法務委員会 第3号
- 発言数
- 73 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1976/03/03
会議録
○大竹委員長 これより会議を開きます。 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青柳盛雄君。
○青柳委員 昨日法務大臣が所信表明を行われましたので、きょうはこれに対応する質疑を行うと同時に、国政一般に関する調査も行われる日でございますし、私は、大臣の所信表明が幾つかの項目に分かれておりますので、きょうそれについて全部御質疑申し上げることもできませんから、また別な機会に行う予定にいたしまして、ただ昨日の所信表明の最後にお話のありました、いま大変に問題になっておりますロッキード汚職といいますか疑獄と言われている事件について、法務省としての態度、法務大臣としての態度などが述べられましたので、それについてお尋ねをいたしたいと思います。 最初に、事実関係を確認しておきたいのでありますが、先月の二十四日の各新聞紙の報道によりますと、いわゆるロッキード問題について捜査当局、つまり具体的に言うならば東京地方検察庁、それから警視庁、東京国税局の三つの役所が合同でいろいろの場所を捜索されたということでありますが、その事実はあるかどうか、これをお尋ねいたします。
○稻葉国務大臣 事実はございます。
○青柳委員 その事実の内容について詳しくお尋ねをいたしたいと思いますが、まず最初に、だれに対するどのような容疑で捜査を始められたのでございましょうか。
○安原政府委員 お尋ねの点、私ども東京地方検察庁が捜査に着手いたしました際におきますところの被疑事実について申し上げたいと思いますが、東京地検が捜査に着手いたしました根拠は、児玉譽士夫に対する所得税法違反の嫌疑でございまして、この違反の嫌疑によりまして、捜索と差し押さえを児玉譽士夫宅ほか十カ所において行ったのでございまして、合計で二十六カ所でございますが、それは東京国税局あるいは警視庁が捜索を行ったのでありまして、東京地検といたしましては、いま申し上げました児玉譽士夫宅ほか十カ所、合計十一カ所の捜索、差し押さえを行ったものでございます。 そうしてその所得税法違反の嫌疑の要旨は、児玉譽士夫が収入を除外して、昭和四十八年、四十九年、五十年という三年にわたりましてそれぞれ所得税の申告をする際に虚偽の確定申告書を提出して、三年間にわたりましてそれぞれの年度分の税金およそ合計十億三千万円の脱税をしたという容疑で捜索を行ったものでございます。
○青柳委員 児玉譽士夫被疑者についての質問は、まだ後でもしたいと思いますけれども、新聞報道によりますと、同時に丸紅に対しても捜索が行われたようであり、しかもそれは外為法などの違反であるということでありますが、これについては、東京地検、法務省関係は全く関係がないわけでございますか。
○安原政府委員 東京地検といたしましても、外為法違反の容疑について捜査をする体制でおりますが、さしあたり合同捜査の一つの調整といたしまして、外為法違反につきましては、警視庁が主としてこれを担当いたしまして、捜索、差し押さえ許可状を取って丸紅本社等の捜索をいたしたのでございます。そういうことでございます。
○青柳委員 では直接担当した児玉譽士夫被疑者に対する所得税法違反の問題についてお尋ねいたしますけれども、このような容疑を抱くに至った契機となったものは何であったのか、そしていつごろからそのような内偵を含めた捜査が始まったのか、お尋ねしたいと思います。
○安原政府委員 先般予算委員会でお答えをしたときにも申し上げたことでございますが、東京地検がそのような所得税法違反の嫌疑で捜索、差し押さえをやったという事実は事実といたしましても、どのような手元の資料でそのような犯罪があると思量したかという手のうちのことは、捜査の秘密として申し上げるわけにはいかないということを予算委員会でも御了承を得たつもりでございますが、契機ということになりますと、そのときも申し上げましたが、児玉譽士夫がすでに公開されておる領収証によって認められる、ロッキー下・エアクラフト・コーポレーションから受け取ったコンサルタント報酬に関する所得金額が、児玉譽士夫が提出した所得税の確定申告書の中から漏れておるのではないかという疑いでございます。
○青柳委員 丸紅に対する外為法違反の容疑については、先ほど警視庁が担当したと言われましたが、やはり捜査関係機関として、ことに警視庁は司法警察官の機関でありますから、東京地検と密接な連携のもとにやっていることだと思いますが、この外為法違反の容疑についてどういうことが内容になっているのか、もしわかっておったら知らせていただきたいと思います。
○安原政府委員 私どもの承知している限りでお答えいたしますが、まず、被疑者が三名おります。一人は児玉譽士夫でございまして、これは四十八年六月十四日ごろから五十年五月七日ごろまでの間、十回にわたって東京都内で、非居住者であるロッキード・エアクラフト・コーポレーションが被疑者児玉譽士夫に支払うべき現金三億円余りを、居住者であるロッキード・エアクラフト・リミテッドの社員から受領して、もって非居住者のためにする居住者に対する支払いを受領した。非居住者というのはロッキード・エアクラフト・コーポレーションで、それのために国内に住んでいる者からそういう支払いを受けたというのが外為法の違反になるという嫌疑と、もう一つは、大久保利春、伊藤宏という丸紅の役員に対する外為法違反の嫌疑でございまして、これは、この被疑者両名が共謀して、四十八年八月九日ごろから四十九年二月二十八日ごろまでの間、四回にわたりまして丸紅株式会社で、非居住者であるロッキード・エアクラフト・コーポレーションが丸紅に支払うべき現金五億円を、居住者であるロッキード・エアクラフト・リミテッドの社員から受領したというのが、外為法の違反の嫌疑であります。
○青柳委員 先ほど、児玉譽士夫については、領収証があって、それが一つの容疑の証拠であるというお話がありました。その領収証が児玉譽士夫という人物の作成したものであるという確認のもとに捜索令状を取ったものだと思います。これは私の想像ですが、それ以外に考えられません。 それから、いまの丸紅の前専務の大久保利春とか伊藤宏というような人物について、やはり外為法違反の容疑があるということで捜索令状をお取りになってやったわけだと思いますけれども、その証拠の中の一つに、ピーナツ百個あるいはピーシズ何個というような伊藤宏被疑者の自筆の領収証、そういうものが裏づけになっているのかどうか、それもお尋ねいたします。
○安原政府委員 これまた先ほど申し上げましたように、嫌疑を抱く資料の詳細を申し上げるわけにはまいりませんが、特に警視庁のやっておることでございますので、私から申し上げるわけにいかないのでございますが、先ほどの脱税のときにも、前に予算委員会で、例の児玉譽士夫の公開された領収証というものも資料の一つであることは申し上げたと同じように、いま御指摘のピーシズとかユニットとか、要するに公開された伊藤氏の領収証も一つの有力な資料になっていたであろうと推測はいたしております。
○青柳委員 予算委員会で二度にわたって伊藤、大久保両名は証人として喚問され、そして宣誓の上で、この領収証の意味するものについて非常に詳細な、長時間にわたる国会の予算委員からの質問を受けて、これに対していろいろの答えをいたしております。その模様は、同時放映の形で、テレビを通じて全国民がくぎづけのようになって見ておりました。新聞でも詳しく報道されました。どうも疑惑が少しも解明されない。つまりこの両名が、全く金とは無関係な書面であるというようなことを強調いたしまして、これが外為法違反になるなどということは考えもつかないというようなことまで言っているわけですね。まして、世上非常に重要視している政府高官に対する贈賄の資金と結びつくなどということはますます考えられないという態度を示しているわけです。この点は、いまのお話のように、あの領収証がいわゆる外為法によって統制を受けなければならぬ金の動きと関連がある、そういう見通しを捜査当局としては持っておられるのかどうか、重ねてお尋ねいたします。
