大蔵委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/22
会議録
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会公聴会を開会いたします。 本日は、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案につきまして六名の公述人の方々から御意見をお伺いします。 この際、公述人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。皆様には御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にしたいと存じております。 これより公述人の方々に順次御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上、お一人十五分程度でお述べを願い、公述人の方々の御意見の陳述が全部終わりました後、委員の質疑を行うことといたしますので、御了承を願います。 それでは、まず青木公述人にお願いいたします。
○公述人(青木信治君) ただいま御紹介にあずかりました青木でございます。日ごろもっぱら財政学の勉強をいたしておるものでございます。したがいまして、至って世事に疎うございますので、一般原則論の域にとどまろうかと存じますけれども、あらかじめ御了承賜るよう、お願い申し上げます。 つきましては、早速でございますが、これより昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案をめぐりまして、財政学を勉強する者といたしまして、はばかりながら若干卑見を申し述べさしていただきたい、かように存じております。 周知のとおり、財政法第四条におけるただし書きを除きます「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」との規定は、過去の戦火とインフレーションに対する歴史的な反省の結晶であるのみならず、民主政治の根幹をなす財政民主主義を最も実質的に標榜したものの一つでございます。と申しますのは、およそ国や地方公共団体の人々に対する財貨サービスの供給は、その当代における人々のコンセンサスに基づくものであるという具体的証左といたしまして、納税等の貢納という見返りを得なければならないと存ずるからでございます。このことは、当代の人々のコンセンスがたとえ得られたといたしましても、後代の人々のコンセンサスに基づくことなく、当代の人々のために後代の人人の納税を強要する結果となる国債の発行は、あながち財政民主主義に忠実であるとばかり言えないことを物語ることになりましょう。すなわち、この財政民主主義に基づきます限り、一会計年度の財政支出は、必ずその会計年度における財政収入で賄わなければならないとする、いわゆる会計年度独立の原則はなお軽視さるべきものとは考えられません。言いかえますと、会計年度独立の原則を軽視することは、いかに巧みに美辞麗句を弄そうともビューロクラシー的、独善的な傾向を免れない点を指摘しておきたい次第でございます。このことは、したがって、いわゆる財政特例法制定にとりましても例外とは存じません。いや、むしろ、いわゆる財政特例法をまずこうした財政民主主義尊重の見地に立ってとらえることを怠ってはなるまいかと存ずる次第でございます。 しかし、これはきわめて逆説的なことを、しかも端的に申し上げる結果になると存じますけれども、仮に民主主義のルールから逸脱したことでありましょうとも、終局的に国民大多数の生活安定に貢献するところ大であるならば、しかるべき評価が許されるかもしれません。ところが、結論から先に申し述べさしていただきますと、終局的に国民大多数の生活安定に寄与するところ大となる可能性も多くないというのが私の観測でございます。何となれば、いわゆる財政特例法の繰り返しは物価の一層の高騰、激騰につながるおそれあるものと思われるからにほかなりません。申し上げるまでもなく、物価の高騰は貧者、低所得者の生活を一層窮乏へ導くとともに、貧富の差を拡大させる最大の要因の一つと考えられます。 ここで、あえてつたない試論を披瀝さしていただきますと、すでに今日、御案内のとおり、自然資源の枯渇化、自然環境の荒廃化、人口の絶対的過剰化及び人間疎外の激化が顕著になりまして、古来支配的な地球無限観に基づく人工的富のおびただしくはんらんすることを前提とした理想社会像は崩壊しつつあるやに思われます。そこにおきましては、もはや高度経済成長はもとより、これまでの人々の物質的生活の無限の向上をもって善とする考えにもまた終止符が打たれなければならないと存じます。そしていまやひたすら人々のいわばしょうしゃな生活への志向に伴う生活の安定と、人々の間のあつれきの最大の要因の一つをなす富、所得の格差是正の専念に転換が迫られているのではないかと考えるわけでございます。で、あるといたしますれば、人々の生活の安定を脅かし、富、所得の格差を拡大する要因は速やかに排除しなければならないかと存じます。 旧臘二十四日閣議決定を見ました昭和五十一年度予算編成方針は、物価は総需要抑制政策を初めとする各般の施策を実施してきた結果、鎮静化の傾向を示しているとの認識のもとに作成しているかに思われます。しかしながら、総理府統計局による全国消費者物価の対前年度比増加率が二けたを割りましたのは、ようやく五十年十月に入ってからのことでありましたし、年間の対前年比でさえも一〇・四%という一〇%を上回る、しかも、かなり強含みの上昇率を示しておりました。といたしますれば、物価がすでに鎮静化の傾向を示したということは必ずしも適切な規定とは存じません。しかも、総理府統計局がこの五月一日に発表いたしました四月の東京都区部の消費者物価指数(速報)によりますと、前三月に比べまして二・七%急騰しまして、前年同月比一〇・二%の上昇となり、前月である三月にようやく一けたを達成したのもつかの間、再び二けたに逆戻りしております。 そもそも、物価は鎮静化に向かったといいましても、狂乱に明け暮れした昭和四十八、四十九年の物価水準を基準にいたしましても、物価は現在なおその上の水準にあることを見落とすわけにはいかないと存じます。しかも、昨年十二月以来卸売物価の対前年同月比の上昇率は顕著になり、以来駆け足を続けているようでございます。昨年の一月から三月におけるそれがマイナス上昇率であったのに比べますと著しい変化でございます。のみならず、これまで通常卸売物価は約半年のタイムラグをもって消費者物価へはね返ってきており、同時に、公共料金の相次ぐ値上げなど波乱材料がある以上、いよいよもって物価問題はゆるがせにできないものと存じます。 物価の高騰は、通貨の供給の増加のみによるものでもなければ、需要が供給を上回らなければ惹起されないというものでもないように思われます。しかし、通貨供給の増大は物価高騰の最大の要因の一つであることは、過去の事例に照らしましてもほぼ間違いないことと存じます。そうであるといたしますれば、現在のように国債が利回りでも社債などに比べまして低い状態では、個人による購入はそう多く期待できないのではないかと思われます。また、さりとて高利回りにいたしますれば、利子支払いの際国債費の負担増となりまして、それがやがて財政にとって裏目に出てしまう憂えもございます。しかも、そうした国債の個人消化の規模は、これまでの段階でも発行額全体の一〇%程度であったところからいたしましても、これからにわかに主要な引き受け手となるとは考えられません。いや、むしろ、その個人消化は今後の国債の大量発行の割合といたしましては縮小していくと見ることもできるわけでございます。 改めて申し述べるまでもなく、財政法第五条におきまして国債の日銀引き受けは禁止されておりますが、発行後一年経過すれば日銀の買いオペの対象となり、しかも、毎年度発行が繰り返されていきますと、どれほどの規制効果があろうか問題でございます。そうしたメカニズムにつきましては、金融問題のしかるべき御専門の向きに本日もお願いいただくことと存じますけれども、しかし、国債の日銀保有高は、昭和四十九年度末現在でその二九・七%、五十年六月末現在では三〇・四%に上っている実情から予測いたしますれば、今後国債が大量発行されるとすれば、勢い日銀の大量引き受け、通貨の膨張ということは必ずしも杞憂とは考えられません。 申し上げるまでもなく、去る二月六日、さきに閣議了解されました昭和五十年代前期経済計画概案に基づいての中期財政展望であります財政収支試算がこちらの衆議院予算委員会に提出されているやに聞いております。それは周知のように赤字国債発行額が五十五年度にゼロになる場合、五十四年度にゼロになる場合の二とおりの想定のもとに示されているものと存じます。うち前者の場合をとってみましても、税収の伸びが五十年度から五十五年度を通じましての平均で二〇・九%、とりわけ五十二年度と五十三年度のそれは二四・三%を見込まれているわけでございます。このような税収の高い伸び率は高度経済成長期にもまれなものであったことにかんがみまして、現行税制をもってしては期待できないと見るのがむしろ適当かと存じ上げます。そうであるといたしますれば、少なくとも当然、たとえば歳出をどのように切り詰めるとか、どのような税制改正等歳入構造の改革の断行を意図しているとかが明示される必要があろうかと思われます。そして、その歳入構造の改革が、仮にこれまで取りざたされてきたような付加価値税を初めとしますインフレ要素を含む大衆課税化であるといたしますれば、国民の生活の安定と富、所得格差是正というきわめて現代的な目標達成の上でインフレとともに著しい妨げをなすものと見ることができると存じます。 仮にこのいわゆる中期財政展望の筋書きの一つのとおり、五十五年度の国債残高は、五十年度の十五兆三千億円の三倍を上回る五十一兆四千億円にも達し、その元利償還に充当するであろう国債費は、五十一年度予算の社会保障関係費に近い四兆四千二百億円にも及ぶわけでございます。 また去る五月十二日、衆議院大蔵委員会あてに昨年度の五十年度と今年度の五十一年度発行の赤字国債の償還される昭和六十年度、六十一年度予算規模と、国債の元利償還費試算が提出されましたことはすでに周知のとおりでございます。それによりますれば、五十六年度以降の歳出の伸び率を一四%といたしました場合、六十年度の予算規模は八十三兆九千四百億円で、そのときの国債の元利償還費は予算総額の一一・二%を占める九兆三千七百億円と化します。また六十一年度は予算が九十五兆六千億円、国債元利償還費が予算総額の一一・四%を占める十兆八千九百億円にふくれ上がることになっております。さらに五十一年度予算参考資料による試算では、五十二年度以降六十一年度に及び、現金償還によって償還されるべき国債の累積額も何と二十二兆五千九百億円に上りまして、本年度五十一年度一般会計予算の二十四兆円に比べまして著しく隔たりのあるものとはなっておりません。 要するに、このようにいわゆる中期財政展望にのっとることができましても、財政の硬直化なるものは容易に避けがたいとみなされるものでございます。こうした財政の硬直化ということは、一見財政当局にかけられる重圧のようでございますが、より本源的には政府から受け取る財貨サービスに対する後代の人々の欲求、選択の自由をそれこそクラウディングアウトすること、後代の国民のコンセンサスをじゅうりんすること、すなわち財政民主主義にもとるものと言うべきかと存じ上げます。 かてて加えて、いわゆる財政特例法は、財政法第四条における規定を一度限りでなく何遍となく、いわゆる中期財政展望を参考にいたしましても、数年度にわたって空洞化するわけであり、かつその後といえども空洞化されない具体的なアプローチが示されていないということであれば、やがて財政法第四条は空文化されざるを得ないおそれなきにしもあらずと考えております。そして物価高騰の脅威ないし激化はいよいよもって高進され、そして財政民主主義は広狭両義にわたって名実ともに侵犯されるおそれありと見られるわけでございます。 以上をもちまして、はなはだ簡単ではございますが、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案をめぐる卑見陳述にかえさしていただきたいと存じます。 —————————————
○委員長(岩動道行君) 次に、館公述人にお願いいたします。
○公述人(館龍一郎君) ただいま御紹介いただきました館でございます。早速私の意見を述べさせていただきます。 問題を三つにしぼりまして、まず第一にこの公債の発行がインフレを招来する危険がないかどうかという問題、二番目に当面の特例公債の発行についてどう考えるかという問題、三番目に長期的な観点から見て、この特例公債の発行についてどのように対処すべきか、この三点につきまして私の考えるところを述べさしていただきたい、こういうように思います。 まず第一に、この公債の発行がインフレを招来する危険はないかどうかという問題でございます。公債の発行について最も懸念されておりますのは、この公債の発行がインフレを招来するのではないかという問題であります。で、インフレの原因につきましては、いまさら申し上げるまでもございませんが、需要が供給を超えるというのが最も一般的な場合でございますが、そのほかに供給側の原因で物価が上昇する、インフレが生ずるという場合も決してまれではありません。またインフレ心理と申しますか、物価が上昇するであろうという期待感が物価上昇を加速するというケースもこれまた決して少なくはありません。ただ、公債発行との関係において最も重要なのは、言うまでもなく需給のアンバランスから起こってくるインフレの危険ということでございます。つまり需要インフレの危険があるかどうかということが最大の問題になるわけでございます。で、公債の発行がインフレを招来するかどうかでありますが、それは結論を申しますと、結局そのときどきの経済情勢と金融政策、そのほかの政策のあり方に依存しまして公債を大量に発行すれば必ずインフレになるという関係にはないというように思います。まず第一に、この公債の発行によって仮に有効需要が増加しましても、供給側に余力があれば、それは失業であるとか潜在失業の減少や設備の稼働率の上昇が生ずるだけであって、物価の大幅な上昇が生ずるということはないはずであります。しかも、こういう場合に有効需要を増加させるための政策をとるということは、これは当局の義務であるというように私は考えます。失業は人間のインテグリティーを破壊する意味で最も避けなければならない状態と考えるからであります。 第二に、公債の発行が有効需要をどの程度高めるかということは、財政が民間設備投資なり、消費に与える影響と、公債の消化の仕方に依存しまして、最も極端な場合をとって考えますと、たとえば公債が全額個人消化によって賄われる、公債発行がすべて個人の消化によって賄われる、そして通貨量が全くふえないという極端な場合をとって考えますと、そういう場合には公債を発行しても有効需要はほとんどふえないというのが普通であります。これは、クラウディングアウトというように最近いわれております効果が働くために、公債を発行しても民間投資等が抑制されて有効需要がふえないということになるからであります。したがって、公債の発行によって有効需要がどの程度増加するかということは、マネーサプライに端的に示されます金融政策の進め方と、それから民間投資、消費動向に依存するわけでありまして、一義的に公債を発行すれば大幅に有効需要が増大するというようには言えないわけでございます。 このような観点に立って、五十一年度の公債発行を次に考えてみたいと思います。 まず第一に、供給側の事情でありますが、御承知のように、製造工業の稼働率指数は最近若干上昇はしてきておりますが、依然として四十五年度基準で八五%を下回っておるという状態であります。労働の供給につきましても、企業は余剰労働力を抱えておるという状態でございます。したがいまして、生産調整といったような供給制限的な措置が中止されるならば、さしあたり、供給能力の不足からくる物価上昇の危険といいますか、それはそれほど大きくないというように考えてよろしいというように考えます。 次に、需要側の事情でございますが、国民が貯蓄精神旺盛、大量の貯蓄がなされている一方で、設備投資は停滞しておるということを考えますと、五十一年度の赤字が直ちにインフレにつながるというようには考えられません。この程度の赤字が行われなければ、全体としては貯蓄超過の状態が生じまして、景気は停滞を深めるということになるのではないかというように考えます。需要側についての問題は、公債が大部分金融機関で消化されるという現在の状況のもとでは、公債の発行が通貨の増発につながりやすいという点であります。事実、こういうこともありまして、最近のマネーサプライの増加率は、Mで見ました場合に一二、三%、Mで一五%の対前年増加率を示しておりまして、一部では過剰流動性を心配する向きがあります。しかし、当面ほぼこの水準は妥当なところであるというように私は考えます。ただ、マネーサプライ、特にMについては今後過大にならないように注意していくということが必要であるというように考えます。 以上をまとめて申しますと、私の申したいことは、この程度の公債発行自体によって直ちにインフレが生ずるということはない。ただ、過剰流動性やインフレ心理が再発しないように、厳に政策的な警戒を続けていく必要があるということでございます。 