大蔵委員会 第11号
- 発言数
- 335 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/05/21
会議録
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会 を開会いたします。 昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法 律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○鈴木一弘君 最初に大蔵大臣には、けさの朝日でございますが、出ておりました、ほかのものにも出ておりますが、「三木退陣で大福共通認識」という見出しでこう出ております。そのことでお伺いしたいんですが、福田副総理が衆議院の物価等特別委員会で、「だれが政局の主導権をにぎろうと、司直の方向をひん曲げることはできない。いわゆる〃逆指揮権〃も含め指揮権をこの事件に発動するのは妥当でない」と、こういうことを言っていると、つまり、「いかなる政権ができても、政治のあるべき道を踏み越えて捜査をとり押さえるようなことは考えられない」と、こういうことを言っております。それに対して大平大蔵大臣が、今度は大平派の総会でしゃべったその中にございますのは、「いまの自民党の現状はロッキード事件が起きたから、こうなったのではなく、過去三十年の保守支配体制のもとで、アカが積もり積もってどうにもならなくなった。」と、こういうふうに言っている。これを「このさい、だれが悪い、かれがよいというのではなく、」と、こう言われておりますけれども、この両方の発言を見ますと、ロッキードの問題についてはだれが政権の主体者になろうと追及には変わりないというのと、一方はもうロッキードだけじゃなくて、長年のあかがたまったんだというお話でありますから、長年のあかかたまったいうことになっても、かわってもこれはだめなのかというふうにもとられる、両方の矛盾があるわけでございますが、その点ひとつ恐縮ですが答えていただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 政治に携わる者といたしまして、毎日反省を重ねて事に当たらなければなりません。自民党の現状も決して容易ならぬ事態でございまするので、だれがいい、だれが悪いの問題でなくて、みんながこの事態を深刻に受けとめて、総反省の上に立って事態の解決に当たらなければならぬという私の感想を率直に述べたものと御理解をいただきます。
○鈴木一弘君 その後で、「ボスも含め閣僚、党幹部みんなが責任をとってやめるのが筋だ。」と、こういうふうにはっきりおっしゃっている。これははっきり「ボスも含め」というのは恐らく三木総理のことを指しているんだろうと思いますが、これは全員が引責して辞職をし、そうして三木内閣を退陣に追い込むという——これは退陣になっちゃうわけですから、引責辞職となれば。その点はいかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 政治家の進退というのは、それぞれの方が自分の分別で考えることでございまして、人のことまで云々すべきものではございません。みんなが自分をなげうって当たるぐらいの決意でこの事態に処さなければならぬ、そういう気持ちで当たらなければならぬのであるという形容詞の意味で申し上げたわけでございます。
○鈴木一弘君 まあ、大蔵大臣の、ほかの人にだれがどうのこうの責任をと言っているわけではないというような、そういうことはわかるんですが、それならば、この国会がもうすぐ二十四日で会期は終わるわけでございますが、その後いかなることがあろうとも大臣自身は席にお残りになる予定なんですか、やめる決意なんですか。これから拝すると、当然いまの答弁から見ても人に云々を押しつけるべきものではないということは、みずから自分の道を、大道を歩いていくと、信じる道を歩いていくというふうに受け取れるんでございますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(大平正芳君) 出処進退というのは大事なことでございまして、天に問うてみずから判断することでございます。毎日毎日これまでもそのことは政界に入って以来考えてきておるつもりでございますし、会後もこの問題は、公人の出処進退の問題は真剣に自分の課題として考えてまいるつもりであります。
○鈴木一弘君 政治家になって以来出処進退については絶えず考えると、それでいまのところは、特に最近についてのことを私は御質問申し上げておるわけでありますが、その決意は最近においては特にさらに深刻にお考えになっていらっしゃるのかどうか、伺いたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) これまでも毎月、いつもは深刻に考えぬで、いま深刻に考えておるというようなことじゃなくて、政治家というのは毎日深刻に考えないかぬわけでございまして、これまでも深刻に考えてまいりましたが、今後も深刻に考えてまいるつもりであります。
○鈴木一弘君 この「ボスも含め閣僚、」あるいは党首脳全員がやめるのが筋であるという、責任をとってやめるのが筋であるという、これには「ボスを含め」ということが特に入っております。ということはそこに焦点をしぼられていると、こういう発言だと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) それは、だれが私の申したことを新聞に発表したのか存じませんけれども、「ボス」というような言葉を私使った覚えはないんでして、まあ政治に対して重い責任を持っておる者、私も含めて、退陣するぐらいの決意で当たらなけりゃならぬような事態だと思うと、そのぐらいの気位で、意気込みで当たらなければ、今日のむずかしい事態の課題にはなかなかこたえられないんでないかという私の心境を申し述べたわけでございます。
○鈴木一弘君 その後に、「自民党がそのようにして出直し、全党員の理解の上に立って党改革に取り組むのでなければ、総選挙、参院選に勝てるものではない。」こういうふうにおっしゃっておられるということですが、この「党改革に取り組む」という意味はどういう意味でございますか。つまり、いまの政権の、あるいは自民党自身の現在の体制というものを変えられるという意味が含まれているようにわれわれは受け取るんですが、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 自民党の現在、これでいいとは思いません。日夜自民党員も自分の党をよくしようと思って努力してきたと思いますけれども、いまなおとてもこういう状態で次の選挙に臨んでいいとはだれも考えていないと思うのです。したがって、党の改革ということは日夜忘れてはならない道標でなけりゃならぬと思っております。そういうきわめて当然なことを申し述べたわけでございます。
○鈴木一弘君 しかも、その「流れは変わるものではない。」とはっきり言われておりますから、一般論的にいまお話がございましたけれども、まあ現在の政治の大きな流れの中で、大臣が一歩踏み出したというふうにしか受け取れないわけであります。 もう一つは、「財特法案の推移によって自分が納得できればやめてもよいが、」と、まあその後に、「財特が通る、通らないということで、進退を決めるのはいささか腑(ふ)に落ちない。」と、こういうふうに述べられておりますけれども、「財特法案の推移によって自分が納得できればやめてもよいが、」というのは、これはどういう意味なんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 学術論文ではございませんで、私の心境を述べたのをだれかが新聞に発表したのだと思いますが、そう一々その新聞の記事を解説申し上げるわけにまいりませんけれども、私、心境を申し述べますと、従来財特法という大事なこれは財政政策の基本にかかわる立法でございますので、この成否というものは確かに大蔵大臣が命運をかけて対処しなければならない課題だと考えておりまして、この問題につきまして、わが国の国会の御理解が得られないということがはっきりいたしますならば、これは大蔵大臣としてはよほどの決意をせないかぬと思うのです、私は。そう従来考えてきたんです。しかし、幸いにいたしまして、この問題は、五十年度の法律も、五十一年度の法律も非常な難航でございましたけれども、五十年度もどうやら成立させていただきました。で、五十年度の財政は大変困難な状況でございましたけれども、運営上一応支障なく帳簿を締めることができる段階になったと思うのでございます。五十一年度の法律は、衆議院で円満に議決を了しまして、いま皆様のお手元にあるわけでございまして、大変国会が空白が続いて会期がわずかでございますにかかわらず、大変精力的に議長裁定の御趣旨に沿われて御審議をいただいておりますことは、大蔵大臣として感謝にたえません。そしてこれが議事が進んでおるわけでございまして、私は、この法律がわが国の与野党の理解を得て、成立しないとは考えていないのです。成立しないというならば、これは大変なことでございますけれども、そういう確信を私は崩していないわけでございますので、そういう私の進退というような問題について、これとの関連において問題にすることは腑に落ちぬということを申し上げたわけです。
○鈴木一弘君 まあこの問題は、大臣自身の心境の問題ですものですから、これ以上きょうはやめておきますが、昨日もお尋ねいたしたのですけれども、この財政特例法、まあ赤字特例公債発行の法律の条文の中に、この赤字国債の発行金額が明記されてないという点では昨日も質問いたしました。予算に定められているから、決められているんだからという理由を言っているわけでございますが、どうしてもこれは納得ができない。まあ戦前のはちゃんと法律にあった。戦後初めて当初予算からこういうふうに赤字国債が発行されるという事態は今回が初めてであります。そういうような——今回というのか、戦後では大分久しいことでありますけれども、この赤字国債発行というのは好ましくない事態です。これがこのままずっと今後の国債政策を決めていく一番の最初のものになるということは間違いないことだと思うんですね。そうするときに、昨日も指摘したわけでありますけれども、この法案がもしも成立したときには一つの先例になるわけです、法律案が。で、今度は財政特例法、赤字公債発行の、特例公債のこの法律さえ成立すれば赤字国債は幾らでも発行できる、つまり補正予算を組みさえすれば幾らでもふやすことができるということにもなりかねない。だから、当然やはり、私はきのうの論議を繰り返すようでありますけれども、これは法律案の中に発行額を明記してこなければ健全財政ということにならないと思うんです。これはもうどうして——ですから伺いたいのは、予算総則に金額を書いてあれば、この特例法には書かないでいいということにはならないと思うんです。両方に書いておいたっていいわけです。なぜこちらに書いたら支障があるんでしょう。こちらの条文に載せたらなぜ支障があるんでしょう、それを伺いたいんです。
○政府委員(高橋元君) 昨日も申し上げたことでございますが、戦前の財政法と申しますか、当時は会計法と言っておりましたが、会計法で予算という名前の法形式を使う場合は、歳入歳出その総予算に限定されておったわけです。したがいまして、国債の発行金額を予算をもって定めるということが制度的に排除されております。したがいまして、戦前の立法では——戦前の立法と申しますか、予算を含めましての、まあ当時の言葉で言えば帝国議会の協賛の形式としては、国債の発行の権限及び国債の発行の限度額、これはいずれも法律をもって定めるということがたてまえでございました。しかしながら、戦後の憲法及び財政法によりますと、たとえば歳入歳出予算以外に国庫債務負担行為、これは従前は議決案件でございました。それから継続費、一時借入費の限度その他すべて予算をもって定めるというたてまえに相なっております。 そこで、戦前との制度の差はただいま申し上げたようなことでございますが、立法政策としてそれではどうしてこの特例法について予算の定める金額の範囲内ということのほかに、法律で具体的な金額を書かなかったのかという御指摘でございますが、この点につきましては、今年度のただいま御提案申し上げております特例公債の発行法、財政制度審議会でいろいろ御審議をいただいておりましたその過程で、まあどういう立法形式にするかということもあわせて御審議をいただいたわけですが、昨日申し上げたことと重複いたしますけれども、公債の発行額は四条公債、四十年度特例公債、五十年度特例公債いずれも予算で定める構成をとっておる、戦後におけるこれらの公債についての立法例にかんがみ——これか一つの理由でございますが、この立法例と申しますのは、また私が先ほど申し上げた戦後の財政法規の立て方に基づいておるわけでございますが、もう一つの理由として、また特例公債の発行額は予算の歳入歳出全体のバランスの中で決められるものであるという点を考慮すると、五十一年度の特例公債の発行額は予算で定めるという構成をとることが適切であると考える、こういう御報告をいただいてそれに従っておるわけでございます。
○鈴木一弘君 その経緯を聞いているんじゃないんです。予算総則に書いてあった場合に、特例法の方には金額を書かないでいいということになるんですか、なぜこっちに書いたら不自由が起きるんですかと、起きないんじゃないですかと、こう聞いているわけです。
○政府委員(高橋元君) 国債の発行額、これは予算に即して決められるべきものである、すなわち歳出の中で普通歳入をもって賄い得ない部分をぎりぎり狭めてまいりまして、その金額を四条債であれ特例公債であれ公債として発行をお願いいたすわけであります。したがって、御提案のような構成をとるとしますと、そのようにぎりぎりに押し詰めました発行権限額、これは予算でも法律でも同じ金額でございます。その金額につきましてただいまの予算の立て方からいたしますと、予算の総則でも御議決をいただかなければなりません。また法律をもってしても同じ金額について御議決をいただかなければなりません。その点が立法上種々の問題があろうかということを考えまして、したがいまして、予算の定める金額ということにさしていただいたわけでございます。
○鈴木一弘君 それはいまの答弁からいくと、予算の方で三兆七千五百億、そういうことも予算総則で、これは確かに予算委員会で議決をし本会議で議決をしなければならない、そこで金額が出て、しかも特例法に出る、そうなると二重議決になるというような考え方を持っているようですね。だけど二重議決になるといっても、私は同じ三兆七千五百億円の赤字国債が出せるということが決まるわけです、そういうことなんですから、二重議決ということにはならない。それからどちらに従うか迷うこともないし、もし予算総則にも入れる、こっちにも入れるとか言ったって、出る金額は三兆七千五百億ということではっきり決まるわけですから、これは問題がないと思います。だから、そういう点では特例法の中に書いてはいけないという理由にはならないと思うんですね、その点。それどうですか。
○政府委員(高橋元君) 同一の金額、しかもそのよりどころといたしますところが、予算で、歳入歳出のうち、普通歳入をもって賄い得ない最小の金額、実体的にも同じ根拠の金額になるわけでございますが、その金額を同一会期内に、同一の院において二重に御審議御議決をいただくということが、立法政策として適当かどうか、これらの点について私どもは慎重な検討が必要ではないかと考えまして、ただいま申し上げておるような御提案をいたした次第でございます。
○鈴木一弘君 これは私はもう一つの非常に大きな問題点があると思うんです。それは私たち国会議員、特に参議院の場合においての、上院のいわゆる審議権の保障という問題に私は大きな影響があるし、問題点があると思う。というのは、予算総則の金額確かにございます。これを補正予算でもし上げるということで衆議院で議決をしたならば、参議院は何もしなくても三十日たてばそのまま有効になってしまう。これはもう憲法の規定のとおりです。だから、特例法に金額が書かれていれば、最初の衆議院で予算が通っても、あるいは法律案としての特例法を通しても、この特例法に金額があれば衆議院、参議院ともに増額が妥当であるか不当であるかというような十分な審議ができるわけです。ところが現在の憲法の上では、やはり三十日を経過したら、衆議院で議決以後三十日でもってこれは成立をするわけでありますから、そういう点では参議院の方は、これは増額の妥当性は果たして十分なりや否やということについての審議というのはできないわけです。これは実質的な財政に対する審議権というものを、政府が不当に干渉をして予算で議決を経た範囲内と、こう決めるということ自体が参議院の審議権というものを制約し奪っているとしか認められない。当然これは与党、野党の別なく、参議院において議決を必要とするように金額をちゃんと明示をするのが、両院の審議権を尊重することでもあるし、参議院の審議権を尊重することにもなるわけですが、そういう参議院を軽視している点ではこれは大問題だと思うんです。この点いかがですか。
○政府委員(高橋元君) 私ども参議院の御審議を、心から尊重いたしておりますので、審議を軽視するというような御指摘でございましたら、そのような気持ちは毛頭ございません。ただし、立法のやり方として、予算の総則の中に国債の限度額を書くという予算の立て方であります限りは、やはり二重に議決をしていただくという問題が生じてまいりますので、そこで法律をもって公債の限度額をお決めいただくならば、予算の方は歳入予算でその金額を受ける、こういうのが構成に相なるわけでございます。それが、昨日来、また先ほども申し上げましたただいまの財政法の立て方からして、やはり相当大きな深い検討を要する問題ではないかという考えで、五十年度も五十一年度も、先ほど申し上げましたような財政制度審議会の御検討を経て、ただいま御提案を申し上げている形になっておるわけでございます。これは、院の御議決を私どもは心から尊重をいたしておりますので、決してその点についてとやかくという気持ちでやっておるわけではないことは、重ねてお答えを申し上げておきます。
○鈴木一弘君 これは気持ちの問題じゃありません。参議院の審議をいいかげんでいいというような気持ちでやってもらってはたまったものじゃありませんし、そういう気持じゃないだろうということは重々わかりますけれども、参議院の審議権を大幅に弱めるということは事実です、二の案文でいけば、条文のままなら。これは大臣、どうお思いでございますか。私は、これは修正しなきゃおかしいと思うんです。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、政府の考えが別に間違っていないと思います。鈴木さんの言われることも、理解できないわけじゃございません。けれども、この問題は、参議院の問題は、結局、予算と参議院との関係の問題になるのではないかと、お話を聞いておって、そういう感じがいたしますので、別な立法をもちまして仮にそういたしましても、参議院と予算の関係が是正されるわけじゃないわけでございますので、いまの制度を前提といたしますと、政府のやって、予算で議決された金額という表現で立法さしていただきまして、立法権を損ねる、あるいは審議権に支障を来すというように、私はどう見ても考えられないのであります。
○鈴木一弘君 これはやはり私は、確かに憲法で定められておりますから、その範囲内のことはこれはしようがないことでありますけれども、しかしそれ以上に、参議院のいわゆる予算に関連するものの審議権というものを弱めるということは、これは行政府としてもまた、法案を出すときには重々考えておかなきゃならないことだと思うんですよ。ところが、先ほど申し上げましたように、ここに今回の公債で、特例公債として発行される金額が明示されないということは、今度は衆議院でまた補正をやって、黙っていて三十日、自然出立をしたと、そうすると、参議院の方では何もわからないうちにといいますか、審議をしないうちに——この法律で金額が決めてあれば、もう一度、金額を改定したので、審議をしなきゃならないわけです。それがないとなると、これはわれわれの審議権というものを大幅に侵害されることだけは、間違いのないことだと思うんです。 そういうようなことで、こんな重大問題をそのまま残したような法案というものは、これは明確な何か処置をとってもらわないことには、これから先審議が進められないんじゃないかとぼくは思うんですけれども、この点についてはもう一度伺ってみます。
○国務大臣(大平正芳君) しかし、根本は、法理論として、冷たい法理論としては、政府の言う理屈も確かに御理解いただけると思うのでございますが、問題は、特例公債というようなものについての政府の姿勢の問題に、結局は、究極においてつながる問題であろうと思うのでございます。衆議院におきましても、同様の御提議が、広沢委員、高沢委員のお二方から御提起になりました経緯もございます。したがって、私は、鈴木さんが御心配になるように、年度の途中におきまして、一たん法律で、予算で決められた金額、今日で申し上げますならば、この三兆七千五百億という金額を超えて、この特例債をお願いしなければならぬような事態が発生するというような場面に財政当局が逢着した場合、それでは今度は補正予算をつくりまして、衆議院の議決を経まして同じような手順を踏んでお認めいただくかというようなことは、これは慎まなければいかぬのではないかと思うのでございまして、財政当局としては、まず財政全体を見直しまして、特例債の増発を必要とするようなことのないように、歳入歳出全般にわたりまして再検討を加えてまいるべきでございまするし、今年度五十一年度におきましてそういうことはいたさないという決意でございますということを衆議院においても申し上げたわけでございます。 いま鈴木委員の御指摘で、政治的な御答弁で恐縮でございますが、法律論としての御答弁と申しますよりは、政府の政治的決意でございますけれども、本年五十一年度におきまして特例債を追加発行するというようなことを補正予算を通じてお願いするというようなことはこんりんざい考えていないと、そういう事態を招来しないように真剣な財政運営をいたしますということを、お約束申し上げたいと思います。
○鈴木一弘君 これはまあ立法論になってくるんですけれども、大蔵大臣のいまの御答弁伺っておりますと、いわゆる予算で総則に示された金額を超えるような、追加して発行しなければならないようなことは絶対五十一年度はしないと、そういうことの決意の表明、よくわかりました。しかし、それであれば、本来は、やはり法律の上にきちっと載せておく方か、法律案の中に載せておく方が私は本当だと思うんです。これは委員長にお願いなんでありますが、こういう参議院の予算の審議権を大幅に縮める可能性のあるこの法案の扱いの問題ですね、こういった処置では、われわれは非常に納得ができないわけでございます。その点について私は、政府に、今後はこうした法律じゃなくて、きちんとした金額を示すということで答弁をもらえれば結構なんですけれども、もしそういう答弁がないようであれば、理事会を開いて検討してもらいたいと思うんです。
○国務大臣(大平正芳君) いまの鈴木委員の御発言は、要するにこの特例債発行の歯どめの問題でございますので、そういう意味の問題提起だと思います。二重議決の問題等、法律的な問題も含めて、今後政府におきまして十分検討いたします。
○鈴木一弘君 これは明確な処置というのは、この法律はこれでこうなってしまった、いまここで修正ができて金額を入れられれば結構だけれども、いまの答弁だと二重議決のこともある、あるいは歯どめのこともある、こう言われました。しかし、私が言っているのは、参議院の予算の審議権というものを大幅に、いわゆる侵害してくる問題であるから、ここはちゃんとした金額を入れる、今回修正できないんであれば、今後はそういう金額が入るか入らないかということがまあかなめだと思う。参議院の審議権を侵すというふうな、こういう法律では、こんなものをいつまでもいつまでも認めるわけにはいきませんし、だから今後の保証なりなんなりがきちんと与えられなければ、これは質疑を続けることも困難です。だから、その点は理事会ではっきりしていただきたい、扱い方を。
○委員長(岩動道行君) 本件につきましては、昨日来の論議が交わされており、政府からも答弁がございますが、きわめて重要なポイントでございますので、政府において、さらに鋭意、将来にわたっての問題でありますので、十分なる検討をしていただくことにして質疑を続けさしていただきたいと思います。
○鈴木一弘君 私が要求したのは、理事会でどういう扱いをするかを考えてくださいと言っているわけですから、委員長独断での御返事だけでございましたので。
○委員長(岩動道行君) 政府においてもう一遍、それじゃ御答弁をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 理事会の方の御相談は御相談といたしましょう。政府の方は、いま私がお答え申し上げましたように、いま御提起がありました問題は法律的な問題もございますし、歯どめの問題もございますので、今後十分検討すると申し上げたわけでございますが、鈴木委員は、参議院の審議権の制約という問題提起がございました。これは法律論ではございませんか。
○鈴木一弘君 そうですね。
○国務大臣(大平正芳君) 二重議決の問題等、法律的な問題も含めて、今後十分検討いたしますと申し上げておるわけでございまして、その点も、憲法論でございますと思いますが、十分検討さしていただきます。
○鈴木一弘君 これは大臣の答弁はわかったんです。ですから、これは行政府としての問題よりも、参議院が参議院の審議権を侵されているという、そういう問題でございますので、大蔵の理事会において、今後の一体どうさるべきかという処置について、御相談をしてもらいたいと言っているわけです。
○委員長(岩動道行君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(岩動道行君) 速記起こして。 鈴木君の御要望に対しましては、後刻理事会において協議をすることにいたします。
○鈴木一弘君 公債の利子の問題で考え方をお伺いしたいんですけれども、この公債利子の持っている所得分配を、不公平にするんではないかという問題について伺いたいんです。 これはちょっと通告してないかもしれませんが、わかったらお答えをいただきたいと思いますが、一つは、中小所得者と、それからそれより非常に大きい所得者と、所得者の数というのが大分あるだろうと思います。いわゆる高額所得の人と中小、低額所得の人との数の比較というようなものがわかりましたら御答弁をいただきたいと思うんですが。
○政府委員(松川道哉君) 私どもの手元にございます統計は、それがあるいは政府が持っておるものであるとか中央銀行が持っておるとか金融機関が持っておるとか、そういう区分はございますが、ただいま鈴木委員の御指摘のような、そのような分類をした統計というのはつくっておりません。
○鈴木一弘君 次は、中小所得者階層が納めている税金の額の総額と、高額所得者の納めている税額の総額とは、いろいろ階層別にもあると思いますんですが、その差は、どちらが多いですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 所得税につきまして階級区分を百万、二百万、三百万、五百万、一千万、二千万というふうに切っておりますが、お尋ねの中小というのをどこに設定いたしますか、仮に三百万以下ということにいたしますと、その方々が納めていただいている税金は、全体の約一〇%でございます。
○鈴木一弘君 いま一〇%ですね。
○政府委員(大倉眞隆君) 失礼しました、違う欄を読みました。四四%でございます。大変失礼しました。
○鈴木一弘君 五百万以下だとどのぐらいになりますですか。
○政府委員(大倉眞隆君) 三百万と五百万の間の方が二〇・八%を負担してくだすっておりますので、約六五%でございます。
○鈴木一弘君 これは、公債をいま個人で所有している方々というのは一体どの辺の、いわゆる年間所得の階層の方々か多いでしょうか、以上が多いんでしょうか。
○政府委員(松川道哉君) 年間所得が幾らということになりますと、これはたとえば独身者であるとか扶養家族があるとか、そういったいろいろな問題がございまして、画一的な基準では把握しにくいんではなかろうかと思います。先ほども申し上げましたように、はっきりいたしました統計があるわけではございませんので、計数的な御説明が非常にむずかしいところはお許しいただきたいと思います。推測で申し上げますれば、ある程度流動性の預貯金を持っておる者、これがその次のステップとして国債に投資していただいておるのではなかろうか、このように推察いたしております。
○鈴木一弘君 それは当然の答弁だと思います。そういうようないわゆる流動性の預貯金を持っている者ということになれば、これは低い所得とか中ぐらいの所得とかということではないということを示しているわけです。先ほどの御答弁でも、五百万ということになれば、それ以下の人が六五%を超えているという答弁であります。そういう点から見ますと、この公債の利子を払う、そのためには税金をもって払わなきゃなりません。その税金を納めるのは中小所得の方から多くて、いわゆる利子をもらう、利子を取得する階層の方々からも出すでしょうけれども、全体から見れば中小の低い方から出していって、大きい利子を得るところの方へ行くということです。これは所得の分配の不平等を強化するだけのものだろうということです。つまり、中小所得者の所得を大所得者の所得へ移行していく、移転していくわけでありますから、私はそういう点からも昨日の答弁のように、わずかな月に五百億円でしたか、ぐらいしか大衆への国債消化が進められないということでは、これは富や所得の分配の不平等を激化するだけのものに最後はなっていくんじゃないか、理論的に言うとそうなってしまう。そういう点どうすればいいのかということを考えておられるんですか。
○政府委員(松川道哉君) まず第一に、この国債の利払いに充てられた原資がどういう種類の税金であるかということは、これはひもがついておりませんので、一般的な国庫の歳入の中からそちらへ回るわけでございます。この国庫の歳入をどのようにして国民の間に分担していただくかというのは、古くから税法の理論を通じて十分検討されておるところであると承知いたしております。その意味におきまして、この国債の利払いがその若干の部分は御指摘のように中小の所得者の負担にかかっておることは事実であろうと思いますが、しかし、やはり相当部分はそうでない方々からお納めいただく税金、その他の歳入にも依存しておるのでございまして、一概に中小の方からこれを納めていただくという御指摘が当たるかどうか私は疑問に思っております。 それからその次に、この国債を持っておる層は比較的富裕な層であろうということは、恐らく私もそうだろうと思います。ただ、しかし国が予算の歳入歳出を通じて行っております全体の政策というものは、その一部分を取り上げて議論するのは当たらないんではなかろうか、特に近代におきます財政支出をいろいろ検討するに当たりましては、この収入、支出両面をあわせて考えて、比較的富裕な人にどのような負担を求め、またはどのような恩恵を与えるか、比較的貧困な階層からはどのようにして負担をしていただいて、どのような恩恵を与えるか、こういったことが総合的になされておるわけでございますから、ただいまのような御指摘があるいはごく部分だけをとって払大してみればそのような面もなきにしもあらずかとも思いますけれども、予算制度全体としては、私は鈴木先生が御指摘のような面よりは、かえって予算全体を通じて所得の分配の公平化の方に向かっておる。そしてまた、そのように向かわせるのがわれわれの責務であろうと考えております。
○鈴木一弘君 よくわかります。その答弁の意味はわかりますけれども、やはりどうしても国債自身の持っている性格からいけば、いま言ったようなことが多くなってくるわけです。いまのは調達された国債の金額によって行うことを言っているわけです。私は利子の問題を言っておったわけですから、利子の持っている性格からすれば、やはり低所得から高所得の方へ所得の移動がなされる、移転がなされるということは間違いないことでございますから、そういう点ではさらに市中消化といいますか、個人消化というものを何か本気になって拡大していくことを考えてもらいたいと思うんです。 それから時間がありませんので、最後の一問になりましたんですけれども、租税特別措置法の第六十六条の四、これに「延納等に係る利子税の特例」というので、景気調整のための課税の特例がある。これを見ていると、延納をする場合に、市中金利の方が上昇したときには銀行から借りて納税をした方が安くなるということで、法人税を納めるよりも延納した方が得だというようなことがあったわけですね、一時。そういうことからこれが改められて、日銀の公定歩合の引き上げ、景気刺激になるとか、そういうことがいろんなことがあって、かえって設備投資を抑えるために公定歩合を引き上げると景気刺激になってしまうという逆効果になったわけです。そういうことから、その矛盾解決のために延納のときの利子について年本来なら七・三%のものを、一二・七七五%までの範囲内で引き上げられるようにした、こういうことがこれからは多くなるだろうと思うのです。 これと同じことは、同じく景気調整の問題で考えられるのは、予算総則の第十一条にある政府保証債、この政府保証債も今回の見ても、額面総額及び元本金額の合計額のそれぞれ百分の五十、つまり、五割に相当する金額の範囲内で予見しがたい経済事情の変動のときには出すことができるようにしてあります。つまり、そういう弾力的な運用をしている、するようになっているわけですね、この二つを見ると。ですから本当を言えば、国債の場合もいわゆるフィスカルポリシーとしてもやらなきゃならぬときもあるでしょうし、景気調整の機能も持たせなければならないでしょう。そういう意味か公債発行にはあるんだと思うんですね、一面。とすると予算総則の中で三兆七千五百億きちんと決める、あるいはもう一方の十一条の最初の方では三兆五千二百五十億円というように建設公債の金額を決めた。しかし、これを本当は上限とするわけですから、やはり政府保証債のときには五〇%増加ができていっぱいになるようにしてあるわけです。ですから二兆何ぼかにしておいて、いっぱいいっぱいにしたら三兆七千五百倍円になる、そういうような弾力条項というのをやはりこれは本来なら入れるべきが本当じゃないか。そういう予見しがたい経済事情があった場合は、そうする。現在のは、この間の御答弁のように、歳入が、租税の収入が多ければぎゅっと減らすことができるという、減額の方だけですね。そうじゃない方がいいんじゃないか。いっぱいいっぱいが三兆七千五百億というふうな、そういういわゆる自動調整的な機能というものをこれからは持たせるのが当然じゃないかという感じがする。法律二法においてもそういうふうに持ってくるのがあたりまえではないかと思うのでありますけれども、その点の意見を伺いたいです。
