大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 17 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/03/31
会議録
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨三十日、戸田菊雄君が委員を辞任され、その補欠として粕谷照美君が選任されました。 また、本日、山崎五郎君が委員を辞任され、その補欠として岡田広君が選任されました。 —————————————
○委員長(岩動道行君) 関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 この法律案は、最近における内外の経済状況の変化に対応するため、関税率等について所要の改正を行おうとするものであります。 以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一に、最近における銅市況の著しい低迷、国内産銅業界の深刻な状況等を考慮して、銅の無税点を引き上げることといたしております。 第二に、関税負担の適正化及び通関手続の簡素化を図るため、製本機械、カフェイン等十品目につきまして、関税率を引き下げることといたしております。なお、木炭については、関税割り当て制度を廃止することといたしております。 第三に、トウモロコシについて、国産芋でん粉の需要を確保しつつでん粉の需給の安定を図るため、コーンスターチ製造用トウモロコシの一次税率を無税とするとともに、二次税率を引き上げることといたしております。 第四に、昭和五十一年三月三十一日に適用期限の到来する八百六品目の暫定税率及び関税の減免還付制度について、その適用期限を一年間延長することといたしております。 以上、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を申し述べました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(岩動道行君) これより質疑に入ります。——別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。——別に御意見もなければ、直ちに採決に入ります。 関税暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岩動道行君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(岩動道行君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、最近における厳しい財政事情等に顧み、租税特別措置について、その全面的な見直しを行い企業関係税制を中心に大幅な整理合理化を推進するとともに、自動車関係諸税の税率を引き上げることとするほか、所要の措置を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 まず、租税特別措置について整理合理化を行うことといたしております。 その第一は、既存の特別措置の廃止であります。 すなわち、長期外貨建て債権等を有する場合の課税の特例制度、新技術企業化用機械設備等の特別償却制度等十一の制度を廃止することといたしております。 第二は、税額控除制度及び所得控除制度の控除率の引き下げ等であります。 すなわち、増加試験研究費の税額控除制度について、五〇%の割り増し控除率を廃止するとともに、二五%の控除率を二〇%に引き下げ、技術等海外取引に係る所得の特別控除制度について、控除率を工業所有権等に係るものにあっては七〇%から五五%に引き下げる等の縮減合理化を行うことといたしております。 第三は、各種の特別償却制度の償却割合の引き下げ等であります。 すなわち、特定設備等の特別償却制度について、償却割合が三分の一のものは四分の一に、四分の一のものは五分の一にそれぞれ引き下げ、特定備蓄施設等の割り増し償却制度について、倉庫等の割り増し率を五割から四割に引き下げる等の縮減合理化を行うことといたしております。第四は、各種の準備金制度の積立率の引き下げ等であります。すなわち、価格変動準備金について、積立率を通常のたな卸し資産にあっては三%から二・七%に引き下げ、公害防止準備金について、積立率を〇・三%から〇・一五%に引き下げる等の縮減合理化を行うことといたしております。第五は、登録免許税の減免措置の縮減合理化であります。すなわち、電源開発株式会社が受ける登記に対する登録免許税の免税措置を廃止して税率軽減措置とする等その縮減を行うとともに、適用期限のない措置について適用期限を設ける等の措置を講ずることといたしております。