地方行政委員会 第6号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/12
会議録
○委員長(上田稔君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 本日、大谷藤之助君、原文兵衛君及び夏目忠雄君が委員を辞任され、その補欠として石破二朗君、佐多宗二君、上條勝久君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(上田稔君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案につきまして、宮城県知事山本壮一郎君、全日本自治団体労働組合中央執行委員長丸山康雄君、立教大学教授和田八束君、立命館大学教授遠藤晃君、以上四名の参考人の方々から御意見を伺うことといたします。 まず、山本、和田、遠藤各参考人から御意見を承った後、質疑に入りたいと思いますが、和田参考人は午後零時三十分まで、山本、遠藤両参考人は午後一時までに退席したい旨のお申し出がありましたので、それまでに質疑を終了するようお願いをいたします。 なお、丸山参考人は午後一時に御出席をいただき、御意見を承った後、質疑をし、午後二時までに終了したいと存じますので、御協力いただきたいと思います。 この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様には、大変御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査の参考にいたしたいと存じます。 つきましては、議事の進行上、山本参考人、和田参考人、遠藤参考人の順序で、お一人十五分程度御意見を御述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、まず山本参考人にお願いをいたします。山本壮一郎君。
○参考人(山本壮一郎君) ただいま御指名をいただきました山本でございます。 先生方にはかねがね地方行財政の制度の確立につきまして格段の御配意を賜っておりますことを、この席をかりまして厚くお礼を申し上げる次第でございます。 ただいま御審議をいただいております地方交付税法等の一部を改正する法律案でございますが、私はこの法律案は一日も早く先生方のお力によりまして成立をさしていただきたい、そういう賛成の立場から、若干地方財政問題につきまして、お願いを兼ねた意見を述べさしていただきたいと存じます。 まず、この法律案は御承知のとおり、本年度非常に窮迫いたしております地方財政の補てん措置といいますか、財政計画ベースで約二兆六千億財源が足りない。このうちの約半分、一兆三千億を交付税の会計に繰り入れようという措置をとるものでございまして、実は五十年度の地方団体でございますが、非常に厳しい財政運営を強いられました。国からの特別の配慮もあり、団体それぞれ努力をいたしましたが、たとえば本県の場合、大変にお恥ずしい話ですが、約十億前後の赤字が出ております。単年度で申しますと、単年度の実質の収支は約二十億前後になろうかと思います。そういう赤字を繰り越しての五十一年度の財政運営はまことに厳しいものがあるわけでございまして、われわれはこの交付税特別会計への繰り入れ、借り入れ措置が決められておりますこの法律が一日も早く成立をいたしませんと、たとえば去る四月に概算交付されました交付税の総額から申し上げましても、法律が未成立のために、約三千二百億ばかり本来地方に配分さるべきものが配合されずにそのままになっておるわけでございます。これらはいずれも金のない地方団体が一時借り入れでしのいでおりますが、仮にこれを日歩二銭で計算いたしましても、この分だけで一日七千万円以上の金利がかかると、こういう事態でございますので、十五日には給与を支給する団体もあるわけでございます。この点、くれぐれも早期の成立をお願い申し上げたいと存じます。 なお、この機会でございますので、私どもの立場から地方交付税、あるいは地方税、起債並びに国の補助金等につきまして、現在われわれが問題点としてとらえておりますことを簡単に申し述べまして、今後の御審議の御参考にしていただきたいと存じます。 まず一つは地方交付税でございますけれども、御承知のように、昨年度は補正予算におきまして借り入れが一兆一千億ございます。それから本年度は、いま御審議をいただいておりますこの法律に基づきます借り入れが約一兆三千億余あるわけでございまして、合わせて二兆四千億ばかりの交付税が将来にわたって借り入れをいたしておるわけでございますけれども、今後の地方財源の硬直化の非常に大きな要因になるのであろうということが容易に理解されるわけでございます。予想されるわけでございますが、これらは本来、国が一般財源で地方に保障すべき財源である、かように考えられますので、これらの将来にわたります国からの措置、特別な措置をこの機会にぜひお願いを申し上げておきたいと存じます。 それと現在の地方交付税率でございます。これはもうずいぶん長い間据え置かれておりますけれども、この税率ではとうてい地方の財源を賄うには十分ではないということでございます。現にただいま申し上げました、五十年度あるいは五十一年度の特別措置を計算いたしますと、それらを交付税として、国税三税で割り返してみますと、すでに昨年の場合で四三・二四、ことしの場合で四二・九四と、つまり四〇%以上の税率でなければ交付税の額が確保できないという事態になっておるわけでございますので、ことしのような、国にも財源のない年は非常にむずかしい問題であろうかと思いますけれども、これはぜひとも税率のアップを考えていただきませんと、将来の安定財源としての交付税が確保できない、こういう問題がございます。私どもは数年前からこの税率のアップを国に働きかけておりますけれども、ぜひ来年度におきましては、これは実現をしていただかなければならない大きな課題であろうかと存ずるものでございます。 その他、交付税関係につきましてはいろいろ申し上げたいことがございますけれども、時間がございませんので、現在の先ほど申し上げました二兆四千億に上ります借り入れをどういうふうにして将来措置するのかということと、そもそも不足いたしております税率のアップの問題、こういう二点があることをひとつこの機会に先生方に特に御認識を賜っておきたいと存じます。 それから、かねがね地方の自主財源の増強ということを私どもは強く期待をし、希望をいたしてまいったわけでございますけれども、これにつきましては、特に法人課税、あるいは道路目的税源等の地方への配分の割合を強化してもらいたいということを強く主張いたしたのでございます。で、新しい税目になりましょうか、地方におきましていま非常に社会福祉関係の仕事が数多くふえておりまして、これに対する財源に困っております。たとえば社会福祉譲与税的なものの創設等を含めまして、自主税源の強化を、先ほどお願いいたしました交付税の率のアップと同時にお考えをいただきたいということでございます。 なお、去年あるいはことしあたりのこの状況からいたしまして、法人事業税が現在地方の大きな財源、特に県の場合は大きな財源になっておるわけでございますけれども、今後の経済の将来にわたります動き等々から考えますと、外形標準課税をぜひ導入をしていただきたい。このことにつきましては、すでに国会におきまして附帯決議もあるようでございますけれども、いまだ実現を見ておりません。安定的な財源といたしまして、法人事業税の外形標準課税の導入につきまして、ぜひ真剣に政府において検討され、早い機会の実現をお願い申し上げたいのでございます。 それから、第三点は地方債でございますけれども、最近のこの交付税の減収措置、あるいはまた県の税の伸び悩み等々から、その不足分を地方債においてカバーいたしております。これはまあ緊急避難的な意味におきましてやむを得ないこととわれわれは受け取りますけれども、この地方債を起こします場合に、政府資金の割り当てが非常に少ない。したがって、縁故地方債が非常にふえております。地方の段階でこれを処理することは大変にむずかしい状況に相なっておるのでございます。本県の例をたとえて申し上げてみますと、昭和四十五年当時、縁故債はせいぜい十九億前後でございます。それが昭和五十年度におきましては、二百十六億という多額の縁故債を地方において処理しなければいけない。これは地方におけるこの弱い金融状況のもとでは、とうていこれは処理し切れない問題が今後出てこようかと思いますので、できるだけ政府資金の枠を大きくしていただくということがまず一つでございますけれども、今後とも、この地方債の発行を縁故債によりましてそれぞれの地方でやらざるを得ない事態も当然これは考えなければなりませんので、地方団体の金融、公庫的なもの、つまり、こういう一つの仕組みをつくりまして、そこで共同して発行できるような措置をぜひ将来考えていただきたい、このことを特にお願いを申し上げておきたいと存じます。 なお、時間がないようでございますから、最後に、国庫補助等々に伴います超過負担の問題でございます。これは一部政府におきしても解消をいたしておるようでございますけれども、私どもが調査いたしました数字とはほど遠い関係にあるわけでございまして、たしか知事会等の調査でも六千億ぐらいのものがまだ残っておるということでございます。これはわれわれの一方的な数字だけではなしに、やはり各省庁と地方六団体とで共同で調査をいたしまして、数量なり、単価差なり、あるいは対象なりにつきまして、解消すべく合意を得た上でちゃんと政府において解消していただく、こういう措置がぜひとられるべきである、かように存じます。 時間がございませんので、この辺で終わらしていただきますけれども、冒頭申し上げましたように、この法律の一日も早く通過、成立を御期待申し上げまして、私の意見の発表を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○委員長(上田稔君) どうもありがとうございました。 次に、和田参考人にお願いをいたします。和田八束君。
○参考人(和田八束君) 和田でございます。 地方交付税制度につきまして若干問題点を申し上げたいと思います。 地方交付税制度と申しますのは、御承知のように昭和二十九年度にそれまでの平衡交付金制度にかわって新しい地方財政調整制度として登場存してきたわけでありますけれども、これは平衡交付金制度と違いまして、それを継承しながらも、交付総額を国税三税の一定割合にリンクさせるということにしたわけでありまして、ここにそもそものスタートから財源保障目的と交付財源固定化という両者の矛盾が生じていたのではないかと考えられるわけです。しかし、この矛盾は、高度成長過程で、自然増収等でなし崩し的に処理されたわけでありますけれども、昭和四十年代になりますと非常に不安定な様相を呈するようになってまいりまして、今日の時点では交付税制度そのものが全く行き詰まりに達していて、新しい制度を必要としてきているのではないか、このように考えるわけであります。 その理由を、交付税制度のこれまでの過程を顧みることによって見てみたいと思うのですけれども、当初、昭和二十九年度におきましては、交付税率は実質的には二〇%でありまして、——定められたのは二二%でありましたけれども、実質的には二〇%であったわけで、この辺をめぐりましても、国会等でかなり議論が行われたように見受けられるわけでありまして、当初から交付税総額を三税の一定割合にリンクさせるということが非常に大きな問題になっていたと考えられるわけであります。したがいまして、昭和三十一年度になりますと直ちに二五%に引き上げられる。その後毎年交付税率の引き上げが続きまして、昭和四十一年度に三二%に達するわけでありますけれども、この間ほぼ十年間に一〇ポイントの上昇があった。一年間に一ポイントずつ上昇してきたというのが三十年代における交付税率の推移であったわけであります。 この交付税率の引き上げの理由といたしましては、いろいろ、減税、給与改定その他が挙げられておりますけれども、実際には地方財政が国の財政政策にこの間次第に組み込まれてきて、そして地方財政全体が国の財政政策の下請的な性格を持ってくることに伴って、国の財政支出を実施するのに必要な財源を交付税によって保障する。つまり、地方財源を地方財政の立場から保障するというよりも、むしろ国の財政運営を円滑にするために保障する、こういうふうな性格を持ってきて、そして折からの地域開発政策あるいは公共投資重点政策等の政策を遂行するために、交付税によって地方財源を確保してきたということだろうと思われるわけです。 そこで、そのために地方交付税が、一般財源の保障ということだけではなくて、補助金とワンセットとしての役割りを次第に持ってきたというところにもう一つの問題があるのではないのかと思われるわけですが、いずれにいたしましても、昭和三十年代には交付税の引き上げがいわば常態であった、通常の姿であったというふうに言って差し支えないわけであります。ここでは国と地方の財政関係によって出てくる諸問題が交付税率の引き上げという形で解決されてきた、こういうふうに受け取ることができるわけです。 ところが、四十年代になりますと、三二%の交付税率が固定されたまま今日に至っておりまして、しかし問題は、三十年代に引き続いて、あるいはさらに国債発行下で、新たな国と地方の財政関係による問題が出てきているにもかかわらず、三二%の率が固定されてしまっている。そうすると、そこで生じてくる矛盾というのはどのように解決されたのかと言いますと、交付税制度以外のところでその解決が行われてきたというふうに見ることができるわけです。 その仕方というのは二つありまして、一つは必要財源を国から借り受ける、こういう方式であります。この方式が登場いたしますのは、昭和三十九年度の補正予算において、財源不足額百五十億円を交付税及び譲与税特別会計の借り入れという形で処理したわけでありますけれども、四十年度補正予算においても、いわゆる出世払い問題などがこの間に議論されるわけですけれども、借り受け方式で処理される。その後も、四十六年度の景気後退期における財源不足においても、やはり同じように交付税特別会計で借り入れるという形がとられており、さらに昭和五十年度補正予算あるいは五十一年度の当初予算においても、資金運用部資金から交付税会計に借り入れをしているということは御承知のところでありまして、このように交付税制度の内部で解決するのではなくて、借り受けるという形で交付税制度の外で解決をしている、これが一点であります。 それからもう一点は地方債の発行でありまして、交付税による財源対策にかわって地方債が利用されたということも四十年代の特色であります。たとえば四十一年度には、国債発行に対応した地方財源対策として、特別事業債千二百億円の発行が行われている。あるいは四十六年度においても同じような形で地方債の発行が行われている。四十七年度にも見られる。それから最近におきましては、五十年度あるいは五十一年度の財源不足に対しても、同じように財源対策債という形で地方債が発行されているわけですけれども、これは明らかに一般財源の保障を地方交付税で行うのではなくて、地方債で行っているということであります。 このように、借り入れと地方債といういわば借金方式でこれが解決されてきたというところに大きな問題がありまして、このままこの二つの方式で地方交付税の持っている矛盾をどこまで打開できるのか、解決していけるのかということは非常に大きな疑問であり、問題点であろうと思われるわけです。 次に、このように交付税率が据え置かれている間に、交付団体は非常に増加をしてきているわけであります。中でも、都市団体あるいは大都市団体の交付団体化が著しいわけでありまして、昭和三十年度には大都市の交付団体はわずか一団体であったわけですけれども、三十九年度には六団体になり、四十七年度には九団体になって今日に至っているわけであります。最近の資料で見ますと、昭和五十年度の交付団体は、市町村で三千百六十九団体、ほとんどが交付団体になっているわけでありますけれども、特に大都市、都市の増加が著しいわけであります。またこの大都市、都市等への交付額の全体のシェアといいますのも非常にふえてきておりまして、かつては交付税のシェアでは道府県分の方が多かったわけですけれども、次第に市町村分がふえてきている。市町村分のうちでも大都市及び大都市周辺の人口急増都市への配分がふえている、こういうふうな状態でありまして、地方交付税の配分の状況というのがかなり変わってきているわけであります。これは、明らかに都市財政問題の発生と都市財政の貧困化をあらわしている、都市財政に対して何らかの財政対策が急務であるということをあらわしているわけであります。 ところが、このようにして大都市地域に配分されるということは、従来農村地域、いわゆる財政力の貧困な農村地域に配分されるべき地方交付税が、財源の比較的豊富に存在している大都市あるいは都市団体に配分されるということになりますので、都市地域に対する財源措置というものが不十分になってくるわけであります。これらは、たとえば都市圏補正の創設、あるいは、補正係数における都市地域かさ上げの措置等によって行われてきたわけでありまして、この点も交付税全体の配分上の大きな問題点ではなかろうか。 また、交付税率を一定にしておいて、このように都市地域等の財政状況の貧困化に対処しようとするために、主として交付税の配分が、交付税制度が配分技術的に偏ってくるということにならざるを得ないわけでありまして、基準財政需要額の係数の決定、あるいは補正係数の決定等におきまして配分の操作を行うという形で、配分技術的に交付税制度による矛盾が解決されているように思われるわけであります。 そこで、この補正係数、あるいは都市化による財政需要の増大に対して設けられた都市圏補正あるいは種地の変更ということでこれらが処理されるわけでありますけれども、それらをめぐって、都市地域そのものが十分な財政需要を保障されないという問題が出てくると同時に、その逆に、先ほど申し上げましたように、農村地域に対する配分が相対的に減少してくる、こういう二つの問題が出てきているように思われるわけです。 それから次には、交付税が特定財源化しているという問題があるわけでありまして、交付税はもともと一般財源の保障というふうに考えられるわけでありますけれども、経費区分、経費の算定、補正係数というふうなものがたびたび変更されて精緻になってくることによって、国庫支出金、国からの補助金との境界が非常にあいまいになってきているわけでありまして、国庫補助金の代替的な役割りがこの交付税制度の中に入り込んでくるということになってくるわけであります。基準財政需要額の算定などが精緻になればなるほどこうした問題が出てまいりまして、そしてまた、基準財政需要額の算定が実際の一般財源支出額よりも少ないというふうなことに伴う一種の超過負担的な現象すら交付税の中で出てきているということが言えるわけであります。 以上のような問題点が現在の地方交付税制度にはあるわけでありまして、こうしたところから、現在の地方交付税制度は当初とは著しく性格が変化してきておりまして、当初の目的であった一般財源の保障と財政調整の役割りというものを果たし得ない状態になってきているわけであります。それは、繰り返しになりますけれども、まとめておきますと、第一に、財政需要が増大するにもかかわらず交付税率が固定化しているために、交付税の機能が他の手段、つまり借り入れとか、地方債などに譲らざるを得なくなっているということであり、第二には、都市化に伴う財政需要を賄うのに、配分上の操作によらざるを得なくなっているという点であり、さらに第三には、特定財源化が進むことによって、国庫支出金、地方債との区別が次第に不明確になって、これらと一体化して、国と地方との間の調整というものが非常に不明瞭になってきている、地方財政の自主性が失われてきている、こういうふうに言うことができるわけであります。こうしたことは、現在の地方交付税制度が再編されなければならない、改変されなければならないということを明らかにしているわけであります。 で、新しい財政調整のあり方といいますのは、わが国だけではなくて、諸外国におきましても、たとえばイギリスにおける一般交付金の創設あるいはレート援助交付金の実施、あるいはアメリカにおける一般財源分与制度の創設というふうに、各国におきましても、地方財政の自主性を尊重しながらもその財源を保障していくという問題があらわれてきているわけでありまして、この辺の動向にも学ぶべきところがあるわけであります。もちろんわが国の交付税制度は、配分上の技術としましては各国に見られない非常な精緻なものであり、それ自体完成されたものであると見ることができるわけでありますけれども、しかし、現在の地方財政の変化と、国と地方の財政関係が揺れ動いている状態では、かえって精密な構造というのが硬直化してしまっているというふうに言うことができるわけであります。したがいまして、もっと素朴な形での——たとえばアメリカの一般財源分与制度のような素朴な形というものも、これからの交付税制度にとっては一つの参考になるのではないかというふうに考えられるわけです。 そこで、最後に交付税制度のあり方でありますけれども、これは大変むずかしい問題ですので詳しく申し上げることはできないわけでありますけれども、やはり交付税制度を考える上での根本的な問題といいますのは、地方に対する財源の移譲、それから事務の再配分ということが前提にならなければならないわけでありますが、その上で現行の国庫補助金、それから交付税、それから譲与税というふうなものを統合して、全体として地方財政の資金計画を立てて、そしてできるだけ交付税につきましては補助金とは区別されて一括交付金的な形で交付することにして、地方財政の自主性を拡大するということを中心にすべきであろうと考えているわけであります。 そのような問題はあるわけですけれども、当面現時点で地方交付税についてどのような修正を加えたらよろしいのかということについて二、三私見を申し上げますと、第一には、やはり交付税率を引き上げるべきである。これは先ほど、三十年代において大体十年間に一〇ポイントの上昇があったということから考えますと、今日まで十年間据え置かれているわけでありますので、四〇%ないし四二%の率にすることが妥当であろう。 それから第二点としましては、交付財源の再検討をするべきであって、これは交付財源の安定性その他から考えまして、国税収入全体を交付財源とし、場合によっては国債の算入も考えるべきではないか。 それから第三点といたしましては、基準財政需要額の算定を実際の単価に近づけるべく努力していくべきであり、さらに基準財政需要額の算定において一層簡素化を図ることが必要ではないか。 それから第四点といたしましては、東京都におきます都区合算が行われているわけでありますけれども、最近における区の自主性の増大ということから考えましても、都区財政関係の再検討とともに都区合算を廃止すべきである。 それから第五番目に、補正係数でありますけれども、これが非常に明らかでないわけでありまして、一般の民間人である私どもはもちろんでありますけれども、地方財政当局者自体にも補正係数のあり方というのはよくわからないわけでありまして、この辺をもっと明らかにするような制度にすべきではないか。 第六番目には、種地の適正化を図るべきでありまして、同じ性格の地域でありながら種地区分がかなり違うというふうな実態もあるわけでありますので、特に大都市圏地域におきます種地の適正化というものを図るべきである。少なくとも当面はこのような修正を図るべきではないかというふうに考えているわけであります。 大変大まかな話で恐縮でございますけれども、現時点における地方交付税の問題点と、そのあり方ということにつきまして若干の私見を述べさしていただきました。どうもありがとうございました。
○委員長(上田稔君) ありがとうございました。 次に、遠藤参考人にお願いいたします。遠藤晃君。