○政府委員(高橋元君) 公債の発行金額は、確定額として御議決をいただくべきか、それとも確定額にいわゆる弾力条項をつけていただくべきか、この辺は立法論としては非常にむずかしいところと思います。先ほど御提起になりました問題、これは御議決をいただく金額を法律に打ち込むか、予算に打ち込むかという問題でございますが、その問題とともに御指摘をいただいたのでありますので、真剣に検討をいたさねばならぬというふうに考えます。
○渡辺武君 大蔵大臣は、いままで赤字公債の発行は、異例中の異例の措置だということを繰り返し答弁されております。しかし、今年度の赤字公債の発行のやり方を見てみますと、昭和四十年度、五十年度とは、いわばさま変わりな発行のやり方をしておられます。いままでは当初予算を組んでみたところが、経済情勢が当初の見通しと大分外れて歳入欠陥が生まれたということでやむを得ない措置として赤字公債を発行するということだったと思うんですけれども、今年度は当初予算から、いわば当初予算の不可欠の一環として赤字公債が組み込まれているというような点、それからもう少し考えてみれば、この財政収支試算で五十三年度もしくは五十四年度まで赤字公債の発行を予定しているというような状況であります。これでは異例中の異例の措置どころか、そういう言葉があるかどうか知りませんが、いわば常例の措置あるいはまた恒例的な措置と言ってもいいかと思いますが、そういうことになっているんじゃないかというふうに思われますが、どうでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) その問題を判断、論ずる場合にお考えおきいただきたいのは、たびたび申し上げておりまするように、今度の不況は非常に異例な不況であったということでございます。渡辺さんも御承知のように、従来の不況はピークと底が比較的落差が少なかったわけでございます。生産水準でも三%内外の落差でございましたが、今度はピークと底の差が二一%強の落差でございます。こんなことはかってなかったことでございます。稼働率でも従来は八、九%くらいの落差があったんでございますが、今度の場合は二丁二%、二一%強のこれまた稼働率の落差が起きたわけでございます。その他いろいろございますけれども、いずれにせよ大変深い不況であったということでございます。 それから従来は一年内外で大体復元というか不況から脱出ができたわけでございますけれども、今度の場合、もう二年半たっておるわけでございますけれども、いまだにまだ完全に脱出できたとか言い得る状況でもまだないわけなんでございます。稼働率がまだ八六・四%でございますか、そのあたりを低迷いたしておるという状況でございます。したがいまして、この事態は正常に回復してまいって、それから吸い上げてまいりまする歳入が正常な状態になり、財政が正常に戻るというには相当な時間帯をおかしいただかなければならぬということでございまして、したがって、ここ二、三年まだ時間をかしていただかなければなるまいというように考えておるゆえんのものは、財政当局の財政政策がことさらそうしておるんではなくて、事態がそのような深刻なものであるがゆえでございまして、異例な状況であるということのためにそうせざるを得ないということであることを御理解を賜りたいと思います。
○渡辺武君 今度の不況が異例な、深刻な不況だということについては確かにそのとおりだと思うのですね。しかし、たとえば福田経済企画庁長官がよく言われる言葉ですけれども、今度の不況は全治三年間の不況だというようなことを言っておられます。もうことし三年目ですね。しかも、この財政収支試算の計算の根拠となっている経済成長の状況をこの説明で見てみますと、五十二年度、五十三年度の経済成長率は一五%だと、五十四年度、五十五年度は一二%だと、こういうことになっているわけですね。ことしは名目一三%ということになっているようでありますが、そうしますともう不況からずっと回復して、そうしていわば好況期に入るというのが五十二年度、五十三年度じゃなかろうかと、そういうふうに思います。それからまた五十四年、五十五年度というのは、若干一二%に下がりますけれども、しかし、よく福田副総理も言っておりますが、安定的な成長の時期なんだと、こういうことも言っておられる。まさに好況の時期、もしくは通常の経済情勢の時期、この時期になおかつ赤字公債の発行を見込むということになりますと、これは異例の措置どころか、恒例的な措置だというふうに見ざるを得ないじゃないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 福田さんがおっしゃっておられるのは経済の話でございまして、経済はともかく三年間の間に何とか正常な状態を取り戻したいと、またそれを取り戻すことができるのではないかという見当をつけられて努力されておるわけでございますが、これを幹として、それから養分を採取して生きておりまする中央、地方の財政でございますが、これはそれだけのずれがまずあるということは、専門家であられる渡辺さんも御承知のとおりでございまして、まずそのずれがどのくらいかかるかという問題が一つあると思います。それから財政はいままでこの彫りの深い不況克服のために、長い間公債の発行、とりわけ特例債の発行でつないできておるわけでございますが、それは累積してきておる。それは元本が残っておるばかりでなく利子を払っていかにゃいけないということでございます。そして、やがてはまた償還財源も積んでいかにゃいかぬということでございますので、それの用意をしてかからなければならぬのが財政の責任なんでございます。したがって、単年度だけの切り盛りというんでなくて、従来からのを繰り越してまいりましたいろいろな責任に対してこたえていかにゃいかぬという立場にあることも考えていただきたいわけでございまして、いわば一連の財政正常化、財政再建の道程にあるとごらんいただきたいのでありまして、これはもう恒常的な道行きじゃないかと、おまえはこれは過渡的なものであると、異例なものであると強弁しておるけれども、恒常化したのではないかという、実態はそれじゃないかというようにおっしゃいますけれども、そうではなくて、正常化への道程であると、再建への道を歩んでおるんであると、ただ彫りが深い不況、長い不況からの脱出でございますので、長い床についておったんですから、いろいろ方々の節々直していかにゃいかぬわけでございますから、若干時間がかかるんだということはおわかりいただきたいと思います。
○渡辺武君 どうも説明納得いかぬのですが、念のためにちょっと伺いたいんです。戦後、いままで日本経済、大体三年か四年に一回くらいずつ不況に入っているのですね。 〔委員長退席、理事野々山一三君着席〕 この財政収支試算では不況を想定しているのかどうか。恐らく五十四年度か五十五年度あたりには、また不況に入って、そうしていま大臣が御説明になったように、やあ不況のときだからやむを得ないというようなことで、ここでは赤字公債の発行はなるべく早く終わるという趣旨なんでしょう、五十三年度、四年度まで出すと、五十五年度以降は出さぬというようなことになっておりますが、しかし、また赤字公債を出す、そのころになると。こういうことになるおそれがあるんじゃないでしょうか。その辺はどんなふうに見ていらっしゃいますか。
○国務大臣(大平正芳君) これはまあ、先のことがわかれば、これは私もえらいもんですけれどもね、そういうことはわかりません。先、あるいはどういう不況が循環してまいるか、そしてそれはどの程度のものであるか、それはどういう原因のものであるか、どういう影響が及ぶものであるかというようなことがわかれば、これ大したもんですけれども、なかなかわかりませんので、いま精いっぱいやっておりますことは、いま経験いたして、いま脱出すべくもがいておりまする不況、どういうものであるか、それから脱出するにはどういう段取りでやっていかにゃいかぬものかと、その展望を何とか明らかにしたいというのが精 いっぱいのところでございます、正直なところ。しかし、あなたがおっしゃるように先がわかりませんので、いつどういう不幸が待ち構えておるかもしれないのが人生の常でございまして、何がこれあるかわかりません。そのときはまたそのときで対処していかにゃいかぬと思いますけれども、 いま私どもはそういう想定で財政計画を立てておるということではありませんで、そういうことを想定する材料を持っていないわけでございますので、いま利用し得る限りの材料を使いまして展望をできるだけ明らかにし、それを手がかりとして年々歳々の財政計画を編み出していきたいということで懸命に努力しているというように御承知を願いたいと思います。
○渡辺武君 先のことはわからないと、神さん仏さんのような方じゃないかと思っておりましたが、わからないということであれば、仮に不況が起こった場合、赤字公債の発行はこれはまた出てくるだろう、行われるだろう。しかも、いま大臣がおっしゃいましたように、大量の公債発行をしたんで金利の支払い、償還費などがかさんでくる、そうすると景気の上昇と財政の状態とはずれがあるんだと、こういうことをおっしゃった。まさに昭和五十五年度は公債費四兆四千二百億円、ずいぶんでっかい公債費を組まなきゃならぬような事態になっているわけでしょう。そのころに不況でも起こったらまた赤字公債を出さなきゃならぬというおそれはあるんじゃないでしょうか、可能性としては。もし仮に不況が起こったというふうに考えた場合、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) それだけの荷物を負って不況を迎えるということになると、それだけつらい目に会うと思いますけれども、ただお考えいただきたいのは、今度の不況でございますが、今度の不況の直前まではともかく日本の経済というのは相当高い成長の軌道をばく進して来たわけでございまして、それにオイルショックを契機として急ブレーキがかかったわけでございまして、それから減速経済に移らざるを得なかったわけでございますが、それより減速経済に移る過渡期というのはいろんなことが起こりまして、その調整をいまやりつつあるわけでございます。これは経済運営はもちろん家計の切り盛りにいたしましても、財政の切り盛りにいたしましてもそうでございますけれども、急に高度成長のときと減速経済のときとは非常にもう違ってきておるわけでございますので、それにいま体調をならしておると申しますか、そういう時期であろうと思うのでございます。今度、あなたがおっしゃるように相当の不況が仮に来たといたしますと、われわれが最近経験いたしたような振幅の激しい衝撃というようなものではないんじゃないかと、われわれは相当耐える力を、企業も家計も財政も相当対応力を持ってくるのではなかろうかというような面もカウントしていいんじゃないかという感じも私は正直なところするわけでございます。 まあいずれにしてもこれは先のことでございまして、いまそういうことを想定して政策を立てるというわけにはまいりませんで、いまアベーラブルな材料を一応駆使いたしまして、先ほど申しましたように、できるだけのことを政府はやっていこうといたしておるところでございまして、もし不幸にして将来そういう異変が起こる、不況が来るとか、あるいは天変地変が来るとかいうふうなことになりますと、これはまたそのときには全力を挙げて対応せなけりゃいかぬことは当然政府の責任になってこようと思います。
○渡辺武君 そこで伺いたいんです。不況が深刻だから赤字公債やむを得ず出したというだけでなくて、もう経済もいわば好況的な状態になってきているにもかかわらず、なってくるだろうと思われるにもかかわらず、赤字公債発行を予定している。 〔理事野々山一三君退席、理事戸塚進也君着席〕 これでは一体赤字公債の発行ができる条件と、発行せざるを得ない条件というのは一体何だろうかという疑問を持たざるを得ないんですね。 そこで伺いたいんですけれども、赤字公債を発行できる異例な財政経済状態というのは一体どんな事態なのか。それを客観的な基準は一体あるのかないのか。その辺を伺いたい。
○政府委員(高橋元君) これは財政法四条では公債金の使途はもう御承知のとおり「公共事業費、出資金及び貸付金」ということに限定をされております。財政法の、現在の健全財政のたてまえで考えられておりますところの財政法の予定していない制度、そういう制度をどういう客観的な場合に導入してまいるかということは、これは一概に申せないので、毎年度毎年度財政の切り盛りをしていきます際にできるだけ歳出を合理化し、国民負担の状況も考えながら歳入の自立を図って、なおかつやむを得ない部分を法律をもってお願いをいたすと、こういう状態はできるだけ早く脱却いたしたいということ以外に、私どもとしては客観的な基準と申すべきものを持ち合わせておりません。
○渡辺武君 客観的な基準もなくて、いまおっしゃったように、財政法四条では認められていない赤字公債を出す、これはきわめて危険だと思うんですね。一体その赤字公債を出していいか悪いかだれが判断するんですか。
○政府委員(高橋元君) 予算及び法律をもって国会の御審議を経るわけでございます。国会の御議決によって赤字公債を出すことがやむを得ないかどうかということの御判断をいただくことに相なります。
○渡辺武君 国会の議決というと聞こえがいいですけれどもね、国会は多数決そうしますと、多数を占める政府・与党ですね、これが赤字公債を出すんだということを決めれば、不況期であろうと好況期であろうと、赤字公債は出せるということになるんじゃないですか。その点どうですか。
○政府委員(高橋元君) 御案内のように財政法には五条、つまり日銀引き受けの禁止という規定がございます。これは市中の資本市場と申しますか、金融市場で発行された公債が消化できるように、つまり中央銀行の信用供与によって国債が売り出されるんじゃないということによって、いわゆる市中消化の原則というのを定めているわけでございます。それは特例公債であろうと建設公債でありましようと同じように働いていくわけでございます。そういう意味で申しますれば、公債の発行が過度にわたって経済の基本をゆるがすことはないということは、財政法の五条が担保しておりますところの市中消化原則というものによって売り出された、それを守ることによってそういう健全な経済全体への狂乱を生じないような運営をしていくべきだというふうに思っております。
○渡辺武君 私の伺ったのはね、財政法五条の方はいいですよ。 〔理事戸塚進也君退席、理事中西一郎君着席〕 財政法四条では発行が認められていない、赤字公債というのは。ところが、不況で歳入欠陥に陥ったというような状態だけでなくて、好況期あるいは通常の経済状態にもう入っているという時期にも、なおかつ赤字公債を発行予定しているわけだから、それは一体客観的な基準がないとすれば、国会で決めるというけれども、結局多数決ですから、多数を占めている政府・与党が赤字公債を発行すると言えば、どんな経済状態のもとでも、どんな条件のもとでも発行できるということになってしまうんじゃないですか、そうでしょう。赤字公債発行の恒常化の道、その論理固めがいまあなたのおっしゃっている答弁じゃないかというふうに思いますが、どうですか、その点は。
○政府委員(高橋元君) 赤字公債の発行が恒常化することはもちろん絶対に避けなければならぬことだと思っております。先ほど大臣からお答えがございましたように、私どもの御提出いたしております財政収支試算と申しますのは、今後の経済の回復を、およそ従前の実質一〇・八%の成長から六%強の実質成長に、低成長路線に移っていく、そういう経済下で、経済計画に合わせて想定される収入と支出と、歳入と歳出というものを前提として計算をいたします。その場合の計算前提は前半にやや高く後半にやや低くという経済計画の成長そのものをとりまして、したがって、いわゆるトレードサイクルというものはそこには入っておりません。そういう前提で計算をいたしますと、大臣からもお答えがありましたように、そこに四十九年、五十年という彫りの深い不況の後遺症というものがある、それを克服して五十年代前半に特例公債依存の体制から脱却をいたしたい、またそれをこのような足取りでいけば脱却ができるという試算をお示しをして財政運営の手がかりにしておるというわけであります。したがいまして、これは五十四年または五十五年度に特例公債から脱却するような政策をどういうふうに今後財政面において行っていくかということの手がかりでございますから、私どもはこれをもって決して恒常化していく土台をつくっているのだというふうには思っておらないわけでございます。そのような考えは毛頭持ち合わせておりません。
○渡辺武君 あなた方の考えじゃなくて、客観的にそうなるんじゃないかということを伺っているんです。いろいろいままでの経過だとかなんとかの説明はいいですよ。端的に答えていただきたい。大蔵大臣、どうですか。結局そういうことになるんじゃないですか。
○国務大臣(大平正芳君) もちろん、国会の御判断を仰ぎますけれども、何事も。しかし、多数をいただいておりまする政府・与党が責任ある立場におりますことは当然でございまして、それは政府・与党がそう決心することの是非は最終的には国民が評価されることと思うのであります。政府・与党の場合におきましては、財政担当でもございまする大蔵大臣が結局決断して提案するということになりますので、大蔵大臣が最大の責任者であることは申すまでもございません。
○渡辺武君 それでは質問を先に進めますけれども、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律、この法律を見てみますと、第一条に「この法律は、昭和五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活と国民経済の安定に資するため」云々と、こういうふうに書いてあるんですね。これは、たとえば昨年の臨時国会に出ました昭和五十年度公債の発行の特例に関する法律、この第一条とだいぶ違っているんですね。昨年出たのは「昭和五十年度の一般会計補正予算において見込まれる租税及び印紙収入並びに専売納付金の減少を補うため、」と、こういうことになっておりまして、つまり、言ってみれば当初予算で組んだけれども、しかし歳入欠陥が生まれたので補正予算を組まなければならぬ、こういうことでやむを得ず赤字公債を出さなければならぬのだという趣旨がこの中にはっきり盛り込まれている。ところが、ことしの特例公債の発行は、これは非常に抽象化されて、一般的に「五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、」そうして「同年度の財政運営に必要な財源を確保し、もって」云々と、こうなっている。これはもう財源の確保に必要ならば赤字公債の発行ができるのだということをはっきりと言い切っている。特別な場合ではなくてですよ。これから先好況あるいは通常の経済状態であっても、財源の確保に必要だということであれば赤字公債が出せるのだということが、この法律の第一条の文面から読み取れますが、まさにこれは恒常的な発行を視野の中に入れてのことじゃないか、そう思われますが、どうですか。
○政府委員(高橋元君) 第一条の条文でお読み取りいただきますように、これは昭和五十一年度のそういう財政運営が置かれた苦しい状況を表現しておるわけでございます。五十一年度にもっと租税負担を大きくすることができれば、それは特例公債の発行がなくて済んだかもしれません。それから五十一年度の財政を賄うべき歳出をもっともっと切り詰めることができればそれは特例公債の発行がなくて済んだかもしれない。しかしながら、財政というものは国民生活と国民経済につながってあるものでございますから、歳出を通じて国民生活ないし経済に及ぼす影響、歳入を強化することによって生活と経済に及ぼす影響、その辺を総合勘案いたしますと、五十一年度は五十年度以前に発生しました不況の結果として租税収入が歳出を賄うに十分な金額がない。しかしながら、現在の予算の水準というものは私どもは非常に努力を払ったつもりて——いろいろ御批判あると思いますけれども、おりますけれども、なおかつれらの歳入をもって埋められるだけの高さを超えておる。そこを五十一年度について公債の発行の特例をお願いをするという趣旨をうたっておるわけでございまして、これが恒常化というような意図を持っておるものでは全くないわけでございます。
○渡辺武君 大臣、いまちょっと中座されておりましたので、私の伺いたいことを簡単に申しますと、五十一年度の特例公債の法律案ですね、これを見ますと「五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、」云々ということが第一条にうたわれているのですね。これでは、たとえば昨年度の特例公債発行のときの理由ですね、これは申し上げるまでもなく歳入欠陥が当初の見込みと違って出たのだからやむを得ないからというような趣旨だったと思うのですが、これですと、もう予算を組む当初からことしの財源確保のために出すのだと、こういうことになっているわけですね。これではこれから先も財源確保のためだからということで赤字公債を出すということになっていくんじゃないか。 一般化しているわけですね、財源確保に。その点どう思われますか。
○国務大臣(大平正芳君) 五十年度の特例法案の場合は、予定された歳入が上がらないからという意味でお願いした趣旨が書いてあったと思いますが、これはそれに先行する五十年度の子算案がここに書いてございますように「国民生活と国民経済の安定」というか、そのときの予算案の目的と いうものが定められておりまして、そしてそれを五十年度の予算案が達成する目的が決まっておるが、それを充足するに必要な財源が、予定された財源が足らなくなってきたのでということでござ いましたが、ことしの場合におきましては、五十年度と引き続き大きく増税をお願いする状況でもない、減税ができる状態でもないけれども、増税をお願いできる状態でもない。それからまた行財政水準を変える、行財政水準を削減できる、ある いは低下させるということができる状況でないの で、ことしの予算が組まれたわけでございますけれども、その目的かここに明確にされまして、そういう「国民生活と国民経済の安定に資するため、」にということを正直にこれ書いたわけでございまして、そうしないと、もし書かなかったら、あなたの御指摘のように必要な財源を確保するために、公債の発行をお願いしますとだけになりますので、五十一年度というものはこういうことのために必要で、大きく増税もできないし、行財政水準をカットもできないのでという目的をここで、そういう特定の年でありますので、その財源を得るためにというように書いておくということが正しい行き方であると私は信じております。
○渡辺武君 どうも納得できませんね。それじゃいまおっしゃった国民生活と国民経済の安定に資するためということがうたってありますね。その国民生活と国民経済の安定に資するために必要な財政規模を組むわけですね。ところが財源が不足しているから、だから赤字公債を出すんだ、こういう論理になっていますな。そういう論理で押し通されたら、今後いつの年度でも、これは国民生活と国民経済の安定に資するために、財源が足りないから赤字公債組む、こういうことになるじゃないですか。全く無限定ですよ。これでは赤字公債が恒常的に発行されてしまうじゃないですか、政府・与党が必要だと思いさえすれば。一体どの程度の予算規模が国民生活と国民経済の安定にとって必要かということの客観的な基準はないんですか、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) まず、法律は五十一年度の公債の発行の特例に関する法律と書いてあるんです。公債の発行の特例に関する法律なんという法律でないんです、これは。五十一年度の公債の発行の特例ですから、五十一年度という特定の年度の必要に応じてでございますから、五十一年度のという限定がありますことを御承知いただきたいと思います。第一条にはそのことも、「五十一年度の租税収入の動向等にかんがみ、」それから五十一年度の予算の目的が「国民生活と国民経済の安定に資する」という目的をちゃんと、そういう歳入は少ないけれども、増税はできるような状態じゃないんだ、ことしは。それから行財政水準を思い切り削減できるような状態でもないんだという、そういう五十一年度の財源に充てるためだと書いてあるわけでございまして、この法律があると無制限に国民生活の安定と国民経済の安定に資するためであれば、特例債の発行は何ぼでも出せるじゃないかなんというもんじゃないんですよ。もうきわめて限定的に、きわめて正直に書いてあるんですから、それを理解してくれなければ、これは渡辺さん困りますよ。
○渡辺武君 いや、だから私は、この法律で五十二年度も三年度も赤字公債を発行できるなんて言っちゃいませんよ。しかし、この理屈でいきますと、五十二年度にも、国民生活と国民経済の安定に資するために必要な財源を確保するために赤字公債出すんだ、この理屈で出す、好況期であろうと何であろうと全部この理屈で出せる、こういうことになってしまうじゃないですか。それで、私は伺いたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) そんなことにならぬです。
○渡辺武君 いいですか、大臣。何かお答えありますか。
○国務大臣(大平正芳君) 五十二年度と書いてないんです、五十一年度と書いてあるんですから。
○渡辺武君 五十二年度に同じようなことをうたった法律が出ればということです。
○国務大臣(大平正芳君) 五十二年度を出す場合には、また別な五十二年度の法律を出して御審議をいただきますから、その場合には五十二年度の状況に即して正直に書きますから、それで御審議をいただいたらいいんで。
○渡辺武君 先ほど御答弁もありましたが、財政法四条、これは赤字公債の発行は認めていない。公債の発行が可能なのは、いわゆる特例公債というふうに特定されているわけですね。まあ健全財政主義の立場に立てば私は当然の規定だと思うんです。しかし多くの財政学者も、だからといって赤字公債は絶対に出すことはできないというふうな立論にはなっていないんですね。不況期などの異例な場合、いわば緊急避難的な措置としては四条に認められてない赤字公債も出すことが可能だというのが、私は財政法学者の普通の立場だと思っております。ところが、いま私伺って、もうおわかりだと思うんですけれども、好況の時期にも赤字公債を財源確保に必要だということで出せるというような状況になってまいりますと、この四条の趣旨、これを踏みにじるだけじゃない、四条そのものの否定になるんじゃないでしょうか。もう緊急避難的な場合でないんです。赤字公債の恒常的発行ということになってまいりますと、四条そのものの規定を否定するということになってしまうのじゃないでしょうか。どうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) そういう意図をいたしていないんです。それだったら四条の五十一年度とか五十年度とかというような年度を限らずに、財政法の特例の法律を出しますよ。そういう毎年毎年衆参両院を通じて御審議をいただかないで、一本の特例法を、例外のこういう場合には赤字公債を出すことができる、予算の定めるところに従ってと、いうような法律を一本お願いしておいたら、それはあなたが言うようにできるんですよ。その方が楽なんです、政府は。だけれども、そんなことはしないです、まじめですから。だから、毎年毎年去年も出して、ことしも出して、汗かいてこれはこういうようにもうやるんですということで、毎年毎年あなた念入れておしかりを受けながらやっている。これは最大の歯どめだとぼくは思っているんだ。それで真剣にやっておるということでございまして、四条の例外なんてものじゃないので、真剣な取り組み方をいたしておるんだということは、政府の態度でよくよくおわかりいただけていると思うのですがね。
○渡辺武君 それじゃ大蔵大臣も赤字公債というのは、これは緊急避難的な性格の場合だけ出せるのだという立場に立っておられるわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 当然でございます。
○渡辺武君 そういう立場に立っていながら、毎年毎年特例法を出すという形をとりながら、赤字公債を継続的に何年も発行する、事実上四条の否定になるんじゃないですか。
○国務大臣(大平正芳君) だからあなたに言ったじゃありませんか、冒頭に申し上げたように、今度の不況は傷が深いんだということを。大変な不況での痛手なんで、これを直すには相当の時間をかしてもらいたいということを申し上げたわけでございまして、こんなことやりたくないですよ、本当は。やりたくないんだけれども、現実がこうなんでございますから、こういう対応の仕方をせざるを得ないのであるという政府の苦心のあるところはひとつ御同情をいただきたいと思います。
○渡辺武君 最後に、この問題では最後に一言だけ伺いたいんですがね。いろいろ御答弁伺って、やはり依然として不安は解消しないんです。どういう不安かと言いますと、財政法四条は御承知のように戦時中の赤字公債の乱発、これによるあの侵略戦争の遂行、そして赤字公債の累積に伴うインフレの激化ということに対する深い反省からあの四条が規定されたと言われている。ところがいまおっしゃったように、異例のケースで出すんだというふうにおっしゃりながら、毎年度特例法という形、形式はそういう形をとりながらも、好況のときも不況のときもほとんど変わりがなく赤字公債を出そうとしている。しかもその赤字公債を出すに客観的な基準がない、どういう場合に出すかという。どういう場合が異例の措置か、客観的な基準がない。政府あるいは与党が判断すれば出せる、こういうことに事実上なっているわけですから、こんなことでは法制上、制度上戦時赤字公債も出せるということになっていくんじゃないでしょうか。この点どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 赤字公債はこういう場合に出せるというような制度ができていない方が歯どめになるんじゃないでしょうか。そうしてそれをどうしても出さざるを得ないときには、年度を限って国会の議決を得ていま私どもやっておるように御審議をいただいて、年度を限り、金額も限って御審議をいただいていくということが私は正しい真剣な対応の仕方だと考えております。
○渡辺武君 仮に、仮にアメリカの戦争に巻き込まれたというふうに仮定しましょう。そのときにも年度を限って、年度を限って戦時中と同じように戦時赤字公債を出すことが制度的にできるんじゃないかと申し上げている。どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) そういうことは考えておりませんで、私ども赤字公債を恒常化するような立法は全然やるつもりはありません。
○渡辺武君 私の伺った趣旨をちょっと取り違えていらっしゃるようだと思うんです。恒常化するような立法をつくるかどうかということを伺っているんじゃないです。そういう意図がないということはよく伺いました。その戦争が起こったと、その必要だということで特例法を出して赤字公債を発行するということは、いまおっしゃってきたような制度からすれば制度的に可能じゃないか、やる意思があるかどうかということは別問題、制度的に可能じゃないかということを伺っている、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 国会の御判断、最終的には国会の判断で、制度的には憲法八十五条は国費を支出する場合国会の議決を経なきゃならぬというのがございますから、あらゆる場合において国会の議決があればできない相談ではないと思いますけれども、平和政策、平和国家日本は戦争をするつもりはございませんし、また私は日本の財政は赤字公債を恒常的に発行するような体質にしたら大変だと思うんです。国民の不幸はこれに過ぎるものはないわけでございまして、そんなことしたら大変でございますので、早いところこれから脱却せにゃいかぬということでもって必死にこれからの脱却の道をいま真剣に考えて御相談申し上げているところでございます。
○渡辺武君 次の質問に移ります。昭和五十年の税収についてですけれども、税収余剰が出るんじゃないかということが言われておりますけれども、どの程度まで出るか、おっしゃっていただけますか。
○政府委員(山内宏君) 現在のところまだ三月分の税収までしか数字がまとまっておりませんが、三月までの税収におきまして前年の実績に比べましてほぼ二ポイントの上昇でございます。中身を見てみますと、先ほど終了いたしました所得税の確定申告におきまして、土地の譲渡所得が当初予想しておりましたよりも増加をいたしまして、約三千億の増加が見込まれる次第でございます。譲渡所得以外の各税目につきましては若干の入り繰りはございますけれども、大体補正後予算額で見積もったと同程度の収入と考えておりますので、全般的に見まして一般会計税収といたしまして約三千億程度の補正後予算に対する増額があろうかというふうに推計をしております。
○渡辺武君 三千億くらいの税収余剰が出ると、これはどんなふうに処理されますか。
○政府委員(高橋元君) ただいま主税局から申し上げましたような税収の五十年度の決算のおおよその見通しでございますが、税収入以外に、たとえば税外収入なり歳出の不用、これらはよく見通しつきませんが、およそ二千億程度あろうかと現段階で思っております。ただし、昨年度の特例法によりまして御議決をいただきました特例公債の発行限度のうち、四、五月に発行を予定をいたしておりました金額が約二千億ございます。ただいま申し上げましたような歳入の見通しなものでございますから、公債の方は二千億減額をいたしたい、そうなりますと、新規発生剰余金が三千億ございますが、主税局からも申し上げておりますように、この税収の増の中には三税が入っている、申告所得税がかなり入っておりますので、したがいまして、交付税と将来精算に回さなきゃならない金額が約千億あろうと、そうなりますと、二千億の、財政法六条の剰余金ということになるわけでございますから、この二千億の剰余金を昨年来申し上げておりますように、国債整理基金に全額翌々年度までに繰り入れるということによって、国債の償還財源に充てたいというふうに考えております。ただしこれは決算の確定をいたしてみませんと、いま申し上げました金額は見込みでございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、方針といたしましては六条の剰余金が発生いたしますことはほぼ明らかでございますので、発生いたしました剰余金は二分の一といわず、全額を公債等の償還財源に充てるという所存でございます。
