますのは、どうもサバやイワシは売れないんだ、要するに、消費者がそういう安い魚食べなくなりました、というようなことを言っているわけでございます。これは、はなはだ遺憾なことでございますけれども、現実はそうなっているわけでございまして、われわれといたしましては、やはり、今後需要の伸びる中高級魚の漁獲高をふやしていかなければならない。そうなりますと、中高級魚の大部分は沿岸から供給されるものが多いわけでございますから、先ほど大臣から御答弁もありましたように、今後、遠洋漁業にかわってその漁獲を、減ったものの相当部分は沿岸で補うという形で沿岸漁業の振興に力を入れなければならぬというふうに考えまして、漁場の整備その他五十一年度におきましても、その面の予算についてはかなり拡充がされているというのが現状でございます。

原田立公明党

○原田立君 農用地確保の問題についてお伺いします。  三月四日、きのう財界は、仮称、土地問題研究会を発足させたわけでありますが、これは、昭和四十七、八年ほとんどの企業が土地の買い占めに狂奔した。ところが、いまになって不況のため、土地は売れなくなり、そのため経営が苦しいので、買い占めた土地を国で買い上げてほしい、との要望を進めるとのことであります。金丸国土庁長官は、買い上げの要望には厳正な態度で臨み、簡単には受け入れないとの態度を示しております。このような国費による土地投機のしりぬぐいに対して大臣はどのように受けとめておられますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは経済界が土地を買い占めた結果、それで困って、政府にしりを持ってこられても、そう簡単に、安易にこれを買い上げるというわけにはいかないと思うわけでございます。農地等につきまして、これが優良農用地というようなことになりますれば、農地保有合理化法人といったようなものもあるわけでございますから、これはやっぱり食糧政策というたてまえで、そういう農用地の造成等を図っておる現状でございますから、検討はしなければならぬ、これは慎重に検討はしなければなりませんけれど、そういうことで直ちにそれに対応して、われわれがすぐ、申し入れがあったから買い上げるというふうな安易な態度はとらない、というのがわれわれの考え方であります。

