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77回国会衆議院1976/05/13

法務委員会 第10号

発言数
31
登壇者
3
会派数
2
開催日
1976/05/13

会議録

小平久雄自由民主党

○小平(久)委員長代理 これより会議を開きます。  本日、委員長所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行います。  内閣提出、民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いま民法等の一部を改正する法律案が出ているわけですが、全体の民法、特に親族、相続編ですね。この改正でどこが改正さるべきポイントとして考えられておるのか、それはどういうふうに進んでいるのか。これは法制審議会の民法部会身分法小委員会で中間報告があったり、その前に「親族編の仮決定及び留保事項」というのがありますね。そういうのは一体どういうふうなものなのか、ちょっと概略を御説明願いたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 法制審議会の民法部会、その中の身分法小委員会におきまして、この前の民法改正が早急に新憲法下においてなされました経緯もございますので、民法の親族編、相続編についてもう一度総ざらいしようというふうなお考えで、まず親族編全般につきまして審議がされました。しかし、事柄が非常にいろいろ問題を含んでおりましてむずかしいこともあり、ただいまお示しの仮決定あるいは留保というふうなことで結論を得ないままになっておるわけでございます。そうこういたしまするうちに相続編の再検討をしなければならぬことに相なりまして、相続編の方は、主としまして相続人と相続分の関係の問題、第二には夫婦財産制の問題、第三には寄与分の問題、これを柱にいたしましていろいろ審議がされておるわけでございます。  昨年の八月に、相続編につきましていま三つ検討をしております問題についての小委員会におけるいろいろの意見を取りまとめまして、これを中間報告という形で一般に公表いたしまして、関係の各方面から意見を求めておる段階でございます。  したがいまして、今後の身分法小委員会におきましては、親族編の問題はしばらくおきまして、相続編について先ほど申しました三つの問題について主として審議を積極的に進めていこう、かような動きでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、そういうことは結構なんですが、全体として、いまの身分法小委員会の中間報告で各方面にアンケートをとっていますね。弁護士会だとか婦人団体だとかいろいろなところにとっているわけですが、その結論というかアンケートが集まってくるわけですね。現在の集まり状況というのはどの程度なんですか、これはまだ余り集まっていないようにも聞くのですがね。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 ただいま申しましたように、昨年の八月に関係方面に、昨年いっぱいで御意見をお寄せいただくようにというふうな含みでアンケートと申しますか、意見照会をいたしたのでございますが、正式に回答がございましたのは約六団体ぐらいでございまして、日法協、日弁連、日司連、それから個人の方が一つあったようでございますが、そういった程度でございまして、おっしゃるとおり、十分まだ回答をいただいていないわけでございます。  その寄せていただいている六つの回答も、各問題につきまして意見がまちまちでございまして、必ずしも統一的な方向の回答にはなっていない。私ども、ただいま各大学等につきましてできるだけ早く意見を寄せていただきたいということをお願いいたしておるわけでございますが、何分にも問題が、そう割り切って合理的にかくかくこうだというように回答できる性質のものでもございませんので、いましばらく時間がかかろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 日弁連からの意見書というのはあるいは公開されておるのかもわかりませんけれども、ぼくは見ていないものですから、後でいいですけれども、差し支えない範囲で出していただいていいと思うのです。あるいは日弁連から直接もらっているのかもわからないですけれども……。  そこで、今後の見通しとしては、全体の改正ですね、たとえば非嫡出子の相続分の問題、一つをとってみても非常にむずかしいですね、意見が各方面において分かれるし 配偶者の代襲相続権の問題、養子の相続権、兄弟姉妹の相続権、ここら辺はそうはむずかしくないのではないかと思いますが、配偶者の相続分の問題はなかなかむずかしい。  それから夫婦の財産制の問題ですね。これは議論が分かれる。共有制か別産制か、どっちがプラスとかマイナスとか、立場によっても違う、人によっても違う。