次に、当面の特例公債の発行についてどう考えるかという点でございます。すでに述べてきました点からも明らかでありますように、五十一年度の経済について考えた場合に、多額の税収増を期待できない状況でございます。他方、歳出についても大幅な歳出の削減を行うべき状況ではないというように判断されます。で、歳出の構成につきましては、これはいろいろの考え方があると思います。私自身も多少の異論がないわけではございません。しかし、歳出の規模についてはほぼ妥当な水準でありまして、これ以上に歳出を削減したり、増税を行うというのは適当でないというように思います。そうであるとすれば、公債の発行額がこの程度になることはやむを得ないというように判断いたします。やや極端な言い方をすれば、公債の発行額というのは、本来、残渣項目——最後に決まってくる残りの項目であるというように言ってよろしいと思います。もちろん、厳密に言えば完全な残渣項目ではないわけでありますが、ほぼそのように言ってよろしいかと思います。つまり、社会的必要に応じて歳出の規模が決定され、景気の状況に応じて税額が決定されますと、残りとして公債発行額が決まってくる、そういう意味で残渣項目と申し上げたわけであります。で、特例公債はこの残渣の中のさらに残渣、つまり建設公債発行分を引いたものが特例公債となるわけで、そういう意味で残渣の残渣という性格を持っておるといってよろしいと思います。こういうように考えてまいりますと、特例公債の発行はやむを得ないし、必要なことであるというのが私の考え方であります。もちろん、これに対しては一方では、これではまだ不十分であって、さらに減税等を行うべきだという主張もございます。しかし、私はそういう考え方をとりません。 最後に、三番目の長期的な観点から特例公債についてどういうように考えるかという問題でございます。公債の発行が、いままで申し上げてきましたように、それ自身悪であるということは言えないわけでございますし、必要な場合には大量の公債発行をちゅうちょすべきではないというように私は考えております。しかし、公債の発行に全く弊害がないわけではございません。特に、安易な国債依存が行われますと、その場合には多くの弊害が生じてまいります。まず第一に、財政の節度が失われて財政規模の膨張が生じやすいという問題がございます。二番目に、公債の消化を促進するために、とかく金融政策がゆがめられて、それが通貨の増発につながり、インフレを招来しやすいという点が二番目の問題として挙げられるわけでございます。それから三番目に、公債費の負担が増加して財政の硬直化を招来するという問題がございます。四番目に、公債の利払いが所得分配をゆがめがちであるという問題が指摘されます。こういう弊害が一方にあるわけでございますから、したがって、財政の健全性を維持していくための工夫がどうしても必要になってくるわけでございます。もちろん、財政の健全性は経済の健全性に優先すべきものであるとは考えておりませんが、しかし、やはり財政の健全性を維持するための工夫が必要になってくる、つまり公債発行に対して何らかの歯どめが必要になってくるわけでございます。この問題は、財政政策の考え方の歴史でも非常に大きな問題の一つになっておりまして、古くは単年度財政均衡主義の考え方が世界的支配であったわけでありますが、その後安定予算の考え方が起こり、次いで完全雇用予算の考え方が起こってくるというように変わってきておるわけでございます。 二番目の安定予算の考え方と申しますのは、景気の一循環を通じて予算の均衡を図るべきであるという考え方であります。 それから、三番目の完全雇用予算の考え方は、経済が完全雇用の状態にあるときに予算が中立的であるべきである、つまり均衡すべきであるという考え方でございます。もっと日本の現状に即して申しますと、経済が完全雇用で着実に成長しているというような場合には、予算が均衡すべきであるという考え方であります。 これらの考え方にはいろいろの問題があります。で、私はこのいずれも必ずしも適当ではなくて、私自身は経済が完全雇用で着実に成長しているという状態では特例公債の発行を認めない、そういう状況のもとではできるだけ均衡財政を維持するということを一つの原則として将来財政運営を行っていくのが適当ではないかというように考えるわけでございます。 そのほかに歯どめの政策としては、市中消化の原則の維持であるとか、それから発行条件の弾力化等々、いろいろの対策が提案されております。それらはいずれも意味のある政策であるというように考えますが、しかし、それだけによって果たして歯どめが有効に働くかということを考えてみますと、必ずしも十全であるとは思いませんので、私は、完全雇用で経済がステディに成長していく状態では特例公債を出さないということを一つの政策の原則として今後財政運営をやっていくのが適当ではないかというように考える次第でございます。 以上簡単でございますが。 —————————————
○委員長(岩動道行君) 次に、原公述人にお願いいたします。
○公述人(原司郎君) 原でございます。 財政特例法は言うまでもなく、昭和五十一年度予算案と一体として考えるべきでありまして、両者を引き離してとらえることはできないことは言うまでもございません。そこで、昭和五十年度以降赤字国債の発行を不可避とした形での財政危機というような問題がどういうふうな事情で生じてきたかということについてまず初めに触れてみたいと思います。 で、この財政危機の問題は私は二つの要因によって生じてきたのではないかということでございます。 一つは、景気循環に対応した不況回避、不況克服といういわばフィスカルポリシー的な側面でございます。で、経済の中にデフレギャップが生じておる状態のもとでは、フィスカルポリシーの機能を発揮して需要を財政がつくり出していくという機能を発揮するということは必要なことかと思います。それは雇用の増大につながるわけでありますし、経済の安定にも資するということが言えると思います。しかし、もう一つの要因として、今日の財政危機が日本経済の構造に根差す構造的な要因によって影響を受けておるということを見失ってはならないわけでございます。で、財政危機は単に赤字国債の発行を不可避ならしめた一般会計にだけ生じておるのではございませんで、財政投融資あるいは地方財政に至るまで、いわば公共部門のすみずみに至るまで構造的な問題を提起しておるわけでございます。で、一般会計では本日この問題になっております赤字国債の問題が出ておりますけれども、 〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕 財政投融資におきましてもすでに五十年度以降、特に五十一年度予算案に見られますように、郵便貯金の伸びあるいは簡易保険の伸びその他資金運用部等、原資の伸びの著しい伸び悩みという傾向が出てきておりまして、そのために政府保証債の発行の急増を余儀なくされておる。それからまた、地方財政におきましても、地方債の発行額が昨年度に比べまして二倍に増大をしておるというふうなことでございまして、単に赤字国債だけではなくて、公共債の著しい増大という特徴が公共部門の全体に出ておりまして、したがって、赤字国債の問題だけとらえるという形では、問題はすでにとらえられなくなってきておるのではないかということでございます。こうした財政の危機の構造的な要因というものが、日本経済が高度成長から低成長に移行するそうした成長パターンの変化というふうな構造的な問題の中で生じてきておるとすれば、この循環的な要因はともかく、構造的な側面からすると、早急にこの公共債の累積が解消するというメカニズムにはないということになるわけでございます。もちろん、景気循環に応じてある程度の公共債の負担の上昇率の増減があるかもしれませんけれども、今後累積していくということだけは間違いないということでございます。 で、こうした問題をとらえてみますと、そこに幾つかの問題が出てくるわけでございます。 たとえば財政投融資につきまして若干触れてみますと、本年度の地方債の引き受けが、資金運用部資金の場合に減少しておりまして、その分が地方交付税特別会計に対する貸付という形で処理されておるわけでございます。したがいまして、増大した地方債につきましては、それだけ民間金融機関による消化が増大するという形をとっておるわけでございます。 そのほかのいろいろな問題が出てきますけれども、要するに今後の低成長経済の中では確かに公共部門の赤字幅、資金不足幅が増大するということから、公共債の消化を通じて民間資金を公共部門に調達していくという機構が非常に大きな意味を持ってくるということは言うまでもないわけでございますが、その場合に、たとえば財政投融資の原資に当たる資金であるとか、それから民間部門で消化したその公共債の資金の源泉にいたしましても、その四〇%は個人預金によって構成されておるということでございまして、こうした個人の貯蓄というものを吸収して、これを公共部門の資金需要に充てていくということの機構が今後ますます大きな意味を持ってくるということでございます。で、そうであるとすれば、やはり財政の持っておる福祉社会における機能というものを、もう一度見直す必要がないだろうかということでございます。 そういった意味で、この赤字国債の発行を不可避とするような現段階において、もう一度財政の歳出構造を洗い直し、また税制体系における不公正是正等いままで高度成長を支えてきました財政の体質に対してもう一度検討し直すという絶好の機会ではなかったろうかというふうに考えるわけでございまして、そうした再検討を抜きにして、赤字公債あるいは政府保証債、地方債の増発による財政危機の一時的な乗り切りという形で処理されるということは、きわめて好ましくない結果を招くのではないかということでございます。 次に、第二番目にこうした公共債の増大の金融的な効果、金融面への影響ということでございます。言うまでもなく公共債の大部分が、金融機関消化によらなければならないわけでございますが、この金融機関消化によった場合に、M1あるいはM2の増大をもたらすということは、すでに一般の方々の認めるところでございます。そうした場合に、もし適切な金融政策がとられまして、そうした過剰流動性を吸収していくということであれば、インフレーションを防ぐということが可能であります。しかし、言うまでもなく、今日の経済は現代資本主義に特有な価格機構といいますか、そうした何かのきっかけがあればインフレを大きく招いていくというふうな構造そのものがある。そこにいまの貨幣供給量の増大というものがビルトインされていくということになれば、きわめて今後はインフレを起こしやすい体質が強まっていくだろうということでございます。で、その上、国債発行を、特に国債だけでなくて、公共債の発行を大量に行っていく場合には、当然公共債の金利負担の軽減のために低金利政策を採用するということになるわけでございます。つまり、高度成長期における企業の設備資金の調達のための低金利政策から、公共債発行のための低金利政策へと移行していくということになるのではないかということでございます。すでに昨年秋の第四次公定歩合の引き下げが預金金利の引き下げを伴って実施された、この金利引き下げの効果がコスト効果を伴って景気の刺激に役立つという側面はきわめて疑問視されるわけでございまして、やはりすでにそうした意味で国債発行の環境づくりが進められておるのではないだろうかということでございます。で、わが国のように間接金融が優位であるような金融構造のもとでは、預金金利を低位に抑えまして、そして金融機関の資金コストをできるだけ引き下げて運用利回りを引き下げていく、こういう仕組みにあるわけでございますので、そこで、そうした一般の預金者は預金金利の高さが、水準が非常に低く抑えられるという結果を招いて、消費者物価の上昇率との関係で常に金融資産の目減りを生ずるという結果を招くのではないか、こういうことでございます。で、御承知のように、今日のわが国の金利は大部分が何らかの形で規制されておるわけでございます。自由に変動すると言われておりますコールレートもまた日本銀行の指導によって決められておる。そういたしますと、今後コールレートを国債の利回りよりも低水準に置いて、中小金融機関等の国債消化を単に準備資産としてでなく、収益資算としても保有させていく、こういう形で進めていくとすれば、低金利政策は全般の金利水準に及んでいくであろうということでございます。 で、今後公共債が累積していくということがかなり強く多くの方々によって指摘されておるわけでございますが、そうした長期にわたる公共債の累積は、長期にわたる低金利政策の持続というふうなことになり、その間、今日の資本主義経済に特有な物価上昇というものが避けられないということであるとすれば、常にインフレによる大衆の預金の目減りという問題、また同時に消費者物価の上昇と、二重の追い打ちをかける、そうした機構というものができ上がる、そういう懸念が非常に強いわけでございます。そういった意味で、国債の発行につきましては、規制金利ではなくて、金利機能の活用を通じて発行されることが望ましいわけでございますけれども、その場合は金融機関による国債の消化が恐らく現在の割り当て機構のような形では進まないということで、そうした態勢にもっていくことは不可能ではないか。 それからもう一つ、低成長のもとでは高度成長のような都市銀行を中心とした間接金融機構におけるオーバーローンを解消するという、いわゆる金融正常化の問題が出てくるわけでございます。で、恐らく今後増大される公共債の膨張に対しまして、そうした引き受けの主たる消化先でありますところの都市銀行のオーバーローンは当面解消しないということになりまして、つまり、日本銀行の信用供与というものが比較的安易になされるという形を通じて公共債の消化が進められていく。ここにもインフレーションヘの危険性というものを認めなければならないということでございます。 最後に、公共部門と民間部門との資金需要の調整でありますけれども、金利機能の活用によらない公共債の増発という形になりますと、やはりクラウディングアウトの問題が当然出てくるかと思います。景気が上昇すれば税収が伸びて国債発行額はそれだけ減るのではないかという議論がありますけれども、その間にはタイムラグが生ずるということを考えますと、非常に民間部門への資金不足という問題が当然出てくるのではないかということでございます。 以上のようなことでございますので、金融政策は財政政策とむしろ二元化して、財政政策の持っておるインフレ的な要因を断ち切る中立性の維持ということが望まれるわけでございます。 以上で私の公述を終わります。
○理事(中西一郎君) ありがとうございました。 —————————————
○理事(中西一郎君) 中川公述人。
○公述人(中川順君) 中川でございます。 最初に、公述に入ります前にひとつお断りしてお願いしておきたいことは、私、マスコミの関係の仕事を現在しておりますが、これから申し上げますことは、私の所属しております業界の意見でもなければ、また財政制度審議会の意見を代表するものでもございません。民間に籍を置きます一経済人の意見としてお聞きくだされば幸いでございます。 まず最初に、重要なる法案の審議の公聴会の場で意見を述べさせていただく機会を与えられましたことを非常に光栄に思っておる次第でございます。 結論的に申しまして、今回の財政特例法の法案の内容につきましては賛成でございます。私、民間の経済関係をやっております立場から申しまして、一日も早く本法案が成立いたしますことを強く熱望しているものでございます。その理由について申し上げたいと思います。 現在の経済状況につきましては、皆様すでにもう熟知しておられることと思いますが、現在のいわゆる戦後最大の不況と言われております経済の現況は、私ども日常その中におります者にとりましては、非常ないわゆる構造的な不況と申しますか、従来の循環的な方法によってこれを解決するということがなかなか困難な状況にあるように見受けられるのであります。はだで感じている実感と申しますか、その観点から申しますと、まさにこれは戦後初めて経験する現況ではないかと思います。もちろん、最近業績の回復等が見られることは事実でございます。しかしながら、その業績の回復と申しましても、それはよく言われておりますように、水面下の業績の回復の気配でございまして、これが定着をしているわけではございません。恐らく大多数の企業の期間損益、業績をとりました場合には、実質的には期間損益は赤字であるというように私は見受けられるのであります。数字の上では黒字になっておっても、これは資産の売却であるとか、過去の蓄積を食っておるとか、そういうようないろいろな操作によって業績を出しておる会社が多々あるやに見受けられるのでありまして、私どもがはだで感じますところにおきましては、経済のいまの現状というものは非常な深刻な状況にあると私は思います。かかる状況を放置しておくことは、日本の経済の将来にとりまして、ゆゆしき問題であろうかと私は思います。これをこの際何らかの方法によって解決しなければならないわけでございますが、その観点から申しまして、今後の経済運営の急務と申しますか、景気の安定的ないわゆる回復をいたすためには、在来の方法ではなかなか困難であろうかと思います。その根幹となりますものは、一言で申しますならば、財政政策の発想転換というものが要請されていると思います。民間の自力回復ということでは不可能であると私は思います。しかるがゆえに、財政による政策転換というものが要望されているし、また必要であろうかと思うのであります。