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77回国会衆議院1976/02/02

予算委員会 第5号

発言数
217
登壇者
23
会派数
3
開催日
1976/02/02

会議録

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十一年度一般会計予算、昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 公労法並びに地公労法は、いわば占領治下において不幸な出発をいたしたわけでありますが、私は昭和二十八年の六月に、ちょうど二十三年前ですが、当時左派社会党、右派社会党で、公労法並びに地公労法の改正案を共同提案をいたしました。そのときに衆参の本会議で提案理由の説明をいたしたのですが、以来二十三年、いまだ基本的な問題について前進を見ていないというのは非常に遺憾に思うわけであります。  そこで、私は具体的な問題から質問をしていきたいと思いますが、政府声明において三木総理は、閣僚協専門懇の意見書の趣旨を尊重し、その内容の具現化につき検討を行う、こういうように言われておるわけです。一体、専門懇の意見書の趣旨のどこを尊重されるのか、一体、その流れておる趣旨というものはどういうように判断をなさっておるのか、これをお聞かせ願いたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 専門懇の意見書の内容の中には、この問題は単純に、スト権をどうするかという問題の背景の中には、当事者能力であるとか、公共企業体のあり方であるとか、いろいろやはり掘り下げて検討すべき問題がある、こういうことで、この問題を単純なスト権の問題だけというのではなくして、公共企業体全体としてのあり方に対して検討を加えるべきであるということでいろんな提言をなされておることは、これはわれわれもやはりそのように考えますから、そういう答申の中に盛られてある全体として公共企業体のあり方といいますか、こういうものに対しては政府は腰を据えて検討を加えたい、そして改革をしたいという考え方でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 専門懇の意見書の趣旨を尊重しという意見書の趣旨というのが、これはまあ大変な問題であるから腰を据えて検討せよ、こういうようにとられておるのですか、それだけですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 あの中にはいろんな問題を提起してあります。したがって、一つはやはり当事者能力ということも私は言った、公共企業体のあり方ということを申したわけですが、そういういろいろあの中に提起されておる問題は確かにやはり公共企業体の持っておる問題点であって、そのことがやはり労働基本権との間にいろんな関連性を持っておるというふうに考えますから、そういう問題について掘り下げて検討したい。そういう問題の複雑さというものに対して、いろいろ例を挙げて提起しておる問題は傾聴に値する問題があると考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 一体、何年かけて政府は検討するわけですか。私は、政府が正式な機関で検討した多くの事例を知っております。まず第一には、臨時行政調査会で佐藤喜一郎さんを会長にして非常な膨大な調査と有能な委員によってまず答申がなされたわけです。これは公社全体の機構について検討しておる。それが一体どうなっておるか。それからILO提訴になってから何度かILOから勧告を受け、そうして公労法あるいは地公労法さらに公務員法の改正の際に公制審をつくることになった。そうしてILOで指摘をされるたびごとに、公制審で結論が出ます、公制審で結論が出ますと言ってきた。そうしてそれが八年かかった。それで公制審の答申は何かというと、もうこれはいわば政治判断です。問題はスト権を与えるかどうかという政治判断です、あとは作業の問題だ、こういうことなんですよ。日本の専門家を集めて、労使を集めて英知をしぼったけれども、これは根本の政府の意見がわからなければ方向を決めるわけにいきません、後の作業は幾らでもいたします、だからひとつ方向づけを決めてください、これがいわば公制審の意見なんです。そうしてまたILOで問題になったとき、ILOでも、今度公制審の意見が出ましたから国内で検討しております。しかし、公制審の意見が出てから全然検討してないのですよ。これがまた空になった。そして空費された時間。そしてようやく御存じのように例の田中総理の五項目になってあらわれてきておるわけです。公制審というものは専門懇なんか予定してないのです。これだけの日本の関係者を集めて協議したので、問題はこういう点です、こういうことを言ったところが、今度は閣僚協の方では判断をしないで、また専門懇をつくった。ですから、今日の段階では、政治的判断をしなければだれを幾ら集めてみても方向づけできないのです。一体総理は、この点どういうようにお考えであるか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 公制審でも結論は、全面的に付与せよ、与えるなあるいは条件つきで与えよということで、あれだけ長期間かかって前田君が中心になってやっても、そういう結論というものが三つのことを併記した結論になるわけです。だからいかにこの問題というものが非常に複雑な内容を含んでいるかということはわかるわけですね。したがって、政府の方としても閣僚協でこの問題は検討を進めるということで何回かやったわけですが、これはやはりどうしても、政府が判断せよ、こう言われましても、その判断をする前にいろいろの検討すべき事項があるわけでございまして、したがって、いろいろいままでの、公制審においてもなかなか結論が出なかった。しかし、この問題はいつまでもこういう状態で置くことは労使関係の健全化のためにもよくないということで、今度は政府が腰を据えてこの問題を徹底的にメスを入れて結論を出したいということで、この間の政府の基本方針というものを明らかにしたわけでございます。ぐずぐずとこれをいつまでも引き延ばすという考えではなくして、これを根本的な解決を図らなければいかぬという決意のもとに、昨年の十二月一日の政府の基本方針を出したわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 腰を据えてやりますと毎回言っているでしょう。  ことに、昭和三十七年二月に任命になりました臨時行政調査会の答申というのがあります。「公社・公団等の改革に関する意見」、この中には方向性を明確にしておる。日本国有鉄道、日本電電公社の改善について、「労使関係について審議会を設けて、労働基本権の拡大を争議権を与える方向で検討し、」、こう方向づけしておるわけですよ。「争議権を与える方向で検討し、特に、公社側の当事者能力の確立をはかること。」、こう方向づけをしておる。でありますから、あとは作業なんですよ。問題は、方向づけをしないで、そしてこういう大きな政治判断を要する問題は幾ら審議会をつくっても出ませんよ。でありますから、その決断は総理がしなければならない。一体、総理どう思うのですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 いまも申しておるように、これはいつまでも延ばす考えはない。政府は、今度は政府としての方針を出すために、その前に前提条件として先方の専門懇などが提示された諸問題、そういう問題に対しても解明を加えて、そして国民の納得するような結論を今回は出そうという決意のもとに政府の基本方針というものも打ち出したわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 その問題の深いことは皆承知をしているから今日までかかってきたんでしょう。でありますから、専門懇の意見も出ておりますがと、こう言いますけれども、専門懇の意見は全く本末転倒した議論をなされておる。当事者能力の問題だってそうですよ。当事者能力が欠如をしているから、団交がなかなかできないから、争議権を与えても効果がないから争議権を与えるのは不適当だと、これは話が逆ですよ。争議権を与える方向でどうして当事者能力を付与するかということを検討しなければならない。話は本末転倒の方向に行っておるわけですよ。争議権というのは基本権ですよ。ですから、基本権を制約するには相当な条件が要る。ところが、あなたの方は逆の話ですよ。大体、公労法ができたとき今日のように当事者能力が欠如していなかったのですよ。  第一に、仲裁裁定の第一号は一体どういう運命になったのですか。労働大臣、おわかりになりましたらおっしゃってください。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 お答えします。  いろいろ公労法改正で完全実施等をやってきたりして、そういう労使関係をよくするように努めてきたことは承知しております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 当事者能力がないとおっしゃいますけれども、当時、この法案を起草いたしました立案の責任者で労政局長賀来才二郎、この人の「公企体労働関係法の詳解」という本に、「予算上資金上不可能な支出の協定の場合には、これは国会に予算書を付して提案しなければならぬ政府には義務がある。」と書いてある。でありますから、予算上資金上不可能の支出の場合には、政府は腹を決めてその予算書を国会に出すわけです。それは運賃値上げも出すかもしれない、あるいはその他の借入金も出すかもしれない。要するに給与を払うような方向を国会に示すべきであるということを、担当の立法の起案者である賀来才二郎はその本の中に詳細に書いておる。これがじゅうりんされたじゃありませんか。予算書と一緒に出せば当事者能力はあることになるわけです。それは、あとは国会が審議するわけです。国会の責任でいいとか悪いとか言うわけです。それは国会が最高の権限がありますからそのチェックはできますよ。しかし、少なくとも政府はこれは予算提出義務がある、こういうふうに書いておった。これが第一の問題点です。ですから、今日でも当事者能力を云々言うけれども、まず第一に、政府は予算書を提出する義務があると書けば争議権を与えても問題は起こらぬ、あとは国会の責任で処理する。どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 この国会に予算書を提出すればいいと言いますが、日常の労使関係の紛争というものを解決するためには、やはり当局がそれに対して一つの話し合いのできる能力を持たなければ、一々国会の議決を経なければ話し合いができないということでは、私は、健全な労使関係というものは樹立できない。だから、もう少しやはり国鉄なら国鉄の使用者側が、いろいろな起こり得る問題、紛争に対して、みずからがその紛争の処理に当たって解決案を出せるような能力を持たなければ、現在のようなことでは、これはほとんど持ってないわけですから、当事者能力というものを専門懇が問題にしたのには確かに理由はある、こういうことは指摘されたとおりだというふうに考えておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 その当事者能力を奪ったのはだれですか。当事者能力を奪ったのは政府なんですよ。給与総額なんというものはなかったのです。すなわち、昭和二十四年十二月一日の最初の仲裁第一号、これは、公社は総額四十五億円を支払うべきであるという裁定が行われた。ところが、国鉄総裁は、当時加賀山さんでありましたけれども、予算流用によって十八億は出ますと、こう言う。ところが大蔵省は、十五億五百万円しか出ない、こう言って、これが大争いになったわけです。国鉄総裁の方は十八億金が出ますと言うのに、大蔵省は、それは十五億五百万円だ、それ以上一銭も出してはいかぬと、こう言った。そうして遂に政府案によって国会に十五億五百万円以外は出ませんと、こう言った。そうして衆議院はその十五億五百万円の範囲で承認して、その他は不承認になった。さて、参議院に行ったわけです。参議院に行きましたら、参議院の方では、それはいまは十五億五百万円しか出ないけれども、将来余裕ができれば支払うべきであるという決議をしたのです。それを今度は衆議院で参議院の決議を否決した。参議院は両院議員協議会の要求をした。衆議院はそれも否決したのです。こういう経緯で第巨万から踏みにじられてきておるのですよ。そこで当然これは訴訟になりました。一体、加賀山国鉄総裁の言う十八億出すことが正しいのか、それはあくまでも大蔵大臣の権限にあるのか、これは訴訟になったのです。東京地方裁判所は、それは国鉄総裁に権限がある。さらに政府は控訴しました。東京高裁は、いや、それは内閣にある、総裁にはないんだ。ここで論争が続いた。そこで大蔵大臣池田勇人さんは、その論争のときに公社法やその他の法律を一斉に改正さして給与準則というのをつくった。そうして職員の給与はびた一文たりともこれよりも上がってはならぬ、こういうように決めたのですよ。そして予算総則の中に給与総額を設けた。これで完全に十六条は骨抜きになったのです。公労法が当初出発したときとは違うのですよ。途中で給与総額というものを設けて全く当事者能力を喪失さした。これで十六条は死んでしまった、こううそぶいたわけです。こういういわば悲劇の運命をたどってきておるのですよ。そうしてその後出る仲裁裁定はみんな期限を延長されて実施ができなかった。  でありますから、当事者能力という問題は公労法ができたときの問題じゃないのです。その後の政府の運営によって、あるいは法律改正によって当事者能力を奪ったわけです。これに対して、一体、三木総理はいまどういう所感でおられますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 そういういろいろな経緯はあるでしょうが、今日は国鉄の運賃値上げにしても国会の議決を必要とするわけですから、大きな当事者能力という点においてはやはり非常な制約を受けて、労使間の紛争というものは、待遇、雇用条件などを中心にして起こるわけですよ。こういうものに対して応ずるべき能力というものが非常に大きな意味において欠けておることは事実であります。したがって、労使間で紛争を当事者同士で解決するというような条件が、いまのようなあり方のもとにあるとは私は思ってない。まあいろいろ給与総額の決定などに対する経緯は多賀谷君の言われたとおりでございましょうが、現在の時点において使用者側が当事者能力を持っておるとは思わない。そういういろんな経緯を踏まえて一体どうするかということが大きな問題点であることは明らかでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私が指摘しておりますのは、いま完全に当事者能力があると言っておるのじゃありません。しかし、当事者能力を全くなくしたのは、これは政府がいわば改正をしたから、改悪をしたからですよ。いわば公企体の労使の正常化を阻害した、これが一歩であったと、こういうことを言っている。     〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕ですから、当事者能力というのは、争議権を与えるが、さて当事者能力をどうするかというような方向で検討すべきであって、当事者能力がないから争議権について云々というのは逆じゃありませんかとこう言っているんです。そうでしょう。基本権に対する態度を先に示すべきですよ。どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 労使間の紛争というものは話し合いで解決できない、そういう場合にストという問題が起こるわけで、そういうストというようなものをなくするような労使関係を確立することが一番好ましいわけですが、そういう当事者能力を持たないと、ないんですから、やはり話し合いと言ってもその話し合いによって労使間で問題を処理するということはなかなか容易でないわけですね、ないんですから。そうなってくると、非常手段に訴えるという場合が非常に多くなるわけです。だから、各国の例を見ても、たとえば運賃などの法定主義という国は少ないですね。やはりそういうふうなことを考えて当事者能力というものを考えた結果だと思うのです。やはりそういう能力を持たないと話し合いで解決できないんですから、そこは非常手段に訴えるということで労使関係というものは健全にいかない素地があるわけですから、それはスト権を与えれば当事者能力ができるという性質のものではないわけですからね。やはり労使関係を、ストのような手段に訴えないでどうして健全な労使関係を確立するかということは、政府として考えるのが当然のことだと思うのです。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 争議権を与えれば当事者能力ができるなんて言ってませんよ。争議権を与えるという方向で当事者能力を検討したらどうですかと、こう言っているんですよ。  そして私は専門懇というのは非常に不思議な懇談会と思いますが、これは御存じのように海外事情調査団まで出して、そして報告書をつくっておる、労働基本権の。そうしてアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツを調査している。ところが、この海外事情調査報告書に書いてあることと結論が全く反対。これは私は、何のために国費を使って調査をしたのかわからない。この中で企業形態が違うから争議権に対しての扱いが違うなんという言葉は一つも出ていない。でありますから、これにずっと書いてありますけれども、そういうところは全部ないです。そうでしょう。フランスだって日本の三公社五現業のようなものは全部国営企業か公社ですよ。イギリスだって、御存じのように相当の国有産業がある。それからイタリアだって御存じのようなイタリアファシズム時代からの国有産業をそのまま残しておりますから、ここもある。そうしてそれは皆争議権が与えられておるのですよ。ただアメリカは公務員という関係で——企業形態じゃありませんよ、公務員という関係でその争議権を制約しておる。しかし最近は州においてどんどん争議権を与えておる。西ドイツは鉄道の中であるいは郵政の中で官吏と雇員と労働者がいて、そうして官吏については争議権を制約しておる。これは全然企業体じゃないんですよ。これは身分の状態です。身分の問題から争議権の制約があるということを書いておる。書いておきながら、この出てきた意見書というものはまるっきりそれを無視して行われておる。このすりかえは一体だれがやったのか。一体この専門懇の責任者はだれですか。閣僚協の中にあったんですから、専門懇の責任者がおるでしょう。

井出一太郎自由民主党内閣官房長官

○井出国務大臣 御承知のように公共企業体等の、俗に閣僚協と言われておりますものがございまして、その委嘱と申しましょうか、専門委員懇談会がございますという仕組みであります。そうして、専門懇の方は小野さんが座長でもってお進めをいただいたのでございますが、これには事務局というものがございまして、これが言うならば事務のお世話をしておる、こういう仕組みでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 官房長官がこの閣僚協の責任者であるならば、このすれ違いは一体どうして起こったのですか。企業形態で差別しているところはこの報告書には一つもないですよ。ただ、身分で若干の左右をつけておるところがある。ですから、国有鉄道であるドイツの鉄道はストライキできるのですよ。ただ、いわば管理的な官吏だけはできない。ほかの者はできるのです。しかし、官吏についても禁止した法律がないというので、かなり議論がある、学説があるところですが、一応それは別にしても、企業形態なんかでは全部差別してないのです。ですから、そういう国民の前にごまかすようなことをやられる、非常にわれわれ、何と言いますか、そういうすれ違いをやるなんて言語道断だと思うのですよ。そしてりっぱな報告書が出ておるのですから。総理は一体どう思われますか。あなたは意見書を、その趣旨を尊重すると言う。この大事なところがすりかわっておるじゃないですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 各国の事情というものは、いろいろ企業形態によって身分が違ってくるわけでしょうから、そういうことで企業形態ということも、民営のような場合は違ってくるわけですから、企業形態と関係がないとは言えないのですが、そういう諸外国の事情等も勘案しながら、外国のとおりにしなければならぬというわけではないわけですから、日本は日本としての国情を考えて専門懇は意見書を提出したものである。いろいろなことを参考にされたと思いますよ。そうしたことを参考にされて、懇談会でいろいろみんなが意見を闘わして、そうして専門懇の意見書というものは提出した。その背景の中には、いろいろな各国の事情も踏まえて、そうして日本の場合どう考えるかということが意見書になってあらわれているのだと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は、そのすりかえだけでなくて、専門懇の意見書というものの中に大変なイデオロギーが入っておると思うのです。少なくとも労働組合を敵視しておる。それだけでなくて、これは三木さんの対話と協調ということを否定しておるのですよ。今日のようにストライキが起こったのは、要するに政府と当局が甘やかしたからだと、こう言う。一時しのぎの政治的妥協をやったからだと言う。あなたよりも偉い人がまだ日本にいるのですよ。それは専門懇の先生です。いわば、いままでの内閣のやったことに対して痛烈に批判をしておるのですよ。しかもILOが、実損回復について、すなわち長い間差別賃金の差ができるようなことについては早くそれを解消しなさいと書いておる。ところが専門懇は、逆にそういうことをするのはけしからぬと言っておるわけですよ。まさに国際的なILOの精神にも違反しておるし、また三木さん自身が言われておる政治姿勢にも相反しておる。これに対してどういうふうに思われるのですか。それでもあなたは意見書の趣旨を尊重するのですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 まあそれが懇談会たるゆえんであって、いろいろ民間の人たちが出てきて自由に意見を述べて、そうすればやはり政府のやり方に対して、必ずしも政府と一致しないような場合もあるかもしれません。一致するような場合であれば意味はないので、そういう意見も当然に民間の人たちですから出ることはあり得るのですが、しかし政府が考えるのはやはりいわゆる健全な労使関係というものを確立したいということでございますから、そういう趣旨に従って、参考にすべきものは参考で、専門懇の意見が即政府の意見だというものではないわけですね。参考にすべきものもたくさんにあるわけです。だから、そういう意味で専門懇が問題というものを、非常にこの問題は複雑であるから、いろいろなこういう問題が背景にはある、この問題に対して十分な検討を加えなければならぬという、この一つの問題解決のとらえ方というものに対しては、私は全くそのとおりだと考えておるわけでございまして、その書いてある報告書を一から十まで政府はそのとおりにやらなければならぬというものではない。長い間かかって努力をされたその趣旨はできるだけ尊重したいと考えておりますが、しかしそれは、全部一から十まで専門懇の意見が政府の方針であるというふうには考えていないわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 三木さんは対話と協調と言われます。また、日本の組合の最もいい特徴は企業組合であるとも言っておる。私どもは必ずしもそう思わないけれども、あなたはそういうことを言っておる。だから春闘にしても、福田副総理は昨年はあれだけ春闘の賃金問題を言われましたが、今度は黙して語らず、まあ行くところへ行くだろう。それをあなた方は労働組合の良識だと言う。ところが、それはどこから出ておるかといえば、一家意識だ。ところが一家意識はけしからぬと、こう書いておる。大体安易に流れる、一家意識はけしからぬ、だからこういう違法ストが起こるのだと、こう言う。ですから、専門懇の意見を尊重したら日本の労使関係は全部壊れますよ。この流れておる基本的な姿勢をもし具現をするならば、私は、いまの日本の労働関係の正常化はあり得ない。ことごとくで、いままで皆さんが長所だと言ってきたことを全部否定しておるのですよ。ILOが言っておることも否定しておる。政府の態度も全部否定をしておるのですよ。一体、総理はどういうふうに考えたのですか、これは。この流れておる思想、そしてその原理というものは、全部日本の労使関係を否定しておる。ILOの常識からも離れておる。のみでなくて、ILOの勧告にも違反しておる。どういうようにお考えですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 懇談会自体も健全な労使関係を確立したいという趣旨、これがやはり、そのために忙しい人が長い時間をかけたわけでございますから、懇談会のメンバーの中にはいろいろな意見の持ち主もおられるでしょう、労働組合からも入っておられたわけですから、まあいろいろな意見があって、その間には必ずしも政府の方針と一致してない場合があるばかりでなしに、政府のやり方を批判する場合もあるでしょうが、そういうことはわれわれとしても参考にすべきものは参考にして、願っておることは、専門懇でも政府でも、やはり異常にストを繰り返しておるようなこういう労使関係からもっと健全な労使関係を確立したいという願いに貫かれたものであるということについて、いろいろ考え方は違うかもしらぬけれども、その善意というものに対してはわれわれ何にも疑いを持たないわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大体、総理大臣みずからこれを読まれたのですか。読まれたら、この流れている思想というものが一体日本の労使関係を正常化する方向に行っているか。行ってないでしょう。  さらに労働大臣にお聞きしますが、実損回復処置の再検討、これはILOがずっと何次かにわたって勧告したことなんですよ。ところが、そのことが逆に争議行為に対する抑止力を著しく弱めておる、こういう意見書が出ておるわけなんです。これはまさにILOの数次にわたる勧告には違反しておるじゃないですか。これはどう思いますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 お答えします。  私もこの意見書は何遍となく読んでおります。もちろんそれぞれの方々の意見が入っていますから気に食わないところもあるでしょう。また新しい提言もあると私は思う。こういうものをやはり参考にしながら、ただいま総理がお答えしたような形において将来に向かって労働基本権の問題について研究していく、こういうことが必要だろう、こう思っております。  具体的な問題につきましては……。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 具体的な問題はだれがやるのですか、実損回復……。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 この意見書にある一つ一つについて、いま私も閣僚協の一メンバーですから具体的なお答えというか結論めいた話はできませんけれども、ここにある実損回復につきましても、こういうふうな話もしておりますが、これはいま設置されました新しい関係閣僚協においてこういう問題について改めて検討していく、こういうことでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実損回復処置の再検討とあるが、実損回復についてはこれはILOの勧告とは異なっておるでしょう、こう言っておるのです。ILOは実損回復についておやりなさいと指示をしておるでしょう。ところが、それは争議行為に対する抑止力を著しく弱めるものだと言っておるでしょう。これは違うんじゃありませんか、こう聞いているんですよ。意見を聞いているんじゃないですよ。これは違うんじゃないかと聞いている。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 こういうふうにこの専門懇は答えておりますから、こういうことも言われておりますけれども、いまから先の関係閣僚協においてこういうことも、こういう意見のあることも含みながら検討していく、こういうことです。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ILO勧告にこの専門懇が指摘していることは違反ではありませんかと聞いているんですよ。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 あなたのおっしゃったようなことをILOで言われているが、一方ここにこういうこともありますから、それらも並べて将来考えていく、こういうことでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ILOの勧告とこの意見書は異なっていますかどうですかと聞いているんですよ。異なっておるなら異なっておると言ってください。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 労政局長に答えさせます。(発言する者多し)——多賀谷さんのおっしゃった結社の自由委員会の第百三十九次報告ではいまの件につきましては、「ストライキ参加者に対する懲戒処分に関する申立てについては、第百二十二項ないし百二十四項に述べられた考察及び原則に注意を喚起すること並びに懲戒処分の適用に関して、特にストライキ参加者に対するそのような制裁の適用から生ずる報酬上の恒久的な不利益及び関係労働者のキャリアに対する不利益な結果について政府に示唆したことを想起すること」、こういうふうに書いてあります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ですから、その「示唆したことを想起すること」ということと、この専門懇の意見書が指摘していることが違うでしょうと言っているんです。違うでしょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 専門懇の意見書はあなたのおっしゃったような趣旨でございます。しかしILOが言うたこともいまあのとおりです。そういうことがありますから、それをいまどこでどうこうじゃなくて、将来関係閣僚協で重大な基本権の問題について考えていく、こういうことでございます。(発言する者多し)