○参考人(遠藤晃君) 遠藤でございます。 私は概括的に二点について意見を申し上げたいと思います。 一つは、今日の自治体財政の危機の中で、とりわけてそれが交付税のところにいまどのようにあらわれているかということであります。 それから第二点は、その中で今回提案をされております地方交付税法改正案の問題点ということであります。 まず第一番目の、今日の地方財政危機をどのようにとらえるかということでありますけれども、これは改めて申し上げるまでもなく、その基礎的な条件として、この間の自治体の行政対象、行政需要というものが著しく早い速度で変化をしながら拡大をしてきているということが基礎にあるというふうに思われます。これは、私どもが京都の近郊などで調査をいたしましても、行政需要の増大のテンポといいますのは、人口増加に比例するのではなくて明らかにそれに等比級数的な形で比例する、そうした形でふくれ上がっているということがあるわけです。そうして全体的に、この間、行政水準の一方では平準化の必要というところからの行政需要の増大という面と、それからいま一つは、そうした一方の平準化傾向を持ちながら地域間の諸条件の大変な不均等が激化をするということがありまして、それぞれの個別性——自治体の特殊なそれぞれの条件に基づいて個別的な形での行政対象、行政需要が増大をするということが進んできたわけです。 そこで、そうした条件の中で大変深刻な財政危機が起こってきたというわけですけれども、その場合の原因というものは大別して二つがあろうと思われます。 一つは、今日のこの経済的な局面からきている点でありまして、これは一口に高度成長経済の破綻というふうに言われておりますけれども、そうした条件というものが、とりわけ自治体財政につきましては、一つは国家行政支出の最終支出の部分を多く担うというところから、この間の物価の上昇による影響というものをきわめて深刻な形で受けざるを得なかったということであります。 それからいま一つは、そうした中で、不況型の支出と言いますか、現実の地域の地場産業等の困難、住民生活の困難を打開をする、あるいはそうした中で地場産業や住民生活を守る、そういう面から平常時以上の財政支出というものが要請されるということがございます。 そして、そういう条件に対してそれではそれに対応できるだけの税財政構造があるかということを考えてみますと、一つは、福祉優先への転換ということが言われながら、国を含めた全体的な税財政の構造というものが依然として高度成長型というものを続けているということがございます。それとあわせて、中央、地方の財政関係でありますけれども、ここでは極端な形で地方の一般財源、自主財源の不足という現象がもたらされてきています。この点は、地方自治体のいわば総交付団体化というふうに言ってもいいような、そういう姿の中で端的にあらわれてきているわけでありますけれども、かつてのように、富裕な地域は交付団体ではなくて、もっぱら農山村地域を対象として交付税の交付対象が理念としては考えられるという、そうした状況というものは今日全くなくなってきて、ごく例外的な条件を持っているところ以外はすべて交付税の交付対象にならざるを得ないという、そういう状況が起こってきているわけです。 そこで、その点をもう少し深めて考えてみますと、この交付税の機能というものは、一面財政調整ということでありますし、それから一面財源保障という意味合いを持っております。で、この二つの機能が全うできるという条件は、一定の地方税源の保障という中で、通例の形態であれば、その地方税源でもって自治体のそれぞれの一般財政需要を賄うことができるということを前提に置いて、その上でこの交付税によって必要な財政調整を行う、そういうことになってきているわけですけれども、しかし、それがいま申し上げましたように総交付団体化ということになりますと、これはもう基本的な税源保障のところ、そこのところでの不十分さということがきわめて鋭く出てきておりまして、そうした中で交付税というものが単なる財政調整機能というところを超えて基本的な財源保障の役割りをきわめて大きい形で負わざるを得ない、そういう状況になってきているということであります。 そこで、そうした基本的な状況の中で、今回の交付税法のこの改正というものがどのような意味を持つのかということであります。この点では私は、交付税制度、総じて国と地方、そして地方間の財政調整を含むところの財源保障制度のあり方という点から考えてみますと、今回の改正というものは、それが本来的に持つべき機能を大幅に後退させ、そしてこの制度のかなり基本的なところで質を変えるような結果をもたらすことになるのではないか、そのように考えるわけであります。この点は、戦後の平衡交付金制度から地方交付税制度へという、そうした歴史的な展開の中で私は大きく二つの節があるように思っております。 一つは、平衡交付金制度から地方交付税制度への制度改正でありますけれども、それ以前の平衡交付金制度が、そもそも、戦前以来の配付税制度によるところの、この中央政府の政策によって自治体行政を支える経済的な基礎であるところの財源というものが大きく左右されることを防ぐという、そういう意味合いをもって平衡交付金制度というものは創設をされたわけでありますけれども、しかし、それが地方交付税制度への移行に伴いまして例の国税とのリンクの関係というものが出されてくる。そこのところではこの財源保障という点で基本的な制限の枠が設けられたわけであります。したがって、そこからは財源保障機能というものが低下をしてこざるを得ません。そのことがやがては激しい形での矛盾というものを露呈をせざるを得ない。そうした条件をそこに持ち込まれてきたわけでありますけれども、しかし、それがともあれ三十年代以降のいわゆる高度成長過程における税収の増ということで背後にかなり隠れて今日まで維持されてきたわけであります。しかし、そういう個別の財政需要を積み上げていってそしてこの調整を考えるというあり方と、総枠財源において枠がはまっているというそうした矛盾というものが、補正方式を含むところのその後の具体的な交付税の算定方式の中で何とか調整をするというそうした方策が重ねられてきた結果、その中で、特に事業費補正等々でありますけれども、その調整の必要というところから、この交付税制度の本来的な姿を徐々に変質させるようなそうした傾向が進んできたということは、これは否定できない事実であっただろうと思うのです。 そこで、そういう第一番目の段階での変化の上に、二番目の段階というのが、これは昨年以来、とりわけて本年度の交付税制度の改正の中で持ち込まれてくる、そういうことではないかと思います。その中で特に重視をしたいというふうに考えますことは、もともと基準財政需要額の算入の基礎であった部分のかなり大きな部分というものが操作の上から起債の対象に振りかえられるという事態であります。それとあわせて、昨年来の資金運用部会計からの借り入れの増大ということが起こってまいりまして、そのことの問題点ということは私は次の三つに整理できるのではないかと思います。 一つは、解決をすべき地方財政の危機と解決というものを借り入れあるいは起債ということで先延ばしをする、そういうことであるということです。ここではますます将来にわたって事態は深刻でありますし、ここで抜本的な制度改正がなければ、一年、二年はさしあたってそういう形で当座のやりくりは仮に可能であったとしても、より重大な形で矛盾の爆発という事態を迎えざるを得ないことになるだろうと思います。 それから第二点は、その起債方式という形で交付税の交付対象とされるべきそうした事業が、そのときの国家財政の条件いかんによって安易にその対象から外されていく、そういう前例をつくることの意味であります。そういうことが仮に許されるということであれば、今後も国家財政の動向いかんによりましては、交付税という形で自治体の一般財源、自主財源として保障すべき部分、そうしたものをどんどんそうではないという、まあ本来ミニマムとして保障すべきそうした行政水準というものがミニマムの対象ではないという形で外されていく。そうしたことは、これは戦後の地方自治制度の根幹にもかかわるような、そういう性格を持っているんではないかということであります。 そして第三番目に、同じ起債への振りかえということが、ますます自治体財政における補助金依存、補助金行政の統制下に入るという傾向を強めるということであります。もちろん今度の振りかえられました分の中には、事実上の運用の中ではそのうちの一部分は交付税的な運用がされるということにはなっておりますけれども、しかし、多くの部分はそうではございませんし、また、そういう交付税的な運用というのはあくまで臨機の措置でありまして、起債というものは、現在の制度のもとでは基本的に中央政府の統制のもとで左右される、そういう財源であります。ですから、そうした中で、本来戦後の地方自治制度を裏づける財政制度というものは、補助金制度をできる限り排除していく、補助金依存を排除していく、そういう考え方のもとに立てられてきたわけでありますけれども、そうした性格をゆがめる、そういう結果を招くということを大変危惧するわけであります。 そこで、そうしたことを総体的にまとめて考えてみますと、これは昭和三十年代以降の地方交付税制度が、私は残念ながら基本的には形骸化してくる、そういう動向をたどってきたというふうに考えるわけでありますけれども、そうした形骸化の動向の一つの到達点というものが今回の改正の中に見られるのではないかと、そのように思うわけであります。 そこで、ではどうするかということでありますけれども、私、さしあたって緊急に必要なことという点では、一つは交付税率を少なくとも四〇%以上に引き上げるということはなされなくてはなりませんし、これは本年度の起債への振りかえ分も含めて国税三税に対する比率というものを計算をしてみますと、五〇%をすでに突破をしているわけであります。そういう状況そのものが引き上げの必要性というものを浮き彫りにしているということがありますし、それからあわせてこの間、政府の国債発行政策によって政府の財源の中では税の落ち込みが国債によって補てんされる、しかしそれはこの地方交付税の計算の基礎に算入されないという、そこのところの矛盾というのが非常に激しくなってきておりますし、そしていまのところこの国債発行の政策というのはなおしばらく続くようであります。したがって、交付税率の算定に当たっては、従来の国税三税のみを基礎にするということはこれは是正されなくてはならないし、その是正に当たっては国債を算定の基礎に含めるということはぜひ考えなければならないことではないかというふうに思っております。 そして、そういうさしあたっての対応だけではなくて、地方交付税制度を本来的な機能を担い得るような形に戻していくということ、それは抜本的な方向として考えていく必要があります。その場合は基本的な点は三点だと思いますけれども、一つは地方の税源を保障するという、一方でそういう方策というものが強力に進められる必要があるということであります。そしてその上に、この交付税の算定に当たりましては、特に科学的に国民に保障すべきミニマムの水準を積み上げていって、そこのところから交付税の全体的な所要額を算出をしていくという、かつての平衡交付金制度のときのようなそうした積み上げ方式に戻るということが必要でありまして、本来的な条件の場合は、国の財政収入とのリンク関係というのはこれは断たれるべきだというふうに私は考えております。そして第三点として、そうした交付税制度を運用する機構でありますけれども、ここでは交付税が本来的に地方自治体の自主財源であり一般財源であるということの限りでは、地方自治体の側がこの主導権を持ち得るような、そうした機構が交付税の算定あるいはこの配分に当たるという、そういう状況がつくられることが必要であろうというふうに考えているわけであります。 大変雑駁でありますけれども、以上で私の総括的な意見を終わりたいと思います。
○委員長(上田稔君) どうもありがとうございました。 以上で御三人の参考人の方の御意見の陳述を終わります。 それでは、これから参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。質問をされる冒頭に当たりまして、質問をされる参考人の方のお名前をお挙げをいただきたいと思います。
○岩男頴一君 まず山本参考人にお伺いをいたしたいのでありますが、参考人が知事をなさっておられます宮城県でございますが、昭和五十年度ですでに縁故債等を含みます地方債が二百数十億円ということでございます。そこで昭和五十一年度の国の地方財政計画によりますと、その歳入構成において地方債が前年度より五・六%増しの一一・五%と大幅にふえておるのでございます。そこで地方債の消化が重大な問題になってくると思いますが、その引き受けについて金融機関はどのような態度をとっているか、お伺いいたします。
○参考人(山本壮一郎君) 先ほど申し上げましたように、昭和五十年度の地方債でございますが、本県の場合、一般会計、特別会計、企業会計を入れまして総額で三百六十五億。先ほど一般会計だけ申し上げましたが、失礼いたしました、三百六十五億でございます。このうち政府債が約六十九億でございまして、あと公庫債等が四十六億ございます。それ以外、本県におきましては公募債が十億認められておりますので、残る二百三十九億が縁故債でございます。で、五十年度に関しましては、一応このうち約二百億ばかりを指定金融機関が一行で本県の場合は引き受けてくれたわけでございますけれども、聞くところによりますと、すでに各地方の団体におきましては、金融機関一つだけでの縁故債の引き受けはもう限界に来ておる。したがってシンジケート団をつくりましたり、融資の協調機関をつくりましたり、いろいろ苦労をいたしておるようでございます。本県の場合も、昭和五十一年度におきましては、恐らく今後の問題といたしまして、金融機関一行だけが従来のように引き受けるということはきわめて困難であろうと。 なお、ことしの五十年度の問題といたしましては、金庫、銀行以外に、県信連と共済連、農業関係のこの二つの団体から約四十億の縁故債を同じ条件で引き受けていただいておりますことをつけ加えて申し上げます。
○岩男頴一君 山本参考人は超過負担の問題について御発言がございましたが、その中で、いろんな技術的な問題については御意見を賜りましたが、その経過負担の解消のために特に取り上げるべき事業はどういうものであるかということにつてひとつ御所見を伺いたいと思います。
○参考人(山本壮一郎君) これは本県の例でございますが、施設関係で約八億五千万、運営費の関係で約三十一億八千万、合わせまして四十億程度の超過負担がございます。このうち、施設の建設の関係では、警察の関係が二億三千万、文教施設の関係が五億一千万、この辺が特に超過負担が大きいようでございます。それから運営費の関係におきましては、警察の行政費、これが六億八千万、保健所の運営費が九億三千万、民生関係の施設の運営費が六億九千万、その他農業改良普及事業、一般職業訓練費等が億単位で超過負担と相なっております。これは県の事業でございますので、超過負担につきまきては、市町村の仕事にも数多くあることは御承知のとおりでございます。
○岩男頴一君 地方団体は、今後行政のサービスの充実につきましては、どうしても住民負担の問題というものが切り離せなくなると思いますが、参考人はどのような御意見を持っておりますか。御所見を賜りたいと思います。
○参考人(山本壮一郎君) 地方自治体の行財政の運営は、あくまでも地域の建設と地域の住民の福祉の向上を図るわけでございますが、そういう行政の運営を支えます財源は地方の住民の負担において行なわれるわけでございます。やはりこの負担とサービスとの関係というものを地域の住民の方々にもよく御理解をいただきまして、応分の御協力はいただかなければいけない。 で、こういうふうに地方の財政が非常に悪化してまいりまして、私どもも一部反省をいたしておりますことは、いろんな、たとえば高校の授業料を初め、使用料、手数料等々、これはもうずいぶん長年据え置いております。やはり最近の経済情勢に応じまして適正化は図らなければいけないであろう、こういうことを考えておりまして、先ほど申し上げましたような本県の財政状況でございますので、数多くの使用料、手数料等々の改正、適正化はすでにとってあります。今後、先ほどいろいろとお話がございました国と地方との税の財源の配分の問題また地方の財源の強化の問題、これはこれとしてぜひ進めていただかなければならないわけでございますが、いずれにいたしましても、この減速経済下、国にも銭がない、地方にも銭がない、こういう中でいかにして今後の自治を適正に運営していくか、あるいはまた自治そのものを定着さしていくかという中で、地域の住民の方々のやはり負担と理解と、しかもその上に立った責任のある積極的な参加を促していくということは、自治の運営に当たるわれわれとしては今後一層考えてまいらなければならない点ではなかろうかと、かように存じております。
○岩男頴一君 参考人は、地方自主財源の充実の強化のために法人事業税の外形標準課税導入を要望されたわけでございますけれども、これはまた、この不況下において大変苦しんでおります企業体に追い打ちをかけるのじゃないかというような意見も他方あるわけでございますが、この辺についてお考えをお聞きいたします。 それからいま一つは、自主税源の増強の問題でございますが、具体的にどのように行えばよいと考えておられますか。このことも御意見があればお聞きいたしたいと思います。
○参考人(山本壮一郎君) 法人税の外形課税方式の導入でございますが、これはわれわれから言いますと非常にこう都合のいい分としてお耳に入るかもしれませんが、これまでいろいろとこの財政制度の欠陥がございましたけれども、それはいわゆる高度成長下における自然増収、多額の自然増収の中でわれわれとしてはやりくりをしてきた結果に相なっておりまして、制度の矛盾そのものが余り表に出なかった、したがって先ほど来いろいろとお話がございましたような矛盾がそのままになっておる。そこで、今後高度成長のような経済の成長が望まれないとするならば、そしてまた地方がますます住民の福祉を上げてまいらなければならないとするならば、やはり安定した税源、これが必要であろうと思われます。したがいまして、いまの時期に切りかえることの可否につきましては非常にむつかしい判断があろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、あくまでもそういう方向で物事の解決を図っていただきたい、こういう希望を強く持つものでございます。 なお、地方の自主税源ということになりますると、これは地方によりまして非常に経済の置かれております実態が異なっておりまして、なかなか、新しい税目に何があるかということになると、これはむつかしい問題になかうかと思います。そこで先ほども申し上げましたように、たとえば法人関係税の地方と国との配分をもっと地方に厚くするとか、譲与税的なものを創設するとか、そういう方向で考えざるを得ないんではないだろうか。あわせまして、これも先ほどお願い申し上げました交付税の総枠をふやすことによります税源を強化していただく、こういう考え方が妥当ではなかろうかと思うのでございます。 また、そういうことをおやりいただく前提といたしまして、いま地方と国との間でやっております事務、事業をもう一度見直しまして、国民生活に密接に関係する仕事はひとつ思い切って地方に任していただく。私どもが、住民から直接選ばれた首長がおりまして、議会の監視あるいは住民の参加、監視の中で住民の要望に従う仕事をやっておるわけですから、とかくこれまで中央の各省は、一つはそれぞれのなわ張りといいますか、それに固執する。もう一つは、それと相まちまして、どうも地方に任すと安心できないという不信感といいますか、そういうものがあったんではなかろうかと思いますが、この際は戦後三十年、自治もかなり定着をいたしております、住民も十分その行政に対して監視の目を持っておると私は思いますので、こういう際に思い切った事務の再配分をしていただきまして、それにふさわしい財源の再配分をしていただきたいということもあわせてお願いしたいと思っております。
○山崎昇君 一点は、山本参考人にお聞きしたいんですが、先ほど冒頭に今度の改正案賛成というお話がありましたが、御意見をずっと拝聴しておりますというと、かなり将来にわたっては直してほしいという声がたくさん含まれておる、そういう意味で言うなら、時間的な制約はもちろんあるかもしれませんが、むしろいまの原案修正せいというふうにも受け取れますが、その点ひとつお聞きをしておきたいと思います。 それから和田先生に、立ったついででありますから、大変恐縮ですがお聞かせをいただきたいと思うんですが、交付税率の引き上げを四〇%ないし四二%という御説明がありました。そこで私ども、実は昨年の借り入れをやった額を八年間で一応返すわけでありますから、昨年の交付税総額でこれを割ってみますと、ほぼ三%ぐらいに当たると思います。そこで私ども社会党としては、とりあえず交付税率はその分を入れまして三五%にして、第二交付税八%創設せよといいますから、一応四三%という数字を私ども言っております。そういう意味で言いますというと、先生の四〇%から四二%、やや似ている内容にはなろうかと思うのですが、この四〇%ないし四二%という内容について、もしお差し支えなければ御説明いただければというふうに考えるところです。 それから、一点ずつで大変恐縮でありますが、遠藤参考人にお聞かせいただきたいといいますのは、行政対象がだんだん拡大をされてまいりますから、当然一定の行政水準を維持するということと、全国的な平準化が必要だということは、先ほどお話にありました。その改善点の一つの中に、国とのリンク制度の打破ということがあっていいのではないかというお話ございました。この内容も、もしお差し支えなければ、具体的にどういうふうにされたらいいのかということが一点と、それからもう一点は、自治体側が指導権を持つべきではないかというお話でございました。そこで、私も先般本会議の質問の際に、地方財政計画を策定するのはすべて国でやっているわけでありますが、当然これは自治体の代表者だとかあるいは学識経験者とか、そういう方々が参加をして、もう少し財政計画というのは民主的に私はつくる必要があるんじゃないだろうかという意味で質問をした一人でありますが、そういう意味合いを含めての自治体制が指導権を持つべきだ、こういう御意見ではないかと思うんですが、お聞かせいただければというふうに思います。
○参考人(山本壮一郎君) 今回のこの法律改正案の内容でございますけれども、先ほど来いろいろと希望の条件を申し上げましたように、決して私も完全な望ましいものとは考えておりません。しかしわれわれは十五日には、先ほど申し上げましたように、給料も支払わなければならないし、いろんな福祉の対策の仕事もしてまいらなければならない、こういう現実に立ちますときに、また、ことしの国家財政等につきましても十分承知をいたしております。そういう関係で申し上げますならば、本年度、この措置はやむを得ない。ただ、将来にわたりますそういう問題をひとつ今後解決をしていただきたい、こういうことでございまして、どこをどう修正すればいいか、こういうことではございませんので、賛成と申し上げたのでございます。
○参考人(和田八束君) 交付税率、四〇%ないし四二%ぐらいが妥当ではないかというふうに申し上げたわけですが、そうでなければならないという、その数字が出てくるべき明確な根拠が何かあるということではないわけであります。先ほど申し上げましたように、三十年代におきましては大体十年間に一〇ポイントといいますか上がって、二〇%から三二%へ上がってきているというテンポから考えますと、四十一年度以降据え置かれているわけでありますので、それから十年たっておりますので、その辺の感じから言いまして四二になるわけでありますけれども、大体四〇から四二ぐらいで考えられるのではないかということであります。 余りはっきりしない、根拠のないことで申し上げたということは大変恐縮なわけですけれども、なぜかと申し上げますと、私は、交付税率の引き上げということ自体が、現在の交付税制度の問題を考える場合に、それほど重要ではない。つまり、交付税率の引き上げということ自体が行き詰まってきているわけでありまして、この調子で一応自治体の財源が次第に増加してくる、そして国と地方の財政関係が複雑化してくる、そして一般財源を保障しなければならないという問題になってきますと、どんどんどんどん交付税率というのは上がってくるわけでありまして、何%まで上がるものかわからないわけであります。しかし、そのように引き上げていっても解決しない問題というのが、先ほど申し上げましたように多々あるわけでありますので、むしろそちらの方を、つまり交付税制度の根本的な問題をいま修正、是正すべきであって、交付税率の引き上げということだけでは解決されないのではないか、こういうふうに考えておりますので、交付税率を仮に四〇%ないし四二%に上げるというのはかなり目の子算的なものでありますけれども、いわば次善の策といたしまして、さしあたって現時点で自治体の一般財源が不足している、そしてまたさらに借り入れ方式あるいは起債を大量に抱えて苦慮しているということから言えば、これはそれに比べれば交付税率を引き上げるということが次善の策としては妥当であるということでそのように申し上げたわけでありまして、今後その交付税率というものがどの程度が妥当であるかということをそれほど検討するということ自体に意味がないのではないか、私はそのように考えているわけであります。 重要なことは大都市ないしはその大都市周辺地域の都市財源の拡充ということがやはり現在の地方財政にとっては最も重要なことでありますので、その問題が解決するためには税源の移譲ということが不可欠でありまして、これは一刻も早く税源の移譲を実現しなければならないというふうに考えているわけであります。 そういたしますと、税源の移譲をいたしますと、最も有力かつ大量の財源を確保できる税収といいますのは法人税ないしは所得税でありまして、私は個人的には所得税を大幅に地方自治体に移譲すべきであると考えているわけでありますけれども、そうなってまいりますと、当然国税三税への現在のリンク制度というものを再検討しなければならないわけでありまして、国税三税へのリンクということに固執することはできないわけであります。 それからもう一つは、かなり大量の自治体が不交付団体になるわけでありまして、現在大都市政令指定都市等が変付団体になっているということ自体が、交付税制度にとっての非常に大きな問題といいますか、疑問のあるところでありますので、少なくとも人口三十万程度以上の都市は自主財源で自立できる、交付団体でないというふうにしなければならないわけでありますので、そうなりますと、この交付財源の内容、それからそれを貧困団体、自主財源で賄えない貧困団体にどのような配分をするのかということをここで改めて考えなければならないのではないか、このように考えておるわけであります。 そのような脈絡から言いまして、交付税率の問題はさしあたって当面の問題であり、しかも次善の策である、こういうふうに考えておりますので、いささか根拠のない発言をしたようになったかもしれませんけれども、その辺のところはひとつおくみ取りいただきたいということでございます。
○参考人(遠藤晃君) 御質問の第一点のリンク制の打破ということでありますけれども、この場合は、すでに現状がリンク制を維持できないという実態を露呈してきているという、その点にまず注目をしたいと思うわけです。現行の国税三税の三二%ということのリンク制というのを現に守ることができないということは、すでに特例交付金であるとか、それから昨年来の借り入れ等々という形であらわれてきております。これは、そもそも住民に一定の行政水準を保障をするという、そうした財政調整制度を組み立てる基本的な考え方と、それからいま一つのそのときどきの経済的な条件、あるいは政府の政策に規定されるところの国税の収入との関係というのは、一義的につながっていかないということが基礎にあるわけですから、リンク制を維持するということは本来困難なことであるというふうに思うわけです。そこで、そうしたものを私は取り去って、あくまで一定の行政水準を住民に保障するというその必要財源を積み上げていって、その中で交付税の総額というものが決定されてくる、そういう姿が望ましいというふうに思うわけです。 そこで、その条件として、先ほども申し上げましたけれども、これは地方税源の拡充、国税からの税源移譲が一定程度行われている。これがどの程度かということは、大変大ざっぱなところしか申し上げられないわけですけれも、いまの事務の分担関係が国三〇%、地方自治体七〇%というふうなことを前提にいたしますと、おおむねこの国税と地方税の関係が五〇、五〇という、そういうレベルが妥当なところではないかというふうに思います。したがいまして、残りの二〇の部分の一部国庫補助金を除いたかなりの部分が、そういう形で積み上げ積算方式によって出されてくるということを想定をするわけです。 そこで、一体だれがその積み上げ積算を行うのかということにかかわりまして、御質問の二点目の、地方自治体の側が主導権を持ったそうした交付税の決定機構ということを申し上げたわけでありまして、この点では、山崎先生のおっしゃいました、そういう意味ではなかろうかというふうにおっしゃった、それと私の考え方は基本的に同じでございます。 この場合、念頭にありましたのは、戦後地方財政委員会が創設をされましたけれども、ああした組織が私の念頭にありまして、政府の側からも政府を代表したそういう委員の参加ということはあるわけですけれども、多数が自治体側から選出される。そういう委員によって、交付税の積算ということですから、具体的な作業の基本というのは、おっしゃいましたように、地方財政計画をその機関のところで樹立をする、そして、それに基づいて必要な交付税財源が予算要求として出される。この場合の内閣との調整関係であるとかの問題というのはまだ残るわけでありますけれども、いずれにしても、そうした要請というものが国会によって受けとめられ、最終的に国会のところでこの決定がされるという形で政府との関係の統一というのはとれるのではないだろうか、そのように考えているということでございます。
