決算委員会 第3号
- 発言数
- 337 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1976/01/22
会議録
○委員長(瀬谷英行君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る一月十九日、野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君が、また、昨二十一日黒柳明君が委員を辞任され、その補欠として田代富士男君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(瀬谷英行君) 次に、昭和四十八年度決算外二件を議題とし、本日は総括質疑第二回を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○案納勝君 私は、本日は国鉄の再建問題をめぐる諸問題について、関係の当局の皆さんにその所見をお伺いしたいと思います。 まず第一に運輸大臣にお伺いしますが、まず基本的な考え方を明らかにしていただきたいのであります。インフレと不況の深化する中で、今日国民生活が窮迫をしてきていることは皆さんよく御存じのところであります。十一月の倒産は千三百件を超えています。失業者は御案内のとおり公式で百万、実質で二百万を超えようとしております。雇用状況がますます悪化をいたしております。一方、言われるように物価については一応二けた台を割ったとはいいながら依然として預金金利を上回るという現状は続いています。その結果、今日まで国民の生活の中における格差は拡大し、不公正はさらに拡大をいたしています。そのことは運輸大臣もよく御存じのとおりであります。 このような中で本年度の予算編成が行われ、この予算編成の中で特に目新しいものというのは不況対策としての大型プロジェクトによる公共投資であります。しかし、この陰に社会保障の圧縮や大幅減税の見送りや、あるいは七兆三千億に上る赤字国債の発行、さらには問題のある公共料金の引き上げなど、国民生活の犠牲を強いています。 こういう中で国民が最も唖然として、憤りを持って受けとめているのが公共料金の引き上げであり、なかんずく国鉄運賃の五〇%以上に上る、しかも二年連続して引き上げるという、その中で収支を均衡させるという国鉄再建問題であります。四十九年以来まさにこれは連続して三年であります。国民の負担は限度があります。この二十年間しかも最高の値上げであります。いま政府が言う、今日まで政府が再三答弁をしてきた物価政策の一環としての公共料金の抑制という政策のかけらも全くありません。この値上げは、いまおさまりつつある今日の、あるいはそのように言われている物価高に、インフレに火をつけるようなものだと言っても過言でありません。すでに私鉄運賃についても、すでに私鉄経営者からはさらに運賃値上げについて申請を出す動きが報ぜられております。私に言わせるなら、まさに国民生活破壊につながる、無謀と言っていいほどの措置ではないかと考えるのであります。これが果たして国民の合意が得られるのか。協力が得られると考えられているのか。このような措置がいま三木内閣、自民党の政治の姿勢なのか。大臣はどのようにお考えになっておるのか。この辺について、まず基本的に御意見を、御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄の財政の再建でございますが、案納委員も御承知のように、昭和三十九年、いまから十二年ほど前になりますが、以来毎年毎年の国鉄の経営は、常に赤字経営ということを十年以上続けてまいっておるわけでございます。その結果、五十年度末におきましては、今日までの累積のいわゆる借金、債務約七兆あるのでございますが、その中でこうした十年間の毎年の収支の赤字を埋めるための借金が約三兆一千億になっておるわけでございます。その間、二回にわたりまして再建の十ヵ年計画等も立てたわけでございますけれども、これが思うように、計画どおり進んでこなかった。そういう十年内外の間の経緯があるわけでございます。 そこで、このまま国鉄の経営を続けていくということはもはやとうてい不可能である。普通の企業でございますというと、すでに倒産をしてしまっておるというふうな状況であると言っても言い過ぎではないほど国鉄の経営は危殆に瀕しておるわけでございます。そういう事態を踏まえまして、国鉄が国民の基本的な交通手段でありますし、また国民に対する交通の利便を提供する最終的な責任を持つ交通機関としての国鉄というものは、どうしても健全な経営に立ち直らさなければ国民の要請にこたえることはできないという観点から、五十一年度を目途といたしまして、この際思い切った再建を考えようと。で、過去再建計画において挫折をいたしました原因もいろいろ考えまして、今回はそういうことのないように、策を立てた以上は、これが本当に実行できるようにしていかなければならない。 こういった基本的な考え方で、さてしからばこのような破局的な状況にあります国鉄の経営をどうやって再建するかということでございますが、もうすでに申し上げましたような膨大な赤字を抱えておりますので、これを五年とか十年とかいう長い将来にわたって再建を立てていくということでは、とうてい国鉄の自立経営というものはできなくなる。そういうことから、この際はおおむね二年を目途にいたしまして、三年目からは自立経営ができるように国鉄の財政の基礎を固めていこうというのが基本的な考えでございます。 そこで、その基本的な考え方に立ちまして、どういうふうにして財政上の再建をやるかということで、いろいろ今日まで、特に五十一年度の予算編成を前にいたしまして、昨年来検討をいたしたわけでございますが、その結果、従来の国鉄の再建方策につきましても、やはり一つは政府の助成、それから一つは利用者に負担をしていただく、一つは国鉄内部において経営の合理化をやる、この三つの柱が常に再建の三本柱になっておるわけでございますが、これはやはり交通機関であり、また公共性の高い国有鉄道というものの財政的な再建を考えます場合には、やはりこの三本の柱が基礎でなければならないということには変わりがないわけでございます。 そこで、この三本の柱をどういう割合で組み合わせて再建するかということでございますが、今回五十一年、五十二年の二年間において再建でき得るような経営状態にもっていきますためには国の助成も相当思い切ってやらなければなりませんし、また従来やってまいりました国鉄内部の経営の合理化もさらに一層合理化を進めていかなければなりませんし、また利用者にも応分の負担をしてもらわなければならないということで、この三本の柱を基礎にしたのでございますが、その中で過去二回にわたる再建計画が途中で崩れました原因として、一番私はやはり大きい原因は、運賃改定が何としても交通企業の財政収支の収入の本体をなすわけでございますが、この運賃収入のための運賃改定が適時適切に計画どおり行われていなかった、これがその年その年の国鉄の赤字を生んだ原因の一番大きなものである。 その次にやはり毎年の、ことに過去の高度の経済成長の中で人件費が非常に増加したこと、あるいは物件費、その他も増加してきた。これらが大きな原因であったわけでございますので、それらを考えますときに、この際はひとつ運賃においても利用者に相当負担をしていただこうと。実はこの運賃問題につきましては他の公共料金、その他の関連等もいろいろ研究をいたしたのでございますが、まず運賃の説明を申し上げます前に、政府の助成の考え方を今回大幅に変えたわけでございまして、七兆円の中で三兆円の、過去の十カ年余の赤字の穴埋めの三兆一千億という中で、特に赤字の穴埋めに用いられます三兆円近くの二兆五千億余りの金は、これはやはり政府がたな上げの形で持ってやろうということでたな上げの方法をとったわけでございます。 それから国鉄の経営の合理化については一層促進をやっていただく、ことに人員の合理化等につきましては、ただ単に整理をする、首を切るということではなくて、いろいろな方法によって五年間に約五万人の合理化を行おうということのほかに、やはり収入の一番の根幹をなします運賃を、この際相当程度利用者に負担をしていただこうということで、五十一年度はさしあたって名目五〇%の運賃改定をお願いをして、そうして健全経営の計画の第一年をここから始めていこうという基本的な構想のもとに予算を編成をし、近く関係の法案も御審議をいただくという考え方になっておるわけでございます。
○案納勝君 大臣ね、私の質問した要点を簡潔に答弁をしていただければ結構なんであります。したがって、答弁もそういう意味で答弁していただきたい。 私が先ほど基本問題の質問をしたのは、今日の経済状態に置かれている国民生活から考えた場合に、まさに五〇%、しかも二年間連続、言うならば四十九年から三年連続の今日のこの運賃値上げの問題について、国民生活に及ぼす影響について、大臣はどのように考えてこれらの問題についての措置を提案されているのか、考えられているのか、こういうふうにお聞きをしているのです。これは後ほど機会のあるときに再度答弁いただきたいのですが、いま大臣から今回の再建要綱なるものについての大枠について説明がありました。大臣はいまるる説明をされましたが、国鉄総裁及び大臣から提起をされている国鉄再建要綱なるもので果たして本気になって再建ができるというふうに考えられているのか。いま説明をされました。確かに過去二回にわたって四十四年と四十八年に再建計画が提示をされた。四十四年については四年間で中途でパーになり、四十八年についてはもはや一年もたずして事実上パーになった、そして三十二年から膨大な赤手経営だと、こう言われています。 国鉄総裁にもお尋ねをいたしますが、今日これだけの膨大な長期負債、累積赤字をつくり上げてきた最大の原因は、いま大臣が言われたように、単に運賃改定が、収支の本体をなすのが計画どおりいかなかった、こういうことだけではないはずであります。いま国鉄経営の最大の赤字の要因はどこにあるのか、端的にお答えをいただきたいのであります。そして運輸大臣も国鉄総裁もここにある簡単な中身の再建案で、果たして国鉄の今日置かれている実情の中から再建できると本気に考えられているのか、まずそこあたりを端的に、しかも明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(井上邦之君) 総裁が本日参りまして答弁いたす手はずにいたしておりましたけれども、ちょっとかぜをこじらせまして、私副総裁でございます、かわりましてお答え申し上げます。 ただいま先生のお尋ねの国鉄の現在こうむっておる莫大な赤字なり債務、その根本的な原因は何かと、こういうお尋ねでございます。この根本の原因と申しますと、やはり一番大きな原因は、運賃が物価政策その他の国の政策の関係もありまして、長年低位に抑えられてきたということはこれはやっぱり大きな原因であろうと思います。昭和十一年の物価を基準にして考えてみましても、大体物価がもう九百倍を超えておる、千倍近くくらいになっておる、また生活必需品の最たるものである米でさえ千三百倍を超えておるはずであります。ところが国鉄の運賃は例を旅客運賃にとってみましても、現在のところはまだ三百二十七倍でございまして、やはりこれほど低位に置かれておるということは大きな原因であるということは否めない事実であろうと思います。 そのほかに、運賃だけの問題ではございませんので、国鉄は現在二万二千キロぐらいの営業キロを経営いたしておりますが、そのうちの半分近く、私ども地方交通線ということで経理的には別に考えて運営いたしてまいっておりますが、この地方交通線は、これまで運賃値上げをお願いいたしましたけれども、運賃値上げをやってもなおかつ赤字が増大してくるという線区でありまして、これはもはや独立採算制にはなじまない線区であると、あとの半分、幹線系はこれはまあ運賃値上げをやっていただければ採算がとれる、その都度採算がとれてきておる線区でありまして、体質的にそういう独立採算制になじむ線区となじまない線区を抱えておるという、そこにも一つの原因はあろうかと思います。 それから三番目の原因といたしましては、過去十年間の高度成長の線に沿いまして経済は急激に発展いたしてまいりました。その間経済情勢の変化、立地条件の変化、まあそういうような経済構造の変化と申しますか、そういうこと、それからそれにつれて鉄道以外の他の運輸機関が急激に発展してまいった、こういうような事実の中で国鉄の貨物輸送は遺憾ながら輸送の伸び悩みの現象があらわれてまいった、こういうことも三つ目の原因として考えられようかと思います。それから三つの原因によって生じてきた収支の不足、それを今日まで借入金で賄ってこざるを得なかった、それに伴ってくる莫大な債務、したがってまた利子の支払いも莫大になってくる、こういうようなことがお互いに競合し合い、錯綜し合いながら今日の国鉄の財政の破綻と申しますか非常な危機というものを招来いたしておる、かように考える次第でございます。
○案納勝君 私はいま副総裁から答弁をされましたが、まだ本当に副総裁として国鉄の置かれている現状についてえぐった物の見方あるいは説明がされてないというふうに私は受け取らざるを得ないのであります。たとえば今日までの国鉄の建設計画等における事実上の借金経営、長期借り入れ、この累積赤字とあわせて問題になっている長期負債というのは、いま言われた単にこの三つの要因だけではなくして、長年その置かれておる国鉄の性格からしても、国からの助成がなくて、みずからの借金経営によって行ってきている公共投資の部分について副総裁はどういうふうにお考えになっているのか、この点をもう一回重ねてお聞きします。
○説明員(井上邦之君) 先ほど大臣の御答弁の中にもございましたが、現在国鉄が抱えております債務は五十年度末で推算いたしてみましても六兆八千億ほどございますが、この債務の中身は三兆一千億円が赤字による負債であります。その残りが投資という面に向けられておるわけでございますが、その投資はなるほど公共投資ではございます、公共投資もかなりの部分を占めておりますが、それだけとも言えません。やはり国鉄の重要な資産を形成しておる、またその中で特に言えますことは、東海道、山陽の新幹線の建設、そういったふうにかなりの収益を生んでおる、そういうふうな資産も構成しておるわけでございまして、全部が全部公共的な投資であって余り利益を生まない資産であるというふうには言い切れないと思います。かなりの部分はやはりそれから収益を得る資産を形成しておる、かように考えておるわけでございます。
○案納勝君 私はそれではもう一回お尋ねしますが、副総裁、あなたはいま置かれているようなこの赤字の原因、そして国鉄の現状から言って、この二年間で五〇%の——ということは五十一年度国鉄の収支を料金を上げないで考えた場合には一兆八千億程度、この中で赤が一兆三千五百億程度に想定をされる。現実にそういう中で六月から値上げをして五千億程度の調達を行い、二年目ではまた約五千億程度を五十二年の値上げで行うというのが、実は今回の再建要綱の考え方の中心をなしていると私は理解をします。こうなりますと、いま置かれている赤字の、しかも政府の今回出されておる助成の内容から見ても、この二年間で収支は均衡して、そしてその後においては国鉄再建は軌道に乗るというふうにいま説明をされた内容から引き伸ばしていってお考えになっておるのか。本当にそう本気にお考えになっておられますか、この点もう一回重ねてお尋ねします。
○説明員(井上邦之君) 問題になりますのはやはり運賃値上げを実現さしていただくということが根本になると思います。五十一年度におきまして名目五〇%、実収三七%、これはぜひともひとつ運賃値上げをお認めいただかなければ再建の足がかりがつかめません。で、さらに五十二年度におきましても、まあ五〇%まではいかないと思いますけれども、かなりな運賃値上げはやはりお願いしなくちゃなりませんし、同時にまた今度新しい考えのもとに政府助成の考え方が打ち出されてまいりましたが、その考え方も五十二年度以降やはり実施していただくと、こういうことを考えますと、もし五十二年度も運賃値上げをお認めいただくならば収支はゼロになるという計算は出てまいりますし、それ以後の問題につきましては、物価の変動が著しいものがあるという場合にはこれはまた運賃値上げをお願いしなくちゃなりませんけれども、物価変動にそう著しいものがないということであれば、物価変動に変化のない期間は運賃値上げをお願いしなくてもやっていけるという自信は持っております。
○案納勝君 いま副総裁から説明ありましたが、今回の政府措置についても六兆八千億に上る借金のうちで約二兆四千億円については政府は肩がわりしましょう、こう言っているわけですね。ところが依然として四兆四千億に上る借金は続いていくわけですね。あわせてローカルの問題、いま指摘の貨物の問題、私は後ほど若干これらについて触れたいと思いますが、こういう問題については依然として解決のめどが、具体策というのが提示をされていません。いま副総裁が言われる五〇%の第一年、今年度の料金の値上げ、来年度の料金値上げ、これは五〇%までいかなくてもと、こう言っておられます。しかしそれで当面は糊塗されても、その先の青写真というのはどういうふうになっているんですか。いま国鉄が抱えている六兆八千億、そしてあわして累積赤字について膨大な数字になっている三兆一千億と言われる累積赤字について、言われるところの二千四百億については政府はたな上げをしたけれども、その後は依然として借金経営が続いていくということになるんじゃないんですか。営業関係については収支は一応均衡を保ちました。しかしその先はどうするのかということは青写真として明らかにされていませんが、これらについては副総裁はどのようにお考えになっておられますか。
○説明員(井上邦之君) 鉄道に限らず、すべて企業というものは生産物から得ますところの収入がやはり経営の基本になるはずでございまして、国鉄の場合にも基本的な収入としてはやはり運賃を考えていかなくちゃならぬと、かように考えます。で、先生御指摘の負債の問題はそれは残りますけれども、それらを計算して不足する部分を運賃で賄うということで五十二年度の運賃値上げもお願いしようとしておるわけでございますので、五十二年度で収支の差がゼロになる、収支とんとんになるという状態が出現いたしますならば、その後は物価に著しい変動がなければ運賃値上げをそうお願いしなくてもやっていけると、さように申しておるわけでございます。
○案納勝君 これは四十九年度の日本国有鉄道監査報告書です。この中に国鉄の「「新しい計画」のために」という提起がなされています。いま副総裁が答弁をされましたが、私は口先のごまかしのようにしか受け取れない。この中では将来にわたって国鉄財政の均衡を確保するため国において各種の公共負担の是正、運賃改定の抑制に伴う補償、地方交通機関——ローカル線ですね——の維持運営に伴う構造的赤字に対する助成、設備投資資金など、新しい観点からのこれらについての国の措置、これらがなされなければ抜本的国鉄の再建はできないと、こう指摘をしているのであります。そしてあわせてこの監査報告の中に、諸外国における、西ドイツ、フランス、アメリカ、その他の同じような国有鉄道の置かれている現状からとられている措置について国や国鉄当局に対して一定の提言をなしているのであります。いままで副総裁や運輸大臣から答弁をされたこれらの問題について本質的な解決策というのはひとつも実はうかがうことはできません。本気になって運輸大臣はこれで国鉄の問題については解決をしますというふうに考えられているのかどうか、私は疑問を持たざるを得ない。 もう一回重ねてお尋ねしますが、国鉄諮問委員会の委員である木内さんがある新聞紙上に国鉄藤井総裁の諮問に答えて国鉄再建問題について見解を述べられています。この中では公共負担についての政府の補償、ローカル線から発生する政府の補償、借金を政府が肩がわりをしていく、ガラス張りの国鉄の経営、スト権の問題、こういう問題について本質的な改革や改善がなされないままに、今回とられているような小手先だけではまさに国鉄の再建はできない、ここに提案されている、いま説明をされた三十一日の閣議で決定したという国鉄再建要綱なるものについては枝葉末節にすぎないと指摘をされているじゃありませんか。この再建要綱の中に、大臣が国鉄問題について国鉄再建問題懇談会等についての意見を今日まで聴取されて、これらの意見の内容についてどれだけ取り入れられていますか。私がもう一回お尋ねするのは、国鉄諮問委員会の委員の木内さんすらこのような指摘をしていることについて、副総裁、運輸大臣はどのように受けとめられているのか、もう一回端的に答弁いただきたい。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄再建の基本に触れるいろいろな委員会や懇談会からの意見は拝聴をいたし、それなりに十分検討いたしておるわけでございます。ことにいま御指摘になりました、私がやっておりました再建問題懇談会の意見等は貴重な意見がたくさん出されておりまして、今回の再建方策の中にはかなりたくさんその意見を織り込んで再建策を立てておるわけでございます。 なお今回の再建対策というものは、決してわれわれは小手先や末梢的なものであるとは考えておりませんので、これこそが本当に基本的な再建の方策であると、こういう考えのもとにこの再建策を立てておるわけでございます。
○説明員(井上邦之君) 木内委員の御意見は私どももまことに貴重な御意見として拝承いたしておりますし、またその線に沿ってあらゆる努力を傾けたつもりでおります。ただ何分にも木内先生の御意見をそのとおりに実施いたしますとなると、かなり国の助成というものも額として莫大なものになりますし、国家財政の非常に苦しい折からもありまして、木内先生の御意見どおりにはまいらなかったということには結果的になっておりますけれども、御意見の趣旨は今度の再建対策要綱の中にはかなり生かされておると、まあ私どもは考えております。
○案納勝君 それでは私は一、二お伺いしますが、たとえば再建計画の中に合理化問題等が出ております。人員増ゼロという合理化である。これは私は去る六月国鉄から出された「国鉄の実情を訴える」というパンフレットを読ましてもらいました。この中では国鉄当局自身がきわめて今日の国鉄労働者の生産性は高い点を挙げています。昭和二十四年に比べて四十八年度は二・七倍の輸送量と、四十七万人から四十三万人に人員削減を行ってきている。職員一人当たり輸送量は、二十四年に比べて四十八年は三倍に達している。業務量ではイギリスの三倍、西ドイツの二倍、フランスの一・五倍と指摘をしている。さらには営業距離当たり年間輸送量を比較した場合に、欧米列国の国鉄の三倍から四倍と、こういう状態に今日の国鉄の職員の生産性は上がり、新幹線の岡山から博多の開業に伴って必要な五千名も、全国の管理局や工場などから近代化、合理化によって生み出されて転勤をしてきた。もう限界です。こういうふうに、これ以上働いている労働者を減らすことができないということを指摘をしているのであります。 そこで、みずからこのことを明らかにしてきながら、今回は人員増はゼロです。予想される上越新幹線あるいは東北新幹線の開業予定等に伴うこれらの要員増や、必要な人員についてはどこから捻出しようとしているのか。四十四年の再建計画あるいは四十八年の十兆五千億に上る再建計画を見ても、これは二年途中で、中途半端で挫折したにもかかわらず、合理化計画はどんどん進んできたのが現状じゃありませんか。一体どうするのか。言葉の上ではこういう言葉が出ています、ここで出されているような内容が。しかし現実の問題としてどう処置をしようとしているのか、明らかにしていただきたいのであります。 またローカル線の問題を運輸大臣等が指摘をされています。しかし、この国鉄の出された再建要綱の中に、ローカル線等について国の積極的な支援のもとにその取り扱い方法を検討すると、撤廃等についての取り扱いを検討すると、こう言われている。しかし国鉄は国の、政府の支援を要請しているが、その反面、果たしてそういったことができるかというふうに考えておられるのか。現在、鉄建公団ですでに建設にかかっているのは三十一路線、約千三百キロにわたる工事をいま進めているはずであります。ここで油須原の地方ローカル線がいま建設をされ、ほぼ完成をしていますね。私は福岡出身ですから、鉄建公団が建設している油須原線というのは実情をよくわかっております。しかし、この油須原線が現実に動き出したときに、果たしてそれは収支の均衡がなされるんですか。いま三十一路線、一千三百キロの鉄建小団の工事は、すべてが赤字路線と言っても言い過ぎではないじゃないですか。こういう問題をどう解決しようとするのか。鉄建公団のあり方を改める、ローカル線については、まさに国民の公的輸送機関としての国鉄のあり方から、国が責任をもって収支の均衡を図る、援助をしていく、一切赤字をなくしていくという具体的な筋道が立たなければ、片方では国鉄に対して赤字の克服を強要し、合理化を強要し、片方ではどんどん赤字路線をつくっていくというやり方で、果たして今回のこの提起のされたやつで一、二とらえてみても再建の方策が出てくるでしょうか。あるなら、なぜここで国民の前に青写真を明らかにいまできないんですか。こんな何項目かの再建要綱で、これで国鉄の再建ができますか。こういうふうにあなた方言われますが、いま言った具体的な問題についてどう解決しようとしているのですか、明らかにしていただきたいんです。
○説明員(井上邦之君) まず最初に、お尋ねの合理化問題でございますが、国鉄職員の生産性が、確かに先生の御指摘どおり、外国の国鉄に比べましても遜色のないものであるということは、これは私どもも十分承知いたしております。しかし企業の存続、発展というものを考えました場合に、合理化というものは、これは限りなく前進を続けるべきものだと思います。合理化と言いますよりも企業の体質強化と申し上げた方がいいかもしれません。体質強化のためにやはり合理化をやっていくという必要は今後も出てまいると考えます。したがいまして、いままでも合理化を、たとえば四十四年以降今日まで、合理化の数にいたしますれば八万三千ほどの合理化をやっておりますが、そういう実績を持っておることでございますし、将来にわたっても一年一万人ぐらいのペースで合理化をやっていくということは、過去の実績から見ましても不可能なことではない。もちろん、それには努力が必要でございます。努力が必要でございますけれども、不可能な線ではない、かように考えておるわけでございまして、具体的な施策につきましては、たとえばヤードの機械化、出動化でありますとか、あるいはCTC化でありますとか、あるいはまた線路を強化していく、そのことだけでも相当な合理化になり、人間の捻出にも役立つわけでございます。いろいろ手はあるわけでございまして、今後まだまだ合理化の余地はある。生産性は決して遜色はないけれども、生産性に遜色がないからもはや限界にあるということは言えないと思います。今後とも合理化の余地はあるということを私どもは確信をいたしておる次第でございます。 それからローカル線の問題、これは今後政府とも十分御相談を申し上げながらやってまいらなければならぬ問題でございますので、ここで私からどうだこうだということはちょっと御回答申し上げかねる点もございます。さよう御了承おき願いたいと思います。
○案納勝君 私はいまの副総裁の答弁で納得することはできませんが、たとえばまた貨物問題等についても多くの問題を抱えていると思うのです。 私は副総裁にお尋ねしますが、いま出されている、私が重ねて説明を求めている抽象的なここでのごまかしの言葉としかとられないような言い方でなくして、なぜ青写真を出せないのか、国鉄として。具体的に国民の合意を求めて、協力を求めていくということならば、そういう青写真というものを国民の前に具体的に出していくという手段があってしかるべきじゃないでしょうか。いま合理化はやれるでしょう。確かに言葉の上では合理化はやれます。または近代化、合理化は進めていくことは当然でしょう。しかし、そのことでどういう裏づけがあって、どのようにして合理化を進めるのかという答えが出てこないじゃないですか。貨物線の問題についてもしかりであります。 あなたはどういうようにお考えになっているか知りませんが、三十二年の国鉄の第一次合理化計画が始まって以来四十八年までの間に、貨物の収支は一兆四千九百六十三億に上っているじゃありませんか、この金額は欠損であります。その欠損額は、四十八年度の、先ほど運輸大臣から言われた四十八年度末の繰越欠損金の一兆五千九百五十五億に匹敵をするような状態ではありませんか。ある面から見ると国鉄財政のこの累積赤字というのは貨物輸送にあると言っても言い過ぎではないんじゃないですか。そういうのをどうするというのですか。ここの再建案には五十五年までに均衡をとる、こう言われています。どのようにして均衡をさせようというのが何ら明らかにされてないじゃありませんか。本気に国鉄の再建問題と取り組むという、これしかないんだという青写真を提供するという、そういう姿勢が全く見られないというのはなぜなんですか。私は大変奇異に思うのであります。これだけの、五〇%の値上げを二年続けてやるという国鉄の財政的な、しかも破局的な状態にあるというそのときならば、国民に対してこれらについての現状と先行きの展望を明らかにして、その上で協力と合意を求めるという姿勢があってしかるべきじゃないですか。全くないというのは、当面を糊塗して問題を他にそらして当面をとにかく乗り切ろうということ以外には何にもないというふうに理解をされますが、副総裁いかがですか。
○説明員(井上邦之君) 国鉄が今後再建の道を歩んでいきます場合に国民の支持、御理解、これがなければ再建ができるものではない、これはもう先生のお説のとおりでございます。したがいまして、国鉄といたしましても、こういうふうにお願いするかわりにこういうふうにいたしますという青写真は、これはいずれ国民の皆様にお示ししなければならぬ時期が来ると思いますが、現在出しております、この国鉄から出しました今後の経営姿勢というもの、それからそれをもとにして閣議了解されました国鉄の再建対策要綱、これはやはり基本的な要綱を書いておりますので、そう具体的な面について書いておるわけではないのでございます。基本的な線はああいう線である。それに伴って詳細な、先生の御指摘の青写真と申しますか、具体的な説明と申しますか、そういったものは、今後国民の御支持と御理解を得るためにわれわれとしてもできるだけ早く出してまいらなければならぬ、かように考えております。
○案納勝君 いつ出すんですか。
○説明員(井上邦之君) いつと日限をちょっと切られましてもいまここで御返答できかねますが、なるべく早くいたしたいと思います。
○案納勝君 なるべく早くというのはいつごろになるのですか、国会の審議が始まってるんですよ。
○説明員(井上邦之君) できるだけ早くやります。
○案納勝君 全く国鉄自身として、あるいは運輸当局としても、私はいまの答弁は納得できません。まさに国民を愚弄したやり方だと言わざるを得ないのです。こんなことで五〇%の料金値上げが通るなんていうのを考えている方が私はおかしいのじゃないかと思う。 ここでもう一回、ローカル線の問題についての鉄建公団との関係は運輸大臣、どのようなお考えになっていますか、答弁が漏れていますからその辺を。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄は申すまでもございませんが公共企業体でございますので、黒字の路線だけやっておればその使命を達する問題ではございません。特にローカル線というのはその地方の住民に交通の利便を与える交通機関であり、しかも過疎地帯が多いだけに経営上は非常にむずかしいところが多いわけでございます。しかし、そこであえてローカル線の経営をやるのが私は国鉄の使命の一つである、かように考えておるわけでございます。したがって現在建設中のローカル線につきましては、もちろんその地域の、また何年かの間の経済事情の変更等を十分考慮して、促進すべきものはし、また抑制すべきものは抑制しなければならないと考えておりますが、そういう判断を的確にやりながらやはりローカル線というものはその地方の交通の利便として鉄道建設公団をして予定に従って建設さすべきである、かように考えておるわけでございます。 それから現在の赤字のローカル線の問題につきましては、いま副総裁が申し上げましたように、この対策の中にも触れておりますけれども、やはり代替の交通機関の適当なものがあればそれに肩がわりをする、あるいは地方の公共団体で多少とも経営上の援助ができればその援助を受ける、あるいは他の交通機関がこれを引き受ければ引き受けさす。いろんな方法があろうかと思います。いずれにいたしましても、やはりそれを利用するのは、また利用のメリットを受けるのは地域の住民でございますから、地域の住民の十分な理解を求めた上でそういう措置をしていく、それまではやはり赤字ローカル線といえども国鉄の使命として経営をしていくという態度でなければいけないと思っております。
○案納勝君 私は、いま運輸大臣が言われたように、国鉄は公共的交通機関の中心であります。したがって国民の福祉を増進をする、この面を貫いていくべき事業だと思う。その意味で、赤字の場合についてはそれなりの措置をとっていくということがなければ国鉄の財政は再建できないことは明らかであります。それゆえに、公共負担の政府の補助あるいは資本経費のたな上げ、あるいはローカル線についての政府の徹底したてこ入れ、あるいは今日問題になっている貨物線についての再検討、多くの問題をわが党からも提起をしているのであります。なかんずく私は、今日の国鉄の最大の赤字の要因というのは、三十二年の第一次五カ年計画以来四十九年の末までに約六兆二千億に上る設備投資が行われています。そしてそれは時の経済の高度成長に比例をして年ごとにこの建設工事は拡大をされている、政府の要請によって拡大をされてきている。 本来ならば国鉄の赤字、三十九年以降下降線をたどるならば縮小生産があってしかるべきなところが、四十四年からの再建計画、四十八年からの十兆五千億に上る十カ年の再建計画はまさに拡大生産以外にない。その結果借金が雪だるま的にふくれ上がって、五十年度の予算で見ますと支払い利子は四千百五十億円、借入金返還が三千百十七億円、合計七千二百六十七億円で、一日当たり十九億八千万円の利子と借入金を払うという事態に立ち至った。この間における政府の補助、公共事業として、しかも国鉄の公共財、公的輸送機関としてのこれに対する政府の財政措置は九千九百億しかなっていません。政府の公共機関に対する認識、国鉄財政の今日の最大の危機の問題点は実はここにあるんじゃないか、認識の欠如というものに。こういう状態に置かれてなおかつ今日五〇%二年連続して、四十九年から三年連続して大幅値上げをしなくちゃいけない。値上げの幅は戦後二十四年以来最高の値上げ幅じゃありませんか。それなのに青写真が出されない、いつになるかわかりません、こんな答弁ではまさに国会軽視であり、国民を愚弄するもはなはだしいと思います。 運輸大臣、国鉄副総裁にもう一回お尋ねします。国民の前に運賃値上げに伴う青写真をいつ出すのか、明確に答弁をしていただきたいと思うんです。それでない限り、すでに予算案を政府は提案しようとしているんじゃないですか。あしたから国会は再開をされるじゃありませんか。この再開されるときに、全く先行きの収支をとんとんにした後のどうするのかということすら青写真が出ないような、そのような態度は国会の侮辱であり、私は今日認めることはできません。明らかにそこらあたりはしていただきたいと思います。
○説明員(井上邦之君) 詳細のものはいつ出すというお約束はいたしかねると申し上げましたが、実はこの青写真と申しますか、将来の見通しということになりますならば、実はもうすでに出ておると私は考えておるわけであります。と申しますことは、現在の四十八年度から出発いたしております再建計画は十カ年の長期計画でありまして、言葉は悪いかもしれませんが、まあ数字合わせ的な計画になっておるわけであります。こういう計画でありますと、基礎的な数字が計画の数字と現実とちょっと変わりましても、その乖離というものは複利的に響いてまいりますので、長期的には計画自体がまるで違ったものになって狂うと、そういうことで、こういう長期的な数字合わせ的な計画では、これはどうにもならぬということで、今度はひとつできれば単年度解決主義でお願いしたいと、単年度、単年度で赤字が出ない仕組みにしていくと、そうすれば赤字が出ない時点になれば、それ以後は、先ほど来申し上げておりますとおり、物価にそう著しい変動がなければ運賃改定もやらずにやっていけるんだと、そういうことで、単年度解決主義ということでいろいろ関係方面とも折衝してまいりましたが、そうは言っても五十一年度で一兆円近くの赤字が出るような事態を前にして、そう一遍に一年でどうなるというものじゃないぞと、こういうことになりまして、それではというので、この再建計画を二年に分けたと、こういうことでございます。 何度も申し上げますけれども、二年に分けてそこで収支とんとんという状態ができますれば、それで再建はできておるわけでございまして、それ以後は物価変動につれて微調整をお願いしながらやっていくと、そういうことでやっていける、かように考えるわけであります。
○案納勝君 全く答弁にはならぬどころじゃなくて、国会の審議を愚弄していると言っても言い過ぎじゃないのです。いま副総裁もう一回お尋ねしますが、あなたは四十八年度の十カ年計画、十兆五千億と四十八年度から四回にわたって料金値上げをして国鉄財政を再建するという、四十八年度の計画については生きていると、こういうふうに言われましたね。その前提に立って単年度で今回の措置を行うんだと、こういうふうに答弁されますが、そういうふうに理解していいんですか。
○説明員(井上邦之君) 生きておるとは申しておりませんので、四十八年度から出発した計画はそういうものであったと、それではどうにもならないと申し上げたわけです。
○案納勝君 計画はそうであったが、そうすると生きてないというなら、その計画が狂ったという、その計画はなくなったと、こういうふうに理解してもいいんですね、どうですか。
○説明員(井上邦之君) 今度の再建対策要綱に基づきまして五十一年度の予算が実現いたしますれば、それが新しい再建計画の第一歩でございますので、四十八年度からの計画はそこで変わったと申し上げていいかと思います。
○案納勝君 それならば青写真を、五十一年度から五〇%料金値上げを含むところの再建計画の具体的な青写真を出せないはずないじゃないですか。出すべきじゃないですか。どうですか。
○説明員(井上邦之君) 具体的な計画と仰せられますので、具体的な計画ということになりますれば、何線をどうする、貨物線をどうするというようなことにも入りますので、その点については若干の時日をおかし願いたいと、かように考えておるわけでございます。