いろいろな問題が出てくるのでなかなかむずかしいのだ、こう思うのですが、全体としては大体いつごろを目安に立法化できると考えておられるのでしょうか、あるいはわれわれとしてはとってよろしいと考えていいのでしょうか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 法務省の姿勢といたしましては、かような基本法の問題でございますので、法制審議会の結論を得て、その上で立案作業、引き続き改正法律案の提案ということになるわけでございます。  この身分法の改正の問題は、いろいろの意見、中身それぞれ違いますけれども、全般的には早急な改正が要望されておることでもございますので、私どもといたしましては直接的には先ほど申しました身分法小委員会におきまして、できるだけ精力的に審議をやっていただいて、しかも全部の改正を一括してということになりますと相当時間もかかりまして、ちょっと国民の要望にも沿いかねることに相なりはしないかという危惧もございますので、いま最も関心の深い、いたがって中身はともかくとして、いろいろな方面から要望されておる相続制度の問題についてまず審議していただいて、できるだけ早く結論を出していただきたいということでお願いしておるわけでございます。  ただ、いつまでにというめどでございますが、身分法全般がそうでございますけれども、特に相続制度につきましては、大げさに申しますれば前の委員会でも申しましたように、世界観、人生観の相違から来る結論の違いもございまして、現に小委員会におきましていろいろの意見が出されておるわけでございます。一般の御要望、あるいは学界等からの意見もまちまちでございまして、小委員会、民法部会、法制審議会においてどのような形で取りまとめるかということはなかなかむずかしい作業だと思うのでございます。したがって、できるだけ精力的に、しかも大体の国民の要望、国民意識がこっちの方向というふうなところをとらえて結論をお出し願うようにいまお願いして、できるだけ早く結論を出していただきたい、かように考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それはたしかにそうなんですが、相続分の中でもいろいろな問題があります。これを全部一緒にやろうとしても大変な騒ぎです。  中間報告の最初に、「非嫡出子の相続分」というのがありますね。これは現在の場合は、嫡出子が一で非嫡出子が二分の一ですね。これは「現行法を維持すべきであるとする意見」もあるし、それからそうじゃなくて、「嫡出子の相続分と同一応すべきであるとする意見」、大きく分けて二つあるわけですね。これを一つとってみてもなかなか大変な問題で、まとまりません。そうなってくると、この全体の中で一体どこを一番早くやるかということ、順位と言うと言葉が悪いのですが、それをやらないと、率直に言って立法化できなくなってくるんじゃないでしょうか。全部まとめてやると言ったって、とてもまとまりませんよ。率直な話、これは各党の法務部会にもかかるのでしょうけれども、自民党の法務部会にかかったってこれはなかなかまとまらないんじゃないですか、各人考え方がとっても違うから。  そうなってくると、どこを一番中心として早くやるかということのあれをつけないとだめじゃないか、こう思うのです。その一つは、「配偶者の相続分」の問題が大きな問題となってくるのですから、ここだけでも早く立法化に踏み切るというか、私の方でもその法案を出しているわけですけれども、それでないと五、六年でもけりがつかないのじゃないかと思います。その辺についての考え方はどういうのですか。五、六年でけりがつきますか。とても私はけりがつかないと思いますよ。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 確かに過去から今日までの身分法小委員会の審議の経過を振り返ってみますと、これは私どもから申し上げるのは、あるいは失礼かもしれませんけれども、やはり問題が問題でございますので、さような結果になるのはやむを得ないのかもしれませんが、ある最大公約数的なところでまとめるという方向に、精力的にもっと動いていただく必要があるんじゃないかというふうに思っておるのでございます。  それにいたしましても、いま相続関係だけ取り上げましても、最大公約数がどこであるかということ、国民の大多数がどう考えておるかということの把握もなかなか容易でない問題だと思うのであります。先ほど申しましたように、身分法小委員会に対しましては、相続法全般というよりも、その中で国民の要望の強いものから先に取り上げて、一つずつ結論を出していただくというふうなやり方でお願いしたい、こう申し上げて、現在そういう方向で動いておるわけでございます。そうなりますと、やはりいまおっしゃったように、配偶者の相続分がまず最初の問題として取り上げられるだろうというふうに思うのでございます。  ところがこの問題につきまして、主としてこれは妻の法的地位の問題として婦人団体等から非常に要望が強い問題でございますが、そちらの方の御要望は、単に配偶者の相続分だけではなくて、夫婦財産制の問題を大きく取り上げておられるわけでございます。これは理屈の上からも妻の相続分と夫婦財産制というのは密接に絡んでおる問題でございますけれども、これを一緒にやるといたしますと、おっしゃるとおり、やはり相当時間がかかると思いますので、夫婦財産制は現行法のままにいたしましても、妻の相続分という問題だけは結論が出せないわけでもなかろうと私どもは考えておるわけでございます。