予算委員会 第23号
- 発言数
- 328 件
- 登壇者
- 50 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1976/03/04
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 昭和五十一年度一般会計予算、昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 この際、参考人出頭に関する件についてお諮りいたします。 本日、日本道路公団副総裁の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————◇—————
○荒舩委員長 一般質疑を行います。細谷治嘉君。
○細谷委員 最初に、官房長官にお尋ねいたします。 新しい憲法のもとで、地方自治法が制定されまして、旧法から新しい法律に移る橋として、地方自治法施行規程というのが施行されたのが二十二年の五月三日であります。その際に、特定の者について「当分の間、官吏とする。」こういう規定がございまして、その後今日まで整理されてまいったわけでありますけれども、まだ残っております。その人数も二万人を超える、こういう現況であります。 この地方事務官問題について、四十九年、五十年と国会の地方行政委員会、衆参いずれにおいても、法の精神にのっとって、地方公務員としてことしの三月三十一日までに、これを目途に決着をつける、こういう決議がされております。 〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 これを受けまして、三木総理大臣も、昨年の十月三十一日の閣議で関係各省に次の国会、いまの七十七通常国会で関係法の改正をするようにという指示をいたしたというように報道されておるわけでありますけれども、現在どうなっておるのか、時間がございませんので、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○井出国務大臣 細谷さんにお答えいたします。 ただいまお述べになりました経過については、私も承知をいたしておりますし、御案内のように、これはなかなかむずかしい問題ではございます。 そこで、政府といたしましては、この問題について可及的速やかに成案を得たい、こういうことで、関係省庁は、三木総理の指示もございましたことですから、鋭意検討中であります。成案を得ますれば、準備整い次第この国会に関係法案を提出をいたしたい、こう存じておる次第であります。
○細谷委員 この問題につきまして、官房長官ごらんになったかもしれませんけれども、けさの新聞の社説にもこの問題が取り上げられております。いま官房長官は、関係法案を整理してできるだけこの国会にということでありますけれども、けさの新聞にも書いてありますように、あるいは最近の新聞に書いてあるところによりますと、関係法案は四十とか五十とか、けさの新聞では六十にも及ぶと、こういうふうに書いてあります。そうなってまいりますと、いわゆる地方公務員ではなくて、国家公務員というところにウエートを置いた改正方向作業が行われておるのではないか、こういうふうに感じます。 一体全体、現在作業しておるのは総定員法も含めるということになると思うのでありますけれども、四十本とか六十本という法律に関係のある方向でございますか、内容でございますか、お尋ねいたします。
○井出国務大臣 まあ、おっしゃいますようにこれはなかなか広範多岐にもわたるわけでありますが、長い経緯もありますし、これをどういうふうに調整をするか、新聞紙上にあるように、そこまでまだ具体的には参っておりませんけれども、ただいま関係閣僚はもとより、たとえば政務次官会議等もこの問題を取り上げまして、熱心にいま最後の仕上げといいましょうか、そういうところを検討しておるというのが現状でございます。
○細谷委員 自治大臣にお尋ねいたしますが、四十本とか六十本とか、総定員法を含めたような改正になるのですか。自治法の附則八条を削除すれば足りるのじゃないですか。どうなんです。お答えいただきたい。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。 もう細谷さんも御案内のとおり、この問題については各省間においてもいろいろの意見があり、また、労働組合の中においても反対と賛成の意見があるのでありまして、なかなかこの問題を簡単に片づけるということはむずかしいと思いますけれども、われわれとしては、行政委員会の御要望もございますので、昨年来ずっとこの問題の検討を続けており、それからまた政務次官の方々にもお願いをいたしまして、そうしてこの問題の解決にお骨折りを願っておる。政務次官会議におきましては、各省の意見も聞き、また、労働組合の方々の意見も聴取をいたしておるのでありまして、来週またさらに政務次官会議を開かれると聞いておるのであります。われわれは、これらの事情をよく伺った上で最後の決断をいたしたい、かように考えておるわけでありまして、どのような法律をどう直すかというところまではまだ立ち至っておりません。
○細谷委員 自治大臣、あなたは衆参両院の委員会で決議されたときに、その趣旨を尊重して善処いたします、こういうふうに御答弁なさっているんです。東京を出発して、鹿児島の方に行くんですか、札幌の方に行くんですか。方向が一向わからないじゃないですか。私が頭が悪いばかりじゃないと思うのですよ。一体どういう方向なのか。けさの新聞に書いてあるように、五十本とか六十本という法律に関係する、総定員法も含めて。そうなってまいりますと大変な作業でありますけれども、自治大臣が尊重して善処しますと言った方向はきわめて簡単です、これは。総定員法に触れるはずはありません。附則の八条を削除すればいいんでしょう。施行規程は政令であります。まことに残念です。しかし、時間もありませんからこれ以上答弁求めませんけれども、官房長官、いろいろと検討中でありますがこの国会に、なんというのは、出せるんですか。出すつもりですか、出せないんですか。五十本も六十本もの法律、しかも重要な総定員法の改正までやりますと、これは新聞の社説にも結論として書いてありますが、政府はやる気はないんだ、とてもじゃないができないんだ、こういうふうに言っておりますが、どうなんですか。はっきりとひとつお答えいただきたいと思います。
○井出国務大臣 経緯は細谷さん御指摘のとおりでありますし、これがまた、事実上各省間にわたりなかなか容易でないということも、いま自治大臣の御答弁にあったとおりでございます。そういう事情下にはございますものの、従来のいきさつにかんがみまして、政府としては誠意を持って何とかこれを一つの、従来からの政府側が答弁をしてきたこともございますから、そういうことで、それを目途に何とか形をつけなければいけないではないかということでせっかくいま苦心をしておるというのが現状でございます。
○細谷委員 官房長官、従来の政府側で答弁したことを踏まえて対応していくということでございますから、二十二年の五月三日に施行されてから今日まで三十年間、私も十年前にこの予算委員会でこの問題を取り上げたことがございますけれども、十年一日のごとくとどまっておって、今日では国会の議決の方向からは、新聞等に書いてありますように、あるいは今日の、行政の簡素化、合理化ということを三木総理が言っているにかかわらず、それとは逆行の動きが新聞等に書かれておりまして、私は憂慮をしておりますから、ひとつ従来の答弁を踏まえて対応していただきたいということを強く要請しておきたいと思います。 この問題に関連いたしまして松澤行管庁長官は、五十年度に三百三十四名の増員を政令で行った際に、五十年度は予算に計上してあるのでやむを得ないが五十一年度以降の増員は一切認めないと、こういうふうな見解を明らかにしたと新聞で伝えられておるわけでありますが、そのとおりでございますか。いまもその考えは変わりませんか。
○松澤国務大臣 ただいまの御質問でございますが、一切認めないというふうなことではなくて、人数の多少は別にいたしましても、幾分かは認めなければならないだろうというふうな気持ちのもとにおいて答弁をするとか、あるいはまた御質問者に対してお話を申し上げたことが記憶に残っております。
○細谷委員 昨年の十二月六日、「地方事務官増員は遺憾 松沢行政管理庁長官は五日の閣議後の記者会見で、地方事務官の増員について「今年度分の増員は予算に編入されているのでしかたがないが、五十一年度以降は地方事務官の増員を一切認めない意向である」との見解を明らかにした。」と新聞に書いてある。ですから、いま一切ということは言ってないと言うんだが、新聞にはこう書いてあるわけですよ。この基本的な考えについては変わっておらないのかどうか、もう一言簡単に……。
○松澤国務大臣 私といたしましてはできるだけ認めたくないというふうな気持ちでやっておることは間違いないのでありますが、今年なんかでも約二百六、七十名の方々を認めざるを得なくて、認めております。しかしながら、将来は極力認めないような方向に努力したい、こういうふうな気持ちのもとにおいてお話をしてきたのではないかと、私はかように思っております。
○細谷委員 福田副総理にお尋ねいたしたいのですけれども、実は、現在副総理でございますからそういう意味において責任もございますし、この問題について、副総理が行政管理庁長官時代に、私も長官にお会いいたしましてこの問題の早急な解決をお願いした際に、副総理も、前向きでできるだけ早く問題を善処いたしたいと、こういうふうにお聞きいたしております。現在副総理として、当時の行管長官時代のお考え、これを堅持して推進する考えには変わりないと思いますが、そのとおり理解してよろしいですか。
○福田(赳)国務大臣 私が行管長官をいたしております際に細谷さんから御熱心な、さような御意見を承ったことはよく記憶しております。その後、細谷さん初め衆参両院におきまして同様な熱心な御意見が開陳されたこともお聞きしておるわけでございまして、それらに対しまして私は非常に熱意を示したお答えを申し上げておるわけであります。私も、行管長官とし、あるいはその後立場が変わっておりまするけれども、その立場におきまして、この問題の早期解決ということにはずいぶん努力しておるつもりなんです。ところが、具体的にこれを考えてみるという段階になりますといろいろ問題がある。国家公務員に移しかえる、こういう方向も加えて、あるいは場合によりましては、それに傾斜をかけてこの問題を解決するということになると、あるいは一つの案ができるかもしれない。ところが、それじゃまた細谷さんなんかのおっしゃるお気持ちとまた変わった結果になる、そういうようなことを考えると、そういう案もまたなかなか出しにくい。 さようなことで、政府全体といたしましてずいぶんこの問題は苦慮しておるのです。総理大臣も、しばしば閣議においてこれの早期解決ということを指示されておる。ですけれども、なかなかその結論が出てこないというゆえんのものは、まさにいま細谷さんがおっしゃっているように、細谷さんは大阪へ行けという御意見であるのに対し、よく詰めてみると、北海道の方へ向かいかねないというような実勢もあるわけなんです。そういうようなことで、お気持ちもよくわかりますので、なお私どもも鋭意この問題の早期解決に努力してみたい、かように考えております。
○細谷委員 私が言うと言っておりますが、私は、地方自治法に書いてありますように、「当分の間、官吏とする。」その方向はやはり地方公務員にするという法律の精神ですから、地方自治法の規定そのものでありますから、私は法律の精神、憲法の精神にのっとって物を申し上げておるわけでありますから、おのずから基本的な方向はもうはっきりしていると思うのですよ。それをどうも、北に行くのか南に行くのかわからぬようにおっしゃるものですから言っておるのであって、これは私個人の意見というよりも、むしろ法がそういう方向を示しているのだから、法の精神にのっとってやっていただきたいということを申し上げておるわけであります。しかし、時間もありませんから、きょうはこの程度にいたしておきます。 そこで、時間もございませんけれども、地方財政の問題について若干お尋ねしたいと思います。 自治大臣、従来、公共事業を推進するための裏負担と言われる地方負担分については、交付税で基準財政需要額に計入して措置しておったはずでございますが、どうなんですか。
○首藤政府委員 御指摘のとおりでございまして、公共事業の地方負担ないしは地方の単独事業の地方負担、こういったものの相当程度を交付税の基準財政需要額の中に算入をいたしております。
○細谷委員 公共事業の裏負担は地方交付税で措置をしておったという答弁であります。その例外はございますか。
○首藤政府委員 算入をいたします場合にも、一般公共事業等につきましては一定率の地方債の充当もございますので、そういったものは除外した額を算入いたしますし、かつまた道路目的税源、それからその他の目的税源のありますもの、これはもちろん差し引きをして算入をいたしておるわけでございます。
○細谷委員 私の質問の意味がわからないらしい。交付税で財源措置をしなかった例があるか。時間がありませんから言いますが、四十一年に特別事業債という形で、交付税から外して特別事業債でやったという例がありますね。そのほかにありますか。
○首藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、四十一年度に交付税から外して特別事業債をもって措置をしたことがございますが、そのほかはございません。
○細谷委員 自治大臣、いままで前例のない、ただ四十一年に特別事業債、これは当時大蔵大臣でありました現在の福田副総理の際に、景気の落ち込みで税収が減りましたから特別事業債という例があった。これは元利は見ました。そして途中でやったのは、法人税率の改正があったので、元利を国の方で見るということをやめたわけですが、これは見ておるんですよ。そのほか例がないわけですよ。ところが、五十一年度の対策は公共事業の裏負担、道路は除きますけれども、その他の公共事業の裏負担、それから高校新増設費の地方負担分が地方債で振りかえております。特別事業債じゃないわけですよ。地方債でやっております。これは四十一年よりもはるかに悪い措置であると私は思います。特別事業債の方式、ただ四十一年に例外があるが、その他はずっと交付税で裏づけをしておる。この八千億円を、どうして今度はこういういままで例のないような措置を講じたのですか。簡単にお答えいただきたい。
○福田(一)国務大臣 その問題につきましては、大蔵省と種々折衝する段階におきまして、この方法で今回は行くということに決定を見たわけでありますが、その四千五百億円につきましては、後年度においてちゃんと地方財政に影響のないように措置するということでありますので、われわれとしては一応これを認めるということにいたしたわけであります。
○細谷委員 まあこれも議論があるのですけれども、時間がありませんから……。 もう一つ、交付税の中で、これは前例のないことですよ。私はこれから申し上げる、前例のないことですよ。包括算入——土木費その他の諸費、これはもう交付税の包括算入、測定単位が決まって、単位費用が決まって、補正係数を掛けて、そして積算されておりました包括算入分、これをどうして地方債に振りかえたのですか。まさしく現行交付税法違反じゃないですか。前例のないことですよ。御見解をお聞きしたい。
○首藤政府委員 お答え申し上げます。 明年度の地方財政の状況を推計いたしました結果、先生御案内のように二兆六千二百億という非常に膨大な財源不足が見込まれたわけでございまして、これに対して所要の措置をとるべくいろいろ努力をいたしたわけでございます。一方、交付税特別会計において一兆三千億を超えます借入金ないしは臨特、こういうものの措置をいたしまして、交付税の実額をふやしましたとともに、残りの額につきましては、投資的経費をできるだけ起債に振りかえる、しかしその振りかえた起債は、先ほど大臣申し上げましたように、将来の地方財政の運営に影響を及ぼさないようにちゃんとした補給措置をとる、こういうかっこうで振りかえをいたしたわけでございまして、そのうち八千億は、公共事業ないしは高等学校急増等の現実の投資的経費の裏負担に対する地方債の増額それから四千五百億はただいま御指摘がございました包括算入の投資的経費の振りかえ、こういうことにいたしたわけでございます。ただ、この四千五百億の振りかえのうち二千億は、将来とも臨特で元利補給をするということになっております。二千五百億は利子補給をするということになっておりますので、実質上交付税会計で臨特をもらったとかあるいは交付税会計で借り入れをした、これと同じような効果が出ますような措置をとったわけでございます。
○細谷委員 包括算入分四千五百億を地方債に振りかえた、そしてそのうち二千億円というのは、元利は国が見ましょう、二千五百億円は利子だけ見ましょう、こういう内容である。前例のない交付税から、まず公共事業の裏負担をラッキョウの皮をむくようにむいた。その次に包括算入の分までラッキョウの皮をむいた。サルがラッキョウの皮をむいて投げ捨てるようなものですよ。そういうふうにして包括算入分までやった。あげくの果ては同じ包括算入の四千五百億円を二種類に分けたというのは、一体どういうことですか。それは、たとえば政府資金が足らぬとかいろいろな事情があったにしても、四千五百億、本来交付税で地方団体に配る筋のものですよ。それを元金まで返させる、二種類に分けた。これはどういうことですか。これは大蔵大臣にお聞きします。二種類に分けたというのは私は解せない。
○首藤政府委員 ただいまの四千五百億の包括算入の振りかえは、もともと交付税の性格に該当するものとして振りかえたわけでございますが、交付税の所要額の方も臨時特別交付金によるものもございますし、交付税特別会計で一応借り入れをいたしておりまして、利子は国がもちろん持ちますが、元金については将来の財政措置を見ながら措置をしていくというものもございます。そのような意味で、四千五百億も二つに分けまして、二千億はまるまる臨特と同じ効果を持つもの、二千五百億はいわゆる交付税特別会計における借り入れと同じ効果を持つもの、このように仕分けをいたしたわけでございます。
○細谷委員 そういうことなら四千五百億は交付税の方に入れちゃったらいいじゃないですか。なぜ交付税に入れないのですか。五百五十九億円、一兆三千百四十一億円は借入金、四千五百億は交付税の中に入れて配った方が的確でしょう。基準財政需要額と収入額の差額で交付税は決まるわけですから、需要額に計入するのが筋でしょう。何で地方債に振りかえたのです、しかも二種類、おかしいじゃないですか。そう思いませんか、大臣、どうです。
○首藤政府委員 もちろん四千五百億につきましては、交付税特別会計における借り入れないしは臨特といった措置で措置をすることも可能であるわけでございますが、これは全般的な政府の財政資金の状況あるいは投融資の状況、これもございまして、一応起債に振りかえたわけでございますが、しかし、振りかえましたその後の措置としては交付税特別会計における臨特あるいは借り入れ、これと同じ効果が出るような措置をとる、こういうかっこうにいたしたわけでございます。
○細谷委員 余り時間がないからやりませんけれども、何でもかんでも交付税で後で裏づけすると言うけれども、容量は決まっているのですよ、いま国税三税の三二%で。たらい回しじゃないですか。大臣、私はどうしても四千五百億円を二千億と二千五百億に区別した包括算入の分、これわからないのですよ、大蔵大臣どういう意図なんですか。
○吉瀬政府委員 四千五百億円をとにかく御質問のとおり、なぜ二千五百億と二千億に分けたか、これは必ずしも論理的な根拠があるわけじゃございません、率直に言いまして。細谷委員御承知のとおり、昭和三十九年において市町村税の減収補てんのときには三分の二というような前例もございます。ただ、五十一年度はすでに御承知のとおり、国においても多額の国債を発行しておりますし、地方債もたしか相当増額になりますが、国は二九%、地方は一一%という依存率、それからもう一つは、現実の理由といたしまして、これを地方債に振り向けませんと、資金運用部資金がすでに一般地方債の引き受けと貸し付けで二兆五、六千億を地方財政のために投入している。そういうような点で、この点につきましては地方債に依存する。この地方債に依存した分の四千五百億のうち約半分、まあ半分より若干落ちますが、その分はほとんど交付税の先貸しということと同じようにしようじゃないかというのが趣旨でございます。
○細谷委員 いまの御答弁で、四千五百億円は本来交付税の方に入れて、そうして包括算入すべきであるけれども、資金運用部の資金の枯渇、こういうことでやむを得ず地方債に振りかえた、こういうことですね。
○吉瀬政府委員 本来交付税に振りかえるべきという議論ではございませんで、もしこれを地方債に振りかえないとすれば、資金手当てをするなら運用部資金になるのでございましょうけれども、運用部資金は二兆数千億のすでに手当てをしておりますので資金が枯渇をしている、こういうことを申し上げておるわけでございまして、本来地方交付税でやるべきかどうかは、すでに五十一年度の財政事情が過去における先例とは著しく違っておりますので、そこら辺の点は私ども自治省とも相談いたしまして、地方債による資金充当を考えたわけでございます。
○細谷委員 あなた、本来交付税で計入すべきものだということを否定なさるということは、現在の交付税法を否定なさるのですか。包括算入の分というのは、交付税の中に測定単位はぱちっと法律で決まって、その測定単位に対する単位費用はぱちっと決まって、それに対する補正を引っかけて需要額は決まるわけでしょう。これは現行法ですよ。本来包括算入は交付税で計入すべきですよ。これは認めてもらわなければいかぬ。そこで、どうしても四千五百億という、資金運用部の資金が枯渇しているので地方債に振りかえざるを得なかったのだ、こういうことなら私は理解いたします。前段を否定するならこれは問題です。
○吉瀬政府委員 基本に触れる問題でございますのであれでございますが、本来基準財政需要によりまして、それに合わせて地方財政計画を立てていくわけでございますが、現在のところ御承知のとおり、法人税その他国税三税の落ち込みがひどいということで、将来地方交付税に対してどう考えていくかという問題がございます。五十一年度におきましては、本来算定いたしました地方交付税の額が非常に不足している。不足している二兆六千億に対しまして財政対策をどうするかという問題でございまして、これを交付税ということになりますと、国税三税に対します三税比率をどうするかという基本問題に触れていくわけでございますけれども、ここら辺は五十一年度の国及び地方財政の非常に特異な情勢にかんがみまして、このような措置をとった、こういうことでございます。
○細谷委員 自治大臣、お尋ねいたしますが、本来交付税で、測定単位費用で計算すべきものを、今度は地方債で振りかえたわけですから、振りかえた分だけは単位費用が落ちておりますね。ところが、この四千五百億は地方債で振りかえますけれども、交付税方式で計算するというわけでありますから、仮の単位費用というのができるはずですよ。そうでしょう。法律でこれから審議して決める単位費用とは違った単位費用というものを政府は勝手に決めて、それに基づいて四千五百億円を配ることになるはずですが、どうですか。
○首藤政府委員 技術的なことでありますので……。単位費用は、今回の交付税法の改正で四千五百億を振りかえました残りと申しますか、したがいまして減額をいたしました単位費用に五十一年に限りいたすわけでございます。そのかわり、従前算定をしておりましたのと同じような額を、四千五百億をもって起債を振りかえて補てんをする、こういう措置をとります。
○細谷委員 大臣、私が質問したとおり、これから国会で審議する特例法の中の単位費用は架空のものです。仮の単位費用というものができるわけです。それに基づいて四千五百億円がはまるように決まるわけです。そうしますと、何のために測定単位を決め、何のために単位費用を決めたか。それは現に交付税計算にないわけですから、その上に仮の数字というのが乗っかってくるわけです。これは一体、国会で審議する法律というのはまさしく現実とはかけ離れた数字をもてあそぶようなものではないですか。私は承知できません。そんなばかげたことはありません。法律を政令が無視する、政令を省令が無視する、こういうようなかっこうでいっているところについては私は理解できません。それだけ申し上げて次の方に入ります。
○福田(一)国務大臣 細谷さんは専門家であられるので、細かい詰めをされておるわけでありますが、私といたしましては今回出しております法律で、いま御質問にあった点を含めて御審議を願うという形において、事務当局のその考え方に同意をいたしておるということを明らかにいたしております。
○細谷委員 私は細かいことを言っているわけではないのです。数字は単位費用なんて出ましたから細かいようであります。われわれが国会で審議する法律というのは、実際はその上に四千五百億円を配れるような架空の単位費用ができて交付税が計算されるという、法律というよりも政令なり省令がはるかに上を歩いているという、そういう点が問題であるということを指摘しているわけです。これは私は全く承知できません。
○福田(一)国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、今度の法律においてその問題を審議をしていただくような内容になっておりますので、その法案の審議において、この当否についての問題を御討論を願うというか、御審議を願いたい、かように考えておるわけでございます。
○細谷委員 私はそういう法案を出すことが問題だと言っているわけです。四千五百億円を交付税の中に入れるべきです。ことしないということならば——運用部の資金が四千五百億ないはずはないです。やろうとすればできることです。私はこの問題については納得できません。——留保しておこうか。
○小林(進)委員 これは、出した法案自体がインチキだということになれば、これは理事会で協議していただかなければならない。
○井原委員長代理 承知しました。いま理事からのああいう意見もありますので、いまの細谷君の質問に対して政府の考え方を理事会において十分検討して御報告いたしたいと思います。
○細谷委員 この問題は簡単に委員会の方に流していけというわけにはいかぬ重要な問題だと私は思います。 時間がありませんからもう一つ御質問したい。 予算委員会の要請にこたえて、大蔵省は中期財政展望というものを昭和五十年代前期経済計画にのっとって出されました。これを受けまして、自治省の方で中期地方財政展望というものをこの委員会に出されました。ただ一点私はお尋ねいたしたいのであります。この大蔵省の中期財政展望が出された際に、国民の租税負担率は二ポイント上がるのだが、毎年毎年二〇%以上税収が伸びていく。これは税の弾性値というものが一・七か八にならなければならぬだろう、これは大変なことだというような指摘が新聞等の解説に出されておったことは御承知のとおりであります。 ところで大蔵大臣、私が不審に思うのは、この税収について昭和五十一年は大蔵省から出ておるこれに書いてありますように、国税がGNPに対して一一・八%、地方税が六・四、合計一八・二であります。ところが大蔵省の中期展望、これは四十八年から五十年の平均をとっております。そうなりますと国税の負担というのは一三・二、地方税が六・九、合わせて二〇・一であります。そうしてこの中期展望というのは、五十五年度には、四十八年から五十年の平均の二〇・一に、国税は二ポイント加えた一五・二、地方税が一ポイント加えた七・九で、合わせて租税負担率は二三・一で、四十八年から五十年の平均の二〇・一から三ポイント上げております。ところがこれに見られるように、四十八年というのは三十年以降最大の税の負担率が伸びたときですよ。言ってみますと四十八年は国税が一五・三、地方税が七・一、合わせて二二・四、四十九年が租税負担率が二一・三、五十年が一七・八、この平均をとって二〇・一としているのですよ。現状はどうですか、五十一年は。五十一年度のこのあれは一八・二でありますから、租税負担率の伸びは三ポイントどころじゃないですよ。これは三ポイントじゃありません。現在のスタート台から見ますと四・九ポイント上がるわけです。五ポイント上がるわけです。私はちょっと計算してみました。計算してみますと、仮に四・九ポイント上げた場合に五十一年度の国税は幾らになるかと言いますと、十四兆二千億円というのが二十一兆四千五百億円になるのです。地方税は九兆円が十一兆一千億円になるのです。合計して国民の税負担というのは二十五兆七千億円が三十二兆六千億円になるのですよ。前年度と比べますと国税で五一%、地方税で四〇・二%、合計四七・一%税は上がるということになる。換算いたしますと、これだけ国民の租税負担率が上がるということであります。二〇・九%の伸びというのが異常だという新聞の指摘。これを計算してみますと、これは大変な租税負担率の増加になっております。 こういうような負担、しかも言ってみますと、この税収によって七兆二千八百億の国債も消えてしまうのですよ。ケースIでは、五十五年度に赤字国債は、特例公債はなくなると書いてありますけれども、増税で埋めているというかっこうになっております。こんなような増税というのが可能だと思いますか。そのほか社会保険料の一・五ポイントの引き上げがあるわけですよ。大蔵大臣いかがですか。