○案納勝君 私は何線をどうすると言っているんじゃないんですよ、先ほどから。問題になっている赤字の最大の原因というものはあなたたちにお尋ねをしました。しかし、それでは御答弁いただいた内容では解決にならぬじゃないですかと問題を提起しました。今日、先ほどから繰り返し言われるように、五十年度の累積赤字が三兆一千億、そして長期負債は六兆八千億、今回の措置は、その中で長期負債の二兆四千億はたな上げでございますと、これはたな上げをする。しかし残りの四兆四千億は依然として長期負債に残り、あわせて借入金についての利子の支払いは続いていくのです。そのほかに若干のローカル線の補助や、あるいは工事費の補助として若干の金額の助成は認められている。しかし、それでは赤字の根本的原因の解決にならぬではないですか、こう指摘をしている。答弁もこれについての明確な答弁がなされてないじゃないですか。 しかも五〇%二年間連続をして料金値上げをするとするなら、それに伴って国民に、国鉄財政の破局的危機はこうでございますと、したがって、このように財政再建をいたしますと、この赤字の最大の原因の問題等について青写真を出して明らかにしていくのが今日、国鉄や運輸大臣の置かれている立場ではないですか、このことを私は指摘している。どの線をどうすると言ってない。先ほど私はローカル問題について指摘をしました。貨物の問題についても指摘をしました。あるいは建設勘定の問題についても指摘をしました。こういった問題について解決ができない、見通しも持ち得ないというままに料金だけ値上げしてくださいと言ったって通るものですか。国会軽視はなはだしいと言わざるを得ません。 私はもう一回重ねて言います。運輸大臣にお尋ねしますが、四十八年の六月の十二日、衆議院の運輸委員会で田中総理は、わが党の久保先生の質問に答えて、国鉄の財政を健全化するための手段はこれ以上ありません、どんなことがあってもこの方針に従って十年間に値上げするのはこれだけでございます、これよりも一%も上げることはできません、自民党内閣が継続している限りにおいては断じてできない、そうすれば、あと安全施設が必要であるとか、月給が一〇%でなく一二%上がったという場合の赤字は何で賄うかといったら、国で賄う以外にありません。こういうふうに、これ以上一%も上げることはありませんと、自民党内閣が継続している限りありません、これが最大の合理化案でございます、再建案でございます、こう言っているのであります。 それが二年足らずで崩れている。この政治責任をどうあなたは御理解されているんですか。あなたは自民党内閣の閣僚なんでしょう。いま言われるように、そこまで総理大臣が国民に約束をしてきて、四十八年の計画は崩れました、料金値上げをさらに五〇%二年間しなくちゃなりません——そのときに具体内容はたったこれだけしかありません。先ほど申し上げました木内さんですら、こんなことで国鉄の再建はできないと指摘をしているじゃないですか。それに青写真も出されませんということで澄ましてそこに座っていることができますか。運輸大臣は自民党内閣の閣僚の一人として田中総理のこの答弁、約束についてどう考えられますか。
○国務大臣(木村睦男君) 当時田中総理がお答えいたしましたのは、四十八年から始まります十カ年計画、まあその中では十カ年の間に四回に分けて、おおむね各回一五%ずつの運賃改定をやるという計画はその中に含まれておったわけでございます。また政府の助成、合理化も計画の中にあったわけでございます。ですから当時総理としては、その計画のとおりにいければ必ず国鉄は再建できますと、これでこのとおり実行ができて、できなければあとは国がめんどうを見ざるを得ませんという答弁であったと私も記憶をいたしております。そのとおりであるわけでございます。 ところがその十カ年計画が今日までの間に実行できなくなったと、その原因はどこにあるかということにつきましては、冒頭に申し上げたような運賃改定の問題その他原因があったわけでございます。したがって、それができなくなったという現状に立ちますと、やはりそのときに総理が言いました、何とか国鉄の財政的な再建を引き続きやらなければならないということで、今日その十カ年計画が現実に実行不可能になった以上は、これを受けて新しい再建の計画をつくらなければならない。そういう前提で今日の計画をつくっておるわけでございます。 なお青写真云々のお話をいろいろお聞かせいただいておるわけでございますが、今回の再建の青写真の骨格的なものは、この再建対策要綱にあるのがいわゆる青写真でございまして、さらにこれをブレークダウンして細かい問題はこれから詰めていくということでございます。
○案納勝君 できなかったら国がめんどうを見ますと、こう言っているんですよ。今日までできなかった責任はだれがとるんですか。国はどうめんどうを見ているんですか。一%も上げませんよと、国がすべてそれ以上はめんどうを見ます。こう約束をしているんですよ。それが崩れました、先ほどのように。料金値上げが時期的におくれました。これが原因でした。だれの責任ですか、これは。自民党歴代の政府の責任じゃないですか。そして今回出されましたこの再建案についても、国民の皆さんひとつあなたたちの負担でやってください。国民に責任を転嫁するのと同じじゃないですか。中身はさっぱり出てこない。こういうのが政治というものですか。 私はいまこそ建設改良費や資本経費というものについては、原則的にこの赤字については、国が国の責任としてこれをたな上げし、そして営業経費については国鉄として責任を持っていく、公共負担については国が責任を持つ、もっとそういう意味での積極的な姿勢が国の責任として今回は打ち出されてしかるべきじゃないですか。だれが今日、四十八年のこの十カ年計画が崩れてきた責任をとるのですか。木村さん、あなた以外にないんじゃないですか。その点は明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 当時、田中総理が申し上げたのは、あの十カ年計画があのとおり実行できて、しかもその上で国鉄の自立経営というものができなければ、そのときには国が責任をもってそのめんどうを見ざるを得ませんという意味でございまして、十カ年計画が崩れたらどうこうという趣旨で総理は言っておるわけではございません。その計画が途中で挫折したということについては政府としても十分責任を感じておりますからこそ今回、あの轍を踏まないようにこういう再建計画をつくったということでございます。
○案納勝君 もう余り時間がないので聞きたくないんですが、木村さん、あなたうそ言っているよ。「これ以上国鉄の財政を健全化するためにもっと手段が必要であるということが起こるかもしれません。小さくはならないと私は思うのです。そのときにどんなことがあっても十年間で値上げをするものはこれだけでございます」ということを国民に約束しますと、こう書いてあるんですよ。そのとおりにならなかったのはだれの責任ですか。政府の責任じゃないですか。国民の責任ですか。国民に責任を押しつけようとするところに——しかもこの再建をするに当たって何ら具体的な内容を国民に提示をしない。私は木村さん、あなたしっかり責任をとったらどうですか、とるべきじゃないですか、自民党歴代内閣として。私は青写真も提示されないといった内容について、これ以上論議することできません。この問題については保留をいたしておきます。 私は今回の国鉄再建問題については、国鉄が公共交通の中心機関であって、国民生活に欠かすことができないものである。そしてこの公共交通の充実、確保は国の責任であって、わが国の国民経済あるいは社会政策上からもその役割をますます高めていくということを土台として認識をされていない、ここに本質的な欠陥があると私は指摘をせざるを得ないと思います。今日まで政府が国鉄の経営にどれだけ責任を持ってきたか、全く責任を持たず今日まで来たところに私は問題があると思います。なかんづく総合交通政策、運輸省かと総合交通政策が出たことがありますか。この十年来、かけ声ばかりで、場当たり政策にうつつを抜かしてきたというのが今日の私は実態だと思います。余りにも無策で、その責任を、その穴埋めを国民と働いている労働者の犠牲にしわ寄せする、こういう姿勢がこの質疑の中にも明らかに示されています。私はこれが今日の国鉄の危機を招いた最大の要因だと思うんです。この姿勢を明確に、私は国が国鉄の経営に責任を持っていくという姿勢を明確にしてもらいたいと思います。すべきだと思います。私はこのことを強く要求をしておきたいと思う。そして重ねて質問を続けます。 国鉄再建はいま言う財政上の問題だけではありません。国鉄全体をめぐる基盤問題であります。基盤問題とは何か。その中心をなすのは働いている労働者と一体になった協力関係をつくることだと思うんです。木村運輸大臣も言われています。ところが今回出された「今後の国鉄経営について」のこの中に、「姿勢を正すための緊急措置」とあります。この「緊急措置」の中に「五十一年一月中にスト権ストの処分を厳正に行う。」。二点目は「スト権ストに伴う損害の賠償を関係労働知合に請求する。」。三点目は「役員は、給与の一部を辞退する。」。三点目の年六千万円に足らない給与の辞退などというのは、まさにナンセンスと言わざるを得ない。国鉄当局はもっと、先ほどから指摘しているように、国鉄の赤字の原因というのを胸を張って、要求するものは要求するという姿勢をなぜとらないのか。まさに噴飯物だと思いますが、この一点、二点について見解をお聞きしたいと思います。一点のスト処分はいつどのような規模で処分をしようと考えているのか明らかにしていただきたい。二点目はストに伴う損害賠償についてどのような根拠で行おうとするのか、明らかにしてもらいたい。
○説明員(井上邦之君) ストの処分につきましては現在鋭意事務作業を進めておる段階でございまして、今日ただいまの時点でどのような規模で行うというような御回答を申し上げかねる次第でございます。 それから損害賠償の請求はいかなる根拠で行うのかというお尋ねでございますが、これはやはり公労法十七条一項に違反する違法な争議行為が行われたわけでございますので、国鉄自体も相当な損害を受けておるということでございまして、民法七百九条の不法行為に基づく損害賠償の請求と、こういう根拠でただいま事務を進めております。
○案納勝君 まず私は一点の問題から入ります。この一月二十日の朝日新聞で、解雇を含め八万余人、こうされています。これはいまあなたの答弁から言うと検討中ということなんですが、事実ですか、事実でありませんか、お伺いしておきます。
○説明員(井上邦之君) 詳細に処分の該当者の数が何名であるかということについては、実のところ、私まだ報告を受けておりません。その新聞記事に出ておりましたのは、賃金カットの対象人員をもとにして大体の推測、このくらいであろうというような推測記事が出たものだと思いますが、私自身何名というような規模についてまだ報告を受けておりません。
○案納勝君 あなたはこの措置が国鉄再建の緊急措置として絶対に必要だ、こう考えられておるんですか。再建とどのような関連があるんですか、明らかにしていただきたい。
○説明員(井上邦之君) 昨年の暮れのあの違法な争議行為がなければこういう処分はいたさないのでございます。ああいう違法な争議行為において国民の憤激も相当なものになっております。国民に対しても国鉄当局が何もしないというわけにはまいらないのでございまして、これは筋は筋として筋を通さなくちゃならぬと、こういうことがございます。 一方この再建計画との関連でございますが、再建はやはり財政基盤の確立と、それから労使関係の近代化、これは車の両輪のようなものでございまして、両方ともにわれわれ今日まで努力してまいったつもりでおりますが、いかんせん労使関係の近代化という問題につきまして、このストに対する処分というものはやはりかなりな影響を与えてくる問題であるというふうには考えておりますけれども、一方において、あれだけの御迷惑を国民に与えておいて、そうしてそれに対して何もしないということでは、やはり国民の国鉄に対する御理解と御支持は得られないと、かように考えますので、間接的にはやはり国鉄の再建というものについて関係のある問題だと考えております。
○案納勝君 あなたは国鉄再建に伴う緊急措置というように言われています。違法行為が行われたから処分を行う、正すものは正すと、こう言われます。しかしあなたは、いま破局的な国鉄再建について、国鉄労働組合を初めとする国鉄の労働組合との協力なしにおいてはそれは実現できぬこともよくわかっておられると思う。これについて国鉄労働組合と話し合いをし、及び関係組合と話し合いをして、国鉄再建についての協力を求めたことがありますか、いかがですか。
○説明員(井上邦之君) 私もお話を三役以上ともやっておりますし、それからそれぞれの段階に応じて、国鉄の現在の事情を組合に訴え、組合とともに手を取って再建に進んでいこうではないかという姿勢をもって、実はプロジェクトチームみたいなものも組合と一緒につくって、協力して再建の道を歩んでいこうという手段もとっております。
○案納勝君 昨年十一月、国鉄労働組合から国鉄再建についての提言が行われています。これについて具体的な回答をなされていますか。
○説明員(井上邦之君) 組合の提案につきましても、先ほども申しましたプロジェクトチームの中でいろいろ協議をし検討を重ね、意見を交換しておる段階でございまして、その結果に基づきまして国鉄当局からも組合の提案に対する回答は出す予定にいたしております。まだ回答はいたしておりませんが、近々出すことになると思います。
○案納勝君 あなたはそういうようにごまかしておられますが、国鉄労働組合に対して、あるいは関係組合に対して、この再建計画を二十八日に運輸大臣に提出するに当たって、関係組合との協力を要請をするなどという具体的なことはとられてないじゃないですか。だから一月の十四日ですか、国鉄労働組合及び動力車労働組合からこの再建計画について大きな重大な抗議が行われたのはあなたも御存じでしょう。私はマル生以来、国鉄の労使関係がきわめて前向きに正常化、健全化へ前進をしている事実をよく知っているのです。そういう中で、しかもこれだけ破局的な重大な国鉄の再建の問題が起こっているときに、国鉄の労使の協力を得て初めてこれはなし得ると信ずるのです。 私はいま、協力も十分に求めず、先ほどから私が質疑で明らかにしているように、国鉄として将来の再建問題の定見も持たず、政治に利用されて、政争に巻き込まれて、国民や働く労働者の犠牲で乗り切ろうとする、そういう中で本質的な国鉄再建はあり得ないと信じます。あなたは、この新聞記事によりますと、この処分問題について、処分問題では圧力に属したと受け取られてもやむを得ないと述べたと、国鉄労働組合等の抗議について。事実ですか、明らかにしてください。
○説明員(井上邦之君) 圧力に屈したと認めてもやむを得ないという表現はいたしておりませんので、組合の方で圧力に屈したではないか屈したではないかということで言いますから、それはまあ見解はそちらの御勝手だと、こう言っただけでございまして、私は屈したということを言ってはおりません。
○案納勝君 私は今回出されているこの処分の一点の問題について、これは単に国鉄当局の自主的な判断によって行われたというふうには受け取られないのです。木村運輸大臣にお尋ねしますが、木村運輸大臣は、国鉄当局から緊急措置、これらの国鉄再建についての具体案が提案される前に、国鉄総裁に対してこのことについて強く要求をされています。二十六日には平河町の自民党本部で開かれた交通部会でスト処分について、あるいは損害賠償についての措置を、了解を求めています。スト処分の要するに処分権者は国鉄総裁です。 私は運輸省が今日、まあ先ほどから言うように、政府が国鉄経営に責任を持ってこなかったことが今日の破局的な現状をつくり出した最大の責任だと、こう指摘をします。処分権者の国鉄総裁を飛び越して運輸大臣がそういう押しつけをすることは、私はまさに今日の行政の機構を乱すものであり、まさに無謀といいますか、きわめてけしからぬことだと思うんです。国鉄再建の問題の前提にこのことを据えること。国鉄労使問題について、本当に国鉄再建について、運輸大臣はそれによって国鉄が再建される、労使は正常化、健全化に前向きに取り組むことができるとお考えになっておられるのかどうか、明らかにしていただきたい。
○国務大臣(木村睦男君) 私が国鉄の再建に際して考えておりますことは、国鉄の再建は、一つは財政、経済上の再建である、またもう一つは精神面における国鉄の再建である、この二つが相まって初めて国鉄は再建できるという考えに徹しておるわけでございます。 で、精神面の再建ということは、やはり国鉄四十三万人の職員が一体となってわが家の再建を図るというこの意欲に燃えることが前提であると考えておるわけでございます。したがいまして、国鉄は当局と言わず、あるいは職員と言わず、一体となって倒れかかったわが家の再建に何が何でも取り組んでいくということが大前提であるということを常に国鉄に申しておるわけでございます。もちろん現在の国鉄には労働組合があり、当局があるわけでございます。そこで、いろいろ去る十一月、十二月にわたってのスト権にからんだ違法なサボタージュ行為等がございます。国鉄の再建に労使が取り組んでいく前提といたしましては、やはり現行の秩序の中で、法や規則を守りつつ再建をやるということがまたその大前提になるわけでございまして、これを無視して再建ということは私はできない、かように考えておるわけでございます。 したがって法を無視した行為に対して、これをそのまま放置して再建ができるとも考えておりませんし、またそういうことであっては悔いを千載に残す結果になる、こういうことを常に国鉄に私は申しておるわけでございます。もちろんそういう違法行為に対する処分をどうするかということは、国鉄自体当局者が決めるわけでございますが、私は常にそういう考えで申しておるわけでございます。国鉄の当局におきましても、私のこういった考えに何ら異存のないということを私は理解をしております。そういう意味で、国鉄当局は、さきのああいったサボタージュに対しては厳正な措置をとるということで、緊急措置としてああいうものを挙げてきておる、こういうことで政府部内あるいは与党にも報告をいたしておるわけでございます。
○案納勝君 私は労働大臣がお見えになっていますので伺います。いまの問題については後ほどまた指摘をしたい。 労働大臣は昨年六月三日の衆議院社労委員会で、わが党の田邊議員からの質問に答えまして、ストと処分の悪循環を断ち切るため、処分の実施は今回限りとしてスト権問題を前向きに検当する、こういうふうに答弁されました。さらに十二月五日の衆議院社労においても、それは変わらないと答弁をされています。いま木村運輸大臣が、違法なストライキについて処分するのはあたりまえだというようなことを言われました。私はいま指摘をしました六月三日、十二月五日の労働大臣の答弁は、今日も変わらないと思います。これは戦後の公労協がストライキ権を取り上げられて以来二十七年の歴史と積み上げの中で、その過去の経緯の上に立って、このことによって労使の荒廃が、そしてストと処分の悪循環が労使の正常化を阻んできているという事実の上に立って大臣は答弁をされたと思います。大臣の見解も変わらないと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 昨年衆議院の社会労働委員会で答弁した悪循環を断つということ、これはいまでも変わりません。また国民全体もそういう気持ちじゃないでしょうか。どうしてこれを実行するかというところにお互いが苦心をしているところでありまして、これはもう国民の私は願望であり、お互いみんなの願望であると、こう思っております。
○案納勝君 これは単に一時期あるいは一時点におけるというよりも、歴史的今日までの経過を踏まえて将来を展望しての御意見でございますね。
○国務大臣(長谷川峻君) 総理もお答えしているように、労働基本権の尊重、これは申し上げております。また一方、社会、公共福祉に対するところの責任ということも言っております。こういうものをあわせてどうやっていくかというところに、いろいろ専門懇を開いたり、関係閣僚協を開いたりして、あるいはまた皆さん方から御審議いただいている、こういうことだろうと、こう思っております。
○案納勝君 もう一回お尋ねします。十二月五日衆議院の社労で三木総理に対して田邊議員が、仮に処分があっても、処分権者が過去の経緯を踏まえながらそれに対処することは当然だと、こういうふうに質問しています。それに対して国鉄の当局者がその範囲などについて決定をするべきだと重ねて答弁をされている。これは大臣、間違いありませんね。
○国務大臣(長谷川峻君) 私もそこにおりました。総理がその範囲などについては当局者が決定すべきものだと、こうお述べになったことを私も承知しております。
○案納勝君 それは、その前段では、処分権者が過去の経緯を踏まえてこれに対処するのは当然だということが含まれていますね。
○国務大臣(長谷川峻君) 総理はそのときに、「私は、こういう処分問題が起こらぬために、ストをやめてもらいたいと言ったんですがね。それを強行したのですから、やはり処分問題というものが起き上がることはやむを得ませんが、それはやはり国鉄の当局者がその範囲などについては決定すべきものだと思っております。」。こう答えております。
○案納勝君 私の方の議事録では、「ストをやめてもらいたいと言ったんですがね。それを強行したのですから、やはり処分問題というものが起き上がることはやむを得ませんが、それはやはり国鉄当局がその範囲などについては決定すべきものだ」というその前に、田邊議員の方から、処分権者が過去の経緯を踏まえながら対処する、このことは当然ですねと、こういう質問についての肯定の答弁だというふうに理解しますが、よろしいですか。
○国務大臣(長谷川峻君) その速記録を見ますと、田邊委員が、いま案納委員がおっしゃったようなことを質問している記録は載っております。しかし私が先ほどお答えしたような総理の答弁であったということも御理解いただきます。
○案納勝君 そうしますと、運輸大臣にお聞きしますが、処分権者は国鉄総裁ですね。
○国務大臣(木村睦男君) そのとおりでございます。
○案納勝君 国鉄の副総裁にお尋ねします。昨年十月二十一日に衆議院の予算委員会において、ストライキ権問題について、他の二公社の総裁と同様に、条件つきストライキ権の付与について好ましいというふうに答弁をされております。これはあなたが一番よく知っておられるように、労使の信頼は今日までの歴史的な、あるいは過去の経緯を踏まえて考えた場合に、基本的権利を認めた上で相互の信頼を築くことが今後の再建につながる道筋だと認識をされているからだと思います。今後この意思については変わりありませんか。
○説明員(井上邦之君) 御指摘の総裁の答弁、これは現在も変わりはございません。
○案納勝君 それならば処分権者として国鉄再建に、労使の協力によって国鉄再建を実現するという重大な段階に今日来ているとき、過去の経緯を踏まえて考えるならば、処分は行うべきでない、こういうふうに信じますが、副総裁、いかがですか。
○説明員(井上邦之君) 総裁が申しましたのは国鉄の意見を聞かれればという前提のもとにお答えしているわけでございますが、それにいたしましてもなお条件つきということを言っておるわけでございまして、無条件に争議権を認めておるということではございません。昨年の冬行われました違法の長期スト、これは現在もちろん違法でありますけれども、仮に条件つきスト権なるものが認められた時点におきましても、明らかに違法な政治ストであると考えられます。したがいまして、それについて何も処分をしないということを総裁が将来にわたって約束したものではございません。
○案納勝君 私は副総裁、もう一回お尋ねしますが、今日まで国鉄の場合に被処分者は二十五万九千三百八十二名に上っております。刑事関係の事件については百四十七件に上っている。これは国労だけであります。私はここでお尋ねしたいのは、労使の信頼関係が国鉄再建に欠くことのできない——私はどの企業においても同じであります。今回の処分がそのことに役立つというふうに御理解をされているのか、私は明らかにしていただきたいのであります。 国鉄の労働者の待遇は当事者能力の欠如と公労委の代償機関としての機能の欠陥、これと相まって今日でも、戦後三十年たっていますが、民間より低位に置かれていることはあなたが一番よく御存じのはずであります。合理化だけが強要されて、今日の労使関係はそういう中において国鉄再建のためだからといって、違法は違法だとして——この違法論についても後ほど言いますが、処分をすることによって整理ができるというふうにお考えになっておられますか。この点、副総裁にお尋ねをいたします。
○説明員(井上邦之君) だからこそ私は昨年の冬のあの長期の違法ストはやるべきではなかったと言いたいのでございまして、せっかく労使関係が好転の兆しを見せてきておりますときに、ああいうストをやりまして国民を敵にしたという事態、それを踏まえまして、私どもも筋は筋としてやはり通さざるを得ないということでありまして、あれがなければこういう処分問題は起こらないわけでございます。その点を私は強く国民とともに組合に訴えたいのでございます。 また国鉄の労働者の労働条件、待遇問題についてお述べになりましたが、これはなかなか、仮に私鉄なら私鉄と比較いたします場合にも、単に給料だけの比較でもいけません。いろいろの面で実質的な待遇比較ということになりますと非常にむずかしいわけでございますが、ともあれ給与面におきましても、毎年ベースアップにつきましては、公労委で民間のベースアップの状況も見合わせながら詳細な資料をもとにいたしまして、三公社航現業にしかるべきベースアップの額を、裁定を出しておるわけでございます。したがいまして、そう先生がおっしゃるほど国鉄の労働者の待遇が給与面におきましても悪いというふうには私は考えられないと思っております。
○案納勝君 私は長い間公労協の事務局長や、あるいは総評の役員をやってきましてよく知っております。労働省の調査によっても、民間と公企体の太田・池田会談以来の中でも、その差は金額にして千二百九十円、これは四十九年、賃上げ率について三・七%の差がある。言われるようにこれは労働省の資料であります。他の労働条件についても比較をしなくちゃならぬですよ。それじゃ他の一般私鉄の労働者の労働条件と比較した場合、それを上回っているところは一つもありません。 私はここで労働大臣にお尋ねをしたい。大臣は長い間労働大臣をやられ、その経験から今日の国鉄の労使関係についてはよく御存じだと思います。公労法がつくられ、人事院がつくられ、そして三十三年まで政府はみずからのつくった法律の裁定を踏みにじって今日まで経緯を経てきておるのであります。国鉄労働者は総額にして二百二十八億からの仲裁裁定不履行による損害を受けてきている。裁定一号、二号、八号、一四号。そして五七年の四月六日に出された裁定。人事院勧告は、私が公務員共闘の事務局長をやった四十三年まで完全に実施された例はないのであります。団体交渉は形骸化されてきております。私が所属しておりました、最も正常化ではないと言われる、荒廃したと言われる郵政の労使の中においても同じであります。合理化は当局の恣意のように、片一方の再建計画が崩れても合理化だけは進められる。そういう中でなおかつ民間の労組や民間の労働者よりも賃金等が低位に置かれる、労働条件も低位に置かれてきておる。加えてマル生で不当労働行為、法律で禁止されている、組織介入は言語に絶して自殺者も出るという騒ぎを起こしたのは御存じのとおりであります。 こういう経過の中で今日のストライキ権の問題というものが出てきたのだ。自民党政府みずからが事実上法を曲げるやり方ではありませんか。当局が事実上政府に巻き込まれた無責任と無定見が今日こういうものをもたらしたのじゃないですか。そのことは職員の団結を強めて、最初は昭和二十八年ごろおっかなびっくりであったストライキ、せざるを得ない、解決しないという事態になって腰を上げてきた職員が、ここまでストライキが行えるように強大になってきたのは、これは自民党や政府の力のしからしめるところだと、皮肉な結果だと私は思う。これらの問題は国鉄、公労協、他の現業公社の場合と同じである。これらの政府の措置は、大臣御存じのようにILOで、国際労働基準の中でも指摘をされて、ドライヤー勧告、あるいは日本の公共部門におけるストライキの禁止の問題について指摘をされてきていることは御案内のとおりであります。 今日そういう中で国内法の改正やその他一部の改正が行われました。四十年に公労法の改正と相まって国内法の整備が行われましたが、私は当時の自民党の関係者であります倉石さんや斉藤さん等と約一年にわたって、これはここにおられる労政局長の青木さんもお入りになったのですが、詰め合ったことを記憶しております。これらの中で幾つかの問題も提起をされてきたんです。そこで公務員制度審議会が発足をし、そしてその上に立って春闘五項目の確認が行われ、閣僚協議会が開かれた。そういう中でこの十一月を迎えてきたんです。 私はこういった過去の経緯を踏まえて、いま対処をしていくことが、私は今日の労使の問題だけでなくして、民主主義をさらに成長させるためにもきわめて重大なことだと私は考える。このために今回の処分が国鉄再建にひっかけて行われる。処分をすることによって国鉄再建なんて絶対できない。すでに動労、国労については順法闘争という闘いをせざるを得ないところにきている。そういうことが再建について有効な措置だというふうに、大臣、今回の歴史的経過を踏まえてお考えになったのか、労働大臣の御見解と国鉄副総裁の見解をもう一回お伺いしたい。
○国務大臣(長谷川峻君) 案納委員がおっしゃるように長い歴史がありました。それらを受けて立って、おっしゃるとおり公制審が開かれ、そしてまたそこで熱心な議論が行われておったわけであります。私たちもその審議の模様を注目もしておりました。そしてその委員の中には労働組合の大先輩も入っておりました。そういう大事な法案がまだ出ないうちに、やっぱりこの違法ストをやられたということになりますというと、これは全体の流れも進めなきゃなりませんけれども、やっぱり法を守ってお互いの社会生活が成り立つものですから、私は本当に法を破ったことに対して処分はやらざるを得ない、非常に残念なことであるけれども、そういうふうに感じております。
○説明員(井上邦之君) ただいま労働大臣からも御答弁がありましたように、労使関係の近代化という問題は、やはり法は法として守るということが基本にあって初めて労使関係の近代化というものが実現していくものだと思います。 また一方におきまして、先ほども申しましたしおり、国民はやはり見ておるわけでございまして、国民としてあれだけの迷惑を受けながら、それについて何の措置も行われないということでは国民の納得はいかないわけでございまして、やはりそういう面から考えあわせますと、長い目で見れば国鉄再建のためには正すべき筋は正していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
○案納勝君 そのことは有効だというふうにお考えになっておられますか、イエスかノーかでいいですから。
○説明員(井上邦之君) 長い目で見れば有効だと思います。
○案納勝君 あなたそう言いますけれども、月末に処分が出されると同時に、また労使のせっかく前向きになってきたことが混乱をしていくことは目に見えているんですよ。それでもそういうふうにお考えになっておられるわけですね。私は大臣、あなたは違法行為だと、こう盛んに言われます。一定の法律の中で、私たちが今日の議会民主主義を尊重をし、そのことを守ってきておる立場ですとしても、そのことだけでは是認はできない。公労法がこの歴史的な経過の中で、現実的に今日の社会の進歩に合わなくなってきているという事実は、これまた無視することはできないはずだ。もっと言うなら、時間があるなら言いますが、論議として憲法上の問題もあることは間違いありません。また国際労働規範とするILOにわが国は事務次長を送り出している。先進的しかも資本主義諸国家の中で、わが国のようなこういう状態に置かれていることはきわめてまれであります。法律というのはきわめて血の通った運営こそあってしかるべきであります。誤りがあれば直ちに改正をしていくというのが当然であります。 そして今回の場合は、七四年、七五年にわたって政府が五項目の確認等について、いままでの経緯を踏まえてスト権の問題について態度を明らかにするという約束の上に立って今日進めてきて、それが事実上守られないところに今日の年末のストライキが行われたじゃありませんか。私はこれを労働者の責任だけに、処分を押しつけるだけで今日の事態が解決をすると考えている方が私は誤りだと思います。私はいまこそストライキ権というのを基本的に保障するという立場に立って、その原点の上で労使の正常化を図っていく。その意味で今回の年末のストライキを貴重な教訓として、労使双方も政府も含めて国鉄の再建に当たっていくという姿勢こそ国民に対する責任を果たすことになるんじゃないですか。スト、処分、抗議スト、この繰り返しをやって、そのことを政府当局みずからが手を出すことによって繰り返しをさす、これによって国鉄の再建や国民に対する責任が果たせると思いますか。私はいまこそ原点というものをしっかり見きわめて進めるべきだと思いますが、労働大臣の御答弁をお願いしたい。
○国務大臣(長谷川峻君) そういう意味からしますと、全く十一月の二十六日ですか、あれは残念なことだと思っております。いずれにいたしましても大事なことでございますから、政府は十二月一日に出しました基本方針にのっとりまして、二、三日前でしたが、新しい関係閣僚協議会を開いて、その中に経営のあり方とか当事者能力とか、さらにはまた関係諸法令、その中には公労法も入りましょう、そういうものを真剣に討議して、日本のこういうときに当たっての労使の問題、あるいはまた国鉄のそうした再建の問題、いろいろな問題がありましょう、それと真剣に取り組んでまいりたいと、こう思っております。
○案納勝君 いま新しい閣僚協が発足をしたと、こう言われますが、この閣僚協はさきの専門懇のペースを土台にしたんでは全く意味をなさぬ。今日の専門懇の意見書等は、ストライキ権問題の解決や労使の正常化の解決にはならないことは明らかであります。私はここでそのことを、時間がありませんから改めてやるとして、触れる気はありません。 ただ一言だけ私は明らかにしておきたい。専門懇の意見書の中では、条件つきスト付与論に対して正常化の保証はあるかと、こういうふうに問いかけている。私はそう言うならば、きょうやりとりをやった国鉄の再建について、再建の保証はあるのかと、こう聞いたいのであります。いずれの場合でも同じであります。そしてしかも、この専門懇の意見書の中では、公労協のスケジュール闘争や政治的色彩や体制変革の手段と考えているなどという、そういうふうに言い切っています。そしてこの労使の荒廃に至った原因というのは、政府当局の収拾に当たっての取引がまずかったからだと、こう指摘をしている。政府の無責任な姿勢にあると、こう指摘をしている。そういう見地から刑事罰の強化や民事損害賠償や団交権の禁止やその他を指摘をしています。 私は、これは経済合理性による発想、もう一つは労働者は性悪なんだという抑圧型労務管理、警察の治安対策的発想以外に一歩も出ていない内容なんであります。私はここで労働大臣に来てもらって、国鉄副総裁や運輸大臣に言うのは、戦後三十年にわたるこの歴史的経過というものをしっかり踏まえて対処しなければ労使の公労協問題というのは解決をしない。処分をやれば事が済むという問題ではない。ならば今日まで解決をしたでしょう。百万人に上る公企体労働者の処分が、されてもされてもストライキをせざるを得なかったということはどこにあるのか。国際的に先進工業国でございます、民主国家でございますと自民党の皆さんは胸を張ります。どこに日本の労使関係があるか、国際的に比較をした場合に全く問題にならないような状態にあることを自民党の皆さんはよく知らない。 私はこのことが、いままでここで指摘をした意見書のことが、日本の労使関係を荒廃に導いたことなんであります。これを改善をするのが、私はいま政府や当局の責任ある態度だと思う。そういう面から、こは専門懇のペースを土台にしたやり方というのは私どもは認めることはできません。まさに当事者が、今日まで三十年の間流してきたお互いの努力というものを十分受けられる、役立つような姿勢というものを私は政府はとるべきだと、こういうふうに思います。私はそういう面で、一々ILOやその他の勧告の内容をここに紹介しようとは思いません。今回の処分問題についてもそうです。私は処分問題について労働大臣が言われるように一つの区切りであったでありましょうが、いままでの経緯の上に立って、処分については悪循環は断ち切るという、そういう姿勢の実行を今回の国鉄再建等の問題をめぐってでも打ち出すことが、私は今日の国鉄の再建問題につながることだと信じます。そういう点について、これは答弁は要りません、私の方から強く要求をしておきたい。直ちに、というよりも、今回の処分を行うべきではない。それより一歩進んで、再建と将来の労使の正常化と健全化のための協力と話し合いを私は積極的に進めるべきだと思います。その点を強く要望しておきたいと思います。 さらにあわせて、先ほど損害賠償の問題が提起されました。公労法十七条自体が、多くの労働法学会や国際的にも問題が提起をされ、憲法違反としての疑いのある今日、この損害賠償が成り立つと私は考えられません。これは自民党の政治の面からの圧力によって国鉄総裁が提起をしたものだとしか理解できません。こんなことで働いている労働者を敵に回して、そこから損害賠償を求めるようなやり方で国鉄の再建ができるはずがありません。私はこの点について、そういう措置を行わないという、そういうふうに明確にすべきだということを要求をいたしておきます。 最後に労働大臣に一点だけお尋ねします。ILO百五号の批准を早急に行うべきだと思います。すでにイギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、カナダなど、九十一カ国が批准をしています。政府はいままで、佐藤前総理もまた、この批准問題については前向きの姿勢を出されたこともあります。政府はILOに対して、この百五号の条約の批准の問題についての報告書を提出した経過もあります。しかし今日の段階で、イギリス、フランスその他の工業先進諸国と言われている国々が批准をしているこれらについて、政府は速やかな措置をとるべきだと思います。政府の疑義も、すでに二回にわたる専門委員会の回答によって明らかにされていると思います。労働大臣は本通常国会に提案をされて批准をする、そういう意思がありますか、これについてどういうふうにお考えになっているか。
○国務大臣(長谷川峻君) わが国の国際的な立場並びに労働外交を推進するという基本的政策にかんがみまして、政府としては今後ともでき得る限り未批准のILO条約の批准は進めてまいりたい、こういう気持ちであります。しかし、おっしゃるように、このILO百五号条約について、まだその解釈が十分でない部分もあります。したがって私どもとしますと、ILOでこれらの点についての解釈が明らかにされるのを持ちながら、引き続き国内法制との関係について検討を加えていく必要があると、こう思っております。御指摘のように、フランス、イギリスなど多数の国々がこの条約を批准しておりますけれども、政府といたしましては、批准後その解釈に関して紛議を起こさない、そういうふうに慎重に検討してまいりたいと、こう思っております。
