法務委員会 第11号
- 発言数
- 193 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1976/05/14
会議録
○大竹委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所裾分家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○大竹委員長 内閣提出、民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 最高裁にお尋ねするのですが、子の氏の改姓許可、これはどの程度出ておって、それからたとえば離婚して妻が復氏した場合には、通常ストレートに許可になっているのですか、それとも何か条件をつけるのですか。
○裾分最高裁判所長官代理者 ただいまの稲葉委員の御質問でございますが、私ども調べたところでは、子の氏の変更の許可申請事件は昭和四十九年に六万六千件ほどございました。五十年は若干ふえまして六万九千件余りということになっておるようでございます。 その変更の事由をいろいろ見ますと、第一番が、離婚した場合に、大体、子供にとって母親の方が婚姻前の氏に復するものでございますから、こういう場合に、子供が母親と同じ氏を称したいという場合が非常に多いようでございます。その次が、縁組関係がうまくいかなくて離縁になって、もとの氏に復したというような場合がございます。この場合は、子供が両親——父親、母親、両方と同じ氏を称したいというような申し立てになろうかと思います。三番目に多いのが、非嫡の子を認知した場合に、その父親と同じ氏を称したいというので、これは母親じゃなくて父親の方へということでございます。それからその次は、母親が再婚したために氏が異なったということで母親の方へ行きたい。それからその次が、配偶者が死亡した後に、もとの氏に復したいという場合があるわけでございます。そういう場合に、氏の変わった親のところへ行きたい、これも母親が多いようでございます。 私どもで見ますと、結局全体の事件のうちで、母親の氏へ変わりたいというのが五一・四%ぐらいあるようでございます。それから父母の氏、つまり離縁復氏の場合に、父母と氏を異にするために父母の氏へ変わりたいという場合が四一・五%になっておるようでございます。それから父の氏へ変わりたいというのが、これは数は少なくて七・一%でございます。したがいまして、過半数は母と氏をともにしたいということのように見受けられるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それじゃ、離婚の場合の親権者の定め方、ことに幼児の場合は九十何%あるいは一〇〇%近く、ほとんど母親を親権者というふうに定めておる場合が多いですか。
○裾分最高裁判所長官代理者 いまの御質問でございますが、九十何%というところには行ってないようでございます。母親を親権者にする場合が、ちょっと統計が古くなりますけれども、四十八年ごろでは大体三分の二ということのようでございます。
○稲葉(誠)委員 幼児の場合ですよ。乳児のような場合はほとんど母親じゃないのですか。
○裾分最高裁判所長官代理者 御質問のように、年齢が幼くなればなるほど母親が親権者に指定されるという率は高いようでございます。
○稲葉(誠)委員 それから、私もよくわからないのですが、戸籍訂正というのがありますね。戸籍訂正許可を求める場合、審判があるでしょう。あれはどういう場合に求めるのですか。
○裾分最高裁判所長官代理者 戸籍訂正ということは、戸籍法の百十三条と百十四条などに規定がございます。それから、なお、戸籍をいらう場合には百十六条の規定もあるわけでございます。 百十三条の戸籍訂正の対象となる事項は、戸籍の記載が法律上許されないものであること、あるいはまたその記載に錯誤もしくは遺漏があったような場合でございます。戸籍の記載が法律上許されないものとしては、たとえて申しますれば、外国人など戸籍に記載され得ない者に関する戸籍の記載というような場合、それから権限のない者による戸籍の記載等が例として挙げられるわけでありますが、そういう場合には百十三条の戸籍訂正の対象になるのだろうと思うのでございます。 それから、百十四条の場合は、いわゆる創設的な届け出の無効に関するもので、届け出によって効力を生ずる行為が無効な場合がありまして、たとえて申しますれば、婚姻届け出後、戦死の公報などによって届け出人の意思に基づかない届け出であるということが明らかになったような場合など、これに当たると思っておりますが。
○稲葉(誠)委員 後でまた最高裁の方に遺産分割の際の問題点についてお聞きしたいと思うのです。 法務省にお聞きするのですが、戸籍公開の原則ということですね。不動産に対する登記制度、この場合の公開は取引の安全のために絶対必要だ。戸籍の場合も、国民の身分等に関する重要事項を公証する唯一の国家制度であるから公開の原則は維持される、こういう議論があります。これは原則としてはそうだと思いますが、この登記の問題と戸籍の公開のニュアンスというのですか、それは制度の目的から言って違うと見ていいのか、あるいは同じなのか、そこのところはどういうように理解したらよろしいのでしょうか。
○香川政府委員 登記簿の公開と戸籍の公開、これは考え方においては、基調は同じだと思うのでありまして、その間に理論的な根拠の違いは特にないというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 今度の戸籍法ですが、条文に従うと、第十条の改正、これは具体的にはどういうところから出てきたということになるわけでしょうか。出てきた沿革といいますか背景といいますか、そういう点はどうでしょうか。
○香川政府委員 ただいま問題になりました戸籍の公開の原則と言われているものも、およそ戸籍というものは絶対的に公開すべきであるというアプリオリ的と申しますか、さような考え方があるわけではなくて、戸籍制度の持つ意義からこれを利用する国民に公開するのが妥当であるという考え方であるわけであります。現在の戸籍法の十条は、原則的に戸籍を全面公開にいたしておるわけでございますが、ただ十条一項のただし書きにございますように、市町村長において正当な理由がある場合にはその請求を拒むことができるという規定があるわけでございます。従来、戸籍の公開に関しましてさほど問題はない、つまり十条一項のただし書きの正当な事由によって市町村長が請求を拒否することが、さほど実務的には問題にはなっていなかったと思うのでありますけれども、最近におきまして、戸籍に記載されておる事項の中には個人のプライバシーに属するものもございますし、さような戸籍の記載を悪用してと申しますか、個人の名誉を傷つけたり、あるいはプライバシーを侵害するということがわりあい多くなってまいったわけであります。こういうのに対処いたしまして、さような事例の多い一部の市町村におきましては、そういう請求自身が違法ないしは不当というふうな場合に備えまして、請求を拒否するような取扱規定を設けまして、公開を制限する方向に来ておったわけでございます。 ただ、さような関係は、法律的には、ただいま申しました十条一項ただし書きの市町村長において正当な事由がある場合ということを根拠にせざるを得ないわけでございますけれども、これには、従来からの解釈によりましても明らかなように、限界があるわけでございまして、積極的に市町村の方でいろいろ審査をして、請求の目的が不当であるというふうなことでチェックするには不十分であるわけでございますし、また法律的に果たして十条一項ただし書きを根拠にしてさようなことができるかどうかについて根本的な疑問があるわけであります。一部の市町村での画一的なやり方に対しまして不服申し立てがあって、それに対する裁判所の御判断がさような公開制限は違法であるというふうな判断を示されてまいっておるわけであります。 さような趣旨で、一昨年この問題を法務大臣の諮問機関でございます民事行政審議会に諮問いたしまして、戸籍の公開制限についてどのように対処するかということでいろいろ御審議を煩わしたわけであります。その答申が昨年の二月になされまして、基本的な考え方としては、戸籍の公開は絶対的なものではなくて、請求の目的が正当でないというふうなときにはこれを制限すべきであるというふうな趣旨の答申がなされたわけであります。 さような経緯をたどりまして、現に存する戸籍公開制度を悪用する不当なものを防止する観点から法律的にそれを明確にする必要があるということで、今回、公開の原則は維持しながら、さような場合に制限できる措置を講じたいということで、戸籍法に関する十条の改正案を提案した次第でございます。
○稲葉(誠)委員 その民事行政審議会の答申と今度の改正とはストレートに同じなんですか、あるいは答申の方よりも若干弱めたとか強めたとかいろいろあると思うのですが、それはどこがどういうふうに違うのですか。
○香川政府委員 詳しく申し上げますと、答申は正当な理由があるものについて戸籍を公開するというふうな考え方でございます。したがって、不当とか違法とかいうことでなくても、正当な理由がなければ公開しない、かような方向を考えておられるわけであります。この点につきまして謄抄本の交付、さような公開の事務を取り扱っておる市町村の窓口事務の実態を考えますと、積極的にその正当の事由があるということを市町村長において判断しなければ謄抄本の交付もできないということは、考え方としては十分理解できるのでありますけれども、窓口事務の市町村の実態を考えますと、ちょっと無理があるのではなかろうかと考えるわけであります。 ただ、このねらいと申しますのは、答申のねらいも先ほど申しましたように、戸籍の公開制度を悪用して他人のプライバシーを侵害する、他人の名誉を棄損する等の迷惑をかけるようなものに戸籍謄抄本を利用することを防止することにあるわけでございます。 そこで市町村の窓口における事務の実態も考えながら、今回の改正案では、公開の原則は維持しながら、特殊の場合を除きまして、つまりそういう不当のおそれがない場合を除きまして、一般的に、たとえばどういうわけで謄抄本を請求するのであるかという請求の理由を明らかにしていただいて、それを受けて市町村長においてその請求の目的が不当であると判断した場合に限り拒否するというふうな形になっておるわけであります。したがって、形式的に見ますと、いわば答申よりは後退しているというふうにも見受けられないではないと思いますけれども、考え方としては、基調は同じであると考えておるわけでございまして、民事行政審議会に対しましては、今回提案しているような形で法律改正をするということの御了承も得ているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 十条の改正の中で「法務省令で定める場合を除き、」云々と書いてありますね。そうすると、この法務省令というのは具体的にはどういうものなんですか。どの程度でき上がっているものなんですか。原則は戸籍公開の原則を維持するということですね。そうすると、「法務省令で定める場合」というのはある程度明らかになっていないと、一般の国民もはっきりしなくなってくるんじゃないでしょうか。
○香川政府委員 ただいま御指摘の十条の改正案文の二項でございますが、戸籍の謄抄本等の交付を請求する場合に、法務省令で定める場合を除いてその請求の事由を明らかにしなければならない、この請求の事由を明らかにしなければならないといたしておりますのは、先ほど申しましたように、その請求が不当であるかどうかということを判断する市町村長の資料といいますか、さような意味で請求の事由を明らかにしてもらうということに考えておるわけでございます。 ところが、たとえば弁護士が職務上必要な場合ということで裁判所に提出しなければならぬとか、あるいは司法書士が相続登記の申請をする場合に添付書類として相続を証する書面としての戸籍の謄本を必要とする、そういうふうな職務上どうしても必要な場合があるわけでございます。そういうときには、つまり弁護士とか司法書士というふうな職務上そういう謄抄本の交付を受ける必要がある場合におきまして、謄抄本に記載されている事項については、当然職務上知り得た秘密ということで、これを公にしてはならない守秘義務があるわけでございますので、さような場合には、もともとこの改正案で考えております他人のプライバシーの侵害というふうなことは起こりようがないわけでありますので、そこでこの「法務省令で定める場合」としての法務省令の内容といたしましては、弁護士とか司法書士とか、そういったものが請求する場合は、そのことによって当然不当な結果を生ずるおそれがないということで請求の事由まで明らかにしてもらう必要はない、こういうふうな例外規定を設けようということでございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、いまのは弁護士と司法書士でしょう。だから「法務省令で定める場合」というのは、弁護士と司法書士だけなのか、そこら辺のところはもう少し説明してもらわないと、聞いている方はなかなか納得できなくなってくるのですよ。