○安原政府委員 少なくとも、捜査当局が、大久保、伊藤の両名について、不法な金の支払いを受けたという意味で外為法違反の嫌疑を持っております以上、現在の段階におきましては、国会における証言に対しては、捜査当局としては、虚偽ではないかという嫌疑を持っておるということに理論的には相なろうかと思います。
○青柳委員 ついでにお尋ねをいたしたいと思いますけれども、確かに証拠物は公開されて、そして写真等で、捜査当局を初めわれわれ一般国民も、現物ではありませんけれども、相当詳細に見ることができました。したがって、これをどういうものとして見るか、つまり犯罪の容疑の証拠物として見るか見ないかということは、捜査当局の権限に属することでもあるし、また国民がそれをどう見ようとそれは自由でありますけれども、同時に、アメリカの上院の多国籍企業小委員会、いわゆるチャーチ委員会と言われるところで、証人の取り調べが行われた模様が私どもの目にも詳しく伝わってきているわけであります。 たまたま私の手元にあります「週刊サンケイ緊急増刊」三月七日付でございすね、「ロッキード献金事件の詳細記録」というのがあります。ほかの報道機関でも一般に公開しているのかもしれませんけれども、たまたま私の目についたのはいま言った週刊誌の特集号でございます。その中に、いまの小委員会の証言録というものが日本語に翻訳されて掲載されております。それを見ますと、この委員会にあらわれたロッキード航空会社の公認会計事務所のアーサー・ヤングというのがおりますが、そこのフィンドレーという会計士が非常に詳細な供述をいたしております。さらにロッキード社の当時の副会長であったコーチャンという人が詳しく証言をいたしております。これは私どももこの真相を知る上にとって非常に重要な資料ではないかというふうに考えているわけでありますが、検察庁としてもこれを無視しているわけではなく、むしろさっきの領収証とともに重視しているのではないか。特にこの両名、いま申しましたフィンドレー氏やコーチャン氏の供述、それから質問の立場にあるチャーチ氏、あるいはスタッフであるところのレビンソン顧問、こういう人たちがいろいろ調査した結果に基づいて質問を発しているわけでありますが、こういう人たちの発言、そういうものを重視しておられるのではないかと思いますが、この点いかがですか。
○安原政府委員 もちろん検察庁としては、いま御指摘の議事録の証言内容を重視しているものと思います。
○青柳委員 われわれは、この証言の中に、ロッキード社のいわゆる黒い金といいましょうか、商魂のたくましい、商圏拡充のためにはどういう方面にどういうふうに使うかという金が日本の政府関係者に渡されている。日本語に翻訳する場合には「政府高官」というような形になって出るようでありますけれども、いずれにしても日本の公務員に関係のあるようなことが、しかしその公務員の名前は明らかにされていない。これは当面、国会でも非常に問題になっているところでありますが、名前のはっきりしている人物として、もう一人国会でも証人に喚問をいたしました小佐野賢治という人が出ております。 この人は、コーチャン氏の証言によりますと、コーチャン氏が十回ほど日本へやってきて、そしてロッキードの売り込みについていろいろと活躍をされた。その際に、児玉譽士夫という人物を通じて小佐野賢治という人に紹介されたというように述べ、しかも相当頻繁に児玉譽士夫と同趣旨の協力をしてもらっているという趣旨の供述がある。この間の予算委員会の証人喚問では、小佐野氏は最初はコーチャンなんという人物は記憶がないと思っていたけれども、何か写真を見てあの男なら会ったことがあるという程度の認識だということで、いま申し上げましたチャーチ委員会におけるコーチャン氏の証言などというものは全くでたらめで、むしろ名誉棄損であるから、場合によったら名誉棄損で告訴してもいいんだというふうに開き直っておられるわけでありますけれども、この点については、検察庁はどういう見解を持っておられるのでしょうか。
○安原政府委員 米国国会の多国籍企業小委員会におけるコーチャン氏の証言の中に、政府高官に対する工作資金について小佐野賢治氏が関係があるというような証言があるが、日本の検察当局としてはこの点についてどういう見解をとっておるのかというお尋ねと、こう理解をするわけでございますが、この点につきましても、先般予算委員会でお答えをいたしたのでございますが、収賄というものの嫌疑なくして贈賄の嫌疑というものは抱くことができない。 ところで収賄の嫌疑を抱くとなれば、やはりそのいわゆる政府高官というものがだれであるかということを特定いたしませんと、青柳委員、先刻御案内のとおり、収賄というものは公務員の職務に関する不法な報酬の収受ということでございますから、どういう職務があるかがわからないという関係に相なるものでございますから、いまの段階では、たとえそういう証言があっても、まだ所得税法違反等の嫌疑とは嫌疑の段階が違う。まだ少なくとも捜査当局としては、それだけの証言で直ちに不特定の者についての収賄の嫌疑を抱くというわけにはいかないし、したがってまた小佐野氏を贈賄に対するものとして見るという段階にはまだ立ち至っていない、嫌疑の段階が違うということを申し上げたのでございまして、同じことをこの際にもお答えをいたしたいと思う次第でございます。
○青柳委員 これからその真相が漸次明らかになっていくわけでございましょうが、それにしても、この小佐野氏が児玉氏同様に協力をしてくれたという趣旨の供述がコーチャン氏からある以上、無償でやるということは考えられない。したがって、自分の手数料といいますか、贈賄の手伝いをしたというところまではまだ明確にはできないけれども、何がしか外為法違反なりあるいは所得税法違反なりの容疑はありゃせぬかということは、すでに児玉被疑者についてやっているわけですし、また大久保、伊藤両被疑者についてもやっているわけですから、全然不可能なことではないというふうに思うのですが、この点はどういう見解を持っておられますか。
○安原政府委員 今後の捜査の見通し等についてこの席で申し上げるわけにはいかないと思いますが、いずれにいたしましても、検察庁あるいは警察、国税は、今回のいわゆる国民的疑惑に対して、それの真相を究明するという決意で立ち上がっておるわけでありますから、それらの活動に期待したい、かように考えております。
○青柳委員 いわゆる強制捜査ということで、公開捜査まで展開しておりませんから、捜査の秘密というようなことで、やっておられてもここでは言わないということもあり得るとも思いますけれども、何にもやってないのだとすれば、大変な怠慢ではないかということを私どもは感ずるわけです。同氏を他の容疑者たちと区別する特段の積極的な根拠は見出せないのではないかというふうに思うし、また、この点はせっかく真相を明らかにするために、捜査当局が内々に調査を進めていかれることを私どもは強く求めたいと思います。 そこで、いま問題になりましたこの領収証とか、あるいはコーチャン証言の載っている文書とかいうような、記録とかいうようなものは、そのまま日本の公判で有罪の証拠に使えないわけでありますけれども、こういうものについては、今後公訴を提起し、それから公判を維持していくためにはどういう措置をおとりになる方針か、これは一般的なことでありますから、お答えいただきたいと思います。