そういう意味で、配偶者の相続分の問題をできるだけ早く結論を出していただきたいということでお願いしておるわけでございます。しかし、相続法、さっき申しました三つの問題を柱にしての小委員会における審議が五、六年もかかっておったのでは話にならないと思うのでございまして、私どもとしては、できるだけ精力的に審議をやっていただいて、少なくとも二年ぐらいで結論を出していただきたいという希望は持っております。そのようになりますかどうか。これは問題が問題でございますので、細切れという非難はあるかもしれませんけれども、結論を得た分から逐次改正法律案を提案したい、かような考えでおるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 ここに「法制審議会民法部会身分法小委員会における親族編の仮決定及び留保事項」という法務省民事局から出ているのがあるのですが、「四十六年六月」と書いてありますよ。そうすると、身分法小委員会というのは一体いつから発足したのですか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 法制審議会に民法部会が設けられて、小委員会が発足いたしましたのは昭和二十九年七月のようでございます。  そのときに、いま申しましたような親族法の総ざらいをやり始めたわけでございますけれども、審議自身は実に御熱心にやっていただいておるのでございますが、いろいろの意見があってなかなかまとまらなかったという経緯でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 あしたまた質問しますから、後でいいのですけれども、身分法小委員会のメンバーはいまどういうふうになっておるのですか。あれは中川先生が入っておられたのですか。中川先生は亡くなられてしまったけれども、ずいぶんかかっているのですね。もう二十年以上かかっているのかな。いまはどなたが小委員長をやっていらっしゃるのですか。  確かにむずかしいと思うのですよ。これは養子制度一つとったってむずかしいですね。これに特別養子だとか、実子特例法の問題だとか、断絶養子の問題だとか出てくるし、とてもとてもむずかしいのはよくわかりますけれども、ずいぶん長くかかるものだと思うのです。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 身分法小委員会の小委員長は、現在、中川先生が亡くなられました後空席になっておりまして、都立大学の唄孝一教授が小委員長代理をやっておられるわけですが、加藤一郎先生が今度国連大学をやめられましてもう一度法制審議会に戻ってくださいますので、加藤一郎先生に小委員長をやっていただくか、あるいは身分法プロパーの先生に入っていただいて小委員長に専念していただくかということで、いま部会長のところで検討しておるわけでございまして、できるだけ早く決めまして積極的な審議に入っていただきたい、かような状況でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 学者の人の集まりですから、また学者は各人、各人の考え方を持っている人だから、余り法務省の方で無理にせかせるといろいろあると思いますが、全体でなくて早急を要するもの、ことに「妻の地位の実質的向上を図るため、」というふうに今度の法案の提案理由にあるわけですから、その点を中心としてできるだけ早い機会に結論をまとめていただきたいと思うわけです。  そこで、今度出ました民法の一部改正、これは全体の中の一部分だと私は思うのですが、この法案の中で、たとえばまず婚姻の問題ですね。離婚の前提は婚姻ですから婚姻の問題があるわけですが、日本では婚姻によって氏を改めるということになっておるわけですね。そうすると、婚姻によって氏を改めるという考え方は、一体どこから出発しておるのですか。ということは、いろいろな考え方があって、またむずかしいと思うのですが、婚姻によって氏を改めない法制もありますね。それはまた各国、各国考え方が違うので、ソビエトの場合、あるいは中国の場合、——中国でもいろいろ変遷があったと言うし、その他韓国でも考え方がいろいろあると思うのですが、違うわけですね。  そこで、まず前提として、氏というのは一体何かということですね。これはまた唄さんのむずかしい論文があるので、ちょっと読んでみたけれどもむずかしくてよくわからないのですが、氏というのは一体何かということですね。これは何なんだろう。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 氏とは何かということ、実は氏のいろいろな論争があるわけでございますけれども、よほど頭のいい方かばかでないと、氏というのはよくわからぬというふうなことを私もときどき申し上げるのでございますけれども、これをこういうものだというふうに定義づけることは、私はちょっと無理だと思うのであります。  