○香川政府委員 現在いろいろ検討しておるところでございますが、私どもの手元でこれだけは少なくとも法務省令で定めなければならないと考えておりますものを申し上げますと、これは当然のことでありますが、当該戸籍に記載されている者、あるいはその親族が請求する場合、これは当然必要がないわけでございます。それから国あるいは地方公共団体、公法上の法人等の職員が請求する場合、これはやはり同じように不当になるおそれがないものでございますので除かれる。それから三番目は、先ほど申しましたように職能上のものでございますが、これは一応考えておりますのは弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、または行政書士というふうな、およそその職務を行うについて戸籍の謄抄本を必要とすることが当然考えられる、そういう業法上の守秘義務を課せられておるそういった者、その限度で考えておるわけでございますけれども、そのほかにさらにあるかどうかいま検討中でございますが、恐らく、以上で尽きるのではなかろうかというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 大臣聞いておいてほしいのですが、個人のプライバシーの保護を可及的に図ることができるようにする、これは一つのあれですね。 そこで、個人のプライバシーの侵害をするというのは、いま多いのは興信所の問題ですね。興信所にもいろいろな興信所があって、古い歴史があり、信用のあるものもあるらしいし、いろいろなものがあるらしいのですが、ぼくはよくわかりませんけれども、再三個人のプライバシーの問題、これ以上申し上げませんが、この問題に関連をして、ことに関西を中心として、これは人権擁護局長を呼んでおけばよかったのですが、法務省にいろいろな要求なり申し立てがあって、人権擁護局長からいろいろな通達ないしそれに類するものが出ているわけですね。一番多いのは人事興信所。経済の信用状態の調査ならば話はわかるけれども、そこで人事興信所がいろいろな調査をするわけですね。ことに縁談の場合とか、いろいろなことをやるわけだ。それについて、いままでどういうふうに法務省として対処してきたかということが一つ。これは政府委員でいいです。 それから興信所の実態をどの程度法務省として把握しているのかということは、これは政府委員に答えてもらいたいと思うのです。 それから大臣にお聞きしたいのは、興信所に対して、これが弊害を与えておる。これは憲法の職業の自由との関連があって、そう一概に言えないことですから、私も乱暴な議論、ラフな議論はいたしませんけれども、少なくともこれを実態を把握して登録制にしてくれ、認可制までは無理としても登録制にしてやる必要があるのではないかというような議論があって、従来、法務省の中でも人権擁護局を中心として、これは川島さんが擁護局長の時代か、何かいろいろなものを出しているわけですね。だから、それに対しての大臣の考え方を後でまとめてお尋ねしたいと思うのです。 私の質問の言外の意味はおわかり願えると思いますから、政府委員から先に答えてもらって、後、大臣に答えてもらいたいと思います。
○香川政府委員 戸籍行政の面につきましては、特に興信所に対する市町村側の取り扱いについてとりたてた通達を出した例はございませんが、先ほど申しましたように、いろいろ問題のある市町村におきましての公開制限の取り扱いの中で、この興信所の問題というのは非常に重要な問題になってきておるということは、十分承知をいたしておるわけでありまして、今回の法改正がなされますれば、この辺のきめ細かい、興信所のみではございませんけれども、さようなものについての公開事務の取り扱いについての基準をいろいろと市町村と相談しながら設けたいと考えておるわけでございます。 そのほかに、興信所自体の実態につきまして、人権擁護局でよく問題になることでございますが、民事局として特に実態調査というふうなことはやっておりませんし、今回の戸籍法の改正を契機にしてどういうふうな実態にあるかということは、当然、先ほど申しました市町村の事務取り扱いとの関連におきましても把握しなければならないと考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 大臣、いま民事局長からお答えがあったわけですけれども、どうも興信所の中にいろいろなものがありまして、この法案が仮に通るとすると、そうすると今度はそういうふうないろいろな問題を調べるのに、いわゆる人事のことでかえって興信所を使わなければならないということになってきて、そこで何か普通のあれよりも非常に高い金を取って調べるということで、ことに関西を中心として行われるということが、個人のプライバシーの保護の点で懸念されるわけです。これは一体どこがどういうふうに取り締まれと言うのもちょっと変な言い方かもわかりませんが、どこが所管なのかもわからぬですが、大臣としても、個人のプライバシーの保護を中心として興信所の実態について、いま政府委員の答えたことに関連をして今後どういうふうにしていきたいと考えるのか、そこら辺のところを明らかにしてもらいたいと思うのです。
○稻葉国務大臣 人権の侵害が興信所の行き過ぎ等によって行われており、行われるおそれがあるということは、想像にかたくありません。平穏な国民の社会生活を脅かすような行き過ぎは、営業の自由といえどもあってはならないことでありますので、まず実態をよく人権擁護局を通じて把握した上、登録制度の問題についても検討してまいりたい、こう思っております。
○稲葉(誠)委員 ここでもやはり問題になってくるのは、市町村長は「請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。」というわけですね。これは改正前の現行法でも、改正案でも同じですか、違ってくるわけですか。多少違ってくると思うのですが、これは不当であるか、不当でないかということは、争いが起きたときどうなんですか。どういう形になってこれは争うのですか。
○香川政府委員 請求の事由等を考えていろいろ調査した結果、市町村長が不当だということで謄抄本の交付を拒否いたしました場合に、それに不服がある者は、結局市町村長を相手にして不服申し立てを家裁にするということになるわけでございます。それによって決着をつけます。
○稲葉(誠)委員 それが現行法の場合と改正案との場合によって、いまは田辺だとか神戸だとかいろいろありますね、家庭裁判所で判決が出ていますけれども。現行法の場合と今度の改正ができ上がった場合、市町村長が不当な請求だということで拒んだ場合に、法務省としては、いままで出たような判決というか決定というか、そういうようなことが出るということは、実際問題としては考えられなくなってくるというふうに見ていいのですか。
○香川政府委員 現行法のもとにおいて不服申し立てがなされました裁判例は、いま御指摘ございました田辺市の例を見ましても、つまり請求があった場合の個々的なケースごとに不当であるかどうかというふうなことを市町村長が判断して許否を決めるというふうなことではなくて、謄抄本の交付を請求するためには本人の同意書を必ず添付しなければならないというふうな、つまり具体的なケースごとでの審査ではなくて画一的な取り扱いをしたということでございますので、さような取り扱いは戸籍の公開原則に反する違法なものだと、こういう裁判所の判断でございます。 ただ、現行法におきましては、先ほど申しましたように、十条一項ただし書で、つまり請求する方は何らそういう立証とか事由を示さなくていいわけでございます。市町村長の方で、いわば職権的にと申しますか、相手方の何らの協力といいますか、対応なしに独自にやらなければならぬというふうなことでございますので、田辺市の例のようなやり方というのもやむを得ない面もあったんじゃないかと思うのでございます。 しかし、真正面から違法かどうかということになりますと、これはやはり違法ということにならざるを得ないというふうに私どもとしては思うのでありまして、その辺のところを何とか法律的にも市町村の窓口事務のあり方としてもうまくいくような、適正、迅速に処理できるような法律的な根処をやはり考えなければならないということでございますので、この改正案ができますれば、そういった画一的なやり方というものは相当やはり反省して、やめられて、積極的に請求する方の側に対して、自分の請求はかくかくしかじかであって不当でないということの、いわば立証責任と申しますか、さような点も出てまいりますので、相当家庭裁判所の判断も大きく違ってくるであろうというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 ここにあります戸籍閲覧の制度ですね、これを今度廃止するというのでしょう。手数かかるかもわかりませんけれども、戸籍閲覧の制度を廃止して国民が不便を感じないのですかね。どういう場合に戸籍閲覧の制度が必要なわけですか、普通の場合に。
○香川政府委員 戸籍閲覧の制度というのは、謄抄本の交付請求に比べますと比較にならないほど少ないわけでございまして、これは恐らく、多数の戸籍を一括してと申しますか、閲覧して所要の事項を書き取っていくというふうなときに使われることが多いのではなかろうか。と申しますのは、一通の戸籍を必要とする場合に、一般の国民から申しますと、戸籍を閲覧して的確にこれを把握するということよりも、むしろ速やかに謄本をもらってゆっくりと見た方が楽だということが当然考えられるわけでございまして、したがって、一般の国民から見れば、現在、原本と同じようなコピーによる謄本の交付が受けられるわけでございますから、あえてめんどうな閲覧をして書き抜いていくというふうなことは、さほど必要がないように思うのであります。 市町村の方から見ますと、閲覧の場合には、戸籍簿の中から当該戸籍を抜き取りまして、いわば改ざん等のおそれもございますので、それを一定の場所で、監視つきで閲覧させるというふうなことに相なります結果、手数、費用がかかるという逆の面が出てくるわけでございます。最近のように、非常に複写機が発達してまいりますと、形式的には閲覧の方が楽のように、市町村から言えば手数がかからないように見えますけれども、実質的にははるかに手数がかかるというふうなこともございますし、しかも、これは当該戸籍を見るということで、戸籍簿につづってございますので、ほかの戸籍が見られるおそれがある場合もございますし、そうなると、どうしても戸籍簿をつづってある中から該当戸籍を抜いてきて見せてというふうなことになるわけでございますので、いろいろ問題がある。さようなことから、市町村におきましては、閲覧の制度はひとつ廃止してもらいたいという強い要望があるわけでございます。まことにもっともだと思いますので、今回さような、国民にはさして迷惑はかける心配はございませんし、市町村の方での費用、手数を省くという意味から閲覧の制度を廃止しよう、こういう次第でございます。
○稲葉(誠)委員 これは除籍簿との関係で、遺産分割のときなんか家裁でよく問題になるのですが、まずこの除籍簿というのは、一体どういうふうなものを除籍簿と言うのですか。
○香川政府委員 たとえば一番多い例で申しますと、現在の戸籍に登録されておる人たちが全部死んじゃったというふうな場合には、当然これは戸籍から除籍に、つまり戸籍から除かれることになるわけでございまして、これを除籍と言っておるわけでございます。そういった例が一番多いわけでございまして、ただ、本人が生きておって、除籍にも載っておるという事例もあることはあるわけでございますけれども、いずれにしても当該戸籍の面においていろいろの事由によってそれが消除されて、記載としての生きている者を存置しておく必要がないというふうなときに除籍簿ができると、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 その除籍簿というのは、これは永久保存ですか。
○香川政府委員 これは除籍いたしましてから八十年間保存ということにいたしておるわけでござ います。
○稲葉(誠)委員 今度の法律では、この除籍簿はどういうふうになるのですか。この場合は、その他法務省令で定める場合に限って請求できることとすると、こういう書き方ですね。それから十条の方は「法務省令で定める場合を除き、」という書き方ですね。それはどういうふうに違うのかということが一つと、それから「法務省令で定める場合に限り、」という、この場合はどんなことを意味しているわけですか、どういう場合を……。