○安原政府委員 御案内のとおり、この事件はいわば米国の国会における小委員会における証言からいわゆる端を発した事件でございますし、明らかにロッキードというアメリカの企業が関連をいたしておる疑いのある事件でもございますので、どうしても有力な証拠というものがアメリカに存在するということはそのとおりでございます。そういう意味におきまして、捜査の過程におきまして、どうしてもアメリカにおける関係者の取り調べあるいはアメリカにおける資料の入手ということが必要になってくるものと思います。したがいまして、そういうことの必要が生じました場合には、アメリカへの捜査官の派遣あるいはアメリカからの資料の入手ということを要請する段階が来るものと思いますが、いまのところ捜査官を派遣するというまでの決定は見ておりません。
○青柳委員 新聞情報の方が先走っているのかどうか知りませんけれども、東京地検の特捜部は何名ぐらいとか、警視庁は何名ぐらい、国税庁の方でも何名ぐらいをアメリカへ派遣することに決まったみたいなふうにわれわれが理解する報道が出ておりますが、いまのお話ですと、そういう時期もあろうかという程度で、非常に何かまだまだ決まってはいないことのようですが、どうしてその点おくれているというか、捜査か機敏にいかないのか。もうすでに捜索が始まってから十日近くたつわけです。もちろん多数の証拠書類を押収して、分析をしているというようなこともありましょうけれども、それにしても態勢が非常に緩慢な感じがするのですけれども、アメリカに捜査関係者を派遣するということは、まだ全然具体化しておらないのでしょうか。
○安原政府委員 検察、警察、国税当局は決して緩慢な調査、捜査をやっているわけではないと信じておりまするが、いま申し上げましたように、そういう捜査官を派遣するということは決定いたしておりません。 なお、仮定の問題でございますが、今後いつ派遣するか、いつごろ派遣してだれと会うかなどということは、まさにこれは真相の究明のためにする観点からいたしますと秘匿すべき事項でございますので、仮にそういうことが決定いたしましても、いつだれを派遣して、どこでだれに会うかというようなことまでを申し上げることは、恐らくは当分の間できないのではないかというふうに思っております。
○青柳委員 捜査の秘密というのは、何というのですかオールマイティーのような感じをわれわれはしばしば受けるわけです。国会が国政調査権というものを持っておって、そしてこれは犯罪を調べる機関ではありませんけれども、国政に関係のある問題であれば、その中に当然犯罪的行為も含まれると思います。犯罪的行為が含まれたら調査はもうそこでストップしてしまうというものではないということは常識だと思うのです。さりとて、それが途中から捜査官憲か入ってきた、そして横取りするわけじゃありませんけれども、競合しながら捜査と国会の国政調査とが進行していくという過程で、同じ国家機関であり、同じ目的の方向を向いているわけであります。もちろんそれぞれ任務が違いますけれども、それにしても捜査官憲が国政調査に協力をするということはあっていいわけで、それを何か阻害するというようなことがあってはいけないのじゃないか。したがって、いろいろ得た情報を、特に捜査が行き詰まるような結果になるおそれがない場合には、国会の調査に応じて情報を提供する、また資料も提供するということは許されていいし、しなければならないのじゃないかと思うのですが、いまのお話ですと、アメリカに行って何をやるか一切言えぬ、いつ行くかもわからない、どういうスタッフが行くかもわからないということであります。それは、捜査した結果は、求められればまた情報として国会に提供する場合もあり得る。捜査した結果以前に予定を言うことはできぬと言われれば、それも一つの理屈かなと思いますけれども……。 そこで、私はお尋ねするのですが、先ほどお話しのありました二月二十四日の一斉捜索の結果、非常に膨大な物件が押収されたようであります。この押収物件の中に、かねがね国会の方から委員会を通じて、当事者に対して資料の提出要求の出されてあるものが幾つかあるようであります。押収物件の中にそのものがあれば、当然これはどういう形をとるかはわかりませんが、たとえば所有者に還付する、そしてその所有者の方から国会からの求めに応じて提出するという方法もありましょうし、証拠物として重要であるから還付はできない、だけれども、これは国会でも求めているものであるから、特に秘匿する理由のない限りは、領置している機関の方から国会に提出をするということがあってもいいのじゃないか、こういうように考えるのですが、この点、一般論としてどうお考えでしょうか。
○安原政府委員 お尋ねの点は、特に今回の場合、先般警察当局が仮還付をして、丸紅の報告書が丸紅から提出されたようでありますが、そういう特殊の事情、すでに存在が明らかになっておって、当事者が提出することを同意しているものにつきましては、恐らくはそういうものは捜査の妨げになるということもないものというふうに考えるのが一般でございますから、そういうものにつきましては、警察当局がなさいましたような方法で提出するということも、一つのよい方法だと私ども考えております。 ただ、一般論といたしましては、青柳先生も御理解いただいておると思いますけれども、国会の国政調査権を尊重すべきことはもとより当然でございます。一面、捜査が密行しなければならないというのも訴訟法上の要請でございます。その両者の利益の兼ね合いの問題の中で、私どもは、いま御指摘のように、捜査に妨げがあるというようなものについては、一定期間あるいは永久にということはございましょうけれども、それを秘匿して提出しないということもやむを得ないことだというふうに考えておるわけで、要は真相の究明と申しますか、捜査の目的を達成する上において障害があるという観点からその提出の要否を決めるべきであって、あくまでも一党一派の利益のためにさようなことがなされてはならないということをかたく肝に銘じているつもりでございます。
○青柳委員 もちろん国会は政党政治の場でございますから、それぞれの党がそれぞれの独自の考えを持って国会活動をやっております。それを直ちに党利党略というふうに見たら、これは大問題でございまして、国会はまさにいろいろの見解の違う、政綱の違う政党がそこで論議を闘わしながらも同じ方向へ向かって進むべきものであります。したがって、捜査当局の方だけが非常に公正にやっておる。国会の方の要求の中には不純なものがありそうだなどというような予断、偏見をもし持っているとすると、これは大問題だと思います。 そこで私が一番懸念をいたしますのは、たとえば丸紅レポートというのは、わが党が予算委員会で丸紅の本社に提出を要求したものであります。これは、丸紅がロッキード航空会社との間で代理店契約を始めたのが一九五八年、昭和三十三年から現在に至っているわけでありますが、この代理店契約は別に秘密文書ではなくて、ある程度われわれがその内容を知ることができるわけでありますが、その内容によりますと、四半期ごとに丸紅は代理店としてロッキード本社の方に政治的、経済的な、また社会的な問題をも含め、競争相手の状況も含めて、知っている情報を報告する。要するに代理店としてどのような活動をこの一年のうちの三カ月間にやったかということを定期的に報告する義務を負っており、それを提出してきたとわれわれは思うわけであります。当然丸紅はその控えといいますか、写しといいますか、それは保存していたはずであります。これは私どもの推察ですけれども、この丸紅報告なるものの中身は、非常にデリケートな問題が記載されているに違いない。その中には、ロッキード社が日本に売り込みをするためにどのような活動をすることを勧告し、あるいはどのような活動をしたか、またどのような人々と接触をし、どのような金を動かしたかというようなことも記載されているんではなかろうか。もしそうだとするならば、この丸紅報告というものは、犯罪を捜査する上においても非常に貴重な物件であるというふうにもなるわけです。