予算委員会 第24号
- 発言数
- 508 件
- 登壇者
- 40 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1976/03/05
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 昭和五十一年度一般会計予算、昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 一般質疑を行います。土井たか子君。
○土井委員 本日、私は、ロッキード問題についてこれから質問をいたしますが、まず最初に、P3Cが必要であるかどうかということは、防衛庁からいたしますと日本の防衛にとって重大な問題であるはずであります。そこで、防衛庁長官にお伺いしたいのですが、日本海の制海権はソ連の手中にあるという意見が御承知のとおりにございますが、防衛庁はこの事柄が日本にとって脅威であるというふうにお考えになっておられるのかどうか。脅威であるということでございますならば、日米安全保障条約第四条が関係すると思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
○坂田国務大臣 お答えをいたしたいと思いますが、日本海におきますソ連海軍の軍事力は最近目覚ましい増強を示しておりますし、先般のアメリカ軍事委員会における海軍長官の御報告にもありますような状況でございます。しかし、日本にそれが脅威であるかどうかということでございますけれども、そういう軍事力といいますか、潜在的な軍事力があること、存在しておること、それは私たち承知をいたしております。しかしながら、それが顕在化して直接日本の脅威になっておるというふうには考えておりません。
○土井委員 それでは脅威であるというふうには考えていらっしゃらないということでありますか。脅威では全然ない、脅威にはならないというふうにお考えになっていらっしゃるわけでありますか。
○坂田国務大臣 潜在的には脅威が存在をしておる、この事実はございます。
○土井委員 いまおっしゃったことは重大だと私は思うのです。潜在的脅威があるといまおっしゃいました。顕在的脅威となると、これは日米安全保障条約の第四条の対象として考えなければならないわけでありますけれども、潜在的脅威ということになると、防衛庁長官、わが国は一体何をなすべきなんですか。
○坂田国務大臣 日本の国と日本国民の生存と自由を守るために、安全を守るために常に自衛力を高め、あるいは国民の国を守る意思を醸成し、そしてまた、日米安保条約というものをしっかりと機能をするように努めなければならないというふうに考えております。
○土井委員 どう言われようと、いま防衛庁長官は潜在的脅威がソビエトにあるということを確認されたわけであります。そうすると、ソ連との外交関係と中国との外交関係とはおのずとそこで違いが生じてくると思いますが、外務大臣、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 外交の立場から申しますと、どの国が潜在的に脅威であるとかないとかいうことは実は余り穏やかなことではございませんから、まあ私としては、絶えず注意を怠ってはならない状態であると申し上げておきます。
○土井委員 まことに当たらずさわらずの御答弁ですけれども、防衛問題の根本は外交ですよ。外務大臣のおっしゃるただいまの御発言と、防衛庁長官がはっきり、これは潜在的脅威があるというふうにここでおっしゃることとの中身は一つじゃないと思うわけであります。政府は一体でなければならない。そういう点からすると、外務大臣のただいまの御答弁というのは防衛庁長官の認識と大変ずれがあるように思いますけれども、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 それはおのおのでやはり職責がございますので、表現に多少の違いがありましても、私はおとがめいただくほどのことではないと思います。
○土井委員 これは何ということでしょう。大したことじゃないとおっしゃる。潜在的脅威があるとおっしゃる防衛庁長官の認識と外務大臣との間では大変に相違があるということをひとつここではっきり確認をさせていただいて、このP3Cと同様ただいまロッキードの黒い霧の真っただ中にございますロッキード一〇一一、トライスターの購入をめぐってひとつお尋ねを進めたいと思うわけであります。 運輸大臣にまずお尋ねをいたしますが、トライスターの導入決定は何年何月何日でございましたか。
○木村国務大臣 全日空がトライスターの機種決定をいたしましたのは、決定と同時に仮発注をいたしておりますので、仮発注の時期がその時期だと思いますが、最初の六機が四十七年の十月三十日でございます。その次が十機でございますが、四十八年の一月十二日でございます。
○土井委員 大蔵大臣にお尋ねをしたいのですが、輸銀法の改正はいつ閣議決定をされたわけでございますか。
○大平国務大臣 いま調べて、すぐ御報告をします。
○藤岡政府委員 一番最近の改正は、昭和四十七年十一月でございます。
○土井委員 それは法律として可決された日ですね。輸銀法の改正については、私はいまそれをお尋ねしたわけではありません。閣議決定が何日であったかということを私はお尋ねをしているわけであります。いかがでございますか。
○大平国務大臣 至急電話で調べて御報告します。
○土井委員 電話で問い合わせの間じゅうは、これは時間に読まないようにお願いします。
○荒舩委員長 そういうことは十分承知しております。
○土井委員 ただいま問い合わせをしていただいております間に、それでは少し先に質問を進めたいと思いますが、このロッキード一〇一一の購入について通産省にお尋ねを進めます。 輸入貿易管理令第四条第一項の規定に従って、ロッキード一〇一一の輸入承諾申請書が通産省に提出されていると思うのでございますが、いかがでございますか。
○岸田政府委員 航空機の輸入に関しましては、事前に通産省に対しまして輸入貿易管理令第九条の規定による外貨割り当ての申請が行われまして、外貨割り当てを受けた後に外国為替銀行に参りまして、輸入の承認を受けるという手続になっておるわけでございます。それは輸入貿易管理令第四条の規定による輸入の承認でございます。
○土井委員 輸入貿易管理令第四条第一項の規定による輸入承諾申請書についてはいかがですか。
○岸田政府委員 輸入貿易管理令第四条の規定は、輸入の承認に関して定めておるわけでございますが、この輸入の承認は、先ほど申し上げましたように、外国為替公認銀行へ書類を提出して、銀行の承認を受けるという形になっておるわけでございます。
○土井委員 私は手続をお伺いしているのではございません。ただいま輸入貿易管理令第四条第一項の規定に従っての輸入承認申請書が提出されていると思うがいかがでございますかとお尋ねしているのです。いかがです。
○岸田政府委員 輸入承認申請書は、外国為替銀行に当然提出されておると思います。
○土井委員 通産省の方はその提出書を現に保有されているわけでありますか、いかがですか。
○岸田政府委員 輸入承認申請書は、外国為替銀行におきまして承認手続をいたしました後、私の記憶では二年間外国為替銀行において保存をするという形になっておると思います。
○土井委員 通産省の方はいかがです。
○岸田政府委員 通産省には提出されておりませんで、銀行を監査いたします際に事後審査のような形でチェックをするという形になっておるわけでございます。
○土井委員 そうすると、いまこの輸入貿易管理令第四条第一項の規定に従ってロッキード一〇一一の輸入承諾申請書というのがあるということを通産省としては確認できるかどうかということはいかがですか。
○岸田政府委員 ただいま申しましたような経緯でございますので、二年以内のものについては銀行が保有をしておりますし、それを確認することは不可能ではないと思います。
○土井委員 輸入承諾申請書について、これは輸入貿易管理令の第四条からすると、通産省令で定める手続に従っていま申し述べられたような手続がとられるわけでありますから、通産省としては、当然この中身については知っておかれなければならないはずであります。したがって、二年間は保存の義務があるから、そちらの方にあるであろうというふうな答弁で済んでいくわけじゃない。いま私はここに輸入承諾申請書の一部を持ってまいりました。 お尋ねをいたしますけれども、いまあるロッキード一〇一一の現有機数十四機全部についてこのような手続がとられているというふうに通産省としてはお考えでいらっしゃるかどうか、いかがですか。
○岸田政府委員 トライスターの輸入に関しまして、すでに輸入済みのものにつきましては、少なくとも所定の手続を経て行われておるというふうに感じております。
○土井委員 現有機数は十四機ですから、十四機全部について所定の手続が全部とられているというふうに考えなければならないわけですね。そのことをまず確認をいたします。 ところで、ここにある申請書は六機分の申請書でございます。ひとつ運輸大臣に六機分の申請書というのをまず確認をしておいていただきたい。後でなぜ確認が必要かということも申し上げますが、確認をお願いしたいと思います。委員長よろしゅうございますか。
○荒舩委員長 いいです。
○土井委員 通産大臣にも確認を求めます。
○荒舩委員長 はい。
○土井委員 ただいま確認をお願いいたしまして、確かにこれは正規の書類であるということの御確認をいただけたわけであります。 そこで問題は、いま現有機は十四機であって、ここにある申請書自身は六機分だという点なんです。先ほど来通産省の御答弁によりますと、通産省の方にはこの書類がないがごとく御答弁になっている。先般来通産省にこの申請書の提示を求めたところが、それは見せるわけにいかないというふうな御答弁で、全日空の方にひとつ出せるか出せないかということを尋ねようと言う。その結果、全日空から出てきたのはこの限りの資料であります。六機分の資料であります。残るあとの八機分についてどうなっているかということが実は大変問題なんです。この八機分について同様の手続がなされているのならば、全日空の方からはこれについて出されたのでありますから、恐らくはあとの八機分についても同様の手続さえなされていれば出されたはずであります。この申請者は全日本空輸株式会社の社長名になっている。まずこの点をひとつ御確認願います。 ところで問題は、アメリカの上院の多国籍企業小委員会、あの二日目の、六日の日の公聴会でのコーチャン氏の証言内容でございます。コーチャン氏の証言内容で問題になる個所がここに出てくる。それは、ロッキードは契約の詰めに入っていました、これはほかの人がやりました、自分でやったわけではありませんが、取引の内容はわかりますというふうな意味の、日本訳にいたしますと、導入から入りまして、追加八機分の契約をとるために、契約を固めるために飛行機を売るときに航空会社へ支払われたという中身になっているわけであります。その中身は、一九七四年九月二日の日付で額は三千三十四万五千円というふうにクラッター氏が認めているこの中身についてのコーチャン氏の証言の部分であります。したがって、この三千三十四万五千円というのが、コーチャン氏の証言からすると、追加八機分の契約を固めるために飛行機を売るときに航空会社へ支払ったという詰果になるわけであります。いまここにある資料は、一つはディーク社からの送金を証明する中身の書類であります。ここにはもうすでにこれは公にされておりますけれども、日付はまさしく一九七四年七月十六日と書かれておりますが、金額はぴったりこのクラッター氏の証言の内容に合致するのです。三千三十四万五千円となっているわけであります。あて先は、ミスター・エリオットとなっていて、場所はパレスホテル、注釈があって、「コンタクト ミスター・エリオットツー アレンジ デリバリー」と書いてあります。 またもう一つのここにある資料はシグ・片山氏のサインがある受取でありますが、日付はまさしく先ほどの一九七四年の九月二日の日付に合致する。金額もぴったり三千三十四万五千円と合致するわけであります。そうなってまいりますと、このあとの八機分について契約を固めるために、飛行機を売るときに航空会社へ支払ったというコーチャン氏の証言から、これだけの金銭の授受が領収証によって動いているという事実まではっきりしている。そこまでははっきりしている。 ところで、全日空がトライスターを購入をしたそれぞれの日付を見てまいりますと、一機から六機までの、先ほどここに私が通産大臣にも御確認を願いました書類で申請書を明示いたしました中身は、四十九年七月十二日に最終の六機目のトライスター機は通関をいたしております。ところが七機目から、つまりあとの八機分については通関日が四十九年の十二月二十日以後となっておりますから、まさしくその間にこの金銭の授受があったのであろうという前後関係が非常にはっきりするわけであります。 そうといたしますと、いまこのあとの八機分について明確な資料が出ない限りは、いかに全日空の社長が証人としてこの場所でそのような金銭の授受はなかったと言われようとも、ディーク社とシグ・片山氏と、さらには全日空は一体のものであるというかっこうにならざるを得ない。そういう意味からしますと、このあとの八機分に対しての資料はまことに重要であります。実は八機分についての資料の中身がこの間の事情の解明のかぎになるとさえ言える。 そこで申し上げたいのは、通産省でありますが、六機の輸入承認は、先ほど私は通産大臣に御確認をいただいた。なぜ御確認をいただいたかというと、通産省が承認をしているのであります。承認申請書はそういう意味で意味がある。だれが承認しているかというと、通産省なんですよ。承認をした通産省がこの六機分についての申請書に対して提出を拒む。さらに全日空の方はこの六機分についての申請書は提示したけれども、あとの八機分については申請書を提示していない。疑惑はますますつのる一方であります。一部においては、この八機分は個々の申請者の名前が違うんじゃないか、別会社で裏金を入手したのではないかという疑惑がある。この点を解明するためにあと八機分についての資料提示を委員長に求めたいと思いますが、いかがでございますか。
○荒舩委員長 土井君にお尋ねしますが、通産省に出させるというのですか、あるいは全日空に出させるというのですか、どっちから出させるのですか。
○土井委員 申し上げるまでもなく通産省でございます。
○岸田政府委員 先ほども御説明いたしましたように、輸入貿易管理令第四条の承認は外国為替銀行が行うものでございます。 いまお尋ねの点につきまして、輸入承認証の確認方法はないかという点でございますが、私どもとしましては、全日空に話をいたしましてそれと同じようなものを入手し得るよう依頼をしてみたいと思います。
○荒舩委員長 ちょっと待って。よくわからなかったが、どういうことだ。八機分の資料を出せることになるのかどうか。
○岸田政府委員 これは通産省では持っておりませんので、全日空に聞きまして、それが出し得るものかどうかということをチェックしてみたいと思います。
○荒舩委員長 ちょっと待ってください。君は監督官庁だから、出せと言えば出すんだろう。どうなんだ。聞いてみるじゃなくて、全日空にあなたの方から出せと言えば出すんでしょう。
○岸田政府委員 出せという命令をする権限はございませんので、全日空に依頼をするという形になろうかと思います。
○荒舩委員長 出せるのか出せないのか、そこはどうなんだ。
○土井委員 国を挙げての大問題なんですよ。国会の場において、国民がただいまこのことに対してまことに疑惑を持っている点を解明していってこそ国民の代表機関と言えるのです。そういう点から言いますと、通産省としては一体ロッキード社の利益のために通産行政をおやりになるのか、それとも国民生活を保障するために通産行政をおやりになるのか、いずれであるかはっきりしていただきたいと思います。いかがですか。
○岸田政府委員 お尋ねになるまでもないことだと思います。私どもも公務員として一生懸命やっておるわけでございます。 いまの点でございますが、先ほど申し上げましたように、全日空に照会をいたしまして、それを提出できるかどうかということを至急にチェックいたしたいと思います。
○荒舩委員長 それは局長、君の方から出せと言えば出すんだから、出しますと、こう言いなさい。出させますと。それは大丈夫だろう、君。
○岸田政府委員 関係者に相談いたしまして出すようにいたします。
○荒舩委員長 さよういたしますから、どうぞ。
○土井委員 さて、コーチャン氏の発言にございます広報費という中身は、為替法上、特に外為管理令に言う「役務」に当たるかどうか。大蔵大臣、いかがでございますか。 〔委員長退席、正示委員長代理着席〕
○大平国務大臣 先ほどお尋ねの日本輸出入銀行法の最近の改正は、先ほど御答弁申し上げましたとおり四十七年の十一月十三日でございますが、その閣議の決定は四十七年十月二十七日になっております。 それから、いまお尋ねの件につきましては事務当局から御説明いたします。
○藤岡政府委員 外為法上、「役務」に入ります。
○土井委員 「役務」に入るというお答えでございますなら、外為及び外国貿易管理法からすると、これは日銀に対して許可を受けねばならない行為と思いますが、いかがでございますか。
○藤岡政府委員 役務契約の場合、支払い方法が標準決済方法によっております場合には許可を得ないで自由にできますが、そうでない場合には日銀の許可が要るということになると思います。
○土井委員 このコーチャン発言からすれば、この際の広報費というのは日銀に対して許可を受けねばならぬ中身ということになるだろうと思う。もし日銀に対してこの許可を受けていないということであるならば外為法違反ということになるはずでありますけれども、その点どのようにお考えになりますか。
○藤岡政府委員 外為法令の適用上、一般的に申しまして、先ほど申し上げました標準決済方法、すなわち外貨等による支払いで役務の提供前一年以内、提供後六カ月以内に支払いがなされる場合には許可が要らないわけでございまして、日銀への申請もないわけでございます。そうでない場合には申請を出さなければいかぬという関係になっております。
○土井委員 この事例について国税庁はただいま調査を展開されているかどうか、いかがでございますか。
○大平国務大臣 外為法違反容疑事件は警察当局が捜査をいたしておりまして、大蔵省の方で協力をいたしておるという関係になっています。
○土井委員 警察庁は御出席でいらっしゃいますか。――大蔵省とされては、これはそういう事実がありとするなら外為法違反ということになる可能性が十分にあるわけでありますから、このことに対しては警察庁がこれは当然調べるべきものだというふうにお考えになっていらっしゃるかどうかを、それじゃお伺いしたいと思います。
○藤岡政府委員 具体的なケースにつきましては捜査当局の方で調べておりますので、私どもはそれに協力するということでやっておるわけでございます。
○土井委員 先ほど、トライスター導入決定は何日であるかという問題について、輸銀法の改正はいつ閣議決定をされたかということをお尋ねをしておりましたが、再度恐縮ですが、いつ閣議決定されたかをお伺いいたします。
○大平国務大臣 四十七年の十月二十七日になっております。
○土井委員 この輸銀法の改正点の重要な部分は、以前に融資が認められていなかった航空機の購入のための融資が新しく認められたという点に重要な改正点があったはずであります。四十七年の十月二十七日の三日後にトライスターの導入決定がされているという事実が、先ほどの運輸大臣の日付についての御答弁で明確になっております。そうなりますと、全日空のトライスターの導入について、政府を挙げて協力体制をとられたのではないかという疑惑が十二分にあるわけでありまして、そういう意味からしても、ひとついま種種の疑惑を晴らすために、資料については全部これを公開して、白日のもとに真相を明らかにすべきだと思うわけであります。 先ほど来、アメリカの方からいろいろと資料を取り寄せるのに際しまして、これについては本来外務一元化ということで外務省がこの門に当たるのが当然だということは一般の常識でありますが、外務大臣、ただいま外務省のルートとは違った別のルートからアメリカ政府からの資料が日本へ送られるということがありはしませんか、いかがですか。
○宮澤国務大臣 現在までそのようなことはないと信じております。
○土井委員 これからいかがなんです。
○宮澤国務大臣 将来のことをちょっと予測いたしがとうございますが、ただいままでのところはございません。
○土井委員 このような重大問題というのは、政府対政府の交渉によって資料内容を明らかにすべきものだとだれでも考えております。そういう点からすると、政府の局官名を含むようなことを、重大な資料の受け渡しについては、当然外務省がこれを入手されるはずであると考えております。外務大臣とされては、入手した資料についてはこれを一切公開するという立場に立っていまこの問題に対処をされております。ところが、捜査上の秘密と称して捜査係官の情報にゆだねられていくという部分が最近目立って出てきたのじゃないかということが、国民の目から見ると大変な疑惑の焦点になっているわけであります。日米間は言うまでもなく、国際間において史上空前と言ってもいい大変な疑獄事件で、日本の信用はいたく失墜している。国際信用の上からいっても、国民に対して政府は政治責任を遂行する上からいっても、この重大問題に対処するのに際して外務大臣の責任たるや私は重大だと思うわけであります。したがって、捜査上の秘密と称して捜査係官の情報にゆだねられるものはあってはならないはずであります。外務省は一切の情報について御存じになるはずだと私は思うわけでありますが、外務省が知らない、事ロッキード事件に関する資料がアメリカ政府から日本に入国するという可能性はあるのでありますか、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 ただいままでのところ、ございません。
○土井委員 ただいままでのところということを繰り返しおっしゃいますけれども、問題は一刻、一刻進行しているさなかです。これからについてはいかがであるかという点はいかがです。
○宮澤国務大臣 たとえば司法共助というようなことがございますように、捜査の上で協力関係が生まれるということはあり得ることかと存じますけれども、ただいままでのところは、それはございません。
○土井委員 いま重大な発言をなすったと思うのですよ。それじゃ、外務大臣が御承知でないロッキード関係の資料もアメリカの政府から日本に提供される可能性をお認めになるわけでありますね。
○宮澤国務大臣 全く仮定のお話をなすっていらっしゃいますので、ただいままでのところそういうことはないと申し上げるしかないと思います。
○土井委員 いつも、困ると外務大臣はその手で答弁をすり抜けられるわけでありますが、これは仮定の問題じゃないのですよ。現にそうなっては大変だ、事実が隠蔽されていく、日本政府の手によって事実が隠蔽されていく、そういうことであってはならないという国民の疑惑にこたえるために外務大臣に私は質問をしているわけでありまして、外務大臣とされては、アメリカ政府が提供する資料が外務大臣の知らないところで日本政府に渡されるとするなら、言うまでもなくそれは一元外交に従っての外交姿勢ではないということがはっきりすると同時に、いま事重大なこの問題についても真相が政府の手によって隠蔽されていくということになるわけであります。したがってこの疑惑を晴らすために、外務大臣は一切の資料について外務省を通じてアメリカから入手するということをはっきりここで明言おできになりますか。いかがですか。
○宮澤国務大臣 いわゆる外交関係におきまして外務省を通じまして入手いたしましたものは公表いたします。
○土井委員 したがって、いまの御発言は微妙であります。外交関係を通じない、ほかの関係というのがあるのですか。いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 現実にたとえば租税条約によりますところの情報の交換、気象に関する情報の交換等々、国と国の関係で、いわゆる外交関係でない情報交換は、私は現にいろいろあると思います。しかし本件について犯罪捜査云々ということは、現実には現在までのところございません。
○土井委員 それでは、これについては外務省が責任省でいらっしゃいますから当然御存じであると思いますが二月四日以後、日本からこの問題でアメリカへ出張した関係各省の方々のお名前と、それからそのときの旅券の内容、外交旅券であるかどうであるか、それをひとつ資料として御提示願いたいと思いますが、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 できる限り調べまして御報告いたします。
○土井委員 さて、昨日東京地検が児玉譽士夫氏を取り調べたわけでありますが、その経過についてお尋ねを進めたいと思うわけです。法務省、御出席ですか。 法務大臣にお尋ねをいたします。その節の病状はいかがでございました。
○稻葉国務大臣 病状につきましては、刑事局長が参っておりますから、刑事局長に答弁させます。
○安原政府委員 昨日来の新聞に、英京地検が児玉譽士夫を取り調べたという報道がございますが、まずもって捜査当局の私から児玉氏を取り調べたかどうかということをお答えすることは御容赦を願いたいということをお願いを申し上げます。 その理由を申し上げます。 犯罪の被疑者を逮捕、勾留いたしております場合には、刑事訴訟法で逮捕、勾留されておる被疑者は取り調べに応ずる義務が強制できます。それから、国会における証人の証言法によりますと、これまた出頭が義務づけられております。つまり罰則によって強制できます。ところが、現在の段階におきましては、任意調査、捜査でございます場合には、どうしても取り調べに応じてもらうためには相手方の協力がなければならないわけでございます。したがいまして、少なくとも捜査当局からだれそれを取り調べたというようなことを申し上げること、公にすることは、それらの犯罪の捜査に協力してもらうことができなくなるおそれが多分にあるわけでございます。特にまた、そういうことを公にしないでくれという約束のもとに取り調べに応ずる者もあるわけでございますので、少なくとも捜査当局からそのことについて申し上げることだけは御容赦を願いたい、ぜひひとつ御理解をいただきたい。要は、国民の非常に重大な関心事でございますから、できる限り公にすべきではございますが、何と申しましても真相の究明が第一義でございますので、真相の究明に支障のあることについてはひとつ御容赦を願いたいということを切にお願いを申し上げるわけでございます。 それから、ただいまのお尋ねの病状につきましては、逮捕、勾留をし得る状況ではないというふうに東京地検からの報告で聞いております。
○土井委員 ただいまの御答弁を承っておりますと、当予算委員会としては二度にわたってこの児玉譽士夫氏を証人として要求したが、その都度拒否をされて今日に至っているわけであります。この事件に対しては最重要人物であることは言うまでもございません。そういう点からすると、自宅における証言も拒否されたという形になっているわけでありますから、昨日取り調べが行われたという事実にかんがみ、委員会としては直ちに行動すべきではないかと思いますが、委員長、いかがでございますか。
○正示委員長代理 これは予算委員会理事会において連日努力をして、ぜひ臨床尋問を行う方向で各理事全力を尽くして協議をいたしております。本日もこれについて後刻理事会を開いて協議をするつもりでございます。
○土井委員 連日とおっしゃいますが、昨日東京地検が取り調べをやったという経過からすると、きょうは条件が違うのです。新たな条件である、新たな状態であるということをひとつ銘記して理事会で諮られるように求めますが、いかがでございますか。
○正示委員長代理 承知しました。
○土井委員 先ほどの三千三十四万円の賄賂につきまして国税庁の方が調査を進めておられるはずでありますが、最後に国税庁が現にされておる捜査の中身についてお伺いを進めたいと思います。 現に国税庁としては調査を展開されておりますね、いかがでございますか。
○大平国務大臣 調査はいたしております。
○土井委員 国税庁の全日空に対する調査内容はどのようになっておりますか。その中身についてお尋ねをしたいと思いますが、全日空が現にロッキード社から受け取ったという事実を確認しておりますかどうですか、そのことについてお尋ねをしたいと思います。
○大平国務大臣 ただいまこの関係の個人並びに法人につきまして、所得税法、法人税法の違反容疑で取り調べておることは事実でございますけれども、いまお尋ねのような具体的な問題につきましてどの程度調査が進んでおりますか、私はまだつまびらかにいたしておりません。
○土井委員 それでは大臣にさらにその問題については質問を続けましても同様の御答弁しか返ってこないと思うわけであります。 環境庁長官がただいま御出席でありますから、一問、環境庁長官に確かめておきたいと思うわけでありますが、証人としてここに出席をされた全日空関係者の証言内容からいたしますと、ロッキードL一〇一一という機種は、技術的にDC10と比較をしてよいばかりではなく、公害対策という点からしても好ましい機種である、大阪国際空港周辺が来る日も来る日も航空機の公害に悩まされているという現状にかんがみてL一〇一一に機種を選定したという向きの御発言がございましたが、環境庁長官、DC10と747SRとただいま問題になっているL一〇一一、それぞれは騒音の点において大差がございますか。また、排気ガスの点において特にL一〇一一がよいということが言えますか、いかがでございますか。
○小沢国務大臣 実は環境庁でこの両君を比較した調査という正確のものはございませんで、アメリカの連邦航空局の資料を見る以外にはないわけでございます。それを見ますと、どうも両者排気ガスあるいは騒音ともほとんど大差がないと私どもはその資料によって判定をいたしております。
○土井委員 ただいま環境庁長官の御答弁のとおりであります。特に公害対策の上でL一〇一一という機種がすぐれているということは言えない、この点をひとつ確認をして、先ほどのこの証言内容について特にその点を強調されるいわれはないということを申し上げたいと思います。 終わります。
○正示委員長代理 次に島本虎三君。
○島本委員 いま土井委員の方から厳しく、いま日本や関係各国を覆っておりますところの構造的な汚職というか政治の汚れがロッキードによって証明された。しかし、私も公害対策の点からして、国土を覆わんとする環境破壊の根本を解明するために若干質問をさせてもらいたいと思うわけであります。 まず、環境庁長官にお伺いしますが、昭和四十七年の六月の閣議了解事項があります。国の行う公共事業、地方公共団体の行う公共事業に対しても環境影響評価を行う、これが閣議了解事項になっております。中公審報告の環境庁案は、制度化を図る必要がある、こう言っているのでありますが、政府としては法の制度化を考えているのか、それとも行政指導ベースの制度化を考えているのか。法制化を前提にして検討を進めているならば、いつ国会へ出せる見込みなのか。総理は、かつて衆参両院の本会議でもはっきりこれを答えておりますし、大体私の調べによりますと、各委員会で七回ぐらい今国会に提案する、こう言明しているのであります。いつこれが提案できましょうか。
○小沢国務大臣 お答えいたします。 アセスメントに関する制度、これがどうも法制的に確立されておりませんので、いろいろな面で住民の急患の反映なり意見の聴取なり、あるいはまた事前の環境影響評価についてのいろいろ具体的な手続、内容等がまちまちでございますものですから、どうしても制度化したい、でき得れば手続法としての事前評価法というものを何とか立法の形にしたい、そうして、この国会には提出をいたしたいものだ、そういう希望なり決意を何回も、総理も申し上げておりますし、私どももそのつもりでございます。ただ、これにはそれぞれ関係するところが非常に多いものでございますから、実際のアセスメントの手法というものが、すみずみまであらゆる点からたたいて確立したかと言われますと、なかなか、技術的にもまだ確立されていないものですから、そういう面からして非常にむずかしい面があり、各省庁の調整をとるのに相当の時間を要するわけでございまして、目下この辺のところで鋭意努力をしているというのが現状でございます。出したい気持ちは十分持っているわけでございます。
○島本委員 いままでの数度にわたる国会答弁、これはもう厳然と残っているわけであります。それに基づいても、まず考え方をはっきりしておかなければならない。 それで、環境影響評価制度の生命線、これは、第一に地元関係住民への手続の定め方、第二には環境影響報告書の公開性、公開の原則、ここにあります。この決め方いかんで新しい環境影響評価方式、この価値が決まるわけであります。別な言い方をすると、いままでは開発優先、住民無視に徹底しているやり方、これは現行法体系の中で発想を抜本的に改めた行政手続法でなければならない、こう思うわけであります。果たしてこの考えに徹してやるのか、それとも従来のような考え方から一歩も出られないのか、まず基本的な考えを聞きます。
○小沢国務大臣 おっしゃるとおり、そこが一番根本でございますから、それをある程度明確にしないような法律なら私はやめたいと思っております。
○島本委員 それならば重ねてお伺いしますが、公聴会で関係者の意見それから地元関係住民が提出した意見書、これをどこで、だれが客観的に判断、評価するのか。環境庁の考えでは、唯一の住民手続としての住民意見書の提出、これを強調しているのでありますが、肝心の意見書に対する判断、審査、評価、この点はあいまいではございませんか。環境庁は、従来どおりに、開発行為の事業主体が環境影響評価書を作成するときに、住民の意見書に対する見解、これを付記しておけばよろしい、こういうようにも読み取れるわけです。ということは、開発を計画している事業主体が一応答えを書いていれば事足りる、こういうようなことであるならばちょっとおかしいわけであります。したがって、開発計画を一刻も早く具体化させる、こういうように思っている人に住民意見書の判断と評価をゆだねることはちょっとおかしいじゃありませんか。なぜ環境庁も、学識経験者等で構成する第三者機関の審査、評価、これを考えの中に入れないのか、これをお伺いしたいと思うのです。
○小沢国務大臣 私の立場は、国民を代表して国民の健康を守り、環境保全に徹するわけでございますから、私どもは事前影響評価のいろいろな内容についてチェックをいたしますし、必要な意見を実施官庁たる各省庁に提出をいたします。この意見は、私どもは調整権なり勧告権を持っているわけでございますから、当然実施官庁においてはこれを尊重して善処をしなければならぬわけでございます。そうでなければ、私どもは別の勧告権もありますし調整権もあるわけですから、その行政上の権限に基づいてまた行使をいろいろ新たに考える、こういうことになります。したがって、そういう意味から言えば、この事前影響評価は、やはり実施官庁たるそれぞれの省庁がやっていただかなければいかぬ。そうして、必要な手続をどういうようにするかいま検討中なんでございますけれども、一定の手続を経た上で、最終的な判断を下すのはそれぞれの実施官庁である。環境庁長官が港湾なり道路なりの、最終的なやるかやらぬかを決定する、これはやはりおかしいのでございまして、これはそれぞれの官庁が最終的には決定をすべき筋合いのものでございます。 私どもは、法案をつくるというのは、その事業を実施するに当たってのいろいろなアセスメントをやる必要性、またその内容、その手続、こういうものを決めるわけでございます。事業はあくまでも実施官庁がやるわけでございますから、最終的にはそちらの実施官庁が判断をすべきもの、かように考えております。