第六は、交際費課税の強化であります。すなわち、損金算入限度額の計算の基礎となる資本等の金額の一定割合を千分の一から千分の〇・五に引き下げるとともに、損金不算入割合を七五%から八〇%に引き上げることといたしております。 なお、企業破産等に係る退職勤労者が弁済を受ける未払い賃金に対する課税の特例制度を創設し、特定市街化区域農地等の譲渡所得に係る税率を改め、さらに中小企業の貸倒引当金の特例制度等期限の到来する措置について、実情に応じてその適用期限を延長する等、中小企業関係、農林漁業関係、土地住宅関係等の租税特別措置について、それぞれ所要の改正を行うことといたしております。 次に、自動車関係諸税について、その税率の引き上げを行うことといたしております。 すなわち、自動車に係る税負担の現状に顧み、資源の節約、環境の保全、道路財源の充実等の観点から、二年間の暫定措置として、揮発油税について、その税率を一キロリットルにつき二万九千二百円を三万六千五百円に、地方道路税について、同じく五千三百円を六千六百円に、それぞれ二五%程度引き上げ、また、自動車重量税について、その税率を営業用自動車は一二・五%程度、自家用自動車は二五%程度、それぞれ引き上げることといたしております。 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(岩動道行君) この際、一言申し上げます。 本案につきましては、理事会において質疑につき協議いたしましたところ、民社党からは、これを行うべきであるという強い意見が述べられました。また、他の会派はこれを省略する旨の強い意見が出されました。したがいまして、委員長といたしましては、質疑はこれを行わず、直ちに討論に入ることといたします。 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○大塚喬君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております租税特別措置法の改正案に対し、反対の討論を行わんとするものであります。 石油ショック以降における政府経済運営の数々の失政により、わが国を、かつてない大型不況と膨大な赤字財政のどろ沼に陥れ、一方で社会的不公正を拡大し、他方で高度成長志向型の経済運営を復活し、福祉後退予算を編成するなど、国民大衆離反の政治をとり続けることはまことに遺憾とするところであります。 今回の税制改正において、国民の強い要請にもかかわらず、増加所得分は貯蓄に回り景気浮揚効果が乏しいとする、まことに根拠のない理由づけで所得税減税の見送りを決定しておりますが、政府は、現在いかに経済的弱者が生活苦にあえいでいるか御承知ないものでありましょうか。失業者の著増、生活不安による自殺者の続発などは、生活苦にあえぐ国民の実情を示すほんの氷山の一角にすぎないものであります。福田副総理を初めとして政府閣僚は、五十年度の物価上昇率が一けた台におさまったと、まるで鬼の首を取ったかのように騒ぎ立てておられますが、物価は決して下がったわけではなく、目下のところ、ただ高値安定しているにすぎず、公共料金の引き上げ予定はメジロ押しであり、企業は新価格体系移行をねらっていることは周知のとおりであります。 他方、低所得の勤労者は、低成長期のもとで賃上げ率を抑えられ、実質賃金は大幅に低下をしているのが現実であります。したがって、経済的弱者救済を忘却した政府自民党には目を覚ましてもらい、五十一年度において低所得者に対する所得税減税の実現を強く要請するものであります。 今回の租税特別措置法の改正案は、全面的見直しと、企業関係税制を中心とした大幅な縮減合理化を実現したとうたっておられますが、事実は決してそうではありません。その内容を見ると、租税特別措置法改正案についての昨年十一月末の大蔵省原案をほとんど骨抜きにして、価格変動準備金、各種工事償却準備金、株式売買損失準備金等の存続など、依然として大企業優先の諸措置を温存し、他方、主に担税力のある大企業が課税対象となってきた会社臨時特別税、これは廃止をされました。今回の改正案による五十一年度企業増税分は、わずかに百五十億円にすぎません。仮に、会社臨時特別税を存続させれば、五十一年度には少なくとも千五百億円程度の税収が期待されることを考えますと、企業には逆に大幅な減税をしておることは明らかであります。 また、税源を担税力のあるところから求めるという租税原則を踏みにじり、今回の自動車税の大幅な引き上げなどに見られますように、取りやすいところから安易に財源調達を図っている政府の姿勢は、強く反省を求めたいと思うのであります。 さらに、再三、私どもが強く指摘をしてまいりました配当控除、法人の受取配当益金不算入、配当軽課などの諸制度の不合理性については、今回、全く手つかずのまま放置されておるのであります。