内閣委員会 第6号
- 発言数
- 418 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1976/05/20
会議録
○委員長(中山太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 昨十九日、上田哲君及び稲嶺一郎君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君及び源田実君が それぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(中山太郎君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。 陸上自衛隊日本原演習場における紛争事件について、政府から報告を聴取いたします。坂田防衛庁長官。
○国務大臣(坂田道太君) 日本原演習場における紛争の事案につきまして御報告を申し上げます。 陸上自衛隊第十三師団は、五月十七日、日本原演習場におきまして八十一ミリ迫撃砲の射撃訓練を実施することとして、地元奈義町当局とも調整を終えておりました。 しかるところ、射撃実施前日の十六日十四時ごろから約三十分にわたって、青竹等を持ち、赤、青ヘルメットを着用し、タオルで顔を覆った極左暴力集団と思われる者約五十名が、同演習場東地区西ゲート付近で青竹等を突きながら演習場に突入しようといたしましたため、警備していた隊員との間にトラブルが起こり、投石等により五十七名の隊員が負傷を受けるという事案が発生いたしました。現在、警察におきまして事実関係を調査中でございます。 また、トラブルの際、一部の隊員が投げられた石を投げ返したようでありますが、これは投石や竹ざおで突く等の暴力的行為により、隊員に多数の負傷者が出るという予期しない事態が発生いたしましたため、身の危険を感じ、反射的、衝動的に投げ返したようであります。指揮官は直ちに投石をやめるよう指示したのでございますが、ヘリコプター等の騒音のために徹底を欠いたのは遺憾でございました。しかしながら、一部に伝えられるように、指揮官が投石を命令したり、自衛隊の方から先に投石したという事実はございません。 いずれにいたしましても、自衛隊の訓練の実施に当たり演習場周辺の地元民との調和を十分に配慮すべきことは言うまでもございません。防衛庁といたしましては、従来からこのため努力を続けているところでありますが、今回一部地元民が含まれているとはいえ、赤、青ヘルメットを着用した地元民以外の極左暴力集団と思われる者によってこのような事案が発生したことはまことに遺憾でございます。 以上でございます。
○委員長(中山太郎君) 以上で説明は終わりました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○野田哲君 まず、伺いますが、現地において自衛隊の行動を指揮したのはだれであるか、この官職氏名を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(丸山昂君) 今回の演習総体を統括指揮をいたしました者は、第十三師団長緒方陸将でございます。
○野田哲君 十三師団長は最高の現地の責任者ということになるんでしょうが、現場においてハンドマイクを持って一段と小高い場所に立って隊員を指揮した現場の指揮官、この官職氏名、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○政府委員(丸山昂君) 現場は東演習場の西正門でございますが、ここの指揮は第五警備大隊長二等陸佐小野正幸でございます。
○野田哲君 防衛庁の方で、新聞、報道機関等に対して写真を提供されているわけでありますけれども、新聞に掲載された以外に、なお現場の状態についての写真を何枚か持っておられるはずであります。これをここへお持ちであれば提示をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
○政府委員(丸山昂君) 本件に関しまして、地元の方々の一部から暴力行為等処罰ニ関スル法律違反という名義ですでに告発が出ておりますので、ただいま先生御指摘の資料は、この捜査に関連する資料というふうに想定をされますので、提出をすることを差し控えさしていただきたいと思います。
○野田哲君 これはいま、地先の方から裁判にかけられるということでここへは出せない、こういうことでありますけれども、これは納得ができないと思うんです。すでに新聞にも発表されておるわけでありますから、なぜこれがわれわれのところへ——新聞に発表されておるのは一枚の写真が発表されておるわけでありますけれども、関連をした何枚かの写真があるわけで、たまたまその一枚を報道機関等が防衛庁の提供によって発表しているだけでありますから、関連した写真等がなぜここへ出せられないのですか。
○政府委員(丸山昂君) 新聞の御要求に応じて御提示をいたしました写真は、当時の時点において私ども差し支えないという判断で御提示をしたわけでございますけれども、その他の写真、資料等につきましては、いま申し上げましたような理由によりまして差し控えさしていただきたいと思います。
○野田哲君 この問題につきましては、私はこの問題を審議をしていく上で重要な資料でありますから、資料要求をいたしたいと思いますので、委員長の方で計らっていただきたい、こういうふうに思います。
○委員長(中山太郎君) ただいまの野田君の御発言の申し出は、理事会において善処をさしていただきたいと思います。
○野田哲君 後で理事会で計らうということでありますけれども、ではもう一点、写真の問題について伺っておきたいと思うんです。 防衛庁では、この写真の中に、竹ざおを一抱えくらい束にしたものを写真として撮っている。そうして、これが地元住民あるいは青年たちが使ったものだというふうに写真として持っていると思うのですが、そういう写真がありますか。
○政府委員(丸山昂君) この事案が終結をいたしましてから、現場に極左集団とおぼしき者によって遺留されたと思われる竹ざお、これを数本集めまして写真を撮ったものはございます。
○野田哲君 あなたは私にそんなでたらめを言っては困ります。私は久保次官のところへあの事件が起きた直後にすぐ行ったんですよ。行ったときに久保次官から見せられたのは、このぐらいの束にしたものを写真に撮ってあって、これが青年や抗議に来た村民が使った竹ざおだ、こういうふうな形で見せられたんです。私が聞いたところでは、竹ざおというのは、抗議に行った人が使ったのは旗ざおが三本か四本、こういうふうにきのう現地の人から確認をしたんです。あなたの方で写真を撮って見せたのは、一抱えぐらいの束になっているんです。これは一体どういうことですか。
○政府委員(丸山昂君) いま申し上げた数本ということでございませんで、十七本だそうでございます。十七本残っておりまして、それを束ねて写真に撮ってある、こういうことでございます。
○野田哲君 そういうふうに食い違いがあるわけでありますから、これはやはり写真は出してください。そうでなければこれは適切な審議ができませんよ。 それから、発表されておるこの写真、ゲートで自衛隊の隊員と村民、青年などが向かい合っている、ここで双方の間に交差をしている棒のような状態のもの、写真では定かではありませんけれども、あの双方が対峙をしている中で棒がたくさん交差をしている、ゲートの間を。これは自衛隊が訓練で使っている、木銃と言うのですか、昔の銃剣術なんかに使っていた木銃、これであるというふうに私は思うんですが、この点はどうですか。
○政府委員(丸山昂君) 木銃は、いまの第五警備大隊でございますが、約二十本準備をしておったわけでございますが、当初から各人に携行させておったわけではございませんで、後方に一括保管をしておったわけでございます。で、十四時二十五分ごろ以降極左暴力集団の第二回目の投石、それから竹ざおで突いてくるというようなことが出てまいりまして、そこで、隊員の身の安全を守るためにやむを得ないと判断されて後方から木銃を持ち出して、そして相手の竹ざおを払うために使ったものでございまして、相手の体を積極的に突くとか、あるいは殴るというようなことに使っておるという事実は全くないというふうに私どもは承知をいたしております。
○野田哲君 あなたの方が報道機関等へ提供して発表されている写真で、このゲートの金網の有刺鉄線のような状態の中を双方が対峙をしている、その中に棒が何本も交わされているわけです。だから、これはやっぱり審議するには写真を出してもらわないと、私は見ておるけれども、委員会としての適正な判断はできないですよ、これは。私が聞きたいのは、あの双方の間に交錯をしているような状態になっているのは、あれは竹ざおですか、木銃ですか。私は木銃だというふうに認識をし、現地の人の証言も得たわけでありますけれども、この点を防衛庁の方ではどう見ているのか、明らかにしてもらわなければならないと思います。
○政府委員(丸山昂君) 木銃の使用については、ただいま私が申し上げましたとおりでございまして、このバリケードのところの竹ざおであるのか、木銃であるのかというような問題、そういう事実関係につきましては、最初に申し上げましたように、すでに告発も出ておりますし、岡山県警も本件についての捜査に着手しておりますので、この点は捜査当局によって事実関係が明らかにされるというふうに考えますので、その点については答弁を差し控えます。
○野田哲君 肝心なところは全部捜査の対象になっているんだからということで説明できないということでは、これは適正な審査ができないですよ、これは。この点は防衛庁長官としても国政の審査に協力をしてもらわなければならないと思うんですよ。 あと同僚議員がさらに指摘をいたしますので、私は最後に、この木銃の使用それから投石について、現場でハンドマイクを持って指揮をした、いまの説明によると小野二佐、この人の号令によってこれらの投石あるいは木銃使用の行為が行われたということになりますと、これはこの自衛隊法の中ではどういう任務、行動に該当するんですか、この点を説明をしてもらいたいと思うんです。
○政府委員(丸山昂君) 当方の指揮官が、警備に従事しております自衛隊員に対して投石の命令、あるいは指示を出しておるという事実は一切ございません。むしろ大隊長小野二佐以下、幹部の者が数回にわたって投石の制止をしておるという事実はございます。この制止が遺憾ながらヘリコプターその他の騒音によって、十分徹底しなかったといううらみはございますけれども、この投石の命令もしくは指示を出しているという事実は一切ございません。
○野田哲君 これは全然事実の認識が違うんですよ。だからそれは後で寺田議員の方からも指摘があると思うんですが、木銃を運んできた、この木銃の使用についても勝手にやったということなんですか、これはやはり指揮官の指示命令によってやったわけでしょう。だとするならば、これは自衛隊法の任務、行動が規定をしてあるこの何条に該当する行為なのか。命令なしに木銃を使ったとすれば、これは一体自衛隊法にも大きくもとる行為ではないか。現にそれによって負傷者も出ておるわけでありますから、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
○政府委員(丸山昂君) 本件につきましては、演習場という国の施設を自衛隊が管理をするという、管理行為の一環としてこの演習場に不法に侵入しようとする者を阻止する趣旨に使用をしておるわけでございまして、管理権の行使の一形態だというふうに考えておりまして、別に自衛隊法に根拠を置くものであるというふうには考えておりません。
○寺田熊雄君 防衛庁長官ね、事実の問題についてはこれから詳しくお尋ねをしますが、あなたの御説明は大変事実と違うんですけれども、それは後から解明していくことにいたしまして、まず第一に、あなたが最後に、先ほど大変遺憾であるという意思を御表明になりました、その遺憾であるというのはどういう点について遺憾なのか、その点をまずお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 私といたしましては、いやしくもわが自衛隊と住民との間にトラブルが起こるということ、それは好ましくないことでございまして、そのいろいろの原因とか、あるいはやり方とかということはいろいろございましょうけれども、結果といたしまして両方に負傷者が出るというようなことを招いたということはまことに遺憾であると、こういうことでございます。全体的に申し上げますとそういうことでございます。
○寺田熊雄君 先ほど同僚の野田委員からもお話がございましたけれども、私と秦、野田三議員で久保次官にあの事件の直後にお会いいたましたときに、自衛隊の側からする投石の事実はお認めになりました。そして、あってはならぬことです、恥ずかしいことですということをおっしゃいました。その投石がどちらから先にあったかという点については、私どもと久保次官との間で意見が違っておりましたけれども、自衛隊が国民に向かって投石するということはあるべからざることである、それは恥ずかしいことであるということをお認めになったんですが、また新聞紙によりますと、防衛庁の官房長も弁解の余地がないという趣旨の談話をなさっていらっしゃるようですが、そのことは大臣も全く同じようにお認めになるのでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) われわれの方の調査によりますと、とにかく極左暴力集団が竹やりとか、投石をして、そしてそのためにわれわれ自衛隊員が負傷をすると、そういう事態が起こって、何とかしてこれを食いとめようといたしたわけでございますが、しかしながら、こちらの自衛隊員もやはり若い人たちでございますから、やはり身の危険を感じまして、そうして反射的に衝動的に投石をしたということでございまして、しかしながら指揮官としてはそれはいけないということで、何度か制止をしたということが事実のように私どもは把握をしておるわけでございます。しかしながら、そういうことであっても、われわれ自衛隊としては国民の人たちに対して投石をしたということはやはりよくないということは認めざるを得ないというふうに思います。
○寺田熊雄君 いま大臣の御答弁によりますと、指揮官が隊員の投石行為を何回か制止したけれども隊員が聞かなかったという御発言がございました。そしてまた、制止したのは、そういうことはよくないから制止したんだという理由づけもございました。そうしますと、隊員がよくないことをして、しかもそこの隊長の言うことを、しかも何回も制止しても聞かないという、それは何を意味するのでしょうか、軍規の弛緩を意味するのでしょうか、それとも隊員に対する教育の不徹底を意味するのでしょうか、まずそれについてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) こういうような事件については、やはりそこの部分だけをとれば非常に私は判断がむずかしいと思いますけれども、いやしくも五十名ばかりの者が、言うならば武装集団です。しかも極左暴力集団というように思われる人たち、あるいは竹ざおを持ち、そして石をどんどん投げかける、しかしこれをこちらは何とかして突破されないように守ろうとする場合にいろいろのことが起こるということは考えられることだと私は思います。しかしながら、そのやりましたことにつきまして、なかなか意思が徹底しないということについては、やはり率直に申しまして、こういうような事態を想定して日ごろ訓練しておかなければならない、その点が十分ではなかったということは私は言えると思います。今後はこういうことのないように、指揮官と、それから隊員との間において指揮官の意思が徹底するようにしなければいけないというふうに思います。
○寺田熊雄君 それから最初に、実は先に説明した方がいいと思うのですが、これが成松川という川です。これが防衛庁のおっしゃるいわゆる防衛道路ですね。ここには大臣のおっしゃるゲートがあるわけです。ゲートは五、六メートルの幅員ですが、この両端は固定さくです。そしてまた移動のさくがありまして、辛うじてジープが通り得るような空間があって、そこに移動さくを持ってきてふさぐようになっているわけです。 最初は、一週間ほど前から、ここの立ち入りは十六日の十五時から立入禁止をするという町の有線放送が一週間にわたって繰り返し繰り返し、一日に三回ですけれども放送された事実があります。それから、この屋上にもやはり十六日の十五時から立ち入りを禁止するという駐とん地隊長の公示札が掲げられておったわけです。最初にここは住民が十人ほど行って入ることを要求したんですね。ところが、ここに最初に行ったときは一時ごろであったわけです。ところが二時間前であるにもかかわらず隊員が入れてくれない。ここは二十人ほど最初おったわけです。そこで押し問答して、どうしても入れないので入ろうとする、その五、六分後にあなた方のおっしゃるいわゆる暴力集団なるものがここに約四十人ほど参りました。問題は四十人のあなた方のおっしゃる暴力集団と、十名内外の住民との間に生じたわけなんです。そして、最後には二十人ほどで押し合いをしておりましたが、隊員相互が無線で応援部隊を求めまして、大型ジープがここに参りました。そこで木銃をどさっどさっと落として、約四、五十丁の木銃があっという間もなく隊員に手渡される。木銃で目や口を突かれた学生たちがかなりおります。中にはみけんを突かれて昏倒した者もおるわけです。ですから、あなたのおっしゃった木銃で突いたり、殴ったりしたことはないというのは事実に反しますし、それからあっちからもこっちからも応援の隊員というものがたくさんに参りまして、この道路いっぱいを埋めたわけです。しかもこの押し問答している約二十分ほど前には、地元の内藤早苗という婦人が子供を抱いてここに入ることを許されて入っておるんですね。なぜ一人だけは入れてほかの者は入れないのか、そのあたり疑問がありますけれども、内藤氏はここで入っておりましたが後にここに移っております。それから、ここに指揮官がおりますけれども、この指揮官が、弾込め、撃てと命令して、そして木銃を持っていた隊員も下がりまして、木銃を捨て、そして弾込めと同時に両手にこぶし大の石を持って、この辺からもこの辺からも、この込からも一斉に投石を開始したんですね。ですから、ここにいた四、五十人の住民と学生はずっと後退しているわけです。あなた方の写真にも、二時三十五分ごろにはここにはほんのわずかな二、三名がおるにすぎません。 まず、そういう事実関係を明らかにしてお尋ねをしたいわけですが、その日、あなた方が十六日の十五時から立ち入りを禁止するという公示札を掲げられたこと、それから、一週間にわたって町の有線放送で十六日の十五時から立ち入りを禁止するという趣旨を住民に徹底させたことはお認めになりますか。
○政府委員(丸山昂君) おっしゃるとおりでございます。で、これは地元との協定によりまして、地元民の方に限りまして、一般的には立ち入りが禁止されておるところでありますけれども、地元民の方々は入り会いその他公共公会堂その他いろいろな問題がございますので、地元民の方々は自由に立ち入りができるお約束になっておるわけでございまして、当方の射撃に支障のある場合については御遠慮を願うということで、十分地元町民の方々に周知徹底を図るということで町当局の御了解を得、町当局から、いま先生御指摘のような広報、公示の手段を徹底をしていただいた、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 それから、この投石事件の起きましたときに、ここのあなた方のおっしゃる立入禁止区域内、まだ時間は来ていませんが、そこに内藤早苗という子供をおぶった婦人がすでに立ち入っておったこと、これはお認めになりますか。
○政府委員(丸山昂君) 私どもの承知しておりますところによりますと、一三時十五分ごろ、車両で内藤さんがお二人の子供さんを連れて参られまして、ゲートから約三十メートル手前のところで停車をされたと、それからゲートにおいでになって、そして弾着地域のことと思われますが、伐採状況を見たいというお話であったわけでございますが、応待をいたしました中隊長が、この道路は自衛隊の専用道路で、現在射撃準備のために車両が錯綜しておって危ないので、南の方を迂回されたらどうですかということで、説得をしたというふうに承知をいたしております。
○寺田熊雄君 十三時十五分に内藤早苗が来て、あなた方の中隊長が危ないから入らないようにと説得したということを伺っているんじゃないんです。結局、早苗さんが許されて入ったことをお認めになるかどうかといってお尋ねしているんです。
○政府委員(丸山昂君) これは別に許す許さないの問題ではなくて、内藤さんに対して終始そういうことで思いとどまっていただくようにお願いをしておりました。場所はゲートを入った中のところでお話をしておったと、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、許す許さないの問題ではないとおっしゃると、まだ十五時以前であれば自由に通行できるんだということをお認めになるわけですね。
○政府委員(丸山昂君) 地元の方々に対しましては、広報、公示でやっておりますように十五時からが立入禁止ということになるということでございまして、内藤さんは地元の方でございますし、ただ、現実にこれは十三時十五分でございまして、場所はかなり離れた場所でございますし、当日は何か雨が降って大分ぬかるんでおったというようなこともあるようでございますが、子供さんを二人連れられてそこへおいでになって、十五時の禁止時間までにはとてもそこから出られるということは無理であるというような事情もございまして、思いとどまっていただくようにお話しをしておった、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 あなた、思いとどまっていただくように説得したというようなことを力説されるけれども、結局内藤早苗さんは入っているんですよね。それから、許す許さないの問題ではないというあなたのお答えから判断しますと、地元の人々は十五時以前であれば入ってもいいということをお認めになったことになりますね。そうじゃないんでしょうか、簡単におっしゃってください、時間がありませんから。
○政府委員(丸山昂君) 十五時からは立入禁止になるということでございますから、十五時にこういう密着した時間においては、現実的に立入禁止の実行がむずかしくなるわけでございますから、そういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
○寺田熊雄君 どうもその点をぼかしていらっしゃるけれども、結局、入る入らないの問題ではないんだと、十五時以前であれば自由に入れるとおっしゃるようにもとれるんですけれどもね、ここでトラブルが起きましたのは、十人ほどの方々が当初来たのが十三時三十分ごろです。これは胸に傷をされた高取さんなんかが来たのが十三時三十分ごろで、十人ほど、それが内藤さんと同じように入ろうとして阻止された、それが発端なんですね。これはなぜ内藤早苗さんは入れて十人ほどの高取さんなんかを入れるのを阻止したんでしょうか、その理由は。
○政府委員(丸山昂君) 私どもの受けております報告によりますと、十三時四十分ごろに男二人、そのうち一名は赤ヘルをかぶった人だそうでございます。それと女の方二人、子供さんが一人乗車しました乗用車がゲートに近接をしてまいりましたので、そこで車に近づきまして、中隊長からやはりいま内藤さんに申し上げたと同じ趣旨のお話をいたしておるわけでございます。で、この乗用車をお話をしている間に、約十分以内でございますけれども、車両十一両で極左暴力集団と思われる一団約五十名が、ヘルメット、覆面、それから竹ざお携帯、こういう形で現場に到着をいたしましたので、そのままになっておった、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 結局、あなたは十三時四十分という報告を受けているとおっしゃいましたけれども、われわれは十三時三十分と農民からの報告を受けております。十五時からの立入禁止に十三時三十分なり四十分の時点で、すでに実質上禁止したという、それがこの事件の発端なんですね。それについては、あなた方としては指揮官の判断が誤ったというふうにはお考えになりませんか。何かおかしいように思いますが、どうでしょうか。しかも、射撃は翌朝の午前八時ですからね。そういう時間的関連から見て余りにも神経質なように思われますが、いかがでしょうか。
○政府委員(丸山昂君) 十五時から立入禁止ということは、翌日の射撃実施を考えまして、最低の時間としてこれを定めておるわけでございまして、したがいまして、十五時には立入禁止の実体が備わることが、翌日の演習実施のためには絶対不可欠であるということでございます。 そこで、十五時以前にそういう方が見えたわけでございますが、これは実は二度目においでになった方については、地元の方であるかどうかということについてははっきり私どもは承知をしておりませんが、いずれにいたしましても、時間的には十五時に大変切迫をした時点でございますし、その時点で中へ入られて、いわゆる十五時の時点からはっきりと立入禁止の状態が出るということは事実上むずかしい見通しでございますので、現場の指揮官として、この時点においてそういう措置をとったことは、私どもは適切であったというふうに判断をいたします。
○寺田熊雄君 それでしたら十五時から立入禁止という公示をなさる意味がないでしょう。あなたは、十五時からもう中におっちゃいけない状態にあるんだということをおっしゃったけれども、それだったら、もっと十五時よりも前に時間がなくてはならないんで、入った人に出てもらう必要がありますからね。あの公示は、十五時以降立ち入りを禁止するというあれです。常識的にそういう公示があった場合には、十五時から入ってはいけないということに理解するのがきわめて自然じゃないでしょうか。あなた方のように、十五時のときには、もう中におってはいけないんだと、だから、それよりもっと前に入らすことを禁止する必要があるんだと言うなら、なぜもっと前にさかのぼって時間を設定して入ってはいけないという公示をなさらないんでしょうか。あなた方の公示は国民的な常識に非常に反する公示のように思えますがね。
○政府委員(丸山昂君) 私どもは、現地の指揮官のとりました方が常識的であるというふうに考えるわけでございますが、この二回目に参りました方も、当方の質問に対して、中へ入るということで、じゃどういう目的でお入りになるのかという質問に対して、ともかく中へ入るんだということしかおっしゃらなかったようでございまして、目的その他、現地の指揮官にとってみて合理性のある、説得力のあることであれば、いまおっしゃったような措置もとれると思うわけでございますが、結果的には、私は現地の指揮官のとった措置は正しかったというふうに考えるわけでございます。
○寺田熊雄君 はなはだしい論弁でありますね。平素自由な立ち入りが認められて、許可する、許可しないの問題ではないとまでおっしゃったあなたが、にわかに目的を云為なさって、その目的を時間前に判断して、その判断によって立ち入りを禁止することができるということに置きかえてしまわれたわけですね。大変、非常識的なことは明らかなんですよ。ですから、そういう点はもっと率直に非を認められるべきだと思うんですけれども、そういう強弁をなさる。これはまあ強弁なことは余りにも明らかですから、次に移りたいと思います。 それから、先ほど野田議員から写真の問題が出ましたけれども、新聞記者の方々に発表された写真の中には、当日の写真かどうか非常に疑わしいとわれわれが判断している写真も含まれております。一体、写真を当時写した人は何名おりますか、その氏名をお聞かせ願いたい。
○政府委員(丸山昂君) ただいまのところ、大変申しわけございませんが、何名おって、その氏名が何であるかということについては、私ども資料を持ち合わしておりません。
○寺田熊雄君 しかも、その写真を見ますと、十三時五分に押し合っていたものが、十三時十分になると、急にいわゆる移動式のゲートがなくなってしまっておる。それから、今度はまた十三時十五分になると、再びそのゲートが来て、ゲートで押し合いになるというふうなものもありますし、何か二枚継ぎ合わした写真もあります。私は、ですから、こういうのは裁判事件によくあるのですが、ネガがこう一貫しているわけですね、連続しているんですね。その中から都合のいいものだけをピックアップしたんでは大変実態を誤りますし、それから、その日のものでない写真まで都合のいいものを持ってくるようなこともあるわけですね。これはもう疑いたくないけれども、現実にあるんです。ですから、やはり私は、当時写された人のネガを全部資料として当委員会に提出されることを要求いたします。また、それがなければ実態わかりません、大変なこの事件は水かけ論で、双方の主張が対立しておるんですから、委員長、いかがでしょうか。
○委員長(中山太郎君) ただいまの御提案は、理事会において協議をさしていただきます。
○寺田熊雄君 それから、当時無線で応援隊がたくさんこの現場に密集しました。と同時に、この上にヘリコプターを二台、空中を舞わさしただけじゃありませんで、この住民並びに学生の上に、石を投げれば届くぐらいのところに停止して、その風と、それから何か油のにおいなんでしょうか、いやなにおいで大変住民を威圧した事実がありますが、これはお認めになりますか。
○政府委員(丸山昂君) ヘリコプターを使用しておりますのは、周辺の状況偵察のためにヘリコプターを使用しておるわけでございまして、特に相手方に威圧を与えるとか、そういうことを毛頭考えておるわけではございません。
○寺田熊雄君 結局、あなた方は第一線の指揮官の報告をうのみにされるか——まさかあなた方が指示してこういうような報告をしろというふうなことをなさったとまでは私は思いたくありません。しかし、自分たちが、石を投げられて後から投げ返したんだというようなことをいま強弁しておるのは、何かそういうようなにおいを感ぜざるを得ないんですね。現実にハンドマイクで、弾を込め、撃てと言うのを内藤早苗氏なんかそばで聞いておるわけですね。住民の何人かははっきりとそれを聞いておるわけですね。ですから、私はやはり第一線の指揮官の報告というものは十分吟味していただきたいということを要望いたします。 これは警察庁の方もお見えになっていますが、私どもの体験では、警察官が暴行をしたという事件などを私どもがとらえてその責任を追及するようなことも過去において幾たびかありました。その場合に、警察官が証人として出て、その暴行の事実を全く否認して、被害者の傷害は転んでできたんでしょうというような証言をする、しかし、裁判官がやっぱりそれは暴行によって被害者の傷害は生じたものだと判断をする、そうすると、もう一遍警察の監察官が取り調べますと一線の警察官が本当のことを言う。そうすると公務員暴行陵虐罪や偽証罪が出てくる。それは私ども、警務部長がわざわざ来られて、やめさせますからこらえてくださいと言うのでこらえてやったことがあります。それから、次席検事の依頼で偽証罪の起訴というものもせぬでもいいということでこらえてやったことがあります。そういうふうに一線の指揮官というものが、自己の責任を問われるというようなことになると、上司に正直なことを報告しないということはしばしばあるわけですよ。ですから、あなた方がもっと報告をうのみにしないで真剣に事件の本質なり真相を究明するという態度を率直にとっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(丸山昂君) 私どもも文民統制の一翼を担っておるという考え方から、実態の究明につきましてはできるだけ客観的につかみたいというふうな考え方で対処をいたしております。 さきほど写真の問題について御指摘がございましたが、私は写真のネガについてずっと一応見ております。その結果、先ほど申し上げたようなことで、事実関係については、少なくとも私は確信を持って申し上げられる、御指摘のような事実はないというふうに私は考えておるわけでございますが、一般的に先生のおっしゃったとおりの考え方で私どもも対処したいと思っております。
○寺田熊雄君 あなた方はネガを見ていらっしゃると言う。ネガもすでに取り寄せていらっしゃることがわかりました。それで自己の主張が客観的な事実に合致しているという確信を持っているということも表明せられました。それならば、何でそのネガを当委員会に提出することに支障があるのでしょうか。むしろみずからそれを提出をして身のあかしを立てることこそ必要なんじゃないでしょうか。何となれば、自衛隊が積極的に国民に向かって投石するというようなことは、自衛隊法の法条に照らしてこれはとうてい許されないことでしょう。いまその嫌疑をあなた方が受けていらっしゃるわけですね。これはもう長官としても耐えられないことだと思うんです。だから、違うんだ、違うんだと否定をせられるだけでなくして、それは当然立証し得ると確信をお持ちならば、それは立証なさることが大事じゃないでしょうか。ですから、そのネガを率直にお出しくださるよう。 実は先ほど野田委員が御要求になりました写真、私もすでにあなた方に要求をしておったのに拒否されたわけです。その理由をいろいろ問い詰めていきますと、自分たちが告発されているからということが一つと、それから、その写真に時間が書いてあるからいけないんだということを担当の課長がおっしゃっておりました。私は、もし時間がそんなに気になるなら時間消してもいいよとまで申し上げたんですが、ですから、何でそんなに時間の点を気になさっておられたりなんかするのか、はなはだ判断に苦しむわけですね、いかがでしょう。
