P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
77回国会参議院1976/08/24

外務委員会 閉会後第2号

発言数
140
登壇者
16
会派数
4
開催日
1976/08/24

会議録

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る七月二十七日、増原恵吉君が委員を辞任され、その補欠として岩本政一君が選任されました。  また、八月十六日、岩本政一君が委員を辞任され、その補欠として増原恵吉君が選任されました。     —————————————

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  先ほど御報告いたしたとおり、増原君の委員異動に伴い理事に欠員が生じましたので、この際その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に増原恵吉君を指名いたします。     —————————————

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) 国際情勢等に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。

秦野章自由民主党

○秦野章君 外務大臣に、この前中国の問題で私が質問したことが多少の波紋を描いておるようなかっこうになったんだけれども、その後、衆議院の外務大臣や総理の答弁なんかも聞いていて、無論この参議院の場合と同じだったんだけれども、中国の人たちが北海道へ来て、そして北方領土問題を日本人と一緒にやるような形になっていることに対して、ソ連が、中ソ論争を日本の国内に持ち込んでいるではないかというようなことで非難をしてきておる。これは、領土問題を非常に真剣に取り組んでいく日本の立場としては確かにありがた迷惑だというふうに一応だれでも思うことなんですけれども、ありがた迷惑だと私どもが思うゆえんは、中国が日本の北方領土の問題を理解してくれているということは、中国の態度というか理解としては正しいのじゃないか。中国は正しい理解をしてくれているんだ、だからありがた迷惑なんだ。ただありがた迷惑だけじゃ、ちょっと言葉が足らぬように思うんですよ。私はこの前質問の中ではそういうことを言ったつもりなんです。やっぱり中国の理解は正しいんだと。日本の北方領土問題というものは、何といったって歴史的にも日本はあくまでもこれは主張していかなきゃならぬ。そういうことを理解してくれている、その理解はやっぱり評価する。理解は正しい。ありがたいという意味は、理解が正しいんだという評価があってありがたいということになるんだろうと思うんですよ。そこらを大臣はっきり言っていただいた方が事の性質をはっきりさしていいのではなかろうかと、こう思うんですがね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ちょうど秦野委員からいい機会をおつくりいただきましたので、私も実は秦野委員と同様に考えております点につきまして少し申し上げたいと思います。  前回、本委員会におきまして秦野委員がこの問題をお取り上げになりましたのは、速記録にも明らかでございますが、北海道における本件についての論争を背景に御指摘になったわけでございます。すなわち、昨年の秋ごろから、ソ連の側におきまして、北海道の道民がこの領土問題をいろいろな機会に議論をし、わが国の立場を主張するのに関しまして、ソ連側がともすれば漁業問題とこれを絡めるような動きをいたしておりまして、これは適当でないことでございますが、したがいまして、北海道道民の自由な言論というものにともすれば影響を与えようとするかのごとき事実が昨年の秋以来幾たびかございました。そのような環境におきまして、中国の運動関係の団体でありますとかそのような人々が北海道を訪問いたしました際に、領土問題についての中国人の意見というものを発表する、こういうことが秦野委員の御質問の背景であったわけでございます。  したがいまして、私の申しましたことは、この問題は日本とソ連との関係の問題であるが、わが国の内部においてこの問題を外国人あるいは外国の外交官等が議論をするということは、この問題を解決する上で建設的な結果にならないというふうに私は考える。したがって、わが国の内部において、ことに中ソ間でこの問題についての論争を展開してほしくないということを申し上げたのでございます。  もとより、このような大きな問題は私ども国際世論の支援も得て解決をすべき問題であると考えますから、たとえば国連の場でありますとか、あるいはわが国の外におきまして、それはどこでも——とこということを問わないわけでございますけれども、他の国がわが国の北方領土問題についての立場を支持してくれるということは、これはわが国として評価しなければならないところであるというふうに考えます。  このことは、実は前回の秦野委員のお尋ねに対する私のお答え、問答の全体の背景からしてきわめて明らかであったと存じておりましたけれども、たまたまその後、中国の報道機関におきまして、わが国の国内におけるいろいろな論争というものは云々という部分が、故意であったか偶然であったか、外されまして、あたかもわが国のこの問題についての中国政府の支援というものが問題解決に逆効果になると言ったかのごとき報道になりまして、これは明らかに報道の誤りであったと存じます。わが国の中においてはそのような報道は行われませんでしたが、中国においてそのような報道がなされたもののごとくであります。  したがいまして、この点は小川大使にこの委員会における御質疑、私のお答えの概要をすぐに伝えまして、ある機会に中国側に対してこの問題についての御質問並びに私の発言は正確にはこういうことである。したがって、中国内部において報道機関に報道されておることは事の真相を伝えていない、本質を伝えていないということを、訂正を小川大使から中国政府に伝えてございますので、中国政府においてその間の誤解はなかろうと存じますけれども、ただいま言われましたような経緯もございましたので、この機会に再度明らかにいたしたいと思います。  すなわち、いかなる国でもあれ、この問題についてわが国内でいろいろ論争をしてもらうことは私は好ましいことと考えておりませんが、自国の主張を国際の場においてしてくれるということは、わが国の領土問題解決に支援的な要素である、そういうふうに私といたしましては考えております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 国家と国家との関係でいろいろ政治的な主張がなされる場合に、ともすれば、イデオロギーとかあるいは特殊な国の成り立ちに関連して主張がなされる場合がありますけれども、領土問題というものは、そういうイデオロギーとかそういうことと関係なく、きわめてすかっとしたそれ以前の問題だと思うんです。そういう意味において、日本の領土問題、北方領土の主張というものを中国がやっぱり正しく理解してくれている、むしろ正しく理解してくれているからこそ支持があるんだけれども、そういうやっぱり評価をわが国もした方がいいんじゃないですか。だからこそ支持をしてくれると思うんですよ。ただ単なる、利害がたまたま一致したとか、そういう問題じゃないと思うんですよ。そこに問題の性質がちょっと違うというか、そういう性質の問題だからこそ、私はそういう評価を堂々とこっちもして、向こうもそうなんだということで理解をしてくれて、だから支持をするんだ、普通の問題とちょっと違うような感じがするんですがね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は秦野委員の御指摘のとおりであると思います。すなわち、この領土問題についてのわが国の主張は、いまここに改めて繰り返すまでもないことでございますが、その主張につきましての理解に基づいて見解を第三国が述べるということは、わが国の主張の正しさを理解しているということの表示という意味において、この問題を解決するわが国の立場からいえばそれは評価すべきものであるというふうに考えます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 宮澤さんなんかの努力で、日ソの関係で領土問題というものはかなり土俵の上に乗っかったという感じがこの前の経過からあると思うんです。土俵の上に乗っかっていると思うんだけれども、こいつをどうやってこれから進めるかということは、大変な努力が要ることは当然なんですが、懸案の外務大臣が交渉のために訪ソするというようなことがございましたが、その土俵の上に乗っかっているということが、また土俵から落ちないように、さらに土俵の上で大きくだんだん相撲がしっかりとれるような方向に努力するということは大変大事なことなんで、外務大臣の訪ソという問題はその後いかがでございますか。この間新聞見たら、グロムイコの訪日を要請したような記事が出ておりましたが、こっちが行くことにもなっている、向こうも来てもらうことにもなっているような関係がありますけれども、トップの前に事務レベルの交渉というようなこと、事務レベルというか、外務大臣級の交渉ということも何か懸案のようになっていますけれども、この点はどういうふうにその後なってますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先般グロムイコ外務大臣が、今年の一月でございますが、訪日をされました際、三木総理大臣並びに私から、かねて懸案のソ連の三首脳、ことにブレジネフ書記長の訪日について改めてわが国の招待の意向を確認をするということを伝えました際、グロムイコ外務大臣は、第二十五回共産党大会を間近に控えておることでもあり、その後の様子を見て判断をする云々という答えをして帰られたわけでございます。その後大会が開かれ、また、先般わが国の経済使節団が訪ソいたしました際には、ブレジネフ書記長自身が会談をしておられるということをも合わせ考えまして、先般、在京のソ連大使を外務省に招致いたしまして、この際、かねて懸案のブレジネフ書記長の訪日をさらにわが国として要請をいたしたいということを伝えたわけでございます。  それに対しましてソ連大使は、これを本国政府に伝える旨約して辞去をいたしたわけでございます。  このことにつきましては、したがいまして、ソ連側から何らかの反応があるものと考えておりますが、他方で私のただいまの日程といたしましては、諸般の情勢が許しますならば、今年九月の国連総会に出席をいたしました際、グロムイコ外務大臣と会談をいたしたいと考えておりまして、先方にすでにそのような意思を申し入れております。したがいまして、政治日程が許しますれば、そのような場におきましてこの二つの問題、その際にもちろん領土問題もあるわけでございますが、さらに話を続けたいというふうに考えております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 さっき大臣がおっしゃったように、領土問題と漁業問題——領土問題に関連をするような形になるような場面もないではないんですけれども、これはやっぱり領土問題と漁業問題は切り離して何か解決の道はないんだろうかということで、この前、コンブ方式のようなことで、民間ベースの解決なら領土問題にもそう関係なく解決できるではないか、だから、コンブ方式で高碕さんという偉い人があれだけの成果を結んだので、何かやっぱりそういう方向で安全操業というものを片づけないと、何十年となくあの悲劇を繰り返し、そしてまたこの間は自殺者が出るといったような事態ですから、これはやっぱり政治、行政の大きな責任をしょっていると思うんです。北海道は遠いところなものだから、これが恐らく東京周辺ならとてもじゃないけど今日までもたないような問題だと思うんですよ。  そこで、これは農林省、外務省の問題ですけれども、高碕さんは大日本水産会の会長という立場で、ああいう言うならばある種の一つの政治力を発揮して、コンブ方式で一種の解決を図った。漁業の問題というものはとにかく生活の問題だから、幾ら行くなと言ったって行っちゃうんですよ。指導を徹底する、徹底するって海上保安庁とか水産庁が言っているけれども、もうこれだけ繰り返されると、そういう徹底というものはほとんど不可能に近いし、意味が余りないようになっているんです、百も承知の上ですからね。だからその悲劇を繰り返されるということについて、やはりこの際もう少し何か手を考えて、領土問題というものに絡まないで、民間ベースの立場で解決するという方向に精力的に背後から政府もバックアップをしてやるというようなお考えはないんでしょうか。どうでしょう。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は、前回もお答えを申し上げたところでございますが、私どもも操業の安全ということを何とかして確保をいたさなければ、ことに北海道の漁民にとりましてはこれは文字どおり死活の問題になっておるわけでございます。したがいまして、わが国として、あるいはわが国の政府によるか民間によるかを問わず、この問題についての一種の便宜的な取り決めあるいは了解というものが、領土問題についてのわが国の基本的な主張を決してそれによって変更するものではないこと、場合によりまして、ソ連側もいまの段階におきましては同様なことを申すかもしれないと存じますが、そうなりますれば、領土問題についての両国の主張の違いというものを、いかなる意味でもそれに影響を与えるということではないという状態において便宜の方法を考えるということは、やはり何とか考えなければならない問題だというふうに政府としても考えております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 ひとつこれは、実際には水産農林の立場が国民に対しては大きな立場があるわけですから、そういう談判、交渉の具体的な民間の人材というものを得て、とにかくやってみることだ、やらないというのはおかしい。やってもらうように何か仕向けていくというか、現地の零細な漁民の中からはそれは無理なんです。たとえ漁業の組合長にしたって無理だと思うんですよ。やっぱり高碕さんなんか総理級の人物ですから、あのくらいな民間の実力者というものをひとつ考えて、これはやっぱりどうですか、水産庁あたりも、ちょっといままでと違ったスケールで物を考えてみるということについては。

佐々木輝夫水産庁次長

○説明員(佐々木輝夫君) ただいま御指摘のございました点については、水産庁でも、北方のトラブルなき操業を確保するためにいろんな方策があり得るだろうという前提で、いままでもかなり、たとえばイシコフ漁業大臣等が来日しました際に、政府間の中でも非公式にそういった考え方について打診した経過がございますし、民間ベースでもそういう話を機会をとらえて出してまいったわけでございますけれども、いままでのこういう話し合いの中では、対象水域の範囲を一体どういうふうにするか、そこでの取り締まりをどうするかというようなかなり基本的な問題について、相当日ソ両方の考え方が大きく隔たっておりまして、実効のあるいまのような措置を確保するためには、まだ相当の話し合いを続ける必要があるんじゃないかというふうに考えております。  しかし、私どもといたしましては、先ほど外務大臣から御答弁がありましたような基本的な立場を害さない範囲内で何とか漁業の安全操業が確保できるように、政府間あるいは民間の協定ということにこだわらず、可能ないろんな方式を今後とも努力して探してまいりたいというふうに考えております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 まあ水産庁は行政官庁で限界もあろうかと思うけれども、知恵を出すことには限界がないから、われわれをたとえばこき使うことでも限界はないから、まあこれ各党派のお話し合いによっては、超党派でどこへ頼みに行けとか、談判しに何かひとつ行くとかいうことになれば、話し合いだってできるかもわからぬ。要するにもうちょっと知恵を出さなければだめだと思うんだよ。それはいろいろ障害があることはわかっているけれども、もう少しダイナミックな動きを出していかなければ政治の責任は尽くしてない、行政もとてもがまんができない、じっとしておれぬという事態だと思うんですよ。そういう意味で、これはいままでのようなぺ−スでおるわけにはいかない。よく大臣や長官にも言って、これは私だけの声じゃなかろうと思うんだよ、真剣に考えてもらいたいと思う。

佐々木輝夫水産庁次長

○説明員(佐々木輝夫君) 先ほども申し上げましたように、北方海域での拿捕というのは毎年のように続いておりますし、特に小規模な漁業者にとってこれが非常に重要な死活の問題であるということは、水産庁としても痛いほどよくわかっております。今後とも、ただいま先生の方からお話がございましたサゼスチョンも含めまして、どういう方式がどういう時点で最も有効であるか、真剣に今後も取り組んでまいりたいというふうに考えております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 そういう努力というものが北方領土問題をたな上げとか安易にするということじゃ全くなくて、むしろ北方領土問題への主張というものを一層価値あるものにするという方向でのアプローチがあり得ると思うんです。そういう考え方だと思うんですよ。ぜひひとつその点を要望しておきたいと思います。  それから、これは北方領土の直接の問題じゃないんですけれども、北方四島から引き揚げてきた者の墓参問題というのは、これは所管は外務省じゃないんですか。外務省はやっぱり窓口でしょう。それで、これがだんだんみんな年とっちゃって墓参もできないという一つの悲劇が、悲しい現場のあれがあるようですけれども、国後、択捉は特に引き揚げ者のうちの七割ぐらい、一万六千人ぐらいが国後、択捉なんですね。それで、国後はもう十年来だめだし、択捉の方は、全然させないわけですよ。こういう問題についても、広い意味の北方領土問題という観点からも、もう少しこの墓参の問題なんかについても、一種の人道問題的な意味合いがございますので、ひとつ積極的な姿勢をしてもらったらと思うんですが、いままでの経過並びにまたその積極的な姿勢をとることについての所見を伺いたいと思います。

橘正忠外務省欧亜局長

○説明員(橘正忠君) 従来、北方四島への墓参につきましては、ただいま御指摘のように、国後、択捉というものはなかなか、特に国後については認められないという状況でございました。本年度につきましても、四島への墓参について、去る三月にソ連に対して四島への墓参ということで許可を求めました。その結果、まあ五月になりましてソ連の方から歯舞群島の中の多楽島と志発島、それから色丹島、これへの墓参は許可しますという回答が参りました。しかしながら、私どもといたしましては国後島、択捉島、これへの墓参という要望も非常にかねてからの問題でございますし、今回も強いので、ソ連側に再度これら二島についての墓参をぜひ認めるようにということで、押し返して要請を重ねておる状況でございますが、ただいまのところ、まだソ連側はこれに対して回答をよこしていないという実情でございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 その再度というのはいつですか。

橘正忠外務省欧亜局長

○説明員(橘正忠君) 五月にソ連の方から、先ほど申し上げました島についての墓参の許可が参りまして、それにすぐ、関係方面とも協議の上、折り返してソ連側に重ねて択捉、国後についての要望をいたしております。その後もすでに二、三度回答の促進を促しております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 結構です。   〔委員長退席、理事秦野章君着席〕