このことは、国民が租税政策を通じて期待する不公正是正を完全に無視するばかりでなく、結果的には高額所得者、大企業擁護をますます強めることになると断定せざるを得ないのであります。 昨五十年度税調答申に明示されております利子・配当所得の総合課税移行への体制を整えることもなく、また、四月より医療費改定が実施をされるにもかかわらず、社会保険診療報酬課税の是正を見送ることは、常に税負担公正を求める国民の理解をとうてい得ることができないものであります。 最後に、額に汗して得たわずかな勤労所得に対する課税は、過酷なまでに厳しく実施をされ、働かずして得る資産性所得については、分離課税制度の存続によりこれを優遇し、あまつさえ、今回突如として全国民を震憾させた一大疑獄事件に見られる児玉などの脱税など、税徴収の不公正さには、国民は、憤りばかりでなく、著しく勤労意欲を阻害し、政治不信を強めておるところであります。それゆえに、私どもは国民の政治不信を回復するためにも、今後ともこの一大疑獄事件の解明に全力を注ぐとともに、税制の公正を実現するために徹底的に闘う決意であることを表明いたし、私の反対の討論を終わるものであります。
○河本嘉久蔵君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意を表するものであります。 本法律案は、現行の租税特別措置について、企業関係税制を中心に、大幅な整理合理化を推進するとともに、自動車関係諸税について、その税率の引き上げを行うことを主な内容とするものであります。 租税特別措置は、一定の政策目的の実現に資するために設けられているものでありますから、その役割りに着目した場合、すべてが一概に不公正として非難さるべきものでないことは言うまでもありませんが、同時に、税負担の公平を犠牲にして設けられているものであることも事実であります。この意味におきまして、租税特別措置につきましては、個々の政策目的の緊要性と、税負担の公平の要請との調和を図るという見地に立って、随時見直しを行い、その既得権化や慢性化の排除に努める必要があることは、当委員会においても従来からしばしば指摘されてきたところであります。 今回の本法律案による特別措置の整理合理化は広範にわたっており、廃止項目十一、縮減項目五十八、しかも、そのうち企業関係については、現在ある九十八項目のうち六割に相当する五十九項目を整理合理化の対象としたのでありまして、政府がこの問題に積極的に取り組んだ態度に深い敬意を表するものであります。 ところで、昭和五十一年度の財政は、国、地方を通じ、昭和五十年度に引き続き非常な財源難にあり、多額の公債発行を余儀なくされるという厳しい状況下にあります。これに対処するのには、当面の経済状況に配慮しつつ、できる限り租税収入の確保を図ってまいる努力が必要であります。本法律案においては、自動車関係諸税の税率の引き上げが講ぜられているのでありますが、こうした財政事情を考慮した場合、また、わが国の道路整備の現状や、自動車関係諸税の負担水準などをあわせ考えた場合、この程度の引き上げはやむを得ないところであると考えます。 なお、この引き上げに当たって、揮発油税、地方道路税の税率改正は、実施を七月からとするなどの措置が講ぜられておりますが、これらはきわめてきめ細かい配慮と言えるものであります。 そのほか、中小企業関係、農林漁業関係、土地住宅関係等につきまして軽減措置の適用を延長するなど、実情に応じた所要の改正が行われることとなっておりますことは、いずれも当を得た措置と思われます。 以上、申し上げました理由により、本法律案に賛成する態度を表明して、私の討論を終わります。
○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 反対理由の第一は、本改正案は、政府の言う全面的な見直しとはほど遠い相変わらずの大企業優遇、高額所得者保護の姿勢であるということであります。 政府は、口を開けば、その失政をたな上げにして、財政危機を理由に高福祉、高負担を言いますが、国民に負担を強いる前に不公平税制の代表的なものである租税特別措置法を徹底的に洗い直し、もはや過去の遺物となった大企業優遇措置を改廃すべきであります。 本法案の改正に際し、政府は鳴り物入りで大幅な整理合理化を推進すると言っておりますが、実態は御多分に漏れず大企業寄りの改正であり、国民の期待に全く反するものであります。 たとえば、現行で減収効果を持つ特別措置は百九十六項目ですが、本改正案で廃止されるのはわずか十一項目であります。しかも、その中身は沖繩海洋博の出展準備金など全く必要のなくなったものや、大企業優遇措置として効果の薄いものに限られており、縮減されたもの五十九項目についても、見せかけだけの単なる手直しにすぎないものばかりであります。