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77回国会参議院1976/07/21

決算委員会 閉会後第4号

発言数
220
登壇者
22
会派数
5
開催日
1976/07/21

会議録

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨二十日、小谷守君、河本嘉久蔵君、園田清充君、温水三郎君及び望月邦夫君が委員を辞任され、その補欠として和田静夫君、山本茂一郎君、大島友治君、岡田広君及び藤川一秋君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件、昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件、昭和四十八年度一般会計国庫債務負担行為総調書外二件、以上十三件を一括して議題とし、審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 まず、大蔵大臣に伺いますが、最近の金融界全般の情勢として、オーバーローンということはございませんか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) オーバーローンの問題は、先生御承知のように、従来、大変是正すべき点として私ども問題意識を持ってまいっておりましたのでございますが、最近金融の全体的な緩和基調でございますので、預貸率その他も特に高くなるというような傾向はないように考えております。特別にいま問題が起きておるというふうには考えておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 昭和二年に渡辺銀行の倒産という事件がありましたが、そういう事態が全く起こり得ないということは言えない実態が、ここで名前を挙げることははばかりますが、私は、きょうは信用組合問題、次回には信用金庫、さらには相銀、地方銀行という形で、それぞれ追及をする用意を進めていますが、某地方銀行、あるいは東京都内の某信用金庫、それから大阪府内の幾つかの信用組合にあるような気がいたします。これら一連の問題を取り上げ続けるつもりではいますが、きょうはその最初に、まあ組合長が現職の自民党の代議士でありますから大変やりにくい問題でありますが、前田治一郎さんという方が組合長を務める実業信用組合についてお尋ねをいたしたいと思います。  実業信用組合の経理内容というのは、これは私も近日まで大阪へ調査に行ってまいりましたが、大変ひどい。昭和四十九年末の時点の数字でありますが、貸出金のうちの分類貸出金が三十八億八千三百五十二万五千円、三カ月以上の延滞貸出金が二十六億二千六百九十二万六千円、総貸出金の五四・七%が不良貸し出しと、こういうことになっているわけです。約百億円ある貸出金のうち、五十億円が不良貸し出しという内容であります。三十八億円を超える焦げつきがある。私は、この内容というのは、わが国金融史上でもそうある例ではないと思えるんですが、いかがですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 最初にちょっと御説明をさせていただきたいと存じますが、信用組合につきましては、御案内のように個々の信用組合は都道府県知事が直接監督をされることに相なっておりまして、私ども大蔵省では、一般的な指導監督という立場で都道府県知事にいろいろ申し上げております。また、特に都道府県知事から御要請がありました場合には、直接検査に出向くというようなこともございますけれども、こういう信用組合につきましては、都道府県知事が責任を持って監督をされる、こういうことになっておりますので、私どもは、個々の信用組合の詳しいことにつきましては十分承知をいたしておりません。若干の報告は府の方からちょうだいをいたしておりますが、先生ただいま御指摘のような、この信用組合の内容の機微に触れます問題につきましては、事柄が信用を重んずる金融機関のことでございますので、信用秩序に対する影響等も懸念をされますことから、従来から公表することを差し控えさしていただいておりますので、いまの御指摘の点につきましても、具体的にはひとつ御容赦をいただきたいと存じております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは私もかつて長い間決算委員会で、幾つか信用組合、信用金庫あるいは銀行問題ということをずっと取り上げ続けてきた経過がありますから、その経過の中から大蔵省の側はいま言われましたように、自治体が直接的に干渉する信用組合問題でも十分に対応し続けたいというお答えが経過的にはずっとあるわけでありまして、その意味では、やはり答えられるだけ答えていただかなければならないと思うんですが、いまのようなお答えならば、それでは四十九年末以降この組合は改善の方向に向かっていますか、それと違った方向に向かっていますか。この辺はおたくの近畿財務局で全部掌握されていることですから、答えられるでしょう。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 先生の御指摘ではございますが、近畿財務局におきましては、大阪府と連絡をとっていただいておりますが、やはりそれほど詳細に承知しているわけではございません。  なお、いま具体的な御指摘の点でございますが、私ども大阪府から聞きましたところによりますと、四十九年の六月に大阪府で検査をされております。そのときに幾つか改善の指示を大阪府知事の方から信用組合に対してされているようでございまして、その後、指示に対します改善状況というのを大阪府が調査されまして、御連絡をいただいておりますが、総体として申し上げますれば、改善の努力が進行しつつある現状であるというふうに私ども理解をいたしております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 誤解のないように申し上げておきますが、たとえば大阪府知事からいろいろの要請があればという、たとえばの話ですが、自治体の首長から。ところが、自治体の首長にまで上がらない段階で物事が処理をされているところに実はこういう問題があるんであって、たとえば大阪府知事がこれらの状態というものを十分に知り得る日常的な状態にあれば、ある意味では問題はここまで上がってこなくて済んだかもしれません。しかし、そういう状態にないところに非常に行政上の幾つかの問題があり得るんだということ。  特に私は、この実業信用組合の調査に入り、国会でやろうかやるまいかいろいろ迷っていた段階のことですが、大阪府庁に、とにかく私が国会でやるのではないかという一連の情報が流れた段階で——これは先々週の末か先週の初めですが——その時点で府の商工部長、これは天下っている人です、と、実業信用組合の岡田さんという副理事長、この人は府の指定金融機関である大和銀行から送り込まれている人です。この二人が急遽お会いになっている。そしてその二人は、この問題をもし問題とされた場合にどうするかという対応の仕方まで協議をされた。そして、その後大分改善をされたという形で口裏を合わせましまうという申し合わせになっている。それが近畿における財務局や、いま銀行局長の答弁にあったようないわゆる形のものと全くうらはらなんです。そういう口裏合わせにそのまま乗っていらっしゃるという感じがいたすんですが、この一年ちょっとの間で、私もずっと点検をしましたが、改善をされたのはほんの末梢的なところであります。大筋は変わってはいません。そうはお思いになりませんか、おわかりになりませんか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 私ども府からの報告に頼って判断をするより仕方がないわけでございます。先ほど私が府からの要請があればと申し上げましたのは、検査につきましてはそういう体制ができておるということでございまして、今日まで府からそういう御要請はございませんので、検査もいたしておりません。したがいまして、府からの正式の報告に基づきまして判断をいたしております次第でございまして、いまの先生の御指摘の裏のような話がどうであったかということは、実は私ども承知をいたしておりません。その報告によりまして判断をいたしますれば、改善の方向に向かっておる、こう思っておる次第でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 その改善の方向に向かっていないことをこれから少し述べてみたいと思うんですが、お聞きしますが、昨年一月倒産をいたしました朝日工業株式会社関係、これはどういうふうになっていますか、どういう報告になっていますか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 大変同じようなことを申し上げて恐縮でございますが、いま具体的な会社名を挙げての内容のお尋ねでございますけれども、先ほども申し上げましたように、具体的な取引内容あるいは信用組合の業績の内容等につきましては、やはり個々の取引であるという問題、あるいは信用機関である信用組合のことに関しまして、信用秩序に与える影響が大変懸念されますという観点から、私どもとしまして、具体的にお答えをすることはどうしても差し控えさしていただきたい、こうお願いを申す次第でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それで私は冒頭に、オーバーローンが存在をしないかという意味での総括的な答弁を大臣に求めたのですが、大臣お立ちにならなかったのですけれども、いまのような答弁を続けられているのなら、後で私は申し上げますけれども、若干私の方からその資料をまず提供しましょう。おたくはお手元にあることはわかっているわけだけれども、なかなか言いにくいだろうから、私の方で言いましょう。  朝日工業関係十七件、これだけで現時点で二十五億五千四百五十八万六千円焦げついています。この内容は、いまの答弁同様、詳細にお示しになることはできませんか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) どうも大変恐縮でございますけれども、朝日工業につきまして、実業信用組合の貸し出しが二十五億幾ら焦げついているのではないかということでございますが、先ほども申し上げましたようなことで、何とも私申し上げようございません。御答弁を差し控えさしていただきたいとお願いするばかりでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 この二十五億五千四百五十八万六千円という累積額ですね。このうちの約半分、十億円以上は利息手形による累積額であります。この辺はきょうここで答弁なさらないのなら、あとで全部私の並べた数字について調査をしてもらった結果、おたくから後で資料要求しますから。  つまり、ある一定の時期が来ると利息を払わなければならない、それが払えないものだから、その利息分に利息をつけた単名の手形貸し付けを行っている。次に今度はその分が元本につけ加わって利息が請求をされる、また同じことがずっと繰り返される、そういうことの繰り返しの中で形成された二十五億五千四百五十八万六千円であります、これは。しかも担保は、淡路島の売れるか売れないかわからないような砂利採取場なんですよ、砂利採取場。  これは大阪、関西にいけば有名な話でありますが、私の仄聞することには、一説によれば、この砂利採取場は売れるんだという組合長の前提に立ってこういう多額のやり繰りがなされている。売れる前提は何だったか、それは新国際空港、大阪空港の設置問題、こういうような形になって、御存じのとおり大阪空港はトライスターが入れなかった。いろいろのことがありましたが、入れなかった唯一のことでありますから、私はこの問題は、単にここで、ここでの金融問題として取り上げているだけではなくて、この問題の追及は、ロッキード特別委員会に当然将来は結びつくと思って、その基礎的な論議をいまやっているわけですが、と、巷間言われているのです、これは。そういうような、売れるか売れないかわからないような砂利採取場を担保にしてこういうような形のことがあり、しかもその担保はいま放置されたままである。これでもうこの事態は、先ほど来報告に基づいてなされた、改善をされているという方向に進んでいると御判断になりますか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) もし先生御指摘のようなことがございますれば、その点につきまして、なかなか申し上げることはむずかしいのですけれども、やはり問題は残っていようかと思います。ただ私、先ほど改善の方向と申し上げましたのは、全体としましていろいろ金融機関を府が検査されました場合に、こういう点を今後改善せよという指摘をされておりますが、これはどこの組合でもあることでございますけれども、そういう点、全般を見まして改善の方向に向かっておると、こう申し上げた次第でございます。  いまの具体的な朝日工業でございますか、そこの貸し出しの内容あるいは担保の取り方、あるいは先生の御指摘のような利息手形のようなことがあるかないかというようなことにつきましては、どうも私、何とも申し上げようがございませんのですけれども、全体としては改善の努力が続けられておると、こういう感じがするので先ほど申し上げた次第でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 前田治一郎さん、その人が監査役をやられ、それから前田昭一さんという一族の一人が取締役をやっていらっしゃる五つの海、五海建設株式会社というのがあります。これは現在もなお一億一千六十七万五千円焦げついています。昭和四十三年九月十日に倒産したこの会社に焦げつきがある。この焦げつきについて、いま全体として改善をされているというのですが、改善の余地なんというのはあるのですか。こんなことが放置をされておって、全体として改善をされているなどという報告をうのみにされていて、それでここでもなお改善の方向に進んでいるというような答弁になるんですか、これは。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) ただいま先生からいろいろ具体的な御指摘がございました。この点につきましては、若干その報告で聞いておるところもございますけれども、詳細はなお私ども承知をいたしておりませんので、いま先生の御指摘のいろんな事実、具体的な御指摘の点等につきましては、さらに今後よく調べてみたいと存じます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 お調べになって後ほどそれじゃ答えてもらえますか。私に説明をしていただけますか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) やはり府の方から私どもいろいろ伺わなければいけないわけでございまして、その内容につきましてどこまで具体的に御説明できるか、ちょっと私いま自信がございませんのですけれども、極力先生にしかるべき方法によって御説明をさしていただきたい、こう思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 協同組合による金融事業に関する法律ですね。この第四条の二で言えば、ここに規定をされています一組合員に対する貸し付けの限度額ですね。貸付限度というものは、この実業信用組合の場合幾らになりますか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 御案内のように、この貸し付けの限度は信用組合の会員勘定と申しますか、組合員勘定をもとにして、その二割というふうにいま御指摘の規定によって決められています。その組合員の勘定が信用組合の場合には変動をいたしますので、時点によって違ってまいります。したがいまして、いまの数字を最近時点で申し上げますれば、ことしの五月末では一億五百九十万、こういうふうに聞いております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは四十九年末では幾らでしたか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) ちょっと私、いま手元に四十九年の年末の数字を持っておらないのでございますけれども、四十九年の九月、中間の決算のときでございますが、このときが九千万でございました。ちょっと端数がございますが、九千万。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 この実業信用組合は、協同組合による金融事業に関する法律第四条の二ですね、このいま言われた二にきわめて、平然と、しかも長期にわたって違反をしています。現時点でも、この協金法四条の二にいう貸し付けの限度を超えた融資というのは、四十九年度と同じく八件あると言われてます、私の調査に基づけば。一応その内容を申しましょう。  いま言われましたように、四十九年九月が約九千万ですね、限度額が。ことしの五月で一億五百九十万と承っておいて、関西開発株式会社、これが限度額を超えた一億六千万円。さっきの五海建設株式会社、これは四十九年末ですから、四十九年では限度を超えた一億一千六十七万五千円。イシズエ産業株式会社、これは何と四億八千九百六十七万一千円。はるかに限度額を超えております。イズミ送風機株式会社、二億七百四十六万一千円。同様であります。大阪経営開発株式会社、二億一千八百四万三千円。これも同様、限度額を超える。三共軽金属株式会社、これも何と四億五千三百七十六万八千円。朝日工業株式会社は、先ほど来申し上げていますように二十五億五千四百五十八万六千円。これはもう膨大なものであります。吉田屋株式会社、一億七千七百七十三万二千円。これは四十九年末ですが、仮にいま言われた五月の現在の限度額一億五百九十万円というもので考えてみても、すべてが超えている、いま挙げた八社。  そこで法制局にお尋ねをいたしますが、協同組合による金融事業に関する法律第四条の二は、「信用協同組合は、一組合員に対する資金の貸付けの額の合計額が、その自己資本の額の百分の二十に相当する金額をこえることとなるときは、その者に対し資金の貸付けをしてはならない。」となっています。このように明確に「してはならない。」と、こうなっているわけです。「してはならない。」と言っているこの条項に罰則規定がない。したがって、いま私が指摘をいたしましたように、平然とこの条項が破られるという結果になっています。これは一例であります。将来、幾つか先ほど来申し上げましたような、大蔵省が直接干渉をするところの銀行なり信用金庫問題を取り上げますが、これは一体どう考えたらいいのでしょうか。法律の不備なのか、あるいは行政指導上の問題で済ましていってよいものなのか。どうお考えになりますか。

茂串俊内閣法制局第一部長

○説明員(茂串俊君) お答え申し上げます。  協同組合による金融事業に関する法律第四条の二の規定に違反する貸し付けについて罰則規定がないではないか、これを是正する手段としてはいわゆる行政指導しかないのか、立法の不備ではないかという御質問と承りましたが、確かにこのような違反行為につきまして、現行法で直接的な罰則規定はないという点は御指摘のとおりでございます。これは、金融機関による個々の貸し付けのように常に変動している経済活動を規制するような場合に、これを直ちに罰則を課するということよりも、その規制の実効を期する担保としては、担保するためには、むしろ行政的な指導とか措置にゆだねようとするのがこの法律の趣旨と考えられるのでございます。  ただ、それでは法律的な規制が全くできないかと言いますとそうではございませんで、信用組合に法令違反等がある場合には、協同組合による金融事業に関する法律の第六条において準用されますところの、銀行法第二十三条の規定によって監督行政庁が業務の停止等を命ずることができることとなっておりまして、この命令に違反した場合には、この法律の第九条第五号の規定によって、違反者に対しまして一万円以下の過料が課せられることとなっております。このような意味におきまして、信用協同組合がいわゆる限度超過貸し付けを行なった場合の対応策としましては、制度的にすべて行政指導による処理に任されているわけではございませんで、預金者の保護とか、あるいは信用秩序の維持等の見地から、必要な場合には法律に基づく措置をとり得る仕組みが設けられておるわけでございまして、立法論としていろいろ御批判もございましょうけれども、特に不備があるというところまでは言えないのではないかというふうに私どもは考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大蔵省にお尋ねしますが、私はいま協金法四条の二が平然と破られているという表現を使ったのですが、この平然とという意味は私は二つの意味を込めたつもりです。  第一には、いま指摘をしました貸付限度額が実は当時八千八百万円だった、このときには。そこで、一億円を超えてしまったという程度のことではなくて、まあ二億円あるいは四、五億円、あるいはそれ以上の貸し出しが行われているという、そういうことと、第二には、五海建設といいイシズエ産業といい、あるいは三共軽金属といい、この当の信用組合の組合長がみずから、あるいは一族の方が役員をしている会社に法を犯して融資しているということなのであります。  この二つの意味において私は平然だ、平然としてやっていると、こう言ったんですが、社会的信用度が高いその組合長は現職の衆議院議員でもいらっしゃいますから、そういう信用組合であるからと言って私は、だからと言って法が平然と犯されるということは、これは行政当局は放置しておいてよいものではない、こういうふうに考えます。これはすべて大阪府の問題だと言われてしまえばそれまでかもしれませんが、そういう考え方については間違いありませんね。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) ちょっと最後の点、私十分聞き取れなかったので、あるいは間違えておるかもしれませんが、御答弁させていただきますと、ただいま御指摘のような、一人当たりの貸し出し限度の超過あるいは融資が金融ベースとは離れて特別な関係に基づいて行われておるということがございますれば、これはいかなる金融機関でありましても不適当なことでございます。これは私どもとしては、直轄のところにつきましては直接、こういう信用組合につきましては都道府県知事、それぞれ都道府県努力しておられると思いますけれども、そういうところを通じまして是正への指導をするということは当然でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 昭和四十九年末の時点で組合員資格のない者との取引、これは中小企業等協同組合法第九条の八の違反だと思うんですが、これが十四件あるんです。五億一千五十二万円あります。これは現在も続いていますね。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) これも先生御指摘のように、詳細は私どもは実は聞いていないんでございますけれども、そういう事実が、そういう取引があったということは承知をいたしております。ただ、この点につきましてはその後府の方からの報告を聞いたところによりますと、それぞれ是正をされておるように伺っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 この組合員資格のない者との取引ですが、これは中小企業等協同組合法百十二条にいう「組合の事業の範囲外において、貸付をし、」とか「手形の割引」とかというふうに、これ法制局、該当しませんか。

茂串俊内閣法制局第一部長

○説明員(茂串俊君) 一般論で申し上げますと、確かに信用協同組合の事業というものは、中小企業等協同組合法の九条の八に列挙されております。その範囲外の業務を行った場合には、一応ただいま御指摘の規定に当たるというふうに考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 続けてちょっと法制局にお伺いしますが、とすると、この実業信用組合の役員に、中小企業等協同組合法第百十二条が当然適用されなきゃなりませんね。

