ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第26号
- 発言数
- 318 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1976/08/27
会議録
○委員長(剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、野田哲君及び青木薪次君が委員を辞任され、その補欠として小柳勇君及び川村清一君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○瀬谷英行君 順序から言うと、副総理から先にお尋ねをすることの方が順序かもしれませんが、きょうは久しぶりに大蔵大臣がお見えになっておりますから、大蔵大臣に先にお伺いしたいと思います。 財政の責任者として、財特法並びに懸案の重要法案というのはそのままになっておりますが、これらの処理が行われないで、一体今後の国の経済その他に支障がないのかどうか。これらの法案の処理はどのようにするというお考えなのか、大蔵大臣からその点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、特例公債法案を初めといたしまして鉄道運賃の改正法案、公衆電気通信法の改正法案、この三大法案が不幸にいたしましてまだ国会の継続的な御審議の過程にあるわけでございます。本来ならば、こういう重要な予算関連法案、中核的な歳入法案は予算成立と同時に成立いたしまして、予算の的確な計画的な執行に当たってまいる責任が政府にありますことは申すまでもないことでございますけれども、不幸にいたしまして御指摘のような状況にございますので、本年の財政の執行はただいま大変変則的な状態に置かれておりまして、一般会計で申しますと、一般会計歳入の一五%にも当たる歳入の確保が未確定のまま予算執行に当たらざるを得ないというきわめて異例な状況にあるわけでございまして、もしこれがこのまま延びておりますと、執行上に決定的な支障が生じまして、行政府といたしまして歳出自体の調整を本格的に考えなければならぬことになることを深く心配をいたしておりますので、一日も早く国会が持たれて、審議が軌道に乗り、との三法案を成立をさせていただきまして、財政運営が、成立をさしていただきました予算のとおり実行さしていただくことを念願いたしておるのがただいまの私の考えでございます。 一方、経済でございますけれども、経済はことしの春からようやく輸出の伸長、生産の増加、雇用の改善等やや見るべき回復の状況を招来することができたのでございますけれども、ただいま中だるみの状態と申しますか、雇用の改善の状態も、統計が示しておりますように足踏みの状態にあるところへ持ってきまして、数千社に関係がございまする鉄道関係の工事、電電関係の工事にすでに規制が及んでおるようなことは、この経済の順調な回復にとりましては憂慮すべき事態であると心配をいたしておるのでございまして、経済回復が失速するというようなことになりまするならば、これは経済の問題あるいは労使の問題、その他いろいろな社会問題にも波及してこないという保証はないわけでございますので、いたく心を痛めているわけでございます。したがいまして、この種の懸案につきましては一日も早くその成立をお願いせにゃならぬので、私ども与党内にございまして、政府と与党相はかりながら、実のある臨時国会をお願いするにはどうしたらいいかということにつきまして、先般来いろいろな協議を重ねておりますことは御案内のとおりでございます。私どもも一生懸命にやってまいるつもりでございますけれども、どうぞ参議院におかれましても、十分この事態につきましての御認識を賜りまして、重要な国務につきましての御指導と御支援を心からお願いをする次第でございます。
○瀬谷英行君 いまの大平大蔵大臣の御答弁によると、一日も早く国会が持たれることが必要だと、こういうふうにおっしゃっているわけです。要するに臨時国会を早く持ちたいと、こうおっしゃっているわけですね。しかし、賛否、事の成り行きはともかくといたしましてね、国会はいま持たれていないんですから、われわれにはこれはどうしようもないんですよ。 で、日本の政治がいま空転をしております。その空転は自民党の内紛がもたらしたんだというふうにわれわれは理解しております。具体的な例を挙げますと、二十四日に本委員会が持たれる予定でした。ところが、両院議員総会があるからとても委員会どころじゃない、勘弁してほしいというのが自民党側の主張。仕方がないからわれわれはこの二十四日の委員会を延ばしたんです。つまりこの空転というのは自民党の内部事情ですから、一々言いたくはございませんけれども、三木総理とすれば、端的に言って大福がのどにひっかかって仕事にならない、こういう状態なんです。(笑声)この状態を一体どう打開したらいいかということは、まあここにいらっしゃるお二方にもかなり責任のあることなんです。そこで、この政治の空転、空回りというものを何とかして避けて軌道に乗せるというために一体いかにすべきだとお考えになっておられるのか、今度は副総理にお伺いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま大蔵大臣から申し上げましたように、一刻も早く懸案三法案を処理していただかなけりゃならぬと、こういう立場にあるわけであります。ところがそれには臨時国会を開会しなきゃならぬ。臨時国会を開会するのはどこに意味があるかというと、私どもといたしますと懸案三法案を処理していただきたいというところにあるのです。ところが、いま瀬谷さんから御指摘のように、自由民主党の事情によりましてなかなか臨時国会が開けないと、これは瀬谷さんからおしかりを受けますと、まことに申しわけない事態であると言うほかありません。しかし現在の状態では、これは自由民主党の体制は臨時国会に入り得るような体制でないんです。率直に申し上げます。一刻も早くこれをそういう体制を整えて、つまり挙党体制です。そして臨時国会を開催し、そして懸案三法案を御処理願いたいと、こういうことになるんだろうと思いますが、その挙党体制をどう整えるかというところにいま党内の論議があるわけでありまして、とにかくいま非常に重大な時期でありますので、自由民主党一人一人の議員が最高の良識を発揮し、最高のステーツマンシップをもって速やかにこの事態を収拾すべきものである。私もその一員といたしまして最善を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○瀬谷英行君 政治の空転というのは自民党だけの問題じゃないんですよね。与党も野党も政治の責任という点では同じように責任を感じなきゃなりません。したがって、われわれも黙っているわけにいかないということになるわけなんです。 で、挙党体制というふうにおっしゃいましたけどね、挙党体制を整えるために一番の頂点に立っている総理大臣の足を引っ張るというのは一体どういうことなのか、なかなかわかりにくいことであります。しかし、先般来の自民党の内部事情が大変であるということは私どもも承知しております。だから、二十四日の委員会も二十五日の委員会も私どもは譲ったんですよ。お通夜の晩の火事のような騒ぎだということは承知しておりますから、したがって、火の静まるまでは待とうじゃないかと、そのくらいの仏心は野党にだってあるわけなんです。ところが、いつまでたってもその状態が続くということになりますと、臨時国会の日程だってわからない。人心一新と言われるけれども、そんなに人心一新が必要ならば、さっさと解散をしてしまって総選挙によって信を国民に問うということをやって、それからその自民党の内部問題は選挙の後で考えるということの方が順序じゃないかと思うんです。 しかし、ロッキード問題の解明というものは、やはり政治の空転によって同じようにいつまでももやもやしておるということはよくないと思うんです。だから、ロッキード問題の解明を急いで、それから臨時国会、財特法を初め懸案事項の問題の審議と、こういうふうに進んでいって解散、総選挙ということが、これは順序とすれば、一応総理が考える順序とすればもっともだと思うんですが、この総理の考えた順序に従って閣僚としても協力をするというのが部外者であるわれわれから見てもたてまえではないかと思うんですけれども、その点があべこべに、一番肝心の中軸になるべき人が反乱軍のようなかっこうになってしまっているというのはいささか解せないんです。副総理というのはやはり総理を助けるというのがその任務でなきゃならないし、大蔵大臣も大黒柱でなきやならぬ。それがそうではなくなってきている。明智光秀のような立場をとろうとなさっているというのは一体いかなるものか。これで挙党体制ができるという理屈はどこから出てくるのか。その点を副総理にまたお伺いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 瀬谷さんから、どうも反乱軍だというような御見解ですが、私どもは一生懸命になって自由民主党総裁たる三木さん、また総理大臣たる三木さんをお助けしているんですよ。これは本当にそう思っております。つまり三木総理が、また自由民主党総裁として、これは指導力を発揮して、そして国会——いま当面している問題は何だと、これは十分心得ております。ロッキードの解明である、また、並んで臨時国会の乗り切りである、そういうことであると思うんです。それが有効に実行できるような体制をつくらなけりゃやっていけないじゃないですか。特にこの臨時国会というようなことになりますれば、これは参議院のごときは保革伯仲である。そういう際に一糸乱れず自由民主党というものが三木首相を助けるということにならなけりゃ、これは幾ら大蔵大臣が急げ急げと言ったって実のある結果にはならないんです。そこで、挙党体制をつくろうじゃないか、どうかひとつ三木総理においては、自由民主党総裁としてそのことを考えてください、それをいまお願いしていると、そういう最中なんでありましてね、私どもはこれは副総理として三木さんをお助けする立場にありながらお助けしないというようなことじゃないんです。誠心誠意、精いっぱいのお助けをしておる、こういう御理解をお願い申し上げます。
○瀬谷英行君 三木さんをお助けすることが三木さんにやめてもらうということとどういうふうにつながるのかちょっとわからないわけですよね。お助けするんならば、三木さんにやめてもらうということを言い出すよりも、三木さんに仕事をしてもらうということのために協力をすることの方が筋ではないかというのが一般的な常識だと思うんですよ。ところが、一応は三木さんを助けると言いながら、実際には三木さん助けるからやめてくれと、これじゃどうもわからぬわけですな。で、特に三木総理に退陣を求めるという動機が、自民党の内部ではともかくとして、国民の立場からするとわかりにくいんです。たとえば三木総理が病気になって倒れたとか、あるいは汚職でもって逮捕されちまったとか、こういうことになれば、これは総理に退陣してもらわざるを得ないということはわかる。ところがそうじゃなくて、一応三木さんは健在で、しかも国会閉会中だからこれといった失言があったわけでもないし、これといった大きな問題があったわけでもない。そうすると、いま突如として三木総理に退陣を求めるという理由は一体何だろうか、思い当たることがないわけですよ。強いて思い当たることと言えば田中さんが逮捕されたくらいのことです。そうすると、三木さんにやめてもらうということを注文つける最大の理由は田中さんの逮捕なのかなと、こう思っちまうわけですね。 そこで、ロッキード問題の解明ということがいま一番急がれているんですけれども、このロッキード問題の究明ということをこの問題でうやむやにするというようなことがあっちゃならないと思うんです。その点は副総理としても十分にお考えになっているんじゃないかと思うし、考えるべきだと思うんでありますけれども、俗に言うロッキード隠しという問題と三木総理の退陣を求める——総裁解任決議案まで準備されたということなんですからね、これは退陣を求めるということになるんですから、そのこととはかかわり合いがないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 自由民主党の挙党体制運動と言いますか、その動きの中にはロッキード隠しというような、そういうような意図は全然ないと、私はそれははっきり申し上げることができると思います。私自身で言いますれば、もう問題が起こった当初から徹底解明しなけりゃならぬと、こういうふうに主張しておるんです。いささかもその考え方は変わりません。のみならずそれで終わっちゃいけないんだと、一歩進んでこの事件的解明、この問題については終止符を打たなければならぬ。が、さらにその上に立って、この機会をとらえて、これは特に自由民主党の政治姿勢の反省、それに基づくところの再出発、それまでやらなけりゃならぬと、こういう主張をしておるんですよ。
○瀬谷英行君 ロッキード隠しなどということがあっちゃならぬということを言われました。それはもっともなことであり、当然のことなんです。しかし、それならばもし仮に三木さんがおやめになったと仮定をすれば、その後がまに座る最短距離にあるのはだれかと言えば、これはわかりませんよ、私どもには。よくわかりませんけれども、常識的に見て福田さんなり大平さんなりというのはその最短距離にある人のように思われるわけです。 そこで、このロッキード問題を解明するために、たとえば幸か不幸か稻葉法務大臣の任期中にこういう問題が起きました。そうすると稻葉法務大臣は、この間の委員会でも私質問いたしましたら、不偏不党、徹底的にこの問題には当たるんだと、究明に当たるんだということを言っておられました。そうすると、もし首班がかわったとしても法務省に手をつけたり、たとえば法務大臣に手をつけたりというようなことはこれはまことにぐあいの悪いことになるわけなんですが、もしあなたが総理になっても、法務大臣はこのロッキード問題の解明が片づくまでかえないでいくということをお約束できるのかどうか、その点はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) もしなんということはゆめゆめ考えておりませんが、しかしはっきり申し上げることは、ロッキード問題の事件としての徹底究明、これはもうだれが政治の責めにあろうと、国民に対する政治的な責任としてやってのけなけりゃならぬ問題である。これは政局にどういうことがあろうとです。またどういう政党がその衝に当たろうと、私はこの問題をよけて通るということは国民が許さぬ、そういう認識でいくべきであると、かように考えております。
○瀬谷英行君 言葉の上ではもっともなように聞こえても、実際の面でロッキード隠しが行われるということであってはならないというふうに思いますよ。 そこで、大平さんにもお伺いいたしますけれども、あなたも俗に大福連合などと言われておりますけれども、どちらかが総理になる可能性があるわけです。可能性の点では、あなたも有力候補の一人なんですけれども、このロッキード問題の解明のために、具体的に言うと、さっき私は、法務大臣はこの問題が解決するまではやらせておくのかということを聞いたわけなんですが、その同じ趣旨のことを大平さんにも聞いてみたいと思うんです。この問題の解明のためにはやはりどうしたらいいのか、法務大臣というものをやたらと首をすげかえるということになりますと、内容的にはどうあれ、世間的にはこれはロッキード隠しじゃないかというふうに見られてもしようがない。だから、その点まであえて突っ込んでお聞きしてみるわけなんですが、大平さんの考え方はどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) そういうことにお答えする立場にあるかどうか、私もちょっといぶかるものでございますが、私といたしまして、私のロッキード問題に対する一政治家としての見解、一閣僚としての信念を申しますならば、この問題は厳正周到に解明を急ぎ、そして公正な措置を講じてまいる責任が政府にあるものと存じておるのでありまして、そのことの信念はいささかも狂いがないわけでございます。
○瀬谷英行君 抽象的な言葉で信念を言われるのは余り意味がないんですよ。ここで、たとえばいま稻葉法務大臣が事に当たっております。これが閣僚では最高の責任者ですよ、このロッキード問題については。だから、この最高の責任者は首班がどうあろうともかえないで、この問題が明らかになるまでは稻葉法務大臣にやらせるんだというようなことを言われれば、なるほどそれならば多少は信用できるなということになるわけなんです。そうでないと、どのようにきれいな言葉でおっしゃっても、まゆつばものになってしまうわけです。特に閣僚の中に反三木グループなどというものが出てくるというのは、これはやはり穏やかでないと思うんですよ。近衛師団が反乱軍になったようなものなんで、そういうようなやり方は閣僚としての見識を問われることになると思うんです。 きょうは防衛庁長官がここにおられますけれども、防衛庁長官はその立場上公正を期するということで、両院議員総会にもお出にならなかったということなんであります。これは一つの見識であろうと思うのであります。防衛庁長官にこの機会にお伺いいたしますけれども、あなたはいまのこの自民党の内紛の問題をどのようにお考えになっておるのか、それからまた両院議員総会にお出にならなかったという御自分の考え方はどうであったのかということもこの機会にもう一度お伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(坂田道太君) 私は、やはり自衛隊というものを総理の命を受けて統括をしておるわけでございまして、その責任の重さから考えまして、ああいう会合には御遠慮申し上げた方がいいというふうに思いまして、そういう行動をとったわけでございます。 それから、党内の問題につきましては、やはり一致協力して相助け合って、そして一日も早くロッキード問題の解明をし、かつ、いろいろの法案等も無事に通過させるように努力をしなければならないと、そうして国民の負託にこたえるべきであるというふうに考えております。
○久保亘君 関連してちょっとお尋ねいたしますが、福田さん、大平さんは統治能力の問題から体制の一新ということを主張されているように聞いております。あなた方が言われます統治能力に問題があるというのは、三木総理大臣を指すのですか、三木内閣を指すのですか、自民党としての政権のあり方を指すのですか、その点についてあなた方のお考えをお聞きしておきたいと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 自由民主党といたしまして、それを構成する各議員の中の意思の統一が非常に動揺しておる。この動揺、これを防ぎとめ立て直さなけりゃならぬ、こういうふうに考えておるわけです。
○久保亘君 それは三木さんが結局そういうような党内の動揺を抑える力がない、こういう意味で統治能力に問題があるということなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 意思疎通と申しましたが、一番大事な立場にあるのはこれは総裁でございます。特に総裁と一人一人の議員の間の意思疎通、これがいま乱れておる、そういう状態でありまして、これは政権政党としてさような状態は許されない。ぜひひとつ意思疎通を図って、そうして挙党体制を固めてもらいたいというのがこれは大方の議員の願いである、かように御了承願います。
○久保亘君 そういうふうに言われますと、これは三木内閣を、三木総裁や三木総理をお助けしているとあなた方が言われた、その立場でのあなた方の責任も連帯的に非常に重いものがあると思うのです。特にいま私どもが報道されるところで知ります限りでは、党内の人心が乱れているということについては、むしろロッキード隠しにまつわる党内の人心の乱れが非常に大きいという感じ方をせざるを得ないわけです。そういう意味ではむしろこれは三木さんの個人にかかわる問題ではなくて、三木内閣、大きく言えば自民党が全体として、いまの政局の混迷に対して負うべき責任を統治能力という意味で理解されなければいけないんじゃないか、私はそのように思いますが、大平さんはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私もこの統治能力の問題は自民党全体として受けとめて、その再構築を図ってまいらなければならぬものと考えております。
○瀬谷英行君 統治能力ということは三木さん個人の問題ではないと思っているんですがね。たとえば意思疎通ということを言われましたけれども、しかし閣僚として三木内閣の中に地位を占めている限りは、やはり連帯責任があるんじゃないかという気がいたします。もしもその意思疎通において欠けるものがあったとしても、それを埋めていくということが閣僚としての任務ではないか、こういう気がするわけです。その点で、今日まで福田副総理は副総理という立場にあった。副総理という立場にあって、もしそのような自民党党内の意思統一が動揺しているということであれば、これはみずからもその責任を感じて三木総理を助けるということに全力を集中しなければならないというふうに考えるわけなんでありますが、そういうふうに理屈どおりにいかないのが現実なのかもしれませんが、しかしその点は、あなた自身きわめて重要な立場にあるのですから、三木総理を助けるという点で遺憾な点はなかったのかどうか、みずから連帯的な責任を負わなくたっていいのかどうかということです。もし責任ありとすれば、三木さんが倒れた後は自分も一緒になって遠慮するということにならなきゃいかぬわけです。三木さんが倒れた後自分が今度はかわりに出ていくということは、これはぐあいが悪い話になってくるのでありますが、その点はどうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま問題は、内閣の問題というよりは自由民主党の問題なんです。政党政治でありますから内閣が有効に政策を遂行する、そういうことではどうしたってこれは政党の方の、自由民主党の方の協力を求めなけりゃならぬ。その自由民主党の中が動揺しておる。まあ相互もあるし、あるいは総裁に対する関係もありますが、信頼感が動揺しておる。そういう状態で強力な政治が一体できるか、こういう問題です。つまり自由民主党の問題なんですよ。私どもは閣僚として内閣でいま問題がある、こういうふうには考えておりません。これは内閣におきまして副総理・経済企画庁長官として三木首相をお助けする、これはもうずうっとお助けしてきておる。今日におきましてもお助けするその姿勢においてはいささかの変わりもない。はっきり分けて、ひとつお考え願いたいと思います。
○瀬谷英行君 お助けしているということを強調されますけれども、両手で足引っ張りながらお助けしていると、こういうのはどういうものかなと、われわれにはわかりにくいんですよ。自民党の問題だとおっしゃっている。しかし自民党の問題では済まないんです、これはね。内閣の問題であり政府の問題であり日本の問題なんですよ、まさしく。で、なぜ動揺をしているのか。動揺しているということを一生懸命おっしゃいました。強調されました。その動揺の理由は何か、何であるかということですよ。これがはっきりしないと問題は静められませんが、その動揺の理由は何ですか、一体。
○国務大臣(福田赳夫君) 自由民主党内における個々の議員間の意思の疎通といいますか、特に総裁と各議員との間の意思疎通、これが非常に欠けてきた、ここに問題があると、こういうふうに考えております。
○瀬谷英行君 きょうは本当は総理にも出てもらうというつもりだったんでありますが、総理、官房長官が出られませんので、いささかメンバーが偏りましたけれども、その中で私は防衛庁長官には敬意を表したいと思うんです。私はいままで防衛庁長官をほめたなんということは一回もありませんけれども、今回だけは防衛庁長官のその態度というものは一つの見識を示すものであるということで敬意を表明したいと思う。しかし、それに引き比べてと、こういうようにあるんですがね、それに引き比べて反乱軍の方に回った閣僚の考え方というのは三木内閣の一員としてはいささか腑に落ちないと、こういう気がいたします。臨時国会を早く開くべきであると、こうおっしゃりながら臨時国会も開かせない、解散もさせない、つまりやめるまでは粘るぞというと、これは一種のストライキなんですよね。閣僚がストライキを起こして何とかして三木総理にやめてもらおうというふうに努力をしているのが今日の姿であるように見られるわけです。そんなことのために国政がいたずらに空転を続けるということは国民生活にきわめて悪い影響を及ぼすということを心配しないわけにいきません。ほどほどにしてもらいたいと思うんです。ほどほどにするということができるのかどうか。今週中に結論が出るとか出ないとかいろいろ流布されておりますけれども、私は感情的に、それは反三木勢力というものが二百六十何名も七十名も集まれば熱気に包まれたようになるということはわかりますけれども、そういう熱気でもって事を処するに誤ってはならぬという気がいたします。その点、福田さんはどのように今後対処されるおつもりなのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 何かこう私どもが反乱でも起こしているような、そういう印象のお言葉ばかり並べられますが、私どもはそうじゃないんですよ。私どもは、本当に私は今日の政情を心配しているんです。差し迫ってロッキード問題を徹底究明しなけりゃならぬじゃないか、臨時国会を開催して有効にこの継続三議案を処理しなけりゃならぬのじゃないか、こう言うんです。それには自由民主党がとにかく政権政党ですから、これがもう一本化というか、これはもう挙党体制にならない限りこれらの問題の有効なる処理というのは本当に私はしにくいんじゃないかと思うんです。そういうことが着実にできるようにするには一体どうしたらいいんだろうかということを真剣に党内で話し合っているというんでね、何かこう私どもが反乱をしているなんというような言葉を聞きますと、ちょっと腑に落ちかねるところを感じますが、これはそうじゃないんです。本当には私は自由民主党がごたごたすると、こういうことはこれは自由民主党がいま政権をつくっておる、そういう立場から言うとこれは一自民党の問題じゃないんです。日本国の問題なんです。日本をどうするんだという立場で行動をしているんだと、これは誤解のないようにひとつ御理解を願いたいと思います。