これは特別措置による減収額五千六百余億円のうち、本改正での増収は初年度でわずか百五十億円ということからも明らかであります。 このようにかけ声だけで実体のない内容で国民の批判をごまかそうとする本改正案には反対であります。 反対理由の第二は、利子・配当所得への課税是正には全く触れていないことであります。 本年の税制改正では所得税の物価調整減税を含めた一切の減税を見送り、実質的に国民へ増税を強いることとしております。本来、個人に対して負担増を求める際には、利子・配当所得者等の資産所得者、高額所得者こそ真っ先に求めらるべきであることは当然であります。しかるに本改正案においては、全くこのことに触れておらず、政府の負担の公平化が口先だけのものであり、相変わらず高額所得者を優遇していることは明白であります。 たとえば、新財源構想研究会の試算によりますと、年収五百万円で給与所得のみの場合は、所得税、住民税の合計負担率は二〇・七%、ところが給与所得四百万円で利子所得百万円の場合は、負担率が一七・三%と不公平になっており、この傾向は所得が増すほど顕著になるのであります。 政府は、不公平税制にメスを入れると国民に約束をしながら、このような不公平税制には全く手をつけない。これでは国民の税に対する不満、不信をますます増大するばかりであり、政府の責任は重大であります。 反対理由の第三は、法人税法適用の各種引当金など実質的に特別措置と同様な制度に対して全く改正がなされていないことであります。 法人税法に基づく軽減措置として受取配当の益金不算入、退職給与引当金、貸倒引当金などがあります。 国税庁が発表した四十八年度分の「法人企業の実態」でも全法人の〇・〇二%しか占めていない百億円以上の大法人だけでこれら各項目の軽減措置総額の五〇%以上を占めており、いかに大企業優遇税制となっているかを示しております。利益隠しに悪用されている各種引当金制度設立の目的をすでに達した受取配当の非課税制度などを抜きにして、特別措置法だけを改正するのは全くの片手落ちであります。ここにも国民生活を無視した大企業優遇の政府の姿勢があらわれております。 また、会社臨時特別税を廃止することにしておりますが、これだけで大企業に対し実質的に千八百億円の減税になります。 政府は、本改正案によって、いかにも大企業に対し増税になるように言っておりますが、それは全くのまやかしであり、実は臨時特別税の廃止により大企業は逆に税負担が軽減されるのであります。このように国民には増税を強い、大企業、高額所得者には減税の本改正案は全く納得できません。 反対理由の第四は、自動車関係諸税の引き上げについてであります。 自動車についての課税は、自動車の持つ特質から根本的な見直しが必要でありますが、今回の改正は、税収不足を安易な増税で埋めようとするものであります。資源、環境、道路財源問題あるいは総合交通体系を考慮して慎重に検討すべきであり、安易な増税には反対であります。 以上、四点より反対の理由を述べましたが、いずれにしろ公平の原則を忘れた税制度は国民の不信をつのらせるばかりであるということを強く主張するととも一に、政府の反省を強く要求して、私の反対討論を終わります。
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して租税特別措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。反対する第一の理由は、政府が今回の改正を、祝の不公平の是正、租税特別措置の全面見直しなどと宣伝しているにもかかわらず、今回の措置がきわめて欺瞞的なものであるからであります。このことは、租税特別措置の減収額が政府資料によっても、たとえば、昭和五十年度では五千六百十億円であったのに比べ、今回の全面見直しなるものによる増収額が、初年度わずか百五十億円、半年度一千百五十億円にすぎないことを見ても明らかであります。さらに、今回廃止される租税特別措置の数は、法人税関係特別措置九十八項目のうち、わずか十一項目にすぎず、しかも、廃止するものは、通貨調整前に取得した長期外貨建債権債務に係る為替差損の損金算入措置や沖繩海洋博覧会出展準備金など、すでに期限が到来して、大企業にとっても役に立たなくなったものばかりであります。大蔵省が昨年十一月末自民党税制調査会に示した改正条では、価格変動準備金、公害防止準備金、渇水準備金など、大企業に有利なものを含む準備金八、特別償却三を廃止することとなっていたにもかかわらず、大企業と自民党の反対でこれらすべてを取りやめて、同じ十一項目の廃止でも、その中身が今回のようなものに変えられたことを見ても、今回の措置の欺瞞性は明らかであります。その他の若干の改正措置も、国民の要求とはほど遠く、申しわけ程度のものにすぎません。