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 宮澤外務大臣に、私はこの機会に国の外交を担当する外務大臣として、日本の外交のあり方について見解を承りたいのであります。  わざわざなぜこういう機会にそれをするかというと、どうも自民党は長い間政権を壟断していた関係上、日本の政治は自民党がやるんだというような思い上がった考え方によって国会の機能を麻痺させている面がありますので、この機会に、私は議会政治を守る意味において、政府と国会との関係、それから議会政治と政党との関係、国とガバメントの関係、そういう問題を、自民党の総理大臣から閣僚もしっかりとした政治姿勢を持ってもらいたいからなんです。  三木さん、福田さん、大平さんあたりの争いは、きょうを頂点として一週間ぐらい、これは死にもの狂いの闘いの形相を示しておりますが、少しいずれも血迷っております。やはり政府を自分たちは握っているんだという私有物化した考え方と、大平さんが言うガバナビリティーの考え方でもそうでありますが、自分たちがやっていなければ政治はやれないような思い上がった考えを持っている、これがいまの日本の政治姿勢をゆがめたのだと思いますが、特に外交防衛の問題は国にとって重要な問題であります。これは自民党も野党ももう少し現実的な考え方によって取り組んでいかなけりゃならないと思います。  特に外交の問題で、ただいま本委員会で問題になった秦野さんの質問に対する宮澤さんの答弁も、国際的な話題になったのは、いかに中ソ論争というものが深刻なものであるか、そうして中ソ論争の対立の中に巻き込まれないで、日本が自主的な外交方針によって難問題の北方領土の返還ということと取り組まなければならないか、そういう点をとにかく宮澤さんは言ったのだと思いますが、まあ若干舌足らずのところもありました。舌足らずのところもあるけれども、本当のことを言ったのが事実であると私は思っているんですが、この多極化された外交の中において、みずからの主体性を持たない人によって外交は展開されないのです。そういう意味において、いま日本政府は、日中平和友好条約の締結及び日ソ平和条約に真っ正面から取り組まなければならないという重大な面に直面しておるのでありますが、中国からこづかれると中国側へ揺れ、ソ連からつつかれるとソ連側に揺れるというような無性格さによっては、外交は非常に誤解される。とにかく船が激浪の中を行くときに、右左に若干揺れながら調整を保っていくというのが昔からかじ取りの名人のやるやり方でありますけれども、硬直していて柔軟性がなく、みずからの主体性も欠けているという形では外交にはならない、第五列外交的な外交すらちらちらと見える。こういう形では、私は日本の前途が非常に心配なんですが、先ほどの答弁もありましたけれども、あなたはどのようにこの日本の外交を持っていこうとしているのか、それを改めて——これから当分の間は動乱の時代ですから、動乱激動の時代において、少なくとも外交の問題は毅然とした姿勢がなければ、外交をそんな政府には任せることはできませんから、ひとつ宮澤さんに、若干信用がある人だから、この機会に自分の信念をひとつ吐露していただきたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 自民党が長いこと政権をお預りしておりますために、そこからいろいろな何と申しますか、思い上がりと申しますか、そのようなことがありがちでございますことは御指摘のとおりでありまして、私どもかねて戒心をいたしておるところでございます。今後ともその点は十分戒心をいたさなければならないと存じております。  わが国の外交のあり方について、根本的な問題についてのお尋ねであったわけでございますが、確かにわが国の周辺に中国並びにソ連という非常に大きな力を持っておる国がございまして、しかも、両国の関係が必ずしも円滑でないということから、わが国はそのような雰囲気にきわめて巻き込まれやすい状況にありますことは御指摘のとおりであると思います。  そのような間に処しまして、私は、わが国の外交の基本は、まさに憲法に定められておりますとおり、わが国は諸国民の善意に信頼をして、そうして軍備らしい軍備を持たずに平和国家として生きていく、国策遂行の手段としての戦争を放棄するという精神を貫いていかなければならないと考えます。  このことは、わが国が敗戦直後のような力の弱い、経済力の弱い国でありました限りは比較的容易なことであったと存じますが、今日までの経済力を備えてまいりますと、わが国自身の一挙手一投足が世界に与える影響もおのずから大きくなってまいりましただけに、この憲法に定められました国の外交の基本というものはますます大切になってまいるとともに、その適切な運営ということはますます困難を伴ってまいる、かつての敗戦直後のわが国におけるほど容易な問題ではないというふうに考えております。  しかし、そうではありますけれども、世界の情勢は、この平和国家の道を決心したわが国にとって決して環境として悪くなりつつあるとは私は考えておりません。過去三十年間、局地的な戦争はございましたけれども、第一次あるいは第二次大戦といったような大きな戦争というものは、もはや何とかして避けなければならないというコンセンサスが少しずつ国際的にでき上がりつつあるように考えます。そういう意味では、この民族の将来をかけました、人類始まって以来のわが国のこの決心というものは、それを達成するための環境は決してわれわれにとって不利になりつつあるとは考えません。むしろ勇気づけられる環境の変化が徐々にではあるが起こりつつあるというふうに考えるわけでございます。したがって、わが国の外交の基本はそこになければならないというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、そこから生まれますものは、体制の異なる国に対しても、われわれは信義と誠意を持って友好関係を増進していく。いわばどこの国とも敵対関係になるということは、わが国憲法の許すところではないというふうに私は考えますので、したがいまして、どのような国とも、体制が仮に違いましても友好を進めていくというのが外交の基本であろうと思います。そのことは、私が申し上げるまでもなく戸叶委員はもうよくよく御承知のとおり、口で言うほどやさしいことではございません。わが国の国力がこれだけ大きくなりました今日においては、なおさらさようであろうと思いますが、むしろそうであるがゆえに、われわれはそのような努力を本当に精神を張り詰めて、絶えず緊張しながらそういう道を歩んでいかなければならないというふうに考えるわけでございます。  中ソに対するわが国の関係もその例外ではございません。むしろその関連において最もわが国にとってむずかしい外交の課題が出てきておるわけでございます。すなわち、中国とは懸案になっております日中平和条約を締結をいたしたいとなお政府は考えておりますし、ソ連に対しては、懸案であります領土問題を解決をして平和条約をつくりたい、こう考えておるわけでございます。そのいずれともわが国は友好を深めたいと考えておるわけでございますが、さりとて、その結果としてそのいずれとの関係をも非友好的な、あるいは敵対的なものにしてはならないというところが問題の一番むずかしいところであろうというふうに考えます。  今日までのところ、幸いにしてわが国は平和国家としての道を歩んでまいることができました。今後ともその道をさらに続けて歩んでいかなければなりませんが、それは絶えずわれわれが十分に注意深く周辺諸国との友好関係を進めていくということにおいてのみ達成されるきわめて安易でない、きわめて厳しい道でありますが、しかし、軍備を持たずにいわゆる平和と繁栄をなし遂げていこうということは、今日の世界史の段階において、のんべんだらりとしてそれが達成できるほど簡単な道ではないのでありますから、このことは当然それに伴う最善の努力、張り詰めた緊張というものをやはり国民にもわかっていただき、政府は絶えずそういう心構えで、ことに周辺諸国との友好に努力しなければならないというふうに考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私は、かねがね、政治家の生命は見識にある、政治家の評価はその進退によって決する、こういう見解を持っております。いま宮澤さんに期待しているのは、やはり自民党の中にも、少数であっても見識を持った政治家が存在してもらいたいのであります。政権争奪にのみ狂奔するような形においては私は国民の信を失っていくと思うのでありまして、文明史観と哲学を持たない民族は必ず滅びるのです。人類のいままでの歴史を見ても、ギリシャでもローマでも、ヨーロッパ諸国における興亡の歴史を見てもそれがわかるのでありますが、いま日本の危険性は一自民党の政府の危機じゃない、もっと深いところに問題があると思うのでありまして、私は、このあらしの中において、混乱の中から一つの方向を見出すという考え方、それが必要だと思うのであります。  そこで、先ほどきわめて具体的な問題で秦野議員とも問答が行われましたが、私は、先般北方領土返還の問題をめぐって北海道に行ってまいったのでありますが、そのときにも、やはり高碕達之助さんのコンブ漁をめぐってのコンブ等のあの協定も高く評価せられて、あの霧の深い根室の半島の中に記念碑も建っているのであります。一国の総理大臣や大臣をやることよりも、歴史の中に具体的事実をやはり記録していくということが、私は歴史を刻む政治家の大きな使命じゃないかと思うのであります。  たまたま私は、あそこで最近漁業が非常な成果をおさめている羅臼の漁業協同組合を訪ねました。そのときに、あそこの羅臼において船を持っている連中は、去年あたりはみんな一億円以上の収獲を得ているという非常なブームが沸いておるが、その一つは、サケにしろマスにしろ稚魚をやはり放流して回帰性を活用して、あの羅臼近くの海にみんな魚が戻ってくる、そういうことにおいて大漁ができたということが一つと、もう一つは、漁業組合の理事である五十嵐義忠君にいろんな体験を聞いたのでありますが、やはり彼らは戦後において、漁業ができる領域を拡大して活躍しなければ食っていけないので、そのたびに幾たびかソ連側につかまっている。  ちょうど戦後において、彼は五年間ハバロフスクのラーゲルに入っていた。そのときに、自分たちは将来どうなるかわからないというときに、議員団の一行がとにかく飛行機でモスクワからハバロフスクのラーゲルへ来るという知らせがどことなしに伝わってきたので、来たときにいないと生きているということが知らせられないから、とにかく仕事場に出るな、そこいらをうろうろしていながらとにかく来る気配があったら飛んでいこうじゃないか、そして紙っぺらにでも自分が生きているということをふるさとに伝えなければならないという形でいたときに、たまたま偶然私の亡くなった妻の戸叶里子が行ったので、それに何百という、ラブレターじゃないが、自分たちが生きているという知らせを郷土に知らせるためにハンドバッグに押し込んだ。涙が滂沱と流れて、お互いにとにかくハンカチに日の丸をかいて——知らせがあったので、そうしてみんながお互いに泣きながらやはり自分たちの将来を祈ったというそういう経験を経てきた人ですが、たまたまやはり最近も国後に拿捕されていった。  そのときに、自分はロシア語を五年間ハバロフスクの収容所で習ったので、本当のことをロシア側も聞いてくれ。われわれが、どういう関係になっているか知らないけれども、われわれはここを漁場として生きてきた。国と国との関係は知らぬけれども、漁民を苦しめるというのがソビエトロシアの方針なのか、われわれは生きるか死ぬかこの生計にかけて闘っているんだ、もう少し漁民の憂え、悲しみ、そういうものをもくみ取っていくだけの雅量がソビエトロシアになければ、日本の国民はソビエトロシアを恨むだけであるというふうに言ったらば、まあそれならばというので、向こうから上の方の人も連れてきて、それじゃ君のところだけはこの国後の西の方よりは、いわゆる択捉の軍事基地のあるところよりは、軍事的な関係のないところだから、その近くにまでは相当とにかく漁場を拡大して漁業を行っても黙認しようという形まで協定ができた。しかしながら、これをうっかり発表すると、新聞にでも出ると、その黙認すら許されなくなっちゃうんじゃないか、そういう関係で外務省にも正式には知らせられない。何だかおっかなびっくり、へっぴり腰で、とにかく自分たちの生存の道を切り開こうという漁民のこの背水の陣を聞いて、日本の外交というものが、なぜもっと率直にソ連側との外交交渉ができないのか。私は日本の外交の中において、高碕達之助さんを中国でも高く評価し、ソ連でも高く評価してたのは、あの人たちの持っている飾りけのない真実を訴える態度というものが信用されたんだと思います。  そういう意味において、日本の外交は外交の当事者並びにその背景をなすものも混乱してうろちょろしている。もっと真実を訴えて、そして一つ一つ具体的な問題を解決していかなけりゃならないと思うんですが、今度九月半ばに外務大臣もいよいよ腰を上げて根室の方へ行かれるということですが、詳細にやっぱり現地からいろいろな実態を把握してもらって、一つ一つ問題の解決を、基本的な平和条約は北方領土の返還なしには決められないと言っても、そういう庶民の生活に関係のある問題をどしどし具体的に解決することは何ら平和条約に差し支えない問題だと思うので、その辺のことをもう少し大臣みずから現地を踏んで取っ組んでもらいたいと思いますが、どうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先般、当委員会におかれまして北方領土の関連の御視察をせられまして、その御報告も当委員会において承ったわけでございます。その際、外務大臣自身がこの地方を訪れたということが絶えて久しいので、外務大臣自身が現地に行くべきではないかという委員会の御意見であったというふうに承知をいたしております。また、委員長御自身からも別途そのような御示唆をいただきまして、当委員会のそのような御意向は私どもできるだけ尊重いたさなければならないと考えまして、私自身、政治日程が許しますならば、来月にでもこの地方に参りたいと考えまして、ただいま日程を少し具体的に考えつつあるところでございます。  その際、いわゆる北方領土返還につきましての現地の人々の声も直接に聞きますとともに、ただいま御指摘の漁業問題についても生の要望、現地の人の持っておられるいろいろな危惧あるいは希望等々も直接に私聞かしていただきたいと考えております。  できますならば、それをどのような形で実現していくか、先ほど申し上げましたように、九月の末にはニューヨークでソ連の外務大臣とも会いたいと考えておりますので、それに備えまして、私としての現地の直接の声をじかに自分で聞いてまいりたいというふうに考えております。  具体的にどのような提案をすることができるかというようなことをいまはっきり申し上げることがまだできない状態でございますけれども、私がただいまそのような旅行日程を考えておりますのは、全体としてやはり何かそこに一つの解決策を、これは漁業問題についてでございますが、考えていきたい。領土問題につきましては、わが国が従来から主張しておりますことはきわめて明らかでございますので、これも重ねてソ連の外務大臣にも話して、わが国の考え方を再度伝えたいというふうに実は思っておるところでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 海洋法会議なんかも一つの話し合いの場と思いますが、海洋法会議の煮詰めはなかなか幾段階かを経てやらなくちゃならないと思いますが、当面しているとにかく漁業の問題でも何でも、もう少し具体的に問題を提示して煮詰める一つの考え方を持ってもらいたいのであります。  あの成田君の北京における発言がソ連側を刺激した点と、この間の宮澤外務大臣の迷惑発言が中国側を刺激した点は、どっちも似ておりますが、いかに神経質に中国、ソ連がなっているかというのは事実でありますが、神経質になっていればなっているほど本当のことを言って、相手のやはりふところの中へ手を突っ込むぐらいの勇気がなけりゃ本当の話し合いというのは、おさすりさんでは——三木さんはおさすりがうまかったけれども、なかなか話し合いの成果が上がらないのは、本当のことを語り合っていくだけの土性骨がなけりゃ対話の成熟というものは、成果というものはないんであります。  たとえば、あのときにもソ連側において、ソ連の共産党の機関紙で成田発言に対する誹謗に近いものがなされたけれども、それをどういうふうにあなたは見るかという意見を問われたときにも、私は、ソ連側としての——日本人としての立場ではなくソ連人としての立場は、それは前に言ったことと、ソ連で言ったことと中国で言うことは違っているじゃないかという形のひっかかりはできるかもしれないが、そういう言い方はできるかもしれないが、ソ連は一体日本に対してどれだけ日本の民心を満足させるような具体的な回答なり政策を出しているのか。そういう意味において、現象面におけるところの言挙げよりも、そういう具体的な問題をもっと煮詰める必要がないか。イシコフさんなんかは北方における海洋の権威である。その人が漁業大臣になり日ソ友好協会の会長である、絶好のチャンスだ。そういう人がもっとこの日ソ漁業協定なんかの問題でも、日本の漁民なり日本人が、なるほどソ連はずいぶん日本人の心にそぐわないこともやるが、これは事情を知らないからであろうが、いいこともやるという実績を見せたときに、ソ連をもう一度見直さなきゃいけないという気持ちも起きるかもしれないけれども、いまのままじゃソ連に対して日本の国民全体が私は好意を持っておるとは思えないと直言しましたが、われわれだけじゃなく、羽生さんなんかもソ連に行っても率直に物を私たちは言っていると思うんです。  いま幸いにポリャンスキー大使のような、ソ連の共産党の要職を占めて、いわゆるいままでの外交官としての外交技術屋でなく政治がわかっている人、しかも自然災害において、食糧問題において、農業問題において責任をとってやめたというような出所進退の正しい人、こういう人が日本に来ているんです。日本からソ連は何を学ぶか、また、日本に何をやってもらうか、そういうふうなことを宮澤さんぐらいの人が腹割って言えばわからない話はないはずです。やっぱり東海大学の松前君が海洋学部をつくり、北方漁業のとにかくあれを増殖させよう、ソ連側に持ちかけたら早速その協定はできて実際にやっているじゃないですか。それから羅臼においてもそういうことを実践しているんです。生活の中から政策を躍動させなければならない芽は吹いているんです。そういうことを漁民なりあるいは大学の海洋学部なりの実験じゃなくて、やはり政府が取り上げて前向きの姿勢で一つの道を開いていくというのが役割りじゃないかと思いますが、私は宮澤さんは柔軟だけじゃなくてなかなかしんもあると思うんだが、具体的なやはり提案をあらゆる場合に持ってソ連側とも前進してもらいたいと思いますが、どうですか。   〔理事秦野章君退席、委員長着席〕