○島本委員 実際は、いままで国民の代表でありあるいは都道府県の代表である知事、そういうような方面が率先して開発を促進しておった、そのための公害並びに環境破壊も行われておった、こういう実態であります。したがって、本当にそれを審査するためには、学識経験者で構成する第三者機関の審査、評価、これを入れるのが最も国民の意に沿うゆえんです。そこまでいかないとするとまことに残念でありますけれども、次に建設大臣にお伺いいたします。 建設大臣も四十七年の閣議了解事項、これは十分知っておられると思いますが、道路やダム、河川の公共事業実施に当たって、環境影響評価をやっておりますか、その状況について伺います。 同時に、都市開発について、都市計画法では、都市計画事業の実施及び開発行為の許可に際しては、環境保全上の十分なる配慮が規定されてありますが、環境保全上の十分なる配慮、これはもう十分した上で環境影響評価の実施に対して措置を講じておりますかどうか。 もう一つは、地方公共団体に、閣議了解事項に準じて、環境影響評価の実施についての格段の配慮を払うように通達しておるのでありますが、実施についてはどのような指導を流してございましょうか、これを伺います。
○竹下国務大臣 島本委員にお答えをいたします。 道路、河川、ダム等公共事業を実施する際の環境アセスメントはどうなっておるか、実施状況いかん、この御質問であります。 建設省といたしましては、所管公共事業の実施に当たりましては、各事業調査経費をもって自然的、社会的な各種の影響について事前に調査、予測を行い、その結果に基づいて環境保全対策を講じてまいっております。 ちなみに、道路、河川、住宅、都市計画施設等の所管公共事業につきましては、過去五年間に実施いたしました環境アセスメントの件数は約千二百件であります。これに要した経費は百二十億円であります。 今後は、先ほども御議論にございましたが、平価手法の制度をさらに充実して、実用性を高める必要があると考えておりますので、現在省内に建設技術開発会議環境アセスメント手法部会を設けまして、これは植物学から動物学からの先生にお願いをいたしまして、各方面の意見を聞いて鋭意検討しておるところでございます。ただし、率直に申しまして、学者の先生方の中でもこの手法の問題についてはいろいろ異なった意見がある場合もあるようであります。そして、これの内容は、騒音、振動、大気汚染、それから水質、漁業、生態系、あるいは住宅等につきましては、電波障害、日照、こういうものを対象にいたしておるところであります。 細かな実施件数等につきましては、また資料で先生に差し上げたいと思っております。 さらに、いまおっしゃいました都市計画事業の実施、その開発行為の許可に際してのお尋ねでございますが、工業団地、住宅団地等の一定規模以上の団地造成の事業につきましては、昭和五十年四月一日に施行されました都市計画法等の改正によりまして、必要な緑樹帯、緩衝帯等の措置をとるべきこととされており、これに基づいて技術基準を定め、開発者にこれらの措置を的確に遵守させておるところであります。 ただし、先生の御指摘にもございましたが、いま私が申しましたのは五十年の法律改正以後でございまして、私どもが実態として感覚の中にとらまえているのは、その以前の問題につきましては先生の御指摘のような形のものがかなり存在しておる、こういうふうに理解をいたしております。 さらに、これが都道府県、市町村に対する問題でございますが、これは通達を出しておるところでありますので、重ねて、わが方が現在やっておりますような形のものについて行政指導を続けてまいりたい、このように思っております。
○島本委員 五十年以降またはそれ以前、こう分けておられますが、法律そのものの内容を見ましても、都市計画の基本理念、目的、これはもうはっきり環境保全と、こういうふうになっておるわけでありますが、しかし、各地で公共事業実施に伴う環境保全上の紛争が多いようでありますが、これは原因は何でしょう。また何件くらいございますか。
○竹下国務大臣 紛争の件数につきましては、事務当局からお答えさせます。
○大塩政府委員 紛争件数につきましては、現在手元にその資料を持っておりません。 ただ、最近のこういう紛争案件、これの主なものは、補償案件が最も多く、次いで日照、公害、騒音等の生活環境侵害の問題が約三割を占めている、これは過去二年における道路と河川についてのみの資料でございます。いまのところそういう資料しかございません。 なお、そのほか紛争といいますか、摩擦現象を起こしておる問題といたしまして、利害関係者を無視しているとか、あるいはあらかじめそういうことを知らせてくれなかったといった手続上の不満、こういうものが摩擦、紛争の問題として相当なパーセントを占めております。
○島本委員 結局、環境影響評価をやらない結果ではありませんか。 いまそういう報告がありましたが、大臣、これはもう用途地域の指定の取り消し、同時にバイパスを含むこういうような差しとめ請求並びに計画の変更請求、こういうようなものが十六件もいまあるじゃありませんか。これは、環境影響評価を完全にやる、こういう法律がありながらやってない証拠です。あえて申し上げておきます。 次に運輸大臣。運輸大臣の方にも同じような状況があるようでありますが、港湾法による港湾計画、空港計画、それと鉄道計画、こういうような決定及び実施、並びに公有水面の埋め立ての認可、こういうようなものはすべて環境影響評価を実施しているかどうか、その状況を伺います。
○木村国務大臣 鉄道、港湾、空港、それぞれにつきましては、長期計画並びに実施計画それぞれの段階におきまして、いろいろな方法によって環境評価をやっておるわけでございます。 まず、鉄道についてでございますが、従来から、地域の現状、それから将来計画、在来線を含めました輸送計画、地形、地質等の技術上の問題、また利用者の便益に関することなどのほかに、文化財でありますとか天然記念物、建物の集落等の関連あるいは騒音、振動防止対策等、こういった影響について検討しながら決定してきておるわけでございまして、この行き方は今後ともこれを一層強化してまいりたい、かように考えております。 それから港湾事業におきましては、先ほど申し上げましたような計画段階、実施段階で評価を行っておりますが、計画策定の段階におきましては、港湾法に基づきまして、自然環境に与える影響等、所要の事項について環境影響評価を行います。同時に、重要港湾以上の港湾計画の決定に際しましては、運輸大臣の諮問機関でございます港湾審議会に諮りまして、環境庁の意見を徴することといたしてまいっております。 また、計画の実施につきましては、四十七年のあの閣議了解の趣旨に基づきまして、水質に対する影響あるいは所要の環境影響評価を行っておりますが、特に公有水面の埋め立てにつきましては、公有水面埋立法に基づきまして、その埋め立てが環境保全に十分配慮されるよう、自然環境に与える影響等、環境影響評価を行っております。 また、関係住民との対話につきましては、計画の段階、実施段階におきまして、漁業従事者の方等を中心に、計画の必要性、内容、環境影響評価等について説明もいたし、理解を得るように努めております。 公有水面の埋め立てにつきましては、埋立者の環境保全について必要な措置を講ずる、またその埋め立ての内容を公衆の縦覧に供するなど、関係地域住民に周知徹底も図るように努めてまいっておるところでございます。 また、空港につきましては、特に最近、航空機のジェット化、便数の増加等に伴いまして、航空騒音がますます問題化してきておりますが、空港の整備におきましては、空港の位置及び滑走路の方向の決定等に当たりまして、騒音問題を中心に環境保全について特に注意を払ってまいっております。今後も、空港の建設、滑走路の延長等に当たりましては、騒音それから大気汚染、関連自動車交通による騒音、大気汚染、また埋め立て等によります水質の汚濁、土砂の採取等が環境に与えます影響を科学的、総合的に事前に評価をいたし、環境の悪化を未然に防止するような措置をとってまいる考えでございます。
○島本委員 次の問題を聞きますけれども、省は環境影響上の配慮は余りやっておらぬのです。各地における公共事業の実施に伴う環境保全上の紛争の事例は何件ありますか。またその原因は何ですか。いまの答弁どおりならないはずですよ。
○木村国務大臣 紛争の件数等、事務当局からお答え申し上げます。
○竹内(良)政府委員 港湾の立場の方からお答えいたします。 紛争の件数につきましては、現在定かに数字はわかっておりませんけれども、港湾の立場として、仕事のなかなかできない第一番の原因といたしましては、やはり漁業者との話し合いがつかないという点が第一点でございます。 それからなお、海湾の計画段階におきまして、先ほど大臣の申し上げましたとおりに、港湾の計画の際には環境評価をし、またそれを進めていく際にいろいろ地方の方とお話しする、そういう点におきまして、その港湾の上に立地するいろいろの企業の問題、こういうことにつきましてお話がなかなかつかないという点がございます。
○島本委員 あなたにも私は何回かお目にかかっておりますが、大臣が言ったように、環境上の配慮を十分しているならこういう紛争がないはずだ。ところが、方々にある。それがもう訴訟に持ち込まれているもの、九件もある、これは全部差しとめですよ。こういうような状態になっていて、これは環境の配慮を十分しています、こうは言えないでしょう。 次に通産大臣、工場立地法、これはやはり公害未然防止、環境保全、これが目的になっております。そのための手段としての地域指定が行われることになっております。工場の届け出に際してはどのような環境保全の配慮を指導しておりますか。そして地域指定、これが行われておりますか。それから工場立地適正調査、これでは環境保全については十分調査している、こういうようなことになっていなければならないことになっておりますが、果たしてなっているでしょうか。同時に、工場適地の選定、その結果に基づいて適正を判断しているのかどうか。まあおわかりでしょうと思いますが、これは法によってしなければならない要件になっているのです。地域指定も行われているでしょうか。
○河本国務大臣 この環境影響評価ということは、通産省としても非常に大きな課題と心得まして、特に昭和四十年度以降、個々の法律に基づきましていろいろ取り組んでまいったわけでございます。ただいまの地域指定の問題はまだ決めてないと思います。
○島本委員 この地域指定のある場所、十分なる環境影響評価をしなければならないし、その汚染物質に係る燃料及び原材料の使用に関する計画や、公害防止施設の設置その他の措置を講じなければならないことになっております。せっかく法律にそれを決めていながら、その指定をしないから、全然これが行われていないという結果を招来するわけです。これは幾ら単独立法で決めても何にもならない。まことに残念でありますけれども、大臣、これはどうなんでしょうか。各地で公共事業等の実施に伴う環境保全上の紛争、これもまた大分あるようでありますが、これ調べてございましょうか。
○河本国務大臣 数件あるようでございますが、詳細につきましては政府委員から答弁をさせます。
○宮本政府委員 お答え申し上げます。 工場等の新増設に関しまして、住民からいろいろ苦情が出ておりますことについてはよく存じておりますが、まあ紛争という意味をどういうふうに解釈するか、なかなか範囲があろうかと存じます。そこで、私ども一応訴訟が提起されているという問題について限定して調べてみましたけれども、火力発電所で四件、製鉄所関係で一件というのが主要な事例となっておる次第でございます。
○島本委員 合計何件ですか。
○宮本政府委員 私ども調べておりますいまの件数でございますと、製鉄所の一件と火力発電所の四件の合計五件、このほかに、管轄は違いますけれども、原子力発電所の建設につきまして二件の訴訟が提起されていると存じております。
○島本委員 これは大臣、やはり紛争処理に関しての件数もはっきり事務当局もつかんでおらない。私はそれは遺憾に思います。これはもう裁判になっているものだけでも十三件もあるのです。これは全部工場建設の差しとめまたは許可の取り消し、大体こういうような類似のものなんです。十三件も紛争中である、係争中である、こういうようなことになっているのですが、それも事務当局もつかんでおらない。法律ではっきりこれをやらなければならなくなっていても、その地域を指定しない、こういうようなのがいまの通産行政なのであります。したがって、こういうようなのがある以上、単独立法の中にこれをいかに規定しておいてもどうにもならない、こういうような結果になるのじゃございますまいか。 私はやはりそういうような点からして、大臣にも聞いてもらいたいのですが、ここに特定工場があります。特定工場は敷地が九千平米、それから建築面積が三千平米、これ以上の工場をそう言うのでありますけれども、この中に化学工業関係が七十五、それから鉄鋼関係が百九、それから金属製品関係が百八あるわけでありますが、こういうようなものに対してはほとんど環境影響評価を実施しておらない、これが現状なのであります。やはり単独立法、こういうようなものの中に入れておいても実際は行政上これをやらない、これが実態であることは遺憾であります。 次に国土庁。やはり環境公害行政の原点と言われるのは土地利用計画なのであります。これはまことに重大でありますが、土地利用をどうするのか、農業、漁業、林業、この一次産業への影響を含めて十分配慮して計画しておりますか。
○金丸国務大臣 全国計画の素案におきましては、国土利用計画法の趣旨にのっとりまして、国土の利用に当たっては、公害の防止に十分配意しなければならないことを基本方針として明確にしております。具体的には、過密地域における工場の立地抑制及び移転を促進し、住工混在地区の解消、緩衝緑地の設置等を推進すること、道路等の交通施設について緑化地帯の設置、住宅の移転などの周辺対策等を推進すること、開発行為等について環境影響評価を実施するなどにより土地利用の適正化を図ること、大規模な土地利用の転換についてはその影響が広範であるため、周辺地域をも含めて事前に十分な調査を行い、国土の保全、環境の保全等を図りつつ適正な土地利用の確保を図るものとすることなどの施策を講ずることとしております。なお、都道府県の国土利用計画が策定された段階で全国計画を見直すこととしております。その際、公害防止等について一層充実し、具体化を図ることといたしております。
○島本委員 委員長の方からも言ってきてありますことを承知しておりますが、そこで環境庁長官、それから列席の各大臣に、この際ですから伺いたいのでありますが、まず環境庁長官。閣議了解の線で公共事業をやれと、こう決まって、それ以後できたこの趣旨の立法がありますが、これは残念ながら議員立法の瀬戸内海環境保全臨時措置法、これだけであります。その以前にもそれぞれ工場立地法があるけれども、実態はいま申し上げたとおり。また公有水面埋立法、港湾法、この運用の面だけはこれをうたってあるのであります。大きい開発行為もこれから当然予想されるわけでありますが、それに伴っての紛争が起こるのは、これはこそこそとやるからであって、はっきりした公開された住民との対話、そしていろいろな住民参加の上ではっきりした公聴会や説明会や話し合い、こういうものをやらない結果がむしろ旗も立つ、座り込みも始まる、こういうようなことになるわけであります。したがって、住民参加を十分盛り込んで、そして環境影響評価の実態、こういうようなものに対していままで私が申し上げたようなものを盛り込む、こういうようなことによって私は今後一つ活路が見出せる、開発とそして環境保全が両立する、こういうような活路を見出せることになると思うのであります。したがって、地域住民の意見の聴取と尊重、これもまことに重要であり、専門委員会の検討結果の取りまとめ、この線で恐らく立法化すべきであろうと思うのであります。これに対しての環境庁長官の方針を伺います。
○小沢国務大臣 いま最後に島本委員がおっしゃった、中公審の専門部会で取りまとめをいたしました考え方がございまして、せめてそこまではやれ、こういうお話でございます。私どもはその専門委員会の答申の線に基づいて成案をいま得つつ、同時に各省といろいろ折衝する、こういう段階になっておるわけでございます。できるだけしますが、ただいろいろ対象事業等、最初の制度でございますから、まだはっきりした環境影響事前評価の手法が世界的にも確立してない面もございます。ですから、やはりやり方としては段階別に逐次やって、最初から理想を追っても現実にできないということであってもいけませんので、そんな考え方でいま鋭意調整をしておりますが、少なくとも私どもは、おっしゃった例の中公審の専門部会の意に沿うような方向で、一番のポイントは、やはり住民にこの結果を公表して意見を求め、そしてその意見を聞くような機会を十分持つという点にあるだろうと思いますので、これらについてどういうやり方をするか。地域住民といっても、その地域の人たちだけにするか、そうでないいろいろな人の意見も聞かなければいかぬか、こういう点も全部含めていままだ検討中なものですから、もうしばらくひとつお待ち願いたいと思います。
○島本委員 これは建設行政の中で一番紛争が多いのでありますが、いわゆる紛争を避け、環境保全と地域開発を両立させるということになると、どうしても環境影響事前審査が必要だ、こういうことになるのですが、この立法に対しての考え方を伺います。
○竹下国務大臣 建設省が最近行った調査一つを取り上げてみましても、財産権に関する補償案件が圧倒的に多うございます。それから公害、日照、騒音、生活環境の侵害の問題が約三〇%、そこで情報の提供を怠ったとか利害関係者を無視しているといった手続上の問題がその次、こういう順番になるわけでございます。したがいまして、十分な対策を講じなければならないことはもとよりでありますが、今日の段階で建設省としてその地域住民の方との関係については、今日まではどちらかといえば、その地域の御出身の与野党を通じた国会議員の方のごあっせんというものが一番この解決を促進しておる、これが実態でございます。 法律案の問題につきましては、環境庁長官のとおりであります。
○島本委員 通産大臣の方には、経団連初め、時期尚早である、これをやらない方がいいというような陳情、要請が来ているように承っておりますが、一般の工業団地、こういうようなものが野放しになっておるし、内陸工業団地、こういうようなものは野放しになっておる状態、そしてまた工業立地法があって目的が明示されておっても、その手法において単独立法ではやれない、こういうような状態。業界挙げて環境アセスメントいわゆる環境影響事前評価、これは時期尚早、早い、こういうようなことを言っておりますが、まさにこれはいまやらなければならない立法化だと思うのです。大臣はどう思いますか、通産大臣の意向を伺います。
○河本国務大臣 環境庁の方からいずれその最終的な考え方が近く示されると思います。それを受けまして、各方面の意見を聞きまして真剣に検討したい、かように考えておる次第でございます。
○正示委員長代理 島本委員、もう時間ですから……。
○島本委員 運輸大臣賛成ですか、反対ですか。あなたの方もこれが多いのでありますから、運輸大臣と国土庁長官の答弁を承ります。
○木村国務大臣 環境庁長官の方で鋭意現在検討しておりますので、その連絡があると思います。われわれとしても前向きに検討いたしたいと思っております。
○金丸国務大臣 先ほど国土利用計画の中で御質問に答えたとおり、できるだけ早い機会にでき上がることを私は望みます。
○島本委員 これで終わります。
○正示委員長代理 これにて土井君、島本君の質疑は終了いたしました。 次に、近江巳記夫君。
○近江委員 まず初めに、米側の資料の問題についてお伺いしたいと思います。 まず初めにお伺いいたしますが、二月の二十四日、三木親書がフォード大統領あてに送られたわけでございますが、このフォード大統領からの返書は大体いつごろになるのか。また昨日の報道によれば、米政府から、政府高官名を含むすべての資料が提供されるとのことであるわけですが、いつごろになると考えておられるのか、井出官房長官にお伺いしたいと思います。
○井出国務大臣 お答えいたします。 まだ、先方のことでございますから、こちらでどうもあらかじめ御返事を予測するというわけにはまいりません。そういう次第で、なるべく早くという期待を持ちながら待っておるというのが現状であります。
○近江委員 しかし、少なくともここまで煮詰まってきておる段階でございますから、大体の感触は得ておられると思うのです。もう一度官房長官と外務大臣にお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 米国政府内において、関係者たちがかなり詰めて検討しておられることは事実のようでございますので、そんなに何週間も時間がかかるようなことではなかろうと私は思っておりますけれども、的確に実は申し上げかねるような現状でございます。
○近江委員 何週間もかからない早い機会とおっしゃっておるわけですが、宮澤大臣としては当然、向こうのことですからはっきりしたことはわからないと思いますが、外務大臣はそういう情報については、またその感触についても一番近いものを持っておられると思いますし、何週間と言ってもかなりの幅でございますから、大体どのくらいですか、もう少し縮めて……。
○宮澤国務大臣 ただいまのお尋ねは、返書がいつ参るかということでございますね。
○近江委員 資料も両方。
○宮澤国務大臣 資料の方は実はちょっと明確でございませんが、ともかく親書がそう遅くない機会に参るのではないかと考えておるわけでございます。どうもそれ以上的確に私に判断の材料がございません。
○近江委員 資料についてはどういう見当をつけておられますか。
○宮澤国務大臣 多国籍企業委員会等々に関します資料は、入手したものを国会に御提出もいたしておるわけでございますが、その余のものについてのお話であろうと存じます。たとえば証券取引委員会等々の資料のお尋ねであろうかと思いますが、私の感じでは、恐らく大統領から基本的に協力をするというようなお立場の表明があるのではないかと思っておりますが、それがまず先にございまして、その後になるのではないかと考えております。
○近江委員 米側の提供資料につきまして、三木総理は当初、公開の原則に立っておられたわけですが、二月二十六日の予算委員会におきましては、米側が条件をつけない限りすぐ公開する、このように後退しておるわけです。その後、稻葉法相、福田国家公安委員長、井出官房長官等が、氏名の公表には事件の事実関係を明確にした上で判断する、あるいは捜査の必要上一定の期間これを押さえるなど、後退に次ぐ後退の答弁であるわけですが、当初の公開の原則はどうなっておるのかということにつきましてお聞きしたいと思うのです。これでは全く内閣の不統一ではないかと思うのです。この問題につきまして官房長官からまずお伺いしたいと思います。
○井出国務大臣 現在まで外交ルートを通じまして米国政府に資料の提供を累次にわたって要請してまいりましたことは御承知のとおりであります。そこで、外交ルートを通じて正式な回答があり、それに資料が含まれておればそれを公開する、また米側よりの回答に先方が何らかの条件があるという場合は、総理の答弁は、条件がついていなければ直ちにそれは公開する所存である、この考え方は決して変わっておりません。
○近江委員 先ほど申し上げましたように、非常に後退に次ぐ後退である。また各閣僚のおっしゃっていることが非常にばらばらの感じがするわけでございますが、きょうは福田副総理が御出席でございますし、きょうは三木総理が御出席でないわけでございますから、総理と思って私も質問しておりますし、御答弁いただきたいと思うのです。
○福田(赳)国務大臣 米側から提供される資料につきましては、公開を原則といたします。ただし、米側提出資料に何らかの条件がついておるという場合におきましては、条件を尊重しなければならぬ、これが政府の統一的な見解でございます。
○近江委員 先ほど申し上げましたように、これは三木総理の一歩後退した発言というものが現在の政府の統一見解である、こういうことですね。 この際、お聞きしておきたいと思うのですが、外交ルートにより入手した資料と、派遣した捜査官により集められる資料との取り扱いにつきまして不明確な部分がありますので、この二種類の取り扱い方法というものについて明確にしていただきたいと思います。この問題についてはまず官房長官にお伺いしたいと思うのです。
○井出国務大臣 外交ルートを通じて正式な先方の回答があった場合は、先ほど申し上げたとおりであります。 それから、いまおっしゃる捜査といいましょうか、私どもはこれは事務的あるいは技術的な問題もあろうか、こういうふうに考えておるのでございますけれども、まだこれに対して向こうとどういうふうになっているかというふうなことはこちらとしてわからないわけでございまして、そういう場合が出てまいりますれば、そこで考えてまいるべき問題だろう、こう思っております。
○近江委員 捜査官を派遣されるということは政府としては決定なさっておるわけでしょう。その点についてはどうですか、担当大臣。
○稻葉国務大臣 決定しているわけではありませんが、そういうことも十分あり得るというわけであります。というのは、検事等の捜査官を派米し、関係人から事情を聴取することは有力な捜査方法の一つであると考えられますから、そういうこともあり得るという答弁であります。
○近江委員 いま法務大臣は、そういうこともあり得るということをおっしゃっているわけですが、もうすでに下準備に一名派遣されているわけでしょう。ということは、そういうこともあり得るということ自体は、これはあることなんだ、捜査官の派遣は確実であるということじゃないのですか。
○稻葉国務大臣 お答えいたします。 ただいま申し上げましたとおり、検事等の捜査官を派米し、関係人から事情を聴取することは有力な捜査の一つの方法でありますが、それには米政府の了解、関係人の同意などが前提となるので、その受け入れ体制に関する諸般の準備のため、外務省とも協議の上すでに当省刑事局係官を米国に派遣させております。したがって、今回の係員の派米は、資料の入手の問題とは関係がないと御承知願いたいと思います。
○近江委員 そうすると、あくまで米側とその受け入れの了解がつけば派遣をする。その場合資料は一切持ち帰らない、事情聴取だけですか。いまの大臣の御答弁ではそういうふうにとるのですが、いかがですか。
○稻葉国務大臣 あなたの御質問は、最初総理がアメリカ大統領に出した親書のその返事の中に入っておる資料と、捜査官が行って日米捜査協力の結果得た材料と区別してどうかというようなことでしょう。ですから、外交ルートによって入手することとなる米国の資料の公開については、条件のつかない限り全部公開する、こういうことで、それは総理の御判断にかかわる事柄であります。 それから、私の方の担当している事件の真相究明のため検事等を派米する場合の材料というものは、真相究明のために一定期間これを公にしない方が真相究明に早く近づくという場合は、一定期間公表しないことがあるのもこれは捜査の必要上やむを得ない場合があることもぜひ御了解いただきたいと思うのです。捜査当局においては捜査の秘密を盾に、事案の真相をひた隠しにするなんという考えは毛頭ないのです。何としてもなるべく早く、できるだけ早く全貌を究明していかなければならぬ、こういうわけでありますから、捜査の状況を逐一公にすることによってかえって事件の真相を解明する上に障害となるおそれがある場合には、一時公開しないこともやむを得ない場合があり得ることを御了解願いたい、こういうことを申し上げているだけであります。
○近江委員 そうしますと、法務大臣のおっしゃった捜査官により収集した資料と外交ルートによる資料とは重なるところもあるわけですか、全然別個のものですか、――別個といいますか、関係性からいけばそれはあるでしょうが、資料としてはどうなんですか。
○稻葉国務大臣 重なる場合も、重ならない場合もあります。
○近江委員 そうしますと、捜査官の集めた資料というのはきわめて重要な中身ということになってきますね。それが非公開ということについては後でまた私お聞きいたしますが、これは一つ問題だと思います。 そこで、米側の提供資料というものはどういうようなプロセスで日本側に受け入れられるわけですか。また、この受け入れから公開に至る過程でどういうような方法がとられるわけですか。これにつきましては井出官房長官と福田副総理と外務大臣からお伺いしたいと思います。
○井出国務大臣 向こうさんがどういうふうな対応の形で出てこられますか、まだ実は私も見当がつかぬのでございますけれども、こちらは総理親書、両院の決議、こういうものをつけ加えまして、外交ルート、つまり国務省を経て出した次第でございますから、この方から打ち返してくるというのが考えられる道ではなかろうか、こう思っております。
○近江委員 国務省ルートでする受け渡しというのは、どういう方法をおとりになって、だれが受けるのですか。もちろん政府という広い名称はありますが、具体的にはだれが受け取るか、またその封はだれが切るのですか、最初の。
○宮澤国務大臣 いわゆる外交ルートをもって送られます資料は、普通の場合ワシントンにおきまして、わが大使館の館員が国務省関係者より受領することになると思われます。その場合、それから後の伝達の方法でございますが、外交行のうによりまして送ってくる場合が最も通例の場合であろうと存じます。その資料は、原則として公開をすると総理大臣が申し上げておりますので、だれが封を切る切らないということは一般論として実は重要な部分ではなかろう。公開が前提でございますので、行のうにより送られました資料は外務省が受領をいたしまして、そしてこれを一般に公にするということでございます。もちろん、大統領の親書というようなものにつきましては、一般の資料とは意味合いが異なろうと存じますが、ただいまのお尋ねは一般の資料のお尋ねと存じますので、そのように扱うつもりでございます。
○近江委員 それから、公開に至るその過程におきましてどういう方法をおとりになるのですか。たとえば、ロッキード問題閣僚協議会と捜査当局と協議して公開、非公開を決めるというようなこともちらっと耳にも入っているわけですが、そうなってきますと、われわれは衆参において国会決議もやっているわけですね。それを受けて三木親書が出ているわけでしょう。もしもそういう伝えられておるようなことが行われておるとするならば、国会は全然関与しないということになるわけですね。これは国民の代表、最高機関たる国会としては非常に大問題だと思うのです。どういう方法をおとりになるのですか。官房長官か副総理。
○井出国務大臣 親書は総理あてに届くものだろうと思いますから、これはこれとしまして、いまの資料の問題でございますが、先ほど来申し上げておるように、当然これは公開を原則といたしますので、向こうから着きましたものは、ルートとしては一応国会の旨を受けて政府がその間の――これは外交交渉でございますから、政府がそれをお引き受けをした。したがいまして、それが来ました場合は、閣僚協というものもつくってございますから、そこへも目を通していただかなければなりますまいし、同時に国会へも公開の原則に基づいて御報告をするということに相なろうかと思っております。
○近江委員 そうするとロッキード問題閣僚協議会、これは政府ですね、それと捜査当局と協議して取捨選択をした上で国会に示す、こういうことなんですか。いわゆる国会もその協議の機関として、当初から国会に御相談なさるのですか。いかがですか、その点は。
○井出国務大臣 まだその資料そのものが来ておりませんので、いずれそれは到達をするでございましょうから、その際にその辺は十分に検討いたしたいと思います。
○近江委員 それは資料の中味の問題じゃないんですよ。少なくとも衆参の国会において決議をして、それを受けて三木親書が行って、そうして資料は来るわけでしょう。われわれ国会も、国民に対して重大な責任があるわけですよ。それを政府部内だけでいわゆる取捨選択をする、ここに私は大変な問題があると思うんです。ですから、いま官房長官は、十分この問題については検討するということをおっしゃっておるわけですから、これはひとつ国民が納得する方法というものをお示しを、早い機会にやっていただきたいと思うんです。 それから、この資料提供に際しまして、米側が示しております条件については、無条件で受け入れるのか、またこの条件の内容について何らかの協議をなさるわけですか。
○宮澤国務大臣 米側の内部には、いわゆる条件というような意見があるようでございますけれども、米側からまだ全然そのような提示を受けておりません。したがいまして、仮にそのようなことがあればというお尋ねとして申し上げますならば、その条件が全くわが国として異存がない、また実行し得るというものであれば別でございますけれども、わが国の立場からそのような条件が広い意味での国益に合致し、かつ実行が可能であるかないかということは、独自の立場で当然検討しなければならないと思います。これは仮定の場合でございますけれども……。
○近江委員 この条件のはっきりした確定的なものは出ておりませんけれども、それぞれヒルズ委員長の見解であるとかいろいろ伝えられておるわけですが、いま外務大臣のお話では、当然これは協議をする、検討するということをおっしゃったわけであります。 次に進みたいと思いますが、米側が条件つきであることは、三月四日の上院の銀行委員会公聴会で明らかにされたわけですが、日本の政府当局としては、さらにこの米側の条件の範囲を超えるようなそういう条件、あなた方はつけないとは思いますけれども、もしもそういう条件をつけるんじゃないかという、そういうことが予想される場合、米側のつける条件を超えるようなものではないということははっきり言えますか、また日本としては条件はつけませんか。
○宮澤国務大臣 仮に米側から条件が出ました場合、わが国独自の立場から検討しなければならない、広い国益並びに実行可能性について私どもは検討いたさなければならないと思いますが、わが国の別途の理由からそれをさらに厳しくするというようなことは、私はその必要はないのではないかと思います。
○近江委員 この公開できるか否かは、米側の条件にかかる、このように皆さんおっしゃっているわけですが、そうしますと、その際の判断はだれがするかという問題なんです。これは私、ちょっと国会の問題も申し上げたわけですが、もう一度はっきりお聞きしたいということです。 それから、いま確定した条件ということはまだ日本政府に対しては示されてはおりませんが、いろいろ伝えられておりますこの条件というものは、一つは、米国側の捜査を妨げない、二つは、電文に基づく不明確な資料が多いので公正な取り扱いをする、こういう二点ではないかと思うのですが、さきに示しました米国側の捜査を妨げないという条件についてはどのように理解されるか。また、先ほど申し上げました電文に基づく不明確な資料が多いので公正な取り扱いをする、この条件については、政府はどのように理解なさってますか。私、先ほど申し上げたように、これは決定的なものではありませんよ。しかし、恐らくこういう条件であろうかということは、これはもう先ほど申し上げたように米側が示しておるわけですから、どのように理解されますか。
○宮澤国務大臣 お尋ねの点は、いわゆる米国から寄せられました条件の問題として議論をいたすわけにはまいらないわけでございますから、ヒルズ委員長が述べておる意見をどう思うかということとしてお答えを申し上げなければならないと思います。 ヒルズ委員長の述べておりますことは、一つは、情報が早期にあるいは不適当な形で漏れることによって、いわゆる証拠隠滅といったようなことが考えられる、また任意に協力を求める人々の協力が得にくくなるといったようなことから、準司法機関であるところの証券取引委員会のそういう司法、法執行の能力を妨げるという点が一点。他の一点は、個人の名誉に関する問題であって、理由なく個人の名誉を傷つけてはならないという、いわば民主主義の一つの基本原則を言っておられるようでございます。米国政府の立場ということでなく、ヒルズ委員長の挙げておられる理由は、私はそのように解釈をしております。