そこで私が懸念するのは、もしそうだとするならば、丸紅が事を構えて、そういうものはありませんとかなんとかいって隠している、それを強制捜索をしてうまく手に入れることができる、それを見るというと、これは大変なしろものだ、これは確かに捜査を続行する上においては有力な手がかりである、これを国会の方へやったらそこで暴露されてしまうから、元も子もなくなるというようなことで、事実上国政調査の方の目的には障害を来すというような結果になる場合もあり得るんではないか。この間丸紅から押収した、その丸紅からロッキード社に出した手紙の控えのようなものが還付されて、それが予算委員会に提供されたようでありますけれども、これはわが党が見込みをつけたものとは全く見当違いといいますか、当たらずさわらずのもののようであります。私は細かく分析したわけではありませんから、具体的なことは言えませんけれども、どうもこれはいわゆる丸紅のレポート、契約上の義務として履行しなければならぬレポートの控えというようなものではないんじゃないか。そうだとすれば、本当に丸紅が隠滅してしまっていれば、警視庁も捜査の対象にそれをすることはできなかった。つまり、押収してくることはできなかったかもしれませんが、必ずしもそうとばかりも言えないというようなことが考えられるのですが、この点については先ほどのお考えのとおり何とも言えませんという答え以外出て来ないのでしょうか。
○安原政府委員 具体的なその御指摘のレポートにつきましては、何分にも警視庁当局が差し押さえたもの——差し押さえたと言うべきではなくて、丸紅の捜索、差し押さえは警視庁が行ったものでございますから、その差し押さえの対象物に、いま御指摘のようなレポートがあったかどうかは、私は承知はいたしておりませんので、何とも申しかねますが、あったとした場合に提出するかどうかにつきましては、仮にそういうものが検察当局にあるとすれば、そういうものを提出することが、真相究明の上からいって現段階では相当ではないという場合には、国会の御要求にも応じかねてもやむを得ないのではないかと一般論としては思っております。
○青柳委員 繰り返しになりますけれども、国会の国政調査と捜査が競合した場合にどちらが優先するかと言うと、私はどちらとも必ずしも言えないと思いますが、何か捜査の方が絶対化されちゃって、国政調査というものが非常に影の薄いものになってくる、捜査が始まれば、事実上もう開店休業になってくるというようなことであってはまずいのじゃないかということを繰り返して言っておきたいと思うのです。 だから、この点は、先ほど別に他意あって言われたわけではないと思いますけれども、国会での調査に党利党略が介入してくるからというようなことで、いかにも不純なものがあるかのごとき前提のもとに、国会の方には出さないようにした方がいいのだというようなことでは、これは逆説的に言うと、捜査当局が特定の政党のためにもみ消しをやっているというようなことだって、国民の間に疑惑を与えないとは限らないですね。だから、得た情報というものは——国会で要求しないなら別ですよ。要求しないのに、進んでこういうものもある、こういうものもありますと言って出すのは、それは少し行き過ぎの場合もあり得るでしょうけれども、要求があったら、やっぱりそれに協力するという態度で臨んでいただきたいと思います。 私どもが具体的にそういう資料の中から要求したものとしては、まだ丸紅の社内の暗号コードなどというものがあるようであります。これは正森議員が大久保証人などに質問したときに、そういうものの存在は大体肯定していたようであります。 それから、これはまだ正式に資料要求として、丸紅あるいは児玉などに対して委員会を通じて提出を求めたというものではありませんが、もし政治献金などを丸紅あたりがやっている、また児玉譽士夫もやっているということであるならば、その政治献金についての関係記録などというものは、もし捜査当局が押さえている事実があるならば、将来の問題でありますけれども、考慮されることを私は希望いたしたいと思います。 それから、この捜索が事前に漏れたというようなうわさですね、また事実、関係者の間からは、事前に隠滅を図ったというような話も伝わってくるわけです。警視庁の捜索したものが非常に膨大であるということも聞いております。国税庁、また地検もそうだろうと思いますけれども、何か漏れたということが果たしてあるのかないのか。この問題が起こってから捜査当局が強制捜査に踏み切るまでに大体三週間ぐらいあります。だから、この三週間の間に何が容疑者の方によってなされたかということは、別に漏れなくたってあり得ることはあり得るわけであります。たとえば私どもが得た情報によりますと、丸紅の従業員の間で、あしたは捜索があるから、自分のところで預かっているような品物で怪しいと思う物は疎開した方がいいだろうというようなことも言われたということが伝えられているのですが、こういう点は思い当たるところがあるかと言うとちょっと変ですけれども、何か考えられますでしょうか。
○安原政府委員 青柳先生と同じ心配を、私も新聞報道を見て、したわけでございまして、検察当局から事情を聞きましたが、漏らしたなどということは絶対にないということでございますし、それを信じたいと思います。 私は、そこで推測するのは、やはり新聞の方々、報道陣の方々がまことに本件については取材に熱心でございまして、そしてまた、捜査に関する知識に精通をしておられまして、そこでその捜査を先に自分で計画立案なさいまして推測を書かれたところが、結果的に当たっておったというのが真相ではないかというふうに思います。 それから、別でございますが、先ほど、党利党略のために国政調査が行われるから捜査資料を出さない、そういうことを言った覚えはないのでございまして、党利党略のためにする目的で捜査資料を出さないということがあってはならないということを申し上げたつもりでございます。
○青柳委員 その逆の意味ならば、私は了解します。それを言いたかったんです。 それから、もう時間が来ましたので切り上げますけれども、実は私が懸念するのは、大山鳴動ネズミ一匹ということがよく言われるのですが、極端な推理小説的に言えば、コーチャン証言などというものは全くの作り事である、チャーチ委員会も、何かまごまごすると謀略的にあんなものを扱ったのじゃないか、本当に悪夢のようなもので、日本の国全体がきりきり舞いさせられたので、何もなかった、まあ、せいぜい児玉譽士夫の脱税と外為ぐらいのもので、汚職なんていうのはもう全然関係なかったということで終わってしまうようなことになっては、これはとても国民は納得はしないと思います。戦後最大の大疑獄、しかも国際的な大疑獄だと言う。確かにアメリカの法律によれば、まあ日本の法律でもそうかもしれませんけれども、日本の企業が日本の公務員に贈賄をしたという、これは外国で行った場合にどうなるか、これはなかなかむずかしい問題のようであります。アメリカで贈賄した場合には、贈賄罪は国内犯としての扱いを受けない、収賄罪の方は国内犯として扱われる、役人の方は罰せられるけれども、贈賄した方は罰せられないというような現象にどうもなるようであります。コーチャン氏はまさに主犯者である。しかしアメリカの法律ではこれを罰しられない。日本の法律でこれを罰することができるかということでお尋ねをしたいのでありますが、私どもは一般論としては、共謀共同正犯という理論は、非常に人権をじゅうりんする方向へ動くので、判例などはありますけれども、そして学説でこれを支持する理論もありますが、私どもは余り賛成しない、むしろ反対なんですけれども、共謀共同正犯で、一緒になって日本の国内において贈賄をやる、その共犯者がアメリカのコーチャンである、むしろ黒幕というか主犯であるというような場合に、これはアメリカにいてやっていることであり、日本の国内へ来てやってくれればそれはまた別だけれども、アメリカでやっている限りにおいて、アメリカ人であるから、これはとても日本の刑法の適用には適さないという一般論を離れて、共謀共同正犯であれば適用してもいいのじゃないか、こういう議論は研究したことがありますか。