○政府委員(丸山昂君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、本件についての第一線からの報告について大方誤りのないものであるという確信を持っておるわけでございますが、繰り返して申し上げますように、本件は刑事事件として告発を受けておる、また、岡山県警を中心として捜査当局がすでにこの件について調査を開始をしておるというふうに承っておりますので、事実の黒白につきましては、捜査当局、他の第三者の機関である捜査当局によって明らかにされるということでございますので、あえて私どもがこれ以上の主張をする必要はないというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 なるほど、捜査当局の捜査の権限をわれわれ否定しようとは思いませんけれども、国政調査権で、われわれは、果たして自衛隊が先に投石したかどうか、その事実は自衛隊にあってはならないこと、久保次官の言われるようにあってはならないこと、恥ずかしいことですからね、それを究明する権限は国会にあるわけでしょう。で、あなた方はその写真の提出、ネガの提出を拒否し得る法的な権限がおありとお考えでしょうか。もし、法的な根拠がありと考えるならばそれを明らかにしていただきたい。
○政府委員(丸山昂君) 私ども告発を受けておる立場でございますので、わが方の有利になる材料につきましては、これは捜査当局にお任せをするというのが至当であるというふうに考えております。
○寺田熊雄君 法的根拠は、局長。私の質問は、法的根拠はどこにあるかということです。——委員長、答弁求めてください。
○委員長(中山太郎君) 丸山防衛局長。
○政府委員(丸山昂君) 特に法的根拠というのはございませんが、捜査に支障を来すことは好ましくないというふうに考えますので。
○寺田熊雄君 じゃ、捜査に支障があるからそれは困るというふうなことが、捜査機関からあなた方に具体的な意思表示があったんですか。
○政府委員(丸山昂君) 特に捜査当局からそういう意向が伝えられておるわけでございませんが、事柄の性質上、当然そういうことになるというふうに私どもは判断しております。
○寺田熊雄君 これは国会の調査権を法的根拠がなしに阻害することでありますので、理事会において、これははっきりと提出を命じていただきたいと思います。 それから、まだたくさんお聞きしたいことがあるんだけれども時間がございませんので、警察庁の方がお見えになっているから警察庁の方に承りたい。 一つだけお伺いするんですが、このトラブルがありましたときに、はるか後方ではありますけれども、私服刑事が二台の乗用車に分乗してここの道路に車をとめておられました。そして、望遠鏡を持ち、これを観察し、かつ写真を撮っておられたようです。この事実はお認めになりますか。
○説明員(山田英雄君) 警察といたしまして、岡山県警といたしましては、今回の日本原基地における反対闘争の警備につきまして、自衛隊側が十六日の午後三時以降に立入禁止にするという御方針でありましたので、それを受けまして、午後三時以降現地に警備部隊を配置するという計画でございました。したがいまして、ただいま御質問の私服警察官を含めまして、ただいまの事件現場には所在しておらなかったわけでございます。したがいまして、警察は現場の状況について写真を撮影しておりません。
○寺田熊雄君 それはちょっと事実と違って、当時住民の婦人の方が、この私服の方と、公示札が三時からになっているんでしょうけれども見てくださいというような話をしている事実があります。ですから、もう一遍それはよくお調べになってください。私は、写真機を持ってこの現場におって写真は撮っているものと見ているわけですね。ですから、参事官も現場からの御報告をうのみになさらず、やっぱりもう一遍その点を明らかにしていただきたいと思います。 それから、さっきもお話ししましたように、警察はいま非常に、自衛隊の方から任されて何か一切を託されたような形になっております。で、学生集団に対しては、私どもよく存じておりますが、第一線の警察官は非常な憎悪心を持っておられます、これは明らかですね。これはもういろいろな事実から私ども確信を持っておりますが、しかし、この事件に関する限りは、そういう憎悪とか、反感とかいうようなことを捨てて、裁判官のような透明な精神で捜査に当たってくださるようによく指揮監督をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○委員長(中山太郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(中山太郎君) それでは速記を起こしてて。
○説明員(山田英雄君) 警察官が職務を執行するにつきまして、常に冷静沈着でなければならないことは当然でございます。この点につきましては、特に全国都道府県警察に、十分に第一線警察官に教養を徹底するようにいたしておるところでございます。ただ、この日本原基地反対闘争に限りませんが、日本原に限って申し上げますと、四十四年の未から極左暴力集団による反対闘争が大変盛んでございまして、十三件七十三名に及ぶ検挙をしております。それだけ違法行為が発生しておるということでございます。したがいまして、この反対闘争を常習的に展開する極左暴力集団に対しましては、警察といたしまして、違法行為を鎮圧検挙する、予防するという立場から、厳に視察、警戒を徹底しておるところでございまして、それだけの職務上の必要性に基づいて行動しておるわけでございます。ただ、その場合でも極左暴力集団なるがゆえに、特別の心情を持って対処するというようなことのないことはもちろんでございますので、御理解賜りたいと思います。 それから、先ほど先生、警察官が職務執行につきまして虚偽の事実を証言するというようなお話もございましたが、この点につきましても、治安維持を国民から負託されている警察でございます。職務執行を厳正にして、その言動から国民の信頼を裏切るようなことがあってはならない。この点につきましても、十分に注意して教養を重ねておるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。 なお、写真撮影の件につきましては、私ども十分に詳細な報告を受けております。警察官が撮影した写真はないということでございますので、重ねてお答え申し上げます。
○寺田熊雄君 終わります。
○太田淳夫君 最初に警察庁にお尋ねいたします。 現在、警察庁としましては、どの程度この事情を掌握されているのか、まずお答え願いたいと思います。
○説明員(山田英雄君) 五月十六日に発生した事件につきましは、十八日に告発を岡山県警において受理しております。したがいまして、所轄の勝英警察署に県警本部の警備課長を長としまして四十人で編成する五・一六日本原事件捜査本部、これを設置いたしまして、鋭意事案の真相を解明すべく捜査を行っている段階でございます。 ただいままで行いました捜査は、昨日事案の発生現場である現場の実況見分、それから、当日この事案以後、自衛隊の車両に対し暴行を働きかけて損壊した事案もございます。その実況見分もあわせて行なっております。ただ、取り調べ関係につきましては、一昨十八日に、けがをされたという方の氏名を添えて告発がございましたので、弁護士の方を通じて被害申告を早急に行うよう申し入れておりますが、ただいま現在出頭されておりません。したがいまして、現在捜査は自衛隊関係者を中心に進めておるわけでございます。
○太田淳夫君 次に防衛庁にちょっとお聞きいたしますが、この日本原演習場に関係いたしまして、いままでもいろいろな問題点があったと思いますが、その問題の所在点についてお答え願いたいと思います。
○政府委員(平井啓一君) 日本原演習場は、昭和三十二年に、終戦後それを使用しておりました在日米軍から日本側が返還を受けまして、その後防衛庁としてこれを引き続き演習場として使いたいということで、地元の間といろいろ話し合いを進めていたわけでございまして、その間長い歴史を持った演習場でございますので、国有地部分と、中に民有地等も介在している場所もございます。あるいは国有地の部分につきましては農耕等を地元に認めていたような地域もございます。あるいは長い間の慣行として、場内におきまして草を刈ったり、樹木の下枝を刈り取ったりするというような地元の農民の方の生業目的に沿った慣行等も存在しておりました。そういった点を地元といろいろお話し合いをしながら、演習場が安定的に使用していけ、地元の方々の理解の上にも立って使っていけるような話し合いを進めていたわけでございます。そういった点を含めまして、地元との間に昭和四十年に使用協定というものを結んでおります。さらに、演習場の地域に関しまして、若干保安地域として防衛庁側としては臨みたい部分もございました。この部分につきまして、地元との話し合いのもとに、その保安用地の買収と、その地域に居住しておられる地元の方たちの移転の補償、そういった手続もとってきて今日に至っている状況でございます。
○太田淳夫君 この演習場につきましては、昭和四十五年の四月二十一日にも紛争がございましたね。当委員会からも同僚議員であります八田一郎氏、矢山有作氏、峯山昭範氏の三人の同僚議員が委員派遣で現地に視察に行っております。その報告の中身を見ますと、やはり「実弾射撃演習を含めて、日本原演習場問題については、十分に話合う余地があり、十分の対策を行ない、地元民に現状と同じ生活、さらにそれ以上のよい生活をなし得るよう国をはじめ関係機関が積極的に努力することによって十分解決の糸口がみつかり、解決し得る問題である」と、このように報告をされております。特に、演習場内での耕作地が、東地区への砲撃が行われることによってその弾道下になるということも考えますと、これら農民に対する補償等について抜本的な対策を考える必要があるとこういうふうに四十五年の五月の十三日の当委員会におきまして報告がされているわけです。 それで、防衛施設広報というのがございます。これを拝見しますと、昭和五十年十月五日及び二十日合併号というのがございますが、これにいま参事官がお答えになったような趣旨のことが書いてあるわけですね。東地区での射撃のための条件整備として、場内耕作地の整理あるいは保安用地の取得買収あるいは家屋移転を図る必要があると、こう三点が書いてあります。この委員会視察が行われましてから約五年半これがかかっているわけでございますが、こういった委員会視察によって国に対して要望が行われましたが、それに対しての反応が非常に遅いんじゃないかと思うんです。五年半たちましても同じようなことがやはり問題点として残っている、そういうことが私問題じゃないかと思いますが、その点についてお答えを願いたいと思います。
○政府委員(平井啓一君) ただいま御指摘のありましたような経過のもとに、主として、これは直接的には防衛施設庁が担当いたしまして、呉の防衛施設局が地元の町当局なり関係の住民の皆さんとお話し合いを進めていたわけでございます。たとえば保安用地の用地買収なり移転の補償につきましても、やはり長年住みなれてこられ、長年耕作をしてこられた場所から去られるわけでございます。それぞれ個人のお立場もございますし、また、残念ながら、たとえば現地におきます宮内部落とか、あるいは成松の部落というような地域が当該地域でございますが、中にはやはりこの用地の買収問題に基本的に反対の立場をとっていられる方々もございまして、現にその方たちが存在しておられるわけであります。そういった方たちの説得とか、そういったものを含めた現地の折衝に御指摘のように時間がかかっているわけでございます。ただ、四十五年にそういった御指摘もあり、地元と話し合いを進めまして、昭和四十六年度から逐次そういった問題の解決を予算の背景のもとに今日まで執行してまいりまして、徐々ではございますが実績を上げて今日に至っているという状況でございます。
○太田淳夫君 また、その報告の中に、「従来の基地周辺対策事業のなかには演習場に直接関係する部落に対する補償となっていない点もある」といって、町民の方々が不満を述べられてみえます。こういった基地周辺のいろいろな問題が起きてくるということは、やはり基地の周辺対策事業というものが、いろんな困難もあると思いますけれども、まだスムーズに行われていないという点にあると思います。 この問題日本原を含めまして多少基地周辺の問題につきましてちょっと質問してみたいと思いますが、たとえば、いま基地周辺の住民による騒音問題を中心にしました基地公害があります。あのファントムの配備差しとめ訴訟がいま行われております。自衛隊の小松基地、あるいは五十一年度にファントム配備が予定されています自衛隊の築城基地では、その白紙撤回要求などがいまされております。そこにこの日本原問題が起きたわけでございますが、政府は、ことしの一月の十六日に基地問題閣僚協議会というのが開かれましたが、ここで、基地問題について政府全体が取り組む、こういうことが決定したわけでございますけれども、その後、この基地問題閣僚協議会が開かれ、どのようなことがここで検討されたかお答え願いたいと思います。
○政府委員(斎藤一郎君) ただいまお話がございましたように、基地問題はやはりわが国の存立と国民の生存を支える防衛にかかわる非常に重要な問題である。ことに、昨今国内が非常に都市化してまいりまして、いろいろ基地周辺の住民の生活の環境を害する問題が出てきておるということで、この問題を私ども非常に重要視しておりますが、いまお話ございましたように、防衛施設庁だけではなかなか解決しない。防衛庁挙げて、あるいはまた国の各関係省庁を挙げてこの問題に当たっていくということが必要であるということで、いまお話がございましたように、一月十六日に基地関係の関係閣僚会議を開催していただいて、まず当面、お話がございましたように、航空基地周辺における騒音の問題が大変重要な問題になっておりますので、これについて関係閣僚の理解と御認識をいただいて、そうして、今後関係省庁が協力をする、そして個別に必要に応じて実務者レベルで会合を持ち、さらに、必要があれば関係閣僚会議も開催するということになっておりますが、それ以後関係閣僚の会議は持っておりませんが、実務者レベルでもってそれぞれ関係省庁の協議をして問題に対処しております。さらに今後、騒音関係だけでなくて、日本原のようなものについても、必要に応じそういった関係省庁の協力を得たいというふうに思っております。
○太田淳夫君 いま騒音対策も出ましたけれども、騒音の対策として、基準の八十五以上ですかの地域は、五十三年十二月までに六十五以下にするということでございますけれども、この全体の戸数としても約十万戸、費用にして約二千億円必要であると見込まれていますが、五十一年度予算ではどの程度のものが計上されたわけですか。
○政府委員(銅崎富司君) 騒音防止事業全体といたしましては、五十一年度二百五十億計上いたしております。それから、特に民家の防音工事ということで二千戸、たしか三十数億を計上いたしております。
○太田淳夫君 そうしますと、約十年計画ということですね。そんなことでは非常に周辺の住民の被害というのは救われません。したがいまして、もっと基地周辺整備法の推進を要望しておきたいんですが、この整備法のたてまえですと、事業費の約七割から九割までが国の負担になっていますけれども、現実には地元の負担が多くて非常に困ってみえるわけです。たとえば小松市ですと、三十六年以来の基地周辺整備事業費で五十億円のうち防衛庁の補助は約三十八億円です。したがって、起債の金額を加えますと約三十億円というものが市の持ち出しになっているわけですが、こういった点のやはり改善を図るべきじゃないかと思います。 いずれにしても、この事業を進めるに当たりましては、地方自治体の出費が多過ぎますので、地方公共団体の締めつけになりかねないし、したがいまして、私どもとしましては、早く全額国庫負担の補償方式による基地対策を考えるべきじゃないか、このように思うわけですが、その点についていかがでしょうか。
○政府委員(斎藤一郎君) 従前、御指摘のように周辺対策は補助でもって賄う面が非常に多うございましたので、地元市町村の負担すべき割合が、ほかの補助に比べると非常に少ないんですが、若干ございまして、それが昨今の地方自治体の財政状態から見てだんだんまた負担になりつつあるということは御指摘のとおりでございまして、私どもも十分認識しておりますから、今後の予算編成の上に当たって、十分そうした配慮を取り入れ、その方向に向かって少しでも前進するように努力したいと思っております。
○太田淳夫君 この日本原演習場と同じように、呉の防衛施設庁の範囲にあります呉市ですが、ここには自衛隊の施設がたくさんあります。総価額にしまして約八十九億円の資産のうち、基地交付金の対象になっておりますのは、海上自衛隊関係ですと吉浦燃料貯蔵庫と大麗女弾薬庫の二カ所しかないわけです。ですから、自衛隊基地に対する交付金ならば、その土地を提供している地元にもっと交付すべきじゃないかという要望も出ております。したがいまして、私どもとしましては、交付金の対象資産を拡大したり、あるいは自衛隊の使用する港湾施設あるいは特定飛行場周辺の指定区域内において国が買い入れた土地及び自衛隊の飛行場の設備とか営舎施設ですね、こういうものをやはり交付金の対象資産に加えて、その土地を提供している、地域を提供している市の財政に、これは大きくもっと寄与すべきじゃないか、こう思うんですが、その点いかがでしょう。
○政府委員(斎藤一郎君) ただいま私どもが基地対策の基本の法律にしておるいわゆる基地周辺対策整備法は、四十九年に法律ができまして、五十一年ですから三カ年目に入っておるわけでございますが、この法律に基づいて周辺対策をやってまいりました場合、やはり現実から照らしていろんな気づかれる点がございます。ただいまお話がございましたように、呉の場合を例にとってお話でございますが、基地面積は非常に大きいけれども、その基地の態様から言いまして、大変その爆音が多いというわけでもないし、大砲を撃つ訓練をするわけでもないしというようなところについては、面積が多いわりにその土地におりる国の費用というのが非常に少ないとか、いろんな問題を、だんだん三カ年目になりますと、私どもも現実に照らしてそういう問題の認識を深めてまいっておりますので、今後、現行法の中でできるものは極力検討して改めてまいりたいと思いますし、あるいは今後、さらに基本法を幾らか改正すべき点があれば、またよく検討した上でそういう措置も考えてまいりたいというふうに考えております。
○太田淳夫君 最近、基地演習場の用地難に悩む防衛庁は、使いぐあいの悪い演習場の一部ないし全部を売却し、プールした代金を代替地の取得に充当する意向を固めたと、このように報道されておりますが、そういう意向がいまあるんでしょうか。また、今国会に提出、成立をさせたい考えであるということも一部新聞で報道されておりましたけれども、これは一月二十五日ですか、その後この計画はどのようになっているのかお伺いします。
○政府委員(平井啓一君) 主としてこれは陸上自衛隊の演習場でございますが、陸上自衛隊の演習場、全国に所在しておるものにつきましては、必ずしも現在の演習所要を満たすだけの規模ではないという点、立地条件等も制約を受けているという点がございますが、特に都市周辺におきましては、周辺の都市化現象等から非常に効率の落ちている演習場等が所在しております。そういった演習場を、むしろその他のさらに有効な利用に転ずるということによって処分をすると同時に、一方において、取得の可能な演習場を取得するということによって演習場の効率化を図っていくと、そういった基本的な考えを持っておりまして、これを法案の形で何とか整えたいと思って検討はしておりましたが、今日の段階におきましては、国会の御審議を今国会でいただくという段階には至っておりません。
○太田淳夫君 私の最後の質問としましては、先ほど防衛庁長官が、この事件に関連しまして同僚議員の質問に対する答弁の中で、極左暴力集団と思われるそういう集団によって、投石、竹やりによって負傷したと、自衛隊員としては、若いから、身の危険を感じて発作的に衝動的に投石をしたのではないかというお話がありましたが、新聞報道によりますと、十三師団の幕僚長の方のお話の中には、あくまで正当防衛だと、こちらの方が被害者だと、隊員らは興奮してはいなかった、こういうお話があります。長官のお話ですと、非常に身の危険を感じて発作的、衝動的ですから、相当興奮をしたんじゃないかと思っていましたら、非常に冷静であるというお話ですけれども、これは一体どちらが正しいんですか。この幕僚長は現場にやはりみえたわけでしょうか。
○政府委員(丸山昂君) 幕僚長の発言につきましては、その真意をまだよく私ども伺っておりませんが、全般として統制のとれた活動をしたということであると思います。ただ、先ほど大臣から申し上げましたことは、一部に投げてきた石を投げ返したということが全くなかったとは言えないような事態であるというふうに私ども考えておるわけでございますが、それは恐らく相手方から竹ざおでつつかれ、石を投げられて、身の危険を感じて発作的にやった行動ではなかろうかという私どもの判断を申し上げておるわけでございます。
○太田淳夫君 最後に、やはり基地の周辺の整備事業をさらに拡充を急いでもらいたいし、また、周辺の市町村との緊密な話し合いを重ねていただきたいと思います。長官としての、今後のこういった事件が二度と起こらないように、どのような方策を立てられるか、そのことをお聞きして終わります。
○国務大臣(坂田道太君) 先ほど施設庁長官から申し上げましたとおりに、私、閣僚協議会を開きまして、単に防衛庁のみならず、関係各省庁がやはり一致して、この基地周辺の住民の諸対策を総合的にやらなきゃならぬというふうに思っておりますし、現在の法規の中ででも、予算的にも運用上そういうことが可能であるならば、各省庁積極的にそういう施策を行って、そして、やはり基地のある市町村あるいは市町村住民と、それから基地のないところの市町村住民とでは、非常にそこに格差がございますし、基地があるところは騒音もひどうございますし、トラブルも起こりますし、また、住民も不満な点も残るわけでございますから、いささかでもそういうようなトラブルが軽減されるように、われわれとして、国として総合的にやらなきゃならないというふうに私は考えておるわけでございます。今後とも、この周辺地域の住民施策につきましては、いろいろと配慮をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○峯山昭範君 これは長官、当内閣委員会におきまして、この日本原演習場の問題についてはたびたび取り上げられている問題でございます。特に昭和四十五年当時は、地元の議員さんもいた関係もございますけれども、当内閣委員会でも相当議論をされましたし、また、先ほど話もございましたように、当委員会から委員長初め現地へ派遣をする、そして実情をお伺いするというようなことまで起きたわけです。その後、先ほど警察庁の答弁でもございましたように、一部の学生の皆さんの検挙の件数も、十三件、七十三名の皆さんが検挙をされると、こういうふうな事件がたびたび起きているようでございますが、われわれ地元におりませんので、こういうことを詳細にお伺いすることはいままでなかったわけです。したがって、当委員会でも、この問題を取り上げて云々ということはいままでなかったわけですけれども、こういうことがたびたび行われるということは非常に私問題だと思うのです。これは大臣がかねがねから、大臣は防衛力がその機能を十分に発揮するためには、周辺住民の理解と努力による周辺整備の安定的使用が不可欠であると、大臣しょっちゅうおっしゃいます。そういう点から考えてみますと、私はまず第一に、大臣が言うように、周辺住民の理解と努力、これを十分得るためには、一体防衛庁はどういう努力をしているのか、どういうやり方をしているのか、これは、ただ単に今回の日本原だけの問題じゃございませんでして、たとえば、いまロッキードの問題で大きな問題になっておりますP3Cの問題一つにいたしましても、P3Cがどうして必要なのか、対潜哨戒機というものが、現在米軍が使っているような、太平洋から全体の海を引き受けて潜水艦を探しているような、そういう米軍が使っているような対潜機というものが、いわゆる戦争放棄した日本の自衛隊がどうしてそういうようなものが必要なのかという具体的な説明は、私自衛隊にたびたびお伺いしていますけれども、具体的に聞いたことは、何にもないわけです。やはり、そういうふうな一つ一つのものについて、国民にやっぱり具体的に知らしめる必要がある。なぜこの日本原の演習場で自衛隊はこういう演習をしなければいけないのか、そこのところの理解がやっぱり十分なされていない。そのために、私はこういう事件が起きるんじゃないかということを現地にお伺いしましてしみじみ感じたのをいまでも覚えております。この着弾地をはさんで、いわゆるその弾の下をくぐって耕作に行かなくちゃならないという人も現実にいるわけですね。さらには、先ほどから説明ございましたように、入会権の問題や、何やかやと、戦後そういう米軍に接収されていた時代もありましす、そういうようないろんな地元住民の皆さん方の感情というものを考えてみますと、もっともな点もずいぶんあるわけです。そういうような観点から考えてみますと、大臣、やはりこういう問題をなくしていくためには、やっぱり具体的に地元の皆さん方が本当に納得できるような話し合いというものを、これはちょっとぐらいいままで話し合いやっていたと、やっているけれどもだめなんだと、こう言いたいかもしれませんが、これはやはり、私は現在の実情から考えてみましても、根気強く、本当に根気強くやらないといけないと私は思うのです。先ほどから防衛局長がおっしゃるように、感情で、身の危険を感じたから、いわゆる長官のあれで言うと正当防衛で石を投げ返すというような、これはもうこういうようなことじゃ話になりませんし、そういうようなことがないように、やはり徹底的に訓練をすると同時に、やっぱり防衛庁自身が徹底した話し合いと、徹底したこういうことを理解せしめるために本当に知恵をしぼる、そういう姿勢でなきゃいけないんじゃないかということを私はしみじみともう感じるわけです。そういうふうな意味で、私は大臣の今後の姿勢と、それから、今後こういうような問題に対して、大臣がかねがねからおっしゃっている、この周辺住民の理解を得るということが第一だということを実際に実施するために、今後はやっぱりこういうようにやっていかなきゃいけないんじゃないかということを感じるわけです。そういうような意味で、きょうは残り時間ほんのわずかでございますので、大臣の所信をお伺いして私の質問は終わっておきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) いま先生おっしゃいましたことは、全く私同感でございまして、私もそのつもりで防衛庁長官としての責任を果たしたいというふうに考えております。かねがね申し上げておりますように、私はどんなに精強な自衛隊が存在し、どんなに優秀な装備を持っておりましても本当に国民の理解と支持と協力というものがなかったならば、それは防衛力にならぬという考え方を持っております。そして、具体的に申しますと、たとえば自衛隊の施設は必要だ、基地は必要だ、必要であるということを、やはりその周囲の住民の人々がよくわかる、またわからせる努力を、おっしゃいますとおりに根気強くやらなきゃいけない。そしてこの理解を求めつつ、われわれのどうしても存在が必要であるということのために、もし御迷惑をかけておる点があるならば、その点について少しでもそのトラブルが起こらないように、あるいはいろいろの御迷惑を何らかほかの形において軽減するような施策を、たとえば文教の施設でも、あるいは福祉施設でも、体育館その他いろいろの面につきましても、生活環境の整備に国全体として総合的にその地域に当たらなきゃいけないんじゃないだろうかというふうに私は考えておる次第でございます。
○岩間正男君 日本原演習場の問題についてお聞きしますが、自衛隊は、事件当時、午後三時からの演習場に立入禁止を事前に通報しておきながら、その一時間半も前に地元農民の立ち入りを拒んだと言われている。これが発端で自衛隊の投石が行われ、混乱が巻き起こされたというふうに考えられるわけですが、このような約束無視で、一体今後とも自衛隊の演習を繰り返す気でおられるのかどうか、この点長官から伺いたい。
○国務大臣(坂田道太君) 日本原演習場地区におきまして、射撃演習を行うために、五月の八日、地元の住民には関係機関を通じまして、五月の十六日十五時から十七日十八時までの間の立入禁止について、区域を明示して数回にわたり通報をいたしております。十六日十三時十五分ごろ、地元住民が禁止区域入り口に参りまして、弾着地域の伐採状況を見たいという申し出がございました。現地の中隊長は、この道路は自衛隊の専用道路で射撃準備のため車両が錯綜して危ないので、南の町道を回るよう説得しておりましたところ、赤ヘル、青ヘルを着用し、タオルで顔を覆った……
○岩間正男君 聞いたことに答えなさいよ。
○国務大臣(坂田道太君) 極左暴力集団約六十名が青竹等を持ってあらわれましたために立ち入りを阻止したという報告でございます。先生は、何かこちらが投げかけたというふうにおっしゃいますけれども、われわれの報告ではそうではございませんで、向こうのいわゆる暴力左翼集団と称せられる青ヘル、赤ヘルの、タオルで顔を覆った者たちが、竹やりを持ったりあるいは石を投げたりした。そのために、こちらがこれを阻止しようと努力したという事実なんで、その辺のところ非常に大事なところですから、間違いなく。
○岩間正男君 聞いたことにずばっと答えなさい。そんな紙に書いたそういうものを読んでいる時間なんかない。そうして、しかも時間を制限されて聞いているんですよね。だから、私聞いているのは、午後三時からの立入禁止というふうにしておきながら、実際は一時間半前に立ち入ったのを、これに対していろいろ制限を加えた。そうすれば、自分で約束しておいた自衛隊の約束を破ったのは自衛隊そのものなんだ。こういうことをやっておいて、そうしてこの住民の信頼とか何とか言ったって話にならぬのだが、こういうことを繰り返すのかどうかと、こう聞いている。繰り返す気があるんですかないんですか、はっきりその点言ってください。
○国務大臣(坂田道太君) 十五時に決めたことはちゃんと決めたわけでございますから、それに従って……
○岩間正男君 そういうことをまたやるのか。
○国務大臣(坂田道太君) 十五時に決めた、そういうようなことは、やはり決めたことは実行いたしたいと思います。しかし、こういうことは相手が……
○岩間正男君 よけいなことはいいです。
○国務大臣(坂田道太君) 相手がこういうような、青ヘル、赤ヘルかぶって竹やり持って自動車で乗り込んでくる。そういうおそれがあるときには、やはり住民の安全のために注意をしたり、どうでございましょうか、南の方の道へ回ったらどうですかと言う方が私は常識にかなっていると思うのですよ。
○岩間正男君 約束の問題について聞いているんです。先ほどもありました。そんならもっと早く立入禁止をしておいて、そうしてそういう危険があるならそれに対処するようにすればいい。三時と言っていながら一時半から制限するというのは、明らかに自分で出した約束を自分で破っている、こういうことをやっておいて、何の一体自衛隊に対する国民の信頼かと私は言っている。こういうことは今後しませんと、こう言うべきでしょう。それははっきりそう言いますか、どうですか。簡単でいい、一言でいい。赤ヘル、青ヘルなんていう、そんなことは要らぬ。
○国務大臣(坂田道太君) 住民の方に約束したことは果たしたいと思っております。
○岩間正男君 今度は明らかにこれは果たしていなかった、約束を無視した、そこからこの問題が発生したということはこれは明らかだというふうに思う。 それから次に聞きますが、演習がこれは強行されるのですか。とにかく刑事問題になってこれ調べているのだから、演習はやめるでしょうね、強行しないでしょうね。
○政府委員(丸山昂君) この事案が起きましたのは十六日でございまして、十七日に演習は無事終了いたしております。
○岩間正男君 今後の演習について言っているので、こういう事態の中では少なくともこれは禁止すべきだと思う。刑事問題になっていま調査している。そういうときにまた演習は今後これはやるのですか、継続してやるのですか、どうですか、その点だけ、やるかやらぬか。
○政府委員(丸山昂君) 演習計画は引き続き予定どおり実施いたしたいと考えております。
○岩間正男君 重大な問題だね。こういう立場だ。全くそれはもうごり押し、一方的に天下り、自分のことだけは正しい、こういうことでどうして信頼が得られますか。 次に聞きます。こういう場合に、警察の警備上の責任というのは、これはどうなるのかね。現に七年前に地元の高校生が同演習場内で対戦車砲の不発弾で死亡するという痛ましい事故が引き起こされている事実がある。こういうような不発弾の処理、あるいは流弾などの危険を避けるための町民の生活と安全を保障する対策、これを警察はどのように立てているのですか。これも時間の関係から簡単にやってくださいよ、こうこうこうと。
○説明員(山田英雄君) 警察といたしましては、反対行動が違法行為にわたる場合に、それの予防、鎮圧、検挙に当たるということでございます。今回の演習につきましても、極左暴力集団の妨害行動が事前に予測されましたので、十分な警戒体制をとっておったわけでございます。当日は午後三時から自衛隊が立入禁止措置を講ずるという通報に接しましたために、同時間帯以降で所要の警戒警備活動をとるために、約百人の部隊を配置する計画を立て、そのとおり実施したわけでございます。