○香川政府委員 戸籍の公開の必要性と、除籍の公開の必要性には相当差があると思うのであります。生きている者の関係について身分関係をいろいろ公証しておるそういったことを調査するという場合と、それから先ほど申しましたように、除籍の方は死んでおる者が記載されている場合が圧倒的に多いわけでございますから、おのずから公開の必要性が違ってくるということが一つと、それからもう一つは、これは除籍の中には明治三十一年——その前に壬申戸籍というのがあるわけでございますが、明治三十一年の戸籍法による戸籍、それから大正四年の戸籍法による戸籍、こういうものは戸籍法の改正によりまして、戸籍簿の様式が変わることによって新しい様式のものに移記いたしまして古い戸籍を除籍にしておる、そういうものがあるわけでございます。今日とプライバシーの問題とかいうふうなことについての国民意識がずいぶん違っておりましたことも手伝って、たとえば古い戸籍には族称というふうなことで華族、士族、平民というふうな記載欄もあったりしたわけでございますし、それから昔の戸籍には、たとえば刑務所で女囚が子供を産みました場合には、その出生地として刑務所をそのまま書いておるというふうな記載もあるわけでございます。そういうふうなことで、現に市町村において保管しております除籍の中には、今日考えれば、さような記載はやはり公開してはよくない、むしろ個人の秘密としてといいますか、むしろ積極的にそういうことを戸籍に記載すべきでないというふうな事項もあるわけでございます。 さような意味で、今度の改正案では、除籍につきましては、真に最小限必要がある場合に限って公開の制度を維持する、こういうふうなことで、生きている戸籍は、原則的には公開をとりながら例外的に制限するという方法と違った、むしろ公開を厳しく制限したような形になっておるのはさような理由でございます。しかし、除籍につきましても、やはり過去の身分関係等が法律的に当然必要になるということもございますので、そういう考えられる必要のある場合に限って公開するということと、それから公開しても心配されるプライバシーの侵害等の弊害が全く考えられないというふうな場合には差し支えないわけでございますので、そこで新設規定の十二条の二では、除かれた戸籍に記載されている人あるいはその直系尊属、直系卑属、そういう者が請求する場合には、これは自分たちの身分内容のことでございますので、先ほど申しましたプライバシーの侵害というふうな意味の弊害がないから、これは何も制限する必要はなかろう。 それから、さらに国あるいは地方公共団体におきましていろいろ相続関係、過去の身分関係等を調査する必要もございますし、それから弁護士が訴訟等においてそういう除籍を必要とする場合もございますが、これも守秘義務ともあわせ考えますれば弊害がないということになるわけでございまして、そういうものを例示いたしまして、そしてそのほか法務省令で定める者も請求できるという、この法務省令の内容といたしましては、先ほど十条の方で申し述べました司法書士とか調査士とか行政書士というふうなものと同じような範囲を考えておるわけでございます。 それからもう一つ、それ以外の者でも、たとえば一般私人でございますが、相続関係を明らかにする必要があるというふうな場合に、除籍以外にはないわけでございますので、さような場合には公開を制限することは行き過ぎでございますので、そういう者は当然請求ができるようにして、そのほか相続関係を証明する必要がある場合以外でいろいろ考えられる必要な場合が出てこようかということで、法務省令で定める場合にも、同じように請求ができる道を開いておこうというふうにしておるわけでございます。 この「法務省令で定める場合」というのは、現在いろいろ検討しておるのでございますけれども、たとえば調停の申し立てをするとかあるいは裁判所にいろいろな手続をとるときに、相続関係以外の身分関係を明らかにしなければならぬというふうな場合が主として考えられるわけでございます。裁判上必要とする場合というふうなのが一番大きな法務省令で定める場合の例示になろうかと思いますが、さようなことをいま詰めて検討いたしておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 除籍関係ですが、これをとるというのは、不当な目的に利用されたというふうな例とかあるいは利用されるおそれというか、具体的な例は別として、そういうようなことがやはりあったんですか。
○香川政府委員 先ほど申しましたような族称欄の記載をことさらあばく、あるいはおまえは刑務所で生まれたのだということで、げびたあれで申しますれば、いやがらせ、ゆすりをやるというふうな事例を耳にいたしておるわけでございまして、およそいろいろの場合が考えられるわけでございますので、そういうことをできるだけ未然に防がなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、いま言った戸籍閲覧制度の廃止と除籍簿の公開制限とかいうことと二つあわせて考えたときに、遺産分割の問題が非常に出てきますね、家庭裁判所で調停の場合もあるし審判の場合もありますけれども。そうすると子供が多くて先に行っていっぱいいるという場合に、だれが相続人だかということをともかく発見するのは、実際問題として大変な騒ぎですよ。そのためには戸籍閲覧という制度は、弁護士がやる場合とかなんとかいう場合には残しておいた方がいいのじゃないか、こう思うのですがね。素人が戸籍閲覧してだれが相続人だか発見しろと言ったって、とてもできるものじゃない。ぼくらがやってもわからないで、家庭裁判所へ行って遺産分割の調停のときでも、何回も何回もとにかく相続人のあれが整わないといって本筋まで入らない場合が多いんですよ。多いと言うと語弊があるけれども、そういう場合があるのです。戸籍閲覧制度を廃止し、それから除籍簿の場合もいま言ったような形にして、遺産分割の調停とかなんとかの場合に支障はないのでしょうか。そこはどうなのか、どうもその点ぼくもよくわからないのですがね。
○香川政府委員 いま謄抄本の交付の請求にかえて閲覧の方が探しやすいというお話でございますけれども、実際問題としまして、おっしゃるような遺産分割の関係等で過去の身分関係を全部洗わなければならぬという場合に、現在の実際の戸籍というのは、さような場合に役に立つようにはなかなか仕組まれていないといううらみがあるわけでございますね。昔の戸籍でございますと、その辺がはっきりしたのでございますけれども、現在は夫婦子供中心の戸籍ということになっておって、さような単位以外はないわけでございますので、その点非常に不便がある。したがって、この不便さというものは謄抄本の交付請求よりも、さらには閲覧の請求自身にも当然同じ程度においてあるわけでございまして、この辺のところは閲覧制度の廃止と関連なしにでも、現在におきましても索引的なものがやはり必要じゃないかということなんでございます。しかしこれは専門家が見ますと、ある一つの戸籍を中心にして、あるかないかはわからぬけれども、ある可能性があるということでたぐっていけるということになるわけなんでございまして、そのことはただいま御指摘の、閲覧制度を廃止することによってかえって弁護士には不便じゃないかということは、私は当たらないと思うのであります。一つの中心的な戸籍、それすらわからぬのではどうにもならぬわけでございますけれども、これは閲覧したってわからぬわけでございますから、さような中心的な戸籍の謄本を手がかりにいたしますれば、あるかないかは、これは法律家というか、あるいは戸籍の関係に精通しておられる方であればわかるわけでございます。 実際問題として、いまそういった不便さをどういうふうに解消するかということで、市町村の方もいろいろ苦心しておられるところでございます。一緒になってと申し上げてはちょっと語弊がございますけれども、あちこちの戸籍簿を閲覧という形ではなしにお見せして謄本の請求をしてもらうという形でやっておるということで運用上うまくいっているんじゃないかというふうに思っておるわけでございますが、この辺はさらに今回の改正と関係なしにある問題でございますので、うまい方法があるか、ひとつさらに積極的に十分検討したい、かように考えております。
○稲葉(誠)委員 それからここにもあります戸籍の謄本、抄本の記載事項に変更がないことの証明制度ね。これは戸籍謄本は有効はいま三カ月ですか、印鑑証明は三カ月ですね、どういうふうになっているのかちょっとぼくもあれですが、普通三カ月だと思っていますが、これは実際古い戸籍謄本を持っていて変わりがなければそれに変更がないということを証明してもらえばいいのだけれども、そういう制度があることをみんな知らないから新しく請求する。新しく請求してもいま待っていればその日のうちにすぐくれるから余りあれがないかもわかりませんけれども、こういう制度があることを知らないから利用されてないんじゃないでしょうか。印鑑証明は、初めからあれは三カ月になっているのですか。謄本のあれも有効期間はどうなっていますか。
○香川政府委員 印鑑証明の有効期間三カ月と申しますのは、不動産登記法の施行細則に規定がございまして、不動産登記の取り扱いの限りにおいて三カ月ということにしておるわけでございまして、一般的にそれをどういうふうにされるか。これは特に市町村条例で印鑑証明書の有効期間は何カ月というふうにはいたしておりません。それから戸籍謄本自身の有効期間というのは、法定は何もないわけでございまして、謄本である限りは、いつまでもそのときの謄本として有効であるわけでございます。 ただいまの記載事項に変更がないことの証明制度が利用されてないというのは、確かにそういう制度があることを一般に十分知られていない、この面ではPRしなくちゃならぬかもしれませんですが、ざっくばらんに申し上げますと、市町村におきまして記載事項に変更のないことの証明というのはわりあい手数がかかると申しますか、先ほども申しました非常に高性能の複写機があるものですから、現在の謄本をとってもらった方が手数がかからない、つまり記載事項に変更がないことの証明申請がありますと、現在の戸籍とそして過去に出した謄本とを比較対照して、記載事項が全く同じであるかどうかを調べるという意味では若干手数がかかるわけでございます。 さような意味で、市町村の方としては、必ずしも記載事項の証明の制度のPRということに力を注がないという傾向にあるのではないかというふうに思いますが、しかしこれは市町村側じゃなくて、申請人側の方の費用、手数の軽減にもなることでございますので、さような制度のPRには努めなければならぬというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 この十条の謄抄本の交付請求の場合ですね。普通の場合、この場合に今度のあれでは請求の事由を書かなければならないわけですか。そうすると、その記載の程度とか疎明方法、これはどの程度疎明すればいいことになるわけですか、弁護士の場合なんかは弁護士の判こでもあればいいのでしょうが。これが各市町村によってばらばらだとかえって混乱が大きく起きてくるし、またそれを統一し過ぎちゃってもこれはまた画一的になって、地方自治との関係でどうなるかという議論もあるのかとも思うのですが、請求の事由の記載の程度、疎明方法、疎明だから証明と違うから簡単なんでしょうけれども、そこら辺はどういうふうに——混乱は起きませんか、これは。
○香川政府委員 御指摘のとおり、この請求の事由の記載というのは、事柄自身は簡単のようでございますけれども、実際の窓口事務の運用としては非常にむずかしいことだろうというふうに思うのであります。と申しますのは、先ほど申しましたように、その記載によってのみではございませんが、それを足がかりにして請求の目的が不当であるかどうかということをできるだけ迅速に市町村長が判断するというための記載でございますので、その目的にかなう程度に書いてもらわなければならぬということになるわけでございますが、ただ個々の具体的な場合を考えますと、たとえば相続登記を申請するから相続関係を明らかにする必要があるということで必要だ、こういうのは問題はないと言えばないのでございますけれども、たとえば結婚する相手が法律上結婚できる年齢に達しておるかどうかというふうなことの調査ということがあり得るわけでございます。そうすると「結婚要件調査のため」、こういうふうに書いてきた場合、これは一体いいのかどうかというふうな問題になるわけでございますが、これは私どもとしましては、単に法律的にその程度でいいとか悪いとかいう議論をいたしましても、なかなか市町村、しかも地域によりましてはいろいろ問題がありますので、その辺の扱いを、幸いございます市町村の戸籍事務協議会連合会等と十分協議いたしまして、窓口事務が混乱しないで、しかも申請人に過度の負担をかけないような扱いというものを十分考えていかなければならぬと思うのでありますが、なかなか具体的にどこの程度まで書けばいいか。「結婚要件調査のため」と書けば、法律的にはそれでいいはずでございます。ただ、それで事足りるというふうに全国的に言い切れるかどうかというふうな問題もあろうかと思いますので、その辺はこの趣旨から十分詰めて協議してみたい、そして全国的に統一するわけにはちょっとまいらないと思いますけれども、それぞれの実態に即して考えてみたいというふうにお答えいたしておきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 質問をこれで終わりますが、最後に要望として、個人の基本的人権、個人のプライバシー等を侵害しないように運用されなければなりませんし、同時にまた、国民のこれを要求する権利というものも当然確保されなければならない。そういう意味においてこの調和というものを十分図っていただかなければならないというふうに思うのですが、それは運用の問題だと思うのですが、こういう点に今後十分注意していただきたいと思うし、ことに前者の個人のプライバシーの侵害、内容はこれ以上申し上げませんが、このことについては十分な注意を今後も払っていただきたいということを要望して、質問を終わります。
○大竹委員長 諫山博君。
○諫山委員 戸籍法改正について質問します。なるべく私自身の見解を交えずに、この改正案が法律になったらどういう運用がされていくのだろうかということを中心に質問したいと思います。 そこで、政府の提案理由説明の中でこの戸籍法改正は、個人のプライバシーを保護するために必要だということが言われています。一般的にこの改正をしなければどういうプライバシーがどういう方法で侵害されるのか御説明ください。