○案納勝君 最後に、もう時間が来ましたので……。解釈の疑義については労働大臣が言われましたが、私はもう十分過ぎるほど解釈は統一をされていると——時間がありませんから、これはいずれ改めてやりますけれども、速やかにこの百五号、強制労働の禁止に関する条約に取り組まれるように強く要求します。 最後に意見だけ申し上げておきます。先ほどから質疑を進めてきましたが、私は運輸大臣初め国鉄総裁と国鉄当局が、重大な今日における国鉄再建問題に逢着をしている、誠意をもってこの問題について真剣に取り組んでいるというふうに、実は受け取ることができません。膨大な料金値上げが二年連続して行われる、国鉄の再建問題の見通しも青写真も展望も出ない。いままで進めてきた再建計画の責任も明らかにされない。そういう内容で、私は今後国会の審議を続けていくことはできないと思います。私はこういう内容の提案、料金値上げ等を含める再建計画は改めて練り直すべきだと、そして国鉄労働組合を初めとする関係組合も、国鉄再建に協力する用意を持っていることはあなたたちは一番御存じであります。それに水をかけ、労働者を敵に回して、四十万いる国鉄労働者を相手にして、処分や損害賠償をすることによって、より一層、せっかくの前向きに進めてきている労使関係の中で、信頼をぶちこわして国鉄再建が実現するとは思いません。国鉄再建は単に財政上の再建だけじゃない、制度上の問題も含めて、この労使の関係等、私は解決しなくてはならない問題が全く無視されてきているということについて、深く遺憾の意を表せざるを得ないと思います。 今後、きょう保留した問題等もありますから質疑を続けることとして、いま言った前段のことを強く反省を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(瀬谷英行君) 暫時休憩いたします。 午後零時十九分休憩 —————・————— 午後一時二分開会
○委員長(瀬谷英行君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、昭和四十八年度決算外二件を議題とし、総括質疑を続けます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○久保亘君 十六日の委員会で建設大臣にお尋ねをする予定にいたしておりましたところ、仮谷建設大臣御不幸のためにその機会を得ませんでした。きょう竹下新大臣に対して、私がお尋ねすることになっておりました件についてお尋ねいたしたいと思いますので、率直なお答えをいただきたいと思います。 最初に、信濃川河川敷の問題についてでありますが、新大臣は、田中金脈の中で最も大きな問題の一つでありました信濃川河川敷の処理について、今日までの国会における審議の経過等について十分に御承知のことと思います。その河川敷の廃川処分については、衆議院予算小委員会の審議を待って判断をすること、及びその判断は国民の納得を得られるかどうかを総理みずから判断して決断をしたいということを約束をされておると思うのでありますが、その点については大臣もそのように御承知になっておりますかどうかお尋ねいたします。
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします前に、私が仮谷前建設大臣の補充人事で建設大臣を拝命いたしました竹下登であります。そうして四日目、国会の答弁はきょうが初めてでございまして、その機会をお与えいただきましたことを委員長にまず感謝を申し上げます。 久保委員の御質問でございますが、私も当時予算委員会に所属をさしていただいておりましたし、それから久保委員の御丁寧におよそ質問要旨をお聞かせいただきましたことについて、四日目とはいえ、一生懸命いままでの答弁記録等を読んでまいりました。先住のおっしゃるとおりであります。
○久保亘君 そういたしますと、この国民の納得を得られるかどうかをみずから判断をして決断をしたいと総理が言われておりますそのことの一つに、衆議院予算小委員会の審議があろうかと思うんでありますが、この問題につきましては、参議院決算委員会の田中金脈に関する審議の中でも特に重要な問題として最初から取り上げられてまいっておりますし、また去る五月七日の総括審査においては異例の警告決議を当委員会は行ったものであります。そしてその警告決議は、この河川敷の措置について誤りなきを期すようにという意味のことを特に述べているわけでありまして、衆議院における取り扱いの例からいたしましても、当委員会に対しては国民の納得する措置となり得るかどうかを廃川処分に先立ってその了解を求められるものと理解をしてよろしいかどうか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 率直に申しまして、私自身建設大臣としての答弁のちょっと範疇を逸脱するかもしれませんが、と申しますのは、当時の予算委員会にたまたま理事として私がおったという意味で申し上げるわけでございますので、その非礼をあらかじめお断り申し上げておきます。 私も、確かに国民の納得する方法と総理もまた前建設大臣も申しておりますので、その方針を継承するということにはいささかも違いはありません。ただ、私が小委員会開催に当たりまして考えておったことでございますが、ここが少し範疇を出るんじゃないかということでありますけれども、いわゆる三権分立のたてまえの中でこの国政調査権によっていろいろなチェックが行われていく、これはもちろんあるべき姿であると思うんであります。私も言うなれば先生の立場におって考えたことなんでございますが、しかしながら、そのときにいわゆる執行権を凍結する機能というものが三権上どんなものであろうかということをもう少し本当は議論してみたかったんであります。そのことをきょう与党の私どもの後任の理事の皆さんに私の私見として申し上げておったんでありますが、したがって、その問題はたとえば国民の理解が得られたかどうかを多数決で決めるとか、そういう状態のものではないんじゃなかろうかと思うわけであります。どういうふうなこの運び方をするかということについてはまた小委員会の御議論もいただかなければならないところでありますが、元来この問題が本院の決算委員会でこれが初めに論議された問題であるということは私も歴史的な経過を調べてそのように承知しております。 したがって、私どもがこれを執行するに当たって考えなければならないのは、そうした各般の意見というものを十分政治的判断の素材としてこれを位置づけをして判断しなければならぬ、こういうことになるかと思うんであります。したがって、この了解とかあるいは疑惑の解消とか、こういうことになりますと、およそそれぞれ主観も伴ってまいりますので、その辺の判断について私自身もいま一度整理をしてみなければならないと思っておりますが、基本的に私も元来ここに座るよりも皆さん方のところにおるのが私の得意と言っちゃ失礼でございますが、そういう育ちでもございますので、そういう立場からこの国権の最高機関たる国会の議論というものを判断の最も重要な部分に置いて決断を下すべきであると、このように考えております。いささか私自身が国会の場において考えておったことを含めてお答えしましたことを、まあ非礼をお許しいただきたいと思います。
○久保亘君 最後に、いまの問題でもう一遍念を押すようなことになりますが、少なくとも大臣が廃川処分に関する決定をなされる場合には、当決算委員会のいろいろな意向というものについて十分尊重できるような慎重な配慮を行われるものだと私は理解をいたしますが、そのようなふうに考えておいてよろしゅうございますか。その具体的な方法等については、大臣もいま御就任になったばっかりでありますから、今後まだ私どももいろいろ意見を申し上げて大臣の方の判断をしていただきたいと思っているんですが、そういう方向でお考えいただくと考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(竹下登君) 久保委員のおっしゃるとおりに理解しております。
○久保亘君 それでは、次に私は宅建業界の営業のあり方について、購入者である国民の利益を保護すべき立場から、建設省、警察庁にお尋ねをしたいと思います。 つい最近、住宅ローンを苦にして親子心中をしたことが報道されておりますが、その亡くなりました子供さんの作文に「おかあさん…がんばってください…死なないで…」という文章がありまして、亡くなられてから机の中から出てきたという非常に痛ましい事件がありました。こういう事件を見るにつけても、私はいま国民の暮らしの中で住宅に対する夢が大きければ大きいほど住宅ローンの負担あるいは住宅費の負担というのが非常に大きな部分を占めている。特にわが国はアメリカなどと比べますと、国民の年間総収入において比べました場合に、平均住宅建設費がアメリカの一・四倍に比べてわが国は三・二八倍と言われております。そういうような状況にありますだけに、果たして庶民が購入している住宅は正当な価格で購入されているのかどうか。その間に、庶民の側が知らない間に不当な住宅費を、建設費を負担させられていることはないのか、こういう点について私どもは深く考えてみなければならないと思います。 それで、最近私のところに、殖産住宅相互株式会社と契約をいたしました、積立契約をいたしました某氏が、その後この建物の給付を受ける契約を結ぶ段階に至りまして、見積もり等に非常な不信を抱きまして、そして会社と交渉の末これを解約をした。会社の方もその会社側の落ち度といいますか、その某氏の主張を全面的に認めるという形になりまして、したがって、約款に基づく手数料等も一切徴収せず、全額返済をして解約に応じたという事例がありました。私はその事例を見ましてから、これは今日庶民の側は住宅について専門的知識を有しない、設計や見積もりについて専門的知識を持たない。その一方の側は専門的知識を持っているという関係で、契約の段階で不当なことが行われているのではないかという疑問を持ちまして、任意に殖産住宅相互株式会社と契約をいたしました三件を抽出をいたしまして協力を求め、専門の方にその設計図書等に基づいて積算をやってもらいました。その結果、私が得ましたものでは、非常に多くの契約段階での資材数量の、材料の数量の水増しがあるということがはっきりしてまいったのであります。 私は、この種の契約につきましては、どんなに大きくても、業界の人たちの意見を聞きますと、仮に誤差があり得ても、それは見積数量誤差は五%を超えることはあり得ないというこの意見を聞きまして、私が当たりましたこの解約と、それから契約を遂行いたしました三件、合わせて四件について三一%から四四%の数量水増しがあるということは、これは明らかにこの不当利得を得るための意図的な悪徳商法まがいのやり口ではないのか、こういう感じを非常に強くしておるのであります。私どもが調査いたしました四件について、すべてそのような数字が出てくるということは、恐らく他のものについてもこれを細かく調査をしてまいりますと、かなりのものがそのような水増しが存在するのでなはないか、こういう気持ちがいたします。これは大臣の方に差し上げてありますでしょうか。私どもがチェックいたしましたこの数量一覧表をごらんになりますと、これは大変な数量の水増しでありまして、その、不当利得は相当多額に上るものと考えられます。このような具体的な事例について、これから私は建設省並びに警察庁を中心にしてお尋ねをしたいと思うわけであります。 まず最初に、この積立式宅地建物販売業法が四十六年に制定されました。その四十六年制定後、建設大臣がこの法律に基づいて許可をされました業者は現在何社ありますか。その点をお尋ねいたします。
○国務大臣(竹下登君) 事務当局からお答えさせます。
○政府委員(大塩洋一郎君) 積立式宅地建物販売業法によりまして営業を営んでおります業者は現在二十四業者。そのうち大臣許可に係りますものが十二、知事許可が十二、半々でございまして、いずれも法律が施行されました昭和四十六年以前から積立式の宅建業を行っていたものでございまして、その後新設のものはございません。
○久保亘君 そうすると、その以前からこの業を営んできた者で、新しい法律に基づいて、改めて大臣のこの法律に基づく許可を受けた者はこの二十四社のうち何社ですか。
○政府委員(大塩洋一郎君) まだ大臣の関係ではございません。知事の関係ではあるようでございます。
○久保亘君 そうすると、殖産住宅相互株式会社は積立式宅地建物販売業法に基づいて正式の許可を受けておらない、経過措置として従来その業を営んでおったから引き続き営業を行っていると、こういうことでございますか。
○政府委員(大塩洋一郎君) そのとおりでございます。
○久保亘君 私は大変不思議に思うんでありますが、購入者の保護を立法の目的として制定をされましたこの積立式宅建販売業法に基づいて、当然大臣が審査の上、新たな許可を出すべきものがすでに五年を経過してなお正式の許可が得られておらず、しかもそれが従来の営業実績に基づいて経過措置としてその営業が認められている、こういうような形になっているのは一体どういう理由であるか。殖産住宅相互株式会社はこの法律に基づいて改めて大臣許可を願い出ているのかどうか。願い出ているとすれば、それはいつ出されておって、なぜ今日までそれが許可にならないのか、その点を明らかにしていただきたい。
○政府委員(大塩洋一郎君) 殖産住宅に関して申し上げますと、許可の申請は出ております。しかし、四十七年の十二月十二日に出されております。法律で、われわれがその法律の中で意図しております消費者保護という立場から、その会社の資力なり信用なりというものが一定の段階に達しますような、条件を満たすというような段階になりますまで五年間の猶予期間がございますから、指導を続けておるところでございます。
○久保亘君 猶予期間があるにいたしましても、すでに四十七年の十二月に申請が出されたものが、今日まで四年以上にわたって正式の許可を得られず、しかもこの殖産住宅相互株式会社はこの積立式業界の五〇%以上のシェアを占めているんであります。で、年間のこの実績は五百億にも達しようという膨大な仕事をやっておるんでありまして、それがなぜ四年間も申請が出されたまま放置されているのか。それは約款の内容とか営業の内容等についてなお指導すべきものが残っているからそうなっているのではないかと思うんですが、その点について計画局長はいかがお考えですか。
○政府委員(大塩洋一郎君) 御指摘の趣旨はそのとおりだと思います。私どももできるだけ早く許可をするような方向で努力しておるところでございますが、いま申しましたように各社いままでの営業の実績等がありまして、ふぞろいな点がある。したがいまして、できるだけそれを合わせまして許可に必要な条件を満たすようにしたいということが一つの目的でございます。そこで、ばらばらになってはいけないので、基準等を示したりいたしまして指導しているところでございまして、できるだけ早く許可に、なるべく法定の許可手続を経て営業させるようにいたしたいという前向きの方向で指導を行っているところでございます。
○久保亘君 結局、法定の許可も受けないまま、今日の住宅需要の高まりの中で、政府の不況対策もまた住宅を重要な柱として行われるという中で、これらの業者が法定の事業免許を受けずに、そしていろいろトラブルをあちこちで起こす、こういうことになれば大変私は問題が多いと思うんであります。 先ほど申し上げましたように、この殖産住宅相互株式会私の私が調査をいたしました例をとり出しても、大変これは悪徳なやり方だと言わざるを得ないのであります。で、どういうやり方でいくかといいますと、資材単価の商い工事部門の見積数量を付加して契約金額を決めてくるんであります。構造材とか造作材など木材類が軒並み二倍にも三倍にも水増しをされているというのがこの四件の見積書から私どもが読み取ることのできるものであります。また、左官工事が非常に水増しが多く行われております。極端なものになりますと、壁を計算をいたしますときには、その壁につくられます窓の部分まで全部壁をつくったという計算をいたしまして、窓はまた窓で別に見積もりをしてくるんであります。こういうようなやり方で数量を上乗せをしている。それから左官工事は下地と上地の工事の量は同じだと思うのでありますが、この数量が食い違ってくる。それからまた数量にダブりの計算が左官工事などでは出てまいりますし、そこに、お手元に差し上げてあります私どもの調査結果をごらんをいただきますと、このようなものが数多く見られると思うのであります。また、実際に建築発注者が注文した以外の工事を加えて契約金額をつり上げる。 それはなぜそういうことが起こってくるかといいますと、私はやっぱり一つの原因として、一口九万円の積立契約をやらせる。九百万の家を目指そうと考える人は百口の積み立てを始める。そうして毎月十数万の掛金をしている。そうすると、契約の段階ではその掛金より以上の建物を契約をさせようとして、そこに合わせるような見横書づくりが行われるのではないかという感じがするんであります。こういうような形で契約が行われるとすれば、私はこれは明らかに不正な行為だという判断をつけなければならないのではないか、こういう気持ちがいたします。でき上がった建物についても調査をいたしました。しかし、きょう私が問題にしようとしておりますのは、使いました材料の単価などについては一応問題にしないし、でき上がった建物については参考的にこれを突合させてみたということでありまして、工事契約見積書による数量というのは一定であるべきなのに、それが非常に多く食い違っているという点を問題にするのであります。その点は明確にしてお答えいただきたい。 先ほど申し上げましたように、庶民はマイホームの夢を強く持っておりまして、そうして家をつくるということは大抵の庶民にとっては一生涯かけての事業なのが現状なんです。しかし、残念ながら専門的知識を購入者の側は全然持ち合わせておらない。そのときに何が購入者の側にとっての信頼の基礎になるかといえば、建設大臣が許可をした業者である、法律の制約のもとに営業しているから絶対に不正など行われるはずがない、こういうことで購入者の側は信頼を置いてこの業者と契約を結ぼうといたします。そのとき業者の側が契約の相手方の知識が乏しいことを悪用してこんな悪徳商法で暴利をむさぼっているんだとするならば、これは私は行政上の責任としても、また刑事上の責任としても許すことのできないものだと思う。 それで、警察庁にお尋ねしたいのは、このような業者の悪徳営業取り締まりについてどのような措置をとろうとお考えになっているのか。また、私が具体的に指摘をいたしておりますような事例については詐欺罪が成立するのではないかと思われるんですが、警察庁の判断をお伺いしたいと思います。 また、今日までこの会社と契約して住宅を購入した者が、これを再検討した結果、明らかに水増しが行われているということが判明した場合には、損害賠償を請求する権利が生ずると思うのでありますが、その点についてもお聞かせいただきたいと思う。
○説明員(吉田六郎君) お答えいたします。 個々の事犯の具体的な状況やまた商取引上の慣習にもよりますが、業者が当初から建築代金をだまし取る意図をもちまして建築資材の数量など水増しして不当な利益を得たような場合には詐欺罪として検討することも当然あり得ると思います。 なお、買い主側の損害賠償の請求など、これは民事上の問題でございますので、警察として関与するという立場ではございませんのでお答えを差し控えさしていただきたいと存じます。 次に、捜査についての考え方でございますが、御指摘のように専門的な知識に乏しい一般需要者が悪質な宅建業者などによって被害を受けるという点につきましては、警察は従来から厳重に取り締まる方針のもとに対処してきたところでございます。たとえば昨年、五十年中におきましても、六月を全国一斉取り締まり月間に指定するなど取り締まりを強化いたしました結果、その前の年に比べまして二四%増の千四百八十二件というかなりの数の検挙を見ているのでございます。 なお、御指摘のような事案をも今後念頭に置きまして、今後とも引き続き取り締まりを強化してまいる所存でございます。
○久保亘君 私は仮説の上でいろいろ申し上げているんじゃありませんで、実際に調査をいたしましたものにつきましては、ここに建物給付契約書の実物、それから三件についてはこの建築工事特記使用見積書、契約書等について、また建築確認書など全部ここに持っております。したがって、いま申し上げましたようなものをこの書類に基づいて直接調べさしておりますので、もし私のこの調査の結果に誤りがなければ、三一%から四四%にも及ぶ数量の水増しというのは、これは一般論としてではなく、私は刑事責任を生ずるようなものだと考えるのですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○説明員(吉田六郎君) ただいまの具体的な例を挙げられたわけでございますが、これについて、ここで直ちに捜査する、しないということは申し上げるわけにはまいりませんけれども、当然ここで問題になりました事項につきましては、警察といたしましても検討いたしたいと存じております。
○久保亘君 それでは、次に建設省にお尋ねいたしますが、積立式宅地建物販売業法が購入者の保護を目的としているにもかかわらず、業者に対する法規制はきわめて緩慢であり、免許そのものについてもいまだに法制定後五年を経過しても野放しの状態となっておる。ところが、一方では購入者に対する行政上の保護対策も全く行われていない、こういう現状ではなかろうかと思うのであります。 そこで、私は大臣の見解をお聞きしたいのは、もしいま私が指摘をいたしましたような営業の事実があるとするならば、このような業者に対しては法律に基づく免許の交付は行われない、そういう行政処分が行われることは当然であると思うのですが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 私自身この整理ができておりませんので、計画局長からお答えさしていただきまして、その後若干の所見を述べさしていただきます。
○政府委員(大塩洋一郎君) 以上に述べられましたような事実があるということ、はなはだ遺憾なことであり、積立式宅地建物販売業に関し法律の定める四十四条七号「不正又は著しく不当な行為」に該当いたしますので、そういう行為があれば当然業務停止事犯に該当し得るというふうに考えますが、至急御指摘のありましたような事実につきましてわれわれとしましても早速調査の上、水増し等がこのような形であるかどうかということについて調査をいたしたいと思います。
○久保亘君 法律の第五条の四号にも、建設大臣や都道府県知事が許可をしてはならない条件として決められております。この「法人又はその役員若しくは政令で定める使用人が積立式宅地建物販売業に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。」が許可の条件、こういうことが法律に明確にされております。「不正又は不誠実」です。私は仮にこれがいろいろと理屈をつけて不正でないという判断をされましても、購入者の側に立ってみれば、これは明らかに不誠実なやり方、私は不正な行為だと思っております。「不正又は不誠実」となっているんですから、かなり厳しい法律の許可条件だと思うんです。そういたしますと、もしこのような事例が何件もとらえられるということになれば、当然かかる業者は許可対象から除外される、こう思っております。いま局長が言われましたような方針で行政指導、監督をきちんとやっていただきたいと思うんです。 今度は、一方から言えば、購入者の保護対策というのは一体どういうことになっているか。買う方は契約するときに、大体私どもでありましても専門家に頼まなければ見積書の中身を検討することは非常に困難なんであります。だから、ましてや契約者が契約の相手方、つまり購入者の方が示された書類に対してこれを検討してチェックするなんということは不可能なんです。それならば、その契約前に購入者の意思で中間チェックを行う何らかの制度等が検討されるべきではなかろうか。これは積立式宅地建物販売業法だけに限らずですね、この種のものについては、購入者が自分の意思で契約締結前に何らかのチェックを行いたいという場合に、それに対応できる制度や機関というものが建設行政の中で考えられるべきときではなかろうか、こう思うんですが、その点についてお考えをお聞かせいただきたい。
○政府委員(大塩洋一郎君) 確かに一定の積立期間が終わりまして、業者とそれから積立者との間に改めてその中身、内容につきまして、いつ引き渡すか、どういうものをつくるかということについてのそこで初めて契約が成立するわけでございます。その際に設計その他が両者の間で合意され、それを業者がこれを実施して引き渡すわけでございますから、いまおっしゃいますようなその設計の照合の段階において、できるならばその後における建設の過程におけるチェックということも含めまして、たとえばコンサルタントであるとか、そういう一般行われております慣行に従ってやられているのが普通でございますけれども、その際に専門家でない消費者の保護という面から、われわれもこの設計が十分に消費者側に説明され、そして十分な納得が得られるようにということをかねてから指導しているところであり、したがって、その様式だとかあるいは文書だとかいうようなものにつきましても不分明な点を改善するようにというふうなことをしばしば指導してきているところでございます。 それからもう一つは、多くのこれらの積立業者は宅建業者及び建設業者を兼ねておるわけでございます。大臣免許に係る十二業者はすべて宅建業者であり、同時に建設業者の免許を受けておるわけでございます。したがいまして、いまたとえば殖産住宅のような場合は、これは一つの設計見積もりに基づく請負契約の履行ということにもあわせてダブって関与してまいるわけでございますので、一般の建設業の場合と同じように、それについてその見積もりと違ったような行為をしたということにつきましては、われわれはその面からする監督もすることができるわけでございます。両々相まちまして、今後ともこの積立業法と同時に宅建業法あるいは建設業法上の監督、処分ともあわせまして指導していきたいというふうに考えている次第でございます。
○久保亘君 昨年の十一月の七日に第八回の消費者保護会議が会長三木総理大臣で開かれております。その際に、消費者の苦情処理体制の充実、消費者がこうむった被害の効果的な救済制度を確立するということが決められております。また、住宅部品などの被害について民間の自主的救済措置の拡充を指導する。政府はこれらのことを十一月以降五十一年度にかけて実施に移すことにしており、このため関係省庁の必要経費として総額百五十三億を五十一年度に、要求をするということがこの会議で決められておるのであります。このことを見てまいりましても、私はもっと住宅の建設について購入者である庶民の側が被害をこうむらないような救済の手だて、あるいはその疑問を持った場合にそれを解決してくれる手段、こういうものについて行政の制度やあるいは指導措置の中でもっときちんとしたものができ上がってこなければいけないんじゃないか。たとえば、その契約をいたしました場合に、その見積もりを第三者にチェックさせる。その第三者は公認の民間の機関であるとかそういうようなものが十分に機能できるように、もちろんそれは契約する当人の意思に基づいて行われることでありますが、そういうようなものを建設省あたりではお考えになる必要が今日の住宅情勢の中では起きてきているのじゃないか。特に殖産住宅の私が指摘しましたような事例を考え合わせますと、緊急の課題なのではないかという気持ちがするんであります。その点について、私のお尋ねいたしておりますことにまともにひとつお答えいただきたい。
○国務大臣(竹下登君) 私も同感であります。で、私が事務説明を受けております中で、もとより行政のあり方、そうしたものは御趣旨の線に沿って進むべきものでありますし、建設業法に基づく問題としては、建設省と都道府県にございます建設工事紛争、審査会、これがすでに設置されております。しかし、さらに今度の、まだ御審議いただいておりませんが、予算を御審議いただくわけでございますが、先ほどの趣旨を生かして、名前はまだ仮称でございますけれども建設省に紛争調整官、ちょっと名前がまだ確定しておりませんが、これを設けまして、紛争処理の事務処理能力をさらに強化いたしまして、さきの設置されておる委員会等の機能が十分に発揮できるように進めていきたいと、このように思っております。したがって、五十一年度から仮称のいわゆる紛争調整官、こういうものをつくって進めていこうと、こういう方針であります。
○久保亘君 よくその大臣の御意向についてはわかりました。私はそういう問題について、ぜひ具体的に、そして時期を失することがないように進めていただきたいと思うんであります。特に中間チェックのできる機関というものがある種の権威を持って存在をするということは、この種の契約における不正を防止するためにも大変重要なことのように考えております。 それからもう一つお尋ねしたいのは、この積立式宅建業法の積み立ての部分なのであります。これは約款に基づいて行われておりまして、この約款は建設大臣の許可事項となっております。この約款の内容を調べてまいりますと、非常に私どもとしては不審に思うことが多いんであります。どういうことがあるかと言いますと、積立契約をいたしますと、その積立金というのは先ほど申し上げましたように毎月百口の場合には十数万に及ぶのであります。そういう積み立てをしてまいりますと、その積立金は全部無利息で会社側に積み立てられて、二十四分の七だけを支払い準備資金のような形で会社は一定の凍結預金にして、そのほかの二十四分の十七に当たる部分は自由に運用広きるのであります。何百億という金を大衆から集めておって、その金を会社は無利息で自由に運用できて膨大な利益を上げる、そこまでがまず一つの問題です。 そうすると、その次には今後は、一定の時期に契約者が建物をつくってもらいたいというので給付契約を結びます。給付契約を結びますと、契約締結と同時に積立掛金が返済掛金に変わるのであります。家ができるのはまだ何カ月も先のことなんですよ。契約を締結したその時点から掛金は返済掛金になりまして金利が加算される。今度は金利込みのやつを取られるようになるんです。利子がつかないだけじゃなくて金利をつけて取られる。そして数カ月たってようやくその現物を受け取る。そのときには水増しがありまして、その水増しにも返済掛金や金利がずっとついて回る、そういうことになってくるわけです。 一方では、今度はこの契約を結んだ人が何かの事情で解約しなければならない場合にはどういうことが起こるのか。二十四カ月、積み立てを二十四回やる以前に解約を申し出ました場合には、膨大な手数料を引かれた上に、返済金を返してもらえるのは二十四カ月たってからということになっている。だから、仮に十カ月間、十何万の積立金をやってまいりまして、家庭の事情でどうしても家はつくれない、もう積み立てをすることもできないからここで解約したいということで申し出ますと、膨大な手数料を引かれた上、一年二カ月たってからその手数料を差し引いた残りの金を返してくれるという仕掛けになっているのであります。その間会社側は自由にその金を運用できる。こういう約款に基づくこの積み立ての仕方というのは、果たして購入者を保護している制度なんであろうか。 また、八十四回満期になるまで熱心に積み立てます。その間建物の給付契約をしないのであります。八十四回満了してからやれば少しでも後が楽になるだろうというので、しんぼうしてやります。しかし、八十四回積み立てた後、もう家を建てるのをやめようということになったらどういうことになるか。この八十四回積み立てた何百万という金が一銭の利息もつかずに返される仕組みになっているのであります。会社側は長年にわたって大衆の金を無利子で運用できる仕組みであります。もしこの加入契約が、自分が購入する家が積み立てた目標の金額よりも小さい場合には、その残りは解約の扱いを受けるのであります。そして一方では、会社側の都合で解約する場合にはどういうことになるか。六%の単利の利子をつけてお返ししましょうと、こういうことです、自分の方の都合でやるとき。だから、この積立金による宅地建物販売業法というのは、まことに巧妙なやり方で大衆の資金を特定の企業に収奪させて、そして暴利を上げさせる、そういう法律ではないかという疑いが出てくるのであります。 これはたとえば銀行法とか預かり金に関する各種の法律などに照らしても、このようなうまい仕掛けの金融業というのがほかにどういうものがあるのか、銀行局長にお尋ねしたいと思う。こういうような金融の仕方というのは余りにも一方的で、暴利を上げさせるような仕組みになっているとお考えにならないのかどうか。これは金融の立場からごらんになっていかがでございますか。
○政府委員(田辺博通君) どうも建物の積立式の割賦販売の実態について私何にも存じませんのでお答えできるかどうか疑問でございますが、これはいわゆる銀行に預金されているというような、お金を預かっているという純粋なそういうものではなくて、一種の物品の販売に伴う代金の前払いの一種だろうと思いますので、その際の前払いしておる場合に、その売買契約が成立しなかったという場合の解約上の損害金と言いましょうか、この辺は民法上の問題かもしれませんが、そういうのはどういう具合になっているというのはちょっと私判断がつきかねるのでございますが、単純な預金、金銭を預かっているというのであれば無利子で預ける人はいないだろうと思います。当座預金のように小切手を利用するとかいうような場合には、それだけの利益があるわけでございますから別といたしまして、お金を金融機関に預けるという場合に、無利子で預ける人はいないと思います。
○久保亘君 いまの問題について、直接監督官庁であります建設省としては、こういう積立金や返済掛金のやり方について、この業界の約款は全部お調べになって問題があるとはお考えになっておりませんか。
○政府委員(大塩洋一郎君) 確かに御指摘のような事例が先ほど当初に私が申し上げましたように、いままで統一的に基準等につきましても契約約款につきましても行われていない、ばらばらのものが多く目立っていたのでございます。そこで、昭和四十九年の末から五十年にかけまして、たとえば解約手数料のごときものにつきましても返還条件等約款で統一的に決めるように行政指導をいたしておりまして、逐次改善されてきているというふうに思っております。要は消費者の保護という立場からいたしまして、できる限り料金を引き下げ、そして住宅問題を扱うという一つの社会的な要求からいたしましても、できるだけこれを消費者に有利なようにするというのがわれわれの仕事でございます。 そこで、私どもとしましては、これ、正すべきものは正し、できるだけ引き下げられるものは引き下げていくという方向で指導してきておりまして、逐次改善されておるところでございますが、いま大蔵省からも申されましたように、これは物に結びついた——一つの預金という性格のものではなくて、ある一定の期間積み立てればこういう物をという、物に結びついた一つの金の運用の問題というふうに性格が異なっており、また外交員等による歩合制によるそういう業務に対する報酬をも含むことを認めざるを得ないというような実情からいたしまして、そこに若干の限界はございますけれども、それをできるだけいま申しましたような趣旨で、消費者に有利なように指導していくのがわれわれの務めであると考えております。今後こういった点を鋭意改善していくつもりでございます。
○久保亘君 私がこの殖産住宅を例にとりましていろいろお尋ねをいたしましたことを総括してまいりますと、結局購入者である消費者の側は何とかしてマイホームを持ちたい、しかし、建築そのものについては何の知識もない。そのときに一般に通用する常識は何か、坪幾らでつくるか、そういう非常に原始的な判断で契約させられる、安い高いの基準をどこに置いているか、坪幾らだ、そういうようなことでやられているが、実際に中身を細かく検討していくと、いろいろと購入者の側が法律上も行政上も保護されておればもっとうんと賢く手に入れることができるものを不当に高く売りつけられているのではないか。そこには刑事責任を問われるべきような問題もあるのだ、そういうことを私は申し上げます。そうしてこの業界が自粛されるということと同時に、建設省がせっかく四十六年に法律をつくりながら、五年経過した今日に至るもなおこの法律について許可の適用を具体的に行わないまま膨大な契約を結ばせ、会社に営業を行わしているということにも問題がありまして、それは建設者が住宅行政についてほんとうの意味で消費者の側に立って積極的な努力を行っていない、つまり住宅政策のそういう面での非常な行政の欠落というものが問われなければならないのではないか。こういうことで、その点についてぜひそれを建設省として積極的な取り組みをしていただきたい。そして購入者が本当にその価値にふさわしい契約でもってマイホームを取得することができる、こういうことにしなければならない責任があるのではないか、こう考えているわけです。先ほど大臣や局長が具体的に行政上の措置などについてお答えになりましたし、また警察庁の方では、これらの問題について具体的な事例について検討するということでございますから、私はそのことが今後購入者を保護するという立場について積極的な役割りを果たすものであるように心から期待をいたしております。もしいろいろ御検討いただく上に必要なものがございましたならば、私の手元にありますこれらの資料については御検討いただくこともできるのではないかと考えておりますので、そういう意味で、この問題は特にまた新しい年度に入ってまいりますと、国の住宅政策等とも関連をして、これらの契約が大幅に伸びていく時期でもありますから、その時期に間に合うように、いろいろな御指導や処置をとっていただきますようにお願いをいたしておきます。 そういう点で、ひとつ最後に、総括的に建設大臣の住宅行政の中で、私がいま指摘いたしましたような部分についての御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いま久保委員の御指摘は一々私も傾聴さしていただきました。要は国民、最終的にはそれぞれの立場で消費者である立場でございますので、なかんずくこのマイホームの夢、私が建設行政にある種のロマンが必要であるというようなことを申しておりますのも、いま先生のお考えをキャッチフレーズ的に申し上げておったような気もいたしたわけでありますので、御趣旨に沿って十分対処していきたい、このように決意をいたしております。 なお、御調査いただきました資料については、ありがたくそれを御提供願いまして判断の素材としたいと思っております。ありがとうございました。