民法が考えておる氏というのは、家の制度が廃止になりまして、夫婦と子供を中心にした一つの家族と申しますか、そういうものの一つの呼称として氏というものが位置づけられておることは間違いないと思うのでありますけれども、しかし個人、個人から考えますと、その個人を特定するためのと申しますか、氏名というものによって特定するわけでございますから、さような機能を持っておる。他方、戸籍法の面から申しますと、戸籍の編製単位というふうなものとして氏が位置づけられておるというふうになるわけでございまして、したがって、氏を単一的にかくかくしかじかのものだというふうに定義づけてどうこうという議論は、私は余り実りがないのじゃないかというふうに思っておるわけでございまして、したがって氏のそれぞれの機能を法律的にどのように評価するかということから実質的な議論がされてしかるべきじゃないかというふうに思っておるのでございますけれども、したがってはなはだ申しわけありませんが、氏の定義をしろとおっしゃってもちょっとその能力がございませんので、あしからず御了承願いたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 新しい民法ができるときに家の制度が廃止された。また家の制度というのも、これは率直に言うと、わかったようなわからないようなものであって——わからないと言うのは悪いかもわからぬけれども、そのときに氏という制度も廃止すべきであったという意見もあるように聞くのですけれども、その点はどうなんですか。氏という制度を残したのは、何か中間的な措置だったというような意見もちょっと有るように私は聞くのですが、そこはどうなんですか。それは氏というものの定義によるから、なかなか結論がはっきりしないと思うのですが。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 当時の民法における氏というのは、さほど今日におけるような氏論争として重要度をもって論議されたとは承知いたしていないのでございますけれども、当時の考え方として、一挙にいわば個人単位と申しますか、先生御承知のとおり、外国では日本の戸籍に相当するようなものは、個人単位に徹しておるわけでございますし、さようなものとして考えるべきじゃないかというふうな議論があったようでございますけれども、わが国の社会生活あるいは国民感情、国民意識から申しまして、やはり夫婦と子供という一つの家族を母体にした社会の単位を考えるというふうなことでまとまったわけでございます。したがって、まず取り上げられてきたのが夫婦の氏という問題であり、子供がその夫婦の氏を称するということで連結しておる。これをそういうふうにしましたのは、やはり戸籍編製の単位としての家族と申しますか、夫婦と子供中心の戸籍というものも一方においては頭に描きながら民法の氏を考えたというふうなことではないかと思うのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 婚姻によって氏を改める制度と改めないという制度とあるわけですね。改める場合でも、考え方は国によっていろいろあるらしいですが、そこら辺のところは、一体どういうふうになっているのですか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 婚姻の際に夫婦、したがって子供も含めました氏をどうするかというふうな問題は、理論的にこれが一番いいんだというふうなものはないと思うのであります。その国の社会生活、風土、国民感情等々によっておのずからそういうものが落ちついた形で出てきておる、そういう伝統的なものがあると思うのであります。  したがいまして、そういうことで、各国によっていろいろの形態のものがあるわけでございまして、端的に申しますと、たとえば中国とか朝鮮半島におきましては、婚姻しても妻は実家の氏をそのまま称しておるというふうな形態のものもございますし、それからフランスとかスペイン、——スペイン法系、フランス法系の国におきましては、夫と妻の氏の混合体と申しますか複合体というか、両方上に冠するというふうな形態のものもございますし、イギリスとかドイツ、——まあイギリス、アメリカのコモンロー系のところでは夫の氏を称する。ドイツも現在はそうでございます。そういうふうにまちまちなのでございますが、各国におきまして、現在確かにそういった氏というか、これは日本流に申しますれば氏でございますが、それがそれでいいのかどうかというふうなことの検討はされておるようでございますけれども、改正案的なものが現在公表されておるのは西ドイツだけでございまして、そのほかの国にはさしたる動きはないと思うのであります。  わが国におきましても、確かに現在は婚姻によりまして夫または妻のいずれかの氏を称するということになっておるわけでございますけれども、これにつきまして一部からは、妻の氏は従来のままでいいじゃないか、何も夫の氏一本にして妻がそれを称しなければならぬことはないじゃないかというふうな御意見は確かにあるのでございますけれども、私どもなかなか十分なこれの調査はできないのでございますけれども、おおよその感じといたしまして、日本国民の大多数が婚姻しても夫と妻の氏が違って、妻が従前のままの、婚姻前の氏を称しておるというふうなことは、国民感情としてそれが一番いいんだというふうに受け入れられるだろうかどうかというふうな、そういう国民意識の問題もございますし、それからさようなことに、それぞれの氏を夫婦が称していいということにいたしました場合にたちまち困りますのは  これは困るか困らぬのかの意識の問題はあるのでございますけれども、私どもが困ると思いますのは、子供はそうするとどうするか。