○瀬谷英行君 私が申し上げたいことは、やはりロッキード問題の解明にしてもいいかげんなことでお茶を濁しちゃ困ると思うんですよ。ところが現実には委員会の審議でも、自民党とすれば証人の喚問についても最大限の反対をするということ、委員会の運営についてもなかなか思うようにできないということが今日までの姿だったわけです。もちろん、自民党の側にすればこれで十分にやっているつもりだとおっしゃるかもしれませんが、われわれとすればそうは思いません。したがって、副総理としてもし虚心に私どもの言うことに耳を傾ける気持ちがあるならば、ロッキード問題の解明に全力を挙げると、そのために党としても協力すると、自民党の問題だということを強調されましたね、したがって自民党としても協力をするという体制を明らかにするのが本当じゃないかと思うんでありますが、その点はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ロッキードの問題としての事件の徹底究明、これはもう自由民主党としても、あるいは内閣にいたしましても、これはもう統一された厳しい姿勢であり、態度である、これにはもういささかの動揺もありませんということをはっきり申し上げます。
○瀬谷英行君 私がほどほどにしろと言ったのは、今回の自民党の内紛、その内紛の中でも、大福と俗に言われておりますけれども、大平さんと福田さんの、二人はその頂点に立っているわけです。しかし片手を挙げればこぶしを振り上げたという姿に見られますけれども、欲をかいて両手を挙げるとこれはホールドアップの姿勢になる。お手上げの姿勢ということになってしまう。片手にしておさめておくか、両手を挙げてそのお手上げの姿勢になったか、どちらかという判断は国民がいたしますけれども、最後に法務大臣がおいでですから、法務大臣に一言お伺いしたいと思う。 この間も、不偏不党で一生懸命にロッキード問題の解明について当たるとおっしゃった。しかし、もし政変があると内閣の首班がかわるというようなことになりますと、法務大臣の地位までもどうなるかわからぬと、こういうことが懸念されるわけです。だからそんなことのないようにするかどうかということを先ほどちょっと質問したんですが、はっきりした回答はお二人からありませんでした。しかし法務大臣としてはこの問題については政変があろうがなかろうが、あるいは自民党の内紛がどう展開しようが、この問題の究明については責任を持って当たるということをどのようにこれからなさるおつもりなのか、政変の問題とあなたの身分とは関係がありますのでお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 政変があると思わぬものですから、私。だから考えたことございません。
○瀬谷英行君 それではしかし、一山、二山、三山越えということを法務大臣おっしゃったのですけれども、まだこれから先かなりの山があるのかということです。一山、二山、三山越えたけども、富山、新潟まだ遠いと、(笑声)こういう状態なのか、もう一つの大きな山は越えられるということなのか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(稻葉修君) 丸紅ルートを一山と、それから全日空ルートを二山と、児玉ルートを三山と、こういうつもりで私言うたんですがね。一山、二山、三山もあるんです。そしてそれは独立してあるのでなくて、山脈のようでございますな。そうして、その山脈の二山目を越えかかっているというふうに私は思っているんですね。しかしその一番の山が第三の山だと、これはまあ常識的にそういうふうに考えますね。そうしてその山をきちんとやらないと、やっぱり法務省というのは将来の再犯を防止すると、これが法秩序維持責任者の厳然たる立場でなければならぬと思っておりますから、その三山目をきちんとやらないと再犯のおそれがあると、こういうふうに思って、これには力を入れにゃいかぬなという気持ちでおるわけであります。そうしてそこへまでたどり着くのは一体いつごろなのかということを含めてのお尋ねのようでございます。それはいまここでちょっと現在の段階で申し上げることは、自分はこう大体見当つけておっても申し上げられないんですね、残念ながら。 それから、先ほど、この事件の解明については法務省も、検察庁が第一の当面の捜査の責任者ですから、検事総長と私の間では、まあ検事総長はどんな政変があろうと、法務大臣が稻葉修であろうと、あなたであろうと、それはもう検事総長の立場から言えば厳然として揺るがない、不偏不党、厳正公平で揺るがない。ただいまのところ私と検事総長との間の関係は相互に介入しない。向こうも政治介入はしない、こちらも検察庁への政治介入は一切しないと、だから人によって手心を加える、そんなことは全然ないわけですね。そういう点については相互にきっちり心に錠前をかけて、合いかぎ互いの胸に置くという関係にありますから御安心いただきたいと思っております。
○瀬谷英行君 終わります。
○黒柳明君 副総理、先ほどからいろいろお答えを聞いておりますけれども、党の責任——総裁と党員との意思の疎通が疎遠になっていると。しかし私はそれも一つの原因だと思いますよ。しかしいまの自民党内の問題、十五閣僚が反三木の会合へ出たと、これも含めまして、やっぱりこれは党内と同時にあるいはそれ以上に内閣の問題じゃないですか。閣僚だってそれに動かされている状態ははっきりしているんじゃないですか。それで私、憲法六十六条、これは当然言うまでもなく内閣は、連帯責任を国会に負うと、こういうことです。もしこれを党のこととして逃げるならばこれは全くおかしなことで、六十六条、憲法はこれはもう行方不明になっちゃうんじゃないですか、どうですか、副総理、憲法六十六条から見ての閣員としての、なかんずくその総理を助ける副総理としての立場。
○国務大臣(福田赳夫君) いま内閣で国政を進めていくという上におきまして、これは不統一ということは一つもないんです。もう国政は、行政、特に内閣が担当する行政はこれは一日もゆるがせにできない問題であるし、それはゆるがせにはされておりません。で、私どもがいろいろ心配しておりますのは、しかし政党内閣ですから、たとえば特に国会のごとき、これはもう党が一致協力の体制でなきゃ、これは進めることはできませんよ。それがまたひいては各般のいろんな影響を持ってくる、こういう状態で、私どもが心配しているのは、閣僚として内閣の政策を一体どうするかという問題じゃないんです、これは。これは、自由民主党を一体化するためには一体どういうふうにしたらいいんだろうという、党員としてのそういう立場においての心配なんです。十五閣僚が集まった。これは別に三木さん退陣せい、こういうのじゃありません、これは。挙党体制をどうするかということでみんな心配しておる。その心配をともにしようじゃないか、こういう意味で集まっておるのでありまして、私どもはっきり分けております。一自由民主党の党員として、これは今日見ておられないような状態であるという立場からの行動である、こういうことなんです。
○黒柳明君 ということは、もう矛盾をそこでおっしゃっているのじゃないですか。政党政治であるからと、こういうことと、党のことであって閣僚においては亀裂ない、これはもう完全矛盾じゃないですか。政党政治だから、党のことは内閣に、あるいは、だから臨時国会も開かれるかどうか、すぐまた内閣の方に、行政の方に党のことが移行して、ペンディングになっているじゃないですか。はっきり副総理のわずかの言葉の中に相矛盾——私、何も副総理、大平大臣だけを責めているのじゃないですよ。三木さんがいらっしゃりゃ、私は三木さんをまず第一に責めなきゃならない立場だと思うんです。そうしたいんです。いらっしゃらない。官房長官も出てこない。もうしょうがないわけですよ。私、新聞紙上やマスコミの中で見ますけど、何となくいまの状態においては総理の方が非常にやっぱり苦慮している、憂慮しているというか、副総理と大平さんの方が何かこれからつぼみから花が咲きそうな気配がします。明るいですよ。三木さんの方は、この夏の盛りに枝葉もない、花もない、やせ細った幹だけでふらふらしているような感じがします。陰です。そういう陰の政治に期待はかけられない。だけど、いないんですから、そこに現実に。だから福田さん、大平さんをと、こういう立場です。誤解しないでくださいよ。はっきりそこのところは、党のこと党のこととおっしゃって、いままた変な詭弁を使われた。そんなことないじゃないですか。臨時国会、何のためデッドロックですか。党内のことですよ。挙党体制が確立しないために行政の面にも内閣の面にも支障を来している。もっと具体的に言うと、いま坂田さんのことを言われたでしょう。こうじゃない。宮澤さんは、私は派閥次元にはとらわれない、はっきりしていますよ、この前の、一昨日の行動ですね。全体集まった二百七十一名。あるいは閣僚の問題、あるいは河本通産大臣ははっきり批判してますよ。内閣の閣員の一人、連帯責任を負わなきゃならない者の一人ははっきりそういうものに批判しているじゃないですか。だから、そこの点をもうちょっと明確に言わないと、何かここに問題があるのに、きれいごとばっかし反三木も三木も言っている。実際はそんなことじゃないのだと。私たち、この点がはっきりしないから、両方ともうまくない、両方ともロッキード隠し、中曽根隠しだと、こう言いたくなっちゃうのです。もっと、あからさまに三木総理の姿勢が、こういう点は、こういうことになれば——現に三木総理という言葉を使ってるんですよ、福田副総理。これは偶然に使った。総裁という言葉を使ってないのかわかりませんけど、内閣の責任ですよ。その連帯責任がありますよ。三木総裁だけを責めるのじゃなくて、三木総理も責めているのです、政党政治ですから。となれば、その閣員の一人であるみんな全閣僚は憲法六十六条で連帯責任を国会に負うんです。これをはっきりやっぱり自覚してますでしょうね。その上において党の責任だと言うのか、どうですか。もう一言、ちょっと時間がありませんからな、簡単で結構ですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) 臨時国会一つをとってみましても、自由民主党がばらばらの状態じゃ、これは開いても、政府の意図するところの三法案の議了なんというのはなかなかできません、これは。そこを心配しているのですよ。これは、閣僚としても当然そういうことは心配することは、これはもうもちろんでございますが、問題の焦点はどこにあるかというと、閣内の不統一じゃないんです、これは。閣内にもそれは意見のいろいろ違う人もありまするけれども、これは一議員としての意見の違いなんです。いま、問題は自由民主党の一体化と、こういうことにあるわけでありまして、そういう立場において私どもは行動しているので、一派閥にとらわれてどうのこうのと、そんなけちな動きはしておりません。これは本当に、私はいまの状態は日本国のために憂うべき状態である、日本国のためにはどうするのだと、こういう見地から最高の——乏しい私でありまするから、最高といっても低いものかもしれませんけれども、最高の良識を発揮いたしまして、事態を速やかに収拾したいと、そういうふうに考えております。
○黒柳明君 どうですか、六十六条の点についてはどういう認識を持っていますか、憲法六十六条。六十六条は、私が言うまでもなく、長年あれしているのですから、六十六条は、内閣は、閣員は全部国会に連帯責任を負うとなっているわけですよ、政党政治ですから、総理・総裁一致ですから。その閣員はやっぱり批判するじゃなくて行政の責任を持つんじゃありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは、内閣は連帯して責任を負う、これはよく承知しておりまするが、連帯して責任を負わなければならぬ立場にあればこそ、三木総理がいい政治ができるようにということをいま主張しておるわけなんです。そのいいことをするにはどうするかということになれば、これは自由民主党の協力を得なければだめじゃないか。いまその協力がなかなか得られない、それが非常にむずかしいと、こういう段階になっておるのです。それは連帯して責任を分かち合うというくらいなことは十分心得て行動しております。
○黒柳明君 結果として、そうすると三木退陣ということになれば、その原因が自民党内の総裁、党員の間にせよ、やっぱり閣員の一人として、なかんずく副総理としては相当重大な責任を感ずると、こういうことのいまの御意見と受け取っていいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 内閣は連帯して責任を負うということにつきましては、私はそのとおりに考えております。
○黒柳明君 法務大臣、昨日の朝の新聞報道から、きのうの夜の地検の高瀬検事正の記者会見、中間に衆議院の審議がありましたね。どうも自民党の四代議士の事情聴取、これはどうしてあんな記事になったのか、この辺私不可解な点が多いものですから、簡単に説明してくれますか、簡単で結構です。大体活字では知っておりますから、報道では。どうしてあんなことになったのか、原因は。
○国務大臣(稻葉修君) それば、なかなか私にもよくわからないんですけれども、調べたところを朗読いたします。 昨日、衆議院ロッキード問題調査特別委員会における野党委員からの御質問に対し、検察当局からは、自民党所属の四氏について事情聴取を行った旨の報告を受けていなかったので、そのとおりの答弁を私は行いました。しかしながら、午後、同委員会における自民党大橋武夫理事からの質疑もあったので、東京地検に説明を求めたところ、右四氏についてこれまでに事情聴取した事実はないとの報告に接しました。本朝各紙に報道された高瀬検事正のこの点についての談話は、真実であります、したがって。なお、検察当局が捜査に関連する事柄は一切秘匿する態度をこれまで堅持してきたにもかかわらず、このような談話に踏み切ったのは、同談話にもあるとおり、事情聴取を行った旨の報道が真実に反することが明らかである上、各紙がこのような報道を行ったことについて東京地検関係者の発言内容がそのヒントになったとすれば、その表現などに若干適切を欠くものがあったためかとも考えられたので、人権上の配慮から例外的措置として行ったものであります。
○黒柳明君 これ、マスコミの報道によりますと、これは再三再四確認しての昨日の報道と、こういうことで、ちょっといまの話も解せない。きのうの午後三時、七日会の西村会長が高瀬検事正に会って、それで派閥ですな、二階堂氏のことが出ていると言ったら、いや事情聴取はしたことはないと。それで夜江崎代議士が記者会見した、これは事実でしょうな。これは各紙報道していますからね。
○国務大臣(稻葉修君) 事実でございます。
○黒柳明君 これはどう受けとめたらいいですか。自民党あるいは派閥が検事正のところへ行って、それでクレームをつけた。調べていませんと、午後三時ですよ。こんなことがあっていいですか。厳正中立、公正、冷静沈着なと絶えず言っていますな。ここにおいてもう一〇〇%事実関係だって来ませんよ、答弁が来ませんよ、捜査の秘密ですからと。こちらもそれに対して理解していますよ。ところが、自民党の一派閥の会長が検事正のところへ行って、これは事実じゃありませんと、こういうことになると、私たちはいままで検察に全面の信頼を置いてきた、法務大臣の言葉を一〇〇%、二〇〇%信じてきた。ところが、あるところでは派閥次元で検察との癒着が明らかになっている。こんなことがあっていいですか。
○国務大臣(稻葉修君) 西村氏がやってまいりまして検事正に会ったことは事実でありますね。そうして、人権にも関することだからはっきりしてもらいたいと、こういうことなんでしょう。それで、きのうの新聞にああいうふうに報道されるような紛らわしい表現が地検の方から出たということも遺憾であるから、そういう点についてやっぱり全然手落ちなしとしないから、そのために非常に人権上の迷惑をかけておるということの反省の上に立って、そういうふうに申したわけであります。他意はありません。他意はありません。異例のことでございますけれども、他意はありません。
○黒柳明君 それまた異例なんですか。私たち野党を含めて、週刊誌の問題で話しましたな。これ個人の名誉のために何とかやってくれったら、これは言えませんと。まあ記事はでたらめだと思いますけれども、事情聴取したかどうかは言えませんと、はっきり言ってましたね、覚えのとおり。つい二週間、三週間前のことですが。全くああいう根拠がないネタですよ。それだったって事情聴取したかどうかは言えませんと、個人の名誉よりも捜査の秘密の方が先行すると。でありながら、異例、異例、異例ですか。一つ検察のミスがあった、これは間違いありませんな。ひとつ確認したい。検察ミスですね。マスコミのミスではありませんね。検察のミスですね。 もう一つ、西村会長に言ったことは、その人権を守ることの異例な発表なんですか。そうすると、この次——ロッキードはまだ続きますね。そういうことがあったら、野党に対しても異例なこともやってくれますね、どうです。
○国務大臣(稻葉修君) 検察のミスと言いますけれどもね、そうはつきりしたミスとは言えないんじゃないでしょうかな。
○黒柳明君 いやいや、いま法務大臣が言ったことをとらえたのよ、法務大臣がそう言われたから。
○国務大臣(稻葉修君) いや、検察のミスですということを私が言ったわけではありませんね。検察側にも発表について多少紛らわしい発表をしたと……
○黒柳明君 手落ちがあったと言った。
○国務大臣(稻葉修君) それはまあ手落ちと言えば手落ちでしょう。もっとはっきり、はっきりね……
○黒柳明君 ミスだ、手落ちイコール、ミス、英語で言うと。
○国務大臣(稻葉修君) もう少しはっきりした、そんなことは言えませんと、こういう発表であるべきなんですな、本来。それが、まああすこへ、テレビカメラみたいなのがずっと張っておって、いつ来るかいつ来るかというふうに待ち構えているのを、まあこれもう済んでいるかもしれませんよというような調子でやったところへ食いつかれて、いろいろ問答があって、ああいう——名前はもちろん言っていませんけれどもね、その辺のところになりますと、推測記事になりますけれどもね、名前なぞは。名前なぞは。そういうわけで、そういう点について、まあもう少しはっきり、絶対に言えないと、こういう発表の仕方ではなかったもんですから、そこへ抗議を申し込まれて、まあ人権上そういうことについてはよろしくないなと、そうして事実として調べてないというんであれば、この際はっきりしてあげた方がいいなと、こういう気持ちだったと思います。
○黒柳明君 それで第二段は。要するに、人権を守るなら、この次、野党でも異例なことをやりますか。与野党を含めて。
○国務大臣(稻葉修君) さあ、それは検察庁がやりますか、やりませんかね。ですから、それはこうあるべきなんです。今後はそういうことについては、調べているとも調べていませんとも言えませんと、こういうことで押し通すようによく注意しておきました。
○黒柳明君 あのね、これは重大問題なんですよ。まあ副総理にも大平大臣にもお聞きしますけどね。総理大臣、官房長官出てこないから、内閣の問題としましてね、やっぱり検察を統括する内閣として、これは注意しておきましたなんていうもんじゃないんじゃないですか。やっぱりこれ、どうも事情を調べますとね、やっぱり事情聴取してるみたいですね。どういう形にせよ事情聴取。事情聴取を、どういう形にせよ、してるみたいですよ。だから警察当局も、検察当局も、マスコミも再三の確認で間違いないというんで——あるいは名前までは私はここはわかりませんよ、発表したのかしないのか。ところが、やっぱり自民党ないしは派閥の圧力で、これはうまくないと、こういうことでああいう発表をせざるを得なくなった。だから、夜の高瀬検事正の発表。さらに私ね、まあこんなこと、私、文句の文句じゃないんですよ、法務大臣の中立厳正、冷静沈着な捜査姿勢を信頼してきた、その裏切られた一つの国民の声を代表してるだけですよ。近々事情聴取すると、高瀬検事正会見でしてますよ。これはね、これまたマスコミから、私は言葉悪いけど、突き上げられたんじゃないんですか。あったことないことにしちゃった、自民党の、あるいは派閥次元の圧力で、あえて私そう申します。それで今度は会見で、近く事情聴取する、そこにやっぱり、何かやってるからそう言わざるを得なくなったんじゃないですか。あるいはさらに、その、近く事情聴取ということだって、検察の立場としてどうなんですか、法務大臣。
○国務大臣(稻葉修君) いわゆる三十ユニットの領収証に関する——いまの問題はね、この問題でありますが、それに見合う三千万円の金の流れについては、橋本元運輸大臣及び佐藤元運輸政務次官に渡された計七百万円を差し引いた二千三百万円について鋭意捜査中であります。近々関係者について事情を聴取する旨を述べただけであり、特定の人物について取り調べの事実の有無あるいは取り調べる予定か否かなどについて公表を避けてきた態度と矛盾するものではありません。これは、残りの二千三百万円がどこへどう渡ったのかということは鋭意目下捜査中で、金を出した方の連中がまだおるわけですからね、渡した方が。そういう渡した人間によく聞けばわかることですからね、必ずしも四人について聞かなくても。あるいは聞く必要があるかもしらぬけれども、そういう段階でございますからな。ですから、まあまずかったことはまずかったですけれどもね。それから、言わないことも書くもんですからね、名前なぞをびしっとマスコミは。そういう点についても、そごがあるようでございますね。ですから、今後は一切、そういう政治介入によって、捜査をしてるとかしてないとか、するつもりだとか……。しかし、この三十ユニットのうちの二千三百万円の行方については徹底的に捜査を進めていかなければどうしようもないもの。それは鋭意やっていって、そうしてなるべく早く理非曲直を、黒白を明らかにしなければいかぬと、こういう段階であります。
○黒柳明君 持ち時間がありますんでね、いまの質疑も中途半端ですけど、副総理と大蔵大臣、いまお聞きのように、全く異例ですよ。派閥次元でそういうクレームをつけて、それで厳正な一番最高責任者が、そんなことなかった、これは異例だと、まずかった、うまくないと、再三法務大臣のお言葉。私は、これだけがんばってきた検察当局が一回ぐらいのミスはしてもいいかと思いますよ。しかしながらね、それに先行したものがいろいろ野党からも注文が出て、それに対して完全に法務大臣、刑事局長がシャットアウトしてきたわけですよ、人権擁護ある——逆の立場でですよ、発表できないということで。ところが、完全に異例である、うまくないということ。自民党、検察の癒着、派閥、あえて言うならば、検察の癒着。そうなると、三木内閣として、内閣の閣員として、福田副総理、大蔵大臣として、絶対徹底解明と、その一方において、どっかにおいてそういう検察に圧力をかけ、癒着があった、幾ら異例とはいいながら。これは全くうまくないんじゃないですか。これについて、まあ当事者のことじゃないですけれども、いま内閣の連帯責任ということもおっしゃったばかりであります。こういうことについて今後のロッキードの中立な、厳正な解明について非常にやっぱり国民に疑惑を投げかける。幾ら異例、この次はないと言ったったって、一回やったことはこれは取り返しがつかない、こう思いますけれども、御両者のひとつ、政変は政変、ロッキードは徹底究明、という御両者のこの問題に対する所感をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま黒柳さんの御指摘の問題は私大変残念に思うんです。私は、これはもう、この事件は私どもの立場としてはもう検察当局絶対信頼だと、法務当局信頼だと、これで一貫しておるわけでありますが、法務当局の言動からこういうような論議が起こってきたということは大変残念に思います。今後こういうようなことがないように心してやっていただきたいということを法務当局、検察当局等に切にお願いしたい気持ちでございます。