○大平国務大臣 それは仰せのとおり、財政収支の試算にあらわれておりまする国民負担の数字は、四十八年から五十年にかけましての三年平均に対して三%増加という計算になっております。これは国民生活に必要とする歳出を確保しながら、しかも問題になっておりまする特例債からの脱却を図るということを昭和五十四年ないし五十五年に実現しようといたしますならば、それだけの歳入を確保しなければならないということになるという数字的帰結をお示ししたわけでございます。そのことは、細谷さんがいまこの試算を問題にされまして、いろいろな問題を提起されておりますけれども、この負担が非常に重くて、とうていたえられないというあなたの判断が妥当であるとすれば、そして国民の財政思想がそれを支持するといたしますならば、それではその場合の選択は、歳出をさらに圧縮するか、特例債脱却の年限を延ばすか、いろいろな問題が出てくるわけでございますので、この財政収支の試算というのは、これを手がかりとしてそういう論議を交わしまして、そして五十二年度以降のわれわれの財政計画を実のあるものにしていこうということにする手がかりとしてつくったまででございまして、いろいろな御意見がこれを通じて出てくることは非常に政府としても歓迎するところでございまして、この財政収支の試算どおり政府がやるというようなことを申し上げておるわけではないわけでございまして、もう一遍言いかえますならば、現在政府が持っておりまするいろいろな政策の整合性も考えながら、国民生活の安定、向上のための施策を歳出に盛り込む。あわせて五十四年、五年の段階におきまして、特例債から脱却するということを実現いたしますためには、その程度の租税負担、国民の負担というものをお覚悟いただかなければならぬことになります、どう考えたらいいものでしょうかという問題提起をいたしておるのがこの試算の意味でございます。
○細谷委員 欧米の租税負担率から見ると、租税負担率そのものは日本の方が低いんだ、こういう論もあります。問題は、税の不公平、そういうものをどう解決するかということが大前提であろうと思います。私は、そういう意味において、ポイントを上げるということは大変な税の負担ですよ、現在から五割以上上がってまいりますよということになりますと、よほどの不公平を解消した上において、大衆負担に転嫁されないようにしていかなければならぬということで申し上げておるわけです。 ところで、時間がありませんから、最後に、これを受けての地方財政の中期展望において五十二年度、五十三年度赤字が出ております。三角が。御存じですね。この問題につきまして、過日安井委員の質問に対して大蔵大臣は、検討はするけれども国、地方の財政はともに流動的な時期であり、根本的な見直しは困難だ、こういうふうに言っておりますけれども、三木総理なり福田自治相は、五十二年度に行財政の根本的な見直しをするということを言っております。新聞に書いてありますように、大蔵大臣と自治大臣の答弁がやや食い違っております。私も、大蔵大臣の言うように、一遍に五十二年度にすべてを解決すると言うほど情勢が固まっておるとは思いません。流動的な点は認めます。けれども、現実に国の長期財政展望というものを見て一兆数千億円の赤字が来年度以降も地方財政の中に、現在の制度の枠内においても起こってくるわけでありますから、これに対応しなければならぬと思うのです。したがって明らかに、たとえば地方交付税では二年間にわたって赤字が起こり、三年目に赤字が続くということであるならば、これは交付税率の引き上げなり行政制度の改正をしなければならぬということが明記されておるわけです。だとするのならば大蔵大臣、なかなかいまのところ言いにくいということはわかりますけれども、前向きでこの問題に対応しなければいかぬじゃないかと思う。一遍に何もかも見直ししなさい、そうは申し上げておりません。五十二年度に、あなたの方のつくった展望を受けて地方財政の展望ができたからには、それに対して対応をしていく必要があると思いますけれども、大蔵大臣いかがですか。 この点と、もう一つは、議論の種としてこういうものを出したんだというわけですけれども、もっとやはりここもやったのならば、大蔵省の考えも含めた詳しい資料をケースIならケースIに限って提出する御意思があるかないか、これもお聞かせいただきたいと思います。
○大平国務大臣 交付税率の改定問題、さらには中央地方を通じての行財政のあり方というような問題を見直すべきでないか、引き続き制度と実態がこう乖離してまいりましたときに見直さなければならぬということは、法も命じておりまするし、私どもも当然の責任だと思っておるわけでございまして、これを真剣に見直してまいるということは当然の責任だと考えておるわけでございます。ただ今日の事態は、お言葉にもございましたように大変むずかしい事態である、中央地方を通じまして非常に深刻な状況にありますということはわれわれ念頭において取りかからなければならないし、そういう御理解は得ておきたいと存じたまででございます。 それから第二の問題でございますけれども、自治省でもおつくりになりました試算、私どもがっくりました試算というようなもの、これも単に数字を漫然と並べたというようなものでは困るわけでございまして、政府の経済計画の概案というものをベースにいたしました以上は、政府がいま持っております計画、政策というものを一応計算の根拠に置いて、それを実現してまいるという政治責任も担ったものでございますので、これは財政計画をいまから立てていく場合に非常に重要な参考の資料になると思うのでございますが、これ自体本委員会の要請によりまして倉皇の間につくりました試算でございますので、仰せのように各アイテムにつきまして、さらに一層これの深い検討を加えるべきじゃないかという御意見は、全く細谷さんおっしゃるとおりでございまして、私どももそういたすつもりでございますし、自治省におかれましてもそうされるものと私は確信します。
○井原委員長代理 次に上原康助君。
○上原委員 私は、防衛庁が計画をしております次期対潜哨戒機の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。 最初に防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、いわゆるロッキード社の対日工作政治資金をめぐって、いま非常に国会で議論をされております。これはただ単に児玉や丸紅社を介しての全日空への介入ではなくして、国の防衛の基本にかかわるP3Cオライオンについても重大な疑惑が持たれていることは、国民をなお衝撃に陥れている大きな不信として出てきていると思うのです。一体これに対して防衛庁長官はどう考え、どういう対策をとろうとしているのか、まずその御見解を承っておきたいと思うのです。
○坂田国務大臣 国民の中に、PXLの機種選定について何らかの疑惑があるのではないかというようなことが論じられておるわけでございますが、私どもといたしましては、いやしくも日本の国を守る国防の重要な装備であります次期対潜哨戒機ということが、そういうような忌まわしい形で決定されたというようなことであるとするならば、それはゆゆしきことであると思います。したがいまして、この問題が起きましてから直ちにこのPXLの機種決定のいきさつ等につきましていろいろ調べてまいったわけでございます。事実調査も重ねてまいったわけでございますけれども、ただいままでのところ、そういうようなことはないという確信を持っておる次第でございます。
○上原委員 時間の都合がありますので、なるべく御答弁は簡潔に願いたいと思います。 ただいまのところその疑惑がないということですが、すでに明らかにされておりますように、児玉がロッキード社との間で、P3Cオライオンについても五十機以上の売り込みに成功すれば二十五億円の報酬を受け取るという契約があったということは、アメリカの多国籍企業小委員会の場でもうすでに明らかになっているわけですね。また一般的にもそういうことで出ている。これだけ疑惑が持たれていることについて、長官はどうお考えなんですか。この疑惑に対しての解明というものはなされていないわけですよね。
○坂田国務大臣 その点につきましては、われわれ全く関知いたしておりません。 それからまた、PXLの機種の選定でございますけれども、これはこれからの課題でございまして、まだ国産ともP3Cであるというようなことも決めておらない。また御案内のとおりに、四十七年度の二月に行われました四次防計画の大綱、この際に、政府の方針としまして対潜哨戒機は決まっておりません。研究の段階であったというふうに事実調査の結果明瞭でございます。
○上原委員 それじゃ具体的にお尋ねしていきますが、防衛庁はいまの段階では、P3Cについては全く白紙の立場ですか。簡単にお答えください。
○坂田国務大臣 政府としては決まっておりませんし、国防会議の決定も見ておりません。しかしながらわれわれといたしましては、P3Cが非常に性能がいい、ただいま使っておりますP2Jよりも十倍の能力があるということは承知をいたしておる次第でございます。
○上原委員 大蔵省は今度のロッキード問題との関係で、次期対潜哨戒機についてはどういう御判断を持っていらっしゃいますか。どうしようと思っていますか。現在の大蔵省としての立場を明らかにしてください。
○大平国務大臣 これは政府におきまして専門家の意見を十分聴取しながら機種の選定についての勉強をされるということでございまして、その成り行きも十分見ながら、今後の財政的対処をしていかなければいかぬと考えておりまして、こうでなければならぬという決まった考えをいま持っているわけではございません。
○上原委員 通産省はどういうお立場でいまおりますか。端的にお答えください。
○河本国務大臣 これは最終的には国防会議で決まることだと思います。ただ、通産省といたしましては、日本の航空機産業の育成ということに非常に強い関心を持っておりまして、現在の日本の航空機産業の実力から言いますならば国産は可能である、したがって国産に対して強い期待を持っておる、こういうことでございます。
○上原委員 私は、ここで国産がいいとか輸入がいいとかいう私見を述べる立場にはないわけなんです。しかし、政府の御見解だけは一応承って議論を進めていきたいということでお尋ねしたわけですが、もう一点は、このP3Cオライオンが果たして必要かという議論ももっと詰めなければいけない問題が残っておるという点も指摘をしておきたいと思うのです。 そこで、いま承っていますと、政府としてのこのP3Cについての考え方はまだ統一をされていない、そういうふうに受け取らざるを得ません。そこで問題は、ロッキード社のいわゆる全日空へのトライスター売り込みとの関係において、このPXL、次期対潜哨戒機なるものが国産化する方向で決まっておったことが、ある時点において覆されたのじゃないかということが非常に疑惑を持たれているわけですね。その疑惑は証人喚問の証言においてもますます深まるばかりで消えてはいない。それが私たちのこの問題に対する見方なんです。その過程で久保発言などいろいろあって、またそれと関連をした方々の御意見などもあって、つじつま合わせに防衛庁長官のこの問題についての経緯報告もあったのですが、それはますます疑惑を深めている。 そういう立場で具体的にお尋ねをしてまいりますが、まず防衛庁がこのPXLの調査研究、開発に入ったのはいつだったのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
○坂田国務大臣 昭和四十六年度ごろの防衛庁の考え方といたしましては、現有のP2Jの後継機として陸上固定翼対潜機を開発するものとし、四十七年度ごろ開発に着手、五十三年度ごろに完了するという予定でございました。当時は技術研究開発を推進し、装備の近代化及び装備の適切な国産化を行い、防衛基盤の培養に資するという基本的な考え方に基づくものでございますとともに、情報処理の面ですぐれていたP3Cについては、当時米側はリリースする意図がなかったという背景もございました。 大体四十五年度には二千二百三万ぐらいの、外国機の導入、民間機の改造、国内開発のおのおのについての比較検討を行う予算が認められ、四十六年度からの概算要求におきましては、PXLの国産開発に着手するための基本設計等を要求し続けておりました。しかし大蔵省は、PXLの国産化は将来多額の経費を必要とするおそれがあることを理由に、その開発着手に反対し、将来の対潜機一般に要求されるという搭載機器等を主体とした調査研究委託費は認めましたが、一貫して基本設計費を認めず、PXLの国産開発着手を認めるものではないとの条件を付してきた次第でございます。
○上原委員 防衛庁長官、あなたがそういうことで否定をすることに強調なさればなさるほど疑問が出てくるわけですよね。四十五年からは一応二千万余の予算が計上されたわけですよ。 その前に、防衛庁が四十五年に策定をした「装備の生産及び開発に関する基本方針」というのがございますね。これは現在でもその基本方針は変わりございませんか。簡明にお答えください。
○江口政府委員 四十五年の開発基本方針は現在でも踏襲いたしております。
○上原委員 現在でもこの装備の生産及び開発に関する基本方針というのは、基本方針として変わりはない。これを受けて、いわゆる「防衛の本質からみて、国を守るべき装備はわが国の国情に適したものを自ら整えるべきものであるので、装備の自主的な開発及び国産を推進する。」ということがここで明白になっているわけですね、一つは。 時間がありませんから全部は引用しませんが、さらに、「自国産業による開発、生産」という第七項の方では、「自主防衛の見地から、わが国を防衛すべき装備の開発及び生産は、わが国産業自らがあたることが望ましいので、今後の装備の開発及び生産は、原則として自国産業に限定するものとする。」という基本方針を打ち出しておるわけです。これを受けて翌年には第四次防の大綱ができる。そして四十七年に四次防を決定をしていく。その中でも装備の充実ということがうたわれているわけですね。この基本方針に基づいて、実は四十五年段階からPXLの技術開発ということを推進をしてきたと私たちは見ておるわけなんです。 そこで、具体的にお尋ねしたい点は、一体四十五年度の予算というのはPXLの開発についてどのように使用されたのか、その内容についてお示しをいただきたいと思うのです。
○江口政府委員 その前に一言開発方針のことで申し上げますけれども、四十五年に策定いたしましたのは、当時三次防の末期ごろから、いわゆる従来やっておりました米国の援助等によるMSA協定等によります体制が一応徐々に変わってまいりまして、国産化可能な段階になってきたという背景を踏まえまして、基本的な方針といたしまして、一般的な方針といたしまして開発方針というものを策定いたしました。ただその場合に、輸入の場合あるいはライセンス生産をする場合あるいは国産をする場合、種々条件が違いますので、その場合については実情に即して検討しようというのが基本的な考え方でございます。 さらに、いま御質問の四十五年度のいわゆる研究開発予算につきましては、二千二百万円の調査研究費用が計上されておりますが、名目といたしましては技術調査研究委託費という形で二千二百万円が計上いたされております。これはいわゆる次期対潜機に関します概念をつかむ、ごく平たく申しますと、概念を把握するということのための基礎研究費として計上されておる、こういう次第でございます。
○上原委員 中身について明らかにしていらっしゃらないですが、細々したことになりますと時間がありませんからやむを得ないのですが、四十五年のこの二千万余の予算を受けて、いわゆる防衛庁技術研究本部として、次期対潜哨戒機のエンジン関係の調査研究受託の話し合いが持たれているんじゃありませんか。そのエンジン関係の調査研究を受託するための相手企業は一体どこだったのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○岡太政府委員 まず四十五年度の内容を多少御説明申し上げたいと思います。(上原委員「簡潔に願います」と呼ぶ) 四十五年度に実施しました事項は、将来の対潜機の構想はどうであるか、それを技術的に翻訳しますとどういう飛行機になるか、そうしてその飛行機が日本で果たして実現できるか、外国の飛行機と比較してどうであるか、日本の工業にどういうような効果があるかということを主体に研究いたしております。したがいまして、この四十五年の研究の性格というものは、将来導入するか国産にするかというような判断をするために必要な資料を調査研究するというものであります。 それからエンジンのことでございますけれども、これはこの二千二百万円のうちこれを二口に分けまして、千九百万円を川崎重工業と契約しております。これは先ほど御説明しました概念をつかむ、要するに飛行機の形を決めるというようなことに使ったわけでございます。 そのほか、エンジンの関係としましては、二百三十万円を日本航空工業会に委託いたしております。これは次期の対潜機のエンジンというものは非常に重要なものでございますけれども、これも国産できるかどうかということを検討する必要があるというわけで、検討するに当たりまして、やはりジェットエンジンの経験を持ったメーカーでなくちゃいかぬ。日本でジェットエンジンの生産した経験を持っておるのは川崎重工、三菱重工、石川島播磨重工の三社でございます。こういう重要な問題を一社に委託するのはまずい。したがいまして、三社の知恵をいかに使うかということで、航空工業会を委託の相手方にいたしまして、航空工業会で三社の知恵を集めて将来のエンジンのための判断する資料をつくるための調査委託を委託させた、こういうのが実際の状況でございます。
○上原委員 予算をそういう方向で使っておるということは、国産化に向けてスタートをしたということでしょう。さらに四十六年はどうかといいますと、四十五年の約十倍、二億八千万余の予算が計上されているわけですね。この段階では、「ウイング」なんかを見てみますと、当時の海幕長は新春対談で、PXLの開発推進ということを四十六年には明らかにしているわけなのですね。そして二億余の、約三億近い予算を計上して、さらに石川島播磨とそれから三菱、川崎、この三工業で開発推進を進めているわけなのですよ。四十六年度においてはどういう研究調査をやったのか、これも端的に明らかにしてください。
○岡太政府委員 四十六年度にやりました調査研究の内容でございますが、これは四十五年に引き続きまして、四十五年の飛行機の形を概定した基礎になる資料を確認したわけでございます。 内容的に申しますと、対潜機というのは非常に早いスピードが必要である。同時に、潜水艦を発見するときは、海面の近くで、低い高度で小回りのきく飛行機でなくてはいかぬというわけで、飛行機に対して非常に矛盾する、早いスピードとそれから低いスピードと両方が要求されます。これを技術的にいかに解決するかというのが非常に問題でありまして、これに必要な高揚力装置というのがありまして、それの試験をやっております。この高揚力装置の試験の結果から、たとえば四十五年に考えた飛行機が実際に実現できるかどうかというようなことを確認いたしております。 それからもう一点は、電子情報処理装置でございますけれども、電子情報処理装置と申しますのは、潜水艦を発見したとかあるいは友軍の位置だとか、いろいろな各種の対潜作戦の情報が必要なわけでありますが、この情報が非常にふえてきたので人手では間に合わない。したがいまして、電子計算機を中心としまして情報処理をするというものでございます。ところが、日本におきましては航空機に搭載した電子情報処理装置というものは全然経験がございません。したがいまして、この分野はやはりいろいろ試験研究をしてみないと、将来の対潜機は実現できるかどうかという技術的な判断の資料が出ないわけでございます。そういう意味で、先ほど申しました空気力学の関係と情報処理装置、この二点を調査研究いたしたものであります。
○上原委員 そういたしますと、四十五年、四十六年と予算が逐次増額をされて、防衛庁としてはそういう方向でこのPXLについては引き続き開発の方向を進めようという考えはあったわけですね。
○江口政府委員 防衛庁といたしましてはそのような考え方を持っておりました。ただ、予算上は先ほども御説明いたしましたように調査研究費が……。
○上原委員 よけいなことはいいよ。 ですから、いま四十五年、四十六年にそういうことがあった。だからこそ四十七年のこのPXLに関連する予算の要求は幾らなさったのですか。
○江口政府委員 四十七年度の予算要求といたしましては、基本設計費用といたしまして十八億二千四百万の予算概算要求をいたしております。
○上原委員 これでも明らかでしょう。先ほど装備局長は、四十五年に二千万、四十六年には二億八千万、約三億ですね。そして四十七年度には約二十億近い予算を要求しているわけですよ。しかし、このあたりから問題は少しおかしくなっていくのですね。それがなぜかということを解明せねばいかないということなんですよ。 国産の方向というのは、四十五年からもう皆さんはそういう方向で進めていこうということになっておったのです。それが四十七年に田中内閣が誕生する。そういう過程でこの問題が予算面も含めて、防衛庁はどんどん予算要求しているにもかかわらず、大蔵が抑えていくということになるわけですね。一体、四十七年、四十八年の予算が認められなかった理由はどこにあったのですか。
○江口政府委員 いささか重複いたしますけれども、四十六年度につきましても一応防衛庁といたしましては基本設計費用として十九億円の概算要求をいたしております。それから、さらに先ほど申しましたように四十七年度につきましても十八億円の概算要求をいたしております。しかしながら、実際の現実の予算の成立は、四十六年度につきましては、いわゆる開発費ではない、調査研究費用といたしまして三億円が計上されております。それから四十七年度におきましても約七億円の調査研究費が計上されるという結果になっております。
○上原委員 質問にあなた、答えていないじゃないですか。なぜ四十七、四十八年の予算が抑えられたかということについて私はお尋ねしているのですよ。
○江口政府委員 御質問の趣旨は私ちょっと理解いたしておらないかもわかりませんけれども、四十七年度は概算要求をいたしましたが、実際につきました予算は、調査研究費用といたしまして約七億円が計上された次第でございます。これは防衛庁といたしましては開発を推進したいという希望は持っておりましたけれども、財政当局とのいろいろな御折衝の経緯等におきまして、一応輸入、国産いずれにも使用し得る予算を計上するという形でこの七億円の四十七年度予算が計上されておる次第でございます。
○坂田国務大臣 ちょっとそこのところ、あるいは御理解になりにくいと思いますが、われわれの方はそれは確かにおっしゃるように四十六年度……(「おかしいよ」と呼ぶ者あり)おかしくないのです。十九億円、それから四十七年度十八億円、四十八年度は約二十七億円の概算要求を出しておるわけです。これは基本設計を含むわけですから、基本設計費をもらえるかもらえないかが国産化が決まるか決まらないか、ここをひとつ御理解をいただきたい。ところが、四十六年度におきましても大蔵省の査定におきまして、これは国産化を目指すところの基本設計というものは認めがたいということで、これは単なる調査研究費用ですよという念を押して、そして四十七年度も結局十八億が七億に落とされて、二十七億は、四十八年度はゼロになった、こういう形でございます。そこのところに、後で御質問があると思いますけれども、白紙還元といわれるものの意味が出てくるわけなんで、そういう大蔵省と防衛庁の考え方は、一遍これは白紙にし、ということなんです。
○上原委員 そこだけ強調したって意味がないのですよ。 そこで、時間がちょっとこの問題詰めるにはあれですので、それではいわゆる調査研究開発ということで、四十五、四十六、やったわけですね。何回そういった会合が持たれて、どういう研究を進めてきたのかということが非常に不明確になっております。この点を明らかにするということと、たしか四十六年の六月の段階においては中間報告がまとまっておったと思うのですね。防衛庁の技術開発本部と先ほど申し上げた三重工業と中間報告がまとまっておったと思うのです。それはどうですか。間違いありませんね。
○坂田国務大臣 詳しいことは後で装備局長か、あるいは岡太参事官からお話を申し上げますが、四十六年度は技術調査研究委託費として三億円、これはもう明瞭なんです。はっきりしておるのです。四十七年度も技術調査研究委託費として七億円、これもはっきりしているのです。
○岡太政府委員 四十五年度の川崎重工に委託しました委託結果につきましては、当初四十五年の七月九日に契約しまして、十二月二十五日に報告書が出されております。 それから、航空工業会に委託しましたものは、四十五年の十月に契約いたしまして、四十六年二月に報告書が出ております。 それから、四十六年の契約につきましては、川崎重工と四十六年の九月に契約しまして、四十七年の三月に報告書が提出されております。 中間報告というものは出ていないというふうに私、承知いたします。
○上原委員 出ていないと聞いておりますでは納得できませんよ。中間報告、出ているのでしょう。まとめておったのでしょう。その資料を提出してください。
○岡太政府委員 中間報告というものはございません。
○上原委員 それでは、この技術開発本部と皆さんが会合を持っておりますね、いろいろ、四十五年以降四十六年まで。その過程でどういう研究を進めてきたのか、その経過の報告を資料として提出してください。ここに問題があるのですよ。
○坂田国務大臣 でき得る限り調査をいたしまして、御報告申し上げたいと思います。
○上原委員 これは委員長、ぜひ具体的に提出さしてください。
○井原委員長代理 理事会において、善処するように検討いたします。
○上原委員 もう時間がありませんので、長官にお尋ねしておきたいのですが、あなたは白紙だということをおっしゃいながらも、白川統幕議長は、来日したブラウン統合参謀本部議長と、このPXL問題について、いわゆる国産化と輸入の二本立てにするということを堂々と言っているわけですよね。一体制服が、これだけ混乱をさしておきながら、こういう問題をコメントすることが妥当かどうか。これはもってのほかだと思うのですね。これについてどういう処置をとられるのか。 それと、せんだって一日の鬼氏の証言の中で、コーチャン氏がいわゆる海幕長である鮫島氏と会談をしたということを証言なさったのですね。事もあろうに海幕長となぜコーチャン氏が会談をせねばいかぬのか、私たちは重大な疑惑を持たざるを得ないのですね。それはいつだったのか、だれが立ち会ったのか、明確にしてください。
○玉木政府委員 お答えいたします。 統幕議長とブラウン統参議長との対潜機に関するお話の問題でございますが、たまたま儀礼訪問に参りました際の対話の中で、次期対潜機の問題に触れまして、白川議長の方から、ポスト四次防の一環としてこの問題を検討しておりますが、防衛庁としてはまだ決めておりません、国内開発と外国の組み合わせという問題を考える場合もあろうと思いますが、いずれの場合にしましても、米側の技術的支援を期待しておるというお話を申し上げましたところ、向こうもそれを了知した、こういう程度でございまして、これを取り決めるとかいう性格の対話ではございません。 もう一つのお尋ねの、海上幕僚長を訪問しましたのは、記憶によりますと四十九年の一月二十五日であったかと思いますが、これは単なるコーチャン氏の来日に際しての海上幕僚監部の長に対する儀礼的訪問である、約十五分間の儀礼訪問であるということでございます。
○上原委員 時間が来ましたので……。これも重大な問題なんですね。四十九年一月二十五日というと、ちょうど国防会議におきまして専門家会議の答申が出る直前なんですよ。直前なんだ。こういう疑惑が持たれているということに対して、防衛庁長官は、政府としてこの問題についてはやはりもう一度、国民の疑惑を解くために、このP3Cは完全に白紙に戻して再検討するということをここで明確にしておいていただきたいと思うのです。
○坂田国務大臣 まだ実は、国産にするのかあるいは外国機を導入するのかということは決めてないのでございます。八月に、ちょうどそのころ、われわれがいま検討いたしておりますポスト四次防の防衛構想というものがあります。それにつきまして、装備その他編成等についての結論が出た上で、この国産かあるいはP3Cを導入するのか、そういうようなことについての最終的な決定が行われるわけで、しかしそのためにいろいろ検討するということは当然なことだと私は思っておるわけでございます。(発言する者あり)私といたしましては、このロッキード問題が起こりましたから、一点の疑惑のないように、国民の納得のいくような機種選定を行わなければならぬということは、はっきり申し上げておきたいと思います。
○井原委員長代理 以上で細谷君、上原君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○井原委員長代理 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りをいたします。 本日、日本道路公団吉田理事及び日本放送協会会長の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井原委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○井原委員長代理 次に中島武敏君。
○中島委員 政府は、ロッキード問題で、法務省刑事局堀田参事官を米国に派遣をしたと伝えられておりますが、これはいつ派遣されましたか。またその身分は何でございますか。
○安原政府委員 ちょっと委員会の部屋に入るのがおくれましたので、正確にお聞きしておりませんが、お尋ねは、当局の堀田参事官をいつどういう身分で派遣したかということだと思います。 当局の堀田参事官、刑事局の参事官として、先月の二十六日の深更にアメリカに向けて出発をさせたものでございます。
○中島委員 質問していることをよく聞いておいてもらいたいのですがね。どういう身分で堀田参事官は米国に行かれましたか。
○安原政府委員 身分は、先ほど申しましたように、当局参事官として派遣したものでございますが、お尋ねはどういう目的かということのようでございますので申し上げますと、それは、かねがねこのロッキードに関連する一連の事件は、国際的な、特にアメリカ本土と非常に関係の深い事件のように思われますので、しょせん何らかの段階においては捜査官をアメリカに派遣する必要があるのではないかということが見込まれておりました。しかしながら、アメリカへ捜査官を派遣して、アメリカでわが国の刑事訴訟法に基づいて取り調べをやるということは、いわば一種のわが国の主権をアメリカの領土で行うことでございますので、事前にアメリカ政府の了承を得る必要がある。それから、仮に了承を得ましても、わが国の捜査官は了承を得ただけではだめなんでございまして、さらにその関係の者から事情聴取するという任意の取り調べをやるについては、任意でございますから、相手方の関係者の了承、任意の承諾を得る必要がある。それはなかなかむずかしい問題でございまして、そういうことで外務省と御協議申し上げまして、事柄が検察に関連することでございますので、そういうことに通暁しております堀田参事官を、いわば広い意味で言えば捜査官の派遣の受け入れをしてもらうための準備のために派遣をしたということでございます。