そうは申しましても、現在の景気の局面と申しますか、現状は、長いトンネルの先に少し光が見えてきたという状況で、悪い方へは進んでいないように見受けられます。直接景気回復の原因になっておりますのは、輸出の回復であるとか、あるいは住宅建設の回復の気配であるとか、そういうものに支えられまして、マクロ的に見た場合の経済の回復というものは率直に申しまして、私どもも明るさの気配を感ずる次第でございます。 しかしながら、先ほど来公述の方から御指摘になっておられますように、現在のデフレギャップというものの残りと申しますか、うねりは、非常に大きなものがございまして、もっと端的に申しますならば、各企業が抱えております過剰雇用あるいは過剰設備、こういうものは解消していないのであります。大きな荷物としてしょっておるわけでございます。一方最終需要の方を見ますと、輸出は引き続き好調が予想をされております。これはある程度の見込みがあると思いますが、個人消費とか、あるいは民間設備投資などは依然として盛り上がりと申しますか、勢いというものが出ていないのが現状であります。したがって、今後の景気回復を円滑にして進めてまいりますためには、何と申しましても、先ほど申しました、財政面からする景気回復、経済の刺激と申しますか、その構造的な政策が展開される必要があろうかと思います。本来、財政政策というものは、景気回復的な直接のもちろん効果はございますが、基本的にはやはり構造改革的な要素というものを多分に持っていると思います。したがって、構造変化からくる現在の体質を改善して、将来の安定的な発展につなげていくためには、ここで財政の出動というものが要請されるわけでございまして、その基本になるのは公共投資の伸び、増加、これが決め手になると私は思うのであります。 ところで、先般成立いたしました五十一年度の予算は、前年度に比較いたしまして、いま申し上げました公共事業費の伸びを前年度の五十年度の当初予算に比較いたしまして二一%というのを増加と見込んでおります。このこと自体は非常に時宜に適した予算であると私は思いますし、きわめて適切な措置であるというように評価いたします。ところが、その財政支出の裏づけとなるための財源は、財特法案が、仮にこれが未成立に終わりますと確保をされないということになるわけでございます。これはきわめてあたりまえの事実でございますが、財源が確保されないということになるわけでございます。 たとえば、非常によくないかもわかりませんが、予算を自動車にたとえますならば、自動車が動くためにはガソリンが必要であるわけでありますが、そのガソリンが足りない。ですから、自動車は予算全体の航続距離を走れないということで、世上一部にはガス抜き財政という表現もあるやに聞いておるのでございます。そして、その特例法のいわゆる特例公債の全体に、歳出の中に占める割合は一五%に達しているわけでございますし、さらに建設公債の対象の事業費を差し引きますと一九%に達するわけでございます。したがって、大ざっぱに申しまして約二割というものが歳入欠陥の予算としてここに成立しておるという現実があるわけでございます。もしこの財特法が不幸にいたしまして万一成立しないということになりますと、財源がそれだけ不足して公共事業の事業量も減るということになりますし、ひいては一般的ないわゆる社会保障費であるとか文教施策その他の国政が停滞し、国民生活に重大な影響が出てくるというように私は単純に考えるのであります。 現在の経済の現状というものは、冒頭にややくどく申しましたけれども、先般行われました、現在まだ最終的には終了しておりませんけれども、春闘、安恒さんがここにいらっしゃいますけれども、春闘の結果を見まして、世上経営者が勝ったとか組合が負けたとか、あるいは逆の言い方とか、いろいろなことが言われております。私は、それはどれも当たっていないのでありまして、経営者が勝っているわけでもないのであって、いわゆる一けたの賃上げに終わったのは、何と申しましてもこれは経済がそうさしているのでございまして、この経済の実態というものはいかんともしがたいのであります。この経済を早く正常化していかなければならないというように思うのでありまして、この点からとにかく歳入面の完備と申しますか、完全にそろった、その積極的な五十一年度財政というもののすべり出しを、私は一日も早いことを期待するのであります。素朴な見方でございますが、とにかく財政は成立している、しかしその裏づけがないということは、どう理屈をやって説明しても、いわゆる素朴な民衆の、大衆に対して説明し切れないんじゃないかというように私は実は思うのでありまして、これは素朴なその大衆の疑問というものも、私はうなずけるのであります。 それから、赤字公債を発行するとインフレになるという議論が、先ほど館公述人からもそうじゃないというお話がございました。私は同じ意見でございます。もちろん赤字国債というものを放漫に出して日銀引き受けでいけば、それだけ信用膨張になってインフレになることは言うまでもございませんけれども、すべて経済政策というものは手放しでやる政策というものはないのでありまして、厳重なる公債管理あるいは市中消化の方法について万全を期していくということであるならば、また特例法は単年度主義をとっておりますから、毎年厳しい予算、国会の審議を経て決定されるものでございますから、それほど放漫なものが成立するとは私は思いませんし、歯どめ措置と市中消化の原則が貫かれるわけでありますし、しかもいろいろな手を当然とるという前提で考えますならば、先ほどもお話出ておりましたように、赤字国債即インフレという通念は間違っていると私は思います。したがいまして、その歯どめにつきまして善良な管理が行われるならば、いわゆる赤字公債を発行してインフレになるということにはならないと思います。もちろん景気の基調が過熱状態になっておって、その上にさらに国債を発行する、それで新規な追加需要が出てくるということになれば、当然インフレにつながるという心配もございますけれども、先ほど来の御指摘にもありますように、わが国の経済は高度成長から低成長へ転回しつつあることは、これは万人の認めるところであります。これは日本だけでなく世界的にそうであります。その中でのビルトインされた日本の経済の前途を考えます場合に、いわゆる戦後の高度成長時代は終わったということになるのでありまして、国債発行が経済に対して撹乱要素になるというようには私は考えないのであります。 結論的に申しまして、そういう観点から申しまして、財政特例法案が早期に成立して、公共事業投資が順調に行われるようになることを期待するのでありますが、仮にそうなった場合には、現在の水面下の回復と言われます業績の回復にもつながってまいりますし、その結果がまた税の自然増収にもつながってくるわけでございまして、まさにガソリンが入って動き出すという形になって、結局それが回り回って公債の発行を減額してくるということになろうかと思うのであります。 きょうの新聞によりますと、昨日のこの大蔵委員会で大蔵大臣が答弁されている記事が出ておりまして、それによりますと、公共事業費の予備費として計上されている千五百億円は不用になるんじゃないかというニュアンスのことをおっしゃっているように私は新聞で拝見いたしました。その分は当然そういう場合には特例債の減額に充てられることになるんじゃないかと、これは私の推測でございますが、そういうことにもなるのでありまして、要はこの沈滞し切ったるこの現在の不況の経済というものを、財政の面からの構造的な抜本的な政策によって、これを狂瀾を既倒に返すという言葉がございますが、それほどでないにしても、それほどのインパクトを与えて経済の上昇を図るということが、この際一番大事であろうかと思うのであります。ただ総論的には申し上げましたとおりではありますが、ただ私見として……。 それからもう一つ、よく世上言われております仮に万々一この法律が成立しなくても、財源的に建設公債があるからつなげるじゃないかと、したがって、それほど心配する必要はないという議論が世上一部にあるように聞いております。私はうでないと思うのです。実際の経済を運営しております者にとりましては、不安定な要素というものが非常に経営上の支障になるのであります、経済を運営していく場合の。したがって、それがいつ仮に夏なら夏の臨時国会で成立するとか、あるいは秋には必ず成立するというようなことがあればともかく、そういうものはあらかじめ国会で決定することはできないわけでありましょうし、したがって、そういう不安定な要素が大きく未解決のまま残るということは、非常に民間の経済界から見ますと、不安定な要素として景気回復にマイナス原因として作用するということになると思いますので、そういう面からも今国会での成立を強く希望しておきたいのであります。 ただ、これは私のまことに私見でございますが、この特例法は本来予算と一体的に運営審議されて可決成立すべきものであろうかと私は思うのでありますが、これが分離されておりますとこういうことになって非常なそごを来すということにもなりかねないというように感じます。そういう点もございますし、これから数年間というものは、大蔵省の表現によりますならば、昭和五十年度の前半までには特例公債から、赤字公債から脱却するといり計画をお持ちのようでございますが、仮にそうだといたしますと、この二、三年というものは毎年特例法によって国会の御審議を願っていくということになるわけでございましょう。そうしますと、やはり毎年歳入欠陥的な問題は起こらないという保証はないわけでございます。そういう点を私ども民間の立場から見ますと、ことしだけの問題じゃなくて非常に不安定な要素というものを感じるのでございます。したがって、こういうことができるのかどうかは知りませんけれども、特例公債はむしろ二、三年を一遍に発行できるような制度が可能なのかどうか、そういうことができるのかどうか、これは財政法の言う単年度主義と真正面からぶつかりますから相入れないことになりましょうけれども、とにかく少なくとも予算と一体的に御審議願って成立させていただくということが必要なんじゃないかと思います。それからもう一つは、最後に、公債を発行していく場合に何といっても消化の問題がございます。これが日本銀行引き受けで通貨の乱発に直結するということではいけないわけでございますから、中でも個人消化というものが非常に大事になることは言うまでもないわけでございます。この場合に、いまの十年タームの国債ではやや投資物件としては魅力に欠ける点があるんじゃないかというような気もしないではない。したがって、中期的な割引国債であるとか、あるいは欧米等でやっております貯蓄国債の発行というようなことも考えられないのかどうかというようなことを考えるのであります。 〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕 いずれにいたしましても、以上によりまして、私はこの重要なる財政政策の転換の根幹をなします本法案の一日も早く成立いたしますことを希望いたしまして公述を終わります。 以上でございます。 —————————————
○委員長(岩動道行君) 次に、安恒公述人。
○公述人(安恒良一君) 御紹介をいただきました安恒であります。 私は、五十一年度財政特例法に反対の立場で公述を述べたいと思います。 まず、私は次の四点について申し上げたいと思います。第一点は、財政支出の膨張の反国民的な性格について。第二点目は、負担の公平化と公債の処理の問題について。第三点は、公債のインフレ効果と歯どめの問題点について。第四点目は、公債発行にかえて。こういうことであります。 以下の問題に入る前に基本的な考え方を申し上げておきたいと思いますが、私は、何が何でも公債という財源調達方法に反対であるとか、どんな経済情勢でもそれがインフレにつながる、こういう考え方を持つものではありません。また、今日の財政危機、経済危機が国民生活にたとえば福祉の後退など重大な苦難を与えていることは事実であります。でありますから、財政の再建、こういうものについて労働者や国民が無関係であるとか無関心であってはいけないと思っています。しかし、以上のことは前提といたしますが、五十一年度の財政特例法による赤字の処理の方法については、私は以下のような理由で反対なのであります。 第一には、財政支出膨張の反国民的性格の中身に触れてみたいと思いますが、現在累積しつつある赤字はどのようにして生み出されたのかということ、現在の財政危機がどのようにして生み出されたのかということであります。御承知のように、現在のこの財政危機、赤字というものは、決して景気の循環の結果による一時的に生じているものではないと思います。ざっくばらんに申し上げまして、田中内閣以来の列島改造政策、それ以来のいわゆる安易な財政膨張、こういうものが、恒常的な原因に根差しているというふうに私は思います。そして、その後いわゆるオイルショックからくるところの狂乱インフレ、そして、財政金融の引き締め、いわゆるデフレーション、こういう政策が、続いてスタグフレーション、こういうふうにとられてまいりましたが、たとえば最近の五十年度補正、さらに先日成立をいたしましたところの五十一年度国家予算、こういうものを見ますと、私はやはりこの性格をますます強めているんではないだろうかというふうに思います。 たとえば主たる例を挙げますならば、本四架橋の同時設置や新幹線の設置などいわゆるかつての列島改造政策で準備されましたところの大型プロジェクトを中心とする景気対策であります。この路線は私は参議院の予算委員会のときにも申し上げましたが、投資財部門を中心とする需要増大を機動力といたしましたところのいわば大企業の利潤を増大させる、それによって投資成長率を高める、こういう路線であります。ですから、労働者的にわかりやすい言葉で申し上げますならば、基幹産業中心型あるいは大企業の利潤増大をてことする利潤優先型の景気回復政策がとられておるのであります。 こういうような反面、しからば私たち労働者国民のいわゆる社会保障福祉、生活という面がどのように考えられておるかということは、いわゆる私たちは国民春闘の中で福祉政策、社会保障の充実ということをいろいろ努力をしてきたのでありますが、残念ながら非常な後退をしている。たとえば、ことしの国家予算に組まれました社会保障の伸びが、対前年同月で二二・四%である。昭和四十八年が二八・八%、四十九年が三六・七%、五十年が三五・八%、こういうふうに見てまいりますと、いわゆる福祉元年と言われた以前の水準にまで戻ってしまっているのであります。私たちは、このようないわゆる反国民的な予算、そういうものの裏づけとしてつくられました財特法、こういうものについて強い批判を持っているのであります。 そこで、私はまずこのような公債を発行する場合には、政府といたしましては経済政策に対する反省が必要である、その上で国民的なコンセンサスを得るようにしなければならないと考えるものであります。 第二点目は、負担の公平化と公債の処理の問題についてでありますが、いわゆる公債発行というものがいろいろ公述人も述べられましたように、どうもここ一、二年で済みそうにありません。いわば恒常化しそうな現状であります。そういう場合に、われわれがまずやらなきゃならぬことは、税の負担の公平化が図られなければならないということだろうと思います。御承知のように、わが国の税制につきましては、いわゆる低所得者層、サラリーマン給与所得者、これには非常に厳しい税制であります。いわゆる税の累進度合い、源泉徴収の問題、たとえば学校を卒業した中卒や、高校の人自体にも、成人に達していない人の初任給にも税が課せられるという税制になっている。一方、大企業、高額所得者、不労所得者に対する税の優遇がいろいろとされています。たとえば、租税特別措置法などはいろいろの代表的なものである、こういうような問題の中で公債を発行した場合にどうなるか、いわゆる不公正がこのまま温存をされている、しかしいずれ発行いたしました公債というものは、これを償還をしなければなりません。この処理が大問題になります。そうした場合に、不公平な租税構造が残されておれば、今度は公債の処理の負担というものはまたぞろ国民や労働者大衆に私はそのままかぶせられることになる、こういう点が第二点目の問題であります。 それから、第三点目の問題といたしましては、公債のインフレ効果と歯どめの問題であります。現在の経済実態からするならば、私はこのような大量の公債発行は間違いなくインフレの激化に政府が引き金を引くことになるというふうに考えるわけであります。目下の物価情勢につきましては諸先生方が非常に詳しいわけでありますが、まず対前年同月比で大体まだ一〇%前後、こういう状況であります。こういうような状況の中で、各資本家、企業の皆さん方は景気が漸次回復をしつつある、需給ギャップがだんだんと縮小しています。こういうことを待ちかねたようにすでに価格引き上げを始められた。たとえば、鉄鋼価格の引き上げというものがすでに出ております等々、一連の各企業が最近になりまして価格引き上げを始めております。これが一つの問題点であります。 第二番目は、公共料金の広範な引き上げであります。幸いこの国会では国鉄運賃や電信電話料金の引き上げ等は成立しそうにないということを国民の一人として喜んでいるものでありますが、しかしながら、依然として政府は公共料金の引き上げを考えられておる。これが物価をリードすることは事実であります。