○香川政府委員 先ほど稲葉委員の御質問にもお答え申しましたとおり、戸籍は本来、人の身分関係を公証するためのものでございますので、それに必要な記載が当然されなきゃならぬわけでございますが、その中に、たとえばある子供が嫡出子であるか非嫡の子であるかということが明らかにされなければ、これは相続関係が違ってまいりますので、当然必要であるわけであります。それから認知の制度もあるわけでございまして、認知された場合に戸籍上そのことを明らかにしておかなきゃならぬということがございます。 そういったいろいろの身分関係を明らかにする記載事項それ自身は、法律上必要があって記載されておるわけでございますけれども、それが嫡出の子であろうと非嫡の子であろうと、そんなことは何ら人間としての価値には関係ないことでございますから、特に問題にすることではないと言えばそれまでなんでございますけれども、現実の社会におきましては、やはり非嫡の子であるということによっていろいろの、名誉の棄損とまではまいりませんけれども、プライバシーの侵害というような現象が起こることは、もう御承知のとおりだと思うのであります。そういったことから、一方で身分関係の公証制度としての戸籍の公開の原則は維持しながらも、そのことによる個人のプライバシーの侵害というものを、制度として防止する手だてを講じておくのは当然のことだろう、こういうふうなことで今回の改正を考えておるわけでございます。
○諫山委員 私、たくさんのことを聞きますから、簡単にお答え願いたい。 そうすると、第一に嫡出かどうか、認知されたかどうか。そのほかにどういうことがありますか、項目だけ言っていただきたい。
○香川政府委員 これは人によってそれぞれ考え方が違うと思いますけれども、たとえば結婚歴があるというふうなことも一つの例として考える人があろうと思います。
○諫山委員 その二つは私もよくわかりますが、そのほかにまだありますか。
○香川政府委員 戸籍の記載として、ほかに、客観的にそれがプライバシーの侵害につながるというふうな意味におきましては、直ちに思いつかないわけでございますけれども……。
○諫山委員 そうすると、個人のプライバシーにかかわるというのは、わかりやすく言えば、人の出生、結婚のことを言っているというふうに理解できるわけですが、もう一つ、部落差別につながるという言い方もあります。この点は、どういう点で部落差別につながるということが言われているのか、法務省、どう思いますか。
○香川政府委員 先ほど申しましたような嫡出とか結婚歴とかいうふうなこと、つまり戸籍の記載事項について、そのこと自身がプライバシーの侵害ではもちろんない、しかし、それが人によっては、悪用されると申しますか、プライバシーの侵害につながることになることがあり得るということを申し上げたわけでありまして、ただいまおっしゃる部落差別の問題というのは、戸籍の記載事項上は何らないわけでありまして、戸籍の記載から直接的にそういう部落差別というものは出てくる性質のものでは全くないというふうに私は考えております。
○諫山委員 私は、現在の戸籍制度が部落差別に利用された例があると思うのです。しかし、それは今度の改正案で解決するものだろうかという点になると、ぜひ納得のいく説明をいただきたいのですが、その点はどうでしょうか。
○香川政府委員 戸籍の記載事項によって部落差別に悪用されると申しますか、そういう事例のあることは私も耳にいたしておるわけでありますが、これは正確に申し上げておかなければならぬと思いますが、戸籍の記載自身で直接そういうことは何にもないわけでございますけれども、考えられるあれといたしましては、戸籍には本籍地、出生地が記載されておる、そういうことから、いまおっしゃるような、そういう部落差別につながる問題が出てくる、こういうことになると思うのでありますが、しかし戸籍自身、本籍を記載し出生地を記載すること自身は、決して部落差別の問題とは違うわけでございます。そこのところを申し上げたわけでございます。
○諫山委員 結局部落差別につながるとすれば、本籍地、出生地が公にされる、強いて言えば、それから部落差別というのに結びつくかもわからないということのように承ったのですが、今度の改正案の趣旨は、部落差別をなくするというねらいもあるのですか。
○香川政府委員 プライバシーの侵害の範疇に入るかどうかあれといたしまして、同じように、そういう差別ということは防止しなければならぬことは当然のことでございます。戸籍の公開の制度を利用して部落差別につながるような不当なことがなされるといたしますれば、戸籍制度としても当然公開制限という形でそれを防止せざるを得ない、こういうことになるかと思います。
○諫山委員 私も現在の戸籍制度を悪用して部落差別に使うというのは、とんでもないことだと思うわけです。ただ、私が知りたかったのは、今度の改正案でそれは解決するものかどうか。いま行われているような戸籍を利用した部落差別というのは、本籍地、出生地を調べるという問題はあるにしても、それ以外は余り関係ないのじゃなかろういう疑問を持ったのですが、どうですか。
○香川政府委員 どのような事例があるかということは、私ども直接の所管でございませんので、個々細かな事例は役所の仕事としては正確には調べておりませんけれども、全国あちこちの地域で、そういったことから戸籍の窓口の公開の規制ということが各市町村で大きく取り上げられておる現象から見ますと、戸籍の公開ということがそういうことにつながっておる事例は相当あるのかというふうに私どもは想像いたしておるわけでございます。
○諫山委員 この問題に関する幾つかの裁判例を見ると、現行法のもとで本人の委任状、本人の同意書または承諾書を提出さして戸籍簿の謄本を交付しておるという例があるようですが、これは法務省は容認しているやり方でしょうか。
○香川政府委員 法務省として容認しているという、そういったきちんとした、それを認めるというふうな積極的なことは何らいたしておりません。
○諫山委員 こういうやり方が行われていることは裁判例を見れば明らかですが、積極的に容認してないとすれば、それはいけないことだからやめなさいという指導はしていますか。
○香川政府委員 そのような措置が市町村においてとられておるその事態というものは、これは何とか解消しなければならぬわけでございますが、そういう単に法律的に問題があるというふうなことだけでそういうことをやめるように指導するといたしましても、やはり現実は市町村においてそういう措置をとらざるを得ないという実態にもあるわけでございます。したがいまして、そういったもっときめの細かい、いろいろな実態に合った措置がとれるように何とか早く戸籍法を改正したいということで、現に行われておるそういったものを再検討は当然しなければなりませんけれども、少なくとも法律的に根拠を与えることが十分できるようにしたいというために、今回の戸籍法の改正をお願いいたしておるわけでございまして、そういう法律的な根拠ができますれば、その地域に応じた具体的に妥当な措置を、市町村において再検討していただくというふうに考えておるわけでございます。
○諫山委員 和歌山家裁でしたか、田辺で行われているようなやり方、これはいまの御説明では、遺憾だけれども急に改めるわけにもいかないというので、法務省が黙認しているように聞こえますが、そうですか。
○香川政府委員 黙認しておると言いますよりは、これは御承知のとおり、国の事務ではございますけれども市町村長に権限委任しておるわけでございまして、市町村長においてそういう取り扱いをするというふうに決めた場合に、そういうことはなるべくこういうふうにされた方がいいというふうな意味の監督というか、指導と申しますか、そういうことは当然できるわけでございますけれども、それでもなお市町村長においてそういうことを強行されるといたしますと、これを法律的に是正するということはなかなか容易ではないわけでございまして、それよりも実態が変わらぬ限り、市町村長のそういった措置というのも、あながち一〇〇%非難するというわけにもまいらない事情にあるわけでございますので、したがって、そういったことが正当にと申しますか、妥当にできるような根拠を与えることが先決だ、私たちとしてはこういうふうに考えているわけでございます。
○諫山委員 いまの説明は、私に非常な不安感を抱かせるのです。幾つかの裁判所でああいうやり方は違法だと言われているのです。つまり、戸籍法を厳正に適用するなら過料の制裁を受けなければならない場合に当たるということになるわけです。ところが、実際は市町村長がやっているんだからということで、監督官庁である法務省はそれを大目に見ている。そしてその状態を追認するためにこの法案を出すというふうに受け取れるのですが、どうですか。
○香川政府委員 そういった田辺の例のようなやり方というのは適当でないことは明らかでございますので、ああいったものがつくられる前に大阪法務局とも、もちろん民事局ともいろいろ折衝したわけでございますけれども、市町村として、端的に申しますれば自分の方の責任でそうするのだ、こういうことで強行されたと申しますか、そういうふうな実態なんでございまして、私どもとしては、あれでいいんだというふうには決して考えているわけではないわけであります。
○諫山委員 改正案の第十条では、戸籍謄本の交付を請求する場合に事由を明らかにしなければならない、こうなっていますが、この事由はどんな事由でもいい、とにかく事由を示しさえすればいい、それが不当な目的による請求でないということであれば事由のいかんを問わないというふうに解釈するのですか。
○香川政府委員 そのとおりでございます。
○諫山委員 どのような場合が不当な目的による請求であるのか、事例をいろいろ検討されたと思いますが、どういう事例が想定されていますか。
○香川政府委員 具体的に非常にわかりやすい例で申し上げますれば、先ほど申しましたように、何の必要性もないのに嫡子か非嫡の子か知りたいというふうなこととか、あるいは結婚する関係にある人でもないのに、結婚歴があるかどうかを調べたいというふうなものが考えられると思いますが、何と言っても、抽象的に申し上げますれば、それがプライバシーの侵害なりにつながるというふうなことであれば不当だということになるわけでございます。
○諫山委員 幾つかの例を設定して質問します。 自分のボーイフレンドだけれども家族関係を知りたい、あるいは結婚を申し込もうと思っているけれども家族関係を知りたい、だから戸籍謄本が欲しい、この場合は交付しますか。
○香川政府委員 実態がまさに結婚するため、そういうことでありますならば、その場合は私は不当ではないというふうに思います。
○諫山委員 本当にあの人がボーイフレンドであるのか、本当にあの人と結婚しようとしているのか、そこまで調べるのですか。
○香川政府委員 市町村長におきまして、そういうプライバシーの侵害につながるおそれがあるというふうな疑いがありますれば徹底して調べざるを得ない、さように考えるわけでございますけれども、これは抽象的に議論いたしましてもなかなか御納得がいかないと思いますが、市町村は一般的にはそういった関係というのはわりあい熟知しておるものでございますから、その辺の峻別はちゃんと窓口でわりあいスムーズにできるのではないかというふうに考えております。
○諫山委員 いまの説明はきわめて重大なように思うのです。プライバシーを守るという口実で逆のプライバシーを侵すことがあり得るわけですね。あなたは本当にあの人と交際しているのですか、本当に結婚するつもりですか、そこを窓口で聞くのですか。
○香川政府委員 先ほどおっしゃった、ボーイフレンドだからその相手の家族関係を知りたい、こういうことならば、市町村長は、あなたはそれじゃまさにこれがボーイフレンドですねと聞くことになって、はい、そうですと言えば、それはちっとも差し支えないことじゃないでしょうか。
○諫山委員 結婚のときも同様に承っていいと思うのですが、本当に結婚するつもりですかとか、どのくらいの交際ですかと、窓口でそれを聞くのですか。
○香川政府委員 そこはおのずから、つまり結婚するために相手の家族関係を知りたいということで謄本の請求があるわけでございますから、その結婚をするためということがわかればいいわけでございますから、そこのところ、いろいろのことまで根掘り葉掘り聞かなければならぬというわけのものでもないわけでございまして、もちろんそういった逆の意味でのプライバシーの侵害につながるようなことは市町村長としては避けるのが当然でございます。
○諫山委員 現在、本人の承諾書などは法律的に要しないのに、それを要求するということまでやられているのですね。そうすると、あなたは本当にあの人と交際しているのかどうか、あの人の証明書を持ってきなさいということになってくるんじゃないですか。本当にプロポーズしているかどうか、何か証明書を持ってきなさいということになるんじゃないですか。この条文を見る限り、事由を明らかにしさえすればいい、不当な目的でなければいいと書いてあるから、私はあの人と交際したい、家族関係をよく知りたい、だから戸籍謄本が欲しいんだと言えば、それを信用して交付すると言うのかなと思ったのですが、どうもそうじゃなさそうで、やはり窓口でいろいろ調べるということになると、ここに書かれているより事は重大だというふうに思うのですが、どうですか。