○遠藤要君 私は、先ほど案納委員から国鉄再建について質問がございましたが、同じことを繰り返してはどうかと思いますので、その反対側から執行部に対してお尋ねをしてみたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 まず最初に、先ほど案納委員の御質問を聞いておりますると、運輸大臣の責任非常に重大であると、こういうふうな追及をされておったようでございますが、私は普通の大臣であったならば、まあほどほどということでおったと思うのですが、この国鉄の重要さということを十分御認識されている大臣は、どうしても再建策を樹立させなければならぬと、そういうふうな決意で昨年末大変な努力をされたことに対して、私はまず敬意を表しておきたいと思います。 しかし、私はその中において一つお尋ねをしておきたいのですが、先ほど大臣は、財政と精神というお話をされております。私は国鉄再建の何としても前提は国鉄の信用だと、国民から信頼のある国鉄をつくり上げていかなければならぬと、こう感じておりますが、運輸大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(木村睦男君) 国有鉄道はもとより国民の鉄道であるわけでございます。したがいまして、何事をやりますにも、所有者でもあるしまた利用者でもある国民の協力を得られませんことには、何事も達成できないという考え方に私も立っておるわけでございまして、その点につきましては遠藤委員の御指摘のとおり、国民の協力ということが大前提であることを十分に承知をいたしております。
○遠藤要君 そのように大臣のお答えでございますけれども、現実、国鉄の信用ということについて大臣いかが考えられておるかということでございます。さらに運輸省自体にも私は相当のやはり責任があるのではないかと、こう申し上げておきたいと思いますが、御承知のとおり、たとえば自治省の所管している地方自治団体、この地方自治団体がもしも赤字になりそうな状態のときには自治省は積極的に指導しております。 さような点で一、二例を参考に申し上げてみたいと思いますが、たとえばこのたびのように歳入欠陥が生じているという場合には、宮城県、福島県というような東北の自治体はほとんど、人事院勧告がございましたけれども、すなわち四月にさかのぼってという人事院勧告をたな上げいたして、そして逆に一号級下げて、そして人事院勧告を七月から実施するというような大変県庁職員に対して大きな犠牲を背負わせたような処置を思い切って指導されている。そういうふうな点を考えますと、私は運輸省として国鉄にもっと強い姿勢で臨むべきではないかと。しかも御承知のとおり、大蔵省の場合には専売公社、また郵政省の場合にはそれぞれの公社等を持っておりますけれども、これはただ単に監督官を置くという程度でございますけれども、運輸省の場合は、大臣御承知のとおり、国有鉄道部を設けて四十数名の国鉄関係の運輸省の職員を擁しておる。そういうふうな点で、国鉄と運輸省ということになりますると、切っても切れない関係であることはあえて私から強調するまでもないと思うのであります。その国鉄が、親方日の丸とよく世間で言われておりますけれども、このような膨大な赤字、しかも二回にわたっての再建計画も御承知のように全くかいた絵のような状態に過ごしてしまったというような点を考えるときに、そしてさらに私は申し上げたいのは、これは先ほど案納先生のおっしゃったのと私は同感であります。 それは何かと言うと、国鉄という立場はやはり公共交通の機関であると、そうして国民生活に大きな影響を与える機関だと、そういうふうな点は案納委員と全く同感でございますけれども、その大切な機関を違法なスト権ストなどという私は国民に対する挑戦とすら考えられるようなストを決行させていると。この問題についても、いままでのストでございますると、管理者と組合側が運転手なり何かの奪い合いをして一本でも多く運行せしめようと国鉄が努力されたということは私はしばしばこの目で見ております。しかしながら、このたびのストに関しましては、むしろ私は管理者も一緒になって、なれ合いとは申し上げませんけれども、何となく同じようなムードでこの長期ストを、違法ストを行わせたというような感を国民の一部は承知をしておる。そういうようなことで、一体国鉄というものの信頼ということを大臣は大変大切なことだと言われておりますけれども、私から考えますると、それで一体国鉄が国民の信頼を確保できるかどうかという点について改めて大胆にお尋ねをしておきたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 国有鉄道を監督をいたしております所管の大臣としての責任はきわめて重大であることを痛感をいたして、日夜その責任を果たすために努力をいたしておるわけでございますが、そこで先ほどの遠藤委員の御質問で、果たして、しからば国民は国鉄に信頼を寄せておるかという問題でございますが、昨年十一月、暮れの八日間にわたるあの違法なサボタージュ行為というものははなはだしく国鉄に対して国民の信頼を裏切ったということは、何としても私は事実として認めざるを得ませんし、また非常に残念に思うわけでございます。ことにその間に国鉄当局がどういうふうに対処したかという点につきましても、いま多少の御指摘はございましたが、私はやはり十全を尽くしていなかった、こう考えざるを得ません。それらのことにつきましては、その後再建の問題、五十一年度の予算の問題等をいろいろ検討いたします段階におきまして、国鉄としばしばそういう問題について私の考え方も申し述べておりますし、国鉄自体もこの未曽有の難局の中で再建をどうしてもやり遂げなければならないという異常な決意を持っておることを私もこれは認めておるわけでございます。 先ほど給与等の問題もございましたが、先般国鉄におきましても、管理者側におきましてある程度のそういった自粛をいたそうというふうなことを理事会で決定をいたしたいという報告も受けております。現在では国鉄当局者も真剣に取り組んで、そして国民の十分な信頼を寄せられるに足るだけの努力を労使一体となってやり遂げようという熱意に燃えておることだけは私も認めておるわけでございますが、しかし、それを今後事実でもって示していただかなければならない、示していかなければならない、この点は十分にわれわれも指導いたしたいと思っております。
○遠藤要君 その事実をもって示さなければならぬということでございますので、国鉄副総裁にお尋ねしておきたいと思うのですが、姿勢を正すための緊急措置、これをいつ、いかような方法で実現されるかをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(井上邦之君) ただいまお尋ねの緊急措置について申し上げますれば、午前中にもお答え申しましたとおり、現在鋭意事務作業を進めておる段階でございます。いつやるかということだけはちょっと申しかねますけれども、鋭意ただいま事務作業を進めておるという段階でございます。
○遠藤要君 先ほど運輸大臣の、この再建策の方途として三兆一千億を政府がたな上げする、そういうふうな話も恐らく今度の国会に提案されると思います。そういうふうな点もあり、かつまた先ほどのお話を聞いていると、国鉄料金も適正化しなければならぬ、そういうふうな話が出ているときに国鉄自体が信頼を国民から失っておったのでは、私どもとしても三兆一千億、または運賃値上げということがこのままの姿勢で、いずれそのうち何とかしますということで予算だけは認めろ、値上げだけは認めろということは了承しがたいと思うので、重ねて私はもっといま少しはっきりした答弁をちょうだいしておきたいと思います。
○説明員(井上邦之君) ちょっと舌足らずであったかと思いますけれども、書面にしてすでに申し上げておるのは、一月中にということをはっきりいたしておるのでございます。その点は十分先生御承知のことだと思いましてあえて申しませんでした。ただ、一月中にということでありまして、じゃ、一月のいつやるかということだけの御返事はちょっといまの段階では申し上げかねる、そういう意味でございます。
○遠藤要君 そうしますと、姿勢を正すための緊急措置として、「昭和五十一年一月中にスト権ストの処分を厳正に行う」、二番目には「昭和五十一年一月中にスト権ストに伴う損害の賠償を関係労働組合に請求する。これに応じないときは、すみやかに訴訟を提起する」、三番目、「役員は、給与の一部を辞退する」、これはこのとおり間違いないでございましょうか、重ねてお尋ねしておきます。
○説明員(井上邦之君) 処分の問題、それから損害賠償請求の問題、これは御指摘のとおり一月中にやります。それから役員の給与自体はもうすでに実施いたしました。
○遠藤要君 先ほどどなたかから役員の給与の一部辞退というのは噴飯物だというようなお話が出ておったわけですが、私はそうじゃない、やはり幹部自体がこのスト問題に対して姿勢を正すためには、私は職員だけを厳正な処罰をするということでなく、やはりこれはまあいま実施されているということになりますると結構でございますけれども、幹部の給与の一部の辞退もぜひ大幅にひとつ、一部ということではなく、大幅にひとつ辞退をお願い申し上げておきたい、こう思います。私は、かようなことを示してこそ初めて国鉄運賃の問題についても国民の理解と協力が求められるのではないか。先ほど国民と労働者を犠牲にするなというお話がございましたが、国民と労働者というのは境がないので、私は国民とこう申し上げれば労働者の人たちも含むものだ、こう信じておりますので、そう申し上げておきたいと思いますが、そういうふうな点で理解をやはり深めていかなければならぬ。 それからやはり毎年のように年中行事のようなストを繰り返しておる。国鉄の赤字の一部に何としても先ほども御指摘のあった貨物輸送の問題がございます。この貨物の輸送についても、荷主の人たちは、特に生鮮食料等を扱う荷主の方々はとても国鉄に頼っているわけにはいかぬ、そういうふうな声は恐らく国鉄幹部の方々も十分御認識だと思うのであります。そういうふうな点で、やはりかつては日本の鉄道というと、世界にその正確さとまじめさは評判であったと私は認識しております。しかし、いまの国鉄というと、何と申しましょうか、組合の鉄道か何かというような状態にまあなっているというような話も一部からささやかれていることは事実であります。そういうふうな点で、私は国鉄がいろいろな点において反省し、そうして国民の信頼を高めていく、これが何としても私は、もちろん国としても大幅のやはり努力を、援助をしていかなければならぬことはもちろんでございますけれども、国民の信頼を高めるということが国鉄再建としての一番の条件だと私は強調しておきたいと思うのでありますが、先ほどは運輸大臣からはそのとおりだという答弁をちょうだいいたしておりますけれども、国鉄副総裁としてはどういうふうなお考えかお聞かせちょうだいしたい。
○説明員(井上邦之君) 先ほど運輸大臣から御答弁申し上げましたそのとおり私どもも考えておる次第でございまして、率直に申し上げまして、例のマル生問題以来職場がかなり荒廃いたしておりまして、職場の管理体制もかなり弱まっておるという事実は率直に私ども認めております。白来もう三年以上たっております。漸次その回復の徴候は見せておりますけれども、まだ完全に国民の皆様方に胸を張って国鉄の現場は大丈夫だというところまで至っていないことは遺憾ながら事実として認めざるを得ません。その点については今後とも懸命の努力をいたして、職場の改善、国民の皆様方の信頼を得られるような職場にしていきたいと、かように考えております。そのための一つの手段といたしまして、先般経営刷新委員会なるものを国鉄部内に設置いたしました。いま根本的に問題をえぐり出し、それに対する対策を懸命に、解決策を懸命にいま検討いたしておる、かような段階でございます。
○遠藤要君 まあそれに関連するわけでございますけれども、東北新幹線についてでございますが、運輸大臣、国鉄副総裁、御承知のとおり、東北新幹線は当初の計画としては五十一年度完成と、こういうふうになっておることは御承知だと思いますけれども、いま東北新幹線の進捗状況は何%ぐらいになっているかお聞かせちょうだいいたしたいと思います。
○説明員(高橋浩二君) 東北新幹線の全体の総額は約一兆六千億といま想定いたしておりまして、金額的な進捗から申し上げますと、五十年度まだ終わっておりませんけれども、五十年度の予定が一応この三月で予定どおりまいりますと、全体的に二九%の進捗になるという予定でございます。
○遠藤要君 二九%の進捗率だと、五十一年に完成するのが——五十年でですね。
○説明員(高橋浩二君) 五十年度までの予算でございます。
○遠藤要君 そういたしますると、国鉄として一体何年に完成するか、何年までに完成できるかという見込みもひとつお聞かせちょうだいいたしたいと思います。
○説明員(井上邦之君) 今後の予算措置、どの程度東北新幹線に対して認められるか、その額にもよりますけれども、仮にまあ今後三千億程度のペースで行くといたしましても三年ぐらいは予定よりもおくれざるを得ない、かような見通しを立てております。
○遠藤要君 今日まで、五十年度で二九%ということになったその原因は那辺にあるのかお尋ねしておきたいと思います。
○説明員(高橋浩二君) 当初計画いたしましたときには五十一年度を目標に進めてまいりましたことは先生御承知のとおりだと思います。ところが、四十八年度、九年度、正確には四十九年度の予算編成時期に例の総需要抑制等の関係がございまして、一応そのころ予定いたしました進捗に比べて、総需要抑制その他の関係からその当時のいわゆる東北新幹線の進捗のペースを落とさざるを得なかったというのが実情でございます。ただいま申し上げましたように、この五十年度までで鋭意用地買収その他設計協議等を進めておりまして、いま五十年度終わりますと一応二九%の進捗率、これを今後の予算その他とにらみ合わせながら、できるだけ早く開通するように努力をしてまいりたいというふうにただいま考えておる次第でございます。
○遠藤要君 四十九年、総需要抑制という形で多少予算や何かの点においていろいろと渋滞したという点はわかるのですけれども、御承知のとおり、この五十年の臨時国会、また今度の予算編成に当たって三木総理、大蔵大臣の談話は御承知のとおりだと思う。どうしても景気浮揚策を講じていかなければならぬと、そういうふうな点において新幹線その他に対して積極的な姿勢をとりたいという話は新聞紙上にも伝わっており、住民たちも、ああそうなるんだなというような状態であったわけでございますけれども、そういうふうな大蔵大臣なり三木総理なりの姿勢であったわけですが、一体国鉄は来年度予算に東北新幹線に幾ら要求されて、幾らの内示をちょうだいしたか、参考に承っておきたいと思います。
○説明員(高橋浩二君) 五十年度の予算が年首で千二百億でございました。私の方は一応五十四年度中にはぜひ開業をさせたいものだということで、五十年度首予算の千二百億の二倍の二千四百億を投ずれば、一応五十四年度という目標には何とか私の方の努力でできるのじゃないかというつもりで予算的にはお願いを申し上げておる段階でございます。一応政府原案では五十一年度二千億というふうにただいま伺っておるところでございます。
○遠藤要君 私は五十一年の完成というのは、これは不可能なことは十分わかるのですが、やはり二年後なり三年後なりに本当に完成するという、させたいと、やらなければならぬという決意があられるならば、それに応じた予算の要求を私はやるべきだと、こう思うのでございますけれども、御承知のとおり買わない宝くじに当たったという人は私は聞いたことはありません。いま国においても予算の、要求をしないのに予算をつけたということはほとんどないというような状態であります。 そういうふうな点で、私は国鉄自体の姿勢がどうも、うわさですからわかりませんけれども、当初東北新幹線に三千億を要求されたと、こう聞いておるのです。ところが、このスト権ストや何かでいろいろおしかりを受けて、自分の方から二千四百億に減額されたと、そういうふうな状態で大蔵省なりとしてはなかなか満配の配分というのは考えられないことは御承知で三千億要求されたと思うのですが、二千四百億要求されたから二千億になったのではないかと、こう考えられますると、二九%が来年は二千億ということになると、なかなか国鉄のお考えになっているような状態で進捗率が進まないのではないか。しかも私の手元に入っている資料を見ますると、どうしても最小限度で二千四百億の東北新幹線に金がないとどうにもならぬと、それでも相当の失業者を発生するというようなことが印刷、プリントに出ておるわけであります。そういうふうな点で土地の買収その他で大きな支障を来すというような大変厳しく書かれておるのですが、これに対する対応策はどういうふうに考えられているかお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(高橋浩二君) まだ予算が決まっておりませんので、五十一年度一応政府原案の二千億ということで、私どもはこの中で設計協議あるいは用地買収等早く解決しておくべきものにまずかかりまして、なおすでに契約した工事が多々ございますので、それらの契約した工事は順調に進めながら、次の来年以降において前回の工程を取り戻すにはどうすればいいかということを考えながら、全体の工期、完成時期をできるだけ早くするようなことを考えて用地買収及び本体工事をうまく進めて、できるだけうまく進めていきたいというふうにただいま考えておる次第でございます。
○遠藤要君 なかなか国鉄のお気持ちと予算とが伴わないということになると、私は大変失礼ですが、心配されるわけでございます。そこで私は、この際国鉄の再建と、こういうふうな事業との関連性でございますけれども、御承知のとおり縦貫道であるとか一般道路であるならば、やはり投資した分だけで部分営業開始ができるわけでございますけれども、鉄道の場合には部分開通ということはとうてい考えるわけにはいきません。そういうふうな点で、先ほどのお話の中にもあったとおり、国鉄が借入金でいろいろいまの借金のやりくりをやっていると、そういうふうなために利子の負担も非常に過重になっているというようなときに、私はこういうふうな事業というのはでき得る限り年度内、計画内において成立させるということがやはり国鉄再建の大きな要因をなすのではないかと、こう思いますけれども、運輸大臣に所感をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) いま国鉄がその百年の歴史の中で、かつてない破局の中で再建を図っておるという重要な重大な時期でございますけれども、新幹線につきましてはすでに法律も制定されておりまして、七千キロの将来の構想も法律で決まっておるわけでございます。その法律に従って現在着工いたしております三線の中の一つが東北新幹線であるわけでございまして、これはやはり国民的な要望でもございますし、交通政策からもぜひやらなければならない。それを再建で非常に著しい国鉄にやらすというところにも非常に国鉄の苦しい点があることは重々わかりますが、しかし、やはり国策としてやらなければならない問題でございます。そこで、いま遠藤委員指摘のように、これ完成に余りにも長時間を要しますと、借入金がふえると同時にその利子の負担も多くなって、その償還がおくれてくるということにもなるわけでございます。 そこで、できる限り早く当初の予定に従って完成したいというところでございますけれども、すでに現在の時点におきましては予定より二年ないし三年はどうしても延びざるを得ない。これは日本の経済条件その他の外的条件にもよるわけでございますが、そこで、現在これらの財投につきましては、そう法外に高い利子を負担さすということもできませんので、一定の低い利子ということで、それ以上の利子のかかる融資については利子補給をする、まあそういうふうな方法も講じてやっております。ただ、輸送力の増強であり、こういった投資でございますから、財投とかそういう外部資金でやるということはやはりこれはもう筋だと思います。しかし、その利子の負担に、長年月かかって利子の負担に非常に苦しむということのないような措置はやはり並行して講じていかなければならないと思っておりますが、これらの一つのプロジェクトは完成させなければいけないという方針で今後とも進みます。
○遠藤要君 それからいま一つお尋ねしておきたいのは、先ほどもこれまた質問がございまして、答弁の方は私ちょっと聞き漏らしてしまったので重ねて私からもお尋ねしておきたいと思いますが、ローカル線の問題です。 国鉄が大変な赤字で再建が容易じゃないというからといって、先ほどもお話のあったとおり、公共的な交通基盤の中心をなしておる国鉄として、ローカル線に対して一体どのような姿勢で今後取り組んでいくかお尋ねしておきたいと思います。国鉄副総裁。
○説明員(井上邦之君) 私どもローカル線だからといって直ちにこれを廃止していいという考えは持っておりません。やはり地方のそれぞれの地域の住民の方々にとっては貴重な足であり交通機関でございますので、その必要性があるからこそ国鉄がやはりその経営を担っておる次第でございますので、赤字なるがゆえにということは考えておりませんが、しかし、一方また国鉄全般の財政状態というものを考えました場合に、運賃値上げをやりましてもなおかつ収支とんとんというわけにまいらぬという線区は、考えようによっては鉄道の特性を失っている線区だとも考えられるわけでございます。そういう点を考え合わせまして、国鉄がやるといたしますならば、やはりそこから出てくる赤字につきまして何がしかの政府の助成をお願いしなければ、国鉄の独立採算制という立場から考えました場合には、そういう助成をお願いしなければ国鉄の財政がもっていかない、こういう考えがあるわけでございます。そういう双方からの考えもいろいろございますので、今後国鉄独自の判断でどうのこうのというわけにまいりません。いろいろやはり地域の方々とも御相談申し上げ、あるいは政府とも御相談申し上げ、それぞれの線区についてどうやっていったらいいのか、国鉄がやるとすればどういうかつごうでその運営費をたとえ一部であろうとも見ていただけるのか、そういうような御相談もいろいろ今後出てまいる場面があるかと思いますが、いずれにいたしましても国民の皆様の御支持と御理解を得なければこの問題は解決をいたさない、かように考えておる次第でございます。
○遠藤要君 運輸大臣にその点についてお尋ねしておきたいんですが、御承知のとおり運輸省は私鉄に対しては、過疎地域に対しても採算を度外視しても国もある程度の援助をし、地方公共団体も助成をして過疎地域にバスを走らせていると、そういうふうな状態であることは大臣御承知のとおりでありますが、私は国鉄副総裁がいま、ローカル線についてはいますぐ廃止しようとは考えていないと、そういうふうな言葉がローカル沿線の住民に非常に不安を買っていると、私はそういうふうな点で、いまローカル線をどうこうするということでなく、やはり私鉄にさえも、民間バスにさえも過疎地域を走らせていることを運輸省自体が奨励しているときに、進めているときに、やはり運輸省の姿勢としては、ローカル線も従来以上にひとつ強化して、国民生活の足である公共機関、交通機関であると、そのために公労法が設けられてスト権も与えられておらないような機関なんだという姿勢をひとつはっきりと運輸省、運輸大臣としてこの席でお示し願いたいと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(木村睦男君) 基本的には遠藤委員と同じ考えを私も持っております。国鉄は国民に対して交通の利便を提供する最後の責任のある交通機関であるというのが私の持論でございますが、その持論の上に立って今回の再建につきましても総合原価主義の上に立ちまして、なるほどローカル線は赤字が多いことは事実でございますが、それらも含めて自立経営ができるように運賃改定あるいは政府の助成等も一連の中で考えておるわけでございます。しかしながら、今後国鉄自体の努力によって合理化なり近代化を進めて経営の合理化を図る上におきまして、非常に赤字を多く抱えておるような地方ローカル路線については何らかの対策は考えなければいけない。しかし、それがその地域の国民に交通の利便の提供を少なからしめるようなことであってはいけない。この両方が立つ方法でローカル線の対策を講じていくべきである。それには他の代替の交通機関があって、その地域の人に交通の利便の減少を与えないで済むというふうな方法があれば廃止をしてもよろしいし、あるいはその地方公共団体等の援助によって赤字を少しでも減らす方法で経営ができればそれでもよろしいし、あるいはまた、その付近にあります民間の鉄道業者が譲り受けてやることによって利便の提供を依然として持続できればその方法もありましょう。そういったいろんな方法もその地域の住民の了解を得て、同意のもとにそういう方法を考えながら国鉄が努力をして経営の合理化を図っていくべきであろう。その結論が出たことに対しては政府もいろんな面で応援をしようという態度をとっておるわけでございまして、そういう考え方で今後ローカル線の対策は進めていきたいと思っております。
○遠藤要君 時間もなくなったのでひとつ要望だけ申し上げておきたいと思いますが、先ほども申し上げたとおり国鉄に対する再建の前提としては、何としても信用の確保で、国民から信頼を受ける国鉄の姿にしてほしいということを重ねて要望いたしておきますと同時に、まだ列車を見たことのない住民もたくさんあります。その利用したことのない国民も、国鉄に負担をしなければならないのかどうかという点を考えるときに、やはりある程度国鉄が信用を回復し、利用者の負担ということも、ある程度持ってもらうというような姿勢を示していただきませんと、私の地域においてはまだ列車を一度も見たことのないというお年寄りもたくさんおるんです。そういうような人が国鉄の赤字のためにというようなことは割り切れない感情が残ると思いますので、そういうふうな点で、国鉄の姿勢をひとつ十分正してお進め願いたいということを要望申し上げて、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○田代富士男君 私は労働省並びに建設省に対しまして若干の質問を行ってまいりたいと思います。 で、昨年一年間に完全失業者が百万人前後の水準を続けておりますし、さらにことしを考えてみますと、決算資金が集中いたします三月ごろには倒産件数が多発する恐れがある、こういう季節的な要因も加わりまして、完全失業者はいま新聞その他で報道されているだけでも百三十万人を突破するであろうと予想されております。企業倒産は景気が回復するならば、また防げるということもありますし、この景気回復に大きく作用されるために、景気回復次第においては倒産件数は減少するかもしれません。ところが現在の企業の過剰人員は、低成長下の雇用という構造的な問題と深く絡んでおるために、この景気の回復だけでは簡単には解決はできないと思うのです。こういう点で、労働省としてはこうした現状をどのように認識をし、さらに低成長下の雇用という問題にどう対処をするのか、最初に労働大臣の御決意を承りたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) こういう経済の大転換期には摩擦も生まれます。予期しないことも生じます。その中において労働問題をどう考えているかというお話でございますが、近代工業国家は完全雇用をさせると、こういう方向に行くべきである、私はこう思ってます。幸いにして過去二十年間の高度経済成長時代、最近、中山伊知郎さんの書いた文章を見ましても、二十年間に千七百六十万の雇用労働者が、三千六百五十万になったという数字が出ておりまして、これはILOが五十年間でやったことを日本は二十年間でやった。ここのところへいま御心配のように、昨年はゼロ成長、マイナス成長、そうしてこれを何とかしなければならぬといういまそのひずみ、摩擦の時期でございます。ですから日本の問題は、お互いがよく認識することは、そういう中に終身雇用をやっておるということ、年功序列賃金であること、あるいは企業内組合であるということなどが特徴だと言われております。 そこで、こういう不景気が生まれるということをみんなで心配したものですから、昨年の一月一日から、失業者がまず出ないように雇用保険法の改正を皆さん方にお願いしたその結果、雇用調整給付金というものの制度が生まれて、そうして外国ではばたばたと首切ります、それを日本では終身雇用でございますから、それを抱えていく、それには企業の方が不景気でございますから品物がなかなかつくれません。といって首切らないためには、政府の方が中小企業の場合には三分の二、大企業の場合に二分の一、雇用調整給付金というものを出して抱えさしている。その間に第四次の不況対策、そうしてまたこのたび皆さんに明日からお願いするであろうところの五十一年度の予算、これの中に景気刺激を盛りまして、そうして稼働率を上げていくというところに苦心が要るわけであります。 そういうことによって、いまから先もタイムラグは、景気がよくなっても外にいる百万、三月は百二十五万から三十万と予想されておりますが、そういうものがタイムラグがあってなかなかすぐには入ってきませんでしょうけれども、早くこれを吸収するために景気浮揚策、雇用の安定ということがことしの一番政治の大眼目じゃなかろうか、こう思って、それに見合うところの施策を懸命にやろう、こう思っております。
○田代富士男君 建設大臣にお尋ねをいたしますが、大臣が建設大臣になられまして記者会見をされました記事が新聞に出ております。その新聞の記事の中に、公共事情の執行に当たっては、雇用安定が重要なので、地域差をできるだけ少なくするように配慮していきたいと、こういう発言をされておりますが、いまも私が尋ねております雇用安定ということは、ことしの最大の問題である。いま労働大臣も言われましたとおりに、この雇用安定の問題と関連して、地域差をできるだけ少なくするということを具体的にもう少しお願いをしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 田代委員に最初おわび申し上げますが、就任早々日なお浅くと申し上げましたが、四日目でございますので御期待にこたえるだけの答弁ができる能力があるとは思いませんので、その点は御寛容をお願いいたします。 私がこの就任に当たって、いわゆる地域差の是正とか地域均てんの公共事業の推進と、こういうことを申し上げましたのは、実際問題、予算編成に当たりまして、公共事業の各省にございますそのシェアをどうするとか、そういう問題にタッチしておった関係上考えておりましたのは、たとえば新幹線あるいは本四架橋、大型プロジェクトというもののある地域というものはそれなりに雇用の場というものが拡大されていくと思うわけであります。 ところが大型プロジェクトを持たないような地域ということになりますと、どうしても道路とか橋梁とかわが建設省の方がきめ細かい配慮をすることによって公共事業全体が景気浮揚に役立つための均てん性を持たせなきゃいかぬ。それには建設省だけで決めるわけにはまいりませんので、きょう政務次官会議でとりあえず決定をしていただきまして、関係省の政務次官によってプロジェクトチームを内閣につくって、そこでまず協議をして、そういうでこぼこがないようにそれを埋めていくのがどっちかというと建設省の仕事ではないかというようなことで、早速きょうはプロジェクトチームができたということで、まだ具体化していないことは残念でございますが、基本的な考え方を申し上げさしていただきます。
○田代富士男君 そこで、いまも労働大臣にお尋ねいたしましたが、労働省の立場からの低成長下の雇用の問題に対する御決意を聞きましたけれども、建設大臣といたしましても雇用安定が重要であると言っていらっしゃいますが、いまも労働大臣にお尋ねいたしましたが、まず最初に低成長下の雇用という問題にどう対処されるのか。いま地域の格差の是正とかそういう問題に対しましてはプロジェクトチームをつくってとおっしゃいますけれども、それに絡んでやるとおっしゃるかもわかりませんけれども、まず今回就任なされたところでありますし、いままでの大臣と違って、実力大臣と私も尊敬をしておりますし、そういう意味から、ひとつ低成長下の雇用の問題に対してどのような決意で臨まれるかお願いいたします。
○国務大臣(竹下登君) 実力大臣というか、まさに非実力大臣でございますが、お答えいたします。 基本的に政府全体のいわゆる低成長下における、減速経済下における雇用問題というのは長谷川労働大臣が答えられたとおりであります。ただ私が直ちにお引き受けしなければならない問題が、いわゆるこの景気浮揚施策の中に占める公共事業の割合というものから、それを均てん性を持つことによってこの雇用安定の場が全国的に均てんするようにということにもっぱら気をつけて、そして労働大臣の基本的にお考えになりました線に沿って、私もこの大役をこなしていきたいと、このように思っております。
○田代富士男君 そこで雇用問題というのはことしの政治課題であると、いま大臣申されたとおりじゃないかと思いますが、雇用の問題は、景気が回復してきましてもこれは一度に解決されるという問題ではないと思うんです。そういう意味から、仮に経済見通しもいまいろいろ立てられておりますけれども、ことしの後半に景気が回復したといたしましても、ことしの政治課題であると言われる雇用問題というものは私は解決できないじゃないかと思うんです。しかし現実にいま大臣も申されましたように、失業者は急増しているという、この急増した失業者に対しまして強力なる雇用対策を講じていかなくてはならない。その一環といたしまして重要な役割りを持つものが職業訓練校の問題ではないかと思うわけなんです。 そういう意味から、私はきょうは職業訓練の問題について伺います。すでに私は昨年の暮れに、東京、千葉、神奈川、大阪の各地に対しましてアンケートを出しました。そのアンケートを私なりにまとめました。その中からいろいろな問題点が浮き彫りされてきましたから、そのアンケートによって私は質問を順次進めていきたいと思います。 まず最初に職業訓練基本計画によりますと、四十年代後半の職業訓練というものは、御承知のとおりに労働者の希望と適性に応じて能力開発を向上させるとともに、産業の多様な人材需要を充足するという基本的認識に立っておることは御承知のとおりだと思うのです。ただこの計画というのは、高度成長下の技能労働力の深刻な不足に対応する施策でありました。ところが昨年来、景気の停滞が続きまして、雇用情勢は一変してしまった。いまも数字的な問題は、百万とか百三十万とか言われておりますが、政府関係の総理府統計局発表の資料によりますと、十一月の完全失業者は九十八万人。これは正式な数字でありますが、八月に比べて四万人も増加している。また労働力調査報告によりますと、完全失業率は二・一二%、これも八月より高い水準になって、雇用状態というものは深刻な状態が続いている。そういう意味で、いまも低成長下の雇用にどう対処をするかということをお尋ねいたしましたけれども、低成長時代に入っての労働政策としての今度は職業訓練をどのように位置づけていくのか、この点をまず労働大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 最近、週刊誌やら新聞を見ましても、国立大学を卒業した者、あるいは職場で働いているサラリーマンの方々が訓練校に行って資格を取っっているというニュースがよく出ます。そういうことからしましても、また組合の諸君も、従来のようにただそこに勤めるだけじゃなくして、訓練をして、何か身に技術をつけておけば非常にいいという私たちに対する要望もあります。そこでこの前の雇用保険法改正のときに、そういう考え方を入れまして、職業訓練というものを非常に重視して施策をやっていく。これがいまのように、週刊誌やら新聞にも、大学を出た者が、何かそういうところに入って勉強していく。これは就職というものは自分一生の努力でございますから、施策と相まって、本人の自主的なそういうムードを起こすことによってやってまいりたいと、こういうことでせっかく努力をしているところであります。
○田代富士男君 いまおっしゃったとおりに、そういう職業訓練というものに対しまして、大学を卒業した人が入校をしているというようなことも私も知っておりますが、そのように注目されているわけなんです。 そこで労働省が五十年の八月の十八日にまとめました「当面の雇用対策」の中で、失業の防止、失業者の生活の安定を図るとともに、失業者の再就職対策として職業紹介体制を強化し、職業訓練を大幅に拡充するということを挙げております。いまの大臣のお話もそういうお話でございました。そこで職業訓練は学卒者や、若年労働者に技能労働者としての基礎を身につけるための養成、訓練、また在職者のための訓練、それから中高年齢者など、離転職者の再就職のための訓練さらには身体障害者訓練などありますけれども、この職業訓練を大幅に拡充するというのはこの職業訓練の中にもいま私が申し上げたいろいろな内容がありますけれども、そのうちのどこに重点を置いていかれるのかお尋ねしたい。
○政府委員(中原晁君) ただいま先生御指摘の職業訓練を拡充すると言うけれども、どういうタイプの職業訓練が今後大事になっていくのか。労働省はどういう点に力を入れていくのかという御質問でございますが、まず一つには在職労働者、たとえば大工さんの例で言いますと、昔はかんなを削ることを何回も何回も繰り返してやったわけでございますけれども、最近は新建材等が出てまいりますので、また新しいことを覚えないと役に立たなくなってしまうというようなこともございますので、すでに勤めた人たちがまた新たに腕を覚える、新しい知識を身につける。こういう在職労働者の訓練の問題、これがいままではどちらかというとわき役的でございましたが、今後は訓練の主役になってくるんではないかと思います。 それからもう一つの重点としましては、先ほどから先生の御指摘にありましたような離職者対策でございまして、これにつきましては先生のお話にありました訓練五カ年計画をつくりまして、五年前とかなり経済情勢も変わっておりますので、昨年の秋に長谷川大臣みずから各県の労働部長全部呼び集めまして、職業安定局長と私の方からこの就職対策の問題を指示いたしました。その際、特に五十歳以上の職業訓練校入校希望の者につきましては漏れなく職業訓練校に収容できるような体制を考えろということで、訓練校の屋上にゼット旗を掲げるつもりでやれということで、去年の秋からそういう離職者対策のための職業訓練を拡充する措置を緊急にとりました。この線は来年度の予算にもそういう線が反映するわけでございます。 この二点が特に今後重要な点になろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○田代富士男君 いま在職労働者とそれから離職者の対策として、昨年秋から一つの対策を講じていらっしゃると。私はどちらも大事だと思いますけれども、特に家庭を持った、言うなれば中高年層の離転職者の再就職のため必要じゃないかと思うんです。そのために力を注ぐということでございますが、労働省が高年齢者対策として高齢者の実情に応じまして職業訓練制度を機能的に運営をし、そうして訓練を必要とする全員が受講できる体制を昨年の秋からとっているということであります。全部参加希望する人を受け入れるということでございます。これはまあ一面ありがたいことでございますが、大体何人ぐらい受講を予定しているのか。またそれにつれて受け入ればそういたしますと言いましても、やはり実態というものを知らなくてはできません。 そこで昨年の秋、特に十月前後の訓練受講の実態はどうなっていたのか。また機動的に運営すると言いましても、訓練の施設あるいは指導員の問題。一度に来る人は全部受け入れますよと、いまそのように局長おっしゃいましたけれども、受け入れても施設だとか指導員は対応できるか。ひょっとすればそういうような離職者が就職口を急ぐための間に合わせ的なものになるんじゃないかという、こういう心配も含んでいるわけなんです。それであってならないと思うんです。だから再就職促進のための求人開拓にはまず実情を知らなくちゃならないと私言いましたけれども、これは企業の情報も的確に掌握をしなくては仕事としてはやっていけないと思うのです。ところが再就職のための訓練というのは、いま言うように訓練校で行われる。ところが就職のあっせんというのはその訓練校でなくして、御承知のとおりに職業安定所によってこれがなされると、そうすると訓練校と職業安定所との連携というものが密でなかったならば、これはいま大臣がそういう昨年の秋からこういう体制をとっておりますとおっしゃってもこれは実らないと思うのです、訓練校をやっても職業安定所との連携、そこらあたりのことについて、どのように対処されますか、大臣。