○近江委員 米側の正式な条件ではありませんが、やはりヒルズ委員長の表明というものは、きわめて重大な発言であったと私は思うのです。そうしますと、米国側の捜査を妨げないということを言っておるわけですから、日本の捜査権を妨げないとは言ってないのですね。名前を公表することによりまして米側の妨げになるようなことになるかどうかなんですね。この点についてはどのようにお考えか。 〔正示委員長代理退席、井原委員長代理 着席〕 それからさらに二番目の問題ですが、公正な取り扱いをするということを言っておるわけですから、公正な取り扱いということならば、私が何回も申し上げておりますように、国会と当然相談しなければならないわけです。政府一存ではいかぬと思うのです。 いま申し上げたこの二点について、御答弁いただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 いかなることが証券取引委員会の司法的な調査、捜査を妨げ、いかなることが妨げないかということは、これは私どもには判断のできないことでございますから、もしそういう話が出てまいれば、具体的にそれは米側の意見も聞き、われわれも判断をするということになろうかと思います。全体の問題といたしまして、そのような条件といったようなものがもし提示されてまいりましたときは、先ほどわが国独自の立場から検討しなければならないと申し上げたのでありますが、その検討の場は、恐らくはロッキード関係閣僚協議会、ひいては閣議ということになろうかと存じます。
○近江委員 氏名が公表されるというのは、事実関係が確定した場合か、被疑者の場合の公表はあるのか、これははっきりしていただきたいと思うのです。この点、どうですか。井出さんか、副総理。――じゃ、関係大臣、どなたでも結構です。
○井原委員長代理 質問者、もう一回言ってください。
○近江委員 要するに、政府高宮と伝えられておるところの氏名が公表されるのは、事実関係が確定した場合か、あるいは被疑者の場合の公表があり得るかどうかということを明確にしてもらいたいということをお聞きしておるわけです。
○井出国務大臣 近江さん、大変突っ込んだところまでお問いただしですが、まだ資料その他が来ておらない現状においてはちょっとお答えしかねる問題でございまして、それが参りまする際にはそういう問題も恐らく考えなければならぬ、こう思います。
○近江委員 これはやはりはっきりしておかなければ、国民は、またうやむやになるのじゃないかと、非常に心配しておるわけですよ。ですから、こういうことをやはりはっきりと言うべきじゃないですか。結局、そうした事実関係が確定しなければ公表しないということであれば、それじゃもう永久に公表しないということもこれは当然考えられるわけですね。だから、被疑者の場合の公表はあるのかどうか。これははっきりしてくださいよ。いかがですか。
○井出国務大臣 先ほどもお答えをしましたように、どういうふうな条件、あるいは果たしてその条件があるのかどうかというふうなこともまだ見きわめておれない段階でございますから、これはきょうお答えをするのは差し控えたいと思います。
○近江委員 丸紅の伊藤、大久保等の名前は、これは当然アメリカ側でも明らかにされたわけですし、そのように公表されているわけですね。この場合、米上院の公聴会におきますコーチャン証言によって、被疑者として捜査に踏み切っておられると思うのですね。この政府高官の場合だけ別扱いになるというのはおかしいじゃないかと思うのです。その点はいかがですか。これははっきりしてないんですよ。あなたの答弁を聞いていたら全然そういうことがまだ基本に固まっていない。それはどうなんですか。
○井出国務大臣 何も別扱いというふうなことではございません。まだ先方からの資料も届いておりませんし、やはりそういう事実関係が明らかになった上と、かように申し上げておるわけであります。
○近江委員 今日までの証人喚問やコーチャン証言によりましても、特にアメリカにおきますコーチャン証言からいきますと、政府高官に金品の授受があったことは、これはもうはっきりしておるわけですね。私もコーチャン自身にも会いまして、間違いないか。証言はもう絶対間違いありませんということを言っておりました。これは、米側の資料の文面で明らかに判断できる被疑者に対しての氏名の公表は一もちろん捜査対象となるのは当然である、このように思うのですね、伊藤、大久保の例からいたしましても。ですから、被疑者の場合もこれは公表するのが私は当然だと思うのです。いかがですか。
○安原政府委員 いまの近江委員のお尋ねは、向こうから渡された資料に高官の氏名があったら公表するかどうかのお話でございますから、捜査当局がその段階で公表するかどうかを、私から申し上げる立場にはないわけでございます。 問題は、大久保それから伊藤両人、向こうで明らかになった名前でございますが、それを被疑者として立件したのは、日本の捜査当局がいろいろな資料から外為法の違反の容疑があると認定してやったことでございまして、向こうから氏名が来たら直ちに容疑者となるべきかどうかということは、必ずしもそうではないように思いますし、そうである場合もあるかもしれませんが、それは別の問題だと思います。
○近江委員 その辺の判断は私の判断では答弁できないということをはっきりおっしゃっているわけですね。これは副総理は、きょうはもう私は総理と思って聞いているわけですから、いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 ただいま刑事局長が申し上げたとおりのことであろう、私もそう思います。
○近江委員 そうしますと、米側からいわゆる氏名がわかった、その後捜査を行う、そうして容疑が明確にならないということになればもう公表もしない。そうしますと、うがった見方をしますと、捜査に対しての何らかの圧力によって問題の解明が不可能になることも考えられるわけです。ですから、永久に公開しない場合、あるいはまた捜査が非常に長くなる場合、国民に対してはどういうように説明なさるんですか。国民はまたうやむやにされたと。そうなってくれば、もう本当に日本の民主主義の土台は崩れますよ。いまでもこれだけの政治不信です。どうしますか、その問題について、いかがですか。
○稻葉国務大臣 ロッキード事件につきましては、国民の重大な関心事でございますから、捜査当局は強制捜査にもう踏み切っちゃって、そうして鋭意捜査中でございまして、いまのいろいろな人名だとかそういう問題につきましても、あなたは、丸紅の二人は捜査して、それと関係がある政府高官の氏名が来ても公開しないこともあり得る、そういうような区別をしていると言うが、それは事案が違いますからね。あの丸紅の二人のは、現在は外為法違反で、これは十分に嫌疑ありとして捜査に踏み切っているのです。あなたの政府高官との関係の問題は贈収賄の問題でしょう。これはその資料が来て検討をして嫌疑ありとすればそれはやるでしょうけれども、ただいまの段階ではそういう段階ではないじゃないですか。だから、罪名が違うわけですね。ですから、そういう差が出てくるのは当然じゃないでしょうか。とにかく捜査の途中において一定期間秘密にするようなことがあっても、終局においては、事態はこうなっているということを、十分に国民の納得のいくような決着をつけたい。こうやって飲まず食わず、眠らずとはいかぬけれども、そのくらいの勢いでいまやっておる段階ですから、途中いろいろな御批判にも耐えて、最終的には国民の納得を得られるというのがわれわれの決意であります。御信頼願いたいと思います。
○近江委員 最終的にとおっしゃいますが、いままでのいろいろな事件を見ておりましても、こういう疑獄事件というのはそのままずるずるとなってしまう。国民の前から姿を消してしまうのです。そういう場合が多いのです。これはいま法務大臣がおっしゃったように、政府として威信にかけて、飲まず、食わず、寝ないですか、とにかくそのくらいの決意をなさっておるのですから、国民が納得するようにやっていただきたいと思うのです。こうした問題は、私の考えは、公表するのですよ。公表して、あとは国民の判断と、いわゆる捜査当局にゆだねればいいのです。これは私の強い意見として申し上げます。これに対して、副総理はどのようにお考えですか。
○福田(赳)国務大臣 政府は、重ね重ね言っているわけですが、公開を原則とする、ただしこれはアメリカから条件がつく場合があり得る、その場合にはその条件を尊重しなければならぬ、こういうことでございます。 私も国務大臣といたしまして、事態が明快に解明され、そして内外の信用が確立できるような状態でこの事件は解決されなければならぬと、かたくそう考えております。
○近江委員 次へ進みたいと思いますが、このロッキード問題につきまして、児玉との契約の中に韓国へのリース条項も入っておるわけでございますが、そういうことで全日空はそうしたリースということをいままでやったことがないか、また考えたこともないか。これは若狭さんに対しても各委員から質問があったわけですが、そのときはないということをおっしゃっておるわけですが、実際にそういうような話はないのですか、運輸大臣、いかがですか。
○木村国務大臣 全日空が海外の航空企業に対して機材のリースをしたということは聞いておりません。
○近江委員 具体的に実現はしてないけれども、そういう話もいままで行われたことないのですか。
○木村国務大臣 そういう話も聞いておりません。(「定数不足だ」「一時休憩」と呼び、その他発言する者あり)
○井原委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 本会議終了後直ちに委員会を再開いたします。 午後零時二十七分休憩 ――――◇――――― 午後二時五十三分開議
○井原委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 近江君の質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
○近江委員 午前中の質問が途中で中断したわけでございます。そういうことで、私も若干質問をもとに戻してみたいと思います。 先ほどの資料の問題でございます。まず最初に井出官房長官にお伺いしたいと思うのですが、長官の答弁で、資料が入手したら閣僚協へも目を通し、国会へも御報告をすると、こうした意味の御答弁をなさったわけでございますが、これは閣僚協へは中身を見せて、国会へは単に資料入手の報告だけで済ませるということでございますか。報告というのは一体どういうことでございますか。
○井出国務大臣 政府は閣僚協をつくりまして、ここでこの問題の集中的な扱い方をしたいと思っておるわけであります。そこで、向こうの返事が特に条件がついておらぬというような場合は、これはもう当然公開の原則を申し上げておるのでありますから、国会へ御報告をするということになろうかと思っています。
○近江委員 それで、その条件がついておった場合は、その条件について当然国会と相談なさるのですか、どうですか。
○井出国務大臣 向こうの資料その他提供される場合に、それを見ました上で判断をするのは当然でございますが、もしこれがそのままで公開していいというなら一番望ましいと思いますが、そこに何らかの制約があるというような場合には、かようかくかくであるということは国会の方へ申し上げるべきだと、そう思っております。
○近江委員 この国会決議でございますが、その中ほどに、「ここに本院は、ロッキード問題のわが国に関するいわゆる政府高官名を含む一切の未公開資料を提供されるよう米国上院及び米国政府に特段の配慮を要請する。」これは議運の段階におきましても、本院が要請して、本院に資料を提供されるようと、本来は本院に提出されたいということを入れるところだったのです。しかしこの文から読めば、当然それは本院にということになるということが、これは議運の一致した意見でございます。そういう解釈からすれば、条件があろうとなかろうと、国会に対してそれを全部提出なさる、それが本当の報告じゃないんですか、いかがですか。
○井出国務大臣 まだその現物が来ておるわけではございませんが、国会特に両院の決議でございますから、これはあのとき総理も非常にこれは重みのあるものである、こういう答え方をしておるのでございまして、その院の御決議にこたえる具体的な方法というものは、資料その他が参りまして、そして院の重みを十分に考えて処理をいたしたいと思います。
○近江委員 院の重みは考えるということをおっしゃっているわけですが、それであるならば行動に移らなければならぬと思うんですね。ですからこの資料、条件がついておった場合、資料入手の報告だけで、いわゆる条件がついていますからということで国会にそれを提出しないということであれば、完全にこれは衆参の決議を無視していることになるんですよ。本院に対して提出してもらいたいというのが、この決議の趣旨なんです。政府の間でふるいにかけたり、そういうようなもしもろ過したりするようなことになれば、これは政府が操作をするというようなことであれば、これはもう完全に国会軽視であり、これは非常に大問題だと私は思うんです。その点はいかがでしょう。もう一度ひとつ官房長官、お伺いしたいと思うんです。
○井出国務大臣 過般の決議の扱い方でございますが、日本の国会から向こうの上院なら上院へというストレートなやり方ではなくして、外交ルートという、言うならばこれは行政の立場でございましょうが、これを通して先方へお送りをした、また院の方からもそういうやり方でということのようにわれわれは理解をしておるわけであります。したがって、向こうの政府を通してこちらの政府へ来るものと、こういうふうに理解をいたしておりますので、その政府間のルートの中で何がしかの条件というふうなものがあれば、これはそれなりにやはり政府として一遍考えてみなければならぬものであろうか、こういうふうに申し上げておるつもりでございまして、いずれにもせよ、そういうものが届きました上で――これは先ほど来両院の決議というものを重みを持って考えておるということを背景にしておくみ取りをいただきたいと思います。
○近江委員 外交ルート、外交ルートということをおっしゃっていますが、これはあくまで手続の問題なんですよ。本院が本院に提出せよということを決議したんです、衆参で。あくまでも外交ルートというのは手続だけの問題なんです。運んでもらうだけなんです。ですから、国会にあくまでもそれを報告するというのが、これが筋なんですよ。それをしなければ国会軽視ですよ、これは。大変な問題であります。これはもう五党が衆参で一致して決議しているのです。 この点はひとつ副総理にもお伺いしたいと思うのです。
○福田(赳)国務大臣 国会決議は尊重すべきものと思います。ですから、政府の基本的な考え方は、原則として入手した資料は公開をする、ただしアメリカ側から条件を付せられたものにつきましてはその条件を尊重しなけりゃならぬ、これに徹していきたいと思います。
○近江委員 当然その条件について国会と相談もし、それで現在こういう資料も入っておりますと――あくまでも主役は国会であり、当然政府とは全く同時にその同じ中身のものの報告を国会は受けるべきですよ。そうでなければこれは国会軽視になります。これはもう重大問題です。いかがですか。
○井出国務大臣 副総理がいまお答えをしたのと私は決して変わっていないつもりでありますが、先方からどのような条件といいますか、そういうものが来るかどうかわからぬものですから、それはまあまだ先のことでございますので、それを見た上で対処をいたしたい、それには十分院の立場を尊重したい、こういうつもりであります。
○近江委員 院の重みであるとか国民の立場をよくわかるとか、いろいろおっしゃっているわけですが、これは抽象論なんですね。ですから、院の重みがおわかりになるなら、これは国会に報告をされ、そしてその中でいろいろと相談なさっていくというのがこれは筋ですよ。 繰り返しになりますから次にいきますが、宮澤外相は、米側から条件がついていれば閣議、閣僚懇で検討するということをおっしゃったわけですが、これは全く国会が関与する余地はないということですか。いかがですか。
○宮澤国務大臣 その点、ただいま副総理並びに官房長官から言われましたような考えに基づいてやってまいらなければならないと思います。
○近江委員 あなたはどう考えているのですか。これはあなたのお答えになったことに対して再質問しているわけですから……。
○宮澤国務大臣 恐らく、仮に条件ということがございますれば、米国政府から日本政府にという話でございましょうから、仮定の問題でございますが、それに対しては、政府がわが国としてどう考えるかを考えなければならない主たる立場にあろうと存じますけれども、先ほど来副総理、官房長官が言っておられますようなことも実際ございますから、そういうこともよく考えてまいらなければならないと思います。
○近江委員 国会審議において国会が関与をするのは当然である、このように思われるわけですね、もう一度確かめますが。抽象論ではだめなんです。
○宮澤国務大臣 先ほど来両大臣がお答えになっておられるとおりと思います。
○近江委員 官房長官は、この氏名の公開につきまして、事実関係が明らかになった上でということをお答えになったわけですが、この事実関係というのは具体的にどういうことなんですか。容疑事実や起訴が確定してなければ公表しない、こういうことなんですか。いかがですか。
○井出国務大臣 御承知のように、日本側においても検察その他の機能を動員いたしまして、真相の究明に当たっておるわけでございます。したがいまして、こちらの自主的な努力というものもあわせ考慮の中に入れる、こういう必要もございましょうし、また向こうからどれだけの裏づけがあって来るかという問題もございましょうから、そういうところをよく慎重に検討をする必要はあろうか、こう思っております。
○近江委員 それは捜査の中身の問題であって、当然のことなんですよ。だから、これは容疑事実や起訴が確定しなければ公表しないということなんですか。この事実関係が明らかになった上でとお答えになったことは、容疑事実や起訴が確定しなければ公表しないということなんですか、もう一度お伺いしますが。
○井出国務大臣 もう明らかにそれを公表してしかるべきもの、あるいは向こうから来た資料だけでは不十分だというふうなものもあるのではなかろうか、こういうことを配慮しつつ申し上げておるわけでございまして、要は向こうからの何らの条件というものがなければ、これはもう公開をするというのが原則であるというのは先ほど来申し上げておるとおりでございます。
○近江委員 ちょっとすれ違いがあるのですよね。だから、事実関係が明らかになったということは、容疑事実や起訴が確定することなんですか。これはどういうことなんですか。
○井出国務大臣 基本的な姿勢は、原則としてこれは公開をするのである、向こうからそれに対して特に注文があったという場合は考慮をしなければなるまい、こういう基本的な構え方であるというふうに御承知を願いたいと思います。
○近江委員 非常に原則論、原則論でおっしゃっておるのですが、米国側からはこういう条件を付してくるということは報道もされておるとおりであります。したがって、何らかのそういう条件をつけてくる。その方向は、午前中の質疑でも何回も出ましたけれども、あの二条件ということが大体方向じゃないかと思うわけでございます。 そこでなお、もし条件がついてきた場合、捜査上で事実関係が明らかになったら公開するということであるなら、そうすると起訴しないということになった場合はこれはもう永久に公開しないわけですか。この点はどうなんですか。
○井出国務大臣 近江さん、まだどういう態様のもとに資料が来るかということは予測の範囲を出ないわけでございまして、要するに先方から来ましたものは公開するんだ、これが原則でありまして、そこにそういうのがなければ問題ないのですけれども、何かもしあった場合はそれに拘束を受ける、こういうふうにさらっとお考えを願いたいと思います。
○近江委員 そうさらっと考えられないのですよね、いわゆる条件がわからないのですから。仮定なら仮定でもいいですよ。一人でも起訴をすることになったときは、その時点で一切を公開されますか。それとも一部分あるいは該当者のみ公開されるわけですか。いかがですか。
○井出国務大臣 一人でもというふうに表現なさいましたけれども、一体一人なのか複数なのか、そのあたり、やはりどうもいまここでまだ予測しがたい問題でございましょう。そんなわけでありまして、そこにまで言及をいたすというのは、これはまだ私としては早計だ、これは差し控えさせていただきたい、こう思っております。
○近江委員 早計だとおっしゃっていますが、国民はまたこのまま握りつぶされるんじゃないかと、非常にそういう疑惑を持っているわけですよ。ですから、やはりあなた方のそういう基本的な考え方というものをはっきり国民の前に示すべきなんですよ。全然その辺が、先ほどからずっとお聞きしておりますが、官房長官、決まってないのですよね。 次に行きますが、氏名公開を捜査事実云々とおっしゃるなら、政府高官、政治家の道義的責任というものについてはどうなさるわけですか。この氏名公開を捜査問題だけに限っておっしゃるのは、これはもう事件の本質を曲げておると思うのです。公開が前提とおっしゃった三木総理の言明はうそになるわけです。この点、いかがですか。これは道義的な立場から言いましても、氏名を含む一切の資料を公開すべきである、私はこのように思います。いかがでございますか。
○井出国務大臣 この問題に対する政府の方針は、日本の民主政治にかかわるまことに重大な問題である。しかも国民各層各界にわたって非常な疑惑を持っていらっしゃること、また明らかであります。そういう国民の気持ちというものが、私どもの胸にひしひしと伝わってきております。だから、これをなおざりにしようなんということであってはならない。あくまでも真相を解明して国民の疑惑を解いて、そして日本の政治の信頼を回復しなければならぬ。これが心構えでございまして、その方向でこの問題の処理に当たっておるのでありますが、同時に一方、これは慎重を期さなければならぬという問題もあろうかと思うのであります。ですから、いまおっしゃる道義的な問題、あるいは法律的な問題、これをともどもに重要視して考えていくべきものであろうと心得ておる次第でございます。
○近江委員 それを痛感なさっているのなら、一切の資料を国会に提出すべきであるということを申し上げておるのですよ。 それから、米側から条件がついてくれば云々と言っているわけですが、政府はいかなる場合も公開するのが原則という立場に立っておられるわけですね。そういう点からいきますと、条件を付さないよう強力に米国へ要請しなければならぬと思うのです。これについてはどういう努力をなさるのですか。米国に条件をつけないように、これが日本国民の気持ちですよ、その立場に立って当然強力な働きかけをなさるべきなんです。その決意と具体的な方策についてお伺いしたいと思います。
○井出国務大臣 こちらからフォード大統領にあてました総理の書簡は、これは行間にその真意がにじみ出ておるものであって、恐らく先方も、これはまことに容易ならざるものである、こういうふうに受けとめていただいておるであろうと、まあこれは私の想像でございます。それからまた、日本のこの国内事情、国を挙げてこの問題を皆が心配をし、そして日本を一つの危機がいまや覆っておる、こういうことは先方も理解をしておられるでありましょうし、そういう点は、恐らく日本の実態を十分に把握されて、その上に返事があるものだ、こう考えております。
○近江委員 米側を理解するという上においてまあ官房長官のおっしゃることも一応はわかるような気もするわけですが、しかし、向こうがもう現実に条件を付する、こういう姿勢で来ておるわけですね。ですから、さらにできる限り条件を付さないように、国民の立場に立って政府はやはり言うべきじゃないですか。その努力をされますか、いかがですか。むしろ向こうから条件をつけてくれるのを待っておられるのですか。どうなんですか、その点は。
○井出国務大臣 これは日米相互理解といいましょうか、両国関係は御案内のように非常に順調に進んでおる際でございます。したがいまして、こちらの状況というものを理解してもらうという努力は、これはもう外交当局がその責めに任じてやっておるはずでございまして、そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
○近江委員 真の日米友好の立場からいけば、やはり一切を明らかにしていくというのが真の日米友好になると思うのです。ですから、この条件をやはり付してくるという点については、これはもう政府としては、再度強力なそういう運動をして条件を付さないように、こういう動きをするのが国民の立場に立った政府である。再度お考えになるように申し入れておきます。 それから、高官名が公表されないままで終わったならば、米側の証言はうそになるわけですね。官房長官、これはどう思われますか。
○井出国務大臣 これも私の立場で論評をするというのはいかがなものかと思いますが、いずれにせよ、先方はこちらの気持ちを受けとめて、十分誠意をもって答えられるであろう、こういう期待をいたしております。
○近江委員 時間がありませんから次に進みますが、先ほど運輸大臣に私はお聞きしたわけですね。全日空からトライスターをいわゆるリースしたことはないか、あるいはそういうことを計画したこともないかと言ったら、運輸大臣は両方とも、そういうことはありませんとおっしゃった。ところが、この丸紅レポートから調査いたしますと、一九七五年五月十五日付、丸紅の伴輸送機械部長からエリオット氏あてに報告が行っておりますが、その第六項について検討されましたか。いかがですか。
○木村国務大臣 それはどういうことですか、私知りませんが、全日空の方にただしましたところが、全日空としてはこのロッキード問題のみならず、会社ができまして以来リースとかそういうことはやったことはありません、こういうことでございます。
○近江委員 やった事実はないにしても、そういう話もしたことはないですかということを私は冒頭に申し上げておる。そういうこともありませんということをおっしゃっておるわけですよ。ところが、いま申し上げたこのエリオット氏あての報告の第六項にこういうことが書いてある。「全日空保有のトライスター機をフィリピン航空にリースするための話し合いは中断しているが、これは全日空としても本年末まではトライスターに余裕がないことがわかったためである」云々と、このように記載されているのですよ。フィリピン航空にリースするためにいろいろといままで話をしてきた、それを一応中断したという報告をしているのですよ。この時点は昭和五十年の五月でしょう。これはこのデータから見ましてもちょうどトライスターが運航をしましてちょうど十機目が入って稼働し出したところですよ。政府の事業認可というのは二十一機なさっているのですよ。それがこれだけの運航に必要であるということを皆さんは認定されたわけではありませんか。それじゃ運輸省のそういう事業認可というのはでたらめなんですか。こういう時点でもうすでにフィリピンにリースするということを話し合いをやっているのですよ。そういうことを運輸省にもいままで報告なかったのですか。いかがですか。
○木村国務大臣 全日空の方に対してどういう接触があったか知りませんが、全日空について聞きましても、そういうリースの話があったような事実はないというふうに聞いておりますが、なおそういうお話ですとさらに確かめてみたいと思います。
○近江委員 じゃ全日空は監督官庁である運輸省に対しても何にも報告してない、また、あなた方は監督権を持っておりながらそういう話も全然知らないということは、一体何しているのですか。そうでしょう。
○木村国務大臣 リースをして全日空の機材が他に転用されて全日空が国内で運航しております運航計画等に変更がありますれば、これは全日空の航空輸送力を国内に提供するこの公共的な使命に影響がありますから、そこは監督の範囲内でございますが、全日空に対して他からリースさしてくれぬかとかいうふうな交渉があっただけであるように、いまのお話ですとそういうことでございますので、そこまで運輸行政として企業の活動の中にまでタッチしてはいままでやっておりませんし、またそれは必要ないんじゃないか、かように考えております。
○近江委員 それはおかしいですよ。二十一機を事業認可なさっているのですよ。十機目が稼働したその以前の段階で、フィリピン航空へリースするような話になっている、話をしてきている、こんないいかげんな事業認可がありますか。そういうことを話し合いをしておること自体がこれは問題ですよ。そういうことであなたもこの事実はお知りにならなかったわけです。まあいろいろ考えられることは、丸紅がええかっこうをしてエリオット氏の方へ虚偽の報告をしておったか、これは仮定ですよ、そういう場合もあるかもわからない。しかしこの文面から見れば、全日空がこのようにフィリピン航空といろいろとリースのための話し合いをやっておって中断しておるという事実がここに書いてあるわけです。監督官庁として、今日これだけ航空業界において大問題を起こしている、運輸省としてはここで本当に重大な反省をなさって、この事情につきまして丸紅あるいは全日空より事情を調査されて報告してもらいたいと思うのです。報告されますか。
○木村国務大臣 事業認可というお話でございますけれども、これは十四機なんです。もう使用しておりますのが十四機ですから、したがってあとの二機は引き取ってまだアメリカにある、次の二機は契約が済んだばかりである、次の三機は仮契約、こういう状況でございます。したがいまして、ちょっとお話が、全日空の持っております機材の変更その他には、全然変わっておりませんし、影響がございませんので、ただ単にリースの話が他からあったということだけでわれわれが行政上それを知り得なければならぬとかそういう問題ではないように思いますが、お話ですから、全日空に対してはいまのリースの件はもう一度よく話を聞いてみたいと思います。
○近江委員 確かに二十一機というのは、私これは報告を受けておりますのは十五機です。しかし、こういう十機目までの段階までにおいてこういう話が出ておるわけですよ。当然それは国内で就航するというあなた方は事業計画の認可をなさったわけですよ。それを外国にリースするというようなそういうことについては、当然運輸省に対して相談もあってもしかるべきじゃありませんか、そうでしょう。そういう事実をあなたわからなければいけませんよ。しかも、児玉の契約によりましても、大韓航空へのリースもそれをすればいわゆるマージンが入るということになっておるわけでしょう。そうしますと、そういうようなことから考えれば、フィリピンにそのリースを、もしもそれができたとした場合、それを一つの布石としてまた大韓航空へリースするということも当然連動ということが考えられたわけじゃありませんか。そういうような背景からしましても、こういうことが全日空で話し合われておったということについて運輸省当局が何も知らぬということについては、これはもう監督不行き届きですよ。ですからいま大臣おっしゃったように、丸紅及び全日空より調査をなさって、そしてひとつ本委員会に報告をしていただきたいと思うのです。するか、しないかだけ御答弁ください。
○木村国務大臣 リースについて話がただ単にあった、リースの話ができ上がっていよいよ何機か全日空の持っております機材が外へ出るという段階になりますと、もちろんこれは監督行政の範囲内でございますけれども、どうも私はお話で、そういう商談らしきものがあったかどうかという点は航空行政の上からは、ことに民間企業でございますので、そこまで干渉するという範囲ではないと考えております。しかし、先ほどから申し上げましたように、事情はよく聞いてみたいと思います。
○近江委員 いままで政府の答弁は、そういうリースしたこともないし、そういう話し合いをしたことも聞いたこともないということをおっしゃっていたわけですから、いまここで、そういうあなたが聞いたこともないそういう話し合いが行われておったということを丸紅レポートから私はいま申し上げたわけですから、ひとつ運輸省としてよく調査の上御報告をいただきたいと思うのです。 それから次に、PXLの問題についてお伺いしたいと思いますが、まず初めにお伺いしたいのは、この三月一日、防衛庁で白川統幕議長はアメリカのブラウン統合参謀本部議長と会見した際、PXLの問題につきまして、ロッキード事件によってロッキード社のP3C導入案は政治的にむずかしくなったと述べた、また機体は国産、内部装置を輸入という分離方式を検討している旨説明したところ、ブラウン議長はよい案であると答えたということが報道されているわけですが、防衛庁長官はこの件についてはどういう見解を持っておられますか。
○坂田国務大臣 ブラウン統合参謀本部議長が表敬に参られまして、後で白川統幕議長といろいろ日本の防衛協力の問題等につきましてお話を申し上げ、なおかつ、四次防のなかなか未達成の状況あるいはポスト四次防の構想等をお話を申し上げました。その際、PXLという問題につきましても報告をいたしまして、実はまだPXL問題は、国産にするかあるいはP3Cにするか決まっておらない、そういうようなお話を申し上げたわけでございまして、それを前提といたしまして、一体、P3Cの頭脳でございますところの電子機器等について分離してレリースが可能であるかどうかというようなことを聞いたように思います。そういう報告を受けております。
○近江委員 報告をお受けになって、あなたはこの白川さんのこういう意見についてはどう思われますか。
○坂田国務大臣 次期対潜哨戒機というものは日本の防衛上非常に必要な課題でございますし、この選定については真剣に取り組んでおるわけでございます。そのためにいろいろ軍の意向等もお聞きになるということは当然なことかというふうに思っております。
○近江委員 通産大臣にお聞きしたいと思いますが、よく国産、国産ということを言うわけでございますが、国産というのはどういうものですか。ライセンス生産なども国産に入るわけですか、いかがですか。
○河本国務大臣 この問題は、最終的に国防会議で決定さるべき問題でございまして、いま関係方面で鋭意検討中でございます。でありますから、私からいまお説のような技術的な面にわたることについて申し上げるのは、これは控えさせていただきたいと思うのですが、しかし、いずれにいたしましても日本の航空機産業というものは、現在論議されておる対潜哨戒機程度のものは十分国産できる能力を持っておる。いかなる形であろうと、十分国産できる能力を持っておる。 〔井原委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、通産省としては国産化が実現するということを強く期待しておる、こういう意見を先般申し上げたわけでございます。
○近江委員 通産大臣は、いわゆる産業全般を掌握なさっているわけですね。ですから、私は定義を聞いているわけですよ。国産というのはどういうことかということを聞いているのです。ライセンス生産の場合も国産に入るのかと聞いているのです。こういうことははっきり答えてくださいよ。
○河本国務大臣 ライセンス生産というのは、これは純然たる意味で国産とは言えないと私は思います。輸入の変形、こういうことじゃないかと思います。
○近江委員 そうすると、狭い意味、広い意味ということになるわけですが、どこの縦割りから言っても、ライセンス生産というのは全然国産ではないわけですか。広い意味の国産に入るのですか。
○熊谷(善)政府委員 私どもが国産と申しております場合には、全体を国産をするということを念頭に置きまして申し上げておりますが、形態としまして完全輸入並びにライセンス生産、御指摘のとおりそういう形態がございます。ライセンス生産の場合には、特定の分野につきましてライセンス契約を結びまして、日本で生産を行う、ライセンスフィーを払って生産を行うということになるわけでございまして、通常の場合にはかなりの部品がやはり同時に輸入される場合が多うございます。そういうことで、完全国産の場合とライセンス生産の場合を比較いたしますと、いわゆる作業量からいたしますと相当な差がございます。
○近江委員 相当な差はあるけれども、ライセンス生産であっても国産である、国産の中に入るわけですね、もう一度お聞きしますが。