小山長規自由民主党

○小山(長)委員長代理 静粛に願います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私が聞いているのは、どうこうのことを聞いているんじゃない。事実を聞いているんですよ。ILOが勧告したことと専門懇が言っていることは違うでしょうということですよ。     〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 御静粛に願います。  長くなってしようがない、何しているんだ。答弁できるのかできないのか。頭が悪いのばかりそろっていてはだめだ。——しっかりしろ、だめじゃないか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 多賀谷さんのおっしゃったILOに言われている一般論、おっしゃっておることはそのとおりでございます。ただ、私の方の場合にはそれが具体論になった。具体論としても、それは一般的な一般原則の上に立ってはそのとおりでございますが、具体的な場合には多少違うというところは私の方の専門懇が言っておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 一般論じゃないですよ。具体的に国鉄とか郵政とかという処分者の問題を提訴したのでしょう。なぜILOが一般論で答えますか。今度のこの処分については過酷であるから、それから長い間賃金差がつくのもいかぬから、実損を回復しなさい、こう言っておるのでしょう。一般論なんかじゃないですよ。これもやはり、いやそういうことをするから安易に流れていかぬのだ、こう言っているのですよ。ですから、違うでしょうと言う。違うとおっしゃればいいのですよ。違うでしょう。なぜ違うということが言えないのですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 一般論としてはあなたのおっしゃるとおりですけれども、たび重なっていろいろなことをやった場合にはそれは実体論として違うんだ、こういうことを私は専門懇が言っておる、こういうふうに理解するものです。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 一般論なんということはないですよ。具体的な処分について提訴をして、具体的な処分についてその示唆があったわけでしょう。一般論というような言葉はそこから出てこないのですよ。具体的な話をしているのですよ、ILOも、さらに専門懇も。一般論じゃありませんよ。個々の組合が提訴しておるわけでしょう。個々の組合の処分について提訴しておるわけでしょう。ですからILOも、何も日本の労働界とか公企体全体の一般論を言っておるのじゃないのです。個個の組合の処分について言っておるのですよ。個別的な問題ですよ。ですから、内容が違うなら内容が違うとおっしゃればいいのですよ。あなたの方は違うということを言わないようにされようとするから、そこにごまかしがあるわけです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 いままで何遍と論ぜられたように、そういうあなたの御趣旨、ILOの趣旨、これは一般論としてそのとおりでございます。また、私たちの方は、専門懇でもらったその答申の中にあるものも含めながらいまから先に研究していく、こういうことで御理解いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 全然違うでしょう。違うか違わないかと言っておる。それで一般論なんという言葉はどこからも出てこないですよ、個別組合が提訴しておるわけですからね。個別組合の問題を個別的に審査しておるわけでしょう。一般論なんという言葉の入りようがないのです。なぜそういう修飾語を入れますか、一般論なんて。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ILOとしますと、これば一般論として、世界全体の問題として論ずるわけです。そこで私の方の場合には、国内の問題でありますから、そういう一般論もあるけれども、具体的な問題については多少違うということを専門懇は言うておる、こういうふうに理解しております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 世界全体の問題を言っておるのではないのですよ、世界全体の問題を。日本の労働組合が提訴をした問題について個別的に回答しておるのですよ。一般論、世界の労働運動、全体的な話をしておるのではないのですよ。個別提訴に対して審査をして回答しておるのですよ。ですから、労働大臣が理解をしていないのか、わざわざごまかして言おうとしているのか。それは答弁納得できませんよ。文書を書いてもう少しはっきりした回答をしてください。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 質問者に答弁する方が教わっているようじゃだめだな。けしからぬよ。労働省は勉強が足りない。質問者に答弁する方が教わっているような、そんなことがあるか。だめだ。けしからぬ。しっかりしろ。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ILOが、処分に関する恒久的不利益についても措置をとることを指摘していることも事実でありますが、専門懇のただいまの見解も、実損回復のやり方の問題についてでありまして、その限りにおいては趣旨が違うことは事実であります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実に簡単明瞭なことを時間がかかって非常に残念に思いますけれども、やはり、何か専門懇の意見を擁護しよう擁護しようとするから大体そういう問題が起こるのですよ。  ですから、総理、この専門懇の意見は意見書で出たのですけれども、これを尊重するなんというのは言語道断だと思うのですが、どうですか。  専門懇の意見が出たことは、これは事実でありますから、さらに大きな角度に立って、いわば専門懇の意見を尊重するということではなくて、改めて検討すると——とにかく、意見書は専門懇だけじゃないのですよ。臨時行政調査会の意見書も出ておるのですよ。公制審の意見書も出ておるのですよ。それから専門懇の意見書も出ておるのですよ。しかも、臨時行政調査会というのは法律に基づくのですからね。内閣に対して出されておる。専門懇というのは私的な閣僚協議会の中のものでしょう。それから、公務員制度審議会は、国会が法案をつくるときにその意思決定をした機関ですよ。ですから、機関の比重から言っても非常に違うわけですよ。     〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕  でありますから、そういう三つの意見書が出ておるという事実の上に立って、今後検討するとここではっきり言明をされたらどうですか。あれだけの膨大な費用と人員を擁して、政府が法律に基づいてつくった臨時行政調査会の意見というものが全然論議をされていない。これらを含めて検討するというように理解をしてよろしいでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 いままでの歴史的な経緯は否定するわけにはいきませんが、政府は、前内閣以来、専門懇の意見が出ればそれを尊重したいと答えているわけです。  また、私も、専門懇とかいろいろ個々の問題については検討すべき問題があって、必ずしも専門懇の結論と政府の見解が一致というわけではありませんがへ専門懇が指摘したように、労働基本権は無論尊重しなければならぬ。それはしかし絶対のものではない。やはり、公共企業というものがナショナルミニマムのサービスを提供すべき大きな責任を国民に持っておるのであるから、したがって、そういう争議行為のようなものに入らないで、できるだけ労使間で話し合いで解決するという労働慣行が確立されなければならぬ。そのためにはやはり当事者能力を持たなければいかぬ。当事者能力を持つについては、公共企業体の性格、あり方というものと切り離してその問題は考えるわけにはいかない。そういうことで、この問題を掘り下げて検討すべきだというこの専門懇の見解というものは私は尊重をしたいと思うわけでございます。  個々の問題についてはいろいろと非常に重要な問題を提起しておりますが、これは専門懇で十分検討しなければならぬが、専門懇の意見書提出の大きな粗筋においては、私はこれを尊重したいという趣旨でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 専門懇の意見書を尊重しておっては、私は、残念ながら正常な姿になり得ないと思う。専門懇の意見書というのは、労働組合敵視という非常な底流が遺憾ながら流れておる。少なくとも労働法的感覚ではないのです。ですから、新聞でも、これは治安立法的だと言う人もあるけれども、とにかく、労働法的感覚でああいう専門懇の意見が出てくるわけがない。  そこで、昨日の各社の社説を総理は見られたと思うが、国鉄スト処分についての各社の社説がある。私は内容を余り言いませんが、一つの新聞は、「国鉄は処分で対決を深めるな」と書いてある。もう一つの新聞は、「国鉄労使の信頼回復こそ先決」と書いてある。もう一つの新聞は、「処分で労使関係ばよくなるのか」と書いてある。そうして異口同音に書いておるのは、まず第一に、政府・自民党が国鉄総裁の言うとおり早く条件つきスト権回復の方向を示すことであると、こういうようにどこの社説も書いておるのですが、一体これをどういうように総理はお考えになっておるのか。その社説を読まれてどういうようにお感じになったか、お聞かせ願いたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は社説をまだ読んでおりませんけれども、しかし、その社説の書かれておるように、労使関係を健全なものにしたいという私の願いはやはり変わらないわけです。  それをするためにはどういうことが必要だかというと、政府も今度は根本的に公共企業体のあり方にメスを入れようとしておることは、これはもう信用をしていただいていい。中途半端なことはしない。そういう場合に私が考えるのは、違法スト、処分、また違法ストというようなことを繰り返しておったのでは悪循環は断ち切れない。ここで、やはり、違法ストは労働組合が自制するという前提にならないと、たとえば条件つきスト権を与えるといっても、その条件を守る保証が一体あるのかと言われたときに、そういう論者の説得力というものをはなはだしく弱めますね。こういうところに条件つきスト権を与えよという意見も国会なんかにおいて相当あることは私もよく知っておるが、しかし、その論者といえども、その条件を組合が守る保証が一体どこにあるのかと問われたときに、非常に説得力を失うわけです。だから、やはり、違法ストは自制するのだという組合の態度が確立するならば、問題の解決というものはまたおのずから開けてくると私は思うのです。そういう点で、組合自身だって労使関係というものはいいとは思っていないでしょう。また、経営者側だってこの姿がいいとは思っていないのですから、両方ともがいまの姿はいいとは思っていないのだから、ここで一体断ち切れないものか。  それは多賀谷君に言わせたら、公労法というものはけしからぬと言われましても、お互いに、議会制民主主義というものは、一つの基準になるものは法律ということでしょうからね。ルールということですから、それはやはり現存の法律というものは尊重していくという前提がないと社会の秩序というものは成り立たないわけですから、組合側も、また経営者側もこれは断ち切りたいと思っているのだから、ここでやはり違法ストはもう自制するんだということが確立するならば、これは条件つきストを与えよという人たちも非常な説得力を持ってきますね。それがないとそういう人たちの説得力というものは弱まるのですよ。そういうところに問題がある。  だから、組合側自身がそういう自制というものができないものか。そういうふうな組合の態度が確立するならば、この問題はおのずから新たなる展望が開けてくると私は信じておるものでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は、三木総理大臣はかなり進歩的で、世界の情勢を、ことに労働法の生成と発展の歴史を知っておられると思って質問しておったのです。これは、ストライキを禁止している国の方がストライキが多いのですよ。ストライキを許している国の方がストライキが少ないのですよ。そうして、イギリスのように法律を比較的守る国民もストの禁止法だけは守らなかったですよ。そうして、ストライキ権を許してからむしろストライキがその前より少なくなっている。これは私が言っておるだけじゃないのです。ここに、一九七一年に第一回公務員合同委員会に提出されたILO事務局の報告書があるのですよ。これには、「多くの国で政府は罰の適用にあたって、重大な困難にであってきた、ということに留意すべきである。ストライキを行った公務員について、これらの国の経験が示しているものは、多数のストライキ参加者に対して刑事罰を科することは、社会的に不可能であると同時に、懲戒措置の強制は政府業務の麻痺を長びかせることに寄与し、公衆に一層の苦難をしいることになる、」となっている。そして、「職員団体に、団体罰を科することの主たる障害は、このような罰が団結権及び団体交渉権について、並びに労働関係全体の雰囲気に否定的な効果をもたらすことに関連している。この点については、正常な交渉が、このような罰を加えたのちに長い間にわたってそこなわれやすいこと、労働団体の機能を妨げることは」となっておって、これは逆にヤマネコスト、すなわち非公認ストの慣行を力づけるものであるというように報告書には出ておるのですよ。さらに、昨年ありました、一九七五年の公務員専門総会に提出されましたILO事務局の報告書では、「パブリックサービスのストライキの頻度と期間についての統計は、ストライキの適法性もしくは違法性の問題と必ずしも関係ない、ということに留意することが重要である。公務員の職場放棄は、ストライキが禁止されているところでは、相対的にいって頻繁であり、かつストライキ権が明示的に与えられている国においては比較的稀れに行われてきている。」、こういうように世界的な視野に立って報告書を出しておるのです。  でありますから、いま、組合の自制を待ちたいとおっしゃるけれども、今日、このストライキ権という権利をめぐっての闘争が続くわけでしょう。しかも、国鉄とか郵政とかという、こういうものを抜きにしてはこれは解決できないのですよ。そういう状態になれば、やはりストライキ権を与えるという方向をまず示して、それから作業をさせて、その作業をしておる状態の中でストライキを自制してもらいたいと——それは、国鉄の労働組合だってストライキをしたくありませんよ。貨物をとめれば、それだけ今後この貨物がトラックに奪われて、そうして自分の首を絞めるぐらいは知っているのですよ。みんな苦労の、のストライキをしているのですよ。そのことは国鉄当局も知っているのですよ。でありますから、むしろいま迫られておるのは、総理がストライキ権を与える方向でひとつ審議をしてくれということを指示することです。そうして、それは国会が法律は検討しますよ。しかし、総理のすりかえは、国会が検討するから私は答弁するわけにいきません——それは冗談じゃないですよ。皆内閣が法律を出しているのですからね。われわれが出した議員立法はほとんど審議もしてくれない。ですから、提案権を持っている政府が、経営全体を見ながら、基本的人権の上に立って意思表示をすべきですよ。それをしない以上は幾らたったって問題は解決しない。本当にみんな苦労をして、国鉄の経営については心配をしているのです。一番心配しているのは労働者ですよ。労働者は追い出されるかもしらぬです。そういう点を十分考えて、各社の社説が言っているように——これは昨日の社説ですよ。きょうの社説じゃないのですよ。でありますから、そのことを十分踏まえて決断をしてください。  これは国会が最高の場ですから、国民の前にはっきりと、スト権を付与する方向で、当事者能力、経営形態については検討すると——それは時間がかかるのはやむを得ませんよ。ですから、主客転倒した議論をすべきではないと思うのですが、どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 幾ら議論をしたり、あるいは労働の争議権獲得のための、いろいろな国会の論議もございまするし、運動もいいけれども、やはり違法ストというものをやらぬということが前提でないと——そういう議論を非常に冷静にするためには、違法ストをやらぬという前提に立って議論を進めることが、私は、この問題の結論を引き出すのには非常にやはりその方が好ましいということでありまして、どうしても違法ストはするけれども処分はしないでくれと言っても、やはり法秩序を維持する責任を持っておる政府としては、それはそういうわけにはいかないので、どうしてもやはり処分というもの、処分をすれば抗議ということになって、悪循環は断ち切れない。ここで政府も、いま言ったように、これは引き延ばしはいたしません、根本的にこの問題にメスを入れますということですから、組合側も、やはりこのストは自制してもらいたい、こう言っておるのですから、この点は多賀谷君もよく政府の意図を御理解願いたいのでございます。  ただ、スト権問題については、私がこの意見書を尊重すると言っているのは、このスト権の問題というものは、スト権をすぐに与えるかどうかという問題の結論を出す前に、公共企業体の性格とか経営のあり方とかというものも検討する必要があるという専門懇の提起は、私もそのとおりだと思う。当事者能力と言ったところで、経営のあり方と関連を持たないで当事者能力の付与ということはなかなか結論は出にくいですからね。だから、この専門懇の指摘しておる意見書というものは、やはりわれわれも傾聴すべきものがあると考えておるわけです。  結局は、労使関係の紛争の健全な解決というものは、当事者能力を持たなければできぬことは明らかですから、そういう点で、いま多賀谷君がすぐに右左をここで決めろということに対しては、専門懇の指摘するように、問題をもう少し掘り下げて、当事者能力を考える場合でも検討すべき問題があるという指摘はそのとおりだと思います。しかし、これをいつまでも政府は引き延ばしていこうという考えではない。こんなことを繰り返しておれば、迷惑するのは国民ですからね。  そういうことで、政府としては、この問題は、検討すべき問題点には検討を加えて、政府としての方針を打ち出して、労使関係を健全な軌道に乗せたいと心から願っておるものでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 総理、身分によって争議権を与えない、制約をしておる国もありますけれども、経営形態について争議権の区別をしている国は日本しかないのですが、それはどういうようにお考えですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 たとえば賃金法定主義という国はわりあい少ないですね。少ないですよね。ほとんどないでしょう。そういうふうなことからして、やはり、いろいろな経営のあり方というものに対しては非常に検討すべき問題があると私は思いますし、また、国情によって労働組合のあり方も違うわけですね。労働組合の実態というものもいろいろと違うわけですから、外国でこうだから日本はこうだということもすぐに言えない。労働組合の実態というものも考えて、日本は日本としての解決の道を考えざるを得ないわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それはやはりごまかされますけれども、親方日の丸と言っておるけれども、一体どこが、だれが親方日の丸ですか。時間がありませんから申し上げませんけれども、国鉄は、御存じのように、明治四十年に国有鉄道になってから、大体昭和の五、六年ぐらいまでに、新幹線を除いたら日本の鉄道網は整備されたわけですよ。それから、満州事変から昭和三十年まで、われわれは明治、大正の遺産を食いつぶした。投資もしない。出資もしない。設備投資もしない。そうして国民全部が食いつぶしたのですよ。そして、結局岩戸景気のときから投資を始めたけれども、一般の経済が伸びるのに対して投資がおくれたでしょう。しかも、国鉄のごときは予定投資だけいっていないのですよ。そういう積み重ねをしておる。それでいま新幹線がもうかった、もうかったと言うけれども、新幹線がもうかったかわりに東海道線の在来線が赤字になっておる。あの最もお客の多い新幹線すら、しかも新大阪から東京までですら、かつての繁栄をした東海道線の赤字と大体とんとんなんですよ。そうすると、一体これはどうするかということが大問題でしょう。ですから、戦争中から戦後にかけて財産を食いつぶした、その問題がいま集約してきておるのですよ。一方はモータリゼーション時代になった。その対応もできなかった。ですから、簡単に親方日の丸という話をされて、そして皆さんの中には、やはり新線をつくってくれ、それは国鉄じゃないか、赤字であろうとつくれと、こういうことになるわけですよね。ですから、これは労働組合がストライキをしたから経営が悪くなったのじゃないですよ。これは運輸大臣に聞いてもいいけれども、この能率、生産性の向上だって諸外国に比べて決して劣っていない。いいです。ですから、そういうような状態の中で、しかも争議権というものを解決しなければ前進しませんよ。幾ら総理が言われても、です。  総理は三月に成田さんに約束された。それから、田邊さんの質問に労働大臣は約束された。そうして、私はもう時間がありませんから余り言いませんが、御存じのように、処分は最後だというので五月に清算したのですよ。それは当然スト権を与えるということが前提条件であったからです。ですから、国鉄副総裁が専門懇で高度の政治判断を待つと言ってつるし上げに遭ったでしょう。管理局の総務部長が集まって反対ののろしを上げたでしょう。そこで、国鉄総裁は、改めて条件つきでスト権を付与すべきであるという言明をせざるを得なかった。国会でもそうでしょう。こんなに関係者が困っているのですよ。その関係者がこんなに困っておるのに、結局のところ、この責任はだれか。総理大臣、あなたですよ。あなたさえ国会の審議を経ることを前提に提案をするなら、問題はきわめてスムーズにいくのですよ。それは、この労働法という歴史をあなた方は十分御存じないのです。労働法の歴史は、行為を行うときは、そのときはたいてい違法なんですよ。その違法が次の闘いによって合法になっていったというのが労働法の歴史でしょう。  金森さんは憲法改正でこう言っていますよ。金森さんに対して当時質問をしている。そうそうたる人ばかりですよ。佐々木惣一、高柳賢三、それから安倍能成、これらの人が皆参議院の、当時の帝国憲法改正案特別委員会で質問をしている。そのときに、佐々木惣一先生が金森さんに対して、団体行動権というのは一体何だと質問している。そうすると金森さんは、「文字デハ団体行動ト云フ四ツノ漢字ニナリマスルケレドモ、併シ実体トナルベキハ、一ツノ歴史ヲ背景トシタ実体ニ相違アリマセヌ、此ノ憲法ノ保障シテ居りマスノハ、其ノ歴史的背景ヲ持ツテ居りマス」と、その実体なんですと言っている。それを保障するのだ。ですから、これは生々発展する権利なんですよ。でありますから、固定的な権利じゃないのですよ。これは固定的な責任追及の問題じゃないのですよ。労働法の歴史というものは、最初団結することから、それは違反だ、あるいは損害賠償をする、それをずっとはね返した歴史なんですよ。ですから、歴史的所産なんです。ですから、どこの国も、ストライキ権を禁止した国でストライキ権の禁止が守られていることはない。そういうものなんです。  ですから、ILOが、さっき申しましたように、公務員制度ですらこれは本来守られないんだと報告書を出しておる。そういう実態をつかまえて、どうして争議権をなるべく少なくするかということは、私はその次の問題だと思う。権利を与えて、むしろそれを抑制していく、そうして自制に待つというのはその次の問題ですよ。それを逆に物を持っていったのでは絶対に解決しない。これは一体どういうようにお考えですか。これは本当に勉強していただきたいと思うのですよね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 国鉄というものは民間の企業体とは違って、国民の生活、ナショナルミニマムといいますか、これに対する公共的なサービスをしておるわけですから、この国鉄のストが、この間のストを見ても、どれだけの被害を国民に対して与えたかということはわかるわけで、民間の一企業のストとは非常に規模も違うわけですから、したがって、そのストというものがもう絶対のものであるというふうにはやはり考えられない。公共の福祉との間の一つの調和点を見出すことが政府の責任であって、政府はそういう点で労働基本権は尊重するということは、われわれとしてもこれはもう当然のことでありますが、その間、国鉄の持っておる大きな国民的な役割りというものを考えて、どう調和を図っていくかというところに政府がいろいろと考えなければならぬ点があるわけでありますから、労働の基本権を尊重せよという考え方は、これを否定する考えはないのですよ。  しかし、やはり、国鉄の持っておる公共的な使命との間にどう調和を図っていくかということで国民に対しての責任を政府は持っておるわけですから、そういう点でどうやったならば労使関係が健全なものにできるかということについて、政府はこの問題をできるだけ国民の納得のいくような解決を求めたいとしておることで、基本的に多賀谷君の考える労働基本権を尊重するということについて、政府は何も異存はないわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 前のところと後がちょっと……。  基本的に労働基本権を尊重するということについては変わってない、これなら非常にいいのですけれども、しかし前の話は大分違う。そういうように理解していいのですか。私は、このストライキ禁止法というのが守られれば、守ることができれば、それはまた一つの方向だと思うのです。守られないのです、この法律は。大体世界的に言って、スト権の禁止法という法律は守られない法律なんです。そのことを十分理解をして、与えて、それを抑制する方が賢いのですよ。  あなたは昨年、この前の自民党の大会でおっしゃったでしょう、「大いなる転換期に処して」いく。要するに、民主主義の先輩のイギリスにおいては、百年前に保守党の手によって労働者に選挙権を与えた。ところが、この選挙権というのは、イギリスにおいては選挙権をよこせというストライキを連続打ってできたのですよ。これはイギリス、ベルギー、オーストリー、スウェーデン、こういうところでずっと連続をして起こってできたのです。これはとめることのできない潮流なんですよ。永井さんおられますけれども、あなたのお父さんが国会で問題にした点も、たしか選挙権だと思う。要するにこういう権利は、とうとうとして潮のごとく来る権利をここでとめることはできないのだ、むしろ選挙権を与えた方がいいのだという演説を国会でなさった、有名な演説を私は記憶しているわけです。  でありますから、一体総理はそういう形式論で解決をされると思っているんですかね。世界の歴史がそういうことを証明しているんですよ。一片の法律で守られるような問題じゃないのです、基本権というのは。ですから、私はストライキをどんどんやることを奨励しているのじゃないですよ。しかし、与えることの方がむしろ争議権の抑制になるのだ、それで労働組合に責任を持たせた方が自制になるのだと言っているんですよ。(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)いや、見解の相違と言うけれども、世界の潮流は全部そうですから。じゃ、あなた方が国鉄や郵政の労働者に永遠にストライキ権を与えないで守らし切ったらいいですよ。それは絶対に守らし切れないです、だれがやっても。でありますから、私は、もう新民主主義を言われる総理ならここで決断をされたらどうか、こういうように申し上げておきたいと思います。     〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は、多賀谷君、ストを……(「身をなげうってやらなければだめですよ」と呼ぶ者あり)一身をなげうってもやりますよ。健全な労使関係を確立したい、もうこれは私は本当にそう考えておるわけでありますが、しかしながら、法律はつくっても守られぬのだ、こういう前提は、これは多賀谷君もお互いに協力して、やはり民主政治というものに一つのルールがないとこれはどうにもならないわけですから、そのルールというものはやはり憲法であり、法律であり、そういうふうなことですから、よそはそうだからというので——日本はやはり法治国らしい秩序をお互いに確立しようじゃありませんか。そういう前提に立たないと、いろいろな法律をつくっても守られぬのだ、それが世界の大勢だ、こう言われても、ちょっと私は、それならもう同じことだからスト権を与えましょうというふうなお答えはしにくい。  ただ、私は、この問題というものはもうこういう悪循環を繰り返しておってはならないと思う。断ち切らなければならぬ。そのためには、やはりわれわれとしたなら、いま言ったような当事者能力ということは、多賀谷君余り大きな問題にされませんが、大きな問題ですよ。労使間の紛争を平和的に処理するといったら、両方が能力を持っておる者が話し合いするよりほかないんですからね。当事者能力を与えないでおけば、これはやっぱりストにいくわけですからね。そういうふうなことでなしに、当事者能力というようなものは平和的処理のためには大きな問題である。平和的に労働問題を解決するための一つですから、こういう問題もひとつこの際に解決をして、そうしてこの悪循環を断ち切りたい。  だから、私は逃げる気持ちはないのです。この問題は根本的に処理したいという決意でありますが、いま多賀谷君の言うように右から左へ、与えるか与えぬかという問題、そう単純には割り切れない。やっぱりいろいろな当事者能力もあり、そうなってきたらいまの国鉄のあり方というものにも検討を加えなければならぬし、そうなってくると、少し時間を与えてもらいたいということがそう無理な私の言い分ではないと私は思うわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 日本の国はまた違うという話がありましたが、日本の憲法の九十七条に「この憲法が日本國民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び將來の國民に對し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」、これは歴史の所産なんですよ。でありますから、あなたのような形式論を言っておれば、百年河清を待つにひとしい。ただ書いてある条文に違反しておるからということだけでは片づかないですよ。  そこで、私は、これはひとつさらに質問を別のところでも続けたいと思いますけれども、これはもう国会が審議をされておる、しかしストライキを行われておる、これは何とか解決しなきゃならぬですよ。そうして、念書なるものを国鉄総裁は入れておる。そうして「総裁は責任をもって労働組合に対し再建に協力するよう説得にあたる。」こう言っておるけれども、肝心な、いま組合が要求をしておるものを退けて、一体その説得ができるのかどうかですね。また、「姿勢をただすための緊急措置」として、「一月中にスト権ストの処分を厳正に行う。」それから「スト権ストに伴う損害賠償を関係労働組合に請求する。」。民事の損害賠償の請求をしますと十年以上かかりますよ。しかも、国鉄が労働組合に要求するぐらいなら、今度は第三君は国鉄に要求せい。これが、しかもこの訴訟が十年ぐらいで解決する訴訟じゃないですよ。ずうっとこういう紛争が続くですよ。一体そういう中で再建ができるかどうかですね。  私は、まず総裁並びに運輸大臣から意見を聞きたい、一体あなた方は見通しが本当にあるのですかと。組合に対して国鉄当局が損害賠償請求をするぐらいなら、第三者は今度は国鉄にしますよ。あるいは組合にする人がおるかもしれない。そうすると、この問題の処理が一年や二年で終わればいいですよ。この処理は十年以上はずっとかかるのです。その間は労使はきわめて不正常な状態になる。一体これが生きておる政治なんですか。それをまず聞きたい。ひとつ総裁並びに運輸大臣から御答弁願いたい。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○木村国務大臣 先日もこの問題でお答えしたわけでございますが、国鉄の現状については多賀谷さんも非常に憂慮をしていただいておりますことは、私も重々知っておるわけでございます。その中で、これから将来にわたって何とか再建しなければいけない、過去におきまして十カ年計画が二回にわたり、また再建計画も中途でつぶれたといういきさつを踏まえて、今度こそは国民のために国鉄の再建を図らなければならないという非常に重大な使命と同時に決意をもって事に当たっておるわけでございますが、そういうときに一番肝心なことは、国鉄の内部におきまして、四十三万人になんなんとする全職員が本当に一体となってわが家の再建に邁進するということがどうしても必要である、こう私は考えるわけでございます。それはやはり同じ一つの法秩序といいますか、同じ土俵の上に上がって、そして四つに組んで再建を図らなければ、そこで秩序が守られない、あるいは土俵が違うということでは、国民に対しても相済まぬ、こういうふうな感じを持っておるわけでございます。  そこで、昨年の十一月の末から十二月にかけまして、いわゆるスト権ストで国民にあれだけの大変な損害をかけたわけでございます。そのスト権問題の関係法律についてのいろいろのいきさつは私も承知をいたしておるわけでございますが、現実においては、やはり現実の法秩序の中で再建に当たっていくという労使一体の心構えが必要である。不幸にして、昨年ああいうふうなサボタージュがあったわけでございます。それに対して国民の受けた損害も相当大きいものがございます。また、国鉄自体が受けた損害も多いわけでございます。そこで、こういう問題につきまして、これからの再建に当たって、国鉄の当局は一体どういう心構えで再建に当たるのかという問題に関連して、やはり厳正な態度でこういつた問題の処置に当たるということをまず国民の皆さんの前に明示して、そして決意のほどもそれによって明らかにするということが必要ではないか。国鉄は言うまでもございませんが国民のものであり、国民の委託を受けて運営に当たっておる国鉄当局でございますので、やはり国民に対してそれだけの責任を果たし、決意を表明する必要もあるということで、それを監督いたします私としてはその間の重要性について十分話をしたわけでございます。