○中島委員 法務省の参事官として行かれたということですが、外務大臣、これはそのとおりでございますね。
○宮澤国務大臣 さように承知しております。
○中島委員 東京地検検事ら捜査官の派遣とこの派遣はどういう関係にありますか、この点、伺いたいと思うのですけれども、これはつまりこれの先遣部隊の一員ということになるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
○安原政府委員 先ほど申し上げましたように、先遣部隊というのは、そういうことが決定して、その先駆者として、捜査官として行ったのかというお尋ねとすれば、そうではなくて、むしろいま申し上げましたように、そういう必要のある場合においてそういうものを受け入れてもらえるかどうかという意味でアレンジメントに行ったということでございまして、それを先遣と言うならば先遣でも、そういう御理解でもいいですが、要するにまだ決定しておりません。というのは、まだ交渉中でございますので、先遣というよりもアレンジメントのために行っておるということでございます。
○中島委員 政府は、米側から提供された資料については、米側から条件がつけられない限り、政治的考慮を加えずに公開をする、こういうふうに言明しましたり、また、捜査官が入手した資料については、捜査の秘密から、一定の時期、場合によっては永久に公開できない場合があり得るととれる発言をしておられる。そこで、この堀田参事官の派遣は、結局、米側から提供される資料でも、捜査官が受け取った資料は、外交ルートで入手したものでなく、捜査ルートで入手したものだから、捜査の必要上公開しないというための伏線とも考えられるが、いかがでございますか。
○安原政府委員 先ほど来るる申し上げておりますように、本件は、検事を派遣して、アメリカにおる関係者を取り調べるための下準備という用向きでございまして、いま御指摘の資料の問題は、全然関係のないことでございます。
○中島委員 これは米側から資料提供の条件として、日本側に要求していることでもあるのではないかというような気がするが、この点はどうでしょう。
○安原政府委員 この点は外務当局からお答えいただきたいぐらいにわれわれは関知いたしておりません。
○中島委員 この問題というのは、私はやはり非常に重大な問題だと思うのです。刑事上犯罪とはならないような政治献金でも、政治の姿勢を正すというのが、国会での真相追及の大きな目的であります。この大きな目的、国民の要求が、捜査の目的、必要に矮小化されて、政治の姿勢を正す国民の声が貫徹されないことになってはいかぬ。 本来でしたらこれは総理にお尋ねしたいところですが、米側からの提供の資料を直ちに国会で公開するということを要求したいと思うのですね。どなたか御答弁ありますか。
○稻葉国務大臣 ただいまの御質問は、法務省と直接関係はないのです。総理が大統領に要求されたもので、それは公開すると言っているのですから、公開するに決まっている。
○中島委員 総理はそういうふうに言っているが、また、そうじゃなくて、捜査の必要上とか、こういうことを言うことがよろしくない。すべてやはり国会に公開しなければならないということを私は言っているわけであります。 大体このロッキード事件と申しますのは、改めて言うまでもありませんが、A級戦犯容疑者であり右翼の幹部を黒幕とする国際的な大疑獄事件であります。この事件は、自民党政治の本質が、金権政治、戦犯政治、そして日本の政治が外国の軍需会社によって買われているという点で、対米従属、売国にあるということをはっきり示した事件だと思うのです。 それで、特に丸紅関係の問題についてお尋ねしたいのですが、丸紅関係では、証人の証言の偽証とも思われるような不自然さや、証拠隠滅と思われる動きが見られます。これは非常に重大な問題だと思うのです。たとえば三月一日の証人尋問で丸紅の大久保証人はどう言ったか。二月五日に東京を出発して、そしてコーチャン証言を初め情報収集のためにアメリカに行きながら、二月六日当日ワシントンにいたのにもかかわらず、コーチャン証言はテレビでも見なかった、見る精神状態ではなかったと証言をしておるわけであります。また、十一日の夕方帰国して、翌十二日に役員会が開かれているのに、この役員会に出席したかどうか覚えていない、こういうことを証言しているわけであります。これは、たとえて言ってみれば、自分の結婚式に自分が出席したかどうか覚えていない、こういうふうに言うのと同様に、きわめて不自然で、信じられないことだと思う。法務省初め捜査当局は、この問題をどう見ておられるか、伺いたいと思います。
○稻葉国務大臣 いま、呼ばれた証人の偽証罪のことを、偽証にならないかなるかと言われても、それはえらい処罰規定がついているのですからね、本当によく捜査当局が捜査しなければいかぬのです。それの条件として、起訴する場合は、国会の正式な告発がなければ起訴の条件を欠くのですから、まずそういうことを私にお尋ねになる前に、そういう手続をとってきてからにしてください。
○中島委員 これは国家公安委員長はどう見られますか。
○福田(一)国務大臣 ただいま法務大臣がお答えをしたとおりでございます。
○中島委員 私は、やはりこれは偽証の疑いがあるぐらいのことは法務大臣もあるいは国家公安委員長も言っていいのじゃないかと思いますね。これぐらいのことははっきりどうして言えないのか。非常にそこに、それこそ大変不自然なものを感じますね。これは非常に不自然な、真実を述べてない態度をとっておるのはなぜかという問題なんです。実はやはり、ここはもっと大きな隠したいと思っておることがあるからああいう全く不自然な証言をしておるのではないか。いかがでしょう。
○安原政府委員 どうもいまのお尋ねは、昨日、私が法務委員会で共産党の青柳委員の質問に対して答えたことが新聞で報道されたことが、僭越でございますが御質問の動機になっておるのではないかと思われますので、私からそのいきさつを申し上げますと、要するに捜査当局、主として警視庁を中心にやっております外為法違反の容疑では、あのころ五億円の金をロッキード・エアクラフト・カンパニーのために、居住者から支払いを、大久保、伊藤両名が共謀の上で受け取ったという嫌疑を抱いて外為法違反で捜査をしておるということは事実でありますから、捜査当局がそういう嫌疑を持っておることは事実である。ところが、証言に立たれた伊藤、大久保両名は受け取ったことはない、こう言っておられるわけでありまするから、この捜査当局の持っておる嫌疑とそれから証言とを比較対照するなら、理論的には、理論的というのは事柄の筋としては、捜査当局としては、大久保、伊藤両氏の言ったことは虚偽であるという疑いを持っておるということに相なりますということをきのう申し上げたわけでありまして、それ以上の何ものでもございません。
○中島委員 丸紅は先月の二十三日に、あす捜索があるから各人は重要な書類はみんな持って帰れ、こういう指示をしまして、そして丸紅の紙袋に入り切れないぐらいいろいろと入れて持って帰っているわけですね。部長クラスの人はほとんど持って帰らなかったと言われているわけなんです。それから、二月の十六日、十七日の証人尋問の直後の十七日か十八日ごろに、従来使っていた暗号コードを回収しているわけです。 ここに丸紅が使っていた暗号コードがあります。これは暗号コードの一部なんですけれども、これをちょっと見てもらいたいと思うのです。 この中を見ますと、361 工作、362 工作中、363 工作費、こういうのがあるのです。それで、こういう言葉が暗号コードの中に出てくるということは、丸紅が大変な悪徳商法をやっていることの証拠にもなるのではないかというように思うのですが、国家公安委員長、どう見られますか。
○吉田(六)政府委員 お答えいたします。 事前に証拠隠滅が行われたかどうかということにつきましては、事実に基づいて今後判断してまいりたい、かように考えております。 なお、丸紅から押収した資料にはこのような暗号コードというものがございませんが、なお今後こういうものも含めまして捜査してまいりたい、かように考えております。
○中島委員 国家公安委員長の方からはこれについて答弁はないですか。——ないのですけれども、これを見ますと、365 口銭、それから395 マージン、373 交際費、374 交渉、398 前払い費用、それから408 未払い費用というようなことがずっとこの一枚の紙に載っているわけなんです。 それで、この工作といいますのは決して交渉のことではないということははっきりするのですね。別にちゃんと交渉は374として載っているわけでございます。それからまた、工作費といいますのは、これは決して口銭のことでもなければマージンのことでもないのですね。これも別にちゃんと載っているわけですから。それから、この工作費というのは交際費のことでもないのですね。別に交際費が373として載っているわけです。それから前払い費用のことでもないのです。前払い費用は398として載っているのです。それから未払い費用でもないのです。未払い費用というのは408ということではっきり載っているわけなんですね。そうすると、これはやはり丸紅の大変汚い、汚れた商法をこの暗号コード自身が証明しているのではないかというように思っているわけです。どうですか。
○福田(一)国務大臣 御提示の資料に対してどう考えるか、こういうお話でございますが、もうすでに中島さんも御案内のように私は国家公安委員長で、国家公安委員長というのは具体的な問題について警察に指示を与えたり指揮をとったりするのが任務ではございません。しかし、いまお出しになった資料は、私は恐らく警察が十分に一つの参考資料として、問題の解明についての一つの手がかりとするのではないかと思います。私がそれ以上のお答えをすることは、公安委員長というものはそういうものじゃないのですから、一々の問題でどうだ、こうするかああするか、こういうことをやったらこれは警察法違反になってしまうわけです。だから、その点は御理解を賜りたい。
○中島委員 重ねてお尋ねしますが、この暗号コードは押収されておられますか。 それからもう一つお尋ねしますけれども、この暗号コードを使用したところの主にテレックスであるとか電報など、こういうものも押収されておりますか。
○吉田(六)政府委員 現在警視庁で押収いたしております資料は中分類中でございますが、現在のところ暗号コードは見つかっておりません。 なお、テレックスその他につきましてはまだ未整理で、今後出てくるかどうか、いまのところ判断しかねます。
○中島委員 目録を見ればわかるんじゃないんですか。それを使ったテレックスやあるいは電報などはまだ全然見当もつかないということですか。
○吉田(六)政府委員 袋に入った資料とか、あるいはつづりでございましても、たとえばレポートというようなものがございましたが、いわゆる丸紅レポートではないというようなものとか、いろいろ異なっておりまして、押収品目録の内容と中身はかなり錯綜しておりますので、いまのところはっきり申し上げることはできません。
○中島委員 この暗号コードといいますのはどこの総合商社にもあるものでありまして、どこの総合商社でも使っているものなんです。ところが、いまお話を聞いておりますと、暗号コードは捜査品目の中には入っていない、それから、それを使用した文書についてはわからない、こういう話なんですね。これはわからないかもしれませんが、調べても出てこないかもしれない。あるいはまた、このコード自身がないということは非常に、常識では本来考えられないことなんですね、これはどこでも使っているものなんですから。ところが、この丸紅の方は書類を持ち帰らせた。この問題についても、何か社員が自主的に持ち帰ったものだ、こういうことを言っているんですね。これはつまり社員を共犯者として巻き込むんじゃないか、はなはだけしからぬことを言っていると私どもは思います。こういうような会社ぐるみの証拠隠滅が行われているとすれば、やはり丸紅というのは単に悪徳商法であるというだけじゃなくて、犯罪会社、証拠隠滅会社と言われても仕方のない状態だと思うのです。やはり国民は真相が明らかになることを求めているわけであります。そういう点で検察庁、警察庁の態度、考えを聞かせていただきたい。また、これらの問題について具体的にどういうふうに対処されるかということについて伺いたいと思うのです。
○吉田(六)政府委員 先ほども申し上げましたが、証拠隠滅があったかどうか、これは具体的な事実に基づいて今後捜査してまいることといたしたいと考えております。
○中島委員 では、次の問題に移ります。 塩ビによる労働者の健康被害の問題についてお伺いしたいと思います。 労働者の塩ビ障害について、全国的な最新の健診結果についてお尋ねしたいと思うのです。どうなっておりますでしょうか。
○藤繩政府委員 塩化ビニールの問題につきましては、四十九年に肝血管肉腫の問題が出まして、それ以来特別の健康診断の実施等を指導してまいっておりますし、政省令を改正しまして対応いたしておりますが、特に昨年の秋にこの問題が非常に注目されましたので、関係会社二十七社四十二工場でございますが、これらにつきまして健康診断を要請をいたしまして、昨年の十一月十八日現在でまとまっております結果を申し上げます。 関係工場の労働者の総受診者数が四千九百五十一名であります。これに対して第一次健康診断では、精密検査を要するという者が百二十二名ございました。その結果、精密検査をさらに経ました結果におきまして、要治療という者は見当たらなかったのでございますが、要注意、要観察という者が十八名見られております。なお、それ以前の状態で労災補償申請が出ておる者は、死亡者が十一名、門脈圧亢進症が二名、指端骨溶解症が二名、計十五名でございますが、すでに労災認定を終わっておる者はそのうちの三名でございます。 なお、この問題は非常に重要でございますので、健診を行いますと同時に、従業員及び過去に関係業務に従事した者約一万人を対象に、昨年の暮れにかけまして疫学調査を行っております。目下その結果につきまして、さらに事業主からの報告だけでなくて関係の市役所あるいは法務局等にも死亡原因等について照会をして、詳細な分析を行っているところでございます。
○中島委員 いま四十二工場ということを言われましたが、これの企業別、事業所別にお答えをいただきたい。特に、要観察者が十八名いるということを、この中身を明らかにしていただきたいと思うのですが……。
○藤繩政府委員 私どもこの結果につきましては、実は被災者のプライバシーの問題というのがございまして、限られた工場で関係者、要注意、要観察あるいは要治療というようなことが明らかになりますと、非常に関係者も心配をいたすというような事情がありまして、必ずしも公表するということにしない、非常に慎重な態度をとっているわけでございまして、そういう意味で私ども従来これを明らかにしてまいっておらないわけでございますが、いまお尋ねの関係のところを申し上げますと、十八名の内訳は、日信化学武生工場で一名と電気化学渋川工場で四名、青海工場で三名、日本ゼオンの高岡工場で九名、三菱モンサント四日市工場で一名、かようになっておるわけであります。
○中島委員 いまお話の中で若干は明らかになってきたんですが、三菱モンサントにも一名あるというふうに言われましたが、もう少し詳細なことがわかりましょうか。
○藤繩政府委員 もう少し詳細にとおっしゃいましたけれども、その数は一名でございまして、個人別に氏名まではこちらでとっておりません。数字の紹介だけを受けております。
○中島委員 三重の労働基準局は十一月十四日に塩ビによる県内の健康被害について発表をしているわけであります。それによりますと、塩ビモノマーを製造している県内二工場の従業員には障害、死亡者はいない。三菱モンサントの場合は、重合がまの洗浄はかまの中での塩ビモノマー濃度を五PPM以下に落としてから作業にかかる、しかも七十人の社員が交代で当たっているため、一人当たりの作業量は月四時間以下だ、こういうふうに発表しているわけですね。いまのお話では一名要観察者というお話でございますけれども、十一月十四日に三重の労働基準局でこういうふうに発表しておりますが、この点についてどういうふうに考えられますか。
○藤繩政府委員 私、詳細な報告を受けておりませんが、現地の局で発表しましたものは、恐らく現段階における工場の状態から見てさような判断ができるということだと思いますが、この塩ビの被災者は、御承知のように非常に長い過去の暴露の結果出てくるというような事情がありまして、必ずしも現状がいいから過去の離職者も含めて問題がないというわけにはいかないわけでございます。 なお、いま申しました一名は、先ほどお答えいたしましたように要治療ではございません。要治療者は全国調査の結果も一名も出ておりません。要注意、要観察という程度のものでございます。
○中島委員 すぐ近くの三井東圧では塩ビによる労災認定患者が三名、申請中が八名出ておりますね。そのうち死亡者は七名だと思いますが、この三井東圧よりも決して少なくない塩ビの生産能力を持っているのがこの三菱モンサントであるわけです。ここで一名しか所見者はいない、要観察者はいないということについて不思議には思われませんか。
○藤繩政府委員 ただいまもお答えいたしましたように、塩ビの関係の場合には非常に長期間の暴露ということが背景にあるわけでございまして、特に現在問題になっております被災者の例を見ますと、重合がまの清掃に従事した者がもっぱらでございます。これにつきましては、その工場工場によっていろいろなやり方もございましたでしょうし、それからまたタイミングとかあるいは暴露期間とか、条件がそれぞれ違いますので、必ずしも全体の生産規模なり従業員が似ているからといって同じような結果になるということでもないかと思いますが、いまお尋ねのような点につきましては、私どもの方でもなお十分分析、比較研究というようなことをやってみたいと思います。
○中島委員 この要観察者一名は、本人にはちゃんと知らせておりますですか。
○藤繩政府委員 健康管理区分は、本人に連絡をすることになっておりますので、これは連絡が行っているものと理解しております。
○中島委員 確かめてのお話ではないようでありますね。多分行っているものと思うというお話です。 実は三菱モンサントのある労働者からわが党に対して、モンサントの塩ビによる健康被害を調べる健康診断の結果につきまして、再三会社に要求しても明らかにしない、会社の方は大丈夫、大丈夫と言うだけで、具体的な結果も根拠も示さない。健診をやってもその結果がどうなっているのかということについては労働者には何も知らせない。この労働者は非常に心配の余り、名大の付属病院の医師で、労働省の塩ビ障害に関する専門家会議の委員であります稲垣孝雄さんに見てもらったわけであります。その結果、塩ビモノマーに冒されたと思われるという所見をもらっているわけであります。これは非常に大変なことだというので、われわれのところに訴えてきたわけです。この人は梅田全美さんといいますが、三十五歳で、三十五年に入社をしておりまして、そして塩ビ二課、つまり塩ビ二課といいますのは塩ビモノマーの合成職場です。ここに入って、現在もそこで働いておられるわけです。最初の五年間は旧製造法、アセチレン法であったわけですが、四十年からは新設備EDC法にかわった。稲垣さんの所見によりますと、GPT三五、GOT三二、いずれも上限あるいはそれに近い値であります。PSPは三十分で九%。一〇%で異常値でありますから、異常値に近いわけであります。 さらに肝脾シンチグラムによる影像はどうかといいますと、塩ビモノマーに冒されたと思われるということであります。なぜならば、肝臓は三角形の肝臓に変形してしまっている、それから脾臓は二−三倍にはれ上がっている、こういう状態なんです。ところが、この人は酒も飲まなければ、たばこも飲まない。それでいまこの人は腹腔鏡肝生検をぜひ受けたい、こう言っているわけであります。 ところが、この方だけじゃないのです。もう一人舘一男さんという方がおられますが、この方は三十六歳で、やはり三十五年の入社で四十八年に退社をいたしております。この間丸五年間塩ビ三課で働いていた。塩ビ三課は重合がまの職場であります。ここで働いておりまして、かん内の清掃に従事をしていた、その後一年間重合促進剤の計量に従事をしてきた、こういう経歴の人であります。 この方も稲垣さんに見てもらった。ところが、肝の形が先端がとんがっているピストル型だ、大きさも多少大きい、塩ビによるものだと思われるというように稲垣さんは言っておられるわけです。脾臓はどうかといいますと、脾臓は三倍から四倍にはれ上がっているというわけであります。 この方はすでに退社をして自家営業なものですから、腹腔鏡肝生検を受けるという点については入院しなければならないし、そうすると商売の方はうまくいかないしということで大変悩んでおられるわけであります。モンサントは、塩ビの影響による患者は従来——現在もそうなんですけれども、いないのだということを言い続けてきたわけであります。この舘さんという方は、十二月二十六日会社の診療所から肝機能検査の結果は異常なし、本人が自覚症状を訴えているからということで申しわけ的に再診をする、こういうことを言って再診を受けたのですけれども、いまだに結果は知らされない。非常にひどい状態であります。この稲垣さんの所見、検診結果というのは、会社の言い分、つまりうちは患者はいないのだということを非常に言い続けてきておりますし、また、さっきちょっと申しましたけれども、三重の労働基準局が会社の言っていることをそのまま受け入れて、やはり患者はいないんだ、こういうことを言い、その理由まで会社の言っている言い分をそのまま繰り返しているわけでありますけれども、しかし、こういうことを事実をもって私は打ち砕いていると思います。これは非常に重大な問題じゃないか。モンサントには、いま挙げました梅田、舘両氏よりもずっと長い間塩ビモノマーに暴露されている労働者がたくさんおります。ある労働者は重合がまの職場で十六年間働いて、そして一昨年胃潰瘍だということで手術をしたのです。ところが、その後も思わしくなくて再入院をしている、こういう方もいるわけであります。私は、労働省としてあるいは労働大臣として、会社やあるいは県の労働基準局が発表しているこういうことを、こういう事実がずっと明らかになってきておっても、これでもやはり正しいと思われるかどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
○藤繩政府委員 事実関係でございますから私からまず申し上げますが、稲垣先生もいま先生御指摘のように、私どもの塩ビ障害専門家会議に入っていただいておりまして、この専門家会議ではいろいろ被災者の皮膚なども持ってこられまして、専門家の中で非常に熱心な議論がなされております。私どもとしましては、万が一にもそういう被災者がおってはいけないことでございますから、そういった診断基準あるいはそれに対する対処基準というようなものをできるだけ早くつくるべく、専門家会議は休日も返上して非常に精力的にやっていただいております。 そういう結果に基づいて、私どもは必要があればなおいろいろな手を打ちたいと思いますが、いま御指摘のような離職者に対してなかなか手が打てないという問題が従来ございました。しかしながら安全衛生法の規定に基づいて、こういった重篤な疾患については手帳を発給いたしまして、そして政府の費用で必要な健康診断を行うということがなされておりまして、この一月に政令を改正いたしまして、塩ビ関係の重合がまの作業に四年以上従事していた者については健康管理手帳を交付するということになりました。そういう手をどんどん打ちまして、必要な者については健康診断も行い、またそれに基づいた処置もいたしたい、かように思うわけでございます。
○中島委員 大臣、どうでしょう。会社の方はもう安全だとか大丈夫だとか、こういうことを言い続けてきているのです。ところが、実際にはそうじゃないということが具体的に出てきているのですね。この事実を一体どう考えられますか。
○長谷川国務大臣 局長から御説明申し上げましたように、塩ビの問題等々については、できるだけのことをやっておったつもりでございます。また、経営者さらにはまた組合の諸君、こういう方々の協力を得まして、まずそういう者を出さないことに重点を置き、さらにまた、国会においていろいろな安全衛生法の諸改正などを行って、しかも先ほどから申されたように、労働基準監督官は立ち入り検査までするという形をやっておりますが、どういたしましてもいまからはやはり予防、それをやりつつ、そしてまた補償ということまで五十一年度の労働行政の最重点として取り組んでまいりたい、こう思っております。 ただいまのような事例も、いま御説明申し上げましたけれども、私の方といたしましても、一体どういうふうになっているか、こういう国会での御議論でございますから、そうした問題についての追跡調査もさらにしたい、こう思っております。
○中島委員 会社がとっているこういう態度について、いまの御答弁は、直接大臣は所見を述べられなかったのですけれども、引き続き言いますと、三菱モンサントでは、ことしに入りましてから一次健診をやっているわけなんです。ところが二次健診はどうなるか。二次健診は一年ぐらいかかる、こういうことを言っているわけです。なぜ一年ぐらいかかるか。このシンチグラムを三重大でやらなければならない、だから一年ぐらいかかるのだ、こういうことを言っているわけであります。そのために労働者は非常に不安がっているわけであります。それで私はやはり労働者の不安、こういうのを取り除くためにすぐに二次健診をやらせるべきではないかと思うのですが、どうですか。
○長谷川国務大臣 各工場においては衛生委員会がありまして、こういう場合には全部労使が一緒にやっていろんなデータを分析しながら、自分たちがその工場におれば被害者でもあり、ある場合には加害者にもなる、こういうことでございますから、慎重にやってまいりたい。また、いままでもやってまいりました。そうしたただいまのような事例などがあれば、さらに追跡調査をしてまいりたい、こう思っております。
○中島委員 単に追跡調査というだけではなくて、現実がこういうふうになってきているのですから、私がぜひ労働省の行政指導としてやってほしいなと思うことは、やはりすぐ県の労働基準局、こういうところに指示を出して調べろ、第二次健診を急げというような措置をとる必要があるのじゃないかということを申し上げているのです。単に追跡調査を何かスケジュールに従ってやっていけ、こういう話を言っているのじゃありませんから……。
○藤繩政府委員 第二次健診をできるだけ急いで、労働者の皆さんの不安を取り除くということの必要は、おっしゃるとおりだと私ども思います。ただ、この場合は、特に肝血管肉腫というような病気がわかりましたのは、世界的にも四十九年以降のことでありまして、先ほど言いましたように、いろいろ診断基準等についてもむずかしいところがあります。特にいまシンチグラムの点にお触れになりましたが、これはある意味では非常に危険な要素もあって、したがって、しっかりした病院でないとなかなかできないというようなこともございまして、私どもとしては、労災病院を初め関係病院の内容の充実というようなことについても努めたいと思いますが、いま御指摘の点はまさにそのとおりであります。また私どもも出先を督励いたしまして、できるだけ早くそういった対応ができるように指導をいたしたいと思います。
○中島委員 もう一つ、モンサントは健診の結果を発表しようとしないのですね。たとえば十五年以上の入かん作業の経験のある者について特殊健康診断を行っているのです。いつやっているかといえば、昨年の、五十年四月から六月までの間に行っておりまして、この健診項目の中には肝シンチグラムも入っているわけであります。結果はどうかといえば、受診者が四十二名、それから再検者が七名、それから要精検者が一名、この検査をやりましたところ、この精検者の場合も肝シンチの所見があったのですが、生検等の精密検査を実施した結果異常なしということになって、異常所見者はゼロであるというふうに発表されております。ところが、労働者の方に対してはどうかといいますと、労働者に対しては個別にこういう結果を全部話をして、だから安心だ、こういうふうにやっているのではないのです。一括して職制から異常なしだということを言っているわけですね。医者でもない者から一括してそう言われるので、労働者は非常に不安に思っているというのが実情であります。そこで、三重の労働基準局に対してこの問題をただしたことがあります。そうしましたところが、三重の労働基準局の方も、健康診断の結果につきましては、担当医からデータに基づいて受診者に具体的に説明するように指導したところである、こういって文書による回答をよこしているのです。ところがそれにもかかわらず、その後もずっと行われる健診についても労働者に何ら結果を具体的に説明をしていない。そこで労働者は非常に心配になりますから、担当医のところへ行って結果を知りたいということを言うわけです。ところが、そうするとどうなるか、職制が飛んでくるのです。職制が飛んできて、そんなに詳しく何の理由で知りたいか、こういうことを言う。一体何にするんだ、こういう調子なんです。非常にせんさくをしてくる。労働者は自分がどうかということが非常に心配だから、データは一体どうだったのだろうかということを聞こうとしているのですけれども、こういう態度を会社側はとっているわけであります。 県の労働基準局からの指導、それもいま申し上げたように、個別に労働者に結果をきちんと説明しなければならないということを指導しているわけなんですけれども、こういう状態が続いているわけです。このことを基準局長知っておられますか。