○黒柳明君 済みません、大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 稻葉法務大臣を御信頼申し上げ、その善処を期待いたしております。
○橋本敦君 稻葉法務大臣にまず最初に伺いますけれども、かつて稻葉法務大臣は、事実かどうかは私は問いません、福田現副総理が井本台吉検事総長とある料亭で日通事件で会われたか会われなかったかということが大問題になったということは御記憶がありますか。
○国務大臣(稻葉修君) 記憶にございます。
○橋本敦君 西村英一七日会会長・これが高瀬検事正と会ったという問題ですが、この西村さんは、橋本登美三郎が逮捕されたときに記者会見をして、七日会としてどういう意見を発表したか。大変なことを言っていますね。どう言っているかと言いますと、田中、橋本、この両名の逮捕は交通事故に遭ったようなもんだと、事故に遭ったようなもんだと、こういう言い方です。これだけ大きなロッキード疑獄の中で、外国から多額の、巨額の賄賂をもらったという、国民の関心を呼んでいる大事件で、そして検察庁がこれだけの捜査を遂げて、逮捕、起訴するという段階で、あたかも交通事故程度のことにぶち当たった、言ってみれば運が悪くて駐車違反にひっかかったと言わんばかりのことを言っているのが西村七日会会長の会見ですよ。この人が高瀬検事正に会いに行ったと。何のために会いに行ったかと言えば、自分の派閥の二階堂氏が調べられたかどうかということについて潔白証明を高瀬検事正にとりに行ったということなんですよ。いいですか。こういう場合に、いまロッキード疑獄を国民の信頼を受けて捜査をせねばならぬ厳正中立、公正な立場にある検事正が、いかにその二階堂氏個人の人権とはいえ、このような七日会の会長西村氏に会うことは妥当だとお考えですか。私は絶対に会うべきでないと、こう思っていますが、まずその点の法務大臣の御意見を承りたい。
○国務大臣(稻葉修君) 会わぬ方がいいと思いますね。
○橋本敦君 おっしゃるように、会わない方がいいより、会ってはならぬのです。その問題について真偽のほどをただすなら国会でやるべきなんです。国会でやればよい。私どもは、この疑獄の追及の中で、口酸っぱいほど検察庁に、法務大臣に、こういう人は調べましたか、小佐野賢治は調べましたか、調べませんかと何度も真相解明のために聞いてまいりました。そのたびにあなた方は、捜査の秘密だから言えないということで一貫をしてこられた。それが高瀬検事正が、いかに検察庁内のミスがあるとはいえ、派閥の長に会って、調べておりませんという潔白証明を出すようなことを言う。絶対に私は許されぬと思いますが、もう一度重ねて法務大臣の所見を伺いたい。
○国務大臣(稻葉修君) 私もそう思いましたので、刑事局長を通じて、法務大臣みたいにやりなさいと、きのうもあれだけ言われてもなおかつ、調べたとか調べないとか、そんなことは言えるもんじゃありませんと、与党の大橋武夫理事に対しても厳然とやっているんだからそっちもしっかりやれいと、こう言って、よくしかっておきました。
○橋本敦君 法務大臣、私は法務大臣に、厳正中立に捜査を遂げるということと、国会における審議を政府として尊重すべきだという立場からこの機会に私は要求したいんです。検察庁は、国会における国会議員のこの捜査の状況について、捜査の秘密ということを前面にすべて拒否するんではなくて、現に派閥の長に対して調べてないというようなことを言明された事実から見れば、これを反省するだけでなくて、今後は国会における追及に対して可能な限り真実を明らかにするという姿勢で真相解明に協力をする、こういう姿勢に私は立つべきだと、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) それとこれとは違うんじゃないでしょうかね。あなた、前は、そういう捜査の過程においてだれを調べたとか調べなかったとか言うべきじゃないと言っていて、今度は、われわれの言えといったのには言えと、西村君の言えといったのには言うなと、そんなことはできませんな。
○橋本敦君 質問の趣旨を多少誤解しておられる。私は、一代議士が、派閥の長が検察庁に会いに行って会って、そこで物を言うと、こんな不公正なことはやるなと、これが中心で物を言っているんですよ。検察庁は、疑獄解明という国会に協力する姿勢でもっと堂々と、可能な限り真実を明かにする、困難な問題については明らかにするという姿勢に立って真相究明に努力すべきだと、こういう意見を言っておるんです。この点は私の質問を多少誤解された向きもあると思うので言っておきます。 最後に法務大臣に伺いますが、あなたは、会うべきではなかった、今後はこういうことがないように刑事局長を通じて注意をしたと、こうおっしゃった。ところが、異例の記者会見まで検事正はやられた。すでにやられましたね、検事正は。いいですか。
○国務大臣(稻葉修君) 違うんです。
○橋本敦君 違いますか。
○国務大臣(稻葉修君) きょう、きょうです。
○橋本敦君 ええ、きょう、ちょっと説明してください。
○国務大臣(稻葉修君) 午前十時ころ刑事局長にそういうことを注意したわけです。
○橋本敦君 わかりました。
○国務大臣(稻葉修君) きのうはああいう記者会見をやったりしたことはやっぱり法務大臣の従来の立場と検察庁の立場が……
○橋本敦君 違いますか。
○国務大臣(稻葉修君) ちぐはぐになってだめだよと、むしろ、こっちが言うても、そっちは厳然としているのがあれなんで、逆じゃないかと言って、よく言っておきました。
○橋本敦君 いずれにしても、この問題は、ロッキード疑獄の中で検察庁が重大な反省をしなきゃならない私は大きな黒星だと思いますよ。 きょうは時間がありませんからその次にお伺いをしていきますが、福田副総理にお伺いしますが、二十四日の両院議員総会、これで挙党体制確立ということが決定をされた、これは皆さんのお話では党議である、党議決定であると、こういうことですが、あなたもこれに賛成をされ、だからしたがって、あなたもこの党議の推進という、そういう方針には当然従って今後行動されると私は思っておりますが、これは間違いございませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに考えております。
○橋本敦君 この党議というのは、挙党体制確立を臨時国会前に行うべきだということで、いま推進委員会が進められております。そういたしますと、挙党体制が確立しない限りは臨時国会は反対だと、開かないと、こういう意味に率直に受け取れますが、これは間違いないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、ああいう意見を、とにかく二百七十何名ですか……
○橋本敦君 結論だけで結構です。
○国務大臣(福田赳夫君) 集まりまして、そして決めたわけです。ですから、この意見がどういうふうに実現されるか、これが実現されないと、なかなか国会を開きましても、どうも自由民主党の体制というものが整わないんじゃないかと、こういうふうに思うんですよ。ですから、とにかくあの決議の趣旨をできるだけひとつ実現するようにこれは党内でいま話し合っておる、私も党員の一人としてその話し合いに参加していると、こういう現状でございます。
○橋本敦君 いや、質問に答えてください。臨時国会は、それができないとやらないということは間違いないということですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま、ああいう党議を踏まえまして、いま総裁を中心にどういうふうにあれを処置するかという話し合いが進行しておるんです。ですから、私がいまここで臨時国会をどういうタイミングでどうするか、それはまあ申し上げかねますが、いま話し合いが進行しておる最中であるということは申し上げることができます。
○橋本敦君 自民党執行部は、あれは正式の両院議員総会とは認めない、したがって党議とは認めないというように、三木総理以下執行部は考えていると報ぜられていますが、これは間違いありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 自民党執行部に私会って確かめたわけじゃございませんけれども、私としては、あれは有効に党議は成立しておると、そういう見解でございます。
○橋本敦君 その点について三木総理とあなた及び大平大臣との見解は食い違っていると思いますが、どうですか、みんな党議と言っておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) さて、あの決議がありまして後、まだ三木総理と会っておりませんので、食い違っておりますか食い違っておりませんか、これは定かでございませんです。
○橋本敦君 いやいや、会っておられますよ、大平さんいかがでしょう、あれを党議と見るかどうかについて……。会ってますよ。
○国務大臣(福田赳夫君) 記憶違いでございまして、会っておりますが、その点については論議はいたしておりませんでした。
○橋本敦君 重大な問題について論議を尽くさないというのもおかしな話ですが、そういう大事な、党議かどうかということで、総裁とそしてあなた方、閣内で言えば総理と副総理及び大臣との間で重大な意見の食い違いがある。これはそもそも挙党体制確立とは何かという基本問題に関しても意見の違いがあるし、政局認識にも違いがあるし、党議というような大事なことをおっしゃるそれにも意見の違いがあると、これはまさに今日閣内不統一と言われても仕方のない状況だと思いますが、副総理としてどうお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま内閣の中には問題は私はないと思います。問題がありますのは、これは自由民主党の中にその挙党体制をどうするかということをめぐって論議がある、こういうような関係かと思うんです。私は内閣の閣僚として、いまは経済政策を担当しておる、この経済政策につきましては本当に全力を尽くし、三木総理をお助けしてきておるし、また現にしておりまするし、今後もしていくつもりでございますが、自由民主党の一員といたしましては、党の挙党体制をどうするかということについて、まあ意見は、これはもう当然違うところはあります。それをどういうふうに調整するかと、そういう話はしておるんです。
○橋本敦君 おっしゃる挙党体制というのは、あなたが三木総理と大平さんも含めて二回会談されたけれども、まだ結論は出ない、まだ話し中だ、そういう意味では、この挙党体制確立というのはなかなか難航しておる、むずかしいというように私どもは思いますが、いかがですか、簡単なものじゃないでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、これは非常に基本的な問題に触れておりますので、そう簡単な問題じゃないと思います。しかし、まあね、私はこれはいわゆる激突だとか、そういうようなことにしちゃいかぬ、どこまでも話し合いでやりなさい、やるべきであると、こういうふうに考えており、そういうふうに主張しておるわけでございますが、これはやっぱりね、これはもう自由民主党はいまとにかく政権をつくっているんですから、その自由民主党の責任の重さというものを考え、そしてみんなが最高のステーツマンシップを発揮するということになれば、決着はおのずからついてくるという展望でございます。
○橋本敦君 いま副総理がおっしゃった、激突までいかないようにすべきだとおっしゃったのは、あなた自身あるいは大平さんなどが閣僚を辞任するというようなことはやらないという、そういうことも含めて激突は避けるという意味ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は自民党の中の問題なんですよ。自民党の中で激突というようなことがないように、そういうことを私どもば考えておるわけであります。
○橋本敦君 ですから、閣僚問題を……。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、その閣僚としていま辞任というような考えはありませんです。
○橋本敦君 挙党体制は大変むずかしいということをあなたも率直におっしゃったのですが、しかし、挙党体制はみごとにロッキード隠しではできているんじゃないか。たとえば、昨日の衆議院のロ特では、政治的道義的責任を解明するために重要な証人要求について、これは全部挙党体制一致をして証人喚問を否決をした、自民党はまさに一致をした。こういう意味ではあなた方は口ではロッキード真相解明はやるということを福田さんも大平さんもおっしゃるわけだけれども、証人喚問を一致して否決する、この点では挙党体制ができておる。これは私は国民も解せない問題だと思う。そういう意味で、あなた方は口ではロッキード隠しはやらないと、こう言うけれども、証人喚問を国会でどんどんやって真相を究明するということについて、きのう起こった挙党一致の、挙党体制の否決という問題について、福田副総理はどうお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 証人喚問なんか、これは国会の運営の問題の一こまです、これは。これは各党が話し合って決めるべき問題である、話し合いがつかなければ採決でやると、こういうことだろうと思うのです。そういう現象がきのうの出来事であると、こういうふうに思いますが、その党がどういうふうに考えて否決の方に回りましたか、私は聞いておりませんけれども、それなりの事情があったんだろうと、こういうふうに思います。私どもとしては、ロッキード事件の徹底解明、これにはいささかの動揺もございませんです。
○橋本敦君 ならば、きのうの挙党一致の否決という問題には重大な問題があるはずですね。 時間がありませんから大平大蔵大臣にお伺いするんですが、大平さんはかねてから田中前総理の盟友と言われてきた人である。そして問題のハワイにおけるニクソン・田中会談にも外務大臣として随行された重要な大臣であった。そのハワイ、ニクソン会談へ行く前に、田中角榮が何とトライスターの売り込みに成功すれば五億円という巨額の報酬をもらう、上げましょうという約束をして、その約束を胸にしまってあの会談に臨んだという事実が今日明らかになったわけですが、あのハワイ会談に随行されたあなたとして、このような重大な事実が今日明らかになったことを、あなた自身の立場も含めて、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 田中前総理に絡まる御指摘の問題でございますが、検察当局で強制調査を受けておるということは承知いたしております。私はこのことが今後どのように解明されてまいるのかわかりませんけれども、田中前総理の名誉のためにも、また、田中前総理を選んだ国民の誇りのためにも、これが無実であってほしいと、いま念願をいたしております。
○橋本敦君 無実であってほしいと念願なさるのは、それはあなたとして御自由です。そういう事実で起訴された。その会談にあなたは行っておられた。田中前総理がそういう事実で起訴されたということについて政治家としての反省なり御意見なりありませんか。無実を願うだけですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、当時外務大臣といたしまして、田中内閣の閣僚といたしまして、やるべきことをいたしたわけでございまして、何ら悔いはないわけでございます。ただ、御指摘のロッキード事件に絡まる問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおりの心境でおります。
○橋本敦君 時間がありませんから、もう一問伺いますが、大平大蔵大臣、あなたが無実を願っておる、それはあなた自身の、田中さんとの間で盟友という立場であれ、あるいは国民の立場であれ、どうおっしゃろうとそれはあなたの御自由ですよ。私が聞いているのは、あの大事な会談にあなたは随行をされて、あなたなりの職務を果たされたと言うが、その会談に田中さんは五億円の賄賂約束をして行っていたんですよ。この事実で起訴されたんですよ。随行された唯一の大臣として、政治家として、この田中角榮起訴に対していささかも政治的な反省を自分自身としてお感じになるところはない、国民に対する責任を感ずるところはない、ただ無実を願うだけだと、こう伺ってよろしいですか。
○国務大臣(大平正芳君) そういうことの有無はいささかも私は存じませんでした。そして、そのことがいまロッキード事件として取り上げられておると承知いたしておりますけれども、この解明はこれから司直の手で進んでまいることと思うんでございます。これが最終的にどういうことになりますか予測はつきませんけれども、先ほど申しましたように、田中前総理のためにも、田中前総理を総理として選んだ国民の誇りのためにも無実であってほしいと、私は心から念願しておるという心境に変わりはありません。
○橋本敦君 終わりますが いまの大平大臣のお言葉を聞いていますと、重大な政治的責任に関する自覚は全くないと私は言わざるを得ない。まさにいまの政変劇で大平さんがどうおやりになろうとも、ロッキード隠しだと、こういう国民の非難は一層消えないということを私は感じとして持って質問を終わります。
○木島則夫君 何分短い時間でございますから、端的にお答えをいただきたいと思います。 先日の議員総会は船田中氏の発言に象徴されると思います。で、いま船田氏の発言はここで繰り返しをいたしませんけれど、こういった発言が堂々と表現をされる、この事実と、福田・大平御両氏がロッキード問題は徹底的に究明をするんだという、こういうお言葉、態度の中には、私、大きな矛盾があると思いますね。だとするならば、あの日から三日たった今日、あの発言は間違いであった、あれは取り消すべきであるという意思表示はございますか、どうですか。あるなしで結構でございます。お二人に伺います。
○国務大臣(福田赳夫君) ああいう会合でございますので、私も出席いたしまして、そして船田さんの話を聞いておりました。しかし、一字一句正確にというわけじゃないんです。ところが、聞いておりますと、ちょっとひっかかるところがある。はっとは思ったんです。思ったわけでありますが、後で船田先生に話を聞いてみますと、あれは私の本意じゃない、私の本意は徹底究明にある、こういうことであると、こういうお話でございまして、私もああそうでしたかと、事言葉の問題でございましたかということで了解はいたしましたが、とにかく自由民主党、これはもちろんでございますが、政府といたしましても徹底解明、この方針につきましてはいささかの動揺もない。ありませんから、その辺はひとつそのように御理解願います。
○木島則夫君 これが議員総会を正式なものとお認めのお二方のお立場からすれば、個人同士であの話は誤解であったという片づけ方ではなしに、やはりしかるべき場においてそれを表現なさるのが順当ではないかと思います。大平大蔵大臣いかがですか。——じゃ、福田副総理で結構です。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ相談してみます。
○木島則夫君 当然それは私は発表なさるべきだと思いますよ。 時間がありませんから端的にひとつお答えをいただきたい。党議実現推進委員会の会合では、各委員から、臨時国会を三木総理の手でやるような事態になれば党は空前の危機に陥るという発言が相次いでおりますね。この空前の危機、一体この危機というのは何でしょうか。これも、いま何であるか、るる御説明をいただくと時間がかかりますので、私は端的にこういう伺い方をしたい。つまり、三木さんの手で解散をしたり臨時国会を開いたりする、これから政権を担当してもらうと保守本来の姿が失われてしまって、財界とのつながりも薄れ、そうして従来の保守の体質を維持することができない、そのことをもって危機意識と言うんならば、私は余りにも時代から外れた保守本流の考え方であろうと思います。福田、大平御両氏は、一体この危機意識というものは、財界とのつながりを維持することが失われることで、本来の自民党の体質が三木さんの手でやったらばどっかへいっちゃうという、このことがイコール危機意識とお思いでしょうか。はっきりきょうは伺わしていただきます。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、自民党全体といたしまして——私は自民党を代表する立場じゃございませんけれども、私の見るところを申し上げておるんですが、自由民主党全体といたしまして、とにかくロッキードの徹底解明はしなけりゃならぬ、それから臨時国会において懸案の三法案を有効に速やかに処置しなけりゃならぬ、これはほとんどの人がそういうふうに考えておるんです。おるんですが、さあ臨時国会を開いたら一体どういうふうになるんだろうかと、みんな意見が一致しないままに、挙党体制がとれないままにそういうことになった場合に大変混乱した状態になるんじゃないか、願うところの継続三議案の処理なんか、なかなかそう期待するようにいかないんじゃないか、そういうようなことで、国政がこのままではなかなか進展しないと。まあ自由民主党挙党体制ということは、これはもう一自由民主党の問題じゃないんで、国家の利害に非常に大きく影響する問題だと、それがこのままでいいのかということが危機感だと、こういうふうに御理解願います。
○木島則夫君 私、もう一回お尋ねをいたします。その危機意識というのは、三木さんの手で政権を担当してこれからいったんならば保守本来の自民党がなくなっちまうという危機意識なのかどうなのかと、そこのところを伺いたいわけであります。
○国務大臣(福田赳夫君) いまお話しの点については、いろんな感触を持っている人、まちまちだと思います。そうじゃない、統一された危機意識というのは何だというと、いまの体制、挙党体制のない状態において国政が進まない、これでは政治家としての責任が尽くされないじゃないかと、こういう切実な感じですね、これが危機意識だと、こういうふうに申し上げて差し支えないと思います。
○木島則夫君 非常にその辺が私にはわかりにくいんですよ。それは挙党体制、挙党体制とおっしゃるけれど、三木さんの考える保守のありよう、あるべき姿と、福田、大平御両氏の考える保守のあり方との間には大きなみぞがあり過ぎて、それがなかなか一致しないところに私は挙党体制が組み得ない大きな原因があると思いますよ。これからの保守のあるべき姿というものは、われわれが従来受け取っている財界と密着をしながら旧来の自民党の体質を進めていくそのことがいわゆる挙党体制なのか、いいですか、そういうものではもう時代に合っていかないから、もっと変わらなければいけないんだと、その変わり方を象徴するのが三木さんの考えなんだと、この間に大きな私は隔たりがあり過ぎると思うんですね。福田さんはどっちだとお思いですか。これからの保守のあるべき姿は三木さんではだめなのか、あるいは福田さんがおっしゃる危機意識というものの方が正しいのか、国民によくわかるように、私聞いていてもどうしてもわかりにくい、ひとつこの際教えてくださいませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 挙党体制というのは、これは自由民主党の中のおのおのの議員の意思疎通、これがどうしても必要なんです。特にその中で大事なことは、総裁と議員との意思の疎通、こういうことになると思います。それが残念ながらいま欠けておる、動揺しておると、そういう状態なんです。これを再建するには一体どうするかというのがいまの政局論議なんですよ。イデオロギーがどうのこうの、そういうことじゃございませんですから。
○木島則夫君 あるべき姿はどっちですか。
○国務大臣(福田赳夫君) あるべき姿は、私はこういうふうに考えておるんです。 このロッキード事件というものは、一つのそういう問題について大きなチャンスを提供しておるという見方です。まあ、とにかく自由民主党は結党以来二十一年になっておる。その二十一年間政権を担当しておる。そうすると、やっぱりそこにあかもつき、しみもつくんですよ。そういうものを洗い流して、そしてきれいな政党にならなきゃならぬ。これはそういう生まれ変わり、出直しの非常にいい機会であると、そういうふうにとらえておるわけです。で、そういうような考え方、これを出直しだと、出直し論だというふうに言っておるわけでございますが、ロッキード事件というのは、事件解明、これはもうどうしたってやってのけなきゃならぬ。ならぬが、同時に、この問題はなすべくしてなされなかった自由民主党自体の反省と改革、これに対しまして非常にいい機会を与えておる、そのいい機会としてこれをとらえていかなきゃならぬと、こういうふうにいま思うんです。まあ、総選挙も迫っていますよ。ですから、この事件を本当に真っ正面からとらえて、そして自由民主党はこの機会にこういうふうに生まれ変わりましたと、こういう実を上げてこそ初めて国民の信頼を回復し得るんじゃないかと、そんなふうな考えでございます。