○熊谷(善)政府委員 私どもの解釈としましては、ライセンス生産は、輸入とそれから国産の場合の中間形態であろうかと思います。ライセンス生産の場合とPXLを完全に国産した場合と比較いたしますと、作業量は、ライセンス生産の方が完全国産の場合の約半分ぐらいになろうかと思います。そういう意味で、ライセンス生産は、一面におきましては国内で部分的に生産を行うわけでございますから国産ではございますが、その分につきましては国産とも言える面があるわけでございますけれども、いわゆるそれをもちまして国産と、こういうふうには直ちには言えないのではなかろうかというふうに、私感じております。
○近江委員 政府としてははっきりしていませんね、いわゆる半国産といいますか。この点はひとつはっきりしてくださいよ。だから、広い意味でいけば、国内でするのだから国産という中にも入るということを先ほどおっしゃったわけですが、しかし半分は、いわゆる部品等を含めて輸入ということになる。この点が非常にあいまいだと思うのですね。しかし先ほどからのお話で、一応広い意味での国産に入るということははっきりしたわけですね。 そこで、先ほどの白川統幕議長もこういう発言をしておりますが、私は、この二月の十二日の夕刻、ロッキードの本社でコーチャン氏とカバナー副社長と会ったわけですが、そのときに、P3Cについてどういう考えを持っておるかということを聞いてみたのですが、そうしますと、コーチャン氏は、PXLの問題について、これは日本政府が決める問題で、今回のこのトラブル――ということは、このL一〇一一のトライスターの問題です。それと切り離して日本政府の態度を見ていく。無論、このトラブルの問題ですね、トライスター問題を速やかに解決していきたい。一九五五年から六年にかけて、ロッキードとしてはP2ネプチューンをライセンス生産した。それが続けられてP2Jという形でつくっている。P3Cの問題も、現地生産――ライセンス生産ですね、提起してきた、非常に長い間努力してきたんだ、こんなことを言っているのですね。そうしますと、分離方式ということをこの白川さんが提案しているわけですが、この電子機器は輸入する。そうしますと、この電子機器といいましても、そのおさめるボックスというものは、いわゆる機体に合わして設計してあるわけですよ。そうなってきますと、国内で生産ということになっても、恐らくライセンス生産になる可能性が非常に強いのじゃないか、このように思うわけです。もしもそういうことであるならば、これはロッキードが、コーチャン氏が言っておるように全くそのとおりの形で進むということになるわけです。この点についてはいかなる見解を持っておられますか。
○江口政府委員 ただいまのお話にございましたロッキード社の提案でございますが、私どもはまだそういう正式な提案はロッキード社の方からは受けておりません。いまお示しの機体の開発の場合、さらに全体を開発いたします場合、あるいは一部搭載機器を入れる場合、いろいろケースがあると思います。現在まだ防衛庁といたしましては、そういうものに対してどの方向に向かうということは目下検討中でございまして、ロッキードの提案に対してそのとおりになるかどうかということは、いま必ずしも断定するわけにはまいらないと考えております。
○近江委員 もう時間がありませんから終わりますが、元国防会議事務局長の海原氏は、P3Cは必要ない。これは皆さんも論文をお読みになったことと思いますが、そういうようにどうしても必要であるという立場に防衛庁長官も立っておられますが、根本的なそういう論議に一度戻るべきです。そして、国民のそうした理解なりコンセンサスを得た上で決定していくべき問題であると私は提案申し上げておきます。 それから、購入するしないにかかわらず――P3Cはもしも輸入したとした場合、国民の血税で購入する、血税の一部で、ロッキードと児玉とのコンサルタント契約によって五十機以上売った場合は二十五億円支払うことになっておるのですが、国民感情としてはこんなことは許せませんよ。また、現ロッキード会長のハーク氏は三月三日の米上院銀行委員会におきましても、問題はまだ払っていない分の金のことだが、これを払うのはロッキード社の新しい方針に反する、これについてはまだ支払いは行われていないし、これからも行われないと証言しているのですが、当然政府としては、国民感情として許せないわけですから、米国務省を通じてロッキード社に対して児玉とのコンサルタント契約を破棄するように取り計らわれる意思があるかどうか、これを最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○坂田国務大臣 われわれ防衛庁といたしましては、日本の防衛の必要ということを考えまして、国民に一点の疑惑を持たせるような決め方はしてはならないというふうに私は考えております。 ただ申し上げておきたいことは、現在われわれが使用しておりますP2Jの対潜能力というものは、本委員会でもお答えを申し上げましたとおりに、非常に弱体でありまして、もう少し近代化してその能力を高めなければならないことははっきり申せることでございます。 事実関係を申しますと、現在のP3Cの能力はわれわれのいま使っておりますP2Jよりも性能におきまして約十倍の能力がある。たとえば一隻の潜水艦を見つけるにいたしましても、その解析、分析等に機上で数時間要する。しかし、P3Cにおきましては数十分でこれを的確に把握をする。こういうことでP2Jに乗っております自衛官は非常に苦労しておるということでございますし、また、日本の防衛ということを考えました場合、四方を海に囲まれて、やはり対潜能力を高めなければならないわが国といたしましては、もう少しP2Jを改めまして近代化を図らなければならないということは言える。しかし、この機種の選定につきましては、やはり国民の疑惑に一点の曇りもないようなやり方で選定を図らなければならないというのが私の考えでございます。
○近江委員 時間がありませんから、終わります。
○荒舩委員長 これにて近江君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○荒舩委員長 この際、御報告いたします。 昨日分科会設置の際、分科員の配置及び主査の選任につきましては委員長に御一任を願っておりましたが、分科員の配置につきましては公報をもって御通知いたします。 次に、分科会の主査は次のとおり指名いたします。 第一分科会主査 笹山茂太郎君 第二分科会主査 上村千一郎君 第三分科会主査 小澤 太郎君 第四分科会主査 伊東 正義君 第五分科会主査 野田 卯一君以上であります。 ―――――――――――――
○荒舩委員長 質疑を続行いたします。宮田早苗君。
○宮田委員 私は、現下の産業界を取り巻く不況問題を中心に質問を進めてまいりたいと思います。 申すまでもありませんが、産業界はきわめて低い操業度を余儀なくされ、余剰人員を抱え、そして借金の重圧によって企業存亡の危機に直面しているのがほとんどの企業の実態であります。 また一方、わが国民主政治の根幹にかかわるロッキード事件の究明は当然でありますので、一言この問題に触れさせていただきます。政府の見解が幾つか出されておりますので、わが党の見解のみにとどめさしていただきます。 この際、アメリカからの資料公開について公開の条件ということがいま問題になっておるわけでございますが、これはアメリカの捜査の都合であろうと思っておるわけでございますので、わが国はわが国自体の問題として、公開をしなければ国民の疑惑は晴れないと思うのでございます。したがって、国内の捜査を理由に都合のいい部分だけ公開をしようとしておられます政府の姿勢は、国民感情として許すことができない、こう思っておりますので、その点については十分に公開をしていただきたい、これがわが党の見解でございます。 さて、ロッキード事件に並行して、不況の克服と雇用の確保を図るべきだという今国会の使命に期待いたします勤労者の声に私どもも耳を傾けなければなりませんし、政府におかれましても予算執行に一時の猶予も許されないわけですから、われわれ党の要求にも耳を傾けてほしいと思うのでございます。 さて政府は、「昭和五十一年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」をもって政策運営の柱としているわけでありますが、現時点でわれわれが問題にしたいのは、あの石油ショック以後の不況に対する景気判断であります。つまり昨年の五月に、五十年一-三月が景気の底という判断をしたわけでありますが、その底からちょうど一年を経過したのであります。現状をいまさら説明するまでもございませんが、景気は悪化の道をたどっているわけでございまして、この景気判断の甘さが有効かつ適切な政策手段のおくれとなったことは否めない事実だと思うのでございます。この際、福田副総理の所見をまず承りたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 政府の景気判断が間違った、そういう前提でお話しでございますが、景気を動かす要因にはいろいろありますが、設備投資が政府が考えたのに比べまして非常な不振であった、これは間違いと言えば間違いです。 それからもう一つは、世界の貿易が総体に落ち込んだ、わが国以外の先進諸国という先進諸国は全部マイナス成長であったわけです。そういう中でわが国の輸出も伸び悩んだ、これも、それじゃ世界情勢の判断が間違ったんじゃないかと言われれば、間違ったと言えますけれども、とにかく、昨年の三月を底といたしまして、わが国の経済が上昇過程をずっとたどってきておるということは、これはまあ、私どもが想望したとおりの動きになってきておるのです。 ただ、その景気上昇カーブが、当時予想したものに比べますと、ただいま申し上げました設備投資の不振それから貿易の伸び悩み、輸出の伸び悩みですね、この二つの点から思ったようにならなかった。しかし、それにしても、先進諸国が全部マイナス成長だという中で、わが国が二%の――昨年一年間を通ずると実質二%です。まあ五十年度というふうに区切りますと二・六%ぐらいになるだろう、こういうふうに思いますが、そういう黒字成長を実現し得たということは、世界各国の中で非常に珍しい経過であった、私はこういうふうに見ておるのです。 それがどうしてそういうふうになったかと言いますると、これは消費が堅実な伸びを示した。総体的に不況といわれる中で消費が堅実な伸びを示したことと、それからもう一つは、やはり第一次-第四次の政府のとった施策、これがかなりの効果を発揮しておるわけです。この二つが支えとなりまして設備投資、輸出、それがどうも思わしくない、そういう中で黒字成長を実現した、こういう状態なんです。
○宮田委員 福田経済企画庁長官に対する質問はちょっとおくといたしまして、通産大臣にまず御質問をいたします。 五十一年度見通しの実質成長率が五ないし六%の達成ということになっておりますが、これの根拠は財政、輸出、個人消費、民間設備投資という四つの要因を挙げておられるわけでございます。 そこで、通産大臣にお伺いをいたしますが、現在の民間企業の実態、とりわけ石油ショック以前に完成をいたしました設備が過剰といわれる中で、設備意欲が出てくるものかどうか、大変疑問に思っておるわけでございます。主要業種の動向等から考えましてどうそれをごらんになっておるか、まず大臣の所見を聞かしていただきたい。
○河本国務大臣 現在、産業界の操業率は、平均いたしまして大体七五、六%ぐらいではないかと思います。そういう状態でございますから、一般的に申しますと新しい設備投資は、積極的にやろうというところはなかなか少ないわけであります。 〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 しかしながら、昨年と比べまして、ことしは景気の見通しもだんだんと明るくなってまいりましたし、来年以降はさらに一層積極的に景気の回復というものを期待できますので、やはり経済界というものは現時点だけで物を見ないで、二、三年先あるいは数年先ということを考えていろいろ判断する場合が多いわけであります。 したがいまして、いろいろ産業界の実情を調査しておりますが、非常に消極的な業種もございます。しかし、二、三年先のことを考えて、この際ある程度積極的にやってみよう、こういう業種もございますし、いろいろあるわけでございますが、いま通産省では、最近の設備投資に対する各業種、主要な企業の計画等を調査中でございまして、近くその調査ができると思いますが、それによって今後設備投資に対する対策をどう取り扱っていくかということを決めたい、こう思っております。
○宮田委員 もう少し通産大臣にお聞きいたします。 景気の問題にも関連するのでございますが、エネルギー問題に焦点をしぼってまずお伺いいたしますけれども、エネルギー庁の五十年度の石油の需給見通し、まず、このことについては、長官おいでになりましたら……。
○増田政府委員 五十年度の石油の需給の見通しにつきまして申し上げます。 この石油需給につきましては、石油業法に基づきまして石油供給計画というものを毎年定めておるわけでございます。昨年の四月に昭和五十年度の石油供給計画を定めたのでございますが、その後の実績が低いということで昨年の九月に改定いたしております。それによりますと、前年度に比較いたしまして約四%の減少という内需の数字になっております。
○宮田委員 ちょっと飛びますが、エネルギー資源の輸入先の分散化はわが国のエネルギー政策の重要な柱でなければならぬと思っております。 ところで、例の中国からの原油輸入の現状と見通しでございますが、七六年分の交渉がストップしたと聞いておるわけでありまして、七五年実績の約九千万キロリットルと同程度の輸入ということのようでございます。そこで、今年分の正式契約がおくれております理由はどういうところにあるか、また、交渉促進に政府はどう対処しておられるか、その点、大臣の御答弁をお願いします。
○増田政府委員 中国の石油でございますが、七六年、本年度の輸入計画がまだ中国と日本側との間に取り結ばれておりません。昨年は実績は八百十万トンでございますが、ことしの数量は大体それの前後ということでございますけれども、現在、契約につきましては、契約当事者が二つに分かれておりまして、片方の輸入協議会の方は先般その代表者が中国に行きまして、一昨日中国から帰ってきましたのですが、その分については大体二百十万トンの契約をいたした、こういうふうな報告を聞いております。ただ、その残りの分につきましては、これは国際石油株式会社でございますが、これについては来週中国に行きまして一九七六年分の契約を取り結ぶ、こういうことになっております。
○宮田委員 次に石炭問題でございますが、国内炭が二千万トン体制ということですが、さきの北海道の炭鉱災害で早くもこの問題が怪しくなったのではないかという懸念をするわけですけれども、この二千万トンを維持するための新鉱開発プロジェクトというものがありましたら示していただきます。
○高木政府委員 ただいま御指摘のとおり、将来への石炭の生産量でございますけれども、現在二千万トン体制ということで進んでいるわけでございます。本年度の生産は、先ほど御指摘の幌内炭鉱の災害等によりまして恐らく千八百数十万トンに落ちつくのではなかろうかというふうに考えております。今後、現有鉱の体質改善、増強という点と相まちまして、新鉱開発の量も入れまして将来二千万トンという計画を立てているわけでございまして、現在二千万トン体制に持っていくための新鉱開発の調査といたしまして、五十年度九地点の十九カ所を調査いたしております。なお、本年度も引き続きまして、そのうちの主なものでございますけれども、天北あるいは釧路等の地区を調査いたしまして、これらの結果がよければぜひ二千万トン体制に乗ずべく、今後投資その他について具体的に進めていきたいということでございます。
○宮田委員 通産大臣何か用事があると聞いておりましたので、先に大臣の所見だけを聞いておきましたので、もう結構でございます。 そこで、福田長官にお聞きいたしますが、経済演設、さらには商工委員会におきます所信表明で、物価は鎮静、景気は次第に着実な回復軌道へ、こう言われておりますが、企業にとってこの本当の正念場といいますのは、むしろ四-六月期ではないか、こう思うのでございます。機械受注の動向を見ましても、新規受注はないわけでございますし、また大企業製造業の関連協力中小企業は、親企業の生産抑制でその体質は最も悪いところにきている、こういうふうに思うわけでありまして、これが回復軌道に乗れるかどうか、最近の諸情勢から判断をして非常に疑わしいというふうに思うのです。また、この種の関係に従事されております方々も一様にそういう不安な気持ちを持っておられますが、大臣、この点いかがでございますか。
○福田(赳)国務大臣 いま日本は企業側の立場から見ますと、これは一番苦しいときだろう、こういうふうに思うのです。わが国の経済は、戦後、景気循環をずっとたどってきておるわけでありまして、大体不況が一年から一年半程度、それからその後は三年前後の好況、そうしますと、国際収支が悪くなる。そこでまた引き締め政策、そこでまた不況、この不況が一年から一年半、そういう循環なんですが、わが国の企業が戦後初めて不況三年目に入るという状態でありますから、今日企業の状態は非常に苦しい、私はこういうふうに思います。 それはなぜかというと、やはり経済全体としますと、上昇過程をずっと歩んでくるようになってきておるし、これからその傾向はさらに活発化する。しますけれども、企業の操業度がいま通産大臣が申し上げましたように非常に低い状態だ。七四、五%の操業度じゃないか。製造業稼働率指数から見て今日の状態というものは八四、五ぐらい、その辺じゃないか、そういうふうに思われるわけなんです。そうですから、経済の上昇過程にあるけれども、企業では遊ぶ人手を抱えておるあるいは遊ぶ設備を抱えておる。人件費の負担、金利の負担、そこでマクロ経済は上昇カーブにありながら各企業はよくない、つまりミクロ不況だ、こういうふうに言われる。その状態がこれから日本経済がだんだんと上昇過程に入る、そこでマクロとミクロの乖離の問題、これがだんだん差が縮められまして、五十一年度末ごろの時点になりますと、その乖離が大方解消されるんじゃないか、そういうふうに思いますが、それまでの過程、特にいま宮田さんがおっしゃるように、ことしの上半期ぐらいの時点では総体的な経済は非常にいい方向に向かうと、こう見ておりまするが、それに もかかわらずなかなか苦しい状態ではあるまいか、そういうふうに見るのです。しかし、先が非常にことしはいいと私は思うのです。ですから、企業はいまは苦しいが先はよくなるという希望、期待を持って精励し得る、そういうふうに見ております。 〔井原委員長代理退席、委員長着席〕
○宮田委員 福田副総理の御所見を聞いたわけでございますが、希望を持つという期待感もあるでしょうけれども、現実は、最近各界でマクロ、ミクロ論議が盛んなように、企業の経営、そこに働いております人々、マクロでいろいろものを取り上げるといいますか、取り組むというわけにはいかない状態が現実と私は思うのでございまして、やはり総体的な立場で見るならばバランスの問題をひとつ十分に配慮してもらわないと――といいますのは、ある部門におきましては黒字という非常に好況のようですし、ある部門におきますと最低のどん底と、こういう傾向が極端にあらわれておるんじゃないか。たとえば五十一年度の設備投資あたりの計画を見てみましても、一〇〇%以上のところあるいはまたそれを切っておるところが余りにも極端過ぎると思いますが、この調整をやはり経済企画庁あたりで十分にしていただかないと、私は総体的なこの不況を乗り越えるということにはならぬと思いますが、その調整の方法あたりをお考えになっておりましたらひとつ見解を聞かしていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 総じまして経済はいい方向に動く。ただ、その間ばらつきが非常に多かろう、特にそのばらつきの中で目立ちますのは基礎資材、これに携わる産業が苦しい、消費資材を生産する産業、これはまあ調子がよろしい、こういうような傾向が目立つわけです。それは結局、世の中が非常に急速度に変わりつつあるということの結果であろうと思うのです。つまり資源無限時代から資源有限時代に突入した。そこでどこの国でも資材を大事にするという傾向、それから経済全体の成長の高さを抑えるというような傾向、そういうようなことで基礎資材の関係する産業というものがかなりそういう新しい環境に対応する、順応する、それに苦心をするというところじゃあるまいか、そういうふうに考えるわけです。 ですから、政府といたしましても当面の不況、これの乗り切りはしなければならぬ。ならぬが、同時に、新しい経済環境というものに対する企業の体質改善というか構造改革といいますか、それへの順応に対しまして気を配らなければならぬだろう。先ほど通産大臣が申されましたが、各企業ごとにそういう問題を調べておる。これは経済界自体がすべき問題でもありまするが、同時に政府におきましてもそれを助成しなければならぬ、そういう傾向を刺激しなければならぬという角度でいろんな動き、それに対しましての対応、それをどうするかということは官民一体となってやっていかなければならぬだろう、そういうふうに思っておるわけでありまして、宮田さんのおっしゃることも十分承知しておるのです。承知しておるその立場でこれからも対処していきたい、かように考えます。
○宮田委員 さっき通産大臣に質問いたしましたことと重複するわけでございますが、過去の不況対策の最大の要因といいますか、これは政府のいろいろな諸政策にまつところが大きいとは思っておりますが、それと同時に、民間の設備投資というものが非常に活発に作用した、こう思っておるところでございます。 ところが、さっき通産大臣に言いましたように、設備投資という意欲は持っておりましても、何しろ、おっしゃったように操業の度合いが七五%程度ということでございますので、それに投資をするということになかなか意欲がわいてこない。特に主要産業でそれが非常に強いのじゃないか、こう思っております。それが可能にならぬと、おっしゃるような景気刺激をし不況克服ということにはならぬじゃないか、こう思っておりますが、その点どうですか。
○福田(赳)国務大臣 その点も私は事実だろうと思うのです。五十年度の経済がふるわなかった、成長が全体として思ったようにいかなかったというその最大の原因は、設備投資が大変な不振で、前の年に比べまして実質で一〇%も落ち込む、それからピーク時に比べますと今日の設備投資の水準というのは七〇%ぐらいしかない、こういうような状態であります。過去の景気循環をずっと顧みてみますと、設備投資が景気浮揚の牽引力になる、こういう状態でありましたが、今日はそれがなかなかむずかしいのです。しかし、とにかくピーク時の七〇%というような状態に落ち込んだ設備投資でありますので、もうこれが底である、そういう判断をしております。ことに、これから先、いわゆるボトルネック産業というようなものも出てくるかもしらぬ。電力でもいまごろぼつぼつ手をつけておかぬと、二、三年先で隘路というような問題が起きてくるおそれがあるのです。そういうものにつきましての投資でありますとか、あるいは公害投資でありますとかあるいは安全投資、これもかなりふやす余地がある。そういうので、特にそういう問題にも気をつけながら、ずっと落ち込みの続いてきました設備投資を五十一年度におきましては若干増加の趨勢に転じさせる、こういう基本的な考え方で、実質大体二%よりは相当上回る設備投資の増加が期待できるのじゃないか。そしてマクロとミクロの乖離が解消するというような時点から設備投資はさらに活況を呈してくるのではあるまいか。景気牽引の主力をなす設備投資がそういう状態であります。そこで、民間の設備投資にかわりまして政府がこれに似た投資をする、公共投資を今度拡大するというので、いま予算案の御審議を願っておる、こういうような状態でございます。
○宮田委員 仮にこの景気が回復基調になろうといたしましても、依然雇用の実態面というのは非常に深刻なわけでございまして、労働大臣にお伺いいたしますが、まず失業者の予測と新卒者の就職状況についてお聞かせ願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 先ほど企画庁長官から御答弁がありましたように、景気は上向きになっているのが楽しみでございまして、現に残業時間がふえておるというようなこと、第四次の景気刺激策が浸透すること、さらにはまた皆さんに御審議をお願いしているこの予算の通過によって、上半期にそういうことが実行されますと雇用の関係も非常によくなるのではないか。こういうふうに期待しておりまして、一月が百五万でございますが、ずっと季節調整しまして、三月ぐらいは百二十五万ぐらいじゃなかろうか、こういうふうなことでございます。 もう一つ御心配いただきました大学卒業生の就職問題につきましては、昨年この国会で大変御心配いただきましたが、本当にこういうように不景気不景気と言われながら、あれだけ騒がれた大学卒業生の就職問題を見ますと、新規大学卒業者の、採用状況は、私立大学の特定十三大学を調査してみましたが、二月末現在八二・一%。ですから、当初懸念されたほどじゃなかったということでして、恐らく全員就職ができるのじゃなかろうか。企業もそういう明るさをもって採用しているのではなかろうか、私はこう思っているわけであります。
○宮田委員 ただいまお聞きいたしましたのは顕在的な失業者、こう思っておりますが、さっきも福田副総理がおっしゃいましたように、企業の操業率の低下によりまして、企業自体が相当に労働者を抱えておる。言うならば潜在失業者というもの、これを計算するのはなかなか容易なことではないと思いますが、この点について、大臣、どの程度潜在失業者がおるか、ひとつお考えがありましたら聞かせていただきます。
○遠藤政府委員 御承知のように、この二年間の不況に際しまして、各企業はそれぞれいろいろな形で雇用調整を行ってきております。まず労働時間の短縮、残業時間の規制というようなことから、中途採用、新規採用の手控え、さらに進んで一時休業というような形で雇用調整を行ってきております。昨年の一月一日から実施いたしました雇用調整給付金制度でこの一時休業を支えまして、できるだけ人員整理、解雇といった事態で失業者を出さないようにしてきたわけでございます。昨年の一月から十一月までの十一カ月間に、この雇用調整給付金制度によって一時休業助成の対象になりましたものが、延べ二千四百万人目に及んでおります。これによりまして、実員にしまして三十万人以上の失業者の発生を防止できたと実は考えておるわけでございますが、このように、実際には不景気の際には、各企業ともいわゆる操業率の低下、過剰設備といったようなことから、余剰人員を抱えておるわけでございます。どれぐらいが余剰人員として実際にあるのかということは、これはどういった基準で判断するのか、その時期にもよりますし、いろいろな数字がいろいろな方面で発表されております。たとえば、日経連では百三十万と言われております。関西経済同友会では二百万というような数字も出ておりますけれども、私どもが製造業の各業種別に試算をしてみますと、これはもちろん雇用労働者数と労働時間、この両方の面から考えなければならないわけでございますが、私どもの方の試算をいたしますと、昨年の夏の時点で大体六十万程度という数字が出ております。その後、景気も若干回復過程をたどっておりまして、昨年の暮れの時点では大体四十万程度というふうに考えております。 これは業種別に見ますと、製造業全体では大体三・三%ぐらいの余剰率という計算が出てきておりますが、御承知のように鉄鋼、一般機械、輸送機械、木材、窯業土石、こういった業種がまだ比較的雇用の面で雇用調整の対象になっておりまして、余剰人員が比較的多いと考えられますが、一つの例として申し上げますと、鉄鋼で大体九・八%、一般機械で七・二%、輸送用機械で六・八%、窯業土石で四・六%、木材、木製品で三・五%、これぐらいの余剰率が私どもの計算でははじかれておりまして、製造業全体で三・三%。そういたしますと、大体二次産業で四十万人程度。こういう数字が出てまいると思います。
○宮田委員 経済も相当に変化を余儀なくされたといいますか、あえて転換しなければならぬということなんでございますが、最近わが国独特の問題でございます終身雇用、年功序列、企業組合、この問題について、果たしてこれからの経済に対応するためにこれを踏襲することの方がよろしいか、ある程度こういう問題について再検討する必要があるんじゃないか、こういう論議が非常に盛んなようでございまして、これは下手をいたしますと、わが国の将来の動向に非常に大きな影響を及ぼすだけに、大臣のしっかりとしたかじ取りといいますか、こういうものが必要じゃないかと思っておりますが、その点何かお考えがありましたら聞かしていただきます。
○長谷川国務大臣 それぞれの国は、やはりそれぞれに似せていろいろな施策が行われると思います。私は、日本の場合には、終身雇用あるいは年功序列賃金制度、さらにはまた企業内労働組合、こういう中から日本の労働者が働く場所、さらに安定した雇用、さらにまた生産の拡充。でありますから、そのメリットというものをよその国も最近認めてまいりまして、そしてせんだってはOECDから政労使が大ぜい研究会に来ておる。日本の経営者の中にも、こういう不景気のときですから、やりきれないような気持ちで、とやかくいろいろなことが議論として出るものがありますけれども、基本的には終身雇用制度を守っていこう、こういう線でございますし、私もそれが将来の日本がさらに成長していくために大事な問題である、こういう気持ちで問題を見守りながら推進してまいりたい、こう思っております。
○宮田委員 次に、来春の卒業者の関係についてでございますが、卒業の前の年になりますと、企業の訪問あるいは試験の時期というものが非常に大きな問題になるわけでございますが、まず企業の訪問あるいは試験の時期を繰り上げるべきだという意見が、ことしの経過から大分出始めていると思っておるところでございます。一時の青田刈りとはさま変わりの就職戦線と思っておりますが、これは深刻な問題なだけに検討の要があるんじゃないかと思いますが、その点どうお考えになっておりますか。
○長谷川国務大臣 昨年の春闘のころには、経営者は、ことしの三月の就職は一人もないというふうな話をやりましたので、四年制大学を出て、二十過ぎた者を、労働省あたりがいままでわざわざ就職に関係したことは全然ありません。とにかく各大学の就職部が個人的にみんな採用さした時代でありますが、そんなことでは大変だと思いまして、昨年は試験の日にちを繰り上げたりいろいろな工作をしまして、そして十一月に入社試験をやったことでございますので、そんなことなどが、私立大学あるいは国立大学、さらには文部省あるいは商工会議所、いろんなところに連絡したことなどが、先ほど申し上げたように八〇数%という、あるいは四月にはほとんど就職できるんじゃないかという期待を持たれておりますので、来年度の問題につきましても、就職活動の開始時期を前の年よりも一カ月おくらせまして十一月一日、選考開始時期は前の年のとおりとして十一月一日というふうにして、その間、非常にありがたいことは、学生諸君はしっかり勉強しておる、こういうことがやはり日本の学生の私は適応性があるというふうに思っておりますので、なるべくそういういい機会を与えるように指導し、行政をやってまいりたい、こう思っております。
○宮田委員 文部大臣お見えになっておりますが、この問題について御見解ありましたら……。
○永井国務大臣 本年度の大学の卒業生の求人の時期、選考の時期につきましては、これは去年の春先から労働省とやはり連絡をしてやりまして、その結果、従来とは違って、大学に落ちついて勉強することもできるという利点が明らかになりました。また、それは他方において就職との関連においてもよろしいということでございますから、今後もやはり労働省とこの問題については話し合って進めていく考えでございますが、いま労働大臣が言われた原則というものをやはり文部省も妥当なものと考えているわけでございます。
○宮田委員 次に、中小企業金融について大蔵大臣に伺っておきたいと思います。 本予算委員会の冒頭でございましたか、わが党の塚本議員が金融機関の拘束預金問題を指摘しております。大蔵当局の前向きの御答弁をいただいたわけでございますが、借入先の調査計画、これはまずどうなっておりますか、お聞きします。
○大平国務大臣 できましたので、局長の方から説明させます。
○田辺政府委員 アンケートを出すことを考えておりまして、それは主として中小企業のみに限定しまして対象として出したらどうか。それから、目下のところそのアンケートの内容を審議いたしまして、立案をしておる。大体固まってまいりましたのですが、手続上、行政管理庁と協議を要しますので、目下その協議を開始している段階でございます。できますれば、月の半ばごろには出したい、こう思っております。
○宮田委員 昨年倒産をしました中小の機械メーカーの財務状況を数件調べてみたわけでございますが、一例を紹介いたしまして大蔵省の善処方を要望したいと思います。 その会社は、いわば無計画な経営拡大、安値受注が破綻のきっかけになったのでございますが、倒産時の各金融機関借り入れが約九億円あったのです。それぞれの銀行の定期預金を見ますと、合計四億七千万円もございました。都銀あるいは地銀、相互銀行等でございますが、商工中金では一億二千万円の借り入れに対しまして七千六百万円の預金残高があったわけでありまして、すべて拘束性のものではありませんが、政府系金融機関にしてはちょっと疑問の感がするわけでございます。 大臣、この数字から、金融機関に対する指導強化の必要があるのじゃないか、こう思っておりますが、もしそういう考えがございましたら、ひとつおっしゃっていただきたいと思います。
○田辺政府委員 具体的な案件でございますので、よくお話をお聞きしたいと思いますが、いまお聞きしたところでは、特に商工中金が政府系機関であるにもかかわらず、預金の量が相当多いのではないかというようなことでございますが、商中は、御案内のとおり会員及び間接会員からの預金の受け入れが可能でございますので、取引上通常預金を持っております。ただこの率としましては、いかなる事情がありましたか、やや高い。こう考えますので、一般的にも商工中金に対しましては、一般の民間金融機関と同様に拘束預金の問題を指導してまいりたいと思っております。
○宮田委員 その問題についてはよろしく御配慮のほどをまずお願いをしておきます。 また、今日の予算審議の状況からいきまして、暫定予算の編成は必至ということでございます。民間企業の立場あるいはまたそこに働いております労働組合の間には、一日も早く景気見通しといいますか、その確立のために、予算案の年度内成立を望む声が強いのでありまして、わずか二週間の暫定予算でございましても、政治経済の空白が与える影響は、今日このごろの諸情勢だけにはかり知れないものがあろう、こう思います。福田副総理は、過日の記者会見におきまして、暫定予算案を組む場合、公共事業費も必要じゃないかというような発言をされたように伺っておるわけでございますが、具体的にこの問題についてのお考えを聞かしていただきます。大蔵大臣にも、特にこういう考え方についても御所見をひとつ聞きたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 いま私は暫定予算というようなのは考えておらないのです。あくまでも予算案の年度内成立、まあ衆議院の方でも即刻促進願いたいが、同時に参議院の方だってあるわけですからね、参議院で大いに繰り上げ審議だ、こういうことになりますれば、まだ暫定予算を必要とするという断定をするそういう時期ではない、こういうふうに思います。先般の記者会見におきまして、それはよくわかりました、わかりましたが、万一暫定予算を組まなくてはならぬというようなことになったら公共事業費はどうする、こう言うものですから、私は景気のことも非常に心配しておりますので、まあ公共事業費についても考えなくてはならぬかなということを申し上げておきましたが、要は、もし万一暫定予算ということになりましても、その暫定予算の期間の問題だろうと思うのです。それもまだ予断は許さないことは当然のことでございます。暫定予算の期間が一体どういうふうなものになるか、そういうことで考えなくてはならぬ問題だ、こういうふうに考えます。