○香川政府委員 全般的に根掘り葉掘り、いわゆる裁判における証明のようなことまですべてやるというふうに申し上げているわけではないのでございまして、事案、事案によって必要な限りの調査をするということもある。しかし実際問題として申し上げますと、戸籍自身の記載の中で、そういうプライバシーの侵害につながるような、先ほど申しましたようなそういった記載が何もないというふうなことでもあり、そういう請求者の言っておることが、あながち、特に厳格な証明までさせなければならぬというふうな必要もないようなときには、相手の言うことをそのまま市町村長が信用して交付するということになると私は思うのであります。 ただ、一般的に言えば、先ほど申しましたように、戸籍の記載自身がすべての戸籍につきましてプライバシーの侵害につながるおそれがあるというふうなことでは決してないわけでございますから、やはりその地域なり戸籍の記載、それに応じて妥当な措置がとられるように、この法律案が成立いたしますれば、十分市町村長と協議して、おっしゃるような何でもかんでも、とにかくすべて厳格な証明を要求する程度にまで、あるいは職権調査を厳しくやるというふうなことのないように十分注意したいというふうに考えておるわけでございます。
○諫山委員 厳格な証明を要するような手続ということになれば、これは言語道断です。そんなことをしたら戸籍制度は崩壊しますよ。そんなことはかりそめにもあってはいけないわけですが、問題は、厳格な証明とまではいかなくとも、事実上窓口で審査するということのように理解できるのですね。 〔委員長退席、小島委員長代理着席〕 私は、この文章を読んだときに、いわば形式的な審査で通すのかなとも思ったのですが、やはり実体的な審査をする。それは窓口の権限、そしてやり方を全国的に統一するわけではない、市町村長に任せる、こうなるのですか。
○香川政府委員 私も、大半の場合には、いまのお言葉をおかりすれば形式的審査で済むと思うのであります。 ただ、先ほどちょっと稲葉委員の御質問にもございましたように、興信所がある人に頼まれて結婚のいろいろの調査に来たというふうな事例で、しかもそれが過去において問題があったような、そういう特殊なケースの場合に、それじゃ形式的審査でいいかということになりますと、そういう特殊な場合には、全部の興信所がそうだというわけではございませんけれども、いわばいわくつきの者が請求してきたというふうなことになりますと、やはり市町村長としては、単に一般と同じような形式的審査で済ましていいと言うわけにはまいらない。そういう特殊な場合に、若干市町村側における調査が要るということに運用上はなるのだろう。大半はおっしゃるとおり形式的審査で済むというふうに考えております。
○諫山委員 あなたの答弁は、今後法律運用の一つの基準になると思いますから、私は厳格な事例を設定して質問したいと思います。 四十歳の初婚の女性が二十五歳の未婚の男性について、「できればあの人と結婚しようと思う、戸籍謄本をとりたい」と言って窓口に来た。窓口の人はその人を知らない。その場合どうしますか。
○香川政府委員 ほかの事情を一切考えないなら、私はその場合には、形式的審査で謄本は出すと思います。
○諫山委員 そうすると、「本当にあの人と結婚するのですか」というようなことを窓口は聞かないし、聞いてはいけないと解していいですか。
○香川政府委員 「結婚するのですか」ということを確かめることは私は差し支えないと思いますが、本人が「結婚する」と言っているなら、それを信用して何も聞かないで、そうだということでやってもいい、そういうふうにいま考えるわけでございます。聞いては絶対いかぬということまで——念のために「結婚はされるつもりなんですね」ということを、確認する意味で聞くということ自身が決して悪いことだとは考えません。
○諫山委員 戸籍謄本をとりに行く人にもプライバシーがあるわけですが、それが窓口での調査の限度だと解していいですか。
○香川政府委員 ただいまの事例の場合には、その程度でいいのじゃなかろうかと思います。
○諫山委員 私は、未婚の四十歳の女性を設定したのですが、離婚歴の三回ぐらいある女性の場合、そして二十五歳の男性は初婚という場合も同様ですか。
○香川政府委員 一般的には、同様だと思います。
○諫山委員 そうすると、興信所の例を拳げられたけれども、よほど特殊な場合でない限り、形式的な審査で通す、根掘り葉掘り窓口で聞くような場合は例外中の例外でなければならない。そうでないと、戸籍謄本を請求する人のプライバシーに介入することになるということになりますか。
○香川政府委員 プライバシーの侵害ということが非常にやかましく言われておりますけれども、戸籍の謄抄本を請求する事例の大半がプライバシーの侵害につながるなんという実態では決してないわけでございます。 〔小島委員長代理退席、委員長着席〕 だから、これはそういうことになったのでは戸籍制度どころか大変なことでございまして、私は、大半の場合には、そういうプライバシーの侵害に戸籍制度が利用されるというふうなことはあり得ない、ごく特殊な場合にそういうことが起こり得るわけでございますから、したがって、一般的には形式的審査で事足りるだろうと考えておるわけでございます。
○諫山委員 私も戸籍謄本の請求がプライバシーの侵害になるというのは例外中の例外だと思うのです。ただこの法案の運用を誤ったら、戸籍謄本をとりに来た人のプライバシーを侵害する。戸籍の公開の原則は崩してないと言っているけれども、謄本とりに行ったらいやらしいことを聞かれるから、もうとりには行かぬというようなことになれば大変だということで、運用の場合を聞いたのです。 それからもう一つ例を設定して、私は自分の町の歴史をいろいろ知りたい、たくさんの人の戸籍をとりたい、これは自分の趣味だというような目的でたくさんの人の謄本請求に来ればどうしますか。
○香川政府委員 趣味で町の歴史を知りたいということからたくさんの人の戸籍をとりたいという事例をいまおっしゃるわけでございますが、この場合には過去に、と申しますか、経験上そういうことで非常に問題になったこともございますので、恐らくそういう請求がありますと、どのような点で町の歴史とその戸籍が結びつくのかというようなことをやはり市町村長は聞いて確かめるのではなかろうかというふうに思いますが、たくさんの戸籍を一度にとるという事例というのは、一般的に申しますと、決して正当な必要性があってのものではないという、経験上そういうふうなプライバシーの侵害につながる事例がわりあいあるものでございますから、市町村長としては用心するということになるんじゃなかろうかというふうに想像いたします。
○諫山委員 やはり疑問を感じますね。あなたのような説明をされるなら、正当な理由がある場合に限って戸籍謄本を交付するという規定にならないといけないわけです。ところが、この法案は文章づらから見れば、理由を示しさえすればいい、どんな理由でもいい、不当な目的の場合はだめだということになっていますね。ですから、あなたのような説明をされるなら、正当な理由がないと謄本請求できないと書くべきじゃないですか。郷土史を調べるために、たとえば香川という姓の人がどういうふうにお互いにつながっているのかということを調べる、これは必要なわけですね。そういう場合は不当な目的じゃないから、正当な目的であるということを立証しなくても足りると思うのですが、それじゃいけないのですか。
○香川政府委員 その郷土史を、町の歴史を調べるためにこれだけの戸籍謄本が要るということ、これはそういう場合もあろうかと思うのであります。したがって、市町村長として、それは決してうそを言っているわけじゃないということでそのまま謄本を出して、もし万一うそを言っている場合には、今度新たに過料の制裁、罰則規定を設けてございますので、それを頼りにしてそういうことを防止するというふうな運用も考えられると思いますけれども、多量の謄本を請求するという場合に、えてしてプライバシーの侵害につながる過去の事例というのは、経験上皆知っておりますので、そういうときにそれがかくかくの戸籍がどういうわけで町の歴史の調査につながるのかという程度のことは、市町村長としては確かめるんじゃなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。
○諫山委員 確かめるんじゃなかろうかと市町村任せのようですが、確かめてもよろしいという趣旨になりますか。
○香川政府委員 具体的なケースごとのことでございますので、たとえば市町村の窓口で、それがその町に住んでおる有名な郷土史家で、まじめにそういうことをやっておる人ということでありますれば、その請求者自身のそういう経歴なり面識があることによって、そこまで何も調べなくてもいいということになろうかと思うのであります。しかし、およそその町に縁もゆかりもない人がその町の歴史を調べたいためにと言ってきた場合に、直ちにそれを、はいそうですかということで出していいかどうかは、私は疑問だと思うのであります。と申しますのは、そういう大量のものをよその縁もゆかりもない者がたくさんとるということが、過去の経験上えてしてプライバシーの侵害というふうな問題を起しておるという経験がございますので、当該人はそういうことでないかもしれませんけれども、一応市町村長としては慎重になるということは、運用として当然ではなかろうかというふうに思うのであります。
○諫山委員 もう一つ架空の事例を設定して質問します。 ある政治家が相当財産をため込んで他人名義にしているようだ、何某というのはある政治家から認知された実子であるらしいという疑いを持って、堂々とそのことを調べるために戸籍謄本が欲しいと言ってきたらどうしますか。
○香川政府委員 その請求者とその認知されたという事実の間に法律上の利害関係があるという場合であれば格別でございますが、通常はそういうことはないわけでございますので、これはやはりプライバシーの侵害につながるおそれがあるという意味で、市町村長は慎重になるというふうに考えます。
○諫山委員 私たちは、政治姿勢を正すために、政治家についてそういう調査をときどきします。これは必要だと思っているんです。そういう調査に基づいて国会で論戦したこともあります。しかし、この改正案が通れば、ある著名な政治家とだれそれの関係がどうであるのかというようなことを調査するのは不当な目的ということで、謄本の交付を拒否できるということになるのですか。
○香川政府委員 その政治家が認知した……(諫山委員「政治家というのがわかりにくければ、大臣と言いましょう」と呼ぶ)私は、認知した子供があるからといって、その政治家の評価が左右されるというふうには必ずしも考えないのでございますけれども、それをその政治家の評価を下げる意味で一般に喧伝するという資料に使うということになりますれば、これはやはりプライバシーの侵害ということになるように思うわけであります。したがって市町村長は、そういう趣旨で、そのことを確かめるために謄本が必要だという請求があれば慎重にならざるを得ないというふうに考えます。
○諫山委員 刑法における名誉棄損罪の場合は、公益上の目的に出た場合は云々というようなこともあるわけですが、この戸籍法改正案第十条では一切そういう配慮は入らない。どういう公益上の目的に出ておろうとも、政治姿勢を正すというような立場からであろうと、いま言ったような場合の戸籍謄本の請求は認めないということになりますか。
○香川政府委員 抽象的に申しますと、不当という法律的な評価の中には、やはり総合的に、いまおっしゃる言葉を拝借いたしますれば、公益上の必要というふうなものが一方にあるとすれば、それを含めて総合的に考えなければならぬということにはなると思うのでありますけれども、戸籍の記載自身を一般に公表して、そして公益上必要だというふうな事例というのは、私はちょっとあり得ないのじゃないかと思うのでありますけれども、あり得るといたしますれば、公益上の必要というふうなものも含めて、全体として不当かどうかという総合的な判断をするということになる、そういうふうに考えます。
○諫山委員 そういうことはあり得ないという立場なら、とうてい戸籍謄本の交付はしないということになるのですが、まああり得ないかあるかというのは、何々金脈問題でどういうことが論議されたかということを振り返ってもらえればわかるのですが、ところで、そういう判断は第一線の市町村長あるいは受付の人たちがするんですか、それとも統一的な指導をするんですか。
○香川政府委員 いまここでいろいろその事例をおっしゃるわけでございますが、そんな事例を考えられる限り全部、全国統一的に指針を示すというふうなことは、とてもこれはできないことでございます。したがって、基本的な考え方というものを十分徹底させまして、そしてケース、ケースの積み重ねによって行政運用が円滑にいくようにしていくというふうなことしかないと思うのでありますが、まあ施行までに六カ月以内の日にちがございますので、十分戸籍事務の一線の担当者との協議をして運用に遺憾のないように努めてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
○諫山委員 改正案を見ると、戸籍謄本の請求は事由を明らかにせよと、請求が不当な目的であることが明らかなときは拒める、不当な目的でない限り事由を明らかにしさえすればいいというふうになっていますね。しかし、実際は相当窓口で審査する、不当な目的であるかどうかだけではなくて、正当な目的であるかどうかまで審査するというふうに運用されるように聞けるのですが、そうなりませんか。それとも、不当な目的というのはどういう場合だという何かきちんとした指導をするのでしょうか。
○香川政府委員 そういう不当な目的の場合だけ拒否するというのではなしに、積極的に、正当な目的がなければ交付しないというような運用がされては、これは法律違反でございますので、そういうことのないように十分市町村には徹底させるわけでございます。 いま申しました不当というのはどういうふうなことかというようなことは、十分市町村にその趣旨を徹底させますと同時に、その取り扱いをめぐるいろいろな問題について十分事前に協議を遂げて、できるだけ円滑な運用がされるようにというふうに考えておるわけでございます。