○木島則夫君 いまの福田副総理のお話を伺っておりますと、三木総理のおっしゃることと私はそれほど隔たりがないようにも、きょうは実は受け取ったわけですよ。 きょうは瀬谷委員もいらっしゃるけど、たとえ話がとてもお上手ですね。私も一つたとえ話を出さしていただきますと、薩長連合軍が江戸幕府を攻めに上ってきたわけですね。ちょうど、二十四日の時点というのは、品川にとまって、そして砲門を江戸城に向けて、その威圧を、つまり威力を見せたと、それが二百七十数名の数だったと私は思いますね。そして勝安房と西郷が話をして江戸を戦禍から守ったという結論になるんですけれど、薩長連合軍が砲門を江戸城に向けたという、向けた中には大義名分があったと思いますね。その大義名分は何かというと、大政奉還。だけど、残念ながらこの間の総会を見ていると、その大義名分がはっきりしてないんです、はっきり申し上げて。ただ挙党体制の確立、出直し、一体それは何なのかということがいま国民にとって一番わからない。きょう何かわかったようなわからないようなお話で、もう一つ聞かしてください。 そうすると、ロッキードの解明と財特法の処理というものは、三木さんと福田さんの間にも、大平さんの間にも共通点がおありになるんだから、ここまでの問題は別にいわゆるごたごたする必要はありませんね。それからあるべき姿を模索する中で一体どうするかという問題にしばって伺いたいんですけど、財特法の成立も九月の十日ぐらいが限度だということです。私はもう質問時間がないから、そこのところを、あるべき姿、保守の本質というのは一体何かと、その保守の本質をきちっと守っていくためには、三木さんが、はっきり言って邪魔なのかどうなのか、そこのところを聞かしてください。はっきりしてください、はっきり。
○国務大臣(福田赳夫君) 財特法は、これは速やかにこれを成立させなきゃならぬ、これはもう異論はだれにもありませんよ。それからロッキードの解明、先ほどからるる申し上げておるとおりでございます。これも徹底究明しなきゃならぬ。しかし、まあ特に国会の問題になりますと、これはやっぱり自由民主党、まあ特に参議院なんかにおきましては保革すれすれの状態ですから、一人も脱落者なく鉄の団結をもってこれに当たらなきゃ、なかなかあの重要法案の処理はできないんですよ。しかし、それを実行するためにはやはり強大な団結の体制というものが自由民主党全体として必要なんです、これは。その体制を固めたいと、こういう論議なんで、いま大義名分がないというような話ですが、大義名分は、もう強力に国政を処理する、推し進めていくというためにこういう体制をとるべきだということであって、これ以上の私は大義名分はないと思うんですがね。何かこう、マスコミかなにか、いろいろ大義名分がないというようなことを書く人がありますが、それは私は非常に誤解だと思う。そればない。大義名分は、これは政府はもう本当に日本一億人の運命をしょっているんですからね。これは本当に国政をどんどん進めていく強力な体制になきやならぬ。そういうことをここで整備しまして、そうして国民の負託にこたえようというんですから、これ以上の私は大きな名分というものはないと思うんです。
○木島則夫君 最後に一言。 私はもちろんこれ以上質問の時間がございません。私の言う本質は、強大なその力というもので安定をするというもう一つその背後には、保守のあるべき姿を明示をして、そしてその上に強力なものをつくっていかなければ大義名分はないんだという意味で申し上げたわけでございます。自民党の内情だとか自民党の内側の事情についてとやかく言うなというおっしゃり方もあろうかと思いますね。しかし、自民党はいま政権を担当していらっしゃる政党でございますから、その一つ一つ、一挙手一投足が国民の生活に大きな影響をもたらすという意味で、あるいは汚い言葉も使ったかもしれませんけれど、私はそういう熱意のあらわれとして御質問をさしていただいたと、このことも御了解いただきたいと思います。 終わります。
○委員長(剱木亨弘君) 午後一時十五分再開することとし、休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 —————・————— 午後一時二十一分開会
○委員長(剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。 ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保亘君 最初に法務大臣にお尋ねいたします。 午前中質疑がありました東京地検高瀬検事正の昨夜の異例の発表につきましてお尋ねしたいんでありますが、検察当局が新聞報道を公式に否定する談話を発表しなければならなかったその理由をもう少し具体的に、検察庁にどのような責任があって否定しなければならなかったのか、そこを具体的に御説明いただきたいと思うんです。
○国務大臣(稻葉修君) 報道関係に対する検察、地検の発表がああいう記事を書かれてもやむを得ぬような——名前は言ってないんですけれども、まあもう済んでるかもしれませんというようなことを言うたものですから、それでああいう記事になったと。それはああいうふうになるというと、いかにも検察当局が捜査内容について無責任な発表をしたと、こう誤解されてはいかぬというので、相当長時間協議したようでございますが、その結果、検事正が代表してああいう発表をせざるを得なかったと、こういうふうに聞いております。
○久保亘君 その検察庁に報道の責任ありと判断せざるを得なくなった発言というのはだれによってなされた発言ですか。
○国務大臣(稻葉修君) これは検察関係者ということにひとつ御勘弁願いたいと思いますよ。
○久保亘君 発表の内容も異例であれば、検事正の談話が発表されました時間も深夜、異例の時間であります。しかし、先ほどから質問もあっておりましたように、七日会の会長西村英一氏の確認要求に対しては、伝えられるところでは検事正の側から午後三時に東京地検検事正室で会うという返事があって、それを受けて三時から十五分間西村英一氏は高瀬検事正と話し合った。「この中で、西村会長が「本人にとっては重大な問題であり、友人とし事実を確かめたい。調べは本当に行われたのか」とただしたところ、高瀬検事正は「私の方では調べていません」と明言した。」で、「このため西村氏が一斉報道の説明を重ねて求めた結果、高瀬検事正は「全くこちらもびっくりしている。検察としても、はなはだ迷惑なことで、残念に思います。」と、こういうふうに言われた。これは江崎七日会副会長の記者会見による発表であります。午後三時にはすでに高瀬検事正は取り調べはしておりませんということを自民党の派閥の長に対して発表されておるのに、それから七時間も検察側がどういう発表をするかということを協議しなければならないというのは、これはいろいろとその間に複雑な事情がなければそういうことにならないと思うんです。そうでしょう。三時に抗議を申し入れてきた者には調べておりませんと言っているんですよ。その後いろいろと協議を加えた結果、午後十時になってやっと取り調べはしておりませんということを正式に発表しなければならぬというのは、その間一体何があったんですか。
○説明員(吉田淳一君) 事実関係についてのお尋ねでございますので、私から説明させていただきます。 昨日の国会におきましても大臣からも答弁がああったところでございますが、午後大橋委員からの御質問がありまして、そのときには報告を受けてないという、そのとおりのことを答弁したわけでございますが、そういう状況もありましたので、地検にその点を確かめたわけでございます。そういたしますと、きのう報道があった四氏につきましては事情聴取した事実はないという報告に接したわけでございます。で、どうしてそういう検事正の発表がおくれたのかということでございますけれども、地検といたしましては、まあ検察当局といたしましては、従来捜査の関係について、内容についてだれを調べたか、特定の人物についてだれを調べたか、あるいは調べないかということは、基本的にそういうのは捜査に支障があるのでございますから、申し上げないことにしておるわけでございます。ところが地検関係者の新聞報道者に対する応対の際に若干そういうように報道関係者が受け取ってもやむを得ないというような事情も、必ずしも適切でなかったという事情もあったようでございますので、この点についてやはり異例の措置として人権上の配慮から、特にこの点につきまして事実をはっきり申し上げる必要があるということになったわけでございます。そういう、原則は捜査の過程におきまして特定の人物を調べたとか、調べないとかということは申し上げないたてまえになっておりますし、国会でもそのようにお答えしておるわけでございますけれども、そういう異例の措置をとるについてどうしてもそういう必要があるかどうか、その辺について十分検察当局としても慎重に検討して、その検討した結果そのような検事正の談話になったのでございまして、別にその検討するのに時間を要したというだけのことでございまして、ほかの何らの理由もございません。
○久保亘君 長時間検討をすべき非常に重大な問題であるにもかかわらず、西村英一氏の申し入れに対しては七時間も前に取り調べをした事実はないということを検事正みずから言われるということは、これはどういうことですか。そういうことになれば、その責任をつくった者と同じく、検事正自身もなお検察庁内において検討を要する問題を検事正として事前に特定の人間に対しては発表されるということになりませんか。私はその辺に、検察がいまやこのロッキード事件を政治的な問題として処理をしようとしているのではないかという大変大きな危惧を持つわけです。その点について明確にしていただきたいと思うんです。
○国務大臣(稻葉修君) 西村氏がやってきて、検事正が会って西村氏に新聞に出ているような事実はございませんと、こういうのもどうかと思いますがね、私としては。もう少し検事総長も交えて検察当局全体として検討すべき問題だと、これは思いますな。一つ何かつまずくとだんだん碁と同じで、一手悪い手を打つとまたどんどんと悪手ばかり連発することもありまして、とにかくそういうこと言っちゃ泣き言になるけれども、ずいぶん疲れてもいるんだね。どうも済みません。
○久保亘君 法務大臣もきのう衆議院では、新聞が書いていることを一々検察当局が責任を持つわけにはいかぬと、こういうことを言われましたですね。そして検察が漏らすわけはない、新聞に書いてあることを検察が一々責任を持つわけにはいかぬと。検察庁の責任でなければ、検察当局の責任でなければ私はあなたの言われるとおりだと思う。しかし検察当局にこの報道について責任があると認めたから、異例の談話でもってその新聞報道を否定されるようなことになったんでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) 事実はそのとおりです。そのとおりです。あなたがおっしゃるとおりです。
○久保亘君 そういうことだとしますならば、検察当局のミステークはどこでいつだれの責任で起こったのかというのが、これはこのロッキード事件を解明すべき検察当局のあり方として今後に非常に大きな問題を残すわけでしょう。その点についてはやっぱりきちんとしておくべきじゃありませんか。
○国務大臣(稻葉修君) いま第二の山というか、それはまだ完成しておりませんからね、捜査が。そうしてもう少しで解明するところでございますから、解明の途中においてあいつがこう言ったんでこんなことになったんだと言うことは、ひとつ御勘弁願いたいと思っています。
○久保亘君 それじゃ、その問題はまたいずれかの日にきちんとすべきときがあろうと思いますが、高瀬検事正がこの異例の談話を発表されますときに、事情聴取の事実はないということと同時に、「三〇ユニットの領収証の関係者については近々事情聴取したいと考えている。」と、こういうことをまず冒頭に発表されておりますね。こういうことになりますならば、これは予告事情聴取でありますから、事情聴取が行われた場合には、その事情聴取の行われた事実について当然当委員会なり、適当な方法によって公表されるべきものと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 結論を申し上げますと、直ちにそういうふうに結びつかないと思いますね。領収書の関係者について、ユニット領収書の関係者については近々事情聴取したいと考えていると、こういう高瀬検事正の言葉はいわゆる三十ユニット領収証に見合う三千万円の金の流れについては、橋本元運輸大臣及び佐藤元運輸政務次官に渡された計七百万、これは起訴状にもあってわかっていることですな。そうすると、差し引いてあと二千三百万、どこへ行ったかわからないわけですね、まだ。その二千三百万円については鋭意捜査中でありますが、近々関係者について事情を聴取する旨を述べたわけです。特定の人物について取り調べの事実の有無、あるいは取り調べる予定があるかないか等について公表を避けてきた態度とは矛盾しないと思うんでございます。したがって、もしそれらの関係者について、それらの関係について取り調べたか否か、その取り調べの結果はどうだということを御質問になられましても、それがある程度黒白、起訴、不起訴がきちんとして、そうしてその後道義的政治的責任ありとして国会がおやりになる場合にどこまでこれに協力するかということは議長裁定によって協力すると、こういうことになるんじゃないかと私は思います。
○久保亘君 私はなぜそういうことを言うかといいますと、取り調べを受けたらしいということが国民の疑惑として持たれるようになりまして、それを今度は検察当局の過ちによってその責任を……。いいですか、検察当局が報道との接触において過ちを犯したために事情聴取をしていないという発表をしなければならなくなったことによって、もし疑惑のある人たちであった場合には、その疑惑に対して逆の心証を検察当局が与えたということになるんです、この談話の発表によってですね。そうすれば、事実今度は事情聴取が行われた場合には、そのことについては当然これは公表されなければ、国民のその疑惑に対して検察当局は間違った是正の仕方をしたということに今度は結果が残っていくわけです。だから、私はその点については今度の検察当局の誤りを最後まで払拭していくためには、当然にこの三十ユニットの領収書の関係で行われる事情聴取についてはすでに検事正が予告されたわけですから、その予告が実際に行われた場合にはそれを発表すべきものである、こう考えております。そうしないと、今度の検察当局の過ちは完全に修正されることがない、こういうことになるだろう。 特に私はこの際法務大臣にきちんとしておいていただきたいのは、先ほども申し上げましたように、特定の有力派閥の実力者などが抗議を申し入れてくると、検事正がわざわざ自分の部屋へ呼んで、そしてその事実のないことを保証してやるなどということは、これは国民の側から見ますならば、完全に政治的介入を受け、政治的圧力に検察側が屈していると見られても仕方がないわけです。このようなことについては今後一切あり得ないと、あればそのことについて法務大臣自身も責任を負わなければならぬ問題である、このようにお考えになりますか。
○国務大臣(稻葉修君) そういうふうに考えますね。あってはならないことですし、あるとすれば私の責任にも関することだというふうにシビアに考えています。
○久保亘君 これらの問題については、今後その事情聴取の成り行きなどを私どもまた注目いたしておりまして、その経過に基づいて質問もいたしたいと考えております。ただ三十ユニットの領収証の関係者についてということになれば、贈った側の著たちはすでに全部取り調べを受け、強制捜査も受けておるわけです。そうすると、この関係者というのは、あなたが先ほど言われたように、橋本、佐藤を除く二千三百万円を受け取った者と、こういうことになりますね。それよろしゅうございますか。
○国務大臣(稻葉修君) だれであるかは別として、受け取った者、関係者が複数ということでしょうな。
○久保亘君 受け取った者ということになれば、一応いま公表をされておりますコーチャンの供述などから見れば、新聞報道にあるいろいろな人物とさして食い違いはない、こういうふうに私どもは見るわけでありますが、その点は法務大臣もそのようにお考えになりますか。
○説明員(吉田淳一君) 捜査の関係でございますので、私から説明さしていただきます。 いまコーチャン証言が公表されているとおっしゃいましたが、私どもが公表と考えておりますのは、米国から外交ルートで来ているコーチャンの証言というふうに理解しております。その点についてはそのような御指摘のような点はないと思います。いずれにいたしましても、三十ユニットにつきましては、鋭意他の関係も含めまして検察当局は現在捜査を続行中でございます。それで当然その関係者についても取り調べをするということになるわけでございまして、どういう者になるのかと、どういう者なのかということにつきましては、再三申し上げますように、特定の人物についてはお答えできないという立場をとっておるわけでございます。御了解いただきたいと思います。
○久保亘君 いま課長が言われた中で、あなた方の方で受け取っておるアメリカ側の資料、嘱託尋問の調書、これらの中には私が言ったような事実はないと言われましたですね。それはあなた自信を持って否定されるんですか。
○説明員(吉田淳一君) 決してそういう趣旨じゃございません。
○久保亘君 いや、先ほどそういうふうに言われているから。
○説明員(吉田淳一君) 公表されたコーチャン証言というふうにおっしゃいましたので……。
○久保亘君 供述。
○説明員(吉田淳一君) コーチャン供述ですか。——私どもの立場といたしましては、嘱託尋問をして得ておりますコーチャン証言の内容につきましては、捜査のまさしく内容に関連することでございますので、その内容がどうなっているかということはお答えできないという立場を終始一貫申し上げておるわけでございまして、その点についてそういうものがあるかないかということをここでコメントできないという立場で申し上げておるわけでございます。そういう趣旨で申し上げたんですけれども。
○久保亘君 そうすれば、新聞記者に対してコーチャンが会見によって供述したその内容というのは、あなた方の捜査に当たっては全く参考にならないと、こういうことでしょうか。それともコーチャンという同じ人物が上院で証言し、嘱託尋問で供述し、そして新聞記者に会って話をしているわけです。この三つの同じ人物の話の内容が著しく食い違うということになれば、これはコーチャンの発言そのものに疑問が残ってくるわけでありまして、私はそのようなことはあり得ない、こう考えておりますからお尋ねしているんですよ。
○説明員(吉田淳一君) 私の説明の仕方が悪かったせいだと思いますが、誤解を与えたことは申しわけないと思います。決してそういう趣旨ではございません。検察当局としては、御指摘のような記事につきましても十分関心を払っておるわけでございます。ただし、嘱託尋問で得たコーチャン証言の内容がどうであったかということは捜査の内容に関連いたしますので、申し上げられないと申し上げておるわけでございますので、したがいまして、それとの関連で新聞報道でなされているコーチャン氏の話が食い違いがあるかどうかについても、私どもとしては何とも申し上げられないという立場を申し上げておるのでございまして、私といたしましてはそういう趣旨で申し上げたので、誤解のないようにお願いしたいんですけれども。
○久保亘君 それでは今度のコーチャンの会見の中で述べられている、すでに強制捜査の行われた部分、たとえば丸紅専務の大久保利春から田中角榮に五億円が渡されたくだりの問題、それからこの三十ユニットについて金を受け取った者のうち、六人のうち二人、橋本元幹事長、それから佐藤前運輸政務次官、これらの者たち、それから若狭得治に関する部分、これらの部分などは容疑事実として捜査当局が発表されたものとほぼその内容において一致が見られる、こういうことは間違いありませんね。
○国務大臣(稻葉修君) お答えする前にちょっと訂正さしていただきたいんですが、まことに恐縮ですがね。 先ほどいわゆる三十ユニット領収証に見合う三千万円の金の流れについては、橋本元運輸大臣及び佐藤元運輸政務次官に渡された計七百万円、これはすでに起訴状によってと言いましたけれども、まだ起訴、不起訴になってませんから、これは間違いです。これは事務当局から注意を受けましたんですが。これは逮捕状の被疑事実の中に公表されているというふうに訂正しておきます。それだけですが。
○説明員(吉田淳一君) お尋ねは朝日新聞に載っているコーチャンの供述に関連してのことだと思 います。
○久保亘君 そうです。
○説明員(吉田淳一君) この供述の中に名前の出ている者についてのお尋ねでございますけれども、先ほど申しましたように、そういう新聞報道について検察当局がすべてに関心を払って捜査をしているということは言えるわけでございますけれども、具体的にそれが報道の載っている者を捜査の対象にしているかどうかという点につきましては、それはあくまでも新聞の報道でございまして、私どもとしては検察当局は十分それについても関心は持っていると思いますけれども、検察当局としては嘱託尋問をして得たコーチャン証言に基づいて、そして犯罪の容疑ありという者についてはいろいろ捜査をするという責務を持っているわけでございますから、そういう手続で進んでおるのでございまして、新聞のその報道との関連でだれを捜査しているかということを申し上げるわけにはいかないのでございます。その点ぜひ御了解いただきたいと思うんでございますが。
○久保亘君 いや、あなたね、私の質問をよく聞いて答えてください。——私が言っているのは、コーチャンの朝日新聞記者との会見の内容をずっと詳細に読んでまいりますと、すでに起訴された者、強制捜査を受けた者、こういう者たちの今度のロッキード事件とのかかわりについてコーチャンがこの会見の中で言っていることは、金額などにおいてちょっと差異があるけれども、その事実その他については、すでに起訴された者、強制捜査を受けた者の被疑事実などについてはコーチャンの会見の内容とほぼ一致するんじゃないですかと聞いているんですよ。そのことを聞いている。ほかの者のことは聞いておらぬのです。
○説明員(吉田淳一君) ロッキード事件についてすでに起訴をしている関係者についての事実関係とコーチャンの供述とがほぼ一致しているのではないかと、こういうことであることはわかりましたが、どうも、私といたしましては、その新聞の報道でそういう記載がされていることは承知しておりますけれども、それが起訴事実と合致しているかどうかという点は、検察当局としてこの段階でコメントすべき立場にはないんじゃないかと思うのでございます。それは読んでいただく読者の方々にはそれぞれの御判断があると思うんでございますけれども、現在検察当局として起訴している公訴事実の証拠関係、捜査の過程で得た事実関係と同じじゃないかというふうに言われましても、それはやはり現在の捜査をしてきたその捜査の内容に関連することでございますし、さらには今後の公判立証にも関連することでございますので、現在それが合致しているとかしてないとかということを申し上げるべき事柄ではないと私どもは考えておるのでございます。
○久保亘君 それじゃ、あなた方が強制捜査に当たって容疑事実とされたこと、それから起訴状に書かれた内容、そういうものがこのコーチャンの会見内容と著しく食い違って、全く会見内容は検察庁がすでに公表した容疑事実と食い違っている点がここに現にありますか。あるともないとも言えないということじゃなくて、両方とも公表されたものについて聞いているんでしょう。だから、両方とも公表されたものについて聞いているんだから、合致するかしないかということを、あるとも、するともしないとも言えないって、そんな問題じゃないんじゃないですか。
○説明員(吉田淳一君) 起訴された公訴事実とコーチャンの新聞報道の供述とで一致している部分はございます。