○国務大臣(長谷川峻君) 私はこの委員会、参議院のいろんな委員会でも申し上げているんです。失業というものは人世最大の不幸と、そういうことからしまして、局長もお答えしたように、いずれの訓練校も労働省の外郭団体の雇用促進事業団に運営さして、訓練局が監督指導し施策を推進しているところです。全国一万六千人の安定行政職員がおりますが、これがいつでもタイアップして、これもお答えしているんですが、こういうときにこそ公共的職業安定所というのが、人のつらいときに熱心にお世話するんだということを号令かけもし、実際に行ってもらって、この辺のあんばいは非常に私はうまくいっていると、こう思っているわけです。 問題はその時代その時代にどういう科目が社会から要請されて、それを受講すれば自分の生活に将来役に立つか、こういう業種を発見していくこと、たとえば私もいろんなそういう紹介所や訓練校歩くんです。たとえば最近は表具師、それから造園科、これなどを設けましたら大変なとにかく好評です。表具屋さんなんていうのはなかなかいま高いですから。造園科もそうです。不景気だ不景気だといってもなかなか庭をつくっている人が多うございますから、そういうふうな業種を見つけてそこへ入ってくる人に、密接な社会の情勢に応じて私たちの方がお手伝いする。ことに先生がおっしゃる中高年者というのは大変お互いがお世話しなきゃいかぬと思っているんです。敗戦後の日本をしょってきたのはいまや中高年者になった方々、三十年前就職をし、子供たちを学校へ出して、定年になったからといって首切られて、まだ力もある、体もいいのに再就職できない、こういう方々に対して、日本の大事な私は力として何とか社会参加に応じてもらいたいというつもりで、この辺は密接に連絡をとりますから、何か御注意があったらひとつおっしゃっていただきたい、こう思います。
○政府委員(中原晁君) 先生お尋ねの数字の件でございますが、ちょっと補足させていただきますと、四十九年度、五十年度でございますが、五十年度定員が三万二千六百十四名、これは先生のおっしゃいました離職者対策といいますか、中高年の職業転換のための関係の訓練定員でございますが、四十九年度は七割ちょっとの入校率でございましたけれども、五十年度はこれは三月末に締めることになっておりますが、先ほど申しましたように去年の十月にかなり、若い人だけじゃなくてむしろ五十歳以上の人を入れろということで、去年の十月以降急速に入りましたので、ことしはこの三万二千の定員に対しまして三月末ではかなり高い、九〇%以上の入校率ということになろうかと思われます。
○田代富士男君 私は長谷川大臣へのこの委員会での質問は初めてですが、ほかの大臣にない人間味のあるような感じをするんです、何となく。失業とは人世最大の不幸であると、これを私は何としても解決してあげるんだという、まあこういう人世訓みたいなことをこういう委員会でされるということは、その精神ですべてに当たっていただいたら全部解決すると思いますけれどもね。そこがうまくいかぬところに何かあるんじゃないかと思うんです。そういうわけで、いまも私が心配しているのは職業訓練を修了し、そして大臣は一万六千人の安定行政職員が公共としてお世話をしているとおっしゃるけれども、いま申されるとおりに訓練を受けて修了しても条件に合わない、そのために就職ができないとなりますと、半年やあるいは一年間こういう訓練を受けてもそれは水泡に帰してしまう。だから、表具師や造園科なんかはもうすぐに行きますよということでございますけれども、まあ訓練を受けたならばそのうちに役に立つでしょうと、そういうような一時的な、なだめるというような、そういう立場でなくして、問題は中高年の人たちですから、つぶしがきくというあれじゃないわけなんです。そういうわけで就職がむずかしい高年齢者あるいは身体障害者は安定所で認定を受けて職業訓練を受ければ職業訓練修了時には必ず就職できるように、言うなれば雇用予約制を大幅に取り入れるべきではなかろうかと私は思うのです。まあ訓練が終わった段階で安定所の行政努力によって待つというのでは限界があるんじゃないかと思うんです。 いま大臣が一万六千人の安定行政職員でやっておりますよと、人間味あふれる言葉ですけれども、これは限度がある。だからいま私が言うとおりに、雇用予約制を大幅に入れるべきだ。だから政府の当面の雇用対策の中でも雇用の予約等による職業訓練受講者の雇用機会の確保を挙げられております。そういう意味で具体的にどの程度予約制を取り入れられるのか。まあ私がいま労働大臣に人間味豊かだと申し上げたのは、この際この雇用先の少ない高年齢者についてだけでも全面的にこの予約制というものをとっていただいたならば、安心して訓練も受ける乙とができるし、これこそことしの政治課題であると大臣が当初に申されましたとおりの、ことしの政治課題を解決する一つの明るいニュースになると思うのですが、大臣いかがでございましょうか。
○政府委員(中原晁君) 先生の御指摘になりました雇用予約制、すなわち職業訓練校に入る前にどこかにもう就職を決めておいてから訓練を受けさせれば、特に中高年とか身体障害者の方は非常に安心して訓練を受けられるし能率も上がるではないか、こういう御指摘でございまして、職業訓練の中に職場適応訓練という制度もございますが、この職場適応訓練というのは、事業主に半年程度雇用の前に職場になれるために訓練をお願いしてやっておるわけでございます。労働省でお願いしてやっておるわけでございますが、この方につきましては現在、半年終わったら雇用してくださいという雇用予約制でやっておりますが、一般の公共訓練につきましては、ただいま先生の御指摘もありましたけれども、現実としましてまだ一般的にはこの雇用予約というのにつきましてはいろいろの困難があって普及しておりません。 ただ職業訓練校におきましては、安定所ともちろん連絡の上就職の三月前あるいは四月前、あるいは身体障害者の場合にはもっと前から事業主と連絡をしつつ就職ができるように万全の対策は講じておりますけれども、この職場適応訓練以外の一般の公共訓練につきまして入るときから雇用予約ということにつきましては、私どもの現在の現状ではなかなか景気の問題もございますので改善を要する、検討を要する点もあろうかと思います。しかしながら、この点は非常に重要な点でございますので、先生の御指摘もこれあり、私の方としましてそういうようなことは可能かどうか鋭意検討してみたいと思います。
○田代富士男君 大臣どうでしょうかね、大臣の考えは。
○国務大臣(長谷川峻君) 予約制度というものはいま初めて先生から御提案あったんです。私はその前にやっぱり訓練を受けるということがようやく盛り上がってきたという感じなんです。それは国立大学を出た者がそういう訓練校に行くという姿などはようやくマスコミが書き出した。ですから従来でもそうでしたが、やっぱりいろんな技術、どっかへ勤めておってもそういう新しいものを追っかける姿というものは外国にたくさんあるわけですね。私はですから、この機会に中高年齢者の問題ですと、今度の国会で新しい法案を一つお願いするのはそれなんです。特別に中高年齢者の問題については今度の国会で法律を提案いたしまして御審議をお願いする。身体障害者の問題もそうなんです。これは従来一・三%の雇用率であったが、なかなか達成しない。どうしても達成できないところは分担金でも出していただいて、そういう金によって施設なり設備をするというふうな総合的なものを一生懸命やろうと思っておりますから、その中に先生御提案の問題についても考えさしてもらいたい、こう思っております。
○田代富士男君 私の申し上げましたこの低成長下の雇用問題に対して、政治課題であると大臣が申された、安心して職業訓練等も受けられるようにということで、そういう訓練を受けた後就職できる雇用予約制というものに対しては、今回中高年齢者に対する法律をつくられるときにこれを生かしていただくということでございますから、それをどういうふうに生かされるのか期待をしておきたいと思います。 そこで公共職業訓練校について私はお尋ねをしたいと思いますが、きょうは決算委員会でございますから、四十八年度決算の実績についてちょっと尋ねてみたいと思いますが、いま昨年の秋から職業訓練というものは実績が上がってきているということでございますが、四十八年度の公共職業訓練校の実態を見ますと、入校状況というのは、定員に対しまして、養成訓練は八六・四%、職業転換訓練が六九・一%、身体障害者訓練校が九二%、総合高等職業訓練校が八四・八%、いずれも定員以下でございます。四十九年度の実績も大体四十八年度と同じ程度ではないかと思うんです。だから労働省はいま訓練校に対して力を入れると言っておりますけれども、この四十八年度、四十九年度も同じ実績でございますが、入校状況はこの程度で適当であると判断していらっしゃるのかどうかという問題がまず一つでございます。 それと四十年代後半というものは、労働市場というのは御承知のとおりに売り手市場で、中卒あるいは高卒というのは金の卵あるいはダイヤモンドと言われていた時代でありますけれども、いま労働省の言う生涯訓練の推進という点から見るならば、入職の際、技能労働者としての基礎を修得するための訓練は必要であったと思うわけなんです。ところがいま申し上げますとおりに入校者が少ないというのは、進学率が高くなって技能労働者の数が少ないということなのか、それとも学卒の訓練は企業内で行われることが多くして、公共訓練校に入らなくなったということであるのか、あるいは職業転換訓練の入校状況が七〇%以下であるが、この方も転職、再就職が容易であって、何もわざわざ職業訓練を受ける必要がなかったという、そういういろいろなことがありますけれども、それに対してどのような見方をしていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 一般論としてお答えいたしましょう。八十数%の入校率、悪いじゃないかというお話でございますが、国立大学のように、あるいは私立大学のように学生がどんどん押しかけて一〇〇%になる、一五〇%押しかけるのとはまたこれわけが違う。ですから八〇%以上であればまあまあ私は余り御非難いただくことじゃないんじゃないかという気もいたします。一つは最近までは若年労働者というのは三年以内に五〇%ぐらいは転職するとも言われてきました。どこへ行っても就職できまずから。しかしやっぱり最近は、労働調査を見ますと落ちついてきました。それと同時に、やはりこういう技能訓練を受けようじゃないかという空気が出てきている。やっぱり働く諸君も真剣にやろうという、経済不況をお互いの力で乗り切ろうという姿が出ていると思いますので、そういうことなども見まして、いろいろな施策を一層これは充実して期待に背かないようにやっていかなければならぬということをまず申し上げておきたいと思います。
○田代富士男君 まあまあこの程度だと、しかしよくしなければならないということですが、これはまだまだやるべき点はあると思いますよ。 そこで私がいま申し上げたいろいろな例というものは、この訓練校への入校状況がよくないというのは、景気が好調であったとか、あるいは人手が不足といった外的な要因を云々と、いまいたしましたけれども、これはこれだけでなくして、私は定員に足らなかったというのは、訓練の内部の方にも問題があったのではないかと思うんです。ただ単なるそういう理由だけではないと思うんです。 一つ具体的な例を挙げますと、若年労働者の主流というものが中卒から高卒に移ったために、訓練に対する希望などが変化したことへの対応というものが、訓練校の対応というものがおくれてはいないのか、それから学歴社会のわが国では、学歴だけで就職や賃金が決まり、技能は社会的に評価されにくい、こういう弊害があります。だから幾ら訓練校のPRをしたり、技能尊重を何十回と言ってみても、それでは技能労働者の評価を引き上げるためには何の効果もありません。だから具体的にどう処遇されるかということが重要でありますが、訓練で習得した技能が技能者として資格の取得につながり、評価されるようにならなければ訓練校に入る人はふえないと思うんです。私はここらあたりが一番問題じゃないかと思うんです。だから訓練に魅力を与えるための努力が、こういう点からも内部的な面からも反省すべき面はあると思うんですが、まあまあこの程度じゃないでしょうかということではなくして、この点はどうでございましょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 従来、中卒などはこれはもう本当に、先生おっしゃるとおり金の卵、月の石みたいなかっこうで各企業がどんどん奪い合いました。その中から訓練校に入って、そこで訓練してやっていくというのは相当私はしっかりした青年だと思って、一生懸命訓練もした。しかしながら、一方技術がどんどん伸びますから、これはやはり中にいる先生方も、またこちらの方も再訓練しなければいかぬ。そういうことで訓練大学校でこういう指導員の方々を再教育をして、そして魅力のある教科、魅力のある教え方、こういうことも考えているわけであります。と同時にこういう技能労働者というものがやっぱり尊敬される世の中にならなければいかぬと思います。 収入はホワイトカラーよりブルーカラーの方がいま多いと言われておりますが、やっぱり世の中は資格であり、名誉も必要でございますから、これは労働大臣と文部大臣とで四回にわたって協議をいたしまして、文部省の局長さん四、五名、私の方の局長も集まりまして、やっぱり技能というものを教育の中において大事にする、尊敬すると、こういう姿勢をとることがいま以上にやはり必要なんじゃなかろうかということで、だんだん協議しながらやって、そうした一つの形を何とかつくりたい、そういう希望をひとつ技能労働者に与えるということで、二、三日前も文部大臣と私の方の諸君と、私も一緒になりまして、一時間半ほどやったわけでして、おっしゃる方向に具体的に推進したいと、こう思っております。
○田代富士男君 このように、私が申し上げたことが実現していただくならば、よりこの訓練校の魅力というものも増してくるのじゃないかと思うんです。 そこでこの際、細かい質問になるかもわかりませんが、いま大臣に申し上げたとおりに、そういう声を生かしてもらえるならば、私が当初申しましたとおりに、このアンケート用紙二枚です。これをいま言いました東京、神奈川、千葉、大阪等の各県へ配りまして、いろいろと細かい内容ありますが、内容についてはこれは逐次お尋ねしますけれども、とりました。ずいぶん建設的な意見があります。しかし細かい問題も多いんですが、これをこういう機会でなければなかなか声を反映さすわけにはいきませんから、その声を反映さす意味において、私、問題を提起したいと思います。 このアンケートの数字につきましては、私が全部まとめたものがここにあります。全部その傾向はどういう傾向であるかということはまとめました。労働者でおやりになる仕事を私がやったようなもんでございます。これは生かすためにやったわけでございますが、そういう意味から聞いていただきたいと思いますが、いま職業訓練校の問題につきましては、これは社会的役割りについては、この低成長下の時代になればますます重大な立場になってくると思うんです。そういう立場から私は述べたいと思います。調査した結果、これはまあどの社会でも同じだと思いますが、指導員の給与の点についてでございます。不満を持っている人がずいぶんです。 これはどこの社会でも同じだと言えば同じでございますが、しかし、その不満を持っておる内容が違うということを知っていただきたい。給与に対する不満がある。これは一般社会でも同じことでございますが、どういう不満であるかと言いますと、特にその中で、一般行政職とは性格上の相違があるので、学校教職員に準ずる専門職扱いをしてほしいというような強い意見がありました、この指導員の人から。だから職業訓練というのは、御承知のとおりに技能労働者の質の向上や、あるいは技術革新の進展に伴って高度の専門知識が要求される、また進学率が上昇してほとんどの人が高校進学をするから、訓練生は従来の、ただいまも申し上げましたとおりに中卒中心から高卒中心に変わってきていること。それから訓練が将来の産業社会の変化に即応していかなければならない。さっきも大臣が申されたとおりに、この発展というのは目覚ましいものがあります。ついていかなければならない。そういうことから見まして、指導員に人材を得ることが、これからの職業訓練を充実させるためには不可欠なことではないかと私は思うんです。そのために、指導員は学校教育職に近い者として専門職として処遇が考えられるべきではないかと。これが給料が低いということよりも、その中身の問題、こういう強い意見があります。 御承知のとおりにわが国の企業や団体では、ある程度の年月を勤めますと管理職に上がっていく、これは御承知のとおりでございますが、そうして一般的な処遇を受けるわけなんですが、この指導員につきましても、十年とか、あるいは十五年たつと、自分はもっと指導員を続けたいと思いましても、社会的評価が管理職の方がよければ管理職に移っていってしまう。そういうことをしないために、指導員を続けたい人には専門職としてそのまま残ってもらって、それだけの処遇をしてあげるべきではないかと思うんです。たとえば職能給と経験年数を加えるとか、そのように何とかこれは抜本的に改善をいたしまして、専門職としての給与体系を充てて、人間味豊かな——今年度の政治課題であると言われるならば、いまさっき大臣に申し上げました資格の問題については、これは早速文部省とも相談をしてやるようにいたしますということでございますが、これもあわせてそこまで大臣御決意をしていただくならば、これに対していま一歩の御決意はだめですか。
○政府委員(中原晁君) いま田代先生から、職業訓練で一番大事なのは指導員ではないかという点、私ども全く同感でございます。現在、都道府県の職業訓練校の指導員の給与につきましては、各都道府県の給与規程に基づく俸給表でやっておるわけでございますが、さらにその指導員という困難な特殊性を考慮しまして、俸給月額の一〇%の指導員手当というものを加算して一般より上積みしているわけでございます。ただいま先生の御指摘は、特に教員と同じような関係なので教員の給与体系というようなものに準じて考えられないかという御指摘でございますが、私はそれも一案かと存じますけれども、現在の職業訓練の指導員の資格は、現状、一般の学校の先生とはかなり違った面もございますので、いずれにしましても指導員が訓練校で一番大事な要素であるという点もございますので、今後の課題として、ただいまの問題提起につきましても検討さしていただきたいと存じます。
○田代富士男君 じゃ、検討するということでございますから、お願いをしたいと思います。 次は具体的な問題ですが、訓練校の厚生施設の現状についてどのようになっているのか。医療の問題についてちょっとお尋ねしたいと思います。厚生施設について、概略、簡単で結構でございます。
○政府委員(中原晁君) 職業訓練校の厚生施設、特に医療関係につきましては、訓練生が病気をするとか、けがをするというような不時の場合に際しまして、休養盛を設け、また診療を早急に受け得るような嘱託医の制度を設けますとともに救急医薬品購入費等の予算措置も講じているところでございます。 それから訓練生が訓練中あるいは登校の途中で災害を受けた場合には訓練生の災害見舞い金制度というものがありまして、これに対処している、こういうのが制度でございますが、また特定の職種につきましては安全ぐつ、保護帽等を訓練校で貸与いたしておるところでございます。
○田代富士男君 いまそういう訓練所に対しては嘱託医制度であるとか、あるいは救急医薬品の備えつけ等をやって一応医療その他の厚生施設をやっておるということでございますが、私がいま申し上げましたアンケート、ここにあります。どこの訓練校とは申し上げませんが、そのアンケートには救急箱一つない、こういうアンケートが返ってきております。いま労働省としてはそういうのを備えつけをしておりますよとここでおっしゃる。私のアンケートには救急箱一つないという意見がある。だから何とかこういう厚生施設の現状をもっとよくしてもらいたい。こういう訓練生が集団で生活をしているんですから看護婦等を置けるところ、あるいはそういう中高年齢者の人であるならばぐあいの悪くなる場合もありますから、休養室等をつくるなり、こういうものに対する厚生施設に対する力を注ぐべきではないかと思うのです。これはここで私が名前を出しますと、すぐに本庁から何事だということが行って、——これは大臣笑っていらっしゃいますが、東京都にこのアンケートを私が出しました。ところが何らかの形で、どなたがどうされたかわかりませんけれども、何らかのものがかかっているのです。それが実情です。私はこれは言いたくないと思いましたけれども、こういうあれだから、ここで救急設備は備えておりますと言っても備えがされてないと言うのです。あえて私はこれは名前を言いませんけれども、これが実情であるということを知っていただきたいと思います。よろしゅうございますか。これに対して大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(長谷川峻君) 私はこういうところの議論というのは尊重するのですよ。議会政治というのはそういうものだと思います。ですからいまおっしゃるような救急箱一つないというところのお話がありましたから、私は自分で見て歩くのですから、そこで私の歩いたところじゃそういう乙とはなかったが、しかし、いまのようなことがあるとするならば、私は早速そういうことのないように役所を通じてずっと報告するように、またなければ置くように早速でも指令いたします。
○田代富士男君 じゃそのようにして一つでも改善していただければ、私のアンケート調査というものは生きてくると思います。何も労働省を突き上げようとしてやったわけじゃないし、改善したいということでやったわけでございますから。 それから指導員の人の科目担当の時間の問題に対する要望が出てきておりますが、研究時間をとりたいけれども、科目担当時間を短くしてほしい、だから研究時間は家庭へ帰ったプライベートの時間に研究せざるを得ない、これでは指導員の質的向上にも限度がある、この問題は指導時間を短くするか、あるいは指導員をふやしてもらうか、何とかしてもらいたいというこれは要望でございます。 同じ時間の問題といたしまして、自己の研修というものに対する考え方からかと思いますが、夏季休暇中は訓練生がいないので、このときこそ自己研修を認めてほしいと、そういう意見が出ておりますし、専門職としていまからますます立場が重要になっていくわけなんですが、そういう場合、平常時よりもこういうときこそ、ひとつ家庭での研修時間というものをやってもらうようにしてもらえないだろうかという御意見があるんです。これは私も実態はわかりませんが、アンケートの上の声でございますから、これに対しても何らかの形でやってもらえればさらに質の内容というものも、指導の内容というものも加味されると思いますが、この点でどうでしょうか。
○政府委員(中原晁君) 職業訓練指導員の過重労働になっているではないかというようなお話でございますけれども、現在、基準上一訓練科当たり訓練生の三十人に対しまして指導員三名ということになっておりまして、学校に比べますと訓練生数は少ないわけでございますが、もちろん教える内容が違うわけでございまして、紙と鉛筆あるいはお話だけすればいいということではないので、当然ではございますが、そういう基準ではかなりの厳格な基準を定めておるわけでございます。 それと従来、年間千七百時間ということにしておったわけでございますが、最近、視聴覚教材等も発達して、それから技法等も能率を上げてやるということも含めまして千六百時間ということで、年間百時間減らしております。 それから夏季休暇等の問題もあるわけでございますが、先ほどから先生からも再々御指摘のように、たとえば中高年の人などが来ますと、半年あるいは一年の間に相当高度なことを勉強したいということで目の色変えて来ておりますので、特にそういう中高年の方、短期の方などにおきましては、生徒の方が夏季休暇などは要らないというようなあれもありまして、学校に比べまして、そういう夏季休暇というようなことにつきましてもかなり感触が違うわけでございますが、そういう点、職業訓練大学校に再訓練部というものを設けまして指導員の教養並びに訓練につきましては特に配慮しているわけでございます。しかし今後とも特に講義するだけではなくて、実際実技を教えるというのは大変なことでございますので、先生御指摘のような心配のないように今後とも十分配慮してまいりたいと思っております。
○田代富士男君 じゃこの問題は、ひとつ今後もまた検討課題としていただきたいと思います。 時間が余りありませんから、あとまとめて御質問いたしますが、今度この設備基準の問題ですね。いまさき大臣も申されましたとおりに、界におきます技術革新というものは非常に目覚ましいものがあるわけでなんです。それでアンケート調査の中で、労働省の設備基準では古くなって役に立たないものが出てきているという、こういうあれが出てきております。こういうことから考えまして、この状況を、現状を再掌握していただきまして基準を改定する必要があるんじゃないかと私は思います。これはアンケートの声でございますから御検討をしていただきたいと思います。 それから、この訓練校の定員に満てないという数字、いまさき申し上げましたけれども、入校の動機というものがどういう動機で入ってきているかと言えば、職業安定所の紹介で入校した者が六〇%です。その他の新聞、ラジオ、テレビ等のマスコミ等による入校者は全体の五分の一ですね。一九%ぐらいしかない。そこでこれに今後力を入れていきたいというものであるならば、ますますPRに対して、これは中学校あるいは高等学校の進路指導の先生方にも説明申し上げるなりして、今後のPRに対しましてもこれは検討を要しなくちゃならないじゃないかと思います。この点についていかがでしょうか。
○政府委員(中原晁君) 御質問の趣旨は二点あろうかと存じますが、訓練校の設備につきましては、先生御指摘のとおりかなり古いものも出てきましたので、こういうものにつきましては基準に基づきまして逐次、これは県立の訓練校はもとよりのこと、雇用促進事業団でやっております総訓の方は比較的新しかったんでございますが、もう古いものは二十年ぐらいたったものが出てまいりましたので、ことし特に老朽設備につきましてはつくり直すというような予算も四億ほど取りまして、そういう古い設備は機械も含めて取りかえていくというふうに考えております。 それから入校動機につきまして、どうも宣伝が少し足りないのではないかという御指摘でございますが、私どももPRについては必ずしも十分かどうかにつきましては大いに反省をしておりますので、今後適格なこういう職業訓練校、先ほど大臣から申し上げましたとおり、最近は東京あたりでは訓練生の九%も大学生だというようなこともございますけれども、職業訓練の意義と、それから訓練校の実際につきまして十分国民の方に、利用者の方に理解していただくような方策を今後一層拡充してまいりたいと思っております。
○田代富士男君 そこで私は、この機能が余り活発に生かされてないという一つの問題を中高年齢者の数字を挙げまして申し上げてみたいと思いますが、五十年七月中に安定所に新規に就職の申し込みをした人が七万七千人、そうして月間有効求職者数が五十四万九千人あった。このうち就職した人は何人かといいますと一万六千四百五十九人と、就職率は三%、五十年七月でございます。安定所に申し込みをしている人の百人のうち三人だけが就職できたということになるわけなんです。 ところが中高年齢で七月中に新しく求職手帳の配給を受けて職業訓練を受けようという人は何人あったかと言えば九十七人、これはそちらでも承知していらっしゃる数字じゃないかと思いますが、もちろん失業保険を受けるなどして職業訓練をしている人もあり、また七月というのは訓練校入校の時期外れということも理由であるかもわかりませんけれども、これは求職者の数から見るときわめて少ないと思われるわけなんです。こういう面から、就職難と言っても、職業訓練は主に中高年齢層の求職対策として十分な機能を発揮してないじゃないかと思うんですが、こういう数字から考えて、私がいま申し上げたことについてどりうでございましょうか。
○政府委員(中原晁君) ただいま先生御指摘のしおり、七月という、職業訓練校——入校時期がバラエティーには富んでおるわけでございますが、月によりまして七月の場合九十七名という数字をお挙げになりましたけれども、これは中高年手帳の発給者で訓練の指示を受けた者の数と思われますが、そのほか手帳を持っていない人で同様指示を受けた中高年齢者がございますので、合わせて三百人余りの人が七月中に訓練を受けたということになっていると思いますが、いずれにしましても先生御指摘のとおり、何万人もいるのに三百人余りでも少ないではないかという御指摘でございますが、現在、先ほど申しましたとおり職業訓練校は収容力におきましてはまだ最近上がってきたといいましても余裕がございますので、うちの方でなるべくお入りいただかないようにしているなどのことは絶対ございませんけれども、やはり一番大きな問題としましては、そういう方は家族もおありの方でございます。相当御年輩の方でございますので、半年あるいは一年間の間の生活問題というものが一番大きな問題であろうかと存じますので、失業保険をもらっている人につきましては、これは訓練期間中はもらえるようになっておりますが、さらに失業保険をもらえないような人、こういう人に対しましては訓練手当というものを出すことになっておりますが、この額につきましても最近の実情にかんがみまして、来年度は一ヵ月六万円を上回る訓練手当というものを訓練期間中出しまして、もう少し活用されるように推進してまいりたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
○田代富士男君 いま局長が申されましたとおりに、こういうような実情という根本は何か、生活問題が一番の問題ではないかということをいま局長が言われました。私もこの中高年齢者が職業訓練を受けにくい原因の一つは、生活問題というものを見直してあげなければこの問題は解決しないと思うのです。いま局長が訓練手当を来年度から六万円云々というお話をいたしましたけれども、この訓練手当の額が低いという、ここに問題が私はあるんじゃないかと思うのです。まあ中高年齢者というものは若年層と違いまして一家の大黒柱でございます。そういうわけで、職業訓練で技能を身につければ再就職に有利であることがわかっていても、受講中に支給される訓練手当が少ないために、生活をやっていくことができない。だから訓練に専念することができないということじゃないか。 来年度から六万円ということでございますが、昭和四十七年度は月平均の支給額が二万八千二百円、四十八年が三万二千百八十八円、四十九年が三万八千三百三十四円、五十年度が五万三千八百七十八円であるわけなんです。来年度は約六万円ということでございますけれども、月額五十年度でいきましたら五万三千八百七十八円で、訓練受講中の生活がこれで維持できるんでしょうか。私はこれは考えるべきじゃないかと思いますよ。御承知のとおりに、総理府の統計局の家計調査では、勤労者世帯の家計の状況を収入によりまして五つのグループに分けました五分位階級別によりますと、最も収入の少ない第一分位階級の昭和五十年六月の一ヵ月の実質上の支出額というのはどのくらいかというものが出されております。これは人口五万人以上の都市で一番低い収入の勤労者の第一分位の階級の支出ですよ、十万七千円。これは全国平均を見ましても九万三千円となっている。 この調査でわかるように、第一分位は世帯主の平均年齢は四十・七歳で出されております。世帯の構成人員は三・五人で出されている。四十代前後というものは扶養家族が二人から三人、子供はまだ教育中であります。私も子供がありますからよくわかりますけれども、これは生活は一番かかるときじゃないかと思うのです。この総理府統計局で出しました、実収入の一番少ない第一分位階級でさえも十万七千円の支出がみなされているわけです。これが五万三千八百七十八円。これでは、とうてい安心して生活できる額ではないと思うのです。だから生活が肩にかかっている世帯主が訓練を受けるということは、訓練を受ける期間中に専念することができない。この配慮がなければ根本的な、抜本的に解決する——いま雇用問題はことしの政治の最大課題であると大臣が申されましたが、このように総理府統計局が出している第一分位の階級も十万七千円です。このうちの五万三千八百七十八円というのは何%に当たるのですか。第一分位階級の五七%にしか当たらない。これでは入校しようとしても、何ぼPRしても来られないのはあたりまえじゃないかと思います。人間味豊かな大臣と言ったのは、こういうところをわかってもらいたいために申し上げたのですが、どうでしょうか大臣、この点。
○国務大臣(長谷川峻君) 自分の体に技術をつけて再就職をするために訓練する、これは私は非常にとうとい心構えだと思うんです。そういう方々にお手伝いする、これは私たちも労働行政としてやらなければならぬ。二、三年前までは先生がおっしゃった訓練手当ですね、その予算が余るくらいだった。低いと言うてもその金が余るくらいに来なかった時代もある。今日はそれが来ているわけです。そうしてまあ少ないというお話もあります。こういう問題についてはいまから先いろんなことで考えてみたいと、こう思っております。
○田代富士男君 じゃ今後考えていくという——改善されますか、どうですか大臣、その点。考えているだけじゃなくしてどうですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 考える方向でやっていきます。
○田代富士男君 そこでいま大臣が二、三年前はこれは余っていたということでございますが、そこでお尋ねいたしますが、職業転換訓練費補助金というものが出ております。これは都道府県が行います職業転換訓練の運営費と訓練手当の補助金でありますけれども、その大部分が中高年齢者就職促進訓練の補助金で、中高年対策の一つであることは御承知のとおりでございますが、この補助金の四十六年以降の予算額を見ますと、いま大臣が申されますとおりに、四十六年度は三十一億円、四十七年度は三十億円、四十八年度は三十三億円、四十九年度は三十四億円で全金額はほとんど伸びておりません。しかも予算の執行状況を見ますと、毎年流用で一億から一億八千万円が減額し、かつ四十八年度までには六億、それから三億、二億六千万と毎年不用額が計上されているわけなんです。訓練手当や職員給与の単価は年々上がっているはずで、毎年同じということはないから、つまりこの制度が余り利用されてないということではないでしょうか。だから四十八年度は不用額二億六千万円を計上しておりまして、決算表の説明によりますと、不用額を計上したのは中高年齢失業者等の就職促進措置対策者が少なかったということがつけ加えられておるわけなんです。この点に対して、ただ単なる少なかったということでなくして、どうしてこういうように少なかったのかという、これも私は裏づけをしてもらいたいと思う、これが一つ。 それから四十九年度では補正で四億円増額をしております。流用で一億七千五百万円減額している。これまで人手不足が長く続いており、訓練などをしなくても就職ができたから、いまおっしゃるように利用する人が少なくてもそのままにしていたというのでは予算のむだ遣いになるんではないかと思うんです。また余った予算は他の必要なところに流用したのだから有効に使われたと、こういうように言われておりますが、それは言い逃れじゃないかと思うんです。何に流用されたかと言いますと、毎年これは駐留軍の離職者就職促進手当。駐留軍離職者関係の手当が必要とするならば、その分だけ当初予算においてこれはちゃんと組むべきではないかと思うんです。その当初予算で組まずにこれを流用するということは、私は考えものじゃないかと思うんです。だからいかに職業転換の訓練補助金があるからそれを期待するようなやり方というものは、私はよくないじゃないかと思うんですよ。だから訓練の対象者が少ないのは訓練手当が、いまさき申しましたとおりに少ないし、訓練を受けても特に賃金に反映するでもなし、魅力がないからこういうやり方のところに訓練を受ける人が少ないという点を反省せずして、これをほかに流用するというのは、私はよくない。 だから求職者が本来の趣旨に基づきまして訓練を受けられるように改善すべきではないかと、この流用された内容は、四十六年度は駐留軍の離職者就職促進手当に六千七百万円、繊維産業離職者の一時金として一千万円、それから駐留軍の関係離職者雇用奨励金に三千万円、四十七年は駐留軍離職者等就職促進手当に一億六千百万円、それから四十八年一億八千七百万円、四十、九年一億七千五百万円、こういうように流用されておりますから、本来の姿に改善すべきでないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(中原晁君) 先生御指摘のとおり四十八年度及び四十九年度等につきましては、職業転換訓練費補助金の決算におきまして不用額が生じまして、他に流用したということになっておりますが、これは先ほど申し上げましたけれども、まあ雇用、失業情勢のタイムラグというものもございますので、石油ショック等もございましたけれども、私どもの見込みよりも能力再開発訓練を受ける対象者が少なかったということに主としてよるものと思われます。 ただ最近、ことしの昭和五十年度のあれをとってみますると、不用額というものは余り出ないんではないかと思われますけれども、これは一面には雇用情勢、それからタイムラグをもちましてあらわれてまいりますという点もございますけれども、先ほどから申し上げましたとおり、職業訓練校に特に中高年齢者を積極的に入れようというような態勢も反映してそうなってきているかと思いますが、先生御指摘のような点につきましては今後も十分考えまして適正な運営を図ってまいりたいと、かように存じております。