茂串俊内閣法制局第一部長

○説明員(茂串俊君) ただいま申し上げたとおりで、九条の八に信用協同組合の業務が限定的に列挙されております。その業務外の行為を行った場合には、これは百十二条に当たるということになろうかと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私もそう思います。  そこで、大蔵管にお尋ねをしますが、中小企業等協同組合法百十二条ですが、これは「組合の役員がいかなる名義をもつてするを問わず、組合の事業の範囲外において、貸付をし、手形の割引をし、若しくは預金若しくは定期預金の受入をし、又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」こうなっているわけですね。そうするとこれは、行政当局というのは直ちにこの違反事犯を盾に実業信用組合を告発をすべきではなかっただろうか。もちろん、いろいろ影響を与えるところに対する手だてというのは行政府の責任としてやっての話でありますが、そういうふうには考えられないんですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 大阪府でどういうふうにお考えになったか、ちょっとよく存じておりませんけれども、一応法規上はいまの百十二条違反ということに相なりますが、私ども金融機関を監督する立場といたしましては、まず、そういう不当と申しますか、違法な事態がございますれば、その事態の改善、事態を是正させるということにまず努力をいたすわけでございまして、それが改善されることが一番望ましい、こう考えております。いままで私ども承知しております限りでは、そういうことに大阪府も努力をしておられた、それから信用組合もそういう努力をしておられたということだと思いますので、告発をされたというふうには承知をいたしておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 まあそれは内部にいろいろの論議がありまして、大変不満を持っている行政の内部事情も、どこかで当然こういう条項に当てはまるがゆえに、告発をすべきだというこのしんが消えてしまうとか、いろいろのことがある、ぼくはそれはいろいろな背景が頭の中を駆けめぐりますがね。それはいまきょうここで問おうとは思いません。きょうは事実関係を少し追っておきたいのですが、理事会の承認を得ていない理事に対する貸し出し、これは中小企業等協同組合法第三十八条違反であります。これは一件五百万円、四十九年末に指摘されたんです、これは。この理事はだれですか。おそらく五百万円ですから処理されていると思いますが、どう処理されましたか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 理事がどなたであったかというのは、私ども伺っておりません。  それから、いま御指摘の点につきましては、後刻理事会において承認が得られたと聞いております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 中小企業等協同組合法第三十九条違反をこの組合は行政当局から指摘されていますが、これに対して第百十五条第八号に基づく罰則の適用はありましたか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 罰則を適用してはいないと聞いております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これはなぜないのでしょうか。そういう態度だから、結果的には行政がなめられっぱなしになめられるという形になっている。それが先ほど来述べているように、四十九年に指摘をされた、あなたの方は改善された、改善されたと言っていますけれども、一向に改善されていない膨大なものが残っているという形になるんではないですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) この三十九条違反の関係というのがどういうふうになったかというのは、私よく存じません。  どういうことでそういうことになったか存じませんが、推測を交えて申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、こういう点につきましてもやはり当事者は、まず、そういう状況があればそれを改善するということに一生懸命いたすわけでございまして、そういうことであったんではないかと私は考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 局長答弁にありますように、伺っていません、存じませんという部分については後ほどお調べを願って、私に指摘ができる点があれば私のところへその結果に基づいて御指摘を賜りたいと思いますが、これからの答弁でも同じことであります。それはさっき御答弁がありましたが、そういうふうに認識しておいてよろしいですね。特にこれで資料で出せというようなことは言いませんけれども。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 先ほど申し上げましたとおりでございます。ただ、繰り返して恐縮でございますけれども、大阪府から私ども聞かなければいけないわけでございますので、ある限界がいずれにしてもあろうかと思いますが、できるだけ先生に御説明できるように努力をいたしてみたいと思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 協同組合による金融事業に関する法律第二条第二項ですが、この違反が行政当局からこの組合は指摘されているんです。これには同法第九条第二号に基づく罰則が適用されますね。これはどちらで、法制局かどちらかが……。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 先生の御指摘ではございますが、いまの二条二項の規定の違反の罰則は、法定されてないというふうに私存じます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは法定されてませんか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) いま二条二項違反と私伺ったんでございますけれども、いまの協金法の罰則規定が九条にございますが、二条二項違反というのは法定されてないように存じます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは銀行法との関係、先ほどちょっと御説明あったんですが、の関係は出てまいりませんか。

茂串俊内閣法制局第一部長

○説明員(茂串俊君) ただいま御指摘の、協同組合による金融事業に関する法律第二条第二項の規定に違反した場合に一体どうなるんだという御質問でございますが、ただいま銀行局長から答弁申し上げましたとおり、直接的にこれを罰する規定はございません。したがいまして、先ほど四条の二の違反があった場合と同じようなことで、いわばできるだけ行政指導によるべきではあろうけれども、最悪の場合と申しますか、非常に重大な事態が招来されるといったようなおそれのある場合には、先ほども申し上げましたように、同法の第六条第一項において準用される銀行法第二十三条の措置が法律的にはとれるということになろうかと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私もそういう認識なんですよ、大蔵省。その辺はぼくは局長答弁ちょっと改めておいてもらわなきゃいかぬ。直接的に罰則がないことはわかっています。よろしいですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) ちょっと私、先生の御質問を勘違いして御答弁を申し上げた点があったかと思います。ただ、補足して若干説明をさせていただきたいと存じますが、銀行法二十二条、二十三条、これは大蔵大臣の命令権あるいは業務停止その他の非常に強い規定が示されておりまして、特に二十三条には法令違反、命令違反というようなことについての措置が規定されておることは、法制局からのお話のとおりで承知をいたしております。ただ、この規定の発動自体につきましては、私どもは大変慎重に考えなければならないと存じております。やはり信用秩序に非常に大きな影響を持つ事柄でございますから、非常に重大な事態、そういう事態に初めて発動が検討されるべき、そういう性質の規定であろうと考えております。したがいまして、この規定の運用につきましては特に慎重でなければならない、こう私どもは考えておる次第でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 銀行局長、先ほどからずっと下から上がってきた、いわゆる改善された、改善されたという形での答弁があるんですが、私はもし改善された、改善されたというふうに言われるのならば、四十九年末に確かにあったこの期日到来の手形で交換未呈示のものはどうなったんですか、これは。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) いま先生御指摘のような握り小切手があったかどうかということは、私ども承知をいたしておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私はこれはちゃんと行政当局から指摘をされたことに基づいて質問していますから、私の想像、私がつくり上げたものじゃありません、具体的には全部おたくに教えてあるわけですから。あなたは御存じのとおり、質問内容は全然通告しないという態度を役員会で決めたばかりだけれども、私も役員の一人なんですが、実はそういう答弁になると困ると思ったから、この問題についてはこれはもう近畿財務局に電話一本ですぐわかることです、ちゃんと公文書があるわけですから。これもそれじゃ後ほどということになりますね。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) いまの点につきましては、私ども調べたいと存じます。大変弁解がましくて恐縮でございますけれども、詳しいことはやはり大阪府まで聞きませんとよく承知をいたしておりませんもんでございますから、いろいろ十分私ども把握してないところは大変申しわけなく思いますが、しかし、私どもが現在の時点までで承知しております限りでは改善の方向に向かっておる、こう申し上げたのでございまして、御了承いただきたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は決して、改善は、冒頭申しましたように、部分的なものであって、もう全く末梢的なものであって、されているというふうには認識をしない、大変危険な状態にあると思っているんですが、続けて幾つかのことを言います。恐らく答弁が一緒だろうと思うんですが、無稟議の貸出金はどうなりました。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) これも答弁同じではないかというおしかりを受けるかもしれませんけれども、実は具体的にどうなったかは承知しておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それじゃ、これも後で。  続けて言います。もう一つずつ聞いていても同じ答弁だと思いますから。その中でもし答弁ができるものがあったら言ってください。  基本取引約定書のないものはどうなったか。分割貸出金はどうなりましたか。不祥事件による貸出金はどうなりましたか。過当な両建て貸出金はどうなりましたか。担保差し入れ証のないもの、または不備なもの並びに担保預金証書の裏印漏れのものは、これはどうなりましたか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) どうも大変申しわけございませんけれども、いずれも自後、先生いま御指摘のような点が現時点でどうなっておるかということを承知をしておりませんので、これもまた調べさしていただきたいと存じます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これはもうちゃんと、ここでにわかに私が質問していることじゃないんで、それは困るな、本当は。まあしかし、調べてないものをいまここでやって時間とっても仕方がありませんから、ちゃんと事前にこういう具体的な問題はどっちみちお調べ願わなけりゃと思って調べるように言ってあるわけですから。  そこで伺いますが、四十九年末に確かに仮払い金のうちに分類債権がある。千六百二十六万四千円で、仮払い総額の六九・四%を占めていたわけですね。この仮払い金のうちの分類債権というのは一体何ですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) これも実は私、詳細は存じないんでございますけれども、仮払い金で分類を私ども検査のときにつけますものは、やはり訴訟関係等の費用で、どうも自分のところが負担することになるのではないかというようなものでございますとか、あるいは何か事件等がございまして、その関係で回収が懸念されるようなもので、なお金額が確定していないで仮払いになっておる、こういうようなときに分類のマークをつけるものでございます。大体そういうものではなかろうかと思いますが、その仮払い金自体が現在どういうふうになっておりますか、これも実は具体的に私ども承知をいたしておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは前田治一郎さん、組合長の仮払い金ですか、そういう内容についてもまだ調査できませんでしたか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) ただいま私申し上げたのは、一般的にそういう場合に分類をつけると申し上げたのでございますが、いまの先生御指摘の仮払い金がどこへどういうものであるかということの詳細は、これも現時点ではまだ承知をいたしておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それじゃ、これは後刻教えてください。  不祥事件に係る仮払い金というのは、これはどういう内容のものなんですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 私どもが、一般的に申し上げますれば、たとえば何か使い込みというようなことが起こりまして、そうしてその損害額が確定をしないというときに、勘定処理としまして仮払いという処理をすることがございます。もし不祥事件関係というようなことでございますればそういう性質のものではなかろうかと思いますが、当該信用組合の場合どういうものか私、存じませんけれども、不祥事件の仮払いはどんなものかとお尋ねがございますれば、一般的にはそういうものがあることがあると思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 ここで警察庁にお尋ねをいたしますが、警察は実業信用組合の大仁支店、それから都島支店での不祥事件について信用組合側から届け出を得ましたか。

土金賢三警察庁刑事局長

○説明員(土金賢三君) 実業信用組合の大仁支店の不正事件につきましては、昭和四十九年の五月四日に実業信用組合の代表理事である川島良雄氏から私文書並びに有価証券偽造、同行使、詐欺で実業信用組合の大仁支店長である木村博造を被告訴人とする告訴が大阪府警察になされておりますが、もう一つのお尋ねでありました実業信用組合の都島支店については、警察には告訴、告発や、あるいは被害届というものは出されておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大仁支店の内容については、いま答弁できますか。

土金賢三警察庁刑事局長

○説明員(土金賢三君) 大仁支店の告訴に対する措置でございますが、告訴を受理しました大阪府警では、実業信用組合大仁支店長である木村博造外一名を、昭和四十八年十月から四十九年一月までの間に私文書や有価証券を偽造して架空人に貸し付け、または預金担保貸し付けを仮装して現金数百万円をだまし取った有価証券偽造、同行使、詐欺事件として、それからもう一件は、顧客から頂かり保管中の定期預金証書等を無断解約して現金数百万円を横領した業務上横領事件で、昭和四十九年の十二月四日に大阪地方検察庁に書類送付いたしております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうすると法務省、この結果はいま何かになっていますか。

山口悠介法務省刑事局参事官

○説明員(山口悠介君) ただいま警察庁からお話がありました業務上横領事件につきましては、大阪地検で捜査しました結果、五十年の八月に起訴猶予処分になっております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そこで都島支店でありますが、都島支店で三千万円もの横領事件があった、それにもかかわらず、いま言われますように大阪府警への届け出はない。事件にし得なかった。事件にし得なかったのは、一説によりますと、都島支店が扱った先ほど来問題にした朝日工業ですね、朝日工業への融資の内容が明るみに出ることを恐れたからだと言われているんです。  法務省にお尋ねをいたしますが、大阪地検は、昨年、実業信用組合の経理内容についてお調べを進められたというふうに仄聞をいたしますが、これは事実ですか。