それを受けまして、国鉄当局といたしましては、それに対する厳正な態度としてああいうふうな国鉄の決意を私の方へ出したということでございます。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○藤井説明員 お答えします。  昨年の十一月にああいったきわめて長期なストをやりまして、その主張は別として、国民に多大の御迷惑をかけたということでございまして、これは労とか使とかいう立場にあらずして、国鉄人がえりを正して国民の御不満と申しますか御批判にこたえざるを得ないということでございまして、過日、いま運輸大臣が触れられましたような国鉄のえりを正す一つの具体的な方法としてああいったものはやったわけでございます。そのうちで最も問題になるのは、処分の問題であるとか、損害賠償の問題であるということになりますけれども、やはりストは御承知のとおり法律に触れておるのだということでございますので、法がある限りけじめを立ててえりを正さざるを得ないということでああいった処分に踏み切ったわけでございますが、しばしば御指摘になっているように、労使が力を合わさぬと国鉄の再建はできない、これはきわめてはっきりしたことでございますので、法に触れた者の処分は処分として、労使が力を合わさぬと再建はできないじゃないかということで——国鉄の再建、再建と申しますけれども、これは国民に対するサービス機能というか御負託によりよくこたえるということであると同時に、国鉄の再建は働く者が希望を持って明るい職場で働けるということでございますので、その辺のことも十分考えて、法に触れた者は法に従わざるを得ないけれども、ひとつ協力してほしいというのでせっかく説得はいたしておりますが、御指摘のように非常にむずかしい問題であろう、かように思いますけれども、力のあらん限り説得して、協力してもらわぬと再建はできないというのが実情でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 組合の方は処分者を出している。ところが、実際問題としてはこれは抑止力にならぬわけでしょう。処分者を出しても、主として専従の幹部はほとんどないのでしょう。公労法十八条は行使しても事実上意味がないのですよ。意味のない法律を幾ら重要に思ってそれを遵守しようとしても、抑止力にならないのですよ。だから、もう時代はずっと変わってきておるのですから、私はこの問題を解決してもらいたいと思いますが、組合の方は責任をとれ、こういうわけですが、さて当局はどうですか、運輸大臣、国鉄総裁は。こんな状態の中で再建できない。あなた方は責任は組合だけにとらすのですか。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○藤井説明員 お答えします。  私は労使といった言葉で現実にはそういう動き方はしておりますけれども、責任は鉄道人が一体になってとるべきもので、組合だけ処罰しておれは知らぬと決して申し上げているわけじゃないので、これは共同の責任であるわけです。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○木村国務大臣 いま国鉄総裁からお答え申し上げましたように、国鉄四十三万人の職員が当局者も含めてこの責任をとるという形で再建に当たってもらいたいということでございます。したがって、国鉄当局側も、今回の国民に与えた損害をできる限り早期に解決できるように、国鉄の再建に全身全霊を込めて当たるということが管理者の責任をとるゆえんではないか、私はかように考えておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は、この問題は、いまからのストライキの情勢、こういうものを踏まえて続けて本委員会でも質問してみたい、こういうように思います。  そこで、どうしても国民が聞きたい問題を一、二点質問しておきたいと思います。  まず第一に、厚生年金、国民年金あるいは福祉年金、今度年金の改革をされるのですが、私はこの前の予算委員会で質問をしたわけですが、率直に言いますと、厚生大臣、私の方で福祉年金については少なくとも軽費老人ホームに入れるようにしてやってもらいたい、そのくらいの年金は出したらどうかということで、これについていま費用は幾らかかるかと言ったら、局長の方から二万円、それで二万円では入れないから少なくともそれにプラスアルファをしたらどうですかという質問をしたのですが、その後やはりこの委員会において、五十一年度は二万円出します、こういう明確な答弁があったわけです。これが今度は一万三千五百円になっているわけですが、一体どうして変わったのか。財政事情はわかりますけれども、しかしお年寄りは待てないわけです。これをどうされるつもりであるか、まずお聞かせ願いたい。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 福祉年金の金額についていろいろ御議論がございました。私も、これはできるだけ引き上げたい。そして、その間にナショナルミニマムを確保すべきだという議論もいろいろございました。そうしたことを私はやりたいと思っておりますが、しかし、現在の福祉年金のシステムである一切を一般会計に依存する方式では、これはなかなか言うべくして容易なことではないことでございますので、したがいまして、年金の財政方式を改めることによってそのことを実現いたしたいというふうに考えているわけでございまして、そのような趣旨からいろいろと質疑応答、やりとりがあったことは事実でございます。したがいまして、私どもとしては年金の財政方式を改め、極端な未成熟者、すなわち福祉年金受給者というものについてナショナルミニマムを確保いたす方法をあれこれ考究いたしたいと思って、今日せっかく腐心をしているわけであります。  具体的に申しますると、私どもがさきに報道機関に申しましたいわゆる基礎年金構想、あるいは各党のいろいろな年金構想ないしはライフサイクル等々において、そうした手法についてあれこれ模索中でございまして、私どもも鋭意その具体化について検討をいたし、また具現化をしなければならないと思って、せっかく努力中であるというのがただいまの状態でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 かなり明快にお答えになっていますね。二万円の方は私は必ず実施いたしたいというふうに思っております、これが一点。  もう一つは遺族年金ですね。これは私の質問に対して——私は、大体二分の一なんという国はないじゃないか、夫婦がおって一人が亡くなったからといって半分で済むか、これは恩給時代の遺物だ、諸外国を見ても皆高いし、そうしてILOは四分の三ぐらいの基準を示すことになるということを言いましたところが、大臣は、四分の三というわけにはいかないけれども、その近辺にしたいと思いますとおっしゃったから、私は、ははあ七割だな、これは私の勘です、近辺というと七割だな、こう思ったわけです。ところが、近辺どころか、ちょっと寡婦年金加算でごまかしたという形ですね。これは一体どういう経緯ですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 この方は、私としてはぜひいま多賀谷さんのおっしゃったようなものを実現いたしたいというふうに実は思って、事実、予算要求もいたしたわけであります。しかし、その後いろいろと、いわゆる遺族年金というものの権利の開始要件が、諸外国の場合と日本の場合と大分違う、諸外国では五年ぐらい加入をしておらなければ遺族年金の受給権が出ない、わが国においては一年、はなはだしいのは半年である、余りにも簡単といいますか、早く遺族年金の権利が開始するなどという議論があって、外国とは同日の論でないという議論等も出てまいりまして、また財政上の問題もありまして、いろいろとすったもんだの議論があって、私もいろいろと国会で皆さんに申し上げた次第もあったものですから、痕跡もなくしてはいけないと思って努力をした結果、ここにいわゆる遺族加給金というものの制度によって趣旨の一部を生かしたということでございまして、私としてはまことに残念な結果になったということについては、皆さんにおわびを申し上げたい。しかし、今後とも努力をいたしたい。しかし、痕跡もなくなったということでないことだけは御了承いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 総理、少なくとも国務大臣が答弁をし、しかもあなたは同席をして、せっかく田中国務大臣が言っておるのでありますから、応援をします、こう言っておるでしょう。あちらこちらに出てきますよね、速記録を見ると。総理は一体どうしておったのですか。厚生大臣は孤軍奮闘しておるのに、総理はじっと見ておったのですか、どうなんです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 田中厚生大臣、非常に熱心にいろいろ福祉の増進ということに対して努力をしておりますから、私も厚生大臣に対してできるだけ支援をして、こういう窮屈な財政の中において福祉予算というものができるだけ拡充するようなことに対して協力をいたしてきたわけでございますが、個々の問題についてはいま御指摘のように必ずしも厚生大臣の考えどおりにはまいりませんけれども、これは一年限りという問題でもないわけでございますから、今後厚生大臣の言ったような方向で福祉の充実というものが実現していくように、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 いやしくも予算委員会で、国民の前で、いわば約束をしたわけですから。この二点ですね。福祉年金がなぜ二万円にならなかったか。そうして、遺族年金がなぜ二分の一から引き上げられなかったか。そうして、これについては今後どう処置するか。私は、本委員会でこの処置を明快にしてもらいたいと思うのですね。われわれが質問しておりまして、大臣から御答弁がある。そうして、われわれはそれを信じておる。そうすると、次には実は予算にはそういうように盛られないということでは、われわれは何のために審議しておるかわからぬわけですよ。ですから、この処置を私は政府としてはっきりしてもらいたい。ことしできなければどうするんですと、はっきりこれこそ明快に今後の方向づけをしてもらいたいと思うのです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 前者の福祉年金の金額については、年金の財政方式を改めるという形で実現をいたしたいということでありまして、ことにあなたが後に述べた質疑応答は年金の財政論に出てきたから、派生した議論でございますので、私としては年金の財政方式を改めるべくいまいろいろと努力をいたしているわけであります。こうしたことによって私は福祉年金受給者の受給額を引き上げるように努力をいたし、これを速やかに実現をするようにいたすよりほかに方法はないと思っております。  後者の問題につきましては、今後さらに検討を続けまして、できるだけひとつ遺族の皆さんに御満足のいただける方向を模索し、それを実現するように努力をいたしたいということでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それはいつまでにされるわけですか。いつまでに政府としてはおやりになるつもりですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 いつまでということをはっきり申し上げるとまた食言になりますので、私としてはとにかく何とかそのようなことを実現いたすように努力をいたし、できるだけ早くこれを実現するようにいたしたい。しかし、年金の財政方式につきましてはなかなか根深いものがございますので、関係各省庁ともいろいろと協議をいたさなければなりませんので、したがって、近くそうした協議も始めようということでございますので、私が今後最善の努力を払うことによってそれを実現するということでひとつ御理解を願いたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これは、委員長、きわめて重大な問題ですよ。ですから、私はやはり理事会ではっきり政府の意向を確かめてもらいたい。ただ応答していましても時間がかかりますから。問題点ははっきりしておるわけです。一体政府はいつ、どういうスケジュールでやるのか。単に私はもまそうと思いません。もまそうと思いませんが、これだけはっきり答弁をされたことが予算に盛られなかったというのは、一体だれが責任を持つのだ。ですから、私はこの問題はやはり理事会で——はっきりしておるのはこの二点です。ですから、理事会ではっきりお聞きいただいて、そして政府から、総理大臣から正式に今後の方向としてどうするのだということを確約してもらいたい、かように思います。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 わかりました。ただ、これば理事会で決定する問題ではございませんで、方向は理事会で協議するといたしますが、これは要は政府全体の問題です。いわゆる財政当局がどういう考えであるかということなんです。だから、ただいまの多賀谷君の御質問の趣旨をよく理解して、総理大臣がしっかりやってもらう、こういうこと以外はないと思う。したがって、三木総理大臣、答弁。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 厚生大臣が福祉年金の給付額を二万円に引き上げたいということは、かねがね厚生大臣はそういうふうに考えておったわけでございまして、非常に熱心な主張をされたわけでありますが、予算は全体のバランスというものもありますし、御承知のように福祉年金は、あれは掛金なしでございますから、やはり福祉年金の引き上げというものば直ちに国庫の負担になるわけでございまして、そういう点で財政上やむを得なかった点もありますが、しかしやはり福祉年金の現在の一万三千五百円ということは、低いことは事実でございます。しかし、年金というものの制度、いまのような全体の年金の仕組みというものを厚生省も再検討しようということで、年金全般というものを検討しようという作業をいまいたしておるわけでございますから、そういう中で福祉年金の位置づけというものもやはり考えてみなければならぬ。  福祉年金は、最初、私の時代にああいう創設をしたので、千円から出発をしたのですが、そのときは、生活保障的な意味を最初は持たなかったのですが、いまはそういう意味を持ってきましたから、福祉年金をつくったときの立法的なねらいとは大分変化もございますから、そういうものを踏まえて、年金全体の中でこの問題は一つの処理をしてまいりたい。しかし、いまの福祉年金に対する給付額が適当だとは思わない。もう少しやはり引き上げていかなければならぬ。福祉年金がいままでのような全額国庫の負担で賄っているということに対して、これは財政上の非常な制約もございますから、そういう点も含めてこれは検討をして、厚生大臣の趣旨にできるだけ早く近づけるような努力はいたします。そういうことでひとつ御理解を願いたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実は、委員会できわめて明快に御答弁くださったわけですから、やはり委員会として処置をしてもらいたいと私は思うのです。そうしないと、せっかく委員会ではっきり答弁したことを守らなかったという、ただ私の、質問者と答弁者の問題じゃないと思うんですよ。ですから、こういうきわめて明快ですから、明快な問題はやはり明快な問題として委員会で、委員長が決めるわけじゃありませんが、委員長が、どうするかということを政府に、委員会の責任ではっきり確かめてもらいたい、このことをお願いするわけです。よろしいですか。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 理事会で検討いたします。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それで、私は一点、非常に不思議なことは、厚生年金は御存じのようにもう五十年度末に十二兆あるんだ。それなのにまた保険料を値上げをされる。それからまた、厚生省が社会保障制度審議会に出した資料によりますと、昭和八十五年には三百七十兆の積立金が残る、こういう報告書を出しておる。これは社会保障制度審議会に出した正式な資料ですからお尋ねするわけですが、一体、賦課方式とこう言いながら、まだことし十二兆もあるのを、その保険料を上げていく。それでなくともことしは公共料金が矢継ぎ早に上がってくる、減税はないというときに、なぜ十二兆もあるのをわざわざ上げるのか。しかも、計画によると、昭和八十五年はピーク時ですが、三百七十兆も積立金が出ることになっておる。こういうものの考え方ですね、一体どういうようにお考えになっておるのかということをまずお聞かせ願いたい。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 厚生年金のいまの財政システム、これは修正積立方式でございます。したがいまして、このシステムをとる限りにおいては、平準保険料、つまり年金保険の数理計算上いかなる保険料を現在負担しなければならないかというものが出てくるわけでありまして、このことは積立金の多寡とは一応関係がないということに——それが影響して数理計算ができることは事実でございますが、しかしそうなってまいりますると、現在の保険料、今日お願いをしている金額は、平準保険料の修正率六〇%、つまり六割程度しかまだ保険料、掛金を納めていただいておらないということでございますので、なお若干平準保険料に近づけたいということからお願いをしているわけであります。しかし、このことは、先ごろ来いろいろ議論の出ておりまする年金の財政方式の検討の過程においていろいろと別なお答えが出るものかと思いますが、ただいまのシステムでやる限り、そうしたことを考えることが当然であろうというふうに思われます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 今度の厚生年金、国民年金、いろいろ質問したいのですが、時間がありませんから、最後に一点。  私どもが非常に不思議に思いますのは、どうも年金、共済も全部、恩給時代の流れをくんで、そのとおり踏襲しておる。何も批判がない。その大きい問題は、三カ月に一回恩給が来るとか共済が来るとか年金が来る。通算年金のごときは一年に二回しか来ない。これは不思議ですよ。大体、われわれでも一日給料がおくれると大変でしょう。それを、お年寄りの場合は三カ月に一回だとか、こんなことはわれわれは許すべきでないです。本来、もう一回考え画さなければならぬ。イギリスは週給で来るのですよ。それは勤め人が週給制ですから、それが年金になっても当然週給で来るのですよ。生活様式を変えるわけにいかぬ。  日本の場合も、かつては少なかった時代もあるでしょう。あるいは天皇の御下賜金の恩給の時代もあるでしょう。しかし、今日、この恩給や年金や何かを待っている人に、三カ月に一回しか支給しないなんという方式が一体通用するかと私は思うのですよ。これは三木さん、むずかしい問題じゃない。あなたの時代にこれを毎月払うようにされたらどうですか。それは人件費は要りますよ。あるいはコンピューターも要りますよ。しかし、これは本来、金がかかるからということでお年寄りにがまんをせいという性格のものじゃないですよ。総理は一体どういうようにお考えですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 いま、いろいろないきさつがあって、行政事務との関連もあるのでしょうから、いますぐに私がお答えをするということも少し軽率なので、研究をいたします。言われることの意味はよくわかりますから、研究をさしていただきたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 お答えは、ただいま総理大臣と結論は同じでございます。つまり、われわれはいままで、恩給の流れをくみまして、このことについては余り不思議に思っておらなかったということでございますが、多賀谷さんのおっしゃることもよくわかります。しかし、事務量が現在の三倍になるというふうに言われております。したがいまして、現在でもこの年金の支給事務は非常に繁忙をきわめておって、やっとの思いでやっておるということでございますから、よほどの努力をしなければそのことの実現はなかなか容易なものではないだろう。しかし、先生おっしゃるように、イギリスでは一週に一回払っておりますし、アメリカその他の国ではマンスリーに払っておるようでございますから、どこにボトルネックがあるか、そうしたことの研究をしたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 総理、それは機械も要りましょう。それから、大体五割以上が郵便局から受けていますから、郵便局に口座を設けて振り込んでいくとか、それで、一回一回通知を出してやるけれども、通知は一回出して、次の変更のときに一回通知を出す。そうすると、本人はもうこの月この日に来れば口座に入っているなということで、一度に郵便局に殺到することもない。ですから、これは人員はもちろん要りますよ。それは機械化しなければなりませんよ。しかし、これはみんなで知恵を出してやれば簡単にできることですよ。これはもう思想的にも違わぬわけです。  ですから、三木さん、私は先ほどスト権についていろいろ質問しておりましたけれども、この毎月払いというのは簡単ですよ。あなたが決心をすれば、大した予算は要らぬわけですよ、それを早くシステム化するということをここで公約をされても。いやしくも総理大臣でしょう、これで総理大臣が検討するなんと言う必要はないのです。これはやります、しかし事務的に若干時間がかかります、それはいいですよ。どうですか、総理、このぐらい明快に答えてもらいたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 厚生大臣が言いますように、事務量が三倍になってくる、そういうふうなことですから、これをもっと多賀谷君の言うように郵便局を使って何か簡単な——そういう行政事務が三倍になってまた人員をふやさなければならぬということは時代に逆行にもなりますから、何かそれを受ける人、受給者ができるだけ便利な方法を考えてみる、そういうことで努力をいたします。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 総理、この程度のことははっきり御答弁くださいよ、それはむずかしいことじゃないのですから。それはわれわれの代の責任ですよ。ですから、三木総理大臣にぼくは提言しておるわけですから、この委員会が終わるまででいいですから、早急に検討して、はっきりこの委員会で御答弁を願いたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 どのように改良ができるかということは、委員会が終わるまでに御返事いたします。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて多賀谷君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開いたします。  瞬時休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 私は、総理の第七十七国会における施政方針演説を踏んまえて、外交及び生命の安全の問題につき御質問をいたしたいと存じます。  総理は、この七十五、七十六、七十七国会と三度にわたり日中問題について御説明をなさったわけでございます。しかしながら、その協定交渉がとんざしていることは悲しむべきことではないかと存じます。ところが、この交渉の推進のために、協定交渉だけでなく日常の人事往来、文化交流、貿易、金融、経済協力等を通して友好関係は増進されていかなければならないと存じます。そこまでは恐らく御反論はないものと存じます。  そこで、二、三例を挙げて申し上げるわけでございますが、第一は、一つは石油の輸入についてであります。  中国はいま、貿易赤字が数億ドルの段階になってまいりまして、しかも日本からの輸出は順調であり、輸入は順調でないわけであります。特に絹を初めとする織物に対しては、また生糸に関しては、日本側はそうたくさん買うわけにはいかない。となりますと、どうしても石油に比重がかかってくるわけであります。輸入の状況を見ますと、七三年で百万トン、七四年で四百万トン、七五年で八百万トンと急激に増加しているのでありますが、七六年においては、すでに三千万トンないし五千万トンというような大きな数量を輸出したいという申し出があるようであります。それに対する日本側の業界の返事は、千五百万トン・プラスアルファであるという形で厳しくなっているわけであります。  これは、日中関係の安定化、拡大を考えますとき、この問題は商売をなさっている方々にだけ任しておいていいものかどうかについては疑問があるわけであります。確かに油の質は特殊なものでありまして、非常に硫黄分が少ないが、一面では重質油が多いし、パラフィンが多いわけでありまして、こういうものを受け取るためには重油分解法による工場設備の設定であるとか日本における油の流通機構に対する見直しであるとか、さまざまな政治的施策が必要ではないかと思うわけであります。この問題について政府は、政経分離という形で完全に商売ベースに任しておけば、日中関係はある意味の暗礁に乗り上げてくるわけでありまして、政治的な判断が必要ではないかと思われるわけであります。この点につき御見解を承りたいと存じます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 中国の石油の問題を要点だけ簡単に御説明をいたしますと、まず、埋蔵量が非常に大きいということであります。それから第二は、毎年二割ぐらい増産されておりまして、昨年は大体七千五百万トンないし七千八百万トンの生産があった、そういうふうに想定をいたしております。今後もその増産のテンポは相当大きなものがある、そういうふうに理解をいたしております。  そこで、現在日中貿易は、ただいまお話しのように、昭和四十七年の国交正常化以来非常に順調にふえまして、ここ三年ばかりの間にほぼ四倍近くになっております。ただしかし、これもいまお話しのように若干アンバランスになっておりまして、昭和五十年度は往復で大体三十八億ドル、四十億ドル弱と想定しておりますが、約八億ドル前後のアンバランスになっております。  そこで先方は、急いでこれを直すということはむずかしいにいたしましても、できるだけ早く直す方向で努力をしてもらいたい、こういう強い要請があります。そこで、いまお話しのような石油の問題が出てくるわけでございますが、やはり油の性質が重質油であるということ、日本にはその施設がないということ、それから価格が現状においても比較的高いということ、そういうことがありますので、これを大量に引き取ろうと思いますと、日本で重質油を分解する装置というものを新たにつくらなければならぬ、こういう大きな問題がございます。そうすると非常に高いものにつくわけです。原油そのものが若干高い上にもってきまして、新しくこれを設備をいたしますと、現在設備が余っておりまして七割ぐらいしか稼働しておりませんから、にもかかわらずそこへ新規の設備をつくるということになりますと非常に高いものになりますので、そこで数量と価格の問題が大きな問題になっておるわけです。  先方は、長期契約をする場合には数量には拘泥をいたしません、それから価格については双方が利益になるような形で相談をして解決をいたしましょう、そういう基本原則を示されましたので、この線に沿いまして目下話し合いを進めておるところでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そこで、総理にお答えいただきたいのです。  この問題で、私と大臣との間の質疑で問題の焦点はおわかりいただいたと思うのですが、要するに中国からの油の輸入量をふやすということは、政治的には重要ですけれども、経済的にはコストその他の問題で幾つかのネックがある状況になってまいりました。そこについて政治的な何らかの配慮、重質油の分解装置に対して日本側で何らかの形で設備するか、あるいはこうした固まりやすい油の運搬、流通システムについて何らかの指導を行うか、そうした態度が行政的に必要であります。その辺は御研究をいただけないでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 中国は近距離にありますから、輸送についても中東の石油よりも非常に便利な点もございますし、日中の将来の経済関係の発展を考えれば、相当中国の石油というものはこれをふやしていくことがよい。ただ、いま御指摘のように、これは製油の工場というものに対して相当な多額の設備投資が必要でありますから、したがってこれは計画的にそういう製油工場というものを、設備を新しくやっていかなければならぬので、すでにそれは開始をしているわけでございます。今後千五百万キロリットル・プラスアルファということを目標にしておるわけですが、これはやはり、将来は政府は中国の石油の輸入をだんだんとふやしていくという方向で、その設備投資などに対してもできるだけの協力をいたす所存でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それから中国に対する延べ払い輸出、その他諸国に対する延べ払い輸出の条件につきまして、ワシントン合意が存在することによってわが国のみが不利になり、それが日中貿易にはね返っているのではないかという予想といいますか、うわさといいますか、そういう話が流れておるわけであります。当然わが国として対応しなければならぬ問題ではあろうと思うのでありますが、きょうはまず、そのワシントン合意の内容について御説明を外務大臣からいただきたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 世界的にこのような不況であるということが背景になりまして各国が機械、プラント等の輸出について、ともすれば非常に経済条件をいわばやさしくするといいますか、条件を緩和するというような動きが一般的に出てまいりました。それがお互いにやや競争的な姿になってまいりますと、結局、輸出側が自分の首を絞めるというようなことになりかねないというような背景がありまして、ある程度輸出延べ払いの条件について合意をしておこうではないか、しばしば言われますことは七分五厘というようなことでございますが、そういったような先進国側、工業国側の合意というものがワシントンで行われて、それに従って、それを基準にして輸出延べ払いの金融を、いわば過当競争にならないようにしようではないか、こういう合意が主として財政金融当局の間でなされた、それをワシントン合意と私ども呼んでいるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 この問題については諸外国とも同じような条件であるならば特別中国が不利になるというわけではないかと存じますが、運用については十分の注意をいただきたい、こう思っておるわけであります。  さらに、私どもが心配をいたしておりますのは、最近中国に対して対潜哨戒機であったPS1、この間河本大臣が特に武器輸出の中に加えたいと仰せになりましたものでありますが、これを中国に十数機輸出するというようなことがもはやすでに報道されておるわけであります。このようなうわさというものは対ソ関係を緊張させるだけでなく広義の意味では日中関係の大きな阻害になるかと存じます。こういうPS1とかC1の中国に対する輸出とかソ連に対する輸出というようなものは、当然武器輸出三原則に基づいて、なさらないのが妥当だと思いますけれども、政府はその辺外務省の日中関係に対する態度とはお違いで、通産省はまた別の御判断があって売りつけようとなさっておるのかどうか存じませんものですから、あえて伺うわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 私は、いまお述べになりましたような引き合いがあるということは承知しておりません。  それからいまさつきのお話で、先ほど私がこの席で答弁いたしましたことと少し食い違いがありますことは、武器輸出三原則に基づいて輸出をしたいということを言ったのではなくして、武器輸出三原則に言うところの武器には該当しない、こういうことを言っただけでございます。  ただしかし、外国為替及び外国貿易管理法という法律がございまして、その法律の第四十八条には、輸出貿易を考えますときに、国民経済全体、あるいはまた外貨、それから貿易全体、それをよく総合的に判断をして輸出貿易をしなければならぬという趣旨のことがございますので、いまおっしゃったような引き合いが仮に将来具体化するといたしました場合には、やはり武器輸出三原則ということよりも、その法律に基づきましてケース・バイ・ケースで慎重に対処してまいりたい、こう思っております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 くどいようでありますが、大臣、そうしますと、中国に向けあるいはソビエトに向け、こうした前に武器であり、いまはあなたが武器でないと仰せになりましたPS1やC1のようなものは輸出をなさるという意味ですか。ケース・バイ・ケースでというのは、C1は許可してPS1は許可しないというような言い方でいらっしゃるのでありますか、その辺のところを、ひとつ将来に禍根の残らないように明快に御返事をいただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 US1とそれからC1につきましては、前は武器であると考えておったけれども、今回は武器でないという判断を下した、そういうことではございません。先ほど質問がありまして、この二つの飛行機は武器と考えるか、こういうお話がございましたので、それは武器輸出三原則に言うところの武器ではございません、こういう答弁をしただけでございまして、これまで武器ということにしておったものをそうでないということにしたわけではない、こういうことでございます。(渡部(一)委員「対潜哨戒機は武器ですよ」と呼ぶ)  それから、もし将来引き合いがありましたときにはケース・バイ・ケースで処理する、こういうことでございます。  対潜哨戒機は武器だと思いますが、US1はこれを根本的に設計を変えまして海難救助艇にしておるわけでございまして、対潜哨戒機とは違うわけです。もとの設計をある程度取り入れてはおりますけれども、これは海難救助艇でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 大臣すらすらお答えにならぬからだんだんこじれてくるのですけれども、PS1は前は武器だった、改造して武器でなくなったというふうにあなたはいま御説明になったのです。