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 今後二十一世紀を展望してわが国とソ連との関係を考えてみますと、何といっても、たとえばシベリアの開発等々はソ連としてもわが国の協力を希望するところでございましょうし、また、わが国としてもわが国の持っておる技術力あるいは金融力等を発揮し得る場であるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、この仕事の大きさというものを考えますと、そのためには両国の間の国と国、あるいは国民と国民との間に本当の親近感、信頼感がなければこのような大きな仕事を円滑にやっていくわけにはまいらないというふうに考えております。正直を申して、わが国民がソ連に持っております感情というものは、決してとことんから友好的であるとまでは申しにくいいろいろ過去の経験がございますが、したがいまして、本当に大きな仕事をこれから何十年お互いにやっていくとすれば、そのようなわだかまりがあってはならないというふうに考えます。そのことは、わが国の立場から申すばかりでなく、ソ連の立場から見ましてもそうでなければ本当の大きな協力関係はできないではないか、そういう観点から言いますと、やはり領土問題というのは両国のわだかまりの一番大きな部分であるということは否定できないところであります。  このことは、私しばしば日ソ領土問題についての交渉、外務大臣の定期協議のときにしばしばそれを申しておるわけでございます。また、同様の意味におきまして、漁業についても安全操業というようなものは、時として、わが国の国民にとって非常に愉快でない、不幸な出来事をいままで引き起こしておるわけでございます。漁業についてもやはり同じようなことが言える。ただいま御指摘のような共同養殖といったようなことも、これはお互いの国の利益のためになることでありますから、やはりこういうことを進めていくというようなことも、両国の国民が本当に理解し合い、信頼し合うための具体的な方途ではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、そういう二つの国の国民が真に信頼し得る友好関係をつくりあげていくということが、わが国のためばかりではなく、ソ連のためにもなる。ソ連にとっても利益であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連して。  一問お尋ねしたいのですが、先ほど大臣、いずれの国をも敵とすることなくというお話ありましたが、先般オーストラリアのフレーザー首相が、アメリカ、日本、中国、オーストラリアを結ぶいわゆる対ソ同盟、四カ国対ソ同盟を提唱されたようですが、私は、必ずしもこれは適切な提案ではないと思っておりますが、外務大臣どのようにお考えでしょうか、このことだけを承っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) オーストラリアのフレーザー首相は、確かにいろいろなときの御意見を聞き、あるいは読んでおりますと、この地域におけるソ連の脅威というものをかなり強調しておられるように思います。これは他国の首相の国際情勢についての判断でございますから、それについて私は批評を差し控えたいと思いますけれども、少なくとも、わが国を対象としてソ連を頭に置いた一つの何か体制をつくりあげていこうというようなことは、わが国に対して提案されたことはございませんし、また、仮にそのような構想があればどう思うかというお尋ねであれば、わが国の立場とオーストラリアの立場は、ことに基本の憲法において異なったところがあるというふうに申し上げざるを得ないかと思います。ただ、そのことは恐らくはオーストラリア首相においてもよく知っておられるところであろうと思いますのは、わが国に対しましてそのような提案があったことはございません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 時間がありませんから、最後の質問をやりまして結ぶことにいたしますが、私は、災いを転じて福となすということわざが東洋にあることを知っておりますが、いまの日本の状態は、本当に日本として恥ずかしいほど私は大変な受難だと思います。一自民党だけじゃなく、社会党でも何でも、もっと総ざんげとか何とか、人心一新とかというふうなおざなりの政権騒動の旗じるしでなくて、日本の政治のあり方を根本的に変えなければならないところへぶつかっていると思うのです。  戦後において、日本はいまから三十一年前の一九四五年の敗戦ということは悲しいことですが、敗戦なくしては普通の革命的手段ではいまのような平和憲法は私はできなかったのじゃないか、この災いを転じて福となして日本の平和憲法ができたのは、あの原爆の洗礼を受け、苦悩の限りを尽くしてのたうっている民族の悲願というものがやはりあそこに結晶していったのだと思います。  もう一つは、その十五年後における一九六〇年の安保闘争が日本の戦後史の中における大きな画期的な一つのターニングポイントになっております。われわれ野党の力は、微力なりといえども、朝鮮事変以後においてアメリカが日本を再軍備さして、日本の青年を海外派兵に使おうとしたのをとめただけでも、私は日本憲法を守るというだけじゃなく、日本の基本的な外交防衛方針というものを、体を張って民族が私は守ったと思うのであります。  第三の危機は、十五年後のいま来ているんです。このあらしの中に来ていながら、それを明確に把握できないところに、文明史観と哲学を持たないエコノミカルアニマルと海外から見られた政治家のもたらした悲劇です。  私は、第一次大戦から第二次世界戦争にワイマール体制が崩壊する時分に、トインビーと恩師のハロルド・ラスキが、あの一刻一刻の刻みを見つめながら諸論文を発表して国際情勢の分析を行っているのを、あの記録をいまだに私たちは保存しております。いまは歴史が刻まれているんです。刻まれているけれども、歴史の流れを把握することはできず、これだけの変換の条件が具備していてもそれにタイミングあるところの決断がなされないで、そうしてあっちこっちのぼろのつぎ合わせをやっているようなこの群小ポリティシャンによって日本の政治がゆがめられているという悲劇は、もう黙っていられないんです。国民は見ております。世論を背景にしてと言っても、貫くものを持たなければ、ただ単に政治は力だという形で、力を集めてわいわいすればそれで政治は動くというようなものじゃないんです。政治は力なりと言った平民宰相原敬は殺されたじゃないですか。護憲運動の神と言われた犬養も現役の軍人によって殺されていったじゃないですか。日本の政治的な革命の条件、平和革命をやるなら平和革命を断行するだけの条件が具備していてもできない、不見識な政治家が日本の歴史をどれだけ前進させることができたか、私はいまこそ自民党の中に一人でもいい、二人でもいい、本当のことを言って国民的基盤に根をおろした外交防衛政策が確立できるような政治家を私は欲しい。自民党でも社会党でもぶつ裂けてもいい。人の党を誹謗するだけでは次の政権は予約されない。これは社会党だろうが共産党だろうが野党全体が、われわれはやはり反省するけれども、きょう、あした、あさってと、この一週間の自民党ののたうちまわっている姿を私は批判しない。うんとのたうってのたばればいい。国民は主権者なんです。国民を留守にして派閥のつぎ合わせによって政権のたらい回しができるなどという考え方を捨てなさい。  東洋においても、一個のエリート意識を持って、派閥政治が失敗したのは、王陽明の政治学もそうです。やはり優秀な官僚を育ててそれによって理想の政治をやろうとしても、結局集まるのは派閥です。日本の、東洋の官僚主義の敗北は、いつも民衆に根をおろさない、こざかしい有能な官僚が時の権力者に迎合してうろちょろしたところに、中国の政治の停滞と日本の政治がいつも暴力革命にまでいかなければ、敗戦という悲劇にまでいかなければ何とも解決のつかないところにきているのだが、私はいま宮澤さん、本当にドイツがあれほどりっぱな憲法ができたけれども、ワイマール憲法を本当に守ろうとする、民衆にそれが浸透して民衆の力になってなかったところに敗北があるんです。  私は、いまだれがなろうがそんなことは問題としない。自民党の人、本当にいまの歴史の中において日本民族の行き方は、田中角榮さんが牢屋に行っても株価も下がらないし円も安定しているじゃないか。政治は不信なんです。アメリカだっていかに政治というものが経済からも民心からも遊離しているというのを、日本人はそれほどリアルな国民です。海外も日本を見詰める眼は、総理大臣や内閣を相手としているんじゃない。日本の民族エネルギーがどういう形において資源のない国において世界の脅威となっているかということを見守っているんでして、私はもっと大所高所から、のたうちながら本物に日本の進路を見出す、このところで自分は立ち往生してもがんとして一歩も引かないというだけの見識ある政治家が、この機会にこそ、哲学は苦悩の中からの産物です。いかにカントやへ−ゲルやブハーリンを学んだってへのかっぱです、そんなものは。いまこそ民族がのたうちながら、私は進路を、特に外交防衛の問題を与野党で語り合いながらも、空理空論と批判の論議の時代は去った。やはり日本を守るだけでなくて、国際的な連帯でもって平和共存体制をつくろうという悲願が、あのわれわれが拡散防止条約の批准をきっかけとして日本の外交転換を促すべき国民的合意ができたと思うので、ひとつその点において宮澤さん、やはり憂国の志士にならなけりゃ、国を思って見放さないだけの根性がなけりゃ政治に参与するととは全部やめてもらいたい。もっと政治の世界に気違いが欲しい。寛政の三奇人のような気違いが欲しい。いまのような、権力と金でほっぺたたたかれてきりきり舞いをするようなポリティシャンがいかに集まったって政治なんかよくならない。本当のステーツマンをつくりたいと思うのだが、宮澤さん、あなた自分だけじゃなく、そういう若者を結集して、いまの音を立てて崩壊をしていくこの旧体制の中から何か芽を吹くために、まず外交の面においては少なくともわれわれは必死になってこれを守るんだという一つの見識を披瀝してもらいたい。見識のない政治家は生命のない政治家で、あなたはまだ干物になっていないから、みずみずしいところがあるから、やはりそこらひとつ配慮して御高見を承りたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の内政外交につきまして、大所高所から御教示をいただいたものと承りました。  内政につきまして、ただいまの現状というものは、やはりロッキード問題というものが直接の導因になったというふうに考えておりますが、この点は、わが国の民主主義がこの試練に耐え得るという自信のもとに徹底的な解明をして、そしてまことに不名誉な事件でありますが、ここから立ち直っていく、そういう苦しみをただいま味わっておるというふうに考えておりまして、この点は総理大臣がしばしば国会で言っておられますとおり、やはり厳正に徹底的に解明をすることによって、わが国の民主主義がさらに強くなるという道を私ども歩まなければならないというふうに考えております。  外交の面におきましては、確かにわが国の平和国家のあり方についていま回顧いたしますと、昭和二十五年ごろから昭和二十八年ごろまで、アメリカ側にいろいろな考え方がありまして、あの時点がひとつわが国の平和国家、平和憲法にとってのいわば外圧とでも申すべきものがありそうになった時代であったかと思います。しかし、幸いにしてわれわれはそれを乗り切ることができましたし、また、アメリカ自身も後になってみて、そのような日本の歩き方がよかったということは理解をするに至ったというふうに考えております。  そういう意味で、いまやわが国の平和憲法、平和外交のあり方というものは国民的にはかなり大きなコンセンサスを得つつあると思いますが、最近の一つの問題はやはり核防条約であったろうと思います。これにつきましては、国会でもいろいろな御議論がございました。私どもの党内においてもいろいろな議論がございましたが、ともかくこの条約を御承認いただき、批准をすることによって、わが国の平和国家としての姿勢を対外的にも確認することができたというふうに考えております。  私は、いま外交の仕事を直接の担当者としていたしております者として、この平和国家の道というものが決して口で申すほど容易なものではない。しかしながら、われわれはこの仕事をやり抜かなければならないし、また、わが国のそのような意図というものは、先般の核防条約の批准によってもかなりよその国にも理解を得ることができた。客観情勢は決して悪くなってはいないというふうに考えておりますので、この民族のいわば命運をかけました平和国家の建設というものに私ども微力ながら最善の力を尽くしてまいりたい。また、そのために与野党を問わずいろいろ御支援をいただき、御教示を仰がなければならないことが多いというふうに考えております。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 質問に入る前に、ただいま戸叶大先輩から非常に耳の痛くなるような、非常に厳しい批判がありました。確かにこの外務委員会というものは、きょうは与党席に非常に空席が月立っておりますことば大変恥ずかしく、まことに残念だと思います。いま戸叶先輩が言われたとおり、外交というものはストップがないんだ、常に世界の流れは動いておる。そのためにも、党利党略とかあるいは派閥次元による審議放棄は私は非常に恥ずかしい。  実は私は、ここへ出て来る前にNHKやあるいは民放のニュースを見てまいりました。閣僚十五人が恐らく議員総会に出るという話も、ニュースも出てましたけど、宮澤外務大臣もお出になるというニュースもありましたので、実は私はかけました。もし宮澤外務大臣がこの席に出て来ないならば、それなりに私も腹をくくって——三木内閣なんてつぶすの簡単なんですよ、はっきり言えば。政策ぶってつぶしたってできる。それをこの参議院の外務委員会に出て来ないで、自民党の派閥のために行くんだったら私は外務大臣を許さないつもりでしたけど、きょうこうやって堂々と出てらっしゃる外務大臣に改めて敬意を示すとともに、参議院の外務委員会というのはそんな簡単なものじゃない、そういうことをさらに私は再認識しました。そしてこの席をかりまして、野党席にばかり恥ずかしいということじゃなくて、国民全体に全く恥ずかしいということを私は自民党の一人として申し上げたいと思います。これは私がどこの派閥とかどういう関係とかいうことじゃなくて、ぜひこういう——常に私が繰り返して申し上げておりますように、この外務委員会というものは党利党略や派閥でもって開かれないということじゃなくて、さらに開いていただきたいということをお願いしまして、質問に入らしていただきます。  ロッキード事件に余り触れたくないんですけど、この外務委員会、特に問題とされています田中角榮前総理が逮捕され、しかも収賄罪で起訴されたことは確かに遺憾であり、内外に与えた影響も非常に大きいと言わざるを得ません。私はこのニュースを聞いた瞬間、日本の国際信用は一体どうなるのか、特にこの点を心配しました。外務大臣も当然この点を重視されておられると思いますが、そこで、次の三点に関して外務大臣の率直な御意見を求めます。  日本の国際信用は果たして失墜したのかどうか。中でも日米関係、日中関係への影響はどうであったのか。三、日本の国際信用が失墜し、外交の上にもマイナス要素が生じたのであれば、今後どのようにして信用回復を図らなければならないのか。  以上、三点を伺います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 第一の国際信用の点でございますが、ただいまの時点におきまして、私自身も外国におけるいろいろ報道でありますとか、あるいはまた、わが国を訪れる人々の意見でありますとかをできるだけ注意深く聞いておるつもりでございますが、ただいままでのところは、わが国の民主主義が健全に機能しつつあるという見方が多いのではないかと存じております。もとより、起こったこと自身はきわめていわば後進的とも申すべき出来事でございますから、そのことの恥ずかしさというものはそれといたしまして、かなり高度な社会でも時としてはこういう問題がある。問題はそれをその社会が民主的な手続によって処理し得るかどうかということによってその社会への評価が分かれるということであろうと存じますので、したがいまして、ただいままでのところ、外から見ましたわが国のこの問題についての処理というものは、わが国の国際的な信用を傷つけるといったようなことにはただいまの時点までは少なくともなっていないというふうに判断をいたしております。  次に、日米関係でございますが、先般プエルトリコで、私あのようなインフォーマルな会議であり、また会合でございましたので、直接にフォード大統領と幾たびかこのお話をいたしまして、私としては本件についての米国側の協力を感謝するとともに、この問題は日米という国と国との国交に影をさす種類の問題ではないはずであって、アメリカにおける個人、私企業とわが国の人々との間に起こった出来事でありますから、日米国交に影がさすことは本来ないはずでありますけれども、あってはならないということを私は念頭に大事に考えておりますということをフォード大統領にお伝えをし、また大統領も同感の意を表しておられました。日米に関して、日米間の司法共助等々もまずまず満足に行われていることもございまして、日米間にこれが影をさしておるというふうにはただいまの時点で私は考えておりません。  なお、この事件が日中関係にどのような影響があるかということにつきましては、判断すべき材料を私としては実は持っておりません。中国側がこれについての評価を下したというようなことも存じておりませんので、これにつきましては判断の材料を実は持ち合わせないと申し上げるべきかと思います。  第三に、このことがわが国の外交にとっていわゆるマイナスの作用をしつつあるかどうかということでございますが、わが国の国際信用がただいまの時点で傷ついたというふうには考えておりませんので、そういう意味でのマイナスの要素というものは私ども気がついておりませんけれども、ただ、この事件の結果、わが国の政治に渋滞が生じておりますことは遺憾ながら事実でございますので、外交もしたがってその限りにおいては若干の影響を受けておるということは事実として、私どもなるべくそのようなことを防いでまいっておるつもりでございます。全く無関係だとも申し上げられない、そのようなことは極力防ぎたいと考えております。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 今後の方針なども特に質問したいんですが、時間がございませんから、極力今後もそういうことの、もちろんないのがあたりまえですけど、国際信用に大きく響かないようこれからますますがんばっていきたいと思います。  日米両国の関係を、たとえば皮肉にたとえ話として、かなり以前から伝えられている俗っぽい言葉ですが、アメリカがくしゃみをすると日本はたちまちかぜを引くというたとえ話があります。私は最近の日米関係はまさにこのたとえ話のとおりだという気がして仕方がありません。ロッキード事件にしても、また先ごろのヨウ財務次官旋風にしても、アメリカのくしゃみと日本のかぜのたとえ話どおりだと、私はこれはいい例だと思う。かぜを引いたのならば早く治療して早く治さなければなりません。それよりも、くしゃみの一つや二つでたちまちかぜを引いてしまうという、これは非常に残念なことだし、かぜを引かないように丈夫な体にしておかなければならない。私は俗っぽいたとえ話を持ち出しましたが、そういう認識に立って質問を続けてまいります。  フォード大統領の個人特使として七月十日から二週間中国を訪問した共和党の上院院内総務ヒュー・スコット氏が、帰国後アメリカの上院外交委員会にレポートを提出しました。私は、スコット氏とはかねてからの知人であった関係で過去にたびたびお会いしておりましたが、米中正常化をめぐる問題は日本にとっては正当な関心事であるとの認識から、スコット氏が中国へ出発する直前にワシントンで二人だけで会談しています。率直な意見を聞いておりますので、このスコット報告に関しては私なりに理解をしております。外務大臣はこのスコット報告をどのように受けとめられ、どのような評価をされておりますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ヒュー・スコット・アメリカ上院議員のこの報告はかなり長文のものでございますが、私は、たまたまかなり注意して全文を先般読んでみました。かなり多くの部分はこの旅行と申しますか、視察と申しますか、その見聞に関する部分でございまして、意見と思われる部分は報告書の比較的前の方に集約されておりました。  それにつきましては、私なりに注意深くこれを読みましたけれども、何分にも米中両国間の関係を今後どうすべきかということに触れておるものでございますから、私がそれにつきましてコメントをいたしますと、第三者が米中間の問題に何か意見を差しはさむというように受け取られかねないというふうに存じますので、ことにこのような公の席でございますから、その点は控えさしていただきたい、それが本当ではないだろうか。あらぬ誤解を受けることがあってはならないと存じますので、控えさせていただきたいと思いますが、私といたしましては注意深くこの報告書を読んでおります。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 当然そういう答えが返ってくると思いますが、もう少し突っ込んでまいりますが、スコット氏は私との会談の中で、米中正常化までには三つのステップがある。第一のステップは一九七二年二月の上海声明、第二のステップはことし六月の金門、馬祖両島からのアメリカ軍事顧問団の撤退、そして第三のステップが米台相互防衛条約の処理である。しかし、アメリカでは慎重派も多いので正常化の時期まではまだ固まっていないと語り、したがって、訪中の大きな目的の一つは台湾の安全に対する中国の保障を確かめることとはっきり私に語っておりました。この点に関して今回のスコット報告は、北京が台湾を軍事的手段で回復しようと試みることはあり得ない印象を得た。いつでも台北の代表と話し合い、交渉する用意があるということを聞いて関心を覚えたとしております。外務大臣はこの点をどのように評価されておりますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたことを繰り返さなければならないと思いますが、報告書の中にそのように述べられておりますことは存じております。なお、糸山議員もお気づきになりましたことと存じますが、もう少し自分の突っ込んだ意見は直接大統領に自分から報告をしたので、それについてはこの報告には触れないというふうに述べられておりますので、そのような所見のもとにスコット議員が何らかの進言を大統領にされたのではなかろうかと想像をいたしますけれども、何分にもこれは米中間のことでございますので、私として直接にコメントをいたすことは控えさしていただくべきではないかと存じます。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 外務大臣は七月の十二日、来日したアメリカの民主党の上院院内総務マンスフィールド氏との会談の中で、日本にとって米国と台湾との関係に急速な変化が起きることは望ましくないとの見解を述べました。