○宮田委員 大蔵大臣にお伺いします。 特に編成技術上いろいろ問題があるようでございますけれども、それを含めて御見解があれば聞かしてもらいます。
○大平国務大臣 不幸にいたしまして暫定予算が必要になるということになった場合、その必要な期間というものをはかりまして考えなければならぬことでございまして、ただいまどうしなければならぬというところまで、まだ私どもの考えは固まっておるわけではございません。もう少し時間――いまの段階で何ともまだ申し上げられないわけでございます。
○宮田委員 次に、減税の問題についてお伺いをいたします。 今度の予算の中で最大の眼目とされております景気刺激の柱、これは個人消費ということに置かれておるようでございます。しかし、個人消費はやはり個人個人が毎月得る給料あるいはまた生活費全体というものが前提になって初めて消費という問題に取り組むわけでございます。ところが、政府が幾ら計画を出されてそれを諸施策によって実行されようとも、いま当面問題になっております春闘、これだけは、政府がどのような政策を立てられましても、政府で決めるわけではないわけでありまして、多分に流動的な結果に終わるわけでございまして、もし、いま要求しております労働組合の要求が相当、極端に言いますと下回るということになりますと、個人消費という期待に反するようなことになる。結果として政府が持っておりますこの方針が全うできなくなるんじゃないか。こういうふうに思っておるわけでございまして、それを補う意味から、わが党がよく言っておりますように一兆円の減税等は当然にやるべきじゃないか。減税ということを実行されることは、確実に個人個人に収入としてはね返ってくるわけでございますので、その分は結構、消費意欲という方向になり得る可能性というものを十分に持つ、私はこう判断しておるわけであります。外国の例をまねるというわけじゃございませんけれども、アメリカあたりは日本円にして七兆ですか、西独あたりは一兆五千億ですか、減税をやって、相当に成果が期待できる、また成果が出ておるという、こういう情報でございまして、そういうことから、日本の輸出がだんだん活発になりつつあるということも副総理はおっしゃったわけでございますので、この際思い切ってこの一兆円減税ということに踏み切るということが、私は今日の政府の責任としてもやらなければならぬのではないかと思っておりますが、その面について大蔵大臣の御所見を聞きます。
○大平国務大臣 財政演説でも申し上げましたように、この段階におきまして財政はどういう役割りを果たさなければならぬかということにつきまして申し上げたつもりでございます。これは、物価の安定を一方において図りながら、そして国際収支のバランスを極力維持しながら景気の回復を図ってまいるということのために、われわれは財政としてなすべきことをしなければならぬという問題意識を持っております。ということを申し上げたわけでございます。そして、そういう基本的な考え方で、政府は増税をお願いしたいところだけれども、増税はお願いしない。一方、しかし減税も御遠慮いただく。そうして歳出につきましては、大いに削減をしなければならぬときでございますけれども、中央地方を通じまして必要な歳出は保証しよう、そのために七兆二千億を超える公債を発行するんだということでございまして、これは本会議並びに本委員会を通じて皆様から批判もいただきましたように、アメリカに比べても西独に比べても、公債依存率は飛び抜けて高いわけでございます。それほど大胆な公債政策を導入をいたしまして、この任務にたえようとしておるわけでございます。したがって、宮田さんはいま減税という問題を一つ取り上げていただいたわけでございますけれども、財政全体の姿勢が、景気の回復ということに焦点をしぼって予算も編成され、運営されておるんだということをまず御理解をいただきたいと思うのでございます。 それから第二に、本委員会を通じてたびたび御説明を申し上げますように、それじゃ、当面の景気の回復についての減税政策のメリットはどうかということでございますが、当面の政策的効果を景気回復に向けて期待するには、減税によるよりは公共投資による方がより直接的であり、より効果的であると政府は判断いたしておるということでございますので、これはたびたび政府から申し上げておるわけでございますけれども、念のために考え方を申し上げて御理解を得たいと思います。
○宮田委員 急ぎますが、前のエネルギー問題についてお問いいたします。 石油の輸入量は、四十八年度をピークに、四十九年度、五十年度と下降線をたどっているわけですが、五十年度の輸入見通し二億六千万キロリットルからいたしますと、五十一年度は、五%伸びたといたしましても、四十九年度とほぼ同じ水準になる。一方、原重油の備蓄も順調にふえておると聞いております。四十八年の石油ショックの際、国際的にあるいは国内的にも石油が経済成長の抑制因子として働くと指摘されているわけですが、価格の問題はさておきまして、量的な面からは抑制要因ではなくなったと思われるわけでございますが、この点、福田副総理、いかがでしょうか。――もう一度申し上げますが、石油ショック以来、石油が経済成長の抑制因子として働くという指摘が前にはされていたわけでありますが、今日では、価格の問題はさておきまして、量的な面からは抑制要因ではもうすでになくなったのじゃないか、そういう問題についてどう思っておられるかということです。
○福田(赳)国務大臣 その点は政府としても非常に精細に検討してみたのです。これからの長期にわたる石油政策をどういうふうにするか。そうしますと、やはり輸入依存の体制はかなり長く続く、しかしそれをだんだんと国産エネルギーというふうにしなければならぬというので原子力開発を進める、また水力につきましても開発する、また太陽エネルギーとかそういう新しいエネルギーの開発もする、そういうことを考えますが、まあ安定的に輸入し得る石油の量、それはやはり六%ないし七%の成長を支える、そういうことはできるであろうという結論なんです。でありますので、その程度の成長政策を考えるという場合におきましては、石油の供給がエネルギーといたしまして成長制約要因になる、こういうふうにはならないのです。しかし、それ以上の成長というようなことになりますると、石油の輸入、そういうものが成長制約要因になる、そういう見解に達しておるわけであります。
○宮田委員 エネルギー庁によりますと、五十年度末の備蓄は目標の七十日分を達成できるということでございます。五十一年度の五日分積み増し計画について、備蓄法に基づく各社からの計画は出ておるかどうか、お聞きします。――エネルギー庁長官、トイレか何かということでございますので、呼んでいただきますが、ちょうど文部大臣おいでになりますので、別な質問を先にさせていただきます。よろしいですか、委員長。
○荒舩委員長 いいです。
○宮田委員 先月、小学校と中学校の校内の事故をめぐる損害賠償事件の判決が大阪地裁で二件ございました。一部新聞紙上で報道されておりましたが、その判決の当否について文部省の見解を伺うということは慎みたいと思います。一つのケースは今後の学校管理に影響が大きいと思いますので、大臣にお伺いをいたします。 それは枚方市の交北小学校の事故ですが、判決によりますと、けんかなどで傷害事故が起こらないよう監督する義務があるとしております。この事故は、朝の登校時、校門付近で起きたことでございますが、判決に言うところの学校側の監督義務、これについてどう解釈しておられましょうか。また教師の目の届く範囲は、登下校時であっても教室内であれ、おのずと限度があると思うのでございますが、こういう点についてどういう解釈をおとりになっておりますか、お聞きします。
○永井国務大臣 学校におきましてあるいは下校時等におきまして、先生が御指摘のような事故が起きているということは非常に憂慮すべきことであると私どもは考えております。いまの枚方の例をお引きになりまして、やはり指導という問題が大事ではないかということでございますが、私どもといたしましては、小学校また中学校につきまして、安全指導の手引きというものを作成いたしまして、これは安全管理と安全指導というものを適切に進めるためのいわゆる手引きでございますが、それを指針といたしまして学校の教育に当たっていただくように考えているわけでございます。これは、そういう指導が平素行われますならば、学校の中はもちろんでございますが、学校と家庭との間を往復いたします間におきましても、児童生徒自身が次第に正しい判断を持ってくるようになるであろうということでございます。また学校の教科の場合には、体育とか保健体育というものを中心といたしまして、また特別教育活動というものがございますが、そういうところでも十分に指導を強化して、子供自身の安全といいますか、そうしたことに対するしっかりした心構えをつくり上げていくようにと、かように考えている次第でございます。
○宮田委員 校内での事故が年々増加していることについては、後ほど日本学校安全会、この最近の数字等をもって質問をいたしますが、今回の自治体敗訴の判決を今後の学校管理指導にどのように生かされるかということについて、ただいま通達等の関係でおっしゃいましたが、子供たちの世界では登下校や休み時間にけんかをするというのは通常しょっちゅうあることでございますので、やはりこういう問題についてはそれが事故に発展をしないような方法ということを、特にいまの通達また大臣おっしゃいました方法だけでなしに、よりこまめな御指導をお願いをしておきます。 次に、学校の管理下におきます児童生徒等の事故が増加の傾向にあるわけでございますが、日本学校安全会あるいは全国の市長会、町村会の学校管理者賠償責任保険制度等から見たここ数年の実態を、担当の局長おられましたらひとつお伺いしたいと思います。
○安養寺政府委員 お答えいたします。 現在学校におきまして不幸にして事故が起きました後の補てん策といたしまして、特殊法人で日本学校安全会というものがございます。ここでは死亡、廃疾その他療養を要する経費につきまして、共済制度による給付をいたしておるわけでございます。これに該当する案件は、いまお話しのとおりでございまして、年々ふえてまいっております。四十九年度の確かなる数字によりますと、保育所等も入るわけでございますけれども、八十五万件余というような件数になっています。これは前年度から給付等が持ち越しをしておるというような件数も加算されておるわけでございますけれども、さようなことになっております。 いまお話しの市長会なり町村会が実施いたしております保険制度は、これは共済制度ではございませんで、本来設置者がその責めに帰すべき事故に対して損害を賠償する、その賠償の制度を市あるいは町村が寄り合いをいたしまして、保険契約というような形で補てんをして、不幸にして事故のありました結果につきまして速やかに円滑に補てんをしようというような趣旨に出た数字でございますが、何せこれは昨年度、町村会が五十年四月から、市長会が五十年十月から発足したばかりでございまして、まだ該当件数がどの程度になるか、実は詳細を知らない事情でございます。
○宮田委員 いまお聞きいたしましたように増加の傾向にあるわけでございますが、死亡者も相当あるわけでございまして、数字は一番文部省の方で掌握されておると思いますが、死因を調べてみましたところ、死因の上位は心臓性疾患、頭部外傷、溺死、頸椎損傷等でございますが、中でも心臓性疾患がずば抜けて多い。昨年四月から学校保健法の施行規則に心臓検査、この項目を入れておりますが、その結果と事故の関連づけができるようなデータがもしありましたらひとつ出してほしい。きょうその説明ができかねるならば後ほどで結構でございますので、ひとつ送付をしていただきたい。
○安養寺政府委員 小中学校の生徒の定期身体検査の規定がございまして、毎年実施をいたしております。その実施の項目の中に、四十九年度から新しく心臓欠陥の検査をするということにいたしたわけでございます。自来いろいろと各学校ごとにそういうデータをチェックしておるわけでございますが、いまお話しのございました安全会給付の対象になりました最近のデータで申し上げますと、死亡の原因のうち約三分の一強というのが心臓疾患によるものということになっておるわけでございます。
○宮田委員 もう一つは安全会の給付対象になります負傷、疾病が非常に増加しておるわけでございまして、この負傷のうち、小中高校生とも骨折あるいは捻挫が全体の約五割を占めております。専門家に言わせますと、戦後っ子のひ弱さがこの数字に端的にあらわれているというのでございますが、日ごろ知、体、徳育を強調される永井文部大臣、これをどう受け取られておるか、その点をお聞きします。
○永井国務大臣 これはいろいろな研究がございますが、体位の向上につきましては戦前から戦後にかけまして全国的なデータというものがあるわけですが、これに対しまして体力、たとえば背筋力であるとか握力であるとか、そうしたものにつきましては全国的なデータではなくて、サンプル的なものがございます。そういうものをデータにした、たとえば東大の江橋教授の論文というようなものがありますが、それによりますと、やはり体位は向上しましたけれども、現在の比較的少ないデータをもとにして推定をいたしましても、やはり体力は伸びてきていないというふうに考えるほかないと思っております。そのことが、やはり子供が運動したりするときにけがをするというようなことも恐らくは関連していると考えられます。文部省では、明年は体力を増強いたしますための指定校を百八十八設けまして、そういうところを中心に体力を強化してまいりたい。そのほかに、クラブ活動あるいは校外の活動におきましても、体力、スポーツというものの強化を考えまして、そうした方々に、つまりスポーツ関係の方々にやはり視学委員になっていただくというふうなこともあわせて行ってきているわけでございます。そうした方向で、体位ということだけではなく、体力増強ということがおのずから気力の増強ということにも関係があり、そうしたことが将来、次第に負傷その他を防ぐ一つの地盤になっていくことを期待しているわけでございます。
○宮田委員 数年間の趨勢から見まして、安全会の給付は財政上どうなんでしょうか。掛金アップ等を考えておいでになるかどうか、お聞きします。
○永井国務大臣 安全会につきましては、先ほど体育局長申し上げましたように、これは共済給付でございます。ただ、運営などに要する経費につきましては国庫補助金を充てておりまして、昭和五十一年度予算では十億六千万円を計上しております。ただ、共済給付に要する経費というのは、保護者負担による共済掛金を充てておりまして、昭和五十一年度の推計額は五十一億四千万円でございます。 なお、こういういままでの経緯に照らして将来どう考えるかという御質問でございますが、やはり医療支給額の増というものも考慮すべき問題でございましょうから、掛金改定の必要というものについても検討いたしていかなければならないと考えております。
○宮田委員 先ほどの裁判に関する質問と関連しますが、この安全会の加入率がほぼ一〇〇%に達していると思います。全国の市町村が共済制度を完備をし、さらにスポーツ安全協会損害保険が普及することは結構なことでございます。しかし、不幸にも事故が起きた場合の補償制度が確立されることによりまして、学校管理者、中でも現場の教師の現場での監督指導が、今日の労働組合と文部省との不正常な関係を背景におざなりになるようなことがあっては、子供のことですから大変だと思っております。これからの文部行政の中で事人命にかかわる重要なポイントでございますので、これで最後でございますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
○永井国務大臣 教員組合との関係について、文部省との間に問題を生じていることがあることは御指摘のとおりでございますが、他方、私は個々の先生方は、やはり教育ということに御熱心な方が圧倒的であるという認識を持っております。したがいまして、そういう先生方がやはり子供のけがというふうなことに無関心でおられるはずはないと思いますが、しかし、なおその上にも文部省といたしまして先生方に御努力をお願いしたいという意味合いから、先ほども申し上げましたような安全のための指導の手引きというようなものをつくりまして、先生方にそれを一つの指針として、やはり現場において子供の安全を確保していくような、こういう指導をしていただくように期待をいたしている次第でございます。
○宮田委員 小沢先生の関連がございますので、私ひとまず終わります。
○荒舩委員長 小沢貞孝君。
○小沢(貞)委員 私は、わが党春日委員長が本会議の代表質問において取り上げた資料要求の問題があるわけであります。 それは、リンチ共産党事件について質問した後で、四点ないし五点の資料を要求をいたしました。法務大臣は、国会から正規の要求があればできるだけ御努力をいたしたい、こういう御答弁のようでありました。その後、本会議のことですから議院運営委員会で相談をしたんだが、すでに予算委員会で正規に要求してあるのでと、こういうことで本会議においては取り上げない、こういうことにしたわけであります。 そこで、きょうはそのことだけについてお尋ねをいたしたいと思います。四点、五点の資料だったと思いますが、まず第一に、宮本顕治氏に対する裁判所の判決原本を資料として御提示をいただきたい、こういうのが第一項目であったと思います。これは出せるか、準備ができておるか、どういう状況であるか、まずそれからお尋ねをしたいと思います。
○稻葉国務大臣 この点は正確に、ここへ速記録を持っておりますから、それに基づいて御答弁申し上げたいと思います。 春日さんの本会議における私に対する資料提供の要求は、「宮本顕治氏に対する裁判所の判決原本及び同氏が網走刑務所において刑の執行停止を受けることになった医師の診断証明書、並びに同氏に交付された公民権回復に関する文書等の写し、その他本件に関連を有する連合軍司令部より発行せられた関係文書等を、一括して国政調査用資料として本国会に提出を願いたい。」、こういうことでありましたから、私はこれに対して、「第三に、文書の提出についてでありますが、宮本氏に対する判決の原本は現存していますので、もし国会からの正式の御要求があれば、質問者の御要望になりました文書等につきましても、可能な限り提出することを考慮いたします。」。一貫しているわけでございまして、いまの御質問に対しても、判決の原本はございますから、提出の用意はございます。
○小沢(貞)委員 それでは、その資料要求の中の第二に要求してあります宮本顕治氏が網走刑務所において刑の執行停止を受けることになった医師の診断証明書は提示できるか、第二の点についてお尋ねをしたいと思います。
○稻葉国務大臣 正確には刑事局長から答弁させますが、概略言いますと、資格回復証明書は、当時東京地方検察庁……
○小沢(貞)委員 答弁が違う。第二の医師の診断証明書。
○稻葉国務大臣 いま御要望になりました医師の診断書につきましては、個人の秘密にかかわる事項をも含むものであり、その取り扱いには慎重であるべきものと思料され、御要望のことについてはさらに検討をいたしたいと考えております。
○小沢(貞)委員 時間があれば後でまたこの点についてもお尋ねをいたしたいと思いますが、第三には、同氏に交付された公民権回復に関する文書の写し、これは御提示願えますか。
○稻葉国務大臣 お答えいたします。 資格回復証明書は、当時東京地方検察庁検事正より宮本氏に対し交付された模様であるが、同庁にはその控えは現存しないと聞いております。宮本氏がお持ちになっているかどうかも私にはわかりません。
○小沢(貞)委員 これも時間があれば後でお尋ねをします。 第四番目の最後の要求は、その他本件に関連を有する連合軍司令部より発行せられた関係文書等を一括出せるか、これはいかがでしょう。
○稻葉国務大臣 等となって数が複数でございまして、いろいろあるようですから、これは専門的な刑事局長から答弁させます。
○安原政府委員 御要求のお申し出のありました第四番目の文書は、その他本件に関連を有する連合軍司令部より発行せられた関係文書ということでございまして、いわゆるメモランダムといたしまして、政治犯の釈放に関する覚書、それから大赦に関する覚書、それから政治犯の資格回復に関するメモランダム、三つがございますので、これは提出の用意がございます。
○小沢(貞)委員 それに関連する文書として、勅令五百七十九号、五百八十号、五百八十一号、七百三十号、七百三十一号、こういうものも一括出せますか。
○安原政府委員 一括提出する用意がございます。
○小沢(貞)委員 これはもうずいぶん早くから要請したものであります。少なくとも本院予算委員会が、伝え聞くところによると十二日ごろもう分科会が終わり、こういうことでありますので、十一日か十二日、分科会が終わるころまでには準備が整って出せるか、その辺をもう一回お尋ねをしたいと思います。
○稻葉国務大臣 お答えいたします。 提出できます。
○小沢(貞)委員 それでは、それまでに出すように強く要請をしておきたいと思います。 ところが、先ほどに戻りますが、肝心な網走刑務所において刑の執行停止を受けることになった医師の診断証明書は、これは非常に大切なものであります。個人の秘密に属するから慎重に扱わなければならない、私もそうだと思います。しかし、本件問題について、非常に大切なところでありますので、慎重御検討の上、これもまた出せるなら出すように、これは強く要望をしておきます。 それから、これまた非常に大切なところがないわけであります。公民権回復に関する文書は、いま法務大臣の答弁によると、東京地方検察庁の検事正より出した模様。まことに微妙な答弁であります。これは非常に大切なところですから、また戦後の混乱のときですから、すぐは写しがあるとか控えがあるとか、法令、勅令に基づいたとかそういうことがなかなか調べることは困難のようには聞いておりますが、いまの答弁は模様と、こういうことで、大変これは重要なところでありますので、さらに追及、調査をいただくように、そしてできましたらその写し、関係法令、こういうものを一括出すように、これは強く要望をしておきたいと思います。 次に、これは私、議事録でちょっと拝見したわけですが、一月三十日の塚本三郎の質問のときに、宮本顕治氏に対する治安維持法違反、殺人、同未遂等被告事件予審終結決定が、原本または写しがあったか。あったならば資料として提出してほしい。これは正規に委員会には要求をしてないようでありますが、そのときの答弁は、調査してみてあればというような局長か何かの答弁であったようであります。ところが、その後本委員会でたしか青柳委員だと思いましたけれども、小畑氏の自由を拘束してリンチを行った疑いについて、針金で縛ったり云々という表現が行われたことについて、稻葉法務大臣は、判決のどこにそのようなことがあったか、よくは記憶がないみたいなあいまいなような答弁であったような気がするわけであります。確かにそうであったと思います。これは実は宮本被告に対する予審終結決定のなかに明確にうたわれておると思います。したがって、ああいうようなあいまいなことではなくて、予審終結決定、これも資料として要求したいと私は思います。出せますか。
○安原政府委員 東京地方検察庁からの報告によりますと、御指摘の宮本氏に対する予審終結決定の原本は存在しないとのことでございます。
○小沢(貞)委員 原本が存在しなければ、その写しか何か法務省にあるかどうか、再度……。
○安原政府委員 原本も存在せず、したがってというか、写しもございません。
○小沢(貞)委員 これは大変重要なことであります。これはひとつ法務省において至急捜していただくように特段の努力をお願いをしておきたいと思いますし、なお探して、あったならば、これは委員長にお願いをして、正式に資料として御提示願うように私の方から委員長に要請をして、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
○荒舩委員長 これにて宮田君、小沢君の質疑は終了いたしました。 次に諫山博君。
○諫山委員 今度の国会で民社党の議員から提起された共産党のスパイ調査問題に対して、国会がどう対処するかというのは、まさに憲法で保障された基本的人権にかかわる問題であり、憲法の大原則である三権分立のあり方が問われる問題であります。私は議会制民主主義を守る、憲法で保障された三権分立、基本的人権を守らなければならないという立場からこの問題に関して若干の質問をいたします。 この問題が衆議院の本会議で提起されたときに、法務大臣も刑事局長も、過去の刑事裁判の判決の当否について意見を述べる立場にはありません、こう答えています。他のところで三木総理も同じ答弁をしています。そこで法務省の刑事局長にお答え願いたいのですが、これは当然三権分立、基本的人権の保障を決めた憲法の立場から出てきた結論だと思うのですが、この点について刑事局長の答弁を求めます。
○安原政府委員 お尋ねの点でございますが、三権分立ということは憲法の基本的なたてまえでございますので、仮に立法府において判決の是非を、当否を論ずるというようなことがあるとすれば、これは全く理論的の話でございますが、それはやはり国政調査としては範囲外ではないかと私は考えております。
○諫山委員 重ねて質問しますが、過去の刑事裁判の判決の当否について意見を述べることは憲法違反になるからしないのだ、こういう立場からの説明だと聞いていいですか。
○安原政府委員 私の申し上げましたのは、立法府の持たれる国政調査権の作用として司法裁判所のなした判決の当否を審議するということは、その範囲外ではないかということを申し上げたわけでございます。
○諫山委員 刑事局長、もう少し質問しますから、近くにおってください。
○荒舩委員長 近くにいてください。
○諫山委員 言葉を変えますと、判決の当否を論ずることは憲法違反になる、こういう立場になるのでしょう。
○安原政府委員 憲法の基本構造に三権分立ということがありますから、ひっきょうするにそういうことになると思います。
○諫山委員 稻葉法務大臣も判決の当否を述べる立場にはないと言われておりますが、やはりいま刑事局長が説明されたと同じ憲法の立場からでしょうか。
○稻葉国務大臣 国会が国政調査権に基づいて確定判決の当否についていろいろ論議するということはどうかと思うし、また行政機関が裁判所の下した確定判決についてその内容に立ち至って当否を論ずることはいけない。それは結局三権分立の憲法の精神に反するのではないか、こういうふうに考えるわけです。
○諫山委員 判決の当否を述べることができないというのは、判決が間違っているという意見を述べることもできないし、判決が正しいという意見を述べることもできない、いずれにしても判決の内容、判決の是非を議論してはいけないという趣旨の答弁だと聞いていいですか、法務大臣。
○稻葉国務大臣 それは違うんですね、私の考えは。というのは、確定判決があった以上は行政機関はこれに従うべきものだ、したがって判決内容に述べてある事実も、覆されない限りは事実として容認せざるを得ないのではないか、とこういうことです。
○諫山委員 同じ問題を刑事局長にもう一遍質問します。 国会で判決の当否を論じてはならない、これは三権分立の立場に反するということは憲法を守ろうとする人から見れば当然のことです。そうすると、判決と被告の言い分、判決と判決の外でのさまざまな言論が食い違っている、こういう場合に、あれは判決が間違っているんだとか、この事件では判決の方が正しかったんだとか、そういうことを立法機関や行政機関が述べる立場にはないという意味で当否を論じないというふうに理解するのですが、違いますか。
○安原政府委員 私の申し上げたいことは、国政調査の作用として司法裁判所の判決の是非を、そのことを審議の対象とすることは国政調査権の範囲外ではないかということを述べたにとどまるわけでありまして、意見を述べることそのことが直ちに憲法違反というほどには考えておらないわけであります。
○諫山委員 刑事裁判における事実認定というのは、一つ一つの証拠を厳格な証拠法に基づいて分析する、そして証拠法に基づいて一定の事実があったかなかったかを導き出す。当然こういう措置が必要なわけです。その中で、政治的な多数というようなことが事実認定に影響を及ぼしてはならない、これはもう当然のことです。だからこそ憲法第七十六条というのは、司法権は裁判所に属するということを明言しているわけです。国政調査権で判決の当否を論じてはいけないというのは、実質的にはこういう背景があるのだと思われますが、刑事局長、見解どうですか。
○安原政府委員 なかなかむずかしいお尋ねでございますが、要するに三権が分立している以上、司法権の作用として判決をし、それが確定している以上はそれを尊重すべきであって、それ以外の権限を持つ者が、その是非を調査の対象として調査するというような権限を持たないということを繰り返し述べておる次第でございます。
○諫山委員 国会で過去の事件の判決の当否を論じてはいけない、この点では法務省の見解は非常にはっきりしたわけです。もし国政調査権の名のもとに、たとえばかつて第一審で有罪判決を受けたことのある田中角榮氏あるいは西尾末廣氏、こういう人たちの場合、一審の有罪判決が正しかったのか、最終的な無罪判決が正しかったのか、こういうことを国会で論議するというようなことはやはり大変問題になるわけです。同時に、どちらの判決が正しかったのか、本当は汚職があったのではなかったか、こういう立場でたとえば田中角榮氏の一審判決を国会に出してもらいたい、あるいは西尾末廣氏の有罪判決を国会に出してもらいたいというようなことになれば、国政調査権の名のもとに国会が裁判所の再審、覆審の役割りを果たすようになる、裁判所の代行を国会がするというようなことにならざるを得ないわけですが、こういうやり方というのは三権分立に反するし、また二重の処罰を受けないという憲法にも違反するし、さまざまな基本的人権を保障した憲法条項からも許されない。いずれにしても、こういうことは国会で論議すべき事柄ではないと考えるのですが、刑事局長、いかがですか。
○安原政府委員 先ほど来たびたび申し上げておりますように、司法裁判所の判決が正しかったかどうかということ、そのことを目的として調査することは国政調査権の範囲外だということでございまして、もしそういうことをお尋ねでございましたならば、そういうことでございます。
○諫山委員 判決を国会に出してもらいたいという理由づけとして、衆議院の本会議では春日一幸議員から次のようなことが言われています。「あの判決は真実に即した正当なものであるのか、それとも」「でたらめな判決であったものか、」「事実関係を、改めて国民の前に明らかにする必要がある」、そういう立場から判決を国会に出してもらいたいという説明がされております。つまりこれは判決の認定が正しいのか、これを否定した被告の言い分が正しいのか、これを国会で決着をつけようではないか、事実関係を国民の前に明らかにしようではないか、そのために判決を国会に出してもらいたいという問題提起がされているのですが、このような目的で国会に判決を出すということは、いままで説明された判決の当否を論ずべきではないという法務省のたてまえから見てどうでしょうか。
○安原政府委員 いま諫山委員のおっしゃった御指摘の事柄が、直ちに、先ほど来たびたび申し上げております国会において判決の当否を審議しようじゃないかという、国政調査をやろうではないかという御趣旨とは、必ずしも私は受け取っていないわけでございます。
○諫山委員 もう一回正確に引用して読みますよ。「あの判決は真実に即した正当なものであるのか、それとも」「でたらめな判決であったものか、」、これを明らかにするために判決を出してもらいたいというのです。これは判決の当否を論ずる立場ではありませんか。刑事局長説明してください。
○安原政府委員 そういう見方をされる立場もございましょうが、私の理解するところでは、そういう判決があったのかどうかということを明らかにしようじゃないかという御趣旨の発言のようにもとれますので、一見明白に判決の是非を論じ審議しようということとは私は受け取れないということを申し上げておる次第でございます。
○諫山委員 法務大臣に質問します。 「あの判決は真実に即した正当なものであるのか、それとも」「でたらめな判決であったものか、」、こういう立場で判決の提出を求められているわけですが、あなたは判決の当否がここで求められていると理解しているのか。そうでないとすれば何のために判決が必要だ、何のために判決を出せと要求されたと理解しておりますか。
○稻葉国務大臣 あの民社党委員長春日氏の質問をずっと聞いておりまして、あれだけでいまあなたのおっしゃったような目的であるかそうでないのか、正確にはもう少し正確に本人に聞かなければわかりませんわな。しかしながら、あの質問の流れる空気はいま刑事局長が言うたように、判決が正しかったか、不正であったか、でっち上げであったかということを中心として、国会が審議するために必要だから出せというふうには受け取っておりません。
○諫山委員 それなら、何のために国会に判決が必要だとあなたは理解していますか。これは提出を求められた法務大臣として見解を述べてください。
○稻葉国務大臣 そういうことについて正確な答弁をするには、本人の意思がどこにあるかということでなければいかぬわな。ただ国会のそういう場所で求められましたから、あなたの個人の要望で出すわけにはいきません。正式な国会の御要望があれば、国会法に基づく義務がありますから提出の用意がありますと、こう答えただけにすぎません。
○諫山委員 国会は言論の府ですから、春日氏がどういう意図を腹の中に持っていたかというようなことを問題にするのではなくして、言論としてあらわれた言葉に何が意味されておったのか、会議録にどう書かれているのか、これで判断するのが常識じゃありませんか。腹の中で何を考えていたか、本人に聞かなければわからないというのは、まさにこれは国会の言論を無視した言い方です。 そこで、刑事局長にもう一遍聞きます。結局、何のために必要かわからないけれども、求められたから出すというのか。それとも法務省としては十分出さなければならないような合理的な根拠があるから出すというのか。そこはどうなんですか。
○安原政府委員 私どもは先ほど来申し上げておりますように、この確定判決を出すという趣旨は、私どもの理解では、宮本顕治氏についてかくかくの確定判決があったという事実、その判決の内容、判決でどういう認定がなされておるかという事実、それからあの判決には末尾に同氏が資格を回復されたということが記載されてある事実、そのことを立証するための資料として御要求があるものとして提出する用意があるということを申し上げておるわけでございまして、是非を論ぜられるために出すものとは思っておりません。
○諫山委員 法務大臣の答弁、それから刑事局長の答弁は、二重、三重の意味で憲法違反であり、きわめて不当だと私は考えます。判決の当否を論ずるのではないと言っているけれども、質問にはまさに判決を論ずる立場から問題が提起されておるわけです。それから判決があったという事実と言いますけれども、勅令七百三十号ですでに刑の言い渡しはなかったものとみなすということが明記されている。もうこれは存在しない判決です。この存在しない判決を国会に出してくる、まさにこれは憲法前文で排除が明言された、戦前の治安維持法を現在の時代に呼び返そうとするというような、きわめて危険な反動的な意図に基づくものというふうにしか考えられません。 そこで、さっきの法務大臣の説明の中で、正式な要求があれば国会法で義務づけられるからという説明があったのですが、これは国会法百四条に基づく提出要求がなされたら提出しますという意味に理解していいでしょうか。
○安原政府委員 国会法並びにその規則を見ますると、法文上は議長から要求があるというようなことになっていたと思いまするが、ただそれは法律上のことでございまして、慣習法的な要求の仕方もあるんじゃないかと思っておりまするが、要は、私ども行政機関が判断いたす問題ではなくて、むしろ委員長がこれは正式な要求だという御判断のもとに行政府にその意思を御通知なされば、私どもとしてはそれは正式な要求だと考えざるを得ないというふうに思っておりまして、いわば判断権は国会自体にあるのではないかというふうに僭越ながら考えております。