だから前は武器だったものを、ほぼ同形式なんですから、まさに武器の部分を外しているのですから、武器だったものをいま中国やソ連に対して売るということは中ソ紛争の真っただ中に巻き込まれるのでしょうから、あなたの御答弁は、外務省や総理ともよく御相談なすって、国防会議の席上でもよく御相談なすって、それらの禍根を生じないようにしたいというのが、あなたの御答弁としてはいいのじゃないですか。そうあなたおっしゃらないで、ケース・バイ・ケースで処理するとおっしゃるから、あなたはもう中国とソ連に武器を売りたくてうずうずしている人に見えるのですよ。だから、私は何回も何回も聞かなければならぬし、時間ばかりたつ。さあ、どちらがあなたの御答弁としていいのですか、お答えください。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 武器を積極的に売り込もうというふうな考えは毛頭ありません。日本におきましては過去三ケ年間、武器の輸出と言えば、前にも申し上げましたが、ピストル二丁しかございませんし、それだけの実績しか日本にはないわけなんです。しかも、価格が非常に割り高でありますし、それからいまさら日本が幾ら努力いたしましても、この分野で成果が上がるものではありませんから、武器の輸出などということは一部の新聞記事になっておるだけでございまして、政府の方では何も積極的には考えておらぬわけです。  そこで、先ほどのお話でございますが、武器輸出三原則に言う武器ではありませんけれども、しかし、国民経済さらにまた貿易全体の立場を考えて、今後そういう引き合いがあった場合には、十分慎重に対処してまいりたいと思っております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それで、売らないのか売るのか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 ここで一概に確定的な返事をするのはちょっと差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても慎重に対処をいたします。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 総理、そろそろ聞いてくださいよ、あなたの出番です。あなたは、日中平和友好条約の推進を施政方針演説で三回述べられました。そのほか、合わせますと無慮数十回であります。ところが、表面は七十五国会、昨年の冒頭には本年じゅうに締結するともう明瞭に述べられました。そして七十六国会でも同趣旨を述べられて、七十七国会のこの間の御説明によりますと、努力するという表現にずっと変わられました。あなたはときどきうんとお変わりになりますから、驚くわけではないのですけれども、それにしても、私ちょっと皮肉を申し上げるのは、本気でやるお気持ちがあるかどうかについて、私はわからなくなってきているからです。  特に、いま関係大臣から私は簡単に二、三聞いてみました。石油輸入の問題、あるいは延べ払い輸出の問題、対潜哨戒機の問題、簡単に伺いましたけれども、対潜哨戒機の問題でも、慎重に検討するという言い方だけでは、これは大きな禍根を日中問題に生じそうなテーマです。あなたが本当に日中問題を一生懸命でおやりになったら、こういうことはもうとっくに指示が出ていて、そんな昔対潜哨戒機に使ったものを中ソのどっちかに売るなんというのは、いま不穏当だからちょっとやめておきたまえ河本君、というふうにあなたは言える立場のお方ですね。これは、言えないのか言うつもりがないのか、いろいろ議論の分かれるところでありましょうけれども、これはひとつ、総理があいまいなことが閣僚にも影響している姿であろうと私は思うわけであります。それは日本の閣僚に影響しているだけでなくて、中国側の幹部の中には、日本政府の日中問題に対する態度は、たとえて言うと雷が鳴って雨が降らないときと一緒である、日中平和友好条約をやるという声は聞こえるけれども行動がない、こういうような比喩で述べておる者さえあるわけであります。  私はまことに残念でありますが、日中問題に対する、総理の例の覇権問題に対する御見解、あるいは四つの総理の基本的なお立場は了解しておるわけでありますが、そのお話があっても、向こう側がそれでは不十分だと思い、回答でないと思っておるわけであります。ここは新たなる行動が必要か、新たなる考え方が必要ではないかと思われますが、総理はこれを前にお進めになるおつもりがあるかどうか、お伺いをしたいわけであります。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 ちょっとその前に一言だけお答えをいたしますが、対潜哨戒機につきましては、これは武器でありますから、中ソに対して輸出する考えは毛頭ありません。ただ、これを根本的に改造いたしまして海難救助艇にしておるわけです、US1というのは。ですから、これは全然違うわけなんです。この海難救助艇につきましては、ケース・バイ・ケースで考えていくということでございまして、これを二つに分けて考えていただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 日中の平和友好条約締結について、私が本気かどうかという質問をいまさら受けることは、心外千万に存ずる次第でございます。歴史的に考えてみても、日中の国交正常化に対して非常に熱心に主張し、そういうことが実現する一つの環境というものをつくるために私が努力したということは、歴史で明らかなとおりである。だから、私ができるだけ早くこの問題を妥結をしたいということについては、もう渡部君とも何も変わりはないわけです。しかし、この問題は、日中間のただ一時的なものでない、永遠の友人でありたいと私は願っておるわけですから、両国が納得のできるような形で日中の平和友好関係の基礎を固めたいということでございまして、中国側でいろいろなことを言っておるというのは、私はそういうことを一々気にしない。私の本心は日中の国交、日中の平和友好の基礎を固めることがアジアの安定のための一つの基盤をなすものである、この信念が変わったことはない。だから、一々いろいろなことを、こう言っておる、ああ言っておるということを私は気にしない。私の本心はやはり早く締結したいということであります。  日中間の意見というものは私は大きく食い違ってないと思っておるわけです。覇権はわれわれも反対であります。強権によって自分の意思を他国に押しつけるようなことが平和の原則に反することは明らかであります。だから、覇権反対ということは、われわれとしても、日本としても何らの異存はないわけなんです。日本はある特定国を予想してそう言うのでなくして、これはやはり平和の原則の一つである、こういうことで覇権反対というものを日本が考えておる。だからこそ、共同声明の中の覇権というのも、何ら問題なしに覇権というものを日本が共同声明に入れたのも、そういう原則のもとに入れたわけでありますから、大きな食い違いが日中間であるとは思わない。  いまどういうことをやっておるかということについて、外交交渉の内容に触れてここで申し上げる適当な時期ではないと思っておりますが、これは長いこと、共同声明からもう三年になりますか、今年はぜひとも日中平和友好条約の締結の年にしたいと深く私は考えておる次第でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 総理いま今年はやりたいとおっしゃったんですね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 締結の年にしたい……。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 締結の年にしたいとおっしゃった。それは総理、ここで言明なすったのですから、締結の年になさるためには、まず自分である決断をなさなければいけないだろうと思います。自民党の久野忠治代議士が、一月十三日、訪中後の記者会見において、中国側は三木首相の早期締結姿勢が真意かどうかを見ており、今日までの交渉方式で締結ができるかどうかは総理の決断にかかっておる、覇権条項を平和の普遍的原則というようなことでは交渉は進展しないと述べております。これは、向こうの言うことを気にしないのは結構ですけれども、交渉というのは、向こうの言うことをやはり聞いた上で反応しなければならぬと思います。ですから、こうした反応をしているという事実を十分踏んまえた上、適切な決断をなさることをお勧めしたいと存じます。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は、気にしないというのは、新聞にいろいろ出るでしょう。久野代議士がどう言った、こう言った、いろいろなことに対して一々私は神経をとがらせない。私自身はやはり、また久野君自身も私に説明しておりました、新聞の記事が正確でないということを説明しておったんですから……。一々そういうことでなくして、やはり外交のルートがあるわけですから、それで日中間の相互の理解を深めていかないと、中国がどういうことを考えておるかということは、われわれとしてもこれはやはり関心を持たなければならぬが、北京へ行かれた人がいろいろ新聞で言われますね、一々これに対してわれわれが神経過敏になってどうだこうだというふうには考えない。外交ルートを通じてこの問題は処理していきたい。そういうことで中国がいろいろ考えておることは、それは関心を持たなければならぬことは当然でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 いろいろ新聞記事、気にされておられるんでしょうけれども、総理になってしばらくすると、新聞記事が気になるようですから。そういうのでなくて堂々と仕事をやっていただきたいと私たちは思っているわけです。  一九七二年の米中上海コミュニケにも覇権反対が明記されており、フォード大統領の訪中後発表した新太平洋ドクトリンにも覇権反対を述べており、最近中国がフィリピンとかタイとかの国々との間で共同声明の場合に覇権反対を明記されておるわけです。これらの覇権反対と、日中間の覇権反対との考え方に解釈上の相違があるかどうか、特にソ連側の主張、特に日本の覇権反対に対して、ソ連側が強い関心というか興味を持っているわけでありますが、こうした問題について、これらの国々との覇権反対の態度と日本の覇権反対の態度とについてどういう考えをお持ちか、外務大臣からお答えをいただきたいと存じます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 この問題につきましてのわが国の基本的な考え方は、しばしば総理大臣から御説明になり、また私も国会で申し上げましたところで明らかであろうと存じますが、先般グロムイコ・ソ連外務大臣が参りましたときに、やはりこの問題が議論になりました。せんだって総理大臣がたまたまこの席上でお答えになったことでございますが、一九七二年の五月の米ソの基本関係についての取り決めの十一項には覇権という言葉は使っておりませんけれども、内容はきわめてそれとほぼ酷似したと申しますか、同種のことが書かれてあるわけでございます。それについては米ソで合意をしておるということである。また、一九七四年の暮れに国連で採択になりました諸国民の経済憲章についての宣言でございますか、この中では覇権条項、覇権反対ということが言われておるわけでございますけれども、それについてソ連は賛成をしておるという事実がございます。といたしますと、私どもが考えておるような覇権、それについての態度というものは、ソ連といえどもただいま申し上げましたような具体的な例から見て反対をする理由がないのではないかというのが、私がグロムイコ外務大臣に述べたところでございます。  それに対して先方はどういう考えを申しておるかと申しますと、そのような通念というものと、中国が具体的に考えておるところとが同じではないのではないかというような疑いをソ連としては持っておる、こういうのがソ連のこれについての考え方であったわけでございますが、しかし、そのようなことは私どもに関係のないことであって、われわれとしてはわれわれの考えに基づいてそのような問題として覇権をとらえ、そうしてそのような問題としてそれが条約に盛り込まれることは少しも日本としては差し支えないと考える、こう申したようなわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それではその問題はおきまして、海洋法の会議が三月に行われるわけでありますが、この問題にちょっと触れたいと存じます。  一般的に国家は領海を支配するわけであり、この国家の権能は主権でありますが、領土におけるほど排他的でなく、国際法上の制限がございます。これは外国船舶の無害通航を許可している点であります。     〔委員長退席、正示委員長代理着席〕  問題は、この海洋法会議において、日本の領海を十二海里にしてもらいたいという日本の零細沿岸漁民の強い希望が存在し、それに対して政府はこたえていかなければならぬという点と、もう一つは、経済水域二百海里の設定というものに対して、わが国漁民の既存権益をどうするかの問題に迫られているわけであります。  特に、その前半の十二海里の策定というものが、対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡の三つの海峡について、いわゆるわが国の領海として確定できるという一面と同時に、国際海峡として自由航行が許されるということを要求されるという面が存在するわけであります。したがって、この問題については、目下交渉中の事項でありますし、わが国の態度はきわめて微妙であろうかと存じます。しかしながら、多くの漁民にとって重大関心事でありますとともに、わが国の将来をはかるまさに緊急の課題ではないかと思うわけでありまして、わが国の領海の中を外国軍艦が国際海峡であるからというので堂々と通航するなどということは、わが国としてはきわめて大きな関心を持たざるを得ない問題だろうと思います。  この問題は、まさに公式の場で余り御説明が最近行われておりませず、この委員会までの二カ月間、各種報道によって日本政府の見解が次第次第に固まりつつあることを感じておるわけでありますが、この問題について、これらの三海峡に対して、まずずばり伺うのでありますが、国際海峡と認め、それによってインドネシアを初めとする、日本のタンカー等が諸外国の国際海峡を通過できるような利点を確保するというふうに考えるか。そうでなければ、逆に国際海峡と認めず、一般商船の無害航行権を要求する、そういう立場で突っぱねていくか。または中間的な措置を何らかで考えるか、あるいは条約に留保をつけるか、あるいは関係各諸国との間で個々的な協議を行うか、まさに問題は多様であります。この辺の問題をひとつまずまとめてお伺いをしたいと存じます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 問題の核心並びに状況は、ただいま渡部委員が御指摘になったとおりでございます。  今年の三月からニューヨークにおいて海洋法会議が開かれまして、私ども期待しておりますのは、恐らくはそれにすぐ引き続いて会期を設けることによって実体的な、最終的な結論が得られるのではないかというのが、ただいま私どもの期待をしておるところでございますが、他方でわが国の近海における、ただいま御指摘のソ連等の操業がございますので、そのような事態にもかんがみまして、昨年の十一月にこの問題について政府として検討する必要があると考えまして、内閣官房を中心に検討いたしてまいりました。その結果、つい二、三日前でございますが、閣議におきまして官房長官から報告がありまして、それを閣議としては了承をいたしたわけでございますが、それはもう御承知と存じますけれども、領海を十二海里にするということが基本的に望ましいことである。ことさら漁業の問題もあるので、そうであろう。そうしてそのためにはいろいろ検討したけれども、わが国としては新しい立法を必要とする。ただその立法をどの時期に国会に提出をして御審議を仰ぐかということについては、海洋法会議の帰趨及び海洋法会議議長が各国に対して、各国がばらばらの立場で問題を先取りすることを控えてほしいとたびたび訴えておられるような状況もあるので、立法の時期については慎重に検討を要するということが、ただいまの政府の、概して申しまして態度でございます。  したがいまして、私どもいま考えておりますことは、御承知のように米国がこのたび、間もなく上下両院の意見を両院協議会において一致をさせることによって、恐らくは一九七七年の七月かと存ぜられます、これはまだ未定のことでございますけれども、から、取り締まりの実体を伴うような二百海里の漁業専管水域を設けるのではないであろうか。メキシコの方はすでに二百海里の法案が成立しておりますけれども、大統領が署名をしない状態である。これらがすべて、恐らく海洋法会議はとにかく今年中には結論を出せという一つの意思表示として私ども受け取ってよろしいのではないかと思うにつきましては、わが国もそのような国内的な基本方針を決めることによって、今年国際海洋法会議が実体上の結論を得ることを促進する、そういう動きをすることが一番望ましいのではないか、こう考えておるわけでございます。また現実に米国、メキンコ——そういたしますと、カナダはいっでも行政で宣言ができるように授権を取ってございますから、及びわが国ということになりますと、今年海洋法会議が実体的な結論を出すためのいわば圧力が、いい意味での圧力でございますが、かなり準備されたという状況、そこへ持っていきたいと考えておるわけでございます。  他方で、仮にそのようにいたしまして、今年三月あるいはその次に設けられるいわばエキストラの会議によって実体的な結論が出る、そのような過程を考えてみますと、先般、昨年の会議が終わりました際に、議長から非公式な単一草案というものがすでに各国に回されておりまして、その後、その単一草案をめぐりまして各国が非公式に今日まで会合を重ねております。したがいまして、三月の会議からはその非公式単一草案をめぐっての各国の意思統一が始まるのではないかと考えておりまして、御指摘になりました国際海峡の問題は、その単一草案におきましては、できるだけ外から干渉を受けないと申しますか、インビードされないと書いてございます。インビードされない形での国際海峡というもの、これは新たに国際法上そういうものを設けるということになるわけでございますが、それが望ましいという趣旨で単一草案は書かれておりますので、しかもこの考え方は、アメリカ、ソ連がおのおのの立場から根本的には支持をしておる。概して先進国に多くの支持があり、若干のその他の国にもう少し主権を強くしたものにすべきであるという反対論がある。そのような形で三月からの会議が進んでいくであろうというふうに思われます。  わが国といたしましては、いずれにいたしましても、海洋法会議でその問題を含めて全部の要素についていわばパッケージの結論が出ることを望んでおりますので、そのような結論が出れば、これは新たな国際法になっていくわけでございますので、それに従いましてただいま御指摘の問題も処理をすることがわが国の国益に最も沿うゆえんではないかというふうにただいま考えておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 詳細にお話をいただきましたので、私の質問すべきこともほとんど含まれているかと思います。ただ私は、この際、やり方についてでありますが、海洋法会議の結論が出るのを待ってわが国の対策、態度というものを最終決定するというので、それはよかろうと思いますけれども、そのもう一つ前、海洋法会議へ行く前にわが方の腹づもりがあってしかるべきだし、当然考えてもおいでのことだろうと思います。  私は、特に平和憲法を持つ日本国民の一人として、憲法三原理がまず侵されないような配慮をなさること。第二に、日本のそのような領海の中に入ってくる一般潜水船については、これは海上に浮上することはいままでの領海及び領海水域に関する国際的な、日本も参加している協定にもあったわけでありますから、その潜水船浮上及び国旗の掲揚義務に関しては断固がんばるべきであること。またこの領海の伸長、領海が一般的に言ってこの海洋法会議において伸長するわけでありましょうけれども、その事実がやはり同じように領空の拡大も伴うのでありましょうから、その領空の拡大が、領空のところに、海上での国際無害航行並みに外国軍用機の通行を許可するようなことにならないよう十分配慮をすること。また、わが国の漁船の権益が最近韓国漁船あるいはソ連漁船によって大幅に十二海里前後のところで侵されつつあるという状況がありますから、その十二海里問題とあわせてわが国もまたわが国漁業を保全するための何らかの施策を十分用意された上で行かれること。もしそうでなければ、一方的な二百海里漁業専管水域の宣言などによって、留保も何もつける間もないうちにやられてしまうおそれがあるので、その辺も十分配慮をなさること。またアメリカのこの専管水域二百海里の宣言が一方的に行われ、かつわが国政府の要望は事実上無視された形になっているわけでありますから、これに対して、わが国漁業の権益を保護するために、日本漁業の漁獲高の約二割に近いと言われているこれらの権益に対して、アメリカ政府に対して交渉を早急になさること。  こうしたことをとりあえず要望したいと思いますが、いかがでございますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 第一のいわゆる国際海峡と言われる問題につきましては、ただいま渡部委員が御指摘になりましたような幾つかの問題が確かにあるわけであります。最後にどのようなレジームができ上がるにいたしましても、いわゆる沿岸国が全く主権を失ってしまうという状態になることは恐らくこれはないことでありまして、航行の安全でありますとか、あるいは環境の保全でありますとか、漁業でありますとか、関税の関係でありますとかいうものは何がしかのものは残るということは、私は、これは単一草案等々から考えまして間違いないところだと考えておりますが、いずれにいたしましても、わが国の場合には、御指摘のような問題を十分注意しつつ、海洋法会議が最終的な結論を得ますために努力いたしたいと考えております。  次に、アメリカの二百海里宣言との関連でございますが、これにつきましては、いわゆる米国としての適正漁獲量を超えるものについては、従来の実績を尊重して各国との間の協議をするということでございます。したがって、全く締め出されるというような姿になるわけではなかろうと思いますけれども、御指摘のようにこれは早くから協議に入る必要がございまして、たまたま日米の取り決めが間もなく期限も参りますから、今年の五月ごろから米国側とその問題については協議に入りたいというふうに考えておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、まだお伺いしたいことが山ほどございますが、特にいま飛ばしてお答えがございましたから、わが国の諸法令がこれらの領海の伸長と相まって十分守られるようにしていただくこと、特に私が申し上げましたのは潜水船の浮上及び国旗掲揚の義務についてはがんばっていただくこと、これはひとつぜひお願いしたいと思いますが、大体お答えになったと思いますが、もう一回念押しでひとつお願いします。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 そのようないろいろむずかしい問題がございます。わが国の実情も踏んまえながら、ともかくわが国として国益を損しない形での国際海峡というものが国際法でできるように努力をいたしたいと考えます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それから、核拡散防止条約についてでありますが、これは総理にお答えいただかぬとなりません。  核防条約については、これまで三年間経過をいたしました。前国会で私は外務委員会におきまして、総理にこの問題に対する態度があいまいであるときわめて強く申し上げたこともございました。核防条約の審議に当たって一番大事なことば、日本の非核三原則の運用においてこれが明示され守られるかどうかであります。特に、自民党内の意見を取りまとめたと言われたいわゆる総務会の六項目というものについては、あれは政府の意向ではないということで私たちは御説明を承ったわけでありますが、その点と、改めて申し上げますが、非核三原則の厳格な運用を期する、したがって、安保条約の事前協議のイエス・ノーについても非核三原則に基づいてこれを行う、この点を明示していただく必要があるかと存じます。この問題は、核防条約審議に当たっての重要な課題でありますので、総理の基本的なお考えを一言お願いしたいと存じます。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 核防条約はいろいろいきさつがあって延びたわけですが、この国会ではぜひ批准を受けたいという強い希望を政府は持っているわけですから、どうか公明党におかれても御協力を願いたいと思うわけでございます。  それから、非核三原則というものはやはり日本はあらゆる場合に堅持してまいりたい、これはもう事前協議の場合においてもそういう考え方には変わりはございません。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 余り簡単におっしゃったので私はあれでありますが、安保条約の運用、イエス・ノーを、安保条約の事前協議の運用に関しても当然非核三原則に基づいて運用する、こういうことでございますね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 非核三原則のこの政府の方針は、あらゆる場合に貫きたいという考えでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは、私は少し方向を変えまして、食品添加物の問題、飼料添加物の問題、畜産飼料添加物の問題等に関する政府の施策につき、次にお伺いしたいと思います。  総理は、今回の施政方針演説におきまして、四つのルールを申し述べられましたが、そのうち、生命をいたわる人間尊重主義の徹底と言われました。総理、恐縮ですが、これから私が一つずつ一つずつ、前回の予算委員会におきまして、私は人間の命を守るためにどういうことをいま考えなければならぬかという点で食品添加物問題を取り上げました。総理は非常に喜んでくだすったのか、委員会が終わった後この委員会の出口まで私を追っかけてこられて、これはいい問題だったし、ぜひとも推進したいとまで述べられたことは御記憶に新ただろうと思います。人間の生命の安全と健康の保持は人類生存の基礎でありますから当然考えなければならぬことでありますが、遺憾ながらその後の状況がよくないのであります。いまここで述べますと、まず食品添加物問題からいきたいと存じます。  その前に、そこへリストを差し上げてあると思いますが、私の質問資料の二ページをあけていただきたい。総理、このリストの中の二枚目をひっくり返していただきます。  ここの中で、この下のところは、食品添加物がだんだんだんだん許可されていきまして、この一番下のカーブは食品添加物がついに三百三十三種類も許可されていることを示しているわけであります。ところが、その数字とほぼ合わせるように、上に二本のカーブがございますが、これは先天性異常発生率のカーブと無脳症発生率のカーブであります。この先天性異常の発生率のカーブと無脳症の発生率のカーブは非常に科学的におもしろい意味合いを持ちますが、ここではそれは省略させていただくとしまして、明らかにこの無脳症の症候群のカーブが食品添加物の数字的なカーブと似たカーブをとっていることに御注目いただけるだろうと思います。この一番下と一番上のカーブです。  これはもっとすごい例が後ろにございまして、それから三枚めくっていただきますともう一つグラフが出てまいります。これは農薬によって人が死んだ統計であります。これは昭和二十八年から四十八年まで、約一万五千人に上るまで死亡者が増大していったことを示しています。このような膨大な死者がここに誕生しつつあるわけであります。  食品添加物、それから飼料添加物、飼料というのは牛、豚、鶏のえさであります、それから農薬というこの三つの添加物群は人間の口に直接入りますので、よほど厳重な規制が必要なのであります。  そこで、申しわけない言い方になるのでありますが、これについて一体どんな検査が行われてきたか、めんどうなので私がこちらに書いてまいりましたのですが、簡単に言いますと、昭和二十三年、食品添加物が許可されました当時は無検査で六十品目がまず許可されました。それから、三十年に、森永砒素ミルク事件が起こりましたときに、この添加物の種類が、いままで天然物は大丈夫と思っていたのが違ったというのでまたどんと入れました。しかし、ろくな検査は行われておりません。昭和三十七年、WHOの指摘がありまして、昭和四十年ごろからようやく検査が始まったわけであります。慢生毒性の検査が始まったわけであります。そして、四十五年から催奇形性試験、四十六年から代謝等精密試験、四十九年から次世代試験というふうになってまいりました。事実上の試験が始まったのは昭和四十九年から、いま見て科学的評価にたえられる試験は昭和四十九年ごろからと見て差し支えないわけであります。ところが、昭和四十九年というのが、昭和四十九年に一体何種類検査が行われたか、これは当委員会において質疑応答が前に行われた際に、二品目でありました。三百三十三のうち、当時はもうちょっと多かったのですが、二品目、実際行われたのが四品目であります。それで、五十年度再点検品目として、これは厚生省から出していただいたリストでありますが、安息香酸と安息香酸の誘導体の四品目であります。昭和五十一年度については何品目行われるかというと、これがやはり四品目なんですね。それで、五十年度三千七百三十二万五千円が、五十一年度は五千九百五十二万三千円であります。つまり、インフレの伸びを考慮しますと、予算的にはふえていない。四品目しか検査できなくて、今度も四品目ですから、事実上は三百三十三のうち——検査しなくてもまあ何とかいけそうだというのも確かにございますが、少なくとも三百三十三のうち、五十一年度終わりでも八品目しか検査が終わっていない。三百二十五は未検査であるという結論しか出ないのであります。  いま、不況の真っただ中でありまして、景気回復は確かに重要な意味があると私は思いますけれども、その景気回復が公共土木事業を優先するのか、あるいは庶民の減税あるいは何かを施して生活を優先するのかという論戦が、テーマ、主題はともかくとして、ずっと当委員会で繰り広げられました。だけれども、それらの論戦のもう一つ基礎に、人間の命だけは、とりあえずこういう大変なときだから先に守ろうじゃないかという御提案があってしかるべきだろうと思うわけであります。  総理はこう言われています。「国民の生命の安全を保障する上で、政府の責任はきわめて重大であると考えております。」と言われておる。食品添加物については行政管理庁が以前にこれを調査されたことがある。そしてこうした問題、最近問題になっておる赤色二号を初めとする色素群についても警告をなさっておる。しかし、行政管理庁はそれ以上は何もなすっていない。また、科学技術庁は、科学的諸機関を動員すれば当然こうしたものは連絡調整の重要な課題であるにもかかわらずやっておられない。担当の厚生省のお役目は別として、これらの諸機能が動いておるならば、こんなばかな話はなかったのではないかと思われるわけであります。少なくとも非常な、異常な問題である。はなはだ不本意でありますし、この間と、一年前と総理はかわっておられませんでしょう。厚生大臣もかわっておられない。三百三十三のうちまだ四つしかことしはやられていない。これはちょっとひど過ぎるのじゃないか。また、こういう予算を査定なすった大蔵省の御関係担当官の責任というものは、これは重大と考えなければいけない。ゆっくりやってもいいじゃないかという議論も成り立ち得るが、ゆっくりやっていいと言うんだったら、この異常出産の巨大なカーブ、これに着目しなければならない。その意味でこの食品添加物問題は、政府の姿勢をあらわす重要な課題だと思うのです。  それで私は、いま名前を挙げた各大臣にまず御説明を求めたい。科学技術庁長官、行政管理庁長官、厚生大臣、そして大蔵大臣にまず伺いたい。どういうお気持ちでこんな予算を通されたのか、どういう意味で四品目しか今年検査をなさらないのか。こういうことでよいものであるかどうか、人間の生命の問題が余りにも軽視されておったのではないかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 全体としてお答えをしておきたいのですが、前回も私、非常に感銘を受けたことは事実です。人間の生命ということになってくると、食生活の安全というものは非常に基本的な問題でありますから、そのためには、やはり一つの検査研究体制というものを整備する必要があるということです。  渡部君御承知のように、国立衛生試験所というものを強化し、五十年、五十一年、今年度それは整備が完了する予定であります。国立衛生試験所に医薬品食品安全センターという、仮称ですけれども、これを設けて、医薬品、食料及び食品添加物の各種毒性試験及びこれに関連する研究を行うことにしたわけです。なお、この医薬品食品安全センター、これに対する建設費もこの予算に計上しまして、そして、いま申したような検査、研究体制というものを整備していきたい、こういう方針でありますが、個々のことについては大臣からお答えをいたします。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○佐々木国務大臣 科学技術庁では、御承知のように研究経費の見積もり方針の調整といって、予算の前に、各省の研究費の中で今年度何を重要な問題として取り上げるかといったような方針を各省に示しまして、そして、その方針に従いまして、各省ではその重点事項に対してこういうものを要求したいというので大蔵省と折衝いたしまして、予算を取るわけでございますが、その中にはいまのお話の食品添加物とか飼料添加物あるいは農薬の安全性の問題等、特に重要な事項として方針を示しまして、それによりまして、各省がそれぞれ経費を要求するというふうな手順をとってございます。  それからもう一つは、特別研究促進調整費という、予見しがたい、しかも緊急を要する研究が年度の途次生ずることがございますので、そのために、特別研究促進調整費というものを毎年十四億、十五億近くちょうだいしまして、それによって研究を進めているのでございますが、その中で、具体的に申し上げますと、PCPの対策研究とか、あるいは母子の健康に関する有機塩素剤の影響に関する特別研究費とかいったようなものをつけまして、そして研究をお願いするのでございまして、これらは御承知のようにみな禁止されたわけでございますが、その政府の禁止措置に対しては大変役立ったように承知してございます。