○諫山委員 戸籍法は、現在ずいぶんまちまちに運用されているわけですね。そして、いまの運用は法律違反だという指摘を何回か裁判所から受けているわけですね。ところが、法務省はそれに対して是正するような指導はしなかった。いまなお改められていない。だとすれば、この法律がひとり歩きしたらどんなことになるだろうか。戸籍謄本をとられる人のプライバシーを守ると言われているようですが、戸籍謄本を請求する人のさまざまな問題が逆に侵されるということが出てくる。そうすると、もういやらしくて戸籍謄本の請求には行けないということになりかねないですね。その面について統一的な指導はするのか。それとも、もう市町村に任せきりにするのですか、どうなんでしょう。
○香川政府委員 諫山委員も実態は御承知だと思うのでありますけれども、現在、取扱要領なんかで見る市町村の画一的な扱いというものは、たとえば先ほど申しました田辺市の例のようなものを設けておる市町村におきましても、実際の運用は、表面に出ておる取扱要領のような、一般的に不都合を生ずるような扱いではない。これは各法務局を通じまして、市町村にいろいろ指導いたしまして、余り極端な、画一的な取り扱いということのないように指導を積み重ねておりまして、現在はさほど表面にあらわれておるようなそういう不当な扱いはないというふうに私は承知いたしております。 もちろん、市町村におきましても、諫山委員御心配のような、余分にと言っては語弊がございますけれども、今回の戸籍法の改正によって、より窓口事務を厳格、煩瑣にやるというふうな方向に行くとはとうてい考えられないのでありまして、現在の扱いにさらに市町村みずから積極的に負担を負うような余分な扱いを積み重ねるというふうなことは、とうてい考えられないと思うのであります。しかし、事は請求者、一般国民の利益にも関係することでございますので、先ほど申しましたように、施行までに、あるいは施行後も、市町村と十分協議をいたしまして、一般に迷惑がかかる、あるいは不当なことが起こることのないように十分注意してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○諫山委員 私、いろいろ事例を挙げて煩瑣かもわかりませんが、実際起こる問題でもう一つ事例を挙げたいのです。 自分はだれそれの戸籍をぜひ見たい、謄本がとりたい、こう言って謄本を請求する。何に使いますかと聞かれた場合に、いや、とにかく知りたいのだ、強いて言うなら好奇心だというふうに説明するとしますね。そういう場合はどうするのですか。この条文を見ると、不当な目的だということは証明できない、しかし正当な目的だということも証明できない、そうすると交付せざるを得ないように読めるのですが、どうなりますか。
○香川政府委員 請求の事由を明らかにしなければならぬと書いておりますのは、請求の事由として何を書いてもいいという意味では決してないわけでございまして、法律的に意味のある請求の事由を記載しなければならぬわけでありますから、したがって、自分は何が何でも見たいのだというのは、そういう記載をしてきました場合に、それは請求の事由を書いたということにならないと私は思うのであります。だから、その点で拒否できるというふうに考えるわけであります。好奇心ということも、これも本来、戸籍制度の公開の制度を利用する面における請求の事由として、好奇心だということでは、請求の事由を書いたことには法律的にはならない、だから、請求の事由を明らかにしていないということで、当然形式的にも拒否できるというふうに考えております。
○諫山委員 次に、十二条の二の除籍簿の関係で質問します。 「弁護士その他法務省令で定める者」という言葉が出てきますが、これは第十条で説明されたのと同じ範囲ですか。
○香川政府委員 先ほど稲葉委員の御質問にお答えしました十条の法務省令の内容と全く同じでございます。
○諫山委員 ここに挙げられている公務員だとか弁護士などは、理由のいかんを問わず請求できるのですか。
○香川政府委員 そのとおりでございます。
○諫山委員 「国又は地方公共団体の職員」となっていますが、これはどういう職員か限定されるのか。あるいは東京都の職員が神奈川県で請求するというようなこともできるのか。
○香川政府委員 特に限定はいたしません。また、東京都の職員が神奈川県下の市町村に請求する場合も、当然適用になるわけでございます。
○諫山委員 だとすれば、公務員が職務上請求する場合ではなくて、職務外で請求する場合でも、公務員なら自由ということになりますか。
○香川政府委員 この規定は、決して公務員が私人として請求する場合を規定しているわけではないわけでありまして、当然職員として請求する公務上の場合でございます。
○諫山委員 職員については一切の限定づけはない、公務上であればどういう地域、どういう人についても調査できるということになりますか。
○香川政府委員 そのとおりでございます。
○諫山委員 第十二条の二の「相続関係を証明する必要がある場合その他法務省令で定める場合」という場合の「法務省令で定める場合」というのは、相続以外の場合、そして裁判上必要な場合などを含むというふうに説明されていたのですが、もっと広い概念ではないのですか。
○香川政府委員 ただいま除籍の関係での問題でございますが、除籍が相続関係と並んでそのほかの場合としてどうしても法律上必要な場合というのをいろいろ検討いたしておりまして、大半は裁判上必要とするような場合がこれに当たると思うのでありますが、そのほかにもいろいろあると思います。現在詰めておる段階でございまして、この点は公開の制限を広げる方でございますので、省令におきましては、施行前に必要な場合を全部網羅するように省令を制定していただきたいというふうに考えております。
○諫山委員 さっき私は郷土史家がいろいろ調査するときのことを質問したのですが、歴史上の研究のために郷土史家が除籍簿を見たいと思ってももう見れなくなりますか。
○香川政府委員 そういう特殊な事例で、しかも許してしかるべきものもあろうかと思うのでありまして、その辺のところを逐一限定的に書くということも法律技術的に相当問題がありますので、やはりおっしゃるような場合も必要性があるといたしますれば何とかなるような、そこのところを含めた巧妙な規定を設けておかなきゃならぬというふうなことで、現在その点を検討中でございます。
○諫山委員 検討中だと言うけれども、この法案はばたばたっと採決してくれという強い要求が出ているのですが、この法案の中からはそれは出てこないようだし、それができるようにするためには法務省令というので道を開くということのようですが、どこでその道を開くのですか。
○香川政府委員 この法律が可決、成立いたしまして、公布されてから六カ月以内にいまの戸籍関係のところが施行になるわけでございます。その間に市町村とも十分協議を尽くしていろいろ検討して準備をしたい、こういう考えでございます。
○諫山委員 戸籍簿、除籍簿の閲覧制度は全廃するそうですか、いろいろ弊害が出てくるのではなかろうかと心配するわけです。利用者が少ないと言うけれども、利用者がいるということは、やはりそれなりに意味があると思うのですね。 たとえば、除籍謄本の請求は特定の人はできるというふうにされているわけですが、閲覧制度の全廃ではなくて、原則として閲覧できないけれども、特定の人たち、特定の事情があれば閲覧できるというような制度というのは、検討されたのでしょうか。それとも、検討の余地なしで、問題にもならなかったのですか。
○香川政府委員 除籍につきましては、現在大半の市町村で保管しております除籍というのは、先ほども申しましたように、壬申戸籍から始まりまして相当古いものがある。つまり、その中の記載はどうかと思われるものもあるわけでございます。しかも、現在は、生きている戸籍の場合には、戸籍簿自身がバインダーにつづってあるわけでございますので、該当の部分を抜いて閲覧に供するということは比較的容易なのでありますけれども、除籍については、とじてあるものが非常に多うございますので、該当のものを抜いてくるというわけにもまいりません関係から、除籍簿の閲覧について市町村として一番悩んでいる問題があるわけでございます。 先ほども申しましたように、何も閲覧しなくても謄本の交付請求によって事足りるわけでございますから、現在の市町村の負担から申しまして、市町村の余分な負担あるいはプライバシーの侵害につながるおそれのある、そういったことの起こりやすい閲覧制度というものをできるだけ廃止するということに踏み切ったわけでありまして、いろいろ検討いたしましたが、特定の者だけに閲覧制度を残すというのは、やはりちょっと公開制度の姿勢としていかがなものかというふうな感じがするわけでございます。
○諫山委員 戸籍簿及び除籍簿の閲覧を特定の人たち、あるいは特別の理由がある場合に残すとすれば、何か弊害がありますか。今日まで続いた制度を突如として一〇〇%ゼロにしなければならないという意味がちょっと理解しかねるのですが、これは事務上の問題ですか。
○香川政府委員 実際、その閲覧の制度というふうな、役所の公簿を一般にその者の見るに任せると言ってはあれでございますが、閲覧制度というのは、どちらかと言えば私は例外だと思うのであります。 なぜ閲覧の制度が設けられてきたかということは、これはむしろ理論的なものというよりは手数的なものと申しますか、つまり、昔におきましては、謄本の請求がありますれば全部手書きしなければならなかったというふうなこともあるわけでございまして、さようなことはそれだけ市町村側の手数もかかるし、請求者の方もそれだけ待たなければならぬという不便があるというふうなことから、むしろ市町村の側に手数もかからないし、請求者の負担でやれるというふうなことで閲覧の制度の実質的な意味があったというふうに思うのであります。今日的に考えますと、謄本の作成自身が、高性能のコピアによりまして実に容易に、鮮明に、簡単にできるわけでございますから、したがって、閲覧制度を存置しておく積極的な理由は何らないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○諫山委員 百二十一条の二の罰則、百二十二条の罰則という問題について質問したいのですが、偽りその他不正の手段によって戸籍謄本の交付を受けるという場合は、窓口で事前に調査するのですか。これは事後の調査によるものでしょうか。
○香川政府委員 これは、もちろん事後でございます。
○諫山委員 事前にこのことを調査してはいけないということになりますか。これを調査すれば、辛うじて保たれている戸籍公開の原則に反することになるというふうになりますか。
○香川政府委員 考えられるものとしまして、たとえば除籍簿の謄本を弁護士から業務上必要ということで請求がありました場合に、それが実は弁護士でなかった、弁護士と偽っておったというふうなことが窓口のところではっきりいたしますれば、当然拒否するわけでございますね。この過料の制裁を科せられますのは、それが拒否されないで謄本を受けた、いわば謄本交付を被害法益と考えれば、既遂になった、そういう場合の過料でございますので、この百二十一条の二の関係で市町村長が事前に調査するということは、したがって理論的にはあり得ないわけでございますね。ただ、弁護士でなければ請求できないのに、弁護士ということを偽っておる、弁護士でない者が弁護士だということにしている場合には、これは当然拒否するわけでございます。そういう場合に、弁護士でない者に交付したということが後でわかったときに、市町村長はもちろん告発するというふうな問題はあると思いますけれども、この関係で市町村長が事前に調査するということは考えておりません。
○諫山委員 あの人と結婚したいと思いながら、戸籍謄本を請求する。しかし、うら若い女性で、とてもそのことが口に出せない。そういう場合に、たとえば「あの人の車で交通事故に遭ったから、ぜひあの人の戸籍謄本をとりたい」と言って、うそを言ってとった。本当は結婚するための戸籍謄本だった。こんな場合、処罰するかどうかは別として、この違反になりますか。
○香川政府委員 この過料の制裁の規定の適用があると思います。
○諫山委員 それでも、ありますか。
○香川政府委員 それは過料の制裁の規定に当たるといたしましても、実際に過料を取るかどうかというのはまた別のことでございますので、裁判官におきましては、恐らくいまのような事例の場合には、まず過料の裁判はしないと思いますし、まずそういうことがはっきりしておりますれば、市町村においても告発することはないというふうに思いますけれども、理論的には該当するというふうに考えます。
○諫山委員 これもきわめて重大で、私はどうこれを解釈したかと言いますと、結婚するために戸籍謄本が欲しいと言っても交付する、交通事故による損害賠償のために必要だと言って請求しても交付する、こういう場合は、うそを言ったことになるけれども、虚偽の方法で交付を受けたということにはならないのじゃなかろうか。逆に、弁護士でなければとれないのに、弁護士だと言って謄本の交付を受けた。これはだまして交付を受けたことになるから過料の制裁を受けることになるんじゃなかろうかと解釈したのですが、うそを言いさえすれば、どうせ本当のことを言ってもとれる場合でも、やはり制裁を受ける条項に当たるのですか。