○岩間正男君 私聞いているのは、自衛隊に対して警察はどうしたかということを聞いているのじゃない。流弾とか、いろいろ危険がやっぱり伴う。地域住民を守る警察の当然の任務からどのような対処をしているかと聞いた。ところが全然そういう行動はない。いまのような警察の演習に即応した体制だけについて話されている。そこに一つやっぱり大きな問題がある。これははっきり指摘しておかなければなりません。 第三の問題は、現地農民の権利の問題です。昭和四十一年当時、呉の防衛施設局の出口正男局長はこう言っている。演習場を全面的に使用する場合、代替農地の造成や、畜産事業の助成等民生安定施策を強力に推進する必要がる、こういう談話を発表している。しかし、これらの言明は、事実上これは果たされていないではないですか。演習場周辺の農民の耕作権は、これは十分に尊重されない、生活上の諸権利はじゅうりんされ続けている。これがこういう問題を起こす一つの根本的な原因になっているのだ。この点について、全くこれは不十分じゃないですか、どうなんです。
○政府委員(斎藤一郎君) ただいまお尋ねの本演習場の使用に当たっての現地との協定というものは別にございませんが、本演習場の使用に当たって、関係地方公共団体あるいは関係住民と十分話し合いを行って、了解を得て、周辺対策を行っていこうということは、従前努力しておるところでございまして、先ほど来申し述べておる周辺整備法に基づいて圃場整備を行ったり、畜産事業を行ったりしております。こうした事業は関係地方団体の意向を十分に伺って、そうして調整をしてやってきておるものでございまして、それによって関係住民の障害も緩和されていくというふうに考えております。今後ともそうした方向で協力をしたいと思っております。
○岩間正男君 私は基地問題、これは二十数年来取り組んできたんです。どこの基地に行ったって、もう問題が本当に山積みだ。帰って聞くといまのような答弁必ずやる。まるでこれは食い違いがある。物すごい現地の農民の感情、生活の実態、そういうものとは食い違いがある。そうしてその不満が、生活を支え切れない、もう下から崩れてくる、そういう問題になって問題が起こるんです。それに対して十分な手が届いているかと。話し合いはしている、かっこうだけだ、あるいはボスと話をしている。しかし、本当に生活に苦しんでいるそういう人との話し合いは全くやっていない。北富士なんか典型的ですよ。私はそういう実態を見ている。そうして問題はどうかというと、そういう対策というものは全く申しわけ的だ。防衛施設庁は、結局農民からの任意買収だといっていろいろな圧力や懐柔政策、そうして土地を買い上げ、演習場の拡張強化のために奔走する。そうして全面使用ということをたくらんでいく、このやり口のもう連続じゃないですか、あらゆる基地の問題というのは。私はもう本当にいままでそういう体験です。これで一体どうして農民の生活と権利が守られるか、だから基地そのものがもうだめなんだと、これじゃ。基地によって全く地域住民の生活は破壊されるのだ。ここのところは非常に重大です。この問題について坂田防衛庁長官、十分にあなた考えなければだめですよ。全くそういう点についての政治的な考慮というのが足りない。いいですか。うなずいているが、十分にそれ検討しますかどうですか、一言だけでいいですよ。
○国務大臣(坂田道太君) 一般的な問題としては、先ほどお答えをしましたとおりでございまして、やはり国民の理解と支持と協力ということを根気強く続けなければならないというふうに考えております。
○岩間正男君 地域住民のそういう要求については、これは本当に長官もちょっとわらじ履きで行ってみたらいいんだな。そのところの地域住民の要求を本当に引き上げて、そうしてその問題に対処する必要がある。私たちは基地には反対の立場をとっているのだから、現状としてそういうことが起こっている場合には、とにかくそれに対する対策を講ずるべきだ。 次に、自衛隊の奈義町民に対する思想、身元調査等不当な監視活動についてただしたいと思います。町民の間では、調査隊がすでに二、三年前から、町民の思想、身元調査を行い、演習場の拡張に反対する町民の監視活動を執拗にやっている、こういう実情が、現地ではもっぱらこれは問題になっているわけです。で、四十九年の四月、日もはっきりしていますが、二年前ですね、四月五日のことですが、山中元防衛庁長官は、参議院予算委員会の分科会で、私の質問に対してこう答えている。「自衛隊は、本来の任務として、国民の思想、信条の調査をするような立場にございません。」、こうはっきり答弁している。これは憲法上当然の私は発言だと思う。坂田防衛庁長官も、この答弁に異議はないと思うのでありますが、念のためにはっきり所信を述べておきなさい。
○国務大臣(坂田道太君) 岩間さんも御承知のとおり、私もそういうふうに思っております。
○岩間正男君 これは確認しておきますよ。ところが、実際はそういうふうになっていない。だからそういう立場から言えば、当然、奈義町で行われているこの調査隊などのスパイ的な思想調査を直ちにやめさせる、その結果を調査して、速やかにこれは当委員会に報告をさせたいと思うのですが、いかがですか、約束できますか。
○政府委員(丸山昂君) ただいま大臣からも申し上げましたように、個人の思想調査というようなことは、本来私どもの調査権でやるべきことではないし、現にやっておらないと思いますが、ただいまの先生の御質問のような点についてはよく調査をいたしまして御回答を申し上げたいと思います。
○岩間正男君 やっておらないんじゃなくて、やっていて問題になっているんですよ。そういう事実があるからこれを調査してそういうことをやめさせる、そうしてその処置について報告をしていただきたいと、こう言っているんですからね。いいですか、やっていないなどというのは、あなたたちの机上の空論で、それで判断されちゃ困るわけです。現実にそういう問題が起こっているわけですよね。だから、これはようございますね、これは確認しておきたいと思います、当然だと思うから。これは長官の憲法を守る立場から、自衛隊はスパイ活動、このような調査活動はやらぬと、スパイ的な調査活動はやらぬと、思想、信条のこういうものについては、これは本当に被害を起こすようなやり方はしないと。こういうことが確認されれば、当然それが事実に反する事態が起こっていれば調査をして報告すると、ようございますね。いいですか、簡単でいいですよ、するかしないか。
○政府委員(丸山昂君) 日本原でそういう事態が起きておるということは、私ども残念ながら伺っておりませんが、よく調査をいたしまして報告をいたします。
○岩間正男君 確認しておきます。 次に、この際、基地問題に関連して私はお聞きしたいんですが、これは北海道八雲のナイキ基地建設の問題です。 八雲では、ナイキ基地の建設に伴って目下地域住民の反対運動が盛んに行われていますが、この事実を御存じでしょうか。
○政府委員(平井啓一君) 十分承知しております。もう少し詳しく御答弁申し上げましょうか。 昨年の十二月に端を発しておりますが、昨年の十二月初めに、かねてから地元町長からあの八雲飛行場を地元のために解放してほしい、返してほしいという御要望があったんです。それには御期待に沿うわけにはいかないという御返事をしたところ、その後町議会でいろいろ検討をされて、八雲の飛行場が地元の利用に供されないならば、自衛隊であそこを高度活用すべきだという議会の決議をいたしました。それをもとにして一月、町長と議長とで自衛隊の高度活用の要請をしてこられました。それに基づいてあそこにナイキの一高射隊を設置したいという申し入れをしたことから、地元におきまして住民の一部に反対の声が起こってきたということは事実でございますが、しかしながら……
○岩間正男君 もう時間がないからね。 そこで、お聞きしますが、八雲のナイキ基地設置に当たって、八雲の北口町長は防衛庁との間に二月二十三日に受け入れ条件として事業援助の合意書を取り交わしていると言われておりますが、その内容を簡単に報告してほしいと思います。
○政府委員(斎藤一郎君) ただいまお話しいただきました八雲駐とん地に航空自衛隊の高射隊が配置されることについて八雲町長から御要望がありました。それはPOL用地、いわゆるPOL用地というものを解放してほしいとか、あるいは特定防衛施設の指定を考えてほしいとか、基地内及び周辺の危険防止対策をやってほしいとか、あるいは早期に工事に着工してくれとか、そういったことを入れまして合計十四項目の要望がございました。これに対してわが方では検討の結果回答を申し上げております。それぞれ回答を申し上げておりますが、その中の一項目に、基地周辺の環境整備等十分やってくれといって四十七件の御要望が出ております。これは非常に件数が多うございますが、今後、個々の具体的な実施計画を待って、そしてわが方も可能な限り検討の上、御期待に沿うように努力してまいりたいという趣旨の回答をいたしております。 以上であります。
○岩間正男君 それで、この四十七件の要望事項ですね、この内容について検討されたと思うのでありますが、われわれの調査によりますと、これはほとんど基地周辺整備の交付金、補助金を頼って地域の総合開発をやってしまおう、十年間四十七年から五十五年ごろぐらいまでね。そしてその中には町立八雲病院、それから中学を建設する、じんかい焼却場、町民体育館、保育所改築、僻地患者輸送バス、児童公園、保健衛生センター、上水道、消防施設、防火用水路、集会施設、交通安全、郷土資料館、図書館、運動公園、スキー場、キャンプ村、学校給食センター、農業用排水、除雪機購入、幹線排水路、橋梁、それから町道ですね、あらゆるものだね、全部だ、四十七件というのはこういうことなんですね。これは全部果たせるんですか、そうしてこの金額というのは八十七億、八十七億の交付金なり補助金を出して、それでそれと引きかえにこのナイキ基地をあくまで建設すると、こういうことですか、どういうことなんだ。
○政府委員(斎藤一郎君) 八雲については先ほど平井政府委員から御答弁申し上げたように、町議会で議決をされて、そうして航空自衛隊を配備してもらいたいという御要望でございますので、私どもとしてはその御要望を踏まえて、高射隊の配備があるというケースというふうに理解しておるわけでございますが、先ほど来申し述べておりますように、基地ができることによって周辺の方々に大変な環境上の不都合、御迷惑をおかけするということが一方においてございますので、そうした問題に対しては先ほど来申し述べておる防衛庁施設周辺生活環境整備法に基づいて、法によって行えることはできるだけ行い、また予算上許すことはやっていって、そして地元の御要望におこたえするということが、事柄が円満に、円滑に進むゆえんではないかというふうに考えております。
○岩間正男君 全部やるかと聞いているんです。それから、その中で郷土資料館とか、図書館とか、それから児童公園整備とか、これは実際基地周辺対策の何をはみ出るんじゃないですか、町は全部オールマイティーですよ。八十七億の予算をもらって、町の十年間の建設を全部これにすがって、それで今度はナイキの基地を身がわりとして提供すると、こういうことなんです。 そこで、いかにもやるようにあなたたち言っているけれども、周辺基地対策整備法だってこんなふうにできないですよ、八十七億出せますか。こんなことをやっていたら日本の基地全体で一体何兆の金も要るんですよ。できないことをいかにもできるように、そしていかにも可能性があるような口実、できるだけやりますと、できるだけやりますったって実際はできやしないでしょう。これは北富士演習場の場合だってはっきり私は身をもって感じ取っているんですよ。そういうところを実際いかにもやるというのは、これは懐柔政策だ、自衛隊は本当に地域住民の生活の問題全部やるつもりでございます、こういう立場に立っている。しかし、こんなものは自衛隊の任務じゃないじゃないですか、自衛隊の任務じゃない。これにすがってみなさい、地方自治というのは全く崩壊しちゃうんだ、自主性がなくなってくる。地域住民は自衛隊に全部おぶさっちゃう、そしてそういう依存の精神に立ってくる。どうして一体地域の憲法に保障されたこの自主性が確立できますか、そういう点から言えば破壊しているんだ。それが単にナイキ基地がほしい、長沼と並んで、千歳と並んで三つのナイキ基地を完成したい。しかもこれは違憲の裁判のはっきり出たものだ、この基地の建設。こういう重大な段階で、私はこのような懐柔政策は許されぬ。しかも、そういうものを条件にして盛んにこれはこういうパンフまで出して宣伝をした。そうして、何とか町会でいかにもこれでいいようにやった。しかし実際はどうか、実際はこれは大変な事態。これは長沼を見ればわかる。長沼は同じようなかっこうで非常にいいこと言われて、さてやってみたらそうはいかないでしょう。予算だって三億そこそこでしょう、そんなのがついている。八十七億の予算を一体組めるかどうか。これは地域住民欺瞞もはなはだしいと言わざるを得ない。このような政策をとるというようなやり方について、地域住民は非常にこの問題を重視して、そうしてこの問題で現在世論が起こっているんですね。どうですか、こういうやり方というものは全くこれは問題にならない。 そこで、時間の関係から私はお聞きしますが、五十一年の四月十二日に北口八雲町長のリコール運動が行われました。そうして、これは有権者が一万三千四百八十二名のうち六千二百七十九名、約過半数の署名が集められました。三分の一の法定をはるかに超えておる。五月十七日町選管にこれは提出された。住民の反対リコールは成立する条件を多分にも整えたわけであります。こういう中で、これは防衛庁の立場が問われているわけでありますが、このような地域住民の反対意向というものがもう具体的な形で表明され、リコールが展開し、そうしてもう町長の辞職も決まったそうですな、これはもう時間的な問題になったはずだ。ちゃんとそういう情報を私たちはいま耳にしました。あすやめるんだ。そういう態勢の中で私は強制着工などということはできないと思うのでありますが、これらに対して防衛庁長官、はっきりした見解をお聞きしたい。先ほどからお聞きしますと、あくまで地域住民の理解のもとにということでありますから、このような歴然たる意思が結集され表明された、そういう態勢の中でこのようなことはとてもあり得ない、強制着工ということはあり得ない、こういうふうに私は当然の帰結として確認せざるを得ないと思うのでありますが、これでようございますか。時間がなくていろいろ言えなければ、それでようございますと、こうおっしゃればいいわけです。どうです。
○政府委員(平井啓一君) 航空自衛隊の八雲分屯基地に、航空自衛隊一高射隊を配置するいとう問題に関しましての経緯は先ほど御答弁したとおりでございますが、地元の町議会におきまして、自衛隊による高度活用の決議がされている点、それから、それを受けて町長が、防衛庁のナイキ部隊をあそこに設置するということに対して受け入れについての回答をいただき、その後も町議会において十分審議がされたという経緯を踏まえまして、私どもといたしましては、現在、あそこに高射隊を設置する計画を中止する考えは持っておりません。 なお、町長のリコールに関しまして御指摘のありました事実は私どもも十分承知しております。このリコールに関しまして、今後の推移については十分ながめていきたいと考えております。
○岩間正男君 これは政治的にはっきり答えてもらいたい。それは事務の立場から言えばそういうことになりましょう。事情変更なんです、まさに。町議会でああいうふうに決議されたが、これに対してリコールが始まったでしょう。それで町長もやめると、そういう事態の中でこれをいままでの計画どおりやるんだと、こういうことにはいかないでしょう。だから、少なくとも強制着工はこれはやれないと。本当にこの地域住民の意思をよく聞いてということなんです。そういう点から言えば強制着工はできないことだと思います。だから、少なくともこの問題について十分に地域住民とまた話し合いをやらなければならぬ。あなたは、この事情変更のそういう上に立っていないんだから、これは政治的判断のない御答弁として、それはそれなりに、事務当局ではそうでしょう。私は、当然、長官の政治的責任のある御答弁をお願いしたい。
○国務大臣(坂田道太君) 計画を中止するつもりはございませんけれども、そういう事情でございますから推移を見守りたいと思っております。
○岩間正男君 見守りたいということは、強制の何はやらぬということですね。少なくともそれをやらなければ、まるでそれはもうごり押しですよ。そんなことは許されない。見守りたいというのは、とにかく、事情を検討し、話し合いをして、そうして了解のもとにやるんだと。あなたがさつき答弁された、それをあくまでも貫くと、そういうふうに了解してようございますか。
○国務大臣(坂田道太君) やはりこれは地域住民との関係がございますし、あるいはリコールが行われるのかどうなのか、まあその辺どういうふうになるのか、その辺はしばらく見守りたいというふうに思っております。
○岩間正男君 強制着工はしないんですね、それまで。どうです。
○委員長(中山太郎君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(中山太郎君) 速記つけて。 では、最後に政府側から答弁していただいて終わります。
○岩間正男君 見守りたいというのは、強制はとにかくすぐにはやらぬと、そういうことですな。そう了解していいですな。
○国務大臣(坂田道太君) 私は、先ほどからお答えいたしておりまするように、そういう事態でございますからしばらく推移を見守りたいということでございます。
○委員長(中山太郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。 午後一時四十分まで休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 —————・————— 午後一時四十八分開会
○委員長(中山太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。稻葉法務大臣。
○国務大臣(稻葉修君) 法務省設置法の一部を改正する法律につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、法務省の大臣官房に置かれている訟務部を廃止し、訟務局を設置しようとするものであります。 現在、法務大臣官房訟務部におきましては、国の利害に関係のある争訟に通する事務をつかさどっておりますが、近年社会情勢の変化に伴い、この種事件はますます増加するとともに、その内容も複雑困難の度を加えてきております。このため、現状のように、官房の一部門をもってしては、この種事件を適正円滑に処置することが困難な状況となっておりますので、ここにその機構を改め、訟務行政の円滑な運営を図るため、訟務局を設置しこの事務をつかさどらせるようにしようというものであります。 なお、訟務局設置のための改正とあわせて、入国管理局次長を廃止するため、所要の改正を行っております。 以上が法務省設置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(中山太郎君) 以上で趣旨説明は終わりました。 本案は、衆議院において修正議決されておりますので、この際、本案の衆議院における修正部分の説明を聴取いたしたいと存じますが、後刻に説明を譲りたいと思います。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○秦豊君 設置法それ自体につきましては、幸いたっぷりとした時間枠があるわけですから、先輩同僚議員から逐次展開があるものと思います。ただ、私の場合には、稻葉法務大臣の所管にかかわって、しかも、最も今日的な関心の焦点になっているロッキード問題と稻葉法務大臣の基本的な姿勢、方針、見解並びにそれに付随した事柄を少しの時間伺っていきたいと思います。 言うまでもなく、もう事件発生以来、アメリカ上院の当該委員会でコーチャン証言があって以来の展開は言うまでもありませんが、すでに百日を超えて、しかも事件の全容の一端が、次第に薄紙をはぐように解明されつつある。全容はもちろんまだ明らかにはされていないし、いわばわれわれの認識から言えば氷山の一角にすぎないと思う。まことに規模といい背景といい手口といい、あるいは構造といい、まさに空前のスキャンダルであることは言うまでもありません。 そこで、まず質問の前提として稻葉法務大臣にぜひとも伺っておきたいのは、私自身のあなたに対する見方は、戦後最大の疑獄事件が発生したときに、たまたま法学の権威であるあなたが法務大臣であったという、まさに際遇というか、適時、適期というか、まことにそういう時期にあなたは座っていらっしゃる。したがって、法律専門家として、また法務大臣として、そもそもこの百日以上を経過したこの段階で、あなた方がかなり的をぎりぎりにしぼって意欲的に取り組んでいるこの段階で、一応、改めて稻葉法務大臣のこのロッキード事件感というものの大枠をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) ロッキード事件の性格につきましては、ただいま秦議員のおっしゃるとおりきわめて規模の大きい、しかも難事件であると、こういう見方をいたしております。しかも、国民のこの事件に対する関心もきわめて高く、政界浄化の情熱も非常に燃え上がり、法務省所管の検察庁といたしましては、この事態にかんがみ、この国民各界、各層から要請されておる事件の解明、したがって政界の浄化粛正、将来のわが国の議会制民主主義の発展に寄せられる期待に対し、真相を徹底的に究明して刑事的責任を明らかにし、その刑事的責任解明の上に立って、議会の本来の任務とされる政治的、道義的解明に役立たしめたいと、こういうのが私の御質問に対する答弁であります。
○秦豊君 まああなたは釣をたしなまれますしね、それから書道の達人だし、なかなかいろんな際のあなたがお使いになる日本語は、洒脱であり軽妙である。つい最近も、あなたはロッキード事件に関連して、なかなか囲み記事的な発言をされてですね、例のサバやイワシの話が出てきましたね。あれなんか並みの法務大臣では言えないので、あなたらしいなかなかレトリックだと思うのですよ。ところが、そのサバやイワシばかりでなくということは、当然類推されて、では大物がかなりというまあ反響になったわけですよね。しかし、繰り返すまでもないと思いますけれども、戦後の疑獄史が教えるところによれば、サバやイワシじゃなくて呑舟の大魚というのがある。実際には舟をのむ魚ですね。呑舟の大魚というのは、網を食い破ったり舟を覆して遁走をするというのが残念ながらこれまでの実績だったんですよね。いまあなたはロッキード事件感としてお考えの一端をちょっと吐露されたわけなんですが、いま私どもが見ますと、これは何も野党だからって意地悪く見るというのじゃないですよ、見ていますとね、まさにこの新聞の世論調査の示すクールな数字、今度のロッキードスキャンダルというのはなぜ噴き上がったかという設問に対しては、これは保守党の戦後保守独裁体制の単独支配体制という構造から生まれたものであると、あるいは、自民党の金権的な体質がその根因であると、こういうお答えが実に七二%に達している。反面、今度もまた、いわゆるぼく式な表現によれば呑舟の大魚は網を食い破る、うやむやではないか、せいぜい閣僚ではなくて政務次官とか、運輸省の次官ではなくて局長とかね、極端に言えばですよ。そういうふうな、きわめて冷めた目で世論が反応しつつあることもまた事実なんです。こういう時期に、やはりあなたこのサバやイワシじゃなくて呑舟の大魚にあえて肉薄をすると、いましつつあるんだという取り組みをしていらっしゃると思うのだけれども、重ねて呑舟の大魚に肉薄する稻葉法務大臣の決意のほどを念のために伺っておきたい。
○国務大臣(稻葉修君) この間新聞に出ておりました記事に基づいての御質問かと思いますが、あれは月曜日の朝、自民党にもこのロッキード問題調査委員会、私の前任者である濱野清吾氏を委員長とする委員会が開かれまして、法務大臣だけ出てこいと、こういうことでしたからそこへ伺ったときの話なんですね。それで、まあいま秦議員から御質問になったようなことをいろいろ聞かれました。決意のほども聞かれました。それで、うやむやになるのではないかという御心配もその委員の中から出まして、どうも、小物ばかりと言ったか雑魚ばかりと言ったかね、そんなんじゃないだろうかと、こう言われるから、そんなもんじゃないでしょうと、イワシや小サバばかりでもないでしょうと、こういうことを申し上げたわけですが、それが、そういうことですが、新聞には政府高官をも含め、イワシや小サバだけではないというような記事になっておりますが、そういうことは言ってないのですね。それは現にやっている人間でもだ、児玉譽士夫というのがいるわけですが、これが小物に入るというのは常識ではないでしょう。相当なものではないかと。こういう意味で、これに匹敵するものが出てくる可能性なしとしないという意味で申し上げたのでございます。私が秦議員の質問にありますように、見当をつけて呑舟の魚をつかまえてみせるぞというようなことを考えているわけじゃありません。それは捜査当局がいま静かにじりっじりっと迫っているところでありますから。大体こういう難事件というものは、捜査は非常に機密裏に、しかも綿密に冷静に不偏不党、厳正公平にやるべきものでありますから、そういうあなた、鳴り物や太鼓で山からイノシシを追い出すようなそういうやり方では逃がしてしまうと思いますよ。事の性質上当然じゃありませんか、それは。ですから、そういう点で、いまあれもやっています、これもやっていますという、そういうことを言うのに限ってやっていない場合が世の中にはありますわな。むしろこの静かであるということにひとつ秦議員御信頼をいただいて、それでこそ頼もしいなあというふうなお感じ取りをいただきたいと思います。
○委員長(中山太郎君) この際、先ほど保留いたしました衆議院における修正部分の説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理理事松本十郎君。
○衆議院議員(松本十郎君) ただいま議題となりました法務省設置法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 政府原案では施行期日を昭和五十一年四月一日としておりましたが、衆議院における議決の日がすでにその日を経過しておりましたので、これを公布の日に改めた次第であります。 以上が修正の趣旨であります。
○秦豊君 まあ、あなたが言うんだから信頼をしたいと思いますね。鳴り物入りでない的確な鋭利な手口、取り組みで、呑舟の大魚という言葉はあなたはあえて避けたけれども、私を信頼してくれという言葉は素直にとっておきたい。むしろ国民の期待もそこに凝集されていると思います。 そこで、具体的な点をそろそろ伺っていきたいと思いますが、先日来の報道によりますと、検察庁の最高幹部筋ないし幹部自体が、事件の真相解明のために非常に必須な欠かすことのできない三条件というのを挙げたと報道されている。その一は、当面政権交代がないこと、その二には、捜査の終了時まで解散がないこと、第三番目は、いまも出ましたけれども、世論の検察庁に対する支持だと、こういう三つの条件を挙げていらっしゃる。これは私は非常に当然なとらえ方じゃないかと思うんだが、大臣どうですか。
○国務大臣(稻葉修君) 検察庁のそのとらえ方は私も正しいと思っております。
○秦豊君 そうしますと、大臣、いままさにあなたのところの与党ですね、自由民主党に何が起こっているか。政変含みの椎名工作や、椎名・田中・大平三派連合による揺さぶりである、これはもう周知のことです。そうすると、いま挙げましたいわゆるこの必須三条件のうちの当面政権交代がないことということをまさに脅威視するわけであって、揺さぶりが成功すれば、場合によっては政変があり得ると、また、明らかにおのれたちの恥部を隠そうとするきわめて次元の低い計算に基づくものであるということも、多くの論調さえ指摘するところである。そうすると、いまの自民党内紛の局面というのは、まさに私の挙げ、大臣が、その検察庁幹部のとらえ方は私ももっともだと裏づけをされた第一項に当たるわけであって、そうすると検察庁側としては、捜査当局としては、捜査の進展に障害になるというふうなおそれをお持ちですか、懸念をお持ちですか、念のために。
○国務大臣(稻葉修君) 十七日夕刻来、今日二十日ですが、ここにおる刑事局長も、それから事務次官も、検察上のあれとして困ったことだという空気を伝えてまいりましたから、私から刑事局長を通じ、心配するなと、皆さん方も新聞を見て非常に動揺——いや、動揺じゃないんだな、やっぱり心配。ロッキード事件がおかしくなるのではないかという御心配があるかとは思いますが、私は、仮にそんなことがあったって検察庁が手を緩めたり、意気阻喪したりすることは絶対ありませんとは思いますがね、しかし、その前提である自由民主党の三木内閣がかわるということは、どうやってかえるんでしょうか。かわるはずがないと思いますね。まず、このロッキード事件の解明ということを国民から負託を受けておる内閣——内閣のみならず、自由民主党のみならず、国会議員みんな、各政党ともそういう責任を持っている時期に、検察庁が意気阻喪するような事態があってはならないと、こういう点においては自由民主党内において異論を差しはさむ人はないと聞いておりますから、私はそういう点について心配をいたしません。また、検察庁に対しても、決して心配することなく、憶することなく徹底的にいままでどおり冷静沈着、不偏不党、厳正公平に、精力的に捜査を進めなさいと、こう申しておるところであります。
○秦豊君 あなたのそのことはよくわかります。河本通産大臣もやはり旅先またはグループの会合において、不愉快であると、不見識であると、不当であるということを言っていますね。だから、そのあなたの信念は信念、とらえ方はとらえ方でわかりましたから、どうですか、椎名さんたちの動き方ですね、内ゲバに類した、後ろから切りかかるようなこういう方法について、あなたは中曽根派の重鎮として、柱石として、当該委員会にはややふさわしくないかもしれないが、あえて、関連として、あなた政治家稻葉さんの椎名工作についての受けとめ方をお差し支えなくんば念のために承っておきたい。
○国務大臣(稻葉修君) 御質問ではありますけれども、いま私が法務大臣という立場、そうして、ここに内閣委員会の席上で党内のことについてかれこれ批評いたしまして、そうして、私よく問題を起こす男ですから、ますます言われておる混乱に火を注ぐような御答弁をするわけにはまいりませんので、この点はお許しいただきたいと私は思います。
○秦豊君 まさに稻葉調ですね。結構です。 具体的な点を伺います。 アメリカの政府からの膨大な資料につきましては、検察側、それから警察側、分野によってどの程度のクラス、ランク、どの程度の範囲の人がこれを見得る状態にあるのか、あるいは現実に見たか。さまざまな観測はありますよ。しかし、かちっとしてあなた方からこれを答弁として聞いていないので、その点をちょっと念のために。
○政府委員(安原美穂君) アメリカ司法省から提供を受けました資料につきましては、新聞にも報ぜられておりますように、到着当初におきましては、いわゆる検察の首脳、検事総長、次長検事、検事長、検事正等、いわゆる七人の人々がその日に見たことは事実でございますが、その後は、あくまでも捜査のための資料でございますから、検察庁の幹部の厳重な保管責任のもとに、必要の都度必要な捜査官がそれを見ております。その点につきましては、警察にも秘密厳守を条件として必要な都度お見せいたしております。
○秦豊君 法務大臣稻葉さんと、それから総理三木さんは資料は絶対見ないということを確言されていますが、いまもなお法務大臣はこの資料は片りんだに見ていらっしゃいませんか。
○国務大臣(稻葉修君) お問いのとおりでございます。片りんだにも見ておりません。
○秦豊君 さっきは百三十人がありましたし、イワシやサバの話はもうやめますけれども、五月十七日の、このまさに濱野委員会における稻葉大臣の説明、こうなりますと当然、人数百三十人ぐらいとおっしゃったからにはあなたはその氏名の方も御存じじゃないんですか。
○国務大臣(稻葉修君) 新聞に百三十人と私が言ったように書いてありますけれども、そうではないんですね。何人くらい調べたかと、こういう質問でしたから、この間それは刑事局長が両方の法務委員会で言ったように、百人以上調べていると、これは実人員で百人、こういうことを言うたら、あれから時間がたっているからまたふえたろうかと、こう言うから、それはふえたという方が常識でしょうねと、二割ふえたか三割ふえたかわからぬけれどもねと、こう言ったら、それじゃ百三十人くらいかなと、向こうがそう言うから、まあねと、こう言った。
○秦豊君 厳しい話をなかなかあなた節に、あなた調に洒脱にお答えになっていらっしゃる、結構ですよ、それはそれで。 それで、どうなんですか、まあ、ぐらいぐらいという話ははなはだ日本語的でぼあっとしていますけれども、いままでのところ実人員百人をオーバーした人々、私どもの調査によればすでに、たとえば、たとえばの話ですよ、新潟三区選出の大物と言えばもう一人しかいなくなるけれども、あるいは小佐野氏、中曽根氏等々については、特に田中氏の場合にはお国入りの際に何らかの形の事情聴取的な儀式があり得たのではないかという印象を持っている。私どもがこういう印象を持つのは私どもの勝手です、自由ですがね。テンポがおくれているという観測に比べるとかなりある部分については鋭く突き出しているというふうに私どもは感触を持っています。これは刑事局長の分野かもしれませんが、おおよそあなた百人を超えたと言うからには、政治家の比率が圧倒的に多いのか、実業人の方が逆に多いのか、官僚が多いのか、比率は定かではないというお答えが用意されているのか、とにかくその辺の、実人員百人をオーバーしたと言うからには、政治家、高級官僚、そうでもない人々、あるいは実業家、こういう区分ぐらいは私ども知っておきたいですな、捜査上の秘密、どうですか、局長。