山口悠介法務省刑事局参事官

○説明員(山口悠介君) 大阪地検では四十九年の九月ごろ、実業信用組合の特に朝日工業株式会社関係で不正貸し付けが行われたのではないかというような情報がございまして、そこで、これは本格的な捜査でございませんけれども、いわゆる内偵捜査を行ったということを聞いております。ただ、先生御案内のように、あくまで内偵捜査でございまして、事件として立件しているものではございません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 実業信用組合の昭和五十年度決算ではきわめて非現実的な数値が、私、素人でありますから、私の目から見れば非現実的な数値が使用されていると思われるんです。たとえば役職員が二人ふえているのに、人件費が計算をしてみますと二・七三%で前年度比ゼロであったり、物件費が前年度一・〇三%から〇・一八%に減っていたりしているんです。これはどう読んだらいいのかということを、ちょっと私もまだ確信が持てませんが、私の推測によると、これはどうも収入面で手形による利息という粉飾があるのではないかということが感ぜられて仕方がありませんね、この数字との対応で考えてみると。で、大蔵省は、大阪府とともにこれはぜひ再検査の上この点は究明をすべきであるし、素人である私なり、あるいは組合員であるたくさんの人たちが非常に不安に思っているんです、これは。それにこたえる義務があると思うんですが、そういう用意はありますか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) ただいま先生御指摘の点、あるいは今日いままでもいろいろ御指摘の点がございまして、私ども知らないというか、現在私、承知していないこともいろいろあったわけでございますが、それらの点につきましては、なおよく私ども調査をしてみたいと思います。その上でどういうふうにいたしますかは、これはやはり、大阪府当局がまずどういうふうに考えられるかということが基本になろうかと思いますので、府の方と御相談をしてまいりたい。いずれにしましても、いま先生指摘されましたような、預金者に対する不安を与えるというようなことがないようにという角度からいつでも物事を考えてまいりたいと思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 昭和五十年度の実業信用よりはるかに経理内容のよい豊国信用組合というのがあります。この豊国信用組合の三歩配当という要請を欠配にしておいて、実業信用には八歩配当を認めた。大阪府の片手落ちだという怨嗟の声が上がっているわけです。しょせんもう私がこの問題を取り上げることでは、知事の段階まで内容というものが上がっていきましたから、大阪府行政内におけるところのいろいろの措置というのは変わった形で出てくるかもしれませんが、そういう形になってきている。この点は大蔵省としてはどういう究明をされますか。私はぜひ究明をしてもらいたいと思うんです。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) いま先生が御指摘の二つの組合の比較というのは、ちょっと私、その比較のしようが目下ございませんですが、いままで御指摘の点とあわせまして、配当についてどういう考え方があったかという点につきましても、やはりこれから必要に応じて調査をする中の一つといたしまして調べてみようと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私、この問題の追及は究極まで行うつもりでいます。そうでなければなかなかこういう決算委員会の公の場で取り上げられるものでありませんから、私はみずからの調査に確信を持っています。しかも、実はこの成り行きというのは、非常に重大な内容を含んでいると私は判断をしています。そのための先ほど来資料要求はしていませんが、資料としてただ一つここでは公式に要求したいのは、さっき問題にいたしましたイシズエ産業、三共軽金属等を含む五社協定というのがあります。これを資料として御提出をいただきたい。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) ちょっと、五社協定という先生の御指摘のものがどういうものであるか私存じませんので、いま何ともお答えできないで恐縮でございますけれども、いまの五社協定というようなものがあるとしますれば、その点も調べてみようと思います。ただ、それが公式に提出できるものかどうかというのは、調べてみました上で検討をさしていただきたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 検討の結果については、当然私のところには連絡がありますね。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 承知いたしました。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は、これはどんな内容のものであるかというのは当然わかって言っていることでありまして、最後に大蔵大臣、一問だけお聞きをいたしますが、——いいですか、ある記者会見の席上で、相銀協の早坂会長が、あのにぎわしました東邦産業の倒産に関連をして、次のように述べられたんですね。「七十七銀行のやり方はまずかった。佐藤一郎代議士ともう一人、」、これはまあ言い違いでしょうが、「大蔵省のOBが、七十七銀行にきて東邦産業の内容を初めて話した。そこで驚いて翌朝、直ちに株を売った。しかももうけた。七十七銀行が株を売ったため、大阪の方では金融措置をしなかった。特に荷為替だが、これは荷を積んだら金になるのが普通だ。ところが到着後に金を払うということで、一日遅れで倒産ということになった。これは金融機関の責任である。」、こういう相銀協の早坂会長の談話があるんですが、事実とすれば大変問題であります。これは大蔵大臣、どういう見解をお持ちになりますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) その早坂さんの御発言というものをいま和田さんから初めて私お伺いするわけでございますので、そういうものがどういう場面であったのか、それを確かめた上で、国会の御質問でございますから、責任あるお答えをしなければなりませんから、調べた上でお答えをすることの余裕を与えていただきたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それじゃ大蔵関係を終わりまして、厚生省関係。  厚生大臣、医薬品の安全性を維持するために薬事法等においてさまざまな規定があるのですが、私はその全貌を本日問おうとは思わないのであります。一、二だけちょっと尋ねたいんですが、その一つは、薬事法第五十条に定められた記載事項の意味であります。同条の三号の「製造番号又は製造記号」というのは、通常製造ロット番号と呼ばれているようでありますが、これはなぜ記載事項になっているのか、どういう役割りがあるのか、御答弁願います。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) 薬事法の第五十一条で、ロット番号あるいは製造番号と言われるものを記載させることにいたしておりますのは、不良医薬品の回収等をスムーズに行うためというのが一つのねらいであるというふうにお考えいただいていいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうですね。  そこで、製造番号のほかに、法律では何ら規定がないのに、流通番号というのがある。流通ロット番号と呼ばれているものですが、これはどういう性格のものでしょうか。また、これはどれぐらいの数の医薬品につけられているのですか。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) 流通番号と申しますのは、メーカーが自主的に記載しておるものでございますから、どの程度の医薬品に流通番号が付されておるかについては明らかではございません。  ただ、メーカーが医薬品に流通番号をつけております理由というのは、一つは、流通過程における品質管理をねらったものであり、もう一つは、そのメーカーの医薬品がどういうふうに流通過程で流れていくかということを把握したいというねらいがあるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私が調査したところでは、約二百種ぐらいの比較的ポピュラーな医薬品に流通番号が振られているようであります。医薬品の種類は現在どれくらいですか、約一万ぐらいなんですか、もっとあるんですか。——そのうちのわずか二百ぐらい。流通番号がどういう性格のものであれ、ごく一部にだけつけられているのはどうも腑に落ちないんです。厚生省はこれについて実態調査をされたことがありますか。それとも業者から事情聴取でもされていると思うんですが、どういう事実把握をされているんですか、これは。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) 先ほど申し上げましたように、薬事法上規制しておる点でございませんので、実情を調査したことはございません。ただ、最近の動きといたしまして、メーカーサイドなりあるいは卸のサイドからこういった流通番号というものを制度化と申しますか——これは必ずしも法律上の制度化を意味しているとは思いませんけれども、制度化をしてもらいたいという要請があることは承知いたしております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 まあ厚生省、現段階において、したがって流通番号の必要性を認めてないということだと思いますが、そこで確認をしておきたいことは、法律によって医薬品の安全性を追跡する手段としては、先ほど言われましたように製造番号がある、いわゆる流通番号は法律に定められていないものである。これは四十七年の八月の参議院の社会労働委員会で、わが党の亡き須原昭二同僚議員と厚生省との間で文書でも確認されているのです。これは厚生大臣、ここでも確認を願いたいと思うのですが、よろしいですね。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) 流通番号を記載しておるのはメーカーの自主的な行為でございますから、それを抹消しましても直ちに薬事法違反の問題は生じない、これはこの前、社会労働委員会で文書で申し上げたとおりでございます。ただ、抹消の過程で医薬品の検定合格証書を外す等々の行為があります場合に、保健衛生上問題があるのじゃないかというふうに思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 流通番号は法的根拠はない。また、流通番号をつけなければならない理由もある意味じゃ見当たらない。いま厚生省は必要性を感じてはいない。そういうわけのわからない流通番号がどういうふうにつけられているかということを、もう時間がなくなってきましたから、例を挙げてみたいですよ。  武田薬品工業、この会社が販売している日本レダリー株式会社製造のミノマイシンカプセルには何と四カ所も流通番号がつけられています。すなわち箱の外側に一カ所、内側に三カ所、そのうち一つは螢光インクによる隠し番号になっているのですね。こういう流通番号は何のために必要なんですか、これは。必要を認めてない厚生省に何のために必要だと聞いたって困るかもしれませんけれども。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) 必要性を認めてないということをはっきり私、断定して申し上げたわけじゃございませんで、最近のように医薬品の安全性に対する消費者の要求が非常に強い、そうして事故があった場合にそのメーカーの責任がもっぱら問われるというような段階において、医薬品のメーカーが、自分が製造したものが流通系統をいかなる形で通っていって最終の消費者に渡るかということを承知しておくことは、それ自身に私は意義のあることじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、法律的に規制するかどうかについては、いま直ちに必要であると申し上げておらないわけでございます。いま御指摘のように、流通番号が方々に書いてあるというのはなぜかと私に聞かれましても、非常にお答えしにくいわけでございますが、外に書いてあるのが往々にして消されることがあるので中に書いてあるのじゃないかというふうに思うわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 中に書いてあるのが往々にして消されるから、何かで見なければわからない番号が打たれている、こういうことになりますね。それから、ずっと責任を持つということなら製造番号でいけるわけですから、これは大変なことだと思うのです。私は、全部持っています、ここに。それで、このランプ、この電気をつけなきゃとにかく読めないのだ、この電気をつけなきゃわからない番号なんだ、肉眼じゃ見えないわけですから。  三共株式会社のポンタール、ビタメジン、ヒデルギン、セレナール、これは箱の内側に。明治製菓のプロクターゼPカプセル、それからビクシリンカプセル、これは内外一カ所ずつ。これは螢光インクです。肉眼じゃ見えません。流通番号を打っておる。特殊な光を当てないと見えないという、どうして目に見えないように流通番号を打つ必要があるんだろうということを本当に不思議に思う。また塩野義製薬のケフリン、ケフレックス、田辺製薬のヘルベッサ、これは箱の内と外の二カ所に流通番号を打っています。山之内製薬のタチオン、ジョサマイシン、コメタミン、箱の中の紙を折り返して隠れている部分にこれは流通番号が打ってある。どうしてこういう目に見えない場所、肉眼では見えない方法で流通番号をつける必要があるのだろうか。法律で定められた製造番号でさえ五十三条で、見やすい場所に記載されねばならないと規定されているわけでしょう。ここのところは一体どういうふうにお考えですか。流通番号をつけるにしても、少なくとも見やすい場所につけるべきじゃないんですか。厚生大臣、どうですか、これは。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) 製造番号が書いてあるから、それで回収ができるという点はそのとおりでございますが、より能率的に回収をしようとしますと、ロット番号というのは一つのタンクでつくりましたもの全体に同じ番号がつくわけでございますから、よりそれを細分された形での流通番号はそれなりに意義がある。  そこで、いまお話しになっておりますように、それならなぜ特殊な電気を当てないと見えないようなものをつけるのかというのは、先ほどお答えいたしましたとおり、本来表につけておったのだろうと思うのです。表につけておったものが何らかの理由で消されるというふうなことになって、中の方に書くようになった。中の方に書くようになったものは何らかの形で消されるようになったので、またそういうふうな工夫をしたのじゃないかというふうに思うわけでございますが、その点私、定かじゃございません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そこで、流通番号がこれなぜつけられるのかというのは、ある意味じゃはっきりしていると思うのです。先ほど二つの理由をお挙げになりました。私は後者の部分がかなり大きい比重がある。流れを追っていくメーカーが——後ほど私は薬価の価格差についてちょっと触れますが、結果的には、国公立病院への薬価納入金額と私立病院への薬価納入の金額が違ってくるなどというような形のものに結びつく原因にもなっている。それらのことを壊されることを恐れるメーカーが、ある追跡をするための目に見えない数字を使う、こういうような形のものですね、これは。大変けしからぬと思うんだが、安全性などというたてまえ上の弁解なんというのは、もうそんなものは聞く耳持たぬという感じがしてきますよ、これは調査すればするほど。販売価格を維持するためのものである。流通経路をずっと追跡をしていって、もしメーカーの指示どおりの販売を行っていない販売業者がいれば、それに対して出荷停止をするとおどしている。また、一部出荷停止をした例がある。このことは、私は事実関係をちゃんと把握をしております。  そこで公取にお伺いしますが、こういう取引及びそれに使用される流通番号、これは明白に第十九条の不公正取引、独占禁止法に違反すると思うんですが、これはいかがですか。

後藤英輔公正取引委員会事務局取引部長

○説明員(後藤英輔君) 医薬品につきましては、メーカーの方で最終末端価格、小売価格を決めまして、それを小売屋さんに守らせるようなことを認める制度として再販指定商品となっているのがございます。これにつきましては、メーカーが末端の小売価格を指示しまして、そして末端の小売価格が破られないようにするためのいろいろな手段としての行為が認められておりますので、再販に指定されておりますような商品、これは現在大衆医薬品でもって売られている商品、これは薬のうち約二十六種類ぐらいのものについて認められております。これにつきましては、そのための手段としてのそういうようなものがあったといたしましても、これは直ちに独禁法の問題としては取り上げることができないと思っております。ただ指定を受けていない商品、たとえば医家向けの医薬品につきましては指定されておりませんので、こういうものにつきまして、もしもいま申しましたような手段でもって、明らかに専売ルートを追及して、専売店に対して出荷停止をするというような措置の前提としてそういうものが行われているといたしますれば、これは独禁法の問題になる。したがいまして、再販に指定されていない医薬品でこういう問題がございました場合につきましては、よく実態を調査してみたいと思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 明確に再販に指定されていない医薬品でもってこの実態は存在する。存在をすれば、当然独禁法十九条の違反である。これは調査結果はそういう形になると思うんです。いま法律解釈としては、前提的に違反の事実解釈をされ、そして調査を約束されましたから、その調査結果をここでは待ちます。  それから、流通番号がいかなるものであるかという例をちょっと挙げておきますが、初めに言いましたように、約一万種のうち約二百であります。ここの二百であるということが、われわれ素人にとってはとてもじゃないが理由がわからぬ。そのほかに塩野義製薬のケフロジンの一グラムのものには流通番号がついているんですが、〇・五グラムのものにはついていません。山之内製薬のタチオンの一千二百錠、六千錠には流通番号がついておりますが、六百錠にはついていません。同じ薬品でどうしてこういうことが起こるのか、これはだれが考えても、安全性のために流通番号がつけられているのではないことはもう厚生省、明白ですよ、これは。  以上については、すべて実際にその証拠品を持っておりますから、必要ならお見せしてもよろしい。公取としてはこれをどう処理をされますか。

後藤英輔公正取引委員会事務局取引部長

○説明員(後藤英輔君) 現在、どのような商品に製造番号以外にそういうような流通番号がつけられているかという実態について私ども把握いたしておりませんので、それを調べまして、そして、それがどういう理由によってなされているのかという一応の説明も聞いた上で、それが安売り店に対するチェックの手段である。また現に、そういうものが使われておるというような実態がございますれば、これは不公正な取引方法の問題として取り上げて処置したい、そう思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 不公正取引の問題として取り上げる、こういうことですね。  大臣ね、厚生省としては、いまいろいろなことを私いま申しましたけれども、これは不公正取引に使用されている流通番号、特に隠し番号について何かやっぱり措置される必要があるんじゃないかと思うんですが、概観的にどうお思いになります。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 流通番号が法的に要請されている記載事項ではございませんことは、先ごろ薬務局長が申し上げたとおりであります。したがいまして、メーカーがこれをどういうプロットでつけておるのか、いろいろ先生は先生なりの御解釈をいたしておりますが、また別な理由もわれわれは聞いておるわけでございまして、そうしたことについていろいろと調査をいたしてみたいと思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 この流通番号についてお尋ねしてきたのは、それがメーカーの価格政策に利用されて大変不当な、不公正な取引が横行しているからであります。私の調べたうちからきわめてポピュラーな薬品二、三を挙げてみます。これは当然再販商品ではありません。  武田薬品アリナミンF25、これはA病院には十円七十銭で入っています。B病院には値引きして四円十銭で入っています。値引き率何と六二%引きであります。田辺製薬のアスパラK、三百ミリグラム、A病院には七円六十銭で入っています。B病院には三円三十四銭、値引き率五六%であります。中外製薬グロンサンC、五百ミリグラム、A病院には七百五十円、ところがB病院には五百四十六円、値引き率二七%であります。これらは例外的なものではありません。例を挙げればまだまだあるんですが、五割引き、六割引きというのはざらなんですね。私はこれだけ考えても、異常な流通の状態にあると考えざるを得ません。当然こういう状態は改めるべきであると考える。そうでなかったならば、独禁法にある差別的な取り扱いが生まれて、自由な競争が阻まれると私は考えます。  ちなみにつけ加えますが、こういう異常な値引きというのは、実は過当競争から生じているのじゃないんです、その逆です。メーカーの価格政策というのはきわめて浸透し、安定していまして、メーカーが流通業界まで資本系列に納めているというのは、今日では否定する人はいないです。今日生じている薬価の異常現象というのは、大量購入するいわゆる公的な病院では非常に高いんです。そして、少量の購入をする私立病院では安いんです、先ほど来挙げました、価格が。そういう形で薬が購入をされているわけです。というのは、私立病院は弱小メーカーの代替用品を使用できるために大メーカーも値引きするのに対して、公の病院というのはいわゆる有名銘柄しか使用しない、そういう立場に置かれているから、メーカーがつけ込んでいると私たちは判断せざるを得ません。  そこで、公取にお尋ねをいたしますが、公取がこういう実情をまず御存じなのかどうなのか、それで調査されたことがあるのかないのか。そして、いま申しましたような不公正な実態に対してどうお考えになるのか、五割、六割という値引きは実はサンプル、試供品によって相当に行われているわけです。これは昭和二十八年の公取委の告示八号あるいは四号に該当すると思うんですが、これはどうですか。

後藤英輔公正取引委員会事務局取引部長

○説明員(後藤英輔君) 先生のお挙げになりましたような実態につきましては、私ども具体的にまだ調査したものもございませんし、把握いたしておりません。したがいまして、その病院における薬の購入価格等の独禁法上の問題というところまでお答えできるような資料を持っておりませんけれども、ただ、一般的に公正取引方法の問題として、合理的な理由がなくして相手方にあるいはまた地域によって価格に差別をつけたり、またはいろいろな取引の条件について差別したりすること、これは独禁法の不公正な取引方法に該当することは先生御指摘のとおりでございます。また、一般的に申しまして、商品の販売に付随いたしましていわゆる現品を添付するとか、あるいはまたは他のいろんな商品をおまけ的につけたりするということは、景品つき販売といたしまして、独禁法と別の法律でございます景品表示法でもって規制の対象になっているところでございます。  薬の実際の病院における購入価格等については、私どもの方もまだ調査いたしておりませんので実態は把握しておりませんが、薬につきましてはただ薬価行政、先ほど先生御指摘のような薬価基準との関係等もございますので、私どもの方といたしましても、厚生省ともなおよくいろいろ協議いたしましてその実態について調べる、また、それが競争にどういうふうな影響があるかというような点も検討いたしてまいりたい、そのように考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 二十八年告示の問題はどういうことですか。

後藤英輔公正取引委員会事務局取引部長

○説明員(後藤英輔君) 先ほども御説明いたしましたような、二十八年の不公正な取引方法の一般指定というものがございまして、その二号ないし四号で、不当な差別的取り扱い、あるいはまた不当な差別価格というものを不公正取引方法として禁止しております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 それはわかっておるんですが、この実態という……

後藤英輔公正取引委員会事務局取引部長

○説明員(後藤英輔君) この問題につきましては、実態が私どもの方としてわかりませんので、先生の御指摘になりましたような実態が、この法律のこの条文に直ちに当たるかどうかということにつきましては、ちょっといま判断いたしかねるということでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これもまあ調査して、適合性というものを結論としては出される、こういうふうに理解していいですか。

後藤英輔公正取引委員会事務局取引部長

○説明員(後藤英輔君) 私どもとしてもこの点については調査をいたしたいと思いますけれども、ただ、この問題につきましてわかっております点は、薬の価格につきましては、薬価行政との関係があろうかと思いますので、その点も厚生省の方とも十分御相談いたした上でもって検討いたしてまいりたい、そう思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 次に薬事法四十三条ですか、検定に基づいて張る薬品検定合格証紙——もう時間なくなりましたので私少し一方的に申しますが、薬事法の施行規則の四十六条に、検定の申請は、同一製造番号の医薬品または医療器具ごとに行うことになっておる。同四十七条によると、メーカーが容器に入れておいて、そして薬事監視員の立ち会いのもとに試験品を採取し、そして国立予防衛生研究所または国立衛生試験所に送る。薬事法施行令十条によると、検定に合格すると、知事を経由して所要数の検定合格証紙が送られる。同十一条によると、知事は「薬事監視員に検定に合格した医薬品又は医療用具を収めた容器又は被包に検定合格証紙で封を施させなければならない。」となっています。しかし、私が確かめたところではこういう措置はとられていませんね。薬事監視員は立ち会っていない。また、実際立ち会えるわけもないんですね、これ。薬事監視員は何人いますか。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) 地方公共団体におります薬事監視員、ことしの四月一日の数字で二千三百十一名でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 二千三百十一人。その八割程度は食品監視員との兼任なんですね。これは自治体の財政事情その他からいってこうならざるを得ないんです。大臣、ここのところね、これは実はここへ自治省も並んでもらって交付税論議を少しやりたかったんですが、もう時間がありませんから、大蔵大臣もよくここのところ、交付税というやつが大変不合理に算定をされているいい例の一つなんです。これは交付税の論議でまた少し深めますが、大臣、ここのところは非常に重要な問題ですから改める努力をしてもらいたいと思うんです。これは人数の問題、実際にはこんなできないんですよ、法に定められているような監視。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) いまの御質問の中にもございましたけれども、この薬事監視に関する財政措置というものは地方交付税、まあ国の補助金じゃございませんで、交付税の基準的経費の算定の問題になるわけでございます。それで、全体としての薬事行政費が地方交付税の基準的経費の計算上、四十七年度が四千八十六万でございましたか、標準団体で。五十一年度は七千八百万というふうに、毎年努力をして上げておられるというふうに考えておるわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは大きな人件費にかかわる超過負担問題などが大きくなってきたから、最近ちょっと改まってきているということだけなんです。それでも、たとえば交付税で薬事行政費中課長一人、吏員十一人、その他三人、こうなっているわけです。交付税の算定を財源措置と認めるとしても、この吏員十一人中何名なのかというのは明らかじゃないわけでしょう。現状よりも交付税算定の方が人数少ないんですよ。こんな状態になっているんです。これはもう事実なんですから。ここのところは大臣、ひとつ予算要求、いまもう始まっておるわけですから、十分にやってもらいたいと思いますが、大臣、一言お願いします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 薬事監視に関する地方に対する予算の交付につきましては、若干の問題があるということを事務当局から聞いておりますので、今後改善に努力をいたしたい、かように考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 全く最後にしますが、試供品の添付が異種添付など巧妙な方法で行われていますね。厚生省はたびたび禁止の通達を出されています。私はこの通達全部ずっと出されたやつ持っていますが、これ、しかしなお成果を上げていないんですね。これは遺憾なことだと思うんです。問題の根が深いことは、私も先ほど公取のお話がありましたようによくわかるつもりでいます。しかしこの際、たびたび指摘されてきたように、調査方法の不徹底さを改めて、メーカーの販売政策が行き渡ってしまうような状態を改めるためにも、私はやっぱり改めるべきものは大胆に改めていただきたいと厚生大臣、思うんです。今後そういう姿勢でぜひ臨んでいただきたいと思いますが、これで最後にいたしますがね。