○諫山委員 法務大臣に質問します。 あなたは正式な要求があればという説明をされたわけですが、国会法第百四条、「報告・記録の提出要求」には「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、」云々という規定があるわけですね。これが公式の、正式の国会からの資料提出の要求になるわけですが、こういう公式の、正式の要求がなされた場合には提出を検討するという趣旨に聞いていいでしょうか。
○稻葉国務大臣 衆議院、参議院の議決に基づいて議長から御要望があれば、これはまた明確な正式の御要望であり、御要求であります。それから予算委員会とか法務委員会とか、そういう委員会の議決に基づいて要求があれば、これは正式な要求でしょうし、そのほか従来どういうふうに国会の慣例がありますか。委員長を通じて委員部から行政府にこういう資料を出せという場合もありましょう。それらが正式な要求であるかどうかは、国会が御判断になることでございます。
○諫山委員 判決を国会に提出する、これをいとも簡単に法務省筋では議論しているように思うのですが、どういう名目をつけようとも、司法機関が下した結論、この内容が、いろいろ弁解はされていますが、正しかったか正しくなかったかというような角度から国会に要求される。そうなりますと、さっき私が言いましたように、田中角榮氏の一審判決を出してもらいたい、西尾末廣氏の一審判決を出してもらいたい、議論はここまで当然発展します。さらに予審終結決定ということまで言われておりますが、そうなりますと、そんなら田中角榮氏の起訴状を出してもらいたい、冒頭陳述を出してもらいたい、有罪を論告した論告書を出してもらいたい、当然同じような議論から事態はここまで発展するわけです。そういう場合でも法務大臣はやはりいまと同じような答弁をされますか。
○稻葉国務大臣 国会の正式な要求があれば義務づけられると思いますね。 ただしかし、いま仰せられたようなことは、まだ何も要求も何もなくて、仮定のことを急にふわふわと言っていることですから、そんなことに確答できるわけはありませんな。
○諫山委員 やはりこの問題を考える場合、まず大前提に置かなければならないのは、新しい憲法に基づいて戦前の暗黒体制というのはすべて否定されてしまった。憲法前文の中にもそのことが明記されている。そしていま提出を求められている判決その他の資料というのは、戦後の新憲法のもとでの判決、裁判記録とは違って、戦前の治安維持法が中心になった裁判の記録だ、このことを法務省としては憲法の大原則にかかわる問題として慎重に検討しなければならないということを私は強調しておきます。 そこで、次に診断書とか公民権回復に関する資料の提出要求も出されているわけですが、これに関連して二、三の質問をします。 戦後の民主化措置の中で約三千名の政治犯が釈放された。この中には治安維持法だけで処罰されるのではなくして、治安維持法とその他の刑法犯で処罰された人が相当いた。これはもう明らかな事実です。そしてこういう人たち、つまり、治安維持法違反と他の刑法犯の両方で処罰をされて、終戦当時まだ刑期が未了だった、こういう人たちについてどういう処理がされたか、個別的に聞きたいんですが、まず政治犯として全員釈放されましたか。刑事局長説明してください。
○安原政府委員 詳細の資料を持ち合わせておりませんが、治安維持法違反の罪のみの方が釈放されたことは事実でございますが、刑法犯を伴う者でも特別の外患罪等に当たる者につきましては、刑法が伴いましても釈放されたと記憶いたしております。
○諫山委員 この問題の最後に、判決を国会に提出するかどうか、これが国政調査権との関係でいろいろ論議されました。しかし、これは問題は判決だけではないわけです。たとえば刑の執行停止がどうだこうだとか、あるいは資格に関する資料がどうというような問題もあるわけですが、とにかく治安維持法が中心になって処罰された人、そして戦後の民主化措置によって、治安維持法自体が民主主義と相入れないものとしてもう撤廃されている。判決自体も将来に向かって言い渡しがなかったものとされる、こういう特別な取り扱いがされている事件。これを何かことさら判決を国会に提出してくるというようなやり方が、いわば憲法の大原則に背くものだ。二重の処罰を禁止したり、あるいは基本的人権を保障する、そういう問題に根本に触れるものだという点の検討をぜひ私は法務省に要望したいと思います。安原刑事局長、この点どう考えておられますか。
○安原政府委員 先ほど申し上げましたように、確定判決を出すという趣旨はそういう確定判決があったという事実の資料として御要求があるものと私どもは理解しておるわけでございまして、それを越えて、先ほどのように国政調査権の範囲外のことをやることを目的とするものであるかどうかは、むしろ私ども判断いたしません。国会自体で、委員会自体でそれを調査の目的は何であるかということを御判断いただくことの方が幸いであるというふうに思っております。
○諫山委員 いま治安維持法が問題になっているわけですが、憲法の前文、読み上げますと、日本国憲法に「反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」ということが明記されております。治安維持法というのはこの憲法ですでに排除されている死んだ法律だ、この点は法務省お認めですか。
○安原政府委員 御指摘のとおりでございます。
○諫山委員 そうすると、憲法と相入れない法律として撤廃された治安維持法、この判決をいまの新憲法の国会の中に持ち出すというようなことの矛盾というのが当然検討されなければならないはずなんですが、この点は法務省としては本格的に検討しておりますか。
○安原政府委員 先ほどお願いいたしましたように、そういうことを国政調査権の範囲内で論ずることあるいは範囲内かどうかというようなこと、それが適当かどうかということは、どうか国会自体で御判断いただきたい、私に判断を求められても、これは非常にむずかしいことでございます。
○諫山委員 治安維持法以外の刑法犯でも処罰されたという人のことを少し聞きましたが、何名ぐらいおられたのか、数字はわかっていますか。
○安原政府委員 相当の数おられたと思いまするが、いま手元に詳細な資料がございませんので詳細は申し上げかねます。
○諫山委員 共産党の宮本顕治氏はその中の一人だったわけですが、宮本顕治氏についてのみ執行停止とか復権とか刑の消滅というのが特別に処理されたのか。それとも同じような立場の人は戦後の民主化措置の中で同様に処理されていったのか。どちらでしょうか。
○安原政府委員 いわゆる政治犯の釈放に関しましては、刑の執行中の方々は全部刑の執行停止という刑事訴訟法の手続で釈放になっておるわけでございまして、宮本氏だけではございません。
○諫山委員 そうすると、何か宮本氏だけに特別なことがなされたような週刊誌なんかの論述もなされるし、奇妙きてれつというような言葉も使われるわけですが、これは同じような立場にあった政治犯についてはすべて同じような取り扱いがされているはずだ、宮本氏だけ特別な取り扱いがされているのではないというふうに聞いていいですか。
○安原政府委員 少なくともいままでの調査の結果判明いたしておりますことは、政治犯として釈放する範囲に、宮本氏のように傷害致死、監禁という刑法犯の罪名を伴うものは、通達の対象では釈放すべきものではなかったというふうに思われます。
○諫山委員 私が聞いているのは、治安維持法とその他の刑法犯で処罰されている人、この人については同じような処理がされているのか、それとも人によって違った取り扱いをしたのかということです。
○安原政府委員 当時、いわゆる政治犯として司法省の通達に基づいて釈放すべきであった者の中には治安維持法のほかに刑法犯を伴うものもございましたが、その刑法犯は限定をされておりまして、外患の罪等でございまして、いわゆる監禁致死とか傷害致死のような刑法犯を伴うものは釈放する対象に、少なくとも司法省の通達ではなっていなかったということを申し上げておるわけでございます。
○諫山委員 私が聞いているのは、治安維持法違反とその他の刑法犯で処罰された政治犯はたくさんおられた、この人たちで復権していない人がいますか。あるいは政治犯として釈放されなかった人がいますか。
○安原政府委員 先ほどの通達がありましたように、釈放されなかった人がおるわけでございますし、復権されなかった人もおるわけでございます。
○諫山委員 それはだれか、特定できますか。
○安原政府委員 どうか機会を改めてお尋ねをいただきたいのでございまして、本日そのようなことを予測もしておりませんでしたし、正確な資料を持ち合わせませんので、機会を改めてお尋ね願います。
○諫山委員 私は正確に知りたいわけですが、治安維持法で処罰された人はメモランダムに基づいて釈放されましたね。その中で他の罪名のくっついている人がたくさんいたわけです。その人たちのそれを聞いているわけです。その人たちで戦後の民主化措置の中で政治犯として釈放されなかった人が本当にいるのですか。いるのだとすれば、名前を教えてください。
○安原政府委員 氏名までは覚えておりませんけれども、治安維持法のほかに経済犯とか外患等の罪を除く刑法犯の伴ったものについては、釈放されなかった者があるのでございます。
○諫山委員 戦後の民主化措置というのが、根源はポツダム宣言にある、これは異論はありませんね。ポツダム宣言に基づいてさまざまなメモランダムが発せられ、それが国内法としてずっと適用されてきた。この中で政治犯として釈放された人たちについては、どういう処理をしなければならないということがメモランダムの中で明記されて、そして復権し、刑も消滅し、そして現在は当然復権されたものとして取り扱いを受けているということになっているはずなんですが、何か宮本氏がほかの人と違った取り扱いをされた点があったのであれば、もう一遍その点説明してもらいたいのですが……。
○安原政府委員 メモランダムは二つ出ておりまして、十月四日のメモランダムで指令されたことは、いわゆる政治犯を釈放しろということでございます。それからもう一つのメモランダムは、その間に出ました大赦令、復権令によって資格を回復しない者についての公民権回復を命ずる指令でございます。 なお、宮本さんにつきましては、先般の当委員会でもお答え申し上げましたように、そういう大赦令あるいはポツ勅であります「資格回復二関スル件」という勅令でも、宮本さんの罪名では資格が回復していないのでございますが、文義上は当たらないのでございますが、東京地方検察庁に保管しております確定判決の末尾に書いてありまして、皆様御案内のとおり、宮本氏は、先ほどの「資格回復二関スル件」というポツダム勅令の第一条の資格回復者として取り扱うという措置がなされておるのでございまして、文義上は当然には当たらないけれども、そういう取り扱いがなされておるということも事実でございます。
○諫山委員 そういう取り扱いがされた人が何名おるのか。これは説明できますか。
○安原政府委員 私の記憶では、宮本さんと袴田さんでございます。
○諫山委員 私は何名かの名前を挙げて法務省に調査を要求しました。たとえば和歌山刑務所から治安維持法と他の罪名で処罰を受けながら釈放された人、仙台の刑務所から釈放された人、こういう人たちについても調査を求めたわけですが、これは調査できましたか。
○安原政府委員 何分昔のことでございますので、目下調査中でございます。
○諫山委員 調査中だそうですから、次の問題に移ります。 現在たくさんの職場で共産党員あるいは民青同盟員あるいは活発な組合活動家ということを理由にさまざまな差別が行われております。こういう差別というのは労働基準法第三条から見て許されない。組合法第七条から見ても許されない。こういうことが起こらないように労働省としては十分調査し、指導しなければならないと考えていますが、いかがでしょう。
○長谷川国務大臣 おっしゃるように、一般的にそういうつもりで指導しております。
○諫山委員 実際は実にたくさんの職場で思想差別、信条差別が行われているわけです。二、三の例を挙げますと、中部電力では、昨年の五月、九十名の労働者が不当な思想差別に反対して提訴いたしました。九十名に対する賃金差別は、三カ年間で、同期同学歴の者に比べて四千七百八十五万円、膨大な金額の賃金差別が行われているわけです。その理由は、主として共産党員だ、共産党の運動に協力したというようなことになっております。その中の一人、原告の一名でありますが、後藤幸雄という人がおられます。旧制中学を卒業して昭和二十三年に入社。この人は会社から共産党の大将株だと言われている人で、転勤の都度、転勤先で、後藤とは口をきくな、一緒に交際するなとののしられてきております。この人に対する賃金差別は、同期同学歴の者に比べて三年間で百六十六万円、こういう労働基準法に違反する不当な賃金差別はやめてもらいたいという裁判をやっているわけです。こういう問題については、極端な思想差別で、申告がなくても労働省としては実態を調査して改善を命ずるということが必要になると思うのですが、こういう具体的な問題についてどう考えておられますか。
○長谷川国務大臣 思想の問題で一般的にそんなことのないように指導はしておりますけれども、ただいま裁判になっているものについて私の方で意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
○諫山委員 同じ中部電力の提訴者の中に柳沢惟一という人がおられます。昭和二十四年の入社で、社内では共産党員として知られています。この人に対する賃金差別を調べてみると、同期同学歴の者に比べて三年間に百二十一万円、しかも同じ会社の管理職になっている義兄を通じていろいろ共産党をやめるような圧力が加えられる。義兄も非常に苦しい立場に立たされる。こういうことは言語道断と思うのです。そして中部電力で現在九十名の人がこの不当性を訴えながら裁判をしている。こういう問題について裁判所で争われているから労働省は関与する必要がないというのではなくして、大規模な労働基準法違反ですから、やはり積極的に調査して指導すべきは指導するという態度が必要だと思いますが、違いましょうか。
○長谷川国務大臣 労働基準局の方に申告がないのでございまして、それが一つ。 それからまたただいま申し上げたように、裁判中のものについては、私の方は意見を差し控えさせていただきたい。
○諫山委員 統計を調べてみますと、労働基準法違反の中で申告によって明らかにされたというのはそれほど大きな数を占めておりません。ですから、申告がないから労働省は関与しないというのでは、たくさんの労働基準法違反というのがやみからやみに葬り去られるわけです。こういう問題については、申告を待つまでもなく積極的に労働省が調査して指導方に努めるべきではないかと私は提案しているのですが、申告がなければ見殺しにしていいのでしょうか。
○藤繩政府委員 お答えを申し上げます。 労働基準法違反の問題につきましては、労働基準監督官がそれぞれの事業場に臨検をいたしまして調査の上、違反があればこの是正を命じ、また場合によっては、どうしても改善されないという場合には、所定の手続によって司法処分を行うというようなことがあるわけでございます。 〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕 ただ、いま御議論になっております労働基準法三条の問題は、信条による差別ということでございまして、きわめて個人の特性に関係するといいますか、事の性格上、監督官が臨検いたしまして、一般に具体的なA、B、Cというような人について、果たしてどれだけの信条を持っておられるか、どういうことが行われているかということは、通常はなかなか、安全設備の違反とかあるいは衛生環境の違反とかということと違いまして発見しにくいというようなことがございますので、私どもの取り扱いとしては、一般的にはこれは申告を待って措置をするということが一番適当だというような方針をとっておる次第でございます。しかしながら、きわめて明らかな状態が情報等で得られます場合には、何も必ずしも申告だけに限るということではありませんが、一般的にはそういう取り扱いをしているということでございます。
○諫山委員 労働省の資料によりますと、労働基準法三条違反というのは摘発された事例がきわめて少ない。驚くほど少ない。ところが、実際そういう差別がないのかというと、たくさんあるわけです。たとえば中部電力の場合は、かつて四日市の火力発電所で会社の職制が従業員の父兄にとんでもない信条差別を内容とした手紙を出した。これが人権侵害ではないかといって法務省の人権擁護局で問題になり、人権擁護局ではこれをやはり不当な人権侵害と認めて、是正の勧告をしたと聞いているのですが、そういうことがありましたか。
○藤繩政府委員 その問題は人権擁護局の方の問題でございますので、私どもとしてはつまびらかにいたしておりません。 ただ、第三条の問題につきましては、信条あるいは国籍、社会的身分というものによる差別でございますが、信条の場合に、ある一つの考え方を持っているというだけでは問題にならないのでありまして、それによって会社等が具体的に労働条件について差別をするというようなことがその条項に該当するわけでございますので、信条だけを云々するということになれば、それはむしろ人権擁護の問題ではないかというふうに思うわけでございます。 〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
○諫山委員 四日市の火力発電所の問題について、法務省、いかがですか。
○村岡政府委員 ただいま御指摘の事案につきましては、昭和四十四年三月二十九日に津地方法務局四日市支局に申告がございまして、同支局において調査いたしました結果、四十四年四月二十六日、相手方であります二人の課長でございますが、先ほど御指摘の手紙を父兄に送りました二人の課長、その両名につきまして、御指摘のような事実が認められましたので、これを説示ということで処理いたしました。こういう事実がございます。
○諫山委員 もう一つの企業を取り上げます。 大阪に本社を持つ松下電器では、いま八名の労働者が信条差別を理由として大阪地方裁判所に提訴しています。三年間で八名に対する差別賃金の額は合計一千八百七十一万円です。これは昨年の予算委員会でも問題になったことですが、原告団長をしている斎藤秀吉さんの場合は、山形大学卒業の技術者です。同期の人たちは全部部長、課長になっています。しかし、斎藤秀吉さんは部長、課長どころか係長にもならない、まあ平社員として仕事をしている。技術は非常に優秀で、何回か会社から表彰を受けております。ただ、共産党員として活動しているということが会社からきらわれまして、斎藤さんに対しては極端な賃金差別が行われている。たとえば同期同学歴の者に比べて一年間に二百数十万円の賃金が差別されている、こういう状態があります。 この問題についても、私は、労働省に実態を調査していただきたい、しかるべき善処措置を講じてもらいたいということを要望していましたが、どうでしょうか。
○藤繩政府委員 お答えいたします。 いまお挙げになりました件につきましては、昭和四十八年九月に地元の労働基準監督署に労働基準法三条違反ということで申告がございまして、その関係で地元の署が調査を行いましたけれども、同法違反の事実は認められないということで、私どもは事件の完結を見たものと承知をいたしております。 その後、いま御指摘のように四十九年の八月にすでに大阪地裁に訴訟が提起されているというふうに聞いております。これまた裁判係属中の事案でございますので、私どもとしては裁判の結果を見守るより仕方がないというふうに考えておるわけでございます。
○諫山委員 賃金の差別とは幾らか形が違った、仕事の面の差別で大変な問題が起こっております。 これは日産プリンスで現在九名の労働者が都労委に対して不当労働行為の救済申し立てをしているのですが、その中の一人に吉田博さんという方がおられます。この人は戦争反対、兵器生産に賛成できないという思想の持ち主だということで、会社側からいろいろいじめられております。もともと技術畑の人で、いろいろ品質管理の技術業務に携わっていた人でありますが、兵器を生産している工場だということから、兵器生産に反対の吉田さんにはそういう品質管理の仕事はさせられないというので、本人の意に反する翻訳業務とか雑役とかそういう仕事をさせる。そして、これは労働委員会で問題になっているのですが、会社側としては、兵器生産に反対だから、これが何が悪いかというような言い方をしております。いま日本国民の中には、戦争に反対、兵器は生産すべきではないという考えの持ち主はたくさんおります。平和思想に立つなら、大抵こういう考えになるはずです。この人たちに対して仕事の面で差別をする、これはとんでもない憲法違反だし、また憲法の平和原則から見ても許されないと思うのです。 労働大臣、戦争に反対だ、兵器生産には賛成できないというような思想の持ち主の人をこういう形で職場で差別するというようなことが許されていいでしょうか。私は、憲法のたてまえから、労働大臣に見解を聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 会社側は、吉田君はかねてから兵器生産反対の主張、態度を会社に表明しているので、そういう人を他の技術員と同様に生産現場に出させると、生産現場において自分の主張を宣伝して、防衛庁関係のロケット生産現場に悪影響を及ぼす、不測の事態を惹起するおそれがある、そこで副担当にしているというふうな説明などをしておりますが、いずれにしても、これも諌山先生おっしゃるとおり、ただいま都労委に係争中でございます。これが不当労働行為に該当するかどうか、これはただいま私の方としては見解を述べることは差し控えたい、こう思っております。
○諫山委員 思想として、兵器生産に賛成できない、だから悪影響を及ぼすのじゃないかということで仕事の面で差別をするというようなことは、典型的な思想差別です。しかも、平和思想に基づいて兵器生産には賛成できないという立場の人ですから、こういう人たちに対して仕事の面で差別するというのは、言語道断。これは都労委の結論待ちというようなことではなくして、労働省が積極的に指導、改善をすべきだと考えますが、違いましょうか。
○長谷川国務大臣 そういうお考えもあるでしょうが、ただいま都労委にかかっていることですから、しばらく見守っていきたい、こう思っております。
○諫山委員 そうすると、労働省としては、労働委員会で問題になっている、あるいは裁判所で問題になっているというようなケースについては、どんなひどい問題でも介入はしない、行政指導として是正させる措置はとらないというたてまえですか。
○藤繩政府委員 どんなひどい例でもやらないかという御質問でございますけれども、やはり裁判に係属しているという事案あるいは労働委員会に係属しているという事案は、いわば公正な場所ですでに審議が行われているものでございますので、行政手段としてそこに入っていくということはやはり通常は適当でないと私どもは考えるわけでございます。
○諫山委員 労働省のそういう態度がどのくらい非現実的であり、労働者の利益を侵害しているか、私は他の事例で明らかにしたいと思います。 全国の地方銀行でさまざまな信条差別が行われ、この差別を撤回するための闘いが広がってきました。この数年間に、解決を見たものだけでも九件。そしてこれは全部銀行側がこの非を認めて、賃金をさかのぼって回復するという措置を講じているわけですが、九件の解決金が総額約八億八千万円。昨年暮れに解決した事件を調べますと、青森銀行の場合は九十八名で、会社が支払った金額は一億二百万円。岩手銀行の場合では一億六千五百万円。これだけの差別を銀行側がみずから認めて労働者に払っているわけです。この問題について、大部分は裁判所とか労働委員会で争われたようですが、労働省は何もしなかった。労働省は何もしなかったけれども、労働者が団結して立ち上がって解決をしていったという経過になっていると思います。大蔵省の方が来ておられると思いますが、こういう事実は御存じでしょうか。
○大平国務大臣 いまお尋ねの件は承知いたしておりますけれども、大蔵省は直接の所管ではございませんので、詳細には把握していないようでございます。
○諫山委員 私の調査によれば、大蔵省は解決にそれなりの協力をしてくれたそうです。労働省はほとんどしなかったというふうに聞いております。 そこで、銀行関係はこれで済んでいるんじゃないのです。たとえば昨年の十二月十九日、差別賃金を撤廃することを要求して闘っている横浜銀行、静岡銀行、千葉銀行、千葉興業銀行の代表が大蔵省に赴いて銀行課長に会って、是正の行政指導をするようにという要望をされ、そのときは、法律に違反するような差別あるいは社会的な常識に反するような差別は行政指導で是正するように努力しますと答えられたそうですか、これは大蔵大臣も含めた大蔵省の基本的な方針でしょうか。
○大平国務大臣 お尋ねの件は労使間の問題でございまして、行政当局といたしましては、抽象的に、一般論といたしまして、できるだけ早く労使関係の正常化に努めることが望ましいといった発言をしたケースがあるかと思います。
○諫山委員 銀行ではいま挙げた以外に、たとえば青和、秋田、東邦、福岡、北陸というような銀行で、思想、信条を理由にした賃金差別はやめてもらいたいという要求が出て、労使間の交渉も行われる、場合によったら大蔵省にも指導を求めるというような運動が始まっております。 どんなに行われている差別がひどいかといいますと、たとえば福岡銀行で、後藤という方がおられますが、ことし四十五歳。年収は三百万円ぐらいで、同じ学校を同じ年に卒業した同じ銀行の行員に比べて、月額五万円から七万円ぐらい賃金が差がついている。仕事は同じようにしながら、思想を理由にしてこういう差別が行われているという実情が訴えられているわけです。 いま私が列挙しましたような銀行というのは、いままだ係争中です。解決はしていないのです。一部は大蔵省に指導を求めてきているというような問題のようですが、私はこの機会に、こういう問題について、大蔵省として、いま言われた一般原則に基づいて具体的に調査し、指導していただきたいということを要望したいのですが、いかがでしょう。
○大平国務大臣 先ほども申し上げましたように、本来労使関係でございまして、私どもが介入することは適当でないと思いまして、労使の間で解決の努力が行われることを期待いたします。
○諫山委員 もちろん労使関係ですから、労使間の自主的な交渉で解決するのがたてまえです。私はこのことは否定しません。ただ、大蔵省としては、法律に違反するようなやり方、社会的な常識に反するようなやり方というのは行政指導で改めていきたいということを言われているようですが、そういうたてまえからの行政指導というのは必要ではないでしょうか。
○大平国務大臣 場合によりまして、銀行行政の立場から大蔵省として措置しなければならないケースがあるかもしれませんけれども、それは具体的な案件のあり方によりまして判断させていただきたいと思います。
○諫山委員 銀行の名前は突然申し出ましたからわかりにくいと思いますが、ぜひ調査して、しかるべき指導をお願いしたいと思いますが、その点はいかがですか。
○大平国務大臣 本日承りましたから、これは先ほど申しましたように、役所といたしましてタッチすべきかどうかということにつきましては検討させていただきます。
○諫山委員 労働省に質問します。本来こういうことは労働省が処理すべき問題だと思うのです。ところが、いま私が指摘した銀行関係、膨大な賃金差別で、九件で八億八千万円というような大変な賃金差別が全く労働省の関係しないところで解決されている。これは私は、労働省としては恥ずかしい話ではなかろうかと思うのですが、こういう問題、積極的に調査して是正しようとはされませんか。
○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。 労働省といたしましては、健全な労使関係というものが何よりも大切なことは最も痛感しておるところでございまして、相互信頼に基づく労使関係の確立を期待いたしまして常日ごろ不当労働行為、法律違反等の行為は行うべきでないという指導はいたしております。しかし、事案がそれぞれ不当労働行為等の名目で労働委員会等にかかっております場合は、同じく労働機関でございますそこの公正な判定を待つべきではないか、こういうように考えております。 なお、先生ただいまおっしゃいました九件の案件につきましても、労政関係機関でございます労働委員会が仲に立ちましてそれぞれ解決を見ておるわけでありまして、手をこまねいておるというわけではございません。そういう不当労働行為は行うべきでないという指導は常々いたしておるわけでございまして、その点御了承願いたいと思います。
○諫山委員 私のところに資料が集まっている民間企業、似たような差別が行われている企業として東京電力、中部電力、日立製作所、日本鋼管、石川島播磨重工、三菱重工、日産自動車、松下電器、新日本製鉄、挙げていけば切りがないくらいです。こういう問題については申告がないからというような逃げ腰ではなくて、ぜひ積極的な処理をしていただきたいということを要望します。 次に、この種の差別が決して偶然に起こっているものではない、企業の誤った方針のもとにこういうことがやられているというところにこの問題のもう一つの重要性があると思います。先日、私は石川島播磨重工にこの問題の調査に行って、会社の指導部の人たちともお会いいたしました。そのときに極東事情研究会の反共教育が問題になったのです。極東事情研究会というのはもうずいぶん古くからつくられている研究会で、たくさんの企業から会員を集める、受講生を集める、そうして労務対策としてとんでもない法律違反の教育をやっているということが問題になっております。 たとえば昭和四十八年十月に行った若年労働者指導者講習会、このときのテキストが私のところにあるのですが、こういう指導がされているのですね。共産党員とか民青同盟員は配転させろ、その場合に配転のやり方として、定期異動にまぎらわせて配置転換をしなさい、健全な者と抱き合わせて配置転換をしなさい、こういう指導をしているのですね。さらに定期異動時における穏健派との組み合わせ、複数配転というようなこともテキストの中で指摘されております。こういう、一般的な社会教育の枠を越えて、まさに法律に違反する教育、労働基準法をじゅうりんする教育が行われている。 さらに、四十九年度のテキストにも同じようなことが次々に出てきます。民青同盟の人は排除せよ、排除の仕方は、配転は定期的な配転にあわせて行いなさい、健全な人と同時に配転をしなさい、そして気づかれないようにしなさい、こういうことがやられている。そして、企業がこういう法律違反の教育をしているところに、業務命令で従業員を派遣する、会社の業務としてこういう講義を受講させるということをやっているのですね。これは実に組織的で系統的で大規模な法律違反です。 この問題について、極東事情研究会にどういう企業が会員として入っているのか、どのくらいひんぱんに教育が行われているのか、受講者はどうなっているのかという点の調査を求めていたのですが、わかりますか。
○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。 先生ただいま御指摘の極東事情研究会は昭和二十四年の四月に創立されました会員制の任意団体で、事務所は東京都中央区銀座二丁目に置いておるようでございます。この研究会におきましては、会員に対しまして機関誌を配付いたしましたり、あるいは研究会、講習会、講演等を開催したりしているようでありまするが、何分任意団体でございまして、その会員がどういう人たちが入っておるか、あるいは研究会等が何回行われておるか、そういう具体的な活動の詳細は承知いたしておりません。
○諫山委員 私はずいぶん以前にテキストを示しながら、一般的な社会教育ではなくして、労働基準法違反の教育、労働組合法違反の教育をやっている。そして、これが企業にずっと広がっていっているということを指摘しながら、労働基準法違反として調査をすべきではないか、企業が賃金を保証して業務命令で受講させるようなことは間違いだから、これも行政指導で改めさせるべきではないかという問題を指摘したわけです。テキストはここにあります。労働大臣、いかがですか。こういう民間の法律違反の教育をしているところに、石川島播磨重工の場合には会社が業務命令で派遣する。賃金を保証する。これはまさに会社の業務としてやられているような法律違反の教育ですね。黙って見ておっていいのか。私は、私が要求したように実態を調査をして、もっと指導措置を講ずべきではないかと思います。見解を聞かしてください。
○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。 先生いま御指摘の住友重機につきましては、かつて都労委に申し立てをいたしまして救済命令が出ておりまして、現在中労委に再審査の申し立てがございまして係属中でございます。この住友重機事件におきましては、先生いま御指摘の極東事情研究会の講習内容あるいは講習派遣に関する諸事情、その後の組合組織におきます経緯等々を判断いたしまして、不当労働行為である、支配介入であるという判断をいたしております。 先生いま御指摘のような教育内容で使用者側が講習会に参加させるという点につきまして、参加させること自体が直ちに不当労働行為――私の方は不当労働行為の所管でございますが、直ちに不当労働行為になるかどうかは、結局派遣の方法なり手段なりあるいはその内容なり、そういうものを総合的に判断して不当労働行為であるかどうかということを判断する仕組みに相なっておるわけでございます。もちろん労組法の七条では、組合の運営に支配介入してはならないということははっきりと規定いたしております。したがいまして、そういう講習会に対する参加を行わせることが組合の運営に対する支配介入に当たるというような場合は、一般論としては不当労働行為になるわけでございます。そういう不当労働行為は行うべきでないということは常々労働教育等を通じて指導いたしておるわけでございますが、具体的事案が不当労働行為であるかどうかというのは、やはり第三者機関であります労働委員会なりあるいは裁判所が当該組合なり労働者の申し立てに基づいて具体的に労使双方の話を聞き、それに基づいて事実認定をし、そして判断する問題ではないか、こういうふうに考えております。
○諫山委員 不当労働行為が個別個別に成立することは当然ですが、そう言われるなら、私はテキストの一部を読んでいただきたいと思います。労働基準局長、来ておられますか。テキストを見てください。 一般的にこういう指導がされている。定期異動にまぎらわせて配転せよ、健全な者と抱き合わせて配転をせよ、そういうのは法律違反ではありませんか。
○青木(勇)政府委員 このことをもって直ちに不当労働行為になるかどうか。不当労働行為の観点からは、先ほど申し上げましたように、その間におきます諸事情を判断して判断すべき問題でございまして、この定期異動にまぎらわせて行う、あるいは健全な者と抱き合わせて行うということだけで不当労働行為になるかどうかという点につきましてはお答えいたしかねますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
○諫山委員 労働大臣に質問します。 極東事情研究会のことを少し深入りして質問しましたが、すでに昨年の十月、ある企業が極東事情研究会に受講のために社員を派遣した場合には不当労働行為になるという判定を下しているのですね。そしてテキストには、いま読まれましたように、活発な組合活動家を健全な者と抱き合わせて配転しろというような指導までしているのですよ。これが法律違反になるかどうかというのは、もっとさまざまな事情を総合的に検討しなければ結論が出せないというのは、これは余りにも機械的だ。これを見ただけでも、健全な者と抱き合わせて配置転換しろというのですから、思想を理由に差別をする。ただ、思想を理由にしていることをなるべくわからないようにしようとしている。これは明らかじゃないですか。ですから私は、極東事情研究会の教育内容の実態、さらにそこに対する企業のかかわり合いの実情を調べていただいて、私にでいいから説明をお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