経済企画庁自体が、たとえば国鉄運賃と電信電話料金等の公共料金の消費者物価二%の引き上げの波及効果を持っていると、こういうふうに政府自体も御発表であります。 それから、すでに金融市場におきましては、過剰流動性が発生しつつあるというふうに私は考えるわけであります。最近の株価のいわゆる上昇なり、土地の問題なり、いろいろ考えてまいりますと、またぞろ私は過剰流動性が発生しつつあるという状況になっているということを心配をいたしております。こういうような状況のもとに今回のような膨大な公債が発行されますならば、私はインフレ再燃の危険性がきわめて大きいというふうに実は考えるわけであります。 次に、公債発行に対する歯どめの問題でありますが、わが国の場合にはざっくばらんに申し上げまして、公社債市場というものが確立していないのが現状であります。そして国債の消化をめぐりまして、金融界と政府がお互いに国債消化を押しつけ合っているというのが私は今日の現状であるというふうに思います。その結果、一応いわゆる特例法によって日銀引き受けというものについて歯どめがかけられていますが、結果的にはいままでのたとえば、五十年度までにおける国債の消化状況を見ましても、やはり日銀が大量引き受けざるを得ない、こういうことになるわけであります。そういたしますとインフレマネーを累増さしていく結果になるわけであります。 しからば、ただ単に反対ということだけでなくて、今日の赤字財政をどうするのか、どのように考えているのか、こういうことがあると思いますから、私は公債発行にかえて次のようなことを考えればいいのではないかというふうに思います。 まず一つは、今年度国家予算の中における反国民的な財政支出の削減ということであります。私は公共投資全体を否定するものではありません。たとえば今年の公共投資の中でいわゆる産業基盤に使われる金が一兆九千五十億、五四%、労働者や国民の生活を豊かにするためのいわゆる住宅とか、下水道、そういう生活基盤が七千三百八十六億、二〇・八%で二対一の比率になっています。それからいま一つは、御承知のように、軍事予算の伸びも昨年に比べて一三・九%の防衛費関係の伸びがございます。こういうものを削減をして、いわゆる産業基盤、新幹線であるとか、本四架橋であるとか、そういうものとか、軍事予算、こういうようなものの削減というのが一つの方法だろう。 それから第二番目には、やはり私は租税負担の公平化を図らなければならぬ。租税負担、たとえば一番大きい問題でいつも問題になってなかなか進みませんが、たとえば租税特別措置法の廃止の問題があります。 それから財源といたしましては、第三番目には、私はやはり法人税の強化の問題がある。外形課税の導入の問題とか、それから法人所得への累進税率の導入の問題であるとか、たとえば交際費の課税強化とか、貸倒引当金の大幅縮小の問題とか、それからいわゆる全体的な富裕税の新設の問題があります。それから法人所有の土地に対する財産税の創設の問題であるとか、このような税制の強化という問題を考えるべきだろう。 で、ありますから、私の意見といたしましては、以上のような抜本的な改革を行う、こういう中で最終的に私は五十一年度の補正の中で具体的にどうするのか、こういうことを考えるべきであって、いま申し上げたようなことをしないまま安易に財政を膨張させていくような、いわゆる特例法について私は反対の意見を申し上げる次第であります。 以上であります。 —————————————
○委員長(岩動道行君) 次に、肥後公述人にお願いいたします。
○公述人(肥後和夫君) 御紹介にあずかりました成績大学の肥後でございます。五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案に関する意見を申し上げたいと思います。 五十一年度予算におきましては、総額七兆二千五百億円の公債発行計画のうち、財政法第四条第一項ただし書きに基づく建設公債三兆五千二百五十億円のほか、現在御審議中の特例公債法案に基づく公債発行額三兆七千五百億円が予定されております。五十一年度予算が成立いたしました現在、それと表裏一体をなし、財源的にきわめて大きな比重を持っておりますこの特例公債法が成立しないという事態は、財政の常識から言ってきわめて奇異な印象を受けざるを得ないと率直に申し上げざるを得ません。本年度予算は、日本経済の高度成長からの転換を円滑に進めますために非常に重要不可欠な推進力と見なされるものでございますので、その執行の間に総需要及び資金需給の総合的な計画に合わせて運営が整合的に行われるべきものであろうかと思います。そのような意味合いから、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案の内容と規模はやむを得ないと考えますので、できるだけ速やかに議会の通過を図られることが妥当であろうかと考える次第でございます。 以下にその理由を申し上げたいと思います。 この特例公債法案の予定しております公債収入は、中川公述人も指摘されましたように、五十一年度予算の中できわめて大きな比重を持っておりまして、これなくしては五十一年度予算の円滑な運営が不可能なことは言うまでもありませんし、また、ひいては現在きわめて困難な状況に置かれております地方財政の運営にも重大な影響を与えるものであります。日本経済は四十八年秋の石油ショックを契機といたしまして国内における国内資源の制約、国際的な同時インフレと同時不況への厳しい対応を迫られておりまして、高度成長軌道を修正しなければならないわけであります。五十一年度は四十九年度及び五十年度の緊急的な対応の段階を通過いたしまして、比較的落ちついた目で新しい成長軌道を中期的に展望しながらそのような軌道への軟着陸を図っていかなければならない時期であろうかと思います。そのための中心的な役割りを担っておりますのが五十一年度予算でありますから、年度間を通じて総合的な経済見通しとバランスのとれた予算の執行がぜひ必要であろうかと思います。 五十一年度に発行が予定されております歳入補てん公債は、昭和四十年度及び昭和五十年度のそれに比べまして額も一番大きく、かつ当初予算から計上されているという点でも過去二回のそれとは違っております。しかし、この公債の発行が必要になった理由は、日本の税制の景気感応性がきわめて大きく実質成長率が低下したことと、石油ショック以来の政策努力によって狂乱物価がかなり急速に鎮静化したことに対応して、ビルトインスタビライザーの機能がよく働いた結果であると思われます。景気感応性の高い税制が景気の悪化のより一層の進行を防止するために自動的な減税の機能を果たし、家計消費と民間投資の一層の低下に歯どめをかけているわけでありますから、現在のような急激な転換期における短期的な景気調整政策という観点からは、この自動的な税の減収を素直に受けとめて、建設公債の発行で対応できない部分は歳入補てん公債を発行することはやむを得ないと考えるものであります。また需給のバランスに余裕がありますし、かつ公債の市中消化の原則を尊重いたしますとともに、高次の金融の適切な運用が図られるものといたしますと、この補てん公債の発行によって需要面からインフレを起こすおそれはないと考えます。そして、その後でゆっくり時間をかけて歳出と歳入の両面にわたり総合的に長期的な観点から予算の規模、内容、税負担率等を国民経済と調和する健全な姿に改善する努力をすることが妥当でありまして、いますぐ支出の削減や大幅な増税を行うということは国民のコンセンサスを十分に得る上からも不可能であり、したがって、また不必要な不況を促進するようなことにならないためにも財政政策はタイムリーなものでなければならないと思う次第でございます。 しかし、これまできわめて長期間にわたって国民が高度成長下の財政運営になじんできておりますために、赤字公債の発行に安易な姿勢をとる場合には、財政の放慢化を招き、長い目で見た場合に取り返しのつかない事態を招来する懸念が大いにあると思います。したがいまして、財政法第四条、第五条の建設公債市中消化の原則は今後とも尊重されるべきであると思います。 この観点からいたしますと、今回の特例公債法案が、第一に、単年度限りになっていること、第二に、発行額は予算という形式で国会の議決により決定し、政府の自由裁量によるものではないこと、第三に、公債の借りかえを行わず全額現金償還を行う方針であること、第四に、第五条の国会に提出する償還計画におきまして百分の一・六の定率繰り入れのほか、前年度剰余金の全額繰り入れ、予算繰り入れ等を多用して、昭和六十一年までに償還に努力を傾注する姿勢を示していること、第五に、その場限りではなく中期的な財政収支の見通しに立って、遅くも五十五年度までに補てん公債依存を脱却する努力を払おうとしていること等から見まして、政府も赤字公債の歯どめには真剣な努力を払っているものと理解できる次第でございます。 以上のような理由でこの特例法案公債をやむを得ないものと考えたいと思います。 最後に、財政法第四条に規定されております財政運営の基本原則を、今後どのような姿勢で受けとめていくべきかという問題について私見を述べたいと存じます。 財政法第四条は、公債は建設公債といえども発行しない財政運営を理想としているかに思われます。しかし、経済の安定という観点から考えますと、民間部門において家計の貯蓄率が非常に大きくなるものと予想される反面、民間投資の高水準を高度成長時代のように期待できないという面もありますので、民間部門におきましては過剰な貯蓄が恒常的に発生する可能性があるかとも思われます。したがいまして、国民経済における総需要と総供給が適正な経済活動水準においてバランスするためには、公共部門において、政府部門の貯蓄を超える公共投資を維持することが必要になってまいります。また、社会資本の充実が必要であること、並びにその社会資本の建設費用の世代間の負担の公平を考慮する必要があること等を考え合わせますと、財政運営の健全化が達成された段階でも、建設公債の一定比率は完全雇用水準においても維持することが必要ではなかろうか。その水準が、現在はっきり申し上げられませんが、仮に、たとえば五%程度のものを考えて、まあ景気の状況によってその水準を引き上げていくというような弾力的な考え方を今後の経済情勢では考えるべきではなかろうかと考える次第であります。ただし、すでに申し上げましたように、経済理論的な立場からでなく、現在の政治社会的な状況を考慮いたしますと、赤字公債の発行につきましては、安易な公債依存を避けるために原則的に禁止する方が妥当ではなかろうかと考えます。 以上でございます。
○委員長(岩動道行君) 以上で公述人各位の御意見の陳述を終わりました。 —————————————
○委員長(岩動道行君) それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。 なお、青木公述人には都合により正午に退席されますので、最初に青木公述人に対して質疑のある方は順次御発言を願います。
○青木一男君 青木公述人にお尋ねいたします。 赤字公債等が累積した結果の財政上の憂慮すべき状態、また、物価その他に対する影響、この点に対するお考えは私もよくわかりました。それで二点お尋ねしたいんですが、第一点は、赤字公債を出さざるを得なかった理由は財政欠陥です。それで、青木公述人は、こういう状態はやむを得ないものとお認めになるのか、それとも、いやほかに方法はある、たとえばこういう財源があるではないか、あるいはこういう経費は削ればいいじゃないか、そういうようなやむを得るものかどうか、やむを得ないものかどうか、この点を第一点お伺いしたい。 それから第二点は、私どもは、この歳入法案というものは予算と一体をなすものだ、予算を決めた場合は、その財源に関する必要なる法的措置は整えておらなくちゃならぬものだ。税法については、大体、そういう扱いが慣例になっておる。ところが、この公債特例法については、まるで違った時期に、予算がすでに前に成立したのに、いまどき審議しているのはおかしいじゃないかと言って、先生方からおしかりを受けるのではないかと、実は私は思っておる。この点については、そういう予算の、もしこの法案が通らなければ、予算は欠陥がある、実行できない予算ということになる。そういう予算はあり得ない。予算の成立と同じように、また予算を決定した国会意思と不統一にならないように、そろえてこれは決めるべきものだと、こういう私はおしかりを受けるのではないかと思っておったのでございますが、その点のお考えを伺いたい。 この二点だけをお伺いいたします。
○公述人(青木信治君) 最初に、歳入欠陥をやむを得ないものと見るかどうか、そしてまた、もし、やむを得ないものでないと見るならば、しかるべき試案を示すべきではなかろうかという御意見のように第一点承りましたのですが、まず、歳入欠陥を来したということは、経済見通しの適正化を欠いていた、また同時に財政収支、とりわけ税収に関する見通しを著しく欠いていたということは決して否定できないと思います。しかしながら、もし、言うならば過去の問題でございます。しかし、その間の見通しの誤りということはやはり認識すべき必要がある、かように思います。同時に、そういう見通しのうちにこのような歳入欠陥はすでに五十年度の補正予算の際に十分見通されていたことでもございますので、しかるべき歳出に関する見直しの措置、あるいは租税収入を中心としたところの歳入の見直しというような措置も十分講じられる余地があったのではないか、かように思われるわけでございますが、そういう応急的な措置に関して十分なアプローチが試みられたというようには容易に感じられないわけであります。歳出に関しましては、先ごろ、特殊法人の役員の問題というようなことを初めといたしまして、しきりに検討が加えられつつあるように承っておりますけれども、こういったことに示されているような御検討をすでに昨年のうちに盛んに打ち出していてしかるべきであったのではないか、かように思うわけでございます。 また、中期財政展望と言われている試算が示されましたんですけれども、その前に、昨年秋、漏れ承るところによりますと、中期税制計画という案も一部に考慮されたと伺っております。こういうことに関しまして、緊急に取り組むということもこれまで見られていないということであれば、単にやむを得ない、やむを得ない歳入欠陥であったというふうに取り上げてしまうのはいささか納得いかない点があるわけでございます。 もう一点の、予算と今回の財政特例法、これとの兼ね合いでございますけれども、私はやはり予算の方面におけるところの規定、規制というもの、これはもちろん尊重されなければならないと存じますけれども、同時に法律における規定、これもないがしろにされてはならないかと思います。御存じのとおり財政法第四条における規定は、先ほども公述さしていただきましたとおり、申しましたとおり、財政民主主義の根幹に関する具体的な基調だろうと思われますので、こういった面を予算においてすでに決定されたから、それに伴って自動的に成立させるべきであるというような御意見が仮にあったといたしましたならば、それはまさしくこういった法律の規定をないがしろにするものではないかと思うわけであります。御案内のとおり、すでに地方財政において超過負担の問題がございます。こういう問題も実は予算ということに考えを束縛されて法律面の規定を尊重してこなかったあらわれであり、したがって、予算の決定とともに自動的に財政特例法も認めるべきであろうという御意見には従いかねるわけでございます。
○福間知之君 先ほど来から青木公述人も触れておられましたように、当面の最大の問題とも言える特例法案、赤字公債の発行に関しまして、仮に政府、大蔵省当局の中期財政展望五十四年ないし五十五年まで膨大な公債を発行するということを前提にして考えた場合には、これは赤字公債に抱かれた財政ということであり、さらに財政の硬直化がかなり心配されるということは言うまでもありません。当委員会でも先般来慎重な審議がしたがって続いているわけですが、簡単に二、三点御答弁を賜りたいと思うんです。時間がありませんので要約して申します。 一つは、日本における市中消化の度合いというのが非常に低いと、これは当委員会に出されました資料によりましても、また公述人が先ほど触れられた日銀の保有は四十九年度二九・七、その年に政府の保有が三九・四であります。合わせますと実に六九・一%、約三分の二が日本の場合はいわば政府、中央銀行の保有、これはアメリカの場合ちょうど政府、中央銀行で四〇・六、イギリスで大体二七・九、西ドイツに至っては一一・四であります。そういうのに比べまして、日本の場合は非常にしたがって市中消化の度合いが逆に言えば低いということになるわけであります。これは貯蓄率が非常に高いという日本の特有の状況とこれはうらはらになっているわけでありますけれども、その貯蓄率の高さのよしあしは別にしまして、いずれにしてもそういう状況であれば、私は数カ年にわたる膨大な国債発行ということについて、いわゆる市中からの牽制、歯どめというものの機能がきわめて不十分であり、安易に国債を発行するという危険が担われるのじゃないかと、この点について、いわば公社債市場のまだまだ未発達な日本の現状をどのように将来すべきであるか、改革をすべきであるか、この点が一点。 もう一点は、先ほど来言われましたようなM1、M2等通貨供給の問題をめぐって、へたをすればかなりのインフレーションを招くんじゃないか、こういうふうな危険、あるいは仮に景気の回復に伴って逆に民間の資金需要に対するクラウディングアウトが起こりかねないというそういう危惧、両面あるわけですけれども、いずれにしても日本のいわばいままでの金融政策の決め方、あり方、そういうものについて、日銀政策委員会等のやはりその秘密構造というものを私は改革すべきではないのかと、こういう意見を持っているんですが、先生方は専門の立場でいままで、わが国の金融政策にどの程度の意見の反映ということが行われてきたんだろうか。金融政策の独自性ということ、自由度を高めるということ、いわば国債発行に伴って、政府の政策に伴って、あるいはまたある種の利益集団の圧力に影響されるというふうな、そういう政策のきめ方というものから脱却をすべきじゃないか。かつてのやはり金融政策の誤りによって国民は多大の被害を受けたという事実にかんがみて、国債発行を必要とするいまの段階で非常に重要に思うわけです。 三つ目、最後ですが、簡単にこれは参考までにお聞きしますけれども、仮に、先ほども出ておりましたこれからの財源の確保という面でかなりの増税が直接間接を問わず予想される、それは自然増収、景気回復による自然増収、さらには新しい新増税対策、こういうものを含めてでございますが、そのこととの関連でいわばいままでの高度成長時代における企業に対する、あるいは大資産家に対する租税の特別措置について先般若干の改正が行われましたが、私はまだまだこれを改革する、そういう決断が必要ではないのかと、こういうような感じを持つんですが、以上三点についてお願いします。