○渡辺武君 そうしますと、五十年度の補正予算で二兆二千九百億円でしたか、これは額面金額じゃなくて、公債収入額で言いますとね。赤字公債出すことになっておりましたが、そのうちから二千億減額して発行すると、こういうことになりますね。
○政府委員(高橋元君) 新規の公債発行が約二千億——千九百九十五億円ですか、減少いたしますことはおっしゃるとおりでございます。
○渡辺武君 そうしますと、土地の譲渡所得という、言ってみれば臨時的なケースで収入が非常にふえたということになっているようですが、ことし五十一年度、景気の回復も進んでいるようですし、どうでしょう、やはり余剰が出るというふうに見た方がよさそうな感じがしますが、どんなふうに考えていらっしゃいますか。
○政府委員(山内宏君) 五十一年度税収につきましては御承知のとおりまだ全く始まったばかりでございますし、特に四月分の税収はそのほとんど大部分が旧年度収入でございます。そういったような関係で実績が全くつかめておりません。現在の段階で推計することは非常に因難でございますが、いま御指摘のように五十年度の土台のところが譲渡所得という臨時的なもので動いておるわけでございますので、五十一年度の推計に対しましてはほとんど影響を及ぼさない、そういう意味では、現在のところ私どもは五十一年度歳入については予算作成時に見込みました見通しを変える必要はない、大体そういうふうな現在でも見通しであるというふうに申し上げられると思います。
○渡辺武君 まあ恐らくまだわからないですからね、そういう御答弁なんでしょううが、もし仮に余剰が出た場合、これはやはり赤字公債の発行を減らすという形で当然使われるだろうというふうに見て差し支えございませんか。
○政府委員(松川道哉君) 御指摘のとおりでございまして、私どもも、このような財政状況でいわゆる赤字公債を出すということをお許しを願っておるわけでございますから、そのときに大きな剰余金が出るというのは決して好ましくない、知り得る範囲内でそれは赤字公債の減額に充てるべきであるという原則的な考えを持っております。それがただいま御審議をいただいております法案の中にも、四月、五月といったような出納整理期間に当たる期間にも発行ができるということにしておきまして、だんだん御指摘のような剰余金がどのくらい出るかというようなことを見きわめながら最終的な調整をできるだけやっていきたい、そのように考えております。
○渡辺武君 おととい、朝日新聞との記者会見で大平大蔵大臣は、公共事業等予備費、これは使わなくて済む公算が強くなってきたという御趣旨のことを言っておられます、ここに新聞ありますが。もし——一千五百億円だと思いましたが、この公共事業等予備費、これが使わなくて済むという状態になったら、これまた赤字公債発行を減らすという方向に当然使われるべきだと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 幸いにして景気の回復が、そういう政府支出を伴わなくて順調に参りますならば、仰せのような処理が望ましいと私は考えております。
○渡辺武君 五十年度の特例債、四、五月の発行予定がわずか二千億円だったというのは非常に残念ですね、四千億円の余剰を使って減額できたのに。だからこの五十一年度の赤字公債の発行もできるだけこれは後にずらした方がいい。この特例法の成立も、これはおくらした方が国の財政上からもいいんじゃないか。
○政府委員(松川道哉君) 私どももできるだけ税収の剰余金が大きく出ないようにという心配りをいたしまして、そして三月までの発行計画を立てたわけでございます。しかしながら、これは渡辺委員にも御説明したことがあったかと思いますが、三月の発行額を決めますのは二月の末の段階でございます。このときでございますと、税目によりましてはある程度かたい見積もりができますが、土地譲渡による所得税、これは非常な難物でございまして、これがこのように出るということは主税局も予想しておらなかった。私どもも若干のアローアンスを見まして、その結果が二千億ということになりましたが、そして、そのアローアンスが小さ過ぎたではないかという御指摘かとも存じますが、これは私どもとしても、その当時の状況からベストを尽くしてなるべくゼロにしたいという意欲はあったんだという点は御理解いただきたいと思います。 次に、第二の点でございます。これは国債の発行額がこれだけの量になってまいりますと、やはり金融市場の繁閑その他もろもろの経済情勢をすべて考慮に入れながら計画を立てなければいけない。その中には民間金融もございますし、あるいは地方債であるとか、その他のいわゆる公共債もございます。こういったものを考えますと、この国債はやはりどちらかというと前倒し目に発行しないとこの年の後半にヒッチが起こる、あるいは昨年心配されましたようないわゆるクラウディングアウトというようなことも起こりかねないというようなことを考え合わせますと、ある面からは、渡辺委員、いま後の方へ押した方がいいという御指摘でございましたが、私ども全体として見ますれば、かえって反対に前倒しに発行すべきであろうという判断をいたしております。
○渡辺武君 次に、国債費の問題を伺いたいと思うんですが、この財政収支試算のケースーを見てみますと、昭和五十年度の国債費が一兆一千億円、昭和五十五年度の国債費が四兆四二百億円、わずか五年の間に四倍に急増するというありさまであります。これは大変なことじゃないかというふうに当然考えられるわけですけれども、その点についてこれから伺いたいんですが、この財政収支試算のケースIで歳出総額の中に占める国債費の比率ですね、これをおっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(高橋元君) お手元でごらんかと思いますので、その表に従いまして順番に申し上げます。 五十年度の補正後一兆一千億でございますが、これの歳出総額に占める割合は五・三%、五十一年度はかなり急増いたしておりますが、一兆六千七百億円で六・九%、次の五十二年度が、以下は計算でございますが、八・二%、五十三年が九・一、五十四年が九・八、五十五年で一〇・二%となります。
○渡辺武君 絶対額がふえるだけでなくて、歳出全体の中に占める国債費の比率、比重、これが五十年度の五・三%から五十五年度の一〇・二%に二倍にふえる、これまた大変な、財政運営としては大変な事態じゃないかというふうに私、考えますが、恐らく大蔵大臣もそう考えておられるだろうと思うんですね。それで、この国債費の大部分は、これは言うまでもなく銀行など大企業に入る、あるいは個人消化の場合で言えば、かなりの高額所得者がいま公債を買っているというふうにいわれておりますですね、そういうところに入っていくわけですね。主としてこれは金利であるわけですが、五十五年度末の四兆四千二百億円の国債費ですね、これは同じ五十五年度の公債金収入六兆五千二百億円の六八%に当たっている。ですから、私はこの数字から端的に言えることは、こうした大きな会社あるいは大資産家、これに公債の金利の支払いをやるために多額の赤字公債を出さなきゃならぬというような仕儀になるんじゃなかろうかというふうに思いますが、その点どうですか。
○政府委員(高橋元君) 国債が、この財政収支試算では年々累増をしていくということでございます。累増いたしましております限り、予算規模も拡大はいたしておりますけれども、累増のテンポと予算規模の拡大のテンポとの兼ね合いで国債費が増加してまいる、これは私ども財政に携わっております立場からしましても決して好ましいことと思いませんが、このように財政の硬直性と申しますか、そういうものを増していく要因を取り去るためには、財政構造と申しますか、財政体質を改善して公債への依存度をできるだけ減らしてまいることがまず先決だというふうに考えておりまして、そのためにここにお示ししております試算でも、歳出を極力小さくし、歳入を極力大きくして全体の国民経済バランスの中でできるだけ財政が公債に依存する程度というものを圧縮をしてまいりたい、このような姿になって特例公債から脱却をするということをお示しをしておるわけであります。こういう努力は、もちろんこの試算がカバーできません年度につきましても引き続き続けられるべきだというふうにいま考えております。
○渡辺武君 言えば言えるなあというような御答弁ですな。とにかく五十五年度末に公債の累積残高五十一兆円を超えるというようなむちゃくちゃな財政運営をやっていて、そんなことはとても言えるものじゃないですよ、まともに。そうでしょう。考えてもらいたいですね。 それで、なお伺いたいんですが、この国債費がこうして急増するために歳出のほかの項目、これが圧迫されているんじゃないかというふうに思います。それで伺いたいんですけれども、たとえば、ここに「公共投資」というのがある。それから「振替支出」というのがある。「その他」という項目があります。これの歳出総額に占める比率ですね、これを全部言っていただくのは大変でしょうから、五十年度と五十五年度と、二つだけで結構ですから、おっしゃっていただきたい。
○政府委員(高橋元君) 比率を申し上げます前に、この表を出しました前提をちょっと簡単に申し上げさしていただきたいと思います。 「公共投資」「振替支出」「その他」と、三分類にして出しておりますが、これの五十−五十五年度の平均伸び率一五・五、一六及び一三・三、おのおのそうでございますけれども、これは五十年代前期の経済計画概案、そこで想定されておりますところの行財政水準の伸びというものを踏まえての伸び率でございます。で、国債費と申しますのは国民経済計算上表現されませんので、元本の償還費はトランスファーですから、これはゼロです。それから利子の支払いは控除項目という形になっておりまして、これは国民経済計算を前提にしておりますところの五十年代前期経済計画概案には表現されません。そこでこれは毎年毎年の収支じりから精み上げてまいります公債額によって積算しておるわけであります。したがいまして、いま冒頭に渡辺委員のおっしゃいましたような、国債費が累増するから他の歳出を切り詰めておるということは、この試算ではございませんで、むしろ国債費が出っ張ってしまって、そのために歳出がやや大き目に表現されると申しますか、そのために財政の硬直化がそこで生じておるということでございます。 二番目に比率を申し上げます。右のような推移をたどりますので、公共投資から申し上げます、公共投資は五十年度補正後で一九%でございましたのが、五十五年度で一八・八。それから振替支出、これは五十年度補正後で二三・二でございました、五十五年度で二三・六。その他、これが五二・五でございましたのが、五十五年度に四七・四。国債費は先ほども申し上げましたが、五.三が五十五年度に一〇・二になる、そういうことでございます。
○渡辺武君 いま伺った数字が私は端的に示していると思いますけれどもね。とにかく、なんでしょう、歳出総額、これはケースIの場合もケースIIの場合も、これはもう少しも変わっていない。そしてケースIの場合は、これは赤字公債の発行を五十四年度まで続けるというケースになっている、それに応じて税収をうんと取る。それからケースII場合は、歳出の方は変わらないんだけれども、しかし、赤字公債の発行を五十三年度までにした場合は税収をうんとふやさなきゃいかぬのだと、もっとふやさなきゃいかぬのだと、こういうことになっているんですね。ですから、歳出の方が絶対条件として、さあこの歳出を実現するために、赤字公債がいいのか、それとも増税をがまんするかと、こういう選択を国民に迫っているものだと言わざるを得ないんですね。 しかし、それは別にしまして、いまの教字が端的に示しておりますね。国債費がこの絶対条件である歳出総額の五・三%から一〇・二%に五年間に二倍になっているのにもかかわらず、一方で公共投資の方は、いまの御説明ですと五十年度は一九%、五十五年度は一八・八%、ほとんど横ばいという状態ですね。それから振替支出は、五十年度が二三・二%、それから五十五年度が二三・六%とおっしゃいましたね、これもほとんど横ばい。しかも、私が若干詳しく計算してみましたら、五十一年度は二四・四%になっているんですね。そこからずうっと下がって、五十五年度は二三・六%に下がると、こういうような傾向になっているんですね。 〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕 公共投資と言えば、これは住宅建設その他、国民の生活関連の福祉施設ですね、これも含まれている、もちろん高速自動車道路なども入っていると思いますが。それが横ばい状態になっている。これはもう国民の生活関連施設が圧迫されるだろうと、今後物価は上がるんですから、そのことを端的に示しているし、特に振替支出、これは社会保障費が主だと思いますけれども、これが五十一年度よりも比率が下がるということで、これまた圧迫される、こういうことになるだろうと思うんです。その点どう思われますか。
○政府委員(高橋元君) いま渡辺委員おっしゃいましたが、ケースのIとケースIIと比べていたがけばすぐおわかりかと思いますが、歳出の公共投資、振替支出、その他、小計と、ここまでの金額は五十五年度同様でございます、両方とも。しかしながら、国債費の計算は、それ以前に累積してまいります国債の額が違いますから、ここで差が出てきます。したがって、歳出一定という前提で置いているわけではないわけであります。で、さっきも申し上げたことでございますが、この公共投資、振替支出、その他、というのは、たとえば公共投資につきましては、社会資本の不足なり社会的消費の増大を反映して、五十年代経済計画の中で一三%強の伸びと見ておられる、それをとって 一般会計ベースに直して一五・五としております。それから振替支出につきましては、対国民所得比八・五から一〇に上げる、そういうことで年率一七%の伸びである。それの中で社会保険負担で賄われる分もございますから、一般会計から国費を投入する部分を推計いたしますと一六となります。その他につきましては、GNPとほぼ同じ伸びということで一三・三としておるわけでございますから、まあ全体として国債費が硬直化要因として大きくなってまいるというのはまさに御指摘のとおりかと思いますけれども、そのためにこういった経費を切り詰めておるということではない。分母としては、むしろ小計のところでごらんいただいた方がよろしいかと。小計のところを一〇〇といたしますと、公共投資が五十年度補正後で二〇・一でございますのが、五十五年度には二一になる、振替支出が二四・五であるのが二六・三になる、その他は五五・四から、これは行政コストを極力切り詰めまして五二・七に下がる、こういうことでございます。
○渡辺武君 大臣、いま財政技術論みたいなところから御説明ありました。これでは事の真相はっきりしないですね。やはりこうやって大量の国債発行して、その金利支払いを中心として国債費がずうっと累増していってる、これが財政支出に対して圧迫要因にならぬはずないですよ。そうでしょう。その証拠がいま私申しましたように、財政支出総額に占めるこの振替支出、あるいは公共投資の、これの比率の横ばい状態、あるいは低下傾向、こういうことになってあらわれているんじゃないんですか。私、これはまあ予算委員会でも伺いましたけれども、そのときの御答弁では、この公共投資ですね、昭和四十六年から五十年度平均の伸び率一七・六%だという御答弁があった。ところがこのケースIで見てみますと、公共投資の伸び率、これから五年間平均一五・五%に落ちているでしょう。公共投資の伸び率は落ちるんですよ、この試算から言えば。それから社会保障費など振替支出ですね、これも四十六年度から五十年度の年平均伸び率は三〇・二%、これがこの財政収支試算で見てみますと、五十年度から五十五年度まで年平均一六%の伸び率だとここにはっきり書かれてる。伸び率も落ちる。いまのように、日本の社会保障水準というのは発達した主要資本主義国の中でもびっくりするほど低いですね、低福祉の国だと言われてる。それからまた生活環境施設、これまたその立ちおくれたるや、口にするのも恥ずかしいような状態でしょう、公害がひどい。そういう状態がこんな事態でもって解決できるのか。少なくとも生活関連施設の建設、社会保障の充実、この財政収支試算ではずうっと圧迫されざるを得ない。その一つの重大な原因がこうした国債費というような不生産的な支出の累積にあるというのは、当然考えて差し支えないんじゃないてすか。とうでしょう。——いや、もう財政技術的な説明いいです。
○国務大臣(大平正芳君) まず第一に、伸率が低くなっておるじゃないかと、公共投資にしても振替支出にしても。これは、もとが大きくなったこと。最近の場合は低かったものを、社会保障にしても、公共事業なんていうのは最近全然ふやしていなかったんですからね、それをここ二年間据え置いておったんですから、だから今度は伸率が多くなるのは当然なんです。その伸率よりは低いなどあたりまえなんですよ。
○渡辺武君 逆じゃないですか。
○国務大臣(大平正芳君) だから、つまり去年とおととしは、公共事業というのはノミナリーにも予算ふやさなかった。だからことし二一・二%ふやしましたけれども、二一・二%より、たとえばここで伸率から申しますと、五十年と五十五年平均一五・五、確かにそれは低いですね。低いけれども、これは全然ふやさなかったものから一挙にふやした場合の伸率と、ふやした上にさらに年々ふやしてきた伸率と比較されたら、それはあなた低くなるのはあたりまえじゃないでしょうか。そういう点が一つと、それからここでGNPが一三・四ですよ、五十年と五十五年の平均伸率。それよりは高いところに、振替支出は平均伸率二八%のところに持っていっておるわけですね。公共投資もそうでございますが。そういったところは、つまりあなたは、国債費か多くなったからこれは伸率が落ちたんじゃないか、そういうふうにおっしゃいますけれども、GNP平均の伸率よりは多く政府は見たという点は認められますね、それは。それから根っこがふえてきておる上にさらにこれだけ積んだんだという努力は認めてくれますな、渡辺さん。そういう点を捨象してしまって、国債費がふえたからこれは前の伸率よりは低くなっておるんだぞということは、いささかちょっと過酷な評価じゃないかとぼくは思うんですがね。だからフェアに見ていただくと、まあ政府も財政困難なところよくやっておるというように御評価いただけるんじゃないかと思うんですがね。しかしこれをやるにはまだよほど税収の面や何やら相当これから努力せにやならぬことは当然でございますけれども。
○渡辺武君 余り時間を使っても何ですからこれ以上申しませんが、大臣、この財政収支試算ですと税収べらぼうにふやすというんでしょう。税収べらぼうにふやして、その金がどこへ使われるかと言えば、国債費のような不生産的な支出、これがどんどんどんどんふえていく。そうして公共投資、特に社会保障費ですね、いま公共投資、昨年、おととし減らしたと言ったけれども、さっき申しました一七・六%というのは四十六年から五十年度までのもんですから、その落ちた分も含んで一七・六%なんです。いいですか。この財政収支試算は五十年度から五十五年度だ。それで一五・五%。これはやっぱり落ちていると見なきゃいかぬですね。特に振替支出は過去五年間が三〇・二%のところ、これからはちょうど半分ちょっとというところですね。わずかに一六%の伸び率。これは社会保障費が圧迫されると当然考えなきゃならぬ。特に、ここに「その他」という支出項目があります。これの財政支出全体における構成比ですね。五十年度と五十五年度とおっしゃっていただきたい。さっき御説明ありましたね。五十年度が五二・五%で五十五年度が四七・四%だと。大変に下がる。一体この「その他」という支出の中には何が入るのか。農林漁業関係費、これは入るでしょう。中小企業対策費これは入るでしょう。文教関係費、これも入ると思いますが、どうです。
○政府委員(高橋元君) 一般会計の予算の使用経費別分類というものにぶっつけて考えてみますと、文教科学振興費、この中で学校の建設費のようなものを除いた部分、それから食糧管理費、経済協力費、中小企業対策費のうち出資の部分を除いたもの、それから防衛費、地方財政費、その他というものがおおむね当たるかと思います。ただしその中で振替支出に分類されるもの、または国民経済上公共投資に分類されるもの、それぞれ入っておりますから、正確ではございませんが、一応経費別で申し上げるとそういうことでございます。
○渡辺武君 ですから大臣、防衛費や対外経済協力費、これは大体GNPの一%までいくんだということでいろいろ公式に書かれたり言われたりしているわけですね。目標としていくんだと。そうしますと、これから五年間かなり急速な速度でこれは伸びていくだろうと思わざるを得ない。そうすると、その残りの、いまおっしゃったような文教関係費だとか、あるいは農林漁業対策費だとか中小企業対策費だとか、こういうようなものは、これは絶対額まで削られていくんじゃないかという心配が出てくるんですね。その点はどうお考えですか。
○政府委員(高橋元君) ちょっと大臣から御答弁のあります前に申し上げますと、「その他」というところは、政府財貨サービス経常購入と称しておりますが、政府が人件費なり消費財を買うと、そういう部分でございますから、その中には行政の需要と申しますよりはコスト、たとえば公務員の数及びその給与、それから公務員の普通の事業活動に要するいわゆる庁費だとか、そういった行政のコストに当たるものが多々含まれておるわけでございます。したがって、そういうものについて極力合理化を図ってまいると、そういう努力のあらわれとして「その他」のところをGNPとほぼ同じ伸びという見込みをしておるわけでございます。全体としての品目の出入りについては全く検討しておりませんけれども、これにつきましては、大体経済計画の中でもそういう考え方に沿って財貨サービス経常購入はGNPとほぼ同じくらいの伸びということで想定しておりますので、私どもはこれは決して無理なことと思いませんし、またこういう方向に沿って財政の合理化をしていかなきゃならぬというふうに考えておるわけです。
○渡辺武君 大臣いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) これは一つの試算でして公共投資と振替支出は、この間経済計画で一応政府が概定をいたしたところでございます。「その他」のところは毎年毎年予算でこれ決めていかにゃいかぬことなんでございますけれども、一応GNPの伸び率程度の中で抑えていきたいという政府の意思を数字化いたしたものでございます。これはこれから先どういうようになりますか、これ毎年の予算で決めていかにゃいかぬわけでございます。ただ申し上げたいのは、国債費は、国債は来年度がピークの年でそれから漸次、これ建設公債も含めましてずっと減額してまいりまして、五十五年度は建設公債だけにいたしましてという段取りでだんだん減殺をしていくという、発行額を減らしていくということ、また公債依存度もずっと減らしていくということでございまして、いま先生が御心配のような点を時間をかけて直していこうという方針でやっておるわけでございまして、五十五年度、このいま非常に緊張度の高い財政時期で御心配でございますけれども、これは財政再建への道程であるという意味で、理解を持ってひとつ激励を賜りたいと思います。
○渡辺武君 この財政収支試算の国債費ですね、五十五年度までこうして計算が出ているんですね。まあ一定の仮定のもとではあるでしょうけれども、こうやって出ている。 それから、衆議院の大蔵委員会に松浦議員の要求に基づいて、それから後のは六十年度、六十一年度が数字として出ておる。これも一定の仮定のもとに計算して出されているんですね。 そこで私は、資料要求として、この五十六年度から五十九年度まで松浦議員に出されたこの計算、この仮定と同じ仮定でいいです、国債費どうなるか、これを計算して出していただきたいと思います。いかがですか。
○政府委員(高橋元君) 五十六年度から五十九年度までに償還さるべき国債というものは四十六年から四十九年までに発行されたものでございますから、その元利償還日に限ると、それからその後の国債の発行によります分は、松浦委員に対して申し上げたように、五十六年度と公債の発行額が同じ、それから公債の依存度が同じと、二つのケースにすると、歳入については一切それ以外の仮定は置かないと、そういうことでよろしければ計算をいたします。
○渡辺武君 それじゃ資料は、ひとつ委員長お願いします、出すと言ってますから。 それから大蔵大臣、お聞きのとおり国債というのは、これはまあ、そのときには金集まってよさそうに見えるけれども、いま申しましたように、ずっと累積してきて、しかも、一方では大資産家に金利を払うと、他方ではかなりの増税が、赤字公債さらに発行して収入賄っていかなきゃならぬ、言ってみれば財政の、所得の適正な分配機能、これを著しく阻害する、こういうものだと思うんですね。やはり私は、そういう点からも財政支出は十分に必要だというふうに思いますが、その点どう思われますか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、特例債はもとよりでございますが、建設公債にいたしましても公債に違いはございませんので、過度にこれに依存するということは財政として慎まにゃいかぬと思うんでございまして、私どもとしては、極力この発行額を抑えていくということで厳しい財政運営に徹しなければならぬことは、過去の苦い経験に照らして当然のことと考えておるわけでございます。ただ、今日の状態大変厳しい環境でございまして、これを切り抜けまして、経済、財政を正常な状態に戻す段階におきましては、異例の措置といたしまして最小限度の特例債の発行、あるいは建設公債に依存するということは御理解を賜りたいと思います。私どもは、これに安易に依存することでよしとするものでは決してないことをあわせて申し上げておきたいと思います。
○渡辺武君 それでは次に移りますけれども、昨晩の夕刊に、日本銀行の保有公債ですね、これを中東産油国や東南アジア諸国などに売っているという記事が出ておりました。いまどのくらいの公債が外国に売られているか、それからまた、それの中で日銀の保有の公債の売られた分はどのくらいで、その他のものはどんな額かというようなところをまず。それからまた、公債の種類ですね、長期国債か短期国債か、あるいはまた、政府保証債、地方債なども入っているかどうか、その辺も伺いたい。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 非居住者が本邦の円建て債券等を取得することは原則として自由になっておるわけでございます。これは外国の個人が買う場合も、外国の中央銀行が買う場合も同様でございますが、外国の中央銀行の中には、特定の銘柄をまとめて買いたいというような御希望が時にあるわけでございます。そういうときに、市場で調達するだけではちょっとまとまらないというときに日本銀行があっせんするというケースが最近あるわけでございます。これは、従来から日本銀行は外国の中央銀行と取引関係ございまして、先方の口座を持ったり、当方の口座を相手方が持ったりしておったわけでございまして、そこに預けてあります無利子の預金を、利子のつきます債券に運用してくれというふうな依頼があったことも間々あるわけでございまして、今回新聞に出ておりますのも、そういうふうな動きが最近やや多くなったということで新聞に出たんじゃなかろうかと思います。金額は、先般委員会で申し上げましたように、外国の中央銀行にそういう種類の売却は日本銀行は三億ドルぐらいしておるわけでございます。中身は、長期国債であるか短期国債であるか、いろんなものございますが、これは相手国もそうでございますが、どういうものをどういう条件で買ったということは、これは秘密扱いにしてくれというふうな取り決めになっておりますので、ちょっと申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
○渡辺武君 日銀からは三億ドル売っていると。日銀以外からはどのくらい売られておりますか。そして、相手国は言えないとしても、国内から売られているのは長期国債が幾らで短期国債幾らと、公債の種類別には概略言えませんか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 非居住者全体として日本の債券を買います場合に、公社債か株かというふうな分類はございますが、その詳しい中身もございませんし、それから市場で買いますときには、相手が中央銀行の場合でも、自分の名前で申し込みをする場合とか、あるいは代理人を通じてする場合とかいろいろございますし、それからまた市場経由の場合にはそういう統計が完備しておりませんので、正確に幾らということは申し上げることはできないのでございます。
○渡辺武君 こういう公債の外国への売却ですね、これは円が相対的に強いということでポンドなどからのヘッジということも一つの原因だろうと思いますが、同時に、他の半面から言えば、日本政府が円の国際化、インターナショナルゼーションですね、という方向をとっているということのあらわれじゃないかというふうに思いますけれども、この円の国際化についての方針を、どんな方針かおっしゃっていただきたい。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず事実関係を申し上げますと、ニクソンショックの起きました前ごろ、いまから五年ぐらい前に比べますと、たとえば日本の輸出で円建てになっております分が、これはLCベースでございますが、五年前には一%ぐらいであったのがいまや一九%から二〇%ぐらいになっている。 それから、非居住者自由円預金勘定に外人が預けにまいりました残高が、五年前に五億ドルぐらいでしたのがいまや二十億ドルぐらいになっておりますとか、あるいは、日本でいわゆる外国の円建て債が発行されると、これも四十五年の終わりぐらいからいままでに公募の分だけで二千億円ぐらいになっておるわけでございますが、そういうふうな意味におきまして、国際的に円が扱われ、あるいは持たれるという傾向は進んでおるわけでございます。 ただ、それに対しましては、確かにニクソンショック後の黒字時代には為替管理を大分使いまして外貨の流入を阻止するということを一時やったわけでございますが、その後そういうことはいたしておりません。逆にまた、これをぜひふやしてくれといってこちらから要請したり、あるいは特別の措置を講じて、いわゆる円の国際化といいますか、そういうことを推進するということもやってないわけでございますが、やはり先生おっしゃいましたのは、そのヘッジの面のほかに、資産を多様化したいとか、あるいは分散したいとか、いろんな動機がございまして円を持つ、あるいは使うという傾向はふえておりますが、それをいまの程度ですと、ことさらに抑えるということはしていないわけでございます。
○渡辺武君 円の国際化というのを積極的に推進してないというような御趣旨の御答弁だったと思いますが、ランブイエ会議でやはり円の国際化というような方向が出されて、日本政府はそういう方向でいま進もうとしているんじゃないかというように私記憶しておりますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) ランブイエ会議で特に円の国際化というような方針が打ち出されたわけじゃございませんが、お互いに先進国の間で貿易政策、通貨政策あるいは国際収支上の協力等通じまして世界経済を安定さしていかなければいけないということで、そういう意味の協力をやろうというようなことで最高首脳の意見が一致したことは御案内のとおりでございまして、そのように世界経済が相互の協力によりまして安定してまいるということ、それから自由な交流が活発になるということは円の国際化にとりましてはいわばフェイバラブルな条件がでてくるわけでございまして、われわれとしては歓迎すべきことと考えております。
○渡辺武君 そうすると大臣あれですか、これから先も円の国際化という方向に進むという御趣旨ですか。
○国務大臣(大平正芳君) 無理をして進むというわけではなくて、着実にそういう円の国際化、東京市場が国際化してまいるということは私は望ましい方向だと思っております。
○渡辺武君 いまの円の国際化という問題について一番の難点は、私は、この外為銀行が三百億ドルくらいの金を外国から借りていると、日本の外貨準備は百五十億ドル程度だと思いますが、それと比較してもずいぶん借りているわけですね。こんなところが一番のネックじゃないかと思いますが、どう思われますか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 仰せのとおり、いま日本のいわゆる為銀は外貨による短期の債務を非常に多く抱えておるわけでございます。最近ですと二百八十億ドルぐらいですか、まあ統計のとり方によっていろいろございますが、しかし同時に資産も持っておるわけでございまして、ネックと申しますと、最近百四十数億ドルということで、どうやら外貨準備よりやや少ないということになったわけでございます。しかしながら、やはりこれだけの多くの短期債務を、対外債務を抱えておりますということは、ユーロダラー市場とか、それから米銀とかそういうところの影響をもろに受けるということになりますので、これはなかなかむずかしい問題ではございますけれども、今後これをどう日本の外貨ポジションを強くする意味において解決していくか検討しなくちゃいけない問題かと存じております。