○長谷川国務大臣 調べて私も勉強します。
○諫山委員 いまの極東事情研究会の活動家排除、共産党員、民青同盟員の排除、この教育が実践的に行われている典型が、私はこの間実情調査に行きました石播の会社ではなかろうかと思います。ここの子会社に東京エンジニアリング株式会社というのがありますが、そこの会社の内部資料の「打合覚」というのが労働組合のもとにあります。これを見ると、親会社である石播から労務担当の人が子会社に派遣されて、さまざまな法律違反の指導をしているのですね。たとえば「民青、共産党員と分った以上敵と思え」。主任が個人としてこれに同調するのは自由だけれども、その場合には主任はやめろというような指導がされております。この点も労働省に事前に調査を求めたわけですが、そういう事実があったのかどうか。そうして、こういう問題に対して、労働省としてはどのような行政指導を考えておるのか、御説明ください。
○藤繩政府委員 先般先生からそういうお話がございましたので、私ども二月の十六日に会社に職員をやりまして調べましたが、その文書は昭和四十四年のもので、すでに古いもので破棄されておりまして、現在ない。それから、当時の会社幹部あるいは文書を作成したと思われる者も他の会社に移っているというようなことを説明いたしておりまして、当該文書の確認はできなかったというのが実情でございます。 しかし、いずれにしましても、特定の信条を有することを理由として、具体的な事案について労働条件の差別的取り扱いがなされるというようなことで、十分な材料を持っての申告があれば、私どもとしてはなお所轄の監督署を通じて十分な調査を行いたいというふうに思うわけでございます。
○諫山委員 そうすると、私の方が示した「打合覚」、これが決まった様式に基づく会社側の資料であることは明らかだけれども、私が指摘した日付のものがもう廃棄されていたということになるのですか。
○藤繩政府委員 そういうお話がございましたので、そういうような書類はないかということを尋ねましたところ、先ほどお答え申し上げましたようなことで、その文書は確認できなかったというのが事実でございます。
○諫山委員 労働基準法違反にはいろいろの形があるわけです。たとえば賃金不払いとか労働時間違反とか、さまざまな形があって、その中の一つに思想信条による差別というのがあります。私はいろいろ統計資料を調べますが、労働時間違反の件数、あるいは残業手当を払わなかったというような違反というのはきちんと統計上あらわれてきます。しかし、思想信条による差別がどのくらい行われたのかという数字というのがどうも出てこないのですが、これは思想信条差別というのが軽視されているのではなかろうかと理解するのです。どうなっているのでしょうか。
○藤繩政府委員 お答えいたします。 現在全国に約二百九十万の事業場がありまして、三千七十名程度の監督官で監督をいたしております。そこで、私どもの方針では、目下安全衛生というようなところにできるだけ重点を置き、さらには不況に伴う賃金不払い事件というようなものに精力を集中いたしておりますが、しかし基準法一般につきまして、たとえば、いまお挙げになりました労働時間違反でありますとか割り増し賃金の違反でありますとか、そういうものもできるだけ私どもとしては臨検監督で把握し、この是正をさせるということで活動をいたしております。 三条違反についても、必ずしも私どもは軽視しておるというようなことではございませんが、先ほどお答えをいたしましたように、思想信条による差別ということを一般的な臨検監督で掌握することは、本人の信条にかかわる問題でございますので、なかなかつかみにくいというような事情がある。したがって、申告によってこれを取り扱う、こういう原則を立てているというわけでございます。 なお、最近五カ年間に、私どもとしては統計を詳細にはとっておりませんが、検察庁に送検したものは、この三条について三件承知いたしております。
○諫山委員 労働基準監督局はずいぶん違反の統計資料をつくっているわけですが、その資料を見ても三条違反の統計というのが出てこないわけですよ。こういう状況で、本当に三条違反を重視していると言えるのかと私は疑うのですが、もっとそういう面からも三条違反を重視して、手続的にも整備するということが必要ではないかと思いますが、そういう点はどう考えておりますか。
○藤繩政府委員 お答え申し上げます。 先ほどのような事情を踏まえまして私ども監督を行い、したがってまた、全国的な統計を集計するには、かなり手間もかかりますものですから、それぞれの現地の監督署ではもちろん事態を承知しているわけでございますが、全国的な業務統計としては重点事項にしぼってやってまいりました。しかし、ちょうどいまいろんな事情も変わっておりまして、特に職業性疾病の重要性というようなこともございまして、そういった報告例規の改定を手がけております。本日いろいろ御指摘のありましたような事実がもしあるとすれば、三条違反の問題もかなり重要な問題だと思いますので、いまの御提案も含めて検討させていただきたいというふうに思います。
○諫山委員 検討するというのは、どういう点をどういう方向で検討される予定でしょうか。
○藤繩政府委員 お答え申し上げます。 監督の業務統計の中にさえ挙がってないというのは適当ではないではないかという御指摘でございましたから、中央でも十分掌握できるような、統計上に載せるとかあるいは個別情報として掌握するとか、そういうようなところに工夫を置きまして、そしてこういった違反が起こらないようになお十分私どもとしては警戒をしたい、そういう意味でございます。
○諫山委員 労働大臣にもう一遍質問します。 三条違反というのが、労働時間の違反とか賃金不払いなんかと違って、なかなか把握しにくい複雑な形態だということは私にもわかります。しかし、これがある意味では最も深刻な労働基準法違反、憲法違反だという点も否定できない事実です。そして、私がいま指摘しましたように、恐らく労働省も知らないようなところで実に膨大な三条違反が行われているということをもっと把握していただく必要があると思うのです。たとえば、きょう私時間の都合で挙げませんでしたが、民間放送でも同じような問題が大規模に提起されて、そして次々にこれが解決に向かっているというようなことがあるわけですが、じゃ労働省がこういう解決で大きな役割りを果たしているかというと、どうもそういうふうに見えないのです。ですから、三条違反というのはなかなかつかみにくい。そして個人の思想信条にかかわるものだというようなことで逃げ腰になるのじゃなくて、三条違反はいけないんだ、そういうことは撲滅するんだという行政指導がぜひ必要だと思いますが、その点いかがでしょう。
○長谷川国務大臣 労働して賃金を持ってきて家庭生活に充てること、これももちろん大事でございます。また、思想の自由、信仰の自由、これも大事でございます。そういうものを両々相まってやってまいりたい、こう思っております。マスコミの問題等々も出ましたが、私の方でもやはりそれぞれが自主的に解決を願うような下地、そういうところが一番大事じゃなかろうか。こう思いながら、問題の起こったものは、こうした場合に指摘されたものに対しましては、その問題に対してフォローし研究を続け、推進してまいるつもりであります。
○諫山委員 そういう場合、たとえば銀行における思想信条による差別というような場合、大蔵省もそれなりの関係を持つし、労働省も関係を持つのですが、労働省の方としては、第一次的にはこれは労働省の問題だと思うのですが、そういうふうに考えておられますか。それとも、もっと業務指導に関係の深い大蔵省がやることだから、余り労働省は関与しなくてもいいというたてまえなんでしょうか、銀行の場合。
○長谷川国務大臣 何と言いましても、それぞれの企業内での話でございますから、労使が、自分の会社でやることですから、円満にひとつ話をしていただきたいということを第一前提にしておりまして、次にはまた、先ほどからお話がありますようにそれぞれの労働機関、そういうところでそれが取り上げられ、申し立てがされたのが早く片づくこと、そして企業の中において快く、気持ちよく、いろいろなことがないように働いてもらいたい、こういう念願でございます。
○諫山委員 最後に法務大臣に質問します。 三条違反というのは、労働省の管轄であると同時に、きわめてすぐれた人権問題として、法務大臣としては黙って見ておくことができない問題だと思います。私が指摘した幾つかの企業では、人権問題として人権擁護局に提訴して、人権擁護局に是正を求めているというケースもあります。ただ、人権擁護局の場合には、強制力がないというような点もありまして、なかなか実際の解決には役立たないというのが実情のようです。こういう問題について、法務大臣はもっと改善の策を講ずるという姿勢が必要だと思いますが、いかがでしょう。
○稻葉国務大臣 人権擁護局に提訴されたいろいろな事件について、人権擁護局としても一生懸命にやっているのでありますが、てきぱきと事務処理ができていないという例は承知しております。一生懸命にやらなければいけませんが、強制力を持たしてはどうかということの御質問であれば、これはなお検討を要すると思います。 なお、詳しくは人権擁護局長から答弁させます。
○村岡政府委員 ただいま法務大臣から答弁のありましたとおりでございまして、人権擁護局といたしましては、格別の調査権は持っておりませんけれども、任意調査であとう限り事件の処理に当たりたいと考えております。
○諫山委員 終わります。
○荒舩委員長 これにて諫山君の質疑は終了いたしました。 次に芳賀貢君。
○芳賀委員 最初に、稻葉法務大臣にお尋ねいたします。 問題は、今回のロッキード事件の日本における本拠をなすといわれる丸紅が行いました昭和四十八年のいわゆる食糧管理法違反の事件につきまして、その後、公判の審理経過等がどうなったかということについて、法務大臣から経過をお尋ねしたいと思います。
○稻葉国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、具体的な報告でございますから、目下公判が継続中、進捗中でございまして、その内容等について直接報告を受けている刑事局長に答弁させますから、ひとつ御勘弁願いたいと思います。 〔委員長退席、井原委員長代理着席〕
○安原政府委員 丸紅株式会社に係ります食糧管理法違反事件、いわゆるやみモチ米買い占め事件といわれておるものでございますが、これは昭和四十八年の六月六日と同年の七月十一日に、水戸地方検察庁から水戸地方裁判所に公訴の提起がございまして、現に水戸地方裁判所に係属いたしております。 公判の状況は、四十八年九月二十六日に第一回の公判が開かれまして以来、本年二月四日までに十七回の公判が開かれておりますが、現在まだ公判継続中でございます。
○芳賀委員 丸紅の食糧管理法違反というのは、ちょうど自民党田中内閣が昭和四十七年に出現いたしまして、それを機会にして国内におけるモチ米を中心とした買い占め事件が勃発したわけであります。 この事件の内容というのは、食糧管理法が昭和十七年に制定されたわけでありますが、食管法発足以来空前の食糧管理法違反事件というものが行われたわけであります。ちょうどその当時、私は衆議院の決算委員会の理事を担当しておりまして、主としてこの問題等について事実の究明に努めたわけであります。その結果、昭和四十八年の六月六日に水戸地方検察庁が丸紅を食糧管理法違反で起訴いたしまして、その後水戸地方裁判所において公判継続中であるということは私は承知しておるわけであります。 これと並行して、丸紅が起訴された当日、農林省の食糧庁においては、この違反事件に対して行政処分を行ったわけです。一つは、丸紅に対する米穀の輸出と輸入の業務に対する代行者としての登録の一年間の停止を行う、もう一つは、食糧管理法に関係のある外国の麦あるいは濃厚飼料を中心とした輸入の代行者としての指定を三カ月間停止するという迅速な行政処分を行ったことは、当時決算委員会において報告されておるわけでございます。 ただ、こうした一連の食管法違反というものを行った丸紅事件、あるいはまた当時国内における食糧や木材や土地の買い占め等が狂乱物価時代の名のもとにおいて現出したわけでありますが、その背景には、明らかに田中内閣を中心とした政治的な背景というものを否定することはできないと思うわけでございます。こういう点について反省の上に立って、きょうは三木総理が出席されておりませんので、副総理としての格式で福田副総理から政府の所信というものを明らかにしてもらいたいと思います。 もう一つは、犯罪の内容というものはまことに単純な犯罪の内容でありますが、これが二カ年以上、しかも十七回も公判が継続するということに対して、どうしてそうなっておるかという点は国民としてもいささか疑念のあるところでございます。それは農林省の食糧庁が行う毎年毎年の輸入業者等に対する代行の登録というものは規定によって定められるわけでございますが、この更新の時期がちょうど三月に当たっておるわけです。公判継続中でありますからして、有罪の確定が行われなければ、それを根拠にして登録業者としての資格要件を外すということは制度上できないかもしれぬが、そうした重大な事犯に対して二年以上公判が継続しておる。また、その中において、今回の国の威信を損なうようなロッキード事件の中心的な役割りを丸紅が行っておるということになると、これはそのまま容認して、ことしの食糧庁の輸入業務の代行業者としての登録を農林大臣としてもそのまま継続して更新するということはできないと思うわけです。ですから、それらの点については農林大臣から取り扱いの方針を明らかにしてもらいたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 政治のかじの取り方、わけても経済の運営に当たりましては節度ということが必要だ、こういうふうに思うのです。成長政策にいたしましても、余り行き過ぎがありますとこれがいろいろの弊害を醸し出す。率直に言いまして、本当に金、物、そういうものが万能であるという社会的風潮というものがあったと思うのです。丸紅のああいう買い占めのような問題も、そういう社会的背景の中から出てきておる一つの吹き出物であるとも考えられるわけであります。やはり世の中の風潮というものが乱れておりますと、少しぐらい悪いことをやってもそれがあたりまえだというような感覚に個人も企業もなっていく、そこに私は問題がある、こういうふうに思うのです。 やはり政治のかじの取り方、これは本当にいままでのあり方というものを反省しまして、清く正しくという姿勢をさらにさらに打ち立てていかなければならない、かように考えます。
○安倍国務大臣 モチ米にかかる食管法違反事件につきましては、御承知のように最終的に裁判の結審を待って処分をするということになりますと非常に時間がかかるわけでございますから、司法当局の捜査が終了して起訴がなされた段階で、輸入米麦の売り渡し申し込みの受け付け停止という行政上の措置をとったところでございまして、その社会的な影響をも十分考慮した上でそれなりの措置をすでに講じておるというふうに考えております。したがいまして、今回の登録適格確認につきましては、さしあたりいまのところ特段の措置をとるということは考えておりませんが、しかしその後の時点におきまして、このモチ米事件の裁判の結果有罪が確定をした場合におきましては、もちろんその時点におきまして十分判断をいたしまして厳正な措置をとらなければならない、こういうふうに考えております。
○芳賀委員 農林大臣、その問題ですが、まだこれは第一審が二年以上続いておるわけでしょう。これから先いつ結審になるかわからぬでしょう。丸紅が悪質な考えで時間をかせぐということになれば、今度はまた上告まで持っていくということになりますね。控訴、上告ということになれば、このテンポだと五年以上もかかると思うのですよ。その間は最終判決が出ないので、それまでの間は適格者として指定を継続させるというようなことは国民の立場から見れば絶対に承服できないと思うのですよ。 その根拠は、これは法律等に基づくわけではなくて、食糧庁の内部規程の外国産食糧買い入れ要綱に基づいた、外国産食糧輸入業者登録規程のたとえば第五条の第三項に「食糧管理法又は物価統制令違反の行為により処罰を受けたことがなく、かつ、麦又は米穀の輸出入に関し、その他の輸出入統制に関する法令違反の行為により処罰を受けたことがないこと。」なんですね。判決は出ないが、厳然と空前の食管法違反をやっているわけですからね。だから、有罪が確定しなければこれは適格であるというような事務的な判断を五年も十年も繰り返すということになれば、これはむしろ根拠であるところの、いわゆる業者指定を行う外国産食糧輸入業者登録規程そのものを大臣のもとにおいて正確に改定をして、そうしてこうした国民の信頼を受けることのできない、しかも政府の食糧管理に関する業務を指定して代行させておるのですから、政府の仕事をかわって商社が行うわけでありますからして、そういうものを、現行規程がこうなっておるから最終判決が出るまで持続させるということは問題があると思うのですよ。だからその辺を十分に考慮して、今後どうするというような点についてさらに明確にしておいてもらいたいと思います。
○安倍国務大臣 食管法違反事件につきましては、すでに農林省としては、食糧庁として起訴の段階におきまして三カ月という行政措置をとったわけでございまして、そういう時点においては、これは裁判が長引くということで、食糧庁としての判断で行政処分をしたわけでございまして、社会的にそれだけの責任は私は果たしたのではないかというふうに考えておるわけでございますが、裁判が御存じのようにいま長引いておることは事実でございます。しかし、これに対してさらにはっきりさせる場合には、裁判の結果有罪ということが客観的に明らかになった時点において、やはりこれは行政官庁としてはこれを判断して、そして処分をすべき点があれば処分をしなければならぬ、こういうことになるのではないか、こういうふうに判断をするわけでございます。
○芳賀委員 農林大臣、これは現行法律の規定によって直ちに停止とか取り消しはできませんというのであれば、立法府であるわれわれが法律の規定の改正をして十分な措置ができるが、ただ、農林省の中の食糧庁の内部規程がこうなっておるわけでしょう。だから、やる気であれば農林大臣が指示して、この規程の不適当なところは改正しなさいという指示をすれば、これはすぐ内部でできる作業だと思うのですよ。これは国民が注目しておる問題だし、私どもも国会を通じて今後これが――いまちょうど申請の提出時期ですから、この時点で昭和五十一年度の指定を行うかどうかということは、これはまことに重大な注目すべき点ですから、これ以上どうせいとわれわれが大臣に指示する必要もないわけですから、その辺を十分に考慮して、いま福田副総理が言われた、まず内閣の政治姿勢を正すということを踏まえて、これは適正な措置をすべきだと思いますが、どうですか。
○安倍国務大臣 これは確かにおっしゃるように政治姿勢を正していかなければならぬ問題であると思うわけでございますが、もうすでに食管法の違反事件が起こった、そうして起訴があったという場合に、直ちに食糧庁としては行政処分を迅速に行って三カ月という停止をいたしたわけでございますから、その時点におきましては、食糧庁なりの社会的な責任は果たしておるというふうに考えておるわけでございますが、その後の裁判が長くなっておりまして、まだ結審を見られないということは私も残念に思っておるわけでございます。
○芳賀委員 残念にだけ思わないで、信頼を受ける政府の食糧行政が行われるように、これは抜本的に改善する必要があると思うのです。実行するかしないかは見ておればわかるわけですから、これは公判と違うわけだから、三月十日までに申請書を出して、それを検討して、さらに更新して継続させるか、この際諸般の事情を考慮して辞退させるか、あるいは指定をしないかということになるわけですから、これは法務大臣もわかるでしょう、こういう問題があるということを。福田副総理もいるわけだから、大平大蔵大臣もこれは食管特別会計法に関係のある大臣ですからね。 次にお尋ねしたいのは、まず福田経済企画庁長官ですが、政府はまだ閣議決定はしておらないわけですが、昭和五十年代の前期経済計画、つまり新経済五カ年計画だと思いますが、この計画の中で特に食糧の資源問題、食糧の国内自給力向上を目指した農業、漁業、林業等に関する新計画の重点とされる概要について説明願いたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 いま政府は、インフレを抑えながら不況からいかに脱出するかという問題に取り組んでおるわけですが、同時に、今日この時点というものはそういう当面の問題だけじゃない、将来を展望して経済社会運営のかじの切りかえをすべき時に来ておる、こういう判断でございます。つまり資源、食糧、こういう問題がいままではさして問題がなかった。ところが、資源も二十一世紀ごろになると重要資源の中の相当種類のものがなくなるかもしらぬ、こういう懸念が出てきておる。食糧につきましても、人口は増加する、それに対する供給体制は一体どうなるだろうかという不安も出てきておる。そういう中でわが国の経済につきましても、いままでの高度成長、また工業中心という考え方から、何といいますか成長中心体制から生活中心体制へというふうに大きなカーブの切りかえをしなければならぬだろう、そういうようなことで、昭和五十年代十年間を展望してみる。しかし、十年というと先々のこと、まだいろいろ不安定要素もありますので、さしあたりその前期であるところの五十一年度から五十五年度にわたる展望を描いてみて、そしてその上に立ってもろもろの経済政策を運営いたしてまいろう、こういうことにいたしまして昨年の暮れ、その概案をつくったのです。それをさらに精細にいたしましたものを、この春ごろを目標といたしまして成案といたしたい、こういうふうに考えているわけでありまして、そういう中で農業問題は、ただいま申し上げましたような意味合いにおいてわが国におきましても非常に重要な問題になってきておる。そのレールの上で農業問題の具体的な運営をどうするかということは農林省において検討していただきたい、かように考えております。
○芳賀委員 それでは、いまの福田長官の説明を踏まえて、まず林業問題についてお尋ねいたします。 昭和四十六年の国会において、衆議院の農林水産委員会は林業振興に関する特別決議を行ったわけでございます。その当時、安倍農林大臣は農林水産委員会の自民党の筆頭理事をやっておられたわけですから、林業振興決議の内容については十分御承知のところでございます。その後おおよそ五カ年を経過しておるわけでありまして、この重大な林業振興決議の六項目の実行はかかって日本の林業の発展を推進するかどうかということになるわけですから、まず、この林興決議の尊重と内容の実施についてどういうような行政的な努力をしたかを御説明願いたいと思います。
○安倍国務大臣 いま御指摘がございましたように、確かに林業の振興に関する決議が行われたわけでございまして、この決議は六項目にわたっておるわけでございます。 ここで、決議について具体的に一つずつ……(芳賀委員「いや、重点的なことでいい。やったことだけでいい」と呼ぶ)もちろんわれわれとしては、重要な国会の決議でございますので、その後もこの決議の実施につきましてはいろいろと努力を重ねてまいったわけでございますが、まず第一の国営分収造林制度を早急に実現すべきだということにつきましては、この基本的な方向に沿いましていろいろと努力をしておるわけでございます。しかし、国による分収方式で拡大造林を行うことにつきましては、その後いろいろと検討した結果、やはり造林公社、森林開発公団等によるところの分収造林との関係もあるわけでございまして、これは慎重に検討を続けていかなければならないというふうにも判断されますので、この点につきましては目下検討を行っておる状況でございます。 さらに、公益勘定の設置という問題につきまして、国有林野事業の組織を含む事業全般にわたる改善、合理化措置の一環としてこの公益勘定の新設は行うべきだというふうに考えておるわけでございますが、この公益勘定につきましては、その後四カ年間にわたりまして予算編成のたびに要求をし、努力を続けておるわけでございますが、現在までのところはなかなか実現に至らないという段階でございます。 さらに、林道網の整備促進についての予算措置は、その後、林道網の整備促進につきましてはいろいろの長期目標もあるわけでございますし、森林法に基づくところの全国森林計画並びに地域森林計画に従いまして実施もいたしておりまして、今後とも林道網の整備拡充が十分行い得るような予算の確保に努力を続けていきたいと思っておるわけでございます。 さらに、木材の需給及び価格の安定を図るためには、国が外材輸入について調整機能を発揮できるようにすべきではないかというこの決議でございますが、わが国の木材の需給及び価格の安定を図るためには、現在総供給量の六五%を外材に依存している現状にかんがみまして、やはり秩序のある外材の輸入が必要であると考えております。このために長期輸入契約の推進であるとか、あるいは国際協力事業団によるところの海外における森林資源の開発、造成を推進するほか、林野庁――そういうことをやっておるわけでございますが、全体的に、われわれとしてはこの項目の推進に対してはでき得る限りの努力は今日まで続けておるわけでございます。
○芳賀委員 そこで、ただいま農林大臣の述べられた中の国有林野事業の特別会計制度についてお尋ねいたします。 安倍農林大臣は、昨年十一月十九日の農林水産委員会において、国有林の経営形態については現在の国有林野特別会計制度を堅持し、内容の改善等充実に一層の努力をする旨を明らかにされたわけでございます。これはわれわれの了とするところでありますが、これに関連いたしまして、国有林野特別会計制度の柱は国有林野特別会計法というものがあるわけでして、この特別会計法の運用の中で、最近特に国有林野事業が行う公益機能の充実と発揮ということが、これは国民的な要請になっておるわけです。それでは公益機能とは何ぞやということになると、これはもう私がここで説明するまでもないわけですが、そういう関係で農林省においては、四年間にわたって毎年政府の予算編成の過程において農林省から大蔵大臣に対して、国有林野特別会計の中に、現在は国有林野事業勘定というのとそれから治山勘定と二つに区分されておるわけですが、さらにいま言いました公益機能を十分に発揮させるための方法として、特別会計の中に公益勘定を創設して、ここに必要な資金、経費等を一般会計から繰り入れて十分な機能を発揮すべきであるという点について、四年にわたって農林大臣が要求をしてきた。ところが、それが五十一年度の予算の中においても依然として見受けることができないわけです。農林省としても、必要あって公益勘定を要求しておると思うのですね。どういうわけで同じ政府部内において四年も大事な、当然実現すべき公益勘定の創設ができないか、この点については大蔵大臣から率直な説明を願いたいと思います。
○大平国務大臣 いまお尋ねのような御提言、つまり公益機能を保障する意味で公益勘定を設けるべきである、一般会計から所要資金を供給すべきであるという御意見、林政審議会等からの御答申もございますことは承知いたしておるわけでございます。一方、財政審議会等からは、安易に一般会計に依存することをいたしますと、国有林野特別会計の経営機能の改善というものが鈍るおそれもあるのではないかという御指摘もあるわけでございます。したがって、またその経営機能と公益機能というのは必ずしも截然と分かち得られるような性質のものでもございませんので、ただいままでまだそういう新たな勘定を分離設定する、そういうことはいたしておりません。しかしながら、公益機能が非常に大事であるということ、そしてそれに対して国が関心を持ち、これに所要の助成を考えなければならぬことも私ども承知いたしておるわけでございまして、治山関係におきまして相当多額の予算を国有林の管理にも計上いたしておりますことは、芳賀さんも御承知のとおりでございます。今後もなお検討いたしますけれども、以上申し述べましたような理由でまだ踏み切るには至っていないということでございます。
○芳賀委員 そこで、大蔵大臣言われました特別会計法の中に治山勘定というのがありますね。これは民有林の治山事業を行うために、一つは一般会計からの国の負担をそこに繰り入れをする。一つは地方の治山事業の負担分を特別会計の治山勘定に納入をさして、それによって民有林治山を遺憾なく行うということになっておる。ですから同じ治山勘定であっても、国有林治山というものについては何ら一般会計が負担をしていないわけです。それも現在の国有林野事業というものは相当の収益性が上がって、そうした公益機能の発揮の問題とか一般林政に対する協力ができる時代はそれでもいいわけなんですよ、国の事業ですから。いよいよできないということになれば、林野事業の収益が低下したということを理由にして、国土保全であるとか、あるいは自然環境の保全であるとか、水資源の涵養であるとか、国民の休養林の設定であるとか、そうした大事な事業を放置しておくことはできないと思うのですよ。したがって、これらを公益機能の発揮すべき事業と総称して、そして会計上は特に公益勘定を新たに設定して、そして会計内容と事業を明らかにするために必要な額を一般会計から繰り入れすべきである。この必要性については、もうそうすべきであるというこれは定説になっているのですよ。あとは大蔵大臣の決断によって会計法の中においてこれを創設するかしないか、機能を発揮するかしないかということにかかっておるので、この点はもういよいよ熟慮の時代を過ぎて決断の時期だと思いますので、十分な考慮と、実行に当たって取り組んでもらいたいと思いますが、いかがですか。
○大平国務大臣 私ども林野会計、余り詳しくございませんで、感じといたしましては、木材の価格がフラクチュエートするものでございますから、相当高値を呼んでおりますときは、経営の中で公益機能も保障するに足るだけの収入を確保することができたと思いますけれども、最近のようにどうも木材価格がさえないというようなときで、とりわけことしの予算みたいな編成の段階に際会いたしまして、どうすべきかいろいろ相談いたしたのでございますけれども、ことしは思い切って財投資金を投入いたしましてひとつお助けしよう。年度を複数年度にわたりまして考えますと、植林にいたしましてもあるいは林道にいたしましても、やってまいりましたことが生産性を発揮するわけでございまするので、いま芳賀さんの言われる問題は少し長期の展望で考えさせていただきたいと私自身は考えますが、事務の方でも意見があろうかと思いますから、ちょっとお聞き取りをいただきます。
○芳賀委員 これにあわせて特別会計の運用の問題でありますが、もちろん国有林野事業というのは、国有財産を維持管理して生産面の事業も行うということになっておるわけですからして、事業特別会計あるいは企業特別会計方式と言われるわけですからね。ただ、その運用面から見ると、これが単年度収支均衡方式が行われておるわけですね。いかなる事業もその収支は、たとえば昭和五十年度であれば五十年度末までに完結しなければならぬというようなことになっておるわけです。したがって、林業の持つ長期性とか持続性というものを考えた場合において、同じ公共企業体の事業であっても、国鉄であるとか電電公社であるとかあるいは郵政であるというようなそういう事業は、もう年度末に締め切ればその年度の収支というものはおのずから明らかになるわけでありますが、林業の特徴から見て、やはりその年度に生産した製品の販売等にしても、やはり国内の市況が非常に変動が激しいわけでありますからして、余り単年度収支の原則に拘束されると、結果的には林野事業の運営がだんだん硬直してきて、予定の収益を上げることができるにもかかわらず、単年度方式でいくとみすみす損失を招くような事業もしなければならぬという弊害があるわけです。特に事業運営のため短期の一時借入金を行うことができる。これは特別会計は農林大臣が所管しておられるわけですが、借入金とか証券発行の分だけはこれは大蔵大臣が行うということになっておるわけです。だから、短期借り入れを行っても、年度末に必ず返済をしなければならぬという厳重な規定があるわけですね。だから、やはり特別会計事業の弾力的な運営を図る必要があるということであれば、こういう面についてぜひ大蔵大臣としても十分な検討を加えて、そして国有林野事業の経営が発展の方向に機能できるようにすべきと私は考えるわけですが、その点はどうですか。
○大平国務大臣 ごもっともに存じます。とりわけいまのように経済の変動期でございまするので、単年度で勝負をしようというわけにはなかなかまいらない問題が多いと思いますので、複数年度にわたりまして弾力的に配慮してまいるべしという御要請はごもっともに存じまして、そういう心がけでまいりたいと思います。
○芳賀委員 次に農林大臣にお尋ねしますが、最近林業の年次報告等を見ても、あるいは林野庁の事業報告を見ても、逐年森林資源が蓄積の面においても低下の傾向をたどっておる。それから毎年毎年の林業の生産面の活動も停とんしておるというような、生産面における後退が非常に目立っておるわけです。たとえば、過去十四年間に国有林野の蓄積が量的に見ると約一億立方メートル、一億立米蓄積が減少しておる。一立米の立木価格をたとえば一万円にしても、それは一兆円の財貨換算ということになるのですね。国民の財産を扱って、そうした財産保持あるいは生産の拡大、資源の拡大が十分に行われないということは、これはまことに重大な点だと思うのですね。ですから、こういう点について根本的な改善が必要だと思うのですよ。特に大きな理由としては、一つは、国有林野の造林事業というのはこれは毎年毎年の事業計画と予算によって執行されておるわけですが、造林事業についても、予算の執行計画と年度末の事業達成の成果というものは非常に開きがあるわけですね。一〇〇%の達成が行われていないという点があるわけです。それから林道にしても、国有林の中に生産のための林道をだんだん延長していくわけでありまして、そのために林道事業の経費が計上されておるわけですが、これも年度末には計画に対してほど遠い達成の状態であるということになれば、造林も不十分である、林道の伸展も不十分である。さらにもう一つ、一番大事な点は、造林をしてから育成するまでの八年間ないし十年間が一番これは大事なときでして、農作物にすれば手入れ期間ということになるのですね。手入れが不十分であれば、秋になって十俵とれる米が八俵しかとれぬということになるのであって、この国有林の人工造林地における保育期間の十分な作業というものが最近は手抜きが行われているのではないか。事業上の手抜きですね。実は私は先月福岡県にあるところの熊本営林局の直方営林署へ参りまして、直方営林署地域の造林地の実態調査を当局の協力を得て行ってきたわけでありますが、まことに想像以上に造林地の保育というものが手抜きというか放置というような状態になっておるわけです。これも結局予算上の制約等があるものだから、どうしても手抜きをするということになると思うわけなんですよ。こういう実態はやはり農林大臣としても林野庁長官としても明らかにして、十分な生産の向上が期せられるような、そういう林野事業というものを進めていく必要があると思うのですよ。こういう点については農林大臣としてどう考えておりますか。