○阿部憲一君 和田参考人に御質問申し上げたいと思いますが、御案内のように、地方財政の危機というのは、結局目下の大不況それからまたインフレ、これがもたらしたものでございますし、これは単に地方財政だけでなくて、国家財政そのものも脅かしておることも御承知のとおりでございますが、さらにまた根本的に国民生活自体に大きな影響を与えているのが現状でございます。ただ、このいまの不況下のインフレ、不況というものが今後どのように解決されていくかということは、見通しとしまして、従来のような高度成長政策時代のような好況というものは望めないとしますると、いままでの地方財政に対する対処の仕方というものをそのまま変えずに立ち向かうということは、もちろんこれは不合理なとでございますし、効果のないことでございます。まあそんなことから、先生の先ほどの御意見で、いまの地方交付税というものは地方財政を支える一つの大きな根幹になっておりますが、その制度自体、またその税率そのものについても相当考え方を変えていかにゃならぬ、こう思うわけでございます。交付税だけに、と言いましょうか、主として頼っていくということのよしあしということについては、先生から先ほど御意見も承りましたが、私、たださしあたっての解決策としまして、いまの交付税制度そのものを根本的に変えるということはすぐたちどころにはできないんじゃないかと思います。 そんなことから、当面の問題として交付税率をどの程度に変えていくかということでございますが、これはもうすでに御承知のように、二年間連続して交付税の赤字が続いておりますので、これは当然税率を変えなければならぬ。これは福田自治大臣自身も変えなければならぬという意見でありますが、この変えなきゃならぬということについて、先ほどのお説では、四〇%ないし四二%というようなレートをお示しになりました。これは先ほど御質問もありましたので、重ねて私からも伺うわけじゃございませんが、この四〇%、四二%というような、いまよりも約一〇%ばかり高いレートになりますが、このようなレートでこの五十年代は少なくとも大体いける。ということは、まあ四十年代と同じような経路をたどっていける。足りないときには、いまのような、現在しておりまするような借入金とかあるいは地方債というようなもので糊塗して臨時的にやるというようなことで切り抜けられるものかということについてのお見通しを伺いたいと思います。ということは、結局、いま私ども希望するように四〇%ないし四二%というような率に変更することができれば、大体は一応四十年代にたどってきたような程度のもので地方財政というものは安定していくものかどうかということでございます。 それからもう一つ、地方財政が非常に緊迫化した昨年来、またことに本年台になりましてから、政府筋からよく、地方自治体が勝手に福祉の先取りをやったんだ、だからこのような結果を招いたんだという、あたかも地方自治体の方に責任があったというような説が行われていますが、それについての先生の御意見とお考え方を承りたいと思います。 それからもう一つついでにお尋ねしておきたいんですが、地方の自治の確立、これはまたまだまだ非常に財政的にも制度的にも不安定なものだと私ども思っておりまするし、ことに現在当面しているような財政危機に直面しますると、地方自治体の根本自体が揺るがされているんじゃないかとさえも思われるわけでございますが、これをやはり確立するためには、何といってもお金の問題、財政の問題と思いますので、地方自治を安定し、そして地方自治を確立させていくというための税財政、これは先ほど来先生からも御意見ございましたけれども、これについての御意見をもうちょっと掘り下げて承りたいと思うのですが、以上三点についてお願いいたします。
○参考人(和田八束君) 交付税率の問題ですけれども、先ほどもちょっと申し上げたわけですけれども、どうでもいい問題であるというふうには私は考えておりませんので、非常に重要ではあるわけですけれども、その位置づけを先ほど申し上げたわけです。 四〇%ないし四二%程度で五十年代はそのまま切り抜けられるかどうかというふうな御質問でしたけれども、これはやはり無理だろう。今年度仮に四〇%なり四二、三%に引き上げられたにしても、これは今年度の問題でありまして、やはり地方自治体の財政需要というのは次第に高まってきておりますので、そもそもいままで、この四十年代を通じて引き上げが行われなかったということ自体が問題でありまして、三十年代には少なくとも引き上げが行われたということは、これはまあ自治体側の要求もあったわけでしょうけれども、自治省などもかなりそちらの方に力を入れていたように思うわけです。どうも四十年代になりますと、その引き上げに対する積極性が失われた。交付税率を引き上げれば問題が解決するとは思いませんけれども、しかし、交付税率を引き上げていくということについて積極性を持つことによってより根本的な問題が明らかになってくるわけですし、地方交付税制度そのものの持っている諸問題というものの打開というのがもっと積極的に展開されたのではないかと思うんですけれども、どうも消極的であったということは非常に残念なことであるわけです。したがいまして、ここでやはり、かなりの交付税率の引き上げというのはその意味で必要だろうと思うんですけれども、それであるからといって、それで十分で、今後もう引き上げなくてもいいというふうなことはいささかもないわけでありまして、むしろ、なかなか抜本的な制度改正はできにくいというふうなお話もございましたけれども、むしろ早急に抜本的な改正というのがこの問題についてはあるのではないかというふうに考えております。 それから二点目で、福祉の先取りということでありますけれども、日本の福祉水準がどうであるかということは、これはいろいろなデータが出ておりまして、御承知のように、国債水準から見まして、社会資本の程度、それから社会保障の水準というのは著しく低いわけであります。このように、社会資本なり社会保障なりが低水準であるということは、従来の財政の基本的な形、基本的な内容というものが高度成長優先主義であり、大企業に対する優遇を主として行ってきたというところにあるわけでありまして、そこで、住民の側からは、生活から出てくる諸要求というのが、この昭和四十年代になりますと都市地域におきまして非常に激しく出てまいりまして、それを受けて、地方自治体の方は住民に対して何がしかのやはり積極的な福祉政策をするという姿勢を取り始めてきたわけであります。しかしながら、地方自治体の方は財源がないわけですし、制度的にもそれほど自主性があるわけではありませんので、限られた権限と限られた財源の中で、いささかの福祉政策を行ったというのが実態であります。その程度の福祉を地方自治体が行うということが先取りであって行き過ぎであるというのであれば、これは問題でありまして、それでもなおかつ現在の福祉水準というのが、国際的に見ましても、あるいは住民の要求から言いましても、十分であるとは言えないわけでありますから、そこまで放置しておいた国の政策の方が責任が大きいわけでありまして、国の側の反省がなくて自治体が限られた財源と権限の中で行ったわずかな福祉というものを抑えようということは、これは少なくとも福祉社会を目指しているとするならば、後ろ向きの行き方ではないかというふうに言わざるを得ないわけであります。そうではなくて、むしろ、たとえば公害対策などを見ましても、地方自治体の方が先行して、そしてそれが公害対策にとっては有効であるということで、国の方もそのような地方自治体の行き方に追随する形で法律改正などが行われてきたわけでありますから、福祉につきましても、地方自治体が実験し、地方自治体が行った福祉というものを十分に学んで、それをさらに高めるような政策なり、あるいは法律の改正というのを行うべきであって、いま福祉の先取りということで非難するというのは当らないわけであります。そしてまた、それによって財政問題が生じてくるとすれば、それに対応するような財源対策、税源の配分、あるいは事務、事業の再配分ということを実施すべきではないか、私はこのように考えているわけであります。 そのような点からいいましても、三番目の税財政のあり方につきましては、その点からも言えるわけでありますけれども、従来のこの高度成長型の税財政制度というものは、やはり今日においても基本的に改まっていないわけであります。部分的に租税特別措置の一部廃止というふうなことが行われたりはしているわけでありますけれども、これは一部でありまして、基本的な形、姿としては、やはり高度成長型の税制度、高度成長型の財政構造というものは改まっていないわけであります。 そして、何よりも重要なのは、著しい中央集中型の財政であるというふうに私は考えているわけでありまして、税財源の圧倒的な中央への集中、それから権限の中央への集中、それから資金面でありますが、これは起債あるいは借り入れ等にかかわる財政投融資資金などがすべて中央に集中している。そして、それら集中した財源、資金、権限をもって高度成長政策に力を入れていく、このような構造というものを改めるということが必要でありまして、そのためにこの税制のあり方あるいは企業に対する税の負担のあり方というものを再検討する、あるいは財政支出の内容を改める。 それから、さらに重要なことは、国と地方の財政関係で、中央集中型の財政ではなくて分権型の財政を実現していくということが重要ではないかと思うわけです。何よりも、福祉といいますのは地方自治体が最もよくこの地域の事情を知っているわけでありますし、現に福祉政策の担当者は、ほとんどがこれは自治体によって行われているわけです。社会保障等の一部ナショナルミニマムを必要とするものは別ですけれども、いわゆる福祉関係につきましては、ほとんどがこれは自治体が実施しておるわけでありますし、自治体がやるのが一番福祉政策にとっては好ましいわけでありますので、この点からも、分権型の財政に改めるということがすなわち福祉型財政への転換ではないかと考えているわけであります。 福祉の拡充、福祉社会の実現というふうなことをただ口先きだけで言ったり、あるいは国家予算の上で一部この伸び率を高くするということだけでは済まないわけでありまして、ここでこれまでの高度成長時代というものから大転換をするということであれば、いま言いましたような税制、それから財政支出の内容、それから国と地方との関係というものをここで大きく改めるべきではないか。そのような基本的な構想といいますか、考え方の上に立って地方行財政の諸制度についても再検討することが必要なのではないか、このように考えているわけであります。
○市川房枝君 まず、山本参考人にお伺いしたいんですが、宮城県の県及び県内の自治体でギャンブルをやっているところがございますか。 それで、やっているところとやっていないところでは、地方財政が今日のように窮迫してきますと非常な不公平になってきているわけですけれども、それをどういうふうにお考えになっているかという点。 それからお二人の先生方には、自治体のギャンブルの収入が終戦後三十年間、地方財源の一つとして今日まで来ておるんですが、今度さらに地方財政法の改正によって、五十四年度までというのがまた六十年度までに延長になるわけなんです。これは公営企業金融公庫へその自治体のギャンブル収入の一部を納付する制度でそういう改正が行われようとしておるんですけれども、それをどういうふうにお考えになっておりますか。御意見をお二人の先生から簡単に伺わせていただきたいと思います。
○参考人(山本壮一郎君) 宮城県におきましては、県並びに市町村の段階でギャンブルは行っておりませんのです。ただわれわれといたしましては、そのギャンブルをやっております団体が非常に裕福な財源を持っておる。それをもう少し地方全体で公平に使うべきだと、そういう意見を持っております。
○参考人(和田八束君) ギャンブルですが、これは戦後のゆがめられた財政状態のもとでいわば臨時的に行われるようになったものだと思いますが、今日ではそのギャンブルに財源を依存するということは非常に好ましくない、ギャンブルは基本的には廃止すべきであるというふうに私は考えているわけです。ただ、現実に廃止した場合に、いろいろと、その実際にギャンブル収入がある自治体にとってはかなり財政収入の減少になることは否定できないわけでありますので、したがって、ここでこのギャンブルを廃止するかどうかということだけではなくて、地方財源確保ということが非常に重要ではありますけれども、しかし、とはいっても、このギャンブル収入なしでやっているところもあるわけでありますので、ギャンブル収入に多く依存してそれで事足れりとしている自治体の行政のあり方というものはやはり反省すべきではないか。いずれにしましても、ギャンブルについてはもう少しやっぱり住民と自治体との間で、何といいますか、再検討といいますか、そのあり方というものを考える必要があるのではないかと考えております。
○参考人(遠藤晃君) まず、ギャンブルに依存をせざるを得ない、そしてそれらの廃止がなかなか困難であるという、そのこと自体が今日の非常に地方財政の深刻な困難というのをあらわしているというふうに思うわけです。したがいまして、もちろん方向としてはギャンブルを廃止をしていくということでありますけれども、そのことが可能になるような、そうした地方財政制度をどのようにつくり上げていくのかという、そうした中でこの問題については解決をしていくべきであるというふうに考えております。そしてその間、まあ現に存続しているという現状の中で、大変残念な現象ではありますけれども、その中での公営企業金融公庫への納付金問題でありますけれども、これはある意味では廃止を可能にしていく条件というふうに考えましても、主催をするその自治体の収入分というのを相対的に減らしていってそれは全体の自治体の共通の財源にしていく、そうした方向というのが私は望ましいというふうに考えておりますし、この納付金についてはある意味では逆にさらにこう引き上げていくということもこの廃止への一つの条件になっていくんではないか、そういうふうに思っているわけです。
○神谷信之助君 和田先生の退席の時間が迫っておりますから、お答えは和田先生の方から先にしていただいたら結構だと思いますが、まず、山本参考人にお伺いしますが、ひとつ地方財政の今日の危機の問題をめぐって、その原因が人件費が高過ぎるという問題と、それから先ほどもありましたが、福祉の先取りがやられているという、そういう意見が自治省、政府を中心に一昨年来非常に強まっているんですが、しかし、自治体で実際に住民に責任を持って行政を進めておられる知事さんの立場から言うと、全体として物価は上がるし、しかも新しい行政需要というのがふえるし、したがって、すぐれた人材を得ようとすれば東京よりも低い待遇ではどうにもならぬといったいろんな条件から今日の人件費の状態が生まれてくるし、あるいはいまの不況という中で住民福祉を強化せなきゃならぬ、そういう状況が生まれてきているのだろうと思うのですが、この辺について非常に御苦労なさっていると思いますが、この辺のひとつ見解をお聞かせいただきたいというのが一点です。 第二点は、超過負担の問題ですが、これの解消のために六団体側の代表や政府機関あるいは学識経験者の代表を含めて三者での調査機関を設けたいという、この点は私たちも賛成なんです。ぜひともこれを実現をしたいということで努力をしておるんですが、とりわけその中でもいわゆる国の委託事務、これにも現実に超過負担が起こっている。これ自身はもう法律違反ですから、少なくともこれは調査委員会をつくるのどうのこうのじゃなしに、もう即刻解決をしなきゃならぬ問題。そういう点で言いますと、たとえば、国立の身体障害者の職業訓練校が十一都県にあります。宮城県にもあるわけですから、ひとつこの辺の超過負担の状況あるいは知事さんの側の御希望、こういったものをお聞かせいただきたいというように思っているわけであります。 それから、和田参考人の方にお願いしたいと思いますが、先生のお話の中で、アメリカのとっているような素朴なシステム、これなんかも参考にしてはどうかという御意見ございました。若干その特徴と、それから日本の交付税制度との違い、あるいはどういう点を取り入れる必要があるのかというような点をできればお聞かせいただきたいというように思うわけです。 それから、遠藤参考人にお伺いしたいのは、先ほどもありましたが、地方債、これが当分の間自治大臣の許可を要するということになってもうすでに二十九年を経過している。これはもう先ほど知事さんの方からもお話がありましたが、現在の地方団体の実情から言うならばもっと自由にすべきではないかということなんですが、したがって、健全財政を維持をするという範囲内で、たとえば予算における公債費の比率なり、あるいはそのほかそういった幾つかの歯どめ、それから財政上は適債事業が決まっておりますから、これも一定の歯どめがあります。したがって、そういう状況ですから、大臣の認可制というものを廃止をしてそうして都道府県は知事がやれる、それから市町村については都道府県知事の同意を得て発行ができるようにする。少なくとも現在の段階ではその辺まではこの起債の自由といいますか、発行の自由というものを広げていく必要があるのではないか。これが実は政府の自治体に対する支配介入の一つのてこになっていることは事実なんで、この辺をひとつ考える必要があるのではないかというように思いますが、その点についての見解を聞かしていただきたい、こういうように思います。
○参考人(和田八束君) アメリカの一般財源分与制度といいますか、ゼネラル・レビニュー・シェアリングにつきましてちょっと申し上げたわけですけれども、手元に資料を持ってきておりませんので、余り詳しいことは申し上げられませんけれども、もともとアメリカ合衆国では、連邦政府が地方自治体に対して財政援助をするということは原則的にはないわけでありまして、その点日本の状況とはかなり違うわけであります。しかしながら、やはりアメリカでも都市財政問題あるいは地方財政全体の財源不足ということが著しくなってきて、そしてこのような財源分与という問題が出てきたというふうに聞いております。その場合、まだこれは一九七二年の創設でありますので、歴史も浅いということもありまして、かなりラフな配分の仕方をとっておりまして、多分主として人口割りで一括交付金的な性格の資金を配分していると、こういうことだろうと思うわけです。 日本の場合には、御承知のように、かなり精密な基準財政需要額の算定と、あるいはないしそれに加えて補正係数の採用というふうなことがありまして、それぞれの経費につきまして相当細かい計算が行われているわけです。細かい計算が行われているということはきわめて交付税の配分にとっては合理的のように見えるわけですけれども、ところが、財源がそれぞれ特定化してしまうというおそれがあるわけであります。実際は特定化しないたてまえになっているわけでありますけれども、経常費のこれについては幾ら、それから投資的経費については幾らというふうになってまいますと、それによって地方自治体の財政がかなり縛られてくる。つまり一般財源というのは、地方自治体の自主性を前提にして交付税が配分されているというよりも、次第に地方財政の運営というものが交付税の算定によって規制されてくるという逆の性格を強めてきているわけであります。したがいまして、ここでやはりそれほど細かい計算をするよりも、一括交付金的な形で、かなり計算はラフであるにしても、自治体の側から言うと、それをもっと自主的に使えるということの方が望ましいわけであります。 したがって、アメリカの制度がいいというふうに考えているわけではありませんけれども、一方での日本における精緻な制度と、それから他方では非常にラフな計算によるところの一括補助金的な制度というものを比較してみますと、何かその中間あたりで考えられるのではないか。つまり、より精緻になる方がいいというふうに言うことができないわけでありまして、できないということを強調したいわけであります。そのことで結局交付税制度がねらいとするのは、自治体の財政的な自主性というものを損なわないでいかに財源を配分するかということを基本に制度についても考えていくべきではないか。その意味で、アメリカないしはイギリスの行き方というのも大いに参考になるのではないか、こういうことでございます。
○参考人(山本壮一郎君) 現在の地方財政の危機の原因に、政府筋からよく人件費あるいは福祉の先取りが議論されるわけでございますが、われわれは政府がどう言うからという意味ではなしに、非常な窮乏をいたしました財政の中でできるだけ県民の福祉を上げてまいらなければならない、そういう観点から、高度成長の時代に、比較的余裕のある自然増収の中で、職員の給与の扱い等につきましてもかなり運用面でいろんな措置がとられておる。これは団体によりましていろいろ差はございますが、そういうことも一つあるわけでございます。したがいまして、こういう事態、さらに今後における低成長下におきまして、できるだけ住民の負担において行われる行政の中で、給与に回すべきか、あるいは直接住民の福祉につながる事業に回すべきか、こういう厳しい選択を迫られておるように思うのでございますが、これまでの給与あるいは定数管理等々の中で、やはり反省すべきものは反省し、是正すべきものは是正し、限りある財源の中でできるだけ住民の皆さん方の福祉を上げていく。また、そのことを住民の皆様方も期待しておられるんではなかろうか、こういう基本の姿勢で今後の財政運営に当たってまいるつもりでございます。 なお、福祉をやったことが財政を窮迫に導いた、こういう簡単な考え方は私はとりません。それぞれの自治体におきましては住民の福祉を上げていく、高福祉社会を建設していくというのが自治体の本来的な機能であり、役割りである、こういうことでございますので、今後とも福祉社会の建設にはあらゆる努力をしてまいらなければならないと存じます。 しかし、先ほどもお話がございましたように、日本の福祉の水準が低い、あるいはまた社会資本の充実等々を考えましても、まだまだ低いわけでございます。したがいまして、高福祉社会の建設ということを考えますときに、これはそう短兵急に一年、二年、三年でできるものではない。そういう意味では、やはり長期の視点に立ちましてわれわれが粘り強い努力をしてまいらなければならないのではなかろうか。そしてその場合、福祉社会を考えます場合に、直接の狭い意味での社会福祉の問題と、福祉社会ということになりますとその基盤をなしますいろんな社会資本の充実の問題、それは公共事業等を含めた両面があるわけでございます。これらのバランスのとれた振興策というものを図ってまいる必要があろうかと存じます。 なお、超過負担につきましては、先ほど県全体での数字を申し上げたのでございますが、いま御指摘がございました心身障害者の方々の職業訓練校にかかわる超過負担が幾らになっておるかという資料をいま持ち合わせておりませんので、調査をいたしまして、御指摘のような意味合いの超過負担でございますので、適切な措置をとってまいりたい、かように存じております。
○参考人(遠藤晃君) 地方債の許可制度の問題でありますけれども、これは地方自治の基本を考えますと、いわゆる自由化と申しますか、許可制度は撤廃されるべきだというふうに考えるわけです。もともと、当分の間というただし書きがついていること自体、地方自治法の基本に立ってそれが本来のあるべき状態ではないということが認識されておったというふうに理解ができますし、その当分の間というのが三十年近く続いているということは、私どもからすれば何ともこれは理解ができない、そういう事態であります。 そこで撤廃をした場合に、それじゃ完全な意味での野放しでいいのかどうかということが次の課題として出てくると思うわけです。この点では、やはり地方自治体の財政の健全性を維持するという点から、たとえば公債費の比率ということでもよろしいかと思いますし、あるいは起債年次における一般財源に対する起債の比率という、ことでもよろしいかと思いますけれども、一定の制限の基準についてはやはり設定がされるべきであろう。そうした中で、その枠内についてはできる限り地域の実態に即した形で地方自治体が自由に起債事業を起こしていくということが望ましいというふうに思います。 ただしかしその場合に、特に市町村のところですけれども、ここでは、今日の起債の許可制度というものがある意味では縁故債の募集に当たっての一つの保証の意味を持っていたということも見逃すことはできないと思うんです。そういう点で、いま神谷先生がおっしゃいました市町村の場合は知事の同意という条件を付したらどうかと思うというお話でございますけれども、そういう知事の同意という形でそのことについての一定の保証がなされるという意味合いであるならば、それからまた、同じ自治体である府県が広域的な観点に立って各市町村の事業についての一定の調整をそこで図っていくというふうな意味合いであるならば、そうした知事の同意権、同意制度を設けるということは、自治権の侵害ということではなくて、逆に起債条件を充実させる、そういうことにもなろうかと思いますし、大変適切な考え方ではないだろうか、そういうふうにお伺いしておりまして感じたということでございます。
○委員長(上田稔君) 以上で午前中の参考人に対する質疑を終了いたしました。 どうも長時間にわたりまして参考人の皆様方には貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。 それではこれでお帰りをいただきたいと存じます。 それでは速記とめて。 〔午後零時二十八分速記中止〕 〔午後零時四十四分速記開始〕
○委員長(上田稔君) それでは速記をつけてください。 それでは、丸山参考人が御出席になりましたので、御意見を伺いたいと存じます。 丸山参考人には、御多忙中のところ本案審査のため御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 さっそくでございますが、御意見をお願いいたしたいと思いますが、議事の進行上十五分程度でお述べをいただきたいと存じます。参考人、丸山康雄君。