○公述人(青木信治君) ただいま福間委員から御質問いただきましたが、第一点の市中消化の度合いが低いということをめぐりまして債権市場の未発達な現状、そういう現状をどのように改めて、そして恐らく国債の引き受けという市中消化の問題を円滑に行っていったらよろしいかという御質問のように承りましたんですけれども、この第一点と、それから第二点の今後の言うならば民主的な金融政策の決定ということに関する御質問でございますけれども、、私はこの金融のこういった点につきましては、はなはだ遺憾ながら専門外であり、本日は他に御専門の先生方おいでになりますので、またそういう御専門の向きから御意見を承っていただけたらというふうに基本的には考えております。 しかし、一言申し述べさしていただきますと、こういった市中消化の度合いが低いとき、これまでのような国債の中央銀行引き受け、あるいは国の手持ちという実情がそのまま続くならば、ただいまの御意見どおり、私は大変今後のインフレ問題につながることの危険、懸念というものは断ち切れないと、かように考えております。のみならずこのような現在の債券市場の状態を持続し、そしてこれまでのような国及び中央銀行における国債の保有というようなことが引き続き進められるということであれば、何らかの方法をとらなければ、結局先ほども申し上げましたけれども、財政の硬直化ということに示されているところの状態、そしてそれがやがて国民に転嫁される、国民の負担となるということを考えますと、場合によってはそういう問題をより安易な方法、たとえば最近きわめて取りざたされるようになりました調整インフレという方法によって処理されると、財政の方の概念でまいりますと、インフレによる公債の破棄というような事態、こういうこともあながち否定されないんじゃないかというふうにさえ考えられるわけでございます。 そこで、最後の財源の確保の問題でございますけれども、これもいま福間委員の御説どおりでございまして、新しい財源構想というものが必要ではなかろうかということで、ただいまもほかの公述人よりたとえば法人税の累進化あるいは富裕税の創設、法人所有財産税の導入というようなこと、こういうことが考えられる。そして所得税の累進化の強化というようなこと、これは先ほど来申し述べられている租税特別措置ということを含むところの問題だろうと存じますけれども、それと同時に法人税の改正におきましては、とりわけこの費用収益概念というものが今日非常に不明確であると思われますので、累進税化するというような手だてを講じる前に費用収益概念の明確化というものも私はうたいたいと存じております。 十分なお答えにならなかったかと思いますけれども。
○福間知之君 ありがとうございました。
○委員長(岩動道行君) それでは青木公述人にはまことにお忙しいところありがとうございました。 引き続き御発言の方。
○大塚喬君 大変時間が限られておりますので質問も簡潔に、大変恐縮でございますが、お答えも簡潔にお願いを申し上げたいと存じます。 私は賛成の公述をされた三方に一問の御質問、それぞれお答えをいただくようにお願いを申し上げます。 この財特法の審議を継続して、さらに今後何年かまたこのような赤字国債発行の情勢にあることを、大きな杞憂を持って審議に当たっておるものでございます。で、一つは、一体償還ということがどうなんだろうと。それからその段階になってその償還に伴うこの赤字国債の発行の後遺症というものはどうなんだろう。このことが一つの大きな杞憂でございます。で、六十年に書きかえをしないで全額支払いをすると。六十一年、二年、三年と、こういうふうに継続するわけでございますが、これらについてずばり賛成の立場をとっていただいた公述人の皆さん方からこうすれば心配ないと、こういうようなはっきりした御解明をいただければありがたいと思いますし、それらの後遺症というのはこうすれば心配ないんだと、こういうことについて、ひとつ御教示をいただきたいと思います。以上です。
○公述人(館龍一郎君) お答えいたします。 先ほども申しましたように私は公債を出すことは、一方で大変なメリットを持っておるというように考えております。他方、若干の問題があるという点は申し上げたとおりでございますが、国債を出すことによって経済が、政府が予想しているペースで回復していくということになれば、それによって償還の問題というのは、それほど大きな問題にはならないのではないかというように、私は考えております。非常に簡単でございますが。
○公述人(中川順君) 公債の償還につきましては、ただいま御質問の先生が御指摘になりましたとおり、通常の償還計画よりもシビアな政府の計画になっておることは御存じのとおりでございますね。これは時間のあれがございますから、それを、決まっておることでございますから繰り返しはいたしませんけれども、私は基本的に申しまして、先ほどの陳述で申しましたとおり、公債の発行をするということは、経済を上向きにするということにつながるという私の哲学でございますから、公債の償還は経済の発展に伴って当然償還されていくものでありますし、後遺症はなくて経済が逆に発展すると、景気が上向けば自然増収が出てくるわけですし、当然公債の発行は減額されていくと思いますし、政府の慎重なる大蔵省の財政見通しですら五十四年度ないし五十五年度には脱却できるということを言っておるようなわけでございまして、私は経済の発展が基本であって、そのために、その手段として公債を発行するということでございますので、もちろん、先ほども申しましたように、経済政策に手放しの楽観が許される政策というものはあり得ないのでございますから、それは慎重ないろいろな手当てを加えていけばよろしいのでありますが、何といっても経済の発展が基本であろうと思います。逆に公債を発行せずして、新しい税源による今後の財政補てん政策を考える場合には、その税目の新設には慎重な配慮が必要でございます。中期の財政見通しにおきましても、五十五年度までに三%の国民所得比の増が見込まれていることは御存じのとおりだろうと思うんです。その三%の増をいわゆる自然増収と見るのか、あるいは新税の設置によって三%の増収を見込むのかということは議論の分かれるところでございますが、いずれにいたしましても、兆の単位のオーダーの仮に歳入欠陥がある場合に、税の新設によってこれをやるという場合にはよほど慎重な配慮が必要でございまして、かえって経済の実態を損なうということにもなりかねないということでございます。 現在出ております歳入欠陥の問題につきましては、何と申しましても経済の実態というものが世界的な構造変化によって、オイルショック等をきっかけにいたしまして表面化していることから発生しておるわけでございまして、その経済の萎縮のもとにおいてはこれをもとへ戻すという政策が大事であろう。私は、そういう意味において、公債の償還というものにつきましては、心配していないというと非常に語弊がありますが、後遺症も残らずにかえって経済が発展するだろうと私は思うのございます。 以上であります。
○公述人(肥後和夫君) 公債はもろ刃の剣でございまして、適正な支出と適正な税負担、税制が決定されますその差額で出てくるわけでございます。ただそれがインフレになるとか、あるいは元本と金利をどういう税負担で償還していくかといったような形の、そういうような所得再分配上の問題も残ると思いますが、その十年後の償還を一体具体的にどうするのかとか、それから、五年後には補てん公債に依存しないような財政体質をつくるんだとか、やはりこれは財政運営に関するその政策責任を負う立場の方々のこれはもう決意であろうと思っております。非常に日本経済というのは情勢変化が激しゅうございますので、やはりその決意に基づいて、片や支出面の財政硬直化の打開に努力するとか、あるいは適正な税負担の税制を構築するとか、いろいろそういう中で、とにかく約束したことを責任を持って実行するということよりほかにないのではなかろうかと思っております。
○寺田熊雄君 館公述人にお尋ねいたします。 公債発行の歯どめ論というのは、昨年度から衆議院、参議院を通じましてずいぶん論ぜられた問題でございます。きょうは館公述人から大変、興味あるといいますか、示唆に富んだ御提言をいただいたわけです。完全雇用を確保するためにのみ許されるというふうな、極端かもしれませんが、そういうふうに理解できる御提言をいただいたのですが、それを歯どめとすべきだという御意見なんでしょうか。その立場からいいまして、現在通過はしておりますけれども、今年度の予算を検討した場合に、今年度の国債発行、ことに特例公債の発行ですが、それはそういう御提言にぴったりかなうものなんでしょうか、それをちょっとお尋ねしたいと思うんですが。 それから、中川公述人も非常に興味のあるお説をいただいたのは、ことに中期国債の発行の必要を強調されました。私も一般的な国民が購入する場合に、将来どういうふうな貨幣価値の変動があるんだろうか、物価はどんなに上がっていくんだろうかというような見通しは専門家でもできないんですから、一般国民にはとてもできません。ですから、十年の長期国債を買うなんてことは、これはかけみたいなもので、だれも見通しを持って買うもんじゃありませんから、できるだけある程度の見通しのできる五年ものとか三年ものとかというようなものを発行する方が適切じゃないかという意見を持っています、全部じゃなくてもですね。その場合に、大蔵省がそういう考えを持っておったようですが、一部の金融機関の反対でそれがいま延びておるようですね、意見の調整のため。それはむしろ中川公述人のような方が、進んでそういうある一部の金融機関のエゴに対してやはりある程度のブレーキをかけていただくことが必要じゃないかと思うのです。 それから、その国債を買っても、それが価額がいつも明白で、実際の価値がですね、それがまた自由に流通できるというような、自由な流通市場の育成が一層大事だと思いますが、その二つについて中川公述人にお答えいただきたいと思います。
○公述人(館龍一郎君) お答えいたします。 私、完全雇用の状態になれば、というようには考えておりませんで、経済が完全雇用で着実な成長をするという状態の場合に、赤字公債は発行しない。したがいまして、その場合には経済がほぼ適正成長率で成長するという状況になったときには赤字公債は出されないというのが一つの原則ではないだろうか。これも理論的に申しますれば、もちろん問題がないわけではございませんですが、ただ、実際政策の一つの目安としてそういうように考えるのがいいんではないか、こういうように思うわけでございます。そういう観点に立って五十一年度を見通しました場合には、これは当然赤字公債を出すべき状況である、こういうように考えております。
○公述人(中川順君) いまの御質問にお答えいたします。 先ほど私が冒頭陳述をやらしていただきましたときに、十五分の時間が来ましてあとはしょったような関係になりまして非常におわかりにくかったと思うんですが、いま御質問のとおり、私は、もちろんこれは私見でございますが、いわゆる赤字国債、特例国債を今後発行していく場合に、これは従来の公債と同じように当然市中消化によってこれを賄っていかなければならないということは皆さんもう御指摘のとおりでございます。現在は、御指摘のように、金融機関のシンジケート団でございますね、引き受け団、これによって引き受けていくわけでございますが、率直に申しまして、それにもかなり限度はあるんじゃなかろうかというように思います。どうしても消化に万全を期するためには、強調されておりますように、個人消化が非常に必要であることは言うまでもないわけでございます。その場合、その観点から申しますと、御指摘のように、十年国債というものはやや個人の利殖——利殖というと非常にあれでございますが、投資物件としてはやや長期に過ぎるのじゃないか。やはり中期的なタームのものが引き受けやすいんじゃないかというふうに私は思っておるわけでございます。その場合に、たとえば中期——中期が五年であるか三年であるか、これは技術的な問題でございますから、ここでは具体的にはどうということは申しませんけれども、いずれにいたしましても、十年でなくて、十年を長期とすれば、中期の割引国債であるとか、あるいは欧米諸国でやっております貯蓄国債であるとか、何かそういう妙味のある国債を発行することがむしろ大事じゃないかと思います。 それから、先ほど御指摘になりました大蔵省はそれを考えているらしいんだが、どうも金融機関の妨害にあってうまくいかぬのじゃなかろうかというお話がございました。私は別に直接金融機関に取材しているわけじゃございませんし、わかりませんけれども、そういうこともあるやに聞いております。したがって、おまえがいろいろな方面で運動してやれということでございますが、私も財政制度審議会の端くれの委員をやっておりますから、機会あるごとに私の持論は申していきたいと思いますが、御承知のとおり、いま金融機関につきましては、金融制度調査会で基本的なあり方についていまやっておることは御存じのとおりでございます。かなり抜本的な制度改革に発展するやに聞いております。そういうところでも取り上げられてくる問題でもございましょうし、とにかく非常に大きな国家存亡のときというと大げさでございますが、この危機を打開していく上においては、御指摘のとおり、エゴイズムというか、そういうものがあるということは非常に——もし仮にあるとすればそれは問題であると思います。ただいろんな預金であるとか、あるいはほかの公社債であるとか、そういうものとの競合がございますから、金融機関もやはりコマーシャルベースに立っていろいろものを考えなきゃならぬという限度がございますから、その辺での競合がございますと思いますが、やはりこの際は非常に多額の公債を消化する上においては、次元の高い協力というものが、当然金融機関側にも要求されるのではないかというように私は思うのであります。そういう点でお説をそれの参考にさしていただきまして、今後微力でありますが、いろいろの面に働きかけるという言葉は悪いですけれども、研究さしていただきたいと思います。
○寺田熊雄君 自由な流通市場については。
○公述人(中川順君) それは公社債市場の育成という問題は、先ほど安恒公述人が言われましたとおり、これはとにかく古くて新しい問題でございまして、なかなかいわゆる公社債市場の育成ということは実らない。これもいろいろ金融機関内部における利害関係が絡まるということもありまして、とにかくこれも私の私見でございますが、事、金融に絡まるとなかなか政策が円滑にいかないということはあるんじゃなかろうかというように思うんでございます。この点は先ほど来、公債発行しても問題は金融政策であるということが公述人の方からかなり出ているのも、そういうところに私はあるんだろうと思うんです。ですから、金融政策という問題は、いま御指摘のようなことがすべてかどうかそれは私もわかりませんが、多分にあるんじゃなかろうかというように思いますので、この辺が一つの今後の大きな課題であろうかと、こういうふうに思います。