上村一厚生省薬務局長

○説明員(上村一君) いま御指摘になりました添付は、四十五年の中医協で問題になりまして、それ以来、そういったものは見つかれば薬価基準から外してしまうという措置をとることにいたしまして、四十九年末、そういった添付販売の事実が判明をしましたメーカーの医薬品を薬価基準から外したわけでございます。現在までのところ、私どもその添付販売の事実というのは、あるというふうには確認をしておりません。今後ともこういった事態が生じないように、こういったことは医療保険制度を混乱させるもとでございますから、厳重に監督してまいるつもりでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大臣、よろしいですか、いまの答弁。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 医薬品の添付問題、これはいま薬務局長が答弁をしたとおりであります。私も大臣になる以前に、国会で添付問題がいろいろやかましく論ぜられまして、その弊害についてはよく知っております。したがいまして、私、大臣就任後においても添付問題で発覚したものについては、いわゆるメーカーとしては致命的な薬価基準の収載から取り外すという厳重な措置をとったわけでございますが、なお今後とも厳重にこれについては対処をいたしたいと、かように思っております。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 大蔵省にお尋ねします。  まず最初は、拘束預金実態調査についての政府の認識をお伺いするわけでございますが、六月の十五日、大蔵省は歩積み両建てなどの拘束性預金等に関する調査の結果を公表されました。同時に、歩積み両建ての自粛徹底についての銀行局長通達が出されております。今回行われた拘束性預金についての企業を対象とする特別調査は、中小企業等の収益悪化の大きな要因の一つとして、拘束性預金による実質金利の上昇が国会の内外においても問題とされておったわけでございますが、銀行の監督行政の強化が強く要請をされたために実施されたものであろうと思われます。この通達は、右の調査結果に基づいてその自粛徹底方を指導する形式がとられております。ここで大蔵大臣は、調査の結果について銀行側の預金拘束の度合いについてはどのような御見解を持っていらっしゃるのか、まず第一にお伺いをしたいと思います。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 先生いま御指摘の、今回私どもがアンケート調査を初めていたしたわけでございますが、これは公取が従来やっておられました方式と大分似たところはございますが、いろいろアンケートの内容その他工夫をいたしまして、中小企業三千社に対しましてアンケートを出したわけでございます。その結果、出てまいりました結果は、六月十五日、御指摘のように発表をいたしまして、私どもその内容につきましていろいろ考えさせられるところがございまして、その検討の結果をこれから一層拘束預金、過当な歩積み両建ての自粛の方途を講ずるという意味でこの通達も出し、研究をしておるところでございます。  いまの拘束の程度の御指摘でございますけれども、このアンケート調査の結果によりますると、全体として一四・五%というのが拘束をされておる、こういうふうに出てまいっております。そのうち、内容は具体的にはっきり拘束をされておりますものが三・六%ございます。その以外の一〇・九%ほどのものはこれはその借り入れ社、借り入れ企業の方が拘束を形の上ではされてないけれども、しかし、どうもこれをおろしに行くと金融機関の方からいい顔してくれないのではないか、現実問題としておろしにくいという感じを持っておられるものがその残りでございます。これ、合わせまして一四・五%となっておるわけでございます。  これはもとより先生御指摘のように平均値でございますから、個々の企業によりましてはもちろんこれより低いものもございます。現に三千社ほどアンケートを出しました中で、こういうものがありますと言ってこられましたのが八百社ほどございます。しかしながら、その低いものがありますと同時に、逆にこれは平均でございますから、高いものもあるわけでございます。しかし大勢といたしましてはやはりこの程度あったのかな、大体水準としてはこの程度ではなかろうか、こういうふうに現実の認識はいたしておる次第でございます。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 いま答弁をいただいたわけでございますが、拘束預金率の結果といういま御答弁いただきましたが、私はそれとあわせて、現状認識との食い違いについて次に質問いたしますけれども、確かに今回の実態調査の結果においては、借入金の残高に対する狭義の拘束預金比率は、いまあなたが言われましたように三・六%でございます。拘束預金ではないけれども、現実には払い出せない、いわゆるにらみ預金である広義の拘束預金比率は、あなたがおっしゃいましたように一〇・九%、合計して一四・五となることはあなたの答弁のとおりでございますけれども、一方では、公正取引委員会の五十年十一月末現在における同じ種類の調査によりますと、広義の拘束預金率は一七・二%でございます。大蔵省調査の数値は公取委のそれより低いわけでございますけれども、その理由をどのように御説明をされるのか、その点お伺いしたいと思います。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 公取のおやりになっていらっしゃいます調査も私どもの方の調査も、いずれもサンプル調査でございまして、並びに、いま先生御指摘の公取がごく最近時点で御調査になりましたのが昨年の十一月でございまして、私どもがやりましたのがことしに入りましてからでございまして、時点のずれ等もございます。したがいまして、厳密にこの差がどういうところにあるかということは、なかなか精密に把握しにくいところでございます。したがいまして、私どもとしてはその程度と、一四・五がもう絶対的に正しい数字だというわけではございませんので、その程度あって、その内容がはっきり拘束されておるものがその四分の一ぐらいで、四分の三ぐらいがいわゆるにらみ預金というようなかっこうになっておる、こういうふうに現状の認識をしておる次第でございます。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 いま私、大蔵省それから少し厳しい数字が出ております公取委、この両者の調査結果に対して御質問申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、拘束預金率が予想外に低いなと当局では思っていらっしゃると思いますが、後からまた質疑を重ねてまいりますが、現実にわれわれの耳に達する中小企業者の声は、借入金の半分以上を拘束預金として積まれたという、そういう金融上の慣行としては異常としか受け取れない事例が多いわけでございます。これは私もじかに調査をしているわけでございますから、後日申し上げたいと思います。  調査の手法といたしましては、アンケートの形をとっておられます。その内容は、いわば取引金融機関に対する不満についての調査であり、金融機関にその不満を知られたくないという心理的な作用が多分に働いていることも考えられます。大蔵省の調査では、現実に拘束された預金の割合についての質問に対しては、三〇%以上と答えた者は全体の四二%にも達している。五〇%以上の者も全体の二二%に上っております。この数値は、借入金をするためにした預金について払い戻しを拘束されたことのある企業三百六十社を対象にしたものでございますけれども、拘束預金率一四・五%と、五〇%以上の拘束預金ありとする企業二二%という数値については、かなりの隔たりがあるように思います。これはどのような御見解を持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 最初に、前段で先生お触れになりました点について、若干補足をさしていただきたいと思いますが、この出ました一四・五ということについて、大変思ったより低いという認識ではないかという点でございますが、私ども特に低かったと思っているわけではございません。  それから後段の方の、いまのいろいろパーセンテージの違いの点でございますけれども、その一四・五はあくまでも先ほど申し上げましたアンケートの中で、拘束されておるということの回答があった方の平均値でございます。個々の企業につきましては、残念ながら先生御指摘のように、非常に高い率で拘束を受けておるというものももちろんございます。それが一四・五の方は、個々のいまのパーセンテージの高いものがあるということと、それからそういう拘束預金があるという御回答になった八百何社かを平均しましたもの、その平均値との違いでございまして、したがいまして、いま先生御指摘のような、高い拘束をされているものがあることは大変私ども残念でございますが、こういう具体的なケースにつきましては、また頭に置いてこれから対策を考えてまいりたい、こう思っておる次第でございます。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 いずれにしましても、中小企業ほど拘束預金率が高いのではないかという懸念を私は持っているわけでございますので、そのことと金融行政との関係についてお伺いをいたします。  大蔵省の拘束預金の対象者は、資本金が一億円未満の法人でございました。公取委のそれは資本金五千万円以下の法人と個人企業でございます。拘束預金比率は、大蔵省の調査の方が公取のそれより低いのは、調査対象の企業の資本金の規模が大きいものを含んでいることからくるものと思います。事実、公取の調査による金融機関別の拘束預金比率は、中小企業を融資対象とする中小企業金融機関ほどその比率が高いことは明確でございました。中小企業は担保力その他の信用力が弱体でございますから、その見合いとして拘束預金率が高いのはやむを得ないと考えていらっしゃるのか。こういうことを是認するとすれば、そのための実質金利負担の増高についても、弱体な基盤をしか備えていない中小企業は、高金利負担もやむを得ないという資本の論理むき出しの場にさらされることになるわけでございます。こういうことを考えますと、金融行政上、中小企業の拘束預金率の高いこういう関係性と金融行政との関係性、これをどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 私どもの考え方といたしまして、この拘束預金あるいは債務者預金というものがどの程度になるかということを、中小企業とかあるいは大企業でございますとか、その企業規模だけでどういうふうになるというふうに考えておるわけではございません。やはりこれはその企業それぞれの実質的な内容、あるいは業績の推移、発展の度合い等によって異なってくるものであろうと思います。  ただ、一般的傾向といたしまして、中小企業の場合には、必要な資金の調達というのが、従来金融タイトな状態が続いておりますと、なかなかいざというときに急場には間に合わないという懸念を持たれる向きが多うございますから、それに備えて手元の流動性を厚くしておきたい、こういうお気持ちがやはりどうしても強くなるものでございますから、したがいまして、債務者預金と申しますか、借入先に預金をしておくという割合が高くなりがちな傾向はあろうかと思います。ただ、それを銀行の方で拘束するというような場合には、その拘束は私どもも基準を示しておりますが、その基準に合った範囲内にとどめるべきものでございまして、それを超える、過当なとこう私ども申しておりますが、過当な拘束はやるべきではないというふうに考えております。それが先生御指摘のように過当なことが行われるのは、高金利負担ということを避ける、またそのやり方として、何と申しますか、弱い者いじめになるようなことをやらせない、こういう角度から考えておる次第でございます。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 まあこういう社会情勢下でございますから、非常に私も中小企業の行き先を心配しているわけですが、今度の拘束性預金についての通達についても読ましていただきまして、具体策が盛られていない、こういうことを私は感じるわけです。そのことについて、いま基本的な問題をまずお伺いをしているわけですが、通達にも具体策は盛られていないという内容については、大蔵省の拘束預金の実態調査の結果についても、金融界では公取の調査以上に穏当な数値が出た、そして安堵の色を隠せない状況にあると、こういううわさが入っております。  不況が長引いて拘束預金に対する企業からの不満が高まっているときでございますから、この調査の結果次第では、銀行批判をさらにあおるようなことになりはしないかという懸念もあったんでございましょう。しかし通達では、金融機関側においてもなお改善すべき点が少なくないとし、にらみ預金がある事例が見られることは留意すべきことであり、その他、担保が十分あるにもかかわらず、預金を拘束されているとする事例等も見られる云々としながらも、改善すべき点は一体何なのかという、そういう疑念がわくわけでございます。  また、にらみ預金の横行についても、具体的な規制の方策が何ら示されていないわけでございます。ですから、心理的な作用によって予想外に低く出た数値をもとに、きわめて抽象的な通達内容では、歩積み両建てについての企業側の不満は解消するはずはございません。ですから、通達において拘束性の預金にかかわる不満の解消についての具体策、それを大蔵省は示すのが本当じゃないんですが。たとえ国会でいろんな問題が、そうして地方においていろいろ中小企業の中から問題が出ても、その時点で大蔵省がこういうふうな中身のない通達をいつも出していたら、私は事態は改まらないと思うわけです。ですから、今回の大蔵省の通達に対して、具体性が示されていない現実に対して、その具体的な問題を一、二でもいいからあなた答えてください。いま私、最初ですから基本的な問題しかお伺いをしておりませんけれども、余りにおざなりな、抽象的な答弁であればこういう問題は解決しません。ですから、いま申し上げておりますのは、通達に対して具体案はどこにあるのか、どういう方途を示されていこうとするのか、答えていただきたいと思います。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 私どもの対応措置というのが不十分ではないかというおしかりをちょうだいいたしたわけでございますが、今回のアンケート調査を通じまして、私、特に感じましたのは、いま先生も御指摘のにらみ預金というこの問題が一つ、まあ従来も言われておりましたけれども、特に問題点として考えておるわけでございますが、ただ、いわゆるにらみと申しますのは、それぞれ双方に言わせますと、なかなか問題意識が食い違っておるケースが非常に多うございまして、そこがなかなかデリケートな点であろうかと思います。それからまた、問題の基本が銀行と債務者との間のいろいろ複雑な取引の過程の一つとして発生をしてくるものでございますから、その中で具体的な行き過ぎが実質的にあるもの、そして、それについての御不満のあるものをどういうふうにこれから解決していくかというのは、私はやはり、これから具体的な事例に即した妥当なる解決を図っていくということに尽きるんではないかという気が目下いたしております。  従来、一般的な基準、あるいはその基準を実行いたしますための銀行の内部の努力の仕方、責任のとらせ方というようなことにつきましては、われわれ当局も検査などを通じて大変厳しくやってまいりましたし、また金融機関の方も大変真剣になってまいっております。現に某金融機関におきましては、預金を集めるよりも、この両建てというようなことをしないということを考課に加えるというようなことまで考えてまいっておる、そういう意識の変遷も見られるわけでございますが、私はこれから一律な基準を引くと申しますよりは、具体的な個々の不満のあるケース、不備なケース、行き過ぎのケースというようなものをどういうふうに解決していくかというところにウエートを置きたいと思っておるのでございます。  この通達の内容につきましては、ただいまおしかりをいただいたのでございますが、ここで私が指示をいたしましたのは、従来、過当なる歩積み両建てを防止をいたしますためにいろいろ具体的な指示をいたしております。それは中の管理体制の問題から預金の集め方の態度その他に至るまで指示をいたしておりますが、それを確実に実行することということを申したのが第一点でございます。  それから第二点は、具体的なケースをどういうふうに処理をしていくか、解決をしていくかというところにウエートを置きますと、その方策につきましては実効性のあることを考えていかなくちゃいかぬ。これは今度のアンケート調査で数字が出ましたほかに、具体的な各アンケート先の御意見も書いていただくようにいたしまして、何十社かの方々が意見を述べておられます。こういうことも具体的に参考にいたしながら案を考えてまいりたい。これは私どもが一方的に指示をして、そして直ちに実行できるというものではございませんで、やはり具体的な実務に即しました検討も、それぞれ協会その他でやっていただかなくちゃいけません。それを至急開始していただこうということを指示したわけでございまして、現にただいま、協会その他と具体的な方法を鋭意詰めておるところでございます。  ただ事柄が大変、先生御指摘のようなにらみ預金その他がだんだん中心となってまいりますと非常にデリケートで、どういうふうな方策が期待できるかとおっしゃられて、いまのところ私、これこれはと、こう自信を持って申し上げる段階までまだ検討が至っておりませんけれども、しかし、そういう具体的ケースを解決をしていきたいという点、あるいは銀行と債務者との間の取引の仕方、取引全体の仕方というようなのが、従来御承知のように、ともすれば金融機関側の一方的な、何と申しますか注文になりがちであったところを直していくかと、そういうところから考えていかなければならないところだと思います。そういう点を具体的にどういうふうに実施していくかということをいま鋭意勉強をいたしておるところでございます。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 拘束預金と銀行の過剰利得との関係についてお伺いしますけれども、現在一般的には、企業が銀行から貸し出しを受けた場合には、企業は、負債として借入金を負うと同時に同額の預金を資産に持ちます。企業は取引の進行に伴って預金を取り崩していくわけでございますが、にらみ預金や拘束預金の存在は銀行の貸し出し採算を向上させるわけでございます。  いま企業が年利一〇%で貸し出しを受けた場合に、そのうち二〇%が拘束されると、実質金利は一一・二五%となり、四〇%の拘束率の場合には一三・二五%に達します、まあこれは預金金利五%の場合でございますが。拘束預金についてこれまでにもたびたびその自粛が行われるよう銀行局の通達が出されているわけでございます。出されているけれども、一向に解消されないまま今日に至っているのもまた現状でございます。拘束性預金の存在についての問題は、中小企業を初めとする企業の実質金利面の負担増だけではないわけでございます。  拘束預金を多額に抱えている銀行にとっては、貸し出しの利回りが大幅に上昇するとともに、預金の流出を抑えることができるので、コール取り入れなどの外部負債の抑制に大いに役立ち、貸し出し採算を向上させることができます。つまり、経済力の力関係において、弱い者の負担の上にあぐらをかいて、堂々と資本の論理を現実面に生かしているのが現在の金融関係の姿であると言っても過言ではないと思うわけでございます。金融機関に公共性を求めること、その社会的責任を全うさせる方向に金融政策を向けるつもりがあるならば、拘束預金による弱者の負担増、そして、強者の過剰利得の現状というものは早急に私は是正していかなくてはならないと思います。これらについての具体策はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 大変基本的な問題の御指摘でございますが、私どもはいま先生も御指摘のように、もう大分前からこの問題の解決には全力を挙げてまいったつもりでございます。表に出ております拘束比率その他の数字は、遺憾ながらなお今日十分ではございませんけれども、往時に比べれば、全体としては改善の方向に向かいつつあるものと私どもは思っております。また、検査などで具体的な事例を検査をいたしてみましても、これももちろん百点満点ではございませんけれども、改善の方向に向かっておるとは思っております。  ただ、それにしましても、今回のアンケート調査の結果のようなことが現状であるといたしますれば、なお一層私どもとしては、私どもの従来からやってまいりました方向、これは当局ばかりでなくて、金融機関も大変内部で一生懸命やってきてくれていると思います。これを本当に、これからどういうふうに実効あるようにするかという点が一番問題であろうかと思います。それを先ほど申し上げましたような角度からいま検討しておるところでございまして、考え方の方向と申しますか、基本的な方向としましては、いま先生からおしかりを受けましたが、やはり私ども一生懸命この問題の解決の方向に向かって行政政策を運営してまいりたい、こう思っておる次第でございます。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 では、いま御答弁いただきましたように、改善の方向に向かっている、実効のあるいろんな角度からの検討、まあこういうように御答弁いただいたわけでございますが、非常に改まってない。そういう具体例を一、二まず申し上げたいと思います。  私の手元にある資料によりますと、これはまた後で述べますけれども、京都銀行の府庁前の支店でございますが、Aの会社で一千万円の借り入れをお願いいたしております。その件は承諾をしていただいたんでございますが、しからば、銀行からは毎月定期積立金として五十六万円、十二カ月満期を要求されております。これを年間にしますと六百七十二万円になりますから、手持ちは約三三%となって実に六七%も拘束されることになっております。いま私、簡単に申し上げておりますけれども、この事実が、私が言っているように本当に事実として——私は事実しか言っておりませんけれども、この私の質問に対してどういうふうにあなたはお考えですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) いま先生御指摘の具体的なケースを、私よく存じませんですけれども、中に、先ほども御指摘がございましたように、過当なものがあるということは否定できないところでございまして、私ども大変残念に思っておるところでございます。  ただいま御指摘の具体的なケースにつきましては、必要あればまた後ほど詳細なことをお伺いした方がよろしいかと存じますけれども、この会社の京都銀行との間の取引が全体としてどういうふうになっておりますか、そういう点、あるいは恐らく、いまのお話でございますと、積立定期と貸し出しとの関係であろうかと思いますが、その定期積み金あるいは積立定期等を担保にして割賦返済のような形で融資する場合もございます。あるいは、そこら辺また銀行側の意向と債務者の方の間との誤解もあるという場合もあり得るかと思います。したがいまして、全体の取引のしぶり、問題等を拝見いたしませんと、一概に過当とか何とかいう評価が私しにくいのでございますけれども、もしこれだけでございますれば、やや何と申しますか、債務者預金の割合が年末には高くなるかな、こういう感じがいたします。要すれば、具体的ケースに即しまして検討さしていただきたいと思いますし、また過当なことでございますれば、これを是正するような具体的な指示もさしていただきたいと思います。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 やや高くなるではなしに、実際に六七%も、たとえこれが拘束性としても大変なことです。それをしかもこういうようにはっきりしているとなれば、これはすぐ調査をして報告してください。  もう一つ具体例を申し上げますけれども、次は大阪ですけれども、大阪のBという会社にしておきましょう。現在、借り入れをしまして残高が六千五百六十四万四千円ございます。定期預金として、拘束預金として強いられた、こういうことになっているんですけれども、これを甘んじて拘束性預金と私は見たとしても、二千四十万六千円と三二%、こういうふうになっているわけですね。これは大阪のある銀行でございますけれども、こういう問題。  それからもう一つも、これは大阪の都市銀行でございますけれども、五百二十万の借り入れに対して拘束性の定期預金二百五十万円、いわゆる四八%ですね。こういう実態。  こういうふうなことについて本当に当局としては腹を据えて検討していかなくちゃいけない、そういうふうなことがわかってくると思うんですけれども、この二、三の例について、本当に大蔵省としては中小企業の立場に立ってやっていくのか、こういう点を正していくのか、そういう気構え、そういう点をお伺いしたいと思います。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) 先生のお言葉を待つまでもなく、私どもこういう過当な拘束預金はやめさしてまいりたい、この気持ちは先ほど申し上げたとおりでございます。  なお、つけ加えさしていただきますれば、やはり具体的事例に即して過当なものを整理をしてまいりたいと思っておりますので、もしお差し支えございませんでしたならば、しかるべき方法によりまして、より具体的に御教示を賜りますれば、その具体例に即しまして解決を図りたい、こういうふうに存じます。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 そのときに、お礼参りとか、そういうふうなことをきしっとあなた責任を持っていただかないと、どんなに大蔵省でアンケートをとったって、アンケートに対しては本当のことを言わない、そういう数値は多いわけです。ですから、そういうことをきちっと責任を持っていただかないといけません。  そこで、私はいま具体例の大阪、京都の三件について申し上げましたが、これは京都市においての実態調査でございますので、これをもとにしてお伺いしたいと思います。  京都の市長さんが「拘束性預金の自粛について」の要望ということで「本市中小企業金融につきまして」云々という中で、五十一年の三月に京都中小企業の指導所でアンケートをとっていらっしゃるんです。その中で船橋市長は、最近の中小企業における拘束性預金の実態のアンケート、この調査の実施について別紙のとおり、完全な拘束預金を求められたと答えた企業は全体の三・七%、昨年四月調査時の七・二%に比べれば減少しておりますけれども、協力預金を含めた広義の拘束性預金——これが今後問題になろうかと思います——この拘束性預金の要求は実に二〇・五%と、昨年の四月に比べて四・二%も増加しているという厳しい結果が出ておりますというふうな公式文書が出ているわけなんですね。京都市において中小企業指導所がこの関係に対するアンケート調査の結果をまとめております。そこで私は、こういう問題点をちょっと取り上げてまず御質問申し上げたいと思います。  この中小企業指導所、京都ですね、これが拘束預金に関するアンケートの調査、調査対象の企業は千企業です。本市の融資あっせん企業は七百企業、それからその他が三百企業になっています。そのうち回答した企業が三百九十六の企業でございます。この中で抜粋をいたしますと、調査の結果、一つは拘束性預金の要求をされた状況、金融機関から求められたという五十一年三月の企業数が七十二、回答の中からですね、二〇・五%、それだけあるわけです。それから拘束性預金の内容について、完全な拘束預金、企業数が十三で一八%です。協力預金というのが五十九の企業で八一・九%。  それからもう一つ申し上げたいのは、融資区分による拘束預金の要求状況でございます。これについては、融資区分としては自治体の制度融資を受けた企業の百三十一社、預金の要求を受けた企業というのが二十二、拘束が二、協力が二十です。比率としては一・五と一五%です。ですから一六・八%、こういうふうになっているわけです。拘束預金の割合については、三一%以上というのが六の企業で一四・三%、二一%から三〇%の拘束比率というものに対しては、企業が五で一一・九です。まあこういうふうに数字が出ております。この中で、私が特にこれは大蔵大臣にもお伺いをしたいのは、これらを踏まえて京都の業者の人たちが、拘束預金についての企業者の意見というものをまとめられております。  一つは、「個人預金を拘束するという方法で手口が巧妙になりつつあり、」——言葉は悪いですけれども、私、そのままを読んでおるわけですからお許しを願いたいんですが、「日銀・大蔵省の調査では判明しにくくなっている。」。  二は、「いままでしていた定期預金・定期積金をすぐに解約してほしいといっても、その預金を担保に借り入れしてくれと言われ、いまだにそのままである。」。  第三点は、「まず、通知預金にさせ、何カ月かしてから定期預金にかえさせて、監視の目をごまか」している。  四番目には、「借入金を返済し元金が減っているのに、不動産担保と合わせて定期預金を担保とみなして拘束している。」。  五番目は、「保証付借入金に対しても定期預金を担保として拘束している。」。  六は、「拘束預金は表面的にはないが、現実には定期預金は引き出せない。」。  七番目には、「金融機関の商業性からある程度は理解できるが、その時点においては常日ごろの地元金融機関として顧客のニーズに応ずるという大義名分はどこ吹く風で、いま一歩名実の伴った姿勢がほしい。」という要望です。  八番は、「融資の申し入れの際、常に預貸を理由に貸し出し実行を渋る。」。  九番目は、「火災保険兼定期預金のごとき、表面は火災保険で五年一割引き付満期という新手の預金を要求された。」  十番目には、「代表者やその家族の預金の解約については、預担や手貸しにされて両建てにされるケースが多くなった。」。  十一番目には、「預金のかわりに出資金として求められた。」。  十二は、「金繰りが苦しいので融資してもらっているのに、半強制的預金を求められ断れない状態、もっと相手方の気持ちを知ってもらいたい。」。  十三番目には、「金融機関からは拘束預金になっていないと公式には連絡があるが、実際には手形割引枠やその他一時的な単名借り入れ等の融資条件と引き合いに預金が出されるので、現在ある非拘束預金も実質的には拘束されている。」。  こういう十三点の問題について大蔵省に声を届けてほしい、そうしていますぐでなくても、この声というものがどのように生かされたか回答してほしい、こういうささやかな声があるわけでございます。  この中で、特に一点だけ大蔵大臣にお伺いをしたいことは、五番目の、保証付借入金に対しても定期預金を担保として拘束をしている問題についてです。これは大蔵省で先般やられました「「歩積・両建」などの拘束性預金等に関する調査結果」、この問いの十五と十六に対して、「借入れ及び手形割引に関連して、不動産、有価証券などの担保を差入れていたり、信用保証協会の保証がある上に、拘束されている預金があるのですか。」、あると答えたのが、これは銀行のあれですから一億円以下の大きい方ですから大ざっぱの方ですね、それでも三七・八%と出ているんです。問いの十六、「その場合、借入れ及び手形割引の合計額(A)と担保価額及び信用保証協会の保証の合計額(B)との関係はどうなっていますか」、(B)が(A)を上回っていると思うのが九・七、(A)と(B)がおおむね見合っているのが九・五、(A)が(B)を上回っていると思うのが一一・七。  いずれにいたしましても私がここで問題にしたいのは、信用保証協会の保証があるのに、なぜ拘束性の預金というものがやられなくちゃいけないのか、これは問題なんです。こういうアンケートをとっても、信用保証協会の保証があるのに、これに対して何にも手が打たれていない。これは至急何とか大蔵省として手を打たなかったら——全体的な問題と違うんです。信用保証協会の保証というのは、国と県と市が連携をして、そうしてまじめであるけれども、いろんなものが非常に苦しい。しかし、日本の国民という立場の中で経済性発展のために社会人として努力して、そういうまじめな人たちが適用を受けたいわば国の信用保証協会の保証という大きなレッテルが張られているのに、金融機関の中では拘束性の預金というものが、拘束預金を突っ込まれていけば拘束性預金というような形でこうなる。私はですから、いずれのいろんな問題点があるとしても、この信用保証協会の保証を受けていらっしゃるそういう企業の人までにらみ預金というふうな形がもしあるとすれば、これはもう大変なことだと思うんです。ですから、この一点について大蔵大臣、こういう問題については今後どういうふうに対処されようとしていらっしゃるのか、お伺いします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) お話はごもっともでございます。そういう問題につきまして規則を設け、あるいは基準を設けて規制するとか、あるいは罰則を設けて取り締まるということで実効が上がるのでございますならば問題はきわめて簡単なんでございますけれども、この歩積み両建て問題というのは、しかく簡単でないわけでございまして、実効を上げてまいるには、そういうことではなくて、ケース・バイ・ケース、実態を見きわめながら解決してまいる必要があろうと思うのであります。したがっていま御指摘の問題につきましても、なぜそういう過剰担保をとっておるのかというようなことを、全く一見理解に苦しむわけでございますが、そのケースを具体的に当たりまして処理をしてまいるということにしないといけないのではないかと存ずるのであります。  この問題につきましては、過去長い間大蔵当局におきましても懸命に努力いたしておりますけれども、徐々に若干の改善が見られるようになっておりまするけれども、事柄自体が大変むずかしい問題でございますので、異常な努力が集中的に必要であると存ずるのであります。したがっていろいろなケースを御指摘いただき、お挙げいただいた場合に、それを一々丹念に取り上げましてつぶしてまいるということを精力的にやってまいるということ以外に、分別はないのじゃないかと考えるわけでございまして、御指摘の問題につきましても、そういうラインで極力努力してまいりたいと思います。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 時間がございませんので早目にやりますが、公取の方にお願いいたしますが、金融機関の行う歩積み両建て等の過度の拘束預金に対して、公正取引委員会としては独禁法の上から見て、これはしばしば国会で論じられておるわけでございますが、どのように解釈していらっしゃるのか、重ねてお伺いをするわけでございます。そしてまた、公取の方では拘束預金に対する調査をしておられるわけでございますけれども、どこにポイントを置いて、どのような形式で調査をされながら、そういう結果の中において大蔵省や各金融機関、まあどういうふうに手を打たれていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。まず、その点をお願いいたします。