○参考人(丸山康雄君) ただいま御紹介いただきました全日本自治団体労働組合の中央執行委員長をやっております丸山でございます。 本委員会において御審議されております地方交付税法等の一部を改正する法律案に関連し、若干意見を申し述べさせていただきたいと思います。 結論から申し上げますと、今回の改正案に私どもの態度は反対であります。 その理由の第一は、申すまでもなく今回の改正案が地方交付税率の引き上げを行っていない点であります。地方交付税法第六条の三、二項には、引き続き財源不足のときは交付税率の変更、つまり引き上げをしろというふうに書いてあるはずであります。私は、五十一年度はすでにその時期に来ていると考えております。といいますのは、地方交付税の財源不足ということは、景気後退に伴う税の落ち込みが顕著にあらわれました昨年度あたりからのことのように言われておりますけれども、実はそうではなく、それはそれ以前、相当前からあったということであります。相当前からあったのでありますけれども、政府が、いうところの基準財政需要額に算入すべきものを十分算入してこなかったために、財源不足が表面化、顕著化、顕在化しなかっただけでありまして、そういうように考えます。これまで政府は、五年に一度の実態調査に基づいて地方財政計画上の公務員定数の規模是正を行ってきたわけでありますが、五十年度十三万八千百八十人に引き続いて、全く異例なことでありましょうが、五十一年度七万五千人の規模是正を行ってまいっております。このことは、いままでの後追い的な規模是正の不合理性に加えて、長く定数算入が不十分であったことを政府みずからが認め、これを是正する措置を行ったことであると思います。もっと端的に、五十年度に精算すべき四十八年度の精算額二千六百九十億円を次年度の四十九年度に繰り上げ、そのことによって四十九年度の財源不足を糊塗しているということもあるわけであります。法の趣旨に沿って、早急に交付税率を引き上げるべき時期であると考えております。 その第二番目は、財源不足対策の大部分が交付税特別会計の借り入れ並びに地方債によって賄われており、将来の地方財政に大きな負担を残すものであるばかりではなく、地方債の大半が民間資金に依存しており、その消化に大きな問題を残しているように考えておりますが、その点であります。この点については各所で多くの方々が触れられておりますところですが、自治省自身も問題を感じているはずであります。ここで多くを語ろうとは思いませんが、私はこの点に関連して一番問題だと思うことは、従来基準財政需要額に算入されていた、道路関係を除く公共事業費と高校新増設費の大部分が起債に振りかえられている点であります。従来も、不況に伴う交付税の減収に対処して、事業費補正による割り増し算入額の一部または全部を財源補てん特別事業債に振りかえるといったことも行なわれてまいりましたけれども、今回ほど多額の八千億円にも上る一般財源が特定財源としての地方債に振りかえられたことはありません。ただ単に、金が足りなくなるから金をつけてやればいいという問題ではないと思います。財源の質もまた、地方団体にとって、また地方自治にとって重要な問題であると考えます。このようなことの繰り返しが、地方交付税制度、この基本的な理念を政府みずからが侵すことになることであり、制度そのものの自殺行為であるということを考えてみなければならないと指摘するものであります。 反対理由の第三番目は、公営ギャンブルの納付金の扱いに関連した地方財政法の改正についてであります。もともとギャンブル収入といったものが地方財政の中で比重を高めることは言うならば不健全なことであるという基本的考え方の上に立って、この改正に反対であります。最近、ギャンブル関係の団体への自治省官僚の天下りとか、あるいはギャンブル資金による財団法人の設立であるとか、それへの天下り、さらにはギャンブル資金による自治行政の調査等々が盛んに行われているようでありますが、このギャンブルを経営する側がこうした官僚との癒着の中でその発展と永続化を望んでいるわけであるとすれば、日本の行政のあり方の問題として好ましい方向ではないと私は考えるものであります。 その第四番目は、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正に関連してであります。 この財政上の特別措置が五年間延長されることになっておりますが、新産業都市建設促進法が制定されましたのは昭和三十七年、工業整備特別地域整備促進法が制定されましたのは昭和三十九年であります。これらの促進法について財政援助法が制定されたのは四十年であります。この際、単に財政援助法を延長するというだけではなく、もとの促進法そのものを見直しをしてみる必要があるのではないか、またそういう時期に来ているというのが私の考えであります。たとえば新産業都市建設促進法では、その目的として、大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、地域格差の是正、雇用の安定を図るため産業の立地条件や都市施設を整備するというふうにうたっておりますし、また工特地域整備促進法でも、国土の均衡ある発展を図ることなどがうたわれておりますが、現況を政府の資料などで見てまいりましても、工業生産については、全国に占める新産都、工特地域の割合が高く、それなりの成果は上げておると思いますが、人口の分散などについては予想したほどの効果は上げていないと思います。また、公害に対する苦情件数が増高していることなどの面にかんがみますときに、新産都、工特地域は全国的に見て特によいわけではありません。都市的施設の整備について手元に資料がありませんから、詳細は述べられませんが、十年ほど前にこれらの地域を訪れたときと今日とを比べて見ても、実感として住民が本当に住みよくなったという感じを持っているかというと、むしろ逆のいろいろ困難な情勢が出てきたという方が強いのではないかというふうに考えます。 こうした点を総合的に考えてまいりますと、新産都、工特地域に財政援助をしたことの意味は一体何だったのか、改めていま問い直すことではないかと思います。工業化によるマイナス的効果を国の費用で一般並みに押しとどめてきたということがせめてもの救いではないかというふうに考えますし、新産都建設促進法とか、工特地域整備促進法の趣旨に照らして、この法そのものを見直してみる時期に来ているのではないかと私は考えております。 以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対する理由でありますが、さらに、地方行財政のあり方の基本に関連し、若干意見を申し述べさせていただきたいと思います。 その第一は、国と地方との経費の負担区分についてであります。 現行地方財政法は、それが主として地方公共団体の利害に関係ある仕事であれ、国の利害に関係する事務であれ、国と地方公共団体相互の利害に関係する事務であれ、一部の事務を除いては地方公共団体が経費を負担するたてまえになっています。しかしながら、制定当時の地方財政法は、いわゆる国費、地方費の負担区分をもっぱら事務の執行による利害の帰属するところに従って、主として地方公共団体の利害に関係のある仕事は全額地方公共団体の負担、反対に、主として国の利害に関係のある事務は全額国の負担とし、国と地方公共団体相互の利害に関係ある事務については、国と地方公共団体が経費を分担し合うこととなっていたのであります。 このように、経費の負担区分が国と地方との間で明確になっていたのが、なぜ現行法のように、原則として地方公共団体が経費負担の責任を負う形になったのか。これは昭和二十四年のシャウプ勧告に基づいてそうなったものと思いますが、この勧告は、地方行政事務の国と地方公共団体間の再配分を実施し、地方公共団体に配分された行政事務については地方公共団体が行政の最終責任を有することとし、その経費も全額負担することになっています。そして、その結果必要となる地方公共団体の経費については、地方税及び地方財政平衡交付金の運用によって充足できるものとし、理屈の上では、地方財政法が企図していた国費、地方費の負担区分制度は不要であるとしたものであると理解しています。 しかしながら、このシャウプ勧告の企図していた行政事務再配分の実現は全く見送られた結果となって、反面、国と地方の経費の負担区分の不明確化だけが残ってしまいました。そこから出てくるところのものは、国と地方を通じての行財政責任の不明確な問題ではないかと思います。 この行財政責任の不在にこそ、現在未曽有の地方財政の危機に直面して、国、地方を通じた今日的混迷の原因が多くあるのではないかというふうに考えます。どこからどこまで国が責任を持ち、どこからどこまで地方が責任を負うということが不明確であるときに、財源不足などということはその概念さえ確定できないのではないかということすら言えるのではないかと思います。平衡交付金制度、地方交付税制度を通じての財源保障機能が不十分であるという一般的状況の中で、この財源不足額の算定さえ地方財政計画策定という国のレベルでの作業にゆだねられている。この結果、財源不足額を何とか少なくしようという発想から、やがては人件費削減あるいは福祉切り捨てなどと言い、地方公共団体の側には、みずからの責任を不明確にしたまままさに他動的にこれに従ったり、あるいは反発したりしている状況が間々見られるわけでありますが、この点を基本的な問題としてとらえていく必要があるのではないかと思います。 地方財政を歳出面で合理的なものにしようと本当に考える場合には、行政事務、財源の再配分を思い切って断行し、行財政責任を明確にすること、あるいは起債も自由化すること、要するに地方自治を尊重し、そこに責任と権限を持たせることが重要ではないかと考えます。 地方公務員の給与を合理的にするという問題と地方財政における人件費の問題は明らかに別の問題でありますけれども、ここ一年来、きわめて意図的に政治的にこれを混同させ、地方財政危機に便乗して賃金を何とか切り下げようというような態度が政府に見られるわけでありますが、これは混乱を深くさせるばかりであり、為政者としてとるべき態度ではないと考えます。 また、健全化計画が住民、自治体労働者に重大なかかわりがあるにもかかわらず、完全な秘密のうちで策定され、資料の公表すらない状況で、それに基づいて過般千三百十一億の健全化債が許可されたという事情は、各自治体における議会制民主主義、住民自治の立場から、あるいは労働基本権の否定を意味するようなことになりかねない状況であると考えます。特にこのことが通達によって行われるということについては、その許可基準が明らかでないという事情も含めて、きわめて不当な問題点であろうと思います。 最後に、今日の地方財政危機の打開に当たっては、単に自治省官僚のみの判断によることなく、まさに財政の危機はいまや地方自治の危機であるという立場から、全自治体関係者、自治体労働者並びに住民の意見を積極的に組み込んで、関係者の参加によって民主的にその方策を見出すべきではないかというふうに考えます。このことを忘れた場合には、かつて昭和三十年代にとった中央主導型といいますか、自治体の意見を十分組み入れない状態で、財政危機が構造的に改善されないで今日に至ったという失敗を再び繰り返すことになるのではないかというふうに私どもは心配をいたしております。 こういう点から、今回の地方財政の危機の問題については重大な決意をもって関係者の意見を十分組み入れられ、構造的、抜本的に改善をされることを強く切望しておりますことを申し上げまして、非常に雑駁でございますが、私の意見の開陳を終わらしていただきたいと思います。大変どうもありがとうございました。
○委員長(上田稔君) ありがとうございました。 これより丸山参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小山一平君 それでは、私から二、三の点について丸山さんにお伺いいたしたいと思いますが、丸山さんもいまお触れになりましたように、定数是正が五十年度、五十一年度行われました。これは、超過負担の一部としてかなり地方財政に影響を及ぼしてきましたのですが、昨年、それから五十一年度こういう是正が行われたことによって解決が一体できたのか、またどれだけの問題を残しているのか、こういうようなことが調査されておわかりでしたらお答えを願いたいと思います。 それからもう一つ。これは先ほども問題になりました公営ギャンブルの問題でございますが、これは地方自治体に大変な不公正を生んでおりまして、長年のこれは論議の的となっておりますけれども、公営ギャンブルで相当の財源を確保している自治体がこの廃止なりあるいは公平化なりという改革に強く反対をする、また、同じ自治体の長の仲間でも、自分のところでは公営ギャンブルをやっていないし、こういう不公正は改革すべきだという意見はあっても、仲間が強く反対をしているというようなことのために、この問題を大きな運動に発展させることができずにいる要因がございます。そこで、全国の自治労の中では、公営ギャンブルを持っている市町村の職員組合なども含めて、自治労全体として公営ギャンブルの現状を抜本的に改革すべきである、こういうふうに意思統一がされて、自治労の要求といいますか、要望といいますか、そういうものになっているのかどうなのか、そういう点をお尋ねいたしたいと思います。 それから地方財政危機の中で、財政的には自主財源がますます逼迫をして、いろんな財政の仕組みなどに手を加えられておりますけれども、私はこれはみんなが口で言うように、地方自治を発展させるとか確立するとかということと反対に、中央集権化が非常に進められているのではないか。地方行財政を通じて国のコントロールが強化されているのではないか、こういうふうに私は考えておりますが、丸山さんのお立場で、この地方財政危機が深刻化する中でこういう点をどういうふうにお考えになられているかという点をお尋ねしたいと思います。 もう一つ最後でございますが、いまも丸山さんからも述べられましたように、自治体労働者が適正な労働条件を確保するということはこれは当然のことですし、また理事者も適正な労働条件を保障するということは当然の責任だと思います。ただし適正とは何かということについてはこれはいろいろ意見もあろうかと思いますが、この地方財政危機が深刻になる中で、人件費問題が御指摘のように大変大きな問題になりまして、いままで皆さん方が獲得をした条件を取り上げる、あるいは改正をする、こういうようなことがかなり積極的に自治省の指導によって行われていることは御承知のとおりですけれども、私の心配することは、そのことによって自治体の理事者とあるいは職員間、あるいは組合の間で紛争が激化をしたり、それによって不信や不満が生まれたりすることによって住民に対する行政責任が損なわれるあるいは行政効果が損なわれる、こういうようなことがあってはならない、こういうふうに思うのです。そこでここ一、二年来、人件費問題を契機にしていろいろな問題が各地で起きていることを聞いておりますが、その紛争などによっていま私が憂慮するような問題は現実的にあるのかないのか、あるとしたらどんな形に存在するのかというような点をお聞かせいただければありがたいと思います。
○参考人(丸山康雄君) いま小山先生から四つの問題、御質問がございました。 第一番目の地方財政計画上の定数補正の問題ですが、これは自治省ともいろいろ交渉しているのですが、まだ確たる数字はありません。私どもは最近非常に臨時職員が事実上ふえてきているのではないか。そういう状況ですから、私ども三千三百の自治体をきちんと調べたわけではありませんが、五万以上のそういう隠れた、まだ計画上未整理の人員が含まれているのではないか、そういうように、正確な数字でもありません、自治省との交渉で数字を確認したことでもありませんけれども、そういうふうに理解しています。 それから第二番目の公営ギャンブル廃止の問題については、基本的には、私どもは組合の立場でも、本来そういうものを行政の財源に充てるということはよろしくないという基本的な考え方では一致しています。 ただ、現在やっておるものをたとえば来年度から全部やめてしまうかという点については、やはり最近のように地方財政が大変ピンチな事情でありますから、その財源をもってやられている行政財政の具体的な保障措置というものが伴わないと、何か理屈が先に立ちまして実際にマッチしないということでありますから、声を大にしてやめる話だけをしているわけではございませんが、私は基本的に廃止の方向、先ほども申し上げましたように、少なくともこれが結果として何というか増大——私も三多摩に住んでおりますけれども、この財源に非常に魅力を感じて、わが市にもぜひ開催権をというような状況が心ならずも出ているという傾向はやはり非常に心配すべきことだと考えておりますし、私どもも一定の時期に廃止の問題とあわせて、これらの経費財源の裏打ちを明確に国並びに財政計画上の措置をするという見合いで、ぜひ正しい方向といいますか、健全化の方向に解消していただきたいと考えています。 それから三番目の、この自主財源の、あるいは地方財政危機の打開の際に、傾向としては中央統制、財政統制といいますか、そういうものが強化される心配についての御指摘であります。私ども、実はかつて昭和二十九年から三十二、三年ぐらいまで、今日の状況のような経験をしました。しかし、御承知のように、あのときには地方自治とか地方財政の根本に触れる議論を徹底して国全体が挙げてするというよりは、その後にまいりました高度成長の中で、何とか財政的な措置が曲がりなりにもまあうまくいった、と言うと適切な表現でないかもしれませんが、カバーされてきたということから、本当に掘り下げた議論というのはなかったのではないか。その過程ではやはり町村合併も行われましたし、大変な合理化も行われました。私ども労働者の労働組合としては、そのことにも反対しましたが、やはり最後に申し上げましたように、今度の場合には構造的な危機だと言われておりますだけにその点について、自治省の知恵のある官僚が考えることは当然でしょうけれども、全国の首長とか自治体とか、それから関係労働者とか識者の意見を十分組み込んだ形で、少なくとも自治省の官僚だけが主導的にこの金の配分あるいは運用の実際に触れても、そういう形で貫かれるという点だけは、事が事だけに、今回の場合には厳重に改めていただくように私どもは強く申し上げておりますし、昨日も実は機会がありまして、自治省の次官には、健全化債の問題に関連しまして、こういう傾向は議会性民主主義の問題にも反することになりかねないということで折衝しているという経過もあわせてお答え申し上げておきたいと思います。 それから四番目の具体的な問題について、私どももこの高度成長から低成長に変わった環境の中で財政事情が大変だということ、超過負担を初め、やはり基本的に地方の財源を強化するという方向で、私ども労働組合も一定の見解を出して、きのうも自治省の次官と話しましたけれども、共通の主張というのが多いわけであります。その中で、いま御指摘がありましたように、賃金問題あるいは特に事実上の定年制の問題等をめぐって紛争ができてきておる例があります。そこで私どもも、昨年出されました財政の、私どもはまあ五・一六通達と言っているんですけれども、昨年出た通達に関連しまして、余りひどく紛争が長引いている点については、ぜひ中央段階においても自治省と交渉しながら解決の方策を考えようではないか、そういう提起もしながら実はやっておりますし、紛争が長引いて結果して行政がうまくいかない、住民に迷惑をかけるということは大変申しわけないことでありますから、私どもそういう点は一方で配慮しながら、それだけに、たとえば労働組合との交渉を十分やらない、地労委から交渉しなさいと勧告されてもほったらかして、市長は逃げて議会はこの条例を決めてしまう、そういうこととか、最近特に私ども法律の上からも問題があると考えていますが、福岡県におけるような事実上の定年制。ベースアップがあってもベースアップをしないで、勧奨退職に応じない場合には、この退職手当も年金もずっと低くなっていく。こういうようなことは幾らなんでもちょっと度がひどいんじゃないか、法律に触れるんじゃないかという見解で実はいろいろいま話し合っております。そうして三千三百の自治体、私どもはいま二千七百の組合でありますけれども、この大半九割以上は、多少の困難はあっても労使がとことんまで話し合って賃金問題を初め決めている現状でありますし、今後、私ども十分話し合ってこれらの問題は決めていくということを原則にして進めていきたい、こういうふうに考えております。
○小山一平君 その最後のところでもうちょっと突っ込んでお尋ねをしておきたいと思うのですが、いまの丸山さんのお話ですと、長い間職員組合と理事者でいろいろ話し合いをしたり、交渉をしたりして、いろんな条件がつくられてきておると思うのです。そこでそれを変えていく、あるいはその内容に検討を加えていくというときには、どうしてもその前提となるものは労使間の協議、話し合いということをまず土台に据えるべきだ、それをおろそかにしてけんかみたいな形に入るのは適当でない、こういうふうに私も考えているわけですけれども、先日も自治大臣とこのことで若干話をしたときに、そうは言っても組合ががんこでさっぱり話に乗らなければけんかになるのもやむを得ないというような、まあちょっと乱暴なような意見もありました。 そこで、私は自治労の皆さんにぜひお聞きをしておきたいことは、こういう給与の問題あるいは労働条件の問題などをどうしていくかというようなときには、これは理事者の方も当然そういう姿勢になってもらわなければ困るし、組合の方もお互いに誠意をもって話し合う、そういう双方の姿勢が私は必要だというふうに思うのです。そこで、自治労のお立場で、全国の各県あるいは市町村の組合などに対して、いまも丸山さんからもお話があったように、十分な話し合いを土台に据えたい、そのことを十分徹底指導をさせていただいて、理事者と組合が対立をして紛争をして不信感を激化をして、そうして住民にいささかでも迷惑を及ぼすというようなことを避ける、こういうことは当然だと思うのです。もう一度このことについて、自治労としてあるいは丸山参考人として、今後取り組んでいく基本的な姿勢なり考え方というものをもう一度お聞かせをいただきたいというふうに思います。お願いします。
○参考人(丸山康雄君) いまお話がありましたように、私ども基本的に、これは現行法のたてまえから言っても、労働条件については職員団体と当局側が十分話し合ってやるというのがたてまえであろうと思いますし、そのたてまえを守って私どもも解決に努力をしたいと思っています。特にここ二、三年来、自治省の指導という形で幾つか出される政策方向というものが結果して大変な災いになっているという事柄については、私ども全国の職員団体の中央の段階としては、自治省の指導、それから具体的な進め方についても、自治大臣初めそのつど要望を申し入れしているつもりかんです。昨日も話をしましたが、今後もそういう点でやはり自主的に、いまの制度では、各自治体ごとに職員団体がつくられてそれぞれ市長なり知事なりと交渉を進めていくというたてまえになっていますし、賃金条件の一般的な基準というの帯国家公務員あるいは全国の地方財政計画上からくる一つのスタンダードなラインというのがつくられておりますから、その変更についてはもちろん中央段階でも交渉をやりたいというふうに考えていますし、今後それを基本にしながら解決に努力をしていきたい、この基本線は貫いてまいりたいと考えています。
○多田省吾君 私は三点ばかりお伺いしたいと思うのです。 第一点は、最初におっしゃられた、地方交付税は引き上げをすべき時期に来ているとおっしゃっておられますけれども、第二交付税の問題等も含めて具体的にもう少し詳しくおっしゃっていただければお願いしたいと思います。 それから第二点は、地方財政を健全化するために、いわゆる中央の、国のコントロールなんかないような自主財源を確保するための具体的なお考えでございますね。先ほど学者の方も、地方交付税だけでは将来引き上げても足りないであろうということで、地方の行政需要に応じてはやはりいま国の財源になっております所得税なんかも全部もう地方にやるべきだというような御意見も中にはあるわけです。あるいは補助金なんかも、ひもつきじゃなくて自主財源として一括して使えるような方式にしたらどうかというような御意見もあるし、あるいは当然これは法人事業税をいわゆる外形課税に改める問題等も含めて、具体的なお考えがあったらお伺いしたいと思います。 第三点は、いま小山議員からも御質問がありましたけれども、先ほども知事や学者の方々に意見を全部お伺いしたわけでございますが、政治的、意図的にやはり地方は福祉の先取りをしているとか、あるいは人件費の問題なんかで攻撃しているのは非常に私たちも遺憾であり残念なことだと思いますが、その点についてお考がありましたらお願いしたいと思います。
○参考人(丸山康雄君) 多田先生の御質問、三つございましたのでお答え申し上げますが、具体的に、私どもは現在の三二%を少なくとも四〇%以上に引き上げるべきであると思いますし、現在措置のされ方は借金、起債という形ですが、事実上一般財源として考えられる財政対策としても四二・三%に達しているのではないか、そういうように考えています。 それから第二番目の財政配分と言いますか、具体的に税源配分をどうするかという問題については、私どもいま先生が御指摘のように、一つには交付税を引き上げていくということを初め、税源をどこに求めるかという点については、労働組合としてまだ最終的にきちんと決まったところまでいっておりませんけれども、当面は交付税率の引き上げ、起債の問題、それから超過負担の解消の問題等を中心にしながら、財政の確立を図り、さらに特に補助金、これは事実上各省縦割りでありますから、包括的に自治体が運用できるような仕組みに、当面できるものから手をつけて、最終的にはいまの三割自治という、税源が事実上三割しかないということをむしろ逆ぐらいに、当面は半々ぐらいにもつていくような形で何とか税源の改善を図っていくようにというのが、私どもの、いま具体的な数字は持ち合わせはありませんが、考え方であります。 それから、三番目に御質問のありました、意図的にいろんな政府側の手段がつくられるという点については、先ほども申し上げましたように、やはり自主的に問題を解決するという立場で自治体の意見なり、関係労働者の意見を十分反映させた改善策、基本的な政策、方向というものをぜひ今回は採用していただきたい、こういうことを強くお願いしておきたいと思います。
○神谷信之助君 丸山参考人にお尋ねいたします。 自治労の皆さんが、地方自治を住民の手にということで地方自治研究活動を営々と続けてこられ、発展をさせてきておることについて敬意を表したいと思います。特に、今日の戦後の地方自治の歴史を見ますと、地方財政の危機の時期に必ず地方自治に対する侵害が繰り返し行われてきた。地方自治法ほど国会のあるたびに改悪された法律もないぐらいに地方自治権の侵害が進んできています。現在地方制度調査会の方でも、そういうなにも含めまして、特に住民意識、住民の地方自治に対する関心が低い、そういう見方から、地方自治の日の設定とか、あるいは地方選挙の半数改選制とかいうようなことなんかが議論された。あるいは住民運動と議会との関係をどう調整をするかという点から、住民運動を逆に敵視をするという傾向さえ出てきているという状況なんですね。私はこれは非常に地方自治の歴史にとって重大な段階に来ているのじゃないかというように思います。逆に、確かに住民の地方自治に対する理解なり、関心というのは決してまだまだ高いとは言えない。しかし、いま激化してきているいろいろな矛盾から、各地に住民運動は広がってきているし、それから住民のいろいろな団体からも、自治体に対する予算要求とか、それからリコールなり、あるいは条例制定の要求なり、こういった運動というものは、やっぱり特に最近ずっと強まっておりますね。ですからそういう点から言うと、住民の地方自治に対する認識というのは、従前から比べたら最近急速に強まっておる、こういうふうにわれわれは理解をしているのですが、自治労の皆さんが、実際に住民と接して仕事をなさっている、そういう日常の状況からどういうように評価をされておられるのかという点が第一点。 第二点は、先ほどの話で、健全財政計画ですね、それに基づく健全化債の発行、これがきわめて許可基準も不明確、秘密的にやられているというお話です。これが自治体の現場、あるいは自治体の労働者の皆さんやあるいは地域住民に対してどういう影響を与えようとしているのか、この辺具体的な実例がもしおありでしたらお聞かせをいただきたい、こういうように思います。あと、丸山参考人のお話しになった多くの点は大体私ども一致しておりますので、詳しくお聞きをする必要もないと思いますが、いま申し上げた二つの点についてお答えいただきたいというように思います。
○参考人(丸山康雄君) ただいま御質問がありました第一番目の、最近、住民の地方自治に対する認識といいますか、具体的な行動が非常に高まっているじゃないかというお話であります。私どもも、先ほど来申し上げておりますように、全般的には、戦後の地方自治法が憲法に基づいてつくられましてから、私ども三十年ずっとたどってまいりますと、必ず財政がピンチのときには、具体的に労働者の数が減らされる、町村は合併させられる、賃金は一定の枠に抑えられる、片方では住民の負担がふえる、こういうパターンが繰り返されてきたのではないかと思います。そういう点をひっくるめて私どもは今度の場合には、そういう問題について、具体的に私どもも高度成長から低成長に経済の実態が変わっているという認識は、これと無関係に運動はできないと思いますけれども、その中で、たとえばいま言われておりますように、地方財政の赤字の主因が人件費であるとか、福祉のばらまきであるとかいうことが最近は言われなくなりましたけれども、一昨年から昨年については、大変そのことだけが議論になりまして、私どももその実態に触れていろいろ各方面に要請をし続けたわけでありますが、最近の一般的な事情としては、より基本的なところに、たとえば市民の側から見ますと、シビルミニマムという話が随所に出てまいりますが、不況の状況の中でも、経済が高度成長から低成長に変わった中でも、最低限住民生活にとって必要なものは地方自治体としてはやってもらいたいという要望がたくさん出ております。そういう問題から、たとえば保育所の問題でありますとか社会福祉の面についても、具体的な運動なり、行動が出ておりますし、そのことを通じて、具体的に超過負担の実態でありますとか、国と地方の財源配分の問題でありますとか、こういう問題に触れて最近ではたくさんの事例が出ておりますし、私どももいまの時期に、残念ながら非常に経済環境は苦しい状況でありますが、それだけに基本的な、住民がみずから自治をつくりあげていくというか、そういう観点に立った地方財政危機打開の方法というものを、政府も自治体も住民も、そういう意味では一緒になって考えるべき非常に大事な時期であるし、そういう動きが各自治体、これは革新を中心でありますが、保守の場合でもそういう息吹というか、そういうものが私どもの運動の中でも出てきておることはもう間違いありませんから、その点は強調してお答えしておきたいと思います。 それから再建債の問題については、先ほど申し上げましたように、非常に極秘にやられておることでありまして、私どもずいぶん自治省ともやりますし、関係自治体が当局ともやるんですが、結果が後になってあらわれるものですから、正確な状況というのはまだつかみ切れませんけれども、その中には、必ず人員削減、それから賃金抑制、それから一方で、手数料その他の増高というものが計画の中に織り込まれているということだけは事実であります。ですから、この辺、たとえば財政再建法の可否についてはいろいろ意見はあるにしても、この適用を受ける場合には、あらかじめ議会の承認を受けて、それから再度計画段階でも議会で議論をしていただくという手順になっているわけですが、この問題についてはそういう手順を省略してやられるというところに実は大変問題があるのではないかということを、昨日も実は事務次官に強くこのことは申し上げてまいりましたので、国会においてもこの辺についてはぜひひとつ御審議、御検討を願いたいと考えます。