松澤雄藏自由民主党行政管理庁長官

○松澤国務大臣 御指摘の食品添加物の問題につきましては、一つとしては、世界の保健機関の評価、食品への使用実態等を勘案し、使用基準の整備を図ることやら、あるいはまた安全性の高い代替添加物があるものについては、これに代替させること等につきまして勧告しております。  なお、この勧告については、厚生省においても、所要の改善措置を講ずることについて目下鋭意検討中であるというふうに聞いております。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 食品添加物の再評価試験、これは昭和三十七年以来やっているわけでございます。現在、毒性試験については、先生おっしゃるとおり去年四つ、ことし四つというくらいでありますが、そのほかに実はいろいろな試験をやっているわけでございます。したがって、昭和五十年度における実施項目は、慢性毒性試験のほか四つの試験が進行中で、新規七品目、継続六品目、延べ二十四試験の実施をいたしているわけでございますし、また五十一年度においても新規十品目、継続十品目、延べ三十二試験の検査を実施しているわけでございまして、毒性だけについて言えば四つ、四つということになります。つまり試験の項目、試験の種類も非常にふえてまいりましたものですから、いまいろいろとやっているわけでございますが、何分にもキャパシティーの問題もございまして、これを極端にふやすことについてはなかなか容易ではないというところだろうと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 総理、ここでこういうふうにお答えになったのを見れば、厚生大臣が言われたのは苦悶されているお答えですね。私、毒性試験の分だけ挙げたのは、何も検査というのは毒性試験も、発がん試験も、次世代間試験も、遺伝子の試験も、染色体の試験も全部やらなければいけないんだ。お金がない、向こうは。そこでお金がないのでどういうふうにするかというと、特に危なそうなところだけ先にねらい撃ちして、この物は毒性試験をやる、この物は遺伝子の試験をやる、これは発がん性の試験をやる、まあ発がん性はほとんどやっていないのですが、そういうチェックをまるで何と言うんですか、ばらばらに碁石を打つみたいにやっているわけなんですよ。だから実質的に言うと、三十何品目やったとしても、でき上がるのは四品目ずつぐらいしか、その一番やってない部分に合わさってしまう。だから、結局は数百項目、三百三十三のうちほとんどというものが無検査で残ってしまう、こういう状況にあるわけですね。  ところが、国立衛生試験所ですが、私行ってまいってみまして、いま総理の言われた医薬品食品安全センターはもうのぞいてきたのです。この話、後でするつもりでしたが、お話が出ちゃいましたから先に申し上げますが、これがもう全然規模が小さくて役に立たない。これは現場で、あるいは実際のそれ以外で科学者たちを集めて聞いてみますと、話にならない。どうして話にならないかと言いますと、いままででございますと、慢性毒性試験のようなものだったら、マウスといいまして、ネズミの親戚みたいなものですが、それで千匹ぐらいの試験が行われておる。ところが、発がん性の試験から上のめんどうくさい試験になると、大体一万匹は要るんですね。そうするとかごが一万要るわけです。その各種試験ですから、十万かご要るわけです。いま国立衛生試験所ではかごをどのくらい置けるかというと、三千ないし五千くらい置いたらもう超満員なんですね。試験をしたくてもできない。これは、行ってごらんになるとわかりますが、ものすごいマウスやラットのにおいがする。これはにおいがしたら検査の結果は崩れてしまうというふうに学者たちは言っておるのですね。におい抜きの臭気口のすごいのをつけて、もっと管理をよくしなければいけない。全部予算がないということでカットされている。しかもこの国立安全センター、医薬品食品の安全センターをつくられて、りっぱなことなんですけれども、十数億の予算を計上されてやられるんですけれども、実際言うと、これはランクが、率直に言わせていただくと、アメリカ並みに言わせていただくと、百倍違う。最低で力を発揮するのに十倍ランクが違うのです。ですからこれでやれるかというと、学者は必ずやれると言うけれども、ある限度以上の検査ができないことを現にほのめかしておる。これは率直に聞いていただいて、これではちょっと研究所としてだめなんじゃないかという理由が、私がこの予算委員会で取り上げる理由です。小さなあれだったら私直接申し上げますが、このけた違いの予算のつけ方だったら、ここで申し上げて総理にわかっていただくしかないんじゃないか、こう思っているわけなんです。行政管理庁の先ほどの御答弁は、詳しいこと御存じなくて御答弁なすったんでしょうから無理もないんですけれども、実際一遍調べた。福田経企庁長官のころだったと思うのですが、調べて発表されたんだけれども、その後後追いがなされてなく、厚生省側のその研究施設その他がみんなぼろくて、研究するに耐えられなくて、基準がつくれないという問題に引っかかって、全部できないでいる。  ですから、いま食品添加物の中に赤色二号というものが問題になっています。アメリカで禁止された。アメリカはこれはブドウ酒やウイスキーの中に入っているというので大問題になった。そうして年間千トンも使う。わが国はそんなトン数は使っておりません。二、三十トンのところだろうと思うのですけれども、日本では口紅の部分が大問題になる。これは口紅で食品添加物に入っていない。化粧品の方に入っているかというと化粧品外になっておる。そこで、どういうことになるかというと、口紅をどれぐらい塗ってこれが安全かどうかについて答えが出ない。基準がない。基準がないから答えが出ない。したがって、赤色二号が危険じゃなかろうかというアメリカ側の提案に対して、わが国側はアメリカのデータを見て一喜一憂するしかなくなっちゃっている。検査ができないわけです。したがって、業界では赤色二号の商品を全部引き揚げたスーパーマーケットがある。良識的だと言われているが、化粧品まで全部引き揚げることができるかと言えば、化粧品までは引き揚げられない。そして報道されるたびに、それに対する答えが出てこないものですから、不安は不安を造成する。  ここにあるのは、この十二月あたりからのこちら側の各紙の報道ですが、こうやって見てくださればわかりますが、ほとんど赤色二号に関しての応酬です。しかし答えが、厚生省はこうだという結論は書いていない。書けるわけない。それは結局はアメリカに聞いてくれと言うしかなくなってしまう。このような混乱が民衆に打撃を与えているのに、なおかつ答えが出ないというのはどうかと思うわけですね。  総理、これを何億出すと言っても仕方がない、もう基本的態度の問題ですから。研究所分をよほど大型の研究所にする必要がある。少なくとも、先ほど申し上げましたマウス十万匹ケースをつくれるような研究所、それから食品に限らず、人間の発生状況も調査できるような研究所、基礎研究から始めて研究できる研究所、そしていま問題になっている食品添加物、飼料添加物、農薬等の全部について検査を早急にできるような研究予算、こうしたものをお計らいいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は、国政の中で食品の安全確保というものはやはり重要な政府の責任の一つだと思いますので、いま渡部君からいろいろな御意見を承ったわけですが、それを踏まえて専門家の意見等も徴してみて、国民が食生活に不安を持つということは、これは国民自身にとっても非常な不幸なことでございますから、これは御質問を踏まえて研究をいたしてみます。  ただ、国際協力というものも必要なんで、これは今日のように食品というものの種類が多くなってきて、全部日本の独自の検査というばかりでは手に負えない場合もございますから、こういう問題は国際協力もやはり大いに進めていかなければならぬという面もあると思います。したがって、これは日本だけで全部これに対して安全性の試験をしなければならぬというふうに窮屈に考えないで、どこの国も皆やはりその国の人類の生存、生命を守っていくということは共通の関心事でありますから、国際協力も進める。しかし、日本の食生活は外国とも違う面もございますから、そういう点で安全確保に対する検査、研究の体制の整備というものは、これはもう政府として力を入れなければならぬ問題でございますから、御質問を踏まえて研究いたします。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 時間がなくなってきまして質問、指摘することが不可能になってきましたので、大幅に省略して申し上げますが、農薬については、これは非常に取り上げにくい問題ですが、あえて申し上げてしまいます。  食品中の農薬が危険なことは、もう先ほどのデータを見ていただいておわかりのとおりであります。現在一反当たりに大体一万二千円分の農薬がばらまかれているという統計がございます。厚生省の事故統計によりますと、二十八年から四十八年の二十一年間に死亡が一万四千九百四十六、中毒が一万三千五十という数字が出ております。これは農民の方にすでに出ておる。じゃ、その農薬をかぶして出てきた食い物の方の安全基準はどうだろう。食品中の残留農薬基準設定というものは何種類の農薬について行われているかと言いますと、もうお答えを求めないで言いますが、厚生大臣の方でお決めになっているのが二十四農薬、五十二食品だけなんです。二十四農薬といいますと、四百種類の農薬があるのです。四百の農薬のうちで二十四農薬についてのみしか基準が決まっていない。そして二十四の農薬はいろいろなところにばらまかれているけれども、そのうち食品の中では五十二の食品だけ基準が決まっておる。あとのものは決まってない。これがそのリストなんです。二枚のリストになっておりまして、このページに入っちゃうようなものです。それであとのものはどうなっているかといいますと、あとのものは環境庁長官がお決めになっていることになっておるのです。環境庁長官がお決めになったというやつはどういうことになっているかというと、これは基準を決めたとしても、その基準は、食品衛生法に基づいて使ってはいけないとか、これはだめだとか言うことができないわけなんです。話を決めただけなんです。こういうふうに守りなさいよと言うことができない。使い過ぎたらいけないと言って取り上げることができない、簡単に言うと。だからお話だけになってしまう。環境庁長官の決めた基準を厚生大臣の方へ移して決め直したい。ところが農薬の分析法が決まらない。基準が決まらぬ。分析法が決まらなくて基準が決まらないから、厚生省の各種試験所ではパンクしておりまして、さっきの国立衛生試験所ですね、そこのところで仕事ができなくなってしまって、基準がつくれない。したがって、二十四農薬、五十二食品だけになってしまっておる。全体の六%ですね。だからあとは無制限に出てくる。実際のことを言うといやなことですけれども、実際には農家の中で非常に穏当に努力されて、いろいろな形で努力されている面があることを否定しないと同時に、基準が決まっていないために、けた数が百倍とか一万倍とかというランクで間違っている部分がある。ある種の農薬をかけると出荷のときに野菜がぴんとするといって、猛烈にかけられているケースがある。しかし、それを抜き取り検査でもやっておればまだ食いとめられるのに、そういう食いとめる方法がいま実際にない。これはもう本当に話の最初の基礎がだめなんです。食品添加物の話はまだ何らかの対策をすれば何かなりそうなところまで来ている問題であるけれども、この農薬の問題に至っては全く手もつかぬ問題になりつつある。これは私は、政府を責めるというだけでなくて、ここにいる議会が対応しなければならぬ問題だろうと思いますし、同僚各議員の御注目を集めて農薬問題を考えていただくようにお願いもしたい、こう思っておるわけでありますが、こういう状況を放置したまま今期予算国会を迎えて、そして本予算委員会に予算を提出された政府当局者の責任というのは重大じゃないかとどうしても思うわけですね。したがって、これはもう現状については御説明できないだろうと私は思います。おわびをなさるしかないだろうと思う。国民に、あなた方の食べている野菜その他は危険です、危険というよりも、危険かどうかもわからない、基準はほんの一部しか決まっていない、わかりませんという説明をするしかないからです。  時間がないからまとめて申しますよ。もう一つは飼料添加物なんです。飼料というのは牛、豚、鶏のえさですね。これに何が残存していたらいけないかという基準がないのです、総理。卵とか豚とか牛とかの肉を検査しますね。その中に何が入っていていけないかというと、いけないと言われているのは抗生物質だけなんです。見つかっていけませんという指定がある。ところが、これは見つかっていけないというけれども、普通は探すことはできない。ほんのちょっとで影響があるからです。見つかっていけないのは当然ですね。だけれども、ほかのものはどういう添加物が加えられたかというその基準がない。だから牛、豚、鶏、卵に関しては全部わからない。安全が保証されないのです。そして、その飼料添加物についてば、抗生物質二十六、抗菌性製剤二十八、ミネラル十四、ビタミン二十五、アミノ酸四、色調強化剤三、抗酸化剤三、防腐防黴剤三、計百六の添加物が使われておる。これは検査されていません、総理。検査されていない。食品添加物はまだ検査を始めている。こっちは検査されていない。だから東北においてむれ豚が大発生したとか、豚の胃潰瘍が二〇%に近いとか、豚の肝硬変が九割に近いというような報道が行われておる。現に政府関係機関からも豚の胃潰瘍については一八%というデータが私の手元へ到着しております。こういう病気の豚、牛、鶏を食べて安全かどうかについて検査ば行われたか。もちろん行われていない。野菜も安全でない。豚、鶏、牛、卵についても安全でない。そして食品添加物三百三十三種類のうち多少とも検査されたと言えるのはまあ二、三十である。正確に検査して終わっているのはほんの十ばかりである。これでは食品が安全かどうかという命題に対して答えが出ないじゃありませんか。  そうして、農林省は、けしからぬことに、例のAF2よりもっと濃度の濃いフラミゾールというのを養鶏に対してまだ施しておる。AF2でラットが明らかに発がん性になったということが起こっているのに、なおかつAF2関連物質、フラミゾールとかフラゾリドンとかいうようなものを使っておる。  時間がないから固めて申し上げるのですけれども、これが何で命を守ることになり得るのか。不況対策の中に生命の安全確保は政府として万全を期さねばならぬと総理は明らかに施政方針演説に述べられた。何にもここへ出てきてない。しかもわれわれきょう初めて言ったのじゃない。一年前に私言ったじゃないですか。一年前に言ったのに何にもしてない。食品添加物のあれがかすかに二倍になっただけである。こういうようなことでは本当にもう議論というか、議論の応酬になり得ない問題になっておるから私は申し上げておるのです。これはもうとんでもない問題である。予算のつくり方を考え直していただけないのですか。私がいま言ったようなことを全部実行するとなっても何兆円もかかる問題じゃないのです。一つの研究所を本当に大型につくるのにせいぜい二、三百億もあれば十分なんです。それだけの問題なんですから。そして、学者たちに十分の費用を与える、これも百億もあれば済む話じゃないですか。安全基準をつくるのにまた百億もあればほとんど全部済むでしょう。五、六百億かどんなばかばかしく見積もったって千億もあれば、日本政府はこうやったと言える問題じゃないですか。どうしてこんなことをなさぬのか。  この辺で私は御答弁のでき得る大臣から御答弁をしていただかなければならぬと思います。  まず農林大臣からお答えいただかなければならない。農林大臣はこのように農薬行政を放置された。農民に一万数千名の犠牲者を出し、これが訴訟になったらどうします。一万数千名の人は、農林省の行政によってその農薬を使うことを許され、奨励され、使い、そして死にました。そしていまなおかつその農薬が使われている。そして国民の多くは、いまや食物は何となく不安だ、何を食っていいかわからないという声になってはね返っているじゃないですか。どういうふうにお答えになるのですか。まずお願いします。そして関係各大臣の御答弁を求めます。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 ただいま御指摘のありましたように、農薬につきましてもあるいは飼料添加物につきましても、やはり国民の生命を守るという意味におきまして、その使用等につきましては、安全確保という面で厳正を期していかなければならぬわけでございます。  農薬につきましては、いまお話しがございましたいろいろの問題があることは事実でございます。農林省といたしましては、厚生省あるいは環境庁等の安全基準にのっとりまして使用基準を決めまして、農薬取締法によりまして対処いたしておるわけでございますが、この農薬取締法によるところの作物残留性農薬の使用の規制であるとか、あるいは農薬安全使用基準をつくりましてこの指導の徹底等もやっておりますし、五十一年につきましては、特に野菜等の生鮮農産物につきまして、農薬の残留並びにその適正な使用についての組織的な指導体制の整備を図るために、新たに生鮮農産物農薬安全使用推進対策事業を実施することにいたしておりまして、人体の安全性確保に万全を期したいと考えておるわけでございますが、これは、全国で野菜について四千カ所主要産地を選びまして、そこの生産者に農薬の使用について日々これを記帳させまして、そしてこれに対して指導するというようなことで、五十一年度は、野菜等につきまして特にその体制を強化いたしておるわけでございます。  なお、飼料添加物につきましては、御案内のように、昨年の国会におきまして安全対策のための法律が通りましたので、これまでは行政措置によってやっておったわけでございますが、今回はその法律に基づきました審議会をつくりまして、この資材審議会におきまして、添加物につきましては現在厳正にその添加物の使用基準等について検査、審査を進めておりまして、この添加物についても、いま百六品目というお話がございましたが、これを極力制限するという方向で今後とも努力を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 質疑時間がそろそろ終わりのようでありますから、あと厚生大臣、行政管理庁長官、大蔵大臣と最後に総理にお願いします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 添加物行政については、先ほど申し上げたとおりであります。したがいまして、今後とも努力をいたし、検査を濃密にやっていこうと思いますが、現実問題として、施設面のみならず人的なキャパシティーの問題と絡むことは、先生専門家ですからよくおわかりであろうと思うのです。したがいまして、そうした面も踏まえまして今後いろいろと努力をいたしていきたいと思います。