原田立公明党

○原田立君 国土庁の調査によりますと、四十七、八年に買い占められた土地面積は、資本金一億円以上の企業が所有する面積だけでも、九十四万ヘクタールに及んでおるということであります。この膨大な土地のほとんどが、原則的には開発行為の禁止されている市街化調整区域に多く、今後に多くの問題を残していると思うのであります。国土庁では厳しい態度で臨むとしながらも、買い上げるような意向に受け取られるのであります。このような点から大臣は、農用地確保の面でどう考えるのか。また、農林省としては、農地確保のために莫大な資金を投入し、農用地の開発、干拓事業を行っております。もし国土庁が市街化調整区域の買い上げを決定した場合、農地確保の面からいかなる働きかけをするつもりでいるのか、大臣の基本姿勢をお伺いしたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 国土庁もいまお話のような姿勢でございますし、われわれも、国土庁とも千分連絡を緊密にしてこの問題には対処していきたい。農業調整区域にある、市街化調整区域にあるというようなことで、市街化区域を拡大をして、そうしてその調整区域を含めるというふうなやり方は、これはもうそう簡単にやれるわけじゃないわけでございます。関係各省とも相談をいたしまして、いま申し上げましたような政府の基本的な考え方で対処してまいりたいと思います。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 自民党さんの席はだれもいらっしゃらなくなりましたから大変さびしい委員会になりました。先ほどから大臣も大分お疲れのような御様子でございますけれども、やっぱり春を迎えてもこの春は全然喜べないと。非常に悩み苦しんでいる農民の立場を考えてみると、これは大変な問題だということで、私も真剣に問題をお伺いしていきたいと思います。  さて、昨日からの所信表明、そしてまた討論の中で伺っておりますと、まあ決して十分とは思っていないとおっしゃりながら、本年度の予算について結構御自信をお持ちになっていらっしゃる。その点についてはいろいろ各委員からお話出されましたけれども、私もやっぱりその点で初めにまず指摘したいと思います。  去年に比べて、国の予算全体の伸びから見れば非常に大幅に伸びた。確かに一八・六と、去年に比べて四・五%の伸びというのは確かに大きいと思います。しかし、決してこれは今度だけではなくて、昭和三十九、四十一、四十七、四十八と、こうこれはいつでも国の伸びより伸びておりますし、四十一年度は実に七・六%も伸びている。が、決してこれでいい予算だと胸を張られるというようなものではないということ。  また第二点考えても、食管を除いた農林予算の国全体のシェアを見ましても、安倍農林大臣なられてからの五十年、五十一年というのは六・〇、六・二%というように、昭和三十五年農基法農政以来の歴代自民党農政の中でも下から一番目、二番目というようなことでございまして、これも余りいばっておっしゃれるようなものでもない。また食管合理化分が新農政に還元したというふうにおっしゃるけれども、これも先ほどから出ているけれども、国全体に占める予算の割合でいけば一〇%を四十年以降初めて割ったというふうに、ちょっと見てもいろいろありますけれども、決して十分ではないとおっしゃりながらも、御自信がおありになるような発言の裏づけになるようなものではない。  またきのうの所信表明演説を伺いまして、ちょっといい線いっているかなと思ったのが、「私は食糧問題というのは国の安全保障に関係する問題です」なんて、なかなか格調高いところがあったわけですけれども、これも私どもが言っている国の安全保障との関係というのと質的に違うわけですね。で、きのうは簡単におっしゃったけれども、実はこれは大臣が「世界経済研究協会」から発表されました、財界の方々の前での演説をなさったのを、大変まあ参考にさせていただいて読ませていただきました。ここで「食糧問題は安全保障問題である」と、こう大きく出ているわけです。この中で「私は、食糧問題というのは、基本的には国の安全保障の問題であると考えております。かつて石油が不足して大混乱が起こりましたが、食糧が不足すれば、単なる経済不安ではすまない。社会不安、政治不安につながっていかざるを得ない。古今東西の歴史を眺めましても、革命やクーデターは食糧の不足あるいは分配の不公平から起っていることが非常に多いのであります。ですから、国民の食糧を確保し、それを安定的に供給することが国の安全保障につながると私は信じて」いるのですと。つまり大臣のおっしゃる国の安全保障というのは、革命やクーデターが起きて国内が騒然となってきたと、そして政権が倒されるというようなことがあると、これは国の安全に困るから、アメリカと仲よくしといて、海外依存でもいいからしっかり輸入して自民党政権の安全保障というものを考えるという、こういう裏がちゃんとあるわけですね。じゃ、これもせっかくいただこうと思ったけれども、いただけない。どうも余りいただけないことばかり申し上げて悪いのですけれども、事実がそうなっております。  そうして先ほど私がちょっと午前中、座をはずしまして部屋へ帰りましたのは、実はいま北海道——全国もそうですけれども、特に北海道から石狩、それから空知管内の米作の農民、それから十勝、網走、釧路の酪農民の方々がビートや米作やそして酪農問題で陳情に見えて、そして各農林省の部局の方とお話し合いをしていたわけなんです。私は、大臣がもしも自信があるとおっしゃるならば、そういう農民の前に出て、本当に自信をもってやるんだというふうにおっしゃれるのかどうか。  また農民だけではなくて、二月の初めに私は北農中央会の早坂会長だとか、それからまた北海道酪農協会の小林常務さんなんかとゆっくりお話しをしたわけですけれども、北農の早坂さんなんかのおっしゃっているのは、もうとにかくいま先生、頭がいっぱいなんだと。何だと言ったら、予約限度数量のあの問題でもうこれはどうしたらいいんだろう、ということでもう本当に真剣に悩んでいらっしゃる。だとすれば、農民の方々の前で、またそういう農協やまた市町村長さんの前で、本年度の農政はこうなんだというふうに胸を張って自信をもって大臣がおっしゃれるかどうか。その辺のところをまず伺いたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろと御批判がございましたけれども、根本的には今日の食糧をめぐる諸情勢、そして食糧問題が国政の重要課題であるという観点からいけば、今度の予算につきましても、必ずしも私は十分であるとは思ってないということはそのとおりでございますが、しかしとにかく今回の予算で、非常に厳しい財政状態の中で、七兆以上という国債を発行しなきゃならぬ。そういう厳しい状態の中で、国の平均伸び率が一四・一%、それに対してわが農林予算は、食管を除きまして一八・六%という予算を獲得をしたということは、これは胸を張っておるわけではないわけですが、相当の成果を私としては獲得することができたと。そして、この内容を見ていただけばわかるわけですが、予算、特に農林関係予算というのはただ、全体の面だけで判断するというのは非常に問題がある。その中ではやはり食管の占める割合などというものがいつも予算で非常に問題になっておるわけですから、これは食管を除いて一八・六%ということは非常に私は今回は相当な成果を上げ得たと思っておりますし、それは、内容的には一年がかりでやりました長期的な総合食糧政策をこの予算の中に裏づけることができたということも、予算を各項目にわたって点検をしていただければわかると思うわけでございますが、そういう点につきましても、われわれは五十一年度から新しい総合食糧政策を展開をするための新しいスタートを切ることができたというふうに考えておりまして、批判はいろいろあるわけでございますが、私はいろいろの各方面とも接触をしておりますが、農業団体の皆さん方もその点は高く評価をしていただいておるわけでございます。  それから国の安全保障という問題、これは私はしんからそういうふうに思っておるわけでございまして、やはり国民の生命と直接結びつきのあるこれは食糧でございますから、これを確保していくということは、まさにこれこそ安全保障の問題である。そして、先ほど私が講演で申し上げましたように、食糧が危機状態になるということになれば、国が混乱をするというふうなことになってくるわけでございますから、そういう面から考えても、この食糧問題というのはまさにエネルギー問題とともに、むしろエネルギー問題よりも重要な問題ではないかというふうに私は認識をしております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 決してけちをつけて、それで農民が助かるわけではありませんので、一応私としての問題点として指摘をしたわけでございます。  それから、安全保障の問題もこれはまた一度時を改めてゆっくりお話し合いをしたいと思いますけれども、私たちが考えているのは、おっしゃったように、エネルギーそしてまた食糧というのはまさに日本の国民の胃袋そのものでございますから、だからそれが完全に自分で自賄いできるという、その自給自足というものがどれだけ満たされるか、これが、日本が真に独立するかどうかという問題にかかっている。だから、ただ、おなかいっぱいになればよろしい、どこかの国からというような、そういう従属関係の中で食糧問題が、そういうふうに利用される中で、食べていればいいんだというのではなくて、日本の真の独立という問題から考えての安全保障ということで私たちはきちっととらえていっているわけなんです。どちらにいたしましても、食糧問題というのは大事だというところでは一致いたしますから、そこでやっていきましょう、ということで、具体的にそういう問題で、まず総論だけじゃなくて、具体的な問題でその姿勢をお伺いしたいと思うわけです。  で、まず第一の問題としましては、先ほどもちょっと言いましたけれども、五十一年産米の米の限度数量なんですけれども、二月の十日に、五十一年産米の各都道府県別予約数量というのが目標として出されたわけですけれども、昨年超過米に非常に苦しんだ、いまなお苦しんでいる農民にとっては、もう米づくりの意欲をこの数字見ただけで、頭から水ぶっかけられたようだ、という深刻な悩みになっているわけです。米価においても、食管伸び率ゼロというような財政最優先の政策から見ても、これも非常に見通しが暗いというようなことから非常に深刻な打撃を受けているわけです。その問題についてもまたここに出ているわけなんですけれども、大変大臣は強い姿勢で言ってらっしゃる。非難覚悟で逆ざや解消に向かってがんばる、というように大変元気におっしゃっていますけれども、こういうことで農民が非常にいま悩んでいるのをどう考えていらっしゃるだろうか。それは大変抽象的な質問になりますから具体的にお伺いしたいんですけれども、たとえば北海道で具体的に伺いますけれども、予約限度数量が昨年よりも三万二千トン減らされているわけですね。その三万二千トン減らされているというのは一体どういうわけでどういう根拠で減らされているのか。まあ五年続いた減反政策で稲作の意欲というものも非常に減退している、農業の兼業化も進んできている、後継者も農業を見放すというような傾向も出ている、というようなことで、非常にこれは深刻になってきていると思うんです。で、七十六万八千六百トンというふうな数量も北海道に出ておるわけですね。去年は八十万六千トンだ。で、三万二千トン減らされたと。この七十六万八千トン、三万二千トン減らしたというその根拠ですね。これ何ぼ数えてくださいといってもなかなか数えてくださらないんですよ。もっとちゃんと教えてくださればきょう時間とらなくてもいいのにね。余りはっきりおっしゃらない。そこに何かおかしいものがあるということで、その辺のところまずきちっとお伺いしたいと思います。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  予約限度の配分につきましては二月十日すでに都道府県別の配分を行ったわけでございますが、先生のお話にもございましたように、この数年在庫というのは、いわゆる備蓄のための限度数量は相当ふえてまいりました。八百十五万トンの四十七年から始まり、八百六十、八百八十五というように、国全体の限度数量が在庫調整をするためにふえてまいりましたが、先ほどの大臣のお話にもございましたように、五十年度は未曾有の豊作でございまして、したがって、われわれがいわゆる備蓄のために本年の十月末には百五十万トンの在庫を予定いたしましたところ、数年かかって積み増そうとしました二百万トンに達するというような状態でございましたので、五十一年産米につきましてはあらゆる要素を加味いたしまして、国全体といたしましても八百七十万トンということで、十五万トン減ということをお願いせざるを得なかったわけでございます。  で、そういうことをするにつきまして各県にお願いしたわけでございますが、御案内のとおり、配分の考え方といたしましては、四十二年から四十四年の政府への売り渡し実績を基準といたしまして、そこから各県別にお願いいたします水田総合利用の目標面積というものを差し引いて、それを基礎といたしまして、その他所要の調整をしてお願いしたわけでございまして、北海道についての七十六万八千トンも同様でございますが、特に本年は、従来この数年限度数量がふえておりましたところを国全体としても減らしてお願いせざるを得ないというような事態でございますので、それぞれの要素につきましては、私ども手前みそでございますが、きわめて慎重な検討をいたしましてお願いしたつもりでございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 その慎重な検討という中身なんですね。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) 御案内と思いますけれども、基本的には基準年次の政府売り渡し実績から本年度五十一年度の水田総合利用の目標を差し引いた数字でございますが、さらに所要の調整を加えております。これはその基準年次以降の作付面積の変動あるいは農家消費の動向、あるいは反収等の動向というものをそれぞれの県から事情を聴取さしていただきまして、また国としての統計数字の把握を行いまして、その結果の積み上げられました数字と、全体としての昨年のたとえば集荷実績とかあるいは五十一年度における地域地域における稲作の作付の、どのくらいいけるかと、そういう全体判断を加味して決めさしていただいた数字でございます。  