○久保亘君 一致している部分というよりは、私はあなたの正確なお答えをいただくならば、全面的に食い違っている部分はない、こう言われた方が正しいのではないかと思いますが、繰り返しになりますから、この辺でおきますが、そういうことになりますと、このコーチャンの会見内容はかなり信憑性が高い、こう考えるわけです。この中でいまだに捜査当局が強制捜査等を行われることなく、しかも国会における証人喚問も同意を得られていない、そういう人物が具体的にこの中にあらわれてまいります。たとえば小佐野賢治であるとか、あるいは最近新聞に報道されましたユニット三十にかかわる四名の高官、それから特にコーチャンが力を込めてこの説明をしたと思われるロッキード社のトライスター売り込みの最大の危機打開に中曽根康弘氏が非常に重要な役割りを果たしてくれた、こういう会見の内容などについて、私たちはどうしても当人たちの否定があるだけに、当委員会においてこれらの方々がその事実を自分たちの否定されておりますことを公式の場で明確にするためにも、ぜひ委員会に出席をされて説明をせられることがきわめて望ましいと考えております。特に中曽根氏の場合に、中曽根氏が四十七年十月五日、コーチャンが児玉事務所において児玉氏を通じて中曽根工作をやったというくだりについて、中曽根さんが直ちにこれに対して法的対抗措置を考慮をするという記者発表をされておりまして、その中で十月五日の日にはと、夕食のメニューを説明すればよいのに、朝飯のところから説明をされまして、十月五日は午前七時半に上野駅を立ってというところからずっとアリバイを説明されておるわけであります。ところが、大変最近はお忙しいとみえまして、自宅に午後八時十分過ぎに戻った。だからと、こうなっておるんですが、コーチャンの方は、午後八時に児玉事務所を訪ねて児玉と相談の上、児玉が電話をかけたということになっておるわけでありますから、ちょうど中曽根さんが自宅にお帰りになったその後に電話がいっていることになっているわけです。だから、これは何らアリバイが成立するもんじゃない。そういうような説明でもって事実無根、法的対抗措置を考慮するというふうなことを述べられましても、私たちは大変疑問を持つわけであります。 で、この際、捜査に支障があるから証人の喚問は困ると述べられてこられました自民党並びに捜査当局は、原点に立ち返れば、二月の六日この事件が発生いたしました直後において三木総理は、日本の政治の名誉にかけてもこの問題は明らかにする必要がある、これは国民としても非常に疑問を持っているでしょうから、できるだけわれわれの手の届く限りで材料を収集して、もしそれが法規に抵触するならば厳重な措置をしなければならぬ、こう述べられておって、そしてその後証人喚問についても、捜査当局の捜査というものに対して、これが迅速に真相解明に役立つであろうからしばらく待ってくれ、で、政治道義上の責任追及は国会が当然されるべき権限であり、その責任を覆い隠してしまおうなどという意図は全くない、こういうことを三木総理は言われているわけであります。ところが残念なことに昨日の衆議院の委員会においては中曽根氏の喚問を多数を頼んで理不尽に拒否されたというふうに私どもは聞いております。しかもその中で捜査に支障があるからという理由でやられたと聞くんですが、それならば同じく疑惑の残っておって、まだ強制捜査の対象となっていない小佐野賢治については証人喚問に同意をされておるわけであります。このことから見ても明らかに政治的に国会議員、なかんずく党の主要な地位にある者を多数をもって覆い隠そうとする政治的意図、政治的圧力を私たちは大変強く感ぜざるを得ません。 コーチャンの会見内容を細かに分析をいたしましても、今日まで捜査当局が進められてきました内容というのは、コーチャンの会見内容ともきわめて高い確率で一致をしておるわけでありまして、その他の部分だけが全くこれは虚偽の供述であるなどということは、一般的には理解しにくい点であります。そういう点で、ひとつ法務大臣の、これらの疑惑の持たれている人たちに対する証人喚問について、なおかつ捜査上の支障が強く残っておってどうにもならないものなのかどうか。すでに半年以上を過ぎて、政治的道義的責任の究明も、進んだ部分については積極的に進めにやならぬ段階に入ってきているんじゃないか、こう思うんですが、この点について大臣の御見解を聞いておきたいと思う。
○国務大臣(稻葉修君) 証人喚問やるかやらないかと、証人喚問の問題と、それから刑事責任以外の道義的政治的責任の追及の問題、証人喚問と政治的道義的責任追及の問題は、これは国会がお決めになることでありますから、私としてはそれが是であるとか非であるとか申し上げることは越権でありまして、ただ申し上げたいのは、児玉ルートが非常に難航しているけれども、これが解明をぴしっとやらないことには、またこういうロッキード事件みたいなものが再発するおそれが十分にあるということだけは強く感じます。したがって、これはもう徹底的に最後までやらにゃいかぬ。あらゆる手段方法を講じて事態の解明をしなければならぬ、こういうふうに存じておりますから、人のいかんによって政治的配慮を加えるなんということは断じて許すべきものじゃないと、強い決意を持っております。
○久保亘君 ということは、小佐野に対して証人喚問が委員会において合意に達するということは、当然児玉ルートに関係をする他の疑惑の点についても証人喚問が国会の委員会の意思によって合意に達すれば、それは当然そうすべきものだと、こういうふうにお考えですね。
○国務大臣(稻葉修君) そのとおりでございます。
○久保亘君 法務大臣、時間がおありだそうですから、最後に一つだけお聞きしたいのは、私は午前中から問題になっております今日の政局の混乱について新聞報道などで見ますと、何か田中逮捕に対する復讐の念に燃えて、それで非常に熱気がみなぎって問題が起きている、こういうように読み取れるような報道も多いわけです。で、この点について国民がいま率直に思っておりますことは、元禄太平記は賄賂を拒否した親分が切腹したので忠臣蔵が起こったのですが、昭和太平記の方は親分が賄賂をとって問題になったので、これは浅野内匠頭と比べようもないもので、ここで親分の復讐などというような気持ちがもし政治家の心の中にあるとするならば、これは大変な問題だと私は思うんですよ。元禄太平記だっても、これは違法という点においては問題のあるところなんです。ましてや、全く逆の立場、吉良上野の方のかたき討ちに行くような話なんで、これは非常に問題の多いところなんで、こういうような意思が、こういうような気持ちが根底にあって、今日の党内の混乱、先ほど副総理などが言われた党内の統一といいますか、人心の一致というものがあり得ないでいると、こういうことで問題が起こって、そしていまそこにいらっしゃるお二人はお出にならなかったんですが、副総理以下の十五人の閣僚が院内の総裁室に立てこもるなんというようなことになってまいりますと、これは非常に重大な問題だと考えるんです。こういうような政局の今日の混迷した状態というのは、ロッキード事件の徹底解明という三木内閣の使命、稻葉法務大臣がかねて主張されてきましたその方針に対して、非常に、何といいますか、支障となるものではないかと私は考えるのであります。いまのこの政局のそういった混乱というものは速やかに収拾されなければ、捜査にやはり影響を及ぼすとお考えになりませんか。
○国務大臣(稻葉修君) 検察当局は、外部からどういうようなことがあろうとも、法の命ずるところに従って厳正公平、迅速に事態の全貌を解明するためにせっかく努力中であります。で、私がこういう党内のごたごたは捜査当局の捜査に影響するなんということをここで言えば、検事総長は、法務大臣ばかにしなさんなと、そんなものじゃありませんと、こう言うでしょうな。しかしそれは検事総長の言うこった。わしはやっぱり、検事総長がいかにそう言っても、法務大臣という立場としては、しかも第三の山というものは非常にむずかしい山ですから、そこへこれから入ろうというんですから、なるべく——きのうも衆議院で申したんですが、機械のこぎりみたいに振動や雑音がない方が神経をこう揺すぶらぬで、白ろう病みたいにならないで、きちんとやれるなとね、こういうふうに思っているんです。政局は安定しているにこしたことはありません。したがって、挙党体制確立って言っているんですから、三木内閣のもとにぴしっと挙党体制が一日も早く確立して、そうして政局は安定した方がずっと捜査が進めやすいというふうに私は考えますね。 ただ、さっきあなたが、この田中逮捕以来何かこう非常に興奮して、みんなで、さっきもあったんだけれども、ロッキード隠しみたいになってきたじゃないかというふうなことを言われるけれども、それはそういうものじゃなかろうと思いますよ。これはもうロッキード問題の徹底的解明ということは、党議決定という手続は経なかったけれども、最初から、二月以来ずっと一貫したことなんです。私もこれは重大事件になると、したがって、法務大臣としてまことに何の因果か、えらいことにぶつかったなという、当時から命がけなんです、これ、私。したがって、仮にですね、仮にあなたの心配されるようなことが田中逮捕以来あったとしても、そんなことにびくつく私ではない。御安心ください。
○久保亘君 あなたの命がけはよくわかりましたがね。それで検察当局は動ずるところはないと、こう言われたので、よくそのことは私もお聞きしておきましょう。ただ、この委員会の最初のころには、あなたはそうは言われなかったんです。二階で子供が勉強しているときは下で騒ぐなと、やっぱり支障になるということをあなたはここで言ってこられた。そうでしょう。だからいまだって同じことでしょう。だから力点の置き方が違うから……。ただ、あなたがいま言われたその悲壮な決意のほどは私もひとつ了として、がんばってもらいたいと思うんです。きょうは時間がおありだそうですから、結構です。 それじゃ次に、国税庁見えておりますか。国税庁にお聞きしたいんですが、児玉譽士夫の国税犯則取締法による告発は、四十七年度分について行われておりますが、四十八年度以降についてはどうなっておりますか。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 先生御承知のとおり、児玉譽士夫につきましては、去る三月の十三日に昭和四十七年分の所得税法違反につきまして東京地検に告発するとともに、四十五、四十六、四十七年分につきまして所要の課税処理を行ったところでございますけれども、さらに四十八年分以降につきましても現在引き続き相当数の査察官を動員いたしまして、いわゆるフィクサー収入等を含めまして、同人をめぐるところの資金の流れと資産形成の全貌を明らかにすべく目下鋭意調査を行っているところでございます。検察当局とも緊密な連絡をとりながら、今後とも各面の調査を推進いたしまして、できるだけ速やかに適正な処理を図る、こういうふうな考え方で進めております。
○久保亘君 四十八年度以降についても、調査がまとまり次第、四十七年度に準じて当然国税犯則取締法に基づく告発が行われるものと、こういうふうに考えておいてよろしゅうございますか。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 そのような方向で現在調査を進めているわけでございます。
○久保亘君 次に、四十五年度から四十七年度に至る更正決定が行われた問題については、すでに強制執行がなされておりまして、差し押さえ等の措置がとられておりますが、これについて児玉側は五月に異議申し立てを行ったと聞いております。この異議申し立てについて、現在国税当局のこの異議申し立てに対する対処の状況を簡単に御説明いただきたい。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、五月の七日に、四十五年分、四十六年分、四十七年分の更生に対しますところの異議の申し立てがなされておりますけれども、これに対する税務署長の異議決定は現在行っておらないわけでございます。これは、一つには四十八年分以降の年分につきまして現在査察調査を行って継続をしておりますということと、それから四十七年分につきましては、刑事事件として起訴されていること等の事情もありまして、現段階では異議決定を見合わせた方がよいのではないかというふうに判断をしているわけでございます。ただ、異議申し立てをいたしました日の翌日から起算をいたしまして三月を経過いたしました段階で異議決定がないということになりますと、異議申し立て人は異議決定を経ないで審査の請求をすることができるわけでございます。この場合には、異議の審理担当庁でございますところの税務署長は、遅滞なく審査請求をすることができると、こういう旨を書面でその異議申し立て人に教示をしなければならないことになっておりまして、本件に係るこれらの手続はすでに行っておるという状況でございます。
○久保亘君 それから、現在差し押さえております児玉の財産は、将来予測される四十八年度以降の更正決定に基づく追徴決定額等も十分に補い得る範囲のものとなっておりますか、または四十八年度以降の更生決定を行えば、新たに差し押さえ等を行わなければならない状態ですか。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 四十五年分から四十七年分までの更正分の債権確保につきましては、去る三月の十三日に繰り上げ請求をいたしましたが、繰り上げ期間でございますところの三月十五日の正午までに税金の納付がなかったわけでございますので、同日以降におきまして、不動産、預金等の差し押さえ処分を行って、十分な保全措置は講じてございます。ただ四十八年分以降の課税については、まだ現在行われておりませんが、この課税を行う場合におきましては、さらにその分についての債権保全のために十分な措置をしたいというふうに考えておるわけでございます。
○久保亘君 最後に国税庁にお尋ねしたいと思いますことは、今回のような事件の場合に、将来この捜査内容についても、国会の要求に応じてその政治的道義的責任を究明をしていくために必要な資料の公表を行うということになっているわけでありまして、したがって、国税当局としても、これはあなた方のところで判断のできる問題ではないかもしれませんけれども、将来特にこの告発された部分とかいうものは当然のこととして、脱税関係で国税庁がロッキード事件に関連して調査されたものは、政治的道義的責任追及の必要な資料として当委員会の要求に基づき公表されなければならないと考えているんであります。その点について、あなた方はそういうふうなことを御検討になっておりますか。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 ロッキード事件に関連をいたしまして、国税当局といたしましては、税務処理上必要な事実関係を現在掌握すべく努力をしているところでございますし、今後もその実態究明をいたしまして、その実態の究明されたところに基づいて税務上の適正な処理を行いたいというふうに考えているわけでございますが、ただ、御承知のとおり、税務行政は多数の納税者を対象にいたしまして、国家財政を支える租税の徴収確保に努めることを目的としているわけでございます。その円滑な運営を図るためには、納税者の協力を得なければならないし、また税務職員に対しましては、税務は個人の秘密に深く立ち入るということから、秘密を漏らした場合の罰則も一般の公務員よりも強化をされておるというふうな事情もございます。したがいまして、われわれといたしましては、従来からもいろいろと申し上げておりますが、税務当局の守秘義務については御理解を願っておるというふうに考えておるわけでございます。
○久保亘君 時間があと短くなりましたので、最後に防衛庁関係でお尋ねいたします。 昨日衆議院の内閣委員会で大出議員等の質問に答えられて、次期対潜哨戒機に関し、CP40オーロラをカナダ国防軍が採用したことによって、S3AバイキングのEDPSを検討の対象とされておるように答弁されたようでありますが、このS3Aバイキングの電子情報処理装置の分離輸入が可能であるということについては、すでにアメリカの国防省等の正式な回答を得ておられるのかどうか、この点ひとつ御説明いただきたい。
○説明員(伊藤圭一君) 御承知のように、対潜哨戒機の問題につきましては、大臣からも慎重に検討するようにということで、いろいろな形について検討いたしておりました。で、その中でS3Aという飛行機は艦載機でもございますので、大型の対潜哨戒機の機能を果たすようなEDPSは積んでいないというふうに理解しておったわけでございますが、カナダの採用の決定を見ますと、これを積んだものを大型の対潜哨戒機に搭載しているということがわかりましたので、この面DPSについてさらに検討したいというふうに考えている次第でございます。
○久保亘君 ということは、もしS3AのEDPSを分離輸入することが可能であるということになってくれば、結論的に言えば、機体国産、そしてこの電子情報処理装置は輸入、バイキングのものを使うと、こういう方向が防衛庁の一つの考え方としてあると、こういうふうに考えてよろしいんですか。
○説明員(江口裕通君) 今後のPXLの進め方につきましては、先般来申し上げておりますように、非常に大きく分けますと、開発案、それから導入案、それからあるいはその折衷案と申しますか、中身だけ導入いたしまして、そして機体をやる案といろいろございます。それからさらに、開発をいたします場合にも、現在の既存の国産機を改造して、それにいろいろなものを載っけるという考え方もございまして、いろいろなものがあるわけでございます。先生のいまの御指摘は、まさにそのうちの一つの案として考えるかという御指摘でありますが、考え方としてはそういうこともあり得るわけでございます。ただ、いまこの方向に進むかと申されますと、いままだ検討中であるということでございます。
○久保亘君 それがいま防衛庁の検討の題材として可能性を持って考えられているということになれば、もしこの方式をとった場合には、防衛庁のPXL選定の方針を四十七年の十月九日国防会議以前の状態に戻すというような形で考えられますね。なぜかと言えば、もともとこのPXL国産化というのは、ソフトウエアの部分については、これは国内においてこれを全部国産にするなんということは、現状技術的に見ましても考えられなかったことなんでありまして、当然国産という方針の中にもソフトウエアの部分を中心にかなりの部分の輸入を含んで考えられておったと思うんであります。だから、もしいま一つの考え方として、機体は国産、それから中身は輸入と、こういうような方向が検討は可能であるということになるならば、四十七年十月九日以前の状態に戻ることが可能性を持っていると、こういうことになりますか。
○説明員(江口裕通君) 御質問の御真意を必ずしもよく把握しておらないかもしれませんけれども、まあ一応従来の経緯をたどってまいりますと、四十五年ぐらいからいわゆる調査を開始しておるわけでございまして、そして四十七年になりまして例の了解事項が出ておると。そのときには、輸入を含めてこういった専門的、技術的な問題については専門家会議で検討しろと、こういうことでございました。そこで考えられておりますことは、いろんなケースを当時として考えておられたと思います。ただ、その際においてはS3Aの問題というのは対象にはなっておらなかったわけでございますけれども、それは当時はいわゆる艦載機という理解をしておったと思います。したがいまして、そういうものを一応対象にしておりましたが、もしいまのような事態があれば当然そういうことはあり得たことであろうと思います。その後専門家の答申が出まして、しかしながらこういう問題についてはさらに専門的あるいは財政的、技術的な観点からよく関係部局で詰めなさいという御答申をいただいておりまして、その線にのっとってわれわれはそれ以来検討しておるわけでございます。したがいまして、そういう中の一つのバリエーションと申しますか、あり得る線ということでわれわれの方ももう一度そういうことを見直してみたいというふうに考えておるわけでございます。
○久保亘君 そういうことになってまいりますと、国産化か輸入かという問題で、時間的な制約を持って輸入の方向にウエートが置かれて決定され、その方向を進んできたという根拠は非常に薄弱なものとなってくるわけでありまして、したがって、四十七年十月段階におけるPXLの方針の変更というのは、技術的な問題よりも、当時からS3AはP3CのものよりもすぐれたEDPSを積んでいることはわかっていたんですからね。だから、そういう点でいきますと、技術的な問題よりももっと政治的な問題でもってPXLの方針は決められてきた、こういうような考え方を、いま防衛庁の新しい検討の可能性というものの中から私たちは感じ取るわけです。その点は、あなた方事務方でやってこられた立場から見て、やっぱり当時でもそういう問題を検討すればもっと純粋な検討の仕方があったんじゃないか。特にS3AのEDPSを取り入れるということになりますと、機体がもし国産ということになればロッキードとの関係は完全に離れるわけですね。S3Aが積んでおりますのはユニバックのやつですから、それで完全に離れるわけです。だから、そういうような方向ももし当時考え得る範囲内のものであったならば、国産か輸入かという問題についてはもっと技術的には違った結論を出し得る可能性を強く持っておったものではないか、私はそういうふうに思うわけですが、その点は、あなた方の方でもいいかな、防衛庁長官かな。
○国務大臣(坂田道太君) 何か防衛庁の方が輸入の方にウエートを置いて考えてきたというふうに聞こえるお話でございますが、そうじゃなくて、まだ輸入かあるいは国産か、あるいはその折衷案か、あるいはその他のいろいろなバリエーションを持ったやり方かということについていま検討しておる段階であるわけでございます。 それからまた、もう一つ申し上げておかなければならないのは、この種の高度の技術のものでございまして、情報というのも、リリースの問題もございまして、われわれ防衛庁で最大の努力をいたしましても、なかなかつかみにくい事情も一面においてはあったかと思います。しかし、また一面におきまして、世界における兵器の技術の進歩というものは目覚ましいものがございまして、日進月歩の勢いでございます。したがいまして、この段階においてわれわれが選ぶという場合においては、やはり国防上次期対潜哨戒機として最もすぐれたものを得たいと考えておりますし、また、日本の防衛産業というような観点から、もし日本の技術を発展させることによってその一部でも開発できればというような面も考えなければならぬ。そしてその上に、実はこの問題それ自体がロッキード問題という疑惑の目が向けられているわけでございますから、そういうようにいたしまして、国民の疑惑を招かない形において機種の選定を行いたい、こういう強い要請がございます。そういう要請を踏まえましていろいろの場合をいま検討いたしまして、そうしてやはり国民に納得のいく姿で、しかも国防上も非常に有能な性能を持った次期対潜機ということになりますと、いままで考えてまいりましたことに対しまして別にそれを外れたとかというようなことではなくて、それの延長上に、しかもその手続といたしましてはわれわれのところで最終的には機種の選定を行うわけでございますけれども、その前提といたしましては、やはり国防会議等に十分御審議を煩わした上で決めたい、かように考えておる次第でございます。
○説明員(江口裕通君) 一言、ごく簡単に申し上げます。 技術的な点でございますが、S3Aについて当時からわかっておったという御指摘がございましたが、これは配備になりましたのは七五年の二月でございます。ですから、端的に申して、わからなかったという方が正しいと思います。
○久保亘君 ただ、ユニバッグの開発の状況というのはかなり進んでおったのではないかと思うので、私は申し上げたのです。ただこれは、私はPXLの方針が変わっていったその問題について、いまS3Aが登場していることについて疑問を申し上げたのでありまして、その方法ならばいいということで言っているわけじゃありません。このPXLの問題については、一体対潜作戦の地域をどこに考えているのか。それから対潜の相手目標というのは一体どこであるのか、そういう問題について今後大いにわが国の立場から議論すべき問題が多く残っていると思いますが、きょうは時間がありませんので、最後に防衛庁長官に一言だけお聞きして終わりたいと思います。 長官は十五閣僚の会合にも御出席になりませんでしたし、また両院総会にも批判的な意見をお持ちでありまして、午前中瀬谷議員の方からもそのことについて意見がありました。で、私は、あなたがそういう立場でロッキード事件というものをお考えになります場合に、いまロッキード事件の政治責任ということについて、特に防衛庁がこの解明に当たって絶えず問題の中心となりながら、ここでやってこられたという立場でお考えになって、この事件に関係した人たちが政党を離脱してしまえば、それで政治家としての責任が免れる、こういうような考え方が果たしてこの政治的道義的責任という問題において通用するのかどうか。こういう点についていま非常に冷静な立場で今日のこの政局の状況を判断しておられる防衛庁長官の御意見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 私は、先ほど申し上げましたように、まさにこのPXLの問題が国民の疑惑を招いておるということ、それを踏まえましたときに、やはり私といたしましては、謙虚な気持ちで、そして何とかこの解明をいたさなければ、どんなにすぐれた次期対潜機を持ちましても、それが実は国民の支持するところとならなくって、理解するところとならなくって、力にはなり得ないというような、かたい信念を持っております。したがいまして、こういう時期でございますから、しかもわが陸海空の自衛隊を統括する責任者といたしまして、私といたしましては御遠慮を申し上げた方がよろしいということで、ああいう行動をとったわけでございます。また、私が自民党であれ、あるいはそうでなく——離脱するならば、それでこの責任が全うできるなんというようなことは私は考えておりません。自民党の党員であることには間違いがございませんし、その上でやはり果たすべきことは果たさなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
○久保亘君 ちょっと質問の趣旨と違ったけれども、時間が来ましたからいいです。
○峯山昭範君 初めに法務省当局にお伺いいたします。 先ほどもちょっと議論ございましたが、コーチャン回想ですか、新聞で相当報道されております。それとはまた別にいたしまして、近々コーチャン氏に対する再嘱託尋問が行われる、そういうふうな新聞報道が報じられております。そこで、このコーチャン証言に、再び再尋問しなければならないような重大な食い違いを何らかの形で当局がキャッチされたのかどうか。そしてこの再嘱託尋問が行われることになった経過等を含めて——コーチャン氏は非常に記憶も正確なようでございますし、最近の報道によりましても、詳細をきわめております。こういうようなところから、私たち非常に重大な関心を持って見詰めているわけでございますが、この点について初めにお伺いしたい。