○安原政府委員 いま御指摘のような法理論でございまして、要するに、贈賄のいわゆる実行行為が日本の国内で行われた場合に、仮定の問題でございますが、コーチャン氏は共犯であるということが認められれば、日本の刑法はコーチャン氏に対しても適用できるというか、適用があるということでございます。 問題は、コーチャン氏が日本に来なければ具体的な捜査権あるいは刑罰権の発動というわけにはいかぬと思いますけれども、刑法の適用があり得るかということになれば、あり得るということになると思います。
○青柳委員 国会でも証人として喚問を予定しておりますが、もしやってこられてここで証言する場合に、この点は恐らくアメリカの法律家も研究し、また、日本の弁護士の意見なども研究して、国会での証言が直ちに自分の罪にかかってくるというようなことであれば、証言を拒否するということにもなろうかと思いますが、いずれにしても、この贈賄罪というのは懲役三年であります。また、一般的な収賄罪も、いわゆる請託収賄でない場合には三年で時効にかかる。昭和四十七年の秋ころに非常に金の動きが多かったということは、児玉譽士夫の領収証がその時分に発行されていて、大体総額十億くらいの金が領収されたのじゃないか、それは彼のふところへ全部とまっていたのか、それとも、これがしかるべき方面に、いわゆる公務員の方に回っていたということになれば贈賄ということになる。しかし、これは三年の時効。収賄した方の側が請託を受けておればまだ時効にはなりませんけれども、請託なんかが何にもない、政治献金だということになると、これは政治献金ならばもう収賄にもなりませんけれども、仮に、それが収賄の疑いがあるとしても罪にならぬ、こういう危険がある。その時分にPXLの国産が慎重な態度で取り消しになったという、なぜだろうかといういろいろな疑惑を生んでいるわけですね。だから、この捜査というのは、また時効ということで壁にぶつかってしまうのではないかということ、つまり、せっかくアメリカの方から高官のリストが、名前が出てきた、これが公開をされた、国民は非常に驚いた、ああ、あの人がやっぱりというようなことになるわけですが、しかし、国会での調査は犯罪とは関係ありませんから、時効にかかっているのどうのということは問題ありませんけれども、捜査の方は、もうできないというようなことになれば、国会でその人の政治生命を問うことはできても、犯罪は免れて恥がないというようなことになりかねない。 そこで、先ほども言いましたけれども、いつ派遣するかがまだわからないというようなお話で、ちょっと緩慢な感じがいたしましたが、まあ後の御答弁で、一々言えないんだというお話でありますから、テンポは進んでいると思いますけれども、とにかく捜索が非常に慎重にあり過ぎて時がたってしまったというようなことにならないように、これは厳重に警告をしておきたいと私は思うのです。 児玉譽士夫の脱税については三月十三日ころが三年の時効になりそうだから、とりあえず起訴するというようなことが数日前から言われております。これも本当だろうと思いますけれども、そういうもので、日本の官憲は非常に公正で、しかも敏速に事を処理したんだと言って、このロッキード大疑獄事件をまあチョンにしてしまうというようなことのないように、これはそういうことがあってはならないという、その国民の声を代表するような意味で申し上げまして、私の質問を終わりにいたします。 最後に、大臣にその点について、昨日、公正に、冷静に行われると言われましたので、一言御答弁いただきたいと思います。
○稻葉国務大臣 青柳委員からるる御質問があり、刑事局長がこれに答えたわけでございますが、一番国民の関心事でありますこの事件が、起訴も不起訴もわからぬで時効になったりうやむやになるということが一番いけない。わが国の民主政治の信を問われるところでありますから、そうして法務省は法秩序の維持に責任を負うている役所であります。ただ、具体的事件でありますので、すべては検事総長を信頼し、こういう大事件についてあらゆる材料を収集し、飲まず食わず眠らずというわけにはまいりませんけれども、総力を挙げて真相の究明に当たってくれるものと信じております。私、法務大臣だから言うわけではございませんけれども、あらゆる職域団体のうちで、一国民として見た場合、検察庁ほどしっかりしている職域団体はないとさえ信じておる次第であります。どうか御期待、御信頼をいただきたい、こういうことを申し上げて答弁にかえる次第です。
○青柳委員 終わります。
○大竹委員長 諫山委員。
○諫山委員 私は、三菱重工長崎造船所及び三菱モンサントで行われている人権侵害、この問題に対する法務省、労働省の対応の仕方について質問いたします。 長崎造船所は従業員の数が約一万七千。十年ほど前、労働組合が分裂しまして、第一組合員が約三百八十名、第二組合員が一万六千名という巨大企業であります。ここで第一組合員に対するさまざまな人権侵害が行われているわけでありますが、その傾向を簡単に指摘しますと、昭和四十八年以前の場合は、たとえば賃金上の差別、進級、昇格の差別、出張や仕事上の差別、こういうことが中心的に行われておりました。四十八年ごろから差別の態様が大分変わりまして、たとえば結婚式などの冠婚葬祭で差別をする、班の親睦会で第一組合員を差別する、忘年会や仕事納めなどの場から第一組合員を差別する。ありとあらゆる前近代的な差別が行われるようになりました。 この問題を第一組合でアンケート調査をしたわけですが、次のような数字が出ております。三百五十八名について調査したところ、アンケートが回収できたのが三百二十三名、回収率は九〇・三%。その中で、班の親睦会から排除されたと訴えた人が七十四名、忘年会から排除されたと主張している人が五十九名、技術教育を全然受けさせられなかったという人が百十一名、社員教育を受けさせられなかったという人が二百七十五名、そのほか、さまざまな人権侵害が、第一組合員に対して、集中的に行われているということが出ております。 この問題について、労働者が何回かにわたって長崎の法務局に人権侵害として申告いたしました。手元の資料によりますと、昭和四十九年五月十四日に大塚ほか一名が申し立てる。同年六月十九日に錦戸という人が申し立てる。同年十一月三十日に植田さんたち二十九名が申し立てる。五十年二月二十二日に牧、梅崎さんが申し立てる。こうして現在三十数名の人から長崎の法務局に人権侵犯事件として申し立てがされているということを聞いていますが、そういう申し立てが現に継続しているのかどうか、その点だけをまず御説明ください。
○村岡政府委員 長崎地方法務局からの報告によりますと、御指摘の事件は、昭和四十九年十一月三十日、同法務局に対しまして三菱重工業長崎造船所社員の宮本弘志ほか二十八名から、会社内における差別待遇が人権侵犯であるという申し立てがなされたのでございます。これについて、同局で目下調査中でございます。
○諫山委員 そのほかにも幾つか申し立てがなされているのではないかと思いますが、報告は来ていませんか。
○村岡政府委員 ただいま報告を受けておりますのは、ただいま申しました宮本弘志ほか二十八名からの申告ということでございます。