なお、これは各県別に十分な事情もお伺いしますし、またわれわれも、国として持ち得る数字を使いまして県別に決めさせていただいておるわけでございますが、従来もこれについては県別の基礎数字等についてはこれを公表いたさないというたてまえをとっておるわけでございまして、したがいまして、その基礎数字に対してはわれわれとしては、内部の数字として持たしていただいているということでございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 全然それじゃ説得ないんですね。つまり農民を信頼してないわけですよ。つまり農民の方々はどうしても必要なら生産調整もそれは当然のことですと。特に北海道の場合はもう御承知のように、減反なんか非常に協力をいたしましたですね。いまでも決して米だけつくりたいと言っているんじゃない。ほかのものをつくっても、それで営農がやっていけるんだったらそっちでもやりますよと。しかしそういう手当が全然まだ不十分な中で、じゃ、米をつくらないで生活を落とせと言われたら困る。だから、全体の総合農政の中で考えていただかなければならないわけなんですけれども、いまの御説明を聞きますと、いろいろその基礎数字を出す、それからまた生産動向変動加味だとか、収量増加だとか、農家消費の減退だとか、やっぱり聞いたら電話でおっしゃったんですよ。で、そういうものでちゃんと数字は出しましたとおっしゃる。そういうもので出されたというのはわかるけれども、そういうものがどういうふうな数字で出されて、結果的にこうなったということを聞かないと——ああそうか、政府がそういうふうにして決めたんなら、こりゃ協力しなきゃいけないと、こうなるんだけれども。そのこうこうこういうやり方でやりましたまではおっしゃるけれども、その結果こういう数字になりましたというところは公表できませんと、こうなるから、結果的に農民の方には、この減らされた限度数量というものはわからないまんまに、これで農民の方に非常に混乱が出てきてくるという結果に——首振ってらっしゃるけれども、なるんじゃありませんか。数字は七十六万八千六百トンというのに、こうこうこうやりましたとおっしゃるけれども、こうこうこうやった根拠というものが具体的に出てこないんだもの。だから農民にとったらこれしか数字としては出てこないということになるわけですわね。  それじゃ、お伺いしますけれども、それじゃこの反収の数量ですね。反収量を四百四十五キロという数字がいままでも出てましたけれども、この四百四十五キロで平均収量というのをはかってらっしゃるんですか。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) お話申し上げましたように頭からあるべき生産量を決めまして、それからその転作目標等を引いて、それで限度を出すというやり方をとっておらないわけでございます。基準年次の政府の売り渡し実績から転作目標、水田総合利用に基づく目標を差し引きまして、これを基礎として各種の増減要因を見た上で最終の限度数量を決めておるということでございますので、全体をその予約限度の数量、最終でできた数字というものがあるいはその県と申しますか、北海道なら北海道の県の本年度の水稲作付面積の動向等加味する場合に、平年反収等を用いた計算の仕方はあるかと思いますけれども、私どもといたしましては、収量の増加要因の傾向はやはり限度を、まあこれはふやす方の働きとして、要素としては考えているわけでございますが、これは単に単年度の増加要因の傾向ではなくて、四十二年から四十四年が基準でございますから、四十五年以降この五十年までの反収の傾向等を見て、それを一つの基本数字に対する一つの調整の要素とさしていただいたというわけでございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 そういうことになりますと、ますますまた問題はっきりしなくなってくるんですわ。それで、じゃ具体的にお伺いしますけども、北海道の場合はまあ七十六万八千六百トンという限度数量ありますね。それを道の場合四百四十五キロ、まあいままでの数量四百四十五キロで計算するわけです。で、農家保有米の分を関係ありますから、それで割りますと、十九万三千ヘクタールということに数字が出るわけなんですね。こうやって道の方では計算をしてきているわけですわ。で、そういうふうな計算して十九万三千ヘクタールというもので割っていきますね。そうすると、これが支庁から市町村にいくわけでしょう。で、そういうことのやり方としてはこれ問題ありますか。北海道の場には、これ見た場合。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) お話申し上げます。  私ども、先ほど先生から大変おしかりを受けた、根拠があいまいだと申されましたその算定要領を示さないということにつきましては、やはり国として都道府県のヒヤリングは十分いたしますが、国としての増減諸要素を十分加味して決めた数字でございます。それで都道府県にこれをお示しして御納得を願ってやるというたてまえになっております。ただし、道、その都道府県段階におきましては、その数字は、これは都道府県知事の責任、行政責任でやるわけでございますが、その地域地域の実情を見てそれぞれ四十六都道府県おやりになっておるというのが実情でございます。で、したがいまして、北海道におきましていかなる方式をもってやるかということについては、これは最も地域の実情のわかります道の地域、道の方でその市町村別の状況を見て配っていただいて、十分農家にも御協力していただくということが筋ではないかというふうに思っております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 で、そういうことで、北海道の方でどういうふうにやっているかということを聞いたわけですね。それで、道の方針としてどういうふうに計算するんだというようなことで計算したのを聞きましたら、いま言ったように四百四十五で七十六万八千六百トンを割っていくと十七万二千七百ヘクタールと、それに農家保有米の九万一千トン分を面積にして加えると、十九万三千ヘクタールというふうな計算で出てくるということになるわけですね。それは、そういうことの説明を私は新聞でも読みましたし、聞いているわけですわね。そうすると、こういうことで割られて、そして十九万三千ヘクタールというのが決まりますね。そこで、問題なのは、四百四十五キロの反収で計算をするという、わけですよね。まあ北海道は、いま言ったように、反収というのが去年は四百四十五キロの平均であったけれども、ここずうっと毎年とってみますと五百キロのときも——四十九年は五百三キロですね。それから四十八年四百七十九、四十七年は五百キロというように、反収が非常にこうだんだんふえてきているというのが現状だと思うんですね。そうすると、道がこういうふうに割って十九万三千ヘクタールというようなことでやれば、普通作で、去年みたいな台風やなんかがなくて普通作でいけば四百八十キログラムの反収が出る。そうすると、十万トンは余り米が出るという計算が出てくるわけでしょう。そうなると、この余り米というのがわかってて一生懸命やらなきゃなんない。そうすると、結局もう手抜きするか災害待っているよりしようがないということになる、余り米の処理の問題になってくれば。そうなると、さっき言ったように、農民の方の意欲というものも全然減退してくるし、こういうことで、農業というものは、特に大事な柱である米作というものが守られるのだろうかというのが私の疑問であり、きょう来た農民の方々の疑問であり、そしてまた各市町村の自治体の長の方も、それから農協の各組合長なんかも一体これはどういうふうにしたらいいんだろうということで、農林省としての考え方もぜひ伺いたいというのがいま希望なんですね。みんなね、いま頭抱えているんだから。だからその辺のところをわかりやすく教えていただきたいと思う、農林省としては、こうこうこうなんだというんではなくて、それじゃいま言ったみたいに具体的になった場合に一体どういうふうにしていくというふうに。農林省として、行政指導をやっていらっしゃるのか、その辺は全然関係ないと突っぱねておおきになるのか。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) 先生の一つの考え方でございますが、たしか北海道では昨年の作付面積は十八万五千百というような端数がついておりましたか、そういう数字でございます。北海道におきましては、稲作への復元問題が特に小豆等を中心としてあったという事情も承知しております。したがいまして、それはどの程度見るかというようなことによって、先生のお話の具体的にお示しになりました十九万三千ヘクタールという数字の取り上げがあるかと思います。しかし私どもといたしましては、これについては復元せられる、稲作への復元せられるものもあるかもしれぬけれども、こういう米の自給の問題だから、転作については実績もお持ちになっておりますし、その辺のかね合いを考えてその水田への復帰面積も考えていただきたいというふうに道にはお願いしてございますし、道もそういうことでおやりになっておられるかというふうに私ども承知しておるわけです。ただ、作付の場合には、壊廃とか転用とかというそういう減少要因ですね、予約限度を減らす要因もそれぞれあるわけでございまして、これは道といたしましても、おそらく町村別等についてもそれぞれの問題、あるいは転作の定着という問題自体がこれも一つのやはり予約限度をこれは逆に減らす方向に働くわけですから、その転作の度合い等の判断とか、なかなか、その問題としては具体的、現地的な判断が要るのではないかというようにわれわれは考えておりまして、これはおしかりがあるかもしれませんが、全体の数字について、道として、各都道府県知事で御了解を願いましたら、その地域地域に応じたその現地の実情を把握した配分をしていただくということが最も適切かと思いますし、この過去の、この五年、六年の——本年で限度制をお願いせざるを得なくなってから六年目になりますけれども、そういうふうにお願いしてきたわけでございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 そちらとしては方針をお出しになる方だから、非常に気楽に物をおっしゃっているわけなんですけれどもね。受ける農民の方にとったら、もうものすごく大変な問題がここに出てきているわけなんですね。それで、道の方でうまくやってもらって、そうして道の方は、今度支庁でうまくやれ、ということになって、今度各支庁は——支庁というのは北海道の支庁ですね。今度市町村の方に言ってくると、またそこでうまくやれと言っても下に来たら、うまくやれないと。つまりうまくやれということは、結局総枠が大きくなっていればうまくやれるけど、総枠が狭まってくればうまくやれったって、総枠が、全体枠が狭くなって減ってきているとすれば、中で、こっちがよければ、こっちが減るというようなことになるわけですね。だから、その辺が非常に困っているということなんですよ。さっきも、きょうも農民の方々いらしてますけれども、結局これどういうふうに割り当てたらいいんだと。これも本当に実績でということで言われるけれども、一生懸命に実績上げて北海道の場合やってきた。それで、ことしはもう出かせぎに行くにも出かせぎ先がない。そうしてもうことしは復元するんだと、復元希望は一万五千ヘクタールですわ、北海道の場合はね。こういうふうにして、もうコンバインから、田植え機から、乾燥機まで準備して、もう大変なお金注ぎ込んで待っているというような中で、これでもうおまえのところをふやせば、こちらが減らされるんだということになると、もう本当に農民けんかになっちゃいますね。こういうような深刻な問題をいま抱えているという実態というものを、私はやっぱり考えていただきたい。道の方でうまくやってくれ、道は市町村の方でうまくやってくれと、こういうふうになっておる。実際問題うまくなんていくはずないんでしょう、減らして決めるというような中でですね。ここのところが私は問題だと思うわけなんですよ。  だから、もう一つ伺いたいことは、政府の総合食糧政策で、転作目標は全部各県に配分するのではなくて、自主的に計画立てるところは配分しないというふうにこれにも明記されているわけです、米対策の基本方針、「総合食糧政策の展開」という中で。こういうふうに言われているのに、なぜ一律に転作目標としてこういうふうに押さえてお出しになったのかというのもひとつお伺いしたいのです。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  予約限度と表裏いたしますので、他局所管でございますがお答え申し上げますが、転作目標の配分は自主的な協力にお願いすると。従来はやはり相当、転作について、五年間の転作が続いて、ぎりぎり末端の農家まで転作目標に協力して限度制を導入した当時、ある程度国からこの県にお願いする数字が決まると、県も市町村にお願いするというようなことで数字がまいりまして、したがって、農家の転作の希望と町村の転作目標の枠とが調和的にマッチした場合もございます。したがって、そういうところでいけるところは、それで上げるということだと思いますが、やはりその地域の実情その他によって稲作の復元が余りにも強すぎる、しかし、県全体なり、国全体のバランスからいって、ある程度やはりこの予約限度全体が減る中で御協力を願うというようなときには、やはりその四十六都道府県の中には、県段階から町村段階にお願いし、町村段階から個々の稲作農家にお願いするというような事態もあると思います。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 本当に農民の方のところへ行ったりなんかして、私つくづく感じさせられることは、農民の方々は非常に政府に協力しているわけですよね。特に北海道の場合はもう目標以上に減反にも協力した、協力をしてきているのに、その実績でもってということでやられちゃうと、協力してきたことが結局、結果的にはまずかったという形になってしまうわけでしょう。まさに踏んだりけったりだというようなことになってくるわけなんですね。だから、せめてこれだけつくりなさいと言って、つくった、それで余ったというようなときには、余ったなんて言うんじゃなくて、当然これは政府が買い上げるというものにしなければならないんじゃないか。農民の方々も減反するときに、どういう意味で協力したんだと言ったら、それは食管を守るために協力しなきゃならないということで一生懸命協力したということもあるわけですよね、農民の方々に聞いてみれば。それなのに、ここのところにきて、もう結局余った、たくさんとれ過ぎた、技術が進んだ、天気がよかった。それじゃそれは全部農民の負担で自主流通米で流しなさい、流れますよと。——それは流れるでしょう、値段下げればね。二段米価なんて、現実にできてきてしまうと。そこで、農民の皆さんは非常に、われわれの立場をどう考えてくれるんだということで真剣に悩んでいるのです。