○田代富士男君 適正な措置を講じていただきたいと思います。 次に、身体障害者の職業訓練につきましてお尋ねをしたいと思います。東京の身体障害者職業訓練校の案内書がここにあります。この学校は定員二百三十名、そして訓練校の中では規模も大きく施設も整備された、訓練校としては代表的なものではないかと思います。この学校の入学の案内書を見ますと、応募資格というものは義務教育の修了者、またこれと同等の学力を有する者となっておるわけなんです。そして訓練科目によってそれぞれ入校できる障害の程度が指定されております。たとえて言うならば、洋服科、これには、「手が軽いマヒ程度の人は差支えありませんが、片手しか使えない人には向きません。」と、また和裁科には、「両手が普通でなければなりません。」、このようになっておりますし、洋裁科、ミシン縫製科、時計科、義肢装具科、それぞれ片手では向きません。このように案内書になっておるわけです。編み物、あるいは製くつ、工業彫刻、木工、これは片手でも差し支えないと、機械製図、トレースは視力が普通で腰かけて作業ができることが必要です。このようにいろいろな規定が設けられております。事務科には何も書かれておりませんけれども、少なくとも上肢の片方は健常な人が対象になっているとも思われます。 このように見てみますと、この中に十四科がございますが、両手が障害があったり、障害が重かったりしたならば、どれも訓練は受けられそうにもないわけなんです。修了者の就職率はいままでの例からいきますと、大体九〇%を超えるぐらいだということですから、入校した人はりっぱに自立しておりますけれども、両手に障害があれば訓練校からも締め出されてしまうことになる。そうした場合にこの身体障害者に対する職業訓練というものは限られたことになっておりますけれども、これも検討を私は要するんじゃないかと思いますが、この点に対してどうでしょうか。
○政府委員(中原晁君) 身体障害職業訓練校、特に東京都のケースにつきまして御指摘があったわけでございますけれども、まあ職業訓練校でございますので、原則としては訓練に大きな支障のない、それから団体生活に支障がないということが一応の要件になるわけでございますけれども、身体障害者が職業訓練を受けるということを希望する場合には、そのケースワークで、個々の場合に臨みまして、保有能力あるいは適性を十分考慮しまして、機械的に陥らないようにこれを指導しているわけでございます。 東京都の身体障害者訓練校の案内を見るとたとえば両上肢に障害がある者は大半の科目について入れないようになっておるのではないかというような御指摘でございますけれども、両上肢に障害がある者につきましても毎年入って、その具体的なケースによりまして入校しておるわけでございますが、このパンフレットの表現等につきまして、もし両上肢が完全でなければだめだというような誤解を与えるようなことでありますれば、この表現等につきましても検討して指導してまいりたいと思いますけれども、要は訓練が具体的に可能であるかどうかという点につきまして、機械的でなく十分に個々の相談に応じまして判定をいたしておるわけでございますが、今後も先生の御心配のようなことのないように強く徹底いたしたいと存じます。
○田代富士男君 そこで身体障害者訓練校は国立が十一あったと思います、私の調べた範囲内では。その十一校の訓練科目の中から多く設置されているものを拾ってみましたら洋裁が八、製図が八、洋服七、電子機器七、軽印刷、時計修理、義肢装具と約三十種類ありますが、この身体障害者訓練科目は、いまもお話が出ておりましたとおりに、障害者が適応しやすく、経済変動にも強く、需要が比較的安定していて、しかも自立して自営するときそれほど資金がかからないような職種が選ばれていることになっているわけなんですが、これらの科目はどれも比較的、いまも私は東京の身体障害者職業訓練校のことで言いましたけれども、比較的障害の軽い、少しは体は不自由なところはあっても目、あるいは手のよい人向けの、いわば手先が器用で技能に耐えられる人向けの科目ばかりじゃないかと思うんです、国立の十一の内容を見ましても。 だから両上肢障害者向けの職種がなくてはならないと思いますし、こういうために青森県の弘前と神戸にこの二つが定員三十名と五十名の施設があるということを、私も調べて知りましたけれども、最近はそういうような先天的な問題でなくして労働災害、あるいは交通災害、あるいは公害、さらにサリドマイドを初め薬の公害のために障害は複雑多様化してきておる。そういうときに求職や訓練を希望する人も重度化し多様化している。現在のこのような身体障害者の職業訓練は重度者向けがあると言っても比較的軽い人が対象になっているわけなんです。だから両手の障害者や、あるいは両手両足に麻痺状態のあるその訓練というのはほとんど行われてない。こういうような重度障害者にも職業訓練によりまして、社会に自立できるような対策が必要じゃないかと思うのです。それが今年度は政治課題であると言われますが、この内容が多様化しているために、この職域の開発というものもここに当てていかなくちゃならないと思いますが、これはいまから先のことですけれども、これに対してどのようにお考えなのか。
○政府委員(中原晁君) 先生御指摘のとおり身体障害者の中でも就職問題と、一番大変なのがいわゆる重度の身体障害者でございます。いま全国にあります職業訓練校におきましても、重度という方々ももちろん重点的に対象にするように配慮しておりますが、先生御指摘のとおり施設等につきましていろいろの限界、問題等が出てくるという点もございますので、このたび労働省におきましては厚生省と協力しまして、埼玉県の所沢市にそういう特に重度身体障害者を中心とするところの国立職業リハビリテーションセンターという構想を立てまして、来年、再来年、二年度の予算でこれを一貫した職業紹介、職業指導、職業訓練、それから厚生省関係の病院等とも連携をつけまして、一貫した形でセクショナリズムに陥らないところのリハビリテーションセンターをつくりたい、かように考えました。ここにおきましては、重度身体障害者専門といいますか、そういう体制を整えたい、かように存じておる次第でございます。
○田代富士男君 時間がありませんから、最後に一つだけお尋ねいたしますが、この心体障害者の職業訓練の担当分野を明確化するために、四十八年の十二月に身体障害者雇用審議会から労働大臣に出されましたこの「心身障害者の雇用の促進のために講ずべき今後の対策について」の答申の中でも、それぞれの行政機関で担当する訓練に関する分野が明確にされ、かつ行政効果が最も効率的になるよう十分調整されるべきであると関係各省間での検討の必要が述べられております。この詳しい内容は私、手元に持っておりますけれども、答申が出てすでに二年近くになりますけれども、この問題について検討なり調整が行われているのか、また国立職業リハビリテーションセンターの設置というものは、どのような構想で行われるのか、進捗状況を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 近代国家はやはり健常者の就職問題もさることながら、こうした心身障害者、重度心身障害者、こういう方々にお互いが連帯意識で手を差し伸べることが大事なことでございます。そこでいまのような審議会の答申などもありますが、最近はおっしゃるとおり薬からくるもの、あるいは交通事故からくるもの、それと同時に古来の重度身体障害者、こういうふうに非常に複雑になっております。ただ、そういうところにけがしたから入って、そのまま一生寝たきりじゃまずいですから、そういう意味では、外国などは入った瞬間、治療しながら社会復帰を考えるという、そういう方向に持っていくのが大事なことでございまして、労働省はただいまお話しのように各省とも連絡をとりつつやってもおりますし、国立職業リハビリテーションセンター、これは所沢に、いま局長が申しましたが、これなどにおいては約二百人の訓練規模、三十二億円の工事費でやっていく、あるいはまた北九州の方に脊損センター、こういうものなどもいま計画をし着工しておるということで、やはりきめを細かく、期待にそむかないようにやっていくべきじゃないか、こう思っております。
○田代富士男君 時間が参りまして、建設大臣も御出席していただいておりますから、建設省にお尋ねしたいと思いますが、時間がないものですからまとめてお尋ねをしたいと思います。 最初に大臣が御就任になるときに、公共事業といえばブルドーザーの音を連想し、自然破壊と結びつくが決してそうではない、このように大臣は言われておりますけれども、大臣の言われる公共事業というものはどういうものを指すのか、具体的に御説明を願いたいと思うのでございます。それから大臣は、今後の建設行政に対して何が必要かということに対して、ロマンの追求と暮らしのビジョンづくりである、ロマンの追求とはふるさとの意識であると前置きされまして、私のロマンは道路網の整備をするとき、過密地帯のアパートの人がその道路によって遠隔地の緑を見ることができるようにすることで、日本列島にロマンを求めた道路網をつくることだと答えられておるわけなんです。日本列島は国土の七割が山林でありまして、世界一緑に恵まれているのでございます。東京の真ん中に住んでいても、電車で一時間も行けば幾らでも緑を見ることは可能であって、わざわざ自然の緑を破壊する道路網をつくることは、大臣の言うロマンを壊すことにならないのか。だからそういうことで、いまさきも大臣は、私は非実力とおっしゃった、私は実力大臣として尊敬しておりますけれども、これでは田中総理がかなえられなかった日本列島改造を忠実に実行するということになるんじゃないかと思うんですが、大臣の言われるロマンはどの程度のものか。私はアパートの窓をあけると緑が目にしみるというのがロマンではないかと思うんですが、大臣の求められるロマンとは何か、まずこの二つのことについて簡単にお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 田代委員にお断りを申し上げますが、幾らかロマンの追求でありますとか、あるいは暮らしのビジョンでありますとか、青年団の弁論大会のキャッチフレーズのようなことを申しまして、お騒がせをいたしておりましたらおわびを申し上げます。 基本的な考え方を申しますならば、これもちょっと失礼に当たる答弁かと思いますが、ロマンと言えば、ラテン語の原語で言えば小説とか小説的とか、あるいは空想的とか、こういう原語になるわけであります。これをいわゆる国土の建設というものに対して私が敷衍をして申しましたのは、夢と希望の持てる国土建設とか、あるいは情緒的国土建設とか、こういう表現になろうかと思います。しかし基本的にそれを整理いたしますと、私は国土というものは単に物理的な物というとらえ方ではもとよりなくて、そこには悲しみもまた楽しみをも感ずる人間がそこに生息しておる、この物とそして人との複合体というものがいわゆる国土というものの概念としてとらえるべきものであると、そういうところに私がこのロマンを求めなければならぬということを申したのであります。 したがって道路網の問題について、一つの例として引き出したのでございますが、いま私は愛するに足る国土というものをつくるのには、率直に言ってふるさと意識というものは、従来生まれ育ったその地で、この周囲を展望して目の当たり入るものがふるさとであると、こういう概念であったのではないか。私も国会へ出ましてから都市生活をやっておりますと、そうしたふるさと意識というのを持ちようにもなかなか持てないと。そこで私は、いわゆる日本列島全体を、容易に、日本海の緑も見えるとか、あるいはこの山地の自然にも接触していくとかいう状態をつくった場合に、私は国民のふるさと意識というものが、日本列島全体をふるさととして受けとめる、ふるさと意識のある種の意識転換ということを常々唱えておったわけであります。 そういう意味で私が申し上げたわけでありまして、そうして、いま一つの暮らしのビジョンというのは、あるいは三木総理のおっしゃっているライフサイクルもそうした考え方であろうと私も思っておりますが、今度はそういう道路とか橋梁とか、あるいは鉄道とか、そういう面の公共事業のほかに、住宅問題とか都市問題とかがあるわけであります。その住宅問題一つ考えてみましても、当然のこととして、生活関連公共事業といって、住宅でございますとか、あるいは緑地公園でございますとか、あるいはまた下水道でございますとか、そういうものをお互いの生涯設計の中における暮らしのビジョンとして受けとめて、その中へその位置づけをやったらどうだと、で、どっちかと言いますと、建設省というのは実務官庁、実施部隊というふうに言われておるんでありますけれども、私はこれが政策官庁的色彩というものはそういう位置づけの中に必ず出てくるものではないかということからそのように申し上げたわけであります。 で、公共事業の定義につきましてはいま明確に申し上げられませんが、道路とか各種事業、生活関連事業等であります。
○田代富士男君 持ち時間がなくなってまいりましたが……。 そこで街路事業についてお尋ねしたいと思います。国や地方の公共団体の財政難から、各地で都市計画に基づく都市計画事業の着工が見送られまして、都市施設整備のおくれが問題になっておりますけれども、都市計画事業の中心でありますこの街路事業について、都市計画後十年以上経過しながら事業認可あるいは着工に至らないものが相当あると聞いておりますけれども、この辺の実態を調査されてあるならば実態を申し述べていただきたい。全国といっても問題でしょうから、概略簡単に東京なり大阪に限って、時間も押し迫っておりますから、概略御説明を願いたいと思います
○国務大臣(竹下登君) 事務当局から御説明申し上げます。
○政府委員(吉田泰夫君) 都市計画決定後おおむね十年以上経過しながら未着工の区間の状況でございますが、たとえば東京都二十三区におきましては、昭和四十一年以前に計画決定した延長が千五百六十七キロございまして、そのうち改良済み延長が六百九十八キロ、事業実施中の延長が百二十一キロメートルですから、差し引きまして未着工延長は七百四十八キロメートル、四八%に当たります。 大阪市の方は大分進んでおりまして、昭和四十年度末における計画決定延長が四百二キロメートル、うち改良済み二百九十四キロメートル、工事中四十三キロメートルでありますので、差し引き未着工延長は六十五キロメートル、一六%ということになります。
○田代富士男君 そこで時間がありませんから端的にお尋ねをいたしますと、いま申されました東京の場合、都市計画道路の通称三田通りと言われておりますが、ここは昭和二十一年に都市計画が決定されまして三十年を経ておるわけです。今日なお事業認可、着工の見通しが立たない状況になっております。だから地域住民の人は、三十年の長い間改築制限などの規制を受けまして、なおかつ着工の見通しが立たない、このような反発があります。都市計画による街路の指定を返上する決議が港区議会においてもなされております。この件は大きな問題だと思うんです。その地域の人が全部で返上をするという決議をしたということは、これはかなり多くの波紋を呼ぶんじゃないかと思うんです。これに対しまして放置してきた理由、今後の着工見通しについて御説明を求めたいと思います。一人一人の声も聞いてきております。時間があればその一人一人の声をここで聞かしたいと思いましたが省略いたします。 同じように放射五号線、いわゆる新宿通りです。ちょうど私たち麹町の宿舎におりますが、あれを向こうの新宿の方に行った新宿通りというものは完成するのか、いつどうなるのか。まあ現実にはあの場所へ行きますと町には、約束が違うぞ、この十年の苦しみを返せ、うそつき国政、すぐやれ道路拡幅、こういうような人目を引くような看板が立てられております。これとても建設省としての見通しはどのような見通しであり、ただこのまま放置しておくのか、おくれている理由は何なのか、今後の見通しについてお願いをしたいと思いますし、あわせていま申されました大阪におきましても、この未着工都市計画道路、鶴見放出線、井高野町線、相川北江口線、矢田瓜破線、川辺町線、河堀口舎利寺線、焼野中茶屋線、巽正覚寺線、こういうものに対しても放置されているけども、放置されている理由、今後の見通しについて概略をお願いしたいと思います。建設省にお聞きをいたします。
○政府委員(吉田泰夫君) 最初に御指摘の三田通りは、幹線街路である放射二十一号線の一部でございまして、放射二十一号線は総延長三千七百五十メートルですけれども、全線にはまだ着工するに至っておりません。いままでに改良しましたものは、そのうちの千二百九十メートル、約三五%でありまして、残り六五%の中に御指摘の三田通りも含まれているわけでございます。これにつきましては、次の放射五号の場合も同様ですけれども、東京の場合、特に戦後相当戦災復興も兼ねまして大規模な都市計画街路網を都市計画決定し、その後何回か見直しがなされ、特に三十九年、四十一年には大幅な見直しによって、補助的な枝線などは大きく計画を廃止した経緯がありますが、それにしましてもその後の道路費の投入がはかばかしくいかなかった。特にオリンピックがありましたために、その三十七、八年ごろまでは、これに直接関連する路線に最重点を置かざるを得ないというようなことで、そちらにウエートが非常にかかりましたので残った路線がおくれたと。その後は逐次計画的に着工しようという構えでおりますけれども、何分にも地価あるいは建築物の移転補償費ともに非常に単価がかさむ状況でありますので、金額の割りに延長が延びないという状況であります。そういうことで三田通りはまだ全く手がついていない状況で、数年前までは地元の方は早くやれという御要望でしたが、最近に至りまして、おっしゃるとおり、もう待ち切れぬと、もう拡幅は要らぬじゃないかという声が出ていることも承知しております。 それから放射五号につきましては、半蔵門から四谷通りを通って、新宿御苑のわきを通っていく路線でございますが、これも昭和二十一年に都市計画決定して以来、昭和三十七年ごろまでは本格的な事業化ができず、オリンピック関連道路が下火になったころから、こちらは本格的に始めておりまして、現在約十五キロの延長のうち三分の二ぐらいは完成しており、六分の一ぐらいは用地買収済み。したがって、用地未買収の区間は約六分の一の二千六百メートルぐらいということになっておりまして、現在東京都では鋭意相当の金額を毎年投入して移転補償費を支払って拡幅計画をこれは進めております。それにしましても一戸当たり数千万円というような金目のかかる土地柄でありますために、他の路線の事業費もある程度確保しなければならぬということから、なお相当努力しましてもきわめて短期間のうちに完了するというような数字にはなりません。つまり、半蔵門から新宿御苑までで、残る事業が約二百億、うち用地補償費が百八十億ほど見込まれておりますから、今後街路事業の国の予算もできるだけ伸ばし、また東京都におかれましてもいろいろな財政事情を克服して、こういった重点事業には大幅に投入するつもりでおるようでございますが、それにしてもなお数年はかかるんではないかということでございます。 なお、大阪市の幾つか路線を挙げられた点につきましては、個々に私調査をしてきませんでしたので恐縮でございますが、全体としては大阪市は東京に比べれば計画決定に対し進捗率は非常にいいわけでありますが、これも万博関連街路等にウエートが置かれているとか、あるいは地下鉄関連の街路等にウエートが置かれるというようなことで、いま言われたような路線が、つい順位がおくれていることではなかろうかと思います。要は、やはり必要なものはいずれ必要になるわけでございますので、何とか一方では道路事業の予算を伸ばし、一方では全線にわたって着工のめどがつかないものも、部分的にでも要望のあるところ、急がれるようなところを手がけていくというような心がけでまいる必要があるんじゃないかと考えております。
○田代富士男君 最後にあと一問。そこで、私は現在のまま放置するということは許されるべきことではないと思うのです。そこで、こうした半膠着状態が続くならば、ひいては地域住民の行政不信にもつながってくるのじゃないかと思うんです。その証拠に、行政管理庁へ東京都内の都市計画道路事業の施行に対する苦情の申し出が出ております。この内容も詳しく質問したかったのですが、概略申し上げますと、苦情の要旨というものは、都市計画道路の予定地に土地、建物があり種々の不便が生じておるので、次のような措置を講じてほしい。一つは、速やかに事業を実施し、土地、建物を買い上げてもらいたい。二つ目には、計画を変更し道路予定地から外してもらいたい。三つ目には、高層鉄筋コンクリート等の建物の建築を認めてもらいたい。いろいろなところからこういう行政管理庁への苦情が出ております。これに対して建設省としてもどういうふうにお考えになっているのか私はお尋ねしたい。だから、この問題というものは、地方自治体に財政さえあるならば解決することで、国は補助金を用意しておるから、地方自治体の問題であって国は一切関知しないというのか、それとも都市行政を預かり指導すべき立場にある建設省としては、このまま放置しておくべきではないという考えであるのか、建設省の建設大臣の基本的な考え方を聞きたいと思うのです。 だから、具体的な事業化の見通しのないまま計画決定をいたしまして、無期限に一定の建築制限を課しまして、行政側の一方的な理由、たとえば財政難などの理由で放置しておくということは憲法が保障する国民の財産権を不当に侵害することにもなるのじゃないかと私は思うのです。だから、都市計画法第二十一条の中には「その他都市計画を変更する必要が生じたとき」とあっておりますけれども、これはどういうときを必要とみなされるのか、私は規制が伴う計画を張りつけて、いま申し上げましたとおり、三十年も事業化さえもなされないということは、「変更する必要が生じたとき」ということになるのじゃないかと私は都市計画法第二十一条を思うわけなんです。財政事情の悪化で見通しが全く立たないときというのは、「必要が生じたとき」ということになるのじゃないかと私は思うのです。時間がありませんから一括してお聞きいたしましたけれども、まとめて御答弁をお願いし、またこの街路の問題については機会を見て御質問をしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 田代委員の街路事業に対する御指摘でありますが、私自身も従来率直に言って、この都市計画法そのものは、現在及び将来の市民のためにいい、住みよい、働きやすい都市をつくろう、現在及び将来——その将来というのが、率直に言って都市計画決定後一体何万年——何万年じゃございませんが、何十年先になるかということからして、もうこれは変更してもらえないかとか、あるいはいまおっしゃったように高層ビルを建てさしてくれぬかとか、それについてこれは二階まではいいとか、いろいろなことがございますけれども、私自身その矛盾を率直に感じて今日まできました。そこで、昨日幸いにして田代委員の質問要項をちょうだいいたしまして関係者の会議を開いたんであります。田代委員のお考えの中に、率直なところもう都市計画中央審議会あたりに諮問してみたらどうかと、こういうことまでお考えになっている。一同協議の結果、それは一つの見識である。ただ、その見識であるが、それの前にもう一遍おれたちでやることがあるんじゃないか、いま先生御指摘のとおり、関係者ともう一遍本気に協議してみようじゃないかと、そしてお互いの部内の意思統一も図ってみようじゃないか、まずその行為を行うことによって、日ごろ感じておるところの矛盾というものを、少しでも私自身その矛盾の中から解放されていこうということで、田代委員の御見識に対して精いっぱい努力をして、私は国会というところで出た御議論でございますから、その経過を、あるいは私的でございましょうとも、今後ともお知らせしていきたいと、このようなことを昨日決定をいたしましたので御了解を賜りたいと思います。
○委員長(瀬谷英行君) 労働大臣は退席していただいて結構です。
○加藤進君 昨日、大雪の中で、新潟地裁長岡支部におきまして信濃川河川敷訴訟の第一回の公判が行われたことは報道で御存じのとおりだと思います。信濃川河川敷問題というのは一言で言ってどういう問題なのか。これは田中角榮氏がその政治的な地位を利用して知り得た情報をもとにして、室町産業という幽霊会社まで設立して多くの農民をだまし、一億円余の投資で約三百億円にも上る莫大な不当な利得を得んとした問題として、田中金脈の中でも最大最悪の疑惑であります。私は十年前この重大な疑惑を初めて国会で暴露し追及をいたしました。以来今日まで本委員会を初め国会内外で引き続きこの疑惑解明のためにさまざまな努力をされたわけでありますけれども、その疑惑は解消するどころか、ますます深まるばかりであって、昨日ついに二人の現地関係農民は法の裁きを求めるに至ったわけであります。三木総理は再三、田中氏みずから解明されることを期待する、こう言われております当の田中氏自身は、依然として今日まで何一つ答えておりません。それのみか、三木内閣も守秘義務を盾にして終始国会の審議を妨げてまいりました。自民党は当委員会の決めた参考人の招致さえ今日まで拒否続けてきております。また、当委員会でのわが橋本委員の要求によって行われた行政監察は、建設省の文書は紛失したということを口実にして、その監察目的さえ果たし得なかったという実情にあります。もしこの問題をこのまま放置しておったら一体どういうことになるのか。国会も政府もこの重大な金脈の疑惑に対してふたをしてしまったと言われてもしようがないわけでございます。その意味では、昨日から始まった民事訴訟、そしてさらに別に刑事告発が行われておりますけれども、金脈・腐敗の政治をなくするためにぜひともこの疑惑の明確な解明を求めるという国民の強い要望を代表する正義の、そして勇気ある行動だと私は確信しています。 そこで、聞きますけれども、三木総理がわが党の増本質問に答えて、政治不信につながる問題でございますから、一日も早くこうしたことは解明されることを強く望んでいると答弁されました。さらに昨年十月二十七日の衆議院予算委員会では、「信濃川河川敷の問題、この問題については、国民の納得のいくような解決をしなければならぬものだと考えております。」と明確な所信が表明されました。 そこで、竹下建設大臣にお伺いしたいのは、大臣の所管である信濃川河川敷にかかわるきわめて不名誉な疑惑について、三木総理の言う国民の納得のいく解決を図るためにどのように今後努力される気なのか、その決意をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる信濃川河川敷問題の処理、これについて三木総理が十月二十九日の予算委員会においてももとよりでありますが、前建設大臣も含めて、国民の納得のいくような適正に措置したいと、こう答えておることは私も承知をいたしております。で、その国民に納得する措置というものは具体的にどうかと、こういうことになりますと、これはなかなか一口に、国会で多数で決議してもらえば結構でございますとか、そういう性格のものでは私はないと思っております。したがって、いわゆる跡地利用の計画の問題、それから少なくとも総理から、小委員会において検討してもらいたい趣旨の発言がございますので、それの検討の経過、そうして基本的には私がこの建設行政の最高責任者として当然踏まえなければならないのは、まず本委員会においてこれが初めて取り上げられた問題である。そういう国会の場において種々議論をされたそのことを決断するに至っての素材にしなくて私がやるというようなことは、私も国会議員の一人でありますから、断じてないと、このように申し上げたいと思います。
○加藤進君 総理の言われる納得のいく措置というのは、いま竹下建設大臣が触れられましたように、跡地の利用をどうするかなどというところに飛躍してはならぬと私は思います。その前に、今日われわれの前に存在する長年にわたる疑惑について、その解明を図るということがその前提ではないかと私は聞いておるわけでございまして、その点については私の考えが間違いでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは加藤さんに率直に申し上げますが、かつて私と同僚議員であったお方でございますが、非礼であったらばおわびを申し上げたいと思うんであります。 そもそも疑惑という問題は、私はせんじ詰めればこれは主観的な問題だと思うんであります。しかし、この問題が私は今日まで議論されてきた経過というものを踏まえなくて私が決断をするということがないと言うことの中に、私はいわゆる先生のおっしゃる各般の問題が含まれておるんではないかというふうに理解をしております。
○加藤進君 そこで、具体的に問題をお尋ねしたいと思います。 きのうの第一回公判で被告側が答弁書なるものを提出しております。被告である室町産業が昭和三十八年から三十九年にかけて関係農民と結んだ売買契約は、当時すでに本件河川敷が堤内地となることを予期し、それを前提としたものであると主張しておるわけであります。よろしゅうございますか。 そこで、建設省にお聞きします。室町雇業が売買契約を結んだ当時、三十八年から三十九年、すでに堤防を締め切り、その河川敷を堤内地とするように建設省では決まっていたのかどうか、その点をまず事実としてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(増岡康治君) お答えいたします。 この蓮潟地区の締め切り問題につきましては、何度も御答弁申し上げましたように、当地区の問題は非常に古い問題でございます。歴史的に非常に古い問題でございまして……
○加藤進君 簡潔で結構です。
○政府委員(増岡康治君) 何度も議論がなされてきたわけでございますが、この昭和三十八年度以降信濃川上流総体計画というのが最近におきます一つの大きな基本計画でございます。この三十八年五月におきましては、当地区はかすみ堤計画ということで決まったわけでございます。しかしながら、それにはただし書きがついて、当地区についてはいろいろ経済効果なり、いろんな遊水地の効果の問題があるので検討事項として残すということが決まっておるわけでございます。
○加藤進君 その点は、私の質問いたしました昭和四十一年の段階において、かすみ堤でございますという橋本建設大臣の明確な答弁がございますから、これはわかっています。したがって、ここで言われる、いま申し上げました被告側の答弁書に、堤防の送り出し、河川敷は堤内地になる、こういったことは事実に反する、その当時の建設省の決めたことの事実には反する、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
○政府委員(増岡康治君) 当問題につきましては、長岡工事事務所あるいは北陸地建、いろいろ地元の地建としての立場がございます。本省の立場がございます。したがって、その経過におきましては締め切るべきであるというような議論もなされたこともあります。しかしながら、その結果の集結が昭和三十八年におきまして先ほど申し上げた結論になったわけでございます。
○加藤進君 もう少し明確に答えてください。 当時、すなわち昭和三十八年、三十九年の時期に建設省としては、これはかすみ堤であって本堤にするものではないといういわば決定で進んでおられたかどうかということです。
○政府委員(増岡康治君) そのとおりでございます。
○加藤進君 そうすると、ここでの答弁書の内容は、これは事実に反する、こういうふうに判定してもいいわけだと思います。 そこで、先般行われました行政監察報告によりますと、昭和三十七年二月、北陸地方建設局と長岡工事事務所との間で総体計画改定のための打ち合わせが行われた。その結果、「蓮潟地区を霞堤とすることは意味がないので、現計画法線に沿って延長し、締切ることにする」となっている。すなわち現地の決定だと思います。そうなっていると行政監察報告はしております。もちろんこれは建設省本省との折衝によって保留になったということは私存じますし、それも行政監察の報告の中に明記されています。 そこで、伺いますけれども、この北陸地方建設局と長岡工事事務所との打ち合わせ、この打ち合わせに参加された方はどなたとどなたであったのか、その氏名を明確に御説明していただきたいと思います。
○政府委員(増岡康治君) 今日残っておりますのは、先生がおっしゃいましたこの直轄河川改修総体計画懸案事項打合せ調書という昭和三十七年のものが残っております。これはいまおっしゃいましたとおりでございますが、これに対する打合せ調書以外は不明でございます。したがって、この出席者云々については確認はございませんけれども、当然ながら予想されますのは、北陸地建の本局ではまず河川部長であろうと思います。それから河川計画課長、その計画課の中に計画係長と調査係長がおります。これがまず局のメンバーであろうと思います。それから長岡工事事務所からは事務所長それから工務第一課長とそこの工務係長等だと思います。
○加藤進君 私はこの点については昨日建設省に対してこういう質問をしますと言ってありますから、その氏名について私は明確にこの委員会でお答えいただかなくてはならぬ。その氏名をひとつ明確にしてください。
○政府委員(増岡康治君) 失礼しました。氏名申し上げます。 河川部長は木村正昭、これは北陸地建の本局でございますね。それから河川計画課長砂谷知之、それから計画課の計画係長藤村敏夫、同じく調査係長田吹行一。それから長岡工事事務所関係でございますが、事務所長松野時男、それから工務第一課長高瀬信忠、その工務係長小島忠幸。 以上でございます。
○加藤進君 では、その意味では建設省の掌握しておられる参加された氏名は明確になりました。 続いて、昨年の十月二十九日、予算委員会で増本議員の指摘について建設省と行政管理庁との回答文書がございますね。この回答文書には、は違いますけれども、「当時の関係者から事情聴取をした結果」とあります。事情聴取をした当時の関係者とはだれとだれであったか、これは建設省でも行政管理庁でも結構でございますけれども、その点の氏名もまた明確にしていただきたいと思います。 〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
○政府委員(増岡康治君) まず、現場的には工事事務所長は吉村君という事務所長、当時のですね。それから京坂ということで。それから本省関係は元治水課長でございますが、渡辺隆二氏、それからさらにその後の治水課長の西川喬氏、そういう方々が中心でございます。
○加藤進君 はい、ありがとうございました。 そこで、建設省に聞きますけれども、ただいま協議に参加された氏名の中に出てまいったわけでございますけれども、北陸地方建設局と長岡工事事務所の打ち合わせによってかすみ堤を連続堤にすることを決めた当時の長岡工事事務所長は松野時男氏であることは間違いございませんね。
○政府委員(増岡康治君) いま先生がおっしゃいますのは、昭和三十七年の当時のことでございましょうか。
○加藤進君 はい。
○政府委員(増岡康治君) 三十七年の三月三十一日に長岡工事事務所長を松野氏はやめておるわけでございますので、いま申し上げましたように二月の段階では松野氏は当時の事務所長であったということでございます。
○加藤進君 そこで、いまも触れられましたけれども、所長をすぐ直後の三十七年三月三十一日にやめられたと言いますけれども、やめられた理由は何でしょうか。いわばあれですか、定年ですか。私の聞くところでは四十八歳のそうそうたる方であったと聞いておりますけれども、理由が明確でないし、さてその後一体そこからやめられてどこへ就職されたのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(増岡康治君) 先生から特に松野氏の云々ということがございましたので、私どもの方も調べた結果だけを申し上げますと、同氏は昭和三十七年三月三十一日にやめまして、三十七年の四月に日本電建入社ということになっております。それから再び——再びといいますか、ずっと在職しまして、昭和四十年七月十日に同社を退社いたしまして、昭和四十年九月十三日付をもって大豊建設へ入って現在に至っておる、そういうことになっております。
○加藤進君 そうしますと、松野、その人は三十七年二月の締め切りを現地で決定したその直後、二ヵ月とたたないうちに工事事務所長を辞任されて日本電建に入社された。そしてさらに、あとほんの一月足らずの時期を経て取締役に就任されたと私は聞いておりますけれども、この事実は大体間違いございませんか。
○政府委員(増岡康治君) 私の方の参考資料を見ましても、そうなっております。
○加藤進君 すると、その当時の日本電建の社長はだれであったか、これはもう簡単なお答えで結構でございますが、どなたですか。
○政府委員(増岡康治君) 私は、実はこの日本電建、存じません、残念ながら。
○加藤進君 そんなことも調べていないのですか。日本電建は明らかに田中角榮氏の会社じゃないですか、日本電建は。証拠があるのです。田中氏自身の証言があるのですよ。これ、あなたたちに読んでごらんなさいと言って、私は新聞の日付まで示しておきました。それはちょうど私が質問をしたその日の午後における記者会見で田中氏自身がその点を言明しておるわけであります。こう言っていますよ。問題になった土地は、一括買収して競馬場や飛行場をつくる計画があり、日本電建を中心に開発してほしいという相談があった。——これは地元という言葉でしょうが、相談があった。その後、私は電建をやめたので——そうでしょう。電建をやめたので——当時までは電建でした。その後、電建をやめたので、入内島金一氏が社長をしている室町産業に引き継いだと、こう言っております。これは明確な自身の証言でございます。つまり、日本電建は田中氏の会社で、当時河川敷の開発をその業務とすることに予定されていた。その日本電建に、かすみ堤締め切りを決定した重要な人物である松野氏が退職と同時に入社しました。事実ですよ。そして取締役に就任したわけであります。これは河川敷の買い占めと開発を松野氏にやらせようという田中角榮氏自身の意図であったと考えざるを得ないのでございますけれども、そう考えるのは間違いなんでしょうか。この点私は建設大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) それは、私がここで明確にそのようでございますとお答えするにはなじみない問題であると思います。
○加藤進君 建設大臣が答えがたいとおっしゃるなら、本日はこれでとどめますけれども、そこで行政管理庁、私のいま申し上げましたような事実問題について、先般の行政監察においてどのように調査されたのか、あるいは調査されなかったのか、その点の事実問題を明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(鈴木博君) 信濃川の河川管理をめぐります監察を行うに際しまして、何分十年余前のことでもございますので、事実の客観性というものを考えまして、当時の記録中心に監察いたした次第でございます。 なお、三十七年二月まで就任しておられました松野氏個人のことにつきましては、われわれの監察に沿わない——監察の権能等からいたしまして、監察になじまないというふうに判断いたしまして、関係者として当たってはおらない次第でございます。