○渡辺武君 日本は為替管理が依然として残されておる、また国内の金融市場もかなり窮屈だというような条件もいま申し上げた点に加えてあると思うんですね。今後円の国際化を推進するというふうな趣旨のことをおっしゃいましたが、それこれの諸要因どんなふうに今後解決していかれるのか、大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) まあ何よりもわが国の経済が着実に安定し充実していくことでございますし、国際信用が高まってまいることが第一でございますので、財政金融政策ばかりでなく、全体の政策がそういった意味で整合性を持って展開されまして、また民間におかれましても政府と相呼応いたしましてそういう方向に経済の発展が見られますならば、私は日本に対する世界の信用は逐次、これまでも相当高い信用を享受しておると思いますけれども、今後ますますその信用は定着してくると思うのであります。そうすることによって円に対する信認というものもまた当然確立してくるわけでございますので、一挙にそういう事態を人為的につくり出すわけにもまいりませんので、着実に進めてまいる、じみちに進めてまいるということが肝心でございます。それはできない相談ではないと考えております。
○渡辺武君 もう時間もありませんので、資料のお願いだけをしておきたいと思うんです。 赤字公債の発行に伴って財源の問題が非常に重大になってまいりました。大蔵省が出しておられる税制参考資料、これはもう外郭団体には渡っているというような話も聞いておりますし、これは国会に正式に提出していただきたい。 それからもう一つは、昭和三十六年度の税制調査会の資料に間接税の所得階層別の負担額、負担割合などが載っております。この間予算委員会で要求しましたら、人手もないし金もないからというようなけしからぬ理由で資料提出を拒否しているんですが、三十六年にできたものが、このいまの規模のでっかくなった経済の状況のもとでできないはずはないと思う。私はこれは調査して資料として御提出いただきたいと思います。 それから付加価値税制の問題ですけれども、これ研究している研究しているという答弁はありましたが、その研究をどこまでどういう順序で進めたか、そしてそれに伴ってどういう資料ができているか、その全資料を提出していただきたい。特に、ここにも市販されておりますけれども、中橋敬次郎前主税局長が「付加価値税・土地税制等をめぐる欧米税制の動向と背景」と、欧米に大蔵省が調査団を送ったその調査報告かこうやって本になって出ている。国会に提出されていない。当然これは国会に出していただきたいと思うんです。 それから昭和四十五年の秋に大蔵省から木下阪大教授、館東大教授、貝塚東大助教授、この方が欧米に派遣されて付加価値税について調査をされている。この調査の資料を提出していただきたいと思うんです。 それから昨年の九月一日に大蔵省主税局の島崎税制第二課長がこの付加価値税を仮に導入した場合に日本として考慮しなければならないという点を幾つか言われております。この検討結果を提出していただきたいと思います。 以上、委員長お願いします。
○政府委員(山内宏君) まず、最初の税制参考資料集につきましては、これは内部参考資料でございますので、直ちに御提出申し上げるのはいかがかと思いますので、さらに検討さしていただきたいと思います。 それから消費態様の実態調査につきましてはこの前も申し上げましたが、調査方式と申しますか調査手法と申しますか、その点についてまだいろいろ疑問がございますので、その点の解決をいたしませんで直ちに調査を始めましても適当な結果が得られるかどうかという点がはなはだ私どもとしては心配でございますので、その辺のところをさらに研究した上で今後とも研究を続けさしていただきたい、こう思う次第でございます。 それから先ほど御指摘の中橋敬次郎云々の書物でございますが、これは税制調査会が調査をした結果をまとめたものでございます。この点については恐らく御提出することが可能と思いますので、さよう取り計らいたいと思います。 なお、それ以外に付加価値税についていかなる研究をしたかということでございますが、これにつきましては主税局といたしまして付加価値税に限らず諸外国の現行の税制につきましては各種の観点から種々常時研究はいたしておりますが、それを取りまとめたような形のものとしては現在のところまだ何もつくってございません。いわば研究と申しましても非常に基礎的な段階でございます。そういう意味で御提出できるような形で資料にまとめたものがちょっと私いまのところ現在の頭では思い浮かびませんが、もし適当な形にまとまったものがございましたら後刻追って提出させていただきたいと思います。 以上でございます。
○渡辺武君 委員長、この問題、ひとつ理事会で御協議いただきたい。
○委員長(岩動道行君) それでは理事会において協議をさせていただきます。 午後四時五十分まで休憩いたします。 午後四時五十分休憩 —————・————— 午後四時五十八分開会 〔理事中西一郎君委員長席に着く〕
○理事(中西一郎君) ただいまから大蔵委員会を再会いたします。 休憩前に引き続き、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○栗林卓司君 まず最初に、これは確認の意味で大臣にお尋ねをいたしますけれども、特例公債の発行について、これはインフレマネーではないかという指摘に対して、まずもってこれは日銀引き受けではございません、あわせて今日の需給ギャップの現状を考えると、この公債発行がインフレの大きな要因になるとは判断できません、こういう御判断があったと思いますが、念のために確認をさしていただきます。
○国務大臣(大平正芳君) そのように私も心得ております。
○栗林卓司君 それで、前回本会議でも申し上げたんですけれども、特例公債から一日も早く脱却をしなければいけないだろうと。裏返して言いますと、どれぐらいの期間、将来展望すると特例公債が支障なく発行し得る見通しがあるのだろうか、こういう観点からひとつ伺いたいんですけれども、経済企画庁来られていると思いますけれども、つくられた昭和五十年代前期経済計画の中で、今日の需給ギャップが大筋としていつごろ解消すると見ておいででございますか。
○政府委員(柳井昭司君) 今度の新計画におきましては年度間六%強という成長を考えておりまして、ただし、まあ現時点におきます不況というものから脱却するためには、本年度は五%から六%の間の成長を考えておるわけでございますが、まあなお需給ギャップ等も残ると思いますので、前半におきましては高目の成長を考えて、後半には安定した成長に移るようにというふうに考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 いま私がお尋ねしたのは、今日の需給ギャップが五十年代前半という計画期間の中で、いつごろおおむね解消すると見ているんですかという質問なのです。念のために、この五十年代前期計画の中で「五十五年度経済の輪郭」というものがありまして、そこの中で計画期間中の発展計画として実はその点に触れてあるわけです。で、いまお答えになったように、計画期間の前半を高目の経済成長で運営していく、これは現存する需給の不均衡を早期に改善するんだ、こういう文章から判断すると、前期計画期間中のしかもその前半分の方で需給ギャップが解消することを少なくともこの計画では期待している、そう読めるのですけれども間違いございませんか。
○政府委員(柳井昭司君) そのとおりでございます。
○栗林卓司君 そこで、大蔵省にお尋ねをするわけですけれども、今日の需給ギャップという現実からすると、特例公債を発行してもインフレの大きな要因にはなるまいという判断である、先ほど大臣からも確認の御答弁がございました。そこで、需給ギャップが解消したとする、これ厳密な意味で申し上げてません、大筋として解消したとすると、特例公債の発行というのは今日の需給ギャップが存在している状況と同じ理屈にならないんじゃないか。いまの経済企画庁の御答弁では五十年代前期のしかも前半分の方で解消するであろうという判断だそうでありますから、そうなってくると大蔵省がつくられたケースIあるいはケースIIのように、五十四年度まで、あるいは五十三年度まで特例公債を当てにするということがむずかしくなるんじゃないか、この辺の御判断はいかがですか。
○政府委員(戸田嘉徳君) いまの御質問でございますが、全体といたしまして非常に経済成長が安定成長に今後はなるということが考えられているわけでございます。したがいまして、設備投資全体の伸びというものは、従来の伸びよりもはるかに落ちてくるということは当然考えられるわけでございまして、いま先生のおっしゃいました五十五年度の経済企画庁で試算されましたこの計画、これによりましても、四十五年度の構成比がたとえば民間の企業設備投資がGNPの二〇%を占めておりましたのが、今後は五十五年度の構成比はそれが一四%に落ちるというふうに、非常に設備投資の伸びというものはどうしても非常に落ちてくるわけでございます。したがいまして、その需給ギャップがたとえ解消されましても、従来のような設備投資を伸ばすというような必要はなくなるわけでございます。同時に、特例公債のようなものも、今後安定成長が図られていきます段階で、逐次そういう必要がなくなってくるといいますか、国債発行のウエートというものが落ちてくるわけでございまして、ちょどそういうような形から見まして全体としまして特例国債等の必要も減少してくる、そうして全体として設備投資というものの伸びも従来ほどの伸びの必要がなくなってくるというようなことでそこがつり合うものと、かように考えております。
○栗林卓司君 私がお尋ねしたのは、設備投資の動向ではなくて、今日の需給ギャップがどうなるのかという質問なんです。で、設備投資も需要の一要因ですから、そのほかのものをひっくるめて需要が一体どういう動向になるのか。そこで問題は、特例公債というと物価への心配ということが何といってもくるわけです。で、日銀引き受けはしません、市中消化ですと、これはまた、それはそれでマネーサプライの問題をはらみますけれども、一応これはおきます。ただ、やはり今日の非常に深刻な需給ギャップの現状を前提にするという御説明はそれはそれで私は説得力があると思う。しかし、その需給ギャップが五十年代前期の前半分の方でほぼ解消される。そうなると、特例公債の発行は物価に対する相当な心配をしないと発行できないということになると、単純に五十四年度幾らでございます、五十三年度幾らという想定が立たないんではありませんかという質問です。
○政府委員(戸田嘉徳君) 少し言葉が足りなかったと思いますが、いま先生がおっしゃいました需給ギャップ、それの主たるものがやはり設備投資であろうかと思います。つまり全体としまして見ましたときに、金融という面で見ますと、何が一番金融面で需要として強くあらわれてきたかということでございますが、たとえば個人の消費でございますとか、そういうものは、実は従来と余り今後も変わらない。従来非常に資金を食いましたのは、実は設備投資が非常に強かった。それがこの資金を非常に使ったわけでございます。したがいまして、その需給ギャップというのは、主たるものはその設備投資が需要、生産能力がいま過剰でございまして、したがって、現在は設備投資が非常に沈滞いたしておるわけでございます。これは最終需要に対してそれを生産する設備がそれほど必要じゃないわけでございます。その能力が余っているわけでございますので、設備投資が非常に沈滞しておるというところで、現在は非常に企業面からの金融の需要というものが緩んでいるわけでございます。したがって、その緩んだ金融にちょうどアジャストするように国債がたくさん出されまして、そうしてそれが財政支出という型で最終需要をまた構成していくという形で調和がされるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、今後需給ギャップがなくなってまいりますと、それ以前からだと思いますが、また設備投資が起こってくるわけでございます。しかし、それはこの高度成長時代の設備投資とは違ってそんなに強い伸びが必要でない。つまり資本の産出係数から考えましても、GNPの伸びというものに比例したような形で設備投資というのは伸ばしてくるわけでございますから、そういうものが非常に落ちてくる、非常にスローテンポになるということは、それだけ金融面では緩みが出てくるわけでございます。したがいまして、そういう全体的に見ても、そういう国債というものを消化する余力があるわけでございますが、同時に、需給ギャップがなくなり設備投資もある程度起こってくるということは、同時にこれは景気が順調に回復していくわけでございますから、そういう面で歳入というものもいわゆる租税その他正常に上がってくるわけでございます。そうしますと、その国債というものの必要度合いといいますか、そのウエートというものはいまよりもまた少しずつ落ちてくる、少なくて済むというような形でそこが調和すると、かように申し上げたわけでございます。
○栗林卓司君 私のお尋ねの意味がよくおわかりになっていない気がするんですけれども、そこで確認で伺いますが、今後とも民間設備投資主導型の経済発展があるという前提で将来を展望されているんですか、これが第一。第二は、そういった点で考えたとして、五十年代前期を通して、おっしゃる、あなたが理解されている需給ギャップは解消するんですかしないんですか。
○政府委員(戸田嘉徳君) 第一の点につきましては、明らかに今後は従来の民間主導型からどちらかといいますと、財政というものが相当の指導力を持って登場してくる時代ではなかろうか、かように思っております。 それから第二の点につきましては、おっしゃるように、いずれは需給ギャップは解消するであろう、かように考えております。
○栗林卓司君 いずれはではなくて、いま伺っているのは、いつごろなんだろうかというのは、将来の財政設計にかかわる話を伺っているんです。昭和五十五年には特例公債を発行しなくても済みそうであります。いただいた資料では確かにそうなんです。途中をどう歩くんだろうかというと、何となく年度をならして線を引っ張ってみましたではなくて、年度後半で経済企画庁が御判断のように需給ギャップはそのころは大筋としては解消されていくであろう。したがって、経済の伸びを落としながら安定成長のテンポに持っていくんだという御判断の場合には、五十年代前期の前半では特例公債の発行によって物価への大きな悪影響を及ぼすことを心配なしに、そういう財政資金調達の道が講じられるかもしらぬけれども、五十年代前期の後半になってくると、そういう道は少なくも物価への配慮からとれないかもしらぬということになるわけです。少なくも、経済企画庁の御判断がもとになっているこれでは、五十年代前期の、しかも、半ばごろということなんですから、具体的に言うと五十三年度、五十四年度は特例公債が果して発行可能な経済環境であるかどうかわからない。しかもこの五十年代前期の経済計画が口を酸っぱくして言っているのは、総需要管理ということです。というのは、そのころの需給関係がどうなってくるかについて相当の問題意識を持っておりますという意味だと思うんです。あなたがおっしゃったように、これからはかつてのような民間設備主導型ではないんだろうと思います。中を拝見すると、これからの経済発展の指導力は、一つは公的部門の公共投資であり、もう一つは住宅投資であり、もう一つは輸出の伸張である。恐らくこんな構えで書いてあると思うんです。それもまた需要を構成していくわけですから、その意味でいつごろだとごらんになっているのか、重ねて伺います。
○政府委員(戸田嘉徳君) 経済は全く生き物でございますので、さらにたとえば設備投資というのがまた途中でかなり先行きを見まして強くなってくるというようなことになりますと、また前提が狂ってくるわけでございますが、ここに計画されておりますような形ですべてのものが動くとすれば、経済企画庁がおっしゃるようなことであろう、かように思っております。
○栗林卓司君 これは政府がお出しになったものですから、政府としてこういう御判断だということを足がかりにしてわれわれは検討するしかないんですけれども、政府のうちの有力な一角がこのとおり動くとすればという条件づきのお答え、私大変理解ができないんですけれども、改めて伺います。
○政府委員(高橋元君) 総体の経済の動き、これは五十五年には、五十年代前期の経済計画概案の五十五年度の姿として示されております。そこでは、先ほど企画庁からも御答弁のありましたように、需給ギャップについてもほぼ解消しておる。それから個人消費支出なり、民間の設備投資なり、輸出なり、それから政府部門なり、そういったものの支出項目のそれぞれの値というものもほぼ五十年代の低下した成長率の時代に適応した姿になっておる、こういう想定でございます。ところが、私どもが財政収支試算でお示ししましたのは、中間値が実は経済企画庁の計画には全くないのです。そこを前半は高く後半はやや低目にということをとりまして、名目の成長率を一五、一五、一二、一二と仮に置いてみた。そのもとで、たとえばGNPスライドの歳出、または高率の歳出、それから歳入につきましてもGNPにいわば一定割合といいますか、弾性値と申しますか、そういうものを掛けて出してみたものを置いてみたわけです。そこで五十三、五十四までそういう各年の姿を示しておりますけれども、これは五十三、五十四がそこに書いてあります財政収支試算の姿にフィットするかどうか。これは財政政策の運営としてそういう形で計画も言っておられますように、五十年代の前半に特例公債依存から脱却する、そういう努力の足がかりを示しておるわけであります。ところで毎年毎年の歳入歳出がどうなるかということは、確かに不況からの回復という、それから低下した成長率に適応していくという新しい経済体制への移行の問題、それからまた、計画が全然予測できないところの景気変動の問題、こういった幾つかのむずかしい問題をはらんでおります。これは毎年毎年の歳入歳出を通じて、つまり、予算または税法を通じてまた御審議をいただいていくわけでございますし、私どもとしても経済、財政が民間の経済のバランスを乱すということは健全財政たるゆえんでございませんので、毎年、毎年の短期の予算の問題としてまず、真剣に考えてやっていかなければならぬ。おっしゃいますように、五十三年、五十四年に需給ギャップというものが解消してしまう時代が来るならば、それはもっと財政としては姿がよくなっていかなければならないわけで、また恐らく税収を通じてより高い税収が入って、特例公債がそれより減っておるという状態が来ておるかもしれません。しかし、そのために私どもは構造的な財政体質の改善を考えますと、支出を抑えてまいらないといけないわけで、その手がかりをそこにお示ししておるわけでございますから、くどくなりますけれども、毎年の歳出歳入の姿につきましては、さらに各年度の経済見通しを立てます際に十二分に戒慎して経済に混乱を与えることがいやしくもないように、また財政の体質を一歩一歩直していきますように努力いたしたいと思っておるわけです。
○栗林卓司君 いまのお答えを踏まえてお尋ねをいたしますと、途中について経済企画庁から指標がないものだから、前提を置いてこういったぐあいになった。そうなるとケースIの場合は五十四年度を最後にして特例公債を抜け出し、ケースIIでは五十三年度を最後にして抜け出すという教字には一応なるけれども、もし仮に五十年代前期経済計画のスケルトン、前段の期間の進展の姿というものは書いてあるとおりになってほしいし、またそうなるであろうけれども、本当になるのだという場合にはケースI、ケースIIが想定している前提条件が実は実体経済の面で変わってくるので、税収の増加と見合い勘定で五十年代前期後半の財政計画もまた変わってくるでありましょう。いわば見合い勘定の部分が相当あるのですというぐあいに聞いてよろしいですか。
○政府委員(高橋元君) 財政で歳出面というのは、ある程度政府の意図というものがかなり入り得る、そういう意味では計画的な要素を持っておりますけれども、これまた財政経済全体の姿を見通さなければ具体的な年度の歳出をどうするかということは決めがたい。歳入の方は経済の動向、また国民生活の動向によって租税収入は決まってまいるわけで、むしろ受け身であります。その両者を兼ね合わせればまさに先生がおっしゃったように、具体的な年度の足取りというものはもっともっとよくこれから先の経済見通しということが必要であろうかと思います。
○栗林卓司君 それでは御答弁踏まえながらその間の見通しの問題について若干伺いたいと思うんですけれども、ケースIをしばらく議論の対象として伺うわけですけれども、昭和五十五年度の税収が三十五兆五千八百億円と書いてあります。その間五十一年度から五十四年度にわたって前提がある数字がプロットされておるわけですけれども、以降についてお伺いする前に、税の関係についてちょっと念のために確認しますけれども、この計算に当たって弾性値は一・六二を使って計算をされたということですが、それは間違いございませんか。
○政府委員(山内宏君) この財政収支試算の中に出ております税収の金額は、これはあくまでも計画概案で前提といたしました諸施策を実施し、かつ先ほど御指摘のようにケースIで申しますならば、五十四年度までに赤字特例公債から脱却をするという前提のもとに税収に何ほどを期待されるかということではじき出しました数字でございます。その数字が概案で考えておりますところの昭和四十八年から五十年までの租税負担率をほぼ三ポイント上げるということと一致をするわけでございますが、そういう前提のもとに単純に数字をはじき出しますと、そういうことになるということでございます。それを逆の方向から、つまり三十五兆余りを五十五年度に確保するためには、これ税制改正が一切なかりせば、自然増収だけで一体弾性値がどのくらいになるかというのを逆に計算をいたしますと、いま御指摘のように一・六二という数字が出てまいったわけでございます。
○栗林卓司君 一・六二、これは逆算で出た数字だと思いますけれども、考え方とすると、税負担率が三ポイント上がるということが基礎になっているわけですね。 で、念のために伺うんですけれども、このケースIの計算は五十年度補正後を出発点にして御計算だろうと思うんです。いま三ポイントというのは五十年度に対して三ポイントではないと思うんですけれども、その辺はどうなっておりますか。
○政府委員(山内宏君) おっしゃいますように、四十八年から五十年の平均に対して三ポイントアップでございますから、五十一年度に対しますとほぼ五ポイントのアップになります。
○栗林卓司君 そうすると、それを見込んで一・六二を考えたと理解してよろしゅうございましょうか。伺う意味は、名目の成長率が五十年代前半では一三%となっておりますから、一・六二を掛けますと二一%ぐらいになるんだろう、税収の伸びとして。ところが、税収の伸びとして資料が示しているのは一九%前後じゃないか。その辺の食い違いはどう考えていらっしゃいますか。
○政府委員(山内宏君) 先ほどの三ポイントとか五ポイントとかと申しますのは地方税も含めました率でございます。それを国税と地方税にどういうふうに分配するかというのは、この財政収支試算の場合には、現在の国税と地方税のウェートに応じまして大体二対一という割合で計算をいたしておりますので、そういう意味で、国税だけで取り出して計算をいたしますと、五十一年度から五十五年度までの間には三・八ポイントになります。地方税を合わせまして五ポイント。
○栗林卓司君 では、こういう角度の質問に対してお答えいただきたいんですけれども、五十年度というのは非常に異常な景気の落ち込み下にあったわけです。それを出発点にして計算をしてまいりますと、将来の姿は非常に低く出てくる。問題は、その異常な落ち込みがどのぐらいの期間に解消するかというと、これはまたなかなか判断がむずかしいんですけれども、まあ五年間の話だから、仮に昭和五十年度で税負担率がおおむね前の並びぐらいになったとしたらという計算をしますと、実は税収入も上がってくるわけです。上がってきた額でずっとはじいてまいりますと、従来の経験値である一・三幾つの租税弾性値を使っただけでも五十五年度の税収にほぼ近くなる。まあ五十五年度を通用水準に直して引っ張ってくるんですから、ごく単純なことをお尋ねしているんですけれども、五十年度というのはだれも認めるように異常値なんです。それ一遍直さなきゃいかぬ。直した上で、何が正常値かわからないけれども、まあこんなところであろうと腰だめで決めて引っ張ってこないと五十五年が出ないんです。その場合には、従来の経験則としての租税弾性値というのは先日のお答えでは一・三五前後であるというお話があった。一・三五で計算しまして、五十五年度に求めている税収三十五兆五千八百億円に近い金額になる。 伺っている意味は、そういう計算の前提が正しいとすると、途中で税の負担を上げるのどうのこうのという議論を一切しないでわれわれは済むんじゃないか。たまたま出発点の五十年度が低いから、結果として弾性値が一・六二でございます、したがって、赤字公債脱却するために云々ということになるんだけれども、本当は五十年度という異常な年度を出発点に選んだから過度にそういう議論が起きているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(山内宏君) 私どもはその一年一年の計算を実はいまおっしゃるような形で細かく見ておりません。これはまあ見るべき尺度がないということで、したがいまして、現在与えられておる尺度といたしまして五年間の概案の期間に合わせて計算をいたしておりますので、そういう意味で具体的に毎年毎年の議論ということに相なりますると、あるいは五十二年度におきましてはいま御指摘のように従来の経験に徴しましてある程度の弾性値が上がるかもしれぬと思います。ただ五年間を通じて考えてみますと、やはり概案の考えておりますように、四十八−五十に比べて三ポイント上げる、地方税も合わせまして三ポイント上げるということになりますと、最終の年度といたしましてはやはり三十五兆ということにならざるを得ない。ただその場合に、しからばいま御指摘のように五十二年度どのくらい経済が自然反転をするかということを考えませんと、五十年度以降の税収の伸び率というのが三十五兆五千億に達するまでの間にどのくらいのカーブで上がるべきかということが正確に計算ができないわけでありますが、その辺のことにつきましても先ほど申しましたようにわれわれとしてまだ五十二年度の歳入の上がり方について全く検討いたしておりませんので、いまここで御指摘のような基本的な流れとしてはある程度そういう形が出るとは思いますけれども、したがって、自然増収だけでカバーできるかということになりますと、私どもはまあ漠然と考えてなかなかそこまでいかないのではあるまいかというふうに思う次第であります。
○栗林卓司君 漠然と考えているというお話ですけれども、確かに年度について正確な計算してみろと言われたって、これはむずかしいんで、計算過程を見ると、五十二年、五十三年の税収の伸び率が高くて、五十四年、五十五年でも落としてありますから、先ほどの経済企画庁の前提条件に合わせた計算をしながらのまことに試算であるということはよくわかるんですよ。ただ、その試算のもとになっている年次が五十年度という異常な年次なんです。で、税及び税外負担については三ポイント上げるということは、経済企画庁のくみ上げてまいりました条件に入っておりますけれども、それはあくまでも昭和四十八年度から五十年度の平均に対して三ポイント上げる、こういうことですね。だから五十年度というのは四十八年度から五十年度に比べて数ポイント落ちているわけでしょう。あの不況下ですから税金とても出てこなかった。しかもあの状態が議論の出発点として続くということは実体経済が耐えられないわけですから、谷深ければ山高しの理屈で、やっぱりそれは水準が上に上がってくると見ざるを得ないという想定は当然立てながら、手探りとは言うものの将来を展望すべきであったんではないんですか。それで単純な計算をしてみても租税弾性値を上げなくても、昭和五十五年の税収入は近くなると思うんですがという質問なんです。
○政府委員(山内宏君) その辺の前提の論議になりますと、税収だけにとどまらずに、財政収支試算全般の問題になろうか、あるいは計画概案の問題にもなろうかと思います。計画概案そのものがやはり五十年から五十五年度の間におきまして、実質年六%、名目一三%強ということで組んでおりますので、税収としても当然それに乗っかってくるわけでございます。したがいまして、いま御指摘のようにその分が異常に低過ぎるとかというふうな状態が起こってまいりますれば、それは変わってまいりますが、それは税収だけの問題ではなしに、その計画全体についてそういう問題が起こるのではなかろうかというふうに考えております。
○栗林卓司君 いや、見積もりのむずかしさをわかっていて何で聞いているかといいますと、たとえば五十五年度の公債累積残高五十一兆四千億、これが議論の種になるわけでしょう。で、五十一兆四千億かどうかというのはわからないわけですね。そうすると、一番理解されやすい形で推定を積み上げていくしかない。 そこで、私が伺っているのは五十年度の補正後ですが、計算上の根拠に使っているわけでしょう。これが間違いではないんでしょうかと聞いている。中に異常値が入っていることはお認めだと思うんです。したがって、異常値を抜いて、どう抜くかはむずかしい前提がつくとしても、その上で数字をお示しにならないと、議論が過度にゆがんでこないか。もしこれがたとえば五十一年度か五十二年度か、時期はわからないにしても五十年度の異常値が外れたとして、あとはおっしゃるように増税の道をも含めながら租税弾性値としては一・六二でわしはまいりたいんだ、こうなりますと、その間の税収のこのケースIに対する増分というのは特例公債の累計額をはるかに突破する。それほどの選択幅のある議論を求める以上は、五十年度が出発点で本当によかったのかということについては明快な御見解がなければいけないんです。
○政府委員(山内宏君) この財政収支試算の計算は、五十年度ではございませんで、五十一年度の数字をもとにいたしまして、税収の点で申しますと、十六兆一千億という現在の予算ですでに御承認いただきました数字をもとにいたしまして、五十五年度でいまの全体として三ポイント上げる三十五兆までの線を引いたわけでございます。その線の引き方は、先ほどから御説明がありますように、GNPの伸びが、この五カ年の間の五十二、五十三年度で高目、五十四、五十五年度で若干低目、平均いたしましてこの計画期間通算をして、名目一三%強というのに乗っております次第でございます。いまのお尋ねの点は、そういう意味で、あくまでも税収も全体の経済の成長を頭に置いた上で計算をした場合に、先ほど申しましたように一・六二ということになるわけでございます。いま御指摘のように、最初にもっと上がるではないかという御質問でありまするならば、税収問題でなしに、そのもう一つ前提のGNPの置き方の問題になろうかということを申し上げております。
○栗林卓司君 念のためにお尋ねしますが、五十年度ではなくて五十一年度を出発点にしましたというお話ですが、五十一年度は五十年度を出発にしたんでしょう。五十年度の異常値がおおむね変化するとは考えられないのでと組んだのが五十一年度の予算見積もりではなかったんですか。
○政府委員(山内宏君) 五十一年度の税収につきましては、もちろんその五十年度の実績をもとにしておりますけれども、ある程度の景気の反騰をも含めました上で見積もっておるものでございます。
○栗林卓司君 この数字の議論してますと、だんだんとはかいかなくなるんですけれども、ただ言えるのは、五十年度にしても、それから五十一年度にしても、そこを出発点にして引っ張っていくというのは、なかなか無理のあることだということはお認めいただけると思いますし、それが前提条件でこう伸ばしてまいりますと、先に行けば行くほど広がりが大きくなってくるということも、これはお認めいただけるんだろうと思うんです。で、仮にはじいた算術ですから、それが正しいとは言いませんけれども、いろんなはじき方をしていくと、必要な特例公債の額にしても、ずいぶんと変わってくるわけです。そうなってくると、ケースIで五十四年度で特例公債をゼロにするとか、ケースIIで五十三年度でゼロにするというのも、いわば紙の上の話であって、むしろどちらかと言うと、これから先は大臣に伺いたいんですが、いつごろまでに特例公債を脱却するかというのは、仮に五十年代前期経済計画が正しいとすると、五十年代前期五カ年間の前半分の方で需給ギャップは解消することを政府は期待するし、あってほしい。そう考えると、特例公債の脱却というのは、ケースI、ケースIIよりも急がなければいけない。と言うと、ケースIとIIに対してずいぶんと無理な議論をしているように聞こえるかもしれないけれども、これ自体が余りに前提が多過ぎる。その意味では、腰だめで将来を展望しながら、少なくもこのぐらいの期間にという政策を大きくお立てになった方が、むしろ間違いがないんじゃないかという気がするんですけれども、この点のお感じはいかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) きょう鈴木先生とのやりとりでも申し上げたわけでございますし、渡辺さんとのやりとりでも申し上げましたが、一つには、経済の回復と税収との間にずれがございますから、仮に、大ざっぱに申しまして需給のギャップが埋められたとしても、税収の方がそれを端的にすぐ反映するというわけにまいりませんで、相当のタイムラグがあるということは御理解いただけると思います。 それから第二は、財政には大変な累積した国情を抱えておるわけでございまするし、その金利も抱えておるわけでございますので、単年度だけの勝負でございますならば身軽でございますけれども、そういう過去の荷物を抱えておりますので、若干ずれ込んでいくわけでございますので、そこはどのぐらいになりますか、正確にはちょっと知も答えかねるんでございますけれども、ある程度、それだけのタイムラグはお許しいただかないといけないんじゃないかと思います。
○栗林卓司君 そうすると、タイムラグ、そうだと思います。 そこで二つの点で伺いたいと思うんですけれども、一つは、そうやってタイムラグが出てくる、で、実体経済の面では、相当物価への心配も含めて総需要管理、金融政策を含めて慎重に運営していかなければいかぬ。そうは言いながら、特例公債というのは、これは建設公債と違いまして、公共投資やめてしまって総体を削減するという道がない、財政の硬直化の裏側としてこうあるわけですから、おっしゃるように、やっぱり計画的に出していかなきゃいかぬ、こういう悩みが実はあるわけです。その意味でも、そのタイムラグ、私認めますけれども、認めるけれども、だから逆にもっと早く、若干な無理をしてでも脱却しておかなきゃいかぬという政策選択になりはしないんだろうか、まずこの点について、タイムラグというお答えがありましたので、御見解、まず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) だからこの財政収支の試算というのは、一応の手がかり、目安でございまして、これよりも早くできれば、もう一日も早く脱却いたしたいわけでございます。これは政府の決心でございます、勇気でございますので、その点は政府といたしましては、できるだけ早く繰り上げて脱却のタイミングを早めるように努力する、これは決意して当たらなけりゃならぬと思います。