それがすうっといくんだったら、農協の組合長も市町村長も頭悩ませないで済むわけですよね。おたくの方は、農林省としては、話し合ってうまくやってくださいと、うまくやれるとお思いになっていらっしゃるかもしれないけれども、現実に困っているのは農民だけではなくて、市町村長も困る、農協の組合長も困る。だからどうしたらいいのかと。じゃその人たちに一体どうしたらいいんだと、農林省としては指導の面でね。それはその人たち向けにちょっとしゃべってください、私うまく言えないから。おたくの立場で、悩んでいる市町村長さん、農協の組合長さんに、この限度数量が決まった中で、農民に対してこういうふうにやって、うまくやりなさい、ということをちょっと言ってください。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。  先ほどからるる申し上げてございますように、国全体の予約限度数量の枠が十五万トン減る中で、本年度につきましては、特に各都道府県別のお願いする数字については慎重に検討したつもりでございます。で、特にお話しの北海道につきましては、昨年、この集荷実績は平年作でございまして、作況指数一〇〇でございまして、集荷実績が、たしか現時点で七十三万五千トンという数字だったわけでございますが、限度は、昨年は全体の予約限度は前年度に比べて、五十年産米は四十九年に比べてふくれましたので、八十万トンという、前年度の転換調整後の七十三万トンに比べると、実に相当数ふえたわけです。したがいまして、本年度はその限度の、道の限度が減るということで、いろいろなお話し合いが、御心配の向きもあったわけでございます。特にその意味で、われわれといたしましては北海道と、本年の五十一年産米の生産の動向、転作目標の数字のお示しというようなものについていろいろとお話を承りまして、そして七十六万八千トンという数字をお願いいたしまして、道といたしましてもこの数字をお引き受け願いまして、それぞれの実態に応じて配分いたすということでございますので、われわれと、その地域の実情に応じた全体の道の数字のしかるべきところと、地域の実情に応じた転作目標の配分あるいは予約限度の配分というものを適切にやっていただければ、その農家の御心配はなくなるのではないかというふうに思っております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 時間が全然なくなっちゃったんで、次にまた譲りますけれども、農林大臣、一言伺いたいんですが、稲作転換を水田総合利用と名称を変えられたわけですけれども、やっぱりこういう問題については、もう内容もあんまり変わらないで、引き続いて苦しみをおっかぶされている。そうしますと、やっぱりどうしても、転作してもいいんだよと、そのかわりに価格の方でやっていけるようにしてくださいという、総合的な=を考えていただきたいということもあるわけでね。これちょっと、私、最後のところどうしても一言言わなきゃいけないんだけれども、ここのところで青空団交というのがありましたね。大臣おっしゃってました、青空団交というので。農林省三番町分室でやった青空団交で、ここでこうおっしゃっているのですよ。「悪いくせがついていまして、どなたが大臣のときにきまったのかしりませんが、」と。大臣が青空団交で米ぶつけられた、みそぶつけられた、けしからぬということをおっしゃっているわけ。これは、米や、みそぶつけた決していいとは言いませんけれども、大臣は一日、二日で済むんですよ、団交してぶつけられたって。農民は生活抱えて、本当にどうしていったらいいかということを考えているのですからね。だから、こういう立場で一もう時間、あともう一つやらなきゃなりませんから、水田の問題にいて。本当にしっかり、どういうふうに考えてただけるかということも簡単にお答えいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、いま食糧長官がるる申し述べたんですが、基本的には、いま苦しみを一方的に押しつけるということじゃなくて、米の問題というのはお互いに苦しみながら、米についての、主食としての米の地位を確保していく、食管法を堅持しながら米の地位を確保していくということでありまして、行政の面においても、これは限度数量を打ち出して御要請申し上げるというなかなか苦しい立場にもあるわけでございますが、全体的な、やっぱり食糧政策、特に食管制度を守るという意味からいけば、これはやはりやむを得ないことであると。お互いに苦しみながら、そういう面で米のやはり正当な位置づけを確立をしていくということではないかと、私はそういうふうに考えております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 またひっかかるんですよね。お互いに苦しみながらなんて、お互いなんていうのじゃなくて、もう一方的に農民の方が、圧倒的に苦しみが多いんですよ。これ、もうやめます。次に移りますけれども、本当に、少し真剣に考えていただきたいと思います。  それから、次もわずかの時間ですけれども、酪農の第三次近代化方針についてお伺いしたいわけなんですけれども、昨年十一月この計画をお出しになりました。そして北海道のあの六十年目標というのを見ますと、乳牛の頭数で約百二十一万四千頭、約倍以上になっています。それから、生乳生産でも百四十万トン——四十九年度だったのが三百四万トンと実に倍増計画になっているわけなんですね。この計画を出されて、そしてこれも酪農団体なんかと話ししましたけれども、これはこれは大変な目標だと、とてもとてもこれは大変だというような意見が圧倒的に出たわけなんです。この目標というのは、たとえば生乳三百四万トンを六十年までに北海道で出してくれということは、これはどうしても必要だからここまで責任もって出してもらいたいというのか、一応の目標だから出さなきゃ出さないでいいよ、というような軽い一応の目標なのか、その辺のところをひとつ簡単にお答えください、時間がもうないんです。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 酪農近代化方針は酪振法に基づいて大体五年という期間ごとに見直しをして決めているわけです。今回はちょうどその改定期に当たるわけですが、いろいろ酪農をめぐる環境を見回して見直しをしたい。そのときに、期間でありますが、従来は五年であるのを、六十年見通しがありますから、それとの整合性をもって六十年ということに需要と供給とを見通した、それを、酪農の世界にさらに地域別にブレークダウンしたというものがこの酪近の基本方針、これから諮問するわけでありますが、基本方針であります。そういう意味で、政策なり、あるいはその他の長期的なガイドポストである、そういう意味に御理解願いたいと思います。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 そういう目標が立てられたわけなんですけども、この目標に向かってやっていきたいわけですわね。そうすると、この目標が達成できるかどうかということのためには、第二次の結果はどうなったんだということで、やっぱり一つの問題を押えていかなければならないと思うんですね。第二次酪農近代化基本方針で北海道が生乳生産量二百五十一万トンというふうに出されているわけです。これで道が第三次の酪近計画を出して、その進捗状況を見ますと、そうすると、達成率は乳量で七二%、それから乳牛で八一%というような数字になっているわけです。この第三次の酪近がこれは大変だと言ったのは、第二次でもこれくらい達成できなかった。達成できたのは何だといったら、飼養農家戸数というのが一千戸減少の目標だったのが十倍の一万戸減っちゃったというのだけは達成になっているわけなんですね。この計画から言えることは、戸数は減った、戸数は減って小規模は切り捨てられてなくなったと。しかし、乳量においては決してふえていないというような結果が出てくるわけです。こういうような問題をどういうふうに、原因として何を考えているか。こういう第二次の上に立って第三次はどういうふうに自信を持ってやられるのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) いまお挙げになりました数字は、私ども改めてこの近代化の方針は今月の十七日に審議会を開いて決めていただくということでございますから、まだ決まっているものじゃございません。いろいろ世間に流れておりますのは昨年の十一月の審議会の懇談会でわれわれは事務的に試案としてお示ししたというものでございます。そういう意味で確定したものでもございませんし、現在、道と、一番問題は道でございますから、道庁とよく相談中のものでございます。そこで、第二次酪近が十分に達成できなかった。たとえば乳量でいいますと七八%で、八〇%を切ったということでございますが、これはいろいろ問題になっておりますけれども、最近、ことに四十年の後半におきまして、それまではずっとわりあい一直線的に伸びてきたわけでありますけれども、いろいろ酪農を取り巻く条件が非常にむずかしくなってきたということは事実でございまして、端的に申し上げますれば、やはり兼業化の進行に伴って零細経営層が離脱していったと。そういうものの規模拡大というものは着実に進行しているわけでありますけれども、規模拡大が完全にはそれをカバーしきれなかったと、そういったところに原因があったんじゃないかと、かように思っているわけであります。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 いまおっしゃったみたいに、確かに農家戸数が減って、中小が少なくなって規模拡大はできたけれども、全体の乳量としてはふえてないで減ってくるというような状態になってくる。そうすると、この近代化計画というものを第二次、第三次とお出しになっても、結局、進むところは同じコップの中の取り合いになってしまって、そうしてはっきり言えば、別海みたいな、北海道の大きいところで大規模の酪農をやらせて、そうして借金だけどんと大きくなって、乳量はさっぱり上がらないということになってしまうという危険性はみんなが指摘していることだし、第二次の結果でも、それが言えると思うのですね。そういうことから、やっぱり乳量の生産を上げなければならないということで、一番ネックになっているのは乳価の問題だということ、これはどなたもおっしゃいます。北海道の農務部の酪農振興対策プロジェクトチームというものが報告書を出していますけれども、ここでも、酪農生産の停滞要因というものの最大のものとして、乳価の問題を出しているわけなんですね。そうすると、その乳価の非常に低いという問題、これがどうしても避けることができないわけなんです。  きょうも、たくさん農民の方々の、日農の方や農民連盟の方なんかから陳情書などもいただき、また道議会からも加工原料乳の価格引き上げについて、というような切実な要請が来ているわけなんですけれども、稲作と酪農と比べたときに、農業所得を三百万規模で考えたときに、労働時間というのは酪農の場合は稲作の倍もかかる。しかし、経済余剰というのは二分の一にしかすぎない。負債額は二倍になってしまう。つまり、だから酪農というのは全く割りの合わない仕事なんだ、働けば働くだけ赤字を抱えていく。さっきも出たんですけれども、みんなで一緒に、共同でやりましょうと言っても、結局、そこで共同ができなくなって、みんながやめていってしまうというような問題が出てきて、また乳量というものが減ってくるというようなことになってくるわけです。  そうすると、こういう第三次計画というものをお立てになって、ここまで収量を上げようという場合に、この乳価の問題の、たとえば労働賃金の算定の方式なんかも何年も何年も要求されていた、せめて、同じ農業で日本の食糧の必要なものについて働いている農民の労働賃金というものを、差別しないで米並みにしてほしい、また、同じ酪農をやっていても乳しぼりの方が高いけれども、牧草なんかの場合にはむしろ労働過重なのに安いというような、そういう算定のやり方というものも考えてくれ、という問題が切実に出されているわけなんですね。だから、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。  時間がありませんからあとの問題次に延ばしますけれども、こういう酪農の問題について、本当に酪農を振興させようというお気持ちでいらっしゃるなら、大臣としても、振興させる裏づけとして何が必要なのか、乳価がやっぱり一番大きな問題だと言われている中で、この乳価の問題についてはどういう方針で考えていこうというふうにお思いになっていらっしゃるか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 乳価は、今月末に審議会を開いて、そこでいろいろ御審議願って決めていただきたい、こう思っているわけです。どういう算定方針で算出するか、これは、まだ、いま内部でもいろいろ議論をしている最中でありますが、決まっておりません。確定はいたしておりません。  ただ、基本的な方針といたしましては、不足払い法にあるように、主要加工原料乳地帯における生乳の再生産の確保を旨として定める、また同時に、酪農経営の合理化に資するように定める、こういった基本的な法の命題がありますから、それに基づきまして算定いたしたい、かように思っているわけであります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 酪農の重要性についてはいまさら私が言うまでもないわけでありますが、酪農近代化計画は、いま御指摘がございましたが、五十一年度からこれを策定をする。これは誘導目標として国が定めるものでありますが、これに即して引き続き都道府県及び市町村で策定することになっているわけですが、根本的には酪農振興対策ということになりますと、やはり、当面は乳用牛の資源の維持増大、あるいは経営基盤の拡大強化、酪農ヘルパー組織の育成、流通の改善等に重点を置き、あわせて加工原料乳不足払い制度の適正な運用を図って目標の達成に努めてまいらなければならぬと思っています。いま加工原料乳につきましては三月の末までに再生産加工される形で、これは適正に加工原料乳の乳価につきましては決定をしていかなきゃならぬと思っております。また、特に北海道については、昭和六十年に試案段階で生乳の生産量三百四万トン、全国の約四〇%を期待しているところでございますが、土地条件の制約が少ない等の有利な条件を生かして、これは予算の裏づけ等もいたしておりますが、草地開発の推進であるとか、あるいは飼料作物の生産利用の合理化等の酪農振興対策というものを積極的に推進をしていって、そして酪農に対する国民の期待にこたえ、あるいはまた農民の皆さんの期待にこたえていかなきゃならぬと、こういうふうに考えております。