○諫山委員 二十九名の申告が数としては一番多いようですから、これを中心に質問します。 この中の一人に鵜沼享さんという人がおられます。昭和四十九年十一月三十日付の資料で、年齢三十三歳、勤続十七年。この人は、昭和四十六年一月に結婚したわけです。佐藤という人に結婚式の実行委員を頼んでいたところが、上司の圧力がかかって、実行委員を断った。仕方がないから同級生に頼んで実行委員になってもらっていたところが、上司の人から係長の顔にどろを塗るのかとしかられた。そのためにこの人も断ってきた。結婚式は当日まで大変混乱したというようなことが人権侵犯の事例として申し立てられております。 小柳末一さんは四十六歳で勤続二十五年、第一組合員です。班の親睦会から一方的に排除されている。年末や年始などのいろいろな集まり、花見、忘年会などでも第一組合員だということで排除されている。これは人権侵害だという申し立てがされていると思います。 近松八郎さん、資料がつくられた当時五十三歳、勤続二十八年、昭和二十一年十二月二十六日に機械工として入社したわけで、ずっと機械職の仕事をしてきました。ところが、第一組合に入っているということから、本来の機械の仕事をさせられずに、従来の仕事と全く関係のない雑役、掃除のような仕事をさせられている。そのために本人は大変苦しんで、ノイローゼになったり、入院したり自宅療養を繰り返すというような状態が続いている。これは人権侵害ではないか、こういう申し立てがされていると思います。 そのほか似たような、およそ現代の社会で考えられないような前近代的な人権侵害があったとして申し立てられているわけですが、この申し立てを受けて、長崎の法務局はいろいろ調査しょうとした。ところが、肝心の長崎造船所の会社の方が、調査に協力しないどころか妨害をしている。そのために長崎の法務局は大変困っているという報告を聞いていますが、そういう事実がありましょうか。
○村岡政府委員 ただいま三名からの申告内容について御指摘がございましたが、御指摘のような事案について申告がなされているわけであります。 それからそのほかの事件につきましても、その事案の概要といたしましては、申告者らが全造船機械労働組合三菱重工業支部長崎造船分会、ただいまおっしゃった第一組合でございますが、この組合に所属する組合員である、そのゆえをもって会社が他の組合の所属の者と区別、差別をして昇給、昇格をおくらせる、あるいは研修を受けさせない、出張をさせない、残業をさせない、あるいは配置転換、格下げなどの不利益な扱いをした、あるいは作業班等の職場の現場におきまして、その班の行事等から除外し、親睦会に参加させない、あるいは仲間外れにする、そういった職場におけるいわば同僚間の関係における差別、こういった点をいずれも事実を指摘して、これを人権侵犯であるとして申告に及んでいるものでございます。 で、御質問の調査の点でございますが、これは何分にも関係者が非常に多数にわたりまして、また人権侵犯とされております事象も、非常に多岐にわたっておるのでございます。その点にもかんがみまして、長崎地方法務局におきましては、申告を受けた後、まず申告者から事情を聴取し、その結果に基づき、会社及び職制等の調査に先立ちまして会社側に協力を求めたわけでございます。先ほど申しましたような非常に広範にわたるというような事情もございましたところから、その代表的事例について法務局が職制等について調査をされることについては会社として協力するという回答を得ましたので、申告者六名分の事案につきまして職制の調査を終えたわけでございます。ところが、その後申告者らの所属する組合、第一組合におきまして、長崎法務局がこれを人権侵犯事件として調査を開始したということを組合の掲示板十数カ所に掲示をした事実がございます。そういうことから、もう一方の労働組合から法務局の調査に対して、組合員をこれ以上協力させることには反対であるという申し入れが会社に対してなされたのでございます。これにつきまして、会社としては、業務命令を出してまでこの調査に協力することはできない、会社としても、多数の職制を長時間離席させるということは、作業管理等の面で支障を来すという点、それから進級、昇格等につきましては、地労委にすでに申し立てがなされているというような点を指摘しまして、今後は各職制に対する個別調査には協力しかねるという態度をとるようになってきたのでございます。 そこで、長崎地方法務局では、会社側並びにもう一方の労働組合に対しまして、この調査に協力してくれるよう要請をいたしまして再三折衝を重ねたわけでございますが、その結果、会社につきましては、申告事実の中で直接会社に関係のあるものについては、調査事項を事前に文書で通知をしてくれば、管理課長がその事項について説明するという申し合わせがなされたのでございまして、現在、そういう方法で調査を進めているわけでございます。 いまのところ、管理課長の説明に必ずしも十分でない点もございますので、その不十分な点につきましては再度説明を求めるということで調査を補充するようにしておりますが、今後そういう方法ではどうしても調査ができないということがありますれば、その必要に応じて直接関係者から事情を聴取できるように、会社側に重ねて働きかけるつもりでございます。
○諫山委員 封建時代に村八分という言葉があったのですが、これは村から差別する場合でも、結婚式やお葬式の場合だけは例外扱いにした、結婚式やお葬式の場合は差別をしなかった、これが村八分の語源だそうです。ところが、近代的な大企業で結婚式に差別する、お葬式にも差別する、結婚式の実行委員になれないようにする、こんなとんでもないことが行われているわけです。それでもたくさんの労働者は、第一組合の旗を守りながらがんばっております。差別に耐えながらがんばっているわけです。そしてその中で、法務省の中に人権擁護という機関があるそうだから、ここで調査していただこうという申し立てをしたわけですね。しかし、いまの説明を見ても、さまざまな形で会社が妨害していることは明らかです。先日、わが党の金子満広書記局次長が長崎に行きまして、たくさんの労働者と話し合いをしました。長崎地方法務局にも行って実情を聞いております。そうして、このような状態では人権侵犯の救済はできないんじゃないかということをるる訴えているはずです。ところが、いまの説明を聞いておりますと、管理課長を通じて事情聴収に応じているということのようですね。こんなことで事実の調査ができるはずはありません。従業員の数は一万七千です。一万七千のさまざまな職場で、さまざまな形態の人権侵害が行われている。こういう場合に、人権侵犯を受けた人、人権侵犯をしたと訴えられている人、あるいは事情を知っている人、この人たちについて直接事情を聞かなければ、人権侵犯があったかなかったかは認定できないはずです。ところが、調べたいことがあれば事前に文書で会社に申し出ろ、管理課長が一括してお答えします、こんなべらぼうなやり方で人権侵犯の調査ができますか。局長、どう考えますか。これでできなければ次の対策をとるということのようですが、大体こんなやり方で調査ができると思っているのでしょうか。お答えください。
○村岡政府委員 ただいま御指摘のように、この種の人権侵害は、村八分に対して私ども職場八分という言葉を使っておりますが、もし申告のような事実があるとすれば、まことに前近代的といいますか、人権擁護の観点からきわめて不当なことであると考えて、強力に調査を進めていきたい考えでございます。 ただ、その調査方法につきまして、先ほど申し上げましたような方法をとらざるを得ないという情勢にありますことは、人権擁護機関があくまでも関係者の任意の協力に基づく調査である、これに強制力を加えるということは認められておりません関係上、やむを得ない面もあるわけでございますけれども、御指摘のとおり、任意の協力を得られない場合には、事実の解明をすることが困難になるわけでございまして、強制権限はないにいたしましても、これはしんぼう強くといいますか、粘り強くその協力を求めて、調査を進めていくということにしていきたいというふうに考えている次第でございます。
○諫山委員 大企業における似たような人権侵犯というのがいま全国的に広がっております。長崎だけではなくて、たくさんの法務局に同じような申し立てがされているはずです。その場合、長崎造船所がやっているように、一括して会社がお答えします、これでは事実の調査は不可能だと思いますが、局長はできると思いますか。