後藤英輔公正取引委員会事務局取引部長

○説明員(後藤英輔君) 独禁法の不公正な取引方法といたしまして、一般指定の十号というところで、取引上の地位が優越していることを利用いたしまして、正常な商慣習に照らして相手方に不当に不利益な条件で取引することということを不公正な取引方法として禁止しておりまして、したがいまして、たとえば金融機関が取引先である中小企業に対して、手形割引きとか貸し付けに際しまして歩積みとか両建て等の不当な拘束預金をさせることは、まさにこれに該当するという考え方でもって対処しているわけでございます。  ただ、この問題につきましては、非常に先ほど来御指摘のございましたようないろいろむずかしい問題もございまして、ことに弱い借入先の立場からいたしますれば、公取の方にこういうふうな事実があるからということを申し出るということは非常に少のうございます。それを期待することはほとんど不可能でございます。したがいまして、公取の方といたしましては、一種のいわゆる公正取引方法の運用の方法といたしまして、中小企業の人たちに対して実態を教えていただくという、総体的な傾向を見るという趣旨でもってアンケートという形でもって調査をいたしております。  ただし、このアンケートも単なるその実情についての意見なりを聞くというのではなく、実際にどういう金融機関からどれだけの借り入れをやって、その際にどういうふうな拘束があったのかということを数字について報告をいただいて、それらを集計いたしまして、全体的な傾向を見る。また、こういうことをすることによりまして、一種の公取のパトロール的な機能というものを果たしていけるのではなかろうかという趣旨でもって、これは昭和三十九年から現在まで二十五回、中小の、きわめて零細な中小企業、それで資本金五千万円ということをとりまして、ほぼ同じような対象企業をとってずうっと調査をいたしておりまして、その傾向を見ていく、傾向を見るという、こういう調査をすることによって、パトロール的な機能を果たしているのではないかということでございます。  それからもう一つ、そういうようなことをやることによって、中にはどうしてもこれは困るというような企業が出てきた場合においては、この法律の規定でもって具体的に取り上げてまいる。ただ、具体的に取り上げてまいります場合も、相手は何と申しましても非常に弱い立場で、金融機関から、それではもう今後取引しないといわれては困るような立場の人たちでございますので、その取り扱いにつきましては十分慎重でなくてはいけないということで、その都度大蔵省ともよく御相談いたしまして、これは公取の方から直接言った方がいいのか、あるいはまたは、大蔵省の金融機関監督の立場から金融機関の方を是正さした方がいいのかというような点なんかも、あわせて具体的なケースによって対処しております。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 今度の大蔵省のアンケート調査によって非常に動きが明らかになったことは、厳しく言えばやみ拘束預金、まあこういうふうなのが、やさしく言えば広義の拘束預金、こういうふうな移行性というものが非常に成りかわっておりますので、ここで非常に問題があろうかと思うわけでございます。  そこで問題になりますのは、独占禁止法と拘束性預金とについてでございますけれども、いわゆる歩積み両建て預金等の拘束性預金については独禁法上禁止されている事項であると思います。つまり、独禁法の法文でいえば第二条の第七項第五号の定義によって、不公正な取引方法の中に、「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」が規定され、この不公正な取引方法は同法第十九条によって禁止されております。  さらにこの不公正な取引とはどういうものを指すのかということについては、法文よりやや具体的な一般指定をいわゆる公正取引委員会の告示に明記されております。その第十号に次のような不公正取引について規定しております。「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」、拘束預金はまさにこの一般規定第十号の、いわゆる取引上の優越した地位の乱用行為に該当するおそれがあるというわけであります。公正取引委員会ではこの観点から、昭和三十九年三月以来毎年二回ずつ定期的に調査を実施してきておりますが、一時ほどひどい歩積み両建て預金が行われていないにせよ、依然としていまから問題になりますのは、先ほど申し上げた拘束性預金が幅をきかしていることでございます。このことについて公正取引委員会としての、どう対処するかを重ねてお伺いしたいと思います。  時間ありませんので、最後に大蔵省の方には、結論として、いままで見るような歩積み両建て預金の自粛措置だけでよいのかという問題でございますが、私はこれはだめであると思います。現在の不況や倒産、犠牲の大半は中小零細企業に集中する社会情勢下でございますから、歩積み両建てに対する批判は高まるばかりでございます。だから、なまぬるい自粛の措置は、一般社会では納得しておりませんので、この点については再度検討すべきでございます。  それから二番目には、企業の実質金利負担軽減の措置をとるべきでございます。これについて答えていただきたいと思います。一つは、債務者預金全体を検討する段階であろうと思います。また、金利措置を講ずる等の抑制力、こういうことも当然あるわけでございますから、この措置についてはどうお考えなのか。  第三点は、納得のいく基準設定をすべきでございます。一つは、企業の業態別に確立をすべきであろうかと思います。二番目には、企業の規模別に確立をすべきであろうかと思います。この点についてもお伺いします。  四番目には、歩積み両建て預金の発生する根源は、行き過ぎた預金獲得競争にあろうかと思いますので、大蔵省は、周年運動等の預金獲得競争を撤廃すべきであることです。二番目には、厳しい指示、通達を出すべきでございます。そうして三番目には、出しているけれども実効はどうなったのか、そういうふうな現況を分析しながら具体策を講ずるべきでございます。  最後には、先ほど大蔵大臣に申し上げましたが、いやしくも信用保証協会のそういうふうな手を経ている企業については一〇〇%お金を貸し出しすべきである、それについてはどうなのか。具体的に、大臣、先ほど答えておられませんので、そういう点を重ねて公取と、そうして大蔵省にお伺いしまして、私の質問を終わります。

後藤英輔公正取引委員会事務局取引部長

○説明員(後藤英輔君) 不当な歩積み両建てにつきましては、先生御指摘のような法律、不公正な取引方法としての条文がございますので、この条文に即しまして私どもの方としては厳正に運用してまいっておりますし、また今後もまいるつもりでございます。  ただ、先ほども申しましたように、これはとうてい中小企業の方からの申告ということは期待できないケースでございますので、先ほどのような方法でもって調査を進めて、それによって効果を上げてまいりたいと思っておりますけれども、なお、先生御指摘のような最近の傾向といたしましては、広い意味での拘束預金というのがはびこってきてそれが問題ではなかろうかという点につきましては、このたびの調査も昨年の前の調査よりも若干問題が、パーセンテージがふえているというような実態もございますので、それらについてはなおよく検討してまいりたいと思いますけれども、これにつきましてはやはり、具体的にどういうふうな実情において拘束されていると思っているのか、また、銀行の方がしているのかという、個々のケースについて判断いたさなければならないと思っております。ただ、なかなか借入先からの実情というものを調査するについてはむずかしい点がございます。しかし、それでもなおこれは例年数件ございますけれども、そういうケースがございますので、そういう場合においてはよく実情を聞きまして、厳正にこの法律の条分に照らしてまいりたいと思っております。

矢原秀男公明党

○矢原秀男君 ちょっともう一つ。  これは最後に大蔵大臣にお伺いしたいんですが、いま公取に私申したように、市中貸出金利引き下げの障害となっている歩積み両建て以外のやみ拘束預金を本格的に規制する方針があるのかどうか、それを明確にお答えをしていただきたいと思います。