○藤繩政府委員 お答え申し上げます。 いまお話しになりました詳細については承知をいたしておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、この結果につきましては、健康診断をやりまして一応ABCというようにランクづけをいたしまして、その結果は本人に連絡をするということになっております。ただ問題は、肝血管肉腫というような職業がんという大変な重篤な疾病の場合には、本人に知らせるということは非常にショックを与える、あるいはそのことが外に漏れるというような場合に家族その他にも非常に問題があるということで、これはよく本人及びその関係者だけでなく、労働組合なんかからもその辺の扱いは役所の方も慎重にしてほしいというような話が来る場合もあるくらいでございまして、私どもとしてもその辺の扱いは非常に大切に、慎重な取り扱いをしなければならぬというふうに思います。 ただ、健診結果などにつきましては、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、各事業場においては労働安全衛生法の規定に基づきまして安全衛生委員会というものが設けられておりまして、御承知のように、これは法律の規定によりまして、半数は労働組合の推薦者からその委員ができ上がっておるというような組織でございます。そこに健診結果の概要は当然説明されるべきものでございますし、なお必要があれば、そういうところでいま御指摘のような点も十分主張もされ論議もされる。やはり現場、現場における自主管理ということが第一かと思います。しかし基準局といたしましても、先ほど言いましたようなことは指導いたしておるわけでございますから、なお実情をよく検討いたしまして必要な措置はとりたいというふうに思います。
○中島委員 これもがんとかそういう場合ではないんですよ。一般的な健診の結果なんですから、これは労働者本人のことでありますし、やはり本人が十分よく知って治療ができるものなら治療も加えていくというようなことをみずから進んでやっていくということが必要なんです。ですから私は、会社のとっているこういう態度というのは非常に正しくない、基準局長の方からも是正するようにすぐ指示をしてもらいたいということを言っているわけなんです。実際、先ほども申しました舘さん、会社に何回も結果を知らせてくれということを要求をしているわけなんです。今月へ入りましても、余り何度言っても知らしてくれないものですから、文書で会社に申し入れに行った。ところが退職している、そうしたら門前払いですよ。門前払いで追い帰されてしまう、こういうことなんですね。それから第二次健診はさっき申し上げたようにいま一年以上かかるとか、あるいは健診の結果を知らせないとか、知らせ方も一括してやっているとか、こういう態度というのはぜひひとつ是正をしていく必要があるのじゃないかと思います。こういうことを労働者に知らせない、こういう姿勢では一体本当に何が行われていてもわからないと思うのですね。ぜひその点は正すようにしていただきたいと思うのです。
○藤繩政府委員 関係労働者が健康診断の結果について非常に大きな関心を持つことは当然でありますし、それは可能な限り知らせるべきであろうと思います。現にそういう指導をいたしておりますから、今後ともなお一層その点は私どもも注意をいたしたいと思います。 しかし、重ねて申し上げますが、安全衛生委員会におかれましてもぜひ強く労働組合の方からもそのことを御主張願って、現場現場でまず問題を処理する、その上で行政官庁が出る、これが順序だと思いますので、そのことをつけ加えさせていただきたいと思います。
○中島委員 昭和四十四年に国際労働衛生会議が行われまして、塩ビによる指端骨溶解症についての報告がこの会議で行われました。労働省は塩ビ協会を通じて実態調査を指示された。集まってきたレントゲン写真を久保田重孝氏に読影を依頼された。この久保田報告は、後に昭和四十九年にアメリカで塩化ビニールの毒性についてのシンポジウムが行われまして、ここで坂部さんがこの報告の中で紹介をされております。このときの久保田報告によりますと、指端骨溶解症は一名ということだったわけですが、このときの写真は全部企業に返したというふうに聞いておりますけれども、これは企業の方では保管をしているものでしょうかどうでしょう。
○藤繩政府委員 何分にも以前のことでございますので、私ども恐らくそういうものは保存をしていると思いますけれども、いまここではっきりお答えできません。ただ、先ほど来申し上げましたように、最近関係政省令を改正いたしました中で、こういった重篤な職業がん関係の作業環境測定結果あるいは健康診断結果、これは三十年間の保存義務を課しまして、今後そういう点については完璧を期したいというふうに思っております。
○井原委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○井原委員長代理 速記を始めて。
○中島委員 三菱モンサントでは、労働省の指示でこのときに重合がま作業者のエックス線写真を撮ったわけであります。ところがそのときに、指端骨溶解症の疑いのある労働者がいることに気がついたわけであります。そこで会社の指示によりまして三菱診療所の所長である石川昭氏は、この疑いのある労働者の手指を塩ビとは全く関係のない診療所の所員の手指写真と差しかえた。私はそのときの名簿を持っておりますが、これがそのときの名簿なんです。これをちょっと大臣……。 この名簿を見ていただければわかりますが、九名が差しかえられたのです。何名で差しかえているか、七名で差しかえている。すりかえられた健全な方の中には診療所長の手指のレントゲン写真も入っているわけであります。一人で二役をやっているというのが二人もいるわけであります。ある人は中指の末節の左右の差が四ミリある。それからある人は三・四ミリある。ある人は三・六ミリある。これは全部ノギスで測ったわけです。それでそのことに気がついて、これは異状なんじゃないかということで会社に相談をしたところが、会社は差しかえを命じた、こういうことであります。実はそのときの本物の控えはこれなんです。 〔中島委員、資料を示す〕 それでいま申しましたように、それが本物であります。 ところで、この久保田氏のモンサントの読影結果はシロだったわけですね。それはシロになるわけなんですよ、差しかえてしまってあるわけなんですから。そういうことであります。私は、こういうことをやってまで労働者の健康を無視する、これが大企業の態度かと思うのですね。こういう大企業の態度を許していたのでは、本当に職場環境も改善されませんし、労働者の健康も守られないということだと思います。大臣、どうですか、本当にそう思いませんか。
○長谷川国務大臣 これは四十四年のことですか。
○中島委員 そうです。
○長谷川国務大臣 初めて聞いた話です。ということは、あなたも御承知のとおり、アメリカでのこの国際学会にそういうものが出たという話を聞いて私がいままで勉強したところによれば、日本はわりに早く、四十九年から手当てをした、こういうことになり、そしてまた、久保田先生を中心にいろいろなことを勉強し、私もその研究所に行ってみたり、わからぬままでもそういうところに行ってみたりしているわけです。私は四十四年にそういうことが行われたということは初耳でございますが、そうしたことがそのままずっと続いているとは思いませんが、そういう姿勢で続けるということになるならばこれは大変なことだ、こう思っております。
○中島委員 四十七年にも調査がありました。さて、四十七年のときにはやはりレントゲン写真を撮らなければならない、前に差しかえた者は一体どうなったかというのでてんやわんや大騒ぎをしたわけであります。しかし、幸いなことに——幸いと申していいかどうか、そのエックス線写真は労働省に送らなくてもよかったわけであります。だから、これは適当に何か処理をしたんだと思うのです。いま大臣も言われたように、これは重大な事実なんですね。私はすぐ、もうこの場から調べてもらいたいと思うのです。これはすぐ調べるべきです。これは一体どこにこのフィルムを置いてあるか、フィルムは三菱診療所の保健事務室のロッカーの中に入ってあるはずであります。すぐ連絡を出して調べてもらいたい。下手しておると証拠隠滅をやってしまうかもしれないというような問題なんです。どうですか。
○長谷川国務大臣 この場からすぐまた電話をかけてどうということはいざ知らず、最近は先ほどからも御説明のとおり、組合、さらに経営者、さらに厳しい法律あるいは立ち入り検査、そしてまた予防から治療、そして補償というふうな一貫体制ができて、やはり労働者諸君も積極的に健康診断されつついまいっている時代でございます。いままでは、前時代的にはいろいろなことがあったかもしれません。しかし、四十九年以降というものはそういうものはなくて、どんどんいい方向に進んでいかなければならないと思います。いま先生がおっしゃったこの事実は、私の方でもこういう国会でのお話でございますから、データに基づいてどんなふうないきさつであったかということは調査さしてもらいたい、こう思っております。
○中島委員 三菱モンサント、大体これは四日市公害の被告企業で、四日市公害の元凶の一つであります。水銀中毒患者がいるということが塩浜病院で診断をされましても会社はなかなか認めないというようなこともありました。あるいはまた、四十九年にはPCB入りのドラムかん千数百本を鈴鹿の山中に隠したということでも悪名の高い企業であります。職場の労働者に対しても非常な差別が加えられております。昇給や昇格の差別、それからまた、あれとは口も聞くな、あいさつもするな、かかわりを持つとためにならないぞ、こういうことを言うわけですね。それからさらに地域の親睦組織がありますが、その地域の親睦組織からも排除しておるわけであります。これは明白な、憲法十四条、十九条、これに保障される法のもとの平等、思想、良心の自由、これを奪った憲法違反の行為じゃないか。労働基準法第三条、これにも違反する思想差別じゃないかと思うのです。先ほどから申しておりますように、非常に重大なことが行われているわけであります。 なぜこういうことが起きてくるのか、この問題は非常に大事な問題じゃないかと私は思うのです。幾ら健康診断をやっても患者はなかなか発見されない、それからレントゲン写真をすりかえてしまう、こういうようなことが一体どこに問題があるのかということであります。こういうことは単にモンサントの問題だけと見ていいのかどうかという問題であります。私は考えなければならぬのはそこだと思うのです。そういう点について言えば、企業というのは労働者の健康被害が正確に判断されるようにきちんと保証しなければいかぬと思うのです。これは言うまでもないことですけれども、そうでなければいけない。これはあたりまえのことだと思うのです。 それから企業の言うことには産業医はなかなか逆らいにくいものであります。そういう点から言いますと、職業病などの検診を産業医が行っているということにも私は問題があると思うのです。久保田重孝氏なども言っておられますけれども、企業に雇用されている産業医がたとえ疑わしい症例を発見しても、事業主の了解を得ないでは外部に発表することはむずかしい、こういうふうに言っておられます。私は、職業病の検診というのは企業から独立した、しかも水準の高い医師に診てもらうことを制度的に確立する必要があるのではないかと思います。大臣の考えを承りたいと思うのです。
○藤繩政府委員 御指摘の点は非常に大事なところでございまして、したがいまして、産業医は各企業に置かれますけれども、健康診断の場合には労働者の方に医師選択の自由というものが留保されておるわけでございます。そういう規定も活用されましてできるだけ公正な健康診断が行えるようにやってまいりたいと思います。
○長谷川国務大臣 勤労者は自分の生活を守るために働くわけです。そういう諸君の健康というものはありとあらゆる場面において注意していかなければならぬと思います。幸いにいたしまして、法律あるいはこういうところの御議論を通じて一歩ずつ前進していると私は思うわけでありまして、いまある法律、またいまある権限、そんなものを活用しながら前進さしたい、こう思っております。
○中島委員 先ほども言いましたけれども、これはモンサントだけの特殊なケースというふうに見てはならないのじゃないかと思います。三井東圧の場合を考えてみましても、これは産業医が塩ビ障害を発見したのではありません。それからまた六価クロムの障害の発見、この問題もまた産業医が発見したのではありません。白ろう病もそうであります。やはり企業から独立したそういう体制が基本的には必要なんじゃないか。非常に私は重要なところだと思います。その点では大臣のいまの答弁、これでは現在の制度を活用してというふうに言われましたけれども、私は何も産業医そのものを否定しているのじゃありません。しかし職業病などの健康診断、これは考慮しなければいけないんじゃないかという問題であります。その点についての再度の御答弁をいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 最近の産業の発達によりまして、聞くところによると二十分に一つずつ新しい物が生まれてくる、そういうものがまた二十年、三十年かかって私たちの体にいつの間にやら爆発的に、今度のように塩ビのものも出てくるわけでありまして、医学的に私たちは医師会といま提携しながら、いい産業医を全国的に配置するようにお願いもし、一方には労働省といたしますと、これこそ皆さんの御審議を得まして産業医科大学、これは独立した、いま九州の方に設立中でありまして、そういう権威のあるものをつくりながら、先生のおっしゃるようなものに対してのおこたえをしていきたい、こう思っております。 もう一つ、私はよく工場経営者などに会いますけれども、いろんな話をする場合に一番先に言うことは、やはり働く諸君を大事にしなければいかぬ、それには、いまいろんな問題があるだろうけれども、職業病の問題について一番先に関心を持ってくれ、ほかの問題もあるだろうけれども、まず職業病だ、それが大変なことになるから、こういうことについて関心を持ち、対策を練ってくれ、こういうふうに申し上げながら、そしてまた、いままで御説明申し上げましたように、各工場においても労使半分半分の委員会をつくりつつ、一方には、労働者の方々にはとにかく健康診断を本当に受けてもらいたい、積極的に健康診断を活用してもらいたいというふうなことなどをいたしまして、何とかおっしゃるような方向に近づけていく、これは渾身のひとつ努力を払おう、こう思っております。
○中島委員 基本的にはやはり企業からきちんと独立したそういう健診の体制というものが必要だと思いますが、しかし私はさしあたって、すぐにも制度を変えなくてもできるという点で言えば、先ほどお話もちょっと出ましたけれども、やはり労働組合が推薦する医師に見せるというようなことなどは確保されなければならないと思いますし、それからまた、医師選択の自由があると申しますけれども、労働安全衛生法の中では、事業者は労働者を健康管理しなければならない、労働者は企業の行う健診を受けなければならない、こういうふうになっているわけなんですね。そしてただし書きで、しかしほかのお医者さんに見てもらっての結果が出された場合にはこの限りではない、こういう考え方なんです。なるほどこれは医師選択の自由が保障されていないとは言えません。しかし実態的には、先ほど申し上げたような職場の中で働いている労働者にとって、これは本当の意味では医師選択の自由が保障されているとは言いがたいのですね。この点もやはり私は再検討をされる必要があるのじゃないかということを思います。 それから、先ほどまた出たお話ですが、健診項目なんかもいろいろと意見がある。確かにそのとおりであります。一次健診からBSPや肝脾シンチグラムをやれ、こういう意見もあるわけであります。なるほどそうであります。しかし私は、早くこういうものを議論も統一をして、問題の解決が図っていけるようにする必要があるのじゃないか。そしてこの際特にお願いしたいことは、このモンサントだけの問題だというのじゃなくて、やはりこの際全面的な洗い直しということが必要じゃないかということを特に要求したいと思います。
○藤繩政府委員 いまおっしゃいましたような主張が実は中央労働基準審議会の労働者側委員から統一的な要望書として出ておりまして、審議会におかれましても部会を設けて、労働安全衛生法の問題点あるいは健康診断実施の問題点等について検討を重ねております。そういう成果を踏まえて、私どもとしてはさらに対策の前進を図りたいというふうに思うわけでございます。
○長谷川国務大臣 職業病疾病を絶滅させるためには、単に役所だけじゃなくして、やはり基本的には労使双方の積極的な理解と協力が必要だと思います。使用者の自主規制、労働者の健康診断への積極的参加、そういうことによって私は労使あるいは行政と三位一体になって職業病疾病の絶滅を期してまいりたい、また、こうした御議論なども非常に大きな参考にしながら行政の前進に当たりたい、こう思っております。
○中島委員 次の問題に移りたいと思います。 昨年の十一月の七日に参議院の予算委員会におきましてわが党の近藤忠孝議員が六価クロム含有の道路の融雪剤について質問をいたしました。このとき建設省の井上道路局長は、国道においてはほとんど使っていないというふうに答弁をされました。しかし、わが党の調査によりますと、労働省は四十九年度においてもこれを大量に使用していることが判明したのであります。この点から言えば、道路局長の答弁は事実とは違うのではないかと思います。
○竹下国務大臣 これは時間をとるようでございますが、中島さん御指摘のとおりのことがありまして、結果的に本日道路局長はその答弁を訂正するわけであります。したがって、同じ会派ではございますものの、他院においての発言を、言ってみれば本院で訂正するわけでございますので、その間道路局長が質問者自体にもお会いをしたりしてその訂正の機会をお願いしておったが物理的についにその機会ができなかった、こういうことだけを記録にひとつとどめさせておいていただきまして、道路局長から訂正の答弁を申し上げます。
○井上(孝)政府委員 積雪寒冷地におきます冬季の交通確保のために、機械除雪とともに私どもは路面の凍結を防止するという意味で、塩化マグネシウムとか塩化カルシウムという氷点を下げる薬剤を使いまして、道路交通の確保に努めております。 これに関しまして、昨年の十一月七日、参議院の予算委員会におきまして近藤忠孝先生から、従来使用してきた凍結防止剤につきましてその中にさびどめ、これは塩でございますので鉄を腐食させますので、さびどめのいわゆる防錆剤を使っておるのではないかという御質問がございました。私はそのとき手元にそういった資料がございませんでしたので、自分の過去の経験から、一般道路、国道、県道におきましては防錆剤の入った凍結防止剤はほとんど使用しておりませんという旨の御答弁を申し上げました。その後、委員会終了後いろいろ調査いたしましたところ、実は昭和四十六年ごろから防錆剤が凍結防止剤の中に混和されておりまして、使用されておりまして、この点で、私の参議院予算委員会におきます答弁は適切でなかった、はなはだ遺憾に存じております。ここに訂正をさせていただきたいと思います。
○中島委員 訂正をされましたから、それはそれで間違いについてはよろしいわけですが、なぜそういう間違いが起きたのかということについてはどういうことだったのでございましょうか。
○井上(孝)政府委員 実は先ほど申しましたように、私、当時の委員会には道路に使用しておるレーンマーク等のペンキの件につきまして御質問があると思ってその準備をしてまいりました。実は凍結防止剤についての御質問があるということを承知いたしておりませんでしたので、手元に全く資料がございません。大変いいかげんでございましたが、私の過去の経験から、ほとんど使用しておらないというふうに申し上げましたけれども、これが最近の事実とは異なっておった次第でございます。
○中島委員 その場における問題としては、いま答弁のあったとおりなんだと思います。しかしこの問題、翻って考えてみますと、やはり建設省の方で具体的な調査というものをきちんとやっておられなかったというところに問題があるのではないかというように思うのです。私、そういう点では、建設大臣、やはりこの道路行政、これが環境の保全ということを非常に、第一に考えてやらなければならない、必要な調査もやはりやられていないということになりますと、道路行政としては非常に無責任なことになるのではないかというようなふうに思うわけであります。大臣の所見をいただきたいと思うのです。
○竹下国務大臣 中島委員御指摘のとおりだと私も思います。 そこで、従来私どもいろいろ——この問題につきましてけさ以来いろいろ協議をいたしました。いままでやはり環境保全の問題について種々な環境アセスメント等をやってきておりますが、道路そのものに使う化学薬品の中にいわば人体にも影響を及ぼすような問題が存在しておった、こういう事実につきましては、さらにそういう環境汚染問題あるいは生活防衛問題、こういう意味でとらえて、一層慎重に対処していこう、こういう結論に達しましたので、お答えをいたします。
○中島委員 日本道路公団の方にもあわせてお尋ねします。 前田総裁がやはり参議院のこのときに六価クロム含有の融雪剤につきまして、最初、ここ数年は使っておらないということを答弁され、近藤議員が現物を突きつけますと、今度は四十九年度からは使用していないことになっております。こういうお答えでありました。しかしこれも、私どもの調査によれば、四十九年度も使用していることが判明したわけであります。その点で、これもうその答弁をされたということになると思うのですが、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
○尾之内参考人 ただいま建設大臣並びに道路局長から御答弁がありましたと同じような状態が道路公団についてもございました。近藤先生からの御質問に対して、四十九年よりは使用していない旨をお答えいたしましたけれども、その後当方でいろいろ調べました結果、一部にそういうものがあったことが判明いたしました。その後、近藤先生と直接お話しいたしまして、その点について御了解をいただいたわけでございますが、この点につきましてもこの機会を得まして訂正を申し上げ、記録にとどめていただきたい、かように思っております。担当理事から答弁させたいと思います。
○中島委員 なぜ結局こういう問題が間違うか。先ほども建設省の問題のところでもちょっと申したのですけれども、やはり私どもはメーカーから購入するときにきちんと調べるというようなことが必要だと思うのですね。きちんと調べられていたのかどうか、そういう点をはっきりさせていただきたいと思うのです。
○吉田参考人 昨年の十一月七日の参議院の予算委員会におきまして、凍結防止剤の使用につきまして、四十九年度から六価クロムなどの入ったものは使っていない、かように申し上げたわけです。この申し上げましたのは、一応私たちといたしまして、六価クロム等人畜に悪影響を及ぼすものは今後使うまいというのを四十九年に決めまして、そういうふうな製品を使うということを決めたということが一つ、それからもう一つは昨年の九月に、四十九年度使いました六社の製品を分析しました結果、その中からクロム類は認定ができなかった、かようなことで四十九年は使っていない、かように申し上げたわけでございます。 その後、その際近藤先生からハイキープをおまえは使っているじゃないか、ハイキープはどうだというような御指摘を受けました。そこで私たちもう一度、前年度に残っております全部の倉庫を調べまして、七社から購入いたしておりますが、七社のうちの二十一の製品、七社二十一製品すべての在庫製品、このサンプルについて調査をいたしますと、遺憾ながら先生御指摘のようにハイキープの一部に六価クロムの含有が認められた、かような形でございます。それでこれは、フレーク状のハイキープの中からそういうものが出ておるわけでございまして、恐らく工場の加工過程において何かの誤りがあったのじゃないかというふうに考えております。 それで、しからばそういうふうな材料はどれくらい使ったかということでございますが、ハイキープは四十九年度は約千五百トンの購入をいたしております。そのうちフレーク状のものは約七百二十トンでございます。したがいまして、四十九年度で公団全部といたしますと約八千四百トンの材料を使っておりますが、そのうちの七百二十トンというのが御指摘のようなものが入っておったということでございまして、この点前回の答弁が事実と相違をいたしておりまして、大変私は遺憾に思いまして、ここに訂正をいたしたいと思います。 なお、五十年度につきましては、やはり製品購入に対して当然分析をいたしまして、そういうものから製品を、銘柄を決めております。なお、現場におきましても、一カ月に一度は必ず抽出のチェックをいたしまして、その有無を調べているというのが現状でございます。 あわせて御報告いたして御了承を得たい、かように思います。
○中島委員 終わります。
○井原委員長代理 これにて中島君の質疑は終了いたしました。 午後二時十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時八分休憩 ————◇————— 午後二時三十七分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、分科会に関してお諮りいたします。 理事会の協議によりまして、昭和五十一年度総予算審議のため、五個の分科会に分かつこととし、分科会の区分は、第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(ただし経済企画庁及び国土庁を除く)及び法務省所管並びに他の分科会の所管以外の事項。第二分科会は、外務省、大蔵省及び文部省所管。第三分科会は、厚生省、労働省及び自治省所管。第四分科会は、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管。第五分科会は、国土庁、運輸省、郵政省及び建設省所管。 以上のとおりにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 次に、お諮りいたします。 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 分科会におきまして、財政投融資計画の審査のため、公団、事業団等から参考人として意見を聴取する必要が生じた場合の取り扱いについては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————◇—————
○荒舩委員長 質疑を続行いたします。村山喜一君。
○村山(喜)委員 私は、きょう、第六十八回電調審にかけられるであろう鹿児島県の川内原発の問題について、これを中心に置きながら政府の所信を確認をしてまいりたいと考えております。 そこで、まず第一に、第六十八回電調審はいつ開かれる予定になっておりますか。その内容は、五十年度の電源開発基本計画に組み入れられる内容について論議をされるわけでありますが、その内容はどのようなものであるのか。なお、その電源の中に原発は何カ所予定をしておられるのか。経済企画庁長官からまず承りたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 本年度の電調審は昨年開きましたが、なお追加を要するものがありますので、そのために今月中にこれを開催したいと考えております。それに付議する案件は、水力二地点、火力三地点、原子力一地点であります。
○村山(喜)委員 そこで、原発を電調審にかける前提条件というのはどういうふうになっておりますか。
○福田(赳)国務大臣 第一に、電力の需給上の観点から必要であること、第二は、各種計画及び各種権益等について関係省庁との調整が調っていること、第三、地元知事から地元情勢をも勘案した上での同意を得たものである、との三点を前提といたすものであります。
○村山(喜)委員 そこで、電調審にかける前には関係省庁の事務的な協議が行われて、その中で支障がないという条件を整備をした上で電調審にかける段取りになるというふうに聞いておりますが、この際、関係省庁はそれぞれ支障のない旨を事務局の方に申し出ているのかどうか。この点について、まず明確にしてもらいたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 関係各省との調整は全部終了いたしております。
○村山(喜)委員 そこでお尋ねをいたします。 まず、具体的な川内原発の地点との関係において、保安林解除の問題についてはどうなっておりますか。林野庁から承ります。 〔委員長退席、井原委員長代理着席〕
○松形政府委員 お答え申し上げます。 本件の地帯は飛砂防備のための保安林になっておるわけでございますが、現在の時点では解除の申請は出されておりません。
○村山(喜)委員 この保安林解除については、原子炉が設置をされます地域の住民には図らないで、その地域の公民館の連絡協議会が、それについては支障がないという旨の申し立てをして、その保安林解除の申請を出すようになっているというふうに承っておりますが、その内容については林野庁は知っておりますか。
○松形政府委員 お答え申し上げます。まだ、承知いたしておりません。
○村山(喜)委員 この問題については、近く住民から訴訟の準備を進めているようでございまして、裁判に持ち込むのじゃなかろうかというふうに見られるわけでございます。きわめて問題が大きい点でございますから、各省庁の協議が調ったという先ほどの説明の中で問題点を指摘をしておきたいと思います。 第二点といたしまして、里道と水路の廃止の問題についてはどういうふうになっておりますか。これは建設省でございますから、建設省の方ですでに処理が行われておれば、大蔵省の普通財産ということで編入をされておりますから、建設省なり、あるいは大蔵省の担当の方から説明願います。