○香川政府委員 形式的には当たると思うのであります。しかし、いまおっしゃるように、結婚の調査のためだけれども、そのうら若い女性が恥ずかしいから交通事故とこう言った、こういうことでございますけれども、これがうら若い女性でなくて、本当は結婚のいろいろなことを調査するためであるのだけれども、それじゃめんどうだから、あるいはくれないかもしらぬからということで交通事故だというふうに言うこともあるわけでありまして、結果的には結婚のいろいろ要件調査というようなことで交付を受けられたかもしれないけれども、交通事故ということで交付を受けたということになる、その事実関係は同じなはずでございます。だから、必ずしもそれを偽りでない、こういうふうに評価するのはいかがかと思うのでございまして、私はやはり形式的には偽ったということになるというふうに思うのであります。
○諫山委員 そうすると、戸籍謄本の請求というものは大変こわいことになるというふうに思うのですがね。 じゃ結果的に交通事故の裁判のためにとって、これをほかのために使ったというのなら構いませんか。
○香川政府委員 交付を受けるときに交通事故の裁判の関係で必要だということで交付を受けまして、たまたま手元にある謄本がほかのことに使われたからといって、この罰条は適用になりません。
○諫山委員 いろいろな理由で戸籍謄本をたくさんの人がとりますね。これはあくまでもとる場合の規定であって、とられた戸籍謄本がどのように悪用されるかということは戸籍法上の問題じゃないということになりますか。
○香川政府委員 そのとおりであります。
○諫山委員 弁護士は除籍簿の謄本も請求できるわけですが、弁護士の依頼者が弁護士にうそを言って、除籍簿の謄本をとった。弁護士は知らなかった。その場合はだれか処罰されますか。
○香川政府委員 弁護士さんが依頼者にだまされて、弁護士が正当なものだということでその除籍謄本を請求した、こういうことでございますか。
○諫山委員 はい。
○香川政府委員 その場合は、弁護士さんは過料の制裁を受けることはございません。
○諫山委員 だました方が何か制裁を受けますか。
○香川政府委員 だました方も、この戸籍法の限りでは——つまり一般的に申しまして、だました方も何ら刑罰法規には触れないと思います。
○諫山委員 そうすると、除籍簿の謄本請求というのは、手続が非常にむずかしくなっているけれども、弁護士を通じてならわりあい自由にとれるのですか、もっとも、そこでは弁護士の職業上の倫理というのが働くのでしょうが。
○香川政府委員 これは、弁護士でもあられる諫山委員にあるいは失礼かもしれませんけれども、そんな、弁護士が弁護士の業務として謄抄本が必要な場合以外に、一般の人から除籍謄本の交付を受けるための依頼だけを受けて、弁護士がいわば、口悪く申しますれば地位を利用して、除籍謄本を簡単にもらうようにするというふうな弁護士さんは、これはいらっしゃらないというふうに思うわけでございます。
○諫山委員 そうすると、弁護士は、十二条の二で除籍謄本の請求ができるとなっているけれども、これは裁判上使う場合のみに限られるという趣旨になるのですか。
○香川政府委員 裁判上だけではなくて、弁護士業務としていろいろなさる場合に、そういう除籍謄本が必要な場合があるわけでございまして、そういう弁護士の職務として必要な場合を考えているわけであります。必ずしも、裁判上必要とする場合だけには限らないわけでございます。
○諫山委員 「弁護士その他法務省令で定める者」というのは、司法書士も含む趣旨だというふうに説明があったのですが、司法書士の場合は、弁護士と違って、業務に使うというよりか、請求の手続をすること自体が職業的にやられているのですね。そういう場合はどうなるのですか。司法書士を通じてとにかく除籍謄本が欲しいというような場合は、請求は拒否されるということになりますか。
○香川政府委員 司法書士は、司法書士法によりまして裁判所、検察庁あるいは法務局に提出する書類を、かわって作成するわけでございまして、除籍謄本が問題になる例、端的なものを申し上げますと、登記所に相続登記の申請をする場合に謄抄本の添付が必要になるわけでございますが、その場合に、司法書士の、いま申しました業務の付随業務ということで、法律的に戸籍の方の謄抄本の交付請求をかわってすることもできるというふうに解釈されているわけでございます。そういう場合に考えられることでありまして、本来の司法書士の業務とは全然関係なしに、市町村に対して謄抄本の交付を請求するというのは、むしろこれは行政書士の方の分野でございまして、司法書士はそれ自体独立してはできないのではないかというふうに考えます。
○諫山委員 実際は相当広くやられていると思うのですけれども、司法書士を一つのトンネルとして除籍謄本そのものを請求する。そのことを目的として謄本をとるということはできないという趣旨になりますか。
○香川政府委員 それは法律的にはいま申しましたように、司法書士の業務に属さない事柄でございますし、また仮にそういうことが司法書士の名においてされるといたしますれば、これは司法書士法に司法書士の品位の保持とか、あるいは公正に業務を行わなければならぬというふうな規定がございますので、そういう規定の違反として懲戒等の対象になるというふうに考えるわけでありまして、おっしゃるように、法律的に堂々といいますか真正面から請求の認められる弁護士、司法書士等がそのことを悪用して、この改正の趣旨を没却するような不当な目的に使う謄抄本の交付の代理をやるというふうなことは私はないと思いますけれども、そういうことのないように、少なくとも司法書士につきましては法務省の所管の業法でございますので、十分注意は喚起したい。他の面につきましても、それぞれの監督官庁にお願いをしてそういうことのないように十分注意を喚起していただきたいというふうに考えております。
○諫山委員 もう一遍第十条に戻りますが、郵便で戸籍謄本を請求するという制度が現在もあるし、改正案でも残ります。この場合は、さっき問題になった不当な目的であるかどうかというのは、どういう方法で審査するのでしょうか。
○香川政府委員 郵便によって郵送してくれということの場合が確かに非常に問題なわけでございまして、この場合に、やはり弁護士とかそういった者は問題にならぬわけでございますけれども、一般の私人から要求があった場合に、直接窓口に来るわけでございませんので、審査方法が限られるということになるわけでございます。そういう意味で、この辺のところは私の現在の考えでは、窓口に来る者とそう違った扱いはする必要はないと思いますけれども、やはり市町村によりましては、若干その請求の事由を詳細に書いてもらうというふうな扱いにすべきかどうかというふうなことが当然問題になりますので、その辺は十分ひとつ協議してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○諫山委員 裁判で現に問題になっているようなところでは、この問題はどう処理していましょうか。郵便での請求だったら無条件に出しているのかどうかです。
○香川政府委員 問題を起こしておる事例のその市町村において、特に郵送の場合に特別の複雑なと申しますか、厳格な取り扱いはするようにはなっていないわけでございます。裁判になりました例は全部画一的な扱いでございますので、さような郵便による扱いを厳格にするというふうなことが出ていないわけでございますけれども、先ほど申しましたような運用の実態からいっても、特別な扱いはしていないというふうに承知いたしております。
○諫山委員 もともと戸籍とか登記というのは形式的な審査がされる、きちんと書式が整っておれば機械的に手続を進めていくというのがたてまえだと思うのです。ところが今度の改正案では、不当な目的であるかどうかということをどうも窓口で審査するということになって、大変ややこしいことになりそうに思うのです。 特にこれが郵便で請求した場合にどうなるのか。たとえば東京の人が北海道のある町役場に戸籍謄本を請求したという場合にどんな処理をするのかというのが疑問になるのですが、そのやり方はまだ決まってないのですか。
○香川政府委員 決まってないというのじゃなくて、一般と同じような扱いをすることで、請求の事由を書いて郵送してもらうということになるわけでございますけれども、先ほどちょっと申しましたように、窓口に参りますときには、請求の事由がこれじゃ書き足らぬというふうなことですぐ補正的な扱いができるわけでございますけれども、郵送の場合にはそういうことがなかなかできない。万一書き足りない、請求の事由がこれでは足らぬというふうなことになりました場合に、拒否して返してしまうということになると非常に不便になりますので、そこでそういう郵送の場合の扱いということをもう少しきめ細かく実務的に検討したいということを申し上げているだけでありまして、特別に郵送の場合の扱いは別に違って、これから検討するんだということではございません。
○諫山委員 見も知らない人について、見合いするから戸籍謄本を送ってもらいたいということで郵送料を送ったら、それで機械的に謄本を送ってくれますか。
○香川政府委員 一般的にはそうだと思います。
○諫山委員 私、法案を読んでいろいろ感じた疑問を提起したのですが、次回に、さらにいまの答弁に基づいて質問を続けさせていただきます。終わります。
○大竹委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 前に御質問した方と内容が重複する場合があるかもわかりませんが、その点は御了承をいただきまして、よくわかるような御説明をちょうだいしたいと思います。 それで、戸籍法について、これも重複していると思うのですが、公開の原則ということが言われておるわけですけれども、その趣旨はどういうことになりますでしょうか。
○香川政府委員 戸籍について言われておる公開の原則というのは、戸籍が人の身分関係を公証する唯一の制度でございますので、国民の法律生活におきましていろいろ身分関係を明らかにする必要があるわけでございまして、さような場合に利用していただくという意味で公開いたしておるわけでございますが、およそ戸籍というものは、何がなんでも絶対的に公開すべきものだというふうな理論があるわけのものではない、やはり必要性があることから、妥当な範囲で公開するというふうな考え方のものだと思うのでありまして、裁判の公開とはちょっと性質が違うものだろうというふうに考えております。
○沖本委員 そうしますと、今度の改正案はその公開の原則を維持することになるのか、これに制限を加えることになるのか、どういうふうに受け取ったらいいわけでしょうか。
○香川政府委員 生きている戸籍につきましては、原則は公開ということで貫きながら、それが本来の公開の趣旨にもとる、たとえば他人のプライバシーの侵害のために利用されるというふうな不当な場合に公開を制限するということでございまして、これは先ほど申しましたような公開の趣旨から考えますと、当然公開の制度に内在している制限というふうに考えておるわけでありまして、したがいまして、今回の改正によりまして公開の原則が崩れたというふうには評価する必要は毛頭ないと思うのであります。 除籍につきましては、その公開の制度に内在しておる制約というものが、除籍の実態から考えまして、形式的には相当制限が大幅になっておりますけれども、現実に除籍を利用する実態から考えますれば、公開の原則はやはり維持されておるのと同じだというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○沖本委員 このままでいいんじゃないか、改正することによってより混乱が起こるんじゃないか、あるいはいろいろな御意見が出ているわけですけれども、一般によくわかるような御説明の方法で、なぜ改正しなければならないかという点について御説明いただきたいと思います。
○香川政府委員 現行法のままでもいいじゃないかという御議論は、恐らくは十条一項ただし書きの「市町村長は、正当な理由がある場合に限り、本項の請求を拒むことができる。」という規定があるから、それをうまく活用すればいいじゃないか、こういうお考えだろうと思うのであります。 しかし、もともとこの十条一項ただし書きの「正当な理由」というのは、いろいろ解釈があるようでございますけれども、どちらかと言いますと市町村側の都合、つまり、たとえば市町村におきまして、とてもその事務処理にたえないような大量の一挙の請求があった場合とか、あるいは手数料の賦課されないような場合とかいうようなことが学説等で言われておるわけでございますけれども、このただし書きの「正当な理由」の中に、果たして今回考えておりますようなプライバシーの侵害につながるおそれがある、つまり請求の目的が不当であるという場合が含まれるかどうかということは、解釈上なお疑問なしとしないわけでございます。しかもただし書きの方は、請求者側の何らの手続、協力等を得ないで、市町村長において、いわば職権的にと申しますか、独自に判断してということになるわけでございますので、現在のプライバシーの侵害につながるような公開制度の悪用というものをチェックする一つの根拠としては、解釈上も疑念がございますし、また手続的にも無理があるというふうに考えるわけであります。 さような意味で、今回の改正では請求者の方から請求の事由を明らかにするということにいたしまして、それをもとにして市町村長が不当かどうかの判断をして許否を決めるというふうにたてまえを変える方が現実の市町村の窓口事務の取り扱いとしてはいいのではなかろうか、かような考えによるわけでございます。