向井長年民社党

○向井長年君 大臣に質問いたしますが、きのう、きょう二日間にわたって各党、各議員がそれぞれ農政問題について質問されました。私の質問もこれに重複する点もあるかと思います。そういう中で特に私は、いま大臣にまず聞きたいことは、わが国の一番重要な政治課題は何であるか、これまず聞きたいんです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) まあいろいろ立場で政治課題はあるわけでございますが、私は、農林大臣としてわが国の政治課題ということを考えますと、食糧問題を解決していくということは、他の重要な問題もあるでしょうが、非常に大事な政治課題であると、こういうふうに考えております。

向井長年民社党

○向井長年君 大臣としては当然だと思うんですよ。しかし、政治家としては、いま最も大きな問題は食糧の確保、いま言われたとおり。あわせてエネルギー問題、そして私たち教育問題、こう三つが私は、これからの大きな政治課題だと、こう考えるわけです。そういう中でも、いま大臣が言われましたように、この食糧問題については、これはその中でも最重点問題である。国民の生活、空気に等しい、言うならば食糧確保である、こういうことでしょう。そういう中で実は昨日所信表明を伺いました。まことに失礼な言い方かもしれませんけれども、私はこれを聞いてやっぱり文言の羅列じゃないか。言うならば、例年のいわゆる若干の手直し、精神が余りこもってないんではないかという感じがするわけです。これは私の意見ですよ。そういう中であなたは大臣に就任されて、まず五十年度は総論作成の年であると言われた。そして五十一年度は実行の年である。ことしは実行の年に入っておるんですがね、そういうことを言われておるわけです。これは私は非常に結構だと思います。そう申しましても、限られた財源で、言うならば、先ほどからいろいろ聞きますと、大臣はそれなりの努力をし、まずまず十分とは言えぬが、ある程度満足しているのだという感じ、それも私はひとつ評価したいと思います。  しかしながら、ただここで問題は、食糧問題について、過去、現在含めまして、やっぱり海外依存政策をとっていこうということがあらわれておるんですよ、これは。そうでしょう。たとえば所信表明の中で明確に出ておりますよ。わが国の社会経済情勢の中で、可能な限り自給力の向上と言われておるんですよね。「可能な限り」、これはどういうことなんですか。「可能な限り」と言ったら、やれればやるわと、やれなかったらやめりゃいいんだと、こういうことなんですよ。ここに私は文言の羅列である、あるいは精神が込められてないというふうに、ここを私は、この文言で感じるんです。少なくとも自立向上を意図するならば、本年度は、言うならばただいま四一%程度でしょう、自給率。これに対して本年度は六〇%近く持っていくんだ、あるいは次、何年先には八〇%に持っていくんだ、こういう一つの目標とそれに伴う実効的具体策がなければならぬのではないか、こう私は思うんですよ。この点について大臣どう考えられますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、農政のやはり基本的な最重要な課題は、何としてもわが国における自給力を高めていくということであろうと、こういうふうに考えるわけであります。過去一年間にわたりまして私が中心になりましてつくり上げました「総合食料政策の展開」、これから十年を見越した「総合食糧政策の展開」の最も重要な柱が自給力の向上確立ということにあるわけでございまして、これはもう不動の最重要課題でございます。そういう中にあって「可能な限り」ということを入れましたのは、わが国で幾ら自給力を拡大していくとしても、わが国のやはり国土あるいは資源というものの制約がおのずからあるわけでございます。たとえば農地の造成をするとしても、わが国の農地でこれから造成可能な農地というのは百五十万ヘクタールというふうにわれわれの調査では出ておるわけでございますが、そういう中にあって、われわれはこれから根限りの努力をして十年間でどれぐらい造成が可能かということになりますと、これは十カ年計画でわれわれが明示いたしておりますように、八十六万ヘクタールというものがあらゆる条件を勘案するとわれわれとしてでき得る可能な限界であると、こういうふうに考えるわけでございます。これは農地の造成ひとりにとどまらず、その他の農産物の生産といった面についてもそういうことが言えるわけでございまして、まずやはりわれわれとしては、自分でできる食糧の自給体制というものは進めていかなければなりませんけれど、しかし生産できない農産物というのは依然としてあるわけでございます。まあ国内においてわが国の国民食生活が米と野菜と魚肉という、そうしたわれわれが完全に自給できる食糧でもってわれわれの生活が成り立っておるということならば、これは一〇〇%の自給力ということは現在においても確立しているわけでございますが、国民の食生活というものは戦後非常に変化をして、特に高度成長を契機といたしまして非常に多様化し西欧風化した、そうした多様的な欲望にこれから沿ってわれわれが食糧を確保するということになりますと、これはもう畜産なども振興していかなければならぬわけですが、その畜産の中の中小家畜の飼料というものは、これは国内においては生産できない、どう考えてもこれは外国に依存せざるを得ないということにならざるを得ないわけでございます。私たちは食糧の総合自給率は七五%を目標にしておる。いま向井さんの言われました自給率は穀物の自給率のことであろうと思いますが、穀物の自給率は残念ながら四二%からやはり十カ年間において三七%まで減らざるを得ない。これは畜産の伸びに伴うところの飼料穀物の輸入が好むと好まざるとにかかわらず増大をせざるを得ないということから、われわれとしても残念ではございますが、そういうふうに判断をしなければならぬ。そういう客観的な事態というものも厳しく認めた上でわれわれは農政を進めて、そして国民食糧の確保というものに進んでまいりたいと考えておるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 いま海外依存問題を私は触れましたが、これは国内で本気で生産すればやれるというやつがあるでしょう。先ほど鈴木君がここで言ったでしょう。豆一つ見ても、あるいは小麦見てもやれるんですよ。やろうとしない。海外依存を中心として考えているからやろうとしない。いまやれないというのは、飼料関係でも、なんですか、コーリャンぐらいじゃないんですか。トウモロコシだって日本でやろうと言えばやれますよ、ある程度は。これは全部とは言いませんよ。しかし、いまパーセンテージ見てみなさい。小麦が八〇%海外依存でしょう。それから大豆が九〇%でしょう。ほとんどですよね。それから飼料が四五%、半分程度である。これはなにがあるからですよ、草地があるから。したがって、これをやるという意欲がないから、これだけ依存せざるを得ないということになる。これをなぜやろうとしないか、私は少なくとも安倍農林大臣は実行の年と言われるならば、こういう問題はことしから手がける。こういうことがあってしかるべきではないかという感じがするわけです。したがって、海外依存をしているということは、私は、これはまあ悪く言えば、場当たり的である。とにかく確保さえすればいいんだ、こういう感じがありありと出ておるのではないかということで、この問題を取り上げておるわけです。それとあわせて、農林省が、国民の食糧不安が深刻になる中で、確固たる指針が示されていないということ。これはやはり依然として農業基本法ですね、これがはっきり言えば死文化しているんですよ、いまはもう。死文化している農基法にとらわれている疑いがいまあるのではないか、こういうように私は思う。だから少なくともこれは農業団体の皆さん、生産者からもこれに対しての意見が出ておるでしょう。中曽根幹事長はこれに対して改正するというようなことを言うたらしい、党としてね。こういう問題にとらわれているところに問題があるのではないか、こういう感じがいたします。  そこで私は、ひとつはっきり言うて、ここで穀物の、言うならば自給化という問題は、ただ単に国内の確保だけの問題じゃなくて、国際的に言うならば開発途上国に対する道義の問題もあるでしょう、ソ連の問題もありましたが、そういう中からも、これは重要視しなきゃならぬ問題だ、国際的な場合から見てもね。そういう中で、私はやはり自給力のいわゆる増大というものをこの際積極的にやはり進めなきゃならぬ、そのためにこの農基法にとらわれておってはいかぬのではないかという感じが私はまずしておるわけです。  それとあわせてもう一つは、農業基本法は、この高度経済成長政策によって、農業労働者が工業労働者等にどんどんどんどんと吸収されてまいりますが、そういう流動化がいまどんどん進んでおるけれども、いまや自立農家の育成ということ、そういう問題が実際、これができておるかどうか、なかなか困難な問題ですよ。根本的な問題だと思いますね、これは。そういう中で、いまここで何としても考えなけりゃならぬ問題は、総合食糧政策を展開しなきゃならぬ、総合食糧政策というものはしからばどう展開するか。私は農業基本法なんかやめて、そして食糧基本法を早急に制定すべきだと思う。いま大臣が言われましたように、これはただ単に農林行政だけではないと思うんですよ。昨年でしたか、私はここで庁という名前は、言うならば水産庁とかあるいは林野庁とかあるいは食糧庁とかというように、なぜ、これはついているんだということを質問したことがあるんです。これは大臣御承知のごとく、多岐にわたる、一つの省だけではできない問題があるから、これが私は庁がつけられておると思います。で、いま食糧基本法というものをやっぱり政府は考えて、これは農林行政だけではない、たとえば後で申し上げますけれども、飼料問題一つ考えましても、これはやはり大きな備蓄問題が問題になろうと思いますが、こういう問題一つとらえても、やはり食糧基本法をつくって、まず条件整備をしなきゃいかぬ。これは担い手の確保の問題もありましょう、それから国の財源の確保という問題、これはあなた非常に今度は努力して、ある程度確保したと言われておるけれども、もろもろの問題をやるとすれば、こんな財源ではできないんですよ。農林行政だけじゃなくて、大蔵も含めてこの食糧確保のためにいかにあるべきかという一つの食糧基本法に基づく財源の確保、それから価格政策——そこに価格政策があると思います。あわせて農地の思い切った有効利用、これは非常にむつかしいと思いますよ、いまいろいろございますけれども。言うならば三反、五反農家が、兼業農家が多い、五百万の中で相当数占めておると思いますが、こういう諸君も、少なくともやはりどうわれわれは今後対処するかという立場からこの問題もメスを入れなきゃならぬと思います。そういう中で、食糧基本法というものをつくる。これは私は内閣につくらなければならない、総理の、言うならば諮問機関であってしかるべきだと思いますが、そういう中で食糧基本法をつくって、食糧国民会議というものを設置すべきだと思う。これは提唱しますがね。今日まで農林省がやられたあの国民会議は諮問機関としてつくられた、これも一つの意義があるでしょう。しかしそんな裏づけのない会議であってはいけない。これは少なくとも堂々とあらゆる社会情勢、経済情勢、そして国民生活、食生活、こういう多岐にわたった中においていかに食糧を確保するかという立場から、食糧国民会議というものを設置すべきではないか。これに対しましては、もちろんあらゆる各界各層を私は含めてやるべきだと思います。もちろん生産者、必要である、あるいは消費者も必要である、あるいは労働者も必要である、あるいは財界筋もあるいはその他学識経験者を入れまして、そういう形の食糧会議というものをつくる。その前提としては食糧基本法というものをつくって、いまやわが国の最も重大な一つの大きな政治課題を解決しなければ、これは国際的にもあるいは国内的にもこの問題はただ、何とか現状を少しずつ手直しして進めるだけでは私はいけないと思う。この点どうでしょう。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろと問題が多岐にわたっておるわけですが、いま一番初めにいろいろとこれは農林省やっているけれども、ちっとも増産対策やっていないじゃないかと言われますが、これはもう農林省としてはいままでもそうした食糧確保のための対策は一生懸命講じております。たとえば麦につきましても、高度成長によって三割近くずつ毎年減産をしたということに対処して、これ、麦の奨励策をとって、ようやくこの一、二年末どうにか減少は止まったということになっておるわけでございます。これを飛躍的に伸ばさなければならぬということで、五十一年度からさらに奨励金とともに助成措置もとるようにいたしておる。あるいはまた大豆にいたしましても、これは急激に減ってきておるわけですが、これを少くとも食用大豆の六割ぐらいまでは国内において生産をしなければならぬ、自給をしなければならぬということで、これまた今度の水田総合利用対策の中にあっても、大豆の増産対策というものは明確に予算措置として打ち出しておるわけでございます。私は、さらにまた飼料作物につきましては、いまお話のように、草資源というものはわが国においてある程度恵まれておるわけでございますから、この草資源を有効に利用し、活用するということが、外国からの飼料穀物の輸入の代替にもなるわけでございますので、この草資源の有効利用ということに対しても、その草地の整備であるとかあるいはまた裏作の利用であるとかそういうふうな草対策というものを、飼料作物対策というものを、これまた相当の予算措置を持って積極的に進めておるわけでございまして、決して、ないということではなくて、いまから、今度の五十一年度予算にはそれらの点を配慮して、相当思い切った予算の裏づけをいたしておりまして、私は相当今後はこの増産を図ることができるというふうな期待を持っておるわけでございます。  それから、海外から場当たりに輸入するという、依然としてそういう輸入政策優先じゃないか、というふうなお話でございますが、これはやはり自給できない農産物は海外に依存せざるを得ない。これは今後とも続くわけでありますから、しかしこの輸入のあり方というものは、これはもう真剣に再検討しなければならぬということで、私も一年来努力もいたしまして、安定輸入の道を開いて、そうしてこれを定着させよう、そうしてそれを一国のみにとどまらず、こうした安定輸入の道を多数国間にやっぱり広げていくというようなことも鋭意努力をいたしておるわけでございます。同時にまた、こうした政策をやるには、やはり基本的な政策の樹立が必要であるということに対しまして「総合食糧政策の展開」という九項目からなる六十年目標にいたしました長期政策を樹立をいたしまして、これを五十一年度からスタートさせて、確実にこれを実施をしていくというような体制にあるわけであります。そうした中にあってもっと、根本的な基本法、農業基本法というものを見直さなきゃだめじゃないかという御意見でございますが、確かにわが党におきましても、中曽根幹事長もそういう発言をいたしておるわけであります。が、しかし私は、農業基本法ということに対してはかねがね言っておりますが、これは農業のいわば憲法とも言うべきものでありまして、あの農業基本法の成立の過程、これは先輩の皆さんが本当に数年がかりであの農業基本法というのはつくり上げたわけでございまして、そしてその中身と言いますか、基本的なこの考え方というものは、私はいまにおいてもこれは適合性を持っておると。ただその運用が、社会、経済状態の変化に応じて運用を間違わずにやっていけば、わが国の農政の推進はできると。ですから、そういう考え方からこの食糧総合政策というのも、そういう運用面において私は打ち出しておるわけでございます。ですから農業基本法の改正というものは、いまのところ考えておらぬわけでございますし、また総合食糧政策、さらに食糧基本法をつくれというふうないまの御指摘、これも一つの御意見ではあろうと思いますが、私は現在の段階において総合食糧政策、これを確実にこれを実施していけば、現在の国民食糧の確保という、国民の期待には沿うことができるというふうに考えておるわけでございまして、ここに改めて食糧基本法をつくるべきだというふうな論には、にわかに私も賛成はしがたいわけでございます。  なお、国民食糧会議といったものにつきましては、昨年もこれをつくるに当たりましては、これはやはり国会の御論議等も十分私は拝聴いたしまして、その結果やはり農政問題というのは国民の全体の問題であって、農政問題は国政問題であるという考え方から、これはやはり国会の御論議を十分尊重していかなきゃならぬということで、国民食糧会議というものをつくって、そして三回にわたって意見を聞いたわけでございまして、これはきちっとしたものではないわけでございますが、それなりにいろいろの御期待にこたえたと、こういうふうに考えておるわけでございまして、この点につきましては、今後ともさらにわれわれとしても、もしまた必要ということになれば、そういうことも適宜やっぱり行っていかなきゃならぬと、こういうふうに思っておるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 農林省何もやっていないって、私はそういう意味で言ったんじゃなくて、若干積極性が乏しいという立場から言っておるのであって、これはそういう意味で……。農基法の問題、これは昭和三十六年ですか、できたのは。情勢が変わっているんですよ、大臣。なるほど先輩諸君がつくったものを、これは憲法とも言うべき問題としてあがめることも、これも結構でしょう。しかし、当時を見てみなさい。これは国際的に見て、穀物自給事情が、国際協力が非常に弱いときですよね。いまのようじゃないんですよ、現在ののような。こういう中で、小麦なり大豆なりの切り捨て政策前提としてつくった問題でしょう、これ。このときは。だから、そういう事情とただいまの状態と全く違う。こういうことで、私は死文化と言ったのは、それを言っているんだ。農業団体もそう言ってますよ。だから、そこらを大臣、やっぱり適切に、この時代の、いまの趨勢の中で判断をしなきゃならぬのではないかということです。それよりも国家的問題として食糧会議を開き、国民会議を開き、そして食糧基本法というものを中心にして考えることが適策ではないかと、これは提言として申し上げておるわけです。それと同時に、今日までやってこられた国民食糧会議というのは、なるほど大臣の諮問機関として意見を吸い上げるということでこの一つの大きな成果はあったかもしれませんよ。しかし、大規模な骨格的問題であるという立場に内閣は立っていますか。立っておるというんだったら、もっと大蔵省も理解して農業予算つけなきゃならぬ問題だ、あなたは遠慮している、まだまだね。たとえばいまこれあなたの所信表明の中で何を言っているんですか、飼料等の問題に対してのいわゆる備蓄問題一つとらえてみなさい。公益法人を中心として備蓄問題と、こうなっている。公益法人て何ですか、これは。商社でしょう。大体商社を中心にして考えているのと違うの。公益法人て何をやるの、何ですか、ちょっとこれ聞きたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 飼料備蓄の主体として新たに公益法人を設立したいと思っておりますが、それは新設するかどうか、あるいは既存の公益法人を使うかどうか、まだ態度は決めかねておりますが、いろいろ飼料の具体的な構成について考えられますのは、飼料を取り扱っている生産者団体、あるいは商人、そういった方々、そういった団体を大体構成員として考えているわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 これね、私はいま食糧基本法なり国民会議といったゆえんのものは大臣、いま飼料問題一つ考えてもこれは備蓄、何のために備蓄するか。これは価格の安定でしょう、まず第一にね、需給の安定でしょう。この二つを目的としていわゆる備蓄を考えようとしておるんでしょう、畜産局長そうでしょう。そうなれば、これはやはり生産者あるいはまたそういう商人という——これはぼくがとっているのは、公益法人というのは、大体商社を中心と考えるのじゃないか。商社が買い入れるのだから、輸入をね。そういうことではないかと思うのだが、いまの商社を見てみなさい、自分の利益以外に何も考えてないということですよ、国家的なそんな問題考えずに。丸紅しかりだ。そういう商社が自分の利潤追求のためにやろうとするのに、なぜそんな大きな、多額な費用をかけて備蓄政策がとれるかということ。私はそういう意味から考えて、これは国家的事業ではないか、備蓄も。したがって農林省、これは声を大にしてこの際、備蓄問題を中心にやるべきだ、これは木材も含めてでしょうが。そしてそのためには、やっぱり大蔵省うんと言わせにゃいかぬでしょう、これは。財源というものは、やっぱり国が出さにゃいかぬ。いま財源難やと言っておっても、これはやっぱりやらなきゃならぬ。やらなきゃならぬ問題については、国家的問題としてとらえなきゃならぬ。一農林行政だけではないという、この立場を考えるために私は、そういう意味で国民会議というものを、国民会議あるいは食糧基本法というものをつくって——国民会議を多岐にわたった形で、国家的政策でやるべきだと。これを私は先ほどから提言しているので、検討されるのは結構ですが、大臣これはね、あなたを応援しているんだ。農林省のそこに並んでいるあなた方各局長クラス、長官クラスを私は応援しておることですよ。そうやらなければ、農林行政はいかないということだ。われわれ素人ですよ。素人だけれども、これほど食糧問題なりエネルギー問題で、問題になった問題は、ただ一省の問題ではないということ。これやはり内閣全般が考えなければならぬ、国民全般が考えなければならぬ問題ではないか。だから、安倍農林大臣も若いし、真剣に取り組んでおるのだから、ひとつよろしい、何とかこれは検討して実現のために大いに努力しましょう、こう言ってもあなたはいいはずですよ。直ちに取り組むことは考えていません、なんて、そんな官僚みたいなことを言いなさんな。あなたは、官僚じゃないんじゃないか。そういう立場で、これは恐らく自民党のみなさんも、社会党のみなさんもみな賛成だと思うんですよ、そういう意味でやることは、国民的規模で。農林に携わっている委員はみなおんなじだ。これはただ、食糧と言ったって、ここで酪農、家畜もあれば、漁業もあるし、みなあるんですよ。そういう立場からやはり十分ないわゆる国の施策というものは、ここにある程度この際集中しなきゃならぬではないかと。この立場からこの問題をとらえて私は言ったんであって、それはあなたが、この間アメリカへ行かれて麦の買い入れ決めてきたんでしょう。その買い入れ何万トン決めたんですか、八百万トンね。そして、あんた減反何ぼするんですか、米の生産調整、こんな情けない行政ないですよ。同じ食糧で、一方では減反しなきゃならぬ、一方では買い入れのためにやらにゃいかぬと。これは性格は米と麦は違うにしても、そういうところに私は一貫性がないのではないかということを指摘したいわけです。いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 基本的な考え方は、向井さんと変わってないわけですよ。ただ、それを食糧基本法というふうなものにするとか、あるいは国民食糧会議にするかどうかというふうな問題については、やっぱりおのずから意見は、私の意見は異なっておるわけでありますが、基本的には物の考え方、農政に対する考え方としては、全く私も向井さんと同じような考え方を持っておるわけであります。食糧基本法をつくるというふうなことにつきましては、よっぽどこれは研究に研究を重ねなきゃならぬ問題ですし、いま私たちは「総合食糧政策の展開」ということで、十分これで農政は新しい形において出発したと、そしてこれを確実に実施していけば、農政の責任を果たし得るというふうに考えておるわけでございまして、それ以上の法制を必要というふうには私はいまのところは考えていないわけであります。