松澤雄藏自由民主党行政管理庁長官

○松澤国務大臣 私の方から出してある勧告に対しまして、農林省等からば、農業資材審議会に審議をお願いする等可能な限り勧告の趣旨に沿って改善の措置を講ずるよう努力しております、こういう報告が現在参っておるような現況でございますので申し上げます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 いまお話しの食品添加物、飼料添加物、残留農薬の予算でございますが、去年は環境庁、厚生省、農林省を通じまして約七億円の予算でございましたが、ことしはそれを十一億近くに増額をいたしておりますほか、厚生省のいまおっしゃっておる衛生試験所の施設拡充のために二十五億計上いたしてございます。大変不十分であり、また形をなしていないではないかという御指摘でございますが、今後各省庁の要求に応じまして極力整備に協力をしてまいりたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 渡部君の御指摘は重要な問題であります。政府もこれに対しては非常に重大な関心を持っておるわけでございまして、医薬品と食品添加物については、医薬品食品安全センターというものを、渡部君の御質問も踏まえてこれを拡充強化してまいりたいと考えております。  農薬あるいは飼料添加物については、農薬取締法の厳重な励行、あるいはまた安全使用基準などの制定等によって、農薬並びに飼料添加物に対する検査、研究体制を強化してまいるということで、この問題には積極的に取り組んでまいりたいという考えでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 まことに申しわけないのですが、最後に一音言わせていただきます。  いまお話しになりましたのは、事態の深刻さを認識していただいて、少し前進なすったのだろうと期待をいたしております。しかしながら、まことに不十分であります。私はその意味で、最後にひとつ申し上げておきますが、精神・神経・筋・発達障害センターというものをいま厚生省の方で御研究になって武蔵野につくられようといたしております。これは国立武蔵療養所につくられるものでありますが、これはせいぜい四、五十億円程度の研究所でありまして、これは役に立ちません。先ほど申し上げたとおりの原理で、全く役に立たないものがつくられようとしております。それから安全センターにつきましてもすでに申し上げたとおりであります。これまた全然だめなんです。厚生省、農林省、それらの諸官庁で各種研究所を今後充実させていただく。一つは、これを厳格にやっていただかなければならぬだろうと思うのです。  もう一つは、食べ物の問題に関しては、疑わしい物は使わないのだ、そして疑わしいと言われたらとりあえず引っ込めるのだ、そして検査が終わったら使うのだ、こういうようにしていただきたい。  それからもう一つは、業者に命令してつくらしたのですから、やめさした瞬間に業者がつぶれちゃって大変だということで、行政処分を待っている形跡がある。そうではなくて、そういう場合には、一時的にその仕事を取り上げると同時に、多少の金融その他の政府施策をもって援護することによって、鮮やかにやめさすことができなければならない。こうした点も十分配慮していただかなければならぬと思うのです。  もう一つは、検査体制をしっかりしていただきたい。検査体制がまことに不十分です。食品衛生監視員のごときは、一人当たり実に七百六十カ所の検査個所を持っておるわけであります。七百六十カ所というのは小さなものじゃない。大きな市場でも一カ所です。それだけ持っていて何かが検査できると思ったらとんでもない間違いです。また農薬というものは、使用に当たって、その使用をチェックする農薬剤師みたいな者がいないわけであります。担当する人がいない。こういう構成上、制度上の大きな穴が、ここに存在いたしているわけでございます。したがって、予算を数億円上乗せした程度で、とてもこれは解決するべき問題ではない。私は今期予算の中での最大弱点は、この人間の生命の問題に対する旧来の姿勢を踏襲したことにあるだろうと思うわけであります。したがって、私は最後に、これら生命の安全については、この確保に対して政府が万全の措置を今後おとりになることを強く希望いたしまして、私の質問といたします。(拍手)

正示啓次郎自由民主党

○正示委員長代理 これにて渡部君の質疑は終了いたしました。  次に安井吉典君。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私は、地方財政の問題を中心にしてきょうお尋ねをするつもりでありますが、その前に、たくさんいま電報が来ているわけです。その一枚を読んでみますと、  フソデンライノワレワレノギヨジヨウヲマモリ ソレンセンヲハジメトスルガイコクギヨセンニヨルヒガイノゼツムヲキスタメ カイヨウホウカイギノケツカヲマツコトナク セイフワリヨウカイ一二カイリノソクジセンゲンヲオコナイゼンコクエンガンギヨミンノヨウボウガイツコクモハヤクジツゲンサレルヨウキシヨクノトクダンノゴジンリヨクヲネガウ」ギヨギヨウケイエイアンテイタイサクホツカイドウホンブチヨウアサリテイゾウ こう書いてあります。こういうのがいっぱい来ています。  初めに、領海十二海里の政府の基本方針の決定について若干伺っておきたいと思います。  外務大臣に伺いたいわけですが、三月の十九日からのニューヨークにおける海洋法会議、これは私は、そこで結論がしっかり出るようなものにならないのではないかという悲観的な見方を持っているわけでありますが、どういうお見込みなのか。そして、そこで結論が出なければ次の会期に引き継がれるだろうし、たとえそこで結論が出ても、さっき渡部委員とのお話にありました、条約がきちっと締結されるのは、これはもう大分先のことで、事によればもうことしじゅうは間に合わないのかもしれない、そういう状況にあるのではないかと私なりに判断しておりますが、この点はどうかということ。  それから、もう一つついでに、日本の領海十二海里を急いで決めるのはやめてほしいというような言い方をアメリカ側が、これは国防的な、あるいは日米安保条約の運用の面からの言い方ではないかと思うのですけれども、そういうような意向を日本政府に漏らしているのかどうか、この二点について初めに伺います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 海洋法会議の見通しについてのお尋ねでございますが、米国あるいはメキシコ等等が、漁業専管水域二百海里というようなものの国内法の整備をいたそうとしておるような動きが、今度は海洋法会議も今年じゅうに実体的な結論を出さなければ空中分解をするのではないかというような一つの危惧、逆にそれは何とかして今年じゅうにまとめなければというような力になりつつあるように見受けられるわけでございます。恐らくはしかし三月の会議そのものが実体的に最終的な結論に至るということはあるいはむずかしいのかもしれない。今年になりましてわが国を訪問しました国連の本問題担当の事務局次長は、三月にもし実体的な結論を得られないときには間を置かずにエキストラの会議を行って、そこで実体的な結論をまとめてしまいたい、こういうことをせんだって述べられたようでございますが、恐らくそれが客観的な、多少希望的な要素はございましょうけれども、見通しと申し上げていいのではないであろうか。非公式ながら単一草案も出ておりますので、かなり問題は煮詰まっております。したがって、私どもとしては、できることならば三月、もしできませんでもそれに引き続いて行われるであろうエキストラの会議において実体的な結論を出し得る公算は大きいと考えております。  そのような場合に、それが条約になり、そうして批准をして発効するという時期がその後どのぐらいであろうかということでございますが、これは条約の書き方にもよるであろうと存ぜられます。すなわち、一定数の批准国の数がそろいましたときに発効すると規定をするか、あるいは批准をした国についてはその条約が発効すると書くか、そのやり方にもよると思いますが、恐らくかなり長い法典、百条以上の法典になろうと思われますから、そのための準備には多少時間がかかると考えておくべきではないであろうか。しかし実体的には、今年の前半あるいは後半の早い時期には最終的な結論が出るという公算はかなり大きいと期待してよろしいのではないかと考えております。  次のお尋ねでございますが、わが国が領海を十二海里にする、政府として基本的な方針を決めるということにつきましては、昨年のうちに米国にもそういう話をいたしております。今年になりましてソ連にもそういう話をいたしました。  米国から何かそれについて、それば困るというようなことがあったかというお尋ねでございますが、別段そのようなことはございませんでした。

安井吉典日本社会党

○安井委員 安倍農林大臣にちょっと伺いますが、一日も早く領海十二海里の宣言あるいは立法化をすべきだというずっと以前からの持論をお持ちだし、国会でもしばしばそういうことで言明されていたわけです。一番積極的であったというのは、私は農林大臣だと思うのですが、今度の基本方針なるものはそれからの相当大幅な後退だと思うのですが、どうですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 領海十二海里につきましての政府の統一見解、それから海洋法に臨むわが方の態度につきましては、いま外務大臣がお述べになりましたような政府としての考え方でございます。私も、沿岸漁業者の利益という立場を考慮すれば、一日も早く領海十二海里が設定をされることが妥当であるというふうに考えておるわけでございますし、今日も考えておるわけでございますが、そういう意味におきまして、やはりこの海洋法の会議というものがあるわけでございますから、この海洋法の会議において結論が出されることを、今日の段階におきましては、強く期待をいたしておるわけであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 三木総理に伺いますが、この間も、本会議でも言明があったし、先ほどの渡部委員の質問にもお答えがあったわけでありますが、私は三十日の閣議決定なるものは、漁民の側から一日も早く十二海里を決めてほしいという強い要望があるので、基本方針としては一応そういうようなものを出しながら、しかし実体は、海洋法会議が終わったら一応の結論を出すのだという形で、しかもその海洋法会議は、外務大臣のおっしゃり方は希望的観測であって、非常に複雑な状況の中でどうなるかわからぬわけです。したがって、基本方針ということで一応こちらはなでながら、一方実際の実施というものは、これはいつになるかわからないという形に引き延ばしをするという、そういう結果に陥るような方針ではないかと、そう思うのです。私は、もう少しいまの段階で早く結論を出していく。いままで外務大臣ははっきりとは言わなかったけれども、そのニュアンスから受け取られる点、それからまた、農林大臣がずっと言われてきた点、そういうようなものを総合した見方からすれば、私は、いま直ちに十二海里の宣言をする、そして法律措置、国内法措置というのがまだ必要ならば、それは後でもう少しゆっくり時間をかけてやってもいいが、政府の基本方針などというなまぬるいことじゃなしに、はっきりきちんと宣言を出す、そういう仕組みであって、初めて、さっき外務大臣が、今度の海洋法会議の圧力にもなると、こう言われましたけれども、基本方針だけでは、そんなものは圧力になりませんよ。アメリカはもう二百海里をきちっと決めちゃったじゃないですか。それは圧力になりますよ。だから私は、今度の国会で、今月中に法案を出せという無理なことは言いませんけれども、いま宣言というかっこうだけでも、その法律効果はわかりませんけれども、せめてそれだけでもいまやるべきではないか、こう思うわけです。どうです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 日本は海洋国家として、海洋の秩序というものはできるだけ国際的に決められることが好ましい。これは日本の場合だけでなしに、日本もやはり貿易の面において世界の海を航行するわけですから、そういう点で国際海洋法会議が近く、それも遠い将来ではなくして三月に開かれる。しかも、海洋法会議の議長から、私は手紙とこの間何か予算委員会で答弁しましたが、手紙ではなくしてアピールですね、演説のアピールとして、各国いろいろつまみ食いをしないでほしい、皆がやはり全体として海洋の秩序を決めることが好ましいというアピールがあったわけですね。そういう点で政府としては、近く開かれる海洋法会議、経済水域二百海里の問題もありますし、国際海峡における航行権の問題もございますし、いろいろな問題があるから、これは一遍にひとつ決められるなら決めた方が好ましいということですが、しかし、日本が領海を十二海里にするという政府の意思というものは明らかにしておこう。漁民の方々でも、政府の方針がいつまでたっても決まらぬということは、将来いろいろ見通しを立てる上においても見通しが立てにくいですから、政府の方針は決めておいて、もし海洋法会議がいま安井君の言われるように、なかなか物事が決まらぬではないかというときには、十二海里の問題については処置をいたします。しかし、できればすべての問題も含めて、海洋の秩序というものを確立したいという、そのためにはせっかく議長からもそういうアピールがあるものだから、ここで全体一つの国際的な取り決めという形の中でこの問題を処理する方が好ましい。しかし、政府の意思だけは明らかにしておくことが漁民に対しても、将来の漁業経営についてもその方が非常に好ましいのではないかということで、そういう処置をとったものでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いまの御答弁の中で、海洋法会議がおかしくなっても、その時点で決めるというふうにおっしゃいましたが、そうなりますと、三月十八日から八週間のニューヨークの会議の後には、十二海里の法律がきちっとできて、国会への提案の運びになると、こう理解してよろしいんですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 いま外務大臣の答弁も聞いておりましたが、それでそのとき決まらなくても、すぐに引き続いて会議をもう一遍開いてするというのですから、三月の海洋法会議、それの会議だけでというのではなく、もう少しゆとりをとった考え方を持ちたい。だけれども、これがいつまでも引き延ばすようなことになるとするならば、政府としては腹を決めざるを得ない。それは三月だけでなしに、話がまとまらぬ場合にその次の臨時で引き続いて会議をやるという、その会議もひっくるめてひとつ考えたい。日本政府はできれば、これは国際的な海洋の一つのルールですから、いろいろな問題が国際的に決められる方が好ましいと考えておるのですから、したがって、引き続いて会議が行われる場合の、そのゆとりはとって考えたい。それでも話がなかなか結論に達しないというときは、政府としてはそのときにおいては決断をせざるを得ない場面があるかもしれぬということでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 一体何を基本方針としてお決めになったのか、いよいよもってわからぬわけですよ。だって、十二海里にやるということをお決めになっていて、国際海洋法会議の結果でどうなるのかわからぬし、そのことの段階をよく見て決意するかもしれないと、日本語の文法ではそういうのは余り総理大臣のおっしゃるような言葉として準備された文法ではないように私は思うのですね。  じゃ、いつまでに決めるのですか。たとえば三月の会議がだめなら次の会議もあるだろう、東京がだめなら名古屋、大阪へというのじゃ困るのですよ。そうなると、いつまでたったって堂々めぐりであります。いままでこういうように延びてきたのもそのことなんですよ。いつ最終的にお決めになるのか。どんな事情があっても最後はここまで待ってくださいと言うのなら、私は漁民も納得すると思うのですよ。どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は、年を越すような考え方ではないのです。今年中にその問題は結末が出ないということならば、これは政府としてもやはりこの問題に対する処理はしなければならぬだろう。できれば国際的な取り決めをした方がやはりいいと思っているのですよ。だから、それで多少の時間的なゆとりを持って考えた方が好ましいと思っておりますが、それがことしじゅうにもなかなか海洋法会議で結論に達しないというときには、政府としては処置をしなければならぬと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 念を押しますが、年末まで三木内閣が達者かどうか、これはわかりませんけれども、年末までにはどんなことがあっても決めざるを得まい、こういうお気持ちでいられるということは間違いないですね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 さように考えています。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私は、ここでこの問題だけというわけにはまいりませんから、先の問題に急ぎますが、ただ指摘しておきたいのは、領海が十二海里になることによって国際海峡と非核三原則との関係が出てきて、核搭載艦やあるいは潜水艦の無害通航をわれわれは主張していかなければいけないと思います。領海が十二海里になっても平気で潜水艦はもぐり、核搭載艦は堂々と渡るという、そういう仕組みを残しておくということでは、私は国民感情が許さないと思う。だからむしろ、領海を十二海里にすることを明確にすることで、いまは三海里のところまで来ても文句が言えなかったのが、十二海里になれば、戦争のにおいのする軍艦や潜水艦は十二海里から入っちゃ困るんだという意思表示が明確になるわけですから、私は日本の平和のためにもいいことじゃないかと、こう思うのですよ。  それからもう一つ、それは沿岸漁民が強く要求をしている。なるほど、こちらが十二海里ということでずっと、主に遠洋に行っている方に不利益が出るかもしらぬが、しかし、いままではずっと開聞以来、日本は三海里でやってきて、つまり、沿岸漁民を三海里のところに置くことによって遠くへ出ていく可能性もあったわけですから、沿岸漁民は、何かいままで犠牲にされてきて、いま十二海里にしてくれというのを、これまで拒まれて、われわれはなお犠牲にならなければいけないのかという意識もあるわけですね。その点をやはり十分に理解した上での結論ということでなければならぬと思います。農林大臣は一番事情をお知りだろうと思いますけれども、私はそのことを非常に重大な問題として指摘し、先ほど首相は、年内はどんなにおくれてもというおっしゃり方をしたが、私は相変わらず一日も早く宣言だけでもしなさいという主張だけをもう一度ここで繰り返しておきます。  次に、公共事業の問題ですが、公共事業と景気浮揚策との関連におきまして、ちょっと問題提起をしてみたいわけであります。  五十一年度の公共事業費は、そのことによって景気の浮揚に役立たせるのだという別な任務を持たされているわけです。本来、公共事業というのは社会資本のストックをふやすという、そういう意味合いでわれわれは議論しておったわけですが、ことしはその上にプラスアルファがついて、それによって需要を喚起する材料に使うんだ、こういう意味合いがふえているわけです。  それじゃ、果たして公共事業がそういう役割りを果たし得るのかどうかという点、私はその点をまず取り上げてまいりたいと思うのでありますが、明年度の国の公共事業費、これは三兆五千二百七十二億円ですか、ということですでに知らされているわけですが、地方の公共事業費、これは補助事業と単独事業に分けて、まだ地方財政計画ができていないそうですから明確な数字にはならないと思いますけれども、一応の見通しを、これは自治大臣からお話しください。