○鳩山威一郎君 公述人の皆さん方に御意見伺いたいんですが、どうも拝聴いたしましても、やはり大量の赤字国債の発行というのは、私どもでもこれは大変心配な点を含むわけであるし、野党の先生方もその点はいろいろな立場の違いはありますけれども、手放しで大量の赤字国債をどんどん出すということではない。ただ本年度の財政処理としてはやむを得ないという方と、これは絶対反対だという方と分かれるようであります。やはり、個別の予算の、個別の、ここだけはどうも気にくわないというようなことはあろうかと思いますけれども、やはり財政全体を考えて、経済全体を考えて判断しなきゃならない問題ではなかろうか。 そこで、館先生に、先ほどのお話の中でインフレ招来の危険はあるかないかというお話、まことにごもっともだと思ったわけでありますが、さりとてやはり一番問題は、この長期展望ではないか、まあことしは仕方ないだろう、しかし先々一体どうなるだろうということが一番心配で、反対の方の心配も、先々大変心配だという点にあろうかと思いますので、そこで先ほどこの財政赤字というのは、アメリカあたりでは、建設公債とか、赤字国債とかいう区別がない、日本の財政法だけがそういうたてまえをとっているわけで、これは一緒にお考えいただいて、やはり戦後財政法の考え方は、この建設国債の枠内で財政調節というものも可能であるだろうということもあったと思います。特に日本では財政投融資計画というものがあって、あれ実は、みな国が資金を借り入れて大衆の蓄積で運用しているわけでありますから、財投計画と一般会計の借金とあわせて考えますと、大変な借金をしているわけでありますから、したがって、そういったものをみんな含めまして、財政運営はやっていくと、で四条のただし書きで建設国債でそういった財政運営が処理できるであろうということであったと思います。それが戦後最大の不況がきたと、不況もこれも大変外からきた不況が大きかったわけでありますから、これに対する対処をするというために、ついに四条ではだめになって、特例の措置をお願いすると、こういうことになっておると思うのであります。 そこで、私どもやはり先々の問題としては、たとえば完全雇用のような情勢になった場合には、やはり私はもう赤字国債はもちろん当然のことでありますが、建設国債でも、まあまあ一時財政制度審議会では五%以内というような結論を出したわけでありますから、やはり正常状態に戻ったときはそういうようなところまで戻るべきだ、赤字国債はそういった状態では出さないというだけでは——むしろ国債を減らしていくということもできないわけでありますから、その辺のお考えを伺いたいわけであります。 それから、財政と金融との関係につきまして、私はやはり大きな政策手段として、いつも同じ上向に向かってお互いに努力をしていくべきだと、こう思っておる一人であります。ところがまま、まあ財政が出過ぎるから、それじゃ金融を締める、そういうことも必要な場面もあろうかと思います。しかし先ほども戦後最大の危機を迎えた際の財政の態度と、金融の態度が、ややまあばらばらであったような感じもあって、昨年のこの大蔵委員会の冒頭に金融政策が、金融はまだ締めっ放しではないかということを申し上げた記憶があるのですけれども、最近はまた財政は大いにがんばっているけれども、どうも最近の新聞紙上では、どうも日銀はユーターンというような記事が出ている。そういう点につきまして、中川公述人の御意見をお伺いしたい。私見を申し述べますと、やはりいまの物価は上っている要素にはいろいろな問題があって、その企業がぎりぎりの線にきて、そうして価格修正は何とかしなければ企業はつぶれてしまうと、こう長い不況の間に、最初は過剰労働も抱え、価格もなかなか上げにくい不況情勢だということで、がまんにがまんを重ねざるを得なかった。それがセメントにしろ、鉄にしろ、いろいろ生産制限をして、何とかやらなければ、企業はつぶれてしまうではないか、そういった対策につきまして、私はやむを得ない面もあったのではなかろうか、そしてこれにオイルショック以後三年目でありますから、ことしのうちにそういった基本的な問題をできるだけ解決するのが賢明な方向じゃないか、それで安恒公述人にお伺いしたいのですが、やはり経済全体がよくならないと、やはり国民全体の幸せというものも達成できないし、社会保障の面でもなかなかうまくいかない。また失業という面がやはり一番大事な問題でありますから、やはり国民全体のことをお考えいただくようになって私は結構だと思うんですけれども、そこでやはり先ほど公共料金の引き上げはどうも絶対的に御反対のような発言があったんですけれども、私はやはり経済全体をお考えいただいて、やはり特に国鉄の問題などは料金の引き上げができない場合を想定しますとまあ大変なことになってしまう。まあ、七千七百億円の穴といいますと、これはちょっとやそっとで始末のつく問題でありませんし、全職員の七カ月分の給料にも相当するもので、まさにこれは大変な問題でありますので、これはまあ絶対御反対ということでなしに、ひとつこれはいろいろその国鉄の問題についてはあそこがいかぬ、ここがいかぬというのは大変あるのです、たくさんあるのですけれども、しかし全部解決するまで料金が直せないということになりますと本当にこれは困ってしまうわけで、その点をひとつなるべく早い機会に、オイルショックによるまあアンバランス経済の矛盾というものをなるべく解決をするという意味で、ぜひともこれをどう解決したらいいかということについて、これはいまここで色よい御答弁はいただけないとは思っておりますが、考え方についてどうしたらいいかということをお聞かせ願いたい。 以上でございます。
○公述人(館龍一郎君) お答えいたします。 財政の健全性というのが非常に重要であるということについては私も全く同感でございます。ただ、財政の健全性よりもさらに経済全体の健全性といいますか、そういうことが優先するというように考えて、そういうように考えましたときに、経済が適正成長率路線に戻るまでは、どうしても赤字公債の発行というのが避けられないのではないだろうかというように考える次第でございます。ただ建設公債と赤字公債については私は多少区別して考えておりまして、赤字公債と違って建設公債というのは、ある程度完全雇用で経済がステディに成長している場合でも発行されてしかるべきものではないだろうか、こういうように考えておる。ただ、そうは申しましても幾らでも建設公債を出してもいいというように思っているわけではなくて、やはりそこにはおのずから限度はあるだろうというように考えます。そうしますと経済の成長が鈍化してまいります状況のもとでは、ある程度やはりいろいろな形での負担がふえていくということも避けられないのではないか。問題はその負担に見合う支出構成になっていくかどうかということが問題になるということではないか、こういうふうに考えております。
○公述人(中川順君) 鳩山委員の御質問にお答えいたします。 財政と金融がどうもうまくいかない傾向があるんじゃないか、これは本来一体的にやるべきじゃないかという御指摘であったようでございます。私も率直に申しましてそういう気が実はいたしておるわけでございまして、先ほどの話の中にも事金融に絡むとなかなかうまくいかぬという話をしたのは、そういうところも関連しているわけでございます。よく金融は女性であるということを言われます。そうしますと財政は男性ということになるのかもしれませんが、そうするとうまく本来いかなきゃいかぬということなんですが、むずかしいのは男女の仲ということもありますから、逆にうまくいかぬということもあるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。それでよく金融サイドからいいますと、財政はかってなことをやっておって、しわだけが寄ってくるということを大体の人はおっしゃるんですね、金融マンは。しわが寄るということを盛んに言うんです。財政は逆にしわが寄るということは余り言わないんですけれども、どうも金融サイドから受け身の、パッシブな考え方が非常にある。どうしてもそういうところから慎重にならざるを得ないという体質があるんだろうと思うのです。したがって、この際、積極的に出なきゃならぬときにやはりちびるということがある。それから逆に早く締めていかなきゃならぬようなときに、まあもう少しということで逡巡をするという体質があるように私は見受けられるのであります。今後いわゆる特例公債の時代に入りまして、そういうことではいけないのでありまして、先ほども申しましたように、金融もコマーシャルベースだけに立たずに、次元の高いところで協力しなきゃならないということで、やはり国家的な使命が私はあると思うのです。今後は恐らくうまくいくんだろうと思いますし、日銀総裁も大蔵省の御出身の方でありますから、その辺は呼吸も合う——合わなきゃおかしいと思いますし、大いにうまくいくように希望するわけでございますが、いままでの、現在政府がとっておられます政策は、とにかく最高の目標を物価引き下げに置いているわけでございます。そしてかなりこれは強引な政策を展開しているということが不況をかなり強度なものにしていることも私は疑えないのじゃないか、もちろん物価の引き下げには大賛成ですし、一けたの物価が実現したということは大変な私は政治力だと評価いたしますが、何か物価一辺倒になってこれをやってきている、そしてかなり人為的なやり方によって圧縮しているというような印象もなきにしもあらず、そういうようなときにやはり財政政策と金融というものがちぐはぐになるおそれもあるんじゃないかと思いますし、やはり経済の実態というものに即した適切な政策運営というものがこれから特に要請されるんではないかと思います。 それから金融がうまくいかない、弾力性を失う一つの問題に、金利の問題があるわけですし、これは例の預金利子の問題で、これを政策展開をする場合に、これが一つの下方硬直性のがんになる、これは郵便貯金との関連においてそれがうまくいかないということが言われて、そこで大体金融が限界点が出てくるという問題がありますが、これなどは政府全体で、郵政省は政府の中の一機関にすぎないわけですから、政府全体の中でこれは調整すべき問題だろう、そうすれば金融政策もその中で円滑に動けるということもあるんじゃないか、何かあの辺が一つのがんになって、ちぐはぐなかっこうになっているんじゃないかという印象を実は受けるわけでございます。しかし、そういう点を今後是正していかなきゃいけないと思います。 それから財政は、先ほどちょっと申しましたけれども、基本的には構造的な政策が主体になるべきものであると思います。金融の場合には景気環的ないわゆる潤滑油的なファンクションというものが当然金融には課せられているわけでございすまから、その辺でも構造政策と、いわゆる循環政策といいますか、デーリーの政策とがかみ合っていくということが必要だろうと思うのです。鳩山委員の御指摘になりますとおり、金融サイドの問題というのはこれから——いままでもそうでございますが、特に検討していかなきゃならない一つの新しい課題として、研究しなきゃならないと思うんでございます。 以上でございます
○公述人(安恒良一君) 私に御質問は、直接公共料金——国鉄の問題のようでありますが、少し私も十五分ではしょりましたから、前段のところを申し上げておかないと……。私も前段で申し上げましたんですが、何が何でも公債という財源調達方法は間違いであるとか、それからどんな経済情勢でも公債を発行すればインフレになるなどということは言ってないわけです。これが第一です。 それから第二番目には、私はやっぱり国民の一人と考えまして、マイナス成長や不況が好ましいとは考えませんし、それから失業や操短がなくなって安定した経済の成長を求めることは当然だと思います、しかし問題になりますのは、それならばどんな方法でもいいのか、何でもいいのか、とにかく景気を回復すればいいのか、成長率を上げればいいのか、財政が赤字になるから公債を出せばいいのかということになると、私は目下の状況のもとにおいて赤字処理の方法として反対だということを申し上げました。それはなぜかと言いますと、私は前段に申し上げましたように、今日の財政危機というものは単なる一時的な景気循還の結果としての財政の不整合という性格の問題ではないんじゃないだろうか。一つは世界的なスタグフレーションの問題、わが国の場合に、そういう状況の中で低経済成長に移行するための構造的な問題を背後に抱えているんだ。そういう意味から言うと、財政の回復に当たって従来のとおりに財政運営上の技術的な対応、いわば収支のバランスと、こういうことではいけないんじゃないだろうか。やはり低経済成長に移行するに当たっての国家の財政政策というものを持たなければならぬのじゃないだろうかということを、私は前提に置きます。 でありますから、私どもから言わせますならば、私はやはり少なくとも一年ではなくて三年ないし五年ぐらいの中期的な財政政策をまず設定する必要がある、中期的な。その場合は単なる見通しでなくて、積極的な改革を実行する。こういうことが私は内閣の責任であると、こういうもとに責任ある計画を示す。この計画は国会においても公表されるし、国民にも公表される。それと同時に、今日のような状況の中で政府の政策の優先順序というものはやっぱり明示してもらいたい。それは、この前私は参議院の予算委員会で言ったんですが、すでに高度経済成長政策のもとにおいても、福祉型というのが国民の希望であったんです。でありますから、私は福祉政策論を明確にいたしております。 そこで、当面の財政としては四点ぐらいある。 一つは、いま私が申し上げましたような財政支出の削減と再検討です。第二番目には、税制の改正。それから第三番目には、社会保障財源の確立です。これはたとえば一つの例を言いますならば、税金における付加価値税の導入の問題とか、いろいろあります。それから第四番目には、私は国債の償還計画と好況時の財源の確保。 こういう私は私なりに四つの柱を立てているわけですが、そういうものがやっぱり示された中で、いわゆる国民的な私はコンセンサスが必要ではないんじゃないだろうかということを言っているわけです。たとえばいまさっき私に対する直接的な質問ではありませんが、償還計画自体を見ましても、政府がこの国会でお出しになっているもので、本当に国民が安心をした国債の償還計画になるだろうかということを検討しますと、私は償還自体がまた財政の硬直化に連なりはしないかという心配もこれは持っているわけです。 そこで、直接御質問の公共料金ですが、私の発言が絶対反対というふうにお聞き取りになったようですが、私も交通機関の出身でありまして、国鉄再建をどうするかというのは、非常に、私も運輸大臣の諮問機関の委員の一人で膨大な意見書を出しております。これは御参考に願いたいと思いますが、私はこういうふうに考えております。なぜ国鉄が今日あのような状態になったかというのは、基本的にはわが国の交通機関といたしましては、国有鉄道、それから地方公営企業が行っております交通機関、それから私企業で行っております交通機関ですね、等々たくさんあるわけです。これに対して、いわゆる国家としての抜本的な、基本的な交通政策というものがあるんだろうか。たとえば私企業と国有鉄道の持つ分野の問題、それからたとえば貨物輸送、トラック輸送と国鉄の貨物が持つ分野の問題等について、基本的な計画があったかというと、戦後一貫をしてそういうものについて基本的な計画を持たないまま今日に来たというところに一番問題がある。ですから、いたずらな交通機関の競合問題もたくさんある。たとえば国鉄自身は、これ先生たち自分でお考えくださるとわかりますが、国鉄を設置する場合には、国民の足の確保ということで、当初から赤字路線になることを承知の上でお引きくださるのがたくさんある。中には政治が絡みまして、国鉄引けば選挙のとき有利だということでお引きくださる方もたくさんあると聞いておりますから、そういうようないろいろな問題があります。ですから、私は国鉄の赤字再建については、短時間で申し上げられませんが、そういう抜本的なやっぱり改正をする中でやって、それから公共料金というものを私は資本主義社会の中において絶対上げてはいけないとは言ってない。上げるなら上げるらしくやるべきことをやって国民のコンセンサスを得る方法でやる。たとえば一つの例を挙げますと、国鉄でも私鉄の場合におきましても、通学なら通学に対する割引をやっています。ところが、通学割引に対してたとえば私企業の場合においては、それは私企業の負担でやらしている。国鉄の場合には国鉄の赤字の原因にそれが一つなるわけなんです。ですから、そういうものは欧米先進諸国を見ますと、通学割引については国家財政の投入というものがこれは一つの方法としてあるわけですが、いろんなやり方をやった中で、なお赤字というときに、私は十分な国民の総意を聞きながら、公共料金というものが上げられていくということについて、私どもは公共料金というのは永久不変に据え置けなどということを言っているわけじゃない。ただ私がきょう申し上げたのは、膨大な赤字公債発行と今回の国鉄運賃の改正なり、それから電信電話料金の改正等の一連の公共料金の引き上げというものが連動してインフレの危険はありはしないかと、こういうことを私はこの席上で指摘をしたわけでありますから、まあ国鉄運賃のあり方についてはまた改めて、鳩山さんも大蔵の事務次官までされておって非常に詳しい方ですが、私も交通機関の出身でありますから、いずれまたゆっくりいろいろお話をしたいと思います。