向井長年民社党

○向井長年君 大臣としてはそういうことを言わざるを得ないかもしらぬが、大きな立場に立って、国自体の問題としてやはり言うならば、ただ、省のセクトではなくて、やはり大蔵省を理解させなければ、金出さんわけですから、財源措置つらくなければいかぬですし、その他の省も関係しましょう、建設省しかりですよ。いわゆる漁業だったらそういうことも関係ありますし、そういう意味から農林大臣は率先してやっていくことが最もいいことで、農業行政が今後国民にこたえる道ではないか、こういう立場から御検討をいただきたいと思う。きょうは、これ以上この問題言いませんけれども。  そこで、余り時間ございませんので、ちょっと林野庁長官来ておられますか。——国有林問題について、先般財投から四百億融資受けたわけですね、財投から入れたわけですね。導入されたですね。そこで若干の赤字が狭まったようですが、やっぱり相当の、四百十八億の赤字持っていますね。それは国鉄とか、あるいはまた郵政から考えれば少ない方ですが、やはり赤字財政ですね。こういう中で、なぜこういう赤字が起きるんですか、林野行政として。起きた原因は何ですか。

松形祐堯林野庁長官

○政府委員(松形祐堯君) ただいま御指摘ございましたように、五十一年度案の予算におきましては、四百億の財投を導入しなくては赤字である、こういうことでございまして、その赤字の主たる原因というものが二、三ございますが、一つは、伐採量の急激な減でございます。昭和四十二、三年ごろまでは二千三百万立方程度伐採をいたしておったのでございますが、現在は、千五百万立方程度に落ちている。これは自然保護とかいろんなことに配慮した伐採量の減でございまして、実は私どもの特別会計の収入の九〇%以上が木材の販売代でございまして、そういう意味で大変な減になったということが一つございます。それと御承知のようなこの不況と申しますか、そのための、大変二年以上に及びますこの不況ということで、その材価による影響というものをもろに受けた、こういうことが二番目の原因でございます。さらにまた、私ども四十七年十二月林政審議会の答申をいただきまして、経営改善に努力いたしているわけでございますけれども、なかなか私どもが思ったとおりに進んでいない、こういうことが一つの原因でもございます。

向井長年民社党

○向井長年君 長官、衆議院でそんなことを言っていないんじゃないの。衆議院で、この問題に対して、これは直営生産事業の停滞が大きなウエートだ、こう言ってますね。その理由は何だと言えば、振動障害を挙げているんですよね。これ違うの、どうなの。

松形祐堯林野庁長官

○政府委員(松形祐堯君) 第三番目に申し上げました経営改善という中でございますが、その一つといたしまして、ただいま御指摘ございましたように、私どものほうで伐木等に従事いたしておる者が約六千名おるわけでございます。その中で、約二千七百名という振動障害の患者が出ておりまして、そういうことによる事業伐採量の減、このことは最も付加価値の高い丸太でございますので、そういう意味で大変な減になっておる、こういうことも大きな原因である、こういうふうに申し上げたわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 これは経営改善の問題として取り上げているのか、振動障害の問題は。そうじゃないでしょう。いや、いま言ったのは、結局、直営事業が非常に薄くなったということ、その理由はこういうことだということですか。

松形祐堯林野庁長官

○政府委員(松形祐堯君) 私、経営改善の中身としてそれを申し上げたのではなくて、振動障害というのはまた別な意味でございますけれども、直営の問題というものも、経営改善の一つの項目に私ども考えているということでくくったような次第でございまして、言葉不足でございました。

向井長年民社党

○向井長年君 これは労使間の多少の紛争、サボという問題がやっぱり大きな原因だということも言っている。経営の問題に対してはそうでしょう、そういうことないの。

松形祐堯林野庁長官

○政府委員(松形祐堯君) お答え申し上げます。  一部の局におきまして、賃金等の支払い形態につきましての労使紛争というようなもの等がございまして、それによる生産量の減というものも幾らかそれに入っている、こういうふうに理解いたしておるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 幾らか入っておるって、あんたそれが大きな一つのウェートでもあるのじゃないですか。あなたたちが生産性向上をやろうとしてもそれができ得ないという問題は大きなウエートじゃないの。その点どうですか。

松形祐堯林野庁長官

○政府委員(松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいまここに何%の影響があったということの数字を持っておりませんけれども、先ほど申し上げました伐採量の減、材価、そのような生産量の減、こういうことが主な原因だと私は理解いたしているわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 もちろんこれは不況下においての国有林の地元産業としてこれは重大な障害が起きているという問題は、これはまた重要な問題だと思うんですよ。これに対してどう今後対処しようとするのか、この点どうですか。

松形祐堯林野庁長官

○政府委員(松形祐堯君) お答え申し上げます。  私どもこのような四百億の借入金までいたしまして、なおこの借入金の主たる使い方が造林でございますが、このような資源の造成とかあるいは計画的な林道あるいは伐採量の確保とか、それぞれ私どもに与えられた仕事がございます。また、国有林としての与えられている使命というものもございます。したがって、先ほど申し上げましたように、林政審議会の答申等に基づきます経営改善というものを、四百億借りるような状態になったがゆえにさらに一層私ども心を引き締めましてこれを徹底すべきであろう、そういう運営方針をしてまいりたい、このような気持ちでおるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 私は林野の場合においてはこれはやっぱり経営内容というか、経営方針について相当問題が多いような感じがするんですよ。たとえばいま組合との問題がありますね、その中でも日本国有林労働組合、こういうところがいま提唱しております常勤制の問題、これについては林野庁はいま検討を進めているんでしょう、この問題どうやるのか。やっぱりただ、そういう新しい問題に対して、意見に対して、いろんな反対もあるでしょう。しかしこれをどう処置するかというところに私はひとつかかっていると思う。そこで少なくとも能率給賃金体系移行ですね。こういう問題についてはいま検討の最中でしょう、これはいつごろ結論出すのですか。またいつごろそれを実施に移そうとしているのですか。この点どうですか。

松形祐堯林野庁長官

○政府委員(松形祐堯君) お答え申し上げます。  この常勤制付与の問題につきましては、昨年年度末に、関係する五省間におきまして一つの方向として出した事案でございまして、約十年間ぐらいかかった大変重大な問題でございまして、その中身につきましては、関係する各省がございまして、現在それぞれ熱心な打ち合わせ、交渉をいたしているわけでございます。したがって、ただいまどのような形ということは申し上げられる段階ではございませんけれども、それほど重要な問題でございますので、なるべく早い機会にこれが各省協議が整いまして実施ができるように努力してまいりたい、かように考えているわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 時間がございませんので、次に移りますが、少なくとも林野庁長官ね、やはりそういう問題は、まじめに林野行政を進めていこうという諸君の意見を十分吸い上げて実行に移さなければ、ますます内部は悪くなりますよ。これは十分心得て大胆に勇敢にやるべきだと思うのですね。これだけひとつ提言しておきますから。  そこで最後に、時間もう三十一分とか言われていますから、ございませんが、畜産局長、この間の問題検討すると言ってますが、どうなっていますか、専増産ふすま問題は。飼料問題、これについてもう私は長々言うても時間がないので言いませんが、これは、行管来ていますな。——行管から勧告されて今日検討しなきゃならぬということでそのままになっておりますが、その後検討されてどういう結論が出ているか、あるいはまだいま検討中だというのか、どういう方向でいまこの問題を取り上げているか。これは大臣からも早急に手直ししなきゃならぬという答弁が先般あった問題です。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 行管から昨年勧告を受けたわけでありますが、その中で専管ふすまの問題についてでありますが、主な点は二点ございました。  一つは、地域的な配分のアンバランスというものを是正しろ、要するに、地域別に家畜の頭羽数と政府の操作する飼料とのバランスがとれていないのではないか、過去の実績ばかりを基準にするなと、こういうような御指摘が一点。  それからもう一つは、各県別に分けまして、それから農家に配分する場合に、その場合にも過去の実績ばかりにこだわらず、そういう実際の実需要あるいは頭羽数、そういったものを勘案しながら配分すべきである、こういったことが勧告の大要ではなかったかと記憶しているわけであります。  私どもいろいろ検討いたしまして、この一月に行管の方へ回答いたしまして、さらにまた現在いろいろな措置をとりつつありますが、その主なものは、一つは、地域配分の是正につきましては、これはかなり場所によっては地域のアンバランスがありましたから、政府の原麦を売却するに当たりまして、その従来からの偏りというものを一遍にはもちろん解消することはできませんが、五十年度におきましても、従来のラインで、延長線上でさらにそれを徹底させるような形で売却につきまして考慮をいたしております。それから各県あるいは各農家への配分がアンバランスであるという点につきましては、これは受注者団体が各県に配る場合、それから各県の県連あるいは県段階の団体が農家に配る場合には、いろいろ過去の実情にとらわれず、実際の需要量、その農家が飼っている家畜の実態、そういったものを勘案しながら配れということを改めて強く指示をいたしております。  それから同時に、その県内の流通につきまして、従来県の管理方がどちらかといえばゆるかったという点にも着目いたしまして、県にもそれ相応の御協力をお願いしている。それから、各県別に配分をする場合に、その配分の基礎だとかあるいは配分の比率、県内の配分の比率、こういったものにつきましては、畜産局長へきちんと届け出ろ、畜産局長は必要な場合には指導をすると、こういうような事柄を内容にいたしましていろいろ指導をしております。  こういった事柄を行管の方に御報告を申し上げておるという段階でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 それはおかしいんじゃないですか。少なくともこの問題は、あなたたちが、言うならば製粉会社に、製粉会社から直接行っておるんでしょう。そういうアメリカから入ってきたこの小麦に対するふすまのやり方が、いまやこれ六〇%以上ふすまにして飼料製造のためにやっているんだよ。それを製粉会社が配分しておるんですよ。製粉会社に対していろいろな、何と申しますか、まあ賄賂とは言わぬけれども、おべっかするところはどんどんやろうとしているんだな。こんな行政を、国から差額を出したやつに対してはそんなやり方はない。それと同時に、県を県をと言うけれども、いままで権利はないでしょう。縦の線で業界へ出しているではないか。出てない業界があるというんです。それをなぜ是正しないか。そんな片手落ちで業界をごまかしちゃいかぬですよ、行管もどう受け取るかしらぬけれども。少なくとも洗い直すなら完全に洗い直して、そして農民に直接やるなら話は別ですよ。今日まで業界にそのまま出しているわけだ。もらってない業界があって問題にしておるわけですよ。それが行管からたまたま八年前に勧告されておる。八年間そのままほうってあるんですよ、現在まだ。農林大臣、こんな行政ないですよ。勧告受けても八年間受け流して、いままだなお検討しておるという、そんなばかな話はない。畜産局長、そんな県、県と言って、これはだめですよ。いまの手直しで県にしようかと思ったって、いままでのやつどうするんだ。いままでの業界のやつを取り上げて県にみな委託するのか、それとも、いままでのやつに対して追加業界をするのか、この問題はやっぱり明確にしなけりゃ、これは行管かって納得しないでしょう。どうなんですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○政府委員(大場敏彦君) 専管ふすまの問題でございますが、これは政府が専管ふすま工場に原麦を売却して、そこから発生しましたふすまをそれぞれ実需者団体が末端農家に配ると、こういった仕組みに、先生の御指摘のとおりになっているわけであります。その配り方についていろいろ問題があるという御指摘があることはただいま申し上げたとおりでありまして、どうも末端に必ずしもフェアな形で流れていない。せっかく政府が財政支出をしてやっているものについて問題があるというのが行管の御指摘だったわけであります。私ども地方団体につきましていろいろ問題があるわけでありますから、各実需者団体につきましてその系統組織についてもう一回流れ方を再点検しろと、自主的に自己の点検をしろということを厳重に注意しております。それからいろいろ流し方について現状のままでいいかどうか、こういった点につきましても検討をいま進めている、こういう段階でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 時間ありませんから最後ですが、行管庁これに対して、行管はだれか来ておられるのでしょう、答えてくださいね、いま言ったことについて。  そこでその前に、調べるのはいいけれども、抜けておる団体にやったら済むんじゃないの、それ。抜けておる団体を外すからいけないんだ。一つでしょう、はっきり言うて、畜産で。ほかはみなもらっているではないか。だから、そういう問題をそんなにむずかしく考えないで、なぜやらないかという一つの不公平の問題ね、そういう問題を検討しましょうといって局長今日まで来ておるのだから、なお検討すればいいと思うのです。そうして早くそれを是正すればいいと思うのですよ。行管関係、それに対してもう受けたんですか、まだ受けてないんでしょう、八年間そのままでしょう。その点どうなんですか。