それが大きな反響を呼びましたが、一体外務大臣の本音はどうなのか、翌七月十三日及び二十八日の衆議院の外務委員会で外務大臣はいろいろと弁明されていらっしゃいましたが、この機会にもう一度真意をお尋ねします。たてまえと本音という区別をされずに、どうかその点をもう一度この参議院の場所でもってはっきり言っていただきたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) マンスフィールド議員とは私も面識がございますので、全く私的な立場におきましていろいろな話をいたしましたけれども、実はあのような報道になりましたのは、これは私が外務省を担当しておられますところの記者団に対しまして私のいたしましたブリーフィングが不用意であった結果でございまして、米中間の問題は米中間の問題でございますから、他国の者がそれについて公にコメントをするというようなことは本来不適当なことである。その点はマンスフィールド議員の意見につきましても、またスコット議員の意見につきましても、同様にやはり考えなければならないと思っております。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 米中問題について余りいい答弁がいただけないので、では日中に入りましょう。  七月二十八日の衆議院外務委員会で、三木総理は、日中条約問題で外相級会談を開く考えのあることを明らかにし、また、必要とあれば私自身の訪中も辞さない旨のお考えを述べられましたが、外務大臣御自身は日中平和友好条約交渉の上でいま外相級会談の必要をお考えですか。それとも必要なしとお考えですか。双方の理由を含めてお答えをください。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の九月に中国の喬冠華外務大臣とニューヨークでかなり長いこと話をいたしまして、お互いの考え方を理解します上で有用であったというふうに考えておりますので、今後も同様な機会があればできるだけやはりお互いの考え方というものを自由に意見交換をしてまいりたいというふうに考えております。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 昨年の九月に外務大臣は確かに国連で喬冠華中国外相と会談されたといまおっしゃいましたけれども、それから一年、日本は中国に対して何か積極的な交渉をしたんですか、いましているんですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の九月に喬冠華外相と約束をいたしましたことは、ともかく従来の経験にもかんがみて、この条約の交渉については、両国の外交の責任者がひとつ直接に責任を持って条約の早期締結に努力をしようではないか、その間、この間のいろいろな接触についてはできるだけ話が妥結をするまでは雑音をまじえないようにしようではないかという約束をいたしまして、この点の信義は今日までお互いに守ってまいっておるつもりでございます。したがいまして、まことに遺憾なことでございますけれども、ただいまこのように話がまとまりましたというような状況でございませんので、その後今日までの経緯は、そのような約束にもかんがみまして申し上げることを御遠慮いたしたいと思いますが、いろいろな機会に、お互いの考えておることはお互いに知り得るような直接間接いろいろな方法での接触はいたしてまいっております。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 日中平和友好条約の交渉をめぐって一番のネックは一体何であるか。外務大臣はそのことについてどういうふうにお考えか。つまり交渉がおくれている理由は一体何なのか。私は、仮に手と手を合わせてたたくと音がしますけど、これはどっちがおくれてもどっちが弱くても音はしません。やはり日中というのは、中国と日本とどちらが悪いのかということよりも、ぼくは二つの手が合わされなければ音というものは出ないと思うのですよ。一体そのネックになるもの、あるいはもしかしたら日本が悪いのか。中国の言い分としてはちっとも変わっていないという言い分も聞いておりますけど、日本に何か原因があるのか。本当のネックというものは何か、はっきり言っていただければ——いかかですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 一般に覇権条項問題といわれております、主としてその問題をめぐりまして、これはどちらがいい悪いというようなことではございませんで、むしろやや次元を異にいたしますところの覇権条項というものをどのようなものとして考えていくかということにつきまして、中国の外交政策、あるいは中国には軍事政策もあるわけでございますが、そのようなものとわが国の外交政策というようなもの、これは当然のことながら同一のものではございませんから、それから見て覇権条項というものをどのようなものとして考えておくことが妥当であるかというようなことをめぐりましてなお意見の調整をする必要がある、これが主な点ではないかと思います。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 外務大臣の御答弁の中にも覇権という問題についてのお言葉がありましたけど、中国側は少しも変わらず終始一貫しているという答えと、日本が覇権の問題について決断しないからだと私も認識していますが、そのような認識は間違っているのか。  仄聞するところによりますと、外務大臣は記者懇談会か何かの席で、わが国の国内情勢がこのようだから交渉もおくれているなんていうことを言われたということも、私ニュースをキャッチしているのですが、さっき私は宮澤外務大臣をほめたばかりなんですけど、まさかそんなような発言を記者の皆さんの前でおっしゃってないと思いますけど、その点はもう一度確認しておきますけど、そんなような冗談でもおっしゃったんですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) この覇権条項というものにつきまして、両国の考え方をもう少し調整する必要があるということを先ほど申し上げたわけでございますが、言ってみればかつて中国が、いま申しましたようにこれはまあ小異を捨てて大同につこうということで条約というものは、ことにこのような交渉はまとまる性格のものでございますから、したがいまして、小異を捨てて大同につくためにお互いに一つの決断というものが必要である、そういうことではなかろうか。そのような決断をいたしますためには、お互いに自分の国の国内の問題というものを持っておるわけでございますから、そういうことも考えました上で、しかるべき時期を選んで意見調整をして決断をしていく、こういうことでなければならないだろうと思います。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 記者懇談会の件は、いまは別にそんなにしつこくしませんけど、外務大臣は交渉をスピーディーに進めるためには何をしたらいいとお考えですか。日中平和友好条約の締結のゴールをいっごろに置いているのか。当然これは外務大臣がかわってしまったらまた次の大臣に聞くことなんですけど、私は、宮澤外務大臣がまだまだあると信じておりますし、ここではっきり外務大臣の決意と覚悟のほどをぜひ伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたように、これは恐らく両国において小異を捨てて大同につくというにつきましては、やはり決断を必要とする問題であると考えますので、そういう意味ではお互いに国際情勢はもとより、国内情勢においても、まずこれならば受け入れられるというような見当をつけていくということは、外交担当者としては喬冠華外相も私も同じような立場を持っておるわけでございますので、同じような職責を持っておるわけでございますから、したがいまして、そういうやはり問題の本質と、それからそのような決断をする時期の選び方、こういつたようなものが残った問題ではないかというふうに思っております。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 私がスピーディーという言葉を使いましたのは、どう見ても米中正常化というものは、たとえカーターが勝とうとだれが勝とうとこれはあると、私ははっきりここで予言しておきます。考えております。もし日中よりも先に米中正常化があった場合は、また日本の頭を越された頭越し外交というのがあるわけで、ぼくはどうしても日本の場合、なぜもっとスピーディーに解決ができなかったのかということを、別に責任を問うわけじゃありませんけど、どうかこういう問題も、日本だけが孤立してしまうということは非常に私は残念なことだと思いますので、これを外務省の首脳の方、あるいはもう少し急いでもらいたいということよりも、お互いに遠慮をしないで、さっき戸叶先生が言ったとおり、外交というのは相手の中へ入って、もう心臓から胃袋から全部つかんでくることだと私は思いますので、どうかきれいごとだけじゃなくて、本心からぶつかっていっていただきたいと、私はひとつお願いをしておきます。  一九六〇年代から続く中ソ両国の対立あるいは激しい論争にわが国が巻き込まれたり、あるいはかかわり合う筋合いではないことは当然です。しかし、明確な外交目標も示さずに行動することはかえって疑惑を抱くだけだということも私は考えます。わが国はわが国の国益のもとに主張をすべきことは常に堂々と主張をしていただきたい。外務大臣の御意見もいただきたい。主張したいことは主張していただきたい。いま私が繰り返して言いますけど、もう一度お尋ねしたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) もとより、外交の大きな目的の一つは国益の伸長でございますから、私としては国益をいわば第一に考え、これを主張いたしますことは当然のことでございます。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 決意いただきましたので、アメリカの外交政策の問題に少し触れてみたいと思います。  フォード対カーター氏の決戦となった十一月のことしの大統領選挙の見通しなどについて外務大臣からこの席で論評を求めるのは無理だとはわかっておりますが、したがって、論評を求めるわけではありませんが、別の角度から、別の観点からお尋ねしたい。  私がワシントンその他で得た情報でも、あるいはマスコミが伝えるニュースでも、いまの時点ではカーター氏が優位ということですが、外務省は、たとえばカーター政権誕生を予想して、いまから非公式にせよいろいろなチャンネルでもって接触を始めていると思いますが、外務省の一番の悩みとしては、カーター氏自身と親しい外交官や政府関係者が少ないということだと私は聞いております。どのようなやり方で、あるいはチャンネルで外務省は接触をされているのか。これ、外務大臣でもアメリカ局長でも結構ですが、両方ともの御意見をいただきたい。私は、もしカ−ターと会えるならば、きょうでも私はアメリカへ飛んでいくなり、あるいはブレジンスキー氏との会談も求めておりますけど、会うならば、きょうでも、いまでもぼくは飛んでいきたい気持ちですが、その点アメリカ局長及び外務大臣の御答弁をいただきたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカは、御承知のように非常に開かれた国でございますから、私ども常に各層各般の人々と接触をいたしております。この点は、この選挙がどうなりそうであるからとか、次期政権がどうでありそうであるとかいうことと関係なく、常にアメリカの世論が形成されるその過程において、それに参画するであろう人々とは、別に何党であるとか何派であるとかいうことでなく接触をいたしておりまして、そのような意味では共和党政権の時代にも民主党の人々とも接触をいたしておりますし、また、民主党政権の際に共和党の人々とも接触をいたしております。そういうことの当然の結果として、カーターならカーターという人の周辺の人々とも従来からいろいろな接触をいたしております。これはしかし、選挙の結果をどうと考えてのことではなく、アメリカの世論というものはそのような開かれた形で形成をされますので、そういう観点からいたしておることでございます。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○説明員(山崎敏夫君) われわれのカーター大統領候補及びその周辺の人々との接触という問題につきましての根本的な考え方は、いま大臣がおっしゃったとおりでございます。  実際問題といたしまして、カーター氏は現在ジョージア州に住んでおりまして、外務省はそのショージァ州の首府でございますアトランタに総領事館を持っております。したがいまして、そこにおります総領事はカ−ター氏と従来からも接触がございましたし、現在でもございます。前の総領事はカーター氏が知事の時代でございましたので、当然ながらいろんな意味で接触がございました。現在、総領事はかわっておりますけれども、この総領事もある機会にカーター氏と会っております。さらに、カーター氏の外交政策の顧問とか、そういう人々はワシントンとかニューヨークに住んでおりますが、そういう人たちとも大使館や総領事館の大使やあるいはその館員が普通の形で接触することはたびたびある次第でございます。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 いまのお二人の御答弁は、東京、本省だからこういうような御答弁が出るんであって、私がワシントンに行ってカーター候補についての調査をした範囲では余り明快な答えもいただけなかったし、もう一度ワシントンに問い合わせてみるといいと思いますが、実はワシントンでも困っている、カーターに関しての資料もなくて、本当に在外公館の人たちが非常に不平を言っている。どうかその点はもう一度お調べ願いたい。そしてもっと、大統領になったからとか外務大臣になったから親しくするとか、あわてて尾っぽを振っていくなんていうことじゃなくて、相手はコロンビア大学の教授でもあるし、あるいはカーター候補にしたって会おうと思えばいつだって会えるような人だと思います、私でも会えるんだから。どうかその点に関しては、もう少し、相手が偉くなったから頭を下げていくんじゃなくて、いまからもっと積極的な外交活動を続けてもらいたい。特に大臣からワシントンに関しては訓令を出していただきたい。私はいまのようなワシントンの活動ではちょっと満足できない。  次に入ります。  フォード氏のもし再選でも、またカーター氏の当選でも、ニクソン前大統領時代からのキッシンジャー外交はようやく終局を迎え、言うならばキッシンジャー以後のアメリカ外交のあり方に関心が持たれております。仮にカーター氏当選の後、アメリカの外交政策は変わるのかどうか、外務大臣はどのような御見識をお持ちですか。率直にお答えください。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるキッシンジャー外交ということが言われておりますけれども、そしてキッシンジャー氏にはキッシンジャー氏の外交のスタイルがありますことも事実でございましょうが、たとえば両党の外交政策を見ましても、アメリカ、日本、ヨーロッパといったようなものとの関係を緊密にする、あるいはソ連との関連において基本的には平和共存の線を貫いていく、あるいは南北問題についての前向きの取り組み方等々、これはやはりアメリカという社会が開かれた中から一つのおのずからコンセンサスを出していく社会でございますから、そういう意味で大変に振れの大きな——政党か変わることによって外交政策が大きく振れるというような社会ではないというふうに私どもは考えておりますので、ごく常識的に申しましてきわめて意外な、思っても見なかったような外交政策が政権の交代によって誕生するというようなことはないのであろう、また、それが開かれた社会というものの持っておる一つの特質ではないかと思います。もとより、スタイルあるいは多少重点の置き方の違いといったような程度のことは、これはございますかもしれませんと思いますが、大きく物事の考え方が振れるというようなことはないというのが開かれた社会の特色ではないかと思います。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 ただいまの御答弁、大変失礼ですが賢明なる宮澤外務大臣の御答弁とはちょっと思われない。記者会見でお答えならばそれでもいいでしょう。だからといって新聞記者の方を別に悪いと言っているのではないのですよ。ここはいま外務委員会の席なんですよ。  それならば、外務大臣はきのうの夕刊に載った外電の記事をどのように受けとめられておりますか。ワシントン発のこの外電はこう伝えております。これはぼくは偶然ですが、毎日の夕刊に載っておりましたけど、アメリカの「民主党大統領候補のジミー・カーター前ジョージア州知事は二十二日、米国が直接脅かされなければ、よその国の出来事に軍事的に決して巻き込まれないようにすると公約した。」また、「大統領に選出されたら、フォード大統領やニクソン前大統領以上に強硬な姿勢でソ連との交渉に当たる」とも述べております。「同候補の外交政策とフォード=ニクソン外交の間には本質的な違いが出るだろう語るなど、これまでになく外交問題についてはっきりした意見を明らかにした。」外務大臣がこの記事をお読みになっていらっしゃらないと言われるならばここに資料がありますからお見せしても結構ですし、カーター氏はまた対韓国関係についても、韓国及び日本と協議した上で一定期間内に米地上兵力を韓国から徐々に削減するとコメントしたり、あるいは米国の国防予算は五十ないし七十億ドルの削減を図ると公約したりしています。  こうして見ると、仮にカーター政権誕生の後、少なくともアメリカの外交政策を展開する外交スタイルは一味も二味も違ってくると受けとめる方が自然じゃないでしょうか。ちょっといまの外務大臣の答弁だと楽観し過ぎじゃないかとぼくは思いますけど、もう一度そこをお聞きします。いかがですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) どうもよその国で選挙が行われておりますときに、どうなっても変わりばえがないんだと言えば、これは変わるんだと言っておる人々を批判するようでありますし、大変変わると言えば、それならどっちがいいんだというようなことになってしまいますので、大変私としては実は申し上げにくい種類のお尋ねでございます。  ただ、わが国として最小限必要だと考えておりますことは、外交政策が非常に大きく振れるであろうかどうであろうかということでございまして、そういう意味では開かれた社会のそこがやはり利点であって、そんなにとっぴな話というものは本来出てこない。スタイルとか重点の置き方に多少のニュアンスは出てまいりましょうけれども、私は基本的には先ほど申し上げましたように申し上げて間違いではなかろうと思います。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 きのうの夕刊はごらんになりました。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの御指摘のことは読んでおります。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 共和党に比べて民主党の政策には、外交の面においては非常にクールな面があると私は受けとめています。このことは、たとえば私が民主党のたくさんの若手の議員や、あるいは友人であります若手の州知事の意見を聞いてみても、話し合いの中からもその感触を得ているのです。  民主党にせよ共和党にせよ、アメリカはこれから次第にいわゆる孤立主義的傾向を強めていくだろうという認識を私は持っています、まあ野党の人たちは非常に喜ぶかもしれませんけど。私はこれに関して、まあモンロー主義という言葉を使っても言い過ぎじゃないと思いますが、孤立主義的傾向をアメリカはどんどん強めていく。とすれば、そうしたアメリカの潮流の変化に機敏に対応でき、しかも世界の新しい時代にふさわしいわが国の自主外交が望まれることになると思います。外務大臣の御意見はいかがですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) わが国にとって日米協調ということはきわめて大切なことでございますが、それはいわばわが国の国益にとって大切であるという意味でございますから、私ども従来から日本の外交は日本の国益というものを中心に考えてまいったつもりでありまして、アメリカに変化が起こりましても、その点は従来からそのようにしてまいったというふうに実は申し上げたいところでございます。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 大変端的な言い方になるかもしれませんが、日米安保条約は日米両国を結ぶ太いきずなであると私は認識しています。しかし、一九六〇年に改定されてからすでに十六年、たとえばベトナム戦争以後の新しいアジア情勢の中で、アメリカが日本に求めるものも変わってきていることは当然のことと思います。その対応の一つとして、たとえば日米安保協議委員会の下部機構として日米防衛協力小委員会が発足したりした。いずれにせよ、わが国はわが国の国益、わが国の安全保障という原点をしっかりと踏まえて、必要であるならば大胆な政策を勇気を持って明確に打ち出すぐらいの強い信念が必要だと私は考えています。あるいはまた、わが国にたまったドルに対して、アメリカがくしゃみをする前に、たとえばアジァの発展途上国に対するわが国の経済協力を一層活発にするとか、国際協調の上からも積極的な自主性のある外交が求められると考えます。アメリカから圧力があったり、あるいはかっと言われてくしゃみをしたり、くしゃみをしただけでかぜ引いちゃったりしたんじゃ困るし、私は、もしこのままの貿易のバランスでいくならば、いずれまたアメリカから何か日本に圧力がかかってくるんじゃないかということも心配しています。その点から見ても、アメリカから言われたからということじゃなくて、日本の腹を持った自主的な外交が必要だと思いますけど、もう一度伺います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の外交方針を決定いたしますときに、当然のことながら私どもとしては大きな意味でわが国の国益にどうすれば最も沿えるかということを考えておるわけでございまして、もちろん、わが国も今日のわが国になりましたから、大きなわが国の国益というのは世界各国との関連も考えてのことでございますけれども、そう考えております。それは従来からもそうであったと考えておりますし、今後もそうでなければならない。その間に、いわゆる日米の関係というのは非常に比重が大きゅうございますから、わが国の国益を考えます上でおのずからそこに比較的大きな比重を置いて考えておるということは、これはわが国の国益のためにそうしておるわけでございます。ですが、それはいわゆるくしゃみをしたからかぜを引くというような、そういう表現でとらえることが正確であるのかどうか、つまり、お互いに関係が深いから、その関係が動けば影響するところは大きいという意味では、相対的には日米というものは一番日本にとって大きな関係でございましょうけれども、これは従属とか自主性がないとかということとは私は意味合いが違うのであるというふうに思っておるわけでございます。