○委員長(上田稔君) 以上で丸山参考人に対する質疑は終了いたしました。どうも長時間にわたりありがとうございました。 これをもちまして参考人に対する質疑は終了をいたしました。 それでは、午後三時三十分まで休憩いたします。 午後一時三十二分休憩 —————・————— 午後三時四十分開会
○委員長(上田稔君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方財政法等の一部を改正する法律案を一括議題とし、両案に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○井上吉夫君 去年から、ことしにかけまして、国、地方とも大変財政事情が悪化をして、国税収入も落ち込むと同時に地方税収入も極端に落ち込みを見せる、そういう状態の中にありまして、ことし二兆六千億余りの地方財政における不足が出る。これを交付税における借入と地方債によって補てんをするという大まかな仕組みと理解するわけでございますけれども、本問題に関しましてはは、各委員から、あるいは本会議を通じあるいは予算委員会なり当委員会を通じまして、現在の状態のまま推移いたしますと当然に交付税率の引き上げをしない限りどうにもならぬじゃないか、同時に、いわゆる借金財政という現状からいたしまして、今後におきますその返還等の額の上昇を考えるというと、後年度の財政負担というものがますます大きくなるということからいたしまして、一体どうなっていくんだという懸念が中心課題になってまいったと思います。 そこで、交付税率の引き上げについては数多くの委員からその必要性が力説されて、具体的な引き上げの提案等もなされているわけでございますけれども、私はここで、まだ具体的な、どの程度の引き上げを必要とするか、その数字の詰めに入っている時期ではないと思いますから、ここで私は少なくとも、その交付税率の引き上げを考える場合に一体どういう因子なりどういう根拠に基づいてその率の算定というものを考えていくかということについての当局の考え方をお伺いしたいのであります。 午前中の参考人の意見陳述の中にもいろいろありまして、具体的数字として四〇%ないし四二%ぐらいにすることが必要であろうという、そういう意見もありました。また、国税三税にリンクするという仕組みではどうにもならぬのではないかか、国税三税の中に、今年は国の財政が七兆二千億余りも公債に依存するわけでありますから、そういう状況の中では当然、別な言い方をすればそれだけ税収が引っ込むためにやむを得ず公債に依存する、このことは当然に国税三税の引っ込みを基本といたしましてその三二%でありますから、国税三税のほかに国が発行する公債の総額も加えたそれに対する率という考え方が妥当ではないかという意味の、遠藤参考人でしたか、意見があったようであります。したがいまして、そういう幾つかの意見があるわけでございますから、一体どのような因子を考えつつ交付税率の手直しを考えようとするのか、現在の段階におきます検討の内容をお伺いしたいと思うのであります。 つけ加えますと、先ほど来申し上げておりますように、地方債の償還が非常に大きな圧迫になってくる。一方では交付税における借入金の償還というのが、利子は一般会計で見るにいたしましても、八年間で元金を償還していくという計画が立てられているわけでございますから、こういう償還額の増加というものを因子として考えることの妥当性がひとつ疑問になると思います。 さらに、交付税率の問題を考えます場合に、かつて昭和四十一年度に二九%余りから三二%に引き上げた。その後、全体の税収の伸びもあって、むしろ地方団体の財政運営の方が楽になって、そして交付税特別会計の交付税の方から国の一般会計への借り入れを求めるというような事態もかつてはあった。そういうことも当然に私は考慮に入れながら作業を進められようとしておると思うんですが、その辺の絡みもあわせてお伺いをしたいと思います。 さらに、あともっとありますけれども、国と地方との事務の再配分の問題であるとか、あるいは零細補助を打ち切って、そしてできるだけこれをメニュー方式にし、さらには総合補助金制度ということを考えたらどうかという意見もあります。もちろん、いまのままで行政事務の国と地方との分担というものに全然メスを入れないままに、私は国、地方のこういう苦しい財政状況の中における行政運営のやり方はないと思いますから、こういうものも当然に配慮に入れながら検討をしなければならぬと思うわけでございますが、国と地方の行政事務の比較というものも、これまたあわせて交付税制度においては三税の三二%でありますけれども、言うまでもなく、国庫補助負担制度があって、これを合わせると、聞くところによれば、正確な数値としては端数まではわかりませんけれども、大まかに言うならば、国庫補助関係を合算すると、国が直接に行政事務等を行うための財源は大体三割程度で、地方において消化する分が七割程度と聞くのであります。これをもし二次交付税という主張まで入れて約一〇%程度交付税率を上げるということになると、大ざっぱな観測で見るならば八対二という状況になる。一体これで国が直接にやる行政事務というのが二割程度の財源というものでやっていけるかどうか、こういうものをあわせ考きなきゃならぬというぐあいに考えるわけでございます。 大ざっぱに私なりの所見といいますか、こういう幾つかの因子があるのではないかという考え方を申し上げましたけれども、自治省当局においては積極的にこの検討に入っておられると考えますので、具体的な数値は別にいたしましても、どういうようなものを改定の因子として検討を進めつつあられるか、その内容をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) 国、地方の財源配分ないしは行政事務の配分等に関連をいたしますもろもろの因子をお挙げいただきましての基本問題に対します御質問でございます。結論的に申し上げますならば、ただいま御指摘をいただきましたようなそれぞれのことが非常に重大な要点でございまして、これをどう組み合わせていくか、このことについて鋭意検討を重ね、大方のコンセンサスを得て将来の路線を引いていくべき事態だと、このように考えておるのであります。 ただいま御指摘をいただきましたように、五十年度、五十一年度、この激しい税収の落ち込みによりまして大変な地方財政の困難な時代が参ったのでございますが、抜本的な制度の改正というものを五十一年度において行いますにつきましては、余りに経済情勢そのほかの変動要素が多うございますので、本年度としては、何とかして所要の財源をいかなる形でもあれ、ともあれ絶対確保する、こういう立場から、交付税会計における借り入れ、地方債の振りかえ、こういった処置をとりましたのは御指摘のとおりでございます。五十年、五十一年とこのような状況でございますし、また今後の事態は、もう少し事態の推移を見なければわかりませんが、恐らく五十二年度に至ってもこういった状況がそう一挙に回復するものではないのではないか、こういう見通しに立ちますならば、五十二年度からは、やはり地方交付税法に規定をされておりますように、制度の根本的な改正であるとか、あるいは交付税率の問題とか、こいうことを根本的に検討する年度に差しかかるのであろう、このように私ども考えておるわけでございます。 しかし、この場合にも、交付税法もそうでございますが、単純に交付税率のみで云々ということではもちろんないわけでございまして、国、地方を通じます行政制度、財政制度全般とのかみ合わせにおいてこういったことは考えるべきであろうと思っております。 具体的に申しますならば、今後の経済状況の変動がどうなってまいりますか、これによりましてもずいぶん違ってまいりますし、また税制そのものが、ただいまの税源の絶体量といたしましては、国、地方を通じましての国民租税負担としても必ずしも諸外国に比してそう多いとは考えられないのでありますが、これをどう考えていくのか、その税制の改正及び税源の配分、それから歳出面におきましては国と地方との行政事務の配分の問題、さらにはそういった事務の配分に伴って負担区分をどう持っていくのか、ただいま補助金等の見直しについても御指摘がございましたが、そういう問題もございます。そういう措置も通じまして、地方に与えられます事務をこなすための所要の財源を確保するために交付税率にどの程度を求めていくのか、こういったことをかみ合わせて考えるべきだろうと思っております。 そういった場合に、その絶体的な絶対量としての税負担のあり方等につきましてもいろいろ御議論があろうかと思いますし、場合によりましては、そういった税負担の求め方についても、一挙に解決することがむずかしければ暫定的な動き方等もあるかもしれません。そういった場合に税負担と公債とのかみ合わせがどうなってくるのか、こういった事態にも応じまして対応策を考えなければならないと思うわけでございます。 最後に御指摘がございました、ただいまの税源配分が国、地方の配分で七対三になっておる。実際上の事務の配分に基づきます使用経費は三対七であるわけでございますが、税源配分は七対三であります。ただし、これに交付税をかみ合わせました場合には五対五という一応一般財源の配分に相なりまして、残りの二割程度が補助金そのほかの国庫負担制度を通じて賄われておるのが常態でございますが、こういった比率の問題はともあれ、国、地方を通じての財源の絶対量が足りなくなってきておる。これに対してどう対応していくかということもあわせ考え、この間の財源配分のあり方等についても検討しなければならないと思っておるわけであります。 以上申し上げましたように、非常に多岐にわたる問題、しかもそのかみ合わせ、こういうことが問題になろうかと思いますので、それぞれの因子につきまして、たとえば今後六月以降等に開催をされます地方制度調査会等の場におきまして十分材料も提供申し上げ、御討論もいただき、あるべき方向について御示唆をいただき、そういった検討を通じて五十二年度以降のあり方について検討を進めたい、大要このように考えておる次第でございます。
○井上吉夫君 いまの段階で、局長答弁としてはその程度以上のことを述べていただくのも無理かと思いますけれども、せっかくきょうは午前中に参考人意見でも出ましたので、現在の、率の数値は別にして、対象を国税三税の三二%として置いている、それを国税三税だけのリンクというのはどうもおかしいじゃないかという意味の主張がありました。そのことについては具体的にいまあなたはどう判断しておられるかということと、いまの御説明で、単に率のいじり方だけでなくて、行政事務の再配分であるとか、あるいは補助事業の見直しであるとか、そういうものを全体的に十分精査して、そういう絡みも加えて検討していきたいという御説明だったと思います。私はぜひそういうぐあいにやっていただくことを望みたい。ただ単純に率を動かすことによって事を始末しますと、いま行政に求められている国、地方を通じての最も効率的な、そして住民が一番望む形にどうやっていくかということは、私は交付税のいじり方だけで決して解決になるものじゃない。むしろそれ以前の、一体どういうぐあいに行政事務を配分し、どういうぐあいにこたえていくかという国と地方とのいろいろなつながりというものにメスを入れなければ根本解決にならないと思うのであります。 そのことは局長の答弁の中にも含まっていたと思いますので、ぜひとも全般的な各面の角度からの検討を前提として、今年度内にぜひその交付税制度というものをもう一回見直してみる、率の上昇も含めてやるというような対応をぜひとも要請をしたいと思うわけでございますが、この後段のことについては、ひとつ政務次官から、自治省全体の取り組みの決意のほどとしてお伺いをしたい。前段の三税へのリンクの適否については、ひとつ局長からお願いをしたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) 平衡交付金制度から交付税制度に変わりましたときに、交付税の総額を求めます場合に国税の三税が対象税目としてリンクをされたのは御案内のとおりでございます。この場合の考え方は、国税の中の一番大きな要素を占めております三税、しかもこれは所得税、法人税及び酒税でございますので、景気変動との対照等において非常に敏感なもの、そうでないもの、中間的なもの、こういったような要素をも含めて、国税の大部分という意味で三税が取り上げられたのであるとわれわれは理解をいたしております。 その後、国の財政運営が一時変わった事態がございまして、国債を含む財政運営という事態になりましたときに、ただいま御指摘がございましたように、国税三税だけのリンクでなしに、国債もこの対象として考えて交付税率を考えたらどうかという議論が出たこともございます。一時、地方制度調査会等においてもこの議論が取り上げられまして、提案がなされたことがあるわけでございます。 しかし、そういった考え方もまさしく一つの方向を示すものとして貴重な考え方であるとは存ずるのでありますが、その後の財政運営の状況ないしは国債発行の状況等から見まして、非常に国債が増加をいたします場合には交付税の額がそれにリンクをするという、増額をするというケースもございますが、逆のケースもあり得るわけでありまして、単純にそれのみに従う場合には、国が国債政策をどうとるかということだけに地方の交付税の総額がリンクされやすい、こういう批判も出てまいっておるわけでありまして、ここのところはやはり慎重に検討を要する問題であろうと思います。要するに、リンク対象が非常に多くなってまいりますれば、率は、小さなものにリンクをいたしますより率としては当然下がってくるということになりましょうから、そういったかみ合わせ、率のあり方、これについてはやはり基本的な検討が要る問題ではなかろうかと思っておるわけでありまして、いま直ちに国債にもリンクをするという交付税制度に改める方がベターであるとは、私ただいまは考えておりません。
○政府委員(奥田敬和君) 井上先生御指摘のとおりに、ことし——五十年、五十一年と引き続いての大変な税収の落ち込み、こういった国も地方も通じての財政の危機をとらえて、大変経済的には不況という深刻な問題にぶつかっておるわけでございますけれども、私はある意味において、まさにいま御指摘になったような地方財政見直しのやはり一つの転機でもあり、チャンスではなかろうかとも思います、したがって、いま御指摘のとおり、地方財政の安定的な方向をどう模索して見直すかという大きな課題にぶつかるわけでございますけれども、交付税率のアップの問題、国と地方との財政負担区分を明確にしなければいけない問題、引き続き超過負担解消等々の問題、こういった問題を踏まえて、あらゆる多角的な角度から地方財政のあり方というものを根本的に検討しなければならないというぐあいに認識をいたしております。ただ、ことしはこういった財源措置をいかに確保するかということを第一課題に取り組んだためにもろもろの御批判もあるわけでございますけれども、そういった点、前向きに善処をする方向の中で努力する大変大事な時期だというぐあいに認識いたしております。
○井上吉夫君 ぜひひとつ、ことしは根本的ないま申し上げましたような見直しの年として、積極的な取り組みを心から期待をいたしておきたいと思います。 次に、地方債の関係についてお伺いしたいのですが、五十一年度の地方債は四兆八千億余りの発行をやっていかなければならぬということでございますし、前年に比べて七〇%近い地方債の伸びというものがなければやりくりがつかぬという状況にあります。その中では、財源不足対策債の一兆二千五百億なり、景気浮揚対策としての臨時市町村道整備事業の二千億という、そういうものが対前年七〇%の伸びという主要な要因だと思うわけでございますけれども、五十年度の補正で一兆を超える減収補てん債を発行するということになりましたし、また、今年の発行まで加えますというと相当な地方債の残高になっている。この償還というのは大変なことだというぐあいに考えるわけですが、昭和五十年度末の現債高は大体どのぐらいになっており、それから五十一年度末では、それに加わるわけですけれども、どの程度になるかという数字をひとつお示しをいただきたい。 なお、五十年度の下期に至ってのいわゆる追加地方債でございましたから、民間資金や縁故債での消化ということがかなり各地方も苦慮したと思うんですけれども、これにまた今年度はさらに累加するわけですから、これまた前年よりもはるかに厄介な年を迎えると思いますけれども、とりあえず五十年度分についての消化の状況というのはどういうぐあいになっているか、あるいは消化できないでやりくりに困っている団体は全国にないかどうか、その辺の事情を御説明願いたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘のように、最近地方債が非常に増加をいたしております。四十九年度末の普通会計の地方債現債額は約八兆五千億程度であったのでございますが、ただいま御質問の五十年度末では、まだ決算は出ておりませんが、推計で考えますと十一兆を少し超すのではなかろうか、普通会計で。そのくらいではなかろうかと考えております。御指摘のようにかなりの増加でございます。ただ、こういった額の償還財源等につきましては、今後の問題に相なりますが、将来の地方財政計画等で適正な、これを歳出に見込みまして適正な財源措置をしていくということをもって切り抜けてまいりたいと思っております。 それから第二に消化問題でございますが、御指摘のように、五十年度は年度末近くになりまして大幅な税の落ち込みに伴います減収補てん債を発行いたしましたこと等によりまして、かなりの地方債の増加、特に銀行、縁故等の民間資金の活用の地方債がふえたわけでございますが、この消化につきましては私どもも非常に気にしておったのでございます。ただいまの状況では、はっきり申し上げまして全部消化が可能だという連絡を受けておりまして、消化できないので何とかしてくれという旨の通知には接しておりません。 なお、このことに関連をいたしまして、さらに五十一年度に二兆三千億を超えますような縁故資金の発行等もございますので、この消化につきましてはなお一層の努力が要ろうかと思いますが、これもまたマクロ的には消化が可能だというように考えておりますし、もし地域別にミクロの状態において消化がむずかしいという事態が生じました場合には、先生御案内のように大蔵省とも覚書を取り交わしておる次第でありますが、そういった手段を通じまして何としてでも完全な消化に尽くしたい。特に消化の非常にむずかしい弱小市町村等にはできるだけ政府資金を充当していくようにしてしのいでまいりたい、このように考えております。
○井上吉夫君 まあ五十年度はどうやらしのぐことができて消化ができた、消化できないで困った団体はなかったということで、その限りにおいてはまずまず息がつけたと思いますけれども、五十一年度につきますとさらにそれが加わるわけですから、非常に厄介な状況になるであろうことは想像にかたくない。また国債の発行も七兆二千億余りでございますから、それこそ日本国じゅうにあります余裕の金というものには限度があるわけですから、国債の発行の増高ということは地方債の消化にも当然に悪い意味の影響を受けるということは、これまた想像にかたくないと思います。 そこで、マクロ的に見ればまあ何とかやっていけるのじゃないか、しかし、ミクロ的に見るというとやっぱり問題がないわけではなかろう、それについては大蔵も一緒になって協力するという約束をしているということでございますけれども、このことにつきましてはずいぶんと地方団体も心配をいたしまして、これまた午前中の参考人の陳述の中にもあったわけでございますけれども、地方団体金融公庫とでもいうか、そういう機関をつくって、そうしてできるだけミクロ的な意味においても問題がないようにやってもらいたいという強い希望があります。また、自治省においてもこのことについてずいぶん検討をされた、五十一年度予算編成の前段階において大蔵ともいろいろこのことについて協議されたやに伺うわけでございますけれども、そこで、地方団体金融公庫という仮称の機関をつくろうとする、その公庫の内容についてどういうような内容として考えてこられたか、お伺いをしたいと思います。 さらに、このことについて、これが成立に至らなかったという、反対理由とでも申し上げますか、そういう論拠は大体どういうところだったか、そのこともあわせてお伺いをしたい、こういうぐあいに思います。
○政府委員(首藤堯君) 民間資金によります地方債の発行を円滑化いたしますための地方団体金融公庫的な発想の内容でございますが、御案内のように、地方団体が民間資金を確保して地方債を発行するという場合におきまして、非常に金融事情、金融機関の状況等に恵まれておるとか、あるいは財政力がある、こういう面で民間資金の確保をしやすい地方公共団体もありますとともに、田舎の方におきましては、民間資金を確保しようにもどうにもならぬという団体もあるわけでありまして、そういった点で、地方団体が地方債を民間資金によって確保する場合に、そのような確保のむずかしい団体が何らか共同発行という形で民間資金を確保するならば、より確保がしやすいではないかというのが発想の根源でございます。 それには、ただいま地方団体に融資をいたしておりますそのような政府機関といたしましては地方公営企業金融公庫が御承知のようにございまして、これは公営企業公庫債を発行いたしまして民間資金を確保し、その資金を地方公共団体の公営企業に貸し付けておる、こういう業務を営んでおるわけでありますが、そのような公営企業の業務をもう一つ換骨奪胎をして拡大をいたしまして、一般会計における民間資金需要に対しても、そこから一括公庫債を発行して資金を確保して融資をする、こういう体制をとれば民間資金確保が容易になるのではないかという内容でございます。そのような内容をもちまして、私ども去年大蔵省とも折衝をいたしたのでございます。 これが実現に至りませんでした理由は、まあいろいろな問題のかみ合わせがございますが、まず第一には、ともあれ五十一年度の問題としては、予定をされておる民間資金が確実に確保されるということであれば一応の目的は達成をいたすわけでありますから、そういった点をまあやるだけやってみょうではないか、というとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういった状況を見て考えたらどうかといったような議論、ないしは、民間資金を確保するためにそのような組織を設けても、資金全体の量が増加をするというわけでもないわけであるから、やはりその民間資金確保の他の方法や状況との関連でもう少し慎重に検討してみたいといったようなこと、それから第三点には、そういった共同発行機関だけでなくても、他にいろんな民間資金確保の方策がないかどうか、これもあわせて検討する必要があるのではないかといったような事柄が議論になりましたわけでございまして、簡単に申し上げますと、そのような議論がたくさん出まして結論を得なかった、なお今後の問題として各種の問題等をあわせ慎重に検討を進めてみよう、こういうことで一応合意に達しまして、ことしは実現を見なかった次第でございます。
○井上吉夫君 先ほど第一段の説明の中で、マクロ的に見ると何とかなるのじゃないか、ただ問題は、ところによって、いわゆるミクロ的に見ると問題が発生する団体等が出てくるであろうというような意味の答弁がありました。そういうぐあいに全体を把握いたしますと、一番問題になるのはミクロ的に見てどうにもならぬところをどう救済するかという、これを共同の金融、地方公共団体のための金融公庫をつくってやってしのごうじゃないかというのが発想の私は一番基本だと思う。 ということになりますと、これは資金の絶対量というか、国内資金の絶対量は変わるわけじゃないのだからということは理由にならない。そのことはもう当然明らかでありまして、その前提を踏まえながらも、ミクロ的に問題が発生することをどう救済していこうかというところに私は一つの大きなねらいがある。もちろんそのほかに、政府資金をうんとこの方に投入したり対象を広げたりといろいろありましょうけれども、このことについては政府資金自体が非常に窮屈な状態にありますから、にわかにこのことによって直ちに救われるという財政状態にはない。一番基本はそういうところにある。さっき言ったように、ミクロ的な問題の解消というところにある。私はそのほかに、強いて言うならば、恐らく大蔵あたりが言うであろうことは、地方縁故債である、その地方地方が非常に深く結びついているから、その方が、共同機関として全国ベースの共同の金融公庫をつくるよりももっと縁故を頼りにして集めやすいじゃないか、せいぜいそのくらいのことが理由として肯定できることではないかと思うんです、これは私の判断でございますけれども。 したがって、せっかく一つの発案をし、単に試し弾を撃ったみたいなものじゃないと私は思う。自治省自体も、現状を十分踏まえながら、できるだけ問題をなくしようという考え方の中で一つの案を練られたと思うし、このことを地方公共団体も強く望んでおるわけですから、とりあえずことしは何とかして地方財源を何らかの形で充足してやるということに、いわゆる緊急避難的なという用語がしばしば使われますけれども、そういうことに忙殺されたと思いますが、ぜひこれはこのままでしっぽを巻くということでなしに、ひとつ地方団体の財政運営の苦しい実情に幾らかでもこたえる手段の一つとしてさらに積極的に詰めてもらいたいと思うんですが、そのことについての御見解を承りたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) 全く私といたしましても御指摘のとおりの考え方でおるわけでございまして、御指摘一々ごもっともだと思っておるわけであります。そのようなことにつきましても十分昨年いろいろ議論をいたしたのでございますが、先ほど申し上げましたようないろいろなかみ合わせで最終結論に至らなかったというのが現状でございまして、今後とも、地方債の資金確保という面から最も有効重大な手段の一つとして積極的にこれを推進をしてまいりたい、このように考えております。