○村岡政府委員 従来、人権侵犯事件を多数取り扱っているわけでございますが、人権侵犯ということで調査に当たるわけでございますので、当然その加害者と名指された人は、初めのうちはいろいろと口実を設けて調査を避けようとするという事象は間々あるのでございます。そこを人権擁護機関といたしましては、人権の尊重すべきゆえんを説得いたしまして、まず調査に協力させるということが第一の仕事となるわけでございますが、これまでの多くの事件の中で協力がどうしても得られないという例はほとんどないのでございまして、大体、法務局が人権擁護の立場から事件の調査解明に当たるということになりますれば、最初のうちはこれに非協力な態度をとっておりましても、人権擁護を担当します法務局の職員並びに、場合によりましては人権擁護委員と協力いたしまして説得に当たる、その過程におきまして次第に感情のほぐれも見られてまいりまして、調査に協力するという事件が大部分でございます。 一般の人権侵犯事件がそうでありますこととともに、この種の労働関係の絡む事件というのも幾つか出ておりますけれども、従来の事例では、こういう労働関係の場合には、もちろん対立関係がエキサイトしておりましたり、また関係者が非常に多数であるとか、あるいは事案が非常に多岐にわたるということで、調査に非常にひまがかかるということはございますけれども、まあ根気強く調査を進めていけば、一応のといいますか、重大な支障なく調査が進められてくるというのが従来の例でございます。
○諫山委員 わかりました。 そうすると、長崎における三菱造船所の例というのはきわめて特異な例外ですか、それともこういうことは全国的にやられていますか。会社の態度について御説明ください。
○村岡政府委員 労働関係のこの種の事件が幾つかあると申しましたが、そう多数あるわけではございません。まあ今度の場合は非常に範囲が広いという特殊な事情もございますけれども、会社に人権擁護職員が赴いて調査をすることに対して、それを避けるという態度をはっきりととられた例は、ほかには例がないように思います。
○諫山委員 労政局長がお見えだと思いますが、これは労使間のあり方から起こった一つの問題です。私は、これを直接解決するのは法務省の責任だと思いますが、同時に、労働行政全般について責任を負っておる労働省としても、もっと会社に対して適切な指導をすべきではないかと思います。こういう会社のあり方をどう思いますか。
○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。 健全な労使関係というものにつきましては、何と申しましても労使双方の相互信頼関係が最も必要であるという観点から、労働省といたしましては常々、直轄機関ではございませんが、都道府県の労政課、あるいは末端機関であります労政事務所等に対しまして、労働教育その他を通じて相互信頼関係の醸成に努めるべきであるという指導はいたしてきておるわけでございます。 ただいま先生御指摘の人権問題をめぐる会社側の態度、いまお聞きいたしておりますと、人数の点その他でかなり問題があるというように、いま法務省の方からの御説明もございましたが、いずれにいたしましても、労使関係というものは相互信頼関係がなければ健全化しないというふうに考えております。
○諫山委員 私は一般論を聞いているつもりじゃないのです。そしてまた、人権侵犯の中身を聞いているのでもないのです。人権侵犯ありとして労働者が訴えた。法務局が果たしてその訴えどおりの事実があるかどうかを調べようとした。初期の段階では、会社の妨害がなかったから調査できた。ところが、途中で会社が妨害をし始めた。明らかにこれは妨害です。一人一人の関係者に当たって調べることはやめてもらいたい、会社が一括して説明しますというような態度をとっている。こういうやり方を労働省としては正しいと思うのかどうか、正しくないとすれば、どういう指導をしていただけるのか、これを御説明ください。
○青木(勇)政府委員 私どもといたしましては、労使関係をめぐって人権問題に関連する問題があると考えられる事案につきましては、場合によっては県の労政課なり労政事務所の方が早くタッチする場合がございます。(諫山委員「一般的には聞いておりません」と呼ぶ)いまのこの具体的な事案の問題につきましては、私ども事実関係を十分了知いたしておりませんので、どうこうはちょっと申し上げかねますけれども、いずれにいたしましても、県の労政課に対しましては、人権問題についてそういう事案がもしあった場合は、法務局の人権擁護部なり、あるいは地方法務局の人権擁護課と十分連絡をとって対処してもらいたいというふうに指導をいたしております。
○諫山委員 どういう事実があったかということはきょうの人権擁護局長の説明で十分です。会社は一人一人について調べることはお断りします、会社が一括して説明します、こういうことだと言っております。これを労働省としては放置するのか。もっと会社側に対して、法務省の調査に協力するように指導すべきではないか。具体的に聞いているのです。いかがでしょう。
○青木(勇)政府委員 法務当局といたしましては、法務当局の手続に従って対処をしておられると思うのでございまして、会社側の方につきまして私の方から個別的にどうこうすべきであるというようなことは、いままではいたしておりませんですが、さらに私の方としても、県労政課等を通じて事情を調査してみたいと思っております。
○諫山委員 いままで放置されていたことは私も知っておりますが、事実は、いま人権擁護局長が説明しておられますから、ぜひ県を通じてで結構ですから実情を調査して、こういうことであれば、やはり会社のあり方として問題だから、何らかの指導措置を講ずるという御説明を私は聞きたいと思います。正直言って、あの大企業ですからね、三菱天国と言われている長崎ですから、法務局なんかばかにされているんだ問題にもしていないんだ。やはり労働省あるいは労政課というような幾らか会社ににらみのきくはずのところからもっと働きかけないとこれはだめです。そういう調査あるいは指導をしていただけるかどうか、そこだけをお答えください。
○青木(勇)政府委員 県の労政課を通じて実情等を聞きまして、対処してまいりたいと思っております。
○諫山委員 人権擁護局長にもう一つ聞きます。会社の妨害もあって、調査がなかなかはかどらない。そのために、申し立てをした労働者がしばしば長崎の法務局に行って、もっと促進すべきではないかという要求をしております。ところが、それでもはかどらないので、法務局としては一たんもうこれは打ち切るというような方針を出して、そして申し立て人にその旨を通告した。ちょうどそのころ共産党の金子満広議員が現場に行って、そんなだらしないことじゃいかぬ、もっと腰を入れて調べろということで、法務局も幾らかやる気を起こしていると聞いたんですが、そこの経過はどうなっておりますか。
○村岡政府委員 法務局としては一たん調査を打ち切ろうとしたという御指摘でございますが、そういう事実については報告を受けておりません。私どもとしては調査をなお継続中であったというふうに理解をしております。
○諫山委員 法務大臣にちょっと質問します。人権擁護局の調査には強制力はない、これはもうそのとおりですね。しかし、三菱の会社の態度というのは余りにもひど過ぎると思うのですよ。会社が妨害しない間は、人権侵犯の事実が調査できたんですよ。ところが、会社が中に入ったとたんもう調査はストップ、そして一万七千人の職場で起こった事実についてだれか代表者が一人で説明する、それで調査しなさいというのが会社の態度のようですが、これは法務省がなめられていると私は思うのですよ。こんなことではいかぬと思うのです。ですから法律的な強制力はないにしても、もっと強力な措置をとるべきではなかろうかと私は思うのですが、労働省は調査して善処するということのようです、法務省としてはどうされますか。