反対する第二の理由は、政府が今回の改正の対象を、租税特別措置法に規定する措置に限定し、小公正税制の一番大きな要因である各種引当金、受取配当益金不算入、配当控除など法人税、所得税本法に規定する措置には全く手をつけず、不公正の最大の要因を残しており、この意味でも政府の全面見直しなるものがきわめて不徹底であり、課税の公平を要求する国民の要求を踏みにじるもりであるからであります。反対する第三の理由は、今回の改正案の中に、航空運送業の経営合理化のためと称し、初年度四分の一償却の対象に新しく高精度工作機械を加え、また、海外投資損失準備金に新しく海外工事契約による大規模プロジェクトを加えるなど、大企業しかできない機械や工事には、かえって特権的減免税を追加しているからであります。これこそ今回の会社臨時特別税の廃止に伴う大企業への大幅減税とあわせて、政府が大企業の利益に一層奉仕し、税の不公平をさらに拡大しようとしていることを浮き彫りにするものであります。 反対する第四の理由は、以上のような今回の欺瞞的改正が、現在及び将来の増税の布石となっているからであります。今年度でも、所得税減税ゼロと自動車関係諸税の増税で一兆数千億円の実質増税となり、年収二百万円の四人家族の給与所得者が一〇%収入増加の場合、所得税と住民税の合計で現在の二万一千四百七十円から、三万八千八百円へとふえるのであります。さらに、大蔵省が発表した財政収支試算では、今後五年間税収を年平均二〇・九%という高率で増加させ、昭和五十年度の十三兆八千億円から五十五年度三十五兆五千八百億円に、実に二・六倍にしようとしており、付加価値税の導入を意図していることは明らかであります。このように国民に対する大増税のための布石としての欺瞞的な特別措置の改正こそ、今日の三木内閣の欺瞞的、反動的な姿を浮き彫りにするものであります。 わが党は、今回のような措置ではなく、法人税法、所得税法本法に含まれたものも含め、大企業、大資産家に対する特権的な減免税制度を全面的に改め、税の不公平を徹底的になくすことこそ、今日の財政危機を克服する最良の道であることを強調して、私の討論を終わります。
○栗林卓司君 私は、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、また、本件に対し委員会が一切質疑を行っていないことに対し、民社党を代表して反対の討論を行います。 本件は、衆議院より参考人の意見聴取を含むすべての質疑を省略して送付されたものであります。もちろん附帯決議もありません。したがって、本件に対し衆議院大蔵委員会がどのような意思を持ち、また主張を持っていたかはわれわれにとっても、また多くの国民にとっても不明であります。同様に、本件の成立に伴って政府が関連する政策をどのように実施するのか、また何ができて、何ができないのか。さらに本件の提案に先立って政府・税制調査会が何を検討し、何を考えたのか、これもその詳細は全くわかりません。そして、ただ明白なことは、わけがわからないうちに国民に対して新しい義務が賦課されたという事実であります。聞くところによれば、衆議院大蔵委員会は法案の成立後、適当な時期に集中審議を行い、これをもって本件の質疑にかえたいとしているようであります。しかし、税法は成立してしまえば後で何を言ってみたところでだめであります。そしてこのことが、租税法定主義という言葉の中身であるはずであります。しかも、質疑を法案成立の後に回すなどということは、二カ月以上にわたって本件が付託されていた衆議院大蔵委員会の態度として妥当なものではありません。 以上、本件に関する衆議院の審議は不当かつ不正常なものと言わざるを得ません。この事態に対し衆議院の審議を補正し、補完する役割りと責任を負うものが参議院であるはずであります。しかるに、その参議院において審議の補完に努力するどころか、参議院もまた一切の質疑を排除して法案の処理を急ごうとしております。これは全く理解に苦しむ態度であり、参議院の存在理由をみずから否定するものにほかなりません。 租税特別措置法の一部を改正する法律案は、その効果が四十日間に限られている暫定予算と同じではありません。一度成立すれば、少なくも一年間にわたって国民の権利義務を拘束するものであります。したがって、これを質疑なしに成立させることは、予算を例にとれば、本予算を質疑抜きで成立させることと全く同じであります。これは国会として、また国民として許容し得ることではありません。このようなことが通用するなら、議会制民主主義は死んだも同然であります。衆議院の審議を補正し、補完する任務を参議院がみずから放棄するなら、国費を投じて参議院を維持する理由がどこにありましょうか。今日の不当かつ不正常な事態は単に議会制民主主義の危機であるにとどまらず、参議院の存在理由そのものが問われていると言わざるを得ません。民社党を代表し強く遺憾の意を表明しておきたいと思います。 第二の反対の理由は、今次税制改正の不徹底であります。