○説明員(吉田淳一君) コーチャン氏に対する証言の聴取につきましては、検察当局としても重大な関心を持ってこれについて鋭意努力してきたわけでございます。現在でもそのことには変わりがございません。すでに七月六日から九日にわたりましてコーチャン氏の証人尋問は一応終了したわけでございますが、その後、わが国国内捜査は進展をしておるわけでございます。ファーガソン裁定に対する最高裁の対処が決まりまして、コーチャン証言についての情報も十分検察当局として入ることになった。そういうことの関係から、その後の国内捜査の進展との状況にかんがみまして、なお当初出した尋問事項につきまして、さらに追加して尋問をする必要があるという判断のもとに、米国コーコミッシヨナーという、共同コミッショナーの立場にある米国司法省の検事から再度コーチャン氏の証人尋問をする必要があるという申し出と申しますか、申し入れと言うんですか、ロスの裁判所の方に申し出まして、その結果、今回今月の三十日に再度尋問を行うということに決したというふうに聞いております。特に新聞報道で、御指摘の朝日新聞の記事があるからこういう再尋問になった、あるいは食い違いがあるから再尋問になったというのではございません。
○峯山昭範君 これは委員長にちょっとお願いをしたいんですが、先ほどからコーチャンに対する議論がございましたけれども、ただいまも課長の方から報告がありました。特にこのコーチャンに対する尋問といいますか、回想というのは、わがロッキードの委員会としては重大な関心を持って見詰めていかなくちゃならないと思うし、また、この問題を解決するための一つの大きなポイントの人であろうと思います。そこで私は、先日の、先ほどから話のございました朝日新聞の報道によりましても、残念なことに、いろんな理由があるんでしょうけれども、わが委員会でいま解明しようといたしておりますこのP3Cの問題に一言も触れていないわけです。そこで私は、当委員会として早急に理事会等を開いて、コーチャン氏に対する詳細なコメントを得るための、たとえば派米議員を派遣して、コーチャン氏に会って詳細を聞き出してくる、こういうふうな方法を講じられるようにした方がいいんじゃないか。そうでなければ、実際問題、いま嘱託尋問でやっておりますこの尋問書というのはわれわれの手に入りませんし、さらに朝日新聞でさえ——さえと言ったらおかしいかもわかりませんが、相当の日数をかけてこれだけの記事を取材いたしております。われわれも焦点をしぼりまして、特に国政調査という面から考えましても、先方も私はこういうお願いをすれば了解してくれるんじゃないかと、そういうように思うんですけれども、この点あわせて委員長ぜひともよろしくお取り計らいを願いたい。
○委員長(剱木亨弘君) 峯山君にお答えします。 ただいまの御発言は、委員長もきわめて重要な問題と存じますので、お申し出のとおり、理事会において十分相談をしてみたいと思います。
○峯山昭範君 防衛庁の方へお伺いいたします。 初めに、前総理大臣でありました田中前総理が逮捕され、起訴というようなことになってしまいました。これは、われわれがいま議論いたしております当時の、昭和四十七年の九月当時、国防会議の議長でもあります。こういうような観点から考えてみますと、非常にこれは重要でありますし、長官が、この問題の発生にかんがみまして、ことしの二月に特にこの対潜哨戒機に関する経緯ということを長官発表をしていらっしゃいます。しかし、この正式見解というのは、私は現在の立場に立って考えてみますと、いろんな角度から見直しをする必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えております。なぜ見直しをしなくちゃいけないかということにつきましては、もうすでに長官も御存じのとおり、当時のその経緯が、発表した当時の事実関係、当時の問題等考えてみますと、いろんな点で把握し切れてない点もありますし、また、新しい事態も出てまいっております。そういうような観点から私は当然見直しをやるべきである、こういうぐあいに思います。特にきょうは、その見直しの問題の中で、三点にしぼって防衛庁当局にお伺いしたいと思います。 まず第一点は、このロッキード社と丸紅との契約の問題。これは先般の委員会でも指摘をいたしました。それからもう一点は児玉ルート未解決、この問題があります。それから第三点目には、長官が発表された正式見解、二月の見解ですが、この見解をまとめるに当たってのいわゆる調査方法等、この三点からきょうは防衛庁にその所信をただしてまいりたいと思います。 そこで初めに、この丸紅・ロッキード社の契約の関係からまずお伺いをしていきたいと思います。この問題につきましては、もうすでに先般の委員会でも申し上げましたので詳細に私は言いませんけれども、特に契約のポイントとなるところを申し上げますと、一機十五万ドル、これは正規の手数料以外に裏報酬として十五万ドルを受けると、しかもこの契約は、従来の丸紅・ロッキード社の契約とは全く異なって、要するに一機まるごと輸入する、こういうふうな場合に効力を発揮する契約になっております。こういうふうな観点から考えてみますと、私は、なぜ丸紅がこういう契約を結んだのか、そこに至った経過については先日多少やりました。そこで私はこの点から話を進めてまいりたいと思います。 そこで、いま私が申し上げましたロッキード社と丸紅とのこの契約、この契約を私たちは異常な契約であると見ておるわけです。先般の委員会でも装備局長が一機まるごといわゆる輸入をしなければこの契約は効力を発生しない、そういうふうな契約であります。この契約は一体、特にきょうは、契約を結ばれた時点というのが非常に重大になってまいりますので、この契約はいつ結ばれたのか、まず初めにお伺いしたい。
○説明員(江口裕通君) 四十七年の十一月一日でございます。
○峯山昭範君 それでは、この契約日以前ですね、以前には、P3Cについては具体的な動きとして、現在判明しておるもので結構ですが、防衛庁に対して具体的にP3Cの問題について対外的に、あるいは間接でも結構ですが、どういうふうな具体的な働きかけがあったか、まずこの点をお伺いしたい。
○説明員(江口裕通君) 先般も御答弁申し上げましたように、この四十七年といいますよりも、具体的な若干の動きが出てまいりましたのは、四十八年に入ってからのように記憶しております。それ以前の問題は、こういう代理店等の通常のコンタクトと申しますか、たとえばブロシュアを配るとか、あるいは一般的な情報等のやりとりをするとかいうような、ごく普通の関係であったと思います。
○峯山昭範君 私たち当委員会で明らかになった分だけで結構です。 時間がございませんので、ぱっぱっと言うてまいりますから、確認をしてください。私が申し上げました以前にあった行動としましては、先般の当委員会で黒部証人が証言をいたしました、四十七年春に売り込みがあった、売り込みというよりP3Cの話があったというのがまず一つ。それからもう一つは、四十七年の八月に非公式にリースの話があった、この二つだと思うんですが、主なもの、どうですか。
○説明員(江口裕通君) 御指摘のとおりでございます。
○峯山昭範君 と言いますことは、この契約以前には、全く具体的にあらわれた動き、具体的な動きはなかったと言っても過言ではないと思うのですが、どうですか。
○説明員(江口裕通君) 結論から申しますと、特にそういう動きはなかったと申して差し支えないと思います。ただ、これは丸紅の関係とロッキードの関係と二通りございますが、以上総合いたしましてそういうふうに言えると思います。
○峯山昭範君 しかし、先ほど話がございました十一月一日の丸紅との契約後、これは特に二週間後ですが、具体的な動きが始まります。特に大きくいろいろこれから具体的な動きが始まるわけですが、まず十一月十五日、これは具体的にどういうあれがありましたですか。
○説明員(江口裕通君) いわゆるMDAO、相互防衛援助事務所の申し出によりまして、海幕の実務者等に対しましてP3Cの概要についての説明が行われております。
○峯山昭範君 十一月十五日、海幕の十人がP3Cについての説明をMDAOより受けた、それで結局スライド等をもって詳細な説明があったと聞いております。さらにすぐ直後の四十八年の一月の二十九、三十日には、岩国の自衛隊の基地におきまして自衛官三十名が説明を受け、うち二十名が試乗したと、こういうふうに言われておりますが、このとおりですか。
○説明員(伊藤圭一君) いまおっしゃられたとおりでございます。
○峯山昭範君 こういうふうにしまして、少なくともこの昭和四十七年の契約以後、それまでは具体的になかったロッキード社の売り込み作戦、これは私はMDAO自身がロッキードと同一だとは思いませんけれども、そこにも一つの大きな問題があるとは思いますけれども、ロッキード社が売り込みに対してアメリカのMDAOを使って徹底的に作戦を開始しておったということは確かであります。 さらに、ここで法務省にお伺いをいたします。まず、田中の起訴状で明らかでありますが、その起訴状に基づいてお伺いをいたしますが、田中起訴状で特に檜山が田中に請託をした時点はいつですか。
○説明員(吉田淳一君) 田中前総理につきましては、八月十六日に公訴を提起しておりますが、その公訴事実で検察官が捜査の結果認定したところによりますと、昭和四十七年八月二十三日ごろ、被告人田中方において同被告人に対して請託をしたということで起訴をしております。
○峯山昭範君 八月二十三日ごろというのは何ですか、ごろ、ごろというのはどういうことですか。
○説明員(吉田淳一君) これは証拠の内容に触れることでございますが、捜査当局としては、八月二十三日ごろという判断に立って公訴を提起した、これしか申し上げようがないわけでございます。
○峯山昭範君 それじゃ一般的にお伺いしますが、二十三日ごろというのは、二十日ごろから一週間ぐらいを含むのか、あるいは二十三日を中心にしてそれから一カ月ぐらいも含むのか。両方ですね、前一カ月、後ろ一カ月、そのくらい含むのか。ごろというのはどういうことか。一般的で結構です。
○説明員(吉田淳一君) 一般論でございますのでお答えいたしますが、たとえば捜査の結果、八月初旬ごろとか、あるいは八月中旬ごろという認定をして公訴を提起する場合もございます。また裁判の結果もそういう場合もございます。で、本件は八月二十三日ごろと日にちをわざわざ出しておるのでございますから、二十三日かもしくはそれにきわめて近接した日、ころということで公訴を提起しているわけでございます。
○峯山昭範君 したがって、そうしますと、八月二十三日という時点がこの起訴状の中に明確に出ておるわけでございますから、いまの課長の答弁からいたしましても、これが九月になったり七月になったりすることは、まあわれわれ素人の考えとしてもあり得ない、こういうぐあいにとってよろしいでしょうか。
○説明員(吉田淳一君) そのように御理解していただいて結構だと思います。
○峯山昭範君 それからもう一点お伺いいたしますが、この請託——これは捜査の中身になって答えられないかもわかりませんが、請託を受けたというのはトライスターについての請託ですか。これはそれ以外にはございませんか。
○説明員(吉田淳一君) 公訴事実にございますように、L一〇一一トライスターを全日本空輸株式会社に購入せしめるよう尽力されたいという請託でございます。
○峯山昭範君 これは、この文章から読みますと、「L一〇一一型航空機を」ということで、等とかあいまいな言葉が全くどこにも入っていないわけですが、これは要するに、そのほかのことはなかったということを示すものなんでしょうか、これは。
○説明員(吉田淳一君) 公訴事実にございますように、まさしくL一〇一一についてでございます。
○峯山昭範君 それではそれで結構なんです。 そこで、先般の当委員会におきましても刑事局長の方から、田中・檜山会談は二十三日と十月の十四日にも行われた、こういうことになっておりますが、これは認めますね。
○説明員(吉田淳一君) かたいというふうに言われるかもしれませんけれども、この点は事実の内容あるいは経緯ということに関連いたしますので、現在の私からその日にそういう会談があったということを申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
○峯山昭範君 これは課長ね、私きょうは法務大臣並びに局長に出席してもらいたいと思っておりましたんですが、課長そんなにおっしゃると非常にやりにくいんですがね。十四日というのは、先般の当委員会でも、局長が、現在公表されているものはその二回でございますと、こういうような答弁をしていらっしゃるわけですね。それから大分後退してますから、そこら辺まではちょっと何とかなりませんか。
○説明員(吉田淳一君) どうも失礼いたしました。前回刑事局長が答弁しているとおりでございます。
○峯山昭範君 したがって、十月十四日には一体何があったのか。この十月十四日は、もうすでに御存じのとおり、十月九日の白紙還元、それから十一日の田中の外人記者クラブでの記者会見、これは公表されている事実です。輸入にウェートを置いてPXLを調達すると、この発言、これはこういうふうなことから考えてみますと、結局この十四日にはPXLについてのいわゆる請託をしたのではないか、そういうふうに考えるのが自然であり、そういうふうに断ぜざるを得ないわけですがね、われわれの立場といたしましては。そこら辺のところについてはどうお考えです。
○説明員(吉田淳一君) 捜査当局といたしましては、お尋ねのような事実につきましても、十分これを調べておると思います。ただ、それはどういう趣旨の内容のものであったかということについては、捜査の結果の内容に関連いたしますので、申し上げることを差し控えさせていただきたいというのが私どもの立場でございます。
○峯山昭範君 したがって、そのとおりだと思うのですが、十一月一日には丸紅とロッキード社の契約があります。こういう点から考えてみましても、こういうふうな要するに請託が行われたんではないかというような疑惑ですね。まあ正式にはわかりませんから、そういうような疑惑があること、あるいは逆に言えば疑惑をぬぐい去ることはできない、そういうふうに私は感じるわけです。 そこで三点目に、その次の問題としまして、児玉ルートの問題についてお伺いをしたい。特にロッキード社がPXLについての売り込み工作、この売り込み工作をしていたこと、売り込み工作をしていたことは、これは児玉のコンサルタント契約、これは昭和四十八年の七月二十七日のコンサルタント契約、さらに、ただいまの四十七年十一月一日の丸紅との契約、あるいは横山元防衛庁の二佐か三佐の横山コンサルタント契約、そういうふうな契約の中身から考えてみましても、このロッキード社が売り込み工作をしていたということは、これは確かだと思うのですが、この点についてはどうですか。
○説明員(吉田淳一君) 児玉ルートにつきましては、検察当局としては非常に苦心をしていろんな法律で許容されている手続のもとに精いっぱいの努力をしておるのでございます。で、御指摘のような事柄につきましても、必要なことは十分検察当局としてはそれを捜査していると思いますけれども、ロッキード社がどのような働きかけをしたのか、あるいはそうした事実があるのかどうか。この点はまことに何度も同じようなことを言って申しわけないんですけれども、やはり児玉ルートを解明するのに当たりまして、いろいろ検察庁としては各般の捜査をして、もちろんロッキード社の行為あるいは児玉の全行動、こういうものについて最善を尽くして捜査をしていると、必要なことについては十分調べをして何とかその真相を解明したいということで努力をしている、そのことは申し上げることができるんでございますけれども、どのようなことでしているかということはちょっと申し上げかねるんでございますが。
○峯山昭範君 時間がございませんので、急いでやります。 防衛庁長官、ただいまの問題ですがね。ロッキード社が要するにこのPXLの売り込み工作をしていたということは、これは長官も認めますね。簡単で結構です。
○国務大臣(坂田道太君) 一般的に言いまして、ロッキード社のものを売りたいということは常に考えておったろうと思います。
○峯山昭範君 長官、一般的にというよりも、いま三つ、具体的に言って契約書を挙げていますね、具体的に三つ。丸紅の契約、児玉とロッキード社の契約、それから横山コンサルタント契約がありましたね。こういうような観点から見ても、このロッキード社が売り込みをしておったことは確かです。それでさらにP3Cの問題を解決するためにはこの三つの契約の中身、どうしてこういう契約が結ばれていたのか、その背景等を解明しない限り、私はこのPXLの問題の疑惑は残ってしまう、こういうように思うのですが、長官どうです。
○国務大臣(坂田道太君) もちろんそうでございますけれども、私どものところでこれ以上のことはなかなかわからないというのが実態でございます。
○峯山昭範君 長官、長官のところではわからなくても、少なくともこの問題を解決しなければ、この疑惑ですね、児玉のこの契約の中身、それから丸紅の中身、特にこの二つはどうしてこういうことになったのかということを解明しないと、私はこのPXLについての疑惑というのはとれない、こう思うのですが、これはどうです。
○国務大臣(坂田道太君) その実態的なところはなかなかわからないのでございますが、やはりそれも一つの解明すべきところだと思いますし、私どもといたしましては精いっぱいの調査をいたしましたけれども、おのずとそこには限度があるわけでございます。
○峯山昭範君 次に、会計検査院と防衛庁、両方にお伺いいたします。 会計検査院はこのロッキード事件をどういうふうに見ているのかというのがまず第一点。それからもう一点は、国費の使用上どういう問題があると見ているか、これが第二点。第三点としまして、これは特に防衛庁と検査院にお伺いいたしますが、国費を使って政府が防衛機器を購入する場合——これは現在までこういうようにやってきているわけですね。たとえば今回の四十七年の十一月一日、丸紅・ロッキード社間の契約にもありますように、一機当たり十五万ドルというような一定の手数料以外に、代理店、商社がこういうものを受け取るということは、これがいわゆる防衛庁の随意契約で購入するというケースであればあるほど、この購入予定価格の積算というのは私は適正でなければならない、こういうふうに思うわけです。にもかかわらず、このいわゆる十五万ドルというような不当な手数料が、裏手数料がだれも知らない間に予算価格に算入されたり、あるいはその実態を全く知らない、あるいは知らなかったということは、これは防衛庁としても大いに反省をしなければならない。あるいは大いに検討を要すると思うが、この点についてどうか。さらに会計検査院としてもこの問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか。初めにこの問題については特に会計検査院の方から答弁を願いたい。
○説明員(高橋保司君) いま先生御指摘の問題は、これから起こるであろうという種類のものでございますけれども、設定された事柄について私どもの立場を申し上げますと、代理店手数料というものが輸入価格の中に上乗せされておるというようなことでありましたならば、輸入物品の価格交渉の過程でその種の存在を十分配慮をして価格交渉に当たるべきであるというのが従来からの私どもの立場でございます。 以上でございます。
○国務大臣(坂田道太君) 代理店手数料などにつきましては、それが適正かつ妥当なものである限りにおきましては、国際的な商取引におきましても認められておるものであると思われますけれども、このような国際商慣習上認められる代理店手数料以外のもの、たとえば賄賂やあるいは不当なリベート等が排除さるべきということは当然でございますし、言うまでもないことだと思います。わが方といたしましては、輸入調達品の購入に当たりましては従来から適正な価格によるべきものと考えておりますし、その価格の中にこのような不当な賄賂やリベートなどが含まれることのないよう原価の審査を厳正に行うなど、適正な価格による輸入調達について種々の観点からただいま検討しておるわけでございますが、いままでそういうようなことにつきまして十分であったかどうかということに対して反省をいたしておる次第でございます。
○峯山昭範君 時間がございませんので、最後にいたしますが、長官、防衛庁長官談話というのを五十一年の二月二十一日に発表されたわけであります。私はこの発表の時点でいろんな問題点があると、先ほども幾つか指摘をいたしましたけれども、特にこの談話全体から流れておりますのは、PXLには全く疑惑がないと、ないというような、そういうことですけれども、しかしながら、こういうふうな、いま契約の問題やそういういろんな問題が出てまいりました。さらには、当時の国防会議の議長でありました田中当時の総理が、国防会議議長が逮捕される、しかもその裏で五億円というような収賄が成立しておったと、その人がこの国防会議を運営し、そしてPXLの白紙還元が行われたということは、防衛庁としても、この見解を発表された当時の、どういう方を調べて、——当時は長官は当たるところは全部当たったというような話でございましたけれども、現実に田中さんには、これは聞いておられたのかどうか。この点まず一つ。もし田中さんから聞いておったとしても何もなかったんだということであれば、これは中身が違っていたわけです、実際問題。こういう現実に五億円というような問題が出てきておるわけですから、たとえ聞いてなかったにしたって、この問題については、PXLの当時の経過については再度詳細に調べる必要がある。そして今後国民の疑惑を晴らすためにも、そういうふうないま私が申し上げました特に契約の問題、どうしてこういう契約が結ばれたかという問題、さらには児玉ルートの問題、これは両方ともまだ解明されておりません。そういうふうなことを解明すると同時に、それから今後のPXL調達についても、こういうような問題をきちっとした上でやらなきゃいけない、私はこう思います。そこで長官、ぜひともこの見解を、私はただ単にこれがこのままでいいんだというんではなくて、この調査の背景は確かに違ってきたわけですから、そういうふうな意味では再検討して新たに防衛庁として今後PXLを調達する場合にはこういうふうな方向、こういうふうな問題点もあったということを明らかにしながら、今後の方向をきちっとしていくべきじゃないかと、最後に長官の所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 私が二月の二十一日に「次期対潜機問題の経緯について」ということで発表をいたしております。それはその時点におきまして、私といたしましては最大限の調査をいたしたつもりでございます。しかし、その結果といたしまして、いろいろの事情の変化等もありますし、いま仰せのとおりのいろいろの問題も提起されておるわけでございますけれども、私どもの方として入手できるあらゆる方法からいたしましては、現在のところ、その当時の私どもが述べましたことについて、それを変更するというところは実はございません。ただその背景についてどうかということについては、今後一層新たな事態といたしまして検討をしなければならない問題であるというふうに思っております。 田中前総理についてはお会いはいたしておりません。
○峯山昭範君 これは田中さんから聞かなければ……。大臣、この問題については結局、現在明らかになったいろいろな背景というのを考えてみますとね、田中当時の国防会議議長がすべてを握っておったということはもう明らかですね。そういう観点からは、これは田中さんに大臣が直接聞きに行くというのは、これはいいと思うんですよ。われわれ証人喚問してもなかなか出て来ないわけですから。大臣が直接聞いて、そしてこの国防会議の詳細を明らかにする。そうでないと、大臣が発表したこの大臣談話並びに経過というのは、これはもう本当に肝心のところは聞いてない、魂の入ってないものじゃないかと私は思うんですよ。この点どうですか。
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、私どものところでは、この経緯それ自体については私はそう変更すべきものはないというふうに思っております。いまもそう信じておるわけでございます。ただ、お金が動いたかどうかということにつきましては、私どもの力ではなかなかこれはわからない問題でございまして、これはまさにいま問題になっております捜査当局にまつということではなかろうか。しかし、それだけではいけませんので、そういう過程において何らかの片りんが出てまいり、あるいはいままで申し上げましたような経緯に変更があるというようなところがございましたら、それにつきましてまた調べるということになろうかと思っております。