○政府委員(安原美穂君) その点につきましては、先般参議院の予算委員会でここに御同席の矢田部委員からお尋ねがありましたが、どういう人を取り調べたかということを申し上げることは平に御勘弁を願いたいということで御理解をいただきまして、実人員として百人を超したということを申し上げたわけでありますけれども、さらに申し上げますならば、だれをというようなことは、これはこれからも、犯罪捜査というのは任意の捜査、すなわち相手方の協力を得て調べるのが原則でございますから、だれだれが調べられ参考人として呼ばれているというふうに特定してまいりますことは、今日の社会の実態におきましては、犯罪人と同視するいわば悪習と申しますか、そういう一つの慣習的な環境がございますので、具体的に特定することは御勘弁願いたいと思いまするが、まあ主として、まだトライスターの導入あるいはPXLの購入というようなことを中心といたしまして、いわゆるロッキード社の日本国内における企業活動に関連する不正行為の存否というのが本来の捜査の目的でありますから、そういう意味におきまして、全日空とかあるいは運輸省とか防衛庁というようなところの関係者を、主としてどちらかと言えば多く事情を聴取しているというのが現状でございます。
○秦豊君 あのね、仲間の矢田部君の質問の場合は、まあ特定特定のアングルがあってあなたそう答えた、それは承知しています。私が聞きたいのは、そういう特定のだれをいつ、そんなこと言っていませんよ。ただ、やっぱり大方の世論の関心というのは灰色の高官ばかりに向いているけれども、少なくとも実業人が多いのか、政治家が多いのか、そのあれはどうか、この程度のことは、あなた捜査を何ら妨げないじゃありませんか。承知の上で聞いているんだから、それは。そうでしょう。もう少しあなた踏み込んだ、いいえこういう方面ですとか答えようがあるでしょうが、違いますか。
○政府委員(安原美穂君) いま申し上げましたように、官界と、それから全日空等の航空会社の関係が多いと思います。
○秦豊君 その中に政治家は当然含まれているわけでしょう。官界でしょう、全日空ですね、関連した人、政治家も含まれていますね、当然。そうでしょう。その政治家の中にまさか野党は含まれていないでしょうね、どうなんですか。
○政府委員(安原美穂君) 野党が含まれているとか、政治家が入っているとかというようなことは、具体的に私ども承知いたしておりません。
○秦豊君 そうですか、具体的にはつかんでいらっしゃらない。つかみ得ない立場ではないがつかんでいてもつかんでいるとは言えない立場がそう言わせているんですかね。とにかく、政治家が含まれないということが捜査の進展上あり得ないでしょう、おかしいじゃありませんか。
○政府委員(安原美穂君) 一々具体的な捜査の内容、進展状況を申し上げることはひとつ御勘弁願いたいと思います。
○秦豊君 局長、まあいいですよ、あなた、そういうように口がかたいのがあなた方の職能の一つだからね。ところが、まあ全日空を調べるでしょう、ピッチャーとキャッチャーの関係、因果関係ですからね、流れですから、事件の。そのある段階から政治家を引っ張ってきて事情聴取をする。どこで聞いてもいいですよ、検察庁の寮は最近使わぬそうだから、どこでもいいじゃありませんか。そこで政治家に事情聴取、一番やわらかい形の聞き取りをするのはこれは常識中の常識じゃありませんか。そんなことをあなた、はい、政治家が含まれていますと答えることが何で妨げになるのですか。その辺のあなた方の常識とわれわれの国民的とも言える常識がどうもかみ合わないんだが、ちょっと納得できませんな。
○政府委員(安原美穂君) いずれにいたしましても、ロッキード社の企業活動における不正行為の存否、特にアメリカの多国籍企業小委員会において、日本の政府高官の関係する不正行為があるということが、いわば公の委員会で表明されていることでございますから、当然そういう事実の存否ということを調べることが検察の使命でございます。その使命のためにはあらゆる手段、高官であろうと何であろうと恐れることなく調べるということでございまして、具体的に、いまだれを調べているかということまで答えることは御勘弁を願いたいとお願いをしておる次第でございます。
○秦豊君 あなたそれはだめだよ。あなたは国会答弁になれているからそういう形でいままでどんどんきたんだけれども、われわれは自民党のだれを調べたとか、どこどこと特定してませんよ。政治家は当然含まれているんでしょうねと言ったら、あなたはぬるぬるとわき道の方に逃げ切ろうとする。政治家は含まれていますと言ったって何ら妨げにならぬということをぼくは言っている。当然政治家も幾人かはリストアップされ、追及され、聞き取りをされたんでしょう。
○政府委員(安原美穂君) 捜査の進展次第では政治家を調べることに何ら検察庁はちゅうちょいたしません。私は実際問題として承知していないから知らないと申し上げておるわけでございます。
○秦豊君 どうも政治家の人権が、今回のスキャンダルの場合は不当に守られ過ぎるというのが、これまた国民常識です。あなたの答弁もその形にはまり込んでいる。全日空はあんなに、これはぽんと出てくる。政治家は、私は承知していないという言い方をするが、そんなことは常識的にあり得ないじゃありませんか、あなた。堀田検事をあれだけ送って司法共助の取り決めまでどんどん進めよう、いつ出すかという段階になって、いや政治家は云々、全然変わりがないと言わんばかりの答弁ではやっぱり納得ができない。重ねて聞きます。
○政府委員(安原美穂君) 同じことを申して恐縮でございますが、私はそういう報告を受けておらないから知らないと申し上げているわけで、何らうそ隠しもございません。
○秦豊君 それじゃ局長、あなた方捜査当局と広範に言っていいと思うが、一番苦心してしぼりかねている点はどういう点ですか。
○政府委員(安原美穂君) 恐縮でございます。しぼりかねるとはいかがなことでございましょう。
○秦豊君 一番あなた方が苦心をし、つかみがね、欠け落ちており、つまり的をしぼり切れない、こういう感じ、こういう質問。つまり何に一番苦心しているかということが発端であって、確かにいままで捜査をどんどんやってきた、あなた方によれば、大臣によれば誠実にやってきただけに、だんだん網でいえばしぼるわけです。しぼり切れない点もある。いままでやってみたが集まらないデータもある、裏づけのとれないものもある。具体的に特定するとめなた方すぐ逃げるから茫漠と聞いておる。
○政府委員(安原美穂君) そういう、捜査でいま一番難渋しているのはどこだということを申し上げることが、果たして捜査の目的を達成するために、現在申し上げることが適当かどうかという点につきましては、私は消極に解するものでございますから、そういうことを申し上げるわけにはいかないわけで、どうか検察庁が真相究明のために鋭意努力しているということで御信頼をいただきたいと思います。ただ、私どもが一般的に申し上げることのできることは、本来こういういわゆる疑獄事件の捜査というものは、綿密な秘密裏における内偵の上に立った資料の入手をした上で、一挙に、公に捜査活動を開始するというのが通例であるにかかわらず、本件につきましては、多国籍企業小委員会というところでその発端が起こったという意味におきまして、すでに捜査の発端において、いわゆる公開捜査のような形になっておるということ、そのことは、言うなればある意味において関係者において証拠隠滅が図られたかもしれぬというおそれがあるということが一つ。もう一つは、この事件が日米両国にまたがるいわゆる国際的なスケールの事件であるということと、特にロッキード社というものの企業活動を中心として行われたと疑われる犯罪であるがゆえに、その有力な関係者あるいは証拠物がアメリカに存在するということ、そのアメリカという国は別の国でございまするから、わが国の捜査権、主権の行使のできない地域に有力な資料があるであろうと予想されること、そのことを日本国内における捜査と同じように資料を入手するということにきわめて困難な問題があるという二点は、はっきり申し上げることができるかと思います。
○秦豊君 法務大臣、ちょっとあなたに伺いたいのですが、法務大臣は事件のここまでの百余日間において、あるいはこれからも含めて、何らかの段階における中間的な報告、これを求められた事実はありますか、全くありませんか、どうなんですか。
○国務大臣(稻葉修君) 検事総長と私との間の、三月二十五日だと思いますが、会見の際、重大な段階になれば必ず報告すると、こう申しておりますから信頼し切っておりまして、ある段階に来れば報告はあるものと思っておりますから、こちらから報告を求めるということは、いままでもしておりませんし、これからもしていかない、そういうつもりでおります。これからも中間的な報告をこちらから求めるという行動には出ないというつもりでおります。
○秦豊君 もうかなり事態が進展していて、だからこそ司法共助という新たなランク、ちょっとランクが上がっていくんですよね、角度が違ってくるんですよ。そこまできていて、あなたはたとえ報告を求めなくても、仮に、——それは全部信用します、これは。素直に信用します。ところが、法務省のこの職制からいって、機構からいって、担当の局長とか何か、これが、大臣と言って口頭で報告をする、場合によって、文書はなかなかけんのんだから残さぬと思うが、口頭であなたの耳に入れるなんてことは常識的にあり得ているのでしょう。そうしないと、判断が伴いますからね、たとえば司法共助というような大きな新展開をする場合に、大臣の耳に捜査の段階、方向、しぼり方を全然報告しないで勝手に事務当局のできる裁量じゃないでしょう。当然あなたの耳には入ってくる。だから、あなたの判断と許可があったから司法共助取り決め、堀田氏が飛んで行く、帰る、こういうことになるんじゃありませんか。
○国務大臣(稻葉修君) そういうことでしたらございますね。それはただいままでも、私の記憶では、主なるものは三回——三回ですね、児玉譽士夫を脱税で起訴するという前日か前々日、さらに外為法違反で起訴いたします、踏み切りますと、十分に自信がありますという報告を刑事局長を通じて捜査本部から報告を受けておりますし、私の方でその際刑事局長にそれは結構だが、御苦労さんであった、よくやっていると、だが今度の丸紅の方のあの二人はなかなかそこまでいかぬねと、こういうことを聞いて、それに対しては刑事局長の報告では、まだ証拠固めが起訴までにはいっていないようでございますと、こういう報告を受けておるのがいままでの主なる報告であります。
○秦豊君 法務大臣が刑事局長との間にそういう話を交わしますね、一種のこれは報告だと思いますよ。報告に基づくあなたの判断、それから若干の質問、そういう状態を把握された場合に、情報を得た場合に、三木総理大臣から、法務大臣どうなっているのかねという質問を受けましたか、あるいは自発的にあなたが法務大臣としての職能として、職掌として、三木総理に対して、捜査はいまのところこれを重点に行っていますとか、司法共助はなぜやらねばならないかというふうな具体的な報告ないし説明をなすったことはありますか。
○国務大臣(稻葉修君) ございます。それから、ロッキード問題の関係閣僚協議会というものがあって、ただいま申し上げましたような点については、私から総理にも、そういう関係閣僚にも会議の席上報告しております。
○秦豊君 安原刑事局長、あなたは五月十二日に、たしかこういう答弁をされていると思うが間違っていたら直してください。たしか刑事訴訟法の四十七条に関連したやりとりの中で、例のただし書きによるいわゆる灰色高官名の公表について、検察庁法十四条に基づき法務大臣は指揮権を持っておる、法務大臣を指揮監督する立場にある内閣総理大臣も、理論上いずれの公益が優先するかを判断することは、これは可能である、こう答弁していらっしゃったと思う。間違いないですね。
○政府委員(安原美穂君) 趣旨はそのとおりでございますが、要するに四十七条による書類の内容の公開ということは、保管者である者がする行為でございますから、不起訴等の場合におきましての書類の保管者は検察官でございますし、それから、公訴提起後におきましての裁判所が保管する書類につきましては裁判所でございます。そういうものが公開をするというのが四十七条のただし書きの規定でございますから、それにつきまして、検察に関する限りは法務大臣が指揮監督権をお持ちでございまするから、検察官にもそれを公開しなさいという指揮をすることは理論的には可能である。それから、総理大臣というものは所管の大臣を通じて行政の各部、検察もそれは司法に準ずる独立性と公正の保障された機関ではございますが、一応は行政権に属するものでございまするから、総理大臣も法律上は指揮監督権をお持ちになるということになるから、そういうものを開示しなさいということを法務大臣を通じて検察庁に指揮することはできる。それと同時に、このような場合の書類の公開という行為は、検察庁における検察事務における検察庁法十四条の具体的な事件の取り調べ処分、事件の処分に類する行為であるから、これは法務大臣といえども、指揮は各検察官にできなくて、検事総長を通じてのみそういう指揮ができるということを理論的には申し上げたわけでございます。
○秦豊君 一つあなたに確認しておきたいことがありますが、ところでいま論議されている刑事訴訟法四十七条に言う「訴訟に関する書類」というのがありますね、「訴訟に関する書類」。これはあれですか、具体的には起訴状もあれば、それから被疑者、参考人などの供述書もあれば、それからアメリカの資料だってこれはありますよね。範囲はかなり広いと思うが、特定すればどういうものを指しますか。
○政府委員(安原美穂君) 正確を期するために書いたものを用意しておりますので申し上げますと、刑事訴訟法第四十七条ただし書きの訴訟に関する書類と申しますのは、当該被疑事件に関して作成されました書類、たとえば捜査当局が捜査の過程で作成いたしました供述調書、報告書、検証調書、以上報告的文書とでもいうべきもの。それと起訴状、裁判書、上訴申し立て書、最終陳述書、まあこれら意思表示的文書というもの。つまり、報告的文書、意思表示的文書を問わず、また当該事件の捜査の過程で押収した証拠物たる書面、たとえば被疑者の作成した報告書、議事録、メモ、日記なども含まれ、したがいまして米国側から先般来提供を受けております資料も、この訴訟に関する書類に含まれるというふうにわりあいに広くわれわれは解釈をしておる次第でございます。
○秦豊君 そうですか、非常に具体的に特定していただいたから私もそれでいいと思うのですが、ということは、いまの論議を発展させますと、終局的には、総理大臣、それから当然法務大臣の判断で、いま局長の言われた広範囲な訴訟に関する書類というものを何らかの形で、生の形で出すかどうかは別、何らかの形で公表をするということがあり得ても、理論上は何ら妨げにならない、理論上は許されているということになりますね。
○政府委員(安原美穂君) 理論上は可能でございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、検察官がそのつもりになっておれば問題はございませんが検察官の意思に反して、つまり検察官の意見が違いまして、検察官は公開すべきでないと思っておるのに、総理大臣なり、それから法務大臣がそれを公開しろと言うことは、まさにこの検察庁法十四条の指揮権の発動ということに相なりますので、望むらくは、そういう指揮権の発動ということは好ましくないので、そういうことは避けてもらいたいというのが検察庁法の運用の精神でもございますし、確立したりっぱな伝統でございます。そういう意味におきまして意思の一致することが最も望ましいわけです。したがいまして、指揮権の発動がなくても、検察庁で判断し得るような公開の場合というものがあればそういう問題はない。ただ、検察庁としては、公開はしないという意見があります場合に指揮権の発動ということがあると、これは非常に不幸なことであるというふうに考えております。 そこで、先走るようでございますが、そういう刑事訴訟法四十七条のただし書きを指揮権の発動をして開示するというようなことを総理大臣や、法務大臣がなさることではなくて、むしろ一般的な指揮監督権に基づきまして、事件の捜査の経過、結果につきましては、法務大臣はもちろん、総理大臣も検察庁から報告を受ける権利をお持ちでありますし、報告もする義務を検察官は持っておるわけでございまするから、生の資料でなくても、その資料の意味内容こそ問題でございまするから、その内容につきまして報告を受けられました法務大臣なり、総理大臣が、これは公開する必要があるという判断をなさって、しかるべき手続、機会におきまして公開をするということが、もし公開するとすれば最も望ましい方法になるのではないかということを私どもは考えておるわけです。ただ総理大臣、法務大臣も、検察官に対し指揮監督権をお持ちになるということは、あることをせよと指揮するのみならず、してはならないことはしてはならないと監督する権利と義務をお持ちでございまするから、検察官が刑事訴訟法四十七条の趣旨を間違えないように運用するように監督することも、総理大臣なり、法務大臣の権利であり義務でございまするから、仮に、いまの公開をなさると、大臣が公開なさる場合におきましても、公益性の判断はみずからの御責任でなさるにいたしましても、その刑事訴訟法四十七条の精神を踏んまえて、公益はどちらが優先するかを御判断いただくべきものではないかというふうに考えておるというのが法律論としての理論的な私どもの考え方でございます。
○秦豊君 読売新聞の資料をお借りしたいと思うのですが、五月五日の読売新聞の報道によると、刑訴法の立法の趣旨であるとか、あるいは検察運営面からいって、いま、あなたの言われた四十七条ただし書きを行使しましても、生の形というのは大変問題があると、あなたのいまいみじくも言われましたように、縁らかの別な形、生ではないが、たとえばある裁量をし、判断をして、これだけ資料はある、これはしかし生だと、生を出すとはばかられるから、それをセレクトしまして、取捨選択しましたものを、ダイジェストというか、メモ的なものをちょっと公表するというふうなことは可能だということに結びつきますね、いまのあなたのこの部分の答弁は違いますか。
○政府委員(安原美穂君) いま秦委員御指摘のとおり、いままで刑事訴訟法四十七条ただし書きの精神に基づきまして、検察庁におきまして、ある種の事件の結果につきまして、起訴をしなかった書類、すなわちここにいう公判開廷前に公開してはならないという原則にひっかかる場合に、ただし書きによりまして意味内容を公開したことはございますが、資料、いわゆる生の資料をそのまま公開したということは一回もございませんので、仮にするとしても、意味、内容、趣旨——内容を公にするというようなことになるのが前例にも即するやり方ではないかと思います。 なお、理論的には先ほど申したとおりであり、また秦委員御理解のとおりでございまして、そういうこともあり得る。ただ、何と申しますか、法務大臣もいつも申しておられることであり、検察当局を所管する刑事局長としてもお願いでございますが、いまの段階で、その理論的な問題を超えて、今度の事件についてもそういう公表があり得ると、いまからあるということ、するということと、あり得るということは理論的な問題でございますが、するということをいまから申し上げることは、いわばロッキード事件の捜査の結果を予測したことにも相なりますので、いまの段階ではするということは言えないが、あり得るということは言えると思います。
○秦豊君 全然角度、テーマを変えます。 児玉譽士夫のことを伺いたい。児玉譽士夫については、普通十数回と言われているが、いままでに何回の取り調べ、きのうまでに、あるいはきょうあり得たとすればきょうまでに何回行われたのですか。
○政府委員(安原美穂君) これも正直に、私何回調べたかは報告を受けておらないのでございます。ただし、私のかつて、大分前に聞いたところでも十数回は取り調べておるようでございますが、調べの時間は余り長くないようでございます。
○秦豊君 単位時間ですね、しかし回を追うごとに一日当たりの取り調べ時間というのは次第に延びてきているというふうにも伝えられているが、どう御理解ですか。
○政府委員(安原美穂君) 何しろ非常に重い病気の方であらせられますので、やはり取り調べの結果が生命に危険を来すということがあってはならない意味でいわば検察官は人権擁護という意味におきまして、当初はおっかないびっくり調べておりましたから、時間が非常に短かったのでございますが、徐々に医師の判断を経て、時間は三十分間までは延びておるというふうに聞いております。
○秦豊君 局長ね、丁寧はいいんだけれども、あらせらるるとか、昔、かつてぼくら旧制中学のときに皇室敬語用として習ったような言葉をお使いにならなくても、児玉譽士夫の人権は損なわれますまい。 本人の記憶の状態はかなりよみがえっているというふうにも観測されているが、どうですか。
○政府委員(安原美穂君) そういう意味では当初よりはよくなっているというふうに聞いております。ただ、余り細かいことを公開の席上で申し上げることは、あくまでも最初申し上げましたように児玉譽士夫の任意の協力によって取り調べを進めておる段階でございますから、余り細かいことを個人の健康状態について申し上げることが、あるいはそういうことのために拒否されることになってはならないという意味において、できる限り、詳細についてお尋ねにならないようにお願いをしたいと思います。
○秦豊君 あなたの述べられた中で一つだけ納得できるのは、むしろ、任意任意でと、児玉の一種の了解と、児玉ファミリーの、ということ、その部分だけはわかったんだが、ならば、そういうものを大事にするというと、取り調べの検事、児玉邸に派遣される検事はいつもレギュラーですね、人間をかえたりすると信頼関係の仕組みが壊れるから絶えず一定しているんですか。
○政府委員(安原美穂君) 人の取り調べというのは、いわば基本的な人間の信頼関係を基盤として本当の真相が究明できるという意味におきまして、できるだけ特定の検事に担当させておるというのが実情でございます。
○秦豊君 向こうの、つまり、児玉邸はそういうときにどういう人が立ち会っているんですか。
○政府委員(安原美穂君) 私の聞いておるところでは、いつ何どきということがあってはならないということで、医者が隣の部屋に控えておるというふうに聞いております。
○秦豊君 あの方ですか、喜多村教授ですか。
○政府委員(安原美穂君) そのとおりです。
○秦豊君 そうしますと、いままで十数回と、それでいいですよ、そういうふうに受け取っておきましょう、十数回。何回重ねましても支離滅裂で、やや脳軟化症的な症状から出る言葉というのは、第一、何十回何万回聞いても、何万語聞いても証拠の裏づけになりませんよね。だけど、いままでのところではどうなんですか、またこれも答えにくい、微妙という逃げ方があると思うが、あえて聞きますが、相当回を重ねた、トータルして反すうして解析して再整理してみると、やっぱりこれはかなりな証拠力を持っているなというところまできているんですか、それとも全く徒労なんですか、どうなんですか。
○政府委員(安原美穂君) 言葉は非常に聞き取りにくい状態であるようでございますが、回を重ねるに従いまして、検察官としてはそれが何を意味するかがわかるようになっているというふうに聞いております。 なお、それが証拠価値の問題、これはひとつ、捜査の内容に属しますので、御勘弁願いたいと思います。ただ、全然心神喪失とか無能力であれば十数回調べるわけがごでいませんので、その段階ではないと思います。
○秦豊君 そうしますと、私はこういう方面は素人ですから、あえて素人の疑問をあなたにぶつけるのですが、普通の事件の場合、もうこの段階まで来たら、いかに人権の擁護だろうが病状への配慮だろうが、児玉譽士夫のいまの段階は、当然あなた方決断して収監すべき時期が来ておるんじゃないですか、収監。これがなぜ行われないのか、どういう判断に基づいて収監をなさらぬのか、どうなんですか、一番わからぬ。
○政府委員(安原美穂君) 聞いておりますところこれはまた客観的な事柄でございますが、聞くところによりますと、病状としてはまだ勾留に耐える病状ではないと拘置しても大丈夫という健康状態ではないと聞いております。なお、いま秦委員は、なぜ収監しないのかということでございますが、児玉譽士夫についていま御指摘のような逮捕、一般的に健康が許せば逮捕勾留を許す状態、勾留をすべき捜査の進展状況になっているかどうかということは、これまさに捜査の段階でございますので、申し上げるわけにはまいりません。
○秦豊君 今度、国会から医師団を改めて出すんですよね、これは立法府の権能ですが、そうすると、いまあなたは、捜査の段階に微妙に絡まるからちょっと言いたくないという意味と受け取りますが、しかし、国会側から新たにドクターを出して、それによっては収監というふうなこともあり得るとは考えられませんか。
○政府委員(安原美穂君) 身分によって差別をして勾留しないのではございませんが、いま秦委員のいみじくもお尋ねのそういうこともあり得るかということは、いわば現段階から将来を見通して、捜査の進展ぐあいを見通す一つの判断の問題でございますので、これまたひとつ御勘弁を願いたいと思います。
○秦豊君 あなた方が児玉譽士夫をぎりぎりとしぼり込んでいくときに非常に重要なモメントは健康状態、これはわかります。では、国会だって改めてドクターを派遣しようというのだから、あなた方は専門の職能ですから、あなた方はもうとっくに、喜多村教授に失礼でないという意味合いを含めて、別な観点からあなた方の判断によってドクターを派遣して病状について把握したことはありますか、これまでにないんですか。
○政府委員(安原美穂君) 喜多村教授の診断に不審を抱いた場合にはそういうこともあると思います、今日、将来とも。しかし、いままでのところ、喜多村教授の診断を信頼しておりますので、事実としてそういうことはしておりません。
○秦豊君 これは、たしか毎日新聞のきょうの朝刊一面トップだと思いましたが、その児玉譽士夫はすでに昨年の段階において早手回しに、ある重要な証拠文書を焼却したとまで伝えられている。いまのこの状態、やり口だと、収監もできない、もうまるで病状が鉄壁の壁ですよね。そうすると、もういままででも証拠はかなり隠滅されていると私は思うし、今後ともそういうことはあり得ているわけ。いまではもう後手の後手になっているかもしれない。証拠を隠滅するというふうなことに対抗策はとれないでしょう、収監もしない、それで喜多村教授の診断というか何というか、見立てをあなた方疑ったことはないらしくて検察独自に医師団は出していない。ならば、向こうの言うとおり、向こうのペースですよね、限りなく向こうを尊重すると。ならば、限りなく証拠は隠滅されていく、対抗措置はないでしょう。幾らそれであなた方が決意を披瀝してもむなしいことになりはしませんか、どうなんですか。
○政府委員(安原美穂君) 真相の究明を第一義とする検察庁といたしましては、基本的な人権を侵害しない限り、刑事訴訟法に認められた強制手段を適宜適切に行使するものと思いますので、その辺はひとつ、御心配かけて恐縮でございますが、検察当局に御信頼をいただきたいと思います。
○秦豊君 アメリカの方ですが、コーチャンとクラッター両氏に対して、いままさに司法共助、嘱託尋問の手続にいつ踏み切るのかという問題になりつつあるんだが、この手続はまだ終わっていないんでしょうね。いつごろなさるおつもりですか、どういうことが裏づけられれば手続に踏み切るんですか、まとめて。
○政府委員(安原美穂君) たびたび申し上げられないということを申し上げることははなはだ遺憾に存じまするけれども、これまた捜査の過程における証拠収集の一つの方法でございますので、いつだれについてそういうことをやるかということを申し上げることだけは、ひとつ、捜査の途中でございますので御勘弁を願いたいと思いまするが、司法共助ということによりまして、アメリカの裁判所に証人の尋問を嘱託することが本件捜査の有力な方法であることは間違いがないわけでございまして、その場合におきましては、刑事訴訟法の二百二十六条に規定がございますが、要するに、犯罪の捜査について欠くべからざる知識を有する者が検察官の任意の取り調べに応じない、あるいは取り調べに応じても供述を拒んだというときに、裁判所に対して証人尋問の請求をすることができるということになっておりますから、仮に、今度の場合におきましたら、アメリカにおる関係者から事情を聴取したいにかかわらず相手方が取り調べに応じない、応じても供述をしないというような条件が熟しませんと、裁判所に対して証人尋問の請求はできないというのが訴訟法上の条件でございます。後、そういう条件が認められまするならば、わが国の裁判所の請求に対しましては、アメリカ合衆国といたしましては、レシプロ——相互主義の保障のもとにそういう証人尋問をするということを基本的にはアメリカ政府は明らかにしておりますので、具体的には、そういう請求をし、わが国の裁判所がアメリカの裁判所にそういう嘱託をいたしますれば、アメリカの関係裁判所はアメリカの法律に従いまして証人尋問して、その結果を調書としてこちらに送付してくれることになるはずでございます。
○秦豊君 まあ、答えられない答えられないシリーズみたいなものだが、この種の問題である程度避けがたいことは予測のとおりだけれども、こういう問題なら答えられるでしょう。 その嘱託尋問の場合ですね、局長、ややクッションがあって間接的になりますから、このことは。だから、たとえば尋問事項、それから日本側検事の立ち会いの問題、こうした問題をやはりおたくの内部において検討しておいて、もうそろそろいつ踏み切るかというところまで来ていると思いますからね、これ、余り遠くないと思いますよ。ならば、そういう部内の検討として、当然、アメリカにそれをやる場合の問題点はどことどこか、尋問事項等検事の立ち会いというふうな問題だけなのか、何かほかに問題点があるのか、どういう検討をされていますか。
○政府委員(安原美穂君) 国内におきましても同様でございますが、裁判所に証人尋問を請求する以上は、どういうことについて尋問してもらいたいかという尋問事項を特定いたしましてお願いすることは当然でございますから、やるということになれば尋問事項を特定することの必要のあることは申すまでもございません。なお、いま申されましたように、アメリカの法廷における証人尋問でございまして、言葉の障害もございまするし、また捜査の実態というものを知っておるのは日本の検察官にこしたことはないわけでございまするから、許されるならば日本の検察官がその場に立ち会うことが望ましいであろうと私どもも考えております。
○秦豊君 じゃ、今度司法共助の段階にいよいよ入った場合の問題点を一つだけ聞いておきますが、こういうジレンマにはどう対抗されますか。つまり、たとえば証人としてクラッター氏などに、できればコーチャン氏にもいまの嘱託尋問をするという場合に、尋問をする場合には容疑事実を明記しなきゃいかぬでしょう、あなたに何によって聞くと。これは新聞、ニュースで言えば見出しみたいなものだから、見出しのないニュースはない。ならば、尋問事項、容疑事実のない尋問はあり得ないと、こうなるわけであって、被疑者じゃないわけでしょう、この場合は。被疑者じゃなくて証人としてのミスター・コーチャンとかミスター・クラッターに聞く場合は、なかんずく、贈収賄であなたのことを聞きたいんだとか、いやそうじゃなくて外為法違反のことだとか、容疑の事実ぐらいは特定しなきゃだめでしょう、これはどうなんですか。
○政府委員(安原美穂君) 裁判所の刑事訴訟規則にもございますように、証人尋問の請求をいたします以上は、国内法におきましても当然のことでございますが、どういう被疑事実で尋問を求めるのかということを特定する必要はございます。おっしゃるとおりでございます。
○秦豊君 このことについてはおしまいの質問にしたいと思いますが、ところがその被疑事実を明らかにしますと、あなたのきょうのこの場での答弁の言葉を使うと、捜査上の機微に属するとか、そういうものをやると必ず報道されると、そうなるとあなた方の手のうちが明らかになる、どこまでしぼってきたか、だからそれは厳重な秘密、トップレベルの秘密として覆い隠そうとするんだろうけれども、そういう点は非常にあなた方の悩みなんでしょうね。
○政府委員(安原美穂君) 秘密というものは、関係者が多くなればなるほど漏れる可能性を持っているのは世間の常識でございまするから、証人尋問を請求するということは、検察官が直接取り調べるよりも捜査の内容が、秘密が漏れるという危険性を持つやり方であることは間違いないわけでございます。
○秦豊君 一つ忘れていたけれども、仮に司法共助、いよいよ稻葉法務大臣に報告をして、よろしいとなった場合に、一連の伝えられている手続をとりますね。ずうっと。向こうの連邦地裁が受けとめる、それで実行されるというときになる。ところがその話は、いまここで明らかになりつつあるように、かなり煮詰めにゃいかぬ問題がまだ残っていますよね。煮詰めるために特定の検事をアメリカに派遣するというふうな途中経過はあるんでしょう、やっぱり。司法共助に実際踏み切る前に。どうなんですか、もういいんですか、それは。
○政府委員(安原美穂君) 何と申しますか、的確な証人尋問をやっていただくためには、的確なインフォメーションをアメリカの関係者に伝えるという必要がございますので、そういう、いま秦委員がいみじくも御指摘のような方法も、実際やるときには考えるべき一つの有力な手段であるというふうに私どもは考えております。