糸山英太郎自由民主党

○糸山英太郎君 そろそろ時間も参りましたので、私は外務省の皆さんに一言だけ最後に締めくくりの言葉として予言をしておきますが、わが国は安全保障問題でアメリカに対し甘い考えや甘い期待は持つべきではない、持ってはいけないという考え方をしています。世界の動きがこれだけ激しいときに、イデオロギーや党利党略から脱皮した、グローバルな視野に立って、実のある論議をしなければならない。私がこれだけ言い切るのは、ある一つの材料を持ってるからです。私はきょうこの場所を使ってその質問をしてもいいんですが、私はさっき最初に三木内閣なんか吹っ飛んでしまうというのは、私は私なりにちゃんと質問の材料もある。でも、もしアメリカにこれ以上甘い考えや、アメリカから言われたからこうしますなんていうような主体性のない、自信のない外務省ならば、あるいは外務大臣ならば、私は本当にすぐにでも外務委員会を開いていただいて、また私の時間をとっていただいて徹底的に闘います。どうか外務大臣が、もしアメリカの言うなり、あるいはアメリカが甘い、そんなような考えを持つんじゃなくて、もっと積極的な外交活動を特にアメリカに対しては要求をしまして、きょうの私の質問を終わらしていただきます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 去る十八日に朝鮮の板門店で起きました紛争をきっかけにして、朝鮮半島の緊張が極度に高まっているわけでありますが、最初に伺いたいのは、外務大臣はこの板門店事件そのものをどうお考えになるか、そしてその後起こっている事態をどういうふうにお考えになっているかをまず伺います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 朝鮮半島におきまして、いわゆる国連軍側といわゆる北朝鮮側の衝突事故があったという、その事件でございますが、事実関係がどのようなものであったかということにつきましては、わが国が直接の関係者でございませんので、コメントを正確に申すことができないというふうに申し上げるのが私は正確であろうと思います。  それから、しかしこの出来事の帰趨をどう考えるかということにつきましては、今日現在の段階で北鮮側もまたアメリカ側も、事の原因あるいは事象はどのようなものであったにせよ、これをさらに大きな事態に拡大することは好ましいことではないというふうに考えているように判断をいたしますから、したがいまして、不幸なことでありましたが、これによって朝鮮半島の緊張が激化をするということにはならずに済むのではないだろうか、また、そうあってほしいというふうに考えておるわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 言葉じりをとらえるわけではありませんが、直接当事者でないのでコメントをすべきでないという意味のことを言われたわけでありますが、これはまことに適切でないと思います。佐藤・ニクソン共同声明で言われた韓国条項の言葉をとるまでもなく、私どもの解釈で言えば、朝鮮半島の安全はわが国の安全にとって緊要であるというふうにお考えのはずでありますから、いまやまさに朝鮮半島がきわめて危険な状態にあるというときに、よそごとのような御見解を述べられるのは不適当かと思います。  そういう中で、私どもはきわめて重大だと思っているわけですが、アメリカのとった態度というものは、かつてのプエブロ事件の当時などと比べて全く様相が違う。ソウルからの讀売新聞が二十二日ですか、伝えたところでは、非常におもしろい表現を使っておりますが、過剰反応ではないだろうか、こういうふうな表現で伝えているわけで、現に沖繩のファントム中隊あるいは本土からわざわざF111の飛行隊を特派する、ミッドウェーも出撃をしていく、こういう反応を示しているわけでありますけれども、これについてアメリカは事前協議をしてきたのかどうか、まず伺いたい。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○説明員(山崎敏夫君) 板門店の事件に関連して、米軍に若干の動きがあったことは事実でございます。しかしながら、この一連の米軍の動きに関しましては、いずれも事前協議に係るような問題ではなかったとわれわれは考えております。  まず、F4一個中隊の沖繩の嘉手納基地から朝鮮の米軍の基地への移動でございますが、これは警戒措置としてとられた単なる移動でございまして、事実その後もその飛行中隊が特別の戦闘作戦行動をしているということも聞いておりません。これは単なる移動でございまして、その意味で事前協議の対象となるべきものではないと存じます。また、F111の一個中隊が米本土から朝鮮半島に派遣されたわけでございますが、これが日本の領空の一部を通過したことはあると思いますが、この点につきましては、もちろん安保条約の範囲内において認められる問題でございます。それから、ミッドウェーが横須賀を出まして海上における待機の姿勢をとったわけでございます。この行く先についてはわれわれは正式に通報を受けておりませんけれども、その出ていくということについてはわれわれは通報を受けております。この三つの動きにつきましては、いずれもわれわれとしましては事前協議の問題ではないと考えておりますが、アメリカから事前に通報はあったわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 予期したとおり、事前協議という意味の連絡はなかったというお答えですけれども、事態の進展いかんでは、そういうことがあってはなりませんけれども、あのまま衝突が拡大をするという形で、局地的にせよ戦闘状態に入る可能性がなかったわけではない。現在もないわけではないと思いますが、そうなりますと、日本の基地から事前協議なしに出動したアメリカ軍が、そのまま日本のきわめて近いところで、まさに政府のおっしゃる韓国の安全が日本の安全に緊要であるというその地域で戦闘状態に入る、そういう関係にあるということが今回の事態で端的に示されたと思います。国民の皆さんもそのことを十分今度のことで理解をされたと思う。政府がかねがね答えられ、私どもが質問をしてきた事前協議の問題、これが現実のものとしていかに危険なものか、事前協議なしで、実は事前協議などといっても実際は事前協議なしでそのまま日本の基地が戦闘部隊の出動の基地として結果的には使われていく。そういうことが起こり得るということが今回で実に明快に示されたと思うんです。  防衛庁の方に伺いたいんですが、横田にKC135が飛来をしているということが伝えられておりますが、その数並びに目的というのはどういうふうに連絡を受けておられるか、これは防衛庁でも外務省でもいいですが。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○説明員(伊藤圭一君) 横田にKC135十五機が台風避難ということで移動してきたというふうな連絡を私どもは受けております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 それは何日ですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○説明員(伊藤圭一君) 二十日の日でございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 二十日の日、まさに板門店で事件が起きた二日後にタイミングを合わせて空中給油機であるKC135が横田に十五機も来ているという事実ですね。これは事態の進展いかんでは、グアムのB52が朝鮮に飛来をするそのための空中給油もできるし、あるいは韓国に移動したファントムないしF111に給油することもできるし、まさに目的は明快だと思います。そういう問題を、これは日本の立場から、日米安保条約があるとか事前協議の条項があるとかいう、そういう形式の問題にとらわれていたのではいけないのじゃないだろうかということが、今度のことで実にはっきり示されてきているわけです。これはいわば反面教師と言いますか、政府の皆さんの御答弁を私あえてここで求める必要がないほど、心ある国民の皆さんは今度のことを通じて安保条約並びに事前協議というものの性格を実に明快に理解されていると思います。  きょうは余り時間がありませんので進みますけれども、私は大変気になることは、今回の板門店事件の報道を新聞などを通じて見ていて、これは日本のマスコミの批判をするわけではありませんけれども、かつてのベトナム戦争の当時のことを想起をせざるを得ないのです。まさに報道のほとんど大部分というものは、ワシントン並びにソウルからの報道によってこの実態が伝えられている。先ほど宮澤さんが冒頭余りコメントをしないという答弁をされたのも、私は宮澤さんなりの御判断、あるいは言い過ぎかもしれませんが、良心があったからだというふうに感じたのであります。つまり事態が正確にわからぬ、本当のことが。こういうことが宮澤さんの心の底にあったのではないかという気さえいたします。  よけいなことですが、ベトナム戦争の当時、調査によると、日本のマスコミに報道されたベトナム戦争のニュースの実に六三%がアメリカからの報道であったという事実が、最後の最後までベトナム戦争についての政府並びに日本国民の理解を曲げていたということは否定できないことだと思いますが、きょう入手した北側からのこの事件についての情報というものがまとまってここにありますけれども、それによりますと、事態は全くもちろん違った目で見られているし、日本で報道されていないような事実も、たとえば十八日に事件が起き、二十一日には西部の方で米軍ヘリコプターがやはりいわゆる軍事共同警備区域内に飛び込んでいるというようなこともここに報道されています。幾つかの事実がありますが、こういうものを政府は、果たして外務省なり防衛庁は入手しておられるのかどうか伺っておきたいと思います、北側の情報ですね。

中江要介外務省アジア局長

○説明員(中江要介君) 外務省は北側の情報につきましては公式発表の部分と外電が伝えますもの以外には特に入手しておりません。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そういう点について私は非常に危惧を感ずるのですが、一つ実例で伺いたいのですが、日本の新聞報道などに、北側が遺憾の意を表明したという見出しでおとといあたり金日成主席のメッセージと言いますか、が報道されておりますが、これは政府はどういうふうに理解をしておられますか。

中江要介外務省アジア局長

○説明員(中江要介君) 北側の遺憾の意と田委員のおっしゃいましたのは、恐らく人民軍最高司令官たる金日成司令官からのメッセージの内容だろうと思いますが、その中に幾つかの点がありますが、今回のような事件の発生は初めてであり、きわめて遺憾であるということで、こういうような事件が発生したことは遺憾であるという意味の遺憾というふうに受けとめております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 それは当然のことだと思いますが、この新聞を見た読者の人たちは、たとえば見出しに北朝鮮の遺憾の意、遺憾表明、こういうような見出しがついていれば、ああやっぱりやったのは北朝鮮かと、そして一連のソウルからの報道、ワシントンからの報道というものを通じて即断をすることはむしろ当然ではないでしょうか。そういうことがもし政府の対処にも反映するようなことになればこれは大変なことになる。ベトナム戦争と全く同じ、いやそれ以上にもっと密接な関係があるだけに、私はそのことを非常に危惧をいたします。  もう一つ、アメリカの過剰反能というその原因の一つに、アメリカの大統領選挙というものが関係しているのではないかという見方があります。これも一部の日本の新聞で報道されておりますが、こういう見解はアメリカ局長おとりになりませんか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○説明員(山崎敏夫君) われわれとしてはそういう見解はとっておりません。これはアメリカ側が現地における情勢を判断して、それに適切に対処し、紛争の拡大を防ぐためにとった処置であると考えております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これはむしろ私が、日本に充満している韓国並びにアメリカ側、両方とも政府ですが、その情報を打破するために逆に極端に北側の見解に立つわけではありませんけれども、アメリカ大統領選挙に関係があるという見方を御紹介いたしますが、それは先ほど糸山委員から出たカ−ター氏の問題に関係をいたしますが、カ−ター候補は在韓米軍の撤退ということを大統領選挙で政策として打ち出しておる。そういう問題に対してフォード側は、そういう甘いことを言っていたらごらんのとおり北側はきわめて危険じゃないかと、従来からの北側の脅威というものをここで改めて強調する必要があった、そのために一連の挑発を行って事件を巻き起こして朝鮮半島に緊張した状態をつくり出す、こういう必要があったという解釈も一方であるということをこの機会に申し上げておいた方がいいと思います。これは日本の新聞にも出ていることですからもちろん釈迦に説法でしょう、御存じのことと思いますけれども、そういう問題がいま朝鮮半島をめぐって非常に重要な段階にきていると思います。  この問題についてもまだまだ伺いたいことがたくさんあります。たとえば全く小さな、ポプラの木を切り倒すという問題までなぜフォード大統領が承認をしたのかという、そういうおかしな問題まで含めて、検討していけばいくほど今回の事件というのはまことに不可解でありますが、この問題についてはきょうは残念ながらこれ以上触れることが時間的にできません。  もう一つ朝鮮の問題に関係をして、この秋の国連総会に対する問題でありますが、政府はさきに、今回もまた韓国支持決議案の共同提案国になられましたけれども、なぜ今回もまた共同提案国になられたのかという点をまず伺いたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これは、過去の当委員会におきましても何度か申し上げたことでございますけれども、昨年のあのような二つのいわば意味合いを異にした決議案が両方とも国連の総会で成立したというようなこと、その前後の経緯等々を考えてみますと、どうもいわばお互いに多数を取ろうという、事柄の本質よりは決議案そのもので勝とうというような、最後にそういうところに努力が集中してしまいまして、あれはお互いに問題の本質というものをいわば二の次にしてしまったようなことではなかったかということを私自身は強く感じておりまして、できればああいういわば不毛な努力をことしは繰り返さない方がいいのではないだろうか。  それならばどうすればいいかと言えば、わが国は、昨年も主張いたしましたように、要するに、やはり南北、それから要すれば直接の関係当事者がとにかく話し合いをしてお互いに妥結点を見出していく、これこそ国連が支持すべき原則ではないだろうかというふうに実は昨年以来考えてまいりました。そのためには、決議案を出せばまたお互いにこっちの決議、あっちの決議といって、結局票集めに狂奔するということになりやすいのであるから、何か違う道はないかと思いまして、昨年以来最近まで私どもなりにいろいろ努力をしてまいったわけでございます。そうして決議案で争うよりは、ともかくお互いに話し合いをする場をお持ちなさい、そういう考え方を国連としてバックアップする、こうでなければならぬのではないかと思ってやってまいったつもりですが、北側からあのような決議案の提出があった。といたしますと、南としてもいわばおくれをとってはならない、自分の立場もはっきりしなければならないというようなふうに、いかにも昨年と似たようなまたコースをとりそうな感じになってまいりましたけれども、しかしそうなりますと、確かに問題の本質はやっぱり話し合いをすることだというわが国の主張は国連でしなければなるまいということになってまいりまして、したがいまして、十九カ国の決議案にわれわれも共同提案をしたという結果になりました。  私としましては、そうではあるが、ここでまた二つの決議案が出たわけではございますけれども、お互いに相手を批判をして、そうして自分の決議案の票集めをするということでは問題の本質には少しも進歩がないわけでございますから、決議案は出しましたけれども、やはり基本は話し合いだぞということを今後、まだ国連総会開かれておりませんが、今後強調して、そうしてそこへ何とか持っていきたいというのがわが国の努力の基本の方針でございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いま言われた意味は私もわからないわけではありませんし、不毛の争いというものになってはならないことは事実だと思います。  過去の国連における朝鮮問題の南北の支持決議案というものをずっと見てまいりますと、実に古い歴史があって、一九五五年に第十回総会で韓国支持決議案が出されて以来、北側の方が一九六六年からはまさに争いという状態でありましたが、同時にその歴史を見ていくと次第に接近をして、ついに昨年は両方が採択されるということになったわけで、途中いわゆる七二年の七・四共同声明の前後に双方ともに話し合いのムードをつくるために周辺が気を使って決議が出なかったという歴史があるわけで、いま望みたいのは、その七・四共同声明が出された当時の状況に国連も戻るべきではないかということだと思います。  確かに、今回出されました韓国支持決議案の内容を見ますと、字句その他かなり気を配っておられることは事実だと思うし、ここまで言葉をやわらかくされるならば、むしろ南北の対話、そして当事者間の解決というような問題に力点を置いて書かれていることを見れば、もっと何かの方法があるのではないか。私はむしろこれを読んで非常に疑問に思いましたのは、ここまで言われるならば、南北の対話とか当事者の解決と言いながらなぜ朴政権だけにてこ入れをするという日本政府の方針を変えられないのか。ここのところは明らかに矛盾だと思うんですが、日常的な韓国に対する、つまり朴政権支援の態度とこの決議案の内容とは明らかに矛盾すると思いますが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 南北が、一九七二年の声明にもございますように、究極の理想は話し合いによって平和の統一をするんだという、これは両者とも言っておることが同じことになるわけでございますが、その後の経緯を見ておりますと、それはベストであるが、しかし、最善ではなくても次善のベターな方法として、お互いの立場というものを認めて話を始めようではないかという南の考え方、いや、それは結局分割につながるのであるからそういうことは認められないという北の考え方、これを私ども有権的にどっちがいいということはなかなか言えませんけれども、相手を認めないという立場からは実は問題の解決は生まれないのではないかというふうに考えるものでございますから、それで、お互いに相手の存在というものを認めて話をされたらどうですかというふうに、まあ私どもの主張の力点をそこへ置いておるわけでございます。  確かに、わが国は北鮮を国家として認めておりません。そのことにつきましては、るる御説明いたしましたように、いま朝鮮半島に急激な変化を起こすということは、平和に対して場合によって撹乱要素になりやすいということからきておるわけでございますけれども、それはそれといたしまして、ともかく相手というものの存在を認識して話し合いをしたらどうですかということがやはり問題の基本ではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 朝鮮問題の基本は、七二年七月四日のいわゆる七・四共同声明にあると言っていいと思いますし、その点は否定をされない。むしろ今度の御提案も、共同提案国になっておられる御提案の中にもそういう精神が盛り込まれていると思うんですけれども、にもかかわらず、いまの状態になったことについての解釈の仕方に私どもと自民党政府の皆さんと相違がある。つまり、朴政権というものが七二年の十月十七日の維新体制以来極度のファシズムの体制をとっているということが南北対話を妨げているんだというのが私どもの基本的な解釈です。これは事実だと思います。心ある韓国の皆さんもこのことは弾圧の中でも勇敢に認めているわけですから、この点をまず改めていただかなければ朝鮮問題についての正しい進展、理解はあり得ない、このことをまずはっきり申し上げておかなければならないと思います。  ちょっと角度を変えて伺いますが、七月二十二日にキッシンジャー国務長官がシアトルの演説で、米中と南北朝鮮の四者会談を国連開会中に開いてはどうかという提案をいたしましたけれども、これについて外務省はどういうふうに理解をしておられるか、賛成なのか反対なのか、意図はどういうことなのか、その辺を伺いたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○説明員(中江要介君) キッシンジャーの七月二十二日の提案というのは、これはアメリカがアメリカの判断で提案されたものだと思いますが、朝鮮半島の問題は、いつも言われますように、まず当事者が話し合って決めていくのが最も望ましい。そういう意味では七月四日の声明というのを、いまもそれがあるべき姿だということは考えておりますが、同時に、そういうものを可能ならしめるための道として、直接関係当事国も一緒になってテーブルに着くことがそれを促進するのに役立つのであれば、それも一つの考え方ではないか。そういう意味で、私ども事務当局としては、もしそれが実現されるものならば好ましい国際的な雰囲気を醸し出すだろう、こういうふうな期待は持っております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 時間がもう来てしまっているようですが、非常に重要なところなんでもう一言伺いたいんです。  それでは、今度北支持の決議案が出ておりますが、これについて、たとえば昨年の決議案と対比をしてどういうふうに理解をされているか。  先に私の方の考えを申し上げれば、一般的に言われているのは、表現がきつくなっているというようなことを言われていますけれども、私はむしろ非常に柔軟になっているんじゃないだろうかという気がいたします。これはコロンボの非同盟諸国会議の問題、きょうは議論ができませんでしたが、非同盟諸国会議で朝鮮問題についての決議というものが行われております。これも一部の報道によると北側は失敗したんだ、全会一致の決議を取りつけることができなかったというふうな点を強調しておりますが、そうではなくて、非同盟諸国内部並びに北側からの報道は、明らかにこの決議の内容を明快にこれが決議として成立したことを伝えておりますが、その決議の内容と今回北支持として国連に提出された決議案の内容は非常に一致いたします。字句その他でも一致をいたします。たとえば、「大民族会議のような」という、「のような」という表現を使っているあたりが私は注目すべきだと思っていますし、それから昨年非常に日本を含めて韓国側の攻撃の対象になりました、韓国を除いて米朝間で停戦協定を平和協定に移行させるという話し合い、この点についても、非常に重要な点でありますが、態度が変わってきている、こういう点をむしろ注目すべきではないかと思いまして、韓国支持決議案といま申し上げた北支持決議案というものの双方の背後にあるいろいろな配慮というものを考えたときに、先ほどの板門店事件の非常に鋭い対立とは別に、実は国連の舞台では票争いは行われるでしょうけれども、微妙な双方のというか、特に私は北側の努力の跡があると思いますが、こういう解釈は当たらないでしょうか、外務省の見解を伺いたいと思います。