○栗林卓司君 そこで、これも実は従来から何遍も出た議論でございまして、将来の見通しが絡む問題ですから、結論がよう出ないわけですけれども、そのタイムラグがあるんだと、しかも五十年度の不況というものを踏まえながら、若干回復したとはいいながら、今日なおこの現状にあるわけです。これが水面の上の上昇になってまいりますと、当然税収の伸びが上がってくる。さっきから細かい議論ばかりいたしましたけれども、要するに、この実体経済の水準が上がれば、租税弾性値の面でずいぶん無理な配慮をしなくても必要な税収が入ってくるという想定が立つんじゃないかということを踏まえますと、将来の健全財政のためにも、景気回復の早急な実現が望まれるのではないんだろうか。だから減税と私、申し上げません。ただ、そういった早期な回復をこう望みながら、将来はその結果として需給のバランスがある程度とれてくるであろう。そうすると、ある期間の非常に短期的な、いわば緊急避難的な対策として特例公債ということを考えざるを得ない。将来、先々どうかということは、これはその心配は全くない。ただし、また不況になれば別ですよ。いまある条件では心配はない。むしろこの短期をどうするかということに問題がしぼられてくるというぐあいに整理ができるんじゃないかと思いますが、これも確認で伺いますが、そういうことでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) そうですね、その点は、そういう説は相当有力な説がありまするし、七兆二千億というような公債ではとてもいけないんで、十兆にすべきじゃないかというような有力な主張もあります。私どもも景気の回復は早い方がいいと、こう考えます。ただ、そのために財政上の犠牲を払ってまで、つまり公債の増発をあえてしてまでそうしなければならぬものかということになりますと、いまの私、財政の体力からいたしまして、そこまではなかなかちゅうちょせざるを得ないわけでございます。だから、減税をもう大胆にやって消費需要を喚起せよという、いまの衆参両院を通じて相当根強い主張としてございますし、学界にもございますし、評論界にもあることはようよう知っているんですけれども、これ、そこにどうしても踏み切れませんのは、そうまでしていま財政上の荷物を重くしていっていいのかという、なかなか踏み切れないものを感じるのでございます。したがって若干の、 若干のタイミングが長くなっても、回復期が少し先に延びるかもしれぬけれども、まず手がたくいくべきじゃないかというのが私の考え方なんでございます。
○栗林卓司君 まあそれは深く触れないとしまして、そこで、非常に短期の緊急対策ということで考えますと、昭和五十五年度までの公債残高が五十一兆で本当にあるのか、あるいはもっと減るのか。感じとしては何かこれよりも大きく減るような気がしてならないんですけれども、それはそれとして、これだけのものがある。五十六年度以降はどうかと聞かれたら、恐らく大臣のお答えは、特例公債を当てにして財政運営はできませんからそれはない、健全財政でまいりますと、こういうことだと思うんです。そうすると、たまたま不幸にして昭和五十年度から五十二年か三年かわかりませんけれども、ある期間相当のかたまりの公債残高を抱えた財政運営をせざるを得ないということですね。これを、借りかえしないんだ、この意味はわかるんですよ。とてもそんなことは財政のけじめの問題としてできませんということはわかるんだけれども、借りかえしないんだって、こう決めてしまえるんだろうか。償還計画ということが非常に議論になるのも、そうは言ったって十年後にどかんと来たら一体どうするんだという不安が去らない。で、実は五十一年度につきましても、本当に三兆七千五百億円の公債が必要なのか、九月期決算を見たらもっとそれよりも少なくて済むのか、いろんな条件があるわけですから、これはお答えをいただくわけにはいかないと思いますけれども、本当は、借りかえをしないと、こう決めてしまうのか、もっと先まで延ばして、ある期間の間で将来の財政に負担をかけない範囲で、この起きてしまった異常な後始末をなだらかにつけていくという方が健全な気もするんですけれども、もしお答えいただけたら御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 歯どめ論が衆参両部を通じまして五十年度の補正予算の御審議、そして特例債の御審議のときにあったわけでございまして、普通の減債計画では十分でないと。償還財源の積み立て用意ということについてもっと周到な用意がなければならぬじゃないかという御議論がございまして、私どもももっともだと存じて、そこで、定率の積み立て百分の一・六は、その制度はそのままといたしますけれども、剰余金は全額繰り入れることにいたしますと、それから予算繰り入れということをいたしますということで、最初御説明申し上げたんですけれども、とてもそんなことではいけないと、もっとということで、われわれ部内でもいろいろ検討いたしましたが、結局は、これ借りかえをしないという決意をしようじゃないかという、いわば山を移すような決心をいたしたわけです。しかし、これは決心した以上はやらなければいかぬと思うんです、私は。それは、ここでもごらんのように、五十五年度ケースIの場合、五十五年度公債依存度が一五%でございます。公債残高が五十一兆でございます。まあ四十三兆の予算規模という中で国債費がここで四兆四千億でございます。で、これは約一割強でございます。で、まあこれだけの財政規模の中で、私ども借りかえをしない決意で、前広にいついつ償還年度、償還期限が来る年次表を持っておるわけでございますから、財政当局といたしましてそれだけの心組みで予算を組んでまいることは私は不可能でないと存じておるし、それやらにゃいかぬことでございますので、しかもことしの法律にはもうそれを法律化、つまり書き込んだわけでございますので、抜き差しならぬ決心をいたしたわけでございまして、後退を許されない、帰らざる川にさお差したわけでございますので、そのあたりのところはひとつわれわれの決心のほどを評価していただきたいと思います。
○栗林卓司君 ですから、決心としては評価をするんですけれども、そうは言っても本当によかったんだろうかと、質問する側が首をひねる面がないわけじゃないということを申し上げているわけでございます。 で、もう時間が来ましたから、これで今回の私の質問は終わりますけれども、最後に、今後に対する意見として申し上げておきたいのは、ケースI、ケースII、これをもとにしていろいろ議論が発展しているわけですけれども、先ほど来のお話のように非常に前提が多い数字であろうかと思います。また、それもやむを得なかろうと思います。ただ、これからどんな角度で景気が直っていくのかを含めて今年度いっぱいでいろいろ新しい数字も出てくるはずだと思いますから、せっかく五十年代前期の経済計画も最近発表になったわけですから、これと見合った、なるべくなら見合った政府の財政計画その他諸計画を早くお出しいただきたい。あわせてわれわれがこういう経済計画というマクロの面と、財政金融政策というものを整合性を持って検討ができるようにぜひ当局として御検討いただきたいと思います。この点で大臣の御見解伺います。
○国務大臣(大平正芳君) 御注意は十分心してまいりたいと思います。
○委員長(岩動道行君) 午後六時十五分まで休憩いたします。 午後五時四十八分休憩 —————・————— 午後六時二十一分開会
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 経済協力開発機構金融支援基金への加盟に伴う措置に関する法律案、アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を便宜上一括して議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました経済協力開発機構金融支援基金への加盟に伴う措置に関する法律案外三法律案の提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 まず、経済協力開発機構金融支援基金への加盟に伴う措置に関する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。 経済協力開発機構金融支援基金は、経済協力開発機構すなわちOECDの加盟国が石油価格の大幅な上昇によって国際収支困難に直面した場合に、貿易制限等の一方的な政策をとることを回避し、適切な内外経済政策をとることを確保するため、OECD加盟国が相互に金融支援を行うことを目的とするものであります。 具体的には、深刻な国際収支困難に陥った基金加盟国は、他の金融手段を尽した上で、なお必要な場合には、同基金から資金を借り入れることができ、他の加盟国は、基金の貸付資金の調達に協力することとなっております。この協力の方法としては、基金に対し、自国の割当額の範囲内において、資金を貸し付け、または、基金の市場借り入れに際し、その返済を担保するため、必要が生じた場合には基金に資金を貸し付ける旨の予約を与えることとなっております。この割当額の総額はOECD加盟二十四カ国で二百億SDRであります。 このうち、わが国の割当額は二十三億四千万SDRで、割当額総額の一一・七%であります。これは、全加盟国中第三位となっており、同基金の十全の機能を確保するためには、わが国の加盟が不可欠であります。 わが国がこの経済協力開発機構金融支援基金に加盟するためには、経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定を批准する必要があり、このため、別途、本国会において同協定について御審議をいただいているところでありますが、これと同時に、同基金への加盟に伴う所要の国内措置を講ずる必要があります。このため、経済協力開発機構金融支援基金への加盟に伴う措置に関する法律案を提出する次第であります。 以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一に、政府は、経済協力開発機構金融支援基金等との間で、外国為替資金特別会計の負担において、二十三億四千万SDRに相当する金額の範囲内で基金への貸し付けもしくは貸し付予約等を行うこと、及び、基金からの借り入れ等を行うことができることといたしております。 第二に、政府は、基金への貸し付け等のため必要がある場合には、外国為替資金特別会計の負担において、日本銀行または外国為替公認銀行等から借り入れを行うこと等ができることといたしております。 このほか、大蔵省設置法の一部を改正して同基金に関する事務を大蔵省国際金融局において行うこととする等、所要の規定の整備を図ることといたしております。 ————————————— 次に、アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 アフリカ開発基金は、アフリカ開発銀行の活動を支援するため、きわめて緩和された条件による融資を行う機関として、一九七三年に設立され、アフリカ諸国の経済的・社会的開発に着実な実績を上げてきております。わが国は、その原参加国として設立当初からこれに参加し、アフリカ諸国の開発に積極的に協力してまいりました。 同基金は、参加各国からの出資金を財源として融資活動を行っておりますが、現在その資金は、ほとんど枯渇状態にあり、同基金がアフリカ諸国の期待にこたえ今後とも円滑にその活動を継続してまいるためには、新たな増資が必要となってきました。このような背景のもとに、関係国の間で累次にわたり検討が行われた結果、本年以降三カ年間の融資約束に充てる資金を賄うため、総額約二億二千百万計算単位、すなわち現在の合衆国ドルで申しますと、約二億四千五百万ドルの第一次一般増資が合意されたものであります。 わが国の新たな出資予定額は、三千万計算単位、すなわち約三千三百万ドルであり、政府といたしましては、この法律案により、この出資について国会の御承認を得た上、速やかに正式の引き受け通告を行いたいと考えております。 ————————————— 次に、米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案につきましてその提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 この法律案は、別途本国会において御承認をお願いしておりまする米州開発銀行を設立する協定に基づきまして、わが国が米州開発銀行に加盟することに伴い必要となる各般の措置を規定することを目的とするものであります。 米州開発銀行は、中南米地域の開発途上国の経済的及び社会的開発を目的として、一九五九年に設立された地域開発金融機関であり、現在、米国、カナダ及び中南米二十二カ国の合計二十四カ国が加盟しております。同銀行は、農林漁業、電力、運輸通信等の分野において活発な融資活動を行っており、多大な成果を上げてきておりますが、中南米諸国の同銀行に対する資金需要が増大してきたことに伴い、その資金基盤の強化が要請されてまいりました。 そのため、同銀行は、域外の先進国等に対し同銀行への加盟を呼びかけておりましたが、昨年二月、域外加盟予定十二カ国の政府と同銀行との間で域外国加盟に関する原則的な合意が得られるに至りました。 御承知のとおり、開発途上国の経済開発の促進は、今日の世界経済におけるきわめて重要な課題の一つとなっておりますが、わが国も先進国の一員としてこれら諸国に対し援助の手を差し伸べ、その開発に積極的な協力を行ってまいることが要請されております。政府といたしましては、わが国が米州開発銀行へ加盟することは、このような開発途上国からの要請にこたえるものであるとともに、わが国と中南米諸国との友好関係をさらに増進させ、ひいては同地域との経済関係を緊密にすることにもつながるものであると考え、欧州先進諸国等十一カ国とともにこれに加盟することを決意した次第であります。 以下、この法律案の概要について申し上げます。 まず、政府は、同銀行に対し、協定に規定されている合衆国ドルで五千六百九十七万ドル、すなわち、現在の合衆国ドルで申しますと、約六千八百七十万ドルに相当する金額の範囲内において、本邦通貨により出資し、また、同銀行の特別業務基金に充てるため、予算で定める金額の範囲内において、本邦通貨により拠出することができることといたしております。 次に、同銀行への出資及び拠出は、国債の交付によって行う方法が認められておりますので、この国債の発行権限を政府に付与するとともに、その発行条件、償還等に関して必要な事項を定めております。 さらに、同銀行が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所として、日本銀行を指定することといたしております。 最後に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 国際通貨基金は、五年ごとに出資額の一般的検討を行い、全体の規模を現在の世界経済の要請にこたえ得るものとすると同時に、各国の出資額の割合を最近それぞれの国の経済力等を考慮して調整することといたしております。 今回提案されております増資は、この一般的検討によるものであり、出資額の全体の規模を現行の約二百九十二億SDRから約三百九十億SDRへと三三・六%増加させるものであります。その内訳を御説明いたしますと、産油国の出資割合を現行の約五%から約一〇%へと倍増し、これに対応して先進国の出資割合を約五%削減し、開発途上国については現行の出資割合を維持することといたしております。こうした中で、わが国の出資額は、最近のわが国の経済力の伸びを反映して、十二億SDRから十六億五千九百万SDRへと増加しており、その増加率は三八・三%と先進国中最大のものとなっております。また、この結果、出資総額に占める我が国の出資割合も四・一一%から四・二五%へと拡大することとなっております。 この増資提案を受け入れるため、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を提出する次第であります。 以下、この法律案につきましてその概要を御説明申し上げます。 第一に、政府が国際通貨基金に対し出資することができる限度額を現行の十二億SDRから十六億五千九百万SDRへと引き上げることといたしております。 第二に、国際通貨基金に対する出資は、従来、金及び本邦通貨で行うことといたしておりましたが、これをSDRまたは本邦通貨等で行うことと改める等、別途本国会において御審議を願っております国際通貨基金協定の第二次改正に伴う所要の規定の整備を図ることといたしております。 以上、四法律案の提案の理由及びその概要を御説明いたしました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(岩動道行君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○村田秀三君 私は、ただいま提案をされました国際金融関係四法案に関連をいたしまして質問をいたしたいと思います。その中で主としては、米州開銀加盟について質問をいたす予定でございます。 まず初めに、米開銀設立の目的、それをお伺いいたしたいと思います。と同時に、ずうっと見てまいりますると、同じラテンアメリカに属するところのキューバが未加盟になっておるようであります。その理由等について承知するところがあればお伺いをいたします。これは外務省になろうかと思います。
○政府委員(菊地清明君) 米州開発銀行の設立の目的というものは、この協定の第一条に書いてございますが、この米州地域におきまする地域内の開発途上にある加盟国の経済的、社会的開発の促進に寄与することを目的としておるものでございます。 で、キューバとの関連でございますが、キューバは御承知のようにこの米州開発銀行の母体になりました米州機構というものがございますが、その米州機構のメンバーではございましたが、一九六二年に事実上この米州機構から除名されたようなかっこうになっております。で、一九五九年にこの米州開発銀行設立の議が起きたわけでございますが、その際にはもちろんキューバはOASの、米州機構のメンバーであったわけです。したがいまして、米州開発銀行設立準備の段階におきましてはキューバも名前を原加盟国の、加盟するであろう国のリストに名を連ねておったわけですが、結局キューバの政府の考えで、この米州開発銀行には入らないということになっておるわけでございます。その後、御案内のとおりキューバとそれ以外の米州地域の諸国の関係は改善してきておりまして、たとえば去年におきましては、去年の段階では域内の十一カ国がキューバと国交を回復しておったわけでございます。ただし、その段階で米州機構の中で、今後キューバとの関係はどうするかということは各国に自由に任せるという決議が通っております。行動の自由決議と称しておりますが、この決議が通った後もこの十一カ国、キューバとの関係を持っている十一カ国の数はふえてないという状況になっておりますので、したがいまして、キューバとこの米州開発銀行との関係が今後大きく展開するということは現在のところ見通されておらないという状況でございます。
○村田秀三君 重ねてお伺いしますが、ただいま六二年にキューバは米州機構から除名されたと、こういうことでありますが、この除名の理由というのは何でしょうか。
○政府委員(菊地清明君) 一九六二年の米州機構の外相会議におきまする除名決議によって除名されたわけでございますが、これは主としてその一九五九年の一月に誕生いたしましたカストロ政権、これと域内の各国との関係が悪化いたしまして、その結果除名決議が成立したというふうに承知しております。
○村田秀三君 その悪化の理由はどう理解したらいいんでしょうか。ただ悪化したということではちょっと理解できないわけですね。
○政府委員(菊地清明君) このキューバと域内の中南米諸国との関係は、国によって必ずしも一様でございません。たとえばメキシコに例をとってみますと、メキシコは最後までこのカストロ政権と関係を断たなかったという経緯もございます。それ以外の国が除名決議に賛成したという理由は、恐らく自国内における、何といいますか反政府分子というんですか、そういったものに対するキューバが支援を行っているのではないかというようなこともございまして、そういった国との関係が悪化した結果事実上の除名に至った、それで米州機構における活動も事実上キューバは停止されたというふうに承知いたしております。
○村田秀三君 ここは外務委員会じゃございませんから、余りその問題に深入りした議論をするつもりはありません。が、しかし、いま説明を受けましても、それだけではやはり理解不十分だと私は思います。まあ反政府運動を使嗾するから危険な政府である、こういうようないまのお話ですと理解せざるを得ないわけでありますが、しかし端的に言って、つまりその政府の志向する政策方向なりイデオロギーというものが、米州機構を構成しようとする目的と大いに違ったものであるという意味において、これを除名したと、そういうことにはならないわけですか。
○政府委員(菊地清明君) キューバが除名されたのは米州機構の方からでございまして、この米州機構というのは、御案内のとおり一九四八年に、いわゆる地域機構といいますか、地域安全保障機構といいますか、そういった機構として成立したものでございますので、この地域間の連帯というのがその機構の基本になっているわけでございます。したがいまして、この地域の連帯が破られると、つまりその米州機構の基本的な精神にもとるということが基本的にはキューバ除名の原因ではなかったかと思います。
○村田秀三君 連帯にもとるという答弁になりますと、これはまあそれじゃ何が連帯にもとるのかと、こう反論したくなります。しかしこの際ここは深くは私は議論いたしませんが、いずれにしろ、突き詰めましても、あるいは理解の相違というのが出てくるかもしれませんから、私は私の理解の上に立ってこれは質問をせざるを得ない、こういうことになろうかと思います。 そこで、話ございました米州機構、これは政治的連帯を強化すると、こういう意味で設立をされたと承知するわけでありますが、つまり政治的連帯というのには目的があるわけであります。で、その目的をここで、ではどういう目的かという議論いたしますと先ほどのようなことになりますから、これは省略をいたしますが、いずれにいたしましても、この米州開銀というのは、米州機構の政治的連帯を強化する意味で、これを補完するために設立をされたと、こう理解していいですか。
○政府委員(菊地清明君) この米州機構と米州開発銀行との関係でございますけれども、確かに米州機構というものは、その目的といたしまして、米州大陸の平和と安全の強化とか紛争の平和的解決、侵略に対する共同行動、それから加盟国の政治的、法律的経済問題の解決云々と、幾つかの目的がございますけれども、この米州開発銀行は米州機構から直ちに生まれたということではございませんで、実はその下部機構であります米州経済社会機構というものが、その米州の中南米地域における発展途上国の経済的発展のために一つの機構をつくろうということで始まったわけでございまして、この米州機構の、まあ言うなれば経済面を担当すると、経済、社会面の開発を促進するというようなことでございまして、そこにはまあ直接の関連はないといいますか、片方は政治目的と、片方は経済、社会開発ということになっていると思います。
○村田秀三君 これはまあ卵が先か鶏が先かという議論にもなりかねない問題ですから、それは深く私、追及するつもりはありません。また、それがきょうは目的じゃございませんから、この辺でやめますが、これは「対外経済協力大系」鹿島平和研究所編と、こうなっておりますが、その資料を私、初めて読ましていただいた。「ラ米諸国は、その政治的連帯を強めるため、既に一九四八年米州機構を結成していた。しかしながら、ラ米諸国の経済開発は、いちじるしく遅れており、」「経済開発の遅れが政治的、社会的不安を引き起こす原因であること、」等を考慮して、そして米州諸国が一致して資金援助を相互に行うというためには、この種銀行の設立が望ましいと、こういう説明を付してあるわけですね。私はこれ疑わないわけです。だからいかように物事を表現しようとも、このことについては私は間違いなかろうと、こう思うのですね。その点はどうでしょうか。
○政府委員(菊地清明君) この目的が域内諸国の経済的安定をもたらし、それに伴って社会的、政治的な安定に寄与するということは御説のとおりだと思います。
○村田秀三君 そこで、私は一つの懸念を持つわけです。というのは、先ほど、その米州機構の設立の目的であるとかという点について質問いたしました。その決着はもとよりここでいまだついておらないと、こう思います。私の認識の上に立って質問をせざるを得ないと、こう申し上げましたが、つまりはこれ、日米安保条約等にも関連をしてくるわけでありますけれども、自由なる社会制度の維持発展のために協力をし合うというようなこと、それをかみ砕いて言えば、自由なる経済活動を保障できるような政治の体制を維持強化するということ、こういうことが一つの政治の目的になっておると私は理解をするわけです。 そこで、そういう目的をいかように表現しようとも、政治目的、政策目的としてあるとするならば、その国の政治形態によってこの開銀の運営なりというものが差別運営されはしないかという懸念を実は持つわけであります。私は物事の断定をここでするわけじゃございませんけれども、一九七〇年十一月、チリにアジェンデ政権が樹立されたことは御存じのとおりであります。そして、この成立過程はきわめて民主的な選挙によって樹立された政権でありますが、その三年後の七三年九月十一日、クーデターによって崩壊をさせられてしまった。このことは事実としてだれも否定できないと、こう思います。そして最近になって、つまりアメリカの上院の多国籍企業小委員会等の議論を報道されるものを見ましても、アメリカのCIAが介入していった疑いというものがきわめて濃厚である、こう言わざるを得ない。だとすれば、CIAがこのクーデターに介入をしたというそのこと自体は、やはり米州機構の政治連帯を維持し、強化しようとするアメリカの対外政策、これが影響していると推測せざるを得ない、また、そうできると、こう思うんですね。だとすれば、この米州機構維持の補完的役割りを持つと理解できるこの米州開銀が、アジェンデ政権の三年間に差別扱いをしたであろうかどうか、私は、まあにわかな話でもございますし、それほど調査もできていませんし、また、その手段もございません。大蔵省であるとか、調査室の方々に若干調査をしていただいた程度でありますけれども、それを裏づけるものは実は私の手元にはありません。しかし、どうしても先ほどのキューバを米州機構が除名をした、そしてその米州機構を補完する開銀であるとするならば、同一の政治的目的を持っておる、その目的を遂行する意味において何らかの手が打たれておったのではないかという疑いは、これは払拭できないわけです。そういう意味で、そのような事実が全然なかったと言い得るのかどうか、この点が一つ。 そして私はそういうことがあってはならないと思いますが、その点についてはどうかということについて、これはまあ外務省もそうした情報があるのかないのか、また、大蔵大臣としてもそういうことがあってよいのかどうか、この点についてひとつ念を押す意味においてお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(菊地清明君) まず、御指摘の、米州開発銀行以外の場におけるアメリカと米州諸国との関係でございますが、確かにいろいろな報道がございまして、チリの場合に、米国のITTですか、多国籍企業が干渉したとかなんとかいうことが報道されていますけれども、私たちとしてはこれを確認もできませんと同時に、否定もする立場にはないわけでございます。まあここでちょっと申し上げておきたいと思いますのは、アメリカ以外の米州の諸国との関係というのはきわめて御案内のとおりデリケートでありまして、米国の支配、ドミネーションをきらう点においては米州諸国の域内国というのは非常に強いものがございます。したがいまして、大変強い地域主義といいますか、昔からモンロードクトリンというのがございますが、非常に地域主義的な性格が強うございまして、それがこの開発銀行の場合も反映されておりまして、投票権の過半数を域内のしかも発展途上国、つまりアメリカ、カナダ以外の国が五〇%以上の投票権を確保しておるというふうなことでその確保を行っているわけでございます。 それから次の、チリがアジェンデ政権になりましてから米州開銀がどういう態度をとったかということに関しましては、結論的に申しますと、特別異なった態度はとらなかったわけです。それで、アジェンデ政権の時代に米州開発銀行は従来どおり貸し出しを続けておりましたし、一九七一年には三千五百万ドル、七二年に二千二百万ドル、七三年に二千百万ドルというふうに貸し出しを続けておりまして、事実、一九七一年、つまりアジェンデ政権のできました翌年でございますが、米州開銀のチリに対する年間の貸出額は最高を記録したというようなことになっております。それ以外の詳細は省かせていただきますが、米州開発銀行に対するアメリカのボイス、発言権は強いことはもちろん否定できませんけれども、しかし中心はあくまでも域内の開発途上国、つまり銀行から言えば銀行の借入国がより大きな過半数の発言権を保持しておるというふうになっておると了解しております。
○国務大臣(大平正芳君) 米州圏の特定国とアメリカとの関係につきまして、具体的に言って材料を持っておりませんので、コメントをする立場にございませんことをお許しいただきたいと思います。したがって、一般論といたしまして、村田さんが提起された問題は、一国が他国の政策の決定に不当な影響力を持つというようなことは望ましいことでもないし避けなければならぬことは当然のことだと思います。
○村田秀三君 その問題はそれでとどめます。 域外諸国に加盟を求めてきました背景は、「資金需要が増大してきたことに伴い、その資金基盤の強化が要請されてまいりました。」、こう説明をされております。——それだけでしょうか。特にここに説明をしておらないからという意味ではございませんけれども、その背景、そしてわが国が少なくとも米州機構、それとかかわりを持つ米州開銀に資金を拠出してまで加盟をしなければならない背景というものは他動的なものなのか、自動的なものなのか、つまり日本的立場で考えてみた場合には、どういう理由づけがなされるのかという問題ですが、御答弁をいただきたい。
○政府委員(菊地清明君) まず、なぜこの域外十二カ国が新規に加盟するかという御質問でございますが、これは第一の理由は、仰せのとおり、従来の通常業務基金、それから特別業務基金と二つございますが、これだけでは増大する域内諸国の資金需要を賄い切れないということがございまして、特別地域間資本という名前でございますが、そういう資本を設けまして、域外国の出資、それから拠出もございますが、出資ないし拠出を求めるということになったわけでございます。それが第一の理由でございますが、日本の立場から見たらどうかと、それから域外国の立場からどうかということでございますが、域外国の大半は従来中南米の発展途上国に対しまして、二国間でバイラテラルに経済協力、資金協力を行ってきたわけでございますが、そういった二国間の協力のほかに、さらに地域開発金融機関というものに加盟することによりまして、より多く中南米諸国の経済開発を促進したいという願望がございまして、その願望が一致したということが申されるのではないかと思います。 それから、日本の特有の事情といたしましては、御案内のとおり、日本も二国間で——二国間のみならず、米州開発銀行に対しても正式の加盟によらない方法ですけれども、従来とも資金協力をやってきたわけですので、これへ今回正式に加盟するということと、それから八十万の在留同邦といいますかがブラジル、ペルー、メキシコその他におりますので、この在留邦人と直接関係づけるのは無理でございますが、在留邦人のおられる国の経済、社会開発の促進に援助の手を差し伸べるというような動機があったと存じます。
○村田秀三君 この説明書きに書いてないからという意味で特段に言うのじゃございませんが、中南米諸国の同銀行に対する資金需要が増大したから、その資金基盤の強化が要請される、こういう意味だけでは、日本が加盟するという理由にしてはまさに稀薄だと私は思う。ちょうどこの時期見てまいりますと、四十六年、四十七年——四十七年は田中内閣が発足をいたした年だと私は記憶いたしますが、同時にアメリカのドル危機というのが叫ばれておったはずであります。だとすると、アメリカもなかなか負担し切れないかち、だからひとつよその国に肩がわりしてくれと、こういう議論も成り立ってくると思うんですね。また、そう受け取っておる向きもあります、はっきり言えば。が、しかし、私はそれはそれであるにせよ、つまり中南米諸国、つまり後進国と言ったんじゃこれうまくないわけでありますが、開発途上国に対して応分の援助をするということは、これは異存のないところでありますし、また中南米には日系市民が多数おる。この人たちのためのことを日本は考えるということが、よりやはり経済外交的な視点に立つ発想だろうと私は思うんですね。そういう意味で、時間もございませんから先を急ぎますが、この米開銀と日系市民のかかわりについて、定かでないというようなお話もございましたが、この米開銀の運営について、私も実は興味を持っているわけです。だから、関係は定かでないと、こう簡単におっしゃいますけれども、少なくともいままで、出資こそしないけれども、資金需要の要請に応じて、一億七千万ドルだと思いましたね、出資しているはずです。——一億三千六百七十四万ドルです。これだけ金を貸し付けて、その金がどう動いているのかということを無関心でいるほど日本のつまり経済外交といいますか、金持ち、おおような気分でいられるのか、不思議に実は思うわけですが、つまり、この開銀が日系市民とのかかわり、どういうことなのかということについて、つまり、個人にも貸し付けできる、零細農民にも貸し付けできる、こういう貸出業務の分類を見ますと、記述されておるものですから、だとすれば、日系市民が移民をしていって、市民権を取って、土地を獲得して農業をやっておるという、そういうところにまでもつまりこの資金というものが回っていっているのかということを考えてみたわけです。そういうのは把握していますか。