○秦豊君 いままでの質問とは全くつながらないわけではありませんけれども、いまここで明らかにされつつある、問われつつあるロッキード的な構造というか、政治の体質というか、それに絡んだ問題について残された時間少し聞いておきたいことがあります。 それは、ちょうどロッキードスキャンダルの噴き上がった四十七年、四十八年、つまり二カ年にまたがる自由民主党の政治資金の問題と、それに対する捜査当局、警察側ないし国税側の見解をあえて確かめておきたいと思うからです。 ここに、小さなタブロイド版の新聞で、日刊ゲンダイという新聞があります。これを私もこの報道があってから調べてみたんですが、これによりますと、昭和四十七年以降に自由民主党の田中角榮氏が、自民党の長老に非常に具体的に気前よく広範囲に政治資金をばらまいているということなんで、しかもそれは、自民党の中にあったある文書のコピーを入手して、それに基づいて断然たる——ジャーナリストのセンスから言うとこれはもう断然たる自信のもとに報道をしているという報道があったものだから、私も少しいま調べ始めております。ただ、きょうは時間がありませんから一、二確かめるだけになるかと思います。物理的に。しかし、どうやらこのコピーというものは自由民主党の本物の文書のコピーだというふうなことがそろそろ漏れ始めつつある。しかも、これは天下の公党に対する重大な、あなた方がこれを虚偽であると言うならば虚偽を立証しなければならない、つまり大変公党の名誉に関する問題だし、しかもこの中には金権体質、やはり自民党のこの人もかというふうなリストがどんどん出てくる。これは非常に、あなた方自身の手、与党の手によって、これがもしうそだと言うならば名誉を挽回しなきゃならぬケースだと思う。 で、具体的に伺いたいと思うんだけれども、このときに、自民党の経理の帳簿に記載されたものであるそのコピーが出ているわけなんですが、それによりますと、いわゆる機密費的なものとしまして、自民党の役員、衆参両院の正副議長、顧問、それから自民党の局長などに盆、暮れの金が渡っていると。たとえば四十八年暮れのリストによると、佐藤元総理に対して二千万、椎名副総裁、水田政調会長、前尾衆議院議長、河野参議院議長、船田元議長に各一千万がばらまかれていると、こういうこと、こういう報道が出てくる。 自治省に伺いたいんだけれども、こうした、いま私が読んだだけのこの各氏の所得というのは、その年の政治資金規正法上の届け出はなされているのかどうか、把握されているのかどうか、ちょっと伺いたいんです。
○説明員(大林勝臣君) 御質問の点につきまして、当時の政治資金の収支報告にそういったことが載っておるかどうかということでございますけれども、政治団体の支出目的別の区分けと申しますか、この項目につきましては、旧法当時はそれぞれの政治団体で適宜類別をいたしまして政治団体ごとに支出目的が全部違っております。あるいは政治活動費であるとか、あるいは組織活動費であるとか、あるいは広報費であるとか、そういった区分けの仕方が政党あるいは政治団体によって皆違っておりまして、いかなる費目の中にそういったものが含まれておるのかということは収支報告の上では明らかでございません。
○秦豊君 届け出がなかったとすると、一体、じゃどんな性格の所得になるのか。一時所得とかさまざまなカテゴリーがありますね、どうなるのか。これは国税側ではないかと思うが、一体届け出がなかったとするとどんな性格の所得になるとお考えですか。
○説明員(田口和巳君) 国税庁の方から御説明いたします。 ちょっと、政治家に限らず、所得税の所得の扱いというものを御説明した方が御理解いただけるかと思いますが、いわゆる所得税の対象になるというのは、ある収入があって、それのために支出された経費がかかればその経費を引いた後の残りの額が所得ということになるわけでございます。で、政治家の場合に、一応歳費をもらっていらっしゃる。これは給与所得で扱う。それ以外にいろいろな政治献金のようなものが入った場合、こういうものも当然所得税の対象になる。で、私どもは、政治資金の収入に関する所得は雑所得という扱いをしております。御承知のように、所得税法上は幾つかの所得の種類が決められておりまして、その中でも雑所得の扱い。なお、その政治資金収入がたとえば何百万かあったと、それから政治活動のためにいろんなところに使われた、残りがあった場合にその所得ということになるわけです。したがって、献金があった、あるいはいろんな形での収入があったということだけでは所得ということにはならない、使った残りがある場合に所得税の問題になろうか、こういうふうなことでございます。
○秦豊君 具体的な例を一つだけ引用しますと、たとえば椎名悦三郎氏、副総裁は、盆、暮れに合わせて千五百万円受け取ったということになっているわけだが、その年の椎名氏の申告所得は千二百二十一万円なんですね。もしも自民党側が渡したと言われている機密費が事実であったとした場合には、これは所得を申告しなかったということに明らかになるわけです。ちなみに四十八年の国会議員の所得ですね、これはたしか、およそ九百一万円であったと。それに盆、暮れの機密費を加えると、四十八年度の申告所得を超える人が大部分になるわけですね。椎名さんとか、鈴木さんとかか、石田さんとか、江崎さん、福田さん、早川、水田、篠田と、岸、もう皆さんの名前が出てくる。出てこない名前の方が少ない。 そこで、国税庁に伺っておくんだけれども、この問題きょうで終わるわけじゃないから今後のために伺っておくんだが、ここにリストされたような申告がそれぞれの自民党の議員からその年はなされておりますか、なされていないとすれば脱税になるんじゃありませんか、その辺の解釈と見解を聞かしてください。
○説明員(田口和巳君) 先ほど御説明申し上げましたのが不十分だったかと思いますが、具体的にどなたの場合ということではございませんけれども、政治献金があった、いろんな政治家に対して政治活動に使うためのいわば献金ということで、その納税者としての政治家の立場から言えば、そういう収入があったということだけでは所得にならないわけでございまして、それから政治活動にいろいろ使われた、その残りがあったような場合に、先ほどの先生の御指摘の場合だって歳費が確かに九百万、給与所得控除を引いた残額はたしか九百何万だったと思いますが、それに加えて申告をしなくちゃいけないということになるわけでございますが、先ほど御指摘の数字、私つまびらかにはいたしませんが、そういう収入があったからだけでは申告の義務が直ちに出るというものではなくて、政治活動に使われた残高があり得ればということになる。その点で直ちにどうこうということはないように感ぜられます。
○秦豊君 だから、つかまえ方ですね、まずしっぽをつかまえる。そのためにはデータを出さして対比しなきゃいかぬでしょう、このままじゃいけませんわね。こういうふうな場合に、捜査当局、警察側としては、一体このような事実関係について裏づけをしなきゃならぬというふうな段階になった場合には、考えられる罪名というのに一体何ですか。
○政府委員(安原美穂君) いま御指摘の問題では、政治資金規正法の違反の問題とか、あるいは所得税法のいわゆる脱税の罪というようなものが 一応考えられるわけでございますが、その点につきましては、税法違反につきましては従来の一つの確立した慣例といたしまして、そういう問題につきましては国税庁当局で実態の捜査をなさいましても告発を受けて検察当局が刑事責任の存否を明らかにする。したがって、所得の実態というものにつきましては国税当局の調査に期待し、そして刑事責任という意味において、その罪を犯す意思があったかどうかというような刑法的な面については検察庁がこれを明らかにするというようなやり方でやってきておるのでございます。
○秦豊君 国税庁側にちょっと確かめておきたいのですが、支出、収入——出入り、両方のデータ出して吟味しなければいかぬのでしょう。出させる必要があるんですね、念のために。
○説明員(田口和巳君) 先ほど申し上げましたよにう、所得税の対象になるというのは、収入があって支出がある。政治家の政治資金収入というようなものも同じような考え方で、使われたあげくに何も残っていないということであれば、いわば所得がそこからは発生していないということになるわけでございます。先生がおっしゃいますのは、何かたくさん献金があってどれだけ使われたかということをチェックしないのかという御趣旨の御指摘かと思いますが、私ども所得税を預かるものといたしましては、政治家の方であろうと、いわば所得税の納税の対象になり得る方としていろんな面で私どもがチェックをしているわけです。たとえばある政治家の方の私的資産の面で、あるいは私的消費の面で非常に私どもとしておかしいなと思うような場合、その方の納税者としての資産なり所得の面から網を張るというようなこと、それから、いろんな形の政治献金があると思いますが、たとえば大会社から出ておる、そういう場合の法人税調査の面で出てくれば、そういうものも資料にして、そういう形で私どもとしては遺漏のないようにチェックをしておるというたてまえでございます。
○矢田部理君 いまの問題、予算委員会でも若干問題になったのですが、普通たとえば一千万の所得があった、しかしそれは全部経費でかかってしまった、場合によっては経費の方が多くて赤字だったという場合でも、申告そのものはしなければならぬのじゃないですか。所得がないから課税の対象にはならないでしょう。つまり収入と経費を申告しなければならぬのじゃないですか。それすらもゼロあるいは赤字であればしなくてもいいという見解でしょうか。そうだとすれば、普通赤字の人は一切無申告でいいという論理に発展しちゃうのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
○説明員(田口和巳君) 所得がゼロである場合には必要ございません。いまの先生の御指摘は、たとえば事業をやっていらっしゃるような場合に、ゼロである、赤字であるというような場合、申告が要るんではないかと。やっぱり赤字を通算するというようなためには必要になりますが、この政治資金収入といいますか、政治家の所得ということにしぼって申し上げますと、それは先ほど申し上げましたように雑所得の扱いにしております。雑所得という場合には赤字の通算ということは考えられない、そういうことはできない法律上のたてまえになっておりまして、赤字になって通算しなくちゃいけないというようなことであれば必要でございましょうが、課税標準の対象になる所得がゼロでございます場合には法律のたてまえから必要ないと私どもは考えております。
○秦豊君 無申告でいいとあなた言っているのですか、そうしたら。大変問題になりますよ、それは。無申告でいいということになるんですか、あなた方の解釈では。そういうことをあなたおっしゃったんですか。
○説明員(田口和巳君) 重ねて申し上げますが、雑所得でゼロであるとか赤字であるという場合に申告の必要がないということでございます。先ほど申し上げましたように収入があり支出があって差し引き所得があるという場合には当然申告の必要がございます。
○秦豊君 これをやっているとぼくの持ち時間切れちゃうからあれだけれども、あなたやっぱり、政治家のそういう所得に対する追及がいかに甘いかということをあなたはいみじくも裏づけつつあるんですよ、これ。やっぱり問われるのは、国税庁側の基本的な取り組み。これは法律の体系も変えなければいかぬかもしれない。非常に甘いですよ。それならどうぞ無限にざるをお続けくださいというのと同じですよ、大変追及が甘い。一般の人々、中小企業に対するあれに比べるといかにも大甘である、これは。 それで、最後に伺いたいのだけれども、この記事によると、自由民主党の裏金、機密費というのは役員全部に配られていて、ロッキードスキャンダルの例のトライスターとかP3Cの年、四十年、七年暮れには二億五千二百万円、四十八年の夏が二億七千五十万円、そうして四十八年の暮れには四億九千三百万円である。あらゆる役付の名前が全部リストアップされていて、一般の議員の方々は衆参の一般議員として込みで出ている。稻葉法務大臣の場合は、もちろんこのリストにはお名前がありません、これには。稻葉法務大臣は、たしか四十七年の七月七日成立の第一次田中内閣のときには文部大臣だったですね。それから、四十七年十二月二十二日の第二次田中内閣、それから四十八年十一月二十五日成立の第二次田中改造内閣では閣僚ではなかったんですよね。だからこのリストには具体的にリストアップされていない、名前が挙がっていないということになるんですが、しかし、その場合にも一般議員というところが一番最後にあって、やはりもち代というのは五十万円ずつ、たとえば四十八年の例ですが、盆、暮れには五十万円ずつもち代が配られたことになる。もちろんこれは一マスメディアの報道だから、全部うそだと言い張られるんならば、名誉棄損だろうが何だろうが、どんどん提起してしかるべきほど重大な公党に対する問題ですから、そういうことはおたくの党でやってもらうことにして、法務大臣として、いま私が短い時間で取り上げている自由民主党の機密費、裏金の問題こういうことについてのこういう疑惑、どういうふうに受け取られていますか。
○国務大臣(稻葉修君) はなはだ不愉快であります。
○秦豊君 当然でしょうね。だから、公党としてきちっと対処をして、恐らくこの膨大な浴びせられた不名誉に対して、きちっとしてあなた方がこたえるべき問題だと思います。 最後に私指摘しておきたいことは、この報道によると、衆参両院議長に金が配られているという、非常に私、意外でもあるし、まさかと思いたかったのは特にこの点についてである。前尾さんが誕生したのは四十八年の五月二十九日、その日にもちろん自民党を脱党して無所属になった。当然ですね。河野さんの場合は四十六年の七月十七日に選任されて以来無所属議長として現在に至っている。ところで、前尾議長は無所属の議長であるのに、このリストによると四十八年の夏に五百万円、暮れには一千万円を裏金として受け取ったことになるし、わが名誉ある参議院の河野議長の場合は、同じく無所属のときに四十七年暮れに五百万円、四十八年夏にまた五百万円、四十八年暮れに一千万円裏金を受け取っていたということになって、これはもうまさかというふうな金額が衆参両院議長に対して送り届けられて、しかもそれが自由民主党の経理の帳簿に記載されていて、その帳簿のコピーがここに漏れてきたと。事は簡単ではないし、もちろんこれは重大な問題だと私は思うんです。ただでさえロッキードスキャンダルに全国土がまみれているときに、またこの自由民主党の中曽根派の四百二十カ所の訂正という、あのまさに空前のでたらめな報告というものの規模を幾百倍にも拡大したこれは大きなスキャンダラスな事実関係ではないかと思うわけです。これについては、公党としての自民党が、これに厳格、適確また正直に対処しなきゃならぬことは言うまでもないけれども、最後に稻葉法務大臣に、不愉快だと一言漏らされたけれども、こういうふうな問題が仮に裏づけられて、やっぱりこれは自民党から出た本物の資料のコピーだとなった場合は、これこそあなた、椎名氏の三木追い落とし、薄汚い工作どころか、あなた方の屋台骨にひびが入りますよ。最後にこの問題についてあなたの所見を伺っておいて質問を終わります。
○国務大臣(稻葉修君) この配付された日刊ゲンダイ特報なるものを初めて見ますので、ここで、このものの真偽をも確かめない現段階で、これは私どもの所管する職務の範囲内の問題であるというふうに申し上げかねますが、はなはだ不愉快なことだというふうに存じます。
○秦豊君 終わります。
○野田哲君 去る五月の四日、予算委員会におきまして、私は法務省の出入国管理の業務が特定の団体あるいは企業と癒着をしている疑惑がある、その一例として元横浜入管事務所長高木民司氏の退職後の就職についての疑義をただしてきました。その際、稻葉法務大臣は、事実であれば大変品の悪いことです、こういうふうにお答えがあって、そのことについては調査をする、こういうことで予算委員会の最終日、五月八日の日に法務省の入管局長の方からの答弁によって私の質問をしたことが事実であることは報告があり、その経過についても報告があったわけです。事実経過が明らかになった段階でも、法務大臣はこれはまことに品が悪いことだ、これだけの認識しかお持ちになっていないか、あるいはそれ以上の認識を持っておられるかどうか、まずこの点から伺いたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) この事件につきましては、退職後二年を経過してそういう場所に就職したんでございますが、その就職先が、いかにも何か入国管理事務と結びつくような場所であって、その人は退職する直前は横浜の入国管理事務所長までされた人ですから、はなはだ法務省としてはおもしろくない。こういうことがありますと、将来もどこどこの所長はそういうところへ就職するんじゃなかろうかと、そういう考えを持っている人間であるとすると、出入国管理の事務の公平さも欠くな、というふうに疑われてもやむを得ぬような世間の見方になるではないかというふうに思いますので、今後そういう地位にあった人の就職先等につきましても、目を届くように、また積極的にあっせんもして、余り品の悪いところへ行くなよというふうにしたいという感じを持ちます。まじめな話。
○野田哲君 入管局長に伺いますが、私もこの問題についていろいろ考えてみまして、このような企業に就職をする場合には、当然そこの従業員が出入国管理業務と関係があるわけでありますから、これは国家公務員法の規定に基づいて人事院の承認の手続を必要とするのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、人事院の取り扱いとしても、あるいは法務省の取り扱いとしても、秘苑観光株式会社、あるいはその前の名称であった城園観光株式会社ですか、これらの企業は飲食を提供する、つまり料飲店であるから法務省の業務とは全く関係ないということで人事院の承認手続を必要としないという部類に扱われておる、こういうふうに聞いたわけですけれども、私はそうは考えないんですが、今後の、まずそういう手続が必要と考えるか、あるいはいままでどおり必要でないと、こういうふうに考えられるか、この点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(影井梅夫君) 制度的に人事院の許可を要するということで検討すべきかどうか、これはいま直ちにどちらということは、私まだそこまで考えておりません。ただ、一般的に出入国行政に携わりまして、それに関する専門的な知識、経験、これを身につけた方々が退官されました後に、その専門的な知識というものをなるべく生かされるように、そういうふうな職場を見つけていただけると、あるいは、さらに積極的にはそういったことをわれわれもあっせんできるというふうになれば好ましいというふうに、現在漠然とではございますが考えております。そういった意味合いからは、現実には、これは外国人船員の出入国あるいは外国人船員が日本で新たに船に乗り組むために、われわれ転船上陸と呼んでおりますが、こういった方々のお世話をすると申しますか、そういった方に現に就職をして活躍をしておられ、また専門的な知識を持っておられますので非常にスムーズにいっておるという例もございますが、いまの外国人船員に限らず、あるいは外国人を日本に招致いたしまして研修を行うというふうなことが盛んに行われておりますけれども、そういった場合に、かつて入管に在職されました職員がその間の手続その他について、知識、経験を活用される、そういった機会をなるべく設けたいものだというふうに考えております。
○野田哲君 私は、法務省の入管業務に長年携わっておられた方が退職されて職へつかれること、できるだけその経験を生かした職につかれること、これは私は別に否定もしませんし、そういう形で第二の人生を歩まれることは、そうあってほしいと思うんです。思うんですが、いま話題になっている秘苑に限らず、東京都内には、キーセンという言葉を使うのが適当かどうか、とにかく韓国の女性が韓国の古典芸能を披露するという名目で入国をして、そして韓国料亭で働いている。韓国料亭にとってみればこれが一つの売り物になっている。そういう企業に再就職をする場合には、当然入管業務と関係があるということで人事院の手続、これがあってしかるべきじゃないか。このことについてどう考えられるか、こういうふうに聞いているんです。
○政府委員(影井梅夫君) 御趣旨は十分に検討さしていただきたいと考えております。
○野田哲君 私が、この前予算委員会でこの問題で質問をした翌日の朝刊の各紙にこのことが報道されております。きょうは、この週刊サンケイに報道されているわけでありますけれども、その週刊サンケイの報道によると、当の高木氏は、国のためにやっておることをなぜ国会で問題にするのか、こういうことで開き直っておられますので、重ねて私は少しこの問題について伺いたいと思うんです。 質問の翌日の新聞に、平井義一さんという方の談話が載っています。この平井義一さんという人の談話によりますと、この高木氏の横浜入管時代の仕事ぶりが買われてこの秘苑、その前の城園観光ですか、そこに取締役で迎えられたと、こういうふうなことが報道されています。この平井氏も、元は衆議院議員で、現在は同じように秘苑観光株式会社の取締役に名を連ねている方です。この平井氏は、東声会の会長であった町井久之という人、この人が六本木にTSK・CCCというビルをオープンしたとき、非常な盛大な、六本木の交通が渋滞をするというほど当時報道された、この盛大なオープンセレモニーに来賓として招かれて、祝辞を述べています。このTSK・CCC、このビルあるいは東亜相互企業、これはいま話題の児玉譽士夫と非常に近い関係を持っている。そしてこの平井氏も児玉、町井と非常に近い関係にある。こういう立場にあって、しかも以前は衆議院議員をやっていた平井氏が、なぜこの横浜で入管業務をやっていた高木氏の仕事ぶりを高く評価をしたのか、このつながりが全く私には理解できない。そこに私は特に疑惑を抱かざるを得ない。そういう経緯について法務省の方では調査をされたかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。
○政府委員(影井梅夫君) 私どもの方ではその調査はいたしておりません。
○野田哲君 問題は私はそこにあると思うんです。この前、五月八日の予算委員会で入管局長が私の質問に対して最後に答えられた。それによると、私の秘苑のホステスは観光ビザで入国してホステスという職業に従事しているのではないか、こういう疑問に対して、韓国の芸能を披露するということで芸能人のビザ、これで入国査証を交付している、こういう意味の説明があったと思うんです。そこで、具体的に芸能披露、これをやっている人と、客席にはべつて飲食の相手をしているホステス、これとは全く別人であるということが入管局長は明確に証明できますか、いかがですか、この点。
○政府委員(影井梅夫君) 私ども出入国管理令に基づきまして、この種の人を入れます場合には、これは芸能人という資格で認めておりまして、したがいまして、その資格のもとに行い得る行動と申しますか、これは厳密に考えております。これはあくまでも芸能の披露と申しますか、ということでございまして、接客業と申しますか、そういった行為までは含んでいない、そういう行為をしてはならないということで扱っておりますし、また芸能人の入国に当たりましては、どの国から来る芸能人につきましてもその点は同じ扱いにしております。
○野田哲君 実態について、芸能のビザで入った人と客席にはべっておる人とは全然別だということがはっきり明言できますかと言うんです。あなたは、秘苑の女性については芸能の披露ということでビザを出している、こういうふうに答えているわけです。だから私は、それでは秘苑で現に客席にはへっている人と、——ここに写真がありますよ、秘苑の写真が。客席にはべっておる人と芸能を披露している人とは全然別だと、こういうことが明言できますかと言うんです。
○政府委員(影井梅夫君) 先ほど、私はわれわれの扱いについて申し上げたわけでございまして、それではその実態はそのとおりであるかと、客席にはべるという行為は全くないのかと、これは私どもが承知しております限りは、そのような報告には接しておりません。
○野田哲君 この前の予算委員会での答弁の中で、警察の方と一緒になって調査をすると、こういうふうに答えておられるじゃないですか、調査されたんですか、その点どうなんですか。
○政府委員(影井梅夫君) 先般の御指摘がありましたので、私どもの方から警察にこのことは連絡しておりますし、また、当然警察の方でも御調査いただいているものというふうに考えております。
○野田哲君 警察庁の外事課長か、外事関係の方見えていますか。——防犯課長ですか。警察庁ではこの点については調査をされましたか。
○説明員(四方修君) この種外国から日本に参りまして働いております者の活動につきましては、平素入管当局と連携をとりまして、所要の調査等をやっておりますけれども、当該御質問の秘苑につきましては、すでに御案内のとおりに、以前に無許可の風俗営業ということで検挙いたしておりまして、その後もわれわれ注意いたしておりますけれども、現時点におきましては、この秘苑の中で私たちが関心を寄せるべきような状態での実態があるというふうには聞いておりませんで、そういうふうには把握いたしておりません。
○野田哲君 これはちょっと、前の予算委員会の答弁の経過と違うんじゃないですか。私が質問したことに対して調査をすると、こういうふうに答えておるわけなんですよ、警察と一緒になって調査をする。私が質問したのは、興業関係のビザで入って客席にはべっている疑惑がある、これに入管の職員が絡んでいる、この問題を指摘をしたわけであります。これに対して五月八日の日に答えがあって、さらに不十分なところについては警察と協力をして調査をする、こういうふうに答えておられる。だから、風聞を聞いておりませんということではなくて、私が指摘したことに対して調査をするということになったのはどうなったのか、こういうふうに聞いているんです。
○説明員(四方修君) 先ほど申し上げましたとおりに、この秘苑の問題について私たちの方に、具体的に調査をするということについての連絡は受けておりませんけれども、そういう個々の具体的なものでなくて、一般的に、先ほど申しましたように入管当局と警察とは連携を密にいたしまして、お互いに協力し合って所要の捜査等を行っておるわけでございまして、当該秘苑につきましては、先ほど御答弁いたしましたとおりに、平素、前に無許可の前歴がございますので、営業者自体はかわりましたけれども、そういう事態が再び起こらないかということで注意はいたしておりますけれども、いまのところ、前回見られたような実態があるというふうには把握をいたしていないと、こういうことでございます。
○野田哲君 いま発売されている週刊サンケイ、秘苑のことが出ていますよ。こういうくだりがあります。「ある警視庁幹部に実見談を聞けば——、「同僚と二人で行ったんだが、玄関を入ると、女の子が五人ほどサッと出てきてね。どの娘がいいかということよね。チョゴリという民族衣装を着て、みんな美人でスタイルいいよ。で、我々が指をささなくともそこは以心伝心で、一番、見詰められた娘がスーッとついてくる。彼女らは終始、我々の左側に座り、立てヒザ。朝鮮料理のフルコースを口にぶち込んでくれる。そりゃもう徹底サービスだ、ピッタリと寄り添って離れない。」、こういうふうに警察庁のある幹部が語ったということが載っているんです。そして、さらに別のところでは、この出入国については観光ビザで入国した場合には一定の期間延長が許されている、こういうことで、百二十日ですか、これは後で確かめますけれども、マイクロバスで、入国のときには羽田から送り迎えをしている、一度に数十名入ってくる、こういうふうに報道されているわけです。前の入管局長の説明では、一定期間を滞在を認めておる女性については観光で入国を許している、で、秘苑には韓国籍で従前から日本で育った従業員が数名いる、こういうふうに答えておられるわけですよ。そうすると、この数十名入ってくるのは芸能人としてお客さんに芸能を披露するということで入ってくる、この人は客席にはべる人とは別なんだ、数名の人は韓国籍ではあるけれどももとから日本で育った人だと。そうすると客席へはべっているのは一体だれなんですか。あれだけの高級料亭で、一人一人に客席にはべっている、これは一体どういう人なんですか、はっきり言ってください。
○政府委員(影井梅夫君) ただいま、かなり多人数の者が観光査証で入国をして云々というお話がございましたが、観光査証で入国いたしました者、これは観光客でございますので、このような行為を認められておりません。それから、芸能人という別の資格で入国いたします者、これは私いま手元に正確な人数は持っておりませんけれども、一時にそのように多数の者が入国する、そういう入国を認めたということはないかというふうに考えておりますので、その事実につきましては、私どもいまここで何とも申し上げられないということでございます。
○野田哲君 何回も聞きますけれども、あなたはいま、芸能人として入ってきた者はあくまでも芸能人として芸能を披露する、これで入国を認めている、こういうことですね。これは六十日間なんですね、滞在期間、許されるのが。で、これは客席にはべるホステスとは全く別の取り扱いだと、こう言われたわけです。だから私が聞いているのは、それでは秘苑で客席へはべってサービスをしておるのは一体どういうことなんだ、手続としてどうなっているんですかと、これを聞いているんです。
○政府委員(影井梅夫君) 韓国から参ります芸能人、これは六十日間の在留が認められまして、それから一度だけ期間更新を認めるという扱いをしておりますので合計百二十日、四カ月間の在留を認めております。 それから、客席にはべる者云々でございますが、私、実は現場を存じませんので何とも申し上げかねますけれども、先般参議院の予算委員会で御説明申し上げましたとおりに、湯島秘苑には、日本で生まれました韓国人、恐らく協定永住権を持った韓国人だと思いますけれども、そういった韓国人が何名か働いている。この人たちは戦前から日本に居住していた韓国人あるいはその子供ということで、在留資格というものに基づく制限がございませんので、これは日本人と同じいろいろな種類の活動ができるというふうになっております。
○野田哲君 そんなポイントを外してもらっちゃ困るんですよ。秘苑というのは、日本語のわからない、韓国語あるいはまれに英語、これしかしゃべらない韓国から来た女性がホステスとして客席にはべっているということはもう周知の事実なんです。だから、いま局長が言われたように永住権を持った者、これがホステスでないということは明らかなんです。それで、芸能人としての査証を持って入ってきた者、これはホステスと認められないと、こういうことになれば、現にホステスというのは、あなたはこの前日本に永住権を持った者が数名いると言われたんですけれども、秘苑のホステスというのはそういう状態ではないということ、これはもうここにもいろんな形で報道されているんです。だから、このホステスというのは入国査証のない形でやっているんですかどうなんですか、そこを聞いているんですよ。
○政府委員(影井梅夫君) もし、芸能人として入国いたしましたこの芸能人が、客席にはべりましていわゆる接客行為を行っているといたしますと、これは入国条件の違反ということになるわけでございます。
○野田哲君 あなたは仮定のことばかり言って、私が五月の四日に指摘をして、調査するということで、この高木氏のことについては調査をしているけれども、入国査証の正しく取得していない者がホステスとして働いているんじゃないかという疑惑については何にも調査してないんじゃないですか。仮定の答えばっかり言っている。どうなんですか、これは。
○政府委員(影井梅夫君) 御指摘のような事実がございますかどうですか、私どもの方で調査をしたいと考えます。
○野田哲君 あなたは五月の四日に調査をすると、こう言ったんですよ。今日まで何にもしないでおって、いまになって調査をする、一体これは何ですか。
○政府委員(影井梅夫君) 先般、参議院の予算委員会で私申し上げましたのは、一般的にこういった日本に入国いたします外国人が資格外の活動をしているかいないかということにつきましては、警察の方と連絡をいたしまして常に協力をしているという趣旨を申し上げたつもりでございます。
○野田哲君 常に警察と連絡をして調査しているにしては何にもわかっちゃいないんですから。防犯課長の方はわかっているんですか、その点どうなんですか。
○説明員(四方修君) 先ほども申しましたけれども、もう少しく詳しく申し上げますと、御指摘の湯島の秘苑という店は、これはわれわれの監督いたします風俗営業ではなくて、飲食店の営業許可を受けまして、高木民司という人の代表取締役という形で飲食店営業という形で営業いたしております。私たち、先ほども申しましたように、警視庁の方で、まあしょっちゅうというわけにはいきませんけれども、ときどき、無許可の風俗営業の前歴もあるというところから実態を見ておりますけれども、女性は十数名が常時稼働しておるという実態でございまして、それは先生も御指摘のように、芸能ビザで来日をいたしまして主として歌舞音曲によって客に接待をしておる、こういう状況でございまして、いままでのところ、私たちの方から見ますと、芸能ビザで来日をしているにもかかわらず、先生御指摘のような芸能の提供を全然やらずに他の業務にもっぱら専従いたしておりますれば、当然出入国管理令違反になりますし、さらにまた、前回見られましたように風俗営業法で言うところの接待行為を客席でやっておりますれば、しかもそれを営業としてやっておりますれば無許可の風俗営業になるわけでございまして、常にこのいずれかの違反がないかということで注目いたしておりますけれども、いままでのところそういう実態を把握するに至っておりません。しかしながら、私たちの本来の任務からいたしましても、今後とも引き続き十分な注意を払っていきたい、このように考えておるわけでございます。