○沖本委員 その市町村長につきましては、この法律が改正されたことによって、この取り扱い上の問題でいろいろな解釈の仕方が生まれてきて混乱が起きないかということも考えられるわけですし、いままでの問題として一番改正しなければならない、混乱が起こったという具体的な内容と、それから改正してから後、混乱が起こらないためにはどういう方法でこの法律の内容を周知徹底なさるか、そういう点について御説明いただきたいと思うのです。
○香川政府委員 混乱と申しますか、現在、これはいろいろ地域差のあることでもございますけれども、個人のプライバシーの侵害あるいは差別的取り扱いというふうなことに、この戸籍の公開の制度が悪用された事例があちこちにあるわけでございまして、該当のそういう事例の非常に頻発してと申しますか問題になっておる市町村におきましては、御承知のとおり、独自にそういうものを防止するための取扱要領を決めておるわけでございます。これが現在、そのこと自身は必要やむを得ない措置とも言えないわけではないのでございますけれども、法律的に相当無理があるということでございまして、さような意味でむしろそういう地域に混乱が生じておるということがあるわけでございます。つまり不当なものを防止する、これは数から言えば決して多いわけではないわけでございますけれども、それを防止することで、そういう不当でない者までに、きわめて厳格なというか、極端に言えば、法律に違背するおそれのある扱いがされることから、公開制度を真に正当に利用するという者にむしろ非常に迷感がかかっておるという事例すら出ておるわけでございます。そういうことでございますので、法律的に明確な根拠を与えて、それによる合理的な妥当な取り扱いがされるように法改正をぜひともしなければならぬ、かような考え方であるわけでございます。ただ、法改正がされました場合に、たとえばその請求の事由の記載の問題とか、不当だというふうに判断すべき場合というのはどういう場合かというふうなことにつきましては、施行までの間に市町村側とも十分協議をし、あるいは指導して、十分そういう混乱の生じないと申しますか、正当に法律が運用されるように努力したいというふうに考えておるわけでございます。
○沖本委員 除籍簿も戸籍簿と同様、身分関係の公証の上で必要なものと思われるわけですけれども、なぜ戸籍と異なる取り扱いとするのか。この制限によって、利用する方にかえって不便になるんじゃないかという点が考えられるわけですけれども、そういう点についてわかりやすく御説明いただきたいのですが。
○香川政府委員 除籍簿といいますのは、大半が現に死亡しておる人たちのいわば過去の身分関係が記載されているものが多いわけでございまして、現在の身分事項が記載されている戸籍に比べれば利用度ははるかに少ないわけでございます。ところが現に除籍されている中にはいろいろあるわけでございますけれども、明治四年の壬申戸籍から始まりまして明治三十一年、大正四年の戸籍というふうな過去のものが市町村にまだ、これは保存期間八十年でございますので、保存されておるものが多数ございまして、この中には今日的な意味において考えますと、戸籍の記載事項として必ずしも適当でないもの、あるいはむしろ記載すべきでないと考えられるもの、たとえて申しますれば、大正四年戸籍以前のものにつきましては、族称欄の記載で華族、士族、平民というふうな、そういった族称の記載がされておるとか、あるいは刑務所で生まれた子供については出生地として刑務所が記載されておるとか、そういったいろいろ戸籍制度として何ら必要がない記載事項があることによりまして、該当の人のいわば名誉あるいはプライバシーの侵害につながるおそれがある記載があるわけでございます。 そういうことから、必要度とそういう現実の除籍簿の記載内容から考えまして、生きている現在の戸籍よりは公開をさらに制限するのが妥当でございますけれども、しかし実際、現在除籍の謄抄本を利用しておる者はそれなりの正当な理由があるわけでございまして、そういうものはやはり今後もその必要性があるわけでございますから、そういうものは限定的に公開の原則を貫いていくというたてまえにいたしておるわけでございまして、実質的に必要性のことから考えますれば、何ら不都合、不便が生ずるというふうにはならないというように考えております。
○沖本委員 閲覧制度を廃止する必要というのは、何によって閲覧制度を——プライバシーの問題、いろいろおっしゃったわけですけれども、そのことがむしろ国民生活にいろいろな不便を来さないかということの心配があるわけです。これは具体的に実施されてみなければいろいろな問題がわからないわけですけれども、弁護士さんの中にも——特定のいままで専門にそういうことを取り扱ってこられた方々には従前と変わりないんだというような御説明があったわけですけれども、弁護士さんに伺ってみますと、そのことについては、何か内容の提示なり何なり、閲覧を求める場合等にいままでと変わった提示を求められるんじゃないだろうか、そのこと自体がいままでより手続がむずかしくなるんじゃないかというような心配をなさる方がたくさんいらっしゃるわけですけれども、その点いままでと変わりはない、特定の閲覧とか戸籍に関する問題について、それぞれの公の仕事で個人の秘密を保つ立場を保ちながら専念なさる方々の上についていままでと異なるような事例が起きるとすればどういうことが起こってくるのか、そういう点、御説明いただきたいと思います。
○香川政府委員 最初に閲覧の制度を廃止いたしました理由でございますが、これは現在では高性能の複写機が各市町村に備えられておりまして、謄本の交付にはさほど手数はかからぬわけでございます。ところがちょっと考えますと閲覧というのは簡単のようでございますけれども、現在、戸籍簿につづられている該当戸籍を抜いてまいりまして、そして閲覧室というのを設けてそこで職員が、改ざん等されることがあってはなりませんので、監視つきで閲覧をさせるというたてまえになっておるわけでございます。これが市町村にとっては非常に負担でございまして、さようなことで市町村側としては、今日非常に財政も苦しいときでございますし、職員の数も足りないということから、閲覧の制度は非常に手数がかかるから廃止してもらいたい、住民に対するサービスとしては、むしろ謄抄本が迅速に、しかもはっきりと謄写したものが交付できるから、そちらで見てもらった方がはるかに市町村としては簡便なんだ、こういうことで廃止を強く要望しておるわけでございます。実際のこの閲覧の制度の利用というのも、数から申しますと謄抄本に比べれば微々たるものでございますし、しかもこの閲覧というのが、特に除籍におきましては、当該除籍だけを抜いてきて閲覧に供するということができないわけでございます。バインダー式の帳簿につづってありますればいいのでありますけれども、昔の戸籍は御承知の大福帳式の帳簿になっておりまして、そういうことから、どうしても他人の、該当の以外の戸籍まで見られるおそれがあるというふうな心配がございまして、非常に神経を使っておるわけでございます。それやこれやございまして、閲覧の制度は廃止する。 弁護士さんの場合を考えますと、弁護士さんの場合には、そういう除籍が必要だというのは、裁判所とかあるいは登記所とかいうふうなところに、相続を証する書面として、あるいはその他過去の身分関係を証明する手段として裁判所等に提出する場合がほとんど全部だろうと思うのであります。そういたしますと、閲覧して自分が写してきたものよりは直接市町村から認証文のついた謄抄本をもらったことで事足りるはずなんでございまして、特に謄抄本以外になお閲覧しなければならぬというふうな必要性は、私はないんじゃなかろうかというふうに思うのであります。 ただ一つ考えられますのは、現在の戸籍手数料令によりますと、謄抄本の方が金がかかる、手数料がかかるわけでございます。これは市町村の実費から申しますと実は逆なんでございますけれども、一般国民の方から見ますと、自分が閲覧するのに、写しをもらうよりも金がよけいかかるというのはおかしいじゃないかというふうな国民感情的なものがございますので、手数料令は閲覧の方が現在安くなっているわけでございます。これは実費計算から言うと実は逆なんでございますけれども、そういうことから、謄抄本の交付を受けるよりも閲覧した方がその場における手数料は安いということから閲覧制度が云々されるところもあるのかもし石ないと思うのでありますけれども公開制度、戸籍制度を利用するいろいろの場合を考えまして、閲覧制度を特に市町村のそういう負担増をがまんしながら存置しなければならない理由はないというふうに私は考えておるわけでございます。
○沖本委員 その場合ですけれども、そういう方々の手続上の問題で、従来やってきた手続方法以上に、何か必要な書面であるとか必要な手続事項ができてきて、その手続の方が従来よりも煩わしくなるんじゃないだろうかという懸念をしていらっしゃるわけなんです。その点についてはいかがですか。
○香川政府委員 これは十条の生きている戸籍の方の謄抄本の交付請求等につきましては、法務省令で定める場合には請求の事由を明らかにしなくてもいいということに規定しておるわけでございます。この法務省令で定める場合という中に、業務上の守秘義務もあり、もちろんしっかりした方がなっておられる、そういう弁護士さんというふうな方は当然この法務省令で規定するつもりでございまして、したがってこの面におきまして全く現在と何ら変わりないということになるわけでございます。つまり、一般の場合には今度請求の事由を明らかにしなければならぬという義務も課しているわけでございますけれども、これも弁護士の場合には外れるわけでございますから、現行と何ら変わりはないということになるわけでございます。 それから除籍の方は十二条の二でございますが、これの場合には、除籍の謄抄本の請求できる者の中に法律で一項ではっきりと弁護士も規定いたしておりますので、これも現在と何ら変わりはない。特に手続的に制限を受けるというふうな懸念は全くないというふうに考えておるわけでございます。
○沖本委員 交付請求に対する不当拒否の増加するおそれはないだろうか。またこれに対する救済の方法はあるんじゃないだろうか。どういうふうにこういう問題に対処したらいいかという点についてお願いいたします。
○香川政府委員 現在の、さっき申しました十条一項ただし書きの「正当な理由」云々の規定を根拠にして請求を拒否するという場合の現在の市町村の取り扱いの実態等を考えてみますと、今回、請求の事由を明らかにしてもらって、それを足がかりにして不当な目的によるものがあればそれを拒否するという法改正が実現いたしましても、特にそれによって拒否する事例がふえるということには、私はならぬと思うのであります。 これはもちろんそういうことがあってはならぬわけでありまして、施行になるまでの間に市町村と協議も尽くし、十分指導はいたしたいというふうに考えておりますが、万一、本来請求を拒否してはならぬものについて請求を拒否いたしました場合の救済方法は、現在と同じように、一つは家庭裁判所に対する不服申し立てということで、家庭裁判所の審査を受けることになるというのが一つと、それからもう一つは、現行法にもございますが、市町村長がそういう請求拒否すべからざるものを請求拒否したということになりますと、職務を怠ったということになりますので、過料の制裁があるというふうなことで防止策と制裁策というか、事後措置が十分講じられておるというふうに考えておるわけでございます。
○沖本委員 戸籍の記載事項の変更等によって不当利用を効果的に制限する方がいいんじゃないかという考え方が出てくるのですが、その点はいかがですか。
○香川政府委員 これは新憲法下におきまして、民法の改正と並んで戸籍の編製をどうするかというときにも、大いに議論された——大いにではございませんけれども、議論としてあった問題でございまして、つまりそれは、現在の戸籍は夫婦、子供を一つの家族と申しますか、それを中心にした、そういうものを編製単位にしておるわけでございます。これを個々人にばらしちゃいまして、そして個人、個人の身分証明書のような制度にしてしまう。これは御承知のとおり、外国には日本流に言う戸籍なんというものはないわけでございまして、個人、個人の身分登録というふうなものが大半なわけでございます。そういうものを取り入れるべきでないかというふうなことで、そういう議論がされるわけでございますが、これは果たして、現在の国民感情から言ってそういう制度を国民多数が望んでおるかどうかという問題のほかに、先ほど申しましたように、戸籍の根本的な趣旨、制度の目的というのは、人の身分関係を公証するということにあるわけでございます。したがって、これを個々人にばらしちゃいまして、そしてその人限りの登録事項にしてしまうというふうなことになりますと、なるほど親がだれであり、あるいは父親のある子供か、ない子供かというふうなことは、その登録事項からわからないかもしれませんけれども、たとえば相続を明らかにしなければならぬというふうなときにはきわめてややこしいことになって、身分関係を明らかにするという戸籍の目的から相当背馳することになるおそれがあるわけでありまして、そういう意味から、個々ばらばらな戸籍の事項をもっと少なくして、しかもそれが全体のつながりがわからぬようなものに切りかえるというふうな、個人の身分登録的なものに切りかえるというふうなことは、私は日本の実情には合わないんじゃないかというふうに考えておりますけれども、これは古くて新しい問題でございますので、今後、戸籍制度のあり方として、民法を含めて検討される問題だろうというふうに考えております。
○沖本委員 以上で終わります。
○大竹委員長 次回は、来る十八日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時七分散会