○政府委員(菊地清明君) まず、御指摘の一億七千万ドルという数字でございますが、これはまだ日本が米州開発銀行に加盟してない現在までに、日本が米州開発銀行に対して資金協力、いろんな形で輸出入銀行の貸し付けとか、いろんなことがございますが、それを通じて資金協力をした数字でございますが、そのうちの一億六千二百万ドルでございましたか、その大半が日本における調達に向けられております。つまり、日本から物が行っていると、日本はお金を出すと同時に、日本から買い付けているということになっております。 今度は加盟した後にどうなるかと申しますと、この日本の出す出資金、拠出金というのは、実はこのアンタイと申しまして、加盟国の中ですと、どこからでも買えるという状況になっておりますので、調達できるということになっておりますので、その先までひもつきにするということはなかなか困難でございます。 それから、第二の問題として、しからばたとえば米州開発銀行が在留邦人のたくさんおりますブラジルに貸し付けたとしますと、その借り手は多くの場合ブラジル政府ないしブラジルの政府機関でございますが、これが借り入れた場合に、在留邦人の関係している企業ないしプロジェクトに使うかどうかということは、これはなかなかたどっていくことが大変困難でございますので、この点は必ずしも把握いたしておりません。それで、ただここに数字がございますけれども、この米州各国に対するIDBの、米州開発銀行の融資額というものと在留邦人の数というものはわかるわけでございますが、その間に因果関係をつけるということはちょっと困難ではないかと思います。
○村田秀三君 この出資をいたしまして加盟が確定をいたしますと、日本は理事国の一員になるのではないかというようなお話も承りますが、これは大蔵省の方で理事を出すわけですか。外務省として出すわけですか。これはまあどちらでも結構なわけですが。 時間もございませんから申し上げたいと思うんですが、まあそういうことであれば、この運営については、冒頭私が申し上げましたような、つまり加盟諸国の政治体制のいかんによって差別するなどということがあってはならないし、あくまでもその地域に住むところの国民、人の立場に立って物を考えるような運営をしてもらいたいと同時に、やはり何といっても、出資をした、運営は任せましたということではなくて、やはり日本的に考えてみて、何もけんかをするとかいうことはないまでも、日本の利益になるような立場での運営、これが考えられねばならないと、こう思いますので、これは希望だけ申し上げておきます。この次の答弁の際に、理事は大蔵省で担当するのか、外務省で担当するのかお伺いをいたします。 それと、これは大蔵省だと思うんですが、この四法案をずっと見てまいりまして、幾多の資料を見ましたところが、分担金等がありますね。私はOECDを対象にして物を申し上げてみたいと思うんですが、この出資基準というものが、国際的に協議をされて一定の計算方式で決定されておるのかどうかという点です。これは大蔵省が担当するのか外務省が担当するのか私はわかりませんが、大蔵省も大いにかかわりあると、こう思うわけでありますけれども、何も数字見る必要はありませんが、とにかく今回の基金割当、アメリカが二七・八、西ドイツが一二・五、日本が一一・七、フランスが八・五、イギリスが八%、イタリアが七%、輸出入の状況、それから歳出入の増加状況、いずれを見ましても、日本は第三位の基金を分担しなければならないほどの数字とはちょっと考えられないわけですね。でありますから、この基準というのはどうなのかということについてお伺いをいたします。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) OECDの金融支援基金協定におきます各国のシェアは、この基金が加盟国に対してお金を貸すとともに、また加盟国からお金を分担してもらうという関係にございますので、資金負担能力と借り入れの必要性と、両方をよくあらわしておりますGNPと貿易額をとったわけでございます。この二つをどういうふうに組み合わせるかということによって結論はいろいろ変わってまいるわけでございますけれども、五〇、五〇ということが一番公正ではないかということで五〇、五〇ということで決めたわけでございます。で、日本のGNPのシェアは、一九七四年、これはOECDの事務局が計算したわけでございますが、=二・四%でございます。貿易額のシェアは九・九%でございますので、両方足して割りますと一一・七%ということになりまして、それが日本のシェアとなったわけでございます。
○村田秀三君 そうすると、これは国際的に合意された算出基礎があると、こう理解いたします。細かい議論をしますと、GNPと、こう言われても、では実質成長はどうなんだろうと、こういうふうに疑ってもみます。まあ物価の上昇がどれほどあるのかという、そういう問題も見てみなくてはならないのではないかと思いますけれども、これは感覚的な物の言い方になるわけでありますが、どうも去年、ことし、二六%から三〇%も国債に依存しなければならないような財政状況にありながら、それで世界第三位の、これは国際金融機関の資金を分担しなければならないほど日本は裕福なんだろうかという、そういう実は感じです。で、一番懸念しますのは、これだけ国際金融機関に協力しているんじゃないかと、肩を怒らして諸外国を歩けるじゃないかという反面、逆な意味において成り上がり何を言ってんだという感じだってないわけではなかろうと思うんですね。これはつまり、開発途上国に行けば行くほどそういう感じを持っておる。田中前首相がタイに行ったときにいろいろな目に遭ったということも、そういうものも感情的にはある。こういうことをいろいろ考えると、おうように大国意識で余り細かいこと主張しないで、人のいいところを見せているんじゃないかという感じなしとしないんですが、その点はどうですか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) この各国のシェアを決めますときに、いろんな議論があったわけでございますが、最近いろいろな面でGNPを基礎とするという意見が強いわけでございますが、GNPのウェートを大きくいたしますと、さっき申し上げましたように、日本のシェアは一三・四%まで行ってしまうわけでございます。そこで私どもはやはりこれは五〇、五〇が一番公正ではなかろうかということで、むしろ一三・四よりも低い一一・七ということを主張したわけでございまして、別に背伸びをしたということでもないわけでございます。
○村田秀三君 まあ感じで物を言っているわけですから、そう御理解いただいてもよろしゅうございますが、いま最後の部分に申し上げましたように、とにかくこの経済外交、余りにも日本が加速度的に数字的に成長を遂げている、こういうことで、諸外国から見れば——実は私は貿易収支、ドルの保有等も調べてみたいと、こう思いましたが、そこまではちょっと手が届きませんでしたけれども、いずれにいたしましても、大変な日本の経済情勢の中における国際協力の姿というものを、もう少しやはり見直す必要がある、こう思っておるものですから、いまのような質問をしてみたわけでありますが、十分に注意をして、そしてやっていただきたいということの希望を申し上げまして終わります。
○大塚喬君 米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案を中心にして質問をいたしたいと思います。 初めに大蔵大臣に。 この法案がかかるまで連日赤字国債特例法案の審議をいたしておったところであります。大赤字を抱えて四苦八苦をしておる、福祉も切り捨てなくちゃならない、教育も思うに任せない、こういうときに、大分気前のいい、額はともかくとして、こういう法案の審議をすることに抵抗を感じます。日本がドルが余っていたいまから何年か前の時代ならば、あるいはこういうふうなことも考えられたかもしれませんが、ちょっと時期が——こういうふうに気前よくお金を出すと、こういうことについて、どうも釈然といたしません。数年前の感覚でこの法案を提出されたんじゃないかという感じをいたすわけでありますが、この点、大蔵大臣どうお考えになりますか。借金でピーピーしているんです。その際に、こういうところへ金を出すということはどんなものでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 現在財政状況、御案内のような状況でございまするし、また国際収支の状況も、経常収支はやっとバランスに近づいてまいりましたけれども、まだ依然として若干の赤字を記録いたしておる状況でございます。そうしてこの困難は相当将来続きそうであるという展望に立ちますと、大塚先生が言われるように、国際的な国際協力に対する貢献ということを主題にいたしました本日御審議をいただいておる諸案件、御審議に御抵抗を感じるというお気持ち、十分私としても理解ができるところでございます。しかしながら、日本の民族の生命悠久でございます。また日本の経済の活力はもろもろの困難を今日まで乗り越えてまいりましたし、いまの困難もやがて克服しまして未来を開いていく活力を私は持っておると思うわけでございまするし、また世界はそういう日本を評価し、日本に期待するところを持っておりますし、日本の国民もまた高い誇りと自負を失ってはならないということだと思うんでございます。今日御提案申し上げておるものは決して少額ではございませんけれども、といって私は過大であるとは思わないのでございまして、日本の国際経済協力といたしまして耐え得るものだと、御承認をちょうだいして恥ずかしくないものだと私は確信をいたしておる次第でございます。
○大塚喬君 この米州開発銀行加盟予定域外国の出資ですね、このたび日本を初め十二カ国がこれに参加をする、こういうことでございます。で、新聞の報道でありますが、ポルトガルか、当初十三カ国がこれに加盟ということであったそうでありますが、これが脱落をしたというか、参加をしないことになりました。日本がやはりそれと同じようにこの際御遠慮申し上げたい、こういうことになったら、そういうことにしたらいかがかと思うのですが、大蔵大臣どうお考えになりますか。現にポルトガルが抜けておるわけですね。
○国務大臣(大平正芳君) どうしてもそうしないと日本のかまどが回らぬということでございましたら特別でございますけれども、私はそういう手段に訴えなくてもやっていけることでありますならば、こういうことはやらしていただいてしかるべきだと思います。
○大塚喬君 私はいまのように申し上げましたことは、この米州機構、それから米州開発銀行、先ほども論議がございましたが、現にキューバについては村外れということで取り扱いをしているわけです。それからチリのアジェンデ政権の場合もとにかくこれに絡んでおったということが言われておるところでありますし、現にアメリカがラテンアメリカ、中南米諸国の支配を強化するためにこの有力な手段としてこれらの機構がつくられておる、こういうことが現実の姿としてあるわけであります。そういうところへ日本が加担をする、もともと私も国際協力援助というものについては、これは先進国として、その当然の責任があることを感じております。しかし、この米州開発銀行、あるいは米州機構というものが、アメリカがそういうふうに金の力で中南米諸国を支配しようと、こういうところへ日本が片棒かついで加担をする、しかもアメリカだけでは、ドルのたれ流しの結果、資金が足りなくなって、先進諸国に、十三カ国に協力を求めた。そのうち一カ国がいやだと言って断った。日本がそこの中に加担をすることにどうしても私は、はいそうですかということで、そのほかに方法がないのなら別ですけれども、そのほかにもいろいろ方法がある、国際協力、国際経済援助という面についてはあるはずだ、こういう色のついた政治的な、そういう特殊の臭みを持ったもののところへ、なぜ日本が加盟しなければならないんだと、私はそこのところをやっぱりはっきりしていただかないと、この審議をし、この議案を成立させるということにはどうしても賛成できないものですから、その開発銀行の性格、他の国際金融機関等の関係において、これらの特殊なそういう性格について、もう少しはっきりと説明をいただきたいと思います。
○政府委員(菊地清明君) まず事実関係から申し上げたいと思いますけれども、米州開発銀行の総裁等、多くの銀行幹部は中南米人が占めております。アメリカ人はなっておりません。 それから、現在この中南米地域から九名の理事が出ておりますけれども、そのうちの七名は中南米の国でございます。それであと二名、アメリカとカナダが一名ずつ出しております。それで、アメリカは確かに出資金は多うございますけれども、理事の数は一名で、あとの八名は米国以外。それから各国から総務というのを出しておりますが、これはもちろん各国一人でございます。 それから、先ほど申し上げましたように、中南米の諸国とアメリカとの関係は非常にデリケートでございまして、アメリカの支配ということがもしあるとすれば、それを最も忌避するのはその中南米の域内の国でございまして、そのために投票権、投票権比率、それから表決の方法その他においていろいろな工夫がしてございまして、アメリカの、何といいますか支配的な地位というものを抑制的に考えておるということがございます。 それから、これは若干比喩的な言い方になると思いますが、この域外の加盟国が入ってまいりますと、相対的に米国の投票権比率が減ってまいります。それで、現在のところ、域外国が入っていない現在で米国の投票権は四〇・一五%でございますが、日本外十一カ国が入りますと、この比率が三五・一六%に減るということもございますので、何といいますかアメリカのボイスも相対的に減っていくということになると思います。 それから、この米州開発銀行の理事会でいろんな議論が行われますけれども、従来その理事会の論議をいろいろ聞いておりましても、米国の主張が常に通るということではございませんで、むしろ域内の諸国の発言権の方が強いというふうに承知しております。
○大塚喬君 そうしますと、アメリカのそういう政治支配、ラテン諸国に対する政治支配というような、そういう政治的な臭みは全然ないと、こうお考え——断言できますか。 それからもう一つは、先ほどもちょっと触れましたが、ポルトガルが参加する予定であったのがなぜ一体途中からこの参加を取りやめにしたんですか、その理由をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(菊地清明君) この米州開発銀行におきまするアメリカの地位というものが強いものであるということは否定できないと思います。で、投票権比率その他でも最高でございますので、この発言権は大きいということはそのとおりでございますけれども、しかしこれがいわゆる支配といいますか、経済支配とか、政治的支配ということになりますと、従来ともそういった運営はされておらないというふうに承知いたしております。それで、その一例が先ほどから申し上げておりますアジェンデ政権になりましても米州開発銀行は貸し出しを続けておりますし、それからキューバと最も密接な関係にありましたメキシコに対しましても、この米州開発銀行は多額の貸し付けを行っているということによりましても、アメリカの思いどおりにこの銀行は運営されているということではないのではないかと存じます。 それからポルトガルの件でございますが、ポルトガルは御承知のようにもう全く国が四分五裂といっては言い過ぎかもしれませんけれども、とてもそういった国際関係を取り扱う、つまり新たなる銀行に加盟するというような立場には、政治的、経済的、あらゆる面からもそういう立場にはなかったということで、最初確かにポルトガルとこの中南米諸国との靱帯というのはかなり強いものがございます。スペインとポルトガルというのは御承知のように中南米の昔の宗主国でございますので、その点はポルトガルとしては恐らく非常に加盟したかったんではないかと思います。しかしながら、いまのような国内が全く手のつけられないような状況になったので、こういう背に腹は変えられず、その加盟に至らなかったというふうに承知しております。
○大塚喬君 それから大蔵大臣に今度はまたお尋ねいたしますが、国際協力の仕方ですね、これらの問題が、この国会の審議にかけられるというのが、私どもの感じとしては、まさに突如として国会の審議にかけられるという感じをぬぐうことができません。で、こういうものが事務的なレベルの間で先行しておって決められた、そうしてこの法案が成立しなければ、国際信義にもとりますと、日本が不義理を重ねますと、こういうような印象がどうしても強うございます。こういうことになれば、これらの、この種の議案というものが、国会の審議権を拘束をし、制限をする、そういう形でいつでも出されてくるということを私は大変大きな不満を持つものでございます。こういう点について、大蔵大臣としてどうお考えになっておりますか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) いままでの各国国際機関との折衡の過程は、事務当局から説明いたさせて結構でございますけれども、この種の問題は、政府だけで決められることでなくて、OECDならOECD、IMFならIMFと協議して決めなければいかぬし、あるいはIMFならIMFの理事会で決まったものを、その協定を国会に出すとかいうことでございまして、日本政府だけで決められることではないわけでございます。したがって日本の政府と、日本の国会との関係におきまして、十分な御審議の期間を持ちまして、ちょうどタイムリーに議案が用意できて、提出し、御審議をいただくというぐあいになかなかまいらない、そういう事情がありますことは、この種の議案に避けられない宿命なんでございまして、政府がわざわざそんなことしておることではないわけでございますので、これは御理解をいただきたいと思うのでございます。ただそれは、国会の審議権を拘束するという意味では決してないわけでございまして、そういうことになっておるということを国会に御理解をいただきたいということを政府は申し上げておるわけでございます。
○大塚喬君 ただいまの問題で、こういうものは突如としてきのう話が決まったからひとつきょう法案にして出しますというようなものではなくて、相当長期間にわたって国際協議が行われて、こういう成案が得られるものと考えるわけです。だとすれば、こういう法案がどうしても近い将来に国会に提出をすると、当然大蔵省なり外務省なりは関係の委員会あたりには中間報告をして、現状こういうことでございますと、こうなった場合にはこういう内容の法案について審議を受けたいと、当然そういうふうなことがあって、なされるべきだと思うわけでありますが、そういうこがなくて、国会の審議ももうきょうとごくあとわずかというようなことで、私はこの取り扱いがきわめて官僚的なものを押しつけられるという感じをいたすものでございます。 さて、本論に戻りますが、このような経済協力、経済援助、これは私も経済協力ということに反対をするものではありません。しかしながら、このような臭みのあるところへ出すということでなくて、国際協力の機関というのは多々あるはずでございます。国際開発金融機関として、現在世界全地域を対象とする国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行、それから国際開発協会、第二世銀、あるいは国際金融公社、それからアジアの開発等を対象とするアジア開発銀行、アフリカの開発銀行、こういうような数々の機関がございます。しかもこれらの金融機関というのは、特にアフリカ、アジア開発銀行などと違って、前に申し上げた三つの国際金融機関というものは南米等にも当然そういう対象があるはずであります。このような臭みのある、何かこうアメリカから圧力をかけられて、アメリカがもう手に負えなくなった。しかし、アメリカがラテンアメリカ諸国を支配するんだと、そのためには日本もひとつ片棒を担いでくれと、こういうところへ、のこのこと日本が出ていくのではなくて、そういう政治的な全く臭みのない、先ほど申し上げたような国際金融機関になぜ出資をしないのですか。私どもは、そういうことならば、日本がたとえ苦しくてあっても、国際協力というようなそういう点から双手を挙げて賛成をいたしたいと思います。ところが、先ほど村田委員からもお話がありましたように、大変疑問が残るこういう機関に、日本がのこのこと出かけていって、しかもあり余る金があるときでもないときに、こういうことをやることにどうしても私どもは釈然といたしません。本当に、政治的なそういう臭みのないところへなぜ出資をしないのか。ひとつそこらのところを大蔵大臣から明快な答弁をいただきたいと思います。なぜこんなところへわざわざ日本が手をかすのか、ここらのところをひとつはっきりとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(菊地清明君) 御指摘の点に関しまして、この世界的な規模における開発金融銀行の方が適当でないかということでございますが、御案内のとおり、日本は国際復興開発銀行、それからいわゆる第二世銀といっております銀行、それから国際金融公社その他に全部参加しております。それで世銀の場合は全体の四%、それから第二世銀の場合は全体の七・四%、それから国際金融公社の場合は二・六%ということでございまして、いずれも上位四、五位のところに位しているわけでございます。それからしからばこういった世界的規模の銀行に参加して、さらにそのほかに地域的な米州開発銀行それからアジア開発銀行それからアフリカ開発基金というものがございますが、これになぜダブって加盟するかということでございますけれども、これは御案内のとおり、世界の地域には地域の特性といいますかがございまして、地域主義的な傾向もかなりございまして、ちょうどアジアにアジア開発銀行があるように、主としてその地域の域内の発展途上国からこういったものをつくってもらいたい。われわれの地域における地域銀行——世界銀行とは別の地域銀行をつくってもらいたいというふうな希望が常にございますので、これに対しては地域別のきめの細かい資金協力ができるという意味で、地域銀行に参加することによりその地域の経済発展に寄与するという意義は決して少なくないのではないかというふうに考えております。
○大塚喬君 いまの答弁は、私は当を得た答弁だとはどうしても考えられません。一つは、この世銀グループというものが、一つは、対象地域として中南米諸国、ラテンアメリカ諸国を対象にしておることは事実であります。それから世銀グループがきめの細かい経済協力ができない。具体的にそういう実例がありますか。米州開発銀行でなければ、ラテンアメリカ諸国に対してきめの細かい経済援助というのができないんだと、こういう具体的な例をひとつはっきりお客えをいただきたい。
○政府委員(菊地清明君) 御説のとおり、世界銀行の貸し出し先を見ますと、ブラジル、メキシコは上位の方にございます。したがいまして、世界銀行から中南米の地域に金が出ていないということはございません。 それからもう一つ、私きめの細かいことと申し上げましたので若干私、語弊があったかと思いますが、きめの細かいという意味は、域内の国の願望といいますか、ニーズといいますか、それをより細かく審査すると、つまり理事会でも、そこに出ている理事は、中南米諸国を代表する理事がそこに出ているわけでございますから、したがって、自分たちの地域、自分たちが代表している国の経済、社会開発のニーズというものは、たとえば世界銀行がグローバルに見ているよりも、より細かく見れるのではないかということでちょっと申し上げたわけでございます。
○大塚喬君 どうもいまのお答えでは納得できません。それで、きめの細かい経済協力と、こういうことになれば、私も実はいまから数年前ですが、中南米諸国を一通り歩いてまいりました。そして在留邦人と申しますか、まあ正確には日系人の皆さん方といろいろ懇談を重ねてまいりました。その中で強く要望を出されたことは、このような多国間の経済協力、これも私は、色づきでなければ、そういう何か意図を持った、そういう援助でなければ、経済協力でなければという感じがするわけでありますが、その中で数多くの方々から要望を受けたことは、いわゆる日本の直接の経済協力ということを強く要求をされました。で、いまあなたがきめの細かい経済協力と、こういうお話がございましたが、一つは、そういう臭みを取り除くために、二国間の経済協力という問題も、私は、あの現地の人たちの強い要望としてはそういう声の方が圧倒的に強い。それにもいろいろやっぱり問題点はあろうかと思うのですが、八十万のいわゆる日系人の皆さん方が日本に期待をし、望んでおることは、二国間の経済協力ということを強く強く望んでおるのが現実だろうと思います。で、果たしてそれだけで十分かというと、それはもちろん二国間の経済協力というだけではすべてを解決するということはいかないにしても、一つの方法はそういう方法がある。そしてきめの細かい協力を申し上げる。それと一緒に政治的なにおいのない、臭みのない世銀グループを通じて日本の経済協力というのはなすべきであると、私はこういう主張を強くいたすものでございますが、現状、中南米諸国と日本のいわゆる二国間の経済協力、これの実態についてお聞かせをいただきたい。そして今後の見通し、こういう問題についてもひとつ詳細に御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(菊地清明君) このきめの細かい援助ということになりますと、最もきめの細かくできるのは、御説のとおり二国間でバイラテラルにできるんではないかと思います。きめの細かいというのは、援助国と被援助国が対で話し合いをしてできるのがこのバイラテラルの援助でございますので、そういう意味では二国間援助の効用というものは十分にあるわけでございまして、日本が米州開発銀行に加盟いたした後も二国間の、二国間ベースの対中南米経済協力というものは減らすわけでございませんで、今後とも増大さしていきたいというふうに考えております。 次に現状でございますが、七四年の数字が一番最近の数字でございます。で、二国間の政府開発援助で中南米に対する贈与が九百三十万ドル、このうち技術協力が大半を占めておりまして八百四十万ドル、それから貸し付け、いわゆる円借款でございますが、これが三千二十万ドルということになっております。合計で三千九百五十万ドルということで二国間政府開発援助の全体に占めるラ米地域のパーセントというのは四・五%というふうになっております。決して多いシェアではございませんけれども、今後ともこの米州開発銀行に加盟した後でもバイラテラルな援助は、特に御指摘のこの在留邦人がおるところもございますし、決してそういうところに減らしていくということではございませんし、それから特に技術協力が重要だと思いますので、技術協力の中には医療協力その他全部入っておりますが、そういった面も強化していきたいというふうに考えております。
○大塚喬君 これで質問を終わるわけでありますが、私は、その国際協力というような安易な美名を掲げて、中身に国民が疑問を持つような、しかも中南米諸国がアメリカの支配を極端にきらっておる、これはもう行ってみて私ども予想外のそういう空気に驚かされました。アメリカはそういうことを配慮し、あるいは表に出ないような形でアメリカの支配を続けようと、強化をしようと、こういう意図がうかがわれるわけであります。ですから、先ほど答弁ありましたように、一生懸命カムフラージュをして表をつくろっておると。しかし、これらの米州機構なり、米州開発銀行なりの運営というものは、大勢としてアメリカの中南米支配のために使われておるという、そういうことはもう動かし得ないものだ。こういう中で日本がそういうところに加盟をする問題については慎重に考慮をして、そのような中南米諸国が迷惑がっておるところへ、そういう形での日本が片棒を担ぐようなそういうことは是非ひとつ改めてほしい。そして、堂々と日本の国際協力という誠意が、中南米の皆さん方にも十分わかっていただけるような、そういう明るい明朗な形でひとつ今後の国際協力、中南米の開発、援助、日本も露骨にそのようなアメリカの二の舞を踏むようなことをしない形において、ひとつされるよう強く要望して、私の質問を終わります。
○寺田熊雄君 この際、わが国が国際的な金融諸機関へいままでにどの程度出資してきておるか、これは一覧表にして出していただきたいと思うんです。 これ、私きょうお尋ねしようと思ったけれども、八時三分までしか時間がないそうですから、これ一々説明受けていると時間がなくなっちゃうから、委員長、そういうふうにして取り計らってくださいませんか。
○委員長(岩動道行君) それでは、政府において御用意いただけますか。
○寺田熊雄君 資料として提出していただきたい。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 承知いたしました。
○寺田熊雄君 次に、わが国は貿易の問題でも通産省と同じような批判を受けておりますけれども、大蔵省が証券市場それから銀行への非常に強い監督権を持っておるというのは、外国からも非常に注目されていますね。この資本市場とか為替市場に対して非常に権力的な介入をし過ぎるということが外国からも指摘されております。それが国家的に利益をもたらすこともありますけれども、同時に損失をもたらすこともあります。まあ損失をもたらした事例としては、ニクソンショックのときに円の切り上げに対して非常に病的なほどの抵抗を示して、それがわが国の過剰流動性やインフレの素地をつくって、これは非常に私ども国民に大変な迷惑をかけたんですが、そういうオーバーコントロールというのは、やっぱり緩めていく必要があると思うんですね。これについては大臣どういうふうにお考えでしょうか。為替市場なんかに介入する場合に、やっぱり一定の変動幅を上回らなければこれは不介入だと。その変動幅をよほどオーバーしてくれば介入しなくちゃいかぬでしょう。私どももアダムスミス流な自由放任の政策が必要だなんてことは言ってないんですけれども、余りにもオーバーコントロールの状態がいま見えるのじゃないかと思うんですね。どうでしょう、その辺についての大臣並びに……。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 為替市場の介入につきましては、為替管理でやる方法と、政府の為替市場への介入という方法、その二つが主なものでございますが、為替管理につきましては、戦後の赤字時代におきましては外貨を倹約すると——入る方は歓迎するが、出る方は抑制するという態度で運営してまいりましたし、ニクソンショック後の黒字時代におきましては、また逆に入る方を抑制し、出る方を奨励するということできたわけでございますが、その後二、三年現在に至るまでは、為替管理につきましてはそんな大きな変更をしておりません。いま過去の赤字時代あるいは黒字時代の変遷を経まして、ちょうどいいところにきておるのではないかと思います。 それから介入でございますが、介入は国際的に管理されたフロートということでやっておるわけでございますが、ことしの初め、一ドル三百六円ぐらいで出発いたしましたが、四月以降二百九十八円から三百円ぐらいのところでかなり安定しております。フロートとはいえ、変動幅はせいぜい二%を超えるというようなことで非常に安定しておるわけでございまして、過度の介入ということではございませんけれども、ターゲットをつけなくても安定するという状況でございます。
○寺田熊雄君 大臣、いかがですか。過去のやはりニクソンショックのときのああいう反省も含めて、オーバーコントロールに対する……。
○国務大臣(大平正芳君) 政府の力で為替相場をあるレベルに維持しようなんというようなことはとても手に負えぬことでございまして、市場で形成される水準というものを尊重しながら、余り乱高下がないように適宜な介入にとどめるべきだと私は考えております。
○寺田熊雄君 そうあってほしいと思うんですけれども、実際はそうじゃないようですね。この大蔵省のみずから出されている「ファイナンス」というのに、外国人の座談会か何かがあって手厳しく批判されておりますね。ですから、そういうお言葉をよくこれからも実践してほしいと思うんです。余り非難するわけじゃないです。 それから、資源を持たない開発途上国ですね、これは大変な、いま貿易上の赤字を抱えておるようですけれども、大体これは先進国であり、かつ、かなりいま国際的に経済的な地位が上がってきたわが国としては、かなりグローバルな見地からこれに対してやはり相当な援助、協力というものが必要だと思いますけれども、過去においてというんじゃない、これは石油ショックから急激に赤字が増大したようですが、この赤字を補てんするためにどの程度わが国は協力しておるんでしょうか、また、そういう国々の貿易収支の安定のためにどれだけ寄与しようとするのか、そういう点についての抱負を聞かしていただきたい。
○政府委員(菊地清明君) いわゆるこの石油危機によりまして最も被害をこうむったのは、御承知のように産油国でない、しかも輸出すべき一次産品も持たない発展途上国でございます。これらの国と、それからもう一つは、発展途上国の中でも後発の発展途上国と申しておりますが、この二つの範疇の国が最も影響を受けておるわけでございます。それで、これらの国の一人当たりのGNPを見てみますと、大体二百ドル以下、それからLLDCに至っては百ドル以下ということでございますが、つまり一人当たりの所得が二百ドル以下の国に対して日本の行われている二国間のいわゆる政府援助というものは八〇%近いところまでいっております。
○寺田熊雄君 これは所管は国際金融局長でしょうかね。いまの非産油発展途上国の国際収支の状態、それから産油発展途上国の国際収支の状態、先進諸国の国際収支の状態、これ、われわれ、やっぱり概観を得たいんですけれども、きょうまた聞いていますともう時間がなくなるから、これもひとつ最新の資料をぜひ当委員会に提出していただきたいと思います。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 承知いたしました。