鈴木博行政管理庁行政監察局長

○政府委員(鈴木博君) 昨年の七月に勧告いたしました事項につきましては、ただいま農林省の畜産局長の方から回答の内容が御説明ありまして、おおむねそのとおりでございます。で、八年前の勧告につきまして、実は現在その根拠等につきまして資料を持ち合わせておりませんが、今回の回答の趣旨からいたしまして、配分のルート等も含めて当然検討されるものと期待いたしておるわけでございます。その実施措置等につきましては、今後われわれとしても関心を持ちましてその改善推進について配慮してまいりたいというふうに思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 昨日表明されました大臣の所信表明に対しまして私ずばり申し上げたいと思いますので、ひとつ激励のつもりでお聞きくだされば幸いと存じます。  まず国際的にも、日本全国的にも不安となっております、危機感を持っております食糧問題、その食糧問題をどう解決するかということで、国民食糧会議における各界の意見を踏まえて九項目からなる「総合食糧政策の展開」を取りまとめられた。そうして食糧政策の基本的対策を、国民食糧の安定供給の確保というタイトルで打ち出されたという、このことは一応御努力は認めながらも、内容的にずばり感じますことは、国民の自給体制の確立ということが大きなウエートを持つならば、なぜもっともっと思い切った転換ができなかったのであるか。まだまだ国際分業論の上に立つこのぬるま湯から抜け出していないのではないか、こういうことを私は率直に申し上げたいと思います。いま日本の食糧の中で一〇〇%を超えておるものは米とミカンだけでありましょう。それで米は減反しろと。ミカンは、ある農林省の人に沖繩に早切りミカンを、早稲ミカンを太陽エネルギーを利用して奨励したいがと言って実はかつて話をしたことがありますが、それに対して何と言ったかというと、先生、日本はミカンはあり余って、いまミカンの木を切らす政策をしているのですよと。この一言の中に私は日本の農政のあり方に疑問を持つものです。一〇〇%、あり余るほどミカンを腐るほどつくっているのに、なぜ外国からミカンを輸入しなければいけないのであるか。ここに私は一つの疑問を持ちます。  こういうことと思い合わせて、大豆の問題にしても、麦の問題にしても、あるいはその他の穀物の問題にしても、そして甘味資源の補給地としての沖繩のサトウキビの問題にしても、私は本当にあの所信表明の内容にもっともっと思い切った転換があるべきではないか、このときこそ、こういった期待も持っておったわけでありますが、そういった点からしましては私は非常にぬるま湯から、過去の本当にイージーゴーイングな成長経済のぬくもりから少しは抜け出された気もなきにしもあらずですが、そういった感じを痛感いたすのであります。  そこで、今度のこの所信表明の内容の持つ裏づけとして、その予算に対してはどのように理解しておられるか、まずこのことを、裏づけの予算がこれでいいと思っておられるのであるか、どういった心境でこの予算を盛り込まれたのであるか、その点まずお伺いしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 今回の五十一年度予算につきましては、もちろんこれで十分完全だというふうには思っておりませんけれど、私が一年がかりで作成をいたしました「総合食糧政策の展開」をこの五十一年度の予算の中に裏づけをいたしまして、六十年目標のいわゆる長期政策が五十一年度からスタートすることができるというふうに私は理解をしております。  また、予算の中味につきましても、食管を除きますと前年対比一八・六%というふうに、予算全体の伸び率一四・一%と比較すると相当な伸びを示しておるわけでございまして、それだけにわれわれの努力をした成果というものはあったと、こういうふうに考えておるわけであります。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 どうかひとつ絵にかいたもちにならないように実りあるものにしてもらうことを強く要望いたしておきます。  次に、農業生産の担い手の育成ということが非常に強調されております。これも考えてみますと過疎の問題、そして老齢化の問題、しかも一方には農業近代化の問題、こういう立場とにらみ合わせて、当然農業生産の担い手の育成に全力投球しなければこれは生産が上がるはずはありません。そういった面から、魅力ある農業、楽しい農業、もうかる農業、こういう方向づけがなければ若者がついていくはずがありません。こういった点からの内容、詳しいことを伺う時間はないかもしれませんが、基本的なことをお聞きしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 農業を推進するために一番大事なのは人の問題でございます。われわれとしては、中核農家を中心とした農業の推進を図っていきたいというふうに考えておるわけでございまして、この中核農家を育てるための施策は、総合食糧政策の中においても大きく私たちはこれを柱として取り上げておるわけでございますが、この対策として、広くはやはり基盤整備を推進をしていく、あるいはまた価格政策を充実をしていく、あるいは農村環境を整備をしていくということとともに、たとえば集団的生産組織の育成であるとか、あるいは制度資金の充実であるとか、あるいはまた税制の改善であるとか、そういうことを積極的に進めることによりまして、中核農家に農業に対して魅力を感じ、本当に農業の活力となる、そういうような方向へこれから持っていかなきゃならないと、こういうふうに基本的に考えておるわけであります。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 それを期待いたしておきます。  じゃあ、具体的な問題に二、三入っていきたいと思います。所信表明の中に、あり余る米の処理の一つの方法でもありましょう、手段でもありましょう、「学校給食における米飯給食の拡大」ということが強調されております。  この内容に入る前に、米飯を学校給食に転用していくためには学校給食法の改正が前提でなければいけませんが、この点はどうなっておりますか。   〔委員長退席、理事鈴木省吾君着席〕

加戸守行文部省体育局学校給食課長

○説明員(加戸守行君) 学校給食法の施行規則、文部省令でございますが、そこで完全給食を定義いたしまして、従来はパン、ミルク、おかず、そういう定義の仕方をしておったわけでございますが、二月の十日付をもちまして、文部省令を改正いたしまして、パンまたは米飯、それにミルク、おかずという、三原則の形態をパンまたは米飯という形に改正いたしております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 そうしますと、いまこの法の裏づけはわかりましたが、そこでお聞きしたいことは、栄養量の面からと経費の面からですね。栄養量の上では非常に劣ると、米の場合ですね、劣ると。こういうことの科学的なデータも出ているようであります。そうして、経費の面からはむしろ高くつくということも聞いておりますが、その辺の点はどうなっておりますか。

加戸守行文部省体育局学校給食課長

○説明員(加戸守行君) パン食と米食との栄養比較でございますが、基本的には米飯とパンの場合に本質的な差はないのがたてまえでございますけれども、学校給食用のパンに使用いたします小麦粉につきましては、たとえば脱脂粉乳を四%強化するとか、あるいはビタミンA、B1、B2を強化する、そういったような副資材あるいは栄養強化との関係におきまして、そのまま米飯と比較いたしますと若干の栄養差が出てまいるわけでございます。  それから、価格の面につきましては、沖繩の場合は別にいたしまして、本土の一般的な状態で申し上げれば、現行の消費者米価のままで措置をするといたしますと、パン食と余り変わらないという結果が出てまいるわけでございますが、そういった栄養格差の補てんという関係上、農林省の方にお願いいたしまして、売り渡し価格についての特別措置を認めていただくというぐあいにしておるわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 もう一つ。給食米の場合については特別の値引き措置を講ずると、こういったことがうたわれておりますね。この特別の値引き措置というのは具体的に決まっておりますか。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) ただいま文部省の方からお話がございましたように、米飯給食とパン給食の場合における、米飯の場合においては、その副食を充実をして、そのことによって栄養のバランスを、パン食の場合ととるというようなことから経費の増高がある。そういうものを考えまして、政府の売り渡し価格を三五%値引きをいたすということに、五十一年度からいよいよ米飯給食が本格実施になりますので、そういう措置をしたわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 そうすると、この切りかえの場合、これは全面切りかえか、あるいは部分切りかえか、パンからもう全面的に米に切りかえるという御方針であるのか、それとも、月に何回とか、週に何回というこういったたてまえの計画であるかどっちでしょう。

加戸守行文部省体育局学校給食課長

○説明員(加戸守行君) 従来、パン基本路線でまいったわけでございますが、今回の措置によりまして、パンと米飯を並列的に規定をするということでございまして、文部省の現在の指導方針といたしましては、パンまたは米飯ということで米飯を取り入れていただく、まあ取り入れ方につきましては、いろいろな問題もございますので、諸般の諸条件の整備と並行しながら無理なく取り入れていただくという考え方でございまして、特に具体的にすべてパンを米飯に切りかえる、あるいは米飯を何回実施するということまでも、直接的に指導は現在いたしておりません。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 と申しますのは、沖繩の学校給食の場合、沖繩の特殊事情から、本土とまた違った一つの経過がございまして、ずうっとパン給食でやってきたわけでありますが、そういった特殊事情と、それから、復帰の時点で、沖繩の県民所得が本土のまだやっと七〇%そこそこである。それにポスト海洋博の経済落ち込み、物価高——インフレと非常に混乱をいたしておるわけなんで、そういったことも思い合わして、復帰の時点で、特別措置の中で処理されて、五ヵ年保障できておるわけですが、これが米飯に切りかわった場合にどうなるか。また、この特別措置が切れた場合にどうなるか、という不安をいまから持っておるわけです。現在であっても、二千五百円から三千円の父兄負担をしておるわけですが、それが米にかわった場合には、さらに、沖繩は御承知のように、米が本土と違いますから、そういった格差もありますし、そういったいろんな問題がからんで非常に不安を持っておるわけなんです。そういった点、具体的に検討されておりますか、どうでしょうか。もし検討されておりましたらお聞かせ願いたいと思います。

大河原太一郎食糧庁長官

○政府委員(大河原太一郎君) 学校給食で、米飯給食に取り入れられる場合の米飯の問題自体につきましては、これは沖繩の独自の学校給食体系がございますので、文部省の方からお話願いますが、私どもといたしましては、ただいま先生のお話にございましたように、学校給食用米穀の政府売り渡し価格は、沖繩における本土に比べての格差があって割安になっておりますから、割安を前提とした三五%というふうな売り渡し価格を決めたいということを予定しておるわけでございます。

加戸守行文部省体育局学校給食課長

○説明員(加戸守行君) 現在、学校給食、沖繩で使用いたされます学校給食用の小麦粉につきましては、先生ただいまおっしゃいました復帰特別措置法に基づく政令によりまして、無償措置がとられて五十一年度が五年目に当たるわけでございますが、この結果といたしまして、小麦粉がただでございますので、使用されておりますパンはいわゆるパンの加工賃と副資材の関係でございまして、いまのところ小学校児童一食当たりの価格が平均十四円二十五銭という価格でございます。五十一年度におきましては、たぶんパンの加工賃その他が若干の値上がりが見込まれますので、一食当たり十五円ないし十六円というその幅の間でおよその価格が定まろうかと思いますが、ただいま農林省の方からお話ございましたように、沖繩での米穀売り渡し価格につきまして三五%引きの措置がとっていただけますとするならば、小学校児童一食当たりの価格にいたしまして約八円程度のものになろうかという感じでございますので、その格差としては七円ないし八円というコストダウンになるわけでございますので、その分が副食費におきますおかずの補てんに回せるというぐあいに考えておる次第でございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 そういった切りかえによる不安が非常に多うございますし、しかもこれは全県的なものでありますので、どうかその点ひとつ不安を与えないように切りかえることによって、このように有利になるのだ、こういった点はっきり一つ示していただきたいと思います。  それじゃ次へ移ります。次は、国土の開発と生産増の関連において、列島改造の先取りから遊休地がだいぶあるわけですが、買い占められておるわけですが、本土の場合、国としていまどれぐらいの遊休地があるわけなんですか。