○野田哲君 だから、いまの防犯課長の説明、入管局長の説明からいくと、歌舞音曲をサービスをするということでやっておれば別に問題はないんだけれども、十数名の者が働いているというわけでしょう。ですから、もし芸能ビザで入った者が客席に着いておれば明らかにこれは入管法の違反でしょう。それから、一般の飲食店、こういう許可でやっておるのに客席へはべる者がいるとすれば、これは風俗営業法違反でしょう。 法務大臣ね、これ一遍目を通してくださいよ、後で。週刊サンケイ、いま売っているんです。入管所長であった者を秘苑にスカウトしたとはまことにこれぐらいの適切なスカウトはないだろうと、こういうふうに話題になっている。こういうことなんですよ。防犯課長はいま一般の飲食店だと言われましたけれども、これは余りにもとぼけた言い方じゃないですか。秘苑というのは韓国の民族服を着た女性が客席へはべるというのは常識になっていますよ、いまでは。それどころではない、こういうふうなことも書いてあるんですよ。これはやはり警視庁のある幹部の実見談ということで書いてあるわけです。客席に着いて「暫くするとカードをくれた。そのカードには〃翌日、午前九時から午後六時まで自由時間だから〃という意味のことが書いてあって電話番号もある。我々は、そこまではやらなかったが、」と、こういうふうなことが書いてある。これだけ世間に話題になって、私も国会で指摘をした。なぜ今日まで具体的に調査をしていないんですか。だからこそ私は入管の事務所長とこの秘苑との間には非常な疑惑があるということで指摘をしたんです。法務大臣としては一体どういうふうにこれ、お考えになりますか、いまのやりとりを聞いておって。 〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕
○国務大臣(稻葉修君) いまのやりとりを伺っておりまして、何となくいかがわしいな、これは教育上もよろしくないな、社会教育上もよろしくないな、もう少し入管局も警察と緊密に連絡して、そういういかがわしい状態でなく、健全なものにしないと、まあ日韓の友好にも差しさわりがあるな、よろしくないと、こういうふうに感じました。
○野田哲君 もう少し具体的な調査をやりますか、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) そういうことをやってもらいましょう、入管局長に。あなたに答えたことは局長に対する命令だと思って聞いているでしょう。 —————————————
○理事(加藤武徳君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、寺田熊雄君が委員を辞任され、その補欠として上田哲君が選任されました。 —————————————
○野田哲君 法務大臣がそういうふうに答えられましたから、この問題はおいて、次に、日本に滞在する外国人の情報活動について伺いたいと思うんです。 まず、内閣調査室に伺いますが、法学セミナーという本ですね、これは法務大臣も法学者でありますから御承知でしょう。法学界においてかなりの権威を持った本です。この中に、内閣調査室は情報の収集の活動をいろいろやっておると思うんですが、いま発行されている統一日報という新聞がありますね、この統一日報に対して財政援助を行っている、こういう記事があるんですが、——こういう新聞です。財政援助をどういう方法で、どういう内容のものを行っているんですか、これをまず伺いたい。
○説明員(百瀬涓君) 法学セミナー、昭和五十年十二月臨時増刊の中に、「韓国における人権弾圧の状況」という座談会の中で、そういう御指摘の記事がございますけれども、うちの方で調べました結果、統一日報なる新聞に対して経済的な援助をしておるというふうな事実は全くありません。
○野田哲君 一応内閣調査室というところの性格上、否定をされるんであれば、それ以上私も続けようとは思いません。 法務大臣に伺いますが、去る三月十七日のアメリカの下院外交委員会、この小委員会で、レイナードという人、これは御承知であろうと思いますけれども、アメリカの国務省の韓国部長を務めた人です。この人がKCIAの活動について証言をしております。ここにその原本もありますけれども、この中を読みますと、すでに新聞にも報道されておるところでありますけれども、最後のくだりの方で、このKCIAの活動については、日本でも行われていて、金大中氏を日本から拉致した、これもKCIAの活動である、こういうふうに明確に断言の証言を行っています。こういう証言があっても、この前三木総理は、日本にはKCIAの活動はないということを一月のわが党の小林進衆議院議員の質問主意書に対して答えられておりますけれども、こういう証言があっても、なおかつ日本にはKCIAの活動は存在しない、こういうふうに認識をされているのかどうか、まずこれを伺いたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 総理大臣がそういう答弁をしたと、一体こういう証言があっても総理大臣は何と思っているのかということは、総理大臣にお聞きください。
○野田哲君 あなたの。
○国務大臣(稻葉修君) それで、そういうことを伺うのは初めてですがね、こういうことがあってもKCIAの活動が日本に行われていないと思うかということになれば、いないと思うとも言えないし、いると思うとも言えませんな。しかし、そういうKCIAの活動が日本にあってたまるものかということは言えますね。
○野田哲君 これはね、法務大臣、三木総理が答えているのは、正式な国会法に基づいて質問主意書として出された、それに対して三木総理の名前で答えているわけですから、これは手続上から言えば、閣議にかかっているはずなんだから、私は特に法の番人である法務大臣に伺ったんです。 そこで、いまの法務大臣のお答え、どうも歯切れがはっきりしないんですが、ここ四、五年来の日本におけるKCIAの活動について、金大中事件が起こって以降、ここに私、リストアップしただけでもずいぶん日本の新聞雑誌で報道されているんです。各、朝日とか読売とかあるいは週刊読売とか週刊現代とかね、これだけ日本の大新聞、大新聞が発行している、あるいは大出版社が発行している週刊誌で報道されている。これでもまだ政府としては明確な態度を表明されない、あいまいにされておる。これでは法を守る法務省として、私は少しこれは、どういうんでしょうか、怠慢と言わざるを得ない、こういうふうに思うんです。いかがですか、この点。
○国務大臣(稻葉修君) そういうKCIAの活動などは許すべきものじゃないということは政府として答弁しております。したがって、政府がそういう活動を取り締まるとか、調査するとかいう職務を担当するのは、法務省か、警察か、外務省、みんなに関係するんだろうと思いますね。したがいまして、御指摘があったことについては、関係各省庁と協力してよく調査します。いままで怠慢であったという御指摘に対しては文句の言いようがありません。
○野田哲君 一つ具体的なことで指摘をして伺いたいと思うんです。いま私が示した統一日報、これは恐らく稻葉法務大臣、読んでおられるかどうかともかくとして、この議員会館か大臣室かへ私は届いていると思うんです。恐らく全国会議員の手元へ郵送で届いているはずなんです。この統一日報という新聞は、まあざっと紙面を、もし暇であれば目を通してもらえばおわかりだと思うんですが、非常に政治色の強い新聞で、特定の国を名指し、あるいは特定の在日の外国人の団体を誹謗中傷しています。まあ一応日本では、日本で発行されている新聞ですから報道の自由が保障されているということですから、これは内容の是非を私は問うものではないのですが、この統一日報に最近ずっと掲載されておる事件で朝民連事件というのがあるんです。この朝民連事件というのは、在日の外国人の団体の中へいろんなデマ宣伝などを行っているんです。そういう活動を、外交官の特権を持って日本に滞在をしている者が、その特権をもってそういう活動をやることは一体許されていいものかどうか、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 私のただいまの学力をもってしては、これに対し的確な答弁をする能力を持ちません、遺憾ながら。よく法務省の知識のあるやつに聞きまして御答弁したいと、こう思います。
○野田哲君 じゃもう少し具体的に聞いていきたいと思うのですが、この朝民連事件という問題は、具体的に言えば朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮、ここを非難中傷し、あるいは朝鮮総連、この組織の撹乱をねらった文書を、いろいろその組織の関係者に配布をしているわけなんです。 そこで、まず入管の担当の方へ伺いたいんですが、神奈川県の相模原市相模台二−三−二一、堀川印刷所、代表者は堀川清次ということになっておりますけれども、これはこの朝民連事件のいろんな怪文書の印刷をしているところなんです。この堀川印刷所の代表者である堀川清次、この人はどういう人であるかということ、これは入管の方でわかっているはずなんで答えていただきたいと思います。
○政府委員(影井梅夫君) 私の方でわかっております事項は、国籍が韓国であること、それから住所、氏名堀川清次、それから生年月日、それからこの人の従来の職歴でございますが、一九五四年十一月十九日キャンプ座間の運転手、それから一九五九年十一月十九日東京駐日韓国代表部運転手、一九六八年十一月十八日印刷業と、これだけ私の方で承知しております。
○野田哲君 この朝民連事件に関係する文書はここで印刷をされている。 そこで次に、東京都目黒区目黒三−五−一二、毛利マンション四〇五号室、それから港区高輪一−二−一五、コーポ高輪車坂四〇五号室、ここに住居を構えている人、これも入管の方ではわかっているはずだと思います、調査を求めておりますので。これもどういう人がここへ住居を構えておるか答えていただきたいと思います。
○政府委員(影井梅夫君) ただいま御指摘の点につきましては、私の方での調査は、調査の御依頼があったのかよく存じませんが、私は承知しておりません。
○野田哲君 それでは私が漏らしておったかもわかりませんが、後で確かめてください。 この目黒の毛利マンション四〇五号室、ここに住んでいる人は朴載京、それから高輪の方は安という人。この二人は在日韓国大使館の大使館員です。間違いないと思うのです。問題は、ここで、この場所でこの統一日報というのの業務の一部が行われている、こうなっているわけです。日本に滞在する外国公館の、公舎といいますか、そういうところでこの統一日報というような、あるいは朝民連事件、こういう物議を醸しておる問題の業務の一部が行われている。これが事実としたら、これは許されることですか、いかがですか。
○政府委員(影井梅夫君) ただいま御指摘の二名の人がもし在日の大使館員でございますと、これは国際慣例に従いまして、私ども入国管理局の管理の適用外ということになりますので、その辺の詳細は実は私どもではわからないということになります。
○野田哲君 外交官であればあなたのところの対象外だということはわかっているのです。それを聞いているのではなくて、在外公館、外交官の特権を持って日本に滞在をしている者が、日本にある団体の内部を撹乱するような業務をやっていいのか、このことを聞いているんです。これはあなた所管でなければ法務大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) それ、先ほどの質問と同じじゃないでしょうか。ですから、私はいまそういう知識を持ちませんので、よく調べてからお答えいたしますと言ったんですがね、先ほど。これは南北朝鮮——南と北の、何といいますか、争いみたいなものを日本の国内でがちゃがちゃやられることは、国民として、南北の平和的統一を望んでいるわが国の方針としても、国民の希望としても余りおもしろいことではありませんね。ただ、法律上違法なのか、言論の自由でそんなことは法律違反ではないよと言うのかは、私のいまの法学知識で何とも即答できませんから、よく調べてお答え申し上げます。こういうことです。
○野田哲君 じゃ、よく調べるということであれば、重ねて調べてもらいたいことをつけ加えておきます。 これらの業務に使用されている車ですが、外の四八五一、外の四八五三、外の四八九五、これは明らかに在外公館の車です。これが使われている疑いがある。このことをもあわせて調査をしてもらいたいと思う。 問題は法務大臣ね、このような活動を事実とすれば、明らかにこれは日本に滞在をする外国の大使館員を装った、あるいは民間人を装った形でのKCIAの活動の一環だという疑惑を持たざるを得ないわけです。すでに金大中事件に対するレイナード元国務省の韓国部長の証言もあった。そして、金大中事件の調査の過程では、拉致した中に金東雲、当時の韓国大使館員がいた。このこともはっきりしているんです。こういうふうに幾つもKCIAの活動と見なければならないような行動がたくさんあるわけです。現在、日本に居住をしている韓国人で、韓国を訪問してそこで逮捕されて帰ってこない、こういう人が幾人もいるわけですね。日本に永住許可を持って住んでいる韓国人の生命財産、これは日本の政府が守る責任があるわけです。その人が韓国へ行ってですよ、そして母国を訪問したらそこで逮捕されてそのまま帰してもらえない。明らかにこれは、国内にそういう諜報機関があるからこそ向こうで逮捕されるのですよ。そういう事例がいま幾つも出ておるわけです。これは真剣になってぜひひとつ日本におけるKCIAの活動の存在、このことについてもっと真剣になって政府としては対処してもらいたい。このことを要望して、もう時間がまいりましたので終わりたいと思います。
○峯山昭範君 本日は法務省の設置法の審議でございますが、現在問題になっておりますロッキードに関する問題も、法務大臣が当内閣委員会に御出席になるのは本日初めてでございますので、やはり一言触れないわけにはいきませんので、御質問さしていただきたいと思います。 まず、例の議長裁定というのがございますが、当然この問題につきましてはもう何回か質問がございました。しかし、改めてきょう私は今後の審議の問題等も含めまして、きょうは初めてでございますので質問をしておきたいと思います。 その議長裁定の第四項に、「国会の国政調査権の行使に当たっては、政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」こういうふうに述べているわけでございますが、これは非常に私は重要な問題でございますので、政府は国政調査権に基づいて最大の協力をすると、こういう裁定があるわけでございますが、政府が国政調査権について最大の協力をするということは一体どういうことなのか、法務大臣としてどういう協力をするつもりなのか、これをちょっと一遍教えていただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 法務省の所轄にかかわる検察庁は、ロッキード問題に関する犯罪捜査、刑事責任を追及する職務を持っております。刑事責任を追及した段階で、国会がまだ政治的、道義的責任があると御判断になって、それを調査するため国会の国政調査権を行使する方法として、検察庁の捜査の結果について報告を求められたり、資料の提出を命ぜられることが予想されますが、その場合には、事態の推移を見て、刑事訴訟法の立法の趣旨をも踏まえ、四十七条はもちろん刑事訴訟法の一条項でございますが、これをも踏まえ、政治的、道義的責任の国会の行われる解明に最善の協力を行う。無条件の協力を行うものではありません、最善の協力を行う。最善のとは、法令の範囲内において最善の御協力をいたしますと、こういう意味だと受け取っております。
○峯山昭範君 私は、大臣、当然検察庁は、これは刑事責任の追及を行っているわけでございますね。大臣、初めそういうふうにおっしゃいましたが、後で検察庁の中で道義的責任の話もちらっと一言入りました。大臣の答弁で、検察庁の追及の中に刑事責任の追及というのは初めに申されました。ところが、その次に二度目におっしゃったときには刑事的責任、道義的責任とおっしゃいました。そして私たちが追及するこの政治の立場、私たちの追及する立場というのは、これは刑事責任を追及するわけじゃないわけです。あくまでも道義的責任、政治的責任を明確にするということが私たちに課せられた重大な責任であろうと私は思っております。 そこで大臣ですね、大臣は無条件じゃないと、けれどもできる限りのという答弁がございました。確かに大臣はかねがねこのできる限り、たとえば私のわかった限りとか、こういうようなことをいろいろと何回か答弁をしていらっしゃいますが、これは大臣もう少し具体的に言うとどういうことでございますか。
○国務大臣(稻葉修君) さあ、具体的にと申しましても、どういうことを具体的に御要求になるんでしょうか、こっちから聞きたいぐらい。その具体的な御要求に対して、これならば御協力できますとか、それはいま犯罪捜査の段階でございますからだめですとか、事態の推移を見て御協力を申し上げます。政治的、道義的責任の追及者はそちらの方なんですから、こっちじゃないんですからね、だからそっちが具体的に要求されなけりゃ具体的に答えられないですね。
○峯山昭範君 というのは、私はなぜこんなことを言うのかといいますと、一体大臣は、今回のこのロッキードの問題について、先ほどから答弁ずいぶんいろんな角度から同僚議員が求められましたが、刑事局長からの答弁はほとんどが、要するに捜査中でございますとか、いろんな問題で具体的に答弁何もできなかったわけですね、結局は。そこで大臣は、要するに大臣に私たちが答弁を求めるわけでございますから、大臣に知らないことを聞いても、それは私知りませんということでどうしようもありませんね。そうしますと、大臣は今度の事件で一体どういうふうな報告を受けておられるのか、何を知っておられるのか、そこら辺のところもわからぬわけですよね、大臣。こっちが追及する方だから、これとこれと具体的に言えと、こう大臣はおっしゃっているわけですけれども、ところが、何と何を知っておるのか、それを実際私たちわからないわけです。そこで、大臣は要するに、こういうふうな今回の問題についてどういうふうに御報告を受けていらっしゃるのか、たとえば今回の資料の公表の問題もございますが、特に一番のポイントはやっぱり政府高官名の公表という問題に焦点がしぼられてくると思いますね、最終的には。たとえばその政府高官名の問題にいたしましても、これはいろんな段階が私あると思います。現在、たとえば先ほどのいわゆる検察庁が取り調べを行っている人たちの人数とか、あるいは関係者の話についてもいろいろ質問がございましたけれども、その中に政治家が含まれているのかどうかということについても、結局は最終的にはまだ何にもないわけですが、そこで、大臣が実際問題、そういうふうな政府高官名の名前とか、そういうことはどういう時点で大臣は知るのか、あるいはどういう経過を経て大臣はその中身を知るのか、そこら辺のところもちょっと一遍教えていただいて、その上で具体的にはもう一回入っていきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 検事総長から報告を受けたときに知るわけです。まだ検事総長の報告を受けておりませんから、刑事局長を通じて捜査本部長からの報告は先ほど秦さんの御質問に答えて、三つばかり述べました。それ以外に報告を受けておりませんから、知らないわけですね。
○峯山昭範君 検事総長から報告を受けていないということでございますが、それでは、これはいつごろ受けられるんですか、報告は。いつごろ受けられるというよりも、これは検事総長から報告があるまでじっと、いわゆる法務大臣は待っておられるのか、あるいは、たとえば訓令に基づいて、請訓事項というのがございますね、報告を受けるものがございますが、こういうふうな事件の問題のときには最終まで報告がないのか、もうそろそろ報告があってもいいと考えていらっしゃるのか、そういうところはどうなんです。
○国務大臣(稻葉修君) もうそろそろ報告を受けてもいいと考えておるかという質問にはちょっとね、微妙でございますな。私と検事総長と会ったときの話では、これは見ないで渡すわけですからね、米国資料など。けれども、重大な段階にくれば報告はしてもらうよと、もちろんでございます、こうなっているんですから、捜査の進みぐあいによって、検事総長が、これは法務大臣に報告すべき重大な段階に来たな、こう考えたときに報告があるものと御承知願いたい。それはもうそろそろだか、そろそろでないかなんて言われても申し上げるわけにいきませんね。
○峯山昭範君 これは重大な段階に差し至ったとか、捜査の進捗状況とか、進みぐあいというのは、これは当然検事総長が判断されるわけでしょう。ということは、もう大臣は全くわからないわけですな、向こうから報告があるまで。そういうことですか。
○国務大臣(稻葉修君) そういうことでございますね。
○峯山昭範君 そこで私は、それでは結局は、先ほど大臣は国政調査権に基づいて最大限の協力をすると、こういうふうに言いましても、これは要するに、私たち国会は閉会中審査をするとは言いましても、これはロッキードの委員会もスタートをしたわけでございますけれども、これは要するに具体的な報告ですね、やっぱり捜査の進捗状況にいたしましても、資料のぐあいにいたしましても、そこら辺のところは非常に私たちもっともっと具体的に、どんどん報告をしていただいて、そういうふうな中であれしていかなきゃいけないと思っているわけですけれども、大臣、まずそれじゃ検事総長から報告があった場合、これは直ちに法務大臣としては記者会見か何かで発表されるわけですか、これはどうです、この辺のところは。
○国務大臣(稻葉修君) 記者会見もございましょうし、ロッキード特別委員会の委員長に、報告したいと思うがということを申し上げれば、委員長は特別委員会を御招集になるんじゃないか、そういう手段、そういう方法をもってお知らせすると。とにかく皆さん早く知りたい知りたいと思っていらっしゃるのですから、その知りたいことにおこたえするのが最善の協力の中にも入るわけですからな。
○峯山昭範君 そうしますと、検事総長から法務大臣に報告があったかどうかということは、私たちわからないわけですが、これは報告があったら直ちにいまおっしゃったようなことをされるわけですか。
○国務大臣(稻葉修君) 間髪を入れずというわけにはまいりませんね、これを総理大臣に報告したりロッキード関係閣僚協議会に報告したり、そういう時間はありますからね、その上の話でございますな。
○峯山昭範君 ということは、大臣、私が言うのは、たとえば検事総長から報告があって三日も四日も法務大臣が黙っているということはあり得ないと、いま大臣の答弁を聞いておりますと、検事総長から報告があったら直ちに総理に報告し、あるいはロッキードの特別委員会の委員長に報告したりするというのは、大体その日のうちにいろいろと内容等について大臣が判断をされて公表すると、こういうことでございますか。
○国務大臣(稻葉修君) そうとも限らないわけです。どうしてかというと、検事総長が私に報告して、こういう段階に来ましたと、けれども、これをいま発表されることは将来の捜査に差し支えますからしばらく黙っていてくださいという報告になるかもしらぬものね。そうすれば、捜査の妨げになることを法務大臣がはしゃいでやるわけにはいかぬもの、そうでしょう。
○峯山昭範君 そうすると、たとえば検事総長から、この問題は捜査に支障を来すから黙っていてもらいたいと、こういうふうに言われた場合には、それはそれがあるから直ちに公表するわけにはいかないと、ただし、そういうふうな報告があったと、中身はなくてもいいんですよ、検事総長からの中間的に報告があったということは、これは公表されますか。
○国務大臣(稻葉修君) まあ、よく考えましょう、そのときに。いまここでは、ちょっと考えさせてください、そのときに考えますから。
○峯山昭範君 これは大臣、早急に考えておいていただかぬと、きょう帰ってから報告があるかもわからぬわけですよ、実際問題。あしたあるかもわからないわけです、実際問題として。やはりこういうような問題は、少なくとも私たち、この道義的、政治的責任を追及するためにはその中身を一日も早く知りたいし、またその中身から具体的な問題が発展する可能性もあるわけですし、どうしても必要なわけですね。そういうような意味では、あらゆる場合を想定して大臣としては検討をしていただきたいということをお願いしておきたい。 さらに、安原刑事局長にお伺いをいたしますが、私は新聞報道等で読んでおりますので多少舌足らずなところがあるかもわかりませんが、先ほどから答弁を私聞いておりまして、刑事局長、非常に丁寧に答弁をされる方だなあということは先ほどからの答弁でわかりました。したがって、新聞に書いているとおりではないと、私新聞報道のとおりでもないということも感ずるわけですけれども、先日の新聞報道にこういう記事がございました。政府高官名の公表という問題について「法相の判断次第」であるというふうな見出しで、まず三点ございまして、まず第一点が「検察当局を国会で証人喚問することは独立した検察運営に支障を招く恐れがあり、やめてほしい」と、こういうふうな記事になっておりますが、これはどういうことです。
○政府委員(安原美穂君) かつて造船疑獄のときに、当時の検事総長、それから東京地検の検事正が証人として喚問を受けた事実がございます。そのときも、大方の証言事項につきまして証言を拒否し、最後は内閣の声明ということまでいった事案でございますが、国会におかれて検察官を証人に呼ぶことができないと私どもは思っているわけではございませんけれども、独立と公正を旨として、司法に準ずるものとして検察の独立、公正というものは保障されなければならない、それに携わる人の独立、公正ということを保障すべき必要があるといたしますと、やはり、捜査中においてその人が証人に呼ばれることはもちろんといたしまして、捜査が終わった後にも、その捜査の内容等につきまして直接担当の検察官あるいはその指揮する検察官に、国会においていわば一種の強制力を用いて証言を求められるということは、実際問題といたしまして検察官の独立ということに直接間接に影響を与えるおそれがある。したがって、検察の独立が裁判の独立と同じように尊重されなければならないとすれば、国会は、そういう権限をお持ちでも、ほかに方法が、証言を求められる事項というものについて全然知る方法がないというならともかく、ほかに方法があるならば、これはひとつ、検察の独立というものを尊重していただく意味において避けていただくことができないかという法務当局としては希望を持っておるということを申し上げたのでありまして、申すまでもなく、国会にそういう権能がないということを申し上げたのではございません。
○峯山昭範君 これは法務大臣、刑事局長がいまおっしゃっておることは、検察当局を国会へ呼ぶということは、要するに国会へ証人として喚問するということは、独立した検察運営、捜査、それに影響を、支障を来すおそれがある、だから、いろいろな角度からやめてほしいと、こう言っているわけです。そうですね。これは逆に言いますと、私たちは、国会で国会の機能によりまして、国政調査権に基づいて、いわゆる検察は刑事責任を追及しているかもしりませんけれども、われわれは政治的責任や道義的責任を追及しているわけです。ですから、その証人を喚問するかどうかということについてはわれわれ国会が決めることですね、言うたら。また、国会が判断をすることでしょう。そういうことをやめてほしいなんということを刑事局長が言うということは、国会の国政調査権にやたら干渉することになりませんか、逆に言えば。ですから、そういうような意味から言いますと、私はこの国政調査権というものについて一体どう考えているのかと、こうなってくるわけです。これはどうなんです。
○政府委員(安原美穂君) 先ほどのお答えから御理解いただけると思いますが、私どもは干渉しておるのではなくて、検察の立場に立ってお願いを申し上げておるという気持ちでございまして、それが干渉がましくとれたとすれば訂正をいたさなければならない事柄でございます。 それから、私先ほど申しましたように、その希望する場合におきまして国政調査を尊重すべきである、これはもちろんでございますから、国政調査が検察官を証人として呼ばなければできないというような事柄であります場合には、それはもうまことにやむを得ないことであって、そのときにお控えくださいとお願いすることは無理なお願いであることもわかっております。ただ、私がそれをこの間申し上げたのは、結局、今度の事件に関する処分の内容について、国会が政治的、道義的責任の追及という立場から国政調査をする方法としてどういうものがあるかということのお尋ねがありましたときに、まず一番初めに、造船疑獄のときに行われた検察官を国会の場に証人として呼ぶという方法があり、そのほかに、国政調査権の発動として法務大臣から報告を求めるという方法もあるということを申し上げたわけでありますし、そういうことを申し上げたわけであります。その場合におきまして、今度のような問題については、事件の内容なり、処分の理由というようなことがもし国政調査で必要であるとする場合に、必ずしも検察官を証人として呼ばなくとも、その検察官のやった事柄につきまして一般的指揮監督権を持たれる法務大臣がその内容を知らされるわけでございますし、具体的にお尋ねがあれば、法務大臣はたとえそのときは知っていなくとも、検察当局から、こういう国会からの国政調査の質問があるからどうであったのかということの報告を求めることもできるわけでございまするから、国会に対して責任を持つ内閣の一員でもあります法務大臣の口を通して、一面において行政的に属する検察権の行使の内容については法務大臣からお尋ねをいただく、国会法の百四条の国政調査権の発動として国会からそのことをお尋ねいただくことが、われわれとしてはそれで十分にお答えができるものであるから、それでやっていただくことが検察権の独立という、いわば三権分立のたてまえからいきまして司法権の独立が尊重されるに準じて検察権の独立を尊重していただけるならば、そういう方法をとっていただくことが法務当局としては望ましいことであるというお願いを申し上げたのがそのときの発言の趣旨でございます。
○峯山昭範君 だから、私はいまあなたがおっしゃっていることが、要するに国政調査権に関する干渉だと言うのですよ。いま、あなたがおっしゃっていること自体がそうじゃないですか。要するに、検察官に聞くかどうか、何も呼ぶとは言っていないですよ、私たちはまだ。呼ぶとは言っていませんが、検察官に聞くか法務大臣に聞くかということは、われわれ国会が判断することであって、あなた方が判断することとは違うと言うのですよ、これは。検察官に聞かぬでも法務大臣が知っているから法務大臣に聞けばいいじゃないか、こんなもの。これは聞かぬで、こっちの方は呼ばぬでもいいじゃないかと言うことは、これはいかぬと言うんですよ、ぼくは。そういうことの判断はわれわれ国会で、立法府できちんとやることであって、あなた方がそういうことを口に出して——あなたのいまの答弁だってそうですよ、そういうことはこれはおかしいと、越権行為だと言うんですよ、そのこと自体が。それはもっと敷衍して言いますと、国政調査権に対するあなた方の考え方がおかしいからそうなるんじゃないかと私は思うのですよ。何か答弁がございましたらやってください、とりあえず。
○政府委員(安原美穂君) いまのような国政調査のやり方について国会が最終的に判断権をお持ちになるということはもっとものことでございます。それを否定するものでは毛頭ございません。あくまでもお願いを申し上げておるだけでございます。 〔理事加藤武徳君退席、委員長着席〕
○峯山昭範君 お願いであったにしても、それは国会が判断することですから、そういうことをたびたび堂々と、それが何となく筋が通ってちゃんとしているみたいな形で言うのはいかぬと私は言うんだ。そこら辺の判断はやっぱり国会できちっとすべきであってね。 そこで、私は何でこんなことを言うかと言いますと、これは大臣、まず、大臣はこの国政調査権という問題についてどういうふうな御認識をお持ちか。国政調査権というのは、これはどういうふうな法律に基づいてこういうふうな国政調査権というのがあるのか、この点ちょっと一遍お伺いしたい。
○国務大臣(稻葉修君) どういう法律があるかというと、憲法六十二条が憲法上の基本規定じゃないでしょうか。それから派生して国会法百四条でしたか、それから議院の証言に関する法律、こういうものがあって、それに基づく調査権と心得ております。
○峯山昭範君 ですから、私も同感なんです。そのとおりだと私は思うんです。この国政調査権というのは、憲法六十二条で「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」と、これが根本になって、これからいまおっしゃった百四条ですね、それから証言法と敷衍してあるわけですね。ですから、そういう点からいきますと、国政調査権というのは、私は立法府にとりましては非常に大事な権限であると思います。 そこで大臣、私の手元に「ロッキード社問題に関する相互援助取決めと議院の国政調査権・刑事訴訟法四七条但し書との関係」五十一年四月十日付の文書がございますが、これは法務省でつくられた文書でございますね、御確認を願いたい。