○吉岡(孝)政府委員 お答えします。 本原子力発電所予定地の中にあります里道、水路等につきましては、すでに建設省において用途廃止されまして大蔵省の方に引き継がれております。それで、これにつきましては、九州電力株式会社の方から南九州財務局の方に対して、売り払いの申請が出ております。それで、大蔵省としましては、近く電源開発調整審議会の方で答申が出る予定と聞いておりますので、その結果を待って、さらに国有財産地方審議会の議を経た上で処理する予定にしております。
○村山(喜)委員 そこで、私は、この問題がどのような経過で知事が専決をして、そうして用途廃止の手続をしたのかということを調べてみましたが、水路にして一万一千九百六十九・二九平米、これは四十八年八月四日に知事の専決で処理がされているようでございます。里道につきましては、八千二百一・〇一平米が四十八年二月七日に用途廃止の手続が専決事項でなされて、それぞれ引き継ぎを行い、行政財産を普通財産として理財局の方に出されているわけでございます。 そこで、これについては、里道の廃止等については利害関係者の意見がどのようにして考慮されたのか、そういう利害関係者の意見というものを聴取したのかどうかということについては不明確であります。これもそのころ、住民代表と称する公民館連合会長の申し出によりましてそのような措置がされたというふうにわれわれは受け取っているのでございますが、これも訴訟の準備にいま入っているわけでございます。そういう点からこの問題については、電調審の答申がなされた段階で九州電力が払い下げ申請を大蔵省にするでありましょうが、いま手続関係においてそのような瑕瑾があるということにおいて問題として住民がとらえている、このことを銘記をしておいていただきたいと思います。 そこで、水利権の問題でございますが、水利の問題については、九州電力はミヤマ池から取水をするということになっておりますが、これは一号機の取水にとってはその水量だけで足りるという計算がなされているようであります。しかしながら、すでに九州電力は、二号機の設置予定地まで漁民に対する補償を行っているように聞いているのでございますが、そうなった場合に、二号機の問題に関連をいたしまして、水が足らない場合には二キロほど離れたところの轟川の水を使う、こういう計画であるというふうに住民は騒いでおります。とするならば、その問題については農業水利の問題との関係がありまして、農民の反対でめどが立っていないという状態でございますが、水利権の問題についてはどういうふうになっておりますか。
○岡安政府委員 私どもが県から伺っておりますのは、先生お話しのとおり、冷却水は海水でございますけれども、淡水につきましては発電所の敷地の中のミヤマ池の水を利用するというふうに聞いているわけでございます。現在のところ、御指摘の轟川からの取水ということは聞いておりません。もちろん、それ以外につきましては水利権がございますので、そういうことになれば調整が必要かと思いますが、現状は影響はないというふうに聞いております。
○村山(喜)委員 もう一つ事務的な問題で詰めておきますが、温排水の生態系への影響の問題でございますが、ここに調査書がございます。この調査書によりますと、県の方に委託調査をされましたものについては、県から鹿児島大学の方に調査を依頼いたしまして、その調査結果によりますると、短期的な調査ではだめだ、継続調査の必要があるという結論が出ております。ところが、県は問題がないという立場に立ちまして出しているようでございますが、これをエネルギー庁の方では、環境審査の報告書というのを出されているようでございますが、この報告書というのはどのようにしてつくられたものか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
○井上(力)政府委員 お尋ねの点につきましては、九州電力株式会社から環境に関する調査の報告を提出させまして、これに基づきまして当庁におきまして審査をいたし、さらに環境審査顧問会という顧問会を持っておりまして、この中に温排水関係あるいは大気汚染問題あるいは植生問題等につきましての専門家の先生方を委嘱しているわけでございますが、この先生方の意見を聞きまして、お尋ねの温排水問題につきましても検討をいたしておる次第でございます。その結果、漁業の実態あるいは温排水の状況等につきましての報告がつくられまして、その中におきまして、調査及び審査の範囲においては支障がないというふうになっておる次第でございます。
○村山(喜)委員 環境庁長官にお尋ねをいたします。 五十年の十二月に中公審の温排水の部会が開かれまして、その中間報告書が出ておりますね。この中間報告書には、今後継続的に調査をしなければならない事項が掲げられております。なお、それに関連をいたしまして、水質汚濁防止法の三条に基づきます総理府令はまだ設置をされていない、いわゆる基準が明確になされていない。そういうような状況にある中で、環境庁としてはこれからやはり基準をつくり、そういう総理府令を出さなければならないという段階にあるやに聞いておるわけでございますが、それは事実と違いますか。
○小沢国務大臣 おっしゃるように、原子力発電に伴う温排水問題に関しては、全体的に環境保全、水域、水生生物、すべての影響をまだはっきりとつかむだけの結論が出てないわけでございます。審議会で非常にいろいろな調査をまだ積み上げていかなければいかぬので、したがって、中間的には、個々の計画についてやはりよく調べた上で支障ないかどうかを決定する以外にはないだろう。それで今後私ども、さらにこの専門部会でずっと継続して、この問題の究明だけはきちんとできるようにしておきたいと考えておるわけでございます。
○村山(喜)委員 いま長官からお話がありましたように、温排水の問題については中公審のその部会においても結論が出ていない、水質汚濁防止法に定める総理府令についてもまだ基準値を設定することができない、こういう段階の状況の中にありまして、資源エネルギー庁としては、環境審査の報告書ではこれでよろしい、こういうような見解が述べられておるわけですが、そういうような状態。調査及び審査の範囲内においては支障が認められないとこちらの方では報告がある。ところが、国全体の基準値についてはまだこれから決めなければならない。こういうような、同じ政府の行政機関の中において意見が違うということについては、私はきわめて遺憾に思います。このことは、時間の関係で、さらに具体的な問題については科学技術の特別委員会等で追及をしてまいりますので、この点にとどめておきますが、はっきりこの点だけは明確に指摘をしておきたいと思います。 そこで次にお尋ねをいたしておきたいのは、原発建設と自治権との関係でございます。この問題について、自治大臣にお尋ねをいたします。 私の手元に一人の市会議員から文書が届いてまいりまして、このことについて自治省の見解を尋ねてもらいたいという要請が参っておりますが、それは川内の原子力発電所が適地として選定をされましたのは三十九年でございます。それから誘致の運動が始まったり、あるいはその間に原子炉の故障の問題等が出てまいったりいたす中からいろいろな問題が出てまいりましたが、その中で、市の当局においては企画室を設けまして、そこで原子力発電の誘致の問題やら、あるいは周辺整備の問題、あるいは土地の買収の問題等に伴ういろいろな事務的な処理をしてまいりました。なお、一般財源の中から数千万円の金を投入いたしましていままでいろいろな事務をやってきております。なお、市議会にありましても特別委員会なるものを設けまして、二十数回にわたりまして調査を行ってまいっております。そういう中で、一体地方自治権の及ぶ範囲というのはどこまでだろうか。この問題について特に、後ほど申し上げますが、川内原発の場合には地質の問題においてきわめて問題があります。そういうような点から、九電側にボーリングをしたその結果の地質の柱状断面図であるとか、あるいは地質上のその特徴点等についての資料をもらいたいというようなことや、あるいは市の方から市長名をもって電力会社の方に資料要請等をいたしてきたのでございますが、十分な資料が得られないままに、市議会においては多数をもってこれの誘致をするということが決定を見ている状況にあります。そこで、市議会といたしましては、この問題について自治法の百条に基づいて調査権を発動いたしまして、関係者に出席を願い、そして必要な資料の提出を求め、証人として喚問をしたい、こういうような考え方を持っているわけでございますが、一体それについて、そういうような百条の発動ができるというふうに考えておいでになるのか。それとも、それは内容的に区分をして考えなければならない問題があるんだ、だから原発そのものは国の固有の事務であるけれども、その周辺業務については、住民の生命安全を守る上から、あるいは環境の整備を図るという意味から当然地方自治体の固有の権限であるから、これについては差し支えないという解釈をお持ちなのか。その点について、まず自治大臣の見解をお尋ねをしたいのであります。
○林(忠)政府委員 お答えいたします。 地方自治法におきまして、地方議会は当該地方団体の事務について百条の調査権を発動できるということが規定されております。一方、原子力行政はそのほとんどの内容が国の行政というふうに位置づけられておりますが、いま先生御指摘のように、そこに原子力発電所ができることによって住民の健康とか安全とかそういう問題についてはこれは地方団体の事務という形で、その限度において百条の調査権を発動し、調査をすることはできます。ただし、法令上国の事務とされております範囲が非常に広うございますので、それが具体的に及ぶ範囲というのは個々の事案について検討をすべきでございますけれども、一般的には相当限定されたものしか考えられない。これが法令上の解釈でございます。
○村山(喜)委員 自治法の第二条の第二項の事務についてここに行政実例も出されているようでございまして、いま行政局長がお話しになりましたように、設置に係る事務は国の固有事務であるが、その周辺の事務についてはその調査権の発動は可能であるということをお聞きをいたしましたところ、行政実例の中にも「現に議題になっている事項、若しくは将来議題に上るべき基礎事項又は世論の焦点となっている事件」、こういうようなものについては固有の事務についての調査権限はあるんだということが行政実例で示されておりますので、それに基づいて発言をされたものだと考えます。 そこで私は、この際自治大臣に所見をお伺いをしておきたいと考えるのでございますが、昨年の十二月二十九日に原子力行政懇談会の方から「原子力行政体制の改革、強化に関する意見」という中間の取りまとめがございますが、福田自治大臣はこれをごらんになりましたか。——これを見てみますと、自治権の問題はこれから論議をするんだ、こういうことになっておるわけです。そこで自治大臣、きわめて今後原子力発電の問題というのは地方自治権とのかかわりの中において重要な問題がありますので、私はこのことを銘記をしていただいて、善処を要請をしておきたいと思うのでございます。 たとえば、この川内原発の問題にいたしましてもいろいろな経緯がございますが、県においてもあるいは当該市においても、安全性の問題をやはり一番関心を持っておるわけでございます。そうなってくると、原子炉の設置の問題以前の問題といいますか、その地質の問題は果たして十分であろうか、あるいは地震が発生をした経緯等もあるが、このことについてはどうなのだろうか、あるいはそのほかの漁業権の問題やあるいは水利権の問題等もございますが、電調審の審議の場合にも、知事の意見を聞いて電調審は——先ほど三つの条件をお話しになりました。その中で知事の意見を聞いて決めるのだというのが一つあるようでございます。とするならば、知事は当該県議会の意見を聞くということになりましょうし、あるいは市町村の意見を聞くということになります。また、県議会は当該設置予定の市町村の議会の意見というものを聞いていくということに、民主的な手続をとる以上はならざるを得ない。そのときに十分な資料をもらっていない、そして具体的なデータに基づかないで論議をして、そして多数決でこれを決めていく、そういう見せかけの民主主義の上に電調審が開かれていくという過程が私はあると思うのです。それぞれ特別委員会等を開いて、関係者に出頭を求めて詳しく資料の提出を求め、意見を聞こうと思っても、それは国の事務でございますからできません、こういうように断られる。そしてまた電力会社がそれを出そうというふうに考えましても、今度は通産省の出先機関の方にお伺いを立てなければ、おまえは勝手なことをしやがってということで、後でえらい目に遭う。四国の伊方の原子力発電所をめぐる社長が通産省に呼ばれて怒られた事件等はわれわれは記憶に新しいところでございます。そうなると、電力会社もこれは法制上はそういう地方公共団体に資料を渡す必要はない、義務づけられていないのだから出す必要はないということになってくる。おまけに監督官庁からは余分なものを出したといって怒られる。こういうような形の中で、住民が参加しない政治の形態の中から知事の意見というものが生まれていく。そしてそこに電調審の審議が行われて、発車オーライということになっていく。 このような状態であるならば、原発をこれからつくっていくところにおいては、もう住民の意思というものがほとんど見せかけの民主主義の住民自治しかないわけでございますから、何らかのそれに参加していくという形はとられていない。そこが私は、原子力発電所の設置をめぐる大きなトラブルがある原因になっているのではなかろうか。こういうふうに考えているのですが、これから原子力行政懇談会の中で「原子力行政体制の改革、強化に関する意見」をまとめられるそうでありますけれども、自治大臣としては、いまのような状態の中で繰り返されている原子力の問題をめぐる争いの中で、地方自治団体のその意思反映というものがいまのような姿で十分であるというようにお考えになっているとは思わないのであります。とするならば、何らかここに地方行政との上において、原子力行政の進め方の中においてどうあるべきかという問題について私は検討されてしかるべきではなかろうかと思っておるのですが、福田自治大臣はそれについてはどういうお考えであるのか。御意見がありましたらお伺いしたい。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘になりましたこの原子力発電の問題について、これを設置することの可否の問題をどのようにして住民参加のもとに決めていったらいいかということは、私は一つのやはり課題であると思うのであります。そういう意味合いでは、いま御指摘のように、今度原子力行政懇談会というものでこの「原子力行政体制の改革、強化に関する意見」に地方行政に関する意見が出ておるが、これについてどういうふうな考えかというような問題も含めての御質問であると考えておるのでありますが、この問題は、御案内のように地方行政との関係では労働行政もあれば環境行政もあれば、あるいは大学との関係とか、あるいは電力会社との関係とか、いろいろの問題がございますので、これらの問題をやはり慎重に検討いたしまして、そしてわれわれとしては行政懇談会の推移というものも考えつつ、しかも住民の意見がどう反映されるかということについてもできるだけ考慮をしつつ問題に対処してまいりたい、かように私は考えております。
○村山(喜)委員 そこで、次に電調審の問題についてお考えをお伺いしたいのですが、現在電源開発促進法に基づきます電調審の委員は、内閣総理大臣を座長にいたしまして、大蔵大臣、農林大臣、通産大臣、建設大臣、自治大臣、経済企画庁長官、環境庁長官、国土庁長官となっております。残念ながら佐々木科学技術庁長官はこのメンバーから外れているわけでございます。なぜ外れているのかということを調べてみれば、この法律が制定をされました当時は、水力発電が主力でありました。それから石炭に移り、そうしてまた石油の時代を経まして、いまこれから新しい電源としては、三分の二のものについては原子力発電の時代を迎えようという時代であります。そのときに科学技術庁長官は電調審の委員の一人にさえも据えられていない。そういうような状態の中で、三分の二は原子力発電所でやっていこうというような、そういう電源開発体系というものが果たして妥当であるのかどうか。この点については、私はこれが議員立法であるがゆえに政府みずからがサボタージュしてきたのではなかろうかという気もするのでございますが、そういうような点から見まして、担当大臣である経済企画庁長官はどういうふうにお考えになっておいでになりますか。
○福田(赳)国務大臣 御指摘のように電源開発促進法は、水主火従というか、そういう時代の産物でございます。その後、さらに原子力発電というものが重要性を帯びてきた。そういう客観情勢の推移の中で、これはやはり法の再検討というか、そういう問題はあると思うのです。しかし、再検討を待つまでもなく、これが運用に当たりましては、時代の流れ、そういうものに即応しながらやってきておりますが、電調審の委員、それに科学技術庁長官を加えるかどうか、この点になりますと、科学技術庁長官は同時に原子力委員長を兼ねているわけです。原子力委員会は、申し上げるまでもないけれども、原子力の安全という問題に取り組むいわば中立的行政機構である、こういう性格のものです。そうしますと、各省とやや中立的な立場にある原子力委員長たる科学技術庁長官がこの委員会の構成メンバーになるということにつきましては、若干問題があるんじゃないか。しかし、電調審で基本計画、その中の年次計画が決まりますれば、これがいよいよ実施段階に入る。その際におきましては、原子炉規制法というような法律もあります、それでいよいよこれを現実に実現するか、そういうことになりました場合におきましては、どうしても原子力委員会なんかにも十分な御協力を得なければならぬ、こういう段階に移るわけでありますが、基本計画、特にその年次計画を決める段階において、原子力委員長たる科学技術庁長官が参加するということはいかがであろうか。こういう配慮で、いろいろ議論はあるのです、議論はありますけれども、まあ現状のまま、原子力委員長たる科学技術庁長官は参加されない方がむしろ妥当ではあるまいか、そういうふうな見解でございます。
○村山(喜)委員 この問題は行政機構の問題に関係がある問題でございますから、私はそういうような中立的な性格を仮に持っておったとしても、政府の閣僚であります国務大臣であることにおいては、科学技術庁長官は変わりはないわけです。国の電源開発というものを推進していく上において、三分の二は原発でやるというときに、その原発の安全性の問題に関係があります大臣が電調審の委員にもなっていないというようなことでは、政府としての責任をどのようにして負うのかという上において問題があることを指摘しておきます。 次に問題は、九州電力の川内原発をめぐる問題は原子炉の一般的な安全性の問題に関連をすることはもとよりでございますが、それ以前に問題がありますのは、柏崎と同じように地質の問題があるということが、住民からもあるいはまたわれわれ社会党の国会議員団の調査をいたしました調査実績の中からも、そのことが十分に指摘がされるわけでございます。私たちも十七メートルの地下の原子炉予定地まで入ってまいりましたので、その経験の上から問題を提起をするわけでございますが、まずここに地質図がございます。これは通産省の工業技術院の地質調査所がつくられた地質図でございます。これは後で通産大臣に見てもらいたいと思うのですが、西方図幅と羽島図幅というのがございまして、これの接点のところが明記をされておりますが、この地質図によりますると、内容的に明確に出てくるものは、川内の右岸の月屋山というところは古生層になっておる。地図の上で色が違っておりますが、原発の予定地の久美崎の地区は、地質図の上においても四万十層の中生層に属する、約二億年の年代の差があることが地図の上でも明記されております。委員長の許しを得まして、ちょっと……。 〔村山(喜)委員、地図を示す〕 これは五万分の一の地図でございますが、その後、これは鹿児島県の地質図ができておるわけでございます。これは二十万分の一の地質図でございますが、この地質図によりますと、これが古生層と中生層というふうに、地質調査所の国の方の地図では区分がしてあるのに、こちらの方では、その地図の図面の色分けを見てみますと、いずれも古生層になっているわけでございます。その年代が二億年違う古生層と中生層がこの地図においては色が同じになっている。 そこで、こういう地図がいつできたのか、だれがつくったのかということを調べてみますと、これは地質調査所の大田良平技官が自分で調査をしてつくられたものでございます。そのことが地図の上に、ここに責任者の調査者はだれかということが明記されている。ところが、こちらの方の地図は、通産省の委託を受けまして、鹿児島県が鹿児島大学の地質の先生たちを中心にしてつくられたものであります。ところが、その一緒につくった中に、大田良平技官が名前を連ねておいでになるわけであります。だからいつできたのか——この地図はいま使われている地図でありますが、いつつくったという明記がございません。まあ出所不明の内容になっておるわけでございますが、そういう地質図をつくりかえてまでやらなければならないのは、一体どこに原因があるんだろうかという問題からいろいろずっと調べてみますと、新聞の情報をずっと手繰ってみますと、適地として調査をしていく中から、各新聞記事がございます。 四十三年五月十一日に出されました新聞記事によりますと、原子炉を置くのには地質の上から不安である。五月二十一日の記事によりますと、調査を進める必要がある、そこで値賀崎の九州電力としては、いまの佐賀の玄海発電所の方に決定を見た。そこで六月四日になりますと、川内は一年間なお調査の要あり。こういうことになってまいりまして、ところがその四十三年から、九電は土地の買収にかかっておるわけでございます。 で、だんだんそういうふうになってくると、四十四年の五月になりますと、東京中央電力研究所の報告が出されておりまして、これでは大体安全だというふうに変わってきております。六月二十九日には、断層があることが指摘をされております。七月二十六日には、東京中央電力研究所は、一号炉のところはよろしい、しかし二号炉のところはなお調査をする必要がある。四十五年の四月になりますと、地質調査では問題がない。一番初めは危ないと言っておったものが、だんだんよくなって、そして二年間ぐらいたちますと問題はないということになってまいります。地質がそんなに一年のうちによくなったり悪くなったりするようなことはないわけでございますが、これはそういう調査に基づいて建設が行われるようになってまいるわけでございますが、このようないわゆる新聞の報道にもそういうことが掲げられております。 そこで私は、現地を見ました者の一人として、断層でずたずたになっておるし、節理でぼろぼろになっております地層を見てまいりました。そしてまた、原子炉の炉心部の予定地といわれるところについても、これは礫岩であると言われておりますが、中に入りましてそのかたまりを持って帰りまして、それを鹿児島大学の地質学の先生に調べてもらったら、それは礫岩ではなさそうだ、これは砂岩の疑いがある、こういう結果も出ておるわけであります。和光大学の生越先生にもいろいろ検討を願っておりますが、地質学の上から見てきわめて問題があることは指摘をされておるわけでございます。 それと同時に、私はこの際もう一つの問題点を指摘をしないわけにはまいりません。それは、気象庁の地震課長もお見えになっていると思いますので説明を願いたいのでございますが、明治二十七年一月四日、それから明治二十六年九月七日、マグニチュード六程度の地震が発生をしていることが出ております。それは「日本被害地震総覧」の東大出版会の資料に出ておるわけでございますが、東経百三十・五度、北緯三十一・四度ですから、この薩摩半島の海岸のところからこの上の方にかけまして、原子力発電所の前にかかる海の上にそういう地震が発生をした、このことが記録の中に出ておりますが、そのことの事実について気象庁の説明を求めます。
○末広説明員 御説明申し上げます。 御指摘の明治二十六年、二十七年の二回にわたり、九州南部でおっしゃったような地震が発生していることは事実でございます。ただ、百三十・五度あるいは北緯三十一・四度という震央を示す数字につきましては、何分八十年前の技術でございましたので、どの程度の信頼度があるかは若干の疑問なしといたしません。 なお、この二つの地震によって局部的な被害が発生しておりますが、それは薩摩半島南部の知覧村付近でございます。 以上でございます。
○村山(喜)委員 そこで私は、この問題については、地震というのはつまり断層だ、断層があるところに地震が発生をするというのは、これも東大の出版会の浅田先生が書かれた本でございますが、大地震の発生はイコール断層の生成の中から生まれるということが断言をされて、今日地震学の上ではそういうふうになっていることが指摘をされている。いまここには海峡のところのどこを仏像線が走っておるのであろうかということで、いろいろな説がありますが、生越先生あたりの説では、甑島と川内との間の海のところを走っているのではないだろうか。仏像線としてそういうようなものが予見をされるというお話もされているわけでございます。また、川内川が片一方は古生層であり、片一方は中生層である。とするならば、ここに大きな断層が走っていることは間違いない、こういうふうに見られております。そのほかのもう一つの断層も大きな断層がございます。 こういうような状態の中で、現地も見てみましたが、礫岩あり、あるいは砂岩あり、あるいは粘板岩ありというような状態で、風化現象も相当進んでおります。そこでは昔、金を掘った個所も近くにございまして、昔の住民はそのことを知っておりますから、そして今度の工事にかかった人たちも、そこは機械で掘れないで手掘りをした所だということも証言者が出ております。あるいはボーリングをしたコアについても、これは問題があるということで差しかえをしたという、そういう証人もおります。こういうようなことをいろいろと検討してまいりますると、いま九電側の方に要請をいたしまして、その柱状断面図についての資料も提供願いましていろいろと検討をしたいと考えておるわけでございますが、いずれにしても地質の上において非常に問題がある地域であるということは、これは明らかになってまいりつつあります。そこで、私は、この際、この前のこの原子力行政懇の結論の中に出ておりまするように、ダブルチェックをすることが何よりも必要であるという指摘がされておりました。いままであの原子力船「むつ」が漂流をしていった、その中に、実施官庁としての行政の責任の主体がないがためにあのような間隙が生じたんだという指摘もあります。したがって、安全を確認をするためには、実施官庁と科学技術庁がいずれもチェックをしていくという慎重な体制を整えることが必要だというのが指摘をされているわけでございますが、その点から見まして、私はこの原子炉の安全審査の仕組みの中で、自然的な条件については地形とか地質、あるいは海象、地震、気象、こういうようなものについては、安全審査の段階でもおやりをいただくと同時に、この電調審にかける前にもそういうような十分な安全審査をやるということが必要ではなかろうか。私は、そのことなくしては、住民が安心して原子力発電所の問題について政府が言うことを信用する結果にはならないと思うのであります。そういう手だてなくして、そのような問題が多数をもって決定をする、あるいは閣議において、電調審において決定をするという運びに持っていくことは、今後の原子力発電のあり方の上から見まして賢明な政策でもないし、また具体的な問題を解決する方法でもないと考えるのでございますが、それらの安全審査のあり方のダブルチェックの問題について、科学技術庁長官はどういうふうにお考えになるか、見解をお尋ねをしておきます。
○佐々木国務大臣 電調審で基本計画が決まりまして、それに基づきまして、いまの九州の例で言いますと、九州電力が私の方に原子炉の設置許可というものを出してまいります。その設置許可をする際には、何と言っても安全の問題が一番中心でございまして、安全の審査をするのには、原子炉そのものの工学的な安全性ばかりではなしに、同時に建設許可もやるわけでございますから、そのサイトにおける炉の建設が安全がどうかという点は非常に詳細に検討いたします。したがいまして、この地点がどうだという漠然たる話ではなくて、具体的に詳細にあらゆる点を吟味してその上で建設許可を出すわけでございますから、いまの仕組みで私は審査のやり方はいいんじゃなかろうかと思いますけれども、ただお話しのございました基本設計と詳細設計とかあるいは工事監督とかいったような問題が従来のようなやり方のままでよろしいかといいますと、これは有沢委員会の行政懇談会の答申で出ましたように、発電あるいは船舶等は、実用化の段階に入ったものはそれぞれの実施機関で、監督機関で一貫的に審査、検査をし、それをおっしゃるように原子力委員会あるいはそれが分かれました原子力安全委員会がダブルチェックしていく、さらにその安全性を確認する、こういう行き方をとる方がより問題を明確にする意味でよろしいんじゃないかという結論になっておりまして、私も賛成でございます。去年の暮れそういう答申が出ましたので、ただいませっかく各省の連絡会議を内閣につくりまして具体化を急いでいる最中でございます。