○安倍国務大臣 国有林野事業の実績がなかなか上がらないではないかというふうな御指摘があります。特に造林事業でございますが、これがなかなか予算と実績の差異が出ておるという非常に大きな原因というのは、最近の自然保護等の要請によりまして年々伐採量が減ってきておる、そういう点に伴いまして必要な新植面積等が減少しておるということが最大の原因ではないかと思うわけでありますが、いまお話がございましたような人件費の急激な上昇等のために、たとえば四十七年度のように保育の一部を繰り延べざるを得ないというふうな事態も生じたこともあったわけでありますが、これらの造林地につきましては、現地の実態を把握しながら、保育の取り戻しのほか改植、補植などを必要に応じて計画的に実施し、今後とも手おくれの解消のためには努力をしてまいりたいと思うわけでございます。なお、これに必要な財源としては五十一年度におきまして財投資金の長期借り入れ四百億を行ったわけでございまして、今後とも必要な資金につきましてはこれを確保するべく努力を続けてまいりたいと考えております。
○芳賀委員 私は、国有林の経営改善ということになれば、いま指摘したいのは、国有林全体の資源的な生産が向上できる事業というものを完全に行うということ、そういう体制をつくるということが経営改善の一番基本だと思うのですよ。これをやらないで、たとえば人員整理をするとか、あるいはまた営林局、営林署の統廃合を行うとか、そうした合理化部面だけを強調して、これが経営改善だと言うところに誤りがあると思うのですね。やはり造林してから四十年、五十年経過しないと収穫することができないわけですから、とても三代や五代の内閣がちょいちょいかわったからといったって、そうした長期展望の上に立っての国民にこたえる仕事はできないと思うのですね。だから、こういう森林資源の確保という面から見て、特にこれは林業基本法でも示しておる点ですから、やはり先ほど福田副総理が言われた五十年代の前期における経済五カ年計画を本気で立てるというのであれば、森林資源等については、需要面においては年間一億一千万立米の木材が必要なわけですから、そのうちの三五%しか国内で供給できない。そして、不足の六五%以上の七千万立米を海外に依存しなければならぬというような資源低下の実態にあるわけです。そして、一億立米も蓄積が減って、一兆円以上の国民の財産を減少さしておるというようなことになっておるわけですから、やはりこの面について、今後十分な予算の裏づけとか、事業の推進をぜひやるべきだと思うのですが、どうですか大蔵大臣。
○大平国務大臣 御指摘の点、大変示唆的でございまして、私ども大いに啓発されるところが大きゅうございます。そういう方向に極力努力してまいります。
○芳賀委員 次に申し上げたいのは、国内における木材の需給安定と特に価格安定ですね。国有林の場合は、国の財産ですから国の責任で事業を行うわけですが、しかし民有林の場合は、収益性の低い林業というものに営々として全国の林業従事者の人たちが取り組んでおるわけですから、生産された木材あるいは製品等についても、やはり四十年、五十年苦労をした資本の回収あるいは長期に投入した労働力の報酬というものは完全に回収されなければならぬと思うのです。そういう面から見ると、やはり木材の需給と価格安定というものは国としても非常に大事な仕事だと思うわけであります。 たとえば、国有林の立木の販売あるいは製品の販売方法等をわれわれは見ておるわけでありますが、その販売方法の中においては、全国の巨大な紙パルプ企業を重点にしたいわゆる随意契約、特売方式というものがいまだに継続されておる。これは、もう林業基本法をつくりました十年前から、こういう随契とか特売方式を大きな企業を対象にしてやるのは間違いである、根本的に改善しなさいということをわれわれは常に指摘してきておるわけでありますが、こういう特売等で正当な価格以下に製品販売や立木販売を行うということになれば、予期された収益が上がらぬということになると思うのです。ですから、この点についてはやはり厳重に反省を行って、今後国民の財産である林木や製品の販売等についても、公明な適正な価格でこれが販売されるようにすべきだと思うわけです。 特にその場合、林業についても、やはり人工造林等の場合においては、原価計算あるいは生産費の計算というものは経営上行われてしかるべきだと私は思うわけです。農林省においても、統計情報部においては民有林を対象にした育林の生産経費等を毎年毎年調査して公表しておるわけですから、同じ農林省の中の事業を担当しておる林野庁が、林野庁自身が担当しておる国有林の立木や製品の原価計算あるいは生産費の計算ができないということはないと思うのですけれども、こういう点については農林大臣としてどう考えていますか。
○安倍国務大臣 木材の需給の調整と価格の安定ということは非常に大事なことである。特にいまお話がございましたように、六五%を外材に依存しているわが国としては、外材の輸入に対しまして、特に秩序のある輸入ということについて、いろいろと今後とも対策を進めていかなければならぬと思うわけでございます。 同時にまた、いまお話がございましたパルプ会社との契約を、随意契約から競争契約にすべきである、こういうような御意見でもあるわけでございますが、これは林政審議会の答申に即して、随意契約による販売を漸次縮小し、一般競争契約による販売を拡大をするなど、最近ではいろいろとその販売方法の改善に努めておるところでございますが、随意契約につきましては、地元産業の育成、あるいはまた国有林野聖業にとっても長期的安定的な市場を確保する上で有効な方法でもございまして、その実施に当たりましては、競争原理を導入するなど適切な運営を図ってまいりたいと考えておりますが、いま御指摘の、パルプ会社に対する随意契約販売は、昭和五十一年三月三十一日限りで廃止することといたしておるわけでございまして、目下これにつきましては関係省庁と打ち合わせを行っておる段階でございます。 それから、国有林では、販売に当たって市況で売らないで、原価計算を行い、コストに見合った価格で売るべきではないかという御意見でございます。わが国における木材の取引は、木材の需給の実勢を反映して形成される、いわゆる市場価格によって行われているという流通の実態にかんがみまして、国有林材にあっても、その円滑な流通を確保するためには、取引の実例価格等を基準にして販売価格を決めることが必要であると考えておるわけでございます。 なお、さらにこの点について詳しい御説明をいたすということになりますれば、林野庁長官からいたさせたいと思います。
○芳賀委員 いまの問題は、まず販売も大事ですが、林野庁として取り組んでおる林木や、あるいは伐採して素材の生産とかあるいは製品生産をやるわけですから、それでは生産された林木やあるいは製品というものは、原価制から見ればどれだけの費用がかかっているということがわからないというのはおかしいのですよ。そうじゃないですか。農産物にしたって、全部農林省が生産費調査をやって、価格決定の場合にはそれが一つの参考資料ということになるわけです。だから、需給安定とかあるいは公共性を発揮して国有林材を幾らに売るというよりも、原価に比べてそれは安売りをするのか、安売りをする場合は価格安定のために国有林の生産材を低廉に供給して国内の価格の安定を図るのか、その目的がはっきりしないと思うのですよ。原価計算そのままで売りなさいというのではないのですよ。この商品とか物資の価値というものは累積すればどれだけになったかということを確認しないで、物の販売とか国有財産の払い下げというのは絶対にできないと思うのです。ですからその点について、同じ農林省の中の統計情報部においてはこれは行っておるわけだから、そういう点も内部的な参考に取り入れて、もう少し近代的な国有林野の経営が改善されるようにされてはどうかということを言っておるわけです。
○安倍国務大臣 いまの問題につきましては、林野庁長官から答弁いたさせます。
○芳賀委員 いや、いいですよ、大臣がわかればいいんだから。 これにあわせて、先ほど農林大臣も触れられました、年間七千万立方を超える大量な外材を輸入しておるわけですが、これはやはり野放しにしておくと、丸紅のような大手商社等のかつての買い占め事件等が起こるわけです。最後のしりぬぐいは全部国民の犠牲、国民の負担においてしなければならぬということになるわけでありますからして、木材輸入は現在は国の管理貿易ではありませんが、政府においては林野庁という役所がある、しかも国有林野特別会計というものを制度的に持っておるのだから、その需給安定あるいは価格安定ということになれば、単に国内で生産される木材の消流だけでは本当の安定対策はできないと思うのですよ。だから、そういう場合には、先ほど言いました林業振興に関する特別決議の中に、輸入外材に対する管理貿易の制度化、あるいは外材に対する輸入課徴金等の制度の検討をすべきであるということを指摘しておるわけでありますからして、こういう点についてもやはり前向きな検討を政府として行うべきではないかと思うわけです。 福田さん、どうですか。新経済計画等には、こういう将来展望というものはやはり据えてかかるべきだと思うのですがね。
○福田(赳)国務大臣 お話を承りまして、いろいろ問題を提起されておられるようでありますので、よくまた農林省で勉強してもらいます。
○芳賀委員 次に、全国の林業労働者の職業病と言われるまず白ろう病、それから腰痛症が毎年毎年激発しておるわけですね。特に、国有林の伐木作業等を行っておる基幹作業員の場合は、総員の半数ですね、六千人のうちの半数の三千人が白ろう病の認定を受けて、白ろう病認定患者ということになっておるわけです。白ろう病というのはもう、一度症状が出ればなかなか快癒するということは容易ならぬことになっておるわけでありますからして、国の事業の中でこうした大事な人たちが苦しんでおるという点、それから腰痛症についても、これは大体林野庁の現場で働く機械要員の六〇%がこの腰痛症を訴えておるということになっておるわけです。これは、人道上から見てもゆゆしき問題だと思うわけですね。ぜひこれは、単に農林省とか林野庁だけの問題ではなくて、政府としてこれらの職業病対策については、これを絶滅するという決意の上に立って取り組むべきであるというふうに考えるわけです。ただ、民有林の場合は、残念ながら認定患者の数がまだ五百人程度で非常に少ないわけですね。そういうことはないと思うのですよ。たとえば白ろう病の原因をなすチェーンソーと言われる振動機械の台数から見ても、国有林の場合には六千台ですからね。民有林の場合には十八万台チェーンソーがあるということになっておる。それにもかかわらず、五百名程度しかこの白ろう病の認定患者がいないということは、そこに隠された大きな問題があると思うわけです。 きょうは労働大臣、厚生大臣は出席を求めておりませんが、お三方そろっておるわけですからして、こういう点についてもやはり十分な対応を迅速に行うべきであると思いますが、いかがですか。
○安倍国務大臣 振動病、腰痛等は、やはり働く人たちの生命に関する問題でございますから、これが予防対策、治療対策等は積極的に進めなければならぬわけでございまして、政府といたしましても、この対策につきましては、振動の少ないチェーンソーへの買いかえとか、その他緊急対策としての操作時間の短縮であるとか、いろいろと合理的な作業仕組み等を各現場の実態に即応して策定するというふうなこと等もあわせて、努力を続けておるわけでございますが、民有林につきましても、いま御指摘のような民有林の実情もあるわけでございますので、そういう点をわれわれとしても十分踏まえて、関係各省とも協力をしながら、積極的にこれらの対策は進めてまいりたいというふうに考えております。
○芳賀委員 林業問題の最後の質問になりますが、それは、国有林の労働者の中で定員の外に置かれておる、常用あるいは定期作業員と言われておるわけでありますが、同じように国の職員である公務員でありまして、ただ定員の外にあるものですからして、日給制職員という処遇を受けておる問題です。 この問題については、われわれとしても十年来正常な状態に問題の解決を図るべきであるということで、政府に対して実現を迫ってきたわけでありますが、ようやく昨年の三月三十一日に、御承知のとおり農林省、大蔵省、行政管理庁、総理府、人事院の関係五省庁の責任において、「国有林野事業の基幹的な要員の国家公務員体系上の位置付けについて」といういわゆる合意事項というものが成立したわけです。これについては、中心の安倍農林大臣の労苦というものはわれわれ相当に評価しておるわけでありますが、この実施が昭和五十二年四月からということになっておるわけでありますからして、そうなると、今年度五十一年は常勤制実施のための大事な準備期間ということになるわけであります。いままでの経過から見ても、なかなかおいそれと来年四月全面実施ということは、われわれが注意を怠っていれば容易ではないのじゃないかと思われるので、ぜひ政府におかれましても、福田副総理はこの合意文書にサインをしておらぬが、従来の経過は十分御承知でありますし、特に副総理という重みがあるわけですからして、これは政府の責任において、満足される常勤制への五十二年四月実施に向かって迅速に諸般の準備作業を進めて、大蔵省におかれては五十二年の予算編成の関係等もあると思いますけれども、ぜひこれについては積極的に取り組んでもらいたいと思います。 まあ安倍農林大臣も、就任以来まだ二年たたぬわけですが、いいこともやっておるわけですよ。この常勤制を、十年来の懸案にようやくめどをつけたとか、まだ触れませんが、国内で生産される米とか生乳とか農畜産物の価格決定に重大な関連のある生産費調査においても、いままでの日雇い労賃方式でなくて、統計調査においても他産業の適正な労働賃金を農家の自家労賃に評価がえをしなさいという問題、これもようやく実現の運びになったわけです。全部いいことばかりやっているわけでもないと思うのですが、先ほどの丸紅の代行指定等はどうも歯切れが悪いですが、とにかく常勤制の問題と農家の自家労賃の評価がえの問題については、いいことはいいことをやったということでわれわれも認めておきたいと思います。この点について政府としての決意を明らかにしてもらいたいと思います。
○安倍国務大臣 常勤制付与の問題につきましては、昨年来各省間で鋭意検討を進めておるわけでございまして、農林省としては、その早期な実現を目指しまして、今後とも積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。
○芳賀委員 大蔵大臣、いかがですか。
○大平国務大臣 農林省とよく協議いたしまして、対処いたします。
○芳賀委員 副総理、どうですか。
○福田(赳)国務大臣 ただいま両大臣から申し上げたとおりに努力いたします。
○芳賀委員 次に、外務大臣並びに農林大臣にお尋ねしますが、この三月十五日からニューヨークにおいて第三次第四会期の海洋法会議が開かれるわけでありまして、さだめて政府としても、農林省、外務省から最も有能な代表を海洋法会議に送ることになると思うわけです。ただ、われわれが承知をしている範囲においては、いままで日本の自民党の外交路線といいますか、この海洋法会議における日本政府の行動というものはまことにどうも不明確である。その中でも、最近非常に国民の関心の高まっておるこの領海十二海里の早期宣言の問題についても、二転、三転して、どこに基本的な方針があるか不明であります。 今回政府としては、その海洋法会議に臨む方針として、領海十二海里の設定の問題と経済水域二百海里の問題を一括交渉の形でこれに取り組むというような方針を決められたというふうにも聞いておるわけでございますが、この際、海洋法会議に臨む政府の方針というものを示してもらいたいと思います。
○宮澤国務大臣 閣議におきまして最終的に決定はいたしておりませんけれども、ほぼただいまから申し上げるような線で考えております。 すなわち、御指摘の領海の問題、それから国際海峡の問題、経済水域の問題、三つが一括して協議という、いわゆるパッケージディールと言っておりますが、そういう姿になってまいっておりまして、それについてわが国は、全体が一括して処理されるということの前提のもとに、領海十二海里ということは支持をする。国際海峡の考え方もそのものは支持をする。経済水域二百海里は、わが国のと申しますか、一般に遠洋漁業の既得権といいますか、利益が保護されるという条件のもとに支持をする。三件一括してそのように処理されるのであれば、わが国はそういう立場をとるということにほぼ事務当局の考えがまとまりつつございます。
○芳賀委員 そこで、外務大臣にひとつお尋ねしますが、昨年の十二月九日に、東京の武道館において全国の沿岸漁民の代表が一万人結集して漁業危機突破の全国漁民大会が開かれたわけです。その際、議長団の中から代表を選定して、その代表は北海道の指導漁連の会長の麻里悌三君、党籍はこの人は自民党ですが、大会を代表して、院内においてその麻里代表が宮澤外務大臣と会見いたしまして、日本の沿岸漁業の立場から十二海里宣言を早期に実現してもらいたいという切々たる要請を当日行ったわけです。 その際、この大会において麻里代表から報告された内容というのは、ただいま国会の中で外務大臣とお会いいたしまして、この大会の決議に基づいた要請を行いました。それに対して宮澤外務大臣は、この十二海里宣言の問題については、一月の中旬をめどにして、まず政府として閣議において十二海里宣言の方針を決める。そして直ちに必要な国内法の整備等の問題を進めて、遅くとも四月ごろをめどにして皆さんの納得できる領海宣言を行いますという、そういう報告が行われた。予期した以上に明快な外務大臣の約束ということで、満場拍手をしたわけですが、今度の政府の方針というのは、これからもう大幅にまた後退をしているわけです。どういう事情があるかわかりませんが、国民である日本の漁民大衆に対するこれは背信行為と言っても差し支えないと思うわけです。そこに、いまの政府の外交上の一貫性を欠く、独自性のない姿勢というものがあると思うわけです。 ですから、今度海洋法会議に行かれましても、三月十五日から五月十五日までの六十日間の会期の中において、この領海十二海里と排他的経済水域二百海里が参加国の合意によって成立するということは断定できないんでしょう。先日安倍農林大臣は、農林水産委員会において、これは、必ず実現するめどはなかなかない。そこで実現しなければまたその次の機会もあるというような、そういう感触の答弁をされておるわけです。ただ、外務省の姿勢がだんだん後退して、政府の方針が揺れ動くということになれば、最初から先頭に立って十二海里早期宣言でがんばってきた農林大臣の姿勢もだんだん弱腰になるんじゃないかと言ってわれわれはながめておるわけですが、この点はどうですか。確信を持って今回の海洋法会議の中において、日本がリードしてこの十二海里とそれから二百海里の問題を参加国合意の中で実現させるという、そういう決意を持って臨むわけですか。
○宮澤国務大臣 昨年十一月に芳賀委員からこの問題につきましてお尋ねがございました直後、政府の中に官房副長官を中心にいたしまして関係各省の会議を設けたわけでございます。その会議を中心に討議をいたしてまいりました。 十二月九日に、漁民の代表の方に私、確かにお目にかかりまして、そのとき申し上げましたことは、私としては、やはり領海十二海里ということが適当なことと思う、及び、仮にそうであったとしたときに、これが法律が要るのであるか、国内的にどういう措置が要るのであるかということも検討しなければならないので、それらのことをあわせていま内閣官房を中心に検討をしております。一月の国会再会のころまでには政府の基本方針を決定する必要があると思うということを確かに申し上げたのであります。 それで、一月三十日でございましたか、に閣議で口頭了解がございまして、領海十二海里を至当とする、その方法、態様については、海洋法会議が一つの問題だけを先取りをしてもらっては困るという各国への議長の呼びかけもありますので、そのことも考え、また各国の動きも考えつつ、態様、方法については情勢を勘案をする必要がある、このような閣議の了解であるわけでございます。 したがいまして、わが国としては、先ほど申し上げましたような線で、あと二週間ほどでございますが、この海洋法会議に臨みたいと思っております。積極的にすべての問題がいわゆるパッケージディールでできるという前提のもとに、わが国としては動きたいというふうに考えております。
○芳賀委員 外務大臣も御承知のとおり、この領海問題については、国際条約として領海及び接続水域条約というものが現存しておりまして、日本政府の場合は昭和四十三年七月十日、この領海条約についての効力が発生しておるわけであります。だから、この点から見れば、主権国である日本において単独で十二海里の領海宣言はできるわけです。何も海洋法会議というような機会を求めなければ十二海里の宣言ができないというものじゃないでしょう。われわれのそんたくしておるのは、この領海宣言を行えば、たとえば日本の領土、領海の場合には、北海道と本土の間の津軽海峡が領海ということになるのですね。そうすると、そういう場合に、今度はこの領海条約から言うと、もちろん領海内の通過であっても、無害通航権というものは保障されておるわけでありますが、その場合においても、一般の船舶とか軍艦であるとかその他の船舶というような無害通航の規定は確かにあるが、たとえば潜水艦の場合には浮上して旗を掲げなさいというような点ですね。それと同時に、その主権国の正当な規定とか規則等に対しては従わなければならぬということになっておるのですよ。 それを、政府が迅速にこれが実行できないということは、たとえば津軽海峡が国際海峡になるという場合に、まず日本の非核三原則を、領海を通過する核搭載の疑いのある戦艦等にいかように適用するかという問題について、これを避けようとしているのじゃないですか。だから今度の海洋法会議の中において、この国際海峡の問題とか無害通航の問題等についても、海洋法の中のその関係国の合意の中において今度はこうなりました、これを尊重して実行しますというふうに、どうも責任を回避するような方向で方針を決めておるのじゃないかというようにわれわれは考えるわけですが、その点はどうですか。 〔井原委員長代理退席、委員長着席〕
○宮澤国務大臣 いわゆる一括取引の問題の中に、御指摘のような国際海峡というものをどのように考えるかという問題があることは、そのとおりでございますけれども、実はもう一つ大きな問題は、経済水域二百海里というものができましたときに、遠洋漁業国であるわが国の利益をやはり考えませんと非常な不利をこうむるおそれがございますので、したがってその三つの問題を、できるならばわが国の国益が一番損なわれない形で海洋法会議で一括して決めることが望ましいという考えをとっておるわけでございます。
○芳賀委員 次にお尋ねしますが、昨年の十月二十三日に日ソ漁業操業協定が発効したわけでありますが、これに関連して、ソ連の大型船団が日本の沿岸に押し寄せて、そうして不法と認められるような操業をやって、それが日本の沿岸漁業に相当大きな損害を与えてきておることは、これは事実であります。それなるがゆえに操業協定というものが締結されたことにもなるわけですが、この協定発効後のそうした状態というものはどうなっておるか。 それから、一番大事な協定のかなめである漁業損害の賠償請求処理委員会というものが、もうすでに発足して、実際の仕事を行っておるかどうか。条約発効前二カ年にさかのぼって、その間生じたこの種の損害については、この委員会の検討を経てソ連側において賠償責任に当たるということになっておるわけです。したがって、この委員会の設置が行われて、これが機能しなければ、その損害の確認とか賠償行為というものができなくなるわけですね。そういう点についてはどうなっておるかという点。 もう一つは、二年ほど前から、韓国の大型漁船が北海道の太平洋沿岸あるいは東北等の沿岸に参りまして、これもまた日本の沿岸漁業に対して相当大きな被害を継続的に与えておるわけです。この点は、われわれから見ると、日韓漁業協定というものが一九六五年の十二月に発効したことになっておるわけでありますが、この日韓漁業協定の第一条には、排他的漁業専管水域、これは協定では「漁業に関する水域」と言うわけでありますが、この十二海里の排他的専管水域を両国間でそれぞれ設定する権利を有することを相互に認めるというのが第一条に明定されておるわけです。そうなれば、太平洋岸に、日本政府として、明らかな十二海里のこの協定に基づく専管水域を設定していないという場合であっても、やはりこの条約の趣旨を尊重するということになれば、韓国船が太平洋沿岸に来て日本の沿岸漁業を侵害する、損害を与えるというのは、やはりこれは条約上から見ても不法行為であるというふうに思うわけです。 こういう問題については、日本の外務省として、あるいは農林省の水産庁として、本当に日本の沿岸漁業を守り、沿岸漁民の利益を擁護するという立場で行政を進めておるかどうか、非常にこの点は疑わしいわけです。何でもかんでも韓国の横車に妥協しなければならぬというものではない。われわれは日韓漁業協定に反対したわけですが、政府・自民党はこれを押し切って、有効な条約ということになっておる。それで第一条には、両国間において、それぞれ排他的漁業専管水域十二海里を設定する権利を有するということを認め合っておるわけではないですか。それを、十二海里の中に入り込んで不法な操業をやる、それを十分に取り締まることもできないし、それを根絶させることもできない、まことにこれは弱腰ではないかと思うのですよ。だからこういう点については、迅速に抜本的な処理、解決をすべきと思いますが、どうですか。
○安倍国務大臣 まず、ソ連漁船によるところの被害でございますが、道県からの報告によりますれば、昭和五十年十月、日ソ漁業操業協定が発効して後、五十一年二月の末までに百七十件、三千八百二十六万円に上っております。昨年同期と比較してみますと、件数では約一七%、金額で約一二%減少はいたしております。 なお、漁業損害賠償請求処理委員会のソ連側委員は、おくれておりましたが、去る二月二十六日に来日をいたしまして、本日、三月五日に第一回の委員会を開催をし、正式に発足する予定でございます。 委員会におきましては、委員会の運営方法等の事務的な検討を済ませまして、早急に損害賠償請求の審査を開始する予定でございます。 次に、韓国漁船によるところの被害でございますが、韓国漁船の北海道沿岸海域における操業は、本年度は昭和五十年九月ごろから行われ、操業方法は底びき網漁法、トロール漁法によっておるものでございまして、韓国漁船の操業に伴いまして北海道南部地先海域におけるわが国沿岸漁船の刺し網漁具に被害が生じ、北海道庁の報告によりますと、今漁期の被害は、昭和五十一年二月二十六日現在におきまして約百七十件、六千万円に及んでおるわけでございます。 そこで、政府といたしましては、今年一月二十二日及び二十三日に、外交ルートを通じまして韓国政府に対して、わが国沿岸十二海里以内における韓国漁船の操業自粛、わが国沿岸の漁具に設置されておるところの標識の周知徹底及びその遵守方、漁業紛争処理についての申し入れを行いましたところ、二月二十三日に韓国政府からわが政府に対しまして次のような回答があったわけであります。 第一に、日韓友好関係にかんがみまして北海道沿岸十二海里以内の水域における操業を自制するように韓国漁民を指導する。第二番目は、北海道沿岸の定置性漁具の標識に注意し、韓国漁船による被害を防止するよう指導する。三番目として、操業秩序維持と事故処理を図るため、韓国政府としては韓国の北洋漁業振興会に対し、日本側が窓口として提案をした大日本水産会と、本問題に関し早急に協議を開始するよう指導する。こういうふうな回答がございましたので、目下、日韓両国漁船間の事故処理及び操業秩序維持を図るために、大日本水産会を窓口として、全漁連等関係民間団体の代表者を韓国に派遣することを考えておるわけでございます。 なお、日韓漁業条約の問題でございますが、協定水域を規定しておりますが、この協定水域は北海道の現在操業しておる海域を外しておるわけでございます。したがって、そういう意味におきまして、われわれは強く申し入れまして、十二海里以内の自粛に対しましても、韓国側からもこういうふうな回答が参りましたし、また損害賠償等につきましては、これは西日本地域におきましてもやっておるように、民間の窓口を通して損害の賠償請求をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○芳賀委員 せっかく文部大臣に出席を求めてあるので、最後の質問をお願いします。 それは、一つは学校給食の問題ですね。特に義務教育である小中学校の生徒児童を対象にして、これは憲法上からいうと、憲法二十六条に義務教育無償の原則が明定されておるわけですから、いままで国産の生乳のいわゆる牛乳給食が相当拡大して定着しておるわけです。今度は、農林省が推進した関係もありますが、学校給食に自分の国で生産された米飯給食を進める、これは内閣広報室の世論調査から見ても、父兄である国民は全面的に賛成ということになっております。学校給食はやはり学校給食法という根拠規定があるわけですから、農林省と十分相談をされて、その方向に向かって根拠を明らかにして、今後やはり自分の国の風土に最も適して、民族の繁栄の一番のエネルギーになる――米食にしても生牛乳にしても、これを中心として学校の教育課程の中に入っているわけでしょう、給食というのは。そういう点をぜひ根本的に方向を定めて、十分に進めてもらいたいと思うのです。これは、学校の先生方が主任制度はやってもらいたくないというのを無理やりやるような考えと違って、学校給食を全面的に進めるなんということは、何をおいてもイの一番に文部大臣として推進する問題だ。 もう一つは、農業の担い手である後継者の問題です。これは文部大臣に責任があるわけじゃないですよ。たとえば昨年、全国の農家子弟の中学校、高等学校の卒業者が九十三万人いるわけです、農家子弟だけで。中学校は九五%高校進学でして、結局三十二万人が就職をしておるわけです。農家子弟の就職者の三十二万人のうち、農業の後継者として農業に残った者の数は、わずかに一万人ということになる。全国で一万人ですよ。 もう一つは、それじゃことしはどうなるか、われわれは、もう一万人を割るようなことがあっては、これは日本の農業の壊滅になる、民族の滅亡につながるといって憂慮しておったわけでありますが、私の確認した点においては、ことしの三月の新規卒業者の農業後継者の見込みは八千人ということになっておるのですね、八千人。いままでは四千人ずつ減っておったのですけれでも、ことしは二千人。しかし、このまま三、四年、二千人ずつ減れば、やがて後継者としての新規卒業者はゼロということになる。これは何も、いまの義務教育の中において文部大臣に責任があるとは言いませんよ。しかし、こういうような憂うべき動向というものは一体何を原因にして生じておるかということは、これは追及する必要があると思うのですね。 この点は、農林大臣としても一番苦慮されておる点であると思いますが、今後の後継者対策、どうして後継者が絶滅するかというところに根本的な問題があると思うのですよ。その新五カ年計画にも、福田さん、何もこれは触れていないでしょう。この点について、文部大臣並びに農林大臣から、今後これをどうする、大変な問題をどうするというお考えがあれば、ここで示してもらいたいと思います。
○永井国務大臣 ただいま御指摘の点は、三点にわたっていると思いますので、要点を順次申し上げさせていただきたいと思います。 まず第一点の学校給食につきましては、これは従来、小麦粉を中心とするいわゆるパンの給食をやってまいりましたが、昭和四十五年から文部省を中心に米利用の実験をやってまいりました。しかし、今回は学校給食に米飯を導入することにいたしまして、そうして従来のわが国の伝統でありますところの米飯を中心とした給食への方向というものを考える、他方においてわが国の食糧資源というものを考慮いたしまして、日本人の食生活を再認識する、こういう考え方で私どもは二月十日付で学校給食法施行規則等の省令を改正いたしまして、そして給食の内容を、従来パン、ミルクとなっておりましたのに米飯を加えて、米飯を学校給食制度上に明確に位置づけたわけでございます。 なお、第二点のミルクでございますが、これは沖繩県におきましては、一%弱が脱脂粉乳を飲んでおりますけれども、全地域で見ますと、牛乳を飲んでおりますのは九九%、これは米飯給食を実施する場合におきましても、今後学校給食実施人員約千四百九十二万人は、パンを食べるということでなく、米飯の場合にも引き続きわが国のミルクを飲んでいくということでございます。 第三番目に、農業の後継者を育成するという問題は、御指摘のとおりまことに重要なことでありまして、教育の方においてもその努力をいたすべきであると考えております。他方において、就農者をふやしてまいりますのには、農業や農村生活が青少年にとって魅力のあるものになるという教育外の事情もまたきわめて重要であると考えております。 しかし、教育に限定して申しますと、御指摘のとおり、高等学校の農業学科卒業生のうちで就農する者の数が減少していることは、きわめて憂慮いたすべき問題でございますから、学校教育の面においても、今日までもいろいろ工夫をこらしてきておりますが、今後一層の努力が必要であると考えております。 特に農業をきらう、あるいは体を使って働くということをきらうというような風潮が、やはり昨今のわが国にあるということを考えまして、農業高校よりも以前の年少の段階におきまして、カリキュラムの中で、家庭や地域社会において、つくるということ、あるいは育てるということ、こうしたことを今後われわれは重要視していかなければならないと考えております。とりわけ、高等学校における農業教育の改善充実につきましては、やはり工業に偏重した考え方を改めまして、正しい勤労観を持ったそうした農業教育というものを強化して、後継者をぜひともつくっていくように教育の側面からも努力をいたさなければならないと考えているわけでございます。
○安倍国務大臣 第一の米飯給食の問題でございますが、これは農林省としても、かねがね文部省と連絡をとりながら実験給食等をやってきたわけでございますが、最近の国際的な食糧事情の逼迫、そしてその中にあって、米の見直し論ということが大きく出ておるわけでございまして、現在の段階におきましては、われわれとしては、いまお話のありましたように、国民の主食である、日本人の主食である米の消費拡大を図っていくということは最も大事なことでございまして、そういう点から、文部大臣とも相談をいたしまして、五十一年度から米飯給食に対して新しくこれを充実することになったわけでございます。農林省としてはできるだけの御協力を申し上げておるわけでありまして、米につきましても、学校給食については三五%の値引きをいたしましてこれを支給いたしております。最近までの情勢をいろいろと報告も受けておりますが、学校給食を行うという空気は、全国各地の各校におきまして相当強く出ておるようでございまして、この機を外さずに積極的に学校給食が進むことをわれわれも期待し、さらにひとつ施策を進めてまいりたいと思っております。 また、後継者につきましては、新規学卒の就農率が近年下がっておることは事実でございます。これにつきましては、今後の農業の将来を考えますときに、この後継者の育成対策というのは最も大事な課題でございまして、いま文部大臣からお話がありましたように、文部省としての教育のあり方についてもいろいろと研究改善をしていただかなければならぬわけでありますが、受け入れる方の農村、農業としても、いま文部大臣のお話のように、やはり魅力のある農業あるいは農村というものをつくっていかなければならぬわけであります。そのためには、基盤整備の充実、あるいは農村環境の整備、あるいはまたさらに価格政策の改善等、農業の振興に関する諸施策を積極的に進めることは当然でございます。同時にまた、後継者のための後継者育成資金というものがありますが、この制度を充実していく、あるいはまた農業年金の改善等も図っていくということで、本当に農業の担い手となる後継者が魅力をもって農村社会に入っていくように、われわれとしても今後とも全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○荒舩委員長 これにて芳賀君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、一般質疑は全部終了いたしました。 来る八日より分科会に入ることといたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後八時二十五分散会