○政府委員(安原美穂君) 公表したものではございませんが、部内の検討用として作成した文書でございます。
○峯山昭範君 先ほどから確認をしていただきましたので、公表したものではないが、部内の検討用としてつくられたものだ。これは大臣、私はこれを一つ取り上げてやりますと相当問題がある。いま大臣は国政調査権についてのお考えをお述べになりました。きょうは時間的な関係ですべてはやりませんが、一点だけ取り上げてみますと、これは第八項目です。「ロッキード社問題に関する資料公開についての院議は、もとより尊重されなければならない。しかし、」これから問題です。「もとより尊重されなければならない。」という頭がございますが、これは何となく「しかし、」というところから「本来、国政調査権は、立法権、行政監督権等の権限を有効に行使するための補充的権限であり、それが捜査に関する事項に対し行使される場合には、検察の有する準司法的機能にかんがみ、本来、その行使には、おのずから制限のあることはやむを得ないところである。」と、確かに私はこのとおりかもわかりませんよ。しかしながら、法務省当局のいわゆる国政調査権に対する考え方というのは、この中に私は明確にあらわれていると思うんです。国政調査権が憲法の、先ほど大臣がおっしゃった六十二条から敷衍して、非常に私は立法府にとっては最高の権限である、こういうふうに私たちは考えている。にもかかわらず、このあなた方の「国政調査権は、立法権、行政監督権等の権限を有効に行使するための補充的権限」であるというのは、一体、これはどういうことなんです。
○国務大臣(稻葉修君) 国会本来の任務は、立法権、条約承認権、行政一般の監督権等であると思います。だから、国会に法律上ゆだねられた人事承認権等あるわけですね。まあ一番中心といえば、やっぱり立法権なんでしょう。条約も立法権の一部として考えればそういうことなんでしょう。その権限を行使するには、いい立法をしなけりゃいかぬから、その意味で、それを便ならしむるために六十二条を置いて国政調査権を国会に与えると、広範な。そういう趣旨が憲法の仕組み、六十二条の精神ではないかという意味で、補充的というのはちょっと言葉がまずいかもしれませんけれども、立法権を非常に有効適切に行使せしめる機能を国会に持たせると、憲法が。その趣旨で六十二条を置いたものと理解しております。
○峯山昭範君 それは大臣の言う私は詭弁だと思うのです。確かに、立法権を行使するための補充的権限というような書き方をしておりますが、その後に出てくる「検察の有する準司法的機能にかんがみ、本来、その行使には、おのずから制限のあることはやむを得ない」、これは端的に読みますと、要するに国政調査権にはおのずから制限があってもやむを得ないと。当然制限のあることは、それはわれわれもわかっています。わかっていますが、これは要するに、いわゆる検察権を尊重するという立場からの制限でありまして、やっぱり国政調査権と、たとえば司法権とが対立した場合にはどういうぐあいに判断すべきかというのは、そこに出てくる一つの公共の福祉という問題で判断されるというふうにとれると私は思うので、実際問題、これはこの文章をそのまま読んでしまいますと、国政調査権というものは大したことじゃないんだというふうな感じに受け取れますよ、実際、文章全体から見て。頭には確かに、資料公開という問題については「院議は、もとより尊重されなければならない。」と、しかし、「しかし、」というところから後は、しかし、公表しなくてもいいんだと、こう言わんとしているわけですね、言ったら。これじゃ私はやっぱり国政調査権というものに対して、われわれ前々から相当この問題が議論になっておりますけれども、国政調査権というものをいかにして強化し、そしてこういうふうな問題が出てきたときに、たとえば先ほど初めに質問しました議長裁定の中でも、国政調査権に基づいて政府は最大限の協力をすると、こういうふうな議長裁定が出ているわけですね。そうしますと、その議長裁定が、これは補充的な権能なんだから、要するに制限のあることはやむを得ない。ただ単に読めば何となくわかるような気もしますけれども、しかしながらこの根底に流れている思想というのは、国政調査権というものはそんなに権限のあるものじゃないということを言わんとしている。これではいかぬのじゃないかと、こう私は思うんですがね。またこれだけじゃないんです。この文章全体を読みますと非常に私たちは納得できないことが余りにも多過ぎる。ですから、私はそういうふうないろんな観点から考えてみて——先ほど刑事局長も造船疑獄の話が答弁の中にも出てまいりましたが、いまの項目のところにも造船疑獄の話がやっぱり出ております、例として出ております。そういう点から考えてみましても、国政調査権というものに対してどう今後強化していけばいいか。法務大臣は立場が違いますから、これに違うと。いま法務大臣やっていらっしゃるからですが、やっぱり国会議員なんですから、国政調査権という問題については、今後ただ単にわれわれが国政調査権というのを叫ぶだけじゃなくて、たとえば予算措置の問題や人員の配置の問題や機構の整備の問題や、こういうふうなことも含めて、国政調査権というものが本当に保障されるような、われわれがいまロッキードの委員会で何かやろうとしましても、具体的な資料何にもないじゃないですか、実際問題。政治的、道義的責任を追及するとはいま言いましても何にもないわけです、実際問題。乗り込んでいって資料を取ってくるわけにもいかない。マスコミの皆さん方の調査の機能の方がずっと上回っているわけですよ。これではわれわれが幾ら政治的、道義的責任を追及するといいましても、空転せざるを得ないような実情にあるわけです。そういうような意味では、私たちは何とか国政調査権というものを強化する必要がある、こう考えているわけです。そういうようなときに、部内資料とはいえこういうふうな国政調査権に対する考え方というのは私はこれではまだ納得できない。やはりこういうふうな資料をつくる場合でも、国政調査権というものは、たとえば大臣が初めにもおっしゃった憲法のこういうところから出てきて、こういう権能があって、こうなっているんだと、そういうふうな頭があっての話ならまだ話はわかる。そうじゃないわけですよ。何となく国政調査権を軽んじるような風潮がこの文章全体の中に流れておる。私はこれは非常に遺憾だと思うんです。これは大臣ね、もう一遍答弁いただきたい。
○国務大臣(稻葉修君) ロッキード事件勃発以来、いろいろ予算委員会等の論議を通じて、国政調査権なるものが万能であるかのごとき印象を国民が受けるとすれば、そうではないのだと。それにはおのずから制約がある。こういうことは憲法解釈上当然だと思うんですね。仮に、極端な例を挙げれば、現に係争中の裁判なり、あるいは確定した裁判の内容の論評なりを国政調査権の名においていたすことは、司法権の独立という憲法上の大原則に触れるというわけでありますから、おのずから制限があると。その司法権の独立に密接な関係ある犯罪捜査権を捜査の途中において調査されるということは捜査の妨げになるだろうと。われわれは一生懸命にクロを追っておる。国政調査権に基づく政治的、道義的責任というのは、いわゆるわれわれ捜査当局から言うとシロを追われるわけです。ですから、お気持ちはよくわかりますけれども、いま何らの資料がなくて困っているというけれども、いまはないかもしれないけれども、そのうちにどかっと出てきますから、恐らく。そのときは私らは政治的、道義的責任など追及する権限はないのですから、それは国会の国政調査権、大権限に基づいて大いにやっていただきたい。これが三木内閣の姿勢です。この事件は単に刑事的責任を追及すればそれをもって足りるとするものではないだろう。もっとも、皆クロになれば同時に政治的、道義的責任もがっぽりついてきますわね、これは。けれども、そういう場合に政治的、道義的な面をも究明して将来の政治の清潔さ、議会制民主主義の健全なる発達に資するというのが三木内閣の姿勢でございますから、いましばらくお待ちください。そのうち材料は出ないわけはないと思いますから。
○峯山昭範君 大臣、私は確かに大臣のおっしゃることもわかりますが、国政調査権が万能だなんて全然思っていないですよ。大臣、国政調査権というものが余りにも無能であると。われわれは、たとえば先般の田中金脈以来この国政調査権というものに基づいていろいろな資料の要求をやってまいりました。ところが具体的に何にも出てこないのですね、実際問題として。結局追及するに当たりまして、たとえば国税当局にいたしましても、いろいろな資料をこの内閣委員会の席上でもずいぶん要求したのですけれども、現実に出てこない。大臣がいま答弁の冒頭におっしゃった、国政調査権が万能である、国民がこう思ったら大変なことになると、こう大臣おっしゃっておりますが、国政調査権が万能どころか、とてもじゃないけれども、検察の捜査権と比較してみてもとんでもない、全然権能がない、機構もない、どうしようもないという感じなんですよ、私は。ですから、そういうふうな意味では、国政調査権というものを何とか強化しなければいけないということを私は考えているわけです。そういうような意味で私は質問しているわけです。 大臣、いま、そのうちどかっと出てくるとおっしゃいましたがね、いつ出てくるのですか、これは。そんなことあるんですか、どかっと出てくるなんて、本当に私はどかっと出てきてほしいと思っているわけです、実際のところね。
○国務大臣(稻葉修君) いつってことはちょっと困るんですね、いつってことは。相当なものが出てくると思いますよ、それは。それから、何といいますかな、私どもも、それから検察当局も、もちろん刑事訴訟法には「適正且つ迅速に」と書いてあるのですから、早いにこしたことはない。早いにこしたことはないけれども、ざる碁の早碁みたいになっては皆取るべき石を取り逃してしまうわけですね。それこそ検察は何をしていたのだということになりますから、それですから非常に綿密に、しかも静かではあるけれども、熱心に、党せず偏せず厳正公平にいま捜査を進めている段階で、早く出せ早く出せと言われても、いろいろな資料に基づいてやるのですから、その資料は犯人をつかまえる道具だもの、その大事な道具を出せの見せろのって言われたってそう簡単に出したり見せたりいまはできないじゃないですか。
○峯山昭範君 私は大臣、大臣がそのうちどかっと出てくると言うから、本当にそんなことはあるのだろうかと、私は非常に不信を抱いているわけです。それでいつと言われては困るが相当なものが出てくると、相当なものが出てくるということはこれは確かですか。
○国務大臣(稻葉修君) 私の推測を申し上げたわけであります。
○峯山昭範君 大臣、これは私たちも大臣がおっしゃるように、犯人を取り逃がさないように厳正、公平に公正にいまやっている最中なんだと、だからこれがちゃんとすれば、もうそのうち資料はどかっと出てくると、こういうふうに大臣はおっしゃっているわけですね。先ほどから。 そこで、大臣、この資料の出てき方もちょっと一遍聞いておきたいんですが、実際問題、まず二つほどお聞きしたいので、まず初めに、国会はこれは二十四日までですな、とにかく、二十四日。もうあと二、三日しかないわけですが、四日ですな。そうしますと、二十四日まで何とか、たとえば中間報告なり何なりの報告をするめどとかなんとかいう、その大臣の勘ではどうです。
○国務大臣(稻葉修君) 皆さん、国民もお急ぎなことはよくわかりますから、そしてこの国会は、まあほかに重要なものも片づけましたけれども、ロッキード問題に明け暮れしたような点もなきにしもあらずなんです。その国会があと四日で終わるんですから、その終わった段階くらいのところでは、どかっと出てくるかどうかは別として、どかっかちびりか、とにかくやっぱり法務当局としては、法務大臣としては、もう少しお待ちください、いまこんな段階ですという報告が、できればしたいものだなあと、それはやっぱり責任があるなというふうにまじめに考えています。
○峯山昭範君 いま大臣がおっしゃった、国民やみんなも待っているわけでございますから、いまこんな段階なんですということは報告をしたいというのが大臣の希望であるということですから、あと四日しかございませんけれども、確かに国民も待っておりますし、われわれも待望しておるわけですから、いまこうこうこうという段階でございますということは、ぜひとも、いま大臣がおっしゃったように報告できるように努力をしていただければ幸いだと思います。 そこで、まずその点が一つと、それから実際問題として、これは一応われわれが政治的、道義的責任を追及するのに役立たせるためには、もちろんそういうふうなアメリカから来た資料を全部公表するというのが一つありますね。それからもう一つは、このいわゆる取り調べや一切が全部終わった段階でのいわゆる終わった段階での話をちょっと一遍大臣にお伺いしておきたいんですが、これはどういうふうな形になるんですかな。たとえば資料の公表というのは終わった段階で一応すると、これは終わった段階になりますかな、大体この資料の公表というのは。大体どうです。
○国務大臣(稻葉修君) 終わった段階というのはは、正確に、先生おっしゃることはどういうことですか。
○峯山昭範君 起訴。
○国務大臣(稻葉修君) 起訴、不起訴という処分が決定したと、この問題に関係あるいろいろ調べた者について。その場合に、いまその捜査に使った資料、アメリカから持ってきたものも公表するかと、こういうことですと、必ずしも公表できないんですね。アメリカの資料はそのまま生では公表しない実務取り決めになっております。それから、ほかのいろいろな捜査の資料でございますが、これはやっぱり公判で検察庁がバッテンでは困るんですね、やっぱり白星でないと。それですから、そういうおそれのある場合には、その段階に参りましても公表できませんわね、いろいろその場面に来てできるものとできないものとが出てくると思うんでございます。
○峯山昭範君 そうすると大臣、起訴という段階まで来ても、これは大臣が言うように、そのうちどかっととはいきませんな、実際問題としてね。
○国務大臣(稻葉修君) わかりませんね。
○峯山昭範君 それじゃ大臣、確かにわからないと言えばわからないかもしれませんけれども、大臣先ほど、そのうちどかっと出てくるとおっしゃったわけですから、どかっというのは、これはちょっとというわけじゃないと私は思うのですよね。どかっとですからどかっですね、やっぱりこれは。
○国務大臣(稻葉修君) またどかっと言ったなんていうと——どかっというのは、あなた何もないとおっしゃるから、いや何にもないのに対して相当なものが出たら、これはどかっでしょう。ゼロから見ればどかっです。ですから、そういうことをとらまえて、どかっと出てくるんだというようなことを法務大臣が言ったなんていうことになると、またいろいろ、いまああいう状態ですから差しさわりがあるでしょう。差しさわりが。局面に差しさわりがあるでしょう。ですから、あなたが何にもない、何にもできないじゃないかと、こう言うてお手上げみたいなことをおっしゃるから、いやそうではありません、国政調査権に対して協力すると言っているんですから、そういう意味で出てきます。そのときはしっかりひとつ協力しますから、もうお答えできることはどんどんお答えしますから、どかどかとお答えしますから。こういう意味で、六十二条を尊重するという立場でございます。
○峯山昭範君 どうも、大臣の答弁のペースに巻き込まれてしまってどうもいかぬのですがね。 これは大臣、それじゃ当然起訴された場合は——政府高官の問題です。起訴された場合には、当然これは公表されますわな、起訴された人は。ところが大臣、こういうような場合、そこら辺の詳細の報告があると私は思うんですがね、その起訴した段階になりますと、検事総長から詳細にわたって大臣に御報告があると思うんですけれどもね。
○国務大臣(稻葉修君) ちょっと待ってください。その前に、峯山さんね、起訴された段階に至らなくても、それこそ大物と称せられるような人を逮捕します、強制捜査に踏み切りますというような段階に来れば、これは報告がありますね。その後調べて処理いたします。
○峯山昭範君 そうすると、大臣おっしゃるように、起訴されるまでもなく、そういう政府高官に捜査の手が伸びたり……
○国務大臣(稻葉修君) 高官とは限りません、言ってないんです。大物被疑者と、こう言っている。
○峯山昭範君 大物被疑者というのもこれはまた非常にわかりにくいんで、どういうふうな人を大物被疑者と言うのですか、実際問題。
○国務大臣(稻葉修君) 法務大臣、法務大臣は大物だと思います。
○峯山昭範君 法務大臣はもちろん大物だと私思っていますがね、まさか法務大臣というわけじゃないでしょう。 ですから、当然私はそういうふうになると思うんですが、それは起訴されるまでにそういうような問題があった場合に御報告が大臣にあるわけですね、そういう場合は大臣はそういうのは公表されるわけですか、これはどうです。
○国務大臣(稻葉修君) 報告は恐らく、本当にそうなるかわかりませんけれども、前日くらいに報告があって、明くる日検察当局から発表があるというふうになるんじゃないでしょうか。
○峯山昭範君 大臣は先に聞いていて、検察当局に発表させる。大臣は、検察当局が発表する前にたとえばこの委員会等へ呼ばれた場合、そういうときはどうなんです。
○国務大臣(稻葉修君) それはできませんね、その日のうちに逃げられたりしたら困りますから。
○峯山昭範君 なるほど、逃げられたりしたらいかぬから、ちゃんと警察が手を打った後でということですな。わかりました。その点はわかりました。 そこで大臣、私は先ほど言おうとしたことをもう一遍ちょっとお伺いしますが、起訴された場合は、これは私は検察当局が起訴するわけですから、当然犯罪の内容等も固められて起訴されるわけですから、これはいいんですがね。そこで、不起訴になった場合ですね、不起訴。これは不起訴の中身というのは幾つか分かれておりますね、刑事局長どうなんですか、不起訴になった場合の中身ですね。
○政府委員(安原美穂君) 検察当局で不起訴処分の理由というのはたしか二十個ぐらいございますが、いまの事件について一応理論的に考えると、たとえば時効完成というようなことで不起訴、それから、時効は完成していないにしても犯罪の嫌疑がない、それから、一応疑いを持って調べたが罪とならないというような場合、あるいは一応犯罪は成立するが微罪である、起訴猶予というようなことが一応の不起訴としては考えられるのじゃないでしょうか。
○峯山昭範君 それは確かに大臣、いま刑事局長がおっしゃったように時効というのもありましょうし、また、たとえば証拠不十分というのもございましょうし、嫌疑がないというのもございましょうし、いろいろ二十幾つあるというのですからあると思うんですが、大臣に一遍ちゃんと聞いておきたいと思いますのは、不起訴になった場合、私は今回の場合は不起訴の中身は当然公表してしかるべきだと思っているわけです。と言いますのは、大臣ね、たとえばAさんという人が実際問題としてそういう犯罪の容疑があって、実際ロッキード関係の資料の中にも名前が出ておると、現実に名前が出ておるじゃないかということを言われておる人もいっぱいいるわけですがね、そういうふうに言われておったけれども、実際に調査をしたら全く嫌疑がなかったという場合もございますね、そういう場合でも、私は今度のロッキードの問題については国民が相当関心を持っておりますし、本人の名誉のためにこういうことを公表しないというのじゃなくて、本人の名誉のために私はそういうことも全部公表すると、要するにこうこうこういうことでこういうふうな嫌疑がかけられ、ロッキードの中にこういう名前が出てきたけれども、実は検察当局がいろいろ調査した結果全く嫌疑がなかったとか、そういうふうに、当然起訴された人たちというのは中身がわかりますけれども、不起訴の中身の問題については一遍検討していただいた方がいいんじゃないかと考えているわけですが、この辺のところはどうなんですか。
○国務大臣(稻葉修君) 峯山さん、何か誘導技術が非常にすぐれておられるものですからね、去年の憲法のときにあなたにひどい目に遭ったのだけれども、さっきもまたどかっなんて言っちゃったけれども、いまおっしゃったようなことは、それは非常にこの事件の性質にかんがみ意味のあることであると思います。ただ、いま捜査の段階で、そういたしますと、こう答えることは、任意の事情聴取などに関し、事項的、事柄的にも、人的範囲においても狭まるおそれなしとしませんものですから、いまこの時期にあなたの非常に巧妙な御質疑に乗るわけにはまいりませんな。
○峯山昭範君 私は、大臣ね、巧妙な質問をしているつもりはないんですがね。これは確かにわれわれがこれから政治的、道義的責任を追及するに当たりまして非常に私は大事なことだと、こう思っているわけです。そういうような意味では、大臣ね、そういうことについてもやっぱり検討されたらどうかと、こう言っているわけです、私が先ほど言いましたようなことを。全部公表せいというのじゃなくて、不起訴の中身の問題についてはそういういろんな問題があるから、法務省としてもやっぱり検討する必要があるんじゃないかと、こう言っているわけです。この点後で答弁いただきたい。 それで、時間が私の質問もうあと一分ほどしかございませんので、もう一点だけ一遍聞いておきたいことがありますので聞いておきたい。 それは大臣、これはロッキード社問題に関する相互援助取り決めですね、この相互援助取り決めというのは、私は当然国会の承認が必要である、こう考えているわけです。と言いますのは、あなた方法務省でつくりました先ほどの資料は、要するに国会の承認は必要ないと、国内法は全く縛られぬものだという見解に立っていらっしゃるわけです。ところが、われわれはそうじゃない、やっぱり国内法は縛っているという考えに立っているわけです。と言いますのは、余りもう時間ございません、議論いたしませんが、アメリカから来た資料ございますね、これは全部職務上の秘密に当たるものだけじゃないと私思うんですよ。すでにもうマスコミの皆さん方やいろんな方々から公表されたものもずいぶんあるんじゃないかと思うんです。そういうぶうな意味から言いますと、そういうふうなものまで国会に知らせないというのは非常に私いかぬと思うんですね。そういうような意味からいきますと、すでに公表されあるいは公表してもいいものまで公表しちゃいかぬということになりますと、これはやっぱり国政調査権を縛ることになるんじゃないかという判断を私はしているわけです。これは時間ございませんので御答弁だけになりますが、いずれにしても、こういうような観点から、そういうような点、法務省としてはどうお考えなのか、この資料からはもう明快でございます。でございますが、改めてこの点についても質問をしておきたい。この二点、御答弁いただいて私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(安原美穂君) 先ほどの、公表に当たってその名誉のために公表するということもあるではないかという御意見は、それなりにもつともな点も——点というか、もっともなところもございます。要するに公表の価値ということは、刑事訴訟法の規定する裁判、捜査の支障がないこと、それから人権の侵害に支障のないことということを守るために公開を禁止しておるわけでございまして、そういう意味におきまして、刑事訴訟法のそれこそ四十七条の精神にかんがみまして、公表の可否というものを検討する場合におきまして、公表することがかえってその人の名誉になるということであります場合におきましては、それは公表の可否を検討するに当たって確かに考慮すべき一つの要素であるということは御意見のとおりでございまして、今後ともそういう点については十分に検討いたしたいと、かように思います。 なお、ただいまの実務取り決めが国会の承認を得べきではないかということにつきましては、今回の実務取り決めは、峯山先生はそういう御意見ではないようでございますが、われわれといたしましては、これは単なる実務取り決めであって、わが国の法律の制度の中で許された実務的な取り決めであって、条約等に準ずるようなものではないという見解のもとに閣議の決定に基ずいて取り決めを結んだものでございます。
○国務大臣(稻葉修君) 峯山さんの御質問に対する私の答えが、いかにもいまの段階では国会の国政調査権に対する協力の仕方が消極的であるというふうな印象を与えるかもしれませんけれども、私そうでないんです。このロッキード事件というものの解明は非常に重要なことで、将来、多国籍企業に関するあり方とか、そういう国際条約もあるかもしれませんね、これは国会の条約承認権にかかわる問題、それから刑法、贈収賄というような事件は、政界に関係するというとこれはもう民主政治の破壊になるから、贈収賄の罰則は三年を五年にする、五年を七年にするとか、したがって時効も延びるとか、そういうことも将来考えられなければならないかもしれない、そういう重大な、国の立法権に非常に必要な六十二条、国政調査権でありますからね、そういう段階に来れば、先ほど私が申し上げましたように、あらゆるこの捜査の経験にかんがみて御協力申し上げる、こういうわけでございますから、いま余り急いで早く出せの、それから見せろのとおっしゃらずに、ある段階までお待ちいただきたい、お任せいただきたい、御信頼いただきたい、こういうことを最後に申し上げておきたいと思います。
○岩間正男君 私は本法案の内容に入る前に、ちょっとロッキード問題で一点だけお伺いしておきたいと思います。 稻葉法務大臣はきのうの衆議院法務委員会で、会期延長がなくこの国会がこれで終わるなら、ロッキード事件に対する中間報告をすることも考えている、これについて三木総理とも相談したいと答えておられますが、その場合に何を報告すると考えておられますか。
○国務大臣(稻葉修君) ロッキード事件について発表できるだけの材料を発表しようと、こう思っているわけです。
○岩間正男君 そういうものをお持ちなんですか。先ほどの峯山委員とのやりとりの中で、検事総長の報告を受けていない、だから報告のしようがない、こういうふうに答弁していましたね、あなたは。それなのに一体何を報告するんですか、何かあなたに手持ちの別の資料でもあるんですか。
○国務大臣(稻葉修君) 私はそんなことを言っているんじゃないですよ。そんなことを言っているんじゃなくて、この議会はロッキード問題を重大な問題として取り上げてきた議会だから、その終わる段階でその担当者である法務大臣がうんともすんとも言わないということは、国会に対しても、また国民に対しても余り礼儀の正しいやり方ではないではないか、それは人間としての礼儀であるじゃないかという気持ちでそう申し上げたわけであります。
○岩間正男君 国民に対する礼儀を尽くすのはいいかもしらぬが、国民がいま期待しているのは中身の問題ですね。形式だけの問題じゃない。しかし、あなたの先ほどのやりとりに従えば、とにかく検事総長から何も報告を受けていないと。中身のない報告ですね、結局中間報告というのは何も報告するものがございませんでしたという、そういう報告に終わる可能性は十分にあると言わざるを得ない。それとも、あなた自身が何かそういう資料をお持ちになっているならいざしらず、そうすりゃ国民の期待は非常に、中間報告がある、まあ、あと国会は余すところ三日、そういう中で、少なくとも責任を持って法務大臣が何か中間報告されるというので期待されているし、それから、報道陣もそういう立場からきょうあたりはどんどん来ているんじゃないか。ところが実際あけてみたら何もない、何もないという報告、それが中間報告だというのだったらいわば身なし報告になるわけです。国民の期待をそらすということになるのです。私はそう考えたくないので、そうすれば、これに対してもっと誠実にやっぱり対応する必要があるんじゃないか、こういうふうに考えます。だからこの点はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 誠実に対処する気は当然であるし、衆議院の法務委員会において、そういうことが当然あってしかるべきじゃないかと言われればそうであってしかるべきである、こう答えたわけです。新聞記者発表なり、そういう方法はいろいろありましょうけれども、うんともすんとも言わないんじゃ——この国会、これだけ関心のある事項につきうんともすんとも言わないんじゃ無礼じゃないか。いや、差し支えないと岩間さんがおっしゃればやらぬでもいいんですよ、これは。
○岩間正男君 そうすると、中間報告というのは、結局は、報告する内容は何もなかったということではなくて、何かやっぱり中身のあるそういう報告をするんだというふうに私は了解していいわけです
○国務大臣(稻葉修君) そういう了解をされちゃ困るんです。いまはあるともないとも言えない。あるともないとも言えない。
○岩間正男君 やっぱり私は、これは一つの姿勢だと思うんですね。あるいは、国民に気を持たせるようなことだが実際は大山鳴動して何もなかった、これが中間報告でございます、こういうことで終わらせるということは国民を失望させることになるんです。三木総理は、とにかくロッキード事件の真相究明のためには政治生命をかけると言っているんですね、その法務大臣ですね。ですから、あなたはそういう点ではこういう問題に積極的に対処する、そういう点が非常に必要だと思うんですが、はて、開いてみたら何も報告する内容はいまのところございません、これでは国民を失望させる結果になる。どうも、いまあなたの答弁を総合してみるとそういう結果に終わりそうですね。これはどうなんです。私は政治的にまずいんじゃないかと思う。この点はどうなんです。
○国務大臣(稻葉修君) まずいかどうかはこっちが判断することです。政治的にまずいか、まずくないかはこちらが判断する。あなたが、それはまずいじゃないか、やめておけなんということを言われても、ああやって約束してやめるわけにはいかぬね。
○岩間正男君 それはあなたが判断するより国民が判断します。国会がまた判断するでしょう。あなたは心境的なことはよく話されてここで笑わしているわけですが、その中にあるいは一脈の真実があるのかどうか、これは国民が判断するわけですけれども、この問題に対処する姿勢としては、もう少しやはりこれは真剣にいくべきじゃないかというふうに思うわけです。だから、中間報告というものをきょうあたり各新聞が取り上げているわけですよ、期待が持たれているんですね。これに対して、実際は、いま報告する中身はございません、これが中間報告でございます、こう終わってしまうということではやっぱり国民の期待をそらす、こういうことになるので、この点はやはりあなた自身これに対処する姿勢ともあわせて、また三木総理が、とにかくこれは政治生命をかけるとさえ言っている問題ですから、もっと真剣に取り上げてほしい、そういうことをまず最初に要望して、ロッキード問題は一応この一つの問題でお聞きしておいて、さて法案の中身に入ります。 この法務省設置法の一部を改正する法律案ですが、これは今次の改正案は、先ほどの大臣の提案理由説明で訴訟行政の円滑な運営を図るため訟務局を設置する必要があるという、こういう趣旨を述べられた。私たちは一般的にこれは必要があって、しかもそれが本当に国民の行政を民主化する、そういうことにこたえるんなら、部から局へ格上げするということ、そういう機構の拡充強化、これに何も反対するものではありません。しかし、今次改正案ですね、これが果たして一体国民奉仕の公正、そして民主的なむだのない行政、すなわち先ほど申しました行政の民主化を目指す機構改革になっているのかどうか、さらにまた、現在の訟務部の果たしている役割りというのはどういうものであるか、こういった観点からいろいろと吟味する問題があると思うんです。この点に立って質問をしたいと思います。 そこで、まず第一にお聞きしますが、現在の訟務部というところは国民への奉仕、国民への行政サービスという観点からは一体どういう役割りを果たしていると考えておられますか、これをまずお聞きしたい。
○政府委員(貞家克己君) 事柄の性質上、具体的にどういう場合にどういう貢献をしたか、また現にしているかということを、具体的個別的に申し上げることはなかなかむずかしいのでございますが、ただいま岩間委員御指摘のとおり、行政の民主化、法律による行政の確保ということに訟務部門というものは貢献すべきであり、またそのための努力をしているのでございます。つまり、簡単に申しますと、国民と国との間の法律的な紛争を、法の見地から適正迅速に解決いたしまして、法の支配の確立に寄与するということがまさに訟務制度の基本的な使命であると考える次第でございます。つまり、訟務部局というものは、そういった法律的紛争を適正迅速に解決することに努力する、そういたしまして、行政庁に対しまして、国民との間で無用の紛争が生じないようにするための協力、助言といった機能を果たすことによりまして、法律による行政を確保し、それによって法の支配を確立するということに寄与すべきものであり、またそのための努力を続けているところでございます。
○岩間正男君 いまのような答弁がありましたが、それは非常に美辞麗句に過ぎるんじゃないですか。問題は、実態をやはり明らかにする必要がある。具体的に事実をこれは追及してみなきゃならぬと思うのです。 それで、私は具体的に質問したいんですが、この訟務部から資料が提出されていますね。いいですか、あなたの方資料ありますな。四十五年と四十九年をとってもらいましょうか、その中で新受の件数——その中で国側が被告になっている件数、これを新受のもの、既裁のもの、未裁のもの、これをたとえば四十一年と四十五年と四十九年度で具体的に述べていただく。まず四十一年から述べてください。事実を述べてください。
○政府委員(貞家克己君) 国側、これは国、それから行政庁を含むわけでございますが、便宜一括して国側と申し上げることにいたしたいと思いますが、国側が被告、つまり訴えられた方になった側の事件でございますが、昭和四十一年度におきましては新受が千十八件……