○近藤忠孝君 きょうは私は小佐野賢治関係の疑惑を中心に質問したいと思います。 ロッキード疑獄の真相解明のためには田中角榮の刎頸の友として、その黒幕として暗躍してきた小佐野賢治国際興業社主にかかわる疑惑を徹底的に解明していくことが必要であると思います。この小佐野、田中コンビによる数多くの疑惑が渦巻いておるのがハワイであります。このハワイでロッキード事件の最大のクライマックスとも言うべき田中・ニクソン会談が行われたのであります。そして、ここでロッキードに関しても田中・小佐野密談が行われた。私は、このハワイにおける小佐野にかかわる数多くの疑惑を解明することが、田中と小佐野の関係を明確にいたしまして、小佐野の役割りをここであばき出して、ひいてはロッキード疑獄の解明に直接役立つと考えるわけであります。 かかる観点から、私自身八月七日から約十日間のアメリカにおける調査の一環としてハワイにも渡ってまいりまして、ここで直接調査をしてまいって、小佐野に関する新たな疑惑も発見してまいりました。きょうはその結果に基づいて質問をするわけであります。 そこで、小佐野がハワイを中心に五千室に及ぶホテルの取得をした事実、それからこれをめぐる外貨持ち出し、それに対する大蔵省の認可に関する疑惑、これは前回わが党の橋本議員が質問いたしました。しかし、小佐野はハワイにそれ以外にも莫大な海外投資をしている。私の調査によりますと、小佐野関係企業がハワイですでにいままで指摘された以外にも現在所有している土地、それが大変たくさんございます。大蔵省、これちょっと見てください。(資料を示す)まず上の(1)の「ハワイに於ける小佐野氏の土地取得」、これは現在所有をしておる土地であります。取得年月日を見てみますと、一九六三年に五件、十四万六千四百二十四スクエアフィート、それから六八年に十八万九百四十七スクエアフィート、七〇年に一万七千二百五十七スクエアフィート、これ合計いたしますと、三十四万四千六百二十八スクエアフィートになりますが、約三万四千八百十四坪であります。この土地を実際に見てまいりまして、いずれもホノルル市の中心地、最上等の土地でありまして、東京で申しますと銀座通りと新宿の繁華街を一緒くたにしたような、そういう場所を三万五千坪にわたってこれは買い占めている、こういう実態であります。この土地取得につきましては、小佐野賢治も雑誌で、大蔵省の認可済みである、こうも言っておるわけであります。実際大蔵省が、私がいま指摘した土地につきまして、これを認可、許可したのかどうか、まずこの点について答弁していただきたいと思います。
○説明員(藤岡眞佐夫君) ただいまいただきました資料によりますと、一九六三年から七〇年まで合計三十四万四千六百二十八スクエアフィートの土地を小佐野氏がハワイで取得しているということになっております。で、この一件一件何スクエアフィートが投資許可のどれに当たるかということは、私ども必ずしもはっきりわからないわけでございます。ただ、一般的に申し上げますと、七一年以前におきましては、海外投資は許可を要すると、自由化されておりません時代でございましたので、その時期には申請があって取得がなされたということはあろうかと思います。
○近藤忠孝君 いまの答弁では、許可をしたことがあるかと思いますということですが、私はもうすでにこの資料あるいは雑誌に書かれている小佐野の談話も実際示して、これが許可になっている.のかどうか、こういうことをすでに示しているわけです。それに対する答弁としては、したと思いますと、これじゃ余りにも無責任じゃないですか。もっと明快に答えていただきたい。
○説明員(藤岡眞佐夫君) たとえば六月二十七日に四万一千三百八十三スクエアフィート取得しているということでございますが、その後十二月にも何件かたくさんあるわけでございますが、これは登記の資料と存じますが、それが海外投資の申請案件のどれに該当するかということは、どうもちょっとこれは登記の時期とかいろいろございますので、はっきり私どもにはわからないわけでございます。
○近藤忠孝君 この裏の図面を見ていただきますとわかるとおり、現在所有土地は下の方の点線でない実線で丸した部分です。いずれもハワイの目抜き通りであります。これは見たら一見してわかります。現地でこれだけの土地をこれほどにわたって所有、取得することは、とうてい現地で賄えるものではありません。しかも、この土地取得が、前回も橋本議員が具体的に示したホテルの取得時期と一致するわけです。たとえば十二月六日、これはモアナホテル、さらにサーフライダーホテル、これを買収した日と一致する、こういう事態ですね。ですから一件一件がどうであるか、それが現にわからないといたしましても、この時期にこの土地取得も含めて許可をしたのかどうか、これは答弁できるでしょう。
○説明員(藤岡眞佐夫君) 正確に該当する日付はわかりませんが、この時期に何件かのハワイに対する海外投資の申請があり、許可がなされたというふうには私は伺っておるところでございます。
○近藤忠孝君 一応許可をしたという前提で伺いますが、これは前回の質問でも明らかでありますが、この時期——六三年という時期は、いまの答弁でも明らかなとおり、海外投資に対する大蔵省の規制が最も厳しい時期の一つだったと思います。そういう厳しい時期にこれほど膨大な海外投資がどうして認められたのか、なぜ許可したのか、この点について答えていただきたい。
○説明員(藤岡眞佐夫君) 当時は確かに今日のように海外投資は自由化されていなかったわけでございますので、一件一件ケース・バイ・ケースに審査して認めたわけでございまして、一切がだめだというわけではなかったわけでございます。
○近藤忠孝君 それは前回もそんな答弁をしておりますが、原則的に大変厳しいんです。それに対してこれほど大きな海外投資です。これはもう大変なことなんですね。それをなぜ許可したのか。それなりに特別の事情がなければならない。私はそれを聞いておるんです。その点を答えていただきたいと思います。 というのは、これは後にも関係いたしますが、実際こればかりじゃなくて、私の調査によりますと、単に土地取得だけじゃなくて、転売した土地もあるんですね。要するに日本国内で田中角榮と結託して土地転がしをして大もうけしたと同じように転売しておるんです。この転売の事実が、これがいまお渡しした資料の中の二番目です。ハワイにおける不動産転売、こういうぐあいにたくさんこれはあるわけであります。これは七四年でありますが、これはこれで後で聞きます。ともかく大変多いんです。 そこで、私はなぜ——積極的にやっぱりそれだけの理由があったのだろうと思うのですよ。そこを具体的に、まず六三年について答弁していただきたい。七四年についてはまた後で聞きますが、ともかく大変多いんです。
○説明員(藤岡眞佐夫君) まず、六三年当時の海外投資の許可基準でございますが、当時どういうふうな細かい許可基準があったということは記録にも残っておりませんのでわかりませんが、一般的に申し上げまして、海外投資がこれは有意義であるといって認めます場合には、たとえばその投資したものが国民経済にプラスになるとか、あるいはその投資いたしましたものが収益を生んで日本の外貨の受け取りになるとか、そういった観点を考慮して審査したものと思います。
○近藤忠孝君 これは明確な答弁でない。 時間の関係で、私は今度は七四年にしぼってこれは聞きます。 そこで、七四年につきましては、いまの表にもあるとおりです。下の方でありますが、四件ありますね。それだけで十四万六千三百十四スクエアフィート、こういう事実があるわけです。これはこのときに取得をし、そしてその後転売している、こういう物件であります。そういたしますと、この時期は、これはもっと具体的に、最近のことでもあるし、具体的な通達も出ておりますから、そこでお伺いするのですが、四十九年四月十一日付の銀行課長発の「海外投資に係る融資の抑制について」という通達があります。これが出された理由について、まず答弁をしていただきたい。
○説明員(徳田博美君) お答えいたします。 先生御指摘の四十九年四月十一日の銀行課長名の事務連絡でございますが、御承知のとおり、当時、四十八年末から総需要の抑制が打ち出されまして、それを背景といたしまして四十八年の十二月に「当面の経済情勢に対処するための金融機関の融資のあり方について」という銀行局長通達が出まして、「当面の情勢からみて緊急とは認められないものに対する融資を抑制し、より緊要度の高いものに対する資金を優先的に確保する」という線が打ち出されたわけでございますけれども、四十九年に入りまして、当時の国際収支の状況にかんがみまして、海外投資に係る融資につきましても同じような趣旨で抑制を図る、こういう趣旨でこの事務連絡が出されたわけでございます。
○近藤忠孝君 その説明では、ここの一番大事なところが何も説明されておりません。ここでは当時の外資の状況から見て「特に不動産取得、ホテル、飲食店、レジャー関連、その他これらに類する海外事業に対する投資に係る融資については、これを差し控えるとともに、」と書いてある。当時の海外状況から見まして、外資状況から見てこういったものは不要不急であるし、やはりこれを抑えていこう、こういう方針なんです。どうですか。
○説明員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、この事務連絡の文書につきましては、「今後当分の間、海外投資に係る金融についても、その緊要度を十分検討し、一層慎重に取扱うこととされたい。特に不動産取得、ホテル、飲食店、レジャー関連、その他これらに類する海外事業に対する投資に係る融資については、これを差し控えるとともに、その他の海外投資についても、当面かならずしも緊要とは認められないものに係る融資は、極力これを抑制するよう配慮されたい。」、このような文章になっておりまして、御指摘のとおり、ホテル、飲食店、レジャー関連に対する融資については強く自粛を要請しているわけでございます。
○近藤忠孝君 そこで、いまの答弁を前提に聞きますが、これによれば、不動産取得、それからさらにホテル、こういうものに投資は認められないわけですよ。ところが七四年は、いまの示した土地ですね、さらに前回も明らかになった三つのホテル、シェラトン・ワイキキ・ホテル、 ロイヤル・ハワイアン。ホテル、マウイ・シェラトン・ホテル、大変な合計一億五百万ドル、それに加えていま私が述べた膨大な土地、これは先ほど示した、現に所有する土地よりもちょっと一マイル程度離れておりますが、やはり中心地です。これも大変高価な土地でありますが、こういうものを認めたということ、さらに具体的には二千百万ドルに及ぶ三和銀行の融資保証、これが実行されている。これは明らかにこの通達の趣旨から逸脱しているんじゃないか。この点どうですか。
○説明員(徳田博美君) この事務連絡の趣旨について御説明申し上げたいと思いますけれども、この事務連絡は四十八年十二月に出されました局長名の通達と異なりまして、課長名による事務連絡でございまして、口頭指示にかえて文書を出したものでございます。御承知のとおり、金融と申しますものは日常の複雑な取引に関連するものでございまして、特に融資の問題につきましては取引の信用あるいは企業の存否にかかわるような、関連するようなものでもございますので、この事務連絡はこのような金融の実情を踏まえた上で出されたものでございます。したがいまして、ここにいま強く自粛を要請しておりますけれども、これはこのような金融の実情を踏まえまして、このような取引のすべてを一切直ちに取りやめるということは必ずしも意図していないわけでございます。これはもう恐らく法律事項ではないかと思われますので、このようなものはもちろん意図していないわけでございまして、具体的な個々の事例につきましては、事務連絡の趣旨に照らしましてやむを得ないと認められるような案件もございましょうし、特に経過措置につきましては、たとえばこの事務連絡の出された当時すでに話の進んでいるようなものにつきましては、これを直ちに、その事務連絡が出たからといって一挙に断ち切るということは、取引の信用なりあるいは国際信義にもとるということもございますので、それまで一切差しとめるということは必ずしも考えられていないわけでございまして、要するに金融機関の良識に基づく強い自粛を求めたものということが趣旨でございます。
○近藤忠孝君 課長の文書だから軽いので破ってもいい、そういう趣旨ではないと思うんですね。そうでしょう。それはやっぱり守らなければいかぬものです。ただ、いまの説明によって特別の事情、国際信義にもとるような場合にやっぱり認めようという例外措置、例外の場合がある、そういう場合にはやっぱり認めていこうという、こういう趣旨だと思うんです。しかし、この七四年という年はどういう年であったのか、これは説明を求めていると長くなりますから、こちらから言ってしまいます。オイルショック後の外貨事情が大変厳しい年であったわけですね。原油の値上げ分をカバーするだけでも日本の蓄積外貨の半分は吹っ飛ぶという、こういう状況であった。これは間違いないですね。ですから、大蔵省は日本人旅行者の海外持ち運びドル、これをいままでの三千ドルから千五百ドルに減らすとか、あるいは公務による海外出張も規制するなど大変神経を使って、本当に微細な点にまでわたっていわば規制しておったと、こういう時期です。特にこの七四年から七五年春にかけての約一年三カ月という期間は日本企業の特に海外不動産投資、観光事業投資、こういうものは外貨のむだ遣いだから厳しく規制された、これがこの当時の行政の基本だったんじゃないでしょうか。局長の答弁をいただきたい。
○説明員(藤岡眞佐夫君) 確かに御指摘のように、当時は石油危機の後日本の国際収支が悪くなった時期でございますので、私どもといたしましては、むだな外貨は使いたくないという気持ちで、いろいろ資本取引等の面につきまして措置をとっていたわけでございます。ただし、海外投資自体につきましては、国際的な義務もございまして、当時すでに自由化になっております。したがいまして、自分のお金で海外投資をするというケースにはもちろん従来どおり許可を与えておりましたし、ただ金融機関から借金をしてまで海外投資をするというのは、これは、国内でも金融引き締めをやっておりますときですから、余りひどいではないかということで、先ほどの銀行課長の事務連絡が出たという経緯でございます。 それからまた、日本の国からお金を持ち出さない、海外でお金を調達するというものは、当時としてもケース・バイ・ケースで認められてきたわけでございます。国際収支とその資本取引の規制については、そういう関係にあったわけでございます。
○近藤忠孝君 私が指摘しておりますのは、銀行の融資を受けて行う海外投資、これを中心に聞いております。この年は、こういう厳しい外貨規制の結果として、私のハワイにおける調査によりますと、ハワイに進出しておりました企業のうち、たとえば東京放送、これは三井系です、第一観光、これは住友系、大蔵屋不動産、これは三菱系です、こういう財閥系の企業を初め、この時期に倒産またはハワイから撤退した日本の企業、これは百ぐらいあったと思います。これは、私は実際関係者から聞いてまいりました。これは何も私が言うだけじゃありません。本年の五月十六日の日経新聞にも「ハワイ進出は失敗に終わる」ということで、そのことがアメリカの週刊経済誌「ビジネス・ウイーク」に書いてあると、こういった記事もあります。当然これは大蔵省の目にとまっていると思います。じゃ、そのビジネス・ウイーク五月二十四日号、これを見てみますと、はっきりと書いてあるのです。これは七〇年代にずいぶん日本の企業が進出した。しかし、こういう状況のもとで、ごく少数の例を除いては全部だめになった。その成功した例は——これはビジネス・ウイイークに書いてあるのですよ——東京の実業家であり田中角榮前首相の刎頸の友である小佐野氏は、一九六三年にホテルの買収を始め、現在ではワイキキ海岸に五つのホテルとシエラトンにより経営されておるシェラトン・マウイ・ホテルを所有している云々と、これが成功した例です。あとは倒産をし、差し押さえを受け、さんざんな目に遭っているという状況が大変生々しく書いてあるわけであります。これは私が言うだけじゃありません。ですから、この時期にあの三和によるハワイでの三つのホテルの買収、そして土地買収、この資金というのは、これは小佐野−三和銀行、これが結託して大蔵省の外貨行政あるいは銀行行政をゆがめたのじゃないか、私はこう見ざるを得ないのです。 銀行局長は来ておりますか。——じゃ、審議官ひとつ、そういう見方を私は実際具体的な事実に基づいてするわけでありますが、答弁していただきたい。
○説明員(徳田博美君) お答えいたします。 個々の取引についてはお答えするのはお許し願いたいと思いますけれども、一般的な問題といたしまして、この四十八年十二月の通達あるいは四十九年四月の事務連絡に違反するような事項があれば、これははなはだ好ましくないことであると、このように考えております。
○近藤忠孝君 個々の事例だから答えられないということじゃなくて、具体的にこの時期に小佐野関係が実際に融資が認められた、そして実際成功しているわけです。それに対して、ほかは全部ばたばた倒れた、こういう状況であったわけであります。 そこで、私も実際今回の調査で銀行関係者と会って調べてみました。その際に、銀行関係者はきわめて切実に私にこう訴えています。それを書き取った文書がありますので読んでみますと、「この時期に」——要するに七四年の時期です。「全部で一億五千万ドルという買い物と外貨調達が京屋に対して認められたというのである。そのニュースが入ったとき、われわれハワイの銀行マンの間では、何かの間違いではないかと耳を疑ったものだ。それが事実であるとわかったときは、われわれ日本の銀行マンは大きなショックを受けた。田中逮捕の比ではなかった、そして驚天動地、前未代聞、空前絶後の出来事、こう受けとめたといっても決してオーバーな表現じゃない」とこう私に訴えています。要するに、「あり得べからざる奇跡が起こったのである。三和銀行がギャランティーライセンスをとったということ自体信じられなかった。次の瞬間、われわれ銀行マンはぴんと来た。これは小佐野氏に日本政府首脳筋から直接援助の手がおりたなということだった。われわれは出会うとその話をし、話が出るとにやりと笑って片目をつぶった。われわれがめんどう見ている企業からは、どうして京屋だけ、三和だけがこうした特例が認められるのか。おまえのところは銀行としての力がないのか、こう露骨にいやみを言われたこともあった。われわれはずいぶんくやしい思いをしたものだ」と、こう切実に訴えております。ですから、この七四年の三和による融資は、そしてこれは大蔵省、日銀が認めておる。これはこういうきわめて重大な問題点を持っております。みんなが失敗している。小佐野だけが成功したのは、何も小佐野の経営手腕によるものじゃなくて、大蔵省の全く異常な保護援助、これによってなされたことが明らかじゃないか。この事実が私ははっきりと物語っていると思うのです。大蔵省は海外投資にかかわる融資について、最も許可をしてはならない時期に全く不公正なことを認めてしまっている。許可じゃなくて、認めてはならぬことを認めた。これは、私は、一局長がなし得る問題ではなくて、当時の最高の権力者田中角榮の行為によって、この時期の重要な国際金融行政がねじ曲げられた、こう見ざるを得ないと思います。こういう事実を私は具体的に指摘しました。 そこで、この具体的な指摘を大蔵省として厳重に調査すべきだと思います。現に、今回のこのロッキード疑獄問題をめぐって、やはり疑惑の一つの焦点であった運輸省では、御承知のとおり、総点検、粛正の大号令を出して、総点検本部もつくる、こういうことが行われております。私は、こういう具体的な事実を指摘した以上、この問題について大蔵省として私が指摘した事実を厳重に調査する、このことをやるべきだと思いますが、答弁をいただきたい。
○説明員(藤岡眞佐夫君) 一九七四年に国際興業に対する融資等について、海外投資につきまして国際金融行政がゆがめられたのではないかということでございますが、私そうでないと思っております。すなわち、当時三和銀行の融資を認めてはいけないのに認めたというふうな御質問と思いますが、私どもが知っております限りにおきましては、そういう融資があったのではなくて、海外で資金を調達するのに三和が保証したというケースではなかろうかと思います。これは、さっき御紹介のありました四月の銀行課長の事務連絡の前に話が海外の貸し手等々と進められておりまして、これは、国際金融取引は相当準備期間もかかりますし、相当丹念にやってから最終的な申請なり許可がおりるという性質のものでございますので、この事務連絡が出ます前に話が大分進んでいたというケースでございまして、新規に事務連絡が出た後に申請があって、それを特別に認めたという性質のものではないわけでございます。
○近藤忠孝君 そういたしますと、具体的な先ほどの課長の文書ですね、そういう前だから構わぬのだと、いまの答弁はそういう答弁ですか。
○説明員(藤岡眞佐夫君) この事務連絡の解釈につきましては、さっき銀行局の徳田審議官が申し上げましたが、新しい事務連絡が出て、すぐに既往の経過中のものは全部だめになるというわけではないわけでございまして、ことに海外での国際的な金融取引につきましては相当準備期間もあるわけでございますので、それが当局へも連絡があり、進んでおったものにつきましては、たまたま正式なドキュメンテーションはおくれるということで、四月の事務連絡よりおそくなりましても、それは許可をすることはあるわけでございます。で、まして今回の場合には、その性質上、あの事務連絡自身がさっき申し上げましたように国際収支対策というねらいを非常にたくさん持っておったわけでございますが、今回の件につきましては海外で資金を調達する、日本から金を持ち出さないというふうな事情もございましたもので、ほとんど熟しておりました申請を認めたということだと思います。
○近藤忠孝君 そういたしますと、七四年のこの融資の関係は、日本の外貨の問題に一切かかわりがないと、こういう趣旨ですか、どうですか。
○説明員(藤岡眞佐夫君) 先ほど申し上げましたように、海外投資はその時期におきましてはすでに自由化されておったわけでございまして、外貨に関係する場合、すなわち自己資金で国内から外貨を持ち出す場合ですら認めておったわけでございます。ただ、国内で融資をつけてまで外貨を持ち出すというのは、幾ら何でもひどいではないかということで抑制しておったわけでございます。で、いまのケースはそれとは違うタイプでございまして、海外の金を利用する、それを保証するというわけでございますから、すでに日本からの外貨の流出を見るというものではないわけでございます。
○近藤忠孝君 私が聞いておるのは、だからこの期間はこういったものを放置しておっても構わないから放置したのか、そういう質問なんです。大蔵省は全くこういうことにかかわりを持たなくていいのかどうかと、それが一つですね。 もう一つは、この課長の事務連絡が出た。その前から準備が行われておったと申しますけれども、しかし、一億数千万ドルに及ぶ大変な金です。そして、片やたくさんのハワイ進出企業は、内地からの、日本からの融資が全然とだえたためにどんどんつぶれたと、こういう時期に小佐野関連企業だけがどんどん栄えている、こういう事態から見て本当に正しい行政だったのかどうかと、このことを聞いているんです。
○説明員(藤岡眞佐夫君) 第一番目の外貨事情でございますが、当時は石油危機の後でございまして、大変日本の国際収支は大きな打撃を受けたわけでございます。それを立て直すためにいろんな手を打ってはおったわけでございますが、やはり国際的に自由化の合意のあるものにつきましてはそれを撤回するということもできないわけでございます。先ほど例としてお挙げになりました海外渡航の為銀承認枠を三千ドルから千五百ドルに下げたというのも、千五百ドル以上の場合でも本当に海外渡航をするということであれば認めるということでございまして、絶対に千五百ドル以上はいけないという趣旨ではなかったわけでございます。で、海外投資につきましても同様でございまして、何が何でも全部抑え込まなくちゃいけないということでは、外貨事情から言ってもなかったわけでございます。 第二の、行政が妥当であったかどうかということでございますが、やはり国際的な金融の貸借関係、大変相手もたくさんあって、こう丹念に時間をかけてやらなくちゃいけないものを、銀行課長の事務連絡が出たから、ほとんどまとまっていたものをその日からだめにするというのはかえって国民に対しても不便をかけるということになりますので、そういった意味の経過的な案件、そしてしかも中身が、さっき申し上げましたように、直接日本から外貨を持ち出すというものではないというふうなものについては、認めてしかるべきものとして処理したと存じております。
○近藤忠孝君 時間がありませんので、さらにもっと詳細にこれは指摘をしなきゃいけませんが、きょうはこの程度にとどめたいと思います。しかし、ともかく一億数千万ドルと大変な金で、決して日本のことに影響が無関係でない。こういうものは、たとえ前から準備されておったにしましてもね、もう一度そこで検討するということがあってしかるべきだったと思います。 それから委員長、あと、質問じゃありませんが、私のホノルルの調査の結果、小佐野賢治は、たとえばホノルルのファンク・ファシイ市長にも政治献金をしてその事業の安全を図っている、こういった事例も明らかであります。そこで思い起こしますと、国内でもいわゆる小佐野献金リストというものがあると、このことも明らかになっておるわけであります。で、これを提出さしてそれを究明していく、このことは私はロッキード問題を本当に究明していく上で、真相究明のために必要である、こう思いますので、ひとつ提出させるように委員会でお諮りいただきたい。 これで質問を終わりたいと思います。