首藤堯自治省財政局長

○首藤政府委員 数字のことでございますのでお答えをさせていただきます。  明年度の公共事業関係でございますが、公共事業の普通建設事業関係が、災害復旧事業と合わせまして約四兆三千二百億程度の見当に相なろうかと思っております。  それから単独事業関係でございますが、単独事業関係が三兆七千九百億程度、この程度の見当に相なろうかと思っております。ただいま試算中でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 国の公共事業費の予算も、実はその大部分は地方が実施するわけです。それから国の直轄事業においても、これは国が施行するのですけれども、自治体から三分の一ぐらいの負担金を取っているわけです。ですから、国の公共事業費の予算というのは、実際は直轄事業においては地方から取り、補助事業においては国が出すが、地方が負担して、それで成立するわけですから、地方財政という中で全部処理されていく、こう考えて間違いないわけです。ですから、公共事業を景気浮揚に役立たせるんだ、こう言われておりますけれども、実際はいかに地方財政が、それを受けざらとして処理できるかどうかということにかかっている、こう言って間違いがないのではないかと思います。  しかし、いま自治省の財政局長から、単独事業やあるいは補助公共事業が合わせて八兆円ぐらいの施行量になる、こういうお話でありますけれども、私ども新聞報道等で耳にしますところは、たとえば五十年度の道路予算を地元の負担ができないので返上するという動きがある。あるいは五十年度では、自治体の財政危機の結果として補正予算で、愛知県は公共事業費を四十七億円削減した、新潟県は四十三億円削減、名古屋市は三十九億円を繰り延べをした等々軒並みにそういう数字が伝えられています。自治体のこのような予算減額というのは、新聞の報道なんですけれども、当初予算に対して約三〇%に達する。四十九年度よりも六千億円ないし七千億円ぐらい下回るかもしれないという報道さえある。ですから、公共事業がふえるふえるというが、そして地方財政計画上はこういう数字をお出しになるけれども、現実の地方自治体の運営の中では、そういうことで、政府がお考えになっているようなふえ方をしていないのではないか、こういう気がするわけであります。そのほか、土地開発公社という関係の事業も年間一兆円ぐらいの仕事をしているのですが、これもすっかりまいっちゃっているらしい。  自治省は、こういう、自治体が本格的な公共事業を増加せよとの国の指導にも従うことができないような状況、その点をどのように把握されているか、その点をひとつ伺います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 お答えを申し上げます。  まず、五十年度の分について申し上げますと、御指摘のように、数府県におきましては公共事業の繰り延べをせざるを得なかった事実がございます。それからまた、単独事業におきましてもある程度予定された分よりは減っておることも、これも事実でございます。それから開発公社の分につきまして、一兆円くらいの土地の先買いをするというようなことがあるが、それができるかということでございますが、これは年度末まで見てみなければわかりませんけれども、税制の関係からいいまして、いま買ってもらわないと土地を持っておる人は非常に損をするということは御承知のとおりでございまして、少しくらい安くてもいいから買ってもらおうという動きが非常に強うございますので、恐らく一兆円程度のものは達成できるのではないか、かように考えておるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、五十年度の地方財政は、当初予定いたしておりましたよりは税金が非常に減って、税収が減ってきたというような事実がございまして、確かに苦しい運営を強いられておったことは事実であります。ただし、補正予算におきましてつけましたこの事業につきましては、裏負担の分は全部公債でめんどうを見まして、これはもうちゃんと実行するようにということを示しましたので、これは予定のごとく実行されておるようでございます。  そこで、次は五十一年度の分についてのお話でございますが、確かに、国の公共事業等々につきましての裏負担の分については、これはわれわれも予算編成の場合に、五十年度の結果に顧みまして大変重視をいたしまして、そうしてこの裏負担につきましては、必ずこの分については起債でほとんどめんどうを見る、大体九五%見るということにいたしました。そうして残りの五%も、地方財政の規模を決定します場合におきまして、やはり交付税の対象にするというようなことも考えましたから、裏負担の分につきましては、これは十分できると思っておるわけであります。  これは、まあ少し先になりますけれども、そういうものが一体起債でめんどう見れるのかということも後で御質問が起きると思いますが、この分についても十分な手当てをいたしたつもりでございまして、御指摘のように、この社会資本の充実ということによって景気浮揚をしていこうという場合においては、われわれとしては、これが完全に消化されなければその目的は達成しないわけでございますので、これが完全消化を図ることとすると同時に、当初予算において全部一応この計画を立てまして、そうして起債の申請なりその他をするようにいたさせると同時に、予算が決まりました段階において今度は計画を立てるということでは景気浮揚に役立たないと思っておりますので、一月二十日に実は全国の各都道府県の総務部長を招集いたしまして会議を開きまして、そうして予算が通ったならばすぐにでも実行できるように、すなわち発注ができるような万全の準備を整えてもらいたいというようなことを申し渡し、また協力を求めておるということでございまして、私は、昨年度につくりましたこの補正予算がだんだん効果もあらわしてくるであろうし、また五十一年度の予算の執行も、早目にやりますればある程度効果を出してくるものと期待をいたして、予算の執行には万全の体制を整えたい、かように考えておるところでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 何もかも起債で見てやっています、これも起債で、これも起債でというのが実は問題なのですが、地方債の問題は後で触れることにいたしたいと思います。  いま自治大臣が非常に楽観的なお話をされましたけれども、現実の自治体財政というものは地方財政計画で動いているわけじゃないのです。地方財政計画を超えた分が約二〇%いつもあるわけですね。ですから、ことしは国の財政規模が二十四兆円、恐らく地方財政規模は二十五兆円でしょう。しかし実際の自治体の運用は、それよりも二〇%というと五兆円上回るわけですから、約三十兆円の規模で、実際の地方財政は、いつもの方向ならそれでいくわけです。私もずっと調べてみた。どの年もどの年も当初の地方財政計画よりも決算は二〇%以上多いのですよ。ふくれているわけです。  ところが、こういう事態になったら、それが果たしてできるのかどうか。私は昭和五十一年度——もう五十年度が大体問題だと思いますね、どんな決算ができるのか。四十九年度は、市町村のものはきのう出ていましたけれども、これは大変な数字だが、五十年度はもっとひどい。五十一年度は一体どういうことになるのか、もしも三十兆円の地方財政の決算ができたりすれば一体どういうことになっちゃうのだろうか、いまのうちからそういう事態を考えた対策が私はなければならぬと思う。  それから、財源を付与するのだから公共事業をやりなさい——私は、市町村の道路に二千億円の起債を認めたというのは、これは市町村の道路がおくれているからいいことですよ。いいことだけれども、単独事業というのは、自治体はみずから治める組織なんですから、自分が自分の住民の創意と工夫によって方向を決めて、その方向づけにお金を出してやるというのはいいが、公共事業をやりなさい、そうしたら金を出してやる、福祉をやる、それなら金は出してやらない、これは裏表になるわけですから同じことなんですが、福祉は相変わらず犠牲になる。同時に自治体の自主性を損なう。何もかも金で引きずっていくというそういう姿勢が、私は地方財政全体に対する大変なしこりとなって今後残るのではないかと思います。  ですから、自治体の財政までを景気浮揚策の道具として、公共事業をやれやれというふうなことではなしに、私は、社会資本の充実も大事だし、公共事業をやることも大事だと思います。しかし、それはあくまでも補助手段であって、本当の意味の景気浮揚策は、福祉や減税やあるいは給与の引き上げや、そういう個人消費を引き上げて、その需要を増加していくというところに本当の道を見出していかなければ大きな間違いを犯すことになるということだけここで指摘しておきたいと思います。  問題はまだたくさんありますけれども、国と地方との関係で、超過負担の問題をここで申し上げておきたいと思うのですけれども、地方六団体が、昨年、全国のすべての県とすべての市、すべての特別区、それから町村は約二〇%の抽出調査でありますけれども、四十五の事業、事務費について四十九年度の実績で調査したところ、実績決算額と国の補助基本額との差は六千三百六十億円、これを超過負担と見れば、その率は五七・七%という恐るべき数字が出たわけであります。  これは大変な調査だったと思うのですけれども、この中でも明らかにされておりますように、この数字が、自治省と大蔵省でいつもそろばんをはじく超過負担にすぐそのまま認められるかどうかということは別として、現在の単価差だけの上置きではもうだめなんで、数量差だとか対象差に対してもっと調査をして、そういう意味の超過負担だという自治体側の不満を解消する措置が必要だ、こう思うわけです。その点について、大蔵大臣も自治大臣もともに御答弁いただきたい。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  先ほど、ことしの単独事業が相当大規模になって、地方財政は三十兆円くらいになるのではないかというような御指摘もございましたが、これは誤解を生むと悪いと思いますので、私ちょっと申し述べさせていただきたいと思うのでありますけれども、ことしは実は、ことしというのは五十年度でございますが、われわれがっくりました計画は二十一兆五千億円でございましたけれども、御指摘のように二兆円余の単独事業があったわけでございます。私たちは、今後この高度成長が続きませんというと——続いておったときには、御指摘のように相当程度、一割とかあるいは二割に近い仕事もできたわけでありますけれども、このような低成長の時代になりますと、そういうことはできません。しかもそこに無理が起きてはいけないと思いまして、実は二十一兆五千億円のことしの予算に対して、二十五兆二千六百億円前後の地方財政計画というものを立てました。これは実を言いますと明日の閣議で決定をしていただきますので、詳しい数字をここで申し上げることは困難でありますが、大体御指摘のような数字であるのでございます。そこで、ことしはその意味では、私はそれほど地方も無理をして単独——自分の収入がないのに無理をしてやるとは考えておりませんけれども、しかし、ある程度収入がふえたときにはやってもらえれば景気浮揚には役に立つわけでありますからして、あえてこれを全面的に否定するというわけではない、必要なものはやはりやってもらってもいいとは思っておるわけでありますが、この点はひとつ御理解を願っておきたいと思うのでございます。  それから超過負担の問題でございますが、四十九年度において六千億円近い超過負担があったという御指摘でございますが、ただいまも安井さんが御指摘になりましたように、この負担の場合におきましては、対象とかあるいは数量とかそういうものが中心にならなければいけないのでありますが、国がいままでめんどうを見ておった対象とか数量というものよりはばるかに上にしたり、あるいは単価の差も、たとえば平方メートル当たり七万円とか八万円に国が指定いたしましても、これを十万円とか、ひどいのになりますというと二十万円くらいも使ったりするようなものもございまして、そしてその使った差、これだけ使った、しかし国からはこれだけもらったということで、差し引きをするとそういう大きな数字が出てきますけれども、実際に国が一応義務を負って、これだけはしてあげます、こういう単価だけは必ず出しますという面で計算をいたしてみるというと、完全に十分であるとはもちろん申しませんけれども、国としてはできるだけのことをしたつもりでおるわけであります。  しかし、いま御指摘があったように、時代とともにやはりその範囲であるとかあるいは量であるとかあるいはまた質であるとかということを見ていくのが政治の当然の任務でございます。そういう面におきましては、私たちは、五十年度におきまして警察設備など、その他三事業につきまして調査をした分は全部解消をするようにいたしておりますし、それからまた、保育所等の建設等につきましても、いままでは園児一人当たり……(安井委員「短くやってください、大体見当つきました」と呼ぶ)わかりました。どうも失礼しました。  というように、ある程度是正をしつついまやっておるということでございますので、この点もひとつ御理解をしていただきたいと思うのであります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 公共事業の景気浮揚効果の問題が先ほどお話がございましたが、一言だけ私からもお断りしておきたいと思います。  今度、政府は公共事業にのみ景気浮揚効果を求めておるわけでは決してないのでございまして、安井さんがいみじくもおっしゃいましたように、社会保障その他予算全体といたしまして、景気の浮揚のために財政が担わなければならない役割りにこたえるという意味で今度の予算を提案いたしておりますこと、すなわち公共事業だけにその牽引力を期待しておるというようなものでないことだけは御理解をいただいておきたいと思います。  それから第二に、超過負担の問題でございますが、これは私どもの方と実施各省庁とが協力いたしまして、費目をその年度御相談しまして取り上げて実施調査をいたします。そして、あるべき状況と実際との間における状況を見まして、その間の間差について、補正予算ないしは本予算で超過負担解消のための措置をいたしておるわけでございます。今後もそういうことにつきまして私ども鋭意やってまいりまして、超過負担の解消には努めてまいりたいと思いますけれども、実費を全部埋めるということは、あなたも御指摘のとおりでございますけれども、そういうことはなかなかできる相談ではございませんので、適正適実に実態を調査いたしまして、最も能率的に合理的に工事を施行いたした場合に、要るべきコストになお実際の予算の充当額が及ばないという場合におきましては、その差額について、超過負担の名において政府が支出することはやぶさかでございません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 お二人の御答弁で私はまだ不満なんですが、時間もありませんから、これを私は別の角度から、こういうやり方はどうなのかというのでひとつ提案してみたいわけでありますが、補助金適正化法というのがある。これは、補助金を不正に使えば体刑まである罰則規定をもって補助金の執行の方を適正にしようという法律があるわけであります。しかし一方、地方財政法の第十八条は、「国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金の額は、地方公共団体が当該国の支出金に係る事業を行うために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」という規定がある。超過負担というのは、必要かつ十分な金額を基礎に算定してないことでその問題が起きてくるわけです。私はだから、行政管理庁の方であるいは会計検査院で執行の方だけは厳しくアプローチされるわけでありますけれども、こちらの面をもう少し関心を持っていただいたらどうかと、こう思うのですがね。どうでしょう。行管長官と会計検査院院長、おいでですか。

松澤雄藏自由民主党行政管理庁長官

○松澤国務大臣 お答えいたします。  地方公共団体の超過負担等を解消する予算単価について検討することを個別に関係省庁に対して勧告をしておりますが、これまで、補助金の超過負担の解消という観点から全般的に調査したことが実はないのでございます。また、これらの問題について調査すべきであるという御指摘でございますが、仮にこういうような問題でございますると、関係省庁が御協力を願いまして、実態調査を行った結果に基づいて次々にその改善に努めていかなければならぬじゃないか。直ちに全般的に監察というような気持ちに立ってやっていくという気持ちは、実はまだないのでございます。

佐藤三郎会計検査院長

○佐藤会計検査院長 ただいま御質問の超過負担の問題でございますが、例の質の差それから数量差というような問題、こういった問題について、法律は行政庁に相当幅を持たしておるものですから、したがって行政の問題に非常に深く入ってくるものですから、会計検査院としては、これに真っ向から取り組むというわけには、検査院の権限からいってできかねる点があるのでございます。しかしながら、そういう補助行政として、非常に数量がおかしいとかあるいは質がおかしいんで、せっかく補助金を出しても補助の目的を達していないというような事態がございますれば、これは会計検査院としても非常に問題でございますので、院法三十六条なり三十四条なり発動する余地もございますので、そういう観点から今後なお検討してまいるつもりでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 この点はひとつ、きょうは問題提起だけにとどめておきます。さらに御検討願います。  大蔵大臣にちょっと伺いたいのですが、公共事業等予備費千五百億円、これはいかなる時点においてお使いになるのか。それからまた、三千億円の予備費がありますが、これとの関連はどうなのか。公共事業費等についてはもうこちらにあるから、こちらの予備費からは使わないのだ、あるいは使用においての優先順位はどうなのか。公共事業についてはこちらの公共事業等予備費の方で先に使って、それがなくなったら一般の予備費から使うのか、その辺のお考えをひとつ伺います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 まず第一に、この公共事業等予備費を使うか使わないかということでございますが、いつ使うのかというお尋ねでございますが、まだ使うか使わないかわからないのでございまして、今後の経済の景況によりまして使わなければならない場合があり得るであろう、あり得るかもしれないということでその予備費の計上をお願いしようといたしておるわけでございます。そうしたら、経済の景況に応じまして公共事業費の追加計上——公共事業費等とありますが、これは施設費も含めてのことでございますけれども、公共事業費等の追加計上の必要が将来生じた場合におきまして、一般の三千億の予備費と、その千五百億はどちらを先にするかという判断でございますが、これはまだ政府部内で、どれを先にするというようなことを、予備費の管理の責任を持っておる政府といたしまして閣議にお諮りをいたしたことはないのでございまして、その必要が生じた場合におきまして政府部内でよく熟慮、相談いたしました上で決定しなければならないことであると思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 初めの部分の大臣の御答弁では、この千五百億円は使わなくて済むなら使わない方がいいんだというニュアンスでのお答えだとすれば、一般の予備費を先に使って、それで足りなくなったらこちらを使うという筋だと私は受けとめられるわけですが、どうですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 経済の回復が非常に早くまいりまして、追加的な公共事業費の計上というようなものがなくても経済の回復が順便に期待できるという状況を私どももとより期待を申し上げるわけでございますが、そういう状態が期待できるかどうかということはまだわからない段階でございまするので、予備費の形で御審議をお願いしようということにいたしておるわけです。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それでは御答弁になりません。私がお聞きしているのは、公共事業等予備費というのは、予備費で足りなくなったらこっちを使うというのか、それとも公共事業費はこれだけで先にやってしまって、もしもこれで足りなければこちらの予備費に移るのか、その順序を聞いているわけです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 それを政府部内でまだ決めておりませんけれども、物の道理といたしまして、まず公共事業費の追加計上の必要が生じた場合におきましては、公共事業費等予備費を先に充当してまいるのが順序であろうと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 自治大臣に伺いますが、その一千五百億円の公共事業等予備費を自治体の方はどこで受けるのですか。受けざらはどうなっているのですか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 千五百億円の公共事業費を必要とする。すなわち公共事業をやることができた場合におきましては、その限度におきまして裏負担になる分については、これは大蔵省との間に、めんどうを見てもらうといいますか、起債の措置をとるか、あるいはどういう措置によるか知りませんけれども、措置をしていただくという話し合いがついておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 財政計画には、国の中ではもうすでに千五百億円あるわけですよ。それは、では地方財政計画には全く無関係で、支出の段階において考えるというわけで、それは全然関係ないのですね、いまの段階は。当初計画ではないのですね。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 御指摘のとおり当初計画のうちには入っておりません。したがいまして、そういう事態が生じた場合には起債によってめんどうを見てもらう、こういうことに話し合いがついておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 初めから全然予見できないのなら、実は補正でいいのですよ。あなたがおっしゃるのは、そのとおりでいいのですよ。つまり、国で公共事業を新たにやることが必要になれば補正予算を組めばそれでいいので、これは補正をすれば自治体もまた補正をする、こういうことになるはずなんですよ。補正予算を組むという手続を省略して、つまり国会の審議を経ないで、勝手にやろうというので千五百億円というのが、妙なものが出てきておるわけですよ。議会の権限の制約なんですね。  自治大臣にさらに伺いますが、都道府県や市町村の予算の中に、市町村長が提案をする場合に予備費という款項目がありますね。そのほかに公共事業等予備費というものを市町村長が予算書の中に入れて提案をすることを、自治省は承認するのですか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 御案内のように、今回の予備費は、新しくできた一つの考え方といいますか制度でございまして、いままでにはそのようなものがありませんので、地方の分にはそのような予備費というものを、いま言ったような公共事業に関係ある分についての予備費というものは入れておりません。大体予備費を入れておくといたしましても、どこの町村に、あるいはどこの府県にどれだけ使うかというようなことも、やはり公共事業のことでございますから、いろいろの問題点があるわけでありまして、そういう点も配慮いたしまして、実は予備費のうちには入れておりませんけれども、実際に事業をやる場合においては、その事業は個所がはっきりいたすわけでございます。その個所がはっきりした段階においては、必ずこのめんどうを見なければ、その公共事業は実施できないわけでありますから、その際に考慮をするというか、配慮をしてもらう、こういう考え方でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私は、制度論としていま後の部分は言っているわけですよ。初めのうちは千五百億との関連において言っているのですが、後の部分は市町村長が、あるいは知事がいま予算編成しているでしょう。その予算書の中に、一番下に歳出の予備費がある。その予備費の一つ上の欄に公共事業等予備費とか福祉等予備費とか、何かほかのあれでもいいですよ。そんな予備費のほかにもう一つの予備費をつくって、県議会なりあるいは市町村議会なりに提案する、そういう仕組みをそれでも結構です、こうおっしゃるのか、その点どうですか。財政局長の方が詳しいでしょう。

首藤堯自治省財政局長

○首藤政府委員 地方団体の予備費の計上でございますが、ただいま自治法上の予算様式、これによりましては予備費という一本のかっこうで計上されることになりますので、いままで各種の予見し得ざる緊急事態の支出、それはみんなつっくるんでその予備費の中に計上されてきておるのが例でございます。したがいまして、いままでは地方団体の予算編成においてはそのような例はございませんが、今回の千五百億の公共事業の予備費ないしは従前からございました国の三千億の予備費、こういったものにつきましては、いずれもどのように使用されて、どのように地方負担が出てくるか、これは当初計画を策定をいたします際には分明をいたしておりませんので、両方とも当初地方財政計画に計上いたすことはしておらないわけでございます。  したがいまして、今後もし公共事業の千五百億が追加支出をされて公共事業になって裏負担が出てくれば、これに対する地方負担に対しては地方債等を充当して必ず財源措置をする、こういうつもりでおるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 そっちの方はよけいなことは言わないでください。私は制度論として言っているのです。自治体が予算を編成する場合には、地方自治法の施行規則がある。自治省がおつくりになっている、大臣がお出しになっている。あの施行規則によってつくらなければいかぬわけでしょう。そうなると、一番最後のところに予備費、予備費、予備費と款項目があって、節まできちっと統制していますよ。だから、国の方が、親分の方がおやりなんだから、こちらの大蔵大臣の方がちゃんとそれでいいとおっしゃるし、法制局長官もそれが合憲的だと、こう言われるのだし、そういう中で自治体がやってなぜ悪いのです。私は、それはやはり自治体の理事者側が議会の権限を侵すということに配慮があるから認めてないのじゃないか、こう思うのです。どうですか、大臣。

首藤堯自治省財政局長

○首藤政府委員 先生御案内のように、地方団体が予算編成をいたします場合には、年に四回定例議会がございまして、本来その宿命といたしまして六月なり九月なりにまた補正予算を組むという事態がございます。そこで、ただいま御指摘のような事柄がもし起こりますれば、その際に補正予算として計上するという立場をとることが通常でございまして、そのためには当初から財源保留をしておくとか、そういうかっこうで予算経営がなされておる次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それはそれでもいいでしょう。それならば国の方も同じじゃないですか、大蔵大臣。そんなに年に四回も開けないと言うが、去年は——三木さん、少し居眠りしているけれども、三木内閣になってから二百九十六日もやったじゃないですか。自治体の方は年に四回かもしらぬが、国会は年がら年じゅう開いているじゃないですか。補正予算を組もうと思えばいつでもできるじゃないですか。三木さん、どうです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 この前ここで御答弁申し上げましたように、予算は本来補正を伴わないで当初お願いいたしました当初予算で一年間の切り盛りをいたすべきはずのものでございます。これまでたびたび補正をお願いいたしましたということは、決して名誉にならぬわけでございますので、できることなれば、いま御審議中の予算でもって五十一年度は賄わしていただきたいと考えております。  それから第二に、補正予算でいくこともできるでないか、またその方が筋じゃないかという安井さんの御意見でございます。なるほど補正予算を提案することも政府に許されておりますけれども、同時に政府には予備費を管理する権限も立法府から与えられておるわけでございます。したがって、どちらをとるかということの選択は私は政府にゆだねられておると解釈して差し支えないと思っております。そして今度の場合、政府として予備費によってやらしていただくというようにいたしたわけでございます。その予備費の場合に、四千五百億とすべきか三千億と千五百億に分けるかという問題でございますが、千五百億を使途を特定した公共事業費等予備費とさしていただきますことは、政府に与えられた権限の範囲内におけるみずからの行動を制限することでございまするので、この前に法制局長官が御説明申し上げましたように、差し支えないものと判断いたしたわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 差し支えないかどうかの問題よりも、予備費でとっておくのか、議会を開くのか。議会の子が総理大臣なら議会を開くという方をおとりになるのがあたりまえじゃないですか。私はそのことを指摘しているわけです。だから、地方の方と国の方と全く物の考え方がふつり合い、ふつき合いだと私は思うのですよ。この問題は理事会にも預けられておりますので、私もこの点ひとつ保留しておきます。  五十一年度の地方財政の措置のことをもう少し詳しくお聞きするつもりでしたけれども、時間がなくなりましたので、これは後の一般質問や分科会等の質問に譲ることにしますが、特に地方交付税については、山口鶴男議員の本会議の質問のときも社会党の要求どおり補助率は上げたよ、こう実質的には確保したよと、自治大臣は肩を張ったわけでありますけれども、私は質の問題だと思う。四十一年のときのあの手厚い対策に比べれば、これは問題にならぬわけですよ。地方制度調査会の方針で決まらないで大蔵大臣の諮問機関の財政制度審議会の建議の線に沿って決まったんですから、自治大臣の諮問機関の地方制度調査会も答申があったでしょう、その線がけられて大蔵大臣の線で決まったんですから、自治大臣、そう自慢するほどのものではなかろうと私は思うわけであります。あるいは地方税についても党が具体的な方針を掲げているわけでありますが、きょうは省略をいたします。  ただ、景気回復の問題で地方債の問題をさっきも自治大臣御答弁になりましたし、さらにまた、ことしの地方財政措置の中の大きな問題点は、地方債なるものの性格が全く変化してきたということではないかと思います。総額が去年よりも六九%もふえている。とにかく自治体を借金づけにするという中身であります。しかし、この総額というのは地方公営企業も入っておるわけであります。普通会計債の方は何と一二八%増です。さらに、いつもなら地方税や地方交付税できちっと措置をすべきものまで、これが足りないから借金だというので地方債で財源付与をするというやり方。それからもう一つは、政府資金の方は減って民間資金の方は何と二二七・八%もふえているわけですね。縁故債のごときは去年は六千七百億円ぐらいだった。それが新年度は二兆四千億円、二五八・三%という。これは気違いじみた増加になっているわけであります。ただ、私はここで消化の問題とそれから償還の問題とが大きく浮かび上がってくると思う。何しろ七兆円にも及ぶ大蔵大臣の方の国債の発行がある。さらに、日銀の買いオペの対象にも地方債はならない。租税特別措置もない。したがって、売買市場でも銘柄落ちで不利な扱いになっている。さらに、地域社会の中では地方債は、その他の民間の資金需要と衝突し合ってそれを圧迫するという批判もあるわけです。これは自治省も国土庁も一緒に調べたこともあるはずですよ。ですから、この縁故債の消化というものは非常に重大な問題になるのではないかと思うのでありますが、大蔵、自治両大臣で消化の約束をしたとも伝えられておりますけれども、本当に具体的に完全消化ができるような履行の方法があるのかどうか、それを伺います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  確かに御指摘のように、五十一年度は四兆八千十億円の地方債を発行いたしまして、政府資金によるものが一兆四千幾ら、それから公営企業金融公庫がたしか五千五百億円ということでありますから、残りはほとんど縁故債によらなければなりません。三兆円近いものでございます。そういうものを果たして起債ができるかどうかということは、御指摘のようにいわゆる担保適格債でございませんから、もし取り扱いをしております地方銀行、もちろん中央の銀行もやっておりますけれども、僻地におきましてこういう地方銀行がそれを引き受けました場合においては、これはその資金が固定するということになりまして、したがってその地域におけるところの中小企業等に影響を及ぼす可能性ありと私は考えておりますので、この点と両方がこの縁故債の問題について大きく考慮しなければならない点であると思っておるのでありますが、しかし大蔵省との話し合いにおきまして必ず縁故債は消化するということについて努力もし、またそれは必ずできると考えておる、信じておるということでございますので、その点を確認をまずいたしたわけであります。しかし、この確認があったといたしましても、その地域におけるところの中小企業金融というような面から考えてみますと、これは非常に大きな問題でもありますので、それについては特にまた配慮をしていただくように、それぞれの地域地域における事情によっては十分配慮をしていただくように申し入れをし、そしていわゆる地方の金融に大きな支障が起きないように努力をさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 お答えの前に、安井さんから、ことしは地方債を大量に発行させるような仕打ちで困るじゃないかというような御指摘でございましたが、あなたも御案内のように、それよりも中央の方が大変なんでございまして、中央の方のあなたが言われるように七兆二千億に余る国債を発行しなければならないような事態でございますし、公債依存が三〇%近いという状況でございます。地方におきましても、そういう状況に応じてそれなりにわれわれの方と憂いを分かっていただかなければならぬわけでございまして、地方財政計画は明日閣議にかかるそうでございますけれども、それをもっていたしましても公債依存率は中央の半分ぐらいの程度になっておるんじゃなかろうかと私は推定いたしておりますけれども、そういう事情であるということはまず御理解をいただいておきたいと思います。  それから第二に、地方債の消化につきましては、いま自治大臣からお話がございました。四兆八千十億円の計画でございまして、民間に依存するものが二兆七千九百八十億ということが予定されておるわけでございます。  金融状況でございますけれども、ことしは中央地方を通じまして民間の設備投資需要というものがそんなに強くございません。それから、資金の政府と民間との間の出し入れを見てみますと、散布超過が相当多額に見られることが予想されるわけでございまして、そういう状況でございますので、財政資金が出てまいりまして、地元の企業投資あるいは地元の金融機関に預金として還元される部分が大変多くなるのではないかと期待をいたしておるわけでございます。したがって、マクロ的に見まして、いま自治大臣が仰せになりましたように、この程度の地方債が消化できない事態ではないと思っております。しかしながら、地方債によりましては一部の地方団体にそれが多く偏在する、あるいは金融機関にかたまって資金需要が向かうということがないとは言えないわけでございますので、そういったことにつきましては金融当局、自治当局等と十分連絡を図りながら、各方面の御協力を得ましてこの消化には遺憾のないようにいたしたいと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 大蔵大臣、遺憾がないようにという言葉だけでは私はどうも納得できないように思うのですが、これは間違いないですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 この実績をごらんいただきまして、もし私どもが怠けておるようでございましたらおしかりをいただきたいと思いますけれども、私どもは極力努力をいたしまして、御期待にこたえなければならぬと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 そこで、私この際資料を要求しておきたいと思いますが、その民間債、特に縁故債ですけれども、これは自治大臣、どれだけのお金が現実に必要なんで、その消化はどういうふうにして可能かという、時期別に問題を解明するような資料をおつくりをいただきたい。お話では口ではなかなかいいことを言われるけれども、どうもそれだけで通り越してしまって後でどうにもならぬと言ったら困るのですよ。私はそれをやはりきちっとおつくりいただきたいことが一つと、それからこの償還計画が大変ですよ。国債の償還計画の問題でこの間阿部委員と大蔵大臣とやりとりがありましたけれども、地方債についてもこの膨大な額をどういうふうにして償還するのか、その見通しをやはり明確にしていただきたい。  さらにまた、借金だらけで、交付税まで借金ですからね。五兆円の交付税のうち二兆数千億円が借金なんですからね。交付税の自分の会計の中で借金を持っているなどという、こういう異常な事態はかつてない。だから私は、地方財政がこうすれば健全に進むんだということについての展望を数字として、中期的なものでいいです、長い先を見ようったって無理かもしれませんので、中期的な展望をやはりこの際この委員会で明確にしていただきたい。  一つは縁故債の消化計画、一つは地方債の償還計画、もう一つは地方財政健全化のための中期計画、この三つの御提示をお願いしておきたいと思います。委員長、そういうことでお運び願います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 ただいま御要求がありました資料につきましては、検討いたさなければならないと思いますけれども、地方債がどう消化されるかということについては、地域によって皆それぞれ相違がありますね。だからこれはなかなかむずかしい面があるのではないかと考えております。  それからもう一つ、交付税が非常に多い。それでその交付税の償還。借金をして交付税を渡しておるのだから、それをどういうふうに返還するかということにつきましては、実は大蔵省との間に五十年の補正予算においてとりました措置については五十三年度から、それから五十一年度、来年度にとりまするこの交付税の借金につきましては五十四年度から、年次計画八年をもって償還をすることにいたしておりますけれども、しかしその場合において、もし地方の会計が非常に苦しい状態になった場合においては、地方財政が非常に苦しい状態になった場合においては、国において十分考慮をする、こういうことになっておりますので、われわれは一応それで今度の交付税を増額することによって交付税率の変更までもしなかったわけでございます。交付税率を変更することがいいではないかという御議論もまたあるかと思いますけれども、いまこのように経済が流動しておるときに交付税率を変更するということは必ずしも適当でない、こういう意見があったからこれは実現を見なかったということも御理解をいただきたいと思うのでございます。  さらにこの中期計画につきましては、いまのような経済の動き等々を踏まえてみますというと、すぐにその資料ができるかどうか私は問題であると思いますけれども、やはり地方財政を十分めんどう見ていくという意味においては、適当な時期にそういうような意味の計画をつくるように努力をいたしたい、かように考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 大蔵大臣は阿部委員の質問の際に、国の財政の中期的な計画ですか、展望ですか、それはこの総括質問が終わるまでに出す、そういうお約束をされましたね。だから、自治体の方だって私はできないわけはないと思う。やはり総括質問が終わるまでをめどとして、これはこの間のよりも大分時間的なずれがありますから、そのずれぐらいは私アローアンスを差し上げてもいいが、ひとついまの資料を御準備願いたい、それをひとつお願いしておきます。委員長、どうです。