○岩間正男君 これ国側ね、全体の合計は幾ら、新受の合計。
○政府委員(貞家克己君) 新受の全体の件数が、四十年は千九百四十一件、四十一年が千六百九十九件、四十二年は……
○岩間正男君 その中で、新受の千六百九十九のうち国側の被告人になっているそういう件数、それでそれが全体に占める割合、そこのところをはっきりしてください。
○政府委員(貞家克己君) 国側が被告になりました事件の割合が四十一年度は八一%、四十二年は八〇%でございます。
○岩間正男君 件数を挙げて。 もう一遍聞きましょう。訟務部の場合、合計があるでしょう。それがあなたのいま言った千六百九十九件、そのうち国側が被告になっている件数が一千十八件、これは全体の占める割合ですが八一%、同じように四十一年の既裁のものと未裁のもの、こういうものについて述べてください。
○政府委員(貞家克己君) 昭和四十一年度について申しますと、新受の……
○岩間正男君 新受はいいんですよ、いまやったんだ。
○政府委員(貞家克己君) 千六百九十九件、そのうち国側が被告になりましたものが千十八件、その割合は八一%でございます。四十五年をとりますと、新受の総件数が……
○岩間正男君 いやいや、既裁は。
○政府委員(貞家克己君) 四十一年の既裁全体が千五百九十件、そのうち国側が被告になりましたものが九百六十五件、割合が七六%でございます。末裁につきましては、同じく四十一年度でございますが、総件数が三千七百四件、うち国側が被告になった事件の未裁が二千五百五十六件でございまして、割合は八七%でございます。 次に四十五年を申し上げます。新受の総件数が二千三十八件、国側が被告になりましたものが千五百十件で、その割合は八九%でございます。既裁につきましては、総件数が千八百五十三件、うち国側が被告になりましたものについての数字が千二百九十一件、その割合は八五%でございます。未裁につきましては、総件数が五千九百八十一件、うち国側が被告になっておりますものの件数が四千九百十三件、比率は九四%でございます。 四十九年度の数字を申し上げます。新受の総件数が三千四百九十六件、うち国側が被告になりましたものが二千九百件、割合は九五%でございます。既裁につきましては、総件数が三千五百二十一件、うち国側が被告になりました事件については二千八百十六件、割合は九三%でございます。未裁事件につきましては、総件数七千五百六十二件、うち国側が被告になりましたものについては六千四百十件、比率は九六%でございます。
○岩間正男君 ただいま報告を受けたわけでありますが、四十一年度、四十五年度、四十九年度を比較しますと、ここに歴然としたものが出てくるわけですね。第一件数が非常に多くなってきている。 〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕 その中で、国側が被告になっている件数が、四十一年の八一%、七六%、八七%が、四十五年には八九%、八五%、九四%とふえている。四十九年になりますというと、件数もこれは倍加しているわけであります。それがもう九五%、九三%、九六%、こういうふうに激増しているわけだ。つまり、国の訴訟、この問題ですね、国が被告になる、こういう件数が非常に多い。大体九〇%と、ほとんどが国の訴訟のためにこれは使われている。訟務部というのはどうですか、こうなると、本当に国民の権利を守るという立場よりも、国の立場というものをあくまでもこれは擁護していくと、そういうことのために今度の改正が行われるという、歴然と事実が証明しているじゃないですか。これがどうして一体行政の民主化ということになるか。
○政府委員(貞家克己君) 国側が被告になります事件が非常に増加してまいりまして、反対に、国側が原告になる事件が横ばいないしはむしろ減少の傾向にあるのは御指摘のとおりでございます。その理由の詳細は必ずしも明確ではございませんけれども、最近、国家賠償請求事件等が非常に多数提起されているということが一つの理由であるかと存じます。反面、これは資料にもございますように、申し立て準備事件、つまり国側が訴えを起こしたり、その他の申し立てをいたしますために訟務部に依頼をしてまいります事件の数は、むしろ減少しているわけでございまして、こういったものにつきましては、われわれのささやかな努力でございますけれども、そういった問題が提起されました場合に、いろいろ行政庁から事情を聞きまして、行政庁にも独自の法律的な立場から助言をし、あるいは勧告をし、あるいは説得をいたしまして、こういった申し立てはやはり不適当ではなかろうか、もっと話し合いをして解決すべきであるとか、あるいはこの請求というものはやはり裁判所で認められる可能性が少ないんではなかろうかというような注意もいたしまして、国の請求事件というものが若干減少いたしておるというようなことも一つの原因ではないかというふうに想像いたしているわけでございます。 そこで、こういった国側が被告になる事件が圧倒的に多い場面におきまして、訟務部門を強化するのは、これは行政の民主化と全く相反するではないかという御説でございますけれども、私どもは決してそのようには考えていないわけでございまして、具体的な訴訟事件につきましても、各所管行政庁に十分事情を聞きまして、具体的事案について何が正しい法解釈であるか、どういう訴訟態度をとることが適当であるかというような点につきまして、決して行政庁に、一方的に行政庁の立場を支持する、擁護するというようなことではございませんで、訴訟上の態度、方針を決定するにつきまして、関係行政庁とよく調整を行うのでございますが、決して無原則に行政庁の意向に同調し、妥協するというようなことは決してないのでございまして、私どもはその点を十分注意しているわけでございます。そういたしまして、独自の立場から、何が正しい法であるかという観点から主体的に判断をいたしまして、所管行政庁に対してよく説明をいたし、必要があります場合には強い説得を行うことによりまして訴訟に臨んでいるわけでございまして、もし和解が相当である、この事件については訴訟で徹底的に争うよりも和解等の手段によって結末をつける方が適当であるというような判断をいたしました場合には、またそういった説明ないしは説得をするということに努めているわけでございます。 なお、それは訴訟になりました場合のことでございますが、私どもといたしましては、それ以外にもまだ紛争が生じていない段階におきましても、各行政庁から依頼がございました場合には、将来そういった訴訟にまで発展する可能性のあるような具体的な事案につきまして、その正しい法的な処理に関するところの助言あるいは協力を行っているわけでございまして、これを法律意見照会事件というようなことで統計をとっておりますが、年間、最近におきましては六千件を超えるそういった相談事件がございまして、そういった場合におきましても十分裁判所の司法審査に耐え得るような法律による行政というものは一体この場合に何であるかということを十分主体的に検討いたしまして、適切な勧告、助言を行政庁に与えることによりまして、それが法的に正しい行政が確保されるように精いっぱいの努力をいたしているつもりでございます。
○岩間正男君 いまのような説明を私は聞いているんじゃないんですね。事実を指摘して、客観的な事実の上に立って最近のこの訟務訴訟というのはどういうふうになっているかということを言っている。それに対して、まるで、弁解がましいことだけ言っているわけだ。あなたたちの心遣いもわからないわけじゃありません。そういう点からもされているかもしらぬ。しかし、実際は国の訴訟の問題がだんだんだんだん激増してきて、そうしてこの訟務部の仕事というものも、もう統計から見ますと九五%でしょう。これが国の訴訟にかかわってくるというところに一体問題がないかということを、私はこれは国会論争の中で、審議の中で明確にする、そのためにやっているわけです。ここはやっぱり法務大臣のこれは判断を仰がなければならない。こういう傾向が出てきていることについて、これは一体どういうふうに政治的にお考えになりますか。いまの事務当局の説明はまああんまり、これ役に立ちません。
○国務大臣(稻葉修君) 日本国憲法施行以来三十年、日本国憲法の非常に近代憲法としての重点は第三章、国民の基本的権利、自由の確保というところにあると思います。それがようやく三十年にして定着して、国民の権利思想とか自由確保の思想とか、法律の知識も向上したというようなことから、国民の側から見て国の不当な行政に対し国に損害賠償を求めるとかいう事件が非常にふえてきた。こういうことが、国が被告となる事件の激増という一番のポイントだと思いますな、私の考えは。そう思います。
○岩間正男君 そういう面も私は否定しません。そういう面もある。同時にしかし、これは国家権力そのものがね、非常にこれは強化されている面、そうして本当に国民の利害と必ずしもこれはしっくりいかない。対立関係になってきて、そうしてここで相克をやる、こういう事態が実際は非常に多くなってきているんじゃないか。この事実を私は同時に指摘して、両面からこれは考えなきゃならぬと思います。昔のように泣き寝入りをして、そうして泣く子と地頭には勝たれないと、こういう 〔理事加藤武徳君退席、委員長着席〕 ことはとっていない。これは民主主義のとにかくある程度の普及のためにそういう法的な権利に目覚めてきたという面も、こういうものを起こしていることは私は否定しちゃならぬと思います。同時にしかし、この問題を非常に中級裁判所や下級裁判所が判断下しても、もう結局は国家が上告をするというような、そういうかっこうを見ていましても、非常にそういう点では国家権力がまかり通っている、そういう面というのがやはり一面に存在するんだということをはっきり見ないと、これはこの問題の全体を把握したということにならないと私は考える。この点はいかがです。
○国務大臣(稻葉修君) あなたのおっしゃるような点もございましてね、法務省訟務部としては、まあ行政官庁が少し権力行使において行き過ぎがあって訴訟を起こされるという場面もしばしばあり、しかし一たん被告に立って訟務部がこの肩がわりをして、訴訟第一審に負けましてもね、なかなかその行政官庁の連中がしつこくピラニアみたいに食いついて何とか勝ちたいというんで、さあこれうまくいくかなという疑問がこちらにありましてもね、行政庁がそういうんなら引き受けてやろうかと、こういうことがしばしばあるわけです。これは行政官庁にとっても、また国民の側に立ってもあんまり利口なことではない、決して利益のあることではない、そういうことのように考えられます。そういう点、あなたが指摘される点については全面的に、あなたの指摘を全面的に否定はできないというふうに思いますね。
○岩間正男君 両面がある面については、一応これは肯定されたわけでありますが、これも私は具体的な事実から指摘をしたいと思うんですね。 で、まああなたたちから出してもらったのは、社会の耳目を引いた事件例というのがございます。これに出ているものですね、これはあなたたち説明してくれますか。私に資料をくれましたな。この事件名、時間の関係から全部やらなくてもいいですが、特に教科書検定訴訟、これは現在最高裁で裁判にかかっています。それから長沼ナイキ基地訴訟、これは札幌高裁、現在これは係争中です。それから大阪国際空港訴訟、まあそのほかたくさんあるわけですけれども、いまの三つについてもう少し詳しく説明してもらいましょうか。
○政府委員(貞家克己君) 教科書訴訟と長沼ナイキ訴訟と大阪国際空港訴訟でございますか。 まず、教科書検定訴訟から御説明いたします。教科書訴訟には二つございます。第一次訴訟といいますものと第二次訴訟と申しますのと二つございます。第一次訴訟は、文部大臣が家永三郎教授の著作にかかる歴史教科書につきまして、昭和三十八年に検定不合格処分、昭和三十九年に条件つき検定合格処分をしたのでございますが、家永教授が、検定制度自体が違憲、違法であるという理由で、昭和四十年五月に国に対し百万円の損害賠償を求める訴えを提起されたのでございます。この訴えにつきましては、まず昭和四十九年七月十六日に東京地方裁判所におきまして教科書検定制度自体は合憲であり、合法であるけれども、先ほど申し上げました条件つき検定合格処分の中に、文部大臣が不適切であるといたしました若干の個所に、一部裁量権の範囲を逸脱した不当な点がある、違法な点があるという理由によりまして、国に対して金十万円の慰謝料の支払いを命じた事件でございます。この判決に対しまして、家永三郎教授は、裁判所の憲法判断に誤りがあるといたしまして控訴をいたしました。国におきましても、この若干の部分に文部大臣の指摘に違法な点があるという点に不服があるといたしまして、付帯控訴をいたしまして、現在東京高等裁判所で審理中でございます。 次に、第二次訴訟でございますが、これは行政訴訟でありまして、原告が家永三郎教授、被告が文部大臣で、検定処分の取り消し請求事件でございます。この訴訟は、やはり同じく家永三郎教授の著作にかかる歴史教科書の改訂検定申請について不許可処分を昭和四十一年に文部大臣がいたしましたのに対しまして、家永教授が、検定は憲法二十一条の表現の自由等に違反すると、したがって検定制度自体が憲法違反であるというような主張をいたしまして、検定申請不許可処分の取り消しを求めている事件でございます。この事件につきまして、東京地方裁判所は、昭和四十五年七月十七日に判決をいたしました。これは俗に杉本判決と言われるものでございますが、この判決は、教科書検定における審査は、教科書の記述内容の当否にまでは及び得ないものであるという判断をいたしまして文部大臣敗訴、つまり検定処分取り消しの判決を言い渡しました。そこで、文部大臣はこれを不服といたしまして控訴いたしました。その結果、東京高等裁判所は昨年の十二月二十日に判決をいたしましたが、この判決は、第一審判決の憲法判断が不要の判断をしたもので、その点は失当であるといたしましたが、検定申請に対する不許可処分が行政の一貫性、安定性を欠いて違法であるという理由を掲げまして、検定制度に対する憲法判断はいたしませんで、文部大臣の控訴を棄却するという判決を言い渡したのでございます。これに対しまして文部大臣は、改訂検定制度の趣旨等の判断を誤って、その結果結論が誤ったというふうに考えまして、昨年末に上告をいたしまして、これは最高裁判所に係属中でございます。 次に、長沼ナイキ訴訟でございますが、これは非常に有名な訴訟でございますのでごく簡単にさせていただきたいと思うのでございますが、これは原告が二百七十名ばかりになります北海道夕張郡長沼町の住民でございます。被告が農林大臣でございまして、保安林解除処分の取り消し請求を求めている事件でございます。この事件は、昭和四十四年の七月七日に農林大臣が長沼町にあります国有の保安林約三十五ヘクタールにつきまして、航空自衛隊のナイキ基地設置のために保安林の指定を解除いたしました。ところが、それに反対する原告らの地元住民が、この保安林指定解除の取り消しを求めている事件でございます。この事件におきましては、自衛隊のナイキ基地の設置が森林法二十六条に言います公益上の理由に該当するかどうか、保安林の指定解除は、保安林の機能を維持するに足る代替施設設置後にされなければならないかどうか、本件の解除手続に瑕疵があるかどうかというような点が主要な問題となって争われましたが、第一審の札幌地方裁判所は、これは御承知のとおりだと思いますが、憲法九条の解釈を打ち出しまして、現在の陸上、海上、航空各自衛隊は、いずれも憲法九条二項に言う陸海空軍に該当して違憲であるということから、保安林解除の目的が憲法に違反するものである以上、森林法に言う公益上の理由には当たらない。したがって農林大臣のいたしました本件の保安林の解除処分は取り消しを免れないという結論をいたしまして、原告勝訴の判決をいたしたわけでありますが、これに対しましては、国側が原判決は憲法の解釈を誤ったものであると主張いたしまして、直ちに控訴をいたしました。そこで札幌高等裁判所におきまして、昭和四十九年の七月から九回にわたる口頭弁論が開かれたのでございますが、去る三月十二日に弁論が終結されまして、八月五日に判決言い渡しの予定でございます。 次に、大阪空港の訴訟でございます。これは第一次から第四次までありまして、第一次から第三次までの訴訟が現在最高裁に係属しておりますので、それについて御説明いたしますと、これは大阪国際空港の周辺に居住いたします原告ら二百七十名ばかりの者が国を相手にいたしまして、大阪空港を午後九時以降翌朝七時までの間、航空機の離発着に使用させてはならないという、いわゆる飛行場の供用差しとめの命令と、並びに航空機騒音等による過去及び将来にわたる損害の賠償を求めている事件でございます。 本件につきましては、昭和四十九年二月二十七日、第一審の大阪地方裁判所におきまして、国一部敗訴、原告の請求一部認容という判決がございまして、午後十時から翌朝七時までの使用を差しとめる。それから尉謝料といたしましては、過去の分につきまして一人最高五十数万円から最低九万円程度の損害賠償を認めました。ただ、将来の請求は認めないという判決をいたしました。この判決に対しましては、原告の住民並びに被告国、双方がこれを不満といたしまして、大阪高等裁判所に控訴いたしました。大阪高等裁判所は、昨年の十一月二十七日、判決を言い渡しました。その内容は、一審の原告らの請求をおおむね全面的に認める国敗訴の判決でございました。内容といたしましては、午後九時から翌朝七時までの飛行場の使用の差しとめ、それから各人につきまして最高百数十万円から二十万円程度の損害賠償を認めたわけでありまして、なお将来の分につきましても月幾らずつというような割合で将来請求をも認容しているわけでございます。これに対しましては、国はこの判決には法律上さまざまの問題点があるということ等考えまして上告手続をとりまして、現在最高裁判所に係属中でございます。 以上でございます。
○岩間正男君 いま説明をいただいたわけでありますが、いずれもこれは一つは憲法との関連の問題、しかも違憲判決が下されている。あくまでも表現の自由の問題あるいは憲法九条の解釈、こういう問題で明確に憲法の解釈がなされて、それによって違憲判決を下された。あるいはまた大阪空港の問題は、これは地域住民の権利を守る、そういう立場から、これは下級審並びに中級審の判決が出されたわけです。ところが、これに対して、全部これは国が上告をするわけですね。こういう立場で、実際は先ほど私は件数についていままでの足跡を見たわけでありますが、この中身について二、三指摘しましたように、非常にこれはやはり国があくまで裁判所のそういう判決に対して上訴をするという立場をとっている。だから仕事も非常に複雑になってくる。非常に量もふえてくる。こういう形でしょう。しかも本当に国民の、憲法によって保障された諸権利というものが実際は守られない。国が本当に国民の立場に立って国民の生活上の権利、民主的な権利、平和に対する願い、こういうものをもっと尊重する立場、憲法を本当に尊重する立場に立っていれば、私は恐らく、おかしいと思われるようなこういう上訴がなされることはない。そうしてこれが、四十一年度に比べてもう件数が二倍にもなってきた。そうしてその九五%以上が国側の訴訟だという形で行われている。このように仕事を繁雑にしているのは、これは国の基本的な姿勢にあるんだね、政治姿勢。あるいは憲法解釈が、非常にこれはもう改悪の方向に、改憲のような方向にいっている。そういうところに問題があるんでしょう。私は非常にこれは危険だと思う。国民の権利を守るという、そういう方向じゃなくて、反対に、国家権力がこれに対しまして対決をする、そうして、国民の権利を実際は認めない方向に訴訟を起こしていくというような、そういう実態がこれは明らかになってきているんじゃないか。ここに私は非常に危険なもの、重要な課題をはらんでおると見るんです。そして、そのような体制を強化するためのこの訟務部の局への格上げになっているのじゃないかというふうに思うわけです。こういう点を、やはり私たちはこの法案の内容に即応して二、三の問題、一端の問題に触れたわけでありますけれども、こういうものを明らかにすることが非常に今日重要だというふうに考えられるわけです。この点はもう私は私見をはさんで言っているわけじゃないですね。統計上の事実と、それから実際の国側が上告した二、三の例、ことに違憲判決に対する対処の仕方、そうしてこれを今度は訟務局が担当する、ここで権限が拡大され強化される、ここが非常に私は重大な問題だと思うわけです。この点について、これは法務大臣どうですか、私は客観的な事実から言っているんですな。法務大臣にこれは御回答願いたい。
○国務大臣(稻葉修君) 大きな問題を挙げられましたが、文部省としても、また農林省としても、 一方は教科書訴訟、一方はナイキ訴訟において、文部省としても農林省としても、違憲だから農林省のやった処分はだめだ、それから文部省のやった処分は違憲だからだめだと、こういう判定を下されて、それは承知しましたと言うわけにはまいらなかったと思うんです。そこで訟務部がその訴訟を引き受けてやるという、これ、やむを得ないと思うのでございますが、私どもは、国を相手としたあらゆる国民の訴訟には、何でもかんでも勝たなけりゃ承知しないんだという考えは持っていないんですね。勝つべくして勝ち、負けるときには負けてもしようがないと、それは。訟務部は行政庁の弁護人みたいな引き受け方でやるべきものじゃないと思うんです、これは。やはり一たんやった行政庁の処分でも、ちょっと無理だなあ、欠陥があったなあと思えば、やっぱり法の支配という立場に立って、普通の民間の弁護人みたいな立場で何でもかんでも引き受けるというのでなくて、和解を進めるとか、控訴をやめるとかいう事件もたくさんあるんです。たくさんあるんですが、官房の一部局たる訟務部長では、各省にそういうことを説得する場合に、やっぱり格が違ったりして力がない。局長が談判してもだめなら私やりますなんて、一部長がやるべき仕事を一々大臣が出ていって、農林大臣だとか、あるいは各省大臣に、これはもうこの辺で和解した方が訴訟の進行上いいよと、国民のためにも行政庁のためにもいいよというような助言、協力、そういう点において欠くるところがある、こういうふうに思うんであって、訟務部を廃して訟務局にして国家権力をうんと強化して、何でもかんでも勝とうとするんだなあという御推察は当たらないと私は思います。
○岩間正男君 推察でなく事実を挙げて私は言っているわけですね。結局、最近訴訟事件が非常に多くなって、国がこれらの被告人になり、原告になって、それが非常に多くなっている。そういう背景ですね、これを考えるというと、やはり一つは、何といっても安保体制下のこれは日本の政治そのものが大きく問題になります。長沼のナイキ訴訟の問題一つを見ましてもこういうことは出てくる。もう一つは高度経済成長、こういうことで、国民の利益を守るというよりも本当にこれは大企業のそういう利益を守っていく、そうしてそのために結局その被害が国民に及ぶ、自分の権利を守るために国民は立ち上がらざるを得なくなってくる。こういうところに基本的なはっきりした性格が出ておるという点を指摘せざるを得ないのです。これは民主主義の尊重、擁護、育成、こういうことを国は本当に目指しているというよりも、逆にこれをむしろ抑圧する、そういう反民主主義的な方向につながってきているんじゃないか。その背景にはやはり新しいファシズムのそういう危険というものもこれは考えられるわけですね。私はそういう点でこの問題をやはり見なきゃならぬので、単なる機構改革の問題としては見ていないわけです。 そういう中でもう一つ、これは稻葉法務大臣の足元に起こっている問題だからお聞きします。この社会の耳目を引いた事件例の中に、加治川堤防決壊損害賠償訴訟というんですね、これは東京高裁で現在争われている。これに対して法務大臣はどういう態度をとっておられますか、この内容についてちょっと話してください。簡単でいいです。
○政府委員(貞家克己君) 昭和四十二年八月、新潟県にございます加治川がちょうど一年前の水害に引き続いて再び堤防が決壊いたしまして、これによりまして付近の農民らが、建物が流失、倒壊した、水田が冠水したというようなことによります財産的な損害と精神的な損害両方につきまして、総計三千五百十七万円の損害賠償を求めているものでございまして、原告は住民二十名でございます。 第一審の新潟地裁におきましては、昨年の七月十二日、本件で問題とされました三つの地区の堤防がございますが、そのうち二カ所の仮堤防については、これは原告らの請求を棄却いたしましたが、一カ所、これは本堤防でございますが、それが設置、管理に瑕疵があるということで一部原告らの請求を認めたのでございます。それに対しまして両者が、当事者双方が控訴をいたしたという事件でございます。
○岩間正男君 これは新発田に行って私もこの加治川の桜を見たことがあります。恐らく日本一かもしらぬ。しだれかかっている、川にね。そういうところが破壊され、郷土が破壊された問題で、これは稻葉法務大臣も関係を持っておられますね。これは、法務大臣にこれを聞いても無理かもしらぬけれども、この訴訟についてはしかしどういう立場をとっておられますか、あなたの見解があったら。
○国務大臣(稻葉修君) これは四十一年と二年、続いて同一個所が破堤したものですからね。それで、四十一年七月十七日の災害によって破堤したところを四十二年の八月二十八日にまた同じところをやったものですから、前の仮堤防が不正工事じゃないかということを非常な理由として訴えられておる事件なんです。それに対し、県の工事の責任があったり国の工事の責任があったりするものですから、そういう過失はないんですと誠心誠意やったんだけれども、前の年よりもまた上回る豪雨がやってきてこうなったんですと、だから国に損害賠償の責任はないんじゃないですかということで争った事件ですね。そして、第一審はその一部、三千何百万円かのうちの五百万円を損害賠償認めたんです。けれども住民がこれを不服としてまた控訴した、国及び県も不正工事だと言われては黙っていられないというのでそれで控訴した、こういうことでございますからね。両方にやっぱり言い分があって第二審にいま係属中であると、こういうことだろうと思います。
○岩間正男君 これは私もこの破壊の現状を見たわけですけれども、やはり国家の責任というのは免れないところが非常に多いんじゃないかと、こういう判断をしております。 時間がありませんから、この訟務局の昇格問題とあわせて、私は人権擁護局の問題とか、あるいは法務局の人員不足での労働過重、それが全部本当にこれはもう国民にしわ寄せされている現状というのは放置できないんです。こういう問題と対置してこの問題をまた議論しなきゃならぬ。何が行政の民主化なのか、何が国民のためなのか、何が国民のための法務行政なのか、司法行政なのか、こういう点を明らかにしなきゃならないと思いますが、これは私はそういう準備をたくさんしておりますが、時間がありませんから、前半の質問はこれで終わって、そうしてさらにこの問題について最終的に明らかにしたいと思います。 これで終わります。
○委員長(中山太郎君) この際、さきの野田君の質問に対し、法務大臣の答弁の中で一部訂正をしたい旨の要望がございますので、発言を許可します。稻葉法務大臣。
○国務大臣(稻葉修君) 先ほどの野田議員の質問中、在日外国高官の外交特権を有する職員の行動等についての所見を求められましたが、本件は外務省の所管事項でありますので、外務省当局にその趣旨を伝達いたします。
○秦豊君 時間はあと六分残されていますから、早速で恐縮だけれども、刑事局長、いま両院の訪米議員団がワシントンに滞在中です。先ほどの報道もすでにお読み取りになったと思います。アメリカの証券取引委員会、SECのヒルズ委員長が十九日の午後日本の訪米議員団に対しまして、これまでアメリカ側から日本に引き渡しを完了した資料の中には、日本側政府高官による贈収賄の事実関係を裏づけるものも含まれている、こういうふうにきわめてずばりとした回答をなしたわけです。事実そのような資料なんですか、局長。
○政府委員(安原美穂君) 実務取り決めによりまして資料の内容を開示することは禁じられておりますので、どういう資料があるかということは遺憾ながらお答えするわけにはまいりません。
○秦豊君 その答弁がおかしいんですよ。何らこれは人名を特定せず、書類のタイトルを特定せず、ただ一般的な総合評価として、アメリカ側から渡された膨大な資料は、全体としてこれを脈絡をつければ贈収賄の関係をあるいは事実関係を裏づけるものだとヒルズ氏は言っている。しかも、その当の資料引き渡しの最高の責任者がずばりそう言っているんです。私の質問に対して、はい事実そうですとか、いえ全くそれは見当違いな評価ですというふうな程度のことを答えることが、なぜあなた、お互いの、日米間の司法取り決めに抵触をし、矛盾しますか、その答弁は納得できない。
○政府委員(安原美穂君) 少なくとも、実務取り決めとはいえ両国の司法省当局が取り決めたことでございますから、私どもの口からそれを破るわけにはまいりません。ただ、この取り決めによりますと、資料の提供を受けた側から裁判手続以外において公開することは禁じられておりますが、資料を提供した側からその内容を明らかにするかどうかということは取り決めの対象になっておりませんので、アメリカ、提供者側からその中身をおっしゃることは、それ自体は自由でございまするから、向こうで何を言われましょうとも私どもの口からそういう中身を言うことは困るということでございます。
○秦豊君 それから、関連をしまして、これは報道機関の一つのコメントですから一定の編集眼に従って書かれていると思うが、ヒルズ委員長がこういうことをずばりと言ったということは、もうアメリカ側から提供した資料によって、あとはあなた方の自助能力によって、みずからの能力で裏づけをとることはもう確実だと。つまり、間接的に、暗に、いまごろ司法共助によって嘱託尋問、こういうことをなそうとすることは、これは一つ不愉快だという意味の見解、認識、それを表明したものではないかとも言われている。それで刑事局長に、恐らくあなたはまたこれも捜査の機微に属するという答弁を早くも口の中でつぶやいているんだろうと思うが、少なくとも嘱託尋問——アメリカ側は資料を送った、十分だろうと言わぬばかりである、この発言は。あなた方が、日本の捜査当局が、あえてクラッター、コーチャン両氏にしぼって、あるいは二人プラスアルファかどうか知らぬけれども、嘱託尋問はどうしても必要である、強制捜査や逮捕に踏み切る、立件に踏み切るためには不可欠であると判断した最大の理由は何ですか、それも答えられませんか。
○政府委員(安原美穂君) まず、その判断したとおっしゃいますが、先ほどもお答えいたしましたようにまだ判断はいたしておりません。そういうことですから、判断をしたことを前提としてのお尋ねにはお答えいたしかねるわけでございますが、いずれにいたしましても、これは取材をされました石丸特派員の御判断でございまして、私、ただいま御質問があるというので急いでこの記事を読みまして、どういう意味かをはかりかねておる次第でございます。
○秦豊君 判断を何月何日にしていないから、発表していないからあなた方が準備をしていないということにならない、論理的に。あなた方が必要であると思うからこそ、すでに堀田検事をして打診せしめ、いますでにそのあらゆる手続関係、法的な問題、これを一々検証してあなた方準備しているわけですよ。判断をしたことを公表していないから、捜査当局側がその方向に行っていないと言わんばかりのいまの答弁は詭弁の一種であるとしか私は思えない。どうなんですか。
○政府委員(安原美穂君) 判断をするということは、これからそういうことをやるということでございますが、それはまさにこれから行います捜査の手段、方法を開示することになりますので、まさにこれは捜査の秘密でございますので、ひとつ御猶予を願いたいとお願いをしておるわけでございます。
○秦豊君 結構です。 同じく、これはヒルズ氏の言ですから、あなたもこれは報道機関の報道にすぎないと恐らく言いたいだろう。言いたいだろうが、実はアメリカの司法当局に対して、すでにSECは二週間前に新たな資料を渡したと。これは日本側にはまだ渡っていないんですね、あるいは渡っているんですか、この程度はどうなんですか。
○政府委員(安原美穂君) 先般、受領いたしております。
○秦豊君 受領……
○政府委員(安原美穂君) しております。
○秦豊君 時間ですから、国税庁次長、お願いします。 去る五月十六日日曜日、朝日新聞の朝刊は、児玉譽士夫の脱税関係に絡んで捜査の対象として野党議員も含まれると、あるいは含まれているという、いわば断定的な表現があったんです。含まれているものとみなされているとか、思われるとか、想像されるではなくて、ずばり野党議員が含まれているという報道があったんです。そういう事実はどうなんですか、事実そういうことはあるんですか。
○政府委員(横井正美君) あの報道につきましては私ども関知しておらないところでございます。この点につきまして、昨日参議院の大蔵委員会におきまして御質問がございましたので、私どもの国税庁長官より、関知しておらないということと、恐らくこの件は、例年の所得税の通常の流れの中で、いまの時期が三月十五日に出されました確定申告書の審理対象選定という時期に当たりますので、そういうことと誤って報道されておるのではなかろうかということをお答えしておるところでございます。したがいまして、本件につきましてはこれ以上申し上げることはないかと存じております。
○秦豊君 じゃ、時間だからやめます。
○委員長(中山太郎君) この際、暫時休憩をいたします。 午後六時二十七分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 —————・—————