○寺田熊雄君 なお、産油発展途上国が最近非常に外貨を蓄積しておるようですが、そういうオイルマネーがわが国にいま投資の形でどの程度入っているのか、これをちょっと簡単に説明してもらえますか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) わが国にオイルマネーが入ります経路は、為銀のユーロ借り入れ、あるいは外銀借り入れ、それから民間企業の外債発行、インパクトローンの受け入れ、その他非居住者の日本におきます債券、株式等の取得、いろんな形をとっておるわけでございます。中には外債を発行いたしましたときに、そのほぼ全額は産油国で引き受けられていると、あるいは応募されているということで、多少これがオイルマネーであるということがはっきりしているものもございますが、大抵の場合にはユーロダラー市場を経由するとか、いろんなルートを通じてまいっておりますので、源泉をたどればそのうち幾らがオイルマネーであるかということを見きわめることは非常にむずかしいわけでございます。しかしながら、石油危機の後相当の金額の資金が日本に入っておりますし、他方産油国には大きな金額の黒字が出ておりまして、その黒字が産油国の中に、金庫にしまっておくわけでございませんで、必ずどこかに運用しておるわけでございますから、相当部分が日本にも来ているという推定はできるんじゃないかと思います。
○寺田熊雄君 その推定はあなたの——これもやっぱり資料として出していただけますか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) いま申し上げましたように、非常にオイルマネーであると明確に言えるものは、はっきりと分類できないわけでございます。外債の例で申し上げますと、五十年に二億ドル程度のものがこれは産油国でいわば起債をしたということでございますので、これはオイルマネーだと推定できると思います。ことしの一月−四月で七千万ドルぐらいでございます。その他につきましては源泉が非常にたどりにくいということで、ちょっと数字的には出ないと思います。
○寺田熊雄君 ちょっと一問だけ超過さしていただくかもしれません。 最近産油国へのプラント輸出が非常に増加しているようですが、これは先進国と全く同じパターンの効用化を進めるということになるおそれはないんでしょうかね。もしそうだとすると、やっぱりこれはかなり再検討の必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、その点どうでしょうね。
○政府委員(菊地清明君) 確かにサウジアラビアですとか、イランとか、それから湾岸のカタール、アブダビ、それからイラクもそうでございますが、そういうところの開発計画を見てみますと非常にアンビシャスでございまして、たとえば、サウジアラビアなどは五カ年間に千四百四十億ドルと、膨大な投資計画を持っております。これの大半が工業、中間工業でございますので、この点御指摘のような問題があると思います。私たち日本としましてはそういう国に対してもし助言を求められるとすれば農業の面とか、それから食糧の自給の面、それからいわゆるインフラストラクチェアと私たち称しておりますそういう面の開発というものを怠りますと、後からそれの罰といいますか、それが戻ってくるということが多くの発展途上国の過去の苦い経験でございますので、そういうことは折に触れて申し上げている次第でございます。
○寺田熊雄君 国際的に先進国だけでもよし、それから先進国とそういうオイル発展途上国との間でもいいと思いますけれども、そういうものを国際的に話し合っていくという試みはまだなされていないんでしょうか。
○政府委員(菊地清明君) たとえば、現在ナイロビで行われております国連貿易開発会議、これが南北の話し合い、特に開発の問題と貿易の問題では最大の話し合いの場でございまして、これが言うなれば一番大きな問題であると思います。 それから、第二番目といたしましては、ことしの四月からパリで行われております国際経済協力会議というものがございますが、この下に四つ委員会がありまして、第一の委員会がエネルギー、それから第二の委員会が一次産品、第三の委員会が開発問題、第四の委員会が国際金融の問題これは援助の問題と関係してくるわけですが、そういった四つの委員会で先進国が代表を八カ国、八人出しまして、それから発展途上国の方が十九カ国の代表、十九人の代表を出しまして、そこできわめて冷静な雰囲気で話し合いを進めているわけでございます。
○寺田熊雄君 これは何といいますか、昭和五十年度年次世界経済報告−経済企画庁の出した報告を読んでみますと、いろいろいままでの資源保有開発途上国の国際貿易上の欲求というようなものが国連総会その他で強く主張されておることがわかるわけですけれども、その中に、すべての国における資源に対する完全な恒久主権行使の自由であるとか、それから一次産品生産者カルテルの結成の権利と結成の促進であるとか、価格インデクセーションの導入の義務化ないし促進というようなものがあり、その中に一つ外国の投資、ことに多国籍企業に対し国際法に関係なく、国内法のみに基づいて規制する権利というようなものをうたっていますね。これは、私もプロクシマイヤー委員会の公聴会記録をずっと読んで、その中、あるいはチャーチ委員会の中でもそうですが、かなり多国籍企業というものが賄賂が必要なんだということを強調していますね。それに対してプロクシマイヤーとかチャーチとかいうのが盛んに論断して、行きつ戻りつの論戦を闘わせている、ああいうものを非常に興味深く読みましたけれども、片一方の方では賄賂がどうしても必要な国があるとこう言う。ロッキードのホートンなどは言っていますね。それからコーチャンも言っていますね。そういうものが本当に自由な公正な取引きを阻害するという考え方で、プロクシマイヤーとかチャーチとかいうのが責めておるわけですね。こういう多国籍企業のあしき商法といいますか、これはやっぱり国際的にも規制する必要があるということがうたわれている。しかし、これは国際法に関係なく、国内法のみに基づき規制する権利というものを言っているわけですね。これに対しては大蔵大臣どんなふうにお考えになりますか、また、主管の局長でも結構です。
○政府委員(菊地清明君) まず、天然資源の恒久主権の問題、それから、生産者カルテルの問題、インデクセーションの問題御指摘になりましたが、実は南北の間の話し合いの中で、北の方の先進国がどうしてものめないといいますか、同意できないのが実はこの三つでございます。そのほかの、例の諸国家の経済権利義務憲章というものがございますが、この中で先進国と後進国の経済権利義務を詳細に規定しておりますけれども、この三つだけはどうしても先進国が同意できないというハードコアでございます。特に、この恒久主権の問題は、そのものとしては、天然資源の恒久主権自体としては問題がないんだと思いますが、委員が御指摘になりましたように、これが、つまり外国投資をその所在国の国内法だけで規制し得るというところに、先進国ないしは投資国が同意できない点が——核心があるわけてございます。それで、したがいまして、現在のUNCTAD、それから先ほどのOECDその他におきまして南北の間で議論されておりますことは、このための多国籍企業を規制することは、やっぱり国際的にやっていかなければ徹底しないということで、そういうものをつくろうということで、現在ナイロビでもやっておりますし、今後OECDでも、あれはたしか六月ぐらいまでに大きなガイドラインが出るんではないかと思いますが、そういうことをやっている段階でございます。
○寺田熊雄君 わが国の主張はどうなんです、あなたの。
○政府委員(菊地清明君) 日本の主張は、先ほど説明いたしました先進国一般がとっております態度と同じでございまして、そういった天然資源に対する恒久主権については国際法によるべしと、つまり、接収した場合には適切、適時の補償をやるべしということでございますし、多国籍企業についても、何といいますか、多国籍企業のメリット、デメリット両方ございますが、メリットは生かしてデメリットの方は、いろんな極端ないわゆる制限的商慣行などございますので、そういった面は少しでも国際的なガイドラインで規制していくというのが日本政府の立場でございます。
○委員長(岩動道行君) 寺田君、時間ですからこれで……。
○寺田熊雄君 わが国が固定相場制に返る日というのは見通しがつきますか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) ただいまIMF協定の第二次改正を御審議いただいているわけでございますが、それが必要数の各国の賛成を得て発効いたしますと、各国がどういう為替相場制度を選択するかということをIMFに通知することになるわけでございます。恐らくは、まあこれは先のことでございますので非常にわからないわけでございますが、昔のような固定相場制度に一挙に返るということは非常にむずかしいんじゃなかろうかと思います。協定の改正によりますと、将来世界経済が安定して、八五%の多数決で固定相場制度に返ろうという決定がなし得る余地は開かれておりますが、その日がいつ来るかということもいまの段階では見通すことは困難でなかろうかと存じます。
○矢追秀彦君 私は三十分しかございませんので、総論的な質問のみにさしていただきますので、答弁の方よろしくお願いいたします。 まず初めに、発展途上国の最近の動き、特にLDCの要求についてどのように認識をされておるか、まず初めにお答えいただきたい。
○政府委員(菊地清明君) LDCの要求というのは、大別しまして二つあるんじゃないかと思いますが、一つは輸出所得の補償的な考え方、これはまあ広い意味でございますけれども、一次産品の輸出国の場合には、その価格を安定させ、それからその輸出所得を安定的に確保していくということが一つだと思います。その次は、自国の開発のためにはもちろん自助努力が第一でございますけれども、国内の貯蓄のみでは足りない分は外国からの資金の援助、資金協力を得て自国の開発を進めていきたいということがありますので、その点にまあ国際的な資金協力の要望というのが二つあると思います。したがいまして、輸出すべき貿易の対象となるような一次産品その他を持っている国は、主として貿易面で強い要望を持っておりますし、そういった輸出すべき産品すらないようなLDCの場合には、資金援助に対する要請が強いというふうに申せるのではないかと思います。
○矢追秀彦君 いまの最初の要求について一次産品価格の安定ということですけれども、これについてはバッファーストック、要するに備蓄政策ということがかなり言われてまいりますし、特にわが国においても今年度予算ではストック分につきましては予算を組んでいただいて備蓄政策を進めるということに道が開かれたわけでありまして、これについては一応私たちも評価をしておるわけですが、果たしてこのバッファーストックそのものだけでこういったLDC諸国が満足をしていくのかどうか、その点については非常にまだまだ問題があると思いますし、またわが国にしても、要するに備蓄さえやっておればそれでいいんだと、やっぱり経済成長との関係も出てきますし、この辺をどのようにお考えになっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(菊地清明君) 第一の問題につきましては二つございまして、一つはバッファーストックというのは、価格安定のためにそういった緩衝在庫を設けるわけでございますので、価格安定の要求というのが一つあります。しかし、それだけでは必ずしも十分でございませんで、つまりバッファーストックになじまない一次産品もいろいろございます。たとえば備蓄できないような物、その他がございますし、それからまあ余りにも過去において価格変動が強過ぎる物もなかなかバッファーストックにはなじみがたいわけでございますが、それが一つ。 それからやはり輸出所得補償的な考え方、これはむしろ先進国にとってどちらかと言えばバッファーストックよりもやりやすいという面がございます。このある過去の四カ年なら四カ年間の平均の輸出所得をとりまして、それから落ち込んだ分を事後に補償してやると、この場合は補償というのは融資の場合もありますし、無償の場合もございますけれども、そういった事後に手当てをする場合と、この輸出所得補償の方がむしろ先進国としては、現在すでにやはり補償融資という形でやっておりますし、この方が先進国としてはやりやすいということでございますので、両々相まって一次産品対策というものは実施していかなきゃならないというふうに考えております。 この場合、ちょっとつけ加えさしていただきますが、それじゃあらゆる一次産品についてバッファーストックがあるのかと、つまりいま発展途上国が要求していますような総合アプローチというのがいいかというふうなことになりますと、これはちょっとまだ検討を要するということでございます。
○矢追秀彦君 特に一次産品で問題になるのは、先ほどもちょっと触れましたが、非鉄金属ですけれども、特に銅がやはり一番大きな問題かと思いますが、これは通産省にお伺いするのがあるいは筋かもしれませんけれども、銅を中心とした非鉄金属の今後の備蓄、あるいは発展途上国との関係についてはどういう方針でいかれるおつもりですか。
○政府委員(菊地清明君) 御説のとおりこの一次産品、ことに非鉄金属で最大の問題は銅でございます。この点につきましては実はまだはっきりした成案といいますか、ないわけでございまして、現在銅の生産国でCIPECという団体といいますか、組織がございまして、そこで生産者側がいろいろ協議しているようでございますが、この銅の問題は現在のところ国際的な問題の解決もございますし、それから日本国内でどういう措置をとり得るかという問題の二つございまして、いまだ難問中の難問という産品でございます。
○矢追秀彦君 備蓄政策を中心といたしまして、特に非鉄の場合いろいろトラブル等も起こっておりますから、ひとつ御検討を真剣にいただきたいと思います。 それから、先ほど自国の開発について言われましたが、大体の傾向ですけれども、二〇〇〇年を目標として、先進国の工業生産の二五%をLDCでできるようにしろという要求があるわけですよね、シェアを。これはLDC諸国の要求ですから、かなり大幅な面もあるかと思いますが、こういうふうな要求に対してどう対処されるのか、特にLDC諸国の成長率がDC諸国の成長率よりも上回るべきだと、こういう議論すらいま一部にはあります。しかし、これが果たしてどうなのか。しかし、二五%はいますぐに実現するということもなかなかむずかしいと思いますが、これ二〇〇〇年という目標ですから、あと四半世紀過ぎるころにはやはりかなりのものになるのじゃないか、日本の戦後の成長を考えましても。そうそうアドバルーンだと考えていいのかどうか、この点はいかがですか。
○政府委員(菊地清明君) 仰せのとおり、LDCの工業生産のシェアを全体の二五%まで持っていくということは、先年のリマ宣言に盛られているところでございます。一九六〇年代と七〇年代、これは国連では開発の第一次の十年と第二次の十年と称しておりますが、この最初の一九六〇年代の発展途上国の成長率というのは大体五%を目標にし、かつその目標を達成したというふうになっておりますが、七〇年代は現在もうすでに半ばを過ぎたわけでございますが、それで目標は六%ということになっております。しかし、もう、この石油危機その他もございまして、六%という目標はとても達成できないということで見直し論すら出ている段階でございますので、LDCが二五%を占めるというのはかなり、理想ではございましょうけれども困難ではないかと思います。
○矢追秀彦君 時間がありませんので先へ進みますが、いまLDC諸国について申し上げましたけれども、DC諸国につきましても、いわゆる新しい保護貿易主義というのが芽生えつつあるということも言われております。オーストラリアの昨年の自動車購入割り当て制の導入とか、あるいはまた、イギリスを初めとするEC諸国の自動車あるいはテレビ等に対する輸入規制の要求、あるいはアメリカも同じように、かなり最近では輸入規制のための調査を始めたり、またダンピングの容疑などで審議中の件数がもう三十件を上回っておるとか言われておるわけでして、片方においてはLDC諸国の要求と、片方においてはDC諸国のこういった新保護貿易主義というのがひたひたとわが国に押し寄せておると、こういった中で、わが国としてどうやっていくのか、また、こういった保護主義の傾向はかなりこれからも強まるのか、ただ、DC諸国の景気回復とともに、こういったものはまたなくなるとごらんになっておるのか、その点いかがですか。
○政府委員(菊地清明君) DC諸国のこういった輸入制限的な傾向が世界先進国の経済不況とともに顕著になってきたことは御指摘のとおりでございます。御承知のように、OECDの加盟国は貿易プレッジというのをやっておりまして、それからスタンド・スティルと称する誓約がございまして、今後、貿易制限的な措置はいま以上にふやさない、スタンド・スティルであるという誓約をしているわけでございまして、つい最近もこれを更新かつ確認したわけでございます。ただ、他方、たとえばイギリスでありますとか、そのほかの国が輸入制限的な動きを示していることは事実でございますが、日本としてはあくまでもこの自由——少なくともDC間においては自由貿易という原則は崩さないと思いますので、今後ともガットそれからOECDその他におきましてこの方針を貫徹していきたいというふうに考えております。
○矢追秀彦君 大臣、いまの問題、LDC諸国の問題も含めてどのように対処されますか。
○国務大臣(大平正芳君) LDC、DC国の切実な要請に対しましてこたえるところがなければならぬことは先進国の立場として当然だと思いますが、しかし市場のメカニズムを壊してしまうとか、あるいはわれわれの財政能力を超えるとかいうようなことはなかなかこれ、決して長い目で見てLDCやDCのためにもならない、世界全体のためにもならぬわけでございますので、やはりそこは最近のUNCTADの潮流が示しておりますように、対決的姿勢でなくて、協調的な雰囲気の中で実行可能な方途を探るという建設的な道をお互いに発見していくという、ワイズな選択をお互いに発見していくように努めなければならぬのじゃないかと思います。日本といたしましては、かたくなな態度はもとよりとるべきでございませんけれども、といって無原則に流れてもいけないと考えております。
○矢追秀彦君 特に、まあこれは通産大臣かもしれませんけれども、大蔵大臣にあえてお伺いしたいんですが、産業構造がやはり検討されていかなきゃならぬのではないか。特にいま問題になっている、たとえば日中、日韓の絹戦争とまで言われるシルクの問題、そのほかいろいろございますね。日本にある既存の産業に大きな影響を及ぼしてくる。いままでいろんな法律をつくって守るとか、あるいはそういう要求等もありますけれども、果たしてこれからの流れとして、ただ日本として、向こうが輸入制限したからこっちも輸入制限するというふうなことでいいのかどうか。やっぱり産業構造そのものの転換も相当検討しなきゃならない。しかし、これは既存のいろんな産業会の要求等もありますし、非常にこれはむずかしい問題、国民の合意も得なきゃならぬと思いますけれども、これに対する方向についてお考えがありましたらお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 資源、公害その他いろいろな制約が出てまいりまして、それが決定的なものになってきております。立地の制限も厳しくなってきておりますので、そういう状態に対応いたしまして、わが国の産業構造がどうあるべきかという問題と、それと二重写しになりまして、いま矢追さんがおっしゃった近隣の諸国の攻勢が、わが国の産業構造をヒットいたしておるわけでございますから、それにどう対応するかという問題と、二正面からのチャレンジを受けておるわけです。したがって、この問題は、ただ苦しいから助けろということだけではいけないと思うんでございまして、新しい時代、新しい環境に沿って、わが国の産業はどういうものでなければならぬかというビジョンを持って、将来生命力がある産業は伸ばし、生命力が枯渇した産業につきましては、あるいはどのようにして断念していくかというようなことにつきましては、十分慎重な検討と善後策を講じながら対処していかなければならぬのじゃないかと思うのであります。そういうことは以前よりももっと緊切な産業政策の課題になってきたのではないかと考えております。
○矢追秀彦君 次に、IMF体制についてお伺いをいたします。 今回の協定が抜本的に改正をされまして、いままでのブレトンウッズ体制というものが基本的に改革をされた。言うなれば、過去の体制の崩壊と言ってもいいわけでありますが、先ほども少し固定相場制へまた帰るのかというようなお話もございましたけれども、これからは管理フロート体制と、こう言われておりますが、これが果たしてどのようにお互いに各国がやっていけばうまく運用されていくのか。と申しますのは、やっぱり一九三〇年代にはやはりその管理フロート体制が惨たんたる失敗に終わっている過去に例があります。そういったことを踏まえましてこれからどうなのか。ただ、七〇年代前半は比較的まあまあ来たのではないかと思われますけれども、しかし今後、現在経済がこのように不安定な面もございますので、まあ果たして管理フロート体制というものがどのようにうまくいくのか。ランブイエの会議もございましたし、また今度の協定の改正でいろいろされておりますけれども、日本としての態度はどのようなのか。さらに一番問題は、やはりこういうバランスを破綻するやはり投機というのが非常に影響を及ぼすわけですから、こういった均衡破綻を来すような、いわゆる投機というものをどうして誘発しないようにするか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) IMFは世界銀行とともにブレトンウッズ体制と呼ばれまして、戦後の世界経済の繁栄に大きく寄与してきたわけでございますが、何と申しましてもこのIMFの中、心をなしておりましたのは戦後の強大なる米国の政治、経済力であったわけでございます。IMFは金及び金とリンクした米ドルに支えられてきたわけでございますが、一九五〇年代の後半から西欧の復興、日本の発展というふうな総体的な世界情勢の変化を背景に、五年ほど前にニクソンショックによってその主要なる柱が壊れたわけでございます。そこで、今回まあジャマイカでまとまりました通貨体制はここ数年間の現実を踏まえまして、きわめて現実的なアプローチによって国際通貨の枠組みを与えようというふうな解決方法をとったわけでございます。具体的に申し上げますと、従来のIMF体制の特色でございました固定相場制度、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、各国が自由に選べる相場制度にしようと。ただし、それが無秩序になっては困りますので、お互いに協調し合うと、そしてIMFが監視をしていこうということになっておるわけでございます。それから、もう一つの特色でございました交換制については今回解決は見ておりません。 で、こういうことで今後の国際通貨体制の動きはきわめてフレキシブルの中に各国がお互いに協調して国際通貨秩序を保っていこうというかっこうになろうかと思います。当然日本の立場といたしましても、日本の国力にふさわしい責任を持ちましてこういう協調体制に加わっていくということになろうかと存じます。
○矢追秀彦君 で、まあこれからその金というものはどうなるのか。一応取引は自由化されていきますけれども、この見込みですね、予想。それからもう一つは、いまSDRについては少しお触れになりましたけれども、今度は結局根本的に変わってきたのがこのSDRという問題ですけれども、これがどう発展をしていくのか、その場合、まあ現在アメリカのドルがいままでのような強力なものでなくなって、大体ドルの崩壊が今日を招いてきたわけですけれども、仮にアメリカが景気を回復して、かつてのような世界経済を支配するとまでいかなくても、かなりの力を持ってきた場合、このドルというものがどう今後なるのか、それとSDRとの関係はどうなのか、その点はいかがですか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず、金のこれからの役割りでございますが、今回提案してございますIMFの協定改正におきましては、金の役割りを減らそうということとなっております。具体的には、増資の場合においては二五%を、もはや金で払い込まなくてもよいと、それからIMFの持っております金の一部を処分しようということになっておるわけでございます。このように、国際通貨制度の中におきましては、金の役割りは今後徐々に減っていくものと思いますが、やはり金はそれなりの価値を持ったものでございまして、現にそれを保有しております外国の通貨当局は、これはまあ大事だということで思っております限り、やはり大事な値打ちがあるものと思います。通貨体制で金を排除したからといって、一夜にして金の値打ちが下がるということではないと思いますが、やはり通貨体制上は、いま申し上げましたように徐々に役割りを減らしていくということになろうかと思います。 それからSDRでございますが、従来のブレトンウッズ体制におきましては、国際流動性の主たる構成要素は金と外貨——外貨といってもドルかほとんどであったわけでございますが、金は自然の産物であって、十分に創造することもできないし、それからドルの供給は、米国が赤字になったときにふえるわけでございまして、赤字になり過ぎましてドルがたくさん流出するとドルが弱くなるということで、ドルに対する信認もなくなるという、いわゆる流動性ジレンマがあったわけでございます。こういうふうな制約あるいは欠陥を排除するために、金あるいはドルにかわるものとしてSDRを一九七〇年に創出して国際流動性の不足を補おうということになったわけでございます。しかし、その後の通貨情勢の推移を見ますと、七〇年から七一年、二年と三年間にわたりまして九十三億SDR発行したわけでございますが、国際流動性はむしろ過剰になるという現象が出てまいりまして、その後、新規のSDRの創出はしてないわけでございます。今度のIMFの協定改正におきましては、SDRの役割りを強めると、ことに価値の基準、あるいは共通の計算単位としてのSDRの役割りはかなり強化されることになろうかと思いますが、何分、いま申し上げましたように九十二億SDRしかまだございませんし、世界の流動性のトータルは二千二百億ドルぐらいあるわけでございますので、SDRが真に主たる準備資産あるいは国際流動性の中心を占めるというまでには、相当の年数がかかるんではないかという感じがいたします。 最後にドルでございますが、ドルが弱いということで先般のニクソンショックが起きたわけでございますけれども、これには先ほども触れましたような世界情勢の変化があったわけでございますが、一つの通貨が強くなったり弱くなったりするということは、やはりその国の経済情勢あるいは国際収支の情勢によって絶えず変動するのではなかろうかと思います。最近ここのところドルが強くなっておりますが、この強い傾向は永久に続くということでもございません。したがいまして、ドルがいま世界で主たる取引通貨になっておるわけでございますから、ドルがかなり安定しかつ強いということは、世界貿易あるいは資本取引の円滑な運営のために望ましいことでございますが、これがまた弱くなると、そこに通貨不安が起きるということでございまして、やはりドルは、他の通貨も同様でございますが、情勢によって強くなったり弱くなったりするのではなかろうかと思います。
○矢追秀彦君 大蔵大臣にお伺いしますが、ランブイエの会議に大臣も出席されましたけれども、フランスがあそこで主張したのは、やはりドル相場ですね、主に。ドル相場の実質の安定化ということをやかましく言ったと私認識しております。それに対してアメリカは相当、ある程度合法化しろというようなことで、今度のジャマイカのこれに対してフランスがどう反応していくか。また、フランスはかなり固定相場ということをやかましく主張してきた国ですから、フランスがこれからどう立ち向かっていくか。EC諸国の中でもある面ではフランスというのはかなり発言力もあるわけですから、この点どうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 従来米仏の間が余りうまく協調体制がとれなかったわけでございますけれども、ランブイエにおきましても、またジャマイカにおきましても米仏の間が基本的に協調体制が敷かれたということは、米仏ばかりでなく世界にとって幸せなことであったと思います。その基調はできるだけ通貨体制の安定的な運営のためにお互いに協力し合おうじゃないかと、それからできるだけ自由な、障害のない貿易を保障しようじゃないかと、それから後進、発展途上国援助等につきましても、みんな一致した協調体制をとろうじゃないかというような点について原則的な合意を見たわけでございますから、その点は幸せであったと思います。 ただ、経済や通貨のことでございまして、実態はしょっちゅう変わっておりまするし、新たな挑戦をしょっちゅう受けるわけでございまするから、絶えず試練に遭うわけでございますから、今後もわれわれ関係者の間で、米仏ばかりでなくて、いつも意思の疎通を図っておいて、相互のインフォメーションを絶えず疎通を図っておいて、不慮の事件が起こらないように、できるだけ協力、協調体制が乱れないようにしなければならないのじゃないかと考えております。
○矢追秀彦君 時間がもう参りますので、ちょっと唐突な質問になるかもわかりませんが、こういうふうな時代に入りまして、新しい時代に入って、この前いろいろ問題になりましたスワップ協定ですね、これがこれからどういう意味を持つか、もし必要がないような協定であるならば、これはまあいろいろ新しいものにつくりかえるというふうなこともあろうかと思います。このスワップ協定についてどういう見通しがあるのか。 それから最後に、もうまとめて聞きますけれども、円の国際化ということもいろいろ言われておりますが、円の国際化はメリット、デメリット両方あると思います。また円の魅力というものがどれだけ持続されていくのか、そういった点も非常に考えなければならぬと存じますので、この円の国際化の問題についてはどういう方針なのか。 それから、SDRについてはわが国としてはいろいろなことを考えまして、私はむしろSDRの体制が、いまの新しい体制が本格的に動いていった方がわが国としては非常にいいのではないかと、このように考えるわけですけれども、その点も含めまして今後の展望を大臣も含めて御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず最初にスワップでございますが、これは主要国の中央銀行間で通貨不安に対して短期の信用を相互に供与し合うというふうなネットワークでございます。日本銀行は現在二十億ドルのスワップの枠を持っておるわけでございます。で、これができましたのは相当前でございまして、その後何回か延長されて今日に至っておるわけでございますが、ことに固定相場制度時代におきましては、投機的な資金の動きに対しましてこのスワップが迅速に発動されまして、その投機に対抗したというふうなメリットが多かったわけでございます。今日フロートをしておりますので、このスワップが無意味になったというわけではございませんけれども、ある程度投機の動きに対しましては、相場の動きによってその力を抜くということもございますので、昔ほど投機対策として有用であるかどうかというのはちょっと問題があろうかと思いますけれども、相互に主要国の中央銀行間が相当、全体で二百億ドルを超える規模でございますが、いざという場合の短期資金を供与し合うという体制はできているということは、通貨情勢に対して安定要因を与えるものでなかろうかと存じます。 それから、次に円の国際化でございますが、これは人によりましていろいろ解釈があろうかと思いますが、ここ数年国際的に円が使われ、あるいは持たれるという現象がいろんな面で起きておるわけでございます。非居住者が日本の株あるいは債券を買うとか、あるいは日本に預金を置くとか、あるいは日本に参りまして円建て債を発行するとか、あるいは日本の銀行から円でお金を借りるとか、あるいは日本の貿易は円建てでなされるとかいうふうなことが非常に進んできておるわけでございますが、これはやはり先ほど申し上げましたような通貨情勢を背景に円に対する世界の要望が高まってきたというあらわれじゃなかろうかと思います。円を持ちたいとか、円を使いたいというのは、円に対する信認の一つのあらわれでございますし、従来これに対しましては黒字のころには余り使われたり持たれたりするとぐあいの悪いこともあろうかということで、為替管理で大分抑えてまいったわけでございますが、円の国際化はいわば時の流れでございますし、私どもとしても歓迎すべきことでございますので、最近はそれに対してその特別の助成策こそ構じておりませんけれど、この流れの意味をよく認識して見守っているということでございます。
○矢追秀彦君 日本として、このSDRがだんだん体制が固まる方が好ましいのかどうか、その点いかがですか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) SDRは、先ほど申し上げましたように、国際通貨体制を理想的に考えますと、やはりこういったものが中心になりませんと、さっき申し上げましたように、金という自然の産物では十分なる国際流動性の補給もできませんし、それからドルというふうな一国の通貨の供給によりまして国際流動性を賄うというのは、またそれなりの危険があるわけでございますので、過剰流動性のとき、それをコントロールするのにもSDRというものがございますと非常に都合がいいし、不足の場合これを補う場合にも非常にいいわけでございますが、やはり金をだんだん役割りを減らすといっても、一夜にして全く消えるわけでもございませんし、米ドルは現に世界で相当大きな取引通貨として動いておりますので急にこれを減らすわけにもいきませんので、相当年数をかけて育てていくということで臨みたいと思っておる次第でございます。
○矢追秀彦君 大臣特にないですか。
○国務大臣(大平正芳君) いま、おおむね国際金融局長からお話申し上げたとおり、心得ております。
○近藤忠孝君 最初にOECD金融支援基金協定についてお伺いしますが、大臣、この構想には最初わが国は必ずしも賛成してなかったんじゃないか、こうも聞いておるんですが、この点いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) そんなことはございません。
○近藤忠孝君 今回こういうものが出てきましたけれども、その過程においてこれはずいぶん問題あったと思うんですが、そういったことでいいかどうか、これから御質問したいと思います。 ところで、七三年のオイルショック以後キッシンジャーが唱えた石油消費国同盟という、こういう考えが出てまいりましたが、これはどういうものと理解されておりましょうか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 当初米国のキッシンジャー長官が唱えておりました石油政策は、産油国からの輸入依存度を減らそうということで代替エネルギーの開発、消費の節約等を主張していたものでございます。