大塚博比古外務省国際連合局外務参事官

○説明員(大塚博比古君) いわゆる北側の今度出てまいりました決議案と昨年のやっとを比べてどうかという御質問でございますが、多少細かいことになりますので私どもの方からお答え申し上げます。  まず、昨年のいわゆる北側の提案の議題と内容が違っております。昨年の場合には休戦協定をより永続する、平和的、平和にコンバートするための有利な条件をつくることというふうな議題になっておりますが、今回の議題はそれと異なりまして、今回要請されてまいりました議題は、戦争の危険の除去というようなことを第一に掲げているところが議題の出し方の相違ということで一つ指摘される必要があるのじゃないかと思います。  それから内容につきましては、ただいま先生の御質問の中で、昨年よりむしろリーズナブルではないか、たとえば昨年非常に問題になりました韓国側、いわゆる南側を除外したという点は、民族会議のような会議ということで緩和されているではないか、そういう御趣旨だったと思います。  それに対しまして一つ私どもの方から御指摘申し上げたいのは、昨年のいわゆる北側の決議案の骨子でありました国連軍司令部の無条件解体という決議、これを今度の北側の決議では、最後の項目ではございますけれども、その決議を再確認するという形になっております。  それから、この決議を出してきました北側の追加議題申請に当たりましての説明覚書ということの内容を見ましても、北側の決議案の趣旨は、あくまでも昨年の決議の再確認を求めるという立場から、それにつけ加えまして、たとえば主文の一項におきまして、朝鮮に対する外国軍の、外国の軍事的関与及び侵略行為の即時停止というものがいわば昨年には見られなかった、多少激しいと思われるような表現を含んでいるという点を総合いたしますと、これは昨年とことしのいわゆる北側の案を比べますと、ことしの案はかなり昨年のよりも何といいますか調子の高い、強い調子のものになっているというふうに思っておるわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 最後に申し上げておきますが、冒頭の板門店の問題でも申し上げたように、すべてこの朝鮮問題について余りにも朴政権寄り、そしてそれを支援するアメリカ寄り、こういう立場から情報を集め、その基礎の上に立って判断を下すということ、これはぜひおやめいただきたい。必ず、ベトナムの問題のときに私がこの席で何回となくその危険を指摘した結果があのとおりになりました、同じことが朝鮮問題で起きると思います。必要なら、私どもの方から北側の情報なり私どもの意見をいつでも申し上げることは可能なのでありまして、政府が判断を誤るということを私はいまの大塚さんの答弁の中からも空気として実に強く感じたことを最後に申し上げて終わりたいと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 外務大臣にお尋ねしますが、非常に重要な外交案件を抱えながら、政界の混乱のために日本外交は休業をしているんではないか、こういうような批判もあるわけでありますが、われわれはそうであってはならないし、そうではないと信じておるわけでありますけれども、この問題について外務大臣はどう考えるのか、承っておきます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これは御心配のようなことがございませんように極力私ども努力をいたしておるつもりでございますが、何分にも、事の軽重によりましてはある程度政治的な決断をいたさなければならないという種類のことも、しょっちゅうではございませんが、たまにございます。やはり国内政治が落ち着いていてほしいということは、恐らく外交に関係あります者多数が思っておるのではないかと思います。できるだけ私どもそのようなことのないように最善の努力はいたしておるつもりでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 現在の自民党内のいろいろな対立というものは、国民の立場から見ればもういいかげんにしてもらいたい、そういう気持ちではないかと思うわけであります。われわれもこういうことで日本の将来がどうなっていくのか、他の党のこととは言いながら、やはり日本の与党でございますので非常に心配をしているわけであります。これは生みの苦しみという見方もあるかもしれませんが、外務大臣は三木内閣の閣僚であり、また一方では所属する派閥にも属し、そういう点からのいろいろな圧力というか、方向もあるし、また一方では自民党の将来を背負うホープとも言われておるわけでありますが、宮澤外務大臣として現在のこの政局に対してどのような信念で乗り切っていく決意であるのか、その点を最初に伺っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 閣議の一員として考えますことは、やはりこのロッキード事件というものは、先ほども申し上げましたように、徹底的に解明をすることによってのみ国民の理解と支持が得られる、それ以外に方法はないというふうに考えております。  それから外交の責任を持つ者といたしましては、これもただいま申し上げましたように、ともすれば国内の政情不安定というものは、ことに在外の外交官にやはり心配の要素になる、そういう要素でございますから、できるだけそういうことが起こらないように、また、そのような期間が短く済むようにというふうに努力をいたしておるつもりでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 きょうは北方領土の問題も二、三お尋ねする予定でございましたけれども、先ほどもお話がありましたように、外務大臣も北方領土視察を九月中旬ごろをめどにいろいろ準備をされておる、こういうようなお話を委員長からも、また先ほどもお伺いいたしましたので、この問題は今日はとどめたいと思います。  ただ、先般当委員会が北方領土を視察し、先般のこの委員会でもいろいろ問題になったわけでありますが、いずれにしても、やはり外務大臣の北方領土の視察がこの北方領土返還へのまず原点である、われわれもそのように思っております。そういう意味で訪問を決意されたことを心から喜ぶとともに、ぜひいろいろなことがございましてもそれを実現をし、外務大臣としてこの北方領土返還をがんばってもらいたい、そのことを心から要望しておきます。  次に、先ほど田委員からもお話がありました板門店における事件の問題でありますが、先ほどアメリカ局長は、アメリカの態度は過剰防衛、過剰反応ではないということをここで明言されたわけでありますが、私たちは正直言って事態の推移というものがよく理解しがたいところもあるわけで、先ほどの話のように、日本へ入ってくる情報がどこまで正確を伝えておるのか、そういうのがわからない。そういうときに過剰反応ではないということをはっきり明言するというのはどうかと思うんです。そういうところにまあ日本政府の姿勢というものが問われるんではないかと思うわけでありますが、外務大臣はどう考えるのかですね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど田委員に私が、現実に起こった事態について事実関係でコメントを申し上げる立場にないと申し上げましたのは、田委員がちょっと言われましたように、確かに私ども両者の情報を十分に比較検討する機会に恵まれない。それは片っ方は——片っ方と申しますか、北側はどちらかと言えば閉ざされた社会でございますし、わが国の報道機関その他の国の報道機関も自由に取材活動ができるわけではございません。他方で、まあ国連軍といいますか、この場合にはアメリカ、各国の報道機関がカバーをいたしておりますから報道量は多い、いい悪いでなく報道量、報道の質に均等でないものがございますので、したがって、俗な言葉で一体どっちが悪いんでどっちがいいんだというようなことは軽率に申さない方がいいという意味合いで申し上げたのでございますけれども、ただ、事実問題だけ申しますと、国連軍の将校が二人殺害されたということは、これは事実としてどちらも否定していないようである。それはアメリカにとりましてはアメリカ人ということになるわけでございますから、そのような意味で、これが不測の事態に発展しないように米国として十分の準備を持って対処しょうとした、そのこと自身は私は非難せらるべきことではないというふうに存じます。  もしこれが、これだけの事態の上に立ってアメリカ側あるいは国連側がいわゆる実力行動に出るというようなことになりますと、これはその行為そのものが過剰防衛であるかないかというような議論になろうかと思いますけれども、ただいまの事態はそうではないわけでございまして、むしろそうなることを事前に防いでおこうという考えもあったのではないがと想像もせられますから、それ自身を私はいわゆる過剰反応であるというふうには考えておりません。その点アメリカ局長の申し上げたことは誤りでないと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 まあ私は、いつも米国のそういう姿勢と申しますか、非常に力を誇示をしていくというやり方、まあたとえば今回のこういう事件が起きた場合に、やっぱりすぐ兵力を結集をして力を誇示をしていく、こういう行き方にはわれわれも非常に賛成をしがたい。一方それがアメリカにおいては全く国内の批判は何もない、こういうところにやはり日本人の考え方とアメリカ人の考え方が大きく食い違うんじゃないか、こういう点をいつも感ずるわけであります。  たとえばこういう場合でも、こういう機会を利用してアメリカからだれかを向こうへ派遣するとか、そういう人間と人間のやはり話し合いをこういう機会に深めて、そうしてお互いに人間の信頼を深めていく、こういうような方向がとれないものかどうか。結局こういうような何かあったらぱっと力で抑えていくというようなやり方では決して平和の方向へは前進をしないんではないか、これはまあアメリカのやったことですからとやかく言うことはできないかもしれませんけれども、われわれは率直な意見としてそういう感じがするわけですけれども、外務大臣はどう考えるのか、伺っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これは現在の世界の平和が何によって維持されておるかということについてのやはり考え方の問題であろうと思います。アメリカはしばしば現在の世界の平和の状態、このごろはデタントという言葉は使わないそうでございますけれども、そのようなもの自身がやはり力によって維持をされておるということはアメリカがしばしば公言をしてはばからないところでございます。恐らくアメリカばかりでなく、やはり現実的にはそうであると考えておる国が世界全体で言えば非常に多いのではないだろうか。わが国はしかし、そのような力による世界の秩序の維持、武力による維持という考え方は新憲法によって捨てたわけでございますから、わが国はそういう哲学を持っていない。ただ、そのようなわが国はむしろ世界各国の中ではきわめて例外的な存在であろうと思います。したがいまして、アメリカにいたしましても、あるいはソ連にいたしましても、その他のいわゆる大きな軍備を持っておる国々は、遺憾ながら平和というものは今日まだ十分な武力の準備なしには維持できないものであるということを世界の現実として考えておるのではないだろうか。これはしたがいまして認識の問題になるであろうと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 いま外務大臣は、アメリカは力によって、力のバランスによって平和が保たれる、だから力を蓄えていかなくちゃいかぬ。日本はいわゆる新しい憲法によって日本の方針は違う、こういうお話でございますが、これはアメリカは日本の国とは違うわけですから、ここで幾ら非難をしても始まらないわけですけれども、先般UNCTADのナイロビ総会のときに、わが国の木村代表が関係国を呼んでレセプションした、北朝鮮の代表も呼んだわけですね。そのときには北朝鮮の代表も来ていろいろ対談をした。その後、北朝鮮の代表から木村代表のところへ連絡があって、もう一回いろいろお話し合いをしたいというときに木村代表が、私はUNCTADの代表で来ているのだからほかの話はできない、こういうように断ったということを新聞報道で見たわけです。これは事実であったのかどうか。

中江要介外務省アジア局長

○説明員(中江要介君) 私どもが承っておるところでは、いま塩出委員のおっしゃったように聞いております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 先ほどから朝鮮問題の解決は確かに南北の話し合い、自主的な話し合いによって統一されていくのが一番いいということはこれはもう当然なんですけれども、しかし、それに対してわが国が何をしていくか、そのためにはやっぱりわが国は南とも北とも交流をしていかなくちゃいかぬ。そういう点から国交の正常化が一番いいわけですけれども、まあしかし、それは左右のバランスを崩し北と正常化することは、国交を持つことは朝鮮半島に混乱を起こす、こういういまのお話だったわけです。それはわれわれは納得はできないわけです。それは別としても、たとえば今回の、いまのナイロビ総会におけるこういうときに、できるだけやはり北朝鮮の人たちとも交流をして、わが国の考え方、先ほども宮澤外務大臣が言ったように、やっぱりわが国の姿勢としては南だけにべったりではないんだ、こういう考えなんだと、そういうことをどんどん話し合っていくということが日本としても非常に必要なんじゃないか。アメリカと同じ行動ではなしに、アメリカとは違った日本独自のやはり一つの姿勢があるんじゃないか、こういう意味で木村代表が北朝鮮の代表との接触を断ったということは非常によろしくないんじゃないか。今後はもっと積極的に話し合いをし、日本の立場も言うべきではないかと私は考えているんですが、その点はどうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) わが国は、いわゆる北とは人の行き来もございますし、文化、スポーツあるいは貿易もある程度御承知のようにやっておるわけでございますから、そういう接触を拒否しておるというわけではもとよりございません。現にUNCTADのナイロビの会議におけるがごとく、北側がその会議の正式のメンバーであるということであれば、木村代表はすべてのメンバーをレセプションに招待するという立場からいってこれを除外すべきではない、こういう態度をとってまいっておるわけでございます。ただ、政府としての、あるいは国としての北というものをわが国が承認していないということの理由は先ほど申し上げたとおりでございますが、結局いま北側にとってやはり朝鮮半島の問題を解決する上で南と話をしていくということは、南というものの存在をどういうものであれ認めるということになるのでございましょう。そうしてもらいませんと朝鮮半島の問題の平和的な解決はむずかしいではないか。北としてみれば、いや、それは分裂国家を固定することにつながるという主張にほかならないということを言っておるわけでございますが、現実の問題としてそう言わずに南というものと話をしてみるというような物の考え方が北側に出てこないであろうか、そこからいろんな問題が解決していく糸口になる。いかにもそこがかたくなではないだろうというふうに私どもは実は思っておるわけでありまして、私どもとして北と一切の接触を絶っておるという段階では現状ではない。非常にそこは微妙なところでございますけれども、やはりそこは北の朝鮮半島問題解決に対する対処の仕方、そういったようなこともいろいろに将来この問題に影響をしてくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 やはり北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国とさらに接触を深めていく、さらに国交を正常化していく、そういうことが私は決して南北の朝鮮半島の混乱を増すものではない。それはわが国が一方の国にむしろ武力援助をするとか、そういうようなことは非常によくないことだと思うんですけど、しかし国交を正常化する、交流を持つ、そういうことが現在の南北の、まあ先ほども話がありましたように混乱を増すという、それは一部には非常に北に対してもう反射的にそれをいやがる勢力があるかもしれませんけど、しかし、道理から考えてわが国が北朝鮮と国交を正常化していくということは正しいことなんですし、それに対して何だかんだ言う方がぼくはおかしいんじゃないか。日本としてはそういうことに気をとられないで、やっぱり外交というのは何もかもみんなの喜ぶような道はないわけですから、多少の摩擦があっても正しい道を歩んでいく、そういうことが結局は本当の意味の親善になっていくんではないかと思うわけであります。そういう意味で朝鮮民主主義人民共和国と国交を正常化していくことが朝鮮半島の非常に混乱を増すという考えは私はちょっと理解しがたいわけですけれども、どういうわけでどういう点を心配されているのか、その点をお伺いしておきます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 南いわゆる韓国でございますが、韓国としては北との間の関係を非常に緊張したものとして考えている。これはどこまでが主観的なものであり、どこまでが客観的なものであるかということはなかなかに判断のむずかしいことでございましょうけれども、とにかく主体的にはそのようにとらえておることは事実でございます。しかも、北側は韓国と話し合いというものはしない、存在は認めないという、ただいまのところそういう態度をとっておる。といたしますと、わが国がその北側の存在を認めるということは、わが国と朝鮮半島とのいろんな意味での近さから考えますとやはり相当大きなバランスの変化を引き起こさざるを得ない、そういう結果にならざるを得ないというふうに考えられます。現状が私は最善の状態であるというふうに申し上げておるわけではございません。もっといい状態があり得るであろうが、しかし、現状をこれ以上不安定なものにするということは、そちらの方向に変化させるということはわが国の国益にならないだろうというふうに判断をしておるわけでありまして、いまの状態がもう一番ベストな状態であるというふうには私どもも考えていないわけでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 やはり北朝鮮の考え方にも、いまの朴政権を話し合いの相手と認めない、ところが非常にそれでは困るといういまの外務大臣のお話です。だがわれわれは、何もいまの現状ですぐ国交を正常化しろというんじゃなしに、やはり正常化していくには一つの条件があるわけですから、そういう話し合いをする中で、わが国も北朝鮮ともつながりを持ってお互いに協力していこうじゃないか、そのためにはおまえたちもこういう考えになってもらわなければ困るんだ、そういうところから北朝鮮の姿勢も正し、またわが国の考え方も理解をさせ、そうして北とも南ともお互いに強いパイプを持っていくことが、やはり朝鮮半島に最も関係の深いわが国としての大きな努めではないか、そういう意味で、まあこれは国交を持つと申しましてもいろいろな難関はあると思うんですけど、もうちょっとその方向に前向きに積極的に努力して、そこから出てくる問題を一つ一つ解決していく。宮澤外務大臣もいまの現状はベストではないとおっしゃっているんですから、もうちょっとよりベターな道を求めてやっぱり努力をすべきではないか、こういうことを感ずるわけですけれども、そういう点どうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) そういう大きなと申しますか、将来に向かっての展望の中で、現在のわが国は北とけんかをしているわけではございません。争いは北と南との間にあるのでありますから、まずだれよりも北と南がお互いに話し合いをすべきではないのか。幸いにして南側はそれを拒否していないのでありますから、北は同じ民族でもある南とともかく話し合いの場というのを持つべきではないのか、そこから将来に向かっていろいろな問題がほどけていく契機は生まれませんかということが、私どもが国連でやっぱりとにかく南北が話し合いをしたらどうですか、一遍は七二年にそういうところまで考え至ったんでしょうということを強調しておるゆえんでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 時間もありませんが、私はだから、そういう話し合いをしたらどうですかというだけでは前に進まぬわけですから、けんかの仲裁でも、おまえたち夫婦仲よくせいと言う前に、やっぱり両方とこちらがパイプを持つということは大事なわけで、そういう意味でもっと北朝鮮とも接触を政府としても密にするようにもっと努力をしてもらいたい、こういうことを要望しておきます。  最後に、余り時間はないわけですけれども、日米の漁業交渉の問題、これが御存じのように二百海里専管水域の問題、アメリカでこの沿岸保存管理法というのが通過したために、いま日本の漁業交渉というものは予想外に米国の態度は厳しいんじゃないか、われわれも新聞報道を見てちょっとそういう感じを持っておるわけなんですけれども、大体この見通しについては、いままでどおりの漁獲を確保することができるのかどうか。あわせてカナダとの関係、カナダの方も漁獲量の問題、あるいは船の隻数の問題、そういう点でかなり厳しい注文をつけてきておる、こういうようにわれわれ聞いておるわけなんですけれども、大体外務省の見通しとしてはいままでどおりの漁獲を確保できる見通しなのかどうか。その点はどうですか、簡単でいいです。