○委員長(剱木亨弘君) いまの問題にお答えします。 すでにこの問題は理事会で相談中でございますから。 〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
○木島則夫君 まず検察当局に伺いますが、クラッター、エリオットの二人の嘱託尋問はその後どういう進展状況を見せているのか、これからの見通しですね、ちょっと。
○説明員(吉田淳一君) クラッター、エリオットにつきましては、九月八日に尋問の期日が一応入っておるわけでございます。指定されております。しかし、この点につきましては過般ここで御報告いたしましたように、米国刑罰法令に関する刑事免責の問題がございまして、この点について米国司法省においてなお検討中であるということでございます。その結論がまだ出ておりません。で、この点につきましては、米国司法省としましては、実務取り決めの八項で訴追を免除するような措置をすることまで援助する必要はないという取り決めになっておるのにかかわらず、なおその点についてさらに検討しておるという段階でございますが、聞くところによりますと、米国におきましては、多国籍企業、ロッキードに限らず、その他の企業につきまして対外不法行為があったかどうかということを現在関係機関が調査中ということでございます。まあそういう場合における処理のバランスなども一つの重要な問題点として、そういうことを含めて現在検討しているということでございますので、その結論が前向きで出れば九月八日に尋問が開始されると、こういうふうに期待しております。
○木島則夫君 日本の捜査当局の要求でコーチャン氏の嘱託再尋問が、これ、三十日でしたね、に行われることになっております。で、これについては先ほどほかの委員からも触れられておりますけれど、刑事課長のお答えですと、いままでの証言とコーチャン回想録に述べられているコーチャンの言葉との違いでやるのではないというふうにさっきおっしゃっておりました。この辺のところをもうちょっと具体的に、再尋問の真意というものがどういうところにあるのか聞かしてもらいたい。
○説明員(吉田淳一君) 先ほどちょっと言葉が足らなかったのかもしれませんけれども、先ほど申しましたことは、コーチャン氏に対する証人尋問は七月六日から九日まで米国で行われたわけでございます。それで、その後最高裁の措置の結果、情報を入手することができて、もちろん証言調書も入手されたわけでございますが、その過程において国内の捜査が独自に進行しているわけでございます。それで、そういうものとの突き合わせ等の結果、なお七月六日から九日まで行った尋問につきましてさらに詳細に補足して尋問をする必要があるという判断で、米国司法省側の申し入れと申しますか、申し出に基づいて再尋問の期日が入ったと、こういうふうに聞いております。もちろん、そのときには、その過程で出ました朝日新聞の記事なども十分参考にしながら尋問が行われるものと思いますけれども、別に、朝日の記事にああいう記事が出たからそれでその食い違いを訂正するために再尋問をするということではないと申し上げたわけで、別に私は、実際の嘱託尋問の内容と、それから記事の内容とが食い違っているかいないかについては私としては申し上げるべき立場でございませんし、そういう、食い違っていることを理由にしてやったのではないということは一致しているんだというふうにおとりになりますとちょっと困るのでございますけれども、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
○木島則夫君 細かく伺って恐縮ですけれど、さっき課長は、捜査の状況が進展したというふうにおっしゃっておりますね。
○説明員(吉田淳一君) はい。
○木島則夫君 で、私どもは、丸紅あるいはロッキード関係につきましては、ルートにつきましては解明が進んでいるというふうに受け取っておりますし、児玉ルートについては進捗がはかばかしくないというふうに受け取っております。そうすると、あなたが先ほどほかの委員の方におっしゃった、捜査の状況が進展したということは具体的にどういうことですか。
○説明員(吉田淳一君) 進展したと申しますのは、すべてのこのロッキード事件の関係——証人であるコーチャン氏が何らかの意味で関連している、関係していると思われる事柄について、その後国内の捜査はさらに続行されているわけでございますから、その続行している事件としては結論を見て公訴を提起しているものもありますし、さらに逮捕勾留して取り調べしているのも現在ございます。そういう全般について、コーチャン氏に関連する部分について、そのすべてかどうかは知りませんけれども、その中にさらに再尋問をしてよく聞く必要があると、こう判断したからだと聞いております。
○木島則夫君 そうすると、これは法務大臣にお伺いしたいのでありますけれど、いまのことが児玉ルート解明のための大きな武器になり得るかということと、それから稻葉法相が、児玉尋問については一考を要すると、これまでたびたび述べていらっしゃいます。これと何か結びつくことがあるのかどうか。
○国務大臣(稻葉修君) 三十日に再尋問するということは、この児玉ルートの解明のために役立つかどうかという点については、直接結びつかないという見解のようでございますね、捜査当局としては。そういうことでございます。
○木島則夫君 それから、かねがね一考を要するとしう……。
○国務大臣(稻葉修君) 児玉自身の供述を得るために強制捜査に踏み切るというようなことについては一考を要するという意味のことはたびたび私は申し上げたんです。それは、病状が悪いというふうに聞いておりますからね。もし強制捜査に踏み切ったりして、ころっといかれでもしたら、これは元も子もなくなるということなんじゃないかというふうに聞いております。
○木島則夫君 とにかく、時間がございませんので先に行きまずけれど、それじゃ稻葉法務大臣に伺います。 稻葉法務大臣は、きのうの、衆議院ですけれど、ロッキード特別委員会で、児玉ルート解明については雪の降るころまでずれ込むことはないと、選挙とかち合わせたくないとおっしゃっておりますけれど、これはもういまでも当然変わりはございませんね。
○国務大臣(稻葉修君) 変わりありません。
○木島則夫君 そうなりますと、児玉ルートの解明というものは臨時国会後になるということも想像できますか。考えられるわけですね。
○国務大臣(稻葉修君) いや、そういうつもりで言っておりません。解明してから選挙にしたいと、こう思っておりますが、私の希望ですよ。
○木島則夫君 臨時国会での捜査報告は児玉ルートを残したいわゆる中間報告になるのかどうか。それとも、児玉ルートの解明が終わるまで、国会での、まあ中間報告ではないですね、報告と言った方がいいでしょうね、これはないということなんでしょうか。つまり、児玉ルートの解明がずっと延びているということです。したがって、児玉ルートの解明が終わらなければ国会で中間報告ができないのかどうか。これ、ずばりひとつ伺いたいんです。
○国務大臣(稻葉修君) それは、報告を求められればいたしますが、いまのところ、こういう段階でこちらから進んで中間報告をする意思はないんです。ただ、国会の方からあの議長裁定に基づいて協力を求められれば最善の協力をすると言っておるんですから、政府は。その政府の義務に拘束されます、私も。
○木島則夫君 きのうの衆議院ロッキード特別委員会で法務大臣は、灰色高官の公表につきまして、時期尚早であるという意味のことをおっしゃっておりますけれど、これは児玉ルートの解明が終わってから灰色高官を詰めるべきだと考えておいでなのか。もしそれならば臨時国会では灰色究明は困難になるのではないかという見方がございますけれど、この辺はどうなんでしょうか。
○国務大臣(稻葉修君) それは全日空ルートも全部終わっているわけじゃありませんからね、全日空ルートも。もしそれが終わっていりゃ、全日空ルートで刑事責任の追及は免れたけれども捜査の対象になったというのは、まさにこれ、政治的道義的責任が残ったという場合に——これからやってみなければわかりませんけれど、そうなる場合がありますね。したがって、そういう段階において、政治的道義的責任の追及者である国会の側から求められれば、これに対して最善の協力をすることは当然です。児玉ルート全部が終わってしまわなけりゃできないという性質のものではなかろうかと思いますが、ただ、この間衆議院で、いわゆる灰色高官についての公表問題は時期尚早だと申しましたのは、公表問題について具体的な場合を分けて論ずることはこの段階では時期尚早だと言っただけの話でございますね。それはどういうことかというと、このロッキード事件の捜査はまだ鋭意続行中でありますから、現在の段階において具体的な場合を想定して、公表の基準や公表の方法を論ずること自体、なお今後行われる捜査において関係人の協力を得られなくなる等捜査活動に悪影響を及ぼすことが懸念されるので、公表問題について具体的な場合を分けて論ずることは尚早だと、こういうことを申し上げているわけであります。
○木島則夫君 そうしますと、灰色高官を、具体的でない、つまりトータル、総称的な灰色高官の発表は時期尚早だという意味ではないんですね、おっしゃった真意はね。——わかりました。 実は、参議院のロッキード調査特別委員会でも、もうそろそろ各党から、灰色高官に対する考え方ですね、いわゆる基準であるとか範囲であるとか発表の方法などについてお互いに詰めをしなきゃならないという話が、いまそろそろ出ているわけですよ、こちらでも。それに並行いたしまして、法務省でもその灰色高官についての検討を始めたと言われておりますけれど、これは事実でしょうか。事実とすれば、これは公表のために用意されるものなのか、あるいは内々の資料というか、内部的にとどめるための資料にされるものかどうか、この辺はいかがでしょうか。特別委員会でももうそれを詰める段階に来ているということですね。どうでしょうか。
○説明員(吉田淳一君) お尋ねは法務省の事務当局で検討をしているかということであると思いますので、私からお答えさせていただきたいのでございますが、別に新たにこの機会に検討を開始したということではございません。しかし、この問題につきましては前々から国会で御論議があるところでございますし、私どもといたしましては、常に国会でお決めになったことについて法務省としてはこれに対して最善の御協力をするという趣旨で対処をしなければならないわけでございますから、それについての考え方は日ごろからそれについて研究もし、検討も行っているというのは事実でございますが、別に改めて検討を開始したということではございません。
○木島則夫君 それじゃ時間ですから、最後に一言。 けさほど来、副総理あるいは大蔵大臣に対していろいろ政局問題を論じるお話の中で、副総理は三木さんを助けているんだと盛んにおっしゃいましたね。だけど、現実はまあそれとは逆の方向に動いていると思いますね。そして、こういう騒々しい状況が、やはり捜査を進める上でいろいろ私は影響が出てきていると思う。検察当局の異例の談話の発表もその一つだと思いますよ、私はね。こういうことについて法務大臣は、福田副総理あるいは大平大蔵大臣に対して協力を要請されたということでございますけれど、何か特にいまの段階で、新たに具体的に、こういうことは困るというようなお申し入れをなさいますか。
○国務大臣(稻葉修君) 私が協力を強く要請しましたのは、何日でしたか、二十四日の閣議終了後、福田副総理からお会いしたいというので会ったときに、強く協力を要請しました。そうしたら、協力しますと大蔵大臣も副総理もおっしゃっていただきましたから、それはありがたいねと、こういうことを言うておきました。したがって、いまの段階において特にその協力をしないことになったからという報告を受けていませんから、改めて申し入れをする必要はなかろうかと思います。あの約束はまだ有効に存続しておるというふうに私は思っております。
○木島則夫君 以上です。
○市川房枝君 質問に入ります前に、午前の審議について委員長にちょっと申し上げたいと思います。 私は午前の審議の最後に十分間割り当てをいただき、福田、大平両氏に質問を用意しておりました。ところが、岡本理事から、予定の時間を超過しているから午後に回してほしいというお申し入れをいただきました。お二人は午前だけと承知していましたけれども、午後も出席されるのかと思いまして承諾をしました。ところが、私の福田、大平氏に対しての質問は行方不明になってしまいました。これも小会派のせいかと、まことに不満でございます。そこでお願いをしたいのは、次の総理または副総理の出席の場合に、二院クラブの委員に十分間追加をしていただきたい。この時間お預けをしておきたいと思いますから、よろしくお願いをいたします。 きょうは、前回の委員会で中途で終わりました政治家個人及び秘書、政治団体職員に対しての課税についての国税庁次長の御見解を伺いたいと思います。 最初に、政治家個人に対しての政治献金は雑所得として政治活動に使って余りがあった場合に課税の対象にする、だから余りがなければ、幾らだれからもらったかも、何に使ったかも全然届けなくてもいいと、こういうことでございますね。これを再確認したいと思いますから、お答えをいただきたい。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 政治献金に係る所得は、先生いまおっしゃいましたように、課税上雑所得として取り扱うことにしておるわけでございますが、政治資金収入から政治活動に係る必要経費、これを差し引いた金額が所得となるということでございます。したがいまして、政治資金収入から必要経費を差し引いた残額があればそれが雑所得になる、こういうことでございます。
○市川房枝君 いまその政治献金の中から必要経費を差し引いたとおっしゃいましたけれども、その必要経費とは何ですか。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 雑所得に係る必要経費でございますが、これは雑所得の計算上必要経費に算入すべき金額ということで、所得税法の三十七条に規定がございます。三十七条におきまして「総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」であるというふうに規定がございます。したがいまして、簡単に申し上げますれば、政治活動に直接要した費用のほか、いわゆる業務関連費用というものも必要経費に含まれるわけでございます。
○市川房枝君 いまおっしゃいました国税庁次長の必要経費というのは、毎年暮れになりますと国税庁から議員の方々全部に、政治資金の収入あるいは支出についての注意書きが回ってまいりますね。あれに掲げてある政治活動として支払ってもいい項目として幾つか項目が出ております。それのことをおっしゃるのですか。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 毎年先生方にお配りしておりますところの確定申告の御注意には、政治活動のための費用として項目を挙げておるわけでございますけれども、おおむねそういうふうな、この書いてございますところの、列挙してございますような費用が必要経費に当たるというようにわれわれは考えておるわけでございます。
○市川房枝君 あれは、必要経費というよりも、支出をしてもいい項目ということであると私は解釈しているのですが、そうしておしまいに、接待交際費ということも入っているわけです。政治献金をもらう方によって、必要といいますか、支出もそれぞれ違ってくると思うんですけれども、それを一律に経費として認めるといいますか、もっと詳しく具体的に私は規定をすべきだというふうに思うんですが、その問題をしていますと時間がなくなりますから、一応また別の機会にしますが、大体私は、政治献金を雑所得と見るところに問題があるというふうに考えているんです。普通の雑所得の解釈はさっきおっしゃいましたけれども、その収入を得るために使った費用、それを差し引いた残りに課税するという意味ですね。ところが、政治献金の場合は、それを得るために別に費用は何もかかっていないじゃありませんか。ただでもらっているというか、そういう場合が多いのに、それを逆に今度は、その金を政治活動に使って残りがあったら課税するというのは、一般の雑所得の計算の仕方と私は逆になっているんだというふうに考えておるんですが、ところで、いまおっしゃいましたような計算の仕方で支出をして残りがあったら課税すると。一体残りがあったとして届けた政治家といいますか、おありになりますか。その人数あるいは一体どのぐらいの金額が申告されておりますか、それを伺いたい。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 政治資金の収支の残を雑所得として申告をしている事例あるいは調査の上で雑所得として課税をしている事例のあることはわれわれ承知をしておるわけでございますけれども、政治家事案につきましては、以前には国税庁で直接管理をしていた時代がございます、先生御承知のとおり。しかしながら、十年ほど前からは、全部国税局、署に任せておりまして、一般の申告書と同様な取り扱いとなっておりまして、政治家だけについての申告とか、その処理の状況というものの集計あるいはその報告は現在とっておらないわけでございまして、いまその数字をわれわれとしてはわかりかねるわけでございます。
○市川房枝君 それはちょっと知るのはむずかしいかもしれませんけれども、ただ国民から言いますと、いかにも政治献金も課税の対象になっているというふうに文面では見えるけれども、実際はもう全然わからない、全然課税の対象にしていないというふうに国民は思っているんですけれども、私はそう思われてもしょうがないと思うんですが、実際いまの政治献金の扱い方だと、一体幾ら企業から個人の政治家に献金したのか、あるいは政治家の方からいえば幾らもらったかということは全然わからない、届けられていないと、こういう実態だと言っていいと思うんですが、そうでしょう。想像つきますか、どのくらいの金が一体献金されているかというようなこと。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 政治献金の総額は幾らになっておるかということは、私ちょっとつまびらかに現時点においてはしておりませんけれども、御質問の趣旨は、要するに、政治家の課税に当たって一体その調査なり課税なりは適正に行われておるのかどうかと、こういうふうな御趣旨かと実は拝察いたすわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、政治献金に係る所得はいわゆる雑所得ということで、一応収入から必要経費を引いたものの残りがあればそれが所得になるというふうなたてまえになっておるわけでございますけれども、政治献金の、政治資金のいわゆる調査、いわゆる政治資金としての雑所得の調査に当たりましては、法人税の調査の際に得られました資料、あるいは政治資金規正法による報告書その他の資料、あるいは情報を活用いたしまして、政治資金のうちで私的資産の形成あるいはまた私的消費に充てられたものの把握に重点をおいて調査をしているわけでございます。政治家の調査につきましては国税局や税務署が行っておりますことは先ほど申し上げましたとおりでございますが、国会等でしばしば取り上げられていることでもございまして、全体として調査等のための投入事務量を従前よりもふやしておりますし、また、関連を有する、政治家個人に関連を有する法人等からの資料、情報の的確な収集ということも一層推進をするということにしております。また、その政治家個人と関連を有する法人につきまして、政治家個人の調査と同時に調査を行うという、いわゆる同時調査というふうな方法によりましてその金をつかむ、その資金をつかむというふうに、政治家課税につきましては、現在のところ、一層その充実を期してわれわれとしては行っているところでございます。
○市川房枝君 個人で政治献金をもらったというのは、政党なり政治団体からの支出としてそこに名前と金額が出てきているということで、ある程度、一部分わかりますね。ところで、この間八月十一日に発表になりました五十年の田中派の政治団体の届け出を見ますと、個人の議員でたくさん金をもらっておいでになる方、たとえば竹下登さんは田中派二団体から四千万円おもらいになっております。ところが、五月の高額所得者の金額の発表がございますね。それで見ますというと、竹下さんは千三十七万円——千万以上報告になっておりますけれども、それだけしか出ていないんですよ。あるいは西村英一さんで言いますと、これは一団体から四千四十三万円もらっておいでになるのに、いまの高額所得の発表では千九百三十七万円。もう一人、二階堂進さんは二団体から三千二百三十一万円もらっておいでになるのに、一千万円以下という収入でですか、名前が出てないんですよ。これは国税庁の方ではお調べになって、その金はいまの高額所得の所得の中に入っていないと言わねばならぬですけれども、一体何に使われているのか、それは一体税金の上ではどういうふうに扱っておいでになるか、伺いたいと思います。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 非常に多額の政治献金を受け取っている反面、申告の所得についてはそれに比例してそう多くないではないかというふうな御趣旨のお話かと思いますが、先ほど申し上げましたように、政治献金に係る所得はいわゆる雑所得という扱いでございますし、収入から必要経費を引いたその金額が所得となるということでございます。したがいまして、政治資金収入が非常に多いということのみをもって直ちに雑所得の金額が多くなければならないというものでもないかというふうに考えているわけでございます。政治家の政治資金収入あるいは必要経費としての支出が多額であるということ自体が直ちに課税処理の問題につながるわけではございませんで、国税当局といたしましては、政治資金のその残額があって、それが私的資産あるいは私的消費に向けられた場合にそれを適正な処理をすると、こういうふうな立場にあるわけでございます。
○市川房枝君 抽象的にそういうふうに伺っても、ちょっとわかりませんね。実際、たとえばこの竹下さんなら、このうちどういうことに幾ら使って、どうしたということ、あるいはそういう金から日常のそういう方々の生活費に回っているということだってあり得るんですけれども、そういうこともわかりますか。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 実は個別の納税者についてどうこうというふうなことはちょっとお答えできませんけれども、われわれがその政治資金に係る雑所得の収入あるいは支出というものの調査に当たりましては、その支出の態様そのものも、その流れというものも十分調べまして、それが適正であるかどうかということも把握をするというのがわれわれの調査のたてまえでございます。
○市川房枝君 最後に、同じ届け出で、田中派では、議員でない秘書あるいは私設秘書あるいは職員の方が人件費以外にたくさんの金を受け取っておいでになるんです。たとえば、榎本敏夫さんは越山会から三千二百三十一万円、早坂茂三さんも越山会から千八百十三万円もらっておいでになるんですが、これは政治家でないですから、こういう方の税金は、この金は一体どういうふうに扱われているのか、それをお伺いしたい。
○説明員(山橋敬一郎君) お答え申し上げます。 政治家でない秘書等に金が渡っているという届け出があった場合の課税関係はどうなるかというお話でございますが、この届け出がありました秘書の方その他に実際にその所得が帰属しているかどうかということがまず第一問題でございます。単なる名義人であるかどうかという問題が第一でございますし、次に、その所得の実態あるいはその金の流れというものがどういうものであるかということを調べる必要があろうかと思います。そういうすべて実態を解明した上で、その所得の態様というものがどういう態様に当てはまるかということを判断をしなければならないというふうにわれわれ考えておりまして、そういう意味から言いまして、直ちにそれがすぐこういう所得であるということは、実態を見た上でないとわれわれとしては何とも言えないというふうな感じでございます。
○市川房枝君 実態を見た上でなきゃわからぬと。一体これ、調べておいでになりますか。いまほんの一、二の例だけを申し上げたんですが、これは派閥の各派にもっとひどい例がいっぱいあるんですよ。そういうのを調べて、少なくとも国民に対してやっぱりこれは公平に扱っているんだということをおっしゃっていただかなければ、こういう実態が国民に知られますと、国民の納税意欲というものが低下してしまいます。 改めてまた伺う機会がありますから、時間になりましたから、これで終わります。ありがとうございました。
○理事(岡本悟君) 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十二分散会