森整治農林大臣官房長

○政府委員(森整治君) いまちょっと資料を持っておりませんから、至急調べましてお答え申し上げます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 それじゃ、後でようございますそれは。時間もありませんから後で伺います。私は、沖繩の場合に、これは国の立場からも大きな問題ですが、国土庁長官もこのように遊休地買い上げに厳しい基準、取得の半値程度、狂乱の責任とらす、という見出しで発表しておられますが、沖繩においては、さらにそれに輪をかけた形にたりまして、すなわち復帰の直前のあのどさくさ、海洋博ブーム、この混乱に紛れ込んで本土の土地ブローカーが、沖繩に乗り込んでいって、一ぱい入っておる、百以上の業者が。その中に大手商社としてここに一四、五挙げてありますが、その中に、いまロッキード事件であの話題になっております丸紅、この丸紅も沖繩で土地の買い占めをいたしております。全日空も、ここに表もございますが。このデータによりますと、御承知のように軍事基地が、全耕地の一二%を沖繩は占めておるわけですね、一二%。それに加えて復帰直前から直後にかけて買い占めた——総面積が二十二万三千九百二十二ヘクタール、これは総面積ですね。この面積に対して買い占めた比率が五・二六%になっております、五・二六%。   〔理事鈴木省吾君退席、委員長着席〕 ところで耕地面積、その中で耕地面積が四万八千二百三十七ヘクタール、この耕地面積の買い占め比率は二四・四三%、実に四分の一に近い面積の耕地が買い占められておるわけであります。これが全軍用地と合わせますと約一七、八%、基地と、買い占め土地と合わせると、なるわけなんですね。これはもう沖繩にとってはまことに重大な問題であります。ところで、県土保全条例の網でそれをかぶせてあるために、遊休地としていまほうっておるところが、だいぶあるわけなんです。農民たちはそれを買いとって、買い戻して早く開発したい、農耕地にしたいという、こういった希望が非常に強うございます。ところが購入する金はない。  そこでお聞きしたいことは、沖繩の開発のために特別に設けられた沖繩振興開発金融公庫という金庫があるわけでありますので、そこへひとつ大口に融資をしてもらって、農民たちが土地を買い戻して開発できるように、こういう強い要望がありますが、これに対してどのようにお考えでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 沖繩でどれだけの農地が買い占められておるか、いまお話しの数字につきましては、私たちはまだつまびらかにいたしておりませんが、相当にやはり農地が買い占められておることは事実だろうと私も思います。そうして、この農地をやっぱり有効利用するということは、これはもうわが国の食糧政策を推進する上のみならず、沖繩の農業振興のためにも必要不可欠なことでございますので、どういう形でこれを利用していくかということにつきましては、いまのお話も含めてこれは農地保有合理化法人による買い入れ等もあるわけでございますし、いろいろな方法をこれは工夫をしなければならぬと思いますが、いまの御指摘の点も含めて積極的にひとつ検討してまいりたいと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ大臣、この農民の願いが、これは沖繩県の立場からも非常に重大な問題でありますので、ぜひそれが入れられるようにひとつ御配慮を願います。  次に、時間がありませんので、食糧確保の面、特に水産業の立場から、水産面の立場から申し上げたいのでありますが、大臣の所信表明にもうたわれておりますとおり、動物性たん白食料の半分以上の供給は水産業であると、こううたわれております。ところで、日本の漁業は遠洋、南方漁業が主であると思うんですが、沖繩も含めて。この遠洋漁業の立場から気になりますことは、例の経済水域の二百海里の問題ですね。この二百海里に対する——先ほども出ておったようにも思いますが、三月ニューヨークで第三次国連海洋法会議第四会期がございますが、それに対する政府の対応策はどのようなものであるか、まずそれをお聞きしたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 来る三月十五日から八週間にわたりまして、ニューヨークにおきまして第三次海洋法会議第四会期が開かれることになっております。政府といたしましては、領海の幅員につきましては、十二海里ということにつきまして、これを積極的に推進することとしております。また、経済水域二百海里につきましては、その内容がわが方にとって容認し得るものであり、かつ、その他の主要問題が一括して解決される場合には、これを受け入れざるを得ないと考えておるわけでございますが、EC、ソ連等と密接な連携を図りながら、伝統的漁業国であるわが国の正当な権利、利益が保障されるような、確保されるような公平な制度となるように最大限の努力を払っていきたいというのがわれわれの基本的な態度であります。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ日本の立場が入れられるようにがんばっていただきたいのでありますが、これに対する非常に不安もあるわけであります。  ところで、反面、それはそれとして解決していただかなければいけませんが、近海、沿岸漁業の育成をどうするか、整備をどうするか、このことが当然また考えられなければいけません。そのことに対して、政府の近海、沿岸あるいは養殖漁業への基本的な考え方とその振興策ですね、これをひとつ承りたいと思います。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 沿岸漁業の振興が必要なことはただいま先生から御指摘があったとおりでございます。過去四、五年間わが国の沿岸漁業の漁獲高は、若干は伸びておりますけれども、ほぼ横ばいということで、今後、遠洋漁業の漁場が狭められるということを考えますと、沿岸漁業の振興というのは非常に大事なわけでございます。  そこでまず第一に、沿岸漁業につきましては、資源をふやすという意味から、漁場の整備を大いにやらなきゃならぬ。そこで、この漁場整備につきましては、昭和五十一年度からこれを公共事業としてやるということで、とりあえず、七カ年二千億程度の事業で沿岸漁場の整備をやりたい。同時に、今後増殖及び養殖を盛んにしていかなきゃならぬということがございますので、この面にも大いに力を入れる。さらに、魚価の安定等も図りませんといけませんので、魚価の安定についても力を入れていくというふうなことで、今後沿岸漁業の振興については最大限の努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 このことについてもなお具体的にお尋ねをしたいんですが、時間がありません。私が申し上げたいのは、沖繩の沿岸漁業が、本土と特殊な立場にあるために、非常にまた重大なひっかかりがあるということをここではっきり申し上げて、それに対する特別の配慮がない限りこの問題は解決できない。と申しますのは、まず、これをごらんください。(地図を示す)沖繩のこの色のついたのが軍基地であります。基地であります。基地の中はもう治外法権の立場で、やること、なすことすべて県民の意思に反する。国民の意思に反する。こういうことをわがまま勝手にやるわけですが、すなわち、基地内のいわゆる薬物——薬ですね。薬物のたれ流し、油のたれ流し、もう自由自在であります。そうして、南はこの浦添市の海岸のたれ流しや、薬物のたれ流し、これ一度ならず、たびたび問題を起こしております。それからごく最近、この北谷の海岸での油のたれ流し、それから恩納、それから東海岸もですね。もう枚挙にいとまがありません。こういうことで、特に最近、北谷村で養魚池に油が流れまして、そうして大騒ぎをして訴えておる事実がありますが、こういう実情であります。  二月の二十六日、午前九時ごろ、北谷村——北谷といいますと、ここであります、こっちですね。九時ごろ、この北谷村に、このハンビー飛行場というのが海岸にありますね。その横の排水溝に油が流出して、北谷漁協の養殖場への影響がありまして、タマン、チン、アイゴといった稚魚が、五万匹そこで養殖されておりますが、それが、油によってみんな逃げてしまったんですね、散ってしまったんです。こういう事件がごく最近あったかと思うと、また、二、三日後に、またその油漏れがあるんですね。で、このように油漏れがあるというと、沖繩ではもう近海、沿岸漁業は期待できない。  ところで、大臣も所信表明でうたっておられるように、漁場の環境は悪化しつつある、海洋汚染対策に力を入れなければいけないということを強調していらっしゃる。そうすると、沖繩の場合、海洋汚染防止条例というのはここには適用できるのかできないのか、いかがですか、大臣。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 水質汚染防止法が適用があるかどうかということにつきましては環境庁の所管でございますので……。正確なことはちょっと申し上げられませんけれども、当然適用があると思います。  それから、御指摘がございました北谷村の油の流出事件でございますが、沖繩県庁からの報告によりますと、先生から御指摘がございましたように、二月の二十六日に油が流れたようでございます。その結果、魚が五万尾逃げてしまってとれないと、その結果、被害が起こっているということでございますが、県庁からの報告によりますと、この養殖用のクロダイ及びアジの稚魚をとる漁業は実は建干網漁業ということでございますが、昨年から始まったと。今年の漁期は大体三月から五月ということで、この事故が発生したのは漁期前であったというふうに報告を受けております。さらに、流れた油の性質によって漁業に対する影響が違いますので、現在、沖繩県の衛生研究所におきまして油の性質を分析中でございますが、仮に揮発性のものといたしますと、影響がある程度緩和されると申しますか、また魚が帰ってくるんじゃないか。油の性質によって被害の状況も違いますので、現在衛生研究所において分析をしておりますし、さらに水産動物への影響については水産試験場で検討させているという状況でございます。したがいまして、この結果本当に魚がとれないという被害が出てくれば、当然民事上の補償の問題が起こってくるというふうに私どもは考えておりますし、そのような場合におきましては、水産庁といたしましても、関係の漁民の損失をカバーするためには十分これをとれるようにバックアップしなければならないというふうに考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 その補償は当然してもらうわけですね。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 被害の状況によるわけでございます。ただいま先生から御指摘がございまして、確かに二月二十六日に油が流れましてその結果魚が逃げてしまった。しかし、私どもの経験によりますと、揮発性の油の場合にはわりと早く蒸発するわけでございます。そうすると、そこへ魚が帰ってくるということで、漁期が三月から五月ということでございますので、これから漁期になってくるわけでございます。したがいまして、漁期中漁獲が十分なかったと、その原因が油であるという場合は、当然、補償の対象になるということでございます。したがいまして、今後の状況をもう少し見て損害の程度を判定しなければならない問題ではないかというふうに考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 これは一つの一例で今後もあり得ることでありますので、これはきちんとしておいてもらわぬと、あいまいなことをしてもらっては困りますので、そこをひとつきちんとしていただきたい。強く要望しておきます。  そこで、私重ねて言いますが、漁場の環境は悪化しつつあると、これは日本全体の海域もそうでしょうが、特に沖繩は基地との関連におきまして本土の比じゃない。基地は基地内、しかも沿岸は遠慮会釈なくたれ流す。薬物もそこへたれ流す。こういう危険な状態の海岸べりなんですね。それは一点じゃなくして面になるわけです。そういう沖繩の特殊事情の場合に、きのうも言っておられましたが、海洋汚染防止法は一体沖繩、そういう基地にも適用できるのかできないのか、そこをはっきりしてください。

内村良英水産庁長官

○政府委員(内村良英君) 現在環境庁に照会しておりますけれども、私どもといたしましては、沿岸の汚染の問題につきましては漁業の立場からこれを防止していくということについては常々環境庁とも話しておりますので、具体的なケース等があれば、それについてさらに話をするということにいたしたいと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 時間もきましたので……。  沖繩の特殊事情というのは農業問題じゃなくして、いろいろの面にかかわってくる多様性を持っておるわけなんです。特にきょう私の質問は、農業面からもあるいは林業、漁業面からもすべての面にかかわる問題でありますので、そうして特に、基地をめぐるそして海洋との関係ですね。これはもう魚だけの問題じゃなくして、いろいろと人間の生命にかかわる問題あるいは漁業権の問題、いろいろにからんでおる複雑な問題があるわけですが、これを根本的に究明してもらわない限り、幾らうまいことをおっしゃってもこれは絵にかいたもちにしかすぎないということを私は厳しく追及をいたしておきたいと思います。そのことをひとつ十分念頭に置かれて、沖繩の特別の事情下における農水問題はどうするか、こういうことをひとつ念頭に置いて、沖繩の開発をしていただくように強く要望しておきたいと思います。それに対する大臣の見解を承りまして、私の質問を終わります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 沖繩につきましては、沖繩が長い間占領下にあったということで非常に本土と比較するとハンディがあるわけでございます。したがって、本土復帰後これが振興開発対策につきましては種々の対策が進められてきておるわけでございます。特に農林漁業関係につきましては、農業の基盤整備等には特段の力を注いでおりますし、補助率であるとかあるいは採択基準であるとか、そういった面につきましては本土と比較をいたしましても相当高い比率で対策が講じられておるわけでございますが、なおかつ、いろいろの面でまだ、これから政府としても沖繩の振興開発にはさらに力を入れなきゃならない多くの問題が、御指摘のようにたくさんあることは承知いたしておるわけであります。そういう点は重要な課題としてわれわれも進めてまいりたいと思っております。

小林国司自由民主党

○委員長(小林国司君) 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会

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