正示啓次郎自由民主党

○正示委員長代理 理事会で相談をいたします。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それでは、この問題についてその資料が出てからさらに質問を続けることにして、この点少し保留しておきます。  それからもう一つ、国と地方の行政事務の再配分で、この点はひとつ私は三木総理にもっぱら伺います。  国、地方を通ずる行財政の抜本的な改革というのはだれの演説の中にも出てくるわけです。しかし、それだけで終わっているというのが現在までの姿ではないかと思います。したがって、私はこの際、総理や行政管理庁長官やさらに自治大臣その他の大臣からその点を伺いたかったのですが、きょうはそれだけの余裕がありませんから、地方事務官制の廃止の問題一点にしぼって質問をしていきたいと思います。  総理は、地方事務官制の廃止の問題については、この間の衆参両院の本会議でも、やるという御答弁があったし、昨年の予算委員会やあるいは地方行政委員会等での御答弁もありました。それを踏まえて伺いたいわけです。  これはずいぶん各省大臣にまたがるわけですが、またがるだけに最後の決断はやはり総理大臣だと思う。そういう意味で私の話も聞いたり御答弁もいただきたいと思うわけでありますが、一昨年の地方行政委員会の決議において、昭和五十一年三月三十一日までに決着をつけるということについて、自民党も賛成をして決議がなされているわけですし、総理もまたそういう方向での決意の表明がある。自治大臣は今度の国会に提案します、こう言っているわけです。現に自治省の提案予定法案の中に、地方自治法の改正法案も入っています。その点について、三木総理のお考えをまず伺っておきます。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 安井君の御指摘のような経緯もございますし、できるだけ早く成案を得て、国会に法案を提出したいということで、いま鋭意各省間で調整を進めておるわけでございます。安井君もこの問題のむずかしさということは十分御承知でございましょうが、政府も鋭意努力をいたしておる最中でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 総理が決意をされるのはいつですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は成案を得たいという決意のもとに、いま各省間で鋭意この検討を進めておるということでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 成案を得たいというのは決意でなしに、それは期待だとか希望とか、日本語ではそう言うのですよ。決意というのは、実行に移すときそれを決意と言うのですよ。成案を得たいというのは、これは決意じゃありません、期待であり希望なんですよ。だから決意はどうなのかということを私は伺っているわけです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 成案というのは結論のことですから、結論を得るべく努力をいたしておるわけで、私もそういう決意のもとでなければこういうむずかしい問題を鋭意努力はいたさないのでありますから、それは結論を得たいと、こういうことで決意をいたしておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 昭和五十一年三月三十一日というのはもうあと二カ月足らずです。そこで結論を出すということで、そのとおりいたします、こういうお約束なんですから、その点は間違いないのでしょうね。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 結論を得るという決意のもとにいま努力をしておる、そういうふうに受け取りを願いたい。

安井吉典日本社会党

○安井委員 余りきちっとした決意のようにも伺えないのですが、私はそこでこの問題の本質をもうちょっと総理に理解していただきたいと思います。  国と地方との間に機関委任事務という仕組みがあるわけです。つまり統計事務だとか外国人の登録事務だとか、あるいは都道府県知事には市町村に対する包括的な監督事務だとか、そういうようなものを機関委任事務として都道府県や市町村に国は預けています。その一つが社会保険事務所がやっている仕事や職業安定所がやっている仕事やあるいは陸運事務所の仕事であります。一連の機関委任事務の一つであるわけです。ところが、その機関委任事務は仕事を預けているけれども身分は全部都道府県の職員、市町村の職員というのが普通であります。ただ厚生省と労働省と運輸省にかかわるこの三つのものだけは機関委任事務は同じだけれども、身分まで厚生、労働、運輸に預けてもらわなければ困るというので、昭和二十二年の地方自治法の制定の際にずいぶん問題が起きて、そのあげくほかの機関委任事務は機関委任事務だけれども身分も全部渡す、しかしこの三つだけは機関委任事務では同じ機関委任事務であっても身分だけは国家公務員ということにしておくという地方事務官という仕組みで置かれてきた、こういう経過になっているわけです。ここのところをやはり明確にしておかなければいかぬと思います。何か仕事の種類によって国と地方に分けるとかいうふうな意見があるとかいうふうなことも開くのですけれども、そんなものじゃなしに、機関委任事務という本質論を私たちは忘れてはならぬし、自治体がそれをやるということで地方自治尊重の趣旨をここで遂げているわけですからね。     〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 この問題点を私はしっかり把握しておいていただかなければならぬと思う。つまり集権よりも分権の方向で問題を処理するということが大切だということが一つです。  それからもう一つは、いまの地方がやっている仕事をもう一度国がやるというふうな仕組みをとれば、たとえば厚生省は地方厚生局というふうな仕組みをつくるとか別な役所をつくらなければいかぬわけですから、新しい行政機関、国の出先機関を新設しなければならぬということになってきます。こうなれば、問題はまたさらに別な——このような財政の段階において新しい行政機関を新設するなどというむちゃなことを私どもはやる必要はないのではないかと思う。こういう問題点があると思います。  それから第三には、この問題はいま新しく出た問題じゃなしに、全国知事会の決議はもちろんのこと、臨時行政調査会、地方制度調査会、いままでもう何年となく繰り返し繰り返し言われてきた問題で、国会の附帯決議、単独決議、数えるいとまなしといったような状況で今日まで来ているわけです。だから私は、もういよいよ決着点に来た際に、期待や願望ではなしに、あくまでも地方自治を尊重し、分権を強めていくという方向で総理ば結論を出すべきだと思う。重ねて伺います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 委任事務に対しては、この問題は、問題の委任された事項などにも関連を持つわけでございますが、この際それは検討の上、この委任事務については明確な裁断を下す必要があるという意見は、安井君と同意見であります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 委任事務というよりも、ここで問われているのは、委任事務は別にいま問題に問われているのじゃなしに、問題は、地方に委任された仕事をやっているのはどこの県でもそこの県の職員がやっているわけですよ。身分までおれの方によこせなどという役所はほかにはないわけですよ。ただ、この三つの役所だけは、仕事は預けるし、その仕事をするのも、うちの身分だけは置いてくれということでいままで二十数年やってきた。ことしは地方自治法がもう三十年になるが、三十年になっていまだに人間のおしりにサルのしっぽがついているような形で附則第八条というのがついているわけです。いまやこれを取るべき時期だ。ですから、いままで総理が今日まで国会の中で約束してこられたことをそのまま実行していただけばそれでいいわけです。どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私が申しておるのは、個々の事務というものが、身分までもやはりそうすることが妥当性があるのかどうか、個々の事務について検討を加える必要があると私は思います。そういうことを検討を加えて、この際、身分について整理をするということで、それでいま各省間で鋭意調整を急いでいるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 検討、検討と言っているうちに見当違いにならないようにその辺はお願いしておきますよ。やはりあくまで地方自治法の中に残っているということ自体、地方自治を尊重するというそういう含みの中で今日まで置かれているというその事実だけはぜひ忘れないでいただきたい。きょうのところは、その程度のお答えしか出ないようでありますけれども、あくまで三月三十一日という期限がちゃんときっちりあるわけですから、そのことのお約束もあるわけですから、そのことだけをひとつ確認しておきたいと思います。  きょうの私の質問の最後の部分では、沖繩問題をちょっと取り上げておきたいということであります。  沖繩の海洋博が終わりましたけれども、失業人口が恐ろしく多いわけですね。昨年の十月現在で完全失業者は二万四千人、六%の失業率というのは全国一で、本土の三倍ぐらいになります。その上、駐留軍の従業員の解雇が去年の七月から五百六十四名。一月、二月、三月予定されているのが九百一名。海洋博が終わったことで約二千名は失業者の中に入るというふうに言われています。だから、海洋博がもたらしたデメリットがここで大きくクローズアップされてくるということではないかと思います。時間が十分にありませんので、この問題は、後に多賀谷委員も雇用の問題への全体的な提案が別にありますから、その際等にゆだねることにいたしておきます。  もう一つ、これは沖繩だけじゃありませんけれども、駐留軍の従業員の給与の改定の問題、これをちょっと伺っておきたいと思います。  アメリカの駐留軍従業員の賃金は公務員賃金に準ずる扱いとなっているわけでありますけれども、五十年のベースアップがまだされてないわけですよ。国家公務員は去年の十一月にベース改定がされたのは御承知のとおりですけれども、駐留軍労働者はもう年度がかわろうというのにいまだに改定がなされていない。これは法律上の雇用者は防衛施設庁長官、しかし最終的な負担は米軍から出るという関係があるものですから、日米間の話し合いがつかないままぐずぐず延び延びと、これが現状のようであります。四十九年度の給与改定のときに提起された定年制の問題や諸機関従業員の一部の職種給与の別建ての問題、住居手当の問題、こういったような問題が懸案事項になって、これが決まらなければ新しい交渉に入らぬという仕組みでアメリカ側が渋っているというのが実情のようであります。  しかし、この内容についてきょうは伺おうとは思いません、政府の決意だけを防衛庁長官から伺っておきたいと思うのでありますけれども、雇用主は日本政府なんですから、その従業員に対して公務員並みというルールがあるのですから、それで話し合いをつけて支払いをする、そしてそれが決まってからアメリカと話し合いをして、日本政府がどっちみち防衛施設庁長官の名前で払うのですから、払った後アメリカと話をして立てかえを処理してもらう。これが私は責任ある政府がとるべきルールではないかと思います。このルールをきちっとやらない限り、いつになったって今日のような不都合な状態が続いていくわけです。国の公務員と同じぐらいの賃金も払うことができないようなアメリカ軍なら、これはもう出ていってもらった方がいい。私どもはむしろそう思いたいぐらいです。早急にこの問題の決着をつけるべきである。こう思うのですが、長官のお考えを伺っておきます。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○坂田国務大臣 駐留軍の従業員の給与改定は、全従業員にかかわるきわめて重大な問題であるというふうに私承知をいたしておりますので、関係者一同一丸となりまして折衝に当たっております。昨年の十二月の三十一日もやりました。自来、今日までやっておるわけでございますが、土曜まで三日間、それこそ不眠不休で、向こうもそうでございますが、こちら側もそういう体制で、実は最後の詰めの段階に入っておるというところでございます。  それで、御指摘になりましたように、昭和四十九年度給与改定の際に、日米間で約束をいたしました検討事項が解決するまではこの交渉に入らない、という態度を実は変えておらないために折衝が難航しておりますけれども、しかし私たちの強い決意も向こうに十分わかったような気がいたしております。いま一息というところかと思います。  改定に当たりましては、御指摘のように、あくまでも国家公務員と適用時期を同じくし、かつ同率で実施するという日本側の基本方針を堅持し、何とか早急に解決を図りたい、かように考えておるわけでございますが、しかし実際、従業員及びその家族の方々の窮状を考えますときに、給与改定によりまして増額されることとなる額の一部を暫定的に支払うということについて、いま最後の調整を図りつつ米側と折衝しておる。いま一息ということでございます。非常な強い決意で臨んでおりますことを、ただいまの段階で申し上げておきたいと思います。しかし、何とかしてこれは解決をいたしたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 責任ある最終的な決着を期待しています。  私の最後の質問では、米軍の油に関する施設について、沖繩のオイルパイプラインの問題と、それから横浜等で米軍施設に対する立入調査の問題、これがほとんど同時に出ておりますので、この問題を取り上げてみたいと思います。  沖繩の米軍パイプラインは、アメリカが占領した直後につくられたもので、那覇軍港から読谷の補助飛行場までの五十五キロ、それから天願桟橋から嘉手納基地に至る約三十キロ、合計八十五キロにわたってパイプが三本、直径二十四センチぐらいの細いパイプですけれども、それが三本ずっと八十五キロにわたって沖繩に敷設されているわけであります。ところが、そのパイプでジェット燃料やガソリンや洗浄油等を送っているわけでありますけれども、地下一メートルぐらいに敷設されているところもあるし、地上に出ているところもありますね。しかも、それはお店屋さんのすぐ前を通ったりしている。住宅地帯を通っている。十五の学校の校内を通っている。交通の非常に厳しい幹線道路のところも通っているわけです。いつ何どきどういう事故が起きるかもしれないというのが現状であるわけなんですが、全くそのとおり、しょっちゅう油漏れの事故が起きているわけです。単に危険であるというだけじゃなしに、小学校が新築されたけれども、パイプラインがあるので上水道が引けないというケースが出てきたり、那覇は交通渋滞緩和のためのモノレールの計画が進んでいるわけですが、これもパイプラインが邪魔になる、自治体等の決議が相次いでいるというのが今日までの姿であります。  最近、一月十三日に宜野湾市伊佐のキャンプ・フォスター基地で、バルブボックスのジョイントが破損をして多量のディーゼル油が伊佐海岸に流れ出る。それから二十六日には那覇市の室川の住宅密集地で、やはり同じようなケースでバルブボックスからドラムかん八十本に及ぶのではないかというくらいの油がどくどくと流れ込む。一時間半にわたって流れたというのですから、大変なことだったと思います。しかも、こういう事故は、また明日起きないとも限らないという状態にあるわけで、外務委員会も現地の調査をしたこともありますね。国会でもしばしば取り上げられている問題であります。それにもかかわらず、一体なぜこれに対する対策ができないのか。この危険性を知らないわけはないはずですよ。それに対する対策が全くできていないのはなぜかということですね。その点をひとつお聞きしておきたいわけです。  例の瀬戸内海の油事故のために消防法の改正やコンビナート火災のための特別立法等がなされた。パイプライン法もできている。ところが、それらの法令に照らしてみると、このパイプラインと居住地区との間の保安距離はほとんど全線が法律違反です。それから配管と自動車の荷重の問題、市街地の道路の下には特別な防護装置が必要なんですが、それもない。その他国内法のどれに照らしてもこれは全部違反。そのほか運転状況の監視装置だとか安全制御装置だとか漏洩検知装置だとか緊急遮断装置、感震探知装置、通報設備、そういったいろいろな種類を国内法は要求しているわけですが、それも全部ゼロ。二十年も前のことで、アメリカ側には当時敷設されたときの図面もない、こういうひどいものであります。しかし、こんなばかげた状態の中に沖繩県民の命を預けておくというわけにはいかないと思うわけです。安保条約があって、アメリカにお願いして何とかしてもらうよりほかにないんだというふうなことで問題の解決は絶対にできないと思います。ですから私は、この点をひとつ明確な対策は今後こうするんだということをきょうこの際お示しをいただきたいということ、これが一つ。  それからもう一つは、横浜市の米軍の油タンクの立入調査の件でありますが、鶴見区の安善町にこのタンクがあるわけですが、その地域には大体八社のタンクが林のように並んでいる。そこにカルテックスの分だけの二十三基が米軍ということになっているわけです。別に孤立しているわけじゃないのですね。タンク団地の中のほんの一部でしかないわけです。直下型地震の問題もあって、横浜では緊急本部もできて全市にわたって全部調査ができている。ただ、米軍の管轄の中にあるからということで、そこだけがどうにもならない。タンク事故ですから、一本が破裂すればほかのやつに響くわけですから、共同作業で通知をし合うというような連絡組織もあるが、米軍の方はがんとして聞かない。ですから、横浜市としてもぜひともその実態を技術的に調査をしよう、ただ単に視察だけではだめなんで、技術的にきちっと調査ができるような、そういう仕組みをしたいということで、アメリカ側に調査の要求を防衛施設局を通してしているというわけで、防衛庁の当局でも、アメリカ側に一日も早くオーケーが出るような仕組みで努力をされていると思うわけですけれども、この点についてもひとつこの際明確にしていただきたい。この二点について伺っておきます。

斎藤一郎防衛施設庁長官

○斎藤(一)政府委員 いまのお尋ねについて、事務担当者としてお答えいたします。  沖繩のいわゆるPOLのパイプラインが非常に危険なものであるということは御指摘のとおりでございまして、沖繩の住民が非常な不安を感じておる、これに対してどういう対策を立てておるかということでございますが、かねがねアメリカに対して、当面の対策として、いまのパイプラインの危険な個所を十分に点検し、そして直すということを強く申し入れ、過去においてもパイプラインについては電子測量器などでやってまいったところでございますが、御指摘のように今回、去る二十六日に壷川で大量の油が流れ出て、住民の不安を招いておる。これは、バルブのところが、パイプラインのつなぎのところが非常に盲点になっておりまして、そういうところから事故を起こしたということでございますので、従来も私どもはその都度強く安全対策を申し入れしてまいっておりますが、今回の事故にかんがみても、日米合同委員会等にその当面の対策を早急に立てるようにということを要望しております。  それから恒久対策としましては、そもそもああいう町中にああいうものが残っておるということは非常に危険なことでございますので、これの危険個所の撤去ということを強く求めておりまして、米軍は、ある部分については、ことにその人口の非常に多い危険な個所については、移設を条件として撤去してもいいということを言っておりますが、移設の先あるいは移設の規模、そういったものに対してなお詰める余地があるので、いま日米間で強力に折衝し、かつまた移転先の調査などを進めておる次第でございます。恒久対策としては、将来ぜひ一つの方向を持ちたいというふうに思っております。  それから、鶴見の事故に関連しての米軍に対する調査の申し入れでございますが、先ほど御質問のように横浜市からも強く要望がございますし、私どもとしてもその事態の内容を十分に把握したいので、米軍の基地の中に強制的に立ち入るということはできない仕組みになっておりますが、米軍に強く要望して、その実態を把握して、そして対策を立てるというふうにやりたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 パイプラインの問題は、いま始まった問題じゃないですよ。それこそ米軍が駐留して以来の問題なわけですからね。いまだに防衛施設庁長官が話をしているぐらいなんですか。日本の政府としてこれに真剣に取り組むという構えばないのですかね。まずその点から伺います。これは外務大臣、どうなんですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 この問題は、日米安保条約に賛成であるとか反対であるとか、あるいは防衛上の機密というようなこととは全く関係のない別途の問題でありまして、第一、二十年前とは沖繩の地位も違っておりますし、わが国の国民のいわゆる環境問題についての、あるいは安全についての基準も違ってきたわけでございますから、当然にこれは米軍において改めてもらわなければならない問題であります。私どもの基本的な態度はそういうことでありまして、そういう態度のもとに合同委員会においてこの問題を議論をしておる。その基本的な考え方は、アメリカといえども基本的に異存はないわけでありますから、具体的にそれをどのようにやっていくかということで、防衛施設庁において具体的に話をしておられる、こういうことで、基本的な心構えはただいま申し上げたとおりであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 三木総理、私はこれは非常に重大な問題だと思うのですよ。もしも、二十四センチのパイプが表に油——ジェット燃料もあるパイプですからね、それが三本、東京の真ん中をずっと走っていたら、それを許すだけでも政府はひっくり返りますよ、これは。沖繩にあるから皆さん黙っているんじゃないですか。八十五キロもそういうのが、学校の前も、商店街の前も、ドアをあけたらすぐ表にそれが走っているわけですよ。少なくとも一メートル下ぐらいに埋まったままで、それが行っている。しかも時折、油が流れる。そういう実態を、何か事務当局がいろいろやっていて、それでいいだなんというものじゃないと私は思う。  別にそこまで私は言うつもりはありませんけれども、この間の参議院議員の某氏が政務次官をおりた問題にしても、私は、政治よりも高座の方が大切だと考えるような議員を、よりによって沖繩の政務次官に据えたという、そこに政府と自民党の政治感覚があると思う。それが沖繩感覚だと私は言いたいわけであります。そういう感覚があるから、沖繩県民の命が全部すっ飛ぶかもしれないようなパイプラインをそのままにしておくのですよ。沖繩は戦争中にも本土防衛の犠牲にされて、そのままアメリカに人質みたいになって、ようやく返されてきた。しかし、本土がどんどん復興しているけれども、沖繩はよちよち歩きで、海洋博をやってやったからそれでいいなんというものではないと私は思う。そういう沖繩県民の心は非常に傷つきやすいものになっていると思うのですよ。それの理解もないような態度の対応をしているという政府の態度に、私は重大な問題があると思う。外務大臣は、これは安保条約や何かの問題じゃなしに人道上の問題だと、こう言いましたけれども、総理、どうなんです。このパイプラインの問題だけでも三木内閣の責任において解決してくださいよ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 安井君、沖繩に対して軽視というような発言は、これはもう事実と違います。われわれは沖繩というものに対しては、いままでの、本土の決戦場になったし、またアメリカの施政権のもとに多年置かれたということ、そういうふうないろいろな、われわれとは違った苦難の道を歩まれた沖繩の人たちに対して、われわれはこれは報いなければならぬと考えておるわけでございまして、予算の編成などについても沖繩というものに対してはやはり特別な関心を持っておるわけでございます。海洋博なども、海洋博をやったからもう終わりだと、そういうことはもうわれわれは考えるわけはないので、海洋博というものをスタートにして沖繩の開発が前進すればというそういうことであって、これで終わったなどそんな、沖繩に対しての償いというものは海洋博をしたぐらいのもので済むものだと、そんなに軽くは思ってない。これは安井さんの、われわれの沖繩に対する認識というものが非常に足りな過ぎるという感じを受けます。  パイプラインは、これはアメリカの施政権のもとにあって、そういうふうなことになったわけでありますが、確かに御指摘のように、市街地に対してのパイプラインというものは、日本の本土においても問題になるわけで、沖繩においてもこれは問題にされなければなりません。しかし、やはりそれにはパイプラインをこう、別のルートで通さなければ、その油というものの供給はなされなければならぬわけでありますから、そういう別のルートというところに問題の現実的な解決の困難さもあるわけでございますが、市街地をできるだけ避けて通るということが好ましいことは御指摘のとおりでございます。政府として、合同委員会の問題で取り上げておるようでありますが、何かほかのルートで非常に人口の稠密な地域を通らないような方法がないかという点については、真剣にこれを取り上げて検討をいたすことにいたします。

安井吉典日本社会党

○安井委員 外務大臣、横浜の調査要求は、これは横浜だけじゃない、全国の至るところで起きる問題だと思います。そうでなければ、市民社会の真ん中に、でんと危険なものがあったら、それは米軍だろうとどこだろうと、やはりその自治体の市民の生活を守るという立場から——自由に立ち入りができるということまで私は要求しているのではないと思います、せめて技術的にも解明ができるような仕組みの立入検査は当面させろと、こういうのですから、当然だと思うのですがね。これは間もなくオーケーが出ると思いますが、どうですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 それは、私の立場から申しますと、問題の性格は先ほど申し上げましたようなことでございますから、米側に専門的な知識がないというのであれば、これは当然こちらの専門的な知識で調査をしなければならないということでありまして、その地位協定がどうのこうのという、そういう妙な議論ではなくて、現実に処理しなければならない問題を、われわれとして、われわれがしなければできないというのであれば、これはやはりそういうことでやっていかなければならない、そういう性格の問題だと思います。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて安井君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  明三日、日本銀行総裁の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、明三日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十二分散会

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