後藤達太大蔵省銀行局長

○説明員(後藤達太君) いろいろな点を御指摘をいただきましたが、まず第一点、従来の自粛措置等が不十分ではないかという御指摘でございます。これにつきましては二つの点が御指摘の内容かと私、理解をいたしましたが、一つは、現在やっております自粛措置そのもの、自粛の基準自体がなまぬるいのではないかということが一つ。それからもう一つは、その実効の方が不十分ではないかと、この二点、御指摘をいただいたように理解をいたしました。  もちろん、基本的に私ども、先ほどからお話が出ておりますように、これは不当な競争方法と申しますか、取引方法を用いるという、そういう角度からの問題と、もう一つ、実質金利負担が過重になることを避けたいということで、この自粛措置をしてまいったわけでございます。  その中で、たとえば過当でないと申しましては変でございますが、借入先の定期預金というのが、これは形は常に拘束預金ということになるわけでございますけれども、そういう場合には金利措置をとって貸出金利を下げるということは現在この自粛措置の中に入っております。したがいまして、そういう気持ちでこの措置を決めておるのでございますが、これを検討すべき点があるかどうかはさらに勉強しなければいけないと思いますが、本日、いろいろお話が出ておりますやはり一番のポイントは、いまもおっしゃいましたいわゆるにらみ預金と申しますか、形は拘束されてないけれども、実際上引き出せない預金、こういう点にあるように存じます。私どものアンケート調査の結果でも、その方のウエートがはっきりした拘束の三倍ぐらいあるわけでございます。  ただ、このにらみと言われます預金の内容は、なかなか個別ケースによりまして事情はいろいろ違っておるようでございまして、銀行側は拘束はしてない、あるいは拘束の意図がない。けれども、借入者の側では、これは引き出すと後々の問題になる、あるいは現実問題として引き出しに行けないというような、何と申しますか、誤解もあり、それから認識の違いもありというような点もあろうかと思います。私どものアンケート調査でも、そういうものがあると答えた方の中で、現実に引き出しに行かれましたかという問いに対しまして、現実に行きましたとお答えになった数はそれほど多くはございません。したがいまして、そこら辺は大変デリケートなところだろうと思います。  したがいまして、この点を一律に何か基準的に規制をするということに相なりますると、これはまあ大変むずかしいことになりまして、なかなか紙に書いたような一律の基準というようなものになりにくい性質のものだと思います。したがいまして、私どもは先ほど大臣の御答弁にもございましたように、一律の基準と申しますよりは、まあその点も今後の検討課題とは思いますけれども、具体的なケースに即しましてこれを一つ一つ解決をしていくという地道な努力を一生懸命やっていくというのが、やはり一番基本的な点であろうかと思います。  したがいまして、このところ、そういう現実に債務者が持っておられる苦情というようなものを極力出していただく場をどうしたらいいかということを考えまして、私どもの方の財務局あるいは個々の銀行とは離れて、銀行協会というような場で相談を承るというような組織をこしらえて、鋭意、苦情の御相談にあずかるという体制を整えたのでございますけれども、先ほど先生も御指摘がございましたように、やはりこういう問題を表に出すということ自体が債務者の方にとってはなかなかデリケートなところがおありではないかという気もいたすのでございます。  銀行協会等の方へお申し出のあります苦情の件数はだんだんふえてまいっておりますが、ここら辺のやり方などもやはりこれからのどういうふうにやったらいいかという検討課題だと私は思っておりまして、いまそこら辺も研究いたしておる次第でございますが、そういう具体的な、実質的な解決策というのを先ほど申し上げましたように、方向としてはこれを絶滅をしていくという方向で考えておる次第でございます。  なお、もう一つ具体的にお示しのございました保証協会の保証つきの貸し出し、その先からの預金の取り方でございますが、先生御指摘のように、その貸出金の担保という意味では、これは担保預金を取る必要のないことはもうおっしゃるとおりでございます。したがいまして、そういうものについての過剰な担保を取らないように指導をいたしておるのでございますが、ただ、保証協会の保証付の貸し出しを受けた人は、銀行あるいは金融機関に対して、定期性の預金を一切してはならないと言うわけにもいかぬわけでございまして、したがいまして、これもなかなか基準的にルールをこしらえるというのがむつかしいところでございます。こういう点につきましても、私は、具体的なケースに即しまして、そうして、先ほどお礼参りその他の御注意もございましたが、そういう点も頭に置きまして実質的な解決を図りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) にらみ預金と申しますか、そういったたぐいのものの規制は、確かに、仰せのように大問題なんでございまするけれども、いま局長がお答え申し上げましたように、的確に実効が上がる方法というのはなかなか発見しにくいわけでございます。先ほども御答弁申し上げましたように、個々のケースの苦情をくみ上げて、丹念に解きほぐしていくという努力をどのように精力的に続けてまいるかということに結局なるのではないかと存ずるのでありますけれども、なおこの問題につきましては検討を進めさせていただきたいと思います。

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      —————・—————    午後一時三十五分開会

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き予備費関係十三件の質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。   〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 最初に、大臣にひとつお聞きしておきたいことがあります。それは五十一年度の予算が提出されました際に、新しく公共事業等予備費というものが新設されまして、この公共事業等予備費というものの審議の中で、こういうものは憲法あるいは財政法上疑義がある、憲法や財政法ではこういうことを言ってないんで、予知せざるもののために予備費というものがつくられる、こういう趣旨なので、この公共事業等予備費というものの新設は非常に問題だということで私ども反対をいたしました。それは御記憶があると思うんです。また、当委員会でもこの問題が論議をされました。憲法上あるいは財政法上問題があるし、あるいは国会の審議権を無視するものではないかという論議もございました。  しかし、その際に大蔵大臣あるいは大蔵省の答弁は、いや、それは問題はないんだ、憲法上も財政法上も問題ない、国会の審議権も無視するのではなくてむしろ尊重する立場なんだ、こういう説明があったと思うんです。同時に、五十一年度予算は総合予算主義をとっておるんであるから、経済情勢の推移いかんによっては、不況克服のためにこういう予備費が必要になるかもしれない、あるいは必要がないかもしれない、必要がない場合にはこれは不要のものになるんだと、こういう説明を大臣もしておられたと思うんです。  そういう過程を経まして予算が成立をして、今日に至ったわけでありますが、今日の経済情勢を見ますと、大体景気回復も本格化して、新しい財政上の刺激政策をとる必要はないという状態にきているんではないかと思われますし、また、大蔵省もそういう点では大体そういう見解をとっていらっしゃると思うんですが、そういう点は確認してよろしいのかどうか、大臣にまずお聞きしたいと思うわけであります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 公共事業等予備費は、仰せのように、これはあくまで予備費でございまして、予算編成の時点におきまして予見しがたい事情が生じた場合、これを使用するかしないか決めるべき性質のものだと思うのでございます。  おっしゃるように、ただいまの経済情勢でございますが、輸出は予想以上に伸長いたしておるようでございますし、国内需要も総じて強含みに推移しておるようでございますので、ただいまの状況から見まして、この公共事業予備費を支出しなければならない、支出するような条件が整っておるとは私ども見ていないわけでございます。災害その他不測のことが将来起こる、あるいは経済情勢一般がこの費目の支出を必要とするようなことが起こるかもしれませんけれども、ただいまのところは、仰せのようにそういう条件は見られないというふうに私どもは見ております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 ところが、最近いろいろな情報を拝見いたしますと、総選挙も近い、したがって千五百億という公共事業等予備費、これは早く使った方がいい、何も絵にかいたモチに終わらせる必要ないんじゃないか、こういう意見でありますか、動きでありますかが自民党の内部に相当あるということが伝えられておるわけでありますが、もしこういう形で、選挙が近いんだから選挙対策のために公共事業等予備費をどんどん使った方がいい、使い切った方がいいというようなことになりますと、これは公共事業等予備費ではなくて、まさに自民党の選挙対策予備費ということになりかねないと思うんでありますが、そういうことは断じてあってはならないと思うんでありますけれども、その点大臣はどのようにお考えでございますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) これはあくまで予備費でございまして、先ほど申しましたように、予算編成の時点におきまして予見しがたい事態が生じなければ使ってはならないものであると思うのでございます。ただ、公共事業が多々ますます弁ずで、多くあればいいからこれも使ったらいいというようなことでは、この費目を支出するわけにはまいりません。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 大臣もそういうふうに明確に言っておられるんですから、要するに選挙対策費みたいな形で、つまり選挙予備費みたいな形で使わないということを確認してよろしゅうございますね。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 現在の経済情勢から見る限りにおきまして、私はそういう考えを持っております。今後の情勢の推移を見てから考えなければいけませんけれども、現在少なくとも状況を見る限りにおきまして、その必要はないものと思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 情勢の推移を見てということをまず大臣がまだおっしゃるんですが、この段階では私はもうその必要がない、そういう不況対策も一応できたことだし、景気回復もおっしゃるように進み始めているという段階では、この問題を論議いたしました際に、その点を大臣がやはり不要なものになればいいんだ、つまり、経済事情の推移に応じて予備費を不要に立てるべきでないという場合もあるんだと、こうおっしゃっていたんですから、やはりその辺もうちょっと歯切れよくきちっとおっしゃっていただきたいと思うんです。そうでないといま言ったように、選挙が近いんだから早く選挙対策にどんどん公共投資で使ってしまえと、こういう意見が相当あるやに聞くわけであります。ですから私は、それを大臣にもっと歯切れよくお聞きしたいと思っているわけです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいまの経済情勢から見る限り、この経費、この予備費を支出する必要は私はないものと考えております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 じゃあそういう点をこの時点で確認をしまして、次に移らせていただきます。  私がきょうお聞きしたいのは、時間も余りないのでありまして、いわばとば口になるかもしれませんけれども、国有脱落地という問題です。つまり国有地の中に脱落している部分があるという、この国有脱落地の問題であります。  実は先般、私ども当決算委員会で北海道に調査、視察に参りました。その際に、北海道財務局から報告を受けましたが、その報告の中で、相当北海道には膨大な国有脱落地があるということが判明をいたしました。この国有脱落地の問題をいまその定義であるとか、その経緯であるとかいうようなことを一々お聞きしている暇もございませんから、私どもが理解している範囲におきまして大まかに申し上げますけれども、要するに北海道の場合は内地の場合と違いまして、北海道の脱落地というのは、明治維新の際に北海道の土地がすべてまず国有地にされた。この国有地を民間に処分していく過程で生じたものである。したがって、内地的な意味の脱落地とは発生経路も違うし、その規模も非常に大きいということでございます。  そこで、いろいろ財務局長にも聞きましたが、大体財務局長の答弁では、推定でありますが、面積で約七万八千ヘクタールある、こういう答弁でありました。七万八千ヘクタールと言いますと相当な面積であります。この点は大蔵省としても確認されますか、間違いありませんか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○説明員(吉岡孝行君) いわゆる国有脱落地というのは、ただいま先生のおっしゃいましたように、内地と北海道でその経緯なり事情が違うわけであります。それで、北海道の脱落地は、いわゆるただいまおっしゃいましたように、明治の当初におきまして、すべて未開地を国有地として、その後にいろいろ入植者等に処分してきたわけであります。それで、いろいろ処分されなかった土地、それから当初、道路等の予定地として、公共用地として国有のまま存置しておったが、その後道路の用に供されないまま現在に至っている土地、それから、いわゆる一たん処分したが、その後返還された土地等があるわけであります。その実態は非常にさまざまでありまして、ただいまのようにどの程度の面積になるかというのをはっきりしたことを申し上げる資料がないわけでありますが、ただいまおっしゃいました七万八千ヘクタールですか、この数字は恐らくこういう計算に基づくものじゃないかと思います。  私ども北海道財務局の方で、四十七年から三年間につきまして、札幌周辺につきましてその脱落地のサンプル調査をやったわけであります。その際、いわゆる民有地の中にその国有脱落地なるものが約一・七%含まれておったということであります。それで、その一・七%北海道の現在民有地と称される面積に掛けまして、大ざっぱに機械的に計算してみればさようになるという意味で財務局長が申し上げたんだろうと思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 北海道財務局が言った七万八千ヘクタールという数字は、私はむしろこれは小さ目だと思っているんです。と申しますのは、このいまサンプル調査をされました地域というのは大体道央地域ですね、道央です。つまり中心部です、札幌を中心にした。これはまた調べやすいんです。ところが道北の方、あるいは北見、釧路、あの辺に行ってごらんなさい、それはもう膨大な林野や原野、あるいは湿地帯というふうなものがいまだにたくさんありますよ。でありますから、そういうところを調査したら、もっとこの比率は私は高くなると思っているんです。しかし、まだ実際にそういう調査がされておらないのでありまして、北海道財務局がやられた調査を一応前提にして考えなければならないと思うんですが、それにしても七万八千ヘクタール、この面積は、たとえば東京都の二十三区の面積は、御存じかどうかわかりませんが五万八千ヘクタールです。東京の二十三区よりもっと広い地域です。もっとほかの例を挙げれば、たとえば富山県や岐阜県あるいは山口、佐賀、こういう県の耕地が大体七万七、八千、こういうことでありますから、一つの県の耕地にも匹敵するほどの面積が脱落地として放置されている。これは私は、国有財産を管理する大蔵省としては重大な問題じゃないかと思うんです。  これだけの国有地が何だかわからないけれども脱落をしている、こういうことなんですが、しかし、いまそれをなぜそうなったかと言っても始まらないし、その経過もいろいろ聞いてまいりました。確かに北海道の場合には、そういう明治以来の旧内務省の所管であったわけでありますから、これはわからないところもたくさんあってもしようがないんですが、しかし、少なくとも現在の時点ではこれだけのものがあるということが一応わかっているわけでありますから、その実態調査を早急にしなければならないと思うんですが、この国有脱落地の実態調査がどのようになされているのかをお聞きしたいと思うんです。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○説明員(吉岡孝行君) 確かに、この脱落地についての実態というのはなるべく掌握すべきものでありますが、ただいま申しましたように、何分にもその発生経緯、それからその面積等からして膨大なものになるわけで、それをすべて短期間に調査するということは非常に困難であります。また、いろいろただいまおっしゃいましたように、原野とか湿地帯等、そこがまだ開発に全然至っていない地域もありますので、当面調査する経済的な利益というようなものもないということもありまして、当面地域開発が進みまして、その脱落地の有効利用の要望が強い地点というのに重点を置いてわれわれは調査を進めてきているわけであります。それで、三十七年以来調査をやっておりまして、現在五十年度末までにその調査の結果発見しました脱落地は、いま約六千三百ヘクタールあります。それで、今後ともわれわれただいま申しましたように、地域開発の進展等に応じまして重点的に調査を進めてまいりたい、こう考えておるわけであります。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 漠然として調査をするというだけでは私しようがないと思うんです。明治以来とにかく百年たちました。終戦後だけでも三十年たちました。そして、なおかつどのぐらい脱落地があるかよくわからないということでは、これはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですね。三十七年から五十年まで六千三百ヘクタールでありますか、いまおっしゃった、それだけ調査をしたとおっしゃるんですが、七万ヘクタールですか、十万ヘクタールですか、とにかくはっきりしない。しかし、膨大なものがあるということだけはもうみんなわかっているんですから、この実態調査を私は早急にすべきではないかと思うんです。  ところが、どういうふうにそれが調査されているのかなあと思っていろいろ資料などを見ました。ここに北海道の財務局が作成しました「北海道概況」という報告書があるわけでありますが、四十七年度、それから四十九年度のものがあります。これを見ますと、ほとんど同じことが書いてあるんですが、二年間の時間があるんですけれども、これを比べてみますとほとんど文句は同じです。「近年都市開発及び農用地開発の進展に伴い、続々発見され、同時に売払い貸付等の申請がなされているが、実態調査が追いつかない状況である。」と。御承知のとおり、列島改造やら地域開発がどんどんこの数年間やられまして、そういう中で初めて払い下げだ、貸し付けだといって申請があったときに、調べてみたらこういう状態だったというだけのことでありまして、「実態調査が追いつかない状況である。」というのは、四十七年も、四十九年度のこの報告書にも同じ文句が書いてある、ほとんどもう違いがないんですね。つまり、ほとんど調査もされてなかったということの証拠だと思われるんですけれども、こういうことでいいんでしょうか、大蔵省としては。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○説明員(吉岡孝行君) 先ほど申し上げましたように、われわれとしましてはその地域の開発が進み、いわゆる国有脱落地についての利用がいろいろ出てきた、そういう要望が強くなってきたという事態で、そういうところに重点を置いて調査を進めているわけでありまして、財務局の方で実態調査がいろいろ出てて追いつかない、こういう報告でありますが、これは確かにいろいろ最近急激なテンポで北海道の方も開発が進められている地域がありますので、そういう地域につきましては、一度にそういう開発計画等が出てきますとその調査が追いつかない、そういう現象が出てくるのかと思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 先ほど局長、経済効率が云々というようなことを言われましたけれども、私は北海道の場合は、いろいろな意味でまだまだ利用価値というものは非常に高いんじゃないかと思うのです。ですから、商売人はそういう点では遠慮なくどんどん買いだめをしたり、払い下げを受けたりして、相当な膨大な地域に手をつけているわけでありますけれども、しかし、行政官庁の方が全く手おくれになっておると、こういう実態だと思うんです。私、今度の北海道の視察のときにも、一体何年ぐらいかかったらこの実態がわかるのかと局長に聞きましたら、いやあ、ちょっと見当がつきません、頭を抱えて局長は答弁を濁しているというような実態でありました。まことに熱意というか、本当にやろうという——国有地の管理の責任を持っておる官庁がそういう無責任な態度では、これは一体どういうことになるのだという感じがしみじみいたしました。そういう事情なんですが、きょうは行管庁にも来ていただいたと思うんですが、行管としては、過去何度かこういう国有財産に関する行政監察をおやりになったと思うんですけれども、その中でどんな問題があったか、あるいは無断、不法占使用なんかがなかったのか、あるいは管理上不十分さがなかったのかどうか、そういう点ではどういうふうに監察を行われたか、お聞きしたいと思うんです。

關言行行政管理庁行政監察局監察審議官

○説明員(關言行君) 国有財産の管理につきましては、御指摘のように過去数次にわたりまして監察を実施いたし、その都度改善を要すべき事項について勧告をいたしております。各実施をいたしましたときによって、個別の勧告事項はそれぞれ異なっておりますけれども、概括して申し上げますというと、一つは財産の利活用を図るという側面と、もう一つは、財産の保全を十分するという二つの観点が中心になっております。なお、細かい事務処理上の点についての改善を意見に触れているところもございます。  土地の、国有財産の利活用の例といたしましては、たとえば利用計画の策定が必ずしも十分でないとか、あるいはその土地の利用が必ずしも効率的ではないとかいうような点の指摘をいたしております。それから財産保全面につきましては、その登記等の権利の保全を十分にやる必要があるとか、あるいはいまお話の中にも出てまいりましたような不法占使用も何件かございますので、そういうものの排除に努めるように一層努力する必要があるというようなことも指摘をいたしておる次第でございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 もう一つ行管庁に聞きたいんですが、私どもは今度の視察で聞きましたときに、やはり財務局長は、なかなかこの実態調査をするのに人手が足りないんだというようなことを言っていましたけれども、そういう人員の問題なんかについての勧告はされてないんですか。