○矢追秀彦君 初めに館先生とそれから原先生にお伺いをして、次に安恒先生にお伺いいたしたいと思います。 館先生は、過剰流動性は心配ないというお話が大体においてございましたけれども、私はかなり心配をしておる方でございます。現状においてはまだ景気回復がそう軌道に乗っておりませんので、まだ資金需要の面においてはそうそれがないと。そういうことで政府としては、政府といいいますか、日銀といいますか、国債についてはかなりいま銀行に買わせておられる状況ですね。いまのところこれでもっておるわけだと思うんです。今後景気が回復してきた段階において、その辺がどうなってくるのか。 あわせて、物価の上昇が大量の赤字国債の結果のインフレという問題が出る以前に、現在の物価上昇はいろんな要因がございますけれども、それはいままで建設国債中心にいろいろきたのが回り回って影響しているということも言えるんでしょうけれども、それ以上に石油ショックに見られるような、いわゆるコストプッシュというものがかなり大きな要因になっておることは否めない事実ですから、そういうものがどんどん上がってきた段階、そして景気の回復過程、そういったときにどうなるのか。やっぱりそこで最終的にはマネーサプライということになってこないのか、その辺をもう少しお見通しを詳しくお願いしたいと思います。 その点は原先生も同じであります。 それから、先ほどクラウディングアウトのお話もございましたが、そういった場合にどうなるのか、金融政策とあわせてどう考えられていくのか、その点をお伺いしたいと思います。 それからもう一つは、いわゆるマネーサプライがどの辺が適正なのか、増加率等も含めましてどうお考えになっておるか、それをお伺いしたいと思います。 それから安恒公述人には、公共料金等の問題いろいろおっしゃいましたが、今度の五十年代前期経済計画で、私は非常なあれは政府としては無理をした計画だと思っております。というのは、成長率が六%、その中で赤字国債からの脱却も五年以内に図る。結局そうなりますと、増税以外の何物でもない。五十二年、五十三年でどうするか、最初五十二年で二四%ですか、こういうことも言われている。また経済計画の中では、税及び税外負担率が三%プラスになると、こういうことになって、それが一つは国民生活に大きな圧迫を来さないかどうか。それと、先ほど申し上げましたような一連のいわゆるコストプッシュインフレというのが強い要素になると思いますが、その辺で特に経済計画についてどうお考えなのか、その点をお伺いしたいと思います。 それから、ちょっとまた後でつけ加えて恐縮ですけれども、いまの問題も、ひとつ館先生と原先生にもちょっと済みませんがお願いしたいと思います。 特に三%増ですね、税及び税外負担率を経済計画で三%プラスしておるという点と、それから赤字国債からの脱却、この辺、ひとつ、もう一度お願いしたいと思います。
○公述人(館龍一郎君) お答えいたします。 私、過剰流動性の心配がないと申しましたのは、さしあたりのところ過剰流動性の心配がないということでございまして、もし通貨供給率がさらに高まっていくというようなことになりますとその危険があるので、金融政策は絶えずその点を注意して行っていくべきであるというように考えております。さしあたり過剰流動性の心配がないというように申しましたのは、マーシャルのkの値をとって考えてみた場合、確かに最近相当上昇してきていることは事実でございます。いまの傾向がそのまま続きますとマーシャルのkは恐らくトレンドの数値を超えていくということになると思いますが、さしあたりはほぼトレンドの値に近いところにありますので、そういう意味で過剰流動性の心配はさしあたりないというように申し上げたわけでございます。 ただ、私が若干危惧をいたしますのは、公債が発行された場合にはM2あるいは準通貨を含めたM2、それからM1についてもそうでございますが、これはやむを得ないパッシブ——受け身にどうしても供給されるものだというような、つまり国債が出されると必ず通貨がふえざるを得ないといったような考え方が一部に見られるわけでございます。これは実は金融政策の自主性を放棄する考え方であって、非常に危険だというように私は思っております。そういう意味で、そういう考え方が現在一部にあるのを早急に払拭する必要があるように考えております。 それでは、通貨の増加率としてどの程度が適当かということでございますが、M1で見て一五%を超えるという、それを超えるというようなことになってまいりますと、これはやや危険な状況ではないかというように私は現在考えておりますが、非常に明確に、その点そうだと断定することはちょっと差し控えさしていただきますが、そんなぐらいにいまのところ考えております。 以上で……。
○公述人(原司郎君) 金融政策につきましては、先ほどもほかの委員の方から金融政策の中立性という問題の御質問もございましたんですが、本来、金融政策を運営していく場合に、先ほどの館先生の御指摘もありますように、財政からの限界というのが非常に大きいわけでございまして、その場合に金融政策が財政政策の影響をできるだけ中立的にやわらげるということが望まれるのではないかというふうに私は思います。 それで、先ほどちょっと私が最初の公述のとき申しましたのは、M1、M2が国債発行で増加するだろう。そのときに、今後、景気の上昇過程に入りまして金融機関の行動がどういう形で出てくるのかという、そういう要素がありますけれども、対政府信用だけでなくて、対民間信用も増大するということになれば当然M2の増加率は非常に増してくるだろう。その場合に金融政策がそれをやわらげるような形で引き締めぎみにといいますか、そういう効果を発揮すればよろしいんですけれども、先ほど述べましたように、金融政策にとってはやはり国債発行に伴う人為的低金利政策という問題があって、ある程度金融緩和基調を維持していかなければならないんだ。現在は財政政策に対して金融政策は当面中立的であるというふうにいわれておりますけれども、それも先ほど指摘しましたように、現行は昨年来の低金利政策という形で進められておるわけでありまして、したがって、その場合の金融政策の有効性は国債が大量に出ない場合よりもはるかに弱いのではないか、こういうことで私は非常にインフレーションの危惧があるという懸念を表明したわけでございます。
○公述人(安恒良一君) 私は、二つの角度から先生の御質問にお答えしなけりゃならぬと思いますが、一つは、中期計画における政府が示していますところの、いわゆる国民全体の国民所得の伸びといいますか、それからわが国の経済の発展の成長率の問題がある、それと、いま一つ、御質問のいわゆる税収の比率の伸びの問題があるわけですが、私は、どうも、きょうは主として赤字特例法の問題ですから触れなかったんですが、私はやっぱりこれらの問題は、一つには、私はやはり雇用されていますところの労働者のやっぱり賃金が一つどう伸びるかということが、これらの問題とかなりやっぱり関係があるというふうに見ている。 これはきょうのテーマでありませんから私は余り触れたくないんですが、たとえば、この前も公述いたしましたように、ことしだけで見ますと、政府のやはり成長の伸び五・六というふうに考えていますが、春闘の結果が大体いまのところ全体で八%前後に落ちつきつつあります。こういうような結果で言いますと、八%に試算していないんですが、七%におさまった場合の試算では大体一兆九千億の需要の落ち込みがある、その場合におけるわが国の経済成長率にはやっぱり三・二の影響が与えられるということ等を、これは一般の金融機関が試算をしているわけなんです。そういうようなことで、ことしの春闘、私たち力が足りませんで、なかなか私たちの考えていたとおりいかなかったんですが、来年どうなるかというのはこれから先のことです。 そのことはさておきまして、いま直接御質問くださいましたところの問題でありますが、私はやはり赤字公債の償還計画というものがどうもはっきりしてない。はっきりしているという公述人の方もおいでになりましたが、私が知る限りにおいては、全額を現金償還するということで国債の累積残高の百分の一・六の定率繰り入れと財政法第六条に基づく余剰金の全額繰り入れ、必要に応じた予算の繰り入れの三つの方法が示されています。しかし率直に申し上げて、これで本当に償還計画に値するものだろうかどうかということになると、私はやはり不十分だというふうにこれらの問題を考えます。 そうしますと、結果的にどうなるだろうかということですが、これは五十年代前期経済計画概案の中で、国民の租税負担率を五カ年間に二%、それから地方税を加えると三%引き上げるということが示されています。これがいま御質問のところだと思います。それは政府から言わせると、すでに国民が増税にたえ得る経済体質となった、だから、いまは不況だからここ一、二年はやらないが、いずれそういうことでやるということで、一つの増税の柱に付加価値税というものが話題に大きく上がってきている。これは三木総理も、本会議の中でやはりこの付加価値税の導入ということについて考え方を示された。付加価値税というのは、これは私、税調の委員をしておりますが、これは逆累進課税でございまして、所得の低い人ほどに大きな影響を与えるわけでありますから、いま申し上げたような三%引き上げるということが非常にやっぱり国民生活に重大な影響を与える。一方、御承知のように国債の消化というのは、大体日本銀行へのたらい回しが三分の一から大体三分の二にふえつつあります。その結果、マネーサプライが御承知のように五十一年三月で前年同月比で一五・七とじりじりとふえています。それから卸売物価も高騰をします。ですから、これらの問題全体が複合して、インフレの危険と国民生活の圧迫と、こういうことで、先生の御指摘とおり、やはり私は増税という問題と国債発行という問題は非常に重要な、国民として関心を持たなきゃならぬ問題だと、こういうふうに考えております。 以上です。
○渡辺武君 館参考人に二点ばかり伺いたいと思います。 先ほど先生の御公述を伺っておりますと、インフレが起こるかどうかという問題を、需給のバランスがとれるかどうかという見地から御説明いただいたわけでありますが、この需給バランス論と、これは一九五〇年代の後半のアメリカの不況と関連しまして、不況下に物価が上がると、需給が緩んでいるのに物価が上がるのはなぜかという問題で、近代経済学の中でも反省が生まれてきたと、特にいまスタグフレーションと言われております不況下のインフレの高進ですね、需給が緩んで物価が下がるはずなのに上がっているというようなところから、理論的にも問題がいろいろ論じられているというふうに私伺っております。これは当然不況になると生産制限などをやりながら価格を上げるという大企業のビヘービアというようなところとの関連で見なきゃならぬというふうに言われているわけですが、なお昭和四十七、八年のわが国の物価狂乱、これもなるほど当時は需給の緊張の状態がありましたけれども、その主要な要因は、四十六年、七年に外貨が非常に流入して過剰流動性がたっぷり国内に蓄積されたということが大きな原因で起こったということはもう事実の示すとおりだと思うんです。特にいま問題になっております公債に関連したインフレの問題、これは経済過程で需給関係がどうなっているかということとは独立して、財政上の必要から大量の公債が出されて、これが日本銀行の買いオペレーション等とのかかわりでインフレマネーを経済過程に十分供給する可能性を持っているというところに私は大きな問題があると思うんですね。もちろもん、私、需給関係だとか、あるいは先生のおっしゃったインフレマインドだとかというようなものの作用を全然否定するものではありませんけれども、これらの見地に立ちますと、今後、経済が低成長の時代に入るというときに、まさに総単価で価格を引き上げるというような大企業のビヘービアもそれなりに強まってくるでしょうし、同時にまた他方ではインフレマネーが十分供給されるというようなことから考えますと、今後のやはりインフレーションの高進というのは不可避じゃないかと、赤字公債、その他の公債の累積に伴うインフレーションの高進というのは不可避じゃなかろうかというふうに思いますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。 それからもう一点、先ほど赤字公債は好況時には出さないようにする必要があると、歯どめが必要だということをおっしゃいましたが、わが国の場合ですと法制上公債発行の歯どめと言えば財政法の四条、五条だと思うんです。ところが、赤字公債の発行を認めていないこの四条も、特例公債の発行ということで事実上否定されている。それからまた五条の日銀引き受け発行というのも、一年たてば日銀が買いオペできるということで事実上これまた踏みにじられている。そうして国会の議決があればできるんだということで特例公債を毎年毎年出して、ほとんど公債発行については節度がなくなっているというのが実情だと思うのですね。こういう実情のもとでどのように公債の発行に歯どめをかけようとなさるのか、その点のお考えを伺いたい。 それから、中川公述人に一点だけ伺いたんですが、昨年の六月だと思いましましたが、財政制度審議会の中間報告の中に、長期財政計画を提示する理由として、今後国民に負担増を求めるためには長期財政計画の提示が必要なんだという趣旨のことが言われております。また、諸外国の長期財政計画についての検討をした中に、評価としてイギリスなどではこの長期財政計画を提示することによって、従来聖域と見られていた社会保障の分野に手をつけることができたというようなことも言われているわけですね。今度、大蔵省が五カ年間の財政収支試算を出したわけですが、これの意図するところもまさにそういうところにあるんじゃないかというふうに思われますが、先生の御見解を伺いたいと思います。
○公述人(館龍一郎君) それではお答え申し上げます。 第一の点でございますが、私、インフレの原因として需給バランスだけというように考えておりませんで、供給側の原因もインフレの原因としてあるし、さらにインフレマインドということも物価上昇、インフレ加速の要因として働くということを申し上げまして、さらに現在の状況を考えた場合に、供給余力の問題として現在行われているような生産調整等の供給抑制的な措置をやめるということを一つの前提とするということも申し上げたわけでございまして、そういう意味で、そういう供給側のその面に問題がないというように考えておるわけではございません。 それから二番目に、国債が出ていけば通貨の供給量が増大して、それがインフレを助長する可能性という点につきましては、私はその可能性を否定しているものではございません。そういう可能性があるためにますます金融政策は重要であるというように判断しておるわけです。 ただ一点だけつけ加えさしていただきますが、これは一方に失業の問題もあるわけでございますので、したがって、どの点に調和点を見出していくかという一つの価値判断の問題もどうしてもそこに含まれてこざるを得ないということをつけ加えさしていただきます。 それから三番目の歯どめの問題でございますが、歯どめについてはいまいろいろの対策が現に提案されておるわけでございます。たとえば発行条件の弾力化、それからもっと厳密な意味における市中消化の促進というような提案がございます。私もそういう提案に基本的には賛成でございますが、しかしそれらの措置が講ぜられれば、それによって歯どめの効果が真に期待できるかどうかというように申しますと、私はその点について若干懐疑的でございまして、そういうことがございますので、一つの歯どめとして少なくとも先ほど言ったような条件を維持していくということを原則にするということが大切なのではないだろうか、こういうように申し上げた次第でございます。
○公述人(中川順君) 渡辺委員の御質問にお答えいたします。 最初にと申しますか、財政の長期的な計画を策定して、これを明示せよという方向が昨年の財政制度審議会で決定されたと、これについてその後いろいろそういうものを必要とする声が方々にあるが、これをどう思うかという御質問だと思いますが、私実は昨年の、当時の財政審議会の委員ではございませんで、そのときの細かいいきさつ等につきましては申しわけなんですが存じませんので、その当時の中身につきましてはお答えを差し控えさしていただきますが、一般論で申しまして、財政の長期的なめど、計画というものを策定するということは必要であろうと思います。そしてその一つの現実、実際問題として、手がかりといたしまして、先ほど御指摘になりましたとおり、政府から財政収支試算というものが五十五年度までの見通しをまとめましたものが国会にも提示されていることはもう御存じのとおりでございます。ただ、財政収支見通しは歳出、歳入の各項目にわたりまして具体的な費目についてミクロ的な見通しと申しますか、財政計画ではないことは御指摘のとおりでございます。これは全般的ないわばマクロ的な一つの手がかりとしての試算でございますから、あれ自体がファイナルなものではないのは当然でございますが、ただ、財政収支見通しにいたしましても、これは将来の財政計画を策定する上での一つの前進であろうと私は思います。そこに出ておりますいろいろな指標、これは特例公債をいつまでに償還するかというめどが立たぬじゃないかといういろいろな疑問に対するファイナルな答えにはなっていないと思いますけれども、とにかくケースI、ケースIIの中身によって見ますと、五十四年度あるいは五十五年度までに脱却できるという見通しを、中身に持っておることは御存じのとおりでございます。大ざっぱに言って振替支出が期間どのくらいふえるとか、租税の国民所得比がどのくらい伸びるかというような計数はそこに出ておりますことは御存じのとおりでございますが、それじゃ歳出、歳入にわたりまして具体的な中期財政計画あるいは長期財政計画というものをなぜできないか、やらないかということでございますが、実際問題といたしまして、わが国の経済情勢というものは、情勢変化というものが非常に激しい、そのために長期にわたる財政政策を固定的にある時点で公表ないし策定するということは実際問題としてなかなかむずかしいのじゃないかと私は思うのであります。それで、そういうような情勢下に仮に社会保障費を幾らにする、あるいは細かい費目の支出項目について固定的な数字を掲上いたしますと、それがもう予算の先取り的なあれになりまして、それが実績になっていく、それがもうミニマムのあれとしてその上にさらに上積みになっていくという体質がわが国の場合には幸か不幸があると私は思います。したがいまして、計画自体が非常に弾力性を失って、非常に逆に不健全な財政状態に陥っていくという危険がありはしないかというように、私はむしろその点を心配するのであります。そういう心配がなければ策定すること自体は賛成でありますし、またすべきだと私は思いますが、ただそういう点がないのかどうかという問題を考えておく必要があるのじゃないか。簡単に申しますならば、それが最低保障的なものとしてフィクスされるというところに、長期計画あるいは中期財政計画というものを策定でき得ない基本的な問題点があるのだろうというように思います。また、歳入の面におきましても、仮に五十五年度までの国民所得比の税収の伸びが三%ということに一応財政収支見通しでなっていますが、あれを自然増収でいくのか、あるいは新税の創設でいくのかということは今後の大きな課題であろうかと思います。この時点において、それを付加価値税でいくのか、いわゆる富裕税でいくのか、いろいろな案はありますが、それをフィクスすることは、実際問題としてこれは不可能じゃないかと私は思うのであります。新税の創設ということについては、そのときの経済情勢あるいはいろいろな関係を勘案して決めるべきものであるし、そういう点から見ましても、あらかじめ五年なり十年のミクロ的な財政計画をつくるということは、それは非常に意味のあることであると思いますが、実際問題としての立場から言いますと、これは先ほど申しましたように、かえって硬直的なものになって財政を不健全化することになりはせぬかという心配を私はするのでありまして、お答えになっているかどうかわかりませんが、そういう感じでございます。