中島敏次郎外務省条約局長

○説明員(中島敏次郎君) お答え申し上げます。  日米の漁業交渉は先週から今週にかけましてワシントンで行われております。外務省及び水産庁の代表と、それから業界の方々も大勢参られましてただいま話し合いをやっておる最中でございます。  ただいま私どもの理解します限りは、現地から受けております報告によれば、水産庁関係の専門家が先方の漁業関係者と資源の度合い、どのような状況にあるかという点について向こう側とこちら側との資料のつき合わせというようなことをやっておる段階でございます。目下のところ、わが方の最大の交渉の眼目である実績の確保という点でどのような見通しになるかということは、ちょっと判断を立てにくい状況だと思います。いずれにいたしましても、アメリカ側の法律は先生おっしゃられるとおり相当厳しい内容のものでございますので、前途を楽観することはできないと思います。ただいまのところでは、見通しにつきましてとやかく申し上げるのはちょっと控えさしていただきたいというふうに考えております。  カナダにつきましては、まだ話し合いをやっておりません。これからの問題でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それで御存じのように、漁業保存管理法という法律が米議会を通りまして、たしか三月一日からこれが行われると聞いておるわけですけれども、そうすると新聞等の報道では、すでに法律が通ってしまった以上、アメリカの政府としてのいわゆる裁量、アメリカ政府がいろいろこうするああすると判断できる範囲というものが非常に狭いんじゃないか。結局、法律があれば米政府もこの法律を守っていかなくちゃならないわけですから、その点がどうなっているのか、これはどうなんですか。私は実はこの法律の内容をよくまだ勉強していないんですけれどもね。

中島敏次郎外務省条約局長

○説明員(中島敏次郎君) おっしゃられますとおり、向こう側の行政官といたしましては向こう側の議会を通りました法律に従いまして交渉をやっておるたてまえでございますので、その法律に縛られると申しますか、その法律の枠内で交渉はやるという立場にあるわけでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 私は、非常にこの二百海里経済水域の問題にしても、そういうものはできても大体いままでの漁獲量は入漁料を払っていけば可能である、そのような感じを持っておったんでありますが、しかし、最近のいろいろな情報ではかなりそれが厳しいことで、その原因が、結局二百海里という漁業保存管理法というのをアメリカ議会が通しちゃったわけですね、実際は。これは海洋法会議でもアメラシンゲ議長が、こういうようなことは各国が海洋法会議の結論が出るまでは自重してもらいたいと。わが国はそれを守って三海里を十二海里にすることすらも自重して、ほかにも理由はあるかもしれませんけれども、きておるのに、アメリカのような世界の大国が率先してこういう法律を通す、これがわれわれ非常に理解ができないわけですけれども、それがもう通ってしまえば、あと幾ら政府が交渉をしてもなかなか漁獲量も確保できないというのであれば、これはもう日本の水産業界にとっても、日本国にとっても大問題だと思うのですね。そういうことであるならば、やっぱり早目に日本の国の対応策も立てなくちゃならないし、また、アメリカのこの法律が成立する前に議会に対する働きかけももっともっと強力にすべきではなかったんじゃないか、そういう意味で、まあこれはわれわれ議員も情報不足で責任もあるかもしれませんけれども、外務省は、そういう外国の情報を取る窓口が外務省なんですから、私はこういう問題についての外務省としての非常に見通しが甘かったんではないか、そういう感じがするんですけど、その点どうですか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○説明員(山崎敏夫君) アメリカの二百海里漁業水域法が通ったことについて外務省の見通しが甘かったんではないかというお話でございますが、われわれといたしましては、御承知のとおりアメリカのような大国が率先してそのような二百海里漁業水域を設定することについては、終始一貫反対してまいったわけでございます。そういう立場から、機会のあるごとにアメリカ政府に対して申し入れを行いました。そしてそれは、大統領に対しても国務長官に対しても行ったわけでございます。その際の米国の行政府の立場としては、この法律の内容については自分らとしてもいろいろ意見があるので、その点は議会にも伝えておるということでございまして、ある意味で行政府に対しては十分な働きかけは行っていたと考えます。しかしながら、これはアメリカの国内問題でございますから、われわれとしてはコメントする立場ではございませんけれども、フォード大統領としては諸般の事情から、最終的には、このでき上がった法律の内容について種々な不満があるということは明らかにした上で、この法律の成立を認めたわけでございます。この点については、われわれとしては現在においても非常に遺憾に考えております。そして、われわれが今回の交渉を開始するに当たりましても、米国のような大国がこういう一方的な漁業水域を設定したということを認めるわけにはいかないという立場はとっております。しかしながら、現状においては、塩出委員の仰せられましたように、そういう法律はすでに通ってしまったわけでございまして、その現状を踏まえて、われわれの伝統的な漁業実績が最大限に確保されるように考えていかなければならないわけでございます。  この法律は来年の三月一日から施行になることになっておりますので、それまでに何としてでもわが国のこの地域における漁業、これは非常に日本にとって大事なものでございますが、これが維持できるように最大限の努力を払いたいというふうなことでやっておる次第でございます。見通しは、条約局長も申しましたように決して明るくはございませんが、われわれとしても最大限の努力を払っておるので、この点については今後とも御支援を願いたいと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 最後に外務大臣に、この漁業交渉は、日本の国民の食糧源としても、また漁業関係者の生活のためにもぜひがんばってもらわなきゃいかぬわけですけれども、今回のこの事件を通して、確かにいまアメリカ局長が話しましたように、政府としてはアメリカ政府には非常に強力に要請をしてくれたわけですけれども、御存じのようにアメリカは全部法律も議員立法で、大統領に拒否権はもちろんあると思うんですけれども、そういう意味で、最近になって自民党の海洋資源委員会の議員がアメリカにも行ったようですけれども、漁業保存管理法を米国の上院下院が審議をするとき、そういうときにやっぱり、もっと議会に対しても、国際会議である海洋法会議で議長がこう言っているという点から見てもアメリカのやり方はよくないわけでありますし、それは日本にも最も被害があるわけですから、もっと議会にも対策を打つべきではなかったか。そういう意味で、これは前にも申し上げたことがあると思うんですけれども、外交というのは外務省だけではなしに、われわれ議会も与党野党ともにそういう問題については国益を守るという立場でともに努力をしていくべきであって、外務省としても外交問題においては国益保護のためにもつと与党野党の協力も仰いで、こういう状態だからひとつこうしなくちゃならない、こういう姿勢をもっとぼくはとってもらいたい。だんだんいろんなことが国際化してくる事態になってきておるわけですから、今後の外務省としてもそういう姿勢をとってやってもらいたい。一生懸命努力したけれどもアメリカで法律が通っちゃったからやむを得ないんだと、それはそれかもしれませんけれども、しかし、それじゃ漁民はどうなるかというと、困るわけですね。そういう意味で、もっと努力すべきだ、努力する余地があったんじゃないか。これはわれわれも責任があります、黙って見ておったわけですから。しかし、外務省としても、議会にも要請をして、アメリカの議会にもっと働きかけるとか、こういうような方向で進むべきではないか。このことを要望したいんですけれども、その点どうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) この法律は、御承知のように、フォード大統領といいますか、行政府は反対をしておったわけでございます。そこで拒否権が使えるか使えないかというところまで話は行きまして、この間のフォード大統領の三木首相に対する説明におきましても、自分のところは反対であった。そこでせいぜいなし得たことは施行期日の問題であるとかその内容をかなり緩和するとかいうことであったという説明があったわけでございます。ですから、そういう意味では、問題の点は、日本のそういう反応は知らなかったとかなんとかいうそんな単純なことではなく、アメリカの国内の、いわゆる漁業資源というものに連なる議員たち、それと従来の国際的な立場を踏まえてアメリカの政策、法律を考えるべきだという議員たち、それからもう一つは、海洋法会議というものはあるけれども、しかしこれはやはり一つは主権の——ちょっと古い観念かもしませんが主権の問題であるというような考え方をする議員たち、そういう人たちのいろいろ絡まりましたことから、こういう結果になってしまったと思われます。したがいまして、わが国あるいはわが国以外の他国がこれに対してできるだけその立場から再考を求める、影響力を行使しようとしましても、今度のような場合にはかなり問題は純粋にアメリカの内部のそのような関連から起こったことのように思われます。もとより、いま塩出委員の言われますように、日米両国のことでありますので、ただ行政府のみならず、兼ねて、立法府に属される方々が十分に事あるごとに意思疎通をし、おのおのの行政府からの考え方というものを議員として接触をしていただいて話をしていただくならば、もう非常に私どももありがたいことでありまして、今後、事があったときでは遅うございますから、平生からそのような両国の議員間の行き来、接触というものを深めていただくことができますれば、私どもとしてもこれは非常に日米間の関係に裨益するに相違ないと考えておるわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いま問題になりました朝鮮問題ですけれども、先般開かれました非同盟諸国首脳会議で朝鮮問題の決議がどういうふうな行方になるかという点については外務省も非常に注目されておったというふうなことを新聞報道で見たわけですが、今回非同盟諸国首脳会議で行われた朝鮮問題の決議の内容と、それから国連の三分の二に上る多数の国々が集まったそういう国際的な会議の場でこういう朝鮮問題の決議がああいう内容で行われたということについて、宮澤大臣はどのような御所見をお持ちですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、このたびのスリランカの会議というもののきちんとした経緯、内容というものがいまだに十分わかっておりませんで、これは非常に秘密裏に行われたようでありまして、私どもの在外の出先でも正確にフォローすることはできないということでございました。そして、朝鮮問題の決議もこれは大臣会議が終了いたしましたときに成立したというよりは、何かその後に少し問題を残したような形で収束されたというようにも聞きますので、どういう経緯でああいうことになったかということがもう一つ実ははっきり私どもにわかっておりません。もう少し時間がたちますとわかるかと思います。  いずれにいたしましても、会議の中ではいわゆる北鮮のかなり強い、まあこれはこの場合は当然に強ければ強いほど、国連で議論をする場合には北鮮にとっては望ましいということでありましたでしょうが、態度に対して、非同盟会議に参加の国々からかなりやはりそれについてはいろいろなアドバイスが行われた、アドバイスが行われたといいますよりは、意見が出されたというようなことであったように思いますので、全体の八十五カ国のいわば色分けと申しますか、この問題についての見方がどのようなものであったかということについては、もう少し時間がたちませんとはっきり判断が下せないように私としては思っているわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 経緯や全文等々明確になった時点で、またその点については大臣の御見解を承りたいと思いますが、先ほど言われました、お互いに決議を出し合って国連の場で多数派工作をやる、こういう本質から外れたような不毛なやり方ではなくというふうな趣旨の先ほど御意見を述べられたわけですが、しかし、今度日本側が共同提案国となって行ったあの提案ですね、やはり日本の外務省としてもあれに多数の人々が賛成してもらうように、多数派工作というものは外務省としては考えておられるんじゃないですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの段階で考えるべきことは、北側の決議というものの背後にある考え方が果たしてどのようなものであるか、これはある意味で前回に比べてやわらかくなっているところもあるというような御指摘も先ほど一部の委員からございました。また、必ずしもそうではないという見方をお答えした事務当局の意見もあったようでございますが、これはやはり少し推移を見まして、何を北側は今回考えているかということをもう少し知らなければならないと思うんでございます。それで南側の、韓国側の決議の趣旨とするところとどこかに共通点が見出し得るものであろうかどうであろうか、そうすればそこから問題解決の糸口が見つかるかもしれない。まあ不幸にしてそういうことでないかもしれませんが、しかし、そういう努力というものを、私どもいますべきことはそのことである、これからすべきことはそのことであって、そしてもしそれに成功するならば前回のような轍を踏まずに済むわけでありますから、まずそこに私はわれわれの外交努力を集中すべきであろうと思うんでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 先ほど大臣も述べられました、やはり当事者が話し合いをすべきであるという点ですね。これはある意味においては私たちも決して反対しているわけではなくて、ただ問題は、もちろんこれは武力によらず話し合いで解決するという意味から言うならば、これは話し合いで解決すべきというのが大前提だと思うんですね。しかし問題は、何をどのようにして話し合いをするかというやはり問題があると思うんです。話し合いをするには何を話し合うのか、何の解決のためにということになると、やはり朝鮮の人々が最大限の念願としておるのは、自主的、民主的平和の朝鮮全土の統一ですね。このことを目指しておる。これのネックを何とかして除いていかなければならないという形でやはり朝鮮の人々は努力をしておると思うんですよ。それで、日本の政府としては朝鮮南北が不幸にして分断されておる。この自主的、平和的な統一が実現できないいわゆる原因というのがどこにあるというふうに日本の政府としてはお考えになっておるか、いまの時点で。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに話し合う以上、何を話し合うのかということを決めなければだめではないかとおっしゃるのに一理はございますけれども、実は問題はそれより前に、もう韓国というものはいわば話し合いの対象として認識をしないのであるという態度そのものを変えてほしいと言っておるわけでございます。したがいまして、まさに何をとその次には問題が出てくるわけですけれども、何であれ、韓国というものとは一緒の席に着かないのだということが困るではないか、こう言っておるわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大臣の言われることよくわかるんです、わかるというのは、賛成だという意味ではなくて。だから、いま朝鮮で統一すべきだということですね。自主的、平和的に統一できるという念願を持っておるわけですから、これをやはり何が妨げておるのかということが基本的な理解として日本の政府になければならないだろうと思う。そういう意味で何が妨げているというふうにお考えになっているか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これは先ほども田委員に申し上げましたように、北側の情報を私ども十分に持っておりませんから、そのことをひとつ前提として申し上げるしか方法はないのですが、七二年にとにかくあそこまでいった。しかし、単純に比較することに問題があるかもしれませんが、今日といえども韓国側はなお同じ姿勢を持っておる、話し合う用意があると言っている。しかし、北側はもはやないと言っておるわけでございますから、そのもはやという中でもし理由があるとすれば、七二年から今日までの北側が見る何か情勢の変化と考えるわけでございましょうね、論理的には。それが何であるかということがはっきりいたさない。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これはやはり日本の外務省としても私ははっきりさしておく必要があると思うんですけれども、大臣はベトナム問題の教訓の中から述べられた発言として、やはりいま民族の自決ということが歴史の流れになりつつあるというふうに私は述べられたと思うんですよ。やっぱり朝鮮問題を解決する根本は、外国の干渉なしに、いわゆる外国の軍隊が駐留するとか、核兵器まで持ち込むとかいう事態をなくすということが基本でなければ、朝鮮人がみずから統一しようという状況にはなり得ない。だから、私たちはやはりいま朝鮮の自主的、平和的な統一を妨げているのは米軍の駐留だと思うんです。アメリカによる干渉が最大のネックになっておる。これをなくしていけば朝鮮人民みずからが自分たちの国をどうするかという方向を見出していけるだろう。このことを見落として、ただ話し合いするといったって、一方ではげんこつで一生懸命干渉している関係の状態の中では、何を話し合いするのかという問題も明確にならないだろう。だから私は、そういうアメリカの介入、干渉ということをやはりもっと朝鮮問題の場合には基本に据えて見る見方というのが必要ではないかと思いますけれども、これはもう大臣自身が、民族の自決の流れはいまや歴史の流れになりつつあるというふうにベトナムの問題のときに述べられたわけですから、そういう点から考えて、いま私が述べたような点についてはどのようにお考えですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、七二年の七月四日の共同声明というものでそういうふうにしていこうという合意があったわけでございますね。それと今日までの間にどのような状況の変化があったからあの合意がだめになったのかということを考えてみれば答えが出てくるのではないかと私は思うわけですが、あの段階といまと何が違っておってあの共同声明の趣旨が実現されないのかということに私はなるんじゃないだろうか。それはアメリカ軍が、あるいは国連軍がおるということであれば、言ってみればあの時点においてもおったわけでございますしいたしますから、アメリカ軍が南におるのはけしからぬというのならば、南と会談をしてそう北が言えばいいのであって、かつて話し相手として認めた相手がもう認められないというについては、何か説明があるんだろうと私は思いますけれども、そこを北側から、情報不足もありましてなかなか聞き出すことができない。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私は、朝鮮民主主義人民共和国の考え方を代弁するという立場ではもちろんありませんから、そういう趣旨で述べるわけではありませんけれども、しかし、実際にその後の起こった事態というのは、アメリカは依然として力の政策を行使する、それに事実上韓国の安全は日本の安全にとって緊要であるという日本のいわゆる協力体制、日米防衛協力小委員会まで設置される動き等々が出てくるわけですね。こういう動きというのが一方にある。しかし、実際に朝鮮民主主義人民共和国側も話し合いをすべて私は否定しているんじゃないと思うんですよ。アメリカと話し合いましょうと、アメリカ自身が、あなた方が朝鮮に干渉してきているんだから、この問題を解決するために話し合いましょうということを提起しているわけですよ。何も北朝鮮が話し合いをすべて否定しているという意味ではなくて、これは七・四声明以後の動きの中から考えて、やはり北朝鮮側が考え出した私は考え方だろうと思うんですよ。ですから、朝鮮の問題を根本的に解決するという点で言うならば、この米軍の撤退ということをどのように実現していくのか。いわゆる民族の問題を民族自身が解決する、こういうことが明確にならないような状態では、また先ほど言われましたように、韓国の側にだけ協力をして、それもただ単なる経済協力ではなくて、いわゆるアメリカの力の政策に事実上協力するような形での事態が発生しておる、日本の場合でも、というふうなことを私たちはもっと重視しなければならない。そういうふうに考えるんですけれども、との点についてはこれ以上議論をしても大臣が述べられる答弁は私は同じだろうと思いますので、私は一方的にこの見解だけ述べておきたいと思うんです。この問題については後日、時間のあるときにまた議論をしたいと思います。  問題が全然変わりますけれども、次にPLOの問題で、四月にPLOのカドウミ政治部長が来られて、大臣もお会いになって話ん合いをされたと思うんです。それから三木さんも、これは総理としてではなく総裁として会われたというふうな何か報道であったんですけれども、一応話し合いをされた。その後、帰国に際してカドウミ政治部長が記者会見したときには、六ヵ月ぐらいの間に日本に事務所が設置できるんではないだろうかというふうな見解を述べられておったわけですが、実際上、今日までの経過を見ますと、もう四カ月近くたったわけですが、その後PLOの事務所設置という問題は一体どうなっているのか、その後の経緯を若干お聞かせいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、担当の局長がたまたまおりませんで、正確なことを申し上げられません。もし私の申しますことが間違いでございましたら、後日訂正さしていただきますけれども、私自身は、その後の動きが具体的に実を結んだという報告は実は受けておりませんので、恐らくレバノンの状態が御承知のようなことでございましたから、そのことに忙殺されておったのではないだろうかと想像をいたしておるんでございますが、ただいま事実を知っております局長がおりませんので、後日また御報告申し上げます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いま大臣のわかっておられる範囲内で言えば、日本側に問題があるのではなくて、向こう側の情勢でその後事態が進展していないんではないだろうかということですね。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもの方から、その後新しい何かそれについての故障を生じたとか申し立てたとかいうことはないはずでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 次に、いま開かれている海洋法会議の問題ですが、現在の領海条約によりますと、領海内の通航としては無害通航ということになっておりますし、何が無害で何が有害かという判断は、事実上沿岸国が判断する権利が存在しておる。日本の政府としては非核三原則の立場を堅持するということから、核積載艦の領海通過は無害ではないとして、事実上わが国の領海における核通過を禁止しているのが現在の状態だと——われわれは通過しているとかというようなこともいろいろ議論しましたけれども、一応政府の立場としてはそういう状況になっていると思うんですが、この核積載艦の領海通過を無害としないという問題について、その後第三回海洋法会議の第三期ですね、去年の五月に行われた非公式の単二交渉草案、それからことしの春行われましたニューヨークでの修正草案等々では、この核積載艦の領海通過の問題に関してはどのようになっているのか、その点についてお尋ねしたいと思います。