○井上吉夫君 地方財政を強化していく方策についていろいろ議論が展開をされておりますが、当初申し上げましたまず交付税率の問題、そのほかにいま地方債の消化なりあるいはそれの返済等について関連して申し上げましたが、もう一つ、もうきわめてしばしば言われますのが、いわゆる超過負担解消の問題でございます。 自治大臣も、できるだけ超過負担の解消ということについてはさらに将来とも積極的に取り組んでいきたいという姿勢をかねがね示しておられるところでございますが、常時言われますのが、単価差だけでなくて、数量差なり対象差も含めてぜひこの完全な解消をしてほしいというのがもう絶えず議論をされるところであります。地方団体の前年度の超過負担額六千三百億という話もありますが、恐らくこの内容は数量差、対象差、そういうものもあるいはかなりな数字として入っているのじゃないかというぐあいに思いますけれども、依然として単価差の面についても私は完全に消えておるのではないという判断をいたします。したがって、このことについては、全体として言うならば、いままでも議論をされましたように、これはもう地方団体も一緒になって、一体どういう部門のどれだけがいわゆる超過負担だという、そのことの両者の合意というものが一番必要だということは論を待ちません。このことについては十分御配慮を将来いただけると思いますけれども、本日はきわめて端的な面で、一体五十年度において、あるいは五十一年度において、具体的に超過負担解消についてどういう措置が講じられ、あるいは講じられようとしているか、その内容についてお伺いをしたいと思います。 なお、従来解消の努力をされます過程の中では、幾つかの部門を、一番激しいと思われる施設なり運営費等について、あるいは警察施設だとか、その他幾つかの対象事業を拾い上げて調査をやってこられて、それを根拠として解消措置がとられてきたと思うんですが、五十一年度につきましても、解消のための対象事業の実態調査というものをどういう種類においてやっていこうと考えておられるか、五十一年度構想も含めてひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘をいただきましたように、超過負担の解消問題は、現在の地方財政における非常に大きな問題の一つであると私ども認識をいたしております。御指摘のように、通常超過負担と言われておりますものの中には単価差、対象差、数量差等の問題がございまして、まあ理屈っぽく申しますならば、厳格な意味での超過負担というのはいわゆる単価差の中にあるわけでございまして、対象差、数量差等はいわゆる補助政策のあり方の問題として議論すべき問題であろうとは存じておりますが、とはいいましても、対象差、数量差、この問題についても時代の進展とともに改まるべきものは改めていくべきものだと、このように私ども認識をしておる次第でございます。 いままで超過負担解消をやってまいりましたものは、主として単価差につきまして、御案内のように数年次にわたって実施をしてまいりました。五十一年度において実施をいたしましたものは、五十年度に統計調査事務等、保健所とか警察施設整備費とか、こういったものを五十年度調査をいたしましたとともに、四十九年度に実態調査をいたしました各種の運営費関係、こういったものにつきましてもあわせて超過負担の解消を図ったわけでございまして、そういったものを合計をいたしますと、事業費ベースにして、四十九年度実態調査分の運営費まで含めますと、八百八十億見当のものがそのときの事態に比べれば改善をされたということに相なろうかと思っておりますが、なお知事会の方は、四十九年度末現在の状況で六千三百億程度の超過負担がある、このような調査をなさって御発表になっていらっしゃいますことは御指摘のとおりでございます。 今後のあり方でございますが、従前のような意味での超過負担の解消及びこれの発生を防止するという措置をとりますことは当然でございますが、せっかく五団体等においてもお調べの状況のものがございますので、こういった内容につきまして全般的にもう一度見直しも行いまして、十分ひざを突き合わせて相談もしながら、今後この解消対策に向かって努力をしてまいりたい、このように考えております。
○井上吉夫君 いま御説明いただきましたように、警察であるとか統計調査であるとか保健所とか、そういう面につきまして、あるいは施設あるいは運営費についての解消措置が講じられてまいっております。ただ、絶えず言われますのは、全部これは後追いだという批判がぬぐえません。これは前もってなりその時点におけるずばりの解消というのが非常に容易でないということはわかります。しかしながら、できるだけこれを速やかに解消するための具体的手段というものをさらに積極的に展開をしていただきたいと思います。 かねて言われますように、数量差なり対象差というのは本来自治省限りではできないので、補助制度、補助政策との関連であるので、もちろんこのことについて目をつぶるわけではないけれども、自治省自体の固有の仕事としては単価差についてであるというぐあいに言われております。しかし私は、この数量差なり対象差というものについても、やっぱり地方団体の実態というものがどういうぐあいに展開されているかということを踏まえて物を考えるならば、それぞれの関係省庁等に対しましても、積極的にひとつ自治省としてはそれらの問題が解消する方向にさらに努力を願いたいと思うんですが、単価差については少なくとも胸を張って解消するんだという姿勢を示しておられるわけですから、これをまで後追いだという指摘のないように、ひとつ一段の御努力を願いたいと思うのです。 ここで、いま申し上げましたことにも若干絡んでまいりますけれども、地方で非常に困っております事業の一つに国民健康保険事業があります。これは御承知のとおり老人医療の無料化の問題であるとか、高額医療費の公費負担であるとか、そういう福祉政策の中におきます医療行政におきます濃密な展開というようなものの必要からいたしまして、当然これは持続すると同時に、また、さらにより落ちこぼれのないようなことをやっていかなければならぬと思うんですが、問題は、国保関係につきまして地方団体がいかに苦慮しているかという実態は十分御承知のはずであります。したがって、この実情を踏まえて、一体厚生省としては従来どういう取り組みをしてこられたか、同時にこれからどういうぐあいに取り組んでいこうとされるか、本年度の対策も含めてひとつ御説明を願いたいと思います。
○説明員(舘山不二夫君) 国民健康保険は、先生も御指摘のように低所得者をたくさん抱えているということ、あるいは老人医療費の制度が発足して医療費が急増した、高額療養費制度がそれにさらに追い打ちをかけるように発足をしたということによりまして、現在非常に厳しい局面を迎えているところでございます。こうした事態に対処いたしますために、国としては法定の四〇%の療養給付費補助金、さらに五%の調査交付金に加えまして、五十一年度におきましては市町村に対しまして八百三億円の臨時の財政措置を講じたところでございます。したがいまして、国保全体に対する助成費総額は、おおむね国保総医療費の五割に近い額に現在なっておりまして、他の医療保険には例を見ない高率のものになっているところでございます。今後とも、当面はこの臨時の財政措置というものを拡充してまいりたい、かように考えております。 なお、国保につきましては、医療費の改定という問題がございまして、毎年毎年医療費が上がっていくのではないだろうかという心配があるわけでございますが、五十一年度におきましては、四月一日の医療費改定に対処いたしますために、八百三億円の臨時の財政措置の中には百二十億円の特別療養給付費補助金というものを設けて対処しているわけでございまして、今後とも医療費の改定があった場合には、この種の措置を講じてまいりたい、かように考えております。 当面はこのようなことでしのぐとしても、やはり基本的には国保は構造的に問題があると、かように私どもは考えているわけでございます。この構造的に問題があるということにつきましては、老人医療費の問題でわれわれとしてもはっきり現在認識しているところでございまして、こういったこれからの高齢化社会に対応した整合性のある医療保険制度をつくり上げるために、現在厚生大臣の私的諮問機関といたしまして老人保健医療問題懇談会を発足させて、現在、これからの医療保険制度、国民健康保険制度はいかにあるべきかということの御検討をお願いしているところでございまして、私どもも早急に結論を出したいと、かように考えているところでございます。
○井上吉夫君 いま課長の説明を聞きますと、ことし八百三億の臨時財政調整交付金をふやしてとりあえず対応した、他の保険に比べると、従来四〇%の補てんをめんどう見ているのをさらに上積みしたという説明でございました。これは、ことし八百三億対前年増加したというのではなくて、去年の総額はたしか六百五十億、臨時財政調整交付金が五百五十五億から六百八十三億、特別療養給付費補助が九十五億から百二十億ということでありますから、ことし対前年伸びた金額は百五十三億というぐあいに私は見ているわけですが、内容はそのとおりであるかどうかということの説明を願いたいと思います。 それから、御答弁の中にありましたように、国民健康保険の加入者というのはきわめて所得の低い層が、きわめてというか、比較的多い。さらに、もう勤めをやめて主たる収入がなくて、そして医療は比較的数多く受けるお年寄りというぐあいに考えますと、率においておよそ半分近くめんどうを見ているということをもってしても、なおかつ地方財政というものがもう大変このことに四苦八苦しているし、さらに健全な運営をやるためには、かなりな負担増をしない限りどうにもならぬという実態に私はあると思うんです。 したがって、一つの方法として、老人保険の分離独立制度というようなことあたりを考えたらどうかという意見も非常に強く出ていると考えます。もちろんそのほかに、他の保険と——この一番所得階層が負担能力が少ない者によって構成されているということに非常に大きな問題があるので、むしろ全体として、現在所得水準のかなり高い負担能力を持っている層と全部一括して保険制度全体を統合していくというか、そういう仕組みの改変を含めてやらなければどうにもならぬじゃないかという見方もあるわけです。で、とりあえず、たとえば老人医療等に対応する手段としては、さっき前段で申し上げましたような老人保険の分離独立制度というのも一つの手段として考えられると思うんですが、いま検討を進められておりますのはそういう手段もあわせ考えておられるのか、むしろこの際に分離独立という発想は一応置いて、もう全体がらみとして根本的に保険制度というものを見直していく、そういう方向で検討を進められつつあるのか、その辺のことをお伺いをしたいと思います。
○説明員(舘山不二夫君) 御指摘の第一点の数字の点につきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。 それから第二点の老人医療分離論についてどう考えているのか、またそれは全体の医療保険制度の改革の問題と絡んでどう対応するのかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在老人保健医療問題懇談会では、当然この老人医療制度分離論という声があるということを踏まえての論議がなされるということを私たちは期待しているわけでございます。医療保険の抜本改正の問題につきましては非常に古くて新しい問題でございますが、一応いまのところは、私どもとしては国保が現在抱えております老人医療の圧力、これについて何とかこれを解決しなければならないという形での検討を先に進めたいと、かように考えているわけでございます。
○井上吉夫君 私もどちらかと言えば、医療保険全体を全体的に変えていくという、根本的な制度の改変ということの方が本質だというぐあいに考えます。ただ、そのために——もうずいぶん早くから、あるいは老人医療の無料化の問題なりが出てくる時点から当然に予想されたことだと思う。そういうぐあいに考えますというと、だんだんだんだん年数はたっていく、どうにもならぬという状態になってなおかつ手が打たれないという年月の問題が出てまいります。したがって、望むらくは根本的な制度全体の見直しを要請したいわけでありますけれども、それがかなりな年限を要するようであれば、私は分離論というものも考えざるを得ないというぐあいに思うわけです。いずれにいたしましても、厚生省全体としてこの問題は非常に大きな課題の一つとして、さらに積極的に取り組んでいただいて、できるだけ早く答えを出すように御努力いただきたいというぐあいに要請を申し上げておきたいと思います。 それからもう一つ厚生省に関連をしてまいりますけれども、生活環境の整備の面から言いまして、屎尿処理施設であるとか、ごみの処理施設というような施設の要請というものは非常に高まってきております。これは御承知のとおり、いま屎尿処理施設については国庫補助三分の一であるし、ごみ処理施設については四分の一の国庫補助だというぐあいに承知をしております。これほど地方にとって生活環境の施設としての需要といいますか、必要性が高まっているこういう事業について、三分の一ないし四分の一程度の補助率では、いまの地方財政の内容からして、あるいは他の各種の補助事業との比較均衡からして、当然もう少し上げてほしいという要請があると同時に、私は比較論から見た場合に、多少の手直しをしていくということが必要だと思うんです。このことについて担当局としてはどういうぐあいに判断をしておられるか、お伺いをしたいと思います。
○説明員(山村勝美君) ただいま御指摘の屎尿及びごみ処理施設に対する国庫補助でございますが、ただいま先生御指摘のとおり、現在屎尿については三分の一、ごみについては四分の一、ただし公害防止計画地域については二分の一というような形で補助を出しておるわけでございますが、現在市町村の補助率引き上げについての強い要望もあるということは承知いたしております。 現在これら施設の補助方針は実は単価方式というような形をとっておりまして、つまり機能的にほぼ同じである、同じものを同じように処理をする、焼却なら焼却という処理をするというふうに、機能的にほぼ同じであるという観点からそういった単価方式をとってきたわけでございますが、現在のところ物価、人件費の高騰あるいは公害規制の強化等に対応いたしまして、年々改善を行ってきたわけでございますが、五十年度現在で見ましても、実際に必要な単価が予算単価を上回っておるというような実情でございます。したがいまして、五十一年度におきましても、先ほど御指摘のように非常に設置要望は強いのでございますが、事業量を相当程度削減いたしまして予算単価の引き上げをするというような形で予算を要求をいたしたわけでございまして、たとえばごみ処理につきましては単価を一・四倍、屎尿処理につきましては一・三倍というふうに改善を行うことによりまして、市町村の負担をできるだけ軽減したいというふうに努めたところでございます。 今後どのように対処していくかということでございますが、元来廃棄物処理は市町村の固有事務で、奨励的な補助であるというような性格もございますし、国の財政事情等から非常にむずかしい面もございますが、先生御指摘のような点につきましては十分問題意識を持っておりますので、御趣旨を体しまして今後とも改善について努力してまいりたいというふうに考えております。
○井上吉夫君 単価の面の乖離を解消することにとりあえずことしは努めたということでございますが、超過負担が問題にされる時期ですから、当然に単価差の隔たりというのはもう第一義的に解消することは当然でありますけれども、先ほど来申し上げておりますように、いま生活環境施設としてずいぶんと要請も高まっていると同時に、先ほど申し上げましたように、幾つかの補助事業との比較均衡から見た場合に、三分の一、四分の一というのは私は決して高い補助率じゃない、むしろ低きに失するという感じがいたします。 ともすれば、もろもろの補助率等については省内でだけ物を考えたり、省内における他の面と考え合わせたり、あるいは局内で考えたりということが私は起こりがちだと思う。そういう面については、地方財政の実態と同時に、地方行政の行政需要のいかに多いかということの実態というのは、自治省はあるいは全体の比較の面でかえって実態把握ができる立場にあろうかとも思います。これはぜひそういう観点からいきまして、自治省とも十分、全体がらみの、厚生省所管の補助事業というものについても一体地方の需要なり希望なり、そうしてそれが他の事業との比較均衡において適正な補助率がどうかということあたりも協議をされながら、少なくともいま申し上げました屎尿処理施設なりごみ処理施設なりについての補助率アップについては御答弁をいただきましたので、来年度はぜひこれがかさ上げができるように積極的な取り組みをお願いを申し上げておきたいと思います。あなたの方は結構です。 次に、国庫補助負担制度の改善合理化についてお伺いをしたいと思うのですが、これは取り上げれば非常に多岐にわたる角度があろうと思いますけれども、きわめて具体的な視点からお伺いをしたいと思うのですが、大体もう補助目的を達成したような補助事業というのは整理をして、最も有効な面に切りかえていくというのが当然のことだと思うのですが、そういう中で、とりわけ俗に零細補助金と言われているものについては、その補助申請の手続であるとか、あるいはそれを関係の対象になる町村なりあるいは対象者に交付する、それらの手続の繁雑さ等も含めて考えてみますというと、労多くして功少なしとでも申し上げますか、そういう実態にあると思います。したがって、この零細補助金の廃止ということについてはしばしば議論をされるところですけれども、五十年度あたりにおいてどういう程度にこの廃止の実際の仕事というものをやられたのか、あるいは五十一年度について、どういうような面についてメスを入れようとしておられるのか。 さらに関連をいたしまして、補助事業のいわゆるメニュー化、地方の実態に合ったような形で選択ができる。余りにも厳しい枠を示して、そして一々本省と協議しなければ、地元の実態から見てむしろこの方がずっと効率が上がるということまでチェックされる、そういうようなことの事務手間も含めて考えてみますというと、非常に厳しい枠のためにかえって効率化を阻害するという面が数多くあらわれていると思います。しばしば議論されますように、このことはまた地方自治権とでも申し上げますか、そういうものをさらに強くする根源の一つにもなろうと思うわけであります。そういう観点からいたしまして、いわゆるメニュー化ということがきわめて強く望まれ始めてまいりました。これは各省にまたがりますので、それぞれの省においで願ってということも本日はいかがかと思いましたので、自治省において各省に対して、いろんな補助事業というものの方向を、ぜひいわゆる地方自治体がその実情に合って選択できるような、せめてメニュー化ということを大きく推進していただきたいと思うわけでございますけれども、そういうことも含めてひとつ見解をお伺いをしたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) 補助金、国庫支出金の改善、整理統合の問題は、ただいま御指摘をいただきましたとおりの考え方に私どもも考えております。 ことしの補助金の新設、整理統合、改善、廃止等の状況でございますが、大蔵省の方の資料によりますと、新設をされましたのが七十二件で国庫補助金額として二百九十億円余り、廃止をされましたのが七十一件ほどで百六十五億ほど、それからいわゆる統合、メニュー化、こういうことを行われましたのが二百八十三億ほどある、このように承っております。 それから御指摘をいただきました補助金のメニュー化の問題は、私どもも前々から主張をいたしておりましたし、また全国知事会等におかれましてもきわめて強力に要望をなさっていらっしゃいます事柄でございまして、やはり同一目的の経費に使うものであればその地方の実情に合った事業を地方団体が自分でセクションして金を使う、こういうかっこうのいわゆるメニュー化と申します方式、これが一番地方の自主性を尊重する面においてもまた補助金の効率化を図る面においても有効であると私ども考えております。 毎年、具体的には夏、各省が予算要求をなさいます前の段階におきまして、私どもいわゆる超過負担の解消でありますとか、補助金の改善でありますとか、こういうことを書き並べました要望を各省にいたすわけでありますが、本年度もまたよく実情を調べまして、各省にそのような要求をするとともに、大蔵省にも御連絡を申し上げて、そのような目的に沿って御努力をいただくようにお願いを申し上げたい、このように考えております。
○井上吉夫君 各省に、私が申し上げましたようなせめてメニュー化ということの推進について強く要請をしていきたいということでございますので了解いたしますが、説明をお聞きをいたしますというと、廃止は七十一ということでございますけれども、新設が七十二ですから、差し引きしますと決して減ってはいない。統合化はあったにいたしましても、実際問題としては補助の種類なりそういうものが決して減る傾向にはなっていないというような感じが、この数字からうかがえます。したがいまして、いま申し上げましたようなことがより具体的にどんどん展開をされていって、せめて第一段階についてはメニュー化ということを進めてほしいと思いますし、ただ、これをもう一歩前進させて総合補助金制度という論もあります。このことは交付税率の引き上げとかなり絡んでまいりますから、単一に私は議論することは非常にむずかしいとは思います。ただ、私はかつて地方議会を経験した側から言いますというと、どちらかと言えば、現在あります補助制度の中では、かなりの部分をいわゆる総合補助金的な形に移行をしてもらうことの方がいい面が私はあると思うんです。 さらにまた、直轄事業の負担金というのはやめてほしいというような地方団体の強い要請もあります。その背景がどういうものであるかについては私がいまは申し上げる必要はないと思いますけれども、新しい投資としての直轄事業の伸びはかなり鈍化をし、しかも人件費あたりが意外と高くなっているというようなことなどからいたしまして、現実に目に見る直轄事業の効果もさることながら、それ以上に直轄事業の負担金というものがずいぶんとふえているじゃないかということなどが、地方財政が苦しければ苦しいほど直轄事業の負担金はやめてほしいという声につながってきていると思うのです。私は非常に荒っぽく言うならば、直轄事業といえども負担金なしということになれば、政治的争いの状況というものをさらに熾烈にすることにもつながるでありましょうから、少なくとも直轄事業であれ何であれ、関係地域に利益度が一番高いということは当然でありますから、そういう発想から私は直轄事業の負担金という仕組みもあるだろうと思いますけれども、しかし、さっきも申し上げましたように、非常に荒っぽく言うならば、直轄事業は全部国が見て、県単位でやれるということについては余り細かい文句を関係省がつけずに、できるだけ幅広く地方公共団体に任せる、そういうようなやり方に切りかえることによって、私は、東京に出かけてくる地方公共団体の職員数も旅費も少なくなっていくということになっていくでありましょうし、そしてまた地方自治体における、みずからその地方の実態に合わせた事業を進めていくという姿勢がさらに伸びていくということにもつながっていくというぐあいに考えるわけであります。 したがって、いま申し上げましたような角度も含めて、最初に交付税率の引き上げの所論の中で大きく見直してほしいということを提起したわけでございますけれども、いまここでは、まあ総合補助金制度に大きく移行をするということは一応おきまして、メニュー化については少なくとも、お答えをいただきましたけれども、さらに強く新年度の非常に大きな眼目の一つとして、自治省固有の、この地方財政のやりくりあるいはその指針を示すという固有の仕事ではありませんけれども、地方自治体にできるだけ効率的な仕事をやらせていく。そして厄介な財政事情の中でどうやったら自治体がみずからの判断によって仕事を進めていくかという、そういうことの素質なりあるいは意気込みなりというものを加えていくという意味も含めて、さらに強くこのことを要請をしたいと思いますが、もう一回ひとつごめんどうですけれども、決意のほどを承らせていただきたいと思います。
○政府委員(首藤堯君) 国庫補助支出金につきまして、一つにはその効率化を図るということ、もう一つには、できるだけ地方の自主性を尊重して地元の実情に合った仕事を実施をしていただくということ、この二つの観点が最も大事だと、こう心得ます。そういう面ではメニュー化というのは最も一時宜に合った一つのりっぱな方式である、このように私どもかたく信じておるわけであります。そのような意味から、先ほども御説明申し上げましたが、来年度の予算編成に当たっても、各省ともできるだけそのような措置をとられるよう要請をいたしますし、また大蔵省に対してもできるだけそのような考え方で査定をしていただくようお願いを申し上げたい、こう考えております。
○井上吉夫君 どうか奥田政務次官も政務次官会議などを通じて、いま局長から御答弁をいただきましたけれども、各省ともできるだけせめてメニュー化の種類、範囲をふやしていって、そして地方自治体が自主的に判断をしながら、地方の実情に合ったような効率的な行政が展開されるように、御努力のほどをお願いを申し上げておきたいと思います。 次は、地方公務員の給与に関連をいたしましてお伺いをしたいと思うのですが、従来ラスパイレス方式を一つの検討の素材として、これで全部国家公務員との差額を抑え込むというそういう圧力はかけられなかったとは思いますけれども、やっぱり一つの地方公共団体におきます職員給与の目安として、とりわけ公務員部で検討されて、これが一つの指針なり材料になるのではないかというぐあいに発表されてきました。 このことについては、ラスパイレス方式そのもの自体が百点満点ではないという面もあると思います。幾つかの議論が展開もされてまいりましたし、私なりに細かく言うならば幾つかの疑問点がないわけではありません。しかし、いま国も地方も非常な財源難にあえいでいるということはもう言うまでもないことでありまして、こういう全体の背景の中で、昭和五十年度の給与実態は、いわゆる国家公務員の水準を上回る給与の合理化というような風潮が地方公共団体においてかなり浸透したといいますか、そういう背景での措置がなされたというぐあいに聞いております。 で、五十年度の給与改定率を実質的に、たとえば一号俸落とすというようなことで、国家公務員よりも、単年度で言うならば切り下げて対応したという府県であるとか、あるいは昇給期間の延伸であるとか、あるいは職員新採用の規制であるとか、そういうような努力がかなり展開されたというぐあいに聞くわけでありますが、細かい数字は別として、大体全国都道府県の中でこういうような措置がどの程度実施をされたのか。さらに、わかっておりますれば、そのことによって、去年は勧告は一〇・五でしたか、それと実際に措置されたものとの差額が、月額でもいい、年間でもいい、大体どのくらいの金額の圧縮になるのか、給与総額において。 細かくわかっていなければ、第一段の全国都道府県なり市町村の中で、どのぐらいの比率の府県なり市町村が、いま申し上げましたような昇給期間の延伸であるとか一号落としだとか、そういうような措置を実施したか、その内容をお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(植弘親民君) いま先生御指摘のように、地方公務員の給与問題というのが昨年は非常に世間に取りざたされまして、いろいろと御指導賜りましたことを厚くお礼申し上げます。 お話しのように、地方公務員の給与をどのように考えるかという点は、なるほどそれを包む財政事情というものも大事でございますが、昨年来当委員会でもお答えしてございますように、やはり、地方公務員の給与制度並びにその運用が本来どうあるべきなのかという原点に立って地方団体考えていただきたいということを訴えてきたわけであります。その場合には、先ほどもお話しございましたけれども、国家公務員との比較によるラスパイ指数というのが、この比較について非常に有力な、現在で考えられる最も精度の高い数値でございますので、これによって是正の方向を考えていただきたいということをお願いしてきたわけであります。 それで、その結果でございますが、まず方法といたしましては、制度自体から言いますと、先ほど御指摘のございましたように、給料表の切りかえに当たりまして、いわゆる一号下位への切り下げといいましょうか、国家公務員が一〇・八五でございましたが、これをそれぞれの団体で、たとえば七%といったような改定をいたしましたものが四十七府県中二十七でございます。それから、昇給延伸の措置を講じておりましたところが二十一でございます。それからもう一つは、これは単年度の財政事情というものを考えての措置と存じますが、実施時期を、国の四月実施と異なりまして、少しおくらせた団体が十三団体ございます。あと三十四団体は実施月四月でございますし、それから国家公務員と大体同じような率で一〇・八を目標にして切りかえた団体が二十団体といったようなかっこうでございます。もちろん職員構成等若干違いますから、実質の切りかえ率は、国家公務員と同じようにやりましても、実際は一〇・八が一〇・六になったり一〇・九になったりすることは、これは御承知いただいておることと存じます。 それで、市町村につきましては、実施時期につきましては一割強の団体が若干おくらせております。それから給料表の改定でございますが、これが国の改定率に相当するものとして、国どおりといいましょうか、国に準じて行いましたのが約八五%、それから若干低目に改定いたしたものが約一五%、こういったような概数でございます。 いまの額でございますね、ちょっといま手元に資料ございませんので、後ほど調べまして先生のところにお届けいたしたいと思います。