○稻葉国務大臣 法務省はなめられてはならぬ、そういうことでは困る。ただあなたの御指摘になることについて、会社側が一〇〇%全部だめなやつで、第一組合は全部神様みたいに……(諫山委員「そんなこと、だれも言ってないでしょう」と呼ぶ)そういう一方的に片っ方だけが人権侵害があって、片っ方は不都合なことはないのに村八分にしたとか、そういう事実関係については、よく人権擁護局で調査しなければわからぬと思います。ですから、やったらいいと思います。
○諫山委員 私の質問の中に第一組合は正しい、第二組合は間違っている、そういう発言がありましたか。でたらめ言いなさんな。私は人権侵犯の中身を聞いているのじゃない。あったかなかったかを調査すべきだ、そのためには、調査できるような条件をつくり上げるべきだ、こう言っているのじゃないですか。あなたはなぜ私の質問にずばり答えませんか。私が第一組合が一方的に正しいというような発言をどこかでしましたか。はっきりしなさい。
○稻葉国務大臣 会社側が人権擁護局の調査に協力してもらうことは当然であるが、会社にも言い分があるのではなかろうか、こういうことを言うているだけの話です。いいですか。そうして会社の方も、一々人権擁護局へ行って具体的にたくさんの人を一々調べられては、労働時間にも妨げになるし、一括してお答えしますからこうしてくれませんかというものも、人権侵害事実ありや否やの人権擁護局の調査に対する一つの、あなたには不満だかもしらぬけれども、協力の仕方ではなかろうか、こういう点も公平に考えて、決して私は三菱重工の長崎造船所の会社側がいいとか労働組合が悪いとか、そんなことは言っているのではない。両方とも公平にやったらいい、こういうふうに思います。
○諫山委員 あなたが有名な改憲論者で、有名な自民党の右寄りの議員だということは、私は知っておりましたが、そんな発言というのは、余りにも無責任じゃありませんか。こういう会社というのは、いまの人権擁護局長の説明では、三菱造船所だけだというのですよ。そしてそれを人権擁護局長としては、何とか打開をしたい、もっと協力をしていただきたい、こう言っているでしょう。あなたがそれを是認しているじゃないですか。私はあなた相手にこの問題でまともな議論をしてもしようがないと思いますから、もう少し人権擁護局長に質問します。 局長、あなたは、いまの会社の態度を、これはやむを得ない、もう人権擁護局としてはどうにも手が出ないものだとお考えになっているのか、ああいう会社の態度ではなかなか事態が解決できないから、もっと会社側に考え直していただきたいと思っているのか、どちらでしょう。
○村岡政府委員 現状よりもさらに協力してもらいたいと考えております。ただ会社側の言い分の中には、人権擁護局の職員なり委員が職場に参りまして、そこで一人一人調べるということは、これは作業管理の面で支障があるということを申しておりますので、ここはあくまでも勤務時間中にやるということになりますれば、その点を強調されますと、それ以上にこれを押すということは、あるいは困難であろうかとも思われるわけでございます。そういうことになりますれば、平日の勤務時間外あるいは休日等を利用して調査を行うほかないわけでございます。この会社はたしか週休二日制で、土曜日が常に休みであるか、あるいは隔週に休みになるか、土曜日の休みということも聞いております。そういう点からすれば、各個人を法務局に出頭を求める、あるいはその個人の自宅にこちらから赴いて調査するということは可能なわけでございまして、一部そういう方法で調査したものもございます。ですから、関係者が協力してくれるつもりになれば、これは先ほどの勤務時間の問題、作業管理の問題とは離れても、調査はできるわけでございます。考えられるあらゆる方法を使って、調査の不十分な点は補っていきたいというふうに考えております。
○諫山委員 同じように人権侵犯が、同じ三菱系の三菱モンサントでも起こって、申し立てがされている。これは調査が進んでいるはずですが、いまどうなっておりますか。その点だけ御説明ください。
○村岡政府委員 四日市の三菱モンサント化成株式会社の事件でございますが、この事件につきましては、昨年十二月十五日に市川征二という人から申告がございまして、即日人権侵犯の疑いがあるとして受理し、調査を開始しております。 現在までの調査の進行状況といたしましては、被害者とされております市川ほか六名、計七名でありますが、この七名の被害者からの事情聴取を終わったところでございまして、その結果に基づきまして、今度は会社側関係者の調査を行う予定にいたしております。 事案の概要は、申告によりますと、この被害者らが共産党員またはその支持者であるということを理由に、孤立的な一人作業を行わせられている、また同僚からの切り離しが行われている、あるいは親睦会から排除されている、あるいは職制などから転向を強要されている等々の人権侵害があるということでございます。 なお、被害者の中で一名を除く六名の者は、昨年の五月二十七日に、四日市労働基準監督署に労働基準法三条違反であるとして申告をしているようでございます。
○諫山委員 人権侵犯事件調査処理規程というのがつくられて、その中では特別事件という類別がされております。 たとえば、村八分、重大な差別待遇、労使関係に関する侵犯その他特に社会的な影響がある事件、こういうものは特別事件として報告しなければならないということになっていますが、長崎造船所、それから三菱モンサントの事件というのは、特別事件として処理されていますか。
○村岡政府委員 そのとおりでございます。
○諫山委員 差別を受けている人たちがどんなにつらい目に遭っているかということを、人権擁護局長、さらに法務大臣も、もっと自分のこととして考える必要があると思います。人権擁護が法務省の使命だというようなことを口で言うだけではなくて、現に日本の社会に存在している人権侵害でどのくらい国民が苦労しているのかということを考えてやらなければ、血の通った行政というのはできません。 私のところにさっき名前を挙げた長崎造船所の近松という人の手紙が届いているのですが、この人は、余りにもひどい差別が続けられるから、何回か自殺さえ考えた、ところが、この前共産党の金子満広議員が来て法務局ともいろいろ交渉してくれた、そのときに法務局では、いままではなかなか調査が思い切ってできなかったけれども、今度は新たな気分で本格的な調査をしますということを約束してくれたので、それを聞いた近松さんは、うれしくてうれしくてしようがなかった、お正月にもらって取っておいたお酒をその晩に限って出して、奥さんと一緒に飲み交わしながら、差別に負けずにがんばろうという話をし合ったというようなことが手紙に書いてあるのです。こういう人たちの苦しみを少しでも解決していくというのが人権擁護局に与えられた責務です。会社が協力しないから仕方がない——仕方かないところか、ああいうやり方も一つの協力の形ではないかというようなことが法務大臣の口から出てくるということに私は驚いたのですが、しかしこれは稻葉法務大臣だということで、私は特別だというふうに理解せざるを得ません。 人権擁護局長に重ねてお願いしたいのは、長崎造船所のそんな不当なやり方を認めるのじゃなくて、改めさせる、そして普通の企業が協力している程度の協力は長崎造船所にもさせるという決意が人権擁護局長に必要だと思うのですが、いかがですか。
○村岡政府委員 御趣旨に沿って、鋭意努力いたしたいと思います。
○諫山委員 終わります。
○大竹委員長 次回は、来る五日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十七分散会