中島敏次郎外務省条約局長

○説明員(中島敏次郎君) お答え申し上げます。  御質問が核積載艦の領海通過についてどうなっておるかという特定の問題でございますけれども、先生御承知のように、海洋法会議でただいま交渉が行われております基礎は、非公式単一草案の改訂版でございます。  それで、非公式単一草案の改訂版は領海の無害通航一般につきまして規定を設けておるわけでありまして、概略の趣旨を申し上げますと、「通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。」また、「通航は、船舶が国連憲章に反する武力による威嚇又は武力の使用、航空機の船上発着等の沿岸国の防衛・安全を害する行為、本条約に反する意図的且つ重大な汚染行為、漁業、調査活動の実施等通航に直接関連しない行為等に従事するときは、沿岸国の平和、秩序又は安全を害するものとみなされる。」ということで、以下これに付随する規定を設けております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 修正草案の前の単一交渉草案の中でもほぼ同趣旨の内容がありまして、具体的にはこの単一交渉草案のときは第十六条、修正案では十八条になって.いますが、それではいま述べたような点が述べられています。そして、「外国船舶による通航は、同船舶が領海内で次のいずれかの活動をした場合、沿岸国の平和、秩序または安全を害するものとみなされる。」として十二項目挙げておりますが、その十二項目の中には核積載艦の問題については一言も触れていない。それは事実ですか。

中島敏次郎外務省条約局長

○説明員(中島敏次郎君) 核積載艦という表現を使いまして、それについてその項目の中に直接触れておることはございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 前回のこの領海条約の場合、これは一九五八年でしたか、あれのときでも具体的な項目に分けて、どういう場合が平和と安全と秩序を害するかということは決めていなかったわけですね。今回こういうふうにして具体的に決めた。具体的に決めた中に核積載艦の問題というのは入っていないということになりますと、これはやはり一つ問題が生ずると思うんです。そうして特にこの問題に関しては、今度のニューヨーク会議の場合でも、この草案に関して発言をしない国は草案に賛成とみなすというふうな取り決め等もなされておるかのような新聞報道もあります。この核積載艦の問題について、領海通過を無害通航とみなさないという点については、日本の外務省としては、この海洋法会議で意見を述べたことがあるんですか、ないんですか。

中島敏次郎外務省条約局長

○説明員(中島敏次郎君) 御承知のとおり、わが国には非核三原則という最高の政策がございます。わが代表団は、当然にその三原則を念頭に置いて会議に臨んでおるということは事実でございます。  会議そのものは、ただいまのニューヨークの交渉では、現実にこのあたりの条文を扱っておりますのは第二委員会という関係でございますが、第二委員会は、経済水域の地位の問題内陸国の海へのアクセスの問題、大陸だなの定義の問題及びその大陸だなに関するレベニュー・シェアリングの問題、こういう三つのグループをつくりまして、これらの問題がまず優先的に解決をされなければならない問題だということになりまして、その三つの問題についての討議をやっておる。その余の問題は、これらの問題が片づいたときに、どういうふうにその後をやるか審議するかということを決めようということになっております。したがいまして、現在その問題は特に議論されていないという状況でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 念頭に置いて交渉に臨んでおるというのと、具体的にそういう意見を述べたということは全然別なことでありまして、これは村田良平さんの話を私はまた聞きしたわけですが、八月三日現在まで、この問題について日本の外務省当局としては、この会議の席上で、その核積載艦を無害通航とみなさないという問題に関する意見を述べていないように、私はまた聞きですが聞いております。  これは非常に大切な点だと思うのは、今度春の会期に出席された藤崎さんですか、首席代表のお話でも、大体そのまま条約化されることになるだろうというふうに述べられています。そしてこれはこの海洋法の会議で行われた今度の中で、何が無害航行とみなさないのか、何がいわゆる有害となるのかという点について具体的に十二項目まで挙げている。その中に核積載艦の問題まで入っていないということになると、これはどの条項に当てはめて核積載艦の航行が無害でないということを日本政府が主張できる根拠ができるのかという問題に私はなる。そういう主張ができなくなると、これは何もそういう該当がないじゃないか、そして日本政府は何も発言せぬで賛成しているじゃないか、だから領海を通過する核積載艦というのはこれは無害でありますと言って通航できることになってしまう。これは非常に重大な問題だと思うんですけれども、この点について、いま海洋法会議まだやられていますが、これから以後、こういう問題についても日本政府は明確に海洋法会議でそういう趣旨の主張をして、海洋法会議の中でそういう条項を取り入れさせるつもりがおありなのかどうなのか、その点について。

中島敏次郎外務省条約局長

○説明員(中島敏次郎君) それぞれの国にそれぞれの政策があるということは当然でございまして、問題は、会議でその自国が持っておる政策をそのまま主張するという問題ではなくて、具体的な提案に対して自分の立場から見てどうあるべきかという意見を述べる、それからその賛否を明らかにするということであろうかと思っております。その会議に臨む態度といたしまして、ただいま申し上げましたように、わが国の代表団としては、当然にいま先生のお述べになりましたような国内的な政策を持っておる、そういうことを踏まえて会議の討議に参加するということでございます。  ただひとつ、先生おっしゃられた、確かに春の会期に、ルール・オブ・サイレンスと称して、発言しない国は賛成であって、反対する国だけが発言するというようなルールがあったことは事実でございます。なるべくそういう議事のやり方で時間を節約しようということで出発したわけでございますが、現実にそのとおりきちんと守られているわけではなくて、実際の問題といたしましては、各国いろいろの発言があるわけでございます。そのルールに照らしてどうこうということにはならないと思います。いずれにせよ、今後まだ、いま申しました条文そのものは生成の過程にあるわけでございまして、まだファイナルなものに固まったというものではございません。これから討議が行われるわけでございます。わが国といたしましては、当然にそういう政策を踏まえながら会議に臨んでいくということになると思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 一般的にはそういう意味だと思うんですよ。だけど、そういうことを念頭に置いてとか、そういうことを踏まえてとかというのと、日本の政府として具体的にその問題を問題提起するのとは別のことだと思うんですね。  大体いままで三木さんも宮澤さんも言ってこられましたように、非核三原則についてはわれわれは守るということは再三述べられている。しかし、非核三原則がわが国にあるから、いわゆるわが国の領海は核積載艦の通過は無害とは認めませんという主張をする国際法上の根拠は今後なくなるわけですよ。もう御承知だろうと思うんですが、その領海条約の解釈の問題でいままで大議論やってきました。あれは十四条でしたか、議論をやってきたわけですね。十四条の議論をやってきた中で、それに関しては四十九年の十二月二十五日、核通過問題に関する政府統一見解というものまで出したわけです。これは領海条約第十四条四項に言う無害航行とは認めないという根拠を出して、わが国の領海を核積載艦の通過は認めないという立場を国際的にも日本としてはとるんです。ところが、今回の場合に、これがこのまま通過してしまったら根拠なくなるわけです。統一見解そのものも吹っ飛んでしまうわけですね。いわゆるわが国の領海はいつでも核積載艦は無害なんだからどんどん通過できるということになっちゃう。そういう問題だと私は思うんですけれども、もう少しその点、条約局長がお答えにくいならば、大臣、やはりそういうことはきちっと主張するんだと言われるのかどうなのか。

中島敏次郎外務省条約局長

○説明員(中島敏次郎君) 先生の御趣旨を必ずしも十分に理解してないかもしれませんけれども、各国がその政府の政策として持っておる政策、それをその会議で主張して論議するということは会議の性質になじまないんじゃないか。要するに、たとえば非核三原則そのものを海洋法会議で議論するというような場ではなかろうと思われるわけです。問題は、そのような政策を踏まえながら、特定の提案に対し、個々の提案に対して代表団がどう対処するかということであるわけでありまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、わが代表団としては、いまの非核三原則とか統一見解とか四十三年の統一見解とか、そういうものを踏まえながらこの会議に臨んでいくということより申し上げ得ないんじゃなかろうかというふうに考えます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それは、非核三原則を何も私は海洋法会議に持ち出して議論せよと言っているんじゃないんです。いわゆる領海を通過する場合に、核積載艦を無害航行として認めさせるかどうかという問題になるでしょう。無害とするかどうか。十二項目が具体的にあるんです、読み上げたら長くなる。これはもちろんあなたが先ほど言われたように、全然核積載艦通過の問題入ってない。そうすると日本の政府としては、わざわざ十四条の第四項を根拠として、いわゆる核積載艦の通過は無害通航とは認めないという統一見解を出した。根拠は領海条約にあったわけですね。ところが、今度海洋法会議でそれが変わってしまったら、何に基づいてそれを主張できるのか、主張する根拠がなくなるわけです。ですから、核積載艦の通過という問題に関して、これはやはり無害とは認めないという、いわゆるその国の平和と安全を脅かすものだから、そういう一項目を入れるべきだという主張は当然できるわけです。何も非核三原則そのものを海洋法会議の席上で議論せよと言っているわけではないわけです。領海の問題ですから、そのことは当然述べて私はしかるべきだと思う。念頭に置いて対応するとか、そういうことを踏まえて代表団が臨むとかということではなくて、具体的に日本政府はそういう主張を述べることが私はできるんではないかと思うんですが、それもできないわけですか。それとももう述べる意思がないというわけですか。結局領海通過は、核が通過しても結構だというふうに自民党政府は変わったということになるんですか。

中島敏次郎外務省条約局長

○説明員(中島敏次郎君) まさに先生おっしゃられるように、現在の領海条約の十四条の四項でございますが、「通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。」と、こういう規定があるわけです。この「平和、秩序又は安全を害しない限り、」というのは、無害通航の無害性の喪失原因に関する一般的な基準になっているわけでございます。現在の討議をしております海洋法は、この無害通航に関する基準をもっと明確にしようということでいろいろの努力がなされているわけでございます。その努力の現在の状況が、先ほど先生がおっしゃられた十何項目かになって挙がっておる条文ということになっているわけでございます。あの条文でも「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害」であるという一般原則はそのまま残っているわけでございます。あとそれに加えて、次の場合には無害とされないという一項目を挙げているわけでございます。そのような条文が現在のところ挙がっているわけですが、これが今後論議せられて最終的な案文に固まるということになるんであろうと思います。そういう意味でまさに生成過程にあるわけですが、わが方として、わが国が抱えておる政策にかんがみて、最終的な案文との関係でどういう態度をとるべきかということは、それぞれその段階になって、しかるべき段階で対処していくということを申し上げる以外にどうにもしようがないんではなかろうかという気がするわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 支離滅裂ですよ、中島さん。あなたのところの村田さん、参事官の方が、いわゆる核積載艦の通航は沿岸国の平和、秩序または安全を害するものとの明文規定がないという問題に関しては、これはし項ですね、いわゆる十二項の「通過に直接かかわりのないその他のすべての活動。」の中に入るのではないだろうかという希望的な意見まで述べているわけです。こんな「通過に直接かかわりのないその他のすべての活動。」の中に核積載艦の通過なんていうのは入りませんよ。これは具体的に何を無害とみなすかということを明確にするわけでしょう。明確にするときに、日本側が核通過の問題を、これは沿岸国としてはやっぱり無害とみなさないということを明確に主張しないでは解釈のしょうがないじゃないですか。  これはどんどんやりましたら、大分もう時間が来るわけですから、私はよく検討していただきたいと思います。非常に重要な問題です。勝手にどんどん今度核積載艦何ぼでも入っております。日本政府が言った統一見解なんていうものはもうなくなってしまいます。まして、いま八月二日から開かれているこの会議で明確にやはり主張する、そしてこれを無害とみなさない、核積載艦の通過は。ということをしないと、あとで日本側が幾ら日本では非核三原則で通過は認めませんということを言ったって、これは国際的にはますます通用しないということになって、そういう方向に行かれるならばそうなるで、いわゆる政府がもう非核三原則の立場を明確に捨てたということになるのか、それともそういうことを努力されて、核積載艦の通過を無害とみなさないというふうにされるのか、この点を私ははっきりさせる必要があると思います。この点はもちろん——いま自民党さんの方々いろいろ大変でしょうが、これは日本の平和と安全の問題にとって重要な問題ですから、ひとつお忘れなく十分に検討して結論を明確に出していただきたい。もう時間が参りましたので終わりますけれども、ひとつ強くそのことを要望して、私の質問を終わります。

高橋雄之助自由民主党

○委員長(高橋雄之助君) 本調査についての質疑は本日はこの程度といたします。  これにて散会いたします。    午後五時五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