○村山(喜)委員 時間がありませんので……。 私は、この原子力発電の具体的な推進の官庁であります通産省、ここから環境審査報告書というものをいただいたのです。これはもちろん一般的な環境の調査報告でございまして、地質の報告というのはないわけですね。この中にございません。その問題は挙げて、いまのたてまえでいくならば安全審査の段階でチェックするんだということになっております。しかし、このようにもう電調審にかける前から住民の中でその地質の問題にについて非常に問題があるという声が高いのに、それは、電調審で発車オーケーの許可を出してからいよいよ安全審査にかかるときにその問題についてはやればいいというようなやり方では、行政の怠慢ではないか、行政が実情に即応していないじゃないか、私はそういうふうに言わざるを得ないのであります。 そこで、福田長官にお尋ねをいたしますが、一体、いまのような原子力の開発体制、これは電調審にかけたらほとんど異議なく満場一致で決まってしまう。決まれば直ちに九州電力は、電調審を通りましたからということで付帯工事にかかるでしょう。港の建設を始め、道路をやるでしょう。そして原子炉そのものには触れないけれども、その周りの整備は当然やっていくというかっこうにならざるを得ないでしょう。そういうような状態でつくり上げて積み上げていって、そして原子炉の安全審査を通った、地質の問題も多少問題があるけれども、工学的な処方で何とかそれはカバーできる、したがって、つくっていけばいいというような、過去にとられた推進の方法では、私は今日の時代に即応する行政ではないと思うのですが、この問題について行政懇の答申も出た段階でもあり、政府としても原子力発電をこれから大いにやっていこうという状況を迎えているときに、もう一回行政的にあなた方の方でこの問題については検討をする必要があるんじゃないか。いわゆるダブルチェックという意味は、その実施官庁とそれからさらにそれを監督をする官庁と二カ点においてそれぞれチェックをしていくということでなければ問題が解決をしないと思うのです。 私はそういうような意味において、福田長官が主務大臣でございますだけに、この点については副総理としての福田経済企画庁長官の御所見を最後にお伺いをいたしまして、一体、どうして住民を納得をさせるつもりでおられるのか。この点についての御所見を伺って質問を終わりたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 問題の川内の原子力発電につきましては、多年にわたりまして地元との調整、これは政府としても努力をいたしてきておるわけです。ようやく知事からも——意見はついております。若干の意見はついておりまするけれども、同意をするという見解も正式に表明をされておるわけであります。その間、いま御指摘のように地質の問題とかなんとかいろいろ話がありましたが、とにかく政府におきましても一応の連絡会議の結論といたしまして、電力開発地点としてこれを決定することは支障なかろうというような動きになってきておるわけです。正式には電調審の幹事会、また電調審が開かれまして、その場で決めますけれども、いままでの政府関係官庁間の連絡会議におきましてはそういう動きになってきておる。しかし、地元の方々に御迷惑を及ぼすというようなことがあっては相ならぬわけでありますので、電調審で決められましても、起業許可というようなことではないのであります。起業許可を与えるに先立ちましては電気事業法があります。あるいは原子炉等規制法もあります。そういう法に照らしまして、これは慎重の上にも慎重を期してその許可を与えるというふうにいたしたいと存じます。 なお、全体の仕組みについてはどうかということでございますが、とにかくこの電源開発、これは環境が非常に変わってきておる。水主火従から火主水従、さらに今度は原子力を主軸とするというふうに変わってきておりますので、その環境の変化等に応じまして、環境、安全、そういうあらゆる角度から遺憾なきを期さなければならぬというふうに考えまして今後対処してまいりたい、さように考えます。
○村山(喜)委員 ちょっと一言。 私は、時間がございませんので、これでやめますが、やはりこの問題は現段階において電調審にかけるべきでない。それよりも、事前におけるアセスメントというものをもっと的確に行って、これならば電調審にかけても間違いないという条件を皆さん方の方で整備をされて、住民に納得をさせると同時に、われわれに納得をさせるような材料を提供願わなければ、電調審で通ったんだからということでどしどし仕事は進んでいくわけですから、そういうようななし崩しの行政を進めてもらいたくない。このことを一言申し上げ、かつまたエネルギーの濃縮ウランの核燃料の問題等は科学技術特別委員会でやらしていただきたいと思います。 以上で終わります。
○井原委員長代理 次に上坂昇君。
○上坂委員 いま村山委員から原発についてのいろいろな問題が出てまいりましたが、原発については、安全性ばかりではなくて、いろいろな問題が余りにも多過ぎると思うのです。特に、まだ原発が来るかどうかわからない、建設されるかどうかわからない時代に、非常に複雑ないろいろなごまかしが行われているということで、その問題について私は質問をしたいと思うのです。 東京電力の福島第二原発とそれから福島県広野町の広野火力発電所の建設に伴って、漁業補償がかつて行われました。これに関連する九つの漁協に対しまして補償金が出ました。その補償金をめぐって二つの問題が出ております。その一つは、請戸という漁協に支払われた五億七千三百四十四万円のうち、一千五百万円の使途不明金をめぐる問題があります。もう一点は、九つの漁協に支払われた補償金は最初三十五億円というふうに発表されておりましたが、実は三十六億三千万円でありまして、一億三千万円多く支払われたという事実が明らかになって、これが福島県議会でも取り上げられて、いまなお多くの疑惑を残しているのであります。こういう事実を科学技術庁としても知っているのかどうか。あるいはまた水産庁としてもこうした事実を知っているのかどうか。まずお聞きしたいのです。
○伊原政府委員 お答え申し上げます。 私どもは、そういうふうな事実を承知しておりません。
○上坂委員 これは知らないでは済まされないので、早急に現地の漁協なりあるいは県なりに照会をして、そして調査をすべきであるというふうに私は思いますが、やる気がありますか。
○伊原政府委員 この問題につきましては、関係省庁とも十分御連絡をいたしまして、どういうふうな処置をすべきかということを考えたいと思います。
○上坂委員 次に進みますが、いま建設中の原発ばかりではなくて、この黒い霧の状況の中で、今度は東北電力の原発に絡んで、地域住民の生活環境の破壊の問題が生じているのであります。 請戸漁協というところには中型船、北部、伝馬、北洋という船主会があります。この四つの船主会のうちの中型船主会というところから漁協の組合長あてに、営漁改善と船舶の装備等のための資金として三千八百万円ほどの調達の願い書が提出されたのであります。これに応ずるという形で同漁協が県信漁連から昭和五十年四月三十日付で二億円の営漁資金を借り受けたのです。この借り受け資金を原資としまして請戸漁協では同日から、船主二百万円、乗り子五十万円を営漁資金として組合員に貸し付けを行ったのです。ところが、その際、こういう書類を借り主から提出をさせたのです。「私は請戸漁業協同組合が東北電力株式会社・浪江小高地点原子力発電所の設置ならびに運営に伴う漁業補償交渉を行なうことに同意する」、こういう趣旨の同意書に、組合員の正、準の区別それから住所、氏名、捺印をさせて漁業協同組合あてに提出をさせて、そしてこの同意書を担保として二百万円の金を貸す。事実貸したのです。大体こんなことが実際できるのかどうかというところが非常に問題だろうというふうに私は思うのです。そして、問題なのは、この貸付金の契約書では年利一一%になっている。返済期限は一年となっていますが、組合の役員は、組合員に対して、原発の漁業補償金がやがて入ってくるのだから返さなくてもいい、しかも無利子だ、だから借りた方が得だろうということで勧誘をしているのです。借り入れた人からは印鑑も預かって処理してしまうわけですね。そして、さきの同意書と引きかえにもうすでに百三人、総額一億五千七百万円を貸し付けてしまったのです。請戸漁協の組合規約あるいは定款に基づく信用事業においては、借入限度額は二億五千万円となっております。これを総会の決議に基づく変更なしに県信漁連から二億円を借り入れて、貸付業務を行った。したがって、この組合の借入金は借入限度額をはるかに上回っておるわけであります。これは、水協法の第四十八条それからこの協同組合の定款第四十条の総会の決議事項に違反をしている。こういう違反をして貸している場合にはどういうふうになるのですか。どういう処置をとらなければならないのか、お聞きしたいのです。
○内村政府委員 お答え申し上げます。 現在の水協法によりますと、単位漁業協同組合の監督は県ということになっておりますので、私ども、県からいろいろ本件についての事情を聴取しております。 そこで、県が昨年の八月にこの漁協を監査したわけでございますが、御指摘のとおり、五十年四月三十日の通常総会におきまして、借入限度を二億五千万円と決議されておりながら、これを超える三億三千五百万円の借り入れがなされていることが明らかになったわけでございます。このことは、御指摘のとおり総会の議決違反でございまして、理事者として当然責任が追及されるべきことでございます。ただ、法律上の効果ということになりますと、この借入金の最高限度額というのは、放慢な借り入れによって組合の経営基礎が危うくなることを防ぐために、水協法上、総会の議決事項となっておりますので、このことが法律上無効と言えるかどうかには問題がもちろんあると思います。そこで、監査の結果、県がこの事実を組合に対して指摘いたしましたので、五十年十一月二十七日に行われた臨時総会でこの点が是正されていると県から聞いております。
○上坂委員 私は、ここにいろいろ資料を持っているのですが、その総会の資料によりますと、現実にこれは決議をされているような状態でないのですね。組合員が退場してしまったり、数が少なくなったりして、これはほとんど決議になっていないんです。それを役員の方で勝手に決議が行われたというかっこうで処理をしているということなんです。その点では現地を調べていただけばすぐわかると思うのです。要するに、総会の議決事項、それから議事録、そういうものが本当に完備していない。そして何人出席をしてどういうふうになったかということすらなかなか明らかにならない。そして決議の時点で何人の人が存在したかということも調べていない。そういう状態の中で行われている決議である。後で直したという形だけでありますが、直したことを承認をしていない組合員がたくさんおるわけであります。そういう点では非常に問題があって、これは再調査をしてもらわなければならないと思うのです。大体原発誘致については県もぐるになっているのでだめなんですよ。だから直接あなた方が行って調査をしなければだめなんです。県も県信漁連もみんなぐるになって誘致をしようとやっているのはもう明らかなんですから、そこのところを踏まえてひとつ調査をしてもらいたいというように思うのです。 それから、県信漁連が問題だと思うのです。単協に貸し付けをする場合には、私は当然当該組合の借入限度額を確かめるということが必要だろうと思うのです。そして、確かめてから貸し付けをすべきかどうかを決定すべきであると思うのです。ところが、これをやったのか、やっていないのか、あるいは知っていながら貸し付けを行ったのか、その辺が明確でない。私は、恐らく知っていながら貸し付けを行ったんじゃないかというふうに考えるわけでありますが、それにしても、県信漁連は正常な業務の運営をしていないというふうに考えるわけです。こういう点については、監督官庁として、水産庁の方で県信漁連等には監督をするんだろうというふうに思いますから、その辺のところをひとつ御意見をいただきたいと思います。
○内村政府委員 まず最初に、水産庁が単協を監査するかという点でございますけれども、法律上これは県が監査することになっております。 次に、県信連の貸し付けの話でございますが、確かに御指摘のとおり、昭和五十年の冬季における不漁のため営漁資金が必要になりまして、借入限度額を確認せずに貸しているようでございます。この点ははなはだ遺憾なことでございまして、私どもといたしましては県信連に厳重に注意するつもりでございます。
○上坂委員 それから同意書の問題なんですが、漁業法の二十三条あるいは三十条によって、漁業権は貸し付けの目的や質権にはならないというふうになっていると思うのです。この同意書を担保にしているということは、実質的には漁業権を放棄する決議並びに漁業補償金をもらえることを前提にして初めて成立するものだというように私は思うわけであります。ところが、組合では漁業権放棄の決議はしていないのです。交渉しろという同意書が実際に担保になっているという、こんな不届きな話はないと私は思うのですが、それで二百万円の金を百三人もの人に貸すというやり方をしているというのは、全く協同組合法の精神にも違反するし、本当のことを言えば、これは借りた人がその金をどこへ使っているかというと、全然使わないで、ただ借りて、後で返さなくてもいいんだからというので、郵便局に貯金している人がいる。全然何にも使っていない人がいるわけですよ。こんなばかなことをやっていたんでは大変だ。それから、同意書に判こを押さない人には貸してくれない。これじゃ、本当に組合員の利益を守る協同組合にはならないというふうに私は思うのです。こういうことは県が監督をすると言っても、県がこれを認めておるようなかっこうでぐるになっていたら監督できない。そういうところを一体どうするのかということが問題なんです。こういう点については、県を通じてあなた方の方から、これはおかしいと思うならば、きちんとやってもらわなければ困るのですが、まず、その同意書ですね、こういうものを担保にして貸し付けをすることが一体できるのかどうか。 それから、ここに同意書の文章がありますが、これを持っていって見てください。さっき同意書の話をしましたね、それですから。これをきちんと調べて、こういうふうなやり方の中で原発の誘致が促進をされるようなことであったんでは、これは大変なことになるので、やはり科学技術庁としてもあるいは水産庁としても、十分これは調査をして、県なり何なり指導すべきであるというように私は思うのです。その点の御意見をいただきたい。
○内村政府委員 福島県の検査の信頼度についての問題があるようでございますが、私どもが県庁から聞いているところでは、同意書を貸し付けの条件にしていることはないし、漁業権を担保にできないということはよく知っているので、そのような事実はないと言っております。そこで、県の説明によりますと、同意書を出していない人にも若干名貸しているというような報告を受けておりますが、なお十分調査してみようと思っております。
○上坂委員 これは後ではどんなことでもできるのですよ。問題になると、それをいわゆるくさいものにふたをしようというやり方が常套手段として出てきている。これはロッキードも何もみんな同じです。こういう小型の黒い霧が地方に出てきて、その上で原発が誘致をされることになれば、これは全く国民生活の環境破壊と言わざるを得ないというふうに私は思うのです。ですから、これは県の報告があるとかなんかでやったんではとてもだめなんで、真相ははっきりしないのです。そこで、いまの問題については水産庁みずからが、たとえば先ほど答弁にありました五十年の十一月二十七日の総会の決議というものが本当にあるのなら、それを取り寄せて調査をして、直接監督できなければやはり県を通じて指導する、監督させるというふうなやり方をしなければならない。同意書というのは私持っているのですよ。これに押したということは知っているわけですよ。ところが、その同意書は、担保にした方がそれをどこへ持っていっているのかわからない。あるいはいま焼却しちゃったかもしれない。だけれども、最初はこれでなければ貸せなかった。そういうのはみんなテープにとって残っているのですよ。だから、あなた方必要ならばそのテープを持ってきて聞かせたいと思うのですが、その点については早急にひとつ調べてもらいたい、いまの調査の結果は報告をしてもらいたいというふうに思います。
○内村政府委員 私どもは、十一月二十七日の総会の議決につきまして、組合員三十四名から、昭和五十年の十二月二十六日付をもって水協法第百二十五条の規定に基づく総会議決の取り消し請求が県に出されているということを承知しております。このことにつきまして県はまだ処理しておりません。したがいまして、県と十分相談して遺憾のないようにいたしたいと思っております。結果がわかれば御報告申し上げます。なるべく早く結論を出すように県を督促したいと思います。
○上坂委員 この点については早急にやって、できるだけ早い期間にひとつ報告をしてもらいたいというふうに思います。 それから、この問題でもう一つ考えなくちゃならないのは、昭和五十年の四月の三十日時点では、東北電力の原発誘致に反対する組合員は約半数あったのです。したがって、漁業権放棄の三分の二の決議ができないわけですね。そこで、このままでは原発誘致ができない。こういうことで、同意書による貸し付けをえさにして原発誘致反対派の切り崩しをやったというふうに見るしかないのです。こういう悪質な行為を許しておいたんでは、これは大変なことになる。そこで、これは十分監督をしてもらわなければならないけれども、これからも原発誘致の地域ではこういう問題が起こらないとは限らないわけですよ。そういうことについて一体どういうふうに指導をし、監督をしていくかということについて御意見をいただきたいのです。
○内村政府委員 漁業権の放棄、それに伴う補償をめぐりまして、ただいま先生から御指摘のあったような問題が起こっていることは私ども承知しております。 そこで、水産庁といたしましては、こういったことの処置について明朗にやるようにいろいろ指導はしております。なお重ねて指導いたしたいと思います。
○上坂委員 時間がありませんから先に進みますが、もう一つあるのです。 それは、この組合の定款の第八条によりますと、組合員の資格が決められています。その第一項の(一)に「この組合の地区内に住所を有し、かつ、一年を通じて九十日をこえて漁業を営みまたはこれに従事する漁民」を正組合員とする、こういうふうになっていますね。これは水協法のとおりであります。さらに同条の第二項の(一)から(四)にかけては準組合員という資格を設けているわけです。 そこで、最近問題になっているのは、原発誘致に疑問を持って、まだ営漁資金を借り入れていない正組合員のうち、特に北洋漁業に従事する組合員を理事会が一方的に資格を審査をして、そうして明らかにその区域内に住んでいる、住居がある、それから三カ月も四カ月も漁業に従事している、そういう組合員を十数名も準組合員に勝手に落としてしまっているのです。準組合員になりますと、御承知のように組合の決議に加わることができませんから、漁業権放棄のときはその人たちは決議に加わることができないから、あるいは三分の二以上の議決を持てるかもしれない、こういう状況ができている。こういうことをやるということは全く言語道断でありまして、これは組合員の漁業者の生活を破壊するものだというふうに言って差し支えないと思うのです。本来ならば、むしろ準組合員を正組合員に上げていって、そうしてその漁業家の生活を保障していく、これが本来の精神でなければならないと私は思うのですが、そういう点どうですか。
○内村政府委員 漁業協同組合の組合員資格につきましては、年に一回ぐらい審査をするように私どもも指導をしております。その審査の結果、組合員の要件を満たさなくなり、準組合員になる者があるケースはございますけれども、本件について、具体的な事実は私ども承知しておりません。しかし御指摘のようなことであればまことに遺憾なことでありまして、明らかに水協法違反でございます。
○上坂委員 この水協法違反であるというふうに明らかになった場合には、どういう形になるわけですか。
○内村政府委員 行政庁といたしましては、必要改善措置命令を出しまして、その準組合員になった人の資格を正組合員に戻すということになるわけでございます。
○上坂委員 もう一つ、組合員の資格審査決定事項というのがありまして、これは後でお見せしますから、こういうことを勝手に理事会なり何なりで決めてそうしてやることが一体許されるのかどうか、その点を検討していただきたいというふうに思います。時間がありませんから、これ全部読めないので困りますが、——いいですか、ちょっと読ましてもらいますからね。 一つは「昭和四十九年度の実績によって決定する。」ということ。それから二番目は「請戸漁業協同組合が管理する漁業内容に従事し、且つ、協同利用施設を利用する期間で定款で定める者。」、「サンマ終了時期から北洋出漁まで四ケ月の中で最高稼働船の三分の二以上自港船にて稼働したと認められる者を正組合員とする。」、あるいは「自船稼働の中で漁業で生計をたてている者であって、事故等で休船していても稼働と認められるという者は正組合員とする。」、こういうようなものですね。 こういうものを勝手に決めることが一体できるのかどうか。これは定款には、先ほど申し上げましたように漁協法に基づいてきちんと決めている。それにもかかわらずこういうものを勝手に理事会が決めて、そうして組合員の資格を奪っているというようなやり方は、やはり私はこれは非常に水協法の精神に違反をしている、もとるものである、こういうふうに考えますが、いかがですか。
○内村政府委員 組合員資格は住所と日数で決めることは先生御指摘のとおりでございますが、ただいまの点は、日数の判定基準でそういうことを決めている組合がございますので、よく調べてみたいと思います。
○上坂委員 以上で私の質問を終わりたいと思いますが、これは長官、いま言ったようなかっこうで、原発に絡んでは誘致以前からいろんなうわさが飛び、いろんな手段が講ぜられて、そしてそういうことによって日本の国民全体が何かもうおかしな空気の中で、人心がばらばらになるような状態が行われている。こういうことは非常に私は重大な問題だと思うのです。そういう点で、今後十分こうしたことを気をつけていかなければならない、それから十分監督をしていかなければならないと思うのですが、最後に大臣の所見を承って、質問を終わります。
○佐々木国務大臣 原子力発電に関連して、特に立地問題等でいろいろな問題があることはよく承知しております。こういう問題をどう解決していくか、大変むずかしい問題ではございますけれども、要は政府に対する技術的な信頼と申しますか、あるいは政府自体の国民への御理解を願う行き方とか、いろいろ今後さらに慎重に進めなければならない問題がたくさんございますけれども、慎重に進めてみたいと思います。
○上坂委員 質問を終わります。
○井原委員長代理 これにて村山君、上坂君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○井原委員長代理 この際、お諮りいたします。 本日、吉田君の質疑の際、最高裁判所当局から出席、発言の要求がありました場合には、これを了承するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井原委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○井原委員長代理 それでは、吉田法晴君。
○吉田委員 私は、社会党の中の部落解放推進特別委員会の中に設けました狭山裁判対策小委員会を代表して質問をいたしたいと思います。 問題は、御存じだと思いますけれども、狭山事件という、昭和三十八年五月一日、狭山市で起こった中田善枝さん殺し、これに関していま最高裁に上告がしてございますが、それに関連をする事実はなるべく避けて、法のたてまえをお伺いしたいところでございますが、 〔井原委員長代理退席、正示委員長代理着席〕 まずお尋ねをいたしたいのは、国家公安委員長、警察庁にお伺いをいたしますが、憲法、刑事訴訟法と、それから当時の国家公安委員長の発言と、いずれが警察にとっては大事なのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。(小林(進)委員「国家公安委員長が来ていないから、要求大臣が来ていないから、ちょっと待った。神聖な国会の審議を停滞してはいかぬけれども、だめですよ」と呼ぶ) それでは、もう一遍質問をし直します。 国家公安委員長、それから国家公安委員長が代表される国家公安委員といいますか警察庁にお尋ねいたしますが、憲法あるいは刑事訴訟法と国家公安委員長の発言なり意向というものは、いずれが警察にとって大事なのか、冒頭承りたいと存じます。——時間がないから答えてもらいたいが、憲法なり刑事訴訟法と国家公安委員長と、いずれが警察にとって大事かとお尋ねしている。
○福田(一)国務大臣 御質問の趣旨をもう少しわかるようにお願いいたします。
○吉田委員 具体的に言わないとおわかりにならぬかと思いますけれども、問題が訴訟事件なものですから、具体的なことはなるべく避けたいと思って、いまのようなお尋ねをしたわけです。問題は、事件が起こりました昭和三十八年、狭山事件が起こりましたら、当時の国家公安委員長は発言をして、「犯人は知能程度が低く土地の事情に詳しい者」「犯人は二十万円は大金だと考える程度の生活をしている」「こんな悪質な犯人は何としても生きたままつかまえてやらねばならない」「八日の参議院本会議でこの事件のことを聞かれるから、そのときまでにどうしても犯人をつかまえよ」と指令したと、その当時の新聞に報じてあります。このことが、その後の警察の態度あるいは捜査を動かしたと考えられますから、憲法、刑事訴訟法はもう一遍ここで引くまでもございません、憲法それから刑事訴訟法に基づいて警察の仕事はなされていると私は思いますが、それと矛盾する結果が出てまいりますから、憲法、刑事訴訟法と国家公安委員長の意向というものはどっちが上かと、原則に戻ってお尋ねをしているわけであります。
○福田(一)国務大臣 私は、やはり国家公安委員長も法のもとにおいて行動すべきものでありますから、憲法あるいは刑事訴訟法に相反するようなことは国家公安委員長としてはすべきでないと思います。
○吉田委員 当然の答弁だと思いますが、実際には、この問題については憲法、刑事訴訟法の規定どおりにいっておりません。そして、いま申し上げました篠田国家公安委員長の発言によってつくられました捜査本部は、その発言の中にあります、知能の低い者あるいは土地の事情に詳しい者あるいは二十万円は大金だと考える程度の生活をしている者、等の指示に従って、未解放部落に捜査を集中をし、そして、具体的に言いますと石田豚屋と、そこに出入している者二十数名について捜査を集中をいたしております。そして、これから問題にいたしますけれども、証拠をつくり、石川一雄君という犯人をつくり上げていっております。 現地に参りまして私どもが足で調べました結果によると、学校をひけた中田善枝さんが加佐志街道の四つ角で石川一雄君に追いつかれて、それから、ついてこいと言われて、黙って疎林についていった。四本松のところまでついていった。途中には、農道の疎林の手前でありますが、四本松の手前のところで、その両側では、横山、横田という人が働いている、畑で仕事をしている。本人はスポーツマンで体も丈夫ですが、足も丈夫。言われただけで素直についていったとは考えられませんが、不安を感じたら、そこに働いている人に呼びかけたか、あるいは健脚に任せて逃げることもできたと思いますが、逃げないで、ついていった。そして、その四本松のところで松の木に縛りつけたが、ほどいて、劣情を催して、そこで強姦をしたと書いてありますが、ということになっておりますが、起訴状がそう、あるいは第一審の判決、第二審の判決もそうなっております。ヒノキの下で脅迫状を訂正したと認定されている。その訂正をしたのが、ボールペンでしたのか、字の鑑定をいたしますと万年筆で訂正をしてある。そして、その万年筆の色も違うのです。中田善枝さんの持っておった万年筆を取り上げて、そこで書き直したということになっておりますが、インクが違います。善枝さんの持っておったあれはライトブルー、それからそこに書いてありますインクはブルーブラックです。そういう違いもございます。そのときは、その時間は四時を過ぎております。四時半に近いと思いますが、三十分ほどヒノキの下で座り込んでおります。考えたりあるいは脅迫状の訂正をしたと言いますが、雨が降ってくれば、密林ではございませんから、その脅迫状はぬれたはずであります、インクは散っておるはずでありますが、そういうことは全くございません。あと、時計の品ぶれの番号と、それから証拠として出ております時計とは番号が違う。スコップは丸いスコップと、証拠として出ております先の丸いものと、証拠に出された写真では先がとがっておる、このスコップ。あるいは、かばんの問題は後でお尋ねいたしますが、指紋も全くない。 いわば無理な想定を交えてそういう認定をするよりも、入間川駅から近いガードに、第一ガードに待っておる善枝さんを見た人がございます。その第一ガードの下で待っておるのを見たのは中島いくさんという地元の方。それから三時三十分くらいに、そこから百メートルも離れてない奥田玄二氏が、働いておる西武運輸を早びけして帰ってきて、ガード下で会ったと思われますが、それから奥田玄二氏が、結婚を前にして亡くなっておりますが、結婚をしたらそこに住むことになっておる新宅に連れていってそこでトマトを食った。そこで殺害をされたと考える方が自然だと考えますけれども、事実はここでは申し上げません。 一つお尋ねをしたいのですが、その中でかばんを捨てた所から——捨てた所には教科書がございますが、それからかばんは五百メートル離れた上流にあります。警察が、あるいは国家公安委員長も、警察の常識というものは、かばんをみぞに捨てたら五百メートルも上流に流れていくという常識が通るものでしょうか。これは経験則の問題でございますけれども、常識的な問題として国家公安委員長にお尋ねをいたします。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたことについて、すでに裁判になっております問題について、私がとやかくの、いいとか悪いとか正しいとか正しくないとかというような意見を述べることは裁判の公正を害すると考えますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○吉田委員 それぞれの申し上げました事実について判断を求めているわけではございません。その中に、かばんは川に捨てられたのが五百メートル上流に移っております。そこで警察なりあるいは常識でも構いませんが、裁判でいうと経験則と言いますが、国家公安委員長が答えられなければ法務大臣でも結構ですが、私は警察がそういう判断をし、捜査をして証拠を出しましたからお尋ねをしておるわけでありますが、この水がないときに、雨が降らぬときには水がございません。水のあるときに浮いて風が吹いてきたら幾らか動くということはございますけれども、川上に向かって五百メートルもかばんが動くということは考えられるかという常識問題をお尋ねしておるわけであります。お答えをいただきたい。