○井上吉夫君 いまなければ、額は後でお伺いをします。 いま説明を聞きますと、切り下げが二十七、延伸が二十一、それから実施時期をおくらせたのが十三、四十七都道府県のね。それで、まるごと実施時期も同じならば率も同じというのが二十ということでしたね、というぐあいに私は説明を聞いたわけですが、となると、四十七から二十七を引いた数値になるから、延伸の二十一は全部二十七の中に入って、一号落としと延伸を兼ねてというぐあいな数字になるような気がするのだけれども、その辺はどうなんですか。
○政府委員(植弘親民君) いま私の説明がまずうございまして、三つに分けて申し上げましたためにそういうような数値になりましたが、ダブってやっているところがございます。一号下位に切り下げて実施時期もずらしたところとか、延伸をかけて実施時期をずらしたところとか、こういうのがダブってございます。全然何にもしなかったというのは大体六団体でございます。
○井上吉夫君 大体概況はわかりました。まあ、それぞれの地方団体に一々注文をつけて、一々あなたのところは財政事情が悪いのだから、まるごと国並みにしたらほかの方で切りますよというような厳しいやり方をされたのじゃないと思うんですが、それでもなおこういうぐあいにしなければならなかったのは、事ほどさように、地方団体が将来を展望するとみずから何とかしなければどうにもならぬということだったと私は思うんです。 そこで、それはそれとして、問題は給与水準の面と、もう一つ私は定数管理の面があると思うんです。私は強いてこれを何が何でも望ましいというか、抑え込む、数を減せという議論でだけ申すわけじゃありません。ただ、一方では自治権をもっと拡大しろ、そしてできるだけ地方の自主的なやり方でいろんな行政をやれという、そういう主張があります。私もいままでの間において、どちらかと言えばいわゆる権限から何から一切、金から権限から全部地方に集中することがいいとは思いません。とりわけその中で、私はもっとメニュー化し、あるいは地方の判断に任せる分野を広げろという主張を申し上げました。そのことの方がよっぽど——東京に毎日のようにどこかの課が出かけてきて本省と協議しなければ、ほんのちょっとした設計変更すらどうにもならぬというようなやり方は大変むだが多いと思います。全体的にはそう私は思うんです。 ただ、だからといっていま地方自治体が、いままでの長い慣例から見まして、独自に、地方自治法なりで地方団体に一番大きく要請される、最小の経費で最大の効果を上げて住民のために行政を展開してほしいという一番基本のねらいというものが達成されるための本当に深刻な再検討というものをしないと、金のないときはしようがないと思うんですよ。どんどんふくれるときは、ついつい多少のむだも目につかずに過ごしていきますし、機構もふやしますし、あるいはいろんな対策というものが、その地方に求められるものについてあれもやろう、これもやろうが出てくる。私は福祉のばらまきという表現では言いませんけれども、本当はもっと先に手をつけなければならなかった面が落ちこぼれている面もかなり多いと思うんです。 私は福祉の面の一つを取り上げても、老齢福祉年金がより高いにこしたことはないと思うけれども、たとえば身障者を抱えて、あるいは重度障害者を抱えてどうにもならぬ生活に苦慮しているそういう対象者なり、あるいは難病、奇病あたりでどうにもならぬという状態のそういう対象の家庭が、それこそ家族ぐるみどうやら人並みの生活ができるという状態になっているかどうか。私は明らかにこれは達成されていないと思うんです。だから、福祉対策の中でいかに深刻な落ちこぼれというものがまだ取り残されているかという点について充足しないと、第一段階私はそういう点にまず置かなきゃならぬ。対象の数が多いということではなくて、その深刻さにおいて私はまず選択しなきゃならぬというぐあいに考えるわけです。そういう点も含めて、私は数を抑え込むという意味ではなくて、いまの数の中でもっと住民が望む面にどう配置の転換ができるか、あるいは足らない点についてふやさなきゃならぬとすればどういう考え方で増員を必要とするかということについて、もっと私は深刻な見直しが必要な時期に来ていると思う。 ところが、従来私は市町村議会も経験し、県会も経験をいたしましたので、そういう団体における性格を考えてみますと、国庫補助がつく、市町村の場合は県費補助がつきますと、議会はすんなり通る。あるいは財政査定の中で関係の各課が財政課との交渉をします。そういう場合に、補助がついているものについては比較的フリーパスです。ところが、単独事業ということになりますと容易にこれは財政が認めないという、そういう長い慣習があります。そのことをひっくるめて、私は地方団体というものが本当に地方の要請にこたえるための、人員管理あるいは人事管理等を含めてまだ相当勉強しなきゃならぬと思う。そういう点から言いまして、いま私は深刻な財政難の中で地方もかなり深刻にこういう見直し論というのが出てきていると思う。 だから、このことについてのいわゆる統一的な指針ということを私はあえて要請をしません。しかし、どう勉強し、どう地方団体が根本的ないま申し上げましたような見直しに取り組むか、そういうことのためにどこに頼り、どういう勉強をし、どういうところの知恵を借りようかということについて、私はかなり困っていると思います。そういうことについて役所ベースだけじゃなくて、あるいは学者なり民間のいろんなそういう機関等についても、私はもっと日本という国はそういう機関が厳として、コンサルタント的なもの等も含めてでき上がっていかなければならぬと思う。そういうことについて、私は本日は給与水準の問題よりも、どう定数管理をやっていくかということの検討のためにどういう角度から見ていくべきであるか、そういうことについて一つの地方団体が勉強のよすがになるようなやり方について検討が進められておるか。コンサルタントと言いますか、民間におけるそういう組織の養成も含めてどういう段階にあるか、お伺いをしたいと思う。
○政府委員(植弘親民君) 定員の問題に先立ちまして、給与の問題でございますが、先生御指摘のように、個別的な指導というようなことは特に考えておりませんので、御理解いただきたいと思います。 それから定員問題でございますが、御指摘のように、相当地方公務員の定員全体がふえておりますことは御指摘のとおりでございますが、この原因を見ますと、いわば学校の先生だとか警察官とかいったように、地方団体の定数管理の届かない部分における、いわば国の施策としての関係からふえているものもございます。それからもう一つは、先ほど先生の御指摘がございましたが、たとえば保育所だとか老人福祉施設とかいった、福祉国家としての国民の要請にこたえるための施設がだんだんとふえてきます。そのための要員もふえたといったような増員の要素もあることも確実でございます。しかし、御指摘のように、だからといってそれではそのものが必要だからふやしていいのだということにならぬと思います。やはり問題は、私どもが従来からスクラップ・アンド・ビルドといいましょうか、現在ある事務、事業の全体を見直して、従来は必要であったけれども若干必要性が薄くなっているものもあると思いますので、そういうものを縮小することによって新しく発生してくる事務、事業に振り充てるといった努力がまず大事であろうということをいままでやってきたわけであります。 そうして、じゃ現実には一体どういうふうにしてそれでは定員管理をすればいいのか、非常にむずかしゅうございます。一部には地方団体の側からも、定数法でもつくってくれないかという意見もございます。これはなかなかできるものではございません。いま先生の御指摘のとおりでございます。現実には決算統計等からいたします類似団体の比較、同じような規模の団体ではどういう業務にどういった定員を配置しているか、張りつけているかといったようなものを参考にしながら、自分の団体のを見直して定員を決めていくというのが通常とられている状況でございます。その場合には、なるほど事務処理の機械化だとかということによりまして、新しく発生する事務、事業には人をふやさないで、そういった機械の力によって処理するといったもの、あるいは民間へ委託できるものは事業委託といったようないろいろな方法でいままで推移してきておりますけれども、やはりおっしゃるように、根本的に定員管理を考えなければならぬ時期であろうと思っておりまして、私どもも公務能率増進という立場から、定員管理が非常に大きなウエートを持つものであるということに着目いたしまして、いま非公式のものでございますが、大臣の諮問に応じて研究する研究会を設けておりまして、ことしは特に定員管理だけにしぼった研究をするつもりでおります。いま現にやっておるところでございます。 それから個別的な団体からの相談につきましては、いろいろと民間企業でやっている方法だとか、それから他の地方団体がこういう点で成功しているといったような実例は十分用意いたしてございまして、求めに応じてその参考に供するといったような努力はいたしておるところであります。御趣旨はよくわかりましたので、そういうつもりで努力いたしたいと思います。
○井上吉夫君 最後に、私は本日、大変深刻な不況下にありますだけに国、地方を通じて財政事情が非常に苦しい状況にある。そういう中で、いかにして地方行政というものが現在の水準を維持し、さらに求められる行政需要にこたえるためにどうあるべきかということを、財政の仕組みなり、あるいは交付税制度なり、補助制度の見直しなり、とりわけ弱小補助金の整理なりあるいはメニュー化なりという幾つかの具体的提案を通じまして、いろいろお答えをいただきました。いま申し上げました定数の問題についても、私は定数法的な発想で物を申し上げたわけでないことは御理解いただいておると思います。 ただ、大変厳しくより効率的な行政を求めている時代でありますだけに、どうやって地方団体もできるだけ少ない経費で住民の需要にこたえられるかという深刻な課題を受けているときでありますから、どういう点をどういう考え方で対応すればよりそういうお答えが出せるか、そういう勉強ができるための材料というのは、役所だけでなくて、さっき申し上げましたように、民間のいろんな企業における効率化というものも、やはり行政の面でも効率という点で参考にすべき点が多いと思います。そういう資料等についても十分お備えをいただいて、そして積極的にみずから地方団体が研究を進めていくという、そういう体制にこたえるようにしていただきたいし、先ほど来申し上げておりますように、弱小補助金の整理であるとか、あるいはちょっとした設計変更まで国に出てこなければならぬということの整理とかということなどの具体的手法を通じて切りかえていかなければ、私は概念論として地方にだけ財源を付与するということにもおのずから限度がある。そういうことも含めまして、ひとつさらに積極的に自治省全体における御検討を特に要請をいたしまして、私の質問を終わります。
○和田静夫君 警察関係で、交通局長、衆議院の交特に出られるようですから、ちょっと先に。 まず、交通巡視員の定数と現況、昨日申し上げておきましたが、おわかりになりましたか。
○政府委員(勝田俊男君) 交通巡視員の定数と目されているもの、各府県で条例をする際に条例ではっきり数が出ているものもありますし、内容として交通巡視員ということで了解を得ているものもございます。そういった数は、府県の数を合計いたしますと三千百十二人でございます。 なお、警察庁におきまして……
○委員長(上田稔君) ちょっと発言中ですが、もう少し大きい声で言ってください。
○政府委員(勝田俊男君) はい。自治省の地方財政計画でお考えいただいている分につきましては、四十五年度に二千五百人、四十六年度に二千人ということで、四千五百人、その後沖繩復帰の際に二十人ということで、四千五百二十人ということを地方財政計画の上で計上していただいているわけでございます。
○和田静夫君 そこで、こういう形で財政計画上の人数にも満たないという現況に置かれているんですよ、国家公安委員長。これは昨日代用監獄などの問題で、警察の超過負担といわゆる警察全体の予算との関係ということを象徴的な問題で私は論議をしてみたつもりなんですが、交通巡視員が満たない状態というのは、予算上の措置はされているけれども、結果的には人員はそれで埋めずに、来たところの金というのは警察行政の他に、一般警察官のいわゆる給与的なものに回さざるを得ないという状態になっている。こういう状態になっている結果がいま報告になった状態を私は生んでいるというふうに踏むんですね。そういうことは、こざいませんか。
○政府委員(勝田俊男君) 交通巡視員の定数と目されているのは三千百十二人ということでございますが、現実にいま交通巡視員と同様の仕事をやっている者、県におきましては婦人警察官にその仕事を担当させている県もありますし、交通指導員という形でそれを担当させている県もございます。その数を加えますと、地方財政計画の数に満ちる数になるわけでございます。
○和田静夫君 しかし、きょうは各県別に出していただかなかったからですが、私は調べていますから、どこの県でもって定数が足りないかということはちゃんとわかっているわけであって、そして、その予算が人件費的なものに回っているということもちゃんとわかっている。 これはもうこれ以上言いませんが、国家公安委員長、やはりここの部分というのは、警察行政全体の中に占めるところの警察職員の待遇なり、あるいはその諸設備に対するところの予算の裏づけなり、たとえば昨日の論議をむし返してみれば、代用監獄におけるところの刑務官あるいはその施設の利用に対するところの国家からの対応の費用なり、そういうものがやっぱり歴然として不足しているがゆえにこういう事態が起こらざるを得なくなってくる、こういうふうに私は考えざるを得ないと思うんです。何も警察庁の立場に立って主張するわけじゃありませんけれども、その辺はもう少し点検をされる必要があるだろう、こういうふうに考えますが、最後に委員長から。
○国務大臣(福田一君) 警察関係の分についてはただいま交通局長が申し上げたような事情でございまして、全体としてはプラスマイナスそれほどの差はないと思いますが、いま後段であなたが御指摘になったような、たとえば留置場の問題とか、そういうような問題については、まだほかにも問題があるかもしれません、御指摘のような。こういう点については、今後も十分検討を続けていかなければならないと私は考えておる次第であります。
○和田静夫君 「昭和五十一年度の地方行政対策を講ずるに当たっては、昭和五十一年度の地方財政の状況が景気の異常な停滞に伴う税収入の大幅な落ち込みと景気の早急な回復を図るための公共事業費の増額によって巨額の財源不足を生ずる見込みであること、この財源不足に対処するため国庫財政において大量の公債が発行されること等の点で昭和四十一年度の地方財政の状況に酷似しているところから、昭和四十一年度の場合と同様、地方交付税率の引き上げ、臨時地方特例交付金の交付或は全額元利補給付の特別事業債の発行によって不足財源を補てんすべきであって、将来に負担を残す交付税特別会計の借入れや地方債の増発は行うべきではない」、これは自治省の基本的な見解ですね。
○政府委員(首藤堯君) ただいまのあれでございますが、五十一年度の財政対策を考えました場合に、御指摘のように景気の変動そのほかの状況がございまして、二兆六千二百億という非常に膨大な財源不足を生じたわけでございます。これにつきましては、本来の措置でありますならば、その不足財源分をできる限り一般財源をもって処置をしていく、交付税等の充当をもって措置をしていくということが望ましいことはもちろんのことでありますが……
○和田静夫君 そこまでで結構です。あと続けます、私の方は。これはおたくの書いた文書だから大丈夫です。
○政府委員(首藤堯君) 本来的な考え方と、それから現実の問題との間にいろいろむずかしいギャップがあるわけでございまして、そういう点は御理解をいただけると思っております。
○和田静夫君 いえ、理解の方は別として。ここまではとにかく年来私も主張してきたところだし、「自治研究」に載ったこの第五十二巻第三号六十ページの自治省の見解というのはまことに当を得た見解だと思います。ところが、いま後から財政局長が進められようとした論議、「しかし、昭和五十一年度の場合、財源不足見込額が昭和四十一年度の場合(約二千五百億円)の十倍以上という巨額に上ること、当時と比べ国庫財政の窮迫が著しいこと、それに何よりも今日の経済情勢が従来の高度成長から低成長への過渡期にあり、きわめて流動的であるため、このような時点で恒久的な制度改正を行うことは適当でないこと等の理由から地方交付税率の引き上げ問題等は爼上に上らなかった。」これは、その「爼上に上らなかった」というのは大蔵省が上せなかったのでしょう。まさか、私たちは長い問論議してきたんですから、自治省の中が「爼上に上らなかった」とは理解をされていないと思うんですがね。そう理解してよろしいですか。
○政府委員(首藤堯君) そのとおりでございまして、自治省の中ではかんかんがくがくの議論をいたしております。
○和田静夫君 そうすると、自治省の中では爼上に上った。したがって一昨日の本会議における自治大臣の前向きの答弁もあった、こういうことになるわけです。 そこで、これからです、問題は。「なお、地方交付税率については、国庫当局の間には、昭和四十一年度の引き上げ(二九・五%下三二%)後景気が回復し、租税収入の自然増収が大きくなった際地方交付税交付金の増加額が国債の減額の過程で国の予算編成を著しく圧迫し、国の一般会計が交付税特別会計から借入れを行わざるを得なくなった苦い経験から、その変更は経済情勢の推移を十分見きわめた後でなければこれを行うべきでないという強い意見が存在している。以上のような背景の下で、自治省としては昭和五十一年度の地方財政対策は応急的な措置で当面は対応し、抜本的、恒久的な税財政制度の改正は昭和五十二年度以降の課題とせざるを得ないと判断した。そこで二兆二百億円の財源不足額については臨時的な措置によりこれを補てんすることは止むを得ないとしたが、できるだけ多くの額を地方交付税の増額により補てんすることを要求した」。これは自治省の非常に緻密な論理を展開される方がお書きになった文章をそのまま読んだのでありますし、財政局長がいまお述べになったとおりでありますから、私はここで前段の部分、わが意を得たりというところもありますし、途中でちょっと質問をはさみましたように、大蔵省の見解がいかにわれわれと離反をしたものであり、自治省当局者とも離反をしたものであるかということは、これはもう明確に大蔵省の側もなった、こういうふうに思うんです。きょうは大蔵省に参考に来ていただいているから、大蔵省にはいまのところはまだ聞きませんが、もう少し進んでから聞くかもしれません。 そこで私は、いろいろ議論はあるでしょうが、今度の交付税法を実は論議をするに当たって、ちょっと前提だけを統一しておきませんと、こんなちぐはぐな論議になりますからね。昭和五十一年度の地方財政対策は、いま読み上げましたように「応急的な措置」なんだという自治省の立場ですね。これを今回の私のこれから展開する論議に当たってのみ——おまえ了承したんじゃないかと言われたらたまったものじゃないので、論議に当たってのみここのところを一応了解してみようと思うんです。そこで、この措置はあくまで「応急的な措置」なんだということをこの論議に当たってのみ一応私は了解する立場に立ちますが、そこのところはよろしいですか。
○政府委員(首藤堯君) 何よりも五十一年度における不足財源措置、これに対する対策を先に講じなければならぬという意味でとりました措置でありまして、その意味では応急的措置という言葉が的確かどうかは知りませんが、そのような意味でございます。
○和田静夫君 そこで、したがって交付税特別会計に借り入れたものを返還する、その負担の問題でありますけれども、そういう負担の問題が起こっている。そういう問題であるとか、あるいは起債の償還財源の問題が起こっている。そういう問題であるとか、非常に問題が大きいわけですけれども、この問題は五十二年度以降の抜本的、恒久的な税財政制度の改正の中で解消する、あるいは吸収する。自治大臣、いま読み上げた文章はそうなっているのですが、そうここのところは考えておいていいわけですね。
○政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘の交付税会計における借入金、それから財源振りかえをいたしました地方債の償還金、こういうものは一応の償還計画を御案内のようにつくっておりますが、その分を当該年度ごとの地方財政計画上の歳出に立てる。そのことを前提にした歳出を立てまして、当該年度の地方財政の財政運営がそのことによって支障が起こるということのないような財源措置を考えていく、こういう考え方でございます。
○和田静夫君 いま私が申し上げました、「抜本的、恒久的な税財政制度の改正は昭和五十二年度以降の課題とせざるを得ないと判断した」、ここですが、ここのところちょっと答弁で明確じゃないのですが、したがって、私が申しましたように、「抜本的、恒久的な税財政制度の改正」、これは五十二年度以降には当然頭の中に想定をされながら作業を進められている、こういうことですね。これは。
○政府委員(首藤堯君) 五十二年度以降は抜本的な税財政制度の改正、これが必要だという認識には立っております。したがいまして、五十二年度からそのことに着手していきたいという決意ではおります。
○和田静夫君 大臣、いまの答弁、よろしいでしょうか。
○国務大臣(福田一君) ただいま財政局長がお答えをしたとおりだと思います。
○和田静夫君 そこで、このことは大蔵省は了解をいたしておりますか。
○政府委員(首藤堯君) 五十年、五十一年と、ごらんのようにかなりの財源不足でございますし、五十二年以降も、今後の情勢にもよりますが、非常に多額の財源不足が生ずるという事態であれば、地方交付税法に言います地方行財政制度の改正ないしは率の改定、こういったものを検討すべき時期に差しかかっておるという点については大蔵省も別に異議は唱えておりません。
○和田静夫君 大蔵省、よろしいですね。
○説明員(藤井裕久君) ただいま財政局長の答弁のとおりと考えております。
○和田静夫君 そこで、大蔵、自治両大臣の覚書の第一項ですが、「両大臣は、毎年度の国、地方おのおのの財政状況を勘案しつつ、交付税特別会計の借入金の返還について、協議のうえ必要があると認めるときは、その負担の緩和につき配慮を行う。」ということになっております。こういうことも、いま申し上げたような前提で考えるならばかなり実現性のある約束事と考えていますが、これは前のときに大平大蔵大臣にも確認をしたことでありますが、このことは自治大臣、いまでも変わりませんですか。
○国務大臣(福田一君) いやしくも両大臣がサインしたことが変わっては大変なことだと思っております。
○和田静夫君 そうしますと、いま前提的に申し上げました自治大臣覚書、さらには「自治研究」第五十二巻第三号の六十ページ以降における論文を引用をしながらの私と大臣との確認、この二つの確認を照合いたしますと、明確にその中には交付税率の引き上げが含まれている、だれがどう考えてみてもそういうふうになると思います。したがって、この辺は自治省、大蔵省の事務次官クラスぐらいで煮詰めが行われているのですか。腹案がおありになるのですか。ここのところをちょっと明らかにしてもらいたいのです。
○政府委員(首藤堯君) 先ほどから御指摘のように、非常に苦しい財政状況になっておりますから、五十二年度から何らかの抜本的な措置が必要だ、それは税財政、地方行政制度、財政制度、それから交付税率の引き上げ、こういうものも含めた問題でございます。そういう問題があるという認識は両方共通であるということは申し上げたとおりでございます。それをどういう具体的なかみ合わせ方、どういうやり方でやっていきますかは、これは今後五十二年度以降の地方財政の見通し、これがどうなってくるか、こういうことに絡んで今後検討さるべき問題でありまして、具体的な詰めが行われておる事態ではございません。
○和田静夫君 大蔵省、あした私、大平大臣に来ていただきますから、ここのところは非常にかなめのところなんですが、いまの自治省答弁、確認しておいてもらっていいですか。
○説明員(藤井裕久君) ただいまの財政局長の答弁のとおり大蔵省も理解いたしております。
○和田静夫君 大臣お見えになっても変わりませんでしょうね。
○説明員(藤井裕久君) 仮定の話でございますけれども、先ほど答弁のありましたように、五十二年度以降も引き続いて多額な財源の不足が生ずるというような場合におきましては、地方行財政制度の問題の一環といたしまして、交付税率の問題も検討の対象にはなるというふうに理解をいたしております。(「法律の改正を含めて出さにゃならぬ」と呼ぶ者あり。)
○和田静夫君 いま与党の方からちゃんとあったのを聞いておいてくださいね、大変いい意見が出ておりますから。 私は今回の措置で一番問題だと思いますのは、一兆二千五百億円を財源不足対策債で見るという措置ですね。「財源不足対策債一兆二千五百億円のうち四千五百億円は政府資金の不足という国庫財政の都合により起債に振替えられた」、これは同じ「自治研究」の六十三ページにあるんです。「振替えられた」と書いてあるんです、じゃ、まずここのところはそれでいいですか。
○政府委員(首藤堯君) 御指摘のその論文を私、申しわけありませんが読んでおりませんので、著者がどのようなつもりで書いたかは存じません。しかし、このようなことであればそのとおりだと思います。御案内のように、二兆六千二百億の額を補てんをいたしますのに、一方は交付税特別会計の借り入れ、これは預金部資金の借り入れでございます。これでやりまして、一方では地方債の振りかえということをやったわけでありますが、この四千五百億円につきましては、交付税の包括算入の起債振りかえという措置でございますから、本来ならば交付税特別会計における預金部資金の借り入れ、将来償還をいたしますが、借り入れ、この措置で賄うのが、借り入れという面から考えてみればそれでよかったのかもしれないと思うわけであります。しかしその当時は、この特別会計の借り入れば政府資金以外のものはなかなかむずかしゅうございますから、かたがた政府資金は一般の地方債の方にも回さなければならぬという強い需要もございますので、一応四千五百億円は民間資金で包括算入を振りかえるという措置をとった。その意味では政府資金の不足によるものであります。しかし、そういうことでありますので、四千五百億円につきましては、元利償還分でありますとか、あるいは利子償還でありますとか、こういう措置をつけた、このような順序でございます。
○和田静夫君 わかりました。四千五百億円が「国庫財政の都合により起債に振替えられた」。そうすると、八千億円の分がそうではないという根拠は一体何なんですか。
○政府委員(首藤堯君) 財源不足額は二兆六千二百億円に上るわけでございますが、これを措置をいたします場合において、いわゆる従前のペースによります——従前のペースと申しますと、地方財政法に言います例の五条の関係でございますが、いわゆる建設事業債とでも申しておきましょうか、そのような建設事業に対します起債充当、これを、非常に緊急の事態でありますから、これを高めていくということによってこの財源不足額を縮めるということは可能であるわけであります。国におきましても国債発行がなされておりますが、建設国債とやむを得ない特例債とに分かれておりますが、そういった観点で、まず八千億の充当率の引き上げによる財源補てん、こういうことも一つの方策として考えられたわけであります。