關言行行政管理庁行政監察局監察審議官

○説明員(關言行君) その点につきましては、要員の配置転換を適切に図るなどして、緊急を要する業務に重点的に職員を使うような工夫も必要であるということを指摘しておるときがございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 じゃあ行管庁としては、一応こういう実態調査をされて勧告もされておる、こういうことなんですね。しかし実際に仕事は進んでないと、こういう状態です。  会計検査院にお聞きしたいんですが、会計検査院は、こういう国有脱落地につきまして検査というものをやったことがあるんですか、ないんですか。ついでに、あるいは検査院法三十六条による改善要求ですね、こういうものをなすったのかどうか、それもあわせてお答え願いたいと思います。

田代忠博会計検査院事務総局第一局長

○説明員(田代忠博君) お答え申し上げます。  北海道の脱落地でございますが、これにつきましては先ほど大蔵当局の方から御答弁ございましたように、昭和三十七年以来現在に至るまでその実態把握のためにいろいろ御苦労なさっております。これにつきまして、もちろん私ども検査院当局といたしましても大きな関心を持ちまして、その進展あるいは推移を現在まで見守ってきたわけでございます。ただ、何せ非常に対象地が膨大でございます。おまけにそれがほとんど未開の原野あるいは山森といったようなものでございますので、なかなかその実態調査が困難である、さらに、予算あるいは人員の面の制約もございます。したがいまして、現在に至ってもなお先ほどお話出ましたように、約八万ヘクタール程度の脱落地がそのままになっている、こういった事態は私どもとしてまことに遺憾であると感じておりますが、特にこの点につきまして、会計検査院法三十六条その他で改善意見を表示したといったような実態はございません。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 いま行管庁や会計検査院の答弁もお聞きしましたが、やっぱりだれが見たって、こういうことが放置されてていいという人は一人もいないんだと思うんです、官庁としてもそれぞれ責任があるわけでありますから。そこで、そういう実態なんですけれども、とにかく、こういう国有地が管理不十分というよりも管理されてないわけですから、一体何が行われておるかわからない。  たとえば、悪質な不動産屋がごまかして登記してくるということだって全くないわけではないんです。彼らはいろいろな手段を講じますから、不法な方法で国有地を占拠してくるということだってあるし、現に住宅やその他の場合だったら、わずかな地域でありますから無断で占使用している、こういうことだってあると思うんですが、しかし民法や何かを見ますと、民法百六十二条では、善意にして過失なかりしときはその占使用には時効がありまして、十年たてばこれは時効にかかるということになっていますね。   〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕 あるいは平穏かつ公然と占有された場合には二十年で所有権が取得できる、つまり民法で言えば、十年ないし二十年でその占使用は公然と所有権を取得できるということになるわけでありますから、明治以来百年、戦後三十年間たったら、もうかなりそういう不正が行われてないとはだれも保証できないわけですよ。  とにかく八万ヘクタールか何かの膨大な地域なんですから。そして実態把握が、調査がしてないというのですから。こういうことでは、国の財産を管理している大蔵省としては責任をとれないと思うんですが、これは私はどうしても実態調査を急ぐべきだ。人員の問題なんかもいろいろあるかもしれませんけれども、やはりこういう問題こそきちっとしておかなければ、三木さんやその他政府の閣僚の皆さんは、日本は法治国であるなんということをよくお説教なさいますけれども、この国有地の場合には法律が全くない、無法地帯になっておる、こういうことでありますから、これを大急ぎでやるべきじゃないかと思うんです。  そこで私は、少なくともこれはまあいま、あした、あさって解決しろったって無理だと思いますが、少なくとも三年計画とか五年計画とか、やはり計画を立ててこの実態調査をする、そしてきちっと国有地として登記をするということが大蔵省の責任ではないかと思うんですが、その点、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の点はごもっともに存じますが、何さま北海道広い地域でございますので、実態を調査掌握いたします場合におきまして、政府といたしましては現実に開発が進んでまいりまして、現実の必要が生じた部分から調査を進めるというような手順で御要請にこたえてまいりたいと思います。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 大臣は、私が言っていることが筋通っているということは認められたけれども、実際問題としてはそういう申請なり何なりがあったときに現実的に処理したいと、こういうふうにおっしゃる。ところが、その現実的という問題ですけれども、そういうやり方をしていたからいまだに膨大な脱落地が残っているということなんです。とにかく、先ほどもお話あったけれども、三十七年から三年間調査をしてやっと三千ヘクタールくらいと、こういうことなんです。ところがいま、なおかつ八万ヘクタールぐらい残っておる、こういうことなんですから、この調子でやっていったら何十年かかるんだか見当もつかない、こういうことであります。  それでやっぱり、私の提案している趣旨は、そういうことではだめだから何年間かの計画、三年計画とか五年計画とかという、いわば計画的に調査をやるべきではないか。そのために必要な人員は確保してやればよろしい。大蔵省という大きな世帯の中でこの程度の仕事ができないということでは、私はこれはおかしいんじゃないかと思うんです。国有財産の調査すらできませんと、じゃ大蔵省は何をやっているんだ、こういうことになりますよ。そんな大蔵省だったら大して役に立たぬじゃないかということになりかねないと思うんですけれども、その点、大臣、もう一回どうですか、もうちょっと前向きにきちっと意見が出ませんか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 塚田さんのおっしゃることはよくわかるんです。で、大蔵省であるがゆえに経費と人員というのは効率的に使わにゃいかぬわけでございまして、何年計画で全道にわたってくまなく調べ上げるということも確かにそれはりっぱなことだし、そういうことは望ましいことでございますけれども、私どもといたしましては予算、人員を効率的に配分いたしまして、緊急性の高いものから漸次進めてまいるというようにいたすのが現実的ではないかと申し上げておるわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 緊急性の高いものからといったって、どうですか大臣、自分のうちの財産、自分の個人の財産だったら、自分の財産がどうなっているか知らないで平然としているという人は私はないと思うんです。もう一円のことまでやかましく考えられるのが普通の家計だと思うんですけれども、膨大な財産がそのままになっていて、おれはいいんだというふうな方はまずいないと思うんです。ところが、国有財産の場合にはそれが行われていると。そして余り緊急ではないんだみたいなお話というのはちょっと私にはよくわかりません。しかし、ここでいまそのことで抽象的な論議しても困りますから、これはよく考えていただいて、ひとつ可及的速やかに処理をするという方針を立てていただきたいと思うんです。これは注文だけしておきます。  最後に、時間もなくなりましたのでお聞きしたいんですが、こういう国有脱落地が、大蔵省、政府が毎年提出されます国有財産増減及び現在額総計算書というこの総計算書ですね、こういうものを拝見いたしましても全然載っていないのは、これはどういうわけですか。

吉岡孝行大蔵省理財局次長

○説明員(吉岡孝行君) ただいまおっしゃいました国有財産の増減及び現在額総計算書、これは国有財産法三十四条の規定により作成しているものでございます。それは国有財産として台帳に登録されているものについて、当該年度における増減及び現在額の決算の説明ということであります。したがいまして、御質問の国有脱落地というものにつきましては実態不明の土地であり、登記もされてないし、それから国有財産台帳にも登録されてないものでありますので、この国有財産法三十四条に基づく総計算書に含め御提出するということは不可能であるということであります。ただし、先ほど来申しておりますように、われわれとしてはこの脱落地の実態につきまして重点的にいま調査を進めておるわけであります。その調査の結果、実態が判明しましたものにつきましては、その都度新規登載として国有財産台帳に登録し、したがってその結果がこの国有財産増減及び現在額計算書の中に掲載されて報告されておるわけであります。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 ところが、いまそういう御答弁ですが、この総計算書というものはどういう性質のものか。いま三十四条のことをおっしゃいましたけれども、この説明書ですね、国会へ政府から提出されます財産の増減及び現在額に関する説明書、こういう説明書の中にはこういうことが書いてあります。  総計算書ですね、この総計算書の性格というものは、国有財産に関する決算書の性格を有する、国有財産に関する決算書だと、これは、この総計算書。こういうふうに説明がされておるんですね。そして同時に、この中にはいろいろ注がしてありまして、この計算書に載ってない部分、たとえば外国に所在する国有財産であるとかそういうものは省略をしているとか、あるいは都道府県に貸し付けた財産は計算書に計上してないとか、そういう説明書がついているんです。  ところが国有脱落地については一言も書いてないんです。なぜなんでしょうか。私はこれは当然、こういう説明書の中にいまのおっしゃったような説明があれば納得ができるんですけれども、それがないというのは私は不当だと思うんです。ですからこれは、今後こういう説明書に少なくともそういう記述があってしかるべきだと思いますが、その点どうでしょう。最後、時間来ましたので私は大臣にも、これはやっぱり決算のあり方についての問題でありますから、大臣の意見もお聞きしたいと思うんです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の点につきましては、私ども現在額総計算書というのは、すでに台帳に登載されておる国有財産の総計算書であるというように観念して、このように策定いたしたものと思うのでございまして、御指摘のように脱落地が計上されていないうらみがあることは、御指摘のとおりだと思うのでございまして、御指摘の点は確かに問題の一つだと思うのでございまして、今後どのようにいたしますか部内で一応検討さしていただきます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 じゃそういうことで、きょうは時間が来てしまいましたのであと次回に譲りますけれども、そこはひとつ、ぜひ大蔵省としてはこの問題は御検討を願いたいと思います。  終わります。     —————————————

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 委員の異動について御報告いたします。  ただいま茜ケ久保重光君が委員を辞任され、その補欠として小柳勇君が選任されました。     —————————————

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 それでは、予備費の使用につきまして二、三の点について質問したいと思います。  まず第一に、この災害復旧費の使い方の問題ですけれども、予備費の使用につきましては、昭和二十九年の四月十六日に閣議決定が行われております。その内容の主な点は、まず第一が、予備費の使用に当たって、その都度閣議決定によらないで大蔵大臣だけで決定できるいわゆる大蔵大臣指定経費について、第二点が、国会開会中の予備費の使用に関すること、第三点は、予備費を使用した金額のその目的の費途以外の使用の禁止、こういう点が決められたわけでありますけれども、その中で、国会開会中に予備費を使用する場合としまして次のことが挙げられております。  すなわち、「災害に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費。」このように書いてあるわけですけれども、この意味は、災害復旧費であるならば何でも国会開会中でも予備費を使用できるということなのか、それとも国会開会中に予備費を使う場合には、災害復旧のため一刻も早く予算措置を必要とし、補正予算で措置されるまで待っていては間に合わない緊急の場合に限るというのか、どちらか、政府の見解を聞きたいと思います。すなわちこの災害復旧費においても、緊急の場合であって、補正予算で措置をされるまで待っておっては間に合わないという条件がつくものかどうか、この点はいかがですか。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 災害の場合でございますと、いまお読みになりました、「その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費。」という場合がほとんどだろうと思います。その意味におきまして、災害の場合は国会開会中といえども使える。  その前提はもう先刻御承知だと思いますが、本来憲法の条文八十七条なり財政法の二十四条なりには、国会で議決をいただきました予備費につきましては内閣が責任を持って使うという制度になっておりますんで、本来はそういう意味で使えるわけなんでございますが、憲法の八十五条の国会の事前議決主義という原則がございますので、その点を考えて、二十九年に予備費の使用について行政府の方がそういう自粛をしておるという前提があるわけでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 四十九年度の中で、一般会計で予備費を使用した災害復旧関係費は四百三十八億円であります。予備費使用調書によりますと、その中で、四十九年五月二十九日から八月一日までの断続した豪雨及び台風八号、これは七月六日から八日の間に被害が出たものでありますけれども、これらによる災害の復旧関係費は九月七日に七件を初めとして、昭和五十年三月十八日までの間に七回にわたって予備費の使用を閣議決定しております。その中で問題になるのは、私は四十九年十二月二十四日に使用を閣議決定している分だと思います。  御承知のように、四十九年の十二月九日から二十五日まで第七十四臨時国会が開会されております。しかもこの臨時国会で、四十九年度の補正予算が十二月二十三日に成立をしておるわけであります。すなわち、この件について閣議決定をしたのは十二月二十四日ということは、補正予算成立の翌日であります。したがって、本来ならこの分はこの補正予算で措置できたはずではないかと思うのであります。それを補正予算によらずしてこの予備費の使用ということで閣議決定したのはどういう理由か。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 四十九年の補正予算の場合でございますが、十二月の十三日に国会へ提出いたしまして、成立いたしましたのが二十三日でございます。補正予算の内部作業でございますが、大体十一月の上中旬ごろに計数の内容なりその経費の緊要性なりを部内的に検討が大体了しておらないと、十二月の十三日に印刷物のかっこうで国会に出せないわけでございます。  他方、災害のタイミングでございますが、このいま御指摘の予備費を使用いたしました文部省の公立文教の災害復旧費でございますが、これは十月の十一日までの災害を拾い上げているわけです。そういたしますと、この災害の立会査定なりあるいは机上のいろんな調査、これを了しますのが、調べましたところ十二月の中旬になっておるわけでございます。そういたしますと、ただいま申しました補正予算の作業の日程と考えて、補正予算には間に合わないというような事情があったわけでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 補正予算の予算案を詰めるのが十一月の上中旬ごろ、それに間に合わぬ、それ以後その必要性が発生してきた、こういうお答えでありますけれども、そうしますと、四十九年の十一月十五日にも二件の災害復旧費の予備費の使用が閣議決定されております。この分は補正予算の中に組めなかったわけですか。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) ただいま御指摘の予備費は、災害の立会の検査旅費でございます。したがって、これは至急に支出せざるを得ないので支出したわけでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 それでは次に、国民健康保険の国庫負担金の支出についてお伺いをしますけれども、四十八年度には国民健康保険の国庫負担金の不足を補うため二百三億円を予備費から使用しております。このほかに国民健康保険事業に対する特別療養給付費補助金、これを二十五億円使用しておりますので、四十八年度の一般会計の予備費の使用総額四百六十八億円のうち約半分は国民健康保険関係に使われておるわけです。  予備費使用調書の説明によりますと、これは四十九年二月一日から診療報酬の改定があったから医療費が増加したためであるということでありますけれども、確かに四十八年度の場合は診療報酬改定のために療養費が異常に増加したと、こういう理由でやむを得なかったということも言えるかもわかりません。しかし、この経費の予備費使用は四十八年度だけではなくて、四十七年度にも九十八億円、さらに四十九年度にも八十七億円を使用しております。三カ年度にわたって毎年同じ経費に多額の予備費を使用しておるというのは、予見しがたい予算の不足とは認めがたいと思いますけれども、この点はいかがですか。

中野徹雄厚生大臣官房審議官

○説明員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおりに、四十七年から四十九年度まで、特に四十八年度におきましては、やや大きい金額の予備費の支出があることは事実でございます。ただ先生も御承知のとおりに、根っこが非常に膨大な国民健康保険の療養給付費補助金でございまして、医療費につきましてはいわば一種生き物みたいな感じがございまして、その年患者の方がどれぐらいの頻度で医療施設に通われるか、あるいは月のうち何日ぐらい医者に通われるかとか、あるいは一日当たりの金額が幾らになるかというふうな、多分に流動的な要素を医療費は持っております。  また、年によりましては、一回インフルエンザ等が流行いたしますと、そのために医療費の見積もりが大きく変わるということもございまして、そのような医療費をいかにして正確に予測するかということにつきましては、われわれといたしましてもいろいろと工夫をこらしておるわけでございますが、ただいままでのところは、やはり過去の経験的な値を延長いたしまして推計をするという手法以外に的確な方法を見出し得ない状況でございます。したがいまして、過去数年の傾向を延長して予算が積算されます関係から、やはり結果的にはその医療費の性質からある程度のぶれが出るということが出てまいるわけでございます。  なお今後、より正確に医療費の推計をいたすようにいろいろ工夫は重ねてまいりたいと存じますが、ただいままでのところは、その四十七、四十九につきましてはやむを得ないいわばぶれであったのではないか。四十八年につきましては、先生の御指摘のとおりに四十九年二月に医療費改定がございまして、この二月分、三月分について医療費改定の増の影響が予備費使用にお願いせざるを得ないことになった、こういう経緯でございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 一応やむを得ないというような説明でありますけれども、ただ、毎年かなり予備費の中の多額の部分が国民健康保険に使われるという事態は問題があると思うんです。したがって、予算の見積もりの仕方とかその他について検討の余地があると思うんですけれども、この点いかがですか。

中野徹雄厚生大臣官房審議官

○説明員(中野徹雄君) その点は、先生御指摘のとおりに、より正確に医療費の将来見積もりと申しますか、予算の積算のできますようにわれわれといたしましてはなお工夫を重ねてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 次に、今年度の予算の中にある公共事業等予備費の問題について若干お尋ねをしたいと思いますけれども、この性格についてはここで論議するつもりはありませんけれども、この予備費の使用基準についてお伺いをしたいと思います。  大蔵大臣は先国会の予算説明の演説の中で、「経済情勢の推移等に機動的に対処し得るように配慮」というふうに言っておられますけれども、もう少し具体的にどういうことを基準にして決めるのか。たとえば経済成長率とか物価とか、そういう目安はあるのかないのか、こういう点をお伺いしたいと思います。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 公共事業等予備費につきましては、先ほど大臣が申されましたように、その基本的な性格は予備費と全く同一でございます。予備費の場合には、予見しがたい予算の不足が生じた場合ということが憲法八十七条なり、財政法二十四条に書いてあるわけでございまして、公共事業等予備費の場合には、予算総則の十五条で範囲を規定しておりますが、公共事業等の経費にかかわる予見しがたい予算の不足が生じた場合ということになるわけでございます。  具体的にどういう場合かと申しますと、一つは災害が生じた場合、もう一つはその他の予見しがたい経済情勢の推移等が生じた場合ということになろうかと思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 災害の問題はともかくとしまして、予見しがたい経済情勢というのは一体どういうことを言うのか。たとえば不況が深刻になって恐慌状態になるとか、そういうことを言うわけですか。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 法解釈的に申しますとまさに予見しがたいわけでございますので、具体的には言えないと思うんでございます。  ただ、それはおかしいじゃないか、具体的に言えない説明というのは、それは理解できないということになれば、一つの場合はいま申されたような場合もあろうかと思いますが、大きな地震や大きな台風が来たような場合、そういうようなのが例示としては適当かと思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 地震とか台風とかというのは一つの災害ですから、これはわかりますけれども、経済情勢で予見しがたいという場合は一体どういう意味かということを聞いておるわけです。経済成長率は、政府の見通しでは五・六%ということを言っておりますけれども、たとえばその五・六%を予想しておったのが三%ぐらいになる、その場合には予見しがたい状態ということでこの予備費の使用が行われるのかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 非常に隔靴掻痒の説明になりますが、予備費の性格として、予見しがたい予算の不足が生じた場合と、したがって経済成長率とか、そういうようなものと結びつけて考えるのではなくて、個々具体的な経費について予算の不足が生ずるというところに着眼するのが妥当だと思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 そうすると、よほどの事態が生じない限りはこれは使わないということになるわけですね。大蔵大臣の演説の中の経済情勢の推移等に機動的に対処し得るよう配慮というニュアンスとちょっと違うと思うんですが……。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) ただいま申しましたように、経済情勢の推移等によって公共事業等にかかわる経費について予算の不足が生じますれば使うわけでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 公共事業等の予算の不足とかなんとか、言いますけれども、それは一つの計画のつくり方でどうにでもなるわけですね。だから、一応予算で決まっておるものが予測しがたいような不足を生ずるというようなことはどうして起こるんですか。たとえば道路にしろその他にしろ、これは一つの計画に基づいてやるわけですから、大幅にふやそうとか減らそうとかいうのは、これは計画ですからどうにでもなるわけですよ。一遍決めた計画はあるわけでして、それが不足するというのは、たとえば異常なインフレで物価が値上がりして、当初計画した工事が間に合わないとか、そういうよほど大きなことが起こらない限りは、いま説明されたような事態はないと思いますがね、災害の場合を除きまして。したがって、大蔵大臣の予算説明演説の中でのニュアンスは、もっと機動的に対処するということですから、たとえば経済の成長率が政府の予測より下回りそうだとか上回りそうだとか、そういうことによって予算の予備費を使うとか使わないとかいうことを決めるというようなニュアンスにとれるような文句ですけれども、いまの御説明ですと、そんなことじゃなくて、当初決めた公共事業はいまの予算では大幅に足りなくなると、そういうような事態というのはあんまりないと思うんですね。これはどうなんですか。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 大臣の御説明と決して違っておるわけではございませんので、経済情勢の推移に応じまして公共事業等にかかわる経費の予算の不足が生じた場合に、機動的に対処するということでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 もう少し具体的にわかるように説明願えないですか。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 具体的にと申しますと、経済見通しの何%とか、そういうものとかかわって説明すべき性格のものでないというふうに考えておりますが……。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 そうすると、どういう場合ですか、具体的にたとえば。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 経済情勢の推移によりまして公共事業等にかかわる経費に不足が生ずる、雇用の安定なり、景気の先行きなりについて公共事業の予算に不足が生ずる、公共事業を追加する必要があるという場合に機動的に使うことになると思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 そうすると、失業率とかそういうものも判断の要素になるわけですね。