○土金政府委員 お答え申し上げます。 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、この事件につきましては、浦和地方裁判所におきまして三十九年三月に第一審の判決があり、控訴されましたが、昭和四十九年の十月に高等裁判所においてさらに控訴審の判決があり、現在上告されて審理中の事件でございますので、これにつきましては捜査に当たった者としてはいまこれについて発言することは差し控えさせていただきたいと存じます。
○吉田委員 常識的な問題としても、かばんが川上五百メートルもさかのぼって移動するかという常識問題をお尋ねをいたしておりますが、どなたからもお答えは願えませんか。
○土金政府委員 お答え申し上げます。 警察の行います捜査は、刑事事件につきましては先生も御存じのとおり、被疑者等の基本的人権の保障を全うしつつ法手続に従って事案の真相を明らかにするということを基本的な姿勢といたしておりまして、お尋ねの狭山事件につきましても、一連の捜査過程を通じてこのような姿勢で臨んでいたものでございまして、被疑者に対してそういった先入観というふうなことを持って捜査をいたしたことはない、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
○吉田委員 それでは別のことをお尋ねいたしましょう。 国家公安委員長にお尋ねをいたしますが、警察官は証拠をつくったりあるいは犯人をつくり上げること、でっち上げと言いますけれども、でっち上げることが許されるか。新憲法、新刑事訴訟法のもとで私は不可能だと思いますけれども、そういうことが可能かどうか、一般の問題としてお尋ねをいたします。
○福田(一)国務大臣 警察官が故意にそういうような証拠をでっち上げるというようなことはやっておらないと思いますし、またやるべきでもないと思います。
○吉田委員 具体的な事実、これは戦前にはございました。戦前にはございましたが、それはこういう問題について新憲法の規定がはっきりございます。憲法三十八条には供述の不強要、それから自白の証拠能力に対する規定がございます。それから刑事訴訟法の中にも、被疑者の出頭要求あるいは取り調べを規定いたしました百九十八条の二項には「取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」といったようなこと、あるいは被疑者の黙秘権、供述拒否権等が規定をしてございます。三百十九条には自白の証拠能力、証明力がございます。強制あるいは脅迫による自白をさしてはならない。もしそういうことをしたならば、それによってとられた自白はその任意性が疑われて、証拠にならぬと規定がしてございます。ですから、新憲法あるいは訴訟法のもとにおいては、証拠をつくること、犯人をでっち上げることは私は許されておらぬと思うのでありますが、万年筆のことについて伺います。 五月二十三日と六月十八日と、被告人宅の捜索が行われております。第一回目は午前四時四十五分から午後七時二分まで、長時間にわたって十二名の警察官が家宅捜索をしております。六月十八日は勝手口からあるいは屋根裏まで検査がされております。恐らくそのときだろうと思いますが、かもいには警官がさわって、こんなにごみがたまっておると、かもいの上をごみを検査をして示しておる。あるいはネズミ穴に詰まっておりますぼろきれをひっぱり出して、臭いと言っていやな顔をしてその穴を埋めております。しかるに六月二十六日には、勝手口のかもいから万年筆が発見されておりますが、その二、三日前に、被疑者に対して大変影響力がある、近くに住んで野球なんかを世話しておったという関巡査部長がその被疑者の宅にあらわれまして、その詳細は佐々木静子参議院議員が参議院でも聞いておるところでございますが、それによりますと、私どもが家庭の人に聞いても、いつも表口から入ってくる関巡査が裏口から入ってきて、そしてふろ場の入り口の戸に当たって音がした。そこで中で洗たくをしておったお母さんが出てきたら、関さんが本人に対する着がえの下着をもらいに来た、こういうお話ですから、それを取りに行った、持ってきたところがすでにいなかった、こういうことが言われている。そうしますと、かもいにたまっておりますごみを調べ、あるいはネズミ穴をふさいでおりましたぼろきれを臭いと言って、においまでしたものが、発見されないで、六月二十六日に発見されたというのは、その二、三日前に関巡査部長が万年筆を持ってきて置いた、こう考える以外にございませんが、そういうことは戦前にはございました。私はそれを聞きながら、戦前に福岡連隊事件のときに、亡くなられました松本治一郎先生を連隊爆破事件ということで、青年に小遣い銭を渡して、爆弾らしいものをぼろきれに包んだものを持っていかせて、そしてその直後、捜査をしてあったと言って持っていった。福岡連隊事件というのは証拠がつくられた、事件がでっち上げられたのを思い出しましたが、そういうことが憲法のもとにおいて、あるいは新刑訴のもとで許されることかどうか。これは警察のことでございますから、国家公安委員長に伺いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 裁判につきましては、これは吉田さんも御案内のように、立法、司法、行政というものが三権分立の形をとっておるわけでございまして、これが憲法の精神であります。しからば、すでに裁判事犯になりましたことについてわれわれがとやかくの批判をし、あるいは善悪のことを申し述べることは、これは司法権の独立性を害することになると私は思うのでありまして、われわれとしてはやはり司法の独立性というものを尊重することが行政官としての立場であると考えますがゆえに、そのような事実の問題についていろいろとここで御答弁をすることは、やはり差し控えさしていただきたいと思います。
○吉田委員 冒頭に、憲法、刑事訴訟法と公安委員長の意見とどっちが大事かということをお尋ねいたしましたら、抽象的なことには答えられぬということですから具体例を挙げました。警察官は証拠をつくり、あるいは犯人をでっち上げることが許されるかとお尋ねをいたしましたら、それは許されるはずがない、こういう言葉でございましたから、事実の判断について答弁を求めてはおりません。求めてはおりませんけれども、憲法、刑事訴訟法に基づいて捜査されるとするならば、あるいは取り調べをされるとするならば、そういうことは許されぬという原則をはっきり確定をしなければならぬと思います。 もし答弁がいただけなければ次に移りますが、憲法三十八条、供述の不強要あるいは自白の証拠能力等に対して規定をした条文がございますが、それでは黙秘権は告知をされなければならぬということは刑訴法にも書いてございます。あるいは弁護権、当事者の相互主義と申しますか、新刑訴法のたてまえは、国家を代表する検察権と、それから被疑者であってもその当事者は刑が確定するまでは罪人ではないということで、対等に取り扱われることが新刑事訴訟法の精神だと私は思います。もしそれに違反することがあるならば、憲法、刑事訴訟法のたてまえではございませんけれども、その証拠能力がないものと考えなければなりませんが、原則については国家公安委員長と法務大臣にお尋ねをいたします。
○土金政府委員 お答え申し上げます。 捜査を行うに当たりましては、ただいま御指摘のありましたような憲法、刑事訴訟法に定められております基本的人権に関する規定、これはもちろん厳格に守って捜査をする、これが当然のことでありまして、そういうふうなことで私どもは捜査をいたしておる、こういうふうに考えております。
○吉田委員 法務大臣の所見を承ります。
○稻葉国務大臣 警察当局の申したとおりであります。憲法や刑事訴訟法その他法規の手続に従って捜査すべきは当然であります。
○吉田委員 違反をした証拠あるいは自白の効力はないものと考えますが、いかがでしょうか。
○稻葉国務大臣 具体的に違反をした事実を証拠をもって示されれば、それは証拠の能力はないということになりましょう。
○吉田委員 これは参議院で佐々木静子さんから法務大臣に尋ねられたことですから御存じだと思いますが、狭山警察で調べている間に川越分室というものに移して、再逮捕の後でありますが、いままで南公民館として使われておった所に、ライオンを入れるのにいいのじゃないかと思われるような動物園のような非常にがんじょうなおりがつくられた。これは国警時代に使っておられたが、狭山事件の前にも使われず、あるいは後にもほとんど使っておらないということが答弁をされております。参議院の法務委員会での速記録によりますと。こういう牢屋のような、それもまた普通珍しいんじゃないかと思われるようながんじょうなおり、その中で、しかも庭のおりもそうですか、有刺鉄線がずっと張りめぐらされておるわけでありますが、と言われておりますが、それを大体否定はされておりません。政府委員として高松敬治君が出て答弁をいたしておりますが、それは否定はしておりません。そういう問題のこの特別の捜査室あるいは特別の留置場の中に長いこと閉じ込めて捜査をした、あるいは、黙秘権を告知しなければならぬというその義務さえ行われたかどうかわからぬ、あるいは弁護士をつけなければ捜査をしてはならぬとも書いてございますが、そういうものが十分行われたと思われません。そうしてつくられた、いわば刑事訴訟法の精神に違反をしてとられた証拠の証明力というものは、これは正当のものだと考えられますか。また、そういう人権を無視して、問題の刑事訴訟法に違反をしてとられた証拠の証拠力はないと考えざるを得ないと思いますが、この質問は法務委員会で行われておりますから、法務大臣にお尋ねいたします。
○稻葉国務大臣 証拠が刑事訴訟法の手続に違反してでっち上げられたということが証明されればいいんですけれども、なかなかそれが証明できないんじゃないですか。できないから裁判がああいう結果になったんじゃないでしょうかね。
○吉田委員 具体的な事実を挙げると、具体的な事実には答弁ができぬと言われる。具体的な事実を挙げて、動物のおりのようなところで捜査がなされた、さらにそれに長く閉じ込めて、しかもその中で本人が親にも会えない、あるいは焦燥も感じ、弁護士も信用しないように指導をしながら、悪玉、善玉をこしらえながら、関巡査部長なんかも自白を勧めるに役立ちながら自白をさせた。その結果がこの裁判の証拠になっておるわけであります。自白が証拠になっておるわけでありますが、自由になされた証拠あるいは自白でなければこれを証拠とすることができないと書いてある刑事訴訟法の精神からするならば、そういう環境の中で、そして自白を誘導しながら、法文には脅迫と書いてありますけれども、それに近い状態でなされたとするならば、その証拠は争い得るのではないかということははっきりしていると思うのですが、どうですか。
○安原政府委員 先ほど来、事実問題には入らないという前提で、一般論といたしまして吉田委員御指摘のような任意性を疑わしめるような状況、すなわち刑事訴訟法違反のような事情があれば、証拠能力が原則として否定されることは申すまでもないわけであります。ただ私ども承知いたしておりますところでは、狭山警察署から被告人を川越警察の分室に移した事情は、非常にセンセーショナルな事件であったために、報道陣が狭山警察署の中庭、そこからその留置場が見えるようでございまして、それで非常に押しかけるので、静ひつを保つために川越警察の分室に移したという事情でございますし、また当時の主任検事からの話によりますと、川越警察の建物もごく普通の留置場であるという報告を受けております。なお、事実問題に入りませんけれども、一審、二審の判決では被告人石川一雄の自白には任意性があるということを判決が認定していることも御承知おき願いたいと思います。
○吉田委員 時間がございませんから最後に。いわゆる狭山裁判につきましては狭山差別裁判と言われておるのです。そのことは私が先ほど引きました篠田国家公安委員長、それからこれは五月の六、七日ごろだと思いますけれども、石川被疑者を別件逮捕した後に捜査当局は、石川一雄が善枝ちゃん殺しの犯人であると確信すると発表をしております。まだ十分調べてない前から石川一雄が犯人だと確信をするという発表をしている。その理由、それから論告の中における、被告人が貧困で貧しかったからそういう環境に育った被告人に対しては社会の秩序に対する遵法精神を希薄ならしめる素地を与えたんではないか、同様のことは論告の中にも言われておりますし、それから第一審判決の中にもそれに符合するような文句がございます。いまここで引きますと時間が長くなりますからとりませんが……。 そこで、国家公安委員長の最初の発言、それから論告の差別を基礎にした発言、そのことが第一審判決でも取り上げられ、第二審判決も差別裁判と言われるような結果と相なっております。同和問題につきましては同対審がつくられ、同対審答申が出、そして特別措置法がつくられております。この狭山裁判につきましては、解放同盟がこれは狭山差別裁判だ、そして石川青年は無罪だ、こういうことで運動を続け、ことしの最大の課題としておりますが、大会には社会党、公明党、民社党の代表も出席をして激励をしてくれました。総評、中立労連も解放同盟とこの問題で共闘を組んでおります。新聞の各紙も取り上げ、雑誌も取り上げてくれる。朝日ジャーナルは二月六日号に特集をしております。たくさんの県市町村の議会が狭山裁判の公正を求めて決議をしております。これは常識があるいは世論が裁判についての公正を求めておることだと思うのであります。 しかも、国家公安委員長の発言からあるいは論告からあるいは第一審の判決に至りますまで、憲法で禁止されておる差別というものが根底にあるということだと思うのです。憲法を基礎にして人権を守り、同和行政に責任を持つべき政府の一員としての法務大臣の所見を承りたいと思います。
○稻葉国務大臣 狭山事件に関する一審、二審の裁判につきましては、三権分立のたてまえ上、法秩序を維持し、人権を擁護する法務行政の最高責任者として、その批判をなすことは立場でありませんから差し控えます。 ただ、刑事事件の捜査につきましては検察庁の所管でございますから、捜査処理は証拠に基づいて厳正公平に行われるべきものであって、被疑者の身分などによって不公正な取り扱いがあってはならないことは当然でございます。本件捜査についてそのような身分による不公正な取り扱いがあったとは私思っておりません。
○吉田委員 時間がまだ少しあるようでありますから、それではもう一度時間がかかりますけれども、当時の国家公安委員長の言ったこと、それから論告、第一審の判決で大事な部分だけ読み上げます。これは事件についての国家公安委員長の当時の所見ですから、いまの警察庁長官、国家公安委員長が責任を感ぜぬというわけにはいかぬと思うのです。こう言っておられます。 これは事件が起こりまして死体が発見された五月の四日、そしてその後参議院で問題が取り上げられて質問される前、ですから、三十八年の五月の六、七日ごろだろうと思います。先ほど申しましたように、「犯人は知能程度が低く土地の事情に詳しい者」、「犯人は二十万円は大金だと考える程度の生活をしている者」、このことは関係者は一様にそう思っておりますが、差別意識のぬぐい切れておらぬ現場の警察官の脳裏に強く印象づけられ、そしてまずこの焦点をしぼったのは石田養豚屋、そしてそこに出入りをする菅原四丁目の人たち、未解放部落の諸君に集中をして捜査がなされております。石川君が別件逮捕された後に捜査当局——これは警察です。警察が、石川君が善枝ちゃん殺しの犯人であると確信すると言っております。まだ調べも何もしないで。これは、私は篠田国家公安委員長のいま申し上げました発言とやはり関係があると思うのであります。 そして論告の中には、「被告は家が貧困であったため小学校も満足に行くことが出来ず、十一、二の時父母の許を離れ、農家の小守奉公に行く様になったが、その後被告人が十八才になる迄二、三の農家を転々し、家庭的愛情にはぐくまれつつ少年時代を過ごすというわけにはいかなかった。この様な環境は、被告人に対して、社会の秩序に対する遵法精神を稀薄ならしめる素地を与え、それが被告人の人格形成に影響を及ぼしたであろう事は想像に難くない。」、こういう論告をしております。それを受けて、それを認めるかのごとく第一審判決の中には、「一連の犯行は判示の通り」、ちょっと途中を略します。「一片の人間心さえ見出すことができず、悪虐非道の極みといわねばならない。」「被告人が判示の如く小学校すら卒業せず少年時代を他家で奉公人として過ごし、父母の許で家庭的な愛情に育まれることが出来なかったことは、それが家庭貧困の理由によるものであって、必ずしも被告人だけの責任に帰すことは出来ない」と、これは本人の責任に帰するだけではいかぬけれども、しかしそういう環境というものがこの犯罪を起こさした、あるいは論告で言いますと、遵法精神を希薄ならしめる素地を与える、こういうものが警察の捜査、国家公安委員長の心の中にあり、そしてそのことが地元の捜査本部に影響をし、そして捜査をする前から石川一雄君が善枝ちゃん殺しの犯人であると確信するという発言をさせ、そのことが論告にもなり、そしてまた第一審判決に取り入れられているとすると、私は、警察なり国家公安委員会が責任を全然負わないというわけにいかぬと思うのであります。 そういういわば差別意識に基づいて予断と偏見とを持って捜査をされたあるいは論告がされた、そしてそれを判決が認めたということになりますと、裁判は一審、二審を通じて差別裁判であると言われてもこれはしようがないじゃないですか。それについて警察としては反省するところがないのか。あるいはどうしたらいいのか。裁判の問題については意見を述べないと言われるけれども、少なくとも国家公安委員長の言われたその発言に対しては責任を負われなければならぬと思います。また、これは具体的な裁判の事実については判断を示すことはできないにしても、私は、法務大臣としても所感があってしかるべきだと思います。先ほど申し上げましたけれども、憲法に従い刑事訴訟法に従って捜査もやり、あるいは裁判も行われなければならぬ。最高裁に後で聞きます。法務大臣として、あるいは同対審の答申あるいは特別措置法を通じてこの部落問題、同和問題について責任を持っておられる政府の一員として、人権擁護の責任ある法務大臣としては一言なかるべからずと思うのでありますが、いかがでしょうか。
○福田(一)国務大臣 具体的な事犯についての御答弁というか意見は、先ほど来申し上げましたように述べることは差し控えさせていただきますが、原則ということから考えてみますと、警察の捜査は刑事事件について被疑者等の基本的人権の保障を全うしつつ、法手続に従って事案の真相を明らかにするということを基本的な姿勢としております。狭山事件についても、一連の捜査過程においてこのような姿勢で臨んでいたもので、被疑者に対して差別意識を持って捜査をしたことはないと考えております。これがわれわれの考え方でございます。
○稻葉国務大臣 刑事事件の捜査処理について、いやしくも被疑者の身分などによって差別をするというようなことは断じてやってはいけない。刑事訴訟法の厳正な手続に従って法違反のない、適正な、公平なそういう捜査処理が行われていると私は確信をいたします。
○吉田委員 時間もだんだん迫ってまいりますから、最後に最高裁にお伺いをいたしたいと思います。 憲法、刑事訴訟法の関係条文は先ほど挙げました。全部は読みませんでしたけれども、私が読むまでもないと思います。もし憲法に違反し、あるいは刑事訴訟法に違反して捜査がなされ、そして憲法、刑事訴訟法に違反して起訴をされた、あるいは検事の論告と第二審判決が、いま読み上げましたように、持つべからざる憲法違反の差別意識によって裁判が進められ、あるいは二審もこれを覆すことができなかったとするならば、最高裁は、最後の憲法判断なりあるいは判例違反なり、あるいは著しい冤罪事件については、自判をしたりあるいは破棄差し戻しもしたりしておられますが、最高裁はどういうぐあいに考えられるか承りたい。
○岡垣最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 具体的事件については、先ほどからいろいろ問題がございましたように、われわれとしてどういうふうに進行し、どうなるかということを申し上げられないことは御承知のとおりと存じますが、結局裁判というものは、裁判官が憲法と法律とに従い、そして良心に従ってやるものでございまして、上告理由としましても、憲法違反ということが上告理由の一つになっております。ですから、そういうことで最高裁判所の裁判官が法律と憲法に従った判断をされるものというふうに考えております。
○吉田委員 先ほど申し上げましたように、取り調べをした環境も動物のおりのような中で一人閉じ込めて調べられましたが、黙秘権の告知義務も守られてはいないのではないかと思われます。訴訟法上の手続がもしとられなかった、あるいは違法な捜査あるいは起訴判断等を行われた場合には、最高裁はたてまえとしては憲法判断あるいは判例判断、事実審理はしないということになっておりますけれども、しかし著しい冤罪事件について、極刑事件になっておる等の事件について新しい証拠が出た場合に、自判をしたりあるいは破棄差し戻しをしたりしておられますことは私も知っております。先ほど申し上げましたように、全国的にあるいは地方議会の多くが公正裁判を求める。これはいま最高裁にかかっておりますから、国民の期待が最高裁に最後の望みを託しているということだと思います。国民の間になお裁判に対する期待は、やはり若干残っている。行政権に対しては、あるいは政治に対しても不信を持っておる人でも、裁判所に対してはまだ若干の信頼を持っておる。私は、最高裁は最後の機会だと思いますだけに、この冤罪事件あるいは公正を求められる国民の世論に対してどうこたえられるのか。ですから原則問題でも構いませんし、具体的な事実について判断を求めるわけではございませんが、この期待と、それから救済についての最高裁の任務については、ひとつはっきりお答えを願いたいと思います。
○岡垣最高裁判所長官代理者 この事件の具体的な問題としては狭山事件、これはお答えできないことは先ほど申し上げたとおりでございますが、最高裁判所は先ほど御指摘もありましたとおりに最後のとりででございますので、したがって、いかなる場合であっても法律と憲法とに従って、そして良心をもって判断をする。これは先ほどお話しになりましたいろいろな国民の中からの声があろうとなかろうと、それには関係なく誠実な判断をする、こういうことでございます。
○吉田委員 最後に、先ほど来憲法、刑事訴訟法のことを出しました。まあ、私が引き合いに出すまでもないことでございますが、もし憲法、刑事訴訟法に違反をして捜査がなされたり、あるいは下級審において判断がなされたりした場合については、それは最高裁しか救済の方法がない。それだけに最高裁の責任は重いと思いますが、もし憲法、刑事訴訟法に違反するような自白がなされたり、あるいは証拠がつくられたりした場合には、最高裁としては自判なりあるいは破棄判決をなさるかどうかについて、原則的な問題をひとつお尋ねをいたします。
○岡垣最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたとおりに、上告理由の一つは憲法違反でございますので、そういう憲法違反の事実があれば上告理由に当たるということになると思います。
○吉田委員 一つ最後に残ったのは、事実審理はしないたてまえになっておるけれども、著しい冤罪事件で、そして極刑に近い事件について言えば、自判をしたりあるいは破棄差し戻しをしたりした例がありますが、もし憲法違反それから刑事訴訟法違反もですが、事実誤認について、あるいは判断について著しい間違いがある場合には、最高裁が救ってくれる以外にないと期待をしておりますだけに、最高裁ではそういう自判なりあるいは破棄差し戻しをされることがあるかどうかということについて、最後にお尋ねをいたします。
○岡垣最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 刑事訴訟法によりますと、上告審におきまして、本来の上告理由というものは憲法違反もしくは最高裁の判例違反ということになっておりますけれども、先ほど御指摘のありました事実誤認その他で、それを破棄しなければ著しく正義に反するというふうな場合には、その問題をさらに取り上げるということは法律で認められておることでございます。 以上でございます。
○正示委員長代理 次に阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 法務大臣にお尋ねしたいのですけれども、大阪市の東区南久宝寺町五ノ三大東ビル八〇三号というところに労政問題研究所なるものがありまして、これは実在していなかったようでございますけれども、この研究所が「全国特殊部落リスト」「全国左翼高校教諭リスト」、そういうものを発行をして、これを雇用の対策や人事対策の資料にするようにという、こういうたくさんの宣伝をいたしております。これはもう明らかに人権の侵害であり差別であると思いますけれども、人権を守る最高の責任者である法務大臣は、この問題についてどのように理解をし、どのように取り組んでこられたのか、お伺いしたいのです。
○稻葉国務大臣 御指摘の件につきましては、現在大阪法務局において調査中でございます。いやしくも人権侵犯の事実があれば、厳正にこれに対処いたします。「全国特殊部落リスト」なるものは、部落差別を助長、拡大する悪質な差別文書であると考えられますので、調査の上厳重に対処いたします。
○阿部(未)委員 いまお答えいただきましたが、特殊部落リストはもとよりでございますけれども、これは現に相当部数が発売をされて、企業その他の手に渡っておるように聞いております。あわせて「全国左翼高校教諭リスト」、これも私は思想、信条の自由を侵すきわめて人権侵害のはなはだしいものだと考えますが、この点いかがですか。
○稻葉国務大臣 調査をして厳重に対処いたします。
○阿部(未)委員 いま申し上げましたように、すでにこれは市販をされて相当部数が企業の手に渡っておる段階で、調査などというなまぬるいことで人権が守れるものでしょうか。
○稻葉国務大臣 調査をしている人権擁護局長に答弁させますから、お願いします。
○村岡政府委員 御指摘のような文書が販売されているという情報を、本年の二月六日に当方といたしましてはその情報を入手いたしまして、同時に、この販売案内のチラシの写しを入手いたしました。直ちに所管の大阪法務局に連絡いたしまして調査を開始したのでございます。これは先ほど御指摘のように、大阪市東区にあります大東ビル八〇三号、労政問題研究所というところが発行所になっております。ところが、このビルの八〇三号室というのは、これはいわゆる電話代理業務あるいはテーブル貸しを行っているところでございまして、ここがすなわち労政問題研究所の事務所であるということではないわけでございます。この種のいわばきわものと申しますか、この種の出版、販売をいたしますものの中には、往々にしてこういう方法をとるのがあるのでございまして、その点も考えまして、法務局といたしましては内内に予備的な調査をしておりまして、直ちにその事務所に直接調査をするということは控えておったわけでございます。ところが、二月十四日のサンケイ新聞朝刊等にこの点が新聞報道として報道されまして、そういった関係もございまして、法務局がその翌々日、同ビルに赴いて調査をいたしましたときには、その労政問題研究所なるものを捕捉することができなかったというのが実情でございます。しかしながら、法務局といたしましては、何とかこの実態を把握したいということで鋭意努力をいたしておるところでございます。
○阿部(未)委員 努力をしていただいて、ひとつ出した文書ですか、こういうものは全部回収をしていただいて、実害が及ばないようにしていただくと同時に、今後この種のものについて十分ひとつ注意をしていただくように御努力をお願いしたいと思います。 NHKの会長いらっしゃいますか。——いま、御承知のようにわれわれ国会でもあるいは政府の方でも、同和対策について非常に努力をしておるところでございますが、公共放送として唯一のNHKが、国民の中に同和対策の問題が広く理解を得られるようにいろいろな企画をこれまでなさったことがあるか、また今後そういうことについて何かお考えがあるか承りたいと思います。
○小野参考人 お答え申し上げます。 同和問題は民主国家にとっては非常に重要な問題と思います。人権が最高度に尊重され、人間平等の原理が貫徹されますことは、民主国家の発展、維持のためにきわめて緊要な問題でございますし、そういうような観点から、現行憲法におきましても、日本国憲法も人権の尊重と人間の平等の規定を厳然とうたっております。このようなことから、私どもは同和問題につきましては民主国家にふさわしい状態になるように努力をいたしておるわけでございまして、同和問題対策協議会の御答申あるいは同和対策特別措置法の精神も、そういったことが完全に解消せられることが国の責任でもあるし、また国民最大の関心事である、このような趣旨のことを言っておられ、このことは政府も公式見解としてお認めになっております。こういうことを踏まえ、またNHKといたしましては、番組基準に照らし、あるいは放送法の規定に準拠いたしまして、同和問題につきまして国民の理解と認識を深め、そしてこういったことができるだけ早く解消せられることに役立つような番組につきましては、細心の注意を払いまして、過去におきましても随時編成、放送をいたしております。今後といえどもそのような努力は続けてまいりたいと思います。
○阿部(未)委員 NHKの会長の非常に高道な御意見を伺いまして感激をしております。 ところで、NHKは昭和五十一年度予算で大幅な受信料の値上げを提案をなさっておるようでございます。予算の内容の適否につきましては、これは当該の逓信委員会でいろいろまた審議をさしてもらいたいと思いますけれども、最近NHKの受信料の不払い運動が各地で起こっておるようでございますけれども、このNHK受信料不払いという原因がどこにあるのか、会長どうお考えか、ひとつお答えを願いたいと思います。