○近藤忠孝君 これが七四年の十一月十四日、シカゴ大学において正式には初めて登場したものでありますけれども、それでキッシンジャーはこの演説の中で、エネルギー危機、また通貨危機と国家安全保障とを不離一体のものとして論ずる特定の経済安全保障という、こういう表現を使ってこう言っているわけですね。われわれは経済安全保障を強めなければならない、そして石油緊急事態を防ぎ、国際金融体制を防衛しなければならない、こう言いまして、そしてそこで消費国同盟による五つの共同行動、これを提起したんです。この五つの共同行動の中身はどんなものであるか御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず第一は、エネルギー節約計画の推進でございます。二番目が、石油の新規供給と代替エネルギー資源の開発。三番目に、金融協力でございまして、七五年に二百五十億ドルの共通の借款保障、ファシリティーをつくるということが中心になっております。それから四番目に、発展途上国への援助。それから五番目に、産油国との対話をうたっております。
○近藤忠孝君 今回のこの協定のもとがこのキッシンジャー構想にあったと、こう理解してよろしいんでしょうか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) それはちょっと正確ではないと存じます。と申しますのは、石油危機の後いろんな構想が出てまいったわけでございますが、確かにキッシンジャー長官の構想もその一つでございましたが、今回ここに御提案しております金融支援基金協定は、実はそのキッシンジャー長官が演説されました一昨年の十一月十四日の前の十月に、すでにOECDのバン・レネップ事務総長が似たような、しかしまあ加盟国は相互に助け合う金融支援の仕組みをつくろうということで、これはコンフィデンシャルで各国に通知が参ったものですから、まあそちらの方は余り知られていないわけですが、その十一月に十カ国蔵相代理会議がこの作業を始めたわけでございますが、そのときにはもちろん幾つかの案の一つとしてキッシンジャー長官の構想も同時に出たわけでございますが、むしろOECDの事務総長の出しました案等を中心にし、しかもその独自の見地から作業を始めたわけでございます。 なお、その結果は、ごらんになりますように、当初キッシンジャー長官が言っておられたことと非常に違うものになっておるわけでございます。
○近藤忠孝君 非常に違ったものになったかどうか、これもこれから聞かなきゃいけませんが、基本的にはほぼ同じものでありますし、また、だれが先に言い出したか、だれが手続的にどう進めたかは別問題にしましても、国際政治の面からいきますと、やっぱり世界じゅうのいわば中枢を持って任じているアメリカのキッシンジャーが世界じゅう駆け回って、いわば推進したと、まあこう見るのがこれは当然だと思うんです。これは結局はこの七三年の石油危機で、いわばアメリカのエネルギー支配が根底から揺るがされた、こういう中でどうしても産油国と対決するということですね、そういう中で出てきたもの、こう理解しなきゃいかぬと思うんです。 そこで、いわばアメリカを中心とした資本主義陣営内部を固めるためのいわば国際金融体制、そういうものとして、これがアメリカとしては考えられ、また進めてきたと、大臣そうじゃないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) そういう色めがねで見られることは、キッシンジャー氏も大変迷惑だろうと思います。なぜかと申しますと、現に一昨昨年の末に石油価格が二回にわたって倍、倍と上がっていったという事態に対応いたしまして、どのように各国が、ともかくいやおうなしにこの事態に対応せないかぬわけですから、ともかくそこで破綻を来したらいかぬわけですから、店じまいしちゃいかぬのですから、この事態を。で、しかもその代金を払わないかぬのですから、そういう石油を買わなければやっていけないし、買った石油はただでもらうわけにはいかぬのだから、代金払わないかぬですから、そのオイルマネーは調達せないかぬのですから、それをどうして調達するかという場合に、みんなで協力していろいろな工夫をせなならぬということを、みんなで力を合わせて工夫し合うというのが当然な道行きじゃないでしょうか。それを産油国と対決する戦略であろうなどというて、のんきなこと言うておれないんですよ、これ。そんなあなたのんきなこと言うておってやっていけないんだから、これはそういう意味で、私は当時からずっとこの問題考えてきたわけでございますし、担当もしてきたわけでござ いますけれども、本当に骨身を削る思いでその危機をしのいできたわけでございますので、まあ若干の同情もし、評価もしていただかなければならぬのじゃないかと思うのです。 それから、アメリカにおいてエネルギーの節約をすると、アメリカと日本は、どうも大体アメリカがいまエネルギーの輸入の最大の輸入国でございまして、アメリカが輸入をできるだけセーブする、節約してセーブしちゃうということになりますと、それだけ世界のエネルギーの需要が緩和されるわけですから、そのことはエネルギー資源の節約に、全体の資源のセーブにもなりまするし、また価格を上げるということを、需給を緩和することになりますから、上げるということに対してその反対の方向に働くわけでございますから、上げにくい状況をつくることにもなるわけでございまするし、その点は私は世界全体にとって大変それが日本とかアメリカが節約して、資源を節約していくというようなこと、代替資源も開発していくというようなこと、それはもう当然考えにゃいかぬことだし、金融協力をして代金を払わにゃいかぬというようなことも当然なことじゃないかと思いますし、そういうことで一番苦しむのは開発途上国だから、途上国に援助をどうするかということも相談せにゃならないし、そのために産油国との対話もやろうというのだから、これはもうみんな間然するところなく行き届いた、プログラムじゃありませんかな。で、やっぱりそれなりに評価していただきたい。キッシンジャーの、ぼく代弁するわけじゃありませんよ。そういうように、これ評価して差し上げても差し支えないものだと思いますよ。
○近藤忠孝君 基本的には代金の関係だということで、大臣、答弁されましたけれども、これは基本的にはメジャーの支配ががっちりあるわけですね。そういうメジャーの支配の中で、いわば石油危機によって国際収支問題が生じてきた、いろいろな困難が生じてきたわけです。で、その時点で、また、この協定に基づいて借り入れするという、こんな関係が出てきますけれども……。しかし、基本的にメジャーの支配があって、そこに問題がある以上、これはいわばそういう借金が今度は増加するばかりだと、いわば国際的には対外的な破産が生ずる幾つかの国々の、やはりその破産が少し延長された、そんな要素さえ持つんじゃないかと思うんです。時間ありませんので、この問題、また長々と議論しているつもりはありません。しかし、どちらが正しいかどうか、歴史的に評価さるべきことだと思うのです。(「それはメジャーの支配を共産党の力で変えたらどう、それじゃ」と呼ぶ者あり、笑声)
○国務大臣(大平正芳君) メジャーの支配が確立しておると、それがどうもお気に召さぬというなら、それを変える力が現実にあって、もっと有利に変える力がどこかにあれば、これは私はまた相談に乗りますけれども……。
○近藤忠孝君 先ほど、不規則発言の中では、共産党がメジャーを支配する力を持つように、(笑声)一刻も早くそうしなきゃいかぬと実は思うわけです。 さて、問題は次に進みたいと思いますが、この協定ができる、承認される少し前、七四年十一月に日米首脳会談が行われましたね。ここでいろんなことが話されておりますけれども、エネルギー問題、食糧問題についての日米協力の話が出ていると思いますけれども、ここでは基本的に話されたことはどんなことでありましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) それはいつごろ……。
○近藤忠孝君 七四年十一月の日米首脳会談。——わかりませんか。新聞にも出ておることでありますし、キッシンジャーも記者会見で言っておりますから、こちらから紹介した方が早いと思いますね。これは七四年十一月二十一日付朝日新聞によりますと——この首脳会談においてキッシンジャー国務長官は、現代の安全保障は軍事的事項に限定されるべきでなく、エネルギー、食糧などの分野で日米間の協力がすでに確立されている軍事的、伝統的安全保障関係につけ加えるべき新たな、積極的な安全保障の部面を示している、こう言い。かつ記者会見ではこう言っております。ほぼ同じ趣旨でありますけれども、「現代の安全保障は軍事的事項に限定されるべきではなく、エネルギー、食糧などの分野での日米間の協力がすでに確立されている軍事的、伝統的安全保障関係につけ加えられるべき新たな、積極的な安全保障の部面を示している。この点について日米間の一般的な合意があった。」こういうことでありますけれども、これは大平さんまた答弁しますといろんなお答えになると思うんですが、ただ、国際的にこれがどう評価されているかという問題なんです。ヨーロッパではこの問題は、核と経済の結合と、こういう評価をしておりますし、実際、石油と食糧の最大の輸入国であって、この面でアメリカにいわばどうしても従属しなきゃならない、そこにそういう軍事的な面と結びついて一つのいわば従属的な支配関係ができてくるという、そんなことをどうしても指摘せざるを得ないのです。その一環としての今回のこの機構じゃなかろうか、それの一つの金融的側面じゃなかろうかと、こういうことを指摘せざるを得ないわけであります。そしてその結果が、どうしても産油国、開発途上国と対決する。したがってこの構想に対しては御承知のとおり産油国が強く反発したわけです。となりますと、これは、日本が自主的にあるいは直接産油国と交渉し、かつアメリカのメジャーの支配を脱して、先ほど言われたとおりですね、直接の関係を持っていくということの大きなこれは障害にもなるのじゃなかろうか。このことを私は指摘したいんです。
○国務大臣(大平正芳君) いま日本は油の大部分をメジャーから受けておるわけでございますし、それから直接、ダイレクトオイルでございますか、そういう形で若干のものを受けておるし、メジャー以外の給源からも受けておるわけでございますけれども、大変なシェアをメジャーをルートにして供給を受けておるということでございます。これは長い間そういうルートで受けておるわけでございますけれども、もしほかにそれよりもより有利に受ける道がある、それなのに依然としてメジャーからわざわざ受けておるというならば、大変批判されてしかるべきだと思いますけれども、それ以外に代替の方法がないということでございますならば、これはそれなりに私は合理性を持ったやり方であると、私先ほども申し上げたわけです。
○近藤忠孝君 この点は、産油国との直接交渉の道を切り開いていくという面が日本の本当の自主的な経済発展の上で必要だということを指摘したいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) それが安ければね。
○近藤忠孝君 そこで次の問題ですが、石油だけではなくて、オイルマネーの還流装置も、アメリカとしては自己の金融支配力によって運用したい、こういう気持ちがあると思うんです。それで、このOECDの金融支援基金がそういう一環として使われやしないか、こういう側面はどうでしょう。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) この金融支援基金をつくります当初の議論の過程におきましては、米国はできればそれはお互いに助け合うという意味におきまして、各国が外貨準備の中から出し合ってつくってはどうかというふうな意見もあったわけでございますが、私どもはむしろそれはおかしいわけでございまして、OECDの国はなべて外貨が不足しておるときでございますから、やはり産油国の余ったお金が何らかのかっこうで還流して、そして赤字を出しております消費国の役に立つということが望ましいということで、現在でき上がりましたような形になっておるわけでございまして、別にアメリカが還流を支配しておるということではなかったわけでございます。
○近藤忠孝君 これは全体の運営の問題ですが、先ほどもこれは米州開発銀行の中におけるアメリカの支配力が全体を支配しているんじゃなかろうかと、こういう指摘もありました。それと同じように、この全体の運営がアメリカの支配、そういう面で動くその懸念が私は強いということを、いま言った面でも指摘せざるを得ないんですが、この点はどうですか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 加盟国のシェアはGNPと貿易額を勘案して定めました関係上、アメリカのシェアが一番大きくて二七・八%になっておるわけでございます。日本は一一・七%でございますが、この運営は運営委員会でやるわけでございますけれども、貸し出しにつきましてもある程度以上の場合には全会一致、それからそれの少し手前では九〇%以上の決議をやるとか、いろんなところで重要事項につきましては全会一致あるいは九〇%以上というふうな決議の方法をとっておりますので、むしろ日本が従来の国際機関と違いまして、今度の基金におきましてはその運営に大きな発言権を持つということになろうと存じますけど、アメリカが勝手にできるという仕組みになっていないと私は思っております。
○近藤忠孝君 アメリカが二七・八%、それから西ドイツが一二・五%、そして日本が二・七%ですね。そうしますと、これで五二%を超えるわけです。そこで私はアメリカ単独の力と言うつもりはないんですが、いわば従来の日米関係から申しますと、また食糧関係、石油関係から申しまして、日本や西ドイツがアメリカと一体となっていわば一つの支配力になり、その中でもわけてもアメリカの意思によって全体が動いていく、そういうことになりはしないかと、こういう心配を持っておるわけです。この点はいかがでしょうか。ひとつ大臣に答えていただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 日本は、日本の国益のためになるんならアメリカと協力いたしますし、国益のためにならなければ、アメリカといえども賛成、協力することはないんです。その点はよくかみ分けていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 その点はやはりエネルギー、食糧という面でかなりアメリカの力の影響を受けざるを得ない日本としてはどうも安心できない、このことで申し上げておるわけです。 それから次に、この協定第五条第三項(e)というところがありますが、「運営委員会は、借入国の経済政策及び」「基金の目的を達成する」という、そういう条項によっていろいろな貸付条件決まってきますね。その決まった条件を、その実施状況を常時検討するという、こういう規定があります。そうしますと、いわば運営委員会が常時検討するということによって、その国に対する一つの内政干渉の動きが出てきやしないか。というのは、たとえば石油節減ということ、それはそれでいいと思うんですが、その場合にその節減の方法ですね。その他かなり詳細なところまで条件は決まってくるんでしょうから、そういう面での内政干渉が出てきやしないか、こういう点、どうです。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) この運営委員会が借入国の経済政策等を常時見るということは、これはほかの国際機関でも、たとえばIMFがお金をどこかの国に貸します場合に、その国の経済政策についてやはり見ておるわけでございまして、やはり国際機関がお金を貸します債権を保全するという見地からこういう条件がつくわけでございますが、そこで、条件の内容でございますが、さっき申し上げましたように、当初米国は、なるほど、石油政策をこの融資にリンクしようという考えを持った時期もございましたが、ここにまとまりましたのは、全くそういうリンクは切り離してあるわけでございます。で、各国が自主的に石油政策を含めて経済政策を運営するというたてまえになっておるわけでございます。
○近藤忠孝君 いままでの指摘は、かなり基本的に考えの違う面から指摘したんですが、仮に政府が言うように、これで出資しますね。ところが、果たして政府が予想しているようなことに進んでいくんだろうか、こういう心配が一つあるんです。政府の立場に立っても、そういう心配が出てくる。と申しますのは、これができてくるときの経済、世界の経済情勢と、やっぱり現在の経済情勢、ずいぶん違ってきていると思うんです。また、その関係で、国際金融面でも大きな変化が出てくると思いますが、現時点で、技術的に果たしてその機能を発揮し得るのかどうか、こういう問題が一つであります。 それからもう一つは、この協定が実施されている場合に、過剰流動性の問題が世界的に起きてきやしないか、世界的なインフレーションの激化に密接につながってきやしないか、こういう面はいかがですか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) この基金は、国際収支の混乱に直面いたしました国が、自分の努力をする、すなわち、自分の外貨準備を便りとか、それから市場から調達をするとか、それからIMFその他、ECの場合にはECから金を借りるとか、いろんな金融手段を尽くした後で、最後にここへ来るということになっておるわけでございますので、その意味で、ラストリゾートであるわけでして、最後にまいりましたときも、恐らくはこの基金がユーロダラー市場からお金を借りまして、借り入れ国に回すと、その際加盟国は、そのお金の返済についていわば相互に担保をするという形になろうかと思いますが、したがいまして、それによって過剰流動性が特に生ずるということではない。 それからもう一つは、この基金があるということ自体によって各国に安心感を与えまして、そこで、この現実に借り入れをしなくても、市場から安心して資金を調達すると、そういう意味におきましてこの基金は、別名、セーフティーネットと呼ばれておるわけでございますが、そういうふうな機能を果たすということが期待されておるわけでございます。
○近藤忠孝君 時間がきましたので、最後に米州開発銀行の方の問題をお伺いしますが、これは先ほどもたとえばキューバの関係あるいはチリの関係等々が指摘されました。ですから、それは繰り返しません。 一つお聞きしたいのは、いまこのラテンアメリカ諸国にもう一つ違う経済機構をつくろうという動きですね、これはラテンアメリカ経済機構——SELAというのですか、というものが準備が進んでおると思うんですが、その内容と、こういうものができているということは大変注目すべきことではなかろうか。というのは、いまこの日本が加盟しょうとしております米州開発銀行が必ずしもこの本当のラテンアメリカ諸国の国々の要求や利益と合致しない側面があるから、こういう一つの動きがあるんじゃなかろうか。いわばこれは先ほどから問題になっておりますアメリカの支配に対する一つの反発——まあこの二つの機構が決して対決するものとまでは申しませんけれども、そういう大きな動きの中で出てきているものではなかろうかということを指摘したいんです。もしそうだとしますと、いま日本がこの米州開発銀行へ加盟していくことに一つ大きな問題がありはしないか。先ほど社会党さんの方から指摘された問題に加えて、こういう問題として大いに考えるべき問題がありはしないか。その点はいかがですか。
○政府委員(菊地清明君) 御指摘のこのSELAの設立の動きでございますけれども、これの目的は当然この中南米諸国の経済、社会開発促進のためでございます。特に特定の目的としましては、このラ米自体の多国籍企業をつくりたいということ、それから一次産品の域内の加工だとか、それから一次産品の適正価格、それから安定市場の確保というようなことでございまして、このラ米内の発展途上国の利益をより具体的に表現していこうということで出てきておるわけでございまして、現在八カ国がすでに批准を了しまして、加盟二十五カ国の過半数つまり十三カ国の批准をもって近く正式に発効する予定でございます。したがって、いま八カ国ですから、後五カ国批准しますと、この組織が発効するということでございます。 それで、御指摘の米州開発銀行との関係でございますが、米州開発銀行は主として資金面の、資金の供給、開発資金の供給という面に最大の眼目があるわけでございまして、おのずからSELAとの分業といいますか、おのおの分担ができるのではないかと思います。 なお、御参考までに、米国がこれに対してどういう感触を持っているかということを調べてみましたところ、キッシンジャー長官もこのSELAの構想は無条件に支持するというふうに言っておりまして、特に米国との間に問題があるとか、それから米州開発銀行との関係に問題があるとかということは現在のところ承知いたしておりません。
○近藤忠孝君 これは外務省からいただいた文書ですが、それによりますと、これができるきっかけでしょうか、これはラテンアメリカ域内の産油国に対し差別待遇を認めた米国の新通商法をめぐって域内の大多数の諸国が反対を表明した際でき上がったと、こういう経過から見ますと、必ずしもいまのような御答弁のような状況ではないんじゃなかろうかと、この点、いかがでしょうか。
○政府委員(菊地清明君) 確かにラ米内の産油国といいますと、ベネズエラが一番大きく、それから最近はメキシコ、エクアドルその他がございますが、アメリカがこの産油国に対して、最近、後進国であるけれども産油国である国に対しては特恵を停止いたしました。それは事実でございますけれども、これだけがSELAというものをつくった理由というふうには考えられませんので、先ほど申し上げましたようなラ米は自分のところの多国籍企業もつくりたいと、それから一次産品のいろんな手当てをしたいということが直接の動機ではなかったかと思います。
○栗林卓司君 御提案、四本ですけれども、それぞれ従来からこの面の努力が十分であったとは必ずしも言えませんし、むしろ今回の御提案を含めて積極的に国際金融協力に努力をしていくべきだと思います。ということで、今回は若干追加的な点についてお伺いをして質問を終わりたいと思うんですけれども、一つの例としてOECDの金融支援基金を例にとりまして、米国、西ドイツ、日本が、合計しますと五二%の割合で分担するわけですけれども、まあ当面の間考えてみて、米国、西ドイツ、日本がこの支援基金の御厄介になるということは余り想像はできない。残り四八%の中にこの基金を当面必要としている国々があるんだろうと思うんです。そこでこの基金を必要とする前に、いまフロートしているわけですけれども、為替レートの面で実はこの基金の必要に至る前に諸対策が結果として行われてくるというぐあいに動いていくのでございましょうか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) この基金に借り入れを申請する前にその国はいろんな自己努力をして資金調達をすることになっておりますが、その一つにはIMFからの借り入れをするということになっているわけでございます。そのIMFから借り入れをいたしますときには、当然その条件といいますか、IMFの目的に合致した政策をとって いなければいけないわけでございまして、勝手に通貨をフロートダウンすると、いわば為替切り下げ競争をしておりますと、IMFもなかなかその資金の供与を認めないということでございますので、そこでいま御指摘になりましたようなフロートによって解決するという道には歯どめがかかっているわけでございます。
○栗林卓司君 そうしますと、その前段階のIMFの協定になりますけれども、御提案のいわば 一つの理由として、最近の欧州通貨情勢等もありということが今回の増資の急ぐ理由の一つに挙げてあるわけですけれども、そこでIMFの協定の増資に伴って、その支援を受けながら、昨今の欧州通貨情勢に対して具体的にどのような影響を及ぼしていこうというねらいが今回の増資にあるのでしょうか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 今回の増資は、過去五年間、これは五年ごとに見直しをいたします増資でございますので、過去数年間の国際貿易の伸びその他の情勢の変化を見て、全体の規模、それから各国の割り当てを決めたわけでございます。そういうことでございますので、先進国だけの国際収支の困難を救済するということでなくて、大きな部分は開発途上国への資金手当ての方へ参るのではなかろうかと思います。 それからもう一つ、この増資と直接関係はございませんが、IMFの協定改正を御提案しておるわけでございますが、そこにおきましては、為替相場制度の改正、それから金の役割りの変化、そういったものをうたってあるわけでございます。
○栗林卓司君 わかりました。 それで、いまたまたま出ました最近の欧州の通貨情勢なんですけれども、これを日本の為替レートとの関係で、どのような影響があるのかないのか、いわばわれわれとして、欧州における最近の通貨情勢の変化をどのように見ていたらいいと御判断になっておられますか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 本年に入りましてから、二月のイタリアリラのフロート、それから三月の初めにはポンドが一ポンド二ドルを割るとか、それから三月十五日にはフランスフランがECの共同フロートを離脱するとかいったいろいろな変化があったわけでございます。これは非常に概括的に申し上げれば、やはりヨーロッパ諸国内におきます一つの調整の運動でございまして、まあ以前でございましたら、これがほかの通貨に波及し、世界的な規模に広がるということもあるいはあったかもしれませんけれども、最近ではこういった動きは局部的なものにおきまっております。もちろんいまこのヨーロッパの通貨情勢が動く中で、弱い通貨と強い通貨に分けて見るというふうな市場の反応も出たものでございますから、円が強い通貨に属するんじゃないかということで、二月ごろには、日本の短期証券を買うとか、そういう意味での短期資金の流入がございまして、一時的に円が強くなったときもございます。しかし全般的には、ことしの初めに入りましてから、日本の輸出の先行きに明るい見通しが出てまいりましたので、年初一ドル三百六円というところから、四月ぐらいになりましてから、一ドル二百九十八円、最近では二百九十八円から三百円というところで安定しておるわけでございまして、若干のヨーロッパ通貨情勢が日本の為替市場に影響を与えたということは否めませんけれども、大きな影響はなかったと見ております。
○栗林卓司君 そうしますと、その円の対ドルレートのことで一つ伺いたいんですけれども、いまの円の本当の力に対して、いまの表示されているレートが実勢を本当にあらわしているんだろうかという議論もないわけではないと思いますし、といって、それでは対ドルレートの今後の見通しはというのは、お答えを求める方が無理でございますから伺いませんけれども、ただ、なるべく安定的に推移をしたいという配慮は政策的にはないわけではないんだろうと思うんです。そこで、昨今の国際的な経済的な力関係の変化に対して、円レートのフレキシビリティがいささかおくれをとるというおそれはあるんだろうかないんだろうか、それについてはどのように御判断になっていますか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 為替相場の運営につきましては、基本的には市場の需給に任せている、ただ乱高下が起きます場合には、それに対処して介入するということできておるわけでございます。最近はそういう意味におきまして、そう大きな介入をせずに相場の安定が保たれておるわけでございますので、大体におきまして、実勢を反映したレートで推移しているというふうに見ております。
○栗林卓司君 それでは別な点でお伺いをしたいんですが、大変とっぴな聞き方をして恐縮ですけれども、OECDの金融支援基金に戻るわけですけれども、いわばこれが最後の救済措置に近いと思うんです。国際的な協力の一環としてこういうものも必要だと思いますけれども、いざこれが本当に必要になるというときに、取りはぐれてしまった場合はどういう対応になるんでしょうか。たとえばそのときにはその国に対して相当な担保を求めていくとか云々ということをつけて、あるいは見通してこのOECDの金融支援基金ということが考えられていくんでしょうか。
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 先ほども申し上げましたように、この基金は最後のよりどころでございますので、なかなか現実に借りにくるというととはないのではないかと思いますが、しかし借りにきた場合におきましては、ここにございますように七年間の期限で貸すことになっておりまして、その七年間たちまして万一返せないという場合には、加盟各国がそのシェアに応じまして、市場には期限どおりにお金を返さないといけないわけでございますので、その分を立てかえるということになるわけでございます。その立てかえましたお金は、やはりその借り入れ国に対する賃し付けということで、利子をもらいながら猶予するということになるわけでございます。最終的にはこの基金を解散いたしますときに、この基金の債権債務関係を各国にばらしまして、各国とその借り入れ国との二国間の債権債務の関係に帰するわけでございますけれども、まず貸します借り入れ申請のときにも、いま申しましたように非常に最後の手段としてくるわけでございますし、万一借りた場合におきましても、債権の保全という意味におきまして、その国の経済政策がきちっと行われておるかということを監視するわけでございますので、いまおっしゃいますような万一取りっぱぐれになるということは、理論的にはあろうかと思いますけれども、なかなかそういう事態はないのじゃなかろうかというふうに予想しております。
○栗林卓司君 そういう事態はなるべくどころか絶対に回避しなければいけない、おっしゃるとおりだと思うのです。 そこで大臣にひとつお尋ねしたいのですけれども、こういう最後のセーフティーネットにかかるようでは仕方がございませんしIMFの融資を受けながら何とかこれは立ち直る道を見つけていかなければいかぬ、そういう中で為替レートの変動ということも国際的な通商関係では競争力を補完するものとして働いてはまいると思います。ただ通商関係で考えますと、必ずしも価格競争力だけではない。その意味で為替レートを上下に動かしたからといって通商関係が改善できるかというと必ずしもそうじゃない。そうなってまいりますと、いろいろ国際的な金融協力をしながら事実上のブロック経済化なり何々ということに対する危険というものは必ずしも去ったわけではない。そこで実態の通商面での対応があわせて進んでいかなければいけないと思うわけです。 そこで以上の前置きでお伺いをしたいのは、たとえばラテンアメリカにしてもアフリカにしても同じことでありますけれども、いろいろ国際金融協力で向こうの国力をつけていく、産業が育ってまいりますと、どこのマーケットにこれを売るのだろうかということに当然なってまいりましょうし、またOECDの国家間においてもそういう具体的な通商関係が出てくる。そうなってくると、先ほど大臣が、実は同僚議員の質問に対してお答えになった点ではあるのですけれども、そういう変化に対して日本の国内のマーケットの受け入れ力をどう高めていくかという点が相まって努力として進んでこないと、なかなか国際的な金融協力ということだけではセーフティーネットヘの道を阻むというわけにはいかないのじゃないか。そうなってまいりますと、実は国内的にもアジア的な低生産性部門というものは決して少ないわけではない。そういうものに対して今後はより積極的な意図的な金融政策の配慮も実はあわせて必要なんではないか。必要なそういう機関というのは、すでに現在あるわけですけれども、そういった面に対してどのような問題意識で今後いわば国内に対する、そういう新しい国際的な経済協力関係に対する国内の対応能力づくりという意味で、そういう開発基金的な運用も国内的に必要に思えるわけですけれども、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、こういうように感じておるんでございますが、こういう資源協定をつくって、この法律に書いてあるように、協定にうたわれておるような仕組みで具体的に働いて、これはラストリゾートだというように、どう機能するんだろうかというように、いろいろ問題があるわけでございますけれども、こういう資源協定がラストリゾートとしてあるということがもう最大の信用というか、国際経済を安定さす場合の保証なんでして、これが現実にもう、まだ発効していない前から、もうこれができるということで、すでに世界経済が安定の一つの柱になっておるんじゃないかと思うんです。 それで、国内の問題でも、そういう意味でこれは経済は信用でございますから、国内の市場におきまして貿易が行われる、あるいは貿易に関連したビジネスが進むという場合、生産が進むというような場合でも、やはりこういったことが微妙に響いておるんだと思うんでございます。 したがって、国際経済が安定的に機能すると、それからできるだけ障害を少なくしていくんだということのために、政府は保護主義的なことをできるだけ排除していくんだというようなことを懸命にやることによって、よりフリーアーなトレードの拡大、これはもうドメスティックな面も域外の面もそうでございますけれども、そういうよりフリーアーに機能するように保証するということで、信用の基盤はいろいろな手で、この基金協定なんかも一つのものだと思いますけれども、両面から相まってその国際経済交流というものを活力のあるものにしていくという、そんな感じでいくべきじゃないかと。具体的にそれじゃどうするんだということは、それからいろいろな方策が出てくると思いますけれども、基本的な考え方はそういうようなところに基調を置いて施策すべきだと考えております。
○委員長(岩動道行君) 質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。 午後九時二十九分散会 —————・—————