○加藤進君 これはしかし、行政管理庁、重大な発言ですね。行政管理庁がこの問題を手がけようとしたのは疑惑の解明でしょう。何も文書だけの調査で済ませなどということはだれからも言われておらないはずであります。私がここで指摘したような、まことに初歩的な調査においてさえこんなことが明らかになるわけであります。明らかになれば、その事実に基づいてこれはおかしいぞと思わないものは、これは逆におかしいわけでございまして、こういうことについて、行政管理庁が十分にその問題について調査もしなかった、調べもしなかった、タッチもしなかった、これはどういうことですか。私は事実は事実として、そうお答えになるならなるでございましょうけれども、行政管理庁の姿勢にもまた問題がある。疑惑の解明について真剣に取っ組んでいない、こう言われてもしようがないじゃないですか。 ところで、地元の越山会という、これは田中角榮氏の後援団体でございますね。越山会の幹部に松木明正、さらに笠井伊忠次という方がいらっしゃいます。この方たちが地域開発と土地の権利譲渡を内容とするいわゆる同意書というものをつくって、これを農民に渡し、捺印をとって回られたと聞いておりますけれども、これはいつごろなのか御存じでしょうか。
○政府委員(鈴木博君) 先ほどの答弁を繰り返すようで恐縮でございますけれども、私どもの監察の権能といたしましては、行政機関の業務の執行について監察するという権能でございます関係で、その範囲で行政を通じて調査いたしたわけでございます。 なお、その調査の過程におきましては、現在の建設省の幹部の方々、これは過去のいきさつ等を承継して責任を持っておられる立場の方々でございますので、過去のことについては第一には記録を見、それから記録で解明できない点は、現在のいわゆる行政官庁であります建設省の幹部からお聞きするという手法をとった次第でございますので、ただいまの個々の方々には当たっておらない次第でございます。
○加藤進君 それには私たちも意見がありますけれども、事実がそうだと言えば、それはまあそうとして認めざるを得ませんけれども、だとするなら、この同意書に内容として、「田中角榮を代理人に河川敷の開発を室町産業に一任する」、こういうことが書かれてあるという事実についても御存じないという返事ですか。
○政府委員(鈴木博君) その土地の売買等につきましては、行政ではなくて私人の行為でございますので監察はいたさなかった次第でございます。
○加藤進君 そこで、私が申し上げましょう。そういうことが内容としてあるということ、「田中角榮を代理人に河川敷の開発を室町産業に一任する」と明記されていますよ。しかもこういういわば同意書なるものが農民に対して捺印まで要求して回られたという時期はいつかと言えば、これは長岡越山会の総会において関藤栄という方が講演をしておられます。この関さんはNST副社長でございまして、その方の講演の中に、昭和三十七年三月中旬でございますと答弁されております。昭和三十七年の三月中旬というのはいつごろでしょう。いつのときでしょうか。明らかにかすみ堤を連続堤に計画変更した直後である、はっきりしていますよ、時期的に。これは動かしがたいです。この点は確認できますね。時期として。
○政府委員(鈴木博君) まあ室町産業を通じましての経済活動と申しますか、私人的な行為につきましては今回監察いたさなかったわけでございますが、われわれの監察は河川管理の面でかすみ堤がその連続堤に切りかえられました理由、経緯等を監察の対象といたしたわけでございますので、ただいま御指摘のございましたような点は承知いたしておりません。
○加藤進君 だから、あなたたちのそういういわば監察の目的が結果においては果たし得なかったわけでしょう、結果においては。果たし得ないといって、この疑惑は解明されたんですか。解明すべきいろいろな糸口はあるんです。あることについて行政監察は手を触れなかった、知らぬと言っています。 そこで、私はこの点については行政監察を責めるということをいま目的としておりませんが、この同意書なるものが今日新潟の検察庁にあります。検察庁にあります。これを見せられた方がございますから、検察庁にありますから、これは重要文書として、その写しを当委員会に提出されるように建設省としてお取り計らいを願いたいと思いますが、そのことはできましょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは、建設省がその行為を行う筋には私はないとお答えせざるを得ないと思います。
○加藤進君 そこで、では知恵を拝借しますけれども、建設省の行う筋でないとおっしゃいますと、行政当局の中で、政府の中でそれが行い得るという、いわば資格と申しますか権限を持っているのはどこでしょうか、ないですか。法務省はどうですか。
○国務大臣(竹下登君) 一般的に国会の資料要求に対して、すなわち国政調査権に対してできる限りの協力をするというのが、これは政府の姿勢であります。なかんずくわれわれは、立場を変えれば、いまたまたま私はここにおりますけれども、お互いそこに座っておる国会議員としての同僚であります。当然のことでございますけれども、いわゆる三権の問題からして、いま政府、なかんずく建設大臣として、その行為に御協力をするという立場にはないと。そんならどこかということになりますと、私もいま即座にお答えする用意がございません。
○加藤進君 検討してくれますか。研究してくれますか。
○国務大臣(竹下登君) 政治家として、建設大臣というよりも、多年国会と政府との接点におりました内閣官房経験者として少し勉強してみます。いまどうかということを直ちに答える自信がありません。
○加藤進君 松澤行政管理庁長官の御所見はどうでしょうか。できるとおっしゃいますか。
○国務大臣(松澤雄藏君) 私の意見もただいま建設大臣の言うたとおりでございまして、あえて特別に私からどうこうというふうなことは、現段階においては言うようなことはございません。
○加藤進君 そういう答弁をいただいては残念でございますけれども、それでは委員長にひとつお諮りいたしたいと思いますけれども、当委員会としてこの文書はきわめて重要な文書だと私は考えておりますから、その点で委員会として、地検に対してこの文書の写しを委員会に提出されるようにお取り計らいをいただけないだろうかと、こういうことをお尋ねしますが、いかがでしょうか。
○理事(小谷守君) 加藤君に申し上げます。加藤君の御要望につきましては、後刻理事会において検討いたします。
○加藤進君 ありがとうございます。 そこで、この室町産業でございますけれども、これはもう実体のない幽霊産業であるということは、幽霊企業であるということは、もう再三の指摘で明らかでありまして、実体はないかと言うと、ないわけではない、あるわけであります。それは田中角榮その人であるという実体でございます。そうでしょう。田中角榮氏を代理人として、まだこの地上にも存在しない室町産業なる会社に地域開発と土地の権利譲渡を一任する内容の同意書が、こうして農民から捺印をとって回られました。その時期でございますけれども、先ほど申し上げましたように、かすみ堤を連続堤とするという地建と長岡工事事務所長との間の打ち合わせの決まった直後であるという事実を私は重視しなくてはならぬと思います。私は行政管理庁といえども、このような問題によって、これは大事だなと私は認識をされたと思いますけれども、しかもこの当の工事事務所長の松野氏は同年三月三十一日に工事事務所長を辞職して、翌日の四月一日に、当時田中氏が社長であり、当の河川敷の開発を計画していた日本電建に入社され、五月二十六日には取締役に就任されたわけであります。こうした一連の動きを見ると、松野氏というのは一体何者であるのか、どういう役目を果たしておるのかと言えば、建設省にあっては、かすみ堤の連続堤への計画変更をした方であります。そうですね。計画変更の決定をした方であります。さらに締め切りとともに浮かび上がってくる水浸しの土地の開発計画を進めるために日本電建に入社された方であることも厳たる事実であります。では一体、その背後にあって、この松野氏に対してこのような指示をし、指揮をし、そうして彼を動かしている者は一体だれであるのか、子供でもわかります。それは田中角榮さんである、明らかであります。そうじゃないですか。そうでないと言うんならそうでないで、そうでないという証拠を示していただきたい。事実に基づく証拠を示していただきたい。いかがでしょうか、建設大臣。
○国務大臣(竹下登君) これは企業の持つ、一私企業の行為でございますので、それを、ここは裁判所でもございませんし、率直に言って私人の私行為に対して断定するということは、私はなかんずく建設行政の責任者としてとるべき行為ではない。先生自身の主観として断定なさいましたけれども、私は建設行政の責任者として、国の建設行政の問題についてのそれなりの私の結論を出さなければならないことも、それはたびたびあると思います。しかし、私が今日まで得た知識の上において、私人の私行為というものに対して建設大臣そのものが、そこで断定を下すというようなことはなすべきことでないと、そのように思っております。
○加藤進君 私は全部についての意見をここでは述べられませんけれども、しかし、言えることは、事柄は建設省所管の信濃川河川敷に起こった問題である。そして当面一番の担当者である長岡工事事務所長がその職を捨てて、田中角榮氏の日本電建に入られたという事実は、これはよそごとでは私は済まされないと思います。いかなる理由でこの工事事務所長をやめられたのか、どのような方向に行かれたのかということについて、建設省あるいは地元の地建、何らこれに関与しないのですか。何も知らぬと、こう言い切り得るのですか。私がここで出した、指摘した問題だけについても、これはちょっと検討すべき問題だなあというくらいのやはり考え方を出していただくのが私は行政官庁として当然のことではないか。知らぬ存ぜぬと言うなら、私が一番初めに質問いたしました、三木さんがこう言っておられることに対して、新任された、新たなる建設大臣の竹下さんはどういう決意で臨まれるのかと聞いたのはそこでございまして、その決意は、いかにも一般的にはそのとおりに進めますと言いながら、事実問題がくるとそれをはぐらかす。こんなことで本当に疑惑解明に対して、国会の追及に協力しますと、こういうようなことが言えるのでしょうか。私はそのことを強く指摘しておきます。いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これは加藤委員に申し上げますが、私は確かに建設行政の責任者であります。したがって、過去にさかのぼって、いわゆる退職の仕方が依願退職であるのか、そうでないものであるのかとか、そうしてその際人事院等がどうチェックしたとか、しないとか、これはやはり私は公人として、それは調査できる立場にあります。しかし本人が、およそその職業選択の自由の中において行った行為に対して、それが加藤先生のおっしゃる疑惑の問題とか、あるいは先生は最初暴露という言葉をお使いになりましたが、国会で暴露というよりも、国会でそういう御質問をなさったと私は解釈するのでございますが、そういう問題を、やはりそこに折目、けじめがあってしかるべき問題ではなかろうかというふうに私は考えます。そうして、はぐらかすとおっしゃいますが、はぐらかすというのも、これもやっぱり主観の問題だと思うのであります。私はいやしくも国会議員でございますので、同僚議員の質問をはぐらかそうなどという、さようにまでは愚かでないつもりでございます。 〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
○加藤進君 そこで、私一つだけ竹下建設大臣にお願いしますけれども、少なくとも松野氏があの工事事務所長を四十八歳という少壮有為な年齢にもかかわらず辞任されたその一体理由は何であったか、このことについては御調査いただけますね、このことについては。これは建設省の内部の問題でございますから、辞任されるいきさつ、辞任された決意は何であったか、このことを御調査いただけると思いますけれども、それはどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) それじゃ河川局長が私より恐らく詳しいと思いますので答弁いたさせます。
○政府委員(増岡康治君) 当時の松野事務所長がなぜ早くやめたかという点、その他相当昔のことでございまして、私どもさっぱりその点についてはわかりません。はっきり言ってわかりませんが、ただ、いま先生の先ほどからのお話で、新聞記事の問題が出ましたが、あれは昭和四十一年の十一月の二十日の新聞でいろいろと、内容はその当時のことではないかと思うんですけれども、松野氏は実は昭和四十年、そのときにはもう日本電建をやめたことになっております。ということと、もう一つ申し上げたいのは、決まっている決まっているとおっしゃっております問題は、あくまでこれは現地の問題でございまして、本省といたしましては、昭和二十八年度と昭和三十八年が一つの大きな区切りで物事を決めていっておるということを申し上げたいと思います。
○加藤進君 あなた、昭和四十年、四十一年以降だ、そんな新聞記事は当てにならぬという意味のことを言われましたが、そうじゃないですよ。だって、松野氏の在任の期間というのは明確になっておりますから。私は、在任の期間中はこうだ、建設省に関係した時期はこうだ、そして日本電建に移られた。移られたまでの時点を私は問題にしているわけであります。その後の、さらにそこからどこに飛ばれたということはいま私は全然問題にしておらないわけですから、その点は誤りなきようにしていただきたいと思います。 そこで、次に移ります。長岡市の神田町三丁目から川崎町の字川崎までの昭和通り川崎線というのがございますね。これは建設省御存じだと思います。この川崎線の都市計画街路の事業認可というのはこれは建設省がおろすわけでございますけれども、いつごろおろされたのか、またその街路は国道としてはどこに連結、連絡するのか、その点だけお聞かせいただきたいと思います。——わかりませんか。時間がなんですから、わからなかったら私の方から申し上げてもいいですよ。
○政府委員(増岡康治君) いまちょうど都市局関係が参っておりませんので、失礼いたします。
○加藤進君 それでは、私の方から答弁をします。これは間違ってたら訂正してくださいよ、次の委員会でいいですから。 この都市計画街路の事業認可を行ったのは昭和三十六年八月であります。これははっきり私は確信しています。そしてこの街路、すなわち都市計画路線の街路はどこに連結されたかというと、国道八号線のバイパスに連結された、これも事実だと思います。私は確信しています。建設省の代弁をしているんですよ。 そこで、国道八号線のバイパス計画はいつごろから計画されたのか、この点は建設省の所管でございますから御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(増岡康治君) これも、道路局長参っておりませんが、昭和四十二年の七月に直轄国道測量調査成果という報告がなされておりまして、四十二年十二月二十日でその重要構造物の橋梁部分の改良計画予定線とされたという記事を私ちょうど持っておるものですから、いまの場合その程度しか私わかりません。
○加藤進君 そんな最近の話じゃない。四十年代の話じゃないんです。これはここに長岡市議会の議事録があります。その議事録の中にはどういうことが出ているかというと、昭和三十六年の段階で長岡市当局はバイパス大計画を建設省に強く働きかけてきた、こういうことが明確になっております。これは、私は決して、長岡市が独断で建設省の意向に反してやったことでない、こういうふうに見ております。すなわち、昭和三十六年の段階ですでにバイパス計画が具体的に地元にも明らかになってきているという事実は明白です。当時すでに河川敷買い占め計画の準備としていわば信濃川の川の中の所有地の明細ができていたということについて建設省御存じですか、土地明細ができていた。
○政府委員(増岡康治君) よく存じません。
○加藤進君 これも内山長岡市長が市議会において答弁しております、そういうものができていると。当時もう明細ができていた。一体これはできていたとすればどこで作成したんですか。建設省じゃないんですか。
○政府委員(増岡康治君) ちょっとそういうこともよく勉強しておりませんでわかりません。
○加藤進君 私がきのうこういうことを質問するとお話ししておいた問題の一つがこれでございます。勉強してないというのは、これはちょっと言い逃れに私はなると思います。 そこで、聞きますけれども、その当時、すなわち昭和三十六年の長岡市の助役さんは一体だれであったかという程度は御存じいただいておると思いますけれども、どなたでしょうか。
○政府委員(増岡康治君) これは前もって先生からお話があったわけでございますので調べさしていただいたわけでございますが、直接には民間関係の人事でございますからよくわかりませんが、先生から逆にこれを教えられた感じでございます。庭山助役というように先生の方から逆に教えていただいた、そういうことでございます。
○加藤進君 私の責任にしてもらっては困るんですよ。そう言われる以上は建設省もそれを確認したと、こう見ていいですね。事実、当時の長岡市の助役は庭山康徳さんでございます。彼は田中角榮氏と同郷、小学校も同じで、越後産業新聞によりますと、これは昭和三十七年六月五日の越後産業新聞に、「長岡市助役に就任以来、中央政府との交渉その他は、田中——庭山ラインでおこなわれた。」というような記事が出ております。この点から見ても、庭山氏が市の助役として建設省の計画しておるバイパス計画、大橋の建設など十分に知り得る立場にあるということは推定できます。建設省にそれを働きかけてきたことも事実として明瞭であります。また、当時すでにでき上がっていたと言われる川の中の所有地の明細についても、助役として十分に知り得る立場にあったということも私は十分推定できる根拠があると思います。しかもその明細書なるものが土地買収に使われたという疑惑もまた生ずるわけであります。 この庭山氏でございますけれども、助役の任期半ばにして三十七年五月三十一日突如として辞任されたわけであります。そしてどこへ行かれたんであろうか、直ちに田中角榮氏が会長である越後交通の専務に就任されたわけであります。事実ですよ、これは。これは間違いだということなら間違いだという反論をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(増岡康治君) もともと民間人の人事でございますので、それは建設省は何ら関係ございませんので、よくわかりません。
○加藤進君 私はここで二つの事実を指摘いたしました。その一つは、北陸地方建設局と長岡工事事務所との打ち合わせでかすみ堤を連続堤にすることを決めたその直後に、当事者である長岡工事事務所長松野氏が事務所長を辞任され、田中角榮氏の日本電建の取締役に就任されて、田中角榮氏の直接指揮下に入られたということであります。 第二は、長岡市助役である庭山康徳氏もまた、松野氏に続いて田中氏が会長である越後交通に専務として迎えられたわけであります。そしてこれもまた田中角榮氏の直接の指揮下に入られたわけであります。 そこで、松野氏が何をやられたかということを十分振り返るべきであります。松野氏のやられたことは堤防締め切り決定であります。この点について建設本省は表向きは理由不明のまま保留になっているという答弁、報告を常にしておられるわけであります。したがって、まだかすみ堤だ、かすみ堤だと、こう言っておられたわけでありますけれども、地元では堤防締め切りは自明のこととして当時言われていることも数々の証言があります。そして締め切られた河川敷買い占め計画が田中氏によって、初めは日本電建で、そしてその後に室町産業を設立して進められたということもまた厳たる事実であります。庭山氏は、いずれは廃川敷となる土地を、一等地として、地価高騰による暴利を田中正に提供せんがために、国道八号線バイパスを河川敷の中央部に通すような長岡市としての建設省への働きかけを行ったということも事実であります。その役目を果たした後、田中ファミリーの越後交通の専務に迎えられ、引き続いて田中氏の腹心として働き続けていることもまた事実であります。 こういう二人の重要人物がこうした任務が与えられて配置され、手足のように動いたと疑わざるを得ないような人物として、田中角榮氏はこれを事実上彼の指揮のもとに動かしたと言わざるを得ない。私は、これは単なる主観や推定ではなく、事実に基づく当然の帰結としてそうならざるを得ないと考えますけれども、その点について行政管理庁長官あるいは建設大臣、所信をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは加藤委員のいわゆる推定に基づく組み立ての中に、加藤委員は加藤委員としての筋をおつくりになっておる。しかし、私は建設行政の責任者として、河川敷そのものは私の所管であります。しかし、それの経過に当たって、私、建設省の関係人事ならともかくとして、一助役にしたところで、これは私人でありますよ。その私人の辞任とか就職とかいう問題がその中に組み込んでいくということは、私は本人の名誉のためにも、そのようなことは推定としても公の場所ではむしろ避けるべきことではないか、そのように私は考えます。
○国務大臣(松澤雄藏君) いまの建設大臣の答弁と同じでございます。
○加藤進君 建設大臣も行政管理庁長官も自分の仕事の限界あるいは仕事内における権限ということを考えて、そう答弁されたと思いますけれども、しかし、それで事柄は終わらないんですよ。これは、私が提起したのは決してうそやあるいは主観に基づいたものじゃございません。事実関係は明確にあります。したがって、もし田中金脈の疑惑を解明する、このことによって政治を正すという決意があられるならば、それは政府としてこの問題に対して少なくとも調査究明を行うべき責任があるのではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。しかも行政監察そのものについても、文書審査だけによってはこれ以上進まぬということになった。進まないので、じゃ疑惑の問題はどうかというと、終わらないわけでございまして、その後、行政監察の上においても行政措置の上においても、どのようにこの問題について国民に納得のいく解明を与えるかという責任が私は当然あるかと思います。私はその点で、こういう私の提起した具体的な事実と、その重要な二人の人物の行動についてもし調べるならば、信濃川河川敷買い占めに絡まる疑惑解明に新しい糸口ができるであろうと私は考えています。もしやる気があるならば、その糸口をたぐって、そして真相に迫るべきだと私は考えています。 行政管理庁長官についてお尋ねしますけれども、行政監察は事一言で言うならば、建設省の壁にぶつかってはね返っちゃった、進めぬ。こういう結論だったと思います。だとするならば、行政監察は角度を変えて、新たな糸口を通じて、この問題について監察のメスを入れる、こういう決意が当然あってしかるべきだと考えますし、そのこともできないし、そのこともやる気がないというならば、そもそも三木内閣はこの田中金脈に絡まる重大な信濃川河川敷の疑惑については解明する気が全くない、こういう審判を下さざるを得ない状態にあろうと思いますけれども、その点について行政管理庁長官の所信をお尋ねしたいと思います。 特にお聞かせ願いたいのは、なるほど話を聞けば国会の舞台で責任ある言明であるから、さらに行政監察はあれにとどめることなく、もう一歩進んでそのような方向について行政監察を行うことも検討する必要があるのではないかというような所信がいただけたら非常にありがたいと考えております。
○国務大臣(松澤雄藏君) ただいま私の方に対して、私自体が名答弁をすればいいような御質問でございますけれども、あえて私から申し上げましてもどうかと思いまするが、いまの松野さんや、あるいはまた庭山さん等のお話までつけ加えられて出てまいりました。しかしながら、この方々の問題等に対しましても、いままで私の方の政府委員等がるる御説明をしてまいったことだろうと思いますが、私自体も説明をしてまいったものでございますだけに、あえていまこの際、そのような問題に対しまして加藤さんがお喜びなさるからというふうなことだけで御答弁を、はっきりした御答弁を申し上げるというようなことは私自体ができ得ないのであります。そういう点だけはぜひ御了承していただきたい。いわばこの問題は再監察的な意味は毛頭ございませんので、あえて私の方は率直に申し上げますと、政府自体の問題を取り上げて、そうしてやっておる次第でございます。そうでございまするだけに、それ以外の諸問題に対しまして干渉するというようなことはなし得ないのでありまして、どうかそういう点は御了承していただきたいと、かように思います。
○加藤進君 いかにも私を喜ばせるための答弁はできがたいなどということをおっしゃいましたけれども、私はいままでるるここで発言、言及してきましたのは、とにかくもう法の裁きを受けなくてはならぬというまで追い詰められて、そうしてついに二人の農民が訴訟をし、そうしてまた刑事告発まで行われたという段階でございますから、この時期において行政官庁たるもの、特に行政の監察を担当すべき行政管理庁としては、もう一度検討をするというくらいの私は決意がなければ、この問題はついにふたをされたと言われてもしようがない事態になるのではないかと私はあなたに申し上げたいわけであります。 私はその点にさらにもう一人つけ加えたい方がございます。それは現在の長岡工事事務所長の藤村敏夫氏であります。私はこの証言なら建設省もあるいは行政管理庁もとり得る立場にあると考えています。なぜかと言えば、藤村氏は締め切り打ち合わせのあの当時の北陸地建の河川計画係長であります。彼みずからの言葉によりますと、局原案をつくったのは私だとまで言っております。藤村氏は堤防工事が始まり、完成する四十一年から四十四年の間何をやっておられたかというと、北陸地建の工事課長としてその河川工事を担当された重要な方であります。この方について建設省あるいは行政監察は行われましたかどうか、証言を求められたかどうか。
○政府委員(増岡康治君) 藤村君は現在の長岡工事事務所長でございますので、昨年行管の行政監察局で監察なさいましたが、そういう間柄でございますので、当然現地の責任者でございますので、どう言いますか、ポストそのものが事務所長でございますので、行管に対しても答弁をいろいろとしたものと思います。
○加藤進君 私は、この方を十分に御調査いただき証言を求められるならば、さらにこの問題について一歩迫り得るのではないかと考えるわけであります。それに加えて松野氏と庭山氏をお取り調べあるいは調査されるならば、このいわば河川敷問題についての疑惑に一歩解明の糸口を必ずつくられるのではないかと確信しておるんです。確信しておるから私はこれを申し上げるわけでございます。現に私は、この藤村敏夫氏から私のいわば秘書等々を通じて聞きましたところ、かすみ堤を締め切るということは当時常識だった、こう言っておられますよ。建設省はかすみ堤だ、かすみ堤だ、かすみ堤だ、かすみ堤だ、地元ではこれを締め切ります、決定しましたと言っても、かすみ堤だ、これは保留だと言っておりました。しかし現地では本堤として締め切るということを決定すれば、それはもうかすみ堤締め切りということは既成の事実として常識だったと、こう言っているんです。これほどあなたたちが文書において解明できなかったかすみ堤がなぜ本堤に変わったんだろうかという、重大な疑惑解明のいわば証言を得る当人の方じゃないでしょうか。松津行管長官、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 私の指名ではございませんが、現実私の所管しておる建設省の職員でございますので、そういう立場においていわゆるいろんな協議とか、そういう対象には十分なり得る立場におるわけであります。しかし私は、いまの工事事務所長そのものと種々絶えず協議しているわけでございますから、この問題に限らず。その立場にあるということは十分認識しますが、そうでない人まで含めて、これを証言さすとか、あるいは尋問とか、そういう立場にはないんじゃなかろうかと、何としても一番大事にしてあげなきゃいかぬのは、その人そのものではなかろうか。私もどんな立場になっても加藤さんという人を尊敬いたします。だからまず前提の上に立って私はこの問題を解明すべきであって、尋問とか証言とか、そういうことの中でとらえるということについては、私は基本的に了承しかねるということだけは、失礼であったかもしれませんが申し上げておかなければならぬと思います。
○加藤進君 松澤さん、あなたたちに漫然とどこにあるかわからぬところに的をしぼって監察をやれ、あるいは取り調べをやれ、証言をとれと言っているじゃないです。私は国会議員としての責任と立場からこの問題を決算委員会において表明しておるわけでございます。こういう国会における審議に対して、行政庁はこれに答える何らかの責任が当然あると考えるわけでありまして、その責任と権限の範囲において、この問題について従来に増して一歩迫るいわば努力をされる御用意があるかどうかだけは、特に私は松澤長官に再度お尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(松澤雄藏君) 私人の行為に関する問題でございますので、率直に申し上げて監察の対象にはならないと、そしてまた再監察する意思が、たとえ加藤さんのところがよく知っておっても、私自体としては再監察する意思は毛頭ございません。
○加藤進君 行政管理庁としては田中金脈の問題はもうこれで終わりと、そしてあと残された問題は、信濃川河川敷の跡地をどのように利用するかなどというような問題にいわば飛躍しつつあるのが現状ではないかと私は推察せざるを得ないわけでございます。これは事柄は重大でございますから、今後とも私たちは材料をさらに整理し、整えて皆さんにもっと深くこの問題について追及はしていきたいと考えておりますけれども、その点で行政庁がこのような疑惑解明について十分な協力をされておらないということ、されようとしないという事実については、私は先ほどからの答弁を聞きまして、これはまた今後の問題として十分行政官庁に対して追及し、責任を求めていかなくてはならぬと考えております。 ただ、いまお聞きしましたところ、行政監察もやることもできないし、やる気はない。建設省もまたそのような答弁でございますから、それを幾らいまこの機会に押しましてもいい返事ははね返ってこないと考えておりますから、私はここで本委員会の決議として、委員長の御配慮をいただきまして、政府、行政庁として行わるべきことを期待しながら、問題究明のために、松野時男氏、庭山康徳氏及び藤村敏夫氏の三氏を参考人として本委員会に招致されるように、この点の取り計らいをお願いするわけでございますが、よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○委員長(瀬谷英行君) 加藤委員より御要望がございましたけれども、これらの問題については理事会で協議をしたいというように考えております。
○加藤進君 わかりました。 最後に、そこでこうして疑惑は新たに疑惑を生んでいます。行政監察そのものも、また政府の行政府としての努力をもってしても、この問題の解明は恐らく不可能に近い状況にあると私は判断せざるを得ないと考えています。しかも同時に、にもかかわらず疑惑は厳存し、疑惑は深まるばかりであるのにかかわらず、その廃川敷の処分をやろうとしている。処分後の一体どういう利用をするかなどということまで今日、政府はあっせん役を果たしている。仮谷建設大臣はそのために再三にわたって話し合いをしたいなどと言っております。私は本末が転倒しておるではないか、前後が撞着しておるではないかと言わざるを得ないわけでございます。一体この河川敷の権利はどこにあるのか。そのことも明確にされないで、その河川敷は室町産業と田中さんに入ってもらって、そして長岡市の市当局と話し合って公共用地としてやればいいじゃないかと、これが国民の納得する道じゃないかなどという、まさに政府の主観によってこの問題を処理されようとすることなどは、私はとうてい許しがたい問題であると考えております。したがって、こういう重要な人物が私たちによって指摘され、また疑惑解明は恐らくこういう諸君を十分に調査し、あるいはその証言を求めていくならば、解明がさらに一歩近づくであろうと予想されるこの時期でございますから、廃川敷処分だけを急いで跡地の問題の処理などということに行政の目を向けることなく、疑惑は疑惑として明確に、いわばそれが農民に所属する当然の権利であるか、それともそうでないかという黒白を明確にしながら今後の用地処分の問題に進んでいただきたい、このことを最後にお願いいたしますが、その点についての建設大臣と行政管理庁長官の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 重ねて申し上げますが、この廃川処分につきましては、国会で種々議論がなされておって、三木総理も、また仮谷建設大臣も国民の納得のいくよう適正に措置したいと、こう申しております。その経過の中で、私は跡地利用の問題等が市当局と、あるいは市議会と、そして町内会長さんの会議とか、そういうもので議せられたということも私も承知しておりますが、それも判断の一つであることには間違いありません。しかし私が申しましたのは、とにかく加藤先生のみならず、諸先生から本委員会において、あるいは他の委員会においていろいろ意見が出ておるということが判断の一つの大きな要素になるということは、私も国会議員の一人としてそういう認識は持っております。したがって、いわゆる疑惑というものは、いま政府の行為も主観だとおっしゃいましたが、いろいろ協議いたしますから、客観性の中において主観を確立するわけでございますけれども、加藤先生のおっしゃる疑惑というものもまた主観であるということも全く言えないことはないと思うんです。したがって、そういう総合的な見地に立って、私はこの決断を下す際にして、本委員会初め他の委員会において議せられたこと自体は十分踏まえた上で措置を行うということは重ねて申し上げます。
○国務大臣(松澤雄藏君) ただいまの問題等は建設省自体の行政の問題でございまして、あえて私の方から申し上げるような問題じゃなかろうと、かように存じます。
○加藤進君 最後に要望でございますけれども、国民の納得のいく処理をするという点で、現地の長岡市当局、あるいはその町内会の意向等々も聞いていると、こういう話でございますけれども、同時に私たちのような疑惑をますます深めているような国会における審議の動きもある。しかも現地におきましては公判がすでに始まっている。さらに刑事告発までが行われているという事実についても、これを事実は事実として、いわば建設省も、あるいは政府当局も頭に置きながら、その適切な処置を今後進めていただく、このことだけは私は言っていただけるのではなかろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 加藤委員の意見はと篤と私もお聞きいたしました。
○加藤進君 終わります。
○田渕哲也君 私は現在樺太に残留しております日本人並びに朝鮮半島出身の人たちの問題について若干質問をしたいと思います。 ことしで戦後三十一年目に入るわけでありますけれども、まだ戦後処理が済んでいないといいますか、まだ樺太に放置された人たちがいるわけです。これは日本人もおれば朝鮮半島出身の、これは日本人と呼ぶべきかどうか、いろいろ議論があるでしょうけれども、かつて日本人であった人たちが残留しておるわけであります。この実情について政府はどのように把握をしておられますか、またこの問題についてどのように感じておられますか、まず最初にお伺いをしたいと思います。これは外務省並びに厚生省にお伺いします。
○政府委員(山高章夫君) 樺太に残留しております日本人の邦人の実情でございますが、未帰還者は昨年の十二月一日現在で二百二十五名でございます。その内訳といたしましては、旧軍人軍属が七名、その他の邦人が二百十八名ということになっておりまして、邦人の内訳では、男が七十四名、女が百四十四名になっております。
○説明員(大森誠一君) 外務省といたしましては、ソ連側に対しまして、これまで数度にわたりましてサハリンに居住しております朝鮮人で帰国を希望している者につきまして実態調査を依頼しておりましたが、現在のところその実態を正確に把握し得る状態にはございません。一般にサハリンにおります朝鮮人は約四万人と言われております。このうち北朝鮮籍の者が約六五%、ソ連籍の者が約二五%、無国籍の者が約一〇%であると言われております。また韓国政府によりますれば、帰還希望者は七千名あるということでございます。
○田渕哲也君 樺太にこれらの人たちがいまだに放置されておるわけですけれども、その原因といいますか、理由というのについてどのように把握されておりますか、外務大臣にお伺いします。
○説明員(大森誠一君) ソ連地区邦人の引き揚げにつきましては、昭和二十一年十二月九日に成立いたしましたソ連地区引き揚げ米ソ協定というものがございまして、これに基づきまして、この協定の当事者であります連合国軍最高司令官とソ連邦対日理事会代表の責任において実施されたわけでございます。この引き揚げ協定によりますと、引き揚げの対象となっておりますものは、第一に日本人の捕虜、第二に一般の日本人——この一般の日本人と申しますのは、ソ連邦よりの引き揚げは各人の希望によると、こういう注釈づきでございますが、この一般日本人、この二つの範疇がございまして、連合国は当時朝鮮人を外国人あるいは非日本人という取り扱いをしておりましたために、連合国により引き揚げる機会が与えられなかったものと考えられます。 なお政府といたしましては、帰還を希望する人々を放置しているわけではございませんで、人道的な観点から帰還実現のための努力を行っている次第でございます。
○田渕哲也君 これは確かにいまの御答弁のように、昭和二十一年の米ソ引き揚げ協定によって引き揚げが行われたと思いますけれども、この際当時の日本政府としてアメリカ占領軍に対して意見とか、あるいは話し合いというものの機会があったのかなかったのか、その点をお伺いしたいと思います。
○説明員(大森誠一君) 当時政府がサハリンの朝鮮人の帰還につきまして米ソ側と話し合ったかどうかにつきましては、現在調査をしているところでございますけれども、何分終戦直後のことでもありまして、事情は明らかでございません。
○田渕哲也君 これらの人たちは戦争中ほとんど強制的に樺太に連れていかれた人たちであります。したがってそれらの人たちの原状回復といいますか、やはり戦争が終わったのなら日本に連れて帰る、あるいはその人たちの郷里に連れて帰るというのは日本政府の義務として存在すると思いますけれども、この点はいかがですか、外務大臣並びに法務大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) あの当時のわが国の状況として、ただいま政府委員が申し上げた以上のことが現実の問題としてでき得たかどうかということには私はいろいろ問題があろうと思います。しかし実はたびたびの日ソの外相会談におきまして、昨年の一月もそうであったのでございますが、つい先だっても東京で行われました際、私といたしましてはやはりこの問題を提起して、ソ連側に対して善処方を要望いたしております。と申しますのは、厳密な意味で、法律問題はともかくとして、われわれとしてはやはりこの問題について無関心ではあり得ないという考えを持っておりますので、それに対して外相会談の都度実は問題を提起しておるようなわけでございます。