父親の方の氏を称するのか、母親の方の氏を称するか、この辺のところも相当むずかしい問題がございますし、しかも一これは戸籍法の技術的な面から考えましても、現在の夫婦と子供中心の戸籍編製単位が、氏といいますか呼称を中心にして編製されておる関係から、これを抜本的につくりかえなければならぬというふうな問題にもなってくるわけでございまして、さような意味で、意見としては確かに一部あるのでございますけれども、私どもとしては、国民の大多数はさような方向は志向していないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 西ドイツの離婚法というのは、これは成立したのかどうかちょっとわかりませんが案ですか、ぼくもちょっと何か雑誌で読んだのですけれども。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 定かではございませんけれども、情報としましては、衆議院は通過して参議院で検討されておるというふうな模様でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 まだ成立してないように聞いておったのですが……。  そこで、たとえば結婚しても妻は妻の姓を名のって氏を変えないという考え方、こういう考え方もあると思うのですが、それは中国もそうですね。それから朝鮮半島というか、朝鮮半島にも二つの国があるから違うと思うのですが、それらはどういう考え方に基くのですか、それが一つ。  それから、日本の場合に、いま一部の人たちが唱えておる、結婚して普通は夫の氏を名のりますが、名のらなくてもいいんだ、妻は妻の氏でいくんだという考え方の根拠はどこにあるのでしょうか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 不勉強で根拠と言うほどのことはよく存じませんけれども、先ほども申しましたように、やはり沿革的なものがあって、特に合理的な一つの理屈があってこうだということではないのじゃないか、これは想像でございますが。  日本の場合に、先ほど申しましたように、一部、婚姻しても妻は従前の氏をそのままあれしておっていいというのは、実は私にもその理由がよくわからないのでございますが、これは強いて考えますれば、現在の実際の動きが、婚姻すれば九九%までは夫の氏を称しておるということから、その実態を、何と申しますか、女性の方の社会的地位とか法的地位といいますか、そういうものが平等でないというふうなとらえ方をして、平等にするには、従来の妻の氏をそのまま称するようにするべきだというふうにきわめて簡単に結論が出されている向きもあると思いますし、それからもう一つは、今回お願いしていますように、離婚した場合に復氏ということになると、社会的に活動しておられる女性にとってははなはだ不利だというふうなことから、これを根本的に改めるためには、そもそも結婚しても夫の氏を称することが必要ないように持っていった方がいいじゃないかというふうな考え方、こういったことは一つの理屈ではないかと思うのでありますけれども、そこのところは、十分まだ承知いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それから「妻の地位の実質的向上を図る」、こういうふうに今度の提案理由で言っているわけですね。「妻の地位の実質的向上」というのは、これはどういう意味なんだろうか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 今回の民法の改正は、つまり婚姻した場合には、夫あるいは妻のどちらかの氏を夫婦の氏として称するということでございますから、形式的には男女平等であるわけでございます。ところが実態としまして、先ほど申しましたように、九九%までが夫の氏を称しておる。そうなりますと、離婚の際に当然復氏ということに相なりますと、女性の方から見ますと婚姻して氏が変わり、離婚してもとへ戻るという変遷がある。夫の方はそのままでございます。そうなりますと、婚姻中に夫婦の氏でもって女性が社会的にいろいろ活動されて、そういう呼称でもって社会的に名が売れておるというふうな場合を考えますと、離婚によって当然もとの氏に変わるとなりますと、それだけ不利益を受ける。これが、形式的ではなくてやはり実質的にその女性の不利につながることでございますので、それを、離婚いたしましてもなお必要がある場合には従前の氏をそのまま使えるということにすることによって、実質的に妻の地位が向上する、そういうふうな考え方でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いまの社会的に活動している女の人の場合だけのことを例に挙げると、これはちょっとあれになってくると思うのですが、そうでない一般の——一般のと言うと語弊かありますが、家庭婦人の場合に、離婚をして当然もとの氏へ戻りますね。