○和田静夫君 要するに、四千五百億円というのは、自治省が大蔵省と折衝する過程で、さらにまあこれだけぐらい上積めよ、地方財政苦しいじゃないか、この程度でどうだと、いろいろと折衝されたと思うんです。特に実力者大臣ですからいろいろなことをやられたと思いまして、そのことを私は夢にも疑いません。そういうような中で考えられて出されてきた額であって、その意味では論理的な根拠は何にもない額だと思わざるを得ないですよ。そこをみごとにこの論文はちゃんと指摘をされているんだと思うんですね。私は、大変すぐれた論文だと思っていますよ、これ。大変すぐれた論文だから引用しているのですが、言ってみれば、何といいますか、大蔵の方も、その程度は仕方がないというふうに、だんだんだんだん説得をされてきた。大蔵の力をもってしてもやっぱり理のあるところにはかなわなかったということもあっただろう。そうすると、国庫財政の都合でまあ二千億ぐらい、あとプラス、何というか、利子補給ぐらいで勘弁してくれぬかというような形で、そういう意味での国庫財政の都合。そういう意味での国庫財政の都合なのでしょう、これ。
○政府委員(首藤堯君) 五十一年度の財政計画を策定をし、財源不足額を算入をするという面において、いろいろ自治、大蔵におきまして論議がありましたのは、これは当然のことでございまして、いろいろ議論がございました。たとえば先生も御案内の七万五千人の人員の既定規模是正、これをどうするかということについても、これは大激論があったわけでございます。しかし、こういうものを全部われわれ主張いたしますものをのんでいただきましたというか、理解を示していただきまして、その結果立てました結果として二兆六千二百億の財源不足ができたと、こういうことになるわけでございます。その二兆六千二百億をどう始末をしていくかということにつきましては、八千億を公共事業等の起債充当率のかさ上げ、これによって財源措置ができるではないか、そのかわりこの償還費は後々めんどうを見てまいります。残りは特別会計の借り入れ金で処理をしていくのが一番よろしかったのかもしれませんが、これは政府資金の状況等の問題もあって一応一兆三千七百億の借り入れ、四千五百億は包括算入の振りかえ、こういう措置に落ちついたということでございまして、議論の過程はいろいろございますが、計画全部を通じて十分、まあ私どもほぼ満足すべき歳出の額と心得ておりますが、それを算出いたしました結果が二兆六千二百億の財源不足になったと、こういうことでございます。
○和田静夫君 ええ、そうでしょう、あなた方の論理は。ここで明確に私がしているのは、さっきとにかくこの論議の前提に当たって基礎をちょっと固めておいたのは、そこのこういう行き違いが出るといかぬからと思ったんですが、いま私が言っていることは間違いないでしょう。結局、大蔵の方もまあこの程度は仕方がないということになってきて、そして利子補給などを考えながらこの金額を出してきた。そういうような折衝で、いま局長答弁にあったように考えざるを得ませんよね、それは。結果的にこれになったんだから、私の方も満足した額になったと思わざるを得ない。腹の中はそうは思ってないでしょうけれどもそういうことになったと。 したがって、この四千五百億円と各地方団体への配分上理論的に用いられた「その他の土木費」及び「その他の諸費」、これは、それはすぐれた自治省官僚、いやまたすぐれた自治大臣がいながら、論理的には何ら関係はないんでしょう、これ。論理的に何か関係があるようにこうされているようで、論理的には関係がないんじゃないですか、これ。
○政府委員(首藤堯君) 先ほども申し上げましたように、実在をいたしております公共事業費その他高校新設費、これの起債振りかえをやりますと約八千億、こういうものが起債に振りかえることによって財源措置ができるわけでございます。それから交付税の包括算入の投資的経費でございますから、これは各自治体におきましては具体的には投資的経費のいままで起債充当率が低うございましたから、その財源に充てられたこともありましょうし、ひもつきでもなかった一般財源ではございますが、一応投資的経費の包括算入ということで措置をされておりました額が四千五百億あったわけでございます。したがいまして、これを次に振りかえの対象に選んだ、こういうことでございます。
○和田静夫君 余り論文引用するといけませんが、これは私は大変りっぱな論文だと思いますからあれですが、たとえば八千億円の取り扱いは、いま答弁がありましたが、「八千億円は従来基準財政需要額に算入されていた公共事業債(道路関係を除く)及び高校新増設費の大部(九五%)を起債に振替えるものである」、論文もそうなっておりますよ。しかし、いま私がずっと論理展開をしてきたそういう意味では、この八千億円という額にも何ら根拠がない。私は常々考えますし、過去七、八年にわたってこの地方行政委員会で交付税の論議のときに常に主張してきましたがね、この地方交付税制度というものの運用がこういうやり方で処理されて一体いいのだろうか。私は、自治省当局者はこういう処理の仕方でいいとお思いになっているとは思いません。自治省の皆さんがお書きになるほとんどの論文に目を通しているつもりですが、どれを読んでも、やっぱり私たちの主張の筋というものが一貫してちゃんと尊重をされるような筋になっています。しかし、一方には大蔵省もあるし、国家財政があるし、地方財政があるし、現況の経済事情があるしという、その現況の問題は私は何も否定はしませんよ。確かに地方交付税の場合に、平衡交付金と違って、国税三税の何%という形で事前的に総額が決まるわけですね。ここのところはきょう午前中の参考人の皆さんも、リンクの問題その他でいろいろ意見を述べていらっしゃいました。しかし、基準財政需要額から基準財政収入額を引くという、そういう算式はだてにあるわけではないわけでしょう。これはだてにあるわけではない。財源不足額が長期的には交付税率によって調整されるという、そういう迂路を経て、そうしてあくまでも基準財政需要額マイナス収入額、こういう算式は、総額決定にとってもあくまでも私は事前的だと思うのですよ。事前的にある。なぜこんなややこしいやり方をとってきたのか、あるいはとるのかということをずっと考えてみると、基準財政需要額の算定を通じてあるべき行政水準の設定という、そういう行為があるわけですね。そういう行為があるわけです。そういう抽象的といいますか、理念的といいますか、そういう額の算定方式にこそ私は一般財源としてのこの地方交付税、その制度の真髄があるんだと思うのです。これはどう考えてみてもそうでしょう。これは自治大臣、ここのところはよろしいですね。
○政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘のように、基準財政需要額の算定を通じて一応あるべき行政水準といいますか、それの模索をするということは御指摘のとおりだと思います。 ただ一言申し上げたいと思いますことは、その基準財政需要額算定の際に、投資的経費の算入の仕方をどう考えていくかという問題が基本的にございます。御案内のように地方財政は、税、交付税、こういう一般財源とともに、地方債という借金を財源にするわけでございます。この地方債の扱い方をどう考えていくのか。まあ極端なことを申しますならば、投資的経費の中で非常に臨時的なものにつきましては一応すべて地方債でもって賄って、そのかわりその償還財源を後々の基準財政需要所要額に算入していくというのも一つの方法でございましょうし、地方債の活用の幅をうんと少なくするということであれば、投資的経費の中の非常に大きな分野を交付税の中に算入をしていく、こういうこともあり得るわけでございまして、これは論理的にどちらでなければならぬ、どちらが正しいということについては、これはいろいろ御意見のあるところではなかろうか、こう思います。したがいまして、そういうことを含めて全般的な基準財政需要額の算定があるべき行政水準を模索するものである、このことは私も全くそのとおりだと思います。
○和田静夫君 としますと、そこに真髄がある、そういうことになりますと、財源がこれだけ足りない、ある一定額足りない、したがって、いま答弁にありましたけれども、そこのところがちょっと私と意見の違うところですが、その分を起債でということにすうっと安易に結びついていっていいのだろうか。財源がこれだけ足りないというのは、これは事後的なことですよ、事後的なこと。その前提に、事前的にきっちりとした基準財政需要額の設定あるいは単位費用の設定があるはずですよ。そうでなかったら単位費用なんて全然用をなさない。そういう単位費用の設定がある。 ちょっと脱線しますが、去年の交付税法の論議のときに、自治大臣、これで御出身の勝山町にどれだけいくか、すぐおわかりになりますかと言ったら、いやおれはわからぬよ、与党の皆さんを含んで私たちわかりましょうかと言ったら、いやわからぬよ。そうだから、補正係数なり、いわゆるもっとわれわれのわかるところで論議ができるようなところに法律事項にしなさいということで、大臣、そうだよな、もう少し、全部わかる必要はないけれども、もっとわかってもいいぐらいのところはと言われたゆえんのものも私はそこにあると思う、実は。 この交付税制度の真髄と言うべき事前的行為がある。その事前的な行為というものを何か抹殺してしまって、財源不足という事後的な行為に従属をさせるわけですね。財源不足額を基準財政需要額から起債に振りかえることで措置するということは私はそういうことになるんだと思うのですがね。これは私の考え方が違いますかな。
○政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘のように、財源不足額が生じたということが直ちにそのようなことにつながるということについては、それは論議があろうと思います。しかしながら、交付税の基準財政需要額を算定をいたしてきまして交付税を配るいままでの経過におきましても、先生御案内のように、一方地方債をどう考えるかということで、たとえば公共事業等に対し非常に高率の地方債を措置をした時代もございましたし、一般財源が量が多くなってまいりますと、なるたけ地方債の充当率を低くして交付税でなるたけ賄っていこうという措置をとった時代もあるわけでございます。 その場合に、投資的経費を交付税の財政需要の中に算入をいたすというかっこうをとってまいりますと、投資的経費でございますから、当該団体によりまして非常に繁閑集中の差がございます。たくさん投資的経費が必要な事態と、同じ団体でもことしはたくさん要る、四、五年たつとうんと減る、こういう事態が起こるわけであります。これを一律の単位費用をもって措置をしていくということはなかなか実情に合わないという問題が起こるわけでありまして、これは地方団体側の方から非常に強い要望が出てまいりまして、交付税の中に事業費補正といったような補正も考えまして、一般財源をなるたけ事業の量に応じて配れるような仕組みもとられたことがある。これも先生御案内のとおりでございます。 そういう事態でございますので、投資的経費に対する財源措置のあり方は、先ほども申し上げましたように、全部一般財源で措置をしていくのか、あるいは相当程度地方債をかませて、その残りを一般財源で措置をしていくのか、こういうことの考え方についてはいろいろ考え方があり、措置の仕方がある。過去もまたそういう例があったということでございます。 最後にことしは短絡をしたとおっしゃいましたが、論理的に短絡はいたさないわけでりあしまて、非常に財源が足りない時代でありますから、投資的経費に対しては一応地方債を充当する、こういう道がございますから、それを行うことによってこの財源措置の額、それを充当しやすくすると申しますか、そういう措置をとろうということになったわけでございます。
○和田静夫君 局長いろいろのことを言われますがね、ぼくが一番心配しているのは、いまは全く前提の論議ですから、これから具体的なことに入りますが、具体的なことに入る、これ最後にしますが、どう言われてみても、こんなことばかりしておったら私は単位費用の意味は何もなくなってしまうのではないか、そう思うのですよ。単位費用の意味がなくなりませんか、局長。
○政府委員(首藤堯君) 非常に乱暴な議論をいたしますと、二つに分けてお考えをいただければ御了解がいただけると思うわけでありますが、いわゆる経常的経費、こういうものについては本来地方債等を充てる性格のものでございませんから、これは必要な額、あるべき行政水準の額というものが単位費用をもって明示をされて出てくる、こういう性格のものであると思います。投資的経費につきましては、単位費用分につきましては、先生御案内のように、所要地方負担額から地方債等の充当を差し引きまして、それからさらに、地方債を充当しておればこの地方債の償還的なものを加算をする。これはあるいは維持補修費になるかもしれませんし、地方債の償還費になるかもしれません。そういうものを加算をしてつくってくるということでございますから、その特定財源のかみ合わせ方いかんによって単位費用が変わることは、これは論理的にはあり得るわけであります。
○和田静夫君 これも皆さん方の関係者がお書きになっている論文の中で、もうそんな論文の引用は——このいまの論文じゃありませんよ、別の論文の中で、いま私が展開しているような危惧をお持ちの皆さん方の関係者もいらっしゃいます。いろいろなものを読んでみておったら——いろいろなものを読んでみておってのついでの話ですがね。地方財政白書の二百四十八ページを読んでおったら、二十一図の一を照合しろということを書いてある。二十一図の一なんていうものは全然これはないんだがね、白書の中には。ないものが書いてあるのだが、これは指導課長かな。そんなものまで出てくる。そんなことはともかく、そういうことですよ。出てきて、結局はすぐれた人でもやっぱり誤りはあるものだと思って見せていただきましたがね。 ともあれ、こだわるわけじゃありませんが、財源不足対策債というのは交付税制度に本来なじまないでしょう、なじまない。ぼくはもうとにかく全く素人で、皆さん方の先輩から皆さん方に至るまでのお書きになった交付税制度の諸解説を読みながらずっと来て、そして論理立ててみて、そしてそのままのことを言ってきて、そうしたらあなた方の方がこう変わっていってしまった。変わっていったのには大蔵省がいるのかもしれないが、こうなっていった。交付税制度に本来なじまないでしょう、これは。最低やはり交付税特別会計の借り入れで処理すべきだというこの基本というものを、私は間違っていない、そうすべきだと思う。そうでなかったら——まあこれ以上は余分のことになるからやめますけれども、そうじゃないですかね。どこかの思うつぼに落ち込まないですかね、これはこんなことを続けておったら。
○政府委員(首藤堯君) 公共事業等の建設事業の財源を非常に高率に地方債をもって措置をしたわけでありますが、こういった多額の借金政策というものをいつまでも続けていくという面においては、これは望ましくないことだと思っております。したがいまして、ことしのこの措置は応急措置だという意味、言葉は別として御意向に賛成いたしたわけでございます。ただ、公共事業の財源措置、これを一般財源でどのくらい見ていくか、地方債でどのくらい見ていくか、地方債で見た場合にはその償還費の見方を将来どうしていくか、こういったことは今後いろいろ御意見はあろうかと思いますが、十分検討に値する問題だ、こういうことを申し上げたのであります。
○和田静夫君 委員長、時間どうしますかね。いまのところが論議の前提であります、いままでのところが。いま私が申し上げた考え方、そして一応この論戦をするに当たって意思統一をしたところ、その立場を前提としながら、具体的な問題で少し論議をいたしますが、待たなきゃいけませんか、まだ。この辺で一遍やめておきますか。
○委員長(上田稔君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(上田稔君) 速記を起こしてください。
○和田静夫君 じゃもうちょっとだけ進めます。そしてあれですが、この今度の改正法の規定にこれから具体的に即して伺います。 まず、この包括算入分を削った四千五百億、先ほど論議しました。これは「その他の土木費」、「その他の諸費」を削ったということですね。
○政府委員(首藤堯君) そのとおりでございます。
○和田静夫君 そうすると、これは法律の規定で言うと、どこにあらわれていますか。
○政府委員(首藤堯君) 法律では「その他の土木費」 「その他の諸費」におきます単位費用が従前より減額になっております。包括算入として算入をされておりました分の単位費用を落とした、こういうことになりますし、それからもう一方では、従前は包括算入の投資的経費に充てられておりましたものの振りかえでございますから、必ずしも地方債として建設事業債という使い方ができるとは限らないわけでありまして、いわゆる交付税でありますから、一般財源的な使い方ができる。そこでこの分は、地方財政法五条ただし書きの特例として発行することができるという条文を地方財政法改正で提案をしてあるわけでございますが、これに関連をいたします。
○和田静夫君 じゃ、単位費用というのはその積算の根拠は毎年解説書で明らかになっています。ここに去年のものを私持ってきましたが、いま言われた部分についても詳細に説明されているんですが、去年のものとどこがどう違って、その結果、単位費用はどうなるんですか、これ。
○説明員(豊住章三君) まず県分から申し上げますと、七十七ページをちょっと見ていただけますか。「その他の土木費」の住宅土地対策費というのがございます。これが昨年は七千五百万でございますが、今回はまだ新しい冊子ができておりませんが、これは四百万にしております。それから土木行政費で昨年十六億八千六百万が、今回は七億六千万ということにしております。これは先ほど局長が申し上げましたように、包括算入分のうち約九〇%を起債に振りかえまして、その残った五%分につきましておおむね単位費用に残したわけでございます。
○和田静夫君 それだけですか。
○説明員(豊住章三君) いま例示で申し上げましたが、それから次に三百六十九ページでございますが、これは「その他の諸費」でございます……
○和田静夫君 済みません、わかりました。これをやっていますと時間がかかりますから、あしたの大蔵大臣との論議に間に合うように、ちょっと十時ごろまでにまとめてくれますか。
○説明員(豊住章三君) わかりました。十時までに出します。
○和田静夫君 それでいま言われようとしたことは、四千五百億円と一口に言われている、それをそれぞれの単位費用のところに割り振るとどこの部分が何千億円になるという意味のことでしょう。
○説明員(豊住章三君) はい。
○和田静夫君 それと同時に、もし出していただけるのなら、たとえば六十五ページ、ここに「単位費用算定の基礎」というのがございますね。「第四款 その他の土木費」ですね。この辺から単位費用当てにずっと出していただくと本当は好都合なんです。恐らく間に合うでしょう、それは。
○説明員(豊住章三君) 六十五ページから六十六ページまでのいわゆる細目でございますですね。はい、それは間に合います。
○和田静夫君 間に合いますよね。そういうのがたとえば三百十五ページの部分にもあればあるいは三百九十九ページの部分にもある、こういうことになるわけですから。 それからもう一つは、八千億円について、いまぼくは先に言ってしまいましたが、単位費用を削った分といわゆる補正を削った分とがあるんでしょう、これは。補正では何を削って、その金額はどうか、これもまあすぐ答弁できるんでしょうけれども。
○説明員(豊住章三君) 八千億の関係で事業費補正につきまして、たとえば八千億円の事業費補正が昨年度〇・四でございましたものをゼロにしようとしておりますが、それから港湾が〇・六をやはりゼロ、それから都市計画事業が〇・三をゼロでございます。そのほか義務教育、清掃等につきましては〇・〇五残しております。
○和田静夫君 そこでそこのところも、事業費補正を削った分の各費目ごとの金額と、それから事業費補正を削った分以外のものについて、各費目ごとの昨年の金額ですね。それから単位費用積算の根拠、その辺のところもこれは出ますね。当然出るわけですが、よろしいですね。
○説明員(豊住章三君) はい、明日できるだけ資料を出したいと思います。
○和田静夫君 そうするとかなり時間短縮になります。 そこで、地方交付税法の第二条の七号、単位費用の意義が掲げられています。全部読みませんが、「標準的条件を備えた地方団体が合理的、且つ、妥当な水準において地方行政を行う場合又は」云々。「合理的、且つ、妥当な水準」とあるわけですが、今度の改正で四千五百億円、八千億円を削って、明日全部資料をもらいますが、それでもなおかつ、合理的かつ妥当な水準の地方行政を行うことができる——いま言われるようにゼロにしたところがあるわけですから——のですか。地方交付税法の第一条にはりっぱな目的が御存じのとおり掲げられている。しかし、地方交付税法の具体的な単位費用はその目的を達するものではもはやなくなりつつある、あるいは極端なことを言えばもうなくなっているのじゃないかと私は思うのですが、そう言い切ってしまうとまたそれだけで論議をしなければいけませんから、なくなりつつある。今度の巨額の単位費用の削減は地方交付税の役割り、性格を変える、そういうものになる。これは大臣、私はそう思いますね。いかがですか。
○政府委員(首藤堯君) それは必ずしもそのようにならないと思っております。と申しますのは、所要財源そのものは、これはいろいろ御意見、御批判はあろうと思いますが、地方財政計画を通じまして、これだけの歳出が必要でこれだけの財源措置が必要ということで確保をしてあるわけでございます。その地方財政計画のあり方に従いまして交付税の算定がされてまいります。単位費用等の策定もされてまいります。したがいまして、全般の規模が財源不足であるといったような御批判、これはあろうかと思いますが、ただいまの財源措置、これでやっていけると考えておりますその状況から見ました場合に、それで算定をいたします単位費用が交付税としての本来の機能を失っておる、こういうことにはならないと信じております。
○和田静夫君 あなたの方も信じているのだし、私の方は逆の意味で信じているので、これは案外、大臣すっと立ってくれれば、お説のとおりという答弁だったと思うんですよ。
○国務大臣(福田一君) なかなかそうはいかない。
○和田静夫君 今年度から基準財政需要額にこの地方税の減収補てん債償還費が設けられましたね。これは何ですか。
○政府委員(首藤堯君) 先生御案内のように、昭和五十年におきまして法人関係税を中心にして税の落ち込みが起こりました。そこで、これの落ち込みを補てんをするための財源補てん債を発行許可をしたのは先生御承知のとおりでございます。したがいまして、これは私どもは五十年の財政計画としては、地方財政計画に見込みましたいわゆる標準的な税収入、これは何としても確保しなければならぬという前提に立っております。したがいまして、逆に言いますならば、そういった財政計画を前提にして計算をいたしました五十年の交付税、これにかわるものとしてこの減収補てん債というものは扱わなければならぬ、こういう考え方を持っておるわけであります。したがいまして、この減収補てん債については、これを基準収入の落ち込みということと全く同じようになるように、その償還分をわざわざ単位費用を設けまして将来財源措置をしていくという制度を設けたのであります。
○和田静夫君 そうすると、この減収補てんの赤字公債の元利償還が地方債によって行われるということは、結局、地方債のツケを交付税で賄うということでしょう。そうですね、それは八〇%あるいは七五%で、残りは地方税で賄わざるを得ないですね。そういうようにこの赤字債の償還が交付税の算定基礎に入れられることになってきて、それによって財政の借金体質がいわば構造化するとでもいいますか、そういうことになりませんか、赤字公債のツケを交付税に回すという、そういうことでは。これは過年度分のもので、それだけ交付税は実質上少ないということになりませんか。
○政府委員(首藤堯君) むしろお説よりは逆でございまして、私どもとしては最も徹底をした財源措置だと思っておるわけであります。という理由は、昭和五十年度に見込みましただけの基準財政収入額、これを標準税収に置きかえましたものが確保できなかったわけでありますから、そのできなかった基準財政収入相当分は五十年に交付税で渡すべきであったと、こういう考え方を持っておるわけであります。交付税で渡すのが五十年の補正でどうにもなりませんから、一応減収補てん債で渡しました。しかし、その交付税で渡すべきものでありましたものでありますから、この償還費は一文も地方に迷惑を具体的にはかけない。全部交付税をもって償還費は補てんをしていく。八〇、七五にしてありますのは、基準財政収入額としての計算のルールでございますからそうしてあるだけであります。したがって、全額というのと全く同じであります。 一方、そのような措置をする場合に、交付税の総額が少なくなればタコの足切りではないかという御批判があるいは出るかもしれませんが、これは毎々申し上げておりますように、この償還額は地方財政計画の歳出に明確に計上いたしまして当該年度の歳入不足額を計算をいたしますから、決してタコの足食いにはいたしませんということを申し上げているわけであります。
○和田静夫君 地方債というのは許可制ですね。だから、許可を得なければならない交付税ということになりますね。まあそういう乱暴な言い方は別として、とにかく許可を得なきゃならない金ということになりますね。そこで、八千億円の方については高校増設その他に充てていた財源がなくなる。高校増設など、事業計画予算書あるいは償還計画などの資料の提出が必要になる。しかも銀行から借り入れしなきゃならない。ともかく交付税の配付とは異なってくる。また包括算入分については、交付税の配付に従ってずっとされるようですが、現在は財源不足だから断る団体が出てこないだろうか。いまはないだろうが、大変ぎくしゃくしないだろうか。本来なら一般財源として配付されるものに、起債手続きとして銀行借金をしなきゃならない。そうすると、全くこういう交付税の地方債への振りかえによる特定財源化というのですかね、そういうものは交付税の趣旨を崩すものだと思うのだがね、そう思わぬですか。大丈夫ですか。もうしばらくたって、きょうここで答弁していることはいいけれども、あと二年もたったら私の言っていることが全く正しかったということにならぬですか。
○政府委員(首藤堯君) いろいろ御質問がございましたが、まず四千五百億円について、これが赤字であるから困る云々ということで断る団体は一つも一ないと思います。と申しますのは、これは交付税と同様に配分をいたしますし、この償還費については将来基準財政需要額にも算入をいたしますから。それから、この問題につきましては、四千五百億円を完全にひもつきの目的財源にしたことにはならないと思います。と申しますのは、この四千五百億円につきましては、別に同じ法律の中で御審議をいただいております地方財政法五条の特例債、こういうかっこうで包括許可をいたしますので、それも御懸念には当たらないと思います。 それから八千億につきましては、これは公共事業等のあれでございますから、ほとんどが枠配分という最も簡単な手続で配付できますし、それからどの事業に充てますかも、地方団体のセレクションと申しますか、そういう自主性が発揮をされますので、これも問題なかろうと思います。前々から申し上げておりますように、この点につきましては公共事業の裏負担に対する起債充当率をことしは九五%にしたわけでありますが、ずっと未来永劫九五といったような高率でこのような制度を続けていいのかどうか、こういう面については確かに問題があるということは私申し上げました。その点においては問題があることはあるわけでございますが、単位費用の振りかえをやったことによって交付税制度を乱る、こういう問題はない、このように考えております。
○委員長(上田稔君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後六時十四分散会