○国務大臣(稻葉修君) わが国としてはサンフランシスコ平和条約で朝鮮の独立を承認し、朝鮮の領土並びに朝鮮人に対する主権を放棄いたしました。その結果、日韓併合後日本の国内法上朝鮮人としての法的地位を持っていた者は、居住地のいかんを問わず朝鮮国家の構成員となり、同時に日本国籍を喪失したものと解しております。したがって樺太に居住している朝鮮半島出身者について右に該当する限り、現在は日本国籍を有しない者として取り扱わなければならぬことは当然であります。ただ御指摘の在樺太朝鮮人の引き揚げ問題について、強制連行された人たちについては、日本国に原状回復の形で復帰させることは、道義上の責任として残っているように思うんでございます。 そこで当省といたしましては、具体的な入国申請の提出を待って、人道的問題としてこれを処理する。従来そういう場合には入国を許可するという方針をとっております。ただソ連側が出国を認めるかどうかということに問題は残りますけれども、そういう方向で人道的な対処をする所存をこれからも続けていきたいと思っております。
○田渕哲也君 私は三年前になりますか、先年、日ソ友好議員連盟の一員としまして、ソ連の最高会議の招待で向こうに参りましたときに、向こうの外務省の極東部の次長でしたか、お会いしましてこの問題をお願いしたわけです。そのときにその方が言うには、ソ連はいつでも帰します、希望者がおれば無国籍であろうが、あるいは国籍を取っておろうが帰します。ただし韓国とソ連とは国交がないから韓国に帰すわけにはいかない。じゃ日本に帰すのはどうか——日本に帰すのなら結構です。じゃ日本に一たん帰ってから韓国に行くのはどうかと言いますと、日本に帰ってから先のことはソ連が関知する問題ではない。ただ、そういう人がいるかどうかつまびらかでない。こういう答弁でした。だから出国希望者があればソ連は出すということを公式的には言っておるわけです。ただ問題は日本の国がそういう人たちを受け入れる姿勢でいままできたのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 受け入れる姿勢でまいっております。
○田渕哲也君 ちょっとそれは問題があると思うんですけれどもね。昭和四十七年の七月十二日に、民社党の受田衆議院議員から衆議院議長を通じてこの問題についての質問主意書が出されております。これに対する政府の答弁書の中で、答弁書の第三項にこういうことがあるわけです。 御指摘の日本政府としての便宜供与の問題は右引揚希望者の実態把握の問題が解決された後に初めて問題となるところであるが一応 (1) 日本は単に通過するのみで全員韓国に引揚げさせる。 (2) 引揚げに要する費用は一切韓国側において負担する。 の二点をとりあえずのラインとして外務省・法務省等関係官庁において検討させることといたしたい。 この方針はいまでも変わらないわけですか。
○政府委員(影井梅夫君) ただいま大臣から御答弁いただきましたとおりに、私どもといたしましては具体的な申請を見まして態度を決めるということでございますけれども、その態度決定に当たりましては、やはりこれは人道問題という観点から考えるべきであろう。したがいまして、ただいま先生御指摘の昭和四十七年七月十八日の答弁の中でこのように申し上げておりますけれども、必ずしもこれにこだわるものではないという態度で臨みたいというふうに考えております。
○田渕哲也君 私はこういう前提があるとソ連も帰しにくいといいますか帰さないのではないかという気がするわけです。なぜかと言うと、ソ連は韓国という国を承認していないわけですから、韓国に帰ることを前提に日本にそれらの人たちを出国させるとは考えられない。やはり日本の国がこれらの人たちを全部引き受けるという前提でやらないと、話にならないのではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(影井梅夫君) 私どもといたしましては、サハリンから引き揚げて、その後の御本人の希望その他も伺った上で決定しなくてはなりませんので、ただいま先生御指摘のように、全部日本で引き受けるというところまでいくべきかどうか、これはそこまでまだちょっと私ども決心しかねている——決心と申しますか、そこまでの決定がまだすべきではないだろうというふうな気持ちで臨んでおります。
○田渕哲也君 そうしますと、日本政府としては、やはり韓国に引き揚げることを前提でなければ受け入れられない、こういうことでしょうか。
○政府委員(影井梅夫君) 先ほど申し上げましたとおりに、必ずしもそうではございません。
○田渕哲也君 私はこの辺が非常に重要なところだと思うんですね。やっぱりソ連相手に交渉する、この問題はきわめて交渉も私はむずかしいだろうと思うんですけれども、一応ソ連としても外交上の原則というものがあるわけですから、だから日本政府のそういう態度が障害になっておるのではないか、こういう感じがするんですがね。外務大臣はこの点についてどうお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはソ連のことでございますので、非常に正確にはわからないところがあるのでございますけれども、私は多少違った印象を実は持っておるんでございます。と申しますのは、サハリンにおける朝鮮の人々という問題と、これは別な問題でございますけれども、並びまして、ソ連領における日本人の引き揚げ希望という問題がございます。これにつきましては、ただいま仰せられましたようなむずかしい問題は実はないはずなのでございますが、私どもとして少なくともこれこれの人々に引き揚げ希望があるということを知り得ました範囲で、百人余りのリストを一九七三年でございましたか、提出をいたしておりまして、それにつきまして、昨年の一月も、今年の一月、ついせんだってですが、私がグロムイコ大臣に話をしておるわけでございます。そういたしますと、先方の返事はおのおのから帰国の申請がなければソ連政府としては取り扱うことができない。原則論としては帰国したい人は、日本人であればいつでも帰しますということは昨年も申しておりながら、その後大きな進展がないもので言いますから——多少のことはございましたが、大きな進展がないものでございますから、ことしまたその問題を提出いたしますと、日本政府からリストをもらっただけではこれは申請にはならないのであって、本人から申請が出されるべきであるというようなことをついせんだっても言っております。 そういたしますと、私どもは本人方に対してそれを伝える方法というものは、実際上は非常にむずかしゅうございますし、あるいはまたそういうことで本人自身が自由に申請を出し得ないような事情がまたその間にあるのかもしれないと想像したりいたして、きわめてわが日本人、日本国籍を現在有する者ですら実はそういうめんどうな問題がございます。したがいまして、恐らくはかつて日本国籍を有していた人々については、なおさらそういう複雑な問題があるのではないだろうかという、これは想像でございますけれども私はいたしております。しかし昨年も今年も、実はサハリン在住の旧日本国籍を有したこれらの人々についての問題を私は出しておりますが、これについては、日本人に対するのとは違いまして、日本人に対しましては原則としては申請さえあれば帰すということを申しておりますけれども、旧日本人、朝鮮の人々に対しては、今年はそういうことすらも実は明白にはグロムイコ氏は言っておらないというような、もう一つこの問題はさらにいろいろ複雑な事情があるのではないかというふうに私は想像いたしておるわけでございます。
○田渕哲也君 外務大臣のおっしゃった、このソ連側の事情でむずかしいということはよくわかるわけです。これは日本政府の責任と言えないかもわかりません。ただ日本政府としては、先ほど法務大臣も言われましたように少なくとも道義上は帰す義務がある。それから法的にはこれはいろいろ意見があるところだと思いますけれども、これは現在、御承知のように裁判になっております。裁判所が法的な結論を出すべき問題かもわかりませんけれども、少なくとも道義的には帰す義務がある。そうすると、ソ連側のそういうむずかしい事情はこれからの外交交渉で御努力をいただく以外にはないわけです。ただ問題は、日本側でそれに対して何らかの障害を設けてはいないだろうかということが私の心配なんです。たとえばその人たちがソ連で出国希望を出した場合に、日本がそれを本当に受け入れるのかどうか。その点で、やっぱり日本が受け入れなければこれは話にならないわけですね。だからたとえその帰還希望先がどこであるにしろ、一たん日本が受け入れるということが必要ではないか、前提として。この点はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) それは田渕さんのおっしゃるとおり、道義的にはそのとおりだと思いますよ。日本側が受け入れるという姿勢がなければソ連としてもやりにくいだろうと思います。ただ通過して、すっと皆やるんだやるんだと、ここに書いてあるようなことが、原則をもう曲げられないという態度をこっちが、外務大臣がもし示されるとすれば、ソ連側もやりにくいだろうと思います。それはそのとおりだと思います。
○田渕哲也君 そうすると、確認いたしますけれども、前の答弁書も、この条件つきが原則じゃなくて、受け入れることを原則とすると、そういう判断でいいわけですか。
○国務大臣(稻葉修君) それは本人の意思が、ごつちへ一応受け入れて、ここで、なるべくなら、外国人ですからね、韓国へお帰りになるのが、自分の祖国へお帰りになるのが普通ではないかと、こういうふうに思いますから、そういう便宜は日本としてはおとりいたしますと、こういう姿勢でございます。
○田渕哲也君 現在のところ、私の調べた範囲では大部分がやっぱり韓国に帰られることを希望されておると、こういうふうに聞いておるわけです。ただ日本政府の姿勢としては、韓国へ帰ることを条件に受け入れるとか受け入れないとか、そんなことを言わずに、とにかくかつて日本人であって、日本政府が連れていった人たちですから、とにかく受け入れるということを原則にして交渉しないとむずかしいと思うのです。それはそういうことで交渉しても、ソ連側の実情でむずかしいかもわかりませんけれども、日本政府としては、その受け入れについて何らかの障壁を設けるということは道義的に許されないと思うのですけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 別に外務大臣と打ち合わせしたわけではありませんが、まあ、おいでなさいと、それからのことでございますという姿勢はとりませんと、スムーズにいかないというあなたの御指摘は正しいと思います、私は。そして通過するだけで、必ず帰すのだ。帰るんでしょうなということを条件にして、その条件をのめば受け入れますよということでなくて、まあ日本へいらっしゃいと、こういう姿勢が先になっていた方がスムーズに事が運ぶように思う。その点は田渕さんのおっしゃるとおりだと思います。
○田渕哲也君 それから先ほどこれらの人たちの国籍の問題について、少し法務大臣から触れられましたけれども、サンフランシスコの講和条約の発効によって国籍を喪失したと言われますが、樺太にいる人たちがサンフランシスコ条約の適用を受けるのかどうか、この点はいかがですか。
○説明員(乙部二郎君) ただいま御指摘の点でございますが、サンフランシスコ平和条約によりまして、わが国といたしましては朝鮮に対します主権を放棄いたしました。これは領土主権並びに対人主権を放棄したものと解釈されているところでございます。したがいまして、樺太に在住しておりました朝鮮人につきましても、平和条約の発効とともに日本の国籍を失ったというふうに解釈をいたしておるところでございます。
○田渕哲也君 私はその法律的な解釈はよくわかりませんので、ここで法律の論争はいたしませんけれども、ただ問題は引き揚げの問題を完了せずにサンフランシスコの講和条約を結んでその適用をされるとなると、全くこれはほったらかしにされたということになるわけですね。本来ならば日本とソ連と講和条約を結んで、その中で領土問題を確定し、それからそこに住む人たちの帰属というものを決めなければならないんじゃないかと思うんです。ところがソ連と日本との間はまだ平和条約は結ばれていない、領土問題も確定していない。しかるに樺太に放置された人たちについてはサンフランシスコ講和条約でもう国籍はないんだから日本に関係はない、こういう態度をとるのは少しおかしいのではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) それは法的には、日本の国籍法上属地的にも属人的にも主権を放棄したのがサンフランシスコ条約でございますから、かつての日本人たりし現在の韓国人の問題は、その居住地のいかんを問わず日本国籍は失っておると、こういうふうに言わざるを得ないと思います。
○田渕哲也君 そうしますと、樺太に残された無国籍の人が多いわけですね。無国籍の人は本来なら韓国に帰りたい、ところが韓国籍を取ることはソ連では許されない。だからいまだに無国籍でいると思います。それから北鮮籍とかソ連籍を取った人たちも生活上の必要性から仕方なく取った、本当は韓国に帰りたいんだという人もいるわけです。これらの特に無国籍の人たちは一体だれが責任を持てばいいことになるわけですか。
○国務大臣(稻葉修君) これは日本の国籍を喪失したことは、法律上、居住地のいかんを問わずそうなると思います。そこでその人たちは果たして無国籍なのか、あるいはソ連国籍なのか、韓国籍ないし朝鮮民主主義人民共和国籍なのか、それらの問題は私ちょっと国際司法的なその人たちの地位についてよくわかりません。これは専門家にひとつ答えさしていただきたいと思います。
○説明員(乙部二郎君) ただいま御指摘の点でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、サンフランシスコ平和条約の発効によりまして、わが国の国籍を喪失したということになるわけでございます。したがいまして、その後におきまして、それらの人々がソ連の国籍を取得したか、あるいは無国籍になったかということにつきましては、わが国の立場からはこれは何とも申しようがないということにならざるを得ないかと存じます。
○田渕哲也君 私はやっぱりサンフランシスコ講和条約で日本の領土、それからそれに属している人たちの国籍へこういうものが確定されたということはわかるわけです。ただ問題は、そうするとやっぱり講和条約までに、かつて戦争中に連れて行った人の引き揚げ問題については、ちゃんと決めておかなければならないわけですね。それをほったらかしにしておいて、講和条約は結んだからおまえたちは国籍がないんだ、後は知らぬよというのは余りにも無責任じゃないかという気がするわけです。これは私はやはり日本とソ連との間の戦後処理の問題で残された重大問題の一つではないかと思うのです、北方領土の問題もきわめて重要な問題ですけれども。しかし、これは生身の人間が樺太に放置されて、しかも当時二十前後の人はもう五十前後です。三十年もたって、そしてせめて老後は郷里に帰りたいという切実な願望を持っているわけです。これに対して責任を負うところがどこもないなんて、こんなばかな話はないわけで、私はやっぱり日本政府が責任をもってこれらの人たちの帰還について努力をすると、これはきわめて重大なことだと思うのです。 この点について外務大臣並びに法務大臣の所信をお伺いしまして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 厳密な法律論といたしまして、仮に日本とソ連との間の講和条約が結ばれますときに、その人々に対してわが国としては対人主権をすでに放棄しておる、あるいはさせられておる状態でありますから、法律問題としてわが国がそれについてどのような発言権を持っておるかということは、これはいろいろ専門家によって意見が私は分かれるところではないかと思いますが、しかし政治問題といたしまして、そのような人々をかつてサハリンに送りましたのは、当時の日本が関係したことは事実でございますと思いますので、政治問題としてはやはりわれわれとして関係なしとは申してはならぬ問題であろう、そういう意味で私は外相会談のたびにこれを取り上げておるわけでございまして、先々講和条約が議せられるようになりましたときも、同様な意味で同様な立場から、私どもとしてはやはりその問題には言及をしておく必要があるであろうと考えております。
○国務大臣(稻葉修君) 私も先ほど申し上げましたとおり、法的にはそう言わざるを得ない。日ソ平和条約が締結せられるまでの間、政治的な責任というか、道義的な責任をどう果たすかという問題だろうと思うんですが、それにつきましては、やはり通過して韓国へ帰るんだなどということを条件とせずに、まずここへ受け入れてその後処置をする、人道的に処置をするということ以外、現在お答えするあれがございませんですね、まことに恐縮ですけれども。
○田渕哲也君 終わります。 —————————————
○委員長(瀬谷英行君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま田中寿美子君、矢田部理君及び橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として大塚喬君、志苫裕君及び塚田大願君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○喜屋武眞榮君 私は沖繩が当面しておる多くの問題の中で、きょうは二つの問題とそれから一つの緊急質問をいたすつもりでございます。 初めに開発庁長官に質問をいたします。政府の責任で行われました沖繩国際海洋博も百八十三日の経過を経て、去る一月の十八日に一応終了いたしました。この過程におきましては、今日までほかの委員会におきましてもたびたび論じられたのでありまするが、終了後、しかも決算委員会において質問をいたすのはきょうが初めてかと思います。そういう意味で過去の過程におけるその都度の質問は別といたしまして、一応完了した現時点において、私は今後の問題として確認していきたいと、こういう願いを込めて時間の範囲内で質問をいたしたいと思います。 御案内のとおり、開催中あるいはまた開催に至るまでの過程において、いろいろの問題が出てまいったことは、ぶつかったことは、特に関係大臣、上長官としてよく御案内だと思いますが、私はいまここで、その国際海洋博の原点に立って一つ尋ねたいことは——この原点に立つと申しますのは、一つは復帰記念事業であったということであり、二つには沖繩振興開発事業の一環として、すなわち復帰してよかったという県民の喜びが実り、海洋博を開催して本当によかったという双手を挙げて県民が喜べる、こういう実りが当然期待されるべきであったと、こう思います。ところが現実は、やってよかったという声もあります。しかしながら、何のために海洋博を沖繩でやったのか、だれのためにやったのであるか、こういった疑問もいっぱいあるわけであります。 私は、そういったいろんな立場からのある声を一方的に述べる姿勢は持っておりませんが、大所高所からこれを見詰めていく気持ちは持っておるわけでありますが、豊かな沖繩づくりという観点から、これが大きく期待されておったことも事実であります。ところが海洋博はない方がよかったという電気工事業協会の市場調査、こういう団体の世論調査があるわけでありますが、これを見ますと、海洋博が今後沖繩全体の経済に及ぼす影響をどう考えますかと、こういう中で、貢献するだろうというのが一二・二%、貢献しないだろうというのが二七・七%、物価高をもたらすだけ三七・一%、わからない二〇・一%、その他二・七%、こういった県経済に貢献はしないんだという業者の団体の立場からの世論の結果も出ているわけであります。 そのようなこともいろいろ考えてみました場合に、反面またその運営の衝に当たる、海洋博の成果という海洋博協会の総括もあるわけでありますが、これにはまたその立場からの成果が述べられておるわけであります。いわゆるメリットの面を強調されておるわけであります。そこでさまざまな評価があるわけでありますが、また今日まで委員会においてもいろいろ質疑もあったわけですが、その中でいわゆる緊急な立場からの問題点と長い目で見てほしいという、こういったことがよく繰り返されたのでありますが、私、率直にまず長官に、長官として海洋博をどう評価していらっしゃるか、それをお聞きしたい。
○国務大臣(植木光教君) ただいまお話ございましたように、海洋博覧会は沖繩県が祖国に復帰いたしました記念事業の一大プロジェクトとして開催をせられたわけでございます。これが去る十八日に無事終了いたしましたことは喜びにたえないところでございます。 評価の面でございますが、いろいろ御批判がありますことは私も承知いたしておりますけれども、会期中の入場者は、予想いたしました四百五十万を下回る三百五十万程度となったのでございますけれども、しかし県外からの入場者の数は約百三十万人に上っているわけでございます。最近のわが国の経済情勢から見ますならば、これだけの観客を動員をしたということは成功であったと言ってもよいのではないかと存じます。 また、いまお話ございましたように、沖繩振興開発の一環として開催された海洋博でございまして、これは私どもといたしましては、社会開発あるいは観光開発の面におきまして沖繩の一つの基盤づくりの契機となったというふうに考えるのでございます。道路や空港あるいは港湾、上下水道の関連施設ができましたり、あるいは民間投資等もございまして、これから長期的に見ていただきますならば、これらの社会資本というものが沖繩県民の生活や経済活動にとりまして大きな役割りを果たすものと期待をしているのでございます。 また所得造出効果でございますが、いろいろ推計はされております。公共、民間投資の波及効果や観光収入の増大によりまして、県の経済は本土がマイナスあるいは低成長の中で大きく伸びておりまして、県民所得も全国水準に近づきつつあるという状況でございますが、これはやはり海洋博の一つの成果ではないかと思うのでございます。しかしながら海洋博覧会が、沖繩県経済そのものが小さい器でございますから、その中で開催されましたために、物価の騰貴でありますとか、あるいは思惑の外れというようなことがございました。企業の倒産なども県民生活にいろいろな影響を与えたのでございまして、この点につきましては、私どもといたしましては、いろいろな面において手当てをしていかなければならないし、現にしているところでございます。 なお県外の人々が沖繩の社会、経済、文化の現状を見、また沖繩の人々との心の交流を図りましたことは、これは一つの目に見えない成果であると思うのでございまして、これらの成果を踏まえまして、今後より一層沖繩の振興開発のために努力をしてまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 いま述べられたメリットの中で、百二、三十万の県外からの観光客があったと。これがざっと一千億の一応観光収入があったということも報ぜられておるんですが、問題はこの一千億がどのような形で落ちてきたかというところに問題があると私は思うわけであります。 次に、この百数十万の人々による沖繩の理解と今後の沖繩への交流、精神的な交流あるいは支えですね、これは今後に私も大きく期待いたしたいと思うわけでありますが、さらに五十一年度開発予算一千億を超えるということも、一応は大きな喜びとして受けとめて県民もおるわけでございますが、問題は公共事業費の八百億円を超える膨大な額に対して、またこれが本土大企業に逆流するのではないかという心配、不安がもうそろそろ出ておるわけであります。このこともひとつ念頭に置いていただいて、私も非常に気にしておるわけでありますが、時間がありませんので、まとめて後でお答え願いたいと思うのであります。 そこで問題は、この跡地利用が本当に今後の生かし方にどうつながっていくか、そして沖繩の開発にどうつながっていくか、ここに問題が、国の立場からも県の立場からも問われるわけでありますが、そこではしょって第一点は、その跡地の、残す施設は何々か、撤去する施設は何々か、残すか撤去するか検討中の施設は何々か。四つは、撤去する施設、展示物は沖繩側に残してほしい、譲ってほしいという、こういう熱烈な要望があったわけであります。たとえば沖繩こどもの国にぜひ海洋文化館ですか、松下館とも言っておりましたでしょうか、こういったまあこれ一例、たくさんありますが、宮古あたりからも、あるいは教育関係団体からも、ぜひ残してほしいと、こういったものも含めて、ひとつ簡単でようございますからお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) この跡利用につきましては、記念公園といたしまして整備するということは御承知のとおりでございまして、具体的な整備方針につきましては、ただいま学識経験者から成ります基本計画策定調査委員会におきまして検討をしていただいております。公園は、沖繩の気候風土を生かした緑の多い公園とし、また記念公園として意義あるものにいたしたい、また沖繩北部開発の一環となるように配慮したものといたしたいと存じます。 いまお尋ねの残す物、除く物でございますけれども、九十万平方メートルのうちに、県が独自に利用する区域を除きまして、七十万平方メートルを公園にいたしたいと存じます。この県の管理をせられますところにはエキスポ・ランド、ロイヤルビューホテル、エキスポ・ポート、迎賓館等々が残されまして、県が管理をせられるということになります。 それから国定の公園の中で残します施設は、ただいまのところは水族館、海洋文化館、海浜公園、沖繩館、国際三号館、協会本部ビル本館等ということになっております。これにつきましてはまだほかにも残すべきであるというような御意見等もございますので、これは検討を続けさしていただきたいと存じます。なおアクアポリスは県に譲渡されまして、アクアポリス管理財団が独自に運営をすると、これは県の強い御意向もございましたので、そのようになったわけでございます。なお展示物等につきましてはそれぞれの外国館あるいは民間の出展というようなものがあるわけでございますけれども、お説のようにこれを長く記念をいたします公園にするわけでございますから、できるだけ展示物は沖繩に残るように努力をしてまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 そうしますと、最終的にはまだ残す物、撤去する物、最終的にはまだ決まってないということなんですね。
○国務大臣(植木光教君) ただいま申し上げましたように、いま学識経験者等の民間の方々にもいろいろ計画の策定をしていただいておりますので、いろいろその御意見を承りまして、最終的態度を決めたいと思っておりまして、まだ検討中のものもあるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 それじゃ長官急いでおられるようで、かねての約束でもありましたので、いま途中でありますが緊急の質問をぜひ長官にいたしたいと思います。 それは、私は常に思うんですが、よきにつけあしきにつけて、人間不用意の中に語る言葉に真実があるということを私はいつも思っております。そこで長官には、きょうこれから尋ねますことは非常に耳痛い質問かと思いますが、沖繩の県民感情として、本当に復帰してよかった、あるいは海洋博をしてよかったと、そしてそのことによって本土との格差を一日も早く埋めてほしい、こういった願いを込めて本土から見える、まあ大臣初めどのお客さんにもそういう期待と喜びを持って迎えておることも御理解願えると思います。 ところが実は私もショックでありましたが、きのう現地沖繩から電話がぼんぼん入りまして、実にけしからぬ、それ何なのかと言いましたら、長官の側近の政務次官が沖繩で記者会見をしている。その記者会見の中での状況が、反響が電話で報ぜられたわけでありますが、私もそのことをよく存じておりませんでしたので、一応確かめ、そして資料も見なければいけないと思っておったわけでありますが、マスコミ資料、このように大々的に報ぜられておるわけであります。これはもしそれが——報道は真実ですから、真実でないとは言いたくありませんが、もし真実であるとするならば、これこそ沖繩県民の心を踏みにじるものであり、そしてこたえないものである。こういうことをいまこの報道を見ましてまざまざと感ずる次第であります。それに対して長官、これはごらんになったか知りませんが、御承知であればそれに対してどういう御見解を持っていらっしゃるか、それをお聞かせ願って長官への質問は一応終わりたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 松岡沖繩開発庁政務次官が就任をいたしました際に、私いろいろ話し合いをいたしまして、沖繩県にも数度にわたって行っているという体験を私は聞きました。私からは沖繩県民の方々が、あの戦争において非常に大きな犠牲を払われ、その後二十七年間にわたって異民族支配のもとで長い苦悩の歴史を背負っておられる、しかもこの間に本土と沖繩との間にあらゆる面で格差が起こったという事実に照らして、われわれとしては誠心誠意沖繩の振興開発に努めるとともに、その基本的な姿勢としては沖繩県民の心を心として行政に当たっているので、その点について十分理解をし、協力をし、また補佐をしてもらいたいということを申し述べたのでございまして、今回海洋博覧会の閉会式に出席をいたしました松岡政務次官が、報道せられておりますような問題について、一体真実はどうであったのかということにつきましても、私はこの報道を見まして非常に心を痛めました。きょう午前中でございますけれども、その説明を受けたのでございます。 ここに報じられておりますように、閉会式が終わりました後、関係の官庁等にごあいさつ回りをいたしました。その際に記者クラブにあいさつに行ったということでございまして、そしてそこでいろいろ質疑があったということでございまして、その内容につきましては、一部ニュアンスの点あるいは表現等の点につきまして、報道されております点といささか異なる点があるというような説明がございました。しかしながら、私は松岡政務次官に対しまして、こういう質疑の内容について、いやしくも世間の批判を受けるという点については厳重に注意をしてもらいたい、やはりこれからの沖繩とのかかわり合いの中で批判を受けるようでは行政の円滑な推進ができないからということを注意をいたしました。 松岡政務次官は御承知かと存じますが、就任前に沖繩及び北方問題の委員会の理事等もしておりまして、沖繩県の実情についてもいろいろ勉強はしているという事実はございますけれども、しかしながら、やはりまだ十分な認識を得るという点については欠けるところがありまして、これから沖繩の問題に誠意をもって取り組んでもらうためにはさらに勉強をしていただきますとともに、沖繩県民の心を心とする行政をやってもらわなければならないという点について、私は強く注意をいたしたのでございます。 いろいろ御批判を受けましたことにつきましては、私自身もまことに遺憾に存じております。ひとつ意欲をもって沖繩県づくりのために努力をするということを、本日私に政務次官は約束をしてくれましたので、今後その努力がどのようにせられるものであるかということにつきまして見守っていただきたいと存ずるのでございます。私も十分配慮をしつつ、沖繩県の振興開発のために開発庁を挙げて取り組んでまいりますことをお誓いを申し上げましてお答えにさしていただきたいと存じます。
○喜屋武眞榮君 次に、労働大臣に質問いたします。実はきょう緊急の質問もいたしまして、時間が少しずれましたので、私も大変戸惑うておるところであります。実はわが国における失業問題は実に深刻な問題があるわけですが、そのことにつきましては、先ほど田代委員から述べられましたので、私はもうその点は抜きにしまして、ただここで申し上げたい、強調したい一つは、田代委員は大臣の、失業は人間最大の不幸であるというこのお言葉を最大に評価いたしておられましたが、そのことをまた真実といたしまして、私はそうであるならば、沖繩県民こそ最大の不幸の主人公であると、こう言っても過言ではないと、こう思うわけであります。 そこで沖繩における失業の実態は本土以上に深刻なものがあるわけです。その本土との比較もしながらお尋ねしたいんですが、もうそういう時間がございませんので、はしょってここでお聞きしたいことは、特に沖繩の完全失業率が本が土一・九%に対して六%を占めておる、その六%という数字はまさに社会不安、いわゆる暴動の要因がひそんでおるとも言われております。それほど沖繩の社会は非常に不健全、不安を持っておるわけであります。そういう中で軍雇用者の一方的な解雇、あるいは海洋博関係からまた千六百名を解雇、あるいは民間企業の倒産、不況による業務縮小あるいは不況の深刻化でその事業所が求人を手控えておる。さらに学卒の出るまた来月からと、このように連鎖反応的に、波状的に積み重なってくる。こういう大変な状況であるわけなんです。そこで大臣、沖繩のこの失業問題をどのように受けとめて、そしてどのように解決をしていこうという対策を、緊急と恒久の両面から承りまして、時間が参りましたので私の質問を終わらしていただきます。
○国務大臣(長谷川峻君) 喜屋武さん、いま総理府長官といろいろやりとりを聞いておりましたけれども、あなたと私の出会いはいまから十五年前、私が文部政務次官として初めて沖繩に行って、役人もだれもつかずに私が行ったときに思わず、新聞記者諸君から現職政務次官として沖繩に初めて来たがどういう感じを持っているかと聞かれました。そのときに、私は思わず自分の政治的信念がぼろっと出たわけです。小指の痛さは全身の痛さである。すなわち、われわれが講和会議後独立国となったけれども、異民族になおかつ九十五万の方々が占領されている姿、これこそはまさに日本全体の痛さである、こういう気持ちから沖繩の問題を私も私なりに御加勢申し上げてきました。 そこで海洋博一つとりましても数千億の金が投ぜられて、これも何か沖繩に対して本土の政府が、こういうときにひとつ励みになるようにと、こういう私は善意があったということだけはこれは御理解いただかなきゃいかぬ、こう思っております。しかし、その間においても、私は沖繩の失業問題というのは大変だと思いましたので、昨年四月那覇の職業安定所を新しくつくり、そのときに早速私も行って、そして本土からわざわざ職業安定所の職員を増員して特別派遣もし、五十一年度の予算でもまた特別に増員を考えております。そして何としても地元の産業を興すことが一つでございましょう。 それから私は、今度九日から十一日まで行きましたが、これも屋良さんが百万ほどお客さんが足りない。そして私たちの予想では一人が一・八日滞在すると思ったが一・三日ですと、こういうことも今度の原因でございますという話がありましたから、私は本当におかしな話ですけれども、三、四年前から沖繩博覧会に行くための積立貯金をしておった。そのことをある委員会の席上で答弁したら、噴き出す人もありました。 しかし、そういうものの中から私は今度参りまして、二泊三日というものを、一・八日以上という私のささやかな気持ちでございました。そうした気持ちの中から、労働省におりますから、本土も一・八の失業率でございますが、おたくの方は五・三、今日。そしていまから先いろんな問題があるということで、公共事業費一千億といいますけれども、そういうもののほかに、労働省とすれば本土に来る方々に対する集団就職といいますか、職業転換給付金、こういうものも一昨年の十月からようやく沖繩の方々が本土の方に就職に来るのに金を出すようにしたりしまして、まあありとあらゆることをひとつやっていこうと、一つは行ってみまして感じたことは、あなたも御承知のとおり琉球国土総合開発という会社の沖繩の方々がフィリピンやらマレーシアやらシンガポールやらの数百億の仕事を取って、おれたちも行ってるんだ、さあだれも出てこないか、このとおりやればやれるんだというふうな非常に盛り上がって自分でやっていくという姿、あれなどは私は新聞記事を見まして、やっぱりやろうとするところにはみんなが加勢するものだという感じさえ持ったわけであります。 具体的に事務的にいまどういうことを詰めているかということは、ひとつ局長からも答弁させますけれども、いまのような姿で、総理府だけでやらず、全体でひとつ何とか皆さんが、やる気持ちがあるのに対してはしっかり御後援申し上げようという気持ちで予算もつけておりますことも御理解いただきたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) ただいま大臣から御答弁ございましたように、沖繩の完全失業率が本土に比べまして三倍以上に高い。この人たちを何としても雇用の場を確保しなきゃなりませんが、長期的に見ますと、沖繩の産業振興開発ということによりまして雇用の増大を図ることしかございませんが、これは相当長期の問題でございます。さしあたっては、沖繩県内に雇用の場がないということになれば、どうしてもこういう人たちに技能の開発、向上をしていただく。そして少なくとも、いまの不況下で非常にむずかしい問題ではございますけれども、一昨年の十月からようやく沖繩県関係者の間で御了解をいただきました本土への就職という線で私どもは最大の努力をしてまいりたいということで、本土就職の際のいろいろな支度金、援助等の予算につきましても、これは昨年、ことし、五十一年度につきましても相当大幅な増額をいたしておるわけでございます。 と同時に、一番問題になりますのは基地の縮小に伴いまして駐留軍関係の従業員の解雇問題が起こってきております。これにつきましても、外務省それから防衛庁とも連絡をとりながら、計画的な縮小整理を図っていただく。同時に、そういったことで解雇の対象になった方々の再就職につきましては、総合相談所を昨年開設いたしました。労働大臣も御一緒に行っていただきましたが、この総合相談所と職業安定機関の充実を図ってまいるということで、定員の増員と予算の拡大も図っておるわけでございます。 さしあたっては来年度、ただいま御指摘ございました公共事業の実施につきましては、沖繩県内で県民の手によって公共事業を実施していただく、その際に沖繩県内の失業者の吸収を図っていただく、こういうことを最重点に私どもはこの雇用の確保を図ってまいりたい。と同時に、沖繩復帰以後もうすでに四年を経過しておりますが、沖繩の一次産業、特にサトウキビ、パイン等に韓国あるいはフィリピンから千数百名の労務者が毎年入っております。これは私は、こういう失業が大変な沖繩県内で、なおかつ多額の旅費、航空賃をかけて外国から労務者を輸入するようなことは、この際やめてもらいたいということを県関係者にも強く要請いたしております。五十一年度につきましてはぜひそういう方向で私どもも努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
○委員長(瀬谷英行君) それでは、本日の質疑は一応この程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十二分散会