そうすると子供の氏はどういうふうになってしまうわけですか。そこの違いが出てくるわけですか。そこら辺のところは現行法上はどういうふうになっているのですか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 現行法では、離婚いたしますと、当然実家と申しますか、復氏するわけでございますので、したがって、母と子供の姓が違うことになるわけでございます。先ほど申しましたように、今回の改正の一つは、確かに社会活動をしておられる女性の不利益を防止するということも一つの理由でございますけれども、もう一つは、いま御指摘の、離婚した場合に母親と子供の氏が違う、呼称が違うということがいろいろ問題を生ずる場合があるわけでございます。これも子供が父親のもとで養育される限りはさほど問題はないのでございますけれども、現在の離婚と子供との関係の実態を見てみますと、大体六年ぐらいで離婚するのが一番多いわけでございまして、そうなりますと小さい子供がおるわけでございますが、そのうちの約半数以上は母親が子供を養育する、そういう関係になっておるわけでございます。そうしますと、子供が就学する、小学校に入るころになりますと、PTAに出てくるお母さんの氏と子供の氏が違うというふうなことで、母親よりもむしろ子供に対して、これは理屈抜きのいろいろな悪影響があるというふうな問題があるわけでございまして、そういう場合に、やはり現在の離婚によって当然復氏という関係がそこに無理を生じさせておるということでございますので、そういう子供を養育するというふうなケースの場合には、母親がやはり従来の氏をそのまま使って子供に対する悪影響を防止するというふうにする。しかしさような必要性がなければ、離婚によって当然もとの氏に戻るというのが大半の離婚した女性の方の感じだろうと思うのであります。だから、やはり原則は離婚による復氏ということを原則にいたしまして、先ほど申しました社会的活動をしておられる方とかあるいは子供との関係というふうな、そういう必要性がある場合に限って従来の氏をそのまま称するという道を例外的に開いておこう、こういうふうな考え方でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 現行法で、離婚した場合は普通の場合、妻は復氏しますね。そして子供がいる場合、親権者を届け出のときに決めるわけでしょう。そうでなければ受け付けませんね。大体幼児の場合は妻が親権者になる場合が多いでしょう。だから、現行法ではそうでないですけれども、その場合に親権者である妻と同じ氏に子供も当然変われるように、どうして現行法のときに決められなかったのですかね、それがどうもよくわからないのですけれども。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 現行法は、民法の七百九十一条の規定によりまして、御承知のとおり、いまお示しの例の場合に子供を母親の方の籍に入れるという必要があるときには、父親の方の理解、同意も得て家庭裁判所で許可するという審判でやるということになっておるわけでございます。これはいろいろ実態を見ますと、先ほど申しましたように、離婚した際に母親が子供を引き取る、親権者になって引き取るという場合も七百九十一条を利用して自分の籍に入れるというところまでいくケースというのは少のうございまして、むしろ母親としては、子供の籍は父親のもとに置いておいて、そして成年になるまで自分がめんどうを見るということの方が子供にとってはかえって幸福じゃないかというふうな動きが相当強いわけでございますね。したがって、よほど父親の籍に置いておくよりも母親の籍に入れてしまった方がいいというようなケースの場合には、七百九十一条を活用して子供を引き取るというふうなことにした方がいいんではないかということだと思うのであります。このことは、やはり離婚復氏を原則にしながら従前の氏を称することにしようとする趣旨は、先ほど申しました母親が親権者になる場合の子供に対する悪影響を防止するという観点から、そういうことを一つの理由にしまして、例外的に従前の氏を称することにしようとするわけでございますけれども、その例外的に氏を称するときに、子供も当然に母親の籍に入ってしまうということにするのは、果たしてそれで子供の将来を考えますと、いいのかどうかという点について実際十分な自信がございませんので、そういう必要性がある場合には、現行の七百九十一条を活用していただく、かような考えでおるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 法案の内容その他については、あしたまたやらしていただきたいと思います。

小平久雄自由民主党

○小平(久)委員長代理 次回は、明十四日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十時五十二分散会

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