加藤隆司大蔵省主計局次長

○説明員(加藤隆司君) 要しまするに、具体的にGNPだとか失業率だとか、そういうことによって観念するのではなくて、事前にあらかじめどういう場合であるかということを求められますと、ただいま申し上げましたような説明になろうかと思います。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 どうも不得要領でわかりにくい答弁だと思うんですがね。雇用の問題で予測、予見しがたいことが生ずるというのは、これは失業率とか、そういうことにかかわってくるわけです。あるいは特定の大きな企業がつぶれて特定の地域に大きな失業が出たとか、そういうことになるわけですか。ただ、国の経済全体として見たら、やっぱり成長率とか失業率とか物価とか、そういうものが判断の要素にならざるを得ないと思うんですけれども、特別の地域でそういう大きな災害的な出来事ができたとか、そういう事態を予想しているわけですか。あるいは国全体の景気とか、そういうもので判断するのですか、その点いかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) こういうように申し上げて御理解いただけないでしょうか。現在、公共事業でございますが、特に繰り上げるとかあるいは繰り下げるとかいうようなことはいたしておりませんで、普通景気の状況によりまして、上半期のものを下半期に繰り下げてみたり、あるいは下半期のものを上半期に繰り上げてみたり、よくいたすことは田渕さん御承知のとおりでございますが、ことしの場合におきましては、いまそういうこといたしておりません。それで、景気の状況によりまするが、景気の状況と申しますと、これに対して対応がいろいろあるわけでございまして、財政以外に対応の策もあると思います。金融で対応ができる場合、民間の設備投資が非常に活発になってまいりまして、それで十分対応ができる場合もあると思うんでございます。  でございますから、いま主計局の方からお話がありましたように、単に成長率がどうの、失業率がどうのということを物差しとしておるわけじゃなくて、事公共事業費を使うか使わないかという判断になってきた場合、大いに繰り上げて使ってもなおまだ足らないというような、つまり財政に対する期待が非常に大きい、また、財政以外にこの際切り抜ける適切な策が見当らないというような場合におきまして、そうしてその場合、公共事業費によってそれを担うことが適切だと判断した場合におきましては、今日のような状況でなくて、うんと繰り上げて使ってもなお足らないというような場合は、この公共事業等予備費の支出をお願いしなければならないというような感じでございますが、先ほど塚田先生からもお話がございましたけれども、いま私どもこういう繰り下げもしてないし、繰り上げもしてない普通の支出状況で足りているわけでございますので、そういうことはいま考えていませんというお答えをいたしたわけでございます。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 時間が来ましたので、最後に一言だけお伺いします。  ただいまの大蔵大臣の説明ですけれども、財政を繰り上げて使っても足りるとか足らぬとか、私が聞いたのは、その足りるとか足らぬとかいう判断はどこでするのかということをお伺いしているわけです。これで足りるとか、いまはこれで十分だと、その判断の根拠になるのは一体何なのかということです。  それから、ついでにもう一つやりますけれども、たとえば国鉄の運賃の値上げがなかなか通りそうにない、いままで延びてきた、これから先も通るかどうかわからぬというような状態ですけれども、もし国鉄の運賃が通らない場合、現在国鉄はかなり建設工事を削減しております。九月までに千四百億円の工事の削減をしておるということでありますけれども、これが少なからず景気の足を引っ張っておるとも言われておるわけで、また、関連業界にもかなりの影響が出ておりますし、さらに国鉄の将来の設備計画にも重大な影響を与えるだろうと思います。こういう場合に、たとえば国鉄の運賃が本年通らないとする場合に、この公共事業等予備費を国鉄の工事補助金として流用することも考えられるのかどうか、あわせてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(大平正芳君) 第一の場合、どういう場合に足るとか足らないとかいう判断があるのかという場合、それは先ほど主計局の方からもお話がありましたように、経済の安定が崩れるとか、あるいは雇用が大きく不安になるとか、何と申しますか、そういう場合、財政でそういう事態を是正する必要をこの程度やれば事態がタイドオーバーできるであろうというような想定でやるわけでございますので、経済界が非常に暗くなって何らかの措置をやる場合、経済界の措置だけでは足らないで、財政措置も必要であるということだろうと私は思うのであります。  それから、第二の場合の鉄道の場合につきましては、この公共事業等予備費は、鉄道の場合には使えないことになっておりますことは御案内のとおりでございまして、鉄道の場合は一日も早く運賃法の方をひとつ御心配いただいて、上げていただくのが一番、それ以外に道ないわけでございますので、それをお願いいたしたいと思うのでございます。で、この公共事業等予備費はもっとマクロの意味での話になろうと思います。

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより予備費関係十三件を一括して討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

大塚喬日本社会党

○大塚喬君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外、九件の承諮を求めるの件について、承諮せず、反対の意を表したいと思うものであります。  本来、予備費制度は憲法第八十七条で認められているとは言っても、これはあくまで予算制度の例外をなすものであり、例外である以上、それは最小限にとどまるべきものであります。  ところが、最近の政府の姿勢は、予備費の計上枠を年々拡大し、予算制度の空洞化を図っており、財政民主主義のたてまえを尊重するわが党はとうてい容認できないものであります。  今回議題となった、足かけ三カ年度にわたる予備費の内容を見ましても、たとえば、四十八年度の(その2)では、インフレの後追いのために、多額の予備費の支出を余儀なくされたもので、いまさらのように、政府の財政運営の失敗を物語るものでありまして、ずさんな財政執行に憤りを覚えるものであります。  次に、総理の外遊のための支出が多い点も一つの問題であります。特に四十九年度予備費における田中前総理のビルマ等の訪問は、田中金脈問題が表面化し、外遊よりも国民の声は、田中氏に金脈についての釈明を要求したにもかかわらず、あえて世論の反対を押し切って強行し、訪問国でも国民の対日感情の悪化を醸成し、かえって日本のためにはならなかったものでありました。  次に、五十年度の予備費については、サリドマイド被害者に対する賠償が含まれておりますが、これも政府の対処がおくれたためであり、より迅速な対応があれば、これほど多くの被害者を出さずに済んだものと思われ、改めて政府の責任が問われます問題であります。  同じ予備費から宅地開発公団の出資金五億円が支出されておりますが、同公団の設立に伴うその他の経費は予算に計上されているのに、肝心な出資金を予備費で使用するというのは、まさに国会で公団設立の法案が成立したこと自体が予見しがたかったことになり、このようないいかげんな予備費の支出は、厳に、戒むべきものと思うのであります。  その他まだまだ問題はありますが、予備費制度本来の予見しがたい予算の不足に充てるという大原則が守られているとは言えない事例が散見されるのであります。  さらに、政府の予備費の承諾に関する件の国会への提出方について問題を指摘しておきたいと思います。  今日、足かけ三カ年度にもわたる予備費が審査未了となった原因の一端は、政府の国会への提出方法にあると思うのであります。財政法上、なるほど次の常会において国会に提出するとなっているので、前に審査未了になったものをあわせて一括この間の通常国会に提出されたのでありますが、この財政法上の条文は、内閣が最初に予備費について国会の承諾を求めるために提出する場合を規定しているのであって、それが諸般の情勢から審査未了となった場合には、その後開かれる臨時国会に再提出して、速やかに国会の意思を問うのが、国会を尊重する政府の態度ではないかと思うのであります。  以上のような理由から、予備費関係十件については反対するものであります。  なお、国庫債務負担行為三件は、災害関係のものでありますので、賛成をいたします。  以上で私の討論を終わりといたします。

青井政美自由民主党

○青井政美君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書の承諾を求めるの件及び国庫債務負担行為に関しまして、賛成の意をあらわすものであります。  まず、予備費の使用状況を見ますと、例年のように公共施設、河川等の災害復旧事業や国内米の買い入れのための使用が大きなウエートを占めておりますが、これらはいずれも予備費の使用によらなければ対処しがたいものと認められる緊急経費であり、おおむね適正妥当なものだと思うのでございます。  次に、オイルショック以後における経済情勢に顧みまして、生活安定等のため種々の緊急処置がとられたことも、時宜にかなった予備費の使用であると思うのであります。たとえば、生活保護を受けている人々や社会福祉施設収容者等に対し特別一時金を交付するための支払いとか、福祉年金等の受給者に対して緊急生活資金給付金を交付するための支出がこれでございます。  また、建築費の上昇に対処しまして、公立学校の施設、社会福祉施設等の整備事業において、建築単価において特別加算を認め、事業施行の円滑化を図ったことも、また適切な予備費使用と言わねばなりません。  予備費使用につきましては、これが一つ一つ事前に国会の議決を経ないものでありますので、今日のような赤字財政の折には、特にその執行については慎重を期するとともに、必要と思われるものは迅速かつ効率的に使われるよう、政府に要望するものであります。  なお、国庫債務負担行為については、四十九年度から経済動向に対処し、負担行為の限度額を大幅に引き上げ、災害復旧のため、直轄事業や補助事業について使用決定をしておりますが、いずれも妥当なものと認められるので、異議はありません。  以上、要望を申し添えまして、私の賛成討論を終わります。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました十三件の案件のうち、昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件、昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件の以上十件の予備費関係の承諾を求める案件については、不承諾の意を表明し、国庫債務負担行為関係三件については、異議がないと議決することに賛成するものであります。  御承知のように、予備費は、予見しがたい予算の不足に充てるため、憲法並びに財政法によって認められているものであって、これは予算原則の例外をなすものであります。したがって、その使用について、行政府の任意に任せられているだけに、厳正なるルールに従うべきであることは論をまたないところであります。  予備費の使用については、昭和二十九年四月十六日に閣議決定がなされておりますが、その第三項に「災害に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費。」とあります。すなわち予備費は、災害等の緊急かつやむを得ない経費の支出に際し迅速に支出されなければならないのであります。しかるに実際には、予備費中の重要な部分を占めるこの災害関係の支出を見ますと、災害発生から半年近くもたたないと支出されなかったもの、また閣議決定がなされても、支出されることなく翌年度へ繰り越しを生じたものもあるのであります。年度内に必要であるからこそ予備費が充当されるのに、このように非能率かつ非効率な予備費の使用については、どうしても承諾できないのであります。  特に、社会福祉関係施設の災害に関して具体的な一例を挙げますと、昭和四十九年七月六日の台風第八号によって長島愛生園と光明園という二カ所の国立らい療養所がかなり大きな被害を受けたのでありますが、その予備費使用の閣議決定が十二月二十四日であり、支出されるまでには七カ月も要したのであります。このことは、予備費使用の閣議決定が全くの机上の空論であるというだけでなく、社会福祉に対する政府の姿勢を疑わざるを得ないのであります。  この事例に見られますように、重要な福祉問題を軽視した政府による機動性、弾力性に欠ける予備費の使用については納得できないものがあり、ここに不承諾の意を表明して、予備費関係についての私の反対討論を終わります。

加藤進日本共産党

○加藤進君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)など十件の承諾を求める件について、諾否の態度を明らかにしたいと思います。  これらのうち、昭和四十八年度特別会計予算総則第九条に基づく経費増額総調書及び経費増額調書、昭和四十九年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、昭和五十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、以上三件については承諾、その他の七件については不承諾の意を表明いたします。  さきの三件は、給与増額費、災害復旧事業費、社会保障関係費、米麦買い入れの経費などをその主な内容としており、その中には、給与増額と抱き合わせに合理化という名目で労働者に労働強化を強いるなど、あるいは、予備費としてではなく、本来当初予算として計上し、国会の審議を受けるべき点など、問題もありますが、国民にとって必要なものと判断して承諾いたします。  なお、雇用調整給付金の支払いに一部不当なものがあったことが問題になっておりますが、この際、予備費の厳正な運用を強く要望しておきます。  あとの七件を不承諾とする理由は、その中に、国民にとって絶対容認することができない政策経費が計上されているからであります。  たとえば、田中前総理の東南アジア諸国訪問は、日本の企業進出で大きな被害を受けている東南アジア諸国の対日不信の解消が最大の目的であり、メキシコ、ブラジルなど西半球訪問は、資源の確保が目的であり、いずれも日本の独占資本の海外進出の水先案内的な役割りを果たしたものであります。  三木総理の訪米について言えば、この訪米はベトナムでアメリカが敗北し、その後のアジアの情勢、とりわけ韓国問題がその焦点となって、朝鮮半島の平和維持は日本を含む東南アジアの平和と安全にも必要という名のもとに、日本をアメリカの軍事政策にさらに深く組み込ませる結果になったものであります。また、外国為替差損も、アメリカのドル防衛政策に追随した結果起きたものであります。こうした独占資本本位の経費、アメリカの軍事、経済政策に協力する経費については断じて認めることはできません。  さらに、国総法に基づく大企業本位の事業経費、日本の独占資本のアジア進出を意図とするアジア開発銀行出資金、その支払いの大部分が大企業向けである租税還付加算金などの経費を認めることができません。  その他、フォード大統領来日に際しての経費、非民主的、非科学的な原子力行政を温存する日本分析センター設立の経費、天皇を事実上の元首とすることを図る訪米費、佐藤榮作氏の葬儀経費、炭鉱管理促進費なども承認できないものであります。  最後に、予備費制度の運用について一言申し添えておきます。  従来より、わが党は、予備費制度の運用について、当初は予見しがたい、必要不可欠のものに限定するよう政府に要求してまいりました。このことは大蔵省自身みずから発行した昭和財政史の中で、軍事費に比例して拡大されていった戦前の予備費運用について反省しているところであります。ところが政府は、こうした教訓から学ぼうとせず、年々予備費の拡大を図り、政策的支出を繰り返しています。これは財政民主主義を破壊し、国会の審議権を不当に狭めるものであります。このような不当な予備費の運用は速やかに改めるよう強く要求いたしまして、予備費関係十件に関する討論といたします。

田渕哲也民社党

○田渕哲也君 私は、民社党を代表して、昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外九件の予備費関係について承諾を求める件につきましては、承諾できないことを表明するものであります。  申すまでもなく、本来国の財政を処理するには国会の議決に基づいて行われるべきものであり、国費の支出は事前に国会で審議し、その議決に基づいて行うことが大原則であります。予備費の使用は、この原則の例外として政府の裁量に任せられた権限であります。したがって、予備費の使用について、憲法、財政法に定められた「予見し難い予算の不足に充てるため」という予見しがたい場合については、厳しく制限されるべきであります。しかるに政府は、年々予備費を拡大しており、その上その使用の内容を見ますと、予備費の性格から逸脱しているのではないかと疑問に思われるものが目立つのははなはだ遺憾なことであります。  たとえば、国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補うための経費は、四十七年度に九十八億円、四十八年度には二百三億円、四十九年度にも八十七億円と、いずれも予備費を使用しております。このように同じ経費の不足について毎年予備費を使用することは、予見しがたい予算の不足とはとうてい言いがたく、当然予算に計上されるべきものであります。  また、四十九年度の災害復旧費の中には、五月から八月にかけて起こった災害の復旧関係費を十二月に補正予算が成立した翌日に使用の閣議決定を行っているものが七件もありますが、これらは当然、そのときの補正予算で措置するよう努力すべきではないかと思うのであります。  つまり予備費使用の中には、当初予算や、あるいは補正予算として国会の議決を求めるべきものを予備費から支出し、その事後承諾を求めているものが多くあるということであり、このような放漫な財政処理が許されてよいはずはなく、承諾を与えることはできません。これは明らかに行政権の行き過ぎであり、また、国会の審議権を侵すものと断定せざるを得ません。この点から見て予備費関係については反対するものであります。  なお、国庫債務負担行為関係三件については、おおむね妥当として賛成するものであります。  以上で私の討論を終わります。

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和四十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和四十八年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、昭和四十九年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、昭和四十九年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書、昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上七件を一括して問題に供します。  これら七件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 多数と認めます。よって、これら七件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和四十八年度特別会計予算総則第九条に基づく経費増額総調書及び経費増額調書、昭和四十九年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、昭年五十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、以上三件を一括して問題に供します。  これら三件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 多数と認めます。よって、これら三件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和四十八年度一般会計国庫債務負担行為総調書、昭和四十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書、昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)、以上三件を一括して問題に供します。  これら三件について異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 全会一致と認めます。よって、これら三件は全会一致をもって異議がないと議決されました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべきこれら案件の報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木力日本社会党

○委員長(鈴木力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十分散会

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