現在、所得税の減税が多くの国民の一致した要求となっていることは言うまでもありません。二年続きの深刻な不況の結果、民間企業の収益力は著しく低下し、今次賃金交渉は、賃金か雇用かの厳しい選択に迫られようとしております。一方、多数の勤労者の生活は、引き続く物価高とローンの返済に追われ、実質生活水準をいかに維持するかが重大な課題となってきております。 このときに当たり、政府は所得税の減税を行い、実質生活水準の維持に寄与するための努力をすべきであります。単に景気対策の観点からのみ減税を理解すべきではありません。そして、その減税を可能にするためにも、政府は行財政の改革に取り組まなければなりません。租税特別措置の整理合理化を徹底しなければなりません。現状では不十分であります。また社会的不公正感を高める大きな原因である交際費課税についても強化すべきであります。そこで問題とすべきものは、個個の支出行為の妥当性であって、枠の問題ではありません。ゴルフや飲み食いの接待が果たして損金性を持ち得るか否かを厳格に検討すべきであります。寄付金についても同様のことが言えるでありましょう。これに対し、今回の提案は、依然としてある枠までは何に使っても非課税という発想であり、税収面から見た強化の内容は、わずかに百五十億であります。羊頭狗肉の改正案と言わざるを得ません。 他方政府は、今日大衆課税の性格を持つに至った自動車関係諸税をさらに増徴しようとしております。該当する納税者は三千万人に近いでありましょう。これは所得税の納税人員にも匹敵する数なのではありませんか。政府・税制調査会は、この増税案の検討に当たって、問題点の筆頭に担税力の有無を指摘しております。しかるに答申では、問題を指摘するだけで、その実態の解明も、見解の表明も回避しております。怠慢至極と言わざるを得ません。 今回の増税は、従来からもそうであったように、一台二、三十万円で買うことのできる中古車にも同様に適用されるのであります。その中古車の七四%が勤労者世帯であり、五五%が年収二百万円未満の所得層であります。ある人は、定年後再就職した仕事が夜勤であるために中古車を買いました。またある人は、朝早い出勤のために車を買いました。またある人は、通勤時間が一日で一時間四十分も短縮されるので車を買いました。そのいずれも必要とする時間にバスが動いていないからであります。また地方では自家用車を抜きにして地域の交通は存在しません。また過疎地では自家用車の相乗りが一般化するなど、自家用車の公共的利用が広がりつつあります。しかも楽な家計で車を買っているわけではありません。そのために内職を始めたという例は決して少なくないのであります。 この人たちに向かって住宅政策、都市政策の充実を訴えることは容易であります。公共輸送機関の整備、職住接近、医療機関の拡充を公約するのも簡単であります。しかし、幾ら待っても政策が実現しないから、仕方なしに自動車を買って自活しているのが実態ではありませんか。それなのに、どこを押せば不況期でも増税してよいという理屈が生まれてくるのでありましょうか。 また自動車ほど、使用過程に至るまで厳格に管理されている物品はありません。言いかえれば、至って税金がかけやすい品物であります。その結果生まれた税金の種類は、物品税、自動車取得税、自動車重量税、自動車税、軽自動車税、石油ガス税、軽油引取税、地方道路税、そして揮発油税と、並べ立てるのも苦痛なほどの税目であります。その整理の必要性を政府が認めてからすでに数年が経過しておりますが、一体いつまでに整理する予定でありますか。 以上を通じての最大の問題は、自動車の使用実態、利用者の実情、担税力の有無などについて政府が従来から関心が薄く、検討し得る資料を何ら用意していないことであります。またこの点について政府にも、税制調査会にも怠慢の自覚がほとんどないことであります。 税は国民が負担するものであります。公共料金もまた国民が負担するものであります。そしてその負担に耐え得るか否かを総合的に、かつ個々具体的に検討するのが、民主国家における政府の当然の義務なのではありませんか。しかし今回の改正案は、その努力を十分にしたものとは決して考えられません。 質疑抜きの委員会審議とあわせて、日本の民主主義はいまや重大な局面を迎えていると言わざるを得ません。 以上をもって、反対の討論を終わります。
○委員長(岩動道行君) ほかに御意見もなければ、討論は終局いたしました。 それでは、これより採決に入ります。 租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岩動道行君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。 本案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。午後三時二十八分散会 —————・—————