○小野参考人 不払いの——これは意識的な不払いと申しますものは、伝えられるほどさほど多くはございません。現在約四万五千件ぐらいでございましょうか、全世帯から申しますと非常に微々たるものでございます。しかし、これは放置できない問題でございます。そのほかにいろんな不払い、こういう意識的な支払い拒否、こういうものではございませんけれども、いわゆるいろんな事情で支払いが滞るものがございます。これはあるいは共かせぎの少数世帯で、いつ行ってもお会いできない、こういうような状況でございますとか、あるいは転居による居所不明、こういったものでございますとか、あるいは航空基地その他新幹線沿線等の騒音があるからこれは支払い遅延になる、こういうようなものでございまして、こういった原因につきましては、私どもも技術的にもまた営業的にも最大限の努力を尽くしましてこの解消に当たらなければならないと思います。
○阿部(未)委員 いま原因についていろいろ御説明がありましたけれども、たしか千葉県に住んでいる独協大学の宮川さんという方が主宰をされておるNHK料金不払いの理由の一つに、NHKの報道が政府の御用機関みたいになって公共放送としての使命を十分に果たしていない、それが不払いの原因であるというふうに声明と申されますか、そういう主張をなさっておったようでございますが、この点どうお考えになりますか。
○小野参考人 千葉にもございますし、また石神井でございましたか、ここにもやはりそういう同盟を結成しておられる向きもございます。これは番組の偏向とかあるいは自分たちの番組の編成に参与できないから、こういうような理由を挙げておられます。先生の御指摘のあるいは番組の偏向、これは見方でございますけれども、NHKといたしましてはどこまでも不偏不党、厳正公正な態度を貫くことを理念といたしておりますし、そのような放送をいたしておるわけでございますけれども、同じ番組が見方によってそのような印象で受け取られることは、これは間々あることでございます。NHKとしてはそういうような偏向的な態度で臨んでおるわけではございませんし、そういうような点につきましては十分な御理解をいただいて支払いをしていただく、こういう努力を重ねてまいりたいと思います。
○阿部(未)委員 会長、そういう御答弁でございますけれども、やはり政府の御用機関のような感じがするという印象を受くる人があるという事実は否定ができませんし、特に私はその点で、会長の姿勢として過去の事例の一、二を取り上げて注意を喚起しておきたいと思うのですけれども、田中内閣が組閣をされて田中さんが総理になったときに、それまで「総理にきく」という番組は二カ月に一回NHKで報道されておりました。ところが、田中さんが総理になったら毎月これを、「総理にきく」という番組を持つように計画がされた。そこで私は、会長にこれは行き過ぎではないか、従来のとおり二カ月に一回で結構ではないかということを申し上げたら、会長は、国民が一国の行政の責任者がどういうことをやろうとしておるか聞きたいという希望が非常に多いので、どんなことがあってもこれは一カ月に一回の番組にしたいというお答えをいただきました。ところが、その年の七月になって田中総理が何か病気をされて顔がゆがみました。顔がゆがんだ途端に田中総理はテレビに出てこなくなったのですよ。そうすると、会長がおっしゃった一国の行政の最高の責任者の意見を聞きたいという国民の声をよそに、総理の顔がゆがんだ途端にテレビ番組から姿を消してしまった。まことに私は公平を欠くと思うのですよ。そういう経過があった。そしてあなたはその後も、毎月一回の「総理にきく」という番組を持ちたいということを主張されておった。ところが、今度三木総理になられて、いま私の見るところではたしか二カ月に一回の番組になっておると思うのですけれども、そうすると、かねてあなたが主張した、毎月一回程度は国民に一国の行政の最高責任者の考えを聞かせるといったお考えはまたここでも生かされていない。そうすれば、早く言えば政府の都合、総理大臣の御都合でNHKの放送の内容はどっちにでも変わってくるじゃないか、そのことが私がいま申し上げた受信料不払いの一つの原因として、偏向的な放送であると言われる一つの理由になるというふうに考えますが、この態度の変更は一体これはどういうものですか。
○小野参考人 お答え申し上げます。 「総理にきく」の番組は池田内閣当時に発足をいたしました。当時はアメリカにおきましても、いわゆる大統領の炉辺談話というものがテレビを通じまして、いわゆる行政と国民との密着というような見地から行われておりました。そういうことを一つの模範といたしまして、NHKとしては、行政の最高の責任者であられる総理大臣に行政に対する抱負なり現実の問題なり方針なり、そういった事柄を話していただくことが国民の生活に非常に役立つであろうということで、当初からできるだけ頻繁に行うことを理想といたしておりました。これは自主的にそのような判断をもちまして、池田総理にお話をして始めたのでありますけれども、いろいろな御都合でその当時は年に数回程度でございました。続いて佐藤内閣になりましてもそのような状況でございましたが、田中内閣時代には、確かに、田中総理から毎月でも出るよ、こういうそれはございました。これはかねてのNHKの念願でもございますので、毎月行ったわけでございますけれども、健康上の理由等でそういうようにいかない場合もございました。これは何しろNHKがそのように意図いたしましても、いろいろ御事情とか健康上の御事情等でおいでいただけないこともあり得るわけでございまして、これは必ずしも政府べったりとか、あるいは追従的なそういうことによってそういう現象が起きるわけではございません。現在の三木内閣になりましては、御指摘のとおり民放と交互に隔月にやることになっておりますので、NHKとしては二カ月に一回、こういうことになっておる経過でございます。
○阿部(未)委員 いずれ改めてもう少し議論をさせてもらいますが、少なくとも表面上見れば、政府の都合で毎月出たり半年も出なかったり二カ月に一回になったりする。そして少なくとも会長自身としては毎月出てもらいたいという期待を持ちながら、現実には三木内閣は二カ月に一回になっておる。早く言えば政府の都合でNHKの番組が変わってくる、こう見られても私は仕方がないと思うのですよ。ですから、いま会長のおっしゃったような内容があるにもせよ、そこには政府を中心にしたNHKの番組の内容がやはりのぞかれておるという気がします。これはまたいずれ改めて議論をします。 そこで、公共放送を預かる会長としては、会長自身の姿勢というものも非常に国民から注目をされておると私は思うのですけれども、そういう公共放送の責任者である会長が、たしか公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会というのですか、これから専門懇と言います。この専門懇の座長におなりになりましたね。
○小野参考人 一昨年の七月にそのような委嘱の申し出がございまして、これをお受けいたしました。
○阿部(未)委員 言うまでもありませんけれども、この専門懇は、公共企業体の職員にストライキ権を認めるべきかどうかといういわゆる国論を二分した大きい問題だったと思うのです。したがって、公共放送の責任者であるあなたが、そういう場所に出ていって意見を述べるというそのこと自体が、私は国民の側から見れば偏っておるというふうな疑いを持たれても仕方がないのではないか。あえてあなたがこの専門懇に入られて、しかも座長までお務めになった理由は何ですか。
○小野参考人 御指摘のとおり、NHKは不偏不党、厳正公正な立場を堅持しなければならない機関でございます。私はそこの会長を務めております。会長といたしましては、このNHKの不偏不党、厳正公正の立場を曲げるつもりもございませんし、また曲げたつもりもございません。この専門懇の委員を委嘱されましたそれは、NHKの会長といたしてではなく、小野吉郎個人として委嘱されたものでございまして、私は、そういうことでお役立ちになるならこれをお引き受けしようということでございまして、その間、これは外部から見られますと非常に微妙な点ではございましょうけれども、私はその辺の区別は厳然とつけておりまして、NHKの放送その他業務について、そういった面に対する影響をいささかも持ち来しておらないつもりでございますし、またそういうことがあってはならないと思います。どこまでも個人といたしましてお引き受けをし、またその職務を行ってまいったわけでございます。
○阿部(未)委員 いま会長は、NHKの会長ではない、小野個人だとおっしゃいましたけれども、この専門懇の前身である公務員制度審議会の委員として前のNHKの会長の前田さんが出席をされておりました。委員になっておりました。前田さんがNHKの会長をおやめになって、そして片方では公務員制度審議会が専門懇にかわった、それで今度は新しい会長のあなたがそれをお引き受けになった。国民が、小野個人が委員に任命をされたと思うでしょうか、NHKの会長が任命されたと思うでしょうか。その点はあなたのお考えとちょっと違うのじゃないですか。
○小野参考人 お答え申し上げます。 私自身といたしましては、ただいま御答弁申し上げましたような気持ちでお引き受けしたつもりでございますし、これがいささかもNHKの業務に影響を与えることがあってはならない。この辺は厳然と区別をしてまいりました。しかし、外観的にはそのような疑いを非常に持たれることもございましょう。人間の行動の規範として、きわめて傾聴すべき非常にいい御意見を承ったと考えております。そのようなことで、今後の行動につきましてはそういった面にいつも重要な参考事項といたしまして、人生の航路に処してまいりたい、かように考えております。
○阿部(未)委員 会長はあくまでも私個人である、小野個人であるとおっしゃいますけれども、しかし、会長であるあなたは、専門懇が非常に重要な答申を出さなければならない十一月の段階で、NHKの会長として、たしか私の記憶では十一月の九日から開かれたABUの総会に出席をされております。したがって、NHKの会長が国際会議に行ったものですから、個人である小野吉郎もいなくなって専門懇が動かなくなった。専門懇の答申がおくれたために政府もまた態度の決定がおくれた。そのことが非常に大きい混乱を招いて国民に大変な迷惑を及ぼす結果になった。そこに、会長である小野吉郎と個人である小野吉郎をあなたは使い分けることができなかったことが明らかになるわけでしょう。どうですか。
○小野参考人 お答え申し上げます。 結果としてはそのようなことになりましたけれども、私は専門懇の委員並びに座長に推挙せられまして、その職務については、私は小野吉郎個人といたしまして忠実に勤めてまいったつもりでございます。その忠実にということは何事かと申しますと、私の私見をもって物をリードするとかいうようなことがあってはならないのでありまして、委員各位が漏れなく自由に活発に御意見を出していただくということと、効率的に議事が運行するための議事進行の役をいたしますとともに、この集約を図ることに専念いたしました。私個人の私見は何ら交えてはならない、これはかたく守ってきたつもりでございます。 そこで、御指摘のアジア放送連合の総会へ参りましたそれは、非常に重要な時期でございまして、私も行くことを非常にちゅうちょしたのでございますけれども、たまたま今年夏に行われますモントリオールのオリンピック大会の放送権料が長い懸案事項でございました。これには各国放送機関が個々にネゴシエーションをいたしますと、それでなくても放送権料は年々高くなるような非常に好ましくない傾向をたどっております。そういうことを避けますために、アジア放送連合内におきましても、日本のNHKはNHKだけとして交渉には応じない、アジア放送連合一体としてこれに対する権料をまず決める、それもほかの放送連合との……
○阿部(未)委員 私が聞いたことだけに答えてください。細かいことは後で聞きます。 そこで、先ほど私が申し上げましたように、たとえあなたは片方は個人小野であり、片方はNHK会長であるとしても、現実の問題として二つの重要な役職を果たすことができなかった事実は否定ができないはずです。専門懇の座長として答申がおくれた、片方ではNHKの会長としてアジア会議に出なければならなかった、この二つを一緒にできない。いずれかに専念しなければならないことは、この経過から明確になったと思います。したがって、公共放送を預かる会長としては、今後この種の問題、兼任をする委員とか政府のいろいろな機関の役員等については、一切就任をお断りすべきものだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○小野参考人 お答え申し上げます。 その前にほんの簡単に一言。先ほどの問題でございますけれども、私がアジア放送連合へ出かけましても、この委員会は組織的に動いておりまして、座長のほかには座長の代行を勤める者が特定してございます。と同時に、あの重要な時期に、十二日に私は立ちましたけれども、前日の十一日には、投げやりではなく、それまでに出た意見を集約いたしまして、起草委員も決め、あとは起草委員の手で順序が進めば、留守中にも答申ができるような段どりをつけて出かけたわけでございまして、決して小野吉郎個人が不在になったわけではございません。 そういうようなことでございますし、それと同時に、先ほども申し上げましたように、きわめて有益な御意見を賜りました。李下に冠を正さずという教えもございます。思い起こしますと、私が最も尊敬をする先輩で郷里の大先輩でもございます。かつてNHK会長もやられました野村秀雄さんが、これはそういう面をきわめて厳粛に貫いた方でございます。当時私は専務で仕えておりましたけれども、まことに敬服すべき態度と感服をいたしておりました。将来の私の人生の規範といたしましては、いささかの疑いも持たれない、一点の疑いも持たれないような行動で貫いてまいりますので、私はNHKの会長の仕事に専念をいたしたい、かように考えます。
○阿部(未)委員 大体その点で気持ちがわかりましたから、私はやはり視聴者の立場からNHKの会長として専念をしてもらいたいと思います。 あなたがいいわけをなさったから私も一言言っておきますが、私がいなくても仕事は進むはずだったと言うけれども、仄聞するところでは、会長が不在であることを奇貨として、ある実力者が、専門懇の答申をわざとおくらせたということも私は聞き及んでおります。事実かどうかわかりませんよ。しかし、そういうことが言われるほど、やはりあなたがいなかったということが専門懇の答申の時期に影響を与えたことは間違いないと思っておりますから、手続上どうであったかは別として、現実の問題としてやはりこれは十分注意してもらわなければならないと思います。幸い、先々代ですか、もっと前の会長も、NHKの会長になったときから一切の筆を折って、文筆もおやりにならなかったということを聞いております。それを規範としておやりになりたいというお気持ちのようですから、この問題についてはこれで終わります。 次に、NHKの受信料値上げの基本的な姿勢でございますが、基本問題調査会の方でも、受信料の値上げをやらなければならないときには国民的な合意を得るように努力すべきであるというふうに答申がなされておるようでございます。ところが、会長はある会合で、どうせ受信料の値上げについては野党の賛成は得られないだろうから、自民党の多数で押し通してもらう以外にないのだ、そういうことをお話しになったということを聞き及んでおりますが、もしそういう姿勢がいささかでもあるとするならば、仮に予算案は国会を通過をしても、受信料不払い等の問題が燎原の火のごとくに起こってくると私は思います。いま協会に必要なことは、この国民的な合意を得るということは、国会の場においてはすべての政党の了解、納得を得て実施に移す、それだけのかたい決意を持って当たらなければ、仄聞しますように、会長が与党だけで押し通していいのだというような考え方を持っておられるのは大変な間違いだと思いますが、どうですか。
○小野参考人 それは何かの間違いであろうと思います。私はそのようなことはみじんも申しておりません。記者会見におきましても、調査会の答申にありますように、国民的合意はどのようにとるか、こういうようなインタビューに対する答えといたしまして、NHKの予算は国会の承認を必要とする、国会においては各党の御賛成を得ることが国民的合意を取りつけることの意味であり、そういうような意味合いで私は臨むのだということを明確に申しておりますし、何かの誤報であろうかと思います。それは私からはみじんも出ておりませんので、どうか御了解をいただきたいと思います。
○阿部(未)委員 まあうわさですから、御本人がそういうことはないとおっしゃれば私もそれを信頼する以外にないのでございますけれども、そういううわさも出ないように、非常に重要な時期ですから細心の御注意をお願いしたいと思います。 ところで、大蔵大臣にお伺いいたしますが、大臣もすべての条文を御承知ではないでしょうが、放送法の三十三条に「郵政大臣は、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会に国際放送を行うべきことを命ずることができる。」、こうなっておるわけです。そして三十五条では「前二条の規定により協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」、こういうふうになっておるわけです。ところで、郵政大臣がNHKに対して国際放送を命令する、そしてNHKはそれに基づいて、この国際放送のためにこれだけの予算が必要であるということを郵政省に提出するわけです。ところが、大蔵省はこの必要な予算を削るのですよ。査定するのです。私は、いやしくも郵政大臣が命令した以上、これは査定すべきでないというふうにずっと言い続けてきました。ところが今日なお、今年度予算においても査定をしておるようでございますが、これは大蔵省の大変な考え違いで、郵政大臣が命令したものを、それに必要な予算を大蔵省が査定をすれば、実際の運営としてはNHKは運営できなくなりますから、NHKは自前で、いわゆる国民の負担によって国の命じた国際放送を行わなければならないという結果になるわけです。 〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、もう多くは言いません。これからは、郵政大臣の命令した国際放送に要する費用は必ず大蔵省は認める、これを約束してもらいたいのです。
○大平国務大臣 郵政大臣の実施命令によりまする国際放送がりっぱにその目的を果たすに足るような予算を差し上げるようにいたしたいものと思います。
○阿部(未)委員 わかりました。さすがは大蔵大臣です。いままで大蔵省に何遍言っても、なかなかそうはいかなかったわけです。 その次に、文部大臣お見えになっておると思いますが、実は放送法の三十二条の規定で、本来NHKのテレビが受像できる機械を持った者はNHKと契約をして受信料を払う、特に郵政大臣が認めた基準で受信料を免除することができるが、それ以外はできないとなっているのです。たまたま学校の受信機については、郵政大臣が免除規定の基準として認めておるわけですけれども、最近文部省は大変予算が余って、何でも主任制度などというものをつくって、先生は要らぬと言う金を押しつける。四百四、五十億もこの金があるというのですね。ところが、片方では国民に肩がわりをさせて、国民の負担によって学校で見るテレビの受信料を免除しているのですよ。これは明らかに国民が肩がわりしておる。学校に備えつけた受信機については当然文部省がその受信料を払うべきである。財政が苦しければともかく、四百四、五十億も要らぬお金を押しつける文部省は、年間わずか十億かそこらの受信料をもはや免除する時期ではない。これはNHKが順調なときはいいと思うのです。今日のように大幅な値上げを国民に負担させなければならぬ時期に、文部省はたくさんの金を持ちながら、わずか十億程度の金を受信料免除で浮かしてみてもしようがないのじゃないですか。どうですか。
○永井国務大臣 お答え申し上げます。 主任手当は四百億幾らというお言葉がございましたが、実は主任手当を含めまして、すべての教員給与は二百億円強でございます。 文部省も余り財政事情が楽ということではございません。幸いに学校教育におきましては、先生御案内のように、テレビの利用は非常に効果がございます。今後もそれを促進していかなければならないということでございます。NHKに財政事情もおありになるということはあると考えますけれども、NHKの公共的な性格があり、そのおかげで私ども学校教育に非常に裨益いたしておるわけでございますので、今後も私どもは現行の免除制度というものを継続していただきたい、かように望んでおる次第でございます。
○阿部(未)委員 視聴者の立場からすれば、大切な子供の教育ですから、その受信料を免除するということについてはそれほど抵抗はないと思うのです。しかし、いま二百億とおっしゃいましたが、NHKの学校関係で受信料を免除している額は、総額年間どのくらいありますか、会長。
○小野参考人 免除の全体で五十五億でございます。五十五億でございますけれども、そのうちにいわゆる基地関係周辺の騒音の関係のそれが約十億ありますが、これは補てんされますので、正味NHKの犠牲になっておりますそれは四十五億でございます。このうちで、いま学校放送の関係は、明確には算定をいたしておりませんけれども、恐らく十数億になろうかと思います。
○阿部(未)委員 厚生省、お見えになっていますか。——厚生省にも同じことをお伺いしたいのですが、児童福祉施設、生活保護施設、身体障害者更生施設、社会福祉事業施設、更生保護事業施設、いろいろ厚生省の関係がございます。これまた郵政大臣の免除基準に入って、いま受信料が免除されておるわけですけれども、申し上げましたように、受信者が特段の負担をしなくてやれる時期は、それはそれなりにそういうことをしてあげる、免除することに意義があったと私は思うのです。しかし、もはや今日、NHKの受信者それ自体が膨大な受信料の値上げを背負わなければならないという時期になれば、そうした社会福祉の問題とか教育の問題というものは、行政として当然負うべき負担であり、行政として当然やらなければならない施策だというふうに私は考えます。それをいつまでも受信者の受信料に甘んじて——いま申し上げたように総額で五十億ぐらいの金でしょう。文部省の方にも十億ぐらいあるわけですが、これをいつまでも受信者に背負わしておくのか。行政の姿勢として、本来国が負担すべきものは国が負担するように変えていかなければならないのじゃないか。この基本的な問題について、厚生省どうお考えになりますか。
○翁政府委員 ただいまお示しの点でございますけれども、社会福祉のサービスというのは、御承知のとおり、行政機関、民間団体、ボランティア、すべての各位の善意と好意によって進めていくことが基本的な姿勢であろうと私ども存じております。もちろん厚生省がやらなければならないことは多うございますけれども、ただいまNHKに免除、減免していただいているのはやはりそういった趣旨に出ているものと存じております。したがいまして、そういった減免規定につきましては、今後とも御好意によってそのまま引き続いて進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○阿部(未)委員 大蔵大臣、いまお聞きのとおりで、文部省にしても、先生が要らぬと言うお金を二百何十億も押しつけてやるというほど予算は余っておるわけですね。厚生省の方も、全部負担してみても三十億そこらだと思うのです。ところが、いま国民の好意によってと言っていますけれども、これは自主的な、自発的な好意ではないのです。郵政大臣が認可することによって自動的に国民が、受信者が負担しなければならないというシステムになっているわけでしょう。したがって、この辺で、行政がやらなければならないものは行政がやらなければならないものとしてえりを正し、もし厚生省がそういう予算がないのならば、それは別の、たとえば赤い羽根運動等の形によって、国民の自発的な善意に基づいて処理をすべきものであって、法的に受信者に押しつけるというやり方はやめる時期になっておると私は思うのです。その意味で、文部大臣も金さえあれば文句は言わぬのだろうと思いますし、厚生省にしたって国が金を出せば文句は言わぬのだろうと思いますが、大蔵省はどうお考えになりますか。
○大平国務大臣 いま厚生省の方からお話がありましたように、いろいろな方の自発的な善意でいろいろ奉仕がされておることは、われわれの社会にとってありがたいことだと思うのでございます。NHKが公共的な機関といたしましてそのようなことを一部されましても別に不思議はないと思うのでございます。でございますので、そういったものを全部整理いたしまして国庫が負担すべきであるということについては、あなたのお考えは少し潔癖に過ぎるのじゃないかと思うのでございます。もしそうだとすると、NHKがそういうことをお断りになるということになりますと、学校あるいは社会福祉法人というようなものの設置者が次に問題になりましょうし、そうなりますと地方公共団体等もまた問題になってくるわけでございまして、国が負担するということになりますにつきましてはよほど吟味しないといけないのではないかと思うのでございます。要するに、ボランタリーにそういうサービスが提供されますことは、この世の中におきましてありがたいことでもございますし、一々そのことを整理して国庫の負担に移すというようなことは必ずしも適切な措置ではないのではないかと私は思います。
○阿部(未)委員 大蔵大臣、私はお寺にお説教を聞きに来たのじゃないのですよ。国民の自発的な好意によってなさるるのであるならば、私は大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。ところが、NHKというのをあなたはよくわかっていないようですが、NHKというのは受信者が拠出をする受信料によって運営をされておるわけでしょう。受信者が納める受信料によって運営をされておるところに国が負担すべきものが割り込んで、そして好意だ好意だと言って——NHKというのが別にあって、受信者が別にあるわけではないのですよ。あなた方は国が負担すべきものを負担せずに受信者に押しつけておいて、皆さんの好意でございます。こう言いよるのでしょう。これはまことに本末転倒で、そういう好意があるのならばほかにその好意を受くるべきであって、受信者に強制的に好意を押しつける筋のものじゃないと思うのですよ。ならばこれは国が負担をする、当然行政が負担をする。社会福祉の施設でしょう。教育の施設でしょう。国が当然負担すべきですよ。これを受信者に押しつけるいわれはどこにもないのですよ。ただ、いままでは、さっき申し上げたように、NHKもそれほど運営が困難でなかったから受信者の間からも余り不満が出なかったが、いまや膨大な値上げをするということになってくれば、不払い運動等が起こってくるという状況です。少しでも受信料を安くして、より広範な人たちにあまねく文化の光に浴してもらわなければならない。そういう時期に受信料を大幅に値上げをすれば、なかなか見れなくなる人さえ出てくるのではないかと私は懸念しております。そういうことがあるのにもかかわらず、本来行政が負担すべき社会福祉の施設や教育の施設の当然出さなければならない金を、国民の好意でございます。そういうものがあってもいいのじゃないでしょうか——いつ国民がそういうことをしたいと言いましたか。国が押しつけているのじゃないですか。だから私は、この際えりを正して、行政の負担すべきものは行政が負担し、受信者が負担すべきものは受信者が負担をしてNHKの運営を図るべきであるし、健全な運営をすることが受信者に対するNHKのサービスだというふうに考えますが、どうですか。
○大平国務大臣 いや、私の申し上げたのは、公共放送機関としてNHKが自主的にお考えになられても別に不思議はないと申し上げたわけです。つまり、これだけの予算でNHKに放送をやりなさいなんて国がやっているわけじゃなくて、NHKが御計画になって、郵政大臣の認可を得て放送をやっておるのでございましょう。そのNHKが自主的にそうやられましても別に不思議はないということだけを申し上げておるので……
○阿部(未)委員 わかりました。 最後に一つ、それでは郵政大臣お見えになっていただいていますが、あなたがこれは認可をしたわけだ、あなたではない、郵政大臣が認可をしたわけです。そこで、いま私がるる申し上げてきましたように、今日のNHKの経営はきわめて厳しい状態になっておるし、大幅な受信料の値上げをしなければならない状態になっておる。本来政府として負担すべきものは負担をするようにいまの免許基準等について改正をするか、ないしはまた免許基準が仮にあったとしても、この種のものについては行政の負担が正しいというふうな認識で将来にわたって政府としての措置を講じていくか、大臣のお考えをひとつ承りたいと思います。
○村上国務大臣 社会福祉事業施設あるいは文教施設等に対する受信料の免除は、大正十五年にNHKの前身である社団法人日本放送協会が発足した当初から今日まで引き続き実施してまいったものであります。この問題につきましては各方面からの御指摘もありましたので、関係の向きと相談しながら検討を進めているところでありますが、受信料の免除は公共放送としてのNHKが社会福祉的見地ないし教育的見地等から自主的に実施してきたものでありまして、それなりの役割りを果たしてきた経緯もありますので、にわかに結論が得られないところであります。 なお、受信料の免除につきましては、第一義的にはNHKにおいてそのあり方を検討すべきものと考えておりますので、今後さらにNHKと連絡をとってまいりたいと考えております。
○阿部(未)委員 終わります。
○荒舩委員長 これにて吉田君、阿部君の質疑は終了いたしました。 次回は、明五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十五分散会