○栗林卓司君 最初に、館参考人にお尋ねしたいと思いますが、先ほどマネーサプライの伸びについて、これは不景気と受け取る見解は、それは間違っていると思います、金融政策としての主体性がなければいけないという御発言がございました。全く同感なんですけれども、たまたま拝見しました先生の御本の中身を引用しながら伺いたいんでございますが、日銀引き受けがなぜだめなのかということに触れながら、これは「国債の日銀引受けが金融当局の直接コントロールできない通貨量変動の原因となり、金融政策の運営を困難にする、という点にあると思われる。」全く同感だと思います。問題続けながら、「しかし、国債が低金利で市中発行され、それが一〇〇%消化されるように財政当局が金融政策当局の協力を要請する場合にも、事態はまったく同様であり、金融政策の本来の機能は失われる。」問題はここじゃないか。で、特例債の見合いは歳出になっております。それはそれで確定的に使いたいという、それは行政当局の意向もあろうかと思いますから、現在がそうであるように、全額よろしくとシ団との交渉になっておったと、こういう状況を踏まえながら、金融政策の主体性をどうしていったらいいか、逆に言うと主体性を保つためには、実は歳入項目としての特例公債の発行というのはある額なんだろうか、枠なんだろうか。仮に枠だとした場合に、そのときは歳出面の行政というのはどうあったらいいんだろう、これについてまず御所見を伺いたいと思います。
○公述人(館龍一郎君) お答え申し上げます。 第一に御指摘のありました点でございますが、国債の発行と、それに伴う通貨の増発のその局面だけをとりますと、いまお挙げになりました私どもの本に書いたとおりでございますが、通貨が出ていくルートとしては、ほかのルートもございまして、それをコントロールすることは可能なわけです。そういう意味で、金融政策が主体性を失わなければ、全体としても通貨量を供給することはできるはずだ、そのことは絶えず念頭に置くべきだ、というのが本日申し上げている趣旨でございます。 それから、二番目の額か枠かという点でございますが、必要でなくなればその発行をやめたらいいという意味では、明らかに私は枠であるというように理解しております。それでお答えになったでしょうか。
○栗林卓司君 補足して伺いたいんでございますけれども、公債発行という、公債発行と資金供給ということだけではなくて、さまざまな局面、態様が金融政策にあるという御見解でございますけれども、今日の金利を含めてこれまた過度に硬直している金融実態があるわけです。もう一つは、今日では引き締めを含めて政策の自由な選択幅があるかというと、これはまたなかなかむずかしいということを踏まえながら、今日の問題として公債はなるほど一〇〇%云々というように私は書いたことは書いたけれども、こっちにあるとおっしゃっているこっちの部分で、具体的に例示をするとどういう選択でございましょうか。
○公述人(館龍一郎君) 通貨が供給されますルートとしましてはM1で見ますと対民間信用というのが最大の項目になります。そのほか、その中にあるいは含まれるかもしれませんが、外貨の取得というようなこともその中に入ってくるわけでございます。でありますから、たとえば外貨の問題について、たとえばいまのような為替政策が果たして適当かどうかというような問題を含めて考えていきますと、そういうような面からの通貨のコントロールというようなことも可能であるというように考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 では、別な面で、先ほど来の質問と若干ダブるんですけれども、別な角度で最近のマネーサプライの動きについて重ねて御見解を伺いたいんですけれども、たびたび引用して恐縮でございますが、「国債発行が必ずしもインフレ的ではない」という御検証をなさりながら、括弧書きをしまして、「純粋にディマンド・プル型のインフレーションの基本的な原因は、あまりにも速やかに貨幣供給量を増大させる金融政策か政府支出をあまりにも速やかに増大させる財政政策にあり、国債政策そのものにではない」、これまた同感の点が多々あるんでございますが、今日のマネーサプライの増加率そのものが異常な数字であると私も思っておりません。とはいえ、昨今のふえ方が、では正常であるんだろうか、いまの御本の中でお触れになっておりますのもふえ方の問題、しかもこれからどうなるかということを含めて、その点についての御判断を伺いたいことが一つと、それからもう一つは、ちょっと局面変わりますけれども、純粋なディマンド・プル型のインフレという御指摘でございますが、昨今の経済実態をながめながら、実は供給側のコストプッシュ要因からの値上げ、物価上昇がほとんど中心ではないんだろうか。そのときに、コスト・プッシュ・インフレが顕在化するためには、超過需要は必ずしも必要ではない、その意味で現在超過需要があると私は思いませんけれども、需要の追加が実はコスト・プッシュ・インフレを顕在化させるという意味では、今日のマネーサプライの水準そのものも、そういう角度での見直しはあるいは必要かもしらぬという気がするものですから、あわせて伺いたいと思います。
○公述人(館龍一郎君) ただいまの御質問の第一の点でございますが、通貨供給増加率が急速に変動するということは、単なる増加率以上の問題を含んでいるというように考えます。そういう意味で最近の数字を見ましたときに、多少のぶれの速さということが全く気にならないと言いますと言い過ぎでございますが、総合的に判断しましては、私はいまのところは特に問題はないんじゃないかと、こういうように考えております。一つは、一時期少し落とし過ぎたということが今日の問題を生じているというように、もう少しステディに行動すべきであったというのが私の判断でございます。 それから二番目の、確かに供給側の要因が重要なファクターになり得るということは事実でございます。その点で私は、生産調整というような行動を、そういうものをできるだけ抑制するという政策、あるいは競争をさらに促進するという政策が望ましいというように考えております。そういう政策が同時にとられることを私としては期待いたしております。
○栗林卓司君 では、時間もなくなりましたので、肥後公述人と中川公述人に一問ずつお尋ねをしたいと思いますが、まず肥後公述人に対しまして、償還の点に触れられましたので、触れ方とすると、今回の特例債の賛成される理由の一つとして借りかえはしないと、そういう償還の決意があるから結構ではないかという御指摘があったと思うんです。それで、五十年度の特例債の場合に、これは借りかえしないで大丈夫なんだろうかと、まあある部局に聞きましたら、大体毎年摩擦的な黒字というのがこれやっぱり出てまいりまして、二千億、三千億は出るものである、十年足せば二兆円、三兆円だから、まあその辺はと、なるほどごもっともな話でございました。これが、剰余金がたまっていけばという一つの理屈づけにもなっていると思いますが、これは五十年度で使い切る勘定でありまして、五十一年度さあどうするかというと、実はこれ本当に借りかえができるんだろうかという不安がどうしても出てまいります。 それで、先ほどお述べになりました中で、貯蓄と投資の差については、個人部門の貯蓄率も高まっていくことであるから、それは公的部門として使っていかなきゃいかぬ、その方が適正なんだと。確かにそのように昭和五十年代前期経済計画もできておりまして、五十五年度で見ますと、政府部門が期待する余剰分というのは六兆三千億円、おおむね同額が建設公債として政府の財政計画に書いてあるわけです。で、五十六年度以降については特例公債を当てにしないで、いわばいまの全く正常な姿において、貯蓄と投資の差額を建設公債としながら公共投資を伸ばしていきたいと、まあこういう構えだと思うんです。そうすると、特例公債そこでは出てこないし、出てくるべきではない。ところが、六十年、六十一年になりますと、実はいま審議をしております借りかえがまとまって出るわけです。じゃあ、それ、単年度の税収増で補えるかというと、これまたなかなか常識では通らない。 そこで承りたいのは、肥後公述人は財政制度審議会の委員も御兼務だと思いますけれども、政府の方は五十年に続いていや五十一年も借りかえしないと言ったんです。決意としては評価するんだけれども、そういう将来へのいわば手かせ足かせをいまから決めてしまったということは、財政制度審議会としてはどう御評価になるのか、これまた肥後公述人の個人の御意見で結構でございます。いささか妥当性を欠くのではないかという御意見があって私はしかるべきじゃないかという点をまず伺いたい。 それから、原公述人にお伺いしたいのは、今日、戦後最大の不況の中で財政に対する期待が大変大きいというお話がございました。しかし、今日の実質経済成長率これが四%かその前後かわかりませんけれども、国際的な水準で見ると不況と言える数字では毛頭ない。したがって、今日の経営の実態が不況という言葉さながらであること、よくわかりますけれども、むしろそれは、この実態を不況と感ずる側に問題があるんではないか。財政もまた努力しなければいけませんが、きょうは民間の経済人としてというお立場でございますので、一体どうしていったらいいのか、みずからの改革としてどんな道があるのか、この点を伺っておきたいと思います。
○公述人(肥後和夫君) 昭和六十一年度に全額償還するということでございますが、その国債償還の財源は国債整理基金特別会計に繰り入れられまして、全体として処理されますから、まあその形式的に言えば三兆幾らの債務を償還するということは恐らくそんなに困難なことではない。やはり問題は実質的な問題であろうと思いますが、実質的な問題につきましてはやはり、まずその償還の財源をどうするかという問題の先に、要するに赤字公債に依存しないような状態を先につくることが大事でございまして、その点で今度の財政収支の一応見通しが問題になるわけでございますが、これはすでに御承知のように幾つかの前提を立てて、その全体の五十年代前期の経済計画の中にマクロのベースで整合的に合わせるとすればどういう形になるかということになっているわけでございます。ただまあ、そこでたとえば社会保障費の問題あるいは公共投資の伸びの問題もありますし、他方では税収の見積もりがたとえばその前半でかなり所得弾性値で高い数字を見込んでいるのではないかというような問題がなくはない。ところが、その税収の見積もりにつきましては、先ほども御質問があって公述人からお答えありましたように、まず自然増収がどの程度で、あるいは税法上の増税で一体どうするのかというようなことは今後の研究課題になっておりますので、そこを先ほども私申し上げましたが、そこらあたりはやはり現在のところでは、政府がとにかく借りかえないで、国債整理基金特別会計の第五条では借りかえることは可能なわけですが、借りかえないでやっていきますと、そのためにとにかくあと五年で赤字補てん公債を必要としないような状況まで持っていきますと、そのために努力しますというところ、いまのところはやはり責任を本当にとるのかどうなのかということを国民は監視するよりほかないと思うわけでございます。
○委員長(岩動道行君) 原公述人。
○栗林卓司君 失礼、中川さん、原さんと私が申し上げましたのは間違いました。
○公述人(中川順君) 原公述人ということで、私は安心しておったところが私に質問がきましたので、実は人ごとのように聞いておったんですけれども、大体現在を不況と見るのは不況と見る側に問題があるんじゃないかと、まさにそのとおりでございまして、長い昭和三十一年以来の、神武景気以来の高度成長期に日本の経済全体が、これは価値判断は別でございますが、非常に国際的にも発展したことはもう御存じのとおりでございます。その間において企業が非常に国際競争力を増しましたし、大変な力をつけて今日にきて規模も拡大し、設備投資も非常に高度の設備投資をやれまして技術革新も進めたと、これはみんな高度成長の中においてやってきたことでございまして、これが御承知のとおり今後減速経済と申しますか、低成長時代に石油ショックをきっかけにいたしまして移行していっているいま過渡期でございます。したがいまして、そこに摩擦的な現象が現在出ていることはもう申すまでもないんであります。私ども経済人としてと申しましたが経済人の代表でも私ございません、その一人でございますから、違った見方もあると思いますが、私のはだで感じております経済の実態というものはかなり深刻であるように私は見受けます。 いま経営側にとって一番何が頭にあるかと申しますと、雇用不安であります。高度成長下に過剰雇用と申しますか、抱えてきている従業員をどうやって維持していくかということが経営の最大責任になっておるわけです。ちょうどこれは国家の目的と同じように、国全体が完全雇用が政治の最高目標であると同じように、企業者としては従業員の完全雇用を、雇用不安をなくし雇用を維持していくことが最大の私は課題だと思いますし、現在それに経営者の人々は一番頭を悩ましているわけでございます。率直に、ドライに申しますならば、いまマクロ的に見ますと二割は過剰雇用じゃないかと私は思います、現在の時点においてです。これを景気回復にアジャストしながらどうやって維持させていくかと、首切りをせずにやっていくかというところにわれわれの苦労と申しますとあれで、悩みがあるわけでございまして、もちろん企業の中には大量の解雇をやっているところもあるわけでございます、これはもう御存じのとおり。あるいはそれですら間に合わなくて倒産に追い込まれているということはもう非常に多いわけでございます。そういうような状況でございますので、現時点を不況ということを言うのは言い過ぎで少しオーバーだというお話があるかもわかりませんが、私はまさに開聞以来の不況である、高度成長下に水ぶくれした面も当然ございますし、放漫になっていた点もございます。これを今後の低成長時代にアジャストしていくというためには、内部の構造改革をこれからしていかなきゃならないわけでございます。それにはやはり景気の回復が基本になるわけでございますが、五、六%の成長ならこれは低成長じゃないじゃないかと、高度成長じゃないかというお話もありますが、何せ、とにかく名目で二〇%近くの高度成長を続けていった日本の経済というものが、実質で五%前後と、中にはゼロ成長を唱える学者の方もいらっしゃることは御存じのとおりであります。そういう危険もないとは言えないわけでございます。そういうような状況の中でこの不況をどうやって打解していくかと、これは自立的に打解することは不可能であるということを私は最初に申し上げたわけでございまして、戦後第一回目か二回目の、最初の経済白書が出ましたときに、都留さんがお書きになった、国も赤字、企業も赤字、個人の生活も赤字という名文句がございますが、いまはそれに近い、近いというか、それに近いわけでございます。したがいまして、三年前には三〇%も賃上げをしたという時代はいまは夢物語となって、先ほど御指摘があったように一けたになって、ならざるを得ないと、これは経営者が勝ったとか組合が負けたとかいう問題じゃないんだと、経済がそうしているんだということを申し上げたのは、まさに現在の不況を物語っているわけでございます。 したがいまして、その一言で象徴的にあらわれておりますように、現在は私は不況と断定しているわけでございまして、しかもこの回復が下期にどうなるとかいう短期的な問題ではないというように判断しておりますので、財政面からする財政主導の経済政策展開によってこの危機を乗り切って、将来の安定的な成長につなげてもらいたいというのが私の考えであるということを繰り返して申し上げたいと思います。
○委員長(岩動道行君) 質疑は終了したものと認めます。 公述人の方々には長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して深く御礼を申し上げます。(拍手) これをもって公聴会を散会いたします。 午後一時三十六分散会